農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 229 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/03/06
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。千葉七郎君。
○千葉(七)委員 二月十九日に開かれました本委員会におきまして、倉石農林大臣は所信の表明をされたのでありますが、その所信表明を中心としまして、日本の農業の当面をしておる問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと存じます。 大臣はその所信表明におきまして、冒頭に「最近の農業をめぐる諸情勢の変化は著しく、米の過剰をはじめ種々困難な問題に直面しております。このような情勢に対処し、政府としては総合農政の展開をはかる」、このように申しておるのであります。確かに米が余っておるということは、日本の農業にとりまして重大な問題だと存じます。この問題をはじめとして、種々困難な問題に直面をしておるという表明でございますが、最初にお尋ねいたしたいのは、この種々困難な問題とはどういうことをさしておられるのか、この点をお伺いいたしたいと存じます。二の米の過剰の問題以外の種々困難な問題に対する政府当局の認識あるいは見解いかんによっては、この総合農政に対する考え方もいろいろ異なってくるのではないかと思うのであります。したがって、まず第一に、この種々困難な問題について具体的な見解をお伺いいたしたいと存じます。
○倉石国務大臣 ただいまの農業全体を見ますときに、いろいろ困難な問題が横たわっておると思われるのであります。いまここにも申しております米の過剰問題もその一つでありますが、全体としていま国内的にも国際的にも経済状況がたいへんな変転をいたしておるわけでありますが、農業もそれ自体一つの経済活動でありますので、いろいろなあおりを当然受けるのはやむを得ないことでありますが、いま、たとえばわれわれの産出いたしておる農作物と競合いたす品物について輸入自由化の問題もあります。国内消費者側から、あるいは国民全般から考えた物価の問題を考えてみますときに、生産性の比較的おくれておるといわれておる農業の面では、やはり労働賃金の上昇などによるコストの影響もかなりございます。いろいろそういうことを考えてみますというと、こういう変転してまいります、しかも一般的には高度に経済成長していく中で、産業としての農業を維持していくためには、いろいろな困難を克服して、これに勝ち抜いていかなければならないと考えておるわけでありまして、私どもはそういう意味で、いろいろなむずかしい問題を控えておるその中で、農業がりっぱな産業として、他産業にひけをとらない農業を育成していくためには、数多くの困難を覚悟しておらなければならない、こういうことを申しておるわけであります。
○千葉(七)委員 いろいろ困難な問題についての御披瀝があったわけであります。そこで、この困難な問題を克服するための総合農政の展開、かように理解いたすわけでありますが、私、第一にお伺いいたしたいのは、農業政策の最高の目標と申しますか、または使命と申しますか、日本の農業の発展のために策定される農業政策の最高の目標は、国としてはどのようにお考えになっておられるかという点をひとつお伺いいたしたいと存じます。
○倉石国務大臣 一般的に申しまして、一億をこえる日本国民の食糧を供給する重い任務を持っております農業、この農業が他産業にひけをとらないようなりっぱな体質を備えていくことをまず考えなければならない。農業についてはそういうふうに考えているわけであります。
○千葉(七)委員 ただいま、日本の農業政策の最高の目標は、一億をこえる国民に対して食糧を安定的に供給をするということが農業政策の目的である、このような御答弁であります。しかし、私は、それだけでは足りないのじゃないかと思うのであります。農業に従事をする農民の所得と生活を他産業の従事者並みに確保することもまた、国の農業政策の目標の一つでなければならぬと思うのでありますが、そのようにはお考えになりませんか。
○倉石国務大臣 それは最初冒頭に、私があなたにお尋ねを受けましたことに対するお答えの中でそのことを申し上げていると思うのでありますが、もちろん安定的に農作物の供給をしてもらうには、いま千葉さんの御指摘になったような条件が充足されておらなければうまくいかないわけでありますから、もちろん、農業経営者に安定した経済を営んでもらえるようにつとめることも、重大な役割りの一つでございます。
○千葉(七)委員 ただいまのお答えでは、食糧の安定的な供給を確保することと、農民の生活、農民の所得を他産業従事者並みに確保することが、国の農業政策の最高の目的だ、このような御答弁だと了解をいたします。したがって、さきにお答えのありました日本の農業の当面する種々な困難な問題、米の過剰の問題、もちろんしかりであります。それから国内、国際経済の変化に対応のできるような農業の確立あるいは競合する農産物の輸入自由化の問題、さらには農産物の価格の問題等々、いろいろ困難な問題を解決をし、しかして国民の食料を安定的に供給をする、さらに加えて、農民の所得と生活を確保する、これがつまり国の農業政策の基本となるわけであります。したがって、これらの問題を解決するための農業政策が確立されなければならぬと思うのでありますが、いま政府当局が考えております農業総合政策、いわゆる総合農政と申されておりますが、二月の二十日発表になりましたこの総合農政についての閣議における農林大臣の報告を見ますと、この総合農政の考え方では、いま大臣が申されましたような、いろいろ横たわっておる困難な問題を解決をし、そして国内において食料を確保して農民の生活を他産業従事者並みに引き上げるというためには、非常に大きな欠陥あるいは大きな矛盾があるんではないかというように私は考えられるのであります。 まず第一点、この報告によりますと、農業構造の改善が第一番に取り上げられております。この第一番目の「農業構造の改善」の内容を見ますと、農業近代化のために自立経営農家を中核的なにない手に発展させることが重要だ、このように述べられておるわけであります。農政専門の学者方の見解によりますと、日本において自立農家の経営の規模は大体三ヘクタール程度の規模が限界であろう、このように申しております。自立経営農家として育成をする、したがって経営の規模は、現在のような農業の機械化程度を標準として考える場合においては、大体三町歩が完全に自家労力を消化燃焼させる限度だ、このようにいわれておるわけであります。三町歩程度の自立経営農家の規模で日本の農業の近代化がはたして可能であるかどうかという点を考えますと、非常に疑問に思わざるを得ない。農林大臣の所信表明から推察をいたしますと、自立経営農家の経営規模を大体四、五町歩、四、五ヘクタール程度まで拡大するようにも新聞報道等でいわれておるように見られるのでありますが、この程度の経営規模の自立農家を中心として育成をするという方針で日本の農業が近代化できるか、そのようにお考えかどうかということをまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 いま私どもは、将来四ないし五ヘクタールの自立経営農家を育成したい、こういうふうに申しているわけでありますが、なるほど御指摘のように、これからだんだん労働力の問題その他いわゆる困難な問題がございます。しかし私どもといたしましては、省力を計画すると同時に、さらに機械その他の導入等をもあわせ行ないまして、なるべく経営規模の大きな農業を主軸として農業を営むようにしていかなければ、先ほど申しましたように、他産業にひけをとらない相当な所得を得るりっぱな農業経営というものを成り立たせるというには不十分ではないか、こう考えているわけであります。それにつきましては、いま私が申しました目標を達成するためにあらゆる努力を続けて、昭和五十二年の時点では、作目、立地条件などによって異なると思いますけれども、われわれといたしましては、四ないし五ヘクタールの自立農家を育成していくためにあらゆる努力を続けてまいりたい、こう考えておるわけであります。
○千葉(七)委員 所信表明によりますと、高能率の近代的農業を育成していくためには四、五ヘクタールの自立経営農家を育成する。そして「その生産が、農業生産のかなりの部分を占めるように努力する」、「かなりの部分」というのでありますから、当然これは、農業生産の大部分がこの四、五ヘクタール規模の自立経営農家によって行なわれる、行なわせよう、このように政府当局は考えておるように理解されるわけであります。いま大臣は、四、五ヘクタールの経営の規模の耕作に対して大規模な機械等を導入して農業の近代化をはかる、このような御答弁であります。私は、四、五ヘクタール程度の個々の孤立をした、自立農業の経営では、大規模の機械を導入して営農ができるということはとても考えられないわけであります。したがって、日本の農業経営を自立経営を行なう農家を中心として発展をさせようというような考え方はもはや時代おくれではないか、外国の農業等に対抗ができる農業をそれで確立するなんということはとうていできないのではないか、私はそのように考えるのであります。その点に対して、ひとつ農林大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
○倉石国務大臣 いま統計的に見ますというと、専業農家というのが大体二割足らず、あとの八割が兼業農家でございますが、その八割の兼業農家のうち、たぶん四、六ぐらいな割合で第二種兼業農家ではないかと思うのであります。私たちは、こういう状況にあります日本の農業の中で、農業を主として生産を上げて、他産業に劣らない所得を取れる農業を育成していくためには、やはり毎々申しておりますように、規模を拡大することが必要である。その規模拡大で専業農家として立ち行かれるものを、どういうふうな傾向になりましょうか、さらにいまの率をせめて三割ぐらいなところまで努力をして引き上げていくことが望ましいのではないか、こう思っておるわけでありますが、いまの日本の農業全体を見まして、私はこういう方向で専業農家で四ないし五ヘクタール以上の農家を期待するといってもなかなかそれは容易なことではないと思いますので、したがって、現在あります地方における多くの兼業農家にやはりそれ相当の所得を得られる道を講じて、兼業は兼業なりに、りっぱに農家として生存していかれるようなことも考えなければならないのではないか。総合農政の考え方の一部にも書いてございますけれども、そういう意味で私どもは専業農家の比較的生産性の高い農業の専業にしていただけるものをできるだけ大きく育成する、それを中核にして集団的営農団地的な傾向を持つようにいたしてまいりたい。その中にやはり、産業を地方に分散することによって、兼業農家の、すなわち農村にあります余剰の労働力をそういう方面で使っていただくことによって、農家としての所得を増強させることがいいではないか。しばらくの間はそういう形で進んでいくんではないかと思っておるわけであります。
○千葉(七)委員 この問題については、私たちの考え方と政府当局の考え方にはかなりな距離がありまして、従来もこの問題についてはいろいろ論じられてまいっております。したがって、これを長々と続けることはいかがかと思いますので、この問題についてはこの程度で打ち切ることにいたしますが、さらにこの所信表明を拝見いたしますと、これと同時に、つまり自立経営農家中心の農業政策、これとあわせて「兼業農家をも含めた各種の集団的生産組織を育成助長することにも努力してまいりたい」このように述べられておるわけであります。私は現在農業のほかに出かせぎその他によって、農業外の労働に従事をしておる兼業農家の大部分の実態というものは、いわゆる第三種兼業農家といいますか、非常に零細農家が多いと思うのであります。多くとも一町歩程度の農家あるいはそれ以下の農家、これがほとんど出かせぎ等によって、いわゆる兼業で生活を立てておるという農家だと思うのであります。したがって、そういう農家を中心として、各種の集団的生産組織をつくるということができるかどうかということに大きな疑問を感ずるのであります。一町歩以内の耕作面積しか持っていない。その営農の実態というものは、こういう兼業農家を幾ら集めても、集団的な農業生産の組織にこれを構成するということはとうてい不可能だと思います。そっちのはじに三反歩、こっちのすみっこに五反歩、あるいはこっちのはずれに二反歩といったような、そういう農業経営をやっている農家が兼業農家なんであります。したがって、そういう農家の農地を中心として集団的生産組織を助長するということは、とうてい不可能だと思うのでありますが、その点についてはどういうお考えを持っておられますか。
○倉石国務大臣 いま事務当局からいろいろ資料について聞いたのでありますが、私ども農政の基本の考え方ということで閣議で了解を得ておりますものの考え方は、第一にはさっき申しましたように、経営の規模を大きくした農業を中核にしてやってまいりたい、同時に、地方の状況に応じて協業を盛んにして、そうして比較的能率のよい集団的な農業を営ませたい。もう一つは、いまちょっと申し上げましたように、最近の傾向は地方に産業が分散される傾向でありますことは御存じのとおりであります。そういうことを考えてみますと、地方の農業団体であるとかあるいは市町村長の団体などから、われわれのほうにしきりに要望されてまいりますのは、地方にある労働力を地方で活用して、地方の農家の所得をふやしたい、こういう要望が全国的にあります。私は、実は新都市計画法などで、いま市街化区域と調整区域の線引きを各地でやっておるようでありますが、そういうことに際して、私どものような農業の立場から考えますならば、なるべく調整区域にしておいてもらいたいという要望が多いだろうと予想しておりましたのが、ほとんど逆でありまして、市街化区域を広げてくれという要望のみがわれわれのところに集まってきておりますのは、農業をやっていらっしゃる方々が、農業それ自体の所得をふやされるということよりも、やはり自分の持っておる農地の地価の上昇によって財産価値がふえるということに非常な楽しみをお持ちになっておる傾向を見のがすことはできないと思うのでありますが、やはり私は、それよりも、そういう地域に向かって地方の人が要望しておる公害を伴わないような産業を分散させることによって、その地域にある手近な労働力を吸収して、産業面の拡張にもなり、地方の農家所得の増進にもなるんではないか。もちろんこれは強制ではありませんで、地方の自治体あるいは農業団体等がそれぞれいろいろな計画をお持ちのようであります。そういうことについて考えてみますというと、やはり地方地方の事情によっては違いますが、そういうものをも加味して、生産から消費に至る集団的な地方の経済単位がけっこうできていくんではないか。四十五年度予算にお願いをいたしております大型農道なども御承知のように、単に交通の便だけではありません。それぞれのたとえば農業協同組合の位置あるいはそれらに関係しておるたとえば冷蔵庫だとか集荷場であるとかいうふうなところを経由してまいるような、いわゆる農業を主たる目的とした大型の農道を、今度予算に計上して御審議を願っておりますが、そういうような考え方も、いずれもやはり農業地帯を総合的に考えまして、そうして一番大きな目的は規模拡大でありますけれども、さらに付随して、できるだけ、いま八割を占めておる地方における労働力を地方に分散される産業によって所得を得てもらうという、そういうようなシステムが必要なのではないか、こう考えておるわけでありますが、そのほかに、御承知のように、いろいろな資料を見ますと、最近法人である営農の共同的な仕事、そういうものがだんだんふえてきておるようであります。こういうようなものを育成することによって、私どもがねらっております広域営農団地というふうな形をつくっていったらどうだろう、そういうことを考えておるわけであります。
○千葉(七)委員 私はそういうことを聞いているんじゃないのですよ。つまり、自立経営農家の育成でもって、日本の農業生産の大体七割ぐらいなりあるいは六割ぐらい、かなりの部分を中核として日本の農政を進める、こういうんでしょう。その補完の組織として、兼業農家のそっちこっち散らばっている農地を集めて、集団組織でこれを育成助長する、こうあなたおっしゃっているのです。そういうことができると思いますかということを聞いているのですよ。
○倉石国務大臣 いま御審議を願っております農協法の改正案などは、いま私が申し上げましたようなことの一つでありまして、比較的小さな農地を持っておって、農業としてはなかなか自立できない農家——しかし農村の人々は、自分の農地について執着を持っておりますから、なかなかこれを手放そうとされません。そこで、手放さないならば、ひとつ農協が委託経営をやれるようにするから、そこでひとつ農協に貸してもらいたいという形で、農協自体が請負営農をすることができるようにしたらどうだろうという考えが一つあるわけであります。そういうようにして、非能率な土地をできるだけ十分に能率を発揮することのできるような営農をする方向で努力をしたい。農協の委託経営の場合はその一つの例でありますが、そのほかに、やはり最近各地で行なわれておりますのは、かなり協業が盛んになってきております。そういう面で、たいへん困難はありますけれども、私どもはできるだけ多く、そういう省力をしながら能率をあげ得るような経営をさせるように指導してまいりたい、こういうわけであります。
○千葉(七)委員 依然として私の質問に対する答えにはなっていないと思うのです。さきの答弁では、農業の共同経営あるいは協業経営等を中心として、集団的生産組織ということを考えておられるような答弁と私は理解したのですけれども、そういう協業なり共同経営なりを主体とした生産組織というふうに解釈をするとすれば、兼業農家の農地を集めたからつて、そういう組織にはならぬと思うのです。私は、むしろ、四町なり五町なりあるいは三町歩なり、自立経営農家、そういう農家を主体としての協業組織なり共同組織なりを進めるということであれば、それはいわゆる集団的生産組織を実現する可能性が出てくるだろう、私はそう思う。三反歩や五反歩、そっちこっちの端っこにあるたんぽを集めるということは、これはとうていできません。土地を移動するといったって、これは所有権あるいは耕作権の移動くらいのものですから、土地そのものを移動するということはできないのですから、したがって、そういう兼業農家の農地を中心としての協業なりあるいは共同経営といったようなことは、とうていできないのじゃないか。私の理解に誤りがあればこれは別ですけれども、そういうように考えられる。したがって、自立経営農家の育成という政策を中心とするならば、協業経営なり共同経営ということはなかなか実現が困難になってくる。不可能といってもいいんじゃないかというふうにも考えられるわけであります。これは私の意見なんですけれども、いままでの共同経営なりあるいは協業経営なりが成功している実例を見ますと、三町歩、五町歩という農家が一体となって共同経営、協業経営をやっているところが成功している。山形県なかんではそういう実態になっておるのであります。したがって、協業あるいは共同耕作を中心とした集団的生産組織を考えるならば、兼業農家を中心とした集団的生産組織を、不可能なそういうことを考えるよりも、むしろ国の政策として、三町なり四町なりというそういう農家を共同経営に持ち込む、共同経営に組織化するという方策を大胆に打ち出すべきではないか。それが農業近代化の基本になるのではないか、私はそのように考えるのですが、その点についてはどのような御見解を持っておられますか。
○倉石国務大臣 私が説明がへたなものですから、趣旨が徹底しなかったようでありますが、「総合農政の推進について」というので私どもが出しておりますものの五ページの中にも、おっしゃることと同じ考え方で述べておるはずであります。「農業生産性の向上を図る見地から自立経営農家を中核として、兼業農家を含めるなど各種の集団的生産組織を助長するとともに、農協による農業経営の受託の推進を図ることも必要である。」こういうふうにわれわれの考え方を述べておるわけでありまし、規模拡大いたしました専業農家を中核として、その周囲にいま申し上げましたような集団をつくって能率をあげていきたい、こういう考え方を示しておるわけであります。
○千葉(七)委員 この問題はこれで打ち切ります。 そこでお伺いしたいのは、ただいまのお話によりますと、産業を地方に分散をすれば、農村からの余剰労力の出かせぎがなくなる、そしてなおかつ農家の所得も増大をする、ふえる、こういうお考えのようであります。私は、そういう考え方を中心として農業政策を立てるということは、大きな誤りがあるのじゃないかというような感じがするのです。というのは、産業を地方に分散をしましても、その産業、工業は、おそらく通年労働を要求するだろうと思うのです。ところが兼業農家の実態を見ますと、農閑期に他の仕事に従事する、これが実態であります。御承知のように、農繁期はネコの手もかりたい、そういうふうに忙しいのであります。大体四月から十月までは、農家は一睡の休みもなく働かなければ農業経営というものはできない。これが農業の実態です。農業労働の実態であります。そして大体十一月から三月までは余暇がある、こういうのであります。したがって、農閑期、ひまな時期に出かせぎをして所得を得よう、こういうのが兼業農家出かせぎの実態なんであります。したがって、兼業農家の出かせぎの実態を見ますと、大都市のほとんどの建設事業に出かせぎでやってきて仕事をしておるというのが実態です。そうでなければ農閑期の余剰労力を燃焼するということができない。ところが中央から工場を地方に分散をさせて、半年だけ働いてもらって、それで採算のとれるような工業、工場はあるかどうかということは非常に疑問なわけです。それは地方に工業が分散しないよりは、したほうがいいと思います。したほうがいいと思いますけれども、農家の農閑期だけを目標とした工場、そういういまの日本の農家の実態に適合した工業が、はたしてあるのだろうかということを考えると、非常に疑問に思わざるを得ない。むしろ工場を地方に分散することによって、かえって日本の農村の労働力を枯渇させる結果になるのではないか、そういうふうにも考えられるわけなんです。その点については私の認識不足もあるかもれませんが、御見解はいかがでしょうか、お聞かせを願たいと思うのであります。
○倉石国務大臣 この問題は日本ばかりではありませんで、世界的に同じような傾向で悩んでいる国もあるようであります。それで労働省の統計、将来の見通しを見ておりますというと、昭和四十六年に二百六十三万人の技能労働力の不足を訴えておりますが、わが国はやはり全体として国際競争に経済的に勝ち抜いていかなければならない。今日のような発展を継続していかなければならない。幸いにして産業界は、そういうことについていままでは順調にいっておるようでありますが、いまの傾向でまいりますと、放置しておけばやはり数年後には、いわゆる太平洋ベルト地帯的な地域に総人口の七割以上が集中するだろうと伝えられております。われわれはそういうことを考えてみますと、国全体として好ましい傾向ではないのじゃないかということをつくづく考えるわけであります。そこでそういう理由からではありませんけれども、地方、地方によって違いますが、いま地方の若者たちが地元の工業学校なんかで教育を受けた人たちも、地元の産業にほとんど就職せずに、とんでもないところに行って就職をしておられる。そして農村はだんだんに過疎現象を招来しております。こういう傾向というものは、過疎地帯を含めた農村全体として好ましいことではないのじゃないだろうか。ことにいまお説のように、農村の労働力、これは農業のほうにもだんだん省力技術が発達してきましたけれども、それでもやはりかなりの労働力はほしいのであります。しかも若い人たちというのはほとんど地域を離れて遠くに行っておる。最近の傾向を見ますというと、私どものところへでも、全国の農業協同組合をはじめいろいろなところから、農地転用がきびしいために、この地方に産業がこないで困るのだという訴えを、しばしばいってまいっておりますが、同じような傾向が全国にあると思うのです。そこで私どもは、これは地元の市町村長であるとか農業団体であるとかいう人たちが、自主的に御計画をなさることでありますけれども、産業界と連絡をおとりになって、そしてできるだけ公害を伴わないような、その地域にマッチするような産業を、地方に分散させるということになれば、若手の労働力がとんでもないところに行って、親元を離れて親の心配するような地域においでにならないでも、けっこう所得を得られると同時に、そういう産業政策に貢献することができるのではないか、こういう希望は全国からいまわき起こってきておるわけでございます。したがって、そういうものを地元の方々がそれらの事情に応じたやり方で招致していただくということができますならば、たいへんいいことじゃないか。ことに、いまみずから農業に従事しておる人たちでも、だんだんと省力技術が進歩してまいりまして、かなりの余剰労働力を持たれるようになりました。いまとんでもないところへ行って土木工事などの出かせぎをやっていらっしゃる方でも、補充的に地方に分散される産業にお働きになることができるようになれば、かえってそのほうが好都合ではないか。これは仕事によってはパートタイムの仕事がたくさんありますからして、これも役に立つのではないか、こういうふうな考え方で私どもは地方に産業を分散されるという地方の要望にこたえる政策というものは、けだし時宜に適したものではないだろうか、こう思っておるわけであります。
