内閣委員会 第30号
- 発言数
- 241 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/09/07
会議録
○伊能委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長が海外旅行のため御出席されませんので、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 国の防衛に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 中曽根防衛庁長官に伺います。 長官は明八日訪米なされるわけでありますが、本日はその前日にあたりまして、長官はすべて準備終わって、長官としての決意、そしてまた日本の防衛についてるる話し合いをしてくることと思います。まず初めに、そういった防衛庁長官の今回の訪米に対する目的、またスケジュール、米国で会う人たちの話の内容等について、簡単に伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 私は、明八日出発いたしまして、現在のところ二十日に帰ってくる予定でございます。 目的は、アメリカの安全保障当局と、日米間の安全保障の諸問題について隔意なき懇談を遂げたいと思っております。特に在日米軍基地の共同使用やあるいは整理統合、今後の処置の問題につきましても、ある程度の見通しを得るように努力してまいりたいと思いますし、私がかねがね考えていることも実行してまいりたいと思います。 なお沖繩返還に伴いまして、自後の沖繩の防衛の問題につきましても、基地の処理の問題を含めましていろいろ懇談してまいりたいと思います。 話す相手は、レアード国防長官、キッシンジャー大統領特別補佐官、ロジャーズ国務長官、そのほか関係者等であります。 なお帰りにはハワイに寄りまして、太平洋軍司令部当局とも話し合って帰る予定でございます。
○伊藤(惣)委員 中曽根長官は、ある人の話によりますと、一種古風なナショナリストである、そのことは拓大の古風な教育から防衛構想まで一貫している、このように言う人がおります。またこういったことは、国内では反動的に見られると同時に、他面では中国なども、中曽根長官のことばを取り上げて軍国主役と強調しておるようでありますし、また米国のほうにおいてもそういった疑惑が持たれている、このようにいわれております。今回の訪米は、そういう疑惑を一掃して、そしてアメリカの信用を取りつけるという意味で、あなた自身の政治的前途といいますか、そういった非常に重要な意味があるんじゃないか、このように私は思います。 ところで、昨年の八月七日から八日にかけまして富士吉田市で行なわれました日経連のトップセミナーにおいて、長官はこのようにおっしゃったことがあります。日米安保体制は、一九七五年ごろまでに日米の新しい関係について根本的な再検討を加えることが必要だ、このように述べられております。それがトップセミナーの統一見解に盛り込まれたことも御承知のとおりであります。当時まとめ役の日本精工社長はこれを記者団に解説して、安保体制を改廃するかどうかを含めて日米関係を再検討する時期として一九七五年を打ち出したんだ、こう説明しております。そしてさらに、平和利用とあわせて核兵器をつくれるような状態にしておく、こういうことも方針として同時に打ち出されたわけであります。その後長官は防衛庁長官になりまして、防衛庁長官になってからの発言というのは、今度は新しい方向といいますか、自主防衛が主で安保は補完にするとか、あるいはまたつい最近の長官が出席した会合においては、日本は核武装すべきでない、こういうふうに言われている長官の発言から見まして、従来と態度が変わったのかどうか、また政府の方針であるからそう言わざるを得ないのであって、実はトップセミナーで言ったことが、個人としてはその考えがあるんだということなのか、まずその点について伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 従来と考えは別に変わっているわけではありません。 まず核兵器の問題につきましては、私は昨年六月ごろでありましたかフランスへも参りまして、ボッフル将軍やガロア将軍とも会って、フランスがなぜああいうことをやっているか詳細に話も聞き、その判断も自分でよく勉強してみまして、日本は核武装しないほうがよろしい、専門家とも研究して八月ごろそういう結論をつくったわけであります。 それから核防条約の問題が出てまいりましたが、私が主張しましたことは、前にも申し上げましたように、たしか十一月ごろの朝日新聞に、私とアメリカ大使をやりました朝海氏の論文が両方載っかっておりますが、核防条約については慎重にやるべきである、特にドイツがどういう態度をとるか、それから沖繩問題とこれをからめて取引してはいけない、しかし一番大事なことは、原子力平和利用について同時査察等において特に差別があってはならぬ、そういう文書を出したのであります。しかし、そのときには核防条約は調印の方向にいくべきものと考えてそういうふうに書いたわけであります。一番最後のところに、政府がこの問題について対処するときには、いずれ外交権を持っている政府が自分でやることになると思うが、こういう意見をよく勘案してやるべきである、そういうふうに付言してあります。 自乗ドイツが急に政変がありまして核防条約に調印をいたしましたし、沖繩問題についてそれが取引やその他の材料になっていないということもはっきりしてまいりましたし、各国が非常に批准を急いで成立が目睫に迫りましたという情勢から見ると、日本の主張を入れるためには、とりあえず調印して中に入っていたほうが日本の国益に合する、そういう判定に基づいて調印に賛成したわけであります。そういう経緯をお調べいただけば、自分の考えが変わったわけではない、こういうふうに御了察願えると思います。 それから安保条約につきましては、日米間の友好親善関係は不変である。特に太平洋を平和にしておくということがいかに世界の平和とアジアの安定のために必要であるかということは、この間の大東亜戦争でもわれわれはよくわかったところであります。そういう意味において太平洋を平和な海にしておくということは日米双方が非常に大きな責任をしょっておる。そういう点からも日米間の安全保障体制は半永久的に必要であろう。しかしその具体的内容である安保条約という個々の条約については変化はあり得る。現に二十七年に実行され始めたとき、三十六年に旧安保が新安保に変わったとき、ことしの六月に自動継続されたときと、おのおの内容は変わってきているわけです。そういうようなわけで、今後の五年くらいの日本の将来、アメリカの動きや沖繩返還後の動静、ソウルあるいは中国の動静、いろいろな情勢を見て、七五年ぐらいになったらそういうものを全部踏まえて現行の条約についても検討を加えるということは、国民のコンセンサスをつくり出す上においても必要であろうし、アメリカ及び日本の国民がそういう新しいコンセンサス同士で合致すれば、そういう点でこの問題を検討し、しかるべく時代に合わしていくということは両国の提携のためにも必要である、そう考えて言っておるわけでありまして、七五年に廃棄するというふうに一部新聞に出ましたが、それは新聞が書き過ぎた表現であります。
○伊藤(惣)委員 非常に重大なことでございますが、そういったことも含めて話し合いになると思うわけであります。いまのお話を聞いてまいりますと、七五年ごろには何らかの形で改廃が考えられるということでございますか、その点もう一回。
○中曽根国務大臣 改廃というと言い過ぎだと私は思うのです。検討する時期が来るのではないか、そういうことを言っておるのであります。
○伊藤(惣)委員 きわめて重大なことでございますので、そういったことも慎重に、訪米の節には結論を出さない話をしてくるべきだと私は思います。 ところで先ほどお話のありました核武装の件でございますが、前回の私の質問に答えて長官は、現在は「私は日本は核武装しないほうがいい。重大な変化でもあればそれは別です。」こうおっしゃっております。先ほど来の変わってはいないというお話を伺いまして、そうしますと、やはり核武装ということも重大な変化ということがあればあり得るということのように私には思えるわけです。その重大な変化ということはどういうことを想定して発言なさったのか、その点を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 核拡散防止条約第十条に、「国家の至高の利益が害されるおそれがある場合には、これから脱退できる。」と書いてあります。そういうような事態がそれに該当するだろうと思います。
○伊藤(惣)委員 核武装ということについてもう少し申し上げますと、たとえば核といいましても戦術核兵器と戦略核兵器とございます。憲法の解釈によりますと、現在までの憲法の解釈では戦略核兵器は持てないけれども戦術核兵器は持てる、こういう答弁が法制局長官からもございます。そうしますと、ただいまのような事態が起こり、重大な変化が起きたときは、戦術核兵器というものも製造しまたは持ち込むこともあり得る、こういうことも考えられるわけですか。
○中曽根国務大臣 私は非核三原則を維持していくことが適当であると思っております。
○伊藤(惣)委員 現在の佐藤内閣は非核三原則を守るということで、ここ当分はそういうことはないと思います。しかしわが国の防衛が今後自主防衛という名のもとに四次防、五次防というふうに発展いたしますと、当然近代兵器の装備、非常に足の長いミサイル、また艦艇、航空機というものがつくられるわけであります。その兵器というものはすべて戦術核兵器搭載可能なミサイルであり、またターターというような艦対空、空対空、こういったミサイル装備があるわけであります。そこで私が伺っておきたいことは、もちろん非核三原則という政策を佐藤内閣において維持する間はそういうことはないと思います。しかしながら新しい時代に入り、先ほども言いましたように七五年ごろに新しい日米関係が、安保条約の改廃というような、そこまではいかないまでも、変化があるとすれば、当然そういったことも考えられてくるわけであります。そういった場合に戦術核兵器の装備あるいはまた研究、こういったことは当然あり得ると思いますが、その点について前向きに答弁願います。
○中曽根国務大臣 そういうことはいたしません。
○伊藤(惣)委員 それでは長官に伺いますが、今回の訪米ではレアード国防長官その他重要な議会人または軍関係者に会うようにいまお話伺いました。特に私が確認しておきたい点は、在韓米軍撤退に伴って安保体制が非常に変化してくる、そういったことについてるる話し合いが行なわれると思います。しかし、それに基づいて四次防の最終案あるいは日本の防衛構想が作成される、またそういう意向だということも聞いているわけでありますが、その点について伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 日本は憲法を守って国土防衛に徹した防衛政策をとるのでございまして、その方針はあくまで貫いていきたいと思っています。韓国の半島のほうに日本が出兵するとか、軍事的関係を持つようなことは一切いたしません。
○伊藤(惣)委員 昨年の十月八日ですが、ホイーラー米統参議長が訪日した際、佐藤総理と会談したわけでありますが、そのとき佐藤総理は、在韓米軍撤退に伴って韓国の安全保障は日本が責任を持つことを約束したといわれております。おそらく長官が訪米なさいますと同じことが議題にのぼり、またそのことが確認されると思います。長官はどのようにそれについて態度を表明されるか伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 新聞報道は必ずしも事実を正確に伝えていない場合があると思います。いまの場合もそうではないかと思います。私は、先ほど申し上げましたように憲法を守って国土防衛に徹するという方針で日本の防衛方針を一貫してまいりたいし、そのことも先方に伝えているつもりであります。韓国の問題につきましてもしそういうような危惧がありましたら、それは誤解でありますから、ぜひ解消していただきたいと思います。アメリカ側も日本を韓国の方面において軍事的に使うとか出兵してもらうようなことを毛頭考えていないことは、先方からのステートメントでも明らかになっているところであります。
○伊藤(惣)委員 新聞報道必ずしも正確でないということでございますが、これは私も新聞報道を申し上げたのではなくて、やはりある人を通じて事実こういったことをいわれたということを聞いて伺っているわけです。いまのお話を聞きまして一つ確認できたわけであります。 ただ今回訪米にあたっては、やはり在韓米軍の撤退など、その後にくる日本の防衛体制などについて当然話が出ると思います。そうした場合、日米共同声明にもあるように、わが国は韓国の平和と安全あるいはまた台湾地域、そしてさらにはアジア地域においても日本が前向きで経済協力をする、こういうこともいわれているわけです。長官もおそらくそういった話題の中からアジア諸国の問題が出たときに、その国の治安維持とかあるいはまたその国の治安のための経済援助などということも考えられると思うわけでありますが、そういった点はどのように考えられておりますか。
○中曽根国務大臣 日本が日本の周辺のいろいろな国際情勢の変化等について重大な関心を持つのは、これは当然であると私は思うのです。韓国の半島の場合においても同様でありますし、あるいは台湾や中国やその他の地域についても、これは外交上あるいは経済協力上、あるいは安全保障上関心を持って進むということは、為政者として当然やらなければならぬことであると思います。東南アジアやその他の発展途上国に対して経済的に貢献するというのは内閣の一貫した政策でございまして、特に民生の安定、社会の安定という問題については、日本としては大いに貢献すべき分野であると思っております。
○伊藤(惣)委員 その場合ですが、それが純粋な経済援助であるならば問題はないと思います。それは賛成です。しかしながら、治安維持とかあるいはまたある特定のところ、またその分野に軍事的意味を持った経済援助が行なわれるとすれば、これは問題ではないかと思うのです。そういうことがあり得るかどうか、その点も確認しておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 社会安定、それから生活水準の向上という点にわれわれが協力するというのは原則的な立場でありますが、具体的にどういうことかということになると、ケース・バイ・ケースで判定しなければわからないと思います。
○伊藤(惣)委員 もし、たとえばカンボジアであるとかあるいはまたベトナムであるとか、東南アジア方面において紛争している国がございますが、そういった国の一方の側に武力に関係のある、また直接武器とか弾薬ということではなくても、その方面に使われる経済援助というものを考えているのかどうか、その点明らかにしてください。
○中曽根国務大臣 軍事的介入はいたしません。経済援助等の効果についてはケース・バイ・ケースで考えないと申し上げられないと思います。
○伊藤(惣)委員 なお疑問が残るわけでありますが、時間もありませんので次にいきます。 特に訪米の際にアジアの問題で話が出たときに、やはり日本の防衛産業とからんで、韓国及びその他の諸国からの兵器の開発等についてるる話が出るのではないかと思います。そういった場合長官はどのように対処し、また日本の防衛産業と東南アジア地域、開発途上国の産業との関連においてどういう考えがあるか、その点を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 軍事的介入はしないというのは一貫した方針でございまして、兵器の問題については例の輸出に関する原則がございます。あの原則を守っていきたいと思っております。
