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63回国会衆議院1970/04/23

地方行政委員会 第20号

発言数
54
登壇者
10
会派数
3
開催日
1970/04/23

会議録

菅太郎自由民主党

○菅委員長 これより会議を開きます。  航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約第十三条の規定の実施に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。荒木国務大臣。     —————————————

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 ただいま議題となりました航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約第十三条の規定の実施に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約を実施するために必要なものであります。すなわち、同条約は、機長が航空機の登録国の刑法上重大な犯罪であると認める行為を当該航空機内で行なったと信ずるに足りる相当な理由のある者を当該航空機が着陸する領域の属する締約国の権限ある当局に引き渡すことができることとしておりますが、これに対応して締約国に、その重罪容疑者を受け取り、及び当該重罪容疑者の所在を確実にするための措置をとるべき義務を課し、また、それらの事実について予備調査を行なうべき義務等を定めております。この法律案は、これらの条約上の義務を履行するために必要な国内法上の措置を定めるものであります。  以下逐条的に御説明いたします。  第一は、機長から引き渡される重罪容疑者を受け取るべき者を定めようとするものであります。事柄の性質上、警察官または入国警備官としておりますが、入国警備官が受け取ったときは、その後の手続との関係からこれを警察官に引き渡すこととしております。  第二は、警察官または入国警備官は、機長から受け取った重罪容疑者が当該航空機に再び乗り込むことを防止するため必要があるときは、その行為を制止することができることとしております。機長からの引き渡しを担保しようとする趣旨であります。  第三は、重罪容疑者について逃亡犯罪人引渡法の規定による引き渡しにかかる犯罪に該当する行為をしたことを疑うに足りる相当な理由があるときは、警備官は、これを拘束することができることとしております。この拘束は、七十二時間をこえてすることができず、また、その期間内であっても、引き渡しの請求のなされないことが明らかになったときは、拘束を解かなければならないものとしております。これは、国際司法共助の趣旨から重罪容疑者の所在を確実にし、逃亡犯罪人の引き渡しを実効あらしめようとするものであります。  第四は、警察官は、条約第十三条第四項に規定する予備調査をするため、重罪容疑者もしくは参考人の取り調べ、実況見分または所持品等の提出の請求を行なうことができることとしております。  第五は、拘束を終了する場合には、警察官は、重罪容疑者を入国警備官に引き渡すこととしております。  なお、この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。      ————◇—————

菅太郎自由民主党

○菅委員長 参議院から送付されました道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡沢完治君。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 私は約一時間の持ち時間を与えられておりますが、主として自動車運転者教育を中心にして所信をただしたいと思います。  最近の道路交通事情特に交通事故の激増につきましては、ここでちょうちょうする必要はありませんけれども、しかしながら、現在の国内政治問題の最大の課題の一つがやはりこの交通事故問題だと断言しても間違いないと私は思います。昨年は一万六千人の死者を出したといわれますけれども、それは事故後二十四時間以内の死者の数でありまして、実質は約二万人といわれております。また負傷者につきましては九十六万人、合計いたしまして約百万近い死傷者。これは人口一億の国民の中で、百人に一人に近い数字でありまして、これが毎年繰り返される。しかも過去の統計によりましても、年々累増していくということを考えました場合、きわめて重大な社会問題だと申し上げても決して過言ではないと思います。先ほど国民の耳目を聳動させました日航機の乗っ取り事件あるいは大阪のガス爆発の事件は、一人一人の人命がいかに大切かということをあらためて国民のわれわれに印象づけましたけれども、しかし、交通事故は現に毎日約四十人が死亡し、そしてまた無数の方々が、この質問をしている時点でもけがをしておられるということを考えました場合に、一つの殺人事件が起こりました場合、どれだけ凶悪犯罪として刑事的にも国民の立場からも大問題にされるかということを考えました場合、現実に四十人の殺人事件が毎日全国で起こっておるというこの実態を看過できないと私は思うわけであります。もちろんそういう観点から今度の道交法の改正案も付議され、そしてまた佐藤政府の内政重視の中の物価と並んだ大きな一翼として、この事故防止に政府も取り組んでおられることも私は否定するものではございません。しかし、この問題の重要性はどれだけ指摘しても足りないくらい大きな、国民的な課題だと私は思うわけであります。そういう観点から、この事故防止につきましては、今度の道交法の改正案に見られますように、法律上の問題あるいは道路の問題あるいは安全設備の問題等々からもいろいろ論じられておりますけれども、一つ大きな見落としがあるのではないかという感じが私はするわけであります。  と申しますのは、たとえば政治も人、企業も人といわれます。交通事故も結局はこれを起こすのは人であります。人の問題を無視して交通事故の防止は考えられないのではないかというのが一点であります。私は、もちろん道路の改善改良あるいは法的な整備あるいは安全設備の充実等を否定するものではございません。それとあわせまして、やはり運転者教育につきましてあらためて再検討を、あるいは大きく政治的な目を向けるべき時期に来ているのではないかと思うわけでございます。現実にこの運転免許者は一説には二千五百万人あるいはまた三千万人いるともいわれます。また、車の数にいたしましても千五百万台前後。この二千五百万人の運転者がほんとうに交通社会人としての安全運転教育を身につけておるかどうかという点をあらためて検討する必要があるとともに、新しく運転免許をとる人々が三百万人近く毎年あるわけでございますけれども、それらの方々に、単に技術的な意味での運転者の資格じゃなしに、交通社会人としてのいわゆる交通安全教育をマスターした条件が兼ね備えられているかどうかという点につきまして、あらためてここで問いただしてみたい、また一緒に考えてみたいと思うわけでございます。  いま申し上げました運転免許の取得者は年間三百万人近いわけでございますけれども、その大部分はいわゆる指定自動車教習所の卒業生だと申し上げてもいいと思います。特に普通免許の受験生の八〇%以上は指定自動車教習所の卒業生であります。この指定自動車教習所の卒業生は年間約二百万人といわれます。この数字は義務教育を年々受ける国民の数よりも多いわけであります。それだけ大きな、いわば社会的な使命とまた量的な実績を持っております指定自動車教習所の位置づけあるいは社会的な責任という点を、この際あらためて検討する価値があろうと私は思うわけでございますが、この指定自動車教習所は、法律的にどういう位置づけがされておりますか。まず交通局長にお尋ねいたします。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 法律の中では、政令で定める一定の基準に適合したものを公安委員会が指定をする、指定をした教習所の卒業生は技能試験を免除されるという形であります。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いま交通局長が御答弁になったとおり、道交法の九十八条たった一カ条が、この指定自動車教習所を法律的に位置づけている条文であります。御承知のとおり、道交法はいわゆる取り締まり法規であります。取り締まりの対象にのみ指定自動車教習所が置かれておるという言い方も、疑問でないくらいの法的な位置づけしか与えられておらない。しかし、私は、いまちょうちょうすることは避けますけれども、指定自動車教習所あるいは一般に運転者教育の占める社会的な地位と申しますものは、公共的な教育事業だと申し上げてもいいと思うのです。なるほど個々の指定自動車教習所のおい立ちを見ました場合、営利的な面で、あるいは企業として成り立っておることは事実でありますけれども、現実にそれらの自動車教習所が果たしております社会的な役割り、任務あるいは責任というものは、決して単にサービス業としてあるいは営利企業として律し切れないものを持っておると思うわけでございます。そういう観点から、この指定自動車教習所に大きな社会的な責任を負わす法的な必要性を認めるとともに、逆にまた、その責任にふさわしい国家政策的な保護助成も必要だと思うわけでございます。  この観点から、たとえば中小企業近代化促進法というのがございます。これに基づきまして、中小企業近代化促進資金というのが金融的に制度として設けられているわけでございますが、この対象に指定自動車教習所はなり得るでしょうか。またなっておるでしょうか、お尋ねいたします。

