地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/23
会議録
○菅委員長 これより地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 参議院から送付されました道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○菅委員長 本案に対する趣旨説明等は、お手元に配付してあります資料により御了承を願います。 質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤恵君。
○左藤委員 七〇年代の内政の充実ということにつきまして、総理は、何よりもまず人間尊重という点を政治の基本姿勢として進めていかなければならない、このように述べられたわけでありますが、この人間尊重という点につきまして、最近いろいろな考えさせられる事件が続発したことは、御承知のとおりであろうと思います。特に日航機の乗っ取り事件につきまして、また、大阪の大淀区に起こりましたガスの爆発事故につきまして、あるいはまた、アポロの13号の航空宇宙士の帰還の問題につきまして、いろいろと人間の命、人命はまず何よりも尊重されなければならないということについて、最近考えさせられる事件が相次いであるわけでありますが、交通事故による死者が昨年の一年間におきまして一万六千人余りということで、この傾向は一昨年に比しましても非常な増加率を示しておるわけでありまして、毎日毎日四十四・五人の人がこの交通事故でなくなっておるという点から考えまして、この問題につきましては、何とか対策を早急に進めなければならない問題が幾つかあろうと思います。今回提案されました道路交通法の一部を改正する法律案も、その点に最大の重点を置いて改正案が提案されたものと考えるわけでありますけれども、私は、交通安全対策特別委員会の一員といたしまして、特に人命の安全の確保という点から、この法案につきまして若干の質問をいたしたい、このように考えるものであります。 まず、道路交通法の一部を改正する法律案を今回提案される前に、昨年の九月、警察庁の交通局がその試案を御発表になっておるわけであります。この中にA、B、Cと分けまして、早急に改正を行なうべきものということで、幾つかの改正点を示されておるわけであります。そのAの早急に改正を行なうべきものとされた中にも、今回の改正案では盛り込まれてないものがあるわけであります。たとえば、騒音とか排気ガスによる公害防止のために通行の禁止や制限を行なうことができるとか、あるいはまた、自動車を利用して一定の犯罪を行なった者についての運転免許の拒否をすること、あるいは取り消しをすることができるとか、駐車をしている自動車などから運転手が離れて、その自動車等が無断で使用されないように防止の措置をしなければならないという義務づけだとかいうようなことが、試案の中には盛り込まれておるわけでありますが、こういった自動車等の使用によります社会生活の侵害を防止するための改正というものが、今回どういう理由でこの改正案に盛り込むことができなかったかという点を、まずお伺いいたしたいと思うわけであります。交通局長にお聞きしたいと思います。
○久保政府委員 お話しのように、昨年秋に出しました試案の中では、従来の交通法規の柱である交通の安全と円滑ということ以外に、社会生活に対する侵害を防止するという大きな柱を打ち出しまして、マスコミにも喜ばれたところでありますが、その分が今回は落ちておるわけであります。その一つは、騒音あるいは排気ガスの発生による公害の防止のための規制でありますが、この点につきましては、本年の二月でございましたが、一酸化炭素による環境基準の閣議決定がございました。その際にありましたように、一酸化炭素の発生に伴う公害を防止するための交通の規制について検討するということが入っております。そのように、現実問題といたしましては、公害の発生することが予想されておりまするけれども、どういう態様においてこれを規制するのがよろしいか、またどの程度に至ったならば、どういう方法で規制すればよろしいかということが、私ども事務的に必ずしもまだ十分な詰めができませんし、また厚生省のほうとの協議の間でもその点は十分に自信ができませんでしたので、ことしの夏ごろまでにはその内容を確定したいということで、次回の改正にゆだねられたわけであります。 それからもう一点は、自動車犯罪に伴う免許証の取り消しの問題でありますが、この点は、私ども、当時いろいろと世上を騒がした事件もたくさん発生をいたしましたし、意欲的に取り組んでみたわけでありますが、一つ問題になりましたのは、免許制度といいますのは、運転技術に応じて免許証を与えられる。ところが、犯罪を行なった者について、免許証を取り消すということについては、これは人格に関することであるから、免許制度となじまないのである。つまり、道路交通法以外の場でそれは措置すべきではないか。たとえば防犯的な法律の中でそういったものを取り上げるべきじゃないかといった法律論議が少しかわされまして、これも結論に至らなかった。 もう一点は、この種の法律は、アメリカでも幾つかの州で取り上げられておるわけでありますが、どういうわけでありますか、現実にあまり作動しておらないという報告を外務省を通じて得ましたので、もう少し実態的に研究をして、どういった犯罪をどういうふうに免許証とかかわり合わせればよろしいかということを研究したいということで、この点も次回の改正に譲ったわけでございます。
○左藤委員 いま御答弁のあった点につきましては、次回の改正までに十分、たとえば厚生省と公害の問題につきまして、これもやはり人体の健康、国民の健康管理という点から考えましても、早急に対策を講ずべき問題だと思うわけでありますので、厚生省とも十分話を詰められて、道路交通法の次回の改正、その改正もなるべく早急な改正といたしまして国会に提案されることを強く要望いたしたいと思うわけでございます。 それから同じ試案の中で、「改正について検討中のもの」という項目がBにございます。この中で、違法駐車車両の使用者の責任が検討されたようでありますが、運転者だけでなくて、使用者の責任が追及しがたいというのは、法律的にどのような問題があったのか。また、その問題によって、それを克服することができる程度の問題であろうかどうか、この点について交通局長の御説明をお願いいたしたいと思うわけであります。
○久保政府委員 駐車違反についての取り締まりの要望が非常に強いわけでありまして、私どももできるだけの努力をいたしておりますが、取り締まり上非常に困難なことは、違法駐車を摘発いたしましても、そうしてまた使用者を車のナンバーによって呼び出しをいたしましても、あの車は自分のものではあるけれども、運転していたのはだれだかわからないというふうに逃げられるという点が一つと、それからなかなか出頭してこないというふうなことで、現実に、一番最初に呼び出して出てくる割合というものは、従来の率では五〇%ぐらいであります。最近幾つかの県で試験的にかぎつきステッカーというものを使用し出しましてから、九〇%まで呼び出し率は向上いたしましたけれども、それにいたしましても、駐車違反の取り締まりというものは、技術上けっこうむずかしいのであります。そこで、私どもが考えましたのは、運転者だけでなくて、使用者も罰せられる、つまり両罰にしたいという希望を持って法務省と折衝いたしたのでありますが、どうも法律的に見ると、現実に法律的責任を持つのは、やはりそういった違法の原因をつくった者である、つまり運転者であって、その責任の所在のない者に責任を追及する、少なくとも刑事責任を追及するということは、従来の法的観念からいうと、非常に困難であるということで、今回は見送ったわけであります。しかしながら、何らかの方法がないものか、あるいは刑事責任でなければ、何らかの行政的な責任を追及することが可能ではなかろうか、あるいはまた、最近聞いたところでは、オーストリアの法律で、使用者はだれが運転していたかを警察官に答えなければならないという法律があるそうでありますが、こういった形も一つは考えられる。ただし、この場合には、日本では車の使用者が法人である場合が多いと思いますので、その点での難点も予想されないではありません。しかしながら、駐車取り締まりを何とか徹底するためには、そういった法的の盲点をなくすことに、私ども行政官庁としては希望をまだ持っておりますので、結論がどう出るかわかりませんが、もう少し検討を進めてまいりたいと思っております。
○左藤委員 この点につきましても、やはり問題は、法の公正な運用、それによって国民が順法精神をそこなうことがないように、ある者は処罰される、ある者は逃げて逃げ得をするというようなことがあってはならないわけであります。そういった点で、この点につきましても十分検討を進めていただきたいと思うわけであります。 今回の改正案におきまして、交通巡視員制度を採用して、駐車違反の取り締まりも扱わせることになっておるわけでございますが、この駐車違反というものが、非常に自動車の台数がふえてきた今日、なかなか公正な取り締まりがむずかしいという点がいろいろとあろうと思います。今後こういった問題についてどのような方針で進めていかれるか。交通巡視員制度を十分活用されても、なかなかこの徹底をはかるのは困難な問題があろうかと思いますが、その点の御方針を伺いたいと思います。
○久保政府委員 私ども地方の新聞の投書欄を読んでおりましても、駐車違反に対する取り締まりの徹底を望む声が一番多いように思っておるわけでありまして、また現実に私どもは十分に行なわれていない最大の分野であろうと思っております。この点については、今後も大いに努力を傾倒しなければならないわけでありますが、ただいまお話しになりました交通巡視員というのが、本年度は二千五百人の予定でございますけれども、来度年も引き続き増員をお願いいたしたい。それから街頭の取り締まりにつきましては、交通巡視員だけに依存するわけではございませんで、一般の警察官もなるべく多く街頭に配置をするということで、現在交通警察の分野でいろいろの合理化をはかって、警察官を浮かせて外に出させるということによって、事故の防止あるいはその他の違反の防止に当たらせたい。それから交通警察以外の外勤その他の者もなるべくそういった分野に活用したいということを考えております。 なお、もう一点問題でありますのは、車庫規制法というのがございまして、これもなかなか十分に活用されておりませんけれども、法文的に若干不備な面もあるように思いますので、私ども検討いたしまして、できれば、この分野も取り締まりのしやすいように、また実態なり御要望に沿うように、内容をある程度改正する必要があるのではなかろうかということで、今後関係の省庁とも相談をしながら検討を進めてまいりたいと思っております。
○左藤委員 いまのお話の中にありました車庫の義務づけの法律に関連いたしまして、これは十万以下の都市においては、この法の適用がないとかいうふうな点で、実効があがらない面があるというお話であったと思いますが、たとえば、駐車場を経営しておる人たちが証明書を出すということについて、自分のところにおける台数よりもその何倍かも証明書を出しているとかいうふうなことも聞くわけでありまして、こういった実効があがるような形に法改正をひとつ進めていただきたいと思うわけであります。 それから、これも交通局の試案にある問題で、駐車時間の制限及び必要な駐車の選別のための手段としてのパーキングメーターの設置という問題の提案がされておったわけでありますが、この問題につきましても、今回の法律の中には取り上げられておりません。おそらく、私が想像いたしますところによりますと、公安委員会がこういった駐車料金を収納できないというような法的な問題があるんじゃなかろうか、このように考えるわけであります。この点につきましては、おそらく運輸省と警察庁のほうとの間でいろいろと話をされたものと思いますが、こういったことができれば、さらに駐車の問題についての徹底をはかることができる、このように思うわけでありまして、これについていままで議論をされて煮詰められたのはどこまでかということも、参考までにお伺いしておきたい、このように思うわけであります。
○久保政府委員 短時間の駐車制度あるいはパーキングメーターの制度によって料金を引き上げるというこの構想は、実は単に駐車場対策だけではございませんで、都市の混雑を緩和するためのいわば間接的な都市への車の乗り入れ規制に関係することであります。ところで、現在駐車場につきましては駐車場法というものがありまして、路上駐車場についてはパーキングメーターを置いて、その料金のあがりでもって路外駐車場を特定の地域について設定するという法律がございます。これはたしか昭和三十三年ごろであったかと思いますけれども、これによりまするパーキングメーターが東京そのほかの市でオリンピックのしばらくあとくらいまでありまして、その後パーキングメーターはほとんどなくなりました。この場合のねらいというものは、むしろ路外駐車場をつくるための、言うならば、資金づくりと見てもよろしかっただろうと思います。それが駐車場法の性格であろうと私は思うわけであります。 ところで、私どもが試案の中で考えましたことは、単に路外駐車場の資金づくりではございませんで、駐車をする必要のある分野が相当ございます。これは駐車禁止を相当広範囲にかけておりますので、ある程度有効な駐車需要というものがある、それにこたえなければならないということが一つ。それからもう一つは、やはり天下の公道でありますところを特定の車が長時間駐車するということは、いかにも不合理であるということ、さらには車が駐車をすることになれば、それだけ車の乗り入れが多くなる。そこで、その辺を妥協いたしまして、短時間の駐車は認めましょう、しかし反面、その駐車料金は高く取る。現在の駐車場法では、一時間五十円以内となっておりまするけれども、これを相当高く取るということになりますと、簡単に通勤の車が都内に入ってまいって長時間駐車をするということは、非常に不経済になるということで、通勤用の車を使わなくなるのではなかろうかというふうに、間接的に車の乗り入れを規制しようというところに私どもの非常に大きなねらいがあったわけでありまして、その点においては、現在の駐車場法とねらいを異にするものであったわけであります。 ところで、この点について、駐車場法の担当は建設省でありますが、建設省は別に異論を唱えておるわけではございませんで、建設省といたしましても、現在の駐車場法をもう一度見直して、都市における駐車場というものはいかにあるべきかということを検討したいということであります。たとえばニューヨークの駐車場の設定のしかたとその他の都市とでは、外国でも違っております。そういうこともありますので、建設省ではいま一度都市における駐車場のあり方を再検討したい、この夏ごろまでに結論を出したいので、それまでひとつお待ちいただきたいということであったわけであります。そこで、私どもは、建設省が駐車場法を改正してその上で私どものねらいを実現してくれればそれでもよし、それでなければ、道交法の中でそれを取り入れてもよし、いずれにせよ、この夏ごろまで結論を待ってみたい、こういうことであったわけであります。
○左藤委員 お話のように、都市におきます道路は非常に混雑をしておる。その中で駐車をどういうふうにやるかということは、都市の再開発の問題とも関連して非常に重要な問題だと思うわけでございますので、この点も長期的な見通しの上に立って検討を加え、駐車場法の見直しも考えていただきたい、このように思うわけでございます。 次に、新道路交通条約は、六八年ですか議定されておるように聞いておりますが、わが国としてこの条約に加入する場合に、交通局の試案では、総合的に規定の整備をはかるものとして、幾つかの項目が掲げられておるわけでございます。この中でも、条約の加入いかんにかかわらず、特に歩行者の安全という、交通安全の見地から考えて早急に取り上げなければならない問題が含まれておるように思うわけでございます。歩行者の安全確保という点から考えましても、たとえば道路を横断する歩行者の安全確認義務の法における明定、それから歩行者の側方を通過するときの安全な間隔の保持あるいは減速の義務化——今回の改正案では、通学通園するバスの側方を通過する車両につきましては、その義務づけが法定化されたわけでありますけれども、一般の歩行者の側方通過についての義務化の問題あるいはまた、横断歩道に接近するときには、横断歩行者の通行を妨げることのないような速度でなければならない。徐行ということは、現在でも指導の面で行なわれておると思いますけれども、急に来てぱっととまるような運転をする者が相当多いようでございまして、歩行者にとっては、ブレーキがかからなかったらどうだろうかという心配を非常に持つ、おそろしい感じを持つものでありますので、こういったことは法定化していいんじゃないか、このように思うわけでありまして、この条約の加入をまつまでもなく、当然に措置すべきものと思いますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
○久保政府委員 国際条約に響いてありますことはしごく当然のことであり、また妥当なことがずいぶん多いので、ほとんどそのまま私どもの法案の中に取り入れることが可能であろうと思います。したがって、先般試案の中にありましたものもその趣旨に沿ったものでありまして、必ずしも条約があるからわれわれが取り上げるという筋合いのものでなく、お話のように、歩行者あるいは車の安全のために規定しなければならないことがたくさんあるわけであります。 ところで、私どもは、お約束をいたしておりますように、道交法を全般的に見直したい、その中に交通のルールに関することが非常にたくさんあるわけであります。いまの国際条約の中身は大体交通のルールに関することでありますが、この点につきましては、全般を見直すという関係上、一部を取り上げるということがきわめてやりづらいという法技術的な問題がございます。もちろん、中で一部至急に取り上げるべきことがあるのではないかということにはなろうかと思いますけれども、全般の体系を見直して、また文体そのものをやさしくする、あるいは少なくとも読みよくするというような観点から、どうも一部なり二部なりを取り上げるということが私ども非常にやりにくいということで、残念ではございましたけれども、今回の改正の中からは見送ったということでございます。
○左藤委員 こういった問題は、法の規定があるなしにかかわらず、指導の面で当然なされなければならない、歩行者にとってその安全を確保する上においてどうしても必要なことだ、このように思うわけであります。さらに、この交通条約に加入する加入しないにかかわらず、次回の総合的な道路交通法の改正に関しましては、法の整備としてもこういった問題を取り入れてやっていただきたい、このように要望いたすものでございます。 次に、交通事故の処理についてですが、この交通事故の処理は、適正でかつまた簡便でなければならないと考えるわけでございます。路上でいろいろの証拠保全、確保という点から考えましても非常に手数がかかるし、それによってまた車の流れに一時的に支障を与えるということもございますし、またその提出すると申しますか、警察のほうで用意しなければならない書式とか、そういった面につきまして非常に複雑な手数のかかる問題であろうと考えるわけであります。特に現行の賠償関係の民事訴訟法あるいはそういう刑罰と関連いたします刑事訴訟法、この両訴訟法との関係から考えまして、幾ら適正、簡便という二つの問題を考えましても、書式その他の点で限界があると考えるわけであります。この点につきまして、法務省とそういったことについて緊密な連絡をとって検討しておられるかどうか。訴訟法ということになりますと、民訴、刑訴の問題は、ほかの事案につきましても当然問題が関連してくることでありますので、交通事故だけを特別の措置をすることが非常にむずかしいという問題もあろうかと思います。そこで、そういった点について法務省とも十分協議をしていただいて、何か便法といいますか、そういうようなものを検討する余地がないかどうか。それがないといたしますと、私はどうしても警察庁におきましては器材の充実を進めていただかなければならない。いままでもそういった点について、私が伺ったところでは、ステレオカメラを全国的に配備するとかいうふうなことも進めておられるように聞いたわけでございますが、特に最近はいろいろ近代的な技術を生かしました科学的な器材というものは、最近の技術におきましては当然もっともっと進めていくことができるであろうと思います。警察庁の研究所でできなければ、あるいは外部に委託するとかいうふうな方法によっても、もっともっと開発されていいのじゃないかと思うわけでございます。実は過日、交通安全対策特別委員会におきまして視察がございまして、その視察に行きまして、酒気帯び運転の取り締まりという実態を見せていただいたわけでございますけれども、その際に、風船を吹かせます。あれは非常に正確な結果が出るということを伺ったわけでございますけれども、見たところ非常に原始的であるし、時間もかかりますし、それによってかえってまた交通の渋滞を起こすとかいうふうなこともあって、もっと何かそういったことについてくふうができないかどうか。この点につきましてもなお開発をする必要があるように思うわけでございますが、その点についての御意見を伺いたい、このように思うわけでございます。
○久保政府委員 訴訟手続の関係では、法務省、最高検察庁と従来緊密に打ち合わせをしておりまして、私どもの事務手続をなるべく簡素化する方向で、法務省も最高検も協力してくれております。しかしながら、やはり刑事手続としての限度もございますので、いまだ私どもの十分に満足するところまでは至っておりませんが、常に前進的でありますので、私どもの実績に基づいて、またさらにその手続の簡素化が進め得るものと考えております。 それから器材の点でありますが、いまお話しの、たとえば酒酔いの場合の検知する北川式検知管というのがございますが、これは正確でありますが、やや見にくい、それから時間が若干かかるという面もございます。そこで、いまようやく新しい、同じような検知管ではございますけれども、もう少し短時間に、しかも見やすく、判定しやすくできるものができまして、この秋から、つまり道交法の改正案の実施ごろには間に合うように考えております。しかしながら、いずれにせよ呼気ではかるという関係上、どうしても風船を吹かせねばならない。それから別途、目盛りにすぐあらわれてくるメーター式のものも開発を進めております。一応試作品はでき上がっておりますが、これも呼気ではかるということでございますので、風船を吹かせるということで、どうもいまの段階では、風船を吹かせる以外の手というものはちょっと私ども聞いておりませんが、できれば、そういうものでないほうがもっと短時間にできるわけでありまして、この点は科学警察研究所に基礎的な研究からいまお願いをしておるので、近いうちにとは申せませんが、将来はそういう方向に進むことが望ましいと考えております。そのほか、たとえばレーダー式の速度測定器でありますとか、あるいは車の中に乗って簡単に速度の取り締まりができる器材でありますとか、いろいろなものを開発していかねばならないのでありまして、私ども現在科学的な器材もある程度持っております。先ほどお話しになりましたステレオカメラのごときは、非常に有効なわれわれの武器であると考えますけれども、まだ交通警察の科学化が十分という域には進んでおりません。今後数年のうちには相当のものをつくり上げたい、かように考えております。
