商工委員会 第31号
- 発言数
- 306 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/06/11
会議録
○八田委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、公益事業に関する件及び通商に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。武藤嘉文君。
○武藤委員 きょうはたいへん質問者が多くて時間が制約されておりますので、要点だけを私から大臣にお尋ねをしてみたいと思います。 そこで第一の点は、日本側からは三月九日にエードメモワールをお出しになった。それ以降は、正式の外交ルートを通じての申し入れは、日本側としてはしておられない。またアメリカのほうは、第二次提案であった二十八品目でございましたかの規制、あるいはあとは引き金方式、こういうのが正式の外交ルートでのアメリカからの提案であったと私は記憶をいたしております。そこで、最近のアメリカの下院におけるミルズ法案の提出をめぐって、いろいろと貿易の問題についての公聴会が開かれ、それと関連して非常に最近あわただしい動きが出てまいりましたが、そのあわただしい動きの中で、少なくとも従来の日本側の考え方とは違った形、たとえば暫定的ではあるけれども包括規制をしたらどうか、こういうような考え方に、新聞紙上によりますと、少なくとも強く日本政府側の考え方は固まりつつある、こういう感じを受けるのでございますけれども、それが事実なのかどうか、また事実とすれば、なぜそのような考え方の違いが出てきたのか、この点についてまずお聞きをしたいと思います。
○宮澤国務大臣 少し経緯を申し上げますので長くなりますが、よろしゅうございましょうか。お持ち時間が限られておることを存じておりますので、はなはだ恐縮に存じますけれども、第一回の御質問でございますので……。 御指摘のような文書によりますところの交渉の経緯がございましたあと、両国の間で外交ルートを通じましていろいろ話し合いがあっておりましたことは事実でございます。しかしながら、それはこれといって結実をするに至りませんでした。そうしておりますうちに、米国の国内で法案の提出が行なわれたりしておるわけでございます。 当初、この問題につきまして、本来こういう問題に一番関係のございますガットの事務局長は、これは日米間の問題として処理をしてもらいたい、ガットに持ち込まれるということは、端的な表現で申しますと迷惑だという立場をとっておったわけでございます。しかしその後、この問題につきましての関係各国の関心、イギリスでございますとか、EECでございますとか、あるいは、直接ガットの加盟国ではございませんにしても、極東の繊維品の輸出国でありますとかというものの関心が高まってまいりまして、ガット事務局長に対してそれを表明するものも出てきたといったようなこと、並びに日米間の折衝がなかなか妥結の機運を見せないということから、ガット事務局長はある段階から、自分としてもこの問題に関心を持たざるを得ないという態度に変わってまいりました。ただ、事務局長という立場から、正式のガットあるいは正式の事務局長の公の資格においてということにははばかりもあり、またそれでは行動も拘束されると考えたものと思いますが、一応個人の資格において日米両国に対していろいろな働きかけをいたしたわけでございます。しかし両国とも、それにもかかわらず、ことに米国の側でございますけれども、なかなかさしたる成果が得られない。 そこで、事務局長はオリビエ・ロングという人でございますが、ロング個人の資格においてこの問題にいわば仲介をしたい、することはやむを得ないという申し出がございました。で、他方でたまたまOECDの閣僚会議がございまして、私はパリに参りましたが、そのときにロングとかなり長い話をいたしておりまして、ロング氏の考えでは、これ以上この事態を延ばすことは、むしろガットという体制そのものにひびが入る、あるいは崩壊を来たすのではないだろうか、したがって自分としては関心を持たざるを得ないのであるが、ともかく日米間でこの非常に白熱した状態を一応冷却をしてくれることが望ましい、簡単に申しますとそういう意向の表明があったわけでございます。どちら側の主張がいい悪いということを別にいたしまして、何かその上でもっと理性的な話ができないものだろうか、こういうことがございました。 なお、ロング氏の語るところによれば、この問題は、どうもはたで見ておる目では、日本側がいわば筋を通すという立場で弾力性を欠いておる——これは表現いかんによると思いますが、そういうような見方が国際的に強まっておるので、そういうことも加味して、何かとにかく冷却状態をつくったらどうかということであったわけでございます。 そこで私といたしましては、かねて国会の決議もあることでございます。したがって、こういう問題は長期的にはやはり筋道を立てて解決をしなければならない、これはもちろんでございますが、当面の非常にいわば白熱した状態をとにかく一応解消するためには、何かを考えなければならないと思うに至ったわけでありまして、昨今紙上に伝えられておりますところのいわゆる暫定規制、その内容については私も申し上げたこともございませんし、政府としても、どういうものであるかということについて深く議論をいたしたことはございませんが、そういうものの可能性についてただいま検討をしておる。ただ、これはわが国の一方的な好意によるところのものの考え方でございまして、米国側はそれをどう受け取るかということは別個の問題として、私どもそういう可能性をただいま探究しておりますことは事実でございます。 たいへん長くなりまして、申しわけございません。
○武藤委員 まず、私の意見だけを最初に申し上げたいと思います。 いまのお話を承っておりまして、結局、ガットの機関を通じて日米両国に話し合いをしたけれども、なかなか話がうまくいかない。それから最終的には、ロング事務局長の考え方としては、この際日本がある程度譲歩といいますか、妥協といいますか、そういう形をとってくれることが望ましい。こういうことで、変わってきたというか、日本もそういう国際的ないろいろのこともいわれるし、この際ひとつ日本が冷却期間を設けるという意味において、まあ案はできていないけれども、一年間の暫定規制というような可能性を検討しておられるということでございますが、私はあくまでも、ガットが仲介に入るのであるならば、やはり両者ともが譲歩すべきではなかろうか。強いものが全く譲歩しないで、弱いものが譲歩しなければならないという考え方では、私はかえってガットの精神が踏みにじられるのではなかろうか。あくまでガットという機関が中へ入ったといいますか、中へ入らないにしても、ガットの人たちがそういうことを心配しているからということであるならば、日本とアメリカとの間に交渉する場合には、そういう形で日本としては譲歩するけれども、相手も必ず譲歩すべきではないか。こういう姿勢を日本としてはもっと強くとるべきではないか。その根拠としては、日本の場合国会の決議もありますし、また実際日本側が言っているほうが筋が通るということは、だれが考えてもこれは納得できると私は思うのでございます。そういうことはやはり非常に強くお出しをいただくべきではなかろうか、こういう考え方を私は持っておりますし、また、へたに自主規制に応ずれば、逆にガット体制がくずれるおそれがあるのではなかろうか。これはアメリカならアメリカが、日本のこういう自主規制ができたといたしますと、ほかの業種にまでそれを波及するおそれが非常にある。かえってミルズ法案が通ったほうがアメリカは困るのであって、日本が自主規制をやったときのほうが、結果的にはアメリカとしては何ら手数をかけずして自主規制をさせ得るわけでございますから、このほうがかえってアメリカ側にとってはやりやすいのじゃないか。そうなるとこれがほかの業種に波及するおそれがある。と同時に、これはアメリカだけでなくして、たとえばほかの国々から、いまの日本の経済の進出によって多少なりとも影響を受けておる国々は、そういう一つの自主規制をすると、それに基づいてやはりいろいろの案を言ってくる可能性があるのではなかろうか。そうなると、これは日本の国にとっても大きな損失であり、世界の自由貿易という立場において、それを促進しなければいけないガットの精神にこれは逆に反することになるのではなかろうか。そういう面でガットの体制を維持するために、また、ガットの人たちが非常に心配しておるから日本がある程度譲歩するということであるならば、そのときには、あくまでもガットの精神に反しない形で譲歩するなら譲歩するという形が非常に必要なことでないか。そこに一つの歯どめというものが出てくるのではなかろうか。この歯どめを忘れて安易な妥協を——安易というとことばが悪いのでございますが、へたな妥協をするということは、かえって大臣のいまおっしゃいましたガットの精神を踏みにじることになるのではなかろうか。私はこういうことを強く思っております。これは、御意見を承りながら討論しておりますと時間がございませんので、私の意見として申し上げておきます。 次に、いまお話を承っておりまして、その業界——いまのは大臣のお考え方でございますが、この間業界と大臣がお話し合いになりまして、それで業界との話し合いのときには、そのようなお考え方を業界に述べられたと思うのでございますが、それに対しての業界の反響はどうでございましたでしょうか。
○宮澤国務大臣 最初の部分から申し上げたいと思いますが、まずこの件につきましては、しばしば申し上げておりますように、わが国が、被害なきところ一切規制あるべからずと考えております態度は、私は今日でも正しいと思っております。筋道としてそれに間違いがないと思います。ただ、それをかりにガットの側から見ますと、いい、悪いはともかくとして、一つの争いであることには間違いがない。そこでガット——ガットと申しますよりはロング氏、ロング事務局長としては、もちろんアメリカにも相当な譲歩を求めておるわけでございまして、わが国に対して一方的にそれを申しておるわけではございません。先ほど御指摘のありました、米国の今年初めごろに出されましたメモワールの線からは相当強硬に譲歩を求めておるわけでございまして、この点ロング氏の立場が一方的であるとは私は考えておらないわけでございます。 それから次に、逆にこのことがガットの体制をこわすことになるのではないかという議論には、確かに相当の理屈がございます。ただ御承知のように、ガットというものがこの十何年ここまで育ってまいりましたものの、各国の主権がその中に埋没をしたという状態まではまいっておりません。ことにわが国、アメリカ、EECは、ただいまガットをささえますところの大きな柱でございますが、この中の一国が、いかにも理不尽であろうとも、主権の主張をいたしますと、それは、その国がガットを脱退するか、あるいは他のメンバーがこれをいわば忍耐をするかという、そのいずれかしかないわけでございますが、そういう状態におきまして、ミルズ法案等々にも見られる米国の——米国政府とは申しませんが、ミルズ法案等の思想は、明らかにガットの精神に沿わないものであることは明らかでございます。したがって、それが通れば米国がかえって困るのではないかと言われることも、私は一理があると思います。ただその際、われわれが鼓を鳴らして米国を非難することはきわめて痛快でございますけれども、事はそれからどのように発展するかということを考えますと、おそらく各国の間で報復が行なわれるであろうというふうに考えられますので、そのことはガットが本来こいねがっておるところとは全く反していくことになる。いいにいたしましても、悪いにいたしましても、ロング氏の危惧しておりますところはその辺にあるかと思われます。 それからその次に、歯どめという点を言われました。この点は私はいずれにしても非常に大切なことであると考えております。これは今後も、政府は交渉の態度でこの点を放てきすることはあってはならないと考えております。 それから最後に、私がただいま申し上げましたように、類似したことをおそらく業界に話したであろう、業界の反応はどうであったかというお尋ねでございますが、業界の受け取り方もいろいろでございまして、必ずしも一様ではございません。(「全部反対だよ」と呼ぶ者あり)もちろん全部反対でございます。それは間違いがない。こういうことは、だれも好ましいと言っておる者はございません。ただこの場合、業界が特に強く主張いたしますのは、かりにこれが世界の自由貿易体制あるいは日米国交のために必要であるとしても、何ゆえに繊維業界がひとり責めを負わなければならないか、この点は私はもっともな主張だと考えておりますし、また、暫定規制というようなことをかりに政府が考えておるやに聞くが、その結果というものはどうなるのか、そのあとはどうなるのかということに、非常に強い危惧を表明いたしておるということが大体の最大公約数であろうかと思います。
○武藤委員 そこで、業界としていまのお話で全部が一応は反対である、そういう形の中で、政府として業界の反対を押し切ってまで政府案をとにかくまとめるということをおやりになるのかどうか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 これは在来からも申し上げておることでございますが、問題の性質並びに私どもが判断いたしておりますこの理非曲直から申しますと、政府が、業界が心底反対をし、どうしても承知できないというものを、公権力を無理に用いて政府の意思を通すというような性質のものではない。私はそういうことをいたす意思はございません。
○武藤委員 そうなりますと、新聞に出ておりますのを見ておりますと、業界が反対をされても政府の責任において案をつくるというような書き方の報道、こういうのをときたま見るのでございますけれども、少なくともそのような形での政府案をつくってアメリカへ提示をされるというようなことはない、こう考えてよろしゅうございますでしょうか。
○宮澤国務大臣 まだ与えられた時間もあることでございますので、私ども過日業界とは、公式に相当多数の人と長いこと議論をいたしましたが、その後、業界の人々も多少意見に違いもございますので、どの辺までがいわば甘受し得る程度かということを、個別に実はただいま私ども探索をいたしておるというのが現状でございます。結局何人もこれを歓迎しないことは明らかでございますから、歓迎せざることの程度といったようなものがどの辺であろうかということを、私どもなりにいまいろいろ接触をしてみておる段階でございます。
○武藤委員 それから、これも新聞報道でございますのではっきりいたしませんのですが、実はきのう私ども党で、繊維対策特別委員会、外交部会、商工部会の合同会議で事務当局の方のお話をいろいろと承ったわけでございますが、そのときの感触では、十八日のスタンズの報告の前に具体的な案は出さないほうがかえってプラスではないか、こういうような感触のお話を私はちょっと承ったわけでございますけれども、新聞報道によりますと、逆にスタンズの十八日の報告の前に具体的な案をこちらは示したほうがいいのだ、そういうふうに大臣がお考えになっておるというようなふうに新聞報道が出ておりますが、これは一体どういうふうに判断をしていいのか、大臣のほんとうの御真意を承りたい。
○宮澤国務大臣 この点につきまして、十八日云云というのは米国の政府なり立法府のかってな日程であるので、わが国は別にそれに拘束されることはないというような御議論を聞きます。私は本来そうであろうと思いますが、問題は、これはわが国が、ガット体制の崩壊等々を考えて、業界の納得を得て先方に示そうという一種の好意でございますから、好意を示すのであるのならば、その好意ができるだけ受け入れられやすいような状況において示すことが、外交交渉としては賢かろうと私は考えております。ただ、好意でありますから、それを先方が受け入れないといったときには、私どもの好意を示す程度にも限度がございます。その場合には、この長い間の問題はそこで幕を引かなければならないことになるかもしれません。そういたしますと、わがほうの立場がどうであれ、先方の理解がどうであれ、そのこと自身は日米国交にかなりの影響を与えることは、これは避けられないと考えられます。したがいまして、この段階においてわれわれはそういう危険を当然承知しつつ最後の好意を示すということになるわけでございますから、その選び方、その時期、方法についてきわめて慎重に考えなければならないと思います。 私自身といたしましては、一応先方が十八日に商務長官が証言をするということでありますれば、そのある程度事前に日本側から、どのような好意を受け取れるであろうかということについての基本的な感触というものは、商務長官にわからせておいたほうがいい。その際それを非常に具体的に申す必要があるかどうかにつきましては、確かに問題がございますので、もう少し私ども考えたいと思っております。
○武藤委員 先ほどの問題との関連で、まだ時間もあるから、万が一こちらが譲歩するとしても、できる限り業界と接触を深めて、なるべく業界の理解のもとに案をつくりたい、強権発動的な形で政府がかってに案をつくるというようなことはやりたくない、こういうお話と、いまの十八日という一つのタイムリミット、それまでに、具体的な案はなくてもいいけれども、何らかのこちらの、少なくとも日本として譲歩できるところの大体の感触くらいは向こうへ教えてやっておいたほうがいいのではないかという、この二つを私はからみ合わせて考えてみますと、きょうは十一日でございまして、十八日となるとあと一週間しかないわけでございます。そうなると、この二つをうまく結びつけられるという可能性はたいへん私はむずかしいのではなかろうか、こういう感じがするのでございます。 そこで、たとえば業界とお話し合いをいただいて、業界の人が何としても納得ができないとした場合、こういう場合には、業界のほうはこうだからまだもう少しということになるのか、あるいは、業界は納得しないけれども政府としてはこう考えておるということくらいをおっしゃるのか。これは外交の問題でありますから、たいへんむずかしい御質問かと思うのでございますけれども、その辺、この二つをからみ合わせて少し大臣のお考え方を漏らしていただければ、ひとつお願いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この辺は外交の問題でございますので、私にもしっかりただいまわかりかねております。いずれにいたしましても、外務大臣あるいは外務当局の意見もございましょうし、また最終的には、事と次第によっては非常なあるいは異常な事態に発展すべき事柄でございますので、よく総理大臣の御意向も伺いましてきめてまいりたいと思っております。
○武藤委員 時間がございませんので、関連に譲らしていただきます。
