大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 222 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/02/25
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 国税通則法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本論に入る前に、ちょっと、主税局長と、厚生省の医務局の次長が入っておられるはずでありますから、どうも私はふしぎな行政があるという感じがしておることをひとつ最初に申し上げたいわけです。 ちょっと最初に政務次官に伺いますけれども、大蔵省の行政というのは、やはり一つの国家的なある要請がある場合には、そういう国家的要請に基づいて大蔵省の行政もあるべきだ、私はそう思うのですが、政務次官、どうですか。
○中川政府委員 それは当然であろうと思います。
○堀委員 そこで、最初に厚生省のほうに聞きますが、いま、御承知のように、医療行政の中で一番大きな問題は、看護婦が足りないということが日常の医療行政で非常に重要な問題になっておるわけです。これは、単に医師が不自由をするというだけではなくて、患者の側にとっても、きわめて医療上重要な問題になっているんですね。 そこで、ひとつ医務局のほうから、現在の看護婦の充足の状態といいますか、おそらく、本来必要な看護婦数に対して、現在実際に働いておる看護婦というものとの間にはギャップがあるのではないか、こう思うのですが、その点を最初にちょっとお答えをいただきたいと思います。
○北川説明員 ただいまお話しのございました看護婦の問題は、確かに御指摘のとおり、現在の医療行政の中で、医療従事者の中でも特に重要な問題でございます。 近年、国民皆保険が達成をいたしまして、また、いろんな公費負担の制度が充足をしてまいりまして、さらに医療施設が激増をしてくる、また、病床数が毎年大体四万ベッドくらいふえてまいるというような現状でございます。一方では、非常に医療が高度化してまいりまして、また、複雑な疾病がふえてまいってきております。そういったことから、勢い看護婦につきましても充足をはかってまいってきておりますけれども、やはりこういった医療の実情になかなか追いつかないような現状でございます。かてて加えて、看護婦の特殊な勤務条件というようなものもございますので、そういった面も急速に改善をしてまいらなければならぬというような実情でございます。 こういった需要面の要素に対しまして、堀先生も御承知のように、十年くらい前から、あるいは奨学資金の貸与制度でございますとか、あるいはまた夜間の進学課程を設置する問題でございますとか、看護高校の新設でございますとか、あるいは施設整備の拡充でございますとか、いろいろな施策をやってまいったわけでございますけれども、現在の段階におきましては、いま申し上げましたような実情で、どうしても需要に供給が追いつかない。四十三年末で、就業看護婦数は約二十六万六千人でございます。三十二年当時に比べますると約十万近くふえておりますけれども、そういう状態でございますので、きわめて逼迫をいたしておりまして、現在におきましては相当多数の者が不足をしておる、こういった認識に私どもは立っておるわけでございます。
○堀委員 いまのお話しのように、これはもう政務次官も、看護婦が不足しているということは、あなた常識で御存じでしょう。それで、その看護婦を教育するために、たとえば国立大学の大学付属病院のようなところでは、これは文部省所管のワクの中であるから、高等看護学院のような正規のものがありますけれども、それだけではとても補充ができないから、いま、御承知のように、全国的に医師会のほうで、正規の届け出によって正規の授業をし、実習をしながら准看護婦を養成するということが行なわれておるわけです。これが実はいまの二十六万六千人を非常に大きくささえておるわけです。 ところが、これは主税局長のほうなのか国税庁の通達なのか、ちょっとそこのところつまびらかにしてないけれども、要するに勤労学生控除というのがあって、その勤労学生控除というのは、ここではこういう規定が設けられているのですね。「勤労学生とは、次の1から4までのすべての要件に該当する人をいいます。1次のいずれかに該当すること。イ、学校教育法第一条に規定する学校の学生、生徒または児童であること。ロ、国、地方公共団体または私立学校法第三条に規定する学校法人もしくは同法第六十四条第四項の規定により設立された法人の設置した学校教育法第八十三条第一項に規定する各種学校の生徒で一定の課程を履修するものであること。2自己の勤労に基づく事業所得、給与所得、退職所得または雑所得(以下、「給与所得等」といいます。)があること。3 給与所得等以外の所得の金額の合計額が十万円以下であること。4合計所得金額が二十六万円以下であること。」こういうことが規定されているわけなんですね。そのために、たとえばN文化服装学院というようないわゆる花嫁学校式の諸種学校、それは文部大臣が証明をすれば、花嫁学校へ行っている者あるいは洋裁学校へ行っている者は勤労学生控除が受けられる。しかし、正規に国の要請に基づいて准看護婦養成を行なっているいまの准看護学院といいますか、これに対しては現在勤労学生控除を認めないというのがいまの大蔵省の見解だ、こういうことになっているのですね。 これは、ここでお聞きの皆さん、だれが聞いたって、看護婦が正規に働きながら、病院、診療所に従事して給与を得ながら、昼間そこの医師会にある教育機関に行って教育を受け、実習を受け——ですから明らかに勤労学生なんです。勤労学生でありながら、今日までこれが放置をされてきておる。片方は洋裁学校へ行っているような人ですね。言うなれば、オーソライズされている点でははるかに——実はいまの国家的要請ならば、洋裁学校も必要でしょう。しかし、さらに必要なのは、私は看護婦養成だと思っている。その看護婦養成に対して、なぜ一体勤労学生控除を認めていないのか。これは全く私も自分で気づかなかったのだけれども、最近この話を聞いて、大蔵省というのはわりに常識的な役所で、筋が通ったことをやっているところだと思っていたし、まさかこんなことが今日まで放置されているなんて夢にも思わなかったので、これは最初にちょっと取り上げて、ことしの申告に間に合うかどうかわからぬけれども、この問題については、勤労学生控除として当然——その准看護学院というのは、県がその設立を認め監督をしているわけですから、任意にやっているわけじゃないのです。ちゃんと県の指導下に行なわれているわけですから、この問題については、直ちにひとつ准看護学院に行っておる人たちの勤労学生控除を認めるということを、これは主税局がきめるのか国税庁がきめるのかわからないけれども、大蔵省として善処をしてもらいたい。これはきわめて常識的な提案なんで、ひとつその点について政務次官の見解をお聞きしたい。——いや、これは政治的見解が先だよ。技術的なのはあとから聞くから……。
○細見政府委員 政務次官もいま国家公務員でございますから、法律に拘束されるので、いまのお話はいずれも法律にかかっていることでございますから、私から法律がどうなっているかをまず申し上げておきます。 所得税法の定義を書いております第二条に、勤労学生というのはどういうものをさすかというのがありまして、いま堀先生が読み上げられました、学校教育法とか、国、地方公共団体あるいは私立学校の規定により設立された云々というのが、勤労学生の通っておる学校として法律的に指定されておるわけでございます。したがいまして、私どもは、勤労学生が勤労しながら勉強をされること、そのこと自体についてどうこうという学校の価値判断を大蔵当局がすることは適当でないので、法律もこういう形になっておりますので、この問題は、いままでの過程でたびたび出てまいっております。いま、私立学校につきまして、準学校法人というのもできておるわけです。そういうものもあるわけですから、監督ができ、そして教育内容が充実できるように、文部省と厚生省でよくお話し合いになって、学校として、その看護婦さんたちが勤労学生控除の対象になるようにひとつ両者で話し合っていただきたい。聞くところによりますと、学校教育法も改正になるやに聞いておりますので、そういうようなときに解決を見るのではないかというようなことで、ことしは処理したわけでございます。
○堀委員 あなたのところちょっとずるいよ、それは。学校教育法で逃げなくても、一項書けばいいのですよ。要するに、地方公共団体が設立を認可した看護婦養成の機関と。地方公共団体が認可をしていなければそんなもの成り立たないんだから、オーソライズされているんだから、それを一項そこに書き足しさえすれば、何も学校法人にこだわることないんですが、どうですか、政務次官、今度の所得税法の中で——これは野党の皆さん、与党を含めて、ちょっと申し上げたいんだけれども、所得税法改正の中で、いまのはひとつ議員提案による修正をしてもらいたいのですよ。看護婦については、いまほんとうに必要なんで、国家的要請に応じておるのに、それをただ、文部省と厚生省のなわ張り争いの結果、学校教育法が改正されなければ大蔵省は知りませんなんて、そんな政治的配慮のないことを大蔵省がやっていたのでは、これは困ると私は思うのだ。どうです、ひとつ大蔵委員会の皆さん、与党を含めて、ぜひひとつ……(丹羽(久)委員「理事一任だ」と呼ぶ)いいだろう、丹羽君。 では、これはぜひひとつ、次の所得税法改正の際に、議員修正として、全議員の皆さんの了解を得て提案をすることにいたしましょう。 それではひとつ本論に入ります。厚生省、けっこうです。御苦労さまでした。 実は私、昨日、資料にいただいた「不服申立ておよび訴訟の件数について」という資料を拝見して、二つの資料要求をしたのですけれども、その一つの中で、更正と異議申し立ての関係はどうですかということについての資料要求をしたら、長官は、更正のほうはすぐできますというお話でしたから、本日配付されるのかと思ったら、本日配付をされたのは、直税、間税、徴収という所管別の、きのうのものを組み直したものだけが実は出されておるわけです。そこで、きょうは、最初にこの資料問題に関して少し論議をさせてもらいたいと思うのです。 実は先回の国会で、亀徳国税庁長官が述べられておることの中に、所得税の更正は三・四%にすぎません、こういうふうに発言をしておる部分があるわけです。一体この三・四%の更正率というのは何年の更正率であったのか。その年のその対象人員は幾らで、更正された人数は一体幾らであったかをちょっと最初に答えていただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 三・四%と申しましたのは、四十一年の数字を申しているようでございます。それで、これは減額更正を含んでおりますので、三・四%というのは、減額更正をのけますと若干減ると思います。
○堀委員 私の質問したことに答えてください。
○吉國(二)政府委員 更正決定十一万一千件、納税者数は二百九十九万二千件という数字になっております。
○堀委員 数が合わないですね。二百九十九万二千件に三・四%を掛けたら一体十一万一千になりますか。
○吉國(二)政府委員 失礼いたしました。四十一年の納税者数は合計で三百二十四万という数字でございます。 それから、ちょっと申し上げたいと思いますが、きょう提出いたしました資料は、きのう堀先生から二つ要求がございまして、一つは階級別の更正決定に応ずる人員、この点は私非常にむずかしいと申し上げましたが、審査請求だけでいいというお話でしたので、いま手配をいたしております。 もう一つは、直、間、徴収別に分けて発生件数と一緒に出せというお話でございましたので、これは急遽きのうつくりました資料でございます。 ただ、ちょっと申し上げておきたいのは、処分件数と発生件数のところに二本線が引いてございます。これは、御承知のとおり、処分件数はその年度における処分件数でございます。発生件数もその年度における発生件数。それに対して、処理済み件数と申しますのは、その年度における処理済み件数でございますので、それぞれ実はずれております。それで二本線を引かしていただきました。 それから、総体の件数がやや多くなっておりますのは、従来申し上げておりました数字は、先ほど来申しておりますように、減額更正を推定して引いた数字でございます。これは総体を入れておりますのと、その他源泉税等の件数が入っておりますので大きくなっております。忠実に出したつもりでございます。
○堀委員 いまのでけっこうです。そこで、これは四十一年ですから、できるだけ新しいところで、四十二年はいまの三百二十四万人に見合うのは一体何人なのか、三・四%に見合う率は幾らなのか、十二万一千人に見合う人数は幾らなのか、四十二年についてひとつお答えをいただきたいのです。
○吉國(二)政府委員 四十二年は三百六十九万件でございます。それに見合う更正決定件数が八万七千七百七十五件、したがいまして、二・四%ということでございます。
○堀委員 それはいまあなたのおっしゃったように、要するに減額更正を含んでおるわけですね。そうすると、減額更正を除いたこの中における増額更正というのは一体幾らになりますか。
○吉國(二)政府委員 四十二年で申し上げますと、六万五百二件でございます。
○堀委員 亀徳さんは、昨年の六月十日に、もう一つ実はデータを報告をしておられるわけです。それは営業、庶業所得者については、白色申告で百三十一万人の対象者に対して一・四%、一万九千人の更正決定をいたしました、こういう実は答弁を国会の中でしておられる。 そこで、ちょっとこの問題について少し伺いたいのですけれども、この申告所得税というものの中は、営業と庶業があれば、残りは農業とその他所得ということに大体なるのじゃないだろうか。そうすると、この場合、四十一年の営業、庶業のほうのものはここで言っておられるわけですが、これを四十二年に持ってきたら一体営業、庶業のほうの更正は幾らなのか、農業所得の更正は幾らなのか、その他所得では一体更正は幾らなのか、これをちょっとお答えをいただきたいのです。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、営業、庶業、その他、それぞれあわせて所有しているものもございます。そういう関係で、最近では営業、庶業、農業所得別の更正というのはとらずに、総件数をとりておりますので、古い数字はわかるのでありますが、最近の数字は……。
○堀委員 しかし、四十一年をあなた出しておりますよ、亀徳さんは。六月十日の大蔵委員会で、広瀬君の質問に答えて、いま私が言った数を答えておる、四十一年の。
○吉國(二)政府委員 私のほうの公式の数字は、実は手元にないのでございます。おそらく非公式の資料を……。
○堀委員 しかし、非公式なものを委員会で言うかい、大蔵省。
○吉國(二)政府委員 だと思います。
○堀委員 よく、ゆっくり資料を見なさいよ、ひとつ。
○吉國(二)政府委員 非公式の資料というのは、直税部長会議等で各局から申し出た資料を集計したものが実はあるのでございますが、それを申したのだと思います。それによって二万九千件という数字が出ております。
○堀委員 それなら非公式でも——非公式かどうか知りませんが、亀徳さんがそう答えておるのですよ。要するに、百三十一万人に対して更正率が一・四%で一万九千人が更正決定になっておりますということを六月十日の委員会で答えておる。そこで、それならいまの四十二年の増額更正というのは六万五百二件ある。私は四十一年と四十二年、そんな差はないと思うのですよ。多少差があっても、ラウンドの差になるようなことはないはずだから。だから四十二年の、あなたのほうの非公式でもいいけれども、これは一体どうなっておるのですか。いまの四十一年の亀徳さんのに見合うのは。
○吉國(二)政府委員 その非公式資料によりますと一万四千件でございます。
○堀委員 そうすると、さっきあなたは増額更正六万五百二件あると言ったが、これに減額更正を加えたらもっと大きいわけですよ。さっきあなたが言ったのは八万七千七百七十五と言ったのだから、これは減額更正を除いた増額更正が六万五百二件、それと営業、庶業が一万四千人しかないのだ。これの差額は一体何ですか。さっき言ったように、農業やその他所得に何万もの更正が行なわれているはずがないし、一体これはどういうことになっておるのか、そこのところをちょっと解明してもらいたい。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、不動産所得、それから譲渡所得がございます。譲渡所得の更正件数は相当の数にのぼっております。御承知のとおり、譲渡所得は一時的なものでございますので、申告がないというものも相当ございます。これを積極的に調べて更正をする、あるいは決定をするということになっておりますので、たとえば東京都のごときはその他所得の更正というものが一番多いということになっております。
○堀委員 では、もう一つちょっとお伺いしたいのですけれども、いま私は申告所得税についての議論をしているわけですね。申告所得税については、四十二年分では二万七百五件、実は不服審査というか、異議申し立てが行なわれておるわけですね。私はいまの不動産がどれだけあったかわからないと思うけれども、申告所得税についての二万七百五という数と、いまの六万五百二件と一万四千件と、こういう形に並んでいるわけですね。更正のあり方というのは、並んでいるんだけれども、二万件異議を申し立ててきているというのは、それは六万に対して見たとしても三分の一ですね。三件更正をすれば一件は異議申し立てをしておるということが一つある。そうして三分の一が異議申し立てをした中で、今度は全部または一部の取り消し件数というのが一万件実はある。そうすると、このあれを少し聞きたいのですけれども、いまの異議申し立てをした二万件のそういう内訳ですね。私は営業、庶業が一番多いんじゃないか、こう思っていたんだけれども、不動産所得、譲渡税の問題があるというんなら、その二万件の中の、要するにそういう営業、庶業、農業というような分類に基づくところの異議申し立てのシニアというのは一体どういうことになっておるのか、ちょっと伺いたいと思います。
○吉國(二)政府委員 その点は、一つ申せますことは、その二万件の中に源泉の異議申し立ても入っておるということが一つございますのと、それから営・庶業所得別の異議申し立て件数というのの調べはございません。御承知のとおり、意義申し立てをする場合、所得金額全体についてやっておりますから、他の所得を含んで一緒にやるわけでございます。したがいまして、いわゆるその異議申し立てが何の所得についてであるかということは、実際問題として分けられない場合が多いものでございますから、内訳はとっておりません。
○堀委員 実は私はなぜここでいろいろこだわっているかといいますと、結局租税審判所の問題というのは最後の問題だと思うのですね。一番大事なのは入り口の話です。要するに現在は税金の処理をする場合に、できるだけ青色申告が奨励をされて帳簿がきちんとつけられることが、本来申告納税のたてまえですから、国民はできるだけそうやってもらいたいと思うし、皆さんも努力をされてだんだんと青色申告がふえてきていると思いますけれども、しかしまだ依然としてかなり白色申告者が多いということが現実の姿だろうと思います。そうすると白色申告というものに対する更正決定のあり方というものが、私は実はこの二万件の中の一番大きなウェートを占めているのじゃないだろうかという気がするわけです。それはいまあなたのおっしゃった源泉の所得の問題もあるかもしれないし、あるいは不動産所得の問題もあるかもしれない。ところがこういうのは、言うなれば、それは確かにあるけれども、毎年毎年起こるわけじゃないと思うんです。人間は変わっていくわけです。しかし白の申告においてはかなりなものが、かなり何回も反復されて行なわれておる可能性がある程度あるんじゃないか。ことし更生になったものは来年は更正がなくなる。ことし新たなものが更正を受けるというんじゃなしに、更正を受ける人たちが——案外それはいまの調査率にも関係があるからだけれども、調査率はいま大体どのくらいですか。白色申告の営業、庶業でもいいですよ。
○吉國(二)政府委員 調査率は、いわゆる高額者と申しまして、大体それを対象に調べておりますが、それについては白色では二五%くらいでございます。
○堀委員 高額者といったら幾らからですか。
○吉國(二)政府委員 所得見込み額百万円以上です。
○堀委員 いまのお話で二五%くらいというと、高額者というのはあんまり高額でもないですね、百万円以上というんだから。それからそこのところは、二五%というのは四年に一回くらい当たることになるんでしょうから、毎年じゃないかもしれないけれども、私は百三十一万人と言われた中で、高額者と高額者でないものとの割合というのをちょっとあわせて聞いておきたいんだけれども、これはどのくらいですか。