○伊藤(惣)委員 さらに確認しておきますが、そうしますと、たとえばアジアにおける技術研究所というような形での開発の援助を目的とする、そういったものもつくらない、こういうことも確認しておいてよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 それはどういう内容の研究所で、どういう構成でつくるというお考えでございますか、そういう内容を聞いてみなければ判定できません。
○伊藤(惣)委員 これはきわめて大事なことでございまして、内容その他について私が申し上げれば、それは一つの仮説であり、また想定であるから答弁できないとおっしゃると思います。ただそういったものを将来考えているのかいないのかということだけ伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 兵船開発をアジアの諸国と共同してやる国際研究所をつくるというようなことはいたしません。
○伊藤(惣)委員 本日はジョンソン証言で外務大臣も要求しておきましたが、会議の都合で出られないそうであります。したがって、私はジョンソン証言の中で特に防衛に関係ある問題のみにしぼって聞きたいと思います。あのジョンソン証言の中でこういうことがございます。EC旧型哨戒機などの護衛をするために戦闘機が在日米軍基地を出撃して北朝鮮基地に近づき、北朝鮮の飛行機を撃墜するというやり方なら事前協議の対象にならない、このように言っております。これは政府がすでにEC121撃墜事件のときに国会の討議でもこれを認めております。ただし、攻撃命令を持っているときは事前協議の対象になると言っております。この出撃の際に攻撃命令を持っているかいないかということをどうやって知るのか、またアメリカ側が知らせなければわからないわけでありますが、その点について伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 その点は外務当局にぜひ御質問願いたいと思います。事前協議の場合は、攻撃命令を受けて日本を発進する場合に事前協議があるので、救難とかあるいは護衛とか調査とか、そういう場合には事前協議は必要ないものと心得ております。
○伊藤(惣)委員 アメリカ局長おりますので、簡単に答弁願います。
○東郷説明員 防衛庁長官のおっしゃいましたとおりでございます。
○伊藤(惣)委員 ジョンソン次官は、在日米軍基地から米軍機が韓国へ移動した後北朝鮮を攻撃するなら事前協議の対象にならぬ、こう言っております。しかし、そのような移動してからの攻撃と直接戦闘攻撃、出撃ですね、これを日本政府がどうやって見分けるのかということが私は非常に問題だと思うのです。その見分ける方法が知りたいわけです。その点について伺っておきたいと思います。
○東郷説明員 事前協議の交換公文で約束しておりますことは、日本の施設、区域から戦闘作戦行動のために出撃する場合には事前協議をする、こういうことになっておりますので、いまお話しのような場合に、日本外の基地と申しますか、これに対して直接攻撃するために出ていく、そういう場合にはアメリカのほうから日本政府に事前協議をしてくる、こういう仕組みになっております。
○伊藤(惣)委員 そのところが最も国民が聞きたいところなんです。向こうから言ってくるまではこっちは信ずるということでありますと、これはきわめて従属的でありまして、ただ単にアメリカを信用するしかないわけであります。 そこで、防衛庁長官にも伺っておるわけですが、要するに、攻撃以外の救難のときには行ってもいいんだということでございますが、事前協議はしなくてもいいということでございますけれども、それはどこで見分けるのか。じゃ具体的にそういった連絡があり、また確認ができる方法がつくられているのかというところであります。その点長官いかがですか。
○中曽根国務大臣 それは事態に応じて随時協議という制度もございますし、そういう連絡は、そういうふうな情勢が出てきた場合には緊密に行なわれるものと思います。
○伊藤(惣)委員 どうも納得がいかないわけですがね。要するに見分ける方法ですね。これがきわめて重大だと思うのですね。たとえば救難のためであるということでいけば、全然もう問題にならぬ。さらにまた条約上から見ますと、一回韓国に入ってそれから行けば、もう全然問題にならぬというわけです。しかし、それが実際には一つの便法であって、もう出撃するときに、どこどこに行くから、その場合事前協議にかかるから一回韓国の群山基地に寄れとかいうようなこともあるかもしれないわけです。ですから、私が言いたいことは、事前協議の形骸化だ、このまま抽象的にわれわれがただ納得しているんでは完全な事前協議の形骸化になっている、こう私は申し上げているわけです。したがって、こういうことであってはまずいから、見分ける方法、あるいはまたそういった命令を防衛庁長官が日米関係の中で、日米の防衛分担の中で明確に掌握する必要がある。その点で長官に伺っておるのです。
○中曽根国務大臣 それは随時協議等を活用して常に緊密な連携をとるということが必要であると思います。
○伊藤(惣)委員 答弁になってないですね。 時間がないから前にいきますけれども、その点がきわめて大事なんですね。ですから私は、こういったことをアメリカに行ったときに——サイミントン委員会で、ここもあいまいなことが言われておるわけですね。明確にジョンソンさんはサイミントン上院議員の質問に対して、たとえば朝鮮を通ればいいのだ、事前協議しなくてもいいと言っておるわけです。どうか長官この点もう一回明確に、随時協議等によってきめる——今回の訪米も随時協議ということもあるそうであります。ですから、その随時協議をされる中で、日本の防衛庁長官として、これではまずいと思う、したがって私はこのようにしたいという前向きな提案をすべきであると思いますし、その態度をきめていくべきだ、このように思います。
○中曽根国務大臣 私は、着任以来安全保障問題について日米間の責任の分界点等については明確にしておく必要があるということをかねがね言っておるのでありまして、その一つに事前協議の場合の手続の問題もあると思います。したがいまして、双方で約束したことは厳格に守るように、この点ははっきり言ってくるつもりであります。
○伊藤(惣)委員 去る三月の下旬から六月にかけましてゴールデン・ドラゴン作戦というのが行なわれました。これは在沖繩米海兵隊第三師団第九海兵連隊と第三六海兵航空群第一六五海兵中型ヘリコプター輸送飛行大隊、それに山口県岩国の第一海兵航空団所属の第二一一海兵攻撃飛行大隊、第二三二海兵戦闘攻撃飛行大隊、第五三三海兵全天候攻撃飛行大隊、さらに韓国第一海兵師団が参加して、これらの部隊によってこのゴールデン・ドラゴン作戦が行なわれたわけです。そして朝鮮半島から沖繩、台湾海峡、フィリピン沖にかけての大演習を行なったわけです。そしてニクソン大統領がカンボジア進攻を発表したときには、朝鮮半島上陸作戦のまっ最中だったといわれております。しかもこの演習は、七〇年の六月二十三日の安保延長を控えて日本国民に知られるのをおそれて極秘のうちに行なわれた。そして国会が終わってしまったあとの六月十日、沖繩で海兵隊司令官によって発表されたわけです。政府は、本土、沖繩の米軍が一体となって行なったこの演習について、知らされていたのかどうか、それとも知らなかったのか、その点をまず伺いたいと思います。
○宍戸説明員 具体的には承知いたしておりません。発表によって承知をいたしました。
○伊藤(惣)委員 この辺もきわめて重大でありますし、こういったことがわが国の防衛当局が知らずに行なわれた、これも大きな問題であると思います。 時間がありませんから次に移りますが、ジョンソン証言によりますと、佐藤・ニクソン共同声明と佐藤首相のナショナル・プレス・クラブでの演説は、日本政府が在日米軍基地を、日本だけでなく、韓国や台湾、そして極東の他の部分、つまり極東地域全体の安全という観点から見ていくようになったと証言しているわけですが、これは承認されますか。
○中曽根国務大臣 これも外務当局が責任をもって答弁することでありますが、安保条約によれば、日本の基地というものは日本の安全保障確保及び極東の平和及び安全維持に寄与する、そう書いてあるので、極東の平和及び安全維持ということになれば、日本以外のその他の問題についても当然これは作用を行なえるわけであると思います。その事実を確認したのであって、何らこと新しいことではない、私らはそう思っております。
○伊藤(惣)委員 要するに中曽根長官がそう認識しても、今回のジョンソンさんの証言によりますと、沖繩返還に伴ってそういった日本の考え方が変わったんだということを明確に言っているわけです。まあその点なんかも、また長官が帰られてからじっくりと聞きたいところだと思いますが、この問題をもう少し具体的に言いますと、従来沖繩の米軍が、米韓、米台、米比、ANZUS同盟——軍事同盟ですね、こういった極東地域における条約上の義務で自由に行動したようなことを、返還後の在沖繩の米軍、在本土の米軍に対しても認めるということになるわけです。そして佐藤・ニクソン声明でも、その第三項で、佐藤総理は、米国が域内における条約上の義務は必ず守るという米国の決意を肯定している。だから沖繩を含む在日米軍基地がそのように使用されることを当然政府は承認することになりますが、ゴールデン・ドラゴン作戦はそのような米国の諸条約上の義務の範囲とぴったり一致しているように私は思うわけであります。そしてまた岩国基地の米軍が参加したことを政府は当然と思うのかどうか、その点を伺いたいと思います。そうなりますと、これは明らかに日本が米韓、米台、米比などの米側の諸条約に巻き込まれた、あるいは同調したことを意味することになるわけであります。その点について明確に伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 条約というものは、大体両方の国益の合致した範囲内で妥協点ができて、そして相互に維持されるものだと私は思います。アメリカは一方においては日本防衛の義務を安保条約によってしょっております。それと同時に極東の平和及び安全維持に寄与するために日本の基地を使うということも許容されておるわけです。これはアメリカ側のメリットという面もあると思います。また一面においては日本防衛の保障であるという意味にも考えられます。そういう面から条約の固有の機能、固有の解釈というものを正確に行なうように日米双方とも考うべきであって、それより逸脱したことは許さるべきではない。私はアメリカが韓半島やあるいは極東の地域についていろいろ責任をしょっていることを知っておるし、アメリカもそれを実行すると明言しておって、これはりっぱな態度であると私は思います。われわれとしては安保条約のワク内において、もし事前協議その他の問題があった場合には、日本の国益を考えながら自主的に判断をすべき問題である、そういう問題が起きた場合といえども、そういう立脚点に立ってわれわれは行動すべきであると思っております。
○伊藤(惣)委員 先ほど長官から、安保体制の中で不明確な点がある、日米防衛分担といいますか、日米関係の不明確な点を明らかにしなければならないというお話がございまして、そういったことを今回の訪米ではかなり具体的に話し合いをし、また取りきめの検討をするような話が行なわれると思います。 そこで伺っておきたいのですが、最近日本のレーダーサイトにおります米軍が引き揚げた、そして岩国や横田その他の米軍の施設に戻った。いままでは松前・バーンズ協定によりまして日本の二十四カ所のレーダーサイトに米軍がおったわけでありますが、そういったことによって今度は日本の防空は一手に航空自衛隊が担当することになる。いままでの米軍の範囲はやりであり、日本の航空自衛隊はたての面を受け持ってきたわけでありますが、そういったことも自主防衛という名のもとに、今後はたてとやりの関係を日本自身がするようになる、このように思うわけであります。そうしますと、当然松前・バーンズ協定というものが改定されたり、あるいはまたその必要性がなくなるのではないか、また、別な意味での取りきめが行なわれなければならないと思うわけであります。まずその点について長官にお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 松前・バーンズ協定というようなものは、私は変える必要はないと思っております。大体レーダー基地というものは、防空のために必要な目でありまして、防衛のためにあるわけです。その防衛のためにある仕事を、アメリカ軍が中に入ってきてやっておったのが撤収するということは、日本の自衛隊の機能が向上してきたからそうやるのであって、これはたての仕事であります。これは、ある意味においては、私は、自衛隊の機能を拡充して、防衛上の問題についても、いままで米軍にたよっていたことは日本人がやらなくちゃならぬ、そしてそれを日本の本来の姿に戻していくということを言っていましたが、そのことの一つのあらわれでもあります。これは好ましき現象であって、ほかにもそういうところがあれば促進していくべきものであると思います。ただし、それは日本の防衛に限ってそういうことが行なわるべきである、そう考えます。
○伊能委員長代理 伊藤君に申し上げますが、時間が参りましたので結論を急いでください。
○伊藤(惣)委員 同じ意味において、今度は海上自衛隊の面におきましても、沖繩返還に伴いまして、海上自衛隊の防衛の地域的な範囲、また第七艦隊との日米の防衛分担が当然議題になるわけでありますが、その点についてはどのように考えておられるか。
○中曽根国務大臣 沖繩も本土になるわけでありますから、本来の固有の、今までの本土と同じような意味における防衛を日本が引き受ける。海上についても同様であります。つまり周辺海域の警備あるいは対潜哨戒、そういうような仕事は日本が引き受けることになると思います。
○伊藤(惣)委員 時間がありませんので、最後に伺っておきますが、日米共同声明から見てまいりますと、日本だけの安全ではなく、韓国、台湾にも及ぼしたようなことがいわれているわけでありますが、その場合、日、米、韓、台などによる艦隊パトロールということも考えられるのでありますが、日本が自主的にそれを判断すれば、そういったこともあり得るかどうか、そういう点を伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 安保条約によるものを除いて、ほかの国と軍事的提携をするということはありません。
○伊藤(惣)委員 それでは以上で終わります。
○伊能委員長代理 横路孝弘君。
○横路委員 いま伊藤委員からも話がありましたけれども、長官の訪米というのは非常に微妙な段階での訪米だと思うのです。微妙な段階だというのは、国防の基本方針を改定するということを、この間の国会で打ち出しながら、現在まだ安保の位置づけをめぐってこれがまとまらない段階にある。もう一つは、第四次防のほうもいよいよだんだん煮詰められつつある段階にある。一方で、先月の二十九日に、昭和四十六年度の予算の概算要求が六千九百七十七億ということで、いよいよ世界で七番目というような軍事費になる、他方で、アメリカのホワイトハウスの高官の口からさえ、日本の軍国主義化の危惧というものが表明されている、そういう段階での長官の訪米である。先日の内閣委員会あるいはいまのお話ですと、今度の訪米の目的について、日米間の安全保障についての定期会議あるいは在日米軍基地の共同使用の問題、返還後の沖繩の基地のあり方をいろいろと話をするんだということを言われておりますけれども、やはり基本は、こうした日本の現状を見ますと、四次防を策定する上での国際情勢の認識なり、あるいはニクソン・ドクトリン以後のアジア情勢、アメリカのアジア戦略、そうした中での日本の受け持つ防衛、防衛構想というものがどうなのかということについての話し合いがおもなものじゃないかということは、これはだれでもそう考えるわけなんですけれども、その辺のところ、どうもお話を聞いていると明確ではないので、重ねてお答えをいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 基本的な立場において、日本とアメリカが太平洋をはさんで世界平和に重大な関心を持っておる、そうして安全保障条約を結んで国連憲章の目的を達成するために協力し合っている、この厳然たる、厳粛なる事実の上に立って日米両国が世界あるいはアジア・太平洋の平和、安全保障の問題について基本的に懇談し合うということは好ましいことであると思います。私はそういう基本的観点に立って話してこようと思うので、日本の防衛計画を策定するためにアメリカ側の意見を聞くとかなんとかいう、そういう小乗的な立場はとりません。
