農林水産委員会 第11号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/04/01
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 まず、昨日の津川委員の発言中、穏当でない部分につきまして津川委員より取り消したい旨の申し出がありますので、これに関する部分につきましては速記録を取り調べの上、委員長において善処いたします。 —————————————
○草野委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷部七郎君。
○長谷部委員 私から出かせぎの問題を中心といたしまして、農林省並びに労働省それから建設省の関係者に御質問をいたしたい、こういうぐあいに存ずる次第であります。 まず最初にお尋ねをいたしたいのは、昨日も社会労働委員会におきまして、今日の出かせぎの問題について議論が進められたわけでございますが、どうも各省の間で出かせぎの実態が必ずしも十分に把握されておらない。各省によってみんな数字が違うわけでございます。一体農林省としては今日の出かせぎの実情をどのように把握されておられるか、まずその点から承りたいと思うわけであります。
○池田政府委員 出かせぎの現状、出かせぎ者の数という御質問だと思うわけでございますが、私どもが把握しております数字で申し上げますと、これは農林省の調査しました数字でございますが、若干古うございますが四十三年の数字を申し上げますと、二十三万六千人という数字に相なっております。この出かせぎ者の定義といたしましては、一カ月以上六カ月未満の予定で家を離れて就業しているという定義でございます。これ以外に、たとえば六カ月以上のやや長期の出かせぎというものもあるわけでございますが、一応そういうような前提で考えますと、その程度の数字に相なっておるわけでございます。
○長谷部委員 ただいま農政局長の御答弁によりますと、農林省で調査をいたしました一カ月以上六カ月未満の出かせぎ農民の数は二十三万六千人、こういう御答弁でございますけれども、これについて私いささか疑念を持たざるを得ないのであります。なぜかというとすでに地方自治体で、秋田県、山形県、新潟県、岩手県、宮城県で集計をしたものだけでも、はるかにこの数字を上回っておるわけであります。ですから、われわれの推計では東北、北陸、山陰、九州、四国を含めまするというと、少なくとも六カ月未満の出かせぎ農民は百万人をこえておるのではないか、こういうぐあいに推定をしておるわけであります。二十三万六千人という現状把握はあまりにも実態とかけ離れておる感がしてならぬわけでありますが、どういう調査方式でこれが取りまとめられたものであるか、この点をひとつ承りたいと思うわけであります。
○池田政府委員 これは農林省が行なっております統計調査部がやっておる調査でございますが、農林漁業の就業動向調査という、サンプル調査でございますが、調査がございまして、その調査によります数字でございます。ただいま百万人くらいあるのではないかというお話しがございましたが、これは私どもの理解といたしましては、先ほど申し上げましたように、一カ月以上六カ月未満でございますから、それに該当しない出かせぎもあるわけでございます。たとえば七カ月出かせぎをするというのもございます。これは実は載っておらないわけでございます。なぜそういう定義をしたかと申しますと、やはりこれは農閑期に出かせぎをする、こういう前提で考えておるものでございますから、六カ月という定義が一応適当であろうということで調査をしておるわけでございますが、むしろもう少し出かせぎのほうに傾斜した出かせぎ者といいますか、農業をごく一部しかやらないで、主たる仕事を出かせぎに求めているという方もあるわけでございます。そういう者を把握する数字といたしましては、私どもが持っております数字といたしましてはセンサスの数字があるわけでございますが、これは御承知のように毎年調査をいたしておりませんので、少し古い数字しかございませんが、それはたとえば昭和四十年の数字で見ますと、五十五万人という数字がございます。これは六カ月以上のやや長期の出かせぎも入っておるわけでございます。
○長谷部委員 それから次に承りたいのは、最近における出かせぎの特徴をどのようにとらえておられるか、農政局長の御見解を承りたい。
○池田政府委員 出かせぎの特徴といたしましては、私ども数の面から見ますと、三十八、九年ごろが一番数が多かったのでございますが、その後やや減りまして、大体二十三、四万程度に最近はやや横ばいの状態を続けておるわけでございます。内容に入って考えてみますと、これは一般的な傾向でございますが、出かせぎに行っている人というのは、農業のいわばにない手になるような世帯主の人とか、それからあと継ぎというような人が大半を占めておるわけでございますが、そういう傾向はやや強まってきておる、こういうふうに見ておるわけでございます。それに関連があるわけでございますが、年齢からいいますと、やや年齢の高いクラスのほうに重点が移ってきているのではないかというふうに一応見ております。 それから階層の面から見ますと、かつては比較的零細規模の農家が非常に多かったわけでございますが、最近では必ずしもそうではなくて、やや中間層といいますか、あるいは場合によりましてはもうちょっと上くらいの階層のほうまで出かせぎ者がふえてきている、こういう状態だと思います。 それから地域的に見ますれば、これは当然でございますが、東北の比重が圧倒的に多いわけでございますけどれも、そういう傾向はさらに強まってきているように一応見受けられるわけでございます。それから期間の点はやや長期化の傾向がある、大体そんなふうに見ておるわけでございます。
○長谷部委員 ただいまの御答弁によりますと、世帯主それから農業の後継者が増加をしておる、しかも中高年齢層が増加をしてきつつある、階層的には零細農よりもむしろ中以上の階層がだんだんふえつつあるのだ、こういう御答弁でございますが、なお私ども強く感じますことは、中以上の、かつてはいわゆる農業だけで生活を維持できた階層が今日では出かせぎをせざるを得ないという形になっておる、こういうぐあいに私どもは見ておるわけであります。しかも、単に世帯主とか後継者だけに限らず、女性の出かせぎ者も非常に激増の傾向にあるのではないか、こういうぐあいに見ておるわけでありますが、農林省はどういうぐあいにこれを把握されておられるか。
○池田政府委員 出かせぎの傾向は先ほど申し上げましたようなことでございますが、女性につきましていまお尋ねがあったわけでございます。女性の出かせぎというのは大体四十年ごろからほぼ横ばい状態でございまして、必ずしもふえてはおらないというふうに私どもは見ておるわけでございます。数字を申し上げますと、大体二万人弱、一万七千人ぐらいが先ほど申し上げました調査では出ておるわけでございまして、傾向といたしましては四十年以降はほとんど変わっていない、こういう数字でございます。 なお、出かせぎにつきまして、どういうことで出かせぎに出るのかということの理解につきましては、若干お話もございましたが、もちろん収入をさらにふやしたい、こういうことでございますが、私どもはやはり、最近におきますいろいろな農業生産の面で機械化がかなり進んでまいりまして、労働力が比較的少なくて済むとか、あるいは一般に生活水準が上がってまいりまして、農業だけではなかなかその生活水準の維持ができないということで、出かせぎをすることによりましてさらに収入の確保をしたい、そういうような実態になっておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○長谷部委員 先ほどから、出かせぎは最近は横ばいの傾向にあるのだ、なお、いわゆる主婦の出かせぎについても昭和四十年以来横ばいの傾向にあるのだという御答弁でございますけれども、私どもの調査から見ますと、あまりにも実態からかけ離れておる、そういった現状認識では適正なる出かせぎ対策というものが生まれてくるはずがないと私は思うのです。最近の著しい傾向としては、米単作地帯におきましてはいわゆる上層農を含めた出かせぎが特に顕著にふえておる、単に一家の主人だけではなくて、主婦の出かせぎが集団で行なわれておる、こういう傾向が非常に特徴として出ておるのじゃないか、私はこういうぐあいに思います。したがって、こういった出かせぎというものは、いわゆる農村を後退させる結果になっておるというぐあいに考えるわけでございます。しかも最近、物価上昇の中における生産者米価の据え置き、あるいは減反、さらにわれわれのほうは、昭和四十四年産米は四十三年産米に比べて一割五分程度の実質的な減収になっておるわけでありますが、こういうことなどが重なりまして、出かせぎは例年になく数においてもふえておる、それから主婦の出かせぎも激増しておる、こういうぐあいにわれわれは把握しておるわけであります。しかもことしもまた、四十五年産の米価も据え置くんだ、あるいはまた百五十万トンの減産が行なわれる、こういうことになってまいりまするならば、ますます農家の経済が行き詰まって、出かせぎに出ざるを得ない方々が増加をするのではないかというぐあいに憂慮せられるわけであります。われわれはもともと、夫婦が別れ別れになって半年近くも働かなければならない、いまの民主主義の時代、平和の時代に、こういった人間生活を破壊する出かせぎというものは何とかなくさなければならない、しかもまた出かせぎが長期化することによって農村の農業経営そのものが後退をする、こういうことになるわけでありまして、本来的には出かせぎはなくしたい、解消したいということで取り組んでいかなければならぬと思うわけでありますけれども、現実の問題として、東北や北陸、山陰、九州、四国といったいわゆる過疎地帯におきましては適当な工場もなければ、また公共事業もない、こういうことからやむにやまれず東京を中心とした関東、あるいは大阪を中心とした関西に大量の出かせぎとなっていかざるを得ない、これが現実だと思うわけであります。したがって、いまのような政府の農業政策が続いていくならば、出かせぎを解消するどころか、年々激増の一途をたどらざるを得ないというぐあいに私は判断をしているところでありますけれども、この点農林省は一体どういうぐあいに考えておるのか。出かせぎを奨励しておるのか、それとも出かせぎを何とか解消するということで対処しておるのか、その姿勢が必ずしも明確にされておらない、また対策もきわめて貧困である、こういうぐあいに私は指摘せざるを得ないと思うのでありますが、この点について承りたいと思うわけであります。
○池田政府委員 先ほど来私どもが申し上げておりますのは、大体四十年以降の一般的な傾向を申し上げておるわけでございますが、確かにここごく最近の事態になりますと、いろいろ米の問題等もありまして出かせぎがふえるような要因があることは御指摘のとおりだと思います。やはり基本的には出かせぎというものは決して好ましいものではない、農業生産の面からいきましても好ましくございませんし、また農家生活の面からいいましても好ましいものではないわけでございますし、もう少し農業構造が改善されまして、農業で生計を立てる者は農業で生計を立てるし、それからまた他産業に転業をする方は他産業に転業をするというはっきりしたかっこうがよろしいことは当然でございます。しかし、現状におきましては出かせぎというものがある程度避けられないのもまた現実の事態でございますので、当面とにかくそういう現実の事態に立脚をいたしまして、出かせぎはある程度やむを得ない事態であるという認識を一応立てまして、その上で、いかにしたらそれが弊害を生じないで農家所得向上の一翼をになうという形になるか、こういう前提で実は考えておるわけでございます。そういうことで、はなはだ手ぬるいというおしかりはあるいはあろうかと思うわけでございますが、私どもといたしましてはできる限り、出かせぎというものがどうしてもやむを得ない場合におきましては、それが非常に妙な適当でない職場に出かせぎに行くということがないようにするというのがまず一つのポイントだと思います。そういう点につきましては、これも必ずしも十分ではございませんが、従来農業就業近代化事業というものを私ども県のほう等とも協力をいたしましてやっておるわけでございます。これは農業委員会等を中心にいたしまして、適当な出かせぎ先を極力見つけるということで、もちろん職安のほうの組織とも協力をいたしまして、そういうほうに極力行くような努力をしておるというのが一つでございます。 それから、出かせぎをいたしました場合にいろいろ問題が起きてまいりますのは、どうも留守宅のほうとの関係がいろいろ問題を起こす。最悪の場合には蒸発というようなことがあるわけでございますが、そういうような留守宅との連絡が正常に保たれませんといろいろまた家庭的な問題が起きるわけでございますので、少なくとも出かせぎをしました以上は、なるべく集団的な出かせぎがよろしいわけでございますが、そういうことを前提にいたしまして、郷里との連絡を保ち、郷里の情報を適宜出かせぎ先に連絡をし、また出かせぎのほうのいろいろな情報は郷里のほうに連絡をするということを先ほど申しました農業委員会の事業の一環としてやるように実はいたしておるわけでございます。それとともに、いろいろ留守宅のめんどうを見て差し上げるということも必要でございますので、生活改良普及員というのがございますから、そういうものを使いまして、たとえば留守宅の生活教室というようなものの開催を実はいたしておるわけでございまして、特に出かせぎ家庭の留守宅の生活についていろいろ助言等をいたしまして困らないようにする、こういうようなことを実はやっておるわけでございます。
○長谷部委員 今日出かせぎせざるを得ないという現実は、何といっても私は、いままでの長い間の農業政策に一つの欠陥があった、こういうぐあいに言わざるを得ないと思うのです。いわゆる農政の貧困がもたらしたものが今日の出かせぎではないか、こういうぐあいに言わざるを得ないと思うのです。しかし、現実の問題として、にわかに各地方に工場を分散するということも、口では言 いやすいことでありまするけれども、なかなかもって困難でございます。したがって、当面、当分の間出かせぎをせざるを得ないというのは、これはあなたが言われるように、やむを得ないというおことばで表現をされておられるわけでありますが、当面はやむを得ない措置としてわれわれも考えます。ただ、出かせぎといえども主体はあくまでも農民でありますから、その農民の皆さんが兼業収入、農外収入を求めるために貴重な労働力を売るわけでありますから、その職場なりあるいは労働条件なりというものを農林省は親切に積極的に取り上げていくという姿勢を各地方団体に対しても指導すべきではないか、こういうぐあいに考えるわけであります。いま御指摘がありましたように、農業就業近代化事業、こういうものをやっておられるというお話でございますけれども、この内容、事業の効果、どういう形になっておるのか、もう少し詳しく御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
○池田政府委員 これは予算上の金額で申し上げますと約一億二千万円くらい使っておるわけでございますが、考え方といたしましては、全国の中でそういう出かせぎをしなければならないような地方でございますとか、あるいは出かせぎ以外の他産業への就職等が相当多いような地域でございますとか、いずれにいたしましても就業問題として特に取り上げる必要があるような地域を重点的に全国で大体五百五十町村くらいとりまして、そこを中心にそういう事業をやっておるわけでございます。考え方といたしましては、農業委員会を中心にいたしまして、農業委員会がまず基本的には農家の実態を把握する。農業委員会に農家台帳をつくらせるような指導をいたしておりますが、農家の実態を把握いたしまして、どうしてもそういう他産業に就職していかなければならぬような農家をまず把握をいたしまして、そういうような農家につきましてはいろいろ事情を伺い、そしてこういうような仕事に行きたいというような場合にはいろいろ助言等をいたしまして、さらに職安組織がございますので、職安組織のほうにごあっせんをする。職安組織等につなぎまして適正な就職先を見つけるようにいろいろあっせんをするというようなことと、それから先ほど申し上げましたように、出かせぎの方が東京なりに出ております場合に、それとの連絡をするお手伝いをすることを実はやっておるわけでございます。農林省がもうちょっと積極的にそういうことに努力をすべきではないかという御指摘で、私どもも実はそういうように考えておるわけでございます。それで、従来もそういう就業近代化事業をやっておりますが、なお十分でない点がございますので、特に四十五年度からは実は少し新しい試みを考えておるわけでございまして、これは出かせぎだけではございません。他産業に対する就業全体ももちろん扱うわけでございますが、中央とそれから各ブロックごとに就業対策の協議会をつくりたい。これは農業関係とそれから雇い主であります産業界の方々、それから労働関係のもちろん役所でございますとか、もちろん農林省等も入るわけでございますが、そういうものをつくりまして、就職のあっせんにつきましては職安組織でやるのがたてまえになっておりますが、その一歩前の仕事といたしまして、関係者が集まりまして、そうしてそういう就業についての問題があとでいろいろ起きませんように十分計画的にそういうものについての思想統一をしまして、その線に沿って職安等が就業のあっせんをする、こういうことを実はやろうではないか。従来、どっちかといいますと、労働省のほうの系統なりあるいは一般の企業の系統にまかせておいたようなきらいがございますので、農業も一生懸命そこに入りまして、そういう思想統一をした上で必要なあっせんをする、こういうふうにしたいということで、まだ十分ではございませんが、姿勢といたしましては、そういうような前向きの姿勢でいきたい、こういうように考えているわけでございます。
