内閣委員会 第14号
- 発言数
- 196 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/14
会議録
○天野委員長 これより会議を開きます。 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案の審査に関し、日本映画輸出振興協会理事、輸出適格映画審査委員有光次郎君が参考人として出席しておられます。参考人は御多用中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。 なお、参考人の御意見は質疑をもって聴取することといたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
○大出委員 先般行政管理庁の長官に行政の機構、制度のあり方という角度から、通産省の所管をされております日本映画輸出振興協会並びに輸出適格映画審査委員会に関する問題について御質問申し上げたわけでありますが、所管の行政管理庁長官のほうは、当時八条機関ではないという意味で多少の御意見がございまして、しかしいずれにしても初めて聞いたことであるから事後調査をする、実はこういうことになっていたわけであります。大臣の御出席がございません席でございますので、行政の機構、制度の問題で御質問申し上げた関係もございまして、実は本題である公害対策の面で、私も足かけ七年ばかりの間に公害問題で通産省に五、六回質問いたしておりますが、やっと機構の面で少し前へ出て取り組もう、こういう姿勢が見えてきておりますし、炭鉱その他の鉱山保安等の問題の心配もありますけれども、それなりに一歩ここで前進をすることになるのでないかというふうに思いますから、その面の質問も実は申し上げたいのでありますけれども、公害に手をつけますと非常に長くなりますし、おまけに私、横浜でございますから、川崎大師その他を中心にする意見の相違がございまして、したがって本日はその前に、これまた設置法との関連もございますので、先般の質問の締めくくりをひとつさせていただきたいというふうに思っておるのであります。 そこで有光さんに本日御出席を賜わりまして、公私御多端のおり、まことに恐縮でございます。ありがとうございます。実は、どうしたらいいかという点について、調べれば調べるほどどうも疑問ばかりわきまして、私自身が処理に困っているところなのでございますが、そこで、どういうことでこういう結果になっているのかということについて、ざっくばらんのところをお話を承れれば幸いだという気持ちなのでございます。 そこで、書面審査、こういうことになっているわけでございますけれども、三十幾つかの映画に融資をした結果になっておりますが、どんな手続をとって審査に入り、結論を出す、こういうふうなことを、多少技術的になりますけれども、まずお聞かせをいただければと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○有光参考人 日本映画輸出振興協会の会員でございます映画製作者が企画を練りまして、この融資を受けるにたえるだけの作品だと考えるものが企画できますと、その荒筋と、それから荒筋だけでつかめない場合は脚本も提出してもらうわけでございますが、その際、予算書、それから国内、国外の収入見込み、それから企画につきましてはその荒筋、それから製作意図、監督、俳優というようなものの資料をそろえまして申請が出てくるわけでございます。それをもとにしまして関係者に出てもらいまして、説明を聞きまして、そこでいろいろ質疑応答をいたしまして、申請者に退席してもらいまして、あと審査員で協議をいたします。一回で済まない場合は二回、三回と審理をすることもございます。
○大出委員 おそれ入りますが、私、きょう資料を一つ落としてまいりましたが、日本映画輸出振興協会というのが正式名称でございましょうが、この協会に加盟しておられる映画会社というのは同社ぐらいございますか。
○有光参考人 最近まで五社でございましたが、ただいまは六社でございます。
○大出委員 そうすると、ここにあります大映、松竹、日活のほかに東宝だとか東映だとかが入っていて旧五社、これに石原プロが入った、こういうわけですね。 そうしますと、関係五社が入ってこしらえた。日本映画輸出振興協会は、つまり当初はその五社だけということでつくったわけでございますね。そこでその五社に融資をする、こういうことですね。つまり融資対象になる映画会社が五つ集まって、自分たちだけで協会をつくった、こういうことになるわけでございますね。 そこで、そこがちょっと妙なぐあいでございますが、日本映画輸出振興協会なるものの中に、やはり有光先生が中心になっておられるのだと思いますけれども、何か審査委員会みたいな機関があるようでございますが、そこらとの関係をあわせて承っておきたいと思います。
○有光参考人 この協会ができます場合に、従来邦画製作会社としまして多年にわたっての実績を持っております会社が会員となりましたのでたまたま五社ということになっておりますが、その五社に限るということにはなっておりませんので、会員の資格をきめまして、その資格に合うものが協会に加盟したいという場合は選考の上で承認をするというたてまえになっております。たまたま発足の際は邦画五社が会員になったという次第でございます。 それから、協会としましては興長銀から直接融資を受けますので、その融資対象の作品が優秀な日本映画であり、かつ輸出に適格であるものでないと本来の趣旨に合いませんので、それに合う作品であるかどうかを協会として考えをまとめます上に審査委員会というものが協会のほうにもできております。
○大出委員 そこで通産省の所管のほうにも審査委員会がございます。これは四十一年六月二十一日の熊谷さんという通産省の企業局長さんの「四一企局」——これは企業局という意味でありましょう。「企局第一〇一四号」という通達が出ておりまして、「輸出適格映画審査員制度運営規則を次のように定める。」こういうことで「輸出適格映画審査員制度運営規則」、こういうことになっておりますが、ここを見ますと、審査員ということになっておりますけれども、設置法上からいきますと調査員制度、調査員は置けることになっておりますから、身分は実際上は調査員ということでございますが、名称は審査員——どういう名前をつけてもいいのかもしれませんけれども、そういう名前で、ここに私の持っております文書に——これは通産省の公の文書でございますが、御出席いただきました有光先生、元文部省の次官をやっておられて映倫管理委員をやっておられる。審査員長さんをおやりになっている。それに細川隆元さん、村上公孝さん、ジェトロの副理事長さん。福良俊之さん、NHKの方。島田喜仁さん、石油開発事業団の方でございます。池田義信さん、映倫の方でございます。松方三郎さん、共同テレビニュースの方。林文三郎さん、早稲田の先生でございます。こういう方々がお集まりで審査委員会ができておるわけでございますが、この方々と協会のほうのいまお話のございました審査委員の方とは同じ方々がやっておられるように承っておりますが、さようでございましょうか。
○有光参考人 たまたまそうなっております。
○大出委員 どうもこれは有光さんに承ってもいたしかたないのでございますが、旧五社、融資対象を受ける方々がおつくりになった日本映画輸出振興協会、ここに適格映画を輸出しようということでの審査委員会ができておる。そうして通産大臣の諮問になりますか、制度的には調査員でございますからちょっとおかしいのでありますが、そこにもまた全く同じ方々が輸出適格映画審査員という形でおいでになる、こういう制度のようでございます。 そこで、書面審査をされると聞いておりますが、書面審査でございますか。
○有光参考人 さようでございます。
○大出委員 先ほどお話をいただきましたような手続、資料提出のしかたで書面審査をおやりになる。そこで書類で審査をされるということになりましても、実は過去の繰り言にはなりますけれども、どのくらい諸外国に輸出して市場獲得ができるかというような問題、つまりどの程度収入があるかという問題ですね、ここが一つのポイント。もう一つは、どの程度優秀な、外国の方々が見ても日本映画を代表するものとして優秀であるという見方ができるかというふうな問題、ここに基準がございまして、一つは「国際的市場性を有し、かつ、すぐれた日本映画であること。」こうなっておりますから、売れる、そうしてりっぱな映画であるということ。それから「当該映画の製作に要する費用の額が適正なものであること。」こうなっておるのでありますが、この二つしか実は基準がない。ところが、適正なものであることというのが、書面審査ということになりますと、皆さんが書面審査をおやりになった面でわかることは、すぐれた映画であるかどうかということ。わからないのは、国際的市場性がどこまであるかということは、ほんとうの専門家でないとなかなかわからぬと思うのでありますが、なおわからないと思いますのは、その費用が適正なものであるかどうかということ、これはなかなかそう簡単にわかるものではないのではないかと実は思うのであります。 私も、実はここに通産省から御提出をいただいた資料があるのでございますけれども、私がこの書類をながめましても、実はこの費用が——私もいろいろなことをやってきたせいかもしれませんけれども、この書面を見まして、はたして適正な価格であるのかないのかという点につきましては、そう簡単にわからぬなというふうに実は思うわけでございます。そこらのところは何かもう少しこれが適格なんだというようなところまでタッチできる機構といいますか、方法といいますか、そういうふうなものをお考えになってしかるべきではないかと思っておるのでございますけれども、何かそこのところを御検討なさって、ただ出てきた書類をごらんになって、まあいいだろうというのではなしに、もう少し直接的にものを見るといいますか、そういう手段、方法はおとりになっておられませんでしょうか。
○有光参考人 これはわれわれ委員も、非常にその点では苦慮するところでございまして、たとえば特撮ものとかセットの数が幾つとかというようなことがございますと、普通のセットではこうかからないはずだが、なぜかかるかというようなことが問題になりますと、書面審理ではございますけれども、小さいモデルを持ってきまして、こういうふうなものを幾種類もつくるとか、こういうような情景を考えておりますとか、あるいは外地にロケに出かけますとか、いろいろなそのときどきの説明は聞くのでございます。しかし委員の中には実際に製作を担当した経験者もおりますので——映画のつくり方というものにつきましては、お話しのとおりほんとうにでき上がってしまってみて、初めて幾らかかったということが、極端なことを申しますと、言えることであって、ほんとうにいいものをつくろうとすれば際限がないようなものでもある。しかし一方に採算性も、予算もあることでございますから、あるところでとめなければいけないが、そこらはもっぱら製作者側がほんとうにいい映画をつくりましょうという意欲と、製作を実際に担当する者のそれに協力する結果がそういうことになるのだということでございまして、われわれとしましては、普通に見当のつきますところで、でこぼこのあるようなところについては、是正をするというようなことにはいたしておる次第でございます。
○大出委員 私、ここに映画製作費の概要ということで、「ジェット104脱出せよ」という大映の映画でございますが、これはちょっと問題になった映画でございますね、F104が出てまいりますから。直接費が一億五千七十三万かかっているというのでありますが、企画費五十万、原作、脚本費百十万、スタッフ費九百二十万、俳優、エキストラ費千三百二十万、製作準備費五十万、音楽費八十二万、ロケ費四千五百万、セット関係費一千六百五万、フィルム現像費二千三万、電力照明費六百五十万、撮影関係費三千七百八十三万、これだけで一億五千七十三万という直接費がかかっていますが、間接費が、準直接費と申しますものが百九十万六千、人件費が三千六十万九千、福利厚生費二百三十三万六千、固定資産費三百六万九千、光熱水道費十五万、一般経費二百六万三千、これが間接費で四千十三万三千、製作費合計が一億九千八十六万三千、こういう数字を実はここに持っているのでありますが、この中身をずっと見てみましても、ここのところはどうなっているのかという点を当たりますと、ちょっとどうも実は私どもがながめても見当のつかないことだらけですね。この映画は、輸出した結果としては、他のものに比べますと、海外の収入が比較的悪くないのです。国内費のほう等含めまして、あまり悪い結果ではない映画ではある。ところがそれでも赤字額が、この数字でいきますとこの映画は三千七百万になっている。これはうんと傷の軽い映画なんです。この三千七百万の赤字というのはこの中身を少し当たりますと、出てこない感じがするのです。私もずいぶんたくさんの人を使っていろいろなことをやりましたが、これだけの中身でございますと、これは分野が違うからですが、私のやっているような仕事でいうと、私の頭でやると、そうでない結果が出てきてしまう。だからひょっと勘ぐりますと、この映画は実際は赤字になっていないのかもしれない。ある人にちょっと聞いてみたんですが、あれはもうかっているんだよと言うのですね。何でだと言ったら、製作費が水増しされていると言うのですが、そうすると、これはここに出した一億九千八十六万三千円が水増しをされていることになるのですね、その人の言い分によれば。だから私はその人がどこまでほんとうのことを言うかわかりませんから首をかしげておったわけでございますが、よしんばかりに水増しをされている、その方の言うように三千七百万の赤字が赤字になっていない、もうかっているとしますと、これは書面審査をおやりになって八割お貸しになっている。つまりそれだけかからないものをだましとったことになる。これは詐欺です。詐欺罪を構成する。だからここらのところは書面審査だけだということになると、よいものをつくれば際限がないというふうにいま有光先生おっしゃったわけでございますが、逆に悪いものをつくれば際限がないわけでございまして、目明き千人めくら千人ということでございますから、どのくらいの金をかけてこの映画がつくられているかということがわかる人もおるし、わからない人もおるのです。そうしますと、これは書面審査である限りは、事後監査をやっていないということになると——これはこの審査委員会で適格審査をすることになっておりまして、適格なコストの製作費でなければならぬということですが、適格審査はどうもここにお名前を連ねておられる皆さま方だけでやろうとしても、ほぼ不可能に近い無理な注文である、こう私は思います。なかなかこれはこう出されてみても、ほんとうにこれだけの製作費であったかどうかということは結果的にわからぬのではないかと私は思うのでございますが、そこらはおやりになってこられた御経験上いかがなものでございましょうか。
○有光参考人 この制度ができるようになります前に、実は日本映画が非常な危機に見舞われまして、三十九年でございますか、外国映画も自由に輸入できるというような状態になりまして、それに対応するために日本映画を強制上映する制度をつくって防衛すべきではないか、ヨーロッパの諸国は国が直接財政的援助をするほかにそういう制度も設けておるからというようなことがございまして、通産省では当時産業構造審議会でございますか、その映画部会でそういうことも検討されたのでございますが、結局上映制度を法律でつくるということは実現しませんでしたが、それにかわるものとしまして、業界が申し合わせによりまして、ロードショー劇場、一流劇場で邦画を年間四十日でございましたか、上映するということの申し合わせができまして、それによって邦画のいいものができることを期待したことでございますが、四十年四月からでございますか、それが実施されたと思います。それらとまた関連をしまして、日本映画産業の体質を改善し、輸出の力もつけていくことが必要ではないかというようなことがいろいろ論議されておりましたが、そういうような背景のもとに、この制度が四十一年度から実施を見たというように、私記憶をいたしておるわけでございますが、そういうような背景もございますので、映画製作者のほうとしましては、普通の産業と違って、日本の文化を代表するといいますか、日本的な表現をして営業をするのだということに、一つの使命感と申しますか、誇りを持って、何とかして日本の映画産業の立ち直りにつとめたいという熱意にみんなが燃えておりまして、それを国のほうでもその線に沿って助成する一つの方法としてこれができたというように私たち思っておるものでございますから、業者から出てきますものにつきましても、できるだけいい企画のもので、ちゃちなものでなく、相当に経費もかけて、そのかわりいいものをつくってもらいたいという気持ちで、こういう審査にも当たっておるわけでございまして、たまたまその所期の目的のような実績が外貨獲得の面でも十分あらわれていないとか、あるいは優秀な映画ということを考えてつくりましても、それが必ずしも、新しい企画で新しい技術を駆使した、今日の日本映画として内外に誇り得べきものばかり出てくるかといいますと、そうでないものもどうも中には出てくるというようなことがございまして、そういうときには、再三製作者側と話し合いもいたしまして、とうとう製作を断念するというようなものも、少数ではございますが、あった。それから、融資対象にしますにしても、いろいろな段階を経まして、手を入れて改作をしたというものに対して融資するということも実はあったような次第でございます。委員の中には実際に製作に当たった経験者もおりましたものですから、ただいま御指摘のような点につきましては、製作者側の誠実な申請、そうしてその申請に基づいて誠実に製作されるであろうという一応前提で従来は審査をしてきておりましたのですが、少し目立ちますような、でこぼこのあるようなことに気づきます際には、特にその点について注意を喚起したり資料の再提出を求めたりしてやってまいったような次第でございます。
○大出委員 どうもたいへん有光さんに時間をかけて申しわけないのでございますが、そこで、融資内規みたいなものが振興協会にはあるようでございますが、概略どんなふうになっておりますでしょうか。振興協会がやっておられます、融資するにあたっての融資の内規です。
○有光参考人 内規と申しますか、一応私どもが承知しておりますことは、融資額は申請額の八割、それから、二カ月の猶予期間をおきまして、三カ月日から償還してもらう、それで大体三カ年、初年度は六割、二年度が三割、三年度に一割の償還をしてもらうというようなめどで融資をするという程度のことを承知いたしております。
○大出委員 製作を取りやめた場合にはどうするといったものもございますわね。おそれ入りますが、ちょっと……。
○有光参考人 融資を受けますれば、その審査をしますときに、いつから製作をするか、いつごろ上映するかということは聞くわけでございまして、ところが、そのわれわれに申しましたことどおりに行なわれない場合には、事務局を通じて事務局から製作者側に問い合わせをいたすわけでございます。中には、たとえば濁流をとりたい、揚子江の濁流をとりたいのですが、それを台湾でとるよりしかたがない。台湾に行きましたところが、台湾の川は水が澄んでおってどうしても濁流の条件がつかめない。そこでまたほかのところを検討します。そのためにおくれているというような、これは一例でございますが、おくれた場合にはそういうような事情の説明を聞くこともございました。しかし、ある期間たちましてもまだ着手しないということでございますと、その年度の融資額を使わない、会社が独占するということになりましては、これはまことに、その点からだけ申しましても、好ましくないことでございますから、そういうのは、ある見通しをつけまして、そこで返還をしてもらうように処置したというような例も、ごく少数でございますが、ございます。
○大出委員 これは、私の調べた限り、おたくの内規によりますと、製作中止の場合には繰り上げ償還ではなくて直ちに返済をさせることになっている。これはいまお認めのようでございますから、それ以上承りません。 ただいまのお話の、「黄土の奔流」というような企画をしたり、「奔流を行く男」というふうに名称をつけようとしたり、いろいろありまして、書類によりますと、片方は「黄土の奔流」、片方は「奔流を行く男」なんと書いてありますが、これがいまお話しになった企画なんでございますが、これは一億二千五百七十九万七千円製作費がかかるということで申請が行なわれまして、これは東京の日活国際会館の土地建物を担保物件にするということで、四十二年の五月でございますか……。ところが、これは、一年過ぎちゃった。いまのようなお話で、かれこれ一年近く、そのままになっていたのですね。ですから、これは、何のことはない、結果論ですけれども、一億からの金が、一年ばかり、つくらないのに、貸してしまって、黙ってその会社があたためていた——あたためていたことは私はないと思うのです。そんな金を借りて一年間、映画をつくらぬのにその金を遊ばしておくわけにいかぬのですから、たしか興長銀債は七分五厘くらいの利子がつくわけでございますから、少なくともそのくらいの利子の収益がなければ、一億二千万もの金を借りた会社が、ほうっておけないですよ、火の車の日活ですからね。そうすると、これは、一年間つくらなかった「奔流を行く男」、結局できなかったわけですから、結果論にはなりますけれども、この金をほかに使っていた。これだけは間違いない。何に使っていたかまでは、申し上げてもいいのですが、少し言い過ぎになりますからやめますけれども。 そうなりますと、これは、融資の目的というのがございまして、大蔵省の方お見えになっていると思うのでありますが、資金運用部資金法がございますね。そうすると、目的外融資、目的外使用ということになりますと、これは何かついていたはずだと思うのですが、ございませんですか、大蔵省の方にちょっと念のために承りますが。
○田中説明員 資金運用部資金法によりますと、資金運用部資金の運用といたしまして、銀行、金庫等の発します債券の引き受けができるということになっております。一方、資金運用部資金法の第一条は、その運用は確実、安全、公共の福祉に寄与する目的に使われなくてはならないというふうに書いてございます。 この両規定の関係でございますが、資金運用部資金法第七条の、金融債に運用できるということは、資金運用部資金の一つの有利運用と申しますか、資金運用部資金が非常に低利の貸し付けをいたしておりますが、それでは資金運用部資金といたしましての収支が相償わないという問題がございますので、金融債、国債、政保債等の債券の引き受けができるという規定になっております。私どもが興長銀債を引き受けておりますのは、先ほど申し上げましたが、七条の九号に基づく金融債の引き受けという形でやっております。そういう意味では、目的外使用ということには直接にはつながらないと思います。
○大出委員 私も実はこれを読んでおりましてわかるのですけれども、いま御説明いただいた資金運用部資金法の七条の九号、ここで農林中央金庫その他の金融債の引き受けがきまっておりますが、この九号に該当する。だから興長銀債、つまり金融債の引き受けの形で資金計画をお立てになる、こういうことでございますが、ここで一つ問題がありますのは、五社が集まって日本映画輸出振興協会をおつくりになっていますが、映画会社に直接資金運用部から金を貸すという条項はどこにもございません。これはできませんね。念のためにちょっと……。
○田中説明員 できないことになっております。
