大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/04/01
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
○毛利委員長 政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。中川大蔵政務次官。
○中川政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外四法律案について、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 最初に、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における所得税負担の現状にかんがみ、その負担の軽減をはかるため、所得税の減税を行なうとともに、税制の整備合理化を行なうため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、中小所得者の所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうこととしております。 すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現在の十七万円から十八万円に引き上げるとともに、扶養控除を現在の十万円から十二万円に引き上げることとしております。この結果、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限は、現在の九十三万五千円から百二万九千円に引き上げられることとなります。 第二は、中堅給与所得者層の所得税負担を緩和するため、給与所得控除の拡充を行なうこととしております。 すなわち、その控除率を引き上げるとともに適用範囲をも拡大し、十万円の定額控除後の給与の収入金額百万円までは二〇%、二百万円までは一〇%、四百万円までは五%を控除することとしております。 第三は、税率の緩和をはかることとしております。 すなわち、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかる見地から、税率の刻みとその適用区分の大幅な緩和を行なうこととしております。 第四は、障害者控除等の特別な人的控除の引き上げを行なうこととしております。 すなわち、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ一万円引き上げるとともに、いわゆる母子家庭への配慮から配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の扶養控除を二万円引き上げることとしております。 以上のほか、医療費控除について実情に即するよう改善をはかり、養護委託人を受託者の扶養親族に加え老人受託者の負担の軽減をはかり、資産所得について合算課税を行なう場合の最低限度額を引き上げる等所要の規定の整備を行なうこととしております。 なお、配当控除については、課税総所得金額一千万円以下の部分の控除率を一〇%、同じく一千万円をこえる部分については五%に引き下げることとしておりますが、これらについては、別途御審議をお願いする租税特別措置法の改正案において、所要の経過措置を講ずることとしております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。 政府は、昭和四十五年度の税制改正の一環として、中小法人の内部留保の充実に資するため同族会社の留保所得に対する課税を軽減するとともに、税制の整備合理化をはかるため、ここに、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、中小法人の税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げることとしております。 すなわち、その控除額は、現在、所得金額の三〇%または年百五十万円のいずれか多い金額とされているのでありますが、これを所得金額の三五%または年二百万円のいずれか多い金額に引き上げることとしております。 第二は、同族会社の範囲について、その縮減合理化をはかることであります。 すなわち、同族会社の定義を改め、三人以下の株主等及びその同族関係者がその発行済み株式等の五〇%以上を保有している会社に限り同族会社として取り扱うこととしております。 第三は、課税所得の計算の合理化をはかるため、建設工事の完成後の補修に要する費用の額として見込まれる金額を完成工事補償引当金として引き当てることを認める制度を創設することとしております。 そのほか、主として中小法人の納税手続を簡素化するため、中間申告書の提出を要しない税額の限度を三万円から五万円に引き上げる等所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 政府は、昭和四十五年度の税制改正の一環として、法人税負担を引き上げ、利子・配当課税の特例について漸進的な改善合理化措置を講ずるとともに、企業体質の強化、中小企業対策等に資する特別の措置を講じ、あわせて既存の特別措置について整理合理化をはかるため、ここに、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、現下の経済財政事情にかんがみ、法人税負担の引き上げを行なうことであります。すなわち、二年間の臨時措置として、普通法人の所得のうち、留保分に対する法人税負担を現行の五%増に引き上げることとしております。ただし、中小法人の所得のうち年三百万円以下の部分の税負担については、特に現状のまま据え置くこととしております。 第二は、利子・配当課税の特例について、国民の貯蓄態度に与える心理的影響をも考慮して、漸進的な改善合理化の措置を講ずることであります。 まず、利子課税につきましては、現行の源泉徴収税率の軽減の特例を昭和五十年十二月三十一日まで延長するとともに、昭和四十六年から昭和五十年までの間に支払われる利子のうち、定期預金その他資産性の強い預金等の利子について、総合課税と源泉分離課税との選択を認める源泉分離選択課税制度を創設し、他方、普通預金等要求払い預金の利子については、新たに申告不要制度を創設することとしております。なお、源泉分離課税を選択した場合の税率は、昭和四十六年分及び昭和四十七年分は二〇%、昭和四十八年以後三年分は二五%といたしております。さらに、少額国債の利子の非課税制度につきましても、その適用期限を昭和五十年十二月三十一日まで延長することとしております。 次に、配当課税につきましては、利子課税の改正に見合って、現行の源泉徴収税率の軽減の特例及び源泉分離選択課税制度並びに少額配当の申告不要制度の適用期限をそれぞれ昭和五十年十二月三十一日まで延長するとともに、源泉分離課税を選択した場合の税率を昭和四十八年以後三年分は二五%とすることとしております。 なお、昭和四十六年分及び昭和四十七年分の配当控除率については、課税総所得金額一千万円以下の部分を一二・五%、同じく一千万円をこえる部分を六・二五%とすることとしております。 また、証券投資信託の収益の分配金の課税につきましては、利子課税の特例と同様の措置を講ずるとともに、割引債の償還差益に対する課税の特例につきましても、その適用期限を昭和五十年十二月三十一日まで延長し、発行時における源泉徴収の税率を昭和四十六年分及び昭和四十七年分については八%、昭和四十八年以後三年分については一〇%に引き上げることとしております。 第三は、企業体質の強化、中小企業対策等に資するための措置を講ずることであります。 その一は、企業体質の強化をはかるための措置を講ずることでありまして、法人が昭和四十五年五月一日から二年以内に産業体制の整備に資する合併をした場合について割り増し償却制度を創設するとともに、合併登記の登録免許税軽減の特例の適用期限を二年間延長することとしております。 その二は、中小企業対策のための措置でありまして、下請中小企業振興法の制定に伴い、下請中小企業振興準備金制度及び共同利用施設の特別償却制度を創設するとともに、中小企業者の機械等の割り増し償却制度について業種指定の期限を二年間延長するほか、中小企業構造改善準備金、中小企業の貸し倒れ引当金の特例等、中小企業に関する課税の特例の適用期限をそれぞれ二年間延長することとしております。 その三は、過密過疎対策に資するための措置でありまして、ガス事業者の特定ガス供給設備について特定ガス導管工事償却準備金制度を創設するとともに、産炭地域の工業用機械等の特別償却制度について、その対象となる事業及び資産の範囲を拡充することとしております。 その四は、基礎資源の開発を促進するための措置でありまして、石油開発法人の発行する株式の取得について石油開発投資損失準備金制度を創設するとともに、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費の特別控除制度の適用期限を一年間延長することとしております。 その五は、情報化の促進に資するための措置でありまして、一定の電子計算機について特別償却制度を創設するほか、電子計算機買い戻し損失準備金の積み立て限度額を引き上げることとしております。 そのほか、住宅貯蓄控除制度、耐火建築物の割り増し償却制度等の住宅対策のための措置、株式売買損失準備金制度、試験研究費の特別税額控除制度及び民間外貨債の利子の非課税措置等についても、それぞれその適用期限を二年間延長することとしております。 さらに、農業振興地域の整備に関する法律に基づく勧告による農地の譲渡等について、譲渡所得の特別控除及び事業用資産の買いかえの特例等を設けるとともに、自然公園法の規定により特別保護地区として指定された区域内の土地が国または地方公共団体に買い取られる場合の譲渡所得について特別控除を認めることとしております。 第四は、既存の特別措置について、実情に応じた整理合理化を行なうことであります。 すなわち、適用期限の到来する特別措置のうち、海運業の再建整備にかかる課税の特例等、すでにその政策目的を果たしたと認められるもの、または資本構成を改善した場合の特別税額控除制度等のように、政策手段として期待された効果をあげていないと認められるものについては、その適用期限の到来とともに廃止することとしております。 以上のほか、相続財産を相続後一定期間内に譲渡した場合の譲渡所得の計算方法を合理化する等、所要の規定の整備をはかることとしております。 次に、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。 物品税につきましては、国際競争力の強化、新規課税物品に対する税負担の激変緩和等の見地から、トランジスターテレビジョン受像機等八品目につきまして、暫定的に非課税または税率の軽減等の措置を講じてまいりましたが、これらの措置の期限が本年中に到来することになっております。 これらの物品のうち、パッケージ型ルームクーラー、ステレオ式の拡声用増幅器等につきましては、すでにその目的を達成したものと認められるところから、その期限到来とともに本則税率を適用することが適当と考えられますが、トランジスターテレビジョン受像機ほか四品目につきましては、なお、その生産及び取引の実情に顧みましてその税率を漸進的に引き上げる等の措置をとる必要があると認められますので、ここに、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 まず、現在非課税とされ、または軽減税率が適用されておりますトランジスターテレビジョン受像機、電子楽器、温蔵庫等につきましては、原則として、毎年その税率を五%ずつ引き上げて、漸次本則税率に移行するよう措置することとしております。 次に、オールチャンネルテレビジョン受像機につきましては、UHF放送の受信回路に関する課税標準の特例措置の期限を、昭和四十六年三月三十一日まで延長することとしております。 このほか、これらの物品に関する手持ち品課税について所要の規定の整備をはかることとしております。 最後に、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。 最近におけるわが国を取り巻く貿易環境の変化、国内産業の動向等に対応し、関税率について所要の調整を行なうとともに、関税の減免還付制度について重油脱硫減税制度を新設する等の整備を行なうため、関税定率法及び関税暫定措置法の改正を行なう必要がありますので、この法律案を提出することとした次第であります。 以下、この法律案の概要を御説明申し上げます。 第一は、関税率の改正であります。今回の改正におきましては、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて五百八十一品目の関税率について所要の調整を行なうことといたしております。 すなわち、新たに関税率の引き下げを行なうものは小型乗用車、ナチュラルチーズ、大豆等の百十品目、関税率の引き上げを行なうものは関税割当制度の二次税率を改正するトウモロコシ一品目、暫定税率の適用期限の延長等を行なうものは、バナナ、パイナップルかん詰め等の七十五品目であります。また、協定税率が適用されない国の産品として協定税率が適用される国の産品との間に生ずる関税格差を解消するための措置等を引き続き講ずるものが三百九十四品目となっております。 第二は、関税の減免制度等の改正であります。まず亜硫酸ガスによる大気汚染公害対策の一環として、関税暫定措置法に重油脱硫減税制度を新設することにいたしております。この制度は、脱硫される重油一キロリットル当たり三百円の割合で、その原料となる輸入原油に対する関税の軽減を行なおうとするものであります。 このほか、関税暫定措置法につきましては、加工再輸入品に対する減税制度の適用対象となる品目の追加等を行なうとともに、現行の減免還付制度の適用期限をすべて明年三月末まで延長することといたしております。 また、関税定率法につきましても、市況の高騰時における輸入豚肉の関税減免制度の弾力化、輸出戻税制度の適用範囲の拡大等をはかるとともに、教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定への加入に伴い、ニュース映画用フィルム等を免税とする等、規定の整備を行なうことといたしております。 なお、以上の改正の実施時期につきましては、重油脱硫減税等法案中に特に定めのあるものを除き、本年五月一日といたしております。 以上が、所得税法の一部を改正する法律案外四法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○毛利委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○毛利委員長 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
○美濃委員 まず最初にお尋ねしたいことは、これは過去もそうなっておりますが、本年の租税収入の見積もりを見ましても、大体所得税、法人税、これは全部じゃないですが物品消費税、これに類するもの、その三つに分けまして、おのおの二兆円で三等分されておる。若干の相違はありますけれども、三等分をされておる。片や国民所得の実態あるいは国民生活の実態というものを見ますときに、はたしてこの体系が日本の経済実態に見合う日本の税の体系として適当であるかどうか、こういうことに疑問を持つわけですが、この点についてどのようにお考えになっておるか、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。
○細見政府委員 国民所得との大数的な達観的な関係で租税を考えます場合には、普通、所得税、法人税を入れました直接税とそうでない間接税とに分けて論ずるのが普通でありまして、いまおっしゃったように所得税と法人税とあるいはその他の税という関係で御議論、御指摘になったのは、実は私、初めて承るわけでありますが、国によりましてあるいは経済の発展の態様によりまして、この点はかなり違っております。たとえばアメリカのような国をとってみますと、所得税が圧倒的に大きな地位を占めております。また、西欧諸国を見ましても、これまた法人税のウエートは日本よりはかなり低くなっております。しかし、ヨーロッパ諸国が法人税のウエートが低くなっておりますのは、御承知のように付加価値税が行なわれておって、これが税収の三割くらいを占めておる。したがって、法人税の地位が相対的に低い。法人税の税率その他からすれば、大体諸外国の負担と、今回の引き上げをいたしますと、ほぼパラレルになってくるかと思いますが、そういうふうに税構造が、歴史的な沿革もありますし、また直接税、間接税の構成、あるいはまた国民所得の蓄積されるあるいは稼得される過程というものが国によって違いますので、一がいに先見的にこういう割合が税制として望ましいというようなことでなくて、やはり法人税の負担は重いか、所得税の負担は重いか、間接税の負担は重いかという、各税の負担から積み上げるのが筋かと思います。
○美濃委員 そうすると、国の――国でも地方でも同じですが、いわゆる社会福祉あるいは公共事業を進める公共事業費の負担ですが、この税というのは何を原則として、払う立場の国民は何から払うと思いますか。何をたてまえとして税を賦課することが最も正しい賦課の方法であるとお考えになりますか。
○細見政府委員 近代税制と申しますものは、やはり所得の大きさあるいは税を払う能力の大きさというものになるべく対応した形で税負担が行なわれておるというのが望ましいと思いますが、しかし一方では、国民の税負担の重さを感ずる感じ方、税に対する抵抗感あるいは徴税の側におきます徴税の難易というようなこともあわせ考えるのが税制の考え方ではなかろうかと思います。
○美濃委員 そうすると、私もそう思うのですが、ちょっとあとの話が私としては少し理解に苦しむわけなんです。まず税を負担する最大のものは所得である、これは同感なわけですね。徴税の便利といえば間接税が一番便利ですよ、自然的に徴収できるわけですから。したがって、最近いろいろ話が出ておりますが、大蔵大臣あたりの考え方の中にも、何か安易に徴収できる間接税の引き上げを検討、もう少し間接税で徴収してもいいのじゃないかという考え方があるように感じられるニュアンスがあるわけです。このいきさつはどうなっておりますか。そういう考え方は、ですね。
○細見政府委員 大臣が衆議院あるいは参議院の予算委員会等で、あるいは当委員会で申しておりますのは、税はできるだけ公平でなければならない、しかし、あわせて負担感のない税ということも考えてみなければならない。所得税について見ますれば、税負担は同じ経済水準の諸外国に比べまして、決して高いわけではないのでありますが、国民の間になお減税の要望が非常に強いということを踏まえて考えれば、何かより負担感の少ない方法で、そういう税を考えていかなければならない段階にぼつぼつ来ておるのではなかろうか。その意味で間接税が考えられるが、具体的にどういう間接税が適当かということは、今後税制調査会やそのほか各方面の御意見を承って慎重に検討してまいりたい、かように大臣は申しておるわけであります。
○美濃委員 次に、税金を考えるとき、さっきのお話を聞いていると、聞いている私の感じでは、局長は非常に額にとらわれておりますね。そうでないのかもしれません。一体この税というのは額でものを考えるべきですか。どれが重いとかどれが少ないとか、たとえば諸外国の例が出ましたが、諸外国の法人税は、アメリカ、イギリスあるいは西ドイツ、フランスの四カ国の例をとってみても、イギリスはちょっと低いですけれども、イギリス以外の国は全部五〇ですね。税率は高いけれども、その国で占めるウエートは少ない、こういう問題は確かに出てくると思います。したがって、そういう法人税あたりは額で考えるべきか率で考えるべきか、どういうふうにお考えになっておりますか。たとえばことしの予算では、先ほど申し上げたけれども、三税のうち法人税が一番高くなって額は多くなってきておりますね。これにはこれなりの理由があると私は思うのです。徴収する税額が多いから率は上げられないのだ、こう考えるべきか。その意見に基づいて次の質問をしたいと思います。どうですか。
○細見政府委員 結果的に税額が幾らになるかということは、歳入の予算、歳出をまかなうための歳入を考えるときに考えることでありますが、先ほど来申し上げておりますように、やはり税は基本的には国民経済の運行を適正にするような税負担に定めるというのが筋であろう、かように考えております。
○美濃委員 ちょっと答弁をはぐらかしますが、この場合どうですか、額で判断するのか率で判断するのか。まず諸外国との均衡を考えてもですね、率で判断すべきか額で判断すべきか、どうですか。
○細見政府委員 法人段階での所得の留保が大きければ、あるいは法人段階での所得の稼得が大きければ、税率がかりに低くても額は大きくなるでしょうし、それから相対的に法人段階で稼得される収入が小さくなれば、端的に申せば分配率が高くなれば、それは同じ税率であっても法人税収は減っていくわけでありまして、先ほど来申し上げておりますように、それは国民経済がそれぞれ歴史的に沿革をたどって、個人、法人あるいは総合的な国民所得のあり方というものが歴史的沿革的にできておるわけでありますから、その中で税負担はいかにあるべきかというのは、額でもなければ率でもなく、やはり法人にはいかなる負担を求めるか、個人にはいかなる負担を求めるかということで総合的に判断すべき問題であり、それが税制を考えていく基本ではないか、かように思うのであります。
