大蔵委員会 第28号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/04/24
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 理事辞任の件についておはかりいたします。 すなわち、理事竹本孫一君より辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 引き続き、理事の補欠選任を行ないますが、前例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 御異議なしと認めます。 それでは永末英一君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○毛利委員長 国の会計に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日は一九七〇年代における公共企業体の賃金のあるべき姿という問題について、これからしばらく論議をいたしたいと思うのであります。 まず最初に運輸大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、今度政府は新経済社会発展計画というのを閣議で承認をいたしました。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 これは少なくとも閣議で承認をした以上、政府の一つの考え方としてこれを確認するということでよろしいと思いますが、運輸大臣、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 政府の一つの考え方である。おっしゃるとおりであります。
○堀委員 この中では、昭和四十五年度から五十年度にわたって消費者物価は大体四・四%ぐらい、一人当たり雇用者所得の名目を一二・一%程度と見込む、こうなっておるわけですね。過去においては、昭和三十八年から四十三年までの五年間については、消費者物価の実績は五・二%であり、一人当たり雇用者所得の名目は一二・二%である。これが経済成長を少しスローダウンさせるということで、一二・一%程度になるという考えだ、こういうことを実は規定しておりますから、このことは政府が、一般的にいって雇用者所得というものは今後少なくとも、パーセンテージはそれが一〇%になるか何%になるかは別として、平均一二・一ぐらいだということでありますが、これは上昇するものだという見通しを立てておる、こういうことになると思うのです。よろしいですね、運輸大臣。
○橋本国務大臣 ちょっとお尋ねしますが、何が上昇するというのでしょうか。
○堀委員 一人当たり雇用者の所得です。こういう表現になっておりますが、要するに、きょうここで取り上げるのは、三公社の職員の給与というものは当然これも国の中の一部でありますから、その上がり方は別として、大体一二・一%平均程度にこれも上がるのだ。中身の数はいいんですよ、上がるということだけが確認できればいいんですから。上がるということを政府は認めておる、こう考えていいですね。
○橋本国務大臣 それには一つ前提があります。御承知のように、最近における技術開発、生産性の向上、こういうことを一つの前提にして、一方においてはいわゆる生産性向上のための機械化が行なわれる。すなわち合理化もそれに並行して考える。こういう状態において考えていかなければなりませんから、いま堀さんがおっしゃった数字がそのままいわゆる適用されるということではない、かように御了解願いたいと思います。
○堀委員 私は数字にこだわらないです。上がるという事実ですね。数字はともかく、上がるという事実は間違いないですね、こう伺っているわけです。その点だけもう一ぺん……。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本国務大臣 ただいま私が申しました前提において、いわゆる労働賃金というものはできるだけ改善しなければならぬ、そういう意味においてはおっしゃるとおりであります。
○堀委員 実はここに非常に問題がありますのは、私は当委員会で何回か公共企業体の賃金の論議をしてまいりました。その賃金の論議をしてまいります中で、現在の公社法あるいはその他の運用上、予算総則その他を含めてそこに非常に矛盾があると私は判断をしておるわけです。 それはなぜかといいますと、私は国家公務員の賃金問題についてもずいぶん委員会でやってまいりました。かつては国家公務員の賃金のその年度における上昇分、要するにベースアップの部分については予算に組まれなかったわけです。長い間これは予備費から流用するか、あるいは補正予算によるかしかできなかった。私は、それは間違いではないか、少なくともこれだけ物価が上昇し、賃金が上昇することが明らかになり、経済発展計画でも賃金の上昇をきめておるにもかかわらず、実は一円も原資を組まないというのはおかしいではないかという議論をずいぶんやってまいりました。今日、国家公務員については、給与費の中にそのベースアップについてのある部分が組み込まれるところまでまいったことは、運輸大臣御承知のとおりであります。 ところが三公社については——その他の五現業もそうでありましょうが、きょうは三公社を例示するわけでありますが、三公社については今日もなお一円も実はベースアップの原資が予算に組まれていない。よろしゅうございますか。それをひとつ確認しておきたいと思います。ちょっとその点について、三公社の総裁、副総裁、四十五年度にベースアップ分は一円でも組んであるのかどうか、簡単に……。
○北島説明員 専売公社は予算には見込んでおりません。
○山田説明員 国鉄予算についても同様でございます。
○秋草説明員 電電公社の予算においても同様でございます。
○堀委員 政府が、賃金は上がる——上がり方はいいんですよ、上がるんだというのなら、たとえ一円であれ五円であれ組まないということになると、政府のいっておることと現実の法律の体系の仕組みに問題があると思うのです。 なぜ私はそのことに触れるかといいますと、現在の公社法、これは三つ大体同じでありますから、電電のほうで申しますと、電電公社法第三十条は、「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」二項は「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」こういうふうにあるわけですね。そこで、こういう発想からすれば、民間の給与も上がる、国家公務員の給与も上がるというのであれば、公社法に基づいて「考慮して定めなければならない。」のですから、本来この給与というものは上がるんだということが、ここの部分では明らかになっているはずなんです。幾ら上がるかは別としても、上がるんだということは、これは三公社共通なんですね。この第三十条、国鉄法の二十八条、専売公社法二十一条については、みな上がるということにならなければならぬわけです。ところが予算の上では一円も組んでいない。 そこで今度は「給与準則」のところにいきますと、電電公社法の七十二条にいきますと、「公社は、その職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該事業年度の予算の中で定められた給与の総額をこえるものであってはならない。」こう規定しているわけです。予算には一円もベースアップ分を組まないでおいて、その一円も予算で組んでいないこの予算をもととして、これをこえてはならないんだということを電電公社法七十二条に、国鉄法は四十四条に、こういう形できめているわけです。それでさらにその二項で、初めのほう、これは弾力的条項がありますからそこはいいですが、「及び公共企業体等労働委員会の裁定があった場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、郵政大臣の認可を受けて、給与として支給するときは、適用しない。」例外規定は、仲裁裁定が出たときだけは例外だ、こういうことになっているわけですね。 そうすると、要するにいまの公社法で規定をしておる考え方というのは、一円も最初にベースアップの原資を組まないでおいて予算を確定させ、その確定した予算については、これを超過してもしベースアップをしようとするならば仲裁裁定によらなければならぬ、ここにこう明らかに書いてしまったわけですね。 しかし片方では、公共企業体等労働関係法によれば、これはまた全然趣が違うわけですね。これは運輸大臣ももう御承知だと思いますけれども、これの第八条には、「第十一条及び第十二条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。」そしてその一号に「賃金その他の給与、」こうなってくるわけです。だからいまの公社法に関係なく、公労法では、団体交渉によって賃金その他の決定についての協約ができる、こうなって、十六条では、御案内のように「公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によって所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」こういう形で書いてある。しかし国会が認めれば、「前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、」云々と、こう書いてあって、十六条では国会に出せばその協定は生きますよ、こういうふうに実は道は通じておるわけですね。 ところが、実はこの公社法のこういう考え方、いまのこの考え方を推し進めていくためには、本来ならば国家公務員と同じように——これだけ政府が、一二%であるかないかは別として、賃金が上がりますと片一方で新経済社会発展計画で書いておるならば、当然当初予算の中にベースアップ分が少なくとも国家公務員に準じて——ここにはちゃんと民間賃金及び国家公務員に準じてと、こう書いてあるのですから、給与その他を考慮してと、こう書いてあるなら、当然これは組み込んでおかなければ問題が非常に複雑になってくる。団体交渉をやらしておいても、実際には仲裁裁定がなければ出せませんと公社法が書いておるのは私は問題があると思うのですが、運輸大臣、この点いかがでございましょうか。
○橋本国務大臣 いま堀さんのおっしゃったように、筋は通してあるわけですね。法律上においても筋は通してある。ただ、おっしゃりたいことはおそらく、調停段階で労使間で話がきめられるべきものだから、きめるような考え方で、いわゆる一つの予算措置を前もって行なっておいたほうがいいのじゃないかというところが最終結論だろうと思うのです。(堀委員「ちょっと違うのです。」と呼ぶ)ところが国家公務員についてはいわゆる賃金の引き上げを予想して予備費に組んである。(堀委員「予備費じゃない、給与費に組んでおる。」と呼ぶ)給与費の中にも予備費として組んであるわけですね。しかしベースアップ全体を予想して、そこで別ワクとして組んであるものではないようであります。したがって法律のたてまえはそう変わっておらない。公社関係においても国家公務員関係においても、たてまえとして違っておらないと私は思います。 ただ、御承知のように、私も官房長官時代に、調停段階である程度のものができた場合に、これを処理する方法がないだろうかということでいろいろ検討してみましたけれども、やはり公社それ自体においていろいろの事情が違います。そういうような事情の違いがありまして、法制上の改正等もいろいろ検討してみましたけれども、それがなかなかむずかしい。しかし一応筋は通っておる。そういう意味において、現行法においても、いわゆる労使間の考え方のある程度の最大公約数のところできまるところは結果的にはきまっていくというような考え方で、現行法でやっていけるというたてまえで、いわゆる予算の上では特に賃金のベースアップ分としては組んでおらないというのが現行法だと思います。
○堀委員 たてまえは国家公務員と公共企業体と変わっていないとおっしゃるのですが、変わっているのですよ。いいですか。なぜ変わったかというと、総合予算主義になって、特に最近では給与費に組むということまで出てきておるときに、片方は一円も組まない、片方は組んである。これは非常に違うのですね。私は量の話をしているのじゃなくて原則の話をしているのですから。 そこで、片方では一円も組まないでおいて、しかしベースアップというのは当然あるのだということを政府は理解しておるわけですね。片一方ではベースアップがあるのだという原則を立てておいて、しかし一円も組まない。組まないでおいて、流用を予算総則で制限をし、さらに公社法で仲裁以外では出せないぞ、こういう書き方をしておるのは、これは法律としておかしいのじゃないかということなんです。だから組めばいいですよ。それは一円でも組んであれば、量の問題は別だから。しかし一円も組まないというのはおかしいのじゃないか、私はそこを言っておるわけです。おかしくないですか。国家公務員のほうは組んでいる。
○橋本国務大臣 ただこういうことは言えると思うのです。いわゆる国家公務員の場合に一応人件費の中で考えておるということは、予算のたてまえ上、御承知のように昨年度のような増収が出る場合もあり得るし、あるいはまた増収がない場合も一つはあり得る。しかしながら賃金のベースアップをしなければならぬという場合も出てくるわけですね。その場合にやるときには、事業費等その他合理化を行なってやらなければならぬということでありますので、御承知のようにそれではベースアップに対応する措置ができないわけですね。そういうことも考慮して、そうして全額かあるいはその一部分かは別にしましても、そういう財政上のたてまえ、予算上のたてまえから、さような事態が起きてもやはりできるだけ人事院勧告を尊重したいという、やはり政府のいわゆる国家公務員に対する前向きの姿勢、そういうものが一つあらわれておる。こういう意味において、その動機は、そうしたいわゆる税収等の問題も考えてさような場合もあり得るということから、政府はこのような措置を国家公務員においては行なっておる、こういうことだと思います。
○堀委員 政府は、国家公務員には前向きに賃金に対して配慮するんだということになったからいまのようになった。公共企業体の職員には一円も組まないということは、それじゃうしろ向きでいいということですね、大臣。国家公務員と差別しているでしょう。
○橋本国務大臣 堀さんが先ほどおっしゃったように、仲裁裁定があればこれは公共企業体のほうは組まざるを得ないのです。ところが国家公務員のほうは財政上の措置等云々という条件があります。ところが公共企業体においては、仲裁裁定があったらそれを支給しなければならないという、一歩強い——ストライキ等を禁止して、国家公務員も禁止しておりますが、そういうたてまえもありますので、そのような決定があった場合はいわゆる補正を組んで支給をする、こういうたてまえの違いがあるということも一つの理由だろうと思います。
○堀委員 実は公労法はその第一条に、「この法律は、公共企業体及び国の経営する企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによって、公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」こう書いてあります。要するに、公労法というのは、紛争があったらそれを解決するというのがたてまえですから、公共企業体等労働委員会というものは、これは紛争処理の機関ですよ。よろしゅうございますか。いま大臣がおっしゃった、仲裁によってきまるというのですが、本来労使間の問題は紛争がなくてきまるほうが望ましいのでしょう。当然団体交渉が自主的に行なわれて、紛争なく解決されることが望ましいとすれば、それに対しての端緒が一つもないというのはおかしいのじゃないですか。紛争を起こさなければベースアップはできませんよということでしょう。よろしゅうございますか。あなたはいま、仲裁の制度があるんだ、仲裁だから払えるようにしてある、紛争を起こしなさい、政府は、公共企業体の職員には紛争を起こすことなくしては給与を上げることはできませんと確認をしているのじゃないですか。どうですか。
○橋本国務大臣 それは堀さんのかってな解釈ですよ。私はそう言っておりません。であるからして、調停の機関もあるし、その調停においてお互いに——しかし労使関係では、あるいは自分のほうは十要求する、純然たる労使関係ですから、したがって一方は、いまの財政からいって五しか払えない、こういう意見の相違があることば当然でしょう。それをもって紛争といえば、広い意味の紛争である。しかしながらストライキはやってはいけませんよ。そこで調停機関を置き、そして最後には仲裁裁定で決定する。予算の立て方も違っておりますから、したがって国家公務員と公共企業体との関係も違っておりますけれども、何もストライキをやれということを奨励しているのじゃない。ストライキをやってはいかぬから仲裁裁定の道がある。できるならば、調停機関内でこれをきめるということができればたいへんけっこうでありまするが、いまの予算の立て方では、実際はおっしゃるようにそうはなっておらない。こういうことですが、何も紛争を奨励しておらないということは明らかであります。
○堀委員 私がいま紛争を奨励しているという話は、要するにベースアップというものは既定の事実として毎年行なわれることは政府も認めておるわけですよ。よろしゅうございますか。べースアップは毎年既定の事実として、幾らかは別として、あるんだということを片方で前提として認めておいて、しかしそのベースアップの原資は一円も組まない。それを出すときには仲裁裁定でしか出せないとなれば、紛争が起きなければこの問題は前へ進まないのですよ。公労法というのは紛争がなければ介入する余地はないのです。自主交渉で、団体交渉で話がついたら介入する余地はない。しかしそれを救済するのは、公労法の十六条という道は残っております。残っているけれども、実際にそう使わないということになれば、いまの経過をずっと縦に見てくれば、仲裁によってしか賃金が——いまの予算上、資金上ともかく流用できないことになっているんだし、そうなれば、いまの仕組みでは、紛争が起きて初めてベースアップができるということになっておるんじゃないですか。私が奨励するというのはそこですよ。だから、紛争をやれば賃金が上がるなどという仕組みは、仕組み上おかしいんじゃないかということを私言っているのですよ。裏返していえば、賃金を上げるためには紛争をやりなさいということになるではないか、そういう論理というのは間違いではないかということを私は運輸大臣に伺っているのです。論理で答えてください。
○橋本国務大臣 極端にいえば好ましいか好ましくないかという問題ですね。だから……(堀委員「正しいか正しくないかです。」と呼ぶ)そう言えるとしても、やはりそういうような状態で、もちろん公労法によって最終決定を待たなければ使用者側が返事ができないという状態では、労使関係は円満にいかないのじゃないか。実際上の問題としてはそういうことでしょう。であるから、将来ともにそういう道を開いてはどうであろうか、こういう考え方で、実際問題としてはさような意味の御質問だろうと思うのです。理屈だけではなかなか解決できない問題があるわけですが、それにはやはり予算の組み方もある程度変えたり、あるいはまた必要があれば関係法制を改正してはどうであろうか、言うならばこういうことですね。私も当時そういうようなことが必要じゃなかろうかということで、当初はゼロ回答であったものを、ある程度の、いわゆる使用者側として今後増収等を見たりあるいは合理化を行なったり、どうしても必要であれば何らかの措置を講じて、できる範囲内では回答せよということで、ゼロ回答から、私が官房長官の時代に初めて千円とか二千円とかという回答をすることになったのであります。これは、いま堀さんのおっしゃるような道に近づけるために一つの方法として実践をしてきた。そういう意味で、いまの予算の組み方につきましても検討の余地があると思います。それには関係法令等をどう改善していくかという問題もありまするが、いま御承知のように公務員制度審議会等もありまして、それらも含めて、あるいは労働組合側は国家公務員といえどもストライキ権を認めろという意見も出しておるようでありますから、こういうことを総合した観点に立っての調査が必要であり、前向きの検討ということが必要であろうと私自身も感じております。
○堀委員 私が伺いたかったのはそこなんです。要するに、いまの公共企業体の賃金の問題というのは非常に矛盾が多過ぎて、実はスカッとしてないのですよ。だから、まず、幾ら組むかの問題は別として、当初予算に政府が五%分くらいを組んでいるのなら、公共企業体にも組ませればいいんじゃないか。必ず要るのですから。 いま私が非常にふしぎなのは、電電公社の予算をとってみれば、予算上は黒字の予算、決算上は赤字ということになるのですよ。なぜかといえば、ベースアップ分を全然当初予算に組んでいない。しかし、それは必ず出るということは当初予算を組んだときからわかっているのですよ。金額の最終はわかりませんけれども、しかし少なくともわかっている。それなら、いま政府が一般会計予算の中で給与費を組むと同じ程度に、公共企業体についても当初予算の中に、これがベースアップ分原資、残りは予備費あるいはその他の事業量の圧縮等でやるということであっても、最初に一応何らかのものを組むということは、今日ここまで政府の一般会計が動いてきた形では当然考えなければいけない問題だと思う。そうなれば、いまの公社法がこう書いてあっても、要するにそのワクを越えた部分についての処理をどうするかということになるだけですから、問題は少し簡単になるわけです。そしてそうなったときに、団体交渉を自主的にやった中で話がつけば、問題が非常に前進することができる可能性に道を開いてもらいたいということです。できるかどうかは、それは公社なり職員の側なりのいろいろなものとの関係の問題ですから、やってみなければわかりません。しかし、いまは可能性がないのですよ。全然道がないところを歩けといっておるのがいまの体系なんですね。これは大臣、やはり問題がありますので、ひとついまお答えいただいたように、公共企業体の予算についても、ベースアップ分をせめて政府並みに当初予算に組むという問題と、公社法の改正についてはその問題を含めて再検討するということで、もう一回ぜひひとつ確認の御答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 事務的に説明をした上で私から……。