○大出委員 できないからこの協会をつくったわけですね。できないから映画輸出振興協会をつくって、興長銀から映画輸出振興協会は融資を受けるということになったわけですね。興長銀からお借りになっておるわけですね。そうでしょう。そこはいいですね。そうしますと、興長銀が貸すについて、何かそこに担保するあるいは保証するものがなければ興長銀は貸さないわけです。左前の会社でいつつぶれるかわからぬところに、先ほどの資金の安全確実云々ということになると、これは金を貸せない。そこでここを見ますと、これは通産省の文書でございますが、「輸出映画産業振興金融措置の概要について」こういう見出しで書いておりまして、「この金融措置は昭和四十一年度から行なわれているが、その大綱は次のとおりである。」「資金運用部は」——これは大蔵省資金運用部をさしている。「資金運用部は、輸出適格映画の製作資金として興長銀債を引受ける。」まずこうなっておる。これは大蔵省の方に承りたいのですが、四十一年五月に大蔵、通産の省議決定をされまして、そしてこの制度をやろうじゃないかということになった。これは四十一年五月の大蔵、通産の省議決定です。大臣、これはおそらく引き継がれていると思うのです。そこでまず「輸出映画産業振興金融措置の概要について」というこの文書によりますと、第一に「資金運用部は、輸出適格映画の製作資金として興長銀債を引受ける。」こういうことをおきめになったのですね。つまり直接は貸せない。だから映画輸出振興協会をつくって、この映画輸出振興協会が興長銀から金を借りる。そして大蔵省資金運用部は興長銀債を引き受けるという引き受けの措置をあらかじめここでおきめになっておる。そしておつくりになった。だから端的に言ってしまえば、大蔵省の資金運用部が興長銀債を引き受けるということを大蔵、通産両省の省議で相談をされておきめになった。まず(1)に書いておるこれが前提になっておる。そうならば興長銀は金を貸しますよ、心配ないですから。そして興長銀が映画輸出振興協会に融資をする。そして興長銀債を大蔵省資金運用部が引き受ける。通産、大蔵両省の省議決定ですから、これは間違いない。そういうことですね。そうなると、直接融資の対象にならない映画会社に、なぜ一体大蔵、通産両省は省議決定で興長銀債の引き受け措置をきめておいて興長銀から金が出ていくようにしたかというところにまず問題がある。ただここで私はあなたに政治的答弁を求めようとはしていない。いま私が申し上げたことが事実かどうか。つまり通産、大蔵両省の省議決定に基づいて興長銀債の引き受け、金融債の引き受けをするということが前提になっておる、こういうつくり方だという点について御確認をいただければいいのです。
○田中説明員 お答え申し上げます。 金融措置と申しますのは、いま大出委員のおっしゃいました輸出映画のみならず、機械類の国内延べ払い金融でございますとか、繊維の構造改善金融措置でございますとか、あるいは特定機械その他公害防止機器リースというもの等多々ございますが、これのきめます手順は、まず予算の財投編成計画の予算折衝段階におきまして、各省から御要求がありましたものを大蔵省で審査いたしまして、一応その予算決定と同時の段階におきましてそういう措置をするということを両省合意をいたします。しかしながら資金運用部資金法にもありますように、資金運用部資金の運用につきましては、資金運用審議会の議を経て行なわなければならないということになっておりますので、そういう金融措置をきめましたら、条件、金額等につきまして資金運用審議会にはかりまして、その議決を得ました上で本措置を適用するという手順にいたしております。ただいま先生がおっしゃいましたことはそのとおりでございます。
○大出委員 運用審議会の議を経るのはもちろんであります。資金の運用計画でございますから当然でございますけれども、この文書の(3)のところによりますと、「通産大臣は輸出適格性を有するものと審査された映画を日本興業銀行または日本長期信用銀行に推せんする。」こういうふうになっているんですね。したがって通産大臣が審査委員会の議を経て推薦をしたもの、ここに興長銀は金を貸す、こういうことになっているのですね。したがって例を聞いてみますと、委員会でおきめになって通産大臣が推薦したものは一つも漏れず全部金を貸しているわけであります。それは一国の大臣が推薦したものをけ飛ばしたということになると、重大事件だと思いますからそういうことだと思いますが、そういう実情にあったということのようでございますね。 そこで、話が横道にそれましたが、先ほど申しましたように「奔流を行く男」「黄土を駆ける男」、いろいろ題名が変わっておりますけれども、一年にもなる間一億からの金を貸しっぱなしにした。これは結果的にロケができなくてやらなかったのですから、だからほとんどの分は浮いているはずでございますけれども、先ほどのお話に、どうも資金運用部資金というものは資金確保、つまり安全確実だということと公共性という意味で役に立つことが条件になっているようであります。そうするとそういう資金をどうもほかのほうの、一会社の営利のためにあるいは利益のためにお使いになっているということになりますと、確実安全、公共の福祉に寄与できるという一つの目的があるのでありますが、どうも回り回ってこういうことになって一億からの金がとんでもないところに使われているのは、決して公共どころの騒ぎじゃない。これを、大蔵省資金運用部が、金を貸すについて担保をしているということになりますと、このあたりはどうも私はまことにふに落ちないですね。あえて法律違反だ云々だということを取り上げるまでもなく、これは国民一般納得しがたいところだと思うのです。というのは、資金運用部資金というのは本来一体いかなる性格の金かということをお考えいただけばわかる。私も郵政省の出身でありますから。そうすると、そういうところから金融債引き受けという形で、手続的に通産大臣が推薦するという形で金が出ていった。行った金がどうも目的外のとんでもないところに使われていたとなると、ここらあたりどうも——通産大臣は推薦をされる立場なんですが、これはいかがなものでございますか。どうも私も何とも申し上げようがない心境なんですけれども……。
○宮澤国務大臣 この制度につきまして私の感じておりますことは、後ほど御質問が進むにしたがって申し上げたいと思いますが、いままでの御質問で申し上げられることは、こういう制度が映画の輸出振興に寄与するであろうという政策判断のもとに行なわれたわけでございます。そこで、推薦の責任者は通産大臣ということになっておりますから、もしこれが映画の輸出振興にあまり寄与していないとすれば、その行政責任は通産大臣がとらなければならないと思います。したがって資金運用部が興長銀の債券を引き受けること、それから興長銀が通産大臣の推薦にしたがって融資をすること、当然担保はとっておると思いますけれども、その仕組みそのものには私は落ち度はない、責任はない。責任は輸出適格だと考えて推薦をした通産大臣が持たなければならない、そういう仕組みになっておると思います。
○大出委員 この制度そのものに落ち度のないことは私も——落ち度があればこれは大体金を貸せないんですから、当然こういう制度はつくれない。対象がないのに貸したなんということになるとたいへんですから、落ち度はない。ただしかし、いま申し上げたような金がどこかほかに使われているとなると、これは問題なしとしないと私は思っているのです。なぜ一年間ほっぽっておいたかという責任もあると思うのです。 それからもう一つは、一つの企画を立てて、先ほど私は「ジェット104脱出せよ」云々という例を出しましたが、つまりその製作単価そのものに水増しがあったり、うそ偽りがあったりすれば、有光先生は先ほどのお話で、良心的な正しい立場で会社側はやってくれなければいけないんだということをおっしゃっていましたが、これは正しくなかったとなりますと、どうもこれはまた、たとえば一億の原価のものを一億六千万貸してくれといったということになりますと、これもやはり私はいささかこの点は法に触れる分野がありはしないかという気がするのです。制度そのものは、いま大臣のおっしゃったように、そういう制度でおやりになったんですから、落ち度はない。ただそれがいいかどうかという政治的判断は別ですよ。映画に貸すのですから別ですけれども、制度そのものということになればそうかもしれない。ただ問題は、いま私が言ったような問題が残る。こういうふうに思うわけです。 そこで、さて輸出適格映画というのですが、ここでたいへん恐縮なんでございますけれども、有光さんは文部省に長くおいでになった御経歴があるわけでございますから、そういう面で申しますと、本来適格であるかどうかはそちらのほうの分野のような気がするのですよ。文部省から、推薦される映画はいろいろ世の中にあるわけでありますから、通産省が適格なりやいなやをはたして審査すべきものかどうか。二つの面があると思うのです。市場性があるかないかという点については通産省がきめる。しかしほんとうに日本の映画を代表する映画であるかどうかという審査は、これは分野が違う、文部省ではないかという気が私はするのです。 そこでこれは週刊朝日でございますが、また読売新聞だとか一ぱいいろんなのが書いております。書いておりますが、これは私この間申し上げたあとの週刊誌のようでございますけれども、これを見ると、どうも『日本の通産省の役人は、映画オンチなのではなかろうか。いい映画も悪い映画も輸出できる映画か、そうでないかも、まるで判断する力がないのではなかろうか。それは、通産省の外郭団体である社団法人日本映画輸出振興協会が、この四年間に融資した作品のリストを見れば、だれにもよくわかる。』実はこういうことが書いてあるわけです。これをずっと読んでいきますと、何のことはない、劣悪映画のくずかごみたいだと書いてある、このリストから見ると。そうすると、どうもわれわれ、有光先生にはたいへん恐縮だと申し上げたのですが、審査をされるお立場から、週刊朝日あたりは世の中の方はみんな読むわけですから、どうも通産省の音痴なのは、これは分野が違うので、私がとやかく申し上げる筋はないと思っておりますが、しかし審査に当たられる皆さんや、特に文部省筋からすれば、はたしてこれが外国に輸出して、先ほどお話にございました日本映画を代表するものという、そういう作風であるという見方ができる映画かどうか。中にいいものも多少あるとおっしゃいましたが、それはそうでしょう。全部が全部悪いわけじゃないと思いますが、しかしリストをここへ全部並べてこういうところを見ると、どうもいささか看板に偽りありという気がするのでございます。ここらのところは日本映画のピンチを救う意味でやむを得ぬという前提を置かれておるならおるで、明確にしていただければいいのでありますけれども、御経験上どういうふうにお感じでございましょうか。
○有光参考人 確かに日本映画としてすぐれたものは、外国人にもいつかはよく理解され、その共感を得るものであろうということを私は信じたいのでございますが、やはり習慣、風土の違い等がございまして、日本人が非常にいい映画だと思うものが必ずしも外国ではあまり見てもらえない。ごく少数の人たちの関心を呼ぶことはこれはもちろんありますが、輸出振興に役立つような映画というものは、ある程度実績を一方で持っておりまして、こういうものがいつの時点においても成功しておるというようなことを参考にしながら、やはりこれは製作者もそういうことを一生懸命に考えていると思います。委員の中にはジェトロ関係の方もおられますし、お話のように日本映画としての優秀性のわかる委員と思われる方も入っておられると私は思うのでございますが、この制度ができました当時は非常に意欲的な作品が実は最初に出たのでございまして、ロシアとの共同作品というのでございますが、これはロシアの政府との契約のために外貨の獲得の面ではあまり効果はなかったのでございますが、優秀映画ということで非常に多くの観客を外国で動員できたということは聞いております。そういうことがございましたが、何と申しましても従来の実績から申しまして外貨を獲得することのできる映画と申しますと、怪獣ものと申しますか、特撮ものだとかアクションものがどうしても出てくるわけでございます。しかし、同じ特撮ものでも日本でつくったものは何か特色が出ないか、アクションものでも日本でつくるアクションものには何か特色は出ないかということをわれわれ考えまして、しょっちゅう製作者側とその点では意見の交換をいたしたような次第でございますが、ここの協会に出ないでつくっております映画の数がはるかに多いわけでございますが、そういうものがだいぶ輸出はされております。しかし、そういうものと比較してみますと、やはりこの協会の審査を経ましたもののほうが日本映画の質的な向上には役立っておるのではなかろうか。そうして輸出の振興にも、このままでありますとだんだんスローダウンしていくのが、日本の映画の輸出高もほうっておきますと下がってくるであろうという傾向を食いとめてこの数年来きておるのではないかというように、私しろうとながら考えておるような次第でございます。
○大出委員 これは有光さん、そこは私のものの見方とは少し違うのですね。というのは、決して御意見を申し上げる気はないのでありますが、後ほど申し上げますが、抜き差しならぬどろ沼で、にっちもさっちもいかないという現状になってしまったと思うのですよ。皆さんが一生懸命審査されて金をお貸しになった。なったが、しかしまた、通産大臣もこれは責任継承の原則ではありませんが、前通産大臣がおやりになったことでしょうけれども、しかし善意でおやりになったと思うのですが、その金が有効に使われて日本の映画興行成績は上がっていない。赤字はますます累積をする。満足な興行収益があがったものはほとんどない。ここまでくるとこれはとんでもないことだと私は思っているのです。しかし、そこまでまいります前に一、二問題がありますので、それを先に片づけたいと思います。ここに載っておりますが、四月十日でございますから、これは私がこの間質問したあとに出た週刊誌のようですが、それによりますと、合計六十三億の融資が出ている映画の名前を全部ここにあげてあります。そして「まずは程度の低い映画の見本市の観がある。」ここにはこう書いてある。「なかには『黄土の奔流』のように一億五千万円を借り出したにもかかわらず、お流れになったマボロシの作品もあった。」「独立プロはオミット」ということで、これは有光次郎委員長さんほか七人の選考委員が無能なためじゃないと言っているのです。ここで言っているのは、すぐれた日本映画の識別ができないほど無能な方々がそろってはいない。「要するに、振興協会が金づまりの三社を救うための“銀行”として発足したからである。質の良し悪しは最初から問題外なのだろう。融資対象は大手五社に限られているが、市中銀行に信用があり、返済能力のある東宝と東映は借りていない。独立プロはシャットアウトである。通産省は、『独立プロのほうが良心作を作っているのは事実。でも返済能力がないから』としている。四十二年八月」これはできた翌年ですが、四十二年八月に一これは事実です。私も調べておりますが、四十二年八月に「黒部の太陽」をつくるときに——いい映画でしたよ、私見ましたが。「『黒部の太陽』に着手したスタープロの三船敏郎も、『経済的基盤が弱い』として協会への入会をことわられた。」せめてあのくらいに貸してやっていますと、もう少し映画振興協会はさえると私は思っているんですけれども……。「そこに映画の製作を妨害してやろうという策謀があったかなかったかはわからないが、三月二十七日の理事会で入会を認められた石原プロが、融資を受ける独立プロ第一号になるだろうということを考えあわせると、裏がありそうでヘンな気もする。」こう書いてありますね。「これが、わが国の映画政策の一端である。通産省は『不信のとき』『鬼の棲む館』——これは映画の題名ですが、『鬼の棲む館』から脱して、日本映画界の『孤島の太陽』——『孤島の太陽』もあまりもうかっていませんがね。『孤島の太陽』であってほしいものだ。」なかなかうまいことを書いているんですが、私は、言っていることはこのとおりだと思うのですよ。 そこで時間がかかりますから少し急いでものを申し上げますが、実はここに製作コストというのをこまかく言うと、物価問題をめぐりましても、大門さんがあれだけこまかく「原価の秘密」を書きましたら、たいへんな波紋を呼ぶと同じで、私もどうも言いたい気はするのですけれども、あまりそこは触れずに通っていこうという気に、いまはなっています。 そこで、ただどうも何と言われても納得できない結果があるということなんです。それはどういうことかといいますと、松竹、大映、日活に分けまして、ここに収益の結果が出ておりますものが三十六ございます。最近の作は収益がおそくなるということがあります。ありますが、四十一年、四十二年、四十三年というものは、調べてみるとほぼ決着がついているんですね。あとは入ってきてもほんのわずかなんですね。四十四年度分というのはいろいろあるようでございますが……。そこで三十六と申しましたが、そのほかに中止が一本、何か製作をまだやっていないのが一本。「鮮血の記録」これがございますね。四十一番目の融資対象となったものでございます。これは何だか四月から開始するとかしないとかいう話を聞いております。これなんかもずいぶんふざけた話だと思っているんですけれども……。まあ半分返したということになっているわけでありますが……。 そこで松竹が扱いました「神火101」、これが四十一年の十二月の融資でございます。これが製作承認申請に基づきます製作費用が一億五百万ばかりのものなんですね。これが外国で比較的売れておりまして、外国で二千四百六十二万円、国内で売れているのが三千八百七十四万円。この映画は外国でずいぶんよく売れたほうです。その意味では多少適格性があったし市場性があったということになります。しかしそれだけ総合計して六千三百三十六万円なんですよ、国内と外国両方合わせまして収益が。ところがここに提出しております書類面の製作費用総額は一億五百二十六万四千円ですね。そうしますとこれは、大ざっぱに申しますとマイナス約四千二百万円。この映画で赤字四千二百万です、二千万からの収益を外国であげていても。これが第一号なんですね。それからその次は、さっきお話の「宇宙大怪獣」という怪獣もの、これは四十二年三月、これは外国で二千三百七十六万円収益をあげました。国内で七千九百六十三万、これだけあげておる。合計一億三百三十九万円収入がある。これもいいほうです。ところがこれは製作費が一億五千二百万円なんです。ですからこれまた四千八百万赤字になっている。これはもう古い映画でございますね。これはもう回収の余地がない。これで終わり。その三番目の、松竹ですが「智恵子抄」、これは御存じの方が多いわけですが、四十二年六月、これが大ざっぱに申しまして国内で七千九百万、外国で日本の円にして八百六十四万円、そうすると合計で八千八百二十七万でございますから、五千八百万赤字になっている。すべてそういうぐあいなんですね。その次の「女の一生」が製作原価一億五千七百万、これが何と国内で三千三百七十二万しかあがっていない。審査委員会に出された製作費用は一億五千七百万、これをお認めになっている。これが国内収入が三千三百七十二万、外国で日本円にしてわずかに三百五十二万しかあがっていない。だからこれは一億一千三百万赤字ですね。そのあとに「夜明けの二人」というのがございます。こまかく申しませんが、原価が一億六千二百万、外国で千二百九十六万、国内が五千七百八十万、合計七千七十六万、赤字九千百万。その次に「わが闘争」というのがございます。これが外国で二百五十万しかあがっておりません。国内で六千五百二十六万、六千七百七十六万円が合計収入で、製作費が一億二千二百万、したがってこれが五千八百万赤字。その次は「黒蜥蜴」、例の「メケメケ」の何がしがやったやつです。これは国内で比較的いいのですが、七千五百万、外国では百八十万円しか日本の円で収入がない。外国人の好みが違うのでしょう。そこで合計七千七百七十二万でございますから、「黒蜥蜴」でさえ三千九百万の赤字です。その次は「白昼堂々」というのがございます。これなんかはまことにひどい。製作費一億四千四百万という申請なんですが、国内で何と三千六百六十七万八千円しかあがらない。外国で日本の金で八十二万円です。輸出の手数をかけるだけやぼみたい。これ一本で一億七百万円の赤字、製作原価は一億四千四百万です。その次の「昆虫大戦争」というのもこれまたばかばかしい話で、製作原価を一億六千四百万かけているのですけれども、外国が日本円で百五十一万円、そして国内で千九百四十六万しかあがらないのです。だから、これは何と言っていいのですか、赤字が何と一億四千万。ここまでが四十三年なんですよ。松竹でいうと黒字は一本もないのです。四十四年度を見ますと「日も月も」が同じ筆法で七千六百万赤字。例の「愛奴」、これも騒ぎになったやつ、これも九千万の赤字。「男はつらいよ」、全くつらいわけでございますが、これが三千五百万赤字。ここまでで、審査委員会が御苦労されてお貸しになったんだけれども、何と九億八百万円の赤字ですよ。これは松竹です。 大映はたくさんつくっているわりに一番傷が浅い。というのは怪獣ばかりつくっている。「小さい逃亡者」から始まって、「大魔神逆襲」「ガメラ対ギャオス」——実はふしぎなことに、この「ガメラ対ギャオス」というのはもうかっているのです、これだけ九千万の黒字です。ところがここで九千万黒字になりましたが、すぐあと「鉄砲物語」というのをつくって二億の赤字です。これはひどいですね。「小さい逃亡者」というのが四千七百万赤字、「大魔神逆襲」が二千万赤字、「ガメラ対ギャオス」九千万黒字、「鉄砲物語」二億赤字、「華岡清洲の妻」が二千万円赤字。この「鉄砲物語」は外国で三十二万円しかあがっていないのです。これでは全く行ってくる費用もない。「華岡清洲の妻」は五十四万しか外国であがっていないのです。その次は「太平洋の用心棒」が二千八百万円の赤字、外国で四百六十八万収入があります。その次の「ガメラ対宇宙大怪獣」というのが七千万円の黒字、外国で二千百四十万円、「ジェット104脱出せよ」は外国で売れまして、三千六百万外国から収入がありました。一番大きい収入であります「アジア秘密警察」が五千六十五万ありました。それから「ジェット104脱出せよ」も三千七百万の赤字。その次に「怪談雪女郎」というのがありますが、これも三千五百万円の赤字。「怪談牡丹燈籠」これが九百八十四万外国からあげております。それでも三千六百万の赤字。その次の「不信のとき」というのが、これは国内で売れまして、外国では五十七万しかあがっておりません。国内で売れまして二千二百万の黒字です。以上で、大映では黒字が三つございます。その次が「積木の箱」というのがございまして、これがとんとんでマイナス百万くらいです。その次の「千羽鶴」というのがマイナス六千八百万、「ガメラ対大悪獣ギロン」舌をかみそうな名前ですが、これが二千六百万の赤字、外国で売れたのですが二千六百万の赤字。その次に「あゝ海軍」というのがありますけれども、これが外国で八百八十万、マイナス三千万。その次に「尻喰え孫市」というのがありました。ここからはまだ収入が確定しておりません。つまりここまで申し上げて、さてこの赤字がどれくらいかといいますと、三本が黒字で、あと黒字があるのは、日活が一本だけ黒字。あと全部マイナス。だから合計三十六本の映画に金を貸して黒字になったのは四本。あと三十二本はオール赤字ということになるわけですが、そのたいへんな黒字が出た「ガメラ対ギャオス」というのがありましても、差し引き大映が三億七千七百万の赤字になっている。大映は二十本から借りておりますけれども、三億七千七百万の赤字。 日活は、数は少ないのでありますが、これこそ赤字だらけでありまして、一番最初の一つだけ黒字になって、「アジア秘密警察」が外国で五千六十五万、最高の実収をあげました。それでもこれは二千七百万の黒字にしかならない。そのあと「大臣獣ガッパ」というのが外国から三千二百二十五万収入をあげていますが、これでも四千百万の赤字。その次に「神々の深き欲望」というのがございまして、これが何と赤字一億。その次の「赤道を駈ける男」二億四千万の製作費をかけているのですよ。そして収入実績が外国で何と「神々の深き欲望」のほうは、二十八万円です。ですから、これは輸出適格審査委員会で審査する必要もないように思うわけですね。