○横路委員 一般的なお話としてはそれは理解できるのですが、いま段階が段階なわけです。特に国防の基本方針の改定の問題についても、安保をどういうぐあいに位置づけていくのかということが一番大きな焦点になっているわけなんです。そういう一般的なお話で逃げられましたけれども、ではちょっと別な観点から質問をしてみたいと思います。 アメリカのホワイトハウスの高官が、八月二十七日の新聞によりますと、日本の軍国化の危険性ということを指摘したわけです。それにはいろいろな要素があると思うのですが、その一つは、長官の言う自主防衛の行き着く先について不安を持っているんじゃないか。それは長官が国防の基本方針を改定する理由の一つに、これは三月二十三日の参議院の予算委員会でありますけれども、情勢の変化として、安保が自動延長の段階に入ったということをいままで繰り返し述べられているわけです。自動延長後は一年の予告で一方的に安保を廃止することができるようになった、だから自主性を持った防衛力の整備が必要なんだ、こういう観点で国防の基本方針の改定というものを打ち出されていると思うのです。この答弁をよく考えてみますと、自動延長をもって一つの潜在的な危機状態、日本の防衛に潜在的な危機状態があるんだというような認識が長官の頭の中にあるんじゃないかというように受け取ることができるわけなんですけれども、その辺のところはどういうぐあいにお考えですか。
○中曽根国務大臣 自動延長前と自動延長後はステータスは変わったと思います。それで自動延長後の体制に即応し得るように日本の防衛体制をつくっていくことも政治家の責任であると思います。それで、先ほど横路委員が申されました、日本が自主的見地に立って防衛体制を整備していくということは当然のことであって、自主的でない立場に立って整備するということはいままで排斥された考え方なのであります。
○横路委員 そうすると、いま自主防衛ということで目ざしているのは、かりに日米の間の安保条約がなくなったとしても、わが国にとって十分対応できるような軍事的な体制を独自で持とう、こういうところに将来的な展望があるわけですか。
○中曽根国務大臣 核兵器による抑止力とそれから攻撃的兵器による抑止力というようなものは、安全保障条約を通じて米国と提携していくということを言っておるのです。だから日本はそういうようなものはやらないということを言っておる限りは、やはりアメリカとの提携は必要である。私は半永久的に必要であろうと言っておるのは、そういう基本的認識もあって言っておるわけであります。しかし、それ以外の通常兵器による限定戦については終局的には日本独自でやれるようにしていきたい。しかしそれは日本の民生の問題もあるから、時間をかけて、ほかの政策とのバランスをとりながらやっていきたい、そういうことを申しておるのであります。
○横路委員 そうすると、長官の考えている自主防衛というのは、昨年の五月十七日だったと思いますけれども、愛知外務大臣が訪米する際に、防衛庁のほうから外務省に対して七〇年代の自主防衛構想というものを示されていますけれども、その中で間接侵略ないし直接侵略の事態に対して有効かつ適切に対処し得る力というのを整備するんだということを言われているわけですけれども、自主防衛ということになると、核以外の通常兵器になる事態に対しては独力で、つまりアメリカの支援というのは全然考えないで対処できるだけの力というものを整備するんだ、こういうように理解してよろしいわけですか。
○中曽根国務大臣 核だけでなくて他の攻撃的兵器があります。
○横路委員 その点については実はあとで少し議論をしたいと思うのですけれども、長官の認識によると、これから日本で考えられるような態様ということについては、間接侵略を主としてそれを支援するような形での直接侵略というような形態をお考えになっているわけですか。——そうすると、戦略的な攻撃力というようなことまで予想し得るような事態、そういう事態というのは、長官の認識としては、少なくとも今後十年間くらいの認識としてはないのじゃないか。そういうことは想定されてはいないのじゃないかと思うのです。そうすると、戦略的な攻撃力をアメリカに期待するといっても、現実的には考えられないことじゃないかというように思うのですけれども、いかがですか。
○中曽根国務大臣 それはしかし潜在的には戦争抑止力として非常に強く働いておることを認識しなければなりません。
○横路委員 そこで、これはこの間の参議院の内閣委員会でも議論されていることですけれども、そういう核による抑止力あるいは戦略的な攻撃力による抑止力というのは、実はアメリカだけの力ではなくて、アメリカのかさの中に日本が入っていると同時に、われわれはソビエトのやはり核のかさの中あるいはそういう攻撃力の中に入って、その力の均衡の中に現実の抑止力というものは機能していると思うのです。これは長官自身そういうことを述べられているわけです。そうすると、特にその部分は、われわれは安保条約によってそういう抑止力というものを期待しているのではなくて、実はアメリカとソビエトとのそういう力の均衡の中に置かれている日本、そういう中での平和の維持というような現実的には機能の果たし方をしているのではないか。そういうように考えると、特に安保を結んで、安保を結ぶことによって核のかさに入る、あるいは安保を結ぶことによって戦略的な攻撃力の中に入ることによってわれわれの平和を守るんだということについては、現実の機能としてはなっていないと思うのです。その点はどうですか。
○中曽根国務大臣 世界平和が維持されておるについでは世界的スケールにおける抑止力の均衡性が生まれているからで、そのアジア・太平洋の部面においては安保条約というものはやはり一つの大きな要素をなしておるということは否定できないと思います。
○横路委員 そこで、長官は前に、核を持たない中級国家の対核戦略というようなことが考えられるのではないかということをどこかでおっしゃったと思います。これは軍事的にはどういうことを意味しておるのですか。
○中曽根国務大臣 これはある意味におきましては、通常兵器による抑止力を付加しつつ総合的にさっき申し上げたような世界的な抑止力を生む一つの要素として機能させておくという要素もありますし、それから単にそういう安全保障力といいますか、軍事力だけでなくて外交の力によってそういうものをうまく駆使していくというやり方もあり得ると思います。そういう総合戦略としてわれわれは外交あるいは日本の経済力、あらゆる問題を駆使していくべきであると考えておるわけです。
○横路委員 外交の問題なり経済の問題として考えればそれは理解できる。しかし純軍事的に考えますと、そういうような通常兵器でもって対核戦略に対して抑止力を持つのだというようなお考えになると、どうもその辺のところがよくわからないわけです。その辺のところを重ねてひとつお話し願いたい。
○中曽根国務大臣 二階ばかりあっても一階がなければだめだというようなものであって、すべてが総合されて、一階、二階が合成されて家というものができてくる。いわばそんなようなものじゃないかと私は思うのです。
○横路委員 そこで私がやはり危惧するのは、そういう答弁をいろいろと拾い集めてみると、やはり長官の頭の中には核武装ということをどうしてもお考えになっているのじゃないかというような気がするわけです。 そこで、先ほど伊藤委員のほうからも話がありましたけれども、この間のこの委員会で、日本は核武装しないほうがいい、しかし重大な変化でもあればそれは別なんだ。重大な変化でもあれば別なんだということは、さっきお話をした自動延長をもってどうもやはり潜在的な危機としてとらえているような感じと、それからいまの答えと合わせると、この重大な変化というのは、たとえば日米間の安保なら安保というものがなくなった暁には、日本は核武装するのだというような方向を、どうもお考えになっているのじゃないかというような気がするわけなんですけれども、その辺のところはどうですか。
○中曽根国務大臣 逆説的に言うと、あなたのお話から見ると日本を核武装させないためには安保条約を維持していったほうがいい、そういう結論になるようですが、そういうことになりますか。(横路委員「いや、そういうことにはならぬです。」と呼ぶ)ならないですね。それと同じように、それではいまの核武装の問題についても、安保条約をやめたらすぐ核武装という逆の問題もないわけです。必ずしもそういうわけではない。つまりそれは選択の可能性を持っておるという意味でありましょう。
○横路委員 そうすると再度確認しますけれども、ここで答弁なさっている重大な変化というのはどういう意味ですか。
○中曽根国務大臣 さっき申し上げましたように、核拡散防止条約第十条にいう国家の至高な利益を害するような事態が出てくるというのもその一つであり、それに類する事態であると私は思います。
○横路委員 そういう抽象的な答弁をなさらないで、具体的にはどういうようなことですか。たとえばどういう国際情勢の変化があった場合にはここにいう重大な変化に当たるのですか。
○中曽根国務大臣 それはその場合になってみないとわかりませんですね。そういう基本原則をもって、そのときの情勢を国民全体で判断をして、議会その他いろいろな政治的機能を動かして解決すべきものだと私は思います。
○横路委員 そうすると、従来からの国会における答弁とやはり非常に違うニュアンスというのが私はあると思うのです。ここでどうして、重大な変化があればそれは別ですなんというよけいなことをおっしゃったのか。持たないということでいいのじゃないですか。
○中曽根国務大臣 国際的にも核拡散防止条約という合意が成立して、国際的レベルにおいてもそういう場合の留保条件があるわけです。そういうようなものは、日本が国策を運用していくためにもやはり非常に重視しなければならぬ要素であると思うわけです。
○横路委員 そこで先ほど、核については抑止力としてアメリカに依存するのだ、それからもう一つは、戦略的な攻撃力についてアメリカにやはり依存するのだということになりましたけれども、そうすると通常兵器による局地戦でも、攻撃部分というのはアメリカが持つということですね。
○中曽根国務大臣 そういうことになりましょう。
○横路委員 そうすると、当然これは共同作戦行動ということになるわけですね。そうするとこれはやはり日本とアメリカとの分担の範囲あるいは協力の方法というのが明確でなければならぬと思うのですけれども、その点はどうですか。
○中曽根国務大臣 日本を防衛するというためには、われわれは国際法の許す範囲内において全力をふるってあらゆる可能性を探究してやるべきであります。それが日本国民に対する政治家の責任であると思います。それをいわゆる比喩的に言えば、たてが日本の分担であり、やりがアメリカの分担である、そう言われております。いわばそういうものであるだろうと思います。
○横路委員 そのたてとやりじゃさっぱりはっきりしないのですよ。現実にそういう事態が起きた場合にどうなのかということは、明確に取りきめがいままでの国会答弁によると別にないわけでしょう。長官自身今年の三月二十三日の参議院予算委員会で、日本が分担すべき機能、アメリカが分担すべき機能を明確にするというように御答弁になっていますけれども、今度の訪米の中でその点お話し合いなさるのですか。
○中曽根国務大臣 そのつもりでおります。さっき申し上げましたように、事前協議に関する問題等については、やはりはっきりする必要があると思っております。
○横路委員 それは事前協議ばかりでなくて、具体的な作戦行動としても話し合いをなされるということですか、明確にしておくという意味で。
○中曽根国務大臣 そういう問題も含めて、諸般の問題について話してきます。
○横路委員 それについて何か取りきめをなさるおつもりですか。
○中曽根国務大臣 別に取りきめの必要はないと思います。
○横路委員 しかし羽生さんに対する答弁の中で、ばく然とアメリカにたよるんだ、何か事態が起きたときにやってくれるだろうということではだめだから、分担をはっきりしなければならぬ、そういう時期にきているのだという答弁になっているのですよ。いまの答弁だと、やはりばく然と何かあったときにはやってきて支援してくれるだろうというような期待の上に成り立っているにすぎないじゃありませんか。
○中曽根国務大臣 そのことは何も取りきめをして明確にしておかなければならぬという筋のものではないのです。お互いが信頼し合って、そしてふだんからよく話しておけば、そういう分担というものはおのずから明らかになっておることであります。
○横路委員 どうもよく話がわからぬわけでありますけれども、そういった軍事的な行動において、お互い信頼し合っているんだ、何かあれば助けてくれるだろう式のことで、はたしてそういう事態に対処できるかどうか、非常に疑問を持つわけでありますけれども、そこで時間もございませんので第四次防の問題について少しお尋ねをしてみたいと思うのです。 いまの現段階、いつも質問するたびに、まだですまだですというようなことで、なかなか内容についてはお話し願えないわけですけれども、現在の作業について簡単に御報告をお願いしたいと思います。
○宍戸説明員 やはりきまっておりませんのでなかなか内容についてお話し申し上げにくいわけでございますが、作業の進捗状況としましては、この秋に防衛庁としての原案をつくり上げたいという目標でかねがねやっておりまして、その作業自身はだいぶ進んでおります。数カ月前にも申し上げたかと思いますが、順々に進んでいま九月でございます。もう秋も初めになりましたので防衛庁の作業としては八合目か九合目くらいに参ったということは申し上げられると思います。
○横路委員 そこで長官、防衛の問題を、タクシーの運転手さんからお手伝いさんにもわかるような形で国民の中に理解をしてほしいということを言われている。ところが国会になるといつもどうもわれわれにわかるようにお話し願えない。そういう作業について、いまたとえばAという案とBという案とがあって、それについてこういう考え方でまだまとまっていない、こういう腹案になっているというような形でお話しいただくと、われわれも、まあ私たちの立場からいえば、自衛隊は違憲だと思っていますからできるだけ縮小させたい、しかしそういう形で問題を出されると、われわれもその土俵の上でこちらのほうがベターじゃないかという議論はできるわけです。そんな意味で、最終案がきまってからぽっと出す前に、国会にいまの情勢について、せめてこの内閣委員会にきちんと報告されるというようなお考えはございませんか。
○中曽根国務大臣 やはりある程度まとまって、世間に出しても差しつかえないという段階になりませんと、内閣委員会にも出すことは遠慮したほうがいいと思います。
○横路委員 そこがどうもおかしいのです。防衛問題についてはこの委員会が管轄委員会ですよね。ですからやはりここにそういうような問題についてきちんと報告される。私、この国会に来て、防衛庁長官、この間設置法がかかりましたけれども、設置法の中身の説明だけして、いまの国際情勢なりこの周辺の軍事情勢なりについてのお話というのは、いままで一度も聞いたことがないわけです。そういう報告というのは受けたことがないわけです。だから、そうかたくなになられないで、いまの段階でここまで作業がこういうぐあいに進んでいます、長期の見積もりについてはこうです、それに対応する日本の防衛構想というのはこうですというようなのを、三軍に分けて少しお話しいただけませんか。いまでなくてもよろしいですから、この次の委員会ぐらいまでにそういうのをまとめて、いままでの段階としてはこうです、というようなことで御報告を願えないものですか。