○長谷部委員 いまお話しがありましたように、就業近代化事業、こういうものをいままでやっておることについて私は承知しておりますが、全国でわずか一億二千万円、スズメの涙金でございます。こういうもので百万人近い出かせぎ農民の就労を近代化する、安心して働ける職場を開拓をする、こういうようなことはとうていできることでもないし、きわめてお粗末だといわなければならぬと思うわけであります。いま局長のお話によると、ことしから、ちょっとはっきりいま聞き取れなかったのですが、正式の新しい試みとして、他産業に就業する農民に対して、もっと安定した職場を開拓をする、そのために何らかの対策を講じておるのだ、こういう御説明でしたが、十分聞き取れませんでした。くどいようで恐縮ですけれども、事業の名前は何というのか、それを裏づける予算措置はどうなっておるのか、それから構成はどういうぐあいになっているのか、いま少し詳しく御説明いただきたい、こう思うわけであります。
○池田政府委員 名前は、農業者転職対策連絡協議会という名前を予算上使っておるわけでありますが、内容なり構成なりといたしましては、中央の協議会と地方の協議会両方をつくる、そうしてメンバーといたしましては、企業者の団体、これは商工会議所でございますとかあるいはその他のいろいろ団体がございますが、そういう団体の人たち、それから農業側といたしましては、農協でございますとかあるいは会議所の系統でございますとか、そういうような方々、あと労働省、通産省、農林省の関係者というようなものでもって構成をいたしまして、企業側としては労働力の面から、どういうような計画であるか、それから農業側とすると、送り出すほうでございますが、どういうような地方からどういうような人たちがどの程度こういう仕事につきたいということを言っているかというようなことを両方突き合わせをいたしまして、適正な職場をさがす、こういうようなことを実は考えておるわけでございます。それと同時に、この点は従来確かに私どもも十分でなかったと思うわけでございますが、一体どういうような地方でどういうような農業者の方が、今後転業したいとかあるいは出かせぎに行きたいとかいうことが従来は必ずしもはっきりしておらなかったのでございます。それがはっきりいたしませんと、受け入れ側のほうの対応も十分でないわけでございますので、まずこういうことと並行いたしまして、そういうことについての調査を緊急にやろうではないか、こういうことに相なりまして、四十五年度においてそういう調査をやろう、こういうことをあわせて実は考えておるわけでございます。これは農業者転職対策推進調査ということで、そういう調査の結果をさらにつかみながら、いま申し上げましたような協議会を運営していきたい、こういうことでいるわけでございます。 調査の関係の予算は約四千四百万でございます。それから、転職対策協議会の予算は、これは協議会の予算でございますから金額はわずかでございまして、約七百万ほどでございます。
○長谷部委員 こういう農業者転職対策協議会、これは、いよいよもって農林省は、農村から農民を他産業へ転職をさせる、離農を促進させるという本性をあらわに出してきた一つの具体的な例と見ざるを得ないと思うのですが、かりに出かせぎ農民も含めて安定した職場を開拓する、こういうことも含めて検討していくんだ、こういうこととするならば、前向きの考え方として了とするものでありますけれども、私は、こういう協議会というものは県段階ですか、ブロック段階ですか、どっちなんですか。——私はブロックにこういうものをつくってもさして効果は出てこないではないか、むしろ県段階に、あるいは市町村の段階にこれをおろしていってこそ真の効果を発揮することができるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点は農林省としてはどういうぐあいに考えておられるのか。 それからいま一つは、いま、御承知と思いますけれども、各県にはそれぞれ出かせぎ農民をもって組織をしておりまする出かせぎ者団体があるわけであります。こういったいわゆる共通の利益のために自主的に結成しておる出かせぎ者の団体、こういうものも、もし本気になってやろうとするならば当然この構成メンバーの中に加えてもいいものではないか、こういうぐあいにも考えておるわけでありますが、この点についてどういう御見解を持っておられるか承りたいと思うのであります。
○池田政府委員 先ほど申し上げました四十五年度からやる協議会は、中央とそれから各ブロックごとに考えておるわけでございますが、従来、農業就業近代化事業というものを農業委員会系統を通じてやっておるわけでございますが、その一環といたしましては実は県にも協議会をつくりまして、従来もいろいろ県段階でもお打ち合わせをしておるわけでございます。それから町村では必ずしも協議会というような形を整えたものではございませんが、随時農業委員会とか町村関係とか、農協とか、そういう関係の方々と御相談をするような会合はやるように指導しておるのでございます。 それから出かせぎ者のそういう集まりをそういう協議会に入れてはどうかというお尋ねでございますが、私どもはやはり当然必要に応じまして県の段階でございますとか、そういうところでそういう方々に入っていただくのは、これは県の判断によるわけでございますけれども、けっこうなことだと思うわけでございます。
○長谷部委員 どうも私は安心して働ける職場を開拓するということについて、農林省は各地方団体よりも指導体制が立ちおくれておる感を禁じ得ないのであります。私は秋田県でございますけれども、貧弱な財政しか持っておりませんけれども、もうすでにいまから五年前に各市町村に、出かせぎ相談所というものを開設をいたしました。そうして出かせぎに行かれる方々が安心して働ける、賃金不払いや労働災害や安全施設や労働条件等をあらかじめ調査をいたしまして、心配のない形で働けるという職場を開拓するために出かせぎ相談所というものを開設をいたしまして、そうして実効をあげておるわけであります。そのために、年間、県独自だけで約九百万、市町村の対応額を含めますと大体二千万程度の金を投入いたしまして、この出かせぎ農民が安心して働ける職場を開拓するために、精力的にやっておるわけであります。こういう地方団体もございます。 しかるに今日までの農林省の指導体制といいますか、出かせぎ問題に対する取り組みというものは、私は必ずしも十分だとは言い得ない。出かせぎは自分たちの仕事ではない、むしろ労働省の範疇である、こういうような考えが底流にあるのではないか、したがってこの出かせぎ対策というものに対する取り組みが意欲的なものが出てこない、そこに原因があるのではないか、こういう感じすら持っておるわけであります。私は、やはり主体は農民であるから、農業が本業であるのですから、ひとつ農林省自体がこの問題に対してもっと独自の予算を持つ、こういった農民全体の転業を促進するための中に含めるような形じゃなくて、全国百万人をこえる出かせぎ農民を守るための、もっと積極的な対策を当然農林省として打ち出してしかるべきものではないか、こういうぐあいに考えるわけです。どうも地方団体の意欲的な取り組みに比べますならば、中央農林省の対策というものは貧困である、こういうぐあいに感じを深くするわけでありますが、局長の御見解をこの際御発表願いたい、こう思うわけであります。
○池田政府委員 どうも農林省が非常に積極的ではないというおしかりを受けたわけでございますが、私どもも確かに、従来非常に十分であったとは思ってないわけでございまして、先ほど申し上げましたようなこともひとつぜひ新年度からはやりたいと考えておるわけでございますが、この点はちょっと御理解をいただきたいと思うわけでございますが、何といいましても、出かせぎというのは一つの労働行政の問題とつながる面が非常に多いわけでございます。そういう就職の紹介とかいうようなことになりますと、当然職安組織というものがあるわけでございます。そういうものとの接点をどうするかという問題が私どもとしては問題になりますので、農林省の仕事の範囲内でこれを全面的にカバーするわけにいきませんので、実はそこいらの調整が、率直なところ非常にむずかしかった。それからまた、東京なら東京に出てまいりますと、そこいらの問題になりますとこれはやはり労働省の問題でございますとか、あるいは建設業であれば建設省の問題というようなことになってまいりますので、実は非常に率直なところを申し上げますと、手を出しにくい面があるわけでございます。ただ、そういうことを言っていましてはいつまでたっても進歩いたしませんので、実はそこらについてはいろいろ問題がございますが、私どもは労働省ともひとつよく御協力を願いまして、先ほど申し上げましたようなことに前向きに取り組みたいというようなことになってきておるわけでございますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
○長谷部委員 いまの局長の考え方で一応はわかりますけれども、何といっても年々増加の一途をたどっておる。もしことしの米価が据え置きになって、しかも減反が行なわれる、不幸にして、これは絶対やってはもらいたくないのでありますが、米の買い上げ制限などが実施をされるというような事態にでもなるとすれば、これはもう村ぐるみで出かせぎに出ざるを得ないという形になることは必然だといわなければなりません。もう今日の農村は総兼業で、すべてが兼業でなければ暮らしていけない、農外収入に依存しなければ暮らしていけない、こういう事態に直面をしておるわけであります。したがって、この農民の農外収入を求めての労働力をいかに有利な条件で取り上げていくかという問題は、農林省としては当然、当面真剣に対処しなければならない問題であると私は思うのです。そういう意味では、あくまでも主体が農民なんですから、農林省の主導によって、この際全国の出かせぎ対策の調査室のようなものを設けまして、まず中央の段階で、農林省、労働省、通産省、総理府、こういうところから専門の方々を集めまして、農林大臣のもとに出かせぎ対策室を設けて、そうして全国的な指導体制を強化する必要があると同時に、もっと出かせぎ対策を一元的に取り上げていく体制をつくることが必要なんじゃないか。いまこうやっていましても、労働問題になると労働省から来てもらわなければならない、あるいは建設業にかかわることについては建設省から来てもらわなければならない。交通安全と同様、今日出かせぎ問題は百万人をこえておる大きな社会問題になっておる。したがいまして、農林省が中心になって、全国の総合的な行政指導体制というものをこの際確立する必要を痛感しておるわけであります。 これは局長よりも大臣の見解をただしていくのが当然だと思うのでありますけれども、私は、何といっても事務当局にそういう意欲的なものがなければ、これは実現することはできないと思うのであります。これから当分続くであろう、しかも年々累増、激増するであろう出かせぎ対策を充実するために、どうかひとつ農林省が中心になって、一元的な行政をやるために、また予算の面でも効率的に使えるように、もっと強力な、各省を網羅した対策室をこの際設置すべきであるということを私は強く要請をいたしたい、こう思うのでありますが、これはひとつ局長の見解を承っておきたい。
○池田政府委員 非常に大きな問題でございますので、ちょっと私からお答えがいたしかねるわけでございますが、もちろん御指摘のように一元化ということも非常に大事だと思いますが、私どもは、現実にやはり役所のそれぞれの分担がございます。その分担を無視してやるわけにはまいりませんし、問題はその中間のところで、どっちも責任を負わないというようなことが非常に問題ではないかと思いますので、そういうことにつきましては、特に最近、労働省とは私ども密接に連絡を実はいたしておるわけでございます。労働省も大臣以下、最近農業者の就業問題に非常に熱意を燃やしておられますので、私どももそれと呼応してやっておるわけでございますが、私どもの内部的な体制といたしましては、実は新年度から就業改善室というものを設けまして、これはもちろん出かせぎだけではございませんが、就業問題に正面から取り組みたい、こういう体制を実は整備いたしているわけでございます。
○長谷部委員 この出かせぎの総合対策については、行政機関を設ける云々については、いずれ機会を見まして私、大臣にも所信をただしておきたい、こう思っておるわけでありますので保留させていただきますが、私の出身の秋田県では、すでに各部から係官を出しまして、総合的な出かせぎ対策室をすでに設置をいたしまして、かなりの成果をあげておるということをこの機会に申し上げておきたいと思う。少なくともこういう、地方団体ですら出かせぎ問題に真剣に取り組んでおる時期でありますから、当然私は農林省としてもこの問題は真剣に考えていただかなければならない問題であろうと思いますので、今後も御検討をわずらわしたい、こう思っておるわけであります。 次にお尋ねしたいことは、基本的に私は、夫婦別れをし、子供と別れての長期出かせぎというものはなくしたい、できれば地元において就労の機会を得たい、地元で賃金と職場を確保したい、こういうことでいろいろ御苦心をされておられることはよくわかるわけでありますが、しかし現実の問題としてはなかなかわれわれの東北や北陸、あるいは九州、こういった過疎地帯には、いかに声を大にして工場分散を叫びましても、実現ははかばかしく進んでまいりません。そこで期待をしておりますることは、先般農林省、通産省の肝いりで農業団体と日経連との間にこの工場の地方分散という問題でいろいろ話し合いの場が持たれた、こういうぐあいに承っておるわけでありますが、もし局長がその経緯を御承知であるとするならば、どういう話の内容であったのか、どういう見通しを持っておられるのか、ひとつ承りたい、こう思うわけであります。
○池田政府委員 これは通産省と農林省が一応中心になりまして、農業側と企業側の方に、これは大体トップクラスの方でございますが、集まっていただきまして、今後工業が農村に進出するというふうなことについてどういうふうに考えたらいいかということについてのフリートーキングをしようということであったわけでございます。そういうことでございますから、あまり煮詰まった話ではございませんが、大体の出ました御意見といたしましては、従来農業側からいたしますと、工場が農村に進出するということには非常に警戒をいたしておる。公害が持ち込まれるのではないかとか、それから優秀な労働力がそちらのほうにいきまして、農業としては労働力の面で非常に悪い条件に置かれるのではないかとか、スプロール化を招くのではないかとか、そういういろいろな不安が非常に多かったわけでございますが、今後はそういう態度ではなしに、むしろ農業は農業として、これは十分土地を有効に使うということは当然の前提でございますけれども、同時に就業状態を改善するという趣旨から、工場が地方に進出するということをむしろ前向きで考えたらどうか、ただその場合に、問題は公害を伴うような企業は非常に困るということと、それから余剰労働力を吸収できるような企業でないと困るというようなことについては、ぜひ農業側としては要望をしたいというのが、大体農業側の空気であったというように思うわけでございます。それに対しまして、企業側といたしましては、やはり最近の都市の過密状態からいいまして、どうしても今後農村に進出をすることが必要である。その場合に、いろいろな土地の利用の問題でございますとか、あるいは労働力の問題でございますとか、そういう点では農業側にぜひ協力をしてもらいたいというのが前提でございますが、同時に、そういう企業が進出をいたします場合には、いろいろな道路等については、これは国なり地方公共団体の役割りでございますが、道路を整備するとか、そういうことについては特にやはり配慮をしてほしい、こういったような御意見がおも立った御意見であったとも思うわけでございます。いずれにいたしましても、この問題については両方とも前向きに取り組むことにしよう、それで今後さらに具体化していくようにしよう、こういうことでは意見の一致を見たわけでございます。