○美濃委員 そこでお尋ねしたいことは、たとえば最近いわれておることばでは、日本は鉱工業の生産は世界第二位だ。世界第二位の国民総生産の国が所得が二十一位だとか二十二位だとか――私自身も小さい法人、年間事業量で十億くらいの法人だけれども、法人経営をしておる。その長をやっておりますけれども、法人なんかは経費が全部認められまするから、私どものところはいつも決算で収支とんとんですがね、サービスしますから。しかし、収支ちょんちょんであれば、たとえば法人税率を五〇とかけられても納める税金は出てこないわけですよ。それでやれるのです。法人というのは実際の経費が認められるわけですから。ですから、アメリカはものすごく所得税が高い、こういいますけれども、各法人が労働の配分なりにウエートを置いて――法人というのはあえて黒字を何ぼ出さなければ経営できないというものじゃないわけです。赤字になればこれは問題があります。経営ですから。しかし赤字にならなければ、どれだけ黒字を出さなければならないというものでもないのですよ。そういう経営で所得配分に力を入れれれば、所得配分にいたしましても比率がぐっと高くなる。税率はアメリカでも五〇%、その国の総体歳入の比率から見ると所得税がものすごく高くて、法人税は額としては出てこないという問題になると思う。やはり日本はこの四国から見て、非常に低い法人税率で所得税よりも法人税が多くなるということは、そういう考え方の体質にあるのではないか。同じ労働者数とか、世界第二位だといっても、規模が違いますから、一がいに一〇〇%それがスライドするとは私言いませんけれども、そこらの違いが、生産は世界第二位だけれども所得は二十何位だというような結果が出ておる。そういう経営方式をとれば法人に税金がかかるのはあたりまえでないですか。たとえばことしの歳入、法人税で二兆四千億余でありますが、これを四国並みの約五〇にすればもう一〇%徴収しますから、七百億くらいですか、そうすると七千億くらい追加して三兆円こしても当然じゃないですか。それは私は当然だと思うのです。それだけ剰余金を出すのですから、それに税金をかけたらいいのではないですか。所得は低いのですから、所得の低い階層の税金が安くなるのはあたりまえだ。法人が必要以上に黒字を出すわけです。それを対象に五〇%の税額を四国並みと同じに、それ以上にせよとは言いませんから、それだけの税率を日本でいま適用した場合には、現況で三兆円になっておりますね。私の計算、違っておりますか。その三兆円をこすと思う。それはあたりまえだと思うのですよ、国民所得は低いのですから。経営上必要のないまでの黒字を出すからこういう結果が出ると思う。それに税金を賦課するのは当然じゃないですか。いわゆるそれが公平の負担の原則に合致する税額であり、税制度だと思うのです。どうですか、それは。
○細見政府委員 なかなかよく御存じで、私もついていけないのでありますが、たとえば所得税につきまして考えてみますと、日本の所得税負担と申しますのは、国民所得に対しまして四十三年度で四・一七くらいの割合になります。アメリカ、イギリスを見ますと、これは一〇%ないし一一%くらいになっているわけでありまして、負担割合で見れば確かに半分でございます。それから、たとえば有業人口に対します所得税の納税者の割合で見てまいりますと、日本は大体五五%程度になっておるわけでありますが、四十三年度で見ればそれが四六%か四五%、現在は五五%でありますが、四十三年当時は四五%程度、それを諸外国と見てまいりますと、アメリカあたりでまいりますと、七五%くらいになりますし、イギリスになれば七八%、これは課税最低限についてみましても、百三万と申します課税最低限は、その額におきましてもイギリスやドイツを上回っておりますし、国民所得の一人当たりのごく平均的なものとの割合で見ましても、日本の課税最低限というのは、国民所得との平均の間でも一番低いところに――つまり課税最低限が一番低いと申しますのは、逆に申せば一番税がかかりにくくなっておるというわけでありまして、そういう意味におきまして、私どもは所得税の負担は国際的に見ましても、低いことはあっても高いことはない。そういうふうに所得税の減税を重ね、国際的にも所得税の負担というのは安くなっておるわけでありますし、なお総体の税負担で見ましても、これは大臣がたびたび申しますように、一八・八というようなことで、諸外国の国民所得に対しまして、三十数%という割合に比べれば非常に低くなっております。 しかし、これは一方に、こうした税負担の大小と申しますのは、国民経済におきまする財政の役割りの大小、ただ負担の大小という一面のほかに、国民経済の中で財政がどれだけのウエートを占めた仕事をしておるかという、その小ささをあらわす一面もありますので、これは歳出とのバランスで考えなければなりません。今日の日本におきまして、どういう財政収入でもってどういう財政歳出を行なっていくのが望ましいかというのは、これはまさに国会で御議論願う一番大事な問題であり、また国民各層の意見も聞かなければならない問題ではありますが、おっしゃるように、何か税をかければ出るなというのは、これは計算では出ますが、いまの租税法上のどこが悪いかという問題はもっと多角的に検討せざるを得ないのではないか、かように考えておるわけであります。
○美濃委員 課税最低限の問題はあとからお尋ねしたいと思います。 まず体系について、先ほどちょっと申し上げましたように、もちろん他の国のやっておるものは参考とすべきであるけれども、所得の配分は、各国必ずしも同じ状態で行なわれているとは考えられぬわけであります。たとえば、国民所得の均衡が比較的とれておる場合は、あるいは物品税、消費税等で安易な徴収方法をとることも一つの方法だと思いますけれども、日本の場合は、私の考えでは、所得格差というものがかなり高いのではないか。私は西欧諸国よりも高いと思うのです。ですから、たとえば一例をあげますけれども、社会保障の中で年金のごときは、西欧諸国はスライドなんかはきちんとやっているのではないか。日本の年金なんかは、同じ国民生活の中を見ますと、あのとおり高い。公的年金で、義務加入で、ある程度高い個人負担を源泉で徴収されて、そうしてこの最近のいわゆる経済変動の下積みになってしまって、二十年、三十年と長年勤続した方が退職した場合、その退職直後における年金の額というものは、大体生活費に充当する額が年金から支給されるのですけれども、年金はスライドされない。物価は御存じのように年率かなり高い速度で上がっていきますから、五年か六年すれば、いずれの生活も、それに該当する生活の人は生活保護基準以下の給付に落ち込んでしまっておる。生活保護は年々物価上昇によって予算でスライドしていきます。こういう政治道徳上放置することのできない状態も起きておるわけですね。そういう点が非常に違っておる。したがって、国民所得というものは均てんされないで、そういうものはほおかぶりしておいて、放置しておる。 先ほどから指摘したように、法人の事業量に対する利益率もかなり高い利益率を出しておる。この利益率の発生状況は私は違うと思う。日本は、法人の事業量に対する利益率の発生率というのは、この四国の中で高いのではないか。高い利益率を無理して出す。そうして待遇やその他はやはりほおかぶりして、すればできることをしないで、法人の利益率がより多く発生するような経営が常識として行なわれておる。そういう関係がございます。 国民のいわゆる所得から税金は払うものだと私は思うのです。何から払うといって、所得以外に税金を払うものはないと思うのです。それは、あるいは譲渡所得とか、そういう一時に所得が発生して払う税金の小部分は別として。しかしそれは税額にして幾らでもないわけですね。ことしの予算の中で大宗をなす物品税、消費税に該当するもの、あるいは所得税にしろ、生活をしながら所得の中で税金というものは払われるものだと思うのです。ところが日本の税制度を見ますと、全く所得というものが無視されて、間接税あるいは直接税で所得というものが無視されて賦課されておる面がある。その所得というものは、いま指摘したように、それらの四国と比較した場合、ものすごく所得格差がある。政治道徳上放置できないようなものを放置しておいて、そうしてそういう苦しみをよそに、所得の有無にかかわらず多額の負担を強要されておる、こう言えると思うのです。それを、いまの局長のお話を聞いておると、しさいに検討せんならぬ。それは率やあるいは状態をきちっと把握して、改正するにはしさいな検討が要るでしょう。しかし大綱を見たときに、これは矛盾が多過ぎる。今回出されておる改正というものは、このあまりにも大きな矛盾を解消しようという意欲はない、こう見受けられるわけですけれども、どうですか。
○細見政府委員 私どもは、政府の税制調査会におはかりして、そこで国民各層の御意見を反映願って、その答申に基づいて、その答申をそっくりそこに実現しておりますので、少なくともおっしゃる意味では矛盾を解消し、よりよい税制に一歩進めた形と信じております。
○美濃委員 こういう問題になりますときめ手はないわけですから、見解の相違だとか、白いものでも黒いと言い切ってしまえば、そういう答弁になるわけです。これは、御承知のとおり、証拠を突きつけてどうということは言えないわけですから、見方の問題、見解の相違ということで逃げてしまう。しかし、何ぼ白いものを黒いと言っても、私が指摘していることには間違いがない、こう思うわけです。そこで法人税率は引き上げるべきだ。今回の法人税の引き上げでは足りない。しかし、私の主張しているのは、いま直ちにここで行なう必要もあると思うけれども、しかし近い年限でやはり法人税率は五〇%に引き上げるべきだ。これは、もう諸外国の何もありますし、法人にはそんなにあり余る剰余金は要らぬわけですから、剰余金が発生すれば五〇%は税金にすることはあたりまえだと思うのです。そうして、それをもっと法人体質の中で労働評価の支払いや何かに振り向けるべきです。そうすると、先ほど申し上げたように、事業分量から見たら過大と思われる剰余金を発生させる必要はないわけですから、そういうのが余って、そうして労働配分なり実際に働く者の所得が高まれば、結果としては、法人税率は引き上げたけれども、それによって起きてきた現象は――そうなるかならぬかわかりませんけれども、そういう点が日本の社会の仕組みの中で改善されると、結果としては、法人税率は引き上げて、国の予算の税額は下がる。反対に個人所得はきちっと増加して、所得税が増加して、法人税の総額は下がる、こういう現象が起きるかもしれません。起きないかもしれませんが……。しかし、起きる起きないは別として、法人にはやはり五〇%まで法人税は引き上げてたくさんだ、こう思うわけです。そういう体系でこれから先のものを考えていくべきだ、私はそう思うのですが、どうですか。
○細見政府委員 御意見として承って勉強していきたいと思います。
○美濃委員 体系の問題ですから、今後そういう点を十分検討していただきまして、それで国民の所得が均てんすれば、そういう上で三税三等分の結果が、法人税が下がって所得税が上がる、こういう現象が起きることを私は期待いたします。決して法人税の増額を要求しているものではない。そういうことによって実際の社会の仕組みのシステムが正常になることを期待するわけです。 それからもう一つは、そういうふうにあらゆる社会保障の面からそういうものがきちっと整理された上に立って、徴収しやすい間接税でかなりの税収を見込むということも、これはよろしいと思いますけれども、いまの場合の、現在の日本の社会経済の仕組みの中での三税三等分というのは、やはり全然所得の実体を無視されて間接税で税金が徴収されていく姿というものは好ましくない。国民所得の均衡から見てこれは好ましい姿ではない、これをつけ加えておきます。これは意見でありますから、いまの段階でわかりましたとは言えない、やはり白いものでも黒いという答弁をせんならぬと思いますから、意見としてあわせてよく検討してもらいたい。 次に、地方税との関連であります。地方税は、これは行政関連は、国、地方を通じて国民の福祉、そういうものをやっていくわけでありますから、私どもは地方税と国税とを合わせて税負担というものをやろう、そういうふうに考えるのは間違いですか。地方税は地方税で全く独立しておるものか。国税の負担と地方税の負担と合わせてどうあるべきかを検討するのが正しいと思うのですが、ばらばらに考えるものですか。どうですか。
○細見政府委員 国税は国税で考える、地方税は地方税でそれなりの独自な税制を貫く考え方というのは、あることは事実でありますが、しかし国民の立場に立ちますれば、総合的に税として負担する。国といい、地方といい、同じ日本人でありますから、この二つの社会をささえるわけでありますから、そういう意味で総合的に税負担は考えられるべきだ。ただ、その場合に、何が地方税により適しているか、あるいは地方税としてはどういうような原則を課税上持ち込むかというようなことにつきましては、おのずから国と若干の差異は出てまいろうかと思います。
○美濃委員 たとえば地方税の中で、これもやはり税負担は所得の均衡負担に重点を置く。局長も第一義の考え方は、一〇〇%それのみとは私も申し上げてはいないが、重点を置く、それは同感なわけですね。そういう観点から見ると、地方税の中で固定資産税というものについて――物品税はただいま申しあげましたから重ねて申し上げません。地方税の中で固定資産税というものは、全部とは言いませんけれども、所得の実態を無視されて、ものすごく賦課される。処分したときに一時に処分額に応じてかかる税金は、処分して金が入っておるのですから、これはまあ処分代というか、所得が発生しておるわけですから、これについてはあまり一がいにここでどうこう言いませんけれども、全然所得が発生していない、あるいは低所得で、言うならその資産を利用して職業として生活をしていても、三十万か四十万、五十万の、全く生存をするに足る所得で最低生活をしている者にも、生活手段あるいは生産手段の資産に年々資産税というものをかけている。こういうものに対して非常に矛盾を感じるわけです。 税金を支払うという能力は、その年度に発生する所得を対象に税というものは基本原則として考えるべきであるという原則から考えると、非常に矛盾を感じるわけですね。所得のない国民にかなりの税金が賦課されるということは、非常にこれは税負担の矛盾なんですね。私に言わせれば、所得税は減税しなくても――たとえは本年度において六兆七千億、あるいは地方のそういうものを含めて、どうしても七兆円あるいは八兆円という財源が国民の福祉を確保するために必要だというなら、あえて所得税は減税せぬでもいいと思う。あまりにも大きな矛盾を感ずる。そっちのほうを高めて、場合によって評価を引き上げる。そっちのほうを高めようとする動きが税制の中で動いている。どうしても必要であれば、たとえば終戦直後のドッジ勧告のように――特にあの当時は国民の所得というものが低減しておりましたから、あの当時ある程度所得の見込まれるものは一次産業だった。たとえば農業のごときも、あの一片のドッジ勧告に基づく税制に基づいて賦課された税金というものは、所得の半分以上を持っていかれたわけですね。五〇%以上だ。それもしかたなかったと思うのです。それが原動力となって日本は今日の復興を得たわけですから、全部の国民がつらくて、どうしても国民共通のために歯を食い縛ってでもやらなければならぬという一時的な極端に重い税制もしようがないし、そのほかに、いまのように法人の所得もあの当時発生していなくて、法人にかけろといったって所得がないからやむを得なかったことだろうと思うのです。全部が重ければ重いでがまんできるのですけれども、ところが不均衡なんですね。 先ほども言っておるように、片一方では左うちわで膨大な所得をあげておる。税金を払ってもなおかつ、あるいは――これから課税最低限の問題を申し上げようと思うのですが、課税最低限の国民平均、いわゆる総理府統計局がはじいておる国民世帯当たり大体平均の生活費を引いてもなおかつ、税金を払って、生活費を引いてもかなりの所得が残るという階層もたくさんおるわけです。かなりそういう状況になってきております。そうして経済成長、経済繁栄といっておる社会になってくると、社会の実相というものは違ってきておると思う。その中で依然として、あの終戦直後のドッジ旋風が残していったような、全然所得の実態を無視して、国や地方公共団体の公共事業費負担が所得の実態を無視して賦課されておる。これはどうあるべきか。あまりにも大きな矛盾でないかと考えるわけです。どうですか、そういうものがないと言えますか。所得の実態を無視されてそれが賦課されてもやむを得ない、こういうことですか。
○細見政府委員 そういう意味で所得税が税制の大宗をなしておるのが、これが近代税制であるわけでありますが、しかしどこの国の税を見ましても、間接税なりあるいはそういう程度の財産税的なもので、補完的にそうした税制を立てて全体としての税制を組み立てておるわけであります。そういう意味で、固定資産税というのは地方の固有の財源として考えられておりますし、これはわりあいそうした考え方というものが行き渡っております。これは一つには、地方団体の行政の成果、細い道路をつけるとか、あるいは町村道の整備をはかるとか、商店街の整備をはかるということは、直接その費用を固定資産に反映することになりやすいというようなことを考えて、御承知のように固定資産税だけが地方税になっておるというようなわけでありまして、世界的にそういう傾向がございます。 しかし、私どもがフランクに考えますと、たとえば固定資産税の税率が一律の税率になっております。償却資産のようなものと、あるいは家屋のようなものと土地のようなものとの間にかなり評価の差異が出ておることは御存じのとおりで、土地が一番相対的には有利になっておったわけであります。しかしその土地にいたしましても、都市近郊のように値上がりが激しいところと、先生のおっしゃっておられるような値上がりの利益というものが比較的緩慢であり、土地全体としての収益量もそれほどないというようなところとが同じような税率、年々一定率で評価を伸ばしていくというような機械的なやり方で今後やっていけるかどうか。固定資産税のあり方というのは、これは再検討の時期には来ておろうと思いますが、このあり方をどうするかというのは、市町村税制の根幹でもありましてなかなかむずかしい問題であり、しかも平時の居住用財産で、何ら収益をあげていないようなところについて固定資産税を賦課していいかどうかということ、同時にまた土地問題を解決するためには、いまのように安い固定資産税だけのものではいつまでたっても必要な人に土地が行き渡らない。持っておれば値上がりが期待できるというような面、それらの土地税制との関連もありまして、非常にむずかしい問題であろうと思います。
○美濃委員 以下、そういう問題はこれから分離されて審議に入ると思いますから、本日はこの五つの大綱について御質問してみたいと思います。 次にお尋ねしたいことは、勤労者所得で、いろいろ業態別はありますけれども、まず昭和四十四年度における勤労者世帯の最低生活費と申しますか、生存費とは申しませんが、最低生活費、基準生活費でもいいですが、大蔵省当局は一体最低生活費は何ぼと押えておるか。何ぼが勤労者世帯、標準世帯の生計費であるか。何ぼと押えておるか。
○細見政府委員 その点に関しまして、かつてマーケットバスケット方式で、食料費を基準といたしまして、課税最低限といいますか、最低生活費というようなものを計算いたした時代がございました。そのころは確かに基準的な生計費と課税最低限とをどういうふうに検討していったらいいかという、それ自体の問題があったわけでありますが、これはもう四人世帯あるいは五人世帯に関係なく、昭和四十年ごろにそうした水準を追い越してしまったわけでございまして、それから以後は、御承知のように大体課税最低限を一〇%ないし一一%ずつ引き上げてきております。その間、消費者物価は確かに上がっておりますが、四ないし五%でございますので、そういう意味での課税最低限という計算をマーケットバスケット方式などによって計算する必要のある時代は、所得税に関しては終わった、かように考えております。
○美濃委員 ですから、もう問答無用であり、課税最低限との関係の有無は別としても、財政を担当しておる大蔵省の中では全然どこの局も――たとえば主税局はやっていないが、どこかでやっておるのですか。そんなことは大蔵省はもう全然関知しないということですか。国民の生活費は何ぼかかっておるのか、どうですか。
○細見政府委員 人事院が独身者について標準生計費というようなものを考えております。これは月二万一千九百十円というのを四十四年の標準生計費として計算いたしておるわけでありますが、給与所得者の独身者の課税最低限を月額換算いたしますと、四十四年で二万六千四百六十二円というわけで、もうすでに四割方高くなっておるわけでありまして、その意味で、そうした基準生計費であるとかマーケットバスケット方式とかいうようなものを、特に課税最低限との関係で計算する必要はないので、むしろ全体の収入と家計の支出の状況というものは、総理府の勤労所得者の収入実態調査というようなものにおまかせするほうが統計的にも正確であり、また権威あるものである、かように考えております。
○美濃委員 そういう独身者で二万六千四百六十二円、これはどの時点をさしておるのか。たとえば親里から通勤して、電灯料から家賃も要らない、全部親の負担でできるなら二万六千円でできるかもしらないけれども、たとえば大学を出て間借りをして、独身者でも独立の生活をして今日二万六千四百六十二円で生活ができるとあなたらは思っておるのですか。独身にも限界がありますよ。親里から通勤して、家賃から電気代からそんなものは全部親もたれで通勤しておれば、それは二万六千円で勤労者の生活ができないとは私考えません。何をさしてこういうことを言っておるのですか。
○細見政府委員 私どもは内容はよく存じませんが、公務員の給与に関して最も責任ある勧告をする人事院が計数として、十八歳程度の独身者の標準生計費として出しておるものでありますから、統計的にあるいは調査としてりっぱなものであろうと信じております。
○美濃委員 片や同じ政府機関の総理府統計局が四十四年の生活実態というものを統計で調査しておりますが、これはそんな、どこを標準としていいかわからぬものではなくて、世帯主平均です。世帯主平均の実収入が八万三千四十三円、平均家族は三・八九人、その中からいろいろ源泉で徴収されるものがありまして、総体は源泉徴収の税金も引かれておるところでありましょうが、可処分所得は七万六千五百三十八円、実際の最低生活費として必要な調査結果は七万六千二百五十円である、こういう総理府統計資料というのがあるのですが、これは三・九人ですから、いまの税法上の標準世帯五人でこれを計算いたしますと大体百十四万五千円ということになる。五人世帯の平均実質生活費というものの必要限度額が百十四万五千円。二万六千四百六十二円なんというものを持ってきて話をしても、どこかにそんな数字があるというものを引っぱり出してきてそんなことを言っておっても、実際にそれは全然話にならぬじゃないですか。片や総理府統計局が、世帯持ち平均はこうなっておる、八万三千四十三円。この生活費というものは課税最低限と直接極端に結びつけておるわけではないですけれども、しかし、少なくとも税法を考える中で、所得税を考える中で私はものを言っておるのでありますから、こんな税金の対象にもならない、人事院勧告に基づいて――いまどうですか、二万六千円の給与というのは高校卒の初任給ではないですか。民間で少しほしいところは三万こえたという話も聞いております。三万円をちょっとこえてことしの新規採用をしているという話も聞いておる。これは話を聞いておるだけで、どの会社がどうだというところまで突っ込んでおりませんけれども、何か話に聞くところによると、高校を出て三万円をこえて採用しておる、募集しておるところもあるという話です。二万六千円などというのはどの段階ですか。年額で言ってみてください。年額で世帯に対する生活費は、家賃から全部計算してどのくらい要るのか。二万六千円などというのは話にならぬです。
