農林水産委員会 第14号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/08
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠君。
○小平(忠)委員 農地法並びに農協法の一部改正に関しましては、相当長期にわたる審議を重ねまして、前国会においては、附帯決議を付して政府案が一応本院においては多数をもって通過をしたというようないきさつでありますが、しかし参議院において不幸にして審議未了になっておるのであります。その後新たに米の生産調整という問題が出てまいりまして、このことが農地法並びに農協法の一部改正にも重要な影響を及ぼすような結果となりまして、両案の改正問題についてはさらに慎重な態度、慎重な検討を加えなければならないということだと私は思うのであります。両案に対しまする農林大臣の所信をお伺いする前に、最も重要な関連のある米の生産調整に伴う農地の転用、あるいは作付転換、休耕などについてのその後の情勢について、若干大臣の所信を承りたいと思うのであります。 第一は、転用農地の取り扱い方が、農林省だけでなく、各省に関連を持つ問題だけに、政府当局においてもその準備やあるいはいろいろ体制を整えるのに苦慮されておるようでありますが、実は先般の本委員会においての質疑を通じましても、一応三月中にもある程度めどができやしないかということがありましたのですが、すでに四月も本日は八日でありますが、現在におけるこの転用農地の取り扱いについて農林省あるいは各省の進捗状態について承りたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 十一万八千ヘクタールにつきましては、いまお話しのように、関係各省一致協力して、予算に計上いたしております一億円の調査費を配分しまして、それぞれ担当してやってもらっておるわけでありますが、その集計と申しますか、なるべく実際に即した報告を取りまとめるようにしてもらいたいということでやっておるわけであります。大体今月末ごろにはおよその見当がつくのではないか、こういうことで、いまそういうことを依頼してやっておるところであります。 そのほか、そういうことにも関係があるわけでありますが、いままで地方に工場を分散したいと言っておるような産業界の人々、経団連のおもな人々らと私どものほうと会同いたしまして、いままでしばしば各地に工場を分散したいと思っておっても、農地転用等非常にきびしいし、地方の実情でそれが困難であるという訴えをたびたびわれわれのところへ持ってきておりますので、そういう人たちとも会同をいたしまして、こちらの意のあるところを話しまして、非常に積極的に協力的態度で、自分たちのほうでひとつ業界として計画を立てて、各地方庁に相談を持ちかけるようにいたしたいというふうなことも、そのとき言っておったようなわけでありまして、自治省その他それぞれ違った角度でやっておってくれますので、私は大体目標数字は達成できるものではないか、こういう見通しをつけて、なお鞭撻しておるところであります。
○小平(忠)委員 いまの大臣のお話ですと、十一万八千ヘクタールの転用農地のことについては、大体予定のとおりいくのではないかというお話でありますが、生産調整の具体的な方法として、これは農林省が所管して行なっておりまする、すなわち作付転換、休耕、このような内容につきましては、昨日角屋君の質問に対しましても御答弁があったようですが、これは大臣、当初予定された方向とはだいぶ変わった方向にいっておるのではないでしょうか、作付転換、休耕についての内容は。
○倉石国務大臣 生産調整の分は、私どもといたしましては、なるべく作付転換を望ましいと思いますし、またそういうことでできるだけ早くそういう作付転換の方向でやってもらえるように、御存じのように四十四年度補正でも二十億円を計上いたしまして、そのための施策をやるように取り急ぎやったわけであります。しかし何ぶんにも百万トン調整というので、急速にこれが全部転換されるということはもう非常に困難だ。また現実の事実がやはり休耕のほうが割合が多いのではないかと思われるような傾向であります。
○小平(忠)委員 これは昨年、一昨年、一年も二年も前のことならいざ知らず、政府が四十五年度予算を編成し、政府案決定の時点において、その直後に国会に上程されて、この委員会に本件についても提案され、大臣並びに政府委員からの説明で、この生産調整の百万トンの中身は、休耕というのはこれは第二義的であって、作付転換に重点を置いているんです。大体このことも予定どおり農業団体も市町村も協力してくれるので予定どおりいくと思う。それは全体としては一応割り当てたものの、いまあがってきている数字というものは作付転換よりも逆に休耕のほらが多いという結果があらわれている。これは大臣どのようにお考えにですか。またこのことも、私は次の農地の転用につきましてもいろいろ問題があると思うのですが、これはやはり非常に重要なことなんです。このことを政府が計画してから、具体的に指示してからまだ二月ぐらいしかたっていない。ところがすでにもう大きく狂ってきている。これはどのようにお考えでしょうか。
○倉石国務大臣 農政、農業についてたいへん明るい方に反論することはいたしませんけれども、ヨーロッパでもたいへんな勢いで生産調整をやっておることは御存じのとおりでありますが、あそこなどは、木を植えるか放置しておくか、そういう問題でもなかなか結論が出ないようであります。しかし実際に調整はやっている。この間カナダの閣僚が来まして、カナダでもやむを得ず生産調整をせざるを得ないということで、これも聞いてみますというと、わがほらよりは配分してあげる奨励金の金額は少ないようであります。どらもいろいろ見ておりますと、私どものほらはわりあいに実情に即したやり方をやっているのではないかと思いますが、何はともあれその目的は、過剰米をやはりこれ以上かかえるということにつきましてはあらゆる方面にいろいろな障害を生じますので、まずこれをしなくちゃならないということに踏み切ったわけでありますから、百万トン分を一挙に作付転換というのは、これは言うべくしてなかなか困難なことであることは御存じのとおりであります。したがって私どもとしてはできるだけ転換を希望いたしますし、またそのためにこそ三万五千円奨励金を出すわけでありますから、それを希望いたしますと同時に、今度はいま地域地域の適作について農業団体、生産者、自治体等と私どものほらの出先とが緊密な連絡をとりながら、できるだけ転作に持ってまいるように努力はいたしておるのでありますけれども、とにかくそれらの地域の事情もございまして、御存じのように全部転換作物を見出すということはいままだできておりませんので、これはやむを得ないことではないかと思っておるわけであります。
○小平(忠)委員 私は生産調整についてどうこう言っているわけではないのであります。当初政府が提案し説明されました中身は、当初の考え方、構想は百五十万トンでしたが、予算編成のさなかに五十万トンはいわゆる農地の転用に振りかえられて、結局百万トンというものを作付転換、休耕などによって減産調整をしょう。この百万トンの中身について大臣が当初説明された中身は、作付転換を第一義に考えております、休耕は第二義的であります、特に休耕というのは土地改良などいわゆる夏工事、俗にいう通年施行によって現実にその作付ができないというものを農林省としては大体三万ヘクタールほど考えておるから、これを重点にしておるのであって、休耕による生産調整は第二義的でございますというように説明されたのでございましょう。それが二月もしないうちにがらっと変わっちゃって、中身は休耕のほらが半分以上になってきておる。結果的に私は休耕のほらがもっとふえると思うのです。二年も三年も前の考え方ならいざ知らず、二月、三月前に示された中身と変わってきていることについてあなたはどうお考えですかと聞いているのです。
○倉石国務大臣 初めから作付でも休耕でもよろしいなんてそんな放言をしておったら一体どういうことになってまいるでありましょうかということをわれわれは心配いたすわけであります。もちろんさっきから申し上げておりますとおり、二十数万ヘクタールというものをそう全部おいそれと、待ってましたと言わぬばかりに転換できるということは、これはなかなか至難のわざであることはもうおわかりのとおりであります。私どもとしては、今日でもなおかつ転換についてどんどん努力いたしておるわけでありますから、転換はできるだけ多いがよろしい、そういうことで努力をいたしておるのでありますが、これは私どもが強制するわけにもいきませんし、また休耕についても差別の扱いをすることはよくありませんからして、同等の扱いをいたしておるわけでありますが、希望するところはできるだけ御協力を申し上げて、作付転換を一ヘクタールでもよけいやってもらいたい。しかしとにかく生産調整という大眼目を達成するために最大の努力をする、こういう方針でございましたので、いまでも転換がふえることを待望しつつ、毎日努力をしておるというのが現状の姿であります。
○小平(忠)委員 私は転換と休耕は大きな開きがあると思うのです。休耕というのはことし一年休むのであって、来年は米をつくるのです。本来かういうと土地改良などのためにどうしても休耕せねばならないというのは、これは私はわが国の生産性の向上、いわゆる農業の近代化という方向にいくためには、むしろ奨励すべきことだと思うのですよ。しかし何らそういう意図がなくて、米が余るんだから、結局つくらぬでおけというような意味においての休耕というのは、これはむしろを奨励するようなもので、それに奨励補助金を出すなんてことは、国民感情としてもまた許されない中身のものであろうと私は思うのです。しかしそういう現実の状態から判断して、理屈は通らなくてもやむを得ないということからそれを認めるにしても、やはり本来は、今日総合農政ということばからいうならば、米つくりについてはこの辺で思い切った施策をしなければならないでしょう。平たいことばで適地適産主義といわれているようなことからいって、やはりこういう時期に、米の生産に適しないような地帯や条件下におけるところは思い切って転換せしめるべきでございましょう。そういう意味で、私はまことに残念だけれども、この生産調整に対する、いわゆる作付転換というものについては相当本腰を入れてやるべきだと思うが、しかし結果的には安易に惰農を奨励するような形の休耕が半分以上になってしまったということは、大きな問題があろうと私思うのです。いまあなたのお話を聞いていますと、二月ほど前におっしゃったことばと中身が変わってきているが、最初からどっちでもいいなんていうことを言ったらそれはたいへんなことになるとおっしゃるけれども、しからばそういう意味もあって本委員会においての答弁をなすったのですか。私はそうでないと思う。そういう意味から、現実は奨励すべきでないものが出てきているということについて私はもっと責任あるあなたの御答弁をいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 私どもばかりじゃありません。米をつくっている農家自身が、いままでのような調子で古々米がだんだん過剰になってまいったのでは、大体米を主としてやってまいりました日本の農業の将来がどらなるかということについて非常な危機感を持っておられました。私はその後いろいろ地方にも出てみましたけれども、お目にかかる方々、ことに農業団体の人ばかりでなくて、実際耕作しておられる方々自身がそのことをよく知っておられます。しかしそれにもかかわらず、やはりかっこうな転換がむずかしいというようう方もあります。地域によって違うでしょう。北海道の方面ではかなり大きな生産調整も行なわれておるようでありますが、私どもは当初初めから考えておりましたのは、できるだけひとつ全部転換するようにやってもらいたいということについて、知事会や農業団体の方々に十分それをお願いいたしておったのでありますが、現実はなかなか困難であるということであります。いまお話しになりましたように、休耕している者にまで同じような奨励金を出すことについての国民感情のお話もございました。一面において確かにそうだと思いますけれども、やはり今日までやってまいりました農政の中の一つの処置について大きな転換をいたし、しかももし従来どおり米をつくっておったとしたならばある程度所得を保障されるであろうところの人々に、国策に準じて休耕していただくというのでありますから、これはやはり大きな政策転換のために助成金を出すということは多数の国民は十分理解を願えることであろうと思います。そういうことで、できるだけ私どもといたしましてはなお努力を続けながら転換作物について鋭意努力を傾倒しておるわけでありますから、そういうことについて一般の生産者たちは十分な御理解を持っていただいているものであると確信をしているわけであります。
○小平(忠)委員 情勢の推移とかいろいろの判断の違いとかというものはそれはあるにいたしましても、二月ほど前にこの席で、この中身は転換が第一義であって、休耕は第二義的で、それはいわゆる土地改良などを重点に考えておりますとおっしゃったことが、わずかの期間で大きく中身が狂ってしまった。そうしますと農地の転用につきましても大体計画どおりいくと思います、こうおっしゃったこともそれではわかりませんね。それじゃまるっきりここで説明されたことがぐるぐる変わるのであるならば、われわれはいろいろなその農政上の問題を明らかにして少しでも前進の方向に努力しようと思うことが何かこう非常に不安定な形になると思うのですが、いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 百万トンの生産調整というのがまず第一に大きなねらいでありますから、これがどうなるかということが、農政、一つの転換の大きな眼目だと思います。それはやってみなければわかりませんが、現在のところではまことにありがたいことに全国の生産者、農業団体等が非常な御協力を願っておることは御存じのとおりであります。十一万八千ヘクタールというのも数は私は決して少ないとは思いませんけれども、各省非常な協力をいたしてくれまして、しかもこれは私どもの意思というよりも政府全体の事業でございますので、これからもさらにその方向に努力をしていくのでありますから、私はこれはいけると思っております。
○小平(忠)委員 そうしますと中身は、若干当初腹ではどう考えようとこの委員会で説明した中身とは違っても百万トンの減産は達成されるんだ、大きな狂いはございません――じゃこれは来年も継続されますか。
○倉石国務大臣 小平さんにことばを返すわけではありませんが、中身はともかくとおっしゃいましたけれども、私どもの腹の中身は転作をうんとやってもらいたいというのはいまでも変わっておりません、初めからそうであります。しかし、実情なかなか二十数万ヘクタールの中でそれぞれ水田を耕しておられる人々の御意向で若干われわれの意思と合わなかったものが出てくるかもしれぬ、これはやむを得ないことではないかと御了解をいただけることだと思うのでありますが、できなかったときにはどうするかということにつきましては、しばしば申し上げておるように、いまえらい勢いで皆さんにやっていていただいてお目にかかる方一人残らずが私のほらではこうですよと、たいへん協力をしていていただくということを誇りにわれわれにお話をいただいておるような最中でありますので、できるにきまっていると確信しているのでありますから、できないときのことはあまり考えたくないと思うのでありますが、これは人間のやることでありますから、間違ってそごを来たすこともあるかもしれませんが、そのときにはなぜこういうことになったのであろうかというようなことについて掘り下げて検討いたしまして、みんなで相談いたしまして納得のいくような手段を講じていかなければならないだろう。そのときに、よってきたる原因を深く検討した上で態度をきめてまいりたい、こういう考えでおります。
○小平(忠)委員 来年度はこの生産調整にかかる転換、休耕の奨励補助金を出すお考えですかと聞いているのです。
○倉石国務大臣 予算は今年度だけでありまして、政府を代表して予算の説明に当たりました財政当局は、これは緊急な事態を処理するためであるから今年度限りだ、こういうように説明をいたしましたことは御存じのとおりであります。これは政府としての予算に対する態度の説明でありますから、私どももそれに服従いたすわけであります。けれども農業というものは息の長いものでありまして、半年や一年でなかなか決定的な変革というものは不可能であることは申すまでもございませんので、私どもといたしましては当初の目的が達成されますように、継続していろいろな手を打っていきたいと思っておりますので、そういうことについては農林大臣の立場としてはいろいろな施策を続けてやられるように、政府部内において最大の努力をいたしたい、率直に申し上げると、こういう心境でございます。
○小平(忠)委員 なかなかお苦しい御答弁でございますが、大蔵大臣はことし限りでございます、農林大臣としては、農業というものはやはり長い目で見なければならぬから、この制度はひとつ来年も継続していきたいと思うので、努力したいというようにとれたのですけれども、問題はそこなんです。財政当局はこんなようなものはことし限り、こういっているが、中身が問題なんです。大臣も、いまでも転換に重点を置いて、休耕というものは重点を置いてないのだ、あらわれてきている中身は休耕のほらが多くなっている。このことは来年の予算編成の上においても、この制度を来年も継続していく上においても、大きな影響があるから、あえて私はこれを伺っておるのであります。したがいまして、このことは農地の砥用にいたしましても、そう簡単なものではございません。それらがこの農協法並びに農地法の一部改正にも大きくからんできておるのであります。したがいまして、農林大臣はこれらの事情も勘案されまして、さらに現在不適地である、またどうしても作付転換せねばならぬということにつきましては、もっと積極的な施策をもって取り組んでいただきたい、私はこう思うのであります。 さらに、米の生産調整に関連しまして、単に減産、減産ということだけでなく、たくさんの古米、古々米をかかえて、昨日も米審懇を開いて、新聞等の報道によりますと、これをみその原料やあるいは家畜のえさにどうして使うかということの論議がされているようであるが、もっと農林省は積極的に米の消費の拡大について取り組むべきである、私は当初からこれを主張いたしております。したがって、米の減産調整とあわせて、消費の拡大について大臣は最近どのような決意をもって取り組んでおられるか。もう新年度に入ったのでありますが、実際にどういう施策をやっておられるか、この際伺いたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 過剰米の処理につきましては、お説のとおり、もう過剰になったものはいたしかたありませんので、できるだけ国家に損失を与えないような努力をしながら、処分に最善の努力をしなければならぬわけでありますが、しばしば申し上げておりますように、文部省とも話し合いまして、学校給食等に米で供給する場合、それからパン等に混合して供与する場合、いろいろな面で文部省も非常な協力をして学校給食についてやっております。それから輸出にもかなりな努力をいたしましたことは御存じのとおりであります。それからいままで砕け米、外米等を原料にいたしておりましたものについて、たとえばみそ、しょうゆ、そういうところにも内地米を使うようにしむけております。アルコール原料等もそのとおりでありますが、その上なおかつ、現に飼料にほしいという面が出てまいりまして、これがはたして可能であるかどうかというようなことについて、ただいま検討してもらっております。これがもし可能であるということになれば、相当量が出ていくわけでありますが、これはまたそれにかわります過程において、いろいろな不安が出てまいりましたので、とりあえず六万トンをそういう方面に振り向けて検討してもらうということではありますけれども、それだけのものが、また不正に扱われるようなことに相なってはまことに相すまぬことでありますので、そういう危倶のないように、どのようにしたらうまくいくかということまで研究いたしておる。そういうようなことで、いろいろ用途の拡大に向かって努力をしておるわけであります。
○小平(忠)委員 消費の拡大というのは、これは生産過剰という方向に出てからもう三年目を迎えておるのですが、検討の段階も過ぎたような感じもいたします。したがって、いま大臣が積極的に取り組んで検討しているとおっしゃるけれども、食糧庁が単なる検討の段階よりも、もう一歩進んで、具体的にそういったようなことを推進する機構というかあるいは実態というか、そういうようなものを現実におつくりになって、そして強力な担当責任者をきめてやっている、そういうようなことがあるのでございますか。
○倉石国務大臣 先ほど申し上げたものの中に、多くはもう現実に実行しているわけであります。輸出もそうでありますし、その他かなり実行に移している。いま私が検討いたしておると申し上げましたのは、学校給食のいろいろなやり方について、現にいっているところもありますけれども、これからなお増強するために、消費拡大をはかるために検討している。なおもう一つ飼料の点が、いま申しましたようなことで検討しておるようなわけでありますが、私どものほうでは組織がございますので、そういう組織をフルに動かしまして、それぞれ関係筋も非常に一生懸命で、ただいま申しましたそのほかのことにも十分努力をさせておるわけであります。
○小平(忠)委員 それではいま実施をしている具体的な中身ですが、それは政府委員からでもけっこうですから、種目別あるいは数量別にちょっと教えてくれませんか。
○倉石国務大臣 そのほうのお話は、きょう午前中にあるように予定されておりませんでしたから、事務当局は来ておりませんが、したがって、数量のことなど、私はつまびらかにいたしませんけれども、何しろ過剰米をかかえておって一番苦労しているのは私どもであり、食糧庁当局でありますので、皆さん方におしかりを受けるまでもなく、頭の痛い問題でありますので、日夜そういうことに努力はしておるわけであります。しかしこの上ともこういう手はどうかということがありましたならば、どんどん教えていただきまして、そういうことにできるだけすみやかに着手してまいりたいと思っております。 いままでのことにつきまして、あとでまた数字的に御報告いたします。
○小平(忠)委員 いや、それはいろいろな知恵というけれども、具体的に言いますと、学校給食なんかはもう――私予算委員会でも去年、おととしから言っているのですよ。まず第一に、都市部においては非常にめんどうだが、農村の米作地帯の学童なんか米食に切りかえなさい、ところがなかなか進まないのですよ。ようやく四十五年度予算で試験的にこれを学校給食をやらせる程度の状態でしょう。ですから、それは農林省が主管であり、食糧庁が古米、古々米をかかえて苦労していることはわかるし、それについては、私はこれは農林省だけでなく関係する各省もあるから、具体的に実態はこうなんです、こういうものをやればこうだという問題が出れば、われわれから農林省以外の関係省にも督励して、この消費の拡大に協力させる道も実はあるのでございます。ですから、大臣は大まかなことくらいは把握されておられると思うが、しかし数字でございますから政府委員からでけっこうだと思ったのですけれども、これは、やはり一方に減産のための生産調整とあわして消費の拡大ということも重要なことでございますから、あとでけっこうでありますから現在具体的にこうやって、これからこういうことを研究しているというようなデータをお示しいただいて、われわれも農業団体とはしょっちゆう話しているのでありますが、そういう面において積極的にこの減産並びに消費の拡大についても協力したいと思うので、その資料の御提出を願いたいと思います。 そこで、以上のような米の過剰、そして生産調整というようなことをはらんで、いま農地法と農協法の一部改正についていよいよ論議も最終段階を迎えようといたしておりますが、私はまず、農地法の一部改正について農林大臣の若干の所見を承りたいと思うのであります。 第一は、今度の改正案の中で不在地主を認めて、借地による農地の流動化をはかろうとすることは、自作農主義をゆるがせにするものではないかという点でございます。戦後の農地改革によりまして、広範に自作農が創設され、農民の社会的経済的地位の向上がもたらされたことはあらためていうまでもないことであります。このような農地改革の成果を維持し、旧地主制と逆行するという意味をもって農地はその耕作者みずからが保有することが最も適当であると認めるという、いわゆる自作農主義を基本理念として農地法が制定されたのでありますが、今回の改正案においては、不在地主を認めて農地の流動化を促進し、農地法の第一条にこの自作農主義のほかに土地の農業上の効率的な利用をはかることを追加いたしておるのであります。この改正によりまして、自作農主義は修正されるのかどうか。確かに経済社会事情の変化に応じまして農地法も新しい時代の要請に即応しようという、そういう改正をすることは必要であると私は思うのでありますが、そのために耕作者の地位の安定という観点からすれば、最も大切な自作農主義の立場をゆるがせにしてはならないと思うのであります。この点について農林大臣の所見を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 このたびの改正では、自作農がその経営規模の拡大をいたしますにあたりまして、自分の持っておる自作地を中心としながらこれに借地を加えて行ない得るように改革しようといたすわけでございます。このために創設農地の貸し付け禁止を緩和いたしましたり、それから現に農業を行なっている者が離農して不在地主になった場合に、一定の要件のもとで小作地の保有を認めることなどの改正をいたそうとするものでありますが、このような改正を行なおうとしても農業を行なわない者が農地の所有権を取得することを認めないという現行農地法のたてまえはもとより変更いたしておりませんことは御存じのとおりであります。自作農経営がより適切であるとする農地法の考え方を変えるものではございませんので、自作農中心とするわが国の農業の現状がこの改正によって変わるとは考えられないのでございます。自作農主義を決して私どもはゆるがせにしようとするものではございません。
○小平(忠)委員 第一点についてはわかりました。 第二点でございますが、第二点は賃貸借関係の規制の緩和によりまして、この耕作権が不安定となって、農業の近代化と逆行するのではないかという点が問題であります。今回の改正案においては、賃貸借に関します規制を緩和いたしまして、借地による農地の流動化を促進し経営規模の拡大をはかろうとしているのであります。しかしながら、経営規模を拡大することができましても借入地の耕作権が安定しているものでなければ、安心して土地改良の投資や機械設備のための投資もできないのであります。したがいまして農業の近代化をはかることはできない、こういうふうに私は端的に申し上げても過言でないと思うのであります。こういう意味から借地による農地の流動化をはかるためにできるだけ農地を貸しやすくずることは、経営規模の拡大が容易になる反面に、経営の安定という点から見ますと問題があるんでなかろうか。いわばこのことは両刃の剣になる可能性があると思う。今回の改正で賃貸借契約を解約する場合などの制限を緩和しようとしたり、小作料の統制を廃止して当事者の自由な契約にまかせようとしておるのでありますが、このことは耕作者の地位を著しく不安定なものにいたしまして、農業の近代化を妨げることになりはしないかという心配が実はあるのであります。この点について農林大臣はどのようにお考えでございますか。
○倉石国務大臣 ただいまの点はわが国農業にとって大事な点だと思いますが、お話しのように、賃貸借の解約などにつきましてはその一部を許可不要といたしておることは御指摘のとおりでございますが、いずれも耕作者の意に反して一方的に解約を受けることはないように措置いたしておる次第でありまして、耕作権が不安定となるようなことはないと思います。むしろいわゆる請負耕作というような形での利用関係でありますと耕作者は全くの無権利状態に置かれておるわけでありますから、今回の改正によりまして正規の賃貸借契約に移行させることによりまして、耕作者の権利もしっかりするわけでございます。また小作料統制を廃止いたしましても、農業者の経済的社会的地位が向上いたしまして、雇用機会も増大してまいっておる現在では、戦前のような高率な非常識な小作料が発生する余地は一般的にはないではないかと私どもは判断いたしておりますので、標準小作料の設定と減額勧告の制度の運用等によりまして適正な水準の小作料が形成されるものであろう、このように見ておるわけであります。
