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63回国会衆議院1970/03/31

大蔵委員会 第18号

発言数
218
登壇者
17
会派数
3
開催日
1970/03/31

会議録

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について、本日、日本銀行理事吉野俊彦君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 造幣局特別会計法の一部改正について若干の質問をいたしますが、この特別会計制度において補助貨幣の回収準備金制度というものを設置した理由というものは一体どういうものであるか、まずこの点を明らかにいたしたいと思います。お答えをいただきます。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 補助貨幣の回収準備資金は昭和二十五年に新しく設けられたものだと思っておりますが、これを設けました理由は、特別会計法におきまして、補助貨幣の発行による収入金を一般会計と区分整理をいたしまして、そして特に特別会計を設置しよう、これによりまして補助貨幣に対する国民の信認というものを維持していきたいということが、先生のおっしゃいました目的といえば目的でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そうしますと、いまお答えがありましたように、補助貨幣をいつでも回収できる体制を特別会計にとっておるということが補助貨幣に対する信頼、信認というものを裏づけている、担保しているという性格だと思うわけです。そうしますと、かつて日本でも貨幣、補助貨幣といわず、本位通貨といいますか、そういうものが兌換性をとっておった時期があるわけでありますが、そういうもののいわばなごりのようなもの、国民の感情といいますか、国民の通貨に対する信頼、こういうようなものを裏づけるという意味では、そういうもののいわばなごりというようなものが国民の感情に定着している、そういうものをある程度満たす、こういうように理解してよろしいわけですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ただいま申しましたように、回収準備資金制度それ自体は、国民の通貨に対する信頼を維持していくということが目的でございます。通貨に対する国民の信頼を維持するのにはいろいろなやり方があると思いますし、沿革的な理由もあると思います。先生のおっしゃいましたように、金本位の時代には金貨が本位貨幣でございまして、その支払いの補助として補助貨幣があったわけでございますから、そういうものによってある程度国民の信認というものがあったわけでございます。しかしわが国におきましては、本位制度を廃止いたしまして管理通貨制度に移りまして後も、この回収資金に補助貨幣発行額に見合うような資金を積み立てていくということによって、国民全体の通貨に対する信認を維持していくということをずっと続けておりますので、この制度によって国民の補助貨幣に対する信認というのは維持されておると思います。他方、外国におきましては、ただいま申されましたような本位貨幣をやっておりましたころのなごりで、補助貨幣を、そのまま発行高に見合うものを一般財源に入れるということをやっておるところもございます。これはやはり制度として見た場合には、日本銀行が日本銀行券を発行し、政府が補助貨幣を発行する、いずれも債務でございますから、そういう債務に見合う資産としてこの回収資金を持っておるということのほうが理論的には親切ではないか。むしろ、沿革的な理由もございますが、理論的に見ましてもこういう制度を持っておるほうが通貨の信認を維持する上にはいいのではないか、こういうふうに思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 若干数字をお伺いしたいんですが、私どもが知り得た資料によりますと、これは四十五年三月末でございますか、四十五年度末の数字ですかよくわかりませんが、発行現在高が三千七百四十一億になっておる。回収準備金が三千九百四十億になる。大体百九十九億オーバーをするということになるそうでありますが、この数字はいつのものであるか、これを伺いたいことと、それから、昭和四十五年度において補助貨幣を、百円、五十円、十円、五円、一円という、そういう各種別にどれくらい発行するのか、こういうことについてまず数字を明らかにしてください。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ただいま申されました三千七百四十一億というのは四十五年度末の補助貨幣発行現在高の見込みでございます。念のために申し上げますと、四十四年度末の見込みは現在三千三百三億という見込みでございます。それからこれに見合います回収資金は、四十五年度末の見込みが三千九百四十億でございます。それから同じように四十四年度末の見込みは三千八百八十九億でございます。  それから補助貨幣の製造計画でございますが、貨種別に申し上げますと、百円貨幣が、金額で申し上げますと三百二十億円でございます。それから五十円貨幣が百五十億円、十円貨幣が三十五億円、五円貨幣が十三億円、一円貨幣が六億円、合わせまして五百二十四億円。これに対応いたす四十四年度の数字は、総体で四百五十九億四千万円という計画でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そこで、四十五年度で五百二十四億発行されるわけであります。この四十四年度は、きょう終わるわけでありますが、四百五十九億発行されたわけでありますが、この製造原価はどのくらいでございますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 日銀券のほうは、先生も御存じのように、予算書におきまして売り払い経費等計上いたしておりますけれども、補助貨幣につきましては、全体の補助貨それぞれの貨種別に、どれくらいの管理費が振り分けられるかというような点が非常に不明でございます。したがいまして、素材価値はわかっておりますけれども、全体の製造経費が幾らになるかということは恣意的な判断になると思います。素材価値のほうは、百円の白銅貨が三円七十二銭でございます。それから五十円の白銅貨が三円十銭でございます。それから十円の青銅貨が二円六十八銭、五円の黄銅貨が一円六十二銭でございます。一円のアルミ貨が二十銭でございます。原価のほうはいま申しましたようになかなか割り振りがむずかしゅうございますけれども、一応われわれが恣意的に計算したところによりますれば、まあ百円の白銅貨は大体八円というふうにお考えいただいてけっこうではないか、かように考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 一応貨種別の発行原価というものを、ここで明らかにしておいていただきたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 いま申しましたように、非常に恣意的な数字でございますから、大体の見当ということでお考えいただいて、百円はいま申し上げましたように八円でございます。五十円は大体七円というふうに考えております。それから十円の青銅貨は五円、五円の黄銅貨が三円五十銭、一円は、これは九十九銭ということで、まあ大体一円というふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 まあ若干恣意的な数字だということでございますが、発行額が四百五十九億なら四百五十九億となります。それで貨種別には総経費というようなものをどう割り振るかという問題はいろいろあるでしょうけれども、しかし素材費が幾ら、人件費が総体で幾らというようなことで、全体の補助貨幣を五百二十四億なら五百二十四億、四百五十九億なら四百五十九億発行するのにどれだけのコストがかかっておるかということは、総体的には当然、特別会計制度をとっておるわけですから出るわけだと思うのですが、それがまだ明らかになっていないわけですね。これはわからないのですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 いま申しました総体の経費ははっきりわかっておりまして、そして先生方の御審議をいただいております特別会計の予算書に書いてあるわけでございます。ただ、それをわれわれ百円と五十円に——まあ造幣局長は、どれほど百円貨幣のほうに働いたかという割り振りはなかなかむずかしいので、そういう意味で百円は幾ら、五十円は幾ら、五円は幾らというのは、非常に恣意的な判断でございますということを言っておるのでございます。総体の経費ははっきりいたしております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そこで、この補助貨幣の発行高をどういう基準できめられるわけですか。もちろんこれは補助貨幣の使命からいって、いわゆる経済の流通過程において支障なからしめるということは常識的にわかるわけでありますが、政策当局として、ことしは百円硬貨をどれだけつくろうか、五十円硬貨をどれだけつくろうかというようなことは、何を基準にして発行高をきめるのか、このシステムはどういうふうになっておるのですか。その点をこの際お聞きいたしたい。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 各補助貨幣の発行計画でございますけれども、これは大体私のほうで造幣局とも相談をしながらきめていくわけでございますが、たとえば四十五年にいたしますと、四十五年の国民総生産というのはどれくらいの大きさになるのか、経済の成長はどういうふうになるのか。結局、補助貨幣は個人消費面で一番多く使われるわけでありますから、そういう意味で経済全体がどういうふうになるかというのをまずきめます。これは政府見通し等によって決定いたします。それに基づいて従来の各貨種別の必要量、これは特に季節的に変化がございまして、年末に一番出ていくわけであります。そういうのを勘案しながら貨種別にずっと見てまいりまして、そうしてさらに伸び率で見ました上に、最近御承知のように非常に自動販売機等も普及いたしておりまして、そういう伸びがある。それから一円なんかにつきましてはだんだん使われなくなってきた。使われなくなってきたけれども、いわゆる必要部面においてはかえって流通段階から消えていくというようなことになりましたので、従来つくっておりましたものをさらに多くこの際つくっていかなければならないというような考え方もあります。そういうものをかれこれ勘案した上で、先ほど申したような計画を設定いたします。これは実効に応じまして、その段階でもし実際の市中の流通に支障を来たすようであれば発行をしていく。なおいま申しました発行計画は、先ほど言いました十二月の一番ピークのときを頭に描いて計画をつくっておりますから、したがってそのときに日銀の全国の本支店における予備的な、引きかえ、回収の金も若干持っておらなければならぬということになりますので、全体としてはある程度の金を予備的に持つということ、これも頭に入れておくということで計画を立てております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 それで引きかえまたは回収、こういうものが年々——ここ数年でけっこうですが、どのくらい現実にありますか。これを貨種別に数字がありましたら、ここではっきりさせておいていただきたい。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 補助貨幣につきましての引きかえあるいは回収によります増減の状況でございますが、これはあとで資料がございましたらまた詳しくあれいたしますが、四十五年の一月から申しますと、一月には流通がむしろ全体としては七十八億ばかり減りまして、それから二月には同じく減りまして、それから三月、四月、五月、六月という状況はずっとふえてまいりまして、十二月には二百六十三億ふえるということでございます。  いま御質問になりました四十四年中の引きかえの数字だけを申し上げますと、百円貨幣につきましては引きかえ、回収が十二億でございます。それから五十円貨幣につきましては五十六億程度でございます。それから十円貨幣につきましては三億三千万、それから五円はございませんで、一円が千三百万、合わせまして七十一億四千万円でございます。これに対して先ほど申しましたように発行いたしますので、私が申しました発行と引きかえ、回収との差額というものは、四十四年の一月、二月ではむしろ減ってしまって、だんだん十二月に行くに従ってふえていく、こういうことになっております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いまお聞きした数字は資料として提出をしていただきたいと思うのです。どれだけ回収あるいは引きかえというようなものが貨種別にあるのか、こういうものを、ここ二、三年のところでもけっこうですから出していただきたいというように考えます。  そこで次の質問なんですが、回収準備金積み立ての限度が発行高までということになっておるわけですが、発行高をこえるものは特別資金として一般会計に繰り入れるということになるわけです。先ほどお話がありましたように、補助貨幣に対する国民の信認の問題というようなものだけではなしに、その準備金で新しい補助貨幣の製造に要する経費もまかなってよろしいというたてまえになっておるわけですが、今日の情勢で発行高まで準備金というものが必要である、そういうものを限界にして準備金を設けておるわけですけれども、理論的に考えて、製造計画でどれだけ要る、そうしてこの回収準備のためにどれだけ要るというようなものを考えて、発行限度額までという必要性は、はたしてそこまで必要なのかどうか。これはたいへん貨幣理論だけでは割り切れない、いわゆる新しく貨幣をつくるための資金源の発生ということもありますから、その辺のところはぼけると思うのですが、この限度額というものは、本来ならば、今日管理通貨時代に入って、兌換という問題は完全に旧体制の遺物になったような感じからいって、そこまでの準備金というものを保有することがはたして必要であるのかどうかということについては非常に疑問があるわけなんですね。それを特別会計で抱いて、それを資金運用部なり何なりに預けて運用するということになっておるわけですが、特別会計でそれほど巨額なものを抱いているというような姿、そういう必要がはたしてあるのかどうか、この辺のところはどういうようにお感じになりますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 広瀬先生のおっしゃるとおりでございまして、理論的にはこの限度額まで持つべきであり、また持てば十分であるということは貨幣理論としていえるかどうかというのは、私は非常に疑問だと思います。ただ、いま申しましたように、この回収準備金の目的というのが通貨に対する国民の信認を得るのだということでございますと、理論的には発行額まで引きかえ、回収をやってくることがあるかもわからないということがいえるかもしれませんけれども、それは観念論でありまして、実際上そういう引きかえ、回収が出るということは、国がつぶれることがない限りないわけですから、そこまで持つ必要は実際上はないわけでございます。しかし他方、いま申されましたように、その準備資金によりまして、これを運用することによって出てくるもの等によって新しい製造をまかなわなければならぬ。そうしますと、そういう製造経費がふえていく、その場合には、これも非常に理論的な話になってしまうのですけれども、製造の経費が不足するようなときには一般会計から入れるのだという規定もあるわけでございますから、そういう意味で非常に観念的な規定だ。ただ、補助貨幣の発行高と同じ準備資金が、ちょうどいろいろな商業手形あるいは金地金あるいは国債というものを、日銀券の発行の保証物件として持って見返り資産としておるというのと同じでございまして、発行額と同じものを見返り資産として持っておるということが国民の信認を得る大きな要素であり、かつまたそういう気持ちになじんでおると思うのです。そういう意味で私はこの限度を保っていくことがいいのではないかという気持ちを持っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 日銀の吉野理事もおいでになりまして、きょうは吉野理事に対する質問は堀委員が特に予定しておりますので、ここでちょっと中断をいたしまして、堀委員に譲って、またあらためてあとで残りの部分をやりたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ちょっとお願いいたしたいと思います。先ほど申されました資料でございますが、各年度ごとの貨種別の引きかえ、回収の実績ということでよろしゅうございましょうか。各月でなくて、各年度、三、四年の……。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 はい。けっこうです。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いま、補助貨幣の国民に対する信頼度を保証するといいますか担保するために回収準備資金がある、こういうお答えがあったですね。そこで、これは吉野さんに伺う性格のものかどうか、ちょっとよくわからないのですが、日本銀行券というのが今日四兆円ばかりも流通しておりますね。これに対する何か担保といいますか、そういうものは日銀は何らかの形で保有をしておられるのでしょうか。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員の御質問にお答えいたします。  日本銀行法という特別法がございまして、日本銀行券の発行高に対しましては同額の保証物件を保有しなければならないということになっております。それで、法律の規定いたしますところによりますと、金でありますとか外国為替のほかに商業手形あるいは国債あるいは政府に対する貸し付け金証書、その他あと大蔵大臣の認可を受けますと特別にほかのものも保証に充てることができるようになっておりますが、大体日本銀行の営業活動として適性と認められるものの大部分は銀行券の保証になっておる。保証という特別のことばを使っておりますので、ちょっとこれはややこしいと思いますが、まあ普通の俗なことばでいえばそれが担保になっている、かようにお考えいただいてよろしいのではないか、このように考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、最近一年間に約一兆円近くも日銀券の発行はふえておりますね。そうしますと、年間に一兆円もの保証物件の増加というものがあるのでございましょうか。その点をちょっと……。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員の御質問にお答えいたします。  貸し出しそれから外国為替、それにあといろいろな有価証券がございますが、この三つが主たる保証物件の増加ということに相なっておりまして、結局銀行券の増発に見合うだけ常に日本銀行として保証物件の増加を伴っている。またそれでなければ銀行券の増発ができないような仕組みになっておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、きょうわざわざお越しをいただきましたのは、最近御承知のようにマネーサプライが非常に増加をしてきて、前年比約二〇%くらいふえておる。日銀の調査月報によっても、こういうマネーサプライのあとには、一クォーターくらいおくれてGNPなり諸物価にはね返るということが指摘をされておるわけでございますね。  ところが、このマネーサプライの中身を少し調べてみますと、いま、四十四年あたりでは、このマネーサプライの中に占るところの外為会計の払い超部分が四五%くらいに達しているということで、この外為会計の払い超はおそらくいまの日本経済の状態からすればまだ当分続く可能性があるんじゃないか。あとは、一般会計は昭和四十四年は揚げ超になっておりますけれども、この一般会計の揚げ超と国債を売り渡すことによる揚げ超、これを足したものと食管あたりがおおむね見合ってくるというような感じになりますと、ここらは恣意的に——まあ恣意的に動かせないわけではないですけれども、財政硬直化といいますか、ある程度動きが制約されておるものですから、それほどにコントロールはできない。そうするとどうも私はいまのマネーサプライがふえてきたことで、そういう異常な成長が起こるということを抑制するためには、貸し出しの縮少、これはやはりある程度コントロールができるものではないだろうか、こういう感じがするのですが、貸し出しの縮少なり債券売買によるか、ここらの金融操作ではたしてこういうものがある程度コントロールできるのかどうか。結果論として二〇%になればこうなりますということはわかりますけれども、それをどうすればマネーサプライをもう少しモデレートなものにすることができるのかという点についての金融当局の政策のあり方はどうあるべきかということをちょっとお伺いをしたいと思うのであります。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員の御質問にお答えいたします。  この日本銀行の調査月報でマネーサプライと申しておりますのは、日本銀行券だけでございませんで、現金通貨として補助貨も加える。それからそれ以外に民間の金融機関に蓄積されておりますいわゆるわれわれが預金通貨と申しております当座性の預金でございますね、もちろんその間の重複勘定は全部差っ引いてあるわけでございますが、その全体としての通貨供給量というものが金融調節の上で非常に重要な意味を持っているのではないか、かかる角度から分析を加えてあるわけでございます。  そこで堀委員の御質問の要点でございます、それじゃそういうものをどういうふうにしたら一体中央銀行というものはコントロールできるのか。これはたいへんむずかしい問題でございますが、現金通貨、つまり日銀券と補助貨と申しますものと預金通貨の間に性格上の相違が実は非常にあるのでございます。現金通貨というものはもちろん営業用のいろいろな決済のためにも使われますけれども、主として賃金、俸給のような国民の所得の支払いに使われる。それから、そうやって支払われました所得が、今度は消費財を購入するときにその決済のために使われるということが主たる役割りのように思います。これに対しまして預金通貨のほうは、いろいろな資本取引と申しますか、企業が商品を生産するのにいろいろな設備も増加させなければなりませんし、あるいは原材料を蓄積しなければならない、そういうところの主として企業間の決済のために使われる。  いままでの経済の動きを過去の経験からずっと見ておりますと、所得が増加をし、それから消費が増加をしてからそれをコントロールしようといたしましても、実はもう間に合わないことが多いわけでございます。もっとも将来、耐久消費財の販売額というものが国民所得に対して非常に大きなウエートを持つようになる。それに対して金融政策の一環として、たとえば消費者金融の調整というようなことが法律によって基礎づけられるというようなことになりますと、あるいはまた変わってくるかとも思いますけれども、現段階におきましてはそういった消費のふえるもとである所得、その所得のふえるもとは何かというふうに考えていくよりほかしかたがないと思うのでございます。  では、所得は一体何によってふえるかと申しますと、外需としての輸出がふえる、あるいは財政支出がふえるということもございますけれども、今日におきましては、何と申しましても民間企業の投資活動の増加に伴って所得がふえてくるのだ、こういうふうにダイナミックに考えなければなりません。そういたしますと、民間企業の投資活動の決済に使われる通貨は預金通貨である。したがって、われわれといたしましては、まずマネーサプライの中で預金通貨に重点を置きまして、その預金通貨の増勢というものが適正であるようにいろいろと知恵をしぼっていかなければならない。こういった意味で、市中銀行の貸し出しの増加でありますとか市中銀行に準ずる市中金融機関の貸し出しの増加、あるいは有価証券投資の広い意味の信用の拡張というものを押える。大体信用の拡張が起きますと、一応原則として預金通貨に振りかわる、そして振りかわった預金通貨の中からほんとうに必要な部分が現金であとからリンクしていく、こういうふうに考えてみますと、私どもとしては預金通貨をまずコントロールする。したがいまして、今日日本銀行がやっておりますいろいろな金融調節というのは、マネーサプライに即して申しますならば、預金通貨、そしてその預金通貨の増加の有力な要因である市中金融機関の信用の拡張を適正にしよう、大体そのように考えている次第でございます。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

