農林水産委員会 第22号
- 発言数
- 285 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/04/28
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案及び内閣提出、農業者年金基金法案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鶴岡洋君。
○鶴岡委員 いま議題となっております農業者年金基金法案について何点かお尋ねいたします。 先週からこの審議が開始され、いろいろな角度から、またいろいろな立場で論議されてまいりました。そこで質問が多少重複するところが出てくると思いますが、それは御了承願って質問をしたいと思います。 まず第一点は、農業者年金は経営規模五十アール以上の農業経営主であればほとんど強制加入になっているわけでございます。そこで、加入した農業者は、国民年金の掛け金の上に毎月七百五十円の農業者年金の掛け金となるわけでございますが、それが二十年の長期にわたるわけです。そこで二十年間の掛け金をして経営移譲をした場合、六十歳で初めて年金をもらうわけでございます。金額は経営移譲した場合に五千二百円、こういうことになるわけです。この点について、いままでさんざん論議されてきた点でございますが、これを現在の物価上昇、またさらに高度成長の状況から考え合わして見た場合どうなるか。経済成長に隠れた日本の農業ともいわれております。たとえば農家所得は前年に比べて一〇・二%の増収となっております。農林白書等を見てもわかりますけれども、そのうちの八四%が農外所得に依存しておるわけでございます。そういう兼業農家があるわけでございます。農家収入が他産業と比べて全般的に非常に低い、こういう面から見た場合、結論としてこの掛け金が負担が非常に大きいし、その反面支給額が少ないように思われるわけです。この支給額について、先ほど申しましたように、いままで何べんもお聞きしましたけれども、どういう見通しを立てられ、考慮に入れて決定されたか、その根拠をもう一度はっきりと御説明願いたいと思います。
○廣瀬政府委員 支給額につきましては、金額の問題と支給開始年齢の問題と二つございまして、それが相関連するわけでございます。 まず経営移譲した人につきましては、国民年金ですと支給年齢開始が六十五歳からでございますが、これを六十歳からというふうにしておるわけでございます。それから経営移譲した人の年金額につきましては、大体被用者保険並みにしようということで、現在被用者保険におきましては——厚生年金でございますが、本年度新しく支給される年金額が平均しまして約二万円でございます。それの掛け金を掛けた期間が大体二十四、五年ということで、大体二十五年で二万円という金額で被用者保険並みに合わせたわけでございます。 それから最近のように物価が上がりまして、年金額の実質価値が将来減少することが当然考えられますので、この法案にもございますが、年金の額は今後の生活水準の変動その他に見合ってしかるべく改定をしなければならないという規定がございますので、この規定の趣旨に沿いまして、今後の生活水準の上昇等いろいろの諸要素を考慮して必要な措置をとっていく考えでございます。
○鶴岡委員 この点もそうでございますが、農業者の本法案に対しての意識というのは、国が農民に恩給を出してもらえる、こういう意識が強いわけでございます。そこで、構造政策遂行ということを打ち出しても、それはそれとしてわかるわけでございますが、自分の掛け金に対してはどうしても金額で計算すると思うわけでございます。であるのに、二十年間月に七百五十円掛けて、経営移譲しない者は六十五歳以降三千六百円、これも何回もお聞きしましたけれども、どうしても納得のいかないところがあるわけでございます。これを政府のほうとしてはどういうふうに指導し、これに善処していくのか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
○池田政府委員 この問題は厚生省からお答えするのがあるいは筋かという気もいたしますけれども、昨日も非常にいろいろ御議論がございまして、なかなか御納得をいただけない問題でございますので、少し長くなるかと思いますけれども、私が経過等を含めまして若干御説明を申し上げたいと思います。 この問題は、要するに掛け捨てになるのではないか、掛け捨てといいましても元金はもちろん返るわけでございますが、利子が五分五厘返らないということをしばしば御指摘をいただくわけでございますけれども、この問題は実は年金制度全体にかかわる問題でございます。要するに私どもがこの制度を立案いたします段階あるいは予算の折衝をいたします段階で、いろいろな条件のもとでどうしたらいいかということを考えたわけでございますけれども、一つはいま御指摘がございましたように、掛け金の農家の負担能力というものをまず押えて、国民年金と合わせまして二千円以上にならないこと、これを一つの前提にしたわけでございます。そうしますと、農民年金に回せるほうは七百五十円以下になるわけです。これは絶対に動かしたくないわけです。 次に、いま年金局長から御答弁がございました給付水準でございますけれども、これは厚生年金並みの水準を確保するということを国民年金審議会でも強く言われておりますし、私どもそれはぜひやりたい。だから最低二十年拠出で一万六千円を確保したい。これをまず一つの前提にしたわけでございます。 それからさらに、六十五歳以上、なるべく掛け捨てがないようにしたい。だから元金は当然返しますし、できるだけそれに利息をつけて返す。でき得れば五分五厘の利息をつけて返す。こういうことを考えたわけでございますが、この方程式は全部満足させることができなかったわけです。 それで結局事柄はもう一つ、老後の保障に対する国庫助成のあり方いかん、こういう問題にかかってくるわけです。老後保障に対する措置といたしましては、御存じのように国民年金制度がございますので、農業者年金におきまして、これに付加して、老齢を要件として年金の支給をするというのは、いわば、国民年金法に国民年金基金という制度がございますけれども、それのような考え方をとらざるを得ない、要するに、老後保障に対する掛け金というものは原則として自己負担をする、こういうことでいかざるを得ない。国民年金に付加してさらに相当額の国庫助成をするというのは、これは他の業種との関係がございまして非常に困難でございます。そういうようないろいろな条件をとくと解いて答えを出しますと、現在のような制度になるというわけでございまして、結局、この問題につきましては、どういうところにウエートを置きまして、その線は絶対確保するというふうに考えるかという問題がからんでくるわけでございまして、昨日来お答え申し上げているような結論にならざるを得ないわけでございます。そういうことでございますので、私どもは、いまの御質問に対しましては極力制度の趣旨を、昨日も御指摘ございましたが、よく農家の方に徹底できるように親切にPRをするということがまず第一に先決ではないか。そうしてその御理解の上に立って農業者年金制度の意味を御理解いただく、こういうふうにぜひしたいと考えております。
○鶴岡委員 本法では、当然加入者の要件として、経営面積については政令で定められることになっておりますが、この点でございますが、農地法等においては、農地法第三条第二項五号のように特例が認められておるわけでございます。山村とか漁村等における耕地面積の少ないところに対しての加入者の資格の問題ですが、地域的な特殊性を十分に反映するという意味で、この農地法のような特例を設けて加入範囲を広げないのかどうか、この点はいかがでございましょうか。
○渡辺政府委員 農地法では確かに特例を設けております。しかし、これは非常に千差万別であって、三反歩あるいは二反歩、場合によっては一反ちょっとというところも認めておるようでありますが、この農業者年金ではやはり農家らしい農家としては大体どれくらいがいいだろうかというようなことを、経営の形態等をいろいろ調べてみた結果、まあ五反歩がいいだろうというようなことで、都道府県にあっては一応五反歩という線を引いたわけであります。しかしながら、農地法で特例を認めておるものにかわりまして、この農業者年金法では、五反歩以下の者であっても加入したいという人には任意加入という道を開いておるわけでありますから、言うならばその任意加入というのが特例みたいなものではなかろうか、かように思います。その任意加入によって入りたい人は救われる、こういうことになっておるわけでございます。
○鶴岡委員 次は、農業者年金の被保険者でございますが、法律でいうと、一定の要件に適合する者及び耕作または養畜の事業を行なう者の直系卑属で、その事業の後継者として指定された者は基金に申し出て、農業者年金の任意加入の被保険者となることができるとしております。そこで、経営移譲は直系卑属一人でありますが、この後継者が死亡または途中において離農した場合、その掛け金はどうなるかというこの一点と、その後継者にたとえば弟があった場合、兄の掛けた権利、資格といいますか、そのまま後継者として以降継続できるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○廣瀬政府委員 後継者が任意加入で被保険者になられた場合に、途中で死亡せられたり、離農して脱退された場合は、死亡一時金か脱退一時金の対象になるわけでございます。その場合に、お尋ねのように弟さんがおられて、その兄さんの掛けた期間をそのまま引き継いでやれないかというお話でございますが、保険制度におきましては同じ人、同一人でなければだめでございますので、たとえ兄弟でも、前のなくなった人あるいは離農した人の分を引き継いでやっていくというわけにはいかないわけでございます。
○鶴岡委員 次に、拠出期間が二十年に達し得ない後継者も出てくるのではないかと思うのです。この後継者に対してあと払いの特別措置を考えておられるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○廣瀬政府委員 保険料の掛け方につきましては、あと払いという制度は原則として認めておりません。その理由は、離農するとか、そういう状況になった場合に、何年も遡及して掛けることを認めますと、保険では逆選択といっておりますが、掛けた場合に有利な場合、掛けない場合に有利な場合といろいろ選択ができることになりますので、そういういわゆる逆選択を防止する意味で、そういう昔の分を一挙に払う仕組みはとっていないわけでございます。
○鶴岡委員 次に、被保険者は農地等について所有権または使用収益権に基づいて事業を行なう者となっているわけですが、それらの権利名義人でなければならないわけであります。しかし、現在農村社会を見た場合に、実情からいって農地等の権利名義人ではないけれども、実際に農業経営者であるという事例はたくさんあるわけです。このことについて、権利名義人ということだけに限定することには問題があるように思われますけれども、この点は何か考慮する余地があるのかどうかお伺いしたいと思います。
○渡辺政府委員 これは統計上経営者であって権利名義人であるというのが八十数%、大部分であります。そういうことがまず第一点。その次は、実質的な経営者はだれであるかということは、実際問題として非常に事実の認定ということがむずかしい。したがって争いが起きやすい。でありますから、農家の実態の大部分が権利の名義者が経営者であるというような実情から考えまして、やはり権利名義者を農業者年金加入の資格者とすることが一番無難でないか、こういうような点から、かようにきめた次第でございます。
○鶴岡委員 次に、出かせぎ者の場合についてちょっとお伺いしますが、最初に、現在農林省でつかんでいる年間の出かせぎ者の数、それと出かせぎに行った場合、どのくらいの期間を出かせぎの期間としているか、これは長期のもあれば短期のもあると思いますけれども、いわゆる離村期間といいますか、出かせぎの期間、それを教えていただきたいと思います。
○池田政府委員 出かせぎのつかまえ方というのは実はいろいろあるわけでございますが、農林省が従来就業動向調査というもので普通つかまえておりますのは、一月以上六カ月未満の目標で出かせぎに行く人がどのくらいあるか、こういうつかまえ方をしておりますが、これによりますと大体二十四万弱でございます。たしか、四十三年に二十三万六千だったと思いますが、そのぐらいの数でございます。ただ六カ月以上の方もとり、たとえば八カ月なり十カ月なり出るという方をとりますと、これは別途の調査でございますけれども、五十数万ぐらいございます。 次に、どのくらいの期間出ておるかという御質問でございますが、これは先ほどの二十三万六千人の調査の中で申し上げますと、大体十一月ごろに出まして四月ごろに帰るというのが一番事例としては多いわけでございます。期間とすると、大体五カ月程度というような方が一番多いようでございます。
○鶴岡委員 いまのお話で、やはり出かせぎも二十四万からあるわけでございます。最近、この出かせぎでございますが、特に東北方面を中心に非常に多くなっておるわけでございます。しかも、それも一年のうちに五カ月とか、それから半年とか、さらに、それが毎年定期的に都会に出かせぎに出る、こういう傾向になっておるわけです。ここで問題なのは、この出かせぎ者の年金の件でございますが、政府当局、厚生省の考え方として、国民年金と出かせぎ中の厚生年金、このかね合い——もちろん、これはダブるわけにはいかないと思いますけれども、実際、出かせぎ者に聞くと、そうでもないらしいのですが、これをどういうふうに調整していかれるのか、その点、お伺いしたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 通常、出かせぎに出られて、厚生年金の被保険者になられた場合、これは当然、国民年金からはずれるわけでありますから、この農業者年金からも当然抜けられるわけであります。そして、その場合に、脱退一時金をもし受けられた場合には、これはそこで一たん切れるわけでありまして、また戻られて、あらためて国民年金に加入をされた時点から、新たに農業者年金の加入も始めていただかなければなりません。しかし、この場合に、脱退一時金を手にされないままに厚生年金に移行され、また出かせぎを終了して帰って来られた時点で国民年金に戻られた場合、こうした場合には、前後の通算をさせていただくつもりでおります。
○鶴岡委員 そうすると、脱退一時金をもらった場合には、そこで切れるわけですが、今度出かせぎに行って厚生年金に入る。それを、先ほど言いましたように、定期的にやった場合に、書きかえを繰り返しやらなければならない、こういうことになるわけです。大体、出かせぎの人は、いま言ったように、農業者年金というのは国民年金の上に乗るわけですから、都会へ出て被用者年金となると、手続もいま言ったように、繁雑になるんではないか。出たり入ったりと、こういうことでございますが、その困難という事務手続、その点について非常に困難を来たすのではないか。東北方面の各市町村については、その点は厚生省のほうとしてどういうふうに指導しておられるのか、また、間違いなくそのたびに書きかえられているのか、この点をお伺いしたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 むしろ、間違いなく書きかえなければ、年金制度自体が困るわけでありまして、これは当然、書きかえてまいります。ただ、その事務手続上、あるいはそれが必ずしも簡素なものとはいえない場合もあるかもしれません。それらの点には、できるだけのくふうはさしていただくつもりでおります。
○鶴岡委員 そうすると、農業者年金は、いまお話しのあったように、国民年金の上に乗るわけでございますから、脱退一時金をもらった場合には、今度、その次にまた加入した場合、それは累積計算されていくわけでございますね。
○橋本(龍)政府委員 いや、脱退一時金を手にされた場合には、これは当然通算にはなりません、そこで一たん切れるわけでありますから。再度加入された時点、そこから振り出しで、初めからのこれは新しいものとして加入をされるわけであります。脱退一時金を手にされた場合にはそういうことでありますが、むしろ、ただ単に、出かせぎの期間中、厚生年金に自動的に移行されたようなケース、すなわち、脱退一時金等に対しては手を触れられないケース、これは通算をいたすということでありまして、脱退一時金を手にされた場合には、最初からやり直しであります。
○鶴岡委員 わかりました。すると、一年のうちに五カ月、六カ月、このように出かせぎに出ている者が、単純に計算して、半年出かせぎという場合に考えると、この農業者年金が二十年で一応もらえるわけでございますけれども、半年ずつ出ている場合には、四十年になるという計算も出てくるわけでございます。この点についてどうなさるのか、お伺いしたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 そういう特殊なケースについて、必ずしも私は的確に知識を持っておりませんので、局長から答弁をさせます。
○廣瀬政府委員 出かせぎの実態はいろいろあることと思いますが、出かせぎのほうが主で農業経営のほうが従というような場合には、はたしてこの農業者年金基金に加入すべきであるかどうか、そういう問題もありますので、それは実態に即応いたしまして、そういう実態の場合には、脱退でき得る道もございますので、その辺は実情に合ったように、また、本人のお気持ちにも沿うような運用をやっていきたい、そういうふうに考えております。
○鶴岡委員 次の問題ですが、最近の農業経営から見て、非常に兼業農家がふえてきているわけです。そこで、主人は農業経営主であるけれども、仕事は奥さんにまかせ、それで自分は会社につとめて被用者年金に入っている場合、主人から耕作地の所有権もしくは使用収益権というものを奥さんに移転し、その奥さんが農業者年金に加入する場合も考えられると思います。そうすると、こういう場合はまれではありますけれども、奥さんと御主人が仲がよければいいのですけれども、離れる場合とか、それから、いろいろな事情があると思いますが、奥さんに名義が移った場合、今度財産相続ということになると、そこで、名義が奥さんの名義になってしまっているわけですから、問題が出てくるのではないか、こういう可能性も考えられるわけです。この辺の配慮について、この法案をつくる過程においてどういうふうに検討され、また、どういうふうに考えていかれるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 この問題は、農業者年金制度の本来の考え方の問題につながる問題だと思います。それで、私どもが考えておりますのは、農業者年金というのは、やはり農地の経営移譲に際しまして、農地がいろいろ動くわけでございますけれども、その場合に、それを経営規模なり、あるいは後継者移譲の場合には若返りということにつなげていこう、こういう制度でございますので、農地の処分権を持っておらない方を農業者年金の対象にするということは、そういう点から言うと非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、その農地の処分権を持っている農業経営主を対象にしているわけでございまして、もちろん奥さんがそれである場合には問題はございませんけれども、そうでない場合にこれを対象にするというのは、非常にむずかしいわけであります。それで、例外的に後継者を加入する資格を認めておりますけれども、これは後継者は、農地の処分権を持っておりませんけれども、いずれ農地の処分権を持つに至るわけでございますので、そういうことで、後継者は例外的に認めたということで、農地の処分権を持っていない奥さんを対象にするというのは、制度の趣旨から言いまして困難でございます。
○鶴岡委員 次は、耕作または養畜の縮小の場合、いわゆる自留地のことですけれども、法律から言いますと、経営移譲者が農地等のうち、その者の日常生活に必要な最小限度の面積として政令で定める面積に相当する面積の農地等を除いた残余のすべてについて、農業者年金の被保険者等に対し、所有権または使用収益権云々とこうありますけれども、この最小限度の面積として政令で定める面積に相当する面積でありますが、これはやはり全国的に地域差があると思うのです。その地域差の条件にあわせて政令で定めるのかどうか、また、〇・一ヘクタールということも聞いてはおりますけれども、これを全国一律にきめるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 確かに、地域によりまして経営規模にかなり相違がある、あるいは農業の種類にも相違があるということで、そこいらを考慮すべきではないかという御意見もあろうと私ども考えるわけでございますけれども、現在私どもが考えておりますのは、自留地というのは、まあ一つは老後の生きがいといいますか、そういうような意味と、それからもう一つは、やはり日常の生活の用に供する、こういうようなことでございますので、大体十アール程度でどうだろうかということで考えておりまして、ただ、若干経営規模が広い場合にあるいは二十アールぐらいは認めてもいいのではなかろうかというふうにも考えております。その程度の面積でございますから、地域によりまして若干の経営面積の広狭はございますけれども、特に地域によって差をつけなければならないということはないのではなかろうかと考えておりますけれども、これはまだきめたわけではございませんから、十分ひとつ皆さんの御意見を伺いまして、また検討したいと思います。
○鶴岡委員 いま政府の言っておられる農業経営の近代化ということでございますが、この近代化のためには、経営規模を拡大し、そして資質のすぐれた経営担当者による生産性の高い農業経営の育成をはかる必要がある、また優秀な経営担当者の確保、農業経営の規模拡大あるいは経営の若返り、そのために経営移譲の促進をしなければならない、このように言っておられるわけでございますけれども、この農業者年金は、たてまえとして農家らしい農家の経営主を対象としてともありますが、それなのに現在まで農業経営に精魂を込めて働いてきた人たち、いわゆる五十五歳以上の人が年金の対象にならない、こういうのは、いままでも取り上げられましたけれども、政府の方針、前に申し上げました政策、その対象外になるということは、何か特別な理由があるのか、またその点について詳しく説明していただきたい、このように思うわけです。
○渡辺政府委員 この年金を発足させるにあたりまして、年金ですから、やはり掛け金を掛けて老後の保障を受けるというのが原則であります。しかしながら、最初の発足にあたって、最低限何年ぐらいにしたらいいかということでいろいろ議論があったわけですが、最低限五年ぐらいはやはり掛けてもらわなければならないのじゃないか。しかも国民年金は六十五歳から支給をするわけですが、農民年金はこれを引き下げて六十歳から支給しようということになりますと、最低五カ年の掛け金を掛けるということになると加入資格が五十五歳、こういうようなことになってくるわけです。五カ年掛けますから、まあ五十五歳未満ということになるわけであります。したがって五十五歳以上の方ははいれないという問題があなたのおっしゃっておる点でありますが、五十五歳を締め出したわけでも何でもなくて、六十歳で支給をして五年掛け金ということになると、五十五歳になってしまう、結果的にそういうことになったわけです。しかしながら、現在五十五歳ぐらいの方が、いままで農業経営者として一生懸命やってこられたというようなこともございますので、これは将来、ここらの問題は他の分野との均衡という問題もございますが、今後時間をかけてひとつ検討していかなければならないところではないか、かように思います。
○鶴岡委員 現在、一種農家で後継者があって、他の被用者年金に加入していない経営主は、五十五歳から六十四歳、六十五歳未満まで何人おられるか、教えていただきたいと思います。——わからなければいいです。 私が調べたのですと、五十五歳から五十九歳までが四十四万五千人、それから六十歳から六十四歳までが三十八万三千人、合計八十二万八千人となっておるわけです。これは私の調べたものでございますけれども、そうすると、非常に数の多い数字が出ているわけですが、本法案は農業者年金基金法案という名前になっております。先ほど申しましたように、五十五歳以上がその対象にならないわけですけれども、まさか五十五歳以上を除く農業者年金基金法案とはこれはいわないでしょうが、これだけいる八十二万八千人、全部が全部ということではないと思いますが、離農すれば離農給付金も出るという制度もあるわけですが、後継者に移譲した場合、何の恩恵もこの人たちは受けられない、こういう谷間があるわけです。この点について、もう一度お伺いしたいと思います。
○池田政府委員 いまおあげになりました数字、私どもが持っております数字と若干違う点がございますが、大体その程度かと思います。いまそういう方に対する措置として何もない、こういうことで、もちろん離農いたしました場合に離農給付金が支給されるという離農給付金の制度があるわけでございますけれども、これは後継者に譲りました場合には対象にならない、こういうことになっているわけで、これを後継者にも支給をするということが考えられないか、こういう御趣旨かと思うわけでございますが、この問題に対する基本的な態度は、先ほど渡辺政務次官から御答弁がありましたようなことでございます。 今後の問題として、政務次官からは検討をしたいというお答えがあったわけでございますが、現在の制度の中へなぜそれを入れなかったかということを御参考までに申し上げますと、これは離農をいたしました場合に、その土地を他の規模拡大農家に振り向けるという限りにおきまして、これは農業構造の改善に資する、いわば国の農業構造の改善に資するという目的に合致をするわけでございますので、そういう意味におきまして、給付金が支給される。むすこに譲りました場合にも、これは経営の若返りという意味は確かにございます。しかし、規模拡大には直接つながらないという問題がございますので、そこに若干性格の違いがある、こういうことで、実は対象にならなかった、対象に取り入れることが非常に困難であった、こういうことでございます。しかし、先ほど政務次官の答弁がございましたように、今後の問題、こういうことでございます。