○吉國(二)政府委員 これは年度によって変わると思いますが、全体で三割ないし三割五分。ただ一つ申し上げたいと思うのでございますけれども、あとで法人のお話があると思いますが、法人の更正決定割合というのは、実際は二〇%以上でございます。ということは、法人と個人では、個人の場合は申告指導を非常に強く表に出しておりまして、青色申告者には事前の記帳指導を通じて正しい申告をさせる。また白色申告者については事前の接触ということによって申告指導する。さらに、御承知のとおり、三月になりますと全体で接触をして申告をさせるということをして、できるだけ申告で問題を片づけようとしておりますので、所得税と法人税とやり方がかなり違っております。これは一つは、法人は帳簿を具備しておりますし、本来記帳能力もあるということで、指導というよりも、かなり調査に力を入れる。個人の場合はまだむしろ指導が優先する事態であるということで、全体から見ると非常に更正件数は少ないようでございますが、これは調査をしてないわけじゃなくて、調査をし、かつ指導をしているということでございますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。
○堀委員 そこで、いまのあなたのお話で高額が三分の一ぐらいというと、三分の二というのは百万円以下の人ですね。言うなれば、いまはもう五人家族なら税金がかからないあれでしょう、たてまえとしては。課税金額としてみてもですね。その百万円はどういう百万円ですか。そこのところを……。
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、事業所得のほうは、百万というのは収入金額でございます。課税最低限は現在のところ七十数万でございますね。白色者の場合は専従者控除がいわゆる完全給与制になっておりませんで、定額でございます。そういう関係で課税最低限が夫婦、子三人で七十万円だと思います。そういう関係もございましてかなり数がある。
○堀委員 けっこうなんですけれども、私が疑問に思うのは、いまの百万円だけれども、白色専従控除は十四万ぐらい見るんじゃないの。年額でいま幾らぐらい見ているのかしら。
○吉國(二)政府委員 十五万円でございます。
○堀委員 そうすると、百万円から十五万円引いたら八十五万円ですね、大体専従者控除がとれていれば。それをとった残りが百万円ということですか。そうじゃないでしょう。その点は収入額でしょう。
○吉國(二)政府委員 専従者控除全体の所得です。
○堀委員 そうですね。それなら専従者控除がある人は八十五万円だということになると、いまのあなたのお話しの百三十万人の三分の二といえば、六割だから約八十万人ぐらい百万円以下のものが依然として何か対象者になっているわけですね。それは数が少ないということがあるのか、よくわからないけれども、これは申告所得税、白の話ですね。だから、そうするとずいぶん零細な人に一生懸命に更正をやったりいろいろやっているんだなという感じがちょっとするわけですが、ここらのところはちょっとただ聞いただけでは、何だかずいぶん低額のものに対していろいろこまかい処置がされているような気がするのだけれども、その点、国税庁はどうですか。
○細見政府委員 計数をちょっと訂正しておいたほうがいいかと思いますので、申し上げておきますと、事業所得者で、現行でまいりますと、配偶者に扶養親族が一人おっておそらく事業専従者が出るのだろうと思います。そういう世帯、つまり配偶者、扶養親族一人というところでありますと、現行ですと四十五万、それから改正いたしましても四十九万、約五十万というようなことですから、十五万足しましても六十五万くらいの数字で、その辺の十万、二十万は非常に微妙な点のあるところだろうと思いますので、訂正させていただきます。
○堀委員 要するに、私がいまこういうこまかいことを聞いていますのは、大体こういう低額所得者というのは実際的にいって記帳がほとんど無理なんじゃないですか。そうすると白になる。白になると、この前広瀬君がだいぶやったわけですね。例の標準率、効率問題というのをずいぶんやった。私は公表するという問題について何もきょう触れる意思はないのですけれども、一体これは皆さん、どうやってつくっているのかということをちょっと聞きたいのです。これはやはり一つの課税標準というものの実態をある程度集約したものとして出てきているんだろう、こういう感じがしますから…。 そこで、きょうは私、手元にお医者さんのやつがあるから、私もよその業種はよくわからないから、専門的な医者のやつであなたのほうの見解を少し聞いておきたい。 最近、四十二年、四十三年、四十四年と、この三年間に、これは毎年科別にいろいろ変化はあるのですけれども、標準率というのが動いていますね。それは承知していますか。
○佐藤説明員 確かに年々変わっておることは事実でございます。
○堀委員 なぜ年々こんなに変わるのですか。変わってないものもあるのですね。変わっているものもあり、変わっていないものもあるというのは、どういうことに基づくのですか。私は、各科がみんな変わるなら話はわかると思う。ところが——まず第一に、変わっているものと変わっていないものがあるが、あなたのほうでちょっとそれを答えてもらいたい。私のほうに資料があるけれども、そっちのほうが正確だから……。
○佐藤説明員 特に最近の状況といたしましては、報酬、いわば収入でございますが、それが上がっておると思われるものにつきまして特に調べまして、それによりまして収入金額を調査いたしました。さらに経費面のほうは、いろいろ薬価等の問題がございますので、それらの点につきましても調べました結果、差し引きの自由診療の所得というものにつきましていろいろ念査をいたしまして、それによって一応、先生御承知のとおりでございますけれども、標準率と申しますのは、私ども、いわば推計の一つの目安ということで推計しなければならぬ、帳簿がない、そういう記録がない場合の推計の目安として使っておるわけでございますから、その点で、そういう状況が変化しておると思われるものにつきまして調査をしまして、そこで変化が起こっておるということでございます。
○堀委員 もちろん、あなたのおっしゃるように何か調査されたんでしょうけれども、私、ちょっと簡単にここで読み上げますと、内科の場合は四十二年が六五%、四十三年が六六%、四十四年六六・七%、これは毎年変わっているけれども、そういう変わり方はあっていいだろうと思うのです。そっちもそこまで詳しくないでしょう。ところが耳鼻科は四十二年六七%、四十三年六七%、横ばいだった。四十四年になってとたんに七二・七%、ここは五・七%はね上がっているんです。眼科も四十二年六七、四十三年六七、四十四年は七四・九%ですよ。これは七・九%もはね上がっておるのです。ところが眼科だとか耳鼻科というのは、御承知のように、薬はそう違うわけはない。よその科目が上がってない、モダレートな動きだろうと思うのに、この二つだけはこんなに大きな上がり方になったのは一体なぜだろうか、ひとつ答えてもらいたいわけです。これはあんまり常識的じゃないから。私は常識的な範囲はあまり聞かないんだけれども……。
○佐藤説明員 たとえば最近の眼科等につきましては、特に最近コンタクトレンズでありますとか、いろいろなそういう関係の収入等につきましては、相当な変化をしておるわけでございます。それらの点をいろいろ調べました結果、いま先生おっしゃいました数字につきましては、私どももどうもいま手元にもございませんし、申し上げる筋合いのものではないと思いますけれども、そういう収入状況というものが相当に変化しておるというのは事実でございます。
○堀委員 それでは耳鼻科は何でしょうか。
○佐藤説明員 耳鼻科の関係等につきましては、どうも私いま思い当たるあれがございません。調査のあれを調べました上で、もし申し上げられる筋合いのものであればまた申し上げたいと思いますが、この標準率の中身につきましては、いままでもこういうところで申し上げる筋合いのものではないということで御了承を願っておる次第でございますので、どうぞよろしく。
○堀委員 これはどこから持ってきているかといったら、実はお医者さんか持ってきている。ともかく私はどこからも持ってきたわけではない。だから、お医者さんはあなた方より詳しくよく知っているわけだ。 あなたの答弁で一つ問題があるのは、眼科は、コンタクトレンズというのは実は去年私はいろいろ手がけたわけですが、これは完全にやっている人とやってない人がある。それは別建ての実はコンタクトレンズの問題についての処理をやることに去年ちゃんと処理してある。これは川村さんが直税部長のときに処理がしてあるので、この中には眼科のいまのコンタクトレンズが入っているとは思わない。別のその他の部分についての眼科診療だと思う。そこで私は皆さんがこういうルールをつくられることについて、ある程度やむを得ないと思っている。しかし、それにしてもそういうルールをつくった場合に、いきなり七%——七・九%だから約八%だ。八%も一年の間にどんと上がるようなことは、実はこれはちょっと私は問題があろうと思うのです。これは私は常識的な議論をしているわけだ。だから、何%がいいかということは、それはあなた方が検討すべきことだろうと思うのですけれども、常識的に見て、六七、六七で来ていたものが、いきなり七四・九と、八%近くも動くなどというのは、これは眼科についてもおかしいし、耳鼻科についても上がり過ぎているような気がするから、そこらの問題については内部的にサンプルのとり方か何かにひずみがあったのではないか。大体こういうのをやるときに、どのくらいサンプルをとっているのですか。
○佐藤説明員 これは数が幾らであるということはちょっと申し上げられませんけれども、統計学的に十分立証できるといいますか、耐え得るというようなところまで調査をいたしておるわけでございます。
○堀委員 いま、たいへんもっともらしい話がありました。統計学的に調査に耐え得るという話、これは問題が少しあると思うのは、いま御承知のように医師の診療報酬はあんなことになっておりますから、統計学的に調査に耐え得るほど、それほど全国的にあるいは地域的にサンプルが適切なものがあるかどうか、ちょっと私は疑問な感じもするわけです。 それからもう一つは、こういう率をきめた場合に問題があるのは、東京と地方では同じ自由診療といっても非常にそのベースが違うのですよ。だから一体これについては、あなた方のほうは地域的なそういう収入金額の場合にはどう適用するかというような問題については、そこらは何かやはりルールがあるのですか。
○佐藤説明員 地域的と申しますよりも、やはりその医師の方のいろいろな特殊事情、こういう点はもちろん——これは標準率というのは一つの平均値でございまして、しかも私どもの目安でございますから、実際のあれにつきましては十分その点は個々の実情に応じて処理していくという考えでおるわけでございます。
○吉國(二)政府委員 補足して申し上げますけれども、標準率というもの、これは一つの経費率でございまして、個々の事情に属するようなものははずしてつくっております。たとえばいまの七〇%などという所得率は、たいへん高いわけです。しかし、これは人件費を除外して計算してございます。人件費は地域によって非常に違いますので、その辺は地域ごとに賃金率も違いますから、それははずしてございます。したがって、実情に応じた適用が行なわれる。 それから眼科の場合は、さっき先生御指摘のように、コンタクトレンズは非常に違いますから、それをはずしております。そのために前と継続性がなくなっていることは事実だと思います。
○堀委員 私いまちょっとこの問題に触れたのは、さっきの内容にまた戻りますけれども、要するに、その推計課税というものをしなければならぬという一つの立場、これはやむを得ない立場がある。立場があるけれども、やはりこの白の推計課税をしたものの中からかなり異議申し立てが出ているのじゃないか。だから問題は、ここに皆さんが発表されたような字づらの統計というのはあまり意味がないのじゃないかと思うのですよ。私がぜひこの際大蔵省も国税庁も考えてもらいたいのは、統計というものはある一つの目的意識がなければ、ただ字づらがどこかから集めてきたのがそろってさえいればそれで統計だというのなら、全然意味がないと思うのですよ。要するに何か一つの目的意識を持って、その目的意識がどういうことにあるかということを全体として集約してきたのが統計なんだから、あとでわれわれがその統計を見たときに、その統計の中から読み取れる要素が大きいほど統計というものは効果があるのですよ。ところがあなたのいまのこの統計というものは、まさに全体の外側づらがわかるだけで、その中身について非常に重要な、いまの審判や何かにくるところの過程の問題について、この統計そのものが実は非常に不十分なんだ。だから、どうかひとつ国税庁、せっかく多数の人手を使って、時間もかけてつくっておられることだろうから——率直に言うと、ここに国税庁統計年報というのがありますが、私らに言わせるとこれは必要のないものが一ぱいあるわけだ。いろいろな各県別というか局別というか、都道府県別の人員とかなんとかというのがずいぶんあるのですね。しかし、それはどこで必要なのかよくわからないけれども、われわれはそういうことよりもいまのような問題、要するになぜそういう異議申し立てが出てくるのだろうか、それはどういうところから出てくるのだろうか、何が原因で出てくるのだろうかというようなことがわかる統計がないかと思ってこれをひっくり返してみても、この中にあるのは私がさっき言ったその他というところに、申告所得税だとか源泉所得税だとか、そういう税目別にいまの三万四千件ほどの異議申し立ての中身が書いてあるというのが、実は唯一の統計年報の中身なんですよ。だから私はやはり、せっかく皆さんが統計をつくられるのなら、こういうところでわれわれが議論するときに、なぜそれが異議申し立てになったのだろうか。私が所得階層を知りたいのも、さっきも言ったように、おそらく所得の低い階層の人は実際はあまり異議申し立てば問題にしていない。そうするとそこでまた問題が起こるのは、ほんとうにそれが異議申し立ての必要がないのかどうか。あるけれども額が少ないからがまんをしているということになれば、これはやはり税務行政上問題があるわけです。だからそこらのことを含めて私は、ほんとうに役に立つ統計をもう一ぺん、これは統計年報を含めて考え直してもらいたい、こういう気がするのです。その点国税庁長官どうでしょうか。
○吉國(二)政府委員 仰せのとおり、統計というものが何ものかを語らなければ意味がないということはよくわかります。実はそのために国税庁は非常にこまかい統計をとり過ぎまして、それで年年第一線の手数が減ってまいるにつれて実は削減してまいりました。多目的な統計に集約してまいりました。多目的ということは、結局先生の御指摘のように、一つの目的で見ようとするとどうしても不十分という点が出てまいります。それは私もよくわかります。ただ統計自体が非常に手数がかかる、内部事務を圧縮するということをいっております関係で、統計数を半分以上は減らしてしまいました。先ほど御指摘のように、常識的な、目的別に直ちにとれるようなものは努力してとる。審査請求については努力してとります。そういうことで補っていくけれども、一般的な統計はどうしてもそういうことになるわけです。府県別の問題も確かに、先生のおっしゃるように要らないように見えます。しかし、昨年の国会ではしきりに御指摘がありましたように、局別の課税の水準が違うとかいう問題、都会と地方との問題、そういうものが出てまいりますと、やはり要るのでございます。そういう意味で、われわれ国税庁の手順が悪いという点は確かにあるかと思いますが、できるだけそういう点では考えてまいりたいと思いますが、かなり統計を減らしてきたことは事実でございます。また、いまそれを減らさざるを得ないような実情であることを御了察願いたいと思います。
○堀委員 そこで、いま課税上の問題に二つの問題があると私は思うのです。要するに、所得の低い人たちのところに、実は案外まだ手がいっているのではないだろうか。私は、所得の低いところは早晩実は課税最低限等でカバーされる時期もくることだから、課税の中心はより高額の方向にもっとエネルギッシュにやるべきじゃないか。最近東京国税局がぼつぼつといろいろやっているのが新聞に出ていますが、これは私たいへんけっこうだと思っております。ともかくこれまでは見のがされておったような問題、残念ながらこの二十日の朝日では「脱税番付トップは外科医」ということで、またお医者さんが出ている。これはたいへんどうもけしからぬことで、片一方で租税特別措置などというものがあっていろいろと批判のある中で、さらに脱税までしたのでは、納税者としては非常に問題があると思っている。ですけれども、こういうような、「ごまかし上手はバー」とかいろいろ書いてありますけれども、これ一つ見てもやはり増差所得が大きく出るわけです。だから、これからの税務行政というものは、あまり小さなものをほじくり回すのではなくて、やはり大きいところにかなりそういうミスがあるということが、実はこの間から例の勅使河原事件なり一連のあれで非常によくわかるし、「天声人語」などずっと読んでみても、国税庁は脱税を取り締まるための人数だけはひとつもっとふやしてしっかりやれよということが書かれておるわけで、私も全くもっともだと思うのです。ですから、この点はあまりこまかいことを、標準率だ、効率だといってやる前に、そこらのところは——もちろん課税をしなければならぬからある程度のことはやむを得ないでしょうけれども、そこへあまり課税をすると異議申し立てになってはね返ってくるようなものにあまりエネルギーを使わないで、やはりもう少し大きな問題の方向にエネルギーを使うという形をぜひ全国的にとってもらいたいと思う。いま東京は盛んに出ているけれども、よそはあまり出ていないようですが、国税庁長官、これはどうですか。全国的に大いに徴税のあり方を考えてもらって、あまりこまかいところをほじくり回すのではなくて、やはり問題のありそうなところを精力的にやって、そして脱税はペイしない——ちょうどわれわれ戦争が終わったときに、戦争はペイしないということをアメリカ人が言ったけれども、やはり脱税はペイしないということを納税者にわからせるようにすることが、国税庁としての非常に大きな任務ではないかと私は思いますが、長官どうですか。
○吉國(二)政府委員 私も全く同感でございます。できるだけ調査は重点に集約するということをここ数年来続けております。私は東京国税局長時代からそれを常に言っております。もちろん、同時に私どもといたしましては、よくいわれております、営業所得者が少額でも完全に捕捉をされるということに対して、やはり申告指導ということは進めてまいりました。やはりそこに、小さいものは申告しなくていいという考えになっては困る。その面の指導はする。同時に、脱税の調査というものはできるだけ大きなほうに集約をしていく。そのほうが、本来税率も違いますし、当然大きさも違うということで、さっき申しましたように、所得税で申せば白色でも高額者に調査を集中する。たとえば、何といっても営業者として一番大きいのは、小さいと申しましても法人でございます。法人調査には相当の人数を投入いたしまして、現在は所得税の総体の人数よりも法人税の総体の従事人員のほうが多い。従来は十対五くらいであったと思いますが、いまは逆に十対七くらいの比率にいたしまして、法人については相当徹底した調査をやっております。東京局の調査の結果なども、法人税の調査が相当大きいと思います。私は、そういう点では漸次そういう方向をとっていく、その頂点は査察の調査であると思っております。査察の人員も、でき得れば他の事務等を差し繰りながらふやしていくという方向をとるべきではないか、かように思っております。 ただ、私どもとして一番大事なことは、納税者の皆さんが進んで正しい申告をするという気持を持っていただく方向にやはり税務行政は努力しなければならない。税務行政は、調査して脱税を摘発していけば済むではないと思います。納税義務者の正しい申告を出すという意欲、納税に対する知識、これをやはり普及するということが税務行政の大きな任務だと私は思っております。そういう指導面というものをあわせて、調査と指導が合致して初めて税務行政はほんとうの姿になる、かように考えておるわけでございまして、そういう意味では、調査の面では先生のおっしゃったような方向を現在も相当強く打ち出しておりますが、なお徹底していくべきだと考えております。
○堀委員 もう一つここで問題がありますのは、実は農業所得に関する問題なんですが、農業所得というものはどうもあまり更正決定がないようですね。これは、私どもの耳に入るのは、都市近郊あたりの農家というのはいろいろな面でいま非常に条件がいい。ところが農業所得についてはほんとうに更正がないというふうに聞いておるのですが、一体どのくらいですか、最近の農業所得者に対する更正の状態は。
○吉國(二)政府委員 さっき申し上げましたように、非公式の資料というのは営・庶業だけをとっているわけでございまして、農業のものはとっておりません。農業所得については、ほとんど更正決定はまだ進んでいないということでございます。ただ、農業所得の青色を出しているというのは、いわゆる果樹とかそういう関係の業者でございます。これについては更正をいたしておりますが、大部分は白色でございまして、米作地帯がおもで、米の場合は御承知の石数がわかり、価格がきまっておりますので、これは申告でほとんど済んでしまうという状況でございます。
