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63回国会衆議院1970/05/06

農林水産委員会 第23号

発言数
103
登壇者
14
会派数
4
開催日
1970/05/06

会議録

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 これより会議を開きます。  芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案及び内閣提出、農業者年金基金法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私は、ただいま提案されております農業者年金基金法案と、私どもの党のほうから対案として出しております農民年金法案に質問の中心を置きまして若干お尋ねをいたしたいと思います。実はきょうは、農業者年金の問題は新法でもございますし、また社会保障制度審議会、さらには国民年金審議会等でも数年にわたっていろいろ審議検討をされてきた問題でありますので、前々から社会保障制度審議会の会長、さらには国民年金審議会の会長の御出席も要請をいたしておったのでありますが、両会長とも御都合によって出席されないということで、たいへんその点は残念に存じます。同時に、後ほど厚生大臣がお見えになるそうでございますが、審議も相当進行いたしまして、いよいよ大詰めの段階でありますので、きょうはぜひ倉石農林大臣にも御出席を願って御質問を申し上げたい、こういうふうに思っておったわけですが、大臣が両大臣ともそろうという形にならないのはたいへん残念でございます。しかし、理事間の話し合いの経過もあるようでございますので、事務的な内容の問題から少しく質問をいたしたいと思います。  最初に、御承知の昭和四十四年版の厚生白書を資料にいたしましてお尋ねをいたしたいのですが、これは今度の国会の本会議質問の中でも、私、社会保障の問題として取り上げたのでありますけれども、わが国の社会保障全体の水準という問題を検討する場合に、特にそれぞれの国の国民所得に対する社会保障の給付費の比率というものが、残念ながら日本は非常に低位にございます。EECグループあるいは北欧・英連邦グループと比較をした資料が厚生白書に出ておりますけれども、これらの実態について最初に厚生省のほうから御説明を願いたいと思います。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 わが国と外国との年金水準の比較でございますが、若干資料が古いので恐縮でございますけれども、社会保障給付費の国民所得に対する比率でまず申し上げますと、日本は一九六六年におきまして総額で六・三でございます。それに対しまして、アメリカが若干年度が違いますが七・六、それから西ドイツが非常に高うございまして二〇、フランスが一九・二、スウェーデンが一五・二、そういうような数字になっております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 いま若干の国の例をあげられましたが、厚生白書の四〇ページの「社会保障の推進」のところに出ておりますデータからいきますと、日本はEECグループの三分の一、北欧・英連邦諸国の二分の一という水準にわが国の社会保障給付率があるわけでございますが、こういう国民所得に比較をして非常に低水準に置かれておる根本的な理由について簡潔に説明を願います。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 わが国の社会保障制度と外国の社会保障制度を比べます場合に、一般にいわれておりますことは、わが国の年金制度が外国に比べましてその歴史が非常に新しいために、まだ給付が本格化していないという点が第一点でございます。それから第二点は、ほとんどの外国で実施されております児童手当制度がわが国でまだ実現されていない、これが大きな理由と考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 いまの理由以外に幾つかの点があげられておりますけれども、やはりわが国の公的年金のスタートが非常におそい、したがって本格的な実施の段階まで至っていないということが一つの大きなウエートを持った理由だと私も思います。そこで、そういう状態も判断をしながら、なおかつ、国際的にもそうでありますけれども、日本の場合もだんだんに平均寿命が延びてきておる。戦前は人生五十年というふうなことがいわれ、明治二十四年から三十一年の状況におきます第一回目の生命表によりますと、日本の平均寿命は、当時男が四十二・八歳、女が四十四一三歳、こういうふうな状態であったのが、四十二年の簡易生命表で見ますと、男が六十八・九歳、女が七十四・二歳、こういうことでほぼ欧米諸国の水準に達しつつある、こういう状況がデータを通じてでも判断をされるわけであります。同時にまた、最近の都市化の傾向あるいは家族構成としては核家族化の傾向というふうなことが非常に進展をしてまいりまして、いわゆる高齢者世帯というものが相当に増大をしてきておることも資料で明らかであります。厚生省の資料によりますと、男が六十五歳以上、女が六十歳以上のみ、またはこれら高齢者と十八歳未満の者ばかりで構成されておる世帯を見てみますと、昭和三十年の四十二・五万世帯から、四十二年には九十五・二万世帯とほぼ倍に高齢者世帯が増加をしておりまして、現在ではおそらく百万世帯をこえておるという状況であろうかと思います。したがってこの高年齢層の該当者数で高齢者世帯を見てみますと、高齢者層の六人に一人はいわゆるお年寄りの夫婦あるいは年寄りだけの家族という状況に進展をしてきておるわけでございます。同時に先ほども申しました平均寿命の増大というようなことから、これも資料に出ておりますように、六十五歳以上の人口というものが全人口に占める割合というのが、昭和三十年の五・三%から、四十年には六・三%、五十年には七・九%、六十年には九・五%、七十年には一二%に達するだろうということで、結局六十年に例をとりますと、日本の場合六十五歳以上の人口が千百五十万人になるだろう、あるいは七十年に例をとりますと、六十五歳以上の人口が千五百三十八万人になるだろう、こういうふうに見られておるわけであります。したがって、そういう平均寿命の延長あるいは高齢者の総人口に対する比率の増大、あるいは核家族化の進展に伴うところのいま言った高齢者世帯の増加、こういうふうなことから見まして、厚生省はその白書の中でも言っておりますように、これから「国が最も重点をおいて考えなければならないのは、将来において急激に増加する高齢者に対し健康で文化的な生活の基盤とするに足りるだけの年金を確保することである。」こういうふうに述べておるのは、その述べておる説明そのものとしては、けだし当然だと思います。そういう厚生白書で述べておる説明と関連をして、政府が今日出しておりますいわゆる農業者年金基金法案、こういうものを見てまいりますと、はたして昭和四十二年の解散総選挙の際に佐藤総理が「農民にも恩給を」と言った、それにまた期待を寄せる第一線の農民諸君の期待にこたえるような、そういう農業者年金基金法案を出したというふうに考えて、自信を持って出されたのでございましょうか、その点お伺いいたしたいと思います。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 ただいま御指摘になりました高年齢層が非常にふえておるということは御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、私どももいろいろ検討いたした経過がございます。特に国民年金審議会等におきましても、高年齢者の扱いをどうするかということが一つの議論になったわけでございますけれども、農業者年金は、御存じのように六十歳から経営移譲を要件に経営移譲年金を支給するということにしておるわけでございまして、開始が六十歳から、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、年金の手法としては拠出制でございますので、一定期間拠出をしないと年金に乗ってこないということで、その期間は一体どのくらいに考えたらいいかということでいろいろ議論があったわけでございますが、大多数の御意見としては五年程度最短期間として拠出をしなければならぬであろう、こういうことで、実は五十五歳未満、こういう線を引いたわけでございます。ただ、私どもは、御指摘のような事態もございますし、特に今後、経営規模の拡大あるいは離農したい方の離農の援助ということを考えますと、これはやはり相当高年齢者の方が多いわけでございますから、それに対する年金加入者とのバランスのとれた措置を考える必要があるということで、実は離農給付金制度というものをあわせて併用をする、こういうことになったわけでございまして、決して十分であるとは考えておりませんが、そういう点についても、そういうような方法で実は対処をしてまいりたい、こういう考えでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 結局、先ほど来申し述べておることと関連をして考えてみますと、今度出してまいりました農業者年金基金法案の中で、農業者の諸君から見て、一つの致命的な欠陥の問題は、やはりいま局長からもお話しがございましたことと関連するわけですけれども、昭和四十六年の一月一日時点で五十五歳をこえる農民については、全然この法案と関係が持たない、つまり、この法案の内容の十分、不十分は別として、この法案の恩典を受けない。ただ、先ほども言われましたように、いわゆる離農給付金、これも後継者に経営を移譲する場合にはこれは支給されない、そういう差をつけまして、離農する場合に、五十五歳以上の者で、この法律に該当する条件のものについては、例の三十五万、十五万のいずれかの離農給付金を与えるという程度であって、今日、昭和四十六年の一月一日の段階で五十五歳以上という年齢層は、たとえば五十五歳で例をとれば、平均寿命からいたしましても、大体これから二十年生活をしていかなければならぬという年齢層である。そういう年齢層の諸君が、戦前、戦後の非常に苦難な時期に、わが国の食糧危機を突破をし、そしてまた、国民食糧の確保のために非常に苦労して努力してきた、こういうこの農民諸君に対して、総理が総選挙を通じて言われたときに、一番、この「農民にも恩給を」ということで期待をされたのはこの層だと思うのです、これは直ちに関係のある諸君ですから。この諸君に対しては、離農給付金というのは、もう該当者はごく一部だけでありますから、全然この法案の十分、不十分は別として、恩典に浴しない。これはやはり、「農民にも恩給を」といった発想から期待をしている農民諸君からいったならば、非常に大きな失望であり、一つのこの法案の致命的なやはり欠陥の問題だと思うのです。  私どもが社会党として、この農業者年金制度を考える場合に、いろいろな議論をしましたが、やはり法案の発足当初に、五十五歳をこえる問題についてどうするかということで、いろいろ検討した結果、社会党の場合には、御承知のように、いわゆる年金制度として、農民に対する福祉年金を実施をしよう、これはもちろん、国が全額負担をしてやっていこう、こういう方式をとったわけであります。金額としては、農民諸君から見れば、必ずしも十分であるとは言えないかもしれませんけれども、しかし、少なくとも五十五歳以上の農民諸君、これがこれから、五十五歳の若い人々であれば、二十数年は生活をしていく世代である。こういう人々の期待にこたえるために、そういう措置をとったわけでありますが、なぜ、そういう措置について、離農給付金という、該当者のごく一部の者にしか関係のない、そういう形に最終的に断を下されたのか。これは検討を実際にやられたのか。検討をやられて、なおかつ、そういうものはやむを得ざる事情で除外をする、こういうことにされたのか。その間の検討の経過について少しくお話を願いたい。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 これは御存じのとおりであろうと存じますが、この制度ができますのには、二年間検討の場があったわけでございます。  まず、一番最初には、農林省が学識経験者の方にお願いいたしまして、農民年金の研究会を相当期間開催をいたしまして、そこで大体の構想を固めまして、さらに、年金制度としての検討を国民年金審議会でおやりいただいた、こういう経過がございます。  それで、一番最初の研究会におきまして、一体、総理が言われた農民に対する年金制度というもののあり方としてどういうことが考えられるかということで、外国の例等もいろいろ勘案をいたしまして検討が行なわれたわけでございますが、内容的には、しいて分けますと、三つのものが諸外国の例でございます。これは、いわゆる老齢年金と、それからもう一つは離農年金と、それから経営移譲年金と、こういう三つのタイプに区分ができるわけでございますけれども、この中で、一体、わが国の農業者年金としてはどういう方向が考えられるかということにつきましては、まず、第一に、老齢年金の制度につきましては、日本の場合には、御存じのように、国民年金制度が農業者を包括した老後保障の制度としてすでにあるわけでございますので、これを農業者年金の内容として考えていくのは非常に困難があるのではないか。むしろ国民年金制度の充実という方向によって対処するほうが、農業者自体としてもいいのではないだろうか、こういう意見が圧倒的であったわけでございます。それから、あとの離農年金なり経営移譲年金につきましては、またいろいろ御議論があったわけでございますが、そういうような経過でございまして、農業者年金というものを考える場合には、やはり今後の農業構造の改善という観点に重点が相当置かれまして、その上で、老後保障の問題を考えながら、対処をしてまいるということが適当ではないだろうか、こういう経過をたどっておりまして、国民年金審議会におきましても、大体おおむねそういう線の上に乗っかりまして、一般の国民年金制度との関係をどう調整するのか、こういうことになったわけでございまして、御指摘のような点も、もちろん検討されたわけでございますが、老後保障としては、国民年金制度の充実ということによってやってまいるという方向がきめられてまいったわけでございまして、そういう経過があったわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 政府案のベースに基準を置いてかりに考えてみましても、資料によりますれば、五十五歳以上の農家の人員というのは百九十五万七千人、そのうちで、政府案では国民年金の加入者ということを前提にしておりますから、この加入の者が六十万九千人、そのうちで、一種農家というものが四十五万二千人、そういう人々については、これから二十数年の生活をやっていく場合の裏打ちとしてのいわゆる新しい農民年金の恩典には浴しないという点は、基本的にはやはり問題だろうというふうに思うのです。  元来、先ほど来言っておりますように、日本の平均寿命の増大、あるいは六十五歳以上の人口の増大、高齢者世帯の核家族化に件うところの増加ということを一連考えてみますと、ことに、都市化の傾向に伴いまして過疎がどんどん進行する形勢も出てくるだろうというふうに見ました場合に、はたしていまのような法案の中身で放置していってよいのかどうか。この点については、今日までの審議の過程でも、倉石農林大臣は、検討をせなければならぬ問題であるという趣旨の答弁をされておると思うのでありますが、その辺のところは、今後真剣に検討をやっていかれる農林省あるいは厚生省としてはかまえであるのかどうか、これをひとつ承っておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党農林政務次官