○鶴岡委員 それではこの農業者年金が発足した場合、その発足時、いわゆる昭和四十六年の時点における年齢層別の公的年金の受給と、将来どうなるかについてでありますけれども、年齢別にいくと六十五歳以上の人は七十歳になると今度二千円の老齢福祉年金が受給できるわけでございます。次に六十歳から六十四歳の人は、一つは、国民年金に三十六年より加入してきた場合は、六十五歳になると十年拠出の場合五千円を昭和四十六年から支給開始で受けられるわけです。さらにもう一つは、昭和三十六年に任意加入しなかった人は、昨年の暮れの国民年金の改正で任意再加入の道が開かれたわけでございますから、これに加入すると、六十五歳になると五年拠出で昭和五十一年より支給開始で五年年金二千五百円を受けられるわけです。次にその下の五十九歳以下は、六十五歳になると国民年金が五十一年より受給できる。さらに五十五歳未満は、御存じのように農業者年金に加入できてくるわけでございまして、六十歳より経営移譲の条件の年金を五十一年より受給できるということになってくるわけです。 そこで以上のように、この制度発足の四十六年以降、経営移譲をしても六十歳から六十四歳までの間何ら年金を受けることのできない年齢層ができてくるわけです。発足当時の五十五歳以上六十四歳以下となるわけでございますけれども、そこでこのうち第三者移譲については離農給付金があるので、この年齢層のうちさらに後継者移譲の経営主だけが取り残されることになるわけです。先ほども申しましたように、いわゆる一種農家であって後継者がある数というのは八十何万あったわけでございますけれども、これらの人々に対する救済の方法をどうしてもやはり考えなければならないと思うわけでございます。この年齢層の人たちは直ちに経営移譲をして、そうして経営の若返りの政策効果をあげる層でございます。特別措置はそこで講じられないのかどうか、何かまた考えがあるのかどうか、もう一度お聞きしたいと思います。
○渡辺政府委員 先ほど答えたとおりでありまして、慎重に検討したいと思います。
○鶴岡委員 次に離農給付金のことでございますが、五十五歳以上、経営規模五十アール以上の者は離農した場合三十五万、それ以外は十五万、こういうことになっておりますが、この算定の基礎について、先週同僚議員の瀬野委員の質問の中で答弁がありましたけれども、五十五歳以上は年金にはいれないので、五年くらいの拠出に見合う額、離農給付金は、離農の際の資産処分する場合にかかってくる費用を参考にした、こういう農政局長の答弁でございましたが、この三十五万と十五万の算出基準、もうちょっと納得のいくような詳しい説明をしていただきたいと思います。
○池田政府委員 瀬野先生の御質問に対しましてお答えをしたわけでございますが、非常にかっちりした積算の基礎でございますという数字はないわけでございます。いろいろな点を総合勘案いたしましてきめたということでございますが、しいて言いますと、前回もお答え申し上げましたように、三十五万円の場合におきましては五年の拠出者がどの程度の給付を受けるか。もちろんその場合に、これは拠出したものを引かなければならないわけでございますけれども、そういう者に対しましてどれだけの国が援助をするかというような額をはじきまして、その額とのバランスということを勘案したというのが一つの点でございます。 それから、これは実はあまり自信をもって申し上げられることではございませんけれども、試算の一つの過程といたしましては、かりに五十五歳以上の方が平均的な年齢まで生きたという場合に一体どのくらいの生計費が要るか、それを一応試算をいたしまして、若干そういうことも考えてみたということはまたございます。 三十五万円の場合には大体そういうようなことでございますが、十五万円の場合には、これは比較的若い方が多いだろうということも考えまして、そういう若い方というのは零細規模でございますから、他産業に転業をいたしまして離農をするという場合が多いわけでございますので、そういう転業をいたします場合には、当然従来持っております農地でございますとかあるいは農業用の資産を処分する。処分をするということになりますと、これはどうしても不利な処分しかできないわけでございます。従来の計算からいえば耐用年数があるのにもかかわらず、ほとんどただみたいなことで処分せざるを得ないということがございますので、一体そういう損失額がどのくらいになるであろうかということをいろいろ検討いたしてみたわけでございます。そういうことを一つ勘案したということと、それから年金に入りまして比較的長くない期間におきまして脱退をした方がどのくらいの脱退一時金を受けるかというようなことも一方では拾ってみまして、そういうようなものをいろいろ勘案いたしまして、五十五歳以上で五十アール以上の方は三十五万円、それ以外の方、したがいまして五十五歳未満の方、あるいは五十五歳以上であっても五十アール以下の方、そういう者は、経営規模等もありますので、比較的少ない十五万円の口に整理をしたということでございます。
○鶴岡委員 そうすると五十アールでも、大きく二ヘクタール、三ヘクタールでも、離農給付金には変わりはないわけでございますね。国の総合農政に協力して土地を放そう、そして規模拡大を推進していこうということで離農する人もあると思いますけれども、経営規模が幾ら大きくても小さくてもこの給付基準が変わらないということになると、この農業者年金制度の設立の趣意に多少反してくるのではないか、このような感じもするわけでありますが、規模の大きい場合は大きいように、小さければ小さいように何か基準が考慮されなかったのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 そういうことも十分検討いたしましたが、御存じのように、農業者年金の場合はとにかく入っていさえすれば規模のいかんにかかわらず年金額は一定でございます?そういうものとの均衡を考えますと、経営規模によって差をつけないほうが妥当ではないかというのが基礎的な考えでございます。ただ、五十アール以上の方、たとえば一ヘクタールというような方と、五十アール未満のたとえば三十アールぐらいの方とが同一の金額になるのは、いかにも社会的な常識として不均衡ではないかということがございまして、先ほど申し上げたように、面積の少ない方は十五万円ということにいたしました。そういう点の配慮はいたしましたけれども、その他の点につきましてはむしろ差をつけないほうがいいのではないか、そういうことでやったわけでございます。
○鶴岡委員 五十五歳以上で、一度離農して法律で定められた三十五万、これの給付を受けた後、これも数は少ないと思いますけれども、たとえばまた農業経営に参画した場合、離農給付金というのはどうなるのでございましょうか。
○池田政府委員 そういうような場合がまれにあるかと思いますが、それに対しまして、ダブって二回離農給付金を支給いたすというのはどうも適切でないと思いますので、そういう方は一回に限る、こういうふうにしたいと思います。
○鶴岡委員 基金の業務の範囲でございますけれども、「農地等及びその附帯施設の買入れ及び売渡しを行ない、並びにこれらの取得に必要な資金の貸付けを行なうこと。」こういうふうになっておりますが、この基金の貸し付けについてでございます。 農家が資金を借りたいのは、やはり低利で長期の資金ということになります。これを基金が行なうわけでございますが、はたして積み立てられた金が末端農家に還元され、有効に運用されるかどうか、こういう点でございますが、まずこれが第一点。 次に、そのお金が上部で関連産業に流用される危険性がないかどうか、そういうことが起こらないとも限らないわけですから、そこで流用されないかどうかというこのチェックは、どこでだれがやるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 大体この農業者の年金にかかわらず、年金保険等のいわゆる保険料収入というもの、これはその年金に加入しておられる方々のために、その福祉に使われるということ、同時に有利であり安全に使われるということ、これが原則であります。そして、それをまかなう範囲内であれば、別にその用途に対して必ずしも制約を加える必要はないわけでありまして、これが年金のその積み立て金の運用の一つの原則であります。その意味からいくならば、むろんこの積み立て金が、加入されておる農業従事者の方々の福利に使われること、これはもちろんのことでありますし、有利かつ安全という原則もそのとおりでありますが、これが必ずしも末端個々の農家にそのまま直接還元をされる方式がこれにとって最善のものであるかどうかは、私どもは必ずしもそうは考えておりません。それと同時に、いま関連産業への云々というお話がございました。これは関連産業への直接の投資といったようなものはこの運用上考えておりませんので、そのように御承知おきを願いたいと思います。
○鶴岡委員 私の言ったのは、末端農家というのはその末端個々全部という意味ではないわけです。お間違えのないようにお願いします。 それともう一点は、農家が貸し付けを受ける場合、その手続とか保証人、それから担保についてはどういうふうに考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 ただいまのは農地の取得に関します融資だと思いますが、これにつきましては、さらにこまかい点は基金の業務方法書できめることになるわけでございますが、私どもは大体方向として考えておりますのは、その融資の対象になります土地を担保にとるというのはこれは当然だと思います。それ以外に人的保証、人的な担保を徴するかどうかということにつきましては、原則的にはその必要はないのではなかろうかというふうに考えております。 なおその他の手続等につきましては、これは業務方法書で詳しくきめたいと思います。
○鶴岡委員 もう一つですが、農業者が基金に拠出する掛け金というのは、大体年間百八十億円にものぼるわけでございます。将来基金に積み立てる資金は相当額にのぼるわけでございますが、それらの積み立て金がほんとうに農民の金として慎重に扱われ、農民の福祉向上、福利施設等に還元され、運用されるわけでございますけれども、この還元、運用の面でその配分が農業者年金の積み立て額に比例算出されて、そうして各都道府県に配分運用されるのか、それとも各農家から申請があり、また強い要望があったところ、そういうことはないと思いますけれども、要するに被保険者の一部に使われるような片手落ちにならないように運用していかなければならないと思うのです。その運用の方法、方針ですか、それを教えていただきたいと思います。
○廣瀬政府委員 積み立て金の運用につきましては、先ほど政務次官からお答えしましたように、原則は安全、確実かつ有利ということでございます。その原則にのっとりつつできるだけ福祉の方面にも使うということになるわけでございますが、その使い方につきましては、まだ具体的にはきまっておりませんが、考え方としては、一つはやはり拠出した量ということと、それから福祉に対する地方、地方の要請ということ、この二点を総合的に勘案して公平に使うということに考えております。
○鶴岡委員 次に農地等の売り渡しのところでございますが、法律によると、基金は、農業者年金の被保険者等に対し買い入れた農地等またはその附帯施設を売り渡さなければならないものとすること、ただし、耕作または養蓄の目的以外の目的に供することが相当となった農地等またはその附帯施設についてはこの限りでないものとすること、こういうふうになっておるわけでございます。この目的以外の目的に供することが相当となった農地等でございますけれども、この農地等というのは、どんな場合が予想されるか。もう一つは、その相当というのはどこで基準がきめられるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 これは非常に例外的な場合だというふうに私どもは考えておるわけでございますが、たとえば基金が将来どなたかの規模拡大に役立つという前提で農地を買った。ところがその後、これは一つの事例でございますけれども、かなり状況が変わりまして、たとえばそこに今度は新しい道路計画ができてきたというようなことで、どうしてもそこは道路用地として使うことが必要であるということになりましたような場合に、それは基金の本来の目的から違うから、道路用地には売らない、こういうことになりますと、これは非常に実態上おかしなことになりますので、そういうようなやむを得ない場合には、それは処分をしてもよろしい、こういうような意味でございます。これは一例でございます。 それで、どういうような基準でやるかということにつきましては、これは業務方法書でできるだけ詳しくきめたいとは思っておりますが、大体考え方としては以上のようなことでございます。
○鶴岡委員 基金の土地買い入れのことですが、これも先週の瀬野委員の質問の中で、過疎地帯の土地を基金では申し入れによって全部引き受けるのかということに対して、農政局長から、条件さえ合えばという答弁がたしかありましたけれども、この条件さえ合えばという、その条件というのはどういう条件でございましょうか。
○池田政府委員 これはその後もお答え申し上げているのでございますが、基金が買いますのは、原則として農業振興地域において買う、こういうことでございます。私は過疎地域も相当農業振興地域になるのではないかというふうに思っておりますが、そういう農業振興地域に該当するような過疎地域におきましては、もちろん土地を買う。ただ農業振興地域にならない場合には、これはたてまえ上買うのが非常にむずかしくなるわけでございます。それから価格、条件等が、基金の業務方法書におきまして定めるような条件と合致をしなければ、これは買えないのは当然でございます。
○鶴岡委員 土地の売り渡し、買い受けですが、たとえば農協には効率のよい土地があって、そして基金には悪い土地が集まるということも考えられるわけでございます。そうした場合に、基金の資金的にどうなるのか、もし悪い土地がたくさんプールされるということになると、基金の効率的な運営というのは非常にむずかしくなるのではないか。この点についていかがでしょう。
○池田政府委員 確かに運用のいかんによりましては御指摘のような問題が出てまいろうかと私ども思っておりますので、基金が土地を買う場合に、これは市町村とかあるいは農協等がやります場合とは、できるだけ競合しないようにいたしたい。そういう地域の実情に合いまして団体等が行なう場合には、なるべくそういうものに積極的に事業をやっていただくということを私どもは期待をいたしておるわけでございまして、基金がしいてそういう場所に出しゃばりましてごたごたするようなことはいたしたくない、こういう考えでございます。ただやはり基金は離農者の御援助をするということで、そういうような団体がないようなところとか、事業をやってないような場合には、これは基金が申し込みに応じて買うわけでございますので、条件のいい土地ばかりが集まるということでもないとは思いますが、これは将来の規模拡大に役立たせるというのがねらいでございますから、そういう意味におきまして、十分事業の実施につきましては私ども注意をいたしたいという考えでございます。
○鶴岡委員 今国会において土地の流動化、それから農業の規模拡大、こういうことで農地法、農協法が提案され、さらに現在審議中のこの農業者年金法案が制定されようとしておるわけでございますけれども、この改正、制定によって、市町村のいわゆる農地合理化法人それから農協、そして基金、この三つが土地が売買できるようになるわけでございます。先週も質問の中にありましたが、この三者がある面においては競合、かち合うところが出てくるのではないか、このように思われるわけですが、この三者の優先序列、これはきめられないかもわかりませんけれども、それよりも取り扱い内容においてどう違うのか、分野調整をどうするのか、その点をもうちょっと詳しく説明していただきたいと思います。
○渡辺政府委員 合理化法人、農協等は必ずしも農業者年金の被保険者の土地を買うというようには限っていないわけであります。この基金は、農業者年金の被保険者の土地を買うのだ、この点が限定をされておる。その次に、売り渡しの場合においても、基金のほうは被保険者の規模の拡大、こういうものに役立つものに売り渡すのだ。それから買う場合も、農業者年金ではその引き受け条件として、居住地を除いて一括して土地を売り渡すというようなことが必要なわけであります。ところが合理化法人等では、こま切れに売っても買います。基金のほうは一括して売るものでなくては買いません。こういうような点が非常に違いがあるわけでございます。したがって、おのずからそういうところで分野が多少異なってくると思いますが、しかしながら、同じ地域で基金と農協等が競合するというようなことが全然ないというわけでもございませんので、これらが競合をしないように、今後いろいろとこまかい取りきめをして、御心配のようなことのないようにはかっていきたい、かように思っております。
○鶴岡委員 いまの説明で、政務次官もそういうように説明されるわけですから、よくわかるわけです。私もちょっと聞けばわかるわけですけれども、農家のほうにすれば、離農の場合もそれから耕地の縮小の場合も、単なる土地の換金の場合も、これは土地を放すということについては変わりはないわけですから、いろいろそこで惑わないように、いま政務次官の言われたその趣旨を農家の方はどこへ行けば納得のいく回答を得て、そしてどこへ売ればいいのかというこの指導が私は大切じゃないかと思うのです。そういう点について、農林省のほうとして農業委員会とかまた農協とかしっかり相談の窓口をつくるということ、それから一ぺん農家にこのような改正になって、こういう土地はこういうところへと、こういうように指導していただきたいと思いますけれども、それを要望しておきます。 それから次の問題です。最後の問題になりますが、昭和三十九年にいわゆる税法の改正で生前贈与の特例法が五年間の時限立法でつくられたわけです。その後五年を経過した今日、なおこの制度が農業対策上必要であるとして昭和四十八年まで適用期間があるわけでございますが、ところでこの特例法の設けられた趣旨、元の総理の池田勇人さんが昭和三十八年の衆議院選挙において、農地を一括して生前贈与しても贈与税はかけないようにする、こういうように公約されてからこの特例法が設けられたわけですけれども、その趣旨を簡単に説明していただきたいと思います。
○渡辺政府委員 戦後になりまして民法が変わって、均分にだれもが相続をするということができるようになったわけであります。そうしますと、死亡後において兄弟がお互いに相続、分け前をよこせというようなことで農地が細分化されるというような危険性も出てきたわけでありまして、これを未然に防止するためには、やはり現在の経営者が、当然自分の意思を継いで営農をやってくれる、普通の場合だったら、おやじさんがうちをとってあとを継いで働いておる長男にというのが普通の場合でありますが、そういうのに何とかひとつ土地をまとめて生きているうちに贈与をしたい。ところがこれは贈与税が相当高いので、贈与するというと多額の税金がかけられる。とてもそれでは贈与してもらっても何もならない。これじゃ困る。そこで何とか税金がかからないようにならないかということで相当研究をしたわけでありますが、ほかの業種との関係もあるので、贈与税を全然免除してしまうということはできない。そこで一応贈与税は計算をいたします。計算はいたしますが、その支払いについては、これは相続開始のときまで延期をいたしましょう、利息もつけません、そうして相続開始が行なわれたときに生前贈与された贈与税については相続税と計算し直して、それで相続税の計算で清算をする、こういうことですから、まあわかり安くいえば、税金は払わないでいて、相続のときに相続税を払えばいい、しろうと流にいえばそういうわけであります。そういうことでこの制度は生まれて、農地の細分化を防止するという趣旨から、それがしやすくなるためにつくられた特別措置であります。
○鶴岡委員 この特例法は昭和三十九年から施行されたわけですけれども、今日に至るまでこの特例法による生前贈与された件数、それもできれば贈与した者が五十五歳未満と五十五歳以上の二通りに分けて、わかったら数字を教えていただきたいと思います。
○池田政府委員 年齢別はデータがないようでございますが、三十九年から四十三年までの件数といたしましては、約一万九千弱でございます。該当いたします金額としては、約九十億円くらいあるようでございます。
○鶴岡委員 私の調べた数字では、三十九年が三百四十四件、四十年が千六百七十九件、四十一年が三千五百三十三件、四十二年が五千二百二十八件、四十三年が七千九百八十一件、四十四年と四十五年は出ておりませんけれども、この数字を見ると大体年間七〇%から八〇%の割りで増加しておるわけでございます。これはこの特例法の浸透によってまだふえるのではないか、このように思うわけですけれども、この特例法は先ほど政務次官からお話しのあったように、いわゆる政府の政策でこれをつくったわけです。また、その奨励によっていまのような数字が出てきておるわけです。この生前贈与した者に対して、五十五歳未満の者は、この農業者年金基金法案からいくと、もう贈与しているわけですから当然加入できない。またそれ以上の者については、離農給付金が離農してももらえない、もうすでに名義は変更されておるわけでございますから。そうすると、これは私の考えで矛盾してくるのではないか。政府の奨励によって、そのまま受けて生前贈与した者が今度は年金にも入れない、また給付金ももらえない。こういうことになると、これは問題ではないか。この点について何か救済する方法を考えておるのかどうか、この点最後にお聞きしたいと思います。
○渡辺政府委員 理論の上ではそういうような御心配もありますが、現実の問題として、五十五歳未満で生前贈与をしているという人はまずまずほとんどないといっていいくらいに、私は実例としてはないであろうと思うのであります。今度の農業者年金法では、加入できる人は五十五歳未満の方ですから、その人が生前贈与したために五十五歳未満であるけれども加入できないということは、理論上はありますが、現実の問題としてはまずまずないであろう、こう思うのであります。 それから、生前贈与の件数というのは案外少ないのでありますが、これは非常に最初のうら理解が間違いまして、むすこに贈与する場合は、贈与ならばみんな税金がかからないと思って、部分的に贈与しても税金がかからないと思って贈与した人があるわけであって、そういう人がたいへんあとから税金がきたということでちょっと問題になったことが、一時混乱期にあったわけであります。それで、生前贈与が一時非常にはかどらなかった。 それからもう一つは、生前贈与をしてしまっても老後保障ということがいままではなかったわけであります。したがって、嫁やむすこの働きぐあいを見て半分くらいとりあえず贈与しておこうか、なお一生懸命孝養を尽くしてくれるならば残りの半分くらい贈与しようかという気持ちはあるのでありますが、最初から全部贈与してしまってあとで手のひらを返すように親を粗末にされてはたいへんだ、そうかといってだれも小づかいをくれる人がないということで生前贈与が進まなかったのですが、農業者年金法ができて、一括して贈与しても将来は小づかいをあげますよということになれば、両々相まって生前贈与が経営の若返りということに相当寄与するのではないか。したがって、この法律は時限立法でありますが、これは今度の農業者年金法の成立と相まって、これらについてももっと期限の延長、あるいは中身についても農業者年金法の実行に非常に役立つようにもっと研究をする必要もあるのでないか、かように思うわけであります。
○鶴岡委員 悪く考えれば、それで名義をむすこに渡してしまって、贈与してしまって、給付金ももらえないから、またとりあえず一三反歩なり五反歩なり名義変更して給付金をもらう、こういう人はないと思いますけれども、そういう可能性も出てくるわけです。したがって、いま申しましたように、この点についての救済方法を何か考慮して考える必要があるのではないか、このように思うわけでございます。これを一点要望しておきます。 以上で私質問を終わりますが、この農業者年金基金法案は、いずれにしても新法であるために、施行にあたってはいろいろと難点また問題も出てくることは十分予想されるわけであります。しかし、あくまでも農民のための農業者年金であるわけでございますから、それが必須条件でなければならないわけです。政府当局もこの点よく考えて、運用上支障のないように特別な配慮をされることを期待して、以上で私の質問を終わらしてもらいます。
○草野委員長 松沢俊昭君。
○松沢(俊)委員 いろいろ皆さん質問されましたので、補足的な質問になりますが、若干質問してみたいと思います。 いまの農業者年金基金法という、提案されておりまするところのこの法律と、それからこの前審議いたしました農地法の改正案、それから農協法の改正案、私はこの三つがセットだと思うのです。そして離農の促進というものをやっていこう、こういう意図でこの法律が出ていると思いますが、政務次官、どうお考えになりますか。
