農林水産委員会 第20号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/04/24
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 この際、日ソ漁業交渉の経過、農薬による汚染牛乳に関する問題及び東京食糧事務所における原材料用等米穀の売却に関連する事件について政府から説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
○倉石国務大臣 日ソ漁業交渉につきまして御報告申し上げます。 日ソ漁業交渉は、カニについては二月九日から、サケ・マス、ニシンに関する日ソ漁業委員会は三月二日からモスクワにおいて開始されました。 日ソカニ交渉は長期の困難な交渉の末、四月七日両国代表間で合意を見、四月十六日正式調印が行なわれました。今次交渉においても、ソ連側は再びカニが自国の大陸だな資源であるとの強い主張のもとに、とうていわが国としては受入れられない一方的な規制要求を行なってきました。これに対しわが国は、カニが公海漁業資源であるとの基本的立場のもとに、わが国長年の開発実績の尊重及び資源状態の安定を主張し、ソ連側を粘り強く説得してこのたびの合意を見るに至ったものであります。 両国代表間で妥結を見ました内容は、わが国にとって必ずしも満足すべきものではありませんが、昨年にも増したソ連側の強硬な態度にかかわらず、全漁船の安全かつ円滑な操業が確保され、おおむね前年に近い線において妥結を見ましたことは、今次交渉の成果であると考えております。 日ソ漁業委員会は科学技術小委員会におけるサケ・マス、ニシンの資源状態等の討議及び取り締まり専門家会議における討議を終了し、三月末以来サケ・マスの漁獲量やサケ・マス漁業、ニシン漁業の規制措置を審議いたしております。 本年はサケ・マスの不漁年でもあり、ソ連はサケ・マス、ニシンの資源状態の悪化を理由にきびしい規制を要求しておりますが、わが国は資源状態から見て現行以上のきびしい規制は不要であると反論いたしております。わが国としては、資源の保存に十分な考慮を払いつつ、諸問題の審議を尽くし、わが国漁業の歴史的実績を確保し、わが国漁業の利益を最大限に確保するようせっかく努力いたしておるところであります。 次に、牛乳の農薬残留問題についての経過を御報告いたします。 厚生省では、昨年から国立衛生試験所を中心に数県において乳肉食品中の農薬残留量の調査を行なっていましたが、その過程において牛乳中よりBHCの残留が検出されたため、同省としてはこれに重点を置いて引き続き調査を実施することといたしました。 たまたま昨年十二月、その内容の一端が一部新聞に報道され、一般消費者をはじめ酪農乳業関係者に少なからぬ不安を与えましたが、厚生省は、いま直ちには人体には影響はない旨の見解を発表するとともに、引き続き一月から三月までその調査を続行することといたしました。 農林省は、昨年十二月初めBHCの国内向け製造の中止を指導するとともに、前述の状況にかんがみ、汚染経路の調査に着手し、その原因究明を行ないました結果、汚染は稲作の後期までBHCを使用した稲わらを多量に給与した場合に多いという調査結果が得られたので、一月下旬にそれらの稲わらの乳牛への給与を禁止するとともに、牧草、飼料作物や畜舎内、放牧地等におけるBHCの使用禁止、稲作への使用の規制等の措置をとってきたところであります。 この間、厚生省におきまして実施いたしました調査は一月、二月の両月分、一部三月分でありますが、の取りまとめが完了いたしましたので、同省はその結果を食品衛生調査会に報告し、その意見を求めましたところ、同調査会は、いまただちに危険であるとは考えがたいが、このままの状態が長期間続く場合は、保健上支障を来たすおそれがあるとして、今後とも早急に牛乳中のBHC汚染を減ずることを強く要望いたしました。 農林省としては、本件の国民健康に及ぼす影響にかんがみ、BHC製造の停止措置を引き続き継続するよう業界を指導するとともに、全組織をあげて前述の対策をさらに強力に推進し、残留量の減少につとめる考えであり、四月二十二日都道府県知事に対し、この趣旨を再度徹底するとともに、あわせてお手元に配付いたしました農林大臣談話を発表いたした次第であります。 次に、東京食糧事務所における職員の不正事件について御報告いたします。 このたび食糧庁東京食糧事務所に勤務する農林省職員の不正事件が発生しましたことは、食糧管理が重大な局面を迎えているおりから、国民の皆さまに対し、まことに申しわけなく存じているものであります。 何ぶんにも事件が起きまして関係の職員が捜査当局に逮捕、勾留されており、関係書類も押収され、事件が司直の手にかかっている段階であります関係上、詳細なことは不明でありますが、とりあえず現段階でわかっている経緯等につきまして御報告申し上げます。 事件の発端といたしましては、まず、本年四月十六日東京食糧事務所業務部業務第一課の係員、農林技官加藤稔が、その担当する職務に関する収賄の容疑で警視庁において取り調べを受け、同日逮捕、勾留されました。次いで、同月二十日同技官の上司である係長の農林事務官山田良雄が同様の容疑で取り調べを受け、同日逮捕、勾留されました。 容疑の内容としては、先ほど申し述べたような理由で、詳細は不明でありますが、逮捕された職員の担当していた原材料用の米穀の割り当て売却等に関し、米穀粉製造業者に便宜をはかり、金銭等を収賄したものと聞いております。 関係の業者といたしましては、昭和四十三年八月ないし九月ごろから米穀粉製造業を開始、東京食糧事務所からこれに使用する原料米穀につき、数量等の割り当てを受けていた有限会社田中商店及び西武農産工業有限会社でありまして、これらの会社の責任者はいずれも贈賄の容疑で逮捕されております。 いずれにいたしましても、かかる不正事件を起こしましたことはきわめて遺憾でございまして、現在の食糧管理をめぐるきわめて困難な情勢にもかんがみ、さらに一そう部内職員の綱紀の厳正を保つよう監督をしてまいることはもとよりでありますが、本事件について事実の解明を急ぎ、適切な措置をとることとするほか、業務の遂行のあり方、内部牽制の徹底と不正防止対策を早急に検討し、今後再びかかる事件の起こらないよう措置してまいる所存であります。
○草野委員長 以上で説明を終わりました。 —————————————
○草野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 ただいま倉石農林大臣から三点についての御報告がございましたうち、私は日ソ漁業交渉の経過に関連をして数点お尋ねをいたしておきたいと思います。 最初に大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、ことしの日ソ漁業交渉の経過について、いま御報告がございましたけれども、このカニ交渉の経過を見ましても、いま大詰めに来ておりますサケ・マス・ニシン等の交渉の大詰めの段階を見ましても、従来私ども日ソ漁業交渉については本委員会でも毎年論議を進めてまいりましたが、私の判断では、従来以上にソ連側の日ソ漁業交渉に臨む姿勢がきびしかったかのような感が率直に言ってするわけであります。これはソ連側の主張としていわば資源論争というところにおいて従来以上にきびしい根拠を持った主張があったのか、そうでなくて、ソ連国内の経済あるいは水産資源に対する要請というものがからまってきびしい情勢になったのかという点の判断に、率直に言って苦しむわけでございます。たまたまこの日ソのカニ交渉につきましては、先ほどお話しのように、二月九日から交渉が先行して開始されまして、四月七日の時点で妥結をし、十六日に調印が行なわれたわけでありますが、そのカニ交渉の難航した過程におきまして、本委員会においでになります赤城元農林大臣が、たまたま川島副総裁とともにソ連を訪問されておりまして、赤城さんの非常な側面的なバックアップによって雪解けの空気が出てまいりまして、そうしてカニ交渉について必ずしも日本側から見て満足した経緯とは、先ほども大臣の御報告のように、言えないにいたしましても、相当な線で合意を見るに至った、こういうふうに判断をするわけですが、ことしの日ソ漁業交渉に臨むソ連側の例年以上に私どもが判断をしてきびしい姿勢のように思われる根本的な理由はどこにあったのかという点についての、日本側の判断についてまず冒頭にお話を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 カニ交渉につきましては、ここ一、二年大陸だな資源の主張をソ連側は強くしております。そういうことが第一にわれわれのほうの主張と折り合わない点であります。 第二点は、やはり資源保護という立場を強く主張いたしておりますので、そういうことで難航はいたしたわけであります。
○角屋委員 この資源論争というのは日ソ漁業交渉が条約に基づいて始まりましてから十数年来になるのですが、結局いままでこの資源論争という点ではどうも共通の基盤というのがあってしかるべきなんだけれども、ソ連側の資源の問題に対する主張、日本側の資源の問題に対する主張というのは、必ずしも共通の広場の上で論ぜられるという形にならない。これは科学技術小委員会においてサケ・マス、ニシン等の資源状態の検討が始められてから結局本格的な交渉になるのですけれども、この資源論争の共通の広場という点に対して、もう少し打開の方法があるのでしょうか。やっぱり両方とも国益の立場から、どうしてもその点では、最初のスタートにおいては資源論争では帰一することがなかなかむずかしいというのが、今後とも続くのでしょうか。
○倉石国務大臣 資源論争につきましては、御存じと思いますが、わがほうは非常に専門的に、しかも時間をかけて資源の調査をいたしておるわけであります。同じ資源論争にいたしましても、そういうことについてこちらの正当な主張をいたしましても、先方はやはり先方のいわゆる科学的調査というものを根拠にして議論をされておりますので、なかなか折り合う点がむずかしいわけでありましたけれども、私どもといたしましては、いまお話がございましたように、純粋に技術的な問題につきましては、もっと技術的な検討を掘り下げて双方で話し合うことが必要ではないか、このように思って、そういうことで努力をいたしておるわけであります。
○角屋委員 今回の日ソのカニ交渉を見ましても、さっき大臣お話しのように、大陸だな条約におけるカニ資源というものを、向こう側が先ほどお話しのような主張の根拠に立つし、また、日本側はいわゆる公海資源としての立場に立つ。これは今後ともにある意味では平行線で続くのだろうと思いますが、ことしの日ソカニ交渉の妥結の経過を見ますと、たとえば漁区の場合においても、西カムチャッカにおけるイバラガニの漁業については北部を一部縮小せざるを得ない、あるいは西ベーリングの漁区につきましても、ズワイガニ漁業のオリュートル水域は、漁区をおおむね東半分に限定をする、あるいは東樺太のアブラガニの漁業については漁区を一部縮小の上に北に移動する。隻数、漁期については前年と各水域とも同じ状況で操業されるということになりましたが、漁獲量の問題についても前年同様のところもありますし、前年より減少のところも水域によって生じておるわけでありますけれども、こういう形で漁区がだんだん縮小されていくという傾向になりますと、今後の日本側のカニの漁獲問題という点では非常に関係者から見て懸念される傾向が出てまいると思いますけれども、これらの問題については今後カニ交渉に臨む方針として、ことしの経過から見てどう考えていったらいいのか、農林省としての考え方についてこの問題をお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 これはそういうことについて結論づけをすることはまだ困難でありますので、いろいろ検討してみようと思っておるわけでありますが、第一に、技術的な問題につきましては、どうもわがほうの時間をかけて調査いたしております技術的主張がやはり正当な主張であるというふうにわれわれは信じておるわけであります。しかし、相手方のあります交渉でありますので、そういうやり方等についてはなおひとつ十分に検討してみる必要があるのではないか。そういうことも含めてこの次に対処するための研究をしてまいりたいと思っております。
○角屋委員 いまサケ・マスの交渉が大詰めに来ておるわけでありますが、昨年はたしか四月二十九日に交渉が妥結をしたと承知しております。おそらく今明日ないしは来週の月曜日あるいは火曜日ごろまで、ここ数日のところがサケ・マスあるいはニシン等の問題についてはいわば大詰めの段階、こういうふうに判断をされるわけでございます。 そこで、サケ・マスの場合で考えてまいりますと、ここ数年来のサケ・マスの漁獲量というものは、ソ連側のきびしい要請もあって、御承知のようにだんだん減少傾向にきております。たとえばA地区、B地区の区分は別として、合計で考えてまいりますと、一九六五年が十一万五千トン、一九六六年が九万六千トン、これは不漁年であります。一九六七年が十万八千トン、一九六八年が九万三千トン、一九六九年、昨年が十万五千トン、これは豊漁年、不漁年が交互に来ますから、ことしは不漁年でありますから、そうしてみますと一九六六年の九万六千トン、一九六八年の九万三千トン、そしてことし、こういう形になりますが、私ども承知しておるところでは、ソ連側は、ことしは八万トンという前提に立って規制区域その他の問題についても相当きびしい主張をしてきておるというふうに聞いておるわけであります。ソ連側の主張の概要について少しく事務当局から簡潔にお答えを願いたいと思います。
○大和田政府委員 現在外交交渉中でございますので、詳細申し上げることは差し控えたいと思いますが、ソ連が言っておりますことは、漁獲量の相当の減、さらに操業いたします船の減、またコマンドルスキー島南方にかけての相当広い範囲における休漁区あるいは禁漁区の設定、この三点が大きな問題でございます。
○角屋委員 私ども承知しておるところでは、A地域の場合の東経百六十五度以西、これは全面禁漁。同以東の東経百七十度以西、北緯五十三度二十分以南、同四十五度以北、及びB地区の東経百六十度以東、同百七十度以西、北緯五十三度二十分以南、同四十度以北は六月十九日まで休漁、こういうような形で禁止区域の拡大あるいは休漁地区の設定という例年以上のきびしい姿勢できておる、こういうふうに聞いておるわけでありますが、一昨日北洋漁業界の関係者が集まられてソ連のサケ・マス、ニシン、あるいはさきに妥結したカニ等も含めまして、非常にきびしい姿勢に対しまして、あくまでも従来の伝統と実績の上に立って北洋漁業の漁場を守らなければならないということで大会等も行なわれたわけでありますが、日本政府といたしましても、日本の関係業界の要請はもちろんでありますけれども、やはり正当な主張についてはあくまでもこれを貫くということで、大詰めに来ておる漁業交渉に臨むことは当然のことであろうというふうに判断をするわけであります。ニシンの問題についてもお伺いいたしませんけれども、やはり私ども聞いておりますところでは、相当きびしい漁場制限の提示がなされておると承知をいたしております。大詰めに来ておりますサケ・マス、ニシン等の問題について、政府としてはソ連におります代表団に対して強力な姿勢をもって臨むように要請しておると思いますが、大詰めに来ておるサケ・マス・ニシンの交渉の問題について、基本的にはどういう姿勢で妥結の方向に向かわれようとしておるのか、この点大臣から基本方針についてお伺いをいたしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 こちらの基本的方針を貫徹できますように緊密な連絡をとりまして、代表はいま鋭意努力をいたしておる最中でございます。
○角屋委員 どうもやはり外交交渉の重要な段階でございますから、日本側としてはソ連側の八方トンの要請に対してはこれはのめぬ。したがって、少なくとも不漁年の一昨年の実績の九万三千トンを下回るわけにいかぬとか、あるいは相手側の規制の問題については、大部分は日本側としてはかくかくの主張からのめぬというような形について発表できるものについてはお聞きしたいと思いますけれども、時間の関係もありますし、大臣としても、大詰めに来ておる日ソ漁業交渉の問題を配慮して抽象的にお答えになったかと思います。その点は私もこれ以上深く触れることは避けたいと思います。私として希望しておきたいのは、おそらくここ数日が大詰めだと思いますので、やはり日本の関係業界の要請を政府がもろに受けて成功裏にこれが終わるように、さらに最大限の努力をしてもらいたい、こういうふうにお願いをいたしておきます。 さらに、今度の万博に関連してだと思いまするけれども、御承知の、かねて日ソ漁業交渉に関係の深いイシコフ漁業相が日本に参られた機会に、四月十三日に倉石農林大臣が会談をされたわけであります。これはもちろん当面の日ソ漁業交渉の問題についてのお話し合いをなされたかと思いますが、同時にかねてから懸案でありました北洋におけるところの安全操業という問題について突っ込んだ話しをされたと承知しております。その四月十三日のイシコフ漁業相との会談というものを通じてどういうお話しをなされたのか、差しつかえのない範囲内においてひとつ御報告を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいまお話しのように、万博の賓客としてソ連側からノビコフ副首相とイシコフ漁業相が来られまして、総理大臣、外務大臣にもお会いになりましたあとで、わりあいに長時間、私とお話し合いをいたしました。一口に申せばたいへん友好的な空気でありまして、先方の申されるには、先般愛知外務大臣訪ソの際、御提案がありました安全操業についてソ連側の政府部内において検討した結果、このことについて御相談をするという方針が決定いたした、そこで私がそのソ連政府を代表して当事者として任命をされましたというお話しでありました。私は、ちょうどカニが済んだところでありますが、いま行なっておりますサケ・マスについてもわれわれの主張をるる述べ、先方は先方で先方の主張をわりあいに長い時間説明がありました。しかしこれは現在わがほうの代表がモスクワにおるわけでありますから、それのほうで十分やってもらうということについてわれわれのほうの主張も十分聞き取っていかれました。安全操業につきましては、前にいわゆる赤城試案というものが出ております。その後愛知提案というものが行なわれておるわけでありまして、そういうことについていろいろその二つを基礎にして話し合いました。そこでこれらお二人の御提案はそれなりに意味もわかるが、もっと具体的にひとつ日本側の要望を出してもらいたい、それによって政府部内においてもほかのほうにも相談をしなければならない問題もあると思う。したがって、なるべくすみやかにひとつ日本側の御提案を願いたい、こういうことでありました。そこで、こちらの考え方が一応まとまりますならば、外交ルートを通じてまず折衝しなければならないと思っております。そこで、最終的には先方の希望はなるべく早く御提案を願って、その提案について外交ルートを通じていろいろ話をして、最終的には日本政府の代表者と会って取りきめをいたしたい。その時期、それからそういうことについては一切外交ルートを通じて話し合いをきめましょう、こういうことでありましたので、これからわが方の政府部内でいろいろ検討して考え方を取りまとめたい、こう思っておるところであります。
○角屋委員 最後に一点だけで私の質問を終わらしていただきます。 ただいま倉石農林大臣から四月十三日のイシコフ漁業相との会談の内容について相当ポイントをお話しになりました。結局これから日本側としては、ソ連側の要請にも基づいて具体案を取りまとめて、相手側と外交ルートを通じて折衝する、こういう段取りになるだろうと思います。そこで、今回の日ソのカニ交渉の際に、前農林大臣で当時ソ連側といわゆる接触をされる機会の多かった赤城さんのやはりバックアップというものが交渉に非常に大きなプラスをもたらしたという経緯からいたしましても、やはりこの問題も含めて当面の最高責任者である倉石農林大臣としては、ことしの日ソ漁業交渉におけるサケ・マス、ニシンあるいはカニ等の経緯からいたしましても、適当な機会、おそらくことしの夏になりますか秋になりますか、必要があればソ連にも乗り込んで行って、そして相手側とざっくばらんに話し合うということが私は必要であろうというふうに判断をするわけでありますが、それらの問題について農林大臣としてはどういう心がまえを持っておられますか、それをお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 安全操業の問題は漁業の問題でもありますけれども、他面領土問題が食い込んでおることは御存じのとおりでありますので、わが方の政府といたしましては、そういうことも加味して慎重に考慮いたさなければなりません大きな一つの外交問題であろうと存じます。したがって、先方は漁業大臣がその当事者に任命されたというお話でありますけれども、日本政府はいま申し上げましたような観点からして、これは大きな外交問題でもございますので、政府全体としても相談をして、どういう措置をとるかはこれから検討するところであります。
○角屋委員 終わります。
○草野委員長 次は、千葉七郎君。
○千葉(七)委員 私は、先刻農林大臣から報告がありました牛乳の農薬の汚染の問題並びに東京食糧事務所汚職の問題等につきまして若干の質問をいたしたいと存じます。大臣の先刻の報告並びに一昨日発表されました農林大臣の談話等を中心といたしまして、新聞紙上等に伝えられました事柄につきましてそれぞれ質問をいたしたいと存じます。 新聞の伝えるところによりますと、BHC並びにDDT、いわゆる有機塩素系の農薬によって牛乳が汚染をされておるという問題は、すでに三年以上も前から専門家の間ではそれらの点について警告を発しているということが伝えられておるのでありますけれども、この警告をいままでどうして無視をしておったか。しかも新聞の伝えるところによりますと、四十一年、いまから四年も前に高知県の衛生研究所の上田技官がこの問題を発表しまして、そしてその徹底的な調査を厚生省に要望していると伝えておるのであります。しかるにもかかわらず、これを今日まで厚生省並びに農林省当局は発表をしていない。これはどういう理由でいままで専門家の警告があったにもかかわらず、また県の衛生研究所の技官が調査を要望したにもかかわらず、それをひた隠しに隠して発表をしなかったか、その理由について大臣の答弁をいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 あの経過につきまして事務当局からひとつ御報告いたさせます。
