大蔵委員会 第38号
- 発言数
- 184 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/11/12
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 この際、おはかりいたします。 先般、北海道及び四国の各地に委員を派遣し、税制、金融、国有財産の管理及び専売事業等に関する実情を調査いたしたのでありますが、その報告書は各班委員より提出されております。これを本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は本号末尾に掲載〕 ――――◇―――――
○毛利委員長 国の会計、税制、金融及び関税に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。高橋清一郎君。
○高橋(清)委員 洋食器製造ということに関連いたしまして、アメリカの規制、はなはだしという現象が出てまいりました。 新潟県の燕市でありますが、これは人口四万有余の小都市でございます。この燕市が生産いたしておりまする数量は、全国で生産されておりまする金属洋食器の約九五%であります。あとの五%というのは、これは関という地区でございます。ところが、その八〇%というのがほとんどアメリカ向け輸出でございます。ところが、本年の八月二十八日でありますが、アメリカにおきましては金属洋食器につきまして関税割り当て制度を適用することと相なりました。その数にいたしまして七百万ダースでございます。日本向けだけで七百万というのではございません。全世界であります。したがって、韓国、台湾、香港、含めまして全世界で七百万ダースでございまするから、最悪のことを考えますると、日本ゼロといわれてもしかたのない事態が招来せられるかもしれぬ、そういう危険性を持ちまする七百万ダースの割り当てを提案してまいったために、燕市におきましてはいまや死活問題といたしまして、全市をあげましてこの問題に取り組んでおりますことは御高承のとおりでございます。 先般でありますが、御案内と思うのでありますけれども、国会議員まで三人ほど、業者と一緒にアメリカに参りました。最後には新潟県の知事まで参りました。まあ考えてみますと、どうもなかなかこうした例を前例として見ません。でありますが、悪く解釈いたしまするならば、なに、もうここまで来たんだ、大蔵省とか――大蔵省ではありません、大蔵省も含みましょうけれども、まずは通産省あるいは外務省たよるに足らず、われわれが急先鋒を切らなければならぬというような意味におきまする、せつなさと申しますか、地元の死活問題でありますだけに、真剣さをむしろ御洞察いただかなければならぬと思うのでございまして、この両省についてはむしろ私のほうから、個人感情でございまするけれども、おわびしなければならぬ感情でございます。まあ、それほどの問題でございますので、目下当面いたしまする問題といたしましては、この救急策いかんということでございます。 一応話の筋道といたしまして、まず、七百万ダースと申しましたが、この七百万ダースというような割り当てが提案されましたいきさつにつきまして、時間もございませんのでごく簡単でようございまするから、通産省からお願い申し上げたい。
○牟田口説明員 お答えいたします。 金属洋食器につきましては、御承知のようにかってアメリカに関税割り当て制度がございまして、これが六七年の十一月に撤廃されたわけでございますが、それまでは、たとえば六七年の金属洋食器の対米輸出の数量は七百九十万ダースでございましたし、それからその前の年の六六年は六百八十三万ダースでございましたけれども、撤廃をされましたその翌年は千百七十四万ダースと非常にふえることに相なりまして、六九年もまた千七百十万ダースと非常にふえることに相なりました。これがアメリカの金属洋食器業界に被害を与えておるのじゃなかろうかという調査をいたしました結果、関税委員会は悪影響ありという判定をいたしましたことに基づきまして、その後行政府がタスクフォースを設けて検討した結果、関税割り当て制度を実施したほうがよろしいのではなかろうかという結論に基づいて提案がなされたものと考えております。
○高橋(清)委員 昨年の九月三十日でありますが、アメリカ政府はガット事務局に対しまして、金属洋食器ほか二種目につきまして、ガット第二十八条の規定に基づき、譲許税率の修正または撤回の権利を留保する旨の通告を行なっているのでありますが、具体的な手続といたしましては、申請国であるアメリカは主要供給国である日本と交渉し、協議しなければならないものと思うのであります。その交渉の問題でありますが、現在どのような段階にあるかお伺いしたいのであります。これは通産省と外務省関係、経済局長いらっしゃいましたらお願いいたします。
○平原説明員 お答えいたします。 先生おっしゃいましたとおり、ことしの八月二十八日に入りまして一応アメリカのほうから、タリフクォータ、関税割り当ての限度を、日本も含めましてほかの輸出国、御存じのような台湾、香港、各国合わせて七百万ダースにいたしたいということを申し入れてきたわけでございます。これに関しましては、御高承のとおりガットの二十八条に基づく協議でございますので、普通の手続から申しますと一応関税交渉には日本として応じなければいけない。普通の手続でございますと、この際代償を求めるというのが普通でございますけれども、御案内のとおり、代償と申しますと、これは金属洋食器以外の品目について関税上何らか代償を払うということで、金属洋食器業界そのものは救われないわけでございます。したがって、いま先生もおっしゃいましたとおり、金属洋食器の生産というのは主として燕に集中しておりますので、やはりこの業界のことをまっ先に考えたいというのが、私たち外務省及び通産省の考えでございまして、そのためには、金属洋食器の関税割り当てを認めるかわりにほかのものの関税を引き下げるということよりも以前に、この七百万ダースという死活問題を、なるべくこの割り当てのダース数というのをふやそうという交渉を、主としてアメリカのSTR、通商代表部と交渉を始めておるわけでございます。それにつきましては、何ぶんにも非常にこまかい技術的なこと、あるいは実情というようなことを、日本の業界の方々が先方に十分に納得させるということも非常にけっこうなことであるという考え方から、業界の方がたびたびアメリカに行かれまして、われわれ大使館に命じまして、これを側面から援助しておるというのが実情でございます。
○高橋(清)委員 次は関税局長にお尋ねいたしますが、この交渉におきまして、たとえば金属洋食器の税率を引き上げるという場合は、他の品目の関税を引き下げるなどの代償を提案しなければならないこととなっていると思うのでありますが、アメリカ側におきましてはこの代償提供について何らかの意思表示をやったことがありますかどうかをお伺いしたいのでございます。
○谷川説明員 お答えいたします。 意思表示はあっておりますが、率直に申しまして、向こうでも取り扱いを極秘にしていただきたいという話がございますので、これは交渉の微妙なところにわたります問題でありますから、ここで詳しくお話し申し上げることをお許しいただきたいと思っております。
○高橋(清)委員 次は、関税局長、わが国は一九六〇年、大豆、乗用車、ポリエチレンなど二十四品目の譲許税率を修正または撤回するため、米国及び西ドイツと再交渉を行ないました。その結果といたしまして、米国との間では、引き上げ二十四品目に対し十九品目の代償を提供し、また西ドイツとの間におきましては、十二品目の引き上げに対し十二品目の代償を提供したと聞いておるのでありますが、代償に提供いたしました品目など、交渉の状況を御説明いただきたいのでございます。
○谷川説明員 お答え申し上げます。 いまお話がございましたように、わが国といたしまして貿易の自由化等に対処いたしますために、六〇年に、ガットの二十八条に基づきまして、大豆とか乗用車、工作機械、ポリエチレン等二十四品目につきまして、譲許税率の修正なり撤回交渉を、アメリカそれから西ドイツと行ないました。 アメリカについて申しますと、交渉が終わりましたのが六一年でございますが、わが国といたしましては大豆、それからラード、ポリエチレン、レコード、工作機械等二十三品目――こまかくはまた資料等のお話がございましたら提供いたしますのでここでは申し上げませんが、いま申しましたような品物につきまして譲許の修正をいたしまして、乗用車一品目の譲許を撤回いたしますかわりに、トウモロコシ、これは飼料用でございます。それからバーボンウイスキー、牛脂、万年筆、ギアカッター等十八品目につきまして関税を引き下げる等の代償を提供いたしました。これまたこまかくなりますから品物は申し上げません。後刻資料を差し上げてもいいと思いますが、そういうことでありました。 それからドイツについて申しますと、これは同じく六一年に交渉を終わっておりますが、わが国といたしましては乗用車、それから工作機械等十二品目につきまして譲許税率を引き上げまして、代償といたしましてガスホールダーとかコールカッターとか自動二色刷りの凸版印刷機等十二品目の関税引き下げを提供した次第でございます。
○高橋(清)委員 次は大蔵大臣にお尋ねいたします。 いろいろ言われておるのでありますが、ガットの精神というものはできるだけ関税障壁をなくいたしまして、自由貿易を推進するものであろうと思うのであります。いま申しました譲許税率の引き上げというものは、真にやむを得ない場合に限るものと思うのでございます。アメリカの実情ははたしてこれに該当するものでありますかどうかを、率直な御感懐ということで伺いたい。
○福田国務大臣 譲許品目の税率の引き上げ、これはまことにお話しのとおり例外やむを得ざる場合にこれを許すべきものである、こういうふうに考えます。具体的に日米間の問題、どうなっておるか、これはなかなか機微の点がありまして申し上げかねますが、しかし精神はどこまでもそうあってほしい、こういうことで交渉しておる、かように御了承を願います。
○高橋(清)委員 もう少し具体的に伺います。これは関税局長と通産省でけっこうであります。 ナイフ、フォークなどの現在の税率と、今回アメリカが提案してまいりました税率等を説明していただきたいと思います。 通産省側につきましては、最近数年間におきます金属洋食器の対米輸出数量と金額について、この際でございますのでお示しいただきたいと存じます。先ほど急増と申したのでありますが、急増の度合いによってこの際燕はやられたのでございまするから、一応ひとつこの三、四年の問題につきましては、ある程度具体的にお願い申し上げたいと思います。
○谷川説明員 御案内かと思いますが、現行のアメリカの金属洋食器に対する税率でございますが、これはたくさん、種類によって分かれておりますので、平均して申しますと二割になっております。これを今度はタリフクォータ、関税割り当て制度を設けまして、七百万ダースまでは二割でまいりますが、それをこえますと、これまた平均で申しますが、六割の関税率を適用するというふうな制度に変えたいといっております。こまかくはまたなにがありましたら御報告申し上げます。
○牟田口説明員 金属洋食器の対米輸出の数量と金額を、ここ数年申し上げます。なお、問題になっておりますのは、御承知のように三ドル未満のステンレス製のものでございますので、それに限って申し上げます。 一九六六年は六百八十三万ダースで七百六十八万ドル、一九六七年は七百九十九万ダースで七百九十四万ドル、一九六八年が千百七十四万ダースで千二百五十一万ドルと、先ほど申し上げましたように急に増加いたしておるわけでございまして、その次の年の一九六九年も千七百十三万ダース、二千六万ドルと、前年に比べてさらに大きな増加を示しているわけでございます。
○高橋(清)委員 再度、一、二通産省にもう少し具体的なものとしてお尋ねしたいのでありますが、対米輸出の増加率が著しい商品につきまして、通産省は、先般新聞で見たのでありますが、総点検を進めているようであります。したがいまして、時間もございませんのでごく簡単でよろしゅうございますから、その調査の結果を御説明いただきたいと思います。 米国でいま問題になっておりまする日本商品というのは、ダンピング容疑関係のものと輸入急増によるものと二種類あると思うのでありますが、金属洋食器につきましてはもちろん輸入急増が問題になったのであろうと思われるのであります。アメリカ国内の業者の立場等を勘案いたしますと、今後はどうしても市場の多角化ということを真剣に考えまして、ヨーロッパその他各地に広く市場を開拓するということが急務であると思うのでございます。――小宮山政務次官も出てこられました。九月二十二日の商工委員会におきまする会議録を読ましてもらいました。相当勉強しておられます。したがいまして、あなたのお立場におきまして、通産省におきましてはこの点いかなる対策をとられようとするか、御見解を伺いたいのであります。
○小宮山説明員 金属洋食器についてはいろいろ調査いたしております。今日共産圏国以外のほとんどの国に輸出されておりまして、輸出先は百二十カ国に及んでおります。もとよりこれらの国々の中には、先進国であっても政府間の貿易協定によって金属洋食器の輸入には制限を加えているところもございますけれども、国際収支上の制約から輸入の許可制あるいは高い関税障害によって輸入を抑制しているところもございます。先進国との貿易協定については、従来から二国間交渉を通じて年々そのワクを拡大してきたところでございますけれども、輸出市場の多角化ということも、今後とも十分配慮していきたいと考えております。このためにも、相手国業界と密接に連絡をとりまして、相互理解につとめたり、指導したり、市場調査、海外貿易会議を開催して、今後ともその市場開拓につとめていきたいと思っております。
○高橋(清)委員 なお続きまして通産省側でございますが、繊維問題、やかましゅうございます。この夏でございますが、日米間の交渉が決裂いたしました。その後の進展はございます。しかし困難な問題に直面しておることは事実でありますが、政府はこれを打開するために、ある程度わがほうが譲歩するよう業界を説得いたしまして、そのかわり政府が補償を考えるというような案が新聞にも報道されたと記憶しています。何か今週中に解決のめどがあるのではなかろうかということが報道されておるのでありまするが、繊維につきましてはいまどのような状況にあるか。時間もございませんので、輪郭だけをお示しいただきたいと思います。 なぜお聞きするかと申しますると、この金属洋食器につきましては、万一米側提案のような、七百万ダースというような過酷な提案がありました場合におきましては、繊維と同じように政府が補償することを考えておられるかどうか、政府の心がまえをお伺いしたいということで、通産省側におきましては業者代弁でございまするから、そういう言い方はどうかと思うのでありまするけれども、何とか誠意をもってやろう、こう申しましても、やはり大蔵大臣が一番大切でございます。御意向が一番でございますので、通産側の答弁のあとで大臣からのとうとい御意向を拝聴したいのであります。
○小宮山説明員 繊維については、いま、先ほどワシントンで行なわれました佐藤・ニクソン会談において、合意に達するためにできるだけ早く政府間交渉を再開するということで、互譲の精神に基づいて鋭意交渉中でございます。 金属洋食器の問題とその補償の問題でございますけれども、わが国だけが一方的に譲歩をしいられることがないように、両国間がなるたけ歩み寄って、業界に影響を与えないような形に持っていくのが一番重要なことだと考えております。結果的に何か業界で損害が生じた場合には救済措置というものが必要であろうと思いますけれども、その点については現在事務当局に命じまして、その点の計画あるいはいろいろなものをやらしておりますけれども、何ぶん非常に技術的に困難な問題がございます。そういうことでございますので、現在その内容については申し上げることができません。金属洋食器については、私たちが現在言えますことは、構造改善の推進とか、あるいはこの年の詰まった年末金融をどうするのだということを鋭意努力して、金属洋食器業界が不安のないような形にやっていきたいということでございます。
○福田国務大臣 ただいま政務次官からお話しがありましたとおりに考えておりますが、この日米繊維交渉が妥結をする、その結果、過当に業界に悪影響を及ぼして、業界が困惑するようなことがあった場合に、政府がそれをただ黙って見ておるわけにはいかないと思います。ただ、補償というようなことばが使われる。これは厳格にいいますと、補償ということは政府が義務として金銭を業界に対して交付する、こういうようなことでありますが、そういうような考え方はこの場合に適用はできない、そういうふうに思います。ただ、融資でありますとか、その他適切なるこれが助成の方法があれば積極的にこれを行ない、この交渉によって業界に不安が起こるというようなことはあくまでも防ぎとめなければならない、かように考えておる次第であります。
○高橋(清)委員 外務省の経済局長が来ておりますから、この際お聞きいたします。 先ほども申したのでありますが、七百万ダースの問題については、アメリカ側に対し業者の強い要請をいたしました。通産省並びに外務省におきましても特別の関心を持っていただいて、大いに勉強していただいております。御好意は感謝します。アメリカ側はおそらく先週の土曜日に最終結論を出そう、数字を示そうというようなことが伝わっておったのであります。きょうこの刻までにその数字が出ましたかどうか、このことをお尋ねしたいのでございます。 とともに、先般来から業者側がアメリカ当局に対しまして、この程度のところまで何とかしてほしいという数字を並べておるのであります。これは帰ってまいりました亘県知事が言っておるのでありますから、ここで申し上げてもよろしかろうと思うのであります。日本といたしましては、七百万といわれたのでありますけれども、これは全世界のものでありまして、とてもとても了承できるものではございません。日本側といたしましては、日本自体を対象にいたしまして、千百三十万ダースに何とかしてもらわなければならぬと思うのですが、せめて千百万だけはという強い要請をいたしたはずでございます。先般、知事が参りまして、新聞報道の場でありますが、まあ何とか一千万ダース程度で妥結するのではなかろうかと思うがな、というような対談の場が見られたのでございます。したがいまして、おそらくきょうこの刻までに向こう様の返答がございませんければ、しからば、牛場大使がこの問題について相当挺身していただいているようでありますので、牛場大使から何らかの、せめて中間報告程度のものでもけっこうでございますから、そういうものがあるかどうか。これをお伺いしたいのでございます。
○平原説明員 お答えいたします。 第一のアメリカ側の返事と最終決定というもの、私も実は先週の末までにあるという心証を得て待っておりましたが、ただいまこちらに参りますまで、公式な返事は残念ながら来ておりません。その原因につきましてはいろいろ考えられますが、私の知っております限り、一応通商特別代表部、STRを通じて交渉しております。そのSTRの係が関係省の会議を招集して、その結果最終的な結論を得るということになっておりましたのが、おそらくこの関係省の会議というのが何らかの事情でややおくれておるのではないか、そういうふうに推察しておりますが、いずれにいたしましても早急にこの返事はあるものと期待をしております。 数字に関しましては、確かに先生のおっしゃいましたように、千百三十万ダースはぜひ確保したい。最悪の場合でも千百万ダースは確保したいという業界の御意向はよく存じておりますし、牛場大使もよく承知しております。また、このような、われわれの業界、われわれ政府の考え方というものはアメリカのSTRにも非常によく納得させ得てあるというふうな気持ちを持っております。ただ、いかんせん関係省との協議という形式が残っておりますので、いまのところ私から、これではっきりきまるんだということを申し上げることは残念ながらまだできかねる状態でございます。
○高橋(清)委員 この問題の窓口は外務省のあなたでございますから、今後いろいろな機会をとらえまして、どうぞ数量増ということにつきましては、ひとつ何とかの御配慮を賜わりたいと心からお願い申し上げるわけであります。 いま申しましたように、何せ、正直に申しますところ、先ほど通産政務次官からもお示しがあっただろうと思うのでありますが、年間の取り扱い数量につきましてはもう少しよけいあるはずであります。その内容につきましては、なぜかということは申し上げません、この際でありまするから。でありますが、私のほぼ見当でございますけれども、この二、三年の間でございますが、一年間まずは千五百万ダースから二千万ダース程度のものが燕市だけで輸出した数量であろうと私は確信いたしております。したがいまして、それに匹敵いたしまするいろんな設備、内容、全部具備したはずでございます。ますます年ごとに増加するだろうということを予測いたしまして、あれやこれやの設備投資をやってまいった燕市の実情でございます。ところが七百万、しかもそれは全世界で七百万でございますから問題になりません。先ほど経済局長からもお話がありましたように、千百三十万というのは、せめてこの程度まではというぎりぎりの線でございます。その千百万にいたしましても、いままでの実績から徴しまして約半分にすぎないのでありますから、これはもう推しはかることができると思うのであります。 御案内のとおり、あの燕市には約二百三十程度の、一応大手と申しますか、業者があるのであります。その下に、問題は、下請業者が二千五百から三千ございます。これはかわいそうなんです。この下請業者がたいへんなんであります。こういうことを申し上げてどうかと思うのでありますけれども、その中で、たいへんなことだといってこんぱいその極に達しました業者のせつなさの一端をここで御披露申し上げるわけでありますが、もうここまできたら神頼みだということで、みこさまに参りましてお祈りを捧げました。私、最近全部田畑を提供したのです。洋食器の下請として何とかもうけようと思って財産は全部つぎ込みました。ところが全然仕事はなくなりました。半分どころか三分の一もございません。このままでまいりますとすっかりまいってしまいます。何とかなりませんか。前途は不安でございますというせつなさを、みこさまを通じて訴えているという事実がございます。あの燕市は、気っぷがいい、気性のいい連中が比較的多いのであります。江戸っ子かたぎと申しますか、そういう面を持っておる燕市の市民感情でございますが、最近におきましては、こういう不況が出てまいりまして見通しが暗いということで、もう宴会場なんてほとんどないそうであります。料理屋はあがってしもうたという実情でございます。よくわかるのであります。倒産者が出始めました。転業と申しましても、いままで長きにわたり生業として営んできたところのこの洋食器の製造業を、いまさら何でほかに転業、廃業はできっこないし、なかなか容易でないわいという考え方におそらく全部なっておるというような気がしてならぬのであります。しかし、いままでの交渉で出てまいる数字が結果として具体的なものになりますならば、そうは言うていられない。もうやめた、ほかの業だということにならざるを得ないのではなかろうか。必ずこれは転業者も出てこなければならない。こういう感じを深ういたしておるのでございます。 したがいまして、当初申し上げました――大蔵委員会の席上でございますので、これらかぼそい力しかございません人たちに対する救済策いかんということがこれからの本題でございます。すなわち金融問題であります。御承知のように燕市は、いまもいろいろお話しになったように、特に小宮山政務次官がお話しになりましたが、金属洋食器に対する中小企業構造改善計画がようやく軌道に乗ったところであります。この構造改善計画ももうあとわずかであります。昭和四十八年であろうと思うのでありますが、これを目途にしているわけであります。そういうときにおきまして対米輸出の数量について大きな制限を受けますということは、構造改善自体の問題につきましても多大の影響を与えるばかりでなく、せっかくの構造改善も失敗に終わるおそれもあるように思うのであります。 いずれにいたしましても、輸出の数量規制が本年の実績を下回るということは確実でありますだけに、産地燕市の生産者に被害が出ることは明白な事実であります。さびしいことには、局長からもお話がございましたように、きょうまだ向こうからの返答がございません。数量がはっきりいたしません。数量の発表は間もないことでございましょうけれども、とうてい期待はできない。その数量規制の解決を見ないまま、きょうこの時刻を迎えた燕の業者の連中であります。十一月半ばでございます。お話しございましたように、年末を控えまして産地では資金繰りにたいへんでございます。いまもるる申し上げたのでありますけれども、廃業だ、転業だ、こうした事実を見なければならない状態になっているわけでございます。そこで、政府におきましてもその重大性を認めていただきまして、年末金融の措置として別途に財政資金の支出を行なうべきであると思うのでありますが、その措置につきましての御見解を御発表いただきたい。特に銀行局長、さらに具体的の方法といたしましては商工中金、これは通産でございましょう。あるいは国民金融公庫、大蔵関係などの短期資金を十分活用させまして、所要運転資金の確保につとめるべきであると思うのでありまするが、その資金量、実施の時期について明確な御答弁をお願いしたいのでございます。
○福田国務大臣 年末の金融につきましては、ただいま政府部内において鋭意相談を進めておる最中でございます。もうおっつけきめたい、かように考えております。ことしは対米輸出の関係で、業種的に見まして困難を生ずるようなものも出てきております。そういう面につきましては格別な配意をいたさなければなりませんと思いますが、とにかくそういうものも含めまして、かなりの年末融資、これは政府機関におきましてもちろん考えます。長期資金につきましても、また短期資金につきましても考えます。同時に、民間金融機関につきましても、これは行政誘導措置といたしまして、でき得る限り中小企業の年末金融につきましては支障のないようにということをただいま配意しながら接触を続けておる、かように御了承願います。