○細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、マーケットバスケット式に基準的なものをいたせば課税最低限よりも下になるわけであります。いま美濃先生が言っておられますのは、総理府の家計調査によります四十四年分の速報で言っておられるのだと思いますが、これは御承知のように、生活の可処分所得百八万に対してどういう支出がなされるか。これは御承知のように消費支出は八十七万であって、二十一万の貯蓄のできる階層を考えておられるわけです。この辺の階層になりますれば夫婦子二人でありますが、おそらく学校へも行っておられ、それから一家もかまえて市町村なりあるいは国なりに、たとえば子供が学校へ一人行きますと七万円の金が一人当たり要るわけであります。そういうものはだれかに払っていただかなければならないわけであります。しかもこの百十何万という収入層につきましては、別の総理府の調査などにございますように、自分たちは中流階級に属しておるのだ、自分たちの生活は非常によくなっておるのだという意識にささえられた収入でありまして、そういう意味で、先生のおっしゃっておるいわゆる課税最低限との関係で考えなければならない、かせいだもので食っていくのが精一ぱいだというような生活との関係でこの数字を取り上げるのはいかがかと思います。 なお、この速報で見ますと、エンゲル係数はたしか三三くらいに下がっており、食料費などもこの階層ではかなり下がっておるわけでありまして、それは課税最低限は高ければというよりも、税は安ければ安いほどいいことは事実でありますが、自分たちは中流の階層であると意識されておる、いわば日本社会の中堅になる方々に所得税を払っていただくのはむしろ当然ではないか、かように考えております。
○美濃委員 もう一回お聞きしますが、これは大蔵省のどこでやっておるのですか。どこもそんなことを具体的にきちっとやっていないのですか。主税局でなければどこかで、政府の統計資料なり総理府の統計資料なりその他に基づいて、たとえば勤労世帯三・八九人なら三・八九人でいいですよ。五人でなくたって、税法と必ずしも合致する合致せぬは別として、国民の実際の最低生活費というものはこれだけ物価が上がれば何ぼ要るんだということを、他の関連の資料でもあれして、大蔵省としてはこう考えておるというものをまとめてないのですか。なければない、あるならあると答弁してください。どこもやっていないならどこもやっていない……。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
○細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、マーケットバスケット方式というものがいまや不要になるほど課税最低限が上がってまいりましたので、主税局では計算の必要はないと思ってやめておりますし、大蔵省としましてもそういう調査はいたしておりません。 先ほど来申し上げておりますように、人事院は、初任給はいかにあるべきかというような観点、あるいは公務員の給与ベースはいかなるところにあるべきかということで計算いたしまして、いまの二万一千円と申しておりましたのは、かりに十二倍すれば二十六万一千円でありますが、おそらくボーナスなどがありますので、十二倍したものがいいのかあるいは十二分の一にした二万一千円を実際の給与と見ておるのか。たとえば十四カ月であれば幾らか違うというような点はあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、十二倍すれば二十六万一千円というような数字になっております。そういう意味の基準的な生活を調べておるものとしては私どもの知る限り人事院が最高の機関である。総理府のほうは実際支出された支出額というものを調査しておる機関である、かように考えております。
○美濃委員 もう一回お尋ねしますが、二十六万一千円にだいぶこだわっているようですが、これはどういうふうに解釈しておるのですか。二十六万一千円は一人ですか。五人世帯だったら五倍する考えですか。そうでもないでしょう。人事院が勧告しておるのはおそらく高校卒の初任給じゃないかと思いますが、そういうふうに考えていいのですか。二万一千円、年額にすると二十六万円というのはどういう解釈に立っておるのですか。それは一人当たりですか。何をさして言うのですか。
○細見政府委員 もちろん独身者一人当たりでございます。この委員会でおそらく御質問が出ようと思いますのは、今回の税制改正で独身者の引き上げ率、軽減割合は夫婦あるいは世帯持ちに比べて低いではないかという御質問かと思っておりますが、その独身者で見ましてもかく余裕があるのでありまして、そういう意味で、私たちは生活費との関係ではその問題はなくなっておるのだ、かように信じておるわけであります。
○美濃委員 もう一回お尋ねしますが、それは課税最低限なんかは別としても、あなたも有能な国家公務員ですけれども、二万六千円で独立生活ができるとお思いになりますか、東京都で。東京都でなくてもいいですけれども、勤労者が間借りして、電灯代払って、二万六千円で独立生活ができるとお考えになっておりますか、どうなんですか。
○細見政府委員 標準生活費でございますから、いろいろ標準の上の人もあろうと思いますし、下の人もあろうと思います。これはまさにそれだから標準でございまして、標準生活費というのはそういう意味では、実際がそれを上回る方もおられますし、親がかりの方でそれを下回る方もないとは申しません。その点は人事院の権威ある調査にまかす以外にないと思います。
○美濃委員 そこで、あなた方のほうではやはり先ほどから言っておるように、一応原案としてつくって出してしまえば、そういうふうに白いものでも黒いと言って、何か変なデータを持ってきて、ああでもないこうでもない。こんなもの、私から言ったらへ理屈ですよ。そして判定する裁判官がいないのだから、裁判官がいればいいのだけれども、大体白を黒と言ってしまえばそれまでなんだから、そういう水かけ論争は抜きにして、私は、やはり標準世帯生計費というのはそう低いものではない。もう標準世帯生計費は課税最低限度を越えてしまっておるのだから、そんなものを検討する必要はないのだというものの考え方というものは私は賛意を表するわけにいかぬですね。越えたら越えたで何ぼ越えておるのか、具体的にそのくらいのことは、みずから統計で調べぬでも、もう少し――おそらくどなたが聞いておっても、いまの二万六千円云々という話なんか、きめ手がないから、白いものでも黒いと言って、何でもいいから引き合いに出して、時間かせぎをして逃げてしまえばそれで済むのだという答弁にすぎないと思うのです。二万六千円なんというところの問題を持ち出して、人事院のそれを持ってきてどうだこうだと言ってみたり……。まとまったものは何もないのでしょう。多いなら多い。どれだけが最低生活費だ。この場合、税法では五人世帯ですから、五人世帯では何ぼあれば十分なんだ。それはいまの経済社会で十分とはいえないけれども、最低生活費として捕捉して、大蔵省として、公務員として国民に提示する責任が絶対にあります。こういうものがなければならぬと思うのです。ただ変などこかの数字を持ってきてごまかして答弁して――ごまかすという意思はないが、ごまかすというのは取り消しますが、だけれども、ああでもない、こうでもない、白いものでも黒いと言って答弁しておれば、そのうら時間が過ぎるであろうという意思でないかと思うのです。そういう抽象的な、どういうふうに判断していいか全然わからぬような答弁で推移しようという態度は私は許されぬと思う。これはどうせいずれまた四法別々に審議するわけですから、きょうで私の質問は終わるわけじゃないですから後日に譲っておきたいと思うので、この次私が質問するときはもう少しきちっと調べてきてください。しかしあなた方はやはり政府機関ですから、私のほうから要求しても、そんなものは本日の答弁でまた次の答弁も繰り返してすると言われても、今度は私どもとしても皆さん方にそれ以上要求するここでのあれはないわけです。しかしそれはそれなりに私は受けとめていかなければいかぬと思うのです。そういうきょうのような答弁では、承知しました、わかりましたと言うわけにはいかぬと思います。 次に、源泉徴収についてお尋ねしたいと思います。これはあたりまえだと思ってやっておるのですか。
○細見政府委員 国民に受け入れられておる制度だと思っております。
○美濃委員 先ほどから論議をしてきましたが、税の公平な賦課については、見よう見方、とり方でかなり論議は分かれると思います。賦課となってくると論議はないと思うのです。国民に受け入れられているといったって、押しつけられておるのじゃないですか。源泉徴収法で押しつけられておるのじゃないですか。いや応なしに源泉で徴収しますからね。押しつけておいて、そして表現は受け入れられておる、そんな話はないと思うのです。徴収のたてまえから見てどうですか。他の税金の徴収、あるいは同じ所得税で源泉徴収者以外の――毎日働けば何でも所得は発生しておるのです。勤労者だけじゃないのです。いかなる企業も動けばそこに所得が発生し、それを目標に動いておるわけですから、全部を毎日徴収すればいいのです。そうはなっていないでしょう。そこに徴収の不公平があるということです。それが正しい、それがあたりまえと考えておるのか。国民に受け入れられておる、きわめていい制度でありますといったって、それは源泉徴収法で押しつけておるからだ。徴収されておる側の意見は無視されておる。どうですか。
○細見政府委員 非常にむずかしい御質問でなかなかお答えしにくいのでありますが、三十七年二月二十八日に最高裁の判決が出ております。御承知のように、それは租税はすべて最も能率的、合理的な方法によって徴収さるべきものであるから、同じ所得税であっても、所得の種類や態様の異なるものに応じてそれぞれふさわしいような徴税の方法、納付の時期等が別様に定められることにはむしろ当然であって、それが一律でないことをもって憲法云々というようなことが出ておりますが、そういうふうに日本の最高裁もきめておりますように、これまた諸外国の例を申し上げて失礼かもしれませんが、およそ文明国といわれる国で、源泉徴収制度を持っておらない国はないわけであります。
○美濃委員 何か理事会で懇談されることもあるようですから、午後に質問を持ち越したいと思います。
○山下(元)委員長代理 午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時六分休憩 ――――◇――――― 午後二時四十九分開議
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 税制改正五法の提案理由の説明を本日聞いたわけであります。 そこで、まず最初にお伺いいたしたいことは、昭和四十五年度のいわゆる税の自然増収、これが一兆三千七百億をこえるといわれておるわけでありますが、この見通しについてどこまで確実な根拠があるのか。四十四年度の税制審議におきましても、税の自然増収に対する減税額のパーセントというようなことで問題になり、その後の推移を見ましても、昨年の秋でしたか、自然増収は、その見通しから見ておそらく二千億をさらに上回るのではないか、そういう質問をしたのでありますが、せいぜい千億ないし千二百億ではないかという主税局長の答弁もあったわけなんですけれども、現状ではまことにその数字を大きく上回っているものがあろうと思うのです。それらの点を考えまして、ことしの、まだ金融引き締めなどが続いているという段階で、設備投資の過熱を前もって予防する、物価上昇に歯どめをかけるというようなことで、金融引き締め措置も昨年九月以降七カ月目に入っているわけでありますが、これがどの程度、設備投資等を中心にした景気の過熱というものを押えられる効果があるかということとも関連をするわけでありますが、この見通しについて、皆さんの見通しの根拠というのは、これはまあ経済見通し全般の問題とからめてそうなったというに違いないのだけれども、昨年のそういう問題点とこれからの景気の見通しなどに関連をさせながら、われわれが、この程度の自然増収でほぼ正確であろうと、こう納得できるような説明を、まずひとつしていただきたいと思うわけです。
○細見政府委員 昨年の税収を見通しましたときに予想いたしておりました経済指標というのは、広瀬先生御承知のように、国民総生産は一四・四%伸びるであろうといわれておったものが、結果的には一八・五、これも若干押えぎみの一八・五じゃないかと思いますが、一八・五というような伸びになっております。また鉱工業生産につきまして、これは法人税あるいは一部の事業税とわりあい関係の多い事業活動をあらわすわけでありますが、これが一五・五%という伸びを見ておりましたものが、一七・六ということになっております。さらに、これは非常に残念なことではありますが、卸売り物価が一%のアップを見ておったものが三・二%、これは結果的には企業の収益力を大きくするものであろうと思いますが、こういうことで、生産と卸売り物価指数、それに若干の消費者物価指数をかけたものが、大体産業活動の大きさあるいは収益の大きさというものをあらわしまして、それがいずれもいま申し上げましたように変わってまいっております。それから一方、雇用者所得につきまして、いわるゆ賃金の伸びにつきましては一三・八を見ておったわけでありますが、これが一八・〇、あるいは関税につきましても、通関輸入の伸びが一五・六%であると見ておったものが、一九・三というふうに違ってきております。 まあ、そんな違ったことを理由にして説明する話はもう聞きたくない、それはわかり切っていることだとおっしゃるかもしれませんが、政府の歳入の見通しといたしましてオーソライズされた見通しが一四・四でありますときに、私どもは、いや一七なり一八伸びると思いますというわけにもまいらない、その辺の事情はひとつ御賢察願いたいと思うのでありますが、そういう意味におきまして、この指数がそれぞれ当初見込みを上回って出てまいりました。これを算術的に計算いたしますと、おそらく現在出ておる自然増収よりも大き目の数字になるだろうと思います。と申しますのは、われわれとしては、説明のつく限り、経済の実勢が強いということを見まして税収を強目強目に考えてまいったのでありますが、指数との関連で説明のつかない数字は使えないというようなことで、ことしもかなりの自然増収が出るようなことになりまして、どうも主税局の歳入見積もりはおかしいじゃないかという御批判を受けて、われわれもある意味におきまして甘受せざるを得ないと思っております。ことしの見通しにつきましても、一五・八という経済見通しをベースにいたします限り、私どもは一兆三千七百七十億という税収はかなり見越したもので、十分に合理的に説明のつく限り、かなり強目に見た税収であろうと思います。 ちなみに、よくいわれます税収の正しさをチェックするあれとして、事後的にGNPの伸びとそれから税収の伸びとの間の弾性値をよく使われるわけでありますが、補正後の予算が大体一・三〇になっておりますが、四十五年度予算は、こういう意味での弾性値はやはり一・三〇になっております。ちなみに、三十九年から四十三年までの平均――平均にどれだけの意味があるかは問題ではありますが、一応算術平均いたしてみますと、それは一・二三というような数字になっておりますので、こういう意味におきまして、少なくとも主税当局が税収を少な目に計算しようというような意図を持たずに、各税につきまして、現状の経済情勢から多年の各税についての専門家が冷静に判断して、あるいは合理的に判断して、この程度の税収になるであろうというふうに推算いたしたもので、それをトータルいたしたものが一兆三千七百七十億になり、それは結果的に一・三というようなことで、経済の見通しとの間ではかなり強目の見通しになっておる。 ただ、これにいたしましても、ことしの経済情勢が、あるいは下期たとえば対米輸出の伸びが落ちるとか、あるいはいろいろな金融引き締めの予期せざる効果が出てくるということになりますれば、この税収も下回るようなことにあるいはならぬとも限りませんし、また最近一部でいわれておりますように、法人等の収益が上期はかなり強気であって、さらにそれが下期にも予想を上回るような動きをするということになれば、自然増収が絶対に出ないということもむずかしい、予断はできないと思いますが、いまの経済指数というもので四十五年経済の全体がカバーできる、もしこの指数のとおりに経済がまいりますれば、私どもは税収はこのとおりになるのだろうと思います。ただそこが、いかんせん人間の知恵でありますので十分な予測がしにくい、予期せざることがいままでの経験でございましたから、ことしも、いやもうびた一文違いませんと言うのは、なかなかむずかしいかと思っております。
○広瀬(秀)委員 四十四年度の税収見通し、特に自然増収になる当初見通しの約一兆二千億というやつが二千億、さらに去年はたしか一兆二千億だったと記憶しておりますが、記憶違いがあるかもしれませんが、それに対して二千億以上出た。これの寄与率を各税収別に見て、法人税でどのくらい、自然増収のさらに見込み違いになった増加分について、所得税と法人税、そのほか特に寄与率の高かったもの、こういうものがあれば、その寄与率を示していただきたいと思います。
○細見政府委員 いま、四十四年の当初予算額の、いわゆるその後の自然増収についての寄与率は計算いたしておりますので、後ほどお答えいたすことといたしまして、四十五年の一兆三千七百七十一億の自然増収におきまする構成比で申し上げますと、所得税が四七%、それから法人税が三六%ということになっておりまして、これでごらん願いますように八三%になり、残りの一七%程度が、たとえば揮油税が四・七%伸びるとか、あるいは物品税が三%近く伸びるとか、あるいは関税が三%近くの構成比を持っておるとかいうようなことで、あとの諸税というのはおおむね十数%の構成比で、法人税と所得税で大半を占めておる。四十四年の寄与率をいま計算いたしておりますが、ことしの自然増収は、当初の段階ではやはり同じように、所得税が四九%、法人税が三二%というような構成比になっておったわけであります。達観して申し上げまして、法人税の伸びが大きくなってまいりまして、今回の補正予算後におきまする伸び率では、法人が約六割、所得税が四七%で、一〇七%になるのでありますが、その残りは、酒税とかあるいは物品税というのがむしろマイナスになったという結果で、こういう構成比になっております。
○広瀬(秀)委員 そこで、これは今国会当初におけるわが党の成田委員長からの質問で、少なくとも予算のある一定部分については、野党が一致して修正を出すというようなことになった場合には、そういうことを認めていいじゃないかという質問をされたわけでありますが、まあ、若干物議をかもした答弁などもあったわけですけれども、こういうように、大体まずよほどの、四十年のような不況でもない限り、税収見通しが下回るということは最近では非常に珍しい。大体、自然増収をかなり大幅に見込んだと年度当初では言っているけれども、年度末にはかなりの税収の伸びがそれ以上に見られる。こういうことを繰り返している。いま、それについては細見局長からるる説明があったわけだけれども、そしてまた、大蔵当局として、全体的な政府の経済見通しというものを基礎にして税収の伸びも算定するという立場からいえば、やむを得ざるものもあるのだけれども、現実の問題として、とにかく自然増収が当初予定よりもさらに上回ったものが得られる、税収をあげることができるということが常態化しているような形になっている。そういった場合に、この税法の問題、特に今日やかましいサラリーマン減税などをめぐって、非常にこういう問題を改善したいというようなことが、いわゆる国民大衆、勤労大衆、サラリーマン大衆の要求としてあるわけですね。こういうようなものを、やはり野党側が代表して、与党の諸君の御賛同もいただいて、国会の段階で、たとえば税収見通しが上回るという場合においては税法の修正に応ずる、こういうことになってしかるべきだと思うのです。少なくとも、もう予算が通った、そして税法も、予算にならった税法改正が出されている、それに対して国会がほとんど修正権というものを持たないような運営がずっとなされてきている。こういうことはやはりほんとうに議会制民主主義というものの立場からいえばおかしいことだ。法律である以上、たとえ税法であっても、それは予算における歳入の問題にかかわる問題であるけれども、予算の根幹をまるっきりひっくり返すような修正というところまではなかなかいかない。しかし、少なくとも国会の意思によって、政府提案の税法も、ある程度そういうものが予想される段階においては修正に応ずるというような柔軟な態度というものは、これは政府としても当然受け入れるべきだと考えるわけです。もちろん、先ほど申し上げたような前提においてでありますけれども、そういうことは当然考えるべきだ。しかしながら、これを受け入れることは、まずほんとうになきにひとしい、まれなケースでしかない。今日のような税の自然増収の状態である場合には、これを増大する歳出需要にだけ回す、あるいは国債減額にだけ回すということじゃなくて、やはり減税に対する国民の熾烈な要求にこたえる形で実現をする、こういうような政治姿勢というものは非常に必要だろうと思うのです。そういう問題について、そういうことを当然考えるべきだと思うが、これはひとつ中川政務次官から考えを聞いておきたいと思います。
○中川政府委員 広瀬委員の、税収の見通しの近年における動きから見て、かなり余裕があるではないかということもわかりますし、また、したがって、国会審議を通じて与野党一致、いいものがあるならば改正に応ずる柔軟さがあっていいであろう、このこともよくわかるところであります。しかしながら、政府としてはいろいろな、各界各層のことを考えて、現段階としてはこれが一番適当であろうという、慎重な検討の結果提案をしておるものでありますが、気づかない点もあるいはあろうかと存じます。したがって、個々のケースといいますか、これから審議の段階においてそういった点がありましたならば、その事態においてひとつ御相談をさせていただきたい、このように思います。
○広瀬(秀)委員 ことしの所得税の見積もりで、大体、前年に比して、人員について二%増、一人当たりの給与額で一四%増、こういうことで、給与総額では一六%というように見込んでおるわけですね。これは昨年の段階でも、一人当たりの給与額の伸びはたしか一一%と見ておった。それに対して一六%ないし一七%の間で実際には一人当たりの給与額のアップというものが見られたわけであります。ことしも春闘がいま盛んにやられているわけですけれども、その中では、いわゆる五けたの賃上げ獲得というようなことで、昨年同期は三十社か四十社しかなかったのが、ことしは百十一社も一万円以上の給与引き上げを見ているというようなこともあるわけですね。したがってこういう一四%というような段階ではまずおさまらないだろう、こういうような問題などについてどうお考えになっておられますか。