○堀委員 こまかい説明は要りません。政治的な議論をしているわけですから、マクロの話ですから、大臣、もう一ぺんその点を……。
○橋本国務大臣 御承知のように、公共企業体の予算の編成においては、一つは弾力条項というものがあります。弾力条項によってある程度処理できるものはその予算内で従来は処理してきておるわけです。必ずしも私はすっきりしていないと思うわけです。いろいろなところに実際上は隠してあったりして——隠してあるかどうかはわかりません。そんなことを言ったら……。いろんな点で、事業の繰り延べ等を行なって処理するわけでありますけれども、それではせっかく事業を計画いたしましてもそのとおり遂行することはできない場合もあり得る。こういう意味においてやはりすっきりした体制が必要であろうと思います。こういう点はやはり検討に値する問題であろう、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 関連して質問いたしますが、先ほど堀委員から指摘されましたように、経済社会発展計画では、これから先の六年間の平均賃金は大体年率一二・一%程度くらいで上がっていくであろう、こういうことが閣議でも認められておるわけですね。ところが、国鉄の再建十カ年計画によりますと、これが九%ということが想定をされている。そうしますと、そこに三%の差があるわけですね。これは十カ年の間では、経済社会発展計画は六年間でありますけれども大体その数字で、カーブでいくとすれば、当然これは十年後には一般との上昇幅が四〇%からも差がついてしまうということになるわけでありますが、直接国鉄を監督する立場にある運輸大臣として、この点をどういうようにお考えでございますか。そういう差がついてもいいんだ、また国鉄職員は四〇%も引き離されてしまうような状態になってもかまわないのだ、こういうお気持ちでございますか。その点ひとつ大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 数字の関係ですから、まず国鉄のほうから説明さして、あとで私がお答え申し上げます。
○山田説明員 御指摘の国鉄の再建計画は、四十四年度から始まりました十カ年計画でございます。したがいまして、その十カ年の間に人件費のみならず物件費あるいは輸送量、あらゆる点についていろいろな一応仮定と申しますか前提条件で試算をいたしまして、そうして十カ年後に償却後、黒に持っていくという計画を立てたわけでございます。いま御指摘の人件費につきましては、御指摘のとおりに、毎年九%程度を埋めるという前提で試算をいたしております。しかしながら、現に四十四年度は九%を上回ったベースアップができております。これからの十カ年間どんな状況になっていくか、これは一応とりました前提が、ただ単に人件費だけでなくいろいろ変わる要素がございますので、われわれといたしましては、一応、いまは定められた十カ年計画のそういう前提条件に合わせるようなワクの中で、合理化も努力をいたします、輸送量の増加にも努力をいたして再建計画を進めてまいりたい、このように考えております。
○橋本国務大臣 御質問の趣旨は、九%でおさまるかということでありますね。十カ年計画はそういうような賃金の九%の値上げだけを含んでおるが、実際上それ以上に上がるじゃないか、上がれば再建計画というものはできないのじゃないか、こういうところに御質問の趣旨があるように思います。 もちろんこれは一つの試算でありますから、再建計画というものが、この計画をこのとおりやれば十カ年後にはとんとんになる、こういうことでありますが、ただ御承知のように、十カ年計画九%と計算しましても、十カ年の間には一〇%の料金の値上げを行なうということで、また九%の賃金が引き上げられることになれば、増収分の二兆四千億——増収分が十カ年間で二兆四千億円と試算しておるようです。ところが労働賃金のほうは二兆六千億円になってしまって、料金値上げ分は、全部九%と計算してもなお二千億円の赤字が出る。こういう計算のもとで、しからばこの赤字はどう解消していくかというと、事業の近代化あるいは生産性の向上、合理化、こういうものがやはり並行しなければやっていけないというのがあの再建計画の教義であります。したがって、調停の場合におきましても、これを実行するためには、事業合理化については十分やはり労使ともに誠意をもってこれにこたえなさい、あるいはまた労働賃金をきめるについても、これが並行することが当然前提になるであろうというような勧告といいますか、話があったようであります。もちろんわれわれは、国鉄だけが他の企業体に比して賃金が安くてよろしいというわけにはいかない、政治問題としては。できるだけいわゆるバランスはとる必要がありますので、この点については今後の進み方、あるいは実際上の収入がいま十カ年計画でされておるような収入にとどまるのか、あるいはそれ以上の実収入を国鉄自身が労使ともに努力してあげなければ、そういう事態が出てきてもなかなか実施が困難になる、こういうことで、何といっても労使が協力して生産性を高め、合理化を実行するということがやはり前提になると思います。
○堀委員 労働大臣は十分間というお約束でありますので、ちょっと最初に労働大臣にだけはしょってお伺いをいたします。 実はいよいよ公共企業体の賃金の値上げを決定する時期が近づいてきておるわけでありますけれども、いまの公労法という法律のたてまえは、いまもちょっと読んだのですが、その第一条で「この法律は、公共企業体及び国の経営する企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによって、公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」こうありますから、少なくともこの公労法というのは、自主的な団体交渉をしっかりやって、できるだけ紛争の起こらないうちに解決をするというのが本来のたてまえである、こういうふうに理解いたしますが、労働大臣いかがですか。
○野原国務大臣 まさに御指摘のとおりであろうと思います。したがって、いろいろ当事者能力などの問題はございますけれども、あくまでも労使間において十分に話し合いを進めるということが必要であろうと思います。
○堀委員 いま運輸大臣とも少し議論をさしていただいておったのでありますが、現在の公社法その他の仕組みを見ますと、要するに給与準則は予算の定めたところによりなさい、給与準則を越えて給与を払うときには、仲裁裁定によれば払ってよろしいが、その他は払えない、こう公社法は書いてある。ところが公労法は十六条で、第八条の団体交渉の権を認めて、協約ができてもそれは政府を一方的に拘束しませんよ、ただしかし国会の承認を得ればよろしい、十六条にこう書いてありますから、そこには逃げ口が講じられておるわけでありますが、公社法は実はそうなっていないのです。そこで私は、いまの議論の中で何をしてきたかといえば、要するに、三公社も当初にベースアップの予算を組んでおきなさい。国家公務員については政府が組んでいるのだから、組みなさい。さらに公社法のこういうところを改めるべきではないかということを言って、運輸大臣はそう考えるという御答弁をいまいただいたわけです。 そこで私は労働大臣に伺いたいのは、その結果、いまのこの仕組みでいくと、給与準則によって一円も組んでいないものを出そうとすれば、仲裁による以外ない。仲裁による以外ないということは、紛争を起こさなければ仲裁にいけないわけです。自主的に話がついてしまえば仲裁にいかない。本来は十六条で処理するという道があるのですが、そういうところまで問題は全然進んできていないわけです。しかし、少なくとも公労法というものは、たてまえはその方向を目ざした法律だと思うのです。これは公社法とたてまえがずれておるところがあるわけです。 私は、一九七〇年代の公共企業体の賃金というものは、いまのような紛争が起きて仲裁によってだけ処理するなどというのは、一九六〇年代ならある程度やむを得ませんけれども、七〇年代の新しい段階に来た新しい公共企業体の賃金のあり方というものは当然開けていいのではないか、こう思うのです。これはやや抽象論ですが、それについて、大臣、どういうようにお考えになるか、お答え願いたい。
○野原国務大臣 堀先生の御主張、まことに妥当だと思います。なるべくならばそういう形になっていくことが——一九七〇年代における三公社五現業などの賃金体系というものはどうもいままでのようではいかぬ、何とかいたしたいということで目下苦労しておるのでありますが、御指摘のとおりそういう方向を持ちたいものだと思っております。
○堀委員 そこで、もう一つちょっと大臣に伺いたいのは、何か最近の、過去十年間における姿は、公労委が三公社五現業の賃金決定の機関のようになっておる。公労委というのは紛争処理のための機関なんですよ。しかし現実は、ここは、人事院が政府に勧告をするのと同じように、要するに公労委の仲裁が人事院勧告と同じようなかっこうになってきておる。まさに本来の給与勧告機関でないものが——人事院は給与の勧告機関でありますが、紛争処理機関があたかも賃金決定機関のようになっておるというのは、私は間違いだと思う。これはあくまでも紛争処理の機関であって、賃金決定の機関にするならそのための機構が整備されていなければならぬのに、そのようになっていないと私は思うのです。公労委というのは本来紛争を処理するための機関ですから、その点も私は、本来の紛争処理の機関としての姿に返るようにしていくことが望ましいのであって、いまのような賃金決定機関とみなされるような姿は、これもやはりいまお答え願ったようにすみやかに改められるべき方向ではないかと思いますが、どうですか。
○野原国務大臣 紛争調停の機関であるべきものが、現在ではどうも賃金決定の機関だけであるようだということは、まことに矛盾であると存じます。賃金決定の問題もおそらく調停の目的の中に入ると思いますけれども、とにかくいずれにしましても、現在の公労協というものが自主的にものごとをきめかねるというところから問題がきておるわけであります。そういう問題をいかにして改めていくかという問題等は、まだこれから研究を要する問題であろうと思います。 いずれにしましても、ひとつ本年の要求等につきましては、お互いに率直に一応話し合いをしてみて、これだけならば何とか出そうとか、この程度はどうかといったようなことをある程度煮詰めていったらどうかという話を先般来しておるわけでございます。そういうことで、初めから何も出さないうちに調停に持ち込むということではなしに、両者の誠意ある、責任ある腹の中をひとつ見せ合って、その上で何ともやむを得ないときには公労委に持っていくというふうなことにできないかということで、いまそういう線で話し合いを進めるようにお願いしておるわけでございます。何とかそういうことにしたいと思います。
○堀委員 労働大臣の御答弁ですが、私もたいへんけっこうだと思っておるのです。実は昭和四十二年から、これまではきわめて不当な回答がされておりましたのが、調停段階ではありましても、かなりまともな回答が公共企業体側から示されるようになりました。四十二年、四十三年、四十四年の三年間、前に比べれば著しい進歩をいたしました。私が当委員会で当時武藤主計局次長とずいぶん論争した結果、問題がそこまで発展をしたのです。私は公共企業体の賃金問題としては一歩の前進であったと思います。 しかし、このやり方をもうすでに三年やってきたわけです。ここらで、一九七〇年代に入れば、もう一歩前進をしていいのじゃないか。そのもう一歩の前進というのは、いま大臣がお話しになったように、自主交渉の段階で、少なくとも、調停で出せるものなら自主交渉の段階で出して、それによってできるだけ労使双方が理解し合えるような条件をもう一歩先へ進めれば、今度の三十日に予定をされておる公労協その他の実力行使の問題は大幅に改善をされる余地があると私は判断をしておる。 要するに、労働組合側としては、評価するに足る回答が自主交渉で出されるならば三十日の実力行使については検討の余地がある、こうなっておるという前提で考えますならば、どうか労働大臣のほうで各関係の所管に対して何とか……。要するに実力行使をさせることはすべてが損をすることなんですよ。実力行使をして労働者も得をするわけではありません。国民はたいへんな被害を受けます。それでは企業体側なり政府が得をするか。だれも得をしないような実力行使を避けるためには、できる道はないのか。私は、いま労働大臣がせっかく努力をしておられる道を、各企業体なりあるいは現業側で配慮をして、ひとつ勇気をもって——過去三年、それまでは五百円という回答から、ともかくかなりの実額の回答をするように、そこで一歩前進をしました。一九七〇年の今日、ここでもう一歩前進をすべきではないか、私はこう考えますが、ぜひそういう方向で、これから残された短い時間ではありますが、労働大臣としてはひとつ積極的に関係部局に対して働きかけをしていただいて、労働大臣のイニシアチブのもとに、少なくともそういう労使の紛争が不幸な結末に終わらないような、国民が不測の被害を受けないような事態をつくり上げるために、せっかく努力をしていただきたいと思いますが、それについての御見解を承って労働大臣に対する私の質問を終わります。
○野原国務大臣 御指摘のように、制度的には非常な制約等もある現状におきましては、いろいろ困難があるわけでございますが、御質問の御趣旨を十分に体しまして、私としましては最善を尽くして努力いたしたいと考えております。
○堀委員 時間ですからけっこうです。
○毛利委員長 大臣、御退席願ってけっこうです。
○堀委員 大蔵大臣にお伺いをいたします。 資本主義社会における企業のあり方というのはいかにあるべきか、ちょっと大蔵大臣にこの問題についてお伺いしておきます。
○福田国務大臣 企業は企業としての責任を持っておるが、同時に、社会においてきわめて重要な役割りを果たしておるということを常に旨として企業の活動をすべきものである。これは私企業についても同じであります。
○堀委員 いま大臣お答えになりましたように、企業は、私企業であれ公企業であれ、企業としての責任がある、それから社会における重要な役割りを果たしておる自覚が必要だ、私もそうだと思います。 そこで、いまの企業の責任の問題なんでありますけれども、企業の責任というのは、まず第一に経営者が負うべきものであります。これはもちろん労働者も負いますけれども、まず先に経営者が企業の責任を負うということになるのではないでしょうか。
○福田国務大臣 まあ企業全体がそういう気持ちでやってもらわなければならぬと思います。企業といえば、これは経営者もおります、株主もおります、また労働者もおります。それらが一体としてそういう気持ちでやっていかなければならぬが、順位をつければ何といっても経営者が第一だ、このように思います。
○堀委員 経営者に企業責任があるということが確認をできました。 そうすると、今度はもう一歩中へ入りまして、企業経営における重要な問題というのは大臣はどんなふうにお考えになっておりますか。企業経営における重要な課題ですね。たとえばその企業が将来を目ざして発展をするために設備投資をする、どういう設備投資をすることがその企業の将来に対してプラスになるかという、設備投資をするというのもこれは企業の経営責任の中の一つの重要なファクターですね。私はそう思うのですが、そういうような形で、あとはどういうものがあるというふうにお考えでしょうか。
○福田国務大臣 何といっても、企業は日本の社会をささえる一つの単位でございますから、その社会単位としての責任に徹し行動するという責任があると思います。 それからもう一つは、株主に対する責任であります。企業は株主から会社の経営を委託されておる、こういうことで、株主に対する責任という問題がやはりあると思います。 それから第三には、その企業傘下で働く者、こういう人たちのしあわせを確保していかなければならぬ、こういう問題があると思います。それらがおもな内容だろうと思います。
○堀委員 私も全く同感であります。 そこで、最後にお話しになった企業傘下で働く者のしあわせを願わなければならぬ、このファクターは、私はそれを端的に言いますならば、その企業に従事する従業員、自分も含めて——企業経営者もいまは、法人でありますれば自分も給与をもらうわけでありますが、自分を含め、すべての職員といいますか、企業に従事する者に給与をいかように支払うかということも企業経営の非常に重要なファクターである。投資もそうですし、あるいはいろいろな販売計画、いろいろなものがありましょう。しかし同時に、いまおっしゃったように、企業の自己責任の重要な部分に、その支払う給与というものをいかように決定することによって自分の企業を発展させるかということも、これはその働く人の意欲を向上させる、その他の生産性をあげることのためにもきわめて重要なファクターですし、私は企業責任の重要な一部分であると思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
○福田国務大臣 そのとおりだと思います。
○堀委員 私が前段に伺いたかったことは実はそこなんです。要するに、企業というものを経営していく立場に立てば、企業責任があることはきわめて明確であります。その企業責任というものの中にはいろいろ問題がありますけれども、その企業に働く者の給与について、経営者が責任をもってこれを決定できるということが、私は本来の資本主義社会における企業というものの当然の姿だ、こう考えておるわけです。 ところが、なぜ私がそういう回りくどい論議をここまでしてきたかといえば、現在の公共企業体の経営者は、それではそういう賃金決定の本来あるべき企業責任が果たし得るような立場に置かれているかどうか、ここに重要な問題があると思います。 北島専売公社総裁にお伺いをいたします。いま私が進めてまいりましたように、北島さんも専売公社という、国の経営する企業の経営責任者でございます。専売公社の経営をいかにしていくかということについては、投資の問題あるいは原材料の購入の問題、販売の問題、いろいろな重要な課題があると私は思います。しかしやはり、いま私が前段で大蔵大臣に確認をいたしましたように、その企業に働く者の、職員の給与を決定して、いかにしてこの職員が自分たちの職務の内容と責任に応ずるようにするかということは、私は経営者としての重要な仕事の一部ではないのか、こう考えておりますが、北島総裁はどういうふうにお考えでございましょうか。
○北島説明員 ただいまお話しございましたように、職員の賃金の決定についても、私どもは自主的にできればこれに越したことはないわけであります。私の責任と存じます。しかし、御承知のとおり公共企業体ということで、法律、予算等の制約がありまして、そのワク内においていままでやっておるわけでございます。
○堀委員 大臣、要するに、公共企業体が置かれておる趣旨は一体どこにあるかと申しますと、ちょっと電電公社の例をとりますと、日本電信電話公社法第一条は、「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本電信電話公社を設立する。」こうあるのです。これは専売公社についても日本国有鉄道についても、いずれもすべてに入っておりますが、この能率的な経営の体制を確立するということが、三公社を政府の機関から独立させたときの主たる実は問題になっておるわけですね。能率的な経営をしなければならぬときに、今日のように、労働力が一九七〇年代は明らかに不足をするということを新経済社会発展計画は示しておりますね。労働力は非常に不足してくる。物価は依然として上がる。賃金も、先ほどちょっとここで触れましたけれども、大体、新経済社会発展計画では——こうなるかどうかは別としても、物価については四十五年度から五十年度にかけて平均四・四%くらい上がるだろう、雇用者所得は一人当たり名目で一二・一%上がるだろう、こういうふうに想定をしているときに、当然公共企業体が能率的に運営をされるためには、その能率をあげるために必要な労働者の意欲を満たすだけの賃金を払うことを、少なくとも公共企業体の経営者に与えるということから、一九七〇年代の公共企業体の本来の能率をあげるという目的が完遂をされるようになるんじゃないか、こう思うのでありますが、前段で大臣が企業のあり方——これは民間だけではなくて、公共企業も当然企業である以上は同一の問題でありますから、そういう考え方を一九七〇年代には、六〇年代の過去は問いませんけれども、むしろ新しく道を開くことが、私はやはり後段に書かれておるところの国民の福祉の増進につながる、こう考えるのでありますけれども、大臣、いかがでありましょうか。
○福田国務大臣 三公社五現業の勤労者の給与につきましては、それが公共企業体であるということから調停の制度がある、また、裁定の制度がある。そういうようなことで、万一労使の間で話し合いがつかぬという際にもセーフガードがちゃんとついておるわけですね。特別な仕組みでついておるわけなんです。こういうことで快適に勤労努力をするというその体制が確保されておる。こういうことで、あなたがおっしゃるその趣旨は大体貫かれておる、こういうふうに思っております。ただ、話し合い段階で、三公社五現業の当局がもう少し自由な話し合いができないかなということが、私は当面の課題になっておるんではないか、そういうふうに思います。 いま、これは公務員制度審議会の大きな議題になっておるわけなんです。ここで詰めておりますが、私どもといたしましては、その詰めは、なかなかこれは時間がまだかかりやしないかと思います。しかし、そういう経過的な時期におきましても、運用上できるならば、公社、現業当局の裁量の余地というものがなるべく弾力的に行なわれるように努力をしたい、こういう考えでございます。