堀昌雄日本社会党

○堀委員 おっしゃるように、いま確かに引き締めが行なわれてからまだ半年余りでありますけれども、どうも資料で見ておりますと、実は、引き締めになってからはあまりそうではありませんが、昨年の年初来から見ますと貸し出し額は相当ふえております。貸し出し額がふえてきておるときに逆にそういう与信行為を圧縮するためには、もう少しオペレーションで吸い上げるということがより有効に働くのじゃないかという感じがしておるわけですが、必ずしもどうもそこまでいっていないような感じもいたしておるわけです。ですから、結局私がちょっとさっき申し上げましたように、最終的には貸し出し増加額とオペレーションとの関係で少し締まる以外に、ちょっとそこのところは締まらないのじゃないかという感じを持つ。片方では、外為のほうは逆にふえてくるわけでありますから、いまのオペレーションというのは、そういう意味ではただ揚げ超になったり散超になったりする通貨のバランスだけをとっておるのか、あるいはそういう政策的意義を含めて行ない得るのか、そこのところをちょっと伺いたいと思うのです。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員の御質問にお答えいたします。  金融調節の手段として、市中金融機関の信用の拡張を押えるということが本義であるということを先ほど申し上げたのでございますが、もう一歩さかのぼりまして、それでは市中金融機関の信用の拡張はどういうやり方で押えることができるかということになりますと、今度日本銀行勘定の問題になってくるわけでございます。そこで、ただいま堀委員が御指摘になりましたように、国際収支は非常に黒字である、当然外為会計の対民間散布超過額が増大をしていく、こういうルートが一つありますが、これは現在のところどうしようもないということでございますね。そうしますと、あと残るのは日本銀行の市中金融機関に対する貸し出しの増減、それから日本銀行と市中金融機関との間において行なわれます有価証券の買いオペレーションあるいは売りオペレーション、それからもう一つ、預金準備率の操作によりまして、準備率をかりに上げれば市中金融機関から日本銀行にそれだけ資金が返ってくるというわけでございますが、今日御案内のように、預金準備率は世界各国の水準に比べて非常に低いので、これはもうほとんど問題になりません。  そういたしますと、結局オペレーションか貸し出しかということが、日本銀行の金融調節のチャネルとしては一番大きな問題になってくるわけでございますが、これはもう御案内のように、三十年代の前半までは主として貸し出しの増減一本で調節をしてきた。そのために日銀貸し出しの非常な硬直化ということが起きたのでございますが、私ども日本銀行の貸し出しというものはやはり期日には返していただかなければいけないという非常にきびしい性格を持ったものでなければならない。それが経済の成長に必要な通貨まで固定的に出すということになりますと、何かサウンドバンキングというようなプリンシプルからもはずれてまいりますし適当でないということで、真に必要な、つまり適正と考えられるようなものはなるべく買いオペレーションの形で、貸し出しの増加という形をとらないで供給しよう、残りを貸し出しで調整しよう、今日大体この二本立てでやっているわけでございます。その調節の月々の具体的なことは省略いたしますが、基本的な方向としては、大体日本銀行の勘定としていまの二つの点を適正に組み合わせながら通貨の調節をやっていこう、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ところが、実は貸し出しのほうはほとんど市中銀行が主体でありますけれども、御承知のように、いまは市中銀行以外に各金融機関というものが相当運用余資を持っておるわけでございますね。そうすると、見ておりますとこれは片方ポジション指導ということでおやりになっておるのでありましょうけれども、実はそういう方面からかなり借り入れ金をして、都市銀行はそれによってなおかつ信用膨張を続けておるという感じがいたします。そういう際に、いまのマネーサプライをある点にするためには、その他の金融機関に対する売りオペレーションを実行することによって、いまの横へ抜けていくであろう資金がもう少し押えられない限りは、どうもやはり所期の効果が期待できないのじゃないだろうか。いまのところはオペレーションはほとんど都市銀行中心に行なわれておるのじゃないだろうかと思うのでありますが、その点はどうでありましょうか。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員の御質問にお答えいたします。  確かに御指摘のように、日本の金の流れというものが徐々にではございますが変化をいたしまして、かつては都市銀行中心において、銀行勘定というものは、預金の面におきましても、貸し出しの面におきましても、あるいはまた有価証券投資の面におきましても、非常に大きなウエートを持っておりましたが、だんだんと銀行以外の各種金融機関の資金蓄積のウエートというものが相対的に高まる傾向にございます。しかしながら、かつては金融を引き締めなければならないときには、公定歩合こそ大きく上がりませんでしたけれども、コールレートが非常に大きく上がりました。したがいまして、余資を持った金融機関というものは、日本銀行で別にそういうところの貸し出しについていろいろと調整を加えないでも、コールレートが高くなれば非常に魅力ある資産になりますので、おのずから貸し出しの増加を押えて、主としてその余った部分をコールローンの形で都市銀行のほうに放出する、そこのところを日本銀行が金利の引き上げ並びにいわゆる窓口指導によって調節するということで、かなり有効であったと思うのでございますが、今日コールレートは上がりますけれども、かつてのようにたとえば日歩で五銭とか六銭とか、そういうようにめちゃくちゃに上がるということがなくなりました。したがって、コールというものは金融引き締め下においてもそんなに大きくふえるというわけではございません。したがいまして、これからはなるべくそういった銀行以外の各種金融機関に対してもいろいろなくふうをこらしていかなければならない。たとえば農林中央金庫に対しまして、預金準備率というのが適用し得ることにはなっていたのですが、長いこと適用いたしませんでしたものを、先般御案内のように準備率の適用対象機関に新たに指定して準備率を発動する、これなんかも、現実に金額としてはわずかなものでございますが、方向としては銀行以外の各種金融機関に対しても、徐々にそういった調整の方向を広げていかなければならないということのあらわれじゃないか、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまのお話で、私はコールが高くならないのは逆にどうもおかしいと実は思っているんです。どうもコールまでコントロールされてきておる。私は、どうも日本の金利というのは管理金利だ、こう言っておるわけですけれども、かつてはコールだけは自由でありましたから、市場がタイトであるかどうかはコールさえ見ておればわかった。今日、一体何を見れば市場がタイトかということがわかるか。結局ほんとうにフリーに動いておる電電債か、あるいはグレーマーケットの証券価格とかいうのがほんとうのフリーで、表に出てくる短期の資金の流れというものは、いまの形では全然わからなくなってしまった。私は、コールというものは、本来ならやはりフリーであることが非常に重要だと思うんです。ですから、その点はある意味では資金偏在というものにブレーキがかかっておる。ある意味でブレーキがかかることは、特に今度のような民間設備投資の行き過ぎには逆に効果があるかもわかりませんが、しかしそれにしても、見ておりますと、実は都市銀行は各金融機関からかなりインターバンクをとりながら、いろいろなかっこうで努力をしておるような感じがするわけでありますけれども、しかし私には、コールは本来は自由化されるべきであるし、自由化されて動くものは、さっきお話しの預金準備率を大幅にすることによって操作ができるなり、その他の金融機関に対するマーケットオペレーションというものがもう少し考えられていいんじゃないか、そのことは引き締めのときだけオペレーションをやるという意味ではなくて、やはり常在的にもう少しマーケットオペレーションというものを広範囲にやっていくということが日常行なわれていれば、もう少し全体として有効ないまのマネーサプライに対するコントロールがきくんじゃないか、こういう気持ちがあるのですが、この点はいかがでしょうか。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員のオペレーションについての御質問にお答えいたします。  御指摘のとおりなのでございまして、貸し出し取引のほかに、オペレーションというものが中央銀行の調節のメカニズムとして存在しているということのほんとうの意味は、貸し出しというものはあくまでも取引先の金融機関との相対関係にとどまる調節手段である。これに対しましてオペレーションというものは、イギリスとかアメリカの例で見ても明らかなように別に取引先の金融機関だけ相対の取引をするというのが本来の趣旨ではございませんので、証券取引所、つまり公開の、だれでも近づき得る市場というもので、結局証券業者を通じて最終の相手方はいろいろなところに分散をし得るはずなんですけれども、したがって、そういうところでは、たとえば現在預金を持った金融機関も将来においては入り得るはずだと思うのですが、そういうメカニズムを通じて、ひとり取引先の金融機関だけではなく、そういうところに広く分散し得るんだ、こういうふうに将来は持っていかなければならないと私どもも夢に描いているわけですが、いかんせん日本の証券市場というものは、特に確定利付債券の市場等がございますけれども、十分に機能を発揮してない。これはコールレートが、昔に比べれば上がり方が少ないといいますが、非常に高い。確定利付債券のほうは困難な状況でございますということもありますものですから、やはり私どもとしては、コールレートよりも長期の金利のほうがかなり高いというような状態ができるということが、債券市場整備の基礎条件じゃないかと思うのです。そういったようないろいろな条件の変化というものを織り込んで、そして貸し出し取引だけでなく、オペレーションを常時広く運営していく、かように持っていきたいものだと考えております。  なお、オペレーションの現実を申し上げますと、金融引き締め、あるいは緩和を特別のときにやるということではございませんので、実は毎月毎月貸し出しとオペレーションの両方を併用しておるというのが常態になっておるということをひとつつけ加えておきたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、長く金融調節手段としてオープン・マーケット・オペレーションをやるべきだという議論をしてきましたし、今日までそのための公社債市場を育成するためにはどうすべきか、長年にわたって当委員会でやってきたわけですが、いまお話しのように、最近大蔵省も大いに努力しておりますが、なかなかわれわれの願うところまではいきません。いきませんが、そこまでまいります前に、いまの相対ずくオペレーションというものは、何か変形した貸し出しみたいな感じもありますけれども、しかしその相対ずくのオペレーションを、日常の取引のない金融機関でございますね、それは広くいえば、証券会社も入るし、信託も、相互銀行も、地方銀行も、信用金庫も、直接取引のないところを含めて、いまの相対ずくのオペレーションでいいから、これを少しこうやるような条件をつくっておけば、金融を引き締めたいときには、そのオペレーションのやり方で非常に効果的に問題の処理ができるのではないだろうか。どうも見ておりますと、部分的にはいま非常に有効に操作ができると思いますが、実は日銀が直接マネーサプライにコントロールできるのは、都市銀行に対して集中的には行ない得るけれども、その他のところがどうも——その他のところは場合によっては生産性の低い中小企業に資金を流しておりますから、大企業ほどのものはないかもわかりませんけれども、しかし今日民間設備投資をコントロールしようというときは、都市銀行だけを締めても、都市銀行の融資先の占める全体の民間設備投資のウエートから見て、どうも少し不十分なんじゃないだろうか、結局金融調節というようなものは、だらだら長期というより、どっちかというと短期決戦型でやるべきではないかというのがこれまでの主張でありまして、今日金利が年利建てになりましたのも、この前、山際さんのころから、公定歩合の一厘引き上げというのはどう見ても理解できない、二厘では少し高いけれどもパーセンテージになると〇・五%というちょうどいいところでありますが、二厘では高いけれども、一厘ではどうも低過ぎるということをずいぶん申し上げて、二厘引き上げということもあったわけでありますが、どうもそういうようなとり方は、いまの一厘引き上げてポジション指導をして、長くだらだらとやるほうがいいのか、もう少し短期決戦的にやるか。短期決戦的にやるためには、狭い部分に対して短期決戦はできませんから、やはりそういう広いオペレーションの条件をつくっておいて、そしてそこでさっと一斉に引き締めて、そして姿勢が直る、そうするとすぐに解除をするという、臨機応変な操作。ですから、その限りでは公定歩合のほうを含めて——日本ではどうも公定歩合を動かすことは何か非常に重要な問題のようになっていますが、もっとそれが、いまのオペレーションをやっているほどは——ほどはというのはひど過ぎるかもしれませんけれども、もう少し金融調節の手段として有効適切に行ない得るようにするためには、そういう私の申し上げたようなオペレーションのやり方と、公定歩合操作あるいは準備率の問題というようなものを多角的に併用するということのほうが、経済に対する無用な摩擦を避けられるのではないであろうか、こういう気持ちを持っておるわけですが、その点についてはどうでしょうか。