○堀委員 いま私が指摘したのも、確かにおっしゃるように米作の場合には収入が非常にはっきりしますけれども、一番問題なのは、都市近郊の蔬菜やそういうものをやっておる人たちは非常に把握しにくいんじゃないかと思うのです。ここらはやはりある程度調査をしないと、ちょっとアンバランスになってくるおそれもあるんじゃないかという感じがしますので、その点はひとつ考えてもらいたい。これは私、これから皆さんでそういう脱税やなんかのないようにしてもらいたいと思うけれども、これはなかなかむずかしいでしょう。しかし、それだからといって、人間をふやすといっても、人間をふやす方向には実は限界がある、こういうことになると思うのですね。 そこで、いまの税務行政だけで税金の問題を処理するというよりも、より広い行政的な視野に立っての補完的な制度というか、たとえばいまアメリカでは御承知のようにソシアルセキュリティー・ナンバーというものがあって、総合課税をやる場合にはこれで適切な処置ができる。あるいは預金についても、そういうソシアルセキュリティー・ナンバーを出せ、こうなれば、架空名義預金というようなものはなくなるということです。ことしの架空名義預金については、五月ごろには大体そろうようだから、国税庁から一ぺん報告を求めて処置したいと思っておりますが、いまから準備をしておいてください。私は、今後は単に税務行政の能力の範囲だけでやれない問題がかなり出てくるのではないかと考えておるわけですが、これらについての今後の展望ですね。たとえば外科医でも、初めから脱税でこうなるのでなくて、何らかのルールができて、自動車の事故については一貫番号の付された公給領収証みたいな何らかのものが設けられていて、それが必要だとなればその写し、控えは当然とられるべきものだから、それをもとに申告をしてくださいといえば、こういう脱税番付トップは外科医というようなことはなくなってくるのじゃないかと思うのです。そういう補完的なものがないから、ついわからぬだろうと思ってそういうことが行なわれるということになるので、そういうのはあるいは運輸省と連絡をするのか、自賠責の関係でやるのか何かは別として、要するに自動車事故によるものはどうせ救急が一番多いわけだし、これは御承知のように、加害者責任で健康保険が適用にならないわけですから、当然これは自費診療になるというたてまえのものです。そういう場合の一つの領収証をつくってフェアに申告をしてもらう。そういうことになると同時に、その場合にはさっき言ったように、あなた方の標準率の問題がここへひっかかってくるわけですね。だから、標準率が高ければいいというだけでなくて、実態に即応した標準率でないと、いまのような収入面を明らかにしなさいというところで抵抗も出てくるわけだから、そこらについては合理的な制度を確立していくということが、私は今後の税務行政の中で非常に重要な課題になってくるのではないかというふうに思うのです。これは制度の問題だから、主税局長のほうでいまのソシァルセキュリティ・ナンバーの問題も含めてひとつ答弁してもらいたい。
○細見政府委員 私どもといたしましても、税の目的でということでなくて、なるべく世の中のいろいろな商取引というようなものが公正に行なわれて、それが何らかの形で証憑になっておって、税の調査のときも必要によってはそれが利用できるというふうになるのが理想だと思っております。ただ、しかし、徴税の目的でそういうことをいろいろ考えておるのだということを申しますと、そのことだけで反発を受けるのが実情でございます。むしろそのほかの部面で社会がだんだん合理化してまいりますれば、当然そういうような要請が出てまいる。それを側面から推進しながら、われわれのほうもそれに合わせてより合理的な税務行政がやれるような方向を考えたい、かように考えております。
○堀委員 いま私が言っているのは、御承知のように、いま納税人員の中で最も大きなものは給与所得者が占めているわけですね。これは源泉徴収を受けているわけです。ここのところははっきりしているのだから、税の公平の原則からいったら、その他のところから抜けないようにするということが実は国民的課題になっているのじゃないかと思うのです。そうすると、私はいまの主税局長のかまえでは少し弱過ぎるような気がするわけだ。税務行政の一番中心になる公平な課税をするためには、税務行政以外の各省との連絡をとる中で、税務行政でそういう脱漏のないようなことにするということが税務行政の一つの大きな課題になっているわけだから、そのことについてはあまり遠慮をしないでやるのが主税局長として当然なのじゃないでしょうか。いまあなたの答弁を聞いているとどうも少し控え目で、誤解を招かないほうにばかりいっているようだけれども、私は、脱税なんかのことが穴がふさがれるためにはもっと勇敢にやれというのが国民世論だと思うのですが……。
○吉國(二)政府委員 堀委員のおことばは、私ども非常にありがたいと思うのでございます。実際問題として、遺憾ながら、資料提出を求めた場合になかなか応じてくれないというのが実情でございます。しかし、おっしゃるとおり、税務官庁がいかに努力しても、客観的な資料というものが隠蔽されてはなかなか真相がつかめない。そのために紛争が起こる。紛争が起こってから個別に資料を求めていくということになりますと、審査になり異議になる。私はやはり国民的に、納税を確実にするためには、そういう気風が起こってくるということを非常に期待しているわけでございます。主税局長はその点で、われわれがそれを申しますとすぐ反対されてしまうということを申したのでございまして、むしろそういう気風が税務行政をバックアップするという形で出てくれば、私どもは税務行政の力も三倍になり四倍になると思います。そういう意味では非常にありがたい御意見でございまして、私はやはり憲法三十条の納税義務というものは、そういう意味では基本的義務であって、それに対応するだけの資料を提供するということも当然入っている、こう考えらるべきものだと思うのでございます。将来そういう方向にいくように、私はここでぜひお願いしたい、かように考えております。
○堀委員 私はいま脱税のことを言ったのですけれども——もう一ぺんここで戻りますが、しかし、もう一つの面は、あなた方のほうにかなりミステークがあるということが、現在提出されておる一連の資料でわかるわけですね。異議申し立てをやれば、全部か一部かはともかく、やはり申し立て者のほうに言い分があった。そこが直ってこないと、実際問題としていまの問題がむずかしくなるわけですよ。そうしてそれの審査請求をやれば、それについてまた幾らか戻る。ということは、それは制度としてはいいのですよ。いいのだけれども、実は審査請求にいかないように、異議申し立てで処理されれば一番いいわけですね。そうすれば審判所なんか要らなくなるわけです。しかしそれは制度として、人間のやることだからある程度はやむを得ないけれども、結局そこの中には、私がさっきから言うように、なぜ異議申し立てについて税務署の側がおりなければならなかったのか、そこのところがこの資料では一つもわからぬですね。一体収入を過大に見たのか、経費を過小に見たのか、そこらのことはわれわれが見てもこの資料では何もわからない。私どもが過去の経験から見ましても、局と税務署に非常に違いがある。それは、私どもの同僚の諸君が、その金額が多くなって、税務署所管から局の調査課所管にかわる。そうすると、局の所管のほうはたいへんこまかく調べるけれども、逆に、これは経費になりますよ、これは経費になりますよと言って親切に教えてくれる。税務署所管では一般的にそんなことを言われたことはないと言うのですよ。ともかく取ればいいという方向で、経費は、こっちから出したものは認めるけれども、では残っているこれは経費になるのですよというようなことをやられたことはない、これは掘さん、やはり局というところのほうが合理的ですねという話を実は私聞いておるわけです。そうすると、これはやはり税務行政として考えなければいかぬ問題じゃないのか。局でできることが税務署ではできてないというのが、私はいまの異議申し立ての中にかなり入ってきているんじゃないか、こう思うのですよ。だから、問題を整理しておかなければいけないのは、脱税はきちんとしなければいかぬわけですよね。脱税はきちんとしなければいかぬけれども、また逆のほうの行き過ぎについてもきびしく反省をするという問題がないから、私はどうもいまさっきのような話になってくると思うのだ。ここのところが区別がきちんとなってないと、私がエンカレッジした、ともかく前向きにやればいいのだということにはならないのですよね。やり方にはおのずから節度があるということがはっきりしてこないと、非常に問題だ。ですから、私は少し時間がかかっていいから——いまのこの問題は何も国税通則法の審判所に関連しているわけではないのです。実はいまの異議申し立て、審査請求という争訟の問題は、一番そこが税務行政の根本問題だ。 それでひとつそれについて、さっきから私が言っているように、もう少しこまかい資料を個々について皆さんのほうで少しくふうをしてもらいたい。そしてわれわれの委員会のほうに提出してもらいたい。一体、税務署へ出した異議申し立てが二万件あった。二万件全部をやらなくてもいいです。それはどこかの局二つぐらい、大阪と東京だけでもいいから、その中でなぜ異議申し立てが出てきたのか。それがいま一部を認めたのはどういう理由であったのか。全部を認めたのは税務署側にどういうところにミステークがあったのか。推計で決定をした場合に、その推計のやり方はどこに問題があったのか。こういうものを何らかひとつ一覧表のような形の、ここに該当するというような、もう少しこの問題がわれわれとして理解のしやすい、そしてそのことが皆さんの税務行政にあしたから実は役に立つことなんですから、——それを全体に示すこと自身は、こういうことにわりに異議申し立てのあった場合が多いのだ、そうするとこここは気をつけておかなければいけないということになってくると思うので、私はやはり行政に役に立つような資料を集めて、同時にわれわれにもそれを提出してもらい、税務署の職員にも提示をして、税務行政が瑕疵なく行なわれるようにしてもらいたい、こういうふうに思うのですけれども、どうでしょう。
○吉國(二)政府委員 御指摘のように、去年そういう御意見がありまして、亀徳長官のとき以来、税務署では、異議申し立てが出た場合に責任者を求めて、まとめてそこで判断をして、その資料の担当者をきめる。たとえば担当の副署長がきめるとか、あるいは総括課長がきめるとかいうことでやっておりますので、かなり税務署ではそういうくふうもし、反省をしておると思います。それを何らかの形で集めてくるということは私も必要だと思います。時間的にすぐというわけにまいりませんが、将来の問題として努力してみたいと思います。 また、先ほど私、たいへん喜んで堀委員にお礼を申し上げましたが、それはおっしゃるとおり税務行政側の改善というものとあわせて、そういう資料提出義務というものがだんだんと形づけられていくのがほんとうだと思いますし、また資料提出義務がだんだんとはっきりしてまいりますと罪つくりも少なくなるので、先生のおっしゃるように、別に悪意で脱税していなくても、わからないと思っているという——非常にそれはいけないのでございますが、そういうことはあると思うのでございますが、資料提出というものがだんだん常識化し、アメリカのようにしっかりと資料収集かつ集計がうまくできるという体制になりますと、意識的な脱税は別として、普通にいわれている若干の脱漏といったようなものはだんだんとなくなる。やはり車の両輪と申しますか、鶏と卵と申しますか、両々相まって税務行政もよくなるし、納税者の申告もよくなると思うのです。その点私どもも努力いたしますが、資料に関する一般の感触というものを国会中心で大いに進めていただければ、根本は私は申告が正しく行なわれるということが目標であると思いますから、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
○堀委員 本日は大体以上で終りますが、私が資料要求をいたしております資料が提出されました時点までさらに質問を留保いたしまして、本日の質問を終わります。
○毛利委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後一時五十分開議
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 国税通則法の一部改正案に関係する諸問題について若干質問をいたします。 まず最初に、昨日資料要求をいたしました国税庁の定員、及び現員、長欠者、こういう問題に関連をして一つだけ聞いておきたいと思います。 この資料によりますと、全体で定員が五万一千三百五人、現員は四万九千八百四人、欠員は千五百一人、長欠者が二百二十二人、こういうことになっておるわけでありまして、いわば九六・六%の充足率だ、こういう数字が出ておるわけであります。 まず、政務次官にお伺いしたいのでありますが、あなたは政治家として、こういう現状にあるということをどうお考えになっておるか、そのことについてお聞きしたい。
○吉國(二)政府委員 こういう事情になった理由と申しますものを若干申し上げておきまして、政務次官にお答え願いたいと思います。 御承知のとおり、現在税務機構の中に定員五万一千人を認められておりますが、御承知のとおり、普通二、三%の退職というものがどこの職場でもあるわけで、したがいまして四月の初めに新しい職員を採用いたしまして、定員が一ぱいになりましても、一年間に漸次退職者が出ます。現在税務職員の採用が、原則として高校卒業生を試験制度——普通の公務員試験で採用いたしまして、税務大学校で一年間教育をいたします。それを翌年第一線に配置をするというやり方をいたしております関係で、期中に随時必要な職員を得るということは、実際上困難であります。そのために、期末になってまいりますと、どうしても若干の穴があく。これが来年度の初めに一斉に埋まるということを繰り返しておりまして、その意味で、現在期末近くなっておりますために、相当な欠員が出てまいったわけであります。 ただ、特殊事情といたしましては、税務の定員が急激に増大をいたしましたのは昭和二十二、三年ころでございます。そのころに、その定員に見合うだけの新しい職員を採用いたしましたが、その職員が現在すでに二十年をこえる勤務年数に達しております。その数が非常に多いために、普通の官庁に比べて最近は退職率がやや高くなっております。そのために千五百というような欠員が出てまいりました。しかし、来年度は税務大学校から千四百名以上の新卒がございます。その他若干ではございますが、上級、中級の試験で採用する者がございますので、この欠員は年度当初においては解消するということになっているわけでございます。
○中川政府委員 いま国税庁長官から御説明申し上げましたような事情で、特殊な税務大学校の創設というようなことがあり、また時期がちょうど年度末に近いところから、こういった三・四%と若干高くなっておりますが、欠員を生じておるわけでありますが、年度が変わりますれば充足をして、税務に遺憾なからしめたいというふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 いろいろな事務的な事情で現在のところはこういう状態にある。しかし、年度が変わればきちんと充足できるのだ、こういうお答えだと思います。 重ねてお伺いしたいことは、これは全体的な国税庁一本の姿でありますけれども、こういうものが地域的に非常にアンバランスもあるであろうということは容易に考えられるところであります。私のところでちょっと調べたものを見ますと、これは大体東京の東のほう、下谷、浅草、本所、向島、江東西、東、江戸川、葛飾、荒川、足立、王子というような、こういう地域ですね、ここでちょっと調べてみたのですが、それを見ますと、定員が二千九十一人である。これに対して欠員が百九十四人、長欠も二十人余りあります、こういうことなんですね。こうなりますと、九六・六%の充足率とはまるきり、さま変わりの状況がはっきりわかるわけですね。あるいは東京におきましては、三多摩地区といわれるような、非常に資産税関係の土地の売買や、あるいは農村地帯のスプロール化が急速に進むというようなところなどで、定員、実員の非常な開きというものもかなりあるということも、これは推測できるわけでありますが、そういう問題も非常に出ているということを考えまして、おそらく四月に新規採用の者などが入ってくるわけだろうと思いますけれども、こういう特殊な約一割の欠員——長欠を含めますと一割以上になるというようなところに対しても、全部きちんといまお答えになったようなことがとれるのかどうか。そういう地域のアンバランスについてどうお考えになりますか。
○吉國(二)政府委員 東京局、大阪局は定員自体も多くありますし、さらに、実は都会署ほど退職者が多いというのが遺憾ながら実情であります。そのために、期中における減耗もこういう都会地に非常に多いことも事実であります。したがいまして、現在新規職員を配置する場合には、東京、大阪、名古屋に重点を置いておりまして、たとえば九州で採用いたしまして九州で教育した者も、七割は東京に置いて第一線に配置するというようなことをやらざるを得なくなっております。本年も東京には六百近くの新規職員を配置する予定でございます。したがいまして、東京も若干の欠員が残りますけれども、ほぼ欠員を充足することができると思っております。もちろん、その署内における配置は、現在の欠員量の高い署に優先配置いたします。新年度においてはほぼ全体がならされるという結果になると思います。ただ、御指摘のような資産税事案の多発署と申しますか、そういうところに不足している部分につきましては、局員を適宜臨時配置をする、あるいは署間の臨時の応援ということで対処するように、期中においても局としては努力をいたしておる次第であります。
○広瀬(秀)委員 それで、重点的に東京、大阪というような欠員の多いところに配置をするということなんですが、一体この定員はいつきまった定員であるのか。その後における業務量の増大、これは納税人口、たとえば所得税だけをとりましても年々増大をいたしておるわけであります。しかも急速な都市化現象、過密化、こういうようなものを通じて資産税関係などにおける税務の対象になる件数というものは飛躍的に増大しておると思うのですが、その二つ。定員がいつきまったか、その定員がきまったあと、どういうぐあいに対象の納税人口がふえたか、あるいはその他資産税関係、これも納税人口でけっこうですけれども、そういう統計をとったものがありますか。あればそれを数字で示していただきたいと思います。業務量増大の傾向です。
○吉國(二)政府委員 定員は御承知のとおり年々増加いたしまして若干ずつふえております。昭和三十年の定員は五万三百三十四名でございます。その後若干ずつふえてまいりまして、五万一千台になりましたのが四十年でございます。五万一千百五十一人。それから昭和四十四年に増加がございまして、五万一千三百五人という数字になっております。この間に納税人員等の異動は、法人数は三十年から現在までに約二倍に、申告納税人員は、先ほどお答えをいたしましたように三十年から四十三年の間に約六割ばかりふえております。法人数が二〇二%。そういう点から申しますと、課税対象がふえたのに対して定員のふえ方は少ないということは言えると思いますけれども、同時に、わが国におきましては、各分野で同じ問題が起きております。経済界におきましても生産量が三倍になるというような状況でございますし、関税、通関の物資も、御承知のように輸出入が三十年から考えますと数倍になっております。そういうことで、各分野で増大が起きておるにもかかわらず、人口はほとんど変わらないわけでございますから、そういう意味では、私どもは実は定員が不十分だと思って要求をいたしておりますけれども、実際的にはなかなかそれだけふえないという状況でございます。 それよりもっと大きな問題は、この増加している法人数その他は大体において都市局、大阪、東京、名古屋地区で起きております。相対的に地方局ではむしろ課税対象が減少しているという事実がございます。しかるに、定員の配置は、各局間で調整をいたしますと、実際に人員を動かさなければならないということで困難でございますので、なかなか思い切ってふやせない。それでも東京局あたりは、この十年の間に定員を約三割ふやしましたが、その分は地方局を削って持ってきておるわけでございます。その地方局から削って持ってまいっただけの実員が、実は現員としては動かないものでございますから、先ほど御指摘になったように、東京局では常に現員が不足ぎみでございます。新規採用の職員を全国から東京に集中いたしましてもなお足りないという状況でございます。私どもは、総定員ももとよりふやしていきたいと思っておりますが、この東京局、大阪局の現員をいかにしてふやすか、それに非常に困難を感じておるわけでございます。 したがいまして、現在、あるいはお尋ねが将来あるかと思いますけれども、国税庁では八年来、電算機による内部事務の処理ということの研究を進めてまいっております。内部の機械作業に乗るものは——全部の地区にやる必要はございませんけれども、都市局管内においてはできるだけ電算機に切りかえまして、そこで定員の不足を補うという考え方をとっております。私どもは電算機を省力とは考えておりませんで、追いつかない事務を何とかしてこなすという意味で、定員は電算機があってもなおかつ足りないという感じではございますけれども、少なくとも現員の不足は電算機の導入によって相当カバーできるという見込みで、本年度あたりから、いままで試験実施をしていたものを逐次実際に移していこう、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 働く人が足りないということは、日本経済の異常なまでの高度成長という中で各方面どこでも同じ悩みをかかえておることでありますが、製造工業やなんかの場合には、それぞれ工場のシステムもオートメーション化するし、いろんな近代化、合理化というようなものが機械的に処理される。しかし、国税庁のやっている仕事は何といっても事務的なことであるし、しかもそれは一人一人が一件一件について判断を加えるというようなことですから、機械的に、電算機を入れたということで事務処理の能率アップも、これは何ほどかは貢献するであろうけれども、どこまでそれができるのか。それに関連するいわゆるソフトウエア、ハードウエア、いろいろ問題点もあるし、そういうようなことを考えればやっぱり非常に足りないという現状、しかもその充足が非常に困難であるという現状、そういうものの中にいわゆる徴税行政に当たっている国税庁の職員が非常に労働強化になり、あるいはまた長欠などもほかの官庁よりもいつも多いということ。かつては結核患者が一番多いということも数字的にもよく証明されている。しかしこの面では、時代の推移とともに栄養の向上などの中である程度減少しているというようなこともあるけれども、それにかわる新しい病気、高血圧であるとか、その他肝臓系統の障害であるとかノイローゼであるとか、そういう新しい精神病というようなものもだいぶ出てきているというようなことで、そういう問題を考えますと、いま長官は、総体の定員問題を主体にして、特に不足している東京、大阪等に対する充足を重点的に考えたいということでありますが、今日の社会情勢の中で、税務に携わる職員の給与、待遇、それは単に金額で表示されたもの、ここにも問題が当然あるけれども、そればかりではない。労務管理におけるきびしい締めつけだとか、そういう精神的な問題、それから権力と納税者との間に非常に板ばさみになる精神的な苦痛というようなものなどを考えれば非常に問題点が多いと思う。そういう点について、長官の気持は一応表明されたのだけれども、そこらのところを、そういうものを含めて定員の充足、さらに定員を増加させる、そしてこの増大する徴税行政に対処する行き方、こういうものについて政務次官のこれからの考え方を、どこまでおやりになるか、それらの決意を含めて、この際はっきり表明をしていただきたいと思います。