○千葉(七)委員 いま零細農家が農閑期に大都市の建設工事なりそういった事業場に出かせぎをしている人数は非常に多いのであります。正確な数はわかりませんけれども、東北地方におきましては秋田、岩手、山形、青森等が非常に多いのでありまして、おそらく多い県は季節的には五万あるいは十万人もの農家の人たちが出かせぎをしていると思うのであります。したがって、工場の地方分散ということはたいへんけっこうです。私もそれは賛成ですが、零細な農家の農閑期の労働力を、中央に出かせぎをしなくとも、その地域で就労ができるような方策を、これは地方の自治体等の要望でそういう工場の誘致をやるんだというようなことではなく、国の施策としてもぜひ取り上げてもらいたいと思うのです。あるいは公共事業を冬季に起こすということもいいでしょう。いずれにしても、出かせぎから生ずるいろいろな悲惨なできごとが毎年繰り返されておりますから、したがって、工場が地方へ分散すれば出かせぎがなくなるんだというような単純な考えでは、私は零細農家の農閑期の余剰労力を燃焼させる施策にはならぬと思うのであります。国はそういうところを十分に理解をしていただいて、国の政策としてそういう方向にひとつ力を入れてもらいたい。これが私の質問の趣旨であり、要望なんです。そういう点はこの所信表明にも全然あらわれておりませんし、またこの総合農政にも全然書いてない、そういう深い理解がないと思うのです。農村の実態を知らない人がこういう総合農政なんということを考えているんじゃないかという感じがしたのでありますから、そこで私はこういう要望なり意見なりを申し上げるわけなんです。その点をひとつ御理解を願いたいと思います。そうすることによって出かせぎをしなくとも零細農家の所得を大体他産業並みの所得に引き上げることができるということが実現が可能になってくるのだろうと思うのであります。いま大臣のお話では、都市周辺の農家は新都市計画適用地域で調整区域よりも市街化区域の希望が多い、そういう農家が多いのだ、だから工場の分散さえすれば零細農家の所得がふえる、そういうふうに簡単に考えておられるようでありますけれども、そういうことでは兼業農家を救うことがなかなか困難であるというように私感じますので、いま申し上げた点を十分ひとつ御検討願いたいと思うのであります。 私の持ち時間も参りましたが、もう少し時間をいただきたいと思います。 そこで簡単にもう二、三点お伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、農林大臣の所信表明の第二番目として取り上げられておるのは「近年、食料の自給率が低下する傾向にありますが、私は人口が一億をこえるわが国において国民が必要とする食料を大幅に海外に依存するのは適当でないと考えて」いる、このように申されております。ところが、総合農政の報告によりますと、この国民の食料を国内においてどの程度まで自給策をとるかということが全然うたわれていないのであります。農林大臣の所信表明によりますと、「大幅に海外に依存するのは適当でない」、このように申されておりますけれども、この農林大臣の考えが総合農政の上には全然あらわれていない。これはどうしたことでしょう。どこかにあらわれておりますか。総合農政の報告の中に農林大臣の考えられておる海外に依存するのは適当でないという考え方があらわれておりますか。
○倉石国務大臣 一々こまかくは申しておりませんけれども、農業を維持拡大してまいるための構造改善、構造政策等はやはり申すまでもなく食料の自給度を高めるためのわれわれの努力でございますから、そういう考え方で書いているわけでございます。 それからついでにちょっと申し上げますが、さきのお話の地方に産業を分散する話でありますが、昭和四十五年度予算で将来出てくるであろう計画的な産業がどういうような労働力をほしいかということをあらかじめ調べて事前に農家の人たちに対する職業訓練をやろうということで、農林省と労働省、通産省が三省相談を前からいたしておりまして、そういう職業訓練をやったり、それから地方へ産業が分散していくことについての計画について努力してもらうために通産省など三省が打ち合わせてそういうことはやっておりますことをつけ加えて申し上げておきます。
○千葉(七)委員 私は、農林大臣、「食料を大幅に海外に依存するのは適当でない」、この裏はできるだけ国内で自給するのが好ましい、こう解釈するのは当然だと思う。ところがこの総合農政の報告によりますと、政府は今後も残存輸入制限の緩和や撤廃につとめなければならない、こう書いてある。いま米が余った原因はどこにあるかと申しますと、政府の説明によると、国民の食糧に対する好みが変わってきたからだ、つまり米の消費、米の需要、米を食うということがだんだん減ってきたからだ。米のかわりに何か食べている、だから米の消費が減って米が余った、こういうように説明をしておるわけであります。確かにそのとおりだと思うのであります。米のかわりに何か食べている。何を食べているかというと小麦をたくさん食べているから、米を食わなくなってくるわけであります。その小麦の大部分はどこから入ってくるかというと海外から入ってきている、海外から輸入をしておるわけであります。私の聞いたところによりますと、小麦の輸入量は年間大体四百万トンをこえていると聞いております。小麦が海外から四百万トン毎年輸入をされるようなことになれば、米が年間百五十万トンくらい余るのは当然だと思うわけであります。日本から工業製品を輸出して、その見返りに何も輸入するものがないから小麦をたくさん輸入する。そういうようないまの経済の構造、貿易の構造、その結果外国からどんどん農産物が入ってくる。つまりいまの日本の農業政策というものは、日本の工業政策を中心として考えられているのが日本の農業政策ではないか、このように私は理解をするわけであります。だからこの総合農政には、できるだけ外国からの食糧の輸入を制限をして、そして国内生産の主要食糧の消費を増大をするという考え方がひとつもあらわれていない。逆に、今後も農産物の残存輸入制限の緩和や撤廃に努力をする、こういう政策では、私は、日本の農業がだんだん縮小される、衰退をするというばかりではなくて、日本の産業全体の前途というものも一そうの発展というものは実現できないのではないかというように考えられるのであります。確かにいまは日本の工業製品の輸出が年々ふえておる。したがって貿易の黒字も相当額にのぼっておる、確かに現在はそうでありましょう。しかし低開発国なんかの軽工業などがだんだん盛んになっていくということになれば、いつかはこの輸出超過というものはだんだん減ってくるということを考えなければいかぬと思うのであります。いつまでも低開発国は低開発国でとどまっているものではない。日本の国だって明治の初年は工業の生産がほとんど行なわれなかったといってもいいくらいの状態だった。それが今日、世界の第三番目の大国にのし上がった。いまの低開発国が将来五年なり十年なりたつうちには、日本が歩んできたようにやはり工業が盛んになる。これはきまっておる。そうすると、先進国の貿易というものは輸出超過がだんだん減ってくることは言うまでもないところであります。したがって、いまのうちは食糧を外国からたくさん輸入しても、その輸入の代金を払っても、工業の輸出によって十分まかなえるからけっこうでしょう。ところが何年か後には貿易がだんだん減る。輸出が減るということになって、食糧の輸入が依然として大量に輸入しなければ国民が食べていけないというような状態になった場合に、急に食糧の生産をふやそうとしたってそれはできないことだと私は思う。でありますから、日本の産業全体を考える、そういう立場からも可能な限り日本の国民の主要食糧は国内において自給策をとる。完全自給といわなくても九〇%なりあるいは八五%なり、少なくともその程度の自給策は当然考えなければならぬと思うのであります。ところがこの総合農政の報告書によると、今後も残存輸入制限の緩和や撤廃につとめなければならぬ。つとめる、こういうふうに総合農政というものは策定をされておるわけであります。これは大きな間違いではないかと私は思うのであります。 私は四、五年前に日本経済調査会という団体だったと思いますが、これはたしか経団連か日経連で経営しておる調査会だと覚えていましたが、その調査会で発行しました「国際的観点より見たる日本農業」という本を読んだことがある。その本の中に、日本の国内における食糧の自給率は大体六〇%なり七〇%でよろしいのだ。大体イギリス並みでいいのだ。そういう提言が行なわれておるのを読みました。国内の食糧自給率を六〇%、七〇%程度に押えれば、その不足分を外国から輸入をして、その輸入の見返りに工業製品を輸出する。日本の工業はしたがって発展をする、こういうのがこの「国際的観点より見たる日本農業」で提言をされておる考え方の根本だと思うのでありますが、私は、こういう考え方は非常に誤った考えではないかと思う。なるほど日本の資本主義というものは非常に根っこが浅い。自己資本というのは大体二〇%しかない。あとの八〇%は借金をして工業生産をやっておるのでありますから、したがって、ものをたくさんつくって、外国へたくさん売って、そして自己資本を蓄積しなければならぬというのが急務でありましょう。しかしそういう目前の利益だけを考えて、農業政策を立てるということは大きな誤りだと思うのであります。イギリスの例なんか私は全くいい例だと思うのです。これは私なりの解釈ですけれども、イギリスは御承知のように、第二次世界大戦前までは世界の各地に植民地を持っておりましたから、そこからたくさん利益をしぼり上げてきた。ですから国内の農業を軽視して、六〇%程度の自給率で、四〇%近い食糧を外国から輸入してきても隆々とイギリスは発展をしてきた。ところが第二次大戦後においてはイギリスの植民地はほとんど独立をして、戦前ほどに植民地から利益をしぼり上げてくることはできない。しかるに、食糧の輸入は戦前と同じように四〇%近い食糧を輸入しておりますから、したがって、外貨がどんどん流れてしまって、ポンドの値打ちがゼロに近いようなものになってしまった。しかるに、財界では、イギリス程度の食糧自給率でいいということを提言している。こんな誤った考え方では、私は、日本の産業全体の将来ということを考えた場合においても非常に危険な考え方ではないかと思うのであります。したがって、この総合農政の基本的な考え方、残存輸入制限の緩和や撤廃につとめるということは誤った考えではないかと私は思うのでありますが、農林大臣の御所見はいかがですか。
○倉石国務大臣 イギリスの例をお引きになりましたけれども、私は、そういう点においては非常に同じような気持ちを持って、警戒すべきことだと思います。けれども、私どものほうでは、そんなことを——あるいは財界の人は、どういうお話があったか知りませんけれども、政府としては、できるだけ自給度を高めたい、こういう考え方を持っているわけであります。現在、大体八〇%、八三%ぐらいになっておりますが、少なくとも八〇%程度の自給度は維持してまいりたい、こういうわけであります。 もう一つ、残存輸入制限のことでありますが、千葉さんも御存じのように、私どもが豚を飼う、鶏を飼うには濃厚飼料が必要でありますから、濃厚飼料の大部分というものはもうすでに外国に依存しておることは御存じのとおりであります。それをわが国で自給することができるかといったら、いまとてもそんなことは不可能であります。よくおわかりのとおりであります。ただ、そういうものは、大きなものはほとんど自由になっておるわけでありまして、残っておる残存輸入制限というのは、品目において数は多いのですけれども、そのためにわが国の農産物と競合するようなものがあります場合には、これは、私どもは決してルーズにする意思はございませんが、そういうことであるというと、OECDであるとかあるいはガットなどのわれわれが参加しておる国際社会の中で、わが国が今日の位置を保ってまいりますためには、多くの支障があることは千葉さんもよく御指摘いただいたとおりであります。したがって、方向としては、競合しておる農作物の中でわれわれがまだ太刀打ちのできないようなものには、価格政策その他でできるだけの保護をすることは当然なことでありますが、わが国の農業の体質を改善して、国境における輸入の場合に先方とひけをとらないような、しかも、消費者に納得していただけるような形のことをやっていかなければならないんではないかというむずかしい問題が出てくるわけであります。私どもは、そういう意味で、国内の農産物で外国のものと競合しておるようなものについて非常に慎重にやっておるわけでありますが、大筋としては、やっぱり国際経済社会に立ち向かっていくために必要な措置はできるだけやらなければならない。そのためには、政府としては、わが国の農産物の生産についてはあらゆる協力をして、太刀打ちができるようにしてまいらなければならないという、こういう努力のことをそこにうたっておるわけであります。
○草野委員長 千葉委員、簡単に願います。
○千葉(七)委員 大臣の時間の都合があるそうですから、実はまだまだたくさんお伺いしたいことがあるのですけれども、一点だけお伺いしておきたいと思います。 それは食糧管理制度による米の政府買い入れの問題であります。大臣のいままでのしばしばの言明によりますと、現行食糧管理法のもとにおいても食糧の政府買い入れが制限できるというお話をしております。しかし、本年度においては米の買い入れの制限はしない、こう大臣がおっしゃっておるわけであります。 ここで重ねてお尋ねをしておきたいのでありますが、ことしは稲作が豊年か凶年か、豊作か凶作か、もちろんわかりません。わかりませんが、たとえどのような史上空前の豊作であって、そして政府の今年度予算に盛られてある米の買い入れ予算を超過するような数量を農民からも売り渡し希望があった場合においても、政府においては買い入れの制限はしないかどうかという点をひとつお聞かせを願いまして、時間でありますから私の質問を終わります。
○倉石国務大臣 ただいまの食管法の中で買い入れ制限の話があったものでありますから、その限りにおいては、別に法律を改正する必要がない、そういう解釈を述べたのでありまして、いま一生懸命で生産調整を地方の方々、農業団体、県知事みんなでやっていっていただくわけでありますから、その最中に買い入れ制限をするとかしないとか、そんなことを言うべき時期ではありませんし、私どもは、ただいまそんな買い入れ制限なんということは少しも考えておりません。明確にお答えいたしておきます。
○草野委員長 午後二時再開することとし、これにて休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。山田太郎君。
○山田(太)委員 私は、農林水産委員の一人といたしましては、新人でございます。そこで、前もってお断わりしておきたいことは、素朴な質問、あるいは、これまでこの本会議あるいは予算委員会等で審議された問題を、重複をできるだけ避けたいとは思っておりますが、しかし、中には重複する問題もあると思いますので、その点をまず御了承願っておきたいと思います。 そこで、最初に、大臣の所信表明並びに農林予算等に関連して、農政一般の質問を、短時間ではありますが質問申し上げるにあたって、わが国のこれまでの農政あるいはは現状ということも前もって一言申し上げておきたいと思います。 わが国の農政が、米価中心の安易な価格政策が一切に優先されて、構造政策やあるいは生産政策が、どちらかといえば軽視されてきた、これが六〇年代のわが国の農政であるといわれております。そうして、この十年間の矛盾が、今日の過剰米問題に発展してきたといわれるのも一理あると思います。しかも、その生産過剰問題は、米だけでなく、牛乳あるいはミカンあるいはリンゴ、酪農、ひいては果樹農業にも波及してきております。その過剰生産が、生産者価格の抑制と同時に、その悪循環や、また、一方では、海外からの農産物の自由化を迫られており、国内的にも国際的にも、わが国農業は、有史以来の著しい事態に追い込まれた。その結果、農家の方々は、非常に進退に迷っておるのが現状ではないかと思います。 そこで、大臣が所信表明にも言われていることではありますけれども、大臣にお伺いしたいことは、このようなきびしい環境のもとで、わが国の農業をどのように位置づけていくか。あるいはわが国の農業を縮小の方向にもっていくのか、それとも、現状を維持していくのか、その基本的な考えあるいは決意というものをまず前もってお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいまお話がございましたように、米は今日、過剰な状態でありますが、これはやはり昭和三十七年に政府が、これからの需給状況の見通し等について述べましたものの中には、これから若干需給が緩和されていくであろう、こういう見通しは報告してございますが、そのうちに、昭和三十八年をピークといたしまして、若干これが窮屈になってまいりましたことも御存じのとおりであります。統計によれば、昭和四十年には百万トン余り外米の輸入をして間に合わせたというようなこともあるわけであります。そのころ、全国的にやはり米づくり運動なども展開されてまいりましたが、それからややたって、わが国の経済が非常に著しい成長をするようになりまして、国民の食物に対する嗜好もだいぶ変化してまいりまして、御存じのように、昭和三十九年以来、一人当たりの消費量が年々に逓減してきておる次第であります。しかも、逆に、今度は、生産技術が進歩してまいりましたし、同時に、長年政府のやってまいりました土地改良、圃場整備等、そういうものの効果もあらわれてまいりまして、需要が減ったところに生産がかえって増強されるという、こういう結果になってまいったものでありますから、やはりいまのような過剰な状態が現出してまいった。そこでただいま生産調整に一生懸命になっておるわけであります。 しかしながら、私どもは、米は、おっしゃるように、いままでやったことのない手段をもって調整はやりますけれども、そのほかの農業につきましては、むしろ、堅実に伸びていくことを期待いたしておるわけであります。ところが、お話の中にもありましたように、午前中のお尋ねでも申し上げましたが、わが国は、鎖国の経済をしておるわけではございませんで、国際経済の中に立って、日本の経済的繁栄を続けてまいるためには、わが国の参加しておりますいろいろな国際機関、そういうものと調整をしていかなければならないことは、もう当然なことであります。したがって、比較的競争力の弱いものを持っております農林物資が、他国の農林物資との問に競合を生ずるものが出てまいっておりますが、体質的に日本の農業をしっかりして、そうして国際競争に立ち向かって勝てるような農業を維持していかなければならぬ。そういうことでありますから、われわれは、私の所信表明でも申し上げておりますように、経営規模をしっかりして、そうして自立農業を育成していくことをまず中心にする、それを中核にして、わが国には御存じのように、兼業農家というものがもうかなりあるわけでありますから、そういうものの所得をふやして農家の経営を維持していく、こういうためには、やはり専業であるしっかりした農家を中心にした集団的営農団地みたいなものを構想すると同時に、わが国の農作物が国際競争力に立ち向かっていかれるような生産ができますように、農業というものの体質を改善するためにあらゆる努力をしてまいりたい、こういうのが一般的な考え方でございます。
○山田(太)委員 私の最後に申し上げたのは、ちょっと意地の悪い質問だったかもしれません。そういう意味では一つもなかったのでありますが、縮小するのかあるいは維持していくのか、こういう方向ですね。いまの御答弁の中にも含まれていると言われればそれまでですけれども、縮小するのか維持するのか、これはやはり自給率云々の問題にもなってくると思いますけれども、その点についての大臣の決意というものを一言お伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 私どもといたしましては、米はもうはっきりしておることでありますが、たとえば米の転換をいたしますにしても、御承知のように濃厚飼料の原料の多くは輸入にまっているわけでありますから、そういうものについてできるだけ自給体制ができるようにしたらいいではないか、こういうことを考えるわけであります。その他、先ほどちょっとミカンの話もございましたが、私は、やはりこういうかんきつ類などでも、これからの出ていくべき方向というのはジュース並びにかん詰、そういうようなことが大事だと思っております。現に各地で優秀なそういうものをつくりまして、かなり、輸出の見込みも有望になってきておりますので、私は農業を縮小させるという考え方はとるべきではない、こう思っております。
○山田(太)委員 では次に少々具体的な問題に移ってまいります。 過日からの予算委員会等においての審議の過程で、百五十万トンの米の減産、そのうち五十万トンの調整については農地買い上げを実施していこう。ただ、これについての予算委員会での政府部内の意見が一致していないというふうな感があったわけです。佐藤総理大臣は予算委員会の終わるまでには結論を出したい、そういう御答弁がありました。主管の大臣として倉石大臣も非常に御心配のこととは思いますが、その後、この問題がどのように進んでおるか、その点をひとつ御説明していただきたいと思います。
○倉石国務大臣 百五十万トン減産するという計画のうち、百万トンは生産調整でやる、あと五十万トンに見合う分は農地の他用途への転用等で処理していきたい、こういう方針を立てたわけでありますが、このことは私ども農林省だけでできることではございませんので、予算の中に一億円計上して、各省それぞれどのようにして十一万八千ヘクタールを他用途に転用し得るかということの研究をいま続けておるわけであります。そこで、総理大臣が先般、予算委員会で矢野さんの御質疑に対して、大体予算が終わるころまでにはめどをつけたいということを申し上げてありますが、政府はそのつもりで、各省一生懸命でいままで地方から集まってまいりました資料をもとにして総理のお約束どおりにいたしたいと思いますが、いま予約をするとかなんとかという段階はなかなか困難だと思いますが、できるだけ現実に即した計画を立てたいと思って、鋭意努力している最中であります。
○山田(太)委員 次の質問に移る前に、出てないかもしれませんが、何省がどのくらいそれを受け持つというふうな水田買い上げの明細ですね。そういうものはまだ集まっている最中だという先ほどの御答弁だと思います。そこでそれの時期、これは先ほどのように予算委員会の終わるまでにはというお話ですが、それは確実にできるのかどうかということと、もう一つ、主務大臣として農林大臣の見通しですね。何省にはどのくらいという見通しが全くなかったのかどうか、あるいは何省にはこれぐらい、何省にはこれぐらいというそのようなものがあったのかどうか。そういう点をお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 御承知のように、農林省では通年施行をしておりますので、そういうことでも大体三方ヘクタールぐらいはわれわれのほうの分担とでも申しますか、そういう方向でも考えられるわけでありますが、ただいま申し上げましたように、各省がそれぞれの分担範囲において調査しておるようでありますが、まだ何にも具体的にまとまってまいったものはありません。