野口一郎中小企業庁計画部計画課長

○野口説明員 お答えさせていただきます。  中小企業近代化促進法に基づく指定業種は、政令指定でございます。それで、このやり方といたしましては、それぞれの産業と申しますか業種と申しますか、これには担当の役所がございます。したがいまして、その担当の役所のほうで政策的に、これはこの法律に指定して育成する必要があるというふうに判断いたしました場合には、閣議にはかってきめるということになるわけでございますが、多数の業種が本法律の指定業種でございますので、取りまとめ役と申しますか、窓口を私ども中小企業庁のほうでつとめさしていただいているわけでございます。この法律には、現在百をこえる業種が昭和三十八年以降指定になっているわけでございますが、ただいま御指摘の自動車教習所につきましては、何という産業あるいは業種になるのでございましょうか、実質から考えますると、はやりのことばではございませんが、いわば教育産業にでも入るものかと思うわけでございますけれども、私どものほうは現在に至るまでのところ、担当の官庁のほうから指定したいというような申し出は聞いておりません。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 それでは、政府のどなたでもけっこうですが、この指定自動車教習所は、所管官庁はどこでございますか。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 警察庁であろうと思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 時間を節約する意味で私から申し上げますけれども、確かに警察庁であります。おそらく警察庁は、いまの中小企業庁の御答弁にもありましたように、これを中小企業近代化促進資金の対象企業にする要請をなさっておらないと思います。いま答弁なさいました野口課長は、教育産業ということをお答えになりましたが、先日私が聞いたときは、サービス業だと思っているというお答えがございました。実際、現実は指定自動車教習所に対しましては、金融上も税制上もいわゆるキャバレー、バー並みの保護助成以外は一切ないわけでございます。こういう考え方、こういう政策ということにはやはり私は、自動車教習所自体の貧弱性あるいは内容の貧困性あるいは指導員の素質の悪さあるいは営利的な面が強調される一つの理由があろうかと思います。私は、社会的な責任を追及するならば、国家のそれにふさわしい政策的な保護助成も必要ではないか。大蔵省の立場から指定自動車教習所に何らかの税法上の配慮とかをなさっておる事実がございますか、あるいは今後なさろうという意欲がございますか。

田邊昇大蔵省主税局税制第二課長

○田邊説明員 ただいま指定自動車教習所につきまして税制上特別な措置をしておるかというお尋ねでございますが、特に現在の税制では、政策的に指定自動車教習所につきまして特別な措置をしているものはございません。ただ、教習所の実態を反映いたしまして、たとえばそこで使われております自動車の耐用年数は、一般のオーナードライバーの使います自動車の耐用年数より短くされておるというようなこと、これらについては特に耐用年数上の配慮がされております。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いま大蔵省からお答えになりましたように、税制上もほとんどとるに足る配慮はなされておらないわけでございます。しかし、先ほど中小企業庁のお答えになりました、もし広く教育産業としてあるいは教育的な可能性を認めていただくならば、あるいは学校法人等で認められておりますような免税措置も当然考えられてしかるべきではないか。あるいは自動車学校等で使いますガソリン等につきましては、いわばほとんどが校内で使うわけで、道路目的財源といわれるガソリン税の対象にはしなくてもいいという考え方も十分に成り立とうかと思うわけであります。私は自動車教習所だけの弁護をするつもりはございませんし、そのおい立ち等につきましては、先ほど指摘いたしましたように、営利企業としての出発点があることを否定するものではございませんけれども、現に指定自動車教習所が果たしております交通安全対策上の役割りを考えました場合、もう少し私たちは、国家的にも政策的にも保護助成をするとともに、一方でその社会的な責任の重要性について自覚を求める態度が正しいのではないかと考えるわけでございます。こういう観点から二、三お尋ねをいたします。  私がいまお尋ねしたような自動車教習所が社会的に果たしております役割りからいたしまして、先ほど交通局長がお答えのように、法上はいわゆる道交法の取り締まり法規の一条文にのみ規定されておる指定自動車教習所のあり方について、私は、その社会的地位、責任にふさわしい法的位置づけが必要な時期に来ているのではないかというふうに考えますが、警察庁長官の見解を求めます。