○渡辺政府委員 御趣旨ごもっともな点もございます。したがいまして、さきに大臣が答弁をいたしましたように、今後この問題は慎重に前向きで検討をしてまいるつもりであります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 次は、これは新法でありますから、やはり、つくるときにはいろいろ年齢的な問題の、どこでどういうふうに区切ってどう処理をするかということは、当然新法の場合には出てくるわけですが、次の問題としては、これは法案の第二十二条第二項、被保険者の資格、あるいは第五十一条の年金の受給資格期間等についての特例、こういう関連の中で、いわゆる三十六歳から五十五歳までの者、この問題については、二十年の掛け金の期間というものがなくても五年から十九年の間におけるところの年金の受給資格期間等についての特例を認める、こういう考え方を法案としても出しておるわけであります。この場合、三十六歳から五十五歳をこえざる年齢までの当然加入、任意加入、これの試算の数はどういうふうにはじかれておるのか、事務当局からでけっこうですから、お示しを願いたい。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 ちょっと計算しておりますので、後ほどわかり次第お答えします。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 結局、私どもの党の案からいきますと、法案が発足してから直ちに五十五歳以上の人々についても農民福祉年金がすべりだしていくということになるわけですが、かりに農業者年金基金法案の政府案の形で考えますと、例の離農給付金という十年以内で処理をしようという問題は別として、いわゆる農業者年金としてのこれからの推移を見ますと、ことしの十月からすべりだしまして来年の一月から掛け金を取るという形ですべりだしていって、昭和四十九年までは、離農給付金以外の問題については金銭支出は起こらない。そこで昭和五十年から、この法律に基づく例の三十六歳から五十五歳の一番年上のところから、経営移譲年金の給付が始まる。六十歳から六十四歳のスタートが、昭和五十年から始まる。そしてこれがずっと五年間累積していきまして、そして昭和五十五年から、いわゆる経営移譲、六十歳から六十四歳までにやった者についてはその十分の一の経営移譲年金が、六十五歳以上でスタートする。同時に、六十歳から六十四歳までに経営移譲をやらない農民諸君に対して、六十五歳以上の農業者の老齢年金が同じく昭和五十五年からすべりだしていく、こういう状況に当然なるわけでありますけれども、最初の昭和五十年から五十五年に六十五歳以上の経営移譲年金、農業者老齢年金がすべりだすまでの、六十歳−六十四歳の経営移譲年金の五カ年間の推移をどういうふうに推計上設定しておられるか、それを御説明願いたい。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 ただいま仰せのように、経営移譲年金は五年後から支給が開始されるわけでございまして、五年目の五十年度におきましては一万二千八百人と推計しております。それから漸次数がふえてまいりまして、十年後には十二万三千四百人と推定しております。それから一方、六十五歳以上に経営移譲の有無にかかわらず農業者老齢年金が出ますが、その数は十年後には四万一千人、それから二十年後には六十一万五千人ということになっております。  なお、ちょっと申し忘れましたが、経営移譲した人で六十五歳以上の年金をもらう方は、十年後には一万六千人、二十年後には二十四万四千人という数字に推定しております。  それから、先ほど御質問のありました経過措置によりまして資格期間の短縮をされておる方は、約百八十万人程度でございます。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 角屋君に申し上げますが、厚生大臣が出席いたしましたから……。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 厚生大臣が出席になりましたので、先ほどの質問に若干返りますけれども、少しくお尋ねをしておきたいと思います。  説明は簡略にいたしますが、先ほど質疑開始以来若干の質問をした程度でありますが、日本の平均寿命がどんどん増大をしている。同時に、六十五歳以上の人口も、たとえば昭和六十年の場合には、日本で千百五十万人の人数になってくる。そこへ持ってきて、いわゆる年寄りの高齢者世帯というものがどんどん、核家族化の傾向と関連をして、増大の傾向にある。最近ではおそらくそれは百万世帯をこえるだろう、こういうふうに見られておるわけであります。今後ともに平均寿命は延びていくでありましょうが、そういうふうに見てまいりますと、特に二次、三次産業に比して、いわゆる社会保障面で非常に立ちおくれておる農業者の立場から見れば、昭和四十二年の解散、総選挙の際の「農民にも年金を」という総理のおことばで最も期待をした農家の諸君というのは、今日この法案で除外をされておるところの五十五歳以上の農民諸君だろうと思うのです。もちろんこの農業者年金基金法の内容が十分である、不十分であるは別として、こういう諸君には離農給付金というような、該当者には三十五万と十五万ということで、若干の者は該当者に当たると思いますけれども、いわゆる社会保障制度としての農業者年金というものが、新しく五十五歳以上の諸君には何ら恩典がない。厚生省は四十四年版厚生白書の中でも、今後高齢者の増大と関連をして最も重点を置いて考えなければならぬのは、こういう高齢者に対する「健康で文化的な生活の基盤とするに足りるだけの年金を確保することである。」と述べておる。一体これから、特にきょうは農業者の問題が中心でありますが、基金法案とも関連をして、こういう人々に対する社会保障というものをどう考えていこうとするのか。戦前戦後を通じて非常に苦労をされた年齢層の諸君でありますが、これからどうこれを処理されようとするのか、これをひとつ、農林大臣おいでになりませんので、両大臣兼ねたつもりで、厚生大臣からお答え願いたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 ただいまの角屋先生の御意見でございますが、これはもう私ども厚生省が最も大きな関心を持っておる事案でございます。お説のように、これから十年、二十年の間には、わが国の人口構造がかなり急角度に高齢化の様相を帯びてまいりますことも、これは客観的に全く誤りがございませんので、したがって私どもも厚生省といたしまして、これからの施策の大きな分野として、高齢者対策というものを考えなければならないと考えております。その際、老齢者対策としてはいろいろの対策があるわけでございまして、年金、すなわち所得保障もその重要な一つでございますが、医療保障は何と申しましても年をとりますと病気になる場合も多うございますし、また働き盛りの場合よりも所得も少なくなる、こういうような両方の事態が生じますので、それに対応して医療保障を一体どうするか、こういうようなことも同時に実は考えつつございます。さらにまた、いま仰せがございましたように、年をとりましてもじょうぶで働ける方が相当ありますし、これからなおそうだろうと思いますので、いま申しましたような所得保障、医療保障ということばかりでなしに、十分働ける方々に、われわれの先輩としてなお指導的な社会的活動をしていただけるような機会を十分つくってまいるというようなことも当然これの対象にならなければならないかと思います。またこれもお話がございましたように、核家族化の傾向というようなものも強まってくるでございましょうから、したがって、お年寄り、親たちを対象とする住宅対策、あるいは老人ホームというようなものにつきましても、さらにいままでよりも重点を置いて考えてまいりたいと存じます。  そこで農業者年金のことでございますが、私ども厚生省といたしましては、農業者対策としての問題ももちろんあるわけでありますが、それと農業に従事してまいった老齢者の老後の年金対策としての考え方を結びつけまして、厚生省といたしましては取り上げておるところでございます。ただ御承知のように、国民全体を対象といたしておりまするところの国民年金制度というものもございますので、したがって、これをくずしてしまうわけにもまいりませんので、国民年金制度というものを基礎といたしながら、その上に今回の農業者年金というものを上積みしたと申しますか、積み上げるという形で今回の農業者年金制度というものをつくっております。したがいまして、この農業者年金制度というものは、農林省的見地からいえば新しい農業対策、後継者対策といいますか、あるいは経営移譲対策というようなことも含みながら、また厚生省的感覚における農業者の老齢者に対する一つの年金対策というようなことも加えまして、この案をつくっておる次第でございます。  また年齢の問題の御指摘がございましたが、御承知のように、一般の国民年金の年金給付開始年齢は六十五歳でございます。それから掛け金のない福祉年金の年金給付の開始時期は七十歳でございますが、先般来申し述べましたような点、農林省的農業政策の見地をも加味いたしまして、今回の農業者年金の支給開始時期を六十歳に引き下げて設定をいたしまして、そして六十五歳まで農業者年金を給付した後におきましては、今度はいまも述べました国民年金の仕組みというものでこれを置きかえてまいる、こういうようないろいろの組み合わせをいたしておる、かようなことでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 必ずしも私の質問にずばり答えておるとは思わないのです。要するに五十五歳以上の農民諸君は、これから少なくとも二十数年間は生活をしていかなければならぬ年齢層であります。先ほど国民年金の中でそういう問題もさらに考えてという御答弁もございましたが、御承知のとおり、国民年金の適用人員というのは、四十四年三月末現在で二千二百三十一万人の多きを数えておるわけですね。これは厚生年金保険の二千七十一万というのとほぼ匹敵をする。総数が、公的年金が四千八百十五万台でございますから、国民年金で公的年金の四六・三%、厚生年金で四三%というのを占めておる。こういう国民年金の二千二百三十一万の中でということになると、たとえば七十歳以上の福祉年金を見ても、物価その他から見て金額の上昇というのは遅々たるものであるという状況なんですね。そう考えてくると、この農業者年金を創設する機会に、五十五歳以上の諸君に対して御苦労という意味も兼ねて無拠出の福祉年金を創設するという親心は当然考えられていい問題なんですね。私は、社会党案は金額その他においてもいろいろ検討した結果、必ずしも農民諸君に十分とは言わぬけれども、政治の責任で当然考えるべきことについて答えを出しておるというふうに信じておるわけです。そこが今回の政府案の致命的な欠陥の一つであるというふうに私は考えておるわけです。  次に、私は大臣がおいでになるまで、いわゆる国民年金が発足する場合に、二十年の掛け金に満たないいわゆる五年から十九年の特例問題を考えて、三十六歳から五十五歳をこえざる者に対しての特例措置をやろうということに質問を転じておったわけであります。そこで、この事務当局からいただいた資料でいきますと、昭和五十年から経営移譲年金の支給が始まる。それでいきますと、逐年一万二千八百人から三万七千六百人、六万一千八百人、八万六千六百人、十一万二千八百人、こういきまして、昭和五十五年の時点で経営移譲年金の六十歳から六十四歳までの支給を受ける者が十二万三千四百人、こういう推定をしておるわけですが、ここから六十五歳以上の経営移譲年金の十分の一の支給が始まる、経営移譲のやらない農民諸君に対する同じく六十五歳以上の農業者の老齢年金が始まるということで、当初の昭和五十五年には六十五歳以上の経営移譲年金は一万六千三百人、農業者老齢年金のほうは四万一千百人、これが二十年の経過を経ますと、経営移譲年金のほうが六十歳から六十四歳が十四万八千七百人、六十五歳以上の経営移譲年金のほうが二十四万四千九百人、農業者の老齢年金の六十五歳以上のほうが六十一万五千七百人、こういうふうになってまいりまして、その後の二十五年、三十年の経過のときの数字もありますけれども、時間の関係上省略いたしまして、三十年の時点で考えてまいりますと、経営移譲年金の六十歳から六十四歳のほうは減少を見込んでおりまして、九万九千六百人、経営移譲年金の六十五歳以上が三十四万六千三百人、農業者の六十五歳以上の老齢年金の支給対象が八十七万六百人、こういう数字が出されておるわけであります。  そこで少しくお伺いをしたいのでありますが、例の国庫負担の問題については、いわゆる経営移譲年金についてはその経費の三分の一、そして掛け金として七百五十円に対する三百二十一円を当分の間国庫から支出をする、全体としては国庫の補助率は四二・二一%というふうにいっておるわけですが、これを前提にして今後五年、十年、二十年、三十年の時点における収入、支出の関係について、簡単に数字の御説明を願いたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 いろいろ年齢並びに給付についての角屋さんから御指摘がございましたが、それはそのとおりの数字で推移いたしてまいることを前提といたしております。しかし、この掛け金あるいはそれに伴う国庫負担金等につきましては、これは利回りの問題でありますとかあるいは経営移譲をなさる人あるいは六十歳を過ぎましても経営移譲をなさらぬ若干の人も出てくるはずでありますので、そういう場合を込めまして、厚生省におきまして、そのうちの高等数学のようなアクチュアリーというそういう数字をはじきまして金額等ができておりますので、これは告白いたしますと、その数字の中身は私にはわかりませんので、ひとつ専門家をしてお答えをさせたいと存じます。