○細見政府委員 昨年確かに当初見通しよりも賃金の水準が上がりまして、それが自然増収になっておる一面があるわけでありますが、もちろん先ほど申し上げましたように、百五社ですかの春闘相場というものがはたして全体のものをあらわしますかどうか。たとえば昨年の春闘相場よりも若干違った形で全体の賃金は出てきておるというようなこともございます。しかし、それは別といたしましても、ことしの補正でも見込まざるを得なかったたとえば酒税の減収でありますとか、あるいはまたことしの後半は万博もなくなりまして、たとえばカラーテレビのように非常に物品税の中において伸びておるもの、あるいはまた自動車のようなものにつきまして、どうも道路のほうがおくれておって、いままでのように伸びないというようなことで、税全体として見なければなりませんし、さらに大きな要素は、もう先生十分御承知のことでありますが、輸出環境などが悪化する、国際環境などが悪化した場合に、法人税などにつきまして非常に大きく響くわけでございます。いままでの傾向は確かに連続して好況が続いておりましたので、税収のほうが目標よりも、見込みよりも上回ることが多かったわけでありますが、日本の法人の、企業の収益の状況は、先生御承知のように、どの国に比べましても損益分岐点が非常に高い。したがって、増収になればおおむね増益になる。また逆に減収になれば収益率が非常に下がる。そういう意味で総合的に、全体の税収の中の三割を占めます法人税がやはりどうなるかということをあわせて見ませんと、税全体としての帳じりがどうなるかというのは予測できないので、私どもは、いまの段階で申し上げろと言われれば、私どもがここに見込んでおります税収が一番正しい税収だと申し上げざるを得ないわけであります。
○広瀬(秀)委員 去年の一一%に見込んだものがどのくらいの伸びになりましたか。
○細見政府委員 一六になっております。
○広瀬(秀)委員 五%というようなたいへんな見込み違いしておるじゃないか。それでなおかつ、それは政府の見通しに立ったものに固執される立場はわかるけれども、もう少し誠意のある答弁をしてもいいんじゃないかと思うのですね。これは狂う可能性もあるんだということ。これが正しいのだ、去年の実績でもうすでに、一一%給与は上がるだろうと見ておったものが一六%になっておるという現実を踏まえて、そういう答弁はないと思いますね。どうですか。
○細見政府委員 そういうこともありまして、今度の見込みにおきましては昨年の一一に対して一四を実は見ておるわけであります。もちろん春闘のレベルが幾らになるかというのは私ども予断をするわけにはいきませんが、経済全体の運営としては、この辺のところが給与の伸びではないかということです。確かに春闘のベースをつくるような企業もございますし、一方で中小企業その他でそれほど伸びないというような企業もあるわけで、全体としていま言えることは、一四%というのはそう低い数字ではないじゃないかと私ども考えております。
○広瀬(秀)委員 これはまた所得税法のところで十分議論をしたいと思いますが、国税庁長官は非常に忙しいらしいので、一問だけお伺いしたいのですが、国税通則法の一部改正で、これが参議院も通って法案も成立したという段階でいよいよ発足をするわけです。何日にこれが実施され、そうしてその人員の配置などについてどういうように進んでおられるか、その点を伺いたい。この前、審判官、副審判官または審査官、こういうような人たちはどういう格づけ、どういうクラスの人たちをそこに任命するのかというようなことについて伺ったわけですが、現在その準備が着々進行しているのだと思うのですが、その過程の中で、長官が審判官は大体局長クラスというようなことをずっと言っておられたが、そのとおりに現在の人事がなっていないということで、職員の中にも、国会答弁と違うじゃないかということが非常に問題になっておるということをわれわれ聞くわけです。そういう点について、この際どういう気持ちで人事配置を考えて進められておるのか。職員等の納得と協力というようなものがスムーズに得られるような心がまえで当然やっていただかなければならぬと思う。そうして国会で答弁されたようなものが大体において――最初のことですから、なかなかそれはほうちょうですぱっと切ったようなものができないにしても、気持ちというものはそういう、この前質問したときと同じようなところになければならぬと思うのです。そういう立場でその問題についての考え方を、いま進めている状況を踏まえながらここで説明していただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 通則法が成立をいたしましたので、実は本日付で設立準備委員を発令をいたしました。予定どおり五月一日を発足の目途といたしまして仕事を進めてまいることにいたします。もちろん設立準備委員は、今後設置さるべき審判所の設備その他の準備、あるいは早急に必要とされる経過的な諸取り扱いの決定、こういうことを中心に仕事をいたすわけでございます。 人事関係につきましては、先般国税局長会議を開きまして、そこで国会の審議等の内容も明らかにいたしまして、従来申し上げておりますように、各首席審判官は各局の局長相当の人物を充てるということで現在選考を進めております。その点は従来申し上げた方針と変わっておりません。 審判官、審査官につきましても、一部できれば民間から登用したいという考え方はまだ捨てておりません。努力をいたしておりますが、その点はあるいはごく少数にとどまるかもしれないと思います。そういう観点から申しまして、先般御説明いたしましたように、各首席の地位は、東京は最高でございますけれども、他の各局とも行政職の一等級、現在の国税局長と同じラインで、それに値する人物を充てるべく準備をいたしております。審判官につきましても、一月に実施された場合を想定いたしましてある程度準備をいたしておりましたが、さらに各国税局長に申しまして、少なくとも各局とも税務行政の中心になるような人物を充てる、たとえば局の中心課長をやったような人、あるいは少なくとも中心課長になるべく運命づけられたと申しますか、予定されているような人を一人ずつは入れるということで、人事について非常に高い配慮をするようにということを申し渡しております。 そういう点で人事は着々進めておりますが、御心配のないように、従来申しておりましたような線を実現すべく具体的に努力いたしております。
○広瀬(秀)委員 特に、この審査官の希望者を募るというか、推薦によるかどうかわかりませんけれども、まあ署の課長クラスとか、あるいは専門官クラスのところを審査官に充てるということなんですが、大体あなた方の考えとして、主としてそういう審査官は内部から登用されるだろうということは、もうそのとおりだろうと思いますが、その場合に大体地位が上がっていく。異動するたびに役人の地位が下がるというのは大体本来的でないわけです。ところがこういう制度をつくった際に、どう見ても格下げになるのだという点で問題が起きているというようなことを聞いているわけなんです。だからそこらのところをひとつ十分配慮して、異動にあたって、内部からやはり喜んで新しい制度にほんとうに転身しようというようなりっぱな審査官が、しかもよき地位についたんだという形になるような、そういう人事構成にしていただかないと、せっかくできたものを人事の面からたいした成果をあげられないということになってはいけないわけです。したがって、その点を十分に配慮されるようにきょうは要望だけしておきます。 そこで次に質問を移します。 きょうは全般的にということでありますので、あっちへ飛びこっちへ飛びいたしますが、昨年本会議で、また予算委員会で堀委員等が――私は本会議でやったわけですが、税制における妻の座に対する処遇の問題で、私に対する答弁も、二分二乗方式ということになるとなかなか容易なことじゃないということで、これは将来の検討課題にしたいということなんですが、直ちにでもやれる問題、贈与税あるいは遺産相続、こういうような問題については、妻の座というものを十二分に認めた評価をした立場においてやりますということを総理自身が本会議でも答弁をされたし、また予算委員会の堀委員に対する答弁でもそういうことをおっしゃられておるわけです。ところが今度の法律改正では、贈与税も出なければ、相続税の問題についても、何らそういう問題点についていわれていない、この法律案の改正が出されていない。このことについて、これは大きく言えば総理の食言であるということにもなるわけなんですけれども、これはまたいずれ本委員会に総理の御出席を求めてやることでございますが、当然妻の座に対する問題を、少なくとも総理があそこまで贈与税、相続税ということをあげて、それについてはもうやりますと言ったことに対して、事務当局としてこれは怠慢ではなかったのか、こういう気がするわけです。この点についてどういうお考えを持っておりますか。
○細見政府委員 先日衆議院の予算委員会におきましても、私が堀委員にお答えした際に、総理からも、去年おれも言っていることだから来年はよく考えろということを言われまして、私どももそういう去年以来のいきさつは十分承知いたしておりまして、実は妻に対する生前贈与について、若干の引き上げというものについて具体案をつくりまして検討いたしたわけであります。ところが、いろいろやってまいりますと、相続税を手直しいたしませんと、生前贈与した人と贈与しなかった人との間に差ができて、たとえば贈与があれば相続税がかからないが、生前贈与をしておらなければ同じ家族構成であっても相続税がかかるというような事例が、千万あるいは千二百万ぐらいの遺産のところで出てまいりまして、ここまでくれば、いまの民法のたてまえを原則としまして、例の実際の配分がどうあろうと妻は三分の一、残りが三分の二ずつ配分されたものとしての課税方式それ自体から考えてまいりませんと、贈与税を上げることは即相続税の免税点を引き上げるということを伴わない限りアンバランスが出てくるということがはっきりいたしてまいりまして、これは容易ならぬことだ。確かに土地も家屋も評価額が上がっておりますから、相続税も見直しの段階に来ておるということも事実でございます。しかし、ただ妻だけの問題を相続税と切り離して見るというのはどうもいかにもむずかしい。そういうことで、先ほど来広瀬委員から怠慢だと言われましたが、私どもも怠慢と言われればいささかつらいので、ことしの短期間の間に、まああまり評判はよくないようでありますけれども、これだけの税制改正案をつくりますと、正直申し上げまして手一ぱいで相続税に手が回らなかった。そういう意味で、総理の御発言もありましたので、総理にもあやまりまして、次の機会に検討をいたしますから、ことしは私どもの怠慢と言われればもう耐えますから、どうかひとつかんべんしていただきたいというようないきさつになったわけでございます。
○広瀬(秀)委員 そういう問題につきましても、もう非常に賢明な主税当局のやりようは、いまおっしゃった、確かに相続税における基礎控除の問題というようなことも当然それは関連して、贈与の面を改正すればそういうところに波及してくることはわかり切ったことです。しかしそれは、そういうことでいまおっしゃったような措置をとれば、これはもう解決のつく問題です。要するに、妻の税制における今日の恵まれない状況というものをもっとよくしようということですから、その両面にわたってバランスがとれるように、片っ方で有利になって片っ方で不利になるという、そんなばかなことはないのですから、それに歩調を合わしてやることは技術的にできないことではないわけです。そういう問題についても、次の機会ということになれば、来年度の税制改正ではそれを必ず出されることがいまおっしゃったことではっきりしたと私は理解するのですが、その点答えてもらいたいのです。 それと同時に、先ほどの税の自然増収の伸びというようなものとも関連をして、これは年度内においてそういう事情で手が回りかねたということならば、それもやむを得ないことであったと私どもは思いますが、そういう点では次の臨時国会にでも、たとえ何月に開かれるかわからぬにしても、できるだけ早い機会に、おそらく臨時国会も一回ぐらいあるのが通常の状態化しておりますから、そういう時期に間に合わせるようにいまから準備を始める、こういうようなお考えはございませんか。
○細見政府委員 広瀬委員十分御存じのことでございますが、昭和三十三年に相続税法を改正いたしたわけでございます。そのときには、戦後新しく日本に取り入れられてきました新民法のたてまえから、あるいはそれ以前にございましたシャウプ税制の財産承継額で相続税を課税する、その辺と新民法との間の調整をどうするかということで、私どもはわりあい現実的に考えるわけでありますが、民法学者の間で非常にむずかしい論争がございまして、今度の問題の、つまり相続税をいまの民法にのっとった相続税の課税のしかたをすれば、配偶者に生前贈与した人のほうが有利になるという面も出てくるわけであります。それじゃ民法のたてまえを相続税の上ではずすということになりますと、これは私どもだけで最終的には処理しなければならないことかもしれませんが、民法学者との間に十分詰めなければならない問題もございます。と申しましても、私どもが検討を延ばそうという意味ではございませんが、われわれだけでできない面もある点を十分御了承願って、われわれといたしましては、さっそくにも明年は検討に入ろう――明年度といいますか、すでに今年度になっておるわけでありますが、今年度からの課題として検討には入りますが、非常に法律の制度あるいは身分法学の理論に触れるところにひっかかるものでございますから、その辺は幾らかむずかしい問題があるということを、これは言いわけでございませんが、あらかじめ御了承願って、検討はいたしますということを申し上げたいと思います。
○広瀬(秀)委員 いまの憲法体制の中で新しい身分法ができておるわけですから、それをいまどうこうということを私ども言いません。しかしその範疇の中でやはり贈与の分、遺産相続の分を両方とも有利にする立場というものを考えるべきなんです。これは考えられないことではないわけですから、少なくとも来年度には改正案が提案されるように十分ひとつ検討を要望しておきたいと思います。 それからいわゆる物価調整減税といわれる問題点なんですが、予算委員会で出された資料は四・八%上昇だ、こういうことで、四十五年度において五百三十億というのはいわゆる物価調整減税であろう。そうしますと、これをこのまま四・八しか上がらぬとかりにいたしましても、これがおそらく五百三十億ですから、二千六百四十億の減税からこれは引かれる勘定に実際はなるわけです。そうすると二千億か二千百億足らずの程度のものになってしまうわけなんですけれども、この四・八%という物価上昇、これは現在もうすでに昨年同期から比べて八・何%、八・五%というような大幅な消費者物価の値上がりが二月段階で見られる、あるいは三月段階で見られる、こういうようなことにもなって、とうていこの政府見通しの中におさまりそうもないということなんですね。この四・八%を基礎にしてそういう数字を一応予算委員会には出されたけれども、かりに六%上昇するということになりますと、必要とする物価調整減税というものは理論的にどのくらいの額になりますか。
○細見政府委員 非常に荒っぽく計算いたしますと、このまま約四分の一ぐらいを追加していただく、つまり百三、四十億がふえるという感じではなかろうかと思います。なお、計算は別途させて、後ほどお届けしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 あとでひとつこれを、少なくとも四十四年度の値上がりのパーセントの場合この程度に四十五年度において上がるであろうという形、それからわれわれの見通しではおそらく六%をこえるのじゃないかと思いますが、かりに六%、そういうようなことについて、二つの場合の試算をひとつ資料としてあとで出していただきたい、こういうように思うわけです。 次にお聞きしたいのは、大蔵大臣も、直間比率が戦前の姿、あるいはまた終戦後の二十年代の時期と、もうまさに逆転して、直接税比率が六割以上になっているということで、これからの税制の重点を間接税主義の方向に持っていかざるを得ないというようなことを言っておられるわけでありますが、この問題について主税当局の基本的な――直間比率というのは税がいわゆる公平であるべきだということ、これは所得に応じて、担税力に応じてということ、さらにいろいろ担税力の強い弱いというようなものに応じて、担税力の強いものにはそういうようにというような、内容はいろいろあるだろうと思いますが、そういう税の公平の原則という問題からいって、その一点にしぼれば、この直間の比率の問題というのはどの辺のところが、六対四なら六対四、あるいは七対三くらいが税の公平という見地からいうならば妥当な線なんだというようなお考えというものは、あなた方は税法改正を準備される担当者としてどういうぐあいにとらえられておるのか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
○細見政府委員 もし世の中に、税制として単一税をとるべきだということであれば、もう文句なしに所得税でいくべきであろうと思います。その間にいろいろな、富が中間的に停滞する形とか、あるいはその富が消費として使われる形とかいうようなものをとらまえて、そこに補完的な税を見つけていくというのが、税制として理論的に考えた望ましい姿であろうと思います。 そこで、それではそういうことで何割くらいが直接税で、何割くらいが間接税であればいいかという議論をいたします場合にも、さらに同じ直接税と申しましても、所得税のように、いわば所得が一人の人格に帰属する形で、いわゆる担税力とかあるいは税を払うことに伴う犠牲とかいうような観念が入ってくる所得税と、法人税のように、議論によっては、それは転嫁されておる。付加価値税というのは御承知のように利潤と利子とそれから労賃部分であって、それが転嫁されるのであれば利潤だけを課税標準にした法人税も、価格機構のいかんによっては十分変化があり得るわけでありまして、そういう意味で法人税について、いわゆる応能負担というような概念を持ち出すかどうかということについては学者にいろいろ議論がございます。そういう意味で、所得税が税制の基幹になっておることがやはり公平な税制だといわれる意味で大事なことではあろうと思いますが、ただ税務行政も、国税庁の諸君は一〇〇%完ぺきにやっておるつもりでありましてもなかなかむずかしい。特に所得概念にからみまして、たとえば交際費の課税の問題でありますとか、あるいは広告費の課税の問題などが出てまいりますように、税の所得の概念というものが国民感情でいう所得の概念と食い違う面も出てくるというようなこともございまして、一つの税、所得税に非常にウエートをかけた税制をいたしますと、たとえば所得税を免れれば、現在の税制でありますと住民税も免れるとか、あるいは事業税も免れるというようなことにもなるわけでありますし、社用族といわれるような人たちにとってはおそらく所得税のかからない、しかも実際上の所得があるというような議論もあります。 そういうようなことを考えますれば、やはり昔の人たちあるいはよその国の税制を見た場合に、直接税、間接税といったようなものを組み合わせまして、一つの税にあまり重点を置かないような税制というものを考えておるのは、やはり人間の一つの知恵であったのではないかと思うのです。そういうことを考えまして、私どもは、このままほうっておき、このまま日本の経済成長が続きます限り、非常に直接税本位の税制にならざるを得ない。これはもう先生御案内のとおり弾性値が違ってまいるわけです。そういうものをただ漫然と放置して、観念的に所得税が一番いい税制だということを言っておってもいい時代がだんだん変わりつつあるのではないかというのが私どもの認識でございまして、その間においてこういう物価騰貴の行なわれるときでありますから、やはり同じ所得であっても、貯蓄に向かう所得と消費に向かう所得との間に税の上で格差を設けた考え方があってもいいじゃないか。その場合いままでは貯蓄のほうを一方的に優遇してまいる税制でまいったわけでありますが、それが負担の公平を害するということでたびたび御批判を受けておったわけです。またそういう負担の格差というものをだんだん国民感情として許さなくなってきておることであろう。と考えますれば、やはり消費というようなものについてある程度、それが最近のように非常に消費ブームといいますか、消費が非常に目立つ時代になりますと、そういうものをとらまえて、そこで担税力を見出して税負担を考えるということも、もう考えていい時代ではなかろうか。間接税であればけしからぬ、大衆課税だというようなことばかりを言っておってはいかない時代が近づいてきたのではないか。まあ大げさに申せば、七〇年代の税制というのはそういうことを考えていいんじゃないか、国民がある程度豊かになってきた段階におきまして。もちろんその間に大衆課税あるいは逆進的にならないようないろいろな配慮は要ろうかと思います。そういうことを基本的に一方では考え、また、明年とか明後年とかいう短期の問題としては、そういう基本的な背景の上で具体的な税なり何なりを考えていく、一般的な売り上げ税のほかにそういうものも考えていっていいんじゃないか、かようなことを考えているわけであります。