○高橋(清)委員 時期が時期でございますので、仄聞するところ、きょうこの刻につきましては、資金量、はっきりした時期ということは発表できないやのごとくお聞きしているのでございます。大臣のお立場に立たれましても、閣議決定という線が出ない限りはまだまだざっくばらんのあなたの数字というところまでこないような気がするのでございますが、どうぞひとつこの問題につきましてはあとう限り御努力賜わりまして、大体腹づもりはできていると思うのでありますけれども、何ぶんの御努力をいただきたいと存じます。 次は、最後でございますが、いま申しましたように、転業、廃業ということを申し上げました。しかし、この廃業というのは別にいたしまして、転業につきまして御意見をいただきたいと思うのであります。 いまも申し上げたのでありますが、燕市の洋食器という生産業者では、執着を持っていて、なかなかほかのほうへ仕事がえするのに容易ではございません。目下のところそういうふうに考えております。しかし、これもまた先ほど申しましたように、やむを得ない実情である。やめました、転業しましょうというような場面が出てくるに違いないと思うのであります。そこで、この転業対策についてであります。ただいま実施中の、お話がございました構造改善計画の中において処理されるということにおっしゃったわけでありましょうが、しかしこのことによりましてはとてもとても円滑な転業はなされにくい、そういうふうに私は解釈するのであります。と申し上げますことは、転業する者の希望があるかないかということにかかることでありまして、生産業者の申し出によって政府があっせんするという指導措置によるからであります。このことでは業界の将来を明るくする方向づけにはならないばかりでなくして、業界をして一そうその不安感を助長させるという結果になるのでなかろうかと思うのでございます。したがいまして、政府の指導には積極性を持つように十分な御努力をわずらわしたいということであります。これは通産関係でございますが、これに対する見解を政務次官にお願いしたい。それとあわせまして、構造改善の計画に支障なきよう、これが計画の際にはどうしても転廃業ということにつきまして指導を行なうようにつとめるべきだと思うのでありまするが、ぜひともお願い申し上げたいと思うのであります。これがあなたの側からの御答弁の最後のものであります。
○小宮山説明員 構造改善事業がいま行なわれているところで、四十八年度まででございますけれども、転業の点については先生のおっしゃるとおり鋭意努力して、業者が安心して転業できるように今後とも考えていきたいと考えております。
○高橋(清)委員 いろいろこの場におきまするやりとりで大蔵大臣も御認識を賜わったと思うのでありますが、通産省におきましても、やはり業者かわいいということで、あれこれの問題、救急策につきましてその措置を持ってくるだろうと思うのであります。それにつきましても、何せ予算面の問題でございますので、大蔵大臣におきましてもこの点深く思いをいたし、何ぶんの御努力、御賢察を賜わりたいということでございますので、締めくくりといたしましてあなたの御答弁をいただきたい。
○福田国務大臣 きょうは燕市を中心にいたしまして、金属食器の日米間の通商問題、切実なる問題があることを私つぶさに伺いまして、私ども今後行政をやっていく上においてたいへん参考になったと存じます。御所見を体しまして、慎重にかつ親切にこの業界に対して努力を続けていきたい、かように考えます。
○高橋(清)委員 終わります。
○毛利委員長 広瀬君。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣にまずお伺いいたしたいと思いますが、前回の大蔵委員会にも、酒の値上げの問題またビールの値上げの問題などについていろいろ、ビール四社の代表を呼んだりいたしまして質疑をいたしたところでございます。特に国民の納得のいかない形で、企業の流通経費の上昇というような圧力があってというような説明では全く国民が納得しない、そういう理由で、しかも業績のきわめていい麒麟までが値上げをするというような事態になったわけでありますが、そこでいろいろ問題が出されてまいりました。政府部内においても、特に流通経費の上昇ということで卸業者なり小売り業者からは、非常に困っている、人件費の上昇なども含めてやり切れぬという強い要請があってそういう事態になったということでありますので、その問題について、免許制というようなものがいろいろこの価格上昇に寄与するところが非常に大きいのではないか、こういう見方をいたしまして、 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 企画庁としては、この免許制に何らかメスを入れなければいけないのではないかということで、大蔵省に対して、やはり物価を安定させるというような見地において、また製版三層にわたる流通問題の合理化というような立場を含めて、そういう点を申し入れになったはずであります。このことは経済企画庁でもこの委員会で確認をし、また、それについてのある程度の国税庁側の見解も一部示されました。しかし、これは今後の酒類行政の問題にとっても、また物価の問題にとっても非常に重要な問題でございますので、この際、経済企画庁においても、この問題はそういうところに一つ根があるぞという形で免許制度を廃止の方向に持っていったらどうだ、こういう申し出も大蔵省に正式になされている。こういうような段階を踏まえて、大臣としてこれにどう対処されるおつもりなのか。免許制廃止の方向というものをひとつしっかり掲げて、それで段階的には、たとえばスーパーとかチェーンとかあるいは生協とか、そういうようなところに免許をいままでよりは大幅に出していくというような措置をしながらそういう方向を目ざすのか、その辺のところの根本的なお考えをこの際承っておきたいと思うのであります。
○福田国務大臣 最近、清酒、ビール、酒類の値段が引き続いて上がりました。私もたいへんこれは残念に思っておりますが、これは大体コストの上昇というところに理由づけられておるように見ておるのであります。しかし、しさいに私ども点検いたしますと、コストの問題もあると思うのです。しかし同時に、流通機構といいますか、そういう方面にも問題があるであろう、こういうふうに思うのです。広瀬委員いま御指摘の販売制度、卸・小売りの制度の問題、免許制度の問題、これなんか企画庁でも、お話しのように、ここにも問題があるということを指摘しておるのであります。私ども大蔵省といたしましては、企画庁のいうところにも一理あり、こういうふうに考えております。ただ、この酒、ビールにいま国の財源の多額のものをかぶせておる、こういう現状におきまして、この販売機構を全く自由にしていいかというと、私どもはそうは考えておりません。しかし物価対策上の要請もあるということをよく承知しております。そういうような両面をにらみながらどうすればいいかということを考えておるのでありますが、免許制度の運用を大幅に機動的にやっていくように切りかえなければならぬじゃないか、そういうふうに考えるわけであります。そういう免許制度の運用の弾力化、そういうことをやってみて、それでも支障がある、こういうような事態におきましては、さらにその際において考えてみる、これが私どもの考えでございます。
○広瀬(秀)委員 非常に抽象的なお答えでございますが、コストの面はちょっとおきまして、少なくとも現在の流通機構を改善するという形で経済企画庁からそういうことが提起をされている。たとえば、先ほども例をあげましたように、スーパーマーケットとかチェーンストアとかあるいは生協などに対する小売り免許を弾力的に早急に与えていくということなどについては、それぞれ土地の事情などもあると思いますが、そういうことを結論を出して、一体いつごろからやるのかというような、そういう具体性のあるお答えを願いたいことが一つであります。 それから、たとえば流通機構の中でも、ビールなどについては、卸売り業者あるいはメーカーから消費者が大量に仕入れをするというような場合におきましても、末端小売り価格そのものでしか手に入らぬ。そうすればもう眠り口銭というものがやはり中間なりメーカーなりに入るというような事態もある。こういうものに対してどうするかとか、あるいは小売り、卸というような業界についての再編成と申しますか、企業の集中、提携あるいは合同というようなものについてどういう指導をなされるか、そういうものなどについても問題としてあげられておるわけでありますが、そういうものをいつごろ一体おやりになるのか。そういう具体的なところまで立ち入ったお答えをいただきたいと思うわけであります。
○細見説明員 いま御指摘の諸問題につきましては、今回のビールの値上げの問題もございまして、従来にも増して早いテンポで早急に検討しなければならない、かように考えておるわけであります。ただ、広瀬委員御承知のように、それぞれの小売りあるいは卸にいたしましても、長い間の生業、なりわいとして、それによって生活をささえておられる方もおられるわけでありますので、そう急に、何らの調整のための必要な策もなしに乱暴なこともできないわけでありまして、その辺を含めて、全体の免許制度のもとにおける運営が合理的になり、より機動的になり、より弾力的になる方向で早急に検討に着手しなければならない、かように考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 まだしっかりした腹が固まっていないようで、かえって大臣答弁よりも主税局長答弁のほうが抽象的なことで、たいへん残念なんだけれども、言わんとする趣旨は私どもよくわかっておるのです。しかし、今回は経済、物価の問題について、特に責任官庁として主役を果たしている経済企画庁が、政府部内においてそういう新しい問題提起をし、経済企画庁のいろいろな資料、いろいろな問題点を考えた上での申し入れであるということについては、これはやはり大蔵省の立場においても、単に酒税保全ということ――これも大事だし、それから非常に零細な業者の人たちが生業としてやっておるというような問題点についての配慮も当然あってしかるべきである。そういうようなことを認めた上でも、なおかつこの問題についてはやはりもっと真剣に、そうして早急に結論を出して、逐次実施に移していくというような前向きの姿を強く要請いたしておきたいと思うわけであります。 それから、次に中小企業の倒産――これは十月二十七日に公定歩合の引き下げということで、金融引き締め政策が一年二カ月ぶりで解除されたという問題があるわけであります。そういう中でも、すでに例年十月という月は比較的中小企業の倒産というものが多いわけでありまするけれども、この十月の倒産状況はおそらく史上第二位、四十三年以来のものになるのではないかというように見られておるわけであります。件数にして大体九千五百件をこえて、四十三年の一万件に迫ろうという勢いである。負債の総額においても七百十二億という、たいへんな額になってきている。倒産件数で九百七十一件、そして年間では大体九千五百件以上になるだろう、こういうような状況になっておるわけであります。いろいろ公害倒産というようなことが新しく出てきたこともありましょうし、また家電や自動車など対米貿易関係、あるいは公害関連というような問題などもあって、さらにその下請業者に累が及ぶというような形で、公害が非常に大きくなって倒産が目立ってきている、しかもかなり大型化している、こういう状況にあるわけであります。この問題について、いま高橋委員からも地域的に燕の洋食器産業ということでございましたが、対米貿易関係からくるそういうもろもろの問題があるわけでありますが、この問題に対して、企業倒産、特に中小企業を中心にした倒産をとらえて、これにどのように財政的にあるいは金融的に対処される心がまえであるのか。この点をまず伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 企業の、特に中小企業の倒産につきましては、いま非常に注意深くその動向を見守っておるのです。最近ふえておるのでありますが、その中身を調べてみますると、経営のやり方の間違いというものの比率がだんだんとふえてまいりまして、そういうものが昨年なんかは二〇%台であったが、いまはそれが三〇%をかなりこえるというような状態になってきておるのです。つまり、経済成長というものが非常な勢いで実現されてきた、その過程におきまして、中小企業においてもどっちかというと浮かれたような気持ちでこの波に乗ってきたというようなことが、私はその背景にあるのじゃないかというふうに思います。そういうようなことも含めまして、経済動向の鎮静化ということを努力をしてきておるわけでございますが、 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし中小企業というものは、たとえば特別な政策、金融引き締め政策などというような政策がとられた場合には弱いもの、小さいもの、そういう立場においてそのしわ寄せを受けるという立場にもありますので、そこにはまた特別の配意をしなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、何といっても金融問題が当面の問題であろう、こういうふうに思うのです。 そこで、年末金融につきましては、そういう事情をよく含みまして対処していきたいという考えでございます。いま御指摘のように、対米貿易不振というような局部的な産業につきましての問題もある、それから家電というような関係がいま業界全体として少し頭打ちの状況になってきておる、それに連なるところの中小企業という問題にも特別の問題があろうと思います。そういうような特別なケースに対する対策をも含めまして、中小企業金融年末対策、これをいま考えているわけでありまして、できたらあしたの閣議でそれの最終的決定もしていただきたいな、こういうふうに考えて鋭意折衝をいたしておるという段階でございます。
○広瀬(秀)委員 いま年末金融の問題までお答えになったわけでありますが、まあ中小企業の倒産、おっしゃるような原因があると思うのでありますが、そういう中で、たとえば公害倒産というものが最近では新しく加わってきておるというようなことなどもあるし、また年末の決算時期に入るというような時期、そういう年末の時期というのはさらにきびしい情勢というものが――金融引き締めは解除されたとはいうものの、まだポジション指導なりあるいは預金準備率の据え置きというようなものは残っておる。さらに、今回の引き締めの当初はもう大企業は困って、中小企業関係はわりあい手元流動性なども豊富であるというようなこと、さらに中小企業の専門金融機関である相互銀行とか信用金庫とか、こういうようなところにはわりあい資金的余裕もある、あるいは地方銀行等もそういう中に入るというような状況でありましたが、ずっと貸し出し額の増大のパーセントを見てみますと、大体都市銀行あたりが一六%程度で、あるいは一五%程度でずっと推移してきている。それに対して相互銀行なり信用金庫というようなところは二十数%というような高い率で、貸し出しも最近に至ってずっと増大をしてきているというようなことなどもありまして、そういう点ではかなり中小に対する金融の配慮というものも、そういう面であったというように見ておるわけでありますが、いまや相互銀行あるいは信用金庫というようなところも、中小企業専門金融機関ももう資金がかなり詰まってきて、きびしい融資態度というものに転換をしている、こういうような状態を踏まえますと、そうしてそこへ年末だということになりますと、これはまあたいへんな事態になるわけで、この年末に対する対策というものは、例年よりもむしろきびしい情勢であるという踏まえ方をして、これに対する対策を具体的に打ち出していただかなければならぬわけでありますが、例年よりもより一そう強化した金融対策というものを、この中小企業に対して年末金融を見るという立場をとられるおつもりであるのかどうか。この点をあすあたり閣議で具体的に検討したいということでありますが、そういうおつもりでございますか、大体例年どおりのことはやりたいという、こういうおつもりでありますか。その辺のところ、いかがでございますか。
○福田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、諸般の状況を考慮いたしまして、中小企業に対しましては特に手厚い配慮をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。例年並みかどうかというようなお尋ねでございますが、気持ちといたしましては特に十分配慮いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○近藤説明員 先ほど来先生が御指摘になりましたように、中小企業に対するしわ寄せと申しますか、それも五月ごろから一段、また八、九月ごろからもう一段と次第にきびしさを加えておるというような情勢でございますので、それらに対処いたしまして、年末金融対策、特に中小企業金融対策につきましてはできるだけの努力をいたしたいということで、ただいま努力をいたしておるところでございます。
○広瀬(秀)委員 ひとつこの点、さらに倒産などがふえないように十二分な配慮を強く要請をいたしておきたいと思います。 次に、預金金利の再引き上げの問題、今年四月二十日に預金金利が〇・二五%上がったわけでありますが、その再利上げの時期ではないかという観点において質問をいたすわけであります。つい最近日銀が出しております、貯蓄増強中央委員会から例年出ます貯蓄に対する世論調査というのを見ますと、この預貯金の利子値上げを望む世帯というものが、年収六十万円から九十万円の世帯の人たちでは五八・七%に及んでいる。さらに九十万から百二十万のところでは五四・八%がそういう預金金利を上げてもらいたいといことを望んでいる。百六十万未満になりますと若干減りまして、四九・六%だ。それ以上の高額の預金をしておる世帯ではこの点での問題提起というか、その希望というものは非常に低率になってくる、こういうおもしろい数字が出ておるわけであります。 しかも、この九月期の決算を見ましても、まあ、これは景気の問題でいろいろございますけれども、とにかく一般産業は金融引き締めの効果がかなりさいてきだというようなことで、在庫率がふえたり、あるいは利益が不振になったり、設備投資が鎮静化したりというようなことで、利益は出ておるけれども前の期よりはかなり減益になっているというようなところもかなり出てきておる。そういう中で銀行だけは十二期、増収増益をずっと続けてきておる。そして九月期におきましても、経常収益だけでも一兆円に達するということになっておるということを伺っておるわけであります。そういうような、まあ俗なことばでいえばきわめてもうかる企業である。他産業が相当苦しんでおる中でも、この一連の金融政策を通じて銀行だけはちっとも損害をこうむらない。銀行に対する過保護というかどうかは知らぬけれども、とにかくこういうように十二期連続の増収増益をあげている、まことに日本で最も恵まれた企業であるというようなことがいえるわけであります。 そういう中で銀行の不祥事なども起こったというようなことも考えて、銀行協会筋等におきましても、預金金利をもってこの銀行の収益というものを預金者に還元する、こういうことはきわめて国民の信を取り戻す道でもあろうというような配慮もあるようでありますが、銀行協会におきましてもそういう考えがぼつぼつ出ておる、かなりまとまったものにもなりつつあるやに伺っておるわけであります。貸し出し金利との関係も当然あるわけでありまするけれども、貸し出し金利は現状のままでも何とかいけるのではないか、こういうようなことで、銀行の経営という問題、これは当然中期預金構想ともからむ問題ではあるけれども、預金者に対して、近い将来に、少なくとも今年内かあるいは来春早々なりでも、再引き上げの時期というものは、いま申し上げたような、いろいろな意味において預金者を優遇していくという立場において、さらにもう一つ、これは佐藤総理も閣議でそういうことを指示したというような新聞記事を私も拝見しておるわけであります。いわゆる消費が非常に根強い性向をたどっているというようなことから、消費に向かう金を預金に向けようというようなことも一つの、そういう意味での物価対策の意味からもこの問題は非常に重要な問題ではないのかという押え方をしておられる、問題提起もされておるということを聞いておるわけであります。そういうようなもろもろの立場を考えて、いわゆる大衆預金著、しかも先ほど申し上げたような日銀の調査によりましても、金利がもっと高くあってほしいというものは比較的低所得層で、しかも生活を切り詰めながらでも預金をしようという人たちにそういう要望というものがきわめて強いということが実態として報告もされておる。こういうことを考えて、大蔵大臣として、この預金金利の引き上げの方向というものについてどういうように考え、どういうような指導をされるか。この点について大臣の御所見を承りたいわけです。
○福田国務大臣 貯蓄は、その重要なることは申すまでもないのでありますが、特に今日のようなコストプッシュの物価高、そういう状態下において、これくらい大事な問題はないと思うのです。非常に平板な問題、陳腐な問題ではありますが、その重要さにおきましては非常なウエートを持ちつつある、かように考えるのでありまして、何とかして貯蓄の増強、これに有効な手があればというふうに考えておる次第でございますが、預金金利の問題、これもその貯蓄増強手段の中におきましてきわめて重大な問題になってきておるのではあるまいか、そういうふうに考えます。物価の情勢というようなこと一つを考えてみましても、ただいま御指摘のように、貯蓄階層というものは預金金利の引き上げということを望んでおる、こういうふうに見るわけでございますが、これが実現されますと、私は貯蓄の方面にかなりの効果があるのではあるまいか、そういう見方をしております。 ではそれに対してどういう手段をとるかといいますると、私はいままでの預金金利に対する考え方、当局の姿勢というものがあまりに慎重というか、硬直した考え方に立ち過ぎておったのじゃないかと反省をしておるのです。この問題はもっと機動的、流動的に対処をしてしかるべき問題じゃないか、そういうふうなとらえ方をしておるのであります。いま、今年中にどうかというようなお話もありますが、預金金利を引き上げることについては、私はそうこだわらぬ態度でこの問題は処理すべきだというふうに考えますけれども、一面におきまして、他の金銭債券の利回り、そういうものとの関連、そういうことも考えなければなりませんので、年内にこの問題の決着をつけるというようなわけにはなかなかいかぬと思いますけれども、しかし、御指摘のような方向で早急に施策を固めることが適切である、私はそういうふうに考えております。鋭意努力してみたい、さように御了承願います。
○広瀬(秀)委員 最後のところで、そういう方向でという一応の方向づけが出ましたから、それに大臣の政治力の発揮を期待いたしまして、この点の質疑を終わりたいと思います。 そこで今度は、いよいよ予算編成も急ピッチで進められ、年内編成を目ざしておられるようであります。そこでまずひとつ数字を主税局長からお伺いしたいのでありますが、四十五年度の税の自然増収は当初見込みをどのくらい上回る見込みであるか。私ども前回にも、三千億ないし四千億になるのではないか、かたく見積もっても三千五百億くらいはまず間違いないのじゃないかという感触を持っておるし、九月期決算等ももうすでに全部出そろって、それらの問題もあるし、さらに金融引き締め解除というようなことで、政策不況というようなことも解消をするということになりますれば、どこまで安定成長の方向に行ったかは別といたしましても、この景気という問題についての見通しも、これはあとで伺いますが、そう落ち込むような事態ではない。かなり根強い設備投資の需要などもまだございますし、その他の生産指数などを見ましても、あるいは対米貿易などもいろいろ騒がれておりますけれども、そう大きく落ち込むような事態ではなさそうだという見通しも立ったような段階だと思います。そういういうなものをめぐって、ことしの自然増収見込みを上回る額はどのくらいになるのか。まずこの辺の数字をちょっとお聞きをして、それから次の質問に入りたいと思います。
○細見説明員 ただいま判明いたしておりますのは、九月末の租税及び印紙収入の収入状況でございます。これによりますと、一般会計で、昨年の進捗割合と申しますか、昨年の最終的な収入額に到達する進捗の割合と今年度の予算に対する進捗の割合とを比較してみますと、三・一%ぐらいよくなっております。ただ、予算に対しまする現在までの収入の割合は約四六・八で、約五〇%、これを単純に拡大すれば、ある程度の自然増収が出るというような御議論もございますが、先ほど来いろいろ金融の問題について御指摘がございましたように、いままでのような明るさ一面の経済でないわけでありまして、法人税の税収におきましてもたとえば延納率というようなものがかなりふえてきております。それから、目下各方面に係を出しまして、九月末決算の状況を調査いたしておるわけでありますが、おしなべて関西のほうの企業というのはかなり悪いというような計数も出ておるようでありまして、昨年度の経済の拡大のテンポがことしも続くというわけじゃなくて、いわばすでに税収の拡大テンポがクロスしておると考えなければならないと思いますので、ある程度の自然増収は期待できょうかと思いますが、それを正確に見通しますのには、やはり九月末決算の見通しがつくとか、あるいはまたその以後のいろいろな年末ボーナスの要素とかというようなものをいま少し見ませんと、どの程度の額になるかというのは、現段階ではきめかねておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 例によってたいへん慎重な答弁をしておられるわけですけれども、大臣、すでにもう新聞紙上等におきましても、三千五百億くらいの自然増収はあるだろうというようなことがどんどん報道されております。これはいろいろ主税局長がいま申されたように、一つ一つ当たったらそれはそういう慎重な答えになるかもしらぬけれども、大蔵大臣として、政治家として――いろいろ補正要因なども、すでにもう公務員給与をはじめ、交付税の増額なり、あるいは米の良質米生産奨励費なり、あるいはまた生産調整費の追加支出というような、いろいろな要因が出ておるわけでありますが、そういうようなもので少なくとも二千億以上にもなるだろう、こういうようなこともあるし、参議院の予算委員会においても、その程度の数字はもう大蔵大臣としても出されておる。さらにまた前々から、自然増収が見込みを上回った場合に、これは公債費を減額するというようなことで考えるというようなことも大臣はここの委員会でおっしゃっておられるわけです。そういうようなことで、もうすでに新聞報道等におきましても、四千三百億のうち三百億くらいは公債費減額をいたしたいというような話もぼつぼつ報道もされておるわけです。そうよういうなものを考えますと、少なくとも三千億以上、三千五百億くらいのところはまず自然増収は間違いないだろうということに対して、政治家として、大蔵大臣としてどういうふうにその辺のところを判断しているか。私の言っていることがまるきり大きな見込み違いだ、こういう御判断なのかどうか。その辺の大臣の御判断をひとつ聞かせていただきたい。