○海部委員 通産大臣にお尋ねいたしますが、いよいよ大詰めになってきたというような感じはいたしますけれども、むしろ私どもの感じでいきますと、向こうでミルズ法案というものが用意されて、ほうっておくと法律が向こうで出てしまう。出てしまう前に何らかこちらも譲るべきものは譲って、早いところ話をつけてしまったほうが調子がいいのではないかというようなお考えが非常に強いのではなかろうか、ということをこの間から心配をしておるわけでありますが、大臣のお考えの中に、向こうが法律をつくるから片づけなければならないという前提がどれくらいお気持ちの中にあるかどうか、まずこれを率直にお伺いいたします。
○宮澤国務大臣 特定の議員が法律案を出したということ自身で、別に私ども脅威を感じてその圧力のもとに云々と申しておるわけではございませんし、また、この法案が通ったときにわが国が経済的にどのような損失をするか、それくらいならばこうしたほうがという損得のそろばんをはじいておるわけでもございません。そうではありませんで、この法律案が通りますと、先ほど武藤委員にも申し上げましたが、これが将来に向かって自由貿易の体制に非常に大きなひびを入れるであろう、そういう事態のもとに、自由貿易の原則で最も利益をこれからも得るであろうわが国として、この法律案が成立しないようにするために最大限どの程度の好意なり譲歩が考え得るか、そういう意味合いにおいて考えておるわけでございます。
○海部委員 大臣のお気持ち、そのとおりであると一応受け取りまして次に御質問しますが、自主規制という以上は、そういたしますと、業界の納得、説得が済んでから始めていただきませんと、国内でたいへんなことになる。せんだっての委員会でも、私はここで大臣に、被害のないところには規制はないという原則はいまでも変わりませんかというお尋ねをしました。明確に変わらないという御答弁をいただいておるわけでございますが、業界の代表は、大臣に会われたあとで、やはりみんな、われわれは反対で納得できないという意向を率直に漏らしておるわけであります。どうしていまのこの時期で急いで話をつけなければならないのか、どうして繊維だけが犠牲にならなければならないのかという非常に大きな前提で反対しておるわけでありますが、焦点を突き詰めてみますと、猛烈な不信感が二つあると思います。 一つは何であるかというと、日本の提案はこのくらいである、業界が一応納得するような甘い線でかりに話がまとまったといたします。大臣がそれを提示されて日米交渉の段階に入ると、日本の業界が納得するような案は、アメリカは納得できない案だと思う。そうすると、案そのものは業界が納得したけれども、話し合いの最中に、この辺まではしかたがないといって、アメリカが納得する線まで交渉の段階でおりてしまわれるのではないか。要するに歯どめが全然ないという心配を一つ非常に持つわけでありますし、もう一つは、被害のないところに規制はないというのでありますから、現在われわれは相手に被害を与えておらないということを、業界なりにいろいろな角度から言うわけであります。私どもも、アメリカへ行って調査したり、もらった資料なんかを検討すれば、雇用でも、生産でも、販売面でも、アメリカの繊維産業界というものが現実に被害を受けておるとはどうしても理解しがたい状態にあるわけであります。そういうときに、それでは被害があるかないかを調査するために一年間暫定的なものをやりましょうと、かりにしたといたしましても、綿製品交渉のときがやはりいまと同じような雰囲気であって、自主規制でかりに一時期というだけのことで始まったのが、御承知のようにLTAになってずっと発展してきたという前車の轍があるのでありますから、そうならないという保証がないではないか。 それから、やはり大臣のことばの節々に出てまいります、ガットの精神が崩壊することはいかにも見るに忍びない、何とかここでひとつ日本も国際協調の実をあげなければならぬ、こうおっしゃっておる点はわかるのでありますけれども、この二つのことが解明されませんと、業界と納得のできた日本案というものはできないんじゃないかという感じがいたします。 もしこれでアメリカがのまないような案ができた場合に、持っていってアメリカがそれに反対した場合、いまから話を詰めるようで恐縮ですが、ここまで日本が努力して、譲歩して業界を説得してきてもアメリカが応じなければ、自主規制という前提上、もうこれでお話は決裂もやむを得ないんだ、パーになってもしかたがないんだというような結論を持っていらっしゃるのか。あるいは、そういうときには、少々どうなろうと、国家、天下のために自分が判断によって解決をつけなければならぬとお考えになっておるのか。その辺のところの御感触をお聞きいたしたいと思います。
○宮澤国務大臣 第一の点でございますが、これが将来のガット体制、自由貿易に大きなひびを入れることになるかどうかという点は、これは業界が御判断をなさるべきことではなくて、政府として判断をいたさなければならないと思っております。 次に、かりに暫定的な規制が行なわれました場合、それが一定の期間で、結果がどうあろうと終了しなければならない、そうでないとかつてのLTAのような云々と言われる点はごもっともであります。何かそういうはっきりした保証が必要であると私も考えております。 第三の点でございますが、私どもが示し得る最大の好意が受け入れられないという場合には、事が不首尾になりましても、私は、やむを得ないものと思います。
○海部委員 国会の決議等もあるわけでございますし、いま、あげてこの問題に注視しておるわけでありますから、どうぞひとつ、被害のないところに規制はないという、きょうまで何回も確認されました問題と、国会の決議に反しないという大きな方針をお立ていただきまして、その中で、ただいまいろいろな意味で反対をしております業界その他も、自主規制というたてまえ上、やはり大臣のお気持ちを説得していただいて、その説得がなってから初めて、みんなの納得の上でこういった話し合いに応ずるという態度をおとりいただきますように特にお願いいたしまして、時間がございませんのでこれで終わります。
○宮澤国務大臣 先ほどの武藤委員並びにただいまの海部委員の御発言の御趣旨をよく玩味いたしまして、最善を尽くしたいと存じます。
○八田委員長 横山利秋君。
○横山委員 お二人の意見で、与党の皆さんの御意見が大かた私どもはわかりましたし、おそらく黙っていらっしゃるけれども、与党側としてほとんど同意見ではなかろうか。それから野党側としても、いま質問をせられておった趣旨に著しく食い違うようなことはない。それというのは、国会の決議というものがもうできておって、もう与野党の間に基本的態度に変わりはないというふうに言ってもいいと思うのであります。それにもかかわらず、通産大臣が外国に行かれたら、いきなりどうも態度が変わって、深みに落ち込んでしまいそうな気がする。何か、かさ屋の小僧で、骨を折ってしかられるといいますか、余分をことをどうもなさっているような気がしてしかたがない。あぶなくて見ておれないというような感じが、ことばの表現はちょっと適当でないかもしれませんけれども、私どもの意に反して、通産大臣がどんどん前に出て深みにおちいって、にっちもさっちもならぬようになったあげくの果ては、いまの最後の御答弁のように、骨を折ってしかられて、しかも何もなかったというような結果になりゃせぬかということを、実は心配しておるのです。あなたに好意を持っておるだけに、あまりひどいことは言いませんけれども、しかしながら、どうもこの勝負はいい結果が出ないのではないか。適当なときにもううまくおやめになったらどうであろうかというのが率直な私の気持ちであります。 世の中に、業界でもそう、あるいは野党でもそう、与党でもそう、一体だれがあなたを、全力をあげて、よし一六勝負でやってみろと陰に陽に応援をしておるのかといいますと、そんな雰囲気はないんではなかろうか。つまるところ、結局、繊維には気の毒だけれども、政府の立場、それだけが残っておるだけであって、あと事繊維に関するいろんな問題については、何の説得力もないんじゃないか。残るところは、日本政府、佐藤内閣の立場、対米的な政治的、外交的な立場、それだけしかないんじゃないか、こういう感じがするわけであります。だからそうなると、よけいに事繊維に関してはほんとうに気の毒だ、余分なことをやって何の意味もないというように、みんなが考えておるわけであります。冒頭に多少意見がましいことになるかもしれませんけれども、こういうふうにみんなが見ておることについて、大臣としてはどうお考えでございましょうか。
○宮澤国務大臣 世界貿易の将来を考え、並びに日米両国のこれからの友好を考えますと、さりとてこの事態を放置しておくわけにはまいらないと考えておるわけでございます。骨を折ってしかられまして、その結果ともかく妥結をすればよし、またそうでありませんで、それによってわが国の公正な立場を世界に示すこともまたよしと考えております。いずれにしても、事は世界自由貿易の将来とわが国の対米関係のこれからを考えるからでありまして、これは一佐藤内閣といったような問題ではないというふうに考えております。
○横山委員 わが国の公正な立場は、基本的主張をきちんと姿勢を正しくして言っておったほうが公正な立場を堅持し得るか、それとも大臣がいままん中をとってというように、妥協をしていくことによって公正の立場が堅持されるか、これは御判断が必要だと思います。気一本でそれでは話にならぬとおっしゃるかもしれませんけれども、こちらの主張に何の瑕瑾はない。日本の繊維業界なり私ども国会の基本的主張に何らの落ち度はない。無理を言っているのはアメリカではないか、こういうことですから、基本的主張をはっきりしておることが公正の立場である。それを何かひとつ妥協をして話をまとめようとすると、こちらも実はまずいことがあるんですからということをよその国にも見られる。だから基本的主張がすでにくずれるということなんであって、公正の立場を海外にもアメリカにも主張することにはならぬではないか、こういうふうに私どもは考えるわけです。いわんや佐藤内閣やあるいは閣僚がアメリカの主張をいれようとしておるんだからということになれば、向こうに足元を見透かされ、あるいは甘く向こうが考えて、こうすればなるんじゃないかという、できもしないことにアメリカ側としても望みをかける、そういう結果になるんではないか。 この間テレビを見てみましたら、あなたがいろいろとお話をされていました。国民に対する説得力のあることは、あなたのあのテレビの中におけるたった一つの、言うならば、戦後アメリカにごやっかいになったんだから、この際ひとつ貸しをつくっておきたい、また借りも返したいという気持ちだとおっしゃいましたあれだけは、立場の相違はあっても、なるほどそういうことかというふうに国民に説得力を与えると、私は一歩譲って考えるわけであります。しかし、そのことをもっていたしましても、これが正しい判断であるかどうかということには議論があります。いわんや本件の根本的な問題がそういうところに所在しておる、そしていわれるように沖繩の返還交渉で密約があったんだ、そういうところに根本的な立場があるとするなら、よけいに問題はこんがらかって、事繊維ではないのでありまして、問題の所在は全然別な観点からある。その別な観点に正しく焦点を据えなければ、だれもこれは納得するものがない、こういうふうに思うのです。 ですから、私は率直に言って、もういいかげんにおやめになったほうがよろしいと思う。それは国会の決議に沿うことなんです。無理して前に出てけがをしてやって何にもならなかった、業界はそれ見ろと言う、そうして政府も立場を失う、こういう結果になるのではないか。ほんとうにこれは悪意でなくて善意に私は心配するんですよ。いまのお話を聞いておりまして、大臣のお話によれば、業界なりあるいは与党がうんと言わないものはアメリカに提案しない、こういうようなお話ですが、もう一つお忘れになっているが、国会でもそうですよ。国会の決議に沿わないようなことをアメリカに提案をなさる意思はない、こういうふうに私は理解をいたします。そうすると、これは甘くお考えかもしれませんけれども、業界なり私どもが了解するような提案というものはまずないと私は思います。もうそれであたりを説得できなければあなたは終わりだと思う。かりに万が一何かの方法で、その業界なり私ども国会、あるいは与党が了解をしたといたしましょう。非常に薄い案であるけれども了解をした、そういう案はアメリカがのむはずはないということにもなる。けれども、一たん提案して、交渉の中でこれをいれてもらいたいとアメリカが言う。相手のある仕事でありますからのまざるを得ない。そうしてまとまった案を持って帰ったら、今度は業界がのまないということがあり得るわけですけれども、その点はどうですか。
○宮澤国務大臣 建設的なお立場からのお尋ねでありますことは、私もよくわかっております。そこで問題は、わが国も経済的には自由世界第二の大国になったということは、わが国のいたしますことが世界的にもいろいろ大きな影響を持つに至ったということでありまして、この点は申し上げずともよく御承知のことでございます。そうでございますから、この問題については、確かにアメリカの言っていることが筋道としてはよろしくない、基本的な立場というものは、わが国の言っていることがこの問題に関します限り間違っていないということは、私はそれでよろしいと思いますが、ただ、わが国として国全体として考えますと、こういう不幸な事態を回避するためにある程度のことはできないのか。われわれの好意として、あるいは世界の自由貿易に貢献するためにできないのかということが問題になろうと思います。その範囲というものは、確かにきわめて限られております。言われますように、それがきわめて薄いものであればアメリカとしてはのめないであろうかと思いますが、その場合には、私は決裂ということばは、穏当なことばではございませんからあえて申しませんが、結果は不首尾になりましてもやむを得ない。それによってわれわれは世界に対して、ともかく日本としては譲り得るこれだけの好意を示したのだということを宣明しておきたいと考えるわけでございます。もちろんそう簡単に——幸いにして先方がわれわれの好意を了解したということになりましても、業界が一切これに協力できないということでは、私どもはうその約束をすることになりますから、そういうことは毛頭できません。
○横山委員 たいへんさっぱりしたお話で、私も大臣のいまのおことばに敬意を表したいと思う。ただ、それならばもうこの辺で見通しをつけたらどうかという気がしてならないのであります。話を聞けば、新聞情報でありますが、アメリカにおる日本大使館の皆さんに対して業界は非常に不信の念があるから、問題は大使館にまかせないであなたが直接アメリカに行かれて処理をなさる場合があり得るという話でありますが、一国の大臣が、見通しがきわめて暗い——そしてあなたの御意見を善意に私が理解するならば、業界は反対しておるけれども、長年のアメリカとのつき合いであるから一応かっこうはつけなければならぬ。日本政府として誠意のある解決への努力をしたというかっこうはつけなきゃならぬのだという意味に、私は善意で理解しましょう。そういうことであるとしたならば、ますます見通しはだめなんだけれども、とにかく誠意のあるところを見せなきゃならぬからアメリカへ私は行くんだということとかりに理解をしたならば、これはそんな無理せぬでも——まあ見通しが立っておるならば、一国の大臣がわかり切った勝負にわざわざアメリカへ行かれることはあるまい。また、かりに百歩譲って善意であるとしても、それは向こうのとりこになる可能性のほうが強いんじゃなかろうか。一国の大臣が行った以上はまとめなきゃならぬ。また向こうもそういう気持ちで迎えるということになりゃせぬか。だから行った以上は、いま大臣が言われるように、業界がうんと言わないものをまとめる気持ちは毛頭ないとおっしゃるけれども、まとめようという気持ちが行く以上は先行してしまうんじゃないか。いまはそうであっても、アメリカへ着き、話をし、そうして腹の中では話をこわすつもりで来ても、やっぱりまとめるということに周囲の雰囲気というものがずっと動いてしまうんじゃないか。そして乗り出さなくてもいい仕事に乗り出してしまうんじゃないか。大臣は承知をした、帰って業界ではだめだったという、みっともないことになりゃせぬかということについてずばりとお伺いいたしますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 本件をそろそろ終わりにしなければならないと言われたと思いますが、私もそのとおり考えております。アメリカの商務長官は、本件について昨年再度でございますか、わが国を訪れたのでございますから、われわれとしても最善の努力をしたという意味で、それに対して返礼をすることがあるいは一つの方法かと思いますけれども、しかし、それは片一方で非常な危険を伴います。私の考えております危険は、とりこになる危険ではありませんで、このことが不首尾になるということの、非常にはっきり不首尾になるということのもたらしますいろいろな意味合いでございます。他方で、これをこれ以上遷延させることにも、先ほどから申し上げますいろいろな危険がございます。遷延の危険と不首尾になる危険、この二つをどう考えるべきかということが、ただいま御指摘の問題の結局中心であろうと私は思いますので、ただいまの点も、そういうことをいろいろ慎重に考えなければならないと思っておりますので、ただいまのところ私が自分で乗り出すという考えは持っておりません。
○横山委員 自分でみずから乗り出すという考えは持っておらないとおっしゃいました。 そこで、最後に私がお伺いいたしますのは、いまおっしゃったように、不首尾になるといいますか、これはだめになるという可能性を強く持ち、またそのほうがいいという判断でありますが、そうだといたしますと、あらためてあとのことを考えなければならぬ事態にあると思うのです。いままで大臣が、業界並びに私どもの質問に対しましても、これが不首尾になったときのことを考えるとまとめたほうがいいと思うということで説得をしようとなさいましたし、ある意味ではおどかしをしようと——まあ、そういうことばは悪いけれども、ある意味ではおどかしでありますが、まとめる気持ちになれ、ならぬとあとがこわいぞというようなお話をなさいました。しかし、いまの時点で考えて、不首尾になる可能性が強いとするならば、私は立場を少し変えてもらわなきゃいかぬと思うのです。業界やあるいは一般国民に対して、不首尾になったらあとがこわいぞということを言って説得をし、おどそうとなさっており、政府もアメリカに対しては、政府として苦労していますよという立場でなさっていらっしゃったのですけれども、これからは少し立場を変えて、不首尾になってもやむを得ない、それに対してアメリカがかりに報復手段をするならば当方としても覚悟がありますよという立場に、心がまえも変え、準備を少しずつなさっていかなければだめではないか、またそれは好むと好まざるとにかかわらずやらざるを得ないではないか、こういうように考えますが、その点はどうでしょう。