○広瀬(秀)委員 まあいろいろお話があったんですが、間接税の場合にはいろいろな方法、個別商品に対する課税の方法はいまの物品税のようなものもあるし、また売り上げ高税であるとか利潤税であるとかいう、いろいろな方法があるわけですけれども、まあしかし観念的というか、概括的にいえば、所得に応じない、担税力に応じないで、むしろいわゆる大衆課税の一面があるということからかなり問題にされる。これはやはり直間の問題を考える場合には一つの大きい要素になると思うのですね。 そういう中で、将来社会開発、社会資本を国民大衆が貧富の差なしにやはり利用するというような、そういうものに間接税というようなものがそれとマッチした形で、端的に言ってしまえば目的税的にやるというような形の場合には、税金をわれわれが納めることによってこういう資本ができ、その利益をひとしく享受をし、生活の豊かさというものもそういう中から生まれてくるんだ、そういう関連などがあるならば、これはまあかなり間接税というものもそういう形にきめこまかくリンクさせていくというような、税金の使い道というものを目的税的なものとして間接税を利用する、そういう考えというものも、これは新しい税制として一つ考えていいポイントであろうと思うのですね。だからそういうものなども考えながら、しかしいままでのような形ではやはり大衆課税だということになるので、大蔵大臣がどこへ行っても、これからはもう間接税をふやしていく以外にないと言われると非常に心配になるので、まあその問題についてはそういう一面というもの、さらに社会資本の充実ということが直接全国民が享受できるものなんだ、この税はそういうものなんだというような結びつきというようなものがはっきりする形というものを、これらの問題についてはやはり取り入れていかなければいけないんじゃないかということを考えるわけです。 そこで、いまお答えの中にも交際費の問題、広告費の問題が出たわけですが、交際費の問題はまた租税特別措置法の中でやれるわけですが、広告費、これは情報化社会の時代、新しい生産物がどんどん新しい時代に即応して出てくる、それを大量宣伝によって大量消費させるという時代だし、しかもこれからの産業経済の中で顧客の創造というようなことがいわれる段階になってきている。顧客をつくり出すんだ、潜在的なものを顕在的な顧客に仕上げるんだというようなもの、コンピューターシステムの時代、情報化社会ではそういうことに企業とその消費者との間が関係づけられるというような段階で、広告というようなものが非常に重要な手段であり、それが経費性を持っていることもわかるわけですけれども、そういうものが今日の社会の中において――どこまでこの世の中というものが変わるのかは想像のつかないものがあるのですけれども、今日なお私どもが社会の状態を見ておって、広告があまりに誇大ではないか、もう経費のらちを越えている、むしろ国民経済の面から見ても浪費であるというような面が非常に多い時代だと思うのですね。そういう中で広告費がいまどのくらい、おそらく五千億をこえるのじゃないかと思うのですが、どのくらい広告費というものが使われておるかということを数字をお伺いをし、またこの広告費に対してある程度の制限をして、一定部分については経費として認めない、こういう考え方というものは成り立ちませんか。そういう点について、広告費課税という問題についてどうお考えになるか。この点を今日の状況に照らして見解をお伺いしたいと思います。
○細見政府委員 最初に広告費の支出額を申し上げますと、四十三年が五千三百二十億くらいであります。四十四年は、これは見込みになるわけでありますが、それが約六千二百八十億ないし九十億くらいになるのじゃなかろうかと一応予想いたしております。 広告費課税の問題は、前々から横山委員からも御指摘があり、私どもも交際費の課税を強化いたしますときにいつも出てまいりますのは、たとえば土建業のように広告費が営業拡大の媒体として使えない業種と、薬屋のように交際費は要らなくて、むしろ広告費だけでやっておればどんどん業容が広げられるというような事業との間に非常なアンバランスがあるではないかという議論にからみまして、広告費課税の問題はいつも出てくるわけであります。その際私どもが考えますことは、確かに広告費の中にも行き過ぎた広告などがあるわけでありますが、その広告がある商品の宣伝として適正であるかどうか、誇大であるかどうかというのは、公正取引委員会に判断していただく以外にないわけで、私どもがやれることは、事業の収益に対して大きいか少ないかというような議論しかできない。ところが非常に皮肉なことに、新製品を出しましてこれから広告を大きくやるというような場合には、そのときには実は利益が少なくて、その大きな広告、つまり企業にとっては過大に見えるような広告が実を結ぶというようなこともございましたり、それから一方交際費のほうには、そういう事業の要とは申しながら、それに関与する個人の人たちの、ことばは適当であるかどうか知りませんが、飲み食いというようないわゆる社用的要素、そういうものに対する社会的な批判というようなものがあって、その辺がどうも、なかなか広告費も交際費と同じだと言えない。個人の飲み食い的な要素がないという点が、いつも広告費課税の議論が出ますたびに、広告費課税まで一歩踏み出しにくい。飲み食い的な要素もないということ。それから、業容を自後に拡大するのだけれども、そのときに事業の大きさと広告費というのが比較しにくいというような問題、その辺についても検討は続けてまいっておりますが、なかなかこれだという形で世人の納得を得るような方式が見出せないというのが偽らざる現状でございます。
○広瀬(秀)委員 最後に法人税の問題で、昭和四十一年ですか、不況対策として法人税を三%下げたわけですね。いまやもう四十一年以降ずっと増収、増益が八期も九期も続いて、そして過熱を心配して、もう金融当局としても政策当局としても景気引き締めをやっている。そういうところまで企業の収益も増大し、景気も過熱を心配するというような状態になってきている。そういうような場合に、この法人税負担が当然景気対策としてやられたのですから、景気がもはや完全な好況、過熱というところまできているという状況の中で、これは税制の景気に対する影響というものも考慮をして、当然ことしあたりはこの三%をもとに戻すという思い切った措置がとられていいのではないか。昨年私、総理に対してもこの問題を、少なくとも法人税というものが、対外的、外国との比較を見ましても、低い段階に日本の現状はあるということを申し上げて、これはもうむしろ増税をしてもいい、税率を上げていいんだということを申し上げたわけでありますが、大蔵当局もまあ三%まるまるということでなくても、少なくとも二%くらいということは主張されておったようでありますけれども、これが留保分だけ五%ということで、しかもこれを引き直してみれば一・七五の税率の引き上げにしかならぬ。このように後退してしまった原因というのは一体どういうところにあるのですか。これは大企業側からのかなりの圧力というものによってそういう後退をみたんだ、税務当局としてはおそらく私どもの意見に賛成された立場をとっておられたのだけれども、それがそこまで妥協してしまったというのは、何か妥協するにあたっての根拠というものはどういうところに見出したのですか。
○細見政府委員 妥協する根拠を見出したのではございませんで、ことしの税制改正をごらんになればわかりますように、所得税は長期答申を完全に実施いたしたわけであります。所得税の長期答申を完全に実施いたしまして、しかも必要な歳出をまかなってまいりますと、先ほど申し上げましたような一兆三千七百七十億の自然増収ではどうしても千億足らずの歳入の不足が生ずるということで、その範囲において必要な法人税の値上げ――実は法人税のほかにも、先ほど申し上げましたように、私どもはどういうところに負担増を求めるかということを考えまして、間接税の負担増というようなことも考えたわけでありますが、これは酒、たばこの値上げをすでに実施いたしておりますし、物品税等につきましても減税の要望は強いのでありまして、増税で新規に課税するということになればなかなか抵抗が多い上に、こういう個々の物品税でありますと、大きな歳入をあげ得るような新規課税というのは現実論として非常にむずかしいというようなこと、かれこれ総合判断いたしまして、必要な千億程度の財源を法人税の増税に求めたわけであります。二%というようなことがいろいろ新聞紙上などに伝えられたのでありますが、地方税の負担増も含めてお考え願いますと、ちょうど二%に結果的にはなっております。
○広瀬(秀)委員 また各税法についての審議の予定もありますから、きょうのところは、この程度でやめておきます。
○毛利委員長 美濃政市君。
○美濃委員 午前中に源泉徴収のしかたが正しいかどうかということをお尋ねしたわけですが、私は必ずしも源泉徴収がいけないということを言っておるわけではないのです。大体税法できまった税の徴収であるわけですが、それに格差があるということは平等でないと思うのです。公平の原則を欠いておる。どうですか、他の国がどうの、どの国がどうということでなく、欠いていると思うか思わないか。税の徴収期限、納付期限というのははっきりしておるのでしょう。その納付の期限より早く税を徴収する。これは徴収の原則から見て格差がある徴収のしかただと思うのですが、どうですか。
○細見政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、それぞれの税は、御承知のように、納税者にとっても、あるいは租税を徴収する側にとっても、最も便利な方法で徴収され、あるいは税金を納めるというのが一番望ましいことであるというのは、午前中申し上げました最高裁の判決にも出ておるところでありまして、給与のように、多数の人に集中的に一定の時期に支払われる場合に、それが源泉徴収されるというのは、支払う側にとりましても、あるいは税を支払う給与所得者にとりましても、双方便利で合理的な制度ではないかと私どもは考えております。
○美濃委員 合理的な制度だからといって、いわゆる税の徴収期限の公平の原則を欠いておってもいいのですか、どうですか。
○細見政府委員 先生のおっしゃる意味がちとわからないのでありますが、源泉所得税は、その翌月の十日に納付するとなっておるので、その意味でそれが一番便利な制度である。しかもそれは徴収の制度として合理的なものであるというふうに最高裁の判決も出ておるわけでありまして、そのときに税金を払うことが――どうして払わないことを主張できるのか、その辺が実は私にはわかりかねるところであります。
○美濃委員 しかし、大蔵当局が財政投融資の中で、国民に、たとえば別の形で政府資金を貸しても全部利子を取るでしょう。ですから、はっきりと徴収の方法そのものが――確かにやはり一定の収入があったときに払っておくということは、それはきわめて非合理だと私は言っておるわけじゃない。しかし、申告納税の時期と違うわけですから、その分はどうです。申告納税から見たら前取りになるわけです。一定の利子を、たとえば国債利回りの率なら率で、徴収のときに、政府の金を国民に貸しても利子をとる。その差額を、きちっとけじめをつけたらどうです。取ることが必ずしもきわめて非合理だと私は言っておるわけじゃないのですね。しかし差があるということは問題がありますよ、それであたりまえだという解釈は。最高裁の判決がどうだろうと国民に対して公平な措置を欠いておる。
○細見政府委員 もし、先に払うことによる利子分だけ損をしておるという御議論でございますと、それがあるから給与所得者には給与所得控除があるわけでございまして、それはたとえば五十万の収入の方にとっては三六%の給与所得控除というものがございまして、その率は非常に大きなものになっておるわけでありますが、給与の収入金額がかりに二百万円くらいの方を考えてみますと、その場合給与所得控除額は、夫婦子三人の場合でありますが、三十七万九千円になって、源泉徴収税額が十万八千円ばかりになります。もし一・一%程度の前払い金利を見まして、十二カ月でありますからかなり高い金利になるわけでありますが、それを一・一%、月々金利を見てみましても、その割合は、収入金に対しましては〇・〇六%、給与所得控除に対しましても〇・〇三%ということになりまして、そういう意味では、給与所得控除は金利部分あるいは勤労者の経費あるいは勤労者の担税力というような点を考慮したものであるというのは、いままでからいわれてきておるところであります。
○美濃委員 私はやはり一番大蔵省というところが、こういう質問をしておって、またお話を承って、封建的でないかと思うのです。その基礎控除なりそういう控除というのは、必要経費なりあるいは最低生活費に所得税が食い込むことを避けるために控除することになっておるのですね。前取り部分とは違いますよ。そんなものに入っておって、説明したって、入れる制度そのものがおかしいですよ。ですから、前取りは前取りでそういうふうに、利子はやはり、あなたみずからも公平の原則を欠いておると言うんだったら、その部分だけ算出税額から控除して徴収するというのが正しいやり方じゃないですか。どこへ入っている、ここへ入っている。控除というものは、これは別のことです。税額算出前の問題です。算出して、徴収の過程で格差があるものは具体的な税額で調整するのがたてまえでしょう。入っておるったって、入っておるじゃ了解はできませんよ、そういう浪花節のようなことを言ったって。そうして、さっきの話じゃないけれども、何でも白いものを黒いと言って、あそこにも入っておる、ここにも入っておる。それは徴収前に属する問題だ。その税率によって徴収される徴収の段階で差が起きておる問題は、税額で調整するのが当然でしょう。基礎控除に入っておりますとか勤労者控除に入っておりますとか、それはおかしいですよ。徴収の段階で不公平が生ずるわけですから、前取りになるわけですから。申告納税から見ると前取りになる。その前取りの金利負担部分はせめて控除しなければならぬという意図があるとするなら、それは税額で調整すべきです。変な、税額算定前に入っておる、そんなものが入っておりますといったって、それは理論でもなければ、へ理屈だと思う。格差解消になっておると思わぬです。やはり勤労者だって、勤労者は勤労者なりに、たとえばそれぞれの必要経費があって控除をされておるわけですから。どうです、そういう理論は理論的に合わぬでしょう。その理論でりっぱだというんですか、どうですか。徴収の段階で格差が生ずるのは、それは税額で調整すべきですよ。事前調整してありますなんというのはおかしいですよ。
○細見政府委員 あまり議論になることは申し上げたくないのでありますが、税制調査会でも従来からそう申しておりますし、御承知のように、収入金額から給与所得控除を引きましたものに税率をかけたものが税額でありますから、どこで引いても同じだと思います。
○美濃委員 平行線になりますから、次の段階にしますが、そういうものの考え方、そういう基準というものは、私はおかしいと思うわけです。税額控除の措置もとっておるわけですから、すっきり――税額控除というものがないのであれは別でありますけれども、理由によって税額控除はしておる。はっきりと税額控除にすべきです。事前調整に入っておりますというようなやり方は私はおかしいと思う。 次に、これは時間の関係で深く掘り下げてやりませんが、関税の意図を聞きたい。関税はなぜかけるのか。何のために関税は必要か。財源確保のためなのか。関税というものの政策意図、これを承っておきたい。
○細見政府委員 関税局長が参っておりませんので、関税局長が来るまで、大蔵省で解釈しておることを申し上げますと、沿革的には、御承知のように関税は財政収入であり、いまでも後進国は関税収入を主要な財源にしておることは事実でございます。しかし現段階におきましては、むしろ国内産業政策として、国内産業の保護育成というようなことを主要な役割りとして関税というのは運営されておるわけでありまして、もちろん結果的に相当の収入が国庫に寄与しておることは事実でありますが、現在の関税政策は何であるかと言われれば、それはやはり広義の産業政策の一環として国民経済的観点に立っての政策である、かように申し上げることだと思います。
○美濃委員 政務次官にお聞きしますが、関税局長が来ておりませんが、財源確保の手段でもあるけれども、主たる目的は産業政策だ。どうですか、これは合致しておりますか。日本全体の、今回の改正しようとする全体が、必ず全部間違いなく合致しておるかどうか。私は合致してない面が、だいぶあると思う。
○中川政府委員 しさいに見ますとどこか御批判をいただくようなところもあろうかと存じますが、全体としてながめて、産業政策に間違いのないようにということで編成せられておると確信をいたしております。
○美濃委員 それでは本日はこの程度にしまして、いずれ法案審議の中でさらに具体的な問題については質問いたしたいと思います。
○毛利委員長 松尾君。
○松尾(正)委員 本日税法の趣旨、提案説明を受けたわけでありますが、今日まで税に関しては予算委員会その他で論議されておりまして、私も、掘り下げてというところまでいきませんけれども伺ってまいりましたが、この法案の提案の要旨の説明並びに委員会における説明等を通して見ましても、一貫して第一に考えておったことは、公平な課税である、さらに応能負担でなければならない、そういう立場に立って、特に所得税の減免措置を大幅にやり、さらに利子・配当課税等は思い切ってやった、こういうふうに聞いております。 ところが今回の税の改正、それから今日までの論議をずっと通して見ましたときに、捕捉率、こういう点、あるいはまた法人税率の引き上げ、こういう点、さらには利子並びに配当課税に対する措置のあり方、こういう点について、この論議された点は、趣旨説明にあるように考えられない面があるわけです。すなわち現状では、低所得者層の減税ということよりも、むしろ大企業、中所得者以上に減税の方向が向いている、こういうふうに思われるのでありまして、この点についてまず総体的にお答えをいただきたい。いわゆる公平を第一義に取り組んだ。それから応能原則、こういう点に力を入れてやったといいますけれども、不公平であり、むしろ逆に大企業等に力が向いておる、こういう点に対して、総体的にどう考えておられるか、この点を最初に伺いたいと思います。
○細見政府委員 最初に所得税で申し上げますと、今回の所得税の改正は、さきの税制調査会のほうからの答申を完全に実施いたしたものであります。そこで、それがどういうふうな負担軽減を各階層にもたらしたかということにつきましては、もちろんその年その年の、あるいはその改正その改正をごらん願って、どういう階層に厚い減税になっておるかということも確かに大事な一つの視点でございます。ただ、その点につきましては、従来からたびたび、今回の税制が下に厚い。軽減割合としては下に厚い。金額としては、納税額が小さいわけでありますから軽減額は額としては小さいが、軽減割合としては下ほど大きくなっておるということをたびたび申しておりますので、それは繰り返さないことにいたしまして、それでは、たとえば昭和四十年ぐらいから四十五年の今回の改正を取り上げまして、夫婦者でひとつ申し上げてみたいと思います。 たとえば収入金額が五十万円の夫婦者でありますと、四十年には八千六百六十円税がかかっております。これがゼロになったわけでありますから一〇〇%の軽減であります。収入金額が百万円の収入のある人について、四十年の税制であれば七万六千六百二十円がかかったわけでありますが、今回の税制改正によりますと、三万三千三百七十二円と、五六・四%の軽減割合になります。軽減割合だけ申しますと、その上の百五十万の階層については五二・九、二百万の階層については五二・四、三百万の階層については四七・六というふうに、漸次軽減割合が小さくなっております。しかし金額にいたしますれば、先ほど来申し上げているように、税額が大きいわけでありますから軽減税額は大きくなっておりますが、税制改正としてどちらに重くなったかということになれば、率のほうで判断するのが筋だと思います。 そういうことで、所得税につきましては、ここ累年の所得税を一貫してごらん願っても、あるいはまた今回あるいは去年の税制を一緒にごらん願っても、いずれにいたしましても収入金額の低い階層に厚い減税割合になっているわけであります。大法人に非常に特別措置の恩恵が片寄っているではないか。したがって、それが大法人優遇の税制になっているとよく言われるわけでありますが、今回の税制改正におきましても、ごらん願うとわかりますように、特別措置は、特別措置の整理統合によって浮いてくる財源の範囲内においてのみ特別措置を設けているわけでありまして、全体としての税額が大きくなっていく過程でそういう措置をするということは、相対的に特別措置の縮小に向かっているということもこれおわかり願えるところであろうと思います。 また利子・配当の問題にいたしましても、負担の公平という点から考えますと、完全な総合課税に移すべきだという御意見も御意見としてもっともなことでありますが、しかし物価騰貴のこの現状におきまして、預貯金をする方、それがまさに額に汗して預金をされている方であるとすれば、消費もせずに貯蓄された方々についてそれなりの優遇をするというのは、また一つの大きな経済政策としての意味もあろうかと思います。しかし同時に、ある程度以上の資産所得についてはそれなりの税負担を求めなければならない。しかも全体として物価騰貴あるいは貯蓄意欲の減退というものがいわれているときに、その税制としての姿勢を直しつつ、そういう国民の貯蓄意欲というものをそこなわないようにするという点を配慮すれば、やはり漸進的な措置をとるのが至当ではなかろうか、責任ある態度ではなかろうか、かように考えまして、私どもといたしましては、全体としては、いささかてまえみそでしかれるかもわかりませんが、一応税制調査会の答申をそれなりに実現いたしたものである、かように考えております。
○松尾(正)委員 これは、いま伺ってみると、一つ一つについて理論的にはなるほどうなずけるのです。しかし、これを全部総体で見た上、また一つ一つを今度は対照して見ましたときに、どうしても公平とは言えない、こういう面が考えられるわけです。 それで一つずつ掘り下げてまいりたいのですけれども、まず、これは国税庁の国税統計報告にあるものですが、昭和二十五年から四十三年までの十九年間に租税特別措置で減収された額は三十六兆円をこえている。国税総額の相当大きなパーセントを占めているわけです。しかも、この特別措置を受けているのは、金額的に見て大企業が圧倒的に多い。こういうことを見ますと、すでにGNPも自由世界第二位の経済力を持った。開銀の関係の論議をされたときにもこれは問題になりましたけれども、もうすでに産業基盤の育成という面から社会開発、こういう方向に向かわなければならない、こういう状態のときに、現在の税のあり方が、いま局長から説明を聞きますと、確かに漸進的に、貯蓄ということを考えながら措置については縮小してきている、こういう説明ではありましたけれども、とにかくこういうときでありますので、私はむしろ、先ほど来からも論議されておりますように、低所得者層あるいは勤労所得者層、こういう方向に向かって最も力を入れた税の改正、税の考え方、こういうことがほんとうではなかろうか。そういう意味で、現在所得税を中心にとりますと、なるほど努力されているという点がうなずけるわけです。今度は所得税あるいは勤労所得税、これと大企業の免税措置、こういったものを考えましたときに、むしろ大企業の方向に片寄っている。したがって、第一義に公平を旨とした改正であると言っておりますけれども、この点がどうもうなずけない。くどいようですが、もう一度この点について……。