○中曽根国務大臣 私は、予算委員会でも、この委員会でも、本会議におきましても、国際情勢に対する私の所信というものは申し述べてあります。なお、官庁で作業しておる仕事というものは、ちょうどめしをたくようなものであって、まだ水がぶくぶくしておるときにあけてしまうと、せっかくの米も食べられないものになってしまうので、やはり水が全部引いてうんでくるときにあけるのが一番いいんだ、私はそう思います。
○横路委員 八合目か九合目まで作業が進んでいるんなら、もうその段階じゃないかと思うんですが、そういうことでございましたら、具体的にひとつお話をお伺いしたいと思いますけれども、四次防策定の場合、やはり中心になるのは、日本を取り巻く周辺の情勢をどう認識するかという、この長期戦略の見積もりだろうと思うのです。 そこで一つ、中国情勢ですけれども、中国がICBMを配置するというようなことは、この長期見積もりの中でどういうふうにお考えになっておられますか。
○中曽根国務大臣 中国の情勢は、正直に言いまして実はよくわからないのであります。これはほかの国もそうじゃないかと思うんです。ICBMにつきましては、アメリカの議会の証言とか、あるいはそのほかの世界じゅうの情報をわれわれは収集して、その判断を行なっておりますけれども、これもまだよくわかりません。われわれのほうが防衛計画の中にまでそういうものを的確に入れるという、そういうところまで正確にわれわれの手元にはまだきておらないのがまことに残念であります。
○横路委員 アメリカのほうでは、大体七五年までには中国はICBMを配置するだろうということが、これは一般的に言われているわけです。だから、当然そのことはこの策定の中に入ってくるんじゃないか、入ってしかるべきじゃないかと思うのですが、いまのようなお答えですから、それ以上お話を願うわけにはいかぬだろうと思うので、もう一つ前提としてお尋ねしておきたいのはいまのアジアの情勢です。アジアの中で、イギリスなりアメリカなりが、できるだけアジアから撤退する、そういうことでアジアの軍事的な空白というようなことが言われているわけですけれども、こういったイギリスなりアメリカなりがアジアから撤退をしていくというような情勢というのは、今後の日本の防衛戦略の中でどういうようにお考えになっておられるんですか。
○中曽根国務大臣 それは、アジア全般の情勢についてわれわれも非常に深い関心を持っておりますから、それによって非常なリアクションがその該当地域あるいはアジアに起こってくる、そういうリアクションが起こってきた場合に、それが日本にどういう影響が出てくるか、そういうことも分析してみておかなければならないと思うのです。そういう意味において、ニクソン・ドクトリンとかあるいはイギリスの兵力の撤退というものがどういう影響を及ぼすものであるか、分析はしております。
○横路委員 その分析をしておりますということじゃなくて、その分析の結果はどうですか。
○中曽根国務大臣 われわれのほうは、だからといって、軍事的介入をしようという考えはありません。やはり憲法を守ってやっていこうという考えであります。そういう部面は、主として経済とか民生安定の部分にわれわれとしてはかかってくるのでありまして、これは外務省や通産省にお願いすることがかなりあるのではないか、そちらの主管の仕事が多いんではないか、かように考えております。
○横路委員 六十三国会の中で、長官の答弁として、十年間は少なくとも日本を取り巻く情勢というのは現状のままでいくだろう、全面戦争はもとより、日本一国に対する攻撃といったような現実の脅威に変化するような公算というのはきわめて少ない、もしあるとしても、潜在的な脅威にとどまるだろうというような御発言をされているわけですけれども、この認識というのは変わりありませんね。
○中曽根国務大臣 変わっておりません。
○横路委員 そこで、ちょっとこれからの議論の上で二つほどお尋ねしたい。 一つは、周辺国家の軍事能力の点でございますけれども、まず第一に、中華人民共和国の軍事能力について御報告をいただきたいのですけれども、この軍事的な配置というのが、皆さん方の立場からお考えになって、防衛的なものとお考えになっておりますか、攻撃的なものとお考えになっておりますか、これが一つと、それから、たとえばの話ですが、日本まで兵隊を載せて輸送してくる輸送力というのを中華人民共和国の海軍力というのは持っていますか、その辺のところについてお答え願いたい。
○中曽根国務大臣 私は、防衛的性格が非常に濃厚であると思っています。 それから、日本にまで進攻してくる輸送船の力というものは非常に微弱であると思います。
○横路委員 次に、ソ連邦の軍事配置でございますけれども、非常にあの国というのは国境が広いわけですけれども、この重点というのはどこにあるわけですか、ヨーロッパにあるのか、極東地域にあるのか。
○中曽根国務大臣 ヨーロッパにあるように思います。
○横路委員 その極東における部隊配置というのは、どういう配置になっていますか。
○中曽根国務大臣 最近中ソ国境について若干増加されているという情報がありますが、極東地域については、地域防衛的な性格が強いと見ています。
○横路委員 そうすると、従来から政府の言う防衛力は客観的な情勢に応じて変化をしていくべきものであって、防衛というのはその周辺の脅威に比例して対応していくものだ、脅威に対応するのが自衛力、防衛力なんだというように考えますと、いまの周辺のそういった長官の認識、それから今後十年間の国際情勢の変化ということを考えますと、今後四次防等でいまさらに強化しなければならないということにはならぬじゃないかと思うのです。その辺のところは、これはやはり認識と現実のそういう拡大作業というのは矛盾しているじゃありませんか。
○中曽根国務大臣 日本の防衛力の現体制というものは、まだアメリカに依存している部分が実際問題としてもかなり多いわけです。さっきのレーダーサイトのような問題もあります。それから、日本の自衛隊が持っておる兵器類というものは、アメリカから貸与された兵器その他がまだかなりありまして、金額にして五千七百億円ぐらいまだ残っておると見積もられております。そのほか、日本の本土防衛という面から見ますと、まだまだ足りないところはかなりあります。そういうものを逐次充てんして、そうして日本固有の立場に立った防衛体系をつくり上げていくというについては、まだまだ努力すべきものがある。つまり、一応の水準にまで達していないわけです。一応の水準に達して、まずこれでいいということになれば、横ばいになっていくでしょう。それまでに達する間はやはりわれわれとしては努力を継続していかなければならぬ、こういう考えです。
○横路委員 ちょっと非常に素朴な質問で恐縮なんですけれども、そうすると、いまの段階で、日本の防衛の中で自衛隊が果たしている役割り、米軍が持っている役割り、比率でいえばどのくらいですか。
○中曽根国務大臣 それは比率で言うことはむずかしいですね。
○横路委員 これはあとでお話ししますけれども、本来ならば出てくるんですよ。いまの必要量、どれだけの部分をアメリカに負っているのかということを考えれば、大体何対何ぐらいだ、それをどういうぐあいにしていくのが自主防衛なんだ、こういうことにならなければいかぬわけです。その点については、またあとでお話ししますけれども、私は、そういった情勢の認識と現実が、いま防衛庁が考えていることというのは、いろいろな面で矛盾しておると思うのです。 もう一つは、先ほどもちょっと引用しましたけれども、こういうことを長官は言っておられるわけです。これはわれわれの委員会にも配付された資料でありますけれども、軍事力が全面戦争を回避しつつもっぱら政治の手段として用いられる現代において、わが国に対し万一外部から侵略があるとすれば、何らかの原因で国内の治安が乱れた場合に反乱分子に地方政権を樹立させた上で、これを外部から支援するという形をとるんだ、海を越えてやってきて、わが国に部隊を大挙上陸させるというような形の侵略は目下のところ考えられない。いずれにしても、侵略者はアメリカを戦争に引き込まないよう細心の注意を払い、その限度でゲリラ的戦争を断続させ、国内の破綻をねらうと思う。したがって、自衛隊はこのような事態に備えて訓練し、装備することが必要だ、ということをおっしゃっている。これはやはり間接侵略中心の考え方だと思う。あるいは直接侵略といっても、間接侵略に付随した形の直接侵略、そういうことになれば、やはり今後強化していく方向は陸上自衛隊が中心にならなければいかぬでしょう。あるいはそれを支援する意味での海空の支援体制というような程度にとどまらなければならぬはずです。ところがいま出されている方針というものは海空重視です。海空重視の戦略というものが言われている。ここにもやはり矛盾があると思う。こんなに認識と現実にやられていることがやはり矛盾している。そこに一体何があるのかということになるわけです。私は、そこにはやはりアメリカの極東戦略の変化に対応した形で日本に求められているものがそこにあると思いますけれども、この点やはり矛盾していると思いませんか。
○中曽根国務大臣 それは日本が侵略されるであろうと想定される中の一つの場合で、その発端は、そういう経過をたどる公算がいまのところは大きいという意味です。それで、それがエスカレートすれば、当然空軍とか空挺隊とかあるいは海上兵力による進攻という形にエスカレートしてくるわけです。ですから全部を包んで日本の防衛というものを考えてみると、全部に対応する立場をつくっておかなければならない。特に外から大規模のものが最終的には来るというようなことも考えてみると、それに対応する力をつくっておくには、一挙にしてできるものではありません。三年、五年、十年とかかる蓄積が必要であります。そういう意味においても、われわれは継続して努力していかなければならぬのであります。
○横路委員 数が足りないからともかく強化しなければならないんだというようなこと以上の戦略的な転換があるのじゃないか。なぜ四次防になってから海空重視に戦略が変わったんですか、重点が変わったんですか、そのきっかけというのは何ですか。
○中曽根国務大臣 やはり海空の面においていままで充実する点が弱かった。たとえば防空能力等においても、戦闘機その他を見ましても必ずしも十分の戦闘機数が保有されているわけでもない。海にしても対潜関係あるいは沿岸海域の警備等を考えてみると、これはやはり練習単位ができた程度であって、実戦ができるというところまで整っておりません。そういう意味で、やはり防衛力の整備を考えると、マンパワーをふやすのが一番安上がりのようですね。だから陸上自衛隊充実ということで、いままで努力が継続されてきましたけれども、しかし実際は科学的な効率的な防衛力を整備するということが大事なので、そういう方面に力が入ってきた、こう見ていいと思うのであります。
○横路委員 五月十三日の参議院の内閣委員会で矢山有作さんの質問に答えて、自主防衛の体制を考える場合に、アメリカの極東戦略と無関係でないというようにお答えになっております。そうするとアメリカの極東戦略の中で日本が受け持つ部分は一体何をさしているのですか。
○中曽根国務大臣 アメリカの極東戦略の一環として、日本の防衛力があるのではないです。この点は認識を新たにされんことを希望いたします。日本は日本の固有の防衛戦略体系を持っておる。その固有の防衛戦略体系とアメリカのものとを調整する、そういう立場に立つべきなのであります。
○横路委員 調整すべきでなくて、無関係ではないんだ、アメリカの極東戦略と無関係ではないのだ、こういうぐあいにおっしゃっておる。アメリカの極東戦略というものは何かということになると、これは対ソ、対中国、対共産国家、これがやはりアメリカの極東戦略の中心になっているわけです。それと無関係ではないというのは、やはりそういう一環として日本の防衛体制があるということでしょう。
○中曽根国務大臣 調整すべき相手ですから、だから無関係ではないはずです。調整すべき相手がどういうふうに変化してくるか。これは向こうの国策はあるでしょう。しかしわれわれにはわれわれの国益と国策があります。それで調整ということが出てくるわけです。
○横路委員 アメリカ議会の上院外交委員会の聴聞会の議事録の中で、ジョンソン国務次官は、在日米軍というのは日本の防衛のためよりも日本の周辺の防衛をおもな目的とするんだ、日本本土並びに沖繩の防衛は日本の軍事能力で十分であるということを証言されているわけです。これは結局安保の運用というのが、日本の安全から極東の安全に移行したものだろうと思うのです。佐藤総理大臣も、今度の国会の中で、朝鮮半島あるいは台湾海峡等に紛争が生じた場合には、在日米軍の行動としては、事前協議で、それはケース・バイ・ケースであるけれども、イエスと言うんだということを言っているわけですね。そうすると自衛隊としても、在日米軍がアジアの諸地域に出撃した場合に、その相手国からの反撃というものも考えた戦略の配置をしなければならぬということになりませんか。つまりさっき言ったような認識で、間接侵略を中心にして、それに付随した直接侵略なんだという形で防衛配置をすることと違って——それだったらやはりさっき言ったようにおのずから限定があると思うのですね。ところがそうではなくて、在日米軍の行動というのは、極東の平和と安全のためにあるんだ、むしろその周辺諸国家の防衛のためにアメリカ軍が日本にいるんだということになれば、出かけて行って爆弾を落として帰ってきた、それでもって相手国から攻撃を受けたというような場合に対処する、そういうような体制というのは、これは日本の自衛隊としてとらざるを得ない。私は、そこに日本の自衛隊のあり方として、戦略構想が変わってきた一番大きな要素があると思うのです。その点はどうですか。
○中曽根国務大臣 そこに事前協議という歯どめがあるわけです。安保条約は一面において日本の防衛を引き受けております。また一面においては極東の平和及び安全維持に寄与するということも引き受けております。両面があるわけです。したがって日本の防衛、日本の本土に対する攻撃その他が起こった場合には、日本もアメリカも一緒に守るという約束になっておるのであって、その機能もまた忘れてはいかぬと思う。
○横路委員 それは事前協議の問題ではなくて、ともかくイエスという場合もあるのですから、在日米軍がアジア諸国の戦争に直接参加することもあり得るわけですね、可能性の問題としては。むしろ佐藤さんの答弁を聞いていると、積極的に何かそれを認めるのが日本の安全につながるんだ、こういう答弁をされているわけです。 そこで私がお伺いをしているのは、そういう機能というのを在日米軍が持つことによって、日本が考えなければならない、日本が対処しなければならない事態の範囲というのが広くなっているのではありませんか。それが今度の海空重点の戦略構想の変化になってきているんじゃないかと私は思う。その点をお尋ねしているのです。
○中曽根国務大臣 日本の憲法及び安全保障条約の解釈に従って、正確にそれを執行する、これがわれわれの考え方で、いままでと変わったところはありません。
○横路委員 たとえば海上自衛隊の三次防、四次防、いろいろいわれているのを検討してみると、従来は対馬、宗谷それから津軽ですか、三つの海峡を中心にして日本海に目を向けた、そういう体制だったと思うのですよ。こういう海峡閉鎖の戦略から、だんだん今度は通商路を確保するんだというような意味で、そういう意味ではやはり海上自衛隊の方向というのが変わってきていませんか。海峡閉鎖をやると同時に、今度は通商路を確保するんだと拡大されているじゃありませんか。
○中曽根国務大臣 これは前からそういう方針は一貫しておるので、日本近海におけるエスコートあるいは日本の港湾の出入り口そのほかを警戒するということは非常に重要なことです。いざというときに、日本の重要港湾の周辺に日本の船が非常に蝟集してくる、あるいは日本に物資を運んでくる船も非常に蝟集してくるわけです。そういう日本近海周辺の対潜警戒あるいは護衛ということは、当然日本が引き受くべきことであって、そのことも海上自衛隊の重要な任務であります。
○横路委員 ニクソン・ドクトリン以後、日米共同声明でいう韓国、台湾と私たちは運命共同体化していると思うのですけれども、そういう中で公海上の侵略を排除するのだ、そういう意味に立っての海空の重視ということで、日本の軍事力の及ぶ範囲が空間的には広がりを見せている、この事実はお認めいただけると思うのですが、どうですか。