○福田国務大臣 本年度の自然増収につきましては、上半期はお話しのようにかなりの額が自然増収となってくるだろう、こういうふうに見ておるのです。ただ、下半期は、源泉所得、こっちのほうは上半期同様ふえる、そういうふうに見ますけれども、申告所得、特に法人税、その方面におきましては、そうふえるかどうか、これは必ずしも楽観を許さない、こういうふうに見ておるのです。そこで主税局長の答弁も、年間を通じてのこととすると非常に慎重なことになってくるわけでありますが、私もその辺になりますと、主税局長以上の知識、資料を持っていない、非常に残念でありますが。ある程度の自然増収があるということは見通しができると思いますが、それがどの程度になるか、そういうことになりますると、こういう公の場で申し上げるにはまだ自信がついておらぬ、こういうふうに御了承を願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 この問題はいつももうぎりぎりのところまで、そういうことで大蔵省は逃げるのでありますが、私は端的に質問しているのです。具体的な数字を出して、これは、広瀬委員の見込みというものはまるきりかなりの大きい狂いをしていますというような感じなのかどうかというその感触を伺ったわけで、いかがなんですか、その辺のところをもう少し率直に聞かせてください。
○細見説明員 先ほども申し上げましたように、上半期、つまり予算額の五割くらいの入っておる段階について見ますと、このままいけば数%歳入が予算額を上回るという形になるわけでありますが、繰り返しになりますが、ここでいわば昨年の景気の傾向とかなりクロスした、つまり下期は下降が予想される段階になっておりますので、昨年の予算の収入状況を上回る、上半期の昨年を上回った同じテンポが続くということは、これはむしろ予想するほうが無理ではないか。そういう意味におきまして、上半期のいわば高かったテンポをどれだけ切りくずしていくかということで、いま金額的に申し上げるというのはむずかしいと思います。そういう意味で、広瀬委員が御指摘になっておる数字は、上半期のトレンドをそのまま延ばせばそういう数字になります。数字としてそういう数字になることはわかりますが、ことしの税収がそういうふうになるかどうかということは、これからの経済情勢を慎重に見守らなければ一がいに言えないのではないか、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 ことしの主要経済指標として、いわゆる経済見通しとして、国民総生産は大体一五・八%、実質一一・一%という見通しを立てたわけでありますが、私ども、いままでの民間設備投資とかあるいは住宅投資であるとか、いろいろな諸指標を見てみまして、鉱工業の生産指数などをずっと見てみまして、政府見通しをやはりかなり上回っておる。生産活動全体、経済活動全体を通じて、金融引き締め下にあってもやはり、最後の段階ではかなり落ちついてきた形は出ておりまするけれども、かなりの伸びが見られるのではないか。おそらくGNPの伸び率というものも一五・八%ではおさまらないだろう。少なくとも名目で一七%台には、そして実質で一二、三%くらいの間のところにはいくのではないか、こういう感触を持つわけでありますが、この経済全体の成長、GNPの成長、こういうようなものについては、四十五年度の見通しが政府の年度当初における見通しを上回る、こういうことについては大臣、いかがでございますか。
○福田国務大臣 その点になりますとまだ公式な調べはいたしておりません。ただ、私がいろいろな諸指標や経済の動向等を見て達観しておりますのは、上半期はかなり成長度合いというものは高いところで推移した、一二%から一三%くらいが実質であります。その辺で動いてきたのではないか。ただ、下半期になりますと、金融調整政策の効果等がかなり浸透してまいりまして、実質一〇%から一一%というところに落ちていくのではあるまいか、そんなふうに達観をいたしておるのです。 そういう見解に立ちまして、経済の動向は鎮静化しておるというので、公定歩合を引き下げるとか金融調整政策の緩和とか、そういう政策を打ち出しておるわけでございますが、そういう上半期、下半期の状況を総合すると、年度間の成長率は一体どうなるかということ、これは私は経済見通しで一一・一%と見ておったのですが、その辺に大体落ちついていくのではあるまいか、そんなふうに見ておるのであります。ただ、名目成長率、これは物価のほうが経済見通しより上がっております。その辺だけがズレが出てくるのであって、実質成長率は大体、正確にどうなるか、これはまだ予断を許しませんけれども、傾向的には大体経済見通しの線に落ちついていく。それが財政にどうはね返るかという点になりますと、これは名目成長率の面で論じなければならぬが、名目成長率のほうは多少動いてまいりますので、その辺で多少の食い違いが出てくるのではないか、そんなふうな見方でございます。
○広瀬(秀)委員 四月からの鉱工業生産の動向をずっと見ましても、前年同月比で一八%、一七%、二〇・三%、一八・四%、一六・一%、九月で一五・八%ということで、全く政府見通しのGNPの成長と見合ったような数字になってきたということになっているわけでありますが、景気の先行き指標だといわれる機械受注残というようなもの、こういうようなものを比較いたしましても、前年度同期、前年の九月としか比較する数字がないのですが、ことしの八月と比較いたしましても、約三〇%ぐらい受注残が伸びている、こういうような事情にあるわけであります。さらに、設備投資、民間関係を見てみましても、開銀の調査によりますと、工事ベースで二一%、支払いベースで二七%も伸びている。日銀の調査でも、工事ベースで一八%、支払いベースで二四%、こういうような数字も出ているわけですね。たとえば九月以降鉱工業生産の指数が大体九月期の一五・八%ぐらいで推移いたしたといたしましても、GNPはかなり伸びるのではないか。そこで、いま実質成長率の問題では、消費者物価が、つい最近の参議院の大蔵委員会でも企画庁長官が、おそらく七%台になるだろう、十月の速報では東京都で八・五%というような驚くべき数字も出ているというようなことで、このままずっと、あとかなり下がったにしても、年間を通じて七%台ということはもう避けられない事態になった。しかし、政策目標としては六%ぐらいにして四・八%を修正するのだというようなことも言っておられる。まあそういうようなことですから、実質成長率はそういう面で一一・一%近くなるだろうという見方は、ある程度それに近い、あるいはそれを少し上回る程度のところに落ちつくかもしれない、そういう面は確かにあると思うのですね。そういう点では確かに大臣と見解を一にするわけですが、しかし、いままでのそういう民間設備投資なりあるいは機械受注の残とか鉱工業生産指数の伸びぐあいとか、こういうようなものを見ますると、そして先ほどもちょっと申し上げましたように、対米貿易がいろいろな問題をめぐって、繊維問題やらあるいははきもの類やら洋食器やら、いろいろな問題の関税などの交渉をめぐって、そう落ち込むのかというとそう落ち込むことはないというのが大体の見方であるというようなこともあるわけだし、しかも、政府自身が政策不況は避けていこうという立場に立って金融引き締めの解除の方向を踏み出しておる、公定歩合を引き下げた、こういうようなことを見れば、下半期についてもそれほど悲観的に見るべき材料はないのじゃないか。クロスする情勢というものは一部にこれはあるに違いない。しかしいろいろ主要企業で生産設備が一体不足しているのかということも、大体不足しているというのがまだまだ三〇%もある、余っているというのはわずかに三%ぐらいしかないのだ、こういうような状況を判断いたしますと、設備投資意欲というものも依然としてかなり旺盛であるというようなこともいえるわけでありまして、そう景気が急速に落ち込むというようなことではないではないか。そうすれば、引き締め解除という段階を迎えてかなり活況を呈する。長い引き締めであっただけに、まあ今度は予防的だということでやってきたものが急に一ぺんに好況の方向に、過熱の方向に向かうようなものではないかもしれないけれども、横ばい的なものを含みながらまた上昇カーブを描いていくような、そういう景気情勢だろうと思うわけですね。したがって、下半期はそうあぶないあぶないというようなことでもないように私ども判断をいたしておるわけであります。 こういうようなことを伺うのも、大臣、一体来年度の予算編成の総額の規模というのはどのくらいでございますか。大蔵省の考えをぼつぼつ聞いてまいりますと、九兆三千億程度というようなこともいわれるわけでありますが、明年度予算の規模というのはどのくらいのところに落ちつけたらいいか。これは金融政策、財政政策、こういうようなものによって、資源の再配分なりあるいは景気調整機能なりを的確に、適切に指導していくというような立場に立って、明年度の予算編成に臨む明年度の景気の見通しと、それに伴う財政規模の見通し、こういうようなものについて大臣のいまの時点で考えておられる予測というものを聞かしていただきたいと思うのです。
○福田国務大臣 来年度の予算につきましては、まあ年末というか、そういう時点になると思いますが、とにかく来年の四月から一カ年間にわたる経済情勢は一体どうなるであろうかという判断をしてみなければならぬと思っているのです。いまの時点でそういう判断をいたしましても、あるいは間違いが起こるかもしれぬ。暮れになったって間違いがないというわけにはまいりませんけれども、いまよりは正確な判断ができるのじゃないか、そういうふうに見ておるのでありまして、暮れの時点でそういう判断をしてみる。そういう判断に基づきまして、自然増収というか、税の総収入が一体幾ら見込め得るかということを判断するわけです。また一方、景気動向がどういうふうになるかというようなことも見て、税制につきまして結論を下さなければならぬ、こういうふうになります。 それから他方、歳出の規模が一体どうなるかという点の検討が必要になってくると思うのです。それは二つの要因があるのでありまして、一つは、いわゆる財政需要というか、国の政治といたしましてやっていかなければならぬ事業経費がどういうふうになってくるかという判断であります。それからもう一つは、景気動向に対して財政にどういう役割りを担当せしむべきかという判断の問題であります。そういうことを踏んまえまして歳出のスケールというものを見なければならぬ。かたがた、先ほど申し上げましたような財源の需要というものもある。 それらを総合いたしまして最終的な財政の規模をきめるわけですが、来年は現実の問題とするとかなり規模の大きな予算になりそうだと思いますのは、一つはっきりしておりますのは、当然増加経費が一兆円になる、それだけで一兆円にふえる勢いです。それに対して整理節約ということでずいぶん既定経費について努力をいたしましても、これもそう多額を望み得ないということを考えますと、これが財政膨張のかなりの圧力になってくる。その上に、さらに社会資本の充実でありますとか、あるいは社会保障、あるいは文教というような方面においてもかなりの支出をしなければならぬ要因があるのです。そういうことを考えますと、規模をそうそう圧縮するわけにもなかなかまいらぬ。しかも、先ほど申し上げましたように、景気調整的な要素もまた配慮しなければなりませんから、そういう方面からの要請によってその規模は動いてくるという一面もありますが、ともかくある程度財政は規模がふくれて上がっていくであろうというふうに考えるのです。九兆円はかなり上回ることになりそうだ。ただ、何よりもその前提となる経済の見通しにつきまして、今日この時点におきましては、来年四月から一年間の情勢でありますので、見通しを下す時期でない。したがって、的確な数字上のことは申し上げかねるのでありますけれども、そんなような考え方で、この一月半の間にだんだん考え方、見通しというものをきめていかなければならぬのじゃないか、さように考えておるのであります。
○広瀬(秀)委員 具体的な規模についての数字まで聞こうとは思いません。 そこで、経済成長率、これはたしか四十三年度の財政制度審議会で、あるいは私の考え違いで、社会経済発展計画であったか、どっちかでありますが、財政の規模は経済成長率程度、それを若干上回る、気持ち上回るような程度というようなことが、その程度の伸びで財政運営をはかっていくことがよかろうというような答申が出されておるわけでありますが、そういうような考えでいかれる、こういうことに了解してよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 財政の規模につきましては、ただいま申し上げましたように、国で行なうべき政府の施策が当該年度でどういうふうになるかということと、景気調整上、財政にどういう役割りをになわせるか、こういう二点できまるのですが、そうしますと具体的に、ただいま申し上げた二つの要素、これを数字にするというようなことはなかなかむずかしゅうございます。そこで、他に一つの指標というか、よりどころを求めるということにもなるわけですが、その際に、私は一番大きなよりどころとすべきものは名目成長率、それじゃあるまいか、そういうふうに考えるのであります。ただ、だからといって名目成長率どおりでなければならぬ、大蔵大臣は名目成長率をはるかに下回る予算を組んだ、あるいは上回る予算を組んだといって、御批判を受けても困るのでございますが、これはひとつ横にじろっとにらんでおくべき有力なる指標ではあるまいか、そういうふうに考えておる次第であります。
○広瀬(秀)委員 そこで、あと関連して二つばかりお伺いしたいのですが、この間、参議院の大蔵委員会で大臣の答弁で――まだ議事録ができておりませんので詳細に知り得ないのですが、新聞の報ずるところによりますと、減税規模の問題の質問に答えられたんだと思うのでありますが、明年度、四十六年度の予算編成にあたって減税規模をどのくらいにするかということは、これは税の自然増収の見通しなどともからむし、またいわゆる財政の一つの大きな機能である所得の再配分とか、資源の最適配分だとか、景気調整というものとあわせて忘れてならない、その問題について、これは税制の問題、特に減税の問題について、ことしは千七百六十八億、所得税だけを見まするならば二千四百六十一億、平年度三千四十九億、初年度二千四百六十一億というようなことが出ておる。この中で、いわゆる物価調整減税は大体七百二十億ぐらいであろうというふうなことが言われておったわけですが、そういうようなことで、物価調整減税程度になるのじゃないかというような趣旨の答弁をされたやに新聞で拝見をしているのです。ことしで千七百六十八億の減税、これはいろいろ差し引きした結果でありますが、所得税減税では二千四百六十一億というものが出ておるわけであります。この程度の、いろいろな指数の上昇の中でせめて去年と同じ、この程度のものぐらいは減税規模として国民大衆が待望しているところであると思うのであります。最小限度でもこの程度ということなんですが、物価調整減税程度の規模というようなお答えではまことに情けない話であって、減税規模をどの程度にするか。ことしは大幅にこれを削るのか、この程度は少なくとも確保したいというお気持ちであるのか。その辺のところを、時間があまりありませんので簡潔に、ひとつ率直にお答えをいただきたい。
○福田国務大臣 予算の規模がまだ頭に浮かばない現段階で、減税を幾らするかというその数字を申し上げるわけにはいかないと思います。それから考え方としましても、御承知のように税制調査会というものがあり、この御意見を伺わなければならぬ立場にある私といたしまして、その決定的なお答えをするわけにはまいりませんが、私の気持ちを申し上げますれば、四十五年度はとにかく長期減税答申も完全実施をいたしたわけです。ですから、もうことしは、四十六年度は所得税減税は一休みしたらいいじゃないかという有力なる意見もあるのでありますが、私はそうさしたくない。四十六年度も所得税減税を進めていきたい、こういうふうな気持ちを持っております。まあ、いわゆる直間比率というような問題も頭にあるわけでありますが、とにかく所得税減税は進めていく。所得税減税といたしましては、やはり課税最低限、これをどういう形にいたしますか、これの引き上げ、これは考えなければならぬ。その規模は財政全体の中から割り出さなければならぬ問題でありますが、とにかくその引き上げの問題、それから当委員会等においていろいろ御論議のありました給与所得にまつわるところのいろいろな問題、そういうような特殊な問題、そういうものを考えてみたい、みるべきじゃあるまいか、そういうふうに考えておるのです。おそらく税制調査会におきましてもそういう諸問題を検討してくださる。その検討の結果を待ちましてこれを具体化したい、そういうふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 最後に質問いたしますが、公債の発行限度を財政規模の五%以内にとどめる、こういう大方針でずっとやってこられて、ことしは五・四%ということになった。それで、来年度の予算編成にあたっても、その五%以内にとどめるという気持ちに変わりはないのかどうか、この点をひとつ伺っておきます。
○福田国務大臣 公債は、そもそもこれは、戦後初めて発行いたしました四十一年度、あの時点から、これは景気の状況に応じまして流動的にきめていくべきであるということを申し上げておるわけです。来年度の景気情勢が過熱気味であるというような状況でありますれば、公債は極力縮減をいたしてまいるという考え方をとらざるを得ないと思います。しかし、いまの金融調整政策の効果等がずっと浸透してまいりまして、来年は落ちつきぎみである。さらに落ちつきぎみを越えまして、鎮静というか、不況ムードであるというような際におきましては、公債が景気浮揚の力として作用するというような考え方をとらなければならぬと思います。さあ、どういう経済情勢に来年がなってまいりますか、その辺を暮れの時点で判断をいたしてみまして、公債の発行額、公債に対する考え方というものをまとめてみたいというふうに考えておるのでありますが、まあ常識的に、いずれにいたしましてもそう公債をむやみに増発するというような考え方はいたしておりません。
○広瀬(秀)委員 終わります。
○毛利委員長 次に、堀君。
○堀委員 ただいま広瀬委員が伺っておりましたことの引き続きになるわけでありますけれども、まず最初に、来年度の予算編成に対する基本的な問題を少し伺いたいと思います。 いま確かに、おっしゃるように、来年度の景気というものの見通しはたいへん困難だと思います。まあミクロ的には少し問題があろうかと思いますが、マクロとすればあまりそう落ち込むようなことにならないのではないか、私はそう感じておるわけであります。そうなりますと、おそらく予算というのは本年と同じような形で中立予算というようなことになるのではないかと思います。これはまだ少し見通しがはっきりしていないという点もありましょうが、大体さっきお話しのように今日と十二月の二十四、五日との間に、それほど見通しが固まるファクターがあるとも私は思いませんので、大体来年度も中立型予算になるのではないかという感じで見ておるのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
○福田国務大臣 来年の景気がどういうふうになるか、これはいまこの時点でというよりは、暮れになってからこれを予測したほうがより的確である、こういうふうに判断して、いま、来年四月から始まる来年一年度の景気判断というものをしておらぬというのが実情なんです。 それで、金融調整政策の効果がいま出てきておる、もしこの勢いがさらに来年度にも続きまして、来年度は安定的な動きになってくる、一〇%そこらのところで横ばいくらいな勢いじゃというような判断になりますれば、これは財政は中立型というような性格でよかろうと思います。しかし、金融引き締めを解除いたしました、それにつれましてまた過熱ムードがぶり返してまいりました、こういうことになりますると中立では済まされないようなことになるのじゃあるまいか、そんなように考えておりますが、ともかくあと一月半くらいの経済の推移、それに基づくそれから先の情勢というものを慎重に見守ってみたい、さように考えております。
○堀委員 実は過去の日本の財政の状況をずっと見ておりまして感じる一つは、いま国民も政府もおそらくそう感じておると思いますけれども、日本の公共投資というのは、社会資本は先進国に比べて非常に立ちおくれをいたしております。日本はいまGNPが資本主義社会で二番目だといっておりますが、フローだけはたいへん大きいわけですけれども、そういう意味の社会資本のストックはたいへん不十分だ。それで、日本のいまの経済というのはやや民間主導型になっておりますから、民間が行き過ぎれば、そうすると政府は予算を圧縮しなければならぬ。圧縮をすれば当然また公共投資は落ち込まざるを得ない。結果として、ずっと見ておりますと、不況の年だけやや民間に対して公共投資が――それでも五〇%をこえることはありませんけれども、少しふえてはおりますが、ずっと好況が続いておる限り実は公共投資はきわめて遅々たる伸びしか示していないというのが、私はいまの日本の実情だと思います。このことが今日いろいろな公害問題、特に自動車なんぞの問題の中に非常に端的にあらわれている。道路その他が十分整備されていないものですからいろいろな事故も起きる、こうなってきているのではないのか。ですから、長期的に見ますと、やはりある程度民間の設備投資を押えてでも社会資本を充実をしておかなければ、長期的には日本の経済全体に対してもマイナスのファクターが非常にふえてくるんじゃないか、それが一つです。 それから国民の生活の問題で考えてみますと、GNPは二番目で、電気冷蔵庫もあるし、カラーテレビもあるし、洗たく機もある。いろいろな文化製品はあるけれども、便所はくみ取りで、そのくみ取った屎尿を一体どこへ流すのかというようなことがこれまた非常に問題になっているような、これは文化国家などとはいえない、先進国などとはいえない状態だと思うのです。 こういう点を考えてみると、中立予算になるとやはり公共投資もあまり多くを期待できないということになるんじゃないか。そこでひとつ大臣に、これはこまかい話ではございませんが、基本的に日本の社会資本を一体どうやってもう少し本格的に充実するのか、できるのか、この点を少し伺いたいと思うのであります。
○福田国務大臣 いまわが国は、社会資本につきましては、これは非常な勢いでおくれの取り戻しをやっておる。これはお調べ願うとすぐわかると思いますが、日本は、社会資本、つまり公共投資にきいておる財政比重、これは世界一です。それから量からいいましてもアメリカに次いで第二位だというような状態であります。ただ、おくれがいかにもはなはだしい。最近は幾らか緒につきましたが、道路の問題あるいは住宅の問題あるいは河川、港湾、そういうものをとらえてみますると、何十年というくらい先進各国よりおくれておるのじゃあるまいか、そういうふうに思います。これは明治、大正、昭和、戦前の政治のあり方と非常に関連をして今日に至ったのだというふうに思いますが、これはしかし、かなりそれに対して大規模な取り戻し作業が進行しておるのです。しかしそれをさらに私は進めたいと思っておるのです。ですから、先ほど広瀬委員からもお話があった、財政の規模はどうするのだというから、景気情勢だけできまるのじゃない、やっぱり財政需要――社会資本、社会保障等々、財政需要という問題もとらえながら財政の規模をきめていくのだというふうに申し上げましたが、そういう認識を持っておるのです。 で、さしあたり来年あたりから問題になりますのは、これをもう少し進める手段として財源を充実しなければならぬのじゃないか、そういう議論がありまして、いま特にそのうちで緊急な問題になっておる総合交通対策財源、これをどうするかという問題がありまして、新税を起こすのか起こさないのか、その辺いま検討を進めておるという状態でございますが、何としてもそういう社会資本がたいへんおくれておる、そういう認識のもとに財政運営をやっていくつもりでおります。
○堀委員 私は、いまのお話しのことになかなかむずかしい点があるんじゃないのか。というのは、財政を大きくすることはたいへんけっこうですけれども、財政を大きくすることはどうしてもまた景気刺激に連なりやすいわけですね。財政を大きくした中で、それが公共投資のほうに回ればたいへんいいのですけれども、どうもこれまでの経緯から見ると必ずしもそうではなくて、そしてちょっと途中で景気が行き過ぎそうになると、せっかく予算に組まれていても、財政のほうがうしろへ下がって調整をしなければならぬというのが、どうも過去の例のような感じがしてしかたがありません。 いまの総合交通対策の問題にしても、私は最近ちょっと疑問を持っておりますのは、長期の、まあ道路とか、何十年何百年と使用のできるようなそういう交通の問題を、一時期の財源だけで処理するということが一体いいのか。本来的にはやはりこれは公債のようなものによって一応処理をして、その償還なり利子を税金でまかないながらかなり長期にわたって国民が負担する、このほうが望ましいのではないだろうか。そうすれば、当代だけの者の負担ですべての公共投資をする必要はないのでありまして、下水道にいたしましても現在は国がわずか三分の一しか見ないで、あと三分の二を地方が負担しておるというような実情でありますけれども、これなどももう少し国が負担率を引き上げることによって促進をすべきなのではないだろうか。 そういうこともやはり長期的に見ると、この際は、財政政策のあり方として、そのすべてを当年度の税収でまかなおうとすればかなり無理がいくのではないだろうか、私はこういう感じがするのでありますが、これはちょっと理論的な質問でございますが、大臣のそういう公共投資に対するものの考え方といいますか、お考えは、やはりすべてを現在のような税収主義でやろう、こういうことになるのかどうかですね、ちょっと伺いたいと思います。
○福田国務大臣 いままで建設公債というのを出してきております。それに対しては皆さんからもたいへん、これは赤字公債じゃないかというような御批判もありまして、私は、そうじゃないんだ、これは当面必要にしてかつ安全なる対策なんだというふうに言ってきております。私は今日においてもそのとおりに考えておるのです。ただ、いま堀さんが御指摘になっております、たとえば下水道のごときは、いま整備すれば末代の人がその余慶にあずかるんだから、何も税収でやる必要はないじゃないか、その裏には、公債財源でやったらどうか、こういうようなお話のようでありますが、それは公共投資はいろんな形を変えて、私はずっと将来ともこれが根を断つというような時期はあるまいと思うのです。そういうようなことを考えますと、さあそのときそのときにみんな財源は公債だということになり、これは国の経済秩序の根幹をゆるがすようなことに発展をしていくおそれがなしとしない、こういうふうに考えるのです。そういうようなことで、公債政策論議といたしまして見るときに、そう簡単にいまのような御所見、私もそう思うというようなお答えはいたしかねます。