○細見政府委員 いまの三十六兆というお話なんですが、これは実はその間の国税総額でありまして、特別措置は二兆八千億で、詳しいデータにつきましては後ほど、必要あれば資料として御提出申し上げますが、そこは国税総額ですら三十六兆しかないわけでありますから、そういう大きな特別措置にはなっておりません。それから割合といたしますと六%足らずのものでございます。しかも、この特別措置の半分は貯蓄の優遇に向けられておるものでありまして、法人の負担軽減という形で特別措置になっておるものは千六百六十億円程度であります。 しかも、この際ぜひ私もよくおわかりを願いたいとかねがね思っておりますので申し上げたいのでありますが、現在の特別措置は、おおむね特別償却という形になっておるわけであります。したがいまして、償却をいたしますが、最終的には取得価格が一〇〇のものを一五〇償却できるわけではないので、一〇〇しか償却できない。普通であれば一〇〇の償却を年々一〇ずつかかって十年で償却するというものが、特別償却になりますと、最初の年に三〇償却できるとか、あるいは二〇償却できるとか、そういうことになっておりまして、償却額が基本的には一〇〇は一〇〇なんです。したがいまして、その違いと申しますのは、三〇に対する先ほど来のお話の利子分が違うわけであります。したがって、二兆八千億と申しておりますが、これを純粋に企業に与えておるメリットといたしますれば、その金利部分ということになるわけであります。ただ、それをいままであまり申し上げておりませんでしたのは、税制が産業に対してあまり手伝いをしないといわれる側からの要望もございますので、これだけお手伝いをしておるということを申し上げておりますが、中身をはいでみますと、これに対する金利部分だけが、特別償却の金利部分だけが企業に対するメリットだ。それが金繰りその他でそれ以上有利になるという面はございます。したがいまして、金利以上のものがあることはこれは事実かもしれませんが、そういう点もあわせ御了承願って、特別措置については、たびたび申し上げておりますように、期限の到来したもの、あるいは効果のあがらないもの、あるいはすでに役割りの終わったものといったものについて、絶えず見直しをいたす努力は今後も続けていき、私どもも漫然と特別措置が既得権化するのを放置するのは、主税当局としてとるべき施策でないことはかたく肝に銘じております。
○松尾(正)委員 この特別措置について、掘り下げてはまたあとに機会があると思いますから……。 そこで、不公平だ、こういうふうに指摘を、またこういう非難を受けております。この特別措置に関係をして、対照的に私は所得税を見てみたい。この勤労所得税で見ていきますと、現在の状態では高校を卒業したばかりの未成年、こういう階層まで実際に課税をされているわけです。また住民税を見てみますと、これは国税関係とはちょっと異なりますが、住民税を見てみますと、所得税のかからないきわめて低所得層に税金がかかっている。さらに間接税、消費的な酒、たばこあるいは砂糖、こういう間接税を見てみますと、これはもう失業者あるいは生活保護世帯にまでかかっている。こういう逆進的な姿を――大衆課税にはさっきならないように配慮をしているというお話がありますけれども、現実にこういう面を見てみますと、もうこういう低所得者層はやっとうちに住んでいる、やっと食べている状態な者も相当おるわけですが、こういうものと比べてみたときに、いま局長から説明された大企業、いわゆる資本蓄積あるいは貯蓄奨励、こういう名目で非常に恩恵が与えられ過ぎてはいないか。対照を段階的に追っていけばさらにはっきりするとは思いますけれども、低所得者層のぎりぎり生活をしている立場と大企業の場合を考えたときに、どうも局長は大企業についても考えているのだと言われるけれども、これが公平である、こういうふうに納得できない面があるわけです。したがって、こういう非常に大きな格差のある金持ち、大企業、それからぎりぎり生活をしている低所得者を考えた場合について、こういうふうに考えているのだという点を、ひとつ納得の行くようにお答え願いたいと思います。
○細見政府委員 御承知のように、三十二年に一度諸控除と一緒に税率の大幅の軽減、それから給与所得控除の適用範囲の拡大、このいわば所得税の基本的な構造を見直しております。しかし、それ以後の所得税の改正と申しますものは、ほとんど給与所得の基礎控除、配偶者控除あるいは扶養控除の引き上げという形で推移いたしております。 そこで、それらの点について一応計表で見てまいりますと、たとえば三十五年に百万円以下の収入金額の納税者というのが千百万人ほどあったわけであります。それが四十一年――その後も減税をもちろんいたしておるわけでありますが、四十一年におきまして千六百万、約四割の増加にとどまっております。それに対しまして、百万をこえる納税者の数につきましては、三十五年でありますと二十六万程度のものであったものが、四十一年には二百三十万くらい、八・八倍、八倍の大きさになっている。もちろん、この間に国民の所得、給与水準が上がり、そういうふうに社会の所得階層が引き上がっていったのだから、税はそれを追っかけて、その新しい所得階層にあとから追いつこうとしておるだけだというような御批判もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、百万円以下の納税者は四割増、それから百万円以上の納税者は八・八倍になっておる。こういう形で、日本の所得税ができるだけ上の階層に負担を求めていこうとしておる努力だけはお認め願えようかと思います。
○松尾(正)委員 きょうはまとめてずっとただしまして、それを次の機会にまた掘り下げていきたいと思いますが、次に今度は標準家族、いわゆる夫婦と子供三人の標準家族の場合の課税最低限の四十四年度と四十五年度の場合を、利子所得、それから配当所得、給与所得、事業所得、これらに区分して数字をお聞かせ願いたい。
○細見政府委員 四十四年度分は後ほど申し上げるといたしまして、四十五年、つまりいまの改正が完全に平年度化と申しますか完全に実施された段階で申し上げますと、給与所得者の場合は百二万八千円であります。それから事業所得者の場合は、事業専従者がいないものとして計算いたしておりますが、七十三万九千円であります。配当所得の場合は三百四万九千円、こういうふうになるわけであります。利子につきましては、御承知のように四十五年におきましても源泉分離あるいは源泉選択ということになりますので、課税最低限という概念とはなじまない。配当所得におきましても配当の源泉選択をされた方については課税最低限というのはないわけでありまして、配当について申告をされた方だけがこういう計表になるわけであります。 四十四年について申し上げますと、給与が九十三万五千円、事業は六十五万七千円、配当は二百八十二万七千円ということになります。
○松尾(正)委員 まずこの各課税最低限を比較して非常に不均衡が目立つわけですが、さらに一つふしぎな点が配当所得に見られるわけです。四十四年度二百八十二万七千円が四十五年度では逆にふえて三百四万九千円、これが無税になるということでありますが、この点はどういうことですか。
○細見政府委員 御承知のように、配当所得者について免税点が高いのは、夫婦子三人の場合でありますと、配当所得から本人の基礎控除、妻の配偶者控除、それから扶養親族の扶養控除を差し引きまして、そのほか若干の社会保険料のようなものを控除いたしましたものに税率を適用いたすわけであります。それと、配当所得につきまして、現行でありますと配当控除一五%をかけたものを見ましても、そのひとしいところがいわゆる課税最低限となるわけでありますので、したがいまして税率が引き下げられまして、同じ一五%の税率が適用される階層が上に上がっていくわけであります。従来とすれば二百万であった人が三百万になるというようなことになりまして、それが結果的に免税点の引き上げになっていく。これは税率を改正した結果から出てくることであります。そういう点をも考えまして、今回御提案申し上げております特別措置におきましては、四十五、四十六は一二・五、それから四十七年以降は一〇%に配当控除を引き下げるのが、やはり所得税の負担という点から考えて適当ではなかろうかということで提案いたしておるわけであります。 ただこれにつきましては、沿革的にはシャウプ税制以来、法人税は所得税の前払いである、法人税にはいわゆる応能負担といいますか犠牲というような感覚はないのだ、いわば所得税の前取りとして観念すればいいのではないかというような考え方が長い間支配的であり、そういう観点からこういう税制になっておるわけでありますが、しかし今日のような大会社となりますと、個人の株主が会社の所有者であるというような考え方というのがなかなか世人になじまないというようなことを考えまして、今回提案いたしておるようなことで、配当控除の引き下げ、しかしこれもそういう配当控除というようなことによりまして、現在の資本市場なりあるいは金融市場なりというのはそれぞれ構成されておるわけでありますから、ここに激変を与えて、わが国の金融市場、資本市場に大きな打撃を与えるというのは大きな意味で望ましいことではないわけでありますので、漸進的な措置をとるのが至当と考えたわけであります。
○松尾(正)委員 まあ確かに理論的には合理化されたというのですけれども、こういうふうにものによっては非常に合理化と矛盾した場合が生まれてくるわけです。さらにこれを給与所得者と比較してみました場合に、四十四年度では給与所得者の課税最低限九十三万、配当所得者は二百八十二万と、いま言われたとおりですけれども、この間に百八十九万の開きがある。ところが四十五年度のこれを対照してみますと、給与所得者が約百三万、これに対して配当所得が三百四万。合理化されたはずのものがむしろ逆に百八十九万よりもふえて二百万の格差が生まれた。これを両方相対した立場で、こういう意味で公平だ、こういうふうに納得のいくような説明をいただきたいと思う。
○細見政府委員 そういう御批判もあろうと思いまして、ただいま御提案いたしておりますのは、四十八年から五十年になりますと、おっしゃるように三・六倍というような形に開いております格差を二・三六倍程度、つまり二百四十三万というようなところまで、現在よりもむしろ低いというところまで考え、しかもその間に大幅な税率改正を中堅所得層、額に汗をして働かれる、しかも会社の中堅として働かれる人たちの税率は大幅に緩和しながら、それがおっしゃるように配当の所得者に不当にというかより多く恩恵が及ぶというようなことは避けるべきだというような配慮によって、配当控除の引き下げ一〇%というようなことを、今回御提案した案の中に入れておるわけであります。
○松尾(正)委員 これはひとつぜひ、国の予算そのものも社会開発という方面に向いているとすれば、十分にこの点は考えて進めていただきたい、こういうふうに思います。 それからさきの答弁の中に、利子・配当所得等の特別措置については貯蓄奨励の意味があるんだ、こういう点を考えての措置だ、こういう説明がありましたけれども、私は、日本銀行の調査による昭和二十七年以降の利子課税制度沿革と、それから個人貯蓄の動き、この一覧を見てみますと、どうもこれが非課税あるいは短期一〇%分離あるいは五%分離、こういうふうに変化をしておりますけれども、この間の貯蓄の額の動きにそう大きなものがない、こういう点について、この利子課税制度というものと貯蓄の関係というものは大きく影響しないんではないかというふうに、この表を見る限りでは見られるわけですけれども、この点についてはどうでしょうか。
○細見政府委員 その表をしさいにごらん願いますと、利子課税がゆるめられたときに銀行貯蓄がふえておるというような事例もございます。したがいまして、学者の意見といたしましては、全体としての貯蓄の増加ということは可処分所得の増加と比例するものであって、そうした税制の措置というものはその貯蓄の形態に影響を与えるだけだというのが学者の意見であります。しかし、その表でごらん願いますように、若干はリンクしておるところもございますし、また金融機関等におきまして嫁、この利子課税のあり方が非常に大きく貯蓄に響くのだという議論もございます。ところがこうした制度を改正いたしましても、先生おわかり願えますように、その年に即効的に効果が出てくるものかどうか、なかなかわからないわけでありまして、そういう意味で、こうした事柄に対する議論は水かけ論になりやすくて、あると言えばある、ないと言えばないということで、あとは純粋に学問的に学者の意見を聞くというようなことになりまして、私どもとしてはなかなか決断は下しにくい問題でございます。ただ、私どもとしては、やはり可処分所得の増大と安定した物価というのが基本的に貯蓄の増大に向かう最大の要素であると考えてはおります。
○松尾(正)委員 これはいま言われたとおり、水かけ論になるわけです。私のほうでこれを通して見ますと、その動きというものは大きく見られない。まあ局長自身も水かけ論になると言うのですから、ひとつこの点については機会を見て、もう少し掘り下げてみたいと思います。 次に今度は、こういう貯蓄奨励という意味を含めた措置といいながら、やはり所得税等と比較して不公平だという観点から伺っておるわけですけれども、この課税最低限を今度は夫婦子三人で、先ほどお話しのありました平年度百三万円、ところが五人家族ではたして百三万円で現在、都会でもいなかでも、生活がほんとうにやっていけるか。まあ先般の予算委員会でもお話がありましたけれども、大蔵大臣は、課税最低限というのをゆとりのある生活、こういうふうに表現しておりましたし、まあ憲法には、最低の文化的生活、こういうふうにきめられているわけでありますが、家賃あるいは食費、医療費、教育費等、現在百三万円という額で五人の生活ができるかどうかは、はたして実際に検討されたことがあるかどうか。これは午前中も論議された点ですけれども、伺いたいと思います。
○細見政府委員 午前も申し上げたことでありますが、三十八、九年ごろは、課税最低限は少なくとも標準的な生計費を上回るべきだという観点に立ちまして、マーケットバスケット方式などによっていろいろ計算いたしております。その当時発表をいたしておりましたものは、たしか四十一年ごろまで発表いたしておるかと思いますが、四十年は消費支出額が五十八万、それに対して課税最低限は五十四万であったわけです。つまり課税最低限のほうが低かったというような時代がございました。それもしかし、その九三%、というのは三十九年の八八%に対して九三%、課税最低限の引き上げがそれなりに貢献をいたしたわけであります。四十一年になりまして、消費支出は六十一万で、それに対しまして課税最低限は六十一万三千円と、ここで課税最低限が消費支出金額を上回ることになったわけであります。その後の減税の推移は、先ほど来申し上げておりますように、課税最低限の引き上げというのはおおむね一〇%程度の大きさで引き上げが行なわれてまいったわけであります。その間の消費者物価の値上がりは、若干の差異はございますが、おおむね四ないし六%でありましたので、この課税最低限が消費支出金額を上回る率につきましては、たとえば四十五年のようなものをかりに推定いたしてみますと、三割ないし四割ぐらいは上回っておるのではないかと思います。ただ、その間におきまする生活の向上に伴いまして、三十九年、四十年のときと同じ食料でしんぼうするということが相対的に貧乏な感じを与えるのか与えないのか、個人の主観あるいは価値判断にわたることが非常に多いものですから、私どももかつて栄養研究所にまで大蔵委員の皆さんにおいでを願って、大蔵省メニューと世にいわれたようなものまでつくったこともございました。しかしどんなメニューをつくりましても、やはりこれは生活の判断でございますから、菜っぱの好きな人は菜っぱでいいとおっしゃられるし、肉の好きな人は肉を食わなければ生活が低いと言われるでしょうから、そういう判断にわたることでありますので、私どもは四十一年、この消費金額が課税最低限を下回ったその年をもって、以後一〇%ずつ課税最低限を引き上げてまいっておりますから、もうそういう比較をいたしていたずらに紛議を招くこともなかろうということで、そういう調査はいたしておりませんが、けさほど来申し上げておりますように、総理府の勤労者の収入あるいは支出の状況から見まして、あるいはさらに御案内の、これは五分位階層で見たような場合に、私どもの課税最低限はかなりの階層をカバーしておるということは言えるわけでございます。
○松尾(正)委員 これももっと掘り下げなければならないのですけれども、また所得税関係の時間もありますので、そのときにしたいと思いますが、ここで基礎控除あるいは配偶者控除、扶養控除、この引き上げも行なわれておるわけです。特に扶養控除が二万円引き上げられた、家族への配慮を認めておる。こういう点や、さらに母子家庭、医療費等の控除引き上げに配慮があったということは認められるのですけれども、しかしやはり先ほど来論議があったように、最低生活費がカバーできないという点が一番問題なわけです。 そこで論議をあと回しにして、私はむしろ、ここでそういうものをさらに救済していくために、新しく児童控除、こういうものを設けていく考えはないか、こういう点の提案をしたいと思うのです。厚生省の統計によりますと、労働人口がぐっと減ってきている。これはもう国の人口問題についても大きな問題ですが、この人口が減ってきた理由にはいろいろあげられますけれども、いずれにしても住宅の問題、生活の問題が一番大きなウエートを占めている。したがって、これらの人を救済していくために、第三子の児童から扶養控除のほかに十万円の児童手当、これを設けていくことによって救済できるのじゃないか、こういう考えを持っているわけですけれども、当局ではどうですか。
○細見政府委員 扶養控除の大きさをどのように考えたらいいかということにつきまして、いま松尾先生がおっしゃるように、フランスなどのように人口が減少していく国におきましては、御承知のように配偶者も子供等もすべて控除の上では同額に取り扱う。あるいはアメリカも同様な考え方でありますが、そういうような考え方もあり、さらにフランスなどにおきましてはいわゆるn分n乗と申しますか、家族数において二分二乗をさらに拡大したようなやり方で加算といいますか、大きな多人数家族の奨励というようなことを税制で考えたりいたしております。 そういうことで、日本におきましても人口政策の問題としていろいろ児童手当の問題でありますとか、いまおっしゃるような児童控除の問題でありますとかというような手当なり控除なりの系統で考えなければならない問題、あるいはまたいまお話のございましたように、公営住宅なり、公庫住宅なりというような住宅、生活環境の整備ということで考えなければならない問題、それらの問題を総合的にやはりよく考えまして誤りなきを期するのが筋でありまして、ただ税で何かをすれば事足りるというにはあまりにも大きな問題ではないか、かように考えております。
○松尾(正)委員 いま積極的に前向きで検討するというのではなくて、税だけでは考えられないという話ですけれども、しかし、これは児童控除の新設の問題並びに住宅事情の逼迫、これを単に住宅政策にまかせるのではなくて、住宅政策は住宅政策として進めて、それとあわせてやはり児童控除ないしは住宅控除等に対してもひとつ積極的に取り組んで、これらの層の少なくとも納税者負担を軽減していく、こういう方向をひとつぜひ真剣に取り組んでいただきたい、こういう要望をいたしまして、以上で終わります。
○毛利委員長 春日君。
○春日委員 私は、わが国税制の主要なる課題となってまいりました、言うならば山々を、ずっと時間の許す限り、一わたり跋渉する思いで質問をいたしてみたいと思いますから、適切な御答弁を願いたいと思います。なお、政務次官には、主としてその内容は政策的な要請に基づくものが多いと考えますので、あわせて自民党としての見解も御開陳願えれば幸いに存じます。 第一番は所得税に関する問題でありますが、これについては幾つかの問題点があろうと思います。いま松尾さんに対して御答弁になりました問題もありますが、私は以降六つの項目について政府の見解をただしつつ、すみやかにその実現を要請するものであります。 第一番は所得税における教育費控除の問題についてでございます。御承知のとおり、子供の教育はこれは国家的な義務であろうと思いますし、わけても近代社会において教育の必要性が痛感せられ、かつはその教育費というものの支出が増大の傾向をたどっております。したがいまして、この際制度として教育費を控除するということ、すなわち子弟の教育費を控除するということは、いまや不可欠の要件になりつつあると考えておりますが、この点についての政府の方針はいかがでありますか、主税局長より御答弁を求めます。
○細見政府委員 出先ほど教育費につきまして父兄の負担が非常にふえてきておる、したがって教育費控除を設けるべきだというようなお話であったかと思うのでありますが、同様のことは、国が教育費につぎ込みます経費につきましても増大の傾向にございます。たとえば小学校をとりましても七万円、高等学校になれば九万二千円、それから大学になりますと、国立でも四十二年の実績で見ましても五十万程度の金を国はつぎ込んでおるわけであります。 一方所得税の納税者をごらん願いますと、納税者の五〇%はいわゆる独身者であります。もちろん税法上の独身でありますから、奥さんが非常に収入が多くて独身になっておられる方もあると思います。しかしいずれにいたしましても五〇%近い納税者が独身であるということになりますと、一方子供さんが学校の教育を受けておられる方にとって教育費控除があるということになれば、かりに所得税から教育費をまかなおうとすれば、結局子供のない人が子供の教育をする、しかも春日先生などのおっしゃっておる比較的年若い労働者の人たちの負担において教育費を見なければならないというような論理にもなりかねないかと思います。そういうことを考えまして、政府の税制調査会では、やはり一般的な扶養控除の引き上げということで対処するのがよかろう。むしろ学校に行けないようなからだの弱い子弟もあるわけでありますし、いろいろな事情を考えれば、あるいは年寄った方でいろいろ世話のかかる方もある、ということでやったわけであります。
○春日委員 いま私の言っておるのは、その所得者の子弟の教育費控除の必要なきか、こう言っておるのでございます。独身者云々ということはどういうことでございますか。
○細見政府委員 子弟ある方々から教育費控除をすれば、つまりその部分だけ所得税が軽くなるわけです。そうするとその所得税は、結局所得税から教育費をまかなっておるといたしますれば、独身者のほうの人たちが相対的に重い負担をするという論理になろうかと思うわけであります。
○春日委員 そんなことはありません。教育費というものは国家の支出であって、その分が減ったからといって他の者がそれを負担せなければならぬということはない。一般財源でございますから、したがって、あるものは税金によりあるものは公債により、財源調達はこれは別途の手段として講ぜられるものであって、その教育費が控除されるからといって独身者が負担せなければならぬ、独身者にそのものずばりはね返るという論理はなり立たぬと思いますが、いかがですか。