○長谷部委員 たびたび申し上げましたように、出かせぎをしないでも済むように、できれば家族がみんなそろって暮らせるような農政をわれわれは強くお願いをしなければならぬと思います。また農業問題は、農業だけの分野ですべてを解決するということはなかなか至難なことは当然であります。したがって工場、工業との関連において今日の農業問題を解決しなきゃならないということは言うまでもないことであります。したがいまして、いまの工場の地方分散をはかって、地元で農外収入、兼業収入が得られるような対策を積極的に農林省としても進めていただきたい、そして出かせぎ対策というものを前進させていただきたい、こういうぐあいに考えておりますので、どうかもっともっと前向きの姿勢で今後ひとつ積極的に取り組んでいただきますよう強くお願いをいたしたい、こう私は思うわけであります。 続きまして、今度は労働省にお尋ねをいたしたいのでありますが、まず最初に、出かせぎ農民の賃金不払い問題について指導方針を承りたいと思うわけであります。 御承知のとおり、今日東京にいたしましてもあるいは大阪周辺にいたしましても、季節の出かせぎ農民の労働力がなければ地下鉄工事も進みませんし、いわんや下水道の整備あるいは他の公共施設はほとんど進んでいかないと思うのであります。東京には一千万人以上の人口がおりますけれども、地下鉄にもぐって穴掘りをやっている労務者は、その九割九分までが東北、北陸の出かせぎ農民の労働力であります。したがって今日、日本の社会資本の充実のために大きく貢献をしておる、大きな役割りを果たしておるこの貴重な出かせぎ労働力については、もっと労働省は、あるいは政府は、大切に扱っていただかなければならぬのであります。しかるに、せっかく働いたけれども、その賃金すらももらえないで泣き寝入りをしておるという事件がいまだにあとを断たない。どういってもこれは対策の不十分、指導の手ぬるさが大きな原因になっておるということは言うまでもないのであります。かつて建設省で次官通達を出しまして、もし下請業者において賃金の不払いを起こすような場合には、その責任は元請業者が負う、もしその元請業者がその責任を負わない場合は次の工事の発注については行政措置をとるのだ、こういう意味の通達であったことは御承知のとおりであります。これは私は一歩前進したものであるというぐあいに考えています。この通達が出なかったときよりはかなり不払い事件は減少しております。しかし、依然として今日この不払い問題はあとを断っておらない。これは一体どこに原因があるのか、まず一つ労働省の見解を承りたいのであります。
○松尾説明員 ちょっと担当課長が参っておりませんが、かわりまして御答弁申し上げます。 賃金不払いは御存じのように労働者の生活に非常に大きく影響することは、先生も御指摘のとおりであります。行政の最重点にして今日までまいりました。特に出かせぎ労働者が就労する建設現場等におきましては、下請その他零細な孫下請まで存在するわけでございますので、特に監督の強化をいたしておるわけでございますが、私どもといたしましては、そういう監督を通じましてもなお賃金不払いの発生することにかんがみまして、昭和四十二年十月以来は、賃金の不払いの実績を持つ事業主は、公共事業の発注の際の入札の参加資格を取り消す云々の審査の要素に入れてもらう、あるいはまたそういうことにつきまして地方公共団体に協力を求めるというような措置を通じて、さらに一そう賃金不払いの防止につとめているような次第でございます。
○長谷部委員 いま御答弁がありましたように、建設次官通達が出まして、もし不払いを起こすような下請業者、孫下請業者を使った場合は、次の入札の機会には指名をしない、こういった意味の内容の文書が出ました。この文書が出まして以来、私どもが手がけましたのでは、東京都でありますとかあるいは横浜等におきましては、かなりの効果があがりました。このことは事実として私は評価をしたいと思うのであります。しかしながらこの次官通達が出まして以来も、ずいぶんとこの不払い問題がわれわれに持ち込まれるのであります。依然として不払い問題があとを断たないのであります。したがって、この際私はもっと強い行政指導が必要なのではないか。もう少し申し上げさしていただくならば、賃金不払いをするような不良下請業者、そういった業者をなくすような立法措置をできれば考えるべきではないか、こういうぐあいに思うのでありますが、この点ひとつ労働省並びに建設業者を指導監督しておられます建設省の御見解を承りたいと思うわけであります。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
○松尾説明員 先生の御指摘のように、賃金不払いを発生するような事業場をどうこうするというような立法問題につきましては、いまここで直ちにお答えはできませんが、特に私どもとしましては、そういう賃金不払いを発生する建設業等の業者団体で賃金の不払いに関する保障制度というようなものが生まれておりますが、そういったものをさらに地域別に、あるいは業種別に、あるいは企業系列別に積極的に推進をしていくというような面で、予算措置もとれましたので、それを積極的に指導しながら具体的な賃金不払いの発生を防止していくというふうに考えておるような次第でございます。
○長谷部委員 もうすでに御承知と思いまするけれども、全国の中で二、三の県では建設業協会自体が一つの集団のグループの力によって、不払いを起こすような業者に対しては、建設業界全般でその責任を負っていく、こういうようないわゆる賃金不払いをなくすための努力が続けられておることは御承知のとおりであります。私はこういう一、二の先進的な県に学んで、ひとつこの際、国全体として建設業者のグループの力によって自主的に、もし仲間の中に不払いを起こすような者が出た場合にはみんなでひとつ責任を負っていくと同時に、そういう支払い能力のないような業者については、お互いに共済制度のようなものをつくって積み立て等をやりまして、みんなで補っていくというような形を、ひとつこの際法律的に一歩前進させる必要があるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点はいかがです。
○松尾説明員 きょうは責任者が参っておりませんので、立法問題につきましてここで私がお答えするということは適当でございませんので差し控えさせていただきますが、指導面で私どもとしてはおっしゃるような問題がございますので、それを防ぐために鋭意いろいろな問題を取り上げてやっておりますが、特に保障制度といった問題は、いま先生から御指摘がありましたが、この保障制度の普及という問題につきまして積極的にやってまいりたい、そうして賃金不払いの解消をはかりたい、こういうふうに考えております。
○長谷部委員 それじゃ、保障制度を普及していくというお話でございますが、ことしこれに伴っての予算措置等はどれくらいになっていますか。
○松尾説明員 きょう手元に持ってまいっておりませんので、後ほど報告をさせていただきたいと思います。
○長谷部委員 賃金不払いを起こすような下請業者を使っておる建設業者、こういうものの指導監督は一体建設省はどう対処しておるのか、建設省からも来ているはずですから、この際見解を承りたい。
○檜垣説明員 賃金不払いを起こしました建設業者につきましては、先生御承知のとおり、私どものほうは労働省のほうから通報を受けまして、そしてその通報された業者の名前をおも立った各発注者に通知いたしておるわけでございます。そしてその通知を受けました各発注機関は、公共工事の入札参加の申し込み者の資格審査にあたりまして、このことを加味することにいたしておるわけでございます。 なお今後の問題でございますけれども、賃金不払いが発生いたしまして、これに対する保障制度ということを確立することもまた必要であろうかと考えるわけでございますけれども、われわれといたしましては、まず賃金不払いそのものをなくする必要があるんじゃないかという観点に立ちまして、現在建設業法の改正案を国会に提出いたしておるわけでございます。 その内容といたしまして、やはり賃金不払いを起こす一番大きなケースは、倒産ということが一番大きなケースでございます。したがいまして、倒産することが明らかなような業者について建設業の許可を、あるいは登録をするということに問題があるんじゃなかろうかということで、建設業の従来の登録制度を許可制度に切りかえ、そしてその際にある程度の財産的基礎というものを審査いたしたいというふうに考えておる次第でございます。 第二は、この労務者を使用いたしますのは直接には下請企業者でございますので、この下請企業者の経済的地位というものを向上させることが先決問題ではないか、こういうふうに考えまして、元請業者は、中間払いとか、あるいは前金払いというふうなものを受けた場合には、一定期間内に下請業者に支払わなければならない。 さらにまた、多くの工事を受注いたします、相当大規模な工事を受注いたします業者に対して、特定建設業の許可制度というものを設けることにいたしておりますけれども、この許可を受けました特定建設業者は、下請業者に対しまして、中間払いあるいは竣工払いがあるかいなかを問わず、工事が完成してその確認検査をした場合には五十日以内に下請代金を支払わなければならない。そして、こういった規定に違反した業者に対しましては——これはまた同時に独占禁止法の第十九条に違反することにもなりますので、これに対しましては公正取引委員会から独禁法の規定に基づく勧告あるいは排除命令というふうなものを出すことになっておるわけでございまして、さらにこの公正取引委員会の活動に対しまして、許可行政庁である建設大臣及び都道府県知事、さらには中小企業の保護官庁でございます中小企業庁が協力する、こういったたてまえで、まず直接出かせぎ労働者等を雇用する下請業者の経済的地位を高めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 第三の方法といたしましては、いま御説明申し上げました相当大量の工事を受注いたします特定建設業者、これに対しまして、これはもう相当いろいろな種類の下請等を使うわけでございまして、たくさんの労働者が働くわけでございますけれども、これに対しまして、その工事現場の中で労働者に対する賃金不払い事故というものが起こった場合には、これは直接その雇用関係はございませんので、法律上の債権債務はないわけでございますけれども、この一番元請の特定建設業者に対して、その不払い賃金の立てかえ払いその他必要な措置をとるべきことを建設大臣または都道府県知事が勧告する、こういった制度によりまして、賃金不払いの減少さらには絶滅というふうなことを期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○長谷部委員 この際承っておきたいと思いますが、賃金不払いを起こすような業者が出た場合は労働省から通報がある、その通報に基づいて建設省が入札をする場合にチェックをする、こういうことでやってきたということが一つなわけですが、いままで労働省からどれくらい賃金不払いの業者の通報があったのか、その金額はどれくらいになっておるのか。あるいは入札にあたってそういった不良業者を締め出す、こういうことになるわけでありますが、いままで、昭和四十四年度においてどれくらい不払い業者が入札から締め出されたのか。そういう数字がありましたならば、ひとつ承りたい、こういうぐあいに思います。
○檜垣説明員 労働省からの通報件数、これはただいま手元に持っておりませんけれども、これは毎期受けておりますので、後ほどまとめましてお届けいたしたいと考えております。 ただ、この不払い事故を起こしました業者はほとんどが倒産いたしておるわけでございますので、したがいまして、こういったものはその倒産したという原因から公共工事に参加するという機会はないというのが実情でございます。
○長谷部委員 次に承りたいのは、ただいま不払いそのものをなくす、そのためにはいわゆる建設業法の改正をやるんだ、こういう御説明でございます。その法改正を三つあげられたわけでありますが、一番最後にお話のありました大量の工事を受注する特定建設業者は下請をたくさん使うことになるわけでありますが、その下請業者が賃金不払いを起こす、その場合には、もしその下請業者が責任をとれない、支払い能力がない場合は建設大臣が元請業者に勧告をするのですか、それとも元請業者に責任をとらせるのですか、その辺どちらなんですか。
○檜垣説明員 これは先ほど申しましたとおり、元請業者と賃金不払いを受けました労働者との間には直接の雇用関係はございません。したがいまして、その間に賃金に関する法律上の債権債務というものはないわけであります。したがいまして、これに対しまして命令をいたしまして、そしてその命令を順守しない業者に対してはあるいは罰則をもって臨むとかあるいはその命令を実行することが法律上の債務になるというふうな関係にすることは、現行の体制におきましては非常に困難でございますので、そういう案ももちろん検討されたわけでございますけれども、必要な措置をとるべきことを勧告することができる、こういった考え方になっておるわけでございます。
○長谷部委員 なお、この際労働省にお願いを申し上げておきたいのでありますが、最近三カ年における全国の賃金不払いの件数並びにその金額、さらにはそれがどのように解決されておるのか、この関係資料をひとつ御提示をいただきたい、こう思っておるわけでございます。どうも、補償課長が来ておりまするが、この賃金不払いの問題、責任ある課長がお見えになっておりませんので、今日の賃金不払いの保障制度、この内容等についてももっとただしたいのでありますけれども、直接の担当者でないようでありますので、あとで、保留をさせていただきますが、次の機会に承りますので、ひとつ御調査をいただきたい、こう思っておるわけでございます。 次に私は宿舎の問題、出かせぎ農民が一番困っておるこの宿舎の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。 御承知のとおり、昭和四十三年の四月一日から建設業寄宿舎規程が施行になったわけでありますが、それから今日までちょうど満二カ年経過をいたしておるわけであります。しかし、私どももこの一月以来建設業の現場、宿舎百数十カ所を足を入れてまいりましたが、きわめてその改善は進んでおりません。一体この改善が進んでおらない原因はどこにあるのか、この点をまず承りたいと思うわけであります。
○松尾説明員 先生、まことに申しわけないわけですが、これまた監督課長のあれでございますので、まことに申しわけないのですが、いま呼んでおりますので、参りますけれども、いましばらくお待ちいただけますか。別な御質問でも……。
○長谷部委員 来てない者を早く来いということもできぬでしょうから、午後一時三十分から再開をすると、またこの出かせぎ問題で時間をいただくことにしております。したがいまして、午後からは担当の課長がおられないので答弁ができないというようなことのないように私はお願いをいたしたい。 その際にぜひ御提出をいただきたいことは、先ほども賃金不払いで申し上げましたように、最近における過去三カ年間の賃金不払い発生の件数、その金額並びにその解決をしたいわゆる進みぐあいですね。 それからいま一つは、昭和四十三年の四月一日以降、建設業の寄宿舎規程が施行されて以来、どの程度宿舎が改善をされたのか、点検の結果どの程度の勧告をしたのか、こういった関係資料につきましてもひとつ御提出をいただきたいと思うわけであります。 それからいま一つ、労働災害の発生状況、これもひとつ資料としてお願いをいたしたいのであります。この全国的な業種別の労働災害の発生状況と、その中に、できますならば農民の季節出かせぎがどのぐらいあるのか。これにつきましてひとつ資料をお願いいたしたい、こう思うわけであります。 以上、関係の課長がおらなくて答弁ができないということでありますから、午前の質問につきましてはこれで終わりまして、午後から再びやらしていただきたいと思うわけであります。