「赤道を駈ける男」外国で九十四万円あげたが、これで一億四千万円の赤字。二億四千万の融資対象の申請が出て、金を出している。その次は「昭和のいのち」これは昭和の御代なんですけれども、外国で八十四万しか金が入っていない。これが何と製作費が一億一千四百万です。その次が外国から三十万しかあげていない「燃える大陸」これが一億二千六百万の赤字。もうめちゃくちゃなんですよ。一億七千六百万円の製作費をかけて申請しているのです。国内からあがっているのは、四千九百四万、外国から三十万、「燃える大陸」さっぱり燃えない。一億二千六百万の赤字。その次の「孤島の太陽」というのが、さっきの週刊誌が皮肉っておりましたが、これが外国から九十六万、赤字が三千二百万。「あゝひめゆりの塔」というのが最後にありますが、外国から百十一万円、赤字が六千百万円。ですから日活の赤字合計額が、十本しかないのでありますが——まだ決着かついていないのが二つあるようでありますけれども、たいした数字ではない、最後の「荒い海」は四億六千六百万製作費をかけるということになっておりまして、皆さんお認めになっておりますけれども、これはたいへんなものになるのではないかと思いますが、ともかく決着がついていない、その二本を抜きまして、赤字が五億九千二百万です。 こうなると、これは年次別に、さっき松竹のところで申しましたが、決着がついたところだけをあげて申したのでありますから、これはいかに悪あがきをしたところで、この三つ合計して幾らになったかといいますと、委員長御苦労されて審査を四十一年からやってこられまして、何と三社合計十八億七千七百万の赤字です。端数は切りましたけれども、十八億七千七百万の赤字。これだけ赤字がどんどんふえてしまっては——しかも外国からも恥ずかしい話で言いにくいのですけれども、二十八万、九十六万、三十万、八十四万、九十四万と五本並んでいる。最後が百十万。「男はつらいよ」なんて十四万円しかないのですよ。これは松竹です。ほんとうに男はつらいよです。 こうなると、あなた方は間違いないのかもしらんけれども、貧すれば鈍するですから、私が聞いた限りでは水増し水増しということをしきりに方々でおっしゃる。そうなると書面審査である限りはおわかりにならない。そのままでいいのかという問題が出てくると私は思うのです、率直に申し上げて。そうして通産省の皆さんが、これは事務局の方々が悪いわけではございませんので、ずいぶん苦労されたのだろうと思うのでありますが、苦労されて回収回収におつとめになって、最近私どもが取り上げてからは、だいぶ返させております。返させておりますが、まだ相当額残っていることは事実。しかし、これ以上このまま続けていくことになりますと、また国会波穏やかになって、風絶えてまいりますと、世の中政治的に動くものでございますから、また「奔流を駈ける男」、話をしたら、とたんにすぱっと返してくる。何で話をした直後に返したんだ、それなら前に返せばいいじゃないかと言うと、たまたま時期が一致したんだ、こういうお答え、これでは困る。私の資料からいえば、現在残っているのは二十一億七千七百万の残があるが、これが十七億くらいに減ったということを聞いております。それでも十七億くらい残金がある、こういうことになるわけでございますが、ここまで例をあげてたいへん恐縮な言い分でございますが、有光先生先ほど来おっしゃっておられる適格不適格、優秀、優秀でないという問題がありますけれども、私、実は夕べ眠い目をこすりこすり、よくそろばんを入れてみたのです。ほかの仕事も終わってからおそくなりましてから、どうも気になってしょうがないものですから、正確にはじいてみたのですから、端数はぴたっとしておりませんが、大筋は間違っていない数字です。ですからそうなりますと、こういう現状をおながめになって——日活の映画館も私のいる横浜でも、あっちこっち売ってしまったり、松竹大船の撮影所にも行きましたが、だいぶひどいので私もあきれ返ったことが昨年ございましたが、これはとてもじゃないが、この会社を立て直すといってみたって、私はできがたいのではないかと思うのです。しかも抵当物権の設定もいろいろ調べておりますが、これも問題だらけの気がする。あとから三十六ありますから、全部あげてもいいのですけれども、二軍担保、三重担保というのもありますし、売ってしまっているのもありますし、これは有光さん、純粋に審査委員長のお立場でお考えになって、この種のものを一体どう御判断になるのかということを忌憚なくお知らせいただければありがたいのですが……
○有光参考人 ただいままでに融資対象として適格であろうという答申をしたものが五十足らずございますが、その中で十件ばかりはいろいろな賞を受けておるものでございます。それからこういうような制度をつくってみても、これが映画会社の業績の上にはね返らなくて、むしろ日本の映画産業はこのままでいくと壊滅するのではないかという御指摘は、私も同じような心配をするものでございまして、映画産業というものが普通の産業と違いまして、何か特殊なものがあるとすれば、その特殊のものを生かしていくような使命感を持った運営ということが期待されるわけでございまして、アメリカは別としまして、ヨーロッパの諸国では国が直接補助金を出しておりましたり、その国の映画の上映をある程度強制するような制度を持っておりましたり、いろいろ助成の方策が講ぜられておるのでございますが、わが国でもその産業そのもののてこ入れば通産省でいろいろ苦心をされておりますし、それから優秀映画の奨励というようなことにつきましては、先ほどお話がございましたように、文部省からグランプリみたいなものが出ておったりいたしておるわけでございますが、これは各国共通の問題としまして、テレビの影響等によりまして、映画産業がいま非常な斜陽産業になっておりますが、これを何とかしててこ入れをしまして、優秀な映画を自国の業者でつくれるということが、国際的に見ましても国内的に見ましても、文化の面からいって相当重要な意義のあることはいなめないと思いますので、今後ほんとうに映画産業の健全な発展をはかるためにはどういうような方法を講じたらいいかということにつきまして、大方の御高配をぜひいただきたいと思っております。
○大出委員 これはほかの、諸外国の例もありまして、英国なんかのように一種の公庫制度みたいなものを、興行税の一部の収入を持ってきてスクリーンクォータというようなものを考えておるというような例もあるようでございまして、だからいま、たまたま御経歴のしからしむるところ、おっしゃっておられた、映画というものの持つ性格からいいまして、国会なら国会という場所で少し論議をして、こうあるべきだということを公に考える必要が私はあると思うのですよ。ただそういうことをおやりにならないで、私から見れば非常にこそく過ぎることを、つまり国民一般になかなか——いまの世の中は昔と違っておりますからね。いい映画であっても人が集まらぬ映画もあるわけですね。しかし一面いうと、ほんとうに真剣に金かけて、ときには独立プロみたいに赤字覚悟でやって、それが「黒部の太陽」みたいにたいへんな興行収益をあげるという例もあるのですね。ですから、いい映画ならば人が来るんだという一面の真理があることはしかり。だが、幾らいい映画でも、それがいまの世相に合わなければ、これまた人が来ないという別な面もある。だから、そこらをどうとらえて、妙な映画をなくしていくことをあわせ考えていくかという、文部省の側からすれば大きな立場というものが私は必要なんだろうと思っております。そういうところに一向手をおつけにならない。 これは通産大臣に承りたいのですが、しかもこれは宮澤さんが大臣御就任のときの問題ではなくて、これをおつくりになったのは四十一年でございますから、つくったときの云々を申し上げる気はないのでありますけれども、ただしかし、これ今日から先三年ということでお話しになって四十一年、二年、三年、こう過ぎてきた。そうすると四年以降五年に至って四億からの——四十四年十月からですが、四億二千六百万の融資をさらになさっておるわけですね、この赤字の日活に。しかもこの四億二千六百万という——「荒い海」というのは、いまだかってない製作費なんですよ。こんな大きなものをこれだけ赤字になっておる会社に貸すのはいかがかと思うのですが、そういう意味で、これは一体どうすればいいかという将来別の角度から検討するということはあり得ても、当面ある姿というもの、これをどう考えるかということですね。ここらあたりのお考えを大臣少しお述べいただけませんですか。
○宮澤国務大臣 人はかわりましても責任は継続しておりますから、それで私は自分の責任だというふうにこの問題をいま考えておるわけでございますけれども、先ほどもお話しがありましたように、芸術性というものと市場性というものがあるわけでございます。市場性というのはどんなに上品なことばを使いましても、要するにもうかるかどうかということでございます、つくる側から申しましたら。そこで芸術性の高いものがもうかる場合もございます。しかし芸術性が高いがゆえにもうからない場合もございます。どっちの場合が多いかといえば、これはもう主観の判断になりますけれども、少なくとも、ゴッホとかゴーガンなんかの絵を考えますと、やはり短期的にはなかなか両方は一致しない場合があるということは明らかだと思うのでございます。 そこでこの制度が始まりましたときに、私が思いますのに、日本映画というものの芸術的な地位はひとつぜひ保存していきたい、あるいは強化していきたいという、そういう考え方があって、私はそれは賛成でございますけれども、あって、何かそういう施策を講じたいと思っておったが、たまたま、その芸術性だけではなかなか議論がしにくいので、当時わが国の外貨準備もああいう状況でございましたから、外貨を獲得できるということにひとつ制度を乗せようではないかという、善意 でそういうことが行なわれたと思うのであります。ところが芸術性と市場性は国内でも国際間でもなかなか一致いたしませんから、先ほどから御指摘のように、「ガメラ」などという型がむしろ大いに外貨をかせいでくれたような皮肉な結果になったわけです。しかしいまになりますと、何がしかの外貨をかせいでも、日本のイメージというものがその結果外国で落ちましたら、国全体としてそれがいいことか悪いことかという問題がございます。逆に、さっき有光さんが言われましたように、たとえ外貨的には損になっても、グランプリなどをもらえば、これは日本のイメージは逆に上がるという問題もございます。ですから芸術性と市場性というものがなかなか一緒にならないということに私は帰着すると思います。 それからもう一つ、この制度に問題があると思いますのは、先ほども御指摘のあったように、コストの計算の問題だと思います。水増しをするということになりますと、これは詐欺のようなものでございますから、それは別にさしていただきますけれども、非常に複雑な製作過程でコストというものが正確に計算できるか。たとえば管理費とか間接的な費用をどういうふうに一本の作品に割り掛けるかというようなことは、御承知のように非常にむずかしい問題ですし、それから企業全体の償却をどうこの作品に割り掛けるか、これも問題があると思いますし、それから作品に使われましたいろいろな施設、資材というものの中でどれだけが損金であってどれだけが資産として残るかということもあり、問題は幾らもありますから、コストを計算するということは、もちろん先方に不正がないという前提に立ちましても、容易なことではないと思うわけであります。 そこでこういうふうにいろいろ御指摘もあっておりますので、私としては昭和四十六年度の予算編成にかかりますまでに、制度のあり方について有光さんほか審査員の方々の御意見も伺いながら再検討をいたすべきだと思っております。その際、たとえば文部省、主として文化庁になると思いますが、日本映画というものの高い水準はやはり維持し育てていくべきであるという判断でありましたら、これはメーカーがいなければそういうことはできませんので、そのためにはどういう施策があり得るか。先ほど有光さんがお触れになりましたようなことも私は有力な考えだと思うのでありますけれども、そういう芸術上の判断も加味しまして、この問題を四十六年度の予算編成までに再検討さしていただきたいと思います。
○大出委員 法務省の方お見えになっておられると思うのでありますが、私はきょうはものの見方だけを承っておきたいと思ってお出かけをいただいたのであります。私が数多くカバン一ぱい持っております資料の中からいたしますと、このコストについても実は申請書類の面といろいろ照合もしてみておりますが、ずいぶんこれはおかしなところばかりでありまして、おわかりいただきやすいように申し上げますと、私がいまあげた数字、四十一年から四十四年まで合計十八億七千七百万、これだけの額の赤字が出ますと、率直に言ってこの会社はとてもじゃないが今日までもたない。ところが何とかかんとかもっているということは、どういうことかというと、看板に偽りあり、額面と中身が違うというわけですよ。この一億何がし二億何がしという赤字が出ているのでありますが、実際にはそんなに赤字は出ていない。それは何かというと明確な水増しです。これはそこまで全部ぶちまけてしまったからといって、別に日本の映画がよくなっておるわけじゃないのです。その水増しをして、それではどうしているかというと、土地を買ったりするのです。そうなると、これはやはり明らかに目的外使用だ。直接的に貸せないところだから、映画輸出振興協会をつくっているという、こういう言い方をされるけれども、これは結果的に量をきめてやっているということになりますと、全く問題がないわけではない。そこへもってきて、まずこの制度からいって、製作原価、製作コストでない、水増しをしたものを出して金を借りているということが現実にあるとすると、私はその面の担当官ではございませんから言い切りませんけれども、もしそうだとすれば、これはだまして利益を得たのだから、明らかに詐欺行為だ。ですから、そうなると、これは親告罪ではないですね。そうなると、これはほうっておくということがふざけた話になる。しろうとの私がいろいろの人に聞いて、あるいは私にものを言ってくれる人があっていろいろ調べてみると、ある程度までは見当がつくし、わかるのに、ほうっておくということに実はなる。しかし、私は、そういうことになりかねないような性格のものだということをあえて言いたいのです。そういう意味で、一体この申請している製作費、先ほど一つの例だけをあげましたが、まだ幾つもあげてもいいのです。この製作費が水増しされていた、そしてほかに流用されていた、こういうことになった場合に、これは法律に触れると思うのですが、そういう前提で、つまりこれは仮説ですが、いかがですか。
○前田説明員 何ぶんにも具体的な事実関係が明確でございませんから、断定的なことは申し上げかねるわけでございますが、先生の御質問も一般的にということでございますから、一般的にしか申し上げることはできないわけでございますが、要するに詐欺罪になるかどうかという問題は、平たく申しますと、意識的にだます行為があって、その行為によりまして相手方がだまされて金を取られた、こういうことになるわけでございます。そこで具体的には、いま申しました意識的にだます行為があってだまし取られたということになるかどうかということがつまびらかでございませんので、何とも申し上げられないところでございます。
○大出委員 お忙しいところお出かけいただいて恐縮ですけれども、実は私の党にも法律の専門家が何人もおりますし、この委員会にも専門家がいるわけですから、二、三の方々にそこのところをいろいろ聞いてみた。つまり、大出さん、あなたの持っている資料でこれは水増しだ、その場合に会社側があらかじめ水増しをしてよけいに金を取ってやろうと考えたとすれば、これは明確に詐欺罪が成り立つ、こう言うのですね。私は明確にそうだと思う。資料もございますが、ただしかし、明確にそうだと私が思うのであって、私は皆さんのお立場ではないから、私の話はここまでなんです。そこで、いまおっしゃったように、あらかじめそういう意図でやったということになったら、たいへんなことになりますよ。だから今後——これはこれだけじゃないですよ、いま制度をおくわけではないですから。この一番新しいここにあります資料で、昨年の十二月四日というのもあるわけですから、したがってこれは委員長にお願いしたいのですけれども、どうも火の車過ぎて苦しくなり過ぎている、これだけは間違いない。大日映配というものをつくって、大映と日活がやろうとしておられるけれども、ここにも書いてあるけれども、この秋までだろうといわれておる。そうすると、いままでのことはかりにともかくとして、ここから先ほんとうに苦しまぎれに、私がいま申し上げたように、水増しして少しよけい出さしておこう——皆さんはその気はないけれども、意識的に先入主として、苦しい会社の経営状態を知っておられるはずだ、そうすると、火の車でやっておるのだから、うそをつくのだろうということになって、もしうそをつくということになってくると、いま参事官がおっしゃったようなことになりかねないと私は思う。そうすると、過去の私の持っている資料が生きてしまいます。だから、そういう意味で、審査委員会のほうでそこはよほどお考えをいただいて審査に当たっていただきませんとたいへんなことになる。だから事務局を督励していただいてもいいのだけれども、過去の幾つかの例について、実際にどうなっておるのかを全部持っていくというくらいのことはおやりになって調べてみる必要もある、こう思うのですよ。たとえばここにある、先ほどちょっと申し上げましたが、監督が病気だ、次の監督を見つけたら、これは国際提携映画のほうの監督を願ったからできないなんということで、無理だというので、しばらくたってしまってから、半分だけでも返しておけというんで半分返さしたという映画まであるのですよ。そうでしょう。だからそこらのところをよほどお考えおきいただきたいと思うのですけれども、その辺のところはいかがなものでございましょうか。
○有光参考人 この制度の趣旨を生かしますように、先ほど来いろいろ拝聴しました御意見は十分考慮しまして、今後も私どもの職責遂行の上にあやまちのないように心がけてまいりたいと存じます。
○大出委員 これは四十五年というこの時点で大臣にお願いしたいのですが、これはひとつ早急に御検討いただいて——私は切りがないと思うのですよ、いま無理算段して多少の金を返してみても、それはやむを得ずあとすぐ出ていく金になってしまうと思うのですよ。だから、そういう状況ですから、ここにございますように総額は二十一億ばかり——私の調べた四十五年二月の時点で累計で六十三億八百万、金を貸して、四十一億九千三十万回収しているのです。したがって、その差額が二十一億一千七百七十万円残っている勘定なんです。このあと十七、八億に減ったというのですが、相当無理をして返しておる、いろいろ取り上げておりますからね。だから、この無理というのはまた必ずどこかに響く。そこらがありますから、私は、できれば三社お呼びになって、これは有光さんと御相談いただいて、どこかで期限をつけて——一ぺんにといったらつぶれてしまうから、期限をつけて、タイムリミットをはっきりさせて、その辺で収拾しろという形。そして担保物件なんかでも、担保に入っている土地は売ってしまって、ただしかし売ってしまうということで済むわけではないですから、第三者担保の抵当権の形でやっておるものまである。つまりこの金を返すまでは借りた人が抵当には入れておきます。それはやはり政治力のある方々ですから、そういうことになっているのでしょうけれども、しかしこれはいまぱたっと行ったらとんでもない問題を引き起こしますから。だから実は中を見ますとそういうのばかりございまして、これもここに三十幾つ、四十ばかりの抵当物件がありまして、一々調べてみるとあぶないものばかりです。みな二次抵当、三次抵当ばかりです。しかし二次抵当、三次抵当ではあっても、会社がつぶれた場合には、抵当権の順位がありますが、製作費がいろいろ返せるあるいは返すというやりとりがされていなければまた貸せないのですから。しかし実際にぱたっと行ったら果たして返ってくるかというと、私の調べた七つばかりのものでも、こないというものがたくさんある。それはそんな甘いものではない。一次抵当権者、二次抵当権者というのは幾年先はともかくとして。ですから、そうなりますと、これはそう簡単なものではない。そういう意味でぜひひとつそこのところを大臣お調べをいただいて、何としてもこれはひとつ、問題がこれ以上深みに入らないように御処置をいただきたいと思うのですがいかがなものですか。
○宮澤国務大臣 その辺のことも確かによく調査して考えてみないといけないと思いますが、制度の運営されてきた今日までの現状というものは、先ほど御指摘のようなことであるといたしますと、審査員の方々、それから文化庁の意見等々もよく聞きまして、四十六年度の予算編成との関連におきましては、この問題はもう一度考え直す必要があると思っております。
○大出委員 最後に行政管理庁の方に。 この間荒木長官に、制度問題ということで実は私、ものを申し上げたのですが、こういうふうなことが間々いまの制度の中で行なわれる、これは一つの例がここに出たわけでございますけれども、これだけの例が出てきた機会でございますから、ほかの省にやはり似たようなことがあったりしては困る。そこでこういうふうなことを野放しに——通産大臣だって責任上困ると私は思うのですよ。ある意味で水ものといわれるような映画なんかでもございますから、だからそんなことが制度的にあっさり、大蔵、通産両省が相談をした、映画輸出振興協会をつくれ、そうすれば金は何とかなるからというふうな形で運用をされるということをしておいていいものかどうかという気がする。したがってその後お調べをいただいて、各省にこういうものがあるかどうかというようなことを、私この間いたり、この種のことが、このままこういう制度がつくられていいかということを聞いたりしたのですけれども、大臣は、初めて承ったんだ、しかしこういうものは八条機関というようなことで、全体としてということにならなければいけないもののように思うけれども、初めてだから検討する、こういうお話だったのです。そこらのところ、また大臣というわけにもまいりませんので、担当の方にお見えいただいたのですが、結論が出ていなくてもけっこうです、けっこうですが、やはりこういうものが制度上あるということを前提にして、私は、もう少しこういう制度は将来に向かって考えておくべきだというふうに思いますので、御意見を承りたいわけでございます。
○平井説明員 ただいま御指摘の点でございますが、一般に行政機関がいろいろ仕事をいたします場合には、いろいろの当面します問題について、関係各界の代表者の意見を伺いながら仕事をするということは日常行なわれているところでございます。したがいまして、そういう範囲で日常活動を行ないますことは今後ともあり得るわけでございますが、国家行政組織法のたてまえからいたしまして、大臣が当該問題につきまして意見をきめます場合に、審議会とかあるいは協議会へ諮問をいたしまして、その機関意思を伺いながら仕事をするというような場合とは、はっきりけじめをつけなければいけないということは、御指摘のとおりでありまして、今後ともその辺のけじめはつけていくべきものであると思います。 ただいまの問題につきましては、現在それぞれいま実情がどうなっておりますか、いろいろ話し合いをしておりますので、その結果によりましてまた御報告できるかと存じます。
○大出委員 確かに私も制度を扱って七年ばかりやってまいりましたが、こういうところは、いまお話しのようにはっきりするところははっきりしておかないと、大臣がおかわりになったりするわけでございますから、非常にまずいことになりはせぬかと思っておるので、御検討いただきたいと思います。 大蔵省の予算でお願いしたいのは、興長銀債をお引き受けになる、興長銀が映画輸出振興協会に金をお貸しになる、こういうシステムですから、ものをいえない筋合いではない。つまり興銀なり長期信用銀行なり、こういう実情になってきたということを含んで——金を貸すときにはそれなりの担保物件なんていったってあぶないものはずいぶんあります。そこらをよほど注意しなければならぬということは、いえない筋合いじゃないだろうと思う。大蔵省全体から見て銀行監査もやっておるから……。そういうふうにこれは思うわけですから、そこらの御注意をいただきたいと思って実はお出かけいただいたわけですが、いかがでございますか。