○細見政府委員 そのものずばりがはね返るというのは適当でないと思いますが、たてまえとして、教育を受けておる人たちは教育費控除で税金が軽減されるという形になり、子弟を学校に出しておらない人たちはそういう控除を受けないという形で、相対的に税が重くなる、こういう形でございます。
○春日委員 子供を学校にやらぬ者が、費用が全然伴わないものがその控除のプロパーを受けられないことは当然の事柄でございますね。現実にそのような支出があるので、しかもその支出たるや、その子供は実際的に次代の日本を背負う国民である。教養を高めて、そうして全体的に国家的な、社会的な貢献度を強めていこうという、こういうために行なわれる教育費について、国家が別途負担をしておることは当然の事柄であるが、しかし、さらに一歩進んでその者の親になお多くの費用がかかっておる実態にかんがみて、そのような子弟を有せざる者と、そのような子弟を教育せなければならぬという責務を課せられておる者との間に、そのような別個の措置がとられるということは当然の事柄であって、何も不均衡を来たさないし、子供を学校にやる、したがってその者の教育費控除が行なわれれば、子供を学校にやらない者がその分だけ負担をせなければならぬというようなことは飛躍した論理である。そんなことを言うならば、子供を学校で教育をすれば、国家がそれだけ負担をしておるということならば、子供のない者には子供のない税金を取らなければならぬというような理論というものも発生してくるじゃございませんか。そういうこんがらがった理論ではなしに、子供を学校にやるということについてはその父兄がそれだけの負担をせなければならぬ。しかもその負担が、教育費が増大の傾向にあるということ、しかも、青少年を教育するということは国家目的にかなったものであるということ、ゆえにその費用の一部を税法によってこの軽減をはかっていく、こういうことは政策目的に合致したものであると思うが、この点について中川政務次官はいかがでありますか、それは当然の理論じゃないか。
○中川政府委員 非常に高度な税制に対する考えで、非常に参考になる御意見だとは思います。しかしながら、ちょっと聞いてみましたところでは、先進諸国家世界じゅうを見渡して、そういった制度をとっておる国家はフィンランド一国だけである。そのほかの国についてはそういった制度を取り入れておるところは見当たらないというのが現状であります。したがって、当然という御意見もありますが、今後、日本の教育は大事でありますから、十分検討してみるべき価値ある御提案、だとは思います。
○春日委員 教育費控除の問題が、世界でフィンランドを除いて類例がないというようなことがはたして事実かどうか、これも確認してみなければならない問題でありますけれども、いずれにしても将来、日本は教育国家の建設ということが今後七〇年代に課せられているところの大いなるビジョンである。われらの国民的ビジョンである。したがって、すべての父兄がその子弟に対して高度の教育を授けていくように政策を立て、そのためには国家が、現に別途私学に対する助成金も増大されているがごとく、あるいは教育費についてその予算がいろいろと増大されておる、この事柄と歩調を合わせて、まずそのような父兄に対してその負担の軽減をはかる政策を実現するということも、世界に類例があるかないかは調べてみなければわからぬけれども、たとえフィンランド一国たりといえどもそのような先べんをつけているところがあるとするならば、なぜこれをまねて実行しないか。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 やはり教育国家を建設するというビジョンに向かってわれわれが積極的な努力を尽くしてこの実現をはかるということは当然の事柄である。 いま主税局長は考え方を整理していただかなければならぬと思うのだけれども、子供を学校へやる人に減税をすれば、その費用の軽減をはかれば、子供を学校にやらぬ人にそれだけ負担が加わるのだというような不均衡論というようなものが、こんなものが成り立つべきものではない。そんなことを言うのだったら、国が国立によって、国の経費によって教育を施すということは一体どういうことですか。そんなことをやれば、すなわち子供のない者に対して不均衡になるじゃございませんか。だとすれば、国立大学は全部廃止してしまって、これを私立大学の制度に直さなければならぬという、こういう論理に飛躍することにならざるを得ないのではないか、この点どうですか
○細見政府委員 どうも私、いつも説明がへたでうまく言えないのでありますが、たとえば高等学校を出まして二年ぐらい働きますと、いまの所得税では課税になるわけであります。そういう、いわば家庭的に恵まれなくて若くして働きに出た人たち、その人たちは所得税を払わなければならぬ。一方親がかりのほうは、そういう形の教育の重要性は別といたしまして、親の負担から軽減があるというような点、あるいはまた教育の機会均等の問題はそういう税制の問題以前の問題として、春日先生の言われますように七〇年の大きなビジョンとして教育の振興をお考え願うということ、税制としては、学校へ行けなくして働く人たち、それから学校へ行ける人たち、あるいは子弟のある人、ない人、そういうようなことをいわば広い次元で調整するのが税であるかと考えているわけであります。
○春日委員 私は、表現がへただとは思わないのですけれども、私の質問に対してそのものずばりの御答弁が願えないことが遺憾であると思うのです。私はいま未成年者控除の問題を論じているのではございません。学校へやる子弟を持っておる父兄に対しての教育費控除をする必要があるであろう、この理論を展開をしておるわけなのでございます。働く者の税負担の問題と、学校において国の費用で多くの教育を受けておる者との均衡不均衡論は、これは全然別個の問題でございます。たとえば子弟を教育する、それは国家的要請でおる、社会的要請である。教育国家の建設はわれら国民の七〇年代に当面するビジョンである。したがって、その子弟がそのような国家的目的に協力するという意味ではない、必ずしもそのものだけの趣意ではないけれども、いずれにしても結果的に国家社会のお役に立つところの教育を施すことについて、現在では教育費が非常に増大をしておる。したがって生活費にさまざまな税金が食い込んでいるので、理論のかなうものから税の軽減措置を講ずべきであるという、この観点に立って政策判断を行なうならば、このような子弟を学校に出す父兄に対して教育に必要なる経費というものが実在するので、その実在する経費の中の一部分を税の面において負担の軽減をはかっていくという、こういう政策を実現することが必要ではないか。ゆえにすなわち、教育費控除という制度をフィンランドが実行しているというのであるならば、その例にもならい、わが国においても早急にこれを取り入れる必要があると思うがどうであるか、こういうことを言っておるのでございまして、未成年者控除の問題はこの次に論ずるのでございますから、それはそれで別個の問題である。必要があるけれども財源が許されないとか、あるいはなお検討中であって、早期実現をはかるとか、こういうことならばそれでよく理解ができる。けれどもいまの御答弁では、ぼくは意地悪くからむわけではないけれども、そういう者に軽減をすれば子供のない連中と不均衡を生ずるとか、ぼくはそんなことを言っておるわけではないのです。またそんなところに均衡論なんというものは介入の余地はない問題だとぼくは思うが、どうですか。
○中川政府委員 春日委員の教育費控除の内容を聞かなければわからぬ点があるわけでありますが、たとえば小学校、中学校までは義務教育であるので、これはひとつめんどうを見よというのか、あるいは高等学校、大学の教育費まで見よというのかによって、だいぶ性質が違ってくるのじゃないかと思うわけであります。少なくとも高等学校あるいは大学の教育費を見よということになりますと、いま言った、大学に行きたくても親に力がないために勤労者として働かなければならぬ、一方親に力があって教育をする者のほうは税金をまけてやるということになれば、いま言った局長のバランス論からいって、これはちょっとおかしいじゃないかという議論が出てくるのじゃないかというふうに思うわけでございます。また、義務教育をやっている者についてやれというのであれば、これは税制の面でめんどうを見るのがいいのか、国が教育費に対してもっと積極的にやるのがいいのかという議論になってくるのじゃないかと思います。
○春日委員 いまの政務次官の御答弁は、半分は的を射ていると思うのです。一体義務教育を受けておる者に対してもそのような制度を適用せんとするのであるか、それとも高等学校、大学についてそういう制度の実現を求めておるものであるのか、それを聞かぬと答弁ができないんだ、こういうことならよくわかるんだ。 だから、そういうふうな質問があなたのほうからあったこととして、それで具体的な内容に入るんだが、義務教育についてはいま言われたように、文字どおりそれは義務教育なんだから、望むらくは、現実にはPTAの負担その他において父兄の負担がふえておるので、 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうようなものを父兄の負担から国が肩がわりして、全的に国家の費用で義務教育がなし得るように、別途これは予算的措置を講ずべきものである。 私の指摘するこの教育費控除は、高等学校あるいは大学、こういうところで教育を受けている子弟を持つ父兄について、これらの教育が国家目的に合致するものであるし、かつはそのような教育国家建設というような大目的なら、これは国民的規模でそのことを達成しなければならぬという要請から判断するならば、すなわち、望むらくはそれを全面的に義務教育にするに越したことはないんだけれども、そういうことはいかがであろうか。だから任意に高等学校、大学に進学をするのであるけれども、結果としてこれは社会、国家に対して貢献する度合いが大きいのである。だからその費用の一部について助成するのもよし、しかし現に私学において助成が別途されておるんだから、直接助成ということは、これは手続上事実上できないであろうから、したがってその負担とおぼしき部分について、その一部分を税法上軽減していく、国家が負担していく、こういう制度に踏み切るということは、この時点においていよいよ必要な段階に立ち至っておるのではないか、こういうことを言っておるわけです。いま後段で中川次官が言われたのは、そういう学校に行くのと行かぬのとは別だ、こういうことを言っておるが、税法上の観点からすればそれは別個の問題で、私はこれに続いてその問題を論じたいと思う。だから、教育費控除をそのような子弟を持つ父兄に対して行なう、こういう必要があると思うがどうかということだ。
○中川政府委員 必要は私はあると思うのであります。日本の教育を高めていくためにはありますが、要はバランスの問題がありますので、その辺のところを配慮すると、やることについて踏み切るについては、相当に慎重に考えなければならぬのではないか、こういうわけでございます。
○春日委員 要するに、それは政策的な観点が異なる場合そういうことになると思うのですよ。ただ問題は、必要があるということは認めた、ならばその必要をいかに満たしていくかということが、今後の政策判断にゆだねられる事柄であると思います。バランスの問題というようなことは、これは政務次官がそう言っておられるだけのことで、何もバランスはない。そのようなことを実現することが均衡をはかることなんですね。子供のない者と子供のある者と、子供のある者はそれだけ負担がかかる、子供のない者はそれだけ負担がかからぬ、かかる者に対して国家がそのような負担の一部について肩がわりを行なうというようなことこそ、すなわち負担均衡をはかる手段であって、その均衡をはかろうとするならば、いよいよもってこれを実現することが緊急焦眉の急務である、こういうぐあいに結論づけるべきものであって、とやかく小理屈を述べておる段階ではないと思うのです。ただ、うしろの席や横の席から悪知恵をつけられて、あなたも当惑をされておる気配があります。この問題はその必要あり、こういうことをお互いに認めた、そして実現を後日の努力に待つ、こういうことにして質問を先に続けます。 次は、いま指摘されました未成年者控除の問題についてでございます。あわせて論じたほうがよくわかると思うのですけれども、国立大学においては一年間で国費五十万円を食らうというのですね。それから――あまり悪知恵つけるなよ。純真な中川君とぼくたちが原理的な政策論議をやっておるときに、大蔵官僚どもは、いま社会党の論者も言われておったけれども、どうも越権行為が多いのですね。国権の最高の機関たる国会議員が政策論議をしておるときに、君たちはあまり変な茶々を入れないようにしてもらいたい。 その未成年者控除の問題について、いま申し上げたように東大では百二十六万円の費用がかかるといわれておる。一般に五十万円だといわれておる。国からそれだけの費用の支出を受けて教育を受けておるのですよ。ところが一方、大学に行けない、あるいは高等学校にも行けないというような諸君は、職場について働くわけだ。そうすると、その諸君に対してはたちまちにして税金がかかるわけですね。この問題については他の委員からもしばしば論じられ、これについて何らかの税法上の軽減措置を講ずべきであるということが強調されてきたところでございますが、私は、これは道理、条理に照らして当然の主張ではないかと思うのです。大学に行っておれば国から五十万円、東大へ行ってワッショイワッショイ、ゲバ棒を振りかざしておるばかどもに百二十六万円の国費が投ぜられておるのである。そして職場に出て一生懸命に働いておる勤労青少年に対しては税金がかけられるというこの現実は、何らかの面においてこれまたバランスがとられてしかるべき事柄であると思う。だから私は、教育費控除の新設と並行いたしまして、少なくとも、進学しないで、就業せざるを得ない、いずれにしても就業しておる未成年者に対しては、これはまず私の案としては、年間百二十万円程度の未成年者控除の制度を新設なすべきであると考えるが、この点いかがでございますか。
○細見政府委員 たびたび申し上げておりますように、所得税が幾ら人的事情を考慮するといたしましても、そういうものは多数の納税者を相手にして限度があるわけであります。したがいまして、いまの未成年の問題あるいは学生の教育費控除の問題などにいたしましても、全体として、たとえば未成年者控除の問題でありますと課税最低限が引き上げられて、未成年者のような、いわば給料の低い人たちが課税にならないような税制を考えるのが、所得税のように多数の納税者を相手にする税制としては筋であり、先ほどの教育費控除のような問題につきましては、いろいろ雑多な家族構成の扶養親族をかかえておることを考えまして、そういう人に一律に適用になる税制としては、扶養控除を大幅に引き上げていく過程で教育費控除の問題あるいは病身な子弟の問題、そういうものを総合的に救済していくのが税制の筋ではないかと、これは役人的に考えております。
○春日委員 私が指摘いたしまするは、未成年者なるものは公民権がないのでありますね。言うならば子供ですよ。子供から税金をしぼり取るということについては、ヒューマニズムの観点に立ってもいかがなものであろうか。そもそも未成年者が納めておりまする税額は、現在において月額どの程度のものでございますか。これがわかっておりましたらちょっと御説明をいただきたい。
○細見政府委員 これは非常にむずかしいもので、実は統計はございません。
○春日委員 なぜ統計がないのでございますか。要するに二十歳未満の未成年者がどの程度税金を納めておるかというような問題は、かくあるべしという政策理論は本日ここで初めて私から述べられたわけではない。もうすでに数年来一般論、政策論として各政党ともこれを強調されておるところである。これについて未成年者が納めておりまする税額がどれだけだかわからないということでは、その可否論について決定的な意見を固めることはできないじゃございませんか。そんなものはそうたいしてむずかしいことじゃないと思うのですね。未成年者がどのくらい納税しておるかということは調べようと思えばすぐわかると思うのだ。調べれないのでございますか。物理的に不可能なのでございますか。だとすれば、その理由は何ですか。
○細見政府委員 未成年者で事業所得者のような方は、申告書の年齢を見ればわかると思いますが、御承知のように、おおむね未成年者で課税になっておられる方はサラリーマンと申しますか、つとめておられる人たち、したがって、こういう人たちが日本じゅうにどういう形でどういうふうにおられるか、サンプル的に調査のしようはあるいはあり得るかと思います。ただ、その場合やりますと、非常に未成年者の多い、たとえば紡績工場であるとかいうようなところと、そうでない、比較的未成年者の少ない工場との間をどういうように加重したらいいかというような点で、全国的に統計をつかまえるということは、給与所得者で源泉徴収になっている人が大部分であるだけに非常にむずかしいと思っております。
○春日委員 こんなことは税務署ごとに源泉徴収簿に基づいて、企業において未成年者が何名であり・その税額がどれほどか、これだけの照会を発すればみんな集まってくる。それをぱちぱちとそろばんを入れればグランドトータルは一ぺんに出てくるじゃないか。人数も出てくれば税額も出てくる。そんなものは源泉徴収簿にみんな書いてある。そんなものは調べようと思えば調べられないことはない。調べてみませんか。
○細見政府委員 日時をおいていただければ調べられないことはないと思いますが、なお技術的に――先生は年齢が書いてあるとおっしゃっておられますが、年齢が書いてあるかどうか、各源泉徴収義務者にどの程度の御迷惑をかけるか、もう少し前向きに検討した上でお返事したいと思います。
○春日委員 税務署が納税者に向かってどの程度の御迷惑をかけるかしらぬけれどもと、まことにもってしおらしいことを仰せられて、まことに痛み入る次第でございますが、実はそのような御迷惑の一億倍くらいの御迷惑はしょっちゅうおかけになっておるのですから、何にも御心配なくそのような資料はひとつ整えてもらいたい。その企業において未成年者が幾人あり、未成年納税者がどのくらいの数あり、その税額が幾ら、そういうことの統計をひとつ集計していただいて、その額がどれほどか、人数がどれほどかという実態を把握して、そこでわれわれ政策論をさらに再検討してみたいと思う。困難ではないと考えますから、御努力を願って早急に御提出を願いたいと思います。 次は、通勤費控除の問題もしばしば論じられてまいりました。これは現行制度では、通勤費は四千二百円が限度額になっておるようでございまするが、しかし、サラリーマン減税の問題がだいぶ大きな社会問題になっておることにもかんがみまして――その所得を得るためにいろいろな経費を見ろという主張が強まってまいっております。そのような所得を得るに必要なる経費というものは見れるだけ見てくれ、こういうことが裁判ざたにまでなっておる現実にかんがみまして、彼らの筋の通った要求はできるだけくみ上げるべきであろう。いまそのようなものにつきましては定額控除があって、そこに相当のものが吸収されておるというお説もございますけれども、しかし、その中にことごとくが吸収されておるものとは断じがたい。だから、少なくともこの通勤費というものは、証明が立ち得る限りその全額を控除なすべきではないだろうか。それは合理的なものであって、必ずしも四千二百円で押えなければならぬという、押えてよろしいという積極的なエクスキューズは、現在の状態においては成り立ちがたいのではないかと思いますが、この点いかがでありますか。
○細見政府委員 書生っぽい議論で、通勤費と住居費との間には逆の相関関係がある、ということは、申し上げるまでもなく、やはり遠距離から通勤いたすとすれば家賃が安いとか、あるいは自分のうちから通える、その反面通勤費が普通の人よりも多くなるというような事態もあり得るわけであります。したがいまして、通勤費だけは全額控除というわけにもなかなかまいらない。したがって、どうしてもその所得を得るにあたって適正なワク内の金額ということにならざるを得ない。およそ給与所得控除に伴いますむずかしさというものは、その給与所得を得るためにほんとうに必要な範囲というのが幾らであるか。ある程度の金額が必要であるということは言えましても、その適正な金額が幾らであるかというのは言えない。そこに給与所得控除に伴ういろいろな問題があって、御承知のような概算控除方式になっておるわけです。したがって、マスとして、全体として見ておるわけであります。そういうふうな意味で、この通勤費の問題につきましても、その政令にございますように、通常の通勤着が合理的に必要な金額ということになりますので、それは人事院勧告のような専門家の調査に待たざるを得ない。もし先生の言われるような形で、バスがあるところを自家用車で通ったら、自家用車はみな認めるのかという議論、バスにすべきであるというような評価を税務署がいたすということは非常にむずかしいのではないか、かように考えております。
○春日委員 この問題は、社会通念上常識的な一つの基準というものが設定されることはいなみがたいと思うのです。新幹線ができたから、たとえば名古屋から新幹線で通勤する、その実費を見よといったところで、これまたとほうもないことになるから、われわれはそのような非常識なものを全額見よというのじゃございません。ただ、この四千二百円というマキシマムは低きに失するのではないか、こういうふうに考えますが、この四千二百円の限度が定められた算定の基礎とかその時点はどういうことになっておるのでありますか、ちょっと御説明を願いたい。
○細見政府委員 人事院がその以前の期間にわたって調査いたしまして、この八月に勧告いたしておるものでありまして、調査は四月、勧告は八月ということで、例年通勤費の支給額が民間企業において増加いたしますものを反映いたしまして、御承知のようにこの金額はほぼ例年のように引き上げられて、昨年は三千六百円が四千二百円になっておる。したがって、先生の言われるような通勤費の実態があらわれてまいりますれば、またこれは当然引き上げられるものと思います。
○春日委員 これは人事院の調査そのものが横すべりになるのでございますか。政令事項なんでございますか。
○細見政府委員 一応事柄は政令でございますが、法律の文言が「給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして」そこからでありますが、「通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤着につき通常必要であると認められる部分」というので、この調査は人事院が広い範囲によって行なっておる、その勧告をそのまま政令に受け入れているわけであります。
○春日委員 そうしますと、四月に調査されて、ことしの八月に勧告されれば、これはいつから適用されるのでありますか。