○小平(忠)委員 もう一つ重要な問題は、農地保有合理化法人に対します政府の育成指導の方針であります。さらに同法人に対しまする財政及び税制の面でどのような援助措置をとるかという点であります。 まずその最初は、農地保有合理化法人に対する政府の指導助成方針について、大臣の所見を承りたいのでありますが、農地保有合理化促進事業は、離農しようとする農家や、兼業に重点を移していこうとする農家の農地を取得いたしまして、それを規模拡大などに有効に利用する、あるいは未墾地に介在する農地を含めまして土地を買い入れ、農用地造成を行なうなど、各種の施策を展開するための有効な手段として活用することができるものであると認められるのであります。しかしながら実際問題といたしまして、市町村において農家間で農地が売買されたり、あるいは貸し借りされたりしている中に入って、この法人が農地を買ったり借りたりすることは容易なことではないと考えるのであります。したがいまして農家の理解と関係者のなみなみならぬ努力を要するものであろうと思うのでありますが、反面、農地売買には本来多額の資金を要するものでありまして、この事業を円滑に推進するためには、この事業を行なう法人について積極的な指導育成をする必要があると思うのであります。この点について政府はどのようにお考えになっておられるか。また財政及び税制の面でどういう援助措置をとろうといたしておるのでありますか。農林大臣にお伺いしたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 農地の移動を経営規模の拡大や農地の集団化に方向づけるという農地保有合理化法人の行なう事業が、第二次構造改善事業の実施など、今後の農政におきまして果たす役割りはなかなか大きなものだとわれわれも期待いたしておるわけであります。したがって政府におきましても、地元農業委員会や農業団体など関係者の理解と協力を得まして、同事業が適正かつ円滑に実施されるように指導してまいりたいと思っております。 なおお話のございました農地保有合理化法人に対する財政面での援助措置につきましては、第二次構造改善事業の農業経営整備事業として助成することにいたしております。そのほか農地保有合理化法人であります都道府県公社に対しまして、その業務費について補助をいたしますとともに、税制面におきましても登録免許税などについて必要な軽減措置を講ずるように努力してまいりたいと思っておるわけであります。
○小平(忠)委員 さらに、私が今度の改正でいろいろ心配もし、また問題のある点はあるのでありますけれども、要は、戦後の大きな農業革命ともいわれるべき農地改革によって新たな農地法が制定されて、二十数年運用してまいりました。これは何といってもわが国の農政面においては画期的なものであります。しかし今日わが国の経済が驚異的な成長を遂げて、自由圏においてはアメリカに次ぐだけの経済成長を遂げている、経済情勢は大きく激動している中で、農業の情勢も大きく変貌しつつあることは当然であります。そういう中において、現実のこの日本の農業を近代化しようとする面に即するような状態に、現実に見合うように農地のあり方に改善を加えていくということは当然でありますが、しかし農地法の基本であるべき自作農主義、そして戦前における封建制の強いあの不在地主、こういった古いからから脱し、新たな農地の制度ができたこの基本の理念をくつがえすようなことがあってはならないと、私は思うのであります。したがいまして、この農地法についての政府の今度の改正をするねらいは、われわれも基本的には賛成いたしておるのでありますが、さらに今後の運用面においては、私がいま申し上げたような点において、またお伺いをした三、四点の中身についても誤りのないように指導、育成をしていただきたいということを特につけ加えまして、農協法の一部改正の中身の所信を承りたいと思うのであります。 第一点は、今度の改正の中で、前国会に提案された法改正以外に、新たに転用相当農地の売り渡し及び区画形質の変更という事業を行なうことができるような改正案が出されておるのであります。農地と農業の用に供するために農協がこれを買い取り、あるいは委託を受けて取り扱う事業については当然のことと思うのでありますけれども、農業の用に供しない、他にこれを転用する、こういうことになってまいりますと、どのような規制が行なわれましても、やはり俗にいう不動産売買、ブローカー的な事業を行なう結果となると思うのであります。そういう意味から、農協法第一条の法の目的、すなわち農民の零細な力を協同化して、そして生産力を高める、また農民の経済的、社会的地位の向上をはかるという、この農村における農民の利益を守る唯一の協同組織体、この農協の本来の目的、趣旨からいって、一体このような事業をやらせることが望ましいのかどうか。やはりこれは非常に重要な問題であります。大臣の所見を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 近年、わが国の経済の高度成長を背景にいたしまして、農産物事情の変化、それから機械の進展等が見られます一方、農家の兼業化、労働力の減少あるいはまた農村の都市化の進展など、農業及び農協をめぐる諸情勢の変化は確かに著しいものがございます。これらに対応いたしますために、農協としてもその規模が大型化いたしますし、事業内容の合理化等によってその体制を整備することが必要であるとは考えますけれども、いまおっしゃいました農協の任務といたしましては、とりわけ営農指導の強化、それから集団的生産組織の助長等、農業生産に関する事業の強化をはかるようにやってもらいたいと思うわけでありまして、お説のように、農協というのは、現在のわが国の状態におきましては、農村の人々の唯一のたよりがいのあるべき協同組合で、他にいろいろそれぞれの任務を持った農業団体もございますけれども、やはりそういう意味で、農協の任務は非常に大きいものであり、したがって、農協というものの運営についてはしっかりしてやってもらわなければならぬと思うわけでありますが、ただいまお話しのございました、今度の農協法の改正の中でいっております農地の売買を認めるようなことにつきまして、私どもも一この点については十分注意いたすべき大きな問題をかかえておると思うのでありますが、農協に転用目的の農地の取得等を認めようといたします趣旨は、従来、不動産業者などが介在いたすことによりまして、ややもすれば農地の移動が無計画に行なわれ、宅地の造成等につきましても、農協の統一的な指導援助のもとに、農業の面から土地の効率的利用を確保しながら、あわせて組合員の生活の安定にも資するように行なおうとするものでございまして、そういう角度から申しますというと、もちろん私どもは十分に間違いのないように指導いたさなければなりませんが、今度のような改正が農協法の目的に反するとは考えておりませんけれども、御注意もございましたように、私どもといたしましては、その運用につきましては適正を期するように特に留意してまいりたいと思っております。
○小平(忠)委員 最近、市街化区域の農地が土地ブローカーによっていろいろゆがめられておる実情から、そういうものを公平に、そしてまた農民の利益を守るために、農協がそれをやりたいという、俗にいう農住構想ですね。私はそれは理解できるんですよ。しかし、いま大臣に私が伺ったのは、法第一条の目的に一体このようなことが逸脱していないか、一体たてまえとしてこういうことはいいのか、それを私は伺っておるのであります。法第一条をもう一ぺん読んでみましょう。農協法の第一条は、「この法律は、農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」となっておるのであります。すなわち、農民の協同組織の発達を促進いたしまして、もって農業生産力の増進、これが第一義なんですね。一体農地を他に転用することが農業生産力の増進に寄与するのかどうか。いや、それはあとにある、そのことによって農民の経済的社会的地位の向上をはかることなんだ、これはもちろん相関関係にあるのは当然でありますけれども、やはり農業協同組合本来の趣旨というものは、農業は、いかに付随するいろんな事業がありましょうとも、しかし第一義は、いわゆる農業生産力を高めるということでなければならぬと思うのです。ですから、そういう意味からいって、農業の用に供しない、他に転用するというようなことを、いわゆる農協という本来の性格、農協というものの使命からいって、どのように規制をいたしましても、農協は不動産業者、土地ブローカーの仲間入りをする結果になるのです。ですから、このことについて私は大臣の率直な所見を伺っておるのです。
○倉石国務大臣 農協の目的は、いまお示しのとおりであります。そこで、今度農協がやってもさしつかえないと思われます仕事は、農地を農業用のために、農業者の利益のために買い上げること、保有することを認めるというのでありまして、それによって、現在のような経済の発展していく過程におきましても、農地がスプロール化することのないように、これを防ぐために農協が農地を保有することも農業者の利益になることであり、傘下の単協に入っておる人々の利益にもなることであることはもちろんであります。 それから農住等につきましても、農業者の利益のためにそういう計画を立てて実行するのでありますから、あまりに狭義に解して動きがとれないようにいたすよりは、やはり時代に即応して、そういうような事業がやれるようにして、農業者の利益を守り合うということが必要ではないか、こう思うわけであります。もちろんその運営を誤れば、御指摘のようによくないこともありますので、そういう点については十分な指導をいたしたいと思います。
○小平(忠)委員 それでは、転用農地の取り扱いは組合員の委託によって行なう――委託事業を主とされるのか、それとも買い取りを主とされるのか。これは、この法改正ではどちらもできるようになっております。委託が中心でございますか、買い取りが中心ですか。
○倉石国務大臣 農協が転用農地等を扱うにあたりましては、農協の性格に照らしまして、また農協経営の健全性を確保する上からも、組合員の委託によることを原則といたすよう指導いたす方針でございますが、組合員がその土地を離れる場合等で、組合の買い取りを希望するケースも考えられるのではないかと思います。その道も開いておくことといたした次第であります。
○小平(忠)委員 そうしますると、組合員の委託をたてまえ、原則とする、買い取りはその土地を離れる等やむを得ない事情で、これは例外としてこの買い取り事業はやるんだ、そういう歯どめというか規制は何によってなさるのですか。
○池田政府委員 ちょっと技術的な点もございますので、私からお答え申し上げます。 指導方針といたしましては、先ほど大臣からお答えがあったとおりでございますが、ただいま、いまのようなことを確保する手段としてどういうことを具体的にやるのか、こういう御質問だと思いますが、私どもは、この指導といたしましては、この事業に関します実施規程というものを組合につくらせたい。その実施規程というものはこれは定款の一部、正確に申し上げますと、定款の付属書ということになると思いますが、そういうようなものとして実施をさせるようにいたしたい。こういうことでございますならば、これは行政庁の認可が要るわけでございますから、そういうことで行政庁の認可にかけまして、いま申し上げましたことを確保してまいりたい、こういう考えでございます。
○小平(忠)委員 事業実施規程をつくらせる、それを定款の付属書として行政庁の認可事項にする。さあ、それはいかがなものでしょう。あまり行政庁の行き過ぎになってもいけませんが、一体、いまのような事業実施規程なるものを、定款の付属書として認可事項にするというようなことは、農林省がいま指導いたしておりまするこの種の中身としては、どういうものがございますか。いわゆる定款の付属書として認可事項にしておる、そういった実施事項です。
○池田政府委員 現在正式に定款の付属書といたしておりますのは、選挙規程でございます。
○小平(忠)委員 そうすると、この種の事業の実施規程なるものを、定款の付属書として認可事項にしようというのは初めてでございますか。
○池田政府委員 これは、農地信託の規程でございますとか、あるいは共済事業に関します共済規程でございますとか、これは別に法律によりまして承認制になっておるわけでございますけれども、でございますから、今回の事業を指導によりまして、定款の付属書にするということは、ちょっと形は違いますが、実態的にはいま申し上げましたような例とほとんど同じであろうと思うわけでございます。
○小平(忠)委員 関連がありますから、また次にお伺いいたしますが、いまのようなことは、これは思いつきでなく、相当検討を加えてやらねば、いろいろ農協の事業が多岐にわたりまして、行政庁のいわゆる監督指導もよろしいけれども、行き過ぎとなってはいかぬ面もあるし、問題は、原則としては組合員の委託を受ける委託事業を中心に考えましても、やはり買い取りの道が開かれておるならば、どうしても具体的に買い取りの面が出てくるわけです。そうすると、今日の都市近郊の農地の場合には、将来の値上がりを大体見込んで買い取るとか、あるいは組合員が農協や他に相当な負債ができて、農地を手放さなければならぬような状態になってきた場合に、今度は買い取りの道が開かれたから、それは市街化区域であろうと、市街化調整区域であろうと、法の示すところではこれを買い取りのできる道が開かれたのですから、みすみす欠損をするような農地でも買わねばならぬというような事態が起きた場合、非常に投機取引に堕する。こういう場合、一体この取り扱い、経理面なりあるいは実際の運用面なり、具体的にどのようにお考えになっておられるか。
○池田政府委員 従来の農協の事業とやや違う性格を持っておる事業でございますから、私どもといたしましては、この事業の運営なりあるいは経理面の処理なりについては、的確に、適正な事業運営が行なわれるような形にいたしたいと思っておるわけでございます。したがいまして、そういう観点から、この事業については経理をほかのものと区分いたしまして、はっきりさせるということと、それから、これは現在検討中ではございますが、大体の方向といたしましては、これによりまして、委託でございますならば、原則的には農協に利益が蓄積をするということはあまりないわけでございますけれども、まれに買い取り等によりまして見込み違い等がありまして、そしてその結果、組合が利益を得たというような場合には、そういうことを目的にして事業をやるような傾向を助長することは、避けなければなりませんから、そういうものは私どもとしては一応積み立て金として確保しておく。やはりときには、いろいろ不測の欠損もあるということも考えられますので、そういう欠損の補てんにそれを充てる。それ以外には、原則的には積み立て金の取りくずしは認めない、こういうやり方が一番よろしいのではないだろうか。大体そういうような方向で経理の処理をする、こういうようなことで指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
○小平(忠)委員 さらに進みまして、農住構想ですけれども、農住構想の実施区域は、農林省としましては市街化区域ということに考えておるのか、あるいは市街化調整区域、いずれを重点に考えておるのですか。
○倉石国務大臣 いわゆる農住構想と呼ばれております団地造成事業は、お話しのように市街化区域を原則といたしておるわけでありますが、これからだんだん工場の地方分散等に関連いたしまして、その他の地域において、市町村と一体となって、計画的に開発を行なうような必要を生ずる場合もあると考えられます。そういう場合、その本来の趣旨に即しまして、土地の有効利用を確保するという観点から、そういう場合には必要な指導をしてまいりたい。たてまえとしては市街化区域を原則としております。
○小平(忠)委員 市街化区域につきましては、御承知のようにこれは農地転用の許可は要らない、届け出でよろしいということになっておるわけですね。しかし、市街化調整区域については、これは農地転用の許可を必要とするということなんですが、いま大臣のお話ですと、農住構想を進める場合に、市街化区域を重点としてやっていきた い、これは理解できるのですが、しかし、法のたてまえ、今度の改正の中身からいうと、別に市街化区域であろうと、市街化調整区域であろうと、あるいはその他の地域であろうと限定はない。農林省の大臣の意図はわかるのですが、しかし、そういう規制というか、歯どめというか、それは何によってやるのでございましょうか。
○倉石国務大臣 具体的にはいろいろな問題があると思います。いま農住構想につきましては、たてまえとしては市街化区域であると申まましたが、小平さんも御存じのように、これからだんだん産業が地方に分散されてまいる。私どももそういうことを地方において期待しておる面がかなりあると思います。そういうような場合には、いま申しましたようにそれぞれの地域の開発でございますので、農業団体ばかりではなくて、その地域の市町村等とももちろんいろいろな連絡があるでありましょう。そういう場合に、市街化調整区域に向かって、そういう地域に産業が分散されてくるということを中核にして、その地点の開発が考えられますときには、やはり都市計画法であるとか、それから農地転用ももちろん存在いたしておるのでありますから、そういうことによって適正な措置をそのつど講じていかなければならぬ。われわれのたてまえといたしましては、重要なる農地はどこまでも確保するというたてまえでそういう具体的な問題には対処してまいらなければいけないと思っております。
○小平(忠)委員 農住構想の場合は、農林大臣がいま考えておるように、市街化区域に重点を置くということは都市計画法からいいましても規制を受けるので、大体そういう方向にいくけれども、さらに、農住構想によらない、市街化区域でもない、市街化調整区域でもない地域における農地、これを他に転用する目的での売買あるいは委託、こういった問題が具体的に起きてきた場合、これは先ほどからも論議されているように、事業実施規程といったような形において、認可事項として、定款の付属書としていろいろ規制をするというような考え方をとられますけれども、しかし、やはり、都市計画法によるところの市街化区域なり市街化調整区域という場合と違って、その他のいろいろの問題がこれからは出てくると思うのです。現実に、今度の生産調整の大きな目的である農地の転用十一万八千ヘクタールの中には、この市街化区域、市街化調整区域以外の問題が必ず出てこようかと思うのです。また、これはそういうものもあってしかるべきなんですね。ですから、そういう点についてのいわゆる指導監督というものが適正に行なわれませんと、先ほど論議いたしました農地についても、農協の経営と両面にわたってあわせて大きな問題が起きてこようかと思うのであります。 端的に申し上げますけれども、その他の地域でこれを農地以外に転用しようというような問題に関しまして、大臣としてはどのような指導監督をしようとお考えなのか。
○倉石国務大臣 一般論といたしましては、私どもの立場はもちろん一種農地を確保することは当然でありますが、全体の農政の上から、たとえば土地改良を行ないましてまだ五年を経ない地域、あるいは比較的広域な農業を営んでおるような地域、そういう地域については、農地転用についても非常に厳格に取り扱うつもりでおりますので、要するに、われわれの大事な農業というものをたてまえにして、そういう個々の場合に対処してまいりたいと思っております。
○小平(忠)委員 ともあれ、従来の改正点に、今回の改正は、この転用農地の問題が一項目加わったわけであります。やはり戦前戦後を通じて、組合運動、組合経営の中で、これは新たな事業面として登場してきたわけであります。このことが農地法本来の基本的な理念に逸脱しないように、また、農協の本来の使命を逸脱しないように取り扱わなければならないと私は考えておるものでありまして、これに関しましては、やはりそういう基本理念について、ただいまの大臣の御答弁によって理解できますが、十分に私は留意を願いたい、こう思うのであります。 次に、あと二点ばかりでありますが、問題は、今度の改正で農協の一人一票制が、場合によってはこれがくずれるという見方も出てくるのであります。農協は、農業者、組合員の利益を守る唯一の経済協同体でありまして、最近農協の経営が、特に都市近郷の農協は著しいのでありますが、全体組合員の意思に反しまして一部の組合員の利益に奉仕するような営利法人的な経営が少なくないのであります。今度の法改正で、この農業本来の美点でもあるべき一人一票制という原則を破るというようなことになったならば、こういった農協の本質というか、そういう面を逸脱するようなことがさらに出てきはしないかという危倶、心配が持たれるのであります。したがいまして、この一人一票制の問題については、確たる歯どめ、これに対する協同組合というものの本来の使命というか、本質に逸脱しないような考え方をとらないと、これは重大なことになろうと思うのであります。この際、大臣の所見を承っておきたいと思うのです。
○倉石国務大臣 いまお話しの措置は、最近の農業事情の変化、農協合併の進展などに伴っての農協運営上の諸条件の変化などによりまして、これらに対応するために必要な措置であると考えるわけでありますが、小平さん御存じのように、このやり方は連合会だけでありまして、単協は従来どおりでありますが、その運営につきましても、組合員の意思を反映させ、民主的かつ適切に行なわれるように十分に指導してまいりたいと思います。
○小平(忠)委員 もちろん、今度の改正が連合会にのみ適用されることは承知いたしております。連合会といえどもその実体は単協と何ら変わらないのであります。連合組織体であるかないかの問題でありまして、農協法の精神によって運営されなければならないいわゆる連合組織体です。私は、日本の協同組合運動は、世界各国に比較して、特にこの農村地帯が――私も先進地の国々を、この協同組織体の実態を数回見てまわりましたけれども、日本の農村ほど協同組織体が発達しているところは、世界各国を見ましても、やはり指折りの中に入ると思うのであります。それはなぜかといえば、やはりこれは一人一票制の原則が貫かれているからだと思うのであります。協同組合と営利法人、営利会社の違いがここからくるのです。いかに力があっても、財力があっても、力だけでは組合長になれない、連合会長になれない。発言権は一人一票制というところに協同組合の本質があろうと私は思うのです。それが、単協でなく連合会といえども、やはり考え方は同じなんです。だから、今度の改正案の中身を詳細に検討してみれば、それに対する歯どめもあるのです。そうしてざらに最近の合併が促進され、大型化されつつある現状からいうと、確かに不合理性というものはありましょう。しかし、協同組合のいいところは、一人一票制がいいんですよ。だからこのことに関して、いやしくも連合会を認めたんだから今度は単協にまでというような線にいったならば、これは協同組合の根本的な実体が破壊されると思うのです。したがいまして、どうかこの改正のときに、担当される農林大臣として、これはやはり確固たる一つの方針を持って進んでもらいたい、こう私は思うのであります。
○倉石国務大臣 十分そういう御趣旨のように善処してまいるつもりであります。
○小平(忠)委員 最後に、総代会の権限拡大の問題でありますが、これは特に最近のいわゆる農協の合併による大型化によって、必然的に総代会の権限についてもある程度考慮しなければならないことは、これは現実の問題であります。しかし、定款の変更であるとか、あるいは役員の選挙であるとか、こういう重要な事項まで総代会でなし得るように安易にこれを取り扱いますというと、ともすれば一部のボスによって組合の運営が支配される、組合員の意思が全体に反映されないという危倶がここに生まれてくるのであります。したがいまして、これについては、役員の選挙のやり方もいろいろあります。総会の席上で投票による場合、あるいは現行法では、総会の席において選考委員をあげて選任という方法も実はとられておるのであります。これらの問題に関しまして、総代会にこういう権限を付与することによって、真に組合員個々の農民の意思が反映されないようなことのないようなやはり指導方針、あるいは定款の変更等重要事項については、これは総代会において議決されましても、ざらにその後全組合員のいわゆる投票とかあるいは意思を問うべき何らかの方法を講ずるとか、そういう手段を講じまして、この総代会の権限を拡大することによって、組合員の意思の反映がなされないようなことがないような、そういうことも考慮しなければならないと思うのでありますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○倉石国務大臣 そのとおりだと思います。そこで、部落の会合等をしばしばやりまして、そうしてそういう意向を受けて総代が参集いたして、そうしてさっき申しましたようにだんだん規模が大きくなってまいるわけでありますから、民主的に全部が集まるということは、とうてい不可能になってまいりました今日でありますから、もちろんただいま御指摘のように、一般の傘下の人々の御意思を総代が代表して決定できるように、部落の会合はしばしばやるように指導いたしてまいりたいと思います。
○小平(忠)委員 以上で私の質問を終わりたいと思いますが、最後に、このたびの農地法並びに農協法の改正は、劈頭に申し上げましたように、政府が長年にわたって総合農政を主張し、さらに米の生産調整をせねばならぬという事態が招来しておるときでありまして、特に国際経済、日本農業の置かれておる立場、いろんな観点から見ましても、私は、農地法の取り扱いと農協の運営というものが非常に重要な段階にあると思うのであります。したがいまして、今回の改正が、政府の考えておる総合農政あるいは農業の近代化に真に役立つようなものでなければならないと考えるのでありまして、われわれも野党でありますけれども、やはり国会の任務は、立法府として、国民全体の期待にこたえる真の立法府でなければならないと考えるのであります。そういう意味から、行政府の責任者である、特に農政の最高責任者である農林大臣という使命も非常に大きいと思うのであります。どうか倉石農林大臣におかれましては、現実のこの事態を十分に踏まえられて、真にこの事態に即応するような農地、ざらに農協の運営ということに最大の配慮をされんことを特に私から希望を申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
○草野委員長 午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十三分開議
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。芳賀貢君。
○芳賀委員 農地法、農協法について農林大臣に主として質問をいたします。昨年の国会におきましてもこの両案についても十分審議を尽くした経験がありますので、きょうは重点的に大臣にお尋ねいたします。 まず第一に農協法の改正でありますけれども、倉石農林大臣に両案の改正問題について尋ねるのは初めてでありますので、まず第一に、農地法の第一条の目的の改正について、どうしてもこれは改正しないという特別の理由を農林大臣として考えておられればその点を明らかにしておいてもらいたいと思います。
○倉石国務大臣 農地法は、その耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めるという農地法の基本的な理念は私どもも正しいと考えております。これを変えるつもりはないわけであります。しかし、最近農業よりも兼業のほうに重点を移していく農家も数多いことは御存じのとおりであります。このような農家の中には単に農地を資産として保有して、農地を効率的に利用していないものが目立ってきておることも事実であります。そこで、農業に専念しようとする農家が自作地を中心として、これに借地を加えて経営規模を拡大したり、生産性の高い農業経営が営めるように農地法の改正を行なおうとするものであります。このような改正をいたしますためには、従来の農地法の目的に加えて、土地の農業上の効率的な利用をはかることを規定いたす必要がありますし、また改正にあたりましては、耕作者の意に反してその地位を不安定にするようなことのないように十分配慮してありますので、従来の農地法の基本的な性格を変えるものではないと存じます。