○三ツ林委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十四分開議
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。長谷部七郎君。
○長谷部委員 午前中の質問に続きまして若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。 まず、午前にも問題になりました出かせぎ農民に対する賃金不払いの問題でございますが、この不払いを解消するために、建設省といたしましてはいわゆる建設業法の改正に手をつける。特に大量の工事を受注すると特定業者はたくさんの下請業者を使うことになるわけでありまして、その使った下請業者が不払いを起こした、こういう場合には建設大臣が元請業者に対して勧告をする、こういう意味の法改正をやろうとしておるわけでありますが、これは考えてみますと、昭和四十年の十二月に出されましたいわゆる建設事務次官通達よりもどうも弱いような感じを受けるわけでありますが、この点いかようにお考えになっておられますか。建設省の御見解を承りたいのであります。
○檜垣説明員 昭和四十年の十二月に出しました事務次官の通達は、公共工事の入札希望者の資格審査、これはいわゆる客観的事項と主観的事項という二つの事項に基づいてやっておるわけでございます。客観的事項は完成工事高とか財務比率だとかあるいは技術職員の数、そういったものによりまして、一定の算式によりまして点数を算出するわけでございますが、そのほかに主観的事項というものを各発注者で加味いたしまして、その格づけを行なうというたてまえになっております。その主観的事項の内容といたしまして、労働福祉の状況というふうなものを考慮するように、その労働福祉の状況の内容といたしまして、第一が労働環境の状況、第二が退職給付制度の状況、第三が賃金不払いの状況、この三つの要素について労働福祉の状況を判断するようにということをいっておるわけでございまして、この賃金不払いの者は必ず指名停止とか、そういったものにするようにということまではいっておらないわけでございます。これにつきまして、発注官庁としての立場におります建設省は、不払い事件を起こしました建設業者につきましてはマイナス三点、その不払いそのものにつきまして責任のある元請業者はマイナス一点、こういうふうなことで点数そのものによって処理いたしておるわけでございます。さらにその具体的な指名、これはこの通達には直接触れておりませんけれども、発注官庁としての立場における建設省といたしましては、いま言いましたように、そういうふうな点数に反映させると同時に、具体的な指名におきましてもこれを考慮するというふうな態度をとっておるわけでございます。 午前中に申し上げました特定建設業者に対する勧告でございますけれども、これは現に起こりました不払い事件というものを一つ一つのケースについて解決する必要もある。いまのように指名等に考慮することも必要であるけれども、一つ一つの具体的なケースについても解決する必要があるという配慮に基づきまして、特定建設業者に対して不払い賃金の立てかえ払いその他必要な措置をとるべきことを勧告することができる、こういうことを規定いたしておるわけでございます。
○長谷部委員 やはり不払いを起こすような不良な下請業者を使っておる元請に対して、次の公共事業の指名の際に指名をしない、あるいは指名する際に差別をつける。こういうことはやはり業者としては一番大きな影響を受けると思うわけであります。ですから、私は内容的にはこの次官通達の趣旨というものは、相当強い行政措置に受けとめておったわけであります。ところが、今度の法改正でまいりますと、勧告でございます。行政命令ではありません。したがって、もし下請業者が不払いを起こして、元請業者にその責任を追及して勧告いたしましても、それは罰則も伴わないのでありますから、何ら業者としては履行する義務がないのではないか、したがって行政通達よりも内容が弱まっておるのではないか、こういうことを聞いておるわけでありますが、この見解、いま一歩お尋ねをいたしたい。
○檜垣説明員 ただいま申し上げました次官通達は、今後とも当然持続するわけでございます。それにプラスいたしまして、建設大臣または都道府県知事の特定建設業者への勧告制度というものを採用いたす予定にいたしておるわけでございます。勧告しても、履行の義務はないではないかという御意見でございますけれども、それは、確かに法律上これを強制するような効果は生じないわけでございますけれども、建設業についての監督あるいは指導というものをその任務といたします建設大臣、または都道府県知事がそうすることが適当であると認めて勧告したものを順守しないということは、よくよくのことがなければないのではなかろうかと考えます。したがいまして、この勧告制度そのものも賃金不払いの防止ということにつきまして、相当の効果があるのではなかろうかというふうに信じておる次第でございます。
○長谷部委員 四十年の十二月に出された、いわゆる次官通達、これはそのまま存続をしていくし、さらにいま一歩賃金不払いをなくすために、法律の改正をもって臨む、こういう建設省の考え方につきましては、一応了解いたします。 ただしかし、法律的な改正あるいは通達が出まして、公共事業の面ではかなりの効果をあげつつあるわけでありますけれども、依然として不払い業者はあとを断たない。賃金不払いのために泣かされておる農民があとを断たない、こういう現状にありますから、私はもっともっと行政の姿勢を強めて、不払いを起こすような不良な下請業者を使う元請を、できれば一掃できるような対策をひとつ前向きに検討を願わなければならぬのではないか、こういうぐあいに考えますので、さらに一段と行政指導を建設省としても強めていくようにしていただきたい、こういうように考えます。 なおこの際、労働省にもお尋ねいたしますけれども、先ほど担当の課長がおらぬということで、十分な答弁が得られなかったのでありますが、労働省としても、この賃金の不払いを解消するために、賃金支払い保障制度というものを確立していきたい、こういうお話でございましたが、今度は担当課長が見えておられますならば、内容について、あるいはそれを裏づける予算等について、この際、御見解を承りたい、こう思うわけであります。
○大坪説明員 労働省の基準局の監督課長でございます。御質問にお答え申し上げます。 ただいま長谷部先生から御質問のございました建設業の賃金支払い保障制度というものは、実は建設業の元請と下請、あるいは下請の下の孫請というような複雑な請負制度がございます現状にかんがみまして、日本の特定の部分で建設業の方々が相語らいまして、まだ非常に端緒的でございますが、賃金不払いが起こった場合に相互扶助をする。その不払い部分を同業者のつくりました団体であらかじめ設けました基金でカバーをする。そういう制度を実は昨年あたりから発足させておりますので、こういう制度を行く行く充実させてまいりますとともに、ほかの地方にも普及をするように内容の紹介を行なったり、あるいは労働基準監督局あるいは労働基準監督署の監督、指導を通じまして普及をさせていきたいと考えておるわけでございます。 具体的に申しますと、現在私どもの手元に参っております制度は三つほどございます。一つは、神奈川県の川崎市に設けられました川崎建設業協会の季節労務者共済基金制度というものでございます。これは川崎にあります地元の建設業者が共同いたしまして、一つの共済団体をつくりまして、基金を持ち寄りまして、賃金不払いの実情が生じたような場合には、持ち寄った基金からこれを弁済する、こういう形になっておりまして、昨年の一月に発足いたしたものでございます。それから二番目は、新潟県に設けられました新潟県建設業協会の労務費保障制度というものでございます。これは新潟県の建設業協会が労務費保障規程というものをつくりまして、その協会の会員、これは会員の数が三百九十名ほどございますが、その人々によりまして基金をつくりまして、やはり不払いが出るような事態が生じたときにこれを保障するというものでございます。もう一つのものは、大阪府の建設業雇用促進協会の賃金支払いの保証制度と申しますもので、これは特に万国博覧会の会場施設及びその関連事業に必要といたします労働力確保のために、大阪府の建設業関係団体が考えたものでございますけれども、やはり同様の趣旨で、会員の事業主の事業またはその下請の事業で賃金支払いができないような場合に不払いの事態が発生したときに、事業主にかわって協会が賃金債務の弁済を行なうというようにしているものでございます。 いずれの制度も、まだ発足を見たばかりでございますので、実は基金の量が十分でないという点が問題としてはあるわけでございますが、しかし業界がみずからそういう形で賃金不払いをなくす努力をなさろうとしておられ、なおかつ場所によりましては、そういう動きに県なりその他の地方自治体が援助をしようとする動きがあることは、たいへんけっこうなことではないかと私ども考えまして、このような自主的な動きをぜひお続けいただきたい。あるいは、これからそういう動きをしようとするところは、ぜひお手伝いをいたしたいということで、この内容のあるべき最もいい形は何かということの研究もさることながら、すでに出発をいたしておりますものを、いい適例として全国各地に十分紹介してみよう、それからなお、そういうものについて業界等で寄り寄り御相談ある場合には私どもも相談に乗りましょうという形の指導を四十五年度から積極的に進めてまいりたいと思っております。このような制度ができますると、現実に不払いが起こりましたときにその不払いをかわって払うという効果のほかに、現実に不払いが起こります場合に、元請の事業所がまず率先して下請にかわって支払いをしてやるという事例が多くなっております。それから実際上は、不払いが起こりそうになった場合に、すでにそのことについて事前相談が行なわれるという意味で不払い防止の効果もある。それからもう一つは、建設業における労働者確保の非常に重要な問題の一つに労働条件がありますので、そういう意味で相当波及する効果があるのではないかと考えております。 これにつきましての予算でございますが、初年度でございますので、残念ながらそうたくさんの予算が大蔵省との間でいただけたわけではございませんけれども、これは賃金支払保障制度促進指導費という名目で予算を百五十万ほど昭和四十五年度の予算書に計上させていただくことに相なっております。幸い御審議をいただきましてお認めいただければ、さっそくこのような制度の普及に取りかかるつもりでおります。
○長谷部委員 各地方において建設業界自体が自主的に共同の責任で、同業者がお互いに助け合って賃金不払いの問題を解決をしよう、あるいは不払い事件を未然に防止しようという前向きの取り組みをされておられることについては、これは高く評価をしなければならぬだろうと思います。と同時に、いま労働省では、そういった自主的な動きについてはこれを慫慂していく、積極的に伸ばしていく、あるいは拡大をしていく、こういう姿勢をとられておることについても一応了解をいたします。しかし、これは単に労働省だけの取り組みではなお十分なものではないと私は思います。したがって、これは建設業を直接指導、監督をする建設省とも十分連携をとりながら、これらの前向きの措置を助長していく必要があるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点、建設省ではこの制度についてどういうぐあいに把握され、どういう御見解でおられるのか、これまた承っておきたいと思います。
○檜垣説明員 建設労務者に対する賃金の不払い事件と申しますものは、一家の支柱になる方々が出かせぎ労働等に出ておることが多いことにかんがみ、一家の生活そのものに影響することでございまして、人道上の問題であることはもとよりでございますが、さらにそれから波及いたしまして、現在建設業界が最も難渋いたしております技能労務者の不足というふうなものも、そういった点に一つの原因があるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、そういう人道上の見地から、さらには建設業が今後ますます増大する建設工事を適正にかつ円滑に消化してまいるためにも、優秀な技能労務者を確保しなければならない、そういった対策からいたしましても、この賃金不払いの防止ということは非常に重要なことでございまして、私どもといたしましても、労働省と十分連絡をとりましてこの賃金不払いの防止ということに従来努力いたしておるわけでございまして、ただいま労働省からお話がありましたような制度につきましても、今後十分御連絡いたしまして、これが十分な成果をあげる方向に持ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○長谷部委員 先ほど私、御要望を申し上げておりましたいわゆる不払い事件を起こした件数ですね、労働省からどれくらい通報があったのか、それに対して指名にあたってどの程度それが具体的に措置されたのか、そういった資料の要求を願っておりますので、それはひとつ御提出をいただきたい、こう思います。 なお私、労働省に一言賃金不払いの問題で申し上げたいことは、季節の出かせぎ農民が賃金の不払いを受ける。その場合に、いわゆる直接の雇用者に対しては現地の監督署もいろいろお世話をしていただいているわけであります。ところがその下請業者にたまたま支払い能力がなかった、これはどうしても元請に問題が発展していくんだという場合になっても、直接の雇用者との折衝はうまくやってくれますけれども、さて元請業者との交渉になりますとなかなか思うとおりやってくれないわけであります。こういうことでずいぶん困っておる場合が多いわけであります。したがって、もし下請業者が不払いを起こしてその支払い能力がないという場合には、通達の趣旨もあるわけでありますし、元請業者ともっと積極的に折衝を重ねてこの問題を解決するような姿勢がとられてしかるべきではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点監督課長の御見解を承りたい。
○大坪説明員 ただいま御質問がございました点につきましてお答え申し上げますと、御承知のように賃金不払いが起こります場合に問題が二つございまして、一つは、農村の方々が季節的に東京なり大阪なりという非常に建設の繁忙のところにお出かけになって、そこで俗にいわれております出かせぎ労働者として働かれるという場合と、それぞれのところで働いておられる労働者に倒産等の事情で賃金不払いが起こるという場合とございます。それで私どもといたしましては、もちろん元請に限らず下請も孫請も、賃金不払いがありました場合には、当該不払いを起こした事業所のみならず、その元請の事業所にまで戻って十分指導をいたす方針をとっておりまして、大体事業主のあり方がはっきりいたします場合にはすぐ対策の手が打てるわけでございます。もちろん、中には非常に事情のむずかしい場合もございまして、あるいは元請のほうで了承をどうしてもしないというような場合もございますが、特に大手のような場合でありますればたいがいは私どもの説得に応じていただけるような空気になっておるわけでございます。ただ残念なのは、たとえば、例を引きますとおかしゅうございますが、青森県の方が東京においでになりまして、労働条件等を十分に明確にされないままどこかの飯場で働かれる、それから県に帰ってしまわれる、そこで考えてみたら賃金をもらってない、どうもけしからぬじゃないかといって地元の監督署にお出かけになる、こういう場合がございます。こういう場合に、実は地元の監督署から直ちに東京の基準局のほうに連絡が参りまして、基準局のほうでは当該事業所のありました地域に参りまして、さっそく賃金不払いの対策を講ずるわけでございますけれども、ときどきはすでに事業所がなくなっておる、事業主がどこへ行ったかわからぬというような場合があるわけでございます。こういう場合には、その元請の責任どころか当該事業主もわからぬというような事情もありますので、私どもといたしましては、出かせぎに出られますような場合には、ぜひ労働省の出先でございます公共職業安定所を通じて、かつ労働条件を十分事前に察知された上で出かけていただきたいということを当該市町村等も通じてお願いをいたしておるわけでございますし、出かせぎ手帳等も、そういう趣旨で出かせぎ労働者の方にはぜひ持っていただきたいとお願いをいたしておる点でございます。そういう点だけはひとつ御了承いただきたいというふうに思います。