○渡辺政府委員 これは離農の促進だけが目的ではありません。農業を近代化をするために規模を拡大したり、優秀な経営者を確保するために、また経営者の若返りをはかったり、農地保有の合理化を促進したり、いろいろな目的がありまして、そうして高能率の近代的な農業を営ませようということであって、確かに農地法、農協法、農業者年金法というものはそれぞれ有機的な関連性を持たしていったことのはうがより一そういま私が言った目的を達するためにはよい、かように思っておりますから、どういう意味でセットということをおっしゃるのかわかりませんが、いわばセットだと考えて差しつかえないと思います。
○松沢(俊)委員 政務次官が言われますように、効率性、それから合理的な近代農業、こういう農業をつくるには、やはりいまのような五百四十万戸の農家、しかも農地の面積からいたしますと約五百七十万町歩ですか、非常に零細なのでありまして、この零細な農業経営ではうまくない、だからもっと規模の拡大をやっていこうという考え方になるわけなんであります。そうするとやはり一部は整理をしていかなければ近代化ができない、こういう意味で三つの法案がセットになっているんじゃないか、こういう質問なんです。
○渡辺政府委員 ですから、あなたのほうは離農のことばかりおっしゃっておりますけれども、そのほかに先ほど言ったような意味を含めて、その中には、離農をやりたい、離農して他産業にいきたい、あるいは離農して別な仕事をやりたいという人にお手伝いもしてあげることが必要でありますから、離農についてもそれがしやすいように、政府はそういう御希望の方にはあたたかい手を差し伸べてお手伝いをしましよう、こういう意味の法案であります。
○松沢(俊)委員 そこでお聞きしますけれども、これは資料が出ておりますが、その資料によりますと、昭和三十五年の十二月から昭和三十六年の十二月までの一年間の離農の率というのが一・五九%となっているわけでありますけれども、それが傾向としてはだんだん減っているわけなんであります。昭和四十二年の十二月から昭和四十三年の十二月までは一・三六%、戸数の面におきましても九万五千戸から七万三千戸というふうに減っているわけなんですが、政府のほうでは、できるならば離農するものは離農して、そうして規模の拡大をはかりたいというところの意図があるにもかかわらず、どうして現実には離農が、率の面からいたしましてあるいはまた戸数の面からしてだんだん減っているのか、その点御見解をお聞きしたいと思います。
○池田政府委員 離農の戸数というのは従来わりあいに一定であったわけでございます。九万あるいは八万台ということでございますが、御指摘のようにごく最近若干減少しております。この理由は必ずしもはっきりはわからないわけでございますけれども、しいて想像いたしますと、たとえば農村におきましていろんな雇用の機会が出てきたというようなことで、村を離れまして、いわゆる挙家離村といいますか、そういうようなことをしなくても兼業というかっこうでカバーできる面がかなりあるわけでございますが、そういう機会がややふえてきたということが一つ考えられるわけでございます。 それからこれは必ずしも当てはまるかどうかわかりませんが、従来ともある傾向でございますけれども、地価の値上がりというのは御存じのように非常に著しいものがございますので、土地を保有していたいという意欲が、これは前から高いわけでございますけれども、そういうことがあるいは若干影響したのかなという感じもいたしますが、これは的確ではございません。 それから一般的にはそのほかに、老後の生活に現状におきましては必ずしも一〇〇%心配はないというところまでいっておりませんので、そういうことで完全に家をたたみまして他の職業に転換をするというのはなかなかむずかしいということで、一万数十が減った理由いかんというお尋ねでございますとどうも的確なお答えにならなかったのじゃないかと思いますが、一般的にはそういうようなことでございます。
○松沢(俊)委員 いろいろ理由はあると思いますけれども、私は一般的には、農業をやっているよりももっと将来とも安定するところの場所があるということになれば、これはやはり離農していくと思うのです。ところが、いま農業以外の場所に就職をするにしても、雇用安定の条件というものがない。それからいま言われましたような老後保障的なものが確立していない、こういうようなところに離農が渋滞をしてくるという大きな原因があることを突きとめなければならぬじゃないか、こういうぐあいに考えるのですが、それはどうでしょうか。
○渡辺政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
○松沢(俊)委員 そこでこの農業者年金基金法案ですが、これはいまの日本の社会的な条件からして適切であるかどうかということになりますと、どうも私は適切でないという感じを持つのです。ということは、いま次官の答弁があったように、他産業が受け入れる体制のないところに、こういう離農させるような法案を出しても、政府が考えているような方向に日本の農業がいくかどうか、はなはだ私は疑問と思いますが、この点はどうお考えになりますか。
○渡辺政府委員 それはやはり就職口がなくては離農したくても離農できませんから、そういう点ではあなたと同じ意見であります。したがって、今後政府としては、地方にも工場を分散するというような大方針も打ち出しておるわけであるし、あるいは大型農道というようなものもこしらえて農村の交通の便をよくするとか、農地法のある程度の緩和をはかって工場敷地が確保されるようにするとか、そういうこともするわけであります。それと同時に、離農したくとも、現実の問題としてたんぼなり畑があって、それを草ぼうぼうにしておくわけにはいきませんから、完全に離農して他人に売り払う場合は別として、離農といっても同じうらの中で五人働いている人が二人離農して、三人でいいという場合の離農もあるわけです。またこの農業者年金法でいっているような経営者それ自体の離農というものもあるわけですが、その前者についてはやはり離農しやすいような生産性の向上というようなことなどをはかっていかなければならないので、それに対する諸般の施策というものをあわして政府は考えてやっておるわけであります。
○松沢(俊)委員 そこで法律の内容にちょっと触れてみたいと思いますが、離農させたいところの対象ということになると、やはり零細経営ではうまくないのだから、それを規模の拡大をやりたいということになりますから、中小の農家が離農していくということが望ましいというふうにお考えになるのは当然だと思うのですが、そこでいま農家の公租公課の中でどういうものが一番重い負担になっているか、その点をまずお伺いしたいと思うのです。
○渡辺政府委員 私、手元に数字を持っておりませんけれども、いま所得税も相当大幅な減税になっておりますので、所得税がかからないという農家が非常に多いわけであります。したがって、やはり固定資産税というようなものが、税金の中では、農家の負担としては平均すれば重いんじゃないかというように思います。
○松沢(俊)委員 内容が事務当局のほうでおわかりでしたら、お答え願いたいと思うのです。
○池田政府委員 いろいろあるわけでございますが、たとえば四十三年で見てみますと、租税公課の合計が一農家当たり、これは平均でございますけれども、約十万円でございます。その中で租税と公課を分けてみますと、ちょうど半々でございまして、租税が約五万円、それから公課諸負担のほうが約五万円でございます。それからさらに租税の中を分けますと、市町村税が三万円で約六割、国税が一万二千円、それから道府県税が七千円、こういうようなことでございまして、租税の中では市町村税のウエートが高いわけでございます。それで市町村税の中身といたしましては、たとえば固定資産税というようなものがかなり高いわけでございまして、一万円くらい、三分の一ぐらいを占めておるわけでございます。それからなお、市町村税の中で国民健康保険税というのがございますけれども、これが一万一千円ぐらいでございます。それから諸負担でございますが、諸負担はいろいろあるわけでございますが、その中でやはり比較的多うございますのは、社会保険の負担でございまして、これが約二万四、五千円でございます。その社会保険の中身を見ますと、国民年金等は比較的少ないわけでございまして、その他の社会保険料という項目が出ておりますので、これは被用者年金の関係ではないかと思います。大体そのような状況でございます。
○松沢(俊)委員 いま局長のほうから御答弁がありましたのは、これは平均だと思うのですね。平均ですから、大きい農家も小さい農家も含められている、こういうことになるわけです。そこでそのお話もありましたように、国民健康保険税というのは、これは高いということで、どこの市町村でも大問題になっているわけなんであります。その平均が二万二千円程度ということになっているわけでありますから、これはやはり中小の農家ということになりますと、これよりは下がっていると思うのです。下がっておったとしても、たいへん重いということで不平が出ているわけなんであります。ところが、今度この年金基金の掛け金ということになりますと、結局七百五十円のところに国民年金が四百五十円、それから奥さんが四百五十円、こうなる。それから所得の国民年金の中の三百五十円という部分が入るわけでありますから、合計いたしまして二千円ということになります。これが十二カ月ということになりますと二万四千円、こうなるわけです。平均しても国民年金の場合においては二万二千円ということになっているのに、今度平均から大きな農家を除いて考えた場合においては、それよりも安くなっているはずなんです。ところがこの年金基金は、中小の農家に強制的に年間に二万四千円を負担させるということになるわけですが、これではたして農民がこの年金を歓迎するという気持ちになるかどうかということになると、私は非常に無理だという感じを持ちますが、その点はどうお考えになりますか。
○渡辺政府委員 これはやはり老後保障あるいは経営移譲ということの年金、こういうことが将来もらえるという約束がありますから、私は農業団体等で早くこの法案を成立さしてくれという御要望が強いのを見ても、やはり歓迎していただける、かように思っておるわけでございます。
○松沢(俊)委員 それは国民健康保険にいたしましても、病気になったら医者にかかれるという特典があるわけなんですよ。それで不平が出ているわけなんです。国民年金の制定の場合におきましても、市町村のほうで促進運動というやつがあったわけです。しかし、これに対するところの反対運動というものもまた強かったわけなんです。いま農業者年金基金法という法案を早く通してくれという農業団体の要望があると言いますけれども、これは全国農業会議所傘下の農業委員会ということになるわけなんであって、農業委員会というのは市町村から金をもらっているわけなんです。あるいは国から金をもらっているわけです。そういうことになると、これは政府の外郭団体というような感じを持ったほうがいいじゃないか、こう思うのです。そういう点からいたしますと、ほんとうに年間二万四千円の負担というものに対して抵抗が出てこないというふうにお考えになっていれば、これはやはり農村の実情というものを政府のほうでは理解しておられない、こういうふうに私は感ぜざるを得ないのです。そういう点、特に政務次官は農村出身なんですが、農村出身の人であるなら、これはやはり重いというふうな感じを持たれるのが普通だと思いますが、どうですか。
○渡辺政府委員 確かに国民健康保険ではそういうふうな話が一つありましたが、最近は非常に定着をいたしたわけであります。定着をして、病気になった人は、たいへんありがたい、病気になってみて国民健康保険のありがたみがしみじみわかりました、こういうことをわれわれはしょっちゅう聞くわけです。ただ、全然病気をしないと、何か掛け捨てで一つもごりやくがないというふうに考えるのは、これは当然でありまして、この点は共済制度等でも同じであって、災害が全然ないと、どうも共済なんかやめたらいいじゃないかというのですが、たまに忘れたころに災害が来ると、やはり共済があってよかったということと同じ形でなかろうかと私は思うのであります。 二万四千円というお話でございますが、これは国民年金を含めての話でありまして、七百五十円ふえるだけでありますから、七百五十円ふえて、二十年掛け金して六十から六十五まで一万六千円、二十五年で二万円というものが、現在の国民年金ではもらえないものが今度はもらえるということになれば、よく考えれば、安いとは申しませんが、まずまず適当なところでないか、かように考えておる次第であります。
○松沢(俊)委員 厚生省のほうに聞きますけれども、国民年金の当然加入者の中で、年金に加入してないところの数というのは大体どのくらいありますか。
○橋本(龍)政府委員 国民年金の所得比例部分に加入しておられる方で年金に加入しておらぬ者という御質問の意味がわかりませんが、どういうことでしょうか。
○松沢(俊)委員 私の地域では国民年金に反対する運動が起きまして、それで年金に加入していないところの人たちがいるわけなんです。まだ入っておらないのです。要するにそういう当然加入の人であって加入しないというところの人がまだいると思います。 それからもう一つ聞きますけれども、国民年金の掛け金の滞納というのは大体どのくらいになっているか、お伺いしたいと思うのです。
○橋本(龍)政府委員 現在国民年金には九八%の方が入っておられます。住所不定の方もわが国民の中にはありますから、二%程度は加入しておられぬ方もございます。いま先生の御質問のような趣旨は、私どもとしてはちょっと理解しがたい点がございます。
○松沢(俊)委員 滞納は……。
○橋本(龍)政府委員 九三%の方が払っておられるそうでございますから、滞納率は、加入しておられる方だけを対象にすれば五%ということになるだろうと思います。
○廣瀬政府委員 滞納の問題につきましてちょっと補足いたしますが、国民年金につきましてはもちろん強制でございますので、中には所得のない方もございます。そういう方には免除の制度を設けております。
○松沢(俊)委員 五%というのは免除も入っているわけですか。
○橋本(龍)政府委員 免除を抜いてだそうであります。
○松沢(俊)委員 金額にして大体どのくらいになりますか。
○廣瀬政府委員 いま数字を調べてあとでお答えします。
○松沢(俊)委員 じゃそれは答弁してからですが、それから、これも農林政務次官は専門でありますけれども、日本の農業の経営の実態ということになると、要するに大体夫婦二人で農業経営をやるというのがやはり経営の実態だと思うのですよ。そうしてあと継ぎがくると、そのせがれに嫁をもらってあとを継がせる。そしてまた二人が農業経営の中心になっていく。これはやはり日本の農家の実態だと思うのです。ところがこの年金は経営主、要するに名義人だけが対象になっておって、妻というのはその対象にならない。農民にも年金、恩給をくれるというところの立場であるとするならば、この二人のやはり老後の保障が行なわれる、そういう制度にならなければならないと私は思うのです。そういう点からすると、日本の農業の実態というものとだいぶやはり食い違った年金制度ということになるのじゃないか、こういうぐあいに考えますが、この点は次官はどのようにお考えになるか、お伺いしたいのです。
○渡辺政府委員 この年金は老後の保障ということと合わして、経営規模の拡大や農地の合理的な保有、こういうものを援助しようという法案であります。したがって、離農をするような場合において経営者がだれであるかということになりますと、やはり実際おれが働いたんだからおれが経営者だとかどうとかいっていろいろ問題が起きがちなので、経営者であり、またその実際の所有者であるというパーセントはどのくらいあるかというと、全体の約八〇%強という実態でもありますから、やはりこの所有名義人というものを経営者にしておいたほうが、加入の資格や、あるいは離農したときの問題等において争いが起きないのではないか。それから土地の処分、第三者または自分の後継者に農地等を譲り渡す、経営を移譲するという場合に、やはり土地の処分権者がその中心にならなければならないわけでありますから、どうしてもそういうことを考えると、これは土地の名義人を経営者と見ることが一番いいだろう、こういうことで、いろいろ議論があった結果、土地の所有権者を経営者、こういうふうに見ることにしたわけであります。
○松沢(俊)委員 私の聞いておるのは、経営者がだれであるかということよりも実際の農業経営をやっておるという実態はどうであるかということになりますと、夫婦二人が農業経営をやっておるというのが実態である。農業者に年金を支給するということになれば当然妻もその対象になるというのが当然なんじゃないか。ところがこの年金法案はそうではなしに妻は除かれている。そうなればその農業者の老後の保障をやるというところの立場からするならばちょっとおかしいじゃないか、こういう質問なんです。それについてどういうわけで妻を除かなければならなかったのか。
○池田政府委員 これは基本的な農業者年金の考え方と関係があるわけでございまして、単に老後保障というだけからいえば、農業従事者である妻を対象にするという考え方はあり得るわけでありますけれども、今回御提案申し上げておる農業者年金では経営移譲を促進する。経営移譲に際しての経営の若返りとか、あるいはさらに離農をいたします場合にはその土地の規模拡大につなげていこう、こういうことにかなりのウエートがあるわけであります。もちろんそれだけではなしに、それ以外にも国民年金と合わせまして老後の充実をはかっていくということでございますけれども、そこにかなりの大きなウエートがございますので、農地の処分権を持っていない、いわゆる経営者でない配偶者につきましてこれを対象にすることをいたさなかった、こういうことでございます。
○松沢(俊)委員 年金ということになれば、農業者に老後の保障をやるところの年金ということになれば、これはやはり夫も妻も同一の取り扱いを行なわれるのが当然じゃないか。ところがこの年金基金法は妻が除かれているということになると、この年金という名前はついておるけれども実は経営移譲という、そこに重点が置かれておるためにこうなったのかどうか。
○池田政府委員 これは理解のしかただと思うわけでございますけれども、私どもは年金と申しますものはすべて老後の保障、純粋な老後保障だけが年金であるというふうには考えておらぬわけでございます。といいますのは、今回はこれはあまり日本の場合には新しい例かと思いますけれども、要するに経営移譲を支給要件にいたしまして、経営移譲した後の老後保障、老後の生活の安定をはかる。要するに経営移譲した場合にあと老後に不安があれば経営移譲が進まないわけでございますから、そのあとの不安をなくそうということで経営移譲とひっかけて老後の保障を見よう、こういうことでありますから、その経営移譲の権限を持っていない方を対象にできない。だから年金を単純な年齢要件だけの老後保障に限ればお話しのようなことに相なるかと思いますけれども、私どもはそうは考えておらないわけでございます。
○松沢(俊)委員 局長、理解というのは実態の上から理解が生まれてくるのですよ。日本の農業の実態ということになれば、これは夫婦二人で農業経営をやっておるのですよ。名義があろうとこれは間違いない。ですから、老後になればその一対が当然保障を受けるというたてまえになると思うのですよ。ところがいまのこの法案では妻が入っておらないということになれば、やはり経営移譲というところに重点がかかっておるから、こうなるのであって、年金に重点がかかっておるならばこうならぬじゃないか、実態の上から理解が成り立つとするならばそうならぬじゃないかと私は思うのですが、そういう確認で差しつかえないですか、どうですか。
○池田政府委員 年金というのは、非常に狭い意味に規定をいたしまして、年齢要件による老後保障というように規定いたせばおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、私どものほうは経営移譲に重点がかかっているとおっしゃればそのとおりでございまして、経営移譲を促進する。しかし、その経営移譲の促進ということは老後生活の保障ということと無縁ではございませんで、非常に密接に関連をいたしておる、こういうことでございます。
○松沢(俊)委員 これは移譲対策の一つの法案だということが大体はっきりしてきているようであります。そこで私は聞きますが、名義人が経営者である。いわゆる六十歳——五十五歳以上と言ったほうがいいですか、そういう経営者というのは、大体全戸数の中のどのくらいの数になっているのですか。
○池田政府委員 これは前にお配り申し上げました資料にあるわけでございます。五十五歳以上の農業経営主というお尋ねと思いますけれども、これは私どもの調査では二百万弱でございまして、約百九十五万ほどでございます。
○松沢(俊)委員 そこで、経営の若返りということをいっていますが、実態はどうなのかということですよ。実態は、たとえば六十になっても経営の移譲をやらない、名義の切りかえはやっておらない、しかし若夫婦が農業経営の中心になっている、こういう農家というのが大半だと私は思うのですよ。要するにどうして移譲をやらなければならないのか。移譲をやらなくとも若返りをしまして若夫婦が農業経営をやっているということの実態があるわけなんですから、どうして名義の切りかえを無理してやらせなければならぬのか、その意味が私はわからぬわけなんです。それは一体どういうことなのか。
○池田政府委員 御指摘のように、実際上ほとんどむすこ夫婦にまかせているという事例も確かにございます。ございますが、やはり一般的に申し上げますと、父親が名義を持つと同時に、支配権といいますか、さいふを握っている、そういうような事例もまた非常に多いわけでございます。私どもといたしましては、もし大部分を若い夫婦がやるということであれば、やはりすべての経営の主体権というものをはっきりむすこさんに譲り渡したほうが、むすこさんとしても心おきなく自分の責任において農業が営める。あまり十分な統計ではございませんが、私どもの従来調査したものによりますと、やはり経営者が比較的若いほうが農業経営としては前向きの経営をしている。年寄りでございますと、やはり昔からの農業経営ということで水田中心で、比較的新しい作目に手を出すということをしない。ところが、若い経営層でございますと、畜産を新しく始めたり、あるいは園芸を始めたりというような、農業経営としてもやや新しい方向に向かっている。それから機械なんかも入れて、どうも父親は機械のほうはあまり好きでない、むすこは機械をぜひ入れたいというような事例は農村には非常に多いわけでございまして、そういうことについても心おきなくむすこが農業ができるという、いわゆる経営の若返りをするということは、これは農業の近代化にもつながるわけでございますし、やはりむすこさんに責任を持ってやらせるのが一番いいんじゃないか、こういう考えでございます。
○松沢(俊)委員 経営の若返りということはすでに六十、七十の名義人が経営者になっておったとしても、実際は若返っているというのが大半だと思うのです。そしていま局長のほうから言われましたように、若返り経営者というのは思い切ったことをやる、こういいますけれども、さっき質問で生前贈与の問題がございましたね。生前贈与の面からしますと、農家戸数の全体から見ると、一%にも満たない状態になっているわけでございます。したがって、一%にも満たない状態になっておる中で、思い切った若返りをやらせると効果が上がってくるというところの調査は、実際上は出てこないと思うんですよ。だから、その調査をおやりになったというけれども、非常に不完全な調査だと私は思うのです。だから私はそれだけで、経常の若返りによって、名義人切りかえによって何か実効が得られるという証拠にはならないと私は思うのです。こういうふうにして経営移譲をやることによってこういう得があるのだという、その根拠をやはりもっと示してもらいたいと思うんです。
○渡辺政府委員 加入資格あるいは支給条件の問題でありますけれども、これは実際に経営移譲をしたかどうかということは一体何で判断をするのか。通常身上を渡すということばがありますが、身上を渡したといってもそれは半分渡したのか三分の一渡したのか、まるっきり渡したのか、よそさまからはわからないわけですね、当事者だけであって。したがってそうなってくると、実際渡さないのに渡したと言われた場合に、どうもそれは言うとおりにするほかはないし、そこで非常に混乱が起きる。だからやはり支給要件としては、農地の全部を後継者に名義変更するというような外的表示を用いたほうが争いがなくて一番いいじゃないか。どうせ渡すものならばそういうふうにしたほうがいいじゃないかということで外的表示を用いることにしたわけであります。あなたのおっしゃるように、確かに現在生前贈与という制度がありながら、それはごく少ない人しかやらないということは、やはり身上は渡しても名義書きかえはしたがらないじゃないか、そうなってくると、こういうように全部書きかえろ書きかえろと言ってもなかなか書きかえないから、実際はなかなか支給要件がそろわないで年金がもらえないじゃないかという見方も私はあろうかと思います。しかしながら実際の制度では御承知のとおり、名義を書きかえることによってむすこは張り込みが出るということは言えるでしょうけれども、しかしそのかわり自分が土地の処分権を全部渡してしまう。むすこから月々こづかいをくれればいいがくれないときに嫁に頭を下げてこづかいをもらうのもいやだというような心理もありまして、今度はそういうことのないように、二十年掛けたならば一万六千円の年金を支給しましょう。二十五年にしたら二万円支給しましょう、こういうことにすればやはり老後保障というものがそのおかげで——もちろん満足ではありませんがまあこづかい以上のものが入ってくるということになるから、安心をして渡す度合いが多くなるのじゃないか。したがって五千円、六千円とか七千円とかしかくれない段階においては、あなたのおっしゃるような心配も私はなきにしもあらずであると思います。しかし、それは過渡的な問題であって、やはりこれは二十五年二万円というものを目ざしてつくられてあるわけですから、それが実現をされれば、土地を渡すことが、非常にきらうというのではなくて、やはりもらったほうがいいから、どうせ身上も渡してあるのだから、土地の名義も変えようかということになって、名実ともに経営移譲が行なわれる、こういうふうに期待をしておるわけであります。