吉野俊彦日本銀行理事

○吉野参考人 ただいまの堀委員の御質問にお答えいたします。  この金融引き締めなんというものは、やっている当人自身もほんとうにいい気持ちでやっているのではないのでありまして、一刻も早く目的を達成して、もうやめたい、こういう気持ちでございますから、なるべく短期間におさまるように有効に作用してもらいたいものだと、私どもも心から念願をいたしている次第でございます。そのためには、やはり堀委員御指摘のように、都市銀行を相手の調節だけやっていればいいという時代はもう明らかに過ぎ去ったと私も考えておりますので、先ほどからすでに問題になっております債券市場をもっと整備して、もっと広くいろいろなところに調節の効果が及ぶようにしなければならない、これも一つの向こうべき方向だと思いますし、それからもう一つ、そういった資本市場と、それから大銀行と、それからもう一つ、やはりいろいろな各種大銀行以外の金融機関というものがいま非常に発達をしてきているので、昔はそういうところと日本銀行は全然取引関係を持っておりませんでしたけれども、近ごろは相互銀行、信用金庫あるいはその連合会等々と広範に取引の網を広げる努力をいたしております。それからまた、準備預金制度というようなものもなるべくもっと広く適用する、こういった三本立てでやっていきたい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 時間の御予定があるようでありますから、以上で終わりたいと思うのです。  本日は、通貨供給という問題に関連して、私は、いまのマネーサプライというもののコントロールをするために——確かにいまの日銀のオペレーションというのは私はほんとうのオペレーションではないと思いますが、ほんとうのオペレーションができるようになるために何とかひとつ、金融調節手段というのでなしの、散超、揚げ超による通貨の供給状態を調節する一つの手段としても、もう少し幅の広い何らかのオペレーション体制を広げることができないかどうか。そうすることによって、引き締めのときにより有効な影響力が持ち得るのではないだろうかということをひとつ問題提起として申し上げて——引き締めがあまり長期にわたることは必ずしも望ましくない、マイナス要因もあると思いますし、また、この間から当委員会で少し議論しておりますけれども、またこういう際ではありますが、大型の、電力とかその他のある一部の基幹産業は、やはりある程度の設備投資をしませんと、全産業的なネックになりかねない問題もあるというふうに、まことにどうも複雑な条件、あわせて引き締めをしておればおるほど外貨は蓄積をしてくるという問題も、この前佐々木総裁においでいただいて議論したのですが、それらを含めますと、やはり私は今後のこういう国際収支黒字下における金融調節のあり方は、もう少し即効が期待できる何らかの方法を考慮するということが当面求められていいのじゃないか。すでに金融引き締め後六カ月を経過しても、まだ依然としてちょっと見通しも立ちにくいという段階に立っておりますようでありますので、特にその点をひとつ要望いたしまして、吉野さんに対する私の質問を終わります。  ここで私は質問を留保しておきます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員長代理 吉野参考人には、御多用中のところまことにありがとうございました。御退席いただいてけっこうでございます。  引き続き質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 四十五年度末で補助貨幣の発行高、流通高が三千七百四十一億、準備金はこれを約二百億近く上回るということで、一般会計に百九十九億四千三百万円ですか、これを繰り入れをするわけでありますが、これから四十六年度も、やはり相当な経済の伸び、特に消費需要というものの伸び、こういうようなものに合わして、主として生活用といいますか、消費生活に主として使われる補助貨幣というものも増大する。しかも、先ほど大体の貨種別の原価を聞きましても、非常に利益が出る立場になっておる。そうしますと、この利益はまた回収準備金に積み立てられていく、こういうことになるわけですね。この法十八条の四にこういう規定があるわけです。「回収準備資金の不足により補助貨幣の引換又は回収に支障を生ずることとなった場合には、その不足をうめるため必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から回収準備資金に繰り入れることができる。」こういうものは、いま申し上げたようなことを考えますと、大体もうこういう段階になれば、少なくとも全面的にこの補助貨幣を取りかえるというようなドラスチックなものでもない限りは、この十八条の四というようなものはもうほとんど意味をなさないような規定にもなるのではないか。こういう問題についてはどうわれわれはこの条文を読んでいいのか、こういうものをなお存在させていく意味というものがあるのかどうか、こういう点について疑問に突き当たるわけなんですが、そういう点はどういうように理解したらよろしいのですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 先ほど申し上げましたように、回収準備資金は発行高まで持つこと、これはなぜかと申しますと、それがやはり国民感情に根ざした一つの通貨信認への配慮であるということでございます。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、先生の申されたように、来年もおそらくかなりの鋳造差益が出てまいると思います。そういうものが発行高に応じて繰り入れられ、さらに運用されるということになりますから、したがって将来はいま申しました十八条の四にあるような引きかえ、回収の金が不足するという事態は起きないのではないか、私もそう思います。思いますけれども、いま申しましたような回収資金の限度一ぱいとにかく発行高に見合う資金を持っているのだということと、それから引きかえ、回収にもし不足するときには一般会計から金を入れるということ、これはやはり国民のそういった信頼をつなぐ一つの象徴としてこういう規定があるということは私は意義がある。それはちょっと手前かって過ぎるではないかという御批判はあると思いますが、こういうことをして通貨というものの信認を維持するようにしているのだという意味においては、この十八条の四も十分意義はあると考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いまの法律のたてまえが、準備金を発行高と見合うものを持っているのだというたてまえになっておりますからそういうことになりますし、しかも、こういう制度を置くことがやはり補助貨幣に対する国民の信頼を取りつけておくために理論的には少なくとも必要であるということはわかるわけですが、四十五年度に一般会計に繰り入れをして、まさに発行高と回収準備資金が同額になる、こういうことになるわけですね。そしてこれからまた繰り入れをするというような事態は、一体、これからの経済の動きにもよりますけれども、四十六年度にはまず起こらないでしょうね。五百二十億発行高をふやして、利益はそれよりは少ないはずですから、そのほか回収準備金、回収されたお金などもこれは当然に入っていくわけだけれども、そういうものを合わせても発行高よりは準備金のほうが若干少ないという事態が四十六年あたりには出るかもしれない。毎年こういう一般会計に繰り入れるという事態がこれからは続くと想定されるのですか、それとも何年かたたないとそういう、こえるという事態にならないのか。これは発行計画、回収の問題、経費の増減の問題等々、いろいろあるでしょうけれども、そういう見通しは一体どうなっておりますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 先ほど御説明いたしましたように、四十五年度末でございますと、現在の政府の計画並びに資金運用部に対します運用益という意味の預託利子、それと造幣局のいろいろな製造経費、そういうものを勘案いたしまして、百九十九億ほど準備資金のほうがふえるという見込みでございます。今後この傾向は、たとえば四十四年度末——本日でございますけれども、本日は大体われわれの見込みでは八十七億程度準備資金のほうがオーバーしておるというような見方で、四十三年まではむしろ準備資金のほうが少ない、そこで運用をいたしまして、運用益も入れ、積み立ててきたわけでございますけれども、そうしますと、四十三年からだんだん上昇カーブになりまして、四十六年もかなり益が出るのではないかというふうにごらんいただくのが私は常識だと思います。したがいまして、四十六、四十七年と経済全体の規模は拡大いたしますし、補助貨の発行もどんどんふえます。そうしますと、その分を預託するということになりますと運用益が出るということになります。まあ造幣局に非常に大きな災害等がありまして、経費を出さなければいかぬとか、あるいはいろいろなことがございましたら、これは別でございますけれども、そういうことがない限りにおいては、将来とも運用益といいますか、回収資金と発行高との差、回収資金の増加というものは上回っていくであろうというのが、いま考え得る大体の見込みであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 当分の間は年々回収準備資金が発行高を上回って、一般会計に上回る分を繰り入れるという事態が続くであろう、こういう見通しと理解をいたします。  そこで次に質問をしたい点は、今回万博関係で記念百円硬貨を出されたわけでありますが、これは当初三千万枚つくられて、さらにまた第二次に追加をされるそうでありますが、その追加はどのくらいでございますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 万博の記念通貨につきましては、いま先生の申されたように三千万枚ということで、これは前回のオリンピックの際の記念通貨の発行等を基準にいたしまして考えた数字でございますが、まあ大体日本の現在の世帯が二千五百万世帯ということであれば、一世帯一枚はいくというような考え方で三千万枚出したわけでございます。オリンピックのときには千円のものを出しまして、これが少ないということで非常に混乱を生じたわけでございます。したがって、そういう混乱が生じないような限度で、しかもできるだけ国民に行き渡るようにということで三千万枚にきめたわけですが、非常に好評でございまして、私は新聞の数字しか知りませんが、何か四百円か五百円しておるそうでございまして——そういうことはあまりいいことではございませんので、その際百万枚を万博会場で外人に交換するという計画をしておったわけでございますが、それと同じように、そういうふうに非常に評判がいいのであれば、これは万博会場で万博をごらんになられた方は必要に応じて交換をして記念とされるという道を開いていったらどうだろうかということを考えまして——ただ、やたらにふやすわけにもいきませんので、これはもちろん造幣局の製造能力もございますし、造幣局の方に無理な負担を課するということもよくないと思います。それから先ほど申し上げた通貨の製造計画というものもございますから、これにひびが入るようでも困ります。そういう点を勘案いたしまして、私らといたしましては、現在のところ八百万枚出したいと思っております。目下鋭意準備をいたしておりますので、四月の上旬ごろには万博会場のほうに造幣局のほうから持っていけるのではないか。そうして、やり方もいま申しましたように一挙にやるというのではなくして、万博においでになった方に、その日何枚かずつ持っておりまして、そうして交換をしていく。もし全部終わっちゃって、またほしいとおっしゃれば、あすおいでになればまた出しますということで、万博期間中そういった交換をやっていくということで、八百万枚あれば、大体万博をごらんになる方は——きのうは四十二万人という話でございますけれども、大体四千万名か、あるいは五千万ぐらいかわかりませんけれども、その程度おいでになる場合に、そう不足のないものが渡せるのではないか、こういうふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そこで、こういう種の記念貨幣、これはオリンピックのときには千円のやつも出された。あのときの百円の記念硬貨は若干多かったというようなことで、流通市場にも顔を幾らか見せたということのようであります。大体そういう経験を踏まえて、今度合わせて三千八百万枚出るわけでありますが、これは、ほとんど記念硬貨は退蔵といいますか、まず、もう永久にたんすの中にしまって記念にする、こういうことですね。しかもこれは当然発行通貨の中にはちゃんと入るわけですね。三千八百万枚出されますと、百円というと三十八億ですか、こういうことになるのですね。これに対してもやはり回収準備資金の積み立てば、それに見合うだけやるわけですね。私ども、今回の場合もこれは千円の記念硬貨も出してもよかったのではないかと思うのですけれども、そういうことになりますと、いよいよ実際に流通補助貨幣というものと、こういうものが何回か繰り返されると、その間に、発行高は別として、流通高と回収準備資金の若干の乖離という——そう大きく取り上げるほどのことはありません、めったにあることじゃございませんから……。しかしそういう点などもこれは考えらるべきだと思うのですが、当然これは発行高に対してこの分の回収準備金もやられるわけですね。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 オリンピックの際には千円のコインを千万枚出しました。これはおっしゃるように全く退蔵されておるわけであります。それから百円は八千万枚出しまして、これは少し多過ぎたものですから、むしろ実際の流通過程に入っていったわけであります。  それからいま申されました鋳造差益はやはり入るのかどうかというお話でありますが、これは当然発行差益も入るわけでありますけれども、通常の場合は記念通貨のほうが素材価値、それから経費も高いわけです。したがって、普通の百円の銅貨を出します場合よりは鋳造の差益というのは少ない、こういうふうにお考えいただいてけっこうだと思います。  われわれは、記念通貨というのはいま申しましたように、本来通貨というのは交換の手段として流通をして、そうして非常に便利であるというところが一番大きな目的でございますから、記念通貨というのがそうたくさん出まして、それがまた希少価値で、オリンピックの際にはむしろ普通の百円が少なくなったものだからこれが非常に高くなっておるというようなことでございまして、そういう希少価値で値段が上がるというのは非常に困るわけでありまして、そういうことを避ける意味からいって、記念の意味で出す硬貨を減らすのはよくない、国民の要望にこたえるわけでありますから、両方を勘案してこの辺でどうであろうというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 百円の記念貨幣が費用も高くかかっておることは承知しておりますが、これを原価幾らだと聞いたのじゃ身もふたもありませんから聞きませんけれども、次の問題は、回収または引きかえをした補助貨幣というものが、地金として特別会計の回収準備金の中に入るわけです。これはやはりほとんど全部、いままでの例では特別会計の中で年々発行がそれぞれの貨種についてやられているわけですから、その地金として払い出しをしている、こういう状況ですね。そのことをお伺いしたいことと、それから法第十九条第二項で「大蔵大臣の定めるところにより、売り払うことができる。」こういう規定もあるわけですが、こういう事態というものはいままであったことがあるのかどうか、この二つの問題……。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ただいま先生申されましたように、引きかえ、回収によります地金は回収資金に一度入りまして、それから今度は特別会計のほうに入れまして、そこで今度は新しい通貨をつくるために使う。なお、使い切れない地金がございますと、それは売り払う、こういうことになっておるわけであります。  実際に適用いたしましたのは、四十年度に四億四千七百三十四万円、洋銀を約千二百五十九トン売り払っております。それから四十二年度に三百七万八千円、亜鉛を約十九トン売り払っております。亜鉛につきましては現行貨に使用しておりますけれども、現在は全部外注で、こういうような原形の外注のあれをやっておりますので、使用する見込みがないということで売り払うということにいたしております。なお、その際の地金の評価につきましては時価によるということになっておりまして、そういった時価がだんだん上がっていくという場合には、それぞれ毎会計年度末に再評価を行なうということにいたしております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いま第十九条の二項による売り払いの例が示されたわけですが、そういう場合には時価で売り払う、この対象の業者、これは民間に当然売るわけですね。どういうことでやられるわけですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 一般の官需品と同じように一般競争入札で行ないます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 次に質問を変えますが、昭和十三年にできた臨時通貨法というのがありますね。これは補助貨幣の額面の二十倍までの金額を限って法貨として強制通用力を認める、こういうことでありますが、そうしますと、百円の場合ならば二十倍といえば二千円まではどんな支払いの場合に持っていっても強制的に使用できる。それをこえた場合には相手方は拒否できる、こういうことなんですが、百円に対して二十倍、二千円、この面で、これは小売り業などではそういうものがほとんど毎日たくさんだまる、こういうようなもので支払いをするという場合に、これをたてにとって、つむじ曲がりの者がおって、二千円以上はだめだというようなことを言われる場合もあるし、経済全体が大型化しておるという形からいえば、この臨時通貨法というものは、昭和十三年といえば戦前ですから、ここらのところの再検討ということもよく考えていい時分ではないかというように思うのですが、法貨の強制通用力というものの限度、こういうものについてはいまどのようなお考えを持っておられますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ただいま御指摘のように、補助貨幣につきましては最高額というものがきめられております。百円につきましてはいま申されましたように二千円と一応臨時通貨法ではなっておるわけであります。これは昔、本位制の時代から、各国におきまして補助貨幣について発行の限度額をきめるということがほかの国ではございました。そうして、そういうことによってむやみに補助貨幣がふえないようにしようということで、世界各国ではそういう規定を置いて、全体として何ぼ、先ほど五百四十何ぼということを申し上げましたが、そういう制限額をきめておこうという制度を置いておる国が多いわけであります。しかし、実際は、この規定は世界各国どこも非常に形式的な規定になっておりまして、そのつど改正していくということで無制限に出しておるわけです。ちょうどいま御指摘になりました臨時通貨法に基づきます二千円という最高限度も、そういった当時の世界的な風潮を頭に入れてつくられたものだと私は思っておるのですけれども、御指摘のように、これをたてにとって、わしは受け取らぬということだと商売繁盛しませんから、実際のところはそういうのはあまり聞いておりません。聞いておりませんが、理論上はまさにおっしゃるようにあまり効果のない規定でございます。これは当委員会でもずっと議論がございまして、臨時通貨法以外にも、貨幣法全体についていまや死文化しておるから改正したらどうかという御意見もありますから、いまのところは必要がないのですぐに手をつけるということは考えておりませんが、そういった全般的な改正の際には十分検討してみたい、かように考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 最後に質問をしたいのは、今日物価問題、インフレ問題等が非常に深刻な問題になっておるわけです。そういう中で、たとえば百円銀貨もいまや銀貨ではない、白銅である、こういうようなことで、大蔵当局が、補助貨幣は日銀の問題ではないけれども、やはりそういうものに歩調を合わせるようにして、だんだん補助通貨の国民の信頼が、インフレとともにインフレマインドになっていくようなものに全部歩調を合わせておるような、洋銀から白銅に変えるというような形の中で、やはり補助通貨といえども貨幣に対する信頼、貨幣というものはとうといものだ、大事なものだというようなことでなくて、何か国民がお粗末にするようなものに素材、材質を落としていくというような考えがあるとすれば非常に問題だと思うのです。特に最近の例だと、五十円を小さな形で、中に穴をあけて、いままでのかなり大きいのに比べて——百円とのつり合いもありますけれども、何か五十円なんというものはほんとうにお粗末な、おもちゃみたいなものだという感じを与えかねないようなものに素材を落としたりつくり方を変えたり、そういう感じを国民に抱かせる。これはやはり貨幣に対する信頼が希薄になるというような、そういう面でインフレに拍車をかけるものがあるような気がしてならないのです。補助貨幣といえども三千七百億というようなかなり大きな額に達しておるわけです。そういうところももう少し——今日ヨーロッパ諸国あたりの補助貨幣なども、かなりちゃちなのも国によってはありますけれども、かえって日本ほどではないのではないかという気もするわけです。そういうことで、インフレのうらはらに立つ貨幣の価値というものも、補助貨幣の面でも、その材質を落としたり何かすることによって国民に、何かお粗末な貨幣だ、価値のない貨幣だというようなことを思わせないような配慮が必要だろうと私は思うのです。そういう点について政策当局の考え方、やはり補助通貨であろうとも、現に通用している、経済の重要な一翼をになっている貨幣ですから、これについては、そういう面について十分注意していただきたいと思うのですが、これは最後に次官からひとつそういう点でのお考えを聞かしてもらいたい。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 次官からお話があるかと思いますが、前もって……。  私らも、いま先生の御指摘になりましたことは全くそのとおりだと思っております。実はサントリー・レッドの、百円を大びんに入れて振っているコマーシャルは非常にけしからぬと思っているのですけれども、そういう意味で、政策当局として、素材価値を落とすことによって国民の信認をなくしよう、なくなってもかまわぬということはさらさら思っておらないのでございます。白銅貨に切りかえましたのは、御承知のように最初は銀が非常に不足をし高くなってきた。それから今度はニッケルが高くなってきた。ニッケルはいまカナダとニューカレドニアしかつくっておりませんので非常に高くなってきた。それで世界各国がみんな白銅貨に切りかえてきておりますので、素材価値を下げることによって通貨への信認がなくなるということは絶対避けるというのが非常に強い私らの気持ちでございまして、むしろそうでない理由から素材価値の改変が行なわれる。また、いまの五十円につきましては、これは大きな五十円をつくりまして、そのほうがいまの百円よりも素材価値が高くなってしまったものですから、それではちょっとおかしいというので、それでいまの小さい五十円になったわけでございまして、いま現在世界で穴があいておる通貨というのは日本だけでございます。しかも奇数について穴をあけるということで、五円と五十円に穴があいておるわけですけれども、先日聞いた話では、あの五円の穴あきの黄色い通貨というのは世界的に非常に珍しいということで、イタリアでは七百円しておるそうであります。そういうことも私は聞いております。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 ただいま理財局長御答弁申し上げたとおりでありまして、万々そういうことのないように、特に準備資金から一般会計まで入れられるぐらい力がついてきたこの特別会計でありますから、けちなことは避けてまいりたい、こういうように思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 堀君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最初にちょっとお伺いをしたいのは、ちょっと日本語の解釈を少し政務次官にお伺いしたいと思います。  補助というのは、政務次官、日本語じゃ一体どういう意味を持っておるとお思いになりますか。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 日本語はあまり得意ではありませんが、常識的なことでいうならば、力の足りない部分を援助して補い助けてやろう、こういうことではないだろうかと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、いまおっしゃるように、補という字は補うという字でございますね。助ということは助けるということですから、何かがあって、その何かの足らないところを補ったり助けたりするということですから、この補助というのは、どうしても本体があって、その本体だけでは十分まかないきれないから助けるのだということだと思うのですね。どうでしょうか、政務次官。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 そのとおりだろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、これは補助貨幣ということばがここで使われているわけですね。そうすると、その補助貨幣というのは、貨幣があって補助貨幣でしょうね。どうでしょうか。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 そのとおりだと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、今日貨幣というのはあるのでしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 貨幣ということばはいろいろな表現があるかと思いますが、非常に広義にとった場合には、補助貨幣も貨幣ですから、貨幣はある、こういってもけっこうだと思います。しかし非常に狭義の解釈でいいますと、昔の金本位制の場合の金貨あるいは銀貨というのが貨幣でございますから、そういう本位貨幣はないという状況でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 広義、狭義より、私どもがいま法律の審議をしております。法律の審議をしておるとすると、法律上の貨幣というのは、貨幣法という法律がありますから、少なくともこの貨幣法にいう貨幣が本体の貨幣で、その貨幣法の貨幣に対して補助貨幣というものが出てきたというのが私は沿革だろうと思うのです。そうすると、本体の貨幣が今日、法律上にはあるけれども実体はない。そうすると、実体のない貨幣に対してそれを補助する貨幣というのは、これはどうも論理的にはおかしいんじゃないか。貨幣があれば実は補助貨幣があってよろしい。貨幣は今日ない。もう貨幣法に書いてあります貨幣というのは今日は一切ない。そうすると、これは補助貨幣ということばが適当なのか。今日では、さっきからちょっと議論しましたが、日本銀行券というものが、これは貨幣の代用となっていないのですね。日本銀行法では何も書いていない。ただ日本銀行券が発行できる、こう書いてあるだけですから、何も書いてないけれども、日本銀行券というものがかつてあった貨幣にとってかわっておるということになれば、いまわれわれはこれを通常、紙幣といっていますね、紙幣といっているけれども、これは法律的には紙幣ということばはないんじゃないかと思うのです。日本銀行券というものはあるけれども、紙幣というものは実際法律的にはないのです。貨幣というものはない、紙幣もない、あるのは補助貨幣だけだ、事実は。全くおかしいわけです。法律的にはおかしい。  だから、私はこの際、いまのようなまぎらわしいのをやめて、これは硬貨である。大体いま補助貨幣といっているものはみんな硬貨だから、これはどこかで法律的にそこを改めて、いま補助貨幣というのが法律になっているわけだから、これを改めて、硬貨だというような処置にしたほうがいい。もうこの間から議論をしているわけですけれども、世界的な趨勢は、金本位などに戻る可能性は実態としてないわけですね。ないという見通しがもう明らかな今日ならば、もう貨幣というものに戻る可能性がないのだから、ここらで補助貨幣なんというのはもう常識的に硬貨ということに改めたらどうか、こう思うのですが、これは政策的なあれだから、ひとつ政務次官どうですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 法律的にいまの貨幣ということばがよくない、違法といいますか、そこまでのきつい御意見ではないかと思いますけれども、使ってはいけないのだというほどにはわれわれは考えておりません。それから、あと申されました具体的な、どうもおかしいじゃないか、変えたらどうだという御意見に対しては、われわれ賛成でございます。  そこで、第一の理由は、現在貨幣法というものがございますが、この貨幣法の第一条に、貨幣は政府が製造するのだということをはっきりいっておりますし、それから第二条は、その量目を、七百五十ミリの金をもって金貨とする、こういっておるわけです。これは一種の死文化しておりますけれども、貨幣法そのものは生きているわけでございますから、したがって、たとえば貨幣の模造取締法におきまして貨幣という場合に、実際にはもう補助貨幣しかさしていないのですけれども、貨幣ということばを使うことがいけないというふうにはいえないのではないか。しかし実際上の問題につきましては、先ほど申されたとおり、紙幣ではなくて日銀券ということばを使っておるのでございますし、それからいま申しましたように、貨幣法全体がある程度死文化しておるわけでございますから、こういったものを整理し、特にまあ純分の規定ですね、金の純分なりあるいは量目をどうするかという規定は全く無効の規定ですから、ある機会には直したほうがいいと思うのです。また大蔵省当局も先生の御質問に対して、従来から貨幣法は直しますという答弁をしておるように聞いておりますが、私らも鋭意そういう意味で、貨幣法全体について変えていきたい。特に最初に申しましたような純分の規定、それからいろいろな新しい自動販売機も出てまいりまして、それと国際化に伴う問題、そういったことを考えた貨幣についての取り締まりの法規ですね、そういったもの、あるいは補助貨幣について、いま全然使わない補助貨幣も法律に載っておるわけですから、そういうものも整理するとか、そういうことを考えたいと思いますが、ただ、いま申しましたように、さしあたりは支障がないので、これはやりますといろいろな思惑とか何か出てまいりますので、そういう点が出ないような、いまはインフレとは申しませんが、経済全体が安定をし、国民全般にそういうものが根づいていくような時期にはできるだけ早くやれるように、まあ御指示があればいつでもやれるというような体制に準備はいたしております。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 私にも御指名がありましたからお答えいたします。  御指摘のとおりであることはただいま局長申したとおりでありますが、ただ私の感ずるところを申すと、補助貨幣という名前が大体なくなってしまうのじゃないか。金本位から始まった貨幣が紙幣、日銀券になり、世界的になくなっていく。補助貨幣という名前だけにとどまっているわけですから、この補助貨幣も硬貨ということになってしまうと、貨幣ということばが全く消えてしまう、これもさびしいんじゃないか。貨幣というものがあった歴史的な経緯を思い起こす材料ぐらいにあっても、国民にそう支障のないことであるならば、という気もいたしますが、実態に合わないということであるならば、改正することはやぶさかでありません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 政務次官、あなた、貨幣というのを見たことがありますか。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 どこかの博物館で見たことがあるかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 あなたもおそらく博物館で見られた程度でしょうし、私どもも、金本位の時代に生活していましたけれども、金貨を家に持っていたなどということはないわけです。だから実際は、日本の場合は欧州諸国と違いまして、金貨というものを流通さしていなかったわけですね。金本位だから兌換しますとは書いてあったけれども、実は金貨というものは流通してなかったから、私は貨幣というものに対する感覚というのは、ちょっと政務次官おっしゃったけれども、あまり実は国民にないと思うのです。だから、貨幣という表現から受ける感じというのは昔からあった補助貨幣ですね。本来補助貨幣であったものでなかったのかと思うのですね。私はしかし、そういう意味では変わっていいし、法律はうそを書いてはいかぬと思うのです。法律というのは、やはり国民がそれに依拠して行動しなければならぬものですからね。なくなった、いまないというのはいいですよ。しかしいま局長が触れました貨幣法の第二条ですね。「純金ノ量目七百五十ミリグラムヲ以テ価格ノ単位ト為シ之ヲ円ト称ス」、これは間違っているわけですよ。その他のことは間違っているということじゃないのです。金貨とかなんとか書いてある。確かにいまの流通のあれとは違うけれども、しかし円というのは日本のやはりスタンダードになっておるわけですね、いまでも。われわれは表現をするときにほかのことばでは言わない。何千億であろうと何兆であろうと単位が円なんですね。その円を法律でこういうふうに事実に相違することを書いておるというのは、これはもう私はすみやかに改められなければいかぬ、ほかのところはともかくとして、こう思うのです。これが第一点。ここはどうですか。よその外国人は知らないと思うのだけれども、こんなことが残っていると言ったら彼らはびっくりするだろうと思うのです。日本の円というのはどういうことになっているのだろうかと思うので、ここの部分は私はすみやかに改めておかないと、基本のスタンダードの円がいまは違うのですから、これには無関係なんだから、そこのところくらいは早急に明らかにする必要がある。全体を全部変えろとは言いません。変えたほうがいいのだけれども、いろいろあろうけれども、そこはどうですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 おっしゃるとおりだと思います。思いますが、現在七百五十ミリグラムの金をもって、これを単位として円という、この円というところは動かないわけなんですが、七百五十ミリグラムの金だという点は違うわけですね。これはIMFその他平価の規定によって、現在三百六十円が一ドルということで、しかも大体は金一グラム四百五円くらいの金の国際平価をもってきめておるわけですから、その規定に直していけばいいということになりますが、今度は世界的に見ますと、そういった国際平価自体がかなり現在動揺しておる状況ですから、そこでいまおっしゃるように、あの規定の後半は私はいいと思うのですが、前半のものにつきましてすぐ軽々にこれをいじるのもどうかなという感じでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私が言いたいのは、金幾らと書く必要はないというのです。金本位じゃないのだ。日本はいま完全な管理通貨です。完全な管理通貨を金で表現しようというのは間違いだと思うのです。だからここは書く必要はない。要するに、基本は円だということはいいです。日本の基本の通貨は円である。これはいいけれども、円は幾らだと書く必要はない。そうするとここだけ消せばいい、そういう意味では。そうしないと誤解を招くということですね。非常に間違ったことを法律が示しておる。というのは、私は法律というのは国民がやはり安心して、なるほどと思うものでなければいかぬですよ。法律に間違ったことを書いてあるということが先入感になったら法律の権威に関するわけですから、ここは本来なら大蔵大臣と法制局長官を入れてやらなければいかぬところなんで、これは重要ですから、一ぺん大蔵大臣と法制局長官の入ったところで、法律の権威を高めるためにはどうすべきかちょっと論議しておきたいと思いますが、これはこれでおきたいと思います。  そこはそこまでとしまして、そこで、今度の法律で準備資金とその他の間にできた差額の部分は一般会計に繰り入れることができる、こうありますね。これまでは一般会計へは繰り入れていないのですか、造幣特会からは。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 回収準備資金制度を設置いたしまして以来は繰り入れておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 造幣局特別会計の「歳入歳出予定額科目別表」というのを見ますと、昭和四十五年度予算に八百六十二万三千円一般会計へ繰り入れ、前年度に七百八十三万三千円一般会計へ繰り入れているのですが、そうするとこれは一般会計へこの造幣特会から繰り入れているんでしょうね。