○堀委員 きょうは、大臣がそろって入っていただけないものだから、同じことを何回も言わないとどうも意識が統一をされない。たいへんロスが多いのですが、まあやむを得ません。 いま大臣は、公共企業体については、調停とか仲裁とかというセーフガードがあるとおっしゃった。実は、これは大臣がお見えになる前に、運輸大臣ときょうはだいぶやったのです。何を私はそこでやったかといいますと、こういうことを申し上げたわけです。 国家公務員も、かつては、人事院勧告はございましたけれども、当初にはベースアップの原資を一円も組まなかったわけですね。これは大臣御承知のとおりであります。私は、予算委員会その他大蔵委員会で、何回かこの問題に触れた。すでにもう、過去においてもずっと上がってきて、将来も上がることは、政府が新経済社会発展計画で明らかにしておる。閣議で決定しておる。幾ら上がるかは別としても、まあ、大体一〇%内外は上がるんだということはわかっておるのに、一体、当初予算に組まないというのはおかしいではないかということですね。すべてを補正にゆだねて、その補正のときにいつも言われることは、財政上可能かどうかを判断してやる以外にはできない、こういうことが長く続いたわけですね。これは総合予算主義に一歩前進をして、その点では私はたいへん見るべきものがあったと思っております。しかし、当初は予備費に組んでいましたね。それが今度は給与費の中に組めるところまできた。たいへんな進歩です。私はこれが本来の予算の姿だと今日思っておりますから、これはたいへんけっこうなんであります。 ところが、公共企業体のほうは、実はこういうことになっておるわけです。電電公社法三十条では「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」国家公務員の給与その他の事情を考慮して定めるということになれば、国家公務員が当初予算に組んであるのなら、少なくとも公共企業体も当初予算に組んでいいのではないか。幾ら組むかは別ですよ。幾らか組んでいいのではないか。特に、なぜそれを言うかというと、電電公社法七十二条では「この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該事業年度の予算の中で定められた給与の総額をこえるものであってはならない。」というふうに規定していますから、一円も組んでなければ、これはもうそれ以上給与は出せません、こうなっておる。ただし、「公共企業体等労働委員会の裁定があった場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、郵政大臣の認可を受けて、給与として支給するときは、適用しない。」という例外規定が設けられたのですね。ですから、このことはセーフガードじゃないのですよ。 公労委というのは、紛争が起きたときに処理をする機関なんです。よろしゅうございますか。紛争が起きなければ仲裁にいかれない。仲裁でなければ予算できめたワク以上は出せないということを公社法で三公社ともきめておるわけですね。それではちょっと筋が通らないだろうと言ってきたわけです。だから、これはセーフガードではないのですよ。これは何でこうなっているかといえば、紛争が起きたらそうしますとなっておるものを、紛争が起きることを前提として公社法の七十二条にこういう書き方をしておるというのは問題があるわけですね。だから、私はさっき、運輸大臣との論議の中で、大臣から、当初予算に組むのが適当であるし、公社法は改める方向で考えるべきだ、こういうふうに御答弁をいただいたわけですが、大蔵大臣はその点について、こういうあり方では——一円も組んでなくて、しかしベースアップは一二・一%あるんだ。一二・一%であるかどうかは別として、国家公務員はすでにもう予算は組んであるわけです。あれは五%ぐらいですか。 ちょっと橋口さん、いま国家公務員のベースアップは幾ら給与費に組んであるか、答えてください、パーセントで。
○橋口政府委員 国家公務員の給与改善費といたしまして、所管別と組織別に一定の金額を計上いたしております。四十五年度について申しますと、五月から現行ベースが五%引き上げられた場合を前提といたしまして、約六百四十億円の金額を計上いたしております。
○堀委員 大臣、いまお聞きになりましたように、五月実施で五%組んであるわけですね。昨年は一〇%以上の人事院勧告が出ておりますから、これで十分とは言えませんが、組んである。しかし、公共企業体には一円も組んでないのですよ。ちょっとこれはおかしいとお思いになりませんか。おまけに、こんなリジッドな法律をここで書いておるのに、予算として一円も組まないで、そして公労法では、団体交渉をやりなさい、これは協定ができるんですよ、こういうふうな行き方になっておるわけですね。いま一生懸命団体交渉をやっていますよ。団体交渉を幾らやったところで、それではできないんですよというような話では、これはずいぶん公共企業体の労使関係を不当な扱いにしておる法律であるし仕組みであると思うのです。そこで運輸大臣は、当然予算に組むべきだ、それから公社法のこういうところは改められるべきだ、こういうお答えをいただいたのですが、大蔵大臣いかがですか。
○福田国務大臣 とっさの話で決定的なことを申し上げかねます。しかし一般の公務員について給与費を計上しておるということはありますから——まあ理屈を言えば公務員の給与の立て方とまた三公社五現業の方々の給与の立て方は違うわけなんです。それから予算の仕組みも弾力条項とかいろいろある状況でございますが、あなたのおっしゃることは一つの理屈である、こういうふうに思いますから、これは私もよく考えてみます。
○堀委員 これは今後の問題で重要でございますから、ぜひ考えていただきたいわけです。なぜ私はそう申し上げているかといえば、そこに予算が組まれてくれば、その組まれた範囲だけは、私がさっき言った経営者にその給与権についての権限がそれだけ与えられておるわけですから。いまベースアップについては、率直に言いますけれども、大蔵省は公共企業体の経営者に対して全然与えてないのですよ。あなたはさっき、経営の重要な企業責任の中に給与の問題があるんだ、こうおっしゃったですね。給与の問題があると大臣は言っておられるけれども、公共企業体にはないのです。一円も組んでないというのはゼロということです。大臣、これはやはり問題です。これは理屈とおっしゃったけれども、理屈というより一つの論理ですよ。筋道として、いまの体系の中で、あなたが前段でお答えになった企業責任のあり方というものに関連してものを見ていけば、当然、国家公務員に見合う程度の裁量権というものを少なくとも公社の経営者に与えるというのが、これは私は、一九七〇年代のあるべき公共企業体の賃金の姿に即応するためにもきわめて重要なファクターだ、こういうふうに考えるわけです。私は、いまここで即答を求めませんけれども、これは非常に重要な公共企業体の賃金問題でありますので、ひとつとくと前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。その点をもう一ぺん……。
○福田国務大臣 前向きに考えてみます。
○堀委員 そこまで話がきましたから、最近の経過についてちょっと、これは大蔵大臣を含めてお聞きをいただきたいのでありますが、最近の春の賃上げの問題で、民間と公共企業体の平均を比べてみますと、民間は昭和四十年は一〇・三%、公共企業体は九・六%、〇・七%の差があります。四十一年は民間は一〇・四%、公共企業体は九・八%、〇・六%の開きがあります。四十二年は民間が一二・一%、公共企業体は一一・四%、〇・七%の開きがあります。四十三年は民間が一三・五%、公共企業体は一一・九%、ここでは一・六%の開きになりました。四十四年は民間は一五・八%でありますが、公労協は一三・七%であります。ここでは二・一%に乖離いたしました。最近の傾向は、民間の平均賃金の上昇率に比べて公労協の賃金の上昇率はだんだんと格差がいま目立ちつつあるわけです。 さっき私が読み上げましたように、公社法では「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情」とありますから、「その他の事情」で多少下がっているということは別として、「を考慮して定めなければならない。」こうあるわけですから、この点は、私は公共企業体といえども企業の前向きな運営、さっき申し上げた能率をあげる、生産性を向上させるためには、やはり生産性の上がった部分については当然そういう配分をしていくというかまえがないと、今後民間と公企体で人間の取り合いが起こると思うのです。労働市場が御承知のようにだんだん枯渇してくれば、この労働市場の中から、今後の企業はいかにして優秀な人材をとるかによって、企業の能率なり将来は決定される、私はこう考えておるわけです。その場合、優秀な能力のある人材をこの新しく出てくる人間の中から民間がどれだけとるか、公企体がどれだけとるかによって、公企体の将来の能率の問題に非常に関係してくる、私はこういう判断をするわけでありますが、ここらについて、私は幾らにしろという話はいたしません、この原則論の話をずっとしておるわけですから。原則的にはやはりそれらの問題についても配慮が必要である。民間と著しく乖離が広がっていくということは、やはり問題が将来に残るのではないか。適当な幅でやはり民間賃金と関連を持たなければいけないのではないか、こう思いますけれども、大臣、その点についての考え方はいかがでしょうか。
○福田国務大臣 それはそのとおりと考えますが、最近は団体交渉、調停、そして最後には裁定だ、こういう経過を経てきめられております。そのきめられた結果が一体どうなっているか、こういうお話だろうと思いますが、そのきめられた結果は、お話しのように一般の公務員に対し、また民間の勤労者に対し、均衡がとれておる形になっておる、こういうふうに承知しております。
○堀委員 均衡がとれておるとおっしゃったけれども、この乖離はだんだん大きくなってくるものですから……。だから、私がいまずっと例にしたのは、実際の率がどうだという議論じゃないのです。民間と公共企業体が、たとえば最初に私が申し上げたように、〇・七とか〇・六とかという程度の幅が、だんだん乖離が大きくなってきますので、これのままであまりどんどん乖離が大きくなることは、これは、さっき申し上げたように、人間をとるのに同じ競争に立たされておる以上は、あまりこれを大きくしては問題があるのではないか。それは差が多少あるのはその場合によって、いろいろ「その他の事情」とあってやむを得ませんが、あまり乖離をしないようにしておかないとまずいのではないかということを申し上げておるのです。この点いかがでしょうか。
○福田国務大臣 それはお話しのとおりなんですよ。ですから議論としては私はあなたのように考えます。実際はどうだというと、乖離はない、こういうふうに思っておる、こういうことなんです。
○堀委員 労働省がいませんから、ちょっと橋口次長に聞きますが、私がいまずっとあげたパーセンテージの計数には間違いありませんね。あなたのほうではとう理解しておりますか。——労働省の労政の方は帰ってしまいましたか。——それでは大蔵省、私の申し上げた数字が間違っているかどうか、わかっていれば答えてください。
○橋口政府委員 先ほど先生の御指摘になりました民間の春闘相場と三公五現のベースアップの引き上げの率でございますが、おあげになりました計数は労働省の調べと符合いたしております。
○堀委員 ですから、いま私が申し上げたように、最初の〇・七ぐらいが四十三年には一・六になり、四十四年には二・一%に開いたということは、だんだん乖離がふえているわけです。〇・六とか七とかが一・六となると倍以上も乖離がふえる、その次は今度は一・六から二・一にふえたわけですから、私はこれで見ると乖離はふえつつある、こう見ておるわけです。ここまでふえてきたものをどうするかというのは今後の問題ですが、このままでいくと、どんどんこうなったのではたいへんなことになるぞという感じなんですね。だからその点、前段のほうで私の考えと同じだとおっしゃっているからいいのですが、しかし現実が乖離しているから……。私はいま乖離をあまりしてはならぬぞという話をしているので、その点をちょっと認識の面を含めて……。
○福田国務大臣 先ほど申し上げておるとおり、乖離は現実の問題としてはない、こういう判断です。これが一厘一毛狂っておる、こういうふうにはあなたもおっしゃらぬと思いますが、しかし大体においてこれは均衡がとれている。これは去年の仲裁裁定でも、特にこの裁定は民間との乖離はない、こういうふうに言っていることでも明らかだと思います。
○堀委員 私が申し上げておるのは、その個々のものの額の中で申し上げているのではないのです。傾向で話をしておるわけです。ですから、そういう傾向は、それは中身が合っていれば傾向も合ってきてしかるべきだと私は思うのでありますが、その点は十分お考えいただきたい。こればかり言っておられませんから……。 そこで残ってまいります問題は、ここまで参りました場合に、今度は公社のほうに少しお伺いをしたいのでありますけれども、さっき、国鉄は四十四年から十カ年計画ということでお考えになっているようです。専売公社なり電電公社も、いずれもいろいろお考えがあるのですが、最初に専売公社にお伺いしたいのですが、専売公社としては、いまは確かに賃金に関してだけは、率直に言って当事者能力はありませんね。もし当事者能力が完全に回復されたと仮定をした場合に、将来のあるべき賃金の決定というものは、どういうふうなものの考え方の上でやっていかれるか。これはことしの話ではございません。要するに七〇年代というある展望の上に立っての、当事者能力が回復された場合における賃金決定に対しての心がまえというものは一体どういうことであるべきかという点について、ちょっと最初に専売公社の総裁に伺っておきたい。
○北島説明員 なかなかむずかしい問題でございますが、現在では御承知のとおり一応当事者能力はありということではございますが、給与総額制度あるいは法律で制限がございまして、思う存分自主的に解決することができないたてまえになっております。しかし方向といたしましては、自主的に交渉して自主的に解決するという線は望ましいのでございまして——これは公社制度全体の制度の改廃という問題にも関連いたしますので、どうも私から申し上げかねるわけでございますが、方向といたしましては、やはり自主的に交渉し、自主的に解決していくという方向であります。しかも賃金の内容においては民間賃金に劣らず、しかも能率に見合った給与が出せるようになれば、これよりしあわせなことはない、こう思っております。
○堀委員 そこで、確かに公社法はこういう制限がありますけれども、公労法のほうでは第八条で、御承知のように団体交渉による協約を認めております。団体交渉の事項として賃金、給与が認められておりますから、確かに一面的に、そういう当事者能力がないように法律は書いてありますが、同時に、しかし公労法では、団体交渉をして協約をつくって、その協約そのものは政府を拘束するものではありませんけれども、その協約を政府が国会に出してくれれば、それはそれなりにいけるという別の道が一つ、私はここに講じられておると理解をしているわけですが、公社の場合は、それは別の可能な道と現在理解しておられるか、やや困難な問題があると考えておられるか、その点をちょっと伺っておきたい。
○北島説明員 公労法十六条と専売公社法の給与準則の規定との食い違いがございまして、はたしてこれをどういうふうに法律的に読むべきか、なかなかむずかしいところでございましょうけれども、かりに公労法十六条の規定が生きておるのだ、こういたしましても、いままでの現状におきましては、自主的に交渉し、団体交渉はいたしておりますが、団体交渉が妥結に至りませんで調停にいき、さらに仲裁にいって裁定されておる、こういう状況でございます。
○堀委員 内閣法制局、入っていますね。——いまお聞きをいただいていたと思いますが、さっきから私が何回も読んでおる、たとえば電電公社法の七十二条ですか、専売公社法四十三条の二十二に書かれておる給与準則の法律と、いまの公労法十六条というのが二つあるわけですね。これは法制局、どっちが優先するのですか。法律がこういうふうに書かれていれば、運用しようと思えば、この給与準則のほうは公労法十六条を拘束するものではないのではないかと私は理解するのですが、その点法律的にはどうなんでしょうか。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 先ほど来、堀委員の御質問を伺っていまして私、感じたところなんでございますが、三公社の労働関係につきましても、まず自主的に労使の交渉によってきめていく、それがきまらない場合には第三者の機関の関与を得てあっせんとか調停とか仲裁とかという方法できめていくという一つの要請があるわけでございますね。これは労働政策上といいますか、労働関係を規律する上においての一つの要請だと存じます。ところで三公社は公共企業体でございますので、その財政については国会で民主的コントロールを必要とするというのもまた一つの要請でございます。この二つの要請は必ずしもうまく一致するわけではございませんので、その二つの要請を調整する手段といたしまして公労法の十六条なりあるいは国鉄法の四十四条、電電でいえば先ほどお読みになりました七十二条があるのだろうと思います。 それで、公労法の十六条の規定とそれから国鉄法四十四条の規定とはどちらが優先するかとおっしゃいますけれども、どうも私、読んだ零囲気においては、それほど矛盾するものではないと思えますので、特に優劣関係を論ずるような必要はないのじゃなかろうかというように感じます。
○堀委員 いまあなたがお答えになった、要するに賃金がきまらない、きまらないから調停にいくんだ、こうなっているのですね。なぜきまらないかというと、この法律が、きまるような答えをさせない仕組みになっているのじゃないですか。どうですか。いまのこの書き方でいけば——さっきから私、何回も言っているけれども、本来賃上げというものは予想されているにもかかわらず、要するに一円もベースアップを組んでいなくて、そうしていまの給与準則のところでは、一事業年度の支出は国会の議決を経た当該事業年度の予算の中で定められた給与の総額をこえてはならない、こういう書き方をまずしたら、とにかくあなた、この法律だけが優先をするのなら、率直に言えば何もできないということですよ。いいですか。そうしてそのあとで、仲裁を例外規定として認めた。だからさっき私が議論しているように、この法律だけのたてまえからいけば、一円も組んでいないなら紛争を起こす以外にはないのじゃないかということについて、あなたは法律的にそれをどう理解しますか。
○真田政府委員 先ほど申し上げましたように、現行の公労法の十六条なり三公社法のそれぞれの該当規定は、先ほど申しました二つの要請を調整する実定法上の解決策として考え出された手段であろうと存じます。それが当事者能力があるかないかというような問題にからんで非常にむずかしいことが起きますので、先ほど運輸大臣でございましたか、お答えになりましたように、公務員制度審議会でもそれを取り上げて、もっといい解決法があるんじゃなかろうか、現行法ではたしていいかどうかという観点から御審議を願うことになっております。それは将来の立法政策の問題でございまして、現行法の解釈といたしましては、先ほど申しましたように現在そういう一つのルールがありますので、それに従って解釈しなくてはいけないわけで、いまの三公社の当初の予算は給与費として一円も組んでいないじゃないかとおっしゃるのは、それは法律問題でございませんで運用の問題でございますので、私のほうからそれが適法であるかどうかということをお答えすべき筋合いではないのじゃなかろうかと思いますから、御容赦を願いたいと思います。
○堀委員 そうすると、法律をすなおに読むと、要するにここに書かれていることは、まず七十二条の前段では、国会できめた予算の中でしか給与を動かしてはいかぬ。だからあなたの調整部分というのは二項が調整部分ですよ。だから調整をしたのは二項だ。一項はこれの原則規定ですね。
○真田政府委員 その調整をいたしましたのは、つまり調整の手段として考えておる現行法のしかけは、公労法の十六条とそれからそれぞれの三公社法の当該支出規定と、そう申して全部だろうと存じますので、そのように解釈願いたいと思います。
○堀委員 いまの七十二条なり国鉄法四十四条あるいは公社法の四十三条の二十二は、いずれも議決された範囲しか給与を出しちゃいけませんと、こう規定しているのだから、これは調整じゃないですよね。ここは調整じゃないでしょう。それは規定しているのでしょう。その規定したことに対して二項で、要するにそれに対する調整を書いた、こうなっているわけですね。その調整というのは、だからここでは紛争を起こす以外にはないという調整ですね、と言って聞いているのです。紛争が起きなければ仲裁にいかないんだから。どうですか。
○真田政府委員 紛争を起こさなければ絶対だめだというわけではございませんで……(堀委員「紛争が起きなくても仲裁にいくかいかないか言ってください。」と呼ぶ)ただ、私が申し上げましたその調整のしかけといたしましては、先ほど申しましたようになるべく労使間できめていただくという一つの要請と、それから財政についての国会のコントロールの必要性という要請との調整のしかたとして、このような現行法の仕組みができているのだろうというふうに申し上げたわけでございます。
○堀委員 もう一ぺん少し詰めてここは伺っておきますが、要するにこの二項の調整は、「裁定があった場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、郵政大臣の認可を受けて、給与として支給するときは、適用しない。」と、例外規定を設けたわけでしょう。それが調整ですね。だから、じゃ仲裁裁定というのは、紛争が起きなくても仲裁裁定は出ますか。そこからはっきり答えてください。
○真田政府委員 仲裁裁定は、これは申し上げるまでもなく紛争を前提としている制度でございます。先ほど来私が申し上げておりますのは、二つの要請を調整する手段として現行の仕組みができているのであろう。それで、その現行の仕組みのやり方の中身といたしまして、両当事者間の、労使間の協定によってものがきまった場合と、それから紛争が進展いたしまして仲裁裁定によってものがきまった場合とで、調整のやり方としてウエートの置き方が若干違っているだろうということはわかります。わかりますが、全然その調整のしかたとして……