後藤田正晴警察庁長官

○後藤田政府委員 仰せのように、今日、自動車教習所の背負っております社会的責任は相当大きいと思います。したがって、それにふさわしいだけの責任を負ってもらうように、役所としても追及といいますか、責任を十分果たしてもらうような措置は講じますが、同時にまた、育成助長の施策も、自動車教習所を経営している方々の実態が必要であるということであるならば、やらなければならない。  先ほど御質問になりました中小企業近代化措置法でございますか、それによる指定業種についても、私が報告を聞いておる範囲では、なかなかむずかしいということではございましたが、幸い先ほど通産当局のお話を聞いてみますと、申し出ればやってくれるというような意味合いの答えがございましたので、こういった点については私どもさらに事務当局間で折衝を重ねてまいりたいと考えております。  税制上についても、実態をよく見まして、必要があればまた大蔵当局とも話は進めてみたいと思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 時間の関係で次に進みますが、先ほど申しましたように、事故防止上非常に大きな問題として安全運転教育の徹底ということがあろうと思います。現実は御承知のとおり、たとえば二十年前に免許証をとりました人でも、三年ごとの更新は目の検査だけで実質は済まされているわけでございます。法規が目まぐるしく変わる。ただいまもこの交通法規の改正案が審議されているわけでございます。現実に法令のほうにまいりますと、もう朝令暮改と申してもいいかと思います。また法令だけでなしに、現実に高速道路の発達等を考えました場合に、十年、二十年前に免許をとった人が、一切の安全教育を受けないで、法令の知識も持たないで、堂々と有資格者として運転を続けるということに、やはり一つの大きな事故原因があるように感じます。  この運転者教育について具体的に申し上げますけれども、たとえば三年ごとの免許更新時に、技術的な問題はさらに検討するとして、せめて法令や安全運転教育について講習を義務づける必要をお感じになりませんか。私はほんとうに必要だと思いますけれども、見解をただしておきます。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 更新の際に何らかの法的な義務づけをしてはどうかという問題は、私どもも以前から問題にしておりますし、また各県のほうでも要望があるところであります。部内で検討しておるところでありますが、一つの案といたしましては、たとえば更新の場合に簡単なチェックあるいは試験のようなものを課するかという問題が一つと、それからもう一つは講習でありますが、これを義務づけるかどうかということであります。お話のように、交通環境というものは再々変わります。したがいまして、それに応じて講習をやるべきであるということで、肯定論も局内にはあるわけであります。ところで、反対論といたしましては、講習を義務づけても、それを担保する方法いかん。つまり免許証を講習を受けなければ与えないということでありますと、きのうまで運転できていた人がきょうから運転できなくなるということはいかがなものであろうか。あるいは講習を受けに来るということだけで免許証がもらえる、そういうことでありますと、眠っていてもいいということで、内容を覚えようというところまでの担保がないということで、この問題をめぐって局内で両論が対立しているところでありまして、いずれにせよ、次の改正案までには何らかの結論を出さなければなりませんので、もうしばらく時間をおかし願いたいと思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 局長の御答弁に異議を差しはさむわけではもちろんございません。いろいろ問題点があることは承知しております、交通事故は年々歳歳どころか毎日起こっているわけですから。先ほどのせっかく講習をやっても眠っておって身が入らない人をどうするかという問題、これは限界のあることも明らかでありますけれども、しかし、実際運転するドライバーにとって新しい法令の知識は得たい、またそうでなければ運転ができないのが実態でありますから、私は、必要性なり精神的な規制もあるということで、いま論議の段階を過ぎて講習を義務づけるべき時期に来ているのではないかという感じがいたしますので、ぜひ前向きで御検討いただきたいと思います。  それから、先ほどちょっと触れましたように、運転免許取得者の大部分は指定自動車教習所の卒業者でありますけれども、四十三年度の統計によりましても、四輪の場合は約三十万近い人々が直接ぶっつけ本番で試験場で試験を受けております。今度の法の改正でも、いわゆる無免許運転の罰則の強化等もございますが、やはり酒酔い運転とともに無免許運転が交通事故の一つの大きな原因であり、また大きな事故と結びつくという事例がたくさんございます。三十万近い人々がいわゆる自動車教習所あるいは練習場の練習もせずに、ぶっつけ本番で試験場で試験を受けるということは、どっかで無免許運転をやっているという場合が多いと思います。現実に道路上あるいは空地等を考えた場合に、そう簡単に自動車練習ができるような空地は残念ながら日本の現状として見渡すことはできません。中には外国で技術をマスターしてきたという人が受ける場合があると思いますが、原則としてぶっつけ本番の方々は、どっかで無免許運転をやった結果、技術を習得して試験場に来られる。生まれながらにして自動車運転技術を身につけている人はないと思います。法令の場合はもちろん勉強はできますけれども、技能の場合に実地の練習なしに試験に合格するということは不可能であります。こういう制度を残しておくことは、一方で無免許運転を助長しているということが言えると思います。原則として例外は認めていただいてけっこうですが、指定自動車教習所あるいはそれに類する練習場で一定の練習をしたということを条件に受験資格を認めるという方法も当然検討すべきだと思いますが、これに対する見解を聞きます。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 お話の筋は、私どももそういう方向で新たに臨むわけでありますが、ただその際に、また問題になるのは、結局社会的な問題であります。指定自動車教習所に入るのにはけっこう金がかかる。たとえば少年の場合、あるいはそれほど給料の取れない人たちにとって、どっかの広場あるいは川原あたりで訓練する機会をなくしてしまうということはいかがなものであろうかという声も相当強いわけでありまして、なかなか私どもも踏み切りにくいところであります。したがいまして、いまその中間的な考え方としてとろうとしておりますのは、指定自動車教習所に入らない人についても、路上教習をしなければならない。それでその路上教習をやる場合には、一定の資格を持った指導官の教習を受けなければならない、それをしなければ公安委員会の試験が受けられないという形にしてはいかがなものであろうかというふうに考えております。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 局長の答弁に必ずしも反対ではありませんけれども、一つの制度に満点の制度というものはないと思うのです。やはりある程度経済的な負担も、これはなるべく少ないにこしたことはありませんけれども、運転免許資格をとることによって、また職業的にも給料の面でも有利な条件に立つわけでございますし、罰金の額等を考えた場合に、違反をして一挙に罰金で相当な額を取られる、反則金を取られるということを考えた場合に、運転免許をとる希望者に数万円の負担は、私は、必ずしもそのためにこの制度を残しておかなければいかぬというほど大きな障害という感じはいたしません。技術的な面もあろうと思いますけれども、ぜひこの問題も前向きで御検討いただきたいと思うわけでございます。ことにこの問題は、自動車教習所の中身の問題にも関連してまいりますけれども、指定自動車教習所が適正な御指導のもとに優秀な組織と人員をそろえてりっぱな教育をいたしました場合、優良運転者の教育とも結びつくわけなので、必ずしも無免許運転防止だけの観点からだけではなくて、優秀なドライバーの養成という面からも、事故を起こしてから処罰を重くするというよりも、事故を起こさない運転者を養成するということのほうが先であることは指摘するまでもございませんし、そういう観点からぜひ御検討いただきたいと思うわけでございます。  もう一点、いまの免許試験の扱いにつきまして、各府県で行なわれておりますが、その試験問題等はばらばらでございます。それからまた、試験問題はだいぶ改善はされましたけれども、実際上の交通社会事情に合わないような、落とすためのむずかしい、ひねくれた問題等も従来は往々にしてございました。資格をとれば、北海道でとった人も、すぐその日からでも大阪で運転ができるわけでございます。だから、こういう試験の問題等につきましても、当然全国的な統一基準があってしかるべきではないか、あるいはまた、その試験問題が統一されることによって、当然その前提に、安全運転教育あるいは技術教育、法令の教育等につきましても、統一したいわゆる教程と申しますか、教科書と申しますか、あっていいのではないか。