○芳賀委員 第一条の目的を政府案のように改正した場合、どれだけの効果が農地法の運用の上にあらわれると思っておりますか。
○倉石国務大臣 ただいま私どもの考え方を御説明申し上げましたように、時代の変遷に伴ってわが国の農業も体質を強化し、しっかりした農業といたしてまいるために、私どもは、われわれの考え方として総合農政の推進に努力をいたしておるわけであります。その目標とする一つは、しっかりした自立経営の農家を育成してまいりたい、そのためには規模を拡大していく必要がある、そういうようなことを実行いたしてまいるためにも今回の農地法改正のような手段が必要ではないか、こういうふうに考えるわけであります。
○芳賀委員 政府において総合農政推進の基本方針を去る二月二十日に決定して発表されたわけでありますが、これを基礎にして、たとえば農地法と関係のある農業経営上における経営面積の規模の拡大等については、この可能性あるいは将来の動向がどうなるかというような点についても一定の判断を下しておるわけであります。それによりますと、農業の就業人口は今後とも減少を続けようが、農家戸数の減少は昭和五十年代まではあまり期待ができない。農地価格の引き続く上昇、農地の資産的保有意識の強まり等から農地の流動化を通ずる規模の拡大は順調に進んでいない。しかし規模拡大による生産性の向上を求める農業外の要請はきわめて強いというように述べられておるわけでありますが、この政府の判断は、結局農地法を政府案のように改正した場合においても大きな期待はできないということがこの総合農政の基本方針の中からも表明されておるわけですね。そういうことであれば、無理に農地法改正ということではなく改悪する必要はいささかもないのではないかというふうにわれわれは考えておるわけですが、その点はどう思っておるのですか。
○倉石国務大臣 私どもが総合農政の推進にあたりまして、ただいまお読みいただきましたのは、現在までの過程、それから当分このような形でいくかもしれないということを想定していっておることでありますが、そのねらっておるところは、やはり先ほど申しましたように、規模を拡大して自立経営の農家をできるだけ育成していかなければならない。ところが、ほかのところでも指摘いたしておりますように、わが国の産業構造の幾多の条件が加わって変転していきます最近の情勢の中では、われわれが規模を拡大していこうということについて皆さんの御協力を得て進めても、地方の兼業農家というものはかなり残存するであろうと私は思いまするし、わが国の産業構造の中では、特段にこういう兼業農家というものの余剰労働力というものを活用するということが必要ではないかと思うのであります。どこまでも農業としては規模を拡大して、自立経営の農家を育成してまいりたい。同時に、今度は、いまのような情勢のもとに残されておる兼業の方々がもし御希望になるならば、御自分の意思によって離農される、そういう離農はしやすくするようにできるだけ御協力を申し上げるが、離農もおやりにならない、それから持っておられるあまり面積の大きくない農地をあまり効率的に活用されないということは、農業全体から見て好ましいことではございませんので、こういう方々に率先して規模拡大及び協業に協力していただくような形を整備していくことが必要ではないか、こういろ見地に立って私どもは農地法の改正を考えておるわけであります。
○芳賀委員 いわゆる政府のいう、昭和五十年代までは農家戸数の減少は期待できない、農業就業人口は相当急速に減少していくが、農家戸数はあまり減らないというのは、それは一面、兼業化がますます激化するということになるわけですね。それとあわせて、この農地の資産的保有意識がますます高まってくるので、農地の流動化を通じて自作農あるいは自立農業における規模の拡大は順調に進んでいない、これは大きな期待を持てないということが正確な判断だと思うわけです。そうすると、農地資産的な保有意識が次第に高まっておるということは、今回の農地法の改正を通じてこの資産保有的意識というものを一そう助長する結果に当然なると思うのです。この点はどうですか。
○倉石国務大臣 資産保有的な考えを持つのは、私は一般的には当然なことだと思うのです。世界で二番目か三番目、自由圏では二番目という国民総生産を持ち、経済成長率においては世界第一というふうな状況でございますので、このまま放置いたしておけば、いつも伝えられておりますように人口の七〇%近くが、いわゆる太平洋ベルト地帯といわれるところに集中する傾向であるといわれておりますが、そういうことではだめだということについては政治家も考えておるでありましょうし、一般の実業界、一般の国民がみな考えておることであります。したがって、水と電力と労働力さえあればなるべく地方に産業を分散させたいというのが、産業界ばかりでなくて、芳賀さんも御存じのように、私ども地方旅行をいたしましても、農業団体それ自身がやはり地方に産業を分散することを熱望されております。しかも今度都市計画法みたいなものができてまいりまして、地方の小都市がだんだん都市化していく傾向、それから先ほど来お話しのありましたようなわが国独特な存在である兼業農家というものが、農業であるという看板は昔からやっておられても、なおかつ今日、兼業所得で、農業所得よりも農外所得のほうが多いというふうな家計の構造が行なわれておるようなときでありますので、やはり地方の小都市に産業が分散してまいる、それにその地方にある労働力をも企業家界では見ておりますからして、どうしても土地を資産価値として見るようになるのは、ひとり農業者だけではないと思います。ですから、最近私どものところへしばしば、まるで縁故のない地方からいろんな方々が陳情に来られる。その陳情のほとんど一〇〇%は、都市計画法による線引きの中で市街化区域をもっと広げろという御要望が多いばかりであって、狭めろという陳情を承ったことはないのでありまして、これはわが国における産業構造、今日の経済成長の結果、いろいろな結果でこういうことになるのだろうと思うのであります。ですから、確かに私どもも現在のような状況で、この地価の高騰を見ておるときには、規模拡大もなかなか困難であるということを否定するものではございませんが、わが国の農業が国際競争力を強化していく体質改善のためには、やはりどう考えてみても経営規模を拡大して自立経営の農家を育成していくということがまず中心にならなければならない、農業の面からはそういうふうに考えますので、農地の流動をしやすくするように、そういうことをまず第一着手として考えるべきではないか、こういうふうに存ずるわけであります。
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、きょうは理事会の申し合わせにより、政府案を中心にして重点的な質問を行なうということになっておるわけであります。ですから、質問者はそういうかまえであっても、答弁者である大臣が余談に時間を費やすことになれば、これは審議が進まないわけであります。そうなればきょう終わるべきものも明日あるいは来週に持ち越すということに当然結果としてなるわけですから、委員長においても、大臣及び政府委員の答弁については、必要な場合には注意を与えるということで議事の進行をはかってもらいたいと思うのです。
○草野委員長 わかりました。
○芳賀委員 私の聞いておるのは、今回の政府案の目的の改正は、政府が総合農政推進の基本方針の上に立って判断された最近の農地の流動化の傾向というものは、たとえば流動化が進んではおるけれども、それは政府の考えておる専業的な農業者の経営の拡大につながってはいない。むしろ流動化の結果というものは、財産保持的な意識の高まりによって、その保有形態は決して政府の期待した方向に行っておらぬということが明らかになっておるわけです。特徴としては農地の資産的保有意識が非常に高まっておる。ですから、われわれとしてはこういう好ましくない現象に対して、政府の改正案は目的の改正の中で従来の農地所有の基本原則を弱めるということが一つのねらいになっているわけです。ですから、そういう目的の改正をやるということは農地の資産的保有意識に対してますます拍車をかける結果になるではないかということをいま質問しておるわけです。そういう結果になるのであればなるとか、それに歯どめをかけるために今回の改正を意図しておるということであればそうであるということを明確にしてもらいたいわけです。これは農林大臣の認識がどうであるかということがこの法案の取り扱い上非常に大事ですから、その点を聞いておるわけです。
○倉石国務大臣 われわれの趣旨をなるべく理解していただきたいと思って長くしゃべっておって失礼いたしました。 簡単明瞭にお答えいたしますが、現行法のままで行なわれておって先ほど御指摘のようになってきておるわけであります。私どもとしては、規模拡大をし、そしてわが国の農業を維持してまいるためには、やはり農地の流動性を持たせることが必要である、そのようにしてわれわれのねらっておる自立農家の育成に進んでまいりたい、こう思っているわけであります。
○芳賀委員 ですから、法律の改正のねらいは、土地の財産的保有意識の高まりに対して、これを助長することにあるのか、それに歯どめをかけて、政府の期待しておる専業農家を中心とした経営の規模拡大に流動化を結びつけることを考えておるのか、その点がどうだということです。
○倉石国務大臣 最後にあなたがおっしゃった方向であります。
○芳賀委員 そうであると、この改正が必要ないということになるのですよ。改正のねらいは農地の保有を耕作農民から切り離して強めるというところにあるわけですから、みずから耕作する者が土地の所有をすることを原則とするという第一条の目的規定を今度は弱めるというところに改正のねらいがあるわけです。ですから、むしろこれは保有意識を助長させるというところに最大の目的を置いているわけですね。これは昨年来の当委員会における政府側の答弁の中においても明らかなんです。しかし大臣がかわったから、同じ改正法案であってもそれはねらいが違うとか運用が違うということであれば、一応聞いておく必要があります。前国会において十分審議した経過のある本案に対する倉石大臣としてのほんとうの目的意識がどうであるかということをこの機会に明確にしておいてもらいたいと思う。保有意識を助長させるために目的の改正をするのか、そういう助長をすることはこれからの日本の農業の発展に望ましくないので、この際農地法の内容を改正して、そうして流動化を進める、その到達点というのは経営農家の規模拡大にそれが結びつくように運用するということか、そのいずれですか。
○倉石国務大臣 規模拡大をいたしますために、第二種兼業農家のような人々であまり効率的に農地を耕作しておいでにならないような方々のものを出していただきやすくする、こういうことでありますから、この法の改正の目的は先ほど申し上げておりますように、自立農家を育成していくという目的に合致するものであります。
○芳賀委員 あまり内容を知っておられぬようですね。農林大臣の規模拡大というのは、耕作農家の経営農地の所有拡大を前提とした規模拡大ということは考えてないのでしょう。借地でも何でも、とにかく経営の規模さえ拡大すればいいのだという考えの上に立っているように見受けられるが、その点はどうなんですか。
○倉石国務大臣 もちろん規模拡大するために、いまのような効率的に耕作しておいでにならないような方から譲っていただきたい。ですから所有が原則であります。しかし、それだけを言っておってもだめでありますから、借地もまたそれに加えるに行なうことができる、こういうような制度にしたいと思っておるわけです。
○芳賀委員 それでは次に具体的な問題に入りたいと思います。 第二の問題は、農地等の権利移動の制限を第二条、第三条の関係において大幅に緩和するということをねらいにしておるわけであります。そこで一番問題になる点は、現行法においては所有面積の制限についてはわざわざ法律の別表に都道府県単位の所有面積というものを明らかにして、これを制限の基礎にしていることは御承知のとおりであります。今回の改正においてはその上限を廃止する、いわゆる天井を取っ払ってしまって青天井にするということがねらいでして、何のためにそうするかということは、この上限の面積規制があることによって、農地の所有拡大を通じて近代的な経営の拡大をはかることができないので、それを押えておるところの天井を取っ払うというのがいままでの政府の説明であります。しかし現状においては、たとえば内地平均三ヘクタール、北海道においては十二ヘクタールというのが上限面積になっておるが、この内地平均三ヘクタールの天井があることによって、実際問題としてこれが阻害になって規模拡大ができないという事例はそれほどないわけです。そういう場合には、家族労働の実態を勘案して上限を越えることができるということが現行法においても約束されているわけですから、大きな支障はないのですよ。それで感触として、どうも日本においては内地三町歩というのは天井が低過ぎるということが理由になるとするならば、その天井を取っ払うということよりも天井を高くすることも当然行なうべき努力だと思うわけです。たとえば現在の内地三町歩平均を天井を倍に上げれば六ヘクタール平均ということになるわけです。これは都道府県において若干の相違はあるとしても、日本農業の現状の中で、北海道を除いて平均六町歩の上限の保有が許容されるという場合において、それでも不自由があるかどうかということについては大臣はどう考えておられるか。
○倉石国務大臣 このたびの改正案で、農地の権利を取得いたします場合に、本人またはその世帯員のだれかが耕作すべき農地等のすべてについて、みずからその耕作の事業を行なうこと、かつ、その農作業に常時従事する場合でなければ、農地等の権限取得を認めないことにいたしておるわけであります。その場合、上限面積のお話がございましたが、上限面積やその他の労働力の制限はなくしても弊害を生ずることはないと私どもは思います。特にこのごろは農業経営の多様化に伴いまして、果樹だとか畜産その他の部門では、みずからも農作業に従事しながら、その不足する労働力について雇用労働力をかなり使って経営規模の拡大等をはかろうとする農家があらわれております。したがって画一的な面積基準――ただいま現行の話と六ヘクタールまでのお話がございましたが、そういう画一的な面積基準によって新しく伸びようとする規模拡大の機運、動きを原則的に禁止する、そういうことにはならないのじゃないか、私どもはそう思っておるわけであります。
○芳賀委員 それでは実態論の上に立って、現在三町歩でもそれほど不自由はないとわれわれは考えておるのですが、これを倍にして内地平均六町歩ですからね。現在の別表によると、たとえば青森県のごときは九ヘクタール以上ということにこれはなるわけです、現在の別表を二倍に天井を高めるということになれば。そういう場合でももうこれは頭打ちでまだまだ足りないというような農地保有の階層別の統計もあるわけですからして、そういう事例について述べてもらいたいと思うのです。三町歩ではこれはもう頭打ちになって、全国の保有農家のうちの何一〇%がもう三町歩の上限に達して、だからこれは不自由であるというようなことになっておるかどうかと、それから私の申しました、これを倍に引き上げても、それでもまだ現在の農地の階層別保有の上に立った場合には足らないのだ、それほど日本の農業の実態や農地保有の状態というものは伸びを示しておるという実例があれば、ここで明確にしておいてもらいたい。
○中野政府委員 ただいまの実例というようなお話でございますので、私からちょっと申し上げたいと思いますが、昭和三十七年に農地法を改正しまして上限の例外をつくったわけでございますが、それ以来、われわれ統計をとっておりますけれども、大きな農家が農地を買ったりあるいは借りたりして許可をとりにきているのは、大体最近では一万戸をこえておるような状況でございます。ただ、いまお話しのように六ヘクタールにしたらどうかということになりますと、現在の運用はそういうことになっておりませんので、直ちにそれじゃどの程度どういう農家に障害が出るかということははなはだ申しがたいわけでございますけれども、先ほど大臣御答弁にありましたように、伸びようとする農家を数字を設けて原則的にはいけないよという必要もないんではないかというふうに、逆にわれわれ考えておるわけでございます。
○芳賀委員 この農地法の制限規定の別表というのは、いままでこれは相当の役割りを果たしてきておるわけですね。狭小な日本の国土の中において、したがって農地の面積も少ない、そういう状態の中で現状においても五百万戸をこえる農家戸数をかかえておるわけですからして、そういう現状の上に立って農民に対しては自作農主義を基本にして、そして農業を発展させることにつとめてきたわけですね。そういう特長の上に立ってこの別表の果たした役割りというのは決して軽視できないと思うのですよ。ですからこれは毎年農林省においては統計を発表して、農地の保有階層というものも、これは明らかになっておるわけですから、たとえば三ヘクタール以上とか一ヘクタール以上とか、あるいは五十アール以下とか、いろいろな階層が出ておるでしょう。そういうものを現実に判断した場合に、現在の別表というものは、全国都道府県ごとにもうみんながそこまで保有の限度が高まって、これが頭打ちになっておるというようなことであれば、これは喜ばしいことなんですよ。しかしそういうことにはなっていないのですからね。だからこれをこの際天井を取っ払って無制限にしなければならぬという根拠というものはこれはないのですよ。あるとすれば、これは農地の所有形態の中に極端な資本を導入して農地の無制限な買い集めを認めるとか、あるいは特別有力な農家が、その資力に応じて無制限な農地の集中を行なうというようなことはこれは別表を取り払ってしまえばできるかもしれぬが、そういうことじゃないと思うのですよ。将来にわたってもやはり少なくとも二百万戸あるいは三百万戸の農家というものは、ここ数十年、これは政府が十分保護をして確保しなければならぬというふうに思うわけですね。そういう場合に何のために上限をいきなり取っ払ってしまうか。いままで天井や屋根のある家を屋根をなくしてしまう、天井をなくしてしまうというようなことになるとこれはたいへんなことになるのです。農林大臣にしても、あなたの住宅の屋根や天井をいきなり取っ払ってしまって、いやこれで天井がないから伸び伸びしたというわけにはいかぬじゃないですか。必要やむを得ざるものであればわれわれとしてもそれは十分検討に値するが、いきなり天井を取っ払って屋根をなくするというようなことはこれではあまり開き過ぎておるのですよ。だから現状で、これは天井が低いのであれば改造して二倍に天井を高めるということもできるわけですからそういう検討をする必要があるではないかということを指摘しておるわけです。
○倉石国務大臣 芳賀さんのおっしゃることも一つの御意見だと思います。しかしわれわれ農地法でも想定いたしておりますように、経営者みずからと家族労働を加えてこれが経営面積を広げていくわけでありますから、そう天井がなくともとんでもないものができるはずはないのでありまして、しかしやはり経営規模を広げてまいるという前提に立って考えてみますと、いまの天井は置く必要がないのではないか。やはりどこまでも規模拡大ということをねらいに考えていくべきではないか、こう思っています。
○芳賀委員 この点は政府の改正案がいままでの目的をざらに強化して耕作農民に対してはさらにはっきりと所有の機会を強めるという改正であれば、それによって所有規模が拡大するということは予測できるわけですが、今度は耕作農民に対しては、その農地の所有の機会を遠のかせるという作用があるわけですね。そうなれば、所有を通じて規模拡大ということはいままでよりもこれは停滞するということに当然なるわけです。そうなれば天井も何も取っ払ったり急に上げる必要はないのではないかというように帰結するわけですね。 その次にお尋ねしたい点は、下限面積について改正を政府案は行なうわけです。そこでわれわれの判断としては、戦後農地法を通じてこの下限面積を基礎にした農地の保有の制限というものは、取得の前に三反歩の農地を所有しておるものがはたして四反歩とかあるいは一町歩にふやすことができるということになっておるわけですね。今度は所有前の制限というものをなくして、取得した後に五十アール以上になればいいというような非常に異なった発想の上に立った改正案が出ておるわけです。零細農を防ぐということに一つの目的があるということを認めるとしても、それはいままで農地を保有しておらなかったものが新たに農地を保有して、そして自作農として農業に精進するという見込みのものに対してはゼロから所有するという場合においては、これはたとえば五反歩という制限を与えるということはこれは一つの理由があると思うわけです。しかし何十年の間、農業を経営して三反歩の農地を保有して機会があればさらに五畝とか、一反とか、一反五畝の農地の取得ができる条件を備えておったものが、今度の改正において五反以上にしなければだめだというような改正というものは、現在の農民に対しては非常に冷酷だということに当然なるわけです。ですから、新たなる取得者に対しては、五反以上という制限を設けるということは、これはわれわれとしても一応認めるにやぶさかではないわけです。しかしそのかわり、現状において取得前三反歩の資格を持っておる現在の耕作農民に対しては、そのままの権利を付与していくというのが当然だと思うのですよ。この点はどう考えておるか。取得後五反以上にしたほうが改正が簡単にできるからやるというような便宜主義で、こういう大事な法律の改正はできないと思うのですよ。その点をこの際明らかにしておいてもらいたい。
○倉石国務大臣 いまお話しの五十アール以下の規模の農家のほとんどは、御存じのように今日では第二種兼業農家になっておりますが、このような第二種兼業農家の経営は、一般的には生産性が低いばかりではございませんで、先ほど来お話しのありましたように、農地というものが資産保有的傾向が強くなってきていることは、先ほどのお話しのとおりであります。そのことが農地価格の引き上げの要因にもなっております。したがって農家から手放される限られた農地が、農業によって生活しようとする農家によってできるだけ取得されやすくするということのためには、その取得後の経営面積が、今日の状況では五十アールに達しないような場合には農地の取得を認めないことにいたそうとするものでありますから、既存の農家と新設の農家とを区別する必要はないのではないかと私どもは考えております。なお、この基準面積は、作目や地域によりまして実情に即してその特例を設けることができることといたしておりますので、その点も特段の支障はないのではないか、このように見ております。
○芳賀委員 取得前三反歩というのは、これはもう農地法を通じての既存農家に対する権利として付与されておるわけです。ですからこの農家は今後機会があればさらに一反歩の買い増しをする、あるいは一反五畝の買い増しをするということは、現行法においてはできるわけですよ。これはもっとも三反にしても六反にしても、果樹等をやる場合には別ですが、普通の農耕ということになれば、三反であっても五反であっても零細農であるし、また第二種兼業の位置づけということは、これは変わりはないと思うのですよ。先般同僚の松沢委員の発言によっても、新潟県においては水田農地は大体百万円以上ということになっておるわけです。いまの三反歩の農家が取得前としての、取得のできる資格を持っておるわけです。一反歩買い増しをするといっても、百万円あるいは百五十万円投じなければ、農地の購入はできないわけですから、気持ちは一日も早く三反歩あるいは一町歩の買い増しをして、りっぱな自立農家になろうという意欲はだれでも持っておるわです。しかしいまのようなだんだん農地価格も上昇するような状態の中において、一挙に何反歩の農地を取得するということは、なかなかこれはできないわけです。国もそれに対して十分な取得資金等についての手当てもしていないわけですから。今度の改正によると、その三反歩の農家というものはどのように経営拡大の意欲があっても、二反歩以上の買い増しを一挙に行なわなければ取得ができないということに当然なるわけです。そうなるとあなたは、二反歩以下の買い増しでは拡大できませんよということに当然なるわけですからして、やはり数十年の間営々と農業に精進して、取得前の資格を持っておる農家に対しては、今回の改正を行なう場合においても、やはりその実績あるいは権利というものを尊重して、自由に伸びれる道を与えてやるというのが当然ですよ。取得後という思想は、ゼロから出発する国民に対して、新たに農地を取得して、新たに農業を経営したいというものの場合には、五反歩以上取得して、しかもその後農業に精進するものでなければなりませんよという、この新たなる取得前の資格のない者がゼロから出発して購入する場合においては、あるいは取得後五反歩という制限を設けるということについては、われわれとして全面的にこれを否定するわけではないが、現在まで、取得前の農民として権限を付与されておる農民に対して、今度はあなたは二反歩以上買い増しをするのでなければ拡大は認めませんよというようなこういう冷酷な法律の改正というものは、これはあり得ないと思うのです。だから、やるのであれば、現在の制度はそのまま認める、そうして新たなる農地を取得しようとする者に対しては、それよりもきびしい制限を付して、今後その者がほんとうに農業に精進するかどうかということを認定した上に許可するということが当然だと思うのですよ。そのほか特例としていろいろあるなんというのは、これは大臣よりも各委員の皆さん方のほうが十分知っておるわけなんです。
○倉石国務大臣 御存じのように、今日の状況で規模拡大をしていくにいたしましても、五反歩以上でなければ規模拡大というのはなかなか困難でございます。しかもそれ以下の方々は、もうさっき申し上げましたように、兼業農家であります。私どもはここで時間がかかりますから、理屈を言うことは遠慮いたしますけれども、わが国の農業というものをどういうふうに持っていくかということと、農村に居住しておられる人々の生活態様、さらに所得を増進していかれるためにはどういうふうにしたらいいかというふうなことをあわせ考えて、諸般の施策が出てくるのだろうと思うのであります。きょうは時間もありませんから遠慮いたしますが、とにかく私どもといたしましては、今回の改正のようにいたすことが、規模拡大をねらっていく方向を実現する一番よい道であると信じておるわけでありますから、ひとつ御協力をお願いいたします。
○芳賀委員 その次にお尋ねしたいのは、いわゆる創設農地に対しては、これは永久に貸し付けできないということになっておるが、これを十年経た場合には貸し付けできるという規定ですが、これは何のためにやるかということは、大臣御存じですか。これはわからなければ、農地局長はすでに説明しておるからいいです。創設農地を、十年たてば何のために貸し付けできるようにするかという点、局長はいいですよ、あなたはわかっておるのだから。農林大臣がこの理由がわかっておれば答えてもらってもいいし、わからなければ素通りでもいいです。
○中野政府委員 ただいまのお話でございますが、農地改革後二十数年を経てまいりますと、やはり買い受けました当時の小作人の労力の事情それから経営の状況からいたしまして、必ずそれをずっと永久に耕作し続けるというのが困難な事情になってきておるような農家も多いわけでございます。そこでわれわれの考え方といたしましては、政府から売りました土地につきましても、政府から売ってもらって十年耕作したあとは貸すことが可能だというふうに直すほうが、現在の農業の事情に即するのではないかというふうに考えて、今回の改正案を御提案申し上げた次第でございます。
○芳賀委員 いまの局長の答弁は以前の答弁と同じじゃないですか。同じであれば、以前の答弁と同じだと言ってくれればいいのです。一年たって何か事情が変わっておれば特別に言ってもらってもいいが――何もわれわれこの規定はけしからぬと言っているのではないのですよ。創設農地を十年経過した場合には、やむを得ない事情があれば認定を受けて貸し出すことも、事情によってはこれは絶対けしからぬという考えではないわけです。 それから次は、農業経営の状態とか通作距離とか、そうした諸般の事情を検討して、その者が農地を取得した場合に、これが効率的な経営ができないという場合には認めないということになっておるわけでしょう。この点だけ厳重にやるというわけですか。あとは非常に緩慢にしてここだけ厳重にやるという考え方ですか。
○中野政府委員 ただいまの御指摘でございますが、その点だけを厳重にやるということではございませんで、先ほど農地法の改正の目的についての御議論がありましたけれども、今回の改正は目的の趣旨に沿いまして全部改正案が整理されておるというふうにわれわれは考えております。