○堀委員 まあそれはいいのですけれども、ですからその自動車新税の背景も、私はかなり無理な発想があるという感じがいたしておることを申し上げておきたいのです。 そこで、建設国債ということで出ましたけれども、実は私はあれは財政の破綻に対するエクスキューズだったと考えておるわけです。最初赤字公債として出発した、この公債制度というものはそうだと思っておりますし、同時に、きわめて短期間の国債を現在発行しておりますことは、私は公債政策としてはこれはエクスキューズの公債政策だと思っておるわけです。ですから私は、申し上げておるのは、やはり公債政策というものを本格的に取り上げるとするならば、これは長期国債でなければ問題があるのではないか。長期国債にすれば当然金利は高くなりましょう。長期国債で金利が高ければ国民が買いますから、国民が買えばそれは赤字公債にならない。この前、実は予算委員会で、大臣ちょうどお休みのときに、代理の佐藤経済企画庁長官に申し上げたのですが、佐藤さんが、現在の国債というのは赤字国債的だ、こういうふうにある新聞社で対談なすった記事を申し上げて、佐藤さん、赤字国債的というのはどういうことですかと伺ったら、たいへんお困りでありましたけれども、やはりいま日銀に、一年たったあと約半分くらいはオペレーション残で入っているという実情から見ましても、佐藤さんの御指摘になった赤字国債的というのはそういうことだろうと思っておるわけであります。ですから、いよいよ今度は借りかえの国債を出さなければならぬ時期も来るわけです。そろそろ私は、日本の将来的な展望の上に立って、もし今後も国債を出していくというかまえになるのならば、国民が喜んで買える国債、そしてその喜んで買える国債ができてくれば、そこで初めてその国債についてはマーケットができると私は思うのです。御承知のように、現在ほんとうの債券でマーケットができておりますのは、電電債がございます。いい悪いは別としても、ともかく国民の中に非常に普及をいたしておりますし、日常相当数発行されておるものですから、これは流通市場ができておるわけでありますが、やはりもし国債が長期国債になって、金利の高いものになり、国民がそれを買うときには、必ずこれは当然流通市場が生まれてきて、こういうものを端緒にしながら、私は日本の公社債市場が一つの基盤を持つことになってくるのではないだろうか、こういう気持ちもいたしますので、ちょうどいよいよ借りかえといいますか、新しい国債の問題を考えなければならない時期がだんだん迫ってまいるわけですから、私は政府として今後のあるべき国債政策ということをここらで十分検討を進められてしかるべきではないか、こういう感じがしておるわけですが、それらについて検討を進める御意思があるかどうか。依然としていまの国債で、短期の国債をぐるぐる回しながら何年か先へいってそれはやめるのだ、大臣この前の、火種程度でやめるのだという発想なら、それもまた私は一つの考え方だと思うのですが、中途はんぱなものを継続していくことは必ずしも得策ではないのではないか、こう考えるのですが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 国債の条件の問題になってくると思うのですが、その場合に金利の問題がある、それから年限の問題がある、これが主たる問題だろうと思います。金利の問題は長期金利全体の中の一環という見地で考えなければならぬ問題ですが、お話しのように償還年限の問題、これはいま七年となっておりますが、大体いま今日この時点になると、これは短か過ぎるというふうな感じは私も堀さん同様に持ちます。いままで日本経済が、戦後の経済から非常な飛躍した、世界の中の日本経済という中に入ってくる、変転目まぐるしい状態をたどってきたのです。そういう状態の中の、長期金利という体系下の国債ですね、そういうことでありますので、まあ七年ということでずっときましたが、これは考え直す必要がある、こういうふうに考えております。ただ、その時期等につきましては慎重な配慮を要しますけれども、御説ごもっともと思いますので、じっくりと考えてみたい、かような考え方であります。
○堀委員 その次に、これからいよいよ、いわゆる三K問題というのでありますか、国鉄、健保、食管という問題が出てくるのでありましょうが、どうも私は最近のこの一連の問題を見ながら、日本の政策、政府の政策がやや小手先に流れ過ぎておりまして、そのときどきに出てきたことにそのときだけ対応して、それで何とか糊塗していこうという感じがしてならないわけであります。やはり政策というものは、ある一つの問題が出てまいりますについてはかなりの背景があるわけでして、要するにその背景にマッチをしたような政策を立てない限り、出てきた現象だけに対応しようとすれば、これはうまくいかない場合が多いのです。私ずっと見ておりまして、例の水田買い上げなどとか休耕補償金ですか、いずれも率直にいってどうもうまくいってないと思うのです。ですから、どうも経済原則に逆行するような式の応急手段といいますか、これをやめて、もう少しやはり基本的な、経済合理性にマッチするといいますか、そういうものが一本流れておるような政策でない限り、そのつどやったのがうまくなくて、またやらなければいかぬ、またやらなければいかぬというのがどうも今日の政策のような感じがして私はしかたがありません。そのもとは一体どこからくるかというと、要するに短期的な財政負担を避けようとして、実はその結果としてはある幅の間に財政負担を逆に大きくしておるのではないか。やはり財政の効率化という問題がもし必要だとするならば、財政の効率化というものは、あるタームを限った中で効率的になるようにするためには、場合によっては前に少し投資があってもいいのではないか。そこらの全体のバランスを考えながら政策を組むべきではないかと思うのですが、どうも見ておりますと、財政面だけから見て継ぎはぎをして、それを少し押えて何とか財政需要を下げれば、それで何か目的を達したような錯覚におちいった政策がとられてきた。これが私は、国鉄にしろ健保にしろ食管にしろ、今日非常に困難なところにおちいっている経過ではないか、こういう感じがしておりますが、大臣はどうお考えでしょうか。
○福田国務大臣 それらの諸問題の処置にあたりまして、何もその場しのぎとというわけでやっているのではないのです。たとえば国鉄の問題、非常にいまむずかしくなってはきておりますが、一昨年十カ年の計画を立てましてやったのです。ところがその後、いろいろその前提となった諸問題に大きな見通しとの違いが出てくる、こういうようなことがありまして、また再び危機におちいるというようなことになってきておる。それから米の問題につきましても同じような問題があるわけなんです。米の需給について、今日のような非常に大幅に需給がゆるむ、こういうような事態は数年前はそう予想しなかった。ところがそういう状態が出てくる。こういうようなことでございますが、まあこれからが問題だと思います。これからは、ただ単に財政上の見地で継ぎはぎをする、こういうことではおさまり得ない。やはり根本的に、国鉄でありますれば、国鉄が経済原則に乗るように、あるいは米の諸問題も大きな経済常識とそう離れることのないような処置、そういうようなことを旨といたしましてこれが処置に当たらなければならぬ、ただいま鋭意そういう方向で検討を進めておる、かように御了承願います。
○堀委員 十カ年の計画を立てて一年でつぶれるような計画は、私はそんなものは計画といわないと思うんですね。そんなものを立てる連中が一体どうかしておるんだと思うのでありますが、どうかもう少しやはりまじめな計画を立てるように、ひとつ大蔵大臣も指導をしていただきたいと思います。 そこで、ちょっと懸案になっておりますものについて少し伺っておきたいわけでありますけれども、また予算委員会で総理にいやなことを言わなくても済みますように、ことしの予算委員会で私は総理との問でいろいろとお約束をいただいております主婦の座の税金問題等については、ことしは間違いなく処理ができるのかどうか、ここらでちょっと確かめておきませんと、またいやなことを言わなければならぬと思いますので、大蔵大臣いかがでしょうか。
○福田国務大臣 こちらもいやなことを言われたくありませんので、主税局長にこの問題は特に検討するように命じてあります。主税局長から必要があればお答え申し上げます。
○堀委員 いや、それでけっこうです。 それから、そのときに実は税の単位を、これまで五人世帯ということで来ていたけれども、すべての統計をそこで御披瀝をいたしまして、四人世帯というのがどちらから見ても現実だ、この際四人世帯を基準にすべきではないか、こういう問題も取り上げておりますが、この点はいかがでございましょうか。
○福田国務大臣 実情が四人世帯になってきておりますので、四人世帯ということを常に表示しなければならぬと思います。ただ比較上五人世帯、これも併記する、こういうふうにいたします。
○堀委員 実はこれは併記しますと、どうしても五人世帯のほうが大きく見えますので、併記というのはたいへん話はうまいんですけれども、これは実は四人世帯になかなか変わらないんです。それはこれだけじゃありません。たとえば証券取引所の株価指数の問題をとりましても、ダウ平均というのとそれから株価新指数というのとありますと、ダウ平均というのが――この間の委員会で聞いておりますと、証券局長が依然としてやはり当委員会で、ダウ平均ですとこうです、とこういう答弁をしておるわけですね。こういうように制度を切りかえるときにはかなり思い切ってやらないとなかなか切りかわりませんので、まあ一年ぐらいの併記はけっこうですけれども、一年ぐらいの併記をしたらそこいらでやめることにしていただかないと、せっかく四人世帯基準といいましても、実際上は五人世帯に何か水増しをされたような架空の減税をもって国民をまぎらわせることが多くなりますので、この点はひとつ慎重に取り計らっていただきたいと思います。 それからもう一つ、これは予算委員会じゃございませんけれども、ことしの四月だったと思いますが、公共企業体の予算上の問題について私触れまして、現在、国家公務員の給与は大体五%程度の財源を、当初は予備費に組んでおりましたのを、毎年翌年度の給与上昇分を給与費に組み込むことになりました。これについては大臣もその席上で、私いろいろ申し上げて、実はそれはそうするのが当然だ、こういう御答弁がありまして、いま三公社五現業はこの給与費の中に五%組み込んだ概算要求をいたしておるわけでありますが、これについては、やはり私はこの際国家公務員との権衡もありますし、当然出さなければならぬ情勢はもう周知の事実でございますので、この概算が出ましたものについては国家公務員並みの処理をしていただきたいと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○福田国務大臣 お話しのように要求は五%ということで出ております。これをどういうふうにしますかということにつきましては、これは前向きで検討してみるということにいたしたいと存じます。
○堀委員 それから、ちょっといまここで概算要求に触れましたが、私、本日午後の時間に電電公社を呼んで少し概算要求というものと計画の関係を詰めておきたいと思うのですが、どうも、たまたまきょう調べた例で見ましても、概算要求というものが、たいへんずさんな要求が出されておるように私は感じてならないのであります。どうも日本の場合は、国民性の中にあるのかわかりませんが、この間からも私どもやっております例のカラーテレビでも、現金正価があって、実は安く売っている。まさに、私は、日本の概算要求はいまの二重価格だと思うのです。現金正価で要求をして、そうしてそれを大蔵省と両方で攻防戦をやって実売価格をきめるというような、こういう前近代的発想を、私は少なくとも官庁の中から取り除くべきではないか。それは多少のやりとりがありましょうが、それはごく誤差の小さなものになるべきではないのか。特に、本来ならば、その量を全体として減らすのではなくて、この項目はこのままでよろしい、これはだめですというようなかっこうの処理がされるのが、そういう予算要求の処理のしかたとして望ましい方向ではないのか。何だか知りませんが、見ているとどれもこれも水増しをしておいて、それを主計局がいかに値切るかが主計局の使命感みたいになっているというようなことは、私はこの近代国家だといわれる国において全くナンセンスだと思うのですが、ここらは、大蔵大臣のほうは値切るほうばかりですから、これは総理に、出すほうの側にも言わなければならぬのでしょうけれども、これはもう少し何とかならないものですか。これは大臣、いかがですか。
○福田国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございます。まあ、予算編成のあり方を近代化する、これはもう賛成でございます。また御意見等も頭に置きながら努力をしてみる、かように御了承願います。
○堀委員 その次に、ちょっと角度が違うのでありますが、この間記者会見で、現在進行中の繊維自主規制問題に関連して、大蔵省としては補償を出す意思はない、こういう考えを述べられたようであります。実は私もこの前ちょっとNHKの座談会にこの問題で出て、一方で補償を出してでもいいから早く何かやれという話がありましたが、私は補償を出すなんということはとんでもないことだ、これはもう限界がきめられるはずのものでありませんから、私は補償を出すのはたいへんむずかしい、こう思っているのです。しかしそうは言っても、どうもいまの雲行きから見ると、これはまさに政府主導型で問題がきまるのではないか。繊維の業界にたいへん問題が残っても、何か政府が少し前へ出過ぎて処理をせざるを得ないようなことになってくるのではないかという感じがしております。私は賛成ではありませんけれどもね。その場合に、政府がもし業界が反対しておることを押えつけて、言うなれば見切り発車というのですかをやるようなときに、一体政府は何をするのか。実質的にはこれは通産省の問題ではなくて大蔵省の問題に、私はやはり最終的の締めくくりはなるのではないかと思うのですが、これについて大臣、どうお考えになっているかをちょっと伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 その問題は、交渉が一体どうなるか、これもいまこの段階で予測できないのです。交渉がかりに妥結しましても、その妥結の形ですね、それによって政府がそれにどういうふうに対処するかきまってくると思うのです。ここでしかし概括的に考えられることは、補償というようなそういう考え方は、私はここへは入ってこないのではないか、入り得ないのではないか、そういうふうに考えます。しかし、補償ではないけれども、政府が何らかの対策をとる、そういう場合がないかというと、私はあり得ると思うのです。この交渉の結果、繊維業界が打撃をこうむった、それに対して政府が融資をいたしますとかなんとか、そういうような道はこれはもう考えられる、こういうふうに思いますが、どういう対策を具体的にはとるのだということになりますと、具体的にこの交渉の結果がどういう形になったかということによって動いてくる、こういうふうに思うのです。しかし考え方といたしましてはただいま申し上げたとおりだ、かように考えます。
○堀委員 私は本来、経済問題が非常に政治的な形で向こうからスタートをして、こっちも政治的に受けておりますから、最終的には政治的な処理をしたあとで経済的な処理とのバランスを考えるということになると思うのですが、交渉を成立させようというのなら、補償というような形は問題がありますけれども、あるいはたとえば非常に滞貨ができた。滞貨に金融だけしてみたところで、これはどうにもならないわけですね。これは場合によったらある部分を政府が買い上げて、たとえばインドネシアにおける借款その他にそういう現物で何かを与えるとか、何らかそういうような方途は、私はこれは補償だと思いませんから、考えられるのかどうか。これらについては、やはり財源は一応はいまの借款との関連ということになりますから、大蔵省に関係のある問題だと思うのですが、そこらはどうなるでしょうか。
○福田国務大臣 いまインドネシアへの援助のための買い上げという具体的な例をあげてのお尋ねでございますが、これは私もまだ通産省からそういう話について伺っておりません。とっさの間で何と申し上げていいか、申し上げかねるのでございますが、ともかく妥結のしかたによりまして、政府が業界に何らかしなければならぬという場面が出てくる場合もあり得る、こういうことは私も考えておるのです。そういう際におきましてはどういう対策が適当であるか、これは通産省の意見もよく聞かなければなりませんけれども、その妥結の態様に応じまして適切なる対策をとるにやぶさかではない、こういう姿勢でございます。
○堀委員 こまかいことは伺いませんが、そうすると補償はしないけれども、金融以外にも政府としてはとり得る手段があればとる、こういうことでございますね。
○福田国務大臣 いま具体的にどんなことが考えられるか、私も頭にありません。しかし適切なる対策があり、それが妥当な客観性のある対策であるというものがあり得れば、これを採用するにやぶさかではございません。
○堀委員 終わります。
○毛利委員長 午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十四分開議
○藤井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。松尾正吉君。
○松尾(正)委員 私は、四十六年度予算と並行していま税についても急ピッチで検討が進められておるわけでありますが、そこで前国会の審議あるいはいままでの大蔵委員会等で、この税に関係をして大蔵大臣から、前向きに善処したい、あるいは努力をする、こういう答弁のあったものを中心にして、現在の段階でそれぞれ固められた方針あるいは考え方というものを伺っておきたいと思います。 そこで、まず第一点ですが、七〇年代の税の役割りという中でひとつ伺っておきたいと思うのですが、それは七〇年代の経済というものが相当大きく六〇年代と比べて変革が考えられる。これと並行して税の持つ役割りというものも変わってくるということが考えられるわけです。そこで、この中でひとつ伺いたいのは、税の調整機能という問題です。大蔵大臣は、現在の景気調整が金融政策に偏重しておる、それがために、これを正す意味で税の景気調整機能を強めたい、こういうことから物品税体系の中にレギュレーターを組み込みたい、そうして税の調整機能を強めていきたい、こういう考え方を持って、すでに学者グループを英国に派遣をしたり、あるいは税調に十分意見を聞きたい、こういうようなことが具体的に大きく新聞に報道されておったのですが、これが将来、税の景気調整という意味が大きい役割りを果たしていく意味で、現在も大臣はこの考え方を重視して、将来これを盛り込んでいくお考えがあるのかどうか。さらにまた、学者グループの派遣あるいは税調の意見を聞くということですが、現在までの経過はどうなっているか。その点を最初に伺いたいと思います。
○福田国務大臣 物品税に政策的要素を加えましてレギュレートするという考え方ですね、これは私は一つの考え方だというふうにかねがね見ておるのであります。ただ、この問題は国会との関係があるだろうと思う。国会がはたして政府に対しまして、そのときの状況に応じてその税率の上げ下げをまかせるというところまでふん切ってくれるかどうか、その辺が非常に問題のところではあるまいか。これは物品税だけではないのです。あるいは他の税にいたしましても、あるいは政府の専売価格というようなものにいたしましても、そういう配慮が加えられるというようなことになりますと、景気調整上はかなりの影響を持つようなことになるんじゃないかというふうに思いますが、現実の問題とすると、さあ政府対国会というような点から見てかなりむずかしい点があるんじゃあるまいかというような考え方を持ちながらこの問題をながめている、こういうふうに御理解願いたいわけでございます。
○松尾(正)委員 いま大臣からお話しのように、立法機関との関係もありますし、重要な問題なのでお考えを聞いたわけですが、現在この考え方を堅持して、将来もこれを何とか持っていきたいという考えがあるのかどうか。 〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 それともう一つは、学者派遣とかあるいはこのたび税調の意見を聴取しようということで答申を求めたのかどうか。その点はどうなんですか。
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたような性格の問題でありますので、これは軽々に調査会に対しまして意見を求めるというようなことをいたすべきじゃないというふうに考えているのです。これは世論が非常に大きな作用をなすと思います。一般の空気なんかが、そういうことが適切じゃないかというような盛り上がりがありますれば、それに応じてこの問題と取り組むということは私は非常に歓迎すべきことじゃないかというふうに考えておりますが、世論がどういうふうに向いてまいりますか、また国会の皆さんの御意見等がどういうふうになっていくだろうか、もう少しそれらを見きわめました上で具体的なステップに入りたい、かように考えております。
○松尾(正)委員 それでは、現在はこれを堅持してぜひという考えではない、こういうふうに理解してよろしいわけですね――。 それではもう一点、長期的な考え方の一つとして税の一本化という問題、これは予算委員会あるいは大蔵委員会等で相当論議されて、これに対しては大蔵大臣も積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに答えられております。確かに納税者の声にも、国税庁等で実施した納税者の声を聞く会あるいはいろいろな座談会等でも、納税者から、税が非常にむずかしいからもっとやさしくしてくれとか、あるいは一本化の方向が望ましいという意見は強いものがあるわけです。しかし、税制の上で、今回でも地方税の大幅減税というような声に対して自治省では相当強い反発もある。これらの調整一つでもたいへんだろうと思います。さらにまた、国と地方税の徴収の時期とか徴収法、こういうことを一体化するということもそれぞれに望ましいことですけれども、たいへんだ。そこで、これらはたいへんではあるけれども、国民にこたえるために大臣としては強い決意で進める、こういうことを言っておりますが、具体的に何らか方針なり計画なりは持たれたのかどうか。その点をひとつ伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 いまの御所見は中央、地方の一本化ということじゃないか、そういうことでお答えいたしたいと思います。 私はかねがね、いまお話がありましたように、中央、地方につきましては、その税の制度といたしましても、また徴収の手続といたしましても、一本化をいたしたい、そういう考え方をいたしておるわけであります。つまり、中央社会もありますし地域社会もあります。その二つの社会においておのおの税制を持っており、徴税機構を持っておりますが、納付するほうは国民です。同じ一人なんです。そういうことを考えますと、制度といたしましても、また徴税の手続といたしましても、一本化をはかる、私は、これが納税者である国民の期待するところじゃあるまいかとも考えますし、また国の機構、制度といたしましても合理的なことであるまいか、そういうふうに考えておるのです。 それで一ころは、そういうことを考えますと、またそういうことを言い出しますと、それは地方自治の尊厳を侵するというようなことで、地方住民あるいは地方自治関係者からかなり反発を買った、そういう時期があるのであります。しかし、だんだんとそういう中央集権アレルギーといいますか、そういうものが解消してきておる、こういうふうに見ておるのでありまして、そういう環境をとらえまして、何とかしてこの中央、地方の税制並びに徴税手続の一体化という方向を推し進めたい、私はこういうふうに考えまして、そういうことを具体的に実現するにはどういうふうにしたらいいだろうか。私どもには私どもなりの考え方がありますけれども、これを押しつけるという考え方はよろしくない。そこでただいま税制調査会に対しまして、その目的を達する方途いかんということについて意見を求めておる、これが現況でございます。
○松尾(正)委員 これは一部に相当強い反対もあるということですけれども、国民の大多数の望んでいる声にこたえるためには、調査会の答申がなされた場合に、ぜひこれは積極的に進めてもらいたい、こういう考え方で今日はとどめておきたいと思います。 それから次に物品税の問題ですが、物品税についての大蔵省の見解は、生活必需品は当面非課税とする、それから消費者の物価指数の基本品目、これについても物品税をはずす、こういう基本的な見解があると思います。この見解について、現在でも変わっていないと思いますけれども、変わっていない、こういうふうに了解してよろしいでしょうか。
○細見説明員 御承知のように、物品税は支那事変の特別税制として発足したわけでありまして、当時におきましては奢侈品課税あるいは消費抑制というような感じがございました。それが戦後新しく物品税として立て直されました過程におきましては、生活に直接つながるようなものについてはなるべく非課税にしようというような考えがありまして、その意味におきましてかなり免税になった品物もございますし、それからある程度以下の消費につきましては免税点を設けまして、物品税が課せられないようにしたいというようなこともございました。しかし、今日になってまいりますと、消費が一般に高級化いたしておりますし、また国民がみな中産的な意識を持つと申しますか、消費が一様化するというような意味におきまして、消費の多様化に応じて平均化してまいったというようなこともございます。そういう意味におきまして、現在の物品税におきましてはかなり沿革的ないろいろなものはございますが、いまおっしゃったような消費者物価指数に影響するものは課税の対象に取り込まないというようなものではないわけでありまして、物品税がそのときそのときに応じて、社会に受け入れられやすい形で税制を立てていくというのが基本的な考えでございますが、いまおっしゃったような二点を特に原則にしておるというものでもございません。
○松尾(正)委員 物品税は奢侈品というものを中心に考えられてきたけれども、現時点では確かに一般化してきた、高級化してきたということはわかる。けれども、いままでの大蔵委員会等でも相当この洗い直しということで論議がなされましたが、一般消費者の物価指数あるいは生活必需品、こういったものに対する税が高い。それからさらに一部残されておる高級品というものに格安なものがある。こういうアンバランスが目立つわけです。そういった意味で、これは当然前回の大蔵委員会あるいは春の国会等で問題になった点ですが、一、二の例をあげてみますと、四十四年度の経済企画庁の消費者の実態調査、これによると、白黒テレビというのが一〇〇%、一世帯に一台、こういう普及率を示しておる。それから電気冷蔵庫、電気洗たく機は九〇%をこえておる。それにもかかわらず現在一五ないし二〇%の税金がかけられておる。ところが、これはある程度やむを得ないとしても、一〇〇%普及している白黒テレビと、まだそこまでいっていないカラーテレビ、これが同率で物品税がかけられている、こういうことですね。さらにまた、高級呉服、電子レンジ、カーステレオ――レコードには税金がかかっているけれども、カーステレオ、それからテープには税金がかかっていない。これら一つ一つ洗うと相当矛盾が目立つ。こういうことについては大臣は積極的に洗い直したいということでありましたけれども、明年度の物品税改正について、具体的にはこういったものに対して、あの大蔵委員会等で指摘された範囲で是正されるのかどうか。その点を、こまかいものは無理ですけれども、ひとつ伺いたいと思います。