○神林説明員 お答え申し上げます。 私たち、四十一年の報告があったのは、不勉強でまことにすみませんでしたが全然知らなかったわけでございますが、当時その発表は一応牛乳のみに関せず、農産物全般に関するデータを発表したものでございまして、またその当時は、学界でも特に牛乳というよりも普通の農産物のほうに問題がございまして、そのまま経過してきたわけでございます。そして、さらに昨年の三月、同じ上田という高知県の衛生研究所の方が高知県の牛乳のサンプルをとりまして調べましたところ、ある程度——これは特に牛乳を中心にしてやったデータでございますが、高いという発表がございまして、それを国立衛生試験所のほうに一応確かであるかどうかということを求めてまいったわけでございます。そしてその結果、このデータについては間違いがないということになりまして、衛生試験所から厚生省のほうにその報告が参りまして、その結果、私たちのほうとしましては、急遽これは重大な問題であるということでございまして、昨年の七月末に厚生科学研究費の緊急保留分をいただきまして、八月の五日に関係八府県のほうに牛乳の調査あるいは牛乳以外に肉の調査あるいは卵の調査というようなものを依頼したわけでございます。また、それを隠しておったというような事実はございませんでして、その意味で、先般も私たち二十一日に調査結果を取りまとめてこれを公表したわけでございます。
○千葉(七)委員 隠しておった事実はない、そういう答弁でありますけれども、この上田技官の調査、その結果厚生省に対して国として全国的にこの牛乳中の農薬調査をなすべきだと要望した、それが四十一年、いまからまる四年前ですね。にもかかわらず、この要望を隠しておいたのではないとすれば取り上げなかったのだ、こういう結果になるだろうと私は思うわけであります。しかも昨年の初めスウェーデンではDDT禁止の方針を明らかにしておる。それに続いて世界の各国で有機塩素系の農薬の規制に動いておった、こういう事実が世界的にあらわれておったわけですね。それにもかかわらず調査を怠っておったということは、これは隠しておったと言われてもしかたがないのではないかと思うのですが、それはそれといたしまして、昨年の八月五日、ようやくこの重い腰を上げて調査をなさったそうでありますが、関係府県の調査を行なったというただいまの御答弁でありますが、その各府県、どことどこを調査をなされたのか、それを明らかにしていただきたいと存じます。
○神林説明員 お答え申し上げます。 八府県と申すのは、北から宮城、新潟、愛知、大阪、岡山、高知でございます。それに国立衛生試験所が加わっております。
○千葉(七)委員 これでは六府県じゃないのですか。宮城、新潟、愛知、大阪、岡山、高知、あとの二府県はどこですか。これでは六つです。六府県ですよ。
○神林説明員 隠したわけではございません。最初に依頼したのがこの六府県でございまして、私が八府県と言ったのと確かに食い違っておりますが、さらに十二月、朝日新聞に発表された時点で、これだけでは北海道と九州方面のデータが欠けるというわけでございまして、十二月の十九日に北海道と九州ブロックの代表といたしまして長崎県を加えまして、八府県でございます。どうもたいへん失礼いたしました。
○千葉(七)委員 ようよう隠していたのが明るみに出ましたね。全国でこの酪農地帯、酪農県とでも申しますか、それは大体何県あるわけですか。
○太田政府委員 御承知のとおり、酪農の場合には加工原料乳地帯と市乳地帯とございますが、加工原料乳地帯は主として草資源の豊富な北海道、東北、それから南九州等が中心になるわけでございまして、それ以外に市乳県といたしましては、南関東、北関東、東海、それから近畿地方、そういうところが大体中心でございます。なお、中、四国にも、もちろん酪農地帯はあるわけでございまして、この各県にわたって酪農が行なわれておるということでございます。
○千葉(七)委員 どうも私理解に苦しむのは、こういう問題が起きて、ただいまの答弁によりますと、全国各県が牛乳の生産をやっておる。まあ全県酪農県といってもいいというように、全国各地に牛乳の生産が行なわれておるわけでありますが、こういう問題が起きたならば、全国的にこういう調査を行なう必要があったのではないかと私は考えられるわけなんであります。それを各地域の代表県、代表的に各県、六県なり八県なり程度を調べてお茶を濁すというようなやり方は、どうも理解ができないのですが、その点はどういう理由で全国的に調査をしなかったか、理由がありますならば、お知らせを願いたいと思う。
○神林説明員 お答え申し上げます。 一応この農薬の分析というのは、非常に技術上むずかしい問題がございましたのと、特に脂肪を含んでいる食品の分析というものは非常に分析者の訓練とか、そういうものがございまして、まあ七月の当時といたしましては、一応私たちのほうでは衛生試験所と相談した結果、この県ならば分析の能力も非常に高いし、従来そういう経験もいろいろあるからという、一つは分析技術上の問題がございまして、八都道府県を選んだわけでございます。 それから、もう一つは、これは全国的にやりたいということもございましたが、一応調査研究という意味で厚生省のほうの研究費を出しましたわけでございますが、研究費の制約がございまして、とりあえずブロックというようなことで選んだ、それが最終的に八都道府県となったわけでございます。
○千葉(七)委員 結局この調査の設備が各県全体にそろっているというわけではない、そこで、その能力のあるところを主として調べたのだ、こういうふうに答弁を理解してよろしいだろうと思うのですが、それならばいたし方がないと思うのですけれども、こういうBHCなり、あるいはDDTの農薬の使用というのは、全国的にどこの県でもそれらの農薬は使われておるわけであります。今度問題になった牛乳の農薬の汚染は、これらの農薬を使用した水田の稲わらを飼料にして乳牛に給与したために牛乳が汚染された、こういうふうに当局も言っておりますし、新聞等でもそういうように伝えられておるわけでありますが、一昨々日かの新聞にも伝えられておりましたが、ヘリコプターで農薬を散布した。それが牧草畑に飛んでいって、そうして牧草畑に大量にまかれたといったようなことも伝えられております。したがって稲わらを飼料として給与していない地域でも、どういう不測の事態で牛乳が汚染をされているかわからぬというのが、今回の問題から当然想像されるわけであります。したがって、こういう問題が発生をしましたならば、これは全地域の牛乳を調査するのは、これは私は政府当局の責任ではないかと思うのです。ぜひそれは今後も調査を進めていただきたいと思います。 時間が制限をされておりますから、かけ足で質問をいたしますが、大臣の談話によりますと、この問題が起きてからあわてて二十二日に談話を発表して、この対策を講じておるのだといったような申しわけをしておりますが、この都道府県生産者及び乳業者団体等に対して、稲わらの使用の規制を通達をした、こういうことなんですが、使用の規制を通達をしただけで、しかも西日本方面は稲わらを粗飼料として乳牛に給与しなければ酪農が成り立たないと私は聞いております。そういう地帯の酪農に対して、乳牛の飼育に対して稲わら使用の規制を通達をした、あるいは指導した、この規制だけで、はたしてこういったような牛乳の汚染が防げるかどうか、御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
○太田政府委員 御承知のとおり、先ほどの大臣の経過報告にもございましたように、今回の調査が一月、二月という時期であったわけでございます。この時期は青草もございませんし、飼料作物等もないわけでございまして、特に九州の地帯におきましては、稲わら給与が確かにこの時期には多いということもわれわれ承知をいたしております。今回の調査結果によりましても、サイレージとか、配合飼料とか、飼料作物とか、干し草を給与したものはほとんど問題がないような結果になっておりますので、われわれは稲わら給与が原因であるというふうに見たわけでございますが、たまたま、御承知のとおり、昨年はウンカ等が非常に大発生をいたしまして、特に西日本におきましては後期までかなりBHCを使ったというような事実もあるわけでございます。そこで、われわれとしては、できる限り、いま大臣報告にもございますように、本年の一月二十八日に稲わらの使用規制の通達をいたしたのでございますが、こういう地帯におきまして、確かに稲わらを多数給与をいたしておるという実態から見まして、直ちにこの切りかえが完全に行なわれるということが困難であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、BHCの汚染度を急速に下げなければならぬということでございますので、われわれは、県を通じ、さらに、生産者団体等を通じまして、これに協力することを依頼をいたしましたり、われわれも現地におもむきまして、そういった指導も実はいたしておるのでございます。 今後におきましては、これも大臣談話にもございましたように、牧草、飼料作物あるいは青刈り作物等も出てくる時期でもございますので、急速にBHCの汚染度は下がるであろうということを期待いたしておるわけでございますが、なお、従来、指導いたしております趣旨の徹底を今後も引き続き、全組織をあげまして、繰り返し、繰り返し指導いたしまして下げることが、われわれの任務であろうというふうに考えておる次第でございます。
○千葉(七)委員 いまのこの答弁にもありましたが、大臣の談話にも、「目下牧草、飼料作物、野草等も十分給与できる時期」となった、こう答弁をしており、談話でも申しております。私は、いかに九州地方といえども、まだまだこの牧草や飼料作物、野草等を十分給与できる時期となったとは思わぬのです。おそらく、六月ごろまではそういう時期にはならないと思うわけであります。したがって、農薬を多量に使った稲わら、これはまだここ一、二カ月は、この使用を規制したぐらいのことでは、給与をとめることができないじゃないかと思いますが、その点に対する御見解はどうですか。
○太田政府委員 私たちの見通しといたしましては、北のほうと違いまして、南のほうでは、すでにそういう時期になっておるということでございまして、現実に、過去の実験例におきましても、飼料作物等を給与いたしました場合には、三週間ぐらいで急速に下がるということも、実際に実験の例としてあるわけでございますので、われわれは、これらの給与によりまして、急速に下げるということを考えておるわけでございます。
○千葉(七)委員 もうすでに野草、牧草などは給与する時期になったと、こう言うんですね。——田中さん、あなた、出身地でどうですか、もうそういう時期になりましたか。——南国四国ですよ、田中君の出身地は。大体五月末、六月にならなければ、こういう時期にならない。そこで、この稲わらの使用をとめる。そのためには、代替の飼料を給与するような措置を講じなければいかぬ。ここには、その「措置等も講じてきたところであるが、」と大臣は談話しております。「また代替飼料に対する措置等も講じてきたところであるが、」——代替飼料に対する措置を、どういう措置を講じたか、大臣、ひとつ答弁してください。
○太田政府委員 全購連等におきましてヘイキューブ等の輸入を計画をいたしておりまして、これらの給与をこういった地帯におきましてはやろうということにいたしておるのでございまして、それ以外にいろいろまだ、ビートバルブとかございますから、こういったものの給与に切りかえる、あるいは従来つくりましたサイレージ等を繰り上げてこれを支給するというようなことも指導をいたしておるのでございまして、これらは県々によりましてやり方は違いますが、県自体といたしましても、たいへんな問題でございますので、われわれの指導に従いまして、一生懸命やっていただけるものというふうにわれわれは期待をいたしておるのでございます。
○千葉(七)委員 私は、この稲わらの使用をとめて、そうしてこの牛乳の汚染を防ぐためには、お話のとおり、稲わらの給与にかわる飼料を政府が措置をする、いわゆる代替の措置をする、そういうことでなければ、稲わらの給与をとめることができないんじゃないかと思うのであります。しかも、稲わらの値段と代替の飼料の値段は、これたいへんな差があると思うのです。稲わらはたしか一キロ六円か七円だったと思うのですが、干し草その他は三十円も四十円もするんじゃないかと思うのです。そういうことを、飼料の代替等を酪農家の負担だけでそれを実行させるということは、あまりにも酪農家に対する犠牲を押しつける、そういう結果になるわけなんであります。農薬の使用を盛んに奨励をしまして、そうして米の増産を奨励してきたのは政府なんであります。でありますから、その稲わらの給与をとめて、そうして代替の飼料に切りかえろと、こういうことを国の政策として進めるならば、当然政府は、それらに対する救済の措置というものを講ずることこそ、この大臣の談話にある「代替飼料に対する措置等も講じてきた」こう言えるだろうと思うのです。そういう措置は何ら講じなかった。講じないで、酪農家に対してのみこの犠牲を強要するということは、非常に片手落ちなやり方ではないかと思いますが、その点は御意見はどうですか。
○太田政府委員 確かに農家におきましては、自分の水田からとれました稲わらを使う形態もございますし、足りない分は購入して給与するというような実態もあるようでございますが、まずみずからの経営を守るためにも、やはり汚染度を下げるということが至上命令でございますので、そういった指導をいたしたわけでございますが、一部の地域においては、稲わらを焼却したというようなことも聞いております。そういう補償を何とかしてくれないかというような陳情も実は受けておるわけでございますが、これらにつきましては、実行上いろいろ確認の問題とか問題もございますので、慎重に検討いたしたいと思うのです。
○草野委員長 千葉君に申し上げますが、申し合わせの瞬間を非常に超過いたしておりますので、すぐに結論に入られるように希望いたします。
○千葉(七)委員 それでは、最後に二、三点だけお伺いしてやめることにしますが、いま飼料の代替について補償の陳情等もあるというお話でありますが、それを受け入れて補償するというような考えがあるかどうか、ひとつ大臣、その点だけ答弁してください。
○倉石国務大臣 これは大体、こういうことが新聞などに出るもう数カ月前から、農業協同組合の有力な方々等しばしば見えまして、研究の結果についていろいろ御相談があったわけであります。私は、社会一般のいまのような取り上げ方を云々するわけではありませんけれども、あの厚生省の研究審議会でありますか、あそこの報告でもわかりますように、私どもといたしましては、これからこういうものを使用しないようにということをすることによって十分であるというふうな意味のことを書いておるわけでありますが、いずれにいたしましても、これは生産者にもたいへんお気の毒なことでありますし、そういうことをいろいろ勘案いたしまして、生産者団体の方々と十分打ち合わせまして、将来、牛乳に対する一般消費者の迷惑をなからしめるために、もう一つは、生産者がどういうことになっていかれるか、いまみようなお話もございますので、とくとひとつ生産者団体とも御相談をいたしてみたいと思っております。
○千葉(七)委員 そこでこういう牛乳を……。
○草野委員長 千葉君、時間ですから……。
○千葉(七)委員 こういう牛乳を飲用しても、いま直ちには危険はないというようなことを当局が言っているようです。これは長期に飲用すれば危険のおそれがあるということですが、その長期というのは一体どれくらいなんですか。一ヵ月くらいですか。何年ですか。それとも一年くらいですか。
○神林説明員 現状で申し上げますと、少なくとも一年以上はだいじょうぶでございます。それからこれは慢性毒の実験の結果によっておりますから、値が下がっていけば一生でもいいというような問題にはなると思いますが、一応一年はだいじょうぶということで考えております。
○千葉(七)委員 これはおそらく大人の場合には一年くらいはだいじょうぶだろう、こういうのだろうと思うのです。ところが御承知のとおり、牛乳は乳幼児の主食なんですね。乳幼児に一年飲ませて危険はないとはいえない。でありますから、この危険を除去するためには、あらゆる手を打っていただかなければならぬと思うわけであります。時間がありませんから、ひとつその点に対する政府の心がまえをお聞かせをいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 政府といたしましては、残留毒物につきまして前々からいろいろ研究をいたしておりますが、さらに今度のようなことを考慮いたしまして、低毒性の農薬を使用いたす方向で厚生省とともに努力をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。
○千葉(七)委員 なおこのDDTやまたBHCの使用を停止をしているというお話でありますが、これは禁止させるのが至当ではないかと私は思うのであります。こういう毒性の強い農薬はそういう措置を講ずべきだと思いますが、ひとつそれを要望して、牛乳に対する質問は終わることにいたしまして、次に……。
○草野委員長 千葉君に申し上げますが、予定の時間を倍以上経過いたしておりますから、すみやかに停止されんことを望みます。
○千葉(七)委員 じゃ、これで終わります。
○草野委員長 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 私は東京食糧事務所の米の払い下げについての汚職の事実の問題について質問をしたいと思います。 警視庁捜査二課が摘発に乗り出したところの食糧庁東京食糧事務所の原材料米払い下げにからむ贈収賄事件は、十九日までの調べで、配給用の米が事故米として加工用に払い下げられたり、原材料米が配給米に化けていた疑いを持っておるわけでございます。今後たくさんの払い下げが予定されておりますが、古々米の払い下げをめぐって黒いうわさが出ているときだけに、たいへん心配をいたしておるものでございます。 そこで時間の制約もありますので、大臣きょうおいででありますから、重複を避けてお尋ねいたしますが、このことについては、かねて私もたいへん巷間うわさを聞いておりまして、心配しておりましたので、実は先日、四月一日に当委員会でこのことに触れて私が質問をいたしておったのであります。そのときの内容は省略をするといたしまして、そのとき森木政府委員は次のような答弁をいたしております。「さような風説なりうわさなりというのが流されておるということは私どもも聞いております。したがいまして、この処理については、私どもとしても、さような風説のようなことにならないように、できるだけ横流し等の防止措置は厳重にやっていきたいということで、いま頭を悩ましておる最中であります。いろいろな、向けます用途によって多少違ってくるかと思うのですが、いずれにいたしましても、売却をする相手が十分私どもの監督に服する、また私どものほうでもできる限り手を尽くして横流れがないように監督をしていくという、両面からこの問題に対処していかなければならぬと思います。仲に入る人あるいは買おうという人が、さような風説をなしておるということはございますけれども、私どもとしては、食糧庁のほうから直接払い下げを受ける方々が横流しをしないというふうな態勢、心組みを十分とっていただくこと、また私どももそれに対して十分監督をしていくこと、その二面から、風説のようなことにならぬように、できるだけひとつ厳重にやっていきたいということでいま検討をしておるところであります。」このような答弁をいただいております。実はこのことについては私もあちこちでこういったことをよく聞いておりますし、まだ事実は確かめておりませんけれども、今後古々米の払い下げ等については将来たくさん起こり得る可能性もあるし、また膨大な米でございますので、この機会に、時間もございませんので、農林大臣にこの問題の今後の対策について決意をお伺いしておきたい、かように思います。
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたように、こういうことがいま司直の手にかかって調べられておる最中でありますから、どういう結論が出ますかわかりませんが、伝えられておりますようなことがもしありとすれば、まことに申しわけないことであると存じまして、深くお詑びをいたさなければならないと思っております。 ただいまお話しのように、何か悪いことをやろうとする者はなかなか知恵があるわけでありますから、そこのところはなかなかむずかしいと思いますけれども、実は先般も過剰米処理についていろいろ農林省で検討いたしております中にも、飼料としてどうだろうということで、農業団体などとも話をして、とりあえず何方トンかを出してみて、そして飼料に適しておるかどうかという研究をさせようということで、そういう方針をきめたこともございますけれども、そういうようなときにも、また妙な問題が起きてはいかぬので、間違いのないようにどうすべきであるかといったような、飼料に適するかどうかという研究の前に、その研究の前の経路について頭を悩ましておるというような次第であります。今回のようなことにつきましては、実際は本人たちが入っておりますので、真相をつかめないのでありますが、どういう経路でありますか、今度の取り調べの結果によりましては、私ども将来の行政の施策についてたいへん参考になる、教えられるところがあるのではないかと思うのでございますが、いずれにいたしましてもこういうことがあったにつきましては、ますますきびしく厳正に対処するようにあらためて指導いたしたいと思っております。