○細見政府委員 給与の勧告はいつもさかのぼって勧告になると思います。そのさかのぼった月から実施いたしております。したがいまして、おおむね六月が従来の慣例でございます。
○春日委員 そうすると人事院の給与勧告は、政府が、資金上、予算上の制約があって実施時期をきめまするが、その政府がきめる時期と同じような時期、すなわち勧告の時期ではなく、政府がベースアップをする時期、こういうぐあいに解してよろしいか。
○細見政府委員 そのとおりでございます。
○春日委員 次は住宅貯蓄の控除の問題について再検討をなすべきではないかと思うわけでございます。住宅難の問題はいよいよ深刻な状態でございますが、先般来西ドイツがあのようなテンポで住宅難の問題を解決をした。その政策のパテントが何であろうかと調査をいたしましたところ、西ドイツは政策の悪平等を避けて、重点施策を定める。その重点施策については、税法上の特別措置や金融上の特別措置などを講じて重点的に問題解決をはかってきた、こういうことでございました。西ドイツもあのように第二次世界大戦で戦場になって廃墟と化し、住宅難は日本よりももっとひどいものであった。ところが戦後早急にしてこれが解決をしたのはどういう政策によるのかと調べたところが、結局は住宅建設のための貯蓄について相当の貯蓄控除制度がとられておることがわかりました。 そこでわが国においても、少なくとも国や公団、地方公共団体の公的な住宅建設に期待するところも多いのではありますが、同時に個人個人が自分の家を建て得るように総合的な政策をこらす必要があると思う。そのような政策の一つとして考えられるのが、この住宅貯蓄控除ではないかと思います。自分の家を建てるために、年間みずからの所得の中で貯蓄する分については、それの免税措置とか損金算入を認めていく、こういうことが必要であろうと思う。ところが現在の制度では、年間認められてはおるようだが、スズメの涙ほどしかないように思われる。これを少なくとも実際の効果を及ぼすような額にまで引き上げるの必要はないと思うか。この点はいかがでございますか。
○細見政府委員 金額の引き上げの問題につきましては、今後の宅地なり家屋の建築費用、価格なりを見て今後検討する問題であろうと思いますが、御承知のようにこの制度は、当初スタートいたしましたときはあまり実績があがらなかったわけです。そこで何が原因かということを昨年検討いたしまして、それは金融機関に課しまする条件と申しますか、この住宅貯蓄をする対象金融機関の融資条件が非常に税法上厳格になっておる。つまり都市銀行などあるいは信託銀行などにとって採算上うまみのないものになっておったというような要素もありまして、昨年緩和いたしたことは御承知のとおりであります。そういう意味で、ことしになりましてその成果がかなり顕著にあらわれまして、四十四年十二月現在におきましても、すでに都市銀行で、その他を入れまして四千七百件ぐらいの件数であります。ところが四十三年はそれが八百五十件ぐらいの利用状況でありまして、この意味からも、まだ今後の状況を見ればしり上がりにふえておるようでありますので、私どもとしてはこの制度がやっと軌道に乗った。ただこの金額の引き上げその他につきましては、制度の期限の参ります機会に適正なものにするのは当然のことであろうと考えております。
○春日委員 現在の金額並びに継続控除のできる年限はどういうふうになっておりますか。
○細見政府委員 貯蓄額の四%、最高一万円を税額から控除いたすわけであります。したがいまして、一〇%の税率の方にとっては十万円が所得控除されたメリットになるわけであります。
○春日委員 そういたしますと、所得の中から十万円貯蓄する、その分は住宅貯蓄控除とみなされるわけですか。そうしてそれは何年ですか。
○細見政府委員 積み立て期間は三年以上で、住宅取得まで払い出さないこと。それから積み立てした金額は原則として頭金に充てること。積み立て金の二・五倍以上の融資を受けること。その返済期間は十年以上で年利率九分五厘以下であること。これが従来は八分程度であったわけであります。先ほどの一万円というのは、積み立て額の四%、最高一万円ということになっておりますので、積み立て額で申し上げますと年間二十五万円まで積み立てられる、こういうことになっております。
○春日委員 そうすると年間二十五万円積み立てる。そうすると税額は頭打ち一万円ですね。二十五万円そのものが一万円になりますか。
○細見政府委員 二十五万円貯蓄すれば、その人のそれと関係なく納める税金から一万円引いてあげましょうというわけであります。
○春日委員 そうすると概算をいたしまして、二十五万円の貯蓄の場合は税金はどうなりますか。その所得税とか、そのものの所得額によって累進率は違うではありましょうけれども、大体平準的なものでどうなりますか。
○細見政府委員 二十五万円に対する税金でございますから、それは御承知のような少額貯蓄に大体入りますので、そのものにかかる税はまずないとお考え願っていいんじゃないかと思います。
○春日委員 それは利子所得の問題じゃないのですよ。所得税の問題でしょう。
○細見政府委員 いまの点は、百万円の人が二十五万円貯蓄するのか、二百万円の人が二十五万円貯蓄するのか、そこのところは階層によって違いますので、それは人によって違うと申さざるを得ないと思います。
○春日委員 そういうことになるでございましょうが、現実の問題としてわれわれが提唱したいことは、そのものの所得の中で少なくとも自分の住宅を建設し得るに足るだけの住宅建設資金を貯蓄せしめ、その分を税法上優遇措置を講じていく、こういう政策効果を期待するのであるならば、やはりそのようなかっぷくの制度をその対象に仕組んでいくのでなければ、いま言われたように、相当改善をしたけれどもまだ四千件とかにしか達しないと言われております。いま国の住宅建設目標は六十八万戸ですか、何か膨大なものでございますね。したがって一般需要というものはそれに何倍するか、膨大なものであろうと思う。したがって私はこの際、住宅貯蓄控除なるものは一年について三十万円程度を限度として、しかもその継続年限というものは十五カ年にわたってこれが控除することができる。いま自分の家を建てようという形になりますれば、それは七十五万円、まああとは金融を受ける。頭金七十五万円ということになれば、あとは長期住宅金融が受けられるというようなギャラもあるでございましょうけれども、そういうものを結びつけることもこれは適当ではございましょうが、しかし金融を受けられなくともある程度のものが自分の金で建つのだ、こういうような資金を確保させていく、こういうような政策のリーダーシップを打ち開いていくということも、西ドイツの例にならうならば適当な処置ではないかと思うのですが、この点はいかがですか。たとえば三十万円ずつを十五年積み立てれば四百五十万になる。複利によって計算をしていきますれば八、九百万円になるでしょう。そうなれば土地を購入し、そして家を建てて、ちょっとしたこじんまりとしたマイホームを持つこともできるであろうと思う。なお途中で、十五年を待ってということでもなくて、その間に自分の家を建てるということになれば、私は現在の土地あるいは建設費等に見合った裏づけがこれによって保証されることになると思うが、いかがでしょうか。
○細見政府委員 ドイツの住宅に対する税制上の措置は、お話しのようにかなり思い切ったものであったことは事実であります。日本におきましても住宅の問題の重要性というのは十分認識されて、こういう制度も強い要望の結果生まれてきたものでありますが、この適用期間もやがてまいりますので、その機会に制度全体を、やはりどれだけの効果があるか、不十分なものか完全なものか、あるいは完全にするのにはどういうふうなことを改善するかという点を含めて検討いたさなければならない問題だと思っております。ただ、先ほど四千件と申しましたのは、八カ月で四千件でありますから、スピードとしては制度の割りにして、租税特別措置としては四月から十二月までで四千件ですから、かなりのスピードで、いまやかなり加速度的になっておるのではないかと思いますが、それらの点は検討のときに実績をチェックしたいと思っております。
○春日委員 その期限が到来いたしましたときに改善策を考慮したいという御意見でございますけれども、どうかひとつ政策を立てるときに、衝撃的といっては語弊がありますけれども、ほんとうに実際の効果があがりまするように思い切った措置を、悪平等の観念を脱却して踏み切ってもらいたいと思うし、どうかそのような趣意で最高限度額の引き上げ、それから継続年限の延長ということについて思い切った措置をとってもらいたいと思うが、この点について政務次官としての御見解を承っておきたいと思います。
○中川政府委員 日本における住宅事情が非常に窮迫をいたしておりますし、これからの政策課題として住宅問題は非常に重大であります。したがって、税制の問題についても御趣旨を体して検討していきたい、かように考えます。
○春日委員 まだずっとあるのですけれども、じゃ大臣が来られるのがあと十分くらいのようですから、ひとつ企業組合に対する税負担の軽減措置について主税局長からお伺いいたします。 この問題は原田君や坊君が政務次官に御在任中の当時から、まだ大臣になられる前のときから論じ合ってきた歴史的な案件でございます。しかしそのつど、部分的に解決をされながら今日に至っております。ひとつ中川政務次官も大臣になろうと御希望されるのであるならば、企業組合にかかっておりまする税法上の懸案の一つ二つはぜひとも解決をされて、これを置きみやげにしていってもらいたいと思うのでありますが、まずその法人税の税率の問題でございますね。これはひとつ事実関係を明らかにするために、主税局長から、なぜこれが特別法人税率が適用されないのであるか。彼らの強い要請でもあり、税制調査会においても、中小企業団体中央会からも強く要請されておることだと思うが、なおかつ本日に至るまでこれがペンディングな案件になっておりまするその理由は何か、この際御説明を願いたいと思います。
○細見政府委員 いわば、企業組合は会社の形態をとりました、会社形態による経済の合理性を追求しておられるわけでありますから、したがって会社同様の課税ということになるのではないか、かように考えておるわけであります。
○春日委員 そんなばかな、簡単な問題じゃございません。十年ぐらい前に延々と二日間にまたがってこれは論じられておるのです。このギルド方式その他協同組合方式、いろいろなヨーロッパの発生の歴史等を取り上げまして、そうして詳細なる分析と立論がなされておるのでございますから、どうかひとつそれを読み直していただきたいと思う。これを論ずることは十分間ではむずかしゅうございますが……。 ただ、私がここで指摘したいのは、中小企業等協同組合法に基づいて、協業化あるいは協同事業という問題が政策的に強く指導されております。事業協同組合において協同事業をやる場合は、事業協同組合は特別法人でございますね。たとえば個々の企業があって、そうして九九・九%までその事業が協同組合で行なわれる場合、これは特別法人としての軽減税率が適用される。ところが、九九%よりもさらに一歩政策を前進せしめて一〇〇%協同経営に移すとこの税率が高まってくるということは、これは理論の撞着ではないか、矛盾ではないか。そういう意味で、九九%協業するものについては特別法人税率、二七%でしたかな、これが一〇〇%協業するものは高いというのは、これを企業組合の諸君が納得できないというのは当然の事柄であろうと思うが、この点はいかがですか。
○細見政府委員 釈迦に説法でありますが、協同組合というものは、文字どおり、事業のある部分を協同組合化することによってその部分の改善をはかろうというのでありますが、企業組合となりますと、全く合体して新しい企業体として生きていこうということでありますので、そこが、一%が実は質的な差になっておるというのが実情であろうかと思います。
○春日委員 特別法人税率は二五%ですか。
○細見政府委員 二三%でございます。
○春日委員 それで、企業組合は三二%ですか。
○細見政府委員 企業組合は普通の税率になりますので、所得区分もございまして、所得が大きくなりますと、三百万円以上になると三六・七五、所得が小さいと二八%というわけであります。
○春日委員 三百万円以上というような所得はざらに企業組合にはあると思うのでございます。そして、事業協同組合にもそのような所得はざらにあると思います。このとき九九・九%協業する協同組合は二三%だ。けれども、一%さらに前進せしめて、すなわち、その政策効果をさらに濃縮した形で追求して一〇〇%協業すると、いきなり三六・七五%になる。こういうことは何と考えても矛盾ではないか。しかも、この協同組織は中小企業等協同組合法の中に並列して設けられているものである。いかがですか。
○細見政府委員 先ほどもお話がございましたように、長いいわく因縁、歴史がある問題でありますので、十分勉強いたしてまいりたいと思います。
○春日委員 大蔵大臣が来られるのを待つ間を、深遠なる徴税理論について質疑応答をまじえてまいったわけでありますが、ただ、私はこの際結語として、大臣に御検討願っておきたいことは、いま主税局長も、歴史的な問題だからさらに十分周辺の状況を検討の上、あらためて答弁をしたいということでございましたが、問題は企業組合に対する税率の問題ですね。これは、三百万円をこえる所得については本年度から三六・七五%になる。ところが事業協同組合というものは二三%である。まさに一四%という格段の差があるわけであります。この二つの協同組織は、中小企業等協同組合法に基づいて企業組合――商工組合ですね、あるいは火災共済、事業協同小組合等、幾つかの協同組織として並列されて設けられた制度であるわけですね。ただ違うところは何かというと、事業協同組合は、事業の協業が九九・九%行なわれても二三%の税率で軽減措置がとられておるが、九九・九%やるよりも一〇〇%やったほうがいいことは論を待たないところである。いいことをやると税金が逆に高まってくる、いきなり三六・七五%にハイジャンプする、こういうことは大きな矛盾ではないかと、ここで論じられ来たっておるわけなんでございます。中小企業団体中央会も口をそろえて、税制調査会で、確か稲川君あたりが強調されてまいっておることと思います。この問題はすべからく本年度あたりこれを解決してやるべきではないか、こういうふうに考えます。伺うところによりますと、この税法は五月一日からいずれにしても実施しなければならないので、衆議院大蔵委員会において議決されることが非常にせかれておると聞いておる。もしもせくならば、こういうような懸案をことごとく解決するにあらざればなかなかそのような御期待にこたえるわけにはまいらぬと思う。世の中は魚心あれば水心、そのような意味で、いま五つ、六つの問題点について指摘しながら私どもの意見をよく述べておきましたので、あらためて細見主税局長から復命を受けられて、われわれの意図するところ、そして国民の願望を実現されますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。 ――――◇―――――
○毛利委員長 この際、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 両案につきましては、すでに質疑は終了いたしております。 これより討論に入るのでありますが、両案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○毛利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 ―――――――――――――
○毛利委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、藤井勝志君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。藤井勝志君。
○藤井委員 私は、ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議について、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党を代表いたしまして、その提案理由を御説明いたします。 附帯決議の案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。 日本開発銀行の設立目的は、第一条に明記されておるとおり、わが国経済の再建と産業の開発を促進することにありますが、すでに経済再建の目的は完了し、一九七〇年代に予想される経済社会の急激な変化と発展に対応いたしまして、その要請にこたえなければならぬ時期に到達いたしておりますことは、しばしば本委員会においても指摘されたとおりであります。 すなわち第一は、経済の国際化、経済社会の急速な発展に対処するため、各種の融資において、特に国産技術開発あるいはまた中堅企業への融資を充実するよう特別な配慮が必要だと思うのでございます。 特にここに中堅企業の問題を取り出しましたのは、中小企業金融は、御案内のように中小企業三機関をはじめとして、いろいろ手当てがございます。開発銀行の融資のあり方は、結果的には大企業中心になっておることも否定することのできない事実でございます。そこにいわゆる中堅企業に対する融資の手当てがいわば盲点というようなことになっております。特に最近資本取引の自由化、こういった現状から考えますと、いわゆる外資の乗っ取りというような問題も間々見聞するわけでございますから、こういう点についてよく融資の配慮を開銀においてになうべきではないか、このように考えて中堅企業への融資を取り上げたわけでございます。 国産技術開発の問題は説明を要するまでもございません。自主的技術開発の問題が、今後の日本経済発展の原動力になるわけでございます。 それとともに公害対策、都市再開発、地方開発等においても、特に人間生活あっての産業活動でございます。人間尊重、生活優先の融資につとめるべきものでございまして、こういった問題については、やはりこの開発銀行が積極的に一役をになうという必要性があるのではないか、このように考えるわけでございます。 第二の点は、融資案件の選定にあたりまして、たとえば大企業に開銀融資が行なわれてきたために、同一業種の中小企業者がいわゆる構造改善事業を推進するのに不必要な混乱を起こしている事案も、具体的にしばしば見受けるわけでございまして、このようなことのないように、政府施策間のいわば呼吸を合わせると申しましょうか、斉合性をよく考えてもらいたいことと、同時に公害問題においては、公害防止事業団と開発銀行との業務分野における調整の配慮等々、いろいろ考えなければならぬ点があるわけでございます。 同時にまた、先ほども指摘申し上げたごとく、絶えず時代の緊急な課題に即応する分野に融資の重点を向ける必要性が一そう配慮されるべきであろうと思うのでありまして、先般来いろいろ議論が出ましたが、特にすでに政策課題が解決された問題は民間長期金融の対象に移してきておるわけでございまして、鉄鋼業はすでに開発銀行の手から卒業をしておる。近い将来海運の融資の問題も検討されるべきであり、引き続きホテル関係の融資の問題もこのような観点から配慮されるべき問題であろうと思うのであります。 それと同時に、前向きの問題としては新全国総合開発計画、これを受けて新経済社会発展計画等の展望のもとに、いわば最近いわれます農工一体、農村工業化というような問題については、新たな政策課題として、開発銀行が検討すべき融資対象がこれから出てくる、このような配慮が必要ではないかという点でございます。 第三は、経済社会環境の急速な進展に対応いたしまして、新たな融資分野における開銀の果たすべき役割りの重要性にかんがみまして、現在の制度そのものについて根本的な検討をすべきであるという点でございまして、このたびの開銀法の改正も、融資条件を債券あるいはまた貸し出し規模について自己資本の五倍を六倍にするという改正案でありますが、このような改正の過去の足取りを拾ってみますと、昭和三十三年には自己資本の二倍に改正いたしまして、昭和三十八年に三倍、昭和四十一年に四倍、昭和四十四年に五倍、ごく最近においても小刻みに融資規模の拡大をはかっておるということは、きわめて安易な御都合主義、便宜主義のそしりを免れない。このような観点から考えましたときに、やはりこの問題については、あるべき開銀の将来の使命を考えて根本的に検討すべきではないかという点でございます。 同時にまた、いままで開銀は、昭和二十六年創立以来四十二年までに、国庫納付金累計額二千一百億円でございまして、開銀への政府出資そのもの二千三百四十億円と、すでに出資額にほぼ匹敵するような国庫納付金を出しておるような現状でございまして、開銀の今後になうべき使命を考えると、先立つものは金でありまして、やはり原資の充実といった点についても今後考えるべきではないか、こういう点でございます。 以上がこの附帯決議の提案の趣旨でありまして、何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げる次第でございます。 ――――――――――――― 日本開発銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、一九七〇年代の経済社会の新しい要請に対応して、日本開発銀行について、次の諸点に関して十分に配慮すべきである。 一、経済の国際化、経済社会の急速な発展に対処するため、各種の融資において国産技術開発、中堅企業への融資を充実するよう配慮するとともに、公害対策、都市再開発、地方開発等において生活優先の融資に努めること。 一、融資案件の選定にあたつては、政府施策間の斉合性ならびに他の政府関係金融機関との業務分野の調整に考慮を払いつつ、絶えず時代の緊急な要請に即応する分野に融資の重点を指向するよう一層配意すること。 一、経済社会環境の急速な進展に対応し、新たな融資分野において開銀の果すべき役割の重要性にかんがみ、現行制度について基本的に検討すること。 ―――――――――――――
○毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 おはかりいたします。 本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○毛利委員長 起立多数。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府の所信を求めます。福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。 ―――――――――――――
○毛利委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来たる三日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時八分散会