○田中説明員 先生の御趣旨に沿いまして、今後十分注意するようにいたしたいと思います。
○大出委員 大臣の時間が十二時ということで、ちょっと時間を過ぎて申しわけなかったのですが、実は私自身も調べてみて、これをどう扱うべきかということについて非常に心配をいたしまして、かといっていい映画を世の中からなくしてしまうようなことはできない。したがって、何とかそういうふうな観点は別にお持ちいただいて、外国に例のないわけではないのでありますから、国民一般が目の届く、わかるというところで論議をしていただいて、なるほど日本映画に対するものの考え方というものをこう持つべきなのだというところまで国民的にものを考えられるような制度的なあり方、検討のしかた、場所、ここらをぜひお考えいただきたい。そういう方向で将来進んでいく努力をされるということにしていただいて、この問題はくどいようでございますが、ひとつどこかで決着、収拾のつくようなはからいをいただきたいものだという気になったものですから、こんな質問をしたのでございますけれども、そのことを最後に申し上げまして……。
○宮澤国務大臣 そういう心組みで再検討いたしたいと思います。
○大出委員 たいへんどうも失礼いたしました。
○天野委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。 参考人には御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。 午後一時三十分委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十六分開議
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 ただいまから、公害保安局の設置という、これから通産省が本格的に機構的に公害問題に取り組む法案が出ているわけですけれども、これにつきまして、今後の公害行政全般にわたりまして四点ばかり大臣はじめ通産省の各位の方にお伺いしたいと思います。 まず最初に伺いますが、これは木原議員が一度ちょっと触れた問題でございますが、公害問題の責任所在、つまり企業がどこまで責任を持つべきか。発生源である企業が公害の責任を持って、そして政府がそれを規制し、指導、監督していくということだと思うのでございますけれども、政府の公害行政に対する基本的な態度、つまり企業責任をどこまで持たせるべきかということについて基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 公害基本法にもございますように、これは国、地方公共団体、企業及び住民が一体となって公害の防止につとめるべきものであると考えております。しかしながら過去からの経緯にかんがみますと、公害というようなことがお互いの問題意識にのぼるようになりましたのは比較的最近のことであって、それまでは企業の側は比較的この問題に、一番公害の原因をつくりやすい立場にありながら、あまりきびしく責任を云々されなかった時代が長く続いてまいりました。そういう沿革にかんがみますと、私はいまやはり企業に対して、社会的な存在の一員として、社会に対して企業は公害を起こさない責任があるということを一番強く申すべき、沿革から申しますと、そういう時期になっておると思います。で、認識がさらに深まり、また技術の進歩がございますと、当然企業に対しての世の中の要求はきびしくなっていく、また企業側もそれは覚悟しなければならないと私は考えております。
○佐藤(観)委員 これは四十三年の十月でございますけれども、経団連が「公害対策の基本的問題についての意見」というのを出しているわけです。ちょっとこれを簡単でございますので読ましていただきますと、「公害政策の基本原則は生活環境の保全と、産業の発展との調和をはかることによって、地域住民の福祉を向上させることにある。したがって、生活環境の保全という立場からのみ公害対策をとりあげ、産業の振興が地域住民の福祉向上のための重要な要素である半面を無視するのは妥当でない」という見解を出されているわけですけれども、これはいってみれば発生源である企業にその公害対策の義務を押しつけることは不当なことである、公害対策を企業の費用で行なうことは筋違いであって、これは簡単にいうと、法的に規制することは経営権の侵害であるというようなことまで述べていらっしゃるのですけれども、これについて大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 わが国の現状を考えますと、国民生活がさらに豊富になりますためには経済の成長、産業の振興ということが大事だということには、私はだれも異存がないであろうと思います。また、経済は成長しなければなりませんし、産業は振興されなければなりません。そのことはもう常識でありますから、わざわざそういうことをとらえて申す必要は私はないというぐらいに思っております。むしろ公害というものをこれ以上悪化させない。できればさらにそれの防除の方策を進めるということを前提にして、いかにして経済を成長させ、産業を振興させるかというふうに、私は問題をとらえたいと思いますので、いま佐藤委員の読まれましたような、そこの程度に極端なことまでそれに書いてございますといたしますと、それは多少私の考え方と違うと申さざるを得ません。
○佐藤(観)委員 まあ、この問題、話していると非常に抽象的になりますが、もう一点、ことしの二月にニクソン大統領が公害白書を議会に送りまして、悪質なものに対しては一万ドルの罰金を科するとまでいっているわけでございますけれども、いままでの日本政府のやり方というのは、企業に対して助成措置、つまり補助金を出したりあるいは免税政策ということで、やはりアメリカなんかに比べると、公害問題に対する企業の責任ということに関しては非常に日本の政府は甘いんじゃないかという感じがするんでございますが、その点はいかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 それはいろいろな角度から申し上げなければなりませんけれども、公害という問題の認識が起こりましたのは、わが国のほうが確かにおそうございます。したがって、アメリカのほうがこれを受け入れる基盤が早くできておったと思います。ただしかし、一たび認識され始めますと、その問題の深刻さというのは、私、両国同じぐらいであろうと思います。それはわが国の国土が狭いとか、いろいろ御承知のように条件がございますので、そこで私どもも、時代が進みますともっと企業に対してきびしいことを申さなくてはなりませんと思いますけれども、一日に一万ドルの罰金を科するというためには、少なくとも企業側が善良な管理者の注意を十分に払うことが可能であって、しかもそれを怠ったというときに罰金というものが実際取れる社会的な理由があるわけでございますから、できない罰則を設けるということは、これはやはり問題にしなければなりませんと思います。したがって、企業の側がそのぐらいきびしい条件に応じられるように、いかにしていくかということで、これは、一つはもちろん企業自身の責任ですが、問題の展開が急速でありましたから、企業がやはりそういう責任を尽くすために努力をするのを政府が助ける、いろいろな形で助成をするということは、私は、これは、納税者の金でやりましても、適当な施策であるというふうにただいま考えております。
○佐藤(観)委員 この基本原則に立ちまして、これからの政策についてちょっとお伺いしたいわけですけれども、何といっても大気汚染の根本的な原因というのは亜硫酸ガスが一番多いわけです。つまり、硫黄分、サルファが除かれていないということが一番多いわけでございますけれども、今年度の予算に三十九億円という額で、脱硫装置、つまり硫黄分を取り除く装置をつけた企業に対しましては原油の関税を軽減するという措置がなされております。これは最初、一月くらいのときに、もちろん大臣御承知だと思いますけれども、大蔵省あるいは自治省のほうからだいぶ、これは企業に責任があるべきものであって、少し行き過ぎではないかというような話があったと聞いておりますが、この点いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 重油脱硫をした場合に関税を軽減する、あるいは、それと別に、本来低硫黄の原油を輸入したときには関税を免除、軽減する、二つのことを私どもとしては考えております。ところが、これはエネルギー調査会の答申によるものでございますけれども、比較的その考え方が新しゅうございましたために、予算要求をいたしました段階で、なかなかすぐに関係者の理解がいかなかったというような点がございます。終局的には脱硫の軽減のほうだけが認められまして、低硫黄輸入のほうについては昭和四十六年までに問題を検討しようということになりました。 この問題について私が思いますのは、おっしゃいますように亜硫酸ガスが大気の汚染源の一つの大きなものでございますから、本来、重油を使いますところが防護装置を施せばいいわけでございます。しかし、それはかえって非常なコストに——あっちこっちで、極端に言えば家庭でもあり得ることで、不経済でございますから、むしろその供給源において硫黄を減らしておくほうがいい。そうして、供給源にそのような施設をさせるということは、御承知のように、精製会社そのものは汚染の原因になっておるわけではないわけでございまして、そこでつくられる品物が、やりようによっては汚染の原因になるということでございますから、消費者、需要者のところで公害防止策を講じるよりは、源泉において講ずることのほうがはるかに有効でもあるし、経済的でもあり、しかも金銭的な受益者は精製会社という形ではなくてユーザーでございますから、これは一般的に国民の税金で施策をしてもしかるべきことである、こう考えたわけでございます。
○佐藤(観)委員 大臣の答弁のほうが私の質問よりちょっと早くなってしまったわけですけれども、いま大臣が言われましたように、確かにこの重油の問題というのは、石油業界がこの脱硫の負担と申しますか、それを負っていて、それを使うたとえば大口の電力会社、こういうものは全然——全然と言うとこれまた語弊がありますけれども、ほとんど脱硫に関して責任というか、義務を負ってないという、この現状でございますね。これについては、いま一端の御説明はあったわけですけれども、何といっても電力会社というのは非常に大きなところが多いわけで、所得を見ますと、日本の企業でも非常に多いところが多いわけです。その点でいま非常に石油業界は苦しいわけですけれども、大口需要である電力界のほうもやはりこの負担というものは少し負わなければ、公平なところにはいかないんじゃないかと思います。総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会の報告にもありますように、この負担というのは両者が平均して持つべきものであるというふうに書かれておるわけでありますが、その辺どのようにお考えでございましょうか。
○宮澤国務大臣 電力会社におきましても、十分だとは申し上げませんけれども、おのおの負担をしつつあるわけでございます。すなわち、工業技術院で開発いたしました排煙脱硫の装置につきましては、すでにもう、やや実用に近いプラントを二つの電力会社で仮設してやりつつございますし、そのほか煙突を高くするというようなこともいたしております。電力会社そのものはかなりこういう問題を意識して努力をしつつあるというふうに考えております。それが十分だとは申し上げかねますけれども、電力会社自身はかなりの配慮を始めておる、こういうふうに申し上げてよろしいと思います。
○佐藤(観)委員 少し話はもとに戻るかもしれませんが、これは事務当局の方でけっこうなんでございますが、重油脱硫装置でございますね。これを一基つくるのに大体どのくらいかかるか。それから、現在、環境衛生という面から考えまして、総額どのくらいで脱硫装置を建設すれば、亜硫酸ガスを少なくする現在の目標までいくものか、その額についてちょっとお伺いしたいと思うのです。
○本田政府委員 現在つくっております脱硫装置につきましては、一基で五十億ないし百億程度かかるようになっております。 それから、現在の設備は三十二万バーレル・パー・デーの設備でございますが、現在計画中のもので、四十六年度までぐらいに四十四万バーレル・パー・デーの能力ができると思います。なお、先般のエネルギー調査会の低硫黄化対策部会の答申でまいりますと、四十八年までにさらに二十万バーレル・パー・デーの設備を行なえば、低硫黄原油の輸入あるいは低硫黄重油の輸入等々からみ合いまして、大体、所定の環境基準に対する一・二五の燃料を供給し得るというふうに考えておりまして、あと二十万バーレル・パー・デーの増設を指導いたしたいというふうに思います。
○佐藤(観)委員 いま御説明ありましたように、一基脱硫装置をつくるのに大体五十億から百億かかるということでございますけれども、今年の予算の重油脱硫装置、つまり日本開発銀行からの融資のワクというのは五十億円ということになっております。そうしますと、四十四万バーレルを必要とするには、五十億円というと、一基つくれるかつくれないかの額でございます。現在石油会社がほぼ十五社ございますけれども、この辺はどういうふうになっておるのでございましょうか。
○本田政府委員 四十六年度までの増設は、先ほど申し上げましたように、現在で三十二万、それが四十四万、したがって十二万バーレル・パー・デーの増産を行なうわけでございますが、この融資が五十億のワクで四十五年度として実施されるわけでございます。それから、本年度は、軽減が大体三十九億程度七月以降で予定しておるわけでございますが、これらの助成、それから開銀融資、一般の融資等々で行ないますと、資金調達がおおむねできるというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 それから、いろいろ報告書によりますと、先ほど大臣もお話しありましたけれども、つまり重油を燃してから亜硫酸ガスをとるという排煙脱硫の装置の設置がかなりおくれているように聞いておるのでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
○藤井説明員 排煙脱硫につきましては、昭和四十一年度から、大型プロジェクト制度によりまして研究開発が行なわれております。二つの型が研究されておりまして、四十四年度にほぼ所期の成果をあげまして、同制度によります研究開発は終了しました。この設備を借りまして、引き続き電力業界におきまして、実用化を目ざしまして研究を追加して行なっておるところでございます。そして電力業界といたしましては、これらの研究成果をもとにいたしまして、昭和四十五年度中に実用規模に近い設備の建設に着手するということにしておりまして、政府におきましても、開銀融資を行ないまして、その促進をはかっておるわけでございます。その後の建設につきましては、これらの設備の運転状況を検討いたしまして、技術の一そうの効率化につとめながら、他の低硫黄化手段との関係を考慮しまして、必要に応じましてその促進をはかっていきたい、このように考えております。
○佐藤(観)委員 確認になるかと思いますが、いま九電力会社ですか、そうすると、ほぼこの排煙脱硫装置については着手を本年じゅうに始めると見ていいわけですか。
○藤井説明員 ただいままだ開発研究中でございますが、大体開発の型といたしましては、先ほど申しました大型プロジェクトによる酸化マンガン法と、それから活性炭法とございますが、これらは中部電力、東京電力におきまして、それぞれ開発をやろうとしております。もう一つ、関西電力におきまして、やはり活性炭法の一種でございますけれども、ラインルフト法につきまして、これまたプロジェクトを大きくした開発に四十五年度着手するということになっております。 以上、三社がこの開発を行なっております。
○佐藤(観)委員 少し話を先に進めますが、硫黄分の少ない原油を輸入すれば話は一番簡単なわけでありますけれども、これの障害になっていること、あるいは低硫黄原油を今後どのように輸入していくか、その方向性についてどのようにお考えかをお伺いしたいわけです。
○本田政府委員 現在低硫黄の原油と申しますと、大体一%以下の硫黄分のものというふうに考えておりますが、四十三年度の実績で千六百万キロリットルほどを、主として東南アジアから一千万キロ、中東から五百万キロ弱、その他で百万キロ程度というふうに輸入しておるわけでございます。今後この東南アジアの低硫黄原油の増産を期待できますので、この供給力増加に伴いまして輸入増加をいたしたい。それから、中東の低硫黄原油につきましても、生産量の増加が期待できますので、これの増加をはかりたい。そのほかに、西アフリカ地域で、低硫黄原油の開発がいま進んでおります。これを輸入を開始し、その後逐次増加してまいりたいというふうに考えておりまして、四十八年におきましては、現在千六百万キロのものを、五千四百万キロ程度のものの輸入を期待できるというふうに考えております。こういたしますと、大体四十八年の低硫黄化目標に沿う原油の輸入が期待できるというふうに考えておる次第であります。
○佐藤(観)委員 低硫黄原油につきましては、大体それでわかりましたが、もう一つ、液化天然ガス、LNGがあるのですが、少し前に、ソ連からパイプを引いて液化天然ガスを持ってきたらという大きな話がございましたが、この辺のことはいかがでしょうか。
○本田政府委員 先般の日ソの民間の交渉におきまして、埋蔵量等につきまして、当初われわれの考えていたものとは違うような状況も出てまいりまして、今後さらに検討を要するということになっております。現在はアラスカから輸入をいたしておりまして、さらにブルネイの液化天然ガスの輸入が、現在計画が進行しつつあります。そのほか中東のLNGの輸入につきましても、関係のところでいろいろ検討いたしておりまして、これらの実現をわれわれとしても期待しておるわけでございますが、大体四十八年度といたしましては、重油換算で百万キロリットル程度のものが期待できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、亜硫酸ガスを減らすための将来の大きな目標としては、どれが結局一番重点になるわけですか。つまり、低硫黄原油を輸入するようにするのが重点なのか、あるいは脱硫装置をたくさんつけるとか、あるいはLNGをたくさん輸入してくるとか、どの辺が重点になるのか、それともそれが全部混在してやられるようになるわけですか。
○本田政府委員 先般の答申におきましては、いろいろ方法はあるけれども、低硫黄原油の輸入の増大と並びに重油脱硫の規模の増加、これを中心にして、四十八年度までに目標の達成をはかっていくべきだ。排脱あるいはLNGの輸入等はさらに検討してこれの増大をはかり、その後の対策として実効があろうというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 それから先ほどあげましたけれども、総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会の答申に出ているわけですが、都市ガスなんかによる地域冷暖房でございますね、これがいま各ビルごとに行なわれているので、非常に亜硫酸ガスを出しているということで規制がされているわけですけれども、こういうものがこれは都市公害と合体してしまっているようなわけです。こういう都市ガスなんかの地域冷暖房について、貞治体に資金を融資するというようなお考えは大臣ございませんですか。
○柴崎政府委員 ただいま地域冷暖房につきましては、札幌市で計画が具体的に進んでおりまして、札幌市の計画に対しては公害防止事業団から融資を行なっております。それからさらに東京都の新宿地区、それから大阪の千里山でございましたか、大阪瓦斯でも計画を持っておりまして、この二者につきましては開発銀行からの融資ということで資金手当てを考えておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 亜硫酸ガスの問題は一応そこまでにしまして、次にばい煙の規制についてちょっとお伺いしたいわけです。 御存じのように、現在のばい煙に含まれております亜硫酸ガスのはかり方というのは、大気汚染防止法の規定に基づく指定地域に係る排出基準の第一条というのに出ているわけです。これは皆さんもよく御承知だと思いますのでここでは話しませんが、このはかり方というのは現状ではちょっと不備なんではないか。つまり四月一日から東京都のばい煙規制がなされておりますけれども、それと比べますと、東京都のほうがかなり規制がきびしい。簡単に申しますと、煙突一本ではかるか、煙突をたくさん持っている工場、あるいは企業自体ではかるかということだと思うのですが、この辺のところをまずどのようにお考えか。つまり煙突一本ではかっただけで現在の規制というのはできるか、それとも東京都のように、企業なら企業の出します煙突の数、総計を総体としてはかるべきなのか、その辺どのようにお考えかをちょっとお伺いしたいと思います。
○柴崎政府委員 ただいまの大気汚染防止法の体系では、施設ごとの排出基準を定めるということになっておりまして、施設に煙突が伴う場合には煙突ごとの排出基準ということになるわけでございますが、結局基本的な考え方といたしましては、発生する施設を着実に把握いたしまして、そこから発生するSO2を着実に規制するという考え方で、即物的には施設ごとにとらえるのが最も客観的に正確な方法であるという考え方に基づいて組み立てられておるわけでございます。したがいまして、地域を指定いたしまして排出基準を考える場合には、その施設がどういう形で分布しておるか、その分布状況を的確にとらえて排出基準もきめてくるわけでございます。それに対して東京都は、その施設と地域の中間段階に工場という概念がありまして、工場ごとに見るという形をとっておるわけでございますが、結局基本的には施設の分布状況を的確に把握すれば、その地域としての汚染度というものは非常に正確につかみ得るということでございまして、われわれのほうといたしましては、工場よりはむしろ施設のほうが正確であるという考え方に基づいておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、東京都の公害防止条例の施行規則と現行の国で定めたものとは、むしろ国のほうがきびしいということになるわけですか。
○柴崎政府委員 東京都の条例との対比を申し上げますと、大きな点で二つ問題があるわけでございます。一つは、国が施設ごとにとらえておるということと、東京都は工場単位でとらえておる。それからもう一つの問題点は、東京都は工場単位でとらえた上に、規模によりましてある係数をかけまして——その係数は三種類に分かれまして〇・九、〇・九五、一・〇という係数でございますが、その係数をかけまして、一本ごとの集積よりは若干きびしくしておるという体制をとっておりますので、形の上からだけ考えますと東京都のほうがきびしくなっておるという関係にございます。
○佐藤(観)委員 そういうことになりますと、万が一企業が法廷闘争に持ち込むというようなことも机上では考えられると思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