○福田国務大臣 物品税につきましては、私の気持ちといたしましてはただいま御指摘のとおりに考えております。世の中が変わってくる。しかも非常な勢いで変わっております。それに伴いまして物品税に対する考え方、これも変えていかなければならぬ。また新たに物品税ということを考えていいものも出てきておるようでありまするし、もういままでのものを廃止したらどうだというものも出てきておるんです。そういうようなことで、私の気持ちといたしましては総洗いをいたしたいと考えておるわけでありますが、これも税制調査会にただいま意見を求めております。この意見をも参酌いたしまして最終的な具体案はきめなければならぬ、かように考えております。
○松尾(正)委員 時間の関係で、きょうは相当の項目がありますので端的に伺ってまいりたいと思います。 長期展望に立った問題としては以上ですが、次に、税の公平ということが第一義になっておりまして、大臣も常にこのことを言われております。この税の公平という立場から租税特別措置についても相当論議されましたが、この租税負担についての大蔵大臣の今日までの答弁を総合すると、直接税中心主義の税体系は続けたい、ただし次第に間接税の比率を高めていく、つまり所得税も少々減税するけれども、間接税で増徴をはかっていきたい、こういうふうになると思うのです。今年度の歳出面、いわゆる財政需要を考えてみますと、先ほども論議されましたように、国鉄、米あるいは健保の赤字等、それから社会資本の充実等で相当財政需要がふくらんでくる。こうした状況の中で、大蔵大臣が税を増徴して財源を求める、こういう意図はわからないではない。よく理解できるのですが、しかし私は、春の予算委員会あるいは大蔵委員会等でのこの租税特別措置の論議等を通して見ましたときに、まず増税の前に、租税特別措置という、この公平をそこなうような、ゆがめるような、これは徹底的に洗い直して、それから増税を考えるのが筋じゃないか、こういう考えを持つわけです。特にいま論議されておる自動車新税等は、非常に各方面からの反対意見等も強いわけでありますけれども、私も、いまこういった税制度、税体系というものをほんとうに考えていけば、まずここからできるだけのものは浮かして、そうして新税を考えるのはあとの段階だ、こういう考えを持ちます。私はこの自動車新税に対しては賛成できない、反対の意見を持つわけですが、とにかく四十五年度で三千八百億円、これが租税特別措置によって減収されているという見込みです。租税特別措置によって税金をまけられた分を二十五年から二十年間通して見ると、四兆円余りのものがまけられている。非常に大きな額です。もちろんこれは税制という立場からどうしてもまけてやらなければならない面もあります。が、この租税特別措置の場合には、洗い直して、しかも税の公平という見地からこれをやめれば、直ちにこれは心配なしに税の財源として使える。こういう立場から、自動車新税その他を考える前に、この徹底的な洗い直し、これをやる必要があると思うのですね。 そういう意味で一つずつ具体的に伺ってまいりますが、まず輸出振興の税制上の優遇措置です。四十五年度で七百八十五億円減になっておりますけれども、現在の時点では、すでに海外との競争力もついている、輸出振興に対しての優遇という創設の目的はほとんど達せられた、こういうことがいえると思うのです。このまま存続することはもう当然税の公平をゆがめていく、こういうことで論議されたんですけれども、佐藤総理大臣もこの措置については、個人としてはこういうものは廃止すべきだ、こういう意見も述べております。この措置について大臣はどうなのか、これを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 まず租税特別措置全体につきましては、いま松尾委員お話しのように、もう常にこれが検討をいたし、その任務を終了したのかしないのか、そういう点について判断をしてその改廃を考えなければならぬ、こういうふうに考えております。ただし、いま現実にある租税特別措置はそれぞれの任務を持っておるというようなものでありまして、お話しのように一挙にこれを全部撤廃するというようなことはなかなかむずかしかろう、こういうふうに考えております。 さしあたり輸出税制でございますが、これにつきましても税制調査会の意見を求めたい、こういうふうに存じておるわけであります。これも、いま輸出がたいへん調子がいい、国際収支も黒字続きの状態だ、ですから不要に輸出刺激というか、輸出助成の必要はないんじゃないかというような見地に基づいて、この制度を見直すようなことを言う人があります。私はこういう際こそ、輸出というものをそうディスカレッジしてはならぬ。日本の国のよって立つゆえんのものは輸出、輸出があればこそ輸入ができる。わが国は資源が乏しい、そういうようなことを十分考えなければならぬというふうには思いますけれども、しかし、輸出助成のための税制特例措置が国際社会において問題を起こすというようなことがあっては相ならぬというふうに考えておるのであります。この輸出税制措置につきまして、今度その期限がやってくるわけでありますが、その期限を機会といたしまして、これをどういうふうに今後やっていくか。これを一挙にということもなかなかむずかしい点がありはしないかと思いますが、しかし、さりとていままでの制度をそのまま続けていくということもいかがか、こういうふうにも思われます。税制調査会の意見等も十分聞きまして、皆さんに御納得のいただけるような措置をとりたい、かように考えております。
○松尾(正)委員 結論はあとでまとめて述べたいと思うのですが、次に、証券市場育成という名目の有価証券売買の課税措置、これに対しても昭和二十八年に、資本の蓄積、それから健全市場の育成、こういう目的で課税が廃止されております。その後三十六年に一部改正されたのみで、株式を公開するときの課税というものはそのまま見送られております。すでに前国会でも、常識で考えてもおかしい、こういうほどこれはもう撤廃すべきである、とにかく資本擁護じゃないか、こういう意見がありましたけれども、これに対してはいかがでしょうか。
○細見説明員 株式の譲渡所得の課税等は、国際的にもいろいろな方法を考えておりますが、税の分野の中で一番むずかしい分野でございまして、株式の譲渡所得課税が廃止になって有価証券取引税になった考え方というのは、私は、税制としてはいわゆる資本市場の育成のために特別の措置をしたというよりも、税の公平という意味では、それなりに株式の譲渡所得に課税を行なった制度であろうと考えております。 それから第二段の、証券市場に株式を上場する場合の、二部上場の場合の譲渡所得の問題でございますが、この点につきましては、制度として、いまなお資本市場が現在の日本において振興を要するということは当然でありますが、ただあまりにも特異な、巨額な譲渡所得と思われるものが非課税になっておるというような事例の御指摘がこの委員会でございまして、それらの点については検討をすべきではないかという御意見があり、私どももその御意見を受けまして、証券市場の育成ということと課税の公平ということとを両立さす方法について、目下検討をいたしておるところでございます。
○松尾(正)委員 これに対しては、前回の委員会の論議等を通じてみても、私は、もう一挙に撤廃ということは困難でも、前向きに国民の意向にこたえていくという姿勢がほしいと思います。 次に、銀行の貸倒引当金です。これにつきましても、大蔵省の調べによりますと、銀行の貸倒引当金は実際のわずかに〇・一%という非常に低い率でしか事例はない、こういうことがあげられておるわけですけれども、とにかく銀行があぶないところへは金を貸さないという非常に慎重な――これは預金者を保護するという立場で当然ですけれども、こういう立場の銀行。さらに、先ほども意見がありましたように、現在の銀行の業績というものは非常に堅実に伸びておる。この中でこういう制度があるということに対しては、これは明らかに公平を欠く、こう考えられますので、これを撤廃するかどうか。こういうことについて大臣のお考えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 撤廃論はむずかしいように思います。しかし、この制度につきましてはいろいろ、最近特に意見が出ておるのであります。そういう状態でありますので、いま税制調査会の意見を聞いております。その意見に従って公正に処置したい、かような考えでございます。
○松尾(正)委員 それから次に、社会保険診療報酬の所得計算に対する特例ですが、これについては、内科、外科を問わずに七二%の必要経費が認められている。これも、たとえばほかのものと比べてみた場合、作家ないし弁護士等の自由業と比べてみた場合に、これらも三〇ないし四五%という必要経費が認められている。比べると非常に低い。けれども国民から見ると、これでもやはり不公平だという声があるわけです。ところが、医療の場合を見ますと七二%。いままでの大臣の答弁、それから主税局長の答弁を聞きますと、ことごとく税制調査会の答申を待って善処したい、こういう答弁がなされているのですね。ところが、この問題については税制調査会ではもうずっと、撤廃の方向で進めと、こういう答申が出ている。所得税の場合あるいはその他の場合については税制調査会の意見を尊重している。なぜこの問題について大臣は税制調査会の意見を尊重しないのか。まずその点をひとつ伺いたいと思います。これこそ不公平ではないか。
○福田国務大臣 お話、まことにごもっともなんですが、この医療報酬に対する所得税の特例ですね、これは昭和二十九年でありましたか、時の大蔵委員会におきまして、各党一致の議員立法といたしまして現行の制度が可決をされ、そのまま今日に至っておる、こういうのです。そのとき公明党はまだなかったのですがね。ですから、松尾さんにとやかく申し上げるわけじゃないのですが、各党一致の議員立法という形でできた。そのできた理由は何だといいますと、このときの医療費の点数並びに単価ですね、これのきめ方が医療費の実態に即さない、税制においてその調整をはかるべきである、こういう議論がありまして、それが各党によって採択をされた、こういうことになっておるのであります。 自来私どもは、所得税制からいいますれば、この制度はお話しのようにまことに均衡のとれたものではない、こういうふうに考えておるのであります。また、税制調査会におきましても、これが是正について検討すべしとしばしば勧告をいたしておるわけであります。そういうようなことでございますので、何とかこの問題を合理的に解決したいというふうに考えておるのでありますが、その機会は、私は、いま医療制度の抜本改正というのが政治の一つの大きな課題になっております。近くそれが、そう長い時間を要せざる時期に抜本改正が行なわれるだろう、こういうふうに見ておるのでありますが、その機会がこの問題を処置する機会ではあるまいか、そういうふうな受けとめをいたしておるのであります。税制調査会からいろいろ御意見のあることはとくに承知いたしておるのでありまするが、そういう根深い背景を持っておりますので、税制調査会の公平の御議論というばかりでこれを扱い切れない側面を持っておるということも御理解願いたい、かように存ずる次第でございます。
○松尾(正)委員 大蔵大臣がまことに不均衡なものだということを認めながら、いろいろな情勢でこれが行なえないということについては、私は非常に強い不満を持っております。どこまでも税は公平でなければならないということを一枚看板にしてうたっている、しかも次の総裁を目されている大臣が、いろいろな条件がというようなことで、国民の大多数からきわめて強い反発があり批判のあるこれを改められないということに対しては、一票を推したいと思ってもどうもその勇気がなくなる。どうかひとつ勇断をふるって――議員立法である状況はわかります。私はおりませんでしたけれども、理解できますが、しかし時代が変わっておりまして、制度の面で変え得るものまで税でかぶって、そのままいつまでも続けるということには、これは税制の本旨からいっても誤りがあるので、どうかひとつ時期のなんて言わないで、そんな弱腰を吐かないで、大蔵大臣らしく、この国民の批判に対しては積極的に取り組んでいただきたい。こういうはっきりした答弁を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 どうもこれはあまり歯切れのいいお答えができないので弱るのですが、要するに、この問題が世間の関心を浴びている大きな一つの問題であるということはよく承知しております。その国民の関心に対しましてはこたえなければならぬということも考えております。その時期の問題なんです。時期はやはり医療制度の抜本改正、これはさほど遠くない時期に行なわれるだろう、その時期をとらえるのが至当じゃあるまいか。これは財政のやり方といたしましても、かりにこれを廃止して、点数、単価のほうで調整をとるということになりますと、歳出のほうで膨大なる支出を必要とするわけです。予算の体系にも大きな変化を来たすというような性格のものでありますので、何とか是正したい、したいとは考えながらも、そうは簡単に着手ができないという面を持っておるわけであります。お気持ちにおきましては私も変わるところはないのでありますが、要するにその時期をどういうふうにとらえるかという問題かと存ずる次第でございます。
○松尾(正)委員 お気持ちはよくわかりますが、ひとつお気持ちとは別個な大蔵大臣という立場で取り組んでいただきたいということを申し述べておきます。 それから次に交際費についてです。今度の交際費については、中小企業に軽くなるのを強化して是正していきたい、こういうふうに聞いておるのですが、この中小企業に対する交際費に対してどういうふうに是正をなさっていくか、大体まとまっておりましたらその具体案を示していただきたい。
○福田国務大臣 交際費課税につきましては、この課税を強化する、こういう方向で取り組むべきである、さような考えであります。ただ、どういう具体的な方法をとるべきかということにつきましては、これはまた税制調査会の意見も聞かなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、来年度、四十六年度におきましても課税強化の方向で漸進をいたしたいというのが、税制調査会に臨む私の態度でございます。
○松尾(正)委員 時間がありませんので、この問題も詰めたいのですが、あとにしたいと思うのです。とにかく最近のたくさんな新聞報道等を見ますと、中小企業の交際費の使途が非常に乱脈だということが報道されておるわけです。しかし、ここでそういう一部の不良業者に目を奪われて、結局中小企業を保護していくというこの立場を誤ると、これはたいへんなことになると思いますので、その点を十分留意され、保護という点を見失わないような改正をぜひ進めていただきたいという意見だけ申し上げておきたいと思います。 それから次に、もう時間が経過しちゃったのですが、もう少しいただきまして、このほかに、租税特別措置については、期限の切れないもの等も、一つ一つ検討すれば改廃を必要とするものがたくさんございます。この租税特別措置に対する考え方ですけれども、これには現在でも、臨時的なものは何年か期限が切られております。恒久的に必要とするもの以外はやはり二年、三年という期限をはっきりつける。そうしてこれを、期限が来た場合には続けるかどうかということを、一年間空白を置いて、ここで十分検討の上、継続をするかやめるかを決定する。この検討期間を、一年間空白を設けておけば、せっかく主税局で苦労してこの特別措置をつくって、何とか補完してあげよう、かりに中小企業の貸倒引当金ということを考えると、それを創設するためには、相当の苦労をして調査をして実施するわけですが、たとえば好況になって、じゃこれは三年間で切ろう、あるいはまだ不況であるからこれを続けようという場合に、かりに一年間の空白を置いて検討する、こういうことを必要要件として、原則としたならばどうだろう、こういう考えを持つわけですが、これにはやはり、新しくつくるあるいは切るということで、税源に多少の変動がありますから、技術的にそれが可能かどうか。可能であれば、私は空白を置くことによって、いまのようなせっかくの租税特別措置に対する不評というものが免れるし、一方税の公平が保たれる、こういう一石二鳥の観点から、当局の考えを聞きたいと思います。
○細見説明員 空白という意味、あるいは私が取り違えておるのかもしれませんが、もしそれがそのままの状態で凍結して存否を検討すべきだということでございますれば、それは二年のものを実は三年の期限を置いたということになりましょうし、そこのところ、御真意が必ずしもはかりかねておるわけでありますが、私どもは二年なり三年なり、長くて三年というふうにかなり短い期限を切りまして、その期限が来たときにおいて見直す。制度によりましては、二年というような期限あるいは三年という期限はむしろ望ましくない、かなり、五年とか十年とかいう期限を置くべきものであるというような御議論もできるような制度もあるわけでありますが、そういう制度につきましても、一応二年とか三年とかで、いま松尾先生のおっしゃったような見直すというような意味において期限を切っておるという面も一面でございますので、それらの点、常に――要するに御指摘の点は、制度が期限が来たら改廃を考えろということであろうと受け取りますが、ただ、もしおっしゃるような意味が、一年間全くもとの状態に戻しておいてもう一度特別措置をつくるということでありますと、これはかなり技術的に、企業のほうでも混乱を感ずるでありましょうし、税務行政のほうも、何しろ企業は生きたものでございまして、利益の状況とかあるいは販売の状況とかいうようなものが違ってまいります。その辺の調整というのは実際問題として不可能に近いとは申しませんが、非常に混乱して、むしろその失う面のほうが大きいのではないか、かように考えております。
○松尾(正)委員 この租税特別措置については具体的にここに例をあげて伺いたかったわけですけれども、どうかひとつ積極的に改廃に取り組んでいただいて、これから浮かんだものというものは、もう他に何にも考えなくともそのまま減税に使える、こういうことで、大臣がやめると言えばまけた分が全部入ってくる、こういう仕組みですから、ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。 それから、いまの空白を置くというのは、たとえば五年間という期限を切った特別措置については、五年目には必ず切って、次に一年間あける、こういう意味です。いろいろ困難はあろうかと思いますけれども、ひとつせっかくの苦労が批判の対象になったりあるいは不公平の原因になったりしないように、これは検討していただきたいと思います。 最後に所得税減税ですが、これはずっと詰めて伺いたかったのですけれども、先ほどの質問もありましたし、大臣のお考えも伺ったのですが、まあ先ほどのお答えを聞いても、私は税に対する国民の世論にこたえたものではない、こういう感じを受けて伺いました。というのは、現在の歳入状況、これが景気状況等をあわせて見てもほとんど心配がない、こういう要素もありますし、それから今年度の税の自然増も、当初見積もりよりも相当大幅に伸びよう、まあ後半がちょっと心配だということはありますけれども、とにかく当初見積もりを上回る、こういうことは推定できます。まあ税の上で悲観的なものはほとんど見当たらない。しかも物価を考えますと、もうここ数年間五ないし六%、今年度等は七%を上回るのではないかというような、こういう物価の激しい上昇が続いている。さらに租税特別措置についても、批判されているものについて大蔵省自体としても、大蔵大臣自体としても改廃したほうがよろしいというようなものがある。こういうことを総合すれば、需要が増高はしておりますけれども、やはり、いままでやったから今度の減税はやらなくていいのだというような、こういうことは国民の現状を理解した考え方ではないのじゃないか、こういうふうに考えられます。 大臣は先ほど、長期答申を今年度全部実現したのだから、もう四十六年度はいいのじゃないかというような強い意見があるのだというお話でありますけれども、これはもうごく一部のものであって、国民大多数のサラリーマンはもう強い減税を要求しているわけです。こういう意味で、よく引き合いに先進国に比べてどうと、こういったことがあげられますけれども、社会福祉水準等の立ちおくれ、これらを考えると、単に課税最低限だけで国際水準並みだとか、こういうことは比較できないと思うのです。そういった意味で、増税並びに租税特別措置の改廃によって浮いたもの、これらを総合して、大幅な課税最低限の引き上げは当然である、こういうふうに考えます。最後に大臣からもう一度この点についてお考えを承って終わりにしたいと思います。
○福田国務大臣 わが国における国民の租税負担は、これは諸外国に比べまして、負担全体としては必ずしも高いものであると、そういうふうには考えておりませんけれども、しかし、税制の内容が所得税に非常に重点を置いておる、こういう関係から負担感が強い税制になっておるという点は、私は否定できない点である、こういうふうに考えております。したがいまして、今後とも所得税につきましてはできる限り減税を続けていきたい、かように考えておるのでありまするが、さしあたり昭和四十六年度におきましても、税制調査会にいま御意見を求めておりまするけれども、私といたしましては所得税減税はできる限りやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
○松尾(正)委員 終わります。
○毛利委員長 貝沼君。
○貝沼委員 時間がもう四分ぐらいしかありませんので、きょうは国民金融公庫副総裁にも来ていただいているわけでありますが、時間がない関係上、この国民金融公庫が行なう恩給担保金融に関する法律の件について議論をしておきたいと思います。 最近、私が相当多くの方々と話し合った結果、この法律が昭和二十九年にできて以来二回にわたって改正が行なわれ、そして、昭和四十年に現制度に改正されておるわけでありますが、この当時の、たとえば物価の問題あるいはまた公務員の平均給与の問題、こういうようなことといろいろ比較をいたしますと、現在、四十年当時の一人につき三十万円以内という金額は非常に少ないものではないか。これをさらに、一時にまとまった金を持つことのできない方々のために、ある程度物価上昇等も見合わして考えるべきではないか、もっと限度額を引き上げるべきではないか、こういうふうな世論が現在出ておるわけでありまするけれども、これに対しまして、国民金融公庫からも大蔵省のほうに、四十三年度ごろからこれを五十万に引き上げてもらいたい、こういうふうな陳情もあるそうでありますが、銀行局長はこれを存じておるのかどうか。その一点だけちょっと伺っておきたいと思います。
○近藤説明員 承知いたしております。
○貝沼委員 それで大蔵大臣にお伺いしたいわけでありますが、現在の物価上昇も、実は先日の経企庁長官のあの答弁によりましても、七%が云々というお話が出ております。私は、七%はむしろゼスチュアであって、年末に何らかの方策を講じて六・何%になって、それが政府の実績であるということの、何かからくりがあるのではないかとすら思われる点もあるのでありますが、いずれにいたしましても、この物価上昇というのは非常に激しい。そのときにあたって、昭和四十年当時のもので、現在恩給を担保とする貸し付けに対して三十万で妥当と思われるかどうか、これを上げる姿勢はないか、その点を大蔵大臣に伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 少し長い目の話といたしますと、お話しのとおりにこれは考えたいと思うのです。ただ、いま物価のお話もありますが、物価情勢なんか非常に機微なときである。そして恩給担保金融というのは、これは国民金融公庫におきましても、一般の生業資金とは違いまして、純粋の消費金融なんです。そういうようなことで、経済の動向とどういうつながりを持つか、これはよほど慎重に考えなければならぬ問題である、こういうふうに考えておりまして、当面とすると、すぐそういうふうなふん切りをするというようなお答えはできません。なお慎重に検討してみるというふうに存じますが、少し長い目の話とすると、まことにごもっともの話でありまして、そういうふうに考えていきたいと、かように御承知願います。
○貝沼委員 こういうふうな、恩給だけで、まとまった金の持てない人たちがかなり多いわけでありますので、積極的に大蔵大臣はこの増額の方向に進めていただきたいと思います。 以上で終わります。
○毛利委員長 春日一幸君。
○春日委員 いろいろと山積しております大きな懸案がさまざまありますが、私は、かねて宿題になっておりました清酒の一斉値上げと生産カルテルの存続問題について、この際、突き詰めた検討を加えてみたいと存ずるのでございます。 問題の核心は、今回の清酒の値上げを契機といたしまして、生産カルテルの存廃問題がしきりに論ぜられ、本委員会においても、廃止論と存続論と二つの意見が対立した形でここで論じられて本日に至っておるのであります。堀君の意見を集約をいたしますと、これは言うならば生産カルテル廃止論に通ずるものでありまして、堀君の意見は、資本主義の世の中だから、利益を追求する企業としては、赤字が出ればその会社の製品の値上げをしたいというのは当然であろう。しかし生産カルテルをやっているのだから、そのカルテル下に黒字の大手企業者までが一律に値上げをするとなれば、生産カルテルの制度は再考すべきであり、むしろ廃止すべきじゃないかと堀君は論じられてまいりました。これに対して藤井君の理論が対立をしておるわけでありまするが、これまた集約をしてみますると、次のような、言うならば持続論になるわけであります。これは、清酒のカルテルの性格は、価格カルテルではなくして、構造改善のためのカルテルである。不況カルテルというような狭義なものではないと、ここに宣言されておるのであります。値上げをしたからといってカルテルをやめてしまっては、大手がぐっと伸びて、そして地方の中小メーカーがだめになる。製造が大企業に集中してしまうというところに問題があろう。だから法律を形式的に適用しないで、産業の実態に即して構造改善を積極的に進め、地場産業を擁護する方向で検討すべきであると藤井君は強調されておるのであります。お互いにこの二つの理論はそれぞれ理由もありましょうし、しかしながら制約された時間の中で、両君とも十二分に意を尽くされていないと思うのでありまするが、これに対して国税庁間税部長の答弁は、堀君の質問に答えて、生産カルテルの存否について深く検討を要するであろうと述べられておるのでございます。したがって、これは当面消費者大衆にとりましては重大なる関心事であり、本委員会の論議がどのように固まるのであるか、それを踏まえて国税庁の方針がどう決定されるのであるか、これは当面する重要なる課題であると考えますので、この機会にひとつこれらの問題を中心として、いかにあるべきであるか、この点の検討を加えてみたいと思うのであります。 そこで、第一番にお伺いをいたしたいと思いますることは、清酒の生産カルテルは純粋な意味において独禁法上いかなるカルテルであるか。藤井君がここで宣言されたように、それは不況カルテルではないのであるのか。この生産カルテルなるものの素性、性格、この点をまずもって明らかにいたしたいと思いますので、このカルテルを容認いたしました法上の根拠、これを国税庁並びに公取からお示しを願いたいと思います。