船後正道大蔵省主計局次長

○船後政府委員 御指摘のとおり、造幣局の歳入歳出予算には一般会計繰り入れがございますが、これは失業保険に対するいわゆるマル政でございます。失業保険に見合うマル政の経費を入れておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうするといまの準備資金に無関係の繰り入れであったということですね。  そうすると、この法律が通るとこれはいつから繰り入れるんですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 現在四十五年度末に大体百九十九億ほどの超過額が出るという見込みで計算をしておりますので、これは年度末ぎりぎりということになるかと思いますが、状況といたしましては、最高婆ある場合には超過して持っておるようなことにあるいはなるかもしれませんが、そういうときでも入れるということはいたさないで、四十五年度中に超過額がはっきりしてきた段階で入れる、言ってみれば年度ぎりぎりに入れるというふうに私は考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いただいた資料だと四十四年度も実は八十七億余りオーバーになるわけですね。だけれどもそれはそのままずっと持ち越していく、こういうことになるわけですね。——わかりました。  そこで、さっき広瀬委員がやりました議論にちょっと戻るのですけれども、私、さっきちょっと日本銀行に聞いたんですけれども、日本銀行法の定める保証というのは何だ、そうすると国債が入る、こう言っているわけですね。そうすると国債というのは一体何が担保になっているんでしょうね。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 国民の税金でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 しかし国債には何も書いてないですね。そうすると、国債というのは国が出しているから、これは国民の税金が担保だということになれば、いまの造幣局の回収準備資金というものは何で担保しているかというと、円で担保しているんだ。その円というのは実は日本銀行券で、それは裏返すと今度は国債が担保になる、その国債というのは税金だ、こうくると、これは国の会計ですから、国債を出そうが——要するにいまの準備資金には運転資金があればいい。回収準備資金なんて大げさなものでなくて、運転資金があればいいのであって、要するにいまの岩尾さんの前段の、一種の支払準備のように見て国民が安心できるというような問題は、私はちょっと次元の違う性格のものではないのかという感じがするわけです。いま少しぐるぐる回しましたけれども……。だから結局、いまの回収準備資金というものは、本来的には造幣局特別会計が貨幣の鋳造その他をやる運転資金なんです。向こうへいったりこっちへ戻ったりしてそれを回転するための運転資金なんだから、運転資金に必要な範囲——さっき広瀬君もその気持ちで質問しているんですが、どうも性格から見まして、支払準備ではないのだという概念に統一をしたほうがいいのじゃないか。いまの管理通貨制度というものの権威は一体どこに基づいてくるかといえば、やはりこれは国家権力に基づいておるのだから、国が特別会計にしろ何にしろ処理をしているものは、円によって支払い準備が必要だという必要はないのじゃないか。その円は日本銀行券であって、その日本銀行券保証は、それは国債だけではないけれども、一番かたいのは、あそこに並べられた商業手形なりあるいは外国為替なりいろいろな項目がありますが、やはりそういう意味で一番担保能力が確実なのは、国民の側から見れば国債だと思いますね。商業手形といえどもその商品の価格が一体どうなのかということについては、幾ら適格手形といえども、国債よりは不安があるのじゃないかということになると、私はどうもさっきの支払い準備的発想は必要がないのじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 国債はもちろん一番適格性があるわけですけれども、先ほど吉野参考人は金地金というふうに言っておられました。やはり金本位制度以来の沿革というものが大きく金融制度全体にかぶさっておるわけでございます。そこで理論的に言いますと、実は私が主計局におりましたときには、こんなものは積み立てる必要はないということで、みな使ってしまえ、こう言っておったのでございますが、実際上各国におきましても、先ほど御説明いたしましたように、全部発行差益というのは一般財源に使っていくというふうにしておけばいいという措置をとっておりますので、いまおっしゃるようにしてもいいのではないかと思っておったのですけれども、しかし長年国民がこういう制度になじんで、明治以来ずっとある積み立てをもってやってきたという伝統と、先ほど広瀬委員からも御質問がありましたように、政府は素材価値の低い通貨を発行して、それによってできた鋳造差益を回して金をとっているのじゃないかというような変な議論を起こしてはいけない、こういうことを考えましたので、次元は確かにおっしゃるように違う話だと思います。思いますが、そういった次元からこの制度はやはり現行制度で処理していくのがいいのではないか、こういうふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 確かにいまの発想全体がやはり貨幣法みたいな感じが非常にするんですね。貨幣に関係しているからでしょうね。まさに博物館入り的な発想がずらっと並んでいるわけですね。私は実はいまの日本銀行券の問題も、何というか、通貨体制というものがいま非常に違っておる現状ですから、一ぺん、時期は別としても、さっき理財局長が言われたように、紙幣なら紙幣というのはどういうもので——それは日本銀行券でもいいのだけれども、それを一々ああいう表現によって保証をするというよりも、これはもう簡単に国が保証するということで十分なのじゃないか。というのは、さっきの地金なんていう発想も、これはまだ金本位ということに関係があるわけですね。金・銀地金というものと通貨の関係というものをそういう形で置いたというのは、この金本位と無縁ではなかった。金本位は解禁したり差しとめてみたり、いろいろなことが過去にありましたけれども、どうもそういう意味ではこの通貨体系全般がやはりもう少しきちんと整理をされる必要があるように私は思う。どうも毎度その式の話をするときに同じことを言っているようですが、これについてあとで一ぺん大臣に来てもらって言いたいのは、デノミネーションがひっかかるのじゃないかという不安があるのじゃないかという気がするんですね。しかし私は、このデノミネーションなんというものはいまの通貨体制全体の問題とは全然違う問題なので、ですから通貨の諸法律の整備ということがデノミネーションがやられなければできないのだなんというのも私はおかしい議論になるように思うので、ここらはきわめて高度の政策的な判断にも関係しますから、大臣に出席をいただいて処理をしたいと思いますが、要するにいまの補助貨幣の問題というのが非常に問題が多いような気がいたします。  それからもう一つだけちょっと伺っておきたいのは、この造幣局特別会計というのは資産勘定といいますか、それで会計を見るんだ、こういうことに法律が書かれておりますね。特別会計法のほうはそういうふうに法律が書かれておるわけですけれども、これは特に造幣局特別会計というのが資産によって見るのだ、現金の出納その他では見ないという形に法律のたてまえはなっておる。これは一体なぜこういうふうになっているのか、これをちょっと伺いたいと思います。

船後正道大蔵省主計局次長

○船後政府委員 御承知のとおり造幣、印刷いずれも企業会計の範疇に入る特別会計でございます。こういう企業会計におきましては資産を中心に経理をしていくという立て方をいたしておりますので、そういう関係上、法文も資本、資産というものを中心にでき上がっておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、これは現業だという意味ですか。この会計の主体になっておるのは現業だから。普通の特別会計は大体出入りで見るわけでしょう。これは第五条に「この会計の経理は、現金の収納又は支払の事実にかかわらず、財産の増減及び異動の事実に基いて行う。」こう明記されているものだから、そこで普通の特別会計というのは現金の異動、支払いによって区分されるのが経理だと思うのだが、ここではそうなっていない。財産の異動だ、こうなっているものですから。しかし特別会計といえども、もし財産の異動なんということになると、いまのような支払い準備なんかの出入りというのは現金の異動なのではないか。だから私はこの法律の書いている意味がちょっとよくわからない。

船後正道大蔵省主計局次長

○船後政府委員 企業会計でございますので、また先ほど申し上げましたような立て方になっておるわけでございますが、回収準備資金のほうになりますと、これは歳入歳出外の資金として経理する必要がございますためにこういう立て方になっておるわけでございますが、ここに特別会計に書いておりますのは、作業というものを中心にいたしまして経理の方法を規定しておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっとよくわからないのですよ。ちょっとよくわからないというのは、資産勘定の増減で会計が経理をされているということなんですね。いまのあなたのお話だと、その資産勘定の増減以外に回収準備資金というものがある。この回収準備資金というところは、この書類を見ると現金出納、現金の異動の処理になっていますね。だから、この経理ははっきりとこういうふうに「この会計の経理は、現金の収納又は支払の事実にかかわらず、財産の増減及び異動の事実に基いて行う。」なんということが経理の原則になっていて、どうもいまのこっちの支払準備資金、このほうは明らかに現金の異動だと思うのです。だからちょっとそれが、なぜこういう表現が法律に書かれていて、その次には「前項の財産の増減及び異動の事実がいつ発生したか及びその事実がいずれの会計年度に属するかについての経理の基準は、政令で定める。」なんて、たいへんむずかしいことがこの会計の法律には書いてあるのです。ですから、どうも見た感じが、こちらの歳入歳出予定なんというのを見ると、ちっともこれは財産になっていないですね。これは単純な一般の金銭の出納に基づく特別会計になっておる。だから、一体法律とこの予算とは違うのか。経理というのはやはり予算等を含めての問題になるんじゃないでしょうか。

船後正道大蔵省主計局次長

○船後政府委員 ちょっとことば足らずでございましたが、造幣局特別会計は二つの経理に分かれておるわけでございます。そのうちの一つが、貨幣製造その他記章でございますとか、いろいろな製造をする事業、これに関する経理が一つ、いま一つが補助貨幣の発行受け入れ金というものを原資とする補助貨幣回収準備資金に関する経理、この二つに分かれております。そして御指摘の第五条でございますが、第五条に掲げておりますのは、初めに申し上げた貨幣の製造その他造幣局の事業にかかわる経理につきましては、これは五現業に共通した考え方でございますが、いわゆる発生主義の原則によって経理すべしという意味の規定であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、この造幣局特別会計というのは現業的会計と、それにかかわりのないいまの補助貨幣回収準備資金という——これもこの法律のたてまえからいうと、いまの第五条のワクの外だとは別に書いてないんじゃないですか。確かに第三章「補助貨幣回収準備資金」という項があって、十八条以下書いてあるけれども、しかし「この会計の経理は、」と、こうぼんとかましてあるところを見ますと、——ただし十八条以降はこの限りでないと、こう書いてあるのなら私はいまの話でいいと思いますが、どうもこの法律の書き方から見ると、これは全体の場合からいけば、第一条「造幣局の事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。」こういうことになってきて、「経理の区分」というのは「この会計においては、造幣局の事業の資産及び資本の増減異動並びに利益又は損失を明らかにするため、資産勘定、資本勘定及び損益勘定を設けて経理するものとする。」こういうふうになっていますね。そして経理の方法はこうだ。書かれているのは資産勘定と資本勘定と損益勘定、こういうふうに区分されて、その次に「経理の方法」こうきているわけだから、どうもいまの説明のように二つあるというわけにはちょっといかないのではないでしょうかね。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 先生もよく御承知のように、政府関係機関とそれから特別会計におきまして、会計法あるいは各機関の法律で経理のやり方をまずきめます。それからやり方をきめたあと、実際上に国会で歳出権をいただくためにその歳入歳出予算というものを提出して御審議をいただいて承認を受けるわけでございます。そこに書いてありますが、特別会計法の規定というのはどういう経理を造幣局はやるのかということを規定しておりますので、それはいま申しましたような企業会計でございますし、おっしゃいましたような現業官庁でございますから、そういうやり方で、発生主義でやるんですということで、実際にもそういう経理をやっておるわけです。そこで国会に、今度はどういう歳出権をいただき歳入見積もりはどうであるかということを出す場合には、そういうものをまたそういった意味での抽出整理をいたしまして、その歳出額あるいは歳入額というものを経理をして御審議に供している、こういうことでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、たとえばここに出ておるものとか、予算書に出ておるものとか、あるいは私どもがちょうだいしているいろいろな回収準備資金の出入りの関係、こういうのはいまの経理と別建てに一応計算をしただけであって、経理ではないというのですね、表現はおかしいけれども。ここにある損益勘定なり、いま私がちょっと読み上げた、要するに事業会計的なもの、貸借対照表なり、そういう形のものだけが経理であって、ただ便宜的に、国会に出してくるためにこういう新しい一つの予算書を組むのだということですね、いまの理財局長の答弁は。これは便宜的なものだ。けれども、どうも土台になっておるものは、これは確かに特別会計の現業部門、常にいろいろ問題があるところなんだと思いますが、しかし特に一般会計に繰り入れるとかなんとかという関係になってくると、損益勘定その他だけで処理できるのか、そこらの関係は。

船後正道大蔵省主計局次長

○船後政府委員 造幣局特別会計法の第五条、これは原則をうたっておるわけでございますが、御指摘のように、この貨幣回収準備資金の経理の方法につきましても、考え方といたしましてはこの特会のある勘定として経理することも可能でございます。現に昭和二十五年の改正以前におきましてはそのような経理のしかたもしておったわけでございます。ところが二十五年の改正の際の考え方は、歳入歳出として経理するよりは、歳入歳出外の受け入れとして経理するほうがより適しているという趣旨から、現在のような制度に改められているわけでございます。  なお、先ほど理財局長から申し上げました国会の議決を要する歳入歳出予算でございますが、それは現金の収入支出の中で、特に歳出権として国会の御審議を得べき部分を抽出いたしまして、その部分につき御審議を願うという立て方になっておるわけでございます。  なお、この貨幣回収準備資金を今回の改正によりまして一般会計に受け入れる手続でございますが、一般会計サイドにおきましてはもちろん歳入の中に受け入れを見込んでおります。他方、造幣局特会におきましては、これは資金の受け払いでございますので、歳入歳出予算とは関係ございません。その経緯は貨幣回収準備資金の増減に関する計画表という付属資料の中に明らかにいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 はい、わかりました。  それじゃ、以上で終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 午後三時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時四十八分開議