淵脇学厚生省年金局数理課長

○淵脇説明員 年金局数理課長でございます。  ただいま先生の御質問にありました収入、支出、積み立て金というのを計算いたしておりますから、簡単に御説明申し上げます。  最初の年度でございますが、掛け金は二百六十二億、この中には当初負担分の三〇%の国庫負担が入って、二百六十二億ということになっております。それから、それに対しまして最初は五年間の据え置きでございますので、給付は出ないわけでございます。それに利子が七億つきまして、最初の年は収入は二百六十九億ということになっております。五年たちまして給付が出始めましたところで、同じく三〇%の国庫負担を含めまして二百八十九億という収入になりますが、これに対しては給付が出ますので、その給付が出ますときに国庫負担、要するに経営移譲分に対する国庫負担が加わることになりますので、これが四億加わることになりまして、それに対して利子収入は九十二億ということになりまして、これは積み立て金に対して九十二億でございますから、二百八十九億に対する利子ではございませんで、積み立て金に対して累次利子収入がふえてまいりますので、利子収入は九十二億ということになりまして、収入合計が三百八十五億ということになってまいります。そのときに年金の支出がそれに発生いたしますので、三十五億円年金の支出が出ることになります。  さらに十年経過いたしましたところの点を申し上げますと、掛け金は同じく三〇%の国庫負担を含めまして、二百六十九億国庫負担が、経営移譲が促進されますので、四十七億という国庫負担がこれに加味されまして、利子収入は百八十億、合計四百九十六億の計算になりまして、それが収入となります。そのときの支出は百九十二億円という支出になってまいります。  さらに二十年のところを申し上げますと、同じく掛け金が三〇%の国庫負担を含めまして二百十五億、それから国庫負担が九十三億、利子収入が三百五億、計六百十三億が収入になります。そのときの支出は四百八十六億ということになっております。  さらに三十年のところを申し上げますと、掛け金が百八十二億、これはどうしてこうして減っているかと申しますと、二百万人の方々の加入者が、農業構造の改善によりまして、少し減少していくことを見積もっておりますために、全体の人数が減ってまいりますので、掛け金も百八十二億となりまして、国庫負担は八十六億、そのときの経営移譲に対する国庫負担は八十六億、利子収入は積み立て金がふえておりますので三百二十四億、合計五百九十二億の収入がございまして、支出はそのときに初めて六百二十億という支出になりまして、そろそろ収入が均等してまいる次第になります。大体年金に対する基礎表の計算からこのような積算をいたしまして見積もっております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私の手元に、いまの収入、支出及び積み立て金の資料を手にしておりますが、いまお話しのように、最初のすべりだしの当初では二百六十九億円の年度末の積み立て金保有額からスタートをいたしまして、一千億台にいくのが第三年目、来年から三年目で一千億台にいく。第三年目で千百九十七億の積み立てになる。それからずっと二千億台になるのが六年目で、二千二百三十三億、それから三千億台に積み立て金がいくのが九年目で、三千二百四億、四千億台にいくのが十五年目で、四千八百六十九億、それから二十年目には五千億台、二十五年目には六千億台で、三十年目には六千三十九億、これは推計数字でありますけれども、要するにこの収入、支出の関係から見て、推計した計算からいきますと、三十年ちょっとたったところでおおむね六千三十九億の積み立て金ができるだろう、こういう巨額になるわけでございます。  ちなみに当面の積み立て金の状況で、他の公的年金の問題にちょうど触れますけれども、それでまいりますと、御承知の公的年金の積み立て金は、厚生年金のほうで二兆円をこえる。それから国民年金のほうは四千億円をこえるというのが今日の現状であります。これらの積み立て金の運用等の今後の問題については、後ほど質問の順序としてお伺いいたしたいと思います。  そこで政府案の農業者年金基金法案の性格でありますが、これはしばしば本委員会でも議論されましたように、いわゆる経営移譲年金、経営移譲と、それから離農政策というものに力点が、法案のどこを見ましても置かれておりまして、先ほど来の問題とも関連をいたしますけれども、農民の老後保障の充実という、農民側が真剣に求めておる問題の要望からしますと、本法案ははるかにかけ離れておるというところに私はやはり問題があると思います。いわば政策年金的色彩というのは、もちろんこの法案を通じて看取されるわけでありますけれども、農民諸君に対する老後の社会保障の充実という点から見ると、きわめて欠陥が多いというのが端的な事実だと思う。数字を計算すればわかるわけでありますけれども、いわゆる六十五歳からの国民年金の支給に対して、五年繰り上げて六十歳から支給をするという場合の、六十歳から支給をするというのは、経営移譲をやった農民に対して六十歳から支給をする、いろいろな事情によって経営移譲が残念ながら六十五までの間にできなかったという者に対しては、これは六十五歳の国民年金と現状は同じである、こういうことでございまして、いわゆる経営移譲の有無によるところの差別というものが非常にはっきりしておる。これはこの法案の特色といえば特色かも知れぬけれども、社会保障問題からいうと、これは基本的に問題ではないかと思いますので、私は若干計算をしましたから、少しく計算に基づいて言いますと、かりに経営移譲したということになりますると、五年の掛け金で六十歳から六十五歳未満の間の経営移譲の金として四十八万円政府から受けることができる。二十年の場合には九十六万円受けることができる。二十五年の場合には百二十万円受けることができる。三十年の場合には百四十四万円支給を受けることができる。これはもちろん利子は全然考えておりませんが、その額ずばりで言って四十八万円、九十六万円、百二十万円、百四十四万円、こういう支給を六十から六十五歳未満の経営移譲の五カ年間で受けることができる。しかも六十五歳以降になってもいわゆる月額の十分の一のものが加算をされていく。他の経営移譲しなかった諸君は、その加算分だけさらにいわば不利な条件に置かれる。かりに六十五歳から七十五まで十年間双方とも生きたとして、双方の支給の差を考えてまいりますと、五年の場合には五十七万六千円の差ができる、二十年の場合には百十五万二千円の差ができる、二十五年の場合には百四十四万円の差ができる、三十年の場合には百七十二万八千円の差ができる、こういう形になるわけであります。これは計算上すれば、すぐ出るわけであります。つまり農業者年金というタイトルは冠しておりますけれども、明らかに経営移譲をやるかどうかということによる——当然加入で入った農民諸君を対象にした場合で考えても、その支給の差というのは、きわめて顕著に出てくる。いわば、これは、政策年金の性格をはっきりあらわしているのは、いまの数字からも明確であります。はたしてこういうことで、いわゆる農業者年金というふうなタイトルにふさわしい年金制度というふうにお考えでございましょうか。これは、むしろもつと別のタイトルをやはり冠したほうが、この内容から見ればふさわしいのではないか、率直に言って、私はそう思うわけであります。その点どういうふうにお考えですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 先ほども私から申し述べましたように、今度の農業者年金というのは、現在ありますところの国民年金の上に積み上げたものであるということが、まず第一であります。  そこで、これは私から言うべきことじゃないのかもしれませんが、ほんとうのことを申しますと、今度の農業者年金をつくるということのために、実は昨年国民年金の給付金額というものを二万円年金に引き上げました。だから、農業者年金をつくるということで、その国民年金のほうを、それとのかね合いにおいて、去年のうちに実は引き上げをしたということは、これは農業者年金を  つくるベースになったということでありまして、受けるほうの農民層ばかりではありませんで、一般の国民も恩恵に浴するわけでありますが、そういう意味での、受けるほうからいうと、一つの功績をなしておった、こういうことが実はございます。しかし、それは今度の農業者年金のワク外でございますから、それはそれで別のこととして御判断いただければけっこうでございます。  さて今回の農業者年金には、先ほど角屋委員からおっしゃいましたように、国庫の補助がついておるわけであります。支給時に三分の一の国庫補助がつきます。また掛け金時におきましても、ほぼ三割ぐらいの国庫負担というものを、当分の間するということでありまして、これらが、どこにいくかは別といたしまして、農業者年金と称するもののワク内でそれだけの国の負担をいたします。これは別に農業者以外の被用者にいくわけでもありませんし、中小企業者にいくわけでもありませんで、農業者年金を受け取られる方々のために、これだけ国が負担をいたすということを、まず第二に頭に置いていただきたいと思います。  第三番目に、それの分け方で、これが角屋先生がいましきりに御指摘をなすったものでありますが、それは経営移譲したものは、それだけのフェーバーはなるほど受けるが、経営移譲しなかったものについては、そんなにフェーバーを受けないじゃないか、経営移譲したものと経営移譲しないものとの格差があり過ぎるじゃないか、こういう御指摘でございますが、これは、おっしゃるとおりになっておるわけでございます。しかし経営移譲したのはだれかというと、それは、これまで国の政策に従って営々として農業をなさっておられた方で、六十歳を過ぎて六十五歳までの間に経営移譲せられた農家の方々の先駆者、先輩の方々でありますので、それらの方々の受けるフェーバーというものは、私は否定せらるべきではないと思います。しかし、いろいろのお考えもあって、経営移譲せられなかった方々に対しましても、農業者年金はもちろん支給されるわけでありますが、そのフェーバーはあまりない、こういうことは御指摘のとおりでございますが、御指摘もありましたように、また私も述べましたように、今度の農業者年金というものが、農家の方々あるいは農家でありし方々、そういう層の老齢者に対する所得保障であると同時に、農業の近代化とかあるいは経営移譲というような政策目標も農林省サイドで加味されたものであるので、いま申し述べましたような、また御指摘がございましたような第三点のことが出てくるわけでありまして、今回の農業者年金というのは、そういう意味におきましては、御指摘のとおり、一つの政策年金の要素を加味しているということは、私どもも認めざるを得ないというか、認めているところでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 結局、経営委譲ということばを法案でも使っているわけですが、通常従来、私どもが経営移譲という場合は、後継者に対して経営を移譲して経営の若返りをはかる、これが主題のように考えておって、いわゆる第三者に経営移譲をする場合のことは、これは離農というふうに通常は解釈しておったわけですね。今度の政府案の法案の出し方というのは、ある意味では、従来タブーにされておった離農問題というのを、あまりどんずばりむき出しにせずに、後継者に対する経営移譲、それから第三者に対する経営移譲を通じての離農というのを経営移譲という非常にやわらかい表現であらわして、そして離農ということばの出るのは、いわゆる本法の適用を受けない該当者に対しての離農給付金という形であらわすというのが——ある意味では非常に知恵を働かせたやり方かもしれませんけれども、しかし第三者に対する経営移譲、これは明らかに離農を意味しておるのであって、しかも、その政策年金的性格ということで離農を考えるということになれば——大臣も御承知のように、大体一九六二年のフランスの離農年金を口火にして、たとえばベルギー、あるいはイギリス、西ドイツ、オランダ、どういう各国において、そのものずばりの離農年金の制度があるわけですね。ただ、これらを通じて、オランダの時限のない法案を別にすれば、フランスの場合には十二年間の時限立法である。あるいはベルギーの場合は五年間の時限立法である。イギリスは七年、西ドイツは五年の時限立法である。しかし、この時限立法に基づく離農年金は、政府が全額拠出をして、そして離農年金を実施する。いわば政策的な問題については、フランス以下いまあげられたような各国においても、はっきり割り切って全額国がめんどうを見る。農民諸君には拠出をさせないという形で実施しているわけですね。これが政府案の場合には、離農給付金については国がめんどうを見ましょう、しかし期限そのものの中に入ってくる問題については、補助率については、ある程度考慮するけれども、いわゆる離農的な性格のものについて全額国がめんどうを見ようという姿勢を示しているわけではない。いわゆる経営移譲年金の支出に対しては、三分の一めんどうを見よう、こういう形で明文化しているわけですね。その点は、いままでもしばしば議論せられたことですけれども、政策年金的部分については、各先進諸国でもとっているように、はっきり国が責任を持ってやる、そういう形になぜ割り切れなかったのか。この点、大臣からお答えを願いたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 これは一般論になって恐縮でございますが、社会保障の一番大きな柱が所得保障と医療保障でございます。この年金の分野におきましても、医療保障つまり健康保険などの分野におきましても、わが国の社会保障のたてまえといたしましては、これを公費給付、国費給付という形をとりませんで、病気になりまして、医療給付を受けますときにも、その基礎になりますのは、やはり被保険者、加入者の掛け金、それに国庫から負担を一部入れまして医療保障をするというような制度をとっているのと同じように、年金におきましても、国民年金でも厚生年金でも、あるいは国家公務員等の共済年金などにおきましても、雇用政策等の問題を含みながらも、やはり本人の掛け金というものを中心にして、国がそれに負担を乗せる、こういう形をとっていることは御承知のとおりでございます。  今後の農業者年金制度におきましても、これは全部公費負担で経営移譲あるいは離農をさせるということも、これは考え方としてはあり得るでございましょうが、わが国の社会保障政策の形の中におきましては、今回のように御本人にも負担していただき、それに対して国が国庫負担を乗せる、こういうことにいたしました。また三年とか五年とか、外国の例に見まするように、ある限られたる期間における離農給付金というような制度をとらないで、離農された方が生存される限り、一生死ぬまでといいますことは、途中でこれは国民年金に置きかわりはしますけれども、そういう年金制度として考えましたために、資格がない方の離農給付金というものとそれから国民年金との連係を基盤とした農業者年金、こういう二つに分けたことでございます。これは私など厚生大臣以前の政治家として考えますと、各方面で農家にも恩給をというようなことばもいわれておりました。私どもの一族などにやはり農家もおりますけれども、恩給すなわち年金という形で今度の制度が出されたことをむしろ歓迎しているという面もございますので、恩給取り消し、すべて三年間、五年間の一時金だということが必ずしもいいとも——これは農林大臣のほうのお答えになる範囲かもしれませんが、そういう点も考えて私は今度の制度には賛成をいたしておるものでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 大臣は少し取り違えているんじゃないでしょうか。法律の適用の期間は一応存続期間として限定をしておるけれども、実際の支給は、いまの多くの国は全部年金なんですね。その点はお間違いのないようにしてもらわなければいかぬと思うし、またそういう離農政策の進展と見合って、日本の国会でもやっておるように、必要があれば法律の存続期間の延長ということも当然やられるだろうと思うのです。ただ違うのは、要するに法案の存続期間を一応限定したものがオランダ以外の多くのヨーロッパの国々の例であるということは事実ですね。  この機会に厚生省でも農林省でもけっこうですが、フランスと西ドイツの農民老齢年金の実態について簡潔に、特にその場合に国の補助率がどの程度になっておるかという点を中心に御説明願いたい。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 これはどうも角屋先生のほうがよく御存じだと思いますので、私どもの説明ははなはだ不十分かと思いますが、私どもが承知しておりますことを若干申し上げますと、フランスの場合には、御存じのように農民の老齢年金という制度が拠出制でございます。そのほかにいわゆる離農年金、経営移譲を含んでおりますけれども離農年金というものがございまして、たとえば支給開始時期の繰り上げあるいは農民老齢年金に対する上積みと、やや日本の今回の農業者年金と似ているわけでございますが、そういう形になっているわけでございます。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 その場合の老齢年金の詳細な内容を私十分存じているわけではございませんが、特に補助率の点に重点を置いてというお話がございましたが、この老齢年金につきましては、これは有期年金ではなしに恒久的な年金制度ということのようでございます。財源といたしましては、農業者の負担部分と税金によってまかなっている部分とそれから国の負担と三種類からなっているようでございまして、国の負担だけをとりますと、大体比較的新しいもので見ますと七八%くらいの負担の状況のようでございます。  それから給付の内容といたしましては……。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 給付の内容はけっこうです。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 大体そういうことでございます。  それから西ドイツの場合におきましては、どうも農民の老齢年金という制度はないようでございまして、経営移譲年金と離農年金制度ということでございまして、経営移譲年金の場合におきましては、比較的最近年次のものを見ますと、国庫の負担は大体七五%くらいのようでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 フランスの場合七八%、これはいわゆるフランスの場合農民プロパーの独立の制度として持っておるわけですね。これは政策的なものではなくて、農民に対する社会保障として国が大きなめんどうを見ておる。しかも農林省等各方面からヨーロッパには年金制度の調査その他で行かれ、私も昨年行ったわけですが、それらのレポートを見ましても、いわゆる農民の独立の社会保障を設けたフランスの理由として、歴史的な理由あるいは政治的理由と財政的理由というのを幾つかあげておられますが、その中で財政的理由としては、農民の負担能力その他から見て国がやはり思い切った助成をしなければならぬ、他の年金との全体的な中で取り扱わずに、独立して、そういう意味からして取り扱う必要があるということで、これは独立しておるわけですね。そしてこれ以外に、先ほどお触れになりましたフランスの離農年金が無拠出で存在をする。西ドイツの場合は、いまもお話の中でありましたように、これは経営移譲ということが前提になって老齢年金が支給をされる。この場合も最近の若干のデータはありますけれども、要するに国庫が七〇%をこえるめんどうを見る。そのほかに西ドイツの場合は、昨年時限立法として農地譲渡年金というものを無拠出で開始をするという形になっておるわけですね。日本はGNPではフランスとかイギリスとかドイツを越えていま自由主義国で世界第二番目といっておりますけれども、ドイツなりフランスなりというものはGNPでは大体肩を並べるところである。そういう肩を並べるところでは、時限的な問題の有無は別として、いわゆる農民の政策年金は無拠出でやるという考え方に基盤を置いておる。またドイツ、フランスの場合においては、いわゆる社会保障としての恒久的な農民年金において相当多額の支出を国がするという考え方に立っておるわけですね。今度の政府の農業者年金というものは、いわば社会保障の若干の上積みとそれから政策年金的性格を中心にして、チャンポンにした形になっておるわけですね。しかもこの社会保障の上積みのほうは、本委員会でもしばしば議論されたように、二十年掛け金を七百五十円ずつ毎月掛けて、そして五年据え置いて、さて六十五から老齢年金をもらう場合に、本来なら四千二十六円もらっていいはずのところが三千六百円しかもらえない、こういうことの議論が相当に繰り返されてきたわけですね。私もその議論はまさに議論としてそのとおりだと思う。今日五分五厘というのは常識であって、そういう点から見れば四千円に書きかえるということは当然のことだ。先ほど来述べておるように、経営移譲した場合の六十から六十四歳までのそれぞれの移譲者に支給される金額、あるいはその後において、六十五以降で月額の十分の一がさらに上積みされるという、そういうものの差を考えてみると、これは五分五厘の利で計算をして、それに見合う分くらいは最小限当然やらなければならぬ。そうではなくて、先ほど来の議論の前提に立てば、むしろもっと金額をふやすということが考え方として必要だと思うし、社会党は六十歳から一万五千円を農民年金として支給しよう、国民年金を改正して、六十歳一万五千円という改正と有無相通じて三万円年金をやろうという考え方に立っておるわけですけれども、要するに支給の年限についても、経営移譲が六十歳から始まって、経営移譲しない者は六十五歳から始まる、そのこと自身についても経営移譲の有無にかかわらず、六十歳からこの法案に基づくところの年金はスタートするということに今後やはり真剣に考えなければならぬ問題だろうし、当面、六十五歳から支給される四千円問題については、これはもう当然改むべき問題である。先ほど来のいろいろな経営移譲と経営移譲をしない場合の差から見ても、これは最小限の問題なんですね。年限の繰り上げその他の問題について、今後大臣としてはどういうかまえでいきなさるか、お伺いをしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○内田国務大臣 お尋ねの点でございますが、経営移譲をしない農家の方については、六十五歳を過ぎたときに三千六百円なり、あるいは四千五百円なり、年限に応じて出る、こういうことでございますが、これは六十歳から六十五歳までの間に経営移譲をなさった場合には、六十三歳で経営移譲をされれば六十三歳、あるいは六十二歳でも六十四歳でも、それまでむしろ猶予期間をつけておく、こういう意味に御解釈をいただきたいと思います。  さて、これも私先ほど御答弁申し上げたことでありますが、国の三分の一の給付金負担なり、あるいは当初における掛け金の三割負担なりというものをもっと多くすべきかどうかという議論は、これはまたもちろん別の見地からあることとは思いますが、わが国の財政とか、あるいはGNPというようなものもさることながら、高負担、高福祉というようなこと、あるいはまた一人当たりの国民所得というようなものがドイツやフランスまでに及んでいないことも御承知のとおりでありまするし、また、そこでお持ちの厚生白書にも述べてございますように、わが国の社会保障社会福祉、ことに年金制度というものが成熟をいたしておりませんために、このときに発足する農業者年金あるいはまた現在ありますところの国民年金等に対する国の負担といたしましては、まあ三分の一あるいは掛け金の三割負担というようなものは適当だということで、それ以上多くは予算上も達成し得られなかったわけでございます。それを今度は、経営移譲をなさる方と経営移譲をなさらない方とに分けますときには、先ほどの政策的見地もございまして、経営移譲をなさるほうの方々に国庫負担というものは片寄ってフェーバーを与える。経営移譲を六十五歳までになさらなかった方々につきましては多くのフェーバーは与えられていないということも御指摘のとおりでありまして、これがすなわち今度の農業者年金というものが農業者の老齢者に対する福祉施策をも全体としては取り入れながら、そのワク内におきましては経営移譲なり離農なりというものを促進するという政策から来る帰結としてそういうことになった、こういうことでございます。でありますから、できる限りひとつ経営移譲をしていただく方向にこの年金の持つ誘導政策というものも活用させてまいりたいということが、これは厚生当局といいますよりも、むしろ今後の農業政策をあずかる農林当局からの強い御希望もございまして、厚生省のほうでは御指摘のようなそろばんをはじいておる次第でございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 大臣は厚生大臣しか来ておらぬから、両方兼ねた気持ちで御答弁になったのかもしれませんけれども、大体厚生大臣なら社会党案でいきたい、農林大臣であればやはり自民党といいますか、自民党政府の高度政策との関連において、そうばかりも言えません、こう言って倉石さんが答弁をするなら、少しくニュアンスとしてわからないわけではないのだけれども、国民の社会保障の大元締めの厚生大臣が、 いわば高度政策を中核とした、その意味では、社会保障から見ればずいぶん問題の多いこの法案の内容について弁護をされるというのはいささか心外ですよ。まあ心外であるという程度にとどめておきます。  そこで法制局からおいでになっておりますか——それでは法制局に対する農家相続の問題については後ほどに譲ります。  そこで、若干技術的な問題になりますけれども、今回衆議院をわれわれの反対の形で参議院に送られました農地法、農協法の改正問題と関連をして、若干本法案との関連の事項を数点お伺いをしておきたいと思います。  まず第一は、今回の農地法改正の第七条第一項第一号で改正をする条文になっておりました例の不在地主の問題ですね。この不在地主として、あの法案がかりに実施されるとして運営される場合には、これはあとに承継の問題が法案上残っておりますけれども、経営移譲としてこれを処理するということに当然なるわけですか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 農地法の改正案との関係で、いま経営移譲の場合どういう関係にあるかという御質問だと思うわけでございますが、これは、もちろん農地の移動につきましては、農地法が一般法でございますから、今回の農業者年金法によりまして経営移譲をするという場合には、これは農地法の規定の範囲内で行なわれる、こういうことでございまして、したがいまして不在地主の問題でございますと、たとえば第三者に土地を譲りまして、そうしてその村を離れるという場合におきましては、一般的には平均一ヘクタールの範囲内におきまして小作地の保有が認められておるわけでございますから、そういう形によりまして使用収益権の設定をするという場合、これはもちろん期間の関係がございますけれども、相当長期の使用収益権の設定でございますれば、これは経営移譲に該当をするわけでございます。当然その場合には農地法のワク内でということに相なるわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 次に同じく今回の農地法、農協法の改正の中で、特に農協法に中心を置いて農協法の第十条第二項のところで、例の農業協同組合による農業経営の委託を認めるという形になるわけですね。この場合の経営移譲との関連はどういうふうに取り扱われるのかをお伺いしたい。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 これは、この農業者年金基金法なりあるいは農協法の改正案の法文そのものの上ではまだ必ずしも明らかでないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、今後農協によります農業経営の受託の事業を農業構造改善の一つの手がかりとしてぜひ育てていきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございますので、今回の農業者年金基金法によります経営移譲の場合、たとえば農協に経営受託をするという場合に、それを経営移譲と認めるかどうかという問題があるわけでございますが、これにつきましては、方向としてはなるべく認めるような方向で考えてまいりたい。ただ、農協の経営受託は、たとえば期間という問題でございますとまだこれは何ら法文に規定はございません。たとえば好ましい事態とは必ずしも申せませんが、比較的短期間の経営受託というものを必ずしも否定はいたしておりません。でございますから、非常に短期間の経営受託をしてそれが経営移譲であるということで年金の支給をいたしますと、これは制度としてやや妙なことになりますので、たとえば相当期間、例をあげて申しますと、たとえば十年程度といったような相当長期にわたる受託を農協に対して委託いたしましたような場合には、これは経営移譲として考えていってよろしいのではなかろうかという気持ちを持っておるわけでございまして、この点につきましては、政令等を定める場合にそういう方向で検討をいたしてまいりたい、こういう気持ちでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 いまの農政局長の答弁は、当然、政府案からいきますと、第四十二条の第一項第二号のイのところで、一番末端のほうに、これは相手方の問題ですが、カッコ内は抜かしますと、「農業者年金の被保険者である者」それから「基金、農地法第三条第二項ただし書に規定する政令で定める法人」これは政令の予定からいきますと、農業生産法人等を予定する、こういうふうに承知しておるわけですが、いまの農協の問題は、「その他政令で定める者」、ここで考えようということに立法上はなるのじゃないですか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 そこで、農協を指定いたしまして、ただ農業経営の受託を受ける農協というような指定、政令の定め方をしたらどうだろうかという気持ちでおりますけれども、技術的な問題でございますので、もう少し検討いたしたいと思いますが、大体そこだと思います。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 それから、農林省がいままでも指導してまいりましたが、いわゆる集団栽培という方式の場合の取り扱いは、経営移譲との関連ではどういうふうに考えられるわけですか。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 集団栽培というお話でございますが、これは、御存じのようにいろいろな形がございまして、非常に素朴な、たとえば稲につきましての共同作業的なものから、さらには、一つの法人格を持った、いわゆる生産法人というかっこうで集団的な耕作をやる場合と、いろいろケースがあるわけでございます。もちろんその稲の集団栽培等としていわれております、たとえば作業を共同的にやるというような場合でございますと、これは一般の場合と同様に考えてよろしいわけで、特にそういう点についての御質問ではないと思うわけでございます。生産法人等の場合におきましては、これは非常に特殊な場合でございますので、一つは法文の中でも、たとえば生産法人に対しまして、全部土地の出資をする、そしてそれに対して単位持ち分を持っているというような場合におきましても、その持ち分といいますか、生産法人に出しております土地に対する——正確には持ち分ではございませんけれども、その生産法人の土地をその構成員で割りました一人当たりの面積、それが一般の場合の面積と同じようなものである場合におきましては、これは一般の方と同じような扱いをする。したがいまして、その持ち分の譲渡をいたしました場合には、これを経常移譲と考える、そういうような扱いをいたそう、こういうことになっているわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この第二十二条の、被保険者の資格、第一号との関連の問題ですけれども、いわゆる被保険者の資格として、第二十二条第一項のところで、「その事業に供する農地等の面積の合計が政令で定める面積以上であるものは、農業者年金の被保険者とする。」ということで、当然加入なんですけれども、スタートのときは、この政令で定める、内地の場合五十アールと予定しておるわけですが、これがずっと掛け金を掛けておる中には変遷が起こるわけですね。もちろん農業者年金の該当者というのは、別に自作農でなければならぬことはない。自小作でもよろしい、あるいは小作農ずばりでもよろしい、これは第四十二条のところでも、「処分対象農地等のすべてが小作地等」という条項もあるわけですから、これは小作地でもよろしい、こういうことになるわけですが、そういうことで、所有に制限が起こっている。たとえば五十アールある場合でも、これは本人から届け出を基金にして、そしてやめますと言わなければ、五十アールを割っても、これはそのまま資格が続いていく、こういう理解が立法上ではされると思うわけですけれども、そしていわゆる経営移譲の場合の基準日というときになりますると、これは三十アール以上ということになっておるわけですね。別に二段に分けておらずに、五十アールと三十アールとに分けずに、三十アール以上ということになっておるわけですね。したがって、当然加入と任意加入ということで、玄関を入るときにはきちっとするのだけれども、玄関を入ってから十年、十五年、二十年の経過の中では変遷が起こる。場合によっては途中これは断続があって、これは通算もいたしましょうという条文もある。そこで、そういう具体的な変遷の取り扱いの基準というのは、どういう方針でいかれるのか、これをひとつ、お考えを聞いておきたい。