○中曽根国務大臣 別に変わったことはありません。日本の国益を守る国際法上許される範囲内、そして日本の憲法を守って行なうという限度、これを前から一貫してやっておるのであります。
○横路委員 たてまえとしてはそのとおりだろうと思うのですね。しかし現実のいろいろな部隊配置とか強化の方向を見ると、どうしてもそういう方向が出てくるのじゃないか。 それじゃ質問を変えますけれども、今度の四次防の場合の戦略としては、公海上での侵略排除、そのために一定程度制空権、制海権というのを持つのだというのがやはり今後の一つの中心になるのじゃないかというのが、いろいろな答弁を重ね合わせた結果として推定できるわけですけれども、それは間違いございませんか。
○中曽根国務大臣 日本を防衛するに必要な限度において航空優勢あるいは海上優勢という措置をとることは必要であるとわれわれは考えます。しかしそれが過剰になってはいけない。その点はわれわれとしては戒心する必要があるとも考えます。
○横路委員 過剰になってはいけないとおっしゃられますけれども、軍事の持つ一つの特性として、これはガン細胞みたいなもので、どんどんふえていくばかりだと私は思うのですけれども、そうすると、たとえば公海防衛といった場合の範囲ですね、周辺なのだというようなことをおっしゃいますけれども、その範囲というのはどういうぐあいにお考えになっていますか。
○中曽根国務大臣 それはそのときの事態によって、また脅威の性格等を見て考えるべきことで、一がいには申されません。
○横路委員 そうすると、情勢によってはフィリピンに行く、あるいはインド洋なり大西洋なりということを含めて、ともかく公海の上であれば船団を護衛するために日本の海上自衛隊がついていく、そういうような装備というようなことで理解してよろしいですか。
○中曽根国務大臣 そういうことは考えておりません。日本本土を守る意味において日本近海、そういう考え方に立っておるわけであります。
○横路委員 日本の近海といっても、公海防衛ということをいうと、どうしてもこれはほかの国との間の共同体制というのが必要になってくると思うのです、論理必然的に。商船確保のために、たとえば護衛艦なり護衛艦隊がついていく、それで引き返してくる、引き返してくるといっても、それから先どうするのかということに当然なるわけでしょう。そうするとほかの国、台湾とどうするか、フィリピンとどうするか、韓国とどうするか、こういうような問題というのは出てきませんか。
○中曽根国務大臣 これは試験勉強みたいなもので、本を全部読まなければ百点取れない、しかしこの程度で六十点取れるというときにはそれでいい、そういう場合があるというのと同じようで、やはり日本の必要性によってはこの程度でいいというのをきめるのが政治の判断であると私は思います。
○横路委員 現在の戦争で制空権、制海権ということを確保するということになれば、やはりまず第一に相手方より常に優勢、強力ということが前提になるわけですね。そうじゃありませんか。
○中曽根国務大臣 これは脅威の態様に応じて、日本の近海において日本を防衛する限度において優勢を確保することは必要であります。
○横路委員 結局日本列島の位置を考えてみると、先ほどから太平洋に目を開いたというようなことをおっしゃっておられるけれども、現実には日本海だと思うのですね。そうすると日本海の中でも、長官は制空権と制海権と軍事的な優勢力というものを一定程度維持しなければならぬというようにお考えになっているわけですか。
○中曽根国務大臣 日本本土防衛の必要限度においてやはり近海においては必要であると思います。
○横路委員 先ほど自主防衛ということで、これは先日の内閣委員会でも答弁があったんですけれども、十年か十五年くらいをめどにして整備をしたいという旨御答弁がありました。そうすると、今度の四次防あるいはそれの基本になる長期見積もりの中では、軍事的な能力の問題として、現在の国際情勢の中で海上自衛隊、航空自衛隊、陸上自衛隊についてその必要量というものを明示して、その中で四次防の五年間ではこういう形で整備をしますという形で今回は全体の構想というものをお示しになるわけですね。
○宍戸説明員 いまやっております作業での考え方でございますけれども、具体的に数字でお示ししますのは、おそらく四次防五年間でこれだけのものを整備しなければいけないというふうなことにたぶんなろうか。しかしその作業をするについて、五年先だけでは技術開発とかいろいろな変動等のことを考えますと不十分でございますので、もう少し長期のスタディをしたい。一年先はこれくらい、五年先はこれくらいというスタディをするのは当然でございますけれども、もっと長期に十年なり、場合によっては、技術開発等によってはもっと長く、開発能力その他諸般の情勢をスタディをして、その上で五年後はこうしたいというふうな御説明をしたいと、原案としてでき上がりましたらそういうふうなことを考えております。
○横路委員 そうするともう一度確認をしますが、四次防、五次防全体の中での四次防はこうなんです、こういう説明になる、そういう形で国民の前に今度の四次防の構想というのを示す、こういうように理解してよろしいですか。
○宍戸説明員 五次防、六次防の数字がこうであって、そして四次防の数字がこうであるというふうにそれぞれ明確な数字をもってお示しすることはむずかしいのじゃないかと思います。具体的な明確な数字をもってお示しできるのは、四次防においてこういう金額であり、こういうトン数なり防衛力であるというふうなことをお示しできると思います。ただ、その基礎に十年先あるいは十五年先においていろいろな情勢がこういうふうになるであろうということを研究しまして、その結果五年先はこういうふうにしたいという御説明ができるようにしたい、こういうことでございます。
○横路委員 長官にお尋ねしますけれども、この現代の日本を取り巻いている情勢の中で、先ほどから数が足りないのだ、ともかく不十分だ、こういうお話なんですね。ともかく足りないのだ、ともかく不十分だと言われてみても、私たちから見るともう十分じゃないか、こういうことになるわけなので、そうするといま一体どれだけの軍事能力を持ったら防衛庁としては十分か、いま現在どういうぐあいにお考えになっているのですか。これはそれぞれ陸上、海上、航空に分けて防衛庁の考え方というのをお聞かせ願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 これは客観情勢の変化をよく見ながらそれに即応して進むべきもので、きまった数量をいま提示するということは非常にむずかしいと思います。しかし次の五カ年計画でこの程度のものが要るということは、いずれこの秋に皆さんにお目にかけることができると思います。
○横路委員 どうも私、頭が単純なものですから、要するによくわからぬのですけれども、いまこれだけ必要なんだ——今後のことじゃないのです、いま現在で日本の安全を守るために一体どれだけの軍事能力が必要なんですか。陸上自衛隊についてはもう十分だ、こういうお答えです。そうするとあと海上自衛隊、航空自衛隊ですね。あと何トン必要なのか、あと何飛行隊必要なのか、こういうのは当然持っておられるわけでしょう。それがなかったら四次防とか五次防とか全体の構想の中で、この部分をこうしますということにはならぬわけです。それをお尋ねしているのです。
○中曽根国務大臣 防衛力というものは、ある意味においては蓄積と更新と付加と、その三つがあるわけです。それらは年次の進むに従って、たとえばF86がもう古くなってくれば104に変わり、104が年を過ぎればファントムに変わる、あるいはDDにしてもDEにしても、装備を周辺諸国あるいは世界的水準等を考えながら改革していく、あるいは装備をいままでのようにアメリカに依存するということから国産に転ずる、そのための努力を継続していく、それから生まれていくものなのであります。そういう意味において、いま固定的にこの限度ということを単純に示すことはむずかしい。しかし大体の腹づもりというようなものは、非常にあいまいな姿でありますけれども見当はつけつつ、そしてそれは大体十年ぐらいの前を見つつ、そしてとりあえず前期の五年というものをかなり明確にする、それが進行していく間にそれを修正していく、トライアル・アンド・エラーで、そういう形である意味においてはローリング・システムといいますか、そういう性格も加味しつつ修正して現実に合わしていく、そういう形で防衛計画は進んでいくべきだと思います。
○横路委員 そういうことじゃなくて、これから十年間、十五年間で、長官ともかくそれをめどにしてアメリカに依存しない体制をつくろうというように御答弁なさっているわけですね。それはその十年先なり十五年先になれば、そのときの様子というのは違ってくると思いますよ。違ってくると思うけれども、いまともかく日本だけでやれるような体制というのを長官が十年か十五年先にやろうという場合に、やはりいまの段階で先ほどもおっしゃった海は足りない、空は足りない、その足りないという場合にはやはりある程度の必要量というのがあって、それが現在は足りないから足りない、こういうようになっているわけですから、一応そのお考えになっている案というのはあると思うのですね。それをやはり国民に出す、それがやはり必要じゃないですか、国民総生産の何%でどうかということの前に。そしてそれを出された段階で私たちのほうからは、公害の問題も交通事故の対策の問題もあるから配分の問題としてはどうなんだということに議論というのは進むんです。そこをやはり明らかにされておかぬで、ともかくこれだけです、総額は五兆五千億、国民総生産の何%でありますと、これじゃやはりどうも説得力を持った議論にならぬと思うのですよ。いま、やはりそれをお持ちになっているでしょう、防衛庁で。それを明らかにしていただきたいと思う。大体のところでけっこうです。
○中曽根国務大臣 それは腹づもりはあります。これは四次防をつくっていく上について、やはりある程度の長期的見通しを持って、その一環としてつくっておるわけですから、ありますけれども、それを議会で出すという段階にはまだ至っていない。いずれ適当なときがくれば、あるいは四次防を出すときに大体の見当はこういうような見当を考えていると、そういうことを出していいというときがくれば出すことになるかもしれません。むしろそれが好ましいと私はかねてから考えております。しかし今日ただいまここで出すという段階には至っておりません。
○横路委員 これは六五年三月二十六日の参議院の予算委員会ですが、当時の海原防衛局長が、一案によればと断わった上で、陸上については十五個師団、それから海については二十二万トン、空については大体飛行隊四十隊程度というのがあればどうかというのを一案としては持っていますというようなことを御答弁されているんですね、いまから五年ほど前に。この数字というのは動いていますか。
○宍戸説明員 おそらくその数字は現在進行しております三次防を作業しております際に当時の防衛局長がいろいろな案の中の一つの例を示したものではないかと思います。現在はそのちょうど五年過ぎまして、先ほどからお話が出ています四次防を作業をしておる段階でございます。もう少ししますとちょうどその時期になりまして、四次防の大体の概算ができますと、将来こういうふうなことを考えながら四次防としてはこういう数字であるということを御説明する時期が間もなくくるのではないか、かように思います。
○横路委員 そうすると、四次防の中ではこれより上回ることは間違いないわけですね、陸上自衛隊は別にしてですね。 そうすると次に、もう時間もございませんので最後にちょっと御答弁をいただきたいと思うのですけれども、まあ防衛五原則ということで五つほどあげられているんですけれども、これらのことが具体的に防衛の中にどうやって生かされていくのか。非核三原則はわかるわけでありますが、憲法に基づく本土防衛ということになりますと、これは攻撃的兵器の問題等があるわけですけれども、そういった中で一つ二つお尋ねをしたいと思いますけれども、四次防の総額について、昭和四十七年から五十一年度の国民総生産は六百四十兆円、その〇・八%で五兆五千億ぐらいになるんだというのが会期末の参議院の内閣委員会での御答弁だったろうと思うのです。そこで、大体今後の計画の中で人件費と装備費の割合というのはどのくらいにするようにお考えになっているのか、もしお答えできましたらひとつお答えいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 参議院でそのようにお答えいたしましたが、人事院のベースアップの勧告がかなり高い水準できましたので、その人件費のかげんがどういうふうにはね返ってくるか、これは再検討すべき要素もあります。 それから人件費と物件費の割合につきましては防衛局長から答弁させます。
○宍戸説明員 ちょっと具体的な数字でお示しすることはいまの段階ではむずかしゅうございますけれども、ごく一般的に申し上げまして、人件費の割合は、従来自衛隊では、国際的な比較で申し上げますとわりあい高うございました。四次防においては三次防の場合よりは人件費の比率をなるべく落としたいという考え方は持っておりますが、具体的にどういうふうな数字になるかは、これからの作業によるかと思います。
○横路委員 そうするといまのお話は、人事院勧告によってこの総額というものも少し動いてくるんだ、ふくれ上がるんだというようなニュアンスに受け取れるのですが、いかがでございますか。
○宍戸説明員 数か月前に作業しておりましたものと比較いたしますと、ことしのベースアップは相当高うございましたので、それが四次防のいろんな作業にもはね返るという意味でございます。
○横路委員 そこで、この間の国会が終わったあと、公害の問題というのが非常に大問題になってきているわけです。これは政府としても、ともかく社会資本にどんどんこれからお金を投資しなければならない。公害ばかりじゃなくて交通事故にしても、大体警察庁の推計によると、一九七〇年代の終わりまでには国民四・五人に一人は交通事故の被害者になるだろうというような推計が出ているわけです。そうすると、やはりこの分野にもどんどん投資しなければならぬ。長官は従来から社会保障とか文教費などとの勘案の中で防衛費というものを考えなければならぬ、やはり国民の生活の安定というのが防衛にとって一番大事だと言われているが、これは当然そうだろうと思うのです。そういう観点に立つと、この五兆五千億あるいは六兆円近いお金というのは、やはりこの国会終了後の情勢一つ見ても、いまこの大気汚染をあれするためにも四兆円くらいのお金が必要だ、こういうことがいわれているわけですから、こういう公害の問題なんかとこの防衛とのかね合いで、やはりこの総額についても検討し直す必要があるのじゃないか、私はそういうように考えるのですけれども、どうですか。
○中曽根国務大臣 道路整備五カ年計画がたしか十兆三千五百億ぐらいです。それからいまの公害の問題も非常に重要ですが、下水道整備がたしか三兆五千億ぐらいだったと思います。そういう点を考えてみると、日本全体の国家存立の基礎をつちかう防衛費が五兆とか六兆という程度であるならば、これは国民の皆さんはまあまあと思われるんじゃないか。五兆ないし六兆という水準はまあまあという水準ではないだろうかと私は思うのです。
○横路委員 たとえば公害の今度の各省が出した概算要求の総額なんかと比べてみますと、これは問題にならぬわけですね。私はそのことを言っているわけですが、時間がございませんので最後に一つだけ、外交を主として防衛を従とするんだということを言われているのですけれども、具体的にこれからアメリカに行ってお話しになる場合に、この日本の周辺の情勢の中で日本の安全を守るという立場から外交問題について何をいましたらいいか。これは外務省のほうじゃなくて防衛庁長官としてその辺のところの基本的認識をどのようにお考えになっておりますか。
○中曽根国務大臣 これはやはり防衛庁長官ないし防衛庁としては日本の防衛の責任があり、安全保障について最も重責を持っておる分野でありますが、外交に依存するには、国際緊張を緩和して日本に対する脅威をなくしていく、それが非常に大事な要素ではないかと思います。