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。貝沼次郎君。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について質問をいたします。非常に次元の低い質問で恐縮なんでありますけれども、二、三お伺いいたします。  初めにこの法案の「理由」というところがございますが、この「理由」というところに「毎会計年度末における補助貨幣回収準備資金のうち補助貨幣の発行現在額をこえる部分に相当する金額を一般会計の歳入に繰り入れることとする必要がある。」こういうふうにありますが、この「必要がある。」ということについて、この前の提案理由の説明においてはたしか入れたほうがいいというふうな意味の内容であったと思いますが、「必要がある。」ということはどういう意味でしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 普通、法律案の提案理由の概括を最後にいたします際には、なぜこの法案を出すのかということを書きます場合に、「必要がある。」という表現を使うことが非常に多うございます。したがいまして、実際の提案理由の中でいろいろといっておりますことをまとめまして、提案理由として、「必要がある。」というような表現をしておるものでございまして、内容は提案理由による御説明したようなことでございますが、それらをひっくるめてみると「必要がある。」こういうふうに御理解を願いたいと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そうすると、これは入れなければならないという意味ではなく、入れたほうが望ましいという意味の「必要」、こういう意味でしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 そこにございます「必要がある。」といいますのは、こういう法案を提出する必要があるということと、それからいま申しましたような意味で入れるべきであるということ、両方かねて「必要がある。」といっておりますので、提案理由のほうではややその辺のところが説明的に書いております。必ず入れねばならぬというようなものかどうかという点は、先ほど来の議論でおわかりのように、今年ももう超過しておるわけです。今年も超過しておるのですけれども、今年は入れないで来年度、四十五年度からこの超過額を入れるわけでございますから、そういう意味では必要がある、さらにまた法案としても必要があるということで、両方受けて書いたわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこでこの回収準備資金が発行高の一〇〇%を上回った場合一般会計に繰り入れる、こういうことでありますが、これはどうしても入れなければならないものでしょうか、その点の見解をお伺いしたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 回収資金は、るる御説明いたしましたように、運用部のほうに預託をいたしまして運用益を生んでおるわけです。そこで、発行いたしますと、その発行額がまた運用されて利益を生み回収資金がふえていく。ふえていきまして、実際の発行残高よりも超過をいたしました際に、これをどうしても入れねばならないものと解釈するのかどうかということの御質問だと思いますが、われわれは、この回収資金の目的自体が、そういった残高発行額に見合う準備資産があるということで国民の通貨に対する信認を得ておるというふうに解しておりますので、それ以上になりましたものは、いわば信認を得るという立場から見ますれば要らないものであるというふうに解しておりますので、したがってそれを超過したものは全部入れたいというふうに考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 特別会計でそのまま持っていても不都合はない、その点はいかがでしょう。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 特別会計で持っておりましても決して不都合ではございません。むしろ手厚過ぎるというような感になるかと思いますけれども、現在一般会計と特別会計というものを区分経理をいたしておりますのは、それぞれそういった目的に沿って運用されることを前提にいたしまして区分経理をするわけでございます。したがいまして、回収資金というものが造幣局特別会計の歳入歳出外資金として経理すべしというこの規定になっておるわけでありますけれども、その際に、いま申しましたように目的より以上にオーバーをしているならば、区分経理をする特別の事情というものは特にないわけでございますから、その分は一般会計に入れていく、いわゆる特別会計の基本となります一般会計に繰り入れていくというのが本筋であろう、こういうふうに考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこで、この特別会計法ができたとき、一〇〇%を上回るようなことが予想されなかったのかどうかということですね。もしそれが予想されるならばちゃんとその条項があっていいはずである。ところが現在この修正をしなければならないということは、やはり何らかの意味があってこの項目がなかったと思うのです。特別会計法の十八条の四ですか、ちょうどこの逆みたいなかっこうになっておると思うわけですけれども、その点について説明をお願いしたいわけです。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 回収資金につきましては二十五年に制定され、さらに二十八年、三十二年ですかに改正があったと思いますが、ずっと回収資金の繰り入れの金額をごらんいただけばおわかりになると思いますが、最近に至りましては非常に運用益が出てまいったわけでございます。従来はさように運用益も出てまいりませんし、また補助貨幣自体の発行額も非常に大きくなってきております。そういうことは二十五年ごろは考えておりませんでした。したがいまして、一般会計から、引きかえ、回収等にもし不足する場合には入れるんだというような規定も置いて万全のかまえをしておったわけです。いまのように超過していくということはそのときには考えていなかったということでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 さらにちょっと意地の悪い言い方でありますけれども、一〇〇%を上回って、そしてそのお金が一般会計に繰り入れられる、こういったことをやっていけば非常に簡単でいいわけでありますけれども、しかしちょっと心配なことは、コインの素材を落としてさらにその金額がふくれてくる、あるいは運用利息を高めて受け入れていく、こういったところから一般会計の安易な財源の調達になりはしないか、こういったことをちょっと心配するわけでありますが、この点について心配があるかどうか、お答え願いたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ただいまの先生の御指摘の点につきましては、先ほど堀委員の質問の際にもお答えいたしましたが、補助貨幣と申しますものは非常に取り扱いが便利である。それから摩損その他消耗しないということ、さらにほかのいろいろな硬貨と区別しやすいという三点が最大の目的でございまして、そのために必要な貨幣をつくるということでございまして、先ほど先生の申されましたように、結果的には、おっしゃるようにたくさん硬貨を入れていけばそれだけ額がふえるわけでございますから運用益もふえる。そうすれば一般会計に入れる金もふえるという理屈にはなりますけれども、補助貨幣自体の発行につきましては、われわれはそういった一般財源をふやすためにつくるということは全然考えておりませんし、いま申しました取り扱いの便宜と摩損しないということ、ほかの貨幣と区別しやすいという原則に合うように補助貨幣をつくるということをいたしておりますので、さような心配はないと考えます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 全然考えていないということは、そういうふうにはならない、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 けっこうだと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それからもう一つ、補助貨幣の素材について、たとえばこういう素材以下のものは使ってはならないとか、そういったような規定はございますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 特にこういったものを使ってはいけないというような法的な根拠はございません。それで、現在臨時通貨法に基づきまして補助貨幣をつくります場合には、その量目、素材その他の品目につきまして政令を出しまして、その政令ではっきりと規定をいたしまして発行するという手順を踏んでおりまして、その意味ではいま申されたような御心配はないということを申し上げておるわけであります。法律的にはこれ以下にしてはいかぬというような規定はございません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そういった規定を設ける必要はありませんか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは世界各国全部そうでございますけれども、補助貨幣、いわゆるなぜコインをつくるのかということにつきましては、それぞれ取引の便宜のためにやっておるわけでありまして、昔は、先生も御記憶のように、たとえば百円についても銀貨がございました。まあ非常に銀が高くなりまして、素材価値のほうが額面より高くなってしまう。またニッケルを使っております。これも非常に高くなるということになりまして、だんだん一般的に素材がオーバーしていくという傾向もあるわけでございます。そういうことも勘案しまして、世界各国がわが国と同じように、だんだん白銅化の方向に硬貨は変わっていくという趨勢をとっております。そういう常識的な判断で処理をいたすものでございますから、特に規定とかその他をつくる必要はないというふうに考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 ということは、これからさらに適当な金属があればそれを使っていく、こういう意味でしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 貨幣というのはやはり国民のなじみということが非常に大切でございます。したがって、従来使っておるものを変えるということは非常に困難であります。かりにいまと同じようなものが、程度のあれではございますが、できるにいたしましても、安くできるからそれに変えるということは絶対いたしません。国民全般の使用の面から見ましてそのほうが便利である、あるいは摩損しない、あるいはほかと区別しやすいというようなはっきりした根拠がございましたときに初めて考え得る問題だと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それでは補助貨幣の発行制度についてお尋ねいたしますけれども、この回収準備資金の制度でありますが、諸外国においてできておるところはあるのでしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 回収準備資金というような、補助貨の発行に伴いまして準備資産をつくっておくという制度は、先進諸国のアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、カナダ等においてはやっておりません。補助貨幣の発行制度につきましては、どこが発行するのかという問題、いわゆる政府か、あるいは中央銀行かというようなあり方と、それから政府がやります場合に、あるいは中央銀行が発行します場合に、それに応じた見返りの資産を持つかどうか、二つあるわけでございます。いま申しましたような先進諸国は、大体において補助貨幣というものを政府が発行するということにいたしまして、しかも政府が発行したものについては準備資産を持たないで、一般の財源として使う、こういうやり方をやっております。新興国におきましてはいま申しましたような、アフリカ等の新興国では中央銀行に通貨を全部一元化していこうというような動きが非常にございまして、そういうところでは中央銀行が発行しておる。その場合には、先ほど来議論がございましたように、日銀券と同じような準備資産を持って発行していくという形をとっております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 先進国の場合はいまそういう制度がない、こういうお話でありますけれども、どうして日本だけが必要なのか。午前中ちょっとその議論もありましたけれども、どうもはっきりしなかったので、もう一度お伺いします。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは、やはり非常に沿革的なものであろうと思います。従来から、わが国では明治以来、こういった補助貨幣につきましては、本位制度のときからいま申しましたような準備資金的な準備資産を持つというやり方をやってまいりました。したがって国民全般に、そういうような保証があって初めて補助貨幣は出されているという安心感があり、それがずっと根づいて現在まできておると思います。そういう意味では、私は現在の日本の制度は、先進国がこれを債務と考えないで一般財源に入れているわけですから、それよりは、政府自身が一つの債務であるというふうに考えて、ある一定額というものを積み立てている制度のほうがなおすぐれておるというふうに思いますし、現状でも私は非常にいい制度ではないか、かように思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこで、いままでにいろいろと回収あるいは引きかえがあったと思うわけでありますけれども、日本の場合最高、年度でどれくらいのパーセントまで引きかえ、あるいは回収ですね、金額でどのくらいの額があったのが最高であるのか、それを私は聞きたいのです。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 引きかえ、回収の最高額の年度の御質問でございますが、四十二年度に七十二億円の回収がございました。四十三年度に六十六億円の回収がございました。四十四年度に六十二億円の回収がございました。ちなみに四十一年度は五億円でございますので、いま申しました四十二、四十三、四十四年と最近だんだん多くなってきておるということでございます。その中でも四十二年度が一番多い、こういう実績でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 パーセントで言うと……。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 大体その貨種の二%程度が引きかえになります。それから回収につきましては、先ほど議論のありました五十円でございますが、五十円の大きいもの、これは百円よりも素材価値が高くなるというので、評判が悪いのですけれども小さい穴のあいたものになるべく変えていこうという意味で回収をやっております。そういうものについては、そのパーセンテージを変えて回収しているという結果になっております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこで回収準備資金が一番多いときでも四十二年度の七十二億、こういうところから見ますと、私は何も一〇〇%なくても、たとえば八〇%とか五〇%とか、これくらいあればいいのではないか、こういう気もするわけでありますが、この点についていかがでしょう。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは先ほど来議論がありましたように、私も実はそう思っておりますし、本来一〇〇%なければならないというはっきりした理屈はございませんが、ずっと日本の補助貨幣の発行額に見合う準備資産を持つということで国民の信認を得てきておるというところからいいまして、ちょうど発行額一ぱいまで持つということは必要であり、かつまた十分であるというふうに私は考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 この回収準備資金が一〇〇%ということをこれからずっと続けていくお考えなのか、それとも幾らか手直しをするお考えなのか、この辺のところを聞きたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 今後とも現在の規定をこのまま守っていきたい、かように考えております。改正されましたならば……。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこで、この回収準備資金のいままでの推移なんでありますけれども、補助貨幣の回収準備資金と、それから補助貨幣発行現在高の差額を、年度別にずっとその数字を示していただきたい。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 いつごろから数字を申し上げましょうか。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこにあるものでけっこうです。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 非常にこまかいものでございますけれども、昭和二十五年のいまの改正のときから申しますと、二十五年が差額がマイナスの十七億でございます。二十六年がマイナスの十六億、二十七年がマイナスの十五億、二十八年がマイナスの二十八億、二十九年がマイナス三十八億、三十年がマイナス四十四億、三十一年がマイナス四十九億、三十二年がマイナス五十一億、三十三年がマイナス四十億、三十四年がマイナス七十九億、このときちょっとふえております。それから三十五年にマイナス九十二億、三十六年にマイナス百七億、三十七年にマイナス百三億、三十八年にマイナス百十七億、三十九年にまたふえまして百四十億、それから四十年にマイナス百三十三億、四十一年にマイナス九十四億、四十二年にマイナス八十五億、四十三年にマイナス十五億でございます。これがその後若干変化して、四十四年、今年度末では八十七億のプラスになる予定でございます。それから四十五年は、御審議いただいておりますように百九十九億のプラスになる予定でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 いまの数字から見ますと、三十五年から四十年、この間に非常にマイナスが多くなっているわけでありますが、これはそのバックにある経済成長その他の問題が影響しているんだとは思いますけれども、この数字の変わり方についてどういう意味があるのか、説明を願いたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 この場合、三十五年から四十年のときには、一つには、従来は単純な製造経費であったんですけれども、事業経費についても繰り入れができるような体制にいたしました関係上、造幣局の経費全体がふえてきたということが一つございます。  それから、貨幣の発行高自体も、三十三、三十四年にふえました発行高に比べますと、この間は非常に少ない発行高で、数字は三十八年から若干ふえております。三十九年にふえておりますけれども、三十五年から三十七年までは非常に少ない額しか発行しておらない、かような意味で、その差額というものが相当大きかったということであろうと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 次に「補助貨幣製造高の推移」という表をもらっておるわけでありますが、この表を見てみますと、四十一年、四十二年、四十三年、四年、五年と表が出て、各コインの枚数あるいは額面金額というのが出ておるわけでありますが、これを見てふしぎに思うことは、十円の青銅貨幣、これは大体ずっと同じような傾向です。ところが五円のほうが、四十四年が二億四千万枚ですね。それから四十五年が二億六千万枚、これは五円をおそらく変えたとか、そういうことによるものと思うんですが、ただふしぎなのは一円のほうです。四十三年度はものすごく少ない。そこへもってきて四十四年、特に四十五年においてはものすごく上がっておるわけですね。この理由を説明していただきたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 一円貨は、御承知のように非常に流通市場から後退をいたしまして、ほとんど特殊な取引しか使われないわけでございます。そのために、皆さん一円はばかにされてお使いにならなかったり、あるいはうちに置いておくというようなことから、従来発行いたしておりました一円の貨種が非常に減ってまいったわけでございます。取引に不便を来たすような状態になりましたので、四十四年でございますか、特にそういうものを補てんするためにたくさん一円貨を発行したと  いうわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 取引に非常に不便を来たしてきたということでありますけれども、そういう不便になった、不便でないという判断はどういうものを基準にして判断されるのですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは各金融機関あるいは各商店その他等において、いろいろな不満の声も聞かれますし、特に日銀におきましていろいろな決済等をしておりますが、日銀当局からの意見を中心にわれわれは判断しておる、こういうことであります。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 経済の規模の拡大に伴って補助貨幣の発行高は今後もだんだん伸びていくんじゃないかと思うわけでありますけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 現在の日本の経済は非常に量的に拡大をしておりますので、その拡大に応じて補助貨幣の発行高も増加しておるというふうに判断をいたしております。ただそれぞれの貨種につきましては、先ほど申しましたような特殊の要因というものもありますから、そういうものを勘案しながら毎年度の貨幣の計画を立てるということをやっておる次第でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 今後さらに補助貨の発行高がどんどん上がっていった場合でも、先ほどのように回収準備資金は一〇〇%やっていく方針ですか、その点をお伺いしたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 先ほど来申し上げておりますように、発行高と同じ額を準備資金として持とうというのは、国民の補助貨幣に対する信認を確保するためでございますから、今後補助貨幣の発行により発行高もふえますが、準備資金も運用益等によってふえていく、そういう場合におきましてもこの制度は維持していく決心でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 先ほどから国民の信認を確保するという理由が何回か出ておるわけでありますが、これは何か調査でもなされて、その結果があったのでしょうか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 特にそのための調査をやったということではございませんが、われわれも国民の一人として考えておる考え方を申し上げたわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 私は、国民の信認ということはちょっと大き過ぎるのではないかと思うのですね。むしろ当事者の感覚としてそういう感覚なのではないか、こういう気がするわけであります。したがって、こういう点についてもやはり何らかの、たとえばアンケートをとるとか何かをすればすぐ調べられることでありますから、一回くらいはやってみたほうがいいのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょう。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは私、おっしゃる意味もわかりますけれども、国民の代表である国会でいろいろ御議論をいただくことが国民の気持ちを一番よく伝えておると思います。いま申しましたような制度の問題につきましても、先生方の御意見で、限度一ぱい持っておればいい、あるいは持たなくてもいい、あるいはもっと持て、いろいろの御意見がございますが、それを全部まとめて考えてみますと、やはりわれわれの考えておりますようなことが一番いいんじゃないかというふうに私は考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それからもう一つ、これは心配な点なのでお尋ねするわけでありますが、逆に、将来日本の財源事情が苦しくなったときにこの資金を取りくずすようなことはないのか、この点をはっきり承っておきたいと思います。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 ただいまるる申し上げたような次第で、発行額と同じものを国民の信認を確保するだめに持とうということでございますから、これを財源事情によって一般会計に繰り入れる、あるいは発行額を下回って繰り入れていくということは絶対にいたさないつもりでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 国民生活とそれから経済取引、これの合理化あるいは能率化という観点から、百円通貨のコイン化施策というものを政府のほうではやっていると聞いておるわけでありますが、これについてもいろいろ賛否両論あると思うのです。たとえば御祝儀の場合はコインじゃまずいとか、子供がのむとか、こういうこと、あるいは使用する場合に非常に便利であるというコイン化の方向、あるいは自動販売機等の関係、こういうところから考えて、コイン化施策というものが現在どの辺まで進行しているのか、その進行の状況ですね、それを説明していただきたい。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 先生のおっしゃいましたとおりでございまして、取り扱いの便宜からあるいはまた自動販売機等の普及から、なるべく紙幣というものをやめましてコインにしたいということで、四十一年でございますか、閣議決定でコイン化を進めていくということとしておるわけでございます。その途中の段階におきまして、先ほど触れましたような銀貨あるいはニッケル貨を白銅貨にかえていくという措置がまた加わってまいりましたので、若干その辺が混乱をいたしましたけれども、いまの状況では、四十五年度に日本銀行のほうで発行されます百円紙幣、これは大体六百億と見ております。そういう点を勘案いたしますと、四十五年度末においてコイン化は七四%ぐらいまで行くのではないかというふうにわれわれは考えております。なお、現在実際上コインにかえておりますのは、北のほうは福島から大体神戸まででございまして、四十五年に広島あるいは四国を行ないたい、そして四十八年に全部コイン化を完了したい、こういう計画でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 このコイン化施策につきまして、世論の反響、そういったものはいかがでございましょう。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは先ほど先生もお触れになりましたように、われわれ日銀当局からいろいろ意見を聞いていますけれども、いなかのほうではやはり紙にくるんで御祝儀を出すというようなことから、紙幣のほうがいいというような意見もあるようでございます。都会ではだんだん自動販売機等の普及によりまして、現在自動販売機の年率の伸びが三〇%ぐらいで、八十二、三万台ありますけれども、そういうものが普及してまいっておるところでは、だんだんコインのほうがいいという気持ちが強くなってきておる、こういうことでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこで百円紙幣のほうですね、これは幾らか残すお考えですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 先ほど申しましたように、コイン化によりまして、四十八年度には全部紙幣はなくしてしまうつもりでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 全部なくしてしまえば反対のほうが非常に困ると思うのですけれども、やはり幾らか残したほうが私はいいんじゃないかと思うのですが、その辺は断固として一〇〇%なくする方針ですか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 これは御祝儀等の際だとか、いろいろあるかと思いますけれども、総体として考えればやはりコインのほうが便利なわけでございますから、いまおっしゃいましたようなお気持ちもわかりますけれども、現在の段階では、私は全部コイン化をして、百円紙幣はなくしていくという方向でいきたい、かように考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それはわかりました。  それから先ほども出ましたように、自動販売機の普及というものがどんどんなされていく、そのために硬貨の必要というものが、百円に限らずいろいろな硬貨について必要になってきているわけでありますが、現在出ている硬貨、百円、五十円、五円等、それ以外の硬貨を考えることがあるかどうか、この点についての見通しはどうなりましょう。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 現在のところは、現在の硬貨以外のものを出すことは考えておりません。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そこで、この自動販売機が普及してまいりますと、大体そのコインと同じようなものを入れれば出てくるわけです。特に、日本の場合はずいぶんサイズも違うようですからそういうことはないと思うのですが、このたびのように、たとえば万博がある。そうすると世界じゅうからたくさんの人が来ているわけです。その人たちが自分の国のコインをぽんと入れたことによって、たまたま同じような規格のものがあって出るという場合も——私は一々検査しておりませんから、自動販売機の原理も調べておりませんのでわかりませんが、しかしもしもそれで出るようなことがあれば、外国の硬貨がうんと高くて日本の硬貨のほうが安いという場合ならまだしも、向こうのほうが安いコインで出てくる、こういうことになるとこれは問題があると思うのです。したがって、当局としてはそういうことについて、たとえば調査をしたとか、あるいは研究を進めているとか、こういったことがございますか。