○柴崎政府委員 国の場合は届け出制でございますし、東京都の場合は認可制になっております。したがいまして、東京都に認可申請して、その認可をとることができないという場合には、企業は東京都に対して不服を申したてるか、あるいは裁判所に申し立てるか、いずれかの方法でその処分の撤回なり不当を主張することは十分考えられることであろうと思います。
○佐藤(観)委員 繰り返しになるかもしれませんが、そうすると、現在の国のきめた施行規則を変えるお考えはいまのところないわけでございますか。
○柴崎政府委員 現在の大気汚染防止法に基づくいろいろの法制措置につきましては、国としては十分検討の上に十分の自信を持って実施しておりますので、これを変更する考え方はございません。
○佐藤(観)委員 ぼくも各自治体を少し回って聞いた話によりますと、この施行規則あたりは各地方自治体にまかせて、その地方自治体に合った施行規則をつくったほうが、自治体にしてもやりいいのではないかということも聞いておるわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
○柴崎政府委員 先生御指摘の、施行規則のどの点を地方にまかせたらということが若干わかりにくい点がございますが、おそらく許可基準の点じゃないかと理解するわけでございます。許可基準に関しましては、これは現在各地方、約六つのブロックに分けまして、その汚染度に応じまして国で基準を設けて、その基準についての各工場の監督はすべて地方自治体に権限を委任しておるわけでございます。この分け方が、従来は三段階ございまして、その段階におきましては地方自治体から現在御指摘のような意見が出ておったことは事実でございます。本年の二月に至りましてこれをさらに細分化いたしまして、地方の実情に応ずる体制をとったわけでございます。この点は地方公共団体のほうも高く評価いたしまして、現在はあまり実情にそぐわないという批判は受けておらないというのが実情でございます。
○佐藤(観)委員 いまの御答弁の中にもいみじくもあったと思うのですけれども、通産省あるいは厚生省なんかで各地方自治体に権限を委任する場合、その委任の度合いが非常にまちまちで実は困っておる。むしろ全面的にまかせたほうがいいのじゃないかという問題もありますが、これは行政管理の問題ともからんできますので、この問題はここにおきまして、最後に私は、車の公害についてひとつ行政管理という面でお聞きしたいわけです。 二月二十日の新聞には、産業構造審議会産業公害部会の自動車公害対策小委員会でも、自動車業界に対して排気ガスを減らすような指導をする、それから一酸化炭素を減らすための技術開発、こういうように自動車の公害に対して運輸省でやられているわけでございますけれども、これは通産省としてはこういう自動車の公害に対して現在どのような機構及び内容的にやっているのでございましょうか。
○柴崎政府委員 ただいま先生御指摘の自動車公害の小委員会は、通産省でやらしていただいております。 運輸省との関係でございますが、大気汚染防止法に運輸大臣は車の排気ガスについて許容基準を設ける、その許容基準を設けた上で必要な対策は道路運送車両法でございますか、この法律に基づいて具体的にきめるという体制になっておりますので、いわゆる排気ガスの規制措置につきましてはすべて運輸大臣がやることになっております。 通産省といたしましては、主として技術的な面、技術的にできるだけ排気ガスを少なくするようなエンジン構造、あるいは燃料につきまして、現在四エチル鉛をガソリンにまぜましてオクタン価を上げておりますが、この四エチル鉛にかわるものがないかというような無害燃料の問題、そういった面に重点を置きまして、自動車公害対策とは取っ組んでおるわけでございます。具体的には常に運輸省と緊密な連絡をとりまして総合的な効果を目ざしているということでございます。
○佐藤(観)委員 これはまた本委員会に運輸省の設置法の一部改正案が出ているわけで、これから審議しなければいけないわけですけれども、交通安全公害研究所というのは運輸省につくる。どうもそこでも同じようなことをやられるのじゃないかというような懸念がするわけですけれども、これは後の質問に譲るといたしますが、この辺が完全に自動車、つまり運送業にかかわる公害というのは運輸省にまかしたほうがいいんではないか。どうも去年の公害対策特別委員会なんかの予算の説明によりますと、運搬に関する公害は運輸省でやり、その他の企業の公害は通産省というような、ばく然たるあれがほぼできているように私は読んだわけですが、その辺のところをもうちょっと御説明いただきたいと思うのです。その仕訳のしかたでございます。
○柴崎政府委員 結局自動車の生産段階で公害対策として取り上げ得る技術的な問題は通産省が責任を持ってやる、それからその自動車が使う燃料の質そのものにつきまして公害対策上改善すべき問題があればこれも通産省で取り扱う、一たんその自動車が市場に出まして動き始める以後の規制措置はすべて運輸省でやっていただくという分け方になっておりまして、現在この車の両輪は非常に順調に動いておるというぐあいにわれわれは感じております。
○佐藤(観)委員 公害というのは、本衆議院にも特別委員会を設けられるくらい、非常にばらばら行政の見本、というと語弊があることばかもしれませんが、そのように言われております。厚生省関係あり、総理府関係あり、経済企画庁関係あり、労働省も幾らかからんでくるということで、非常にばらばら行政の見本みたいに言われておるわけで、この問題についてはまた別の機会に質問させていただきとたい思います。 これで質問を終わるわけでございますけれども、最初申しましたように、本格的に機構的にもここで通産省が公害に取り組むわけなんで、その実をあげられることを望みまして質問を終わらしていただきたいと思います。
○天野委員長 鬼木勝利君。
○鬼木委員 私はいろいろお尋ねいたしたいのでございますが、当面いま私どもが最も心配しております石炭問題について少しお尋ねをしたいと思うのです。詳しいことやこまかいことは石特のほうで十分審議いたしたいと思いますが、しかし大臣はなかなか博学な方で、非常に何でも御存じでございますのでお尋ねをしたいと思うのです。 第四次の石炭政策が実施されまして、全国的に大規模な閉山が相次いでおることはすでに御承知のとおりであります。いつでしたか、石特で大臣はなだれ現象じゃないということを仰せになりましたけれども、これはまさになだれ現象で、このまま行けばせきとめることのできないというような今日の石炭業界の状態でございます。その影響するところもまたまことに甚大でございます。そこで炭鉱閉山を極力回避する、何とかして石炭再建ということにお互いは努力をしなければならぬと思うのでございますが、大臣はどういうお考えで石炭政策に対しては臨もうとなさっておるのか、四十五年度の出発にあたりまして大臣の抱負をお尋ねいたしたいと思います。
○宮澤国務大臣 最初に、先般のなだれ現象云々の点につきましては、なだれ現象でないと申し上げましたよりは、なだれ現象だと断定することもいまの段階ではいかがか、これはあとになって回顧いたしませんとわかりませんが、と実は申し上げたつもりであったのであります。 そこで、石炭政策はエネルギー政策の一環でございますから、一般の経済政策の考え方としては、私どもはなるべく市場法則、経済性というものを中心に考えるべきだ、一般の経済政策はそう考えておりますけれども、石炭につきましては御承知のようにここ十数年非難に特殊な問題でございますから、炭鉱労務者の問題もあり、また地域経済、地域社会の問題もありということで、いわゆる石炭対策というものに巨額の金を投じてこの十何年やってまいりました。炭鉱労務者の数も一時三十万をこえておりましたものが、今日はおそらく八万くらいになったのではないかと思いますし、これから先のことを考えてまいりますと、一般に雇用関係は、老年のような人は別といたしまして、いまや人手不足の時代でございます。及び、何と申しましても、労働環境で申しますと、よほど福祉施設が整っておりましても地下よりは地上で働きたいと考えるのが人情でございますから、石炭生産というものは、一つの労務の問題にすでにぶち当たっており、これから先それがさらにむずかしい問題になるだろうということは、まずまずはっきりしておると思うのであります。他方エネルギーのメリットで申しますと、昨今のようにタンカーが大型になってまいりますと、流体燃料のほうがコストも安いしまた扱いやすいという問題もございます。さらに先ほども佐藤委員のお話にもありましたように、液化天然ガスの問題もございますし、行く行くは原子力の問題も出てまいります。電力はもちろんでございます。そういたしますと、どうしてもそこで市場法則、経済法則というものがまた再認識をされる。いわゆる労働問題あるいは社会問題がありました間は別でございましたが、だんだんそういうものがなくなってきたということでございますから、原料炭はともかくといたしまして、一般炭について何が何でも石炭は掘らなければならない、そしてそれは政府が補助してでも需要家に使わせるようにしなければならないというようなことは、私はいつの日にかはもう少し経済法則のほうに引き戻して考えたい。いろいろこうはっきり申し上げますと御不満もおありかと思いますけれども、こういうことは急にやろうというつもりではございません。急激にやりますとまだまだ摩擦がありますから、そうではございませんが、本来からいえば経済政策の一環であるエネルギー政策の一部でございますから、やはり市場法則というものをだんだんに取り入れていくというのが本来ではないかと思っておるわけでございます。
○鬼木委員 一応大臣のおっしゃる理論的な根拠はよくわかります。わかりますが、石炭鉱業審議会ができまして、すでに第四次答申まで行なわれておることは御承知のとおりです。同じことを毎たび繰り返しておりまして、石炭産業に対して何も特筆すべき抜本的な政策が見られない。私は石炭の生まれというとおかしいのですけれども、九州でございますので、石炭の中におるようなものでございます。したがってまた、国会におきましても長年石炭委員をいたしてまいったものでございますが、毎たび後手後手で、閉山になれば当然わかり切った労働者及び御家族の方の生活問題が起こってくる、あるいは地域社会の経済に非常な悪影響があるとか、地方公共団体の財政が著しく逼迫するとか、その他鉱害の問題とか、生活保護者の激増だとか、失業者のはんらんとか、地域の文教政策の極度の疲弊、当然わかり切ったことを後手後手で押さえていかなければならない。十分わかり過ぎたことを同じことを繰り返していかなければならぬ。しかもそれがいつも不徹底である。そこで私は、いまも仰せになっておったようでございますが、石炭というもののいまの時点における最小限度の生産体制の整備、これをまず確立しなければならない、そして流通機構の整備をはかっていく、まずこれが一つの中心となっていかなければならぬ、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。 そこで大臣にお伺いしたいのでございますが、これは無理に大臣にと申し上げておるわけじゃありません。だいぶお疲れのようでございますから、局長さんや部長さんでけっこうでございますが、体制委員会の今日までの経緯について、あらましでもようございますからお漏らしいただけますならば承りたいと思います。またどういうことを御諮問なさっておるのか、将来またどういうことを御諮問なさるか、体制委員会の動きについて、これはいま全部が知りたがっておることでございますので、その点を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 そこで、先ほど前段までを申し上げたわけでございますが、私どもが考えておりますことは、そのようにして需給関係等から、あるいはコストの関係から、閉山をすることがやむを得ないと経営者において考えるようなことになってまいりますと、昨年来の第四次の特別閉山というようなことをやりまして、労働側に嘱して不測の損害が起こらないように、また金融上の混乱が起こらないように、あるいは事業団を活用して地域の社会に何とかこれにかわるようなてこ入れをすることをやってまいる。と申しますのは、そのようにいたしましてほんとうに経営として残り得る者が残る、ということは、その場合には適正な利潤があげられるということでございますから、そういう企業においては福利施設、福祉対策も十分に行なわれて、労務者もそういう場所に働くことを決していやがらない。そういう強い企業はぜひビルドしていきたい。他方で経営上どうしてもだめだというものは、国が特別な厚い保護を加えよう、こういうことを考えて今日までやってきたわけでございます。 それでは第四次対策後のわが国の石炭業というものはどうなるのか、その部分の青写真が欠けておるではないかということが各方面から取り上げられたのが、体制委員会というものを設置する必要があるという御意見であったわけでありまして、第一回の体制委員会を先般開きましたところでございます。体制委員会におきまして議論されました内容につきましては、ただいま政府委員から御説明を申し上げます。
○本田政府委員 去る四月二日に石炭鉱業審議会の総会を開きまして、体制委員会の設置を決定いたしました。十日に第一回の体制委員会を開催いたしました。 今回の体制委員会におきましては、御指摘のような非常に広い問題を含んでおるということから、審議事項あるいは審議手順等はこの体制委員会できめようということにいたしたわけでございまして、各委員から非常に広い問題につきまして自由な意見を開陳されたということであったわけでございます。 第一回の議論といたしましては、ともかく石炭産業の現状について正確な把握をして、その現状を分析し、諸対策を検討しようということになりまして、第二回におきまして、それらの現状の報告とそれに対する分析を行ない、引き続いて逐次諸問題について討議しようということに相なったわけでございます。
○鬼木委員 第一回の会合があったことは私もお話を聞いておりますので、いま直ちに結果がどうであったかこうであったかと、そういう無理なことを申し上げておるわけじゃないのです。大体経過がどういうふうになっておるか——体制委員会のほうも円城寺というたいへんベテランの大家がいらっしゃるのでございますので、将来はっきりした石炭産業の方向が示されるのじゃないか、私どもは大いにこれを期待いたしておるわけでございます。 問題は、先ほどから大臣の御答弁にもありましたが、政府が手厚い手当てをしてやる、これは山元といたしましてもみなひとしく喜んで感謝しておられると思いますが、閉山の防止ということは石炭産業にとっていま一番大事なことじゃないかと私は思うのです。きょうも、御承知と思いますが、私のところにも電報が入りました。やむなく閉山に踏み切った、労使、話ができ上がった、再建に一生懸命努力したけれども閉山のやむなきに至ったという電報が入っております。閉山をしますというと、いま大臣おっしゃった、私も申し上げたとおり、非常に動揺が大きいのでございまして、たいへんなことになりますので、いろいろ申し上げないで結論から申し上げますが、ここしばらくは鉱山整理特別交付金を延長していただきたい。四十五年度でこれは終わるということになっておりますが、四十六年度以降も特別閉山交付金を何とかして期間を延長していただきたい。なおまた、体制委員会の決定的な結論が出るまでは閉山は防止していただきたい。とめていただきたい。これは少し御無理な御相談かもしれませんけれども、むろんこれには経費を要することでございますので、そういう考えを私どもは持っておりますが、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
○宮澤国務大臣 これは石炭産業という長い歴史のある、しかもおのおのの企業がわが国の産業のパイオニアでもありましたし、また鬼木委員をはじめその地域に半生を送ってこられた多くの方々のことを思いますと、なかなか経経法則というようなことばかりでは申し上げにくいことではございますけれども、閉山というような事態について労使が、やむを得ないではないか、むしろ国の施策の厚いうちにそうすべきではないかと考えましたときには、労働側にはそんなに昔のような心配はございませんし、閉山を延ばして将来経営が好転するか、あるいはわが国の石炭に対する需要が非常に高まるかということになりますと、両方ともそうではなかろうというふうに労使が判断をする、また政府も考えるということになりますと、閉山を延ばすことによってどれだけの利益があるであろうかというふうに考えざるを得ない場合がございます。ことにそういう企業においては、本来経営が傾いているという場合でございましょうから、保安等についても、ともすれば欠けるおそれがある。また福祉施設等についても十分でなくなるおそれがあるというふうなことを考えますと、やはり私どもは、手厚い保護のあるうちに、閉山やむなしと考えられた人たちは閉山をされることはやむを得ないだろうが、その場合やはり問題になりますのは、地域の社会がどうなるかということでございます。ことにそれが島であるというようなときには、工場誘致と申しましても、工業団地の造成と申しましても、現実的な対策にはなかなかなりにくいのでございますから、地域の社会に対して当該府県なり国がどういうことをなし得るか、事業団が何ができるかというようなことを中心に考えていくべきではないかというのが私のただいまの考えでございます。いかにもこれは、ことばとしては冷たいというふうにお感じかと思いますが、先々経営が好転をする、したがって労働者にも迷惑はかけない、保安も福祉もだいじょうぶだということでありますと、これはもう何とかしててこ入れをしていきたい、またその準備も用意もございますが、そうでありません場合には、関係者が一致してそう判断をいたしました場合には、私どもはそれを前提にして対策を考えていくということがとるべき道ではないかと考えております。
○鬼木委員 いま大臣がおっしゃることはよくわかるんです。先ほども申しましたように、労使が合意の上で円満に手打ちができて——手打ちと言うとおかしいですが、閉山のやむなきに至った、そういうことになれば、これはもう閉山もしかたがないじゃないかと、大臣のおっしゃることはよくわかります。私らもしかたがない、やむを得ないと思いますが、石炭政策、石炭産業に対する対策というものがもうほとんど起死回生の見込みがないというような重病人に対して、やれ薬だ、やれ手当てだというような今日の姿のように私は思えるのです。だからそうでなくて、石炭鉱業の長期安定をはかるためには事前に予防策を十分講じるのがビルドじゃないか。スクラップ・アンド・ビルドというのは、スクラップ・アンド・スクラップということじゃないと思うのです。ただ閉山に次ぐ閉山——なだれ閉山で、閉山また閉山、スクラップ・アンド・スクラップじゃ私はいけないと思うんです。でございますから、私の申し上げておるのはそうじゃなくて、事前に、まあ先ほど申しましたように、体制委員会というのは、今日の石炭業界の体制が長期安定化するための一つの大きな根本の、中心になる委員会だと思うんです。体制委員会というものは閉山に対する対策の委員会ではないと思うんです。でございますから、どうでしょう、ここでひとつ大臣以下石炭に関係しておられるえらい方々に私は提唱したいのですが、ここで炭鉱に対して、その経営の状態とか、あるいは労務関係とか保安の関係とか、全般にわたって炭鉱の総点検をなさってはいかがか。炭鉱総点検、そして生産の近代化とか、あるいは鉱区の再編成とか、あるいは流通の合理化とか、そういうことをかねがね前もって——そうしますと、閉山が寝耳に水であったとか、これは意外であったとか、あれは大手でまだまだたいしたものだと思っておったのが突如として閉山、これには驚きました、というようなことがなくなるんじゃないか、こういうふうに私考えておるのであります。そういう点について皆さま方とここで——必ずしも私のことを固執するつもりはございませんから、大臣の高邁なお考えで、鬼木、君の言うのはいかぬ、おれの考えていることはこうだというようなことがございましたら、私は承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 役所といたしましても、各炭鉱の実情といいますのは、地方の局を通じまして、できるだけ詳細に把握するようにつとめておりますし、またかなり詳細に把握しておると思います。そこで閉山というようなことが表面化いたします前には、たいてい私どもの役所にはいろいろ御相談があって、そうして再建整備ができないか、そうすれば再建資金も出すこともできるわけでございますけれども、最初には経営者から、次には労働組合もということで、いろいろ御相談がありまして、経営者がやっていけるというような自信があり、かつ計数的にわれわれもそう思います場合には、ビルドに向かって進んでいくということがとるべき道であるというふうに、私どもは考えております。ただ事実問題は、そういうふうにお話のありましたときには、どうも経営者御自身が自信をやや失いかけておられるときが多うございまして、詰めていきますと、どうも自信がないというふうなお話になってしまう。しかしそれを私どもがまた事前に世の中に申しますことは、不測の事態を起こしますから、公にするわけにもいかないというようなことで、一般には突如としてというような印象になる場合が確かにございますが、それはそのような事情によるもので、私どもとしては、とにかくスクラップにすればいいんだというような立場は決してとっておりません。 それから御指摘のように、体制委員会というものは、したがってどれだけの山をスクラップにすべきかということを研究するところではないと思います。今後わが国の原料炭また一般炭の需給を客観的にとらえながら、労務の問題もございますが、その中でどういうふうにしていったら生き残れるものは生き残るか、また生き残るものは強く生き残ってくれなければなりません。そういうことをやはり体制委員会としては考えてもらいたい、こういうことを考えておるのでございます。
○鬼木委員 全くそのとおりだと私も思います。 そこで話を進めていきたいと思うのでございますが、先ほどからお話を承っておりましたが、原料炭の需要の増大に対処しまして、国内の原料炭の確保という見地からいたしまして、新鉱開発というようなことに、何か具体的なお考えがございますか。あるいはまた原料炭の新鉱開発のために鉄鋼業界あたりと何かお話し合いでもなさっておるか、呼びかけでもなさっておるような事実があるか、あるいはまたそういうお考えがあるか、その点を承りたいと思うのです。
○本田政府委員 御指摘のように、原料炭の需給は非常に逼迫状況にありまして、国内原料炭の確保というものが非常に重要な問題となっております。そこで新鉱開発しても原料炭の確保を進めるべきであるという考え方がございまして、さきに三菱の南大夕張炭鉱がすでに新鉱開発を進めておりまして、本年から出炭を見込み得る状況になっておるわけでございます。そのほかにも夕張新鉱あるいは有明新鉱等につきまして、原料炭の生産のために新しく新鉱を開こうという計画がございます。これに対しましては資金の問題が非常に重要でございますが、需要家側の格段の協力を必要とするという事情もございますので、こうした協力が前提ということに相なりますならば、計画の内容に応じまして、われわれとしても積極的に進めたいと存ずる次第でございまして、その際石炭鉱業合理化事業団の新鉱開発資金の無利子融資という制度を活用して、確保をはかるようにいたしたいと存ずるわけでございますが、その場合には開発銀行等の融資も期待いたしたいと存じておる次第でございます。
○鬼木委員 ただいま鉱山石炭局長からお話がございましたので、実は私も申し上げたいのでございますが、いまおっしゃったように、有明鉱なんかは有力な原料炭でございますから、直接これを取り入れる考えがあるかということを申し上げるのをいささか私ははばかったわけでありますが、原料炭の確保ということは、いま一番大事なことであり、全力をあげて開発すべきだと私は思うのですね。でございますから、金融機関なんかを動員する、あるいは鉄鋼業界あたりに呼びかけられるというお考えがある、将来そういう方向づけでいかれるところのお考えがあるというようにはっきり理解してよろしゅうございますね。