○中川政府委員 広瀬委員の御指摘はまことにもっともだと私も思います。実は先般就任をいたしまして、郷里であります北海道の国税局を見てまいりました。御指摘のように事務量が多い。のみならず、どちらかというときらわれる、あまり好かれない職業でもあります。そういった精神的な負担というものも非常に大きいということから考えますならば、いま長官からお話がありましたように、電算機の導入による事務の簡素化、能率化ということについてまず最重点を尽くすべきであり、さらに定員につきましても、総定員法の関係もあり、あるいはまた行政機構改革等を通じていま根本的な検討も一方ではなされております。そういった時期をとらえて、御指摘の税務職員の事務量の軽減について最善を尽くしてみたいものだ、このように思っております。
○広瀬(秀)委員 いまの答えをしっかり腹におさめて、税務職員が、特に最繁忙期のこの二月十六日以降三月十五日までの確定申告受付という、ことしは十五日が日曜日だから十六日になるわけですけれども、この間などというのは、もう昼めしを食べる時間すらほんとうにないくらいの状況でやっておる。しかもそういう中で職員が気持ちよく働くというためには、職員の気持ちというものを、それぞれ労働組合もあることですから、その人たちの提言あるいは要求、こういうようなものに対して十二分に聞く、こういうやはり非常に民主的な立場でのかまえというものが国税庁当局になくて、とにかく増大するものを、そういう職員を追い込むことだけで処理をするということにはもう無理があるし、これから税務行政に携わろうというような新進有為の若ものたちがもう全部ボイコットしてしまうというような空気にもなりかねないというようなことにならないように、そういう点で十分ひとつこれは配慮をしてもらわなければならぬ。そういう点についての長官の気持ちをこの際聞いておきたいわけです。
○吉國(二)政府委員 御指摘のように、この一カ月間というものは、いわば税務署にとりましては最も重大な期間でございます。私は常日ごろから、納税者との共同的な意識と申しますか、一緒に税を納める、税務署が税を納める一つの手段方法であるというくらいの認識を持っていただかなければ、税務行政というものは本質的にはうまくいかない。そのためには、実は税務行政が努力して納税者にそういう意識を持っていただくためのことをしなくちゃいけないということを言っておるわけでございますが、遺憾ながらなかなか接触の機会というものがございません。一番多く納税者の方に接触する機会というのはこの一カ月、この一カ月間で全国の税務署に百万以上の方がおいでになる。ことに最後の日などになりますと、現在分割しておりますが、旧世田谷税務署においてはかつて一万人の人が来られたこともある。そういう時期にこそ申告指導なり相談なり、これで納税者との気持ちの一体化をはかる絶対の好機だということで、税務署の署員一同もほんとうに真剣に取り組んでおるわけでございます。 しかし、その反面に、御指摘のように非常な労働の実際的な強化のかっこうが出てくる。これもまことに心配な点でございますので、私どもはこういう繁忙期に超勤をしたりすることはある程度やむを得ないと思いますが、それに対しては事前事後の健康管理、期間中の健康に対する手当て、これらを十分にいたしまして、同時に、何といっても一年に一度の一番大事なときには全職員の総力を結集するということが必要ではないか。日曜出勤も私はできるだけしないで済ませたいと思いますが、十六日を控えて、十五日はどんなに説明しましても、納税者の方は十五日になっておいでになると思います。ことに職業をお持ちの方は日曜日に来るというのがむしろ当然だと思います。こういうときに税務職員が休んでしまう。全部休んで、お帰りなさいということは不可能ではないだろうかということは、組合の連中とも税の繁忙期を迎えていろいろ話し合いいたしましたが、そのときに私は、気持ちはよくわかるけれども、この一番大事なときに、税務職員の職務としては十五日あたりを全部一斉に休むということは適当でない。それにはそれだけのことは——もちろん日直の手当とか、そういうものは十分に手当てをいたしておりますので、最小限の必要な人間は出て、納税者と税務署との大事な意思の交流をはかってもらいたいということを申しました。おそらくどこの税務署も最小限の人で計画をして、納税者の方に不便を与えないようにするという努力はしておると思います。必要以上に無理はさせたくないと私も思います。ただ同時に、どこの職場も最繁忙期というものは一番努力を要する時期だ。その努力によって、からだがそこなわれないような健康管理の道は、私どもは十全の策をとってやっていきたい、かように思っております。
○広瀬(秀)委員 長官の御答弁は、その限りにおいては納得のできることなんです。ただ問題は、そういうお気持ちでやっておられる。しかし現実に、先ほど数字を申しましたように、たとえば東京の東部で十幾つかの税務署を見ただけでも充足率は八九%ぐらいに落ちている。そういう中で、遠慮会釈なしに、これはもうその実情におかまいなしにタックスペイヤーはどんどん苦情を持ち込むし、申し立てもしてくるし、いろいろ相談にもくるというようなことになっておるわけです。したがって、なるほど署長なり管理職の人たちは、昼休みはちゃんと一時間とりなさいと言っても、次から次に並んでおる人たちをさばくのに、ゆっくりめしを食って休憩時間をとっておられますか。どうしたって食事をしながら応待に出るというようなことで、それも交代、交代で、ずっと昼休みじゅうだれかがいるという状態。しかもそういう場合にきちんと、それじゃ言われたとおり昼休みをとるということになれば、納税者に対して悪感情を抱かせることにもなってくるし、納税者のほうも忙しい中で商売の合い間に来ておるというようなことを考えれば、どうしても、言われておってもやらなくちゃならぬ、そういう実情。こういうようなことを十分考えていただかなければならない。 また、特に国税庁関係ではそういうことでやっておるけれども、それに従ってびしっと休憩時間をとるというようなことになれば、これは昇進の問題にてきめんに関係してくる。次の昇進やなんかに……。病気の場合でも、そういうことを意識しながら無理に仕事をするというようなことになっておるとまでいわれておる。これは、第一線の人たちに聞くと、少しぐらいの病気はがまんしてやっています。そういうものが蓄積して非常に健康状態が悪いというようなことになる。それというのも、昇進というようなことを考えると、とてもじゃないがそういうことはできませんというようなこと、そういうものに、現にこれは私ども各税務署に行って第一線の人たちと会って、率直な意見を聞かしてくれと言うとたいがいそこに落ちつくのです。そういう雰囲気というものがやはり現実あるときに、ぽっとあちこちにそういう具体的な例が出るというようなことを考えますと、これは非常に大きな問題点があるというようなことで、これは根本的には業務量の増大に見合う定員の確保ということ、それから年度末になってこういう状態だと言うけれども、そういうようなものを、途中においても機動的に充足できるような制度を開発していくとか、考えて実現していくとか、そういうものをしっかりやらなければ、いま私が憎まれ口をききましたけれども、そういうようなことが現実に常に発生するということにもなるので、そこらのところ、十二分にひとつ配慮してもらいたい。これは先ほども申し上げましたように、ほんとに最近ではノイローゼ患者なんかが非常に多くなっているということもありますし、高血圧というようなものなんかも非常に多くなっているというようなことから、ほんとに税務行政に携わる者は、先ほど御答弁の中にもありましたように、何か今度は大学卒で国税専門官試験というのですか、そういうものなども考えておるようでありますけれども、こういうものなども特に外部から人を求めよう、そういう気持ちでもあるようですけれども、そういうところにほんとに喜んで税務行政に一生をささげたいというようなことで優秀な若い人たちが入ってくるということがだんだんなくなってくる。何ぼそれは考えても来なくなってしまうということになったらたいへんなことにもなるわけですから、特にそういう問題についてひとつ十分配慮を、もうこれはどれだけ配慮しても配慮し足りたということのない問題ですから、そういう気持ちでひとつこの問題に対処していただくように強くこの点要望しておきます。特に吉國さん、国税庁長官になられたばかりでありますから、そういう点を十二分にひとつ考えていただきたいと思うわけです。 その問題はそのくらいにしまして、本題の通則法関係に入りたいと思います。 昨年も平林委員が質問をいたしたわけでありますが、私ども、税務関係についてのこの国税通則法で今度提案されている問題、これは納税者の権利救済、いわば事後の権利救済だ。それに対して事前の権利救済というか民主的税務行政のあり方、こういうようなものをやはり充足していくという考えに立って、いわゆる事前照会回答制度、それから更正処分の予告制度、こういうようなものは税制簡素化の答申の中にも、四十三年に出ておるわけですね。こういうものを踏まえて最近、きのうの答弁にもありましたように、税務相談に応ずるとか、あるいはテレフォンサービスもやるとか、いろいろなこともやっているけれども、そういうものがいま申し上げた二つの問題を制度としてとり入れるという考えと、そういうもので足りるのかどうか。テレフォンサービスや税務相談に応ずる、こういうようなことを制度化する。二つの問題について、事前照会回答制度と更正処分の予告制度というものをとり入れる、こういうものについて制度化するということのほうがよりすぐれた——納税者、大衆も、そういうことになれば、税務署もかなり民主化されたもんだなということになると思うわけです。しかも、そのことは異議申請というような税務関係のトラブルというものを非常に画期的に減少させる方向に確実に結びついている。そういうものなんだから、きのうの答弁のようなことで満足することなく、こういう制度を発足させる気があるのかないのか。制度としてそういうものを定着させていこうというところまでどのくらいたったらいけるのか。そこらのところを、お考えをしっかり聞かしてもらいたいと思います。
○吉國(二)政府委員 昨日、実はお答えをいたしたのでございますけれども、この二つの問題は確かに非常に実際上も重要な問題であると私どもも思っております。この事前照会制度につきましては、現在一部国税庁の参事官におきまして書面で回答するというようなことも行なっておりますし、また昨日も申し上げましたが、期間計算の継続性の問題については、納税者との間に届け出をさせて、その届け出事項についてはその納税者の採用している経理方法を承認するというようなことで一歩前進をはかってまいりました。これを全体に制度として及ぼすということが一番望ましいわけでございますけれども、それに十分なれると申しますか、お互いに回答、質問ともに実際に問題のないようなものになるためには、まだ相当な間相互に慣熟の必要があるのではないかという意見が部内でも非常に多いわけでございまして、このこと自体が前進であることに対しては何人も異議はないわけであります。漸進的にこれをはかっていきたい。アメリカではすでにこれを一般的な通達として出して実行いたしておりますけれども、そこまで制度として具体化するまでに、若干やはり私どもとしても回答のしかたとか、あるいは質問の整理とかいったようなことについての訓練を要するのではないか、かように考えておりまして、ことし、現在予算で認められ、予算が通れば認めていただけると思いますが、各国税局に相談室を設けまして、相談室長、相談官というものを常設することにいたしました。この相談室というものを通じて、個々の相談等を皮切りに、漸次相談の定型化をはかっていくということを考えていく。それを通じて、将来は御説のような行き方を採用できることになるのではないか。たいへん漸進的で恐縮でございますが、考え方としてはそういうふうな考え方でございます。 それから、事前に更正を通知するかどうかという問題、この問題は昨日御説明申し上げましたように、アメリカでやっております制度がそれに似ておりますけれども、これは実質はわが国の更正の方法と同じものでございます。むしろ、わが国では更正の前に期間計算の誤りとか、こういったものについてはできるだけ納税者に説明をして、場合によっては修正申告をとるというような方法で具体化をやっております。できるだけ事前に納税者と話し合いをして、納得を得て、修正を認めれば修正をするということなら修正をしてもらう、あるいははっきり更正をするという場合でも、相手方にできるだけ納得を得るような話し合いをするということを実際面においては部分的に行なっております。これも制度化してしまうというには内容的にはむずかしい問題がございますので、実行上この方法をできるだけ進めていく。それによって無用な異議申し立て等をできるだけ減少させるということを考えていく必要がある。きのうも御紹介いたしましたように、異議を取り消したものの中には、税法自体に対する理解が足りなかったとか、あるいはそこを説明してもらえばわかったんだといったようなものがかなりございます。そういうことができるだけ減っていくようにということで、そういうことを実際上推進していくつもりでやっていきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 答申を見てみますと、「現在でも、国税庁、国税局、税務署においてこのような照会に回答する事例は毎年多数にのぼっているほか、税務相談等を通じての照会、回答も大きな役割を果している。」と、非常に高く評価をしております。具体的にそういう事例はどのくらいの件数がありますか。
○吉國(二)政府委員 きのう実は私、ばく然と申し上げましたが、東京局のテレフォンサービスの例で申し上げますと、四十四年の一月一日から一年間に所得税関係で一万二千件の相談がございました。私が申し上げたのはたいへん間違っておりまして、所得税だけ申し上げたのでありまして、資産税関係では二万一千件、法人税関係で二万八千件、その他合わせまして七万四千件という相談をやっているわけでございます。 それから、こまかい非常にむずかしい問題を国税庁に問い合わせてきた件数は、これは国税庁でございますのでそうたくさんはございませんけれども、所得税について百八十二件、法人税百四十八件、これらは相当精細な回答をいたしております。 各国税局のほうは時間がございませんのでまだ調べてございませんが、こういうふうに非常に相談件数が多いわけでございます。それで、この中にはもちろん書面で回答する必要がないものがたくさんあると思いますが、ことにテレフォンサービスの場合は匿名でございますから書面で回答する必要はないと思いますが、やはり疑問というものは相当数あることは事実でございます。でき得れば確実な回答をすべきでございますが、これだけのものに全部書面で出すということになるとまだ相当な準備が要ると思います。
○広瀬(秀)委員 方向としてはそういうものを——いまテレフォンサービスだけの件数も説明されたわけですけれども、たとえばそのあとに、税調答申にありますように、「納税者が自己の直面している具体的な課税要件事実等につき書面で正確に記載を行ない、その税務上の取扱いについて、照会した場合、税務当局は、できる限り書面で回答を行なう慣行を育成することが望ましい」ということなんですね。このことはやはり将来の税務行政のあり方にとって非常に大きい重大な問題だろうと私は思うのです。この税務に関する紛争、異議申し立て件数、そういうようなものが、いま資料を当局からお出しになったように、かなりの件数になっている。こういうような事件が、こういう制度が確立されることによってほとんど代替できるような可能性を持っているとすら思われるわけですね。そういうようなことで、将来の税務行政のあり方における一つの重要なポイントであるというように私は考える。これを、これは慣行を助成、育成する段階であるという答弁なんですけれども、大体どの程度の時間的余裕を置いてそういうものが慣行として熟成され、今度は書面でどんどん回答をするというような、そういうものに要する期間というものをどのぐらいに想定しておられるか、この見通しについてお聞きいたしたいと思います。
○細見政府委員 何年というのを具体的に申し上げるのは、これは税務署のほうの事情あるいは納税者のほうにおきまする税金に関するいろいろな知識の状態というようなものに依存いたしますので、一がいに予定をすることはむずかしいと思いますが、広瀬先生おっしゃるように、方向として税金の問題をあらかじめ、大きな取引なりあるいは大きな事業の決着をつけるというようなときに、税負担がどうなるかということは非常に大事なことですから、こういうものにつきまして詳細に述べていただき、それに対して今後税務当局が決定する場合はこういうふうに判断いたしますということを前もって知らせておくというのは、紛争を除き、また納税者と税務当局との信頼を確保する上におきまして非常に大事な布石であることは事実でございます。したがいまして、その答申にありますように、私どもといたしましては一刻も早くそれの制度化ということを考えておるわけでありますが、先ほど来長官が答えておりますように、納税者と税務当局との信頼関係というようなものが徐々に確立されて、そうした慣行がおおむね間違いなくやっていけるという段階にきたときには制度化し——制度化しなくても、およそ税務当局が一たんこうこうでございますといったものについては、ささいなことについてはその後の事情があってもそれを尊重するというような形で、この慣習を育成していくというのが当面のことじゃないかと、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 まああとで、禁反言の法理じゃないけれども、そういうようなものの心配でなかなか渋っているのかと思いましたが、いまはしなくもそういうことも後段のところでおっしゃったから、そこのところはあなた方を信頼します。したがって、この制度については税調でも、いまやっているそういう事例というものに対して非常に評価をしているわけです。私どもが考えても、また納税者の立場に立っても、これは非常に税務行政民主化の一つの方向として重大な位置づけをされるべきものであろう。将来の問題としてそういう方向に進むということも確認をされたわけですから、この問題についてはそういう方向で、できるだけ早い機会に慣行として定着をできるように、制度として定着化するような方向を間違いなく進めていただくように要望をいたして、次の質問に移りたいと思うわけであります。 そこで、この委員会における質問の中でも問題になり、また参議院でも、特に参議院では与党の青木委員ですかが、国税通則法における権利救済の面と、いわゆる争点主義、総額主義の論争をめぐって、権利救済ということに徹するならば、当然これは裁決が出される場合に、争点主義に徹すべきだ。そしてそれはそれとして決着をつけて、新たなる事実が発見されたということに対して、それはそれで別途の方向でやるのが当然筋として正しいのではないか。こういう問題も、これは大蔵省にとって、皆さんにとっても大先輩のベテラン、税務行政全般についてのベテランで、しかも今日では与党の議員ですらそういう考えを持っておられる。吉國さんの主税局長時代の答弁も、亀徳さんの答弁も、これはやはり総額主義だということを盛んに言っておられるわけでありますが、しかも青木さんの問いに対して、当時の主税局長吉國さんは、十分検討さしていただきたいということも述べておられる。これは議事録にはっきりしておるわけでありますが、その点どういうように検討されて、お考えになっておられるか、この点を確かめておきたいと思います。