岩尾一大蔵省理財局長

○岩尾政府委員 確かにいま先生のおっしゃいましたようなことが起こり得るわけでございますが、幸いにして日本におきましてはそういうような事故が起きたことはあまり聞いておりません。しかし、最近西独におきましてそういった事故が非常に起きている。ちょうど英国の通貨とそれから西ドイツの一マルク、スイスフラン、大体一スイスフランが八十何ぼですか、日本の百円とほぼ近い、形状その他も非常に似ている。ドイツも一マルクが大体日本の百円と同じほど、そういうようなことでございますので、西独のように国境を接しているところではこういった間違いが非常に起きているようでございます。そこでことしの六月に、国際決済銀行におきましてそういった貨幣の不正使用に関する会議を招集いたしております。私のほうからも出席をいたしまして、そこでよく議論も聞き、実際の状況を聞いて対処していきたい、十分そういった間違いの起きないようなことを考えていきたい、かように思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 私の質問は以上で終わるわけですが、そういう国民不信のことが起こらないように十分注意をしていただきたいと思います。  以上でございます。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 開銀法の一部改正案に関連して、二、三の問題点を提起して御意見を承りたいと思います。  まことにとっぴなようでございますけれども、質問に入る前にこれをちょっとごらんいただきたいと思います。これは小学校五年の社会科で現在使っている教材でございますけれども、この中に、これからわが国の産業が当面している大きなポイントを非常に的確につかんでいるように思います。簡単に読みます。「これからの工業」と題しまして、「わが国の工業のなかで、大きな役わりをはたしている中小工場に、新しい機械や技術をとり入れるとともに、働く人々を守るしせつなどを大工場なみに高めて、すぐれた製品をつくり出すようにしていくことは、これからの工業を発てんさせるうえでたいせつなことです。」次に、新しい「工業技術を育てる」、そういうことにつきまして「わが国のすぐれた工業技術の大部分は、外国から買い入れたものですが、」「これらの技術は、第二次世界大戦でいたでをうけた国内の産業をたてなおすのに、たいへん役だちました。けれども、外国の技術にばかりたよっているわけではなく、わが国でも、すぐれた技術を輸出しています。これからは、もっとわが国の技術を育て、」新しい「技術の輸出をふやしていくようにつとめることがたいせつです。」このように書いてあるわけです。  私が、これからの日本産業のあり方というものの問題点をとらえていくとさきに述べましたけれども、政策金融機関としての開銀がこれから果たしていく役割りの中に、いまここに指摘された新しい工業技術の開発、これはもうやがては知識産業社会と申しますか情報社会への移行というものを示しておりますし、また中小企業の育成強化、つまり地方開発というものの重要性を指摘していると思います。したがって、いままでヘビーインダストリーにウエートを置いてきた開銀が、これからの産業の多様化に対応していくというその一つの線を示しておるように思います。ひとつ総裁からお聞きしたいわけですが、こういう地域開発、そして新しい情報産業についての総裁の考え方をお聞かせ願いたいと思います。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 最初に技術開発のお話がございましたが、私どもの銀行におきましては四十三年度に国産技術振興という新しい融資の柱をつくりまして、自来六分五厘という特別の利息をつけまして資金の支出をいたしております。四十三年度に九十億でございましたのが、現在におきましては、四十五年度百五十億というふうに非常に伸びておるわけであります。したがいまして、ただいま奥田委員のお話のございました技術振興の関係につきましては、従来からも相当なふえ方をいたしておりますが、今後の私どもの銀行の取り扱いまする大きな柱の一つであるというふうに考えておるわけであります。  情報産業の関係におきましては、電子計算機の関係で、俗にJECCと申します日本電算機株式会社、それに対しまする融資を、これはだいぶ前からやっておりますが、四十四年度には補正予算をいただきまして百八十億、四十五年度には百五十億という金額を計上しております。四十四年度がちょっとふえておりますのは、いままでの相当な伸びに対しまする支払いの不十分な点がございましたものですから、四十四年度は補正をもって補っていただいたわけでございますが、これも異常な金額の増加をいたしておるわけであります。  なお、情報産業関係におきましては電子工業振興法というものがございまして、周辺機器と申しておりますが、入力機械、出力機械、電算機本体に入れます前の機器の扱いあるいは出てきたものをどういう形でいわゆるディスプレーするかというような問題そのほうに、これも四十三年度以来十億内外の金でありますが、初年度にはたしか四億くらいだったと思いますが、そういうようなことによりまして、特に近ごろだんだんウエートを増してきておりまする電算機の周辺機器につきましては、そういう新しい電子工業振興法の中における融資のうちでありますけれども、そういうような支出をいたしております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 今年度のこの百五十億ですね、これはJECCに対する融資でございますか。そうですね。私たちのいままで考えてきた価値というものが、非常に質的な変化を来たしておることは事実だと思います。いままで物の尺度ではかっていった価値が、いわば今日は頭脳の組み合わせによる知的な価値へと転換をしていることは事実ですけれども、私、これについて少しお聞きしたいのでございます。  いま総裁の言われたのは、大体ハードウエアの分野における融資だと思いますけれども、ハードウエアの水準については大体世界のレベルまで徐徐に近づきつつあるように聞いておるわけです。しかしながら、いわば技術利用の面における、利用技術と申しますか、そういうソフトウエアの開発という面においては、日本はもうはっきりと大きく、アメリカは申すに及ばず、水をあけられておる。ソフトウエアギャップということばで私たちは本なんかで読むわけですけれども、この面の立ちおくれというものは各方面からみんな非常に指摘されるわけです。したがって私たちも、この情報産業社会を志向するにあたって、このソフトウエアの開発がいま一番急務ではなかろうかと思います。それで、いま現在このソフトウエアの開発の面についてはどれくらいの水準にあるのか。通産省からだれかお見えになっておると思いますけれども、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 ただいまお話しのソフトウエアの問題でございますが、御指摘のようにまだ日本の場合には非常に初期の段階にあると考えてよろしいかと思います。通常私ども、アメリカと比較いたしてみまして非常なソフトウエアギャップがある、こういうことを申しておりますが、一、二例を引いて数字で申し上げてみますと、たとえばコンピューターのコストに占めておりますハードウエアとソフトウエアの比率でございますが、アメリカではすでにこれは五〇対五〇というように、非常に高くソフトウエアの価格が入り込んでおります。それに対しまして日本ではまだ七五対二五、四分の一程度がソフトウエアの価格である。こういった面から見ましても、まだソフトウエアというものが日本では十分熟成をされていない、こういうふうに考えてよろしいかと思います。  また別の面で考えてみますと、ソフトウエアを専業にいたしております企業、こういったものが、米国では非常に大きな企業が多数ございまして、いまや年間の発注額にいたしましても、ソフトウエア投資というものは年間一兆円というような非常に大きな金額であります。日本ではわずかでございましてとても見るべきものがない。また企業にいたしましても、アメリカではたとえばCSCというような従業員三千五百人、年間の売り上げ高が約二百四十億というような非常に大きな企業があるのに対しまして、まだ日本では一番大きなソフトウエア専業の会社でもわずかに二百二、三十人、年間の売り上げも、五、六億円という程度でございまして、こういった面から見ましても、まだまだソフトウエアの面では日米のギャップというものは非常に大きなものがある、こういうふうに考えております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 総裁にお伺いしますけれども、これまで、たとえば海運を例に引きますけれども、非常に重点的に基幹産業としてめんどうを見てきた。今日世界企業というまでに成長しておることは事実ですけれども、私はもうそろそろこういう形の政策金融は転換すべき時期に来ているように思うわけです。やはり国家経済の見地から、あまりこれらの形の、いままでの果たしてきた役割りとは別に、今日の段階においてこれ以上の保護と申しますか、そういう金融上の措置というものがむしろ利益なき繁栄と申しますか、自主的にひとり立ちするために利益なき繁栄に通じているというような結果をおそれるわけです。私は、海洋開発そして原子力産業、こういう問題とともに、次の産業の本命産業はやはり情報産業だと思います。総裁は、情報産業の面については非常に関心を持っておられ、そのこと自体は、たとえばJECCに対する大幅な貸し付けの増資とかそういうものでもよく見られるわけですけれども、私は、今後情報産業はナショナルプロジェクトとして大いに推進する必要がある、そう思います。これについて総裁はひとついかがですか。簡単でけっこうです。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 これは私からお答えをいたしますより、通産省のほうからお答えをいただいたほうがいいかと思いますが、おっしゃいますように、ハードウエアのほうでございまするが、新しい大型の電算機につきましては、通産省が一昨年でございますか、昨年でございますか、いわゆる大型プロジェクトの一つとして取り上げて、非常に高い性能を持ちました電算機をまさにナショナルプロジェクトとして取り上げておられます。これはハードウエアのほうに属する。  ソフトウエアにつきましても、これも通産省のほうからお答えをいただく問題だと思いまするが、情報産業の振興協会というものがつくられまして、四十億の財政資金をもってソフトウエアの開発の関係に融資をするという仕組みになっております。したがいまして、政府としては非常にそういうところに力を入れた政策をとっておるというふうに一応承知をいたしております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 ハードウエア部門についての融資はもうすでに行なっておるわけですけれども、今後、いま御指摘になったように、通産省のほうで情報処理振興事業協会、こういう形の中で無形のソフトウエア部門に対してこれからひとつ大いに援助しよう、これを開発しようという形のことは理解しておりますけれども、開銀においても単にJECCに対するレンタル資金ということじゃなくて、すでに各企業で要員を確保して実用化しておるという企業に対して積極的な融資をされますか。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 奥田委員ここでおっしゃいますように、開発銀行法に十八条という条文がございまして、開発銀行のいたします業務の内容を規定いたしておるわけでございます。私どもの業務は、いわゆる設備資金の融通に限られるわけでございます。したがいまして、そのものに対しまする融資ということに相なりますると、これはいまの設備資金のらちをこえるわけでございます。ただ、しかしながら、現在ハードウエアの融資をいたしておりまするが、ハードウエアをある賃貸料、貸借料を払いまして借りました利用者は当然そのハードウエアに関連をいたしまするソフトウエアを利用できるわけでございますから、したがいまして私どものやっておりまする電算機の融資というものがハードウエアだけだというふうには必ずしも言えないのでありまして、この機械に付随をいたしまするソフトウエアというのは当然賃借り人が利用できるというたてまえでございます。  それから、私どものほうは設備資金の融資でございますが、近ごろはソフトウエアもだんだん専門工場をつくるようになっておりますので、ソフトウエアの専門工場に建物を建て、その中に電算機を入れているわけでございます。これは相当な金額に相なっております。これは設備投資でございますので私どものほうからの融資も可能でございます。ただ、ソフトウエアということになりますると、先ほどおっしゃいました振興事業協会のほうの新しいお仕事になるか、こういうふうに考えております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 確かに総裁が言われましたように、ソフトウエアの面については無形の価値ですから一般の金融ベースに乗るということはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、これはこの前本委員会で堀委員からも指摘されましたように、たとえばJECCに対する融資そのものについても、私はやはり相当無理な解釈上の問題があると思います。今後情報産業全般について、開銀がこれに対して積極的に乗り出す、通産省の分野は通産省でそういう情報処理の面で積極的にやはりやってもらう。これに対してはいわば政府の財政措置が必要になってくるわけですけれども、そういうことが両々相まっておくれを取り戻しておく必要があると思います。そういう点に、いまさきに総裁触れられましたけれども、私はこの開銀法第十八条の業務の範囲というものがやはり触れてくるのではないかと思うのです。はっきり申しますと、無理なこじつけ解釈をしないで、この辺で法改正をする、そして貸し付け対象業種として明記していくという姿勢が必要ではないかと思うわけです。しかし、問題はむしろ政府側の話になりますけれども、私はナショナルプロジェクトとして情報産業の開発は推進すべきである、と同時に、そういう形の中で一つの法的な解釈をめぐって、もし疑義あるいは無理な法解釈という印象を与えるならば、これはすっきりと法改正して、将来、ハードウエア部門でなくて、無形価値であるソフトウエア部門にも大いに開銀が乗り出していくというくらいの積極姿勢が望ましいわけです。この十八条の問題に関して銀行局長どうでしょうか、御意見を。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 先ほど来、開銀総裁から御答弁申し上げましたとおりだと思いますが、先日来の当委員会の御議論にもかんがみまして、まず受け入れ側の電子計算機業界の体制の整備その他につきましても十分な配慮が払われた上で財政資金の活用等が積極的に行なわれてまいる。そうして先ほど来奥田委員のおっしゃいましたような方向で電子技術の開発促進が行なわれるということは、たいへんけっこうなことであろうかと思います。  ただ問題点の、開銀法を改正いたしまして長期運転資金を含めるかどうかということになりますと、これは問題がやや微妙でございまして、そもそも開発銀行が設立されました当時におきましても、当時の民間側の金融体制というものはそれほど整っておったわけではないのでございますけれども、その当時におきましても、まず長期運転資金は民間側にまかせる、設備資金を開発銀行側で受け持つという体制であったわけでございますので、今日におきまして民間側の体制が、当時に比べますと、開発銀行法制定の二十六、七年ごろの情勢に比べますと格段に整備をされてまいりました現在におきまして、長期運転資金をも政府機関である開発銀行のほうに取り入れるということはいかがか、そのような観点から協会も設けられ、ソフトウエアについての積極的な融資体制というものも設けられたというふうに承知をいたしております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 今後の検討課題としてよく考えておいていただきたいと思います。ただ開銀に対しては、現在のJECCに対するレンタルのそういう資金融資というだけではなくて、各企業間でもすでにコンピューターを消化しておるところに対しては購入資金を融資するという、そういう方法についても積極的に取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、これは政府側に要望しておくことですけれども、やはりソフトウエアの開発については、いま言いましたように情報処理振興事業協会等に対して財政措置の面を十分に考えてやっていただきたい。  結論的にいえば、先ほどから何回も言っておりますように、次の本命の産業である、そしてまたこれは日本のナショナルプロジェクトとして推進していただきたいという形で、あとでそう政府部内のいろいろな法改正等に対する逡巡から手おくれになっていかないように、そういう点を強く要望して、この情報産業の質問はこれくらいにしまして、次に地方開発の問題に触れていってみたいと思うわけです。  この地方開発資金に入る前に、ひとつ総裁にもお伺いしたいわけでございますけれども、地方開発が特掲業種のワクに入ったそのいきさつは、やはり昭和三十二年に北海道東北開発公庫という形の公庫ができて、地方産業の育成に大きな役割りを果たしてきておる。それに対して、たとえば中国、四国、九州、北陸、そういう同じ状態にある地域産業という面が、開発銀行にやってくれ、開発銀行はそれを引き受けるという形で、この地方開発のワクが設けられたというようなことを聞いておりますけれども、この点についてどうですか。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 これは銀行局からお答えをいただくことかと思いますが、大体いま奥田委員のお話のございましたような経緯がございまして、北海道に始まりまして、開発促進法ができましたのが、北海道が三十一年、翌三十二年東北開発促進法、追っかけまして九州以下の地域につきましては私どものほうが三十四年から開始をいたしまして、おっしゃいますように四地域に対する地方開発の確立、最近におきましては首都圏近畿圏あるいは中部圏というようなところにおきましても、いわゆる都市開発地域という指定がございます。そういうようなものも一つの地域開発の対象になっておるわけでありまするが、大体経緯はいま奥田委員のおっしゃいましたとおりであります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 これは開発銀行から出ている資料だと思いますけれども、北海道、東北地方は北海道東北開発公庫が、九州、四国、中国、北陸、そして京浜、名古屋、阪神の周辺部を除くすべての地域が、やはり開発銀行の範囲に入っておるわけであります。  私はここでお尋ねをするわけですけれども、北海道東北開発公庫、これは非常に広範な業種指定をして地方産業の振興に非常に役立っておると思います。設備資金のみならず、運転資金、そして出資、そういう形で非常に恩典のある政策金融によって地方産業の振興に役立っておる。それに比較して開銀の地方開発資金のワク——もちろん去年のワクづけよりも七十億ふえて四百五十億から五百二十億になって、大幅にふえてはきておりますけれども、私は、きめのこまかい政策金融としては、やはりこの北海道東北開発公庫が業種範囲を拡大して非常に柔軟な体制で臨んでおる、こういう形にまで開発銀行の地方開発の面でやっていただきたいと思うわけですけれども、この点について総裁の御意見をちょっとお伺いいたします。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 これも銀行局からお答えをいただく問題かと思うのでございますが、北海道東北開発公庫は、先ほど申し上げましたように、私どもが地域開発を始めます前にでき上がっております。おっしゃいますように、出資機能でありますとか、あるいは運転資金を融資いたします余地がございまして、私も正確に承知いたしておりませんが、金額的にはそう大きくないと承知しておりますけれども、出資あるいは運転資金を融資しております実績が若干ございます。  私どものほうの場合には、先ほど情報産業のことにつきまして奥田委員からお触れをいただきましたように、設備資金だけでは窮屈だという面があるのではないかという声がないわけではございません。実は土地造成という、これも一種の運転資金でございますけれども、これは先般法律改正をいたしまして、土地造成の資金は出せるということになりました。したがいまして、運転資金というものに広げたらどうだという議論がないわけではございませんが、これはいまのような情報産業とかいうようなことにつきまして起こっておるわけでございまして、一般的に運転資金を広げたらどうであろうかという御要望はあまり私承知をいたしておりません。むしろ設備資金をもっと充実いたし、それにより、いまおっしゃいました四地域と申しますか、その地域に対する資金配分をもう少し強化すべきではないかという御議論は承っております。  出資の問題につきましても、これも問題になったことが全然ないわけではございませんけれども、今日出資機能が欠けておりますために、かくのごとく需要に対して応じ得なかったじゃないかというケースは、私は最近のところは承知をしておりません。ただ、議論としてはときどき出てまいる議論でございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 ともかく開発銀行の一つの機構の中で、いわばいろいろ多様化してきておるという事実、そしてまた地方開発に対するウエートが非常に高まってきておるということも事実だと思います。そういう中で、ともすれば大企業と接触しておるだけに、そういう地元産業、地場産業の育成という面については、何か私は一歩立ちおくれているように思います。それはあくまでも北海道東北開発公庫との比較関連においてですけれども、そういう形で、私たちはやはり大企業と同じものさしではからないで、やはりきめのこまかい政策金融を進めていっていただきたいと思います。ここに四十三年度の実績があるわけですけれども、たとえば北海道東北開発公庫は四十三年度の申し込み件数において三百件で四百三十八億の融資決定をされておるわけですけれども、開発銀行の地方開発は二百九十八件で四百三十九億となっております。これは間違いございませんか。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 北東公庫は存じませんが、開発銀行のほうはさようでございます。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 北東公庫のほうも間違いございません。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 私は、大企業と同じものさしではかるなということを言ったのは、実は私の選挙区である北陸のほうですね、金沢支店管轄になっておるわけですけれども、私たちの国のほうで基幹産業というのは繊維、それに付属する機械工業、それと観光、これが三つの柱になっておるわけですけれども、特に気になって繊維部門についてだけ見ましたところが、四十三年度の実績と四十四年度実績において、かえって申し込み件数、融資額についてうんと減っておるというのが実情です。数字で申しますと、四十三年は北陸三県の繊維産業に対して十二億九千万、四十四年度は六億八千万という形で減ってきておるわけです。資金需要は依然として強いと思いますし、この石川県、福井県における繊維産業のシェアというものは、現在合成繊維の部門においてはもう日本の輸出の七〇%を占めているくらいに、非常に大きな輸出産業として伸びておるわけですけれども、私は、通産省でやっている構改資金が流れてきているということもありますが、何かここに地場産業との接触が足りない、指導が行き届いていないというような感じを強く持つわけです。そういう形の中で、今後とも窓口をもっと開いた形でやっていただきたい。いろいろな批判も聞いておるわけですけれども、それについて総裁のいわば地方開発に関するもっと積極的な姿勢というものを強く打ち出していただきたい。  と同時に、通産省から谷村繊維製品課長がお見えのようでございますので、北陸における繊維産業の位置づけと申しますか、それについてちょっと数字をあげていただけたら幸いだと思います。