○横路委員 時間がございませんので、次に千歳の駐留軍労務者の解雇の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、長官、あした行かれるそうですけれども、その辺のところの意見を交換してきて、あまり変なおみやげを持って帰られないようにひとつ希望をしたいと思います。 それで、八月十七日に、在日米軍の統合司令部のほうから、千歳の米軍のクマ基地について機能停止を通告してきた。第一次整理七百五十二名の解雇がなされた。家族を含めるとこれは三千名から四千名の生活に影響を与える大問題なので、今後の対策について少しお尋ねしたいと思うのです。 まず現状ですけれども、第一次解雇として七百五十二名ですね。つい先日、空軍関係についても三十七名中二十七名の者についての解雇通告がなされておりますけれども、まだ若干の者が残っているわけですね。その辺のところの現状について、時間もございませんのでひとつ簡単に、今後どうなるかという見通しも含めてお話をいただきたいと思います。
○山上説明員 キャンプ千歳のありますところの米側の部隊が、特に米軍の保安部が来年の六月までに閉鎖する、それに伴いまして従業員の整理を逐次やってまいるということが、八月十五日に、米側から一般的な情報として私のほうへ通告がまいりております。その際は総数八百十四名という数字でまいっておりましたが、その後具体的な整理の計画といたしましては、ただいまお述べになりました数字と多少食い違いはありますが、ほぼそれに近いような数字で、現在米側の要求は七百七十四という数字、これはいわゆるMLCとIHAと両方合計した数字でございますが、そのほかになお三十五人が残るという数字に現在なっております。 この主体となりますものは、もう御承知かもしれませんが、整理いたします目標は保安部関係のものが主で、一部空軍の職員に整理がございます。米側としては、大体保安部が閉鎖になる、これは陸軍関係でございますが、空軍関係のその他の通信関係、それにやや近いような施設につきましてはまだ当分残置するということで、それらの将来についてはいま検討中であるということがその際いわれております。したがいまして、いま残った部分については、まだしばらく、しばらくといいますか、数十名の者は当分残るのではないか、これは空軍関係の者が主体でございますが、そういうふうにわれわれは理解いたしております。
○横路委員 その残るというのは、しかし六月三十日までにはやはり整理されるのでしょう。それ以後も残るということですか。
○山上説明員 それ以後も含めて残るというふうにわれわれは理解いたしております。
○横路委員 その関係ですが、できるだけ早く米軍側と折衝をされて明確にしていただきたいと思います。そうでないと、本人たちは、就職をさがすにしても、首切られるのやら残るのやら、非常に不安に感じている。特に米軍関係の放送関係等が残っているようでございます。 それで、一つお尋ねしたいのは、ことしの一月二十日の日に、おたくのほうの次官とフランクリン参謀長との間で、今後の人員整理については解雇発効日に先立って極力三カ月以上の期間を置くのだということになっていますけれども、現実には、空軍関係の六名について、十月三十一日付解雇で九月に入ってから通告がある者があるのですね。つまり、三カ月というのは守られていないのですよ。この辺はぜひ守るように、この解雇についてはあらためて考え直すように、これは米軍側と交渉していただきたいと思うのですが、その点ちょっと御答弁願いたい。
○山上説明員 おっしゃるとおり、ことしの一月にそういった話し合いを日米間でいたしました。ただ、この趣旨といたしますところは、極力そういうふうにするということでございまして、契約上は四十五日というような線が出ておりまするので、われわれといたしましても、この点につきましては、従来から三カ月に満たない者については、その他の場合であってもできるだけこれを三カ月以上にするようにということを米側にそのつど申し入れております。今回につきましても、そういう線については、おっしゃるように話し合いをいたしたいというふうに考えております。
○横路委員 その点については、わざわざ人員整理は解雇日に先立って三カ月以上なんだというような形で念書がかわされているというようなこともありますので、その辺特にお願いしたいと思うのです。 そこで、今度のこの解雇通告によると、年末年始にかけて相当の人員が、二百五十名が整理されることになっているわけです。三カ月以上ということなんですから、これはもうちょっと年内整理というものをはずして、少し先に延ばすというようなこと、そういう観点からの米軍側との交渉というのはなさっておられますか。これは年末年始にかけて職をさがすといっても、実際問題としてたいへんなんですね。暮れにかけての解雇がずっと集中しているわけです。
○山上説明員 十一月末を目途とするところの整理をする数が相当にございます。そのほかに、十二月末というのが、ごくわずかでございますが、若干名ございます。この数につきましては、十一月末以降については、いまおっしゃったような日米間での話し合いの三カ月以上ということは守られていると見なければなりませんので、それをさらに延ばすということは、米側の事情からしてむずかしいのではないか。ただ、まさしく年末年始にかかる、大みそかから正月にかけての分については、必ずしもこれは適当でないので、日を改めるような話し合いをさらにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○横路委員 雇用安定法は現在国会で継続審議中になっているわけですね。今回解雇された人というのは、みんな二十年以上米軍の基地で働いてきた人で、そんな意味では政府の方針に協力をしてきた人と私は思うのです。この人たちは、好きこのんで働いたわけではなくて、やむなくつとめて、一方的に整理される。政府もまた、米軍が整理するというと、自動的に解雇なんだ、こういうことになっているわけですね。この解雇を政府のほうで、整理して、解雇にするのだというのではなくて、一定期間政府が責任を持つ。雇用安定法でいろいろ書かれていますけれども、これはすぐ成立するかどうかは国会のほうの情勢によるので、その間一定程度政府のほうで責任を持つというような態勢をとることはできませんか。
○山上説明員 整理に際しまして従業員の方の身分の将来のために一定期間を設けたいという御希望があることは、私どももたびたび伺っておるわけでございますが、いままでの措置といたしましては、こういった措置について、米側に、なるべく解雇予告期間と申しますか調整期間を、先ほどもおっしゃったように、原則として三カ月以上というように長期間保つということを第一前提としていろいろ努力いたしてきたわけでございます。整理されます場合におきましては、どうしてもいろいろな調整も必要でございます。われわれとしては、できるだけ部内で調整がつく場合には部内の調整を、配置転換とかそういうようなことができます場合にはそういうような措置を、やむなく整理になりまする場合は、この人たちをどうやって次なる再就職に持っていけるかということについて、県なり地元の市町村なり関係者と、あるいは労働省等々と相当相談しまして、できるだけそういったことによって身分の安定をはかるようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。おっしゃるような、政府で責任を別途に持ったらどうだということにつきましては、非常に高齢者の場合につきましてはお気の毒な実情もございまするが、まだ現在のところはそこまで考えるというふうにもまいらぬので、今後の研究課題といたしたいというふうに考えております。
○横路委員 何か休職制度というようなことで三カ月間ぐらいのめんどうを見るんだというようなことが、施設庁のほうと全駐労との間の団体交渉の中で話が出ておるように聞いておるのですけれども、その辺はどうですか。
○山上説明員 ただいまその点につきまして私が触れましたように、ただいま直ちにそういうことを実施でき得るというほど固まった考え方はございません。ただ、この問題につきましては、高齢者の場合の就職が困難な問題が今後出てきますので、これらについてさらに検討課題といたしたいというふうに考えておるわけでございまして、将来の問題として、われわれといたしましては前向きで検討してまいりたいというふうに考えておるわけです。
○横路委員 それともう一つ、特別給付金について、現地の人たちというのは八万円それぞれ上積みをしてくれということを要求をされているのですけれども、あれはたしか二万円から二十七万円でしたか、いまの給付金は少ないと思いますので、特に今度の場合、そういう二十年以上の人たちというのが非常にたくさんおられるので、これもぜひお考えいただきたいと思いますけれども、この点はいかがですか。
○山上説明員 特別給付金につきましては、在日米軍が自分で支払う退職金のほかに、日本政府としても長年御苦労であったというような趣旨も含めまして、整理される場合に支給するわけでございますが、実はこの金額につきましても、昨年従来の給付金の額をほぼ三倍近く引き上げたような次第でございますので、直ちにこれをさらに引き上げてやるということはなかなかむずかしい問題ではございます。ただ、これも先ほどの問題と同じく、今後の研究課題として前向きに検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○横路委員 大蔵省等との話もあるでしょうからそう簡単にはいかぬでしょうけれども、八万円といわずにできるだけ高い額でお願いをしたいと思うのです。その際問題になるのは、たとえばいま来年度予算でやったとしても、三月三十一日で大体解雇されてしまうのですね、この千歳のクマ基地の人たちは。そうすると、四月一日以降になりますと適用にならぬわけですよ。いま休職制度の問題にしてもあるいは特別給付金を引き上げるという問題にしても前向きに検討されるということでございましたけれども、その辺のところをやはりひとつお考えいただいて、これを何とか四月一日以降適用になるような、あるいは遡及して適用になるような形というのもあわせてお考えをいただきたいと思うのですけれども、その点はどうでございますか。
○山上説明員 まだどうするかきまっていないうちから遡及というようなところにまでなかなか考えが及ばないわけでございますが、ただいま申し上げたとおり、すでに本年におきまして相当数の整理がなされております。そういったような場合につきましては、ただいま申し上げた、昨年増額いたしました特別給付金によって政府の支給金額をきめておるわけでございますから、三月までの者が不公平であると必ずしもいえないわけでございまして、これはこれから先の問題として、いまおっしゃったような点も頭に入れまして検討させていただきたいというふうに考えている次第でございます。
○横路委員 長い間あそこで苦労して働いてきたわけですから、ぜひそういう趣旨でお願いしたいということと、それから現地の方の要望としては、閉鎖作業については第三者に行なわせないで、やはりいま働いている人たちにおいてやりたいということが一つですね。それから年休等の権利として、有給休暇等をとる権利というのがあるわけです。そうすると、たとえば一月以降の部分について年休を行使するんだということを前提にした場合、現在の整理通告の内容で、はたして作業量に見合った人たちが確保されているのかどうかということも現地においては問題があんるじゃないかというように指摘されているわけで、その辺のところ、できるだけ一つ一つ現地の方の要望を取り入れた形で、これは防衛施設庁ばかりではなくて、各省とも、労働省そのほかと十分協力されて、働いてきた人たちが納得のいくような形で、もうみんな解雇されるそれ自体については了解しているわけですから、その面での検討、配慮をぜひやっていただきたい。その点、最後にちょっとお答えいただきまして、終わりたいと思うのです。
○山上説明員 整理の時期につきましては、先ほど私がお答えいたしましたような、特におかしなものにつきましては調整をするということもいたしたいと思います。ただ米側の財政事情があって、整理期限をいたずらに延ばすことがなかなかむずかしい。過去の交渉経過においてもさような実情でございます。したがいまして、直ちにこれを延ばすということが可能であるかどうかお答えいたしかねるわけでございますが、いろいろ現地から要望のありました点等につきましては、今後の離職対策等を含めて十分に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○伊能委員長代理 東中光雄君。
○東中委員 長官はあすから訪米されるわけですが、その話し合いについて、先ほど在日米軍の問題とりわけ基地の共同管理、共同使用について話をしてくるという一つの議題を言われておるわけですが、せんだって事務レベルでの話し合いが行なわれましたが、大体どういう方向で話をされるのか、その点を明らかにしていただきたい。
○中曽根国務大臣 ワシントンにおきます事務レベルの会合におきましては、この間の安保協議委員会でわれわれが申し入れ、先方が応諾しました線に沿って具体的に、ケース・バイ・ケースで在日米軍基地の処理に関する基準やそのほかの話し合いをしたわけでございます。それで、この間の日米安保協議委員会の線に沿ってこの問題は具体的に処理を進めよう、そういう点において一致いたしまして、ケース・バイ・ケースで検討している最中であります。
○東中委員 いわゆる基地の共同使用についてですが、費用分担の方法などについて意見が分かれているが、早急に調整したい意向だというふうなことも新聞報道などで言われておるわけですが、従来の地位協定第二条四項(a)あるいは(b)あるいは第三条に基づいてやっておったことと違う方向で一つの基地の共同使用というものを検討されておるかどうか。ことしの二月ごろから長官は、管理権を日本に移す、そういった面での基地の共同使用ということを打ち出されておるわけですが、今度の話し合いでそういう問題について話し合いをされるのかされないのか、その点をお聞きしたい
○中曽根国務大臣 現在の地位協定によって基地の問題を処理していく、そして先般来申し上げているような線に沿って前進させる、こういう話し合いをしたいと思います。
○東中委員 いわゆる逆の共同使用といわれているものですね、要するに長官が共同使用という形で出されたあの内容ですけれども、使用権を日本に移すあるいは返還して、そしてアメリカ軍が日本の基地管理のもとでやっていく、使用するという方式について、従来から日米間で話し合いが続けられてきたように思うのですが、その点どういう経過を経てきているのか。
○中曽根国務大臣 私が着任します前に、五十カ所余にわたる日米間の合意ができまして、合同委員会でそのことが確認され、そのもとにいま具体的にケース・バイ・ケースで基地について検討を進め、たしか二十七カ所か九カ所日本側に返還され、自後のものについても検討が加えられているというのが現状であります。
○東中委員 返還そのものではなくて、返還後の基地の共同使用についてのことをお聞きしているわけですが、この間発表されたサイミントン委員会の議事録を見ますと、ジョンソン国務次官は「われわれは日本の基地の共同使用の問題、つまり日本の自衛隊の基地であるものを、合衆国が使用する権利を持つという問題については、相当長期にわたって日本政府と討議してきました。」こういう証言をしております。「ごく最近、私は、十一月に首相が当地を訪問した時に、これを討議しました。それは法律問題です。」昨年十一月の佐藤訪米のときです。一部削除がありますけれども……。「われわれが日本と結んでいる地位協定は、こうした種類のとりきめを、特に検討したわけでも、規定しているわけでもありません。」こう言っているわけですが、この交渉は防衛庁がやられておるのか外務省がやられておるのか、どういう経過になっているのかお聞きしたい。