○山田(太)委員 大臣の見通しというものはどうでしょうか。それが出てきて初めてわかるということですか、あるいは大臣としての見通しは持っていらっしゃるのか。
○倉石国務大臣 見通しをつけると申しましても、私どもだけの立場ではなかなか困難でございます。山田さん御承知ように、たとえばいま新都市計画の中に入っております農地が二十九万ヘクタールといわれておりますが、そのうち十八万ヘクタールが水田であります。それでけさほどもほかのことでちょっと申しました。この都市計画の中に入っておる水田等について、どの程度どういうことで促進されるかわかりませんけれども、そういうようにいろいろなことを考え、またいままで私どものほうへ非常に大きな面積の水田の農地転用を出願してきておるかなりの企業があります。そういうものはいままで農地転用をきびしくしておりましたので、彼らの希望をかなえることができませんでした。今度は御承知のように、農地転用方針を緩和いたしました等のこともありまして、それからまた、自治体ではこういうふうになってきたことを利用して、先行投資をしておきたいというものもかなりあるようでありますから、十一万ヘクタールは数としてはやさしい数字ではありませんけれども、政府が力を入れて地方と協力いたしましたならば可能ではないか、こう私は思っておるわけです。
○山田(太)委員 この十一万八千ヘクタールの問題についてもっとお伺いしたいところがあったわけですが、いまその過程だということですので、この問題は中止して、次の問題に移さしていただきます。 そこで、次には米の生産調整奨励補助金について、一度農家の立場あるいは農家の声からひとつお伺いしてみたいと思いますが、答弁がもうわかるような気もするのですが、やはり農家の代弁としてお伺いしておきたいと思います。 そこで、この奨励金が本年度限りだというふうに承っておりますが、大臣としてのお考えはやはりいまも変わらないのかどうかという点をまずお伺いしておきたいと思うのです。
○倉石国務大臣 大蔵大臣は予算の編成にあたりまして、こういう特殊な緊急事態は本年度限り、こういう方針を予算のたてまえから申しておることは御存じのとおりでありますが、私どもの立場から申しますと、予算としてはそれが財政当局の当然の御主張ではあるが、農政というもの、ことに開闢以来初めてやるこういう仕事につきましては、単にそれだけではむずかしいのではなかろうかと思いますので、予算案の最終決定のときに私はかなりそういう面を主張いたしたのでありますが、やはり最終的に決定されるときには私どもの希望は達成されませんでしたので、政府の方針としては大蔵大臣の申しておられるとおりでございますが、さらに私はこの転換がやりやすくなるようにこれからも続けて努力をしてまいりたい、これが私の本心であります。
○山田(太)委員 倉石農林大臣は、来年も続けていきたいというのが本心である、政府の方針はこうこうだということですが、これは非常に含蓄のある御答弁だと思います。実情を見ていきますと、これは的確な例ではありませんけれども、私が確認した範囲ではこういう方もあります。一年間休耕して、その問に区画整理等をやって、そして今度はまた米づくりをする、そういうふうな農家の方、ことに休耕賛成の農家の方というのに事実お合いしてもおります。何にしても、農家にとってはこれが一番深刻な問題です。あまり言いたくないことではありますけれども、いままでの農政のあり方から見て、よく悪口を言う人は思いつき農政とか、あるいは場当たり農政だとか、そのようなことばを聞くときがあります。しかしいまの担当大臣としての続けていきたいというその決意の披瀝は——政府の方針はこうこうだが、農林大臣としては続けていきたい、こういう決意の披瀝は農家の方々にとっては非常にうれしいことでもあり、また生産調整の問題を円滑に進めていくためにもいまの大臣のことばは非常に大切なことではないかと思います。どうか私たちもその大臣の決意を強力に進められるよう望んでおきたいと思います。 そこで次の問題に移りますが、ちょっと数字めいて恐縮でございますが、食管会計の予算では、米の買い上げは六百五十万トン見込んだ計画になっております。これは御承知のとおり当然のことですが、四十二年度はいかほどの買い上げかと思いますと九百八十六万トン、四十三年度は千三万六千トン、また、聞くところによりますると四十四年度は八百八十七万トン、こう見込まれておるといわれております。そこで、百五十万トンの生産調整が農家の協力によって成功したといたしましても、何ぶん米は天候によって左右されるものですから、四十四年度のように千四百万トンとれたといたしますと、平年度の千三百七十万トンよりも三十万トン多くなります。また自主流通米の評判がことしはよくなくて、八十万トンから九十万トンいけばいいほうだ、こういわれております。これも御承知のとおりです。来年は百七十万トン見込んでおりますが、やはり本年と同じくまた九十万トンの消化になったとしたときに、やはり七十万トンから八十万トンが残るようになります。両方合算いたしますと百万トンは残りはしないか、こういう心配もあるわけですが、この点についてはどのように扱っていくのか、ひとつ御答弁をしていただきたいと思います。
○倉石国務大臣 来年度予算でお説のように六百五十万トン買い入れの方針であります。その基準になっておりますのは過去の平年反収から百五十万トン生産調整を引きまして、それから百七十万トン自主流通米、そういう計算をして六百五十万トン。いま自主流通米につきましてはお説のようでありまして、本年度は九十万トンほどしか出なかったようでありますが、やはりあれはふなれなこともありました。それから当時生産者のほうであまりよく習熟しておりませんでしたので、出てきた米が評判があまりよくなかったというようなこともありましたが、最近はそういうことにだいぶなれてまいりましたし、いま自主流通米がむしろ品不足を訴えられておるような次第でありますので、来年は百七十万トンは優にいけるのではないか、私はこう思っております。 それから片方の百五十万トンの生産調整は、百万トンにつきましてはもう御存じのように、全国の農業団体それから県知事、市町村長会、市町村議長会など、あらゆるそういう公的団体の方々の御会合でいろいろ御検討いただきました結果、政府の方針に全面的に協力するというので、いま末端までおりてきております。各地の市町村等の状況が県からもぼつぼつ報告されておりますが、いま非常に一生懸命で自治体や農業団体がやっていてくれる最中でございますので、できなかったときはどうするかというようなことはあまり考えたくないと思って、信用してできるものだ、こう思っておるわけでありますが、いまそういう段階であります。
○山田(太)委員 その御答弁は予想はされておったところですが、その域はもう出ないと思います。その答弁はたびたびなさってきております。何へん聞いても同じ答弁を繰り返す決意だということが大臣の顔には見えておるようでございます。 そこで次に移らしてもらいますが、これもまた同じような答弁が出る可能性がありますが、やはり私としては一言聞いておきたい。 一部の農家では生産調整が失敗したならば、政府は食管制度を廃止する意図があるのではないかと、事実心配しております。政府の方針は、食管制度の根幹は維持する、そう言いながらも、自主流通米制度やあるいは生産調整奨励金あるいは現行法でも買い上げ制限はできるのかという質問だったから、できると答えたのだ、こういうふうに農林大臣はさきの委員会でもお話しなさっておりましたが、現行法でも買い上げ制限はできる、これは非常に大きなショックを農家に与えております。これは事実です。そのようなことから、食管制度廃止の方向が出てくるんじゃないかということが非常に心配になっております。 そこで、これは予算委員会あるいは本会議でも話された問題ですが、当委員会としてやはり一つ聞いておきたいと思いますが、大臣の食管制度に対しての明確なお考え、これをお聞きしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 食管の根幹は維持する決意でありますと、こう言うのは、本会議及び予算委員会における内閣総理大臣の言明でございますから、そのとおり間違いないのであります。 それで私は、先ほど申し上げましたように、いまみんなが一生懸命でやっていてくださる最中に、買い入れ制限をやるとかやらないとかなんということを申すのははなはだ申しわけないときであるからと思って遠慮しておったのでありますが、私は本年度において買い入れ制限をやるなどということは現在の段階でちっとも考えておりませんから、それは明確に申し上げておきます。
○山田(太)委員 その点についてはこれぐらいにしておきます。 そこで次にお伺いしたいことは、これはちょっと具体的な問題でございますが、もう一つ農家が心配している問題は、これまでの二十数年間にわたって政府の方針どおり食糧増産に励んできた農家は、土地改良等相当やってきております。地域によっては、私の聞くところによると、非常に多額の金を使って畑をたんぽに変えたり、あるいは遠くから水を引っぱってきたりして、五十万、七十万と金を使っているやに聞いております。これも政府の方針の増産に協力してやってきたことです。ところが農家はこの作付転換やあるいは休耕によって収入が減収する。そのためにその土地改良のための借入金の返済の見込みが立たない。これは事実でございます。この借入金の返済について農家は非常に心配しております。この点について具体的な方法なり考えなりというものを明確にさせていただきたいと思います。これは大事な問題ですから……。
○亀長政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御質問のような場合には、結局個々の農家の経営に関する問題でございまして、個々の農家にとりまして、その農家が全体的にどのような経営状態にあるか。たまたま生産調整に何がしかの水田を休耕なり転換したとしましても、全体的に経営規模が大きければ、必ずしも償還ができないということでもなかろうかと思います。また経営が小さければ、わずかの休耕でも非常に大きな打撃を受けるということに相なります。私どもとしましては、一般的に、たとえば休耕なり転換をすれば直ちに土地改良区の借入金をその人については減免をするということは、むしろ経営の実態に即しないわけでございます。大体借入金の大部分は近代化資金で、これは農林中金なり、農林漁業金融公庫なり、農協というふうな形での融資でございますので、そういういわゆる制度融資の面におきましては、個々の経営の実情に応じまして償還延期あるいは据え置き期間を長くするとか、個々の具体的な相談に応じて適切な処置をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山田(太)委員 そういった親心のある措置が、ケース・バイ・ケースになるのは当然です。それをただのことばだけで終わらせないで、血の通ったそういう農政を強力に考えてもらいたいと思います。この点、大臣、いまの答弁でよろしいでしょうか。 次に、これも具体的な問題で恐縮ではございますが、大切な問題です。休耕奨励金が平均三万五千七十三円。これは私の国元で起こっている事件でございますが、普通請負耕作といいますか、やみ小作ともいっておりますが、これが二万円でどんどんやっておられる実情があります。ところが、岡山県の邑久町というところで、キログラム八十一円で計算いたしますと、休耕の場合、約三万七千円となるわけです。したがって、二万円と三万七千円の差、そこから、請負耕作を取り上げて休耕したほうがいい。そういうトラブルが、いまどんどん起きているのです。こういう問題についての配慮も、生産調整を進めていく上においても具体的な問題であるだけに大切な問題だと思います。これは全国的にもあります。こういう点についての対策あるいはどうやっていくのか、その点についてもし大臣は御存じなかったら、官房長のほうから答弁してもらいたいと思います。
○亀長政府委員 小作が存在しておる場合に二つございまして、いわゆる正規の耕作権を持った小作、それともう一つ、やみ小作あるいは請負小作といわれるものがございます。奨励金の支払いは、農地について正当に耕作の権限を有する者に支払うというたてまえにいたしております。したがいまして、耕作権を有する小作人の人がおれば、小作人の人に払うというたてまえであります。しかし、休むといった場合に、これは地主との間にいろいろ問題が起こる場合が多いのでございます。休むならば自分に返せだとかということになってまいりまして、地主が休むことについてあらかじめ同意をしておかない場合には、小作の人が単独で休むと、農地法上もいろいろむずかしい問題を生じます。 さらに先ほど御指摘の請負小作、これはいまの農地法からいえばやみ小作ということになるわけでございますが、その場合に、私どものほうでは、そういうものを正当なる権原を有する者というふうに現在の農地法に関する限りはみなすわけにまいりませんので、これもまた非常にやっかいな問題になってまいります。私どもの指導方針としては、そういうふうなところは生産調整の対象からなるべく避けたいという考えで、県にも、できるだけそういうところは避けてもらいたいというふうに指導いたしております。しかし、面積の実行、その他の都合でどうしてもやむを得ない場合には農業委員会等で十分その問の調整をとった上で対象にするように配慮をしてもらいたい、かように考えまして、各県にもそのように指示をいたしたいと考えております。
○山田(太)委員 いまの御答弁によりますと、やみ小作についても対象からできるだけはずすように、そういう指示をしているんだ、そういうようにとってよろしいですか。
○亀長政府委員 なるべくそういう地区は避けてやりたい、こういうことでございます。
○山田(太)委員 通達してあるのですか。
○亀長政府委員 そういう指導を、県にも話してございます。
○山田(太)委員 請負小作についても……。
○亀長政府委員 実施面積を、ある程度実行する以上どうしてもそういうところを入れざるを得ないというところについては、各地の農業委員会において十分な調整をとった上で紛争のないようにやってもらいたい、こういうふうに指示をいたしてございます。
○山田(太)委員 その委員会でこれが処理できる範囲ならいいんですが、これが処理できない問題が相当起きてきております。この点はもう一度調査していただいて、そしてそれ相当の対策を講じるという、そういう点をことに要望しておきたいと思います。 そこで次にお伺いしたいことは、先日の総合農政基本方針において、これはひとつ読ましていただきますが、「全国的視野に立って農産物の需給調整を図りつつ、地域の特性を生かして効率的な農業生産をすすめるため、適地適産の原則にのっとり、将来における農業生産の望ましい姿を明らかにする」といった内容を発表しておりますが、この転換を推進するにあたって、具体的に適地適産を示す考えが農林当局におありかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 転作作物につきましては、こちらが全国に一律に指令という、そういうことではないのであります。地方の実情に応じて、その地域に最も適当であるというような農作物について地方庁やわがほうの農政局とも緊密な連絡をとりまして、その地域の適産をひとつできるだけふやしていくようにいたしたい、こう指導しているわけであります。
○山田(太)委員 私の聞き方が悪かったとも存じますが、これは昨日の日本経済新聞ですが、この中に、「農林省は四日、自民党総合農政調査会の小委員会で、将来の「農産物生産全国地図」ともいうべき主要農産物の地域分担見通し作成についての考えを明らかにした。」このようなことが報道されております。農産物の生産全国地図、これは悪いと言っているんじゃありませんよ。非常にいい考えでもありますし、これは当然どんどん進めていかなければならない問題だと思いますが、それについての時期なりあるいは見通し、あるいはその内容のアウトラインというものをひとつ説明してもらいたいと思います。これは大臣からお願いしたいと思います。大問題ですから。これはいい問題です。
○倉石国務大臣 新聞の記事は読んでおりませんが、ただいまこの生産調整を実施に移す前から、私どものほうではいまお話しのような件について作業をしておるわけであります。その作業を進める資料に、先ほど申しましたように地方の知事、農政局長等に十分地方地方の状況を綿密に調査をして報告してくれるようにということをやっているわけであります。
○山田(太)委員 もう一歩官房長官から詳しく——アウトラインでけっこうですから説明してください。
○亀長政府委員 御答弁を補足して御説明申し上げます。 御質問の点は、いわゆる地域分担とかそういう構想についてのお話だと思いますが、私ども本年度の二月二十日の「総合農政の推進について」という発表におきましても、「全国的視野に立って農産物の一需給調整を図りつつ、地域の特性を生かして効率的な農業生産をすすめるため、適地適産の原則にのっとり、将来における農業生産の望ましい姿を明らかにすることが必要である。」これとともに「これに基づき適切な生産誘導につとめるとともに、農業団体などによる生産、出荷の調整に資する必要がある。」こういったことで、いわゆる地域分担の作業というのを現在実施をいたしております。これは農業基本法の第八条にも、全国的な生産物の需給及び生産の長期見通しをつくる、その場合に必要に応じて主要な生産物については地域ごとにもつくるのだ、こういうことが基本法にも規定されておるわけでありまして、私どもとしては、現在これに関する実務的な作業を開始をいたしております。 地域分担の図表でございますが、この性格をどういうものと考えるかという点につきまして、私ども事務当局といたしましては、農業団体あるいは県、市町村が農業計画をつくる際の重要な資料を提供する、かような観点であります。同時にそれに基づく政策については、そのような図表に立ってそれぞれ別途政策的に決定をしていただくのだ、かような考えで、いわば政策の前提となる農業地図と申しますか、農業の生産図表をつくりたいというふうな考えで作業に取りかかっております。 この基礎データといたしましては、従来の自然条件あるいは生産の条件の上に、さらに市場条件、輸送の条件あるいは価格、さらに大局的には国民生活の消費の伸び、あるいは需要の動向等、いろいろな条件が重なってまいりまして、こういうものをどういうふうに取り入れ、またどういうふうに捨象をして地域の生産の図を描くかということは非常にむずかしい作業でございます。私ども現在は大体それに必要なデータを収集しておるという段階でございまして、この方法論をどういうふうに組み立てていくかということも、いろいろ外国の事例等も研究をいたしておる、かような段階でございます。時間としては、事務的に相当急いでもおおむね半年から一年くらいかかるのじゃないか。私どもとしては、この問もプレーンソーダをつくるのかという御批判を受けたのでございますが、これはきわめて純粋な、一度そういうデータだけからの機械的な算出を描いてみたい、かような考えで現在着手をいたしております。 以上のような状況であります。
○山田(太)委員 適地適産を早急に実施していくためには、これは曲げた批判はあるかもしれません、しかし、それを正当な生かしようをしていくということは、非常に大切なことだと思いますので、半年あるいは一年かかるかもしれぬというお話ですが、これは早急にやっていただくことを御要望しておきたいと思います。 そこで時間がありませんので、規模拡大の問題に対する不安感、あるいは離農の問題等もお伺いしたかったわけですが、これは割愛させていただきまして、次は水産の問題をお伺いしておきたいと思います。 これはは先月の上旬に北海道の釧路から十勝地方の沖合いに韓国の漁船とソ連の漁船が姿をあらわして三海里すれすれまで接近して大々的な漁獲を行なったといわれておりますが、これは事実でありますかどうですか。
○大和田政府委員 最近、主としてソ連船でございますが、ときには韓国船も、北海道から犬吠岬あるいはときによりますと伊豆七島の付近にあらわれることがございます。そうしてそれがあらわれますつど私のほうへ県を通じて連絡があるわけでございますが、大体十海里ないし十五海里の近辺であることが普通でございまして、いま御指摘のように、三海里に接岸をして操業をしたという報告は、私ども受けておりません。
○山田(太)委員 これはやはり非常に大切な論点の一つでございます。私の聞いた範囲によりますと、三海里すれすれまで接近してきておることを聞いております。これは現地の方から聞いております。これは水産庁長官にもう一度確かめておいてもらいたいと思います。 そこで、この現地でございますが、これはいま現在は非常に有望なタコ漁場になっております。そしてソ連の漁船は、現地の方の話によりますと、三海里まで接近してきて、沿岸漁業者がしかけたタコ漁のなわや漁具に非常に多大な被害をもたらしております。この被害状況というものもついでに水産庁長官からお伺いしておきたいと思います。
○大和田政府委員 二月七日前後のことでございますけれども、白糠漁協所属の組合員がしかけておりましたタコなわが約六百枚ないし七百枚、これは一枚というのは約綱にして四十五メートルほどでございますが、これが損害を受けたという報告がございます。この損害を受けた地帯は大体海岸から十海里くらいのところでございますが、その当時ソ連船がここで板びきのトロールをやっていたという報告がございます。ただこのタコなわの被害が、ソ連船がほんとうにやったかどうかということつきましては、実は確証がございませんので、私どもその報告を受けましたときに、北海道庁に対して被害の実態と、それから漁協の人たちの話といたしましてはソ連に対して損害賠償の請求をしたいがどうか、こういうお話もございましたので、実はここは当然公海上でございますので、ソ連船からの被害ということでソ連に対して損害賠償の請求をいたしますためには、ソ連船がやったことが確実であり、しかも損害賠償の請求ができるような条件がないと、これはなかなか相手にならないわけでございますから、その辺の被害の実態と、それから被害の起きた条件等につきまして、北海道庁に対して詳細な調査を要請をしておる段階でございます。
○山田(太)委員 調査の段階だということをまず了承した上で、やはりこういう問題には三つの問題があると思うのですね。これはまず一つには、わが国がやはり旧態依然ということばが適当かどうか別としましても、領海三海里を主張しているという点、それから二つには漁獲法の問題です。漁獲法の点も問題があります。それから先ほど水産庁長官のお話しのあった損害賠償の問題、この三つの問題があります。 そこで、もしソ連船がやったということが確認されない場合の損害賠償と——損害賠償ということばは適当ではないでしょう。これは補償という問題になるでしょうが、あるいはソ連船がやったという場合の損害賠償と、この二つの面についてはどのような措置を——これまであったことだと思うのです。またこれについては、ことしの二月にもすでに銚子沖にソ連船が来ておるということを聞いております。それから去年はずっと伊豆沖から駿河湾あるいはやがては四国沖、九州沖のほうまで南下していくのじゃないかということも漁民の方は心配しております。やがてそのような問題が多発するというおそれなきにしもあらずです。こういう場合、その確認がなされなければそのまま泣き寝入りなのか、また確認されたときはどう処置していくのかという点について、明快な答弁をお願いいたしておきたいと思います。