谷村昭一通商産業省繊維雑貨局繊維製品課長

○谷村説明員 福井と石川の二産地の絹、人繊の生産、輸出に占めますシェアをながめてみますと、生産数量で全国の絹、人繊織物の八一・九%、金額でながめまして五九・八%を占めております。それから輸出について見てみますと、数量で全国の絹、人繊織物の輸出のうち八八・八%、金額で九四・四%というようなことになっておるわけでございまして、絹、人繊織物につきまして、福井、石川両産地だけで八割ないし九割のウエートを持っておる、非常に大きな産地であるというふうに考えております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 いま谷村繊維製品課長から大体の実数で、いかに地場産業として繊維産業が北陸の基幹産業であるかということは御理解願えたと思うのですけれども、総裁、申し込み件数そのものも少なかったように思いますが、減った理由については何かあります。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 最初に、地方開発資金のうちにおきまして、地場資本と申しますか、地元の関係をどの程度に考えておるかということにつきましてのお答えを申し上げたいと思います。  これは先週、前回の機会に広瀬委員からお尋ねがございまして、地方開発資金というのはどういう使い方をしておるかということでありましたが、そのときにお答えいたしましたものの四つほどの重点の一つに、地場資本の優先ということを申しました。地方開発資金でやっておりますのは、地場資金でやっておりますものと中央の企業が進出をいたします場合と両方ございます。条件が同じであるとかあるいは融資比率というような点におきましては、地元資本のものを優先するという方針でずっとまいっておるということを申し上げたわけでありますが、これがどういうような数字に相なっておるかということを申し上げますと、お尋ねの北陸地方は、四十二年度に中央資本に属しますものが一五%でございます。これは件数でございます。それから地場資本に属しますものが八五%でございます。金額になりますと、中央資本のほうが一件当たりが高いものでありますから、貸し付け金額で申しますと、中央資本に属しますものが二一%、地元資本に属しますものが七九%、やや割合が下がっております。四十三年度にはこの割合がやや低下をいたしまして、件数で中央が二〇%、地元が八〇%、金額的には大体三割、七割ということに相なっておるわけであります。したがいまして、これは北陸地方だけではございませんけれども、地場資本優先ということを考えまして、できるだけ件数的にも、また金額的にはそれよりやや落ちざるを得ないわけでありますが、地場資本の御要請に応じてきておるという実情であるかと思います。  次に、繊維の関係でございますが、繊維の関係につきましては、御指摘になりますように、最近におきまして金額が減少してきております。全体の地方開発資金の北陸地方に対しまする融資額は大体六十億ないし七十億ということで推移してきておりまして、これは減少しておりません。その中におきまする繊維のウエートが近年やや低下いたしておるわけであります。これは一つは構造改革という形の地方開発資金でなくて、体制整備というほうで金が出ている関係もございます。ただ、北陸地域におきましては、私どものほうで出しております部分は紡績の関係でございますから、これは協会でお扱いになっていらっしゃるほうの部分かと思います。構造改革の系統から北陸のほうに出る金はきわめて少ないのであります。これが一点かと思います。  もう一つは、私どもの融資先の関係から申しますと、この一、二年、二、三年前に比べますと近代化工事が一段落した部分が出てまいっておる、こういうことだと思います。繊維産業は、ただいま通産省からお話がございましたように、全国においても重要でございますし、また北陸地域においてはきわめて重要なものでございますから、私ども、地場産業の育成と申しますか、お手伝いをいたします関係といたしましては、これからできるだけいろいろなお話を承りまして、努力をしてまいりたいというふうに考えております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 いまのお話で、繊維に対する融資額が減ったということは大体理解できました。開発銀行の金利が八・二%といたしますと、構改資金のほうの金利は二分六厘ですか、非常に安いわけですから、当然そちらのほうに流れると思います。  しかしここで実は総裁にお願いしておきたいのは、地場産業のそれぞれのトップクラスの人たちと接触して開銀に対するいろいろな意見を聞いてみました。ところが、ちょっと聞きづらいことだと思いますけれども、開銀は政府金融機関であるということだけでなくて、非常に条件がシビアだ。しかも調査にも非常に時間をかける。それも一カ月くらいならいいけれども、四カ月も五カ月もかかる。しかも敷居が高い。敷居が高いのは、これは理屈にならないと思います。おたくの職員構成からいっても、ほとんどエリート集団といいますか、九九%が大学出の男子職員で占められておるような状態で、地方産業の人たちにとっては非常に敷居が高いという印象を持っているわけです。やはり地元産業のコンサルタントのような立場で地方銀行との協調体制で指導していってやる、そういう姿勢が開銀にとって必要なのじゃないか。あるいは、開銀というものはヘビーインダストリーばかりで、われわれには縁がないのだというような姿勢がおのずとあるのじゃないかと思うのです。監督官庁である大蔵省はもちろんのこと、地方出向をなさっておる開銀の職員の皆さんも、そういう形で地方産業の振興のコンサルタントとしての役割りを果たしてほしい、またそういう姿勢であってほしいということを特に望んでおきます。  私は政務次官にお伺いしたいのですけれども、政務次官もやはり地方開発のことについては私と同じ形で、この道で出てこられておるわけですが、私は、政治というのはやはりハンディキャップを是正していくということも非常に大切な目標であろうと思うわけです。したがって、大都市、大企業中心という体制ではなくて、政策金融のあり方としては均衡のある発展をはかっていくという姿勢が非常に大切だと思います。ここにまた開銀の果たしていく使命もあると私は思います。政務次官から、特にこの地方産業開発について今後とも積極的に取り組むという力強いおことばをいただきたいと思います。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 御承知のように私は北海道選出でありますから、北海道における北海道東北開発公庫の果たした役割りについては十分承知をし、ことしの予算においても四百五十億が五百二十億に、七十億ふえたわけですが、御承知のように、北海道の金と開銀の地方開発の金とは同じ額にするというようなルールがあったようであります。北海道をふやすことが地方開発をふやすということにもなります。福田大蔵大臣もあるいは事務当局も非常に力を入れてくれました。七十億ふえたのは——新潟の災害のときに例外として八十億、たしか一般分としては四十億、特別ワクとして四十億、計八十億ふえたこともありますが、平年においては、七十億ふえたというのは異例のふえ方であったわけであります。しかしながらこの額としても、実はまだ日本の産業、経済の健全な発展、特に最近は過疎過密の問題あるいは重工業というもの、大きな鉄だとかあるいは造船、自動車産業というようなものが伸びることはけっこうでありますが、それと中小企業ないしは地方開発というものが均衡がとれておらぬということが大きな課題であろう、そういう観点からしますならば、金沢の関係を含めて地方開発また北海道東北開発公庫の資金というもののワクをふやすと同時に、内容においても現実に対応するような改正、改善を行なって、いま言った目的達成のために努力すべきものである。北海道におりますので特に関心を持っておりますので、今後とも、いつまで大蔵省におるかわかりませんが、大蔵省当局も大体変わらない考え方であろうと思いますし、開銀もそういった気持ちであろう、一体となって努力をしたいものだと思うわけでございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 政務次官のたいへん力強いおことばをいただきまして感激いたしました。ただ、あまりしつこいようですけれども、確かに地元産業は資本構成の面においてもやはりそういういろいろな批判、あるいは弱いという面が指摘されると思います。しかしそれだけに地場産業という立場に立って非常に苦労して、火種もつくり炭も自分で用意し、努力して今日の基盤を築いてきておることも事実です。したがって、開銀がとかくいなかへ行ってお高くとまって、火種も炭も供給しないで、ぶうぶう文句だけ言っておるというような姿勢は絶対あってはいけないことだと思いますし、そういう点においては、今後とも地方産業、地域産業の育成ということについては特別に大きな前向きの情熱を持って取り組んでいただきたいと思うわけです。  次に都市再開発の問題にちょっと触れてみたいと思うわけですけれども、総裁のほうで都市再開発に対する融資について全国的な例があったら、その代表的なものを二、三具体的にあげていただきたいと思います。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 大都市再開発という問題は、いま必ずしも大都市ばかりでなくて、中核都市を含んでおりますが、この仕事がやや体をなしましたのは四十二、三年からだと思います。これは何と申しましても東京でありますとか大阪でありますとか、そういうような大きな都市の交通問題、流通問題というようなものが中心でございますけれども、これが年々相当に伸びてきておるわけであります。四十二年度二百二十億でございましたのが、四十五年度には四百五十億というように、これも非常にふえてきておるわけであります。ただ、奥田委員お尋ねになっておられますのは、全体の話と申しますよりは、こういうような大都市のほんとうの過密地域におきます交通問題、流通問題ということばかりではなくて、地方の中核都市と申しますか、各地域におきまする中心都市の都市機能を整備するという問題もございまして、これは私どももお手伝いをいたしておるわけであります。  じゃ、大体いままでどういうものをやってまいったかということを申し上げますと、一つはバスターミナルでございます。これは地方開発資金の中で大体まかなっておるものを申し上げておるわけでありますが、バスターミナル、これが九州に二件、それから中部一件、それから防災街区というものがございまして、これは防災街区というものを指定いたしまして、その中におきます都市再開発の都市再改造のもの、これが北陸におきまして一件。空港のターミナルがございます。飛行機の発着いたします空港のターミナルでございますが、これが九州に四件、それから中国に一件。民衆駅というものがありまして、駅を改造いたしまして、鉄道の駅とそれ以外の民間施設を一緒にいたしました民衆駅、これが北陸に一件、中国に一件、九州に一件、それからこれは近畿でありますが、近畿の整備地域に一件、以上のようなものが主たるものであります。これは、近年地方中核都市の整備ということが問題になりまして、だんだん私どものほうにお話のございます件数もふえております。おそらく四十五年度には相当各地域にわたりまして、こういう都市再改造あるいは再開発というようなものの計画を実施いたすことに相なるものと実は考えております。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 まことに話が小さくなって恐縮でございますけれども、実はまた金沢のほうに立ち戻りますが、金沢は御承知のように非戦災都市です。京都、奈良と並んで、いわば非戦災都市であったということにおいて、むしろ今日のモータリゼーションの中で非常に都市開発が立ちおくれておる、そういうことは御理解願えると思います。そういう形の中で、いま総裁が言われました防災街区の問題についても、現在金沢の中心部である香林坊がその対象になってくると思います。また金沢駅なども高架立体交差の問題で現在非常に大きく悩んでおるわけであります。そういう意味で、こういう非戦災都市であった地域の開発がおくれておる、その点を今後とも考慮していただきたいと思います。特殊ケースでございますけれども、ひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  それで、時間もないようですから、ただ最後にちょっとつけ加えておくわけですけれども、次官にお願いいたしますが、地方開発に関して農政が非常に今日転機に立っております。北陸の単作農家についてはいろいろな意味で前途の不安と同時に、今後豊かな農村づくりというものは結局工業とのタイアップ、農工一体の形で、安定した収入というものをいわば農村地区に引っぱってきた工業との協力体制によって得ていかなければいかぬという形がいま非常に強いわけです。そういう意味で、地域開発資金の実施にあたって、こういう農工一体という形の施策推進にあたっては型にとらわれないで、北海道東北開発公庫をまた引き合いに出すようですけれども、こういう柔軟なきめのこまかい融資の運用方針で地域産業の育成に当たっていただきたいと思うわけです。それについて政務次官に一言お願いします。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 実は日本の農政が大問題になっております。昨年ヨーロッパのEEC諸国を見てまいりましたが、ヨーロッパも過剰生産の問題と、もう一つは農家所得の他産業との格差という、日本と同じ問題があります。マンスホルトというEECの農業の専門家が、日本の総合農政に似た、間引きを中心としたプランを持っておりますが、その中で感心いたしましたのが西ドイツのとっておる政策でありまして、それは、間引きをするよりは工業を農村に持ってくる、そうして農業以外の所得を与えるということを積極的にやっておるわけであります。それには二つの施策が必要でありまして、一つは道路を整備する。地方でも工場が成り立つ環境をつくるということが必要であり、工場を持ってくるについての援助を政府が積極的にやる。この二本立てで西ドイツの農政転換をはかろうといたしておりまして、非常に参考になったわけであります。  日本の場合でも、農村から農家を間引くというよりは、できるならば農村に工業を持っていって、在村のまま働ける。これがまた、先ほど言った日本の過疎、過密なり、産業配置の適正化ということからきわめていい政策ではないかということでございまして、党の政調会においても、前の根本さんは非常に御熱心でございました。まだ党の成案を得ておりませんが、党とも今後この問題について前向きで考えなければなるまい。まだ大蔵省としてはっきりした態度はきめておりませんけれども、今後の大きな課題であろう。現在としては、四十五年度の貸し付けワク五百二十億があります。また大都市再開発の融資ワクもありますが、その中でそういった方向に沿った配分をやり、とりあえずはそういった方向でいきますが、将来の問題としては、これは大きな課題として御協力をいただかなければならないのではないか、このように考えておるわけでございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員 いろいろ質問いたしましたけれども、情報産業をナショナルプロジェクトとして推進してもらうということと、地方産業の育成強化がすなわち地域開発であるという形の基本姿勢をもって、今後前向きに取り組んでいただきたいと思います。  これをもって私の質問を終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 開銀の政策課題が、三十年代の前半では基幹産業の強化育成ということ、後半あたりから産業構造の高度化、国際収支というように変化をし、さらに産業間、地域間の均衡ある発展あるいはまた技術開発というような立場で、徐々に、経済発展の段階に応じて政策課題も変わってきておる。それに即応しつつ今日まできたということになっておるわけでありますが、さらに最近では大都市再開発、地方開発というような課題を含めて運用されてきている。そうしますと、どうしてもやはり、本法案の冒頭にわが党の阿部委員の質問に対して、経済の再建という問題は、政務次官のお答えでも、これはもう終わっていることになってきている、こういうようになっているわけであります。  産業の開発というのは、これはまあ永遠の課題であるかもしれない。そういう意味では残っておるわけでありますが、今日この政策課題が、そういう開銀法をつくった当時とはかなり事情が変わっていることはだれしも認めておるはずであります。そういう中で、最近の大都市再開発であるとかあるいは地方開発、あるいは流通近代化、あるいは産業公害の問題というようなものは、むしろ経済の開発、産業の発展というようなことよりは、佐藤総理がよく言う、いわゆる経済の発展だけではいけないんだ、社会開発ということに重点を置かなければならぬし、七〇年代の課題はむしろそういう面だ、こういうことになれば、これはやはり開銀法そのものを基本的に改正をして、新しいものにつくりかえていく、新しい政策課題を支障なく、何の抵抗もなしにやれるようなものにつくりかえていく時期にきているだろう、私はこういうように思うわけです。  そこで、これについての考え方をお聞きしたいし、また与党の一部にも、これは昨日の毎日新聞に出ておるわけでありますが、社会開発銀行、その場合には、開発銀行の立場は、経済、産業開発というように比較的狭くシビアに限定をする、こういうような意向だろうと思うわけでありますが、社会開発銀行というようなものにして、大都市再開発であるとか、あるいは流通の近代化であるとか、産業公害に対する政策金融をやるとか、そういう問題は新しくそういうものをつくってやったらどうだ、こういう有力な試みもなされているようであります。こういうようなものを踏まえて、この問題について銀行局としてはどうお考えになるか。  また総裁も、法律第一条なりあるいは定款なりに定めたものから現在年々運用方針がきまり、運用計画が立てられている、そういうようなものがどんどん歩幅が広められていく、新しい政策課題によってやっていくということは、どうも違和感があるのではないかという時代になっておるだろうと思うのでありますが、そういうことを踏まえて、開銀総裁としての立場で、どうあるべきか、開銀法の基本にさかのぼって、もう一ぺんこれの根本的な法改正というものをやるべきではないかというように私ども考えるのですが、総裁の御意見も同時に承っておきたいと思います。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 ただいまいろいろ貴重な御意見を承らしていただきましたが、先般来の当委員会における御議論等をも参考にいたしまして、一つの研究課題として私どもも考えてまいりたいと思っております。ただ、現在におきましてのいままでの考え方といたしましては、法の許す範囲内におきまして、開銀の融資内容につきましては、時々刻々に実質を新しくしていくことによって時勢の変化に順応してまいるということでやってまいっておりまして、現在までのところ、それによってあまり大きな支障は出ておらないというふうな考え方でまいっておりますが、先ほどの御意見並びに当委員会におけるいろいろな御議論等も参考にいたしまして、また、金融制度調査会が一般金融機関に対する議論をいたします際に、当然政府関係機関についての論議も出てまいりますので、それらをも今後参考にいたしまして、重要な研究課題として研究をいたしたい、かように考えております。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 銀行局長からお答えをいただいたことで十分かと思うのでありますが、一言つけ加えて申し上げておきますると、法律の条文のことばの解釈はいろいろあろうと思いますので、これは政府でおきめになることだと思うのでありますが、一つの感じを申し上げますると、産業というものは、先ほど来御論議になりまするような公害でありますとか、あるいは社会開発でありますとか、そういうようなことを離れては運営できない状態になってきていると思います。産業そのものがそういうものの考え方、そういう施設、そういう設備というものをやりながら進んでいくということが最近明らかになりつつあり、これからいよいよ明らかになるところかと思います。したがいまして、産業というものも、ただものをつくっているというだけではなくて、ものをつくりながら世の中のためになるような形でものをつくっていく、こういうことが一つの方向となってきておると思います。したがって、産業ということばもそう狭義に考えないで、産業開発、社会開発というのは別のものだということでなくて、両者が非常に密接にくっついて、両者がうまくかみ合っていかないと産業そのものが伸びてまいらないという時代に相なっているかと思うのであります。そういう意味で、私どもも、いまの経済の再建、産業の開発ということでございますけれども、内容のほうはどしどしと新しい事態に即応するようにさせていただいておりますので、今後も引き続きそういうことで努力をいたしたいというふうに考えます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 現在までのところ、別に法改正を行なわなくても運用の中で支障なく大体やっていけるという感触のお答えがあったわけでありますが、先ほど申し上げたように、与党の中にもそういう有力な意見が台頭して、社会開発銀行をもう一つつくろうか、こういうような意見も出ておるという場合に、二十年前の法文そのままでこの運用の万全を期していけるかどうか。これはまあ関係づければ、法律に書いた文言にとらわれない、それに関連がつけられないというものでもないと思うけれども、経済社会開発というのはことば自体としても一つの熟語みたいになっているわけです。しかし与党の内部にすらそういう意見が出てくるということは、いままでの開発銀行の任務というものとそういうものとはもう分離したほうがいい、そしてそれぞれ十分な政策金融課題に対応する金融をやっていくべきだということにもなっているということでございますから、そこらの問題をどういうように整理されるおつもりか、この点を次官からひとつ政策判断としてお聞きしておきたいと思います。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 その御議論は政治的にもう当然なされていい重要なことだろうと私も思います。御指摘がありましたように、二十年前にできて、しかも何にもない廃墟と化した日本を何とか開発しなければいかぬ、戦後の復興に持っていかなければならぬというところでできた法律であります。ところが、二十年たちまして情勢が一変をいたした、しかも社会開発ないしは公害、都市開発、当時とは全然違った方向になってきておるわけであります。  そこで、四十五年度の開銀ワクの内部についてもそれぞれ見ていただきますと、エネルギーも大事でありますが、九%の伸び、あるいは海運については五・一%、それに比べて地方開発にまいりますと一五・六%、先ほど言ったようにいままでかつて見なかった増額、大都市開発については三六・四になり、電算機については六六、国産技術振興については三六%、公害についても二五%、実質的には法律は変わっておりませんけれども、それぞれそういった手当てをしておることは事実であります。でありますから、こういったことでカバーできるではないかといった考え方、先ほど開銀の総裁が言った考え方でもやれないとは思いませんが、できるならば、こういった時代であるから、社会開発銀行——名は体をあらわすといいますか、名と体と一体としたものにすべきだという議論が出てくるのは当然だと思います。われわれも今後こういったことについては謙虚に耳を傾けて、前向きで検討していくべきだろうと思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 私は、そういう新しい社会開発銀行というようなものをまた開銀のほかにつくるということにはいまのところ反対なんですよ。そのかわり、やはり開発銀行そのものを充実させ、新しい時代に対応したものにつくり変えていくということのほうがぼくはいいような気がするものですからその点を言うわけです。  さらに、対象事業の資金調達及び民間金融との関連というのが皆さんから出した報告の中にも出ておるのですけれども、いわゆる補完と奨励民間金融機関ではなかなかやれないというようなものに対して長期資金をそういう意味で出すのだということなんですが、実績などで見ましても、前にもこの問題ちょっと触れたわけですけれども、たとえば石炭については開銀融資がその対象プロジェクトの中で五七%を占めている。それから特にはなはだしいものは海運融資これは国際収支の向上というような問題でたび重なる計画造船というようなことがあって七七%、さらに国産技術振興などについても六三%、こういうようになっているし、電力についても四七%、石油が四四%というようなシェアを占めている、とすれば、少なくとも七〇%もやっているというような場合に、これが民間金融というものを主体にしてそれをいわゆる補完するのだという立場じゃもうないのですね、どう日本語を常識的に考えてみましても。そういうようなことなども含めて、ほんとうに政策課題として必要ならば、何も補完だとか奨励だとかいうようなことばなんかやらずに、七〇%でも、八〇%くらいまでもやれるような、そういう強力なものにする必要性もあるのじゃないか。対象プロジェクトの中で金融のシェアを七七%も開銀が占めるというようなことでは、補完ということではないだろうと私は思うのですね。そういうようなことも含めて考えなければならぬじゃないかということなんです。総裁にもう一ぺん伺いますが、七〇%、七七%という数字が一応出ているわけですけれども、こういうものでなお補完ということなんでしょうか。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 これは先ほど銀行局長が奥田委員の御質問に対してお答えいただいたわけでございますが、開発銀行をつくりましたたてまえは、民間資金というものが産業資金をまかなう主体であるべきだ、こういう前提で、したがって奨励、補完ということばが使われて今日に至るまでそのことばを踏襲してきているわけでございます。ただいま御指摘の海運の七七、これは実は四十四年度から御承知のように自己資金を持たせたり融資比率を下げたりしたもんですから六割台になっているかと思いますが、いずれにいたしましても五割をこえる率になっております。  これは私ども、奨励ということばと補完ということばをどういうふうに読み分けるかということはなかなかむずかしいと思うのでありますが、いわば民間企業の通常の資金調達手段をもってしては目的を達成しがたいという場合におきます私どもの融資をどの程度にいたすかという問題があります。平均のところは現在三割ですが、上がっているのは三割二分、三割を切っているかと思いますが、その中で民間資金を調達しやすいかどうかということによりまして濃淡をつけまして、海運はまだ再建になったばかりである、しかも巨額の建設資金が要るというようなものにつきましては、補完というか奨励と申しますか、われわれのほうとしては、その仕事がわれわれのお手伝いででき上がるというような意味では、おのずから金融のやり方に厚薄があるだろう。平均が二割何ぼということでございましても、六割融資するものもあり、五割を融資するものもある。それを合わせまして補完ということであり、また同時に奨励の趣旨を達することにも相なるかと思います。したがって、補完であれば五割以下でなければならないかといいますと、それほど正確に補完ということばを理解いたしますか、あるいは民間資金のつき方並びに政府財政資金のつき方、両方にらみ合わせて所期の目的を達する、しかし主体はあくまで民間資金である、こういう意味でそのことばが使われているというふうに理解いたします。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 総裁、無理な答弁をする必要はないとぼくは思うのですよ。そのあとにも、開銀融資と民間金融機関からの調達の比率を見ると、全プロジェクトでは開銀一〇対民間八という報告にもなっておる。その中で海運の占める比重が非常に大きいから、海運融資を除いてみると一〇対一一だ、こういうことになるのだという説明まで加えられておるわけですよ。主体はやはり民間だといいながら五〇%以上、七〇%、六〇%というものは、これは決して補完金融ではない。まさに海運事業などについては開銀そのものがもう中心になって、主体になって海運振興をはかっていくのだという役割りをやっているわけですね。これは少なくとも法条文の中に盛られた日本語の解釈としては補完の域をかなり逸脱している、そういうものであろうと思うわけです。だからそういうものなども含めて、補完だとか奨励だとかいうようなことなどはもう削ってしまって、ほんとうに政策として必要なものに対してはかなりの比重をもってやってもいいのだというような、むしろそういう方向に踏み切って、たとえばこれからの産業公害、これはなかなか企業にとってもいわゆるペイする問題ではないわけですね。そういう問題なんかについては政府が率先して公害を——戦争で人類は死滅しないけれども、公害で人類は死滅するかもしれないというような認識の中で、アメリカあたりでも公害問題に、たいへん真剣に国家目的としてそういう政策課題に取り組んでいるというようなこともあるわけです。そういうようなものなんかに対しては、補完だというからやはり何か遠慮があって少ししかやれぬというようなことじゃなしに、そういうものなんかはどんどんかなりの大幅な融資もできるということも考えたっていいのではないか。そういうようなことを含めて、私は開銀法の改正というものはもう時期に来ているという判断をするわけです。そういう点で前向きの積極的な政策金融等のあるべき姿というものについて、非常に限界を押えられた曲折した立場で、日陰ではないけれども何か遠慮がちな融資しかしないのだというような立場ではなしに、政策課題に対しては大胆に融資をする。国民の必要とする政策課題に対してはそういう態度をとるのだというようなことも、法改正をしなければやはりスムーズな形ではいかないのじゃないか、こういう気がするものですから、そのことを言っておるわけです。その点もう一度お伺いしておきたいと思います。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 私どもの、開発銀行の運営はかくあるべしというふうに考えております点は、まさにいま御指摘のような方向でございまして、そのときどきの時代の変遷に応じまして、いわゆる卒業生はどんどん送り出す、また新入生はどんどん迎え入れるという形で運営をしてまいる。ただいままでのところ、現在の開発銀行法によって大体支障なくいけるのではなかろうか。その運用自体につきましては、御指摘のように、これは比率が高過ぎる、あるいはこれは低過ぎるというようなものがいろいろあろうかと存じますが、大体においてそれで運営を思い切ってやっていけばできるのじゃないかというふうに考えておりますが、なお御趣旨に沿いまして十分研究いたしてまいりたいと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 それでは質問を移しますが、地方開発の問題で、当面七二年沖繩返還ということで、沖繩も名実ともに祖国に復帰する段階を迎えるわけでありますが、先ほどから地方開発の重点は北東公庫を除くということで、九州あるいは四国中国、北陸、こういうようなところになっておるわけであります。私自身は沖繩、北方領土特別委員会の委員もやっているので、本来ならば向こうでこの問題をみっちりやるつもりでおったのですが、こっちが忙しくてなかなか行けないわけなんですけれども、沖繩・北方対策庁もできる。そして復帰準備委員会もすでに発足して復帰準備が進められる。そういう中で、七二年に返還をされた、さあそれからということではなかろうと思うのです。問題はこの七〇年から七二年までの間に、かなりな程度に本土との一体化というものがあらゆる面にわたって周到に準備され、外交交渉の問題でアメリカ側の協力を得られる面についてはどんどん問題を進めて、一体化の方向、沖繩と本土との経済的なあるいは産業面における格差、所得の格差、こういうようなものなどをなくしていく努力はその間にも積み重ねられていかなければならないだろうと思うわけなんですね。そういう現状から見て、沖繩には見るべき産業も見るべき経済の発展というのも本土のようにない。そういう中で沖繩の産業というものに対して、これは国をあげての開発援助の措置というものを強力に進めていかなければならないわけでございます。しかも沖繩の地場資本というものは、これもまた非常に貧弱なものがある。こういうようなことを踏まえて沖繩に対する特に産業の開発、社会開発を含めて、政府の立場でそういうものをどういうように発展さしていくおつもりなのかどうか。この点をまずお伺いいたしたいと思うわけなんです。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 これはやや釈迦に説法でございますが、沖繩地域につきまして、以前の施策といたしましては、御承知のように四十三年の七月の沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法というものによりまして、財政資金をもって沖繩政府に対する融資を行なうという方針がきめられました。これに基づきまして四十四年度は四十五億円、四十五年度は五十一億円の財政資金が琉球政府に貸し付けられておるわけでございます。琉球政府はこの資金を産業投資特別会計を通じまして産業開発、農林漁業の振興あるいは住宅建設ということのために融資をしておるわけでございまして、開発銀行の場合には、復帰前におきましては、これと重復をして開発銀行の融資を直接琉球に出すということは考えられておらないわけでございます。  それから復帰、返還後の開発資金でございますが、これをどのようにいたすかはまだいろいろと研究課題が残っておりまして、沖繩地方におきまする現在の政府機関でございます大衆金融公庫、それから農林中央金庫、琉球開発金融公社、これらの活動状況であるとかあるいはまた将来のそれらの再建統合の見通しであるとか、それからまた、財政資金の投入を特に必要とする分野がどういうところであり、また、これに対応いたしまする現在の本土の政府金融機関の位置づけがそれぞれどういうことに相なるか、それらの金を総合的に勘案いたしまして開発銀行の位置づけというものをきめてまいらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 いま銀行局長からお話がございましたので、私ちょっと補足させていただきます。  と申しますのは、去年の十二月の臨時国会において、沖繩にお米を売り渡しまして、その代金を積み立てて貸し付けをするという関係の法律が可決されまして、現在、この三月の二十五日でしたか、鹿児島から第一便が出ております。したがいまして、ことしは約三万トンの予定でございますが、三万トンの米の代金を積み立てまして、約二十億くらいになるかと思いますけれども、その資金を産業基盤、特に農業基盤あるいは畜産の振興等の資金に活用してまいりたいと思っております。この資金は、二十年間の貸し付けということになっておりますが、利子は無利子、据え置き期間は三カ年という状況でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 かつてのガリオア、エロアなど、われわれがその資金を利用して産投会計をつくったというようなことを、米の援助を通じてやるというようなことを聞いておるわけでありますが、しかしその程度のことで沖繩の産業経済が本土並みに、七二年までにということではなかなかできないにしても、できるだけ早い機会に産業経済の開発というものは急テンポで進まなければならないだろうと思うのです。すでに四分の一世紀にわたる異民族支配の中で非常に苦労をしてきた沖繩に対して、本土側としてやるべきことは非常に多いだろうと思うのです。もう連日新聞にも出ております。琉球政府本土企業誘致に本腰、条例を設け税優遇、あるいは沖繩に電力設備が必要だということで国会からも調査団の派遣をされました。それから沖繩に自由貿易地帯をつくるというような構想もあるようでありますが、通産省としては沖繩経済振興法というようなものも考えておるということ、さらに運輸省では観光、港湾に力点を置いた開発も考えなければならぬというようなことも考えておるようでありますし、また、すでにもう民間の十社が沖繩への企業進出に名のりをあげたというようなことが伝えられたり、しかも沖繩の工業開発立地条件はきわめて有望だというような記事なども出たりしておるわけです。  こういう中で、この開発銀行が、それぞれ政府ベースで産投特別会計というような形のものがいくにしても、それが今度は七二年を迎えれば、本土とそういう問題が一体化するわけだと思うのです。そういうものをそのまま沖繩にずっと存続させて、二十億とか何十億とかいうようなそんな程度のもので開発がされることではないだろうと思うのですね。だから、そういうことで産投会計も本土と一体になるわけですから、取り込まれてくるのではないかとも予想されるわけですが、そういう民間ベースでのいろんな企業の進出、経済の開発、産業の開発というものを——これは外務省、どなたか来ていますね。外務省にちょっとお伺いしたいのですが、七〇年から七二年返還までの間に、わが国独自の立場でやるというわけにはなかなかいかない、これは当然外交交渉の問題の領域でもあろうかと思うのですが、そういう問題について、先ほどから私が申し上げているように、本土復帰七二年という、何月になるかわからないにしても、それがもう動かない事実だとするならば、その間にやはり産業の開発、経済の発展というようなものを期していく施策をどんどんやはり進める必要があると思うのです。そういう問題点について、準備委員会もできた段階でございますから、まだ明確なものが出ないにしても、そういうことは外交交渉の中でかなりの程度進展させ得るやり方というものはできるのだ、こういう点についてお伺いをしたいわけですが、いかがでございますか。