○芳賀委員 その次に、これは農業法人の要件を全面緩和するというのが改正案の趣旨ですが、特にこの農業生産法人が農業経営をやる場合にあるべき姿ということについては、これは私どもとしても農林省としてもそう変わりないと思うのです。生産法人といわれるところの農業の経営というものはどうあらなければならぬかというあり方については、そう大きな見解の差というものはないと思うのです。しかしその中で借り入れ地面積の制限とか常時従事者の議決権要件の点とか、あるいは雇用労働力制限ないし出資、配当制限等のいままでの要件、規定を全部取っ払ってしまうわけですね。こういうやり方は非常に今後の農業生産法人のあり方に大きな影響を与えることになると思うわけです。そこで、やはり一番大事なことは、借り入れ地制限というものは廃止するといろことは問題があると思うのです。現行法では、その法人の経営面積の二分の一以内において借り入れ地は認めるということになっておるわけですね。やはり限度というものは、法人の規模拡大が今後進行した場合においても借り入れ地の面積割合というものはやはり二分の一というものが適正な限界であるというふうにわれわれは考えておるわけであります。これも制限をなくする、たとえば借り入れ地だけが八〇%をこえてもいいとか、極端には九〇彩以上であってもいいということになれば、全くその法人は借り入れ地だけに依存した法人としての経営をするというような変質なことになるわけですね。だから、やはり全体の規模拡大をする場合においては、借り入れ地に対しては一定の制限を付する、全体の規模拡大の中において規模の拡大もするし、またそれに従って二分の一の範囲内において借入地面積もふえるということのほうが、これが法人経営としては適当なあり方だというふうにわれわれは考えておるわけです。この点は非常に大事な点です。 それから出資、配当の制限を取っ払うという点も、これは問題があると思うのです。これはやはり借入地制限との関連があるわけです。だから、出資の配当にしても、それから法人における、労役を通じて法人に参加する一番大事なこの組織員に対する労働の報酬の問題とか、あるいは法人の経営全体の問題から見ても、はたして法人が出資、配当というものを一定の限界の中でやるべきであるかあるいは無制限にやるべきであるかということは、たとえば農協法の運営から見ても関係ができるわけですが、これはやはり問題があるわけです。だから、年六分であれば六分という線にとどめて、その限界内の六分の配当というものが順調に行なわれるという法人の経営を指導するということのほうが、農林省としては賢明な態度ではないかと思う。労働力の問題とか常時従事者の問題等については、最近の農業における諸般の事情が相当変わっていますから、こういう点については必要があればその要件を緩和するということも、これはやむを得ぬと思うのですよ。この借り入れ地面積の制限の場合と出資、配当の場合は、一定の制限を付するということの中で生産法人の健全な経営ができるように助長するのが妥当でないかと思うわけですが、これはいかがですか。
○倉石国務大臣 御指摘の借入地面積制限につきましては、その地域によって、農業生産法人がその構成員に加える必要がないと思われる兼業農家から農地を積極的に借り入れて規模拡大をはかることができる条件のところもございますので、こういうことを考慮いたしますと、このような制限をいたさなくてもよろしい、こう考えておるわけであります。このことによりまして農業生産法人の育成に支障を免ずるとは私ども思っておりません。 また、出資に対する利益配当を制限しないことにいたしますのは、今回の改正案におきまして小作料の最高額統制制度を廃止することといたしておることに対応させるためのものでありまして、農業生産法人だけにこのような規制を存置させる必要がないからであります。
○芳賀委員 それはちょっとおかしいじゃないですか。農地法にいう生産法人の場合は、これは農協法にいうところの農事組合法人とは対応性を持っておるわけですね。しかし、この農地法でいうところの生産法人も、農協法に規定された農事組合法人も、当然これは包括されておるわけですね。それじゃ、農協の出資、配当の規定とか農協法に基づくところの農事組合法人の運営の規定というものは一体どうなっておるのですか。農協に対しては、財務基準令等に基づいて、これは単協の場合でも連合会の場合においても出資、配当というものは制限を付しておるわけですね。法律を通じて年何分ということは書いてありませんが、財務基準令等を通じてこれは厳重に規制をしておるわけです。だから、農業協同組合の法人としての構成員である農事組合法人に対しては、今度は農地法を通じて出資、配当は無制限でいい、そういう一貫しない態度というものは問題があると思うのですよ。 もう一つは、農業の経営にしても農協にしても、利潤追求を目的としないということが農協の運営の目的の中にあるわけでしょう。法人にしても、これは本来は全部の耕作農民が参加して法人を形成して、そこで近代的な集団的な農業経営をやることが主眼なわけですから、そういう場合、出資に対する配当を無制限にするとか、これに重きを置くというような考え方はとるべきでないと思うのですよ。そういう点からいうと、大臣の答弁はおかしいじゃないですか。制限を付することがむしろおかしいというような答弁は、答弁のほうがおかしいと思うのですよ。
○倉石国務大臣 なるほど農協については、農協法でそういうことになっておるようでありますが、この生産法人というのは御承知のように、農協ももちろんありましょう。しかし有限会社もあるわけでありまして、合名会社あるいは合資会社もあるでしょう。そういういろいろな多様な生産法人が出てくるわけでありますから、そのいまのお話のようなことと全部が同一であるとは私ども考えられないのでありますが、その辺の関係について、ひとつ経過を事務当局から御説明申します。
○中野政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたようなことでございますが、農地法のほうでは農事組合法人のほかに有限会社あるいは合名会社、合資会社等を合わせて農業生産法人と呼んでおります。その中で、ある意味では最も協業的な組織が強いともいえますけれども、そういう農事組合法人につきましては、農地法のほうの規制をはずしましても、農協法では法律上は八分、実際の運用は六分ということで現在やっておりますような制度は引き続き残るわけでございますから、ただいま大臣から御答弁申し上げましたような趣旨になるわけでございます。
○芳賀委員 それは大臣の答弁の趣旨じゃないですよ。大臣の答弁があやふやだから、あなたが補足して大臣の答弁の趣旨のことを言っておるんであって、私は最初から農協法の場合の生産法人は、農協法に基づいて農事組合法人に限っておるが、農地法でいうところの生産法人というものは、農協法の農事組合法人ももちろん入っておるけれども、その他の法人も含まった多様性を持っておるということを言っておるわけですよ。あなたもわかっているし、私もわかっている中で、農地法の場合にはいろいろありますということを何も言うわけじゃないのですよ。そういう問題は農林大臣にあなたが言っておけばいいんですよ。 その次にお尋ねしたいのは、これは農協法の改正に出てきますけれども、農業協同組合が組合員等から委託を受けて、農業経営を行なうことができるという改正が、農協法の改正に出ているわけです。この点も、昨年の当委員会で十分議論をしたところですが、一体農地法の立場から考えた場合に、農業協同組合の行なういわゆる協同組合としての受託経営というものをどう考えておりますか。農協法の場合にはあとで質問しますが、農地法の立場から見た農協の行なう受託経営というものをどういうふうに取り上げておるわけですか。
○中野政府委員 先生御承知のように、農地法の最大のたてまえは、耕作者でないものが農地を取得してそれで経営――経営というのはおかしいのですが、そういうことをやるのは望ましくないという原則でございます。したがいまして、今度の改正案にもございますように、そういう原則はあくまで貫いておるわけでございます。ただ最近の状況等になりますと、農協が積極的に兼業農家等から土地をいわば預かりまして、今度の改正案にありますような受託経営をやるわけでございます。こういう問題は今後の農業の進め方として望ましいということでございますので、例外措置として農地法上これは許可をするということにしたわけでございます。それ以外の個人の請負耕作なりその他のそういう賃貸借まがいのものは認めないという趣旨でわれわれ考えておるわけでございます。
○芳賀委員 私の聞いておるのは、その場合の権利関係というのはどう扱うか。組合員から委託を受けて農協がいわゆる農業の経営を行なえるということにするわけでしょう。ですが、その場合に農地法から見ると、農協が経営を行なうわけですから、耕作を行なうということになるわけでしょう。そういう場合の農協と、それから委託をした組合員の農地法上における権利関係というものをどういうふうに明確にしてあるのですか。
○中野政府委員 通常の委託経営の場合、委託そのものによりましては権利の移動といいましょうか、そういうことはないと思います。しかし現実に経営を農協に頼むといった場合にはその土地の使用収益権というものは、これは当然農協が持たなければ、経営はできないわけでございます。そこで、農地法から見ますと、農協が委託を受ける際には、その委託をしました組合員から使用収益権を取得をするということになるわけでございます。これに着目いたしまして、この場合にそれが適正であるかどうかの許可を都道府県知事なり農業委員会がするということになるわけでございます。
○芳賀委員 そうすると、委託を受けて農協が農業経営を行なう場合でも、当然これは耕作権がそこで生ずるわけですね。その権利はつまり賃貸借権という形でなくて、使用収益権という形で耕作権が確立されるということになるわけですね。この権利の存続ということについてはどう考えておるのですか。農地法上の耕作権ですね。つまりその権利の存続ということは、これは大事な点だと思うのです。個人であっても、農協であっても、生産法人であっても。
○中野政府委員 いま私、使用収益権というようなことを申し上げましたが、通常の場合そういうことになります。その場合は賃貸借でございませんので、いわゆる農地法上の耕作権の保護といいましょうか、農地法十八条から二十条というような意味での農協に対する保護はございません。ただ農協は、村の中で農家のために仕事をやっているわけでございますから、あえて農協にまでそういう強い耕作権を与えることはないのではないかというふうに考えたわけでございまして、繰り返すようでございますけれども、農協に対しましては賃貸借における農地法上の保護はないというふうになっております。
○芳賀委員 ただ実際問題として、これは農協法の改正が実現すれば、その農協は第十条の各号の規定によって受託経営ができるということになるわけですね。定款で定めて知事の許可を得ればそれはやれるということになるし、定款で定めなければこれはやらなくてもいいということに当然なると考える。このやるということにした場合、その体制づくりというのは当然必要なわけですよ。いままで行なっておらない農業経営を農協がやるということになれば、たとえば大型トラクターを導入するとか、あるいはその経営に必要な施設を設けるとかいうことになるわけです。ですから農協の経営から見ると、不安定な運営の中でそういう利益を期待しない農業経営というのは、なかなかこれは行ないがたい要素をいろいろ持っておるわけです。そういう場合これは賃貸借に基づかないで、使用収益権によるところの耕作権ということになるので、特別の保護はない。存続期間の規定も何も設けないということになれば、組合員の一方的な判断や意思に基づいて、都合のいいときは委託経営でやってくれ、都合が悪くなれば今度はまた自分でやるから、それを返してくれということが、これが一人や二人の組合員であればいいが、この制度に期待を寄せて相当多数な組合員が経営委託を希望するというようになった場合に、農協としては持続的に安定をした受託経営をやるということは当然できなくなると思うんですよ。そういう場合には一体どうするという考えは何もないんですね。やれる間はやってみろ、できなくなればこれは農協の不手ぎわだから、そのときはやめたらいいんじゃないかという、そういう安易な考えでこれは考えておるわけですか。
○中野政府委員 制度上の取り扱いは私申し上げましたとおりでございますが、実際の運用といたしましては当然農協のほうで受託規程をつくります。その受託規程の中身はかくかくしかるべきであるというような指導もいたしたいと考えております。しかも農協は多くの組合員から預かるわけでございますので、その辺はたまたまある人がその年農協に経営を委託しても、あくる年は労力その他の関係で自分がやりたいという場合には返してもらえるということにしておいたほうが望ましいのではないかというふうにも考えられるわけでございますので、ただいま私が申し上げましたような取り扱いをしたいと考えておるわけです。
○芳賀委員 いま局長から、そういう場合には受託規程をつくると言っておるが、農協法の改正にはそういうものはないでしょう。つくるのであれば、いま審議中の農協法の改正案の中に受託規程に関する事項というものを明文化する必要が当然あると思うのです。現在においても、第十号における各号の事業についても、たとえば共済事業の場合には法律の条文の中に共済規程というものがちゃんとあるのですよ。あるいは信託の引き受けについても法律の条文の中に信託規程というのがちゃんと載っておるわけですから、局長の言う農業経営に関する受託規程をつくるということは、少なくとも法案審議の場合においては農協法の改正案の中に受託規程に関する条文を新たに起こすというようなことでなければ答弁にならぬですよ。やりますなんて言ったって、農協法の改正にはそういうものは何も出ておらんじゃないですか。その場のがれの発言というものは慎んでもらいたいと思うのですよ。農協法のことはあとでやりますからね。だから、しっかりしたてこになるものが何もない状態の中で、農地法においてこれはやれるとか認めるということだけでは、実際問題としては実行困難ということに当然なるのです。 その次の問題ですが、農地保有合理化促進のための非営利法人を農地法の改正の中で認めるということになっておりますが、法案を読んでみましても、単に農地保有合理化法人という字句が書かれておるだけであって、これがどういう性格のものであって、どういう目的の範囲をもって事業を行なうものであるか、あるいは運営に対する基本的な監督規定であるとかという大事な事項というものは全然あらわれていないわけですね。これは改正点を載せる場所にもよるわけですが、もう少しはっきりしてもらわぬといかないと思うのですよ。特に昨年の国会においては、農業協同組合については省令を通じてこれを認めるというような説明は全然なされていないわけです。今国会になりまして、今度は初めて市町村段階においては市町村が行なう非営利法人の設立のやり方と、それからあわせて農業協同組合に対してもその資格を与えることを考えておるということをしばしば委員会においても言っておるわけです。その点が昨年の国会における説明と全く違うわけですから、そういう点についてもこの機会に明らかにしてもらいたい。これは局長からのほうが正確を期するためにいいと思うのですが。
○中野政府委員 農地保有合理化法人につきましては、昨年るる御質問がございましてお答え申し上げましたので、新しく農協を加えた理由を申し上げたいと思います。 農協を加えましたことにつきましても、この委員会でもいろいろ農政局のほうからもお話がございましたように、今回ある一面では水田の生産調整の問題とも関連もございましたけれども、やはり今後の規模拡大という面を考えますと、農協が組合員の間に入りまして、離農するような農家あるいは経営縮小するような農家から土地を買って、それを規模拡大をする農家に売ってやったり、あるいは貸してやる、そういう事業をやるほうが望ましいのではないかということになりまして、去年私が申し上げました県の公社あるいは市町村のほかに、今回新しく農協を加えているわけでございます。
○芳賀委員 合理化法人の行なう事業の範囲とか、あるいはまた農林大臣または都道府県知事等がこの合理化法人に対して必要な規制措置を講ずるような事項は多々あると思うのです。こういう点については農林省のほうから、合理化法人というものはこういう性格で、こういう事業を行なうとか、これに対する行政庁の規制措置をどうするとか、そういうものは審議の便に供するためにすでに出されていなければならぬですよ。質問しても満足な答弁も説明もしない。時間切れになって成立するのを待っているというのはけしからぬじゃないですか。いま思いついて出した法律でないのですから。去年の委員会でも、そういうものは準備して明らかにしますということは中野さん言ったでしょう。ことしは同じものをまた出しておるわけですから、必要な資料を要求がなくても進んで出すぐらいの気がまえでないと、前向きの審議はできないと思うのです。いつもへっぴり腰で、腰かけても半分しかすわっていないじゃないですか、あなた方見ても。それじゃ、これだけの重要法案に対して満足な審議はできない。 それともう一つ、農協に市町村段階において合理化法人としての資格を与えるという場合に、農協法の改正の第十条第一項五号ですか、経営農地に対する取り扱いを事業として農協は行なえることになるわけですね。あわせて転用農地についても事業として行なえるということになれば――転用農地の問題はあとで聞きますが、農業を目的とした農地の取り扱いを農協法の中で新たに事業としてやれることにすることと、それから合理化法人の資格を農協に付与するということになれば、両方の法律を踏まえてその事業がやれるということに当然なるわけです。しかし人格は農協で一つですから、そういう場合、一個の人格が両方の事業を資格を具備してやれることになるわけですが、その問の関係はどう考えておるか。
○中野政府委員 農協法によりまして、農協が農地を買い入れまして、それを売り渡しをするという権利能力といいましょうか、そういうものを与えたわけであります。その限りではそういうことはできるわけでございますが、別に農地法がございまして、農地法上農協のそういう土地の売り買いをどういうふうに農地法との関連をつけるかということになりますと、これは農協が自由にそういう土地の売り買いをするということでありませんで、ただいま御審議いただいております農地保有合理化法人の一つとして扱う。そういう農地保有合理化法人にならない場合は、農協法に権利がありましても、そういう事業は実際はやれないという関係になるわけでございます。
○芳賀委員 もう一度よく言っておきますよ。それでは農地保有合理化法人としての資格が与えられた農協は、その合理化法人としての事業に専念する、農協法によるところの農地の取り扱いの事業をあわせてやるということにはしないというのですね。
○中野政府委員 ただいま申し上げましたように、農協が土地を農家から買って売るという事業そのものが、農地法でいいますれば農地保有合理化事業になるわけでございます。そういう事業をやるための実施方針その他こまかくはこれから指導いたすわけでございますが、それ以外の土地の売り買いということはございません。
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。これは池田局長からも聞きたいわけですが、農協法の改正が行なわれれば、これは農協法に基づいて第十条の事業としてできるわけですね。定款でやるということをきめればできるのですよ、行政庁の希望があれば。そうでしょう。これは農地法と何も関係がなくやれるわけですから。ところが、合理化法人の場合は、総合農協全部に対して申請があればやらせるということにならぬでしょう。それは局長の先日の説明によっても、市町村単位においても、法人は一法人ということにまず定めて、その場合には、市町村が主体になって行なう合理化法人にするか、農協を指定して農協にやらせるか、いずれにしても複数の法人は認めないということをあなたはこの間言っておるでしょう。そうすると、全国の農協で農地の取り扱い事業をやれるということになった場合でも、それが全部合理化法人としての資格を得て行なえるということには必ずしもならぬと思うのですが、これは池田さんからもちょっと説明してもらいたいと思います。
○池田政府委員 非常に形式的に申し上げますと、農協法の十条の改正をいたしましたのは、これは農地の取得なり売り渡しなりができる権利能力を付与した、こういうことでございます。あとその農地の指導等につきまして、どういうやり方で農地法上扱うかというのが農地法によります農地保有合理化法人としての受け方でございます。でございますから、農地保有合理化法人としての事業以外の事業も非常に形式的に申し上げるならばあり得るわけでございます。ただ、この農協法の改正をいたしましてこういう事業を入れましたのは、実はそういうことを考えているのではなくて、やはり農業経営規模の拡大というようなことについて農協も一役を買うのが妥当であるという判断からこういう規定を入れたわけでございまして、当然私どもも農地法によります農地保有合理化法人としてそういう事業を実施していく、こういう含みでこういう権利能力を与えた、こういうことになるわけでございます。繰り返すようでございますが、非常に形式的には農地保有合理化法人でない事業も農協法だけを見ればあり得るということになるわけでございますけれども、実際には農地法のほうで縛っておりますから存在しない、こういうことになるわけでございます。
○中野政府委員 私も先ほどそういうふうに申し上げましたし、いまの農政局長の御答弁で同じことでございますが、農地法は、農地保有合理化事業をやる場合に農協の土地の買い入れそれから売り渡しを許可するということでございますけれども、それ以外には、いわば農協は不耕作者でございますから、土地の取得は認めないという原則に引っかかりまして、それ以外の土地の売り買いはできないというふうになるわけでございます。
○芳賀委員 その場合農協法の関係ですが、転用農地の取り扱いを事業として行なえるということに改正案はいっておるわけですね。この事業と、それから農地保有合理化法人が転用農地を目的としての業務の扱いを当然しないわけですが、しかし、合理化法人として農地の買い入れはできるわけですから、買い入れした農地を合理化法人が転用に向けたいとか向ける必要があるというふうな場合はあり得るのですか。
○中野政府委員 農地の保有合理化事業の目的は、たびたび申し上げておりますように、農家から農地を買い入れてそれを規模拡大しようとするような農家に売り渡すという目的でございます。しかし、買い入れたあと、たとえば道路がつくとかその他の事情がございまして、その農地はもはや農地として売れないという場合が結果としてあり得るかと思いますので、そういう場合は転用に回すということもあります。その場合はもう一度転用許可を受けなければならない、こういう関係になるわけでございます。
○芳賀委員 その点が非常にインチキじゃないですか。たとえば合理化法人を農地法の中で認めようとする場合であっても、合理化法人が買い入れた目的の農地を転用農地に回すというようなことを法人の業務としてできるというようなことになりますれば、これはたいへんな問題になると思います。そういう目的を一部でも持った合理化法人であるということになれば、当然農地法の中にこういう法人を認めるということは問題があると思うのです。中野さんは正直だからやはりできるということに言ったでしょうが、正直でない役人の場合はなかなかできますなんということを言わぬと思うのですよ。しかし、言った以上、これは問題がある。合理化法人が転用農地の扱いができる、農業目的で買い入れた農地を今度は別な用途に転用することもできるということになれば、これは非常に問題があるですね。特にいまのように水田の減反とか事務次官通達によるところの農地の転用の基準緩和等を農地法よりも強力に優先させてやるようないまの政府が最初からそういうことを考えておるとすれば、これはわれわれとしては絶対認めることができないわけです。そういう性格を持ち目的を持った合理化法人であるということであれば。ここは純粋にしぼってもらわぬといかぬですよ。法律にはただ合理化法人の名称だけが載っておるにすぎないわけですからね。しかし、この条文の中のそれぞれの各号の規定というものは、これこれの場合は保有ができるとかできないということを規定した法律の関係ですからね。私どもの正しい判断では、この合理化法人は、この農地法の条文から見て、買い入れた農地を転用に向けるということはできないと思うし、そういうことは行なうべきでないというふうに考えておるのですが、この点ははっきりしてもらいたいと思うのです。
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように本来の目的は農地保有合理化のためでございます。そういうのを業務としてこの法人がやるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、そのあと道路ができるというようなことで土地収用がかかる場合もございましょうし、そういう場合にその農地がほかに転換できないということになれば、もとの農家に返さなければならないということにもなってまいります。そこで、これは業務としてではなくて、結果としてやむを得ずそういうことがあり得るということを先ほども申し上げたわけでございます。
○芳賀委員 道路とか公共の用に供する場合は何も合理化法人でなくても農地法に特段の規定があるわけですから、そんなものは理由にならぬですよ。農業を目的とする農地を合理化法人が買い入れできるのでしょう。流動化が目的ですから、経営拡大を希望する農家にそれを売り渡すわけでしょう。あるいは一定の期間貸し付けもできるということになっておるわけでしょう。それが合理化法人の目的じゃないですか。農地の流動化を促進するための非営利法人ということになるわけですからね。それを今度は買い入れたとたんにその農地を転用に向けるということも合理化法人としてできるということになれば、それが問題だと言ったのですよ。やらないとかできないということをここではっきりしてください。
○中野政府委員 答弁を繰り返すようで恐縮でございますが、業務としてはそういうことはやれないたてまえでございます。しかし、結果としては、いま私ちょっと道路のことだけ申し上げたわけでございますけれども、そのほかにもあるいは別の面での転用のことが起こってくる可能性はございます。それを積極的に進めようというのではなくて、やはりその農協なり町村あるいは県の公社にいたしましても、そういうことが一切できないということになりますれば、その土地の処分ができないわけでございます。結果としてはそういうことが付随的にあり得るというふうに御了解いただきたいと思います。
○芳賀委員 ではできるという場合は、例示的にどういうあれですか。農地法に書いてある程度のものでしょう。道路を建設するとかあるいは公共の施設を設けるためにその農地が必要であるとか、あるいは協同組合の公益的な施設を設けるためにその農地が必要であるとか、あるいは地方公共団体等がどうしてもこの農地というものは目的に従って必要であるという場合には、これは現在の農地法でその規定というものはちゃんと認めておるわけですからね。だからその範囲でやるということはいいんですよ。しかしそれ以外、目的を全く、その農地を他に転用させるというようなことで合理化法人が業務を行なうということになれば、これは非常に問題があるわけですからね。一方においては農協は、経営農地の取り扱い事業等とあわせて、転用農地の取り扱いが事業としてできるということがあるわけだから、これとの関連というものを慎重に考えておく必要があると思うのです。やはり農林省としては、その辺はきちっとしてもらわぬと、農林省の農地の取り扱いというのは、私は歴史的に一応正確を期してやってきたと思うのですが、どうも中野さんあたりからだいぶ正確の度合いが薄らいだと思うのですけれども、もう少しきちっとした姿勢で、こういう大事な点だけははっきりしておいてください。大事でないところはあいまいでもいいですけれども。
○中野政府委員 昨年も申し上げたと思いますが、この合理化事業をやる地域は、われわれ原則的には、農業振興地域というふうに限ってやりたいと考えております。当面、振興地域が全部ございませんので、それにかわるべき措置を考えなければなりませんけれども、原則的にはそういうふうに考えております。したがいまして、その中で私が先ほど申し上げた結果として起こるような事態は、いま芳賀先生御指摘のような事態が大部分だろうと思います。初めからそういうふうに農協かあるいは市町村が転用するつもりで買うというような事業をやり始めるということはまずないと思いますけれども、ありました場合には、これは十分指導、監督する必要があるというふうに考えます。