○左藤委員 そういった科学的な器材の充実という点につきましても、今後進めていただきたいと思います。その際に、もう一つは、いろいろな情報化の時代でもあるし、速報という点から考えまして、適切な交通対策というものをとっていただくためにも、通信の整備という点につきましても十分配意をしていただきたいと思います。これは周波数の割り当ての問題とかいったことも出てくると思います。こういった点につきましても十分配意をしていただきたい、このように要望いたす−ものでございます。 それから今回の改正案の中で、酒酔い運転によります重責の死亡事故、それから信号無視による重責の死亡事故、これを引き起こしまして、そしてひき逃げした者に対しまして免許が取り消される。そして一年の法定欠格期間を経過した後に再取得した者が、一体どのくらい処分されるかという再処分率は、全国平均三七%ということで、新規取得者の処分率の二・六倍になっておるという御説明を伺ったわけでありますが、今度三年をこえない範囲で定めるというふうに改正案には記せられております。こういった二・六倍もあるような再処分率ですが、こういう高率を、三年をこえない範囲で定めるという改正だけで低下せしめることが一体できるのであるか、この辺につきまして、非常に私は心配をいたすものでございます。確かに免許証というものに対する取得という問題につきまして、いろいろな問題点があろうかと思います。しかしながら、たとえば精神病院による精神鑑定とかいうふうなことを行なって、先ほどお話が出たと思いますが、運転免許というのは単なる技術的な免許でなしに、そういった免許を受ける者の人間性と申しますか、というものにまで触れるようなことができないかどうか、そういったことについて検討されたことがあるかどうか、この辺について伺いたいと思うわけでございます。
○久保政府委員 いまの点が実は最大のわれわれの悩みでありまして、いわゆる運転適性の問題であります。私どもが試験をやります場合に、運転適性の項目を取り入れるのが適当であるという御意見はずいぶんあるわけでありますが、私どもが現在持っておりますペーパーによるチェックリスト及び若干の器材によるチェックによります場合の、両方総合した信頼度というものが七五%から八〇%であるというのが評価でありまして、現在の大量処理をし、しかも短時間にやる場合には、大体この程度が限度であろうというのが学者の意見でありますが、できるならば、これをもう少し精度を上げて、全般に及ぼすか、あるいは全般に及ぼせない場合も、少なくとも営業の関係の面には、つまり二種免許にはこれを併用するということが方向としては望ましいと考えておるわけでありまして、ただ、長時間をかけ精密な検査をやれば、運転適性の有無というものが判定しようかと思いますけれども、何さま年間八百万人近くの人が受験をするわけでありまして、いまの検査方法が簡便でなければならないというところに一つの致命傷があるわけで、そういった面でなかなかうまい方法がないということが今日の状況であります。しかし、それにいたしましても、もう少しよりよい手段を得うるように、科学警察研究所及び学者のほうに研究を依頼してあります。したがいまして、運転適性のない者については将来ずっと免許を与えないのだというような制度が確立されることが、われわれの今後の研究課題になっております。
○左藤委員 私のお願いしたいのは、そういった非常に重大な事故を起こして免許が取り消された、そして一定の法定欠格期間を経過した後に再取得しようとする者の問題であって、全体の新規の取得者のことを申し上げているわけではないわけであります。その点につきまして、技術的にも、そう数があるわけではないと思いますので、十分配慮をしていただきたいと思うわけでございます。 それから、今回の法律で、酒気帯び運転のおそれがある者に対して酒類を提供し、または飲酒をすすめてはならないこととするという規定が設けられておりますが、この規定には罰則の適用がないわけでありまして、これはおそらく、国民の間に、運転する者に酒は飲ませないという習慣を確立しようという趣旨で、盛り込まれた規定だと思うわけでございますが、もしこれが、単なる精神規定であって、実効があがらないということであれば、この罰則の適用を考えるとかいうようなことが可能かどうか、その点についての御意見を伺いたいと思うわけでございます。
○久保政府委員 この罰則の問題については、私どもも法務省と相当検討したところであります。そこで、現在の法制のたてまえでも、教唆幇助という刑法の共犯理論でもって、酒を提供した者を罰することは可能であります。しかし、その場合は、運転者が飲酒運転を現にやった場合に限られる。ただ、なかなか立証も困難でありますので、検挙者が非常に多いというわけではございませんが、法的には可能である。しかし、いま御提案申し上げておる、飲酒運転をするおそれのある者に酒をすすめてはならないといったようなことばでありますと、非常に範囲が広くなりますので、構成要件として罰則を適用することがきわめてむずかしいということで、罰則を適用するためには、それでは構成要件としてどういうものを、どういうような書き方をするかということについてだいぶ議論をしたわけでありますが、なかなかうまい知恵が出てまいりませんで、それが一つ罰則の適用に踏み切れなかったということであります。 もう一点は、必ずしも無理をして罰則を適用することを今回考えなくても、一応われわれが飲酒運転を禁止するあるいは防止するという運動をしておる。その根拠を一つ法律の中に置くことについても一歩前進ではなかろうかというような考え方で、今回は一応踏み切ってみたわけでありまして、将来どういうような分野について法律的に取り上げ得るかということを、もう少し検討さしていただきたいと思っております。
○左藤委員 罰則の適用がなくても実効があがれば、運転する者に酒を飲ませないという習慣が国民の間に徹底する、確立するということになれば、それでいいわけでございますが、今後の推移を十分考えてみられて、そしてまず何をおいてもその習慣を確立するということがねらいであると考えるわけでございますので、この点についての配意をお願いいたしておきたいと思います。 それから、今回の改正の中で、都市交通の規制のための規定の整備がはかられておるわけであります。特に大阪におきましては、広幅員、幅の広い道路の一方通行の規制、御堂筋とか堺筋とかいう通りの一方通行の規制ということで、非常に車の流れがよくなって、渋滞がなくなったというので、現在成功したと私は考えるものでございますが、この場合、進行方向別の分離帯の問題、これが交通安全の見地から十分指導徹底をはからなければならない問題だ、このように思うわけでございます。かなり手前から、自分が右折したければ、右のほうに寄っておかなければならない。もちろんその場合に方向指示器を出して、そして他の車に危険を感じさせないようにして、右折する場合には右に、左折する場合には左に寄っておかなければならないわけでございますけれども、こういったことについて、直前になってから急に右折するというようなことのないように、どういうふうな方法で指導されるか。この指導を誤りますと、かえってその危険のために車の渋滞も起こすし、事故も起こる原因になろうと思います。その指導のやり方についてお伺いしたいのと、もう一点は、もし指導を聞かなかった場合、どういう罰則の適用があるか、この点についてもお伺いしておきたいと思うわけでございます。
○久保政府委員 広い幅員における一方交通の道路がたくさん出てまいりますので、お話のような事態が出てまいります。そこで、現実のやり方といたしましては、標識と標示を活用いたします。 標識は、その路側にありまする標識だけではなくて、路上にある、オーバーハングあるいはオーバーヘッドと申しておりますが、そういった、道路の上にぶら下げるような標識を活用してまいりたいということが一つと、もう一つは標示でありますが、これは道路にペイントでいろいろ記号をかくということであります。そういうことで、上なり下なりの標識、標示を十分にしまして、前方を見ておれば、そのとおりに進んでいけるというようにしたいと考えておるわけであります。 そこで、現実のやり方といたしましては、右折する場合には、交差点の近くになりますと、黄色の線を引いて、その通行帯を越えてはならないというふうにいたします。つまり右折用の通行帯に入った場合には、その通行帯からほかへ移動できません。したがいまして、もっと手前のほうからその右折用の通行帯に入らなければなりません。そこで、道路標示といたしましては、実線でなくて白い点線をずっと手前のほうに引きます。そこの通行帯に、右折の、右へ折れるマークをつけておきます。そうしますと、点線のある間の右折用の通行帯に入ります。これは点線ですから、右へ変わってよろしいわけで、そのうちに黄色の実線の通行帯に入ると、もうそれは右折しかできない。そこからまつすぐ直進をすると、あとで罰金三万円ということになるわけであります。そういった方法をとります。
○左藤委員 そういった、いま言われたようなことを徹底するうちに、自動車のドライバーのほうもだんだんなれてくるわけでございまして、こういった交通の指導という点について配意していただきたいと思うと同時に、これは私は、交通の渋滞を緩和するという見地から、さらに東京あるいはその他の大都会においてもこういったことができれば非常にプラスではないか、このように思うわけでございますが、またいろいろ、どの道をどちらの方向に一方通行にするかということにつきまして、技術的にむずかしい面もあろうかと思いますが、都市の交通渋滞を緩和する見地から、ひとつ積極的に検討を進めていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。 交通の安全確保、特に歩行者の保護、これは最大の急がなければならない問題でございまして、先ほどからの質疑応答の中で出てまいりました交通条約に加入するとかしないとかいう問題、あるいはまた各省間の調整ができるとかできないとかいうふうなこともいろいろあろうと思いますけれども、そのひまにも死者が出ておるということを考えて、法改正をはかるべきものにつきましては、早急に道路交通法の全面的な改正というものをはかっていただかなければならないと思うわけでございます。 法は改正いたしましても、それだけで直ちに実効があがる問題でないことは申すまでもございません。交通安全教育の徹底、これが大切でありまして、この点につきまして、今回の改正案が成立施行されたならば、もちろん警察庁としても、全国の都道府県の公安委員会を通じて国民にその徹底を期せられると思うわけでございますが、総理府におかれても、ひとつ交通安全基本法が可決いたしました現在、これによって全国的な地方の組織というものもできるわけでございますから、その面からも交通安全教育の徹底について御配慮をお願いいたしておきたいと思うわけでございます。 そしてもう一つは、私は先ほどから申し上げておりましたように、取り締まりの公正をはかるということによって、順法精神の高揚ということに一そうの努力を払っていただきたいと思うわけでございます。民主政治を進める上において何よりも法が守られなければならないわけでありまして、法をのがれる者が出てくるということは、これは次のもっと重大な違法行為を誘発する一番大きな原因になると思うわけでございまして、法がざる法であってはならないわけであります。ざる法でなくても、取り締まりの公正の徹底がはかれないということによって何かのがれる者が出てくるということは、非常に国民の民主政治教育という点から考えましても私は残念なことだ、このように思いますので、この点につきましても、今後一そうの御配意をお願いいたしておきたい、このように思うわけでございますが、この点につきまして公安委員長並びに総理府の総務副長官からその決意のほどと申しますか、お考えのほどをお伺いいたしたいと思うわけでございます。
○荒木国務大臣 いかに法律をつくりましても、順法精神がなければどうにもなるものでないことは、御指摘のとおりであります。ことに死亡事故を起こしましたケースについて分析してみますると、その多くは結局交通教育の不徹底に基因すると承知しております。そういう意味におきまして、お説のとおり、教育を徹底し、順法精神に徹するということが必要かと思います。
○湊政府委員 今回の国会で衆議院は通過させていただいたわけでありますが、交通安全対策基本法、これによって、最近の交通事故はきわめて多面的でありかつ複雑、非常に広い範囲の問題がございますので、一つは安全施設やなんかを含めた交通環境の整備をする、一つは交通の規制を強化する、一つは救急体制を整える。それと同時に、いまお話しがございましたように、安全教育を徹底する。学校を通じあるいは社会教育を通じ、あるいは運転者教育を通じて、やはり基本的にはお話しがあったように、その安全教育をいかに徹底させていくかということが基本であろうと私も思います。そういう観点で、今度の国会で幸いにして成立を見ますれば、いままでの交通事故の実態あるいはその因果関係、さまざまな事故の起きておる条件、これを調べ上げた上で、私ども関係各省の取りまとめ役をさしていただきながら、今後の交通安全対策に全力を尽くしていきたい。そして先ほど御堂筋、堺筋の話もございましたが、片っ端から、やれるものから実効のあがることをどんどん積極的にやっていく、こういうふうに考えております。
○左藤委員 終わります。
○菅委員長 横路孝弘君。
○横路委員 私は、時間もありませんので、一つ、二つに問題をしぼりましてお尋ねをしたいのでありますけれども、最初に、今度の道交法の改正の中で、少年に対する反則金が適用されることになったわけでありますけれども、その点からお伺いをしてみたいと思うのです。 最初に——裁判所の方、来られておりますね。
○菅委員長 三十分ごろに来るそうですから、それまでその点はあとに回してください。
○横路委員 裁判所の方、来ておられないようですから……。道交法の今回の改正、先ほどの質問によりますと、来年も道路交通条約に伴いまして全面改正をするというお話がありましたけれども、その基本的な内容といったようなものについて少し明らかにしていただきたいと思います。
○久保政府委員 一つは交通ルールに関することであります。今回の改正案の中では、広幅員の一方交通など、都市における交通問題があります。それに関連した分だけを取り上げておりますが、全般的にルールに関する問題は非常に広範であります。しかもまた、相互関係がありまして、先ほど申し上げましたように、一部だけ取り上げるというわけにはなかなかいきにくい面がありますので、まとめて国際条約の批准と同時に、私どもも改正案の中に取り入れてまいりたいというのが一つであります。 それから二つ目には、これも申し上げました今日のモータリゼーションの結果、社会生活というものがいろいろな分野で侵害されつつあるというような面について、これも道路交通法の中である程度の防止策を講ずべきである。もちろん道路交通法だけがそれに対する治癒策ではございませんけれども、道路交通法に関する分野においてそれに対処してまいろうというのが二つ目であります。 もう一つは、免許関係で多くの問題が残されております。しかもいろいろむずかしい問題がありまして、これはずっと検討を続けておりますが、この次の改正案までに結論を出したい、そういう問題が相当ございます。 そういった点が主たる柱になろうと思います。
○横路委員 その話が出ましたので、一つだけ検討していただきたいと思うのですけれども、現在の道路交通法の中における安全施設の取り扱いの問題なんです。現行法の第四条あるいは第九条で、道路標識なりあるいは信号機の設置等についてこれは努力の目標としては規定されているけれども、国の義務規定という形にはなっていないわけですね。そのことは、やはり交通安全施設について、現在の交通事故の原因の一つの大きな要素になっているわけでありますから、国の責務というものを明らかにする点で、義務規定に変えたらいいのじゃないか。つまり細目は別に譲りまして、こまかい要件というのは施行令なりそのほかできめて、交通状況そのほかによって必ず信号機を設置しなければならない、道路標識を設置しなければならないという形に、道路交通法という規定の中で義務規定にして、そのことが一いつも道路が新しくできる場合に、おたくのほうと建設省のほうとで予算の問題をめぐっていろいろと話が出てくるわけでありますから、そういったおたくのほうで予算を請求する場合の根拠にもなるわけでありますから、ぜひそうした形にこの規定を改めるということも、この道交法の改正の中でひとつ検討していただきたいと思うのですけれども、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
○久保政府委員 私どもの立場からいたしますと、きわめて適切であります。そういうふうにぜひともお願いをしたいわけでありますが、役所間で立法の準備をする場合には、なかなかむずかしいお役所もありますので、うまく成立しませんが、ひとつ御協力をお願いしたいと思います。
○横路委員 それでは、裁判所のほうでお見えになったようでありますから、少年に対する反則金の適用について御質問をしたいと思うのです。 少年法の目的というのは少年法に規定されているわけでありますけれども、少年の健全な育成あるいは非行のある少年に対する性格の矯正あるいは環境の調整、すべての非行少年を例外なく家庭裁判所の取り扱いの対象として、少年に対しては処罰中心主義ということではなくて、その少年の環境そのほかを考えて、個々のケースに対して最もふさわしい処遇を施すことが、少年法の目的になっているわけです。そしてこの対象になった少年のそれぞれの性格、環境あるいはいろいろな要因というものを具体的、科学的に明らかにして、それに対応した措置を講ずる。少年法成立以来、私は、乏しい予算の中で裁判所としてはそうした点に十分配慮しながらやってこられたと思うのです。この点に関しては、道交法違反あるいは業務上過失致死傷罪の少年についても例外でないはずでありまして、最高裁判所としても、少なくとも昨年の秋までは反対だったはずなんです。これはたとえば昨年の九月あたりの見解の中にも、少年の道交法違反の原因は多様であって、この原因のいかんにかかわらず一律に反則金を納付させるということは、再犯の防止と交通安全の確保の見地から妥当ではないという見解さえ出されていた。私は、こうした見解というのはやはり正しいんじゃないか。なぜ今回最高裁判所が、こうした少年法の精神からいえば——精神を踏みにじったとまで言うのは言い過ぎかもしれませんけれども、その精神を逸脱して少年法の改正に道を開くような今回の改正に対して了解を与えたのか、私は非常にふしぎに思うわけです。現に今回の国会の中で小林法務大臣は、最高裁がこの改正を認めたから少年法の改正はもう来年じゅうに行なうんだというような発言までされているんです。この点に関して最高裁のほうから、どういう経過で現在のような改正案となったのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
○外山最高裁判所長官代理者 少年事件の取り扱いの理念につきましては、ただいま御指摘のありましたとおりと存じますし、私ども家庭裁判所では、少年の取り扱いについていまのような理念、取り扱いに基づいて事件を処理してまいっております。ただ、このような大量な交通事件の取り扱いにつきましては、私どももいろいろ検討し、できる限りいま御指摘のありましたような理念、取り扱いに基づいて事件を処理してまいったわけでございます。 昨年道交法の改正の問題が警察庁から発表されまして以来、私どもも種々問題点を指摘いたしまして、警察庁のほうと協議をしてまいりました。私どもが一番問題として考えましたのは、大量な交通事件ではございますけれども、特にその中で事故の危険に結びつくような違反行為、それから違反を繰り返しておりますような少年につきまして、反則制度を適用して教育の機会が失われるということが最も問題であるというところで、警察庁といろいろ協議を重ねてまいったわけでございます。私どもの基本的な態度といたしましても、前回衆議院の地方行政委員会でこの反則通告制度が論議されましたときに、少年にも適用するように検討せよという附帯決議がありますことなどを考えまして、全面的にこの制度の少年に対する適用を否定するのではなくて、いま言ったような問題に考慮を払いつつ、この適用を検討すべきだという態度で進んでまいりました。 そこで、警察庁のほうといろいろ検討いたしまして、ただいま申しましたような危険な違反行為あるいは累犯の少年に対する適用の除外のあり方を協議いたしたわけでございますが、この適用の段階で、いまのような累犯少年の区別をするということが技術的に非常に困難であることがわかったわけでございます。そこで、さらにいろいろ協議を重ねました結果、過去一年以内に行政処分を受けたような者、すなわち累犯として非常に問題のある少年が、道交法の百十八条、百十九条に規定いたしますような事故の危険に結びつく違反行為を犯した場合には反則者としないということで、警察庁も同じような考え方に基づいて当初の案を改められ、案をおつくりになったわけでございます。それからまた、反則金を納めないで家庭裁判所に少年が送られた場合に、その少年の個性あるいは違反の態様等に応じて家庭裁判所で特別な取り扱いができるような措置ということも一つ案の中に盛られておりますし、また、反則金を納めた場合であっても、家庭裁判所には警察のほうから通知は必ずするというような了解もできておりますので、先ほどの附帯決議の趣旨、今日の交通事情等を考えまして、大局的な見地からこの案にはあえて反対しない、積極的な賛成ではございませんけれども、この案の提出にはあえて反対しないという考え方をとったわけでございます。 ただ、こういう考え方をとりましても、先ほど御指摘がありましたように、交通違反少年に対して教育的な措置が必要であることは少しも変わらないわけでございまして、家庭裁判所に送られてまいります交通違反少年に対しましては、従来どおりの取り扱いをしてまいりたいと思いますし、また、警察のほうでも、この反則通告制度とあわせて教育的な面について力をお入れになるというように伺っております。 以上のような次第が従来の経過でございます。