○宮澤国務大臣 不首尾になりまして経済的にどういう影響があるかということは、これはもう業界もおそらくとっくにお考え済みでございますから、私どもはそういう意味で、不首尾の結果をいまおそれることはございません。そうではなくて、そういうことになりますと、これは繊維問題を越えまして日米国交全体の問題になります。私どもが考えなければならないのはその点でございまして、これは業界がお考えになることではない、私どもが考えなければなりません。そこまで考えました上で、不首尾になるならなってもやむを得ないという決断を、あるいはある時期にしなければならないかもしれません。それを決して好んでおるわけではありません。しかし、そこまでこの問題は考え詰めませんと、われわれがどの程度の好意を最大限示し得るかという決心は浮かんでこないと思います。
○横山委員 まだ私の言わんとするところまで大臣は進んでいないような気がします。いまの大臣の答弁では、同じことの繰り返しでございます、いままでの答弁と。 私はもう一歩進んで、この交渉が決裂する場合、二つの問題がある。一つは大臣が言われる日米関係という問題、一つはいまも言及なさった繊維業界の問題がある。いまのお話は、たいへん繊維業界に冷たいお話でございまして、おまえら覚悟しておるんだから、不首尾になった以上損してもしようがないじゃないか、こうはおっしゃいませんけれども、繊維業界は覚悟しておるんだからとおっしゃるけれども、それではいけませんよというんです。繊維業界の打撃に対して、立場をいままでとは少し違って、それはそれで何か方法を考える必要があるんではなかろうかということが一つであります。 それから、日米関係となりますと、これは時間がかかりますし、私どもと大臣の立場とは違いますものですから、論争になりますからやめますけれども、ただ言えることは、私どもの受けております印象は、この間もテレビで学者や新聞記者の人が言っておりましたけれども、一般の意見としては、政府及び一部の繊維業者が言うだけであってアメリカ全般の世論とはなっておらぬということであります。きわめてあのテレビやラジオで国民に素朴に響いて、ほうかほうかという声になっておるわけでございます。現にそれが実相のようでございます。だからといって私は、いま大臣の心配されること、つまり政府首脳といえども真剣に、それが大統領と総理との約束だということになると、事は重大でありますけれども、問題の所在というものをこの際明らかにする必要があると思う。なぜこうなったか、アメリカ全般の世論ではないけれどもこういう結果を招来した原因というのは実はここにあるんだということを、もっと端的に国民に言わなければ、そうして言ったあとでその対策を考えなければ、やはり混迷におとしいれるだけの問題ではないか。 要するに私の言わんとすることは、大体これはもう不首尾になる、その腹をきめてほしい。きめてほしいならば、そうであるならば、いままで繊維業界や国民に対して何とか説得するために、ある意味ではこわいことがあとでくるぞというような立場で言っておられたのを、こわいことがきてもだいじょうぶだ、私も責任を負う、佐藤内閣としても踏み切った以上は責任を負うという意味の準備をしなければならぬ。おれは一生懸命にやったのに、おまえらが聞かなかったからこういうことになったんだぞということではいけませんよ。わかりますか。そういうことではいけませんよ。政府が一生懸命にやったのにおまえらが言うことを聞かぬのでこういうことになったんだ、ざまを見やがれ、ということは言わぬにしても、そういう顔色が見えそうな気がするわけであります、これから。それではいけませんよということです。わかりますか。わかりませんか、私の言うこと。たいへん皮肉な言い方ですけれども。
○宮澤国務大臣 私といたしましては、両国間の交渉が非常にむずかしい段階に入っておりますから、ともかくわれわれの好意を先方が受けるならそれでよし、そうでない場合にはこれは不首尾になりますから、ただの繊維問題を越えて相当深刻な、あるいはむずかしい重大な問題になろうかと思いますが、それだけのことを考えなければならないというのがただいまの問題でありまして、それから先のことを申し上げますことは、いろいろな意味で差しつかえがありそうに思えますので、ただいまおっしゃいましたことは、私わからないではございません。わからないではございませんが、お答えは差し控えさせていただきます。
○横山委員 けっこうでしょう。ただ、私がこういうことを申し上げたということだけは、ひとつ十分腹の中へ入れていただきたいと思います。 問題は、円満に調停をしようとする善意はわかりますけれども、やはり日本の通産大臣であります。繊維業界といえども、通産省所管の日本の産業の一つの骨幹を占める産業でございますから、あなたは主管大臣として繊維産業の今後の発展を助成をする責任がある。あなたは決して、調停者だとか、仲介者だとか、ガットの立場にあるとか、そういう人ではないということをひとつ申し上げたかったわけであります。
○八田委員長 中村重光君。
○中村(重)委員 各同僚委員の質疑を聞いて、大臣の考え方というものがわかったような感じもするのですが、私は大臣が非常に悲壮感に浸っているような感じがしてならないのです。おっしゃるように、自由貿易を守っていくということは日本の国益にも通ずることでありましょうし、またこれは、少なくともアメリカを中心にいたしまして、すべての自由貿易を進めておる国がこれに協力をしていかなければならぬことは当然なんですが、その当のアメリカが、自由貿易の宗家でありながら、みずからこれをくずすようなことをやっている。それに対してなぜ日本だけが、そんな悲壮感に浸るような感じでもって、無理に妥結をはかっていかなければならないのであろうか。私は大臣の気持ちはわかっておるが、どうも何か大臣は特別に、この問題を自分の手で必ず解決をしなければならぬという責任を持たされておるような感じすらするのです。 こんなことを申し上げてどうかと思うのですが、大平さんが大臣をやめられて、そうして宮澤さんが通産大臣になられたときに、大平さんは、国会の決議の問題その他がいろいろありまして、その当時いろいろ私どもとの質疑等がかわされて、答弁がそれなりになされておったのですが、大平さんの手ではなかなか解決できないであろう、やはり通産大臣をかえて宮澤さんにこの問題を担当させなければ解決はできないんだ、宮澤通産大臣の登場というものは繊維問題の解決にかかっているんだというようなことを言われていたのですが、どうも最近のあわただしい政府与党の動き、特に、宮澤通産大臣がこの問題に対しては決断を下す、それにかかっているのだというような報道すらあるわけですが、どうでしょう。私の受けた感じは違っておりましょうか。
○宮澤国務大臣 自由貿易の宗家というふうにアメリカのことを言われましたが、確かにいままでそうであったと思います。この宗家が自由貿易の思想に反することを言おう、あるいはやろうとした場合に、どうして日本が何かしなければならぬのかということが最初のお尋ねですが、これは私は、日本の世界に対する責任がそこまで来ておる、いまやわが国はアメリカに次ぐ自由貿易を振興する責任を持っておる国である、こういうふうに考えております。 なお、私が任命されました経緯につきましては、私は任命されたほうでございますので、聞いたこともございません。はっきりいたしませんが、ただこの問題を片づけますことは、私は自分の責任と心得ております。私のみならず、総理大臣をはじめとする関係閣僚全部の責任であると思いますが、その中でも私の責任は重いというふうに考えております。
○中村(重)委員 さっき海部委員の質問に対して大臣は、ミルズ法案に対する圧力は感じてない、損得を考えているわけではない、しかし自由貿易で利益を受けるであろうわが国が、このミズル法案が成立をしたという場合のいわゆるマイナスの点を考えているのだというお話があったわけですね。結局そのことは、自由貿易そのものがくずれてくるということになるから、自由貿易を守っていかなければならぬのだ、こういうことです。ところが自由貿易によって利益を受けておるものは、日本よりもむしろアメリカではありませんか。アメリカ自体はそれを無理押しすることはみずからの利益をそこなっていくことになるのじゃないでしょうか、いかがですか。
○宮澤国務大臣 これにはいろいろの見方があろうと思いますが、しかし、国民総生産の中における輸出あるいは輸入に対する依存率を考えますと、米国の場合は御承知のように非常に低うございます。したがって、そういう相対的な観点からいたしますと、おそらくは、自由貿易が失われますことによって米国の受ける損失は少ないのではないか。わが国のような、資源を持ちません、しかもGNPにおける輸出入の比率がある程度高い国のほうが、しかも国全体が成長過程にございますときにはなおさらそうでございますが、私は受ける損失ははるかに大きいであろうというふうに判断をいたします。
○中村(重)委員 外務省筋が語ったところによると、米政府は、一年程度の暫定規制のあと多国間協議につなぐという案をもとに、双方歩み寄って交渉を進めることで話がついたということですが、これは事実でしょうか。
○鶴見説明員 ただいまの御質問の点でございますが、私、外務省の経済局長でございますが、そういった筋の情報というものは現在のところ入っておりません。
○中村(重)委員 いや、入っていないというのじゃなくて、これは新聞の報道ですよ。あなたも新聞は、繊維の問題ですから、神経過敏になるくらいにお読みになっていらっしゃると思うのです。いわゆる外務省筋がそう語ったということなんですが、それは事実と相違するのですか。
○鶴見説明員 外務省筋といいました場合に一体だれかという問題があるかと思いますが、私ども外務大臣あるいは外務次官に確かめましたところでは、そういう事実はございませんので、これは憶測かと存じます。
○中村(重)委員 いろいろ大臣にお尋ねしたいことがあるのですが、きょうは時間の関係もありますし、まあみんな考えていることは同じですから……。 そこで、先ほど海部委員からも指摘しておりましたが、国会のこの委員会でまず最初に決議をしたのですね。御承知だろうと思う。それから本会議で決議がなされたわけです。しかもスタンズ商務長官がたしか十一日かに来られるので、その前日にやろうというわけで、われわれもほんとうに真剣に考えてこの委員会としては取り組んだわけですね。そして国会決議ということになったのですが、政府はこれを尊重しなければならぬという考え方は持っているのですね。
○宮澤国務大臣 そのとおりでございます。
○中村(重)委員 では、どうしたら国会の決議を尊重することになるのでしょうか。
○宮澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、基本はやはり、被害というものがございます場合、あるいはそのおそれがあります場合には、ガットの諸原則に基づいて問題を処理するというのが根幹であろうと思います。先ほどの御質問に対してお答え申し上げました点は、このような展開をいたしてまいりましたから、とりあえず冷却をする方法がないであろうかということを別途に考えておりますけれども、これはいわば文字どおり冷却を考えておるのでありまして、基本は国会の御決議というもののとおりであろうというふうに私は考えます。
○中村(重)委員 ガットの場でやるということであれば、それはまあよろしいわけですね。私どもとしても、それはまあよろしいと、こう言っておるわけです。ところが、あなたの案として伝えられているところでは、いわゆる一年間程度の包括規制をやる、いわゆる二国間で話し合いをまとめる、そしてガットの場にこれをつないでいこうというわけですから、業界も、それが延長されないという保証はない——これは綿製品協定の中で苦い経験を受けておる業界としては、無理もないと私は思っておるわけなんです、私どももやはりその点は不安なんです。ところが、そういった不安も、まとまらないから何とかひとつ一年間ということが保証されるという形の中でやりたいというお気持ちであろうと思いますが、これは、先ほど綱渡りということばがあったのですが、私も非常に危険だと思います。それほど危険なことを、ともかく自由貿易を守る立場からということで、国会の決議とは異なるようなことで取りまとめをしようとするのであるならば、これは国会決議について与野党が話し合いをやって——あの決議にいたしましても、実は私どもほんとうに真剣に取り組んであの決議案をまとめたのです。与野党全会一致ですよ。ところが政府は与党だけと話し合いをしておられる。この間新聞の伝えるところによると、浦野商工部会長も御出席になっておられる。政府と与党はやっておるのですよ。ところが私ども野党に対して、一回だってお話をなさったことがありましょうか。政府からもありません。与党からもありません。そんなものでしょうか。必要ないというお考えですか。
○宮澤国務大臣 自由民主党の関係の部会から、この問題の折衝の現状について説明をするようにというお求めがございまして、御説明をいたしました。しかしその際、国会の御決議との関係で、ここまではいいがここから先は悪いというようなお話、あるいはそういう結論的なものが別に出たわけでございませんで、私どもは、国会において御決議をなさいましたことは、基本として守っていかなければならない、いまでもさように考えております。
○中村(重)委員 その考え方に変わりはないだろうと私は思うのですね。ところが、やはりこれをまとめるためには、アメリカとの話し合いをやり、業界との話し合い、説得を続ける。そして与党との話し合いもやっておられるのです、形式がどうであったにしても。私どももあなたのほうに、ともかく二国間でこれをやっちゃいかぬという申し入れも、実は再々やっておるわけです。非常に心配しておるから、真剣になって質問もしている。それならば、私どもに対しましても——いわゆる野党に対しましてですよ、いろんな経過の報告というようなものも、私はあってしかるべきだろうと思いますが、それはこれからのことだとおっしゃるなら、それでよろしいと思います。ともかく全会一致でもって決議をしましたが、与党だけでなくて、これをまとめるにあたっては、国会の決議と異なるような内容でまとめようとする場合、野党とも話し合いをする。国会の決議を尊重する立場から、与野党とも話し合いをしなければならぬとはお考えになっていらっしゃいますか。
○宮澤国務大臣 二国間の問題につきましては、私どもただいま米国政府と交渉をいたしておりますものの、その基本原則、そのもとにありますものは、かりに日米間で何かの話し合いがまとまったといたしましても、それは最終的には関係輸出国全部との間に同じような合意ができたときにのみ有効である、こういう立場をとっておりまして、それに先んじて日米間だけで何かの取りきめが動き出すということはない。これは私ども交渉の基本でございますから、この点、国会の御決議に反しておるとは考えておりません。 なお、与党、野党というお話もございましたが、このような委員会におきまして各党からのお尋ねがあり、私ども所信を申し上げておりますことは、これは各党に対しまして私どもの考えを申し上げ、また御意見を承っておる場である、かように考えております。
○中村(重)委員 それでは、国会の決議の内容ということは、あなたはよくおわかりになっていらっしゃる。そして国会の決議は尊重するということをいまお答になった。しかし、いろいろと新聞に伝えられるところによると、国会の決議と異なるような方向で事をまとめようとしておられるように受け取られるから、私どもはこれを問題として、心配をしていろいろとお尋ねもしている。決してあなたのほうを追及しようというようなことではない。それだから、あなたのほうでも、それだけのことを頭に置いてやってもらわなければ困るのだ。ともかく、アメリカとの間に話し合いがついた、業界との間にも話し合いがなされた、その場合であったにしましても、国会の決議に反するようなことを国会にはからないでやるということだけは、絶対私はやるべきでないと思います。通産大臣としてはそのとおりだ、そのとおりにするというようなお考え方でしょうか。
○宮澤国務大臣 そういう事態は想定いたしておりませんけれども、この事件の終末として、法律案あるいは予算案等々をおはかりしなければならないということになれば、これはもう当然国会の御議決を経なければならないものでございます。
○中村(重)委員 前段で、国会の決議に反するような、それと異なるようなことで妥結しようとは考えていないということでございますから、私はそれはけっこうだと思います。あらためて確認をいたします。国会の決議と異なるような形での妥結はあり得ないということに理解をしてよろしゅうございますね。
○宮澤国務大臣 この問題につきましては、従来しばしば両院において御意思の御表示があったことでございますから、政府が対外交渉をいたします際には、当然その両院の御意思というものに拘束をされる、されざるを得ないものであります。
○中村(重)委員 わかりました。 そこで、綿製品の協定で三年延長ですか、そのことについて、まだ政府は態度を決定していないというように伝えられているのですが、その点いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 これは御説明が不足でございましたら、外務省の政府委員から補足をお願いいたしたいと思っておりますが、従来のジュネーブにおける各国の会議の席上、作業上の仮説として、現行の規定を延長するということで、長いこと協議が進められてまいりまして、わが国とその他ごく少数の国が、その作業上の仮説ということに同意をしないまま、五月の最終会議を迎えたわけでございます。そこで多数間で議定書というものがつくられました。わが国はそれに対してまだ賛意を表明していないというのが現状でございます。
○八田委員長 松尾信人君。
○松尾(信)委員 ただいままで、各委員の質問、大臣のお答えを聞いてまいったのでありますけれども、国会の決議を尊重し、また業界の納得を得るような案がはたしていまの時点においてつくれるものかどうか。政府の責任においてこれをやっていくことに終局的にはなるんじゃないか、そのように思われてなりません。いま大詰めの非常にむずかしい立場にまいっております。相なるべくばいまお答えのとおりの案ができていくことを非常に望んでおりますけれども、短期間に、ほんとうに国会の決議が尊重され、また業界が納得できるような対米の案がはたしてできるかどうか。その点はいかがでございましょうか、あらためてお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 実はその点に腐心をいたしておるわけでございまして、国会の御議決の基本は何としても私ども守らなければなりません。また業界においては、この話はもともと何人も好んでいない話でございますが、さりとて、先ほどからるる申し上げましたように、これ以上事態を遷延させることは、わが国の国益並びに世界貿易の自由から申しまして好ましいことではない、何かこの間に道を発見したいと考えておるのが、ただいまの政府の立場でございまして、いわば腐心をいたしておるわけでございます。