○堀委員 いや、私はいま公労法十六条は聞いていないですよ。いまの給与準則のところだけ聞いているんだから……。この給与準則の書き方は紛争を予定して書いてある。紛争をしたときだけ例外ですと、こういうことでしょう。紛争がなければ仲裁は起きないんだから。あなたはいま、紛争を前提として仲裁があると言ったんだから、それならばその仲裁のほうを除けば、紛争を前提として仲裁を書いた、こういうことですね、法律は。法律的にそこだけ答えてください。
○真田政府委員 国鉄法四十四条の二項によりまして、第一項の当該規定が排除されるのはまさしく仲裁裁定のあった場合でございます。仲裁裁定は紛争を前提とした制度でございます。
○堀委員 だから私の言うように、紛争がなけれが仲裁裁定がこない、ということは紛争を前提として例外規定を書いた、こういうことですね。イエスかノーかだけ答えてください。
○真田政府委員 仲裁裁定のあった場合にだけ第二項が働くということはおっしゃるとおりでございます。
○堀委員 それは紛争がなければここへいかないんだから。私が言うのは、イエスかノーかだけ答えてもらったらいいのですよ。あなた余分なことは要らない。イエスかノーか答えてください。問題をはっきりさせなければだめだ。
○真田政府委員 第二項の働くのは紛争を前提とする場合でございます。
○堀委員 大蔵大臣、日本の法律の中に——一九七〇年代というのは、労使の紛争があることを期待する時代ではないと私は思うのです。よろしゅうございますか。やはり労使が紛争なくして、要するに仲よくやっていけるようにすることが、私は七〇年代の労使慣行のあるべき姿だと思うのです。そうなれば、少なくともその三公社のこれらの法律は、第二項のほうは、このただし書きの部分は、まことに重大な問題があると私は思うのです。いま法制局部長が最終的に答えたように、紛争を前提として例外規定があるなどということは、これは私はこのままほうっておけぬ重要な問題だと思うのです。
○福田国務大臣 これは何ごとによらず、紛争を前提とする、こういう考え方をとるべきものじゃないと思います。話し合いできめなければならぬ、それがもう基本です。しかし話が平和的にきまらぬ、相互の了解に到達しないという場合もまたこれはあるわけです。その場合に対する処置を考えておかなければいかぬというので仲裁裁定ということになっておりますが、基本的な考えとしては、紛争ということがなるべくないようにということを念願すべきものだと考えます。
○堀委員 わかりました。そこで、確かに紛争が起きないようにするのがたてまえになりましたね。紛争が起きないことにするのをたてまえとして考えるならば、公労法十六条というものが、法制局が答えておりますようなもう一つの調整の手段になっているわけですね。ちょっと私読んでおきましょう。公労法十六条は、「公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によって所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。2 前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。国会による承認があったときは、この協定は、それに記載された目附にさかのぼって効力を発生するものとする。」こういうふうに定めているわけであります。その協定というのは、第八条で「第十一条及び第十二条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。ただし、公共企業体等の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。」「一 賃金その他の給与、」その他云々と、こういうふうにずっとあるわけです。 ですから、私は結局、ここでいま大臣のおっしゃるように、紛争を予想しないかっこうで問題を考えていこうとするならば、前段としては紛争を起こさないようにするために、ある程度の給与に対する裁量権が経営者に与えられておれば一つの道が開ける。しかし与えられていても、いま予算に組んでないものですからね。さっき私が言ったように五%組めば五%分裁量の幅ができるけれども、いま一円も組んでないから、もしかりに協定をしたとしたならば十六条による以外には道がない。 要するに道は二つしか残されていない。その二つの道は、一つは紛争を前提としたもの。これでなくて、一九七〇年のあるべき姿は、やはりできるだけ公社の能率を高めるためには、前段で私が触れた、企業責任の最も重要なファクターであるところの給与の決定権を公社に認めて、しかしそこで行き過ぎがかりにありとすれば、それは国会でチェックをするという——十六条の規定でチェックができるのだから、これまでのような、要するに公社法の給与準則第二項のように紛争を前提とし、公労委をあたかも賃金決定の人事院かのような決定機関にしてきた一九六〇年代の慣行を、七〇年代にはやはり正しい方向に改めるべきではないかというのが、きょうの私が論議をしておる重要な問題点に、実は大臣、なっておるわけです。 ですから、それにはいろいろと、過去における経過から一挙に行けないかもしれません。しかし少なくとも七〇年代の公共企業体の賃金は、そうやって公共企業体の経営者に賃金決定権を与えるところから、私は正常な企業経営が出てくると思うのですよ。賃金決定という重要なファクターを第三者にゆだねておるような安易な経営で、一体まともに経営ができると大臣お考えになりますか。私はできないと思うのです。やはり経営の責任を全部彼らに、公共企業体の経営者にまかせたときに、ほんとうに真剣な企業経営に対する責任が生まれ、その中から当然その企業経営として公正な給与の決定がなされ、そのなされたところから能率の向上がはかられ、国民の福祉に寄与する、こうなるのが七〇年代の公共企業体のあるべき賃金の姿ではないか、私はこう考えますが、大臣、いかがですか。
○福田国務大臣 お話しのようなこともありますので、いま公務員制度審議会がこの問題と取り組んでいるわけです。これはいろいろなかなか複雑な問題がありまして、そう簡単に結論が出るかというと、そうもいかぬと思いまするが、いままさに堀さんの御指摘の問題に公務員制度審議会が取り組んでおる、こういうことなんです。しかし、それまでの間といえども運用上でこれは片づく場面もあるわけです。去年の例を見ましても、かなり高い額を調停段階で政府は提示をいたしておるでしょう。これはどういうことかというと、法律論とすると、厳格に言うといろいろ議論があるかもしれません。しかし、三公社五現業当局は責任をもってああいう額を提示をいたしておるわけなんです。そういうふうにいろいろと考えておるのです。しかし、制度的にこれをどうするかということになると、公務員制度審議会の決定を待たなければならぬというのが今日の段階でございます。
○堀委員 ひとつ公務員制度審議会を精力的に運営していただいて、やはりあるべき姿にすみやかに近づけなければならぬ問題があると思うのです、運用だけの問題ではなかなか片づきませんから。 そのほうの問題はそのほうとして、運用上の問題でありますが、いま大臣が、調停の段階で相当な額の回答ができるようになったと言われましたが、これは実は武藤さんが主計局の次長のとき以来、私、ここでずいぶん何回かこういう議論をした結果、ここまで来たわけです。これは大臣、四十二年、四十三年、四十四年と三年間この慣行が、たいへんいい慣行ですけれども、続いておるわけですね。私は、運用上は、調停の段階で答えられるものなら団体交渉の段階で答えても同じではないかという気がするのです。調停の段階で答えるというのは、要するに公労委の側から聞いているわけで、これは労働組合に答えているわけではないわけですね。調停の段階で出ているというのは、要するに公労委に幾らならけっこうですという話がいっているのだと思うのです。だから、同じことをやるのなら、第三者機関でこういうかっこうにしないで、団体交渉をやっている中で、それで解決しないかもしれぬけれども、当然、まず企業としてはここらまではやれるのではないかということまで労使双方の中で話ができるところにくれば、これは一歩前進になると私は思うのです。しかし、労使双方はそれでもなおかつ紛争をうまくオーケーということにならないでしょう。ならなければそれは調停に持っていって、そして調停でさらにいろいろ話をして、話がつけばそれはたいへんけっこうだ、こう思うのですが。大臣、同じことですから、公労委のほうに事情聴取で言うのも、どうせ言わなければいかぬのですから、早いかおそいかの相違なら、やはりあるべき労働慣行を樹立するためには、少なくとも団体交渉をやっている最終段階には、調停で言えることぐらい言ったっていいじゃないか、運用上、言わせるような仕組みにしたらどうかと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
○福田国務大臣 堀さんのおっしゃるお話の意味するところはよくわかります。また、さっきあなたと労働大臣が話し合いをされたそのときの労働大臣の話では、腹をさらけ出して団交段階でやるのだ、それがいいのではないか、そういう方向で関係各省と相談をしてみるというような話をしておりましたが、具体的にどんなことを考えておるのか、どんな腹の中か、まだ承知しておりません。よく相談してみます。
○堀委員 大蔵大臣も、労働大臣が積極的にそういう方向で各省と話を進めたいと言っておられることをお聞きになりましたし、大蔵大臣としてまた当然相談を受けられることでございましょうが、この一九七〇年のあるべき公共企業体の賃金の処理のしかたについて、この際ひとつ大幅に踏み切っていただいて、大蔵省の側としても、三十日に予定されておるような大幅な実力行使をできるだけ避けるようなための配慮をどうか十分やっていただきたい。さっきも申しましたように、実力行使が行なわれることは、結局国民にとっても大きなマイナスでありますし、労働者としても好きでやっておるわけではないので、どうにもならぬということで、団体交渉の中で提示されないからやるのだ、こうなるので、団体交渉の中でそういう額について、それが十分でなかったとしても、彼らも評価できる回答があれば考える、こうなっておるようでありますから、この際は、評価ができるような回答を、自主交渉の中で三公社五現業の経営者が回答できるような条件が醸成されるように、どうかひとつ十分な配慮をお考え願いたいというのが、当面の三十日の大幅な実力行使を前提としての重要な問題だと思いますので、その点を含めて、配慮について簡単にお答えをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 三十日に実力行使が予定されておるという話でありますが、違法ストは許されません。しかし、いずれの形にいたしましても、実力行使というようなことは避けることがこの際適切なことである、こういうふうに考えておるので、政府としてもできる限りの努力をしてみますが、これは政府ばかりの問題ではないのでありまして、組合側においても協力をしてもらうように、ぜひ御協力のほどをお願い申し上げます。
○堀委員 三公社のほうにお伺いをいたします。 いま大蔵大臣からああいう角度でお答えをいただきました。労働大臣からもああいう御答弁をいただきました。いまの大蔵大臣、労働大臣、運輸大臣、各政府の所管大臣の答弁を受けて、やはり三公社の当事者としては、公社側の職員がそういう実力行使を行なうことはまことに重大なことでありますし、そのことによって不測のいろいろな損害を国民に与えるということは当然避けなければならない問題であると思うのです。その点についてはいまの労働大臣、大蔵大臣の御答弁の線に沿って、ひとつ勇気と責任をもって、そういう自主的な交渉の段階で評価にたえるような回答ができる方向で全力を傾けてやってもらいたい、こう思いますが、それについての各公社の代表の御回答をいただきたいと思います。
○北島説明員 専売公社といたしましては、従来、と申しましても特にこの数年でございますが、できるだけ自主交渉の上に自主解決をしたいという方向で前向きにまいっております。私もその方向でまいっております。今後いろいろむずかしい問題もございます。事態もなお流動的ではございますが、できるだけ一歩前進をやってみたい、こう考えております。これには何といっても政府の御協力、御理解がないとできないことでございますので、私も政府の御理解をお願いいたしたいと思います。
○山田説明員 いま堀先生の一九七〇年代の賃金のあり方について、非常に興味深く、と申しては失礼でありますけれども、拝聴いたしました。 私ども、過去において七回、十六条の手続をとっております。最近では、三十六年以降はこの手続をとらないで最終的には解決をいたしております。自主的に団体交渉の場でやりたいというのが私ども昔からの念願でございますが、率直に申しまして、過去、一九五〇年の終わりから六〇年代に対しては、労使の間でも相当な相互不信の空気がございました。したがいまして、先生の立法論的なお話を伺いまして、これからその方向でやりたいと思っておりますが、やはり労使の相互不信の念を払拭するように、並行的に持っていかなければいい結果が出てこないのじゃないか、このように考えます。 それから、現実の三十日の時点でございますが、残念ながらうちの関係の組合はやはり違法ストを計画して発表しているようでございます。私どもの国鉄に関する限りは、他の二公社とちょっと違いまして、すでに問題が調停に入っております。そうして、先週、委員長の口頭による勧告が出ておりまして、先ほどもちょっと再建計画との関連の御質問がございましたが、ことしはいままでと違いまして、われわれの問題は再建計画の土俵の中で議論せざるを得ない。ことに昨年成立いたしました法律もございますし、そういうような環境になっておりまして、調停段階に入っておる。したがいまして、その関連で委員長の勧告が出たのだろうと思いますが、合理化の問題を詰めなさい、それと並行的に新賃金の問題についてもさらに団交をやりなさいという趣旨でございますので、まさにそのとおり連日やっているわけでございまして、その過程において、立法論は立法論といたしまして、いま現実の法体系の中では調停、仲裁、これがいままでの例でございますし、すでに調停の段階に持ち込んだ問題に対して違法なストをかまえるのは非常に残念であるということで、組合のほうにも大いにその点は説得いたしております。これからも努力いたすつもりでおります。
○秋草説明員 先ほど来、堀先生及び政府御当局から、いろいろこの問題につきましてありがたい、また有益な御討議を拝聴いたしました。非常に感謝しております。 私どもも、この種の問題、顧みますると十数年かかり合っておりますが、数年前以前は、国会のあらゆる委員会でしょっちゅうこの問題がはなばなしく論議されたものでございます。ところが四十二年から一歩前進いたしまして、調停段階で多少のこの問題の解決の曙光が開かれて以来、少なくとも私どもの労使間におきましては、ストは多少の歴史はございますけれども、気分的にはたいへんな変化が来だしております。 それで、私どもの立場で、経験者から申しますれば、いま山田副総裁が申しましたように、この問題については長い間の、どうしても意味がわからないというような意味の不信感が続かって、かなりつまらない紛争がかもされてきたというふうに、いまから見れば残念に思っておりますが、それが高じて、管理者すらも何か一つの劣等感とか、そういうものすら持つようなことになってくる。これは非常にまずいことでございまして、せっかくこの三年間続けてきた明るい路線というものは一歩も後退しないで、わずかでもいい、もう一歩一歩と少しずつ、でき得る線に近づけていっていただければ、私どもは非常にしあわせだと思います。一挙に今日完全無欠に行なうことはできないと思いますけれども、やがてそういう時代が来れば非常にけっこうでございますから、少なくとも一歩一歩、昨年よりももう一歩進んでいただければそういう道が開かれるような感じがします。私どもは、早くそれを期待いたしまして、少なくとも全力をあげて努力してまいりたい、かように思う次第でございます。
○毛利委員長 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、先ほども運輸大臣に、経済社会発展計画で大体賃金が一二・一%ずつこれから六年間伸びていくだろう、こういう試算がされて、これは閣議も承認をしておられる。国鉄の再建計画を見ますと、いま副総裁がお述べになったように九%、再建のいろいろないわゆる合理化計画、こういうようなものとからみ合って、これはすなわち人員を、十六万五千を再建計画では六万減らすということになっているわけですが、そういうのと、さらに赤字線を廃止するあるいは中間の小駅等の旅客取り扱い、貨物取り扱い等をばたばた整理して無人化するとか、こういう国民にとってもまた国鉄の労働者にとっても非常に抵抗の多い問題点を非常にかかえている再建案と抱き合わせでなければやれないということが表明されている。しかし、一方において、給与の引き上げは九%しか上げないのだ。一般全産業を通じての賃金労働者の賃金引き上げは一二・一%ここ六年は少なくとも続くだろう、こういうことを政府も承認されている。これから見ても三%も低いものが、しかも首切りだとかあるいは無人化だとか業務の縮小というような形を意味する合理化計画、こういうものをのまない限りその九%すら実施しないということでいいのかどうか、こういう問題点があろうと思うのです。 三公社の中でも国鉄の場合は——ほかの電電公社も専売公社もとにかく利益が予算で計上される企業体ですが、国鉄の場合には逆に赤字が計上される状態、こういう中で、そういう賃上げに対する基本的な態度というものは、額の面でも九%と一二%というようなことで、一般を三%も下回る。十年先を見通せば四〇%も差が開くというようなものになっている。しかもそれすらも、九%というものすらも、首切りを労働者がのまなければやらないのだ、こういう状態になっている。これは非常に問題があろうと思うのです。 これは、政府の国鉄に対する対策がきわめて貧しいというか、たとえばフランス国鉄は、日本と同じ意味の国鉄ではないにしても、予算の二〇%は政府が直接、金を出している。ところが今度、再建補助金あるいは再建債の利子補給金、こういうようなものでようやく百二十二億、予算規模に対して大体〇・一五%ぐらいですか、〇・一五%にもならないぐらい、こういうものしか国は出してない。それで二兆円にもなるような長期の借金を持って国鉄が運営されている。元利払いで千六百億にもなるという、そういう企業体になっている。そういう場合に、少なくともほかの公共企業体並みの賃上げというものは、これは当然やはり政府の責任においても確保していかなければなるまいと思うのです。おまえのところはこういう状態で、モータリゼーションや、航空機の発達や、あるいはトラックの発達や、そういうようなものとの競合にさらされて、かつて独占を誇った時代とは違うのだから低賃金であきらめろ、こういうことではいけないと思うのです。それに対してはやはり政府みずからが何らかの財政的な対策というもの、人並みの賃金を与えられるだけの対策というものは講じてやらなければならない立場にあるだろうと私は思うのです。この点についての大臣のお考えをこの際はっきりお聞きいたしたいと思うわけです。
○福田国務大臣 国鉄といえども企業体でございまするから、時世の変化に対応して近代化、合理化はしなければならぬと思います。これをほうっておいて、親方日の丸じゃございませんけれども、賃上げというわけにもいかぬと思う。やはりこれは両々相からまった問題だというふうに考えますが、しかし現にその職にある者に対しまして、その生活についてできる限りの配慮をする、これまた国鉄当局として当然のことだと思います。私が申し上げたいのは、それはそれとして、その近代化、合理化、これの努力を怠っては相ならぬというふうに考えます。
○広瀬(秀)委員 大臣忙しいようですから、これ一問でやめますけれども、ことしの予算で百二十二億ばかりの再建援助金を組まれたわけだけれども、国鉄の予算に対してわずか〇・一ちょっとというようなものしか出していない。こういうようなことでは、フランスが二〇%出しているというのから見ましてもたいへんな差なんですね。何らかの形でもっとこういう面を強化をして、少なくとも国鉄の現益の職員に対してもほかの公共企業体並みの賃金を保証する、そういう気持ちはあるわけですか、ないわけですか、その点をお伺いしたい。
○福田国務大臣 先ほど申し上げているとおり、現に働いておる職員に対しまして、賃金の面で最大限の努力をする、これは私当然のことだと思います。しかし同時に、いま国鉄がどうして苦境に立ったかという点も反省する、それに対して組合側の協力、これも私は当然必要だと思うのです。これは両々相まって国鉄というものが安定していくんだ、働く者もまたその管理者も、ほんとうに一体となってこの再建に取り組むべきだろう、こういうふうに思います。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣、非常に時間がないようですからこれでけっこうです。しかし十分努力していただくことを要求をいたしておきます。 次に、時間もございませんので、林野庁長官お見えですね。 林野庁は三公社五現業の一つでありますからお伺いをいたしたいわけですが、いま国有林野の事業に働いておる人たちで、職員のほかに常用作業員あるいは定期作業員といわれる人たちがおりますね。これが年々人数もだんだん減ってきているという資料を私ども持っているわけなんです。そこで、国有林野の造林あるいはその後の刈り払いであるとか、下枝取りであるとか、間伐であるとかいうような作業、あるいは伐採の作業、搬出の作業、こういうようなものなんかは、やはりこの常用、定期の作業員に負うところが非常に大きいだろうと思うのです。そういうようなことで、いま皆さんが考えておる国有林野の作業というものは、労働力の面で不自由を感じているのか感じていないのか。こういうようにどんどん作業員が少なくなっていくということでいいのかどうか。この点について林野庁としてはどういうようにお考えになっておられるか、まずその点を伺っておきたいと思います。