○芳賀委員 次に、今度の改正案では、農地等の権利移動の許可権者は、従来は知事許可が中心でありましたのを、今度は原則的には地元の農業委員会にするというふうに変更するわけですが、これは現在の農業委員会そのものの実態をわれわれがよく判断した場合、あるいはまた農林省として現在の全国に散在する農業委員会というものに現在以上に権限を付与した場合に、それを法律の目的に沿って十分消化できるかどうかという点も、これは行為能力問題として考えなければならぬと思うのですよ。大事な権利関係ですから。いまの取り扱いにしても、農業委員会が適正な判断をして、それから段階的に知事の最終的な許可ということになるので、私どもとしてはこの取り扱いの形で何らの支障はないではないかというふうに考えておるわけです。しかも農地関係の各都道府県の取り扱い体制等については、これはもう戦前から、農地関係は体制がいつも非常に強化されており、そこに配置される職員の場合にも、優秀な人材が配置されて、そうして農地制度を守る、農民の利益を守るということで、非常に熱意を持ってやってきた経過もあるし、現在においても、各都道府県のそういう事務機構というものは、それほど弱体化されていないと思うのですよ。そういう場合に、今度は農業委員会主体にやるということは、これはいま直ちにやるということは問題があると思うのです。こういう点は十分慎重を期する必要があるのじゃないかということは、現状のとおりで、むしろそのほうが好ましいというふうに考えておるわけですが、その点はどうなんですか。こういう点に支障がある。知事に権限を与えておったのでは重大な支障があるという点があれば、これは明らかにしておいてもらいたいと思います。
○倉石国務大臣 今回の改正案では、農地の権利移動につきまして、農業委員会の許可権限の配分を一部変更いたしまして、また農地等の利用関係の紛争について農業委員会が和解の仲介をする制度を新たに設けることといたしております。この改正によりまして、農業委員会の権限とされます事務は、いずれも従来から農業委員会が現実に携わってきたものでありまして、現在の農業委員会の実態についてただいまお話がございましたけれども、今回でもその権限をさほど強化するものとはいえないと思います。むしろ農業者の中から選ばれました委員を中心として構成される農業委員会が、その権限に基づいて処理することとするほうがより適当ではないか、かように考えているわけであります。 また、農業委員会の運営や委員及び職員の資質に関していろいろお話もございました。今回の改正を契機といたしまして、私ども農業委員会に対して、農家の関心と期待が高まり、また農業委員会自身もその責任をより一そう自覚するように、今回の改正でそういうふうに助長されるのではないかと思いますし、農林省といたしましても、農業委員に対する研修その他の指導を十分に強力に行ないまして、その農業委員会の適正な運営をはかってまいりたい、このように考えております。
○芳賀委員 次に、これは非常に大事な点でありますが、小作地の所有制限の問題、法律では第六条、第七条の関係であります。この関係で、今度はいままで認められなかった不在地主の復活の問題になるわけです。そこで率直にお尋ねしたいのは、今回の改正を通じて離農、離村する者に対しては、内地府県においては一ヘクタールを限度として、所有者はもちろん一般承継人までこれが所有できる、いわゆる不在村で所有できるということにする政府の改正案でありますが、このねらい、いろいろな目的があると思うのですが、こういう一般承継人までに不在村の所有の機会を与えるということは、耕作者の立場から見た場合には、相当長期にわたってその小作者が耕作した農地に対して、農地の所有の機会というものは、現行よりももう非常に遠ざかっている、そういう機会というものは薄らいだことになるというふうに考えられるわけです。その点をどう考えておるか。 それからもう一つは、離農離村する場合の所有者それから一般承継人ということになるわけですから、二代にわたるということになるわけです。それは将来にわたっても再び農村に戻ってこの者は農業を経営する、営む者ではないという判断で、資産的保有の機会を与えるということで長期な不在所有を認めるという考えか、あるいは二十年、三十年の二代にわたる間において農村に復帰して、そうして再び農業を営む機会が長い年月の間にあれば、そういう機会を与えるということも配慮してこのような改正をやられるかどうかですね。耕作者の立場と所有者が不在村になった両面の立場に立って、政府としてはどういう配慮を持っておるか、その点を明らかにしてもらいたい。
○倉石国務大臣 お尋ねの初めのほうにつきましてはお話しのようなことも考えられますが、大体私ども今回ねらっておりますのは、耕地をなるべく効率的に耕作の成果をあげてもらいたいということでありますので、そういう角度から今回のようにいたしたほうがいいと思っておるわけであります。それから申すまでもなく、農家にとりましては、農地というのは先祖伝来の基本的な財産でございます。農地への執着というものは非常に強いと思われるわけであります。これを自分の一代だけで手放すというようなことになるといたしますと、なかなか農家の方々は貸すことに踏み切れないのじゃないか。そういう農家の感情的なものがございますことや、また農村においては、その経営の実態はむすこに移っていても所有名義はおやじさんにあるという場合がかなり多いのでありますから、その小作地の所有期間を一代限りとしたり、それからお話のございました十年間に限ったりいたしましたのでは、現在の農家の心情としては、農地を他人に貸す気持ちになかなかならないのではないか、このように思うわけであります。したがって離農にあたりまして農家の間で貸借をするような場合には、その小作地所有を二代認めることといたしたほうがいいのではないか。また、小作地所有が認められております間にその小作地が借り手に売り渡されることも期待されますので、かえってそのほうが現実的ではないか、このように思っているわけであります。
○芳賀委員 現行法では所有者が離農離村する場合には、耕作者に売り渡すか、あるいは国が買収するかということにこれは当然なるわけですね。ところが、今度の改正によって、いまの大臣の答弁からいうと、耕作者がみずから農業を営む者がその農地を所有することが最も望ましい。そのために農地法というものが強力に働くというのがいまの農地法ですから、その点から見ると、耕作者がその農地を所有するという機会というものは、もう相当先へ行ってしまうわけですからね。ですから、所有の機会は失われると言っても差しつかえないと思うのです。それから所有者のほうから見れば、これは農業の経営をしない、農業に従事しない状態で離農離村するわけですからして、その場合の所有関係というものは、単に財産保有的なそういう立場の上に立って農地を所有するということになるわけですね。この二つの面から見て、農地法の本旨から見た場合には、これは決して好ましい状態ではないということに当然なるわけです。 もう一つ問題は、こういう措置を講じても、ほんとうに安心して離村するのかしないかという問題があるわけです。これは農業白書の報ずるところによっても、農業就業人口は大幅に減少しておるが農家戸数は減らぬというこの事実、それからまた第二種兼業農家になっても、それは自宅からの通勤という状態が八〇%以上を占めておるわけですね。だから農地法がこういうふうに変わったから離村するかということになると、これは、そういうことにはならぬと思うのですよ。在村の状態だけであるということになれば、現在でも在村で内地一町歩の小作地を持てるわけですからね。今度の改正というものは、不在村になった場合も持てるということを規定するわけですけれども、実際問題としては、こういう改正が行なわれても、それではもう大量に安心して地元から離れるかというとそういうことには絶対にならぬと思うのですよ。その見通しがないままに農地法だけ改正して、親子二代にわたって不在村保有を認めるというようなことは、何らの効果はないと思うのですが、これはどうですか、農地局長。改正した場合ですね、現在のような在村地主が減って大幅に不在村の方向に傾向として移行するんだかしないんだか、その点はどう考えているんですか。
○中野政府委員 現在の離農者の形態を見てみますと、内地と北海道ではかなり様相が違っております。内地の場合はそのまま在村をして、そこから通勤で工場等に通うというほうが多いようでございます。それから北海道の場合はその逆になっております。しかし今回こういう改正をいたしました場合、もちろん在宅兼業でもかまいませんが、いままでは農地法で、土地があるために――土地は売りたくない、しかも貸すとなかなか返してもらえないというような事態があったから、荒らしづくりをしておるという農家もかなりあるわけであります。そういう農家につきましてはこの法律が非常に役立つと申しますか、この法律によりまして、かなりそういう農家も出てくるだろうと思います。しかしそれじゃ幾らくらいになるか、大幅にふえるかということになりますと、やはり農地法だけの問題ではございませんで、そのほかの対策も必要でございましょうし、また一般の社会経済事情等もいろいろ影響してまいりますので、改正があったから急に大幅にふえるというふうには、われわれは考えていないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、これによりまして、農地法がじゃまなために行けなかった農家は行けるということになるわけでございます。
○芳賀委員 私は、結果的にはふえないと思うのですけれどもね。農地法が現状にある場合の、いまの傾向が変わるようなことはないと思うのですよ。あなたもそう思っておるでしょう。これは、農地法が変わって、二代保有ができるから安心して離村できるなんという、そういう単純ないまの社会事情ではないですからね。私は、変わらぬと思うのですよ。変わらぬ場合には、かえって、農業の面から見ると、耕作に対する農地の保有の機会がなくなる。結局、規模拡大というものは借地主義で拡大する以外はないということになるわけですからね。農業白書にしたって、総合農政の基本計画から見ても、そういうことにならぬということをいっているわけですからね。法律だけ変えてみても、いまの自民党政府の農政の姿勢そのものを変えなければ、これは問題の解決にならぬと思うのですよ、これは局長に聞くのは無理ですがね一あなたは自民党の局長じゃないのでしょう。ほんとうに見通しとして、これによって大きく離村がふえるという確信があれば、ここで述べてもらうし、確信がなければないでもやむを得ぬです。
○中野政府委員 先ほども申し上げたとおりでございますが、これによりまして大幅にふえるというふうにはならないと私も思います。同時に、先生がおっしゃいましたように全然役に立たぬというふうにも考えておりません。まさに農地法がいまのような制度のために、離村したい農家ができないという問題もあちこちあるわけでございますから、そういうような農家のためには役に立つのではないかというように考えております。
○芳賀委員 これはよくプラスとマイナス面を比較してもらわなければいけないと思うのですね。 それから、いまのは個人の場合ですが、次に、農業生産法人の構成員である者の不在村所有の問題と、農業協同組合の組合員である者が農協に経営委託をした場合の所有地が不在村になった場合の保有の関係、これは一ヘクタール以内ということにはなっていないのですね。たとえば農協に委託した全面積あるいは農業生産法人に出資した全面積あるいはまた貸し付けた全面積を全面保有して不在村地主になれるということになっておるわけですから、この関係をどういうふうに考えたらいいか。個人の場合には一町歩二代限りですね。それから経営委託等の場合には全面積ということになっておるわけですから、ここを明らかにしてもらいたい。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
○中野政府委員 農協の経営委託の場合あるいは農業生産法人に貸す場合には、いわば預かるほうがその土地自身を自主的にあるいは公的な管理をするということでございますので、管理をした上でりっぱな経営をやっていくということになるわけでございますから、あえて貸すほうの農家の貸す面積を制限しなくても、預かるほうがいわば昔の小作人で――小作人というのは言い過ぎでございますけれども、賃借人として非常に困るというような事態にもなりませんし、借地的な経営も入れていけるという積極的な面も考えますと、貸すほうの面積を制限をしないほうがより政策的には望ましいのではないかというふうに考えて、この場合には制限をしなかったわけでございます。
○芳賀委員 農地の財産保有という点から見れば、農協に経営委託した場合であっても、それから個人に貸し付けた場合においてもそれは変わりないんじゃないですか。形式が、個人に賃借で貸し付けた農地であるか、あるいは農協、生産法人に経営委託とか貸し付けた農地であるというだけで、個人の農地の所有者としての立場から見た場合に、これは何も変わりないと思うのですよ。ですから、これは個人の場合には一町歩に限定する、それから農協や法人の場合には全面積でよろしいというこの点が一般には理解できないと思うのですね。
○中野政府委員 繰り返すようでございますけれども、所有者のほうから見ればまさに芳賀先生がおっしゃるとおりだと思います。しかし預かりましたほうの経営ということから考えますと、たとえば農協に委託をする場合でも、農協が半分預かって、半分は貸したほうが買われてしまうというようなことになりますと、またそこで一つにまとまった経営ができないというような場合もありましょうし、むしろ全面積を提供してもらって、そこで生産規模の大きな経営をやったほうが望ましいという、そちら側にウエートを置いて今回のような改正をしたわけでございます。
○芳賀委員 農協というものはそういうものですかね、中野さん。農協の区域を去った者の所有農地をいつまでも預かって経営するというのが農協の本旨であるか。むしろいまの農地法によれば、離農、離村した場合には、それは国が買い上げるか、在村の耕作者が買い受けるということになるわけです。農協は、未来永劫に自分の農協区域の中における農業をみずから営む農民である組合員の利益に奉仕するためにあるわけでしょう。組合員でなくなり、農民でなくなった者がその地域から去った暁においても、その者の農地の経営を優先的にしなければならぬということにはならぬじゃないですか。その辺がおかしいじゃないか、あなたの考えというものは。農政局長でないからそういう考えなんだといえばそれまでですけれども、そこらはもう少し農林省として一貫をした方針で答えてもらいたいのです。農地局長だからそういう答弁をする、農政局長だから別な答弁をするということじゃいかぬですからね。一体農協というのはそういうものですか。自分の区域内におらなくなって、組合員でなくなり、農民でなくなった者の財産管理とか運営をやるというのが農協の一番の目的ですか。
○中野政府委員 この問題につきましては、昨年芳賀先生からいろいろ御指摘がございました。そのとき私がかってに拡大解釈をしておるのじゃないかという点までおしかりをこうむった問題でございますので、少し整理して申し上げたいと思いますが、農協に組合員が預ける場合も、普通は自分の水田なら水田は預けまして、そして果樹のほうに専念するというような場合が普通だろうと思います。しかし兼業農家になってまいりまして、もはや自分では経営したくないというような場合がありますので、その場合はあるいは全面的に預かる場合があるかと思います。その場合にも普通は在村でありますと準組合員になるわけでございます。 たまたま準組合員にならない場合もあるかと思います。その場合の農協法あるいは農地法での扱いでございますが、特に問題になりましたのは、昨年も員外利用の問題だったと思います。この員外利用の問題につきましては、農政局とわれわれ打ち合わせをいたしまして、先ほどちょっと御議論がありましたが、農協の受託規程あるいは受託の約款というものをつくりまして、何でも員外者のものはみなよろしいということにはしない考え方をとりたいと思っております。 そこで具体的には、ただいま申し上げましたように、地区内に住んでおります農協の組合員でない員外者、これは農協としましても一種の地域の協同体でもございますので、委託を受けてよろしいのではないかというふうに思います。 それから二番目には、農協法にもございますように、農業経営の委託に際しまして組合員と同一の世帯にある者は組合員とみなすということで、利用分量の計算は組合員とみなすということになっておりますが、そういうものの受託はよろしいのではないかと思います。 三番目には、農協の地区外にもう行ってしまったという者の扱いでございますが、これは未来永劫そういうものを預かっておるということは、いまお話しのように農協の本旨にも合致しないと思いますので、たまたまその受託の期間が三年なら三年となっておりますと、その三年の期間中は受託を続けてあげる。その委託者が死んだりいたしましてそれを相続するというようなことになってきますと、もはや農協とは縁もゆかりもないというようなことになりますので、そういうものにつきましては新しくは受託をしないという取り扱いにしてはどうかということで指導をしたい。まだあるいは今後詰めてまいりますと若干例外等も出てくるかと思いますが、原則的にはそういうふうに考えております。それで、農協法、農地法の扱いといたしまして、何でも員外のものでもみんな預かってしまう、こういう考え方はとらないつもりでございます。
○芳賀委員 そうすると、いまの答弁からいうと、委託経営を行なっておる農地の場合、その委託した者が離村した場合は、残っておる契約期間中は経営をしてやるということですね。その契約の残期間があと一年とか二年残っておる場合には、その期間は引き続き経営をしてやる。契約期間が満了した場合には、今度はその地区外の所有者のものについては、特に更新して経営の委託に応ずる必要はないということになるわけですね。あなたのいまの答弁は一つはそれなんですよね。それから本人が死んだ場合にはそれきりと、それから相続人の場合はもともと農協と組合員関係というものはないのだから、それはだめだということになれば、これは非常に短期間ということになるわけですね。ではその期限が切れて、もう契約が行なわれないという状態になった場合には、その農地の保有はどうなんですか。その時点からは一町歩認めるのか、あるいは全部国に売り渡すかということになるが、それはどうなんですか。
○中野政府委員 そういうふうな扱いになってまいりますと、本人もこのままでほっておけば、これは最終的には国に買収されるということになるとたいへんだということになるわけでございますから、おそらく本人は村の中の人のだれかに売るということになってくると私は思います。
○芳賀委員 それでは委託経営の場合には、長期的に不在村の保有は事実上できないというふうに解釈していいわけですね。
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、受託の際に組合員とみなされた者につきましては、これは組合員とみなされている間は、不在地主になりましても継続はさせたほうがいいんではないかと思います。それがその人が死にまして、そのあとの代になってまで認める必要はないんじゃないかというふうに、私、先ほど御答弁申し上げたはずでございますが、そういう扱いにしたいと考えております。
○芳賀委員 農林省はいいと認めても農協がその契約の継続に応じなければどうしようもないじゃないですか。農協は自分の区域内の農民である組合員の利益のために事業をやっておるわけですから、もうすでに組合員でなくなり、農民でなくなって、区域を去った者にまで、将来にわたって優先的にそのめんどうを見るということにはならないわけですよ。契約ですから双方が合意しなければ契約というものは成り立たぬから、農林省の命令でいつまでもやってやれなんというわけにはいかぬでしょう。契約の継続ができないとか、それから期限が満了した時点において、これはもう委託経営はやってないということになるわけだから、今度はその場合の所有制限というものは無制限ということにならぬでしょう。われわれは、おそらくその時点でこれは全部国が買い上げるか、あるいは合意の上で在村者に売り渡すかということであって、そのときからまた一町歩ということにはならぬと思うのですがね。その辺はどうですか。
○中野政府委員 その点は御指摘のように、その際までには売り渡したほうがいいということになりますから、期限が切れたからあと一町歩ということにはならないつもりでございます。 なお、ちょっとつけ加えさせていただきますと、農協のほうでそういうのは好ましくないからというので、そういう受託経営をつくらなければ、当然そういうことにならないわけであります。政府のほうで強制するという考え方は持っておりません。
○芳賀委員 それでは生産法人の場合、不在村になったときの所有関係というものは大体それと同じように解釈していいわけですね。
○中野政府委員 農業生産法人の場合は有限会社なら社員、それから農事組合法人の場合は組合員ということでなければだめでございますから、そこから出てしまえば、これはそのとたんにだめになる、こういうことになるわけであります。
○芳賀委員 それはいいけれども、それでは農協法のほうで、生産法人の場合のみなし農民というのはどういう意味を持っておるわけですか。それはあるのですよ。農民とみなすというのがあるでしょう。
○中野政府委員 簡単に答え過ぎまして恐縮でございましたが、農事組合法人の場合は、この農協法の改正にございますように、組合員の同一世帯に属する者は組合員とみなすということになっておりますから、これはみなされている間は組合員外ではありませんので、これは同じように扱う必要があるということになるわけであります。
○芳賀委員 そうではなくて農民とみなすというのは七十二条です。
○中野政府委員 ちょっと条文の見間違えをして失礼いたしましたが、農事組合法人の場合は「組合員が農民でなくなり、又は死亡した場合におけるその農民でなくなった者又はその死亡した者の相続人であって農民でないものは、その農業経営農事組合法人との関係においては、農民とみなす。」ということになっておりますから、その範囲のものは農事組合法人の場合は認められるわけでございます。
○芳賀委員 だから、みなされたその農民は、不在村になっても生産法人との関係においては不在保有を認められる資格が出るわけでしょう。そうするために農協法の改正にみなし組合員とかみなし農民というものが出てきているのではないですか。そうなるとさっきのあなたの答弁は違うじゃないですか。
○中野政府委員 私、簡潔に答え過ぎまして、みなす組合員のことを申し上げませんでしたが、そういうもの以外のものはだめだということを申し上げたわけでございます。
○芳賀委員 そういうものを全部みなしてしまうのだから、それ以外のものというのはないのですよ。そうじゃないですか。農協の場合には組合員と同一世帯に属する者はこれは全部組合員としてみなすわけですからね。そして農業の経営を委託したときに組合員であり、または同一世帯のものである場合はこれも組合員とみなすわけだから、組合員が経営委託をする場合は、それは組合員として委託するわけでしょう。その組合員に対しても、今度の改正案は組合員とみなすというふうに出ておるわけだから、これは非常に念が入り過ぎているわけですね。農民とみなす場合には、もう農民でなくなった者さえも無理やり法律で農民とみなすというようなことになるわけだから、これは特別な意図がなければ、そういう無理なことをする必要はないのですが、これはすべて不在地主を認めるという思想の上に立って、こういう改正を――これは農地法でやらぬで農協法のほうであなたはやっているわけですからね。農地法だけ見たらわからぬわけでしょう。これは非常に知能的なやり方じゃないですか、そう思わぬですか。
○中野政府委員 何といいましょうか、そういうふうに言われますと少し困るわけでございますが、これは農事組合法人そのものの経営と生産ということを考えますと、やはりとたんにある人が抜けてしまうと集団的な経営ができないという面がございますので、それに着目をしましてこういうふうにしたわけでございますが、本人が組合に加入いたしませんということになりますれば、当然農民ともみなされた上で組合員になれないわけでございますので、芳賀先生のおっしゃいましたように、不在地主をなるべくつくろうというところに主眼があるのではなくて、むしろ法人としてのまとまった経営をやらせたいというふうにわれわれ重点を置いているわけでございます。
○芳賀委員 次に統制小作料の問題についてお尋ねします。 今度の改正案は、現在の統制小作料の制度をなくするということを主眼としておるわけですが、これはやはり重要な点だと思うのです。われわれの考える点は、いまの統制小作料制度というものを廃止しない状態のもとで、これを適正に運営する方法はないかということをまず考究すべきでないかと思うのです。 現在の統制小作料は省令の規定に基づいて基準を設けて、いわゆる全国一律の等級表をつくって、それに基づいて各農業委員会がその地元に適用する小作料率を選定して知事の許可を得て実施するということになっているわけですね。しかしたてまえが全国一律方式ですから、たとえば一番大事な基礎になるところの反収の問題にしても全国の平均反収ということで、四十二年に改正された小作料の現行の場合も、これは三百八十八キロということになっているわけです。これを基礎にして十五等級の等級を設定しているわけですから、この等級表によって全国の農業委員会がそれぞれ地元に適合する適正な小作料率をきめるということは、なかなか至難な点があるわけですね。この点にやはり小作料が非常に低いとか実情に合わないというそういう批判が出るわけですから、これをどうしたならば改善できるかということに頭を使うべきだと思うのですよ。 たとえば、全国一律方式をやめて、いわゆる農林省の責任において省令でちゃんとしたこの算定の基準を設けて、細分化するようなことにはなりますけれども、全国の都道府県単位に統制小作料の最高額をきめるというようなやり方も、これはできないことはないと思うのですよ。その都道府県ごとの統制小作料に基づいて、その都道府県の区域内の農業委員会が従来のように地元に適合する小作料というものをきめて、そして知事の許可を求めるというやり方のほうが、具体的であって実現性があるのじゃないかと思うのです。ただいきなり地元の農業委員会にまかして、そして標準小作料をきめてそれに基づいてやれというようなことでは、これは全国的に堅実な小作料の制度というものを維持することはできないと思うのです。だから急激な方法の変化でなくて、いまの統制小作料のワク内において今度は都道府県単位、これがまた行政的には都道府県知事が、農地の権利関係の許可権者としての責任を持っておるわけだし、いろんな農地関係の問題は都道府県段階で行政的に扱うわけですから、そういう思想でいまの小作料制度を実態にあったようにしたらどうかというふうに私は考えるわけですが、その点はいかがですか。
○倉石国務大臣 小作統制のお話がございました。御存じのように、最近農業技術が進歩いたしておりますし、農業の生産や経営の多様化が進んできております条件のもとでは、統制額を地域ごとの生産条件、農業経営の状況等をしんしゃくして定めるといたしましても、その地域内において作目その他技術、経営などによりまして、土地利用がいろいろな型があることは申すまでもありません。個別の経営によって、農家というものはやはりいろいろございますから、これらに対応した統制額を一筆ごとにきめるということはなかなか困難なことでございます。 いまお話しのございましたように、ブロック別または都道府県別に統制額を定めるといたしましても、個々の生産能力から見てそういうふうにいたしますと、たぶん一番低いところに水準が定められる。相当低い水準のものでも支払い得るような統制額にしなければならなくなるのではないだろうか。結局現在の小作統制令とあまり変わらないような画一的なものとなるのではないかと私どもは見ておるわけであります。 いまお話しのございましたように、地域ごとの生産条件等をしんしゃくして適正な小作料水準といたしますには、やはり今回の政府提案のように標準額を大体定めまして、その実施にあたりまして指導を徹底いたしてまいるほうが現実的ではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