○横路委員 警察から通知を受けるからいいのだ、あるいは百十八条、百十九条は除かれていて、従来の取り扱いになるからいいのだということでございますけれども、私は、この際、一番基本に考えなければいけないのは、少年の場合に、その少年の更生ということもありますけれども、交通事故をなくすために、一体どちらの制度がいいのかということがやはり中心でなければならないと思うのです。 この少年の交通事件ということで私は世間に非常に大きな誤解が二つあると思うのです。これは私たちの中にもあるわけなんですけれども、一つは、少年の事件というと、雷族を思い浮かべる。つまり金持ちの息子が車を乗り回していて事故を起こすというイメージが、やはり私たちの中に一つあると思うのです。それからもう一つは、少年だけは反則金の納付、その他一切の制裁を免除されている。少年に対しては全く責任の追及のない野放しの状態になっている、家庭裁判所も何もしていないのじゃないか、こういった二つの誤解がいまあると思うのです。 そこで、少年の交通事件についてそうした交通事故をなくするという観点から、一体少年の道交法違反事件の内容がどうなのか、そういった実態の把握と、それから家庭裁判所が現在まで何をやってきて、そこにはどんな問題があるのか、あるいはどういう効果があがっているのかという点を明らかにしなければ、ただその件数が多いから金を取るのだ、それで済ましてしまうのだということでは、私は解決しないと思うのです。 そこで、少年の交通違反事件の実態について家庭裁判所のほうで、調査官の方を使って個別にいろいろ調査したりなさっているようでございますから、それについて二、三お伺いしたいと思うのです。 まず一つ、この少年の交通違反の利用の車両なんですけれども、私の知っている数字は少し古い数字ですけれども、昭和三十五年の場合を見ますと、原動機付自転車が四六・九%、軽自動車、自動二輪が二四・七%、合計してみますと、大体全体の七〇%くらいになっているわけです。最近は少し変わっていると思いますけれども、いずれにしても小型の車両による交通違反というのが非常に多いんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○外山最高裁判所長官代理者 違反の場合の車両の種類でございますけれども、いまお話のありましたとおりでございまして、少年の場合には大体六〇%ないし七〇%が自動二輪あるいは原付自転車というようなことになっておりまして、普通車が占める割合は少のうございます。
○横路委員 小型の車両ということになると、それだけ大型に比べると危険の程度が低いということは一応言えるだろうと思うのです。 そこで、少年の職業との関係ですけれども、一般の少年の保護事件に比較して、職業に従事している少年というのが、道交法違反の場合には、非常に多いのだということがいわれておりまして、大体七〇%程度が職業に従事している少年の道交法違反の事件だ、しかもそれらの仕事中の違反が多いのだといわれておりますけれども、おたくのほうで試験観察なりあるいは保護観察をして、その辺のところをつかんでおりましたら、内容を明らかにしていただきたいと思います。
○外山最高裁判所長官代理者 昭和三十九年に私どもが実施いたしました実態調査の結果によりますと、職業を持っている少年が約六七%、学生を含めます無職の少年が三二%、こういう割合で、道路交通事件の内容にあらわれております。それから四十四年の実態調査によりますと、ほぼ同様でございまして、有職少年が六四%、無職者が三五・八%という比率になっておりまして、事犯の内容を見ますと、職業上車を運転して違反をした場合がかなり多く認められるわけでございます。
○横路委員 そこで、それらの少年の職場ですけれども、東京家庭裁判所の昭和三十六年の調査というものが月報に出ているわけでありますけれども、二百七十八名の調査対象中、従業員十人以下という職場が大体六〇%、二十人以下ということになると八〇%だということがいわれておるわけでありますけれども、この点については、どうでしょうか。
○外山最高裁判所長官代理者 ただいまこまかい数字は持ち合わせておりませんけれども、有職少年の勤務先の状況を見ますと、中小企業以下の企業につとめておる少年が相当多くの部分を占めております。
○横路委員 そうすると、結局いままでのお話をお伺いした限りでは、バイクなどの小さい車両に乗って、零細な企業につとめて、配達や運搬にかけ回っている、そういう少年の事件が多いのであって、雷族というようなイメージは、そうした内容からは浮かんでこないわけです。 そこで、この交通違反などの原因としていろいろあると思うのですけれども、一つはやはり環境の問題、一つは少年自身の問題というふうに分けられると思うのです。こうした少年の環境についていろいろと家裁の月報などに報告されている資料を見ても、たとえば労働時間の一番長いのは一日十六時間半、運転時間の一番長いのが十二時間、あるいは休憩の最高時間が十分、睡眠の最低時間というのが四時間半だというような職場の実態が報告されているわけでありまして、しかも住み込みの少年が非常に多い。そうすると、少年の交通違反の特徴というものをこうした少年の職場の環境から見た場合に、どういうことが言えるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
○外山最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のありましたように、少年が交通違反を起こして家裁に送られた場合に、その環境等をいろいろ調査してみますと、先ほど申し上げましたように、有職少年が非常に多うございます。これは有職少年と申しましても、一律に申せないわけでございますけれども、中には職場の無理解からくるもの、あるいは職場における自動車の管理の不適当さからくるような事案があるわけでございます。そのような事案につきましては、家庭裁判所といたしましては、少年とともに雇い主、保護者を呼び出しまして、必要な注意を与えるというような措置をとっているわけでございます。
○横路委員 少年自身の問題としても、いろいろなケースが報告されているわけですけれども、神戸家庭裁判所の報告によると、これらの少年の中には、いわゆる免許の欠格者とされているような精神病あるいは精神薄弱者、これに類する者が相当見られるというような報告もあるわけですし、あるいは少年について見ますと、安全運転という観点からの知識なり精神というものが非常に不十分だということもよく報告されているわけです。 そこで、警察庁のほうにお尋ねしたいと思うのですけれども、今回の道交法の改正も、結局事故の防止という観点からやはり見なければいけないだろうと思うのです。その場合に、道交法違反というのは、交通事故という現実の結果を伴わない、いわゆる一つの法規違反ということになるわけなんで、それが犯罪を構成しているというのは、そういう行為が積み重なっていくということが事故の発生に結びつくという蓋然性が非常に強いということに基づいていると思うのですね。そうしますと、これに対する刑罰あるいはそのほかのいろいろな司法的な処遇というのも、結局、将来再び違反を行なわない、交通事故を防止するということをもってその目的とすべきだろうと思うのです。その点についていかがでございますか。
○久保政府委員 道交法のたてまえは、当然交通の安全と円滑をねらうわけでありますから、いまの少年の扱い方もその線に沿ったものであります。ただし、少年の特性ということもございますし、現在少年法というものが現に存しておりますので、その点の妥協といいますか、調和といいますか、そういったこともあわせてねらっているわけであります。
○横路委員 そうしますと、交通違反の少年に対する方向というのも大体私は明確になるのではないかと思います。再犯になるのを防ぐ、そのことがまた交通事故を防止するということになりますと、今後できるだけ具体的ケースについて問題を掘り起こして、それを取り除く作業というものがやはりまず第一に考えられなければならぬ。それには、第一に教育的な処遇であって、これに対して一律に罰金を科するということでもって可能であろうか。職場や家庭に問題があれば、その環境を整備してやる、あるいは個々の少年に対して、たとえば先ほど言いました、知能が劣っている、性格に問題があるということになれば、やはりその点を是正してやる措置をとる、あるいは親などに問題があれば、そういった指導をする、運転に必要な知識や技術が欠けていれば、やはりそうした措置をするというのが本来の姿じゃないか。これに対して罰金を科すということではたして実現できますか。交通事故の防止という観点で、警察のほうではその辺のところを一体どういうようにお考えになっているのか。
○久保政府委員 ただいまの原則論に反する意図は毛頭ございません。ただし、問題は、たとえば教育等で数十人、数百人の学校が望ましいというのはわかっておりながら、数万人、十万人の学生がいる場合の教育をどうするかというマス化時代、大量化時代にどう対処するかということが問題であります。したがって、私どもは、この少年について教育なり保護的の措置が重要であり、また基本であるということを否定したことは全然ございません。ただ、今日のように、道交法違反の少年の事件は年間六十万件でありますが、その六十万件について、いま御質問になりましたように、できるかということが課題なのであって、それにどうこたえるかというのが私どもの仕事であります。
○横路委員 少年の道交法違反の事件というのは、毎年毎年だんだん減ってきているのですね。成人との割合もどんどん減ってきている。件数そのものも毎年毎年減ってきているのです。そこで、家庭裁判所のほうでこれらの少年に対して何も措置していないのじゃないか。確かに統計を見ますと、検察官送致だとか保護処分、不開始処分あるいは不処分という処分が多いのです。しかし、この不開始とか不処分の場合、家庭裁判所は何もしないでほうっているんじゃないだろうか、世間にこうした誤解があるんじゃないだろうか。そして家庭裁判所のほうでこうした道交法違反の少年に対してどういう取り扱いをしているのかということを、時間もございませんので、簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
○外山最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の道路交通法違反事件の処理結果によりますと、ただいま御指摘がございましたように、八〇%ないし八五%は不開始ないしは不処分という結果が出ておりますけれども、必ずしも不開始、不処分の場合に何もしないで野放しにしておるというわけではもちろんございません。私どもが実態調査をいたしました結果によりますと、交通事件の約八〇%につきましては、何らかの教育的な措置をいたしております。その内容は、先ほど申しましたように、少年とともに保護者あるいは雇い主を呼び出しまして必要な指示を与えるというようなこと、あるいは少年に自分の欠陥を気づかせるためのいろいろテストをするというようなこともいたしております。さらには試験観察制度を利用いたしまして、少年に講習の機会を与え教育を行なうというような措置をいたしております。
○横路委員 そういう取り扱いは、私も実は二、三年ほど前におたくのほうでそうしたグループワークあるいはカウンセリングなんかをやっている実態を一応見たことがあるので、しかもその効果というのは、私はあがっているのじゃないかと思うのです。たとえば「道路交通事件少年に対する教育的処遇の効果について」というおたくのほうで出された資料によりますと、名古屋の家庭裁判所で試験観察の上交通安全協会に委託して調査した「道路交通違反事件の少年についての調査」というのがありますけれども、これは少年千三百二十五名を対象として、その後の追跡調査をやったものです。このうち刑事処分相当として検察官送致となって罰金に処せられた者の再犯のあった割合というのは五六%です。そうじゃなくて、その後試験観察によっていろいろと、先ほど申しましたカウンセリングそのほかを受けた少年についての再犯率というのは一五%。これは名古屋の家庭裁判所の調査ばかりでなくて、福島の家庭裁判所の調査によっても、やはり罰金に処せられた少年の再犯率というのは五〇%以上にいずれもなっているんですね。こういう結果が具体的に数字として出ておるわけです。 私はそこで警察庁長官にお尋ねをしたいと思うのですけれども、こういうケースがいろいろと報告されているのです。これはジュリストの四四四号に、ある少年のケースが報告されているのですけれども、この少年は、スピード違反で検挙されて、家庭裁判所に出頭して講習に参加した。その少年の感想文が出ているわけですね。これによると、ここに来るまで、家庭裁判所に来るまでなぜスピードの出し過ぎぐらいでこんなにいろいろなところに送られて講習にまで出されるのかと非常に不満であったけれども、この講習を受けていくに従って、一人一人責任を持って自動車を運転して交通道徳を守らなければいけないんだということを非常に深く感じた、それ以後十分気をつけて車の運転をしたいと思います、ということがこの感想に出ているんですね。一方、罰金に処せられた少年の感想ですね。これもやはり家裁の月報に載っている報告ですけれども、むしろ罰金に処せられて逆にむしゃくしゃした、運が悪かった、だから白バイが見ていないときにはぶっ飛ばすと非常に痛快な気持ちがする、ぐれん隊が人をなぐっても何にもならないのに、スピード違反ぐらいで前科になっては非常におもしろくない、というような感想文が一方で出ているんですね。つまりこうした少年の交通違反というのは、いろいろ要素要因があるわけで、特に安全運転の知識なり技術なりというのは非常に低いわけですから、やはりこれに対して教育をしてやる。反則金を適用して罰金を取るということでは、いまのこの少年のように、白バイが見ていないときにぶっ飛ばすんだ、つかまったのは運が悪かったというような気持ちになると思うのです。この点のところ、どうでございますか。
○後藤田政府委員 仰せのように、少年の取り扱いは非常にむずかしい問題だと私は思います。少年の処遇というものは、理想からいえば、仰せのように、個別的に具体的に教育的な効果をねらった取り扱いをするのが、私は理想だと思います。そういう点についてはいささかも異論はございません。ただ、先ほども局長が申しましたように、今日の少年の事件というものは非常に数が多い、六十万件。しかもこれを成人と比べてみますと、事故率で大体二倍、違反率で一・五倍と、こういうようないわば危険な状態にあることも否定ができません。したがって、こういった現実の面に着眼しながら、しかも反則金制度そのものは、やはり反則金を取ればいいといった趣旨のものでないことは当然であります。反則金を科することによって反省の機会を与える、しかもその反則金を科する違反というのは、定型的、軽易な、いわば初歩的なこういった違反をとらえて反則金という行政上の処分によって反省の機会を与える、こういった現実的な処置がやはり必要ではないのか。そうすることによって六十万件に及ぶ、しかも成人に比べて違反の高い少年交通事件を、一方で累犯をやるあるいは危険な運転をやる、こういったものについては、今日の家庭裁判所において従来以上により徹底した個別的、具体的な教養措置を講じていただき、軽易、定型的なものは反則金という制度によって反省の機会を与える。理想と現実の調和を見つけながら今日の大量の交通事件を適切に処理していく、両々相まって処理していく、こういうねらいを持って今回の少年に対する反則金適用という制度の改正に踏み切った次第でございます。
○横路委員 その反則金を科すことによって反省の機会を与えるというのは、与えることにならないのだというお話を先ほどからしてきたつもりなんです。どうもそこをおわかりいただいていないようなんですね。その道交法違反の数字だって、昭和四十年が八十三万件で昭和四十三年が五十八万件で、毎年毎年減ってきているのです。指数をとってみても、成人との割合で昭和四十年から比べると、少年のほうが減っているんです。家庭裁判所のほうでは、乏しい予算の中でも何とかしてやろうという気持ちなんです。そうすると、あなたのほうで大量大量とおっしゃるけれども、要するに、警察官の仕事を減らしたい、こういうことにすぎないじゃないですか。この前、反則金制度を採用する際に、二つのことがいわれたんです。一つは、このままではもう前科者ばかりふえる、だから罰金によるその制裁を行政的な制裁に変えるんだ、これは少年には何も当てはまらないことなんです。もう一つのほうでいわれたのが、いまおっしゃった交通違反事件の大量化に対する迅速な処理ということなんです。しかし、それは実際に毎年毎年減っているんですよ。警察官の人員は毎年毎年ふえていっているんです。少し忙しいかもしれないけれども、交通事故の防止という観点から見れば、反則金を科するよりも、教育的処遇をしたほうがいいことは明白なことなんですから、そういう点で、もう一つお考えになるお気持ちがないかどうか。これは国会のほうの問題にもなるわけでありますけれども、この反則金の適用をもう少ししぼって、たとえば過去一年間に行政処分を受けた者については百十八条、百十九条はいいけれども、百二十条は除外になっていますね。むしろこれは前のあれから言いますと、成人に関して見れば、反則金適用の範囲はふえていることになっている。その辺のところでいろいろ技術的な問題もあるでしょうけれども、もう一度ひとつ考え直して、交通事故を防止する、そのためにはできるだけ個々の少年に当たってその原因を究明して、その対策を講ずるということがやはり一番必要でありますが、その点についてどうでございますか。
○後藤田政府委員 私は、反則金を行政上の一つの措置としてとることは、やはり少年に対しても一つの反省の機会を与える制度である、こういうふうに考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、少年の個別的指導ということは忘れてはならない。 そこで、反則金を取った少年についても、審判に付するという意味での送致はいたしませんけれども、この少年はこういう反則金を取ったという書類を裁判所のほうに送付をする、こういった処置も考えて、お説のように、この制度が交通事故の防止に役立たないといったようなことになったんじゃ、これは本末転倒もはなはだしいわけですから、そういったことのないように運用してまいりたい、こういうふうに考えております。
○横路委員 この反則金を取ることによって反省の機会を与えるということがおかしなことなんで、たとえば少年が反則金を取られた、雇い主がかわりに金を払う、そこでしかりつけたり、あるいは逆に少年のほうから見れば、その反則金を雇い主に払ってもらったということで、職場の移動ができない、こういった問題も過去のケースとしていろいろ出てきているんです。あるいは働いていない少年の場合は、かわって親にお金を払ってもらって、受ける少年はどういうぐあいに考えるかということなんです。今度は注意して安全に運転しようということよりも、ともかく白バイに見つからないようにしよう、こういうようなことになるんじゃないか。それは、過去のそうした家庭裁判所からいろいろ報告されている個々のケースを通して明らか、だと思うんですね。 そこで、いまのお話でありますけれども、家庭裁判所のほうに一つだけお伺いしたいんですけれども、警察のほうから通知を受けて、一体どうなさるおつもりなんですか。
○外山最高裁判所長官代理者 警察から通知を受けました場合は、別にそれで事件が起きるわけではございませんけれども、当該少年が再び違反、事故等を起こして家庭裁判所に送られてまいりましたときには、個別処遇の基礎として、少年の前歴というものも十分調査する必要がございますが、そのための資料でございまして、もし通知がございませんとわからないことになりますので、反則金を納めても必ず家庭裁判所に通知をすることにして、あとの個別処遇の資料とする、そういう意味を持たせるようにしたわけであります。
○横路委員 時間がございませんので——この問題は、やはり非常に重大な問題を含んでおりますし、このことが少年法の全面改正へと結びつくことのないように、ひとつ裁判所のほうにも——お宅のほうでやっている内容を皆さんに理解していただいていないんだと私は思うのです。その辺のところをPRも兼ねてもう少し積極的に、やられている成果について私は教宣をする必要もあるのじゃないかということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。 次は、指定自動準教習所の問題なんですけれども、私は、先月の末に市原の交通刑務所に参りまして、いろいろ話を聞いてきたのですが、そこで驚いたことが一つあった。それは、あそこに収容されている者のうち、四名の読み書きのできない人間が入っているのです。免許を持っている人間ですよ。免許を持っていて、読み書きのできない人間です。あるいは色盲の人間がやはり四名ほどおるわけです。これは非常に大きな問題で、については車と道路と運転者の三者のいろいろな関係の中に原因があるといわれておりますけれども、現在の運転免許制度、とりわけその大部分をになっている指定自動車教習所のあり方について、やはり検討しなければならない点が非常にたくさんあるだろうと思うのです。いままでのいろいろなやり方を見ますと、営利第一主義になっているからで、私は、本来は公営機関がこの逆転免許についての取り扱いをやるべきじゃないかという考え方を持っておるのです。現状からすぐは無理でしょうけれども、将来の方向として、そうした公営機関による運転免許の資格の問題というのも考えていいんじゃないか、この点について警察のほうのお考えをお伺いしたいと思います。
○久保政府委員 教習所の制度は、御承知だと思いますけれども、外国に比べますと、日本は非常に発達していると思います。外国の場合には、教習所も非常に狭隘であり、貧弱な施設しか持っておりません。ところで、わが国で指定自動車教習所の制度をつくりました場合に、これを当初もし公営の形で出発したならば、今日のような制度といいますか、内容にも進展しなかったのではなかろうか、やはりある程度自由競争的な面があって、今日の内容に進んできたのではなかろうか。その間には公的な規制あるいは警察側からの指導ということもあったろうと思いますけれども、私どものいまの観点では、私企業にした上でわれわれの監督というものを強化することが望ましいのではなかろうか、いまのところはそう考えております。