池田俊也農林省農政局長

○池田政府委員 これは基本的な考え方に若干関係があるわけでございますが、私どもは、この年金の一つの役割りといたしまして、経営規模の拡大あるいは農地保有の合理化ということをうたっておるわけでございますので、経営移譲が行なわれることによりまして——後継者移譲の場合はややちょっと違うわけでございますが、経営移譲が行なわれることによりまして、やはりそういう方向にプラスになるということを考えておりますので、経営移譲をやっても何らそれには関係ないというのではおかしいわけでございます。  そういうようなこともございますので、入るときにおきましては一応都府県の場合五十アール、任意加入の場合は最低三十アール、こういう線を引いておるわけでございますが、一定期間がたちまして、たとえば五十アール以上持っておりました方が、途中、便宜経営の合理化をやったというようなことで一部処分をする場合も、これは否定はできないわけでございます。そういうことで、処分をいたしまして、最後の経営移譲が行なわれる前の、これはどこかの時点を限らないと確定できないものでございますから、大体一年前、こういうことに予定しているわけでございますが、その時点におきまして、少なくとも三十アール以上持っておりまして、その土地を処分するということであれば、これは一応経営移譲として考えてよろしいのではないか、そういう実は仕組みをとっているわけでございます。  先ほどお話しがございました集団栽培の、生産法人の場合も、ほぼそれに似たような考え方で整理をいたしておるわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 予定の時間、開始がちょっとおくれましたので、恐縮でございますが、もう二、三点簡潔にお伺いをいたしたい。  法制局からおいでになったようでありますので、時間の関係もございますので、簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。  それは、今回の政府の農業者年金基金法案では、いわゆる農地を後継者に移譲する場合には一人にやはり指定をして、これに経営を移譲する。その経営移譲の条文は、二十三条の第一項第三号のところで、「その面積の合計が前条第一項の政令で定める面積以上である農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう者の直系卑属で政令で定める要件に該当するもののうち、当該耕作又は養畜の事業を行なう者がその事業の後継者として指定する一人の者(同項に規定する者に該当する者を除く。)」こういうことで、いわゆる「一人の者」というのは、これが当然加入じゃなしに任意加入できると、これは経営者自身も加入しておるし、その後継予定者といいますか、これも加入できるというような「一人の者」というのが出てくる。  それから、後ほどのほうでは、先ほどから数回引用しております経営移譲の第四十二条の第一項第二号の口のところ、ここで「経営移譲者の直系卑属(譲受適格被保険者を除く。)のうち政令で定める要件に該当する一人の者」、そしてカッコの中はすでに被保険者として入っておる者ですが、その場合には、「その者」、こういうことで、いわゆる民法上の均分相続の関係で、いわば議論の問題になります。農地のいわゆる相続という問題について、先ほど来の指摘した条文の中では、一人の者が任意加入もできるし、また経営移譲の場合には、そういう者がある場合には、その者に経営移譲をする。あるいはそうでない場合には、前段の四十二条の第一項第二号の口のところの該当に基づいて、一人の者に経営移譲する、こういうことになっているわけですけれども、この農家の相続の問題は、これは三十七年の実態調査、あるいは四十年から四十三年にかけての実態調査でサンプリングの調査をやった結果を見ますと、これはもう時間の関係上お聞きはしませんけれども、いわゆる相当高い比率で単独相続というものが事実上行なわれておるという形になっております。しかし農地を含めた分割のパーセンテージも決してないわけじゃありません。強制加入というこういう条件に立つ農業者年金基金の中で、一人の者を指定してそれが入る、あるいは後継者に移譲する場合も一人の者に移譲する、こういうことと民法の均分相続との関係においてはどういうふうに理解をしたらいいのかという問題でございます。つまり共同相続人の間でのいわゆる遺産の財産価値としての均等な分配という公平上の要請と、農業経営の一体性の維持、そのための特定の一人による農業経営資産の現物としての一括承継という農業政策上の要請との問題、これが現実にこの法案で出てきておる。憲法あるいは民法の均分相続との関係で、これをどういうふうに立法上理解をしたらいいのか、この点法制局からお答え願いたい。

田中康民内閣法制局第二部長

○田中政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、いま仰せられますように、一人の後継者に経営を移譲いたしました場合に、この年金の受給資格が発生する、こういうことに相なっております。これも先ほど先生が仰せられましたように、農政上農業経営の細分化を防止するという公共の福祉からそういうふうにいたしましたことは明らかでございます。  ところで、そのことと民法の均分相続とはどういう関係になるかということでございますが、民法の均分相続は、あくまでその人が死亡いたしました場合に、その相続について、その相続財産をどう処分をするかということについての規定でございます。生前にその経営移譲をする。たとえばもし有償でするとすれば、これはもちろん問題はございませんが、経営移譲を、無償贈与と申しますか、自分の子供の一人に贈与をするというような場合におきまして、それと民法の均分相続との間には確かに若干の乖離があるということは先生御指摘のとおりだと思います。しかしながら、民法の原則といたしましても、その生前贈与については遺留分の権利というものがございまして、これは何も農地の相続なり移譲という場合に限りませんで、およそあらゆる財産につきまして、生前にその被相続人がいかなる贈与をしてもかまわないわけでございますけれども、ただ相続人の権利を侵害しないという前提が必要であって、そのために遺留分の権利というものがございます。これを侵害しない範囲におきまして、すべて生前贈与は可能であるということになっておりまして、均分相続もまた生前贈与も、いずれもこれは民法上認められておるものでございますから、その民法上認められております一つの生前贈与という方式で一人の子供に贈与した場合に、その贈与をいたしました行為をもって、この農業者年金の支給事由とするということは、これは別にそれほど民法の原則を乱るというようなものではない、かように考えておるわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 基金の運用の問題について一点だけお伺いをしておきたいと思います。  基金の問題については、理事長以下の任命の問題等に関連をして、基金の民主的運営の問題もずいぶん議論されてまいりましたから、これは私から重ねてお尋ねをいたしません。  先ほど農業者年金の積み立て金の将来推計ということで若干応答をやりましたが、その中でも触れましたように、たとえば十年を経過いたしますと、一応の推計としては三千五百七億円の積み立て金になる。二十年の経過で五千七百五十八億円の積み立ての推計になる。三十年では六千三十九億円の積み立ての推計になる。もちろんこれは今後五年ごとに掛け金の問題やいろいろなことを再検討することになっておりますから、そういう計算との関連で違ってまいりましょうし、また対象者あるいは受給者いろんなものの若干のフレはありますけれども、要するに相当量の積み立て金というものが今後十年経過以降においてはできてくる。そういう問題と関連をして、これは本来厚生年金あるいは国民年金、これは厚生年金の場合には四十三年度で二兆八千七百九十二億円の積み立てがある、国民年金は四千三百十四億円の積み立てがある。両方合わせて三兆三千一百六億円の四十三年度の積み立てとなっているわけですが、これが資金運用部資金と財政投融資計画に相当量回るという形で、その中から還元融資が例の二五%条項で運用されるというのが通例のようでありますけれども、この農業者年金基金の場合は今日までの検討の過程において、たとえばこれは特別会計じゃありませんから直ちに自動的にというわけにはいきませんけれども、いわゆる財投との関係あるいは資金運用部資金との関係という問題についてはある程度の話し合いなり検討はなされてきたのか。私は、むしろこういう点については、そういう資金運用部資金の関係なりあるいは財投計画という形にこれを引き出していくのではなしに、むしろ農業者を対象にした自主運営ということを根本に置いてやるべきものだろうと思うのです。法文上から見ますと、第十九条の第二項の福祉の増進に関連する条項あるいは第八十三条の資金の貸し付けに関連する条項あるいは第八十九条の余裕金の運用に関連する条項等が立法上あげられておるわけですけれども、これからの基金の運用問題についての具体的なプランあるいは基本方針というのはどういうふうに考えていかれるのか、その点お伺いしておきたいと思います。

廣瀬治郎厚生省年金局長

○廣瀬政府委員 積み立て金の運用につきましては基本原則が法律にございますが、これは要するに将来の給付財源でございますので、その運用は安全でありかつ効率的、有利でなければならないということが積み立て金の運用の基本原則でございます。私どもは関係省と十分相談いたしまして、この基本原則にのっとる運用をするつもりでございますが、具体的にはこの積み立て金をどういう部門にどういうふうに運用するかという具体的な事項につきましては、今後関係省庁と十分相談をしてやっていきたいと思っておりまして、まだ具体的には内容が詰まっておりません。それから一般的に申しますと、農業者自身が拠出されるお金は、これは極力自主的な運用にゆだねるというのが本筋だろうと思います。ただ国の補助金を出しておりますので、国が出しております補助金につきましては、あるいは大蔵省の立場からこれは財投協力にしてほしいというようなことの意見も想像されるわけでございますが、その辺はこれから関係省庁と十分打ち合わせをして、最も効率的かつ安全な運用をしたいと考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 時間も過ぎておりますので、大体質問を終わりたいと思います。  率直に言って、きょうは両大臣、さらに社会保障制度審議会の会長なり国民年金審議会の会長にも出席を願って従来の検討の経過あるいは本案の問題点、あるいは将来の改善方向というものについて、それぞれの責任者から見解を聞きたいというふうに思っておったわけでありますが、これは関係委員会の審議の関係もありますので、やむを得ませんから、これは了承いたします。  今後の問題としては、私は若干の問題点を指摘する程度で十分な意を尽くしませんでしたけれども、さらに、単に農業者ばかりでなしに、一次産業の問題としては、社会党が今後の検討条項として指摘しておりますように、林業者漁業者等の問題も含めて、農林漁業者の社会保障の前進ということに、本来的な問題に積極的に取り組まれるように希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長代理 午後三時に再開することとし、これにて休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後三時十分開議