○瀬野委員 今度の事件については、農林大臣としてはきびしく厳正に対処していくということでございますが、いずれまた一般質問の機会を得て、こまかい問題については質問するとしまして、次に牛乳の問題に入りたいと思います。 これも農林大臣の談話がありましたし、けさほども経過の報告がございました。その中で牛乳中のBHC残留問題については、四月二十一日、厚生省の食品衛生調査会によりまして、いま直ちに危険であるとは考えがたいが、このままの状態が長期間続く場合は、保健上支障を来たすおそれがあるとの意見が発表され、今後とも早急に牛乳中のBHC汚染を減ずることが強く要望されるということで、農林大臣から談話を発表されております。実は今回のこのBHCの問題は、西日本が特にその傾向が強いということで、先ほどもいろいろ答弁がございましたが、実はこの問題については、われわれもかねがねこういった問題を懸念しておりましたもので、今回国会に出てまいりました機会に、実は去る三月二十六日これまた私当委員会で大臣に質問をいたしたのでございます。その中で倉石農林大臣はいろいろ今後のことについて述べられて、最後に農政局におきましては、四十五年一月局長通達によりまして、有機塩素殺虫剤の使用に関しまして、乳牛の飼養に用いる作物に使用しない、稲についてはBHC剤、DDT剤の穂ばらみ期以降の使用は行なわれない、こういったような指導をいたしておるというような答弁が農林大臣からあったのでございますが、もうすでにこの時点においていま心配されておるような問題が起きていたわけであります。もちろん総合農政の大きな転換期にあたりまして、今後酪農を振興していく上に、九州等では特に牛乳の過剰問題等ございまして、消費者に与える影響も大きいわけで、こういった公開の席でこの問題を取り上げることはどうかと思って、私も将来のことを心配してこのような質問を三月二十六日にいたしたわけでございますが、最近新聞紙上にもいろいろと書かれまして、すぐにはその影響があるとは思われませんけれども、今後かなり重大な社会問題である、こう思うわけです。そういった意味から、大臣のこれに対する今後の腹がまえ、決意を承っておきたい。先ほどからいろいろこまかい点がございましたが省略して、その一点だけお伺いして、今後心配のないように、安心して消費者が牛乳を飲めるようにしていただきたい、こう思うわけです。
○倉石国務大臣 政府といたしましては、農薬残留問題の重要性にかんがみまして、かねがね特定の農作物及び農薬につきまして残留許容量を定めますとともに、これに対応した農薬の安全使用基準を定めまして、これを励行するように指導を行なってまいったわけでありますが、まだこれらの基準の定められていない重要な農作物につきましても早急に基準を定めるようにいたしたいと存じます。 なお、新農薬の登録にあたりましては、農薬残留について必要な検査を行ないまして、その安全性を確認した上で登録することといたしておりますが、今後はさらに毒性試験施設の整備をはかりまして、その適正を期するとともに、低毒性の農薬の開発の促進に努力いたしたいと存じております。
○瀬野委員 大臣から今後の方針を承りましたが、こまかい点についてはまたいずれかの機会にお伺いすることにいたしまして、最後に日ソ漁業交渉の問題について一点だけお尋ねをしておきたいと思います。 先ほど大臣からも経過の報告がございましたように、カニ、サケ・マスの問題につきまして三月二日モスクワで委員会が開かれ、四月七日に合意、その後四月十七日に調印が行なわれたことは御承知のとおりであります。カニ、サケ・マス、またニシンについては公海漁業資源でございまして、私たちはこのたびの妥結は満足できないものであります。また大臣もそのように申されておられますが、昨年にも増してソ連側の強硬な態度が伝えられまして、たいへん憂慮いたしておるわけでございます。特に私が大臣に一点だけお伺いしておきたいのは、カニの漁獲について、大陸だなというものはもともと日本が開発したものであり、ソ連に規制されるような筋合いはない、われわれはこのように認識をいたしております。したがって、外交姿勢が弱腰ではないか。もっと強硬な態度で臨むべきである。またソ連が、毎年毎年ますます態度がこのように強硬になるようなことではたいへん心配されます。この一点について、大臣の今後の決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○倉石国務大臣 カニにつきましては、先般御報告申し上げたとおりでありますが、カニの件につきまして、御存じのように先方は大陸だなを主張いたしておりまして、大陸だなに生息しておるカニはその大陸だなに付属しておるものであるというので、したがって公海におるものを日ソ両国が話し合いできめてとるという考え方ではなくして、ソ連の所有物について日ソ間で特別な協定を結んで分けてやるんだという考え方に立ってまいりましたので、日ソ漁業委員会とは切り離してカニは別な交渉になったことは御承知のとおりであります。私どもといたしましては、これについて種々不満もありますし、またカニが公海の資源であるというわれわれの主張とはまっこうから対立するわけでありますが、いずれにいたしましても、海で国境を接しております両国の間でもありますし、また最近きわめていろいろ経済交流、人事の交流など行なわれまして、双方とも親善関係を維持することも必要ではございますが、それにいたしましても、そういう親善関係を持続していくという基本的観念の上に立って、われわれの正しい主張を先方に認めさせるためにこれからなお努力を重ねてまいりたい、このように思っております。
○瀬野委員 以上三点の質問をもって終わりますが、これは現在における重大な問題ばかりでございまして、当委員会としても今後これに対する審議をいろいろ重ねていかねばならぬ問題だと思っております。いずれまた委員会等でこまかい問題は審議するとしまして、時間の制限もございますので以上で質問を終わりますが、今後当局としても慎重な対策を立てて、国民に迷惑をかけないようにまたよろしく検討をお願いしたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○草野委員長 小宮武喜君。
○小宮委員 相当時間も経過しておるようでございますから、簡単に加工米の汚職事件と牛乳の汚染対策、並びに日ソ漁業交渉の問題について質問をしますが、再質問をできるだけ避けたいと思いますので、そのつもりでひとつ御答弁を願いたいと思います。 昨日の理事会におきまして、この加工米汚職事件についての食糧庁長官の報告を聞いておりますと、長官は、安い米を高く買う人がいるのはいかにもおかしいというような印象を受ける発言をなされたのでございます。なるほど今回の西武農産工業や田中商店などは、等外米や事故米をトン当たり四万五千円程度で払い下げて、それを七万五千円から八万五千円で食堂あたりに販売しておるわけですから、確かに御指摘のとおりでありますが、しかしこれは、正規の配給米はトン当たり十三万円近くもしておるためにこういった安い米に食堂が飛びついたということが報じられておるのでございます。私は食糧庁長官の発言を聞きまして、長官はほんとうに今度のこの問題について反省しておるのかどうかということを非常に疑問に思ったわけでございます。したがって、長官はその監督不行き届きを反省しておるのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
○森本政府委員 しばしば申し上げておりますように、かような事件が発生いたしましたことは私どもとしてもきわめて残念でございます。またたいへん申しわけないと思います。また事件の原因なりあるいは真相がわかりますれば十分そういったことについて反省をし、今後再びかようなことが起こらないようにできるだけの措置をとりたいという心境でございます。昨日、理事会におきますところの発言の内容をお取り上げになりましたが、私ども、こういった事件でございますから決定的なことはもちろん何も現段階でわからないわけでございますが、この数日来、こういうケースではないか、ああいうケースではないか、ああではないかこうではないかといったようなことを庁内においても論議をいたしております。そういった過程のことをああいう席上でございますから申し上げたようなこともございます。したがいまして別段反省をしてないといったようなことではございませんで、こういうケースもあるかああいうケースもあるかというようなことを庁内でいろいろ話し合いをしておるという過程のことを申し上げたのでございまして、別段さようなことでわれわれが反省をしてない——むしろこういった事件を再び来たさないために数日来いろんなケースがあるのじゃないだろうか、こういうケースがあるのじゃないだろうか、ああいうケースがあるのじゃないかというようなことをいろいろ検討しておる過程のことを申し上げたつもりでございます。
○小宮委員 この問題についてはこれ以上追及しようと思いませんが、さらに食糧庁長官にお聞きしたいのですが、新聞紙上によりますと、東京食糧事務所の別館は米穀関係業者のたまり場になっておる。これは昭和二十四年から約二十一年間役人と業者が同居をしておるということが報道されておりまして、その場合に間借り代として昭和二十四年から月八万円の家賃で貸しておるということが言われておりますが、この十年間を計算しますと、家賃だけでも九百六十万になるわけですが、そういったいまのような関係の中でこういった家賃をとってその家賃がどのように使われておるのか。こういった事件を見ますと、うやむやに、むしろ飲み食いに使われておるのではないかということを懸念するわけですが、その点この家賃はどのように収入として受けられ、どのように使っておるのか、その点をもう一つお伺いします。
○森本政府委員 御指摘の東京事務所の本庁舎のそばにあります建物でありますが、私どものほうで関係の食糧の団体に対して事務所として貸しておるということでございます。お尋ねのございました私どものほうで貸し賃として取っておりますものをどう使っておるか。これは予算上一般の歳入として計上し徴収をして国庫に入っておる、そういう経理をいたしております。
○小宮委員 その点は了解しました。 次は大臣にお尋ねしたいのですが、東京事務所のお役人たちは新年宴会だとかまたは忘年会、送別会などにはこの業者たちから常に酒が贈られておる。またときには一緒に酒宴をやっておる。特に今回のこの事件で逮捕された連中たちとは連夜飲み屋、バーに行ってそのときそのつど現なまを握らされておるのではないかということさえも新聞に報道されておるわけです。私はその問題が事実かどうかということは究明しませんけれども、このような例はこれはもう氷山の一角で、現在ほかのところでもやられているかもしれないし、またこれは農林省だけではなくて各省庁でもやられておることと私は思いますが、こういった問題が今後も発生する危険性が多分にありますので、今後の対策並びに綱紀粛正に対しての大臣の決意をひとつお聞きしたいと思います。
○草野委員長 大臣はいまちょっと離席していますから……。
○小宮委員 それでは時間がございませんので、いまの点は大臣が帰られてからお聞きしたいと思います。 次は牛乳の汚染対策についてでありますが、牛乳に有機塩素系農薬のBHCがかなり高い濃度で含有されておることはこれはもう厚生省の分析結果で明らかにされておりまして、厚生省の食品衛生調査会よりも先ほどからもいろいろ言われましたように、いま直ちに危険があるとは考えないが、このままの状態が長期間続く場合は保健上支障を来たすおそれがあるという意見が発表されました。今日の食生活の中で牛乳の占める重要性からいっても国民は非常に不安を感じておるわけです。このことにつきまして大臣の談話を拝見しますと、都道府県、生産者及び乳業者団体等に対して稲わら使用の規制、牧草、飼料作物や畜舎内におけるBHCの使用の禁止、稲作に対する使用制限について強力な指導を行なって、その残留量の減少につとめてきたが、今後もBHCの製造停止措置や、従来の対策をさらに強力に徹底させてBHC残留量の減少につとめますので、消費者の皆さんよ、心配されないようにお願いしますというような談話が発表されておりますけれども、まず疑問に思いますことは、牛乳が汚染されているということであれば、当然その加工品であるチーズ、バターはどうかということです。これについて国立衛生試験所の所長は、バターには高濃度で含まれるおそれがあるが、チーズは心配がない。しかしバターは一度にたくさん食べるとは考えられないので、牛乳ほど心配する必要はないということを座談会で言っておられるわけですが、率直に言って国民は疑問を持っておるわけです。この国民の疑問に対してもし農林省や厚生省が乳製品の分析を行なっておられるならばその結果を公表すべきだと思います。したがって、この乳製品の分析はやられたのか。やっておられるならその結果を教えてもらいたい。
○神林説明員 お答え申し上げます。 乳製品につきましてはただいま分析中でございます。なお、これは推定でまことに申しわけございませんが、バターなどはおそらく北海道方面が主要の原料産地でございますから、たぶん低いだろうというような予想を持っておりますが、なおいま分析をやっております。それから牛乳あるいは乳製品全般につきましても、今後厚生省といたしましてはもう少し系統的な調査をやりたい。特に牛乳につきましては、これは全国的な調査を本年度からやっていきたいというふうに考えております。
○小宮委員 それではひとつ先ほどの綱紀粛正に対する大臣の決意をお聞きしたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたように、まことに今回のような事件は遺憾千万であります。種々こういうことのないように、これからもなお、いままでもそういうことについて省内で相戒めてまいったのでありますが、こういう事件がありましたことをも機会に、さらに綱紀を粛正、厳正にいたすように指導してまいりたいと思います。
○小宮委員 このBHC工業会では、農林省の指導によってだろうと思いますが、昨年末からこのBHCとDDTの国内向けの生産を中止をしておるわけですが、しかしこのBHCの在庫品への注文はふえておるということを聞いておるわけですが、これは事実ですか。事実だとすれば、これは政府の方針と相反することにもなると思うのですが、政府はこのBHCに対しての現在の注文、非常に在庫に対してふえているということについての今後の対策をどうするつもりかということを、ひとつお伺いします。
○池田政府委員 農薬工業会が昨年の十二月の初めでございますけれども、国内向けのBHCの、これは原体でございますが、製造を中止いたしたのでございます。もちろん、これは政府とよく連絡をいたしました結果でございます。ただいま、何か最近非常にそういう注文がふえているのではないかというお話でございますが、私どもはそういう情報は承知をしておりません。想像いたしますと、これはBHCは、たとえば稲作だけではなしに、ほかの果樹とかその他の分野にも使われておりますので、そういうようなところで若干注文があったというようなことではなかろうかと思います。特にそういうような話は、私どもは聞いておりません。
○小宮委員 また最近食肉用のブロイラーとか、子豚、子牛や養殖魚のウナギ、ハマチ、ニジマス、こういったものにも盛んに抗生物質が乱用されて、いままた大きな問題になりつつあるわけですが、これもBHCの汚染牛乳問題と同じように、これは農林省、厚生省の監督不十分ではないかということが指摘されておるのでございますが、政府の対策は常に後手後手に回って、手ぬるいのではないかというような批判が出ておるわけですが、大臣として、この牛乳の汚染対策を強力に実施すべきであるというように私は考えるわけですが、それについてひとつ大臣の所見を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 時間もないようでありますから簡単に申し上げますが、先ほど私どものほうの決意は瀬野さんに詳細に申し上げました。ああいう決意でございます。
○小宮委員 急ぎますから、次は、この日ソ漁業交渉について質問をしたいのですが、私は三月の十八日に開かれました日ソカニ交渉の危機突破緊急代表者会議に出席したわけです。また二十二日のこのサケ・マス、ニシンの日ソ漁業交渉促進のための全国抗議大会にも出席した者でございますが、この集会で出された業界代表の悲痛な意見発表の中に、政府も国会もこの日ソ漁業交渉の問題については無関心ではないのか、国会でも一つも取り上げてくれないではないかというような強い不満が訴えられておった次第です。指摘されてみれば、なるほどそのとおりだと私も感じたわけですが、このカニ交渉も、先ほどから言われましたように、四月七日に妥結はしたものの、御承知のように交渉は終始ソ連側の強硬なペースに押しまくられて、最終的には出漁期を迎えた日本側のやむない譲歩によって妥結を見たのが真相でありまして、現在引き続き行なわれておるところのサケ・マス、ニシンの交渉においても、カニ交渉と同じくソ連側の一方的な、しかも何ら科学的根拠のない、そうして日本側としては全く譲歩の余地がないといわれるほどのきびしい規制案が提案されておるわけであります。したがって、現在双方の主張は完全に対立して行き詰まっておるのが現状でありますが、このサケ・マス、ニシンの交渉もカニ交渉の二の舞いになる公算が大であります。したがって、この日ソ漁業交渉の経緯から見ても、年々ソ連側からきびしい規制案が出され、これに対して日本側の出漁期というやむない譲歩によって妥結を見てきておるのでありまして、このような状態が毎年繰り返されるならば、わが国の北洋漁業は一歩一歩後退してじり貧におちいり、壊滅状態に追い込まれるのではないかということを憂えるものであります。私はこの重大危機に立っておる北洋漁業の根本的な解決と、北洋漁業に従事する何十万、何百万の漁業者、家族並びに関連する人たちの生活権を守るために、政府は本気になって真剣に取り組むべきだと思います。また北洋水域における安全操業の問題にしてもしかりです。この日ソ漁業交渉の行き詰まりを一刻も早く打開し、早期解決をはかるために、大臣はモスクワに出かけるくらいの熱意を持つべきだと思います。もし大臣が行かなければ、「よど」号みたいに政務次官も行った例もあるわけですから、また昭和三十九年には時の農林大臣が行ったというような話も聞いておりますが、それくらいもっと政府もひとつ本気になって、熱心に熱意を持って積極的な姿勢を示すべきだと思いますが、大臣、ひとつ見解はどうですか。
○倉石国務大臣 ただいまのお話だけ承っておりますと、政府は何もしていないように聞こえますけれども、そうじゃないのであります。また当委員会で御論議があろうがなかろうが、私どもの立場といたしましては全力投球をしておるわけであります。 いまカニについての御批判がありましたけれども、私どもに対して先方から申し入れました線から見ますというと、かなりの譲歩をかちとっております。私は現在のようなきびしい状況のもとでは、まあまあというところではないかと思っております。しかし、これはわがほうの代表が粘り強く技術的な正しい主張をいたしましたことと、たまたまちょうど運よく川島自民党副総裁、赤城顧問、お二人が行かれまして、これらに対してバックアップしていただきましたこと等も加わりまして、わりあいにうまくいったと思うのでありますが、この問題は、日本人としてはみなただいまお話しのように、同じ気持ちで超党派の問題でございますので、皆さま方の御協力も得まして、ぜひひとつ私どもの既得権、伝統ある既得権を保持するために最大の努力をしてまいりたい、このように思っております。
○小宮委員 これで質問を終わります。 ————◇—————
○草野委員長 芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案及び内閣提出、農業者年金基金法案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 農業者年金基金法案について、農林大臣並びに関係当局に質問をいたします。 大臣が午後は参議院の委員会へ出席されるということで、時間も大体一時までということでございますので、時間の許す範囲で質問をいたしまして、残りの問題は次回に引き続き行なうことにして、留保いたしたい。なお、大臣に対する質問の残った分についても留保することを最初に申し上げておきます。 私は、まず第一に、農業者年金基金は特殊法人として事務所の設置をすることになっております。法第三条に「基金は、主たる事務所を東京都に置く。」とあるが、どこに事務所を設けるのか。またその第二項には「基金は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」とあるが、各県に一カ所の事務所を設置されるのか、その点いかなる検討をされてこられたか、まずお伺いをしたいのであります。
○池田政府委員 事務所は東京に置くわけでございますが、従たる事務所につきましては「置くことができる。」という規定はございますが、現在のところ直ちに置くということは実は考えておらないのでございます。事業の推移を見まして、どうしても必要であるということがございますならば、また検討する、こういう心組みでございます。
○瀬野委員 すぐには事務所を置かないということでございますが、「従たる事務所を置く」ということになっておりますので、われわれがいろいろと推察するところによりますと、各県に事務所を一カ所ずつ置くように将来なるのじゃないか。そうして職員の任命については、法第十六条に「基金の職員は、理事長が任命する。」こういうふうに明記してございますが、われわれが仄聞するところによりますと、将来、食糧検査員等全国二万七千人おるわけですが、こういった中から登用するやに聞いておりますが、こういったことにはならないのか、この点を念のためにお伺いをしておきたい、かように思うわけであります。
○池田政府委員 現在、最初の職員の数として考えておりますのは大体六十名程度を考えておるわけでございますが、どういう人を選ぶかということは理事長の権限でございますけれども、想定をいたしますならば、やはり年金業務が主たる業務でございますから、そういうことについての知識なりあるいは経験なりを持っている方ということが考えられるわけでございます。 それからまた、農地の買い入れとかあるいは売り渡し、それに関連いたします融資の業務というようなこともございますので、そういうことの関係の方、こういうようなことで、必ずしも役所にいた人ということだけを考えておるわけじゃございませんで、あるいは関係農業団体等の中で適切な方もおそらく任命されるであろう、そういうふうに考えております。
○瀬野委員 次に第二章役員等のところで、第七条には「基金に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。」またその二項には「基金に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。」また役員の職務及び権限については、第八条に「理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。」そしてその二項に「理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。」とあります。 そこで第九条の二項に「理事は、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。」こういうように明記してありますが、この人事について、すでに理事長をはじめ役員の人事の構想があるようでございますが、最近指摘されておりますところの天下り的人事というようなことであってはならないし、またそのようなことになりますと、権力の付与ともいわれてたいへんいろいろ心配をされます。これらの人事の検討はいかなる考えであるのか。法第十一条には「政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。」こういうふうに明記してございますが、将来このような人事について批判を受けることのないために、あえてこの機会にお伺いをいたしておきたいのであります。