○横路委員 そうした面があることは否定できないですけれども、しかし、一方では各指定自動車教習所間のアンバランスというものが非常に目立ってきているわけです。監督の問題について、今度は従来のような指定の解除だけじゃなくて、幅の広い処分ができるようになったから、より十分に監督ができると思いますけれども、従来からたとえば自動車教習所に警察の方が天下りして相当入っていて、監督が十分に行なわれていないのじゃないか、あるいは指定の解除という制度がいままでありながら、一年間に行なわれている件数というのは、わずかに数件にしかすぎないということなので、これを機会に監督について私は十分行なっていただきたいというように考えるわけです。 そこで、時間がありませんから次の質問に移りたいと思いますけれども、指定自動車教習所の技能指導員あるいは法令指導員、構造指導員というのは、道交法の施行令できまっていて、各公安委員会で審査してその資格というのが与えられているわけですね。各公安委員会で与えられるから、たとえば北海道でその資格を持っている者が東京に来ても、それは通用しないのです。やはりこれは各都道府県によって、こういうふうに施行令できめられているのですから、そんなにアンバランスはないと思いますが、やはりこの際資格をもう少しきびしくする、きびしくすると同時に、その資格を全国に通用できるものにしていくという方向が、やはり私は各指導員の水準を上げることになるんじゃないかというように考えるのですけれども、この点についてお考えはどうでございましょう。
○久保政府委員 指導員その他の教習所の関係者につきましては、資格を高めること、責任を明確にすること、それから全国的に共通にするということ、これは私どもの課題であります。もう一点は、この人たちの教育の問題であります。それがわれわれの課題でありまして、おっしゃるような方向で今後検討してみたいと思います。今後といいますのは、そう遠くない将来ということです。
○横路委員 それから教習の内容なんですけれども、道交法に基づいて、施行令に基づいて総理府令のほうでいろいろときめられていますけれども、特に感ずるのは、構造の教習というのは、非常にアンバランスになっているわけですね。きちんとやっているところもあれば、ほんとうにおざなりにしかすぎない教習内容のところもあるのです。たとえば自動車のカットを使ってやっているところ、あるいはスライドを使ってやっているところもあれば、そんなものは全然なしに、ほんの模型程度で構造のいろいろな教習をしている自動車教習所というものもある。この総理府令については、構造の問題もあるでしょうし、それからもう一つは、現在高速道路が非常に全国的に今後どんどん伸びていくということになりますと、いまの制度ですと、ともかく運転免許をとれば、次の日から高速道路、東名でも中央でも走ることできるのですから、やはりそれに対応した教習の内容、いま三十キロだったと思いますけれども、これをたとえば四十キロなり五十キロの時点での教習というのも行なうように、この総理府令を変えていく必要があるのじゃないかと思いますけれども、その点についていかがでございますか。
○久保政府委員 教習所を縛るのに各種の法令を改正することも考えるべきであろうと思います。しかし、現状でもやるべきことはやれるわけでありまして、いまの構造の場合の教習の内容の問題、これはいま指定教習所の連合会とも話を進めておりまして、教材の視聴覚化、そういった近代的な器材を取り入れるというようなことで話を進めております。 それからもう一つの問題点は、高速自動車道路時代に応じた教習をやるかということでありますが、この点も教材を与えて教習をさせておりますが、いまの段階では、知識として与えることは可能でありますけれども、技能として与えることは不可能である。高速自動車道路で運転練習をさせることも困難でありましょうし、さればといって、高速自動車用の専用訓練道路をつくることもなかなかむずかしいということで、私どもがいま会社に開発を命じておりますのは、高速運転が可能であるようなシュミレーターでもって訓練をさせるということ、これはまだ完成いたしておりません。先般試器材、試作品が、できましたけれども、まだ十分ではありませんが、いずれ近いうちにはそういうものができれば、これは教習所の中にも逐次採用させてまいりたい、かように考えております。
○横路委員 教習で交通安全なり何なりの観点から一番大きなのは、路上教習の問題だと思うのですね。ですから、路上教習について、現在は二時間以上ということにたしか総理府令でなっていると思うのですが、実際にはもう東京では十時間、北海道でも七時間やっているわけですね。ただ、これは地方によってはほとんど行なわれていないところもあるわけでありまして、そうした意味で、この路上教習をもう少し全国一律に引き上げるべきじゃないか、そのことがやはり運転感覚を身につけて現実に車を走らせることによって、安全知識を身につけるということに私は一番大きな効果があると思うのです。 ただ、その場合に問題なのは、路上教習の引き上げに伴って特に路上教習中の事故について行政処分なりあるいは刑事処分というのは、いまその運転者じゃなくて、教習指導員にかかるようになっているわけですね。ところが、いま指導している車の構造を考えてみると、補助ブレーキがついているだけで、あとは何もついていない普通の車に指導員が乗って指導している。事故を起こせば指導員の責任だというのが、いまの自動車教習所の実態だろうと思うのです。 そこで、警察のほうに、これはお願いになるわけでありますけれども、この教習の車ももう少し技術開発をして、たとえばハンドルをつけるとか、あるいはミラー等の関係にしましても、運転者じゃなしに、指導員のほうからも明確に見えるようなもの、これをきちんとつけた車両によって運転する。あるいは現在自動車教習所の車というのは、六人乗りということになっていますけれども、六人乗りの場合にセパレートシートの車というものはないわけでありまして、これがやはりいろいろな事故の原因にもなっているわけです。今後ますます路上教習中の事故というのも多くなっていくと思いますので、この点についてぜひそうした方向でお考えいただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりにしたいと思います。
○久保政府委員 外国の場合には路上教習がたてまえでありまして、しかも外国に視察にやった者の話によりますと、いまの運転者の刑事責任について少なくともあまり問題になっていないという報告であります。これはそういう事故がないという意味ではございませんでしょうが、問題になっていない。ところが、わが国では、路上教習をやることを、実は教習所側が従来非常にいやがっておりました。それはいまお話しの教習所側の刑事責任の問題であります。そこで、いまのたてまえでは、総理府令では二時間以上五時間以内、こうなっておりますし、私どもの指導では、昨年の七月以後五時限以上十時限以内というふうに変えたわけで、これは近く総理府令を改正してそういう内容にいたします。 そこで、問題の焦点は、そういうふうに路上教習の時間を多くすれば、それに応じていまの刑事責任の問題が生じてまいりますので、お話しの点もなるほどと思われる面があります。ただ、いまの器材でどのように連動できるのか、なかなかむずかしい問題があります。これは運輸省の保安基準との関係もありますので、いずれ運輸省とも協議をして、そういう方向で研究をしてみたいと思います。
○菅委員長 井野正揮君。
○井野委員 まず長官にお尋ねしたいと思いますが、歩行者優先の概念ですね。車と人間と比較をして、どうぞ人間のほうにお先にという程度のものなのか、行政の諸般の体制として歩行者優先を考えておられるのか、この点ひとつお伺いします。
○後藤田政府委員 少なくとも現在の段階では、歩行者というものは交通事故の加害者の立場には立たない、被害者の立場であります。しかもわが国の場合には、依然として歩行者の死傷者が三分の一を占めております。自転車と合わせて四八%と、こういう高率。最近は車対車の先進国並みの事故がふえつつありますけれども、依然として今日そういう事情でございますので、私は、歩行者優先という場合には、あらゆる交通上の施策の上で歩行者を優先さすべきもの、こういうふうに考えております。
○井野委員 警察庁のほうはそういう考えでおられても、現行の体制は長官の言われるような体制にはなっておらぬと思うのです。いま政府のおひざ元の、たとえば私どもの九段宿舎からここへ来る間の事情を見ても、その概念とは全く違うということを申し上げたいのです。たとえばあそこの途中に学校がございます。鰹鮪会館の隣です。あの朝の状態を一度、長官、ごらんなさったら、そういうことは責任者としては言えないと思う。国会に向かって来るときに、右側にわずかに一メートル程度の歩道があるだけです。ここを通る歩行者は、対面をした場合にはぶつかって歩けません。したがって、一方は必ず歩道でない車道を通るのです。けさも私は見ました。おかあさんの手にぶら下がった二人の子供が学校へ送られてくるのです。何か騒いでおって、これが一ぺんに倍の間隔に瞬間的に広がるのです。危うくけさはやるところでした。ちゃんと歩いているから心配ない、音を立てないように静かに来ましても、車も寄れないわけなんです。瞬間的にあの子供がきゃっと言って横になったら、この子供をはね飛ばしてしまいます。もし歩行者優先のお考えがあるなら、あの道路の三分の一を歩道に仮置きものをしただけでもできる。あそこはできるのです。そういう措置をしないで歩行者優先ということは、私は当てはまらないと思う。また過般、本郷三丁目のほうを歩いているときに、私自身が卒倒するほどびっくりしました。それは一方通行の場所であります。ここは歩道の標識は全然ありません。したがって、へいに沿うようにして来ても、うしろから疾走してくる車に急に警笛を鳴らされたら、もう寄りようがないのですが、受ける心理はびっくりします。私は、東京都内で、公安当局、都政、こういうものの中でできる措置をしていない。それで口だけで歩行者優先と言っている。私は、車の場合も被害者である場合が、この法律からいけば、あると思います。それは、いま言ったように、突然起こってくる問題、特に自転車はそうであります。自転車の中で、小中学生が乗っております自転車は、きわめて瞬間的に、十五キロで走っておっても避けることのできない事故を起こします。それは自転車に乗った御経験のある方ならよくわかります。すっと、こうやって出てくるのです。これをそのままに放置しておいて、歩行者優先というのは、なるほど罪に問うときには、いかなる事情があろうと前方不注意ということで処罰されるのですから、それは刑量を加える上で歩行者優先であっても、一般的施策の上で歩行者優先にはなっていない。この点どういうふうにお考えになりますか。
○後藤田政府委員 仰せのように、現実の面で遺憾な点があることは私どもも率直に認めております。しかしながら、私どもの行政の目標としましては、やはり歩行者優先という施策をあらゆる面で浸透さしていかなければならぬ、こう考えております。 そこで、今日私どもが、関係方面にお願いもし、協力も願い、漸次手をつけておりますことは、ただいま申した歩行者優先という観点からする車と歩行者の分離、つまり横断歩道を完全に整備をするとかあるいは歩道を整備する。歩道の整備のできないような路幅のものであれば、片側だけでも歩道をつくる。歩道をつくることができない場合には、ガードレールをつくっていただく。ガードレールもつくりにくいといったところであるならば、区画線で歩道を明示する。それでもなおかつ無理だといったような狭い道路であるならば、車のほうを締め出して、そうして歩行者に当該道路を開放する。こういうような点について現在各方面にお願いをいたしております。こういったことも、いろんな事情から急激に改善措置が講ぜられるとは思いませんけれども、しかしながら、漸次そういった施策が浸透しつつあるということも、これまた事実であろうと思います。今後こういう点についても一そう努力を重ねてまいりたい、私はこう考えております。
○井野委員 長官、その答弁は少しおかしいと思うのです。改善が早急にできる見通しはないと思うと、何を根拠におっしゃるのですか。今日これだけ増大する被害の中で、交通公害の中で、しかも歩行者が一番多いのだ。社会不安の原因だとまで言いかねないくらいにあなたは認識なさっておる。しかもそれは日本政府でやることで、アメリカに相談しなければならぬことじゃないでしょう。政府がその気になったら、建設省、運輸省、自治省、そして東京都と相談すれば、あしたにでも九段のあそこは、あれだけ広い道路なんですから、車道に三分の二、歩道に三分の一に表示したらどうですか、そんな簡単なことができませんか。何が障害になるのです。そのにわかにできないという根拠は何ですか。私は、にわかにできない根拠は、あなた方が当てずっぽうの行政をやっておられるからだと思うのです。東京都内の各道路区分をして、歩行者の量を調査したことがありますか。
○後藤田政府委員 私が、急速にやるのはなかなか困難だ、こう申し上げましたのは、やはり地元のいろいろな関係もありましょうし、何よりも私は経費の問題だと思います。しかし、何というても人命第一であることは申すまでもありませんので、そういった諸般の財政上の観点の許す限り、でき得る限り早くやるということを申し上げておるわけでございます。
○井野委員 いま私が指摘しているような問題は、金のかかる問題じゃないのです。ペンキで路上に線を引くのに——工事をやるときに仮のあれをするでしょう、そういうことは、さほど金のかかることではございません。やる気の問題です。 長官がお見えになりましたから、長官、この間のハイジャックのときの警察庁警備局長のお答えをちょっと思い出してください。長官は各空港等について都道府県警に指令を出して、大阪あるいは東京に準じた警備をしておる、こういうお答えを警備局長からいただいたわけです。私は、千歳はなかった、こう言った。それはおまえが見なかったのだろうという答弁だった。ところが、昨日、私のところへある友人が参りました。そして、十七日の午後五時ごろの千歳警察署の中のあわただしさを私は聞いて、実はあの日は、こちらから注意が行くまで、北海道警察本部は千歳空港に警官を配置しておりませんでした。明らかです。これはもう私が言わなくても御承知だと思いますから、私がこの際言っておきたいのは、この国会答弁を適当にされることは国民にとって不幸なことだと思うのです。まじめに聞いておるのですから、まじめにお答えを願いたいし、いますぐやれることはやはりすぐやってもらいたいと思う。 そういう意味で、この歩行者優先の概念というものが、あらゆる国家予算の中でも、地方との関係においても、十分論議を尽くさなくも、やらなければならないとわかっていることについては即刻対策をとる、こういう姿勢でないと、歩行者優先もことばだけのものだと思うのです。東京都の中で、そんなに金をかけなくても、ペンキを引いただけで、特に一方通行の場合は三分の二だけ車を通して、三分の一は人間を通すようにすれば、歩道の対面交通ができます。いまのように一メートル二、三十のものでありましたら、もうこの歩道からはみ出さざるを得ない。歩行者それ自身に交通法違反をあなた方がやらしていることになる。それは交通量の調査をしてないからなんだ。私、ここでユーゴスラビアの例を一つ申し上げたいと思うのですが、ユーゴスラビアに三十七年に参りましたときに、政府の御案内をいただいて歩道を歩いておりました。五人ほど並んで、通訳が説明しようとする、政府の人が話をしようとする、私たちは聞こうとする。私は小さいものですから、ついに押し出されて車道に一歩出たところが、その国会議員が私に注意しました。団長、あなた一ドル半罰金を払わなければなりません。なぜですかと聞いたら、あなたはいま車道を三歩歩いた、しかし五歩となっているので、まだ二歩あるから、こっちに戻りなさい、こう教えてくれたのです。どういうふうにして罰金を納めるのですかと聞いたら、現場ですぐ国民手帳に書き込まれると、すべてが国営ですから、給料の中から引かれるそうであります。まことに適切にできております。しかし、この国は、道路をつくるときに、先に歩道をつくっております。その施設をなさずして歩行者優先ということは言えないと思うのです。しかし、長い日本の歴史がありますから、そして急速にふえた車で、その対策をすぐこの国並みにしろということは私は言っておるのではありません。現に一方通行にしたところにおいては、路上に線を引いて歩道と車道に分ければ、一方通行ですから、何でもないのです。それでなお収容できないときには、通行禁止あるいは時間通行禁止、そういう措置があるではありませんか。そういうところまでおりて行政をやっていらっしゃらない、ことばだけで歩行者優先となっている。私は、歩行者が車の運転者に害を与えるのは、処罰をさせる原因をつくることにおいては加害者だと思います。私は、交通事故の概念を、事故ということばではなしに、交通犯罪とみなすべきだ。 もう一つ私がここで例を申し上げておきたいのは、私の参りました日まで、ある商事の相馬さんという人が、日本語の通訳をしておられたそうであります。残念ながら、私が参りました日に、交通事故でなくなられました。これはスピードの出し過ぎで、無人の原野で、カーブを切りきれなくて、本人が死んだのです。ところが、これは裁判にかけられました。私が帰って六カ月ほど後に、中央紙の片すみに小さく、何々商事のユーゴスラビア・ベオグラード駐在の相馬何々氏は懲役六カ月に処せられた。だれもけがをさせず、自分だけが死んだ。しかし、車も人間も社会の公共のものであり、人がいたならばけがをさせるだろうということがおそらく科刑をした趣旨だろうと私は思うのであります。したがって、交通事故ということばはこの国にございません。この国ではすべて交通犯罪と言っております。まことに考えるべき問題だと思います。そこで、歩行者優先の点については大至急ひとつお考えをいただきたいと思います。 その次に、交通事犯に対する今回の法律改正が、どうも起こった現象だけをとらえて、その原因について十分なる究明がなされていないという感じがしてならないわけであります。そこで、先ほどの酒飲み運転のあるいは下命あるいは許容あるいはとめなかった、こういうような問題について飲食店等ではかなりきびしくなっておりますが、私は、きょうここで御出席の皆さんにも、この酒を許容したという問題についてはすべて責任があると思います。一例を結婚式披露祝賀会にとってみたいと思うのです。私どもは選挙される身ですから、なるべく多く、御苦労さんでした、おめでとうとお酌をして歩きますと、二百人集まられた中で、私は車を持っておりますからと断わられる方はおそらく一、二でしょう。ところが、結婚式会場の前は、時ならぬ結婚式のために、もう車で一ぱいです。そうすると少なくも三分の一くらいは運転をしてきておられます。そこで、今度は事故統計をごらんください。結婚式の帰り、そういうときに花嫁もろとも死んだ例がたくさんあるじゃありませんか。これは何を物語っておりますか。こういうところでやはり大事なことは、さっき横路さんが追及しましたように、日本の社会習慣というものと交通事故というものを深く掘り下げてみなければならぬと思います。長官、刑法の中で、地方公共団体あるいは国の請負をするときに談合してはならないときめられておるのです。やった者は刑法に触れるようになっておる。ところが、これを私どもが追及しますと、必ずあれは談合ではなくて、必要なる話し合いだ、こう言う。辞典を見ますと、談合とも読めるし、話し合いとも読めるようになっている。談合は禁止しているけれども、話し合いはいいんだ、こう言うのですね。ここで私は、法の尊厳性の問題だと思うのであります。法律をつくるときに、ほんとうに法律が最低の道徳として、よい習慣を社会につくり出さない限り、この交通事犯というものはなくなっていかないと思うのです。そういう意味から言いますと、この酒飲みの問題は、先ほどいみじくも長官は、抑止力にはならないかもしれないけれども、社会的風潮のいいほうの因果循環をはかる要素になる、こういう意味のお答えをなさったわけですが、それならもう少し突っ込んで、もっと具体的にこの酒飲みの原因、いかなる場合に飲むか、ほんとうに好きで飲むか、すすめられて飲むか、この原因調査は残念ながらいままでの統計資料の中には出ておりません。酒を飲んだ事犯が幾ら、こうなっております。飲ませた事犯、いかなる場所で飲んだかというような、社会風潮に対してこういう矯正の方法をもって世論を喚起すべきだというものはありません。これは権力行政の欠陥だと思います。そこで、かりに結婚式場に、いまは全部披露宴ではなくして、祝賀会になって会費制になっておりますから、ドライバーの方はこの記章をつけてください、きょう車をお持ちの人はこちらの席でございますといって、その席に二合びんが立っておらないとしたならば、これは人生のスタートにあたって多くの祝辞が述べられる機会でありますから、笑いごとでなしに、酒飲み運転は犯罪なんだということがきちっと認識されると思うのであります。こういう具体的な酒飲み運転を抑止するような——警察は取り締まればいいというところではないと思うのです、社会矯正のお考えがあるかどうか、ひとつ伺いたいと思います。
○久保政府委員 問題は、法律でどういうふうな分野まで縛るかということもありますし、それからまた、警察というものが社会生活にどういうふうに中に入っていくかという警察の守るべき分野、関与すべき分野ということもあろうかと思います。いまお話しの点は、なかなかむずかしい問題でありまして、飲酒運転といいましても、ある程度の調査はやっておりまするけれども、お話しの点の調査はできておりません。そこで、事故の原因というものはいろんな分野がありまして、警察が担当すべきもの、あるいは警察の権限外ではあるけれども、警察の立場から各関係省庁に要望すべき分野、そういうものもわれわれで事故調査をやるべきところがございます。しかしながら、社会的な問題として、たとえば総理府が総合的に調査すべき分野もございましょうし、私どもは、関係省庁がこぞってこの問題を取り上げるということで、私どもだけがそういうことのすべてを分析し、また働きかけるというふうにも考えませんので、これは総合的な行政をいまの省庁の立場でやっていくべきではなかろうかというふうに思います。