○江藤説明員 自衛隊の施設と米軍の施設の共同使用の場合におきましては、現在二つの方法がございまして、地位協定の二条の規定によりまして、(a)の場合は米軍施設を自衛隊が共同使用するという場合でございますが、先般来中曽根長官が、なるべく在日米軍の基地は自衛隊がこれを管理して、必要に応じ米側に使用せしめるという形態に持っていくことが望ましいというふうに言われておりますのは、地位協定二条四項の(b)の規定でございまして、原則として自衛隊の施設としてこれを維持管理して米軍の必要に応じて使用を認めるという形式でございまして、従来から日米間の共同使用の場合におきましては、この両方の規定をその基地基地ごとに、ケース・バイ・ケースによりましていろいろと討議いたしているということでございます。
○東中委員 日米共同声明が出される直前の佐藤訪米の際にも、この問題については話し合いをしているということをいっておりますし、またこういうふうにもいっています。「現在までのところ、まだ日本の法律的な見解は、基地の管理を日本が持ってアメリカ軍が使用するという方法は地位協定なりあるいはその他の法律関係上できないんだという見解をとっている。しかしわれわれは、これは合理的な結論だと思いますし、またそうし得るものと考えています。」というのは、その新しい形の共同管理が合理的なものであるし、そうし得るものと考えていますということ。「そこでわれわれは、この点に関して、事情が許すならば、われわれがそうした方向に進むのを許容するような了解に原則的に到達するよう日本政府に強く求め続けているのです。」こう言っています。強く求め続けるというのはプレスということばを使っていますけれども、だからアメリカ側から、基地の管理を日本がやって、アメリカ軍が自由に使えるように、こういうことをいってきている。これに対して日本は地位協定の解釈上ぐあいが悪いというふうに答えてこられたような、そういう経過がジョンソン国務次官の証言の中であるわけですが、こういう事情、経過はどうなっておるのか。それから地位協定についての解釈で外務省のほうはどうお考えになっておるのか。この点をお聞きしたい。
○山上説明員 いまの御質問と直接関連するともいえないかもしれませんが、一昨年の十二月、約五十余の施設の返還もしくは共同使用もしくは移転ということが協議せられた。そのときにおきまして、すでに四十一カ所の施設を発表したわけですが、その中には九カ所の共同使用ということも入っております。その会合の席上等におきましても、共同使用ということは米側においても望ましいことであるというふうな意見が出ております。したがいまして、そういった共同使用の問題については米側においても考えておることの一つではないかと私どもは考えておるわけでございます。この問題につきましては、いまおっしゃったような地位協定上米側が使用し得る範囲というのは、地位協定に書かれました二条四項(a)もしくは(b)、主として日本側が管理する場合は(b)ということになると思いますが、そういったようなものの解釈ということがございますので、そういった範囲について相当制限されておるということを話し合ったことはございます。
○東中委員 私がお聞きしているのは、中曽根長官は、基地の管理権を日本が持って、日本に移して、そしてアメリカ軍が使う、あるいはアメリカ軍と日本の自衛隊が共同して使うという方式について、板付基地の問題を中心にして、アメリカ側では非常に強くずっと長期にわたって日本に要求しているんだということを言っているわけです。日本はこれについて法律上あるいは協定の解釈上できない、こう言われておるようにジョンソン証言ではあるわけですけれども、国会の答弁でもいわゆる新しい型の共同使用について長官が言われておる。従来どおりの二条四項(b)あるいは(a)でやっていくんだったら新しいことは一つもないわけなんですが、新しく提起されている問題について話をされるのかどうか。されるとすれば、いままでの経過について日本の態度としてはどういう態度をとってこられたのか、この点をお聞きしているわけです。
○山上説明員 中曽根長官が共同使用という話をされまして以後も、日米間で、たとえば事務次官レベルでの折衝あるいはわれわれ施設委員会の代表との間で公式もしくは非公式にいろいろ話をしておりまする中で、共同使用のあり方についていろいろ討論したことはございます。その際にも、ただいま私が申し上げましたように共同使用については条約上の制限がある。したがってさような制限の中で実行可能な方法を考えていこうではないかというふうに話し合っておる次第でございます。
○東中委員 そうしますと、これは三月十八日の衆議院の予算委員会での中曽根長官の答弁ですが、「地位協定によって先方に施設または区域として提供しているものを、日本国政府のものに返還してもらって、そして今度は自衛隊の管理下に移す、そうしてそれを今度は地位協定に基づいて一時使用あるいはそのほかの態様に改めて貸し直す、そういう意味のことを法的にはいえると思います。」こういう形のことを言われておるわけですが、管理権をこっち側が持ってアメリカ軍が使うという方式の共同管理をアメリカ側が希望していることははっきりしているわけです。これはジョンソン証言でははっきりしている。それに対して日本政府はそういう方向をとろうとしているのか、していないのか。それからとるとすれば地位協定を変えるということを考えておられるのかどうか、この点お聞きしたいのです。
○山上説明員 いまの場合は、管理権を日本側が持つ形での提供ということを日本側は考えております。したがってそういう話し合いをいたしております。しかしながらその形態の中はどういうふうにしてやりますかというと、やはり地位協定がありますから、その地位協定の許す範囲内でやってまいる、こういうふうな話し合いをいたしておる次第でございます。
○東中委員 管理権を日本側が持って、そして地位協定の範囲内でやっていくといっても、それは二条四項(b)では、あれは明らかに一定期間の使用ですから、管理権の問題ではないわけですから、地位協定の範囲内で、しかも管理権を日本が持っているということはできないのだという見解を日本政府はアメリカ側に示してきたということを何回もジョンソン次官も言っているし、そのほかの人も言っています。その点については日本政府としてはどういう態度をとってこられたのか、そしてまたどういう態度をとられるのか、これをひとつはっきりしていただきたい。
○山上説明員 ただいま申し上げたとおりでございまして、なるべく管理権を持って、そして日本側が管理する、それを米軍に使わせるということが管理移管の一番望ましい姿でございますが、いろいろ米側の使用の形態等の態様がございます。いまおっしゃるように、ものによってはそういうことができない場合がございます。したがってそういうような場合には二条四項(b)でなく、たとえば(a)の使用というようなこともございましょうし、それは管理権を必ずしも移管しない形で日本側が共同使用するという形になろうかと思います。それら管理権を移管する場合しない場合を含めて共同使用ということを日本側は考えておるというのが実態であると私どもは考えております。
○東中委員 もう一回念を押しておきたいのですが、日本としては、いわゆる逆の共同使用ということばで言われておる、管理権を日本が持って向こうが使うという方式のものは地位協定上ぐあいが悪いんだ、あるいは日本の自衛隊法のたてまえからいってもいろいろ問題があるんだという見解をアメリカ側へいままですでに示してきておられるのかおられないのか。向こうがそう言っておるのですから。その点を事実としてひとつ確認しておきたいのです。
○山上説明員 管理権を日本側が持って、そして米側に提供でき得る場合もあり、それからそういうことができない場合もあるということを米側に言っております。ですから、できる場合とできない場合がある、こういうようなことで話をいたしておる、こういうことでございます。
○東中委員 そうすると、できない場合については、将来、地位協定も変えていくということを考えておられるかどうか。愛知外相は、地位協定の改定ということもあり得るということを言われておるわけですので、この共同使用についてその点はどういうふうに考えておられますか。
○山上説明員 現在のところは、地位協定の範囲内で実行可能な方法を段階的にやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○東中委員 時間がありませんので、この共同使用については、日本の自衛隊が管理をして、そしてアメリカ軍がそれを使うということになれば、日本の防衛でない、いわゆるアジアの安全保障あるいはアジアの平和と安全という名目でのアメリカの行動に対して積極的に協力することになる。そうなれば自衛隊法に定めた任務からいって、そういう積極的協力ということになれば、これは憲法上の問題はもちろんでありますが、自衛隊法上も問題が起こる。そういう問題でありますので、地位協定の改定だけじゃなくて自衛隊法上も問題が起こってくる。それがいま山上長官の言われていることでいくと、何かなしくずしで見解がはっきりしないままで進んでいかれるような感じがするわけですよ。ですから、いままでの二条四、項(a)、(b)あるいは三条での共同使用といわれている、そういう類型と形態が違った形の共同使用というものをいま新たに進めようとしておられるのかどうか。いままでと同じだったら何も交渉する必要もなければ長く懸案になっておるわけもないわけなんで、今度変わるというのはどういうふうに態様が変わるのか。そして地位協定を変えないで変わっていってもいいという部分があるといわれているのはどういう場合を言っておられるのか、この点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
○山上説明員 いままでと変わるといいますか、地位協定そのものは前提になっておりますから、いままででも自衛隊が管理して米側に提供する、たとえば東富士の演習場のごとき、そういったようなものがございますから、形態として特別に変わったということではございませんが、でき得る限りそういった自衛隊の管理に移し、そして米側がこれを使うという場合をふやすというふうにしようではないか。これは何と申しますか、共同使用を通じて日本側の管理というものをなるべくふやすようにしてまいろう。しかしそれは地位協定のもちろん範囲内であって、法律的な立場でいままでと特に変わることはございません。ただ、この解釈の問題につきましても、地位協定の許す中でできるだけ管理をふやしていくようにしてまいろうではないか、こういうふうなことで今後も進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○東中委員 そうすると、結局基地共同使用ということについては、いま地位協定を変えていくという考えは持っていないというふうにお聞きしていいのかどうかということと、それからもう一つ、板付の基地のように、これはサイミントン委員会で板付基地の問題がこの問題の討論の発端になっているわけですけれども、アメリカが緊急のときはいつでも使えるような、そういう基地、しかしいまはあまり使わない待機基地、こういうものの管理を日本側にしてもらって、その費用を負担してもらうというふうにならぬのかどうかというのがサイミントン委員会での討議の内容なんです。それならば、そのことは日本政府もお聞きになっているはずですから、そういう式の管理、東富士のような一定期間を区切っての一時使用というものとは質的に違うわけですが、そういう問題が提起されている。それに対してどうするのかということをもう一つ聞いておきたい。
○山上説明員 板付の問題については、現在私どもの事務レベルでは具体的に当方に管理をしてくれないかというふうな話を米側から積極的には聞いておりません。しかしながら、地位協定上は、米側の飛行場の使用が断続的になってくるというような場合においては、これはもちろん可能な方法であろうというふうに考えております。
○東中委員 この問題は時間がございませんので、要するに先ほど申し上げましたように、なしくずしの共同管理という形で米軍に積極的に自衛隊が協力し共同行動を日常的にとるようなことは許されないという点を特に指摘をしておきたいわけであります。 次に、航空自衛隊が四日の日に、四十五年度の総合演習、飛鳥作戦を十月十三日から十八日までの間で全国基地で実施するという発表をしております。海上自衛隊も九月七日から十一日まで四十五年度の演習を行なうというふうにいっておりますが、その演習場所、規模、目的、どういう想定でやられているか明らかにしていただきたいと思います。
○宍戸説明員 四十五年度の航空自衛隊の総合演習でございますが、演習期日は十月十三日から十八日までの間のうち三日間、演習区域は日本の全域でございます。演習統裁官は航空幕僚長で、副統裁官は幹部学校長でございます。演習部隊はほとんど航空自衛隊の全勢力と申し上げてよろしいかと思います。音楽隊とか資料隊とか特殊な部隊を除きまして、ほとんど全部が参加する。参加の航空機の予定は約四百機でございます。要撃部隊としまして約三百機、仮設敵目標としまして約百機程度を動かすという想定にいたしております。 それから海上自衛隊のほうでございますが、期間は九月七日から九月十一日にかけてでございます。演練項目は部隊の運用及び協同連係、海上交通の保護とか沿岸防備とかいうふうなことでございます。演習区域としましては、津軽海峡周辺及び北海道南部から紀伊半島に至る太平洋沿岸海域でございます。統裁官は自衛艦隊司令官、演習参加部隊は、艦艇にしまして護衛艦二十一隻を含め八十隻、航空機七十数機でございます。これが主力でございますが、陸上自衛隊、航空自衛隊からも若干の協力をいたします。 両演習につきまして、概要は以上でございます。
○東中委員 この演習にはアメリカ軍は参加するのですか、しないのですか。
○宍戸説明員 いま申し上げました海上自衛隊の演習には米軍は参加いたしません。米軍が参加いたしますのはまた別途に計画をいたしております。いま申し上げたのは米軍は入っておりません。航空自衛隊につきましては、目標機として若干機の協力を得るという予定にいたしております。
○東中委員 アメリカ軍との自衛隊の合同演習というのはどれくらいやられておるのか、ひとつ明らかにしていただきたい。
○宍戸説明員 米軍と自衛隊との合同演習は、現在主として海上自衛隊の演習として行なっております。大体毎年二回程度でございます。掃海訓練及び対潜訓練、それぞれ一回ずつくらい、合計しまして毎年二回程度ずっとこの数年間やっております。これが米軍との共同演習でございます。陸上自衛隊についてはもともとやっておりません。航空自衛隊はずっと以前はやっておりましたが、最近ではやっておりません。ただ先ほど申し上げましたように、航空自衛隊の演習をやる際に、目標機として若干機を飛ばしてもらうというふうな協力は得ることはありますけれども、いわゆる演習の組になって一緒にやるというような共同演習の形態はとっておりません。
○東中委員 航空自衛隊のアメリカとの共同演習といいますか、あるいは協力演習というのは年六回くらいやっておる。コードネームがオータムフラワーという形でやっているんだということがサイミントン委員会の出された資料の中に載っておりますが、大体そういうことですか。
○宍戸説明員 オータムフラワーといいますのは、四十三年の六月にアメリカの艦艇を目標艦としまして、航空自衛隊が対艦船の攻撃訓練をやりました際のニックネームでございます。年六回という数字は私つまびらかにいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように航空自衛隊全体の演習で、機会がありましたら数機協力を得るとか、あるいはそれ以外の場合でも、方面隊が三つありますが、これが訓練します際に協力を得られる場合もありましょうし、あるいはもっと下の段階で協力を得て目標機になってもらうというようなことはあり得ることだと思いますが、年六回かどうか、上から下まで全部勘定してそれは直ちにつまびらかにはいたしておりません。しかし理論的にはそういうことがあり得るということでございます。