○松尾(信)委員 そのとおりだと思います。きょう、あすといいますか、このような論議を通じてしっかり腹を固めていただいて、だれでも納得するような案をどうとかしてつくっていかなければ相ならぬ、このように私も切望しております。それがなかなか、そのようにいかない場合にはどうしても政府の責任でやる以外にない、このようにも感じますが、かりにそのようになってまいりますると、政府に対する不信、公約というものに対する国民の不信、業界の納得、特に中小企業に対するいろいろの問題等が大きく起こってまいりまして、非常につらい立場に今後ともなっていくのじゃなかろうか、このことを非常に心配いたしますので、むずかしい立場でありましょうけれども、最後までりっぱな案をつくって、国民が納得し、晴れてアメリカと交渉できるようなものをつくっていただきたい。最初にこれを念願いたします。 次に、ガットの問題でございますけれども、日本がいつまでもがんばる、そしてアメリカがミルズ法案を成立させるようなことになると、ガットも存在の基盤が相当がたがたしてくるという説も先ほどございましたけれども、ガット自体は、もともとが法律的に国際間の貿易というものをきちっとやれるものではありませんので、いままで非常に幅の広い動き方をしております。日本の残存輸入制限もなかなか問題のある点でありますけれども、ガットもあまりやかましくいわないということでありまして、実際いえばガット自体は非常に弱い組織でありまして、世界の自由貿易という体制が、いまのガットの弱い体制自体から活を入れませんと、だんだんがたがくるのじゃないか。むしろ日本が一歩を譲り、またさらに一歩を譲ることによりまして、すでにガットというものは現在相当崩壊の体制にあるんじゃないか。これに活を入れる段階であると私は強く感じます。日本はもう貿易立国以外に、原料を輸入して製品を輸出する以外に日本の存在はない。その立場からいいますれば、ガットというものをどうしても守っていかなくちゃいけない、それは大臣のおっしゃるとおりでありますけれども、その点における考え方というものが、アメリカの言うことを聞いてガットを守るのか、ほんとうに自由貿易の原則を確立してガットを守るのかという点につきましては、これは深くお互いに議論を尽くしまして、そしてあるべき姿というものを立てていきませんと、ガットというものもだんだんじり貧で、存在の価値がなくなるだろうし、アメリカに対する日本の外交問題も不十分になっていく、このように私は考えておりますが、そのガットの基本というものにつきまして、もう一つ日本がここでうんと気合いをかけてやらなくちゃ相ならぬ、そのようなときがいまきているんだという点の理解につきまして、お尋ね申します。
○宮澤国務大臣 ガットにおいてわが国の残存輸入制限のようなものがともかくお目こぼしと申しますか、現在一応認められ——公認ではございませんが、ガットの体制のもとで存在しておるといったこと等々の御判断から、ガットというものはなお決して強い組織ではないと言われますことは、私はそのとおりと思います。各国とも主権をここに埋没させたというようなことはないのでございますから、そのとおりでございます。わが国のように、軍備を持たないことを誇りとしております国は、このような国際機関をともかくも育てていくということがきわめて大切なことである。考えるところは、私も松尾委員と全く同じ考えでございます。 そこで、この際ガット体制を強化するために、わが国は右の方向をとるか左の方向をとるかといったようなことがただいまのお尋ねでございますが、私は、わが国としてこの問題につきましてできる限りの好意を示すことが、ともかくもガット体制をくずさずに守っていく方法だと考えております。いわゆる気合いをかけるという方法でございますけれども、ガットを脱退することは何国にとりましても全く自由でございますから、そのような方向に事が動くことは不適当ではないか。ことに主要構成国がそうなりますことは適当ではないと私は判断をいたします。これらのことは、人おのおの見るところによって判断が異なりますので、終局的にはガットの運営の中心でありますところの事務局長の意見を尊重しなければならないであろう。これは実は先ほど申し上げたような意見であるわけでございます。
○松尾(信)委員 ガットから脱退するとかなんとかいう問題でありませず、そのガットの基本を盛り上げていくんだ。いままでアメリカがその旗がしらをしておったのが、いま方向転換をしておる。アメリカも都合のよい国でありまして、自分の国に都合のよい部分につきましては自由貿易を唱えております。日本に対しましても残存輸入制限の問題でやかましく言うし、資本の自由化でもどんどん迫っております。自分の国に都合の悪い部分につきましては保護貿易をとります。これはアメリカとしては二本立てでありまして、都合のいいような方向におのおのがやっております。そしてそれを日本がいままともにかぶっておる。片や自由化を迫られ、片や繊維で自主規制を迫られておる。いつまでそのようなことを続けていくかという今後の見通しになりますと、かりに繊維で譲りましても、次から次と出てくるんじゃないか。ここで終止符というものは繊維で打たれないのじゃないか。いまアメリカのやり方が片や自由化、片や保護でありますから、都合の悪い部分については今後ともに保護というものを必ずやってくる。日本としましても、ここらあたりで腹をくくって、そうしてほんとに世界各国が納得し、貿易立国の日本の行く手を見定めまして、がっちりとした体制というものを立てていかないと、一つ一つ失うものは失い、一つ一つ取られていくものは取られていくのじゃないか。 先ほど日米外交の問題でお話がございました。なるほど一面におきましては、いまそのようなアメリカとの友好関係を考えていけば、忍びがたいけれども譲っていこうか、そのような日米友好の関係もありましょうけれども、筋道の立たないものを譲る——ほんとうの友好というものは、お互いに話をして、理解し合って、信頼というものが生まれてきてこそ成立するのじゃないか。理屈に合わない、筋道にはずれたことを友好の名のもとに聞いていくこと自体は、ほんとうの友好ではないのじゃないか。アメリカをほんとうに思うならば、アメリカの考え違いのことは考え違いと言うべきである、そうして、ガットのほうへほんとうにのせていくべきである、私は貿易に関する限りはそのように思いますが、日米友好というもののほんとうの意味につきまして、どのようにお考えになっておるのか。当面のものを譲っていく、それが一つの友好というものにつながっていくとお考えであるならば、私は非常に残念である、このように思うのでありますが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 先ほど脱退云々ということを申し上げましたのは、もちろんわが国が脱退をするという意味で申し上げたのではございません。よその国のことの可能性、そういうようなことがあってはならないと申し上げたわけでございます。 それから、どの国がどれだけガットの規約に忠実であったかということになりますと、在来からの総決算をいたしますと、それは何と申しましてもアメリカの場合が最もガットの規約に忠実であった。最近の傾向ははなはだおもしろくございませんけれども、やはり総決算をいたしますと、そうであった。これは何といっても本来が自由貿易の国でございますから、ガットというのは、規則をあまり意識せずとものりを越えることがなかったという意味でございまして、わが国などのことを考えますと、残存輸入制限等、先ほど言われましたとおりのことがございますので、あまり自慢のできる業績ではなかったというふうに思っております。 それから、今度のことがいわゆるほかのものに及び、あるいは他国との関係に及び、ガット体制を破るというようなことがあってはならないと言われる点は同感でございます。したがって、そういう意味での歯どめはかちっとしておかないといけないと思います。 なお、アメリカをガットにのせて云々ということでございますが、それは私そのとおりだと思います。そうしなければならないと思っておりますが、いずれにしても主権国でございますから、その場にのれといっても、自分のところはのらないということをいえば、これは無理が通る。御指摘のように、その程度にガットは弱い、強くない組織でございますから、そのことも考えつつそれを育てていかなければならないと思っております。
○松尾(信)委員 なかなかガットの場にのりません。それはいまおっしゃったとおりでございますけれども、それだから二国間の話し合いをする、そうして話し合いをつけて、実現は多国間の話し合いに持っていくのだから一応筋は通るじゃないかというようなお話でありますけれども、それはやはり本末転倒でありまして、あくまでも多国間の場で話し合いを進めていくというのがガットの基本であります。でありますから、まず二国間でやってということはアメリカの各個撃破でありまして、そして強い者が相手を納得させていく。そして日本もこうなったんだからということで、韓国、台湾、香港等がそれぞれそれに従っていくわけでありまして、多国間の舞台にのったときには、もうすでにおぜん立てば完了しておるというようなことでありまして、これは順序が違うのではないか。そのような交渉のあり方というものはやはり本来あるべきじゃない、このように私は議会の決議を通じてでも思うものであります。でありますから、いまからでき上がろうとするこの日本の提案でありますけれども、実にこれはデリケートで、複雑で、困難である。どのようなものがほんとうにでき上がるかと思って、もう心配であります。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 最初の点に戻りますけれども、その業界の納得を基本に、また国会の決議を土台にして、ひとつりっぱな案をつくっていかれるように重ねてその点は希望いたしておきます。 それから、日米友好の点につきまして、私はやはり正すべきは正していくのがほんとうの友好ではないか。相手の無理を聞いて、目先に友好の姿はありましても、それはほんとうの友好ではないんじゃないか、この点をお尋ねしておるわけであります。 なお、アメリカの内部におきましては、ただいま申し上げましたとおりに、保護と自由の両方がある、盛んに議論いたしております。大勢はやはり何といってもアメリカは自由貿易国であります。下院におきましても、聞きますれば、二十五名の委員がおりまして、ミルズ法案に賛成しておる者はわずか四名ぐらいにすぎない。何らかの形で輸入制限をしたがよかろうという者を入れて十三名ぐらいしかいない。そういうおひざ元におきましても、自由貿易でなくちゃできない、それがアメリカの国益に通じておるんだ、このような考えを持っておるのがやはりアメリカの大勢だと思います。そういう中に、日本が今後入っていきまして、向こうの保護の議論、特に繊維交渉の問題で譲るということは、これは大きな日本のマイナスになる。また自由貿易というものを守らなければできない日本が、そういうことではほんとうに自由貿易を守っていこうとする決意が疑われてくる。貿易立国の日本というものの将来というものも、それで大いに弱ってくるのではなかろうか。むしろいま譲ったほうが日本の国益になるというお考えは、それはほんとうの意味においては、逆に大きなマイナスを来たすのではないか、このように思いますが、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 わが国は経済的にはアメリカに次ぐ大国でございますので、このような問題が起こりましたときに、両国がまず話し合うということは、私は不適当なことではないと思います。ただ、アジアの国として、周辺にまたわが国ほど国力のまだ伸びておりません国が、しかもこの問題に大きな関心を持っておりますので、アメリカといろいろ話をしてまいりますときに、それらの国の立場もいろいろに考えてしてまいらなければならないということは確かでございます。私どもそういうことは絶えず考えておりますし、また、それらの国からも、いろいろな意味でわが国に対して接触がございます。したがって、それらの国の立場というものを私どもかなり知っておるつもりでございますし、それは特に配慮をしなければならないと思います。 なお、友好ということでございますけれども、正すべきは正す、そのとおりであると思います。ただ、国と国との友好関係というものも、個人間の友好関係と同じ、あるいはそれよりももっと複雑ないろいろな要素から成り立っておると思いますので、正すべきは正すことは、それは基本でございますが、ときには相手の立場を察してやることが友好関係を深めることにもなる。これは個人間でも私は同じことではないかというふうに考えております。
○松尾(信)委員 個人間の問題よりも国と国の問題はさらに複雑であり、むずかしいと思いますけれども、基本におきましてはやはり一緒である。お互いに道理を根本にして、そこに相互の理解を深めて、信頼というものがお互いになくちゃほんとうの友好は成り立たない。そういう意味におきまして、いまアメリカと日本の関係におきましては、はたして表でいわれているとおりの信頼関係に立った日米の友好関係が確立されておるかどうか。あまり日本がアメリカの言うことを聞き過ぎるんじゃないか。そこからこのような問題もいろいろ発展してきて、いま通産大臣が非常に心を痛めておられるような立場になってしまったんじゃないか。そういう意味におきましても、自由貿易の基本というものは日本側も立てていくんだ。日米関係につきましても、日本が主体性を持った外交関係というものを確立していくんだ。その時が来ておる。だから、業界もこのような考えを持ち、われわれもそのような考えを持っておる。政府をどうしてもそのような考えに立たせて、そうしてもう経済大国であるならば、外交というものも日本の自主的な外交をしていただきたい。特にアメリカに対しまして、もうそろそろ厳然たる態度で臨まれていい、その時がもう来ておる、ちょうどいい問題がこの繊維問題である、このように考えます。もう時間がありませんのでここでやめますけれども、どうぞ、私たちのこのような意見、また、国のいろいろな世論、業界の考え、そういうことをお考え合わせなさいまして、今後貴重な一週間でありますので、納得のできるりっぱなものをつくられまして、胸を張ってアメリカに交渉していただきたい。これを最後に希望いたしまして、私の質問を終わります。よろしくお願いします。
○宮澤国務大臣 御発言の御趣旨を十分尊重いたしまして、最善の努力をいたしたいと存じます。
○浦野委員長代理 塚本三郎君。
○塚本委員 同じく繊維問題についてお尋ねいたします。 私は、ただいままでの大臣の御答弁を伺っておりまして、ふとこんなことに気がつきました。それは、私が初めて政治を志したときに、先輩から、道に迷ったときには原則に立ち返れ、どんなときでもあまり踏み込んでしまうとわからなくかるへそのときには原則に立ち戻って判断をせよ、大まかなそこに返らないととんでもない方向に行くぞ、こういうことを実は先輩から教わってまいりました。ただいままでの質問のやりとりを伺っておりますると、大臣ほんとうに御苦労なさっておいでになると、私ども拝聴しておりました。しかし、良心的に日本の立場から自由貿易を守ろうとすればするほど、実はこの問題はむずかしい問題になりますること、先ほど横山委員からのお話のとおりでございまして、重ねて同じような議論になってしまうような感じさえも私は持っております。 もともと、世界の自由貿易を心から守ろうとする立場で、大臣はこの問題に御苦労なさっておいでになる。しかし、その具体策がいわゆる自主規制ということですから、自主規制そのものは、すなわち大なり小なり世界の自由貿易に反することです。だから自由を守るために手足を縛ろうという形になる。この場合には、実はほうっておくならばもっと最悪のものが厳然としてあるという大義名分があれば、私はいいと思うのです。しかし、その大義名分がなければ、実は手足を縛るようなことはなさるべきではない。たから、そういう点で、各委員がどう突っ込んでお聞きをしましても、大義名分はないというふうに判断をいたしますが、この際大臣から、こういう大義名分があるからしかたがないのだということがおありならば、率直にお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 わが国が、かりに不承不承でも、ともかくも業界の協力を得て、最大限のこの問題についての好意を示すということが世界貿易の将来を暗くしない、並びに日米友好関係に寄与するゆえんである、これが私は大義名分と心得ております。
○塚本委員 そんなものは大義名分になっていないのですよ。大臣、それはもうおわかりだと思いますけれどもね。これは繊維産業の方々と、それから労働組合の方々もその意向だと思いますけれども、「われわれは本問題の推移をみるとき、政府は国民に対する公約を無視して、沖繩返還問題との取引によって対米繊維自主規制を行うという実態をバクロしつつあることは民主政治にとって重大な背信行為である。」というふうに、そのものずばりで、米国の繊維品輸入規制阻止に関する共同声明として第一にこういうふうにうたってある。だから、もし大義名分が政府としておありになるならば、経済問題でなくして、先ほど委員の中にも話が出ておりましたが、一生懸命御苦労なさればなさるほど、実はその大義名分というのは沖繩返還問題との取引によってと、もう業界はそのものずばりで共同声明まで出してみえるのです。このことが当たっておるかおらないかは私はわかりませんけれども、しかしそれでなければ、宮澤大臣こんなに御苦労なさる必要がないというふうに、繊維業界も、そしてまた国民も、この際は受け取っておるのです。だから、それが違うとおっしゃるなら、はっきりと違うとおっしゃっていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 取引であるかないかにつきましては、従来しばしば、政府の最高責任者であり、かつ沖繩についての交渉をされました総理大臣が、国権の最高機関に対して言明をされたところでございまして、それについてお考えをいただくしかないと思います。
○塚本委員 もしこちらにそういう一点のやましいところがないとするならば、アメリカさんよ、それは間違いでございましたよと、きょうだい分の立場で、こちらが御苦労なさる前に初めからぴしゃっとはね返してあげて、そして、ミルズ法案を通すならば通してごらんなさい、それはアメリカみずからの権威を喪失し、アメリカみずからが手を縛ることになりますよというふうに、もうこの段階ではおっしゃるべきだと思いますが、違うでしょうか。