○倉石国務大臣 今度できます基金は特殊法人でありますし、大事な仕事を扱うものでございますので、人間の信用性のある者、また社会的にも信頼性のある学識経験に富んだ人を選びたいと思っております。他の役員についてもそのとおりであります。
○瀬野委員 いま質問いたしましたように、どうかひとつ、これらの批判等を受けないように十分な対策、考慮、指導をされるようにお願いするものであります。 次に、代表権の制限の問題についてお尋ねをいたします。 第十四条に、「基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。」とあるが、「基金と理事長との利益が相反する事項」ということについてどのようなことが想定されるのか、お伺いをしておきたいのであります。
○池田政府委員 これは、こういう事例はあまりないというふうに考えるのでございますが、しいて考えますと、たとえば理事長があるところで土地を持っていた、その土地を今度基金が事務所等を設置するというようなことで買い取りをするというようなときに、いまのままの規定がございませんと、基金の代表者である理事長と土地の所有者である理事長とが契約をするということになりますと、これは価格その他の条件でもいろいろ問題の起こる余地があるというようなことがございますので、そういう場合には「監事が基金を代表する。」そういう場合はなかなか考えにくいのでありますが、念には念を入れまして、そういうことのために規定を置いている、こういうことでございます。
○瀬野委員 その点はよくわかりました。 次に評議員会についてお尋ねをいたします。 第十七条に「基金に、評議員会を置く。」とされまして、八項目が述べられてあります。「評議員会は、理事長の諮問に応じ、基金の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。」「評議員会は、前項の事項に関し、理事長に意見を述べることができる。」「評議員会は、評議員三十人以内で組織する。」こういうことが述べられて、最後のところに「前各項に定めるもののほか、評議員会の組織及び運営に関し必要な事項は、主務省令で定める。」こういうふうに法で規定してありますが、この評議員会のメンバーというものがたいへん大事になります。民主的な運営をするためにも、またかねがねわれわれがいつもこういった問題で論議をしておりますが、基金の業務の運営に関する重要事項を調査審議し、理事長に意見を述べるということでありますから、従来、往々にしてこのような評議員会に出る出席メンバーというものがなかなか会合に出席ができない、肩書きの長のつく人が多くて、そういった方に限られる傾向があるわけであります。そこで、被保険者の中からも多くこのメンバーに参画していただきたい、このようにわれわれは思うわけであります。この点どのように配慮されておられたのか、お伺いをいたしたいのであります。
○池田政府委員 お話しございましたように、私どもも評議員会というものの機能を非常に重視をいたしておるわけでございます。こういうような機関を設けましたのも、やはり加入者の御意見を十分基金の運営に反映させたい、こういう趣旨でございますので、特に評議員につきましては、主務大臣、農林大臣及び厚生大臣が任命をする、こういう制度もとっておるわけでございます。 どういう方が選任されるかということは、これはまあそのときになりましていろいろ主務大臣、まあ農林、厚生両省において検討いたすわけでございますが、気持ちといたしましては、ただいまお話しがございましたように、単に肩書きだけでそういうところに入ってくるということはこれはあまり好ましいことではございませんので、この規定にもございますように、「被保険者及び学識経験を有する者のうちから、」ということでございますから、被保険者に非常に大きなウエートがかかっているわけでございまして、私どももほんとうの農民の意向が反映できるような組織にいたしたい、こういう考えでございます。
○瀬野委員 いまの点について大臣にお伺いしたいのですが、いま局長から答弁がございましたが、これは今後の基金の運用にあたっては重大な関心事でございます。大臣はその責任者として、これに対するお考えをどう持っておられるか、御見解をお聞きしたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 ただいま農政局長からお答え申し上げましたとおりでございますが、何にいたしましても多数の農村の人々が加入していただく制度でありますので、その運営につきましては十分民主的にやるようにいたしたい。そのために評議員会というふうな制度を設けたりいたしまして、できるだけ加入者の御意思等運営にあたって尊重してまいりたいと、こう思っております。
○瀬野委員 ただいま大臣から答弁ございましたように、どうかひとつ加入者の意思を十分反映するように配慮、指導していただきますようにお願いをしたいと思うのであります。 次に、すでに見解を明らかにされた点も若干ございますが、重複を避けて逐次お尋ねをしたいと思います。 今回の農業者年金基金法は、農政の一大転換期ともいうべきときにあたりまして、政府が真剣に構造政策に取り組もうとする段階でございます。そこで農地等の売買に要する資金等については、政府は構造改善政策を進めておるのでありますがゆえに、農業者から徴収した資金を活用するという方法はとらずに——もちろん若干の活用は当然あるとしても、これだけの大きな農政の転換をするのでございますので、公庫資金など国の財政資金でまかなうのが本筋ではないかと思うのでありますが、この点についてはどういう見解をお持ちでございますかお尋ねいたします。
○倉石国務大臣 お話しのようなことにつきましては、公庫資金はもちろんたてまえとして十分使うことにいたしております。その上にいまお話しのありましたような基金の金をも活用してまいりたい、こう思っておるわけです。
○瀬野委員 ただいまの大臣の答弁で、その点はわかりました。 次にお尋ねいたしたいことは、基金が行なうところの農地等の売買業務と農地保有合理化法人の業務との分野の問題でございます。これらの調整といいますか、これらが競合するというようなことにもなりかねないわけでありますが、どういうふうに方針を持っておられるか、また指導をされるか、この点お尋ねをいたしたいと思います。
○池田政府委員 基金が行ないます農地等の買い入れ業務と、それから農地保有合理化法人の業務との関係といいますか、調整の問題でございますが、一応あの事業の性格といいますか、違いを整理いたしてみますと、基金が行ないます農地等の買い入れは、経営移譲とかあるいは離農を援助、促進をするという見地が先に立っているわけでございまして、したがいまして、離農希望者が農地等の処分をいたします場合に必要があるとき基金が買い入れをする、まあこういうことになるわけでございます。農地保有合理化法人のほうは、もちろん離農者の農地を農地保有合理化法人が取得をするという場合もございますけれども、必ずしもそれだけには限定をされておりませんので、たとえば経営しております土地の一部をこの際整理をしたいというようなことで、それを農地保有合理化法人に売り渡しをする、こういう場合も実はあるわけでございます。それから、したがいまして売り渡しの場合におきましても、基金の場合におきましては、そういう離農者の方の農地を、その取得の場合には一括して取得をするというたてまえにいたしておりますので、売り渡しをする場合にもそういう方針で行ないたいというふうに考えておりますが、合理化法人の場合は必ずしも一括ということではございませんで、こまかく分けて処分をするという場合もございます。そういう違いがございます。 ただ、実際問題といたしまして両方の業務が競合をする場合があるのではないかということも考えられるわけでございますが、私どもは、やはり農地保有合理化法人というものは、これは地方の実情に応じましてそれぞれの県等で設立をされまして業務が行なわれるわけでございますから、そういうものが健全に行なわれております場合に、しいて基金が出しゃばりまして、離農者の農地だからということで合理化法人と競争のようなかっこうでこれを買い取るとかいうようなことは全く実は考えておらないのでございます。まあ離農者の離農がしやすいようにする、ほかになかなか処分の方法がないというようなときに希望に応じまして基金は買い取りをする、こういうのが主たるねらいでございますから、実際問題としては、私どもは競合することがないように指導いたしたいということを考えておりますし、またそういうことも起こらないものと確信をしておるわけでございます。
○瀬野委員 では次に、基金が行なうところの資金融通については、その融資条件等が法律に明記されていないのであります。そこでこれらの融資条件等については業務方法書などを定められるものと思いますが、どのような条件を考えておられるのか、また検討されてきたのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
○池田政府委員 これはいまお話しのように業務方法書で定めるわけでございますが、私どもがこういう事業を基金に認めまして離農者の農地の取得なりあるいはそれをさらに売り渡しをして規模拡大につなげる、こういうことにしております場合に、やはりその条件は極力農民の方に有利なものにしたい。具体的にはまだ今後の問題でございますが、現在考えておりますところを御参考に申し上げますと、御存じのように公庫が行なっております農地等の取得に関します制度融資は、利率で申し上げますと三分五厘、償還期限で申し上げますと二十五年でございますけれども、これをもうちょっと有利なものにしたい、こういう考えでございまして、いま検討しておりますのは、大体農地を一括して取得をするような場合の融資条件としては三分ぐらいにいたしたい、それから償還期限につきましては三十年ぐらいにしたいということで、公庫資金よりかやや有利な条件にしたい、こういう考えでございます。
○瀬野委員 ただいまの答弁でよくわかりましたが、どうかひとつ有利な方法で条件をきめていただきますように今後よろしくお願いをする次第です。 次に、農林漁業者のための長期資金を融資しているところの御承知のように農林漁業金融公庫がございますが、この農林漁業金融公庫の農地等取得資金との調整といいますか、分野の関係についてはどのように検討をされてきたのか、御見解を承りたいのであります。
○池田政府委員 これはまあ農地の取得金融ということにおきましては同じような性格を持っているわけでございます。私どもは、やはり規模拡大をしたいという農家の金融の道をつけるという意味においては、必ずしも公庫資金だけではなしに、特に基金の加入者であります農民の方が規模拡大をしたいという場合は、基金としてもお手伝いをするのが最もいいのではないか。ある意味ではダブるような感じもございますけれども、そういう意味ではむしろ多少ダブってもいいのではないかという感じを持っておるわけでございます。具体的な違いといたしましては、さっき申し上げましたように、基金が行ないます場合には相手は基金の加入者、被保険者ということに一応なるわけでございます。それから農地の一括取得というようなことで——こまかい地片販売の場合の融資は、一応公庫のほうにお願いする、基金としては、離農者の土地を一括して取得するような場合に一応限定をする、こういうことで分野調整ということを一応考えておりますけれども、実際は規模拡大等をいたしたいという農民の選択の問題になろうと考えるわけでございます。
○瀬野委員 次に農地等の買い入れと売り渡し等の業務についてでございますが、御承知のように過疎地帯等で、離農者の農地等については今後こういった傾向がたくさん出てくると思うのであります。そこで過疎地帯の離農者の農地がなかなか買い手が見つからない場合等が懸念されますが、その場合に基金に持ち込めば必ず買ってもらえるものか、その点どのように指導される考えであるか、お伺いしたいのであります。
○池田政府委員 過疎地帯等で農地の処分をしたいというケースが確かに今後出てくるということは、私どもも考えておるわけでございますが、その場合に基金が買うかどうかということであります。基金としては、一つの売買をいたします場合の基準みたいなものを当然業務方法書等で定めるということになるわけで、たとえば価格等につきましては大体こういうような基準で買い取りをするというようなことで、その条件さえ適合いたしますならば、当然それは買い取るということになろうと思います。
○瀬野委員 あとございますが、大臣が一時には向こうへ行かれますので、大臣に対する質問は留保することといたしましても、私、この機会に大臣にぜひ本日聞いておきたいことを二点だけ質問をいたしたいと思います。 これは切なる願いでございますが、農業者年金制度は過去三カ年間全農業関係系統組織が熱望してきたところでありまして、今日ようやく国会審議の段階となったことは御承知のとおりであります。いまさら言う必要もないことでございますが、内容については数多くの問題をかかえ、十分満足できない点も多々あるのであります。改正農地法、また改正農業協同組合法とともに三大法案の一つであり、一九七〇年の農業の一大転換期にもあたっておりまして、次善の法案としてぜひとも今国会で成立をはかるものとして一昨日、二十二日にこれが促進の全国大会まで開かれたのでございます。特に重大な問題があることをさらに私は指摘をせねばならぬのであります。それはいうまでもなく、この年金に加入することのできない五十五歳以上の経営主の処遇でございます。五十五歳以上といえば、戦後二十五年を経た今日、終戦時がちょうど三十歳前後でございまして、この人たちは先日の大会でもお話がありましたように、戦時中あるいは戦後の食糧増産のにない手として活躍をし、一番苦労した時代の人であります。他の要件はすべて加入資格を持ちながら、年齢だけで加入資格がないのでございます。政府の見解では、離農の場合は離農給付金があるとの答弁でございますが、では後継者に移譲したらどうかというと、何らの恩恵もなく、この年金制度の谷間になっておるのでございます。しかもこの年齢層の人たちこそ、いま政府が推進しておる総合農政の中で経営の若返りを促進する農政的効果を発揮することができる農業者であることは、よくよく御承知のところでございます。 そこで、この制度の対象外となっている五十五歳以上の農業経営主の後継者移譲について、たとえば六十から六十五歳までの間に経営移譲をしたような場合には、相当程度の年金を全額国庫負担で給付する等の補完措置などを講じていただく考えがあるのか。これらが最も重要な今後の問題であると思うのであります。農家をこよなく愛する農林大臣、どうか英断をもってあたたかい政治の手を差し伸べていただきたい、必ず特別措置を講ずる考えを明らかにしていただきたい、かように実は申し上げたいのであります。農林大臣にこの点について特にお伺いをいたしたいのであります。
○倉石国務大臣 本案の作成中にも農業者の方々から熱心なお話もございまして、私どももいろいろ検討をいたしたわけでありますが、農業者年金制度は、今後どのような農家が離農するか、または経営の拡大をはかっていくか、そういう点がなかなか明らかでございません。そこで、わが国農業の現状に即しまして、後継者への経営移譲を含む離農を年金の支給要件といたしておるわけでありますが、離農給付金はこの年金の補完措置と考えていただければけっこうではないか、こう思っておるわけであります。全額国庫負担によりまして、離農の促進と経営規模の拡大に直結いたします、すなわち第三者移譲のみを支給要件とこのたびはいたしたわけであります。したがって後継者移譲を支給の対象にいたしますことは、実はそのほかのほうの分野との均衡もございまして、なかなか問題が多いわけでありますが、ただいま御指摘のようなことにつきましては、私どもも本案作成中一番いろいろ悩まざるを得ない実情もございましたし、いろいろお話もございますので、なおひとつ慎重に検討いたしてまいりたいと思っております。
○瀬野委員 農林大臣の答弁で一応は了としますが、どうか全農家の切なる願いでもありますし、この問題は当面の一番大きな問題であろうと思います。大臣も十分承知しておられるわけでございまして、今後できるだけの措置をするということでございますので、どうかよろしく御検討をいただきたい、かように申し上げる次第でございます。 もう一点、午前中の時間に簡単に農林大臣にお尋ねをいたします。 質問の要旨は、林業者及び漁業者に対する年金制度についてでございますが、本法案による年金制度はその対象が農業者に限定されていますが、公的な老後保障制度が不十分であること。及び社会経済の発展の過程で立ちおくれが目立ち、その近代化が要請されていることの両面をとらえると、同じ第一次産業である林業者と漁業者も類似した環境に置かれていることは御承知のとおりであります。このような事実のみに着目すると、これらの者に対しても特別の年金制度を確立するのは当然であると思うのであります。もちろん国民経済に占めるそれぞれの位置づけもしくはそれぞれの経営の特殊性などからしまして、直ちに農業者と同じ制度を適用することはいろいろと難点のあろうことは十分推測されるところでありますが、この際、政府としては林業者及び漁業者に対する年金制度の創設についてはどのような考え方を持っておられるか、農林大臣にその所信を承って午前中の質問を終わりたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 お話しの林業者につきましては、大体林業の方は土地を持っていらっしゃるわけであります。林業はこれに該当すると思うのでありますが、漁業につきましても原案作成中にもいろいろ御意見もあり、検討いたしましたが、どうも今回考えておりますような農業者年金制度にはなじまないものである、こういうことで漁業者は除外いたしておるわけであります。
○瀬野委員 それでは続いて質問を申し上げます。 被保険者は農地等について所有権または使用収益権に基づいて事業を行なうものとなっているのでありますが、それらの権利名義人でなければならないとされております。事実農村社会の現在の実情では農地等の権利名義人ではないけれども、実際農業経営者であるといった事例が少なくないのでございます。権利名義人ということに限定することははなはだ問題がある、こういうふうに思っております。この点の配慮についてはどう検討されてこられたのかお伺いをいたしたいと思います。
○池田政府委員 確かにいま御指摘のように、経営主でありながら農地等の権利名義人になっていないというような事例がございます。これは私どもが持っておりますいろいろな調査の結果から見ますと、大体八七%ぐらいが権利名義人でございます。残りの一四%程度がそうでないわけでございます。 これはどういう理由かと申しますと、やはりいままであまり権利名義を変更する必要がなかったということではなかろうかと思うわけでございます。それで農業者年金の場合に、どういうふうにして経営移譲を確認するかという問題がございまして、私どももいろいろこの点を検討いたしたわけでございますが、実態はいま申し上げましたようなことでございますし、やはり年金の支給ということにつながりますので、はっきりした経営移譲を確認いたしませんと、年金の支給をするというのは非常に問題がございますので、やはり権利名義の移転ということで確認をする以外にちょっと方法はないのではなかろうか。ただ先ほど申しましたように、従来は必ずしもその必要がなかった、こういうことでございますから、今後農民の方が被保険者になりまして経営移譲をするということになれば、それは名義の変更をするということになるのではないかと私どもは期待を実はいたしておるわけでございます。確かにめんどうくさいというようなことはあるかと思いますけれども、国庫も相当な助成をいたしまして、また農民の方が貴重な金を拠出してその支給が行なわれるわけでございますから、そこいらはやはりはっきりしなければいけないのではないだろうかというふうにいま考えておるわけでございます。
○瀬野委員 局長からずいぶん含みのあるお話でありますけれども、結局聞いておりますと、農民の方が被保険者となる場合は、権利名義人をはっきりしなければならないということになるわけでありますか。
○池田政府委員 そういうことでございます。
○瀬野委員 それでは、次に経営移譲の問題についてお尋ねをいたします。 経営移譲については、実際は現在の状態を見ますと、子供は親の扶養義務がないというような傾向から、早く子供に譲ると、結局子供は財産を処分してしまうということから、両親等が心配をされて移譲しないという傾向があることをわれわれもかなり聞くわけであります。こういった問題については、検討の段階でどのように配慮されてこられたか、お伺いをいたしたいのであります。
○池田政府委員 経営移譲がなぜ現実に非常におくれているかという問題でございますが、確かにいま御指摘のようなことも事例としては私あり得ると思うわけでございますが、私どもはいろんな調査をいたしまして、また関係のいろんな方の御意見を承りましたが、総合的な結論といたしましては、現在経営移譲がおくれているというのは老後の保障が十分でない。かりに後継者の方に経営を譲りました場合に、その恩典が現在は何らないわけでございます。そういたしますと、極端な場合には自分の小づかいも子供からもらわなければならない、こういうことになるわけでございまして、それではいかにも不安である、こういうようなことで経営移譲というものが非常におくれているというふうに考えるわけでございます。特に家族制度がいろいろ変わってきておりますので、そういうことも影響しておるように思うわけでございます。 そこで今回はそういうことではなしに、経営移譲をいたしました場合には、いわば企業につとめている方が退職したのと同じように、それを要件にいたしまして年金の支払いをするということでございますから、老後の生活を送るにはそれでやっていける、こういうことになりますので、そういう点から従来おくれておりました経営移譲が促進をされる、こういうふうに私どもは期待をいたしておるわけでございます。