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 総理大臣にお尋ねいたします。  政府提案にかかる農業者年金法案並びに社会党提出にかかる農民年金法案につきましては、衆参両院の本会議においてそれぞれ提案趣旨の説明を行ない、また代表的な質疑が行なわれましたので、総理におかれましても、この両案の目的及び概要については十分御承知のことと思うわけであります。そこで、法案に入るに先立ちまして、この背景をなすところの日本の農業全般にかかわる基本的な政策について、総理から率直な所信をお伺いしたいわけであります。  具体的に申し上げますと、昭和三十六年の国会において農業基本法が制定されたわけでありますが、この農業基本法の前文には日本農業に対する基本的な位置づけというものが明らかにされておるわけであります。これは非常に大切な点ですから、前文の主要な点を申し上げますと「わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、国民食糧その他の農産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等国民経済の発展と国民生活の安定に寄与してきた。また、農業従事者は、このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。」つまり、国民経済の基盤的な役割りを果たすと同時に、日本民族の源泉的な役割りを使命として果たしてきたということがいわれておるわけであります。当時は池田総理大臣の時代でありましたが、時の池田総理は、農業は日本民族の苗しろだという表現を使われたわけであります。これは適切な表現であり、また佐藤総理としても、そのような考えを持っておられると思うわけでありますが、私の指摘したい点は、最近の政府の総合農政なるものを見ておりますと、民族の苗しろである貴重な国民経済における農業の社会的位置づけというものに対して、その本質を忘れたような政策の動向があるということはまことにこれは遺憾であります。はたしてこれが総理の本意によってこのような総合農政というものは進められておるのかどうか。その点について、この際所信を明らかにしてもらいたいと思うわけであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えをいたしますが、私になってから農業に対する認識が基本的に変わったようなことはございません。在来からも同じ考え方でこの問題と取り組んでおります。ただ、問題の指摘できる点は、いままで米が不足していた、そういう時代から、いまは米が過剰だ。いわゆる国民の主食のほうが過剰になっている。そういうところに、非常な農業の果たしてきた、また農村の農業従事者の苦労が実った、こういうことではありますが、とにかく余ったというところに一つの問題が提起をされておる。これは一体どうしたらいいか。たいへんな変わり方だと思います。おそらく日本の長い歴史から、米がただいまのように過剰な状態、しかもそれが一時的な問題ではなしに、今後とも引き続いて主食である米が残っていくというか過剰な状態が続く、これはたいへんなことだ、かように私は思います。したがって、そういうものに対処するというその政府の態度をはっきりさしておるのでありまして、ただいまお読みになりました農業基本法の趣旨から見ましても、この状態がこのまま推移してはいかぬ、それこそこういう情勢の大変化に対して対応するものがあってしかるべきだ、かように私は考えておるのでございまして、ただいま御審議をいただいておるのもその点に集中されている、かように思っております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いま総理の言われた、米の過剰傾向に対応するための米の生産制限の政策等については、これが万全な方法であるというふうにわれわれは考えるものではありませんが、しかし、国外輸出等の道が全く閉ざされたような状態の中において国内の需給関係がやや持続的に過剰傾向にあるというような場合は、これをいかなる政策手段で調整するかということは、いずれの政府においても真剣に取り組むべき具体的な問題であると思うわけであります。しかし、それに名をかりて、たとえば生産者米価にいたしましても、昨年は前年度同様据え置き、本年も、総理の所信表明演説においては、今年も続けて生産者米価については据え置きを行なう。これがやはり路線として実行されるのでないかと全国の生産者は不安を持っておるわけであります。あるいはまた、米の生産を圧縮した場合に転換すべき農業の拡大部面ということになれば、当然酪農等が中心になるわけでありますが、これに対しても価格対策上、加工原料乳の乳価というものは事実上前年同様据え置きというふうにすでに決定されておるわけであります。これは所得政策あるいは価格政策を通じまして、一方において急激な消費者物価の上昇あるいはそれとの相関性のもとにおける労働賃金の上昇等を比較した場合において、農業の部面だけで価格政策はこれを据え置きにする、あるいは農民の所得拡大政策についてもこれを抑制するというようなことになれば、将来にわたっての農業発展の長期的展望が大きく狂ってくるということは、これは言うまでもないわけであります。この点に私は、総理大臣の行政最高責任者としての十分なる配慮が欠けておるのではないか、あるいはまた、所管大臣に対する十分な政策の指示というものに手抜かりがあるんじゃないかというふうに率直に申し上げたわけであります。  今国会におきましても、御承知のとおり、農地法の改正、農業協同組合法の改正、さらに現在審議しておりますところの農業者年金法案、これらは今国会を通じまして、政府としても重要な政策法案であるというふうに位置づけをされておるわけであります。この一連の法律の改正あるいは新たなる制度の制定を目ざしての内容を当委員会において審議したわけでありますが、農地法の改正にしても、結局は農業の生産を一定の限度に縮限しておる。そうして、農地の流動化を進めるという美名に隠れて離農政策を強力に進めるというところに一番大きな農地法改正上のねらいがあるわけであります。農協法にしても、これを補完する役割りを農業協同組合に与えるということの改正が重点であります。今回の離農政策を中心とした政府の農業者年金法案の内容を見ましても、結局は、重点は長年農業に精進してきた農業経営者を中心とする離農促進というものが大きな政治目的になっておることは、これは否定することはできないわけです。そういたしますと、一連の離農政策、農業労働力を流出させるというようなこういう政策目的だけを中心にした法律の改正、制定を行なった場合、それが法律上の効果をかりにあげた場合において、むしろ日本農業の将来の発展に対して大きな阻害をするという、そういう危険性というものを見のがすわけにはいかないわけであります。  したがって、こういう点につきましては、日本民族の苗しろとして貴重な評価をしておる農業の発展、さらにまたこの農業に従事する、劣悪な条件のもとで長年の間子々孫々にわたって農業に精進する農業者、農民に対して長期的な政策というものをどうするかという点については、この際明確にしてもらいたいわけであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 別に芳賀君といまここで議論しようとは思いませんが、ただいま御指摘になりましたように、米の値段は据え置かれておる、これが米を上げたときどうなるだろうか、また酪農製品も据え置かれておる、これは一体どうなるのだ、こういうお尋ねでございますが、ただいまの価格決定が生産と非常に密接に結びついておる、こういうことを私も否定するものではございません。  しかしながら、とにかく過剰な食糧、そういうものが総合的にもつと他の食糧の方向に力を注ぐわけにいかないか、そういう点をわれわれは考えざるを得ないのじゃないか。値段を上げさえすればいいというものじゃないだろう。これは非常にはっきりしていることでございますから、これは別にここでこの席で議論するというものではなくて、私はそういうことを考えながら、今度はどうしたらほんとうの近代的な農業というものに取り組めるのか、これを農業従事者にもやっぱり考えていただこうじゃないか。米をつくることばかり、農業従事者はそれをもって能事足れりとしないで、とにかく国民の食糧、大事な食糧を供給するのだ。それは主食もあるが同時に副食物もあるのだ、野菜もあれば、あるいはまた果樹もあるのだ、そういうようなことを考えると、そういうものがもっと近代的な経営方向に移っていくことができないのか、それを考えるべきじゃないだろうかと、これがいまの国内の農業問題の悩みではないだろうかと私は思います。  ただいまも御審議いただいております農地法の改正あるいは農協法等に取り組んでおることも、あるいは一面から見るといわゆる小農切り捨てだとかあるいは離農政策だとか、かような批判を受けますが、やはり農業の近代化をするためには、そこらに一つのくふうがあってしかるべきじゃないだろうかと、私はかように考えるのであります。だから、近代的な農業経営というもの、一体それは何なのかと、こういうことについてもう少しわれわれもくふうしなければならぬのではないだろうかと思います。  私はきわめてわずかな時間、先ほどビルマのネ・ウィンさんとお話をしました。ネ・ウィンさんは、米をつくっておる、苗を植える、これが日本では機械で植えるようになっておる。われわれもこれは工場を見てたいへん啓発されたと、こういうことを実は申しておりました。私は近代的な農業というものはこういうようなところにくふうされるべきではないかと思う。そうして総合的な食糧の供給、こういう方向にわれわれの政策は向けられるべきじゃないだろうか。だから、一面から見ると、いかにも片一方小農切り捨てだとかあるいは離農政策の促進だとか、こういうような見方がされるようではありますけれども、とにかく近代的農業、その農業はどういうところに力を入れるべきかと、これと取り組んでこそ初めて農業従事者の真の利益にもなるのではないだろうかと私は思います。在来の、昔のままの農法、また昔のままの価格政策、それをとっては真の近代的な農業従事者の幸福がない、かように私は思うのですが、いかがなものでしょうか。  そういう意味で私はただいま一連の法案を出し、皆さん方からいろいろ各方面の御意見を伺っておるわけであります。これが非常な極端な小農切り捨てだとかあるいは離農促進だとか、かような批判がそのまま受けられるようなものであれば、これは私どもも十分考えなければならないと思います。しかしながら、適当なる処置がとられて、そしてできるだけそういうような農業の近代化の方向に進み、効率をあげることができるような農業経営ができる、こういう方向に進むならば、われわれも大いに力を用いるべきじゃないか、また各党も協力して近代的農業というものの像をひとつ具現するようにこの際努力すべきじゃないだろうか、かように私は思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 私の言っておるのは、いまの佐藤内閣の行なっておる総合農政というものは、いかなる言辞を弄しても結局農村の優秀な労働力を他産業に流出させるという以外に中心的なねらいを持っていないのですよ。ですからあまりに農業を粗末にしたりじゃまもの扱いにしてはいけないのではありませんかということをわれわれは常に指摘しておるわけであります。もう少しこの民族の苗しろを大事にする必要があると思うわけです。どんどん優秀な労働力が流出して、あと農村が荒廃に帰した場合に、結局苗しろが荒れ果てた場合に、そのあとを継ぐ次代の民族の後継者というものは枯渇するということに当然なるわけです。  ですから現象的な、単に米が余っておるというようなことだけを理由にして、農産物の継続的な価格の抑制、所得の圧縮というようなことは非常に危険を伴っておるということは、総理自身が十分おわかりだと思うわけです。ですから私は、農業をあまりこれ以上粗末にするような冷淡な政策というものは狂いがあるわけだから、根本的に考え直す必要があるではないかということを率直に指摘したわけであります。  次にお尋ねしたい点は、今度の年金法案でありますが、これは何といいましても、前回の昭和四十二年の総選挙の際の総理の国民に対する公約の実現ということにつながっておると思うわけであります。農民に対しても恩給を与える、つまり農民年金の構想というものはそこから出発しておると思うわけであります。  そこで、政府が今回提案いたしました農業者年金法の中身と、当時総理が農民に公約されました年金制度の発想というものが、大体内容において同一なものであるか、あるいはまた自分の当時考えたものと相当大きな懸隔があるというようにお考えになっておるか、その点はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私はいま芳賀君の言われるように民族の苗しろを大事にするということ、これはもうもちろんでございます。私どもそれを大事にするがゆえに、ただいまのような総合農政を展開するのでありまして、これにはほんとうに農業従事者のしあわせ、それにつながるものだ、かように確信するがゆえでございます。  ところでただいまの年金あるいは恩給、こういう問題でございますが、実は正直に白状いたすと、これは実は私の考案というよりも農業従事者自身から出た声でございます。(「そんなととない」と呼ぶ者あり)そんなことないとおっしゃいますが、いまはないか知りません。しかし、私が立候補した際に、私は役人をやめて恩給をもらっておる。戦後の農村の農業従事者、これらは汗水を流して、そして営々として働いているが、この老後に対する当然報いらるべきような年金制度一つないじゃないか、ここらに政府としてくふうすべきものがあるのではないか、こういうような話を聞かされたのであります。私はこのことばに非常に実はいたく打たれた一人でございます。私、その当時考えましたのに、これは農民あるいは農業従事者だけが特別な待遇を受けるのでなしに、国民年金としての制度が生まれる、そういうことが望ましいだろう、かように実は考えてまいりました。しかしながら、その年金そのものはできたけれども、どうもこれは十分ではない。しかし、この国民年金制度についてもさらに内容を充実しろ、そういうような努力はいろいろ払われております。私はこれは当然だと思います。しかし、いまの財政状態からこの程度でやむを得ない、かように考えております。  ところで、ただいまは農業自身が転換期になっている。そういうことを考えますと、それらと結びつけてこの制度を考えれば何か農業従事者に対して報いるものが考えられるのじゃないだろうか。私は一般の国民の年金、その年金は農業従事者も、また中小企業従事者も、またその他の者もこれは同一に扱われるべきものだ、かように考えます。しかしながら、ただいまも御意見がありましたように、あるいは小農切り捨てだとか、離農促進だとか、かようにいわれていることを考えると、これに対して政府は何らかの処置があってしかるべきだ、かように、私はその方向に実は農村あるいは農業者の声を聞き取ったのであります。私はそういう意味から、ただいまのような年金制度がふさわしいのじゃないか、かように実は思っております。したがって、ただいまのような、農村にさような声がない、こういうようなお話がございましたが、私は現に私自身がこの耳で聞いたのです。この恩給制度、このものは別に私が元祖じゃない。私は正直に申しますが、農村の方々、これはほんとうにあれだけ国に努力し、また社会に貢献し、そうしてめんどうを見てもらえない。そして老後、これはもうあの肉体労働には耐えられない、かようなことを考えると、私は一般のいわゆる年金制度、それだけでは事足らない、実はかように考えておりますし、また同時に、農業の近代化をはかるのにこういう制度が十分生かされれば私はその目的も達することができるのじゃないか、かように考えて今回の案に賛成し、ただいま推進し、皆さんに御審議をいただいておるようなわけでございます。社会党もこういう案を出しておられます。また、社会党には社会党のよさがございます。しかしながら、私どもが考えますのに、国民を職業別に差別して、そうして区別してそれぞれの年金制度を設けるべきではないと思う。できるだけ年金制度としては一様であるのが本筋だ、かように思いますけれども、時に特別な政策を加味する、そういう過渡的な状態においてはこれもやむを得ないのじゃないか、私はかように考えまして、ただいまの提案しているような法案に賛成しておるのでございます。別に考え方が変わったというものでもございません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 私の尋ねましたのは、四十二年の総選挙の総理の公約というものは、全国の農民に相当大きな期待と希望を与えたことは、これは間違いないのです。それが自分の真の声ではない、賛成したにすぎぬということになると、これは全国の農民諸君が相当失望すると思うわけなんです。それで、私は総理の最初のお考えと今回の政府案でありますが、内容にずいぶん大きな相違があるという率直な答弁を実は期待しておったのですが、これは全面賛成ということになると、最初の公約というのはそれほどたいしたものではなかったというふうに断定しなければならぬわけです。  そこで今度のこの年金は、もうすでに御承知のとおり、いま農林省の統計によっても、全国の基幹的な農業従事者の数が約八百九十万といわれておるわけです。その中で、今回の年金対象者は、強制加入の対象になる者は百三十万人ということになっておるわけです。その理由は、御承知のとおり農地に対して所有権を有し、あるいは使用収益権を長期にわたって所有する経営者を対象にするということになるわけでありますし、経営の規模についても、内地府県は一律五反歩以上、北海道については二町歩以上というような経営上の制限規定もありますので、全国の農業従事者の中の対象者としては二〇%を下回るというようなことになるわけであります。一体、そういうような農業者全体に夢を持たした年金の発想というものがこのような農業者年金法であってしかるべきかどうかということも、これは十分検討を要する問題であると思うわけであります。  もう一つお伺いしたいのは、これは単に経営者だけに限定されておるわけです。二十年間保険料を納入いたしまして、六十歳から六十五歳までの五年間にわたってその被保険者は毎月一万五千円の経営移譲年金を給付を受けるということになっておるわけですが、たとえばいよいよ六十歳になった、さあ移譲年金の給付開始というとたんに死亡する場合もあるわけです。そういう場合には、移譲年金の関係についてはこれはゼロということになるわけです。退職年金も遺族年金もこれはないわけですね。そこで、現在の日本の農業の形態というものは、家族農業を主体にした自作農であることは言うまでもないわけです。したがって、家族を中心にした自作農経営ということになれば、やはり経営者と配偶者が一体になって家族経営の共同体ということで、経営者とその妻である配偶者が二十年、三十年営々として苦労してきておるわけであります。ただ法律の名目上、所有権者でなければならぬ、使用収益権者でなければ被保険者資格がないということで、これは配偶者の場合は全面除外をされるわけでありますが、しかし、六十歳になって六十五歳までの間移譲年金の給付が開始されるとたん、あるいは一年給付を受けた後においてその被保険者がたとえば不幸にして死亡したような場合、何十年という間一家の共同体の中で努力をしてきた配偶者に対して遺族年金のいささかも与えることができないというようなこの年金制度というものは、諸外国の例を見てもこういう冷酷なやり方はないと思うわけです。こういう細部なことについてはおそらく総理は御存じないから、何でも自分の政府が出したんだから賛成というふうに思っておられるかもしれませんが、こういう点については率直にどうお考えですか。総理から答えてください。