○宮澤国務大臣 そのようにしまして鼓を鳴らしてアメリカを責めることは、これは一つの方法でありますし、また事によっては愉快なことであるかもしれませんが、それによって私ども何も得るところがないというふうに思うのであります。
○塚本委員 もちろん得るところはありません。しかし、妥協するならもっと最悪の事態におちいるとお考えになりませんか。
○宮澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、私どもが最大限と思って差しかけますところの好意を先方が受けとめないということであれば、これは事柄が不首尾に終わりましてもやむを得ないと思っております。
○塚本委員 大臣のお話を先ほどから伺っておりますると、なぜそんなに、最大限の努力にも限界があるのに、御苦心なさっておいでになるのであろうか。ほんとうにそういう気持ちでおいでになるのか。あるいはまた、アメリカをこの際はおこらせたくないということが日本経済のあらゆる面で実は必要なことだから、間違っておるけれども努力だけをして、いけなかったという断わる口実をつくっておいでになるような、一つの政治的なそういうゼスチュアをつくっておいでになるのかな。しかし、それであるならば、交渉の過程においてやはりとんでもない方向にいくような危険性があるとかということで、実は私ども大臣の真意をはかりかねておるのです。だから、誠意はわかっておりまするけれども、大臣の真意をはかりかねておるのが正直のところです。だからこそ、もはや業界は大臣の御努力に対してすなおには受け取れなくて、沖繩返還交渉との取引に使われたという共同声明を出すところまでいってしまうのではないか。 私はこの段階でいろいろと振り返ってみると、しかしアメリカも、そんなにばかな、いままでのアメリカならばまともに出てこようはずのない態度が次々とあらわれておるということは、やはり先ほどの何かの約束がありはしないか。それともこれは日本とアメリカとの生活習慣の違いかもしれませんけれども、考えておきましょうとか、話をしてみましょうとかいう、そういう思わせぶりな、あるいはまた大臣が努力なさることはいい結果を生むであろうという、こちらの誠意が実は向こうにとっては過大に評価されて、最終的には日本の業界を押え得るというふうな期待のもとに、はよやらないか、どうしたんだというような形で、硬軟両様から攻め立てておる。いままでの政府のアメリカとの折衝の過程において、思わせぶりが何度かあったのではないか。いま大臣から聞いてみると、すかっとした御答弁のようで安心しておるのですけれども、しかし新聞紙上で発表されてくる、あるいはパリにおいでになっての、こちらに伝わってくる発言等から見ますると、いかにもアメリカに協力をして、そしてその態度に踏み切ったような、一再ならずそういう情報と報道がなされてきておることは事実です。だからアメリカ自身も、日本の政府は必ずやってくれるんだというような安易な気持ちで追い打ちをかけてきておる。その原因は、日本の政府の中に思わせぶりな態度が何度かあったのではないか。それがここまで追い詰められてしまったという判断もされるのですけれども、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 政府といたしましては、できる限りの好意をもってこの問題を考えたいと終始しておりますことは確かでございます。したがって、のっけから受け付ける気がありませんという態度をとった場合に比べまして、あるいは先方が私どもの過大の好意を期待したという段階が中途であったかもしれない。それはあり得ることでございます。しかしながら、先ほどから申し上げておりますとおり、政府が示し得る好意というものにはおのずから限度がございます。アメリカ側も、最近はそのことがあるいはわかってまいったのではないかと思いますが、しかし、これは先ほどから申しますとおり、最終的にやってみなければわからないことでございます。
○塚本委員 そういう、やってみなければわからない、だから誠意だけは示すというこの行為が——私はアメリカの生活習慣はわかりませんからお聞きするのですが、こういう行為自身が、政府は一生懸命業界を説得して、そしてわが意を受け入れてくれるのだというふうに、実は大きな期待をさらにさらにかけてきてしまって、もはや政府自身が、これをアメリカに断わることが対米不信行為につながるというような形にとられまじき結論を、実はたどりつつあるというふうなことを心配するわけです。 そういう意味からも、先ほどの横山委員が言われたように、もう打ち切らるべきではないか。それでないと、早く打ち切らないと、ずるずると長引いてしまって、今度決裂するような形になったときは、日本政府がアメリカに対する大きな不信行為をしたという結果になりはしませんか。いま大臣のお話を私たちがずっとたどっていきますると、決裂せざるを得ないときがやがてはやってくる。そのときには日本政府は、いまぴたっとお断りをなさるよりも、さらに大きなアメリカに対する不信行為をしたことに結果としてなりはしませんか。私はいままでのお話を承っておってそういうふうに感ずるのですが、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 こちらが誠意を尽くして、できるだけの好意をと思えばこそ、苦労もし時間もたっておるのでありまして、こちらがそれだけのことをいたしまして、かえって相手がそれを不信に思うか思わないか、それは人間として善意を尽くす場合に別に考える必要のないことだと思います。
○塚本委員 取引としては世界自由貿易の大義名分のもとに、そして交渉の態度としてはいかにも純情な日本的大和精神のごとき、このいわゆる硬軟両様の大臣の使い分けというものが、実は日本国民をして惑わし、そしてまた日本の繊維業界をして不信感につながらせてきてしまっておる。そういう柔軟な態度ならば、初めから柔軟な態度でいいと思うのです。だけれども、いわゆる大義名分だけはぴたっと立てた表現を使われながら、通産大臣の好意だけは、けなげなる大和なでしこのごとき心情で言われるものだから、実はそれをすなおに受け取らずに、政府に対する、あるいはよくない表現かもしれませんけれども、通産大臣に対する不信感、こういうことに業界は受け取ってしまうということになろうと思うのです。 先ほど大臣のお話の中でも、よい悪いは別として一つの争いとしてこれを見るときに、相手方に相当の譲歩を求めているのだから、ロング氏の言い分は一方的に無理だとは思わないというふうな御発言をなさってみえる。だけれども、向こうが出してきた制限そのものが全く無理な発言ですから、それから相当に譲歩したからといって、その初めに出してくる最初のそういう手形があまりにも無理な手形なんだから、それを半分譲ったから、三分の二譲ったからといってみたって、そんなものは問題にならないと思うのです。だけれども、向こうがばんと出してきながら相当に譲ってきておるのだから、こちらもそれなりのことをしてやらないといけないのだという、そういういわゆる日本国民的心情といいますか、そういうものをこちらがいわゆる応じた形でなさるものだから、実はそれが向こうにとっては、協力してくれるのだ、最後にはやってくれるのだというような、いわば実は日本政府がそういう思わせぶりな態度を示し過ぎた。向こうではどう言おうとかってでございます、結果として悪くなってもこちらは誠意を尽くしたのだというふうにおっしゃいますけれども、それでは外交として客観的に見たときに、それなら初めからすぱっと断わってくれればよかったということになりはしませんか。私、外交の専門家でございませんからわかりませんけれども、そういうことで、あまりにも向こうのペースにすぐこちらから応じていくというやり方が、やはりアメリカ政府をして、最後には抜き差しならないところまで日本政府を追い込むという感じになるのです。たからアメリカがどう思おうと、それはしかたがありませんといえばそれまでなんです。だけれども、いま政府がおやりになっておるこちらのやり方について、やはりアメリカにも、そういうふうに安易に受け取らせる態度があったということを、この際見切りをおつけになる必要があるというふうに思いますけれども、どうでしょう。
○宮澤国務大臣 そろそろこの問題は終結しなければならない時期に来ておると考えております。
○塚本委員 それで重ねてお聞きをいたしますが、業界が納得しない場合には、決して通産大臣なり政府として、独自にアメリカと折衝なさることはありませんか。
○宮澤国務大臣 その点は先ほどから何度もお答え申し上げましたので、御参照願いたいと思います。
○塚本委員 もう一度ここで私に答えていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたことと同じでございます。
○塚本委員 私は頭が悪いものだから、そういう不親切な答弁をなさらずに、業界がイエスと言わない限りは、通産大臣は独自の案をもって、業界が了承しないままでも——いわゆるなまぬるい案で、そんなに被害が大きくないという案ならば、通産大臣はみずから業界の諾否にかかわらずアメリカと折衝なさる、そういう意思はありませんか。
○宮澤国務大臣 ともかくも、結果として業界が協力をしないというような案では、私どもは約束はできないわけであります。
○塚本委員 交渉の過程では業界の了承なくして折衝することはあり得るというふうにしか受け取れませんが、そういうふうに受け取っていいですか。
○宮澤国務大臣 ただいま私が申し上げましたことを、正確にお受け取りいただきたいと思います。
○塚本委員 日本語というのはむずかしいのですよ。そういう御答弁をなさるものだから、実は業界が不信な行為を——それほどまでに自由貿易に心を尽くしておいでになるならば、これは通産大臣、日本の通産大臣ですよ。だからアメリカとのことを配慮に置き過ぎて、そして日本のことをおろそかに考えておいでになるんじゃないか。だけれども、約束してみても業界が協力をしなければ実施することができないから、いたしかたなく実は業界と相談をするだけですというふうにしか受け取れませんよ。それは、日本国の通商産業大臣宮澤先生としては、少し情けがなさ過ぎるといいますか、もう少し配慮をしていただく必要があるというふうに私は受け取ってしまうのです。頭いい方だから、じょうずにその辺だけは抵触しないようにと発言をなさっておいでになりまするけれども、もう少し業界も国民も単純なんですよ。だから、もちろん折衝は相手のあることですから、支障のあることもやむを得ないと思っておりますけれども、われわれ担当委員ぐらいに、明確にそのことを実はお答えいただきたかったと思います。 私は、この際外務省に一言だけお聞きしておきますけれども、国会におきまして、きちっと満場一致でこの規制に対しては反対の議決がなされておるのにかかわらず、下田大使が一再ならずアメリカと具体的な規制の内容について折衝しておりますことが、ときおり新聞に報道されてまいります。まさかそのことは誤報であるとは私は受け取っておりません。そうすると、これは日本政府からの訓令によって、実は下田大使はそのような規制の具体策まで折衝しておるとしか受け取られないわけですが、このやり方というものは、下田さん自身がかってにやっておるとどうしても思われない。外務省からどんな訓令をいままでその問題に対して出したか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
○鶴見説明員 先ほど宮澤大臣からお答えがございましたとおり、外務省といたしましても、衆議院の本会議で昨年の五月九日に決議が通っているということは十分存じております。その最後の段階で、「よって政府は、米国政府に対し、かかる輸入制限を企図せざるよう強く要請すべきである。」という趣旨であると存じます。その後の経過は、先生よく御存じのとおり、スタンズ長官が五月に参りましたし、また七月の際に大平大臣とスタンズ長官との話し合いがございましたし、また高橋ミッションも行きました。その後ずっとやってまいりまして、十月に話がありまして、そういう過程を経まして、日本政府としての考え方を——外務省だけではもちろんございません。これは通商産業省というものが一番の主管官庁でございますので、十分御連絡をとりながら、そのときそのときに応じまして、日本政府の考え方というものを訓令いたしまして、下田大使以下大使館当局に先方と折衝をさせてまいったわけでございます。また、御存じのとおりジュネーブにおきましても、中山大使以下、東京から係の方々も行かれまして折衝したことも、先生御存じのとおりでございます。最近の状況につきましては、先ほど宮澤大臣からお話がございましたように、三月九日のエードメモワール、これははっきり政府の訓令として先方に伝達せしめたものでございます。 その後は、そういった具体的な訓令という形で、先方と交渉しろという趣旨のものは出しておりません。しかしながら、現地におります大使といたしましては、現地におけるいろいろな情勢、動きというものを常々打診をして本省、東京のほうへ言ってまいるということは当然の責務でございますので、そういった打診はやっておりますが、規制の具体的方法について先方と交渉しているという事態ではございませんので、御了承願いたいと存じます。
○塚本委員 外務省に要望だけ申し上げておきますが、あまり大使というような役人さんがこういう政治問題について大きく報道される——それは報道陣のかってかもしれませんけれども、報道されることを前提にして、十分注意した情報の収集あるいはまた連絡をするように注意しておいていただきたい。何かしら役人がこんな重要な外交問題を牛耳っているような形で——また下田という人は、そういう性癖がある人かもしれませんけれども、前にもそんなことが二、三ありました。だからよけい大きく報道されるから、それが業界に対しても大きな圧力というふうな形に受け取られてしまうわけです。業界とて日米関係をまずくしようとは思っておりませんから、この点は厳に外務省に強く要望いたしておきます。 それから、通産大臣に今度お尋ねしますが、ミルズ法案が通ったら一体どういう形になるかというようなことについて、ガット体制の崩壊を意味するのだから、緊急避難という意味でもこの際自主規制に応じてくれ、こういうような意味のことを業界に話をなさったと、また聞きでございますが聞いております。ミルズ法案が通ったらガット体制が崩壊という形にほんとになるのでしょうか。すなおにひとつこの問題をわれわれが取り組んでみる立場から大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 これはよその国のことでございますので、これからの道行きがなかなか正確にはわかりませんが、私の考えておりますところ、これは一部ガットの事務局長の見解も聞きましたその反映でもございますけれども、まずミルズ法案の中には、繊維とくつ、はきものを含んでおるわけでございます。そこで、これがどのような形で最終的に通るかはちょっと予測ができませんので、一応まず原形に近い形で通るという想定にいたしますと、繊維につきましてはわが国はじめ極東各国に相当の輸出国がございます。ヨーロッパにも一部ございます。はきものにつきましては、ヨーロッパに関心を持っております国が相当に、御承知のようにございます。他方で、これはなかなかいろいろな複雑な経緯をたどると思いますので、さだかには申し上げられませんが、かつてアメリカがケネディラウンドの最終段階においてヨーロッパ諸国に約束いたしましたいわゆるASP制度なるものの廃止、これが現在の通商法に含まれて米国の議会に出ているわけでございますけれども、これにつきましては、本来米国内に反対が強うございまして、そうでありますからこそ今日まで実現をしていないわけでございますが、その部分がおそらく一緒につぶされるであろうというふうに考えます。そういたしますと、ヨーロッパ諸国にとりましては、一部繊維の輸出国に、他方ではきものの輸出国に、それから化学製品に一番関係のありますASP制度が廃止されないという意味で、ヨーロッパの非常に多くの国々に対米不信というものを与えることになると思います。その結果は、農産物等をめぐりましても、EECとアメリカとの関係は非常にむずかしい問題がございますので、この法案に対する報復というようなことがおそらくは生じるであろうと思われます。そういたしますと、米国としてもこれはややメンツの問題になりますから、ガットとかいうようなことはもう乗り越えまして、報復に対してさらに報復、代償というようなことになっていきますと、これはもうガットどころではないといったようなことが、一番ありそうなこととして考えられます。 なお、ミルズ法案がそのまま通りましたときにわが国の繊維の輸出がどのくらい影響を受けるかということも、これも大切な問題ではございますけれども、前に申し上げましたことのほうが、もっと世界的にかつ長期に大きな意味合いを持っておるものと考えております。
○塚本委員 一つの情報ですが、ヨーロッパは日米間のこの問題でたいへん迷惑をしているんだ、日米間の特殊事情によって起きたことであるから、このことをガットにまで波及されては困るんだ。おそらくそのことを——いま大臣も、EECをはじめとするヨーロッパ諸国等の影響力を言われたのですけれども、この問題は実は日本とアメリカとの約束ごとなんだ、日米間の特殊事情なんだから、こんなものをミルズ法案やあるいはガットにまで影響されては困るんだ、いまごろ日本は何をぐずぐずしておるんだというような意見が、ヨーロッパには相当強くあるように一つの情報として受け取っております。 そうかといって、この際自主規制をいたしますると、おそらくこれはひとり日米間だけではなくて、被害がないのにアメリカに対してだけ規制をするならばといって、カナダやオーストラリアや、あるいはまたEECから、同じようなことを日本の繊維業界にかぶせてくるというような形になってくるのではないかということを業界はさらに心配をしておるということだから、もしほんとうに大臣がそこまで御心配をなさって、何とかこれを成立さしたいという気持ちがあるならば一つの見解だと思います。私は賛成してはおりませんけれども、政府がそれほどまで執念をもってこの問題を解決なさろうとするなら、はっきりと、これは貿易の問題じゃありません、日米間の実は特殊な事情でございます——それは沖繩の問題でも何でもよろしい、特殊な事情でございまするから、ある程度の約束ごとでございまするから、業界はこの際は涙を流してでものんでもらいたい。だけれども、経済問題じゃありませんから一年だけですぞ、あるいは二年だけですぞというふうなことで、この際もういさぎよく、日米間の約束ごとということで、そういうことを政府がはっきりと国民にも業界にも頭を下げて、だからこれはのんでいただきたい。そのかわりこれを長くつないでいることはないんだ、一年だけあるいは二年だけなんだ、こういうふうな形で率直に一それほどまでに大臣が執念をもって日本政府がまとめようとなさるならば、よその国にも影響しない、そしてまたよその産業にも影響しない、ましてや綿製品のごとく長く引き継ぐということのないようにするために、日米間の約束ごとですからこの際は頼む、助けてくれと、表現はどうあろうとも、大臣がそれほどまでに執心をもってこれをまとめようとなさるなら、この際率直におっしゃってみるというのが一つの見解として出てくると思います。私がそれをやれというわけじゃございませんが、しかし、先ほど横山委員が言われたように、そこまで大臣がほんとうにけなげに努力なさっておられる姿を見て、そしてかさ屋の小僧的な形になるとするなら、この際率直におっしゃるということが、政府の側から見た一つの考え方だと思いますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 と申してみましたところで、国会の御決議にあります他国間の問題はどうなるのか、あるいはEEC、あるいはその他の国が同じようなことをわが国に言ってくるのをどうやって防げるのかということになりますと、そこのところの論理的な意味合いが私にちょっとわかりかねるわけでございます。 いずれにしても大切なことは、この際日米間に、またやがて他国間に何かの取りきめができたといたしました場合に、これがたとえばEECあるいはイギリスといったような国が、当然のこととして同じ要求をするような、そういう幅と程度のものでないこと、それから繊維以外の品物に同じようなことが広がらないということ、この二つは私どもよほどしっかり考えておかなければならない、これは言われるとおりと思います。