○本田政府委員 われわれとしては、そういう協力体制を確保して、新鉱を確保いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○鬼木委員 わかりました。そういうふうに明瞭に言っていただくと、話が非常に、順調に進んで、間もなく終わるということになるわけであります。 次に、電力用炭価の引き上げのことについてちょっとお尋ねをしたいのでございます。御承知のとおり、一般炭は価格も横ばい状態でございますが、労務費とかあるいは資材費等、生産費の高騰にどうしてもたえきれないで、企業収支面が非常に悪化しておる、これは御承知のとおりでございます。だから原料炭のみならず、一般炭の需要の大半を占める電力用炭の炭価の引き上げをお考えになっておるか。これはまた、非常にいろいろな差しさわりがございますので、もう御説明承らぬでもわかり過ぎておりますが、たいへんな支障があるように思われるので、まだ今日まで上がっておらないと思いますが、審議会あたりでも諮問をなさるようなお考えはないでしょうか、その点をひとつ大臣にお尋ねしたい。大臣がおれの責任でそういうことをうっかり言えぬとおっしゃるならば、どなたでもよろしゅうございます。なかなか微妙な問題でございますからね。
○本田政府委員 御指摘のように、値上げの一応期待できるようになった原料炭に対しまして、一般炭の状況というものは非常にむずかしい状態だというふうにわれわれも理解はしております。ただ、先ほどばく然と御指摘がございましたように、一般炭の価格引き上げにつきましては、重油との代替性というような問題からいろいろ問題がありまして、われわれとしては、いろいろの情勢を判断しながら考えていかねばならぬというふうに考えておる次第でございます。先ほど審議会の諮問事項とするかどうかということでございましたが、諮問するしないということよりは、むしろそういう問題を解決し得る情勢が進みつつあった場合に、非常に問題として提起しやすいわけでございますが、そういう情勢を、われわれとしては今後新しく展開するようにいろいろ検討したいというふうに考えておる次第でございます。
○鬼木委員 いやそれは一般炭が安くて困っている。先ほども申しましたように、収支の面も非常に悪化しておるということは御承知のはずなんです。ただ、それが電力用炭としていく場合に、油との関係、いろいろな関係があって、調節がなかなかむずかしい。電力用炭としてどんどんとってもらいたい、値段を上げるとなかなかむずかしいということで、あちら立てればこちら立たず、これはわかります。だけれども、どういうふうにこれに対してその解決策を皆さんがいわゆる前向きにお考えになっているか。だから、私ちょっと審議会にでも諮問をされるお考えがあるかどうかということをお尋ねしたので、局長の御答弁によれば、研究はしたい、何とかやりたい。これはばくとした話ですけれども、その点しか言われないかもしれぬけれども、これはひとつ真剣に考えてもらいたいですね。どうですか、ばくとした御返事でなく、真剣に考えますというようなことばを一声聞けば、これでまた次に移ります。
○本田政府委員 一般炭炭価の問題は、御指摘のように非常にむずかしい事情にありますが、一般炭の炭鉱の経理状況等を考えますと、これも解決を要する切実な問題であるというふうに考えておるわけでございまして、その辺の問題解決については、いろいろ実情に即しつつ真剣に考えてまいりたいと思います。
○鬼木委員 まことに満足に思います。 次に、先ほどから大臣もるる仰せになっておりましたが、石炭鉱業の労働力不足ということが今日非常に深刻な問題になっておるわけなんです。かつて三十万も四十万もおったのが、いまは七万くらいだという大臣の仰せであります。そのとおりでございます。労働力不足ということは、他産業においても、これはいわれるところでございますけれども、石炭鉱業の経営安定のためには、これは絶対労働力が第一の条件でございます。ところが、その労働条件の改善というようなことが遅遅として進んでいない。生活環境の整備というようなことも一応うたってありますけれども、全然できていない。離職者の問題でも皆そうでございます。ここに私記録を持ってきておりますが、老朽炭鉱住宅の問題なども、これは通産省の、おたくの委託によって調査してあるところでございますが、筑豊やあるいは九州の粕屋方面では四万三千五百五十二戸の炭鉱住宅があるのに、使用中のものが三万七千四百三十三戸で、あき家が六千百十九戸となっておる。修理不能または大修理を要するものは全体の四五・四%となっておる。老朽炭鉱住宅をはじめ、地域の環境整備は産炭地域振興対策の中であまり積極的な施策が見られない、こういうふうに、これはおたくの調査でございますが、載っております。これはかつて伊藤委員も炭鉱住宅の問題も話しておられました。労働条件の改善ということについても私も予算委員会で労働大臣にも申し上げたわけでございますが、何と申しましても、炭鉱の経営ということには、先ほどから申しましたように、炭価の問題、労働力の確保の問題、こういうことが根本をなすものだと思いますが、労働力確保ということに対してどういうふうになさろうとしておるのか、あるいは炭鉱は災害があるからこわい、爆発があったりいろいろあるからこわいという人もあります。どうでしょう、本田局長さん、これは労働力確保ということに対しては労働省の問題だと仰せになればそれで終わりでございますけれども、それに付随した条件がたくさんございますので、局長さんのお考えを……。
○本田政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたが、労働力の確保が今後の石炭政策の一つのキーポイントであるというふうにわれわれとしても考えておる次第でございます。第四次政策におきましても、労働力確保のためには石炭企業の企業体質が強化されることが必要だということで、企業に対する助成を非常に厚くするということを実施いたしたわけでございます。また直接労働環境の整備のためには、いま御指摘のありました炭住の改修につきまして、合理化事業団から無利子の融資制度を行ないまして、毎年一万戸余りの改修を実施いたしておるわけでございまして、労働環境の整備の点についても先般の対策で強化したわけでございます。また消極的ではございますが、先般の対策では、閉山に伴う離職の場合には退職金を全額保障するというようなことを行ないまして、退職に対する不安も除去するというふうに考慮したわけでございまして、われわれといたしましても、労働力の確保には各種の手段を講じてその成果をあげねばならないというふうに存じておる次第でございます。先般の体制委員会におきましても、委員のほうからも今後の石炭対策について労働力確保の問題が一つのキーポイントであるので、この点についても十分審議したいという意見が出されておった次第でございまして、これらの意見もよくお聞きして検討いたしたいというふうに考える次第でございます。
○鬼木委員 そこで、これはもういま局長の答弁されたことだと思うのです。問題は、それに積極的に取り組んで実践するかしないかという問題で答えは出るのでありまして、保安局長さんにちょっと私提唱を申し上げたいのですが、先ほども皆さんに申し上げましたように、この際私は、炭鉱というところはあぶないところではない、科学的に保安体制も非常によく進んでいる、先般来の炭鉱爆発のごとき不慮の災害が相次いで起こりますと、炭鉱というものはおそろしい、こわいところだというような一般観念を与えて、通念となっておりますが、この際、人命尊重という立場から、炭鉱保安の総点検をやるというようなお考えは、保安局長にはおありであるかないか、その点をひとつ承りたい。
○橋本(徳)政府委員 先ほど来、お話が出ておりますけれども、炭鉱の保安につきましては、御承知のように客観的ないろいろな条件と、それから主観的な条件とがいろいろあると思うのでございます。客観的な条件といいますれば、結局保安に関するいろいろな坑内の整備をするとか、あるいはいろいろな管理体制をしくとかいったような形でございまして、また主観的な問題といいますれば、これは経営者自体が結局この保安に取り組む姿勢の問題というふうなことで、こういった二つの側面から、炭鉱についての保安の確保をはかるべく努力をしているところでございます。しかし、現時点におきましては、計数的には災害率並びに死傷者の率も、若干落ちてはおりますけれども、やはり重大災害があとを断たないという現状でございますし、またこの二、三日来の様子を見ましても、そう大事に至らないまでも、若干の事故というものも発生しておりますので、先生のおっしゃいましたように、こういった二つの側面から万全を期するような意味におきまして、炭鉱の総点検を実施いたします。
○鬼木委員 保安のほうに対しては、これは私どもが常に重要視している問題でございますので、いま保安局長の総点検をした、またするように計画しておるというお話で、期せずして私の考えと一致いたしました。まことに喜ばしく思います。ぜひ保安体制ということには万全を期していただきたいと思います。 そこで、炭鉱問題は、先ほど申しましたように、こまかいことは石特のほうで御相談申し上げるということにいたしまして、次にお尋ねいたしたいことは、先ほども議題になっておるようでございましたけれども、この高度経済成長の影響は、大きな、著しいものがあるわけでございまして、なかんずくこの公害ということは、これは私はたいへんな、しかも人命に関係することでございますので、国家的な大問題だと思うのです。先般からイタイイタイ病だとか、あるいは水俣病とか、いろいろ私どもは、これに非常に心配をしたのでございますが、今回また福岡県の大牟田市の大牟田川にイタイイタイ病の因をなすカドミウムが検出されたということは、御承知と思いますが、その間の事情、大臣はお聞き及びでございましょうか。いや、お聞き及びでなければ何も御心配はなさらぬでもよろしい。ほかの者にお尋ねいたします。
○宮澤国務大臣 これはいつぞや他の委員会でもたしかお話がございまして、そのとき伺いましたが、政府委員から申し上げます。
○橋本(徳)政府委員 カドミウムの疑いのある鉱山並びに製錬所は全国で五十六ございますが、ただいまお話の出ました大牟田川もその一つでございます。大牟田川につきましては、昨年来福岡の監督局を中心といたしまして、こういったカドミウムにつきましての予防対策を会社側に命令をいたしまして、そういった施設が一応本年の一月に全部完了いたしました。その結果、いろいろ調査をしてみますれば、一応カドミウムの有害の基準を下回るというところまで実は改善をされてきておる状況でございます。しかし、あの川には長年の蓄積としてカドミウムがどろに含まれておりますので、そういったどろのしゅんせつにつきまして、現在県、市それから監督局、通産局寄りまして、そういった川のしゅんせつを現在検討中でございます。一応これをしゅんせつしようというふうなことで四者の協議がととのったのでございますが、こういったカドミウムの含まれたどろをどこに捨てるか、またその捨てた場合の管理、ほかに影響するのではないかということで、内々相談をし、企業サイドから必要な敷地の提供を求め、それの話し合いもつき、かつまたそれについての保全管理を十分するような工事の内容もきまったのでございますが、その折衝の窓口に当たっていただいておりまする市並びに県が地元の漁業組合との間に話が実はもつれまして、川のしゅんせつによって非常に川が一時的にせよ汚濁される。この汚濁がノリその他の魚介類に相当な影響を及ぼすというふうなことから、そういったものについていかに取り運んでいくべきかということについて、現在なお話し中でございます。おそらくそういったものにつきましての的確なる対策が見つかりますれば、早急にもそういった川のしゅんせつが行なわれると思っておりますが、いずれにいたしましても、そういった地元の漁業民と、それから市、県当局との間で現在折衝中でございますので、もうしばらくその推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
○鬼木委員 地元の新聞でございますけれども、「大牟田川のヘドロに含まれたカドミウムが川の水に溶解する恐れはないか。またカドミウムを使うメッキ工場が大牟田川沿岸にあり、排水の放出は野放しと聞くが、いかん」、こういうことが市議会で問題になっております。そこで、それに対して、「ヘドロ中のカドミウムが水中に溶解することは十分考えられる。またメッキ工場も沿岸にかなりあるので、今後排水に気をつけるよう事業主を呼んで注意する」、こういう答弁をしておるのでございますが、いまおっしゃるように、私も現地調査に参りまして、大牟田市の保健所、それから福岡県の公害課、それから、鉱山保安監督局、三者の方においでいただきまして、三者からおのおの事情を聴取いたしました。三池製煉所をまた訪れまして、代表者とも会見いたしました。詳しく事情も聞きました。ところが三池製煉所より一日に二万トンの廃水が放出されておる、そういうこともはっきり明瞭になりました。なおまた大牟田市の保健所、それから県の公害課、それからお宅の鉱山保安監督局、こういう三者の方がおのおのの立場において調査をされ、また会社側とも会見され、やっておられることも明瞭になりました。これは私決してどうだこうだ申し上げているのじゃありません。鉱山保安監督局も製煉所に対して、排出するところの水中にカドミウムを〇・一PPMをこえてはならないぞというはっきりした指導も与えておられます。その点はよくわかりますが、三者集まっていただいて、私どもが事情を承りましたところ、遺憾ながら三者の間に何にも連絡がない。県がどういうことを調査した、どういうデータを出した、市はどういうことをやった、いかなる結果が出ている、鉱山保安監督局はこういうことをやっている、こういう結果が出ているということは、三者三様、全部知らない。何らそこに有機的な連絡、つながりがない。何回も申し上げますように三者おのおのの立場においてやっていらっしゃることは間違いない。これは私はけっこうだと思う。しかし何もそこに三者の間に連絡もなければつながりもない。その点を私は非常に遺憾に思っておるわけなんです。そういう点はどうでしょうか。大臣でなくてもどなたでもいい、何かありましたら、それに対して反論してください。承ります。
○橋本(徳)政府委員 これは反論ではなくておわびと今後の問題だと思います。こういった公害の問題につきましては、確かにおっしゃいますように関係するところが非常に広範でございます。したがいまして、公害問題を取り扱う各出先の機関においては十分それぞれの分野に応じて連絡調整をとって、その間意思の疎通があるように、それによって地域住民の安心が保障される、こういった形において運用するようにということは、再三これは地方には申しておることではございます。しかし残念ながら先般大臣もお話し申しましたように、こういった公害という問題についてのそれぞれの分野における認識のしかたの度合いその他もございまして、必ずしも先生のおっしゃったように十分に横の連絡がとれておるかといいますれば、現実はそうではございません。したがいまして、こういった点非常に強く御指摘を受けましたので、これは大牟田川に限らず——もちろん大牟田川につきましては早速御指摘を受けましてから四者の連絡会議を開き、それの幹事役は県に引き受けてもらうというふうなことで、すでにもう三回連絡会議をやり、今後のスケジュールも一応立ててございます。しかし単に大牟田川だけではなしに、あらゆる河川なり、こういう公害の発生される地域なりというものにつきましては、県関係はもちろんのこと、それ以外に必要ならばそれ以下の市町村そういったようなところまで十分な連絡をとり、相互に資料の交換あるいは意見の交換ないしはいろいろな施策、それぞれの分野に応じた施策を相互に連絡をとってやっていただくというふうなことで、少なくともそういった体制をしくように監督局、通産局等へもわれわれとしても十分連絡をとっており、またわれわれも今後そういった形において十分円滑な運営ができるようにやってまいりたいというように考えております。
○鬼木委員 橋本局長さんはなかなか温厚な人格者で、もうそんなに答弁されると、私はあとには何にも言われぬようになりますけれども、いましばらく言わせていただきたいのであります。 まことに気の毒でございますけれども、大牟田の市長がこういう答弁をしておるのですよ。三者でいろいろ調査をされてカドミウムが出たというので、市民は非常な不安のうちに、これはどうすればいいか、あるいはテレビニュースなんかでやったとか、それは私は見ておりませんから、やったとかやらぬとか確認しておりませんけれども、非常に皆恐々として、これはたいへんなことになったと、不安のまっただ中において、市において議会が開かれた。そのときに市長はこのように苦しい答弁をしておるのです。「決して私どもは公害問題についてのデータを隠すような態度はとっていないのであります。はっきりしないことや不十分なデータを発表してはかえって市民の間に混乱を招くと思いましたので、差し控えました。」こういう発表をなさっておるんですね。決して公害問題についてデータを隠すようなことをわれわれはしたんじゃない、しかしながら、はっきりしないことや不十分なデータをと、こうあるんですね。それが市で言うことと県で言うこと、保安局で言うことがばらばらで、何も意見の統一もあっておらぬし、また総合調査も行なっていない。合同調査もしない。またその結果を発表して、この程度だから心配ないぞとか、なおわれわれは皆さんの御心配のないようにこういうふうにいたしますからとか、何ら結果報告もしてない。でございますから、市民の間では不安で恐々として、そうして市長はこういう答弁をしなければならぬ立場に追い込まれた。その点を私は申し上げておるわけなんですね。もうその点は橋本局長さんにはよくおわかりいただいておると思います。だから私どもは会社のほうにもよく行って代表者とも会って話し合いをしたのですが、会社のほうは、まあこれも承るところによると最初は少し渋っておられたそうでございますけれども、保安局の皆さんがおっしゃったから、「一日二万トンの廃水を出しているが、一昨年、七千八百万円を投じて排水処理施設をつくった。また、昨年五月厚生省はカドミウムの暫定基準として排水口で〇・一PPM以下、利用地点で〇・〇一PPM以下と定めた。鉱山保安監督局は昨年五月に調査した際、〇・三三——〇・二二PPMのカドミウムを検出したが、同工場はことし二月二十日、約四千万円の工費で新しい排水処理施設を完成させ、現在、排水口で〇・一PPM以下となっている。このため、利水点では〇・〇〇一PPMになっている。」こういうふうにこれはその後の新聞に出てきたわけでございます。私、取り寄せたわけですが、そこでその後は御指導どおりになっておると思いますけれども、またこれがいつ何どきカドミウムが検出されるか、摘出されるかわからないというような危険な状態にあるので、先ほどもお話があっておりましたけれども、あくまで公益優先ということが私は大事だと思う。その点は大臣の先ほどの御説明、御答弁は私はほんとうにありがたく思っている。企業優先であるべきはずはない。人間尊重でございますので、あくまで人命はとうといのです。だから人命を尊重して——過去においても企業優先というような考えではなかったと思いますけれども、そのためにこういう大きな公害が出て企業は大損害をこうむらなければならぬ。ところが公害の点を万全の策をとって人命尊重、公益優先ということを第一に置いていくから工場が発展するのだ、この点を私は強くひとつ指導していただきたいと思う。会社側に対して何も遠慮は要らないと思うのです。地域社会が会社のために発展し、その恩恵をこうむることは当然でございますけれども、地域社会の人命を損傷するようなことがあったならばその会社はたいへんなことだ。事と次第では会社は倒産しますよ、つぶれますよ。でございますから、人命を尊重し公益を優先することにおいて私は初めて企業が発展し成り立っていくんだ、だからその点はいささかも遠慮なく厳重に人命尊重の点から、地域社会の大衆を守るという点を徹底していただきたいと思う。局長、いかがですか。
○橋本(徳)政府委員 こういった公害から地域住民を守るというふうなことの基本的な考え方をいまおっしゃいましたのですが、これは全くそのとおりだと考えております。特にこういった蓄積的な病源体ともいうべきカドミウムとかあるいは水銀、こういったようなものにつきましては、むしろこういう実態を関係方面が十分承知をすることによって、早期にいろいろな事前の対策を講じられ、それによって問題が逆に軽微な段階で、軽い規制において十分防止できるというような考え方もございますので、われわれとしましては、もちろん地域住民の考え方自体を最優先というふうな考え方で、しかもそういった関係方面が十分その実態を理解しつつ所要の策を講ずるようにということで、その点については企業に対して十分な指導を現在やっておりますし、かつまた地方自治体自体もそういった面の協力をしてほしいというふうなことで、各地域におきまして、そういう体制をしいておりますので、おっしゃいましたような点についてなお一そう努力をしていきたいというつもりでございます。
○鬼木委員 それで、いま現在は基準以下になっておるということですが、そういう点をはっきり市民の皆さん、地域の皆さん方に公表していただいて御安心願いたい。なおまた将来に対しては、いま局長さんのおっしゃったように、ヘドロを全部総ざらいする、しゅんせつをやるというようなお話もありましたが、たいへん私は時宜に適したことだと思います。 なお、地域の漁民の方との折り合いがつかないというお話でございますが、そういう点に対しては円満にお話し合いをなさって、地域社会の住民を守っていただくことが会社を守ることになるのだ、こういうことを私は申し上げておるわけでございまして、将来とてもこれはいささかも油断はできないと思うのです。もうすでに御承知と思いますけれども、この三池製煉所での亜鉛の製錬は、これはもうずいぶん長いことやっておるのでありまして、御承知のとおり月間六万五千トンほど亜鉛を生産しております。これはたいへんなものでございます。この亜鉛生産の加工工程で十六トンほどのカドミウムを使用いたしておりますから、これは排出されることは当然でございます。絶対これがあることは当然でございます。しかもこの三池工場や隣の三井東圧化学もございまして、大牟田川に化学廃液がずっと流出されております。だから化学薬品のにおいが出て、あの川のそばには寄りつけないように悪臭を放っております。公害問題が非常にやかましくなって、今日そういう点が取り上げられておりますが、御承知のとおり河口はノリの漁場でございます。これとてもおたくの保安局で南北一地点だけ抽出して検査していらっしゃる。そして〇・〇〇一以下だから安心だ、こういうふうにおっしゃっております。しかし河口の、あの広漠たる海の中の利水地点のノリの漁場のたった一点だけはかって、〇・〇〇一PPMだ、安心だ……。私らとしては非常に納得のいかない調査の方法です。ノリ業者はいまのところはまだノリを一生懸命やっております。だけれども、これが将来ノリに非常な被害が出てくるということになれば、これはたいへんな問題です。県のほうとしてはいまノリを検査にやっておる。水質検査はしない。経済企画庁のほうでカドミウムは、地域指定に入っていないから水質検査はやっておりません、ノリの現物をいま検査にやっておりますといったようなこと。大牟田市は水質検査はやらないで、大学の山口教授にお願いして、そしてヘドロだけを検査しておるというようなことで、ほんとうに公害行政はばらばらといいますか、公害行政は全然連絡がとれていないんですね。でございますから、このカドミウムにつきましてはかつて神通川のああいう悲惨な状態、それから水俣病のようなことのないように最善の対策を立てていただいて、そのつど公表していただく、そして地域住民の方がみな安心されるように、想像や揣摩憶測でいたずらに不安感をつのるようなことのないように、切に私はその点をお願いする。せっかく保安局でも、県の公害課でも、市の保健所でもおやりになっておるのですから、私はそういう出先の機関の方々を責めておるのじゃありません。おやりになっておるのです。だけれども、そのおやりになっておることが何ら結果が出ていない。また発表されていない。そして何も役立っていない。そこに通産当局の責任者である大臣の威令が行なわれていないのではないか。保安局長のお考えが末端まで——末端というとはなはだ御無礼でございますが、出先機関にまでお考えが通じていないのじゃないか、その点を私は非常に憂えるものでございます。せっかくいい施策、いいお考えをお持ちである大臣のお考えが通じていないのじゃないか、それを私は非常に遺憾に思うのです。その点最後にひとつ大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この数年でございますけれども、こういう問題をめぐってだんだん世の中の認識が高まってまいりまして、当初は産業省として、事実関係にもいろいろ問題があったのかと思いますが、いわば、こういうことは容易に認めがたいというような態度をとったやに私見かけられる点もございましたけれども、もうそういうことは最近ではございませんで、産業をあずかる役所としても、ただいまの公害の防止というのは一つの非常に大切な仕事である、むしろ産業をあずかっておるからこそ企業に対してもそういう防止のために呼びかけやすい立場にある、その立場から呼びかけるべきではないかというのが、先ほど来政府委員の申し上げておることでありまして、今後ますますそういう認識は行政の中で強めてまいりたいと思います。ただ、それとは一応関係のないことでございますけれども、いやしくもそれだけの立場をとって企業にもものを申し、また防止に当たるということになりますと、現実に危険な物質の存在があるというようなことについては、やはり正確にこれを把握しなければ強い態度がとり得ないわけでございますから、これはただいま申し上げたこととは姿勢においては同じことなのでございまして、しっかり確認をし、そうしてしっかり防止の対策を講じていく、こういうことでなければならないと思います。