○井野委員 答弁としてはまことにじょうずだと思うのですが、それが無責任答弁の最も模範的なものです。建設省に言えば、それは運輸省です、運輸省へ言えば、それは警察です。そういうことになりますと、佐藤さんに来てもらって答弁してもらう以外になくなるのです。しかし、そういう犯罪を主管しておるのは何といっても警察庁です。事故を起こした人間から調書をとるのはあなた方なんです。建設省がやろうと思えば、今度は警察から資料をもらわなくちゃならぬ。そういう小りこうな官僚にはあまりならぬほうがいいと思うのです。それでは国民のためになりません。問題の原因究明にはならないのです。だから、私の要望したいのは、こういう現象面的な統計調査でなしに、その真の根源に触れた調査をなさることが立法のときの一番大切なきめ手だということなんです。警察官をふやして警察勢力をふやしたいから、法律をたくさんつくるわけじゃございませんでしょう。犯罪をなくして社会不安をなくす、このことが私は警察庁の本来的使命だと思うのです。そういう意味からいけば、なぜこうなったか、先ほどの横路委員の質問とやはり同じことになります。この点は十分考えて、今度からもう少し根源に触れた調査をやっていただきたい、この点をお願いをしておきます。 その次に、免許更新の手続について、いまのことでは実際この法律の中にぜひ取り上げていただきたかったと思うのですが、実はいま労働力が非常に流動しております。したがって、新潟県から北海道へ、北海道から山口県へというふうに、出かせぎが非常に行なわれております。また今日すでに免許証を持った者が二千六百万人という数字になれば、男で一人前に働く者で免許証を持っておらなかったら、もう使いものにならぬ。私どもは使いものにならぬ人間の中に入ってしまいました。これだけに自動車はいまや国民の足であります。この足の免許更新が三年に一ぺんされるときに、うかつにも北海道まで行った人は、仕事を休んで山口県まで戻って更新しなければならない。このことは事業者もたいへんです。こんないい技術者はないと思っておったら、免許証をとりに山口県まで帰っていく。飛行機代にすれば六万円、日数にして汽車で行ってきてもらえば二週間くらいかかってしまう。これはたいへんなことになります。またうかつに忘れている人もあるわけです。したがって、免許更新の手続を、これだけ警察電話が単独にある時代なんですから、その受けた居住地と働いている現住地と連絡をとって、この更新をきわめて簡素にすることがまず第一番に大事だろうと思います。第二には、忘れさせないために、一年に二カ月なら二カ月予告期間を設けて免許更新手続をやるようにすれば、三年でなくても五年でもいいのではないか、こういう気もするわけであります。これらについてほんとうに国民に奉仕をしようとする姿勢であるならば、当然検討さるべきだと思いますが、この点いかがですか。
○久保政府委員 第一番目の御質問はよくわかるところであります。ただ、現在の制度が、事務的な言い方で恐縮ではありますけれども、一応自治体といいますか、県の公安委員会が中心になって仕事が進められております。そこで、免許制度も全国統一の免許制度という形ではなくて、公安委員会単位になっております。そこで試験にいたしましても行政処分にいたしましても、いまの更新にいたしましても、居住地にある公安委員会が所管するというたてまえになっております。そこで、更新の分だけについて取りはずすということが可能でありますかどうですか。たとえば東京から北海道に行っております人が違反なり事故を起こしますと、行政処分があると、やはり東京に呼び戻されるということになるわけで、いまの制度の上からいいますると、なかなか両立しにくいところがございます。いまの法律の上でも、たとえば更新期限が切れる一カ月以内に手続ができるわけでありまするし、仕事の関係があれば、いまの法令の上で、その前でも手続をとることが可能であります。したがって、北海道へ行きそうであれば、その一カ月以前であっても手続をとっていただくことができるわけであります。それともう一つ、いま申し上げました行政処分なんかの関係でいけば、北海道へ行くときには、やはり住所変更の手続をとっていただくということが必要なのではなかろうかといふうに思います。しかし、そこで相当程度私どもはカバーすることが可能であると思いまするけれども、なおかつ処理しきれない分野があればどうするかという問題、警察といたしましては、なるほど全国統一の免許制度ではございませんが、そういった労働力の移動ということもあり、また警察側のサービスということもありますので、これはある程度考慮すべきではなかろうかと私は内心考えております。そこで、どういった問題がありますか。先ほどから申し上げておりますように、免許制度は全般的に見直しておりますので、その中で検討をさしていただきたいと思います。 それからいまの忘れやすいという問題は前から出ておりまして、そのためには、たとえばいまの御提案は一カ月、二カ月免許の更新期間を設けたらどうかということでありますが、これは年間更新者が八百万くらいになりますから、これを平時なべて毎月平均的な数字があるのを一カ月、二カ月にするのは、これは労働力上たいへん困難であると思います。そこで、それにかわるべき方法としまして、たとえば免許の更新の期日を最初に受けた期日に合わせるか、あるいは本人の誕生日に合わせるか、何かそういった手段を講じて、忘れないような方法を講ずるということがわれわれ部内では考えられておりまして、この次の改正のときには考えて提案してみたいと思っております。
○井野委員 次に、調査のことについてでございますが、これだけ自動車の運転ということが生活の中に食い込んでまいりますと、違反の統計も、職業とする人とそうでない足とする人とを分類して原因を究明していかないと、対策が非常にむずかしいと思うのです。先ほど私が談合の話をあげましたのは、長官、これは話し合いは必ず酒がつきものなのです。そしてまた何々組の専務は交通事故をやったそうだと聞くと、どこそこへ行って来た、そこは必ず土建協会のある位置で、ははあ、また談合をやって酒を飲んだなとわかるくらい飲酒運転と自家用車の事故と結びついております。したがって、この原因の究明のために、発生した原因をよく調査するということが非常に大事だというのは、必ずしも交通事故というものは無法者によって起こされているのではない、あるいは教養があるとかないとかでもない。私の最近知っているのでは、北海道の警察では、自動車を担当する課の課長補佐が酒を飲んで人のひき逃げをやって——そちらでちゃんとお笑いになるくらいあるでしょう。これをどう教育するんです。担当者なんです。またお医者さんでひき逃げをやって、かえ玉を出したという例もありましたね。もう大学を出たから、警察の人だからというのは当てにならぬです。問題はやはり酒を飲んだ経過の問題。酒を飲んだことによって自己喪失した、これが問題だ。この原因を聞いてごらんなさい。一緒に酒を飲んだ人も、よその人でなくて、警察同士で飲んでいる。まことに荒木長官、古武士の性格だそうでございますが、武士のよさは責任をとって自分で腹を切るのが一番美徳とされておったのですが、この間もここで警備局長は厳重にやっておりますと言ったが、実際はしなかったということがあります。警察官が、しかも自動車を取り締まったり、許可したりするところの課長補佐が、警察の人と酒を飲んで帰り道にひき逃げをやって、取っつかまって、証言で実証されてから申しわけないと頭を下げた。これでは国民運動も何もあったものではない。これを解職したからといって、あなた方の責任が済むものでもない。さりとてあなた方がやめたからといっても、責任が済むものでもない。そうなると、どうすればいいのか。やはり原因を究明して、かかる違反の起こらないような根本的な対策をとることが一番大事でしょう。それこそ根本的に責任をとる姿勢だと思います。そういう意味で、私は職業別、あるいは原因別の、そういった深く触れた調査をいたして検討すべきだということを申し上げたいと思います。 その次に、学校のあるところに、公安委員会によっては、児童通学の標識を出していますね。ところが、これがないところもあります。どういうわけだろうと思って調べてみましたら、この国際条約ですか、これには例示がございませんね。外国の例を学ばれるのが非常にお好きですから、これにないから入れてないのかどうか、あるほうが望ましいのか、あるとしたら——あれは別表で指示していますね。この際、そういう追加をしてはどうか、これはむずかしいことではございませんので、ひとつお答え願いたいと思います。
○久保政府委員 子供の通学路につきましては、交通の規制はやっているところでありますから、当然そういうものはやるのが適当であります。これは国際条約にあるなしにかかわらず、今度の国際条約にしましてもそうでありますけれども、私どもの要望と、たまたま条約の内容が合致するものでありますから、大部分を取り入れようということでありますし、その中にもないものを含めて入れてでも、われわれは改正してやるべきであると思います。現にどしどしやっているものは、積極的にやるべきであると思います。
○井野委員 現行の制度では規制しておりませんね、義務づけていないですね。
○久保政府委員 通学路にありまする横断歩道につきましては、現在の標識令の中に入っております。単に児童の通学というような任意の標識がありますものは、これは法的に規制はいたしておりません。
○井野委員 横断歩道は規制して、任意のものについてはしていないということですが、これは横断歩道以外のところを通ってはならぬという一般的標識についても、非常にきき目があると思うのです。だから、横断歩道以外を通って、もし災害を受けたときには、かなり歩行者に責任がある場合がありますから、この標識については、かなり徹底しなければならないと思いますし、そのかわり同時に、横断歩道については徹底的な保護が加えられて——先ほどいろいろ御説明がありましたけれども、この保護区分についても、十分でないときには道路管理者の責任になるのか、それとも当該地の警察の責任になるのか、この辺はどうなんですか。
○久保政府委員 責任といいますと、むずかしいことでありますが、道路構造上の問題、たとえば歩道をつくっておくべきであるというような問題であれば、道路管理者になります。それから横断歩道を明示するというようなこと、あるいは子供の補導というような問題になりますと、公安委員会になると思います。
○井野委員 あと六分ほどになりましたので、歩道の問題については私もこう言いましたけれども、いずれ本会議の機会を求めまして佐藤総理にお尋ねしようと思います。それでないと、警察の方もたいへんお困りのようでございますから、佐藤総理から確たる御答弁をいただくことにしたいと思いますが、この標識については、いま少し徹底をされるように要望をしたいと思います。 最後に、これも追突事故などについてですが、私は初め、追突はするほうが悪いので、されるほうは悪くないのだと思っておりました。ところが、交通行政に非常にベテランのある課長さんにお伺いをしましたら、それは間違いであって、追突を受ける者は常習的に受ける。それは車の運行のしかたに追突を余儀なくするような運行をするからだ、こういう御説明をいただきまして、私の事業所の追突受難常習者に注意をしましたら、それ以来なくなりました。そこで、非常にこれは考えさせられる点だと思っておったのでありますが、過般ある友だちから、車のうしろにつく信号を交通信号と同じように青、ダイダイ色、赤に直せば、非常にその問題はなくなる。すなわち、走っているときには青くなっており、とまろうとするときにはダイダイ色になり、とまっているときには常時赤いランプがついている。これは非常に大切なことだという話を聞きました。そこで、車の製造屋さんに聞いたら、たいへんバッテリーが減るそうであります。しかし、交通事故をなくする、追突事故をなくするという意味では、非常に傾聴すべき問題だと思うのであります。自後、車の製造等にこういう方向を予告的にしておいて、ある一定の時期をもってそういうふうな信号ランプにするような試みについて、検討の価値があるかないか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○久保政府委員 現在ブレーキを踏みますと、制動等が働きます。したがって、赤いランプがつくわけでありますが、昼間でありますと、横のわきにランプもついていたりして、なかなか見分けにくいという問題があります。そこで、いまの保安基準にはないのでありますけれども、座席の上のところに赤いランプをつけたりして、いわば補助的な方法を考えておるわけでありますが、技術的にどのようなことがあるか存じませんが、きわめておもしろい提案であると思います。ただ、これは保安基準の関係で運輸省になると思いますけれども、運輸省とも相談してみたいと思います。
○井野委員 私ども社会党は、今回の法案改正についてはいろいろ不満の点もあります。なお補強してほしいものもありますし、あるいは今回間に合わないにしても、できれば今回取り入れてほしかったと思われるような問題が、ただいま申し上げたようにございます。したがって、この法案はおそらく本委員会の採決のときには私どもは起立をするという予告をしておいてよろしいと思うわけでありますが、しかし、何と申しましても交通災害をいかにして絶滅するかということは、イデオロギーの問題でもありませんし、党派の問題でもありません。国民すべての願望であります。そして警察の仕事に対しても協力をしていくべきものと理解しておりますが、いま言ったように、法はできたけれども、国や都道府県の責任でなすべきことをなさず、法に従えということは、事実初めから実行されることを期待しないで法律をつくることになりますので、ただいま申しました歩行者優先の原理等については、各般の施策について、まずこの取り締まり、法律執行の任に当たる公安委員会、警察庁が指導的な立場をもって、これこれのことがなければならないという要求を政府に出さなければならぬと思います。この次はあちこち関係がある、ないという答弁をしないように、確たる資料をおつくり願うことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
○菅委員長 松本忠助君。
○松本(忠)委員 今回の道交法の改正につきましては、私ども公明党といたしましてかねがね主張いたしておりました問題をよく盛り込んでおると思います。この点につきましては、私は敬意を表したいと思っております。 まず第一点としましては、六十五条の改正でございますが、酒気帯び運転全般の禁止、私どもがかねがね提唱しておりました点をよく盛り込んでくれた点でございます。第六十五条二項の新設、これは酒気帯び運転のおそれのある者に対して酒類の提供もしくは飲酒をすすめることを禁止した。これらのことについて私どもは機会あるたびに申し上げてまいりました。繰り返し繰り返し申し上げてまいりましたことが、実施を見たことはまことにけっこうだと思います。これによりまして少しでも交通事故が減少する、そういうことを心から願うものであります。しかしながら、まだ一そう改良を加えていただきたい諸点がございますので、この機会に申し上げてみたいと思うわけでございます。 〔菅地方行政委員長退席、古屋地方行政委員長代理着席〕 そして私がこれから提案するものについては、なるべく早い時期においてその実現をはかっていただきたい、こう思いますので、この点も前向きの答弁を願いたいと思うものであります。 第一番目に、本法はまことに難解な条文でございます。これは毎々言われていることでございますが、非常に難解きわまりない条文でございます。これを一般大衆の親しめる、わかりやすい表現にしてもらいたい、こう思うものでございます。これがまず第一点であります。この法律は、少しオーバーな言い方かもしれませんけれども、われわれの生命に直接関係のある法律、こう申し上げても過言ではないと思うわけでございます。この法律を国民すべてが完全にマスターいたしまして、これを順守することができましたならば、事故は大きく減少することになると思うのでございます。 そこで次に申し上げたい点は、条文の配列の点でございます。これにくふうをしてもらいたいと思うものでございます。これが第二点です。たとえて申しますと、一つの条文の中でも、取り締まりに当たるところの警察当局、警察官が知っていればいい部分がございます。同時にまた、常時建設事業に携わるような特定の方々だけが知っていればいいという条文、部分もあります。さらに一般の歩行者、一般のドライバーが知らねばならないもの、こういうものが、ミックスされておる。こういうものを大別いたしまして、いまの例でいうならば三つに分ける、取り締まりに当たる者が知っていなければならない部分だけをまとめる、あるいは特定の事業者だけが届け出等について知っていなければならない部分をまとめる、さらに一般の歩行者、ドライバーが知っていなければならない部分だけをまとめるというようなぐあいにする。そうしますと、一般の人は自分に関係のある部分だけを読めばいい。あの難解な道交法の条文からだいぶ解放されるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。このようなやり方は、法律の体系であるとか、あるいはていさいであるとか、お役所側からいえば、いろいろと理屈はつけられると思います。しかし、何としても事故を絶滅するために、この法律を最もよく理解し、そして順守させるためには、この道交法をそういうぐあいの配列にする。これが法律のたてまえからできないならば、道交法の副読本、こういうようなタイプにして、そこにはここに書かれてあるようなこまかい活字だけでなく、もう少し気のきいた、さし絵を入れるとか、あるいはもっとくだけて漫画を入れるとか、そうした図解やいろいろのものを入れて、ほんとうに大衆に親しめるものをつくってはどうかと思うものでございます。 また販売の方法にいたしましても、われわれは、必要があれば、こういうものはどこに行けば売っているかということはわかります。しかし、一般大衆の方々は、道交法の勉強をしようと思っても、さて本屋に行ってみると、それがどこにあるのかなかなかわからないわけです。そこで私がお願いしたい点は、もう少しこれを簡単にどこでも手に入るようにしたい。先般ロンドンで私も経験しましたが、「ハイウエーコード」、御承知と思いますが、これは駅の売店で売っているわけです。こういうふうにするならば、ほんとうに親しみやすく、道交法も覚えることができる、そしてそれを活用することによって事故の絶滅につながっていく、こういうふうに思うものでございます。これらの点につきまして、どうかひとつ十分の検討を加えていただきたいと思うものでございますが、公安委員長以下、長官、局長のそれぞれの御答弁をいただいておきたいと思います。
○荒木国務大臣 三つの御提案はごもっともな節があるように思います。検討させていただきます。
○後藤田政府委員 お説ごもっともでございます。お説のような方向で検討をいたしてまいりたいと思います。
○久保政府委員 ただいま御質問の中にありました御意見は、そのまま私の答弁の内容であります。ただ、若干説明を補足いたしますと、今回の改正では十分にできませんでしたが、総合的に改正する場合にはわかりやすくするということを、私は昨年の夏以来公言してまいりましたが、やはり条文を扱ってまいりますと、罰則があります。そういたしますと、構成要件の関係で、私どもの意図にかかわらず、必ずしも家庭の主婦なり中学校を卒業した人が読んでわかるようになるという自信が最近なくなってまいりました、法文そのものといたしましては。そこで、努力といたしましては、たとえばいまの条文の配列の問題は、これは可能であります。これは調べましてやります。 そこで、そうやりましても、家庭の主婦が読んで簡単にわかるというふうになるとは必ずしも保証できません。そこで私どもは、ただいま御提案にありましたようなイギリスの「ハイウエーコード」式のものをつくりたいと思います。これはちょうどお話のように、図解入りのものでありますし、現在私どもやっております「安全運転の知識」という副読本がございますけれども、そういった内容、つまり法案以外のものも含めてその内容として、試験の場合にはそれを読んでおればよろしい、文を読まなくてもよろしいというふうな内容のものにつくり上げたい。これは駅のスタンドその他どこででも売っている、日本のベストセラーにする所存でございます。
○松本(忠)委員 たいへんどうもお三方とも前向きの答弁、ことに交通局長からほんとうに懇切な前向きの答弁がありまして、私も意を強うするものでございますが、ぜひいまの御答弁を近い機会に実現していただきたい、このように思うものでございます。 それから次の問題でございますが、これも提案でございますが、裏通りにおける歩行者の対策、この点についてひとつ考えていただきたいと思うわけでございます。車両制限令という法律がございます。建設省のほうの所管になっておると思います。御承知のように、通路を通行するところの車両の幅あるいは車両の重量あるいは荷重の制限、このようなものがきめられておるわけでございます。この法律に抵触する場合、あるいは抵触するようなものがある場合には、道路管理者が告発をすることになっておりますが、現実の問題といたしまして、告発をするといっても手足がないわけであります。実際問題としてはできません。そうなりますと、これは有名無実になってまいります。そこで、交通秩序の維持というたてまえから、公安委員会の手によって交通規制、そして担保としてこれをやってはどうか、こういうふうに私は思うわけであります。 そこで、具体的な提案になるわけでございますが、御承知のように、日本の歩道というものは、先ほど井野委員からお話がございましたように、現実には非常に歩道自体が少ない。これは大きな問題でございますが、いますぐ歩道をつくれといっても、先ほど繰り返された答弁のように、あっちの所管だ、こっちの所管だ、どうだこうだといってなかなかできません。そこで私、提案いたしたい点は、まず歩行者のために裏通りの道幅のうちの二メートル、これを歩行者用としてとる、そしてその残り部分は車が通る、残り部分の幅のいかんによっては車を規制する、こういう方向をやってはどうかと思うのであります。御承知のように、欧米はどこでも裏道までいっても歩道が完全にできております。そういうところでも事故があるわけですが、日本のような歩車道の区分がないところでは、どうしても事故の続発は避けられない。そこで、いま申し上げましたように、二メートルの部分だけは人間の歩く道として優先確保する、こういう思想を考えてみてはどうかと思うのです。そこで、たとえて申しますと、幅三メートルの道路であるならば、いま提案するように、二メートルが人間の歩く部分だとするならば、残りが一メートルであります。ここを通れるものは自転車かオートバイということになります。しかも一方通行。こういうふうに考えてはどうかと思うのです。それから四メートルの道路であるならば、残りは二メートルになりますから、軽自動車までの一方通行を許す。それから五メートルの道幅の道路であるならば、小型の乗用車までの一方通行を許す。六メートルの道路になるならば、残りが四メートルですから、軽自動車までの両面通行あるいは大型車の一方通行。もちろん五メートル以上の道路になれば、信号機、道路標識等をつけることは当然のことだと思うわけでございます。そういうふうにいたしますと、六メートル以下の道路には大型車が入ってこられないということになります。至って明瞭簡単で、女子供でもよくわかる。そうしてこのような交通規制等をすることによって、先ほどから問題になっております歩行者の保護という、ほんとうに人命尊重という立場から、危険な交通機関から人間の命を安全に守っていく、人命尊重の立場からぜひともこういう方向に進んではどうか。あまりむずかしい規則ずくめではできませんし、そしてまた、それを理解することはむずかしい。いまのような簡単なことで、だれにでも納得できるようにすれば、運転者のほうも、また歩行者のほうもみんなでこれを規制し合う、そうすることによって事故が大幅に減少すると私は思うわけです。この点について後藤田長官、いかがにお考えになるか。また、専門的な立場から久保局長のお考えも聞いておきたいと思います。