いまは全くばらばらでございます。これは国定教科書と違いまして、思想的な問題が入るわけでもございませんし、特に府県によりましては、貧弱な人員とか組織しか持っておらない公安委員会等も多いわけでございますから、やはりこの辺で全国的な統一基準によるカリキュラムの作成、あるいは試験問題の作成等が検討されてしかるべきではないか。あわせまして指定自動車教習所に対する指導監督等も、法文としては先ほど御答弁いただきましたように、道交法九十八条があるだけでいろいろまちまちでありまして、公安委員会による指導監督が府県によって違うということも必ずしもいい方向とは思いません。こういう点につきまして、試験問題あるいは教科書あるいは公安委員会の指導監督につきまして、指定自動車教習所に全国的な基準を設ける必要があろうと思うわけでございますが、これについての見解を聞きます。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 試験につきましては、警察庁のほうから、たとえば法令問題につきましては六百問題近く、構造問題につきましては四百問題近くをモデル問題といたしまして各県に与えてあります。そこで、各県はそれに基づいて自分のところでもある程度そこに加味をしまして、その中から問題を出しているということでございます。したがいまして、おおよそのものは警察庁より出されたものの中から選ばれているわけでありますが、各県から付加されたものもありますので、ばらばらである御印象はあるかもしれませんが、だいぶこの点はよくなっているように私どもは思っております。しかしながら、いつまでたちましても同じような御批判の声が絶えないのは、まだ私どもの目の届かないところで、いわば学校の定員での入学試験のように、落とすための問題が入っておるのではないかという感じもいたします。この点は局内で総点検を一度やってみたいと考えております。  それから教科書の問題につきましては、安全協会あるいは指定自動車教習所の連合会あたりで基本的なものをつくっておりますし、わりと統一されておると思いますけれども、ただ、私どものほうで全面的に統一のカリキュラムをつくっておりますが、それの範囲内で別の教科書を採用されておるところもあって、その点は区々でございますが、必ずしもこれで統一をしなければならない、あるいは検定されたものを使わなければならないというものでありますかどうか、その点はちょっと私ども自信がございませんけれども、しかし、内容さえよければ、私どもとしてもそれを了承し得るのではなかろうか、また、けさほども申し上げましたが、道交法を総合的に改正しましたあとで、ハイウエーコードのようなものをつくる所存でありますので、それに基づいた試験を将来は出していくということになれば、これは教科書的なものも統一された形になりまするし、試験問題もそれにまた統一されたというかっこうになろうかと思います。  指導監督の問題も、これもまた再々御意見が出されております。そこで、本年は各県における教習所の指導監督の基準をつくることにしております。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いまの試験問題につきましては、局長の御答弁のように、だんだん改善されておることは私も認めます。ただ、やはりひねくれた問題、落とすための問題があとを断たない。いまハイウエーコードのお話がございました。そういうような観点から、現在の交通情勢に応じた安全運転上に必要な、不可欠な問題をぜひ出してもらうことによって、教育内容そのものが変わってくると思うわけでありまして、ぜひこの点も御検討をいただきたいと思います。  それから法案の中身にちょっと触れさせていただきますが、九十八条の改正で、いままでの指定の取り消しに加えまして、新しく卒業証明書の発行停止の条文が加味されたわけであります。非常に前向きのいい改正だと思うわけでございますけれども、これでもやはり処分の中身が少な過ぎるのではないか。やはり事案の軽重に応じた、たとえば注意とか警告とか改善命令等で済むような事案の内容もあり得るのではないか。従来のように、指定の取り消しということで、従業員も含め生徒にもたいへんな迷惑をかけるような、いわば死刑にひとしい処分一本であった点に比べますと、卒業証明書の発行停止というような中間的な処分が加えられたことは妥当だと思いますけれども、やはり軽微な法令違反等につきましては、いま申しましたような注意、警告あるいは改善命令だけで済ましてもいいような処分も考えていただいていいのではないかという点が一点。  それからもう一つ、この九十八条の改正によりましても、先ほど申しましたように、指定の取り消しと卒業証明書の発行停止、これはかなり大きな処分でございますので、これらの場合のお取り扱いの中身をお尋ねしたいわけでありますが、ぜひ関係者に弁明の機会を与えるという意味で、公開による聴聞等を前提としていただくべきではないかと思うわけでございますが、その辺の御配慮があれば、お答えいただきたいと思います。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 今回の法改正のわれわれの基本的な態度としましては、免許関係については非常にむずかしい問題がありますので、次回に譲らざるを得ないということで、実は指定自動車教習所も総合的に考え直すことを次回のうちに入れておったわけでありますが、しかし、関係者の方々の御要望の中でも、非常に強い御要望のある点だけを最小限のものとして取り上げてみたわけでございます。  そこで、今後もなおこの問題が検討されるわけでありますが、ただいまの注意とか警告とかいうようなものは、これは必ずしも法律に基づきませんでも、事実上の指導監督の中身として今日でもできるのではなかろうかというふうに思いまするし、その点はまた法律に基づく改善命令でない形で出すことも可能であろうと思います。したがいまして、これはよく各県を指導しながら、運用でうまきを期することができるのではなかろうか。それでなおかつできない分野があれば、やはり法改正の中で検討しなければならないと思います。  それから聴聞の制度は、これは法律に基づく聴聞の制度はとっておりませんし、今後それが必要でありますかどうですか、よく考えてみたいと思いますが、いまのところは、事実上どういう事態であったかということを事前によく当事者から意見を聞きまして、それに基づいて公安委員会が判断するというような運営になっておりますし、今後もそうなるだろうと思います。したがいまして、現状におきまして、あるいは法改正になりました暁においてどういう点が足らないものであるか、これは指定自動車教習所連合会あたりともよく協議をしながら結論を得たいと思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 いまの局長の御答弁に異議はないわけでございますが、その答弁の内容からいいましたら、事実上の処分としてあるいは措置として、注意とか警告とか改善命令はあり得る。この九十八条で規定された指定の解除とか、あるいは卒業証明書の発行停止というのは、いわば非常に重罪の場合だと解釈してよろしゅうございますか。指定自動車教習所側としてはきわめて大事な問題だと思いますので、重ねて御答弁をいただきたいと思います。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 解除の場合は、これは不正な教習あるいは期間の非常に大きな欠落等の悪質なものになりますので、これは重大でありますが、停止的な処分の場合には、非常に重い軽いがあろうかと思います。したがいまして、たとえばちょっとした施設が欠落しておって、それが基準に合わないからということで、形式的に卒業証明書を発行できないように指定期間を設けるということもいかがなものであろうか。これはやはり具体的な事例をここでちょっと申し上げかねますけれども、ケース・バイ・ケースで判断していく。そこはやはり一番軽い注意なり警告なりから、重い解除に至るまで段階を設けながら運用すべきではないかというふうに考えております。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 時間の関係で、もう一点別の質問をさしていただきますが、今度の改正で交通巡視員制度の新設がなされたわけでございます。十万都市以上で全国で二千五百人という御説明をいただきました。別に法律の中身じゃございませんので、運用上幅のある運用をしていただけると思いますけれども、私から指摘するまでもなしに、十万以下の都市でありましても、国道が通っておったり、特別の交通事情で交通巡視員の必要性を強く要求される都市もあると思いますし、逆に三十万から四、五十万の都市でありましても、まあ県庁の所在地であっても、交通事情から見ると、それほど差し迫って巡視員の必要性を認めない都市もあろうかと思います。この運用の幅につきまして、十万都市ということにこだわっていただかないで、ある程度の妙味を発揮してもらえるのかどうか、その辺をお尋ねいたします。