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 先ほど来お話もございましたように、一つは農業政策上の考えと、それから総理がお答えになりましたような農業者の老後についての配慮、こういうようなものが二つ合わさりまして今度の年金の制度にいたしたのでありますから、もうすでに芳賀さんも御存じのように、経営移譲ということを一つの政策上のたてまえにいたしておるので、したがって経営者でないその配偶者はこういう場合の年金からは除外されるのが当然ではないか、こういうふうにわれわれは理解いたしておるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 きょうはわざわざ総理出席ということで質疑を行なっておるわけですから、提案者である農林大臣あるいは厚生大臣はこういう冷酷無情な法案の事実上の提出責任者ですからして、この機会に何もくどくどしい答弁はきょうは必要ないわけです。佐藤内閣の責任者である総理自身にこういう日本の家族農業の形態の中において二十年、三十年苦楽をともにしておる、しかしいまの農業の家族経営の実態というのは、むしろ配偶者である妻が中心になって経営をやっていることは総理も御存じのとおりであります。他の公的年金には政策年金でない純粋な公的年金もありますが、わずか五年間に限られた移譲年金の給付期間中に被保険者である主人公が死んだ場合、せめてその残期間分等については当然配偶者である妻に対して遺族年金等の支給を行なうというあたたかい配慮というものが、せっかく新しい法律を出すときでありますからして、そこに人間性を加える必要があったのではないかということを私は総理にお尋ねしておるわけであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま農林大臣からお答えをいたしましたが、たって私の答弁を求められております。  ただいま日本の農業としてのあり方、これは三ちゃん農業か二ちゃん農業か知りませんが、そういう言い方をしておられます。こういうところに日本農業をどうしても直していかなければならないものがあるのではないでしょうか。これはおそらく芳賀さん自身、もうすでに御承知のとおりだと思います。私どもは日本農業をべつ視する、軽くするわけではない。しかしながら十分にその効果をあげるようにこれから取り組んでいかなければならない、かように実は思っております。そういう意味から、特別ないまの年金制度をひとつ考えてみたというのがいま御審議をいただいておる趣旨のものでございます。また、先ほども申しましたように、私は国民年金としては、農業従事者だけが特別な扱い方を受けるというそういう考え方はいかがか、こういうことを先ほど申したとおりでございます。これはやはり国民はひとしく同じような年金制度の利益を受けるべきで、そこらに差等があってはならない、かように思います。しかしながら、現代の農業自身が実はさような形で片づけ得ないような特殊なものがある。農業の近代化をもつとはからなければならない、もつと集約的農業にこれは変わらなければならない、かように実は私思っておりますので、そういうこととあわしていまの年金制度を考えられておる、かように御理解いただいたらいかがでしょうか。私は、ただいま農林大臣がお答えいたしましたとおり、別に専属的な権利だからどうこうというのでなしに、やはり運用等から見ましてかくあるべきではないだろうか、かように私は思っております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 総理大臣の場合は、不吉なことを言うわけじゃありませんが、もし他界された場合、あなたの奥さんがあなたの年金に該当する給付の半額は終身給付を受けることになるわけですね。ところが農業者の場合は、二十代で結婚して六十になってようやくせがれに経営移譲を行なうということを条件にしてわずか五年間に限定して月に一万六千円の移譲年金が給付されるわけです。五年間健康であれば何も問題はないわけですが、給付開始のとたんに被保険者である本人が死亡したあるいは一年たって死亡したという場合、政府案の年金制度によりますと、その配偶者であり何十年という間農業の経営に共同体として努力してきたその妻に対してさえもいささかの遺族年金も給付をしない、こういう冷酷無情な政府案というものに対して、総理としてそれがあたりまえだといえばそれは別ですよ。しかしあなたは常に人間尊重を口にされておるから、そういう人間性豊かな総理の場合に、気がつかなかったのであればそれでいい。それがわかっておってあたりまえだということであれば、われわれとしてももう一度総理の評価をし直さなければならぬということにこれはなるわけです。  その次にお尋ねしたい点は、同じ二十年間毎月七百五十円の掛け金をいたしましても六十歳から六十五歳までの間に経営移譲をしなかった者は、その間の年金は全然給付を受けないわけです。そうして六十五歳になりますと、経営移譲をした者に対しては六十五歳以降国民年金の上積みとして月額五千二百円の農業者老齢年金が支給される、経営移譲をしなかった者については二十年間同じように七百五十円の保険料を納付しましても六十五歳からようやく給付開始の場合には三千六百円しか給付を受けられないという、こういう大きな差別的な取り扱いというものが老齢年金の時期から行なわれるということになっておるわけです。これは私は社会保障、年金制度のたてまえからいって、平等であるべき原則を経営移譲をしなかったからといって罰則的な取り扱いをする、しかも移譲をしなかった六十五歳以下の老齢年金については一部掛け捨てが生ずるというような、こういう数理的保険料の設計が行なわれておるわけであります。今後の新しい経済社会発展計画の中におきましても、これから一九七〇年の時代は国民に対してはひとしく高所得、高福祉の政策を強力に進めるということを総理は願望しておられるわけでありますが、その一本の柱である年金制度の中においてかかる不平等、罰則的な措置、一方の被保険者に対しては過重な負担を負わせて、一方の被保険者に対しては政府負担を肩がわりさせるようなやり方というものは、これは今後の日本の年金制度全体の発展から見ても大きな障害になるのではないかというふうに思うわけでありますが、その点はどうお考えでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 第一点の遺族年金がないということ、これは御指摘のとおりございませんが、これは一つの考え方としていろいろ離農した場合あるいは譲渡した場合に特別給付等をしている、こういう点と相殺されるべき——相殺するというとおかしいですが、そういうほうに重点を置いて考えたので、年金体系としては不十分かわかりません。  次の問題としてのいまるるお話しになりましたような点、これもつの見方でございまして、私はいままでの案自身が間違っているとは思いませんけれども、私どもはいまるる説明なすったこと、これがわからないわけでもございません。これは十分理解はいたしておりますが、ただいままでの考え方を筋を通して考えますといまの提案したような法案になっておるわけであります。これが政府として一貫した考え方でございますが、これらの点は十分御審議をいただくべき筋のものかと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に問題になります点は、今度の年金が制度的に開始されますと、まず被保険者になる者の条件としては国民年金の加入者でなければならぬ、これが前提になるわけです。国民年金法の第七条によりますと、日本国民であって満二十歳から六十歳までのものはひとしく国民年金に加入させる、こういう原則があるわけです。この国民皆保険、将来は国民年金にすべての年金を統合させるというこれは大理想でありまして、私ども社会党としてもこれを支持するものであります。ですから、社会党提案の農民年金法についてもこの大原則を守る立場の上に立って法案を作成して提案をしておるわけであります。そこで問題は、去年の臨時国会におきまして、国民年金制度の中でも所得比例部分が今度は制度の中に加わったわけであります。勤労者の場合には被用者年金に入っておりまして、毎月毎月受ける給与の中から一定率の保険料を支払っておりますから、これはもうおのずから所得に応じた保険料の納付ということになるわけですが、農業あるいは林業、漁業や自営業者の場合は、実際の所得を把握してその所得が毎年毎年伸びていくものであるか減るものであるか、変動さえも把握できませんので、被用者年金のように所得が的確に年金に反映するということは、これは至難であります。そういうこともありまして、現在の国年の所得比例は一段階だけの付加年金的なものであります。したがって、これは国民年金加入者のうちの比較的所得階層としては上層の階層の者に対して任意加入としてこれを奨励する、そのかわり定額部分については政府の国庫負担は三分の一であるが、所得比例部分については四分の一しか政府としては負担しない、こういう国の負担区分も明らかになっておるわけでございます。任意ですからそれでもやむを得ぬわけですが、今回の場合にはまず国民年金の加入者でなければならぬ、同時に所得比例についてもこれは強制加入をさせるということに今回の政府案はなっておるわけですね。国年で任意であるべき比例部分というものは農業者年金で強制でなければならぬ。しかもその部分に対する国の負担というものは定額部分については三分の一、比例部分については四分の一というようなこういう差のある条件のもとに、それを何が何でもこれに加入しなければ農業者年金の加入資格が生じないというやり方は、国民年金制度の面から見ると、当然任意制であるべきものを他の年金が強制するということは、これはやはり立法上からいっても大きな問題があると思うわけであります。ですから、そういう点についても総理として十分な研究をする必要があると思うわけであります。  もう一つは、この法律が通りましても、実際に経営移譲年金の支給が開始されるということになれば、現在五十五歳以上の者は経営者であっても対象になりませんので、結局五年後でなければ移譲年金の給付は開始されない。そういうこともありまして、現在五十五歳以上のうち、土地の所有権者あるいは非所有権者についてもこの方針に協力してすみやかに経営移譲をいたしましても、この年金は五十五歳の経営者の政府に協力して移譲した者に対しては何ら恩恵が及ばぬということになるわけです。ただし経営移譲ではなくて、後継者に譲らないで第三者に経営農地を譲渡した場合は、これは離農一時金というような形で一定額を支給するということになっておるので、問題は経営移譲年金が目的の年金法である場合、経過的にも五十五歳以上の、当然経営者であるべき高齢者に対しましても長年の農業経営に精進したその努力を認めると同時に、経過的な措置としてこれらの分に対しても何らかの具体的な措置が必要であるというふうに考えるわけですが、その点はいかがでしょうか。これらはすべて社会党案には完ぺきなものが出ておるわけですが、やはり社会党提案であっても、一国の総理として学ぶものは学ぶ、採用すべきものは採用するという大きな雅量がなければ、一億国民を包容したりっぱな政治はできないんじゃないかと思いますが、あわせてお尋ねいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまの強制加入になっておるのはどうも理解できないというお話でございますが、私はここらが農民年金の特殊な性格から来ているものではないか、かように思っております。普通ならば国民年金として全部が同様に処理されるけれども、しかし特別な処理をするためにほどこかかわった点がある、それがいまの強制加入、こういうことで処理されておる、かように御理解していただきたいと思いますし、またその次の五十五歳の場合、これは他に譲ればいわゆる一時金が離農の場合はあるわけですが、後継者に譲ったという場合にはこの恩典はないという、まさしくそのとおりでございます。私は農業自身をやめるわけではないのですから、その場合ないのが普通じゃないだろうか、かように思います。国庫で全額負担して離農した場合に、その処置はつくわけでありますから、そういうようにこれまた御理解していただきたい、かように思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 最後に一問で終わりますが、たびたびの総理の答弁を聞きましても、私が最初心配したとおり、今回の年金制度、これは農民の離農だけを目的にする、経済合理主義、それに付加すべき人間性というものは全く排除して、経済効果のあがる合理性だけでこの年金を進めるということになれば、これは全く冷酷無情な年金ということになるわけであります。ですから政府の資料によりましても、全体の年金制度における政府の給付支出が世界各国に比べるとまだ十四番目ということになっておるわけです。あるいはまた国民所得水準は世界二十番目、総生産だけは自由主義国の二番目ということをこれだけ総理は大宣伝しておるが、国民所得二十番目とか、社会保障十四番目ということは口が固くてなかなか宣伝されぬようですが、しかしこの部分に今後政治の重点を注いでもらいたいと思うのです。どうしたならば平均の国民所得を上げることができるか、あるいはこの被用者年金では相当進度を進めておりますが、国民年金制度あるいは厚生年金制度は、厚生大臣の言を借りてもまだまだおくれておるわけです。こういう点に重点を置いた年金保障制度の躍進をはかる時期が来ておると思うわけであります。  そこで被用者年金の場合は、保険料のうち本人の掛け金負担は幾分の差異はありますけれども、大体四〇%以内ということになっておることは御承知のとおりであります。ところが国民年金の場合は、これは自営者が中心でありますが、加入者負担が六七%負担ということになっておるわけです。今回の分も国民年金の関係は定額の六七%と今度は比例部分を強制加入させますと、これは国が二五%ですから、本人は七割五分の強制加入による負担をしなければならぬということになるわけです。そうなりますと、名前は年金であっても、被用者年金制度とこれは国の負担分からいっての懸隔が非常に大き過ぎる。こういう点は年金制度の必要性をこれらの国民の各階層に周知さして、国民的な意欲で年金制度をよくするためにも、この国民の負担すべき年金制度に対する負担の限界はおよそどのくらいであるかということをまず政府としても統一して基準を定めて、その線に均等させるということがこれからの年金制度改善の上から見ても大きな目標になるのじゃないかというふうに考えるわけであります。ですからこういう点を抜本的に改善する。そうしてやがては厚生年金と劣らぬようなその段階まで年金の水準を高めて、将来は老後の安定は年金によって心配なく保障されるという、そういう西欧等の先進国家並みの水準をぜひ七〇年代においては実現するために努力してもらいたいと思うのです。残心ながら何年かの間に社会党の天下はまだ来ないように私も判断しておるので、その間はぜひ自民党政府において真剣にひとつやってもらいたいと思いますが、そういう点を含めて総理から所信の表明をしてもらいたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま社会保障制度全般について大まかに御批判がございました。いまの国民総生産、GNP、それらが非常に高いにかかわらず個人当たりの所得が非常に少ないのじゃないか。それは世界的に見ても非常に低い、そこらに問題があるのじゃないか、こういう言い方をしておられました。それは確かにいま総生産から見れば世界第三位、自由陣営で第二位だ、かように申しております。しかし個人当たりから見ればそれは二十番目、あるいは二十一番目だ、かように言われておりますけれども、しかしまた別な計算の方法もあります。いわゆる人口一千万以上の場合にはどうなるか、五千万以上の場合にはどうなるか、やはり国柄とか、そういうところを基準にしても考えざるを得ないのではないかと思っております。からだだけ非常に大きくて一人当たりは少ない。これは国民総生産としては高いところにいく。しかしこれは必ずしも個人の富をあらわしておらない。これは御指摘のとおりであります。  そこで、私は、よく申すことですが、一千万あるいは五千万、そういう国を基準にして日本がどういう点にあるか、それをひとつ考えてみるべきだということを申しておりますが、私は、それを考えてみると日本は二けたではない。やはり一千万ならばおそらく九番目くらいでしょうか。五千万以上の国であれば五、六番になるのじゃないか、かように思っております。したがってお互いはもっと、国民所得がパーヘッド、パーキャピタル、これが少ないといってそう卑下する必要はないのだ、かように思っております。  そこでさような富を持った今日になると、われわれの欠いておるもの、もろと社会保障制度に手厚いものがあってしかるべきではないか、かように私は思います。それは芳賀君が御指摘になったのと同じような意味合いでです。私どもはもっと社会保障を充実すべきその時期に来ているのだ、これがいわゆる七〇年代の私どもの仕事ではないかとも思っております。ただいまいわゆる厚生年金、そういうものについてもさらに中身をもっと十分に上げていくとか、こういうことを考えてみたらどうだ。そういう方向に右へならえすべきじゃないだろうか。ただいままでは被用者の場合わりに自分の負担が少なくて済んでおる。しかしその自分の負担は少ないが、その他は国が出しておるわけでもない。やっぱり雇用者自身が負担している場合が多い。したがって自営事業の場合に、そこらに非常な差がある、これは御指摘のとおりであります。しかしながらもっと高度の福祉国家になれば、これは変わっていかざるを得ないだろうと思います。ただいま高福祉またそういう社会の高所得という表現をされましたが、しかし私はしばしばいわれるように、高福祉、高負担というか、やはりそういう方向にならざるを得ないのではないだろうか、ここらに一つの問題があるように思います。私は、負担する能力ができること、これがやはり望ましいのではないだろうかと思っております。給料が少なくて、所得が少なくて高負担は困りますが、うんと所得があるなら高負担も喜んでできるのじゃないだろうか。そうして高福祉の国家ができるのではないだろうか。私は、そういうような意味を考えていくべきだろう。これはこれからの一つの夢だろうか。夢ではなくて、それを実現し得るのではないか、かように日本の国力から見て私は考えております。別に保守党だからといって、いわゆる社会主義的な考え方を全然払拭する、こういうつもりもございません。もちろん社会党の方の御協力も得なければならぬと思いますし、また進んでそういう点で保守党が社会党の協力を得るような政策を樹立すれば必ず得られるものだ、私はかように考えております。ただいま申し上げるような点がこれからの問題になるのではないだろうか。いわゆる自営事業、これはどうしても経営者自身にその負担が重くかかっておる。雇用者の場合と雇われておる場合とは違っておる。いわゆる雇い主の分も自営事業の場合には負担せざるを得ないのだ、そこらに問題があるように思います。私は、その他の公的年金制度と比べてみまして、今回の農業年金は、別に農業者を非常に虐待したとか、かようには考えておりません。私は、他の公的年金と比べてただいまの農業年金制度は適当なところへ位置づけられておる、かように思いますがいかがなものでしょうか。これはまたひとつ御批判をいただきたいと思います。  とにかく、私はいま申し上げるような負担率自身が高いとか低いとかいうことでなしに、もっとそれぞれ国民自身の個人個人が十分の所得がふえて、そうして富めば喜んでみずからが負担するようになるだろう。社会保障というものはそういうようなものでなければならない。高所得、高福祉、こういうことになるべきものだ、しかも芳賀君が御指摘になりましたように、高所得、高福祉、これが高負担、高福祉、いわゆる負担だけが高くなったというものでないように、そういうものでありたいと思っております。今回つくりました制度そのものも、これは本来から申せば農業従事者だけに特別な年金制度を考える、いわばこれはたいへんな考え方の飛躍であります。私は、あえてこの農業従事者に対する特別処置をとったこと、これは先ほども申しましたように農業者はいままであまり恵まれておらない。しかもこれが筋肉労働だ、こういう点に思いをいたすときに、やはり特別な処置があってしかるべきじゃないか、かように思いますし、ことに最近は農業自身の大転換期にきている。そういう場合に農業者に対しても特別年金制度を設けても、これはまた国民が納得してくださるのではないか、かように思います。私どもは農業者だけを優遇する、こういうことでなしに、この制度自身が他の中小企業その他の方からも理解されて、そうしてやはり農業者の性格から特別な処置がとられたという深い理解を持たれて初めてこの制度が生きてくるのでありますから、そういう方向でありたいものだ、かように考えております。