○鬼木委員 そこでこのカドミウムの問題でございますが、将来、今回のこの通産省の設置法の一部改正にもありますように、保安局を公害保安局として一本化される、通産省内において一本化する、私はたいへんけっこうなことだと思うのです。ばらばらになっているのをみな一本化する、行政の一本化ということは私は非常にけっこうなことだと思うのですよ。でございますから、せっかくそういう法案の審議になっておりますので、そこで私はこの公害問題を特に取り上げてここで申し上げたわけでございますが、鉱害と公害、いずれにいたしましても、今後公害保安局というものを通産省に発展的に新設されるということになりますならば、私はこの機能を十分発揮していただきたい、そしてわれわれが安んじて生業ができるように、くれぐれもお願いをいたしたいと思うのであります。 これで私の質問を終わります。たいへんどうもありがとうございました。
○天野委員長 東中光雄君。
○東中委員 八日の日に大阪のガス爆発事件がありまして、私も大阪出身ですので、テレビを見てすぐに飛んで帰ったわけですが、現場の模様は大臣も行かれまして御承知のように、全く戦時中の一トン爆弾が落ちたときの被害のように、現場へ行ってその悲惨さにびっくりしたわけですが、その後ガス爆発の原因あるいはガス漏洩の原因等で対策本部長としておわかりになっておる範囲でひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ああいう事故を起こしましてまことに申しわけないと思っております。 原因につきましては、まだ調査が完結をいたしておらないと聞いております。当初五百ミリの低圧管のほうからガス漏れがあったというふうに聞きましたが、それはどうも三百ミリの中庄のほうではなかったかということを聞いておりますし、それがどういう原因で起こったか、ジョイントではないかということも聞いておりますし、しかしそれが引火した、あるいは爆発したということがどういうことであったか、修理にかけつけましたガス会社の自動車が直接間接に爆発の原因になったのかどうか、疑いの範囲というものはその辺の何点かだということは聞いておりますけれども、最終的なことを聞いておりません。 他方で連絡対策本部を設けまして、すでに二回の本会議と幹事会とをいたしまして、当面講ずべき対策、これはもう昨晩直ちに出すということを決定いたしましたが、あと工法でありますとかいろいろな問題は、一カ月ほどのうちに各省の議をまとめていくことを決定しております。
○東中委員 それでは最近のガス漏れ事故について、昭和四十一年からの全国でのガス漏れ事故の年度別件数と原因と死傷者がわかりましたら明らかにしていただきたい。
○馬場政府委員 四十一年からの全国のガス事故でございますが、これはガス爆発とガス漏れを含めまして、ガス事業法による報告によりますと、四十一年が全国で六十五件、四十二年が六十件、四十三年が八十三件、四十四年は、一部推定が入っておりますけれども、八十八件ということになっております。 それから、そのおのおのの件数の中で、いわゆる他工事に関連をいたしまして事故が起こりましたものを内数として申し上げますと、四十一年は全体六十五件のうち二十一件、四十二年は全体六十件のうち十四件、四十三年は全体が八十三件のうち三十一件、四十四年は八十八件のうち三十三件、大体比率にいたしますと各年約三割程度になろうかと思いますが、その程度のものがいわゆる他工事に関連する事故でございます。
○東中委員 いま言われましたガス漏れ事故の中で、ガス爆発と言われる事故の件数を明らかにしていただきたい。
○馬場政府委員 四十一年は六十五件中ガス爆発と称しますものは七件、四十二年が六十件中十一件、四十三年が八十三件中十四件、四十四年は八十八件中十八件ということになっております。
○東中委員 このガス爆発による死傷者の件数、年度別でけっこうですが、わかりましたらお願いしたい。
○馬場政府委員 死傷者の数は、四十一年は六十七名、四十二年が五十九名、四十三年五十名、四十四年四十六名でございます。
○東中委員 ガス漏れ事故というふうに言われるものと、事故までに至らないガス漏れとがあると思うのですが、大阪瓦斯で昨年一年間ガス漏れが発見された件数、それはどれくらいになっておりますか。
○馬場政府委員 大阪瓦斯について申し上げますと、四十三年二月から本年二月までの一年間に、これはいわゆる全地点ではございませんで、第三者工事、いわゆる他工事の現場におきまして、少少のものも含めましてガス漏れの件数は合計二千六百四件でございます。
○東中委員 このガス漏れをしている原因、たとえば工事によってつるはしで傷つけたとか、そういう外的な、物理的な力が加わってガス漏れをしたとか、あるいは地盤の沈下、均等沈下ではなくて断層ができたり何かして出たとか、こういう不可抗力のように思われるような分もあると思うのですけれども、そのほかどういうふうな原因——でガス漏れ二千六百四件といいますと相当の数ですので、類別するとどういうふうになるかを明らかにしていただきたい。
○馬場政府委員 二千六百四件というと非常にたいへんな数でございますけれども、その大部分は、ガス導管その他の工事現場におきまして、ガス導管の継ぎ手部からごく少量の漏れが発生をしたというもので、パトロールその他で発見をいたしたものでございまして、非常に数は多うございますけれども、この中で先ほど申し上げましたガス事業法による報告事項、つまりそのガス漏れもしくは爆発によりましてガス工作物自身に損傷を生じましたもの、あるいはそれが第三者に人身事故等を引き起こしましたもの、あるいはそのガス漏れの修理を行ないますために、一時その地区における供給をとめるというような範疇にまで達しましたものが、先ほど申し上げました事故件数にのぼってくるわけでございますが、これは大阪瓦斯について申しますと、当該年度におきましては二千六百四件のうちの七件にすぎません。それ以外のものは、いわゆる継ぎ手部から少し漏れておったというのを見つけまして修理をした、こういう程度のものでございます。
○東中委員 継ぎ手部からのガス漏れが出てくる原因なんですが、老朽とかあるいは上の交通による振動とか、いろいろ考えられると思うのですけれども、そういう継ぎ手部のガス漏れ原因の追及というのはどの程度やられておって、そういう結果が出ておるか、この点をお聞きしたい。
○馬場政府委員 ガス管は通常地中に埋設されておるわけでありますが、地下鉄工事等、いわゆる他工事が行なわれますと、その地点におきましては工事中ガス管を露出いたしまして、つり防護その他いろいろの防護方法を講じて工事を行なうわけでございます。そういうものを工事中は掘り起こしますので、埋設されておりました状況とは当然ガス管の環境が変わります。ガス事業者は通常そういう状態にあるガス管を養生中のガス管である、こう称しておるわけでございますが、環境が変わるわけでございます。そういう環境が変わりますと、普通ガス導管の継ぎ手部に通常の状態よりは別の異常な荷重が加わることによりまして、その部分がゆるみ、ガス漏れが発生するチャンスが通常の場合よりはるかに多いわけでございます。二千六百四件につきまして、その一つ一つについてどういう状況、どういう荷重で起こったかという詳細なデータは、いま把握いたしておりませんが、概括して申し上げますと、そういう状況であろうかと思っております。
○東中委員 いまガス爆発を起こした問題の大阪地下鉄第二号線のあの工事で、いま問題になっている八日の爆発前後一週間くらいの間にあの区域内で起こっておるガス漏れの個所、それから程度について明らかにしていただきたい。
○馬場政府委員 これは今度の事故の起こりました現場のもよりの工区におきまして、事故の起こります一週間ほど前からのいろいろな、そういうガス漏れのデータその他につきましては、われわれ新聞等で聞きましたり当事者から聞きましたりしましたが、断片的なもの以外は全体を把握いたしておりません。これはおそらく同時に警察のほうの調査等が行なわれますために、作業日誌その他が警察のほうに行っておる関係上、全体を把握して申し上げる用意はございませんが、いろいろ新聞なりあるいは当事者から聞きました断片的なことでは、当日より三、四日前に同じ地点でガス漏れがあった。それは報告を受けましてすぐ修理をいたしたわけでございますが、そういうことについては聞いております。
○東中委員 三、四日前といわれているのが今月四日の深夜、しかもそのガス漏れの場所は、本件の爆発をした継ぎ目と同じ個所の継ぎ目ですね。しかも徹夜で復旧工事をやらなければいかぬほど相当大きな規模のガス漏れであったというふうに聞いておるのですが、その点はどうでしょうか。
○馬場政府委員 四月四日の夜のガス漏れにつきまして、われわれ聞いておりますのは、こういう状況でございます。今回の地点と、もよりの地点におきまして、問題の三百ミリの中圧管の継ぎ手部分からガス漏れが発生いたしまして、これは現場で作業中の鉄建建設から当日の午後九時二十分に大阪瓦斯のほうに連絡がございまして、大阪瓦斯から直ちに出動いたしまして、バルブ操作によりましてその中圧管のガス圧を下げました上で継ぎ手の部分を分解修理いたしました。午後十時三十分工事を完了した、こういう状況のように聞いております。
○東中委員 このガス漏れがあった場所は、三百ミリ中圧管も五百ミリの低圧管も屈折をしておる場所であるというふうに聞いているのですが、そうでございますか。
○馬場政府委員 この四月四日の部分につきましては、ちょっとその辺のところ正確でございませんが、今回事故の起こりました、つまり中圧管の継ぎ手部分が抜けたといわれていますが、それは直線部分ではなくていわゆる曲がっておる部分でございます。
○東中委員 私も現場で大阪瓦斯へ行って直接調べてきたのですが、同じ屈折をしておる場所なんです。同じ曲がっておるそのところでのガス漏れが四日にあって——ただ、私そこでお聞きしたいのは、そういうガス漏れがあったら、これは発見が早くて修復された、それでその範囲ではいいと思うのですけれども、なぜガス漏れが出てきたのかということを全然追及をされないのか。ガス会社としては保安の問題原因があって結果としてガス漏れが出てきておるわけなんで、そこだけを押えたって、また同じ原因が続いておる限りはガス漏れが続くということになると思うのです。現にこれは四日後に起こっておるのですから。ゴムパッキングを入れ、鉛を注入して補修を完全にした、こういっておる同じところなんですから、なぜそういうガス漏れがしたのかという原因——ガス漏れしたのはパッキングがゆるんだからだとかいうのではなくて、ゆるんだ原因ですね。そういう点、公開されておる状態の中で、埋設されておるのではない、いわば工事中ということで異常な状態で起こっておるわけですが、その原因追及は全然ガス保安という観点からやられていないのかいるのか、そこのところを明らかにしてほしいのです。
○馬場政府委員 おっしゃるとおりでございますが、この地下鉄工事現場は、そこにございますガス管が通常の状態で埋設されているということでなくて、地下鉄工事のために露出をし、つり防護をされた状態で懸架をされているわけでございます。先ほど申し上げましたように、ガス管が掘り起こされましてつり防護をされておる期間中、そのガス管の防護につきましては、工事を始めます際に、この場合でございますと、市交通局と大阪瓦斯との間に、つり防護の方法なりあるいは工事中のいろんなガス管の保安に関する事項につきまして、こういうぐあいにやるという話し合いがあるわけでございます。そういう状況で、つり防護その他立ち会いましてやっており、かつその間、それによって地下鉄工事が進んでおります。一方ガス会社のほうは、ガス工作物の保安という見地から、毎日大阪瓦斯が巡回点検をいたしておるわけでありますが、いわば工事そのものの環境は、そういう露出された環境で各工事が行なわれておりますので、パトロールをいたしまして、異常を発見いたしました場合に、そのつど修理の措置をとるということはガス事業者がいたしますけれども、その露出されておる期間、いろいろな異常振動なり異常加圧なりあるいは下の工事の影響ということについて、そのときどきの正確な状況がどうであったか、あるいはその原因が何であったかということを詳細にトレースいたしましてそれをやるということは、ガス事業者だけの立場では実際上なかなかコントロールできにくい状況にあるということじゃないかと思っておるわけでございます。
○東中委員 結局、そのガス漏れが起こるような事態になった原因についてはやっていないということ、そういう追及はガス会社だけではやれないということで、補修はするけれども、原因追及まではしていないというふうにお聞きしたわけです。ところがいま言われた懸吊ですね、曲がっておるところも直線のところも同じ仕様書で懸吊をやっておる。これも調べてきたのですが、その点はどうでしょうか。
○馬場政府委員 直線部も曲線部もつり防護は同じ仕様でやっておるかと思います。
○東中委員 曲線の場合は、同じ中圧でも、圧力の加わりぐあい、あるいはねじれが出てくるというふうな問題があって、これは専門的なことになってくると思いますけれども、常識的に考えましても、やはり特別な処置をしないと——だから保安が非常に形式的になってしまっておる。現に起こっていることについて、あとからあとから張りかえていくようなかっこうにしかなっていないというところに、非常に問題があると思うのです。同時にこの工事現場では、爆発したそこから五百メートルから七百メートルくらい西に行ったところでも、ちょうど大臣がお見えになっているときです、私もそこを通って、ひどいガス漏れで一時引き返そうかと思ったくらい、ガス漏れがありました。ガス会社の人たちがすぐに来て、掘り起こしておりましたけれども、これは私自身が体験したのです。あとあと頭が痛くて往生したわけですが、その個所についてのガス漏れの状況なんかはお聞きになっておるでしょうか。
○馬場政府委員 先生が経験をされましたその地点というのは、われわれさだかに承知しないわけでございますが、そのお話に関連しましてわれわれのほうが受けております報告で、あるいはこれであるまいかと思い当たります点は、事故現場から梅田寄りに約三百メートル離れた地点に、問題になりました中圧管のガバナーがございます。ガバナーと申しますのは、中圧から低圧に落としますその切りかえのガバナーでございますが、この中にも通常少しガスが入っております。当夜、事故がありまして中圧管のバルブは締めておるわけでございますが、このガバナーにはガスが残っておりますので、爆発のあと始末として事故のあと深夜十二時ごろに、大阪瓦斯の作業員がガバナーの中にあるガスを放出したということは聞いております。あるいはこのガバナーにたまっておるガスが放出されるそのにおいのことではあるまいかと思っておるわけであります。
○東中委員 中圧管のバルブを締めたその処置だというのだったら、バルブを締めるのはバルブを締めるようにちゃんとできているので、つるはしを持っていって掘り返したりする必要は全然ないわけです。私が現に見たのは掘り返している状態なんで、だから、そこに来ているからもう処置するのだろうと思って通り越したという状態なんですが、そういう形でもガス漏れがやられておったし、十日の都島、本件事故からあまり離れていない、今度は逆のほうの側での発見がされている。しかもそれらのガス漏れの起こってくる、継ぎ目がゆるんでくることの原因をいままでやられていないようですが、この原因を根本的に追及してこそ抜本的な対策になると思うのです。四日のガス漏れのときにそれがやられておれば、八日の爆発はなくて防げた。現に漏れて、鉛まで持っていって徹夜で詰めているのですが、なぜそういうことになったのかということを追及されていたら、起こらなかったのではないかというふうにも思います。そういう点、ガス漏れが起こる——つるはしで切ったとか、ブルドーザーが当たったとかいうのなら、原因はきわめて物理的に明らかですけれども、そうでない部分の原因を総合的に点検しないと、特に総点検という中でやられた都島の場合でも、漏れているからふさぐということだけである。なぜここで漏れているのかということは全然やられていないと思うのですが、そういう角度からの点検を進められる御意思があるかどうか、その点、大臣にお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、導管がつり防護になっている状態は、決して自然な状態ではないわけでありまして、しかもそれがワイヤロープでくくられるという軟構造ではなくて、かなり剛構造で置かれておるわけでございますから、振動等に対しては一体どのくらい弾力性があるものだろうか。かりに振動などが起こりますときには継ぎ目に一番影響が多いはずであるということを、私どもしろうとなりに考えます。 そこで実は昨年板橋事件以後、導管防護対策会議というのを数カ月いたしまして答申をもらったわけでございますが、その会議に参画されました数名の専門家をわずらわしまして昨日現地に行っていただきまして——昨年の会議の答申は、おそらくいろいろモデルで計算されて答申を出されたものと思いますけれども、現実にこういう災害がありました現地において、地上における車両等の振動がどのくらいその剛構造に影響を及ぼすものであるか、継ぎ目などはどのように影響されるかというようなことを現実に調べてもらう必要があると私どもも考えまして、昨日から現地に行ってもらっております。したがって、従来わからなかったそれらのことが今回把握できるのではないであろうか。まことにおそまきで申しわけないと思いますけれども、その所見を待ちたいと思っておるところでございます。
○東中委員 工事現場におけるガス保安を含めての保安ですが、建設会社は保安協定でつくられておる専従保安要員をきめてなかったようなんですが、その点建設省はどうお聞きになっているでしょうか。
○加瀬説明員 ただいまの点でございますが、現場へ当日私参りまして、いろいろ調べてまいりましたが、現場で聞いたところでは、ガス会社あるいは現場の建設を請け負っておる会社、それから交通局、三者で定例的に保安会議を持って対策を検討しておる、当日もそういう三者で点検をしたということを聞いております。
○東中委員 仕様書を見ますと、これは鉄建建設ですね、建設会社で巡視員と専従の保安要員を置くということになっておるのですが、実際は鉄建建設としては保安要員を出していないし、巡視員という人をきめておるわけでもない。全く保安については下請まかせでほうってある、こういう状態が起こっておるのですが、そういう事実をつかんでいらっしゃいませんか。
○加瀬説明員 建設業の関係につきましては建設業課で現在調査を実施中でございますが、私はその点はまだつまびらかにしておりませんので、先ほど申し上げたようなことしか聞いておりませんん。
○東中委員 担当の方じゃないようですので、おわかりにならぬかもしれませんけれども、いずれにしても私たち現場で見た範囲では、建設会社が下請の人に命じているということはあったけれども、建設会社自身の責任で何ら保安要員をきめていない、こういう状態なんですね。 さらに、大阪瓦斯の巡視点検というのが、保安協定で一応きめられておるわけですけれども、この巡視点検のやり方ですが、鼻でやる、においでやるというのが第一義的なものなんだということで、非常にプリミティブなやり方だということを感じたわけですが、ガス検知器を工事現場に置いておく、そしてガス漏れを早期に発見する、その保安対策をとるというふうな基準というのは、当時はできてなかったし、現実にやられていなかったというふうに思うのですが、そういう状態であったわけですか。
○馬場政府委員 お答え申し上げますが、その前に、大阪瓦斯の点検巡回を交通局なり工事業者との間の協定に基づいてやっておるというお話でございましたが、それはそうではございません。協定ではそういうことは協定されておりませんで、これは大阪瓦斯がガス工作物の保安管理の責任をガス事業法で負っておりますので、そういう意味で大阪瓦斯が独自にやっておるものでございます。 それから、大阪瓦斯のパトロールは毎日やっておりまして、当日も事故の起こりますちょうど一時間ほど前、三時半から四時半までの間に合計四名、これは長は三十九歳のガス事業の経験約二十年くらいの工手補の人でありますけれども、この人を長にいたしまして、パトロールをやっておるわけでございます。 それからそのパトロールのやり方でございますが、これは第一段階は、先生おっしゃいましたように、いわゆる嗅覚と申しますか、においをかぐという方法でやっておるわけでございます。たいへんプリミティブな方法のようでございますが、現在、いわゆる都市ガス漏れだけを鋭敏に有効に検知いたしまして、それ以外にその現場にはいろいろ上に自動車その他の排気ガス等もございますが、その他のガスは検知しないという進んだ検知器がまだ開発されておりませんので、第一段階の検知は嗅覚で行なうというのが、原始的ではありますが、各国の通例のように聞いております。もしそこで異常を発見いたしますと、最後的にどこの地点のガス漏れかの検知をやります。一番詳細な方法は、石けん水を当該の疑わしいつり手に塗りましてガスを検知するという段階になるわけでございますけれども、当日は巡回いたしましたところ、嗅覚検知ではその時刻には異常がございませんでしたので、その石けん水の検知までは、材料は持っていっておりますけれども、やっていないという状況のように聞いております。