○松沢(俊)委員 政務次官、この前農地法審議のときには、昭和五十年を目標にいたしまして、日本の農家の経営規模というものを水田の場合においては四町から五町程度、こういう御答弁があったわけなんです。そこでその目標に資するためにこの年金というものを考えたとした場合、五十五歳以上の者に対しましてはこれは全然恩典がないわけでしょう。経営移譲の場合においては、離農一時金というのは支給の対象にならぬわけでしょう。そうだとすると、これから先二十五年先ということを考えた場合に、こういう年金というものはどういう効果があるかわかりませんけれども、あるいはあなたの考えているような効果は出てくると思う。いま四十五年から五十五年の間に規模の拡大をやるという場合においては、五十五歳以上の者は、さっきの御答弁からしますと、百万以上になっているわけなんですね。そういう者に対してはまるきり恩典がないということになれば、そういう近代化あるいはまた規模の拡大の促進にはあまり資しないということになるのではないか、こういうぐあいに考えるのですが、この五十五歳以上については全然恩典がないという点についてどういう見解を示されるのか。さっきの御答弁からすると、保険の仕組みからそうなるのだというお話でありますけれども、仕組みだけでなしに、やはり配慮しなければならないというところの政治的な面というのをお考えにならないのかどうか、その点お伺いしたいと思うのです。
○渡辺政府委員 農地法のときに私が申しました水田四、五町歩というのは、自立経営農家の話をしたのだろうと思います。これは自立経営農家としてやっていくのには水田四、五町歩ぐらいを考えておるということを言ったわけであります。この年金で経営移譲の問題は後継者に移譲するだけでは必ずしも規模拡大となるわけではなくして、むしろ規模拡大をしていくためには第三者に経営移譲する。つまり農地の売り渡しをして離農する、こういうようなことが一番役に立つわけであります。したがって離農をするような場合の離農年金と離農給付金というようなことも今度採用することにいたしておるわけであります。また農地法を改正をして土地の流動化がしやすくなるように、小作等に出す人がふえるようにしておるし、一方小作料の撤廃というようなこともやって小作に出しやすくする、あるいは五反とか一町歩とか持っている人が隣のうちに貸して遠くに引っ越していっても、それは不在地主に取り扱わない、こういうようなことでありますから、規模拡大というのはこの年金だけでやるというわけではありません。農地法、今度の農業者年金法、農協法、こういうふうな幾つものものを合わせて、それで規模拡大をはかっていこうということであって、この農業者年金だけで規模拡大をどんどんやっていくというわけではありません。これはその一環であります。五十五歳以上の人の自分の後継者に対する経営移譲について年金が支給されないのじゃないか、こういうことについては先ほど私はお話ししましたから繰り返しては申し上げませんが、先ほどの説明のとおりであります。ただ、五十五歳以上の人については全然何も将来とも見ないのかということについては、やはりいろいろな検討すべき点もございますから、これはひとつ今後検討をしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
○松沢(俊)委員 それで離農給付金でありますが、五反歩以上の場合におきましては三十五万円ですか、それから以下の場合においては十五万円、そのようになっておりますんですけれども、これはどういう根拠で三十五万円、十五万円になったのか。 それと関連して聞きますけれども、開拓農民が離農をする場合においては、たしか四十五万であったと思いますけれども、そういう、要するに離農支度金というものがいままで出されておったと思いますが、そういうものとの関連性においてその三十五万円というところの根拠をお伺いしたいと思うのです。
○池田政府委員 先ほど鶴岡先生の御質問にお答え申し上げたところでございますけれども、非常にかっきりした積算基礎があるわけではございません。いろいろな点を勘案してきめたということでございますが、一つ、かなりわれわれが検討いたしましたのは、年金に入っている方とのバランスの問題でございます。年金に入っている方が、かりに五十五歳の方が五年間拠出をいたしますと、六十歳以降経営移譲がありますと年金の支給を受けるわけでありますけれども、その場合の金額とある程度バランスをさせませんと、単にわずかその方と年齢が違うというだけで国からまるまる三十五万円の金を出すということになると、年金に入っている方との均衡をそこなうということでは困りますので、そういう五年程度の拠出者の給付というものとのバランスを考えたというのが一つでございます。 それからその他いろいろ検討いたしたわけでございますが、これはそう自信を持って申し上げられることではございませんけれども、該当する方がその後何年間ぐらい生存をするかというようなことも考えまして、その場合の生計費というようなものも若干は検討してみたのでございます。ただ、これはそれだからこういう金額になるというふうに申し上げられるほどのことではございませんけれども、そういうこともあわせていろいろ検討いたしたのでございます。 それから十五万円の場合は、これはどっちかと申しますと比較的五十五歳未満の方がほとんどでございますので、そういう比較的若い層は転業ができる。転業いたします場合に、農地の処分あるいは農業用資産の処分をいたしますので、そういう処分をいたしました場合にどうしても不利な処分しかできませんので、そういう損失額等をいろいろ試算をいたしてみまして、それを一つのめどにしたというようなことでございます。開拓の場合だと、おそらく内容は、たしか開拓のほうがかなり金額は多いと私も思うわけでございますが、これは完全に開拓した者がそれから離れるというようなことを前提にしていろいろなそういうお手伝いをする、こういう意味の金額だと思いますので、やや観点が違うわけでございます。
○松沢(俊)委員 開拓の場合はたしか四十五万だと思うのですけれども、この四十五万というのは、要するにどういう根拠で四十五万というのが出たんでしょうか。
○小山説明員 開拓はことしからは五十五万、ただしこれは離村、離農の場合でございます。非常にはっきりした積算の基礎があるわけではございませんけれども、趣旨としましては、離村をする場合の当座の生計費とそれから転職に要するいろんな費用がかかるであろうというふうなことで、金額を出しておるわけでございます。
○松沢(俊)委員 開拓の場合においては、あまりはっきりした根拠はないにしても、やはりいろいろ転職のための経費がかかるとか、いろんな根拠というものがあるわけですね。三十五万というのは、要するに根拠ではないのであって、いわゆる年金給付金を受ける者とのバランスの上で考えていく、こういうことなんでありますが、年金基金法というものは、そもそもこれはもう年金ではないわけなんですから、年金でない、政治的な一つの配慮から出た構造政策の一環として出たものでございますから、そうだとするならば、やめるところの農家に対してもそれなりのことを考えてしかるべきなんじゃないか、こう私は思うのですが、やめる者は三十五万円でごめんなさいで終わるというのは、あまりにも私は無慈悲だと思うのですよ。だから、やるのであれば、やはり離農後の問題も農民の大きな問題ですから、そういう点をやはり考えなければならぬじゃないかと思うのです。そういう根拠というのが全然三十五万の中にはないということになれば、これは問題にならぬということになるわけです。その点はどうですか。
○渡辺政府委員 開拓のほうの五十五万の積算根拠については、おおよそのことを管理部長からお話ししたわけです。こちらは、ほかとの、五年間掛ける人とのバランスというものできまったわけでありますが、開拓のほうは借金もずいぶん持っておりますから、そういうふうな点も勘案をされているんじゃないかと私は思っておりますが、この法案をこしらえて、はたしてどのくらいの離農が出るものか、実際のところ、これはやってみないとわからないというのが正直な話であります。 対象戸数も、開拓のほうは大体どの程度の離農が出るかということは、一応非常に限定をされておりますし、組合等で調査をしたりあるいは分類をして、離農者というものは大体予測がつく。ところが、こちらは非常にたくさんの人を加入させるわけですから、その予測がつきかねるというような点もあります。したがって、三十五万という額は、開拓に比べて少ないじゃないかという議論は、私は当然出るだろうと思います。しかし、いま言ったように、さっぱり予測がつかぬということですから、でかい額をきめてしまって、実際支払いもつかないということでもこれは困るのであって、そこらの点を勘案をして、一応三十五万というようにきめたわけでありますから、これはしばらくやってみて、それによって、どうも三十五万では足らぬじゃないかというようなことになれば、そのときに再検討をしなければ意味のないことですから、せっかくつくっても何のごりやくもないということでは意味のないことですから、やはり離農に役立つように、実績を見て将来検討する、こういうこと以外、いまのところは申し上げられないと思います。
○松沢(俊)委員 さっきの、国民年金の滞納額、おわかりでしたら、お知らせを願いたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 実は、国民年金の掛け金徴収の場合に、切手でやっておりますので、数字の整理がおくれております。いま計算をやり直させておりますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
○松沢(俊)委員 さっき負担能力の問題で実は質問をやっておるわけなんでありますけれども、実際山村に参りますと、私の近くにもそういう部落がありますが、十五、六軒程度の村落であったわけなんであります。御承知のように、私のところは雪が非常に深いわけなんであります。そういうような関係で、農村にあって所得を得ようとしても、冬季間なかなか所得が得られないということで、次から次へと離農、離村という傾向が出てまいりまして、その部落というのはついにつぶれてしまっているわけなんであります。そういう過疎地帯というのは、やはり全国的には相当あると思うのです。この場合考えられることは、最初出る人はいいのですよ。最初出る人は、その農地を残っている人に売って出るわけですから。一番最後に取り残された人は、買いっぱなしで、売ることもできないで出ていかなければならない、こういう実態なんです。 そこで考えられることは、たとえば五反歩以上というものが強制加入ということになっているわけなんでありますが、実際は、十年、二十年というところの見通しをつけた場合においては、はたして十年、二十年後においても農業経営をやっているかどうか疑わしいというような状態である。そして、その農家が基金には入りたくないと言う場合においては、これは除かれるのですかどうですか。
○池田政府委員 これは、農業の継続が客観的に非常に困難であるという場合には、政令できめるわけでございますけれども、除かれる道があるわけでございます。ただいまの過疎地域等におきまして、御指摘のような事情があって、もうどう見ても農業の継続ができないという事態がそれに該当するかどうか。政令の内容になるわけでございますけれども、私どもも十分検討いたしたいと思います。
○松沢(俊)委員 その場合、政令でおきめになるということでありますけれども、そういう政令でかりにきめられるにしても、これはやはり強制加入をさせないほうがいいというところの認定というのは、一体だれがやるのですか。
○池田政府委員 これは、認定は、最終的には基金でございます。ただ、その中間的に、基金だけではなかなか現地の事情がわかりませんので、現地の、たとえば農業委員会の御意見を十分伺いまして、そういう意見に基づいて処理をするということになろうかと思います。
○松沢(俊)委員 それから、六十以上、六十五歳までの間にやめた者に対しては非常な恩典がありますね。六十歳でやめて、六十五歳までということになると、二万円ずつもらえるということになれば百二十万になりますな。ところが、六十五以上ということになりますと、百二十万というのはもらえないということになるわけです。だから非常に不利だということになるわけですね。そこで、私、そこの理屈がわからぬわけなんでありますが、六十五まで働いても、なおかつ相続をする、要するに移譲するという者がいなかったために——たとえば農村なんかの場合におきましては、上の子供がみんな女で、下に長男がいる、こういう場合がありますね。そういう場合は、やむを得ず六十五まで働いているという場合もあるわけなんですね。だから、逆にいうならば、六十五以上になってから移譲するという人は気の毒な人だということにもなるわけです。その気の毒な人に対しては百二十万の恩典がないという。これは非常に不合理だと私は思いますが、この点一体どうお考えになっておるのか、お伺いしたいと思うのです。
○池田政府委員 これは確かに、事例といたしまして、私どももいまお話しのようなこともかなりあろうかと思います。ただ一般的な考え方として、従来私どもがいろいろとっております調査では、経営移譲というのは六十五歳を中心にしたあたりというのがかなり多いわけでございます。今回の農業者年金制度はこれを五年ほど早めようというのがねらいでございますから、まあそういういろいろなやむを得ざる理由で経営移譲ができない場合におきましては、御指摘のようなことが確かにございますけれども、そうじゃなくてまあ漫然と——漫然とというと語弊がございますけれども、経営移譲ができるのにもかかわらずなお自分が主宰権を持っておるという方に、なるべくひとつ五年ほど早く経営移譲をしてください、こういう趣旨でございます。六十歳から六十五歳までの間に経営移譲をしてください、できることならば六十歳ぐらいにしてください、こういうような制度になっておるわけでございまして、まあそういうやむを得ざる理由で経営移譲ができない方には、お気の毒というとあれでございますけれども、制度としてはそういう制度にならざるを得なかった、こういうことでございます。もちろんこれは離農いたす場合はよろしいわけでございます。
○松沢(俊)委員 そういう点で私は非常に矛盾があると思う。 それからもう一つ、もっと極端な矛盾を申し上げますと、要するに六十五歳で老齢年金というのがもらえる。ちょうどその日にぱっと死んでしまったという場合は、これは一体どうなるのですか。それは死亡一時金ももらえないのじゃないですか、どうですか。
○橋本(龍)政府委員 これはたいへん遺憾ながら当然もらえなくなります。 それと、先ほどの数字でありますが、四十三年度の例で見ますと、総額五百五十六億に対し収納済みが五百十七億、そして未収納額が三十八億でありました。ただこれは四十三年度単年度でありますから、この三十八億の中で何%かは四十四年度でまた徴収をしておる部分があると思いますが、ここまでの計算はできておりません。
○山下説明員 年金の受給権が出ましてから死にますと、死亡一時金も出ません。
○松沢(俊)委員 そうすると、二十五年間も掛けてきて、ぽっくりいってしまってパーになってしまうということになれば、これはたいへんな損害を受けることになるわけでしょう。そういう点からすると、これはきのうも山本さんが、保険の原則ということで、効率性だとか安全性だとか、要するに三つの性格ということを出しておられますが、そういう性格に反するところの年金基金ということになるのじゃないか、こう考えますが、どうですか。
○橋本(龍)政府委員 これはやはり年金制度のたてまえの問題でありまして、そのように形がつくられている以上、たまたまその日に発生権成立と同時になくなられた方、これは確かにお気の毒ではありますけれども、やむを得ない事情だと私どもは考えております。
○松沢(俊)委員 これは年金からしてやむを得ないということを言われますけれども、たとえば社会党の年金法案というのが出ておりますが、そういう点からするとこれはどうなるか、これは芳賀先生のほうから御答弁願いたいと思います。
○芳賀議員 ただいまの御質問ですが、社会党案の場合は、受給権が発生した時点からその後において受給権者が死亡した場合には、その先順位に基づいて遺族年金が二分の一終身給付されるということになるわけです。それから死亡一時金の場合は、被保険者が一年以上保険料を納入した後において本人が死亡した場合においては、これは死亡一時金が出るわけです。これは他の公的年金の死亡一時金、脱退一時金あるいは障害年金、遺族年金等と同様の措置を講ずるということになっておるわけです。ですから、いま松沢委員が質問をされた、二十年間保険料を満額納入して受給権が発生したとたんに死亡したという場合、何ら制度上の給付が行なわれない、行なわないのは当然であるというような政府の説明というものは、これはまことに当を得ないと思うわけです。ですから、願わくばそういう点をもう少し追及されたらいいと思うわけです。
○松沢(俊)委員 社会党案では二分の一ということになりますのですが、他の恩給等におきましても、まるっきり掛け損というところの状態は出てこないと思うのですよ。やはりこの遺族に対しまして、配偶者に対して二分の一出すということになっているんじゃないか、こういうぐあいに思いますので、その点、厚生政務次官の当然ということはおかしいのであって、当然ではないのであって、ほかの年金と比較してこれは不合理だ、こういう御答弁をいただかなければならぬと思いますのですが、どうですか。
○橋本(龍)政府委員 ですから理屈としてお話をなさればそういう形が——お気持ちはわからぬわけではございませんけれども、むしろ組み立てられた制度の上からいくならば、これはやむを得ないケースであるという御答弁にならざるを得ないと私は考えております。
○松沢(俊)委員 組み立てたのはあなたのほうであって、その組み立て方が間違っているんではないかということなんです。だから組み立てる場合において他の年金と同じような組み立て方をやっていかなければならぬじゃないか、そういう点では不合理だ、こういうわけなんです。
○橋本(龍)政府委員 他の年金と同じ形にと言われますならばそのほかの部分もそろえなければなりませんが、その場合に脱退一時金とかあるいは死亡一時金等にも同じような影響が出てくるわけでありまして、農業者年金というものは国民年金を基礎にしてつくられた、その部分においてはあくまでも独自のものでありますから、それなりの体系があることは当然だと考えております。
○松沢(俊)委員 この年金というものはいろいろな点で矛盾がたくさんあると思うのです。これは農民福祉年金というところの立場ででき上がった年金ではなくして、やはり構造政策の一環として、離農それから移譲、これに重点を置いたためにこういう不備な結果というものが私は出ていると思うのです。でありますから、私は意見は申し上げませんけれども、大体この法案の本質的なものはつかむことができましたので、以上で質問を終わりたいと思います。
○草野委員長 本会議散会後に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時十分休憩 ————◇————— 午後四時十六分開議
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き、質疑を続行いたします。田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は前回も質問を申し上げたのですが、大臣に関する質問事項、保留をいたしておりましたので、きょうは農林大臣を中心にいたしまして、事務局の皆さんに関連事項を若干御質問いたしたいと思います。 まず第一は、この農業者年金基金法案の目的につきまして、いろいろ議論がなされたわけですが、この際、農林大臣のほうからこの年金法案の意図しておる問題につきまして、ひとつはっきりとした御答弁をお聞かせをいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 わが国の農業の緊急であり、また重要な課題であります農業の体質改善、構造改善をはかりますためには、優秀な経営の担当者を確保いたしたい。また経営移譲の促進、経営規模の拡大等の施策を強力に推進いたす必要がございますが、これらはいずれも農業者の老後生活の安定と直接に密接に関連いたしておるのでございまして、このような観点から、後継者への移譲を含めた経営移譲を年金の支給要件といたします農業者年金制度を仕組むとともに、離農給付金の支給、農地等の買い入れ、売り渡し、融資等を行なうことによりまして、農業者の老後生活の安定と農業経営の近代化、農地保有合理化という農政上の要請とにこたえようといたすのが、本法の目的でございます。
○田中(恒)委員 大臣、いま御説明いただきました内容が実ははっきりしないわけなんです。そこでこの法案の審議をめぐっていろいろな問題がいままで出てきておるわけですが、これは一体何をねらっておるのか、あるときには農業の近代化、後継者確保といわれるし、あるときには経営移譲といわれるし、また老後の生活安定と、まことに多様な目的が第一条のところにも書かれておるわけですけれども、大体それらの中で何を一番内容としてねらっておるのか、私はやはりこの経営移譲という問題と、大きく分ければ老後保障とこういうふうに整理がつくのじゃないかと思うのですが、なお経営移譲と老後保障という二つの組み合わせの中でも、私はともすればやはり経営移譲という形に焦点を置いた年金の性格だ、こういうふうに思っておるわけですけれども、一体重点というか、一番この点がこの法案の特徴であるし、なお中心として仕組む上に考えておるんだという点をはっきりひとつお答えをいただきたいと思うのです。
○倉石国務大臣 農業の問題については専門家でいらっしゃる田中さんのことでありますから、全体としてわが国の置かれた農業の位置、そういうものについては十分御理解あそばしていらっしゃることだと思います。 そこで、いまのきびしい国際情勢の中に立つ日本の産業構造の中で、農業というものをどのように維持してまいるかということはわれわれに課せられた大きな問題だと思うのであります。したがってそういう中に処して、やはりしっかりした農業を維持していくためにはできるだけ自立経営の農家を育成してまいりたい。そのためには、もちろん農業として十分に自立し得ない兼業農家も現実にたくさんあることでありますから、そういう方々を強制しようというわけではありませんが、いまはもう他の産業でも雇用の機会がかなりございますし、またそういうことについて政府も協力をいたすと同時に、そういう余った労働力を地元にわれわれが努力して誘致する産業にも就職していただくことによっていわゆる農家の所得が増大するように考えたいが、それにしても農業としてはやはり自立経営農家をできるだけ育成いたしたい。そのためには農地の流動化をスムーズにするようにしなければならないわけであります。したがって、いま申し上げましたような、私どもの将来に対する農政を考えてみましたときに、農業者について考えてみますと、この農業者というものが御自分のお考えによって、しからばひとつ自分の持っている農地を規模拡大するような人に譲渡いたしたい、こういうことを考えました場合に、そういうことができるだけすみやかに行なえるようにいたしたいという一つの農政上の考え方があります。 もう一つは、昨日も社会保障の意味についてお話し合いがございました。社会保障ということについてもいろいろ議論があるところでありますけれども、年金という制度を一つ考えてみましたときに、農業というのはほかの産業に従事していただく方々よりも非常に筋肉労働もそれに加わりますし、しかも生産性の低いといわれておる農業を維持、継続していっていただくような方には、他の産業の方と違って特別な老後保障をする必要があるんではないだろうか。そういうようにいまを起点にいたしまして将来の展望を考えてみますときに、それらの施策を考慮いたしまして、そこで今度のような法案の考え方を持つに至ったわけでございます。
○田中(恒)委員 大臣のお答えを反復してみますと、自立農家をつくっていくために農地の流動化が必要である、経営規模の拡大が必要である。したがってそういう観点に立っての問題と、さらに農民の老後の保障というものとを組み合わせてこの制度を考えた、こういうふうに理解してよろしいですか。
○倉石国務大臣 そのとおりでございます。
○田中(恒)委員 私はこの委員会で数日議論をしている中で、農林省のお考えになっておる年金に対する性格づけというか中心的な問題と、厚生省のお考えになっておるものとの間に多少のニュアンス——多少というがだいぶはっきり、ことばには非常に微妙な表現をせられておるわけですけれども、どうも一致していない答弁が随所にあったように実は記録にとどめておるわけです。これは議事録を一々こまかく見てみますと、あとであると思うのですが、厚生政務次官は、特に老後保障の年金の部分の問題とからんで長谷部委員なり私の質問に対して言われていることは、老齢保障というものを要件とした経営移譲というものをこの年金の中で考えておるのだという、これは言われたとおりのメモですが、老後保障を中心にして経営移譲を仕組んでおるのだ、こういう御答弁をせられておるわけですよ。きのう農政局長の答弁の中には、これは随所に出ておるわけですが、この年金はやはり経営移譲を中心とした年金なんだ、こういうことを何回か言われておるわけです。この辺に私は非常に要素の違った答弁の内容が出てきておりますので、この点をなお重ねて御質問をしておるわけですが、この二つが相互に組み合わせられておるわけですが、一体どちらを中心に考えておるのか。少なくともこれまでの委員会の質疑を通しましては、どうも厚生省と農林省との間に、片一方はやはり老後の生活保障をたてまえとしつつ離農の問題なりあるいは経営移譲、特に経営移譲の問題というものを組み合わしたものだからこれは年金なんだ、こういうたてまえを非常に強くとられておるようですし、農林省はやはり農政の政策目標というものに焦点を置いたものなので、年金ではあるけれども非常に特殊なものだ、こういう意味に通ずる答弁が随所に出てきておるわけです。この二つにつきまして、厚生大臣お見えになっておりませんけれども、農林大臣としては一体どっちなのか。これは二つともそうですというと、あとでいろいろそれと関連して問題がたくさん出てくるわけなんですが、これは一体どちらに重点を置いたらよろしいのかということです。