千葉一夫外務省アメリカ局北米第一課長

○千葉説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の沖繩の産業振興政策と申しますものは、復帰を待たずして、なるべく早く豊かな沖繩県の基礎をつくるために遂行しなければならぬということは、まことに私どももそう思っているわけでございます。これにつきましては、御指摘のとおりいまだに施政権がアメリカ側にございますので、わが国独自でやり得る面はまたおのずと局限されてきているわけでございます。しかしながら、いろいろとそういったような政策立案及びそれの実施に向かっての諸調査等々は、すでに現にわがほうで行なっておることは御承知のとおりでございまして、米側ともいろいろと非公式にそういった点につきましての、了解といいましては言い過ぎでございますが、それについて米側としてもぜひいろいろやってもらいたいということは非公式に申しております。正式の外交交渉におきましてこれらの施策あるいは調査等が問題になるといたしますれば、それは米国の施政権に触れる、直接触れる、ないし間接に触れる、いろいろありますでしょうが、触れる、そういう場面であろうかと思われます。次に同じくそういう事態が想定されますのは、返還協定の締結交渉にあたってのことかと思われます。それらにつきましては、とりあえずはいまだそういうことになるであろうという見通しは立っておりません次第でございます。  なお、御指摘の準備委員会におきましては、現地におきますこれらの問題に関して、日米間の協議及び調整を行なうための機関でございますので、これに琉球政府の行政主席が顧問という形で出ておりますが、全面的に行政主席の発言を尊重いたすという方針でございますので、それらを通じまして、現地において調整できますものはそこでやってまいりたい、こう思っているわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 通産省にお伺いしますけれども、通産省としては、この七二年返還に向けて、いま外務省から御答弁があったわけですが、若干の制約はあるにしても、この期間は非常に重大な期間だし、その中で地場産業を振興させる、地場資本による経済開発というものを、本土資本との円満な提携というような形を通じたり、いろいろ方法はあると思いますが、そういうものに対して現在のところどの程度その計画が具体化しているのか。先ほど私、新聞の一部を読み上げたわけですけれども、それらを踏まえて、通産省として沖繩における地方産業の開発という面についてどの程度の計画を持っておられるのか、この点をお聞きいたしたい。

長橋尚通商産業省企業局次長

○長橋説明員 通産省といたしましては、沖繩の本土復帰に備えまして諸般の調査研究をいたしておる段階でございます。できるだけ早く本土経済と一体化した形で沖繩経済が復興されるということが好ましい、こういう考え方に立ちまして、総理府の御協力も得まして、昨年末、また先般、二回にわたりまして立地関係の調査団を派遣いたしまして、産業振興の基盤になる産業関連諸施設の整備の問題それから企業立地の問題等々について、第二回の調査団におきましては、進出可能性を持ちます有力企業の代表の方々にも参加をお願いいたしまして、地道な調査を意図してまいっておるわけでございます。こういった調査の上に立ちまして通産省としての産業振興策、こういったものを取りまとめたい、かようなことでございますが、いまの段階は成案を得る、こういった状態にはまだ至っておりません。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 復帰までの沖繩経済振興は、通産省というよりも総理府のほうの仕事ということになっておりますので、私から申し上げたいこともあるわけでございますが、総理府といたしましては、実は昨年の十月に沖繩経済の振興基本構想というものを、これは総理府の考え方をまとめたものでございますが、そういうものを一応つくりまして、それを各省に提示いたしまして、各省の意見によってそれをさらに修正をしてまいりたいということで、目下各省と調整中でございます。  現地の沖繩におきましては、琉球政府が長期計画を策定する準備をいたしておりまして、それに対しまして総理府から企画庁の係官の派遣をいたしまして、その長期計画策定等についての指導等をやっております。  先ほど通産省から発言されました計画もそういう関係でタッチしておるわけでございまして、現に私も実は二十三日からきのうまで調査団の一員として——私は途中で帰ってまいりましたけれども、その一員として参ったわけでございます。この調査団は民間の方、特に進出について相当意欲的な民間の代表の方に参加してもらったわけでございまして、この点につきましてはきのう現地で記者会見がございまして、そこで相当明らかにされているわけでございます。そういうようなことでございまして、われわれといたしましては、沖繩の経済振興について、復帰までのこの二年間、相当力を入れてやらなければならないというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 まだ準備委員会等も発足したばかりだし、本院からも調査団が行っておる。こういうようなことで、沖繩開発の問題はすぐれてこれからの問題ですけれども、しかし急を要する問題である。しかも沖繩は非常に長期資金を調達できるような環境には現在のところないわけですね。そういうものを、いまのところ特に地場産業に対して本土から長期資金を供給することもできないし、現地にもそういう機関もない。しかも民間金融機関がかってやたらにばらばらに進出をするということは、必ずしも現地の金融機関などでも歓迎をしない。やはりしっかりとした政府の信用の裏づけのある、開銀のごとき政府関係の政策金融機関というものが進出してほしい、特に長期資金についてそういう希望が非常に強いと聞いておりますし、沖繩にどんどん産業が開発されるというようなことになりますれば、これは電力などもとうていいまのような電力供給量などでは間に合いっこないはずです。そういうようなものともにらみ合って、電力開発というようなことも相当巨大なものが必要になるだろうし、そういうものをやはりどういうように考えていくかというようなことなども、これは緊急の問題だと思うのです。そういうものを考えて、一体開発銀行として沖繩地方の開発に対してどういう地位を占め、どういう役割りを果たそうとしておるのか、またすべきか、そういうものについては政策当局としてもう十分考えていかなければならないと思うのですが、この点について銀行局長と、開銀総裁も、この問題はやはり開銀が乗り出すべき当然の役割りを——本土との一体化ということを目ざし、地方開発にとっては本土における一番緊急性の高い重要な地域になるわけですね。九州よりも北陸よりもあるいは東北、北海道などよりも、もっともっと沖繩の地方開発ということには重大な関心を持って、開銀というものもそれについてしかるべき役割りを、しかもかなり積極的な役割りを果たさなければならないところにきていると思うのですが、そのお考えを両者からひとつお伺いいたしたいと思います。

近藤道生大蔵省銀行局長

○近藤政府委員 沖繩地区におきまして開発銀行がただいますぐに役割りを果たすということは、いろいろな面で非常にむずかしいと思います。たとえばドル建ての地域であるとかいう技術的な面もございますし、そのようなことで、先ほど申し上げましたような、とりあえず特別立法措置によって財政資金が出てまいるということにいたしておる、復帰前はそういう体制でまいりたいということにいたしておるわけでございます。ただ、先ほど来御指摘がございましたように、沖繩における資金需要というもの、これは私どもといたしましても非常に重大な関心を持って見守ってまいり、また調査をしてまいらなければならないと思っておるわけでございまして、一九六八年以来のいわゆる沖繩経済のスローダウンの状況、最近における状況から見まして、どういう方向に沖繩経済というものが動いていくべきであるのか、その辺のところをただいま非常に特別の関心を持って調査いたしておる次第でございます。ただ開発銀行がいま直ちに出てまいるということにつきましては、先ほど来たびたび繰り返しておりますような事情で、はなはだ困難であろうかというふうに考えております。

石原周夫日本開発銀行総裁

○石原説明員 ただいま銀行局長からお答えいただきましたとおりでございまして、私から申し加えることはございません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 なかなか慎重な御答弁で、私の要請にこたえておられないわけなんですが、たとえば七〇年ないし七二年の間に、現在沖繩の置かれた地位というものを利用してというと語弊があるかもしれないけれども、外資のかけ込み投資というようなものがどんどん行なわれるということなんかだってある。そして日本に復帰してみたところが、沖繩だけは何か結局旧租界のような特殊地域にまさになってしまっている。地場産業も一つも育たない。地元資本による経済開発なり産業の伸展というようなものは何もない。ほとんど外資に乗っ取られていたというような形で本土に帰ってきたのでは、ほんとうの意味で沖繩が祖国に帰ってきたということにならないだろうと思うのです。そういうような問題をさらに考えたら、これは開銀等においてももっと積極的にその問題と取り組んで、外交交渉の中で支障になっている部分は外務省にも大蔵省からも要求をして、どんどん開銀融資などもできる道をさぐっていくというような形で、やはり開銀の果たすべき役割りというものは非常に大きい、そういうように考えられるので、この点については最後に中川政務次官に答えていただきたいと思うのです。そういう点についてどう対処されていく気がまえなのか。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 沖繩に対する広瀬委員の御心配あるいはまた前向きの御意見は、現在の沖繩情勢等を勘案いたしまして、よく御主張としてはわかるわけであります。ただそういったものを開銀のこの融資制度の中に入れるかどうかについては、先ほど銀行局長が御答弁申し上げましたように、昭和四十三年七月から発効になっております特別立法によってそういった手当てをする制度ができておるわけでございます。昨年に比べてことしは約十億ですか伸ばしたというようなことで、そういった需要に対処するかまえを見せたものだろうと思うのです。したがっていま言ったような、沖繩が、そのくらいの金では外資が飛び込んできて、租界地域みたいなことになったということではたいへんでありますから、せっかくそういった制度もありますので、この制度の活用によってそういった心配がないようにいたしたい。かたがた、またせっかくの御主張でもありますから、開発銀行をもってして補完したほうがいいというような結論でも得られますれば、そういった気がまえも必要ではないかと思いますが、この点については政府見解としては、目下のところは特別立法によってやるということになっておりますので、その辺で前向きに進ましていただき、それでもなおというときにはまた、こちらのほうについても、総理府等とよく検討して、広瀬委員の御心配のないような方向で検討させていただきたい、このように思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 たいへんまだ消極的な立場から抜け切っていないわけですが、先ほど通産省も、沖繩の経済振興法ですか、産業振興法ですか、こういうものをつくられるという。今日まで内地において新産業都市だとかあるいは工業整備特別地域だとか、そういうものを法律によってどんどんつくってきた。これと同じような性格になるだろうと思うのです。産業振興法というようなものが通産省でも考えられる。これは地域が沖繩に限定されるわけですけれども、そういうようなものに対して、いままでいろいろな法律に従って、各省とも緊密な連携をとりながら地方開発の融資を行なってきた。これと同じような形で、もっと積極性を持った立場で——これは開銀だけではもちろん事は済みません。政府ベースでの援助の総額もどんどん上げていくということと、やはり開銀が政策課題に対する融資を行なうという立場からも、これはもっと積極性を持ってやらなければいけないことなんだ、こういう気持ちに当然なってもらいたい。そういうことを私強く要望しておきたいと思うのです。  時間もありませんから、きょうはこれで終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明四月一日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十四分散会

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