○瀬野委員 次に年金の積み立て金の問題でお尋ねをいたします。 年金の積み立て金は年間百八十億円でございまして、五年間据え置くということになっております。そうしますと、十年で千八百億円、利子などを含めますとおそらく倍近い三千六百億円くらいになるんじゃないか、こういうように思うわけでございますが、法第八十一条で、農用地区域の区域内にあるものを買い入れるところの規定がしてございまして、さらに二項のところには「基金は、前項の規定により農地等を買い入れる場合において、その買入れに係る農地等の農業上の利用のため特に必要があると認めるときは、その買入れに係る農地等の所有者が所有する附帯施設(農地等の農業上の利用のために必要な土地、立木、建物、工作物又は水の使用に関する権利をいう。以下同じ。)をあわせて買い入れることができる。」とされておりますが、すなわち農地等の買い入れの規定でありますが、この中の「農用地区域の区域内にあるものを買い入れることができる。」となっていることにつきまして、当然現在の社会問題になっておりますところの過疎地域の農地等を買うことがかなり予想されてまいってくるのであります。そうなりますと、土地やら建物やら、またいろいろ立木等が寝るという心配がたくさん出てくると思われます。基金は運用を誤ると農地等をいたずらに長期に保有するということになりかねないと私は思うのでありますが、すなわち年金の原則というものが、安全性と健全性、もう一つには有利性という三原則がございますけれども、これらの三原則に反することになりやしないか、その心配が多分にあるんではないか、かように思うのです。その見解をお伺いいたしたいのであります。
○池田政府委員 いま御指摘の点は、確かに実際上かなり問題になり得る点だと思うわけでございますが、私どもはいまお読み上げになりました条文にもありますように、その土地が将来も農業が相当営まれる、こういう前提の土地におきまして、必要に応じまして農地の買い入れをするということを考えているわけでございまして、過疎地域とは逆に、たとえば都市近郊等で将来宅地化されるというようなところで買うことは全く予定をしておらないわけでございますが、そういうような条件のところで、まあ御希望がありましたときに、規模拡大につながるというような農地につきまして買い取りをするわけでございますから、私どもは実際の運用といたしまして、もう明らかに将来規模拡大につながる可能性がないようなものを基金が非常に多量に買い取りをするということを予定しておるわけではないわけでございます。そういうようなことでございますから、積み立て金の運用の基本的な原則でございます安全、確実、有利というようなことに必ずしも違反はしない。ただ有利という点からいきますと、これは確かに非常に有利な運用方法であるとは申せないわけでございますが、これにつきましては、別途必要な利子補給をする、こういう考えでございまして、有利という原則をそこなわないように、国が少なくともお手伝いをする、こういうふうに考えているわけでございますから、まあ積み立て金の運用の基本原則には反しない、またその反しないように当然業務の運営がなされるというふうに期待をしておるわけでございます。
○瀬野委員 局長答弁で、いささか心配しております点が薄らいでまいったわけでありますが、有利性については別途利子補給をする、国がお手伝いをするということでございましたので、十分こういった安全性、健全性、有利性ということについて運用の面でもひとつ配慮されていかれるようにお願いをするわけでございます。 次に、基金は積み立て金の一部を農地流動化などの政策資金として活用することになっておりますが、そのために基金の組織、機構というものがおそらく膨大なものになってくるのじゃないかと思っております。それと同時に経費の増高を伴いまして、資金運用の健全性が阻害される心配が起きてくると思うのでありますが、この点についてはどのような見解をお持ちでございますか、お尋ねをいたします。
○池田政府委員 積み立て金の運用を安全、確実でかつ有利というようなことで運用いたすわけでございますが、私どもがいま想定しておりますのは、たとえば金融機関に預金をする、あるいは有価証券の取得をする、あるいは信託等に預ける、こういうようなことがかなり大きなウエートを占めるのではないかというふうに考えているわけでございます。もちろん、その中で、たとえば農林中央金庫の債券を取得いたしまして、そうしてそれを農村に還元するということも同時に考えているわけでございますが、そういうようなことでございますならば、これはそう膨大な機構等が要るわけではございませんので、そういう事務を基金の内部におきましてしっかりやればよろしいわけでございます。 あと、農地の取得の業務、あるいは必要に応じまして不動産の取得等の業務もあるわけでございますけれども、これにつきましても私どもは非常に大きな機構を設けてやらなければならないほどの業務にはならないというふうに、実は当面は考えているわけでございます。しかし、これは将来さらにいろいろ農民の方の御希望も伺いまして、たとえば休養施設に運用するということもあり得るわけでございますから、十分そういう点について経費倒れになるとか、その事業をやりましたために欠損を生ずるということのないように、これはやはり厳重に指導監督をする必要があると思っております。
○瀬野委員 次に基金の監査の問題でございますが、実際問題として基金のほうの監査は容易であっても、農協の監査までは相当膨大なものになりますので、目が届かないと思うのでありますが、将来これら監査についてどのような検討をされてまいったか、御見解をお伺いしたいのであります。
○池田政府委員 基金につきましては、これはもう御存じのように農林大臣と厚生大臣が厳重な監督をいたすわけでございますから、そう問題はないと思うわけでございますが、確かに御指摘のように業務の指導等をいたしまして、市町村なり、あるいは農協等に業務をお願いするわけでございますから、そういう点で将来問題が起きてまいるというようなことも全くないとは言い切れないわけでございます。そこで、私どもはやはりそういうものにつきましては、県の知事さんに監督権限を委任するという規定も置いておりますし、もちろん、これは一方では農協等に対します監査も行なわれているわけでございますから、そういうものにつきまして、十分この基金の業務がうまく行なわれているかどうか、これは十分念を入れて監督をいたしたいという考えでございます。
○瀬野委員 そうしますと局長、知事に委任するということで、さらに農協も監査が行なわれているからとおっしゃいますが、従来の行政上の監査または農協自体の監査等もございますが、こういったものをあわせて監査をするというふうに理解していいわけでございますか。
○池田政府委員 これは御存じだと思いますが、九十三条に規定がございまして、業務の委託を受けた者に対しましては主務大臣が検査をすることができる、こういうことになっておるわけでございます。ただ御存じのように、各地方にあります農協を直接やるというわけにはなかなかまいりませんので、知事にお願いをするということになろうかと思うわけでございますが、そういうことにつきましては私どももかなりこまかい点につきましてもいろいろ知事、県のほうにもお示しをいたしまして監査をお願いをする、こういうことになると考えるわけでございます。それはこの基金法によりますものでございますが、同時に御存じのような農協法の規定によりまして知事が農協の監査ができるわけでございますから、そういうものにおきましても十分これは留意をしていただく、こういうことでございます。
○瀬野委員 監査につきましては先般も当委員会でいろいろ農協に対する監査の問題の質問をいたしたわけでありますが、ますます膨大になってまいりますので、十分配慮されて、従来いろいろ他の機関でも問題が起きておりましたが、そういったことがないように指導されるように強く望んでおく次第であります。 次に、経営移譲のことでさらにお尋ねいたします。農地の所有権の移転だけでなく経営移譲というものは長期安定的な賃借権の設定でもよいことになっておりますが、この経営移譲に対する長期安定的な賃借権の設定の期間というものはどのくらいを考えておられるかお尋ねをいたしたいのであります。
○池田政府委員 期間につきましてはこれは別途政令で定めたい、こういう気持ちでございます。本来のこの経営移譲の趣旨からいたしますと、きわめて短期間、たとえば一、二年というようなことで賃借権の設定をする、それで経営移譲でやりますということで年金の支給を受けるというのは、いかにもこれは本来の趣旨に沿わないわけでございますから、私どもはやはりある程度の期間、比較的長い期間を考えているわけで、まだこれは検討段階ではございますが、大体十年程度を考えたらどうだろうか、こういうことで検討をいたしております。
○瀬野委員 それでは、長期安定的なということにつきまして、具体的にはその認定は実際はどのようにして行なうことになるのでございますか、お尋ねをいたします。
○池田政府委員 期間等につきましては、いま申し上げたようなことでございますが、現実にはやはり貸借権の設定というようなことでございましても、これは登記によりましてそういうことがあったということを確認いたしませんと、先ほど申し上げましたような年金支給の要件として不十分でございますから、そういうことを十分確認をいたしました上で、しかも権利名義の移転が、権利名義の移転というか登記が行なわれた、こういうことを確認した上で年金の支給をするようにしたい、こういうふうに考えております。
○瀬野委員 次に、基金の組織と業務運営についてお尋ねをいたします。これら業務運営については民主的に行なうべきであることは当然でございますが、農業者が基金に拠出する掛け金というものは、先ほどもちょっと申し上げましたが、年間百八十億円にのぼる、将来基金に積み立てられるところの資金というものは相当多額にのぼることは当然でございます。そこで、この積み立て金というものは農民の福祉向上、農業の近代化等のために還元運用されるべきであるわけでございますが、この点についてはどう考えておられるか、御見解を承りたいのであります。
○池田政府委員 基金の運用につきましては、私どももいまお話しのような趣旨でやりたい、実はこういうことで考えているわけでございまして、特に農民の方の非常に貴重な拠出でございますから、それが農民の福祉なりあるいは農業の近代化なりにつながるようなものにいたしたいということを考えているわけでございます。具体的には積み立てました金の一部は農地の買い取り資金等に回されるというわけでございますが、私どもの理解では、農業の近代化に直ちに結びつくような運営をいたしたい、こういうことでございます。農地等に当てられる金は全体の一部であるというふうに考えるわけでございますが、その他の農家の拠出しました金につきましては、先ほども申し上げましたようないろいろな運用方法があるわけでございますけれども、その中で特に私どもはやはり農村に還元されるような運用をしたい。これは今後の具体的な検討の問題でございますけれども、たとえば農林中金債を取得することによりまして、その金が農村にいろいろな形で還元されるようにするとか、そういうところについて特に配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○瀬野委員 ただいま局長からもお話がありましたが、農家は資金を借りたい、やはり低利で長期の資金がほしいのであります。この基金の場合は、制度金融と違いまして資金が関連産業に流れる心配があるわけでございます。一がいに関連産業といえばあらゆる仕事が関連産業ということになりかねないわけでございまして、ここらが落とし穴みたいになっていくのではないか、このように危惧いたすものでございます。すなわち農村の下部のほうには資金が流れずに上のほうにだけ流れていくという心配をするわけでございますが、この点についてはどのようにお考えでございますか、御見解を承ります。
○池田政府委員 ただいまお話にありました農村に極力還元をさせたいということと、もう一つ、集まりました金を極力有利に運用いたしまして、その結果、たとえば農家負担の軽減というようなことに結びつける、こういういろいろな点があるわけでございますが、先ほど申しましたように、私どもはできるだけ農村に還元させたいという方向で考えたいと思いますけれども、同時にやはり相当有利な運用をしなければならないということで、たとえばほかの有価証券を取得するとか金融機関等に預けました金が他の業種、農業以外の事業に流れるというようなこともあるわけでございます。そこらをどういうふうに調和させるかということは、これはまさに基金の理事長なり役員の管理責任者の問題でございますし、またあるいは評議員会等によります加入者の御希望にもよるわけでございますから、そういう点を十分に考えまして、適切な運用が行なわれるように私どもも御指導を申し上げたいと思っております。
○瀬野委員 ただいま局長から答弁がございました。実際の運用にあたりますとかなりいろんなことが起きてくるんじゃないかと思っておりますが、農家の貴重な金でございますし、これらの金が関連産業等に流れて下部のほうへ流れないということのないように、いまもお話がございましたように農村に還元していくように格段の配慮と指導、また監督をしていただきたい、かように思います。 一時半の時間が参りましたので、午前中一時半に終わってくれということでございますので、これで終わりまして、また本会議後に若干の質問をさせていただきます。 以上で質問を終わります。
○草野委員長 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時三十一分休憩 ————◇————— 午後四時十四分開議
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 農業者年金基金法案について午前中に引き続き質問をいたします。 農業者年金基金は、農地等の売買等の構造政策的な業務を行なうことは午前中にも申し上げたとおりでございまして、当然のことでありますが、政府はこの農業者年金基金に対して出資をするお考えがあるかどうか。当然将来出資をすべきであると思うのでありますが、法文上出資の規定がないのは手落ちではないか、かように思うのですけれども、この点について御見解を伺いたいのでございます。
○池田政府委員 農業者年金基金の事業の運営につきましては、事務費につきまして国が補助をする、こういうことになっているわけでございますし、それからまた、農地の取得等の関係では、先ほども御説明申し上げましたように利子補給をする、こういうようなことがあるわけでございまして、実際問題として出資をしなければならないという必要性はないというふうに私どもは考えているわけでございまして、そういう関係から出資の規定を置かなかったわけでございます。
○瀬野委員 それでは再度お伺いしますが、政府としては将来にわたっても基金に対しての政府出資は行なわない、こういう考えであるか、そのように理解してよろしいわけですか。
○池田政府委員 まあそのように御理解願ってよろしかろうと思います。
○瀬野委員 次に、単位農協に対する掛け金徴収の問題でございますが、単位農協の場合、掛け金徴収の委託を受けるわけでございますけれども、現在の政府の予算から算定してみますと、一人当たりおおむね月八百十円くらいになるような計算でございます。このようなわずかな経費ではあまりにも少ないので、農協がかなり負担をせねばならない、こういうふうに思うわけです。今後御承知のごとく、農協は食管を守るために米の生産調整を推進していくわけでありますし、米の取り扱い、農薬、肥料等の取り扱いがだんだん減少をする傾向にあるわけでございます。したがって、手数料等も、収入が減ることは当然予測されるところでございます。特に東北地方の単作地帯などでは赤字経営の農協が出てくる心配が懸念されておるわけでございます。政府としては将来これら事務費予算については考える方針のようでございますが、いつの時点でどのように考えていかれるのか、明確なる御見解をお伺いいたしたいのであります。
○池田政府委員 一月八百十円というお話ございましたが、これは市町村あるいは農協に対しまして業務の委託をいたします場合に、その委託によります事業のための経費に充てる、こういうことで予算を組んでいるわけでございますけれども、その場合にたしか一人当たりどのくらいの労働が要るかというような計算もしておるわけでございますが、その労働量に対しまして一日たしか八百十円だったと思いますが、の費用を一応考えている、こういうことで、これはたしか予算編成の場合の統一単価といいますか、そういうものでございます。しかし、そうではございますが、一応初年度の農協、市町村等に対します業務の委託の経費としては、たしか七万円弱くらいを予定しておるわけでございまして、十分でないと言えば、確かにいまの貨幣価値からいたしますと十分でないという点があろうかと思います。私どもといたしましては、これは予算編成のときの問題でございますので、この法律が通りまして、四十六年度以降の問題のときにはあらためて十分検討いたしまして、必要な額を確保したいと思っております。
○瀬野委員 局長の答弁で四十六年度予算には、もちろん少ないので必要な額の確保を考えたいということでございますので、ぜひともそのようにしていただきたいと思うのです。農協のほうでは、このような予算では相当手持ち資金の持ち出しということになりまして、今後事業を遂行していく上に支障があるわけでございますので、ぜひそのような配慮をお願いしたい、かように思います。 次に、離農給付金の額についてお尋ねをいたしたいのでございます。御承知のように五十五歳以上で経営規模というものが五十アール以上のものは三十五万円、その他の年金非加入者は十五万円ということでございます。このように予算的に処理されておりますけれども、これは何を基準にそれぞれの額を決定されたのか、この際明らかにしておきたいと思いますので、その算出の基礎について御答弁をお願いしたいのであります。
○池田政府委員 三十五万円と十五万円と二種類の離農給付金の額があるわけでございますが、三十五万円の場合には五十五歳以上で都府県の場合〇・五ヘクタール以上の方に一応三十五万円に予定いたしておりまして、その他が十五万円でございます。その三十五万円の積算をいたしましたのは非常にはっきりした一つ厳格な基準があるわけでは必ずしもございません。いろいろな点を考慮したわけでございますが、一つは年金に入っている方の場合は、たとえば最短拠出者ということになりますと五年拠出の方でございますが、五年拠出の人が年金に入っている場合にどういう額の保険料の拠出をし、そしてどういう年金を受けるか、こういう計算を一つして見たわけでございます。そういう計算をいたしてみまして、それに対しまして国が助成をいたしておりますので、その場合の国の助成額というものを一応参考にいたしまして、それとのバランスということを考えたわけでございます。要するに、五十五歳以上の方は初めから年金に入れないわけでございますから、五十五歳の方で五年くらい入るという人に国がどのくらいお手伝いをしているかということを考えまして、それとのバランスで、ほぼそれに見合うようなものを考えたというのが一つございます。 それから十五万円の場合におきましては、これは先ほども申し上げましたように、比較的零細な規模の方でございますし、あるいはまた比較的年齢の若い方々、こういうことになりますので、やや考え方を違えまして、そういう人たちがかりに離農をいたしました場合に、従来持っておりました農業用の資産の処分をいたさなければならぬわけでございますけれども、その資産を処分をいたす場合にはなかなか本来の評価どおりには処分ができない、安くしか売れない、こういうことがありますので、そのためになかなか離農がはかどらないということになりますと、これは非常に困るわけでございますから、そういう処分をいたしました場合にどのくらいの損失があるだろうかというようなことをいろいろ試算をいたしてみまして、大体そういうような額を一つ参考にいたしたということと、それからまた、かりに年金に入っている方が十年なり何なりいたしまして脱退をいたしました場合に、どのくらいの脱退一時金を受けるかというようなこともあわせて考えてみまして、まあそういうところから大体十五万円という額を一応きめた、こういうようなことでございます。
○瀬野委員 ただいまの局長の説明で一応わかりましたが、この離農給付金については、もちろん将来物価の値上がりまたは情勢の変化によってはこの額を当然変えるべきである、こう思うのですが、その点についてのお考えはどうでございますか、お伺いしたいのであります。
○池田政府委員 これは政令等できめるわけでございますし、いま申し上げましたような経過といいますか、考え方が基礎になっておりますので、それが経済事情の変化によりましていかにも実態に合わないという事態が生じていきますならば、これはまた検討をしなければならないというふうに考えております。ただこの離農給付金の支給は十年間という予定でございますので、その期間の中の問題ということになるわけでございます。
○瀬野委員 次に、離農給付金についてさらにお尋ねをいたしますが、売り渡しの相手というものが農業者年金基金や農地保有合理化法人または基金が特に認めた売り渡しをした者に限る、このように法に規定されておるのでありますが、逆にこれらが認めないという場合はどんなことを想定されておられるかということをお尋ねしたいわけであります。すなわち、基金が特に認めた売り渡しをした者に限る、こういうことでございますので、逆な場合からいいますと、認めないという場合はどんなことがあり得るのか、この点御見解を承っておきたいのであります。
○池田政府委員 これは附則の十一条に規定があるわけでございますが、条文の書き方が非常にわかりにくい表現になっておりましてはなはだ恐縮なんでございますが、結論的に申し上げますと、これは政令できめる事項もございますが、私どもがいま考えております政令の見込みとあわせて御説明申し上げますと、一応対象になりませんのは、一つは後継者に譲り渡しをいたしました場合でございます。これは午前中の御質問でもそういうことがあったと思いますが、後継者は一応対象外になるわけでございます。それから年金の加入者、それから基金とか農地保有合理化法人とかそういうものに農地等を譲り渡しをした場合はもちろんでございますけれども、一般の農家の場合におきましては、年金加入者に限る、こういう考えでございます。でございますから、たとえば年金に入ってない、極端な場合申しますと、かりに七十歳の経営者の農家、それに譲り渡しをしたような場合には離農給付金の給付が受けられない、こういうことになるわけでございます。それから附則の十一条に書いてございますが、一定面積以上の譲渡をしなければならないということでございまして、これは政令できめる予定でございますが、都府県の場合は大体三十アール以上ということを考えております。さらに所有権の移転をしなければならないということでございまして、これは政令で定めることになるわけでございますが、所有権の移転に限る、こういうことでございまして、それ以外のものは一応対象にならない、こういうことになるわけでございます。