したがって、あるいは行き方としてはもっと進めてもしかるべきものが、あるいは適当なところでとどまっておる、もっと上げて、なぜ優遇しないか、こういうようなお話の出るのも当然かと思います。しかし、私は農業従事者だけについて特別な処置をとるというそこに問題があるのでありますから、これはやはり適当なところにとどめて、他の職業からも農業者に対しての特別年金制度、これは理解できる、こういうものであってほしい、かように思っておるのでございまして、たいへんおしゃべりをいたしましたが、以上のような考え方でございます。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 山田太郎君。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 このたびの農業者年金基金法案の質問に入ります前に、佐藤総理が当委員会に今国会初めて出席をいただいておりますので、まず最初に農政の基本問題についてお伺いしておきたいと思います。  総理は、わが国の経済の高度成長の基盤として、わが国農業の果たした役割りには偉大なものがあると申されております。そこで、このたびの生産調整、これは農家の生産意欲に重大な影響を与えております。その上、先ほど話がありましたが、物価上昇の中に主要農産物の価格が据え置き同然の状態になっております。農家はわれわれの将来はどうなるのだろうか、こういう不安を持っております。元来、農家は土を愛し、生産に努力する意欲に燃えているのは当然のことであります。それを休耕、転作あるいは農地転用などによる農政は、現時点においては一応やむを得ないといたしましても、これは一番の愚策ではないかと思います。政府の場当たり的農政でなく、長期的見通しに立った希望の持てる、そして全国五百三十五万の農家が安心して農業にいそしむことができるような基本的な御見解を最初にお伺いしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、昔から農は国本だといわれた、幾ら今日工業が発達いたしましても、やはり今日も農は国本だ、かように私は考えております。また国民の食糧そのものを外国から輸入するというようなことよりも、やはり国内で生産できる、こういう方向が本来けっこうな、またあるべき当然の姿ではないか、かように実は思っております。ただそうかと申しましても、どうも国際価格よりもその倍もするような米価のもとで日本国民は生活するということは、どうも近代的ではないのではないか、かように思います。私はそういうことを考えながら、いま米が余っておる、そういうときこそ農業の近代化をはかるべき一番いいときではないか。私はどうも米が足らない、食糧が不足しておる、そういうことを考えると、そのときには何でもかんでもいいから、一粒の米でもよけいつくれといって、農村の方々に協力を求めてまいりました。近代化だの、あるいは生産性を上げるとかいうようなことは、あまり理屈を言わないで、とにかくつくることだ、一粒でも、二粒でもよけいつくることだ、こういうような考え方でまいりました。これは余裕がなかったからであります。しかし、ただいまは余裕ができてきた。米が余る。たいへん片一方から見ると困った状態ではありますが、そういうときにこそ初めて農業の近代化、生産性を上げることと取り組めるのじゃないか。そうしてただいま山田君の言われるように、希望の持てる農業というもの、そういうものを真につくり出すことができる、そういう可能性があるのではないだろうか。それは一体どういうものだろうか、これをひとつ考えていただきたい、かように私思います。したがいまして、たいへんけっこうなときなんだ。だからこそこのときをのがさないで、そうして農業の近代化、生産性を上げていく、その問題と取り組む。そうして多種多様な食糧を供給するような、そういう方向に取り組んでいく、こういうことであってほしいと思います。ただいま私どもは米は余るが、国民の食べる食糧同時にまた飼料等を含めていわゆる食糧といわれるもの自身を考えてみると、なかなか八〇%までは自給自足できておりません。これはもっと自給ができるような方向にする。そうしてそこに近代的な方法あるいは農法を取り入れるならば、必ずできると私は考えざるを得ないのであります。御承知のように、アメリカはずいぶん進んだ工業国だ、土地が広いから、かように申しましても、人はずいぶん高い労賃を払っておる。その高い労賃を払って、あそこでは大豆ができる、小麦ができる。それらのものを日本にどんどん輸入しておる。お米も日本の米価よりも、国際価格から見れば、半分以下でできておる。私どももそういうところに目をつけて、これからもっと効率の上がる、もっと経済性の上がる高い農業、それと取り組むべきじゃないだろうかと思うのであります。同じように乳をしぼりましても、一頭の牛からしぼるのでなくて、あるいは少なくとも三十頭程度は飼うようになるとか、そういうようになれば、よほど変わるだろう。これなども最近のやはり酪農事業等から見まして指摘される点だと思っております。農業において、ことに私は小さな耕地面積、その状態を考えますと、これはもっとわれわれはくふうすべきではないだろうか。しかも日本自身が労働力不足の時代にいまやなっておるのですから、そういう場合にはあらゆる面でわれわれの貴重な労働力を生かして使う、そういう方向に取り組むべきじゃないだろうか、かように思っております。これがいまのただいま考えられる農業基本的な態度でありますし、またこれはひとり農業といわず、工業その他ともあわしての日本産業のあり方として、もつと労働性を高める、労働力を大事にする。そこに目をつけなければならぬ、かように考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 時間の制限がありますので、ただいまの総理の御答弁をもとにお伺いしたい点も多々ありますが、再び農家の生産意欲をそぐような、このたびのごとき、ことばが過ぎるかもしれませんが、愚策は繰り返されることのないように強く希望もし、要求もしておきたいと思います。  そこで、次の問題点に移りますが、この年金の基金法案は、かねて総理が農業者にも恩給を、これは総理の有名なことばになっております。公明党はもちろん各党も、また多くの農家の方々も要望しておったことは事実であります。それが、このたびの法案が出されたことは、一歩前進であることは認めるにやぶさかでありません。しかし、その内容が、恩給ということばから見ますと、老後保障の色彩よりも離農促進及び経営移譲に重点が置かれていることは確実であります。この点について総理の御見解、先ほども少々触れてはおられたようでございますが、私からも大きくお聞きしておきたいことです。  また、同時に、この法案がもし成立の運びになって、実施の段階において不合理な点が明らかになったときには、すみやかに改正に努力すべきだと思いますが、その点についての御見解もあわせてお伺いしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 「農民にも恩給を」という、キャッチフレーズとすればたいへんブームを巻き起こしたか、かように考えますが、私がいま、農民には恩給というよりは、ただいまのような年金、これが先ほども申すように、農業経営者だけが特別な扱いを受ける、そういうことの困難性は国民としてよく理解されておると思っております。  ただ、いままでは、先ほども私は私自身が立候補、選挙に出た当時に聞いたように、どうも農業経営者は報いられるところが非常に薄い、何とかしてもらいたい、かような意味から——やはり公務員なら公務員、これもただでやっているわけじゃありませんが、年金をもらう、恩給制度がある、やはり農業経営者もさような制度があってしかるべきじゃないか、自家営業であるというために、どうもそういうような点についてあたたかい手が差し伸べられておらない。ことにだんだん年をとっていく、そして若い青年はどんどん離農していく、村を離れていく、そういうところを考えると、何か希望をつなぎ、そうして農業も魅力あるものにしたい、こういうことがだれしも考えることだと思います。  私は、そういう意味で、私自身が耳にしたことを先ほどは冒頭に披露いたしたのでありますが、おそらく皆さん方も大なり小なり、あるいは直接、あるいは間接なりに、ただいま申し上げるような、農業従事者に対してもっとあたたかい救いの手を差し伸べろというお話を他の場所でお聞きだろうと思います。私はそういう意味から、あるいは恩給、さように考えることが、そのことば自身が不適当であったかもわかりませんけれども、しかし、それがようやくただいま年金制度としてかように生まれようとしておるわけであります。しかしながら、これは新しい制度であり、また生まれるにつきましても、各党から批判をいただくように、なかなかむずかしい問題がございます。そのむずかしい点は、先ほど申しましたように、これからの農業を一体どうしたらいいのかという、農業自身の問題もありますが、同時に、農業従事者自身が他の事業の従事者と区別される、そうして特別な扱い方を受けるという、そのためにこれは手厚い保護であってはなかなか理解されない、他の事業から袋だたきになる、また手厚くないと何をしたのかわからないということにもなる、適当なところで筋を引かざるを得ない。先ほども芳賀君と議論いたしましたのもそういう点であったように思います。ここらに今回の制度のむずかしさがある。しかしこれは、とにかくいままで置かれていた農業従事者の特別な地位、それを考えてみ、またこれから農業はいかに発展すべきか、そういうことを考えたときに、このことが必要ではないだろうか、かように私は思います。したがいまして、これは老後を養うばかりではなく、老後に対する備えであるばかりでなく、また将来農業に従事する人々に対しても、弱いかわかりませんが、ある程度魅力を与えるものであってほしいし、また経営規模拡大等にも役立つものであってほしい、かように私は考えておるのであります。  そうして山田君が御指摘になりましたように、これはどうも賛成できないけれども、ずいぶん政府はやりたがっているからやらしてはみるが、もしどこかで不都合な点があったら修正するか、そういう点、これは私は皆さん方とともどもにこの問題と取り組んでいくつもりでありますし、実施を待つまでもなく、納得のいくようなものがあれば、それは修正してでも私どもはこういうものをつくりたい、かように実は思っております。ただ、むずかしさは、ただいま申し上げますように特別な処置を農業従事者に与えるという、そこにどの程度まで与えるかという非常なむずかしさがある、かように御理解をいただきたいと思います。したがって、やってみまして、そうして不都合があって直していく、それにはもちろんやぶさかでないことをこの機会にはっきり申し上げておきます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 残りの時間があまりないようで非常につらい質問です。  そこでまず第一点、先ほど総理の御答弁の中にもありましたように、一つの農業政策を国策として進めていくための農業者年金基金法の要素もあるわけです。離農の促進あるいは経営移譲という点、この面が非常に重点が置かれています。そこで、この国策を遂行していくのであるから、言うならば経営移譲奨励金とでもいえるような性格のものではないかと思います。そこで三分の一国庫負担になっておりますけれど、これはもっと大幅に引き上げるべきではないかという点が一点。  それからもう一つの点は、いまイタリアで年金を上げろということでストライキがひんぴんとして起こっているということを聞いております。これはやはり物価上昇にあるいは賃金指数の上昇に非常に大きな影響を受けていることです。そこでそういう面からも、年金のスライド制ということを考えたほうがいいのではないかというふうな意見非常に多いわけです。この点についての総理の御見解もあわせてお伺いしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 どうも長い答弁をしてまことに相すみません、短くいたしますが、いまの国庫負担をもっとふやせという、私は先ほども申しましたように、他の公的年金制度と比べまして、今回の制度は国庫負担が適当なところへとどまっておるのじゃないか、かように思いますので、御意見として承っておきます。  それから第二の問題として年金のスライド制、これはいかにも理論的なようですが、こういう点はよほど慎重にやらないことにはいかぬのじゃないだろうか。私ども物価問題と取り組む場合に、あらゆるものがスライド制になっている、そういうことだと、どうも物価問題そのものに対しての考え方気が楽になり過ぎやしないか、かように思いますので、この点はもう少し私に検討さしていただきたい。少し余裕を与えてもらいたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 では、次の質問に移らしていただきますが、先ほども申し上げましたように、この基金法が農業経営者の若年化と近代化を目ざすものであるということは、これは理の当然でございます。そこでこの効果が出てくるのが大体五年先をめどにしてあることに——法案から見ると結果はそうなってきます。そこで、ここで考えなければいけないことは、この年金に入ることのできない五十五歳以上の方々、しかも後継者のちゃんとある人がいま全国で百十九万七千人いらっしゃいます。経営主です。この方々に対しての配慮というものが、慰労給付金以外には考えられていない。この点は農業の近代化あるいは若年化を望むならば、もっと効果的な措置が講ぜられてしかるべきだという点が一点残っているわけです。これはたとえばそのような方々に経営移譲福祉年金とでもいうようなそういう措置を講じてあげるならば、より一そう若年化と近代化を進めていく農政に合致したことに、結果としては当然なると思います。こういう点についての御見解もお伺いしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来申したのは、主として規模の拡大、その方向で申しました。ただいま山田君からは経営の若年化、若い人にも、こういうお話でございますが、規模自身が変わらないで若年化しただけではちょっと私は効果——それを直ちに取り上げるというのは、ちょっと他のものともよく比較研究する必要があるのじゃないだろうか。私はややただいまの御提案には疑問を持っております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 この点についてはもっと多くを論じていきたいところでございますが、最後に一点だけお伺いしたいと思います。  それは何かといいますと、この農業者年金基金法について最近農家の方々と話し合ったときに出てきた問題ですが、この年金がわれわれ農家の生活の安定の一助ともなるということは確かに認める、しかし現在のように大体三年周期で野菜や果実の暴騰、暴落が続いておったのでは、われわれ農家の立場としてはばくちを打つような気でおります、これを現在の野菜生産出荷安定法のような、いわばちゃちなものでなく、大幅な国庫負担によって野菜果実価格安定基金とでもいうようなものを考えてはもらえないものかという切実な願望があったわけです。これはやはり当然なことだと思いますし、国民、ことに消費者にとっても生産者にとっても非常に大切な問題でございます。ことに総理は物価閣僚協議会の長として非常に頭を使っていらっしゃることでしょうが、ただ単なる抽象でなしに、具体的なもの、野菜だけでもこのように安定したじゃないかというものをつくっていくべき段階にあると思います。その点について総理にこの問題とあわせてひとつ御答弁願って、それで質問を終わらしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 今回の年金法、これは農家の安定の一助ともなるという、これは率直な表現だろうと思います。もっと力強い安定度の高いものというか、農業者から感謝されるというところまで持っていきたいのですが、そこまでちょっといかないようです。  そこでただいまの第一の問題はその程度にいたしまして、第二の問題のほうがより一つの問題ではないか。  農業従事者としては恩恵的な年金よりも、自分たちがつくるもの、それの野菜その他のものが適当に評価されること、いわゆる上下があまりないような方法、そういうようなことをやってくれることが一番望ましいのだ、おそらくそういう提案をされたんではないかと思っております。私はこのことが一番ただいま頭を悩ましている問題でありますし、どうもいままでの市場のあり方等を見ると、その市場で値段が高くなると、いま出せというのでどっと出る。そのために急に暴落をする。だからあとが続かない。あるいはまたつくるほうから見ましても、どうもことしはタマネギが高い、来年はタマネギにしたとかそういうことで、実は生産がそのほうで今度過剰を来たす。だからつくってもまた出荷の時期にも関係して、どうも安定しない。こういうような問題があるようであります。どうしたらいいのか、これは一番私どもの頭を悩ましている問題であります。  一つは、できるだけ生産規模等について最初から計画的な生産を奨励すると同時に、やはり輸送、貯蔵の点でも特別なくふうをしていく、流通機構にメスを入れる、そういう事柄が現状におきましては考えられるもとではないだろうかと実は思っております。  どうも生産が多くなっていわゆる豊作貧乏が今日も続いておる。こういうような状態では、経営のほうの問題ではなくて、政府機構あるいは政府側の無策だ、こういうことでただいまのような豊作貧乏というようなことばがあるのではないだろうか。その農作貧乏のないようにする。また流通機構を安定さすということだ。ある程度貯蔵ができる問題になれば、これはいままでも肉類等についてそういうことをやった例もございますし、もっと安定供給の方向に諸施設を整備していけば、必ずやれることではないだろうか。そういう点でくふうをする。いわゆる品不足もなくなれば豊作貧乏というようなこともなくなる。かように私ども考えますので、それらの点ではもっとこまかな対策を立てていく、これが望ましいことだと思います。これは経営者ばかりの努力でなく、制度そのものとしてもわれわれは考えていかなければならない。そのためには農業の場合だと、農協等の協力を得る場合が非常に多いし、地方自治体の協力もまたしかりでありますし、私はただいま申し上げるような点が改善されていかなければならないものだ、またそういう意味で名案をさがしている、こういうような状況であります。そのためには何と申しましても、貯蔵倉庫等がもっと整備されなければ、ただいまのようなことはできないことだと思っております。しかしながら、ものによっては貯蔵の全然きかないものもありますから、ただいまのように申しましても、貯蔵だけでは片づかない、かように私は思っており、ここらにやはり生産前の計画、そういうものがある程度示されるようなくふうがされてしかるべきではないか、かように思っておるような次第であります。  いずれにいたしましても、ただいまの山田君の御指摘の点は、これから私どもが真剣に取り組んでいかなければならない問題であること、これは間違いございませんし、また、名案があればどんどん政府も御指示をいただきたいし、私どもに御叱正を賜わりたいと、かように思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 これで質問を終わりますが、先ほど総理の御答弁の中には、野菜果実安定基金制度についての具体的な御答弁はなかったように思います。これを再び論じていく時間はありませんが、それは法律があるのは承知しております。したがって、私の質問の中にもそれは含めてあります。  そこで、農林省の、農家の方々の信頼を受ける作況報告なりあるいは作付指導なりというものももっと努力してもらいたいことを要望するとともに、最後に、林業者あるいは漁業者の恵まれないいまの現状から見ても、当然この年金制度を考慮してしかるべきじゃないかということを強く要望して質問を終わることにいたします。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 合沢栄君。