○芳賀委員 これは結局農林省が責任を持って指導をするか、責任を持たないで末端の農業委員会にまかせるかということになるわけです。しかし大事な農地の権利関係の一環ですからして、こういう重要な問題については、あくまでも農林省が責任を持って全国的に問題の起こらぬようにきちっとやるということが一番望ましいわけであります。それに必要な資料の収集にしても統計の調査にしても、何としてもこれは農林省が一番確実なものを持っておるわけですから、やはりいま一段指導性を発揮するということも必要だと思うのですよ。何でもかんでも統制というのはきらいだとかいうことにこだわると取り返しのつかぬことになるのじゃないかと思うわけです。 それから草地利用権の問題は、昨年からこの点はよろしいということを言っておるわけです。ただせっかくある農地法の未懇地買収の規定というものをもう十年近く眠らして、必要がある場合にもこれを全然発動させないという前提の上に立って、それにかわる草地利用権の設定というようなやり方はとるべきでない。現在においても農地法第三章の未懇地買収の規定の発動が必要である場合には行なうという態度というものは捨つべきでないというふうに考えるわけです。ですからそれと合わして今度の草地利用権の設定ということに対しては、われわれとしても必要な措置であるというふうに考えておるわけです。 以上で大体農地法に関するおもなる点については質問をいたしたわけです。 引き続いて農協法について質問いたします。これも昨年局長を中心に議論をしたところです。どういうわけだか農地局長と農政局長は入れかえていないのですね。ほかの局長はみな昨年からかわっておりますね。これはおそらく今国会でも最大の重要法案だから、両局長については、農地法と農協法は君たちの責任で通せ、しかる後に人事については考える、そういう政府の方針ではないか、こういうふうに考えるわけです。われわれのほうは去年、池田さんとも中野さんとも十分議論はしておるわけです。ただ、去年とことしでは事情がずいぶん変わっていますから、そういう点を頭に入れて若干の質問をしたいと思います。 そこで第一の問題は、昨年の改正案と異なった点は、これは御承知のとおり、いまも議論をしましたが、農協法の十条の一項に新たに五号の中に加えて、農業目的の農地の取り扱いをやるという点と、さらに転用農地の取り扱いをやるという点が新しく出てきておるわけです。特にわれわれは転用農地の取り扱いを農協の業務としてできるとする改正に対しては、これは非常に問題があると考えておるわけです。もう一つ、これはわれわれの承知した範囲では、政府が米の減反、減産をやる場合に、当然これは全国の農協が協力しなければできないわけですが、農協に協力を求めた場合、農協のほうから、協力をするがその際取引の代償として、農協法の改正の中にいわゆる転用農地の取り扱いができるようにしてもらいたいということで、農林省自身としては、事務当局ではいろいろ慎重に検討した点だと思うのですが、これは政治的な取引という形でこの今回の改正案に出てきたという、そういう経過があるわけですね。そういう不純な経過に立って、取引の所産としてこういう大事な農協法の改正をやるということは、これはわれわれとしては認めることのできない点なわけですが、大臣としてはどう考えているか。取引結果だからやむを得ないということでおるのか。まあ法律の改正案は出したけれども、いまもよく考えてみるとこれは良心的な措置でないというふうに思っておられるか、この点はどうなんですか。特に転用農地の問題ですよ。
○倉石国務大臣 いろいろだんだん申し上げますとまた時間を食いますから、それはやめまして、簡単にお答えいたしますと、私が就任いたしましてから生産調整が実際に百五十万トン、話が始まったわけでありますが、その前から農協は農地保有について希望を述べておられたのは御存じのとおりであります。したがって、今回の改正案にこれを入れるということが政治的な取引なんというのは、私いま初めて言われて気がついたわけで、全然そういうことはありません。
○芳賀委員 これはあなたが知らぬだけで、農協自身がそう言っておるわけだから……。生産調整に協力することになったが、そのかわり、この転用農地の取り扱いと、いわゆる農住都市構想というものを農協法の改正の中で実現させることにしたという。これは天下に宣伝しているわけですね。知らないのは農林大臣だけということになるわけです。そこで法律改正を行なった場合に、かりに農業経営が受託の形でできるということになった場合、それでは農協としてどういう体制を整備してこれに対応するかということになるわけですが、この点は農政局長としてどう考えておるのですか。特に中野局長は、その場合には受託規程というものが必要であるということも言われておるわけですが、この点は私も、受託経営をやる場合には、これはたいへんな事業になるわけですから、当然単に十条の各号の中でできるということだけじゃいけないと思うのですね。それをやる場合には、こうした受託規程を設けて、これを定款としてきめて、そうして行政庁の許可を得てやりなさいということにしなければいかぬと思うのですよ。そのために現行法でも共済規程とか信託規程というものがちゃんと整備して法律にあるわけですからね。この点は提案者として手抜かりじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○池田政府委員 農協がこの事業をやります場合の事業の実施体制の問題でございますが、これは先ほど農地局長から話がございましたように、私どもも受託規程といったような事業の実施のための基本になります規程をつくりまして、それに従いまして事業が円滑に行なわれるように指導したい、こういう気持ちでおるわけでございます。で、いまの御指摘の点は、たとえば農地信託の事業でございますとか、あるいは共済事業等につきましては法律ではっきり規程というものを置きまして行政庁の承認にかからしているわけでございますけれども、今回のものはそういう措置は、御存じのように、とっていないわけでございます。これはなぜそういう措置をとらないかということでございますが、私どもは、事業の性格がやや違うのではないだろうか、共済事業とか農地信託等とはやや違うのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。やはり何といいましても農業の経営の受託というものは組合員と組合との間の信頼関係が基礎になりましてそういう事業が行なわれるわけでございまして、特にそれ以外の第三者に対する影響とかそういうようなことは比較的少ないわけでございますので、基本的にはいわば組合がほかの事業をやります場合と同じような考え方でいいのではなかろうか、こういうふうに実は考えまして、特に法律の中で規程を置きまして行政長の承認にかからせるということをしなかったわけでございます。
○芳賀委員 この運営についていささか細部にわたるようになりますが、たとえばこの受託経営をやるという決定をするような場合は、これは局長の考えでは、理事会の決定でやるようにするのか。あるいは毎年の事業計画の総会の議決を経て、その年度の事業計画の中で、今年度はこれこれの組合員から申し出のあった農地等について受託経営をやるということで、年度ごとにこの計画内容を示して少なくとも総会等の議決を経て実行するということにするのか。この辺も、もしこれが通ってやる場合には非常に大切な点ですから、それはどう考えていますか。
○池田政府委員 当然、これは組合としまして非常に重要な事業でございますから、私どもはやはり事業計画の中に盛り込みまして、単に理事会ではなしに総代会なりの承認を受けてやる、こういうふうにいたすべきものであると考えているわけでございます。ただ、個別の農家からこういう受託を受けるということは、年度当初におきましては必ずしもはっきりしていない場合もございますから、これは一般的な計画につきまして承認を受けるということでよろしかろうというふうに考えているわけでございます。
○芳賀委員 たとえば全国の農協の中には、この土地改良法の規定に基づいて土地改良事業団体としての認可を受けて土地改良事業を行なっておる農協も、これは有力な農協が相当あるわけですね。この土地改良事業団体である農協においては、毎年の総会においてその年度に行なう組合員の農地等に対する土地改良事業は、主としてこれは団体ということになるわけですが、これは必ず総会にその事業内容というものを明らかにして、それに必要な資金計画あるいはその事業に対する国等の補助とか、あるいは補助残の資金導入等に対してはどうするかという、そういう細目な計画を、 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕これは事業計画の中に含まされるというのではなくて、独立議案として出して、そして総会の議決を経なければならぬというふうに、土地改良法による事業団体である農協の場合にはそうなっておる。これは主管が農地局長ですからよくわかっておると思うのですが、土地改良の関係もそういうふうにちゃんとやるわけですから、組合員から農業経営の委託を受けて、それを事業として行なうということになれば、農業の場合には経営の開始とか終わりという時期は大体農協の総会の時期とやや合致するわけですから、年度の途中で散発的に出てくるようなことはないと思うのです。それが総括的な事業計画の中にその片りんをのぞかせるという程度ではなくて、やはり独立の事業として総会の場合には議案として十分説明して、そして議決を行なうということにしないと、あとで問題が起きるのではないかと思うのです。この経営委託の場合もそうですし、それから農業経営を目的とした農地の買い取りとか売り渡し等についても、私どもとしては、この種の事業の場合には収支計画とか事業内容とかあるいは会計等はやはり独自なものに分離して、そして正確を期してやられるというふうに当然これはすべきだと思うのです。こういうものは私どもが何も言うべき領域ではないけれども、ただ政治的な取り引きの材料でこういう法案が出たということになると、政治感覚だけでやられて、実態運営ということになれば何も用意がないということになれば、農協としても組合員としても非常に迷惑を受けるわけですから、これらの配慮はどう考えておられますか。この経営農地の取り扱いあるいは法案に出てきてわれわれは絶対に認めがたいのですが、転用農地の取り扱い等の業務のやり方等についてはどう考えておりますか。
○池田政府委員 御指摘がございましたように、私どももまず規定をきめまして、それから事業計画なりあるいは資金計画、収支の見込みというようなものを極力確定をいたしまして、それで総会の承認を受けるというのが一番よろしいと思うわけでございますが、たとえば冬作につきまして、そういうような委託をしようという話が年度途中に出てくることもあり得るわけでございます。でございますから、方向といたしましては、なるべく具体的にははっきりしたものを計画に乗せるというのがいいと思いますけれども、必ずしもその場合に個々の農家の具体的な契約の内容が全部確定をしていなければできない、こういう制度としての扱いといたしましては、必ずしもそうではないのではなかろうか。ただ方向といたしましては、極力具体的なものを計画にあげまして、総会で承認をするというのがよろしかろうというふうに私どもも指導はいたしたいと考えております。
○芳賀委員 私が強く言うのは、たとえば受託経営の場合に組合員が全面委託をした場合、そのことによって組合員は組合員としての資格を失うわけです。法律ではこれをみなし組合員として扱うことになっておるが、これはほんとうの意味の組合員ではなくなってしまうわけですから、受託が成り立ったときに、農協としては、その経営農地に対しては耕作権に基づいた使用収益権というものが設定されるわけですから、そういう大事な権利関係の上に立つと、また組合と組合員との間の権利関係というものがあわせて生まれるわけですから、これはやはり重要な事項として事業計画とあわせて総会の議決を要するということが一番確実な方法だと思うのです。 それから転用農地の扱いが予想される農協というのは一体どういう農協ですか。これは先ほど農地局長から、農業目的の農地の取り扱いを行なう、あるいは合理化法人として指定される農協というものは農業振興地域内の農協であるということが言われておるわけです。それではその転用農地を扱う農協というのは一体どういう環境にある農協なのかということになるわけです。
○池田政府委員 これは今後の問題でございますので、現状において把握しておりますところからの一つの想定でございますけれども、一つは、比較的大都市の近郊におきまして、農協が、農住都市構想と呼んでおりますけれども、都市のサラリーマン等に住宅団地を提供する、こういうようなものでございますから、比較的市街化区域というものの中に入るような土地において、そういう事業をやるという場合が非常に多いと思うわけでございますが、これが一つ考えられるわけでございます。 それからもう一つは、これは今後の問題でございますが、工場の地方分散という問題がいま具体化の日程にのぼってきておるわけでございまして、これは私どもの考えでは、むしろ土地の利用区分というものがはっきりしている地域において考えるのが妥当だ、土地の利用区分がはっきりしていないところへただ無計画に工場が参りますと、農業の土地利用との間のいろいろな問題が起きてまいりますし、むしろ問題でございますので、私どもは、それをやる場合は農業振興地域というようなことで土地の利用区分がはっきりしているところにおきまして、しかも農用地区域でないところ、あるいはそれの隣接市町村というところに工場が行く場合がございます。そういう場合におきまして、工場の敷地になるような土地でございますとか、あるいはそれとの関連のところ、住宅の団地でございますとか、そういうものを農協が転用農地として取得する、あるいは取得いたしませんでも、委託によっていろいろやるというように一応考えられるわけでございます。大体そういうように想定をいたしております。
○芳賀委員 大体予測はできるわけですが、それならば、たとえば東京都内とか周辺の農地を転用で処分して一人何千万とか一億とかいうような土地代金を得てそれを自分の農協に預金している。そういう農協は、全国の農協の中でも、たとえば百億とか百五十億とかトップクラスの農協というように、貯金の保有の面では都市における農協が優位を占めておるわけです。その農協の特徴というのは、生産事業とか販売事業はほとんどやらないわけであって、農地を売り払った代金を預け入れたその貯金が主体になって運営しているという本来の農協から見れば変形した農協ということになるわけですから、そういうだぶついている資金を活用して、いわゆる農住構想に基づいて農地転用とか宅地造成とかマンションを建設するとか、そういうことが事業としてできるというふうに法律を改正する意図だと思われます。この点は、先日わが党の田中委員からもこれは農協の本来的な面から見れば問題がある、むしろ目的と違って農業を後退するような作用を農協の事業がやるようなことになるのではないかという適切な御指摘もあったわけでありますが、これはよほど考えてもらわなければならぬと思います。ここまで農協が手を出して法律の中で恒久的な事業として行なえるということになれば、なかなかこれを今日変更することはできないと思うのです。これはやり方には問題があるかもしれませんが、そういろ特殊な地域においてどうしても農協が関係をもってやらなければならぬということであれば、農協独自の事業としてではなくて、たとえば大会社ということになれば語弊があるかもしれませんが、そういう別個な事業体というものをつくって、その中に農協が適正な連絡をもってそういう事業を行なわれるということも、これは現在もありますからね、これは別の発想で扱ったほうがいいのじゃないかと思うのですよ。これは単協もやる、連合会もやるということになれば、これが問題をかもす根源になりかねぬというふうに私どもは心配しているわけですがね。この点をもう少し責任のある立場に立って答えてもらいたいと思います。
○池田政府委員 まあ御意見のような方法もあるとは私どもも考えておるわけでございますが、ただこれは、前国会におきましてもずいぶんいろいろ第二会社につきましては御指摘がございまして、私どもも第二会社の問題というのは、これは相当考えなければならない点があるというふうに、実は理解をしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、本来のたてまえからいたしますと、農協法に事業の能力が与えられておりませんと、それに関連いたします会社等に出資をするということは、これは農協法のたてまえからいうと、認められないのでございます。でございますから、非常に曲がりくねった形をとるということになると思うのでございますが、いずれにいたしましても、そういうようなものに対しましては、行政庁としては直接監督権限はございませんし、まあ指導はいたすにいたしましても、的確な監督ができないということでございます。でございますから、私どもは、この事業が、先般も田中先生から御指摘がございましたが、従来の農協の事業からいたしますならば、やや性格がちょっと変わった性格のものであるということは、そういうふうに考えておるわけでございますが、やはり現状におきましては、これはどうしても実施せざるを得ない事業なのではないか、農協がそれを傍観しておるよりは、やはり正面から取り組んだほうが農民の利益になる、あるいは農業にもプラスになる、こういう判断から認めるわけでございまして、したがいまして、そういうような観点から、私どもはこれをやります場合には相当厳重な監督をしていく。午前中にも小平先生の御質問にもお答えしたわけでございますが、相当厳重な監督をしていくということでやるほうがむしろいいのではないか、こういう判断でございます。
○芳賀委員 私がたとえば第二会社的と言ったのは、そうしなさいと言うのではないですよ。農林省は、この農協法の改正に着手するとき、この第二会社についての法改正を最初は考えたわけですね。あるいは専属利用契約の強化の点とか、そういう配慮を農林省としては最初持っておったわけですからね。こういう事業の中にこれを加えるというよりも、最初の農林省の構想というものは、転用農地を想定してではないわけですが、発想としてはそういうことも取り上げた時期があるわけですからして、これはまあ絶対反対だから、これはこうすればいいなんていう妥協の余地はないが、かりそめにも農協法の改正をする場合には、外部の政治取引に巻き込まれるというようなことでは、農林省としては相済まぬと思うのですよ。大臣は政治家ですから、一年、長くて二年くらいでかわるわけだけれども、あなた方官僚の場合にはそう簡単にいかぬですからね。やりそこなってすぐ逃げ出すというわけにはいかぬでしょう。 次に、信用事業の整備に関係する諸規定の改正は、これはこの員外利用の制限を緩和するということが主目的ですが、この場合も、この員外者を対象にした貸し出しにしても、定期貯金等の見返り的なことで扱うわけですから、これは危険はないかもしれませんが、地方公共団体とかそれに類似した団体等に対する貸し出し等についても、結局原資は農協の資金を放出するということに当然なるわけですから、その場合には、あくまで組合員の必要とする資金というものを優先的に確保した後に、余裕があれば員外者に対しても、みなし組合員という形で、制限緩和の中で適正なる運営をする、あくまでそういうことでなければならぬと思うわけでありますが、この点は局長どうですか。
○池田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私どももそういうふうに指導をいたしたいと考えておるわけでございます。 具体的には、たとえば一例を申し上げますと、金融機関貸し付けの場合でございますと、貯金残高の二割以内をこえてはならないというような具体的な指導方針をきめまして、確実にそれを守らせるというようなことによりまして、組合員の利用に支障がないようにいたしたいと考えております。
○芳賀委員 次に、いよいよ大事な点に入るわけですが、第一には、今度の改正案によりますと、農協の都道府県段階の連合会の会員あるいはまた中央の連合会の会員、全国中央会の会員に対して、差別して二個以上の議決権並びに選挙権を与えるという、こういう改正ですが、これは昨年の審議の際にも、産業組合の時代から、あるいは協同組合においても、原則として、組合員の加入、脱退の自由の原則、さらに一組合員一票、いわゆる議決権の平等の原則というものは、みだりにこれは破壊すべきではないというこの基本に立って、それから現実的には、全国の農協においても、都道府県の連合会においても、議決権あるいは選挙権による差別をつけてくれという要請というのは全然ないのですよ。関係の末端農協からもそういう原則を破ってもいい、そうしてくれという声が全然ない中で、こういう常識で理解できないような改正をやるということになれば、これは単に農林省内部あるいは中央の農協機関だけが考えて、この改正をやることになったという判断しかできないわけです。これは百害あって一利ないということになるわけでありますから、何にもだれも希望をしない、必要性もない原則規定の改正をやるということはよろしくないと思うのですよ。こういうものは、今度の提案の場合には除かれておるのじゃないかと考えていたところが、また同様出ておりますから、これはどうしても何が何でもこうしなければならぬ理由というのはどこにあるのですか。
○倉石国務大臣 一会員一票制の特例につきましては、最近農協合併の進展の結果、連合会の会員であります農協の規模に相当の格差を生じてまいりましたことは、御存じのとおりであります。そこで、このため、従来の一会員一票制では実質的に平等が確保されがたい実情も見られる、これも御存じのとおりであります。そこで消費生協その他協同組合の例、それから国際協同組合同盟の勧告などをも参考にいたしまして、今回の措置をとることにいたしたものでありますが、特定の会員の発言権が特に過大となるようなことのないよう、実はこういった場合に付加して与える議決権等の数は、一定数に制限するように措置をいたす考えであります。
○芳賀委員 過大にならぬように注意すると言って、過大にするような法改正を出しておいて、注意するなんて言えぬじゃないですか。私どもの知っている限りでは、現在の一組合員一票制のもとにおいても、農協という場合には経済事業を中心にやるわけですから、やはり経済力の強弱によって同じ一組合員一票でも、発言権とか行動力は差があるのですよ。これは北海道においても内地府県においてもそうだと思うのですよ。議決権、投票権は平等であっても、その組合の持つ力関係においては、どうしても有力な組合は発言権も強い、指導権も強いということになるわけです。つまり、現状においてもどうしても大国主義的になりやすいわけですね。今度は、その大国にまた議決権、選挙権を数倍にするということになれば、ますます大国主義が横行するということになるのですよ。これはもう局長はじめ農林省の皆さんは、十分そういう弊害というのは知っておるわけなんですよ。知らないでめくらヘビでやるというのであればこれは別ですが、わかっておって大国にさらに力をつけるというようなやり方は、これは問題があるのじゃないですか。われわれはこれは反対ですから、いろいろ議論をかわしても進展がないと思いますがね。しかし、全国の単協からもそういう要望がない、地方の連合会からも、どうしてもそうしてくれというような要請もない状態の中で、農林省が無理やりこういう原則を破るような改正案を出すというところに、真意を疑いたくなるわけです。これは何にも意味がないのですよ。百害はあるが一利もないですよ。これは私は断定してはばからぬですからね。去年もいわれて、またことしそのまま出すというのはこれはおかしいじゃないですか。 それからその次は法律の順序からいうと今度は十九条の専属利用契約の問題ですが、これも昨年農林省並びに公正取引委員会からも当時の柿沼事務局長が両日にわたって出席し、この問題を論議したわけです。最初農林省は十九条の改正を試みたが、これは内部的に公取の強い意見があって改正を見合わしたということに、農林省の意見はそうなっておるわけです。そこで公取の出席を求めていろいろただした結果、公取としては無理やりこれを改正することに、具体的に反対したということではない。しかしこれはやはり何としても独禁法と関係のある行為ということになるので、たとえば一年以内というのを五年以内に利用期間を延長する契約をするとか、あるいは第二項の緩和規定を削除するような場合においても、その後においてこれはやはり独禁法上の事案であるという場合には、公正取引委員会として特に農協の場合には遠慮するとか放任するということはできません、こういう説明はあったのです。しかしこの条項については農協法の九十七条ですか、それを見てもらえばわかりますけれども、専属利用契約等に関係する指導措置というものが農協法の中にも出ておるわけですから、これを強化しても独禁法との関係において適正だという範囲まで強化するということは、今後の農協運営から見ても組合員の利益の上から見ても当然行なうべき措置だと思うわけです。この点がまだ改正が出てきていませんから、一年間何にもしないで、ことしわれわれの同意できないような転用農地なんというものを、おまけにつけて出すのは、けしからぬと思うのですよ。ですからこの際十九条の関係を強化する必要が絶対ないというふうに農林省のほうで考えておるのか、またそれは自後公取が強力に反対をしておるのでできないものであるか、この機会に農政局長並びに公取のほうからも見解を明らかにしておいてもらいたい。
○池田政府委員 この問題は、昨年相当時間をかけまして議論がなされた問題でございますので、私もよく承知いたしておりますし、ここでまた詳しい内容を申し上げる必要はないと思うのでありますが、私どもはあのときにおきます公取の事務局長の見解もいろいろ拝聴いたしておりますし、その後、事務的にもさらにそれを確認したということがあるわけでございます。それでその当時、いろいろ問題になりましたのは、特に十九条の二項を削除してはどうか、こういう問題があったわけでございます。私どもの理解では、この十九条の二項を削除するということは、それは可能であろうと思うわけでありますけれども、それを削除いたしました場合にはやはり弊害が大きい、こういう実は考え方なのでございます。なぜ弊害が大きいかと申しますと、これは公取の当局の御見解でもあろうと思いますが、十九条の二項を落としますとここの専属利用契約というものがどういう扱いになされるか。あるいは専属利用契約に伴う組合員の組合の事業の利用に対します組合の態度、それがあるいはある場合は拒否をするというようなことが起こってまいりました場合に、それの扱いがどうなるかと申しますと、それは独禁法の趣旨に従って個別に判断をする、こういうことに相なるわけでございます。これは私どもとしては非常に農協の事業の安定性を害するのではないかという心配が一つあるわけでございます。 それからもう一つは、十九条の二項を全面的に廃止いたしますと、従来はその事業の利用しないことを理由に組合の事業の利用を拒んではならないという規定があるわけでありますが、それを廃止いたしますと、組合の事業の利用を拒んでよろしい、こういう一般的な見解が非常に有力になるのではないだろうか。そうじゃなくても農協の事業のやり方につきましてはいろいろ御批判があるわけでございます。私どもはそういう点にも十分注意をいたさなければなりませんので、そういうような拒んでもよろしいのだというふうな風潮が非常に広がる、これは逆な意味でかえって問題である、こういう実は見解なのでございます。九十七条の規定によりまして専属利用契約の内容が公益を害するときには行政庁が取り消しができるという規定がございますから、これでやったらよろしいではないかという御意見もあり得るわけでございますが、それは最後の場合の切り札でございますから、あまりそれに期待するのもどうであろうかということで、まあ公取事務局のほうの見解を一つの判断の基準にいたしまして、私どもとしてはそういうような問題がある以上は、単純に十九条の二項を削除するというわけにもいかない、そういう結論に落ちつきまして、もちろんこれは専属利用契約を適当な方法で強化をするという考え方は全くなくなったわけではありませんけれども、現状におきましてはやむを得ないのではないだろうか、こういう結論に相なったわけでございます。