○吉國説明員 ただいま実施をいたしております清酒のカルテルは、酒団法第四十二条によりますいわゆる不況カルテルと称せられるものでございます。 御承知のように不況カルテルの要件が四つございます。そのおのおのに照らして、そのカルテルの成立が妥当であろうかということから認めたものでございますが、たまたま、御承知のとおり、そのような不況要件の存在がございますときに、清酒の原料米につきまして自主流通米を充てる、したがって、従来の原料米の割り当てというものが当然なくなるという事態が生じましたので、その不況要件というものを前提にしつつ、これが順調に原料の自由化に対応し得るよう、予備的な意味で、一つの長期的な見通しを持った上で、毎年のカルテルを結成していこうという態度をとったわけでございまして、一年ごとにこのカルテルは承認をされるわけでありますけれども、一応五年間の見通しで、その間に生産数量を漸次増大をさせて、最終年度において自由化をはかろうという趣旨のものでございます。したがいまして、基本の法条は四十二条の不況カルテルでございます。
○春日委員 公取も同様でございましょうね。
○三代川説明員 同様でございます。
○春日委員 だといたしますると、ここに一個の疑義を生じてまいるわけでございます。と申しまするのは、純粋の不況カルテルの場合でありまするならば、その規制の内容は操短、減産、これが主眼とされることは従来の慣例にかんがみましても、また公取のメカニズムに徴しましても、そうでなければ実行効果を確保することはできないでございましょう。しかるところ、現に認可されておりまする生産カルテルの生産規制の内容、これは規制数量を需要見込み数よりもかなり高目に定めておるばかりではなくて、しかも規制数量はいま長官がおっしゃったように一年ごとというのでありますが、これは年々拡大していくということになっておるわけでございまして、この点からも考えますると、規制総ワクなるものの決定が、生産所要数量を最近三カ年間の対前年伸び率の平均値だけ上げるということでございますから、この生産所要数量の中に、すなわち自由化部分というものを毎年積み上げていくという形になる。これは整理いたしますると、現規制数量、特別配分数量、希望配分数量というような幾つかのものが積み上げられまして、すなわちこの独禁法二十四条の三が現に規定をいたしております四つの条件というものを、随所にはみ出してしまった結果に立ち至っておるの疑いはないか、こういうことなんでございますね。すなわち、操短、減産というそのものずばりの機能をこのカルテルは持たされてはいない、というよりも奪い去られておるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この関係は一体どうなんでございますか。これは公取からお伺いしたいと思うのですが、二十四条の三の三項それから第四項における四つの条件、それから二十四条の三の一項の二つの制約、こういうものから考えますると、このようなカルテルの内容というものは、すなわち認可されたところのカルテルの内容というものは、明らかに二十四条の三が否定しておる内容ではないか、こう思うのでありますが、いかがでありますか。
○三代川説明員 お答え申し上げます。 独禁法の二十四条の三、それの三項には不況カルテルの積極要件がうたってございます。それから二十四条の三の四項は消極要件がうたってございます。酒団法の四十二条の一項の五号、このほうでは酒団法によるカルテルの積極要件がうたってございます。そうして四十三条の二項は消極要件がうたってございます。そういった点におきまして、独禁法の不況カルテルの要件と酒団法の不況カルテルの要件とはそれほどの違いはないのではないかと思われます。
○春日委員 そうすると、まずこの二十四条の三の一項の一に「当該商品の価格がその平均生産費を下り、」と書いてございますね。そういう場合、並びにそのことによって事業の継続が困難になるおそれありという、こういう実態がなければなりません。しかるところ、今回、あるいはそのような事態があったかもしれないが、あのような値上げが一斉に行なわれました。値上げが行なわれたということは、下回ったかもしれないので、したがって自由経済の中で損をしては商売が成り立たないから、値上げをすることによって、下回るというそういうような逆の現象というものは、すなわち事業経営における問題点というものは解消されたものと見るべきではないか、あるいは解消するの意図を持って一斉の値上げをしたのではないか。そのような値上げが実行されておるとするならば、すなわち不況カルテルの認可要件というものはそこでもう消滅したのではないかと判断せざるを得ないが、この関係はどうでございますか。公取から御答弁を願いたい。
○三代川説明員 お答えいたします。 不況カルテルを認めておりますもとにおきまして価格の一斉の引き上げが行なわれたということにつきましては、これがカルテルの存在と全然無関係であるとは考えにくいのではないかと思われます。その意味におきまして、価格は需給のバロメーターであるといわれておりますが、そのようにバロメーターに変化が出てまいりましたので、この際カルテルのあり方につきましては検討を要するのではないか、そのように考えております。
○春日委員 国税庁長官にお伺いをいたしますけれども、値段の改定が行なわれるときには、業者は国税庁に向かってその価格の届け出を行なうことになっておる慣習だと伺っておりますが、そこでお伺いをいたしたいのは、また、いままで本委員会において質疑応答を通じて国税庁の見解が示されたところによりますると、この九十円、六十円なる一斉値上げを必要とする根拠は、すなわち原料米の値上がりであり、あるいは労働賃金のコストアップ、値上がりである、それをカバーするということのためにこの値上がりがなされたものである、こういうふうにわれわれは承知しておるのでございまする。すなわち、原料米が値上がりをした、労働賃金がアップした、だから企業採算がアンバランスになった、ゆえにこのバランスをはかるためにこれこれの値上げをしたというのでありまするならば、すなわち、いわゆる採算割れの事態というものはこれによって解決、すでになくなっておるものと思うべきであろうと思うが、この点はいかがでありますか。
○吉國説明員 今回の六十円、九十円の値上げにつきましては、再三御説明申し上げたとおり、平均的に見まして、前回の価格改定時に比べてコストアップの状況を計算した結果でございまして、そのコストアップだけをカバーをするということでございますから、問題は、前回の値上げ以来価格上昇があった分を補てんしているだけであるとすれば、事態は前回の価格引き上げ後の状況とあまり変わらないという状態があるということはいえると思います。したがって、この不況要件というものがいつから存在したかという判定が一つ問題になると思いますが、前回間税部長が検討を要すると申しましたのも、実態は、このコストアップによってどれだけ各企業の状況が変わってきておるかということは、間接的にはつかみがたい点がございます。そういう点は一応われわれとしてはチェックする必要があるという意味を含んで申し上げたのであると考えております。
○春日委員 若干明確を欠くと思うのですけれども、要するに、価格の引き上げが一斉に行なわれました。それを必要とする理由は、原料米並びに賃金アップである、それをカバーするためである、こう聞いておりました。したがって、酒造業界の安定を脅かしておりまする不安定要件なるものは、そういうようなコストアップによって利潤というものが非常に減少してきた、これがその不安定要件の一つである、われわれはこういうふうに受けとめておるわけでございます。けれども、将来、特にこれが自由業に移行いたしますれば、さらに自由競争を激化することによって不安定要件は他にもいろいろとあり得るであろうが、しかし、そのような不安定要件なるものを解決することのためにさまざまな施策がとられておるわけでございますね。その施策とは何ぞやといえば、すなわち近促法の改定である、近代化計画である、あるいはこの間の特別措置法によるところのスクラップ・アンド・ビルド方式である。こういうように、この二十四条の三の一項二号に書いてありまするように、「企業の合理化によっては、前号に掲げる事態を克服することが困難である」ときと、こう書いてあるわけでございますが、これを裏から横から読んでまいりますれば、すなわち企業の合理化によってこれらの問題はいろいろと解決すべく、現にさまざまな実行行為がなされておるわけですね、近代化計画が、あるいはスクラップ・アンド・ビルドの構造改善計画が。こういうような計画というものは、本委員会において過ぐる六十三国会においてこれを論じ、必要ありと認めて成立せしめたわけなんですけれども、それでは、企業の合理化というものによって業界の安定をはかることが不可能でございますか。不可能なものであるということを知りながら、あなた方は法案を国会に提出されてまいったのでございますか。合理化計画によって他の不安定要件というものは克服できる。値上がりによって来たしたところの企業経理上のアンバランスは、値上げによってこれはカバーできる。だとすれば、二十四条の三が明示しておりまするところの不況カルテル容認の、認可のその資格条件というものはことごとくここに消滅をしつつあるものと見るべきであるが、この点の御判断、大臣いかがでございましょうか。これは政治的判断を要する問題であると思うのです。
○吉國説明員 御指摘のように、二つの問題がございます。一つは、価格引き上げによって不況事態の解消があったのではないかという問題、これについては、ただいま御説明申し上げましたように、このコストアップの補てんというものが最終的に安定を回復したかどうかという判定をする必要はあると思いますが、第二の問題としては、いま御指摘になりました合理化が行なわれるとすればそれは解消するではないかというお話でございますが、御承知のように、先ほど申し上げました不況状態の存在というものが潜在しており、それに加えて、自主流通米による原料割り当ての廃止ということが一挙に生じてまいりましたので、これに対して企業合理化をもって対処するにしても、三千数百の清酒業界において一挙に合理化をはかるということはとうてい不可能でございます。そういう意味では、構造改善計画というもので漸進的に五カ年の間に企業体質改善をはかろうということを現在実行しておるわけでございます。 一方、不況要件が潜在しながら、さらにそれを顕在化せしめるような自由化という問題が生じてきておりますので、これをそのまま認めてしまえばさらに新たな不況要件が追加される可能性もございます。その意味で、このカルテルを五カ年間という長期見通しの上に立てたわけでございます。この長期見通しに基づいてカルテルが実行されていれば、その間に構造改善事業の合理化が並行して進められる。その二つが見合いになって、五年後に完全な自由化に達し得る体質が実現するであろうというのが一つの構想であったわけでございます。そういう意味では、御指摘になりました合理化というものがより早く進められるという事態が生ずるとか、あるいは価格の引き上げが大幅に行なわれて、不況要件そのものが減退するという事態が起これば、この五年という期間に一つの問題が出てまいると思いますけれども、それに大きな変化がない限りは、五年間というものが一つのめどとしてなお残り得るのではないかというのが私どもの考え方でございます。
○春日委員 どうも問題が多元的で、立体的で、そのものずばりで問題の理解ができませんので、ではその裏からひとつ公取さんの見解を伺いたいと思うのですが、こういう事態が考えられませんか。すなわち、生産カルテルが値上げ要因になる場合、これは私いろいろ考えてみたのです。これはそれぞれ関係がないとか別個の問題であるとかいうふうにいわれておりまするけれども、あらためてこういう場合を考えますると、生産カルテルそれ自体こそは、その清酒の値上げ要因、これになり得る。どういう場合かと申しますと、すなわち、中に値上げを必要としないところの製造家があると私は思うのです。で、そういう者に対して、安いんだから安いところで買おうと思って、需要家がそこへ注文を発しますね。ところが生産カルテルによってその者に対する生産量の総ワクが規制されておりまするから、したがって、自分は安くても供給できるという者に注文が来ても、彼は供給することができませんわ。したがって、いやでもおうでも値上げをしたところへ買いに行って、そうしてその高い品物を買うにあらずんばみずからの需要も満たすことができなくなる。こういうことによって、このカルテルが値上げ業者を擁護するというような役割りを果たすことにならないか。問題はここなんでございます。そういうような事実問題ですね、これをどういうぐあいに公取は把握されておるでしょう。すなわち、ここにとにかく、まあ堀君なら堀君は百石なら百石しかその生産カルテルで割り当てがない。姫君は値上げする必要をいささかも認めない。近促法によって合理化し、近代化し、そういうような米価の値上がりや賃金上昇を企業合理化によって吸収してしまっておる。だからいままでどおりの値段で売ることができる。そこへ私が買いに行こうとする。むろん自由競争の原理に基づいて、いい品物が安く売れるところへは注文が殺到する。それは独禁法のポリシーでございますね。だから買いに行ったところが、堀君は百石しか割り当てを受けていないので売りようがない。売りようがないから、私は安い堀君を飛び越えて、高い藤井君のところへ買いに行かなければならないという、こういうことに現実的にはならざるを得ないのではないか。この点、事実関係はどのように公取は把握されておりますか。
○三代川説明員 お答えいたします。 今度の清酒の問題につきましては、まだ具体的に十分事実をつかんでおりませんが、一般的に申しまして、先生のおっしゃいますように、カルテルのもとにおきまして、ある者は値上げをする、またある者は値上げをしない、その場合に、値上げをしなくても、生産にワクがはめられているから十分に売りたいだけ売るということはできないという、そういう点はあろうかと思われます。
○春日委員 そのような実態が現にあり得るとするならば、私はその事柄こそは第二十四条の三の第四項の一、二、特にこの第二、「一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害する」ことになる事柄であって、このようなことがあっては断じて許可してはならないという不許可条件そのものに合致することにはならないか。この点はいかがでございますか。自由競争、自由経済の経済社会において、いい品物を安く売るそういうメーカーがあるにもかかわらず、業者並びに消費者はいい品物を安く売るところから品物を買うことができないような、そういうカルテルを容認されるということは、はなはだしくその利益を侵害されるそのものであると思うが、しかもそのようなことをおもんぱかって、独禁法はそのような内容において不況カルテルを認可してはならないと厳禁をいたしておるが、この関係はどうでございますか。
○三代川説明員 お答えいたします。 独占禁止法の理念から申しますと、公正かつ自由な競争が行なわれ、能率のよい企業が伸びていくということが好ましいことは申すまでもございません。しかし、経済政策の中で、独占禁止法だけではございませんで、中小企業政策というものもございます。それからまた租税政策というものもございます。そういう点からいたしまして、このカルテルにつきまして認可という形で、政策の調整をとって認めたというように考えております。
○春日委員 それは変な御答弁を公取がなさるものだと思うのです。中小企業政策は独占禁示法にゆだねておる政策ではございません。他にいろいろと関連があって、単なる消費者行政だけが唯一の行政だと私ども考えませんけれども、しかしこの私的独占と過度経済力集中排除法の番人であるあなた方は、やはりその第一条に規定されておりまする法の目的を忠実に効果あらしめるように立ち働いていただかなければ困ると思う。大風が吹くとおけ屋がもうかるというような理論の飛躍をすれば、どんなことだってできると思うのですよ。だから、独禁法においていっておるものは、消費者の利益である。自由にして公正なる競争の原則、すなわちいい品物を安く売る者がこの経済競争の社会において勝利を占めることは当然の事柄であり、そのことは望ましきことである。そのような競争の原理を踏まえて国民経済の発展をはかるというのが独禁法の精神ですから、したがって、ここに中小企業基本法があるとかあるいは租税政策があるとか、そんなことはあなたに関係ありません、失礼ではございますが、そういうようなことは他の機関において総合的に判断すべきものであって、あなたにはそんなことは権限もないし、独禁法の中にはそういうことは何も期待されてもいない。 この点、大臣、あなたはいまや閣内において実質的宰相であるし、やがては名目宰相にもなられようとしておるのであるから、実質と名目をやがて兼備されようとしておるのだが、私はいまここで酒屋さんの問題を論じておるけれども、これを一つのひな形にして、独禁政策というものはいかにあるべきかということ、当面する物価政策の中で政府並びに国会はこれといかに対処すべきか、これはフォア・エグザンプルです。どうかそういう意味で大蔵大臣として、いま私が論じておる、すなわち、現実に不況カルテル実施中に一斉値上げがあるというような前例は、私はおそらくかつてなかったと思う。そのことがあるから国民が非難し、われわれがここでこれを論じておる。いま申し上げましたのは、法律をそのままわれわれが時間をかけてみっちりと勉強してみると、現在の生産カルテルというものは、藤井君がいみじくも論破されたように、これは不況カルテルそのものの形態を備えてはいない。不況カルテルそのものならばこんなことを許してはならぬ。不況カルテルであるならば、いま在庫量が多いとか不安定要件があったならば、そのものずばりのきめ手になるところの要するにカルテルの内容は、それは何といったところで生産を低目にするという方向でなければならぬ。生産を低くして在庫をはかしていく。それが、生産をどんどんふやしていって、そうしていま申し上げたようにどんどんと値上げをしていって、こんなものはカルテルでも何でもないじゃありませんか。独禁法は全部ずたずたに、むしろじゅうりんされておる。私は、こういう状態を見のがしていくならば、わが国の物価政策はことごとく破綻せざるを得ないと思う。重要な段階でございますので、たまたまあなたの所管の酒の問題でございますから、十分ひとつ、実質宰相、名目宰相待ちのあなたが、責任的にこの問題について見解を表明される必要があると思う。いかがでございますか。
○吉國説明員 技術的な点をちょっと……。 先ほど申し上げましたように、まあ春日先生もよく御承知でございますが、このカルテルは酒団法の四十二条の規定に基づいておる。酒団法の四十二条の規定によりましてカルテルが結成されていれば、その行為については独禁法の適用除外があるということになっておるわけでございまして、直接独禁法の規定に基づくカルテルを結成しているわけではないという点が一つございます。御承知のように、酒類業団体法を改正いたしましてこの規定を入れましたのは、春日先生が御提案になった中小企業団体法等との調整をはかるために入れた規定であるということでございまして、その点で若干独禁法直結の点とは相違があるということは一応申し上げておきたいと思います。
○春日委員 あの中小企業団体の組織に関する法律、中小企業団体法、失礼ですけれども、これを議員立法で、あなた方政府は全然関与されないで、われわれが議員立法で制定した。だから、団体法というものは第一条から、すなわちイロハのイからおしまいのンまでわれわれがこれを書いてきたんだから、その辺の機微、みんな承知いたしておる。そういう経験の上に立って私が発言をしておるのでございます。団体法との関係、その前の安定法との関係を全部踏まえて、自由競争はどうあるべきか、自由競争の除外例としての不況カルテル、合理化カルテルはいかなる条件のもとにおいて認可され得べきものであるか、これを論じて、そうして現在のこの酒の生産カルテルをいろいろと調べてみると、これは認可すべからざるものであるとの結論に到達せざるを得ない。それはいま申し上げましたように、企業の合理化というものは他の手段によって、いまおっしゃるように、酒類の製造業の安定に関する特別法ですか、あれがあるし、近促法のあれがあるし、二重、三重の合理化計画が進められておるということです。そういうことで、消費者の利益が現実に脅かされる可能性があるし、脅かされておるのだから、値上げを認めてやっていくというのであるならば、あるいは、自由価格でございますからこれは値上げを認めざるを得ない。認めざるを得ない。これは政府が文句言う筋合いもないし、われわれも因縁くっつけてもしようがない、自由価格でございますから。値上げしたところには注文がいかないようにすれば、彼ら値上げしませんよ。値上げしないところへ注文がいくようにすれば、値上げをしようと思ってもしない。ところが生産数量の制限というものがあるから、安いところへ買いに行こうと思っても、消費者も取引業者も行くことができないようなこういう仕組みになっておって、したがって消費者の利益が脅かされ、酒の価格がずっと高くなっていく。いまのままの制度を許しておいたならば幾らでも高くなっていきますぞ。九十円と六十円が第一次における値上げだけれども、それじゃ思い切ってこれをもう一ぺん百円と五十円値上げしたって、あれよあれよと言ってここで騒いでおるだけで何にも問題の解決がない。だから、カルテルをぱっとやめてしまえば、高いところに買いに行かなければ、それがすなわちセルフコントロールですね。高くしたら売れない、売れないから安くしよう。いい品物にすればよく売れる、だから品物をよくしよう。こういうことで独禁精神がぐっと機能してくるということなんだ。だから、この間塚本間税部長が堀君の質問に答えて、これは深く再検討を要すると言われたが、ざっと一カ月になると思うが、現実に吉國長官のもとにおいて検討がどのように進められてきたのであるか、どのような方向に向かっておるのであるか、この際、かねての課題として私がここで質問しておりますから、きょうはひとつ本委員会を通じて大体の方向を国民の前に明らかにいたされたい。いかがです。
○吉國説明員 前回、間税部長がこのカルテルについて再検討を要すると申しましたのは、一つは、御指摘のように価格が改定されたという事態によって、このカルテル自体の理由がなお存続するかということを、あるいは程度の差が生じてきているかということを明らかにしたいという趣旨で申し上げたと思います。御承知のように、四十四年生産の清酒は、いわゆるカルテルの規制ワクに対して、平均的に申しますと九四%ということで、六%の上積み分が実際上つくられていないというのが実情でございます。そういう点から申しますと、この自由なワクがありながら、一部の業者は一ぱいまでつくったかもしれませんけれども、大部分がそこまでつくらないという事態、それがさらに自由化部分を増加した四十五年生産清酒に対してどう働いてくるか、そのビヘービアがどうであるかということが実はこの問題のかぎではないかというふうに考えられるわけです。一方、コスト引き上げ要因を補てんをいたしました価格が、実際に製造業者の収益にどのような影響を及ぼすかという問題、これも実はまだ的確にとらえる時期ではございませんし、四十五年の酒類生産はこれから始まるわけでございまして、この四十五年の生産を、一部の販売力の強い業者がどの程度自由化部分を利用してつくるか、そういう点を見きわめませんと、このカルテルについての検討のデータがそろいませんので、実はその点では来年度のカルテルについての判断というのが現在ではいたしがたい状況にございます。そういう意味で、私どもは、この清酒の生産が行なわれますめどが大体二月前後にはついてまいります。それと、そのころには値上げによる収益の変化ということもつかめてまいると思います。そのころをとらまえて結論を出したいというのが私どもの考えでございまして、間税部長がその点いますぐには検討の結果が出ないということを申し上げたのも、その意味でございます。
○春日委員 公取に伺いますけれども、これまで不況カルテルの実施中に値上げが行なわれたという前例はございますか。
○三代川説明員 お答えいたします。 私は経済部長に就任いたしましてあまり日がございませんので、具体的にそういった事例があったかどうかという点につきましては覚えておりませんが、原則といたしましては、カルテルを認めておりますもとで値上げが行なわれるということは好ましくないことである。しかしまた、それではカルテルを認めている場合には、原材料費、人件費等の値上がりによってコスト要因がある場合に一切値上げが認められないかといえば、そういうこともまた言い切れない、そのように考えております。