久保卓也警察庁交通局長

○久保政府委員 十万の都市以上というのは、これは私どもの計画であり、また自治省との話し合いの結果であります。そこで、たてまえとしましては、なるべく大都市といいますか、都市部についてそういった問題が多いわけでありますので、われわれはそういう分野を考えたわけでありますが、十万都市以下についてそういう要望があります場合に、これを拒否する法的な根拠その他はもちろんございません。ただ、自治省と協議をしながら、現在の制度になっておりますので、その点は若干の再協議を必要といたしますけれども、必要の度合いに応じて、そういうものが出てくれば、また関係官庁とも相談していきたいと思います。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 実際問題といたしまして、いまの御答弁に異議はございませんが、大都市周辺の七、八万の都市であっても、これは夜間の人口であって、昼間の人口はそれをオーバーし、特に交通量からいきますと、地方の三十万都市、五十万都市以上の大きな負担を——国道、府県道をかかえて、事故率からいたしましても、非常に高い率を示している実際の都市があるわけであります。これは、私は単に人口だけでなしに、交通事情あるいは事故発生状況等も御勘案の上、ぜひ幅のある御運用をお願いいたしたいと思うわけでございます。  最後に、冒頭申し上げましたことでございますけれども、これだけ交通事故が激増すると一まあ車の増加を防いだり、免許の取得者を減らしたりという見方もあるかもしれませんが、一方で車は走る凶器であると同時に、文明の利器でもあるわけでございまして、やはりこれは前向きに大いに車の有効性は活用しながら、一方で事故を防ぐという二つの要請にわれわれはこたえる必要があろうと思います。そういうことを考えますと、どうしても人の問題から、あるいは先ほど申しました道路とか設備の問題から、凶器でなしに文明の利器に、人間の努力で持っていく必要をわれわれは求められていると解釈してもいいかと思います。その場合に、先ほど申しましたように、自動車運転者教育、安全運転教育の占める地位といいますか、またそれに携わる指定自動車教習所の使命あるいは中身という問題が大きなウエートを占めてこようと思います。先ほど指摘いたしましたように、年間二百万をこえる卒業生を送って、運転免許取得者の八〇%前後の、いわばパーセンテージ的に、量的に養成機関の役割りを果たしております教習所が、道交法の一条のもとに法的な位置づけがされ、負わされておる社会的責任とか地位に比較して、あまりにも格差を感ずるわけであります。先ほど中小企業庁の御答弁にもありましたように、所管庁の警察庁から、いわば中小企業近代化資金の指定業種にするためには、所管庁の要請に基づいて法令できめる、その要請もいままでなかったという意味の御指摘があったわけでございます。これは私は、いまの長官なり局長を責めるつもりはございませんが、警察庁といういわば官庁の特殊性がそうさせた、あまりにも、ある意味では、政治的には力の弱い、あるいは配慮の足りない官庁であるわけであります。また税制の面での保護の少ないことも先ほど指摘いたしました。私は、自動車教習所が、これだけをとりましても、単に取り締まり庁としての警察庁のほうの所管であるところに一つの大きな問題がある。公共的事業という立場からすれば、やはり文部省も大いに関係を持ち、あるいは健全企業の育成という立場からも、むしろ企業としてよりも社会的な責任の強い業種育成という点から、通産省にもやはり大きな関連のある業種であると見ていいと思います。一方で国の政策的には大蔵省、あるいは交通事故防止の立場からは総理府と、きわめて自動車教習所に関連するいわば監督官庁を考えましても、きわめて幅は広いし、まあいまの警察庁の所管だけで済まされないものを感ずるわけであります。  あわせまして、自動車教習所の実態を見ました場合に、ほとんどの教習所の管理者あるいは所長というのは、警察の御出身の方でございます。またそれだけの理由はあると思いますけれども、やはりもう少し幅の広い教育的な見地からの教習所の運営という必要性もあろうかと思いますし、その辺の人的な配慮につきましても、適切な御指導が必要な時期に来ているのではないか。  文部省、お越しいただいておりますので、安全運転教育につきまして、私がいままで質問いたしました指定自動車教習所のあり方等も含め、中学校、高等学校における青少年に対する安全教育あるいは安全運転教育、あるいは社会人に対する、一般オーナーあるいはドライバーに対する運転教育——先ほど免許更新時の安全運転講習についてただしましたけれども、文部省から、この際そういう問題についてどの程度の施策を用意され、また今後どういう計画をお持ちか、お尋ねをいたします。