○倉石国務大臣 きのうだと思いますが、この委員会でどなたかからのお尋ねのお答えで、農政局長がヨーロッパの国々における年金制度について御報告をいたしました。そこで、これは半分御相談みたいなものですけれども、田中さん、大体私どものいま当面しておる日本農業というものを直視いたしますというと、やはりあらゆる角度で再検討して強化していかなければならない緊要性に迫られておることは御否定なさらないことだと思うのです。そういうことにどういう態度で対処していくかということについては、それぞれお立場で御意見もあるかもしれませんが、やはり先ほど申し上げましたように、できるだけ規模拡大をいたして農業の体質をしっかりしていきたい、こういう眼目があるわけであります。一方においては、やはりそのために経営移譲を促進しやすくいたしたいというふうなことで農地制度等の改正もいたしておるわけでありますが、そういうようなものを考え合わせまして私どもとしては今度の法案を出しておりますので、どこに一体重点があるのだとか、そういうふうにあまり割り切らないで、全体としての今日の農業に対処していくためにわれわれとしてはこういう道が最善の道ではないだろうか。もちろん、私は最善の道と申しましたけれども、これはやはり時代の進展に伴って他の公的年金等も逐次改正されるわけでありますから、これが将来どういうふうになっていくかは、またその時勢に応じて違うでありましょう。現在のところはこういうような制度をとることが非常に必要なことではないか、そういうことでやっているわけであります。
○田中(恒)委員 私は、日本の農業がたいへん大きな曲がりかどに来ておるから、だからなおこういう問題についてはやはりはっきりとした方向を打ち出したほうがよろしいと思うのです。どうもいま出されております農業者年金というものを見てみますと、農林省当局が非常に御苦心をせられて厚生省や大蔵省にいろいろな無理をして操作をせられた結果、こういう形の、多少ひん曲がってはおるけれども、これでも農民のために多少はなるじゃないかということでつくられたものだという経過や内容の節々もそれなりに評価をいたしますけれども、いま大臣が言われたように、たいへんな状態になっておるだけに、やはりこの際こういうものにつきましてもはっきりとした制度や仕組みをつくられたがよろしいと思うのです。日本の農業基本法は、大体その中心をフランスの農業の基本政策に関する法律ですか、農業基本法に準じて制定をされておりますが、この年金の策定にあたっても、農林省はおそらく西欧諸国のいろいろな国のこれに類するものを検討せられたと思いますが、これはフランスにいたしましても、ドイツにいたしましても、こういう形ではつくっていないですね。やはりああいう国になりますと、はっきりずばり離農年金という政策目標を非常にはっきり出して、そういう形ですっきり整ったものでつくられておると思うのです。私は日本の場合も、どうせやるなら、抵抗があるでしょう、三反零細農首切りを、社会党を中心にして言うでしょうけれども、自民党が、基本法をつくって、これから農業を近代化していくんだということでいくんなら、もっとあっさり離農促進法なり、離農者援護法なり、離農者年金法なり、こういう形でずばり出されたほうが非常に明確なので、この二つを組み合わせてこんがらかしておるから厚生省もたいへん弱って、年金制度としてどう仕組んでいくか、そこでこの間うちからいろいろ議論が出ておるような、掛け金の問題にいたしましても、給付額にいたしましても無理なものがたくさん出て、このまま前に出していったら、たいへんこれはもの笑いになる年金の仕組みになっていく、こういうふうに私は思うわけですが、この点どうですか。
○倉石国務大臣 それは国々によって事情はいろいろ違いますからして、われわれは私どもの現状に即してこういうやり方がいいんではないか、こう思っているわけでありますが、一応年金制度というものはわが国に確立されておるわけでありますから、年金ということになりますと、やはり他の公的年金等とも政府部内でにらみ合わせて判断することは当然なことだと思うのであります。したがって、非常に苦労いたしまして政府部内で相談をいたしまして、私どもといたしましては、年金という制度を採用いたしますためには今回のような、しかも、御承知のように国民年金の上に所得比例が乗っかっておりますが、それと同じような趣旨で、その上にさらに農業者に対して若干のものを上のせをしておる、非常に苦心の作でありまして、もしこういうふうな制度をやりませんと、おそらくわが国の公的年金の系統にはたいへん狂いを生ずるおそれもあるのではないかということを勘案いたしまして、このたびのようなものをつくりました。現状においては、まずこの辺ではないかということであります。
○田中(恒)委員 どうも大臣と意見がかみ合いませんですね。私はこういうものをつくると、逆に現行の年金制度というものが将来たいへんな問題を持ってくる、こういうふうに考えざるを得ないのです。やはり年金というのは社会保障の一環として組み立てる一つの装置があるわけですから、そういう装置が貫けるようなものにしないと、これはもう議論はだいぶここでやってきて、問題は出ておりますけれども、特に農業者年金の場合は、あとで御質問を出しますが、掛け金等につきましても、将来、いまの七百五十円の掛け金では、私は、とうていおさまるとは思えませんが、これはいろいろ保険数理上からいっても、保険の仕組みからいいましても、たいへんな問題をこの年金制度の中にもたらしてくると思うのです。これは本来政策目標として独自の形でやるべきものを、国民年金と組み合わしていくというところに問題があるわけなので、この点、年金局長、どういうふうにお考えですか。
○廣瀬政府委員 厚生省は、主として社会保障をやっておりますが、この経営移譲なりあるいは経営近代化という農政上の要請との関連におきまして、厚生省でやっておる分野とどういうふうにかみ合わせるかという問題が現実に起こったわけでございます。私どもは、被用者につきましては厚生年金保険、それから自営業者一般の保険につきましては国民年金という包括的な制度がございまして、それはあくまでも年金制度の基本だと考えております。ただ、この被用者保険におきましても、一般的な厚生年金のほかに、厚生年金基金とかいろいろ、一企業なりあるいは業種の特別の要請に応じまして、特別な基金をプラスアルファしてつくっておるのもございます。それから石炭鉱業につきましては特別の基金をつくっております。このように、厚生年金でもこういう問題があるわけでございますが、国民年金の被保険者につきましても、ただいま問題になっておりますような農業に関する特別の要請にこたえるために特別の制度をつくろうとしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、国民全般を対象とする基本的な年金制度はいじらないで、これは従来どおり厚生省が責任をもってやる、それにプラスアルファしてそれぞれの業種に対応したしかるべき年金制度をくふうするというふうに考えておりますので、今回御審議願っております制度ができましても、厚生省で所管いたしております年金制度一般には何にも影響がない、それぞれの実態に応じたような付加的な年金をつくってしかるべきだ、そういうふうに考えておるわけでございます。
○田中(恒)委員 それでは、この年金の主管は農林省と大蔵省、二つが重なっておるわけですが、この二つが、共通のものもあるでしょうし、農業独自のものもあるんでしょうか。この辺少し、できるだけ簡単明快に、こういう面については農林省がやってこういう面は大蔵省がやります、というものの、整理の基準になっているものがございましたら、ちょっとお知らせ願いたい。
○池田政府委員 これは大蔵省ではございませんで、農林省と厚生省の共管でございます。それで基金の一般的な運営の問題、組織等につきましては両省の全く共管でございます。それから農林省専管の事項がそのほかにあるわけでございます。これはたとえばどういうことかと申しますと、農地の買い入れ、売り渡しあるいはそれに伴う融資ということは農林省の専管事項でございます。それから離農給付金の問題、これも農林省の専管でございます。それ以外の両方に関係のあるようなことは両省の、制度的には共管ということになるわけでございます。
○田中(恒)委員 厚生省がこの農業者年金について本年度の予算で計上されておる分はどれだけあって、その内訳の大要をちょっと……。
○廣瀬政府委員 ただいま農政局長から答弁がありましたように、両方で仕事をやるわけでございまして、厚生省関係の予算は基金の事務費の一部すなわち年金業務についての予算を担当しております。四十五年度の予算は一億三千四百万でございます。
○田中(恒)委員 その事務費の内訳をちょっと教えていただけませんか。
○廣瀬政府委員 大きく分けまして、行政費とそれから基金事務費の補助金と二種類に分かれます。行政費と申しますのは、この基金をつくるにあたりまして、いろいろ説明会をやりましたり設立委員会に要する経費、そういうものでございまして、それが六百二十七万一千円でございます。 それから基金の事務費の補助金といたしましては、内容は人件費、創業費その他でございますが、これが一億二千八百三十六万八千円でございます。
○田中(恒)委員 年金の基金ができますね。そこで人間が何人か、六十人ほどですか、要りますね。そういう人の人件費はどこから出るのですか。
○廣瀬政府委員 いまお話しのありました六十人程度のうち年金に関する人員は約四十人でございまして、その四十人分はただいま申しました金額でまかなう予定でございます。
○田中(恒)委員 そうすると、基金協会の人件費分というのは厚生省から出るということになるわけですね。
○廣瀬政府委員 年金部門に関する人件費はそうでございますが、基金で行ないますその他農林省単独の専管の部分につきましては、農林省のほうで予算が組まれております。
○田中(恒)委員 農林省、それは幾らありますか。
○池田政府委員 基金の農地の買い入れ等の関係の先ほど申し上げました農林省の所管にかかわるものの事務費を農林省予算で計上しているわけでございますが、ちょっといま正確には記憶しておりませんが、大体二十人程度のものでございますが、金額といたしますと約三千九百万事務費を農林省に計上しております。 なお、御質問ございませんでしたが、先ほどの年金局長の御答弁に関連いたしまして若干申し上げておきますと、実は予算をどういうふうに両省で分担するかというのは、いろいろ両省で相談をしたわけでございますけれども、両方に関係する部分が非常に多いわけでございます。それでやはりそれぞれ一番身近なところを要求しようではないかということで、事務費はそういうふうにいたしましたが、あとのたとえば外部の団体、農協だとか市町村に業務の委託をいたしますけれども、農協というようなことになりますと農林省が非常に身近でございますので、そういうようなものは農林省に計上しよう、それからあと年金の保険料に対します助成分の国庫負担がございますけれども、これはどっちとも言えるわけでございますけれども、やはりいろいろ折衝等、国庫負担の考え方等きめます場合に農政的な観点がかなりございますので、そういうものはひとつ農林省で分担をいたしましょう。こういうようなことで実はきめておるわけでございまして、なるべく私ども、厚生省も同じだと思いますが、あまりばらばらにならないように、なるべく統一性が保たれるようにしようということでございますが、基本的にはさっき言ったようなことでございますので、若干分かれて計上したところもございます。
○田中(恒)委員 人件費の比率を見ますと六、四ですね、農林省はもう少し少ないかもしれませんが、やはり厚生省の関係が中心になって、農林省は三割五分程度という組み合わせになると思うのですが、私はこの辺にもやはり矛盾が出ておると思うのですよ。私はこの年金は、農政局長この間ずばりここで言われましたように、経営上を中心として仕組まれました政策年金、こういう性格が非常に強いと思うんですね。ところが、この基金を運用していく主力部隊は、いろいろいいましても農業者年金基金で仕事をする人々ですよ。こういう人々は厚生省のほうが、これは年金のいろいろな技術的な問題等もあるわけですから、将来もやはり私は多うなっていくんじゃないかと思うんですが、こういう形で厚生省と農林省の二つが寄り合い世帯のようなものをつくっていくわけですけれども、それでなくてもお役所同士の間にいろいろ問題があるところへ寄り合ってきて、これどういうふうな運営ができていくのか。あとで大きなところの問題は大臣からお聞きをいたしますけれども、私は人件費なんかというものについてはやはり一本にして、一本のお役所から出すということにならないと、これは将来いろいろ問題を残すと思うのですが、一体こういう形でやっておる——いま石炭の問題も出されましたけれども、石炭の基金、これはこういう形になっておりますか。通産省と厚生省半分半分、そういう割合になっておりますか。
○廣瀬政府委員 この農業者年金基金法案は農林、厚生両省の共管でございますが、石炭のほうの基金は厚生省専管でございますので、その必要な事務費の補助は厚生省だけになっております。
○田中(恒)委員 いや、その辺ですよ。この間は、七百五十円の掛け金分についての問題の指摘がありましたけれども、将来この年金の基金が発足をいたしますと、必ずこれはお役所の奪い合いが出てくるということを私は非常に心配するんです。しかもこの年金基金なるものは、毎年百八十億のお金がこれは黙っておっても吸い上がってくるわけですね。十年したら一千八百億、金利がつきますからおそらく倍になって四千億程度の金に十年すればなっていくんですね。それはたいへん膨大な機構になると思うんですよ。そういう場合に農林省と厚生省が半々というか、多少人間の面でいえば厚生省中心ですが、厚生省と農林省の二つで共管をしていくというような、こういう形で将来長続きしますかね、どうですかね。
○池田政府委員 これはずっと御説明申し上げておりますように、完全な農業者年金の事業と、それからそれ以外に農地の買い入れ、売り渡しというような事業、それからあわせて離農給付金の給付というような、年金でない部分の事業があるわけでございます。そういうものでございますから、そういう年金でない事業につきまして、厚生省に予算の要求をお願いするというわけには、これはどうしても事柄の性質上いかないということで、分けたわけでございますけれども、その他の部分につきましては、これは金額で申しますと三十五億円ほど農林省予算に計上しておりますけれども、これは掛け金の国庫負担その他金額としてはほとんど大部分要求しておるということで、私ども実はこの立案の過程から厚生省とは非常に密接に御連絡をしておりまして、国民年金審議会のいろんな検討の場等におきましても両省が常によく連絡をしてやってきておりまして、あるいは外からごらんになりますと、どうも両省がなわ張り争いをしているんじゃないかという感じがおありかと思いますけれども、実態は決してそうではなくて、非常によくそれぞれの特徴といいますか受け持ち分野に従いまして協力体制にあるわけでございまして、この点はひとつ御信用いただいてよろしかろうと思います。
○田中(恒)委員 答弁はきれいにおっしゃられますけれども、私どもが聞いている範囲では、国民年金審議会で一番問題になったのはやはりこういう点なんですよ。これはいろいろ言いましても社会保障の体系からいったら問題が出てくるということで、そういう問題の議論がなされておるはずなんです。こういうところへ参られますと、何も問題ないように一応の答弁をせられるけれども、実際は常識的にだれが考えても、やはり年金制度としてはいろいろ別な要素を持っておりますから、どうしても無理がいくわけなんですよ。それも認めてくれということならそれまでですけれども、しかしそのことは日本の将来の社会保障の問題については大きな問題点を投げかけますよ。こういうことを私は大臣にひとつ記憶にとどめておってもらいたいと思うのです。 そこで次の問題に入るわけですが、一つの例を指摘をいたしまして若干議論を進めてきたわけですけれども、いままでの委員会でこれに類した問題はもっと具体的に幾つかの問題で議論がなされておったと思うのですが、大臣にちょっとお聞きしますけれども、掛け金が農家当たりで二千円ですね。経営主一人当たりでは千五百五十円。これは一体高いと思いますか、安いと思いますか、それとも適当であるかのどれかでしょうが、どういうふうに思いますか。
○倉石国務大臣 立案の過程で私どもも一番苦労いたしました点の一つは、なるべく掛け金の負担を少なくしたいということでした。今度の程度の掛け金は他の公的年金の掛け金等とも比較いたしましてまあまあというところではないか、こんなふうに考えております。
○田中(恒)委員 農林省がやられる年金についてはじいた額ですから、その責任者の大臣が言われるのですけれども、農林省は世界でも最も整ったといわれる統計調査事務所の機構を持っておるわけですけれども、私はこの二千円という掛け金はいまの農家がその負担に耐え得るかどうかたいへん心配しているのですよ。政府のほうもそういう点を心配せられておるんだと思いますし、最初のころに農政局長の御答弁の中にもそれに類した答弁があったわけです。農協が信用事業をやっておるから、農協等に委託をすれば比較的スムーズにいくというような意味の御答弁があったわけですけれども、この辺は裏を返せば、掛け金をなかなか集めることができないから、農協の口座から天引きをして全然間違いないようにいかせたい、こういう含みが私はあるんじゃないかと心配しているわけですが、いま統調の日本の農家経済調査を見てみますと、一町歩が大体日本の平均耕作面積といわれておりますが、一町歩の農家の農業所得はたしか五十二万七千円ということになっておりますね。その五十二万七千円で平均丁八人ですから一人当たりに換算しますと二十九万円ですね。いま公的年金の中で一番掛け金の高いといわれているのが、この間ここで審議をしました農林漁業団体の年金法ですね、この農林漁業団体の年金法で二千円の掛け金を掛けておる層というのは、標準報酬でいきますと大体四万円をちょっと上回りますね。だから農民年金にこれを比較していきますと、大体月給取りの場合は、農協あたりの場合にはこの四万円の月給のほかにいわゆるボーナスがありまして、大体五カ月ぐらい出しますから、これで計算していきましても四万の十二カ月で四十八万で、五カ月分のボーナスを入れると、農協の職員でも一人当たり六十八万程度の収入がないと二千円の掛け金のクラスにはついてないわけなんですよね。その他の公的年金はもっと掛け金が安くなる。だから所得がもっと高いほうじゃないと、八十万とか九十万ないと二千円の掛け金は取られていないはずですよ。ところが農民の場合は一人当たりに換算したら二十九万円の農業の所得を持っておる人が、二千円、正確に言えば千五百五十円の掛け金を出さなければいけない。農家単位でいえば二千円になりますね。こういう結果から見てますと、私は非常に高いと思うのです。高いのだけでとどまればいいのですけれども、ほんとうにこれはよう掛けていけるかどうかということを心配するわけですよ。この点はこの二千円というのを一体何を基準にしておきめになったのか、何か目安になるようなものがあったらお知らせいただきたいのです。
○池田政府委員 目安ということでございますが、確たる目安というものがあるわけではございませんけれども、私どもこの法案の立案の段階で、いろいろ農業団体等の御意見を聞いたわけでございます。それでどのくらいの金額であれば農家として負担ができるのかということでいろいろ伺いましたところを集約いたしますと、まず安ければ安いほどいいけれども、国民年金の保険料と合わせましてぎりぎり二千円以内におさめてほしい、こういう御要望が結論であったわけでございます。そういうことで、国民年金が夫婦合わせまして千二百五十円でございますから、農民年金にさき得る部分は七百五十円ということを一つの前提にしたわけでございます。 経過的にはそういうことでございますが、私どもはさらに現在の農家経済の状況もいろいろ検討いたしてみたわけでございまして、これは平均的なもので全部推しはかるわけにはまいらないと思いますけれども、たとえば都府県の農家経済調査で農家の経済余剰というものがどのくらいあるかということを調べてみますと、大体〇・五から一ヘクタールぐらいが十六万円、それから逐次少しずつ上がっていくわけでございます。それで一番最低の十六万円をとった場合に、かりに国民年金と合わせましても二千円でございますとこれは二万四千円ということになりますので、従来でも国民年金を納めておりますから、これは一部になるわけでございますけれども、パーセンテージにいたしましてそう高いものではない、かたがた農業団体のそういう御意見もありましたので、まあ妥当なところではないだろうか、こういうことでございます。
○田中(恒)委員 私はいまの農政局長の答弁、まことに不満足です。御自分の都合のいい数字をとられるというのは私、問題があると思うのですが、農家経済余剰は農業所得と兼業所得が合算になったものなんですよね。しかも最近の状態というのは、御承知のように農業所得がそれほど伸びなくて、兼業所得が非常に伸びてきておる。全国平均でも半分をはるかに追い越されて、兼業収入がずっとふえてきておるということです。兼業所得の分は、この農民年金の法律の中に書いてあるように、その他の被用者年金は一切掛けないわけですが、兼業所得に入っておる分野はすでに厚生年金なり共済組合なり何かの掛け金を取られておるわけです。だからこれは計算するとすれば農業所得で見ていかないと、私は農家経済への掛け金の負担の過重の問題というのは出てこないと思うのですよ。だからその辺はおたくのほうは理屈をつけるために農家経済余剰を取り出して、高くないとかいわれておるわけですけれども、農業所得の面からいったら、五反歩以上ですから、五反の農家なんというのは一人当たり二十二万円ですよ。二十二万円の農家に二千円の掛け金がかかっていくということはこれはたいへんですよ。国民年金でも当初いろいろ問題があったわけですけれども、ぼつぼつ定着をいたしておりますが、やはり掛け金の問題なんです。この農民年金、農業者年金が表に出た場合に、ほんとうに二千円掛ける能力を持っておる人がどれだけあるのか、私は非常に疑問に思っておるわけなんですよ。これはまかり間違えば、強制だから税務署のような形で無理やりに引っ張り出していくという方法をとられるかもしれませんが、これは一ぺん表に出てまいりましたら、なかなか農家がこれを毎月出していくというようなことにはならないと私は思うのです。やはりこれはそれほど重いですよ。今日農民の現実というのはそう甘いものじゃないですよ。しかも、これだけの大きな制度をつくられるのに、団体が二千円までということだから二千円に合うようにした。保険の数理をこの間お聞きしましたけれども、あれではまだ不十分ですが、数理の専門家の方がおられるので、ほんとうに保険の数理設計をやる場合には、パーセンテージじゃなくてもっとこまかい具体的な資料が出てくるはずですよ。私はあれで完全にじょうずに七百五十円という線が出ておるとは思わぬのです。団体が二千円までといったことからはじいていけば七百五十円というものが出てきた。その七百五十円に合わせるためにいろいろなパーセンテージをはじき出して組み立てておる、こういうふうに逆に見ておるわけですが、どうもそういう意味ではちょっと不合理じゃないですか。どうですか、大臣。
○倉石国務大臣 さっき申し上げましたように、その負担はなるべく軽いほうがいい。したがって、国庫負担率等についてもいろいろ考慮いたしてみたのでありますが、やはり他の公的年金との関係もございますので、今度のような程度にいたしました。しかし、これからだんだん世の中も変わってまいりますし、国の財政事情等によりまして、ほかの年金もだんだん変わってまいるでありましょう。そういうときにやはり時勢に応じたように逐次改められると思いますけれども、今回はこの程度にいたしたい、こう思っております。
○田中(恒)委員 そこでもう一つ聞いておかなければいけないのですが、この七百五十円国民年金に上積みいたしまして一人当たり千五百五十円、一戸当たりで二千円、この掛け金額が、いま大臣は将来の事情を勘案して善処をするということですが、やはりだんだん高くなっていく、これ以上下がるということはなくて、ますますこれは大きくなっていく、こういう心配をしておるわけなんです。それは言うまでもなく、農村の人口構成というものは逆ピラミッドになっておりますから、いわゆる老齢者ほど層が厚くて、下にいくほどずっと少なくなっているわけですから、これからは掛け金をたくさん納めないと、五年先から年金額が支給されるわけですけれども、その場合に、その時点では非常にたくさんな人に支給をしなければいけない。ところが掛け金をする人の数は少なくなっているわけですから、どう考えても年金の掛け金は今日以上に非常に大きな形でふくらんでいくという心配をしておるわけですが、その点はどういうふうにお考えですか。これは年金局長から伺いたい。