○長谷部委員 どちらかというと、不払いを起こした直接の業者とのかけ合いは非常に積極的にやってくれまするけれども、問題の困難ないわゆる元請業者との接触あるいは折衝ということになるとなかなか渋っておる、こういうのがたまたまわれわれの見受けておる現実でございます。したがって、いま課長が言ったような考え方、姿勢で、現地の監督署がその任に当たっていただけるようにひとつ御指導を願わなければならないのじゃないか、こういうぐあいに考えるわけであります。なお、先ほど申し上げましたように、過去三カ年間の不払い事件の件数やらあるいは不払い賃金の額、あるいはその中で解決をした資料等については、できておりまするならばひとつ提出を願いたい、こう思っておるところであります。 次に、時間がございませんので、宿舎の改善について承りたいと思うわけでありますが、御承知のとおり、昭和四十三年の四月一日から新しい建設業付属寄宿舎規程が施行になっているわけであります。これによりまして、かなりの宿舎の改善が行なわれつつあることも私は率直に認めたいと思います。しかし、東京なりあるいは大阪、この一月以来百数十カ所の宿舎をたずねて見ているわけでありまするが、依然として不良な飯場がございます。しかも、まだまだ非常にたくさん残っておる、こういうぐあいに私は見ておるところでございます。いまここでどこの宿舎が悪いか、どこの宿舎が改善されておったかという具体的な事実をあげてもけっこうでございますけれども、時間もございませんので、具体的な事例については省略いたしますけれども、一体労働省としては、もうまる二年間その改善、指導、監督に当たっているわけでありますが、どのように今日の宿舎の改善が進んでおるのか、どういうぐあいに把握されておられるか、まずこれから承りたいと思います。
○大坪説明員 建設業における寄宿舎の問題でございますが、御承知のように、以前は寄宿舎につきましては、第一種の付属寄宿舎規程と第二種の規程というのがございまして、第二種の場合に建設業があてはまるということで、どちらかと申せば基準が低く設定されておったわけでございますが、先ほど先生がおっしゃられましたように、昭和四十三年の四月から新たに建設業における寄宿舎の付属寄宿舎規程というものを設けまして、なお同年九月には、この規程に基づきまして寄宿舎の一斉監督を約五千むねを対象に実施いたしたわけでございます。その結果は、いま先生がおっしゃられましたように、はなはだ残念なことでございますが、七五・四%にあたります三千六百五十六棟の寄宿舎に違反がございました。これは直ちに是正を命じております。その後も、東京とか大阪を中心といたしまして、一斉監督等を実施をいたしておるわけでございますが、御承知のように、最近たいへんな経済成長のもとで、特に建設業はたいへんなブームでございまして、建設の現場が非常にたくさんになっている点等もございますので、私どもはただいまでは約二百六十万の事業場のうちで年間約二十三万の監督をいたしておりますが、その中で建設業につきましては特に重点を置きまして、たとえば昭和四十四年で申しますと、九万件の監督をいたしております。九万件の監督は監督の実施率といたしましては三一・五%に当たるわけでございます。それは建設業が二十九万適用事業場がございますので、監督が九万一千ほどでございますので、三一・五%ということでございますが、全体の適用事業場に対する監督が二十三万でございますので、それと比較をいたしますと、基準監督署が行ないます監督の三八・九%、約四割は建設業の監督をいたしているという現状でございます。したがいまして、建設業に私どもの監督の主力を注いでいるという点は御理解をいただけるのではないかと思いますが、先ほど申しましたような事情で、あるいは私どもの手の届かないところにそういう問題があろうかとも思います。そういう点は今後とも重々戒心をいたしまして監督をいたしてまいりたいと存じております。
○長谷部委員 いま建設業に重点を置きながら点検をやっている、こういう御説明でありますけれども、大体建設業全体の事業所のうち約三割ぐらい点検をしているという御答弁でしたが、残りの七割近いものについては全然点検の手が届いていない、こういうことになろうかと思うのであります。他の業種、こういうものもあるわけでありますので、私ども一番問題なのは、全国の労働基準監督署のいわゆる定員が今日問題になってきているのではないか、最近も幾らか増員したとは言いますものの、なかなか今日の経済成長に件って事業所の数が非常に過去十年前の二倍ないし三倍にふえているのではないかと思うのです。それに比べまして監督官の定数というものが非常に立ち遅れている、こういうところにも問題があるのではないか、こう思うわけです。私現場を回って痛感いたしておりますことは、一日の激しい労働によって、労働の疲労をやはり宿舎でいやすことになるわけであります。したがいまして、不良な宿舎のために十分な休養ができない、したがって疲労の累積が行なわれまして、今日出かせぎ農民の中には数多くの高血圧患者が出ているということでございます。過労による高血圧患者でございます。ですから、いかに宿舎の改善が大切な問題になっているかということはもう論を待たないところだと思うのです。少なくとも季節の出かせぎ農民がおらなければ今日日本の建設業というものは進んでいかない、あるいは製造工場におきましても、必ずといっていいほど一割、二割の季節労働者がいることによってはじめて生産が成り立っている現状であります。これほど日本の経済の繁栄をささえている貴重な労働力になっているにかかわらず、現実の姿は政治の谷間に置かれている、これが私は出かせぎ農民の実態であろうと思う。ですから、私は少なくとも人手が足りないとか、予算がないとか、そういうようなことでこの宿舎の改善なりあるいは安全衛生の問題をおろそかにされたのではこれはたいへんだ、こういうぐあいに考えます。したがいまして、もっと私はこれらの問題について真剣に——少なくとも付属寄宿舎の規程、これは必ずしも十分なものとは私ども思っておりません。最低の事項をきめた規程であろうと思っておるのです。この最低の規程すらも今日守られておらない、こういうことは許されないと思うのであります。したがってもっと積極的に私は——原労働大臣の際は、宿舎の改善にかなり意を用いられまして一斉点検をやられた例があるわけであります。今度昭和四十五年度も皆さんの努力によって、全監督官を動員しても一斉点検を実施する、こういう確約を願いたい、私はこう思うわけでありますが、課長の見解を承りたいのであります。
○大坪説明員 御参考までに申し上げますと、建設業におきまして私どもが監督をいたしました結果、労働基準法に違反をしておるということで是正をさせなければならない、あるいは違反事実があるので摘発をしなければならないという項目がいろいろあがってまいるわけでございますが、定期監督という毎年定まりました方式に従いまして監督をいたします事業場の違反の中で、建設業は七一%程度の違反がございますが、実はいま先生御指摘のございました寄宿舎につきましては、安全関係、衛生関係を含めまして四%程度の違反があるわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、実は全事業所をある年度に全部監督をいたしたいわけでございますが、監督官の数もございませんので、先ほど申しましたようにほかの事業所は大体一割程度しか監督できませんが、建設業だけは四割程度、総監督の四割程度を建設業に充てておるという現状でございます。したがいまして、そういう事情の中でいま先生のおっしゃいましたような点を十分考慮いたしまして監督につとめてまいりたいと考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。
○長谷部委員 次に、私は労働災害の問題についてお尋ねをいたしたい、こう思うわけであります。 御承知のとおり、労働災害は激増の一途をたどっておる、こういう傾向にあるわけでありますが、中でも昨年の荒川の新四ツ木橋における潜函工事の大災害あるいは昨年の十一月二十五日に起こりました大阪の尻無川の大水門工事の事故、これは世間に大きな衝撃を与えていることは御承知のとおりであります。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 これにつきまして私昨日、社会労働委員会で御質問を申し上げたのでございますけれども、その中で幾つかまだ答弁が必ずしも十分でない、したがって納得をいたしかねる点があるわけでありまするので、この際二、三承っておきたい、こう思うわけであります。 その一つは、事故の原因についてはただいま科学調査団の手によって検討が進められておる。きのうのお答えでは、五月中には事故原因が究明されるであろう、こういう御答弁でありましたので、きょうは事故の原因については触れまいと思うのでありますが、ただしかし私は申し上げたいのは、あれほどの大惨事を起こしておきながら、大事故を起こしておきながら、原因も究明されないし、しかも遺族に対する補償も完全に済んでおらない、こういう中で一方的に労働省の見解によって工事を再開させるということは、いよいよもって国民の疑惑を深めることではないか、こういうぐあいに私は考えるわけであります。 しかも、その措置について、再開をするにあたって、いわゆる大阪府並びに建設省、こういう方面から工期に間に合わないからということで、再三にわたって行政的な圧力が労働基準局にかけられておる、こういうお話も承っておるわけであります。私は少なくともこれだけの大惨事を起こして、そうして十一名の死亡者を出し、九名の負傷者を出す、こういった大事故を起こしておるわけでありますから、少なくともこれからは原因が究明され、遺族も納得する補償が完了したその時点で初めて再開を許可すべきであって、私はあまりにも軽率でなかったか、こう思うのでありますが、この点課長の御見解をひとつ承っておきたいと思うのであります。
○中西説明員 お答えいたします。 御指摘のように、事故の直接原因が何であるかということにつきましては、まだ科学調査団でも究明中でございまして判然としないのでございます。しかしながらあの事故を起こしました、起こしましたというか、ああいう事故を起こす原因がいろいろ考えられます。事故の要因といいますか、その考えられるいろいろの要因に対しまして、すべての対策を実施すれば安全に工事ができるという工学的な判断があるわけでございますが、これにつきまして大阪府で設置しております事故調査委員会の中間報告の結果、及び労働省でも科学調査団を設けているのは先ほどの説明のとおりでございますが、その調査団の意見も聞きまして、再開のための安全対策について十分に検討いたしまして、工学的に見てこれならばだいじょうぶだという労働省の判断に基づきまして再開を認めたのでございます。具体的な再開のための安全対策としまして一番重要な点は、今回の事故の結果から見まして一番問題のあったと考えられるシャフトの継ぎ手ボルトの破断でございますが、このボルトの破断が原因となってそこから空気が漏れて、それが事故の原因になったと考えられますが、そのボルトを従来使っていたものに比べて約二倍の強度を有するものに全部交換させたということがまず第一でございます。それから、シャフトロックの振動がボルトを破断する一つの原因として一応考えられますから、これに対しては、その振動を防止するための機械を設けさせた。それから、空気が容易に漏れないように継ぎ手部分のパッキンを交換させております。また、ケーソンの内部から土砂を排出いたしますバケット、これは事故前は一トンのものを使っておりまして、若干、大き目でございますので、これを〇・六トンの小さなものにいたしまして、衝撃その他の影響をなくするようにいたしております。また、ボルトの締めつけにつきましても、これは事故の要因となると考えられます、締め過ぎてもいけませんし、締め足りなくてもいけない、この点につきましては、トルクレンチを使いまして、この締めぐあいがはっきり計器に出るようなスパナを使ってこれを締めさせる。さらには、設備の点検制度を整備させる、具体的には、点検のための足場等を設けさせるというような、事故の原因として考えられるあらゆる点につきまして、具体的な対策を行なわせ、その結果を確認しまして、これならば、工学的に見てだいじょうぶであるという確信を持ちまして、再開を認めたような状況でございます。 以上でございます。
○長谷部委員 いま、再開を認めた理由として、ケーソンのボルトの材質を強いものを使うようにした、あるいはバケットを小さくした、あるいは締めつけを十分した、さらには、パッキンを取りかえた、こういうようなことをあげておるわけでありますけれども、私は、それだけでは納得をいたしかねるわけであります。なぜかというと、なぜケーソンが一・二メートルも傾いたのか。大阪府の調査によっても、約一・八メートル、ケーソンが沈下をしておる。労働省の調査によっても、一・二メートル沈下、傾斜をしておる。こういう調査が出ているように、ケーソンが傾いたのが何の理由によるものであるかということが明らかにされないままに、単にボルトの材質やあるいは締めつけや、あるいはその他を解決しただけでは、根本的な事故原因の究明には私はならぬと思うわけであります。ですから、その論争になると、これは非常に長時間になるわけでありまして、きょうはその論争はしようとは思いません。いずれにしても、私は、疑問に思っておりますることは、上からの圧力と、いま一つは、地層の異常変化によってケーソンが傾斜、沈下をした、そのことによってねじれを生じて、そうしてボルトが折れる、こういう結果になったのではないかということに考えておるわけでありまして、それは、最終的には、科学調査団の結論にまたなければならないし、また、捜査当局の結論にまたなければならない問題であろうと思います。が、しかし、私ここで申し上げたいことは、この潜函工事で一番大事だと思われるものは、ボルトの材質あるいはボルトの締めつけ、三十六本のボルトが十分に締めつけられておるかどうか、十分なパッキンが使われておるかどうか、こういうことがやはりこの潜函工事においては一番吟味をしなければならない、点検の重点を向けなければならない点であろうと思うのであります。よく言われますように、他人がボルトを締めつけたケーソンの中には入らない、こういうぐあいに言われているのが常識でございます。それほどケーソン工事では、ボルトの締めつけという問題が一番大きな安全対策に見られているわけであります。それなのに、ケーソン工事が再開後、一回も大阪の労働基準局は点検に出てなかったというこの事実、これは明らかに労働基準監督行政の手落ちでなかろうか、こういうぐあいに思うのであります。ケーソン工事の一番の大事だと目されるボルトの締めつけやボルトの材質、こういうものの点検確認が労働基準局によってなされてなかった、この手落ちを一体どういうぐあいに皆さんは判断をされておられるのか、承りたいと思うのであります。
○中西説明員 お答えいたします。 この尻無川の工事に対する監督の状況でございますが、昭和四十三年の十一月二十六日に定期監督を実施いたしております。このときは、モーターのアース、感電防止のためにはアースが必要でございますが、そのアースがなかったということで、モーターの使用の停止をいたしております。それと、墜落防止のための措置がしてなかったということで勧告措置をとっております。それから、四十四年の六月の二十五日に定期監督をやっておりますが、この際は格別違反はございません。それ以後監督はやってないのであります。ケーソン工事が開始されましたのは、六月の監督を実施しましてから三カ月後でございます。できることならば、先生のおっしゃるとおり、ケーソン工事の最中に監督をすべきであったろうというふうに考えられるのでございますが、先ほど来監督課長からも説明申し上げましたように、非常に工事地点が、特に大阪では最近多いというような事情もございまして、残念ながら、このケーソン工事を開始しましてから事故の起こるまでの間、監督を一回も実施していないのでございます。まことに遺憾に思っております。