西村勝巳文部省体育局審議官

○西村説明員 交通事故を防止するために、自動車教習所におきまして十分運転者教育を徹底する。これはもう非常に大切であることは言うまでもございません。ただ、その所管官庁が警察庁でございますので、十分警察庁のほうと連絡をとりまして、警察庁においてお考えをいただくというようなことだと思いますが、しかし、事柄が非常に教育に密接な関係を持っておりますので、現在いささかでも役に立つかというような施策といたしまして、こういう通達を四十四年四月二十三日、去年出しまして、現在高等学校におきまして、就職する場合に免許をとりたいという希望者がたいへんたくさんございます、そういう者に対しましては、自動車教習所と十分学校側が連携をとりまして、そうして運転者教育ができる、そういう機会が得られるような措置をとるようなことにしております。これは一例でございますけれども、そういったような連携を密にいたしまして、運転者教育が徹底するような方途をこれから考えてまいりたいというように考える次第でございます。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 もうこれで終わりますけれども、いまの文部省の御発言でも、所管が警察庁と、非常に御遠慮をなさっておるようでございますが、私は、行政の簡素化、合理化ということにはもちろん賛成でございますし、いたずらに省庁をふやすということには反対でございますけれども、事交通行政に関する限りは、あまりにもいまの行政はばらばら過ぎるのじゃないか。ことに先ほど申しました二万人のいわば戦死者と九十六万の負傷者を出す交通戦争が何年も続き、今後もこれにはうちかつ見通しがない。現在の政治の立場からいたしますと、交通事故防止については思い切った行政上の施策が必要ではないか。その意味から、最もこれを効率的にするために、いま総理府の中にございますような対策本部ではなしに、これは簡単に実現できるという性質のものではないことは十分承知しながらも、いわば交通省に相当するものを設置して、この交通戦争にうちかつ努力を実際にだれかが責任を持ってやるということを強力に進めなければ、新聞等で、またわれわれ自身が毎日の問題として、交通事故の増加にびくびくしながら、またいつわれわれ自身が交通事故の被害者になるかわからないような脅威にさらされながらも、現実には事故は伸びていく一方ではないかと考えるわけでございまして、これに対する長官の御意見を聞かしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

後藤田正晴警察庁長官

○後藤田政府委員 今日の交通事故防止をはかりますためには、やはり総合対策を強力に推進する、これが何よりも肝要であろうと思います。そういうような意味合いから、私どもも従来とも努力はいたしておりますけれども、これでもちろん十分だとは考えておりません。今後とも御趣旨のような点も十分心得た上で、さらに一そう各省協力をして、事故撲滅の一点にあらゆる施策を集中して進んでまいりたい、かように考えております。

岡沢完治民社党

○岡沢委員 終わります。      ————◇—————

菅太郎自由民主党

○菅委員長 消防に関する件について調査を進めます。  大阪市の爆発事故に関する問題について、質疑の申し出がありますので、この際、これを許します。井岡大治君。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 あす消防小委員会を開かれるようですから、ごく簡単に要点だけを二、三聞いて、あとは小委員会のほうに回したい。