○細見政府委員 制度論といたしましては、参議院で当時の吉國主税局長が申し上げておりますように、現段階の税務の争訟制度というのは、やはり所得が幾らであるかということについて、全体として真実の所得を発見するという総額主義という立場を、現在判例というか、裁判所もそういう考え方をとっております以上、われわれもそのいわば下級審といいますか、準備段階として同じような考え方をとらざるを得ないかと思いますが、しかし行政の慣行として、参議院でも申し上げておりますように、十分納税者の争点を中心にして今後審理を進めてまいりたい。その地盤も、たとえば異議申し立てについて、その異議申し立ての決定の段階で更正の理由を明らかにするというようなことにいたしまして、納税者、それから官庁、税務当局側がそれぞれ争点を明らかにしながら審理していくことになるわけでありますから、事実上そういう方向で運営できるのではないかということを私どもは考えておりますので、これはむしろ長官から、今後の運営の基本としてお聞き願いたいと思います。
○吉國(二)政府委員 ただいま主税局長が申しましたとおりで、実際問題と基本的なたてまえというのはかなり違うと思います。ことに、今度の制度ではいま申しましたように、納税者に対して原処分に対する処分理由を明らかにする。それに対して納税者は処分に対する不服の理由を明らかにする。税務署はそれに対してさらに答弁書を出す。それに対して不十分であれば納税者が補充をするというような一つのシステムができてまいります。したがいまして、特に審判所として進んで事実関係をさがすという態度ではなく、そこで両者の言い分が出尽くしてくれば、それによって判断をするという一つの審理慣行というものを漸次形成していくということが実際的には妥当ではなかろうか。これは審判所ができてあとの運営ではございますが、私自身はそういうようなことで新しくできます審判所長に要望いたしたい、かように考えるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 争点を明らかにして権利救済を申し立てる、その審判の段階で新しい事実が発見されて、それで課税標準の額が差し引きしてみたら大体原処分と同じだ、こういうような場合であっても、権利救済は権利救済としてその争点に従ってきちんとするということがやはり筋としても通るし、しかもこの制度発足に対して、国民がその争点についてはそういう形ではっきりするんだということで、この制度に対する信頼感というようなものもそういう中から生まれるだろうと思うのです。それを新しい事実、今度また別に脱漏が発見されたというような形で、それを相殺してみれば大体原処分の額程度になるんだというようなことでやったんでは、これは行政の立場からは二重の手間を省いていいんだというようなことになるかもしれぬけれども、しかしそういうことではやはりこの制度自体の筋が通らない。権利救済のためにこの制度をつくるんだということについて不服審判所をつくるんだといっても、結局何か新しい課税処分を受けるというようなことになる。その点はやはり、これはいわば画期的ともいうべきこの審判所制度をつくったということに対する立場をさらに正しく貫いていく。そして、税務行政がこのことによって納税者の権利救済制度として評価をされるということは、やはりけじめはけじめでそういう形でつける、争点でつけるということにして、これはあとから、そういうものがほんとうにあったということならば、更正は再更正もできるし再々更正もできるというようなシステムにもなっているわけです。しかも、その期間も三年とか五年とかあるわけだから、そういう形でやればいいわけであって、手間がかかるという以外には皆さんのほうの理屈が立たぬだろうと思う。そこらのところを整理されて争点主義に徹しられないのか、ここがどうしてもわからない。
○細見政府委員 審理いたしております過程でいろいろ所得の話が出まして、あなたはどうしてこの程度の所得で生活がそれじゃできたんですかというような話で、いや、実は私はここに別途こういう所得があったんです、それて暮らしておりましたというのまで、いや、それはそれとして別ですというようなことにいたしまして、あとで税務当局が再度そのことについて更正するというようなのは、やはりこのことで訴えたら結果的に税務当局が別の意味で意趣返しをした——そのために不利益な取り扱いを云々というようなのが社会党案の中にございましたが、そういうような印象をかえって与えやせぬか。 それから、たてまえといたしましても、その審理なり審査の過程で、あらさがし的にほかの所得があるでしょうというようなことは、先ほどの長官の答弁にもありましたように、納税者の言い分を中心にして審理いたしますから、何か別にあるでしょうとかほかにどうとかというようなやり方はいたしませんが、御本人が実はこれだけ別にあるんですと言われたのまで、いや、それはそれでけっこうですというところまでやるのはかえっていかがなものか。むしろその場合には、あなたは全体として百万円なら百万円の所得があったんだからこれは棄却ですと言ったほうが、先ほど来申し上げておる法律論を離れましても、行政のあり方としてもそのほうがむしろ納税者の方にもわかってもらえる措置じゃないか。これは考え方の問題でございますが、そういうふうに考えて、ただその審理の過程でことさら、あなた、そんなこと言っても別のものがあるはずでしょうというようなことで、しゃにむに調査するというようなことは、これからは慎んでいきたいということを先ほど来長官が申し上げておるわけですから、現段階としてはこれもやはり何年かの年月をかけて、税務の不服申し立てというものについて、納税者と税務当局との間によい慣行ができていく方向にやっていくというのが現実的なことじゃないか、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 まあそういう考え方もある。その点はわれわれもわからぬではないけれども、権利救済というものを前面に押し出した国税審判所法をわれわれ前国会に提案した立場からいえば、ただいまの問題はやはり審当機関というものがどれだけ第三者性を強く持っているかということで、われわれのほうは総理府に置くというようなことで第三者性というか独立性というか、しかも権能的にも準司法的な権能を持たせようというようなこともあったわけでありますが、そういうものとも関連をすると思うのであります。 そうなりますと、当時の吉國主税局長の答弁でも、審判官の性格というものは課税裁決をする限りにおいては一種の収税官吏、課税庁の役人と同じだ、こういうような答弁もどこかにあるわけなんです。いまでもそういう審判官の性格、これはやはり課税庁の職員であることには、今度の場合も国税庁長官のもとに置かれるわけですから変わりはないけれども、そういうように収税官吏的な面が非常に強く出てしまうということになると、この審判官というものはほんとうに権利救済が主なのか、収税官的な立場が主なのかという疑問にも突き当たらざるを得ない。だからその点については、原処分についてさらによけいな、ほかの脱漏はないかということで調査するというような、そういうあこぎなことはせぬのだという答弁を細見さんがいまされたわけですから、一体この性格の問題はどっちにウエートがかかっているのだということをこの際はっきりしておいていただきたいと思うのです。そういう性格を持つということを答弁されておるわけですね、前国会で。
○吉國(二)政府委員 私が当時申しましたのはいわば理論面で申し上げたわけでございますが、裁判においても租税事件というのはいわゆる債務不存在確認の訴訟ということで、最終弁論まではその債務が存在するかいなかの資料は全部提出をしてそれを認容するという態勢をとっておりますので、そういう意味ではこの訴訟の性格論、あるいはその前段階としての税務争訟の性格としては、普通の民事訴訟とは違いまして、真実の所得発見ということが本質である。そういう意味では、課税官庁は課税という面で真実の所得を追及いたしますし、権利救済という面は法令に従った所得ということを発見して権利救済をはかる。そういう面から申しますと、その実質の真実の発見という面では両者共通のものがある。そういう意味では収税官吏と同じ機能を持つ面もあるという意味で申し上げたわけです。もちろん、権利救済の面で真実発見をするといたしましても、その納税者、税務署が互いに申し出ていること以外に進んでさらに何か求めて調査をするという態度をとるかとらないかということは、まさにおっしゃったポイントの置き方だと思うのです。権利救済の面にポイントを置けば、両者の申し立てを十分に聞いた後、両者のうちで正しいものを選択をした。それで結論が出れば、それをさらに自分でさがして求めていくということをやる必要はないという考え方が、権利救済のサイドにポイントを置いた考え方だと私は思うのです。もし課税官庁というものの面にポイントを置けば、たとえ両者の間で話がはっきりしたとしても、しかしまだどうも客観的には所得がありそうだから調べようという態度になる。それは私はとらない。今度の権利救済制度においては、そこで両者のポイントの差を分けるべきではなかろうかという観点で、先ほど来のことを申し上げたわけであります。
○広瀬(秀)委員 第九十三条に「答弁書の提出等」という項があるわけですが、その一項後段に「当該国税局長。(以下「原処分庁」という。)から、答弁書を提出させるものとする。この場合において、国税不服審判所長は、その受理した審査請求書の副本を原処分庁に送付するものとする。」こういうことで、原処分庁に対して、審査請求書の副本を原処分庁に送付をして、答弁書の提示を求める。その段階で、これは原処分庁は、何かやはり税務署のいままでの行き方というようなものからいって、自分が行なった原処分というものに非常に拘泥する性向というものを持っているだろうと思う。そうすると、とたんにその答弁書を提出するために、さあというのでもう一ぺん調査をして新しい事実の発見をどんどんやる、こういうようなことになるおそれが非常にこの関係からいってあるんじゃないかと思うのです。そういうようなことがあると、いま主税局長なり長官から言われたようなことが、実際にはそういう形になってどんどん新しいものを、非常な質問調査権の乱用に近いことまでやりながら、そういうことになりかねない面があるのではないかというおそれもあるわけなんですね。この辺のところについての提案者としての主税局長なり、また実際に課税官庁の長官としての吉國さんの御意見を、そういう点についてどうお考えになるか、はっきりさしてもらいたいと思うのです。
○細見政府委員 主税局側の立場を申し上げますと、せっかくのこの新制度をここに御提案申し上げるわけでありますから、この制度が国民各位に理解され、また納税者と税務署の間のよりよい協力関係が生まれるように運営されることを期待して法案を出しているわけでございます。
○広瀬(秀)委員 それでは抽象的で答弁にならぬ。納税者の心配はより一そう具体的なんだ。
○細見政府委員 心配と言われますが、法案を出すのは、新しい審査制度の樹立を目ざしておるわけでありますから、そういう制度が国民に理解されるように、調査権の行使にあたっても十分慎重にしてもらわなければならないと、私どもは考えております。よくその辺を国税庁に要望するつもりでございます。
○吉國(二)政府委員 私は、本来の考え方といたしましては、税務署としては従来の処分についての調査、さらに異議申し立てに対して調査をいたしておるわけでありまして、そのときの考え方を書くのが答弁書の原則であると考えております。もちろん税務署の段階でございますから、明らかに新しい後続資料が出てきたというときに、調査をしないでも明らかに客観的資料が出てきたというような場合に、それを申し立てるということを妨げるわけにはいかぬと思いますけれども、そうでない限りは、原則はあくまでも異議申し立ての際に自分が所信をもって述べたものを提出するのを原則にしたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 私も、そのとおりだろうと思うわけなんです。この九十三条の二項を見ましても、「答弁書には、審査請求の趣旨及び理由に対応して、原処分庁の主張を記載しなければならない。」こういうことですから、いまおっしゃったような趣旨であることには間違いない。しかし、私が具体的に実際に税務に当たっている人、あるいは納税者の人たちにこういう問題点を聞きますと、そういうことをやられるおそれがあるのじゃないかということで、この権利救済の審査請求を審判所に出した。そしてその副本が送付される。そうすると、答弁書を原処分庁、税務署は出さなければならぬということで、ここに書いてあるようなことでではなしに、今度はまたあらためて調査をかけてやるというようなおそれというものが考えられるということを非常に心配になっているので、そういう——これはもういわゆる審判所の段階に問題が移っていますから、これは審判官のいわゆる審理、事実究明、真実発見、こういうようなところにまかせるべきであって、原処分庁としてはそんなあらためての調査なんということはやらないんだというきっぱりした答弁が、私は必要だろうと思う。いかがですか。
○吉國(二)政府委員 もとよりその審査請求に出てくるような事案の中には、明確に両者の理論的な相違のあるものもございます。そういうものについては、これは問題ないと思います。事実認定の問題になってまいりますと、かなり両者の主張が異なっているという場合もあると思います。そのために審判所みずから質問検査権を行使して事実認定の当否を求めるということは、これは私、必要だと思いますが、その場合に税務署に調査をさせるというようなことをやらずに、もっぱらみずからの調査権において審理を行なうということが当然であろう、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 ぜひ念を押しておきたいのですが、原処分庁にそういうことをやらせるというようなことは、これは不服審判所の構成からいっても、またたてまえ論からいっても、ないと思いますが、原処分庁が先走ってこの答弁書を準備するために新たなる調査をやる、これはもうすでに更正の段階において、あるいは異議申し立ての段階において原処分庁としては十分やっているはずなんですね。ところが、答弁書を書くために、何かやはり自分の原処分に対して不服審判をされているんだということで、それじゃもう一ぺんまた調査をして、ということをやりかねない、答弁書を有利に書くために。そこのところだけはやはりきちんとして、これはもう審判所の権限で審判所がやることなんだというふうにまかして何ら差しつかえないし、権利救済というのは具体的にはそこがやはりポイントだと思うのですね。だから、そこのところはもうちょっとはっきり——原処分庁が出て、この審判請求があってから、答弁書作成の段階になって再調査をするというようなこと、これは時期的に見ればすぐわかるごとなんですから、そういう具体的な事案に対して、事案が発生して進行している中で原処分庁がまたその問題について調査に行った、こういうようなことはないのがほんとうでしょう。審判所がやることなのです。しかも質問検査権もちゃんとあるのですから、そこのところはもう少し歯切れよく答弁していただいてけっこうなことじゃないですか。
○吉國(二)政府委員 まさに理論的には私もそう思います。筋道としてはそうだと思います。御承知のように、訴訟の場合におきましても本来ならばそういうことでやっていくべきだと思いますが、実際には訴訟でもそのあとでお互いにいろいろ資料を照らし合うというのは事実のようでございますが、私どもの態度としては、原則として異議申し立ての段階で十分な調べをしておいて、それに基づいた答弁書を出すように指導いたしたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 これは吉國さん、ぼくはそういう指導の問題じゃないと思うのです。理念の問題であり、原則の問題だと思うのです。これは権利救済でしょう。そうだとすれば、これはもう審判所に移っている事件なんですから、審判所の固有の権限に移ったのだから、原処分庁がそんなことはやらないというのがあくまでたてまえなんだ。ここだけは、やはりまた調査をかけられたり——これはもう調査されるということについては、納税者はえらい手間をつぶしたり、精神的にもいろいろ——これは不当なことをやったり、不正なことをやっているから神経を使うだろうというが、必ずしもそうではないのです。だから、そういうことで、その点は、原処分庁が答弁書作成のために、副本が行った段階で調査を始めるというようなことばないということを、はっきり確認すべきだと思うのです。これはどうですか。政務次官、大事なところですよ。
○細見政府委員 異議申し立てを経たような、つまり明らかに争訟事件になっておる認識のもとに調査したものについては、おっしゃるように原則的にそういう問題はないかと思いますが、たとえば調査課所管のものが審理請求になったというような場合に、手元に相手方の帳簿がありませんわけですから、そういうものについて、あそこのところがどうなっておったか、前後の関係をもう一度見たいというようなことは、例外的ではありましょうが、あるので、もう一ぺん答弁書を出す段階では一切相手の帳簿その他見ないというのも、制度論としてはむずかしいのじゃないか。実際上の運用にあたりましては、そういうようなことがあって、何かいやがらせをやられたというようなことが運営にあってはならぬ。これは厳に戒めなければならないことだとは思いますが、調査課所管の事案が審査に出てきたというような段階では、手元に帳簿がない関係で、もう一度見たいというようなことはないとは言えぬのじゃないか、かように制度論として考えております。
○広瀬(秀)委員 実際の運用ではそういうことがないようにするということがたてまえである、こういうことですね。しかし、特別な場合に万やむを得ない場合にはもう一ぺん調査することもあり得る場合もあるから、制度論としてはやれない、こういうように承っていいのですね。——うなずいておられますから、そういうことにします。 そこで、今度は審判官の定員の問題、それから資格、さらに審理能力などを含めまして若干お伺いしたいのですけれども、審判官が百五名、副審判官が百三十三名ですね。それで、これが中央の三十人を除きますと、大体二百名程度が十一の地方に回される。いわゆる支部というか、分室というか、分室という表現もあるようでありますが、回される。大体各国税局単位にこの十一の地方の——これは中央と地方審判所と正式に分かれないので、どういう表現をしたらいいのか、ちょっと迷うわけなんだけれども、常駐させたりあるいは出張させたりというようなことになるようでありますが、どういうぐあいにこの定員を分けられる予定なんでありますか。
○吉國(二)政府委員 前回御説明申し上げましたように、国税不服審判所は中央官庁でございますので、一応地方に支部を置くということにいたしております。支部は十一局の所在地に置くことにいたします。その定員の配置は、従来の審査請求の件数等を勘案いたしまして考慮するというたてまえで、目下いろいろ検討いたしております。その十一支部を中心にいたしまして、その各支部に首席審判官というものを置きます。首席審判官には、原則として、法令の解釈に関するものあるいは従来の通達に従わざるもの等を除きましては、大体所長の権限を委任する考えでございます。したがいまして、各支部がそれぞれ審判官と副審判官等で協議をいたす体制を整えまして、各支部で大部分のものは裁決ができる体制にいたしたいと思います。したがいまして、各支部とも最小限二つ以上のグループができるように配意をするつもりでございます。おそらく東京、大阪、名古屋が非常に大きくなると思いますし、なお主要の地域にはこの支部の出張所を設けまして、場合によっては、出張所で裁決のためのグループが構成できない場合であっても、支部から出張することによって随時グループを構成するというやり方をやりたいと思います。つまり、アメリカでやっております巡回裁判所ほどすべてを巡回で片づけるわけではございませんが、大体は支部で片づけますけれども、遠隔の地等には出張所を置きまして、出張所で解決ができるような手段を講じたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 東京、大阪、名古屋、関信、札幌、仙台、こういう十一のところには二つのグループを置けるということになりますと、その一グループが三名なのか二名なのか——最低は三名ですか、三名ならば六名以下ということはないということははっきりしたわけですが、この人数の割り当て、これは三名というのは常置する者ですね。常置は三名で、しかもそれが二グループですか、六名以下ということはないわけですか。これは具体的にわかりますか。わかれば……。あとで資料で出してもらってもけっこうです。
○吉國(二)政府委員 はっきり固まっておりませんので、予定数でよければ資料にして……。
○広瀬(秀)委員 そこで、審判官のいわゆる質問、検査、あるいは留置の問題であるとか、鑑定の問題であるとか、いろいろあるわけですが、この問題について、その審判官、副審判官、首席審判官、こうできるわけですけれども、その審判官がそういう質問、検査など——あれは何条でございましたか、九十七条ですね、九十七条各項のこういう権限を行使される場合、審判官、副審判官、こういう人たちが直接そういうことをやられる場合、必ずしもそういう場合ばかりじゃない、いわゆるその下に働く職員の人たちがやられる場合も相当出てくるんじゃないかというようなことでありますが、大体そこらのところは、たとえば質問、検査というようなものについては、審判官が直接やるというようなことになりますか、それとも職員がやることが多いと予想されますか、どっちですか。