○大和田政府委員 具体的な場合が、これは公海上の事件でございますが、ソ連船がこの被害を及ぼしたことが確実であり、かつ一般に損害賠償要求ができる条件が備わっておりますれば、私ども当然外務省と相談いたしまして損害賠償要求をいたしてしかるべきものだというふうに考えます。それからそうでございません場合は、残念ながら、これは一般の損害を生じた場合でございますので、私ども漁家のために漁業共済制度を持っておるわけでございますが、まだこういうタコなわの被害についてまで漁業共済の適用をいたしておりませんけれども、将来の問題としてできるだけその範囲の拡大をいたすように研究をいたさなければならない、そういうふうに思っております。 さらにソ連船の近海における操業の問題でございますが、最初は北海道沖にあらわれたものがだんだ金華山沖に参りまして、近くは犬吠岬あるいは伊豆七島の南のほうの銭洲沖までにあらわれておることは御指摘のとおりでございます。昨年実はこれは大問題になったわけでございますが、昨年は伊豆七島の南の銭洲というところで、これは日本のサバの産卵場でございまして、日本におきましても一本釣りしか認めておりませんで、まき網でまくことは禁止している地帯でございますが、そこにソ連が参りまして、四、五百トンの船でまき漁業をやったわけございます。これは私ども公海上の操業でありましても、資源保護のたてまえから黙過することはできませんので、わが国の資源保護の立場をソ連も同調してほしいという申し入れをいたしたわけでございます。ことしは伊豆の銭洲付近にあらわれておりますけれども、昨年と違いまして、一本釣りだけをやっておって、まき網はいたしておりません。したがいまして、特に資源保持というたてまえから問題は別にございませんので、私ども現在県とも連絡をいたしまして、情報の網をできるだけこまかにいたしまして、ソ連の動向を見澄ましておるわけでございます。もしも魚族保護の立場から黙過できないような事態でありますれば、当然私どもは申し入れをいたすつもりでございます。
○山田(太)委員 もう一度重ねてお伺いしておきたいことは、これまでにソ連船による被害であると確認されて、そうして賠償を要求して、それがいれられたことがあるかどうかということ。
○大和田政府委員 漁具等がソ連船によって被害を受けたということが明らかな事態が生じて、ソ連に損害賠償の申し入れをいたした事案はございません。
○山田(太)委員 ではたびたび立っていただくのは気の毒でありますが、もう一ぺんこれは大切な問題だから、次の問題もあわせてお伺いしておきましょう。 もしそのような場合があったら賠償を申し入れる意図はある。そうしてそれがいままでは事実はなかった。これからはできる可能性がある。そのときに、いままでのような漁民の方々のお考えでは、それはやってもとうてい不可能じゃなかろうか、あるいは申し入れをしても、近海あるいは三海里近くまで来て、そして漁場を非常に荒らす。それに対しての申し入れをしてもいままでは聞いてこなかったじゃないかというふうな不安もあるわけです。ただ申し入れをしますと、そう言うだけでは、漁民の方々が安心できないという点を抱いております。 そこで、強い態度というものをまず表明しておいてもらいたいことと、それからもう一つは、専管水域の問題について、これは大臣から御答弁願いたいと思いますが、昨年の予算委員会でわが党の同僚議員が、専管水域の設定について政府の見解をただしたことがあります。ところがアメリカも最近、領海十二海里を支持しているようでございます。また世界の大勢からいっても、当然わが国も領海もしくは接続水域の拡大設定をすべきだと思います。この点についての大臣のお考えをお伺いするとともに、あわせて、基本的な問題ではございますが、わが国がいまもって関係相手国の同意がなければ接続水域を広げないという考えを持っておいでかどうか、これをあわせて大臣にお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 いまお話のございましたアメリカでありますが、国務省は領海の幅員に関して声明を発表いたしましたが、これは国際合意が得られるならアメリカは領海十二海里を支持する用意があるが、それまでは従来どおり領海三海里を堅持していくことを明らかにしたというのがこのたびのアメリカ側の声明でございまして、直ちに領海の幅員を拡張するという趣旨ではないという話であります。もうたびたび問題になっておりますから御存じのように、領海は依然として三海里、これは二十何カ国かよく記憶しておりませんが、いわゆる国際合法で領海三海里というのはいままでおよその常識でありますが、最近は各国がかってなことを言いまして、専管水域十二海里、あるいは。ペルーのごときは二百海里というふうなことを言っておるような状態でありますが、わが国がいろいろ慎重に検討いたしておりますのは、たとえばアメリカ、メキシコ、オーストラリアなどの、彼らのいう専管水域の中にわれわれがすでに漁業既得権を持っておる国がたくさんありますので、いままでそういう国々とは個別な条約を結んで、われわれの既得権を保護してまいりました等のいろんな事情もありまして、政府としてもいろいろ検討しておる最中であります。これはしばしば国際的にいろんな問題になることでありますので、利害得失を十分に検討いたして、わが国の国益に合致するようにしたいと思っております。
○山田(太)委員 実は昨年も同じ答弁だったわけです。それからちょうど一年たった今日もまた同じ答弁では、これは何ら進展がない。漁業者の九五%は沿岸漁民です。したがって、いまの韓国船やソ通船の問題等を考えてみましても、漁民の九五%が非常に不安を感じておるということ、また生活に非常に痛手をこうむる、そういう問題も兼ね合わせて慎重に検討してとは大臣の答弁ですが、去年と同じではこれは真の答弁にはならないと思います。やはり一応のめどをつける、あるいはそれの前に、三海里説をそのまま維持して、プラス面とマイナス面、これも当然考えておられることと思います。時間がないからこの答弁は要りませんが、しかしこれについて、また去年と同じ検討を加えてまいりますというのではあまりにも誠意がなさ過ぎるじゃないかという点を大臣からもう一度、ありきたりの答弁でなくお答え願いたいと思います。
○倉石国務大臣 わが国の領海を侵して他国船が参って漁獲をするようなことは許されるべきことではありませんし、当然そういうことについては政府としてはしっかりしなければいけませんが、公海において魚をとっておることについて、われわれが見て公海であっても、もし十二海里説をとっている国から見れば専管水域であるかもしれない。いろいろな意味において近海の漁民が御心配なさること、先ほど水産庁長官の答弁にもございましたように、領海に関する法律上の問題を言っておればいろいろになるでありましょうが、近海に出てきて大きな漁獲をされるということに対する不満を持つことはあり得ることでありますから、そういうことについてはなおひとつ外務当局ともよく相談をいたしまして善処してまいりたいと思いますす。
○山田(太)委員 それ以上の進展した答弁はないようでございますので、最後に二点だけお伺いしておきます。 それは、ソ連側にいま抑留をされている船あるいは船員、その家族の方々が現在どのような生活状態を送っておられるか、それに対して政府としてはどのような対策を講じておるか。これは現実に調査してきておりますが、きょうは時間がありませんので、その点だけひとつ伺っておきたいと思います。
○倉石国務大臣 このことは政府といたましても心痛にたえない問題でございまして、早くわれわれの希望が達せられて国際間の問題が処理できることを望むわけでありますが、いまそういう段階に及ばない間にいま御指摘のようなお気の毒な方がございますので、四十五年度予算に予算をとりまして、そういう方々の状況について詳細に調査をしてみるということにいたしております。
○山田(太)委員 これはもう長い年月のことでございます。したがって、この家族の方々の生活を調査というほんとうは段階じゃないと思います。どのような手を打っていこうかという点を、積極的に政府としての対策というものも、いま現在は関係組合とか、そういうものからの援助といいますか、補助といいますか、そういうものにたよっている方々がほとんどでございます。これはまた日を改めてお伺いしていきます。 そこで、同時にこのソ連の問題に関連してきますが、ソ連から人工ふ化の共同事業を進めるよう提案してきておりますことは、これは新聞でも報道されております。そこでこの人工ふ化の共同事業を推し進めるようになった場合、これに応ずるかどうかという問題が一つ。それから共同事業を進めるようになった場合、関係水域においての資源の共同調査、これも行なうように積極的に交渉すべきであると思いますが、政府のお考えをお聞きしておきたいと思います。この共同調査ができるようになれば、日ソ共通の資料のもとで漁業交渉もスムーズにいくということは当然予想されることでございますので、この点についての明確な判断、考えを答えておいてもらいたいと思います。
○大和田政府委員 今回の日ソ漁業委員会に際しましてソ連から、極東においてサケ、マスの人工ふ化事業に関しまして日ソ協力をしようではないか、その問題について討議をしたいという申し入れがあったわけでございます。実はこの問題は以前に日本から提案をしたことがございまして、その際はソ連ははなはだ消極的であったわけですが、昨年来ソ連がやや積極的になってまいった問題でございます。いずれにしろまだソ連から具体的な提案がございませんで、その意図あるいは内容等についてつまびらかにいたしておりませんけれども、私どものたてまえとしては、日ソ漁業交渉が絶えず漁区の制限でありますとか、あるいは漁獲量の制限でありますとか、そういうことばかりやっておりますことに加えて、日ソ共同でふ化事業をするということははなはだ好ましいことでございまして、私どもの北洋漁業の将来からいっても望ましいものでございますから、これはソ連の提案次第で積極的にこの問題に取り組む姿勢でございます。 それからサケ、マス等の資源の調査でございますが、これも日ソ漁業委員会において両国が分担をして調査をいたしておるわけで、両国の共同調査ということでやっておるわけでございます。その調査事項の評価等について毎年相当な隔りがあることは事実でございますけれども、日ソ両国別別にやっておるのではございませんで、設計を相談しながらやっておるわけでございます。なおこの共同調査につきましては今後もますます積極的にやってまいりたいというふうに考えております。
○山田(太)委員 質問を終わります。
○草野委員長 では引き続いて小平忠君。
○小平(忠)委員 私は、本委員会におきまして倉石農林大臣の所信表明に対して若干の質問をいたしたいと思うのであります。 まず農林大臣に、わが国農業の位置づけということについてお伺いをいたしたいのであります。今日の日本農業の置かれている現状からして、最近の政府の農政の現状は、端的に申し上げて場当たり農政、その日暮らし農政、こうきめつけても過言でないと思うぐらい目先まつ暗であります。その最たるものがまず米の過剰にあらわれております。そこで最近は総合農政あるいは経営規模を拡大して自立経営のできる農家を育成するんだとか、あるいは生産性を高めて国際農業に、国際競争にうちかっていく農家を育成するんだというようなきわめて抽象的な表現が随所においてなされておりますが、しかしそんなような抽象的な美辞麗句を並べて今日の日本の農業を解決するというような問題では私は断じてないと思うのであります。自由化の波は好むと好まざるとにかかわらず押し寄せておる、進められておる。こういう現状に対しまして、とくに政治家としての経験と、またさらに含蓄のあるあなたの過去の長い政治生活を通じて重ねて農林大臣という要職につかれたのでありますが、この日本農業の置かれている現状に対して、あなたはどういう所信を持ってこの日本農業の危機を打開されようと考えておるのか、まず日本農業の位置づけというようなことについて大臣の所信を承りたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 農業はいわゆる農業という面からだけ見てもその一面が見えるだけであって、私は農業全体の全貌を把握することはできないのでないかと思っております。わが国の全体の産業構造の中で農業はどのようにいまあるか、どのように位置づけるべきであるかということだと思うのであります。それでただいまやわらかいおことばではありますが、辛らつに御批判をいただきましたが、実は昨日私はたいへんすがすがしい思いでうちへ帰ったのであります。それはきのう全国の農業をやっておる若者が、毎年やっておることでありますが、農林省に集まりまして、いろいろな研究発表会がありまして、その若者たちと一緒に食事をしてみました。みんなが意見を述べたのですけれども、彼らの一人は、私は日本に生まれてしあわせであった、しかもおやじが農業をやっていてくれてそのあと継ぎで、これだけりっぱな環境で農業を楽しめることは実にありがたいしあわせである、こういうふうに言って、これからうんと自分の与えられた職責を果たして日本の農業を盛り立てていきたい、各自それぞれのお立場で、窮屈で困っているお話もありましたけれども、結論としてはそういうことでありました。私は、日本の農業というのはこれは私どものようなふなれな者がへたなことをいたすということよりも、全体としてかなりりっぱな農業であることは——先般農業団体の人たちがヨーロッパへ行ってまいりまして、その人たちの報告を聞きました。国内におるときには日本の農業についてわれわれは悪い面ばかり見て批判しておったが、ヨーロッパを歩いてきてみてこれほど手厚い政策をやってくれている国はありませんと——小平さんもお読みになったかもしれませんが、私どもは、まあ必ずしもわれわれが成功しているなどというわけではございませんけれども、しかし日本の農業全体としては確かに成長してまいりましたが、一面においては中小企業と並び称せられるように、他産業に比べて生産性が低いのは御存じのとおりであります。しかし、これはやはり保護育成していくということが少なくとも政府の考え方でございますので——米はいまこういうことになりましたが、そこで生産調整という思い切ったことをせざるを得ないのでありますけれども、こういうことは何も日本に限ったことじゃありません。御存じのように、ただいまEECなんかでも余った農産物を生産制限するために五百万ヘクタールくらいのものを転用しなければならぬというふうな大きなことを彼らは言って苦労しております。私はやはり、米に重点を置きました農業というものは、過去の例を見てまいりまして、今日までの間に若干需給の関係においてアンバランスのこともあったことはやむを得ないことでありますけれども、全体としては、農業を今日まで伸ばしてくるには非常に大きな力があったのではないかと思うのでありますが、それにもかかわらずほかのものは御存じのようにたいへん欠乏しております。いま食糧が高度化したといっても、やはり食べる野菜、くだもの、豚、鶏などを飼うために必要な飼料の大部分が輸入品である、こういうような特殊なことを考えてみますと、そういうことをやりながらも今日の国民の食糧の補給をしていかなければならない。農業というものを維持していくためには、農業だけのことではなくて、やはり他産業の協力を得なければそれだけのものを購入する外資というものは獲得できないのでありますから、そういう意味で、産業構造全体の中で農業というものについて立ちおくれている面についてはできるだけ伸ばしていくべきではないか。今度の調整に際しましても、できるだけ作付転換をいたして、われわれに足りないものを増強していきたい、こういうようなことを考えておるのもその一つでございます。したがって、農政の大家であられる小平さんに講釈がましいことを申すわけではありません、お尋ねでございますから私どもの所信を述べるわけでありますが、私は、この日本の農業というものをさらにさらに強力に維持してまいる、こういうことを政府は考えておることを結論的に申し上げたいと思います。
○小平(忠)委員 具体的にお伺いしたいと思います。時間が限られておりますので、なるべく簡潔にお答えを願いたいと思います。 しからば、大臣は、わが国の食糧の需要、供給の状況をどのように把握されておられるか。なかんずく、食糧といいましても主食である米麦の需給状況についてどのようにつかんでおられるのか、どのように考えておられるのか、お伺いいたします。
○倉石国務大臣 あとで数字を申し上げますが、大体において米は、御承知のように、パーセンテージでいえばもうすでに一一三%か五%まで行っておりましょう。米麦の麦は大体三〇%程度ではないかと思っております。その他のものはおよそ八〇%ないし八三%を充足いたしておる、このように理解しております。
○小平(忠)委員 その他のものはあとにして、まず米と麦の生産量と、さらに米と麦の一年間の需要量はいまどのくらいですか。
○森本政府委員 米のほうから申し上げますと、米の需要量は御承知のように昭和三十七年が一人当たりの需要としては一番多かったわけでありまして、年間の一人当たりの需要量が百十八キロということであります。全体の需要量としましては、三十八年が一番多くて千三百四十一万トンということになっております。その後、一人当たり、それから全体の需要量も消費量も減ってまいりまして、四十三年では一人当たりが約百キロ、それから全体の総量では千二百二十五万トン程度ということになっております。それから麦のほうは、全体の主食の需要のほうは四十三年くらいまで漸増をいたしております。四十三年では一人当たりの消費量としましては三十一キロ、それから総量としましては、工業用等も含めますと三百五、六十万トンというふうな形になっております。その後の四十四年あるいは四十五年の見通しでございますが、四十三年を頭にいたしまして需要量はやや停とん状況、一口に言いますとさような概況でございます。
○小平(忠)委員 食糧庁が出された四十三年度の米と麦の総需要量は千九百十九万トンと、われわれに資料が渡されておりますが、それは間違いございませんか。
○森本政府委員 いまの千九百万トンという数字は、出どころがよくわかりませんが、最近の需要量は、先ほど申し上げましたことで、四十三年は米が千二百二十五万トン、麦のほうが約三百五、六十万トンというような状況で、それは主食といいますか、食べるほうのがそういう状況であります。
○小平(忠)委員 総需要量、どこから出たかわからない、そんなことではだめですよ。ちゃんと食糧庁が出している資料じゃないか。米と麦の総需要量、主食も加工原料もめんもパンも全部入れて、輸入食糧、外米も外麦も全部入れた総需要量が食糧庁から出されておるのが、昭和四十三年度で千九百十九万トンという資料がわれわれのところに出ておるわけですよ。これは予算委員会でも農水委員会でも何回も過去に論議されたもので、これは間違いないのです。実際にわが国の最近における年間の主食である米麦の総需要量は約手九百万トンというのが現状です、年度によって若干のでこぼこはありますけれども。これに対しまして昭和四十二年、四十三年、四十四年というのは、結局千四百万トン台、特に昭和四十二年、四十三年は米の生産が千四百四十万トンから四十五万トンという史上最大の生産をみております。それに対して麦の生産は二百七十万トンで、合わせてこれが千七百二十万トン。そうしますと、史上最大の豊作時においてもなおかつ総需要量に対しては国内の生産の米麦では二百万トン足らないのです。この史上最大の豊作は別としても、過去十カ年間の米のいわゆる平均生産量——最近は平年度における生産量は、栽培技術なりあるいは品種改良なりによって逐次向上されておりますけれども、昭和三十二年から四十一年に至る十カ年間の平均をすると、これは食糧庁、農林省の統計ですが、米の生産が千二百六十万トンから大体千二百八十万トン、千三百万トンという数字を前後しているのです。だから、この昨年、一昨年、一昨々年の三カ年というのは、まさに好天にも恵まれ、災害も少なくて、史上最大の豊作をもたらしているけれども、過去の平年度においては、四百万トン近く食糧が足らないのです。その足らざるを、外米、外麦の輸入で補っているのが日本の現状です。終戦直後の米の足らないときに、米の増産に拍車をかけて、なおかつそれでもまかないきれないから、アメリカの余剰農産物を入れ、粉食を奨励して、足らざるを補い、日本の食糧問題を解決してきたのです。だから、足らないものを輸入するのは、これはあたりまえです。ところが現実には、長い問の惰性で米食から粉食に国民の食生活もだんだん変わって、パン食になれて、米の必要が少なくなっているという事実は事実としても、主食である米、麦の全体の生産量を見るときには、絶対量が足らない。平年度においては四百万トン近く足らない。史上最大の豊作でも、二百万トン足らないという現状において、なおかつ平年度に輸入している四百万トン近い外米を減らしても、今度は外麦をふやせば同じことなんですよ。必要量以上の外麦を輸入して、結局逆に国内の米を圧迫するという結果になるわけなんです。ですから、日本の特に米麦の需要供給に関しては、もっとこのくらいの数字はやはり大臣自身が把握して、むしろこれから私が大臣に質問せんとする重要な論点に答えていただきたいと思うのです。私のいま申し上げた数字が誤っているといけませんから、これは政府委員でけっこうですから御答弁願います。
○森本政府委員 先ほど私お答えいたしました中で、米のほうは、全体の需要を申し上げまして、麦のほうは、小麦の農家の消費、大裸麦が抜けておりましたので、多少数字が食い違って、はなは、だ失礼を申し上げましたが、米、小表合わせまして、いま言ったような全体の需要ということになりますと、御指摘になりましたような数字でございます。
○小平(忠)委員 大臣、食糧庁長官の答弁のように、米、小麦全体のいわゆる需要量は、千七百万トンではなくて千九百万トン、端的にいいまして、大豊作でありましても、国内の生産の米や麦では二百万トン足らないということが現実です。しかし米、麦合わせれば、そうだけれども、米だけの需給関係を見れば、すなわち消費に対して生産が上回り、いわゆる生産過剰となっていることは事実でございます。じゃ、この問題は、どうすればいいのか。 次にお伺いいたしますが、大臣、現在古米、古々米はどのくらいあるのでございますか。
○森本政府委員 現在といいますか、四十四米穀年度末におきます古米の持ち越し量、これが玄米トンで申しますと約五百五十四万トンということになっております。それから四十五米穀年度末における見通しでございますが、古米持ち越し量が約七百七十万トン、約八百万トン近くにのぼるというような状況でございます。
○小平(忠)委員 大臣、この四十四米穀年度末で五百五十四万トン、先般の資料では五百六十万トンということでしたが、いま食糧庁長官が指摘されたこの古米の処理をどうなさるのですか。
○倉石国務大臣 古米の処理につきましては、いろいろ努力しているわけでありますが、文部省とも相談いたしまして、学校給食になるべく使ってもらう、それから海外への、いろいろ借り入れの申し込みもありまして、援助のものもあります。先般韓国、インドネシア等に出しておりますが、そういうようなものも、できるだけわが国の米を出せるようにいたしたい。それから、みそ、しょうゆなどについては、いままで安い外米を使っておったものもたくさんありますが、そういうところにも古米を使ってもらいたい。それから、いま農業団体からの話でありまして、飼料に使えないかということで、いまその試験をやらせようとしているところでありますが、これがもし行なわれるようになれば、かなりの量が出るわけでありますが、そのほかにもできるだけ用途を広げたいということで努力しているわけであります。
○小平(忠)委員 ただいまのところでは、どのくらいの数量を処理できると現状で踏んでおられま
○倉石国務大臣 いまの飼料の話、これがいいということになれば、二百万トンないし三百万トンくらいは見込める、その方面だけで考えられるではないかと思っておりますが、取り扱いその他でなかなかむずかしい点もありますので、支障のないように検討をいたしているわけでありますが、その他のことにつきましては、いま申しましたように、海外に、向こうの要望にしたがって援助物資として供出するとか、そういうものでありますから、いま大体どのくらい見込めるかということにつきましては研究はしておりますが、まだはっきりした数字はつかんでおりません。