○塚本委員 時間がございませんから、最後に私は言いっぱなしにしておきますから……。 沖繩は、EECから返してもらったものでもございませんし、他の国から返してもらったものでもございません。アメリカから返してもらったものだからしかたがない。もし大臣がそこまで執心をなさるならば、率直にやっぱりそのことを言ってやるということ以外には——もしそれだけおっしゃる勇気がなければ、これはもう一刻も早く打ち切られるべきだ。私はそのことを言えというわけじゃございませんけれども、そういう意味でこの解決以外には、日本はもうこの問題では長引いてやるべきではないという私どもの見解を申し上げまして、どんなに無理をなさってみても、業界の協力がないことには実はこの自主規制は実施することはおよそ不可能だ。まさか制限の立法措置を国内においてもおとりになることはあるまいと思っておりまするから、申し上げるまでもないと思います。ぜひ業界の意に沿わないようなことをなさらないことだけ強く希望申し上げまして、私の質問を終わります。
○浦野委員長代理 米原君。
○米原委員 先ほどからの話を聞いておりましても、これはまあ以前からですが、この問題はどうも全くすっきりしないのです。いまも塚本君から話がありましたが、また通産大臣自身も先ほど話されましたが、単に繊維業界だけの問題ということで考えるわけにいかない、日米友好関係の根本問題ということのようであります。そうなりますと、やはり伝えられているような、昨年の日米会談のときに密約があったんだという印象を持たざるを得ないのですね。しかもそうだとすれば、それはそれで率直に話して、事態をはっきり説明したほうがよかったんじゃないか。日米関係については、もちろん私たちは自民党とは全く逆の考え方を持っておるかもしれない。しかし自民党政府の立場に立っても、最もまずいやり方でやってこられたような印象を避けることができないのです。そうなりますと、私は佐藤総理に質問しないとこれはらちがあかぬことかもしれませんが、それに関連して、どうも佐藤総理の言っておられることがふに落ちないことが幾つかある。この問題について通産大臣の見解を聞きたいのです。 つまり前国会が終わりまして、終わった直後の記者会見で佐藤首相は繊維問題について発言しておられる。これは当時の記者会見の内容というのは、五月十五日のすべての新聞に出ております。これで繊維問題について話しておられるのを見ますと、ただいま通産大臣がおっしゃったこととはずいぶん違うのですね。たとえば繊維問題に対する国会決議はナンセンスな原則論だというようなことが出ております。原則論にこだわるのは子供っぽい、交渉だから互いに譲るべきところは譲らねばならない、こういう発言が国会が終わったとたんにぽかんと出てきている。そうしますと、国会決議を尊重すると通産大臣は言っておられますけれども、総理大臣はもうはっきりそういうつもりじゃないようですね。そういうことよりももっと大きな問題がある、こういうことのようです。この点についてひとつ率直に、国会の決議、そんなもの無視していいのかどうか。総理大臣、はっきり言っておりますから。これはいろんな記事に出ております。この点どう思われるか聞きたい。
○宮澤国務大臣 総理大臣が、譲るべきものは互譲の精神でお互いに譲らなければということは、しばしば国会でも言っておられますし、私どもも承知いたしております。また、ただいま御指摘のテレビでございましたか、記者会見でも言われたように思いますが、国会決議はナンセンスであるというようなことは、これは言われたことはないと思います。私もそのようには聞きませんでしたし、よもやないことと思います。
○米原委員 まあ決議ということばは使っていませんが、このやり方はナンセンスな原則論だ——国会決議は先ほどからも大蔵委員が指摘されましたように、まさに重要な点についてこれは与野党とも一致して通ったものです。ところが、ああいう考え方が子供っぽいとかナンセンスとかいうことを、事実上言っておられるのには間違いないのです。これは通産大臣の先ほどの言明とは全く違うと思うのですがね。
○宮澤国務大臣 私が総理大臣にかわりまして申し上げることははなはだ僭越でございますけれども、この内閣におきまして、あるいはいかなる内閣におきましてもさようであると思いますが、国会の決議は尊重しなければならないということは、わが国の憲法の基本的な考え方であると思います。
○米原委員 それではもう一つ。この問題には幾つか不可解な点が多いわけですが、最近多くの新聞で報道されておりますように、これはもう皆さん御存じのとおりですが、いわゆるニクソン大統領との間に密約があったということが出ていますね。そしてそれは、自民党の繊維対策特別委員会でそういうことを話されたというふうに報道しておりますね。そうだとすれば、これは当然国会でも正式に言ってもらいたいのです。そういうことは全然ないのか。たとえばまず総理大臣が国会で、いままで話し合いが全然なかったわけではなくて、繊維問題について話したということは言っておられるわけです。早期解決のために努力する、こういうことも何回かの質問の結果そこまでは話しておられる。しかし日米繊維問題は、まず二国間で自主規制をまとめて、これを多国間協定に拡大する方向で日本が善処する、こういうことを具体的に約束されたということが、これは事実であるのかどうかということです。
○宮澤国務大臣 その点は、総理大臣がしばしば言っておられますように、またいま米原委員が言われましたように、この問題は、日米間で互譲の精神をもって早期解決の努力のために最善の力を尽くすということでございますから、したがって日米がまずそういう努力をしてみるということは、当然このことから出てまいるのでありまして、これは総理大臣もそういう趣旨のことは述べておられますので、密約というようなことではさらさらないと考えます。
○米原委員 では、二国間でまず自主規制をまとめるということまでは密約でないかもしれぬけれども、すでに当時話し合いがあったというのは事実ですか。
○宮澤国務大臣 これはただいま御指摘のように、日本の総理大臣とアメリカの大統領が、お互いに互譲の精神をもってやってみようではないかというのでございますから、まず日米が話し合いをするというのは、私はそこからくる当然な筋道ではないかと思います。
○米原委員 そうしますと、いままで国会で発表された点とはかなり違ってきますよ。私は、そういうことが、いま伝えられているように、沖繩返還との取引の材料になっているのだということも、それだったらうかがわれるわけです。 もう一つお聞きしたいのは、きょうの新聞にも出ておりますが、佐藤首相が先日来日されたトリュドー・カナダ首相とこの問題について話し合って、いま日米間で交渉中の毛・化合繊の対米輸出自主規制がまとまれば、カナダに対しても同様の自主規制を行なう、こういう約束をされた、そのことをカナダの首相は国に帰って発表しているということで、向こうからも問い合わせが来ているそうですが、そういうことになりますと、全く驚くべき話を、国会が審議して望んでいる方向とは全く違ったような話を首相がどんどんやっているような印象を受けるわけです。こういう事実は絶対ないというふうにいま言明できますか。
○宮澤国務大臣 これは私は何もそういう趣旨のことを承っておりません。あるいはたまたま私、当時海外に出張中でございましたからであるかもしらぬと思いますが、あるいは外務省の政府委員において、何かのそれについての御意見を持っておられるかもしれないと思います。私は存じません。
○米原委員 先ほどからも話がありましたように、もしも日米間の自主規制というような問題になってきますと、当然これはカナダからは、話し合いがあろうとなかろうとそういう問題が出てくることは予想されるわけです。しかも、これがそういうことをはっきり確約されたのか、そういうニュアンスのある話をされたのかということになると、事は単なる日米間の問題じゃ済まないようになってきますね。業界でも一番心配している問題が出てくるわけです。そういうことには絶対しないというふうに先ほどはおっしゃったわけですが、しないように努力する、それでよろしいでしょうか。
○宮澤国務大臣 どうもただいまのことは、したがって思い当たりがないわけでございますが、そんたくをいたしますと、日米間でいろいろ話をしておりまして、最終的には多国間の協議になるということでございますから、そういう場合にカナダが関係することは考え得る、そういうことかとも思いますが、どうもしかし、それもあたりまえのことで、わざわざ言うほどのことでございません。ちょっと私このことについてはわかりかねます。
○米原委員 では、先ほどのニクソン大統領との話し合いの問題ですが、早期解決するぐらいのところではばく然としたものですが、二国間で最初に自主規制の話し合いをするとか具体的な意味を持っていたとすれば、私、日米共同声明をあらためて読んでみた。そうしますと、この声明の中にはっきり御存じのように書いてあるのです。「大統領は、より自由な貿易を促進するとの原則を米国が堅持すべきことを改めて明らかにした。」ここまではっきりと共同声明そのものに書いてあるわけです。これはむしろ日米間の基本的な約束ですよね。その共同声明をつくっている過程で、同時にこれと反する自主規制というようなところまで話し合いがいったのか。そうだとすると、これはこの共同声明には実際は裏の取引がある。それだけでも私は裏の取引があったんだとはっきり言えると思うのです。沖繩がこの代償になっているかどうか、そんなことはわかりませんが、いまおっしゃった範囲でも、それは一種の密約ではありませんか。しかも、共同声明に書いてある、アメリカの大統領がこれを誓った趣旨とは違ったことを、それと全く逆なことを話し合っている、こういうことになるわけですが、この点どう考えられるか、一言聞いておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 それと先ほどのお尋ねと両方関連させまして、総理大臣とアメリカの大統領が沖繩の問題で話をされましたその段階では、繊維問題についてジュネーブで両国間の協議が行なわれておったわけでございます。そこで、この繊維問題については両国でいま会議もしていることであるから、それを詰めていこうではないか、こういう意味合いであったのではないかと思います。
○米原委員 時間が来ましたから、これで終わります。
○浦野委員長代理 多田時子君。
○多田委員 問題はぐっと公害問題に変わりましてお願いしたいわけでございますが、一昨日、産業公害委員会で公害防止事業団の行ないました仕事のことについて伺いましたが、結論的に簡単に二つだけお願いしたいと思います。 通産省設置法第九条一項にございますように、公害防止事業団法に基づいて公害防止事業団が昭和四十年の一月ですかできまして、それ以来数々の事業をしております。特に私が塩釜に行ってまいりましてその問題について質問をしたわけでございますけれども、なお四日市等にも建設をされました公害防止センターがございますが、これらが非常にうまくいっていないということを質問をしたわけでございます。これは厚生省と通産省が所轄官庁ということでございますけれども、その公害防止事業団の業績に対して責任ある官庁として通産大臣がどういうふうにお考えか、その辺をお伺いしたいと思いまして一つ残しておきましたので、よろしくお願いいたします。
○宮澤国務大臣 公害防止事業団を私どもの観点から見ますと、少ない人員でいろいろ苦労をしてよくやってもらっておると思いますけれども、何ぶんにも新しい種類の仕事でございますので、ときたま計画と実績がなかなか合わないというようなこともあるように存じます。仕事になれますと、だんだんそういうことも解消いたしてまいると思っております。 なお、塩釜のことにつきましては、非常に具体的なことでございますので、必要がございましたら政府委員から申し上げたいと思います。
○多田委員 具体的なことは一昨日よく伺いましたので、それでけっこうなわけでございます。結論だけ伺いたいと思います。 もう一つは、塩釜の失敗の問題の根本は、結局はそうした技術の水準の低さ、つまり低い数値の汚水に対しての浄化装置としては機能を発揮できても、膨大な数値の汚水に対する浄化機能というものが発揮できない、結局はそういう技術水準まで至っていないということで、いろいろ伺いましたが、通産省としてもたくさんのそうした研究所、試験所等をお持ちのようでございますが、それでもなおかつ、そうしたこれからの公害の惹起してくるいろいろな問題に対して対処できるだけにいわゆる技術水準がなっていないということでございまして、その問題が一番大事じゃないか、このように考えまして、それで通産省としてもいろいろお考えだと思いますけれども、今後そうした科学技術の開発等についてどのようにお考えかをお尋ねしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この塩釜の水産物の加工工場の廃水処理の場合、処理の水質の設定についてどうも的確な判断が下されなかったということは事実でございます。これは言われますように、技術的な進歩がまだ十分でないということに帰着するようでございますが、現在事業団におきましても、こういう問題の検討の委員会に特に諮問をいたしまして、このような汚泥処理装置、あるいはそれに先立ちますところの前処理等を付加をするということで検討をしております。このような経験にかんがみまして、再度同じあやまちを起こしませんように十分善処をいたしたいと思っております。
○多田委員 もう一つだけお願いいたします。 これは厚生省に伺ったほうがいいのかと思いますけれども、塩釜等、あるいはパルプ工業、あるいはゴム工業等、そうした周辺はたいへんな臭害です。強烈な殺人的なにおいがする。特に塩釜などは強烈でございますけれども、公害基本法の中のいわゆる大気汚染とか水質汚濁の中にも悪臭がございますが、これは規制がなされていないわけで、においは放しっぱなしなわけでございますけれども、その辺に対するお考えについてちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 実は以前もそのお尋ねがあったわけでございまして、確かに問題としてはあるわけでございます。ただ私ども、これは聞きますと、においと色というものは学問的に研究が一番おくれておる分野だそうでございますけれども、定量的に把握をするということが、申すまでもなく非常にむずかしゅうございますから、したがってその分析なり防止技術もおくれておるわけで、現実の問題としては、地方のパルプ工場などに対しましては、事実上の行政指導で、排煙など、あるいはパイプ等の不備からにおい等が外に出ませんようにという指導はいたしておりますが、それでも、事実パルプ工場の近くに行きますと何となくにおいがするということは、私どもも経験いたしております。これについては、しかし基本的な学問が進みませんと、全般的にこういう対策をとったらいいということがなかなかわかりにくい。硫化水素などについては、ただいま申しましたようなことはいたしておりますけれども、定性的な、あるいは定量的な計測、実態把握というものは、正直に申しまして実はほとんど緒についておりません。今後各方面で研究をしてまいらなければならない。私どもにいたしますとまだ未開の一つの分野でございます。ほうっておいていけないことはよく存じております。
○多田委員 最後に一つお願いしたいのですが、においは結果的にはからだに直接影響はございませんけれども、やはりそこに長くおりますと不快感は極度に達するようでございまして、やはりこの問題も、一つは規制をはっきりきめていただかなければならないのではないかというふうに考えております。今後の善処方をよろしくお願いいたしまして、終わります。
○浦野委員長代理 中村重光君。
○中村(重)委員 委員長に加藤委員から、四時半大臣が再度出席をしましたときに、通産大臣のほか内閣総理大臣、官房長官、外務大臣、以上の四閣僚で協議の上にこの繊維についての結論を出すということになっているから、この四大臣の出席を要求したい、もしやむを得ず出席不可能な場合は、責任ある答弁をし得る代理者の出席を要求いたしておるのであります。したがいまして、委員長においてさよう取り計らいを願いたいということを要求いたしておきます。 通産大臣に公害の問題並びに日雇い健保の問題についてお尋ねするわけですが、大臣御承知と思いますが、社会、公明、民社、いわゆる三党において、安保の問題並びに公害の問題を中心にいたしまして臨時国会の開会の要求をいたしておるわけです。今日、公害の問題は、安保の問題とあわせて政治の柱になっておると私は思います。たいへんなこれは社会悪であるわけでありますが、通産大臣は公害問題に取り組む姿勢についてどのような決意を持っておられるのか、伺っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 これは以前にも申し上げたことがあると存じますが、公害問題というのはもはや人ごとではございませんで、おのおの自分たちの問題であるというふうに考えなければならないと思っております。 そこで、公害の中には産業から発生するものが相当多うございますので、産業を主管いたします通産省として、積極的に企業に対して、これは人の問題ではなくもう自分たちの問題であるという意識をもってやってもらうように、また通産省の者がそのような問題意識をもって行政に当たりますように指導をいたしております。