○春日委員 大体、一つの商品価格の構成には、むろん原材料費、工賃、営業費、税金、その他いろいろなものが積算されて商品価格を形成します。けれども、不況カルテル容認の要件となるものは、すなわち生産コストを割っておる、あるいはこれはわかりやすくいうならば価格が暴落しておる、これを防ぐための措置ですわな。だからしたがって、その価格を維持せしめるというところにそのねらいがあるわけですよね。すなわち、要するに営業を継続するに必要なるぎりぎりの価格ですよね、これを維持する。そのときに、いま申し上げたような、それをたてにして値上げをする。それからまた値上げをしない者もある。私は、値上げをする者としない者とがあるという中において、値上げをしない者が、以下に少数者であったとしてもあることは、これは刮目すべき事柄である、少なくとも注目せなければならぬ問題である。値上げしなくてもやっていけるのでございますから、すなわちそれが一方において近促法に基づく近代化計画の政策効果である、あるいは構造改善のあれである。 ただ、いま吉國長官がおっしゃったけれども、割り当てた総ワクを使用していない、生産していない者が相当あるという。ここに私は問題があるのではないか、再検討を必要とする対象がそこにあるのではないかということなんでございますよ。すなわち、不安定要件というものを解消するためには、何といってもその商品の価値を高めなければいかない。価値を高めるためには在庫を消化する、あるいはその需要と供給とのバランス、すなわち需要の数量と絶対値を低くしていかなければならぬでございましょう。オーソドックスなやり方はそれ以外にない。だからいままで繊維だってあの構造改善もやってまいりましたし、いろいろの操短なんかも行政指導によってなされてまいりました。不況要件を克服する直撃的手段というものは操短であり、減産である。にもかかわらず、酒については、不況要件というものを何とかなくしようというその不況カルテルが、大増産といっては語弊がありまするけれども、割り当てを受けてもその割り当てワクも消化することのできないような割り当てをしておるというところに問題があるのじゃないのでございますか。だから現在の不況カルテルそのものについては再検討せなければならぬではないか。現在そういう不況カルテルの中においても値上げがどんどん行なわれておるが、第二段の値上げが行なわれたら、第三段の値上げが行なわれたら何とするかということです。すなわち、その割り当てを受けておる大企業は、マスメディアを活用することによって自分のワクを幾らでも消化することができるじゃございませんか。金融能力のあるものはその価格で。だから、将来ともにその価格を引き上げるこれが要因にならないか。 現在おけ売りというものがずいぶん分量をふやしてきたということ、この点を大臣も十分ひとつ御注意を願いたい。大企業、大きな酒造業者は、じゃんじゃんその銘柄を宣伝することによって、その酒があたかも芳純な酒であるかのごとくに消費者に印象を与えて、それを売らんかなで売り込んでいく。そのような宣伝力のないところの零細業者なるもの、中小業者なるものは、とにかく注文がこないもんだから結局おけ売りをせざるを得なくなるのではないか。私は、大企業の酒は芳純である、中小企業の酒というものは下等のまずい酒だとは思わない。地酒の中においしい酒はたくさんあると思う。ところが、そういう連中がもはや自分の銘柄で売ることはできない。結局は大きな酒造業者の系列の中に入って、すなわち下請企業として、おけ売りの中でかろうじて露命をつないでおるという、このような実態から判断をしまするならば、これは今度のあの特別措置法なんかも、あるいは藤井君が指摘されておりまする生産カルテルの効果というものも、中小企業のためじゃないんでございます。中小企業の保護ということを名目にして、実質的利益は寡占独占大酒造業者を擁護する形に帰着していないか、この点の事実関係はどうでございますか。おけ売りのふえ率、寡占の実態、どういうぐあいになっておりますのか、ちょっとお示しを願いたい。
○吉國説明員 若干お答えがそれるかもしれないと思いますけれども、いま御指摘のありましたように割り当て数量までつくらない者が大部分であるという、そういうカルテルはほんとうは不況カルテルではないのではないかという御指摘でございます。確かにその面はそういう点があると思いますけれども、ここは非常に微妙なところでございまして、従来は各企業とも一定のワクですべて制限を受けておりましたのが、一挙に全部フリーになるということになったわけでございます。その一挙にフリーになるということによって、非常に生産力の大きい者が一挙に生産を行なって、他の十分な自由競争の準備にたえない者の生産を奪ってしまうということを一つの不況要件に加えて考えたのがこのカルテルでございますので、実は大きな業者にとっては自由にできるものが六%のワク内に押えられておる。しかし、これはその意味において確かに価格に影響を与えるかもしれないという面がございます。そこでそれを毎年増大させて、五年間にはその制約を完全に自由にする。これが観念上の自由と実際の自由との違いと申しますか、このカルテルの非常に微妙な、ほかにない特性であると思うのであります。ほかの企業には現在まで、生産のワクを完全に個々の企業別に割り当てられるというようなものはなかったわけでございます。これが一挙に自由になってしまった。その自由になったところから見れば、六%を加えた生産制限というものもかなりある意味では大きな生産制限である。しかし具体的に見ると、各企業にとっては生産制限としての意味が非常に薄いというところにやや矛盾がございますけれども、そういう特殊事情を考え合わせますと、このカルテルというものがやはり五カ年間の構造改善計画を通じた中小企業の擁護という、中小企業の自由化適合性を生ませるための手段としては効果があるということは申せるのではないかと思うのであります。そういう意味で、逆に申しますと、強大業者が六%の制限以上にもっとつくれてつくったならば、価格の引き上げの事態は変わったかもしれないのではないかという点からこのカルテルの批判が生じた面はあると私は思うのでありますが、実際の状況から申しますと、そこまでつくった強大業者というものはございませんで、結局は販売の点でおけ売りをしてそこまで売っておるというだけでございます。生産制限としては、強大業者でも六%の増加ワクをこえてつくっておるものはないという実情にあるというのが、このカルテルの特殊性をあらわしておるのではないかと思います。
○春日委員 それじゃもう時間がございませんから、御検討を願う案件をちょっと整理しまして、次回に譲りたいと思います。 それは、公取さんにお願いをしたいのは、この不況カルテルというものが、酒類の製造という民族的嗜好食品については、ともすれば値上げを誘発する要因にならないかという問題です。すなわち、いい品物を安く売れる者があっても、それに対する生産ワクというものの制約があるので売れない。売れないものですから、したがってかってに値を高くしたものでもそこから買わざるを得ない。そういう濃縮された嗜好品だものだから、高いものでも買わざるを得ないという、こういうことになるとすれば、これは二十四条の三の第四項が禁止しておる、消費者の利益を侵害するそのものずばり、禁止して、許可してはならない要件そのものぴったりのことにならないかということを、ひとつあらためて御検討を願っておきたいと思います。 そういたしまして、吉國さんのほうには、大臣がお出かけにならぬときでもけっこうですから、この問題は私はずいぶんいろいろと調べてみまして、きわめて重大な問題であると考えまして、引き続いて後ほどの時間に質問をいたしたいと思います。 これで私の質問を終わります。
○毛利委員長 藤井君。
○藤井委員 ただいま春日委員から論理明快に、清酒製造業の生産カルテルの問題をめぐっていろいろ御質問がございまして、先般来、当委員会でこの問題をめぐっていろいろ質疑応答を続けてきております関係の一人として、特に私は先般国政調査で四国に参りまして、四国班の一員として関係業界から陳情を受けまして、きょうその国政調査の報告が手元に配られたわけでございますが、この内容をいろいろ検討する前に、私の基本的な姿勢と申しますか、これについてまず前提をお聞き取りを願って、質問をいたしたいと思うのであります。 やはり法律、制度というものは、神さんの摂理以外はいろいろ一長一短があるという考えでございまして、絶対にいいというものはない。先ほど春日委員からいろいろお話が出ておりましたが、独禁法の二十四条、この生産不況カルテルの問題をめぐって、これが解釈を独禁法だけのこの条文に照らして論理を展開するならば、いろいろ問題があって、いわゆる二者択一の、生産カルテルをやめるか値上げをかってにするかという結論に到達するのもごもっともだと私は思うのです。ただ、ここに業界からも陳情がございましたように、今度の「清酒製造業の生産カルテルは、自主流通米制度の出現による自由生産への過渡期における混乱を防止し完全自由化に対処できる企業の体質の改善をはかるため、緊急避難的に実施されたものであり、その性格は価格維持を目的としたカルテルというより、むしろ構造改善カルテルともいうべきものであって、これと前後して実施された構造改善計画は、この生産カルテルの存在を前提としたものである。」こういう現場からの訴えでございまして、私は、やはりわれわれは立法の府としての立場でものを考えて、生きた政治の現実の変化に対応して法の運営を考えるべきだと思うのでございまして、オーバーな例かもしれませんけれども、憲法九条の解釈論も、時代とともに変わってきておるというふうに理解しなければならぬ、このように思うわけでございます。 そこで、今度のカルテルですね、現在このカルテルが他のカルテルと違った部面は、非常に自由化部分が多い。初年度は六%、年々二%、最終年度一四%の生産量をふやすという、こういった現実を考えると供給不足によっての価格の値上げではない、このように私は理解しておるわけでございまして、このたびの値上げは、先ほども御指摘がございましたように、原材料、労賃等、いわゆる諸物価の高騰の折から、値上がりぎりぎりのコストアップをカバーするという、こういった状態でございます。ただ、ここに私が指摘したいのは、一斉に値上げしたということが非常に目につくわけでございまして、なぜ一斉に値上げをせざるを得ないかという、この実態に即してものを考えた時分に、皆さん、昭和三十九年六月の初め、御案内のごとく酒類は一切自由価格制度に変わったわけでございますけれども、その後、国税庁のほうではいわゆる価格指導基本方針なるものをきめられて、上限下限の二つ、上限は消費者保護のための適正な価格を天井にしろ、それから酒税を取れるだけの最低の価格を考えろ、こういうことで、価格をきめる場合は常時国税庁の第一線である税務署の職員がその場に臨んで指導すべきである、こういったことが現にずっと続いておるわけでございます。そうなれば、結局地方の業界、清酒業者はもう耐えかねた、どうにもならないというところで値上げを要求する。ところが、上限と下限の線で事実上は価格の統制が実施されておるというこの事実から、やはりどうもしようがないというので結局値上げを認める。認められるということになるから一律になる。表は自由価格であるけれども、実体は全く指導価格であり、統制価格である。こういうことで一斉値上げになるわけでございますから、一律値上げということのために、これが生産カルテルというものをやめてしまえという議論に結びつくということは、現実的に考えて解釈が無理である。この解釈が無理であるということは、また一面、考えようによっては、もともと独禁法のこの条項というのが酒屋の場合には現実からはみ出しておる、また現実はそれにおさまらない、こういう実態を考えなければならぬ。だとすれば、皆さん、それじゃ価格をかってに上げたということによってこれが生産カルテルをはずさんか、春日さんが言われておるように、それこそ大企業のシェアの拡大になって、地方の地酒、地場産業は、壊滅的な打撃をこうむらざるを得ないことは火を見るよりも明らかだと思うのです。全くこれは、私自身で身近にそれを痛感いたしておるわけでございまして、現に酒屋さんはだんだんやめていっておる。これは現在、やめさすような方向は構造改善とともにとっておるわけですから、そういう実態を考えた場合に、ただ法律解釈が一面の独禁法だけをたてにとって、すべてこれを進めていくというのでなくして、総合的にこの施策のあり方をねらっていくべきではないかというふうに私は考えておるわけでございます。 こういう考え方に対して、大蔵大臣はひとつ総合的な判断で、先ほどからいろいろ議論が出ており、先般来お聞き及びのとおりでございますけれども、どう理解されておるか、どう考えるべきか。私は、ただ独禁法だけの観点からこれを進めることによって、地場産業、地方の中小規模の酒屋さんは壊滅する、このように心配いたしておるわけでございまして、むしろ独禁法自体のこういった条項の改正を、立法の府であるわれわれ政治の立場において考えるべきである、その間は過渡的に解釈、運営によってこれを生かしていくべきである、このように思いますが、大蔵大臣いかがでございましょう。
○福田国務大臣 先ほど来いわゆる酒のカルテル問題につきましていろいろとお話を承っておりますが、この問題は、藤井委員が言われるように、清酒業の国家的任務、そういうものに立脚する特殊な総合的な考え方から出ておると思うのです。しかし、その総合的な見地から出ておるカルテル的な施策、これがまた独禁法ともいろいろその運営上彼此考えなければならぬところがある、そういうことも私は理解できると思うのです。そういうことでありますので、今後のこのカルテルの運営、またこれらの関係の検討につきましては、なおこれが、いまのやり方がどういうメリット、デメリットを持っていくものか等の発展の状況を見ながらよく検討をいたしていくべきものである、かように考えます。
○春日委員 ちょっと一分間だけ関連して。 ただ、私は、ものごとを単純に、すなわちカルテルをなくすればそれでいいというものじゃございません。いま藤井君が指摘されましたように、ほかっておけば大企業によるシェアの拡大によって寡占というものがあらわれてくる、中小企業はことごとくだめになってしまう、これは私は認めるのです。ところが現状においてどうであるか、どういう傾向であるかというと、藤井君御存じのように、おけ売りというものがどうしてあのように発生したのか、またその率が何がゆえにあのように大きな勢いでふえていくのか。結局は、大企業というものは自分で製造しなくても、醸造しなくても、そのような中小企業が割り当てを受けて生産しておるもので補いをしていけば、幾らでもできていく。結局親企業と系列企業との関係になっていってしまって、そのターミナルは、結局はビールと同じような結果になってくるのじゃないか。少数の大企業の寡占にゆだねられる形にならないか。それを、酒だとかたばこだとかいうような、生理的欲求に非常に深い、濃縮された関係を持つ商品というものについては、やはりマスメディアの心理的影響というものがその商売というものに対して大きな影響力を持つ、そういうような場合に、なおかつ中小企業というものの存立の基礎をどうして確保してやるかという形になれば、それはこのような現実のカルテルというものに依存する。その依存は、独禁法上はなはだしく疑義がある、少なくとも経済憲章の中に大きな疑義を残すような制度を温存することによって、大きな疑惑を残しながら、そのこと自体が決定的な効果があればそれでもよろしい。けれども、結局決定的効果はないのである。中小企業というものはどんどんとおけ売りになってしまって、系列化されていってしまって、実際的には寡占というものがどんどんとできていって、やがてビールの四社によっての独占みたいになるだろう。それをどうしたらいいかということについては、総合的に研究せなければならぬ。総合的な研究はどういうことかというと、先般来私が大臣にも申し上げたが、ビールにおける西ドイツ方式ですよ。生産量の少ないところについては酒税を安くする、生産量の大きいところには酒税を重くする、そうして蔵出し価格の均衡をはかって、そうすることによって大規模生産と小規模生産との競争の条件というものをならしていく、こういうところまで総合的に検討せなければいけない段階ではないか。こういうところが私の質問の延長線にあるわけだが、そこまで行かずして時間になっちゃって、藤井君にかってな意見を述べさせておいたら後日弊害があると思って、ちょっと意見を述べておきます。 では、これだけにしておきます。
○藤井委員 ただいま、最後に春日委員から示唆に富んだ御提案があって、思いは同じだということを私は確認をいたしております。信じております。ただ、私先ほどからお話をしておりますように、この独禁法をきちょうめんに法律解釈をして運営すれば結果は一体どうなるかということになると、やはり大企業のシェア拡大になって、中小企業は、ビール業界のごとく、灘、伏見の数社が残るということになってはいけないぞという、まずこの前提に立ってものを考えなければならぬという点においては、思いは同じだと思うのでございます。先ほど春日委員からおけ取引の問題についてちょっと触れられて、現実はすでにそういう方向へ行っているではないかという御心配でございますけれども、たまたま私は岡山県出身でございまして、おけ売りというのはずっと昔から行なわれておるわけなんです。で、これは、私は大企業の寡占だというふうに形の上で簡単に割り切るわけにはいかない。いわゆるプロダクションチームといいましょうか、ここにイギリスのスコッチウイスキーあたりのよき例がございますけれども、各地方が、いわゆるいろいろな労務上人手の問題、技術の問題、水の問題、そしてやはり最近テレビ時代であり、コマーシャルに乗って全国的に流していく、そういうものはそういうもので、私は今後正常なおけ取引というものの確立をはかるべきであると思う。これはすでに法案が先般の国会でも準備されて、継続法案となったわけでございますけれども、下請企業、中小企業の下請の適正な振興をはかろうという、こういうことによってこの問題を進めていく、解決を進めていくということに相なってしかるべきではないか。特に大手企業は、他の企業から見れば酒屋さんの利潤はきわめて低いわけでございますけれども、その酒屋さんの中で、大企業が中小メーカーと比べてなぜ利潤が比較的余裕があるかということになれば、結局おけ取引というこの関係が正常な取引関係になっておらない。いわゆる大きな者が力で押える、こういうことになりますから、そういう面に対して行政がそれこそ上限下限をきめていくという、こういう配慮によっておけ取引の正常化を促進していくというようなことによって、地場産業としての地酒が残っていくといったような配慮をすべきではないかということを考えておるわけでございます。私は特に、かつて酒屋の歴史を考えた時分に、農村における唯一の工業と申しましょうか、そういう点でございまして、やはり岡山県に行けば岡山県の地酒が飲める、各県にそれぞれの持ち味のあるお酒というものがつくられること、日本人はお酒というものとは長い因縁が神さん時代からあるのですから、やはりそういう点を考え、ことにまた交通関係の事情を考えると、少なくとも各県に地酒を残していくという配慮をしなければならぬ。 こういう点から考えると、ただ独禁法の解釈だけを法律論理的に持っていくことによって結果が一体どうなるか。われわれが結果を踏まえてよき改善をすべきであるというふうに思うわけでございまして、そういう点についてひとつどうか――もう時間が参ったようでございますから、あくまで政治の姿勢というものは、現実に起こった事態に対処し、変化に対応して、法律の運営によってこれを補う。どうしても法律の運営で補えぬ場合には法律そのものを変えたらいいではないか。何も独禁法は神さんがつくった法律でもなければ何でもない。それを前提にして中小企業者が滅びていくような現状は断じて許せない、こういうように私は思うわけでございまして、以上をもちまして私の質問を終わります。
○毛利委員長 堀君。
○堀委員 本日は、電電公社の四十六年度の予算、電電公社の新しい七カ年計画、これに伴う来年度の設備料値上げの問題、これらの問題について電電公社と大蔵省にお伺いをいたしたいと思います。 最初にお伺いをいたしたいのは、この七カ年計画と四十六年度の予算概計として要求をしておられる予算、これとの関係はどういう関係なのかをお伺いをいたします。
○秋草説明員 私ども電電公社におきましては、ことしの八月、経営委員会にはかりまして七カ年計画というものを策定いたしまして、そのベースに立って来年度の、四十六年度の予算を編成いたしました。 そこで、七カ年計画は、また御質問によりまして詳しく御説明しなければならぬと思いますが、ただいま私どもの公社の事業計画は、長期計画の面から申しますれば第四次計画の第三年目に入っております。あと二年あるわけでございますが、いろいろの事情が変わってまいりましたので、この辺で修正をしなければならぬ。したがって、修正する部分は二カ年でしかるべきなのでございますけれども、二カ年の修正というよりも、長期展望に立って、次の第五次五カ年計画も含めて、七年にいたしまして展望するという考え方に立ちました。それに伴うもろもろの問題点を整理いたしまして七カ年計画を立てましたので、これの初年度が来年度の四十六年度に適当いたしますので、その部分だけを詳しく要求項目の形にいたしまして、予算概計を九月一日に政府に提出した次第でございます。
○堀委員 そういたしますと、いまのお話で四十六年度予算概計は七カ年計画の初年度である、こういうふうに確認をしてよろしゅうございますね。私はきょう大体四十分くらいで終わりたいと思いますので、あまりこまかいところに入れませんけれども、政府はいろいろと計画をなさるわけでありますが、政府の計画が一つできたとして、その初年度の計画というのは、少なくともこれがスタートでありますから、この計画が非常に確かなものでないと七カ年の計画というものは確かなものとならない。要するに、この七カ年計画が正確な計画であるかどうかは、あげて四十六年度予算概計が正確なものであるかどうかということにかかっておる、こういうふうに私は判断をするわけです。七カ年計画の初年度であれば当然のことだと思うのでありますが……。 そこで、ちょっと公社のほうにお伺いをいたしますが、この予算概計を組み立てる組み立ての順序といいますか、発想のあり方をちょっと伺いたいわけです。この予算概計というのは、事業収支計画といいますか、要するに損益勘定が一つあって、その次に大体予定した建設計画、それに伴うところの建設資金、これがあって、その次にその資金の調達と資金の使途、こういうふうな三つの構成からできておるわけです。これは一体どこからどういう順序でこれが組み立てられてきておるのか、組み立ての仕組みのおおむねの順序、もちろん組み立てた中でいろいろ勘案しながら動くものもあるのでありましょうが、おおよそ一体どこからスタートして、どういう順序でこれが組み立てられるのかをちょっと伺いたいのであります。副総裁でなくても、担当者でもけっこうです。
○秋草説明員 お答えします。 こまかいいろいろなやり方等は担当の者がおりますけれども、一応建設投資ということは、本来ならば臨時的というのが――一般の会社の予算では経常の経費をまず積み立てていくということは当然でございますが、私どもの建設投資というものは、ほとんど継続的に非常に大きなウエートであって、しかも非常にきれいなテンポで従来動いておりますので、まず建設投資の投資額の規模というようなものを想定する。その前提には電話の需要というものを把握する、あるいはもちろんこれに伴う新技術の導入のしかたとかいうものをかみ合わせますが、一口に言って投資計画というものを基礎づけて、それに伴う資金調達の金利とか償却というようなものを考えています。金利、償却というものは非常に大きなウエートをいままで占めてございますので、この考え方に立って一つ作業は行なわれる。もう一面、今度は経常経費につきましては、そう新機軸はございませんが、一つの過去の実績に基づいた収入と支出を勘案する。それから新規投資に伴う新しい経費増あるいは人件費の増加、こういうものを合わせて――これはどっちが先かあとかというほどのシビアなものはございませんが、非常に大きな会計でございますので、同時に作業してそれを突き合わせてまたバランスをとる。最後にまた、資金調達計画というものは両方から、御案内のように収支計画の残なり――幸いにして赤字はございませんものですから、残なり、それをまた投入することによっての建設勘定の総資金計画、あるいは債務償還額というのは、これはまた別個にできてまいります。そうどっちが先かというほどのこともございません。
○堀委員 いまのお話で、大体一番最初には建設投資の規模を想定する。そうすると、建設投資に必要な資金というものが一応出てくる。その資金を調達するのは、それでは一体どういうことで調達をするのか。その資金調達のワクというものができてきて、資金調達のワクに基づいて投資ワクを修正しなければならぬ場合もある。そこで投資額を一応修正をして、そしてその投資額に基づいて今度は損益勘定のほうを考える、こういう大体の大筋でございますね。 そこで、私がきょうはどの部分に触れていきたいかと申しますと、実は公社の概計予算と成立予算、決算を過年度にわたって少しこまかく調べてみましたら、私、本日の午前中の委員会でちょっと大蔵大臣に申し上げたのですが、日本の各省――きょうは電電公社をやりますが、概計要求というものが、どうも私、常識で考えられない概計要求が行なわれているような気がしてしかたがないわけであります。 まずその第一点は、いまお話しのように資金調達が非常に重要だということでありますから、その資金調達から触れておきたいのであります。この資料は、古いところは縁故債と公募債の区別がございませんからわかりませんけれども、四十一年からちょっと触れていきますと、一番大きなズレがありますのは財投等というところに大きなズレがありまして、四十一年に概計で千百七十六億、縁故が三十七億ほど、こうなっております。そういうことで要求をされております。これは約千二百億ばかりでありますが、成立予算は六百八十五億でございました。その次が四十二年、千四百六十八億要求をされて、これが九百四十億円。その次が千八百九億円を要求して、これが何と二百七十億円になっている。四十四年、九百六十九億要求してこれが三百九十五億になり、四十五年、千二百八十七億要求して七百五十億円になっている。大体多いところでは千五百二十一億、少ないところでも四百九十一億、この五年間に概計で要求してあるものが、半分くらいしか実は成立予算になっていない。こんな大まかなことで資金調達計画が概計で出されておるということは、まあきょうもちょっと私は、カラーテレビではないけれども、現金正価と実売値段の開きぐらいじゃないか、こういう話をしたんですけれども、たいへん概計というものが大きな財投を吹っかけたかっこうで要求をされておる。現実には、その中でずっとこまかく調べてみますと、常に大体皆さんのほうでは、縁故債をうんと減らして公募債をうんとふくらまして要求をしておる。大蔵省のほうでは、成立予算になると逆転をして、縁故債のほうがふくらんじゃって公募債のほうはうんと減らしてある、こうなっているわけですね。こういうような非常に金額の相違がある。五百億程度も資金調達に変化があるということは、言うなればあとの建設投資の五百億くらいは場合によったら動いてもやむを得ない、こういうことになるのではないかと思うのですが、こういうような過大な概計要求を財投で要求してきたというのは、これは何か根拠があるのでしょうか、ちょっとそこのところを伺いたいと思います。