○小平(忠)委員 私は、大臣、そこだと思うんですよ。目下研究、目下研究、努力、努力といって、すでに昭和四十二年のあの大豊作で結局二百万トン近く余ってしまうような結果になった。その翌年から、この古米の処理についてはどうするかということで大いに検討を重ねて——これは、あなたにばかりそのことを追求するわけではないけれども、私は、現在の自民党内閣の歴代の農林大臣に大きな責任があろうと思う。米の管理は、いまだれがやっているのですか。政府がやっているのです。膨大な数字のものが結局過剰となって、それをどうしたらいいのかということの検討、研究だけでは私はいかねと思う。現にことしも、いわゆる四十四米穀年度末に、昨年の十月に五百五十四万トン古米、古々米が残ったのだ、四十五米穀年度末には、約七百八十万トンの古米、古々米ができてしまうのだ、これはどうなさるのですか。米づくり農家の勤労と犠牲によって、努力によって生産した貴重な米を——それは一年、二年は古米、古々米でいいけれども、三年、四年となったら、これは食用に供することがだんだんできなくなってしまうのです。私は、すみやかにこの問題を解決せねばならぬと思うのでありますが、大臣、いかがですか。あらゆる農政に優先してこの問題は……。
○倉石国務大臣 当然なことでありますから、努力しているわけであります。
○小平(忠)委員 それで現状において、いま全購連と内々話を進めておる飼料問題、大臣に伺いますが、米というものを一体どうして飼料にするのですか。
○倉石国務大臣 そういうことについて、専門家に研究をさせておるわけであります。
○小平(忠)委員 一体研究しているような段階で済むかということです。何年研究するのですか。具体的にいって、それも、えさに供することができるということならばそれは二百万トン近いものが処理できる、こう思うのでしょうけれども……。 私は次に、私なりに、またわれわれが考えておる一つの考え方を指摘いたします。 まず第一に、現実に、米麦全体の需給関係は、確かにそれは国内の生産量をもってしては需要にこたえることはできないけれども、米だけの面においては、現実に二百万トン近いものが、千四百五十万トンもとれるならば余るということでしょう。ですからこのことは、農政の大きな重点をここにしぼって、いかにして米というものの需要を拡大するかということに全力を傾倒すべきだ。可能なことがあるじゃありませんか。 まず第一、学校給食に使っておる小麦は二十六万トンです。この学校給食を——何年かかれば結論出るのですか。学校給食法が制定されて、始めたのは、第一米が足らないときです。このパンの学校給食を米に切りかえることが、全部できなくても、少なくともこれは段階的に、本年は半分、次にはその残ったものの半分、そういうことによって、学校給食の切りかえがまず可能であります。 その次は、米は今日加工原料として、菓子原料、こうじあるいは酒米——酒米だって、従来外米を二十三万トンも使っていることがありました。今日外米の輸入はなくなったから、酒米は全部国内米が振り向けられておるでしょうけれども、こういったようないわゆる加工原料に、もっと米というものを研究して、加工原料を増大する方法はできませんか。そして、単に米というものは何か食べ過ぎるといわゆる栄養過剰というかあるいは老化現象というか、そういうことから敬遠するようなそういう宣伝もしておりますけれども、農林省みずからがもっと、食べ盛りの——十代、二十代の者はどんどん米を食べてもいいはずです。一つも米の宣伝をしないじゃありませんか。もっと栄養価を加味した米のPRをして、米の消費を拡大することにもっと積極的に取り組むべきでないか。 第三は、いま東南アジアの現状をごらんください。韓国でもインドネシアでも、ここ数年は食糧飢餓で餓死者を出しているような現状においては進んで——いまごろのろのろと、結局延べ払いのいわゆる手続をとってなんて、もっとこういった後進地域に対する援助あるいは長期借款でもいいから、米を処理することにもっと積極的に取り組んではどうでしょう。 次は備蓄米制度です。備蓄米制度は、戦前においては、政府米として政府が現実にこれをもみ貯蔵倉庫なり、国みずからが備蓄の方途を講じたのです。特に、日本という国は災害の多い国です。定期台風常襲地帯が実に多い。ここ三年というものは、大きな台風が連続的に上陸するということがない。そこへもってきて、好天に恵まれましたから、千四百万トン台の米の生産があったと思いますけれども、これが天候不順に、さらに定期台風が米の生育期あるいは幼穂形成期あたりに襲来した場合においてはその被害は甚大、それによって三十万トンや五十万トンの米なんかすぐ吹っ飛んでしまうのです。そういうことを考えたら一朝有事の際を考えて、二百万トンや三百万トンの米の備蓄をやったらどうですか。低温倉庫なりもみ貯蔵倉庫などの方法があるのですよ。先般予算委員会でも、あなたも佐藤総理もこの備蓄米については触れておられたけれども、もっと真剣にこの備蓄米について取り組んだらどうですか。四十五年度の予算に何らあらわれていないじゃありませんか。こういうなすべきことをなさないで、それで目下検討中、検討中では、これは政府がいかに生産調整のために、それ転換だ、休耕だ、そして水田を他の作物に転換するんだ、転用だと言っても、それはなかなか不安がられ協力できない面も出てくるのです。 私は、以上のようなことを倉石農政の大きな柱としてまず古来、古々米の処理、これからどうするんだ、真剣に取り組むべきではないかと思いますが、大臣の所見いかがでございますか。
○倉石国務大臣 お話しのようなことについてはわれわれも同感でありまして努力をしているわけであります。しかしいま海外に出すお話もありましたけれども、これから御審議を願いたいと思っておる法律などについても——法律も出そうと思っておるのですが、いまちょっとお話がありましたけれども、なかなか——韓国のような国はわりあいに話は楽ですけれども、東南アジアに、向こうからも要望がありまして、たとえばインドネシアに出そうとしたら、インドネシアに米を出しておる国が、それはおれの輸出先を荒らすものであってけしからぬという外交的苦情が来ました。やむを得ずわれわれは自分のほうの分を半分に減らさざるを得なかったような状況です。ビアフラでああいう事件があって、これはお気の毒であるというので米を出そうとしたら、対立しておる政権が納得しなければ外交的にむずかしいとかなんとかということでストップを食いましたとか、いろいろ難関がございまして、思うようにいかないのでありますけれども、私どもとしては、しかしせいぜいそういうことにも努力をしてまいるつもりであります。しかしいま生産調整はもう今日の段階ではやらざるを得ないことでありますから、それと並行いたしまして現在あります古々米の処理については全力をあげておるわけでありますが、最近の傾向は、小平さんよく御存じのように残念ながら米の立場から見ますと、逐年、一人当たりの消費が減退してきています。これはやはり何とかしなければならない。三年ほど前で、私は農林大臣をしておりましたが、米の値段をきめます運動に大ぜいの地方の人がたすきをかけてはち巻きして上京されて、自民党本部へ来まして、あの前の庭一ぱいすわり込んでおられた。御苦労さんですなといってそこに御慰問に行きましたところが、驚くべし、ちょうど食事の時間でみんなパンと牛乳を食っていた。私はそれを見て感慨無量でありました。この傾向というものはおそるべきものだ。米つくりの方々が値段のことで上京されるのに——われわれ子供のときだったら握りめしに梅づけか何か入れたのでありますけれども、いまはパンです。学校給食で文部大臣としきりに私が言っておるわけでありますけれども、どうも二十数年間、占領解除以来パンでならされた子供たちがなかなか飛びつかない。それでいまは苦労いたしまして、ライスフレークといったようなものを考えたり、それから、パンの中に米を二割くらい入れてやるといったようなことで、極力努力はしておるわけでありますが、まあ研究、研究といったって、日本語はほかにいいことばがないものでありますから、鋭意努力をしておるのでありまして、それはもう、農林省は、この古米の処理で一生懸命でありますから、その辺はひとつまた、いろいろ御協力のほどをお願いいたします。
○小平(忠)委員 大臣は、昨年の、あるいはこの前農林大臣のときに、米価折衝の現場に触れられて、その陳情の農家がパンと牛乳を食べておったことを指摘された。そういうちぐはぐなことは、そこだけでなく、かりに言えば、石炭産業の危機を唱えて、山がいまつぶれると言っているのに、あるいは石炭問題でわあわあ騒いでいるのに、それじゃ石炭の山へ行ったら、石油ストーブをたいている、そういうようなこと、これは一体何でしょうか。私は、政治そのものの貧困だと思うんです。結局、食糧行政、食料政策の貧困じゃありませんか。特に、いまあなたは、米価の問題に触れられたけれども、一体、佐藤内閣は、生産者米価と消費者米価を据え置きにすることを今度の予算、これにも食管会計のいわゆる想定米価、生産者米価、消費者米価の据え置きを明確に打ち出しておられる。現在の物価政策を真剣に取り組む意味からは、消費者米価の据え置きはこれ当然ですよ。ところが、生産者米価据え置きとは何ごとなんです。ことしの消費者物価の上昇率を経済企画庁は幾らと見たんです。四・九%。もう頭から、ことしの消費者物価の物価指数というものを、四・九%も上昇を見ておるんです。米価、昨年据え置きにして、ことしもまた据え置きですか。公共料金や物価やそして賃金が上がっているのに、また、今後も当然賃金は上がらざるを得ない中で、ひとり生産者米価だけ据え置きにして、それが倉石農政ですか。佐藤内閣の農政ですか。物価も上げない、賃金もストップ、だから生産者米価もストップ、これならば、納得して、現在の他の物価と米価のアンバランス、賃金と物価のアンバランスというようなことにおいて、それは納得するだろうけれども、そういう問題があるのです。だから、私は、そういう面において、根本的に、いま現実に米が余っておるからやむを得ないんだという、そういう結局、政府の物価政策、政府の農業政策の失敗を、それを生産農民にしわ寄せするような考え方を持ってさましたら、たいへんでございます。 私は、農林大臣にいまそんな話まで聞こうと思ったんじゃないんだけれども、たまたまほかのほうにそれちゃったものだから……。 私は、何といっても、当面、日本の農政の中で大きな問題は、やはりあの戦後の混乱のときに、食糧が足らない、食糧増産だ、そして強権発動までして、このひもじい米の問題を打開して今日に及んだ。ところが、これもここ二、三年前からです、急に転換してきたのは。ですから、米の生産過剰についてはおのずから理由があるんです。もうはっきりしているんです。そのはっきりしている理由というものは、まず、何と言っても、一番最大左右されたものは、好天に恵まれ、風水害、病虫害等の災害が少なかったこと、そうして今日の水稲に対する栽培技術、品種改良、これらによって生産性が極度に高まっていること、それに、国民の一人一人のいわゆる米食このものが逐次下降線をたどっておる、こういうことから見て、一方においては国民の消費が減る、逆に生産が伸びれば、余るのはあたりまえですよ。私は、こういう問題にはっきりメスを入れ、場当たりでなく、今後の見通しを立ててはっきりやるべきです。ですから、まず古米、古々米の問題をこうして解決する、これらの問題をこうしていくんだということを示してこそ、私は、倉石農政だと思う。 まあ、大臣から的確なる御答弁をいただけなかったことは残念ですけれども、また、これをあなたにばかり責めても、これはあきまへんので、われわれも、野党でありますが、大いにこの問題はともに四つに取り組んで、関係農業団体も鞭撻して、私は大いに協力したいと思います。 同時に、いま大臣が指摘されました生産調整の問題は、これは当然でございます。われわれ決して生産調整に反対いたしておりません。問題は中身であります。一律に百五十万トン減らすんだ。最初は百五十万トン全部、これは作付転換に振り向けるんだとわあわあ騒いでいるうちに、転換のためのいわゆる奨励補助金の反当たりの単価が少ないために、途中で与党の圧力を受けて、そして今度はまた、二転、三転して、百五十万トンが百万トンという形で、結果的には奨励金は、転換、休耕を区別しないで、十アール当たり三万五千円という額に最終的には落ちつきました。これは大臣、こんなことを一律的にやっていいんですか。私は、やはりこの際、そんな思いつきでなく、ことしだけなんていうことじゃなくて、八百十億の補助金を出すんなら、もっとこの金が生きるように使ってどうですか。なぜもっと適地適作主義をとらないのですか。 私は、大臣にお伺いしますが、この生産調整、すなわち、転換に八百十億の補助金を使うのですが、それは、いわゆる作付転換に重点を置くのですか、それとも、休耕のほうに重点を置くのですか、どちらに重点を置くのですか。
○倉石国務大臣 一律減反というのは、これはお説のように、やはりうまい米がたくさんとれるような地域の米は、ほんとうはたくさんつくっていただくほうがいいと思うのですけれども、まあ小平さんや芳賀さんの前でちょっと申しにくいことですけれども、私ども、北海道へ行きますというと、北海道の米についてみずからいろいろ農業者が批判しておられます、御自分のおつくりになる米の味について。それでも、やはり政府が一生懸命で、一万ヘクタール調整してくれといわれたときに、北海道は逆に、ふえちゃったと、こういうようなことで、そういうようなところも区別するわけにはなかなか、農業団体なんかでは、地方のそれぞれから苦情が出ましてうまくいきませんので、やはりこれはほんとうに実行してもらうには一律でなければだめじゃないかというふうなことになった模様でありますが、それにしても百万トン分は、私ははたびたび申すようですが、県知事とか農業団体にたいへん協力していただいておりますので、これはいけると思いますが、それにはやはり財政的にはたいへん無理でありましたけれども三万五千円を出そうということでありまして、その結果は、私どもが期待しているのはできるだけ転換でありますけれども、もういまそういうことを固執しておってはいけないということで、休耕も同じように扱うということでありますが、できるだけ転換にしたい、こういうことであります。
○小平(忠)委員 休耕のほうが希望が多くなって、結果的には相当のウエートが政府の意図とは全く逆に、転換は少なく、休耕が多いという場合にはどうなさいますか。
○倉石国務大臣 まだそういうことについてあまり具体的に、おっしゃるような割合であるようなことは私どもは聞いておりませんですが……。
○小平(忠)委員 現在どのような指示をなさって、どういうような状態に進んでおりますか。
○亀長政府委員 生産調整の進捗状況について御報告申し上げます。 現在の段階は、私どもは本年の二月十三日に各都道府県の農林部長を招集いたしまして、各県の生産目標を示してあります。現在の段階では県から市町村にすでにそれぞれ目標数字の提示が大体終わっている県が大部分であります。いろいろ京都府について言われておったようでございますが、京都府におきましても町村に目標の参考資料という形で提示をいたしておるようであります。したがいまして、町村段階での目標の数字は大体固まっておるというふうにお考えになってけっこうかと思います。それから、各部落、農家、市町村という話し合いが現在各地において行なわれつつあるというのが現在の状況でございます。 それから面積の問題で、御承知のように百万トンといいますれば大体二十三万ヘクタールということになりますが、そのうち三万ヘクタールぐらいは通年施行でいくという形でおります。したがって、残り二十万ヘクタールが転作と休耕に分かれるということに相なろうかと思います。現在各県におきましては、私ども補正予算で認めていただきました二十億の転作指導の金を中心に、転作の始まる前にできるだけ小規模な土地改良あるいは種子の配付等の助成指導を強化する、それを事業の進捗状態とにらみ合わせまして転作の計画を立てるというふうな模様でございますので、転作の数字並びに残余の休耕の数字についてはまだ県等から十分数字が上がってきておらない状況でございます。 以上、御報告申し上げます。
○小平(忠)委員 その結果として予定の面積よりも希望が上回った場合においては、予定いたしました八百十億に推進費を入れて八百十四億でございますね、この予算がオーバーする場合には、さらに追加補正をするようなことをしても結局転換、休耕などを認める方針でございますか。
○亀長政府委員 各県、町村並びに全国の目標が超過をいたしました場合には、その分につきましては同じように国費でもってめんどうを見るという約束が私どもと大蔵省の問にできております。具体的に補正予算でやるか予備費でやるかというところまではきまっておりません。そういう金が必要になれば、その分だけは追加して政府としては金を出すということが決定されております。
○小平(忠)委員 そうしますと、予定計画よりも上回った場合においては、この補助金というものを補正によるかあるいは予備費によるかは別として、農林、大蔵両省はそれは追加して出すということをきめておるというふうに把握していいのですか。
○亀長政府委員 そのとおりでございます。
○小平(忠)委員 私は、この生産調整はまことに緊急やむを得ないといえばやむを得ないけれども、特にその中でも米の生産に不適地であるようなところを転換することは、将来の日本農業のことを考えてみた場合に適切なる施策であろうと思います。しかし一年だけ休んで、あるいは来年も場合によってはやるかもしらぬ、しかしまた来年は来年の風だ、こういうような形で休耕、遊んでおるものに補助金を出すなんということは政治ではございません。その中でも土地改良を行なうために圃場整備等によって通年施行をするというものなどについては最もふさわしいあり方であるし、これは補助金としても奨励金としてももちろん適切なる施策であろうと私は思います。むしろもっと進んで、二十三万ヘクタールの中で三万ヘクタールだけはこの休耕に予定しておるとおっしゃったけれども、むしろこの三万ヘクタールをさらにふやして、今日の農業基盤整備、生産基盤の整備を推進する意味からもいまから心し、来年はもっとこの面については大臣においては配慮されたほうがいいのではないかと私は思うのであります。大臣の御所見いかがでありましょう。
○倉石国務大臣 御趣旨のとおりだと存じます。
○小平(忠)委員 次にお伺いいたしますが、本日の委員会でもすでにあなたに伺って明らかになっておる点ではありますけれども、若干補足して私が伺いたいと思いますのは、問題は生産調整、当初百五十万トンというものの調整を考えたのだが、途中で変わりまして、これをいわゆる転換、休耕などの奨励補助金を出すほうは一応百万トンと見込み、これに対する予算額を八百十四億ときめたのでありますが、その五十万トンに相当するものについては、水田を他に転用するという、すなわち農地買い上げ方式によってこの問題を処理していきたいと考え、その対象面積は十一万八千ヘクタールというふうに見込んでいるということでありますが、大臣、これは先ほどもお答えになったけれども、関係省もあるからこれから検討するなどという、一体そんことではこれはできると思いますか。
○倉石国務大臣 私どもがこれから各省で研究すると言ったのは予算の配分をいたしましたときでありますから、もうあれから各省はそれぞれの立場でかなり研究をしておりますから、必ずできるものだと確信をいたしておるわけであります。
○小平(忠)委員 現状はどうなっておりますか。
○倉石国務大臣 現状はまだ私ども——第一これは農林省が中心ではございませんで、事柄は農林省からの所管の調整ということでありますけれども、農林省だけでこういう大事業をできるわけでありませんので、政府全体が協力してやれ、こういうことでありますので、各省それぞれの機関を通じて調べ上げておるわけであります。
○小平(忠)委員 その具体的な施策として、農地の買い上げを今度は農協にもやらせようということで、近く農協法の一部改正を国会に上程しようとしているのではありませんか。
○倉石国務大臣 これは先般の国会で通過さしていただきまして、参議院で廃案になりましたあの農地法及び農協法、あれをそのままで出す方針であったのでありますが、今度の調整問題が起きましてから、農業団体が参りまして、ぜひ農業協同組合も土地を保有することができるようにしてもらいたい。それにはいろいろな理由を述べておりましたけれども、大体団体でありますから、農地を大切に思うのはあたりまえであります。そこで今度のようなことで、優良な農地がスプロール化するようなことのないように、自分たちとしてもできるだけ政府の方針に協力しながら土地保有をいたしたい、こういう政策上の意見がございましたので、そういう点について若干改正を試みて提案しようと思っているわけであります。
○小平(忠)委員 そうでございましょう。現実に、その具体的な行政のあらわれとして、農協法の一部を改正して、農協にもいわゆる農地の買い入れ保有をさせようというようなことの場合、この問題は農林省が中心でなくてどこが中心になってやるのですか。
○倉石国務大臣 農林省は八百幾らか、ちょっといま記憶がありませんが、大蔵から割り当てられた調査費を持っております。全体で総額ちょうど一億でありますが、そういう範囲内で私どもとしては私どもがとるべき手段を講じて調査をいたしておるわけであります。各省はそれぞれの立場に応じてその配分を受けた調査費にもとづいてもうすでに調査をやっておる、こういうことであります。
○小平(忠)委員 どうも大臣、いまあなたの答弁を聞いただけでも、十一万八千ヘクタールの転用なんということはとてもむずかしいなという感じがします。そうしてこれからやろうというのに、まだ各省とそれぞれ連絡をしながら検討中だというようなことでは思いやられます。政府は最初の百五十万トンというその調整を、本年は実際の転換なり休耕のほうは百万トンと考えて、あと五十万トンは結局農地の転用によって考えようとした。あと五十万トンのほうに自信はございますか。
○倉石国務大臣 自信を持ってやっているわけであります。
○小平(忠)委員 それはあなた、自信がない証拠なんですよ。最初に四十五年度の農林予算の説明のときには、明確に百五十万トンの減産をやろうということを打ち出しておるが、あなたの本委員会における所信表明では、この調整を百万トン以上という——以上ということばは、これは含みがありますけれども、百万トンにしてしまった。ですから当初の大臣の表明というものと、現在この委員会の当初における所信表明ではすでに五十万トンずれてしまっておる。何かこういう面でも自信がないような気がするのですが、いかがですか。
○倉石国務大臣 そういうふうにわざわざ解釈されても困るのでありまして、私のほうは初めから百五十万トン。だから、さっきも話が出ましたように、買い入れ量は六百五十万トンと答えが出ているわけでありますから、それで私どもでいっております生産調整は百万トン以上でありますが、五十万トン分については他用途への転用等をもってこれを期待する。それは農林省だけの仕事ではありませんで、政府全体が協力をしてやることであります、こういうふうに初めから御説明申し上げておるわけであります。方針はちっとも変わっていないわけであります。
○小平(忠)委員 それではこの予算説明の十ページには「米対策」のところで「百五十万トン以上について減産することを目途に」とうたっているわけです。あなたの所信表明の中においては米の生産調整目標数量を百万トン以上としておる。ですから、あとの五十万トンについてはお人まかせでございます、ほかのほうの省でも何とか相談にのってくれたらまあうまくいくのでしょうがというような考えでうまくいきますか、大臣。こういう面については、時間がありませんから私ははしょりますけれども、この問題はきわめて重要でありますから、いずれ農地法なり農協法改正の案件が正式に出されたときには、さらに具体的に伺いたいと思いますが、生産農家がもう少し全体的に納得のいくような姿勢で前進されることを特に念願する次第であります。 最後に、現行食管法で法解釈としては買い入れ制限もなし得るのだという見解を公式に表明されております。そこで、食管法の立法の精神、その後の運用等々からかんがみて、現行食管法なるものはこのままで買い入れ制限をなし得るという性格のものかどうか、大臣の所見を伺います。