○松本(守)政府委員 現在の時点では、おおむね所用の労働力は確保されておるというふうに考えております。ただ、その質的な内容の劣弱化という傾向にあると思いますので、将来に問題があるということは言えるかと思います。
○広瀬(秀)委員 質的に非常に劣ってきているという状態でございますが、それはいわゆる男性から女性労働化する、あるいは老齢化するというような問題点だろうと思うのですが、その原因はどこにあるとお考えですか。
○松本(守)政府委員 その原因は、国有林の事業が行なわれておる地帯が大体過疎地帯でございます。過疎地帯において人口が流動しておる、しかもマイナスに流動しておるということから、そういった原因が出てくるのかと存じます。
○広瀬(秀)委員 おっしゃるとおり、国有林の存在する地帯というのは過疎地帯に間違いない。したがって、そういうところからどんどん若い優秀な労働力は都会に向かって働きに出る。より生産性の高い、より高い賃金の得られる職場にと流動していくことは当然であります。それと同じく、賃金の問題と身分の問題、非常に不安定な雇用関係であるというようなことで、通年雇用というような問題が絶えずそういう人たちから出たり、あるいはまた賃金が、今日両者を平均してみますと、一日基準賃金では九百円から一千円の間くらいのところだというようなことも言われておるわけでありまして、そういうような問題について、今度の場合に、林野庁の職員以外に、皆さんは仕事をやっていく上において、こういう何万という——最近の数字では三万九千くらいのようでありますが、こういう人たちの賃金をやはり同時に引き上げていく、こういうような配慮というものがなければ、国有林野の山の中で、しかも人里離れた山の中で国有林野を植林し、あるいはいろいろ管理をしていく、培養していくというような仕事、こういうところに働く人たちがどんどん少なくなっていってしまって、国有林事業の健全な発展というものは、そういう面から、労働力が得られないというような面から予定どおり作業が進んでいかない、事業経営全体が大きなマイナスになっていく、こういうようなことを十分ひとつ考えなければならぬ時期にあると思うのです。そういう面で、いわゆる公共企業体労働者という形のワク外に置かれているこういう人たちに対して、賃上げの問題、適正に賃金を引き上げていくということについてどういうお考えを持たれているか、この際聞いておきたいと思うわけです。
○松本(守)政府委員 国有林で定員外と申しますか、いま先生からお話しのありました作業員がございます。この賃金の決定の考え方は、同職種の他企業、またその地場における他の賃金、そういうものを勘案をしながら生産性の向上を目途に毎年賃上げをやっております。いま先生からお話しがありました九百何円というのがございましたが、もうすでに現在では九百円というのはほとんどないかと思います。出来高で三千円近い、あるいは日給制でも、造林で申し上げますと千二百円くらいのものを、これは四十三年の実績でございますが出しております。今後情勢を見ながら、なお処遇の改善については努力をしたい、このように存じます。
○広瀬(秀)委員 平均して千二、三百円程度にはなっているというお話のようでありますが、大体国有林の仕事というのは、実際にはこういう人たちが造林もし、造林後の下草刈りなども行ない、あるいは間伐をやり、下枝おろしをやる。そういう仕事をしている人たちによって国有林は維持されている。また国有林の使命とするところが達成されていると見てもいいのですね。実際に木を植える人がいなければ国有林はまる坊主になるわけですよ。そういう人たちがみんなやっている。それが現在は千三百円。出来高払いでやるという場合には三千円くらいになるという場合もあり得るということでございまして、平均しては月額にしてせいぜい三万円から三万五千円くらいだ、毎日働くわけではないから。そういうことですから、少なくともこの面について、真に国土保全、森林資源の開発、強化、充実を考えていくというような立場に立つのならば、しかも過疎地帯でもう絶対的にこれから労働力が得られなくなってくるという傾向というものは非常に強いわけです。そういう問題についてはもっともっと、職員並みあるいはそれ以上にこの面を重視していかなければ、国有林の発展というものはこれは全く考えられないことだ、こういうように考えますが、そういうお考えと了承してよろしゅうございますか。
○松本(守)政府委員 常勤と申しますか、作業員にも大別をいたしまして幾つかの種類がございます。一年じゅうを通じて働いてもらう人、それから季節的に働いてもらう人、また臨時にお願いをする人がおるわけであります。それぞれ雇用区分別にも処遇が違っておる。そういうものにつきましては、いままでのそういった労使の地場賃金と申しますか、そういうものを基準に毎年賃金を決定しております。今後の労働力の逼迫という事態を考えまして、雇用の安定、処遇の改善というものは、当然企業としても考えてまいらなければならないと存じます。 ただ林業におきまして、自然の制約を受ける。造林事業は一定の季節がございまして、一年じゅうその仕事が続くことにはなりません。そういった季節を克服する新しい技術の開発というものも逐次進めておりますが、しかしいまの段階ではまだまだ季節に非常な大きな制約を受ける点がございます。 それともう一つは、いま日本林業は自由化をされている。ほとんど木材は全面自由化に近い自由化であります。昨今の輸入のそれを見ますと、半分近いものが外国から入ってきている。しかも外材は国内材に比べて安いという事態もありまして、今後国有林としても日本林業としても生産の能率の向上、事業の改善というものに真剣に取り組んでいかなければならない、このように考えております。
○広瀬(秀)委員 長官にそういう一般的なことを聞いたんじゃなくて、そういういうことはわかっているのです。とにかく木材の輸入も自由化されて、外材が総需要量の半分以上も占めるというような状態になってきている。しかし日本の国有林にはまだまだ造林適地も数多く残っているし、しかも水資源も確保していかなければならない。これは、治山と治水は一体の問題だ。そういう立場においても、国土保全の立場からも、さらに外材を安いからといってどんどん外国から入れてくるということで国有林は遊んでいる、はげ山になっていくというようなことになれば、これはたいへんなことだと思うのです。しかも過疎地帯において労働力はどんどん流出するというような中で、そういう地帯にある国有林の発展充実をはかっていく、森林資源を確保していくというような立場、それが当然水資源の確保にもなるし国土保全にもなるし、あるいは風致関係の緑を国民に供給するということにもなる。そういう問題などを考えても、要はやはり第一線でほんとうに山に木を植えていく人たち、そしてそれを育てていく人たち、こういう人たちをもっと大事にしなければいかぬじゃないか。そういう第一線の作業員というものを、いろいろ非常にむずかしい条件はあるけれども、これを大事にしていかなければ、やがてはもう国有林は、放置のまま、ほったらかしっぱなしだ、こういうような状態になって荒廃をしていくであろう、こういうようなことが考えられる。そういう大局的な立場に立っても、今日なお、日給千三百円くらいにはなるというけれども、そういうものも他産業の労働者から比較して絶対的に低いわけなんだ。だからこういうものをもっと、先ほどから公共企業体全体の、あるいは五現業全体の賃上げというものについて真剣な審議がされたんだけれども、そういう中で、その人たち以上にむしろこういう人の今日非常に低位にある賃金——その人たちの調査をしてみましても、世間一般の賃金をもらっていると見る者なんかはわずかに二〇%ぐらいしかない、はるかに低いというのが三〇%もある、やや低いというのが四六%もある。そうして、賃金が上がったらどういうところに使うかという設問をしてみると、健康と休養、その次には食生活の改善だ、こういうもう人間としての生活の最低ぎりぎりのところにある。こういうようなことを考えましても、これは長官として非常に高い国土保全という立場に立って、あるいはまたこの人たちが当面している現在の低い生活、劣悪な生活を改善さして、森林労働者を確保していくというきわめて身近な問題意識といたしましても、その両面からいって、職員一般よりもむしろ引き上げ率を高めていくというようなあたたかい、これは当然の配慮でありますが、そういう配慮があってしかるべきだ、こういうように私は思うのです。そういう方向で努力されるお気持ちはありますか。
○松本(守)政府委員 いま労働組合と賃金のアップにつきまして団体交渉中でございます。先ほども申し上げましたように、民間の農業の賃金に比べまして国有林の賃金は相当上回っておる。また民間の林業賃金に比べてもある程度上回っておる。それから百人以上五百人未満の製造業の賃金に比べても遜色はないということが国有林の賃金統計から出ております。それはそれとして、今後の事態に対応いたしまして、労働力の確保という面からも取り組んで、この賃金の額の決定につきましては十分慎重に考慮をしたい、このように思っております。
○広瀬(秀)委員 そういう甘いお考えを持っておられるとたいへんなことになるということを、私はきょうは長官に警告をいたしておきたいと思います。この問題については、ほんとうに国有林に働く労働力を確保するという立場からもっと真剣に考えていかなければ、もうあと二、三年たったらたいへんなことだ。もうどうにも作業員が集まらぬという事態になりかねない。そういうものがもうどんどん進行しつつあるということを強く申し上げて、最後にできるだけ努力したいということですけれども、十分真剣にこの問題を検討して、今度の賃上げに際しても、最大の賃上げを実現するように強く要望いたしまして、時間もございませんのでこれで終わりにいたします。
○毛利委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時十一分休憩 ————◇————— 午後四時二分開議
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 漁船再保険及漁業共済保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。美濃政一君。
○美濃委員 この法律は漁業関係の会計の赤字に対して一般会計から繰り入れるという簡単な法律でありますから、法律そのものには私としては別にそう質問するようなことはないと思いますが、なぜこうなるのか、この原因を究明されなければならぬと思うのです。この原因は何なのか。制度から見た諸問題があると思うのです。その諸問題について若干の質問をいたしたいと思います。 まず第一点として、政府当局が考えておる漁業、特に漁獲、養殖、この保険についてどういうふうに考えておるか、これをまず最初に承りたい。
○平松説明員 お答えいたします。 わが国の沿岸漁業は非常に規模が零細でございまして、かつまた漁業が天候に支配されるというような事情でございますと、経営基盤が不安定で、勢い再生産にも支障を来たす場合もあるし、生活にも支障を来たす場合もあるというようなことから、そういうふうな漁業者の経営の不安定というようなものを安定的な方向へ持っていくという趣旨で漁業共済をやっておることは先生御承知のとおりであろうと思います。しかしながら、漁業というものの性格上必ずしも漁業共済が現在の姿で、私どもが考えておることが十全の姿であるかどうかは別でございますけれども、そういう目的を追及いたしまして、万全なものに持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○美濃委員 まず第一点として考えなければならぬことは、この制度の中で、たとえばこれは損害共済ですが、損害共済でも火災などはあらかじめ危険率の予測というのは、その状態によって予測はできますけれども、確定的な予測はできないものであります。この漁業共済は、制度が悪いために非常に加入する者の選択というものが、きわめて災害が発生しやすい条件の者のみが入っておる。それから、たとえば生命保険であれはかなり重症の病人が無審査で入ってくる。そういう者のみが加入対象になっておる。者のみというのは言い過ぎかもしれません。おおよそ大別して任意加入でやっておる。危険率の高い者のみが、その制度から見て掛け金は非常に高くても、それを越える危険率の高い地域あるいはそういう者が、漁獲においても養殖においても入ってくる。危険率がきわめて低い者は、任意加入ですから入らない、こういう欠陥が私はあると思う。それも沿岸漁業を補償するのですから、それを悪いと私は指摘しているわけではないのです。それはそれなりの意義があります。それはそれでけっこうなんですけれども、そういう赤字が出たとしても、そういう面でこの共済金というものが払われることによって、そういう災害から沿岸漁民が救済を受けておるわけでありますから、赤字が発生したからいけないとかあるいは赤字を発生するからだめだという意図から言っておるわけではない。しかし、共済というものはもう少し制度を改正して、そうしてお互い相互扶助になるように、全員がほとんど共済に該当する。漁家なら漁家はほとんど八〇%以上の者が加入をしておる、あるいはそういう時点を見てこういう政府管掌の共済というものは義務加入にする、そこまでこの共済は進めるべきだと思うのです。あるいは七〇%以上加入してくるということは、ほとんど全国の漁民が大体共済というものの制度に納得ができるから加入意欲が起きてくるわけです。そこまでいけば、あと二割、三割の未加入者といいますか、加入する者がなくても、そこらで義務加入制度をしくべきである。そうして大数の法則によって、ほとんど対象は一〇〇%加入の中で相互共済が行なわれていくというのが、私は、共済の原則でないか、こう思うのです。そういう進め方についていまどう考えておるか。
○平松説明員 先生御指摘のように、共済制度でございますから、漁業者相互の間でお互いに救い合うという趣旨からいたしますと、漁業者が全員加入するという姿が最も望ましい姿であろうというふうに考えるわけでございます。ただ現在の共済制度につきましてはまだ発足して日が浅いことでございますので、共済の仕組み自身につきましても、必ずしも方式として義務加入を可能ならしめるような形でない。たとえば漁獲の金額が明らかでないものについては、漁獲共済についてはその損害の程度がわからないというようなこともございまして、漁獲金額を明らかにしなければならないことになっておるわけでございますけれども、義務加入にした場合にはそういう形のものがうまいぐあいにつかまえられるものかどうかという問題もございますし、それから義務加入ということを必然ならしめるような形の理論的な根拠が十分であるかどうかという点についての吟味もまた必要だろうというふうに考えますので、将来の方向としてはそういうことを検討してまいらなければならぬだろう。ただ先生がおっしゃいますように、逆選択という方向に走らないようにという意味から、私たちといたしましては、先生の御指摘になったような弊害が起こることをできるだけ少なくする方向といたしましては、集合加入とか連合加入という組織をとって、全員がむしろ好んで加入をするという姿にもってまいりたいと考えているわけでございます。
○美濃委員 そうすると、この漁業災害の関係は制度改正を必要とする。これは他の損害保険あるいは生命保険等と比較して、統計上の計数あるいは発生する原因の状態をきわめて捕捉しがたい条件のものに対して、保険設計を改善するわけですから——改悪ではだめなわけですけれども、保険設計を改善することになると、これはどなたがしてもかなり努力を要する。ただ、言えることは、任意共済で発足して、四十二年だったと思うのですが、かなり大幅に改正してすでに三年を経過した。この実績の上に立って、ことしじゅうにはいろいろ検討が行なわれ、明年あたりば、やった結果の実績に基づいてかなり修正するということが大切だと思うのです。ですからそういう準備をしておるかどうか。いろいろ三年間の実績が出たわけですから——その実績は私がいま申し上げたとおり、またあなたが肯定したとおりの実績なわけです。逆選択が非常に多い。それに対してそういう準備を進めておるかどうか、この状況をお聞かせいただきたいと思います。
○平松説明員 先生御承知のとおり、現在の国による保険制度というのは四十二年に発足いたしたばかりでございまして、確かに年数から申しますと、四十工年に発足いたしまして四十五年でありますから、三年間経過したということになるわけでございますが、その実績ということになりますと、四十四年度に契約したものがまだその実態が明らかでないということでありまして、過去の事実の集積が不十分でございますし、それを踏まえまして吟味をするということでなければならないだろうと思います。私どもといたしましては、国の保険が始まります時期におきまして相当の改正を行なって国の保険を開始したわけでございますから、その三年間の実績を十分吟味いたしまして、確かに先生がおっしゃったような問題もございますし、その他いろいろ問題がございますので、改善するという方向で検討はしてまいりたいと思っております。
○美濃委員 次に、今年度の予算で、国の保険が出発する前の約六億円の赤字に対しては計上されておりますか。この内容を御説明いただきたい。
○平松説明員 先ほど申し上げましたとおり、国による漁業共済保険は四十二年度から実施されたわけでございますが、その前に漁業団体で災害共済を実施しておったわけでございます。その共済を実施いたしております段階で、主としてノリの災害によるものでございますが、約五億六千万円ばかりの不足金が出てまいりましたし、それを借り入れて払うということによって三千万ばかりの利子支払いをした。合計五億九千三百万程度の金額が赤字として出ておるわけでございますが、その赤字につきまして、今年度の予算におきまして、まず共済団体の連合会に三億円の補助金を交付いたしますとともに、漁業共済基金から二億円の無利子融資をする、その資金の運用によって残りの二億九千万ほどの赤字を補てんしていくというふうにしていただきたいというようなことで、いま申し上げたような三億円の補助金と、それから別途漁業共済から二億円の無利子融資をしていただく、その財源といたしまして国から一億円の出資をするということにいたしておるわけでございます。
○美濃委員 どういう理由でこういうはんぱな——これは保険開始前に出たのですから、今回の政府保険になった後の繰り入れと同じ質のものなんですから、どうして五億九千三百万全額補助しないのか。二億の無利子融資というけれども、これは二億の金を無利子で貸して、それを通例利回りで運用したとしても、補助金が三億円で約半分、二億九千三百万の赤字を補てんするために、二億の無利子融資で、その運用利回りでこれを解消していくといったって、なかなか長い年限を要すると思うのです。この二億というのは何年ですか。もう相当長い、何十年というような年限で利回り計算をして、無利子の二億の運用効果によって二億九千三百万の赤字が消えるといっても、これは基金から借りておるのでしょう。基金の利回りは何ぼですか。二億九千三百万の借り入れは、借り入れたのですから利子がつくことになっておるのですが、どういうことになっておるのですか。基金の利回りがあれば、二億九千三百万の金は、借り入れ金に利子がついて、その利子を払わなければならぬ。まあ三億は補助金ですからけっこうだと思いますけれども、その無利子融資よりも上回る赤字に、借り入れ金に利息がついて、それを二億の無利息の運用で解消する、これはなかなか解消できぬのじゃないかと思いますが、それはどうなんでしょう。
○平松説明員 確かにいま先生御指摘のように、全額国から補助するということができれば一番望ましいわけでございますけれども、財政上その他もございましてただいま御説明申し上げたような措置をとったわけでございますが、団体のほうといたしましては、三億円の補助金と基金から無利子で借りました二億のうち一億五千万、合計四億五千万を七分三厘程度で回すということにいたしまして欠損金を埋めていく。欠損金は五億九千三百万から三億を引いた金額でございますから、二億九千三百万ほど、それをいま申し上げたような形のもので消していくというようなことで考えておるわけでございます。
○美濃委員 この借り入れ金の利息は何ぼですか、基金の。
○平松説明員 一般的に基金から借りておりますお金は五分五厘で借りております。この二億円については無利子で借りるということになっております。
○美濃委員 これは五分五厘の利子で借りて、これではなかなか解消ができないと思うのですが、これは措置しないよりは措置をすれば楽になります。これはどうですか、私は、こういう措置では赤字解消がかなり年限を要することになりますが、五分五厘で借りて、三億の金を日歩三厘ということに私は聞いたのですが、日歩は三銭ですか三厘ですか。どちらで運用するのですか。三厘というふうに聞いておるわけですが、聞き間違いかもしらぬが。
○平松説明員 年利七分三厘で運用するわけでございます。
○美濃委員 一分何厘差ですから、たとえば五億あったとしてもかなり長い年限になりますね。この年限を、解消するまでこの無利子は続けるのですか、この一億の無利子というのは。
○平松説明員 運用できますのは三億と一億五千万ですから、四億五千万を七分三厘で運用する。先生おっしゃった五分五厘という金額につきましては、漁済連のほうの赤字ということでございますから、これは大体三億足らずだと思います。その金額を運用するということでございますので、先生が計算なさいました七分三厘と五分五厘の差よりは早いというふうに考えるわけでございます。 それから、基金からの無利子の貸し付けの二億でございますが、これは黒字に転換するまで無利子で貸すということにお願いをいたしたいと思います。
○美濃委員 次にお尋ねしたいことは、この保険が発足して、片や保険のほうは赤字で今回繰り入れを必要とする。同時に、漁業共済組合連合会に政府保険ができて、それに加入した後の赤字が、これは他の分と合わせますけれども、約四億——今回措置したものを合わせれば約十億になるわけですが、しかし十億のうち五億九千三百万ですか、約六億といっておったこの分は、年限はずいぶん長くかかるようですが、措置するということになる。そうすると、差し引き四億で、その中で政府の保険に入っていない漁具共済がありますが、そういうものを除いても二億数千万の、政府会計が赤字になるときは連帯して連合会に赤字が発生する。これはどう措置していくのですか。