菅太郎自由民主党

○菅委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

菅太郎自由民主党

○菅委員長 速記を始めてください。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 あす消防に関する小委員会をお開きになるようでございますから二、三の点だけを聞いて、あとは小委員会のほうでこまかくお尋ねをいたしたいと思うわけです。  まず第一に、大阪市の交通局とガス会社との間に協定をかわしておるわけです。その協定の案文を一応読んでみます。事例だけ、概略だけしか書いてありませんが、ガス会社のほうには自主的な立ち会い及びガス漏れの調査、ガス管の懸垂状態の確認、これを大阪瓦斯会社側としては怠ってはならないことになっているそうです。交通局のほうは、これは業者にやらすことでありますけれども、懸垂の状態の検査、すなわち業者がこれをやっても、十分ガス会社が承知をするというか、よろしいという懸垂状態にあるかどうか、これが一つです。それから管の曲がりの測定、それから懸垂施工の義務、これが交通局側が負う責任であります。  そこで、ガス会社は、今回の自主的な立ち会いということでございますが、この施工にあたって、下を掘っていくわけでございますから、その懸垂の状態の確認をしておったのかおらないのか、この点をまずお聞きしたいのです。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 懸垂の状態を確認していたかどうかというのは、そういうことであれば、大阪市交通局が監督の責任に当たるわけでございますから、大阪市交通局はおそらくやっていたであろうと思いますけれども、私ども、交通局からは直接その事情を承っておりません。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 あなたは勘違いされている。ガス会社は管の懸垂状態の確認をやらなければいけない義務を持っているのです。懸垂状態の検査は、どういう懸垂のやり方をやっているかということは、交通局側が検査をする義務があるわけです。ガス会社のほうは、ガス管が保全される懸垂の状態であるかどうかということを確認をするわけです。ですから、ガス会社が受け持つ懸垂の状態を確認しておったかどうか、この点をお尋ねしているわけです。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 ガス会社が点検していたかどうかというお尋ねでございますが、私ども、その辺の事情は承知いたしておりません。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 これはおそらく通産の関係でしょうからおわかりにならないかと思います。  それでは、失火ノ責任ニ関スル法律という法律がございますね。この法律はたった一条だけです。「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」、こういうように規定をしておるわけです。この場合、重大なる過失と認めるか認めないか、ここが非常に重要な問題なんです。なぜ私がそれをお尋ねするかと申しますのは、三日前にガス漏れがあったという通告を受けて、ガス会社は検査をしているわけです。そうしてそのときには、異状なしという報告をしている。前日、依然としてガス漏れがあるから、これまた通告をしている。そういたしますと、また異状なしという通告をしているわけです。そしてその当日の午前もまた、ガス漏れがあるという通告を受けて検査をしている。これにも異状なしという報告をしておるわけです。したがって、消防署としては、これらの事項等から考えて、当然立ち入り検査ができるのかどうかということが非常に問題になるわけですが、これは法律のほうで立ち入り検査のできる項がありますね。そういう点から考えてみると、これは重大なる過失がある、こういうように理解をしていいのではないか、こういうように私は思うのですが、この点はいかがです。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 ガスの保全の関係について重大な過失があったかどうかというお尋ねでございますが、この点は、結局それが民事上の責任あるいは刑事上の責任につながるかどうかという問題にも関連することでございまして、その点は、刑事上の問題については警察当局で調査をしていると承っております。また民事上の問題は、結局当事者間でもって責任があるかないかという問題が論議されるべき性質のものではなかろうか、かように考えております。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 どうもかみ合いませんね。法律的には民事上、刑事上の責任がある、こういうことでございますけれども、消防として、地下工事を行なう場合——都市の地下にはいろいろな埋設物があるわけですから、その埋設物の中に特に出火に直接原因のあるガス管が通っているわけですね。だから、ガス会社のほうは自主的な立場からガス漏れの調査をすることができるという協定を結んでいるわけです。三日前にそのことの通知をガス会社は受けているわけです。同時に警察のほうにもその調査を依頼している。ところが、この点について調査をなさったかどうか、こういうことなんです。そうすると、刑事上の問題とか刑事上の問題でないとかいうことでなくて、常識的には重大なる過失と認めるほうがいいのではないか。それから先の、刑事上の問題としてどう責任をとるか、民事上の問題としてどう責任をとるか、こういうことはあとの問題にしていいと私は思うのです。いいのですが、協定を結んでおるのは、自主的にいつでも入ることができるわけです。自主的に入って検査をすることができるわけですから、そういうことをときどきおやりになっておるのかどうか、こういうことを聞いているのです。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 ガス漏れがその前にあったということを消防当局が知らされていたという報告は、私ども受けておりませんので、その辺の事情は調査した上でまたお答えを申し上げます。  それからいま、協定があったというお話でございますけれども、協定は、いま先生のお話でございますと、ガス会社と工事の施行者であります大阪市交通局との間の協定であったように承りますので、そのことから直接消防当局が当然に検査をしなければならないという義務は発生するわけではなく、やはりそれは当事者である大阪市交通局が検査をする権限を持っていると、かように解すべきではなかろうかと考えております。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 もちろん施工者である大阪市交通局が、その懸垂状態あるいはガス漏れ、そういうものに注意をしなければならないことは、これは当然です。当然ではありますが、同時にガス会社自体も自主的に検査をする権限を与えられているわけです、協定として。それを交通局だけがやるべきだ、こういう断定のしかたは、これは私は間違いだと思うのです。ですから、いつでもそれはずっと、ときどき入って、ガス漏れがあるのかないのか、ガス管が曲がってやしないかどうか、こういうことを検査しても決して越権にはならない、ちゃんと協定書をこしらえているわけですから。そういうように思いませんか。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 いまの協定書に基づく検査の問題でございますと、ガス会社と大阪市交通局との間の問題でございますので、ガス会社が点検をすること、これはあってしかるべきだと思いますし、また大阪市交通局が点検をすることもあってしかるべきだと思いますが、そのことが直ちに大阪市の消防局が点検をしなければならない義務を負ったというふうに、その協定から解するということはむずかしいのではないか、かように考えます。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 そうすると、消防局は、工事についてはガス漏れがあるないにかかわらず、そういう現場に対する立ち入り、こういうものはないのですか。これはあるはずですよ。法律を出してみましょうか。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 消防機関は、「あらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入って、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。」というような、いわゆる立ち入り検査権が認められております。ただ、この「あらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所」とありますが、これはいわゆる消防対象物ということになっておりまして、山林または舟車、船渠もしくは埠頭に係留された船舶、建築物その他の工作物というものに限定をされておりますので、地下に埋設されましたガス管について直接立ち入り検査ができるかどうかということは、少なくともこの法律をつくりました段階においては予定はしていなかったと私は考えております。ただ、そのガス管が掘り出された状態に、いまのところ、問題の場合はあるわけでございまして、そういう場合にできるかできないかという問題につきましては、なお今回の事故にもかんがみまして、私は考え直す必要があろうと思いますけれども、いままでは結局立ち入り検査ができるという状態にある船なりあるいは建物なり、こういう状態にあるいわゆる消防対象物ということになっておりまして、地下に埋設されたものまでは含まないという解釈をとっていたわけでございます。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 では、四条の工作物、仕事場、こういうのには立ち入り検査はできるはずですね。したがって、私は工作物だと思うのです。いわゆる工作物というのはどういうもの、これとこれとこういうものが工作物で、地下鉄は工作物じゃないというように除外をされておるのであれば、私は、いまあなたのおっしゃったことについて了解します、しかし、工作物であることには変わりはないわけなんです。地下鉄工作というのは、地下鉄をつくるということですからね。そうして、その仕事場には立ち入りはできるということになっておる。だから、そういう立ち入り検査をなさったことがありますかと、こう聞いておるわけです。まだそれを言われるんだったら、法律を何ぼでも出しますよ。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 大阪市の消助局が直接立ち入り検査をしたかどうかということにつきましては、私どもこの事故の前後を通じまして報告を受けておりませんので、そういうことはなかったとも断言いたしかねますし、また、あったとお答えすることも、いまの段階ではできません。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 私は、正直に申し上げますと、あの当日おりましたから、消防の諸君と警察の諸君に落ち度のあったところは知っております。落ち度のあるところは知っておりますけれども、それを責めようとは思わない。あれだけ一生懸命やっておいでになったあの人たちに、若干の落ち度があったからといって、それを拾い上げて追及しようとは思わないのです。思わないのですが、いわゆる板橋の事件からこういうことは予測をされておったことだろうと思うのです。そうであるとするならば、特に注意をする必要があったのではないのか。もし注意をする必要があったとして、しかし、いまの法律ではやや不備なものがあるというのであれば、それを改正をして、かかる事故が再び起こらないようにすることが、私は七十七柱、三百九十何人という負傷者に対するせめてもの私たち——いわゆる工事責任者は当然です、同時に、われわれ監督をする側にあるものとしての責任ではないのか、こういうように思うから、お尋ねをしているのです。ですから、不備な点があって、なかなか立ち入りができにくい、だから今後こういうようにしたい、こういうように具体的に答えていただいたら、私は、きょうはこれでもう追及しようとは思わないのですよ。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 お尋ねの点に関しまして、私どもも、今後のとるべき措置といたしましては、やはりいろいろと考えなければならぬ点があると考えております。そういうことから、権限があるないという問題は別にいたしましても、ああいう事故が発生したという事実を踏まえまして、ガス管にかかる工事等につきましては、これは単に地下鉄工事だけの問題でなく、下水道工事をいたしますにもあるいは道路工事をいたしますにも、そういう問題が起きる可能性がございますので、消防機関に対しましては、そういう場合には工事計画書なりあるいは工程表のようなものを——これはいまの法律ではその提出を命ずるということはできるようになっていないと考えられますけれども、ともかくお互いに事故を防ぐという観点から、協力を求めて提出させ、あるいは工事の進行状況を把握していくように、関係者間の連絡を十分とるように指導をしてまいるつもりでございまして、すでにそういうふうな方向で進めております。  なお、ガス漏れ等がありました場合に、今回の事例にもかんがみまして、爆発ということ、火事ということ、これを同時に考えなければならないわけでございます。ガス漏れだけの問題でありますならば、権限を申し上げて恐縮でございますけれども、これはガス事業法の問題でございます。ガス漏れは、単にガス漏れとしてだけ独立して考えるべきではなくて、同時に、火災、爆発というものをあわせて考えなければならないという今回の教訓にもかんがみまして、ガス漏れ等の通報を受けたならば、まず第一番目に、消防の出動はもちろん必要でございますが、同時に広報活動が必要でございますので、必ず広報車を出して付近の方々に注意を呼びかける、あるいは火気の使用を差し控えていただくようにする、あるいは近寄らないようにするというようなことについて配慮を払わなければならぬということで、必ず広報車で現場に出動するようにという指示をいたしております。その後、東京にも、御承知のとおり、二、三回続いてガス漏れの事故が起きておりますが、東京あたりでは必ず広報車が二台、三台と出動いたしまして、付近の方々に火気の使用の停止と危険区域への立ち入りは遠慮を願うというようなことをやっております。また、大阪市の報告によりましても、大阪市は今後ガス漏れの場合の出動体制というのを特別にきめたようでございまして、それも東京などでとっておりますやり方と同じような方向でいこうということでやっておるわけでございます。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 もう時間ですから、私、これで次に譲りますが、いまおっしゃったように、あの事故の起こった原因は、いわゆるガス漏れがあった、そしてガスの救急車が来た、そこで直ちに交通遮断をしたわけです。事故の現場がこことしますと、こちらとあちらに交通遮断をやった。ところが、それは自動車の遮断だけであって、人の遮断をしなかったのです。そこでガスの救急車が、ガスが一番噴出をしておるところに行ってとまって、そして向きを変えるためにエンジンをかけた。そのエンジンに引火をしたわけです。自動車が焼けたものですから、それで、人の遮断をしておらないものですから、みんなが見に行った。見に行った人たちがみんな犠牲になった。こういうのがあの事故なんです。もちろんその近所の人などもおりますが、けが人を含めて四百八十人近い人たちのうち八割まではそれを見に集まった人たちだ、こういうかっこうになっているわけです。それからあわてて広報車が出たわけですね。これは決して消防の責任とは申しませんけれども、やはりそういう場合は、交通遮断をするのであれば、自動車だけでなしに、人も遮断をする。ガスというものがどんなものだということについては、これはもう一番よく御存じなのは消防の方とガス会社の人だろうと私は思うのです。そのガス会社の人がわざわざ一番噴出しておるところに自動車をとめてエンジンをかけるなどという、こういう非常識なことをやった。ここに問題があるわけですから、この点を徹底していただきたいと思うのです。そして、これは単に法律でそういうように規定しなくとも十分やれる問題ですから、これを機会にぜひやっていただきたい。このことだけを申し上げて、きょうは三十分ということでしたが、三十五分しゃべりましたから、これでやめますけれども、どうかひとつそういうようにお願いをしたいと思うのです。