○倉石国務大臣 私が申しましたのは、食管法の第三条で出てきて、ああいう考え方である食管法で買い入れ制限はできるのかというお尋ねでありましたので、それはあの法律の限りにおいては、あそこの限りにおいてはそれは差しつかえないということを申したのでありまして、買い入れ制限をするとかしないとか、そういうことを申しているわけではないのであります。 小平さんもすでに御承知のように、昭和十七年にできました食管法、あのたてまえは、非常に窮屈でありました自給の状況であった当時に、配給を完全にやり遂げるためにああいう法律をわれわれの先輩がつくったことは、もう当時の歴史が説明しておるところであります。したがって、あの当時ああいう考え方であの法律ができましたのは、あの状況に応じて妥当なことだったと思うのでありますが、いまそれを運用するにあたりまして、私どもはどういうふうになるかということ、これはやはり法律の精神というものは変わっておらないわけでありますから、その限りにおいて、私どもは買い入れ制限をするとかしないとかいうことを言うために食管法云々ということを逆に言っておるわけではないのでありまして、その点をひとつ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
○小平(忠)委員 まだ若干ぼやけているのですが、大臣にはっきり承りたいのは、現行食管法の立法の精神、その後の運用——戦時中に制定され、戦後若干の手が加えられて現行に及んでおります、その運用の過程において、その貫くものは、現行のままでもそれは買い入れ制限もできるのだということをお考えかどうかということを聞いているのです。
○倉石国務大臣 あそこの法律では、無制限買い入れということを必ずしも法律で要求しておるものではないと理解いたしておりますけれども、無制限買い入れというのはその後長い間もう慣習づけられておるのでありますから、いよいよそれを変えるというときには、いろいろな手続を検討しなければならぬのじゃないか、こう思っております。
○小平(忠)委員 そうしますと、いろいろな手続をとって改正しなければならぬということは、やはり食管法を改正しなければ買い入れ制限はできないんだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○倉石国務大臣 食管法を改正しなければとは私は言っているのではありませんで、もしやるとすれば、いままでいろいろな取り扱いをやっておりますからして、そういうことについてさらに検討をしなければならないであろう、こういうふうに理解しているわけです。
○小平(忠)委員 それは大臣、何か遠回しのようだけれども、ぼやけちゃうのです。私は端的に聞いているのです。立法の精神や法の運用そのものは、これは一体——その後ずっと無制限買い入れという慣習は、あなたも言ったでしょう、無制限買い入れというその慣習が続いて今日に及んでいるのだと。だからそのままではできないのだ、こうおっしゃったことは、法以外に何ですか、自主流通米をやったような方法でやろうということですか。
○倉石国務大臣 いま自主流通米のお話しでありましたけれども、あれもやっぱり配給制度を通しているわけでありますから、そういうことについてちゃんと検討をした上でなければ、長年習熟してきたことをもし改めるとすれば、そういう点において十分研究をした上でなければいけまい、こういうふうに理解しておると、こういうのであります。
○小平(忠)委員 私はいまの大臣のその考えは——何でこだわるのですか。現行食管法の拡大解釈なんというものは、これは法律家がいろいろやれば、現に予算委員会で法制局長官がなされておりますよ。したがって、現に法そのものというものの精神や、長い問の運用、その慣行過程において現行食管法をこのままにして具体的に米の買い入れ制限を行なうなど政府の責任ある大臣が考えるということは、これは法の精神を根本的に逸脱するものだ。いやしくも大臣、そのようなことは、これは公にも私は言うべきものじゃないと思う。現実に行政面において支障があるならば、堂々と食管法を改正する案を国会に提案すればいいと私は思う。現行食管法を、法の拡大解釈改正できるのだから、いやそれは慣行上無制限買い入れというものがずっとなされてきたから部分的にはやらんければならぬけれども、法の改正までは私は言ったんじゃないなんという、そんな何も言いのがれをしなくてもいいのではなかろうかと私は思うのであります。今日の段階においては、あなた自身が買い入れ制限など考えていないと言うならば、やはり買い入れ制限を行なうというような場合においては、現行食管法について根本的に検討を加えなければならぬことは私は当然だと思うんですよ。 さらにお伺いいたしますが、大臣はいま、いまは買い入れ制限をするなんということは考えていない、いまはとおっしゃったのは、それはことしはという意味ですか、ただ、いまの時点という意味なんですか。いまは考えていないけれども、ことしじゅうにはこれはわからぬぞと、こういう意味ですか。
○倉石国務大臣 いろいろな問題を提起されたのでありますが、いま大臣がそういうことを考えるのはけしからぬじゃないかというその大臣というのは私のことだと思いますが、食管法を改正するなんということをだれも言っているわけじゃありません。私ははそんなことを考えておりません。食管の根幹は守るのだ、こういうのが内閣総理大臣の数次の声明でありますから、私も佐藤内閣の一員でありますから、そのたてまえは堅持しておるわけであります。 第二番目、いまはというのは、現在聞かれておるのでございますからして、現在の私の心境を述べておるわけで、しかも、もう一生懸命で生産調整に御協力を願っておるわけでありますから、そういう最中に要らざる心配をかけるようなよけいなことを言うべきものではない、こう思っているのであります。したがって買い入れ制限するとかしないとかといったような、食管法をどうするとかいうふうな議論を、いままじめにやっている農村の人々に聞かせることすら私どもは御迷惑じゃないかと思っているのでありまして、現在はそんなことを考えたくありません。この問質問のありましたのは、できなかったときにはどうするかという御質問がありましたので、できないと思ってないんだと、さっきから私が申し上げておるように百五十万トンは必ずいけるという確信を持ってやっているのでありますから、できなかったときのことなんかそのときにしていただきたいと、こう言っているのであります。
○小平(忠)委員 それは、いま農村の現状を考えるときに軽々にも買い入れ制限などそんなことは言っていないのだし論議すべきでない、こうおっしゃるのだが、そういうことを少なくとも国会における総括委員会としての立場において、まず予算の審議を始めたその中で現にこの問題に触れて取り上げて、あなたの所信、総理の所信をただしているということは、そういうようにあやふやな問題を提起するからです。いまということは、いま考えているので、ことしのことは別だというような、そんな表現はありますか。わからないんだと、だからどうもその日暮らし農政だ、場当たり農政だといわれるのであります。それでは、ことしのことがわからない、これから十一カ月、十二カ月のことがわからないのなら、なぜ予算を組むのです、予定をするのです。計画なんか要らぬじゃありませんか全然。いまは考えていないのだ、ことしのことはわからぬ、そんな無責任な話がありますか。いま農村がどれだけ深刻にこの米の生産調整、農業全体の中でもこの問題は、やはり現実に生産調整に八百十四億といえば、一般会計から国民の血税です。そういうものを支出までして、それもただたんぽを遊ばしておくのに十アール当たり三万五千円という補助金を出さなければならぬというような、これはまさに農政の貧困さをまざまざと出しておるものであります。そういうようなときに、少なくとも大臣は確固たる方針を示して、安心して食糧の生産にそれぞれの分野において完ぺきな農業の前進へ向かうことが必要だ、私はこう思うのであります。私ははいまの大臣の御答弁は不満足です。少なくともいまそんなことは考えていないということは、ことしは考えていないというのか、もう一回大臣の所信を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 生産調整につきましては、先ほど来申し上げておりますように、農家が全力をあげて協力をしていただくわけであります。したがって、できるものであると確信をいたしておるのでありますけれども、かりにそういうものができなかったというときには、なぜできなかったか、どういう理由でこれが成功しなかったかというようなことについていろいろな状況判断をそこでなすべきであると私は思うのであります。私ども、この間地方農政局長会議をいたしましたり、地方の農業団体の幹部がときどき農林省にも見えましてお話を承りますが、私どもが言うと言わないにかかわらず、もしいまの生産調整がうまくいかないというようなときには食管制度というものが根底からくずされる危険があるという危機感を米づくりの農村の人がみな持っているのだそうであります。私はこういうときに、食糧の秩序を維持するためにあります食管制度というものは守りたいのであります。しかし、皆さん御存じのように、こうやって毎年毎年百五十万トン、二百万トンもただ過剰米が蓄積されるというようなことで、なおかつ現状までやってまいりましたような方法を継続することを世論が承知するでありましょうか。私はそれを心配しているのであります。したがって、真剣にみんなでやろうではないか。そこでひとつ生産調整は幸い農家の方、団体の方々、公共団体の方々が協力を声明していただいておる最中であるからして、いまはそんなことを軽々に言うべきときではなくて、皆さん方の御協力を御期待申し上げている、こういうことでありますから、できなかったらどうするなんというようなことをあまり考ええたくもありませんし、そういうときにはあらゆる情報を総合して、みんなで相談をして腹をきめるべきではないか、こう思っているわけであります。
○小平(忠)委員 時間もすでに経過いたしました。私の質問を終わりたいと思いますが、私は倉石農林大臣が、この日本の農業の最も重要な危機に直面して、決してあなたの考え方ばかりを私はどうのこうの言っているわけではありません。あなたが真剣に前向きで取り組んでいる真剣さというものは、これはもう与党内においてもわれわれ野党も認められます。しかし私は勢頭に申し上げたように、あなたはもう古参の大政治家として、佐藤内閣の閣僚としても特に重きを置かれた閣僚でもあるし、経験豊富なまた実行力のある方だから、私はこの佐藤内閣のいわゆる農政を担当する閣僚として大いにがんばっていただきたいし、われわれ野党といえども、結局、国家国民のために、また農業者のために少しでもプラスにしなければならぬと思って、私は場合によっては声を大にして申し上げていることなんであります。したがいまして、どうかいまのようなお話は、ともすれば抽象的で、あなたの抽象的なその答弁は、また心の中で考えておることと表現と中身が違う面があるかもしれません。ということは、結局、いま買い入れ制限をするのではなかろうかとか、あるいはいろいろな問題が出てきまして、現実に古米、古々米の問題なんかも具体的なめどもない。農地の転用についてもこれから考えるのだ。そういうような不安感が、おのずから食管法をくずされるのではなかろうかという不安感が出てくるのであります。私は一にかかって政府の姿勢、倉石農政のやはり今後のあり方によって私はずいぶん変わってくると思うのです。 たいへん時間を経過しましておわびいたしますが、残余の点はまた機会を得まして、大臣の所信をただしたいと思いますが、以上申し上げまして、私の質問を終わります。
○草野委員長 次に田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は今度初めて国会へ参りまして、初めて質問をいたしますので、多少上がり気味になる点もあるかと思いますし、なお最後のほうになりましたので、だいぶ前の方が考えておりましたことを大ざっぱに述べられておりますので、多少重複する点もあろうかと思いますが、お許しをいただきまして、ひとつ農民にお答えをしていただく、こういうつもりで御答弁をいただきたいと思います。 私は長い間農村を歩いてまいったわけですが、国会へ参りまして、総理大臣の農業に対するお考え、農林大臣の当委員会における所信表明をお聞きをいたしましても、何だか日本の農民がいま一番求めておるような問題に対してあまり的確な具体的な御回答がない。国会が何か農民と一線を画したような気がしておるわけです。これからぼつぼつ国会の内容がわかってくるにつれて、その辺も私なりに究明をさせていただきたいと思っておるわけですが、最初に大臣にお聞きをいたしたいのは、今日まで日本の農政は自民党によりまして農業基本法農政が展開をされてきたと思います。この農業基本法農政の筋道は、私どもの理解では、自立農家を育成し、農業で自立できる経営規模をつくり上げていくということと、いま一つは、協業経営を助長していく、これらの二つの経営形態で他産業従事者と均衡をさせていく、こういうたてまえがとられておったと理解をいたしておるわけですが、先般の大臣の所信表明並びに二月二十日の「総合農政推進について」の閣議決定を見ますると、今度新しく文字はたいへんどこからついてものがれられるように書かれておりますけれども、兼業農家というものに対して相当大きなウエートを持たれておる。きょうも工場の農村地域に対する配置などお話があったわけですが、しかも兼業農家というものは、兼業収入というもの、兼業所得というもので他産業と均衡させていく、こういうたてまえが随所に出てきておるわけでありますが、その兼業農家を今後の農政の非常に大きな目標として進められるというふうに理解をしてよろしいか。農業基本法農政でいままでいわれてきたものと多少ニュアンスが違った、こういう理解をしてよろしいか、お聞きをいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 お答え申し上げます。 まず基本的にはあなたが御指摘になりました農業基本法のたてまえというものの精神は、いまの政府の農政と少しも変わっておらないわけでございまして、やはり規模を拡大して、自立農業をできるものを中心にしてやってまいりたい。ただ、私どもがそのあとに若干つけ加えておりますのは、ただいまの状況で私どもが一生懸命で推し進めてまいるにいたしましても、相当長期間現状では地方における兼業農家というものが存在するであろうし、したがって、日本の産業が集中的に一部分に集中してしまうようなことをするよりも、むしろ地方に分散して、兼業所得のほうが多いであろう兼業農家の方々の労働力を地元でこなすということのほうが、より村を維持していくのにいいことではないだろうかというようなことで、中核はどこまでも規模拡大をした自立農家で、その周囲にひとつ兼業農家の育成もまた大切なことではないだろうか、こういうことを言っているのでありますから、精神は農基法でいっております精神と少しも変わっておらないわけでございます。
○田中(恒)委員 いま自立農家と称せられるいわゆる専業農家がおそらく二割、兼業農家が八割だと思うのです。基本法が制定をされまして当初、専業農家が三割、兼業農家が七割、こういう割合であったと思うのです。現実に自立農家を育てられるといわれてきたけれども、自立農家がどんどん数が減ってきてしまって、兼業のほうがふえてきておる。この問題はなぜ起きたのか、この点をお聞きをいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 経営の規模は、御存じのように逐次大きな経営のものがふえてきております。いま政府で経済社会発展計画を新しく修正しておるようでありますが、そういう先の見通しなどを見ましても、純粋の農業就業人口というものは毎年毎年逓減していく傾向は、これはあると思います。しかしそれにもかかわらず、農業生産というものは維持していくように、むしろ逆にふやすことのできるように努力をしてまいりたい。その反面からそれを考えてみますならば、自立経営の農家がしっかりしたものがふえていくんでなければそういう結果になりませんので、やはり基本法が要望いたしておりますような方針を依然として変えてはおらないわけであります。
○田中(恒)委員 私、御質問をしておるのは、自立農家が減ってきておるではないか、一体どこに欠陥があるのかということですがね。
○亀長政府委員 計数的なことにも関係するかと思いますので、私から御説明申し上げます。 自立経営農家の数の問題でございますが、四十二年と四十三年の間では、四十三年のほうが減っておるというような関係になっておりますけれども、長い目で見まして、三十五年には八・六%の自立経営農家戸数が、現在では大体一割程度になっております。特に生産額におけるシェアは、当時は二三%でございましたが、現在は三〇%というふうに逐次増大をしてきておる事情でございます。 数字の点でございますので、私から御説明申し上げておきます。
○田中(恒)委員 実はこの問題をやっていますと、いろいろまだたくさんあると思うのですが、ちょっとそらせていただきます。 いま食糧の自給率は幾らになっておりますか、総合自給率……。
○亀長政府委員 食糧の自給率を計算するのにいろいろな方法がありまして、非常にむずかしい問題でございますが、私のほうで、ほかの国でも使っておりますような生産物の金額で総合的にどのくらい自給があるかということを計算いたしますと、八三%くらいであるという数字に相なります。
○田中(恒)委員 物量計算、カロリー計算でしたものはございませんか。
○亀長政府委員 カロリー計算、物量計算のものはいたしておりません。
○田中(恒)委員 たしか以前は、農政審議会等の資料にそういう計算で出されておったと思うのですが……。最近は価格計算での自給率計算で農林省は統計を出されておるわけですが、私、これはちょっと問題があるんじゃないかと思うのです。おそらく価格計算でいきますと、自給率が高く出てくると思うのです。特に最近のように外国の農産物がたくさん入っておりますと、価格でいきますと、自給率そのものは高くなってくるんじゃないかと思うのですが、そういう面は、以前のようにカロリーなり物量計算で自給率計算をこれからはじかれていく、こういうお考えはございませんか。
○亀長政府委員 私ども、金額ではじいていること、あるいは最近カロリーではじかなくてなったということに別に政策的意味を含ませておるということは毛頭ございません。ただ、いろんなものを総合的に見る場合の自給率と非常に——考え方の問題でございますが、もちろんそれは米よりも牛肉がカロリーが高い、だから肉類は日本で不足をしておるから自給率が低く出る、結果的にはそういうことがあるかと思いますけれども、やはり人間の食習慣からいって、それでは人間、カロリーの高い肉だけ食えばそれで生活ができるかとか、そういうやり方に対しては反論がございましょうし、それから物量計算であれば、たとえば野菜一トンと米の一トン、これを同価値に見るということに対しても、また一体そういう人間の食生活からの前提での自給という観念が成り立つかといういろいろむずかしい議論を呼ぶ問題でございます。したがいまして、一応金額的に計算をしておるというだけのことでございます。カロリーによる方法あるいは単なる重量計算という方法で試算をしてみろとおっしゃれば、私ども喜んで作業ができる限りお引き受けいたすつもりでございます。ただ、金額で出しておることに政策意図は毛頭持っておりません。外国でも金額でやることのほうがわりあい簡単であるからという例によりまして、私どももそういう方法を用いておるというだけにすぎないのでございます。
○田中(恒)委員 私はこれからの日本の農政を考える場合に、やはり食糧の自給率をどこに置くか、この問題が基本になると思います。その場合に、いま官房長そういうふうに言われましたが、私どもが専門の大学の先生あたりといろいろ議論をする中では、やはり自給率の計算によっては、今日の日本の農業の自給率というのは農林省の言われる八三%から、もっと下がれば七〇%を割る、こういう議論も一部にはあるわけです。ですから私どもはこれから日本の農政を展開するにあたりまして、できるだけ多面的に日本の食糧の自給率の動向というものを見きわめる必要があると思います。いろいろな方法手段があるのだと思いますが、それらの方法をぜひ今後お示しをいただきまして、私どもが政策的な判断をする場合の素材にさせていただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。 大臣に御質問いたしますが、最近日本の農業自給率が下がっておるといわれておるわけですが、一体どの程度にすればよろしいか、こういうお考えをお聞きをいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 御存じのように、ものによって若干の差異はありますけれども、まず大体現状を維持することがよいではないかというふうに考えております。
○田中(恒)委員 それから、先ほど来からいろいろお話がありましたが、大臣はいまの日本の農業の生産状況というのは過剰である、こういう御認識に立つのか、あるいは不足をしておる、こういう御認識に立っておるのか、この点をぜひお聞きをいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 米ですか。
○田中(恒)委員 全体です。
○倉石国務大臣 米は過剰と申しておりますが、そのほかのものにつきましては、私は日本の国内における生産はちょうどバランスがとれているのではないかと思っております。
○田中(恒)委員 米は過剰であるというお話でしたが、先ほどの委員の御質問にもありましたように、私どもも米の問題につきましては過剰論ということに対してはまた違った見解を持っておるわけでございますが、最近の新聞にいたしましても、あるいは農林省がいろいろ御指導なされるにあたっても、農産物があり余っておる、こういう一般的な風潮が流れておると思うのです。私はこの問題は、ぜひ農林省みずからが日本の食糧は不足をしているのだ、こういう姿勢をお持ちいただいて農業のこれからの生産の施策を打ち出していただきたい、このことを特にお願いをいたしたいと思うのです。何だか日本の食糧があり余っているので、そこで一つは価格政策を需給均衡で押えていくのだ、あるいは生産性を高めて安い農産物ができるようにしなければいけないのだ、こういう形での風潮やものの考え方がたくさん出てきておると思うのです。これらの政策の背景は、過剰だ、こういう認識だと思うのです。もちろん外国の農産物の輸入の関係があるわけですから、総合的に考えなければいけない面もあるでしょうけれども、基本的に日本の農政を進めるという観点に立っては、やはり過剰だということよりも不足をしておるのだという立場で進められないと問題の本質に迫らないのではないか、こういうふうに思いますので、ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと思います。 さらに、先ほどもお話がありましたが、米の問題を中心といたしまして消費拡大、消費者に対していかに日本の食糧を供給していくかという考え方が非常に不足をしておるし、政策としてもないのではないか、私はこういう感じがするわけです。先ほど大臣は農民がパンとミルクを食べておった、こういうことを言われました。確かにそういう傾向が各所に見られておりますが、私は、この傾向は長い日本の食慣行の流れの中に徐々に形成をされたものだと思っております。なかなか一挙に食物に対する嗜好の変化はできにくいと思いますが、実は日本の農業は昭和三十年ごろから、非常に多様な食物に対する嗜好を求めるような国民の消費構造になってきておると思うのです。それをさせたものが農作物の輸入だ、私どもはこういうふうに理解をいたしておるわけですが、これから消費を拡大していくという場合に、大臣、日本の国民の台所、もっと端的にいえば、御家庭の食事のパターンというものを、たとえば米なり果樹なり、あるいは畜産物、こういうものをこういう形で日本人は食べるべきだというようなものを持って、農林省はもちろんですけれども厚生省も、新生活運動がどこでもやられておるわけですが、こういうところと対応して、やはり日本人の食べる食糧のおぜん立てば——昔はたしか米のめしと梅干し、みそ汁というパターンがあったと思うのですが、今日は非常に多様にして、しかも選択に困るような状態になってきておると思うのです。これをよろしいという人もおるかもしれませんが、私は日本の農業を守っていくという立場からは、やはり日本の風土に立脚した食糧のタイプをつくり上げる必要があると思うのですが、この点について大臣はどうお考えになりましょうか。