○廣瀬政府委員 ただいまのお話しのように、この基金の加入員は先細りというお話でございますが、私どもそういうふうに考えておりまして、その要素も織り込んで数理計算をしておりますが、数理計算の問題でございますから、なお、詳細なことは担当の数理課長から御説明申し上げます。
○淵脇説明員 アクチュアル計算をいたしますときには人口構成を考慮いたしまして、現在加入しておられる方々が将来どういうふうに減少していかれるかということを脱退残存表というふうに作成いたしまして、将来若い人が加入してくる減少の率も考慮してこの保険料を計算いたしたわけでございまして、昨日の先生にもこまかい資料を御要求されましたので、死亡率、脱退率、現在の構成している年齢構成といったもの、そしてそれを積み上げていってどういうふうな保険料になるかということをお渡しいたしましたが、詳しい説明は年金数理の説明になります。 なお、御参考までに申し上げますが、同様な状況は石炭鉱業年金でも労働者が逐次減ってまいりまして減少していくわけでございまして、こういうように将来加入者が非常に少なくなっていきますときには閉鎖型の年金基金方式、クローズド方式というものを採用しておりますが、将来における農業者の安定的な人口というのはどのくらいまで落ちるかということまで考慮いたしまして、セミ、半分ぐらいのクローズド型の設計にいたしておるわけでございますので、いまの状況が、人口構成が変わるということ並びに将来の農業構造が変化していくということは考慮に入れて計算しておるわけでございますので、年金額を将来特別にはね上げる、たくさんの給付を出す、いまの年金額をもっとたくさんにしろというような話ならばまた保険料ははね上がるわけでございますが、構造的な変化というものは相当に考慮して計算がいたしてございますので、先生の御指摘になったようなことはいたしてないわけでございます。
○田中(恒)委員 あまりこまかくつつきませんけれども、二十年先の日本の農業構造がどういうふうになっていくかということを農林省でもわかってはいないと私思うのです。まして年金当局、厚生省のほうでどういうふうな農家戸数になって人口構成になるか、単なる普通の変化とは全然違った性格を持っておりますから、そういうふうに言われましても、私なるほどそうですがといって、うんと言うわけにいかないのです。特にきのうの御答弁にもありましたように、第一、離農、経営移譲率というものは非常に高いですよ。これはほんとうにこういう移譲率を——ちょっと正確な数字を忘れましたけれども、六十五歳以降は三八%ですか、こういう移譲率が今日日本の農家の実態から出てくるのかどうか、私はやはり疑問だと思うのです。これはきのうの委員会でも議論がありましたけれども、大体兼業農家といっても、最近の傾向としては、不安定型の兼業じゃなくて、安定型の兼業に多分についておるわけです。いわゆる後継者というか、あとを取るべき人々がいまの現実の段階で経営移譲できるとすれば、この間から問題になっておる五十五歳以降の方々ですね。この年金の対象にならない人々、これが後継者というか、あと取りもある程度たくさん量的には持っておりますし、こういう層は私は多少経営移譲率というものが高くなるとは思いますけれども、この年金に仕組まれておる五十五歳以降の層は若くなればなるほど、経営移譲といったような形ではなくて、離農という側面が非常に強く出る面が強いと思うのです。そこへもってきて、経営移譲率を相当高く見られておるということは、これはやはりこの保険の設計上の無理がこの辺にもあらわれてきておるのではないか、こういうふうに私は思うのです。そういう点等も加味して、いまのお話を十分理解することができないわけですが、時間がもうだいぶ来ましたので、あと一問だけ大臣に、大臣の気持ちをお聞きしなければいけないと思うのですが、大臣は、この間もお話しになっておりましたが、この年金について、農民や農業団体が非常に求めておるから、できるだけ早く成立をさせい、こういうお話でしたし、局長もそれに類することばがあったわけですが、農民がほんとうにこの年金の成立を待望しておる、こういうようにお考えになっておりますか。
○倉石国務大臣 私はそのように感じております。いろいろ米の問題その他長年農業生産者諸君に接触しておりますと、やはり今日直面いたしておるわが国の農業というものにたいへん深刻に考えておられます。地域によっていろいろ違うでありましょうが、やはり地方でも、組合の指導者たちの中には、価格政策よりも構造政策が大事であるというふうなことをわれわれに強調する者がかなりおります。そういうことを考えてみまして、なるほど、私どもがいま提案いたしておるものは一〇〇%完ぺきなものであるなどと私どもは決して申してはおりませんが、しかし、こういう制度というものはわが国の農政上に大事な役割りをつとめるものであるということについては、必ず多くの人たちが賛意を表しておられることを私どもは感じ取っているわけであります。
○田中(恒)委員 私はそういうふうには思わないんですがね。大体賛意を表するも表しないもと言われましても、この年金の概要が国民の前に、農民の前に明らかにされてきたのは、この国会へ出されてきてからですよ、どう考えてみても。それは佐藤総理が、四十一年ですか、総選挙のときに、恩給をということを言われた。そのことから、なるほど農民は、われわれも恩給をもらえるのか、こういう意味の期待はしておりますよ。ところが出されましたものの内容は、農民が考えておるようなものではないんです。しかもそれから以降、社会保険審議会なり農林省の中で委員会をつくられて、最終的にまとまった案が輪郭として出てきたのは、四十四年の十一月でしょう。それまでは全然わからなかった。しかも審議会等の内容も、われわれですらどういう議論がされたか十分にわからない。そして十一月の段階に正式に骨子なるものが出てきておるわけですね。去年の十一月ですよ。それから、法案として内容として大きく出てきたのは、この国会が始まってからですよね。この短い間に農民の諸君がこの年金制度というものを知って期待をしておるということではなくて、知らなくて、恩給がもらえるんだということで期待をしておるんだというなら、私は期待をしておると思うのです。しかし、現実にこういう内容だということを知ったら、私は農民の世論は二つに分かれると思いますよ。そこのところは、どうですか。
○倉石国務大臣 田中さん御存じのように、生産者団体のいろいろ新聞等がございます。あの新聞等によりましても、もうかなり前からわれわれが——実は私どものほうの党内の多くの有志代議士で、この農業者年金の創設の議員会がありまして、そういうところで私が会長ということでやつておりましたが、そのころでもいろいろな農業団体の新聞等に聞かれて、われわれの考えておるアウトラインを説明しております。当時新聞にもずいぶん出ております。したがって私どもにも各地から投書も来ております。そういうことでありますので、私はこまかな内容はどこまで知られておるか存じませんけれども、こういう方向で、しかも今日の構造改善をしていく必要があるということについては、農業者自身が日本の農業というものの実態に対して非常な認識を持っていらっしゃいますので、私はこれは非常に賛成をしていただけるものであるし、いまもそういう傾向であるということを確信しているわけであります。
○田中(恒)委員 私は、これは強制加入ですから、強制力が作用するわけですから、この種の法律をつくるにあたっては、相当なある一定の期間を置いて、農林省、厚生省としても積極的にその内容等についてのPR、宣伝をして、そして世論の動向を見定めるというような機会をとるのが、今日の民主主義の社会の中で、国家が法律に基づいて強制力を作用して、法律で縛るというか内容づけをしていく場合には当然とるべき手段だ、そういうふうに日ごろ考えておるものなんです。今度のように十一月に骨組みができて、しかもそれからの肉づけが、予算編成の段階でどうにか内容が表に出た。こういう期間で全国の農民に内容を知らせるというのはとてもできないと思います。倉石農林大臣は、自民党の中でこの問題についての責任者で、いろいろやられましたけれども、それはきわめて限られた人々だと思います。私などのところにも年金の推進協議会から陳情が来ています。それで私らと話して、内容はこうでこうでこうだ、これでもよろしいですかと言ったら、やはり首をひねって考えますよね。そういう人が多いのです。まして全国に散らばっておる五百三十万戸の農家、対象農家は二百万、こういう人々は私はまだ全然知らないと思います。知らないところに持ってきて、この委員会で議論されたような問題を含めながら、強制力でもって強制加入をしていく、この姿勢は私は民主政治のたてまえからいっても非常におかしいと思うのです。こういう点についてはやはり今後よほど考えていただかなければいけないと思うわけですが、議論をいたしましても平行線で、一致するところなかなかむずかしい面があると思いますが、この点だけを申し上げまして、私の大臣に対して保留をいたしておりました質問を終わらしていただきます。
○草野委員長 松沢俊昭君。
○松沢(俊)委員 私は大臣に聞きますけれども、要するにこの年金基金法案というのはほんとうに農民のためになるという、そういう考え方に立っておられるのか、どんずばり、ひとつ聞きたいと思うのです。
○倉石国務大臣 そのとおりに考えております。
○松沢(俊)委員 いま田中委員のほうからいろいろ質問があったわけでありますが、一つは、午前中にも私質問しておりますけれども、日本農業の経営の実態、これを大臣はどうお考えになっているかということを聞きたいのです。普通の株式会社とかそういうことであれば、やはり経営者がちゃんとありまして、そしてその妻はいわゆる扶養家族になっているわけなんです。ところが日本の農業経営の実態からいたしますと、妻はやはり夫と一緒に働く労働力なんです。その労働力を提供しているところの妻が、夫は年金の対象になるけれども、妻は対象にならないということは、やはり年金の性格からして私は不合理だと思うのです。佐藤総理大臣は、四十一年ですかに、「農民にも恩給を」くれる、こういうキャッチフレーズを出されたわけなんでありまして、農民の皆さんがこれを非常に熱望しているような御答弁がございますけれども、妻も夫もみんな恩給がもらえるというところに、そういう呼びかけに対して、それならばそういう年金というのがいいじゃないか、こういう考え方はあると思うのですよ。しかし、この年金の内容を検討すると、妻には年金はおりない。それならばこれはやはり農民全体に恩給をくれるというところの理屈にはならぬわけなんでありますから、まだ要するにこれは審議の過程でありますので、農民の皆さんはおわかりにならぬですけれども、これがわかったということになると、これは年金じゃないじゃないかという声が非常に強く出てくると思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
○倉石国務大臣 大体、あなたは昭和生まれかもしれませんけれども、明治生まれの者の多くは、年金という考え方というのがごく最近まであまりなじみがなくて、官吏でも恩給という、明治生まれの者はとかく恩給という——やはり年金の考え方というのは明治生まれの者にはこれからだんだんなずんでいくのだろうと思います。そういうことだろうと思いますが、そこでいまお話しのようなことは、前々ここでもしばしば何べんか質疑応答があったようでありますが、私どもは、一つには農業というものの体質改善をして、そして自立経営農家を育成していって、国際競争にも勝てるような農業というものにしたい、こういうことのためには、農地法を改正いたしましたり、いろいろな角度で農地の流動をしやすくするようにやらなければならない。そういうことの結果、やはり経営移譲というものをたてまえとした年金制度というものを、これはわれわれの発明ではありませんで、外国でもやっておることでありますから、そういう制度を採用したと同時に、そういうことを前提にして老後保障もあわせて考えよう、こういうことでありますので、やはりそれには経営主体の方を対象にする以外にはない。いまあなたの言われましたようなこと、これは全体として考えれば理想的なことかもしれませんけれども、しからば他産業の人をどうするかということもすぐ出てまいります。私どもとしては、家族はやはり一般にかかっております国民年金によって社会保障の制度は行なわれておるのでありますから、そういう意味で経営主体に置くということは少しもふしぎではないではないか、こういう考えであります。
○松沢(俊)委員 私は昭和生まれですけれども、これからは昭和の時代ですね。明治は遠くなりにけりです。大臣も、もうそろそろ引退されたほうがいいと思うのですけれども、その昭和生まれがこれからの日本をしょって立つわけなんであります。そこで申し上げますけれども、いわゆる給料取りの場合におきましては、働いておる者は年金の対象になるわけですね。だから共かせぎということになれば、奥さんもやはり年金の対象になるわけです。奥さんが働いておらぬ場合においては対象になっておらぬわけなんです。農家の場合におきましては、奥さんもおやじさんも二人とも働いているわけなんでありまするから、要するに年金の性格からするなら両方がもらえる、両方がその対象になるというのが筋なんじゃないか。私はこういうぐあいに考えるわけで御質問しているわけなんです。そういう点、やはり働いている者が老後保障をしてもらえるという性格というのが、老後の年金制度ということになるんじゃないか、こういうぐあいに考えますのですが、この点はどうかということを聞いているわけなんです。
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたような政策の目的で、経営移譲というものをして自立経営の農家を多くしていくというその前提に立って考えたことでありますので、やはり個人、個人についての年金というのは、さっき申しましたように、国民年金なり厚生年金で潤っておるのでありますから、そういう意味ではやはり経営の当事者がその対象になる、こういう考え方でございます。
○松沢(俊)委員 そういうことになりますと、これは福祉年金、農民年金という、要するに「農民にも恩給を」くれるという、そういう性格というものは薄れて、移譲をさせる、あるいは離農をさせる、そのためにこの法案というものが出ている、こういうぐあいに理解する以外にないわけなんですが、どうでしょうか。
○倉石国務大臣 そういう農業政策上の目的も一つにありますということは、先ほどお答えいたしたとおりであります。
○松沢(俊)委員 そこで私、質問しますけれども、いま農村の状態というのは一体どうなっているかということなんです。米価を一つの例にとりますと、一昨年は米価は五・九%上がったわけです。ところが必要経費は一三・九%上がっているはずなんです。昨年は石当たりに直しますと一一・五%必要経費が上がった、こういうことが農林省のほうで発表になっているわけなのでありますけれども、昨年は据え置きになっているわけなのであります。ことしもまた必要経費というのは、物価が上がっておりますのですから当然相当上がると思うのです。ところが政府のほうでは据え置きというところの方針をおきめになっているわけなんです。そうなりますと、おととしから積算していきますと、必要経費は三〇%以上も上がるということになるわけなのでありますが、米価は据え置かれる。そういう状態。あるいはまた野菜なんかの場合におきましても、やはり非常に安く買いたたかれているというのが今日の状態であるわけです。いわゆる価格政策というところの面からいたしますと、問題にならぬところの状態になっておる。そういう状態の中で若手の労働力を農村に定着をさせようとしても、なかなか定着がなされない。これは新卒の数を見ればよくおわかりだと思うのですが、新卒はみな都会のほうに流動していっている。いま一番困っているのは、中高年齢層の人たちが一番困っているわけなんであります。この年金基金法案からいたしますならば、五十五歳以上の者は対象にならぬわけですね。ただ、離農した場合においては、離農一時金ですか、給付金ですか、こういうものがもらわれる、そういう程度であって、これらの人たちは全然恩典にあずからない、こういう年金になっているわけなんでありますが、こういう年金基金法というものがはたしてほんとうに農村の実情に合ったところの年金基金法であるかどうか、私ははなはだ疑問に思うわけなのであります。この辺はどうお考えになっておりますか。
○倉石国務大臣 松沢さんよく御存じのように、年金でありますからして、これは掛け金というものを一定限度やっていただいて、そして一定の期間から支給する、これが年金制度の仕組みであります。今回それがつくられますので、過渡期でありますからして、いまお話しのようなものが出てくるわけであります。したがって、それにはいまもお話しになりましたように、離農一時給付金を差し上げるということにいたしておるのでありまして、これは年金制度の仕組みはそういうのでありますから、年金を社会労働委員会でお扱いの方々は十分御理解なさっているとおりであります。
○松沢(俊)委員 問題は、老後保障をやってくれる、こうなれば、いま現実に困っている人に老後の保障というのを考えてくれるというやはり具体的なものがなければならぬじゃないか、こういうぐあいに実は私考えて質問をしているわけなんであります。ところが、現実五十五歳以上になれば、要するにこの法案が通ったとしても、それは全然——これはあなたの言われるとおり、もう年金の性格からしてということになればそれまでの話なんでありまするけれども、しかし、現実の農村の実態の上に立って考えた場合においては、この辺はおかしいんじゃないか、こう私考えていますのですが、その辺はどうお考えになりますか。
○倉石国務大臣 農村といまおっしゃいますけれども、農村にもいろいろあると思います。地区によってはもうずいぶん違うでありましょう。しかし、そこで私どもといたしましては農業というものをどうやっていくかということ、農業の中における農村の農業者、これをどのように考えていくかということ、これはそれぞれいろいろ意味が違うと思う。したがって、私どもは、いま一般論的にあなたがおっしゃった、たとえば中高年齢層が比較的残って新卒はほとんどいなくなるという、きのうもここで四万人ぐらいのお話がありましたが、私は、そういう傾向は困ったことだと言っているのであります。したがって、いましばしばここでもお話し申し上げておりますように、現実の問題としてたいへん一生懸命で構造改善をして自立農家の育成をやるにいたしましても、なかなか長期にわたって兼業農家というものは残るであろう。そこで、その兼業の労働力というものに対してどのようにして所得を増進させるかということがその次に来る問題である。したがって、私どもとしては通産、労働両省ともしばしば打ち合わせをいたしまして、いまのままで放置しておけば、太平洋ベルト地帯といわれるような地域に十年あるいは十五年ぐらいでかなりの人口が集中するであろうといわれておりますが、そういう傾向は好ましいことではない。したがって、イギリスだとかヨーロッパなどでも苦労しているように、われわれは産業は地方にできるだけ分散すべきである、産業を平均化していくことが必要であるし、同時に労働力も平均化することにいたしたいものだ。それには農村に、幸いにしてまだ兼業農家もかなりあることだし、この間話を聞いてみますと、集団就職で新学卒で就職をして都会地に出てきた者が、かなりの数Uターンしている傾向があります。われわれとしては見のがすことのできない傾向であると思っておるわけでありますが、私はやはり農業というものにほんとうの魅力を持っていただいて、若者たちが後継者となって継承してもらうような方策をひとつ考えていかなければなるまい、こういうようなところにピントを合わせて農政を推進してまいりたいと思っているわけであります。
○松沢(俊)委員 私も、農林大臣であるとすれば、当然農村が豊かで住みよいところの環境、そして農業経営というのが安定できるような状態、こういうものはやはりつくり上げていかなければならないと思うのですよ。そういうためにこの年金基金制度というものを発足させるんだということになると、いろいろ問題があるから実は質問しているわけなんであります。たとえば、さっきもいろいろお話しがありましたけれども、国民年金の掛け金が一カ月四百五十円なんです。それから今度そのほかに所得比例のものがこれは三百五十円、こういうことになっている。三百五十円というのは任意でありまして、四百五十円というのが強制ということになるわけなんでありますが、その国民年金の掛け金の滞納というものがどの程度あるかということを午前中に質問したわけなんです。そうしましたところが、政府当局のお答えでは三十八億円の滞納があるということなんであります。三十八億円というのは膨大な滞納ということになるわけです。これは老後保障のための掛け金なんだから、したがってそれは掛けるのがあたりまえだという理屈にもなると思いますけれども、しかし、現実にはそれぐらいの滞納がやはりあるということになれば、納めることのできないところの層があるというふうに理解しなければならぬと思うのですよ。ところが、今度このいわゆる年金基金制度が発足するということになると、その四百五十円のところにさらに七百五十円、そして三百五十円、そしてまた妻の分として四百五十円、合計して二千円ということになるわけで、さっき田中委員のほうからもお話しがございましたけれども、農家の一人当たりの平均からするならば二十九万円、こういう状態に実はなっているところに年間二万四千円。しかも、午前中質問をいたしましたところが、答えとして出てきましたのが、農家の平均の公租公課というのが十万円だということになる。十万円の中の五万円というのが公租であって、その中でいわゆる国民健康保険税というものがやはり大きなウエートを占めているわけなんです。この国民健康保険税というそのものも、考えてみれば医者にかかるときの必要な保険ということになるわけなんでありまして、したがって、少しぐらい高くとも納めて病気になったとき助けてもらうのじゃないか、こう言ってしまえばそれまでなんでありますけれども、これがなかなかやはり目の上のこぶになって農家のほうではいろいろな不平が出、そしてまた滞納の額というものもかさんできているわけなんであります。こういうとき年間二万四千円のそういう大きな負担をさせるということは、負担にたえ切れないところの農家が出てくるのじゃないか、そういうふうに私は考えるわけなんでありまして、そういう非常に高いところの負担をして、しかも今度は六十歳で離農、移譲をやった場合におきましては、二十五年掛けて二万円ですか、そういう額をもらうということになるわけなんであります。二十五年掛けてその程度、しかも移譲しなかった場合におきましてはこれは三千六百円、六十五歳からですか、そういう金額になってしまうわけなんでありまして、六十五歳でちょうど死んでしまったという場合においては死亡一時金も離農給付金もそれから老齢年金も何にももらうことができないということが午前中の答弁で明らかになっているわけなんであります。こういう仕組みのいわゆる年金基金というものが、一体農民のためになり、そしてまた農民が歓迎するということになるかということになりますと、私は、現実のいわゆる国民健康保険税の滞納の問題、それから国民年金の滞納の問題等からいたしまして、私は農家が歓迎して強制加入に参加するとは考えられないわけなんです。そういう点から考えますと、この年金の掛け金というのは非常に農家にとっては苦痛な掛け金になってしまうのじゃないか、かように私は考えますが、大臣はどうお考えになりますか。
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたように、地域によって、人によっていろいろ違いがあると思います。しかしいまお話しのような掛け金のことにつきまして、それからその中に占める国庫補助等につきましては、立案の途中でいろいろ検討いたしましたが、他の制度とのバランスもありますので、私どもといたしましてはこの辺が妥当なところである、こういう裁定をいたしたわけでありますが、他の公的年金も時代の進展、財政事情の変化等によっては逐次改善されるのでありますから、私どもといたしましても、そういう点については十分考慮してやってまいりたい、こう思っています。
○松沢(俊)委員 いま私農村、農家の実情をお話ししたわけなんでありますが、そういう点からして大臣はほかの年金の関係等の比較でいろいろお話しをしておられますけれども、現実問題としては非常にやはり苦痛になるところの年金ということになるのじゃないかと私は考えているわけなんであります。 そこで話は今度は違いますけれども、年金基金が被保険者の農地それから付帯施設、こういうものを買うということになるわけなんでありますが、買ってまた売るということですが、過疎地帯等におけるところの農地を買っても売れないという問題が起きてこないか、そういう心配があるわけなんでありますけれども、これは売れなかった場合においてはどう処分されるのか、その点をお答え願いたいと思うのです。
○池田政府委員 過疎地域につきましては、これが農業振興地域に該当するということが一つの前提でございますけれども、そういうところにおきましては買い入れをするわけでございます。したがいまして、私どもは、農業振興地域でございますならば、やはり将来ともそこは農業を中心に地域の開発をはかる、こういうことでございますから、まず売れないところはあまりないのではないだろうかと思います。基金といたしまして農地を買いまして、それが持ち込みになって、農民からお預りしました金の非常なむだづかいということになるのは厳に避けなければなりませんから、そういうような意味では当然それは規模拡大に役立つという前提の土地について買う、こういう考え方でございます。
○松沢(俊)委員 それでは過疎地帯で将来やはり農業の見込みのない場所というのは買わないということになるのですか。