○瀬野委員 基金としては、離農者給付金の支給期間というものを業務開始の日から十年以内ということで先ほど御答弁がございました。十年以内に限定をしている。その十年以内に限定をしているという根拠は、いかなる理由によってなされたものか、念のためにお伺いをしておきたいと思います。
○池田政府委員 年金に加入している方は、最高五十五歳の方は、五年後に経営移譲がありましたときに年金の支給が始まるわけでございます。でございますから、五年間は全然年金の支給が行なわれないということになるわけですが、私どもといたしましては、今後離農の意思がある方は、その御援助をする、こういう考え方でおりますので、今後農業構造の改善をしていただきます場合に、それは全く五年後のことであるということは、いかにも先の話になるわけでございまして、むしろ今後十年ぐらいが、そういう離農なりあるいは後継者に対する移譲というようなことが相当出てくる可能性がある時期でございますし、また今後の十年間ぐらいは日本の農業の変化がかなり激しい時期というふうに想定されますので、その時期には一やはり年金では、五年後しか動きませんので、その前にやる必要がある。あまりこれは長い時間を予定いたしておきますと、やはり促進効果ということが十分ないということにもなりますので、一応十年間に限った、こういうことでございます。
○瀬野委員 十年間ということでございまして、一応わかりました。そこでその間におきますところの給付金の該当者の総数というものは、どの程度見込んでおられるわけでございますか、お伺いします。
○池田政府委員 これはどの程度出てくるか、実は非常に想定がしにくいのでございますが、私どもも、予算の編成をする必要がございますので、当初の年度におきましては、これは三カ月分の予算でございますけれども、全部合わせまして四千七百人程度ということを予定いたしておるわけでございます。三カ月分のものがそうでございますから、平年度になれば、それが大体四倍くらいということになるわけでございます。ただ、そういう制度があるということが、一般にかなり徹底をいたしてきまして、そうして、そういうものがもらえるならば、この際離農をしようというようなことが出てまいりますならば、それを上回るということもございましょうし、そういう事態になることも、私どもも考えているわけでございますけれども、十年間でどれだけの数になるかということは、実は率直なところ、非常に判定をしにくいわけでございます。目下考えている程度では、結局四千七百人の年間ということになりますと、二万人弱になりますけれども、それが十年間ということになれば、単純に計算すれば二十万人弱ということになりますが、そのとおりになるかどうかは、今後の推移を見てみなければよくわからない、こういうのが実態でございます。
○瀬野委員 それでは、最後に政務次官に一点お伺いいたしますが、この離農者の給付金にかかわる所得についてでございますけれども、課税上の優遇措置というものを当然講じてしかるべきじゃないか、かように思うわけです。この点について、法制的に措置をされる方針であるかどうか、お伺いをいたしたいと思うのです。
○渡辺政府委員 離農給付金の所得税の取り扱いでございますが、これは当面一時所得として取り扱うよう大蔵省と話をしておるところでございます。
○瀬野委員 時間の関係もございますので、大臣に対する質問を保留しまして、私の質問を以上で終わらしていただきます。
○草野委員長 田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は、昨日から審議の始まっております農業者年金基金法案につきまして、若干の御質問を申し上げ、この制度の問題点を指摘いたしたいと思いますが、きょうは大臣もお見えになっておりませんので、大臣に関する質問事項は、あとへ保留させていただきたいと思いますので、委員長のほうでよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。 まず、最初にお伺いをいたしたいのは、この年金制度は、さかのぼりますと、昭和三十三年の第二十八回国会におきまして、農林漁業団体役職員の年金法が成立をいたしました際に、衆参両院の農林委員会におきまして、主人公である農民の年金制度が、社会保障制度が不確定の中で、使われている役職員ができるということについて強い御意見があって、その附帯決議の前文としてこの設置が掲げられたのが初めだ、こういうように記憶をいたしております。 その翌年、国民年金法ができまして、若干この問題の糸口が出たわけですけれども、内容はきわめて不十分だ、その後、農業基本法の制定を通じて農政が非常に移り変わってきた、これらを受けて、よく言われます昭和四十二年の一月総選挙における佐藤総理の「農民にも恩給を」というキャッチフレーズで、全国の農民に対して、あたかもすでに消滅をいたしております恩給が農民に与えられるというような印象が出てきて、一躍脚光を浴びてきたという経過があるわけですが、これらの経過を受けて、御承知のように、農林省におきましては、農民年金問題研究会が設置をせられ、厚生省におきましては、国民年金審議会の中に専門部会が設置をされまして、数年にわたる審議の経過があるはずでありますが、これらの審議の過程の中で一体どういう問題が、特にこの年金制度をつくり上げていく上に問題になり、議論がなされてきたのか、その点を私どもまだよく承知をしていないわけなんですが、何が議論の焦点であったのかという点につきまして、まず農林省、それから厚生省のほうから、それぞれお答えをいただきたいと思います。
○池田政府委員 いま御指摘がございましたように、農民年金問題研究会あいるは国民年金審議会その他いろいろな機関におきまして、ずいぶん長い間議論が行なわれたわけでございます。そういう議論の詳細につきまして、ここで御説明申し上げるのは、なかなかむずかしいわけでございますが、かいつまんで申し上げますと、私どもの理解では、農民年金問題研究会、これは農林省が農業の専門家その他の方にいろいろお願いしまして御意見を伺ったわけでございますが、それの大体の問題点、論点あるいは結論といったようなものを申し上げますと、一つは、農業者の公的な老後保障というものの実態が一体どうなっているのかということが出発点でございまして、それは国民年金制度によって大体カバーされているわけでございますけれども、どうもやはり一般勤労者に比べると、内容としてやや十分でない点があるのではないだろうか、こういう点についての議論が行なれまして、大体の空気といたしましてはそういうふうな認識であったようでございます。 それから農業者の場合は、御存じのように日本の家族制度、家というようなものが特に農村の場合はかなり強く残っておりまして、その中で、家の中での老後保障といいますか生活の保障というような機能があるわけでございますけれども、そういうことのために経営移譲がどうもおくれているという面が最近においてはうかがわれるのではないだろうか。そしてそういうことによりまして、農地の流動化による規模の拡大とかあるいは老齢経営主による非能率な経営がかなり残る、こういう事態があまり改善をされないでいる。これは結局家による生活の保障といいますか老後保障といいますか、そういうものにかなりの面がたよっているという点に原因があるのではないだろうか、こういうようなことで、農村社会学関係の先生方なんかの御意見も大体そういうことであったようでございます。 それからそういう場合に、公的な老後保障を充実していくという必要性につきましては、大体皆さんの御意見は一致しているわけでございますけれども、どういうようなかっこうでやっていくのがいいのかということになりますと、これはまあいろいろ問題があるわけでございますが、その場合の考え方としていろいろヨーロッパ等の事例がございます。離農年金でありますとかあるいは経営移譲年金あるいは一般の老後保障年金、こういうような、いろいろなタイプを分けると三つあるわけでございますけれども、その結論といたしましては、当面経営移譲年金というものに重点を置いて——もちろんその経営移譲年金というのは、第三者に対して土地を譲り渡しまして離農をする場合を含む、こういうことでございますが、そういう経営移譲年金というものを中心にして考えていくのが、いまの日本の農村社会の現実に一番合うのではないか。といいますのは、いまの農業経済の実態というのは、日本の場合は、いわゆる分化が非常におくれているということがございまして、どういう経営がどういう形になっていくのか、まだ見通しが十分つかない。ヨーロッパ等の場合でございますと、こういう経営は大体将来離農していくとか、こういう経営は将来も残るとかいうようなことが、わりあいに仕分けがついているわけでございますけれども、日本の場合はそれが非常につけにくい。こういう実態なんで、いろいろな事態に対応できるような年金の仕組みがいいのではないか、こういう御意見が非常に強くあったわけでございます。 大体そういったようなことであるわけでございますが、他の国民年金等との関係をどうしていくとかあるいはそういう問題につきましては、むしろこれはあとの国民年金審議会のほうが主たる議論の場でございますので、そういう点についてはあまり詰めたわけではございませんが、やはり国民年金から分離独立をするという形はあまり適切でないのではないか、こういうような御意見のようでございます。 それからなおこの年金だけではなしに、他の農業施策との関連も十分考えて、場合によれば並行的に必要な措置を講じていくということが必要ではないか、大体こういったような御意見が中心でございまして、なお国民年金のほうで年金のサイドからのいろいろな検討をしていただく、こういうことで、一応研究会としては任務が終わった、こういうことであったわけでございます。 国民年金審議会あるいは社会保障制度審議会等のことは厚生省のほうから……。
○橋本(龍)政府委員 国民年金審議会において議論されました問題点を大体整理してみますと、一つは農政上の要請と年金制度をどう結びつけるかという点であります。同時にこれにはうらはらに、国民年金制度と農業者年金制度というものとどう関係づけるかということもございます。また農業者のみに特別な制度をつくる必要性の有無、この点も一つの問題点でありました。また加入対象者をどうするか、またその対象者を当然加入とするのかどうか、こうした点も議論の一つの大きな対象であります。また給付水準としてどの程度のものを水準とするか、これらが国民年金審議会における議論の主要な点でありました。 また社会保障制度審議会において議論されたおもだった点というのは、一つはこの農業者年金制度というものをつくることによって従来の年金の体系をくずすことはないかどうかということが、一つの大きな問題点でありましたし、同時に農業政策を推進していく上でこの年金制度がどのような効果を持つのか、こうした点が議論の主たる問題点であります。
○田中(恒)委員 私はこの経過についてはさらに詳しく、別途参考人等をお招きの中で御要望いたしたい点がたくさんあるわけですが、端的にお聞きをいたしたいのは、この過程の中で、社会保障、社会保険の体系の問題とからんで、農林省の考えと厚生省の考えとで必ずしも見解が一致をしない面が幾つかあった、こういう話を聞いたわけですが、そういう点、それはこういう問題でありますという点がもしございましたらお知らせをいただきたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 議論の途中ではむろんいろいろな意見の食い違いというものも出たことは事実でありますが、最終的には何ら両省に食い違いはございません。
○田中(恒)委員 この年金基金法案に対しまして、社会保障制度審議会は三月二日農林大臣と厚生大臣に対して、「たとえ国の農業政策的要請があるとしても社会保障制度としての年金制度のあり方になお疑念が残る点がある。とくに国庫負担その他の点において他の年金制度に及ぼす影響も大きいと思われるので、その運用にあたってはとくに慎重を期せられたい。」こういう答申をしておるわけですが、この答申を厚生省はどのように受けておるか、この答申に対してどういう理解と今後のお考えを持っておられるのか、お尋ねをしたいと思うのです。
○橋本(龍)政府委員 もう申し上げるまでもなく、先生よく御承知のとおりに、農業者年金制度というもの自体が農業者の老後生活保障というもの、これを一つの大きな主眼点とすると同時に、現在のわが国の農業の直面しておる経営の近代化あるいは農地保有の合理化といった大きな総合農政の中の一環の、一つの大きな役割りをになうものであることはすでに御承知のとおりでありますし、そうした点から私どもは、この一般制度である国民年金制度というものの上にいわば上積みをした形で運用されていく農業者年金というものは、わが国の今日まで取り続けてまいりました社会保障制度、ことにその中の中心である年金制度のたてまえを一切くずすものではないという判定をいたしてまいりましたし、また今後もそのように運用してまいるつもりであります。
○田中(恒)委員 政府が出されました年金基金法案につきましては、実はたくさんの問題を持っておりますし、これから私どもの党の各委員がそれらの問題点を洗いたいと思っておりますが、いろいろ問題はあると思いますが、ねらっておるところは、私どもも実は、基本的に農民に対してこういう社会保障、社会保険的なものを今後さらに積み上げていかなければいけないという点については一致をしておるわけです。ただ政府が出されました法案をずっと見ておりますと、いま農林省のほうからお話がありましたが、経営移譲というものを相当この年金の仕組みの中の骨組みにしておる。その面から実はいろいろな矛盾がたくさん出てきておると思うのです。その点は、今後のその他の年金制度の運営の比較とからんで、私はいろいろな問題を出してくると思うわけですけれども、本来年金というものは、長い問掛け金をかけていけばだんだん受給額がふえていくというのがあたりまえであって、常識だと思うのです。この年金は逆であって、掛け金が少なくて短いほうが給付額、年金額がだんだん大きくなってきておる、こういうたてまえがとられておるその原因は、やはりこの経営移譲というものを中心にして組み立てられておる。それは明らかに政策年金である。こういうところに一番大きな問題があると思うのです。昨日も私のところの長谷部委員のほうから、いろいろな問題の指摘があったので、私はこの問題と関連して、なお問題をしぼって深めていきたいと思っておるわけですが、この法律の目的というものが幾つかあるわけですね。農民の老後を保障するんだといっておるし、経常移譲をやらすんだといっておるし、農地の売買をやっていくんだ、こういうさまざまな目的が組み合わせられた年金の内容というものは、実はこれはたいへんむずかしいと思うのです。そういう点から、きのうも指摘をされたような掛け金等の問題が出てきておると思うのですが、この点につきましては、あとで具体的には数字等通して御質問いたしたいと思っておるわけですが、まあこれは厚生省ですけれども、一体、こういう政策的な目標を持った、しかも、年金の原則というか、たてまえとは違ったような立場で、この年金の財政というものやいろいろな仕組みを組み立てねばいけないものが入ってくるこういう年金制度が、本来の年金の原則とよくいわれる安全性とか、健全性とか、有利性とか、福祉性とかいう、こういったようなものとほんとうにマッチするのかどうか、この点をひとつ、非常に一般論になりますけれども、お尋ねしておきたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 実は、昨日も、同じ問題で非常に議論が行き違った面がありましたけれども、これは一つの例をもってお聞き願いたいと思うのであります。 実は、昨日、やはり長谷部委員からも、経営移譲というものと老後の生活保障というものを非常に切り離して御議論になり、それに対して私どもは、考後保障というものを目的にした年金のその受給開始資格を経営移譲というもので定めているんだという意味の御答弁を申し上げました。その点はどうしても実は、昨日、御納得がいただけなかったわけでありますけれども、ただいま再度、同じ趣旨の御質問がありますので、一般の被用者年金保険をお考えいただいて御理解が願えるのではないかと思うのでありますが、被用者年金の場合には、いわゆる退職という、生活の手段の喪失というものがこの給付開始の要件になっております。いわば、長い自分の人生の中で、農業という一つの仕事の中で生活を維持してこられた方、経営を移譲するということは、被用者年金の例でとるなら、ちょうど退職ということと実は同じなわけであります。こういう御説明を申し上げれば、私どもの考え方の基本は御理解が願えるのではないかと思いますが、私どもはあくまでも、この年金制度というものは、農業者の老後保障という一つの大きな目的を掲げた年金制度の発足であり、その支給開始要件として経営移譲というものを持ってきておる、こうこの年金制度を理解いたしております。そして、その意味で、この積み立てられた掛け金というものが運用をされる場合に、当然、有利に安全にこれが活用されなければならぬわけでありますが、その有利かつ安全ということと同時に、この農業者年金に掛け金を支払っておられる被保険者の方々の福祉にもつながるものにこれが利用されなければなりません。いわば、離農給付金というような作業、あるいは農地の売買、あるいは融資といったようなもの、これはやはり広い意味で、すべての農業者にとって一つの大きな福利厚生の役割りを果たすものであります。当然、安全にかつ有利に運営されなければならないという前提条件は、私どもは、この法案において欠いておるつもりもございませんし、その意味では、本来の年金制度のたてまえに何ら違反をするものではないと私どもは考えております。
○田中(恒)委員 厚生政務次官は、こういう問題については専門家ですから、私の理解のほうが浅いのかもしれませんが、私は、この経営移譲というものを保険業務の事故として認めることが理論的に正しいのかどうか、そういう疑問を持っておるのですよ。保険事故というものは、やはり自然条件でどうにも避けられない死亡であるとか災害であるとか障害であるとか、こういうものが本来の保険業務の事故として認定をされてきておるものだと理解しておるわけですよ。この経営移譲というものが、こういう保険年金の事故として組み立てられるというところに、本来、年金制度そのものとして私は疑問がある、こういう理解をしておるわけですが、この点私のほうがやはり理解足りぬのですかね、どうですか。
○橋本(龍)政府委員 私は、決して専門家じゃありませんので、私自身がとんちんかんなことを申し上げているのかもしれません。ただ、いま例で申し上げた被用者年金の場合でもそうでありますけれども、およそその農業者であるとないとにかかわらず、老後の生活安定のみを目標にするものであれば、従来から国民年金という制度が実施されており、それで、新しい制度をしいてそのためにそれ以外につくる必要というものはないわけであります。しかし、農業というものが置かれている特殊な立場、また、農業に従事しておられる方々の特殊な立場、わが国の現在の農政の非常に重大な段階に差しかかっておる点、こうしたものを考えていくときに、農業従事者の方々に対して何らかの年金制度をつくり上げていく必要があるという認定のもとに、現在の国民年金の体系をくずさないようにこの年金制度は組み立てたわけでありまして、その場合に、一つの経営移譲という要件をただ支給開始要件としてとったことについて、私どもは間違いではないという考え方を持っておる。昨日から繰り返し申し上げておるとおりの中身でございまして、むしろすなおに御了解を願いたいと思います。
○田中(恒)委員 私は、政策のねらいはわかるのですけれども、それをこの年金制度の中で、国民年金の中に組み合わせて進めていくというところに無理が出てくるということを指摘しておるわけです。むしろこれはヨーロッパ等で——この議論はヨーロッパ等では、構造改善、離農問題が議論される中で、やはり別個に離農年金とか、経営移譲年金——これは日本の場合は、経営移譲の中に離農を含む、こういう要素が入っておるわけですね。そういうものは別個にやっていく。しかも、それは本来は政策年金でありますから、相当大がかりな、国が財政資金を出してやるというのがたてまえだと思うのですよ。ところが、いまの政府は、金が出しにくいからその面をサボっちゃって、そうして国民年金にひっつけて、非常に複雑怪奇な、しかも、非常に矛盾に満ちた設計をせられておる。そのところが私は問題だと思うし、退職と経営移譲と同じように見ようと言われましても、私は、この退職と経営移譲というのは違うと思うのですよ。この経営移譲というのは、これはいろいろあとから問題になって議論されると思いますけれども、やはり退職の場合は、五十五歳とか六十歳とかでぴしゃっとやめなければならないということになるわけです。経営移譲というのは、それは離農という場合もありましようけれども、やはり家族経営ですから、おやじがやめたって、やはりおやじも何かやっておるわけなんですよ。絶対条件にはなっていないと思うのですよ、この年金の中でも。絶対的に経営移譲というものが本人の意思にかかわりなくいつの時点でこれは切れるんだというものじゃないと思うのですよ。そういうものをやはりこの年金の事故として含んでおる、こういう点に実は私は問題があると、こういうふうに思っておるわけです。これ、どうですか。
○橋本(龍)政府委員 この点はどうも何回申し上げましても同じことになるかもしれませんが、私どもは老後の生活安定というものだけをとらえて言うならば、現在国民年金という制度がある。それに新しい農業者年金という制度を取り入れていく上において、経営移譲というものを一つの要件にとったのであって、むしろそれを切り離してお考えをいただくことに無理があるんじゃないかという感じがいたします。それと同時に、政府が金を出したくない一心で、こういうものをつくったんじゃないかというお話でありますけれども、現在国民年金の場合には定額部分は三分の一、また今年新たに提案をいたしております国民年金法の改正案に盛られている所得比例部分には四分の一の国庫負担をいたしておりますが、この農業者年金制度におきましては、国は四二・二一%の費用負担をいたしております。その数字から見ましても、農業者年金というものに対し政府が入れている力の程度は、御理解を願えると思います。