松島五郎消防庁長官

○松島政府委員 御指摘の点につきましては、私どもも関係消防機関に対して万全を期するよう指導をいたしてまいりたいと思います。特に地下鉄工事のような場合には、外にガスが漏れて感ぜられるまで中にこもって、それがどの範囲まで及んでいるのかということの把握がしにくいという問題がございますので、特にああいう中を空洞にして工事をやっていますような場合は、においのするところはある場所をであるけれど、実は自分の立っている足元までガスが来ているという場合も、今回の例に見ますように、あるのではないかということも考えられますので、特に地下鉄工事等の、中を空洞にして工事をやっておりますような場合には、警戒区域の設定のしかた等につきましても、十分配慮をするように指導をしてまいりたいと思います。

井岡大治日本社会党

○井岡委員 これでやめますが、どうかひとつ、いわゆる市内の密集地帯の工事をやる場合は、私は、それだけの余裕があるないという論議になってきますと、これはまたたいへんだと思いますけれども、できれば消防車の一台くらいはそこに配置をしておく。密集地帯ではどのような事故が起こるかわからないのですから、そういう方法が必要ではないか、こう思うのです。  今度の事故で一番まずかったのは、先ほど申し上げた、遮断をしたけれども、人の遮断をしなかったということと、全部道路を掘り返していますから、その上に鉄板なり何なりを敷いていますね。そして穴をあけているのです。ところが、穴をあけて、ガスがかりにちょっと漏れても、外に空気が出れるようにしてあるのを、今度の場合は万国博覧会だというので、穴をあけておくのはみっともないというので、警察のほうから全部塗り詰めさしてしまったわけなんです。そこに問題があるわけです。  しかし、先ほど申し上げるように、あの雨の中で警察のわずか十八人か二十人の諸君が一生懸命やっておった。また消防署の署員の諸君が一生懸命やっておった。それを見ておりますから、別にそれをどうこう言おうとは思いませんけれども、そういう配慮を今後していただきたい。このことだけを要望して私の質問を終わりたいと思います。

菅太郎自由民主党

○菅委員長 次回は、明二十四日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会

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