○平松説明員 今回予算措置をいたしましたものにつきましては、これは国の保険が始まるということによりまして、漁業共済連合会の手元に残るものを国に吸い上げてしまうという制度的な措置をしたわけでございますから、本来長期設計をいたしておりまして、長期間に均衡するというような前提に立って仕組んでおりますが、その中途に制度改変をいたしましたときに、連合会では償却できないという分について今回措置をいたしたわけでございます。その残りのものにつきましては、共済の設計で長期適用いたしております限りにおいては、収支均衡するような事態が出てくるというふうに考えておるわけでございます。
○美濃委員 しかし、前段に申し上げたように、仕組みそのものは逆選択加入が多いわけですから、私はそうはならぬのではないかと思う。現在の制度、現在の方法そのままでこれを持続していくと、災害の少ない年の掛け金で、災害率の少ないときの収支余剰でこれが解消されるというのだが、現在の制度、現在のような前段に申し上げたような状態ですから、このような状態でこの共済が推移すると、解消されないで、もう少し増大していくだろう、こう考えるわけですね。増大するだろう、こう予測するわけです。一年ぐらいは収支余剰の出る年があっても、赤字になる年が多い、こう思うのです。そうすると、この共済組合連合会は基金でそれを補完するから、他の事業団体と違って、その赤字のために直ちに業務運営が行き詰まるということは、これは不当な支出さえなければ、災害に伴う支出のための赤字は当然ですから、共済団体ですから、そのことによって、基金でそれを補完していくから、業務運営には支障は来たさぬということは言えるのですけれども、しかし、基金といえども、やはり基金は基金なりの方針があるから、いつまでも無限大に基金で補完を続けるということは、これは業務運営の正常性ではないわけですね。業務運営に支障を来たさないということは言えるけれども、しかし、そのまま置いておくということについては、やはり共済団体として、行政上の管理監督上から見ても正常な状態とは言えないわけです。一時的な状態であればそれはいいと思うのですけれども、一時的な状態とは言えないと思うのです。ですからこれもひとつ検討して——いま業務運営に支障を来たさぬからことし直ちにとは私申し上げませんけれども、やはり次の段階で検討して、これは補助金で赤字解消してやるべきだ。正常な状態にして管理運営をやらす、こういう配慮が必要だと思うのです。いまのお話では、解消されるだろうと言うけれども、ちょっとそうならぬのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○平松説明員 現在漁業共済連合会のほうに発生いたしております赤字につきましては、大半がノリの赤字ということでございまして、同じ漁業共済の中でも、漁業災害補償制度の中でも、ノリ以外のものについては黒字が出ておるというものもございます。確かにノリにつきましては御指摘のような赤字の状態である。この点につきましては、四十四年産を除きまして、その前二、三年は海温の異常高温というような事態がございまして、不作のためにノリが赤字であったという事態が起こっておると考えますけれども、四十四年産のノリにつきましては空前の豊作であるというようなことがいわれておりますし、ノリ養殖につきましても、冷凍網であるとか、ノリの養殖栽培についての技術の進歩もございますようでございますから、やはり長期的に見ました場合には、私どもは黒字に変化し得るという力があるのではないかというふうに考えておりますけれども、先生御指摘のような事態が起こりました場合には、またその事態において検討してまいりたいと考えます。
○美濃委員 次に、いま漁獲の話が出ましたが、漁獲共済はいまのところ制度として、共済としてはちょっと過酷ですね。損害率の捕捉、これに伴って設計上計算された共済掛け金——漁村を回ると非常に言われるわけですね。加入したいのだけれども、掛け捨てでこういう高いものに加入するのであれば自己積み立てをする、あるいは困ったときはどうなろうとこういう高い金は払えない、こういう現象です。私は、共済というものは、大きな赤字は設計上避けるべきであるけれども、ある程度の、今回措置したノリだけでこのくらいの赤字の出ることは当然だと思うのです。赤字が出るようなものでなければ——他の民営企業の収支とは違いまして、この種の仕組みというものは、何か大きな災害が発生すると赤字になる、それを財政的に補完してやるところに加入の合理性というものが生じるのです。この仕組みで黒字で堅調であるというようなものをつくったら、それは共済でない。その制度に加入しようとすれば非常に生活が圧迫される、零細な沿岸漁民は反対に生活が圧迫され、とても入り切れないという問題が出てくるわけですね。ですから、黒字であるということは何も喜ばしいことではないのです。やはり災害の多い年はある程度赤字で推移するような状態で、沿岸漁民の漁獲高変動、あるいは養殖に伴う災害をこの共済によって守ってやろう、そして生活の安定を期すというものでありますから、赤字の出ることはやむを得ないと思うのです。 ですから、先ほど申し上げたように、全体を通じてそういう考え方で制度改正をしていくと、比較的全体の加入意欲が高まって、そうして結果は多数の加入が得られて、相互共済の目的が達成される。逆選択であれば赤字になるものが、そういう制度の強化によって相互共済の目的が達成される。逆選択であれば赤字であるけれども、全体の加入意欲が高まって、全体加入によって、ある面では災害が起きても全体で持ち合いになって赤字が比較的少なくなる、こういうふうに持っていかなければならぬと思う。そう考えると、いまちょっとお話のありました、漁獲は黒字だ、この黒字そのものが非常に漁獲共済の加入意欲を阻害してしまっておる、こう言えると思うのです。私はそう見ておるのですが、どうですか。
○平松説明員 確かに先生おっしゃるように、漁民の側からいたしますと、掛け金よりも共済金として受け取るもののほうが大きいということでないと魅力がない、おっしゃるとおりだろうと思うのです。ただ、保険なり共済の仕組みといたしましては、常時赤字が出るという仕組みを設計することはこれまたおかしな話で、この間の妥協的な形式と申しますか、その両者の要請を妥協させる、両者の要求を満たすという意味におきまして、掛け金の国庫負担ということをやりまして、その両者の要請を満たす。その結果、保険としては、共済としては黒字赤字とんとん、そして漁民のほうは共済に加入することによって幾らかプラスになるということになるわけでございます。漁獲共済のほうが多少黒字でございますということは、決していばるつもりで申し上げたわけではございません。計算上そういうことになっております。仕組みといたしましてはそういう仕組みでやるべきではなかろうかと考えております。 しかし、いまお話しになりました、漁民のほうで掛け金が高いというようなものにつきましては、漁獲共済の中に共済掛け金率を全国一律にしているというようなものがございまして、そういう点について、被害の低い地域については、国庫負担があってもなおかつ不十分だ、不満足だというようなものもあるようでございますから、そういう点につきましては、漸次共済実績が整ってまいっておりますので、地域に応じた、被害状況に応じた掛け金率というものに、組合員が満足のいくような形で改正してまいりたいという方向で努力してまいりたいというふうに考えております。
○美濃委員 次に、これは今回の措置とは別になりますけれども、非常に漁業というのは海難が多い職業であり、比較的、陸上の建設現場やなんかと違って、事故が起きると死亡事故が多いわけです。身体の障害事故というのは、海の水の上ですから比較的、ゼロとは言いませんけれども、ゼロに近い。非常に海難に伴う死亡事故が多い。状態は違いますけれども、交通事故とか、そういうものはかなりやかましく言いますけれども、これは殉職ですからね。この殉職に対する、海難事故に対する措置が不十分だと私は思う。これは国民の大切なたん白食糧を捕獲している業種なんですから、そういう点をもうちょっと改善しないと、やはりこれは御存じのように漁業後継者がなくなる。将来漁業に従事する者はきわめて少なくなる。現在でも漁業従事者の年齢は非常に高年齢になって、補充率は非常に低くなってきている。ずっと計算してみると、かなり先を心配されるわけです。これは直接給与や何かを政府が補助するわけにはなかなかいかぬでしょうが、せめて海難事故に対してもう少し制度を強化する必要があると思う。現在行なっている制度では、現在私の手元にある資料では、約四千世帯と見ておりますが、長い年限で計算すると別だけれども、海難事故によってかなりみじめな生活をしている世帯が約四千あるのではないか、こう見ているわけです。それらの見方について、政府当局のほうではそれはどのくらいの世帯と見ているか。それらの点について検討が進められているかどうか。現在のままでよろしいとお考えになるのか、海難事故に対する制度をもう少し強化しなければならぬと考えているか。
○平松説明員 ただいま先生から御指摘の面につきましては、現在の制度といたしましては、二十トン以上の漁船につきましては船員保険法が適用になります。二十トン未満の漁船については、五トン以上の漁船については労働災害補償法が、漁船五トン未満につきましては任意適用というようなことで、一応一般の労働者より手厚い保護が実際については行なわれているということは言って差しつかえなかろうと思います。ただ、現在のように国民の生活程度が上がってまいりまして、俗にいわれております人間の生命が高くなってまいったというような状態のときに、現在のこの制度だけでいいかどうかという点については、今後検討を要する問題であろうと思います。 それで、どれくらいの家族が海難の遺族として困窮しておるかということにつきましては、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、ごかんべん願いたいと思います。
○美濃委員 以上、私は、制度改正あるいは海難事故を申し上げました。制度をできるだけ早い日限で改正、改善をするようにひとつ要請をいたしまして、質問を終わります。
○毛利委員長 広瀬君。
○広瀬(秀)委員 今回の法律案に盛られております措置は、四十三年度の暖冬異変といわれた海水の異常高温ということで、ノリについて発生した被害額を補てんするために一般会計から共済金の支払い不足額を補てんしよう、こういう措置でありますが、一体この四十三年度の被害はどの程度あったのか、そうしてそれに対して共済金の支払いが幾ら必要であったのか、まずこの数字を一応聞いておきたいと思います。
○平松説明員 四十三年度のノリの被害につきましては、共済関係だけで申しますと、支払い共済金額が十二億一千三百万、それに対しまして国の特別会計から払いました保険金が九億二千六百万という数字になっております。
○広瀬(秀)委員 大体平年の——農作物などで平年作という、それと同じようにノリの平年作、これは大体何十億枚ぐらいを平年作だ、こういうように見ておるわけですか。それをひとつ数字を答えていただきたいことと、四十三年度はどういう収穫量であったのか、この点を明らかにしておいてほしいと思います。
○平松説明員 最近十年ほどの生産量を見てみますと、三十四年の十二月ごろから生産されたノリから、四十三年の秋から四十四年の春までに生産されましたノリを全部通観いたしまして申し上げますと、大体三十億足らずのところから四十五億という程度が最高、最低でございまして、その間で申しますと、大体三十億から三十五億というところが平均のところで、低いところ、高いところで、三十億を割るところ、四十億をこすところというのがあるという状態でございますが、四十四年秋から四十五年の春、つまりことしわれわれが食べようとしておりますノリにつきましては、五十億をオーバーするというような生産の数字であろうというふうにいわれております。
○広瀬(秀)委員 その四十三年、いま措置をしなければならない年ですね、この年にはどのくらいの枚数まで減ってしまったのか。このいわゆる被害の数量、これをはっきりさしてもらいたい。
○平松説明員 四十三年のこの赤字の対象になっております生産数量は、二十九億五千三百万枚という数字でございますが、これと、それから共済の対象になっておる養殖の分とどういうふうにつながりますか——この共済の対象になっておるものは枚数で計算いたしませんのでわかりませんけれども、全体の生産量から申しますと、二十九億五千三百万枚ということで、平年作を大体三十五億ぐらいに押えますと、それよりかなり下回った数字であるということでございます。
○広瀬(秀)委員 それで、共済制度の仕組みは、まず漁業者と漁業共済組合、単協との間に共済関係があるわけですね。そして漁業共済組合と連合会との間に再共済関係が設定をされておる。さらに漁業共済組合連合会と政府との間にいわゆる再保険の関係が認められておるのですね。それで、政府が乗り出してやらなければならない、連合会に対して特別会計を通じて一般会計から繰り入れをしなければならぬという、こういう場合というのは異常災害だ、一口に言えばそういうことだけれども、それでは異常災害とはどういう状況、どの程度の被害なのかという、その被害の限度というものは法律上どうなっておるのですか。
○平松説明員 今回、財政措置をいたしましたものにつきましては、異常災害であるからという認定をいたしまして一般会計から特別会計に繰り入れたものではございませんで、四十三年度にノリの異常な不作があった、そのために保険金を支払いましたところ、四十三年の予算額では不十分で、四十四年の予算額を使いましても多少不足するというような状態でございまして、四十四年の契約の保険の分も合わせますと、四十五年の当初に五億六千七百万程度の赤字と申しますか、支払い財源の不足を生ずるという事態でございますので、そのための手当てをしたということでございまして、この災害が異常であったからということで一般会計から特別会計に繰り入れしたわけではない。もう一つ申しますならば、もしこの特別会計のほうに累積した黒字があるという状態でございましたならば、一般会計から繰り入れする必要はないというようなことであろうと思います。
○広瀬(秀)委員 まあその点はわかりましたが、それでは最初の第一段階で、ノリ漁業者と漁業共済組合との間にどういう——若干不作であったという場合は、米などの場合には二割なら二割、平年作よりも、過去三年間の平均反収よりも下回ったというような限界がきちっとあるわけですね。この共済関係が成立するノリ漁業者と共済組合との間にどういう状態、いま例を申し上げたように、米の場合は二割下回るというようなものがあるわけです。それに見合う基準というものがあるのかどうか。どうも私ども、このノリの問題は、私どもの出身地も海なし県でございますのでよくわからないわけなんだけれども、三十五億枚から五十億枚というような、かなり幅のある上がったり下がったりをしょっちゅうやっておるのですね。気候あるいは海水の状況、あるいはたまには油濁の関係などもあると思うけれども、いろんなそういう非常に流動的な条件というものに対して、どういう基準をもって不作があって共済金を支払うという事態が出るのか、この辺のところはまだ私どもわからないのですが、その辺のところの基準のようなものがあったらはっきり示していただきたい。
○平松説明員 このノリの共済制度は技術的に非常にこまかな仕組みになっておりまして、概括的にお話をするのはちょっと不適当かと思いますけれども、共済の計算をいたします場合には、通常、ノリは、網ひびと申しまして、網ひびでやっておるわけでございます。その一作ごとに、全損があった場合に、その一作について共済事故を認めることにいたしまして、ノリの栽培期を摘採期と称しておりますけれども、三つに分けまして、その摘採期ごとにそういうものを集積したもので共済事故を計算するという仕組みでやっております。
○広瀬(秀)委員 それでは、たとえば全損の場合ですが、これは全損の場合ならばその全損額を全部給付をする、全損に見合う額だけやる、こういうたてまえになっておるのですか。
○平松説明員 非常に複雑なことでございますけれども、全損の場合でも、現在の仕組みでは三割足切りという制度がございまして、損害額の中から三割だけはがまんしていただくというようなことで計算をいたしますので、最高の場合、五千円という共済金額で考えておるわけでございますけれども、五千円まるまる損をした場合でも三割の足切りがございますので三千五百円、これは共済契約の中身によって多少違ってまいりますけれども、全部共済の目的にしておったというような形で最高限のやり方をやっておったという場合でも、三千五百円の支払いきりないということになっておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 わかりました。 それで、今度の法案によりますと、将来剰余金が特別会計に出るようになった場合は繰り戻しを——今度五億六千七百五十五万円ですか、これだけ一般会計から繰り入れるわけです。この額までこの剰余が出た場合に、これを繰り戻す、こういうことになっておるわけですけれども、異常暖冬異変というものがなく、大体ノーマルな状態で推移をする、収穫量等も推移をするということになった場合に、どのくらいたったらそういう状態になるという見通しなり試算なりをしておられるか、この点を伺いたい。
○平松説明員 ノリの生産につきましては、先ほど御説明いたしましたように、海況、気象に支配されることが非常に大きい。最近は冷凍網と称しまして、予備の網を冷蔵庫の中に入れておきまして、一作目が不作であった場合にはその予備網を入れるということによって、その後、そういうふうな海況、気象による被害を多少小さくするという技術も発展してまいっておるわけでございますけれども、それでもなおかつ海況、気象によって支配されるということでございますので、どのくらいの期間たったらこの金額を埋めるようになるかということにつきましては、私どもちょっと的確にお答えはいたしかねるわけでございます。また共済の対象も漸次ふえてまいっておると申しますか、ノリの養殖もふえてまいっておるし、共済の金のあれもふえてまいっておるというようなこともございますので、的確にいつまでというふうな形のことはお答えを申し上げるだけの用意がないということでございます。
○広瀬(秀)委員 いまそういうお答えがあったのだけれども、繰り戻しというような事態はまず何十年先になるかわからぬ、これはもう出し切りだ、一般会計から繰り入れっぱなしだ、こう見てもほとんど差しつかえない。そういう繰り戻しをするというような事態というのは、いまのノーマルな状態でいったにしても、漁獲量などもどんどんふえていくというような状態になっても、そういう状態はいまのところ少なくとも十年以内というようなことでは考えられない。この一般会計からの繰り入れば、もうほとんどこれは補助金として出して、繰り戻しの事態というようなものはまあまあ想像されない。理論上はあり得るけれども、実際にはそういう事態というのはないのじゃないか、こういうような感触で私ども受け取っていいのですか。
○平松説明員 私がお答え申し上げるだけの用意がないと申し上げましたのは、海況、気象によって支配されるということでございますから、三年後でございますとか五年後でございますとかいうことを申し上げましても、どういうふうな気象条件になるかわからぬということで申し上げたわけでございまして、たとえば四十四年の秋から四十五年の春にかけまして生産されたノリについては、五十五億枚あるいは多い人は六十億枚ということを言っておる方もあるわけでございますから、これはおそらく黒字になる。そういたしますと、四十四年契約のノリにつきましては黒字になるということでございます。私どもとしては、漁業共済につきましては長期均衡ということで、必ずそういう事態で穴埋めができるはすだというふうに考えておるわけでございますけれども、何年先にどうだということを聞かれますと、何年先は大体だいじょうぶでございますと言うわけにはまいらないということでございます。
○広瀬(秀)委員 不確定要素がたくさんあるからなかなか計算が出ないかもしれぬけれども、少なくともこういう見通しに立てば何年先ぐらいには一部ずつでも繰り戻しのできる状態にいくのだという、そういう試算はやったことがありますかありませんか、そのことだけ伺っておきます。
○平松説明員 共済でございますので、共済の設計をいたします場合は、農業共済の場合だと二十年というようなことで計算をいたしておるようでございますけれども、私どもの場合はまだ資料が不十分でございますために、十年足らずということで共済の掛け金の計算をいたしておるわけであります。そういう計算からいたしますと、本来は十年以内に、赤字が出ても黒字かあるいはゼロになるということになるはずでございますけれども、最初の五年のあとにまた次の五年がまいると同じような状態で、その次の十年が繰り返しになる、今度はいいほうの繰り返しになるという事態も考えられますので、計算は過去の十年で平均するような形で設計をいたしておりますけれども、確実にその十年以内に黒字と赤字がとんとん、ゼロになるということは申し上げかねる、過去の実績からまいりますとそういうことになるのではなかろうかというふうな形の考え方をしております。
○広瀬(秀)委員 あまり時間もありませんからそれ以上追及しませんけれども、数字の問題で、政府の提案理由の説明によりましても「同勘定の支払い財源に五億六千七百五十五万円の不足が生ずる見込みでありますので、」云々ということになっているわけです。この関係の予算書を見てみますと、特別会計予算政府提出のものを見ますと、漁業共済保険勘定のところで、歳出のところに、漁業共済組合連合会交付金が五億四千百五十三万五千円、こういう数字が出ておるわけですね。そうしますと、大体二千万円程度の差があるのですが、政府提案説明に述べられた五億六千七百五十五万円と五億四千百五十三万五千円という数字の差はどういうことでございますか。これは大蔵省ですね。
○竹内(道)政府委員 本日議題となっております五億六千万円は、一般会計から特別会計への繰り入れをして、昔の損害についてしばらくめんどうを見ようという金額でございまして、五億四千万円のほうは、もともとの連合会と政府との間の保険契約に基づきまして国から連合会に繰り入れる交付金でございますので、性質としては全く違ったものだと存じます。