○後藤田政府委員 まことに傾聴すべき御意見だと思います。問題は、やはり今日の実態は道路容量と交通量とのアンバランスの問題だと思います。したがって、そのアンバランスを具体的にどのような妥当な線で、御趣旨のような点を実現していくかということに、一つの問題があろうかと思います。やはり裏通り等については、今日の実態から見て、人を優先させるという方向で検討をしてまいりたい。 なお、この件につきましては、私どもだけの問題ではございません。関係省庁も多うございますので、そういった趣旨で関係省庁とも十分打ち合わしてまいりたい、こう考えます。
○久保政府委員 私どもも、ものの考え方はそのような立場に立っております。 そこで、私どもがいまやりつつあることの内容を申し上げますると、六・五メートル以下の道路については、両側に一メートル幅の歩道をとる。両方にとれない場合は、少なくとも片側に一メートルの歩道をとる。それから三・五メートル以下の道路については、たてまえとして車を通さない。この考え方は、現在の法規で申しますと、駐車をする場合に左側に五十センチをおいて右側に三・五メートルとる、こうなっておるわけです。したがいまして、三・五メートル以下のものは通常車が通れないという法認識であるというたてまえから、三・五メートル以下は車は通さない。原則としてそういうふうに逐次持って行きなさいという指示をしたところであります。 ところで、先生の御提案は、それをもっときめこまかくやるということで、私どもはそこまで思い及んではおりませんでしたけれども、交通の実態、それから金のことを申しては恐縮でありまするが、規制をやりますときには、必ず標識を伴うので、相当金額が伴う。そこで、そういった経費的な問題、それから地元の意向、その他いろんな諸般の条件を加味して、方向としてはそういうふうに持っていくべきであろうと思いますので、そういう指示をしつつあるところであります。
○松本(忠)委員 すぐお金のことを言われる。お金が大事か人間の命が大事かということをよく考えていただきたいと私は思うのです。 まあ時間もございませんので、その次の問題に移りますけれども、次の提案は、交通事故の根本的の解明機関の設置、これをひとつ考えていただきたいのです。なぜこうなったかという原因をよく調査すべきではないか、こう思うわけです。交通事故が今後ますます増加するであろうことは、これは言をまちません。もちろん事故の発生の防止にはあらゆる手を打っていくことは当然でございますし、官民こぞってその努力を惜しんではならぬ。いまのように、お金が云々というようなことは、もう再び口にしないでいただきたいと私は思う。まあそれはそれといたしまして、交通事故を根本的に解明するために、そしてまた、事故の発生を防止するためには、交通警察官の中でさらに高度の専門技術を身につけたところの警察官が熱心に事故の解明に取り組む、こういう姿勢を示してもらいたいと思うのです。もちろん地方の都市、町村にまでそういう方々を置けと言うのではありません。大都市の、特に事故が頻発するような管内にその必要が多い、こう考えるわけでございます。これらの専門家が、事故が発生いたしますと同時に、その現場へ飛んでいく。そうして事故の処理とか、救急、そういう部門には従来の警察官が当たるわけです。あるいは消防官、そういうものが当たる。そしてこの専門の方があらゆる角度から、どうして事故が発生したのか、これを的確にとらえて、その資料を整理して中央の事故解明機関に送る。その機関では、全国各大都市から集まってくるそれらの資料を分類し、解析して、その発生原因を的確に把握してすみやかにその結論を得て、研究の成果を一般に公表する。同時にまた、関係の警察庁はじめ各方面に研究資料を配付して、そして交通施設の改善をはかる、指導、取り締まりの有益なきめ手にする。こういうふうな交通事故を根本的に解明する機関を設けるべきであると私は思うわけでございます。この点について局長の御意見を伺いたい。
○久保政府委員 御提案のとおりでありまして、現在行なわれておりますることは、科学警察研究所における交通部で一部仕事はやっている、それから各県本部に事故分析官というものを置いております。これは相当に仕事をやっておりまして、その県の主要道路の全部あるいは交通事故の多発地点、たとえば百カ所を選んでその地点ごとに図面をつくっております。どういう方向でどういうぐあいの事故が起こったかということを冊子にいたしまして、その中でこの原因は何であるかということが書いてあります。それに基づいて道路管理者側に要望するあるいは警察側の安全教育その他の施策に寄与するということをやっております。しかしながら、これでもなお不十分でありまして、再々申し上げますように、事故の原因というものは各般にわたっております。警察の分野だけではもちろんございません。そこで、われわれのやることであるかどうかは別といたしまして、警察がやらなければできませんので、近く私どもとしましては、事故分析のサンプル調査的なことを部外の学者などに委託をしてやってもらうということで、その場合には、たとえば労働環境であるとか、道路の問題であるとかあるいは心理的な問題であるとか、そういうことを総合的に調査をして原因を究明してまいりたい、かように考えております。 なお、これは委託的な仕事でありますけれども、私どもとしては、本来調査機関を設立すべきであろうと考えております。これはまだ実は長官にも話してはおりませんけれども、交通局といたしましては、交通の研究所的なものを設置して、その中で技術の開発であれ、事故の調査分析であれ、そういうものをつくってやっていくべきではなかろうかということを思っております。なお、各県につきましては、私どものほうで、警察官の中に大学の理工科を出た者が相当数あります。これを養成して事故分析、事故調査、そういうことに担当させるように持ってまいりたい、こういう計画でおります。 〔古屋地方行政委員長代理退席、菅地方行政 委員長着席〕
○松本(忠)委員 私の提案に大いに賛意を表していただいておりますが、一そうその面についての実施をすみやかにやっていただきたいし、いままで出てきているものについては十分にその機能を発揮できるようにやっていただきたいと思うのです。 それから次に、国立の自動車安全運転学校、これは仮称でございますが、こういうものを設けてはどうかという考えであります。現在のパトロールカーや白バイ運転の警察官というものは、どこでどのような指導を受け、訓練を受けているのかというと、実際はそれだけの時間もないだろうと思う。また人間の関係、勤務の関係上、そういう機会は全くないのではないかと私は思うわけでございます。言うなれば、毎日自分の職場で、街頭で実施訓練をみずから行なっている、こういうのじゃなかろうかと思うわけでございます。また一方、教習所の指導員につきましても、同じことが言えるのではなかろうかと思うわけです。そこで、これらの者の養成訓練をすると同時に、急速に発展しましたモータリゼーションに即応する、新しい時代に即応したところの運転技術を解明する時代、こういう時期に入っているのじゃなかろうかと思うわけです。 たとえて言いますと、日本ではいわゆる送りハンドル、八時二十分の形におけるところの送りハンドルはやっておりません、しかし、ロンドンではその位置におきましてハンドルを握っている。私も見てまいりました。ロンドンではこのいわゆる送りハンドルを実施している。そこで日本におきましても、高速道路の発達につれて非常に自動車のスピードというものが急速に高まっている。百キロ時代、こうなっております。そうすると、いまのようないわゆる二時十分前の形では危険だと考える。このようなハンドルの握り方のほかに、またブレーキ技術の点、これらももっともっと解明をして、いわゆる高速走行時代の新しい自動車の操作というものを、そしてまた安全運転技術というものを調査研究し、事故軽減の方向に向かわせるべきではないか。 先ほど事故解明の機関をつくれ、あるいはまたこういう運転技術の学校をつくれ、こう言いますと、またすぐ予算がないと言われるかもしれませんが、とうとい人命をそこなわないためにも、こういう施設が国に一つぐらいあってもいいと私は思う。そういう点、公安委員長、いかがお考えでございますか。
○荒木国務大臣 検討すべき課題だと思います。
○松本(忠)委員 検討すべき課題である、確かに検討してもらわなければならぬ時代にもう入っております。時間もありませんので、局長、この点についてどうお考えになりますか。
○久保政府委員 長官にお話をしてない質問が出て、私は困るのでありますが、いまのたとえば白バイについては、現在鈴鹿のスピードウエーで訓練をしております。四輪車は各県でやっております。したがって、部内では四輪車、パトカーの教育訓練をやる場がないのではないかという意見も出ております。そこで、現在事務的には、私どもの警務局と交通局で相談をいたしておりますのは、現在警察庁には管区学校が幾つかありますが、そのうちで名古屋にあります中部管区学校については自動車専用の学校にしようではないか、そこにおいて、コースはもちろん、いろいろな課程なり器材を設けて、教育訓練をやっていこうということを、これは警察内部の問題でありますが、そういうことをいま両局では検討しておるところであります。 それから一般の、たとえば指定教習所の指導員についての訓練の問題も非常にあるわけです。これは国立ですることについてはちょっと私どもまだ踏み切れておりませんが、むしろ指定自動車連合会あたりで総合的に金を出し合ってやるべきではなかろうか。この点は私ども連合会のほうと話し合いを進めておりますが、まだ向こうは乗ってきておりませんが、そういう方向で何かできないだろうか、あるいは自交会というものの活用ということも考えられる。そういう方向で考えてみたいと思っております。
○松本(忠)委員 最後の問題でございますが、今回の道交法の改正につきましては、とりあえずできるものからやろう、すぐやらなければならないものから手をつけよう、こういう精神でやられたわけであります。しかし、まだまだ抜本的に改正をしなければならない点が多々ございます。しかしながら、一応われわれがいままで提案してまいりましたことが、逐次実現を見ているということについては敬意を表するものでございます。しかしながら問題は、この実施の時期だと思うのです。残された会期中に衆参をともに通過いたしまして、一日も早く公布をしてほしい、こう私も思うものでございます。長官はいつごろこれを公布するお考えなのか、この腹づもりを聞かせていただきたい。私ども思いますのに、事故の統計などから考えまして、これから夏休み、そしてまた秋の行楽シーズンにかけまして例年事故が多発する傾向にございます。こういう点にかんがみまして、これらの時期に間に合うように実施体制を急いでいただきたい、こう私は思うものでございますが、長官は実施の時期についていつごろを見込んでおられるか、その点をお答えいただきたいと思うわけです。
○後藤田政府委員 諸般の準備並びに周知徹底等のことも考えまして、八月中旬を実施時期と一応考えております。
○松本(忠)委員 けっこうであります。どうか一日も早くこの道交法の実施をし、さらにまた、これでいいのだということでなくて、次の改正についてもっともっと熱心に取り組んでいただきたい、そして事故の絶滅に向かって大いに力を発揮していただきたい。警察当局ばかりでなく、関係方面も一そうこの問題について協力し合ってこの実現を期していただきたいことを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
○菅委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 現在の交通事情は、関係当局の努力にもかかわりまぜず、さらに事故、災害は拡大しておるわけでございます。このときにあたりまして、私たちの責任も重かつ大であると確信しております。その見地からすれば、このたびの道交法の一部改正は、早急なる成立とその実施効果が待たれておると痛感するものでございます。ただ、このたびの改正でも、先ほど関係の局長さんから、不十分な点もあるというふうな御発言もございましたが、交通安全という目的に向かってさらに努力をしなければならないわけでございますが、今後改正を要すると考えられます点等をまず、簡単でけっこうでございますから、お述べいただきまして、その中で特に早急にやらなければならない、また実現できるものであるという点について少々局長のほうからお話しいただきまして、長官、大臣から、その実施を完成させる御決意を伺いたいと思います。
○久保政府委員 全般的には、総合的に見直しまして、わかりやすく、了解のしやすいような体系にするつもりであります。中身といたしましては、一つは、道路交通に関する国際条約がいずれ次の国会では批准ということになろうかと思いますが、その中身を取り入れていくということであります。それから次は、今日のモータリーゼーションの影響を受けて、社会生活のいろんな分野が侵害されている。そういった面で取り上げるべき問題がある。たとえば暴力犯罪に車が利用された場合に、免許証を取り上げるかどうかというような問題、それから都市への車の乗り入れを規制するために、パーキングメーターの制度をもう一度採用して、間接的に乗り入れの規制をはかるというような問題。それから非常にむずかしい問題は、都心部への乗り入れ規制を、たとえば車の別あるいは用途の別によって規制できるかどうか、そういう問題を考えてまいりたい。それからもう一つは、公害の防止に関する規制といったような問題であります。それから免許関係、これはただいまも御質問がありましたように、いろんな分野の問題を含んでおりまして、考え方の相違によって、右すべきか左すべきか相当むずかしい問題を包含しております。これは今日検討しておりますが、これらをいずれもあわせて次の改正のときには取り上げてまいりたい。この中でも一番むずかしい問題は、車種別あるいは用途別の都心部への乗り入れ規制の問題でありまして、この点は、警察だけで判断すべきものではなく、各方面の御意見を伺いながら、具体的な中身を詰めてまいりたい、かように考えております。
○後藤田政府委員 ただいま局長がお答え申し上げましたような点について、今日、来年の通常国会に提出するような目途で検討を進めております。
○荒木国務大臣 ただいま長官がお答えしたとおりに取り運びたいと思います。
○田中(昭)委員 この道交法の法律そのものが、いわゆる事故の取り締まりをさらに強化するという法律であるかと思いますが、そうなりますと、先ほど大臣からもお話がありましたが、この法律ができたばかりではどうにもならない、この法律を守ってもらわなければならない、いわゆる順法精神を高めていかなければならない。それと同時に、この法律が目的を達せられますように、いままでいろいろと道交法につきまして、地行委員会並びにこうやって連合審査まで行なわれるということを考えてみますと、この法律の実際の運用、実施される段階におきましては、一番大事なことは、法律が守られるという環境を整備しなければならないのじゃないか、このように思いますが、この点につきましては、ひとつ責任者であります長官並びに大臣から、もう一言御発言いただきたいと思います。
○後藤田政府委員 もとより法律は順法せられなければどうにもなるわけのものでもございません。したがって、道交法改正の御承認を得ますれば、改正点等については十分周知徹底をして、国民の皆さんに相ともに守っていただくというような措置に努力を重ねてまいりたい、こう考えております。
○荒木国務大臣 法律をつくりましても、守る意思がなければ、あってもなきがごときことでございます。順法精神こそが根本の問題かと心得ます。
○田中(昭)委員 その順法精神は、国民はやはりお上の仕事によって左右されるわけでありますから、順法精神が育成され、そして交通安全という目的が達成されるためには、その環境づくりが大切ではないか、私はこう申し上げたわけであります。そういう面で、重ねてでございますが、大臣からもう一言お願いしたいと思います。
○荒木国務大臣 もちろんそのことを含めてのことでございます。
○田中(昭)委員 いろいろな問題があって、たいへん議論が出まして煮詰められておるようでございますが、私は交通事故の起こるいろいろな原因の中の一つを取り上げてみたいと思います。 すなわち車のスピード、交通事故はスピードの出し過ぎによって起こるものがたいへん多いのだ、私たちはしろうとでございますから、そういう点を一番聞くわけでございます。特にこのような狭いわが国の国内事情にありましては、住宅もたいへん込み入っておりますし、その中に商店街、またいまは裏通りの問題も起こってきておるようでございますが、そういうところに対する速度規制については、大体どのようなお考えを持っておられますか、局長のほうからお答え願いたいと思います。
○久保政府委員 いま私どもの長期計画の中でもそうでありますが、具体的に進められておりますことは、先般総理府の交通対策本部のほうから指示がありましたことで、裏通りについては、場所によって原則として十キロ程度以内というふうにいわれております。徐行すべきところは徐行すべしということをいっておるわけでありますが、本来考えてみますと、歩車道の区別のある裏通りとしからざるところを分けて考えるべきではなかろうか。そこで、歩車道の区別のあるところは三十キロないし二十キロ、歩車道の区別のないところは二十キロないし十キロ、そういった程度がよろしいのではなかろうかというふうに、いま部内で検討いたしております。
○田中(昭)委員 もちろん歩車道が完備されつつ、道というものは一直線な道ばかりではありませんで、いろいろな曲折を持っておりますので、そういう点についてさらに規制ということを考えるべきではないかと思って申し上げたわけでございます。そういうことになりまして、住宅地や裏通りについて速度制限がある程度行なわれておるわけでございますが、現実にそういうことに対する取り締まりの上でそれが注意されて、運転者がそのルールを守っていくということについては、はなはだ効果が疑問でございます。ほんとに規制の効果があがるようにするには、どのようにお考えになっておりますか、お聞きしておきたいと思います。
○久保政府委員 確かに裏通りについては住民の事情、交通事情、その他諸般のことを考えながら規制をするわけでありますが、それにいたしましても、それを担保する方法がなかなかむずかしい。もちろん警察官が指導をやるわけでありますけれども、今日街頭に出ている警察官の数が非常に少ない。私どもは、事務的な分野をなるべく節減して街頭に出す、あるいは機動隊なども交通整理にかり出すということで、街頭における警察官を確保しようとしておるわけでありますが、その場合でも、重点的に事故多発のところあるいは交通の量の多いところにかり出されるといったようなこともあります。 そこで、裏通りというのは、非常に長大なキロ数に及びますので、私どもとしましては、連日というわけにはまいりませんで、そのときそのときによって路線を変えたりあるいは機動的な取り締まりを併用して、これの担保をはかるということであろうと思います。特に交通巡視員が採用されることになりますと、ある程度こういった面にも寄与し得るのではなかろうかと思います。
○田中(昭)委員 ことしもまた交通安全運動が行なわれましたが、この運動期間を通しまして、警察庁としまして今後考えなければならない点、また反省すべき点等がございましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
○久保政府委員 安全運動のあとには、各県からその事業の概要と問題点、反省点、それらが上がってまいります。私どもはそれを見ながら次の運動に備えるわけでありますが、まだ全部整理できておりませんので、それを見ての意見ではございませんが、私自身の感じをまず申し上げてみますと、ここ三回ばかり一日一重点ということで運動を進めてまいりました。これは関係各省が多いので、それぞれ分担していただこうということもございます。そこで、一日一重点ということでありますと、十日間で実は七つの項目でありますけれども、それでもなおかつ重点が分散し過ぎるのではなかろうか。大きな項目といたしましては、歩行者の保護、特に老人、子供ということがいわれております。ところで、私どもは、歩行者の事故及び自転車の事故による死亡者をいずれ半減したいという大きな目標を持っております。そういたしますと、これは総務長官も再々言っておられますので、政府の方向としてよろしかろうと思いますけれども、そうであるとするならば、今後の運動も、やはり歩行者と自転車事故の死亡を何とか減すというふうにあらゆる施策が集約されるべきではなかろうか。したがいまして、従来の七つの重点事項というものをもう少ししぼると同時に、施策もそこに集約していくということを考えるべきではなかろうかということを私自身は考えております。
○田中(昭)委員 いまのお話にありましたが、今回の運動期間中に、裏通りにおける犠牲がたいへん目立っておるようでございますし、そういう面についても、先ほどから申し上げましたスピードの制限、いわゆる大型車の追放というような規制は十分になされておるのでしょうか。まだ少し甘いのじゃないでしょうか。その点はどうでしょうか。