○池田政府委員 見込みがないといいますか、もう次第に過疎化しまして、たとえば集落整備をしなければならない、移転をしなければならないとか、そういうことになりますところで農地を買うということは、これは基金としてその業務の性質上できないと思います。もしかりにそういうところで土地の何がしかの措置をしなければならないということでございますならば、これはやはり別途の方法でやらざるを得ないだろうと思います。
○松沢(俊)委員 そうすると、たとえばそこの地帯の人たちが被保険者である。その被保険者が買ってくれといっても買わないということになれば、それはいわゆるこの法律の目的からしてちょっとおかしいのじゃないですか。どうですか、その点は。
○池田政府委員 そういう地帯におきます農家の方が離農したい、土地の処分をしたいという場合におきまして、基金ができるだけ、私どもは買ってさし上げるのがいいと思いますけれども、やはり一方では農民からお預りしました貴重な財産でございますから、それがいつまでも持ち込みになりまして効率的な運用ができないということになりますと、これはまた問題でございますので、そこのかね合いの問題になると思いますけれども、私どもはやはりそれを基金に買わせるのはちょっと基金の性格からいって問題があるのではなかろうかと思います。
○松沢(俊)委員 そうすると買うやつと買わないやつというのが出てくるのですね。
○池田政府委員 これは法律にも規定がございますけれども、原則は農業振興地域で農地の買い入れをする、こういうことに相なっておるわけでございます。
○松沢(俊)委員 農業振興地域というのはいわゆる都市計画区域を除いた部分というのはほとんど入っておるのじゃないですか、いまは。
○池田政府委員 これは今後五年間に指定をいたすという予定になっておりますのでまだ確定をいたしておりませんので、一番最初の年次の指定が行なわれているときでございますので、全体がどうなるかまだはっきりはいたしておりませんけれども、私どもは市街化区域等を除きましてなるべく広く振興地域の中に入ってもらいたいと思いますけれども、一定の要件がございますから、あるいは漏れるところももちろんあるわけでございます。
○草野委員長 松沢君に申し上げますが、社会党の方三人で六時までというお約束になっておりますからそのおつもりでお願いいたします。
○松沢(俊)委員 そこで大臣に聞きますけれども、ことしの農業白書等を見ますと、百十三万円余りの農家の収入があった。しかしその収入を色分けしますと、農外収入というのが五〇%以上を占めるという結果が出ておるわけなんであります。 それから食糧自給率ですね。それには八三%、米を除きますと六九%、こういうぐあいに実はなっておるわけなんですね。そこでいまのように年金基金というものが出て、実際上は農基法の改正案、それから農地法の改正案、それからこの年金基金、この三つというのがセットになってこれから構造政策というのが進められていくと思うのですよ。 一面価格政策ということになりますと、さっき申し上げましたように、米価等におきましては、昨年は据え置きというふうに実はなっておるわけなんでありまして、その他の価格も御存じのとおり、都会のほうでは野菜なんかうんと高いですけれども、農村のほうは間に合わないという状態になっておるわけです。だから価格政策という立場に立っても決して農民に有利な政策というのは出てきてないと思うのです。それから今後やはり資金の面も、いわゆる金融政策といいますか、そういう点から見ましても、もうすでに制度資金等におきましては、見込みのあるところの農家には金は貸すけれども、もう見込みのないところの農家には金は貸さない。特にいままで自創資金というのは農家の転落防止のために大きな役割りを果たしてきたわけなんでありまするけれども、もう転落防止のための金というものは出さない。総合資金等にいたしましても、これはやはり大きな経営見込みのあるところの農家に対しましては貸すけれども、それ以外のものには貸さない。いわゆる金融政策の面におきましては選別融資という方向でくるわけなんでありますが、こういうぐあいにして価格政策それから構造政策、金融政策の面で農村を締めつけていくということになった場合に、あなたはさっき工場の地方分散等をやって、浮いたところの労働力を有効に使うという政策は出されましたが、いまのような三つのかかえ込み政策ということになると、これはやはりますます農業の収入というものは不足になり、それからますます自給率というものは低下してくるという結果になるんじゃないか、こういうぐあいに考えております。私は、農林大臣は、日本の農業の振興のための大臣だと思いますけれども、いまのような政策を次から次へと出してこられた場合におきましては、農業の振興どころの話か、農業はすたれてしまう。そして残ったところに、農業に従事する人たちは非常に狭いところで少数の人たちがやるところのそういう農業になってしまって、大部分の農民というのは農村から追い出される。これは追い出すというところの主観がなくとも、客観的には追い出されてしまうという結果になってしまうのではないか、こういうぐあいに考えますが、そうなりますと、農業の振興というものはとうてい考えられないところの政策というものがいまとられている、こういうぐあいに私は理解しますけれども、この辺はどうお考えになりますか。
○倉石国務大臣 ただいまのはあなたの御意見、御見解だと思うのですが、私どもは、いまあなたのおっしゃったような、いわゆる締めつけ政策というのはどういうことをさしておられるのかよくわかりませんが、全体として、私どもはやはり認識を改めなければいけないと思うのであります。農業というものは、どうしてもやはりしっかりした体質を備えた農業に育成してまいりたい。そのためには規模を拡大してまいりますから、傾向的には外国と同じように農業従事者というものの人口は減ってまいるでありましょう。しかし、その農業の単位の所得はふえるようにいたしたい。しからば、そろばんのとれない小さな農業の人たちは、御自分の御意思によって、その農業というものをやはり自立経営農家を中心にして、集団的に、われわれが、協業その他を含めて農業の生産もやり、それから農外所得もふやしていくような施策をともどもやっていかなければならないということを申しておるわけであります。 それからまた、いま野菜のお話がございました。干ばつ等で一時的に所得が減りますことは——これはもうなかなかむずかしいことでございますが、それにしても、私どもはやはり米の生産調整はいたしますが、その他のものについては、これでもう要らないんだということを言っているわけではないのでありまして、そういうことからいいまして、たとえば野菜にいたしましても、四十五年度予算では、指定産地を加えまして六百十にいたした。それからまた、そういうふうに作目を転換していただく方には、それぞれ金融の措置等についても、四十五年度予算だけでもいろいろめんどうを見ることをやっているのでありますから、そういうことを加えまして、農業生産というものは維持していくように私どもは対処いたしてまいりたい。でありますから、いまあなたの言われましたように、政府としては、締めつけ政策というおことばでありましたが、そういう意思は毛頭ございません。農業者がどのようにして所得をふやしていくかということに頭を置いて進めておるわけであります。
○松沢(俊)委員 これで終わりますけれども、農業者のために年金基金だとか諸施策というものを出しておられるということを言っておられますけれども、要するに農業者というものはどこのだれをさしておられるのですか。いま日本では五百四十万戸の農家があるわけなんです。そこに働いている者は農業者なんです。その全部をあなたはさしておられないと思うのですよ。その一部分をさしておられるのじゃないか。そのことによって大部分が犠牲になるという政策というものが、いま年金の問題なんかを一つ見ましても、実は年金ではなしに基金なんであって、だから年金基金なんという何が何だかわからぬ、きのう小林先生のほうからお話がございましたように、非常にごちゃごちゃしたところの法案ということになってしまうわけなんであります。そういうことではなしに、やはり全体の農業者が生きられる道というものを考えていただきたいというのが、日本全国の農民のほんとうの声だと私は思うのです。そういう点で、これから質問をやっても、これは行行線でどうにもならぬと思いますのでやめますけれども、要するに、大臣は全体の農業者が生きられるような方向で施策をやっていただきたいということを希望申し上げまして、終わります。
○草野委員長 長谷部七郎君。
○長谷部委員 いままで各委員からそれぞれの角度から御質問がございましたので、重複はなるべく避けたいと思うわけでありますが、まず最初にお尋ねをいたしたい点は、これは何回も言われておることでありますが、どうもまだ納得できないのでございます。それは、そもそものこの年金制度の発想は、いわゆる「農民にも恩給を」というキャッチフレーズで出発をしたわけであります。それがここ二、三年の間に大きく性格がねじ曲げられたといいますか性格が変化をいたしまして、今日ここに出てまいった法案は老齢年金とはとうてい思われないようなものになっておる。ことばを変えて申し上げると、政府の農業政策上あるいは構造政策上やらなければならない経営移譲の促進というものに大きくウエートがかけられた内容になっておるわけでありますが、これでは農業者年金などと銘打つ法案とは考えることが私はできません。むしろこの際、経営移譲年金あるいは経営移譲助成法というような呼び名で呼んだほうが適切なのではないかという感を深くしておるわけでありますが、もっと本気になって農民の老後保障を考えるものだとするならば、もっと立法のやり方があったのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点まず大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○倉石国務大臣 しばしばお話し合いが行なわれたわけでありますが、私どもといたしましては、日本の農業というものをどういうふうにやったら維持していかれるかということが前提だと思うのであります。私どもが考えますのに、やはりいままでの農業者ばかりでなくて、一般の方々の認識をこの辺で改めて、考え直す必要があるんではないかと思うのであります。そういう意味で、日本の農業の体質を改善して確固たる基盤を築きたいというのが前提でございますので、政府の言っております「総合農政の推進について」というところでも申し上げておりますし、政府の諮問機関であります農政審議会等の答申にもございますように、われわれといたしましては、今日の国際社会における日本の農業をどのように位置づけていくかということを考えましたときに、やはり農業を維持強化していくためには自立経営農家を育成する必要がある、こういうことを前提にして、農業を守るために考えておる、それが一つの目的でありますのが農業者年金制度でございますので、私はたいへん大事なことを考えておるわけであります。
○長谷部委員 確かに経営規模を拡大しまして、農業経営の近代化をはかっていかなければならない、そういう方向については、私どもも考えないわけではございません。いわゆるそういう政策目的を遂行するためにやっていこう、経営移譲を促進させようという意図はわからないわけじゃございません。もしそうだとするならば、それはそれなりに別個のものとして考えていくべきであって、少なくとも労齢保障、老後保障という問題は、その政策目的を抱き合わせるという考え方で処理すべきではないのではないか、こういうぐあいに私は考えるわけであります。もし、経営移譲促進をやらなければならないとするならば、それはそれで独自に立法すべきであるし、私は、やはり社会党が出しておりまするように、あくまでも老後の保障あるいは遺族の保障あるいは障害保障、こういう本来の年金の姿にしていって初めて割り切れるものではないか。これはおそらくこの法律の内容を知らないうちはあまり抵抗ございませんけれども、この内容が政府の手によって説明され、下部に浸透するに従って、農民の間にも大きく賛否両論が出てくるのではないか。いまのところは、佐藤総理が言われたように、「農民にも恩給を」という受けとめ方でこの法案をながめておりますから、それほど抵抗はございませんけれども、これが法制定されまして浸透するに従って、私は農民の間に大きな反発が出てくるような気がしてならないのであります。 現に私どもに対して農業会議所の代表が、これは全国的に動員をかけられまして何とか年金を通してくれぬか、こういうことで再三にわたって陳情が参っています。私はその際この年金の内容を少しく説明を申し上げておるわけでありますが、その説明を聞きますと、はあそういう内容のものですかということで、初めてこれに対する疑念を持っておるというのが現実であります。ですから、この法案が通りまして全国的に説明会が行なわれる、そういう段階になってまいりますと、私は必ず農民の間に反発が出てくるような感を強くするわけであります。したがって、私は年金は年金として独立をさせる、政策目的上、政策遂行上経営移譲促進の制度をつくらなければならないとするならば、そういう制度は独立してつくっていくという割り切り方をやるべきではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点大臣の御見解を承りたい。
○倉石国務大臣 長谷部さんのおっしゃるような御意見も一つのりっぱな御見識だと思います。けれども、先ほども私申し上げましたように、いま置かれた日本の農業の立場を考えてみまして、これからの農業を推進してまいるためには、現在御提案申し上げておるようなことが必要である。その考え方の中に、政策的にも農業政策の考えもありますが、老後の保障ということも考慮いたしておるわけでありまして、これはたいへんに困難を切り開いて実は政府部内でまとまったのであります。そういうことでありますので、これを全く切り離してということになりますと、はたして農業者年金というものが行なわれるかどうか、客観的情勢は非常に困難ではないかと思うのであります。その点はもう十分事情を御理解賜わっておると思いますので、これ以上は申し上げません。
○長谷部委員 私どもは、農民の老後保障は老後保障として独立をさせる、構造政策上、経営移譲の助成をしなければならない、こういうことであるならば、それはそれとして独立をさせるという見解に立つのでありますが、この点議論をしておりましてもこれは平行線をたどるのだろうと思うのです。 そこで私は一歩譲って、性格の違う問題を同居させた制度にしたわけなんですが、その場合でも、私は、経営移譲しない者が経営移譲した者の分まで負担をしていかなければならないというこの考え方、これは賛成できないわけなんです。少なくとも、制度として二つの目的を抱き合わせてつくったのはいいとしましても、経営移譲部分に関するものについては、これは全額国が責任を負うべきではないか、これは政策目的を達成するための措置ですから、当然国が全額負担していくのが筋ではないか、こういうぐあいに考えるわけであります。この点はいかがでしょうか。
○倉石国務大臣 そういう考え方をとっている国もあるようであります。しかし私どもといたしましては、わが国の公的年金等の状況を考えてみまして、年金という以上はやはりある程度の掛け金を掛けてもらうというこの秩序は乱すことができないという立場でやったわけでありますが、ときどきも申し上げておりますように、私どもこれが一〇〇%完ぺきなものだなどと思っておりません。何でもものごとはそうでありますが、したがって財政事情、諸般の状況が変わってまいりますれば、ほかの公的年金においてもそうだと思いますが、十分検討してまいりたい、こう思っておるわけであります。
○長谷部委員 そういたしますと、私どもの単純な計算でまいりますと、月七百五十円保険料を納めまして二十年間拠出をする。さらに五年間据え置きまして六十五歳から老齢年金の給付を受ける、こういう場合は計算上からいくと四千円になるわけであります。また当初予算の編成に際して、農林省が大蔵省に対して四千円という積算で予算要求をしたという経緯も伺っておるわけであります。それが予算査定の段階でくずれまして三千六百円になった、こういういきさつなども承っておるわけでありますが、いまの大臣の御答弁から参りますと、決して十分なものとは考えておらないので、近い将来その給付額については再検討をするという御意思のように受け取っていいかどうか、この点もう一回お尋ねをしておきたい。
○倉石国務大臣 なかなかものの言い方は気をつけなければいけないと思いまして、あなたの御都合のいいように御判断をいただいたようでありますが、そういうことを念頭に置いて申しておるわけではございません。この点につきましては十分ほかの年金とのつり合い等も考慮いたさなければなりませんので、そういう点を考慮いたしました結果、ただいま御提案申し上げたようにいたしたわけであります。
○長谷部委員 四十五年度の予算編成の段階で農林省が四千円という額で予算を要求された、こういう経緯がありますから、当然本来は四千円の給付額をお考えになったと思うのです。それが国全体の予算編成上そこまで達することができなかった、不本意ながら三千六百円ということで立法をした、こういうぐあいに私どもは受けとめておるわけです。したがって国民年金等から比べましても、給付の額は私は少ないように感じますので、これは将来改善をやるべきではないか、本来の姿に返すべきではないか、こういうぐあいに考えるわけです。ほかの公的年金はすべて五分五厘の計算をやっておる。それなのにひとり農業者年金だけが、逆算的に計算をしてみますと四分九厘、こういう形で計算をされているということは、これは公的年金の一元的な考え方からいっても私は不十分なものではないか、不公平なものではないか、こういうぐあいに考えるわけです。くどいようですけれどももう一回御見解を承りたい。
○倉石国務大臣 これはもうしばしばここで御論議のありましたように、老後の生活保障の面も一つありますけれども、もう一つは経営移譲ということを前提にものを考えておりますので、したがって移譲されたものとされないものとの間に差があるのは、これは当然なことだと思うのであります。したがってこの法律の前段にすでに経営移譲ということを考慮して出発いたしておりますので、そういう見地から申しますと、いまのお話しの点は現在のようにやらざるを得ない、こう思っているわけであります。
○長谷部委員 それからこれは、厚生省も来ておられるようですから、今度国民年金が多少改正されまして、所得比例部分というのが設けられる。しかもそれが任意加入じゃなくて強制加入になるようなお話を承っているわけでありますが、なぜこれは強制加入にしなければならないのか、この点ひとつ承っておきたいと思います。
○廣瀬政府委員 仰せのとおり国民年金制度におきまして、今度新しく所得比例制度を設けたわけでございますが、任意加入になっております。ただ、今度できます農業者年金基金は、国民年金制度を土台といたしまして、その上にさらにプラスアルファの給付をしようという仕組みでございますので、国民年金のほうの所得比例は任意加入でございますけれども、所得のある人は当然入り得るわけでございますので、まず国民年金制度を活用し得るものはそれを活用して、なおかつそれにプラスアルファをしようという趣旨でございますので、農業者年金基金の加入者は国民年金の所得比例に入ってもらう、そういう考え方でございます。
○長谷部委員 それでは次に、これは厚生省か農林省かどちらになるかわかりませんが、農業者年金の場合ですね、これは公的年金というぐあいに考えるわけですが、厚生年金やあるいはその他の公的年金に通算できるのかどうか、そういう仕組みになっているのか。当然通算できるものと私は解釈をしているわけでありますが、その辺はいかがになっていますか、承りたいと思います。
○廣瀬政府委員 農業者年金基金に加入される方は、当然国民年金の被保険者でございますので、かりに途中で国民年金の被保険者をやめられて、その場合には農業者年金基金のほうもやめられるわけでございますが、それから被用者保険の厚生年金に入った場合を想定いたしますと、政府でやっております国民年金と厚生年金は、これは通算措置がございまして、通算して計算をいたします。ただ、そのプラスアルファ部分の農業者年金基金でやっている部分につきましては、通算すべき相手がございませんので、それは通算の対象にはならないわけでございます。
○長谷部委員 いまの御答弁によりますと、国民年金部分は通算なるけれども、農業者年金部分は通算ができない、こういうぐあいに私受け取ったわけでありますが、なぜ農業者年金だけが通算できないのか、その理由をひとつ御説明いただきたいのです。
○廣瀬政府委員 年金制度は、基本的な部分と上積み——ことばが適切でないかもしれませんが、上積み部分とございまして、先ほどちょっとはしょって申しましたが、国民年金でも基本的な部分の定額部分のほうは通算措置がありますが、いわゆる先ほどお話しのありました任意加入の所得比例、これも通算制度がないわけでございまして、さらにその上に乗っかる基金のほうの給付も通算措置がないわけでございます。
○長谷部委員 これは上積み部分という御見解ですか。これはもう上積みという解釈をとるわけにいかないでしょう。どうなんですか、そこは。
○廣瀬政府委員 ことばが適切でなかったかもしれませんが、国民年金制度、これは基本的な制度と考えております。それから今度できます農業者年金基金は、農業の特殊事情ということも考慮して付加的につくるものというふうに考えておりまして、それを俗なことばで、上積みと申したわけでございます。 なお、その通算の場合に、あるいは私、御質問を誤解しておりましたかもしれませんが、農業者年金基金を何らかの事情で一時出まして、また再加入するというような場合に、最初にやめた場合に脱退一時金をもらっておらなければ、農業者年金基金の間の期間は通算されることになります。
○長谷部委員 前の答弁といまの答弁では、だいぶ違うと思うのです。
○廣瀬政府委員 前に答弁いたしましたのは、他制度、農業者年金基金と厚生年金と、それは他制度との通算はない。ただし農業者年金基金におった人が一時何らかの理由で外に出られて、また農業者年金基金に入った場合には、農業者年金基金の初めの期間とあとの期間とは通算になります。そういうふうに申し上げたわけであります。
○長谷部委員 その点は了解します。 それから次に申し上げたいことは、これも前の質問者が御質問があったと思うのですが、相続の関係です。生前贈与の特例が認められているわけでありますけれども、この認められておるものは、私の理解では、土地部分だけではないか。土地に付随いたしまして建物なりその他の資産があるわけです。そういう場合の取り扱いは一体どういうぐあいになっているのか、この点を農政局長にお尋ねしたい。
○池田政府委員 いまお話しがございましたように土地だけ、農地だけでございまして、その上にありますような償却資産等は、これは生前一括贈与の対象にならないわけでございます。したがいまして一般の原則に従うほかはないわけでございます。
○長谷部委員 それから次に農林大臣にお尋ねをしますが、この農林省からいただきました法律公布以降のスケジュールという資料をいま見ているわけでありますが、この法律が施行になった場合に、八月の上旬にはもう設立委員の指名を行なう。それから理事長や監事となるべき者も指名をする、こういう作業の段取りを予定しておるわけであります。そこで農林大臣にお尋ねしたいことは、この特殊法人の場合、設立委員は即評議員になるんじゃないかと私は解釈するわけでありますが、この評議員会というものは調査審議機関であります。したがって、これでは歯どめにならないじゃないか。少なくとも民意を民主的に反映をさせるためにはこれは決議機関、こういう形に変えていくべきではないか、そこで初めてこの基金の民主的な運営が保障されるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、これに対する御見解を承りたいわけです。
○倉石国務大臣 農業者年金基金は、あなたも御存じのように特殊法人でありまして、大ぜいの人の資金を扱うものでありますので、政府は十分な監督をいたさなければなりません。そこで、しかしながら大ぜいの人に参加いたしていただく基金でありますので、その運用につきましては十分にひとつ多くの人の意見を徴せられるような制度を採用いたしてまいりたい、こういうふうに思っています。
○長谷部委員 運用については十分留意をする、こういうことでありますけれども、政府の方針としまして、いわゆる公社、公団というような特殊な法人は極力つくらないのだ、こういう方針をとっておられると私は理解をしてまいりました。今回も、任命制度であるならば、厚生省なりあるいは農林省が直接これを実施をして運営をしていって何ら差しつかえないのじゃないか、こう私は思うのですが、それをわざわざ特殊法人というものをつくらなければならなかった理由、また従来とってきた方針と食い違うけれども、あえてここにつくらなければならなかった理由は那辺にあるのか、この点ひとつ承っておきたいと思います。
○倉石国務大臣 政府が直接にこういうことをいたしますと、役所だけの考え方で運営をしていかなければなりません。今度の年金制度のような多くの農村の人々の掛け金を取り扱い、また離農される人々の農地の買い入れ等もいたしたりしなければなりません。そういう仕事はやはり別個な法人格を持たせたものが必要ではないかということで、特に特殊法人にいたしたわけであります。したがって、それは政府が直接いたすよりも、なるべく多くの民意を反映し、尊重していかれるような運営をするにはこのほうがいい、こう思ったわけであります。