○長谷部委員 まことに遺憾だというお答えでありますから、これ以上責めようとも思いませんけれども、大阪に何十カ所潜函工事が行なわれておるわけではありません。尻無川の大水門工事は世界最大級の高潮を防ぐ防潮工事であります。そんなにあちこちにあるというものではないのであります。しかも潜函工事であります。したがって、労働基準監督に携わる者としては、最重点に安全管理を点検しなければならないのではなかろうかと私は思うのです。それなのに、六月に、工事着工前の三カ月前に点検をしただけで、工事再開後一回もこの点検が行なわれてないというのは、これはどう弁解されましても、私は、労働基準局の怠慢だというぐあいにいわざるを得ないと思うのであります。したがって、この点は明らかにしてもらわなければ、その責任の所在を明らかにしていただかなければならない、こういうぐあいに思います。 それと同時に、昨日の私に対する答弁では、十一人に対する遺族の補償については完全に終わりました、こういった答弁をやっておるわけでありますけれども、私どもが調査をした段階では、韓国籍を持つ二人の朝鮮人労務者に対しては、現在、まだ未払いになっておる。こういうぐあいに実情の調査もろくにしないで、完全に終わっておりますというような答弁を、国権の最高機関であるこの場所でルーズな答弁をするというのは、私は、最も不見識だと思うわけであります。こういう点についてひとつ明らかにしていただきたい。
○松尾説明員 ただいま先生の御指摘をいただきましたように、まことに恐縮でございますが、現地との連絡の点では、確認をいたしました際には支払い済みである、末端から局を経て本省に上がります過程においてそういう食い違いがございましたことを深くおわび申し上げます。 そこで葬祭料といたしましては、三月四日までに十名につきましてすでに支払い済みでございますが、一名の者が韓国籍でありますのと、前払い一時金の中におきます一名の労働者につきましても韓国籍でありますので、調査をいたしておりますので、この調査の終わります時期を見て全部支払いを完了したい、こういうふうに考えております。 いま至急にやっておりますが、私どもといたしましては五月までには支払うことができる、こういうふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
○長谷部委員 五月までに支払いを終わりますというその場の答弁だけではいかぬと私は思うのです。韓国に国籍上の手続をして、そうして戸籍謄本その他の一切の手続を完了するには、今日までの経験をもってしては少なくとも一年はかかっておるのです。これが実態であります。それをいま五月までにやりますとかあるいは四月までにやりますとかいう、その場限りの、その場をのがれればよろしいというような無責任な答弁は私は了承するわけにはいきません。実態は実態としてはっきり認めてください。そうしてどうしても急がなければならないとするならば、これはひとつ現在日本の国内に居住しておる者にきちんと支払うような決断を労働省はやるべきだ、こういうぐあいに私は思うのです。 しかも大阪の労働基準局は、ある遺族に対して、補償金を急ぐあまり、もし将来新しく補償金の受給権者が発生した場合には、何の関係もない熊谷組にまで責任を負わせるというような念書をとってこの問題の解決に当たろうとするような態度については、私は断じて許すことはできないと思うのです。ですから、その辺の事情はひとつ補償課長の責任において十分に現地を調査をして、誤りのない回答を私は後刻いただきたいと思うのです。あなた方は調査しておらぬのです。ですからきょうはおそらく答弁できないと思うのです。ですから、五月でありますとか五月までに補償しますとか完了しますとかと言わずに、もっと実態を調査して、そうして後刻私この席を通じまして答弁をいただきたい、こう思うわけであります。 なお、私、この尻無川の問題につきましては委員長にお取り計らいをいただきたいと思うのですが、この問題でまだまだ未解決の問題がきわめてたくさんございます。特に昭和四十四年の十一月二十五日に発生した大災害でありまして、ときの政治情勢は解散、総選挙、こういう政治情勢のために、これだけの大問題がいままで一回も国権の最高機関である国会の場で議論されたことがないのであります。したがって、出かせぎ農民に発生いたしました大災害であるだけに、私はこの際、関係する参考人をこの席においでをいただきまして、もう少し事情を究明いたしたい、こういうぐあいに考えておりますので、ひとついずれ別の機会にその参考人召喚の機会をつくっていただいて、もっと議論を掘りさげさせていただきたい、かように考えておりますので、ひとつよろしくお取り計らいをいただきたいと思うわけであります。 以上要望いたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○三ツ林委員長代理 ただいまの長谷部君の質疑の中の、尻無川の災害補償についての関係参考人の件につきましては、後ほど理事会において協議いたしたいと存じます。 ————◇—————
○三ツ林委員長代理 この際、昭和四十五年度畜産物安定価格に関する畜産振興審議会の答申及び告示価格等について政府より説明を聴取いたします。太田畜産局長。
○太田政府委員 ただいま説明を求められました件につきまして、お手元にお配りしてございます資料につきまして御説明を申し上げたいと思います。 まず食肉関係でございますが、食肉につきましては三月二十六日に食肉部会を開きまして、畜産振興審議会の御審議をいただいたわけですが、お手元にお配りしてございますような答申をいただいております。諮問の趣旨が、要するに指定食肉の安定価格を定めるにあたり留意すべき事項ということで諮問をいたしておりまして、これにつきまして次のような附帯事項のつきました答申と、別紙として建議をいただいております。 まず答申の本旨でございますが「昭和四十五年度の指定食肉の安定価格については、最近における肉豚生産費の動向、豚肉の需給事情の推移および物価に与える影響を考慮し、慎重に決定されたい。」この御趣旨は、私たちが試算で示しました需給実勢方式の算式によりまして、御承知のとおり生産費指数というものを出しております。この指数がことしは一・〇二三というようなことに相なっております。そういった意味で、肉豚生産費の動向ということは、やや将来生産費がかかるのではないか、こういうことを私たちの試算でもお示しいたしたわけでございまして、こういったものを十分考慮しなさい。 それから肉豚の需給事情の推移でございますが、私ども事務当局が当日審議会の委員の各位に御説明申し上げましたのは、昭和四十五年二月一日現在におきますところの子取り用雌豚の対前年比の増加率が二五%に相なっております。なおかつ全体の飼育頭数の中に占めます繁殖用雌豚の頭数が一三%をこえております。こういった事態は、生産事情としては非常に回復基調にございまして、供給過剰になるおそれがあるのではないか。実はこの点につきまして、四十五年度の需要と生産の数字をお示しいたしました。この関係は〇・九九という数字に相なっております。今回はそれを用いまして、需給調整係数ということで、〇・九九という指数を用いて試算をお示しいたしたのでございます。そういった意味での「需給事情の推移および物価に与える影響」——この上位価格なり基準価格がきまることがすぐ物価に影響を与えるわけではございませんが、とにかく物価問題がこれだけ問題になっておる時期でもございますので、審議会の御答申としてはそういう配慮をなさったと思うのでございますが、「慎重に決定されたい。」 それから附帯事項でございますが、まず安定上位価格につきまして「安定上位価格をこえる騰貴を効果的に防止するため、豚肉の緊急輸入および関税の減免措置を機動的に実施すること。」従来御承知のとおり、豚肉につきまして国内自給をたてまえにいたしておりますが、やはり制度として、安定上位価格をこえて騰貴する場合には、その安定上位価格に落ちつけるというのが当然政府の政策態度であるべきでございまして、その際はやはり緊急輸入ということに現実の場合にはたよらざるを得ないわけでございます。御承知のとおり畜産振興事業団が買いをいたしまして、事業団の保管豚肉がある場合には、まず保管豚肉を用いまして、これを市場を通じて売るというような形で値段の引き下げをはかるわけでございますが、豚肉の保管在庫がない場合には緊急輸入にたよらざるを得ない。その場合の関税の減免措置、あるいは緊急輸入の発動等を機動的にやりなさい、こういった消費者価格に対する配慮ということが言われておるわけでございます。 それから二番目に「豚肉価格が安定基準価格を下るおそれがあると認められる場合には、畜産振興事業団の買入れが時機を失せず円滑に行なわれるよう万全の措置を講ずること。また、調整保管についてもその効果が十分に発揮されうる所要の措置を講ずるよう努めること。」上位価格についての附帯事項があると同様に、今度は基準価格を下がった場合の、どちらかと申しますと生産者サイドの問題になるわけですが、審議会の過程におきまして、畜産振興事業団が買い入れの時期をやや失するおそれがある。そういったことのないように、やはり輸入を弾力的にやるのであれば、買い入れのほうの措置もできる限り弾力的に措置するように十分備えをする必要があるのではないか。それから買い人れの前の措置といたしまして、農業者団体による自主調整保管という制度がございます。これは金利、倉敷等の助成をいたしておるわけでございますが、これらにつきまして、従来の経験によりますと、若干助成の内容が不十分である。そういった点につきまして、なお買い入れに至るまで調整保管によりまして、買い入れの事態が避けられれば最も好ましいわけでございますので、そういった調整保管について、これが十分にその効果が発揮されるよう所要の措置を講じなさい、こういうことでございます。 それから三番目が「安定価格の算定に当たっては、素畜費の取扱いにつき実情に即し所要の改善を図るよう十分検討をすすめること。」これは素畜費をどう見るかということが毎度議論になるわけでございますが、御承知のとおり子豚の価格といいますものは、たとえば飼育管理労働費のように、一般の物価や賃金水準によって動くものではなくて、まさに子豚に対する需給関係によって動くという性質のものであることから、他の費目のように肥育経営におきますところの生産性の動向を反映しているとはいえないという性質のものでございますから、今回の案におきましては、従来と同じように、過去におきますところの生産費の中に占めるウエートで、実は素畜費の価格を出しているわけです。この点につきましては前々から議論があるところでございまして、さらにそういった点についての改善をはかるよう検討を進めなさい、こういう御意見を賜わったのでございます。 それから建議が別紙としてなされたのでございますが、一つは「最近における肉豚資質の現況にかんがみ、優良純粋種豚の確保等改良増殖体制の整備を一層強力に推進すること。」この点につきましては、審議会でもやはり毎度問題になるわけですが、中肉の事業団買い上げの問題が問題になったわけでございます。中肉の買い上げの問題につきましては、実は昭和四十二年に畜産振興審議会の中に研究会を設けまして、一応二つぐらいの理由をあげて、買い上げはなかなか困難であるという結論が出ておるのでございまして、審議会としては、いまさら中肉の買い上げというのはなかなか困難であるということに相なっておるわけですが、農家の方々がたいへん心配なさる理由は、最近上肉に比べますと、中肉の流通量がかなり多くなってきておる。それで政府は優良純粋種豚の確保等の対策によりまして、要するに資質の向上をはかれるような改良増殖の体制はいま程度のことではだめである、もっと強化しなさいという建議をいただいております。 それから二番目は「肥育豚経営の規模拡大の過程において繁殖豚経営の立遅れが目立っている実情にかんがみ、肥育豚経営の多頭化に対応して、繁殖豚経営の構造改善の促進、一貫経営の育成等子豚の安定的供給体制の整備を推進すること。」これはまさに現在の養豚経営の実態をあらわしておるわけでございまして、肥育豚経営はかなり大規模化、多頭化が行なわれておるわけでございますが、どうも素豚を供給いたしますところの繁殖豚経営が非常に規模が零細である、副業的な経営が多いというようなことから、実は豚肉の価格変動は、子豚の安定的供給の確保をはかることが変動を避け得る一つの有力な手段である、こういう認識に立ちまして、やはり繁殖豚経営の構造改善というものを進める必要があるのではないか。さらに一貫経営の育成、こういったものを通じまして子豚の安定的供給体制の整備を推進しなさい、こういう建議をいただいたのでございます。 そこでお手元に「農林省告示第四百二十二号」ということで、昨年、すなわち昭和四十五年三月三十一日付で、昭和四十五年度の指定食肉の安定価格を次のように定めて告示をいたしております。これを御報告申し上げます。 「畜産物の価格安定等に関する法律施行規則第三条第一号の豚半丸枝肉一キログラム当たりの安定基準価格及び安定上位価格は、次に掲げる額とする。一、皮はぎ法により整形したもの、安定基準価格三百四十五円、安定上位価格四百二十二円。二、湯はぎ法により整形したもの、安定基準価格三百二十五円、安定上位価格三百九十二円。」これらは、まず一の皮はぎ法により整形したもの、これが東京の卸売り市場の値段でございます。それから二番目の湯はぎ法により整形したものが大阪の卸売り市場の値段と御理解いただけばよろしいわけでございます。そこで畜産振興審議会に諮問いたしました数値は、第一の皮はぎ法により整形したものとして諮問をいたしておりますわれわれの試算が、若干の端数がございましたが、安定基準価格は三百四十五円、対前年十円のアップ、それから安定上位価格は四百二十二円、前年に比べますと十二円アップという数字で一応試算をお示しいたしたのでございますが、大体その原案で、われわれは、審議会の過程を通じましてよろしかろうということで、こういったふうに決定いたしまして告示をいたした次第でございます。 それから次に牛乳、乳製品関係でございますが、同様お手元に答申と告示が配付いたしてございますので、これにつきまして御説明申し上げます。 これまた同様三月二十八日土曜日に審議会をお開きいただきまして御答申をいただいたのでございますが、豚肉の場合と同様、たとえば保証価格あるいは基準取引価格、限度数量、安定指標価格、これを定めるにあたり留意すべき事項という諮問をいたしております。 これにつきまして、次のような答申と建議をいただいたのでございます。 まず答申でございますが、「加工原料乳の保証価格については、酪農経営の安定、合理化の方向に即して適正に定めること。」この点につきましては、保証価格がだいぶ議論になったわけでございます。政府原案は、前年度据え置き、キログラム当たり四十三円五十二銭、これを試算としてお示しいたしたのでございますが、これをめぐりましてたいへん議論があったわけでございます。 議論の代表的なものといたしましては、価格を上げたほうがよろしいという御意見もございました。据え置くべきだという御意見もございました。下げろという御意見もございました。これらを通じまして、それぞれの見方があるわけですが、要は帰するところ、どちらが酪農経営の安定なり合理化の方向に即するかというところが分かれるところであるわけでございますが、「即して適正に定めること。」こういう答申に相なったわけでございます。 それから二番目の「指定乳製品の安定指標価格については、乳製品の需給の動向等にかんがみ据置きとすること。」この点につきましては、私どもの試算では据え置きの案をお出しいたしたのでございますが、これは最近の需給の実勢から見ましてよろしかろうという御答申になったかと了解をいたしております。 それから三番目が、「加工原料乳の基準取引価格については、指定乳製品の安定指標価格を適正に反映することを旨として定めること。」この基準取引価格と申しますのは、メーカーが加工原料乳に対して支払い得る乳代でございます。もちろんこれは生産者に支払い得る乳代でございます。そこで御承知のとおり、安定指標価格から標準的な処理加工経費を差し引きまして、乳代を出すわけでございますが、「安定指標価格を適正に反映することを旨として」定めなさい、こういう答申をいただいております。 それから「生産者補給交付金の対象となる加工原料乳の数量の最高限度については、需給の通常の変動を考慮して、これを適正に定めること。なお異常な変動があった場合には、法第十一条第八項の手続をとること。」ということで、限度数量は最近非常に大きな問題になっておるわけでございますが、この制度が設けられました趣旨等もございまして、需給の通常の変動を考慮して、まずきめなさい、そして異常な変動があった場合には畜産振興審議会に諮問をいたしまして、改定の手続をとりなさい、こういう御答申に相なっておるわけです。 それから別紙として建議がありますが、二点ございまして、「最近の酪農事情にかんがみ、生産の合理化と需給の均衡を図ることが急務であると考えられるので、一、酪農経営の合理化がさらに一層円滑に進むよう、諸般の措置を拡充強化すること。」