○吉田(文)政府委員 お答えを申し上げます。 農協法のこの前の改正の問題の十九条の専属利用契約を強化するという問題につきまして、昨年、私の前任者でございます柿沼事務局長がお答えをしているわけでございます。私、まだ一月前にかわったばかりでございまして、詳しいことはまだ勉強いたしておりませんが、現在におきましても公正取引委員会としては、さきに柿沼事務局長が述べたような見解をまだ変えていないということでございます。現在の農業協同組合法の十九条の規定によりますと、農業協同組合は組合員と専属利用契約を締結することができるが、その期間は一年をとえてはいけないというふうな規定になっているわけであります。また組合は、その締結を拒んだことを理由として、その組合員が組合の施設を利用することを拒んではならないという規定でございますが、この前の改正案では、これを専属利用契約の期間を五年以内にする、それから、組合が、専属利用契約の締結を拒んだことを理由にして、その組合員が当該契約にかかる施設を利用することを拒むことができる、こういうふうな内容になっていたようでございますが、公正取引委員会といたしましては、農業協同組合は、現在各種の農産物の販売事業におきまして、農産物の出荷業者と激しい競争関係にあるということで、専属利用契約は競争事業者の排除の手段として用いられやすい。したがって、競争事業者の事業拡張あるいは新規参入を著しく困難にし、公正かつ自由な競争が阻害されるおそれがあるのではないかということで、期間を五年に延ばすとかあるいは組合員が当該契約にかかる施設を利用することを拒むことができるという規定は、独禁法から見て好ましくないということで現在まで来ているというふうに考えております。
○芳賀委員 いまの吉田さんの説明だと、去年から全然前進はないんですね。そこで、私は別に農協の立場で言うわけではないが、一体公正取引委員会というものは、農業協同組合法に基づいた農業協同組合というものをどう考えているかということが問題だと思うのです。いまのことばにもありましたが、農協をいわゆる経済事業を行なう事業団体とみなしている、これは当然ですが、それと、農協外の同一地域における一般業者というものを並列させて、農協の組合員である農民は第三者的な立場に立って農協を利用することも、あるいは他の業者を利用することも、選択あるいは利用は組合員の自由意思に基づくべきものである、そういう理解の上に立っておるのじゃないですか。しかし、実態は、農民である組合員の意思によって農業協同組合というものは協同体として形成されておるわけですから、その人格の中身は構成員である農民ということになるわけなんですよ。そういう主体の上に立って事業を行なうわけですから、たとえば生産物を販売する場合も、普通でいいますと、農協が農民の生産した農産物を買い取るわけですから、これは農産物の買い取り事業ということになるわけです。しかし農協のそのときの事業というものは、これは販売事業ということになる。農産物を売る事業ですね。農協は、買う事業ではなくて、組合員が主体となって農産物を売る事業、販売事業ということになるわけですから、あくまでもこれは組合員主体の経済行為ということになる。購買事業についても、農協が一般業者であれば一般の消費者にものを売るわけですから、購買事業なんということをいうのはおかしいですけれども、これはやはり構成員である組合員が必要物資を購入するという事業の上に立っているわけで、これは購買事業ということになるわけですね。農民が協同体の一員として協同組合をつくっておるわけですから、全体の意思で専属利用契約を締結して、自分たちの組合の事業を利用することが利益になるという判断の基礎に立って、そして方針を定めて全面的な利用をやるということは、これは独禁法のたてまえから見ても抵触するということにはならないと思うのですよ。問題は、先ほど言ったとおり、農協という事業団体と他の事業体というものを並列させて、組合員を第三者の立場に置いて、選択は自由であるというような考え方の上に立って農協というものを律するということになれば、やはりいま言ったような問題が当然出てくるわけです。公取が農協を敵視するとか、反農協的な思想の上に立っておると断定はしませんが、農業協同組合というものは何であるかということについて、この際一段と公取においても理解を進めて、その理解の上に立って、今後当然行なわるべき専属利用契約の問題等についても、独禁法の分野から見て、どの程度までこれを強化できるかということについても積極的な判断がなさるべきと思いますが、その点はいかがですか。
○吉田(文)政府委員 ただいま先生からおっしゃいました趣旨は、私も同感でございます。ただ、従来公取の考え方としましては、先ほど申し上げたような考え方を表明してきめてきたわけでございますけれども、公正取引委員会としましても、農業協同組合は単なる一事業者と同じだというふうには考えておりません。もちろん、独占禁止法二十四条の適用除外団体は中小企業等協同組合法などと同じでございます。やはり小規模事業者。相互扶助を目的とする団体である農業協同組合は、農民の社会的、経済的地位の向上、協同組織の促進ということに目的があるわけでございまして、農協の特殊性ということは、法律においても十分考慮されているというふうに私は考えております。したがって、現在の独占禁止法二十四条におきましても、これは原則として、農協の行為については独禁法の適用がない。ただし、農協が一つの事業者として不公正な取引方法をやる場合はこの限りにあらずというただし書きの規定がございまして、先ほど申し上げましたような項に専属利用契約を強化するという、この前の案のような内容がすぐ直ちに不公正な取引方法に該当するというふうに断定はできないと思いますけれども、そういうおそれが出てくるということで、公取は従来そう考えてきたということでございまして、今後は農協の性格、これに対する特殊性というものを十分考えて、この点も慎重に考慮をいたしていきたい、先生の御趣旨に沿うような方向で検討いたしたいというふうに考えます。
○芳賀委員 次は、総代会の権限強化の問題ですが、これも改正の理由としては、最近農協の合併が進んで非常に大型化されてきたので、そうした大型組合の場合には、総会制で会議を成立させることはなかなか至難な点があるということを理由にして、総会制を廃止して、総代会にすべての権限を与えて処理することもできるという道を開くというのが改正のねらいですが、これにもいろいろ問題があるわけです。たとえば役員選挙においても、総代の選挙は、政府の改正案によりましても、これは必ず組合員全員の投票を通じて、選挙によってきめなければならぬわけですね、それ以外に方法がないわけですから。だから、大型組合の場合においても、総代の選挙は選挙管理委員会の適正な管理を通じて選挙をやるわけですから、その際、大型組合の場合には総会外選挙で総代の任期も三年以内、理事、監事も三年以内ということになれば、同時期に役員と総代のいわゆる総会外選挙というものはできるわけです。しかも総代の選挙というのは必ず定期に総会外でやらなければならぬわけですから、これは役員選挙についてはどうしても法律を変更して総代会でやるという必要はないわけです。これが一点。 それから、あわせていままで問題になっておりますのは、農協法の場合には現在役員の選挙による方法以外に総会において選任ができるということになっておるわけです。これは昭和三十七年の改正からそうなったわけですが、選挙を用いない選任方法ということになればこれはいろいろあると思いますけれども、主として数名の選考委員を総会においてあげて、その選考委員会等において選考した結果を総会が認めるというようなのが選任のやり方で、これは非常に問題が多いわけです。ですから、せっかく農協法の改正をやる場合においてはこの選任による選出方法を改めて、総会における選挙あるいは総会外における選挙によって役員の選出を行なうというふうにこれは改める必要があると思うわけであります。 それから、現行法においては定款の変更については特別議決ということになるわけですからして、総代会では定款変更はできないということになっておるわけです。必ず成立した総会において出席者の三分の二以上の賛成を要するということになっておるのを、今度は総代会においてそれができるということになるわけで、これは非常に総代会に権限を強く与えるということになるわけです。この点についても、どうしても大型組合が総会を持つことができないという場合には、後段にある解散、合併の場合はいわゆる総組合員投票、いままでこういうやり方はないわけですね、農協の場合には。書面議決による総会というものは軽微な問題のときは行なっていますが、今度は総会の議決を経て総組合員投票にかけて、その投票者の三分の二以上の賛成によって解散、合併はきめるということになるわけですから、だからそういうふうな総組合員投票制度というものを新たに設けるということであれば、大事な定款変更等の特別議決についてはこの解散、合併と同じような総組合員投票によってということにすれば、いままでできないとされておる総代会における定款変更というものは無理にやらなくても済むということになるわけです。ですから、政府案の役員の選挙は総代会でできるという点は、これは総会外の選挙を通じて総代の選挙とあわせて行なう。それから定款変更については、総会を持てない場合にはこれは総組合員投票によって合併、解散と同様な議決の取り扱いをするということにすれば、われわれは総会制を組合によってはなくしてもいいということにはみだりに賛成はできませんが、どうしてもそうしなければ大型組合が重要議決等を行なうことができないということであれば、その趣旨において農林省の考えに同調してもいいじゃないかというふうに考えておるわけです。 それから、いま言った選任ということはなくしてもらいたいと思うのですけれども、農地局長、あなたの所管の土地改良区はどうしていますか、役員の選出の場合には。
○中野政府委員 土地改良区におきましては、役員の選挙につきましては選挙区ごとに選挙管理者、投票所ごとに投票管理者、開票所ごとに開票管理者を置いてやる、こういうことで無記名投票によってやるということになっております。
○池田政府委員 最初に役員の選任制の問題を申し上げますが、これは現行法では総会で選挙するというのと、選任するというのと、総会外の選挙とこう三つあるわけでございますけれども、選任はやめたらどうかという御指摘でございますが、私どもも一般論といたしましてはやはり選挙制のほうがよろしい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、指導といたしましては事情の許す限り選挙制をとりなさいという指導もいたしております。ただ、これはいろんな経緯がございまして選任制が入ったわけでございますが、選任制も一がいにすべて悪いということでもないというふうに考えております。といいますのは、多少理屈を言うようでございますが、選任ということでございますと、先ほど御指摘がございましたように、選考委員というようなものが選ばれまして、それが役員の名簿をつくる、こういうことになりますので、いわば役員の一体性が確保できるという点は確かにあろうと思うわけでございます。選挙ですとばらばらでございますからそういうわけにはいかないので、そういう利点も全くないわけではない。ただ、悪用されますと非常にまずいことになる、こういうことでございますので、指導方針といたしましては先ほど申し上げましたようなことでありますが、現行法から落とすというのはやや問題があるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから、総代会制度の問題につきまして幾つかの御提案があったわけでございますが、総代会の権限を今回拡大をいたしたいという趣旨は、いまさら申し上げるまでもございませんが、農協合併が進展いたしまして実際問題としてなかなか総会制度が運用できない、こういうことから実は考えておりますので、総会におきます主要な議題というのは、役員の選挙あるいは定款の変更というようなことが実は実際問題としては非常に重要なわけでございます。でございますから、そういうものを落とすということになりますと、実は総代会の権限の拡大といいましてもあまり意味がないということになりまして、実際問題としてなかなか動かない、こういうことがございますので、御提案のようなことが全くないわけではないと思いますけれども、私どもはやはり実際の運用面におきましてはいろいろ指導いたしまして弊害のないようにしたいとは思いますが、基本的にはこういう方向でいかざるを得ないのではなかろうかと思っておるわけでございます。 なお、定款変更の場合に解散または合併方式に従ったらどうかという御提案でございますけれども、定款変更は非常に重要な事項もございますが、一般的には実はかなり軽微な事項もたくさんございまして、それにつきまして全部組合員の信任投票みたいなことをいたすのはいかにも実情にそぐわないのではないかというふうに実は考えられますので、そういうようなことにつきましては私どもはやはり部落会、部落の会合をひんぱんに開きまして、そして総代会をやる場合にはあらかじめ部落で意思の取りまとめをするとか、そういうような実際上の運用で問題の解決をしていくというほうがより実際的ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○芳賀委員 別に、そうしたほうがいいということを言っているのじゃないのですよ。数歩譲って、農林省の考えておるような総会制をなくしたような状態で大型組合の運営をどうしてもやらなきやならぬという場合の総代会の権限あるいは組合員の直接意思の反映というものをどうするかという方法論としてこちらから提示したわけです。 最後になりますが、土地改良法等によりますと、総代会においては総代は代理権を持たないということになっておるわけです。今度の改正案では、これは総代会においては二名をこえてはならないということで、やはり代理権を認めておるわけですが、これは組合員の直接参加する総会の場合は同一世帯者あるいは他の組合員に対しても数個の代理権を認めるという、これは大型化の場合等においても必要だと思うわけです。しかし総代制ということになれば、組合員から選挙を通じて選ばれた総代が、他の組合員の意思によって選ばれた同格の総代の総代会における議決、あるいは選挙権を代理できるというやり方は、これは問題があると思うんですよ。総会制の場合はこれは代理権が法律の範囲で許されるとしても、総代会の場合には、やはり他の総代の議決権の代理は認めないというふうにしたほうがいいんじゃないですか。
○池田政府委員 お考えのような考え方もあり得ると思います。土地改良法でそういうような規定をとっておりますのは、大体そういうような考慮だと思うわけでございますが、私どもはまた別の考え方もあり得るのではないか、総代として選ばれまして、たとえば十人なら十人を代表しているというような場合に、何がしかの事由で欠席せざるを得ないという場合に、全く代理を認めませんと、十人の意思の組合運営に対する反映というのは全くゼロになってしまうわけでございますから、そういうことを補うためには、やはり代理議決というものを認めたほうがよりいいのではないかという考え方もあるわけでございまして、土地改良法ではそうでございますが、他の法制ではまた総代の代理を認めているという法制もたくさんあるわけでございます。私どもはやはり現在の考え方は後者のような考え方のほうが、より実際的ではないだろうかと考えているわけでございます。
○芳賀委員 これは農協の総代会の場合も意思機関ですから、総会であっても総代会であっても意思機関です。たとえば議会に例をとっても、それぞれ国民から投票で選ばれて議会に参加しておるわけですから、農協の総代会と議会は別としても、しかし他の議員の権限を代理できるなどということにはならぬでしょう。それから、それぞれの総代は、数名、数十名の組合員の意思に基づいて選ばれているわけですから、形式は同じ総代であっても、他の総代が必ずしも百%同一の意思の上に立って行動するとは限らぬと思います。これは純理論になるわけですけれども、何でもかんでも手軽にやれるから、選考委員会で役員をきめてもいいじゃないかとか、総代制でも代理権を認めたらいいじゃないか、どうも農協に対する農林省の態度というのは昔ながらのまあまあ主義というか、事大主義の上に立ったようなやり方じゃないかと思うのですよ。それが結果的には権力集中制の弊害を生ずるという危険にもつながるわけですから、こういうことはやはりきちっとけじめをつけて、法律の中においても、農林省の指導のもとにおいても完全にやっていくということにしてもらいたいと思うのですよ。
○倉石国務大臣 総代会の代理を認めることにつきましては、政府委員が申し上げたとおりでありますが、農業団体につきまして、さらにその傘下の農家の方々の御意思に沿うような運営ができるように、私どもも指導してまいりたいと思っております。
○草野委員長 両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。 このままちょっと休憩いたします。 午後五時十六分休憩 ――――◇――――― 午後五時二十二分開議
○草野委員長 それでは再開します。 この際、芳賀貢君外六名から、両案に対し、それぞれ修正案が提出されております。
○草野委員長 提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
○芳賀委員 この際、農地法の一部を改正する法律案並びに農業協同組合法の一部を改正する法律案に対して、社会党といたしまして修正案を提出いたします。 提案者を代表して趣旨の説明を申し上げます。 農地法の一部を改正する法律案に対する修正案並びに農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、お手元にお配りいたしました。修正案文の朗読については、この際省略いたしまして、議事録に掲載を願いたいと思います。 修正案に対する趣旨の要点に対して、説明を申し上げます。 まず、農地法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨でありますが、お手元に修正案要綱をお配りしてありますので、これを参考に御理解を願いたいと思うわけであります。 まず第一に、農地法第一条の目的の改正に対しては、われわれとしては、いやしくも農業の憲法といわれる農地法の第一条の目的を改正することに対しては絶対に反対であります。したがって、政府の改正点を削除して、現行による目的というものが強力に運営されるべきであるというふうに考えるわけであります。 第二の、農地等の移動制限の、第二条、第三条にわたっての改正でありますが、その中の、農地の権利取得の場合の上限面積の制限廃止の問題については、これは先ほどの質疑の中においても明らかにいたしたわけでありますが、この際、上限面積を全面的に廃止するということについては反対であります。現行の都府県平均三ヘクタール、北海道十二ヘクタールの上限が農地の保有拡大の支障になるというようなことが理由であるとするならば、これを実態的に検討して、少なくとも現在の上限面積を別表に基づいてそれぞれ二倍に引き上げる。すなわち都府県においては平均六ヘクタール、北海道においては二十四ヘクタールを別表における上限面積として、しかも主として自家労働力によって、効率的な農業を行なえる条件のある農家の場合においては、現行法同様にこの上限面積を越えることができるとする、こういう修正の趣旨であります。 次に、下限面積の点につきましては、政府案においては、取得前三十アールを改正いたしまして、今度は取得後五十アール以上とするという趣旨でありますが、これに対しては同意できないわけであります。われわれの修正案といたしましては、現行の取得前三十アールについてはこれを現行同様に存続させて、新たに農地を取得して農業に精進する見込みのある者に対しては取得後五十アール以上とするという、このように改正案を修正する趣旨であります。 次に、いわゆる自作農創設の目的で売り渡しを受けた農地については永久に貸し付け禁止ということになっておりますので、これを緩和して売り渡し後十年を経た場合においては貸し付けできるという政府改正案については、われわれとしてもこれを支持するものであります。 次に、農業の経営状態あるいは通作距離または自作農として精進する見込み等について、それに適合しないというような条件の場合においては保有を認めないという政府の案に対しては、これに同調するものであります。 次に、農地等の権利の取得を認める農業生産法人の要件の中で、政府改正案によりましては借り入れ地面積の制限、常時従事者の議決権要件、雇用労働力制限及び出資配当制限を廃止するという点につきましては、全面的にこれは賛成することができません。したがって、この制限規定の廃止のうち、特に借り入れ地面積の制限と出資配当制限については、これは現行どおり存続させることにして、他の制限規定の廃止については同意をするわけであります。したがって、借り入れ地面積制限及び出資配当制限を残す修正の趣旨であります。 次に、農業協同組合が組合員から委託を受けて農業経営を行なう場合には農地等の権利取得の許可をすることができるという政府の改正案につきましては、これは同意するものであります。農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人が、その事業の実施によって農地等の権利を取得する場合及び転貸する場合の許可に関する改正案についても、これは同意するものでありますけれども、ただし、政府の改正案によりますと、この合理化法人がどのような事業内容に基づいて、どのような事業目的を実行するかというような内容の事項あるいはまたこれに対する農林大臣や都道府県知事の必要な規制措置等についての明確な法的根拠というものがうたわれておりませんので、なお必要な措置を強化するということをこれに加えるべきことを修正点として主張するわけであります。 次の、農地等の権利移動の許可権者を従来の都道府県知事にかわって当該地域内にある農業委員会が中心になるというようないわゆる許可権者の権利の移行の問題等については、みだりに改正すべきでないというふうに判断するわけであります。したがって、この改正点については現行どおりにするという修正であります。 第三といたしましては、小作地の所有制限に関する法第六条、第七条の改正の点でありますが、この中で特に不在地主を認めるという点については、農地法上から見れば重大な改正点ということになるわけであります。われわれ社会党といたしましては、政府の改正案に対して全面的に賛成することはできません。しかし、現在の社会情勢や農業の事情を十分勘案した場合において、現在まで耕作を業とした土地所有者の場合においても、諸般の事情によって離農、離村しなければならぬというような事情ができた場合の離村者に対しましては、農業経営を今日まで行なってきた土地所有者と同様に、長年の間苦楽をともにして自作農としての経営に精進してまいりましたその者の配偶者に限ることにいたしまして、不在所有者に対しては十年間を限定して、十年の範囲において離村の時期まで農業をみずから経営し、また従事した所有者とその配偶者についてはこれを認めるという修正であります。これはその離村した土地所有者に対して、政府案のごとく、将来にわたって農業経営の機会を与えないという考えではなく、たとえば今後の社会事情の変化等によって、再び農村に戻って農業経営を行なうあるいはその後継者が農業経営に当たるような場合に、これは復活の機会を与える、あるいはまた耕作を引き受けた小作人については無期限にわたって所有の機会を与えないというような政府の改正案ではなくて、十年間の経過期間を置いて、その期間内においてあるいはその期間後においては農地の所有は、耕作者がみずから耕作したその農地に対して所有すべきであるといういわゆる耕作者優先の原則の上に立って、所有の機会を与える、そういう配慮も講じまして、配偶者を入れての一代限り十年間という限定をしたという点を十分この際理解してもらうと同時に、この点が政府案と大いに異なっている点を私どもは修正の中で強調するものであります。 次に、農業生産法人の構成員並びに農業協同組合の組合員が事情によって農業協同組合に全面的に農業の経営を委託し、あるいは土地所有者が所属する生産法人に対して農地を提供し、しかる後に離農、離村する場合において、政府案においてはその全面積を保有して不在村の土地所有を認めるというような改正案でありますが、これにわれわれは同意することはできません。したがってわれわれの修正案といたしましては、このような場合においても十年間という期限を限定する、しかもみなし農民というような形で、組合員にあらざる者あるいは法人の構成員にあらざる者が農民としてのあるいは農協の組合員としての資格を獲得して不在村所有の機会を得るというようなことに対しては、これを排除するものであります。 これが社会党の不在土地所有者に対する制限規定に基づいての容認の修正案の内容であります。 その次に、農地以外の小作採草放牧地等につきましては、現下の事情等を勘案いたしまして所有制限を廃止するという政府の改正案に対しては同様の考えであります。 次に、第四といたしましては、農地等の賃貸借の解約等の制限につきまして、これは第二十条の規定の改正でありますが、この点については私どもといたしましては改正に反対であります。したがってこれは現行の条文に戻すという修正であります。 第五は、小作料の規制に関する第二十一条から第二十四条まで、さらに改正案の附則第八項、附則第九項等の改正の点でありますが、その中のまず第一の統制小作料制度の廃止につきましては、これは反対であります。したがって、統制小作料制度というものは現行法どおりとすることにいたしまして、ただし、現在の統制小作料の設定の方法というものが全国一律方式ということになっておりますので、ここにやはり統制小作料というものが現地の実態に適合しないというような批判も出てまいるわけでありますからして、この際統制小作料を継続するという前提の上に立って、統制小作料の算定あるいは設定につきましては都道府県ごとに農林大臣が省令に基づいて統制小作料の最高額を定めまして、これに基づいて各都道府県における農業委員会が選定して、知事の許可を得て小作料を決定するというそういう方法にこれを改善するということに対する修正であります。 第六の草地利用権の設定の新設の点については、これは昨年の当委員会における論議の中におきましても社会党としては賛成であります。ただし政府の考えというものは、現在農地法の中に制定されておる未墾地買収の規定を眠らせて、それにかわるかのごとき措置として草地利用権の設定を新設するというような消極的な扱いに対しては、反対であります。したがって、必要な場合には随時未墾地買収の規定の発動を行なうという積極的な姿勢の上に立って、さらに草地利用権設定制度の新設を行なうという点に対して、政府案を認めるものであります。 第七の農業委員会等による和解の仲介制度の整備の点でありますが、これは許可権者を従来同様知事を主体にするということをわれわれは修正をしておるわけでありますからして、したがって政府案に伴うところの農業委員会の制度の整備については必要がないということになりますので、これを削除して現行に戻すという修正の趣旨であります。 第八におきましては、開拓財産等の無償譲与が行なえるという改正点あるいは違反転用に対する農林大臣または都道府県知事の必要措置命令ができるというような改正点に対しては当然のことでありますので、これは政府案に賛成であります。 最後の、附則の改正の際に必要な小作地の小作料の措置等については、小作料等に関する改正が実現した場合に必要な附則の措置でありますので、社会党としては、これは必要がありませんので、修正して削除するという点であります。 以上が、農地法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨であります。 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する修正案でありますが、そのおもなる点を説明いたします。 第一の、農業協同組合が組合員の委託を受けて農業の経営を行なうことができるとする農協法第十条二項に関する改正規定に対しては、これは政府案を認めるものであります。しかし農協法の中で経営受託を行なう場合においては、たとえば共済規程、信託規程の例にならって農業経営に関する受託規程を法律の事項として設けて、行政庁の承認を受けて適正な事業運営ができるようにすべしというのが修正案の内容であります。 第二に、農業協同組合が農業の目的に供するための土地の売り渡し、貸し付けまたは交換の事業ができるとする改正規定に対しては、政府案に同調するものでありますが、これについてもこれが適正に行なわれるよう規程の設定あるいは事業内容等に対する必要事項は当然協同組合の総会の議決を要するというふうに内容を整備しなければならぬという点が社会党の修正の趣旨であります。したがいまして、後段の、組合員の委託によって転用相当農地等の売り渡し及び区画形質の変更等の事業を行なうことができるという改正点に対しては、農業協同組合の目的あるいは使命から考えましても、農協の事業として法律に定めて恒久的に行なわれることについては全面的に反対でありますので、この点は政府改正案の削除の修正でございます。 第三の信用事業にかかわる規定の整備については、現状を判断いたしまして運営に十分留意するということで改正に対しては認めるものであります。 第四には、農業協同組合の連合会の会員、これは都道府県あるいは全国段階における連合会及び中央会についての規定でありますが、構成員である会員に対して議決権及び選挙権を不平等に与えるというような措置については、農業協同組合の加入、脱退の自由の原則、一組合員一票の平等の原則に照らした場合においては、これは断じて行なうべき必要のない措置でありますので、この点に対しては全面的に削除して現行に復するという修正の趣旨であります。 五番目の農協の役員については、理事、監事同様でありますが、「定款の定めるところにより、組合員が総会においてこれを選任することができる。」という第三十条九項の規定がありますが、これは政府の改正案にはありませんが、この際農協の役員選出については選任制をなくするということで、この点を改正する趣旨の修正であります。 六番目の総代会制度の権限強化の問題でありますが、この内容を区分して、一つには、今度の改正案におきまして総代会において役員の選挙ができるという点、さらに定款変更ができるという点に対しては同意することができませんので、定款の変更についても政府案によるところの総組合員投票によって三分の二以上の多数の賛成を得るという方法を行なうというふうに修正すると同時に、政府の改正案は総代会において役員の選任ができることになっておりますが、これは現行同様総代会においてはできない。すなわち総会において選挙を行なうか、総会外において総代の選挙と同様に理事、監事の選挙を行なうという規定の修正であります。 その次に、現行法におきましては、総代会におきましても、総代は、他の総代の議決の権利を二名をこえない範囲で行使することができることになっておりますけれども、この際総代会の総代の性格を明らかにするという趣旨に立ちまして、総代会においては代理権を認めないというふうに現行法の規定を改正するというのがこの案の趣旨であります。 最後に、農事組合法人の制度の改正の規定あるいはまたその他の改正規定については、たとえば農業協同組合及び農事組合法人においてみなし組合員とかあるいはみなし農民というような形で農地法との関連において合法的に不在村の土地保有が行なわれるような、そういう正常でない意図を持った改正がねらいであるということであれば、われわれは同調することはできないわけでありますが、あくまでも今後の農業発展の過程において農業の集団化あるいは共同化を進めるために今度の改正が必要であるということを前提として、これを認めるわけであります。 以上で、社会党提案にかかる農地法の一部を改正する法律案の修正案並びに農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を終わる次第であります。 何とぞ委員の皆さん方の十分な御理解の上に立って本修正案が全面的に可決されんことを期待申し上げまして、説明を終わる次第であります。(拍手)