○倉石国務大臣 大部分の点についてはお話しの点に全く同感でありますが、最近いわゆるサラリーマンといわれるようなつとめ人の方々のアパートなどをのぞいてみましても、独身アパートで朝寝坊して出勤に間に合わせなければならぬというような人たちのお勝手を見ておりますと、やはりかん詰めとパンでしゅつと出ていく、そういう傾向が非常に多いのであります。私どもが日本人の食生活というパターンを意識しておった時代とはだいぶ変化があること、これはまあある程度やむを得ないのではないかと思うのですが、それにいたしましても、農業製品は余っているということはなかなか言えないと思うのです。私は長野県の生まれでありますが、名物のそばなんというものはほとんど長野の付近にしかありません。その辺に信州そばなんという看板が出ているところは中共のそばであったりいろいろございますようなことで、ほかのものを数えてみてもたくさんそういう例が多いのであります。したがって私は、日本の農業というものの中で、ことに豚を飼う、鶏を飼うといいましても、えさの大部分は御承知のように輸入品でありますから、そういう面で全部総合的に判断いたしますと、農業生産というものはしっかりやらなければならないんだということをつくづく感じる次第であります。
○田中(恒)委員 わかる節もありますし、わからない節もあるわけですが、やはり需要に応ずる生産ということをたくさんいままでいわれておるわけですが、これからの政策の場合も、やはり需要をどう巻き起こしていくかという問題を積極的に考えていく必要があるのじゃないか。これは米の問題だけではなくて、特に畜産、果樹、全体的に需要をつくり上げていく政策というものがあってしかるべきだと思うのです。 古米の問題で先ほどいろいろ議論がありましたけれども、これは私は確かに政府の責任だと思うのです。食管制度で政府は米を買って、その米を 一体いままでどうしておったのか。単に、国民の消費の嗜好が変わってだんだん食べる量が少なくなったから在庫ができました、こういう御説明ですけれども、そういうことでは済まない。普通の企業でありましたならば、買ったものをさばくために懸命になってセールスやるわけです。政府と会社は違いますけれども、やはり積極的に需要を拡大していくような農政というものがこれからの新しい、佐藤総理は七〇年代の政治ということを盛んにおっしゃったわけですが、倉石さん、ひとつ七〇年代の農政はそういう新しい感覚というか、新しい方向を倉石農政でつくりあげていただきたい、こういうふうに考えるわけです。 続いて、生産調整の問題でいろいろお話がありましたので、いままでなかったような点だけ御質問いたしますが、農林省は生産調整をどこの部署でいま進められておるわけですか。
○亀長政府委員 この生産調整は、原則としましては国の責任のもとは地方自治体、農業団体の協力を得て実施する、こういうたてまえで進んでおります。現段階におきましては先ほど私がお答えいたしましたとおり、各県から町村にそれぞれ目標別の数字が示されて、町村と農家あるいは部落、農業団体などと、最末端の段階においてどういうふうに具体的にこれを実現していくかということが話し合われておる段階であるというふうに見ております。
○田中(恒)委員 担当部署はどこですか。
○亀長政府委員 農林省におきましては、昨年末、米生産調整実施本部というのを設けております。これは事務次官を長といたしまして、あと私、農政局長、その他関係の局長の参加を得まして、この実施本部が担当いたしております。各県におきましては、大体県庁におきましては農林部というふうにわれわれ考えております。
○田中(恒)委員 百万トンの米の転換をお考えになっておるわけですが、その場合にどういう作物に転換するか、牧草にどの程度、果樹にどの程度、あるいは大豆にどの程度、こういうものを農林省ですでに検討せられておると思うのですが、その辺のことをちょっとお知らせいただきたいと思います。
○亀長政府委員 作付転換につきましては、年の自然条件その他いろいろな問題もございます。また百万トンのうちにはやむを得ざる場合には休耕でも差しつかえないというふうに相なっておることは御承知のとおりでございます。転換の作目の問題でございますが、飼料作物あるいはは大豆等、いわゆる需給上問題が少ないというものがおそらく中心になるだろうと思います。またそのほかに野菜、果樹、桑等の永年作物あるいは地域特産物、こういうようなものへの転作も十分予想せられるところであります。私どもとしましては、これらのものにつきましてもあくまで需給事情ということを考慮しながら転換をいたしませんと、あとになって非常な問題が起きるということを配慮いたしまして、御承知のように補正予算で二十億円の転作対策費を、もうすでに成立しておりますが、早急に県に配賦をいたしまして、県で転作のための計画あるいは講習会あるいは種子の配付、あるいは畦畔を直すとかいった小規模な土地改良、こういうものに早急に着手するよう手配をいたしております。具体的に農作目が幾らであるかということにつきましては、もう少し県の計画の進捗を待ってみないと具体的には判明いたさないと思いますが、私どもとしましてはこの二十億の転作指導費を早急に活用いたしまして、生産調整の実施する時点におきましては、この作目が十分数字的に判明をしてまいる、かように考えております。
○田中(恒)委員 米の転換というのは総合農政の中心課題であるように承っておりますし、それは日本の農政が米作偏重であるのだ、そういう観点が貫かれておると思うのですが、その観点に立って米の転換をやられておる。その場合に一体野菜にどれだけのものを考えて、牧草にどれだけのものを考えて、あるいは果樹をどれだけのものにしていく、こういう考えがなくて、ただ農民に対して百万トン数量を減らしてくれ、これでは私はなかなか末端の農家はこの呼びかけに対して、はいそうですかというわけにはいかないと思うのです。米をやめて一体何をするのかということが実は問題なんです。何をするのかということを打ち出していくのが政策だと思うのです。米をやめよというのはだれだって言えるのですよ。しかも総合農政という大だんびらを振られて進められておるわけですから。先ほどお聞きいたしますと、当然日本の農政の生産主産地体制といったようなものもお考えになっておると言われるわけですが、そういう体制と関連の中で米作の転換というものをお考えになるのではなくて、ただ単に百万トンの米を減らしてくれ、こういう形で臨まれる政策がほんとうに日本の農業を前に向かしていく政策かどうか非常に疑うわけですが、大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、私どもは中央の農林省で全国のこまかい状況を把握したり、またはそれによって命令みたいなことのできることではありませんし、そんなことをすべき時代ではありませんので、生産調整体制に御協力を願っております県知事、市町村長さんたちにそれぞれの地方の事情に応じたことを考えて、そしてその指導をやっていただきたい。それが緊急間に合わないものは休耕もやむを得ない、こういうようなことを言っておるわけであります。したがって、総括的にはやはり先ほどお答えしましたが、たとえば、野菜なら野菜を日本じゅうでもうあと五万町歩もつくられた日にはたいへんなことになるでしょう。したがって、そういうようなことについて、地方の状況に応じて、われわれのほうと相談をしながら転換作目についてひとつ御検討を願うように地方の方々に指導をしていただくように連絡をいたし、地方農政局ももちろんそれには御相談をいたしておるわけであります。
○田中(恒)委員 そこのところは大切だと思うのですがね。特に私どもが調べました範囲では、たとえば西日本地帯における野菜の転換といったようなものは、この問題を契機として相当大きく出てくるのじゃないか、こういう心配が出てきておるわけです。転換をして野菜をつくって、相当経費をぶち込んで、労賃をぶち込んでつくったわ、さて御承知のように三輪車で持っていけば帰りのガソリン代しか取れなかったというような大暴落を来たす。これは野菜の価格では絶えず起きてくることです。こういう現象が起きた場合には、米の転換をさして農民に大損をさせていく、こういう結果が出るわけです。こういう問題に対し農林省はどういうふうに御処置をせられていくのか、この点をお聞きしたいのです。
○倉石国務大臣 私どもが苦労しておる一番大事なところをいまおつきになったわけでありまして、各局局長それぞれ担当してやっておりますので、園芸局長からお答えいたさせます。
○荒勝政府委員 大臣の答弁に対しまして補足説明させていただきたいと思います。 私たち昨年来米の転換問題の中で特に野菜が非常に日もちが少ないというようなことで、野菜に大きく転換することにつきましては、非常に苦慮いたしまして、昨年来再三にわたりまして都道府県の野菜の担当者を各ブロック別あるいは中央に呼びまして本件について検討している次第でございます。 昨年いわゆる米の転換問題がございました際に、約二千ヘクタール弱の野菜が全国ベースで実は夏作を中心といたしまして転換した次第でございます。そのような実績のもとに昨年の夏作野菜は比較的むしろ過剰ぎみというようなかっこうで野菜の生産が行なわれたわけでありますが、ことしのように一応三十五万ヘクタールというふうな膨大な面積の中で、ただ産地間競争というような観点から野菜に転換されては困りますので、われわれの各県との連絡調整の現在の時点では、まだ必ずしも端的に都道府県に指導とか指示とかはいたしておりませんが、いまの時点におきましては、おおむね昨年くらいの転換面積はやむを得ないのではなかろうか、水田からのいわゆる野菜への転換ということについて昨年程度のものでやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。 ただ野菜でも、洋菜類のごとく、特に夏作で日もちの少ないものは極力やめていただきまして、比較的需要の弾力性の高いいわゆる果実的野菜、スイカとかプリンスメロンあるいはイチゴ、こういった系統に極力お願いいたしておりますが、場所によりましてはそうもできない地点もございますので、比較的日もちのいい、いわゆる根菜類、ゴボウとかニンジンとか、こういった作物への転換を極力現在の時点におきましては指導しているような次第でございます。
○田中(恒)委員 指導をせられておるということでなくて、この問題はそういうことが起きる可能性が非常に強いわけですから、ぜひこういうときにこそ農林省は積極的に野菜の生産総量、そうして今度の転換で可能な転換面積、こういうものを適切に指示をしてやらないと、これはたいへんなことになる心配がありますので、特に申し上げておきたいと思います。 それから生産調整の進め方をめぐって末端でたいへん心配をしておりますのは、もしこの生産調整に協力をした農家と、協力をしない農家との差別を今後町村なりあるいは県なりそういう政策と関連して出てくるものにするのじゃないか、こういう不安があるわけですが、この点はそういうことはいたしませんということでしょうが、はっきりここで言明をしていただきたいと思うのです。
○倉石国務大臣 私どもは、生産調整に協力しない農家というのはないだろう、皆さんを信頼しているわけでありますから……。
○田中(恒)委員 ないだろうと信頼していただくのは農民にとってはまことにけっこうですが、もしそういう人があった場合はどうしますか。
○倉石国務大臣 さっきのお答えと同じことで、一生懸命でいまやっている最中にあまりそんなことを申し上げないで、またそんな区別しようとかそういう根性は持っておりませんから、みんながやってくださるのだ、こういうふうに確信しております。
○田中(恒)委員 生産調整の問題ではいろいろお聞きをいたしたいと思いますが、最後に一つだけお聞きをしておきます。 この補助金の支出は食管の特別会計から出るようになっておりますね。これはどういう理由ですか。
○亀長政府委員 食管会計から支出するようには相なっておりません。一般会計から支出するように相なっております。
○田中(恒)委員 食管の特別会計は全然ございませんか。
○亀長政府委員 食管特別会計には関係ございません。
○田中(恒)委員 それでは私の間違いであったと思いますが、食管の問題では先ほど来からの各委員の質問で大臣の御見解も大体わかった面もあるしわからない面もあるわけです。 重ねて私のほうからもお尋ねをいたしておりますが、食管法の解釈からいけば買い上げ制限はできるということでありますが、食管制度の根幹を維持するというたてまえから言えば、買い上げ制限というものが可能であると大臣は今日お考えになっておるか、お聞きをいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 それはもうさっきお答えいたしたとおりでありますが、いまそういうことを考えておらないのでありますから、そのことについてはひとつそれで御理解をお願いしたいと思います。
○田中(恒)委員 考えておらないという御答弁ではちょっと納得いかないのですが、実はこの問題がいま全国の農民の中では一番大きな問題になっておるのです。私は一歩下がって、食管制度の根幹を維持するというたてまえにおいて買い上げ制限というものは可能ではないのではないか、こういうふうに考えておるのですが、この解釈は間違いでしょうか。
○倉石国務大臣 これは法律問題ですから、ひとつそれを担当している者にお答えさせましょう。
○森本政府委員 法律の関係から申し上げますと、食管法つまり食糧管理法という法律の中に政府の買い上げに関する規定としてございますのは第三条という規定でございまして、この規定は政府が第一条の目的つまり国民食糧の確保とか国民経済の安定とか、そういった大目的を達しますのに政府が買い入れることが必要であるという米について政府が買うという旨の規定でございます。食管法の他の条文、第九条というのがございますが、そういう条文によりまして、現在政令以下の規定でいろいろな義務ないし規制をいたしておりますが、その規制の一つとして、農家は特別の場合を除きまして政府以外に米を売り渡すことができないという条文がございまして、その反射的な効果として従来無制限買い入れというものが行なわれておるわけであります。第三条の規定は、趣旨といたしましては自家保有米を除いた全量を買うということには解せられない趣旨になっております。そういう意味から法律問題といたしましては、先ほど来大臣からもお答えを申し上げましたようなことで、そのことに関します限りでは必ずしも食管法の第三条に抵触するものではない、こういうふうに私どもは理解をいたしておるわけであります。法律の解釈問題として申し上げました。また、するしないの意図につきましては大臣がしばしば御言明になりましたとおりでございます。
○田中(恒)委員 法律の解釈はすでに法制局長官を交えて統一解釈をせられておるわけですから、この場で議論をする必要もないかとも思いますが、食管制度のたてまえ、今日まで運営の歴史からして、大臣のいままで言われておりますことばがまだこう釈然と納得できない。非常にわかりにくい。何だかあとのほうではばっさりやられるのではないか、こういう気持ちを農民が持っておりますので、私どもはこの問題を重ねて取り上げておるわけですが、これ以上議論は進まないと思いますし、ほかに一、二お聞きしたいと思いますので、果樹の問題に質問を向けたいと思います。 この間園芸局長のもとには参ったわけですが、西日本の果樹生産者が東京で集会を持ちまして、いま問題になっておるグレープフルーツの自由化をやめてくれ、こういう申し入れをいたしましたし、国会に対しても必要な請願がいまなされておるわけですが、農林大臣、このグレープフルーツの自由化をやめてほしいという農民の声に対してどうおこたえになりますか。
○倉石国務大臣 経過につきまして私は詳しく存じませんので、事務当局からお答えいたさせます。
○荒勝政府委員 お答えいたします。グレープフルーツにつきましては、四十四年の十月、昨年でありますが、開かれました日米交渉において米国が日本産の温州ミカンの輸入解禁州を実質的に拡大するとの了解のもとに日本はグレープフルーツを昭和四十六年末を目途に自由化する考えである旨を明らかにいたしました。なお、この場合グレープフルーツにつきましては、季節関税を新たに設ける考えを明らかにしております。このような日米協議の結果を勘案いたしまして、昨年十月十七日の経済閣僚協議会において昭和四十六年末までにグレープフルーツを自由化することにした次第でありまして、この方針は現在においても変えておりません。また、グレープフルーツの自由化によりまして影響を受けるのは、主としてナツミカン等のかんきつ類の果実であると考えられますので、その対策につきましては、本年度予算、いわゆる四十五年度予算を中心といたしまして、その生産対策から流通あるいは加工対策、一連の施策を講じましてこれに対処いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田中(恒)委員 大臣は経過を御存じないからということでしたが、経過は私のほうからあらためて申し上げておきますので、お聞き取りをいただきたいと思います。 この問題は昨年の秋に佐賀で全国の園芸者の大会がありましたときに、当時の長谷川農林大臣が参りまして、グレープフルーツの輸入はいたしませんということを全国の果樹生産者代表に言明をいたしておるわけです。それから一カ月後の日米経済閣僚会議におきまして一挙にグレープフルーツの自由化が決定したわけです。その際に、いま園芸局長が言われた二つの条件をつけたといって、農民のほうにはこういう条件でするのだというお話し合いがおりておるわけです。ところがその後のアメリカ側のいろいろ情勢を私どもお聞きをいたしますと、日本側の希望的意向としてこの問題は承っておるという程度であります。この季節関税の問題等、アメリカに対するミカンの輸出の増大ということについて、その後農林省では具体的にどういうふうにこの問題を取り進められておりますか、お聞きをいたします。
○荒勝政府委員 お答えいたします。 一つの、いわゆる季節関税を設けるという点につきましては、農林省といたしましても明年の国会で御審議を願うということで今回の関税率の改正法にはまだ提起いたしておりませんで、季節関税を妥当な範囲内でつけるべく現在検討中でございます。また対米輸出の件につきましては、さしあたり、いわゆる自主的に練習を日本の温州ミカンで開始をするという考え方のもとに今回予算に計上いたしましたが、さしあたりアメリカに輸出するにいたしましても、いろいろな、経費的にもコスト等もかかりますので、カナダのほうで、いわゆる東部の方面まで輸出すれば、どの程度のコストがかかり、またどの程度の品質保持ができるかというようなこと等を中心に現在検討を進めておる次第でございます。
○田中(恒)委員 大臣にお答えをいただきたいのですが、四十六年の十二月末までに自由化をするという閣議決定ですがいつ、おやりになりますか。十二月ぎりぎりまで待たれますか。
○倉石国務大臣 いまここで園芸局長が御説明申し上げましたように、こちらといたしましては、いろいろな、条件的に、こちらの要望を向こうに伝えてありますので、それが実施できるまではこれの自由化をいたさないつもりでおります。
○田中(恒)委員 この条項の中で、たとえばミカンのアメリカ輸出という問題がありますね。園芸局長でけっこうですが、たとえば今日アメリカに対するミカンの輸出は御承知のようにたいへんきびしい条件がついております。 まず第一に、輸出品というものは相当厳密な調査がなされ、その周辺に一切の雑木を切り倒してしなければいけない、できたときに検査がある、出すときに、出荷のときに検査がある、しかも向こうへ着いてまた検査がある。さらに向こうの特別な衛生関係の検査がある。しかもそれらの検査の立ち会いはほとんどアメリカが一方的にやる。こちらのほうは立ち会いもしていない、こういう状態でミカンの輸出がいまなされておるわけでありますが、こういう輸出の規制などにつきましても、農林省のほうではこの自由化をさせる条件として、ゆるめるという考えがありますか。
○荒勝政府委員 ただいま御指摘のように、ミカンの輸出につきましては非常にきびしい条件を日本側自身でつけております。と申しますのは、やはり対米のみならず、これからは世界に日本のミカンも輸出していかなければなりませんので、やはり信用保持、いささかでもいわゆる欠点のあるようなミカン類を輸出しまして、今後の信用を落とすことのないよう、われわれといたしましては全力をこれに傾注しておる。したがいまして、現在輸出をされておる方々は、ある意味では一種の。パイロットというか、パイオニア的な性格を持っておられるので、いろいろと苦しい点もあると思いますが、われわれといたしましては、いわゆる各種の施策あるいは助成を通じてこういったものを逐次拡大して、われわれの目的達成に全力を尽くしたい、こういうふうに思っております。
○田中(恒)委員 果樹の輸出は、この八年間で二十四億のものがわずか四十三億しかなっておりません。ところが一方、外国から入ってくるくだものは三十五億のものが五百一億、実に十四倍程度も入ってきておるわけです。この影響を受けまして、たとえば私どもの県のナツミカンと倉石農林大臣の長野のリンゴ等は非常に大きな打撃を受けておる。私どもの県では、いま五年間に半分ナツカンを切る、こういう状態が出てきておりまして、すでにNHK等で全国にその状態が報道せられておるような事態になっておるわけです。そこへもってきてグレープが大量に入ってくる。しかも、そのうしろにはアメリカのオレンジがかまえておる。こういうことで果樹作農民はこの自由化という問題に対して非常に大きな危機感を持っておる。ところがこの間も農林省の各関係部署をずっと回りましたけれども、さほどこの問題が大きく影響しない、こういう御意見がありまして、私どもはどうも農林省が考えておる自由化というものに対する考えというものは甘い、こういう気を実はいたしたわけですが、現実に米よりももっと先行いたしましてナツミカンをどんどん切っておる農家がいまたくさん出ておる。こういう事態の中で明らかに園芸と目されるグレープが大量に入ってくる、こういう状態をいま招こうとしておるわけです。ですから私は、大臣に重ねて閣議でこの問題の話をしていただきまして、ぜひこの自由化につきましては完全に日本の果樹農業が混乱を起こさない、こういう状態を見きわめるまではやっていただかない、こういうことをお願いいたしておきたいと思います。 次に、時間がございませんので、酪農の問題で緊急の問題についてお伺いをいたしますが、例の原料乳の不足払いにおける限度数量がこの三月末でおそらくはっきりすると思うわけですが、農林省のほうではたしか百三十五万トンを不足払いにおける限度数量と見られておると思いますが、これをオーバーするんじゃないかということを心配しておるわけですがどうでしょうか。
○倉石国務大臣 お話の原料乳でありますが、今年度の限度数量は、いまお話しのように百三十五万トンとなっております。 〔委員長退席、丹羽(兵)委員代理長着席〕 特にことしは昨年の経緯にもかんがみまして、制度の趣旨の徹底を期しながら限度数量をオーバーするようなことのないように指導いたしてまいったところでありますが、加工原料乳発生量が最終的にどの程度になるかは現在部内でいま検討いたしておるわけであります。かりに今年度も限度数量をオーバーするに至りました場合にも、制度のたてまえからはこれに対して特別の措置を講ずることは困難でありますが、酪農に関する重要な問題でもございますので、このような事態が明らかになりました場合にはその段階で十分に検討して処置をきめてまいりたいと思っておるわけであります。
○田中(恒)委員 たしか三万トンないし四万トンのオーバーがほぼ確定的に出ておる、こういうふうに私どもは見ておるわけですが、御承知のようにこの問題は保証価格というものを政府があらかじめ支持しておるわけですから、農民のほうでは、もしそれだけの分をオーバーいたしますと、当初酪農の経営を考えておった場合に想定をしておったものと違う結果が出るわけですから、昨年もそういうことでたしか特別な処置がなされたはずでございますが、ことしはぜひ当面私どもはやはり限度数量を法律に基づいて改定をしていただきたい、こういうふうに考えるわけですが、この改定ができない場合には昨年と同じような処置をとる必要があるのではないか、こういうように考えるわけです。いまの大臣の答弁でほぼ腹はわかっておるのですが、もう一ぺんここのところはもう少しこまかくちょっとお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 いま申し上げましたような場合にはそれぞれ状況を判断して善処してまいるつもりであります。