○東中委員 いわゆる保安協定ですが、四十四年八月二十日にかわされておる保安協定の掘さく部門を見ますと、地下埋設物の企業体が掘さく時期においては「必要に応じ巡視点検」という業務を担当することを協定しているんじゃないですか。いましておらないとおっしゃっていますけれども、そうなっておるのではないですか。
○馬場政府委員 この交通局と大阪瓦斯との間にかわされております文書を読んでみますと、協定と申しますよりは、むしろ市交通局がこういう場合はどういう方法で地下鉄工事をやり、かつその間ガス導管その他いろいろ埋設物がありますので、その埋設物の企業体に対しまして、どういう方法でやるから貴社も協力してほしい、こういう趣旨の文書が出ておりまして、当事者間でそういうふうにやっておる、こういう内容のように聞いております。 それから掘さくの間は、このうしろについておるやり方の部分を見ますと、「必要に応じ巡視点検」というのがございまして、それから別途「特記事項」というのがございまして、これはつり防護、懸垂をしておるわけでございますから、そのガス管の懸垂の状況につきましては、ガス事業者が「自主的な立会及び漏洩調査」をやるということになっております。これは約束でどうこうといいますよりは、ガス事業者が自主的にやる、こういうたてまえのように受け取っております。
○東中委員 このいわゆる保安協定ですが、形式は保安協定というふうにはなっていませんけれども、俗に大阪市・大阪瓦斯の保安協定ということばでいっておる。この文書がつくられるようになったのは、昨年の板橋区のあの爆発事故があって、それで慎重にやらなければいけないということが、通産省から指導もあって、それでこの八月からこういう協定をつくるようになったんだ、こういっているわけですね。そういう経過から見ると、工事現場へ行きますと、建設屋さんも大阪市も、ガスのことはガス屋さんでなければわからぬのだ、連絡してもろうたら、ガス屋さんに通報するだけだと言っておるのです。この協定でいくのだと、こういう状態になっておって、通産省の指導でやられたこのいわゆるガス協定が、大阪瓦斯が自主的に協力する程度のものにすぎないのだ、いま、局長が言われたことばでいえば、そういうことになるわけですね。やってもやらぬでもいい、自主的に協力しているだけなんだ。これでは、ガスに対する保安体制としては非常にまずいんではないか、むしろ、これは板橋区の経験に基づいての改善された協定なんですから、この点は、ガス会社の保安についての管理責任をもっと指導、監督してもらわないと、非常にぐあいが悪いのではないか、こう思うのですが……。
○馬場政府委員 私の答弁が非常にことばが足りなかったかと思いますが、両者の間で協定と申しますか、合意があるわけでございます。この合意は、昨年の板橋事故の経験にかんがみまして、いろいろ地下鉄工事等をやります場合のいろいろなガス導管の防護等について取りきめたものでございます。それで、たとえばつり防護をいたすような場合には、この別表にもございますように、両者がそういう時点では相互に立会をいたしまして、つり防護が十分であるかどうか、あるいはつり防護の仕様はどうであるかというようなことについては、お互い協議の上できまっておるわけでございますが、ただいま先生お尋ねのそういう防護が行なわれましたあと、毎日どういう状態でその点検、巡視を行なうかという部分につきましては、先ほど申し上げましたように、この文書にもございますように、ガス事業者が自主的な立会及び漏洩調査を行なう、こういう了解になっておるわけでございます。ガス事業者は、本来、工事がございましょうとございますまいと、自分の導管でございまして、ガス工作物でございますから、これの維持管理については事業法上当然の責任を持っておりますから、そういう意味合いで、その防護中の状況につきましては自主的に立ち会いもしくは漏洩調査をやっておる、こういうことを申し上げたつもりでございます。
○東中委員 ガス会社の自主性にまかしておるということでいいのかどうかということを私は申し上げておるわけですが、指導されてこういう形の協定が一応できるようになったというのだが、そういう意味では少し前向きになったということですね、昨年の教訓に従って。しかし、それが現状では全く自主性にまかされておるという。ガス会社は、公益会社ですけれども営利会社です。その自主性にまかされておるということで、こういう大爆発を起こすような危険性を持ったガスの保安という点で、一体十分なのかどうか。今後この点についてどうされるんですか。その点をお伺いしたいと思います。
○馬場政府委員 この工事を行ないましてつり防護等を行ないますときに、その仕様がどうであるか、あるいは懸垂をどういうぐあいに実際にやったかどうかということは、繰り返し申し上げますように、両者立会をいたしました上でやっておるわけでございますが、そのあとでいろいろ、その導管の状況がどうであるかということにつきましては、ガス漏れ等についての専門家でございますガス事業者が、現在の状況では自主的に立会し、漏洩調査をやっておる。むろん、二十四時間中しょっちゅう現場におるわけではございませんので、工事を現場でやっておられます方も、ガス事業者が参りませんときに異常に気づかれましたときには緊急に御通報を願うということは当然かと思いますけれども、日々の点検を、専門家であるガス事業者がやるたてまえになっておるということ自身は、これでいいのではなかろうかと私は思っております。
○東中委員 そうすると、今後第三者工事をやる場合のガスの保安監督体制というものは、いまのままでいく、こういうことですか。保安の監督体制をガス会社あるいはその関連する人全体で、技術的にそういう保安についてあるいはガス漏洩に対する原因追及についてのある程度の専門的な知識を持った、資格を持った、そういう保安要員を置くというふうなことをやろうということではないんですか。そうはされないんですか。
○馬場政府委員 保安監督というその意味が、つまり工事現場におきまして、工事が進みつつあるときにガスの状況を点検いたしまして、もしふぐあいなところ、あるいはいわゆる地下鉄起業者にこういうものは直してもらいたいという要求事項がガス事業者のほうでございましたらば、それを申し入れまして、そのとおり改善をしてもらうということもあろうかと思うわけでございます。同時に、いわゆる地下鉄、この場合における他工事起業者の側におきましても、ガス事業者ほどの専門知識はなくとも、ガスの保安について一定の知識、経験を持っておられる方が現場におられて、ガス事業者が回っておらない時期に、工事起業者のほうでもガス管の状況についてある程度見ておっていただく、異常があれば教えていただくということがガス事業者の点検と並行して行なわれるということができれば、なおさら望ましいのではないかと思いますけれども、他工事起業者はむしろ、土木建設の専門家ではございましょうが、ガスそのものについての専門家はいらっしゃいませんので、そういう方々をそういう起業者の中でどういうぐあいに養成していただくか、そういうことが必要ではなかろうかということも、実は昨日の対策本部の会議で議論をされた点でございますが、現状では一応、ガスの導管の状況につきましては、ガス事業者が自主的に見回りをし、漏洩調査をする。もしその結果工事起業者のほうに何か注文する事項があれば、ガス事業者のほうから申し入れをいたしまして、そちらのほうで直していただく、こういうたてまえでやっておるわけでございます。
○東中委員 対策本部長としての大臣にお伺いしておきたいのですが、この保安監視の体制ですね。そういう資格を持った専門家を、ガス会社だけでなくて、関係施主及び請負業者、建設業者、そこら全体でそういう体制を強化していくといいますか、監視監督体制を強化していく、こういう方向をとられたほうがいいんじゃないかというふうに私は提案したいわけですけれども、その点どうでございましょう。
○宮澤国務大臣 対策本部としては、昨晩、先ほども政府委員から申し上げましたように、今後は、工作物についても、保安規程についてもガス会社から通産大臣に案を出させまして、それに対して、要すれば改善命令を出すという形で、他工事の場合にも私どもが了解ができるという体制に直ちにいたそうと思っております。 ところで、いまのお話でございますけれども、いわゆるガス供給といいますか、都市ガス事業の専門家というのは、ちょっとあってなきがごときものでございまして、導管を布設するとかなんとかいうことになりますと、これは一種の土木工学のほうの仕事になります。それからガスそのものでございますと、これはケミストの仕事になってしまいます。そこで、そういうもののほんとうの専門家というものは、実は、まあ言ってみればガス会社にしかいないということになりますので、いま言いましたようなことは、ちょっと可能なようで、現実にはどうしたらできるかということがどうもはっきりいたしません。それで、要するに、ガス会社の保安要員というものを強化して、工事について注文があるときには、それを工事のほうの業者に遅滞なく言う、こういう体制をとるしかない。どうもそのほうの専門家を独自に養成するということはなかなかむずかしいように聞くのでございます。
○東中委員 それはそれといたしまして、もう一点だけお聞きしておきたいのですが、今度の現場では、いままでの鉄板、鋼板といいますかの覆工板ではなくて、コンクリート覆工板が使われた。これは初めてのようですが、これですと交通の便利は確かにいいと思うのです。がたがたいわないし、スリップしないでどんどん走れるということになるわけですが、それだけまたいろいろな、振動やら重圧が加わるという問題が起こってくるわけです。さらに、地上と地下との遮断が、コンクリートの場合は非常に強くなります、部分的には抜いてありますけれども。ということは、それだけ早く充満し、爆発状態になる。最上限に早く達する。途中で抜けていく度合いが少ない。もう一つ、これは非常に重いわけですね。一つ四百キロもする。だから、爆発したときの爆発の度合いが非常に強くなるわけですね。私の知人が、家に近くて危険だというので、自動車を直して家に入ろうとしたときに爆発した。その爆発で倒れて、頭蓋骨骨折で即死なんです。焼けているわけでも何でもないのです。風圧でなくなっているわけですけれども、こういうことになったのも、やっぱりこのコンクリート覆工板が爆発力を強める役割りを果たした、こういうことが考えられるわけですけれども、こういう従来と違う新しいものが使われる場合に、そういう交通の便利という角度から、建設省の立場からだけじゃなくて、保安というような角度からは全然検討されていないのか、検討されたけれどもそれはいいということでやられたのか、そういう点はどうなんでしょうか。
○加瀬説明員 ただいまの点につきましては、御承知のように軌道法に基づきます工事実施計画の認可あるいは道路管理者の行ないます道路の掘さくの承認、こういう手続を踏んで工法がきまっておるわけでございます。 で、いま先生のおっしゃいましたコンクリートと鉄の合成の覆工板、これは大阪市が初めて開発して採用したものでございます。現在東京都で使われております鉄製の覆工板、これも大阪で開発したもので、非常にそういう面で意欲的な開発が行なわれているわけでございますが、御承知かと思いますが、鉄製の覆工板の場合には夜間に覆工板を持ち上げます。その際に必要なようにかぎを入れる穴がついておりますものですから空気が漏れるようになっておりますが、コンクリートの場合には、あの大阪で使っておりますのは五センチのコンクリートの厚さの埋め込みがなされております。そういう関係で、あるいは東京都で行なわれている工法よりは空気の流通は悪かったかもしれません。ただ、何ぶんにもあのような障害が起こるということは予想だにしなかったものですから、あのような工法をとりまして、路上の車の事故というものは、コンクリートの摩擦のほうが鉄板を使った場合よりは少のうございますから、そういう面で路上の交通安全という面で非常にメリットがあるのですが、あるいはおっしゃいますように、ガスの充満という観点からは好ましいものではなかったかもしれません。そういう点は、先ほど大臣からも申されましたように、昨日来専門家の調査団が参っておりまして、その結果を待って、工法上改めるべき点があれば改めるように謙虚に反省して、改めるべき点は改めたい、かように考えております。
○東中委員 いずれにしましても、大阪瓦斯だけで一年間に二千件をこすガス漏れがあるわけですね。これはたまたま小さくて済んでいますけれども、とにかく漏れるということが非常に多いわけですから、そういう場合にそういうことを前提にして、いつもガス保安ということをそういう観点からチェックされていくことが非常に大切なんじゃなかろうかというふうに思いますので、そういう点のチェックを一そうチェックしていくという観点から、今後の対策を進めていただきたいということを要望しておきたいわけです。 それともう一点、ガスが噴出をしてそのあとの緊急の処置ですけれども、これは警察のほうで直ちに出動された人員はどれくらいか、どういうふうにやられたか、ちっと簡単に……。
○原説明員 お答えいたします。 爆発前現場に出動しておりました警察官はパトカー二台と十八名でございます。
○東中委員 その人たちが制止をしたのは、爆発あるいは爆発の危険を予想して制止をされたということになるわけですか。その緊急処置はどういうことだったですか。
○原説明員 最初の大淀署の天六派出所の派出所員が参りましたときは、まだガス会社の車の上に煙が立っていたのでございますが、その後到着したパトカーやその他の曽根崎署の派出所員が着いたときは、ガス会社の車が燃えていたのが見えたようでございます。国分寺交差点内に大体六百名の群衆がいたようでございまして、その付近一帯は約千名の群衆がいましたので、これらの群衆に大声で、あぶないぞ——爆発を予想していたかどうかということはちょっとむずかしいのですけれども、とにかくあぶないということで、下がってくださいと言って、大声をあげながら制止した。またパトカーもマイクでそういう広報を行ない、また工事現場の作業員とともに鉄さくやあるいは警察から持っていきましたロープを張って整理につとめたのですけれども、なかなか向こうも言うことを聞かなかったようでございます。
○東中委員 時間がございませんので簡単にお願いしたいのですが、警察の十八名の方が非常に現場で努力されたことは私も知っているのですが、それが天六より西側ばかりで、多くの死傷者が出たのは東側なんですよ。東側は、バスをとめておいて、人がとめられないままで入ってきている、ここでたくさんの人がなくなっているという状態なんで、警察は完全にやったのだというふうに荒木さんもおっしゃっていたのですけれども、なぜ風下の東側は、警察は爆発まで全然行っていないという状態が起こったかということについては、どういうことでそうなったかということについて知っておられたら明らかにしておいていただきたい。
○原説明員 警察に入りました一一〇番その他通行人の申告によりますと、国分寺交差点付近の地下鉄工事現場ということでございましたので、それぞれ国分寺交差点のほうに警察官が参りましたところ、すでに千名も群衆がいましたので、それの整理につとめますとともに、東側にも警察官を三名ほど回そうということで行かせましたが、三名は行く途中で爆風で負傷をい化しました。あと一名は、群衆が一ぱいなものですから、その裏を通って行こうとしてまだ東側に着かないうちに爆発が起こったのが実情のようでございます。
○東中委員 結局群衆が多くて東側に行けないというくらいに人がおるのですから、それこそまさにのけなければ大きな事故になるということになると思うのですが、これは結果論になるかもしれませんけれども、爆発したのは国分寺側だけ爆発しておるのではなくて、むしろ風下のほうへ被害が多くなっていく。結果がそうですし、そうなるのがあたりまえなんで、片一方だけにとまっておったということについて、これはやはり警備体制という点では今後十分考えてもらわなければいかぬことではないか、こう考えるわけです。 最後に対策本部長として、被害者に対する補償の問題ですが、死者の方、負傷者の方それから家の焼けた方、いろいろありますけれども、これは特に家を焼け出された人の場合は、家屋の建てかえをやるまで四、五カ月かかるということになっていますので、そういう間の営業補償も含めて完全な補償をされる方針なのか、その点お聞きしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 この点は実は事故の翌朝から私どものほうの公益事業局長が大阪市あるいは大阪瓦斯株式会社等々と話をいたしまして、とにかく責任の究明ということはそれとして、地下鉄の施主であり、かつ道路管理者である大阪市、それから公益事業としての大阪瓦斯の両方とも、幸いにして相当の負担能力のあるところでございますし、また建設業者も決して泡沫会社ではないということでございますので、法律的な責任の所在は別にして、十分な補償に応ずるようにということで、関係者はよく協力をしてそういうふうにいたしますということを申してきておるわけでございます。そこで板橋の例などを考えましても、住宅の建てかえのほかに、営業しております者についてはその間の営業補償のようなものは当然考えられることになると思っております。
○東中委員 いまさしあたり五十万ないし二十万の見舞い金が出されておりますけれども、これじゃちょっと少な過ぎてどうにもならぬように思うのですが、その点はどうですか。
○宮澤国務大臣 それは最終的に損害賠償の請求になりますのか、あるいはまた板橋事件のようにそういう手続を経て示談になりますのか、それはむろんさだかでございませんけれども、もちろんこの程度の金は一時の見舞いにすぎない。それで話が落着するようなことはとうてい考えられないことだと思います。
○東中委員 では質問を終わります。
○天野委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 一点につきまして、宮澤大臣の所信をお伺いしたいと思います。 外電によりますと、アメリカはいよいよ繊維輸入の規制の法案を出すことをきめたというふうな報道がございますけれども、大臣、そのことの確認をされておりますか。
○宮澤国務大臣 あまりさだかではございませんけれども、前々からいろいろな人がいろいろな法案をアメリカの前回の国会にも出しておりましたし、これはほんとうに最終的に法案になるという、しっかりしたものと申しますかどう申しますか、賛成者がたくさんのものというような意味での法案提出はまだ聞いておりません。いままでもやっている人が相変わらず同じようなものを出しておる、いまの段階ではまだその程度であろうと思っております。
○和田(耕)委員 その問題につきまして、どうせこの決着はアメリカ側としても規制の法案を出してくる可能性が多いという感じがするのですけれども、その点の見通しはどうでしょうか。
○宮澤国務大臣 二つ可能性あると思いますのは、一つは繊維だけで必要な賛成者を得られないという場合に、たとえばはきものでありますとか、エレクトロニクスの関係でありますとかいうものを、二つ三つまとめまして法案が出る場合、それが単独の形で出る場合と、それから今月でございますかあるいは来月でございますか、通商法が下院の歳入委員会で議論になりますときに、そのいわばライダーと申しますか、御承知のような形でそういうものが出るか、あるいは繊維だけの単独のものが出るか、そのような可能性があるのではないかと思います。
○和田(耕)委員 そのようないろいろな形があると思いますけれども、何らかの形の規制法案をアメリカが出すという段階になりました場合に、それなら日本も少しは自主規制を考えてみるからそんな法案を出すことはかんにんしてくれというような態度をおとりになりますか。あるいは出すとすればそれはしかたがないのだというような態度をおとりになりますか。仮定のような問題ですけれども、その点についての大臣の所信を一応お伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 そのような法律案が提出されあるいは成立するということは、よその国のことではございますけれども、きわめて好ましくないと私は思っております。したがってそういうことが起こらないことを祈りますけれども、そういうことをぜひやめてくれということを頼むために何かこちら側から代案を出すというような気持ちは、私はございません。
○和田(耕)委員 この問題は、この段階における日本とアメリカとの関係を正常化といいますか対等のものに持っていくために非常に重要な問題だと思うのです。今度の繊維問題についてのアメリカの態度というのは全く理不尽のことであるということは明らかなことなんですが、しかも自主規制ということになると、これは考えようによるときわめて卑屈な考え方ということにもなると思うのです。したがってアメリカが繊維輸出のための法案を出すという段階になりましても、日本の方針を変えないということを堅持していただくことが、今後の問題を処理する場合にもかえって有利になってくるのではないか。こういうようなことを思うわけでございまして、そういうような時期がきましても、いま大臣がおっしゃられたように、日本の正しい立場を貫いていただくということの一つのお考えをお示しいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 そのような法案が成立することは好ましくないことでございますから、何とかしてやめてもらいたい、またできることなら、阻止といってはことばが強過ぎますけれども、そういうことがないようにしたいとは思いますけれども、いやしくもそのような威迫のもとにわが国の方針を決するというようなことは、これは事の性質上よくないことだと私は思っています。
○和田(耕)委員 私は向こうがこういう状況で法案を出すということは、かえって、国内の問題としても、われわれが判断する場合のはっきりした材料が出てくるだろうと思うのですね。また、どういう法案になるか知らないけれども、その規制の法案の結果よりも、日本側がこの段階に自主規制をするということのほうが、内容的に見てももっとむずかしい問題を日本に提起してくるような感じもするわけでございまして、ぜひともひとつ大臣の決意でこの問題の処理に当たっていただきたい、こういうように考えます。 では、これで質問を終わります。
○伊能委員 関連して。もう終わりですから、一点だけ伺いたいのです。もしこの機会に御答弁が都合が悪ければ、別にお伺いしてもいいのですが、今月の一日にアメリカの自動車工業会の会長のトーマス・C・マンさんが国務長官に自動車の自由化について、繊維の問題に直接の関連はないと思うのですが、書簡を出された。日本としては自動車の資本自由化についてはすでに方針は決定されておると思うのですが、ああいうような書簡が出された暁においては、通産省ではこれに対して特段の変更のお考えはないにしても、繊維の問題に関連して何か新しくお考えがあるかどうか、その点を……。
○宮澤国務大臣 アメリカの自動車工業会が国務長官にそういう要望をしたということは、報道としては実は聞いておりますけれども、私どもには正式に国務省から何も言ってまいっておりません。その内容を検討してみますと、これはしいて繊維と申しませんでも、私どもが日本自身のためにもう少し前向きに処理すべきではないかと思っておりますような点も幾つか含んでおりますし、また中には、これは日本としてはできないという点も若干含んでおります。私ども独自の立場で考えていきたいと考えております。
○天野委員長 これにて質疑は終了いたしました。 —————————————
○天野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 通商産業省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○天野委員長 次回は、明十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十分散会