○吉國(二)政府委員 第二項で、担当審判官は、国税審判官、国税副審判官その他の国税不服審判所の職員に質問、検査を行なうことを委嘱するということができることにいたしております。実際問題として、実地検査と申しますか、実際の所得者の場所におもむいて検査をするというような場合は、おそらく副審判官ないし審査官にこれを委嘱するのが多いと思います。審判所において質問をするというような場合は担当審判官みずから当たるというのがむしろ原則だと思いますが、この審判所の機能から申しますと、外に出て調査をするというのは、むしろ審査官の場合が多いということでございます。
○広瀬(秀)委員 審査官は何名になりますか。
○吉國(二)政府委員 審査官は百三十八名ということになっております。ただしそのうち九名が中央におりますので、地方におりますのは百二十九名ということになります。
○広瀬(秀)委員 そこで、この審査官、副審判官、審判官、大体これはきのうの質問の中でもほぼ明らかになりましたように、やはりこの制度の当初の出発にあたっては、部内からの登用というものがかなり行なわれるであろう、こういうようにいわれておるわけです。また、われわれもある程度出発の当初においては——純民間人というか、いわゆる課税庁以外のところからより多く登用するということが望ましい、少なくとも過半数以上はそうなってほしいということを言っているわけだが、出発当初は必ずしもそういかぬであろう。 ところで、この格づけというか、身分、資格、そういうものが大体、首席審判官、審判官、副審判官、審査官というようなことで、きわめて常識的に、国税庁内部において、これは本庁の課長クラスであるとか、部長クラスであるとかいうような、あるいは現地の第一線の税務署長クラスであるとか、あるいはそれ以下の署の課長クラスだとか、そういうようなものは大体目安というものがあるだろうと思うのですが、この際そこらのところを、はっきり考えがあったら示しておいていただきたい。
○吉國(二)政府委員 格から申し上げますと、審判所長は国税庁長官と同格と考えていただいてけっこうかと思います。これはいま予算では指定職甲という配置を一応予定をいたしております。それから各地方の首席審判官は局長クラス、東京の首席審判官は大体指定職でございますので、これも局長と同じでございますし、地方の首席審判官は行政職の一等級、つまり地方の現在の局長と同格でございます。それから次席の審判官というのは税務職の一等級でございます。これは地方の部長クラス。それから審判官は、税務職の一等級から特三等級まででございまして、大体、大署ないし中署の署長クラス。それから副審判官が税務特三等級ないし三等級でございまして、これが大体小さい署の署長または大署の副署長クラス。さらに審査官は三等級ないし四等級、これは署の課長級でございます。つまり、これだけいままでの協議団に比べますと格が全部上がったわけであります。そういう意味では、いままでいわば待遇の点で有力な人を持っていけないということがあった点については、これは完全に解消するということが言えると思いますし、現在の優秀な協議団の職員は、その意味では、審判官なり副審判官になることによって格が上がるという結果になる。そういう意味では、私はまだこれは不十分だと思っているのでございますが、かなり改善がされると思っております。
○広瀬(秀)委員 大体理解できるところなのでありますが、いままでの協議団の協議官をされておった方がこの審判官なり副審判官なりに、何名中何名くらい任用できる可能性があるのか、ここらのところ、ぴしっとしたことを言っていただかなくてもいいのですが、大体何割くらいというようなことでも明らかにしていただきたいと思うのです。
○吉國(二)政府委員 私もその辺が、まだ具体的に各局の人事に手をつけておりませんので、具体的にちょっと申し上げかねるのでございますが、審判官あたりはできるだけ何とか初めに少し民間人を入れたいという気持ちで、東京、大阪あたりは審判官の席を少し残したいという感じを持っております。しかし、現在協議団の協議官になっている人の中には、実は昨年の七月にかなり有力な人を入れてございます。ですから、かなりの数がそのまま移行しても差しつかえないという体制には実はなっています。しかし、審判官自体は少しあけておいて、どうしてもとれなければそれも税務職員の中から埋めなくちゃなりませんが、何とか少しでも採用するように努力をいたしたい。しかし、去年協議官に配置がえをされた人は、相当有力な人がそろっておるということは申し上げておけます。ですから、かなりの数は移行できるというふうに私どもは考えております。
○広瀬(秀)委員 前々国会ですか、本委員会を通過するときに附帯決議がつきまして「新制度への移行に伴い、現在の協議団の職員が不利な取り扱いを受けないよう十分に配意すべきである。」ということもいっておりまするので、その点は十分配慮していただけているものと、こう考えるわけであります。この附帯決議が通過するときに政府側からの発言があって、御趣旨に沿って善処をしますという、これは単なるきまり文句じゃなしに言われたと思うのですが、その点で、この問題についていまお考えになっておられることをちょっとお願いしたい。
○吉國(二)政府委員 この御趣旨は、現在協議団にいる人が、この審判官制度の発足によって不利な配置転換を受けるというようなことがないようにということが前提だったと思います。実はその段階で、昨年の七月の異動等につきましては、その点を十分配慮して用意もしておりましたが、遺憾ながら法律は成立いたしませんでしたので、実はかなりの姿を審判所に近い形で準備をいたしてしまったわけでございます。そういうことから申しますと、その後いわば協議団から出た人あるいは今後新しくできます相談官というようなものに移す人、その他を考えますと、この附帯決議の御趣旨は十分に実行に移すことができると言うことができると思います。新しく相談官、相談室制度も今度は予算で準備いたしております。現在協議団にいる人は実際上は苦情処理その他をやっておりますから、今回の定員も多くなります。したがって何人かは、たとえいまの人が全部残るとしても相当数外へ出なければなりません。その人たちの配置については十分配慮してやります。また、たとえ今後新制度発足にあたって協議団の入れかえをいたしましても、不利な取り扱いはしないということははっきり申し上げられると思います。
○広瀬(秀)委員 その点は、若干高年齢になっている、かつて民間から登用されて相当長期にわたって協議官をやっておられた、しかも最高学府を出て非常に有能な協議官であったような評価もその土地でいただいているというような人なんかが、君、この際やめたらどうかとか、税務署へ回ったらどうかということを言われるというようなことを私ども耳にするのですが、ぜひひとつそういうようなことのないように、この附帯決議の趣旨に従って善処されるように、個々のケースなどについても、あまりあとで問題が、これはひどかったじゃないかというようなことを私どもがまたここで蒸し返しをしなくてもいいように、ひとつ十分この趣旨を尊重してやっていただくように特に要望をいたしておきます。 次に、これはいま現にあるわけじゃありませんが、社会党案では四十四条で利害関係人の調書の作成及び閲覧権というものを規定しておるわけですが、政府案の九十六条に書いてあるものはやはりちょっと不十分な気がするわけです。九十六条の第二項に「審査請求人は、担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。」こういうことになっておりますが、われわれが出しました法案では四十四条において、その審理の経過を調書として作成しなければいけない、そしてそれを含めて閲覧をさせる、こういうことになっておるわけです。やはりそういう経過についての調書の作成というもの、そしてそれをいつでも利害関係人が見られる、そういうことのほうが、権利救済という大きな基本からいえば、それはそういう方向になるのが当然であろうと思うのです。この政府原案においても、二項ではそこまでのところはいっているのですが、なぜ調書を作成できぬのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
○細見政府委員 発足いたしまする国税不服審判所におきまする審理は、いわゆる裁判のように、税務当局とそれから納税者が一定の期日に裁判官の前へ出てきて口頭で弁論し合うというような形でなくて、御承知のように事柄が税務のような証憑に基づき、あるいは書類に基づいて具体的に審理しなければならないものでございますので、主として書面を中心とした審理になろうかと思います。したがいまして、それを口頭で補う程度のことでございまして、いわゆる調書というようなものをつくるだけの実益と申しますか、そういう重要性というものは持たないわけであります。納税者のほうは審判所に出て行かれて、証憑と答弁書なりあるいはその相手方の出した書類によりまして、実際に所得についての具体的な事柄について審判を求めておるわけでありますから、それ以上特に調書というものは審理の形式からいたしまして要らないのではないか、かように考えます。
○広瀬(秀)委員 そういうところに行政優位の考え方、そういうものが非常に強く出るわけですね。利害関係人、さらにまた納税者から委任を受けた税理士——この税理士の人たちなんかもこういう争訟の代理人、これは当然権限としてなれるわけでありますが、そういう人たちがぜひ調書がほしい、見たい、そういう経過を記録したもの、どういう点で質問があり、どういう答弁がありというようなことを、口頭での審理段階の調書というようなものを、裁判所ほど厳密なものでないにしても、そういうものがあれば非常に審理の流れというものがよくわかるし、そのつどそういうものを見せてもらって、当然権利救済の立場において主張すべき点もそういう調書の中からやはりくみ取れるわけです。これは具体的な事件について携わる利害関係人は、それが非常に便利だし、みなそれを求めているのです。そしてほんとうに権利救済の実をあげるためにはそういう調書というものが必要だ、ほしい、こう言っているのです。それを、どうしてもそういうものをつくれない理由というのが、これはちょっとむだじゃないかというのはあまりにも一方的な行政優位の思想のあらわれであって、ほかに理由がないとするならば、そういうところを改めることがやはりこの制度を本格的に権利救済制度として正しく運営される基本的な心がまえになるだろうと思うのです。ところが、そういうものがいまの細見さんの答弁では何かちょっと欠除しているのではないかという気がするのですが、もう一ぺん……。
○細見政府委員 私どもの考えでは、この国税不服審判所で行なわれます審理のやり方というのは、答弁書なりあるいは異議申し立ての書類なり異議申し立て書なり、あるいは審査の請求書なりにおきまして、いろいろとその求めようとする処分の内容やあるいはその理由についてそれぞれ記載されているわけでありまして、それに対して相手方が反証を出してくるという形で審理が行なわれるわけでありますから、そういう事実の経緯を通じて、訴えた側と申しますか、争訟の納税者側は事態の推移というのは十分に見得るのでありまして、それで足るのではないかと考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 この問題は押し問答していてもしようがないんだけれども、実際に権利救済を求めようとする人たち、その人たちにとってそれが必要だし便利であるということならば、そのほうの意見を入れて、特段の障害がない限りはやはりそういう調書をつくって閲覧に供するということが権利救済の本旨にかなうことです。それをそれだけの理由で、正式な書いた答弁書は見られるというようなことだけで差しつかえはないのではないかということだけでは、これは不十分だと思うのです。うしろにいて説明が何かあったらひとつ聞いておきたい。
○早田説明員 ただいま御指摘の点でございますが、社会党の案と私どもの国税通則法と、審理の方法が、先ほど主税局長が申しましたように若干違うわけでございます。社会党案では、審理の前にあらかじめ審理期日を指定いたしまして、関係者の出頭を求め、そこで審理をする。裁判で申しますと、その場で当事者立ち会いのもとでの一種の口頭弁論が行なわれる。その裁判で申します口頭弁論調書に見合う調書をつくりまして、それを閲覧に供するという形になっておるわけでございます。政府案のほうは口頭弁論的な審理ということを原則といたしませんで、むしろ書面的な審理でございます。そして必要がある場合には口頭で陳述もすることができるという形になっておりまして、口頭弁論等の当事者同士の立ち会い、その場合の経過を記載するというケースが原則ではございませんので、その調書というものをつくるという形にいたしてないわけでございます。 他面、そういうことでございますから、この国税通則法案におきましては、原処分庁から提出された証拠物件その他の一切の物件については、納税者サイドはそれへの閲覧請求権があるわけでございます。社会党案におきましては逆に、調書の閲覧権はございますが、証拠物件そのものについては調書で見るという形になっておりまして、ある意味で申しますと、どちらも甘い点もあれば辛い点もあるというような形になっておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 審理の方式が、言うならば書面審理重点主義だ、口頭弁論、口頭主義というものが比較的薄くて、どちらかというと職権主義だ、こういう説明なんだけれども、その辺のところはどちらにも甘い面もあるというメイ答弁——しんにゅうのある迷かどうかわからぬが、答弁があったわけだけれども、そういうことではこの制度をつくろうという本旨が——だからわれわれは、こういうものを国税庁でも出してきたけれども、ほんとうに権利救済という立場を徹底させようという気持ちが非常に希薄なのじゃないかということを疑わざるを得ないような面があっちにもこっちにもあるわけなんですね。だから、やはり納税民主化の基本的方向に沿って、そして今日まで協議団制度の中で権利救済の実をあげ得なかったものを、こういう新しい制度によって権利救済の実を大いにあげ、ほんとうに税制が民主化されたというような方向に持っていくためにこの制度がつくられるとするならば、これはやはり実際に権利救済を求める人が便利だ、そういう機会がほしいんだというものにするために、若干の手数はかかってもそういうものについて調書をつくるというようなことが——これはやはり権利救済を求める者が、真実に権利救済の実をあげ得るために必要だというのですから、そういうものについてはもっと弾力的にいくかまえが必要だろう。そういうものについて、将来の方向として一体主税局長なり長官はどうお考えになりますか。ある程度発足をして、状況を見ながらそういう方向に進む考えなのかどうか、そこらのところを明らかにしていただきたい。
○細見政府委員 この問題は、今後の審理の進め方がおのずから方向をきめる問題だと思うのです。口頭弁論的な審理に、どちらかといえばだんだんそちらのほうにウエートがかかってくるということになれば、おっしゃるように口頭弁論の記録を残すこと、あるいはそれを閲覧することが非常に大事になりますし、政府案が考えておりますように、更正決定について白色申告者についても理由を書くとか、あるいはまた審査請求が出てきたときには答弁書を書くとかいうような形で、税のようにいわば非常に技術的な複雑な問題でありますから、文書でやったほうが非常にやりいいんだということであれば、口頭弁論の記録というのはそれほどの重要性を持たないということになります。それはいずれにいたしましても、大事なことは、広瀬先生がおっしゃっておるのも、ガラス張りでフェアな裁きをして、相互に証拠を出し合って裁こうじゃないかということであろうと思いますので、そういう方向で今後検討いたしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 十分その点は検討しておいてもらいたいのです。 もう一つの問題は、これも社会党のかつての案にあった五十四条、例の「差別的取扱いの禁止」の条項をわれわれは入れておったわけでありますが、日本の徴税行政の実態からいって、こういうものを権利救済制度として大きく前進させようというからには、この程度の設定を設けることがそれほど国税庁にとって屈辱的な、あるいは立場がなくなるというようなことになるのか。何かメンツにこだわったような答弁が実は前の亀徳長官からあったわけです。これだけは国税庁のメンツにかけて、ひとつこういうのは置きたくない、その趣旨については賛成だということなんだけれども、吉國さんもそういうお気持ちでありますか。これは私どもとしては、将来そういう事態がなくなれば、実際の運用を幾つか積み重ねた上で、そういうことはとるに足らぬことであるということならば、その段階で、世の中の進歩に見合う法制の改革ということで、はずしてもいいのです。しかし、現状においてはこういうことを出すことがより多く権利救済制度にかなう道である。そしてこの権利救済制度がほんとうにりっぱな運用ができる大きな問題点になる。現状はまだそういうことだ。だからまず出発の当初においてはこの問題もやはり書いておく。こういうことについてこの際お考えを明らかにしていただきたい。
○吉國(二)政府委員 私は、いまおっしゃったような心配がないということは申せないと思います。そういう意味では、そういうことがしばしば言われることも私も耳にいたしております。ただ、これはあくまでもそういうことがあり得るということでございまして、全部がそうしているわけではないのでございます。ことに、国会がそれを事実として制度で規定をしてしまうということは、国税庁としてはいかんとも承服できないと、前の亀徳長官が申しました気持ちと私も全く同じでございます。そのかわり、そういうことをなくすということがまさに行政努力であり、また国会の叱咤勉励に従いまして私ども努力することについていささかもためらうものではございませんけれども、これが法制的に、いわば原則であるかのごとく規定されることはいかんとも承服しがたいというのが率直な気持ちでございます。
○広瀬(秀)委員 あとほかにもたくさんあるのですが、これだけで終わりますけれども、現状は何と言っても、こういう規定があることによって、国民は安心してこの制度を活用して権利救済の実をあげられる。こういうものがはっきり書いてあれば、ああ、このことによって差別取り扱いということは起こり得ないんだなという気持ちが非常に強く出るだろうと思うのです。これは率直に言ってそういう効果をわれわれは期待をして——お上と争ってあとで仕返しをされたり、報復的な処置を受けたりしてはたいへんだからというようなことでしり込みをしてしまう。現在の原処分庁の課税処分に対して不満を持ちながらも、何かこわくて出せないんだというような人たちがまだ現実にたくさんおるということなんですね。そうだったらば安心できるように、そんなことはありませんよということを宣言的にぴしっと書いておくということにこだわる必要はごうもないだろう。決して国税庁がいままで差別扱いをやってきたんだということを確認するために書くものではないんですよ。納税者大衆が、国税庁の意図にもかかわらずそういう考えを持っている、そうされてはたいへんだというような気持ちを持っているのに安心感を与えて、せっかくつくったこの制度が皆さんが期待するように——皆さんはあまり期待してないかどうかわからぬけれども、とにかくわれわれ納税者大衆が期待するように、どんどん権利救済というものを求めていける、そういう、安心してやれるということのために、こういうことを書くことは一向に差しつかえないことだと思う。そういう点でこれはもう一ぺんひとつ十分考え直していただきたい。将来、こういうようなものがなくても、もう国民と課税庁との間にそういう不信感というものがなくなるような状況が出たら、これは恥さらしみたいな条文になるわけだから、そのときはずせばいいのであって、いまの段階では、まだそういうものをやることがむしろこの制度をほんとうに有効にさせる。期待する納税民主化の方向というものをむしろ裏づける規定にもなる。いまの段階では積極的には意味がある。そういう立場で前の亀徳長官と同じだということを言うのだったら、長官がかわっても何もかわりばえしないのであって、そこらのところをもう少し弾力的に考えてもらいたい、こういう気持ちなのです。どうぞもう一ぺんひとつ……。
○吉國(二)政府委員 先生のおっしゃることもわからないではないのでありますが、しかし、いまおっしゃったとおりに、この規定が置かれることは、納税者に逆に、税務署というところは報復をするところであるという意識を与えると思います。これがある限りは税務署はこれをやるのだという意識を与えると思います。そういう意味では、私はやはり実際上こういうことをなくすという努力を全面的にやるほうがむしろ行政としては本筋ではないかという気がいたしますので、この点はどうも私として納得ができないということでございます。
○広瀬(秀)委員 これで終わりますが、あと、前回つけた附帯決議などについて全部一つ一つ聞く予定でおったのですけれども、時間がありませんので、あとの質問者に残った点はやっていただくようにしたいと思います。ぜひひとついま申し上げたようなことについては、さらにもう一ぺん再考をしていただくように要請をして終わりたいと思います。
○毛利委員長 二見君。