○久保政府委員 まだ十分なされておりません。私どもは昨年来、裏通り対策ということを申しておりますけれども、逐次その方向に進んでまいっております。金のことを申し上げると何だということになりますけれども、現に昨年度でも本年度でも、やはり行政官庁でありますから、予算によってやるということでありますが、どうしても規制のためには標識を伴います、あるいは標識だけではありませんで、警視庁でも実施いたしておりましたように、たとえば裏通りで一番事故が多いのは交差点における事故でありますが、そういったところにブロックポイントと申しまして、反射鏡のついたようなものを地上に埋め込む、これはけっこう金がかかるのでありまして、無数にある交差点に逐次実施していくにしても若干の時間がかかる。そこで、私どもは、ことしでやれるとは申しませんけれども、長期的な計画の中に相当額の金をとって、これで運転者なり歩行者なりからは標識、標示あるいは信号機などについて完全に文句が出ないという体制に持ってまいりたい。道路なり交通の整備に反して、安全施設、特に公安委員会の関係の安全施設の整備が非常に立ちおくれている分野を何とか取り戻したい、そういう考え方でおりますので、それでほとんどすべての施設が整い、あるいは規制に応ずるものは完備するのではなかろうかというふうに思っております。
○田中(昭)委員 大臣にお願いしたいと思いますが、今度の期間中にまたとうとい三百七十三名という犠牲者が出ております。これは先ほどから苦いますように、たいへん関係当局の努力もあったわけでございますが、それに反してこのような多くの犠牲者を出しております。この運動期間中の主眼点、先ほどから言われますように、老人と子供の事故防止ということにつきましては、残念ながらその効果があがってないようでございますし、また、報道されるところによりますと、六十歳以上のお年寄り七十一名、十五歳以下の子供が四十六名というような多くの死傷者を出しておりますことは、ほんとうに悲しいことでございます。私たちも深くこのことを肝に銘じて考えなければならない、このように思っております。 そこで、この老人や子供に対するいわゆる総合的な施策を確立すべきであると思います。特に子供については、未来を築く大事な子供たちでありますし、この対策については、先日も山中総務長官から、いわゆる子供開放区をつくるという方針も明らかにされておりますが、このことはかねてから私たちが申し上げておりましたことでございますし、この子供開放区の実現は世間の母親の願いではなかろうか、こう思います。でありますれば、早急なるその実現をはかって、いわゆる広場の開放、休日開放というようなことも、これは法律の条文にある程度盛るべきではないか、このように思いますが、公安委員長としてどのようにお考えになっておりますか、お答え願いたいと思います。
○久保政府委員 条文にというお話でありましたので、私がかわってお答えいたしますが、この子供の開放道路、子供の遊戯道路といいますのは、私ども世論にこたえまして、昨年の夏に実施をいたしました。昨年の夏休み中に全国で約四百カ所でありますが、これは現在の道路交通法の七条の規制でもって可能であるということであります。全然人通りのないところについて、あるいは車の通らないところについて交通規制をやるということになりますと、条文の改正も必要かと思いますけれども、現在では子供たちの多いところあるいは通行の多いところでそういうことが望ましいということでありますので、いまの状況であれば、現行法で可能であるということで、先般の交通対策本部の指示に基づいて、私どももすでに全国に通達いたしております。これはただ通達をいたしたとはいうものの、従前からやっていることをさらに再確認をした、また拡充をして行ないたいということであります。
○田中(昭)委員 もう時間が来たようでございますから、その開放区につきまして一言私の意見を申し上げて、最後に公安委員長のお考えを聞いておきたいと思います。 この道路の開放区をつくりますとともに、ここで交通教育というようなものを行なう。その対象は、その地域の保護者、特に母親を交えての安全教育を行なうことによって、子供の事故に対する防止の一環とすべきではないか、このようにも思います。その対策の一つとして、いま行なわれております巡回移動式教室というようなものも全国に拡大いたしまして、そうしてこれに必要ないわゆる教材、器具というのを早急に整備しなければならない、このように思います。いま行なわれておりますこの程度のものでは、たいへん小さなわずかばかりの器材等では、私は目的を達し得ないかとも思いますので、今後この教材等につきましては、もう少し十分にしなければならない、また効果のあるものにしていかなければならない、このようにも思います。それを実施することになりますと、どうしても地方公共団体にはいろいろ格差がございますし、予算措置がとれないかとも思いますが、そういう点を十分配慮しながら、これらに要する費用をひとつ国で重点的に予算措置を行なってはどうだろうか。地方においてそのようないわゆる格差がまた起こっては問題でございますし、一時にできなければ、部分的にもそのような国の配慮と運動を並列して行なうべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○荒木国務大臣 ただいまお話しの件は、交通安全協会を通じてやったほうが適切かと思います。何がしかの国の補助は出しておるのでございますが、国のほうからも、要すればもうちょっと手厚い援助を与えながらやっていくのが適当かと心得ます。
○田中(昭)委員 先ほど申しましたように、いろんな現実に起こります事故、それを重視していくならば、当然そういう予算措置というものも思い切ってやらなければ効果が少ないではないかということを申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
○菅委員長 河村勝君。
○河村委員 今度の改正案の主要な点、幾つかの点についてかいつまんでお尋ねをいたしたいと思います。 初めに、さっき交通局長の答弁の中にも、すでに今後の課題として出てまいりましたが、都市交通の規制について今回若干の改正が提案されておりますけれども、基本的には、現在、今後車両の通行の禁止、制限についての根拠法規としては道路交通法七条以外にはない、そう考えてよろしいわけですか。
○久保政府委員 さようでございます。
○河村委員 大臣にお尋ねいたしますが、今日の車の増加の趨勢、すでに今日においても大都市において相当包括的な自動車の乗り入れ制限をやらなければならぬ時期に到達しているのではないかと考えますが、大臣のお考えはいかがですか。
○後藤田政府委員 大臣にかわりましてお答えを申し上げます。 都市交通規制の全般的な思い切ったやり方をどうするか、こういう問題だと思いますが、今日の都市交通の実態から見まして、私は漸次そういった広範な規制をやらねばならない時期にまいっておるのではないか。したがって、それに対応した法的な面、つまり今日の道交法第七条だけでそれがまかない得るのかどうかということは、法律上にも私は多少の疑点があると思います。かりに七条でそういった大規模な都市交通規制ができると仮定いたしましても、この交通規制は国民生活の上に、また経済生活の上で重大な影響を与える問題だと思います。したがって、第七条で、かりに広い解釈で無理無理やれるといっても、やるべき筋合いのものではない。重大な影響を与える問題であるだけに、やるという必要性があるとするならば、これは私は、法解釈の上で、国会の皆さん方の御審議を得た上で、あらゆる方面からの御検討を経てやるべき筋合いのものである、こういうふうに考えております。そこで、今日私どもとしては、大都市への時間別あるいは車種別、そういった広い規制をやることの可否、あるいはやる方法、こういったことを検討いたしておるのが実情でございます。結論を得ますれば、やはり私は法解釈でやるのでなくて、立法によってやりたい、こういうふうに考えております。
○河村委員 どうも大臣、答弁をお逃げになりましたけれども、これは政治問題なんですね。都市問題として非常に大きな問題なので、大臣がお答えにならないのははなはだひきょうだと私は思うのですね。ですけれども、まあよろしいです。この七条は明らかに、「当該道路につき、区間を定めて、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。」当該道路について区間を定めてという狭い解釈ですから、いかに無理やりに解釈しても、包括的な規制は無理だろうと思いますね。さっき交通局長が警察庁だけで考えるべき問題じゃないという意味のことを言いましたけれども、確かにそれはそうだと思いますが、さっきの話では来年全面改正の際には取り入れたいという意味の発言がありましたが、今日関係各省間でどの程度の話を続け、その模様はどんなぐあいであるか、ちょっと聞かしてください。
○久保政府委員 この問題は、警察内部については内部なりの検討をしておりますけれども、運輸省で都市問題の部外者を集めた審議会がございます。その中で研究されているそうでありまして、私はちょっと内容を存じておりませんけれども、ある程度の時期に結論が出るでありましょうが、もちろんこの点は運輸省だけの結論でもいけませんで、やはり総理府その他行政機関も入り、また別の部外者の方々の御意見も今後重ねながら私どもは結論を出すべきではなかろうか、そういうふうに思っております。
○河村委員 これ以上の答弁をここで求めましても無理だろうと思いますが、大臣、これは非常に大事な問題ですから、ぜひみずから真剣に取り組んでいただきたいと思います。 それから次に、今度の法改正で酒気帯び運転の全面禁止と、それから酒気帯び運転をするおそれのある者に対する酒類等の提供禁止の条項が入りましたが、これは罰則がございません。罰則なきこういう条文をつくってどのような効果を期待しておられるか、大臣、いかがでございますか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 酒を飲んだらハンドルを握るなということの徹底することをねらっております。罰則がない部分があるということは、要するに、酒を飲んでは運転できないという常識を定着させることをねらっておるのでありまして、それなりの効果はあろうかと思います。
○河村委員 どうも最近法律がわりあいと安直につくられて、実際実効があがらぬような法律をつくるというのは、逆に法律軽視の習慣をつくるようなものじゃないかと懸念するのですけれども、一体この種の取り締まり法規で罰則のつかないものというのは、ほかにどんな例があるのですか。
○荒井政府委員 およそ法律の規定の中には、取り締まり規定と解される罰則をもって担保するものと、その規定に違反した場合にその効果を認めないという形の効力規定と称せられるものと、それから訓示規定と称せられるものと、その三通りがあるわけでございます。そのいずれを取るかという場合に、これはまさに法律の規定でございますから、実効があがらなければいけない。たとえば売春防止法の中で「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。」と規定しておりますけれども、それに対して直ちに罰則を設けるということは、現行犯をつかまえなければいけないとか、証拠を保全しなければいけないということになり、かなりやっかいな問題が起こる。したがって、それは勧誘しあるいは誘引する行為というものに限定して処罰する。あるいは未成年者の飲酒禁止に関する法律というもので、未成年者は飲酒をしてはならないという禁止規範を一応は設けておりますけれども、直ちにそれに対する罰則はない。それはその監督者とかあるいはその相手方に対する罰則というような形で書く。あるいは「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」というものでは、すべて節度ある飲酒というものでなければいけないのだということで、その酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の基礎となる酒は一滴も——節度を欠いた飲酒というものはいけないんだという規範は、一応第二条で書いておりますけれども、罰則としてはそのすべてでなくて、「酩酊者が公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、」処罰するというような規定を設けているということでございます。今回の六十五条の第一項で、酒気帯び運転はおよそ禁止をしたのだということでございますけれども、それは罰則の百十九条一項の第七号の二の規定と読み合わせますと、ともかくおよそ酒を飲んだらハンドルを握るなというたてまえで、従来の六十五条でございますと、その書き出しがらして「酒気を帯びて」とはどういうものであるかというと、「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」にならなければ運転をしてもいいのだと逆にとられるおそれがある。その点は一般的な規範として、酒気帯び運転はおよそたてまえとしていけないのだ、しかし、処罰するのは身体に、呼気に〇・二五以上のアルコール分を含むに至った場合に処罰するのだということにつながっておるわけでございます。その条の第二項として、「何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」という場合にも、一項の規定自体に罰則にひっかからない分野があるわけでございまして、それをひっくるめて処罰する規定を設けるということは非常に問題があるわけでございます。そして、この二項についても何ら罰則がないというわけではございませんで、刑法の六十条ないし六十二条という規定でその幇助なりあるいは教唆なりという場合に当たれば、あるいは情を知って酒酔い運転をさせたというのに当たるような、あるいはそれを幇助、教唆した場合には、もちろん刑法の総則の規定で処罰されることはありますし、あるいは道交法の中でも七十五条の「車両等の運行を直接管理する地位にある者」が酒をすすめた、そして運転を命じたとか容認したという場合には、同じく百十九条第一項第七号の二に罰則があるということでございまして、第二項の規定は何ら罰則によって担保されていないということでは必ずしもございません。この第一項の規定がすでに訓示規定部分を含み、およそ一般的に酒を飲んだらハンドルを握ることはいけないのだということを含めて、その規定しているというものに対する第二項である。そして、その取り締まりの実効をあげるためには、警察官は料理屋で酒を提供しているという現場でも踏み込んで押えてやらないと、ちょうど売春と同じで、取り締まりの実効があがらないということになる。どうやって実効をあがらせるようにするかという点で、ともかくこの規定を設けることによって、いわば道路交通安全憲章的であるかもしれませんけれども、世間一般の非難をこれによってさらに高からしめる。それから、いま現に交通安全対策として各種の機関で行政的に飲酒販売を規制する措置を進めております。それは何ら法的基礎はありませんけれども、今度は六十五条二項という規定がある。それを基礎にしてさらに強力な行政指導といいますか、行政措置が講ぜられるという効果も期待して、こういう規定になったものだというふうに考えます。
○河村委員 あなたのおっしゃることに言いたいことはたくさんあるのですが、それだけで時間がなくなってしまいますから、この議論はこれだけでやめます。 いま一つ伺います。今度も悪質運転者に対する免許取り消しあるいは停止の期間を延長して一年を三年にしました。悪質な違反者に対するこうした処分を強化することは賛成です。ただ問題は、その基準が全部政令に委任されておって、特に職業として運転に従事する者にとっては、二年あるいは三年の免許の取り消しというのは生活にかかわることで、たいへんなことなんです。それで善良なるそういう人たちが非常に不満に思い、不安を感ずるわけであります。そこで、どんな政令をつくるのか、ここでもって明確に、ある意味では言質をとりたいと思っているので、政令の中身について、基準がどういうふうになっているかを説明してください。
○久保政府委員 一年が三年になるわけでありますが、この場合も点数制度を採用いたしますので、それぞれの違反事故異計に点数を与えます。そして三年の場合は三十五点以上になった場合であります。その例といたしましては、酒酔い運転が十二点になります。死亡事故が十三点、ひき逃げが十点ということで三十五点。こういうふうに酒酔い運転による責任の重い死亡事故——責任の重いというのは、大部分の責任が運転者にある場合であります。そうしてひき逃げをしたといった場合に三年の欠格期間になる。それから行政処分前歴がありますと、その点数が下がりますが、行政処分前歴がたとえば一回であります場合に三十点以上にするわけであります。この場合には酒酔い運転による責任の重い重傷事故、それのひき逃げが三十一点になります。こういうようなことで三年累計のものが算定されます。それから二年の欠格期間というものは、行政処分前歴が過去三年以内に全然なかったという場合には、二十五点以上にするわけであります。その例といたしましては、酒酔い運転による責任の重い死亡事故、これがちょうど二十五点になります。それから酒酔い運転による責任の軽い軽傷事故のひき逃げ、酒酔い運転とひき逃げが重なりますと二十六点になります。こういったものを悪質と考えて事故累計を二年にしたい、そういうことであります。
○河村委員 そうしますと、三十五点としてそれまでの段階は過去の累積がある場合があり得る。しかし、ほんとうに軽微な事故の積み上げによって三年あるいは二年というような取り消しの起こり得る可能性はなし、こう考えてよろしいわけですね。
○久保政府委員 おっしゃるとおりでありまして、たとえば二点ずつの違反を三回やった場合には、すでに六点で停止を受けますので、そこで点数は消えてしまいます。したがって、何らかの大きな事故、きわめて悪質な事故が十何点というものがありますので、それが重なった場合しか例としてはございません。
○河村委員 それでわかりました。 次に、交通巡視員制度についてちょっと伺いますが、これの資格要件も政令に委任されておりますが、大体どういう人を連れてきて、どのような訓練をして仕事をさせようというのか、それを簡単に御説明願います。
○久保政府委員 資格といたしましては、警察官と同じように、十八歳以上で高等学校卒業者ということであります。そして道路交通法関係の中でも交通整理の指導あるいは駐車の違反がありました場合の告知をするだけで、司法警察職員としての権限を与えるわけではございません。告知権を与えるだけでございますから、その範囲内におきまして三カ月の教養を各県で実施する。その基準というのは、私どもの中で定めて各県に実施させる、そういう計画でおります。
○河村委員 人数は大体どのくらいを予定しておりますか。
○久保政府委員 昭和四十五年度は二千五百人であります。
○河村委員 全国で二千五百人というと、小さなものですね。この程度のことで何らか役に立つとお考えでありますか。
○久保政府委員 いまの配置基準は、人口十万人以上の都市に配置をするわけであります。したがいまして、非常に厚い薄いはありますが、東京都の場合に五百五十五名を一応予定しております。小さな県で十万人以上の都市の少ないところで、十名前後くらいになろうと思いますが、私どもはそれなりの効果がある、当然でありますけれども、相当の効果があるというふうに考えますが、ただ、私どもの希望としましては、まだ十分ではありませんで、来年度はできれば二千人の増員を要求したい。そして四千五百人くらいのところで、各地の状況を見てさらに増員をするか、あるいはその程度で足りるかということをきめたい、そういうふうに思っております。
○河村委員 今度の改正案によりまして、たとえば第五条のごとく、従来交通整理の場合に「警察官」と書いてあるのが「警察官等」ということは、これは交通巡視員を含んでいるんだと思いますが、そうしますと、その中には「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、信号機の表示する信号にかかわらず、これと異なる意味を表示する手信号等をすることができる。」こうありますけれども、これは一例でありますが、そうしますと、この程度の種類のことも交通巡視員に行なわせるということを考えておられるようであるが、そうであるならば、三カ月くらいの訓練で集めた人間にここまでのことをやらせると、逆に混乱を起こし、安全に支障を来たすような可能性がありはしないかと考えますが、いかがでしょうか。
○久保政府委員 非常に繁華な交差点に交通巡視員を配置することは考えておりません。これはやはり男性の警察官であろうと思います。以前婦人の警察官を、たとえば日比谷の交差点に立てたような時期もありましたけれども、これは必ずしも適当でないということであります。交通巡視員は大部分女性になると思いますけれども、そういう人たちが配置さるべき分野はあろう。したがって、非常にむずかしいところは警察官を配置する、また当初の間は当然警察官も帯同しながら、実務的な修習を行ないつつ実施をするであろうというふうに思っております。
○河村委員 次に、教習所のことをちょっと伺いますが、先ほどの質問に対して、わが国の教習所は他国に比して非常に発達しておるというような答弁がありましたが、確かに数においては発達しておるけれども、同時に非常に未熟であってたよりない運転者を続出せしめることにおいても定評があると思うのですね。そこで、今度指定解除のほかに、卒業証明書を出させないというようなことを考えておられるようであるが、それは方法はいろいろあるにしても、結局卒業証明書をやらぬ学校なら、そんなところはだれも入らぬから、指定解除と同じことになる。ですから、やるかやらぬかの実行方法が問題なのであって、従来指定解除の件数というのは、あれだけいろいろといわれておる教習所がありながら、過去年に数件くらいしか指定解除はないということは、一体どういうわけですか。
○久保政府委員 数件くらいしかないということは、各県の公安委員会でその範囲と考えたのであろうと思いますけれども、ただ、今回の改正の中に出ておりまするように、公安委員会の心理的なことを予測してみますると、解除、取り消しをするということは、あとで再指定を受けるのが非常に困難でありますので、相当大きな重い処分になります。そこで、若干のものは目をつぶるという事例があったかもしれない、これは実例がございませんので、数字的に申し上げるわけにはまいりませんが、そういう可能性はある。そこで、解除、取り消しに至らない程度のものを、ただいま御提案しておるような方法で、言うならば、停止的な措置を講ずるということで、そういったものを相当広範囲に公安委員会はとらえ得るということになるのではなかろうか、そういう点の指導監督が相当厳格にし得るというふうに確信しておる次第であります。