合沢栄民社党

○合沢委員 質問の時間に制約がございますので、いろいろ基本的な法制の問題を、せっかく総理が出席の機会にお伺いしたいのでございますが、それは省きまして、農業者年金基金法に限って質問をしたいと思います。先ほどから総理は、きわめて懇切な御答弁をなさっておりますが、たぶんお忙しいと思いますので、要点だけ簡明に御答弁願いたいと思います。  第一が、先ほど来の質問にも総理はお答えになっておりますが、この農業者年金基金法案は、総理が「農民にも恩給を」ということじゃなくて、むしろ農家の側からそういった要請があったので、それにこたえて置くのだというような御答弁がございました。確かにそういう点があっただろうと思うのです。しかし三年余り前の総理のこのキャッチフレーズ「農民にも恩給を」というこのことに対して農家は非常な期待を持っておる。そしてこの法律が一日も早く成立することを希望しておるというように考えるわけでございまして、私たちもそういった農家の期待に応じて早く成立させたいというように考えるわけですが、内容を検討してみますと、はたして農家が期待しているようなそういった法案であるかどうかということなんでございます。私は、この法律がこのまま成立するならば、期待を持っている農家の方は非常に裏切られる結果になるであろうということをおそれるわけでございます。特に総理は、農業者だけに何か特別なことをするわけにまいらぬということなんです。確かにそういった面もあろうかと思うわけでございます。しかしながらこの内容を見てみますと、部分的には農家に損を強制する、犠牲を強要するという部分があるわけなんです。この点は、私、先般の委員会でも特に強く申し上げ、その修正を要請したわけなんでございます。というのは、内容は、農業者年金基金法案の中でこの老齢年金部分でございますが、老齢年金の部分は、七百五十円を二十年間掛けて、そして三千六百円しかもらえないということなんです。しかも現在予定されておる二百万の対象者の中の大部分がそういった方ではなかろうかと思うのです。先般の委員会では、二百万のうちで経営移譲する者が全部で約六四%というような予想はしておりますが、実際はそうはいかないだろうと思うのです。その理由は、先般私が要求しました資料を見てみますと、二百万の中で後継者を持っている農家は二四・何%でしたか、約二四%というようなことになっておるわけなんです。実際後継者が農業に従事しているものは二四・何%というようなことが資料に出てまいったわけです。あとの七十数%は後継者が農業をやっていないわけです。そこで、この一万六千円の経営移譲年金をもらうために七十数%の者が会社をやめ工場をやめて、そうして後継者として農業に従事するかということなんですが、私は非常に困難だろうと思うのです。そうすると、試算されております六四%の経営移譲というものはとうていそういかないだろう。大部分の者はこの経営移譲年金はもらえずに老齢年金だけもらう結果になる。ところがこの老齢年金の三千六百円というのは、これは七百五十円を二十年掛けて、そして試算してみますと、この利回りは五分五厘にもいかないということなんです。他の公的年金ではいずれも五分五厘を基礎にして計算されている。ところが、これは先般の委員会でもはっきりしたわけですが、五分五厘にも回らない。五分五厘にいくためには四千円にしなければならぬということなんです。そこで、この法律がこのまま成立するならば、多くの方は定期預金にも回らないような年金しかもらえない。しかもそれを強制するということになるわけです。このことは私は何も国が農業者に特別な恩典を与えているのではなくして、むしろ犠牲を強要することになるのではないかということを申し上げたいわけなんです。この点は先般私は強く御要望申し上げているのでございますが、ぜひこの点について修正方を願いたいということをまず申し上げ、御意見を聞きたいわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 農業年金の利回り等についていろいろ詳細にただいま御意見が述べられました。隣にいる農林大臣に聞いてみると、いろいろくふうされつつある段階だ、かように聞いておりますので、これは賢明な農林大臣並びに皆さん方におまかせしていいことではないか、かように思っております。

合沢栄民社党

○合沢委員 まことにものわかりのいい総理の御答弁で、ありがとうございました。ぜひひとつそのように御修正をお願いいたします。  次に、この法律の中には国の補助金としては三分の一を経営移譲する年金の部分について補助するということが明文化されておるわけです。あとは国の補助金は全然明文化されてない。わずかに三分の一を引いた残りに対して三〇%が当分の間この補助金がされる、そしてその結果七百五十円になるわけなんです。しかもその改定は、六十五条の四項では五年ごとに再計算して調整するということになっているわけです。そこでこの三〇%がどうなるのかということが非常に大事な問題だと思うのです。これがなくなれば国の補助金はわずかに三分の一の経営移譲年金のみになると思うのです。それで先般も農林大臣に対してこの三〇%はぜひひとつ確保してほしいということを御要望申し上げたわけでございますが、満足な御答弁をいただけなかったわけなんです。私は現在でも三分の一の補助金と残りの三〇%に対する補助金によって掛け金は七百五十円になっているわけなんです。これが三〇%部分が減るということになりますと、それだけでも高い。特に国民年金の所得比例部分に比べてみても高くなっているというのが七百五十円の現状なんです。それで、ぜひともこの三〇%の国庫補助については明文化すべきであるというように考えておるわけなんです。この点について総理の見解をお伺いしたいわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほどのほうは簡単におまかせしたのですが、ただいまのはなかなかむずかしいようです。ただこれは、他の公的年金も一緒に五年ごとにそれぞれ検討する時期が来るようでございますから、そういう際にもう一度あらためて十分検討したい。ただいま直ににおまかせするというわけにいかないようです。御了承いただきたいと思います。

合沢栄民社党

○合沢委員 しかしそういった内容については総理も十分御承知なさって、この部分についても御配慮方を将来ぜひお願いしたいと思うわけでございます。  次に資金の運用でございますが、この資金の運用について私は、この基金が農業の近代化という政策を加味された基金である以上、これが農地の流動化資金に使われるという点についてはやむを得ないだろうと思うのです。ただし問題は、この基金が農地の売買を直接やるという点については、これは非常に問題があるんじゃないか。特にこの年金基金の運用についてはその安全性、効率性、福祉性という三原則もあるわけなんです。そこでこの年金基金が直接農地を売買すると、買った農地が将来下がって損をするというようなことにもなる可能性があるわけなんです。これについては、先般来質問してみますと、そういった場合について損失補償の何ものも現在ないわけなんです。そういうような形でこの基金が直接農地売買実務をするということは非常に問題があるんじゃなかろうか。さらに先般衆議院を通過しました農地法あるいは農協法等の一部改正で、農地の流動化については農地保有合理化法人がやることになっているわけです。これとも末端で競合する結果にもなるし、私は農地流動化をほんとうに末端でスムーズにやるゆえんでなかろうと思うのです。むしろ農地保有合理化法人に融資してやらせることのほうが効果をあげるのじゃないかというようにも考えられるわけなんです。そういった意味でも、直接この基金が危険な農地の売買をやるというようなことはぜひともやめるべきであるというように考えるわけなんです。この点について御意見を聞きたいわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 基金はもちろん民主的に運営されなければならない。しかしその前に政府自身が、この基金の運用が適正であるかどうか、それについて十分責任を持つという形でなければならないと思っております。したがって、いま御指摘になりましたように農地の売買、そういうことで得をするかもしれないが損もする。そのほうの危険が非常に多い、こういうような問題があるならば、政府は監督指導いたしまして、さような事柄で特に基金に損失を与えないように適正なる運用をはかっていく、かように御了承いただきたいと思います。十分注意してまいるつもりです。

合沢栄民社党

○合沢委員 次に、これは先ほどからの質問者の中にもございましたが、五十五歳以上の方が今回この適用を除外されるということなんです。私はこの点は別な角度からぜひ加入対象になるように要請したいわけなんです。  別なことと申しますのは、この五十五歳以上の方は終戦当時ちょうど三十代なんです。こういった方が今日まで日本の農業をささえてきた方々なんです。こういう方こそ、総理の言う「農民にも恩給を」という対象に最も適した方であろうと思うのです。こういった方がこの適用を除外されるという点は、政治の面から見て非常にまずいというように考えるのが第一点です。  同時に私は、この法律の政策目的である農業の近代化という点から見ても、こういった方々に適用することがこの政策目的である農地の流動化なり農業の近代化にも大きく貢献するだろうと思うのです。今日まで日本の農業をささえ、そうしていまなお苦労しているこの方々にこそ私は適用すべきだと思う。しかもこれは経過的措置で済むわけなんです。永久にそれがどうこうというものでないわけなんです。ぜひひとつこの際経過措置として、資金もよけい要るものでもないし、長く年金を掛ける方との差は、短期に年金を掛ける方なんですからあってしかるべきなんです。それはあってけっこうですから、こういう方にあたたかい政治、血の通う政治が実現されることを希望するわけでございます。この点についてもう一度総理の見解を聞きたいと思うわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの、ちょっと私聞き取りかねたのですが、離農給付といいますか、離農一時金、これが出ることはすでに御承知のとおりだと思います。その離農一時金でなしに、何かほかの制度を考えろというお話でしょうか、その点もう一度。

合沢栄民社党

○合沢委員 私の申し上げましたのは、この法律の制定当時に五十五歳を過ぎた方は、年金に入れないということなんです。年金対象からはずされているということなんです。したがってこの方は六十五歳になっても老齢年金の対象にもならない、また後継者に経営を移譲をしても移譲年金ももらえないということなんでございます。これは非常に気の毒ではないか。今日まで最も働いた、最も苦労して、あの食糧不足のときから今日までやってきて、今日の農業をささえ、日本の今日の経済発展の原動力をなした方々だろうと思うのです。こういった方こそ、当然この年金の対象にふさわしい人だというように私は考えるわけなんです。しかもこれは永久じゃないのです。この層の方々だけなんです。したがって経過的措置でございますし、そう多くの資金も要るわけはないと思う。当然年金に加入させて、そうして短期ではあるが、加入金も掛け金も出してもらっていい。しかし期間が短いのだから、移譲年金にしても一〇〇%の方と同じような一万六千円でなくてもいいのじゃないかというように考えるわけなんです。ぜひこれはひとつ加入できるような道を開いていただきたいということをお願いしておるわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま申しましたように離農する場合には、これは国庫負担でそれを片づけていく、こういうことをやっておりますが、ただいま言われるように離農しない場合に特別年金を何かつくれ、こういうお話、こういうところが先ほど申しましたいわゆる一般年金制度と均衡をとるといいますか、御指摘になりましたように、こういう方こそ大事に、特別に国が見るべきだ、こういうお話でもありますが、大体五十五歳くらいは、さきの戦争をみんな戦い抜いてきた、そういう人たちだと思います。ただ農業経営者に限らない、かように思いますので、その他の方と区別するということはちょっとむずかしいかと思います。しかし離農するという場合には、これは特別なめんどうを見る、これは当然でございます。

合沢栄民社党

○合沢委員 もう一つ問題は、特殊法人になるこの基金の人事管理の問題ですが、これは従来も何回も指摘されたところですが、理事長以下役員、評議員に至るまで全部農林大臣の任命ということなんです。私は、この基金がほんとうに適切に運用され、効果をあげるためにはもっと民主的な人事管理というか、機構等が改められなければならぬと思うのです、民主的な機構として。先ほどちょっと総理の答弁の中にも民主的な資金の運用ということが出ましたが、私はこれに農林省、国が指導監督することは当然だと思うのですが、運用については農家の意思が反映できるような人事まで含めた民主化が行なわれるべきじゃないかというように考えるわけです。特に先ほど申し上げました五十五歳以上の方に対する適用の問題とそれから人事、機構の民主化等の問題はこの法案の成立を強く促進し、要望しておる団体である農業会議の先般の大会でも、また農協系統から非常に強くこれを要請しておるわけなのです。そういった意味でも私は農業団体あげての強い要望でもあるし、五十五歳以上の方の加入と同時に、この民主化を御要請申し上げたいわけでございます。それについての総理大臣の見解をお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 合沢君御承知のように、これは理事その他役員は政府任命ということになっておりますが、評議員会という制度が設けられ、そこで十分農業経営の方々の意見も代表して話し合って、民主的に運営をいたしていこう、こういうものでございますからお尋ねのような、また御意見に述べられたような趣旨は十分法案の中に生かされておる、かように私は思いますから、どうぞよろしく御了承願います。

合沢栄民社党

○合沢委員 以上で私の質問を終わります。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 これにて内閣提出、農業者年金基金法案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 この際、私の手元で起草いたしました内閣提出、農業者年金基金法案に対する修正案を提出いたします。  修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。  その案文を読み上げます。    農業者年金基金法案に対する修正案  農業者年金基金法案の一部を次のように修正する。  第四十八条中「百八十円」を「二百円」に改める。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。     —————————————

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 本修正案に対して別段御発言もないようでありますので、本案並びに修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより順次採決いたします。  まず、農業者年金基金法案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 この際、本案に対し、角屋堅次郎君外三名から自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私は、ただいま議題となりました内閣提出、農業者年金基金法案に対する自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議につき、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農業者年金基金法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当り、左記事項を検討し、その速やかな実現に努めるべきである。       記  一、五十五歳以上の年金非加入者に対しては、別途の措置を検討すること。  二、国は、保険料の改定にあたっては農業者の負担能力を勘案し、適正なものとするよう国庫の助成について十分配慮すること。  三、農業者年金基金の組織および業務運営については、被保険者の意志を十分に反映したものとすること。  四、保険料積立金の運用にあたっては、農業の近代化、農業者の福祉向上のために十分還元されるよう措置することとし、特に基金の行なう融資については、長期低利のものとするとともに、積立金の安全、有利かつ効率的な運用を確保するため、国は利子補給等所要の措置を検討すること。   右決議する。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議を尽くされておりまして、詳細な説明は省略をいたしたいと思いますが、一、二の点について簡潔に触れておきたいと思います。  附帯決議の第一項の「五十五歳以上の年金非加入者に対しては、別途の措置を検討すること。」この条項については、本委員会の議論の過程におきましても各位御承知のとおり、この問題については別途適当な措置を講ずることが、農業者年金の社会保障的な性格を重視する点からも重要であるという意見が強く述べられてまいったことは御承知のとおりでございます。  第二項の問題については、御承知のように、今回の七百五十円の負担増、さらに所得比例部分の三百五十円の国民年金の負担をプラスすること等々によりまして、妻を含めて二千円の負担の問題に発展をしてまいりますので、今後の農民の負担能力から見て、保険料の改定にあたっては十分国庫の助成をもって適当な配慮が必要であるという趣旨でございます。  なお、第三項の「農業者年金基金の組織および業務運営」の問題についても、基金の民主的な運営の問題に関連して、本委員会でも十分な論議がなされてまいりました。したがって、政府におかれましてもその論議の趣旨を十分生かしまして、運営の成功を期していただきたい、かように考えるところでございます。  第四の保険料積み立て金の運用の問題についても、本委員会で真剣な論議が展開されてまいったわけでございまして、今日、農業金融全般の情勢からいたしまして、農業近代化あるいは農業者の福祉向上のために、農業者に十分なる資金を必要とすることの情勢にかんがみて、これらの要請に十分こたえるような措置を前向きに検討してもらいたい、こういうふうに考えておるところでございます。  以上、簡潔に附帯決議の趣旨について説明申し上げましたが、何とぞ委員各位の御賛同を賜わりますよう心からお願い申し上げます。(拍手)

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  角屋堅次郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。倉石農林大臣。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○倉石国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと存じます。     —————————————

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 なお、ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

草野一郎平自由民主党

○草野委員長 次回は、明七日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会

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