○広瀬(秀)委員 それではこの予算書の何ページのどこに、この五億六千七百五十五万というものが出ておりますか。
○竹内(道)政府委員 漁業共済保険勘定の歳入の、上から五行目のところに「一般会計より受入」という項目がございますが、その中の「計算の基礎」のところの2のところでございますが、「昭和四十三年度契約に係るのり養殖共済についての異常災害の発生に伴う保険金の支払財源不足見込額の一般会計からの受入見込額を計上」と書いてありますが、この分が五億六千七百万円でございます。
○広瀬(秀)委員 この予算書の漁業共済保険勘定の一般会計よりの受け入れば十七億二千七百万ということになっているんですが、それではこの中に五億六千七百万というのは含まれている、こういうことですか、この予算書の見方としては。
○竹内(道)政府委員 さようでございます。
○広瀬(秀)委員 了解しました。 そこで、農林省にまた伺いますが、ノリの消費量というのは今後どういうように伸びていくのか、こういう試算があるだろうと思うんですね。そしてそれに見合うだけの——たとえば東京湾あたりでは油濁やその他がはなはだしくて、汚水による海水汚濁ということを通じても、ノリがどんどんとれなくなったというようなこともある。しかし新しいノリ漁場もまた開拓されているだろうと思うのですが、そういうようなノリを生産する立場の状況などをにらみ合わせて、そのノリの需給の関係というものは今後どういうように推移すると見ておられますか、この点をお聞きいたします。
○平松説明員 ノリの消費見込みでございますが、ノリにつきましては、世界の中で生産をいたしております国が日本と韓国だけでございまして、韓国から輸入されるものと国内の供給量が、その年に大体消費されておるということでございますから、輸入量と生産量を合わした量が国内の需要量と見て差しつかえないと思いますが、その需要量が漸次ふえてきておるということが言い得るのではないか。先ほど申し上げましたように、生産量と輸入量の合計が需要量でございますので、供給量が足りませんと価格が上がるという形でまたかなり強い需要があることを示しておるということが言い得るのではないかと考えております。 どの程度まで需要量がふえるのかということになりますと、これは国内で供給される価格との関係、その価格で生産ができるかどうかということの見合いだろうというふうに考えておりますが、的確にはまだどれくらいというようなことの予測はできませんので、ただいま私どものほうで、のり問題研究会というところで、民間の学識経験者にお寄り願っていろいろお知恵を拝借しておるわけでございますけれども、そこで生産なり需要の見通しというものについて御意見を拝聴したいというふうに考えておるわけでございます。ただ、米の消費量が漸次減ってまいるということになりますと、ノリと米というのはかなり密着いたしておりますので、あるところまで参りますとノリの需要量というものも頭打ちをするのじゃないか。それがどこいら辺になるかということは私どもまだ的確につかんでいないという状況でございます。
○広瀬(秀)委員 なかなか予測困難な種類のものかもしれませんけれども、やはり漁業政策の中でノリの問題というのは政治的にも非常に問題の多いものでもあるし、そういうものについて水産庁、農林省当局としても、もう少し的確な需給の見通しなり何なりというものを、いままで長い経験もあることですから、それらいろいろな条件というものもあるだろうけれども、もう少し的確な見通しなどを立てていくということが非常に必要だろうと思いますが、そういう点ではたいへん残念だと思うわけであります。 ところで、今日非常にノリが高い。最近、ことしの豊作を見て幾らかは落ちついて下がりぎみだということは出てきたけれども、昨年あたりは一枚四十円とか三十五円とかいうノリしかなくて、なかなか庶民大衆のふところにも入らないというような高値を呼んでおる。ことしは、先ほどおっしゃったように、五十億枚くらいの供給が確保されるというようなことになると幾らか下がるだろう、こういうようなことになっておるわけですね。しかもごく最近、二十二日でございますか、物価対策閣僚協議会でも、多くの問題を取り上げている中で、一つの項目としてこのノリを取り上げた。一つでもいいから具体的にこれだけ下がりましたという、そういうものでこのノリが俎上にのぼったろうと思うのですね。しかも、このノリの価格を安くしていく、そういう状態で、うまくいかなければこれはもうノリを完全に自由化するというような方針もきめたということが明らかになっているわけです。そのためには、また農林省内にノリの専門的な対策委員会をつくって、ノリの流通の問題について、価格を下げていくという方向で検討をされるということになったようでありますが、その辺のところで、ことしは一体どの辺ぐらいまで、ノリの生産も好調であったということを背景にして、昨年の上質ノリではもう四十円をこすというようなところまでいったものを、何割ぐらい一体下げ得る見通しをもってそういう委員会などをやられるおつもりなのか、その辺のところをまずお聞きしたい。
○平松説明員 確かにノリの問題につきましては、この前の物価問題の閣僚協議会でも取り上げられたということでございまして、嗜好品として家計の中に占めるウエートもかなり高いものだということで、皆さん方の関心も高いかと思います。昨年産と申しますか、四十三年の秋から四十四年の春にかけまして生産されましたノリの数量が、先ほど申し上げましたように三十億足らずということで、韓国から輸入をいたしますために約五億枚程度の割り当てをいたしたわけでございますけれども、韓国からの輸入も割り当て量に満たない、三億七千万枚程度しか入らないということで、昨年の十一月には一枚が三十七円程度というところまで、総理府の家計調査でも上がったわけでございます。ところがこの前のノリ作が非常に豊作であったということもございまして、総理府の同じ調査では、黒ノリの中級の上というのがいま申し上げた三十七円の価格でございますけれども、二月の半ばの数字が三十円、三月の半ばの数字が二十七円、私どもはおそらく四月の半ばの数字は二十五円を割るような形ではないかというように考えておりますし、私どもが町の小売り店で見てまいりましても、百円から二百円というノリが相当豊富に出回っておる。中には三帖二百円というようなことで、これはかなり品質も悪うございますけれども、そういうふうなノリも出回っておるということでございますから、かなり豊作であるということを受けまして小売り価格も下がってまいるのではないかというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 閣僚協で、ノリの流通機構を改革し、効果がなければ輸入を自由化するということになっているわけですね。流通機構、特にノリを養殖しておるところの、普通の農産物なら庭先価格——何価格というか知らぬけれども、そういう干し上げて製品に箱詰めをするというようなところの価格というものが、たとえば昨年四十円に売られたノリが、あるいは三十円に売られたノリが一体どのぐらいで生産をされるのか。それが複雑な流通過程、そういうようなものを通じて著しく上がるということがいつでもこのノリの場合に問題になってきたわけですね。輸入の場合におきましても、韓国では一円だとか九十五銭だとかいうようなものが、日本へ来れば五円になり十円になっているというような、あるいはべらぼうに十五円にも二十円にもなるというような、そういう問題が絶えずある。間に介在する卸問屋というかあるいは輸入業者というか、こういうようなところがどういう形でもうけてそういうように高くなるのかということが常に疑問にされてきたわけですね。そういうことを踏まえて、流通機構を改善するという方向を、どのようにあなた方は改善されようとしておるのか。実態的な数字をあげて、こういう状態に現にあるこれを、流通機構を改善することによってこういう方向でこのくらい値下げが可能です、こういう見通しをやはり持っておられなければ……。閣僚協で物価問題として、これだけノリの問題を一つの項目として、国民生活全体に占める比重としてはわりあい少ないんだけれども、この問題を具体的な問題として、一つでもいいから具体的に成果が国民の前にあらわれるようなものにしようじゃないかということがこの閣僚協の趣旨でもあったということを理解している。そういう立場で、いま私が質問したことに対してあなた方の考えておられる考え、そしてどういうところまで目標を立てて価格の値下げをはかっていくか、こういう点をお聞きいたしたいのでございます。
○平松説明員 ノリの流通につきましては複雑だといわれておるわけでございますが、複雑だということの裏には、ノリというものの生産が三、四カ月の間に行なわれまして、それが一年間消費されるということでございますので、その生産の期間内に豊作であるという見通しが立ったり凶作であるという見通しの立つということのために、一年間売るとしたら値がどうなるという関係の予測と、それに基づく取引というものがまず行なわれる、こういうふうに考えるわけでございます。そういうような形で、生産される期間が非常に短くて、消費される期間が一年であるという性格、これは、ノリは食品の中で数少ない例であろうかと思います。 それから、そういうような形で生産されたものが消費者の手に渡るまでに、まず産地で問屋が生産者の団体から買うわけです。普通の農産物でございますと、生産者個人なり生産者のちょっとした組合というのが出荷をして市場に出すということでございますけれども、ノリの場合は約八五%が生産者の組織しておる漁業協同組合を通じて共同販売されておるということでございますから、生産者の共販率といたしましてはおそらく、農産物も含めまして、最高のものではないか、こういうふうに私どもは考えております。 そういうふうな形で生産者が共販いたしましたものを問屋が買う。その買いました問屋は、それを保管、火入れ一つゆを越すような時期になりますと火入れをする。といいますのは、つゆを越すと変質するわけでございますから、火入れをいたしまして、乾燥して水けを取って、長期間保存にたえるようにしなければならない。それから箱詰めいたしまして、それを小さな、小売りができるような形の十枚単位ぐらいの袋に詰め直す。それを運搬する。そして問屋仲間で取引をする。それから小売り屋さんなり加工屋へ売り渡すというようなことをやっておるわけでございます。でございますから、問屋というのはただ単に品物を売買するというだけの機能でございませんで、いま申し上げましたような形の火入れであるとか貯蔵であるとか、あるいはノリの種類が非常に多うございますので、これを分化するといいますか、品ぞろえすることができるような形で問屋仲間で取引をするというような形のものが行なわれる。そういうふうにされたものが小売りの手に渡るというようなことでございます。 先生お尋ねの、小売り段階の価格のどの程度が生産者に渡っておるのかということにつきましては、私どもの推測では、大体末端の小売り価格の六割程度が生産者の手取りになっておるのじゃないかというふうに考えております。 で、この流通過程を簡単にすることによってどの程度下げ得るか、またどういうような形で簡単にするかというふうなお話でございますけれども、ノリの問屋というのは以上申し上げましたような形の機能を持っておるということで、その機能も一がいにむだな流通をやっておる、むだな段階を踏んでおるとも言いがたい面もございまして、なかなか簡単に合理化するというわけにもまいらぬではないか。一つの考え方といたしましては、野菜なんかで、市場を通ずる取引でなしに、スーパーあたりがその間にあって生産者と消費者を直結するというような考え方があるから、その点についてどうだというような考え方もございまして、私どももその点も検討いたしておるわけでございますけれども、スーパー自身がノリの買い入れにつきまして、非常に種類が多いということから自分たちではなかなか買い入れができない、あるいは貯蔵、保管もできないというようなことで、スーパー自身も問屋を使ってやるというような形でなければだめだというようなこともございます。そういうふうな問題がいろいろございますから、のり問題研究会に学識経験者の方に寄っていただきましてお知恵を拝借しておる最中でございますが、先ほどの閣僚協議会で早急に案を出せということでございますので、早急に研究会のほうでも議論をしていただきますし、私どもも知恵をしぼってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 そうしますと、いまのお答えによると、物価対策閣僚協議会でいま私が読み上げたようなことがいわれておるけれども、なかなかその流通機構を改善するといっても非常に困難性があるのだということをいまるる述べられたように思うんですね。いま当面の責任者として、ノリ行政をあずかっている水産庁として、いまのところはたいした妙案もない。したがって、あとはその輸入なりあるいは生産量が増大をするというようなことによって幾らかでも安くなることを待つ程度しかないのだ、こういうように考えていいのかどうか。それが一つ。 それから、いま末端小売り価格に対して生産者の手取り率というのは大体六割ぐらいだ、こうおっしゃったのですが、それは間違いございませんか。間違いないとするならば、末端で二十円で売られているもの、三十円で売られているもの、あるいは十円ぐらいで売られているもの、先ほど百円、二百円というようなことをおっしゃったわけですけれども、あるいは三百円というようなこともおっしゃったのだけれども、そういうものについて、この生産者から卸問屋に渡る段階の、いわばコスト価格、こういうものをどういうようにつかんでおられるか。そのことをそういう銘柄別に、小売り価格大体二十円ぐらいのものは生藤者のところから出るときには幾らであるという具体的な数字を、一枚について幾らだと、こういうぐあいに、その点を伺っておきたいと思います。
○平松説明員 いまお尋ねが二点あったと思いますが、流通の合理化についてどう考えておるのだという点につきましては、私ども一生懸命知恵をしぼって——その閣僚協議会では来月の半はから末までに出せということでございますので、知恵をしぼってまいりたい。ただ、非常に困難な情勢にあるということを申し上げたわけでございまして、私どもは、困難でございますけれども努力をして、何らかの知恵をしぼり出してまいりたいということを申し上げたわけでございます。 それから、それを下げるためには生産の増大というような形のことかというお話でございますが、確かにほんとうに価格を下げるということのためには生産の安定的な増大ということが一番大きな薬であろうというふうに考えますので、その点につきましては、沿岸漁業構造改善対策事業の第一次の対策事業でも十分ノリに力を注いでまいりましたわけでございますが、今後第二次の構造改善事業をやっていきますにつきましてもその点に力を注いでまいりたいというふうに考えておりますし、それからノリの生産についての研究も進めてまいりたいというようなことを考えておるわけでございます。 それから、小売り価格の六割ぐらいが生産者の手取りだということは確かかというお話でございますけれども、これはあくまでも私どもの推定でございまして、確実にこうだというふうなことを申し上げるほどのデータは持ち合わせてない。ただ、いろいろ私どもが事例的に調べたものでは、そういうものが大体六割見当のところではなかろうかという数字を示しておるということでございます。
○広瀬(秀)委員 推定だということで、実際に生産者がどのくらいのコストでノリを生産できるのか、こういうような点についてはまだ確たるコスト計算といいますか原価計算というものはないようですね。農林省にも、非常にむずかしくてまだそれがないのだということのようですから、これなどもやはりもう少し、流通機構全体の中で生産者価格がどれだけだ、小売り価格がどれだけだという、その中でのものをしっかりつかんで、せっかく物価対策閣僚協でもこの問題を取り上げたという問題点踏もまえて、一つの品目であろうともノリが目に見えて安くなったというような方向が出るように、十分ひとつ努力をしていただきたい、強く要求をいたしておきたいと思います。 それで最後に、時間がもう過ぎたという御注意もありましたからこれでやめたいと思いますが、韓国ノリの輸入というものを、日韓問題などとも関係をしてどの程度ことしは割り当てをするおつもりなのか。五億枚なのかあるいはそれ以上なのか、その辺のところを、皆さんの計画がありましたらはっきりお示しをいただきたいと思うわけです。
○平松説明員 韓国ノリの輸入につきましては、先月の九日から十二日まで、ノリの輸入の割り当てをどの程度にするかということで折衝をいたしたわけでございます。韓国も日本の作況と同じく空前の豊作ということでございまして、先方は大体その中の四割程度、八億枚を日本に輸入してほしいということを要望いたしたわけでございますが、私どもといたしましては史上空前の豊作ということでございまして、いままで輸入量と国内の生産量を合わせまして最大の年、これがたしか消費年度で申しますと四十年だと思いますが、四十四億枚、それを三割方オーバーするという供給量でございますから、もしこれがこのまま向こうさんの言うような数量を輸入いたしますと、新ノリの生産時期に持ち越されまして、それが新ノリの価格を圧迫するという生産者側の猛烈な反対もございまして、それも全く無視できないというようなことから、私どもといたしましては、日韓の国交正常化の際の第一回の貿易会談で二億枚ないし五億枚輸入するという取りきめがございますので、二億枚程度ということで主張をいたしたわけでございますけれども、両方折り合わずということで一たん分かれるということにいたしておるわけでございまして、これは国内の生産事情その他を踏まえまして、また韓国側の日韓の片貿易の是正なり日韓友好増進なりというようなことを頭に入れながら、今後折衝してまいるというような形になろうかと思います。
○広瀬(秀)委員 最後に、もとに戻るようですが、閣僚協でもそういう問題の取り上げ方をしておるということで、去年より大体どのくらいまでこのノリ全般が——銘柄は上級品から下級品までいろいろあるわけですけれども、かなり下がる、こういうようなことだけはここではっきり答弁できますか、そのことだけ聞いて終わりたいと思います。
○平松説明員 先ほど申し上げましたように、国内の小売り価格はもうすでに昨年の平均価格をこの四月の水準で割っておるのではないかというふうに考えております。まだ多少下がり得るのじゃないかというように考えておりますが、御承知のように昨年は不作でございましたために、一じょうが七枚、五枚という形で取引されております。それから緑色をしたようなノリが大手を振ってノリ屋の店先に並んでおった。それも一枚二十円というような価格のものさえあったというようなことも聞いておりますけれども、本年はまっ黒いノリが一じょうは十枚で確実に二百円前後、安いものは百円くらいのものから店頭に並んでおるようでございますから、私どもはかなり下がっておるというふうに考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 以上で終わります。
○毛利委員長 貝沼次郎君。
○貝沼委員 簡単なことだけですけれども、まず初めに大蔵省に聞いておきたいのですが、この特別会計の歳入不足を埋めるために一般会計からの繰り入れ金は私は当然だと思うのです。しかし、この返済のめどの問題、いまも出ておりましたけれども、この法案では一般会計に繰り戻すのは後日決算上剰余が生じた場合、こうなっておりますが、こういうような出世払い的な返済方法というものが適当であるのかどうか、その考え方について伺っておきたいと思います。
○竹内(道)政府委員 先ほど農林当局からも御答弁申し上げたのでございますが、この漁業共済が長期的には収支が均衡するという前提で保険の設計ができておるわけでございますので、財源不足を生ずる年もございますし、また黒字が出るという年もあるわけなんでございます。したがいまして、今回繰り入れをいたしましたものにつきましても、将来の年度におきまして、決算上剰余を生じた場合には繰り戻してもらうということにしておるわけでございます。
○貝沼委員 将来戻してもらうということなんですけれども、どうも私どもから考えると、何か返ってこないのじゃないかという気がするのです。これからだんだん議論してまいりますけれども、先ほどからも、このノリの災害というものがこれからふえるのじゃないかというふうなニュアンスのこともありますし、どうせ出しっぱなしみたいなかっこうになるなり、もうちょっと考え方があるのじゃないか、こういう考えがいたしますので、お聞きしたわけであります。 それから、こういうふうなことが、過去に不足して繰り入れたというようなことがあったかどうか、これをお伺いしておきたいと思います。
○竹内(道)政府委員 この漁業共済につきましては、御承知のようにまだ発足して間がございませんので、この保険についてはございませんけれども、他の特別会計、たとえば農業共済再保険特別会計というものにつきましては、しばしば繰り入れということは過去にございました。またその繰り入れにつきまして、将来決算上剰余が出た場合に一般会計に繰り戻しをしてもらうということも、この農業共済の保険については現実にあったというのが例でございます。
○貝沼委員 それで水産庁の方にお伺いしておきたいのですが、この制度は四十三年度からできたということになっておりますが、どうしてこういう制度が四十三年度から必要になったのか。 それから、日本のノリの歴史というのは非常に長いと思いますけれども、このように四十三年度になって急激に災害が起こってきた、そういう予測はいままでできなかったのか、あるいはなぜそういう災害が四十三年度に起こったと考えるのか、この辺を伺いたいと思います。