○二見委員 だいぶ時間も長くなりまして、このあと永末先生も質疑をされますので、二、三の問題についてお尋ねしたいと思います。 午前中の堀先生の御質問のときにも問題になりましたけれども、異議申し立ての起こる以前にいろいろと問題があるのではないだろうか、そういう点で、あるいは堀先生の御質問とも重複する点があるかもしれませんけれども、その点はどうかひとつ御了解をいただいて御答弁を願いたいと思います。 申告以前に税務当局のほうではいろいろと事前に調査をされます。概況調査とかあるいは権衡査案とか、いろいろお調べになるようでありますが、それは収入のおよその目安をつけなければならないという必要性によっておやりになるのだと思いますけれども、それをどういうふうにやるのか。また、それがどういう目的、どういうふうに使われるのか、その点をまず伺いたいと思います。
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、現在の制度は申告納税制度でございまして、申告に対しまして調査をするというのが本来のたてまえだと思います。しかし、現在までの二十年間の実績を見ますと、申告がそのままほっておいて出てくるという状態にはまだ遠い状態にあると思います。かつて税務当局におきましては、申告を待って徴税をするというときに、昭和二十三、四年のころは実に六割の納税者に対して更正をするというような激しい時代がございました。その後、青色申告制を導入いたしまして申告指導、事前指導ということに力を入れて申告書を提出する習慣をつくってまいりました。そういう意味で、事前に調査をして、調査額を通知して、その調査額の範囲で申告をすれば更正をしないというような扱いをした時代もございます。しかし、これは申告納税の本旨として十分ではないということで、現在では抽象的な申告指導ということになっておりますが、同時に、実際には納税者との接触の度合いというものから申しますと、三月の時期にほとんど大部分の納税者との接触が済まされます。そうして申告が行なわれる大部分のものは、それで申告が十分である場合が多い。その場合に、申告指導をいたすにつきましても、納税者についての十分な知識がないということでは指導ができませんので、概況の調査と申しますのは、大体業種別に三年に一度くらいの割合でリンクをいたしまして、その納税者の収入状況等について簡易な調査をいたしまして、それによって大体の規模を把握し、申告相談の場合の目安にするということを基本的な目的にいたしておるわけでございます。大体概況調査におきましては、事業の概況、従事員、在庫、設備、その他の取引の基礎になるようなことを調査いたしまして、これをもとにいたしまして申告指導を行なう。また、多くの納税者の方には帳簿そのものを持ってもらいますが、それとそれらとを引き合わせて最終的な申告を行なうというのが最近における実際の方向でございます。ただ、非常に複雑な所得構成の方については、申告をそのまま受け取っておきまして、事後においてこれは実施調査ということで申告との対比を求めていくというやり方をいたしております。
○二見委員 その調査ですけれども、申告の相談の目安に使うということですが、これは実際には、おたくのほうは相談の目安かもしれませんけれども、税務署と納税者の立場、取るほうと取られるほう、納税者にしてみれば一銭でも出したくないし、おたくのほうとすれば一銭でも取りたいという立場だろうと思います。実際には、申告のときに納税者が申告を持っていく。ところがそれを受けつけるほうでは、概況調査なり何なり調査しておいて、おおよその目安があるわけです。むしろそれに申告の額を合わせる。合わせなければ上司からいろいろ文句を言われるのだ、こういうようなことを再三聞くわけなんですけれども、そこら辺の実情はどうなっておりましょうか。
○吉國(二)政府委員 もちろん申告の目安として調査をいたしたわけでございますから、その調査と実際に違う申告が出てきておる、その要素について問いただす、そしてお互いに正しい申告にもっていこうという努力はいたしております。それが納税者の方に直ちに承服されて、それはそうだったという場合もあります。なかなか聞かれない方もあります。その間にやはり私は、税務署員としては正しい申告をしていただこうという努力は、これはすべきものだと思います。それは若干の、何と申しますか、受ける側からは引っぱられたという感じがあり得ると思いますけれども、もちろんその申告内容なり実際の状態から見て、自分の見込みが間違っておれば、それを決して強要することはしてはならないというたてまえで進んでおります。もちろん税務署員、非常に努力し熱心にやっておりますので、若干の行き過ぎがあった場合もありますし、また納税者の方が非常にがんこだった場合もあると思うのでございます。それはやはり一つの申告指導のきわめて具体的な姿であろうかと思います。
○二見委員 若干の行き過ぎというより、だいぶあるように——まあ、納税者の立場からすれば、若干ではなくて相当あるんじゃないか。これは見解の相違でやむを得ませんけれども。 ところが、そういう調査をされるときにおたくのほうで、きょう午前中にもお話が出ましたけれども、いろいろな効率をお使いになりますね。たとえばバーだったらいす一台につき幾らだとか、運送会社だったらトラック一台につき幾らだとか、従業員一人につき幾らという、この数字でもっておおよその収入をおたくのほうではおつかみになるわけですね。その効率が正確なものであれば、だれでも納得でき得るものであればそれほどの心配はあるいはないかもしれませんけれども、実際どこでどうきめているかわれわれわからぬわけです。まずその正確度のほうはどうでしょうか。
○吉國(二)政府委員 その申告の場合に、青色申告であって帳簿がある、また白色でも帳簿を備えつけてあるという場合は、こういうやり方はあまりやっておりません。むしろ帳簿がない、たとえば概況調査をしても収支勘定もないというような場合に、やむを得ず収入を推定しなければならない。したがいまして、税務署では典型的な業種につきまして、その業種のいわば収入の基礎になる最も的確な指標というものを選んで指示してございますが、その指標について、その地区ではどれくらいの課税標準が推定されるかという平均的なものを持っております。それと実際のその店の状況、臨場しておるわけでございますが、それを勘案して収入所得を推定いたしておるわけでございます。効率そのものをいきなり適用いたしてしまうというようなことはいたしておりませんが、この効率を、いわば推定というようないろんな要素を集めてやるわけでございます。それを最も的確にやるために平均的なものを用意しておるというのが効率の性格だと考えていただいていいと思います。
○二見委員 効率は全国一律ですか。
○吉國(二)政府委員 これはつくり方というものはある程度統一しておりますが、つくるところは局署で、それぞれその実態に即してつくっております。
○二見委員 そうすると、その効率をきめるのに、先ほどたしかサンプルをとっておやりになるという、そのとおりですね。
○吉國(二)政府委員 そのとおりです。
○二見委員 そうすると、それは税務署であれば税務署管内で何人かの人が集まってやる——それは国税局でやるわけですか。
○吉國(二)政府委員 直税部長から……。
○佐藤説明員 効率の作成につきましては、やはりよく収支を記帳しておるものでありますいわゆる青色でございますとか、そういうものを中心とした一つの実額の調査、実際の収支額の調査をずっとやっておりますが、そういうものと、そういうもののいわば従事員、あるいはそういうものの収入と従事員一人当たりの割合、あるいはそこの左庫に対する割合、あるいはそこの設備に対する割合等をよく見まして、そういうところからその中の特異なものを除きまして、平均的なものを集計してつくったものでございます。
○二見委員 そうするとわれわれとしては、その効率はかなり信用してもよろしい。要するに納税者の立場からいって、その効率をかけられた場合に、きびしくなってしまうんじゃほんとうは困るんです。といって、甘過ぎたんでも困るし、甘過ぎたんではおたくのほうも困るだろうと思いますが、そこいらの適正の問題ですね。おたくの中でやっておる場合は、その適正の度合いがちょっと疑わしくなるんじゃないか。
○佐藤説明員 そういうようにいろいろ平均的なものを調査しましたものを、さらにまた個別的ないろいろな要素を勘案しまして、いろいろな事情等をそこに入れましてやっておりますものですから、さらにまたそれを適用して一つの目安として算定する場合におきましても、そこのまた特殊事情というものは十分にそこに入れて、そうして処理をしていくというやり方をとっておるわけであります。
○二見委員 私、こんなことを聞きましたのは、実際には異議申し立てをさせない。おたくのほうのおよその目安に無理やりに合わせられて、そのために形の上でいけば申告どおりということになりますけれども、そういうケースも私二、三聞いておりますので、そういう点で異議申し立て以前にそういう問題があるということを知っていただきたいのと、そういう点でこれからも格段の御配慮のほどをお願いしたい、こういう点で聞いたわけです。 今回の法律の内容の問題についてちょっとお尋ねいたしますけれども、国税審査会のメンバーでございますけれども、きのうの御答弁ですと、公平、客観的に判断ができる者、こういう抽象的な御答弁をいただいたわけです。その学識経験者の中には元税務署長も含まれるのかどうか、この点をお願いいたします。
○細見政府委員 いまのところそういう人を考えておりませんが、どの人を排除しなければならないというふうには考えておりません。
○二見委員 ということは、税務署の署長さんも入り得ると、こう解釈してよろしいわけですか。
○細見政府委員 まあ、若いときに署長をしておっても、いろいろえらくなられる方もありますから、署長をしておったからいかぬというわけにはいかぬと思います。
○二見委員 いや、昔やっておって、しばらく二十年もやらずにというわけじゃなくて、あり得るかどうかわかりませんけれども、ことしの一月に署長をやめて今度審査官になるという、こういうようなあまりにも近過ぎるケースですけれども、そういうようなこともあり得るのかどうか。
○細見政府委員 お尋ねは審査会の委員でございますね。これはその程度の人はやはり考えておりません。
○二見委員 くどいことをお尋ねしますけれども、現在考えていらっしゃらないということは、将来もずっとやらない、こういうふうに理解してよろしいですか。
○細見政府委員 私どもが考えておりますのは、社会的にそれぞれの分野においてりっぱに活躍をしておられて、そういう方の意見を聞いたということが、税務が公平に行なわれておるということについて世間の方々の信頼を得られる、そういう方を考えておりますので、いまおっしゃっているような人は将来とも実際上の選考に入ってこないと考えております。
○二見委員 第九十九条の二項ですけれども、「国税庁長官は、」云々のところで、「国税審査会の議決に基づいてこれをしなければならない。」こういう規定がございますけれども、まず国税審査会にはかる場合に、当然長官としてはいろいろ御意見申し上げるんじゃないかと思いますけれども、それは御意見申し上げますね。
○吉國(二)政府委員 国税庁長官といたしましては、審判所長が国税庁の通達と違う立場で決定をしたいということを言っております場合に、これは正しいと思えばもちろんそのまま容認するわけでございます。断わるときだけ審査会にかけるわけでございますから、なぜ断わるかという理由を当然申し上げるわけで、そこで両方の意見を聞かれた上で審査会が意見を出されれば、それに基づいて、反対でよろしいとなれば反対をする、そうでなければそれを容認するという結果になるということでございます。
○二見委員 それはそのとおりだと思います。 ところで、「議決に基づいて」というのは、これは拘束性を持つわけですか。
○細見政府委員 「議決に基づいて」というのは、議決を基礎として、それを尊重して決定をするということでございまして、拘束性という意味では一〇〇%は拘束されませんが、行政の運営としては事実上拘束されるという意味であります。
○二見委員 たしか六十一国会に出たときは、意見を尊重してという解釈でしたね。それが修正されて「議決に基づいて」と、こう変わったわけです。かなり拘束性が強くなった、こういうふうに解釈していたわけですけれども、必ずしも拘束はされないわけですね、拘束性は強いけれども。たとえば、審判所の裁決を、国税審査会でそれが妥当であると議決をした。だけれども長官としてはその議決は認められない。だからいわば拒否ですね、それは当然あり得るわけですね。
○吉國(二)政府委員 私が前国会においてお答えいたしましたのは、可能であるけれどもあり得ないであろう。ポシブル・バット・ノット・プロバブルということでございます。
○二見委員 あり得るけれどもやらない。ということは、いまはでき得るけれどもやらないけれども、将来においてはやる場合がある——そこまでは邪推をしないほうがよろしいわけですか。すなおに受け取ったほうが……。 それから次にお尋ねいたしますけれども、審判所の裁決、これは、当然判例になりますね。判例といいますか……。
○吉國(二)政府委員 これは判例というほどの既判力はございませんが、私どもは、審判所の決定そのものも、これに従わないものであっても、先例的なものはできるだけ抽象的な形で発表したいと考えております。これは有力な先例になることは間違いございません。
○二見委員 通達との関係でちょっとお尋ねしますけれども、国税審査会の議決に基づいて長官が指示をした。それが当然通達に反しているその場合には、この問題と通達と違うといってしまえばそれまでですけれども、通達は撤回なさいますか。
○吉國(二)政府委員 その通達と異なる決定をする場合に二つの場合があると思うのです。通達もすべての条件を書き尽くしていない。そのために、一つの条件が加わって、その条件を度外視してきめれば違う結果になる。しかしこの条件を入れれば明らかにこうなるではないかということがあって、それが正しいという場合、これはその個別事件として通達が書き切ってなかった、しかも、十の条件は該当していたけれども、一つそれを打ち消す条件が、通達が全然何もいってなかったというような場合は、私は個別で済むと思います。同時に、今度は逆に、通達そのものがどうしても法律に適合していないという判定である場合、これは通達を即時に改正しなければなるまい、かように考えます。
○二見委員 それから国税審判官の問題です。先ほども民間人登用の問題が起こっておりました。昨日も、新発足にふさわしい人を選びたい、だけれども実情はなかなかそううまくいかないのじゃないか、こういうお話でございました。その一つの理由として、やはり私、いまも出ましたけれども、待遇の問題があると思います。もし私の調べが間違っていたらお許し願いたいのですが、所長は指定職ですね。指定職の甲で俸給は二十四万八千八百円ですか。
○吉國(二)政府委員 これは、指定職の何号になるかはその具体的な方の経歴等によって格づけされますので、指定職甲の一号はたしか二十四万だと思います。指定職甲の三号、つまり私と同じとなれば二十六万ということになるわけでございます。
○二見委員 審判官は一等級から特三までですね。一等級の最高が十三万八千百十円となっております。特三の最低が七万四千円。実際にはどこのランクにされるかわかりませんけれども、審判官の報酬が最高十三万八千円で、最低が七万四千円ぐらいである。これは大体このとおりでよろしいですか。
○吉國(二)政府委員 その俸給表にございますのは本俸でございまして、指定職の場合は御承知のようにそれ以外の扶養手当とかなんとか一切ございませんが、いまの俸給表でございますとこのほかに扶養手当その他の手当がつきますので、指定職とのバランスから見ますとこれよりは多いわけでございます。
○二見委員 実は私、ここに地方裁判所の判事の俸給表を持ってきたのですが、片方は司法官であり、片方は行政官で違いますけれども、たとえば地方裁判所の判事の最高が二十八万五千円なんですね。判事の最低が十四万円。先ほども、協議団のころよりは待遇もよくなっている、こういうふうにおっしゃいますけれども、裁判所との比較がおかしいと言われればそれまでですが、裁判所の判事と審判官と比べてみると、報酬には非常に違いがあるわけです。はたして、最低の場合七万四千円ですか、これにいろんな手当がつくといたしましても、この程度のことでもって民間人からほんとうに人が採用できるのかどうか。私はこれはおそらく来ないと思うのです。たとえば税理士だとか公認会計士だとかやっていれば、月々何十万も入ってくる。七万四千円、最高で十三万か十四万、この程度の報酬で喜んで来る人はおそらくいないのじゃないか。今後民間人を本気になって採用されるというならば、この点は何とか考えられないものだろうか、この点を伺いたいのですが……。
○吉國(二)政府委員 特別の職階をつくってほしいということで再三折衝したわけでございますが、海難審判所の審判官その他も全部いわゆる行政職でございまして、行政官吏である限りはどうもこの程度を突破するのが非常に困難です。官の場合は、これは御承知のように上の制限がございませんから、裁判所長でも相当高い。地方裁判所長がたしか三十二万くらいじゃなかったかと思いますが、ずいぶん差があるわけでございます。そういう意味で、私は、民間の方をさがすにしても、その俸給でいいからといってだれでもいいという考え方はとりたくない。しかし、俸給が、こう並べてみますとあまりにも差があるという感じがいたしますが、たとえば大学の助教授なども同じような給料でやっておられるので、そういうところには、あるいはさがし得る余地があるのじゃないかという気がいたします。たとえば、諸外国ではこういう職務には、専門の学者が一時実務をやり、さらにその上で理論をみがいてまた理論に返るというようなこともやっております。そういうところにもわれわれ努力をして、そういう意味ですぐれた人材を何とかとり入れるという方向で努力をやってみたいと思いますし、また審判所ができてあとなお、この審判所の俸給については、国会の御後援も得まして、何とかもう少しいいものにしたいということも考えておるわけでございます。
○二見委員 ところで、不服審判所は十一の支部がございますね。これは国税局と同じ建物の中に当然設けられることになりますか。
○吉國(二)政府委員 これもさしあたっては——何しろできないうちは予算がとれないものでございますから、第一年目は遺憾ながら同じ建物になります。逐次独立のものに移していくという考えで計画を進めております。
○二見委員 協議団のときには国税局の中で、主管部のほうから相当圧力があったので思うような働きができなかったと、こういう意見が出ていますね。不服審判所になりますと、国税庁長官の付属機関になりますから、国税局長とは特別関係がないと言われればそれまでですけれども、ただ同じ建物の中にある。しかもいまの状況でいけば、おそらく審判官というのは、場合によると、悪くいえば昔の仲間になる可能性もある。そうすれば権利救済というよりも、国税局のほうに、あるいは国税庁のほうに迎合するようなおそれも出てくるし、ないはずの圧力もあるいは出てくるのじゃないか、こういうのを私はおそれているわけですが、この点、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 そういう御懸念も確かにあると思います。ただ、少なくともいまの協議団よりははるかによくなります。さらに人事、会計等についても相当な委任を行ないまして、少なくとも国税局長の人事権のもとにはないことになります。会計も独立をさせるという考え方でございますし、これは中央の指導をよほど慎重にやりまして、できるだけ独立的存在にするように努力をいたしたいと思います。
○二見委員 時間がありませんので簡単にお尋ねいたしますけれども、まず九十五条に「反論露又は証拠書類若しくは証拠物を提出することができる。この場合において、担当審判官がその提出をすべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。」とありますね。この反論書あるいは証拠書類あるいは証拠物件を出せない人は——要するに、故意に意図があって出さないのじゃなくて、実際に出せない人、この場合はどうなりますか。
○細見政府委員 それこそ、先ほど来議論に出ております審判官の調査権に基づきまして、実態を調査するということになるわけでございます。
○吉國(二)政府委員 この点特に申し上げておきたいと思いますのは、弁論主義ではございませんので、この審判所ではいわゆる挙証責任などというものはございません。したがって、立証ができなかった場合の責任の分配ということはなくて、あくまでも審判官が心証を得るまで調べまして、真実に基づいて決定いたしますから、証拠は出せなくとも、実際正しい主張であれば最終的に認められるという可能性はあるわけでございます。
○二見委員 それからもう一点、九十八条の二項に「審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。」それからその前のところには「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」こういう規定がございますけれども、たとえば審判官がいろいろ調査をしている段階で脱税の事実を発見した。その脱税も、私は脱税には二種類あると思います。一つは納税人の不注意だとか、そういうものによって起こった脱税もあるし、あるいは故意に脱税があった場合もある。脱税にはこの二通りあると思いますけれども、そういう脱税を発見した場合には、審判官は胸のうちにじっとしまっておくだけなんですか。それとも何か国税局のほうに通告をするようなことになっているのですか。