○中村(重)委員 いろいろ各地区で公害が発生しているわけですが、ところが調査をやって、調査の完了しておるのにかかわらずこれを公表しない、秘密にするという傾向があって、あとでそのことが明らかになって住民の強い憤りを受けるという事例が非常に多いわけですが、国務大臣としてこのようなことに対してどのようにお考えになりますか。
○宮澤国務大臣 一般的にはこのように考えております。すなわち、排出基準等々がすでに定められまして、それが守られているかどうかということについての調査は、私ども、そういう法則に基づきましていたさなければならないものでございますから、これは公表をすべきものであると考えております。他方で、そのような法規に基づく規制がないといったような場合に、関係者から自発的に資料の提出を求める場合がございます。これらの資料は、私ども、今後の行政ないし法規制提案の基礎にするために自発的に提供いたしてもらったものでございますから、原則として公表をしないことが適当である、こういう考え方をいたしております。
○中村(重)委員 「カドミウム、規制きびしく五製錬所を総点検 通産省、鉱安法の対象にも」という見出しで、鉱業法の改正をやって規制をきびしくしていこうという考え方のようでありますが、何か具体的にこのような公害取り締まりというものをきびしくしていこうとする考え方があるわけですか。
○橋本(徳)説明員 保安法と鉱業法との関係になると思いますが、これは両方とも要するに山を中心にしての規制でございます。私のほうでは、鉱山保安法あるいは鉱業法、ないしはそれ以外の法的な措置、いずれが妥当であるかというふうなことは現在検討いたしまして、いずれにしてもいま漏れているような製錬所についての規制を法的に強化していきたいという気持ちではおります。
○中村(重)委員 大臣の時間が一時半までのようですし、また岡本君から五分程度質問したいということであります。したがいまして、あとは政府委員にお尋ねをいたしますが、ただ一点、日雇い健保の問題について大臣の見解をただしておきたいと思うのです。 実は、御承知であろうと思いますが、電気工事業法を、海部俊樹君外十数名であったと思うのでありますが、議員提案として提案をされまして、そこでいろいろ審議を続けてまいったわけであります。その際、法律の正式な名称は電気工事業法とはいわないのですけれども、もう略称して電気工事業法といっておりますが、この電気工事業法ができまして業者が登録をされるということになってまいりますと、いわゆる一人電気工事士というものが日雇い健保の対象になって、労働組合として全建総連というものに加盟して、そういう対象になってきているわけです。業法の登録ということになってくると、いわゆる業者としての対象になってまいりますから、その場合いわゆる日雇い健保の擬制適用ということ、それからはずされることになるのではないか。いわゆる既得権を剥奪されるということになってたいへん不利益になっていくのだから、その点どうだろうかということで提案者にも実はお尋ねをいたしたわけですが、提案者も、失業保険にしても、あるいは健康保険にいたしましても、従来の既得権が失なわれることはない、不利益になることはないと答弁しておるし、それから当時の公益事業局長本田政府委員から、私のただいま申し上げましたような質疑に対しまして、こう答えております。「現行の法運用で失業保険、健康保険が適用されておるという体制が、今回の登録業者になったということで変わるというふうには考えておりません。」と答えておるのです。これは健康保険という表現は使っておりますけれども、言うまでもなく日雇い健康保険の対象になっているということは明らかでありますし、それを承知しての答えであるわけです。 ところが、さきに日雇い健康保険法の改正案が衆議院を通過をいたしまして、参議院で時間切れ、審議未了になったわけです。ところが、その審議未了になりますや、とたんに内田厚生大臣が擬制適用を廃止するということを明らかにされた。そういうことがいまるる進んでいるわけですね。これにはもちろん抵抗があるわけです。 ところが問題は、明らかに提案者並びに政府委員が、その電気工事士は対象になるということであって、私どもは安心をして、いろいろと党内事情等もありまして、衆議院におきましては反対という態度をとりましたが、あとで十分煮詰まりまして、参議院段階においては、党内調整をやって実は賛成でもって通しているわけです。その賛成でもって通します際に、再度その問題について党内で議論をいたしまして、だいじょうぶだから、不利益にならないからいいじゃないかということで私が説得をしたわけですね。そこで、これがいま廃止されるということになってまいりますと、私は実はいま道義的にたいへん困りまして窮地に陥っているという実態なんですが、この点通産大臣としては、政府委員が明らかにこういう答弁をしてきている、現実にそれと異なるような方向にいま進んでいるということに対して、どのようにお考えでしょうか。
○宮澤国務大臣 政府といたしましては、日雇い健康保険法の改正を御提案いたしましたわけでありますが、その際、電気工事業法が議員提案になっておりますことは存じておりました。したがいまして、電気工事業法が成立いたし、日雇い健康保険法の改正案が成立いたせば、それでただいまのような事態は起こらない。政府としてのたてまえはそれで一貫をしておったものと考えております。
○中村(重)委員 いや、それは答えにならないのですよ。少なくとも当委員会において答弁をしたことと異なるような形で問題が進んでおるというこの事実に対して、どのように対処しようとされるのか。それが重大な点ですから、まともにひとつお答えを願いたい。
○宮澤国務大臣 すなわち、電気工事業法が成立いたしました結果ただいまのような事態が起こったのではなくて、政府といたしましては、電気工事業法が成立いたしましても、日雇い健康保険法の改正案が成立いたしますれば、このような事態にはならないわけでございますから、政府としての態度はその点一貫をしておった。たまたま、立法府の御意思によって日雇い健康保険法の改正案が審議未了になったという事態が、このような結果になったものと考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 大臣には一時半に退席していただくことを了承しておりましたが、まともな答弁ではないから、したがって岡本君が五分間質問をするわけでありますから、それだけの時間を延ばしていただかなければならぬ。 いまの大臣の御答弁はまともじゃありませんよ。電気工事業法がここで成立をしたゆえをもっていわゆる健保の擬制適用というものがなくなったのではないのだ、こうおっしゃるのです。それは明らかです。だがしかし、電気工事業法が成立をしても必ずや擬制適用というものが従来の既得権として確保されるのだという答弁になっているのです。ところが内田厚生大臣は、今度の日雇い健康保険法を提案なさるとき、擬制適用の問題については提案になっていないのですよ。それは衆議院段階において、擬制適用ということではなくて、これを法制化しようということで修正をしたわけです。みずから擬制適用の問題について提案はしていないのにかかわらず、この法律案が廃案になったからといって、擬制適用そのものを、社会保険審議会にもはからないで一方的にやったという政府の国会無視ということが問題になってくるわけです。ですから大臣も、みずからの部下がこういう明確な答弁をしておるという事実、そのような政府のとった態度ということに対して、私は責任ある答弁をしてもらわなければ、電気工事業法が成立したからというゆえをもって日雇い健保の問題に影響を及ぼしていないというような答弁は、答弁になりません。
○宮澤国務大臣 私といたしましては、この問題についての政府の立法府に対する要請は、立法府のお動きも見ていながら一貫をしておりましたということを申し上げておるのでありまして、擬制適用を廃止することが是なりや非なりやということになりますと、これはまことに恐縮でございますけれども、私が所管でございませんから、責任をもってお答えを申し上げることはできません。
○中村(重)委員 少なくとも政府委員がこの委員会において答弁をしたことは、大臣の代理として来て答弁をしているのです。したがって大臣は、政府委員の答弁に対して責任を持っていただかなければなりません。答弁をしたことと事実が反するような方向に進んでおるという、このことに対して、しかもそういう方向に進まないということは、これは政府がやっておることでありますから、当然あなたはこの答弁に対する責任を持つという立場からこれを善処をするということでなければ、無責任な、いわゆる国会に対してはどんなでたらめな答弁をしてもよろしい、その答弁に責任を持つ必要はないということになってくると私は問題だと思います。いかがですか。
○宮澤国務大臣 政府委員は、お答え申し上げる段階においての現存する法体制のもとにおいてお答えをいたしましたと思いますので、その限りは間違っておらないと思います。 問題は、その後におきましてただいま御指摘のような行政措置が行なわれるかどうかということでございます。しかし、それにつきましては、まことに残念でございますが、私が責任をもってお答え申し上げる立場にございませんので、関係者からお答えを申し上げなければならない問題だと思います。
○中村(重)委員 あなたも御承知になってお答えになっておられるのだろうと私は思うのです。いいですか。この問題について少なくとも与野党もだいぶ頭を痛めておるところなんです。だから、政府もみずから内田厚生大臣が一方的に——あえて私は報復措置だ、こう言っておるわけですが、そういう一方的に廃案になったとたんに擬制適用を打ち切るのだというようなことをやった。ところが、いまこれをぽっと取り消すとメンツの問題になってくるのです。しかし、そんなメンツの問題というような、なまやさしい問題じゃないと思うのです。事はたいへん重大な問題ですから、やはり閣内においてこの問題については議論をしていただくということでないといけないと思います。善処する御意思はございましょうか。
○宮澤国務大臣 この点は実は厚生大臣からお話を伺ったこともございませんので、私よく事情を聞いてみたいと思います。
○浦野委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 おとといの産業公害特別委員会におきまして大臣に質問をしようと思ったのですが、ちょうどどこかに出られていなかったものですから、それに対する詰めだけをきょうはやっていきたいと思います。 〔浦野委員長代理退席、武藤委員長代理着席〕 一つは、いま中村委員からもお話がありましたように、鉱山保安法についてでございますが、実は富山県の黒部市におけるところのカドミウム公害、これは最近出てきたわけですが、神通川の婦中町におけるところのイタイイタイ病の発見当時、私は厚生省にカドミウムの工場の総点検をしなさい、こういうように約束をさせましてやったわけでありますが、通産省から出てきたところの、総点検するところの工場に対して、この日本鉱業三日市製錬所は入っていなかった。どういうわけで入っていないかといいますと、すなわち鉱山保安法がこの工場に適用されていなかった、そのために忘れておった、こういうことなんです。したがいまして、いま中村委員からも話がありましたように、この鉱山保安法の中に入れるか、入れなければこうした公害行政について穴ぼこができるのではないか、こういうように私は思うので、局長さんからなかなか詳しい答弁がいただけなかったので、大臣にちょっと念を押しておきたい。 それからもう一つは、公害保安局、これはいつごろから発足するのか、こういう点について。
○宮澤国務大臣 ただいまの点でございますけれども、まだ現状がどうしてそうなったかを申し上げますと、御承知のように鉱山保安というのは、長いこと鉱山における主として働く人たちの人命を守るということが基本になって運営をされてきておりましたので、いわゆる独立製錬所といったようなものは鉱山保安法の対象になっていなかったわけでございます。そこで、厚生省からカドミウム云々という資料要求のございましたときに、これらの独立製錬所は法の対象になっておりませんために、私ども資料を持っていない。そこで、忘れたのではなくて、私どもにはわかり得ない資料であったわけでございます。それが現状でございます。したがって、そこで行政の過失なり悪意がもちろんあったわけではございません。 ただ、これからの問題として考えますと、現実に独立製錬所でもあのようなことがいわれ始めておるということになりますと、これはたとえば水質関係の法律で規制いたしますか、あるいは工場排水または何か別の法体系で規制いたしますか、いずれにいたしましても独立製錬所も、ああいうことが起こりますと法の対象にしておきませんと、今後の公害問題に十分に対処できないと思いますので、何かの形で法律を提出をいたしまして御審議を願わなければならない、こういうふうに考えております。 それから、公害保安局は七月一日から発足の予定でございます。
○岡本委員 それではもう一点だけ。 実は私ども実態調査に乗り出しまして全国を回っておるわけでありますが、工場排水等の規制に関する法律、実はこの取り締まりが地方自治団体、すなわち都道府県知事に委任されていないところの工場があるのです。たとえば大阪の造幣局、これなんか非常に微量金属が流れておるわけですが、これは都道府県が取り締まるところの権限がない。また酒類製造業、飲用アルコール、こういうのも国税局長の所管になっておるのです。そうしますと、そこからいろいろな排水が出ておりましても、これは都道府県では取り締まることができないわけなんです。こういうものがずいぶんございます。これについて、所管が違うというのじゃなくして、実は公害対策会議の一員とされまして——総理を中心にして各閣僚がなっておりますが、その一員とされまして、今後こうした取り締まりを都道府県におろしていく考えはおありかどうか、これをお聞きしたいんです。
○宮澤国務大臣 御指摘の点はごもっともなところもあるように思いますが、実はただいま事務当局にも尋ねましたが、はっきりお答えを申し上げることができずにおりますから、所管大臣としばらく相談をさせてみていただきたいと思います。
○岡本委員 所管大臣とよく相談をしていただきたい。 そこで、通産大臣の所管でありますところのガス供給に供するところの施設、すなわち選炭装置あるいはガス及びタール及びガス液を分離する施怖設、ガス洗浄施設、こういうのはあなたの所管でございますが、いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 これはたまたま鉱山というものが通産省の所管でございますが、これを鉱山保安法で保安を見ておりますと同様に、ガス事業法で公害を含めて規制なり保安を見ておるということでございますから、それでよろしかろうと思います。
○岡本委員 これはもっと言いますと、たくさんあるんです。それで大臣、実はここでひとつ、いよいよ非常に大事な公害問題につきまして——中央から非常に遠いところにございます。一番身近なのはやはり市民、それを代弁しておるのが市議会です。どうかひとつその点について再度考慮を願いたい、これをひとつお願いしておきますが、御答弁をいただきたい。
○浦野委員長代理 岡本君に申し上げます。大臣お約束の、理事会できめました時間が超過しておりますので、お願いいたします。
○宮澤国務大臣 その点、検討させていただきます。
○中村(重)委員 大臣、さっき私の質問で、私が、閣内でよく話し合って善処していただきたい、こういうことを申し上げて、それに対して大臣は、私の言う意味のいわゆる善処という意味でお答えになったのだと思ったんだけれども、厚生大臣から話を聞いてみますということばだけだったので、これは話を聞いてみますということだけでは子供に対する返事みたいなもんで、私は、問題が非常にもつれることは好ましいことではありません。少なくとも与野党一致して衆議院段階で修正したものが、時間切れになって廃案になって混乱をしているわけですから、したがって、電気工事業法あるいは建設業法の問題も、ちょうど同じようなケースに実はなっているわけです。この後このままではたいへん尾を引くと私は思っておりますので、通産大臣としては、やはり厚生大臣と話し合いをされて、話をお聞きになって、そうしてやはり円満に事を解決するように善処していただくということでなければ、先ほど私が指摘いたしましたように、少なくともあなたのかわりになって出た政府委員の答弁が、何らもう価値のないものであったというようなことになりましては、たいへん迷惑するわけですね。これはやはり政治の不信感にも、そういうことからつながってくるんじゃないでしょうか。少なくともあなたほどの大臣ですから、そこらあたりは十分おわかり、だと思うのでありますが、いかがですか、大臣。
○宮澤国務大臣 この点は、基本の問題につきましての厚生大臣のお考えは承知しておりませんので、それを承りまして、そのようなお考えであればこういう問題があるという問題点を、私から申し上げておきたいと思います。
○中村(重)委員 申し上げておきますという、言いっぱなしではなくて、やはり大臣として、でき得る、だけの努力というものがあってしかるべきだと私は思うのですよ。善処するという意味に理解をしてよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 かりにそういう擬制適用をやめるといたしまして——これは厚生大臣のお考えは私存じませんから伺わないといけませんが、その場合、相当の対象人員があるはずでございますから、それらについてどのようにされるのかという問題は、当然あるであろうと思います。したがって、そういうことの一環といたしまして、電気工事業法との関係ではこういう問題があるということを、もしそういうお考えであれば、厚生大臣には申し上げなければならないと思います。その上で、両省事務当局でいろいろ相談をしてまいりたいと思います。
○中村(重)委員 時間の関係がありますから簡潔にお尋ねいたしますが、厚生省、お見えですか。 日雇い健保の問題で、あなたのほうは、日雇い健保の擬制適用をどうして廃止しようとするのですか。