○田中(恒)委員 やはりいまの議論はなかなかすれ違って合わないんでしょうけれども、実際の問題としては、この前の委員会で長谷部委員が指摘をしましたように、このすれ違いがいわゆる経営移譲をしなかった人とそれから経営移譲をした人との間にきわめて不均衡な結果を生み出してきておると思うんです。これは数字等をこの間いろいろ議論になりましたけれども、私の計算ではたしか七百五十円を二十年間かけて、五分五厘の複利計算をして、今日の保険の現価計算ではじいて出していきますと、四千二十六円というものを二十年後には六十五歳以上の方には出さなきゃいけない。これは自分が積み立てておった七百五十円の積み立て分が、利息がついて四千二十六円は毎月返ってこなきゃいけない。それが三千六百円しか返ってこないんですね。だから、四百二十六円は掛け捨てになるわけですね。経営移譲しなかった人は、これを一年間に直しますと幾らになりますかね。おそらく一年に五千円くらいになるんですよ。それは、この間の議論では経営移譲の分に入ったり、死亡一時金の中に入っているんだという体系論でおっしゃられるんですね。しかし現実に農家の立場からいいますと、そういう仕組みの問題じゃなくて、自分が幾ら掛けて、幾らもらえるか、しかも今日まで一貫して農民の頭の中に印象として植えつけられているのは、恩給だという考えでしょう。何か出さなくても、国が農民に対する苦労に報いるということで、何か老後の保障を見てくれるんだ、こういう感じが非常に強いわけなんですけれども、これが実際に入ってまいりますと、経営移譲をやればそうならないじゃないかといいますが、経営移譲をやるかやらないかということの判断は農民がするんだ。五十五歳から六十歳という五年間に区切られているわけですから、その期間に全部が全部やるというわけにはいかない。相当な人が残ると思うのです。そういう人々が掛け捨てになる仕組みになっているのですね。それはいまあなたが指摘せられたように、経営移譲というものを中心として仕組まれておる。そこから経営移譲の中にそれが組み込まれていくわけですね。こういう問題がやはりこの年金の一番大きな穴だと思うんですよ。だから、金を十分出して、補助も思い切って出しておるんだと言われるなら、こういう問題点を修正していく、こういうお考えありますか。
○橋本(龍)政府委員 実際にこの制度を運用してみませんと、はたして先生のおっしゃるように経営移譲なさる方がほとんどないか、あるいは経営移譲される方がはるかに多いか、その辺はわかりませんので、これはあくまでも仮定の問題でありますけれども、最初に申し上げておきたいことは、少なくともこの年金に関する限り、掛け金をお掛け願った方に掛け損になるような事態だけは、私どもが起こさないように、考慮は完全に払っておるということでございます。これは経営移譲だけの問題ではありませんで、たとえば現在国民年金の場合に脱退一時金はございません。しかしこれは、昨日もお答えを申し上げましたように、脱退一時金であれ、死亡一時金であれ、掛け損、掛け捨てにはならない。少なくともそれにプラスアルファの見込めるような状態をつくり出していくということを申し上げてきました。そうして従来の、ほかの年金制度にない幾つかのこうした点がこの中には加えられております。そうしますと、その中で運用されていく限りにおいては、いま一部分だけをとらえて御議論になれば、これはいかぬというような部分も私は絶対にないとは申しません。しかしこれは実際に制度が運用され、これに加入をしていただいた方々が実際にどういう選択を示されるかによって大きく変わることでありまして、一概に申し上げるわけにはまいらぬことでありますけれども、少なくともできる限りの手厚いプラスアルファというものは、私どもは考えてまいるということであって、掛け損には絶対にさせないということを申し上げておくと同時に、将来、いま先生の御指摘になるような状態がはっきり出てきた場合においては、あらためて考え直す部分が当然あり得るとは思いますが、今日の時点でそれをどうこうするということは申し上げかねます。
○田中(恒)委員 私、そこのところがよくわからないのですがね。私がいま指摘をしておるのは、七百五十円二十年かけたら、五分五厘の金利で計算していったら、だれが計算しても四千二十六円であります。これが間違っておれば別です。これが出る。ところが年金は三千六百円しかくれないことになっておる。そうすると、四百二十六円は損じゃないかと言っているのです。これは私は間違いないと思うのです。私は、全体的な制度の機構の中から、国全体の立場で、それは一時金をもらう人もおりましょうし、遺族年金をもらう人もおりましょう。だから全体論として見た場合は、国がある程度補助を出しておるのですから、決してマイナスにならないということはわかりますけれども、個々の農家の人を見た場合には、相当数の人が、もし経営移譲をしなかった場合には、数字として掛け捨てになるという結果が出ておるのだ。そうすると、経営移譲を積極的にやらすように指導しなければいけないということですよ。これも法律で経営移譲を絶対しなければいけないんだということを書いてないわけですからね。だから、経営移譲をするかしないかは本人の選択にかかるわけです。その場合に、もしいろいろな事情で経営移譲しなかった場合、これは掛け捨てになるじゃないかということは、将来の問題でなくて現実の問題ですよ。この問題に対して、いや、ならないのだ、あなたが言うようにそういう人は掛け捨てにはならない、そういう理由がありましたら、重ねてひとつお知らせいただきたいのです。
○橋本(龍)政府委員 むしろ先生非常に一部と申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんけれども、私どもはあくまでも制度全体をながめて、制度全体で均衡を失しないように考えてきております。いま御指摘のようなケースにおきましても、なるほど五分五厘という金利はつかないかもしれません。しかしそれでも、正確な数字は私忘れましたが、四分何厘でしたかのプラスはその場合にもあったはずであります。決して掛け金を払っていただいた方々に対して掛け損、掛け捨てという状態は起こさないということを、あらためて申し上げます。
○田中(恒)委員 そういたしますと、おそらく全体としては言われるとおりだと思うのですよ。しかし、個人個人では——私も七百五十円出したのだから七百五十円分の金を言っているのじゃないのです。金利分を言っているのです。あなたのところで出している金利は四分九厘ですね。しかし、五分五厘というのは、二十年かけるのですからね、どこの銀行に持っていったって五分五厘以下というところはないですよ。だから七百五十円かけた分は損をさせないんだと言われると、それはそうでしょうけれども、そういう理屈はなかなか通りませんよ。しかもこれほど物価が上がっておる時代ですから、金の値打ちがどんどん下がっておるので、二十年先の実質的な貨幣価値はもっと下がるでしょう。そういう中でこれを出されておる計算なので、私はこういうことがはっきりしたら、どう考えてもこの問題だけは直していかないと、これは筋が立たぬと思うのですよ。これこそ国会の権威にかけて、こういう問題をどう直していくかというふうに処理しなければいけないのじゃないですか。
○橋本(龍)政府委員 どうもおしかりを受けて恐縮でありますが、経営移譲というものを一つの要件として定めておる以上は、少なくともその経営移譲をなさる方、なさらない方御本人の意思でその道を選択されるわけであります。先生御指摘のとおりに、なるほど経営移譲をなさりたくないと言われる方の場合に、金利をそのままに比較した場合、経営移譲をされた方に比して御損がいくという数字は、その限りにおいては真実でありますが、制度としてそれが明示されておるものを、そのいずれを選ばれるかは加入者御本人の意思で選ばれることでありまして、あくまでも私どもはこの年金制度全体の中でこの問題は考えてまいるつもりであります。
○田中(恒)委員 それは自由主義だから自由で、自分で選択して、いいほうをとればいいということでしょうけれども、ただ、その前提があるのですよ。これは強制加入ですよね。この法律が通ったら、好きな者もきらいな者もいやな者も、全部無理に入れてしまうのですよ。強制加入で全部入れておって、そしてそのあとで抜け出ることもできないわけですから、そういう中でやはりこちらのほうが有利だからこちらをとれといって、個別的にはいろいろ問題のある人々が、こういう状態になっていく。それから経営移譲というのは実際問題としていろいろむずかしい問題が出てくると思うのですよ、いまの日本の農業の実態からいいますと。しかも経営移譲というのはこの年金の骨組みになっておるわけですから、そこのところが問題のある法案というのは、私はちょっと納得がいかぬのですがね。
○橋本(龍)政府委員 なるほど当然加入という形をとっておりますが、そのかわりに自由に脱退をされる方もおありでありましょうから、脱退一時金というものをこの制度の中には取り込んで、その方々も御自分の意思でこれを脱退される道もあるわけであります。
○田中(恒)委員 自由に脱退することはできますか。
○橋本(龍)政府委員 それは御自分の選ばれた農業という仕事をおやめになる方々、それは自由に抜けていただいてけっこうであります。
○田中(恒)委員 農業をやめたら年金をやめることははっきりしておりますよね。それはちょっと暴論ですよ。自由にやめるというのは、強制加入で入っておって、農業をやっておってそれでいろいろ自分の意にそぐわない場合はこの基金から脱退することができるということならわかりますけれども、農業をやめる道が開かれておるというのは、これはこの法律には関係なく農民が自主的に判断することなんで、そういうことはちょっと私、納得いかぬのですがね。
○橋本(龍)政府委員 実は、たぶんそういろおしかりを受けるだろうと思って、いまあえて礼を失したことばを使ったのでありますけれども、それと同じように、経営移譲の道を選ばれるかあるいは御自分で選んで六十五歳以降なお農業をお続けになるか、これも御本人の意思でお選びいただくことでありまして、制度として、私どもはその場合においても御本人に対して——五分五厘という金利はなるほど割りますが、これは制度全体の中で私は現状やむを得ないことだと考えておりますけれども、マイナスにはならないような処遇はしておるということを再度申し上げたかったのであります。
○田中(恒)委員 厚生省はなかなかきびしいのですが、農林省、渡辺政務次官どうですか。この問題点を農林省としてはどういうふうに理解して、どういうふうにこれを切り抜けようとするか。
○渡辺政府委員 これは厚生省と農林省とよく相談をしてやったことでありますから、私も厚生政務次官の言ったとおりでございます。
○田中(恒)委員 私はこの問題につきましては、なおその他の委員の方からも御指摘がたくさんあると思いますが、ぜひ本委員会の良識が、こういう問題をどう処理していくかという形について、皆さんのほうでまた御協議をいただきたいと思います。 なお、新法ですからいろいろこまかい点をお尋ねをいたしますが、厚生省政務次官、お疲れでしたらひとつ、係の人が来ておられるので、お休みになってけっこうです。 総保険料、これがこの間の長谷部委員に対するお答えでは、千二百九十八円、こういう御答弁になっておったわけですが、このうち経営移譲年金が六百八十円、老齢年金、いま問題にした分が五百二十六円、死亡、脱退一時金九十二円、こういうことで七百五十円の根拠を御説明になりましたが、この千二百九十八円というものは、保険の数理計算の算定要素というものが幾つかあると思うのですが、きのうの委員会、きょうの委員会で明らかにされておるのは、対象者を二百万人に見ておるということですね。そのほかいろいろなものが、この千二百九十八円という保険数理上の総保険料が出てきた根拠があると思うのですが、これをひとつ、いまわかっておりましたらお知らせいただきたいのです。
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。年金の所要経費の計算は、非常に長期にわたる見通しを立てまして計算するわけでございまして、いろいろな要素を使っております。ただいまお話しになりましたように、まずその対象となるものは二百万人と見込んでおりますが、そのほかにまず非常に大きな要素は、年金の支給要件でありますが、経営移譲率、これをどのように見るかという問題がありまして、一つの要素は経営移譲率でございます。それから第二の要素といたしましては、年金をもらってから何年生存するか、逆にいえば死亡率でございます。その要素を見込んでおります。それからもう一つは離農する率、これも見込んでおります。それからもう一つの要素といたしましては、後継者の有無、有後継者率という要素も計算に入れております。おもな項目につきましては、そういう要素を考慮しておるわけでございます。
○田中(恒)委員 それらの数字ですね、その経営移譲率、何%と見ておるのですか。
○廣瀬政府委員 いろいろこまかい数字を用いて計算しておりますので、担当の数理課長から御説明いたします。
○淵脇説明員 いわゆるアクチュアル計算でございまして、ただいま御指摘になりましたところの最も大きな要素は、まず加入者の年齢分布でございますが、これは加入者は、昨日お話し申し上げましたように、またお配りいたしました資料のように、二百万人の加入者を見込んでおります。それで最も問題になるところは経営移譲率でございますが、私どもは昨年農業者年金制度がいろいろと論議されますおりに、ちょうど四十四年の五月に、農家世帯二万六百世帯を調査いたしまして、保険計算の基礎となる資料をいろいろと調査いたしておりまして、これは農業者年金基礎調査としてまとまっておりますが、その中で、現状といたしましては六十歳時点における経営移譲率は一四・二%という数字が出てまいりました。ただし、今回は、この年金制度をつくりますと、その年金制度による効果によりまして経営移譲が当然高まるであろうということを、農民年金の専門部会の農業専門家の方々に御相談を申し上げまして、われわれの計数をいろいろと修正いたしまして、それが約二五%に上昇するというふうに見積もった次第でございます。したがいまして、六十歳から六十五歳までに経営移譲の終わる割合というのは、三〇・二%が三八・九%に上がるであろう、このような経営移譲率の計算をいたしております。これは、あくまで実態調査に基づいたものから推計いたしまして、考えられる要素でその変化を追及したものでございまして、農業専門家の意見を十分に参酌いたしております、 それから死亡率につきましては、国民の第十二回の生命表の男子の死亡率を採用いたしております。 それから、先ほどの離農率でございますが、離農していく方については、農林省の農家就業動向調査で男子世帯、主として農業に従事している者の離農率を、二十歳のところで五・四%、四十歳のところで二・〇%、五十歳のところで一・一%というふうに見積もっております。 なお、この制度につきましては、後続部隊と申しますか、有後継者率、あとに農業を続けていただく方々の数字も必要なわけでございまして、これも、農林省によります農業者年金制度実態調査によりまして、五十歳から五十四歳まで七五%、五十五歳から五十九歳まで七七%、六十歳から六十四歳まで八四%という後継者を持っているというふうな調査になっております。 なお、後継者と本人との年齢の格差は、平均約二十八歳という形で出しております。 このような数字でいわゆる残存表というものをつくりまして、年金計算本来の収支相当の原則によりまして、先ほどの千二百九十八円という必要経費を算定いたした次第でございます。
○田中(恒)委員 問題は、経営移譲率を一四・二%を二五%に見ておるということですが、若干はふえるでしょうが、この二五%というものが実際出てくるかどうかというところがこの保険財政の大きな問題になってくると思うのです。これがもっと上がるということになりますと、保険料を上げるのか、国の補助を高めるのかということになるし、ここまでいかないということになると、掛け金がもっと下がるということになるし、また操作のやりくりでは、いまの老齢年金と経営移譲年金との間に食い込んでくると思うのですが、農林省は、いまのこの経営移譲率一四・二%というのを二五%に——厚生省と一緒に相談しておるのだから一緒でしょうけれども、もう少しこれがこういう程度になるという何か根拠がありますか。全く推定ですか。
○池田政府委員 これは御指摘のように今後の問題で、一四・二%というのは過去の実績でございますけれども、二五%になるという想定をいたしましたのは一つの推定でございます。 大体の考え方といたしましては、この制度が実施されまして、経営移譲を要件として年金の給付が行なわれるということになれば、ごく大ざっぱな考えでございますが、五年程度経営移譲が早まるのではないか。これはいろいろな方の御意見を伺ったのでございますし、また・一部調査もいたしましたけれども、大体そういう感じになるのではないか。そういうようなことから二五%という数字が実は出てきたわけでございまして、まあ、そのとおりになるかならないかは、これはまさに実施をしてみないとわからないわけでございますけれども、そう大きな違いはないのではなかろうかと考えておるわけでございます。
○田中(恒)委員 これとからんで、私あとでいろいろ調べたいわけですけれども、いまの農村の人口の構成というのが、よくいわれるように逆ピラミッドになって、老齢層が非常に大きくなってきておる、若い人が年齢階層的には人数が非常に少なくなってきておる、こういう状態になっておるわけですね。こういう状態が、将来の年金基金の財政というものに対してたいへん大きな影響を与えてくると思うのですが、こういう点については、どういうふうにお考えになって処理されようとしておるのか。
○廣瀬政府委員 御指摘のように、農業者年金基金の加入者は将来減少するわけでございまして、当然その減少率を見込んで先ほど申し上げました数字をはじいておるわけでございます。
○田中(恒)委員 それでは、なおこれと関連をいたしまして若干お聞きをいたしておきたいと思いますが、この二百万戸の対象農家、これは昨日も資料をいただいたわけですが、五十アールということで面積の区切りをつけられておるわけですが、この理由は一体どういうことですか。
○池田政府委員 これは基礎的な考え方といたしましては、将来とも農業経営を営むという可能性を持っている農家というところを一応拾い上げようといいますか、それ以下と、間に線を引こう、こういう考えでございますが、その場合に、それをどういうところで線を切るかという問題でございますけれども、私どもはいろいろな点から検討してみたわけでございますけれども、一つは、一体どの程度の経営規模のものか。そこにたとえば一人の農業従事者がありまして、どの程度完全雇用的な形になるか。そういう点から考えてみますと、まず一人が専従する規模といたしましては、都府県の場合常識的に〇・五ヘクタール程度というふうに考えていいのではないか。それからまた、そういうものをかりに〇・五ヘクタールというふうに想定いたしました場合に、一体そういう農家が日本の農業の中でどういうような地位を占めているか。ウエートといいますか、たとえば農地面積でございますとか、あるいは農業生産額でございますとか、そういうようなところでどの程度の割合を占めているかということを検討してみますと、かりに都府県で〇・五ヘクタールというところで線を引きますと、ごく大ざっぱに申し上げまして大体八〇ないし九〇%ぐらいの割合を農地面積なりあるいは生産額で占めるということでございまして、まあそこいらで一応仕切りをするのが妥当であろう。ただ、それは、絶対的にそれで線を引くということではなしに、それ以下の経営でございましても、あるいは農業の集約度等によりましてはそれ以上の規模に匹敵する経営もございますから、そういう経営は任意加入ということで拾い上げよう、こういうような措置をあわせて考えながら、そういうところで一応線を引いた、こういうことでございます。
○田中(恒)委員 いろいろこの点についてお尋ねしたいのですけれども、五反という規模以外で該当する農家は別途に考えるということですが、これはたとえば畜産あたりの場合は、大体家畜一単位で一反歩というようなことを普通いわれているわけですが、だから酪農で五頭搾乳牛を持っておればこれは五反規模だ、あるいは和牛も同じだ、鶏百羽で家畜一単位だ、だからこれは五百羽だ、こういうふうな形で畜産物等については計算した上で出されるわけですか。それから農地につきましても、この間の農地法の改正をめぐって議論がありましたように、五反といっても、経営内容によっては十分に農業として成り立つ層も各所にあるわけですね。こういう農家をどういうふうに取り扱っていくのか。少しこまかく、その他の該当農家に対する考え方ですね。
○池田政府委員 これは農業者年金の本来の目的にも実は関係してくるわけでございますが、そういう経営移譲を促進することによりまして、農業構造の改善をはかっていこう、こういうねらいがあるわけでございますから、土地をほとんど持ってない農家、そういうものをちょっと対象にするというのは、本来の目的からいって問題がございますので、そういうものは考えておらないわけでございます。したがいまして都府県の場合〇・五ヘクタール以下であって、しかもまた一定面積以上のもの、それは私どもの政令では実は都府県の場合は〇・三ヘクタールという予定をいたしておるわけでございますが、それ以上でありまして、作目の形とかによりまして〇・五ヘクタール以上の規模に該当するような経営を行なっている方、たとえば野菜作等で相当集約的な経営を行なっているとか、あるいは畜産、養鶏等でも、土地は少なくても生産額としては相当大きな経営を行なっているというものもあるわけでございますので、そこいらにつきましては、省令で実はぎめたいというふうに考えております。したがいまして都府県の場合は〇・五ヘクタールないし〇・三ヘクタールの間でそういう集約度等によりまして省令できめたものが任意加入ができる、こういうことにいたしたいと考えております。
○田中(恒)委員 農地法の場合は地域別に面積制限というのを区分しておりますね。こういう考えをこの中に取り上げていくというお考えはございませんか。
○池田政府委員 これはそういう考えはございません。いろいろこまかく入っていきますれば、そういういろいろな問題がございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたような基準であれすれば、将来とも農業経営に精進をするというようなものは大体拾い上げられるのではないかというふうに一応考えているわけでございます。 なお北海道の場合はややいろいろ問題がございまして、目下検討中でございますけれども、これは原則として二ヘクタール、それから先ほど申し上げました都府県の〇・三ヘクタールに相当するものは原則として一ヘクタールというふうに考えておりますけれども、これは原則としてでございまして、いろいろその地域によりましてかなり農業経営の実態が違う点がございますので、そういう点も考えまして、実態に合うような措置をしたいということで現在検討をいたしておりますが、都府県の場合は全部一律、こういう考えでございます。