○草野委員長 以上をもって修正案の趣旨説明は終わりました。
○草野委員長 別に御発言もないようでありますので、これより農地法の一部を改正する法律案を議題とし、議事を進めます。 まず、本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、これを許します。松沢俊昭君。
○松沢(俊)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府から提案され本委員会で審議してまいりました農地法の一部を改正する法律案に反対をし、日本社会党の提案しております農地法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場で討論をいたします。 日本の農業と農民生活は、食糧管理制度と現行農地制度で維持発展してきたことは御承知のとおりであります。ところが、昭和三十六年農業基本法が制定されましてから、規模の拡大、自立経営農の育成という名目で、農村から農民を追い出す政策がとられてまいっております。農業の近代化は必要でありまするけれども、それによって日本農業が縮小され、農民生活が破壊されては困るのであります。これは農業や農民の要請に基づいて農政が行なわれておるのではなくして、高度経済成長をなし遂げております日本の財界の要請に基づく農政が行なわれてきているからであると思います。つまり、農村から安い労働力と安い土地、そして安い水を奪い取ろうという政策であります。 池田総理大臣のころは所得倍増政策が示されまして、農村では二町五反歩の自立経営農家を百万戸、十年後につくるんだ、そういう計画が立てられたことがございます。ところが、最近本委員会では、二町五反から、水田の経営の場合におきましては、四町から五町、そして所得にいたしまして二百万円、これが五十年の目標であるということが明らかにされているのであります。そのときそのときの構想がちぐはぐになるのは、農政が農業と農民生活に基づく自主的なものでないところにその原因があると思います。確かに農村では農家所得は、今回報告された農業白書でも明らかになっておりまするように、百十三万円以上になっておりまするが、農外所得が農業所得を上回っているのであります。そして、いまや農家は総兼業化し、百万人をこえる農民が出かせぎ者として都市に出かせぎをしておりまして、家庭を破壊しているのであります。 しかしながら、昭和三十年で三反歩から二町歩の規模の農家が農家構造の中で七四・四%であったのでありまするが、政府が規模拡大、自立経営農家の育成を目標にして構造政策を推進してまいりましたけれども、四十年には一体どんな変化があったか調べてみますと、やはりこれらの農家は依然として七四・四%を占めているのであります。つまり、零細農が離農し、農地が規模拡大へ流動しているということでないということを証明しているのであります。だから、農地の流動化をはかるために農地法の改正が必要だという理屈が出てきているのであろうと思いまするが、われわれは決してそのようには考えておらないのであります。われわれは農民の生活を守り、日本の農業の真の近代化をはかるには、食管制度の根幹であります米の全量買い上げ、二重米価制、政府の直接管理を堅持いたしまして、他産業に働く労働者の労働条件の改善、そしてまた、安定雇用条件の具体化、労働時間の大幅短縮、社会保障制度の完備が必要であると信じているのであります。しかるに、それをやらずに単に農地法の改悪や食管制度の空洞化を行なおうとすれば、私設職安といわれている人買い市場への道を農民に切り開いてくれる以外の何ものでもないと思うのであります。 政府は、米が余るという理由で百五十万トンの生産調整をやろうとしております。私たちは、これは米が余ったのではなく、余したのであると断定をするのであります。すなわち、外国から米麦を無制限に買い入れ、これについての加工業の開発がどんどんと行なわれ、パンだとか半製品のインスタントラーメンなどが市販されれば、当然麦の輸入の拡大ということが現象として起こってくるのはあたりまえだと思うのであります。その逆に、米の需要が減少するというのもこれまた当然なのであります。われわれは、政府が真に日本の農業の振興と農民生活の安定をはかるというのであれば、外米、外麦の輸入の制限、米の需要拡大のための政策を打ち立てること、他の農業生産物、畜産物価格の保障をはかることであろうと思うのであります。 政府は、三十年から四十五年までの間に約二兆五千億になんなんといたしまするところの土地改良のための資本投下をやってき、そして優良農地を造成してきたのであります。その優良農地を米五十万トンに当たる十一万八千町歩をつぶす計画、これは必ず失敗するであろうと思いますが、こういう計画を立て、また水田の転用基準の緩和をはかり、どんどんと農地を壊廃する方針を出したり、また新都市計画法の適用がなされ、農地が壊廃していくことを歓迎するような政府の態度は、農業を守り、農民の生活を守るというよりは、むしろ農業破壊政策だと断定しなければなりません。政府のこのような反動政策に、前途に希望を失って自殺をした農民が、新聞の報道によりますものだけでも、もうすでに四人に及んでいることを政府は知るべきであろうと思うのであります。われわれは現在の体制下では、あくまでも農地は耕作する者が所有する自作農主義のたてまえで日本の農業と農民生活を守るべきであると考えております。そのためには食管法の精神に沿って、米価の据え置きをやめ、再生産を確保する生産費及び所得補償方式で米価をきめ、そして農地法の精神を守って自作農主義を貫き、現行の農地法を守るべきであろうと考えます。 本委員会で審議されました農地法の一部改正についての法律案は、われわれのこのような考え方とは全く相違しているのであります。 まず第一に、その目的を変えまして自作農主義に修正を加える、こういう方針が出ているのであります。また、小作人の農地の優先買い受けの権限の規定を改悪して、地主が小作人の同意さえあればだれにでも売ることができるということになっており、また小作料の制限を撤廃するというような措置も講じられる。そのことによって小作人の耕作権を全く不安定にするものであります。また、最低経営面積の制限、つまり下限面積の三アールから五アールに引き上げることは、小農切り捨ての具体的な政策のあらわれであろうと思うのであります。そして、不在地主を認め、上限面積を撤廃し、また農業法人の借り入れ面積の制限、労働力の依存度の制限の撤廃、出資配当制限の撤廃は、政府の説明にある自作農主義は変えないといっていることは全く矛盾する借地農業、資本制の企業農業の道を開き、多くの農民から農地を取り上げる道を開くものであると考えるものであります。いずれにいたしましても、本法律案は農地法の一部改正、農協法の一部改正にあらわれておりまするように、農業以外に農地を利用し、また現に行なわれている第二次構造改善事業との関連の中で、強引に農民の多くから農地を取り上げるための流動化をはかるためのものであることは明らかであります。 したがって、わが党は日本の農業と農民生活を守るために本案に反対し、社会党の修正案に賛成するものであります。 以上であります。(拍手)
○草野委員長 津川武一君。
○津川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の農地法の一部を改正する法律案に反対する討論を行ないます。 反対理由の第一は、本改正が戦後農地改革の重要な成果である農民的土地所有、耕作権保護の原則を放棄し、政府、自民党の総合農政推進のための零細農民切り捨て、大規模農家の選別的育成を、一そう強化することをねらっていることであります。 総合農政の反農民的性格は、すでに今回の米生産削減の押しつけと食管制度なしくずし、農産物自由化の大幅な推進政策などの中に、端的に示されておりますが、総合農政は今日、日本農業の発展を阻害している原因を、農業経営規模の零細性に押しつけ、零細農を敵視しているのであります。 わが党は、もちろん農地の零細性そのものを主張するものではなく、小農の利益を守りながら、そのために食糧の総合的な自給政策の確立と主要農産物の価格保障、さらには肥料、飼料、農機具などの独占価格の引き下げや、自主的協業化に対する国の十分な助成等を主張してきたのであります。同時に賃労働条件の前近代的な劣悪さと不安定性、農民年金のごまかしに見るような真の老後保障、社会保障政策の欠除のもとで、今回の改正案は農地制度をもっぱら離農促進的に改悪し、運用し、結局は小農切り捨ての強行にならざるを得ないのであります。 第二の反対理由は、今回の改正が単に零細農切り捨てにとどまらず、農業全体の後退につながる危険性を持っているからであります。 すなわち、今回の改正に先立って強行された農地転用許可基準の大幅緩和は、すでに進行している新都市計画法に伴う都市近郊農地の壊廃に一そう拍車をかけ、農用地の保存、振興のための農振法を公然と踏みにじるものであります。この措置が農地法を実質的に骨抜きにする重大な影響を及ぼすものであり、同時に財界、政府の一部に根強くある農地法全廃論の思想を背景にしているところに、一そう重大さがあるといわざるを得ません。 新全国総合開発計画で、独占と政府が七〇年代にその実現を目ざす市街化地域の倍増、大量の労働力需要の調達は、農地と農村労働力の大量の収奪以外にあり得ないのであります。総合農政が本質的に土地と水と労働力の農村からの収奪政策とならざるを得ない理由は、このように独占の産業開発を優先的に保障し、その利益をそこなわない限りで農業の開発をはかろうとするところに、基本があるといわざるを得ません。 この立場に立つ限り、今回の農地法改正の方向が、転用基準緩和と一体であり、今後の運用において実質的な農地法の骨抜き化、さらには全廃への方向を強める危険性はきわめて強いことを指摘するものであります。 同じ趣旨において農協法の一部改正も計画されているのであります。これも賛成できません。 以上の立場から、わが党は本改正案に強く反対の意思を表明し、討論を終わります。
○草野委員長 以上で討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず、芳賀貢君外六名提出の本案に対する修正案について採決いたします。 芳賀貢君外六名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○草野委員長 起立少数。よって、芳賀貢君外六名提出の修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○草野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○草野委員長 この際、本案に対し、瀬野栄次郎君外二名から自由民主党、公明党及び民社党の三党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 私は、ただいま議決されました農地法の一部を改正する法律案につき、自由民主党、公明党及び民社党の三党を代表して附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 農地法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本改正法の施行にあたって、農地制度の基本理念である自作農主義を崩すことなく土地の効率的利用が図られるよう左記各項に十分留意し運用の万全を期すべきである。 記 一、小作関係における規制の緩和によって農地取上げ等により耕作者が不利にならないよう十分に措置するとともに、小作料については、原則として全国の農業委員会がその標準額を設定するようにし、かつ、その設定にあたっては耕作者の経営の安定を図ることを旨として定めるようその算定基準を明示して指導すること。 二、農地の権利取得の場合の許可基準の改正、小作地所有制限の緩和等によって転用期待の投機的な農地取得等が行なわれることのないよう指導すること。 なお、農地等の権利移動に係る下限面積については、弾力的な運用が図られるよう特に考慮すること。 三、農業委員会の権限強化に伴い、その組織内容を一層整備するとともに、農地転用をめぐる不正事件等の発生している現状にかんがみ、農地法の適正な運用が行なわれるようこれが研修、指導等を強化すること。 四、農地等取得資金のワクの増大、限度の引上げ及び貸付条件の緩和を行なうとともに、農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人に対する財政上税制上の援助措置を実情に即して強力に実施するよう努めること。 五、畜産振興のための草地利用権の設定に関しては、本制度が十分活用されるよう必要な措置を講ずること。 なお、入会権者の権限については、十分に配慮して行なうこと。 六、農用地以外の目的に開発利用されている地域およびその周辺の国有林野を採草放牧地等の共同利用に供する場合にあっては、農用地としての利用目的どおり効率的な土地利用の確保と国有財産として適正な管理処分が保持されるようその活用を図ること。 七、米の生産調整に伴い水田転用の暫定措置が講ぜられたところであるが、農地法に基づく農地転用規制については、農業地域における優良農地を確保する見地から、農地の無秩序な潰廃が行なわれることのないよう適正な運用に努めること。 八、農業生産基盤の整備、農業構造改善事業その他農業振興諸施策を地域の実情に即して総合的に実施するとともに、地価対策の確立、農外雇用条件の改善等につき万全の施策を講ずること。 右決議する。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、審議の過程で十分御承知のところと思いますので、説明は省略いたします。 何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願いいたします。(拍手)
○草野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。 瀬野栄次郎君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○草野委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付することと決しました。 この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
○倉石国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいりたいと存じます。 ――――◇―――――
○草野委員長 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題とし、議事を進めます。 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、これを許します。田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は日本社会党を代表して、政府提案の農業協同組合法の一部改正に反対し、社会党の修正案に賛成の立場で、以下若干の討論を行ないたいと思います。 政府提案に反対の理由は三つございます。 一つは、今回の農協法一部改正が、政府の総合農政を中心とする農地法改正との緊密な関連の中で進められている点であります。農地の流動化を促進する農地法改正につきましては、先ほどわが党の松沢委員のほうから討論をいたしましたが、農地法との関連のもとで、農業協同組合法の改善が進められるということを通して、私は二つの問題を指摘せざるを得ません。 一つは、日本の農業協同組合は、御承知のように明治の産業組合以来、行政と不離一体の中で成長した歴史を持っております。日本の農業は、食管制度と農地制度を軸として組み立てられていることは、皆さん御承知のとおりであります。今日新しく農地制度との関連の中で農業協同組合が農地等の取得、特に転用農地業務を取り扱うことを通しまして、農地行政の多元化があらわれ、さらに協同組合自体が一そう政府行政機関との関連を密着させることによって、農業協同組合がその本質として性格づけねばいけない自主的な意欲や事業や組織体系に大きな乱れができるのではないかと心配いたします。 第二の問題は、構造政策の遂行にあたって、農協が農地を取り扱うこと等を通じて、たとえば組合員に対する選別政策が具体的にあらわれるということであります。自立農家を育てる、第一種兼業農家を育てる、零細農家の離農を促進させる、こういう三つの政策目標のもとで農協の農地業務が取り扱われるとするならば、明らかに農協は今後の政策誘導によって零細農を中心とする多数の農家の離農、離村に拍車をかける役割りを持たされるのであります。このことは農業協同組合が、零細な農民の共同の力で日本の農業経済の力を高めるという協同組合の理念の上からも大きな問題を持つと指摘せざるを得ないのであります。 第二の問題は、改正各項目についての問題であります。 一つは先ほど来わが党の芳賀委員が指摘いたしましたように、農協が行なう農地の転用業務は、明らかに今日までの農業協同組合の業務に見られなかった全く異質の業務であります。しかも今日の経済条件のもとにおきましては、この土地売買、供給業務はきわめて投機的な側面を持っております。さらに考えねばならないことは、今日、日本の農協の中で、都市近郊を中心といたします農業協同組合はすでに農業協同組合の名に値しない。たとえば信用組合あるいは生活協同組合的側面がたいへん強くあらわれているのであります。そこへ持ってきて農地の値上がりというものがきわめて一般化しております。この都市近郊農村に転用農地業務が付加されることによってどのような農協の性格変化があらわれるかをおそれるからであります。 さらに問題は、農地を転用させることによって日本の農耕地面積全体が縮小し、農業生産が縮小することを指摘せざるを得ません。このことは明らかに農業協同組合法の第一条に掲げております農業の生産力を高めるという農業本来の目的と背反せざるを得ないということを指摘せざるを得ないのであります。 第二は、農業協同組合の民主制の原則が今回の政府提案によって幾つか問題になっている点であります。政府案によりますと、連合会の議決権あるいは選挙権は一人一票の原則がくずれて二個以上持つことが認められ、総代会の権限が著しく拡充され、役員の選挙、選任、定款の変更等が可能になるようになっているのであります。このことは農協合併等によって、物理的に農協総会等の開催が困難であるということが理由であります。 しかしここで問題にしなければならないのは、農協合併、大規模農協の出現によって、今日協同組合において一番重大な問題は、組合員と農協との間に意思の疎通が薄れてきているという点であります。農民である組合員の要求を農業協同組合がいかに吸い上げ、いかなる農協の方向を打ち出していくかということが合併農協の最大の課題であります。にもかかわらず一人一票を原則とする民主制の原則が踏みにじられるような政府案について、私どもはこれを認めるわけにはいかないのであります。 最後に指摘をしなければならないのは、新しい日本の農業をめぐる情勢の中で、今回の農協法改正を通して日本の農業が受け持つべき方向づけがなされていないからであります。すでに本委員会におきまして、各委員の皆さんから御指摘になったように、今後の農業協同組合が農民の生産営農過程にいかに入っていくか、この課題が一様に指摘せられたのでありますが、今回の改正案ではわずかに農業を営むことができるという項目が出ておりますけれども、審議の過程で明らかになったようにこれは単なる事業でありまして、委託料をとって受託経営をするというにとどまっておりまして、協同組合自体が生産過程の中にどっかと腰を据えるような改正の方向に位置づけられていないのはきわめて残念であります。 さらに今日の農協が新しい課題として取り上げております販売の強化、そのために当然必要になっております専属利用契約の延長等については依然として改正案に織り込まれなかったのであります。 そのほか、役員の兼職規定の問題、あるいは意思決定機関と執行機関の区別をとる役員体制をどうしていくかというような点、あるいは農協が土地という最大の生産手段を大きく業務とするようになったわけでありますが、それより以前に今日農業経営の中で、たとえば大農機具、機械、こういうものに対する償却が農民の経営の中ではたいへん大きな負担になっております。こういう問題を農業協同組合の加工利用部門といったようなものが本格的に取り上げていく、こういう機能の方向づけを今日の農協に期待しなければならないと思います。これは法改正に関連する問題ではありませんけれども、こういう問題が今回の法改正を通して明らかにされていないということにつきまして、私どもはきわめて遺憾の意を表せざるを得ないのであります。 以上、三つの問題を指摘いたしまして、政府提案に反対をいたし、社会党の改正案について皆さんの御理解をいただきたいと思います。 討論を終わります。(拍手)
○草野委員長 これにて討論は終局いたしました。 引き続き採決に入ります。 まず、芳賀貢君外六名提出の本案に対する修正案について採決いたします。 芳賀貢君外六名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○草野委員長 起立少数。よって、芳賀貢君外六名提出の修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○草野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○草野委員長 この際、本案に対し、合沢栄君外二名から自由民主党、公明党及び民社党の三党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者から趣旨の説明を求めます。合沢栄君。
○合沢委員 私は、ただいま議決されました農業協同組合法の一部を改正する法律案につき、自由民主党、公明党及び民社党の三党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 近年農業協同組合をめぐる諸情勢は厳しさを加え、その役割に期待するところ誠に大なるものがあるので、農業協同組合の組織管理、事業運営等については従来の「協同組合原則」を尊重し、これに準拠してさらに改善を要する面が少なくない。 よつて、政府は、左記事項に留意して法律の施行に当たるべきである。 記 一、農業協同組合連合会の「一会員一票制」に対する特例については、当該連合会の民主的管理運営を確保することに特に留意すること。 二、農業協同組合が総代会制を採用し、あるいはその権限を拡大する場合には、特に慎重を期し全組合員の意思が十分反映されるよう指導すること。 三、農業協同組合の事業運営に当つては農業生産面に重点をおき、これが充実強化について適切な指導援助を行なうこと。 四、農業協同組合が転用相当農地の売渡し及び区画形質の変更の事業を行なう場合には、農業協同組合法はもとより農地法及び都市計画法の趣旨に反することなく事業の計画、運営が適正に行なわれるよう必要な措置を講ずること。 五、農業協同組合の適正な事業運営を確保するため、役員がその使命を自覚し、責任体制を確立するとともに、特に農業協同組合本来の目的を逸脱するような営利的行為をなさないよう指導監督を強化すること。 六、合併を希望する農業協同組合が相当数ある現状にかんがみ、合併については財政及び税制上特別の措置を検討すること。 七、農業協同組合関係不正事件等の発生している実情にかんがみ、今後農業協同組合の組織管理、事業運営の改善につき指導体制の強化に努めるとともに、特に行政庁による検査体制の強化拡充を図ること。 右決議する。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議され、各位の御承知のところであると思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願いいたします。(拍手)
○草野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。 本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。 合沢栄君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○草野委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
○倉石国務大臣 ただいま御決定の附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、善処してまいりたいと存じます。(拍手) ―――――――――――――
○草野委員長 なお、ただいま議決いたしました両案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○草野委員長 次回は明九日開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十六分散会