○秋草説明員 いかにも財投なりあるいは資金調達の要求額自体を見ますると、先生のおっしゃるとおりかなり、五割とか、ときには七割も違ってくる。しかし、問題は、どうもそういう内訳の点よりも、私どもの要求の本命というものはやはり建設投資、建設勘定、国会に建設支出の付与をお願いするというのが、これが一番、投資額の予算というものが本命でございます。そこで、これを調達するためには、御案内のように、一番大きな大宗をなすものは電電債とか減価償却費、今日におきまして、いまおっしゃられた公募債あるいは縁故債というものは非常に予算要求と激変しているようでございますが、総体の資金計画の中に占めるシェアというものは非常にわずかでございます。その額自体は、やはり数百億というようなみな大きな数字のように見えますけれども、何ぶんにも建設投資の額とか債務償還の額とか、そういうものが大きゅうございますから、やはりそのちょっとのフレが、収入、支出のさやが出てくる。あるいはまた建設投資を大体要求の額から一割五分なり二割くらい査定されることがございますから、そういうときになりますと、資金としては非常に大きく激変してくるわけでございます。 それからまた、内訳になりますけれども、私どもは何よりも外部資金としては財投を一番好ましいものとして、金利も安いし、政府保証もつきますから、一番好ましいものとして要求をいたしますけれども、やはり国家全体の財政の立場からしますと、大蔵省はなかなか不如意になっておりまして、政府保証債というものは非常に貴重であって、私どものほうにはなかなか回ってこない。したがって、最後は縁故債というような経過が、歴史的にはここ数年非常に多かったわけです。したがって、まず資金だけの要求額を見ますると非常に変わり方が激しいように見えますけれども、やはり投資額というものの要求と査定との問題を見ていただければ、そんなに毎年毎年格差があるわけではないのでございます。ただ、査定を受けることは、ただいま申しましたように少し要求が大き過ぎやしないかというのは、これは別な問題として国全体の制度、予算の要求のしかたとか、そういうものの一つの慣行とか閣議決定の方針とかございますものですから、これはずっと別個の問題でございますが……。まあ答弁になっておるかどうかわかりませんが、ひとつ。
○堀委員 私がいまここに触れておりますのは、要するに順序として建設勘定が先で、その次が資金調達だ、こういうことでありますから、資金調達というのはある程度正確なものでないと、大事な建設勘定に直ちにはね返るものですから、この予算をつくる基礎がもし建設勘定からスタートして資金調達というのなら、この資金調達のところで五百億や六百億ということは、全体の資金調達が一兆円くらいですから、五百億というのは五%動くということですね。で、これが一%とか〇・五%というならこれは誤差ですけれども、私は、やはり五%も動くというようなことでは、これは第一、いまの長期計画の上で非常に問題になってくるのではないか。 そこで、これを長期計画のほうで見てみますと、やはりこういう条件を受けて、財投が一兆三千百十億円と七カ年計画でなっておるわけです。公募債は八千四十億円、それから縁故債が五千七十億円、こういうことになっているわけですけれども、これを平均しますと千二十億でしたか、要するに七カ年で、公募債だけでも毎年千億くらいがここに期待をされておる、こういうことになっておるようであります。過去の例を見れば、実際に電電が公募債をもらっておりますのは、四十一年から四十五年平均で、千五十億でありますから、大体二百億内外ということにしかなっていないところに、七カ年計画で平均千億のベースで公募債を組んだということで、一体これが計画として成り立つかどうか。大蔵省は、まあことしのことはこれからやるのでしょうから、こまかいことを聞くつもりはありませんが、ことしの概計が九百三億公募債を要求されていますね。最近の例は、四十三年に百五十、四十四年が百、四十五年が二百というのが成立予算であるし、今度はそれの実績を見ると、四十一年が三百三十七、四十二年二百九十八、四十三年百七十二、四十四年百くらいですから、いずれもここで、電電が要求しておる九百億、千億ベースの公募債などが現在の財投計画の中から出そうな気はしないのですが、主計局の次長は、別に何億ということに答えてもらう必要はないけれども、まあまあ常識的には二、三百億ということじゃないですかね、どうでしょうか。
○竹内説明員 七カ年計画の中で相当額の公募債、政府保証債を期待しておるという点でありまするけれども、まあ感じといたしまして、まだ検討中でございますけれども、少し大き過ぎるのではないかなと……。それからなお、企業努力としては、もう少し内部留保の資金を使うというようなこともあわせて考えていただきたいということもありまして、検討をしておる最中でございます。 来年度の予算は、少し具体的な話になりまするけれども、御要求の数字はやや重荷であるという感じはいたしております。
○堀委員 私は、次長がえらい控え目に重荷であると、こうおっしゃっておるけれども、重荷どころの騒ぎじゃないと思うのですね。これは半分というなら重荷かもしれないけれども、私はなかなか、あなたのほうは――あなたのほうというか、理財も関係があるわけだけれども、無理なんじゃないか。私ばかりにこれを試算をしてみまして、過去の例で二百五十億ベースで出たとすると、七カ年計画で千七百五十億、それからもし三百億ベースで出たとしても二千百億ですから、六千億くらいこの七カ年計画の中で誤差が出ますね。小さな額ではございません、六千億という額は。この外部資金合計が五兆三千億でありますから、約一一%強になるわけですね。計画の中で資金調達が一一%強、もしここで狂ってきたとしたら、これは私は、計画としてはたいへんずさんなものになる。私が初年度と七カ年計画の関係で伺ったのは、やはり初年度が少し確実なものでなければ、七カ年計画というものは説得力がなくなるのではないか。私は、単にいま公募債を非常に象徴的な例として取り上げたわけですが、その点では私は、これは国民を納得させるものではないという感じがまず第一点いたします。 その次にちょっとお伺いしたいのは、この前、データ通信の問題については独立採算でやりたいということを公社の総裁がお答えになっておるわけでありますけれども、この独立採算ということは、それを区別をするためには、主としてこれらの費用というのは縁故債等がかなり充当されておる、こう思うのでありますが、その他の原資としては、独立採算の場合にはどういう原資がここにつぎ込まれるのか、この点をちょっと伺っておきたいと思います。 〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
○秋草説明員 いつも私どもの総裁なり私ども、新しい電電公社の事業としてのデータ通信に対する姿勢としまして、技術上、計画上いろいろな問題がございますけれども、経営としての、あるいは財務方針としての考え方として独立採算ということばをよく使うのでございます。しかし、これはシビアな独立採算というふうな、特別会計でもございませんし、あくまで私ども経営者としての良心として考えていることでありまして、独立採算的という総裁のおことばも、国会でもあったと思います。 そこで、理由はもうすでに先生御案内と思いますが、一般の電信電話、過去におきますようなきわめて公共性の強い大衆の用具とかそういうようなものといささか趣が違いますので、できるだけひとつ受益者負担と申しますか、収支合うような努力をはかっていかないとまた世間からの非難もあるだろう、こういう感覚に立っておるわけです。そういう点をまず独立採算という意味に御理解願いたいと思うのでございます。 〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 それから、資金を縁故債でということを申し上げておりますが、縁故債でまかなうという精神は、やはり収支差額であるようなものは、いまでは電信電話の収支差額でございますからもちろん用いないで、公募債も、さっき先生からおっしゃられたようにきわめて貴重な政府の財政でございますので、縁故債のようなものを、これは民間から拝借するものでございますから、民間銀行で拝借する縁故債を当分使う考え方でいこうという気持ちの一端でありますけれども、しかしこれも、収支状況でも非常によくて、資金が十分集まって縁故債も必要ないとなれば、もちろんそれは自己資金を使ってもよかろう。ただ、あくまでやはり経理は、安い金利ではないということを計算に入れて考えることが独立採算的だと思うのであります。
○堀委員 私も大体いまお話しのとおりだろうと思うのでありますが、そういたしますと、実は四十五年度予算でデータ通信施設に対する投資が三百八十億でございまして、四十六年度概計では五百六十七億、こうなっておるわけであります。ですから、ここで百八十億余り本年度はふえておるわけでありますね。本年度はそういうふうにデータ通信のほうが五百億をこえるほどふえておるのでありますが、実はこちらのほうの資金調達計画を見ますと、昨年五百五十億縁故債であったものが本年は四百四十億に、縁故債が四十億減って要求がされておる。これは逆ではないのか。百八十億も多くデータ通信施設に投資をやるのに、当然これは縁故債のほうが少しふえてしかるべきだと思うのだが、こっちが逆になっておるのは、さっきお話しになった主として縁故債で処理をしていきたいということから見ますと、私ちょっとこれは奇異な感じに打たれておるわけですが、これは一体どういうことでございましょうか。
○秋草説明員 それは先ほどお答えしましたように、たとえばデータ通信関係は資金を縁故債によってまかなわなければならないというような法律でもございますれば、全くいま御指摘のように、データ通信の建設投資がふえればふえるほど、それに縁故債もマッチしなければならぬと思いますが、縁故債を使ってという気持ちは、現在までの電電公社の資金調達の事情を考えますと、やはり一番貴重な財政投融資とかあるいは電信電話のかせぎで集まった収支差額というようなもの、あるいは過去における投資された電信電話の償却費というようなものはやはり二次的にして、縁故債というものでやろう、縁故債は利子も高いし、そういうものでやろう、こういう良心でありまして、絶対それでなければならぬというものではないんですけれども、感じとしては、確かに数字がそれほど伸びておりませんからちょっとおかしく感じられますけれども、そこの点は、もし収支が非常によくて縁故債の必要もなくなれば、これは、データ通信の金はどこから持ってくるんだということになれば、やはり健全な財政の中で十分まかなう。その場合でも収支の分計の考え方は、少し高い利子計算などをして、平均賃金なども少し多目に見た計算をするというのが私どもの考え方の良心だと思うのであります。
○堀委員 いや、私は、いまの点で百八十億ほどふえるのに百億減るというのは二百八十億の乖離になるわけですから、その分だけはそうすると、裏返していえば、縁故債を出さなくても多少余裕があるんだということにならざるを得ないのではないか、こういう感じがするわけです。 そこで、私はその次に参りますと、今度の七カ年計画の中で、実はサービスの多様化、それから加入電信の増設、画像通信専用線、こういうような項目が七カ年計画の中に織り込まれておるわけでありますが、サービスの多様化で四千億、画像通信千八百億、加入電信千億、専用線二千億とこうあるんですが、この中のサービスの多様化というのは、確かにこれは国民の新しいニードだと思います。新しいニードだと思いますけれども、この新しいニードの問題と積滞を解消するために電話をたくさんつけるという問題との比重は、どちらかといえば私は、まず電話をつけてほしいという国民につけるほうが先であって、その次に新しいニードに対応するというのがものの順序ではないか、こう思いますが、その点はいかがでしょうか。
○秋草説明員 非常に総括的なお答えで恐縮でございますが、お説のとおり、新規サービスとか新技術に伴う初ものの事業というものは、いまの需要の旺盛な電話事業というものから比べれば、やはり二次的、三次的に考える。金の使い方のシェアも、もちろんただいま電話が圧倒的にウェートが高い。このバランスについてあまり無関心に新規サービスに突っ走りますれば、確かに国民からも指弾を受けます。ですから、その点は十分慎重にやっておりますけれども、私どもの事業はやはり完全独占で公共性を持っておりますから、多少新規サービスの、完全な事業というものから離れた、トライアル的なものも積極的にどんどんと開発をいたしませんと、事業全体の発展が世界的なレベルに伸びていきませんし、また行く行くはそういうレベルにマッチいたしませんので、多少そういう点は、公益性の立場からそういう使命感に徹してやっておるつもりでございます。
○堀委員 そこで、皆さんの資料のほうで拝見しますと、サービスの多様化というのは「通話中着信、伝言電話、自動料金即知、構内携帯電話、自動車電話、その他国民の要望に応じたサービスの多様化を推進するとともに、押ボタンダイヤル電話機による短縮ダイヤルの拡充をはかる。」これはいずれも普通の電話サービスにプラスアルファをした新たな便宜を供与するわけでありますから、これらの新しいサービスを付加するものは、その新しいサービスに伴った何らかの受益者負担というか、そういう新たなサービスを求める者が新たな負担をする何らかの発想はあるのかどうか、その点はどうなっておるのでしょうか。
○浦川説明員 お答えを申し上げます。 新しいサービスにつきまして、これはもちろん先ほど副総裁の申し上げましたように、データ通信等と同じように、料金的にも十分ペイすることでございます。公社の収支を圧迫するというようなことではこれは困りますので、十分そこいら辺は勘案いたしました料金といいますか、収入といいますか、そういうものでいきたいと思います。それから、資金的にも設備料その他債券というようなものを一応想定をいたしたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
○堀委員 そうすると、この計画の中に、サービスの多様化の四千億の投資、画像通信の千八百億、合わせて五千八百億の新規投資がされるのですが、それに見合う電話における設備料的な収入というのはどこかに入っておりますか。
○浦川説明員 設備料的なものは一応設備料のところにあげておるというふうになっております。 それから、電信電話債券のほう、加入者債券のほうにそういう種類のものの債券、データ通信端末等の債券、こういうものも電信電話債券のほうに含めてございます。
○堀委員 それからサービスの多様化について幾ら、画像について幾ら含めておられるか、ちょっとそれをお答えいただきたいのです。
○浦川説明員 ちょっと細部の数字、ただいま手持ちがございませんので、またいずれ先生のほうにお知らせいたしたいと思います。
○堀委員 その次にもう一つお伺いをしたいのですが、この七カ年計画の中における電信収入は二千八百九十億円、こうなっております。私がいま聞いておるところでは、電話、電報料金を改定しないと、電信については大体コストの六分の一くらいの価格になっているというふうに聞いておるのですが、もしそうだとすれば、この電信収入の二千八百九十億というのがあるべきコスト計算、要するに電信と電話を分離はできませんけれども、多少分離したという発想のもとに、あるべきコスト計算をするとしたら、この二千八百九十億円というのは幾らくらいになるのでしょうか。
○浦川説明員 お答え申し上げます。 結局収支率が、料金改定をいたしました場合には五十二年度末で約七四〇%くらいになるかと思いますが、もし改定をいたしませんとこれが約二〇〇〇%くらいになりますので、いまの収入を、逆にそれを割っていただきますと大体のあるべきコストといいますか、それが出てくる勘定でありますが、ただいまその計算がちょっと手元にございませんので、また計算して差し出したい、かように考えます。
○堀委員 そうすると、二〇〇〇%というのは二十倍ということですか。
○浦川説明員 お答え申し上げます。 四十六年度から五十二年度の七カ年間に、現行水準でいきますと合計四百三十億になります。支出はその場合六千八百七十億になるわけでございます。したがいまして、五十二年度末を想定いたしますと、単年度で想定いたしますと約二〇〇〇%、すなわち収入に対して支出が二十倍、こういうことでございます。
○堀委員 何にしましても、電信収入というものの赤字分は現在どこで埋めておるかといえば、電話収入で埋めておるわけですね。電話の加入者がまるまる負担して電信収入の赤字を埋めておる。一兆円くらいは電話のほうから電信へ持っていっておると思うのです。それだけ実は電話の加入者というものは負担をさせられておる。その上に持ってきて、電電公社では、今度また設備料をさらに値上げしようということが、来年度からこの七カ年計画の一つのベースになっておる。もし値上げをしなかった場合における七カ年計画の誤差といいますか、穴があくのでしょう。値上げをしなければ、いまの七カ年計画の中で穴のあく金額というものは幾らになりますか。
○浦川説明員 七カ年計画の中におきまして、現行で推移した場合における場合とそれから料金改定をした場合の収入差額は約五百億でございます。それから支出につきましては、料金値上げをいたしますと通数減その他がございまして、合理化もよけいできるということで約千億円程度の支出減が見込まれるわけです。現状で推移したよりも千五百億円程度の節約ができるということで、プラスマイナス千五百億円程度の収支差額を期待できる。 もし現行で推移してどれだけ赤字が出るかと申しますと、先ほどの差額――ちょっと質問を取り違えまして失礼いたしましたが、設備料三万円をもし五万円に値上げしないとした場合には約三千七百五十億円――差額の二万円でありますが、それの分が三千七百五十億円のマイナスになるわけであります。さらに、その利子のはね返りがございますからこれが約千億、それからその結果を公募債等で埋めるということで約五千二、三百億に資金結果がなるというふうに存じます。
○堀委員 私がいま設備料の問題に触れておりますのは、いまのお話の五千二、三百億という数字は、さっき私が触れましたサービスの多様化の投資額の四千億、画像通信の千八百億、合わせて五千八百億あるわけですね。いま電話の加入者は、ともかく、さっき申し上げたように、電信の赤字を埋めるために少なくともこの七カ年計画の間に一兆円以上の負担をさせられ、また画像通信だとかあるいはサービスの多様化というような特定のものに対するサービスのために、またここで五千三百億余りの負担をさせられる。現在最も重要な国民の電話の問題をこういう形でまかなうことが一体適当なのかどうか、私はこれは非常に重要な問題だと思うのであります。さらに、さっき申し上げたように、そういうような問題を踏まえた上で公募債の問題でこのような誤差があるということになると、私は、少なくともいまの、今度の計画の中での設備料をふやすという問題は、これは少し検討を要することなのではないのか。二年前に設備料をふやしてきたところであります。さらに現在設備料をふやさなければ電電公社の経営が成り立たないかというと、私は、いまの状態から、電電公社の経営が成り立たないとは考えていないわけであります。それはなぜかといえば、まず単年度で見ても、いま、これまでの収入予算等の仕組みを見ましても、実は毎年多少の資産充当というような形も出ておりますし、今年度の資金計画の中に見込まれておる二万円の増で三百七十四億でありますか、この問題は、さっきお話しになった公募債、財投の誤差から見れば、これはまことにもう小さな部分になっておるわけでありまして、私はそういう点から見まして、まずこの七カ年計画の初年度における四十六年度概計に出された三百七十四億の、さらに二万円の設備負担というものは、電話加入者に過重の負担を与えるものであって、これはもう少し合理的な解決方法、たとえばさっき私が触れて、まあ数字がないそうでありますからいたし方ありませんけれども、サービスの多様化の四千億、画像通信の千八百億、またデータ通信の六千九百億円の投資というようなものが、もう少しそういう新たな利益を受ける者の負担のほうで行なわれるならば、私は、現在すでに過重の電信の負担をこうむっておる電話加入者にそういう新たな負担をかける必要はないのではないか、こういう感じがするわけであります。 そこで、大蔵政務次官、ずっとお話を聞いていただいておるから、これは将来大蔵省が予算を査定することでありますが、私がいま申し上げておることは、一般多数の電話加入者ですね、これは今後まだふえるわけですから、今年は二百四十万でありますか、来年二百七十万、その人たちが毎年これから二万円ずつ取られるのか、あるいはそうでなくて、新しいそういうサービスを受ける人たちがその新しいサービスに見合う負担をするのかということならば、新しいプラスアルファの負担を求める者はそれだけ負担能力のある者でありますから、当然そういう負担能力のある者に負担をさせて、ともかくいま積滞しておる電話に加入させてほしいというのは、これは一般庶民が手をあげておるわけですから、そういう一般多数の国民の側に焦点を合わせた財政計画というものが当然行なわれるべきではないのか、私はこう思いますが、政務次官いかがでしょうか。
○中川説明員 堀委員のお話を聞いた限りではそのような感じがいたします。しかし、長期的な電電公社の経営もあることでありますから、電電公社の意見も聞かないとわかりませんが、サービス部門の投資にこれから新しくつけようとする人が負担をするというのは何か酷なような気もいたします。 それから、財投との関係が少し大き過ぎる、要求とつける額とが違っておるのじゃないか、それから、過去もそうであったし、これからもそうなるのじゃないか、この点につきましては、実は公共事業、たとえば道路とか港湾等については閣議で大体決定をいたしまして、大蔵省もその間に介入というか協議をいたしましてやるものですから、それほど大きな違いがない。予算要求も、御承知のように二五%アップで押えておりますので、一五、六から一七、八は伸びるわけなので、七、八か九%くらいしか違わないといういいかっこうになっておりますが、財投についてはそういう縛りがございませんで、企業みたいになっておるので、安い金利の金をたくさん使いたいという期待をもってかなり大きなものになっておることは事実であります。これは電電公社のみならず、全体についてそういう傾向のあることは実際問題としてあるわけでありますが、その点は公共事業と若干違うということだけ申し添えておきたいと存じます。
○堀委員 これは今後大蔵省が四十六年度予算を作成するときに最終的に判断しなければならぬ問題だと思うのでありますが、私はやはり必要な原資を調達することはどうしても必要だと思います。必要だと思いますけれども、その原資をだれが負担をするのかという問題は、安易な負担方法にたよってはならぬと思うのです。やはり最もメリットを受ける者が応分の負担をしてやるべきではないのか、それを特にここで強調しておきたいと思います。 そういう意味では、七カ年計画ということ自身も、御承知のように、経済社会発展計画も三年のところで見直すということを前書きのところに書いておるので、どっちにしたところで、日本のようなきわめて流動的な経済のところでは長期の計画がそのまま成り立つとは思わないのでありますが、まず私がさっき申し上げたように、初年度のところだけでもかなり誤差の大きいような感じのする七カ年計画というものは、どうも国民的なコンセンサスが得られるような条件がないのではないか。もう少し、最初の四十六年度概計と予算がどうなるか、この差額は間もなくきまることでありますから、また予算がきまってから議論をさせてもらいますけれども、初年度が狂ってくれば、全体としてこの七カ年計画は当然また補正をすぐやらなければ問題が非常にむずかしくなってくるのじゃないか、先へ行くほど角度は広がるわけでありますから、そうなるのではないか、こういう感じがするのであります。成立予算が現在の概計とかなり相違がある場合には七カ年計画はどうされるか。特に初年度におけるいまの財投等がある程度はっきりしたときには、その初年度の成立予算とあとの七カ年計画の財投を一体どうするのか。ここのところはきわめて重要なところだと思いますので、初年度がきまった時点において七カ年計画はどうなるのかをちょっと伺っておきたいと思います。
○秋草説明員 ただいまの御質問に関連の事項は、公社に第一次五カ年計画発足以来常にあることでございまして、私どもも、いかに全力をあげて長期計画を練り上げましても、確実にこれをだれも約束しているものもありませんし、また見通しが絶対正しいという予測も、確信をもって言えるわけではないわけです。したがいまして、正確に申すなれば、毎年予算をつくるときは、長期計画の部分と比較しますれば多少なりとも相違をいたしております。それがまた長期計画の使命であって、特に国会なり法律によってできたものでなくて、詰めていえば経営者の一つのガイダンスである。しかし、やはりこういうものをつくることによって少しでも長期の展望をし、あるいはまた資金調達のめどをつけ、あるいはまた収支のかじとりをしていく、あるいは従業員に対する安心感を与える、こういう使命でございますから、どうしても多少の修正がございます。その修正が重なればまた見通しを考え直してやるということは、過去におきましてもたびたびありました。したがって、年度、年度の予算としてはやはり当然小修正をして、勝負は年度予算である、こういう考え方に立っております。 それならば、そんな必要ないじゃないかというと、やはり長期計画は重大な使命もありますし、過去におきます私どもの長期計画は、まず日本はおろか、世界でもこんなにりっぱな長期計画はないんじゃないか、成功しているものはないんじゃないか、このぐらいの自負心は持っておるのでございまして、長期計画というものは国会の承認を得るものでもございませんし、閣議了解すらございません。しかし、長期計画とすると、毎年まあまあ九十点ぐらいのところは、大ざっぱに言って、いただけるんじゃないか、こんなふうに思っておるわけでございます。
○堀委員 計画ですから、当然それは補正されるべき性格のものでありますし、私は何もそのとおりいかなければいかぬ。こう言っているわけではありません。ただしかし、常識的に見てあまりにも常識とかけ離れたようなことは、私は、国民が実は納得しないと思うのです。ですから、計画は、一応だれが見てもなるほどと思うものであったときに、やはり計画の値打ちが出てくる。この中で五千億もの誤差が出るようなデータが入っておることは、私ちょっとその点では――皆さんの願望としてはわかりますけれども、客観的な立場で見る者の側としてはどうも納得ができない、こういうことなので、そこらのところを修正しながら、実は可能な限りの最大限の計画ということであるべきではないか。やはりその中に希望的条件だけが非常に大きく出ておるのでは、幾らガイダンスだとしても、これは問題があると思いますので、ガイドポストとしても問題があると思いますので、その点をひとつ考慮していただきたいことと、この前からたびたび申してきましたけれども、やはり電信電話事業というのは、ほんとうに国民のための電信電話事業ですから、国民にとってあまり不利にならないようにということ、そうしてそれは、いま申し上げたような新しいサービス、プラスアルファのサービスを受け取る者に、料金の面においても、あるいは設備その他の債券の購入とか、いろいろな角度において負担をすべきものを負担をさせながら、公平な負担の上に電信電話事業が発展をしていくということでなければならないと私は思いますので、その点をひとつ大蔵省も主計局も十分勘案をして四十六年度予算の作成に当たられるように強く要望して、私の質問を終わります。
○毛利委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十二分散会 ――――◇―――――