○吉國(二)政府委員 九十八条の二項の「不利益に当該処分を変更することはできない。」と申しますのは、たとえば申告期限の延長をやってほしい、これは二カ月をということになりまして、税務署は一カ月しか認めない。それに対して不服を申し立てた場合に、それを変更して、一カ月も要らない、延期は必要ないということはできないという趣旨でございます。普通の金額の決定でございますと、棄却と、取り消しと一部取り消しだけでございますから、不利益処分ということはないわけです。金額に関しない場合には不利益な決定をしない、それだけでございます。 九十七条の五項の規定は、一般の行政庁で行なう質問検査権にいずれも付随している問題でございまして、これが最終的に刑事裁判の証拠にならないということを反面からいっているわけでございます。そういう意味では、この質問をして脱税の端緒が発見されたら、それを査察に引き継ぐということは違法ではないという考え方が一般的でございます。
○二見委員 それを発見された場合には査察することができる。審判官はできませんけれども、そのほうにこういう事実がありますよと教えて、向こうのほうからあらためて別の角度でもってやってもらうことはあり得ると、こういうことですか。
○吉國(二)政府委員 もちろんそれを目的に調べたりはいたしませんが、重大な脱税が発見されている場合には、一般論といたしまして、公務員としてはそれを引き継ぐのが筋道だということになるわけであります。
○二見委員 時間もありませんので、私の質問はこれで打ち切ります。
○毛利委員長 永末君。
○永末委員 私は、国税通則法にあらわれた国家と国民の関係について質問いたします。 この前の大蔵大臣に対する質問で、税制上国家と国民との関係をどう見ているかということを質問申し上げましたが、きょうは、この国税通則法につきまして見ますと、延滞税が少し変わる形になっております。この辺に中心を置きつつ少し質問をいたしたいと思いますので、大蔵大臣おりませんから、主税局長が答弁の衝に当たるのではないかと思われますので、ひとつお答えを願いたい。 延滞税の項で、七十六条で国税犯則取締法というものを受けて、この国税通則法がつくられておるわけですね。ところで、最初伺いたいのは、国税犯則という明治三十三年につくられたこの法律が、改正はございますけれども、いまだに法規としてここで使われておる。犯則の犯という字は一体どういう意味か、主税局長。
○細見政府委員 規則と違ったことをする、規則を犯すという意味だと思います。
○永末委員 道路交通法という法律がありましてね、これは交通規則に違反した者に対して反則者という名前をつける。その行為については反則行為といい、犯した行為については反則金を取る、こうなっている。その反則の反という字は、反対党の反という字が書いてある。この反という字と、先ほどの国税犯則取締法における犯と同じか違うか、お答えを願いたい。
○細見政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、また法制的知識もないので、勉強しまして後日お答えさしていただきたいと思います。
○永末委員 勉強してもらうということになると、きょうはひとつこのままで休憩してもらって——ここが一番重要なところです。どうですか、委員長、非常に重要なところです。
○細見政府委員 いずれも規則に違反しておることで、違反ということにおいては同じことでございます。
○永末委員 そういうぼやっとしたことではないのです。けものへんに「ハン」という字が書いてある。犯というのは、もともとこれは犬に従うて声を出すという意味なんですね。そこで、それはどういうことかというと、人間にあらざるもの、すなわち人のつくった秩序以外のものが、人のつくった秩序に侵入してくる。きわめてけしからぬ。このこと自体が反倫理的、反人間的、反社会的行為だという感覚がこの犯という字にある。ところが交通のほうの反則は、あるものの反対、逆の方向だ。あるものをひっくり返すだけだ。この意味しかないわけですね。そこで、私がこの文字が非常に重要だということを申し上げたのは——明治三十三年は、わが国家は大日本帝国ですね。
○細見政府委員 そのとおりでございます。
○永末委員 大日本帝国時代の主権は天皇にあるということになっておった、帝国憲法でありますから。ところが道路交通法のできた昭和三十五年は、主権者は国民である。まさしくこの二つの法律に、似たようなハンソクとは書いてあるけれども、基本的には、このハンソクの意味が含蓄しているところが違うわけですね。その点を主税局長はお認めになるかならないか、お答えを願いたい。
○細見政府委員 私、法律にあまり詳しくないので間違うかもしれませんが、現在でも法律に違反した人についてはケモノヘンの犯という字があるわけでございまして、法律には違反をしておるわけでございます。
○永末委員 私が申し上げておるのは、わが国の税制が、なぜこの国税犯則取締法という法律をつくった時代の感覚を持っておるかというところに、私は重要な問題点を発見するわけです。それは、現在の国税通則法においては、たとえば今回は延滞税がかかっているものについで、担保やあるいはまた差し押えをやった場合には二分の一に免除するという規定がございますね。この規定は、あなたもよく知っておりますけれども、それは六十三条以降に書いてあります。それは四銭を二分の一に免除する。もともと延滞税は二銭だ、こういう考え方ですね。延滞税というのは、何のためにつけるんですか。
○細見政府委員 納期に適正に納められた人と、納期をおくれて納税される人との間に、バランスをとるということだと思います。
○永末委員 バランスをとるというのはどういう意味なのか。国家と国民というのは、経済的に見た場合に上下の関係に立つのか、対等の関係に立つのか、お答えを願いたい。
○細見政府委員 納税の義務は、やはり義務として発生しまして、それ以後については、国に対してその義務を守った人、違反した人に対しては、違う取り扱いがあるのばしかるべきだと思います。
○永末委員 納税については法律できまっておって、いやであってもこれは納めなくちゃならぬと、こういうことになる。明らかに国家は国民に対して権力をもって臨んでいる。われわれが税法を審議しているというのは、そういうことを予定してやっておるわけですね。しかし、その法律が一たんできたあとで、いまのように納税した者と、納税しない者に対して延滞税をつけるということは、上下関係の観点からつけるのか。経済量の移動について——資本主義社会ですから、金というものが金利を生むことは事実です。そういう意味合いで、ある時間的なラッグというものを、言うならば、資本主義社会の論理に従って埋めるためにつけるというのか。それとも懲罰の意味で、税を納めぬやつには金銭でもって、これは罰金のごときかまえでつけるというのか。その辺の基本的な感覚を明らかにしていただきたい。
○細見政府委員 やはり早期納税を促進するという観点があろうかと思います。
○永末委員 早期納税促進というのは、あなたは取るほうの側から言っているわけです。私がお聞きしておるのは、納税に関する法規そのものは、国家という権力が国民に対する一つのあらわれを表現したものだと思う。それはもうそのとおりだ。しかし、いよいよ事が進むにつれて、経済量の移動が国家と国民との間に行なわれるというような問題になったときに、それをつなぐ一つの輪として延滞税という制度が一つあるわけですが、延滞税は経済量の移動だから、国家と国民の間が対等の立場で取られておるのが——税金を取るほうの立場からいうと促進ということばだが、そんなことを言っているのではない。対等という立場——国家というのは大きいですよ。しかし経済の量からいえば、私は同じだと思うから聞いておる。しかし何か違う立場だ、上下関係だ、だから、当然金をたくさん取ってあたりまえだという感覚でやっておるのか。それとも、それがいまは資本主義経済だから、金を納めるのがおくれたら利子がつく、そういう意味合い、その観念でおるのか、ここのところをお聞きしておる。お答えを願いたい。
○吉國(二)政府委員 国家と申しましても、要するにこれは総体としての国民でございます。要するに総体としての国民の規約、これが税制であろうと考えるわけでございます。したがいまして、一々の国民は総体の国民というものとの間に、租税法によって契約を結んでおるというのが実態であろうかと思います。しかして二銭の延滞税というのは、これは一般の経済流通同様の遅延利息であると考えます。しかし、この総体の国民としては、一般の契約と同様に民事訴訟をもって争うということはする必要がないという判断を下しまして、強制執行をみずからの手で行なうようにいたしております。そこで強制執行の手続といたしましては、督促状をみずから発付し得る。督促状を発付して一定の期間を経過したならば、当然にそれに対して間接強制を加え得る。一つの強制手段としての延滞税が二銭加わって四銭となるわけでございます。そういう意味では、二銭と四銭と申しますが、下の二銭というのは経済流通的な意味であり、上の二銭はいわば強制執行の一形態としての部分であると考えられるわけでございます。そういう意味で、今回の改正において、同じく強制執行の一形態である担保を徴したり、あるいは差し押えをした場合には、実はそこに二重の強制が行なわれることになりますので、その間二銭の強制部分はこれを排除いたしまして、一般の経済流通部分の二銭だけを残すという改正にいたしたわけでございます。確かに御指摘のように、従来は二重取りをしておった感じがあるわけでございます。
○永末委員 いまの国税庁長官の御答弁によりますと、一月たったあとの二銭、これは要するに国家権力が強制して、その強制の内容は、早く支払うべしという強制力を象徴している、こういうお話でございました。 ちょっと観点をかえまして、今度は国民のほうがたくさん金を払った場合に、還付加算金ということでこれは返してもらえるわけですね。この還付金の性質は何ですか。
○吉國(二)政府委員 これは、いまの延滞税の逆の関係になろうかと思います。
○永末委員 還付金の場合と廷滞税との場合は、もし同じであるならば全く同様な取り扱いを私は受けるべきではないか、このように思いますが、あなたはそのように思いますか。
○細見政府委員 性格は同じだと思いますが、そこに事務的な問題とかについて、若干の起算点等の差異は出てまいりますが、性格は同じものになろうかと思います。
○永末委員 私が伺いたいのは、還付金と廷滞税との性質が同じだというのは、国家と国民との関係が、いまのところ、債権、債務者ということばを使うならば、それになるわけですね。しかし、事の性質は同じだということなら、起算点の考え方、これもまた一様に扱うべきではないか。国、税務当局側の事務の都合上、ある場合にはかけ、ある場合にはかけないというようなことが許されるのでしょうか。このような関係はどうでしょうか。
○細見政府委員 極端な事例を考えますと、たとえば非常に多額の、実際の納税額よりもかなり大きな額をぽんと申告して、そうしてそれを、ある段階になって、多過ぎたということで、それの全期間にわたって加算金をつけるというようなこと、これにつきましては、やはりいまお話がありましたように、権利の上に眠るといいますか、不当利得といいますか、そういうことで、さかのぼってそういう利益を主張するというのはいかがなものかという観点が入り、また一方では、行政事務の一定の猶予期間というものを覆いたということだけで、バランスをとっておる制度だと思います。
○永末委員 いまのは還付金の話だと思いますが、延滞税の場合は、原則として税務署のほうの判断、すなわち国家のほうの判断で、おまえの申告は間違っておるのだということで、更正決定が行なわれるならば、税金は払うべき期限にさかのぼって、全部原則として延滞税を取る、こういうたてまえになっておる。それは言い方はおかしいかもしれませんが、何か先ほどの話では、利子的なものだと、こういうことでありましたが、何か懲罰的な意味が加わっているような気がする。納税者のほうは、おれの申告は正しいのだ、こういう観点から申告をした。あとあとそれが更正決定になる、その場合に、すべてさかのぼって、原則として——一部に違う制度がございますけれども、これもあとで聞きます。ところが還付加算金の場合には、今回の改正におきまして、三カ月という期間は返さないのだと、こういうことになっておるのですね。なぜそういうことを事務上考えなければならないのか。なぜそれを、延滞税の中で、すらすらとあなたが、国家が国民から取ろうというのなら、国民に返さないのか。それを聞きたい。お答え願いたい。
○細見政府委員 先ほど来たびたび申し上げておりますように、還付の請求と申しますか、更正の請求がありましたときに、それが、実体がそのとおりであるかどうかという調査の期間その他を考えまして、三カ月というのを一応予定したわけでございます。
○永末委員 これは、三カ月もあれば事務はちゃんとできるというならば、国家のほうの事務上の都合ですわね。そうであるならば、国民のほうから言わせましたら、おれらだって何も、もっと早く自分の申告が間違っているということを発見してくれたなら、そんなたくさん延滞料を更正決定されたときからさかのぼって支払わぬでよかったということになるわね。国の都合で、更正決定して請求する期限が延びてきた場合には、平気でさかのぼってばかっと延滞金を取る。ですから、なぜ国民に金を返す場合に三カ月見なければならないのか、その辺が私はわからぬ。わかるように説明してください。
○早田説明員 今度の還付加算金の改正におきまして、現在は還付加算金はお返し——おつけいたしますときには、すべて納付の日からおつけいたすわけでございます。今回の改正で、たとえば国が更正をした、その更正が間違っていたので、後ほど再度減額の更正をした。これは五十八条の一項の一号のイでございますが、国の責任において更正し、その更正を取り消したというようなものにつきましては、これは何ら従前と変わりませんで、納付の日からすべて還付加算金をつけておるわけでございます。今回、ただいまお話ございました三カ月云々の点は、更正の請求等でございますが、これは御本人のほうが過大に申告されて、後ほどそれをお返しすることになったということでございます。これを非常にかた苦しく申しますと、この還付金と申しますのは、民法で申します不当利得の返還でございます。国といたしましては、国が更正したのではございませんで、納税者のほうの計算間違い等によって過大に申告をされた分をお返しするわけで、この不当利得をすみやかに返還すべきことは、返すべき還付金は通則法の五十六条で「遅滞なく、金銭で還付しなければならない。」ということになっている。かつ民法で申しますと、善意の不当利得の返還金については利息をつけるべきではない、現に利益を得ている限度で返還すればよろしいというような規定もありましたので、それらを勘案いたしたわけでございます。特に基本的にそういうふうな改正にいたましたのは、従前は更正の請求が、納税者として、所得税、法人税の場合には二カ月、その他の場合には一カ月と非常に短期に制限されておりましたが、今回の改正でこれを一年ということで、非常に長い期間にいたしまして、相当期間がたってから納税者のほうの計算間違いによる還付の請求が出てくるということもあると考えまして、今回のように改正いたしたわけでございます。
○永末委員 それはあなた、民法を持ち出したら、そしたら逆に今度は国のほうが更正決定した場合にも——何も納税者は初めから少なくするつもりでない。大体更正申告している者は、あるいは更正決定の対象になるような納税者はみな犯意があって、ケモノへんか何かわからぬけれども、故意があってやっているのだということになると、みな二銭つけるわけですね。そうでなく一生懸命やっているけれども、いまの税法で自分の力で申告する者はたいへんなもんです。わかりゃしませんよ。何が所得控除やら何が税額控除やら、二十幾種類もある税額控除の中で、自分の所得は何に該当するか、国民が全部判断できると思ったら大間違い。優秀なる大蔵省の皆さんが知恵をしぼって公平だといってつくった税制でしょう。国民にはわからぬですよ。納税者、国民、主権者は一生懸命頭をひねってやっている。ところが、あとで調べて間違いがあったということであります。これは善意ですよ。国が得している。それなら似たようなことで、同じなら三カ月まけてやりましょう、こういうのがほんとうじゃないですか。どうですか。
○細見政府委員 一方では非常に正確に申告して納めておられる方もありますし、一方では源泉で給与所得者のように徴収されている人もありますから、その辺のバランスをとるという意味で、少なくとも、更正されたとはいえ、その間に経済的に税額の少ないことによった経済的な利得というものはあったわけですから、その辺はバランスがとれているのではないかと思います。
○永末委員 問題を整理すると、二点あるわけですね。ほっておいたら二銭でずっとくるわけですよ。もし二銭というものが、税金を払わないで延滞をやって、どっかで金をもうけてやっているから得だということにあるなら、二銭に問題点がある。もう一つは、還付の場合に、なぜ事務上ということで三カ月の返さない期間をつけるのか。民法を持ち出したけれども、私は、延滞税をつけるのなら還付金も全部返すべきだ、事務上とは次元の違う話だと思う。この二点、もう一ぺん答えてください。
○細見政府委員 従来の二銭の、いわば罰金的なものにつきましては、従来は督促状を出しまして、そうして、あなたは納税に遅れておりますよ、場合によっては差し押えをいたしますよといって、督促状を出すことを契機にしまして二銭加わるということになっておったわけでありますが、新しい現行の制度は一カ月というので、大体の納税者につきまして、納期がかりにおくれた納税であっても、ほとんどの納税者は一カ月たつと納税が終わっておるというような実情をも踏まえまして、やはり一カ月でおそい人でも納まっておるのに、一カ月以上たつ人については四銭というようなことにしておいて、少なくとも一カ月で収入は確保できるようにしたいというのが二銭の問題であります。 それから、還付加算金の問題につきましては、先ほど三課長が民法を引用して申し上げましたように、国は、いわばそういう過大な申告がなされておることについては、何らそういうことについて関知してなかった状態でございまして、それが多かったんだといわれて、それが確かに多かったんならそこで返すべきでありまして、その不当利得はまさに返還すべきでありますが、それに加算金をつけるかどうかということの始期としては、それがほんとうに過大な申告であった、実際を上回る申告であったかどうかということについて、そういう調査をして確定する期間というのは、物理的にある程度いえるのではなかろうか。その場合、繰り返し申し上げますが、実際の所得よりも多い所得を出してくれということは国としては要請をしておらなかった。片一方のほうでは、納税者として当然に正しい税額を申告してもらうべきがたてまえだ、その違いがあるのではないかと思います。
○永末委員 主税局長、あなたの議論を聞いておると、過大な税金を納めているやつはばかだということになりますよ。私が言っているのは、もし、ばかだという、そういうことばが当たるとするならば、国民は賢いけれどもいまの税制を消化することができないというような現実じゃないか。今度また三月の十五日が来ますので、一ぺんまた御一緒にどこかの税務署へ行きたいと思いますが、こんな例がたくさんあるのは皆さん御存じでしょう。だーんと帳面持ってきて、何とかしてくれ、自分はよう書かぬという、これが国民の実態じゃないですか。書けやしませんよ。だから、ばかじゃないのだ。一生懸命まじめにやっているけれども申告し過ぎるわけだ。それなら気の毒だ。国家はたくさん金を使い過ぎましたからといって、民法みたいな変なことを言わぬで——民法というものは国民のまじめで善意なものを保護する規定だ。国家のような八兆円というような金を使うのを保護する規定じゃないのだ。ぼくはそういう意味で、そうしたら延滞税の場合でも、なるほど国家というものは間違ってたくさん金を納めた場合にはちゃんと利子もつけて返してくれる、延滞税もあたりまえ、こういう感覚になりますね。ところが、こっちは事務上の都合だといって三カ月値切って何ぼ得するのですか。税法の基本的な立て方、そこに問題がある。だから、この辺のところはあなたが自説をひるがえさぬのなら、一ぺん藤井さん、ほんとうに基本的な問題だから……。三カ月でそれは期限を切る必要もないし、別の場合にまた一カ月——どっちがどっちかわかりませんが、一九七〇年代の新しい税制だということになるなら、この辺の感覚をやはり改める。それから突き進んでは、国税犯則取締法のケモノヘンをやめる。そうして、税金のもとの税法は確かにこれは権力の機構の中の問題だけれども、そのあとのものは国家と国民——国民は主権者ですからね。だから申告課税になったと思うのですが、その関係は平等の経済上の扱いだとして扱っていく。こうするともっと合理的になりますよ。税務署というものが変な権力の殿堂みたいに思われない、そういう感覚になる。一九七〇年代で一番必要なことは、税務署が国民の一番親しみやすいところになる。吉國さん、その辺が一番問題点になる。その一番の問題点がここにはあるということを御指摘申し上げまして、だいぶ、五時近いですからあとはまた……。終わります。
○毛利委員長 次回は、来たる二十七日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十五分散会