特に農林省自体でもそういったことをいっておるわけでございますが、価格政策に過度に依存するという形での農家所得の確保というようなことではなしに、できれば構造政策を進めて、これによって他産業に負けないような所得が得られる農業をつくってまいりたいということを申し上げておるわけですが、今回の酪農部会におきまする議論におきましても、その点が非常に大きく取り上げられまして、こういった点についての施策にまだ欠ける点があるだろうということで、やはり何と申しましても合理化コストの引き下げということをさらに一そう進めなければならない、そのための政策をもっと拡充強化しろという答申をいただいております。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 それから二番目が「飲用牛乳の消費拡大を図るため、価格安定、品質の改善向上、流通段階の合理化措置を一層推進すること。」飲用乳の消費拡大、要するに牛乳が、飲用乳化されることが一番農家にとりましてもよろしいわけでございまして、飲用乳化の促進というのが実は至上命令になっておるわけでございまして、最近消費の伸びがやや鈍化をいたしておるというようなこともございまして、建議にも書いてございます「需給の均衡を図ることが急務である」というような趣旨からいきましても、酪農政策を進める上からいきましても、飲用牛乳の消費拡大ということが必要である。そのためには飲用乳価の値段を引き上げるようなことをやってまいりますと、また消費の伸び率が鈍化するというようなこともございますので、価格の安定ということは特に考えなければいかぬ。それから牛乳の品質の改善向上、この点も何かよくカゼイン、乳糖等の入った加工乳もあるのではないかというような、とかく世間では不信感を抱いておりますので、そういった意味での品質改善向上を一そう推進しろ。 それから流通段階の合理化措置でございますが、御承知のとおり生産者段階、メーカー段階それぞれ合理化努力をされておるわけですが、小売り段階におきましては経費のうちの六八%が人件費であるというようなことで、小売りの段階の合理化が非常にむずかしい。しかしさればといっていろいろな形での小売りの流通の省力化というような提言もあるわけでございますが、これらを実行に移して、流通段階での値上がりというものを未然に防止する必要があるという趣旨で「流通段階の合理化措置を一層推進」しろ、こういう御建議をいただいたものというふうに理解をいたしております。 そこでこういった御答申をいただきまして、これまた豚肉と同様、昨日告示をいたしておりますので、この告示の内容につきまして御説明申し上げます。 まずお手元にお配りしてございます告示でございますが、四つの項目につきましてきめております。 まず第一が「加工原料乳の保証価格」でございますが、単位は一キログラム、保証価格が四十三円七十三銭ということでございます。前年度が四十三円五十二銭でございますから、二十一銭のアップということでございます。 それから「加工原料乳の基準取引価格」は、一キログラム当たり三十七円十銭、前年度が三十七円三銭でございますから、七銭のアップでございます。 それから「生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度として農林大臣が定める数量」と申しますのは、百四十五万五千トン、前年度が百三十五万トンでございますから、十万五千トンのアップでございます。 四番は据え置きの諮問をいたしましたと申し上げましたが、昨年どおりでございまして、「指定乳製品の安定指標価格」は、バターが一キログラム当たり六百四十七円、脱脂粉乳が二十五キログラム当たり九千七百十一円、全脂加糖練乳が二四・五キログラム当たり五千二百九十二円、脱脂加糖練乳が二五・五キログラム当たり四千七百五十六円。 それから注が書いてございますが、これはいつも告示の際こういったことを注として併記いたしておるのでございますが、「加工原料乳の保証価格及び基準取引価格は、乳脂肪分三・二パーセントの加工原料乳について定めたものである。」ということでございます。それから「加工原料乳の保証価格及び基準取引価格は、加工原料乳の生産者が加工原料乳を乳業者に販売する場合の工場渡し価格について定めたものであり、指定乳製品の安定指標価格は、指定乳製品の生産者が指定乳製品を需要者に販売する場合の需要者の倉庫渡し価格について定めたものである。」という例年と同様の注を付して、三十一日付で告示をいたした次第でございます。 以上で説明を終わらせていただきます。
○草野委員長 以上で説明は終わりました。 ————◇—————
○草野委員長 引き続いて農林水産業の振興に関する件について質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 過剰米についてお尋ねをいたしたいと思います。 古米、古々米等の過剰米は昭和四十四年産米だけでなく、概略現在五百五十四万トン生ずる見込みであると聞いております。またことしの秋には七百五十万トンから八百万トンになるといわれておりますが、これはまさに一年分の配給量に当たるわけでございます。この過剰米の処理については四十五年度予算において、当面工業用として十六万トン分七十億円の予算を引き当てておられるようでありますが、五百五十四万トンにものぼる過剰米のうち、四十五年度、何万トン程度の処理を見込んでおられるか。またその処理について具体的な内容はどうなっているか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
○森本政府委員 過剰米の処理につきましては、私どもこういった相当膨大な数量をかかえておるわけでありますから、財政問題にもからみますし、できるだけ食管会計の収支にも悪影響を及ぼさないというような観点、それからこういった主食用として生産をされたものでありますから、その用途等につきましても精査をしなければならぬという観点もございます。それからまた、それぞれの用途向けに処分をいたしましてそれが適確にそういった形で使われる。端的に言いますと、横流れといったようなことがないように十分考えなければならぬということで、一面慎重を要するというふうな点もございます。 さようなもろもろの観点から、過剰米の全体についての処理、つまりいかなる用途に、ほぼどういう数量を、どういうテンポで処理をすればいいかということについてはまだ十分固まっておりません。近くそういったその道の専門家に集まっていただきまして、大体私どものほうでも、いろいろな資料なり材料を整備をいたしておりますので、そういった方々にお集まりをいただいて最終的な処理のめどをつけたい。また、こういった問題については、単にものとしての処理のめどということだけでございませんで、ある意味では財政に対してもかなり大きな影響を及ぼすわけでありますから、そういった財政処理のあり方といったようなものも並行して検討をしなければならぬというふうなことがございまして、先ほど申し上げたような方々にお集まりをいただいて全体についての処理はめどをつけたいというふうに思っておるわけであります。しかし、こういった処理は一日もゆるがせにできないということで、すでに輸出等については一年ほど前から始めております。また、本格的な処理をいたす前に、若干試験的な売却をいたしまして、そういった用途にほんとうにうまく向けられるかどうかといったようなこともあらかじめやっておく必要もあろうかと思います。そういうものについては、とりあえず試験的な売却を始めてみるというふうなことも考えて準備をいたしております。 さような段階でありますから、予算的な処理といたしましては、四十五年度とりあえず過剰米処理の経費として先ほど御指摘がございましたような積算で予算的な処理をいたしておるわけでございますが、こういった特別会計のことでございますから、そういった予算的な計上についても、もちろんわれわれとしても十分考える。また、今後現実の処理にあたっては、食管会計における決算あるいはその後の財務の事情といったものをにらみ合わせながら、現実的なまた弾力的な処理をいたしていきたいと考えておるわけでございます。
○瀬野委員 ただいま答弁をいただきまして、近く専門家に集まっていただいて最終的なめどをつける、財政的な処理のあり方等も並行して考えねばならないからというような意味の説明がございましたが、御承知のように、古々米の売却というものは、早急に結論を出さないことには、梅雨期が参りますと、これは古々々米ということになりまして、ますます品質が低下してくることは御承知のとおりであります。当然この点も考慮して計画を進めねばならぬ、こういうふうに思うわけでありますが、売却計画等についていまだ立案ができていないような模様でありますけれども、それでは、いつごろまでに結論を出して実施をはかるようになさるのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、全体の数量についてほぼめどを立てるというのは、学識経験者にお集まりをいただいて、そういった検討の結果をまって早急にめどをつけなければならぬと思っております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、それまでは全然処理をしないかということになると、たとえば輸出用等につきましては、これは処理の方途としては一般の人が見られてもきわめて適切な用途であるということになっておりますから、外国からの引き合いあるいは求めがございますれば、それに対して十分こたえていくというふうな形で、現実的なこたえようはしていきたいというふうに思っておるわけであります。
○瀬野委員 ただいま説明がありましたが、その実施のめどについては答弁がありませんでしたけれども、国民の血税で買いましたこのばく大な米、一方では生産調整を推進しながら、このようなたくさんの米が過剰米として残っているという問題も、ゆるがせにできない問題でございます。いろいろ聞くところによると、米もだんだん変質してきていることも聞いておりますが、この点については後ほど触れることにいたしまして、早急なるこれらの処理の計画等を立てて、学識経験者と検討なさって結論を出すべきである、このように思うわけであります。 そこで、具体的な問題に若干入ってまいりますが、先日新聞にも報道されておりましたように、この払い下げ米の問題について横流しの問題があっております。 御承知のように、古々米特別処理ということで、この米を、マル公よりももちろん安いものですから、悪徳業者が裏で暗躍を始めて、これらやみブローカーが、米をやみルートでもう一度配給米に化けさせて利ざやをかせごうということがいわれております。一方この処置で膨大な赤字をかかえる食管会計は、さらに赤字を増すということにもなってまいるわけでありますが、食糧庁の最近の調査では、やみ業者がトン十万円なら幾らでも買う、こういうふうにいっている。加工業者はトン七万四千円までで政府から買い、十万円でやみ米業者等へ売れば、加工業者が二万六千円ばかりもうかる、こういったことがいわれておるわけでございますけれども、こういった問題について、どういうふうに手を打っておられるのか、またこういう問題が今後あちこちに起きてくる可能性があると思いますが、これらに対する考え方、御見解を承りたいのであります。
○森本政府委員 さような風説なりうわさなりというのが流されておるということは私どもも聞いております。したがいまして、この処理については、私どもとしても、さような風説のようなことにならないように、できるだけ横流し等の防止措置は厳重にやっていきたいということで、いま頭を悩ましておる最中であります。 いろいろな、向けます用途によって多少違ってくるかと思うのですが、いずれにいたしましても、売却をする相手が十分私どもの監督に服する、また私どものほうでもできる限り手を尽くして横流れがないように監督をしていくという、両面からこの問題に対処していかなければならぬと思います。仲に入る人あるいは買おうという人が、さような風説をなしておるということはございますけれども、私どもとしては、食糧庁のほうから直接払い下げを受ける方々が横流しをしないというふうな態勢、心組みを十分とっていただくこと、また私どももそれに対して十分監督をしていくこと、その二面から、風説のようなことにならぬように、できるだけひとつ厳重にやっていきたいということでいま検討をしておるところであります。
○瀬野委員 検討をしておられるということで、まだずいぶんこれは手の打ち方がおそいようにも思うのですが、何か聞くところによると、古米に色とかにおいをつけて売ったらどうか。そうすると、飼料なんかに売った場合にはにおいがあると家畜が食べないという問題もあるということを聞いたことがあるのですが、そういったことも何か考えておられるわけでございますか。
○森本政府委員 さような方法もあるいは一つの方法かと思いますが、かつて飼料用に麦を売却いたしましたときに、油を注入いたしましてやった例があります。しかし必ずしもそれは完全な防止方法ということにはなっていないようであります。それを洗剤で洗いますと油が抜けるとか、そういったこともまた一面ありますから、防止をいたします一つの方法としては、食糧庁のほうから売却をいたしまして、輸送する途中ですでに横に持っていかれるということもあり得るかとも思いますから、荷物を運びますには、使いますところの工場なりそういった作業場に私どもが直接送りつける。また作業場におきましても私どものほうでできるだけ常駐をして、その作業の過程を監督する。その監督をするために、監督のしやすいような工場を対象にするといったようないろいろな観点から検討をいたしておるわけでありまして、御指摘のようなことも一つの検討の材料であろうかと思いますけれども、物理的な変化を加えただけで安全であるかどうか、これは一考を要するところであろうと思っております。
○瀬野委員 四十五年度予算で飼料用に六万トン実験的にやる、こういうようにいわれておりますが、いまのところえさの原料でありますマイロとかトーモロコシ、こういった値段にしなければ協会のほうの飼料価格にも影響するというふうにいわれておりますが、こういった飼料にする場合の値段、また今後どういうように古米の飼料の場合の価格についてはお考えであるか、お尋ねしたいのであります。
○森本政府委員 従来米を使っておりました用途でありますれば、大体従来使っておりましたことからその値段というのがほぼきまってくるわけでありますが、こういった古い米を処分いたします際には、新しいいままで使ってなかった用途に使っていただくということが必然的に出てまいります。そういう場合には従来の値段がないわけでありますから、いかなる値段で売却をするかということが非常にむずかしい問題になります。しかしそれを使ってもらう方は従来何らかの原料を使って営業しておったわけでありますから、米が何らかの原料に代替をするという形になりますから、当然その代替される原料の値段ということが有力な参考材料になるというふうに思います。しかし米とそのかわるべき原料とが同じ物理的な成分であるかどうかといったようなこともありますから、原料価値の差といいますか、そういったものについてもやはり着目をしなければならぬということがございますから、私どもとしてはそういった観点から幾らで売るのが一番至当であるかということを考えております。 いずれにいたしましても、さようなことで米にかわるべき原料の値段といったようなこと、あるいはまた原料価値が米と他のものとはいかなる関係になるかといったようなこと、あるいは工場の採算といいますか、使われるような値段といったようなことも一つの観点に入れなければいけませんから、さようなことを総合的に勘案をして適正な値段をきめるべきではないかというふうに思っております。
○瀬野委員 四十五年度、工業用に十六万トンを見込んでおられるようでありますが、これも、従来みそ、しょうゆなどに払い下げをしていたくず米と同じ単価で払い下げる、こういうふうに聞いておりますけれども、この点はどうでございますか。
○森本政府委員 それにつきましても、いま申し上げました抽象的な原則で大体当てはまるかと思うのでございますが、従来外米を使っておったあるいは砕米を使っておったといったようなものにこういった古い米が置きかわるということでございますれば、先ほど申し上げましたような抽象的な原則に従ってものごとを考えていったらどうかというのがただいまの感じであります。