○東中委員 長官にお聞きしたいのですが、海上自衛隊のアメリカ海軍との合同演習はどれくらいやられておって、それはどこが計画し、指揮をしてやっておるのか、そういう点明らかにしていただきたい。
○中曽根国務大臣 たしか二年に一ぺんくらい掃海訓練及び対潜訓練等で協力を得てやっておると思います。もちろん日本の海上自衛隊が中心になってやっておるので、そういう合同訓練の場合といえども指揮系統はおのおの独立になっているというのがたてまえであります。 具体的には防衛局長をして答弁させます。
○宍戸説明員 先ほども申し上げましたが、海上自衛隊では日米合同訓練、共同訓練を毎年いたしております。対潜訓練が一回、掃海訓練が一回、つまり年二回というのが平均的な回数でございます。指揮系統はいま長官からのお答えのとおりであります。
○東中委員 一九六七、八、九年と、それぞれ一回ないし四回やられているようですが、そのそれぞれについてどこでどういう規模の合同演習をやったか、その演習の目的は何か、これを明らかにしていただきたい。
○宍戸説明員 手元には四十二年と四十四年の資料しかございませんので、それでよろしければ申し上げますが、四十三年度では、対潜訓練は、海上自衛隊が、護衛艦八隻、航空機七十五機の規模、これに対しまして米軍側が、空母一隻、駆逐艦六隻、潜水艦二隻、給油艦一隻という規模でございます。いまのが四十三年度の対潜訓練でございます。それから同じ四十三年度に、同時に掃海訓練をいたしております。これは海上自衛隊側が、護衛艦、掃海母艦、敷設艇各一隻、掃海艇十四隻、航空機五機という規模、これに対して米軍側が、掃海艇四隻、航空機が三機という規模でございます。 それから四十四年度が、対潜訓練は、海上自衛隊側が、護衛艦六隻、潜水艦一隻、航空機八十四機の規模でございます。これに対して米軍側が、対潜空母一隻、駆逐艦五隻、潜水艦二隻の規模でございます。この四十四年度の掃海訓練は、海上自衛隊側が、護衛艦、掃海母艇、敷設艇各一隻、掃海艇十五隻、航空機三機の規模でございましたが、米軍側は、掃海母艇一隻、掃海艇五隻、航空機三機の規模でございます。 四十五年、今年度は、対潜訓練はまだ実施いたしておりません。具体的な計画もまだでございます。掃海訓練は、海上自衛隊側が、護衛艦、掃海母艇、敷設艇各一隻、掃海艇九隻、航空機四機の規模に対しまして、アメリカ側は、掃海艇三隻、航空機三機の規模で実施いたしております。 手元の資料として以上申し上げます。
○伊能委員長代理 東中君に申し上げますが、せっかく御希望の通産省、外務省の関係局長も見えておりますので、あとの質問者の関係もありますから、その辺時間を御配慮願って御質問をいただきたいと思います。
○東中委員 いま実はサイミントン委員会の議事録全体を見ますと、この日米合同演習について資料が出ております。いま言われたのとは若干違うようです。ことしの一月現在でのあの委員会での資料でありますが、六七年に日本東海岸沖及び日本海で、アメリカのホーネット対潜水艦支援空母を中心にして、護衛艦四隻、駆逐艦二隻、潜水艦二隻、そして日本は駆逐艦が五隻、こういう形でやっています。六八年は、艦隊作戦区域及びハワイ地区の射撃場、バーキングサンズ戦術水中射爆場、ここで共同演習をやっている。さらに広島湾でやっている。それから日本東海岸及び日本海上。それから昨年の六九年には、豊後水道、ハワイ北方の艦隊作戦区域、さらに日本の対馬海峡、それから日本の陸奥湾、四回やっているということを出しています。 これらの演習について、たとえば六七年の分を見ますと、このシナリオというものを発表しておりますが、それによりますと、合同機動部隊としてアメリカ海軍と日本の海上自衛隊が演習をやっている。しかもその演習は、日本海上自衛隊及び米軍部隊は、空からの攻撃及び潜水艦の攻撃から空母を護衛するため、護衛司令官の指定した部署についた、こういっています。護衛司令官といっているのは単数です。アメリカ軍と日本の合同部隊が単数の司令官の指揮下で合同演習をやっているということが、はっきりアメリカ側のこの文書の中に出ているわけです。先ほど言われておる指揮系統はそれぞれ別だとかおっしゃったけれども、こういう点については事実は一体どうなっているのですか。
○宍戸説明員 対潜訓練をします際には、先ほど申し上げましたような艦艇が日米一緒になりまして一定の海域を行動するということはあり得るわけでございます。その際の指揮系統は、先ほども申し上げましたように別々でございまして、英文がどういうふうになっているかは私つまびらかにいたしておりませんが、実態はわがほうの、たとえば第一護衛隊群が参加しておりますと、第一護衛隊群司令が指揮をする、向こうのほうは向こうの指揮官が指揮をする。両指揮官、その幕僚はもちろん必要な調整はしている、こういうのが実態でございます。
○東中委員 たとえば六八年に広島で行なわれた、これは掃海合同演習だと思うのですが、この場合は、対機雷戦の指揮をとる船はアメリカのエッピング・フォレスト、そのほかはアメリカの船も日本の船も掃海艇だけだ。明らかにアメリカが指揮をして合同演習をやっておるということになるんではないか。しかも合同した戦力を上げていく上で効果的であるということがその評価として出されているわけです。この日米合同でアメリカが指揮をとってやっているという形は非常にはっきりしていると思うのです。さらに六八年の日本の東海岸及び日本海の上でやった合同演習を見ましても、共同計画と共同戦術に従事するしっかりした能力を証明した、こういうふうにいっている。共同計画に基づいてやっているということをはっきりいっているわけです。一本の計画だということです。これはどこでそういう計画をつくるのか。別々にやっているというふうに言われていることとアメリカが公式に議会へ出している文書と明らかに違うわけです。その点は一体どうなっているのですか。
○宍戸説明員 共同演習をやります前には、向こうが第七艦隊麾下の部隊でありますと第七艦隊司令部、それを代表する在日海軍部隊の司令部が事実上それを代表して連絡窓口になってくれますけれども、それとわがほうの海上自衛隊、海上幕僚監部の幕僚が事前にいついつどういう項目の共同演習をやろうということを当然調整をいたします。そういうことで、いまおっしゃったように日米共同対処といいますか、そういうものの基礎をならしていこう、訓練していこうというのが本来の目的でございますから、いま申し上げましたような手順を当然とるわけでございます。演習の実態としましては、先ほど申し上げましたように、そういう調整をしながら必要な訓練項目なりいろいろな想定をつくりまして実際に船が動くわけでございます。その際の指揮は事前の調整でももちろんきめておりますが、それぞれの指揮官が指揮をするということに当然しております。ただその規模そのものは、日本海であろうと陸奥湾であろうといろいろ違いますが、指揮系統は理論的には同じことでございまして、米軍は米軍の指揮を受ける、わがほうはわがほうを指揮をする、ただ司令部同士は当然その調整をするが、規模は向こうが大きくてこちらが小さかったり、逆にこちらが主になって向こうが小さかったりする。そのときの演習の想定次第、また都合次第でいろいろな場合がございますけれども、一番肝心の指揮系統は別々である、必要な調整はするというのが演習の実態でございます。
○伊能委員長代理 東中君、予定の時間が参りまして、長官の時間は一時三十分までということになっております。あとの質問者もありますのでおまとめ願いたいと思います。
○東中委員 時間がなくなってやむを得ぬのですが、いずれにしてもサイミントン委員会が出した資料を見ますと、日米合同演習がいま言われているような形にはなっていない。実際上指揮艇が一つで、掃海艇が日米両方から入って動いている。これでどうして指揮系統が別々にやれるのか。また計画が一本で単数の指揮官の指揮に従ってやるんだということも出てきている。日米共同作戦というのですが、アメリカの指揮の中に日本の自衛隊が入って訓練をする、そういう作戦体系というものはこの資料によってきわめて明らかだと思うのです。これは在日米軍じゃなくてアメリカの海軍の中へ入って、その一翼として、あるいは一環の中へ組み入れられて動いておるという点は許されない異常な事態だというふうに思うわけですが、防衛庁が言われておることと実際にやっておることとはどうも違うように思う。そういう内容が発表されているわけですから、それについて演習及び共同作戦の際の指揮、この問題について長官の考えをはっきりさせていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 演習をやるという場合には、協同連係ということは当然あり得るわけであります。しかし日本の自衛隊に関する限りは、日本のおのおのの系統から指揮命令が出ておるのであって、共同行為を行なうという意味において両方で連係するということはありますけれども、先方の指揮を受けているということはありません。
○東中委員 アメリカの言っておることと違うということだけ確認をしておいて、私時間がございませんので、きょう来ていただいた通産省の方、非常に御迷惑かけましたが、これで終わりたいと思います。
○伊能委員長代理 受田新吉君。
○受田委員 中曽根長官、重要使命を帯びて明日は渡米されるわけですが、世間ではあなたをタカ派と称する人もある。しかしあなたは平和なハトの使節として祖国の興隆のために御苦労されるという意味で、健闘してのお帰りを祈ります。 ここで渡米にあたりまして、長官としての認識を一そう深めていただく問題点を一つだけ取り上げて私の質問を終わりたいと思いますので、明答をお願いしたい。 中曽根長官は、就任以来、在日米軍の基地の整理方式を、先ほど質疑応答に言われるようなわが国の管理のもとにこれを統括したいという意欲を持っておられる。しかし、地位協定の規定などもあって思うようにいかない節がありますけれども、われわれは、在日米軍を漸次整理して自主防衛の本筋にいくという基本線をあなたがおとりになっていることに共感を呼んでいる。しかし、一方で基地整理をし、日米合同委員会できまった五十の施設を漸次集約整理するという基本方針があるにかかわらず、岩国の海兵隊基地のごときはますます機能が強化されておる。大きな問題だと思うのです。つまり、発展統合して強大な基地をつくってこばこばを整理するという、これでは基地整理という基本方針にはならない。三沢とか岩国とかを強大な基地にする。こばこばを整理する。そういう意味ではなくして、基地整理というのは、ほんとうに基地が整理される方向であると私は願ってきたのでございまするが、長官これをいかがお考えになりますか。 一つ問題があるので提起します。過ぐる七月十五日に岩国に米海兵隊総司令官のチャップマン大将がやってきて、何と記者会見をされたかというと、全体的に米国は基地整理、基地縮小を計画しておるが、岩国は非常に重要な基地で、日米共同防衛上果たす役割りが大きいので、縮小ということは絶対にやらない。地理的に見て基地の拡大は無理だが、施設の拡張拡大、兵員増は今後もやり得る。またベトナム五万の帰休兵は岩国に移駐する可能性が強い。こういう発言をして、センセーションを巻き起こしているわけです。米軍の指揮官がかってにこういう発言をすることが適当かどうかに一つの問題があると思うのです。日本の防衛の担当最高責任者として、増田さんが三年前の七月、この委員会で私に、岩国などは基地としても十分整理について検討してよいんだと答弁されておる。ところが三年後には、拡大強化、将来日米安保条約第五条によって実施する場合には、戦闘行動の基地になる危険が事実となるのです。そうすると、非常に重要な敵の攻撃を受ける基地にもなる。そういう立場に立っている岩国が、機能を強化されていくことは適当と思うかどうか。このことを含めて長官の御答弁を願いたいのです。
○中曽根国務大臣 できるだけアメリカの基地は整理統合して、そして日本の自衛隊で代替していく、そういう方針で私たちはいきたいと思っております。 三沢や岩国については、現状においては非常に重要な基地の機能、役目を果たしていると思いますが、それが未来永久に続くものかどうか。ベトナム戦争との関係において、過渡期的にそういう役割りは果たすということは想像しますけれども、未来永劫続くかどうか。また日本全部の基地を点検いたしまして、どういう方向にそれを整理統合していくべきものであるかどうかという点は、われわれも慎重に考慮してまいりたいと思います。
○受田委員 長官このたび渡米されるにあたりまして、基地整理、現に百二十四に整理されている。これをさらに整理する具体案をお持ちであるのかどうか、そのことを御相談されるのかどうか、また沖繩の基地はまだ外務省当局との交渉段階でありまするが、長官御指摘のように本土並みということになるならば、漸次米軍基地を返還し、これは自衛隊の共同管理等にして、新しい自衛隊の基地は設定をしない、米軍の基地の返還の範囲内で本土並みで考えるという基本方針等もあわせておいでになるのか、このことを含めて御答弁を願いたい。
○中曽根国務大臣 受田委員の御趣旨に沿ってやるつもりであります。
○受田委員 非常に明確に答弁をいただきました。ちょうどニクソン・ドクトリンのあの言明の中で、またジョンソン米国会証言の中で、日本の置かれている地位は非常に重大になっている、アジアの各地から米軍が撤退する、アジア人の手でアジアの防衛をというときに、最も有力な防衛力を持つ日本の置かれている地位は非常に重大になってきていると思うのです。その中でハト派の代表としてあなたが四年目に防衛庁長官として訪米されるというのであるが、この沖繩返還の重大な時点において、あなたの使命は非常に重大である。日本に自主防衛の路線を敷き、米軍基地の整理撤廃、そういう基本線をくずさないように行くために、あなたは最後に、あのチャップマン司令官の発言、日本の基地で米軍の司令官が、基地縮小は絶対にしない、兵舎などは相当増強するというこの発言を適当と思うかどうかということ。同時に岩国にベトナム帰休兵が移駐するという場合に、施設の拡大強化ということは、防衛庁としてそれはお受けになるのかどうか、そういうものはお断わりするのか。日米合同委員会の前提ともなる問題でありまするし、基地公害が米軍の兵によって起こされる危険もあるというこの時点におきまして、岩国基地問題の解決の一つのかぎとして、この司令官発言をどう判断し、この発言のとおりに移駐がもしされる場合におけるわがほうの態度というものをどういう方向へ持っていこうとされるか、御答弁願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 アメリカの軍人の発言に対して私がコメントすることはこの際遠慮したほうがいいと思いますが、軍人さんというものは、自分の職務のことだけ考えて、わりあい視野の狭い発言をよくするものであります。やはり大使館とかあるいはアメリカの政治家の発言というものをわれわれは重視していくべきであると思います。無用な誤解を与えるとすれば、それは遺憾なことであると思っております。
○受田委員 もう一つ、最後の、基地が拡大される場合……。
○中曽根国務大臣 先ほどのおことばの中に、ハト派、タカ派ということばがありましたけれども、私は人間でありまして、やはりこれを動物になぞらえるということは、人間が値打ちが下がるというようなことで、あまり私は歓迎しないのであります。よく新聞や何かではハトとかタカとか書きますけれども、人間の一面だけを見てハトとかタカとかいう表現は適当でないと私は思います。やはりことばの片言隻句等をとらまえてみてハトとかタカということばが出るとすれば、それはあまり感心しませんし、その人間の考え方やバックグラウンドや全体を把握して、そうして人間として扱う発言をやはり表現的にも用いてもらったほうがいいのではないかと私個人は考えます。 それから岩国の施設の増強の問題につきましては、私まだそういう情報を受け取っておりません。私は、将来そういうことがあるかどうかわかりませんが、その際は向こうのそういう要求が出てきた場合に、よく周囲の情勢等も勘案して慎重に検討してみたいと思います。
○受田委員 時間がきましたから終わります。
○伊能委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十九分散会