○河村委員 一体このやり方は、ほんとうに明確に基準に違反したようなものは、これで発見することも容易でしょうけれども、そうでなしに、とにかくみんな免許証は取らしてしまうというような種類の、技術の劣る者を卒業させるという種類のものを検査するためには、やはり一種のサプライズテストみたいなもの、抜き打ち検査みたいなものをやらないとわからないと思いますが、そういう方法を一体講じておられるのかどうか、その点についてお伺いいたします。
○久保政府委員 教習所については、総合的な検査をおおむね年二回、県で行なっております。それ以外に、いまお話しの立ち会い検査というものが行なわれるわけでありますが、これは画一的に教習所について年何回というふうにきまっておりません。大体月に二、三回程度行なわれるような例が多いようでありますが、やはり若干お話の趣旨のような面もあって、厳格な教習所とややゆるい教習所とあるようでございますので、そういうゆるい教習所には立ち会いを多くするということで、県内における公平化をはかっておるということでありまして、これは警察官の余力があれば、できるだけ多く立会することが必要であろう。ちなみに教習所で技能検定を受ける場合に、合格しておるのは大体現在七割程度というふうに聞いております。
○河村委員 その立ち会い検査というものは、ちゃんと予告して、それで出かけていって調べる、そういうものですか。
○久保政府委員 実を申しますと、立ち会い検査をやるときとやらないときでは、若干合格率が違っておるようであります。ということは、やはり立ち会いをもっと多くしなければならないということでございます。同時にまた、立ち会いをやるということは、相手に通知をしないで抜き打ちにやっておるということでもあります。
○河村委員 それからいま一つ、これは教習所ばかりでなしに、国で行なう検査にも通ずることですが、大体自動車の運転者の適性ですね。これは国鉄なんかはいろいろな適性検査をやっておる、特に精神機能検査というものがかなりきびしくやられておる。事故を起こした場合の影響力は別として、実際レールの上を走る車に比べれば、道路を走る車のほうがよほど適性に左右される要件が大きいですね。ところが、実際適性検査と事故発生率とを対比してみると、やはり精神機能検査で怪しい者が事故を起こしやすいという例ははっきり出ておるわけですね。従来この種のことは全然やっておられないのですか。確かに手数のかかることではあるが、一体いま警察庁で、適性というものを判定する方法として、今後何を考え、どういうことを実行するということでお考えになっていることがありますか。
○久保政府委員 以前国鉄のことを聞きまして、私どもの科学警察研究所の担当者に聞いてみますと、こういった面での適性検査については、国鉄とわが方の科学警察研究所とが、両方一緒とは申しませんが、関係者が同じような研究をやっているようでありまして、成果は同じようなもののようでございます。したがって、私どもが国鉄より劣っておるとは思いませんが、ただ、違いますことは、国鉄なりそのほかの会社あるいは官庁では、特定の従業員を対象にするわけでありますけれども、私のほうは何百万という非常な数字を試験のときにチェックしなければならない。したがって、短時間に非常に多くのものをチェックするというところに不徹底の点がある。しかも現在そういった短時間に大量にやる場合の検査方法が、一つはペーパーテスト、もう一つは器材を使ってやりますけれども、これの信頼度が七五ないし八〇%であって、現在の程度ではまずこれが上であろうというのが、学者の見解であります。しかし、私どもは、これでは満足できませんので、この内容を幾らかでもよくしていく。従来お話のように、このチェックで悪い運転者とされた者が事故を起こしている例は、比較的に申せば、当然多いわけであります。しかしながら、悪いとされていても無違反、無事故の者もあります。これは信頼度がまだ低いということになるわけでありますが、そういった信頼度を高めるように科警研と学者のほうに委託をしております。それででき上がったものがやはり九十何%、一〇〇%近くなければ、なかなか試験の際の必須科目には使いにくいが、少なくとも営業免許、二種免許に適用することは可能ではなかろうか。少なくとも各企業の中でこれを併用していただく、そして配置転換その他のことを考えていただくということには十二分に活用できるんではないかと考えております。
○河村委員 まだ伺いたいことがありますけれども、時間が来てしまいましたので、最後に一つ、ごく簡単にお聞きしておきますが、今度故障車両の取り片づけの規定が入りましたが、このことだけでなしに、いま事故が発生したあと、警察官が巻き尺を持ってその辺をうろうろして、そのために逆に非常な混雑を生じておる。それがいろいろな影響を及ぼしているのは事実なんですね。このくらい科学技術の進歩している際に、巻き尺を持ってうろうろしているなどということは、どう考えても前時代的なんで、何かいろいろなカメラの装置等によって、すぐに片づけてしまっても、あとで事故の検証には支障がないのだということができないものか。その点についての見解を聞きたい。
○久保政府委員 今年度の予算でステレオカメラという立体写真をとり得る器材が、三年間の計画のものが単年度で一ぺんに取れましたので、年度内には完成いたします。国産と外国品と両方でありますが、これによってその時間はきわめて短縮し得るだろうと思います。ただ、すぐに片づけ得るかどうかはちょっとそこまでお約束できかねますけれども、そういった方向でなるべく努力してまいりたいと思います。
○河村委員 質問を終わります。
○菅委員長 土橋一吉君。
○土橋委員 たいへん時間が短いので、大まかに申しまして私は四つの点を中心にお聞きしたいと思います。 荒木国家公安委員長にお尋ねを申し上げます。 第一点は、自民党の、特に佐藤内閣になってから、高度経済成長政策によって、都市特に大都市周辺に工場がどんどん集まってまいりました。また、多くの労働者あるいは出かせぎ農民などが多くなってまいりました。こういう中で特に自動車産業に対して、大量の生産と大量の販売を中心として、資本の蓄積がどんどん行なわれております。したがって、現在の国道といわず都道府県道といわず、すべての道路が非常に交通がふくそうし、激化し、そして至るところに事故が発生しておるのであります。端的に言うならば、大鵬のような大きな男に小さい子供の着物を着せようとする、こういう内容を持っておるように私は考えておるのであります。したがって、そういう点について根本的な交通対策、交通事故をなくすることについての道路の問題、あるいは交通警察についての基本的な考え方をどう考えておるのか、これが第一点としてお聞きをしなければならない大きな問題だというふうに考えております。 それと関連をして、今年度予算でもすでに警官の五千名増員を要求しております。かてて加えて過去八年間に四万三千名も警官をふやしております。同時に、今度また巡視員という形で二千五百名の警官類似の警察庁の職員をふやそうといたしております。先ほどの話ですが、また来年になれば二千名ふやしたい、こういうことをおくめんもなく答弁をされておるわけです。そうしますと、たいへん不都合な点が出てくるのじゃないかというふうに私は考えます。と申しますのは、実際交通に関係している警官がどの程度いるのか。この内容を明確に答えてもらいたいのですが、四十五年度予算の警察庁の四百四十四億四千数百万円の予算の中で、交通警察に必要な経費はただの二千五百七十万七千円です。これで一体これだけの膨大な事件が起こっておるものの処置ができるのかどうか。警察庁長官は笑っておるのですけれども、あなたは誠意をもってこういうことができると考えておるのか。特に皇宮警察本部に必要な費用が十二億一千二百二十一万七千円、皇宮警察だけでこれだけ使っておるわけだ。したがって、交通警察の約五十数倍の金を使っている。また機動隊に六十六億九千百五十一万二千円の金を使っている。だのに交通関係は、いま申し上げたように二千五百七十万七千円しか予算を出していない。こういうことで実際の処理ができると考えているのかどうか。こういう点を第一点として明確な答弁をしていただきたいと思うのであります。 第二点として、酔っぱらい運転についての規制、これは当然であります。したがって、罰則の強化などについても、われわれはこれはむしろ歓迎しなければならないというふうに考えております。問題の中心は、酒気を帯びて運転をする者であります。この第六十五条の規定によりますと、いろいろな規制あるいは処罰を厳重にし、あるいは加えているわけです。特にそれに対して、たとえば酒をすすめた人とか、あるいは容認した人とか、あるいはこれを幇助するような態勢に対しても処罰するわけですけれども、私どもはこの点については現行の道交法の規定でいいのではないか。むしろこういう事態については、私は交通安全対策特別委員会の委員として直接いろいろ調査をしましたけれども、実際警官の主観的なもので酒気帯び運転だというふうにきめつけることについては、非常に問題がある。したがって、これは取り締まる場合においても、きわめて民主的な方法で、あるいは民主的な地元の方々とか、団体とか、あるいは民主的な自治体、こういうものと十分話し合って、これは明らかに酒気帯び運転だ、酒を飲んで運転しているらしいということについて認定する必要があるのではないか。そのことを一警官あるいは巡視員などで主観的に一方的にやるということについては、非常に非民主的であると同時に、また新罰則も必要以上に過酷である。先ほど答弁されたように、予備罪はどうこう、未遂罪はどうこうという問題にまで到達をするのであります。したがって、道徳規範を中心とするいわゆる刑罰規定と矯正的な内容を持っているこの法規との関係において非常に疑わしいものがあります。したがって、こういう点について、われわれはもっと民主的な方法でもっとだれでも納得できるような方法でやるべきではなかろうか。ということは、第一に申し上げたように、高度経済成長政策、資本家本位の政策をやってこういう事態が起こっているのであるから、その問題についてどういう規制なりどういう態度をとるかという問題と関連をしているのであります。これが第二点の問題であります。 第三点は、交通巡視員の創設でございますが、これは百十四条三項一号からいろいろ規定をして いるわけです。この問題について、いま申し上げますように、現在の警官諸君で十分——現在の警官がすでに八年間で四万三千もふえているのですから、交通方面に回せばいい。一体どこに警官を使っているのか。特に警察機動隊は、人数はよくわかりませんが、先ほど予算で申し上げましたように、こんなに膨大な予算を使っているわけだ。平常この諸君は何をしているのか。あるいは皇宮警察と称する諸君は何をしているのか。こういう諸君を使ったらいい。こういう諸君にこれだけの予算を使っているのに、しかも予算面から見ても非常に少ない。こういう金の使い方をしている際に、巡視員制度について非常に疑惑を抱かざるを得ないのであります。もう一つの点は、このことによって交通警察をやっているいわゆる巡査あるいは警官をどこに持っていこうとしているのか。これは明らかに治安あるいは警備と称する、いわゆる民主的な運動を弾圧したり、民主的な運動に言いがかりをつけたり、あるいはスパイ行為をする、そういう方向に使わせる可能性が考えられるわけであります。特に巡視員というものをつくることによって、警官でない者がいわゆる交通警察という一つの権限をその時点においては持っているわけです。たとえば反則の通知をするとか、あるいは違反者に対して立ちのきを要求するとか、あるいはそれを交番に連れていくとか、こういう警察行為をしなければならない事態が起こってくるわけです。したがって、二千五百名の増員などはもってのほかである、われわれは賛成できない。皇宮護衛官でも使ったらいいんじゃないか、機動隊の諸君でも、ちゃんと訓練をしてやれば十分でないかというふうに、第三点として考えるがどうか。こういう点について考慮する気はあるのかどうか。こういう点を明確に答えていただきたいと思うのであります。 第四点の問題は、百二十六条一項から出てきておる少年のドライバーの問題であります。御承知のように、少年のドライバーといっても、われわわは、いわゆるヒッピー族とか雷族というような諸君の行動については、これは賛成しがたい。しかし、いま問題になっておる少年ドライバーの処分については、いままでのいろいろな資料を見ますると、ほとんど家庭裁判所においても約八五%が不開始とかあるいは不処分の状態に置かれておるわけです。これは要するに少年労働者なんです。この少年労働者がこの交通違反があるというのでつかまって、そうして規定によれば三万とか五万という罰金を払うあるいは懲役処分に付せられる。そうすれば、その少年を使っておる雇用主あるいはそういう諸君が、むしろこれは政府が責任を負うべき問題でありますが、こういう事態を引き起こしておる。これはそういう内容から起こってくるのであります。したがって、少年ドライバーの労働者の雇い主が、労働基準法をどういうふうに適用しておるのか、どういうふうに実施をしておるのか、あるいは賃金その他労働条件の点はどうか、こういう点を十分調べた上でこういう諸君に対しては考えなければならない問題であります。それをのっけからしてもう反則処分だというので、罰金をどんどん取り上げる。そうなってくると、この少年はわずかしかもらわない給料のうちから、どんどんそういうものを取られて、一体どういうことになるのか。こういうことについて、私はもっと十分考えなければいかぬ。もっとそういう諸君に対する救済措置を国家としても考えなければいかぬ、こういうふうに考えるのであります。したがって、少年労働者、そういう諸君に対する過酷な反則処分によって免許を取り上げるとか、少年としてはばく大な罰金を課されるとか、こういう問題について、むしろ国全体あるいは政府自身が補償してやらければならないような問題が多々あろうと思うが、一体どう思うのか。 こういう問題について、何でもかんでも、要するにヒッピー族もいわゆる少年労働者も一律に反則処分だというので、どんどん罰金を取り立てていく。むしろこの場合には、家庭裁判所においてやらなければならない問題があるんじゃないか。特に裁判当局にお聞きしたいのですが、この場合、警察本部長なり警察署長がそういう命令を出した場合に、それに準じて裁判所でもまたそういうことをやるということについて、私は相当研究する問題があるんじゃないかというふうに考えるわけです。つまり、片方は社会復帰をすることを中心にして教育を中心とし、あるいはいわゆる社会の健全な生活を営む、そういう過程のところへ、行政的な警察署長の命令ですぐそういう処置をするようなことについては、わが国の立法上の立場から、つまり司法、行政の混淆を許さないういう観点から見ても非常に疑問があるのですが、こういう点について一体どう考えておられるのかお聞きしたいと思うのであります。 なお、これで四点終わったわけですが、最近警察庁では、御承知かと思いますが、浅川博というのがあんたのところにおったわけです。これが要するに四月十一日の日に婦人をひき倒して、そうして逃走しておるわけですね。それから同じく四月の十四日か十五日だったと思いますが、佐々木喜一という小金井警察の、これまたまことに不都合で新聞にも出ておるわけですが、女ドライバーをつかまえて、交通違反があると称して、そうしてこれを待たしておいて、連れ込んで暴行を加えたというのは、多くの新聞に出ておるから、まさかうそではないと思うが、こういうことを警察の職員あるいは交通関係の巡査がしておるが、一体警察庁はどういう教育をしておるのか、こういう問題についてどういうふうに職員を訓練しておるのか、最後にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思いますが、明確な答弁を簡単にやっていただきたいと思うわけです。
○荒木国務大臣 お説のとおり、経済成長と同時に過疎・過密問題を引き起こし、おまけに自動車は続々ふえる。交通戦争の時代であることはたしかであります。この問題は、官庁関係にとりましても、警察のみならず、運輸省、建設省と、道路施設の整備、道路交通安全施設整備等多岐にわたっております。とにかく国民総ぐるみでやらなければ対策が立たないというくらいのことでありますから、その覚悟のもとに全力を尽くして対策を講じていくほかにはないと存じます。 それから警察の予算のことを指摘されましたが、なるほど国費の支弁分は少のうございますが、自治体警察でございますから、大部分は地方費でまかなっておるわけでございます。その詳細につきましては、要すれば政府委員からお答え申します。 その他の点については政府委員がお答え申します。
○後藤田政府委員 お答えを申し上げます。 御質問の第一点に、警察官をどんどん増員して、本年も五千人増員をしておるじゃないか、その上にさらに交通巡視員を増員するとは何事であるか、こういう御質問の趣旨が一つありましたが、警察官の五千名の増員は、本年度の分は交通警察官の増員と外勤警察官の増員に充てる分でございます。 巡視員につきましては、先ほど交通局長がお答えをいたしたとおりでございます。 その次に、予算について警備予算であるとか、あるいは皇宮の予算であるとか、これはばく大な額にのぼっておるのだけれども、交通は二千数百万で、はなはだもって少ない、これで仕事ができるのか、こういうお話でございますが、予算のことでございますので、私ども執行者の立場に立てば、いずれも十分とは申しません。しかし、これで仕事はできるという考え方を持っております。 その理由は、御質問の御趣旨がいささか誤解にはしっておるのではなかろうか、つまり警察の予算の立て方についての御認識がわれわれと違っておる。予算の立て方は、全額国費で負担すべきものと補助金で負担すべきもの、その補助金は二分の一は国庫補助になっております。いま一つは県単負担で全額まかなうべきもの、こうなっております。もちろん補助金の裏の地方費負担分及び県単分につきましても、御承知のとおりに、国としては国税三税に対する三十何%かの交付税というもので国から処置いたしておるのでございます。そこで、交通警察につきましては国費で負担をするという分がきわめて少ないのでございます。これは法律のたてまえがそうなっております。ところが、補助金の分は非常に多くございます。したがって、本年度の交通の国から出す、直接国の予算に計上してある分で約三十億ございます。なおそのほかに県単分といたしまして交付金が別にございます。安全施設に交付金を出しております。さらにまた、免許関係等の経費につきましては、これまた全額地方費の負担ということで、県の予算に組んでおります。したがって、交通の予算全体を見ますと、私ども警察運営の中では文字どおり交通警察の今日の重要性に対応できるだけの予算は出しておるつもりでございます。 その次、飲酒運転の件についていろいろ御質問かございましたけれども、酔っぱらいは罰則強化は賛成だ、酒気帯び運転については問題がある、こういうお話の趣旨のように拝聴いたしましたが、今回の改正は、酒気帯び運転については、してはいけないといういわば倫理規定といいますか、訓示規定といいますか、先ほど法制局の部長から御説明がありましたような趣旨でもって入れてあるのであって、罰則はつけてないのでございます。 なおまた同時に、交通の取り締まりについて、取り締まりをやるかどうかということを民主的な方法として団体とか住民とかを活用しろ、こういうお話でございますが、もとより警察の運営は、国民全般の理解と支持のもとに運営しなければ効果はありません。そういう意味合いにおいては、私どもは、国民一般のお考えというものを背景にしながら、交通警察の運営に当たりたいと思いますけれども、具体的な犯罪について一々民主団体の御意見を聞くということは私はいたしかねる、こういうようにお答えをいたしたいと思います。 なおまた、飲酒予備等の御意見もございましたけれども、これはおそらく誤解であろうと思います。 それから三番目の御意見の中に、巡視員制度を置くことははなはだ疑惑を残しはしないのか、つまりそういったことが考えられるぐらいなら、機動隊、そういったものを回したらどうだ、平生機動隊とかそれ以外の警察官は何をしているのだ、こういうお話でございましたけれども、今日機動隊が何をしているか、あるいは一般の警察官が何をしているかということは、御質問の土橋先生もとよりのこと、国民一般の方も十分御理解をしていただいておるのじゃないか、私はそう考える。なおまた、機動隊につきましては、これはなるほど警備実施等を大きな任務といたしておりますけれども、それ以外に災害にもどんどん出ております。あるいはまた、交通の取り締まりにも出ております。指導取り締まりにも出ております。あるいは外勤活動を補充するための集団の警らの活動、こういった広範な使い方をやっておる。つまり日本の警察は、御承知のとおり、分散固定の配置をしております。しかしながら、今日の治安の実態は分散固定の警察官では対応できないという犯罪が随所に出てきておる。そこでこれに対応するのには、やはり一定の集団の警察力というものが必要なんだ、こういうことで広範な使い方をやっておる。だから、そういった警察官だけでは今日の交通の実情から見ていささか不足があるということが一点と、いま一つは、今回の交通巡視員にやらせようとしておるような仕事、これはやはりやわらかいムードでやるほうがベターではないのか、こういったような観点から、私どもの考えでは主として婦人を中心にした巡視員制度をもってこれに当たらせたい、こういう意味で、今回の巡視員制度を設けたので、別段、特に巡視員制度を設けることによっていわゆる弾圧といったようなことを強化をするという考え方はないので、私どもとしては、あくまでも今日の警察が当面しておる治安全体に警察力というものをどのように合理的に使ったらいいのだろうか、こういうことで腐心をいたしておるのが現状でございます。 なおまた、少年の反則金制度、これについていろいろ労働条件等も調べてやるべきではないのか、これはお説のとおりでございます。そういった点については、雇い主等の使い方、こういうものについては関係官庁等とも十分協力いたしまして、御趣旨のような点については注意をしてまいらなければならぬと思います。しかし、今回なぜ一体少年の交通違反者について反則金制度を適用するに至ったのかということについては、先ほど私が御答弁いたしましたように、理想論というものと現実の問題の処理、理想と現実の兼ね合いをどこに置くか。そこで裁判所と私どものほうと両々相まって少年の事件を適切に処遇をするのだ、こういう意味合いでつくったものだ、このように御理解を賜わりたいと思います。
○菅委員長 これにて連合審査会は終了いたしました。 午後一時三十六分散会