○長谷部委員 次に、理事長、監事、これを八月上旬までに指名をする、任命をする、こういう段取りを考えておるようであります。こういう人事を進める場合に、大臣としてはどういう基準で選考されるのか。巷間伝わっているところによりますと、すでにこの基金の理事長なりあるいは役員というものはおおよそ内定をしておる、こういうことを聞いているわけであります。その辺から考えますと、どうも人のために機構をつくる、こういう感を深くするわけであります。いわゆる退職官僚の失業救済という色彩を非常に強く感じとるわけでありますが、そういうことは私は好ましい姿でないと思うのです。この際、大臣はどういう角度から、どういう基準で役員を選考されるか、御見解を承っておきたい、こう思うわけです。
○倉石国務大臣 ただいまのお話で、もう人がきまっているようなお話でありましたが、私が農林大臣であります。私が知らない人間がきまっているわけはないのでありまして、私が腹をきめます前に厚生省その他政府部内で十分に相談をいたしまして、社会的信頼性があり、農業の問題にも十分な理解を持っているりっぱな人物をひとつ選び出したい、こう思っておるわけであります。
○長谷部委員 これで終わりますけれども、先ほど私どもの松沢委員からお話がありましたように、今日まで農業経営を守ってきた者は単に経営主だけでなくて、それの妻の努力というものが非常に大きかったと私は思うのであります。ところが今度の農業者年金制度を見ますと、経営主一人だけだ。妻の場合は国民年金には加入できますけれども、農業者年金の対象にはなっておらないわけであります。三十年も五十年もむしろ経営主よりも苦労されて農業経営をささえてきた妻に対する取り扱いというものがきわめて冷たいのではないかと私は考えるわけであります。したがって、これは将来当然検討を要すべき問題ではないか、こういうぐあいに私は考えるわけであります。この点をまず承っておきたいと同時に、経営主一人だけが年金の対象になるわけでありますが、いまの民法上、憲法上からまいりますと均等相続になっているわけですね。ここら辺にも、この法を運用していく場合の一つの疑念があるわけなんです。 この二点について当局の御見解をただしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉石国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、農業政策の一環として考えておるものでございますので、やはり妻はいまお話のありましたように、他の公的年金の恩典に浴するものでありますし、これは経営移譲ということに重点を置きました特殊な制度でありますので、お話はよくわかりますけれども、私はやはり政府提案のようなやり方が一番いい、このように思っておるわけであります。 第二番目の問題は、憲法論がありましたけれども、憲法上は一向差しつかえないと理解しております。
○長谷部委員 以上で終わります。
○小沢(辰)委員長代理 津川武一君。
○津川委員 私は、すべての国民が老後の生活が保障できるような総合的な年金を共産党は主張しているわけですが、その立場から質問してみますが、大臣の都合があるそうですから大臣はなぜ一部の農民を対象にしたか、それから経営移譲年金の二点についてお伺いします。 そこで第一ですが、日本の農業が貿易の自由化で外国農産物に圧迫をされ、その発展がはばまれており、肥料、農薬、農機具など大資本や市場資本の搾取にあえぎ、その上後継者は大資本に安い労働力として吸収されて、農業労働は老人や婦人の肩に重くのしかかっている現状に照らせば、そうした苦役に耐えている老人、婦人を含めてすべての農民に年金を提供し、その老後を保障してやらなければならないと考えておりますが、政府案によりますと、今回の年金の対象の主なるものを、五十五歳に達していない戸主である農民、五十アール以上耕作している農家を対象として考えておりますが、なぜこのようにしたか明らかにしていただきたい。
○倉石国務大臣 わが国の社会保障制度というのは、津川さんも御存じのように、終戦後アメリカ側の示唆等もありまして、まあ一口に俗なことばでいえば、身分不相応に理想的な柱をたくさん立てました。しかし財政力が伴いませんので、十分な肉づけが行なわれておるとはいえませんけれども、逐次改善されてかなりな社会保障の制度が打ち立てられてきております。したがって、一般的にはこの社会保障制度をますます充実することは望ましいことでありますが、その柱を立てて、その柱によっていま恩典に浴しておる、御存じのとおりであります。 しばしば申し上げておりますように、今度の農業者年金というのは、農業政策の考え方も十分に加味し、そして規模を拡大してりっぱな農業をやってまいりたい。いまちょっとあなたのお話にありました国際的な競争力にも勝ち抜けるような農業の体質をつくりたい、そのためには規模を拡大する必要がある、こういうことで、それには農業の方がもう今日は労働力不足を訴えられているようなときでありますからして、転業をしたいと言われるならばもっと所得の多い職場に就職されることが十分可能でありますことは御存じのとおり。したがって、そういう方々が自分が選択されまして、そして農業をやめようという方、こういう方は離農していただきやすくすることが必要である。そうでない方も、やはり経営の若返り等をしていただいて生産性を上げていただくという考え方のもとに、基本的には経営移譲ということを前提にして、究極するところやっぱり農業の体質改善という目的でございますので、この法案のようにいたしたわけであります。
○津川委員 大臣が、もう一つはこれは年金制度として、福祉制度としての要素もあるというのがいままでの質疑の中で明らかになっているわけですが、とすれば、福祉的な年金を受けなければならない老人、経営規模の小さな農民、この人たちが今度の政府案の年金においては何か疎外されている、じゃま者扱いされている、ことばが悪いかもわかりませんが、何か敵視されているみたいに思いますが、そういう考えは毛頭ございませんか。
○倉石国務大臣 お互いに代議士の仲間ですからざっくばらんに申し上げますが、あなたは十分事情を御存じであなたの御意見を述べていらっしゃるんじゃないかというような気がするのですけれども、農業を維持、強化していくという考え方に立っておるということは先ほど来申し上げておるわけであります。したがって、その経営規模の小さな方々は、御自分で御判断なさって、そして離農したほうがいい、他に転職したほうがいいというのは、われわれはしばしば申し上げておりますように、政府全体でそういう方の新しい職場をさがすということ、職業訓練もいたしましょう、地方に産業も分散していきましょう、こういうことでありますから、しかもまた兼業でもいいから農業をやっていたいという方は、これも農林省がしばしば申し上げておりますように、自立経営農家を中核にしてそこの中にこの多数の兼業農家も入っていただいて集団的な営農をやろう、こういうのでありますから、そうでないことは期待する人はないじゃないかと思うのですが、そういうことでありますので、そういう小さな人をないがしろにするなんという要素はちっともないわけであります。
○津川委員 それでは少し具体的な例で聞いてみますけれども、昨年の四月、東京荒川の架橋工事で青森県の出かせぎ者七人がなくなりましたが、そのうちの一人、外崎久仁太郎さんという人の一家は、いま六十歳をこした老夫婦二人、まだ学校に通っておるお孫さん三人、そして段々畑と傾斜地に開いた田合わせて五十アールありません。その上父は中風です。こんなうらこそ年金が必要ですが、この田や畑は売ろうとしても買い手がつかない。こうした人がいま恩恵を受ける道はないのでございましょうかしら。これこそ私はほんとうに離農もしたい、こういう方だと思うので、大臣がいま選択の自由があると言ったけれども、この人には選択の自由もないと思うので、お伺いするわけであります。
○小沢(辰)委員長代理 津川君に申し上げますが、大臣はよろしゅうございますね。
○橋本(龍)政府委員 ただいまの御指摘のようなケースの場合であれば、これはむしろ農業者年金の対象で云々するよりも、わが国の生活保護の体系の中で照合していくほうが当然であろうと考えます。
○津川委員 せっかく生活保護関係の方、来ていただいておりますので、この場合どのくらいの生活保護の金になりましょうかしら。
○宮嶋説明員 生活保護は、先生御案内のとおり一級地から四級地までございまして、特にいなかの場合は四級地であろうかと思いますが、四級地の場合、大体一人につきまして月額七千円程度の額に当たろうかと思います。
○津川委員 大臣が帰られるそうですから、大臣に次に経営移譲年金についてですが、政府のほんとうのねらいはどこにあるかということなんです。政府は農業政策と老人対策の両面を兼ねておるということを口すっぱくいままで言っておりましたけれども、ほんとうに経営移譲年金であろうかという、この意味でございます。このごろ農民たちが口にしていることばに、首切り年金だ、しかもこれまでの質疑で明らかになったように、農民の掛け金で農民を追い出すのではないか、こういうことなんです。実際に経営移譲しなければ六十五歳で年金が三千六百円、経営移譲すれば二十年で一万六千円、二十二年で二万円、二十五年で二万四千円。三千六百円対二万円の差で、こうなってくると、だれでもがこれは経営移譲年金だというふうに解釈しないかしらということです。年金らしい金額というか、何かお金を手にしたなあという気持ちになるのは、経営移譲しなければできない。農民の老後を案ずる年金ならば、経営の移譲の有無、そこに差をつけてはいかぬと思うのですが、経営移譲の有無にかかわらず年金らしい年金をこの法案に盛れなかったかということであります。
○倉石国務大臣 いまでもすでに農外所得が大体半分余り、農業といわれる中で平均してあるようでありますが、つまり規模を大きくしてまいるために離農しやすくするということは、小さな農業でもそのままやっていくというお考えの方もあるかもしれませんけれども、わが国の農業はそういうような考え方だけでは対抗していかれない、こういうところに問題があるのではないかと思うのであります。ただいまわが国の農作物の価格が高いとかいろいろいわれておりますけれども、いまの国際情勢の中で競争してやってまいりますためには、やはり自由化というものに面面して、これと競争していかなければなりませんので、農業全体として他産業に比較をして劣らないような所得を得させることが必要でありますので、そこでいま首切りというお話がありましたけれども、昔は貧農切り捨てということばがよくありました。いまはそんなことばは、どこでそういうことを言いますか。大体農村の労働力がなくて困るといわれておるのは、農村の労働力がそれだけ高く評価されているということなんですから、これをやはりむだにしてはいかぬと思うのです。したがって、私どもはそういう労働力には現金所得を得させるようなことをやって、そうして職業を転換するためにはあらゆるお手伝いをいたしましょう。そのほうがよければそういうふうにお迎えなさるし、どこまでも農業をやりたい人は、先ほど申し上げましたように、自立経営の農家を中核にして集団的に、そういう人たちも含めて大きな集団経営をいたそうではないか、こういうのでありますから、やはり離農を促進するということは日本農業を守るために大事なことではないか、こういうわけでありますから、農業を守る意味の経営移譲である、こういうふうにひとつ御理解を願いたいと思うのです。
○津川委員 大臣にもう一つだけ。 大臣の言われたとおりだと私も思います。そこで、共産党の経営規模の拡大、これは国有林野を使うとか、干拓、開拓をやるとか、それから若い能率のあがる農業労働力を維持するということには賛成ですが、この場合、強制ではなくて自主的な形でやるべきだ。そこで、大臣がいまやっておる、いわゆるあなたたちの総合農政、この三本柱は、一つには経営基盤でしょう。二つ目には近代化でしょう。もう一つには若い労働力を得るための離農なわけです。そこで、経営基盤のためには、昭和四十四年度だけでも土地改良を促進するために一千百八十億くらい出していますね。近代化のためには、四十五年度予算で三千億円計上しています。これがあなたたちのやっている総合農政。とすれば、総合農政の一端としてあなたたちが進めている離農政策、これは当然国が基盤に突っ込んでいるみたいに、近代化に突っ込んでいるみたいに責任をもってお金を出さなければならない、こう考えているわけです。私たちは離農を強制しません。しかし、あなたたちは三本の柱としてやってきているのですから、当然これは国の負担でなければならぬ、こう考えておるわけです。どうでございましょう。
○倉石国務大臣 共産主義の社会では強制的に、昔といまは違いますけれども、いろいろな政策で動かしておられるようでありますけれども、私どもはやはりそういう強制力ということもさることながら——いまの任意加入、強制加入の点はありますけれども、これらの制度としてそれのほうがいいから用いているわけでありますが、規模を大きくしていかなければならぬということにあなたにも御賛成をいただいたわけでありますが、そういう意味で、私どもはできるだけ離農しやすくするためにできるだけのことをしてあげたいと思うのでありますが、これは御存じのように、先ほど来お話しがございました年金制度でございますので、やはり他の公的年金との振り合いもございますので、今度のようなやり方が今日としては妥当なことではないか、こう思っています。
○小沢(辰)委員長代理 津川君、十分間という約束ですから、切りがないから……。
○津川委員 大臣があれを言ったから、一言言わなければだめです。これで終わります。 そこで大臣、今度の農業者年金には強制がありますね。ところが、社会主義の農業政策では強制はありませんよ。納得ずくですよ。特に日本共産党では、ほかの党になんか影響されないで、農民に納得ずくでいくという点だけを大臣に申し上げて、けっこうでございます。 先ほども述べたように、私たちは全額国庫負担で年金を支給すべきだと考えています。しかし、当面他の年金が受益者負担になっていますので、農業年金の場合にも幾らかの受益者負担はやむを得ないと思い、しかしその場合、負担の可能な低い掛け金にしてやらなければならぬと考えています。そうした立場からすれば、政府の今回の農業者年金では農民の負担が高過ぎませんかということです。具体的にいえば、国民年金では四百五十円で九千六百円の給付です。経営移譲しない農民は、七百五十円掛けながら給付は三千六百円という低さです。さらに国民年金所得比例分の強制加入によって三百五十円の掛け金、これも三千六百円。合わせて千百円という、国民年金の二倍も取られながら、受け取る金額は七千二百円。そうなってくると、少し高過ぎませんか。せめて国民年金の分まででもこの掛け金を低くしてみないかということであります。
○橋本(龍)政府委員 数字のとり方は、いろいろなとり方がございます。先生のいまとられたような比較のしかたもあるでございましょう。しかし逆に国庫負担の量からいくならば、国民年金の定額部分三分の一、あるいは所得比例部分に対する国庫負担は四分の一。それに対して、農業者年金の国庫負担分は四二・二一%でございます。それからいくならば、逆にこの農業者年金という制度に対しては、国は他の年金制度を越える負担をしておるということも言い得るわけであります。
○津川委員 私たちは全額国庫負担が当然要求さるべきだと思っている。政府の立場から言っているのではなくて、受け取る国民、農民の立場からいって高いと言っている。あなたたちは支給する国の立場からお金を出し惜しんで、ここで国が出し過ぎるなどということを言っているわけですが、もう一度その点、受け取る国民の立場から明らかにしていただきたい。
○橋本(龍)政府委員 受け取る国民の立場からいうならば、ある金額を保険料としてちょうだいをいたすか、あるいは租税としてちょうだいをいたすかの差があるだけでありまして、国庫の出どころは一つでありますから、形が変化するということ以外には私は別に問題はないと思います。
○津川委員 それでは、基金の積み立て金と余裕金の運営についてです。共産党では、この積み立て金や余裕金が、わが国の年金給付をよりよいものにするため、または老人ホーム、老人住宅その他の老人施設の拡充などに優先的に使用すべきだと思っていますが、政府もそのとおり考えていますか。
○橋本(龍)政府委員 年金の積み立て金の運用というものは、まずその加入者の方々の福祉にプラスをすることが一つと、同時に、「安全かつ効率的に」という一つの基本原則があります。その範囲内で行ないます業務については、いろいろなやり方もありましょう。私どもはその点を十分に満足させていくつもりでおります。
○津川委員 それでは、政府案の八十九条では「安全かつ効率的に」といっていますが、農民の福祉向上のために運用するとしていないのはなぜでしょうかということです。もっとも、政令で定める基金の目的と性質に応じて運用するといっていますので、年金の基金運用の三大原則の一つである福祉性を貫いていると思っているのでしょうが、農地の買い入れや売り渡しなどに主として利用されるのではないでしょうか。この点を明らかにしていただきたい。
○橋本(龍)政府委員 先ほど申し上げましたように、その基本的な原則にたがわない限りはいかようなる使い方もできるでありましょう。しかし、農地の買い上げあるいは売り渡しあるいはそのための融資という業務、広くやはり農民のために資する政策であることは確かであります。
○津川委員 八十九条で、どうして福祉のために利用するということをうたわなかったわけですか。
○橋本(龍)政府委員 それはあたりまえのことでありまして、わざわざ書く必要を認めませんでした。
○津川委員 それではさらに、厚生年金や国民年金のように、その積み立て金を大蔵省の資金運用部に預けるのでしょうか。大蔵省の資金運用部に預けられますと、財政投融資の一部となり、その一部は軍需産業や大企業のためにも利用されることにもなるのですが、そういった心配はないでしょうか。
○橋本(龍)政府委員 中には一つの投資として預ける部分もありましょう。あるいはその債券等を購入するものもあるでありましょうが、主としてむしろこれは自主的に運用をしていくつもりでおります。
○津川委員 いまの次官の御答弁でいきますと、年金の積み立て金、余裕金の三大原則、その中での福祉性というものが失われているんじゃないですか。
○橋本(龍)政府委員 これは信用していただけるかどうかの問題でありまして、何万言を費やしても、先生が御信用いただけなければやむを得ないことでありますし、私どもは福祉性は貫くつもりであるということは最初に申し上げたとおりであります。
○津川委員 その次は、年金の調整資金のことですが、物価が非常に長く続いて上がっておりますし、そうしてまた今後も上がり続けるであろうと思います。そうすれば、国民が受け取る年金は国の責任で物価にスライドするように調整しなければ、汗水流して掛けた掛け金がほご同様になるということは、戦前の国債の例を引くまでもございません。こうしてスライドすることは私たちの方針でございますが、この法律の第三十三条は、こうした調整をしてくれるに十分でございましょうか。年金を制度としてささえていく血とも肉ともいうべきものは、この国家の調整機能ですが、法案では、著しい変動が生じた場合に改定の措置を講ずるといっていますが、この十年間、物価指数は毎三年ごとに二〇%からも上がっております。こうしたことは著しい変動とみなして、年金の給付額を上げなければなりませんが、現状に照らして政府の見解を明らかにしていただきたい。
○橋本(龍)政府委員 今年も国民年金法の改定を行なったものを御審議を願い、衆議院はすでに通過をして参議院に送付をされたわけでありますけれども、私どもは著しい変動のあった場合、必ずしも財政再計算年次でなくても、今日まで補正の措置は講じてまいりました。この年金を今後運用していく場合にも同じ考え方であります。
○津川委員 大臣がいたり、いなかったりしたものですから少し順序を変えましたが、老齢者のことでございます。農民は七十歳になっても農業をやっていますし、私も現実に七十をこして出かせぎに出ている人を知っております。こうした老人は、むすこたちに東京や大阪などに出られたりするし、しかし一人農村に残って腰を曲げ、手足をすり減らして血を流しながら農業をやっていますが、この苦労に耐えかねて自殺している農民さえこのごろ出ております。自殺といえば、厚生白書によれば、農民を含めた六十歳以上の老人は、年四百五十人からが生活苦から自殺しています。こうした老人を福祉年金で守ってやらなければならないのですが、今回の法案では、この人たちにはいささかの光も当たっていないように思いますが、福祉年金の老人年金の本質として、これでいいでしょうか。
○橋本(龍)政府委員 福祉年金ということでありますなら、先ほど申し上げた今回の国民年金法の改正分においても改定を加えております。そうしてその国民年金制度の上に組み立てられたこの農業者年金というものの中には、なるほどいまお説のような、現に年をとっておられる方を対象にしたものはございません。しかし、年金というものの本質からし、年金保険というものの本質からして、今日ただいま、スタートした時点から、全然その拠出を行なっておられない方々を農業者年金として対象にすること自体には問題があります。これは先生も御承知のとおりでありまして、それは現在行なわれておる国民年金の中の福祉年金であるとかその他の施策におきましてお手助けをするのが当然であり、現に私どもも全力を尽くしておるところであります。
○津川委員 とすると、厚生省がこの委員会の審査の中で、社会保障としての農民の老後保障としての年金制度だということを、かなり口をすっぱくして言ったんですが、その様態は見られないのじゃないでしょうか。
○橋本(龍)政府委員 どういう御理解をいただいたのかわかりませんけれども、そういう様態が見られないとは、私は考えておりません。
○津川委員 最後に、共産党のまとめ的な見解を申してみますと、劈頭に述べたように、すべての国民に憲法二十五条で保障しておるような生活ができるような年金を、しかも全額国庫負担で、無拠出でやることをわれわれは考えているわけですが、いままでの委員会の審議の中でそういう面はなかなかはかられておらない。そこでいまは農業の現状がこうだったので農業者年金として提案されたんでしょうけれども、近いうちにこれを総合的な年金に、日本のすべての国民に老後を保障する意味において、総合的年金をつくるという考え方はないでしょうか。
○橋本(龍)政府委員 現に総合的な年金制度として国民年金制度がございます。これ以上新たに何らかの形の年金を、国民全体を対象にしてつくるといいましても、現に国民年金という制度があるわけでありまして、これをどう変革していくかということはありましょうけれども、別な制度をつくる必要性があるとは、私は考えておりません。
○津川委員 厚生省と論争する腹はありませんけれども、年金がいろいろありますね、厚生年金もありますし、国民年金もありますし、石炭にもあります。今度これでしょう。何か個々ばらばらで、みんな違うつり合いで、憲法のもとに国民は平等でなければならぬという立場で貫いていない。まあ、その点は議論しませんが、この点で総合的なものを考えてみる腹はないのか、もう一度……。
○橋本(龍)政府委員 先ほどから憲法二十五条に保障されている権利を侵しておるかのような、それを侵し、なおそれに達しておらないかのような御発言が繰り返されておりますが、これはきわめて心外であります。私どもは憲法二十五条に保障されている、いわゆる最低生活の権利というものを、現在の生活保護法の保護基準の中でまかなっております。四級地の場合、現在たしかお年寄りの夫婦で一万四千円程度の金額と記憶しておりますが、この農業者年金におきましても一万六千円という、それを上回る金額を出しておるわけであります。これらの諸制度、いろいろの年金制度というもの、憲法二十五条を侵しておるかのような御発言だけはお慎みを願わなければならない、私どもは、現在できる限りの手段をつくしておるわけでありますから。
○津川委員 憲法論も、これは議論しませんが、老齢者年金で千八百円もらっていて、憲法の二十五条で保障している生活ができているかできていないかは、橋本政務次官、胸に手を当てて考えてくださればわかりますから、私はこれ以上論争をいたしません。 そこで第二の問題。今度の農業者年金で、かなり除外されている人たちがありますので、すべての農民に年金がいけるようなかっこうで今後この年金を改めていくおつもりがあるかどうか、答えていただきます。
○橋本(龍)政府委員 新たに発足させる制度でありますから、これは机上で議論をいたしましても、お互いに行き違う点も多々あります。しかし、実際に行なってまいりました場合にいろいろな問題も当然出てくるでありましょうし、いろいろな問題が出てきた場合に、それを実態に即するように改正をしていかなければならぬことは、これはまた当然であろうと考えております。
○津川委員 これで終わりますが、やはり私は、年金を受けるべき人にはかなり生活に苦しい人があるので、全額国庫負担の無拠出の年金が一つの理想目標だと思うのですが、いままで見られているとおり高いので、今度予算編成をするたびごとに、この年金の掛け金を減らしていくという考え方はございませんか。
○橋本(龍)政府委員 諸般の情勢を考慮した結果、決定をいたした金額であります。財政再計算年次において調整をいたす以外の時期においてこれを云々するつもりはただいま持っておりません。
○津川委員 それでは、政務次官は日本の年金の理想像というものをどのように考えているか、ひとつ答えていただきたいと思うのです。
○橋本(龍)政府委員 私はただいま厚生省の政務次官であります。個人としての見解を申し述べるに適した地位におりませんので、将来厚生省を首になりました時点で、またあらためて申し上げさせていただきます。
○津川委員 終わります。
○小沢(辰)委員長代理 次回は、五月六日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時三分散会