○田中(恒)委員 私は、こういうふうに一律に〇・五ヘクタールというふうに区切られるところに、この年金法が意図しておる離農年金というふうにいわれる側面が一つある。さらにいま一つは、おそらく年金財政というか、年金の仕組みの上で国から出てくる金と掛け金とを組み合わして計算したら、いま局長が言われた事項等も加わってこの線に線を引かれたのでしょうが、〇・五ヘクタールといったって、たとえば西日本と東日本では耕地の利用率は全然違うわけですね。だから私どものところではよくいわれますけれども、私どものところで五反の百姓が、東北へ行ったら一町歩だ、大体倍、こういうふうに見て農家の経済力その他においては大体イコールになるのじゃないか、大ざっぱですけれども、こういうふうによくいわれてきたわけです。だから農地法の場合には地域ごとに区分がされてきておるわけですが、今度の場合にいたしましても、必ずしも五反歩あるいは場合によれば〇・三ヘクタールということですけれども、そういうふうに区切られるのではなくて、やはり地域別、実態に基づいてやっていく。北海道の場合おそらく二町歩以下の地帯は相当あるということでしょうが、西南地域に行きましたら、平均三反、三・五反とかいうところがざらにあるわけですよ。そういうところはもう全然これは関係がなくなるわけですけれども、そういうように一律的に画一的に引いていくというところに問題がありはせぬか。 それからヨーロッパ等のこういうものに対する考え方の中には、最近収入というか、販売額で計算しておりますけれども、こういう面が非常にたくさん入ってきておりますね。やはりこれから農業の経営構造を相当変革的に変えていくという場合に、こういうように農地一本で線を引いていくという考え方がよろしいのか。特にこういう年金、老後保障、これは基本的にはやはり経済というものが前提になって年金の必要性が生まれておるので、上地面積は第二義的な問題だと思うのです。ところが政府のほうは政策目標が中心になっておりますから、ともかく土地をつぶしていく、大きなところへ持っていく、こういうねらいがあるからこういう形で土地中心の区分をされておるわけでしょうけれども、年金本来のたてまえからいえば、やはり経済の度合いというものが老後の生活保障の区分になるべきものだと思うんですよ。そういう面でいきますと、いまのように〇・五ヘクタールというような分け方で取り上げられるということでは問題があると思うのです。農林省は頭のいい人がたくさんおるわけですから、もう少し知恵をしぼって最も合理的な基準を組み立てるべきだと思うのですが、いかがですか。
○池田政府委員 どういう基準をつくるかということにつきましては部内でもいろいろ検討いたしましたし、また学識経験者の方々の間でもいろいろ御意見があったわけでございます。ただ、いま先生がちょっとおあげになりましたたとえば収入額という金額で押えたらという一つの御提案もありましたけれども、これは確かに一つの有力な考え方だと思うのでございますが、ただこれは非常に変動が激しい、もう年によりまして、農産物の価格等によりまして非常に変動が激しいものでございますから、これで押えるのは非常にむずかしいわけでございます。それで私どもは、先ほど申し上げましたような押え方をすることによって大体農業者年金の本来の目的が満たされる押え方になるのではないか、こういうふうに考えております。 なお、先ほど申し上げました経営の集約度というようなものを判定する場合には、一部その収入金額も併用したいという気持ちは持っております。ただ、やはり先ほど申し上げましたような最低限度の農地は少なくとも持ってないと農業者年金の本来の趣旨から見て非常におかしなことになる。これは先ほど来厚生政務次官との質疑でいろいろお話がございましたけれども、私どもは要するに経営移譲ということに相当大きなウエートを置きまして、老後保障とあわせて農業構造の改善に資する、ということは、たとえば経営規模の拡大につながるということをねらいにしておるわけでございますからそういうことになるわけであります。
○田中(恒)委員 それから権利名義人でなければいけないということですね。これは権利名義人でなくたって実際農業委員会がいろいろな作業をして認定するということになっておるわけですから、これはすぐわかることなんですけれども、やはりこれは権利名義人にしておかねばならない理由はどういうことですか。
○池田政府委員 これは瀬野先生の御質問にもあったわけでございますが、権利名義人、要するに経営移譲があったということを確認をいたしまして、それに対しまして年金の支給をする、こういうことでございますから、そこのところはやはり将来問題の起きないような確実な事務処理をする必要がある。あるいは農業委員会が認定するということも一つの方法かとも思いますけれども、なお権利名義人ということをはっきり確認をした上でやるのが最も確実な方法であるというふうに私どもは考えているわけでございます。 なお、現実に権利名義人と経営者が一致していない場合が若干あるわけでございますけれども、これは農業者年金が施行されましてこういうルールができれば、私どもは権利名義人と経営者とが一致するということになるのではないかということも実は期待をしておるわけでございます。
○田中(恒)委員 そこでちょっとこれは数字であれですが、きのうの質問の中で、〇・五ヘクタール以上の経営主で権利名義人で国民年金に入っておる人の数は百三十五万二千人、こういうふうに農林省がこの年金の予算算定の場合の数字として出して厚生省と話をしたという議論があったわけですね。そうしますと、昨日いただいたこの国民年金加入状況の数字を見ますと、一種農家で五十五歳未満で百九十九万七千人国民年金加入者がおるわけですね。そうすると、これから引きますと約六十四万五千人というのがいわゆる権利名義人になっていない、いわゆる登記が完了していないということですね。そうすると、この比率を見てみると、約三〇%程度になるわけですが、さっきの局長の話を聞くと一三%程度しかいないということでしたが、これはどうなんですか。私のほうの数字の計算間違いですか。
○池田政府委員 厚生省が計算をされましたときにそういう数字があったようでございますが、若干調査のもとが違うようでございまして、私どものほうは昨日お答え申し上げましたように、比率としてもう少し高い比率のように一応把握をいたしておりますけれども、その調査によりまして若干そういう違いが出たようでございます。
○田中(恒)委員 これはだいぶこの数字が違うわけです。一三%と三〇%ですから、三二、三%になると思うのです。もし今日三割程度のものが土地の名義を正式に、実際の経営者がまだ名義人になっていないという状態でしたら、これはこの年金制度が出てくる当初いろいろな混乱が、この名義人という問題をめぐりまして処理しなければいけない問題がたくさん出てくると思うのです。だから一体どれだけ正確にいま正式に経常主で名義人になっていない人がおるのか、これはそこでわかりましたらちょっと知らしていただきたいのです。
○池田政府委員 ちょっと先ほどの答えに補足して申し上げたいと思いますが、この違いができました一つの原因は、死んだ人の名義になっているものをどう扱うか、こういうことのようでございます。要するに私どものはたしか八五%ぐらいであると申し上げたと思うのでございますが、これは死んだ人の名義になっているものを除外いたしまして、実質的にその処分権のある方についての名義人になっている方の割合、こういうふうなことで違いが出たようでございまして、死亡した方を入れますと大体厚生省のような数字になるようでございます。
○田中(恒)委員 これはあとでひとつ調べてみて知らしてください。 それでこの二百万人ということで——農業従事者数は大体一千万切ったといわれておりますが、約一千万の農家戸数で五百三十五万、こういう人人が現実におるわけです。そこへ二百万人がこんどの年金に対象になっていくということなんですが、私はここで農林省と厚生省に農村における社会保障についてお尋ねをし、御見解をお聞きしたいわけですが、さっきも申し上げましたように、最近の農村の人口構成というのは、だんだんお年寄りと婦人に集中してきておるわけですね。しかも年金問題研究会が指摘しておりますように、今日まで農村における社会保障というのは私的保障、家族制度を中心とした保障体系の中に生存されておった。この家の制度が急速に変わってきておる。そういう中でこの高齢者に対する社会保障というものが、いま農村では地域的には非常に大きな期待を受けておるわけですね。ところが今度の農業者年金ができましても、こういう人々は何ら関係ないわけです。わが党の農民年金にはこの問題が織り込まれておるわけですが、政府の案には五反以上ということで、将来農業として成り立つという前提で、われわれのほうから勘ぐれば、将来の日本の農家戸数というのを大体二百万戸程度に押えていく、そういう方向に持っていくために必要な年金の仕組みや年金の制度というものは組み立てられてきた、こういう理解に立つわけですが、今日日本の一千万人の農業従事者がいまこの制度に期待しておるものは、むしろ高年齢層のお年寄りなり御婦人なりに対してどのような社会保障の観点がとられていくのか、これは国民年金の問題は別としてお考えになるのでしょうけれども、この点につきましては厚生省としてどういうお考えか。これは農林省として今度の農業者年金を仕組むにあたって、これらの問題についてはどういうお考えでこういうふうに区切って選別——われわれはあえて選別と言うわけですが、五十五歳なり〇・五ヘクタールなりというような形で区切ってなされた場合に、農民年金の、農林省に設置をした研究会では、この家族の問題と老人の社会保障の問題がかなり議論せられたはずでありますが、これについての農林省のお考えを両政務次官からお聞きしておきたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 私どもは現在すでにお年を召されておられる方々の対策としては、別に農村あるいは都市ということで区切って考えてはおりません。先生もよく御承知のとおりに、最近たとえば団地等において一人で暮らしておられるお年寄りが、なくなってから何日もたたなければ発見もされないというようなケースも都市にもあるわけであります。むしろこれは農村であるとかあるいは都市であるとか、そういうことに限らず老人福祉というものは考えるべきものでありますし、現在私どもはそう考えて対処をいたしております。御指摘のとおりに、国民年金というものを一つのその柱に置きあるいは被用者年金もむろんその柱の一つでありますけれども、それ以外にあるいは老人ホーム等の建設を急いでおりまするのもまた老人対策の一環でありますし、あるいはホームヘルパ一等を活用し、現在老人対策を進めておるのもその一環であります。 また現在いわゆる抜本改正の医療保険の論議の中で、高齢者のみを対象とした医療保険制度が論議をされておるのもその一つのあらわれでありますし、私どもは老人福祉というものはそうした諸般の施策全体と相まって完成すべきものであると考えておりまして、その次元から考えますならば、現にお年を召されておる方々に対する対策についてあるいは都市であれあるいは農村であれ、どこにお住まいであるとにかかわらず老人福祉というものを真剣に取り上げていく考えであります。
○渡辺政府委員 ただいまの厚生政務次官のお話と同じでありますが、まあ何歳で切ったらいいかということはいろいろ議論のあるところでありますが、一応諸般の事情を考えて五十五歳という線を——年金という手法をとらなければならない。とる以上どこかで引かなくちゃなりませんからそういうように切ったわけであります。したがって五十五歳以上の人の問題については、ただいまお話があったような、社会保障でまあめんどう見ていただくということを考えておって、いまのところこれらの人に対して一時的な給付金を出すとか特別措置をするとかということは考えておりません。
○田中(恒)委員 そういう御答弁だと思っておるんですけれども、しかし農業者年金という名前になっておりますが、本来農民年金と普通いわれてきたわけです。この農民年金に期待せられた面というのはいま政府が対象としておるような面じゃなくて、私がいま後段に申し上げたような面が私はむしろ最も期待されるべきであるし、政治の光を当てなければいけない面だと思うのです。確かに農村の婦人、お年寄りだけというわけにいかない面があると思いますけれども、しかし農村の今日までの社会保障のシステムというものが比較的家というものにたよってきておったわけですから、これがだんだん崩壊をされてきておる。しかも農村ではいままで教育等にいたしましても、農民が教育をしたのが全部都会へ来て、都会の労働力になってきておるわけですね。そういうところから農村における老齢者、高齢者問題というのがだんだん深刻になっておるので、こういう点に目を向けるべきだと私は思うのですけれども、政府案はそういうところは、一般と同じ、右へならえというようなことですが、この問題は基本に関することですので、なお大臣がお見えになったときに若干議論してみたいと思いますが、時間がだいぶ過ぎましたので、もう要約してあと幾つかの問題だけ御質問いたします。 一つは基金の管理の問題で、先ほど来からもいろいろな御質問がありましたが、まず第一は役員の任免ですね。理事長を農林大臣が任命し、評議員も農林大臣が任命をしていく、こういう形は、私は全くこれは天下りになっていくし、農林大臣のかってな人事になっていくと思うのですよ。おそらく農林省のお役人の首の持っていき場所がここになってくる、こういうふうに思わざるを得ないわけですね。こういうものは、昔はだいぶ期待されておったんですけれども、今日はそういう仕組みというのは非常にもう古いものになっておると思うのですよ。ところがこれでは大臣の任命制ということになっております。一体なぜこれをいわゆる被保険者の総意によって組み立てるような仕組みにしないのか。評議員がわずか三十人で、しかもこれは農林大臣の任命で出てくる。その評議員会は民主的に運営すると言われますけれども、評議員会の権限は一体何ですか。これは調査審議をするという機関ですね。調査審議するだけであって、権限は何もないわけでしょう。聞くか聞かぬかというのは理事長の判断にかかってくるわけですね。こういうような形で全国のいわゆる二百万人の農民のお金がここに積み立てられてくるわけですね。こういう性格というのは私はどうしても納得できないわけですがね。この際、評議員会等を、たとえば代議員会的に最高議決機関という形にしていく。もうすでに農林年金等はやっておるわけですね。この間本委員会でいろいろ議論いたしました。こういうような仕組みになぜできないのですか。しかも評議員三十名というのをどういう判断で選んでいきますか。
○池田政府委員 これは昨日も御説明したかと思うわけでございますが、御存じのように二百万という非常に多数の農民が加入をされる一わけでございまして、二百万の中から総会みたいなものを構成するとかあるいは二百万から選挙制によりまして投票等によりまして役員等を選ぶというのは、仕組みとして非常にむずかしい、こういう実態がございます。 それからもう一方におきましては、これは農民から拠出していただきまして、その基金の運用をするわけでございますが、同時にこれは公的年金の一環として考えておるわけでございまして、政府も相当額の助成をする、こういうことになっております。目的といたしましても農業構造の改善に資する、こういう目的があるわけでございまして、そういう公的色彩の強い機関でございますから、そういう点からもいま申し上げましたような制度をとるのがいいのかどうかという問題もございますし、現在採用されていますような方式をとるようにいたしたのでございます。 ただ、それの運営につきましては、私どもは農民の意向が十分反映されるような実際上の運営をするように指導をしたい、こういう考えでいるわけでございます。
○田中(恒)委員 二百万人から選挙をしていくのがむずかしい、むずかしい面もあるでしょう。しかしやる気になればやれないことはないと思うのです。そういうのは別にしまして、私はたとえば評議員会というものを二百万人から三十人といったようなものじゃなくて、最少限たとえば各県から一名や二名は被保険者の意思を受けて評議員会へ出てくる、しかもその評議員会はこの年金の機構の中では一つの重要な議決機関なんだ、こういう性格をなぜ置かないのですか。調査をし審議をしていく。調査をし審議をしたものがどうなるかという権限を与えられてないですね。そういうものじゃなくて、評議員会といったものを議決機関にしていくというようなことをなぜお考えにならないのですか。これは簡単にできると思うのですね。 そして、この評議員の数も、三十人といったようなものでこれだけの膨大な機構をやるというところには、私は民主的に運営せられると言われますけれども、民主的に運営せられるどころじゃなくて、ごく少数の人々で、しかも膨大な資金がこれから蓄積をされていくわけですが、それがかってに動かされていく、そういう危険性を感ずるのですがね。
○池田政府委員 前段の、たとえば代議員制みたいなものをとりまして、そこで議決をする、こういうような御提案でございますが、これは先ほども申し上げましたように、いわゆる公的年金でございまして、先ほど申し上げたような政策目的を持っているものでもございますので、単に代議員みたいな方が集まってそこで最高の意思決定をするというのがいいかどうか、これは相当問題があるので、特殊法人という形をとりまして、そういう方の御意見を伺いながら最高の管理者でございます理事長が決定をいたしまして、主務大臣がそれを監督をする、こういう方式が最も年金制度本来の趣旨にかなうのではないか、こういう判断があるわけでございます。 数が少ないのではないかという御指摘、あるいはそういうお考えもあり得るかという気もいたしますけれども、あまり数が多くなりまして、またそれぞれ選ばれました方が責任を持ってこの重要事項の審議に当たるという気風が薄れるというようなことになりましては、これはかえって逆効果になりますので、比較的少数な方で十分責任を持っていろいろ御検討願いまして、基金の業務の内容についても相当詳しく糟通をしていただいた上で議論をしていただく、こういうほうがむしろいい調査審議ができるのではないか、こういう考え方でございます。
○田中(恒)委員 最後に一問だけ要約して御質問します。 農地の買い入れと売り渡しの業務を行なうということになっておるわけですが、本来年金の制度の中ではこういう不動産の取得というものについてはたしか一割といった程度の限度をそれぞれに与えておるのじゃないかと思うのですよ。これは不動産、特に農地、特に今日の段階における土地というものがたいへん投機性を帯びておりますだけに、こういう長期の年金財政の中へこういう非常な危険な業務というものが入っていくということは、年金の財政そのものを大きく影響していくというたてまえから、いろんな年金の財政には不動産の取り扱いについての限度を置いておるわけですが、この年金はむしろ大きな業務として農地の売買、売り渡しというものを入れておくのですが、このことが年金財政の安全性というか、こういうものに非常に大きな影響を与えるのじゃないか。具体的には、先ほども過疎地帯における農地の買い入れ、土地は買ったがさっぱり売れない、こういう形で抱いていかなければいけない、こういう事例があったわけですが、私はこの問題はいろいろな問題を残してくると思うのです。一体どの程度まで農地の売買業務というものをやらしていくか。無制限にやらしていくのか。こういうことを入れるのがよろしいのか。今日の制度資金の体系からいきましても土地の取得資金というものがあるし、その面の財政のワクをふやしたり、公庫の資金をふやしたり、そういうことにすべきであって、農民から集めた金で、農民の土地を安い金利で——三十年だと言われましたけれども、逆からいえば政府の金じゃなくて農民が集めた金だから安い金利で回していく、こういう理屈だって成り立つと思うのですよ。私は、こういうものは農民に対してたいへん愚弄した業務じゃないかと思うのですが、この点についてどうですか。
○池田政府委員 農民が集めた金だから安く回すのだ、こういうことではないかという御指摘でございますが、私どもは、要するに考え方として、農民からお預かりした金でございますし、その農家の農業経営の改善につながるというふうに極力これを運用したい。そのためには、公庫資金よりかさらに有利な条件で農民に融資をするというようなことにしたい。ただ、それでは基金の運営、収益を確保するという点から穴があくわけでございますから、その差額は国が利子補給しよう、こういうことでございまして、愚弄しているというお話でございましたが、全く逆に、私どもはその点については非常に前向きで考えた、こういうふうに実は思っているのでございます。 なお、運用の幅をどのくらいにするか、無制限かというお話がございましたが、無制限ではございません。これは一定の限度内に制限をするつもりでございます。ただどこの線にするかということは、実はまだ内部的に検討中でございまして、きめているわけではございません。他の年金等の例によりますと、たとえば農林年金等は不動産取得に回すのは二割くらいということであったと思います。私どももそういうものを十分考えまして、これの運用によってほかのほうが非常に迷惑を受ける、あるいは他の面における農民への還元が非常にむずかしくなるということを考えているわけではございませんので、そこらはリーズナブルな線を引きたいという考えでございます。
○田中(恒)委員 大臣への質問の分を保留いたしまして、予定をされた時間がまいりましたので終わらせていただきたいと思います。 ————◇—————
○草野委員長 この際、連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。 ただいま本委員会において審査中の芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案及び内閣提出農業者年金基金法案の両案について、社会労働委員会より連合審査会を開会いたしたい旨の申し入れがありました。これを受諾し、社会労働委員会と連合審査会を開会することに御異議ありませんか。
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会は社会労働委員長と協議の上、四月二十七日午前十時三十分より開会することといたしましたので御了承願います。 次回は、来たる二十七日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時六分散会