○平松説明員 最初に私御説明いたしましたが、漁業につきましては海を相手の産業でございますので、海況なり天候なりに支配されることが非常に多い。しかも漁業主体は大半が沿岸漁業で、零細でございますので、そういう天候なり海況なりに支配されて経営の基盤がゆるむということでは、国民経済から見てもよろしくないであろうということで、漁業関係者の間から漁業について農業と同じように漁業災害補償、漁業共済があってほしいというような要望があったわけであります。ただ保険設計をいたします場合に、天候であるとか海況であるとかということでございますと、非常に不安定な要素が多うございまして、保険設計をする上に非常に不安であるということでなかなか踏み切れなかったわけでありますけれども、三十二年から三十八年まで一応全水共で試験実施をいたしました。その試験実施の結果を踏まえまして、団体だけでまず三年ほど実施をした。そのあと国の特別会計で保険をするということに踏み切ったわけでございまして、四十三年に突如として制度ができたわけじゃないので、そういう要請は前からあって、そういうようなテストの段階を踏んで今日の状態に至ったということであります。 四十三年にどうして赤字が出たかというお話でございますが、その点につきましては、突然四十三年に海況異変があったと申しますか、十一月から十二月にかけまして異常な高温が出た。ノリはわりあいに高温に弱うございまして、高温の際は病気が出るということで、そこで不作になったという状況でございます。
○貝沼委員 いま御説明があったわけでありますけれども、温度が上がったということは、これは私は結果だと思うのです。そういう要素もあるのじゃないかと思います。海ができてからずいぶん長いわけでありますから、温度が上がったり下がったりすることはあった。しかしながら最近急にそういうふうに上がってノリがめちゃめちゃになるということは、これはちょっと考えなければならない社会的な背景があるのじゃないかと思います。たとえば大工業の誘致というようなことで埋め立てなどやりますね。そうすると潮流が変わってくる。したがって、よどんだところにおいては温度が上がってもこれはふしぎではない。あるいはたとえば油であるとかいろいろなものが流れていた場合に、太陽光線が同じように当たっておっても、やはりそこでは温度が上がることも考えられる。そういうことを言い出しますとこれは公害的なにおいも出てくるわけでありますけれども、しかしながらそれは公害とは断定できない。やはり公害そのものではなくて、そういうことによって自然の現象が変わって、そのために温度が上がったということが幾らかあるのじゃないかと私は思います。したがって、それはこの保険の対象になるわけでありますけれども、そういうような社会的な背景というものが考えられないかどうか。その工場自体がそうであるというわけじゃありませんけれども、たとえばどこどこの海峡が細くなったとか、そういうようなことで、ノリをつくっていく上においてある程度影響がなかったかどうか。特に四十三年となりますと、日本の経済成長も著しくなってきて、何かそこに私は関係がありそうに思えるわけです。この辺いかがでしょう。
○平松説明員 四十三年はちょうど十一月から十二月に水温が上がったということがございましたが、そのあとはわりあいに下がっておるということでございます。継続的に高温が、四十三年から四十四年、四十五年と続いておりますと先生御指摘のようなこともあろうかと思いますが、四十三年のその時点でそのような形で水温が上がったということでございまして、この時期は陸上のほうも温度が高くて暖冬異変といわれておるわけでございまして、そのことが直接公害と結びつくかどうかということについては、私どもはまだにわかに断定することはむずかしいのじゃないかと思っております。
○貝沼委員 私も公害とは直接結びつくとは考えにくいと思うのです。ただ、さっき私は海の温度のことばかり言いましたけれども、たとえば埋め立てのために漁業ができなくなった、あるいは海水汚濁のためにできなくなった。そうすると、漁民は新しい仕事をすることになるわけです。その場合、たとえば初めてノリを始めたというところもあるわけであります。そうすると失敗する率が高くなってもしかたがない。そういった非常に微々たるものではあるかもしれないけれども、何かかにか重なって、四十三年に暖冬異変もあったでしょうけれども、とにかくいろいろな要素が重なったのじゃないかと思うのです。そこで私は、温度が上がったために災害があった、だから保険金を払う、そして特別会計が少なくなった、ただそういう簡単な関係だけできめつけていくという考え方は、やはりちょっと注意する必要があるのじゃないか。もうちょっといろいろな要素があるということも考えておく必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
○平松説明員 確かに工場進出が進んでまいりまして、従来のノリの漁場であったところが埋め立て等のためにノリの栽培ができなくなるということ、そのかわりというわけじゃございませんけれども、ほかに新漁場が開発される。たとえば東京湾内なり東海、伊勢湾地方がもとはノリの産地、中心地であったのが、最近は九州の有明海とかあるいは瀬戸内海がノリの産地になってきたということがそういうことを物語るものであろうと思います。そういうことでノリの産地の転移が行なわれておりますけれども、大体ノリ栽培の漁家というのは六万六千程度の安定的な推移を示しておりまして、おっしゃるような形で、初めに参入したときは多少技術的に不安定なものもあったと思いますが、そういう方々は小さな規模から始められておるということでございまして、大勢に影響を与えるというものではなかろうというふうに私ども考えております。
○貝沼委員 それから、四十三年度の災害に対して保険金を支払い切れぬ、これを四十五年度に繰り入れて支払うというのでは、漁業共済基金からわざわざ利子をつけて借りるということをやらなければ、漁民に支払う金が非常におくれるわけです。こういうことでは漁民が非常に困るのではないか。これについていかがですか。
○平松説明員 共済事業につきましては、農業共済の先例がございまして、国の特別会計の資金が予算に縛られておるために共済金の支払いがおくれるという事態が起こって、そういう事態を防止するために農業共済基金というものができたという先例があるわけでございます。漁業共済について国の特別会計による保険を始めました際に、やはり同じような形で漁業共済基金というものをあらかじめつくっておいて、連合会がそこからお金を借りて払うということで、国の特別会計の中で予算が不足したために共済金の支払いがおくれることがないようにという措置をしておるわけでございます。そのような形で基金から借りてお金を払う形にしますと、基金から借りたものの金利負担ということが出てくるわけでございますが、その分につきましては、特別会計のほうから連合会のほうに金利に見合う交付金を交付するということで対処をいたしておるわけでございます。
○貝沼委員 それから、今後このノリの生産は向上していくと見ておりますか、それともすたれていくと見ておりますか。
○平松説明員 ノリの栽培は終戦後非常に盛大になったわけでございまして、ノリの栽培が盛大になってまいりますにつれてノリ栽培の技術も進んでまいりました。先生御承知だと思いますけれども、ノリの採苗をいたしますのに、昔は苗場に持っていって苗を植えつけたものが、最近は人工採苗で、自分たちの任意のところでつけることができるようになりましたし、竹のひびでやっておりましたものが網ひびを使うということになりまして、先ほども御説明申しましたけれども、海況等の不況に対処するために、冷凍網と称しまして、採苗をいたしました網を冷蔵庫の中に予備としてとっておく。海況等が好転いたしました場合にはそれをかえて使うというようなことで安定をはかる。あるいは、いままで浅いところだけで生産いたしておりましたものが、沖流しと称しておりますが、かなり沖のところでも栽培ができるということで、栽培の技術が非常に進んでまいっておりますので、私どもは、今後ノリの生産は安定的に発展してまいるのではないかというふうに考えております。
○貝沼委員 ノリの生産はふえる方向である。そうすると、災害のほうもそれに伴ってふえていくと考えてよろしいですか。その点はいかがですか。
○平松説明員 ただいまお話し申し上げましたような技術の進歩がございまして、なかんずく冷凍網というような技術は、ノリの災害をより少なくするという方向に働く技術だろうと思います。ただ、沖流しみたいに漁場が沖のほうへ出てまいるということになりますと、浅いところの内湾でやっておったころよりも多少災害がふえるという要素もあろうかと思います。
○貝沼委員 冷凍網の話が出ておりますが、大体ノリの漁期というのは一晩で全部出てしまうのですね。冷凍網に取りかえるというのは何日もかかるわけです。だから、私はこれはたいへんな問題だと思うわけです。そういう天災的なことがあった場合、いままではある程度で済んだのが、生産が向上するとやはり相当大きな被害が出る。そうすると、この保険制度もそれに対して対処しておかなければならない。そこで、いまのようなぐあいで、四十三年度みたいに天災があったから金が不足だ、そのたびにこんなことをやっておったのでは時間が幾らあっても足りないのです。したがって、今後少なくとも四十三年度くらいのものはあり得るというふうな考え方に立てば、一度あったわけですから、この特別会計のほうもやはり考え方をもうちょっと変えて、前もってもっと多くの繰り入れをしておく。たとえば農業のように、保険金支払い基金勘定といったようなものを考えるとか、こういうような考えはないかどうかということをお尋ねしたいと思います。
○竹内(道)政府委員 先ほど申し上げましたように、共済保険は、長期的には均衡が保たれるという前提で保険の設計ができておるわけでございますけれども、単年度単年度をとりますれば、赤字の年あるいは黒字の年というものができるわけで、短期的には保険会計として支払い資金に不足を生じるという場合が当然起きるわけでございます。そういった短期の不足資金をつなぐためでありますれば、この保険会計としては借り入れ金の道も開かれておりますので、あるいは借り入れ金で処理するという方法も可能なわけでございますけれども、四十三年度の被害と申しますのは、制度発足早々に起きて、しかもこの保険の大きさから比べますとかなり大きな、異常な災害が発生したというふうに考え、やや時間がかかってこの部分が取り戻せるのじゃないかというふうに考えまして、これを借り入れ金でやりますと、いろいろ利息の負担等もこの保険にとって必ずしも軽くないというおそれもございますので、一般会計から繰り入れをいたしまして、将来剰余金が生じた場合にはそれをまた一般会計に繰り戻していただくということを考えたわけでございます。このような異常な災害であったために今度のような措置をとったわけでございますので、再びかようなことがないことを私ども非常に願っておるわけでございますが、またそういうことがありましたときには、そのときそのときに応じましてどういう措置をとるかということを考えていけばよろしいというふうに思っております。いまのところは、さような支払い基金制度というようなものを設けることを考えておりません。
○貝沼委員 考えていないそうでありますけれども、四十三年度に一度起こったことは、これは天災の話ですからわれわれが注意してもしかたがないのですよ。しかも二年越しに払ってそれでもなおかつ足りないなんということではちょっとおかしいのじゃないか。したがって、この特別会計の額をもうちょっと広げるなりあるいはそこに基金という勘定を置くということが私は必要ではないかと思うのです。そういう方向に行く考えはないか、この点はいかがでしょう。
○竹内(道)政府委員 漁業共済の制度は、制度として発足いたしましてまだ二、三年しかたっておらないという状況でございますし、その制度発足の当初に、ただいま申し上げましたように大きな被害が起きたということがいろいろな問題を起こしておるわけでございますけれども、さらにまた将来、この漁業共済につきましていろいろ実績なりデータを私ども持ちましたときにいろいろ考えてみたいとは思っておる次第でございますが、ただいま現在のところといたしましては、そういう制度を恒久的な制度として設けるということについては、いままで考えたことはないという状況でございます。
○貝沼委員 それはもうちょっとデータが必要だという意味だと思いますが、しかし事件が起こってからでは実際おそいのですね。まあなるべく事件が起こらないように私たちも念願するものではありますけれども、もし起こった場合にたいへんですから、これを聞いておるわけでございます。 四十三年度にこの制度が発足したわけでありますけれども、それ以前のこういうような赤字ですね、それはどれくらいあったのか、またそれに対する処理はどうするのか、それをお伺いいたします。
○平松説明員 この制度が発足いたします前に赤字がございましたのは、各種の共済を含めまして、連合会と共済組合の段階、両方合計いたしまして約十億程度でございます。
○貝沼委員 この四十三年以前の返済方法というか、処理の方法、これはどのようにしますか。
○平松説明員 連合会がその赤字を返済する方法でございますか。
○貝沼委員 四十三年度からこの会計ができたわけですが、それ以前にもこういう赤字が出ておるはずなんですね。四十三年度からは特別会計から見てあげるからいいわけですけれども、それ以前はこの特別会計がないわけですから。赤字があったから特別会計が必要だというのでつくった、これはいまの説明ですね。したがって、それ以前の赤字についてどういうふうに処理するのか、それを伺っておきたい。
○平松説明員 先ほど私が連合会と共済組合と合わせまして十億程度と申し上げましたのは、現在の段階での数字でございまして、保険が始まります段階での共済団体の赤字というもので申し上げますと約七億二千万程度になります。これをどういうふうな形で返済するかということにつきましては、そのうちの五億九千三百万につきましては、先ほど御説明をいたしましたように、国からの三億円の補助なりあるいは共済基金からの無利子貸し付け、そういう資金の運用によって消していただくという部分が一部分あるわけでございます。まあ大半になると思います。それからそれ以外に残った分につきましては、共済制度そのものが長期均衡ということを前提にして生まれているわけでございますから、どれぐらいの期間ということは申し上げかねますけれども、ある一定の期間たちますと均衡するという形になるのではないかというふうに考えております。
○貝沼委員 それで、この三億という補助金のきめ方ですけれども、これは何を基準にしてきめた三億でしょうか。
○平松説明員 先ほどもお答えいたしたわけでございますけれども、全額補助金で出せれば一番いいわけでございますけれども、財政上その他も勘案いたしまして、補てんすべき赤字額の約半分程度は補助金で見ようというようなことで、三億という数字をはじき出したわけであります。
○貝沼委員 大体半分という考えのようでありますけれども、金の問題は非常に厳密なことが多いわけですね。ところがこれを見ると、私非常にふしぎに思ったのですが、大体半分くらい、こういう考え方になっているのです。したがって、どうせ補助をするならもうちょっと、だれが見ても納得のいくような線を——ちゃんと理屈がなければならぬと思うのです。さらに今後ともこの漁民のほうは海が狭められて、あるいは漁業ができないとか、またよごされてノリすらできない。しかも昔から手でノリをつくっている人たちは、最近はだいぶ新しいノリ業者が機械を購入しているけれども、しかしお金のないところは依然としてあの寒いときにノリをやっていなければならない、こういう姿が現実なんですね。したがって、こういうような方々にもっとあたたかく配慮をした制度をしていただきたい、私はこういう念願をして終わります。
○毛利委員長 永末君。
○永末委員 期間はよくわからないけれども、長期には均衡する予定でやっておる、こういうふうなお話ですが、私の会社であるとやはり資本金を持って——かなり考えますね。掛け金だけで全部長期均衡を予定するというのはあまり聞いたことないのですが、一体資本金なしでもいいという話ですか。
○竹内(道)政府委員 民間の会社が保険をやります場合にはもちろん資本金というのはございます。私の記憶しておるところでは、たしか保険業法には、保険事業を営むには最低資本金が幾ら以上なければならないというような規定があったように思います。その資本金の性質は何であろうかということになると、いろいろあるとは思うのでございます。民間の保険会社が仕事をいたしますときに、やはりある程度、本社その他の建物等設備投資が必要だ、そういう設備投資に見合うものとしての資本金という意味もあると存じます。それから、やはり信用事業でございますから、その保険に入る人に対する信用確保という意味からも一定の大きさの資本金というものが必要である。それからまたお話しのように、異常な災害が起きたというような場合に借り入れ金だけでまかなっていくのでなくて、やはりある程度の資本金があるほうがいいじゃないかという、いろんな意味を持って資本金というものが民間保険会社の場合に必要とされておるということではないかと思うのでございますが、特別会計の場合には、その設備資金というようなことは必要ございませんし、また民間会社と違いまして、財政的な裏づけを持った、財政力というものを裏づけにした再保険を国がやっておるというようなこともございますので、いろいろ御意見はあるかと思うのでございまするけれども、必ずしもその資本金がなければいけないというものではないんじゃないかというふうに考えます。
○永末委員 やはりこの制度に対する漁民の信頼感といいますか、そういうものがなければならぬと思うのです。もし掛け金だけでやっていくとしますと、それぞれの定めはございましょうが、保険金をもらう場合の査定のしかたとかなんとかいうものが渋くなりはしないかということにもなろうし、また今度は必ず掛け金が保険金として当て込まれるんだということになると、順番の当たらない者は——順番の当たらないほうがいいんでありますけれども、掛け金は掛け捨てになる。これは任意加入でしょう。そうすると、加入者がふえない。結局異常な災害といいますけれども、災害が起きた場合に異常さというのは何に比較していいかわからないけれども、おそらく純経済的にいいますと、支払い能力に比較して異常だというような程度のことじゃないかと思うのです。そうしますと、せっかくこの制度をつくった意味合いが薄れてくる。したがって、しょうがないから出世払いの形で一般会計から繰り入れるという思想ではなくて、大体これくらいの加入者を求めようとするならば、どの程度の保険金支払いというものが起こり得るかということをやはり算定をし、一般会計もこれこれの覚悟をしてかかるということにならぬと本式じゃないと思いますが、いかがでしょう。
○竹内(道)政府委員 先生のおっしゃるのはまさに一つのお考えだと思うのでございますけれども、今回の場合を例にして申し上げますれば、実際には漁民に対する支払いというものは連合会からちゃんとされているわけでございまして、御承知のように共済基金のほうから連合会が借り入れをして、漁民自身には遅滞なく保険金を支払っていく。ただ特別会計から連合会に対する保険金の支払いはおくれておる。そのために今回の繰り入れをやるということになったわけでございまして、今回の例から見ましても、個々の漁民に迷惑をかけておるということはなかったわけでございまして、またその特別会計というものを、先ほど申し上げましたように国が管理しておるわけではございませんから、その点については実際に現ナマを積んで資本金というものを持たなくても、国が再保険をやっているということで信用していただけるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○永末委員 現実に加入しております漁民あるいは漁船所有者といいますか、対象者は、実際に予想せられる対象者のどれくらいをカバーしているんですか。
○平松説明員 共済の種類によって違いますけれども、多いものは五割程度、少ないものにつきましては一割足らずということになっております。
○永末委員 その一割足らずというのは、この制度があまり有利でないという意識なんですか、知らないんですか、何とか変えればもっと入ってくるということになるんですか。
○平松説明員 これは漁民の方もいろいろの考え方をしておられるんじゃないかというふうに考えますが、少なくとも約五〇%に近い掛け金の国庫補助があるということから考えますと、通常ある程度の災害があればやはり漁民のほうは好んで入られるというような形のものではなかろうかと思います。ただ、いま申し上げたように、低い加入率を示しておるものにつきましては、やはり漁民のそういう漁業に対する依存度と申しますか、それから一発当ててやろうというような形の従来の漁業のやり方、それで多少災害があってもいいのだという、漁獲共済あたりにその面がわりに多いのはそういうことからではなかろうか。それから、養殖共済のほうになりますと、ある程度企業的に漁業を営もうというような形のものでございますから、加入率が高い。そこらに漁民の心理もあろうかと思いますが、制度自身、私どもまだ検討をしていかなければならない面もあろうかと思います。
○永末委員 結局、日本の漁業が一発屋さんでやっておることが続けば、それはむしろ漁民にとっては好ましくないことでしょうね。やはり継続的に企業としてつないでいかれるということが問題です。そのためにやはり保険制度というものが考えられていると私は思うのです。そうしますと、やはりこの制度はおれたちにいいのだというぐあいにくふうをして、掛け金の年々変わっていく時間的な系列も考えたり、やはりもっとみなが入ってくるように、だから、逆にいいますと、掛け金だけが保険金の財源だということではなくて——制度としての借り入れもある、こうやって一般会計からの繰り入れもあるということですが、もう少し制度として安定した形で、そして漁民が信頼して、有利だと思わせるような形の運用をしていただきたい、ひとつそういう注文をつけておきます。 十分だから終わります。
○毛利委員長 これにて、漁船再保険及漁業共済保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案に対する質疑は終了いたしました。 次回は、来たる二十八日火曜日、午前十時理事会、十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二分散会