○田中(恒)委員 以上で私の質問を終わりたいと思いますが、いろいろ大きな問題をかかえておりますけれども、当面の米の問題につきましては、きょうの委員会で各委員の方から御指摘もあったように、一つ食管の堅持ということを言って今日まで来たわけですが、現実に食管の骨格は生産者米価をことしも据え置くということで、食管法第三条の再生産の確保を旨とするという規定からは、極端にいえばちょっと違反したというか、的をはずれた米価の決定が生産者米価でなされる。このことは私は食管の骨組みが一本はずれるということだと思います。そこへ持ってきて、買い上げ制限をやっていく、こういうことになりますれば、食管制度というものは、食管法というものはあってなきがごときものとなりますので、ぜひこういう点につきまして、大臣のこれからの新しい農政に取り組む姿勢の中で、基本になっております食糧管理制度を、言明されたとおり実質的に守っていく、こういう姿勢を貫いていただきたいと思いますし、今後私どもも畜産、果樹、こういう新しい部面の農政を、食管制度を堅持する中で、どういうふうに切り開いていくかということを議論をいたして、求めていきたいと思いますが、農林省の今日の内容、たとえば農林省におけるところの園芸、畜産等の配置の態勢、予算の問題いろいろ大きな問題があると思います。これらの問題について、ぜひ新しい日本の農業が切り開かれていくような農政を大胆に推し進めていただきますことを意見として申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
○丹羽(兵)委員長代理 津川武一君。
○津川委員 日本の農業を平和的に、民主的に発展さしていくために、大臣の所信表明のうち、米の過剰や食糧の自給などについてお尋ねいたします。 第一の問題は、米が余ったからといって、農林省は農民のほうにばかり押しかぶさっていって、余った原因を排除する、そういう点では足りないんじゃないか。たとえば盛んに嗜好の変化を申しております。確かに、大臣に対して生産者米価を値上げに来た農民がパンと牛乳を飲んでおったという。あの状態では、忙しくてそれしかできないのです。朝と昼にパンを食べて、夕食には米を食べておる。アンケートをとってみると、朝も昼も食へたいというのです。ところがこれができない理由は、やはりいまの日本の勤労者の置かれている状態です。手軽にパンで朝めしを済まさなければならないように強制させられておるとも言っていいかと思います。たとえば、日本鋼管の労働者です。朝四時から五時に起きて工場にかけつけて、そうしなければ六時半の入門に間に合わないんだ。かてて加えて昼の食事が分割食事で、二十分で食べなきゃならない。これだとパンかラーメンになってしまうのです。これはほんの一例です。これが現在政府が言う嗜好の変化というものの内容で、いまの交通難、労働強化の中で働く人たちに米を食べるという選択の自由がなくなっている。ここで米を食べるという選択の自由を与えるならば、私は米の生産をこれほどまでにつぶしにかからなくてもいいと思うのです。私たち共産党では、百五十万トンぐらいの麦の輸入は減らしてもよろしいんじゃないかというふうに考えているんです。こういう施策が、古々米の処理に対しても、小平委員が言ったように不十分であったし、こういう点から、私は食管というもの、米の生産調整を考えるべきだと思うのです。 もう一つ、最近米ばかり食べると頭が悪くなる、米ばかり食べると中風にあたるなどという議論が本気になってされております。確かにあの戦前の状態だと、ビタミンB1をとらないと、脳の代謝が展開しなくて、米ばかり食べた人は頭が悪かったが、いまの日本人の食事の状態においてこの必要はないのです。日本の栄養学者とよく相談していただきたいと思うのです。こういう形で、パン食というもので、アメリカによって戦後導かれたあの食糧から、アメリカナイズされた学問とそれに基づいた世論によって、米の消費が不当に押えられているところがありますので、農林大臣として、一度日本人の栄養状態、特に米はたん白質などということになってくると、パンなどよりはよろしいというのが栄養学者の意見でありますので、ここいらも検討してみるならば、日本人の主食を日本農民の手でつくってもらうという政策が生きていくのではないかと思います。この二つの点について大臣の答弁を求めます。
○倉石国務大臣 お話のようなこともあるかもしれませんが、私ども農村に行ってみて農家の方々と話してみても、いままで三ばいめし食っていた、みそ汁でいただいたんだけれども、このごろではどうも三ばいめし食う者はなくなった、めしは二はいにして、そうして卵や野菜をたくさん食うなあ、こういうことを多くの農村の人がみずからおっしゃいます。これは私どもが全般的に見ておって、やはり個人個人の米に対する消費量が減って、統計的に見れば、野菜だとか、くだものだとか、肉だとかいうものの一人当たりの消費量がどんどんふえてきておりますので、いま米の生産調整をしなければならないのだということは、政府側も言っておりますけれども、一般の農家の人がよく心得ておられることだと私どもは理解しているわけです。
○津川委員 大臣、農業白書を読んでみましたか。労働者や農民、肉体労働をする人たちは、米の消費量はあるところまでは減ったけれども、もう減っていないのです。いまでも、聞いてみると、パン食って田植えなんかできない、こう言っておる。ところが、地方に来る農業改良普及員たちは、パンを食って田植えしなさいと言っておる。ここのところに問題があるので、大臣に重ねて、こういう点で一度日本人の主食というものを、ほんとうに米を守ってみるという立場から検討してみる必要があると思いますが、どうでございますか。
○倉石国務大臣 日本人の先租からの体質というのはやはり米に向いているようでありますから、私どもでもやはり落ちついたときには米を食いたい。だからしてお説のように、なるべく米を消費していただくようにつとめたいと思っています。
○津川委員 もう一つ。通勤の労働者や共かせぎしている人たちや、それから米を食べたくても食べないでいる労働者に対する対策を、農林大臣でありますけれども、ここのところは必要なので、企画庁なり通産省なりと一度相談して、総合的に立ててみる必要がありませんか。
○倉石国務大臣 子供たちの学校給食に米を供給するようにすら努力しておるのでありますから、われわれは米の消費拡大にはいろいろなことで骨折っておるわけであります。
○津川委員 次は農地の買い上げについてであります。福田大蔵大臣は、しきりに三十五万町歩の耕地を買い上げして米をつくらせない、そうするのでなければ米の過剰は解決できないと主張しております。これはたいへんなことでございます。農民から土地を取り上げることになりますが、それだけでなく、その土地を耕しておった農業労働力を農村から引き上げるということであります。つまり大資本が求めておる土地というものと労働力を一緒に包んで差し上げるという政策につながるのであります。私たちは、日本人の主食を日本農民の手でつくっていただくという考え方からすれば、どうしても農地と農業労働力は確保しておかなければならないと思っているんです。そのためには農業で生活できる農産物の価格保障や農薬、肥料の物価などを引き下げることが必要でございます。こういう点をひとつ考えていかなければならぬ。もう一つひるがえって、日本全体の経済というものの立場から見ても、いま三十五万町歩の水田をつぶしてはいけないと思います。くだものだとか野菜だとか畜産類だとか、まだまだ消費が伸びていくし、これをつくっていかなければならない。どこでつくるかという問題です。また日本の経済全体を見たときに、主食というものを輸出する、輸入する、この比率を考えてみたときに、食糧品ですが、日本は輸出一に対して輸入が七から八です。アメリカやソ連は輸出超過です。イタリアは輸出一に対して輸入が三、問題のイギリスでさえ一対五になっております。日本は、一九六六年の資料ですが、食糧品輸出四億五千万ドル、輸入三十三億五千万ドルです。日本農業を相対的にも絶対的にも守っていかなければならないとすれば、もしくは輸出さえできる日本の農業をつくっていかなければならないということが私は日本経済の均衡の発展だと思うのです。そうすれば、そのための欠くことのできない条件の一つとして、水田や耕地、農業労働力を維持しておかなければならない。また倉石農政がねらっておる自立農業農家をつくるために、耕地を拡大する意味からいっても、これは私は、三十五万町歩をこういう形でつぶすのはいけないと思っているわけです。農林大臣はその点どのように考えているのか、所見を明らかにしていただきたいのです。
○倉石国務大臣 大蔵大臣が申しておるということが少し誤り伝えられておるようでありますが、私ども昭和四十五年度予算の編成にあたりまして、米の生産調整について相談をいたしましたときに、どなたから出たか記憶ありませんが、いま大蔵大臣の説として伝えられたような意見もありました。しかし、それはつぶしてしまうということばがいろいろありますけれども、壊廃ということば、廃田ということを言った人もあります。ドジョウを飼ったらどうだということを言った人もあります。結局これはつぶしちまうということばを取り上げて、それだけ考えれば妙な感じを受けるかもしれませんが、要するに米の生産調整をするんだから、水田を他用途へ転換するという意味でございまして、果樹にしようとか牧草地にしようとか、それも三年計画で三十五万ヘクタール云々という説の基礎になっておるわけでございますが、しかし御承知のように、今度の予算として国会に御審議を願う段階においてはそういうことは一つも申しておりません。予算決定の段階においてそういう意見が出たということでありますが、いまは、百万トン分は生産調整、そして五十万トンに見合う分は他用途への農地の転換にしてやろう。しかしただいまお話がございましたように、それからまた私どもも先般来あらゆる機会に申しておるように、米の生産調整はいたしますけれども、もちろん米が中核になっておる、水田を中心にして生きておられる地方の農業はもちろん守っていかなければなりませんし、その他の農作物についは、あとう限り力を入れて、そしてりっぱな農業経営が成り立っていくようにしたい、こういう考えでございますから、農地を壊廃に帰してしまうような考えは少しも持っていないわけでありますから、どうぞその点は御理解を願いたいと思います。
○津川委員 そうすると大臣は、三十五万町歩を買い上げるのはその他の作物をつけさせるためか、もしくは廃地にするために買い上げるのであって御心配要らない、こういうことでございますか。
○倉石国務大臣 それは少しも政府の方針としてきまっておることではないと申しておるわけであります。過程においてそういう意見が出た、それを大蔵大臣が何かの機会にそういうことをしゃべったのでありましょう。しかしいま政府の方針として出ているのはもう御存じのとおりのことであります。
○津川委員 私たち共産党では米はもう少し守れると考えておりますが、作付の転換の必要なこともあり得ると思っております。その場合、日本人の体力を維持していくために必要なものをつくっていく。その価格を保障して、農民の生産と生活を保障する、こういう考え方でいるわけなのです。 そこで大臣、はっきりしてくることは、そうすると大臣は、農地を農地以外に使わせることはしないで、そこで作物転換をさしていくという考え方だと大臣の考え方を受け取ってよろしゅうございますか。
○倉石国務大臣 そう簡単に私は割り切っているわけではありません。いまのつぶすということばの中にはそういういろいろな意味があると申しておるわけでありまして、私どもはやはりただいままでの農業、日本の農業技術、それから非常に手厚い、いままで政府が土地改良その他やってまいりましたその結果によれば、日本の米の生産量についてはおよそもうしっかりした、安定した基礎ができてきておるので、大体の必要がもうわかってきているわけであります。 〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、いまの余っておる状態においては生産調整はしたほうがよろしい、こういう考えでありますので、しかし農業全体としては先ほど来、あなたがここにいらしたかどうか知りませんけれども、私どもが総合農政として考えておることの中には、余っておる地方における労働力を部分的に集中するようなことよりも、産業をむしろ地方に分散して、そうしてその地方において田園工業都市的な地域をつくっていくということが、農村を維持していくのにいい考えではないだろうか、こういうことも言っているのでありますから、そういう場合には、いま農地として使われておるものが若干はそういう方面に転換されるかもしれません。でありますから全体として私どもは日本の農業を維持していくということ、農村の経済を維持していく。それらを一緒にして頭の中に描いてみて将来の農村のビジョンというものを、皆さんと、国民とともに考えていったら、こういうことがいいではないだろうかということを言っているのであります。
○津川委員 約束時間になるべく終わりにいたしますが、財界では農地を工業用地にして農業労働をその代償のために吸収する、こういう計画を立てているんですが、そうすると、倉石農林大臣はそういうことに対して、日本の農業を守るという立場を表明できますか。
○倉石国務大臣 あなたが財界とおっしゃるのはどういうことを言っていらっしゃるのか知りませんけれども、産業というのは資本家もあれば、労働者もありまして、労働者だけでは仕事になりませんし、資本だけじゃ仕事にならぬのでありますからして、したがって私どもは、幸いに、地方に土地もあり地方に労働力もあるところへ、地方の人が希望するならば産業が分散されていくことはいいことではないか、そして、余った労働力でいまですら皆さん御存じのように、農家所得のうちのおそらく六割近いものが農外所得でもっている人が多いでしょう。そういうところの所得を安定的に獲得することができればたいへんありがたいというのは、ほとんど全国の農村の人々の考えていらっしゃることではないかと思うのであります。私はそういうことを言っているのでありますからして、ただしかし、農業を守るために一種農地等が阻害されないためには、農林省としては最善の努力をいたすはずであります。
○津川委員 最後に米の買い入れ制限でございますが、政府は四十四年から米の生産調整に乗り出し、一万ヘクタール減反しようとしたけれども、五千ちょっとしか減反になっておりませんし、自主流通米百七十万トン計画して九十万トンよりなっておりません。四十五年度の百万トン作付転換と休耕、五十万トンの農地買い上げは大臣は何の反対もないと言っておりますが、全国至るところで反対が起きていて、私たちはその反対と抵抗によって実現はなかなか困難だと思っておりますが、大臣どのくらい農民が反対しているか御存じでございますか。
○倉石国務大臣 いま米をつくっておられる方も、農業団体や市町村長さんたちも、このままの傾向でいけば食管制度の根幹を維持することができなくなるかもしれぬという危機感を持っていらっしゃるのでありますから、私どもの知っている範囲では米づくりの方々も、自治体の方々も全面的に協力してくださると、こういうお申し出がありましたので、確信をしているわけであります。ただ中には、世の中が騒がしくなることを楽しみにして、騒がせるものもあるかもしれませんけれども、そういう運動があればそれは別でありましょうが、いまはそういうことはないようですから、全く協力体制——きのうも実は農業関係の新聞社の方にお目にかかった、各地の報告をしてくれましたけれども、なかなか一生懸命でやっていらっしゃるということで、たいへんありがたいと思っているわけであります。
○津川委員 世の中を騒がせて喜ぶ。こういうものに大臣が共産党を考えていればとんでもない見当違いだということをまず表明しておきます。 第二番目に、日本農民組合がそんなことを考えていると、これもとんでもない見当違いです。日本の農村労働組合の方たちも、民主的に自主的に日本の農業を発展させるとは言っておりますけれども、騒ぎを起こすようなことはないと大臣にはっきり伝えておいたほうがよろしいんではないかと思います。 そこで、京都が賛成していないことを御存じでございますか。京都府です。
○倉石国務大臣 何か府知事がそんなことを言ったというようなことを新聞では見ましたけれども、私どものほうではそれぞれの手づるを通じて団体や府庁当局にお話をいたしまして、最善の努力をしてもらうようにだいぶ変わってもきておるようでありますし、またその努力を継続しているところであります。
○津川委員 京都の府知事が生産調整を受けないのに対して、特別な何か不利な条件、懲罰的な行動に出るつもりはありますかありませんか。
○倉石国務大臣 農林大臣はそういうようなことをやる権限を持っておりません。
○津川委員 そこで、先ほどから小平委員の質問から聞いていると、生産調整が成功しないならば何か現行の食管法そのままにして買い入れ制限をやるのではないかという心配が非常に多いわけですが、予算委員会においても食管法の第三条第一項は無制限買い入れを政府に義務づけていないというふうな解釈をしておりますけれども、この大臣の発言は末端を非常に不安にさせているのです。もう生産調整を受けないと食管をつぶされるんだ、こういうふうに市町村長も市町村も役場も農協も宣伝しているわけです。そこで、大臣に無制限買い入れの義務が政府にないと言った根拠を明らかにしていただきたいのですが、食管法第三条第一項はこう書いてあります。「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所二依リ」「命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府に売渡スベシ」こう規定しております。これは米の生産者が米を政府に売り渡すことを義務づけているのです。政府が幾ら買い上げていいかという規定ではないのです。農民には売り渡しを義務づけておりますが、政府には好きなだけ買ってもいいという条文じゃない。これは法律です。ところが法律の精神は、国会が法律をきめますけれども、実際に法律を施行するのは役所です。役所がその法律の精神を間違うといけないから政令ができ上がります。政令は法律の精神です。そこでこの政令は何と書いてあるか。生産者が、政府に売り渡すべき米穀に関する政令、この第一条と第二条は事前売り渡し申し込みの手続を規定しておりますが、事前売り渡しの手続を規定した第一条、第二条のあとの第三条はこうきめております。「市町村長は」、「米穀の生産者であって事前売渡申込をしたものごとに、前条の通知に係る数量を政府買入数量として定め、これを文書をもって当該生産者に指示する。」と規定しています。つまり米の生産者が前売り渡しを申し込んだ量が政府の買い入れ数量でございます。これが正しい法の精神です。すなわち政府が買い入れ数をきめるのではなく、売り渡しを申し込む農民が事前売り渡しを申し込んだその量が買い上げなければならない量なんであります。そうすると大臣が現行法規において買い入れを制限することができる意味を言ったのは、法の精神をはき違えたものと言わなければならない。そこに食管法と政令をお持ちでしょうから、もう一度この点は明確に大臣の答弁を求めます。
○倉石国務大臣 先ほど田中さんの御質疑にも、間違うといけませんから政府委員から答弁させましたので、政府委員から答弁をいたさせます。
○森本政府委員 御指摘のように食管法の第三条では、生産者に対しまして、一定の数量のものを政府に売り渡すべき義務があることを規定をいたしております。したがいまして、政府に売り渡すべきものとして義務づけられた数量のものは、生産者は政府に売り渡しをしなければいけませんし、またそれは政府が当然買い入れる義務があるということでございます。したがいまして、その範囲のものについて義務がないということを申し上げておるわけではございません。従来からも事実として御案内のように、政府から売り渡し義務ありとされたものの数量以外にも、政府は買い入れをいたしておるわけであります。そういうことでございますから、この規定による買い入れのものと、それ以外のものがあるということを申し上げておきたいと思います。
○津川委員 そうすると倉石農林大臣は、現在の食管法の第三条一項は、政府が無制限に買い上げなくてもいい、現行法規でも買い上げの制限ができるという意見を国会でも答弁しているし、記者会見でも述べておりますが、この根拠はどこにあったのでございます。
○倉石国務大臣 いま政府委員から御説明申し上げた食管法第三条にその根拠を置くのでありますから、買い入れ制限というものは法改正をやらずにできるかと言うから、その限りにおいてはできるのだ、こういう説明をいたしたのであります。
○津川委員 それでは政府委員に尋ねます。食管法の三条一項以外の米を政府が買ったこともある、これはそうです。だから三条一項に規定した、政令の第三条に規定している米を政府が買わなくてもいい、こういうふうに解釈したわけでございますか。
○森本政府委員 繰り返しの御答弁になりますが、私が先ほど申し上げましたのは、第三条によりまして政府に売り渡しの義務のある数量、これはもちろん生産者も売り渡さなければいけませんし、政府も買い入れの義務があるということを申し上げております。 なお、先ほどもお答えを申し上げたのでございますが、第九条という規定がございまして、その規定によって、先ほど申し上げました第三条の規定による義務のかかった米穀以外のものについても、現在の政省令のもとにおきましては、生産者は政府以外には売ってはならないというふうな規定になっております。したがいまして、販売をいたしますときには例外規定はございますけれども、それ以外の場合には政府に売り渡さなければならぬということになっております。それはただいま申し上げましたように、政省令の規定に基づくことでございますし、また三条とは根拠を別にした条文ということになっておるわけであります。お尋ねがございました三条の規定によって義務のかかったものについてまで政府は買い入れ義務がない、売り渡しの義務のかかったものについてまで政府は買い入れの義務がないということを決して申し上げておるわけではございません。
○津川委員 最後に一つ、大臣でもいいですし政府委員でもどちらでもいいですが、食管法の第九条はそんな簡単なものではないです。読んでもいいですが、これは食糧の配給、加工、製造、譲渡その他の処分、使用、消費、保管、移動ということを規定しているのであって、買い上げについて、売り渡しについては何も規定していない。これが法の精神です。食管法の第三条第二項は、今度は政府への売り渡しを規定している。これを政令で規定しているのがこの第九条ですが、これを売り渡しや買い入れの制限ができる個条に考えるつもりがほんとうにあるのか、もう一度答弁していただきます。
○倉石国務大臣 買い入れ制限をやる気持ちはいまはありませんということは、もうさっきからここで何べんも言っていることであります。
○津川委員 最後に一つ。もう終わりにします。先ほど小平委員に対する答弁やいろいろな点から考えると、どうやらいまは考えていない。ことしじゅうに考えるのか考えないのかということに対して答弁を避けているので、私は国民はやはり倉石農林大臣によって、今度の生産調整が失敗したならば食管制度をこわされるのではないか、こういうふうに非常に心配しているのです。そこで私は倉石農林大臣に、食管法と食管法が規定しておる政令どおり守るのかどうか。食管法を破る、改正するというとこれはたいへんな国民運動になってなかなかできないので、ずるずるべったりに食管法をそういうふうな解釈でなしくずすのではないかというふうに思いますので、食管法並びにそれに関した政令を、倉石農林大臣は国務大臣として、法治国家の大臣として守るつもりかどうか、言明をいただければ終わります。
○倉石国務大臣 法律を犯してそこいらをあばれ回っている者が国民の中にもありますけれども、いまの政府は、あります法律は厳守をいたすことは当然なことであります。
○草野委員長 次回は来たる十日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十七分散会