○瀬野委員 カビのはえた米は、人間が食べるとは考えられませんけれども、一番問題なのは家畜でございます。飼料として家畜が食べた場合、外国においては、カナダ、アメリカ、ソ連とかまたは南アフリカ等でカビにより死亡したという例を承知しておるのでありますが、こういった問題についてはどのような見解を持っておられるか。また、害がすぐにあらわれなくても、わずかずつであっても長期にとれば慢性中毒というようなことになる。こういうふうに聞いておりますが、こういったことについての見解を承りたいと思います。
○森本政府委員 先般一部の新聞にそういったことが報道をされました。あれは私どもの読んだところでは、必ずしもそういった米に有毒なカビがすでに発生しておるといったようなことを伝えたものではないように思っております。日本のようなこういった気候風土におきましては、さようなことも心配をされるからよく注意をするようにという趣旨の新聞の記事であったと私どもは見ておるわけでありますが、もちろんそういうことについて私どもも十分注意をしなければならぬということで、従来主として米の管理にあたりましては、定期的に月一回見回りを実施いたしまして、カビが発生しそうであるというときには直ちに薫蒸をするというふうなことで、かなり厳重な管理をいたしておりますから、いま保管をしておるものにつきましては、カビが発生していることはまずないのではないかというふうに思っております。しかしああいったこともございますので、すでに食糧研究所に命じまして、四十三年の春と四十四年の秋に二回、古い米につきまして、有毒なカビが発生していないかあるいは有毒物質を出してはいないかということを検査いたしまして、いずれも二回ともさようなものは発生していないという検査結果を得ております。ただ、御案内のようにこういった口に入るものでありますから、私どもとしては、かようなものの扱いについては慎重の上にも慎重を期すことが適当であろうということで、目下検討をいたしておるところであります。
○瀬野委員 そこで、古々米の払い下げが食管法に触れ、また財政法や会計法にも触れてくるわけでございますが、こういったことについてはどのようなお考えを持っておられるかお伺いしたいと思います。
○森本政府委員 御質問の趣旨が必ずしもよくわからないのですけれども、私ども法規的な関係といたしましては、食管法の第四条で米穀の売り渡しをしておるということでありますし、また原材料用等についてもさような根拠規定に基づいて売却をいたしておりますから、御指摘のような、今回あるいは今回以降処分するものにつきましても、さような根拠規定をもってやっていけるものというふうに思っております。
○瀬野委員 そこで、現在農林省でいろいろ試験をやっておられますが、若干お尋ねをしたいと思います。 琵琶湖の水中貯蔵試験を行なっておられることはずいぶん前に報告されておりますが、琵琶湖の北方木之本町の地先二キロの地点で行なわれておるやに聞いております。たしか四十四年の四月中旬に沈設しておられますが、その後どういうふうになっているか。一部成功したやに聞いているし、一部失敗したやにも聞いております。その試験結果についてお伺いしたいと思います。
○森本政府委員 御指摘のように、新しい貯蔵方法ということで琵琶湖の水中貯蔵試験というのをやってまいりました。これはいろんな容器に分けまして、米を水中に沈めるというふうなことでやってまいりました。たとえば塩化ビニールの容器、合成樹脂の容器、ゴムの袋というようなことでそれぞれやってまいりました。試験の結果では、昨年の四月に沈めまして七月に一たん揚げ、また十一月に一たん揚げるというふうなことで二回にわたって引き揚げたわけでありますが、一部の容器については異状はない、一部の容器については水漏れがある、あるいは一部の容器については破損があるというふうなことで、試験の結果としては、一口に言いますと、技術的になお検討を要する点がある、したがって実用化を直ちにするにはまだ技術的な問題を検討しなければならないというふうな状況であろうと思っております。
○瀬野委員 それでは、この琵琶湖の水中貯蔵試験はどのくらいの経費を使ってやられたものか、また今後の見通しはどういうふうになさるのか。結果、まだ検討が進んでいなければ、水中貯蔵は思いとどまる考えであるか、今後も試験をまだ続行されるのか、こういったことについてお伺いしたいのであります。
○森本政府委員 試験の費用としましては、約四百万ということであります。 これからどうするのかというお話に対しましては、先ほど言いましたように、試験の結果もまちまちでありますから、実用化するにはまだ問題がある。もう一回試験をやってみるかどうかといったようなことについては、いま考えておるところであります。
○瀬野委員 いまの答弁で、今後考えてみるということでございます。もう昨年四十四年四月から試験をなさっていまだに結果の具体的な報告もないし、今後考えるということでございますけれども、たくさんな国費を使っての試験でありますので、いずれはっきりと試験結果、今後の見通し等について報告を願いたい、このようにお願いするわけです。 そこで、この琵琶湖の試験に相前後して京都大学でも何か別に試験を実施しているやに聞いておりますが、承知しておられるか、お伺いしたいのであります。
○中村説明員 京都大学の満田先生がわれわれの実験と相前後いたしまして、琵琶湖において水中貯蔵の試験を実施されております。われわれのほうも京都大学の満田先生と連絡をとりながらやっておりますが、まだ先生のほうの結果の報告を受けてない状態でございまして、今後どういうふうになったかということを打ち合わせしたいと思っております。
○瀬野委員 次に、洞窟貯蔵についてお尋ねします。 栃木県の大谷では二月六日から試験を開始した、また松島湾の採石あとでも二月の五日ごろから試験を開始したやに聞いておりますが、このような洞窟試験をほかにもやっているのかどうか。たしか山口県の鍾乳洞でもやるように聞いておりますが、食糧庁としてはそういったことを考えて推進しておられるものか、その状況についてお伺いしたいのであります。
○中村説明員 洞窟試験につきましては、いま松島の近くで一カ所と、それから栃木県の大谷で、二カ所で洞窟試験をやっております。なお舞鶴の弾薬庫のあとでも、これは試験というよりも、もう実用化した形で実施しております。いまお話のございました山口県の鍾乳洞でございますとかあるいは福岡県の軍施設のあとでございますとかいろいろなところに、洞窟でありますとかあるいはトンネルでいま使ってないものでありますとか軍施設のあととか、そういうものが各地にございますが、それらにつきまして、その状況を各食糧事務所をして調査させまして、交通の便あるいは洞窟の状況その他米の貯蔵に適す洞窟であるかどうかというふうなことを調査をいたしておりまして、これらにつきまして今後使えるものは試験をやっていきたい、このように思っておりますが、現在のところは二カ所でやっております。 なお、この試験の結果が夏のつゆどきあるいは高温な七、八月を通過してみませんとどのような形になるかということに心配がございますので、まず本年度はいまの二カ所で夏を越させてみまして、米の保管に支障ないかどうかということを見きわめた上で次の段階に進んでまいりたい、このように思っております。
○瀬野委員 いまもちょっと話がございましたが、舞鶴の旧軍隊の弾薬庫あと、ここにはたしか千二百トンの地下式による貯蔵が現に行なわれている。ところが地元の話では、ずいぶん弾薬庫の地下室であるがゆえに湿度が高くて、温度もかなり高いということから、米が相当カビがはえて黄変米になっているやに聞いておりますが、先ほどの長官の話ではそういった報告を聞いてないような答弁がございましたけれども、実際にどういう状況になっているのか。最近掌握しておられるか。あとで問題にでもなるとこれは困った問題になるわけですが、その点もお伺いしたいのであります。 なお、生駒山の旧鉄道トンネルあとにもかなり貯蔵してあるやに聞いておりますが、この状況についてもお伺いいたしたいのであります。
○中村説明員 舞鶴の弾薬庫のあとにつきましては、おっしゃいますように湿度が高うございますので、除湿機を取り付けましてやっておりまして、湿度の調整をいたしております。温度も、これは弾薬庫のあとでございますので低うございます。私のほうで調べたところでは、そういったカビ等の変質、そういった事故はいまのところ起こっておりません。 それから生駒のトンネルのあとでは、私のほうでは米の貯蔵はいたしておりません。
○瀬野委員 そこで過剰米の保管管理でございますが、倉庫状況を見ますと、低温倉庫の収容量も微々たるものであります。現在三十万トン程度というふうに伺っておりますが、また薫蒸さえ不可能な倉庫もたくさんありまして、これらを考え合わせますときに、過剰米の管理など品質の保持の点につきまして定期的に官能検査を行なっているようでありますが、聞くところによると、定期的な検査が年に三回、月に一回の見回りというふうに聞いておるわけであります。その点についてはこの程度で管理状況に手落ちはないか、御見解を承りたいのであります。
○中村説明員 低温倉庫につきましては、これは先生の申されましたように、つい二年前までは四十万トン程度の収容力でございましたが、四十三年度百二十億、四十四年度七十億、合計百九十億の農林漁業金融公庫の低利融資措置によりまして低温、準低温倉庫の建設促進をいたしました結果、現在では従来からありましたものと合わせまして約百七十万トンの貯蔵能力を持つに至っております。 それから定期検査年三回、少なくとも月一回随時見回りをするということは仰せのとおりやっておるわけでございまして、十分に注意をいたしまして、庫内の温度が高くなるとか、あるいは穀温が上がりそうであるとか、水分が多くなりそうだというようなときには、それに対応して保管の指導もいたしますし、カビの発生のおそれがあるというようなときには薫蒸をいたすというふうに、いろいろと十分な管理をいたしておりますので、現在われわれの管理しております米につきましては、軟質米自体における倉庫の一番下の段にあります米が地面からの湿気でときに台つきが起きるとか、あるいは一時的な雨の降り込みによりましてぬれが出るとかというようなごくまれな、特殊なケース以外には変質その他の事故は起こっておりません。
○瀬野委員 私が聞いているところでは、一四%以上になるとカビが発生をする、こういうことです。したがって、入庫している米については保管管理の強化が最も大事だ。ばく大な米でありますからたいへんな管理が要るわけでございますけれども、食糧庁としてはどの程度の含水量以上であればカビがはえるとか危険であるという見解を持っておられるか、その点お伺いしたいのであります。
○中村説明員 米の含水量とカビの発生の関係は食糧研究所等でもいろいろ研究をいたしておりまして、これは水分の含有率とそのときの室温なり穀温なりとの関連におきましていろいろ違うわけでございますが、最も危険な、高温多湿の夏場におきましては、水分が一三・五%以下であればまず安全である、それ以上であればカビの発生するおそれはある、そういうことでございますので、そういった時期には重点的に薫蒸をいたしまして穀温を下げるという手段によりまして、カビの発生を防止いたしております。
○瀬野委員 先ほどもちょっと触れましたが、昨年あたりから貯蔵米の商品価値を失った不良米が出ておるようであります。こういった量はどの程度あるのか。また不良米は現在倉庫に置き去りにされていると聞いておりますけれども、こういった不良米をどうする考えであるか。このような結果を招かない前に当然処分すべきではないか。御承知のように米が余っておるとはいいながら国家の大きな損失であるというふうに思うわけであります。そういったことについてお知らせをいただきたいと思います。
○森本政府委員 従来は主として事故米は、火災でありますとかあるいは風水害でありますとか、さような関係から発生するものがウエートとしては多かったわけであります。先ほど申し上げましたように、台つき米とかそういった形で多少品質が変化をしたものもございますが、そういうものを全体ひっくるめますと、四十四会計年度では約千トン、四十三会計年度では三百トン、四十二会計年度では千三百トンといったような数字になっております。こういったものの処理は、大体それぞれの品物の状況に応じまして、私どもとしては主として原材料用に売却をいたしております。主食用として当然不適当なものでありますから、それぞれの品物の品質に応じまして用途をきめまして、それぞれ売却をしておるわけであります。
○瀬野委員 古々米の放出に際しまして、最近カビ学者の人たちから、古々米に有毒カビが付着している疑いがあるとして警告されておるようでございます。過去に、たしか昭和二十八年と思いましたが黄変米事件が起こり、急性毒性や発ガン性を持った毒カビが発見され、問題になったことがございました。特に当時はカビによりガンが発生するというようなこともいろいろいわれまして、十数年の研究の結果ガンになることが判明して現在問題になっている、こういうふうにも伺っております。そこで、普通の米のカビでも有毒カビが分離される事実もあるやに聞いておりますが、この古々米等の有毒説は国民の大いに関心を持っているところでございます。これらのことを食糧庁はどう受けとめておられるか、これに対する処置はどう考えておられるか、御見解を承りたいのであります。
○森本政府委員 その問題について先ほど概略お答えしたつもりであります。若干前の繰り返しになりますけれども、新聞の報道は現実に米を調べまして、有毒なカビが発生しておる、あるいは有毒な物質が出ておるということを実証に基づいて指摘しておるわけではないようでありまして、一般的にかような気象条件でありますから、穀類についてはそういった可能性があるので十分注意をして処分に当たるようにという御警告であるというふうに私どもは受け取っております。先ほども言いましたように、現に私どもとしてもさようなことを考えまして、四十三年の春と四十四年の秋に食糧研究所が試験をいたしました。それは直接有毒であると思われておるような物質、それについての定量の試験——それを直接検出をする試験方法がありますから、それをやってみる。また有毒な物質を出すもとになるカビが発生しておるかどうかということについて、培養の検査をするというふうなやり方によりまして二回とも試験をした。その結果有毒な物質あるいは有毒物質を出す可能性のあるカビの存在は認められなかったということになっておるのであります。しかし、さようなことを有力な学者が警告しておられるわけでありますから、なお念には念を入れるというふうなことで、今後処理をしてまいるにはいかなる方法を講じればいいかということについて、目下厚生省その他と打ち合わせをしておるところであるというのが現在の状況であります。
○瀬野委員 それでは、結論を出してくれという連絡でございましたので、最後に一点だけお伺いして、過剰米に対する質問を終わりたいと思いますが、いまもお話がありましたが、古々米の今後の払い下げにつきまして、培養検査等を考えておられるようでありますが、今後具体的な計画を立てられて、これらの処置をなさっていく段階になってくると思いますが、十分な調査とまた検査等を行なって、今後放出していくというようにすべきである、こう思うわけです。これらのことを考えましたときに、飼料にしてもまた食糧として出すにしても五百五十四万トン、いよいよことしの秋には八百万トン近い古々米が在庫するわけでございますので、食糧庁としても検査体制を早急に確立して、今後処置をされるようにお願いをしたいわけでありますが、これに対して最後に長官に御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
○森本政府委員 御注意をいただいたようなことは、私どもとしても十分肝に銘じまして処理をいたしていきたいと思っております。保管管理にあたりましては、もちろん経済的な面からも十分物品の善良な管理ということをしなければならぬわけでございますし、また先ほどのような品物の変質といったようなことで一般の方々に御迷惑をかけるというふうなことのないように、保管管理については十分注意をしなければならぬ。また物品の見回りなりあるいは検査といいますかそういったものの取り調べにつきましても、私ども十分心をして今後やってまいりたい。いずれにいたしましても、かような物品の取り扱い、販売でありますから、一般の方々に御心配をかけないような形で物を管理し、処分をするということは私どものつとめでありますから、さようなことを十分留意をしながら今後やってまいるつもりであります。
○草野委員長 次回は明二日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十四分散会