○首尾木説明員 日雇い健康保険の擬制適用の取り扱いにつきましては、御承知のとおりでございますが、これまで何ら法律上の根拠がございませんで、便宜行政措置として行なってきておるものでございまして、これはもともと法制上問題がございますし、特に国民皆保険というようなことができまして以降におきましては、これはすべての人が法律制度に基づきましてどこかの保険制度に入るというような形になっておるわけでございまして、そういうもとで、法制上も非常に問題があったということ。それから、擬制適用の対象者であります建設技能者につきましては、今日、賃金の実態から申しまして、いわゆる本来の日雇い健康保険の被保険者に比べまして賃金は高額でございまして、したがいまして、その本来の日雇いの保険の人に比べまして高い賃金であるにもかかわらず、一日二十六円というようなきわめて低額の保険料を負担しておるというような実情でありまして、これは一般の健康保険の料率等と比べてみましても非常に著しく低いというような段階でありまして、これは制度の上から見て著しく公正を欠くものであるという強い批判がございます。さらに今日、日雇い健康保険は、これは全体といたしまして一千億円に近い赤字をかかえておるのでございまして、制度の崩壊に瀕しておるといわなければならないわけでございますが、前回の六十三国会におきまして応急措置として提案をいたしました改正案、すなわち給付の改善を行なうとともに保険料の引き上げもはかっていくというような改正案が廃案となりました現状におきましては、本来の一般の日雇い労働者に対する医療費の支払い遅延といったような不測の事態を避けるためにも、この廃止措置をとらざるを得なかったということ、これが今回の擬制適用を廃止するに至った理由でございます。
○中村(重)委員 端的に言っていただいてけっこうですよ。そうすると、あなたの話は、日雇い健康保険法の改正案を御提案なさったときから、もうこの擬制適用を廃止しようという腹づもりだったわけですか。
○首尾木説明員 私どもは、日雇い健康保険法を改正をいたしまして、その保険料が著しく低いという現状に対しまして、従来は、四百八十円未満に二十円、四百八十円以上が二十六円ということでありましたが、それを新しく保険料を千円未満三十円、千円以上千七百円までが六十円、それをこえれば九十円といったような段階を設けまして、そういう新しい保険料をもってやろうというような考え方であったわけでございまして、擬制適用の被保険者につきましても、この法案が成立をすればそれに応じたところに当てはめた適正なといいますか、従来のように低い保険料ではなくて、その保険料の引き上げをはかるということができるわけでありますから、それを前提といたしまして、擬制適用の法律が通れば擬制適用は存続するというような考え方であったわけでございます。
○中村(重)委員 この日雇い健康保険法の改正の提案は、あなたのほうでしたのは二回か三回あるんだが、その間廃案になってきた。そういう歴史の繰り返しは、あなたのほうでもおわかりだろうと思うのです。しかし今回は、衆議院では修正をして通過をしたわけです。しかも、十三日という会期末のあわただしい中で、しかも長い時間ではない、衆議院だって二時間か三時間しか社会労働委員会で審議してないでしょう。しかしながら、そういうことでともかく最大公約数でもって話し合いがついて、そしていろいろ問題があったが通過をした。参議院に行った十三日、わずか数時間、いろいろその間に再修正の問題とかいろいろな話があった、だろうが、しかし、とうとう話し合いがまとまらないまま時間切れになって廃案になったという経過はおわかりだろうと私は思う。少なくともいままでよりも、簡単に衆議院段階において廃案になったことよりも、大きな前進になってきているのです。にもかかわらず、何のために、今度参議院でそういう経過をたどって廃案になったからといって、直ちにその場で擬制適用を廃止するというような態度をおどりになるのか。少なくとも議会軽視というそしりを私は免れないと思う。あるいは報復措置だといわれても弁解の余地は私はないと思う。あなたはそうお考えにならないか。
○首尾木説明員 ただいまのお尋ねでございますが、私どもは日雇い健康保険法の改正を提案いたしました。これは六十一国会と、それから六十三国会に同様の提案をいたしたわけでございますが、その法案を提出する際の社会保険審議会におきましても、また国会の段階におきましても、この改正案が通過し、それが円滑に行なわれるならば、擬制適用の問題も含めて日雇い健康保険については存続していくということを大臣がお答えしているわけでございますが、そのような法案が不幸にして廃案になりました現段階におきましては、先ほど申し上げましたような負担の公平の問題、それから財政上の問題、そういったような観点からいたしまして、これを廃止せざるを得ないというように厚生省としての判断をしたわけでございます。
○中村(重)委員 事務当局としては、これを廃止をするということについて大臣に進言をなさったのか。
○首尾木説明員 これは厚生省内部での意思決定でございまして、現段階におきまして、この問題について廃止をせざるを得ないというような判断を、厚生省といたしまして全体で考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 考えて大臣に進言して、大臣が廃止の談話を発表した、経過はこういうことですか。
○首尾木説明員 もとより事務当局におきましても十分に検討いたしまして、大臣の御判断をまったわけでございます。
○中村(重)委員 事務当局の内部でそういう検討をなさったとき、電気工事業法に関係する、先ほど私が大臣の答弁を求めたような、そういう関係がある。あるいは建設省関係においては、建設業法の改正案を御提案になった。私はこの資料を持っておるが、あなたのほうでは、擬制適用というものは従来どおりこれを認めていくという答弁をしておられる。その確認の上に立って、衆議院段階では建設業法も修正をして通過したわけですよ。建設省、通産省にはそういう関係がある。そうした各事務当局との話し合いというものはどういたしましたか。
○首尾木説明員 建設業法ないし電気工事業の業務の適正化に関する法律、この関係におきましてそのような質疑応答というものがありました件につきましては、私、速記録を読みまして承知をいたしております。しかし、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、日雇い健康保険の法律が改正をされまして、それが円滑に実施されるならば、擬制適用につきましても存続をしていきたい、こういうように考えておるわけでございまして、その点から申しまして、その段階におきましては、これは日雇い健康保険の擬制適用が、この電気工事業法関係のものでありますとか、あるいは建築関係の法規の議員提案の法律によりまして、そのことによって取り扱いが変わってくるということはないという御答弁であったものでございますから、その点は問題はないというふうに判断をいたしておったわけであります。
○中村(重)委員 質問に対してまともに答弁をしてもらわなければならぬ。厚生省事務当局で検討して大臣の裁断を受けた、そうして廃止をするということで大臣はこれを明らかにしたが、その事務当局で検討する段階において、通産省あるいは建設省と話し合いをしたのか、そうしてその了解の上にこれを廃止するという方針を決定したのかと私は言っておるのです。
○首尾木説明員 お話し合いをしているそうでございます。
○中村(重)委員 それでは、通産省はそれに了解を与えたのか、この点どうですか。
○馬場説明員 先国会で電気工事業法の質疑が行なわれましたときに、先ほど先生の御指摘になりましたような答弁を当時の政府委員がしておるわけであります。そのときに、そういう答弁をわれわれのほうでいたしますについて、つまり電気工事業法のあるなしということによって、日雇い健保の問題にいずれにしろ影響を与えることはないという答弁を当時の政府委員がいたしておりますから、そのことについては、もちろん厚生省とわれわれのほうとで話し合いはいたしておるわけでございます。ただ今度日雇い健康保険法が廃案になりました後に、厚生省が擬制適用をやめられるという決定をなさるときに、そのことについて通産なり建設なりと相談をしたかということにつきましては、われわれは話を受けておりません。
○中村(重)委員 首尾木審議官、あなたはうそを言うのですか。通産省はいま聞いてないと言うた。あなたは話し合いをしたと言う。どっちがほんとうなんだ。
○首尾木説明員 私はいま、その間の経緯につきましては直接に私は存じませんでしたので、担当の者から聞いてお答えを申し上げたわけでございますが、それは正確に申しますと、事前の、その答弁をいたす段階におきまして、そのようなお話を申し上げた、こういうことでございます。
○中村(重)委員 そんなでたらめな答弁がありますか。けしからぬじゃないか。真剣にこの問題にわれわれは取り組んでいるんだ。私は、この電気工事業法を成立させるために、少なくとも擬制適用というものは変わらないということで説得している。通産大臣との質疑の中で、あなたはそこで話を聞いておったはずなんだ。十分聞いておいて——私はあいまいな質問のしかたはしていない。質問の内容が明確であったことはだれでもみんな聞いているんだ。それを聞いておってあなたは答弁をした。いま、この電気工事業法を審議をする際に相談はあった、だが今回は相談をしていない。相談をしていないこと自体にも私は問題がある。同時に、そういう無責任な答弁態度というものは私は許せぬ。いまの答弁に対して間違いでしたなんということは、これはそういう無責任なことでは私は許せないと思う。どうします。
○首尾木説明員 先ほどの御答弁につきまして、御相談を申し上げたそうでございますと、こういうふうに申し上げたわけでございますが、その点については私が認識が間違っておったということで、まことに申しわけないと思います。 ただ、さらにつけ加えさせていただきますけれども、この問題につきましては、先ほども申しましたように、電気工事業法の改正の問題との関係においてこの問題の取り扱い云々が変わることはないというふうな御答弁でございますので、その他の問題につきましては、これは特に厚生省といたしましてそのような決定をなしたことは間違ってはないというふうに考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 自分の答弁をしたことには責任を持ちなさいよ。いいですか。まず電気工事業法の審議をする際に、あなたのほうは通産省から相談を受けたわけだ。提案者からも私は受けたと思う。それに対して擬制適用というものは、電気工事業法が成立することにおいて失うことはないという、あなたのほうは回答を与えているわけだ。ところが、今回日雇い保険法が廃案になって、あなたのほうは、報復的ということばを使われるのがいやなら、私はそう思っているけれども、何も報復的ということばを何回も使う必要はない。いずれにしても事務当局で話し合いをやって廃止するという方針をきめた。そうして大臣の裁断を受けた。そうして廃止通告をした。こういうことであるならば、前に相談を受けたときに、擬制適用を失うことはない、そういう回答を与えたのであるならば、今度それをなくしてしまうという場合においては、通産省に対してその旨の連絡をし、意見を求めるということは当然じゃありませんか。立場をかえて、あなたが通産省であったらどうする。私の質問に対して、公益事業局長——当時は本田さんなんだけれども、いまの公益事業局長だって、前は相談をしてそういう回答を与えられた、今回は何も相談を受けなかった、廃止したからいたし方ありませんということであなたは満足するかということを、私は公益事業局長に尋ねたらどういう答弁をするか。私はそれを聞きたいものだと思うけれども、話はしなかった、そして廃止した、それが間違いなかった、誤りなかったと、あなたはそういう答弁をするんですか。
○首尾木説明員 私といたしましては、この前のこの委員会におかれまして問題のありました点について、それは電気工事業法の改正によって取り扱いが変わることはないという限りのものでございますので、厚生省といたしまして日雇い健康保険の取り扱い全般の問題を考えるにあたりまして、このたびの措置をとることにつきまして、通産省と電気工事業法の問題について御協議を特にしなければならないということではないと考えております。
○中村(重)委員 それではあなた方は、それと関係する法律案についてその他の省から相談を受けて、それに対して回答を与えた。その回答を与えたことに重大な影響があるということはわかりながらも、それに対して何の連絡をしないで、やってもよろしい、厚生省の権限である、そういうことであなたは事がおさまると思いますか。あなた方は一つの法律案を出すときに、厚生省あるいは通産省、経済企画庁、いろいろな省に関係があるときになわ張り争いで譲り合わないで、せっかく提案をしなければならないという法律が提案をされていない。公害問題や何かにおいてしかりであります。あるいは過疎対策の面においてしかりです。そういったことについて法律案を提案をするときすら、事務当局間においてすったもんだして話がまとまらない、そういうことがある。今回、廃止することに通産省は重大な関係があるということを承知しながら、厚生省だけで一方的にやってよろしいという、そういう話がありますか。そういうことで筋が通りますか。両方とも答弁をしてもらいましょう。
○首尾木説明員 たいへん繰り返すようで申しわけありませんが、厚生省といたしましては、これは日雇い健康保険法の運用に関する問題でございますので、特に通産省のほうに御協議を申し上げる必要はないというふうに考えた次第でございますが、なおこの点につきまして、通産省の御当局のほうのお考えもあるようでございます。私としましては、先ほどの答弁を繰り返すよりいたし方がないわけでございます。
○馬場説明員 先生にこういうことを申し上げるのはたいへん失礼でございますが、先国会で前の政府委員本田君が答弁を申し上げましたときに、通産省としましては、この電気工事業法が通る、通らないによって日雇い健保の関係に影響を生ずることはないという解釈を、御質疑に応じて厚生省と相談の上で申し上げたということでございます。その場合に、その日雇い健保における擬制適用の運用をどうするこうすることについて、通産省としてこれをいいとか悪いとかいう筋合いのことではございませんので、おそらく前政府委員の申しましたときには、この電気工事業法の通過によって日雇い健保の関係が変わることはないという解釈を申し上げたというふうに私は解しておりまして、擬制適用をやめることはいたしませんというような、日雇健保運用の方針を通産省として申し上げる立場にもございませんし、そういう意味で申し上げたのではなかろうというぐあいに考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 そういった機械的な答弁、おざなりの答弁で質問者が納得すると思いますか。国民と政府との関連というものがなければ別ですよ。われわれが電気工事業法の審議をする際、擬制適用の問題について特に重視したのは、日雇健保の中における擬制適用によって利益を受けている人たちがあるということなんです。これが適用されないというならば、その利益を失うということになるわけです。だから問題にしたわけですよ。国民不在の答弁なんだ、あなた方二人の答弁を聞いておったら。そうした日雇健保の適用によって利益を受けた人たちが、あなた方の一方的なやり方によって、あるいは話をなさらなかったことにおいて重大な影響を受けておるというこの事実について、あなた方は責任をお感じにならないのか。そういうおざなりな機械的な答弁でごまかそうなんというのはけしからぬですよ。当然両省において、かつて答弁したことに対する責任を持ちなさい。責任をもって問題の解決に取り組む必要があると思います。いかがですか。
○首尾木説明員 私どもの基本的な態度といたしましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
○中村(重)委員 公益事業局長、あなたは、前任者の答弁したことだからといって、いまのような無責任な答弁でもって事が済むと思っているのか。日雇健保がどうこうというようなことで言ったんじゃないんだ。私がいま質問したのは、形式論で質問したんじゃないのですよ。人の既得権を守るか失うかという問題なんですよ。質問も答弁もそのことが基本でなければならないのですよ。その基本を失っては何のための質問になりますか。何のための答弁になりますか。
○首尾木説明員 先ほどからのお答えだけでは、実態がどのようになるかということについての十分なお答えでございませんので、私あえて申し上げますが、今回の擬制適用を廃止いたしますにあたりまして、国民健康保険への円滑な移行ということにつきましては十分配慮をしてまいる予定でございます。特に、従来は同種同業のものにつきまして国民健康保険組合というものがありましたが、ここ数年国民皆保険が実施になりまして以降は、国民健康保険組合というものを新たにつくることは認めないというような方針でございましたけれども、今回の場合は特例といたしまして、同種同業の人、建設業関係の人につきましては国民健康保険組合の設立も認めるというようなことを考えておるわけでございます。国民健康保険組合にいたしますれば、その給付内容もいろいろくふうができるわけでございまして、本人十割、さらに家族については、従来の日雇保険の五割よりもいい七割というようなこともできますし、さらにまた傷病手当金等の現金給付につきましても、国民健康保険組合ならばできるといったような関係もございますので、そのようなことによりまして、従来の擬制適用を受けた方々が、従来の日雇健康保険制度の適用下にありますに比しまして——これは正直に申しまして、保険料の負担といったような点につきましては、従来よりも上がらざるを得ないということでございますが、しかし、その給付内容につきまして、従来よりもさらによりよい給付が受けられるというような状態につきましてできるだけ配慮を加えていきたい、こういうように考えているわけでございまして、ただ単に一方的にこの制度を廃止したということではなくして、自後の措置を十分考えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 私はそういうことを聞いているわけじゃない。そういった問題は、被保険者との話し合い、社会保険審議会、それぞれの機関があるはずです。そういうところでおやりになればよろしい。私は、電気工事業法の審議の中で明らかにされたことが一方的に踏みにじられたという事実について、問題を指摘をしておるわけです。 公益事業局長、前任者の答弁は、私は先ほど大臣に申し上げたように、これは大臣の答弁であるとわれわれは受け取っている。あなたはいま後任の公益事業局長としての責任は当然お持ちにならなければならない。私に対する答弁が完全にいま踏みにじられてきている。これに対してどういう責任をとりますか。
○馬場説明員 二回にわたりまして工事業法が提案されまして、私も前の政府委員から引き継ぎをいたしまして、御答弁申し上げるにつきましては、もちろん前の政府委員の申し上げましたことについて十分打ち合わせもいたしますし、また勉強もいたしまして考えておるつもりでございます。 ただ、本件につきまして前の政府委員のお答え申し上げました趣旨は、当時の記録を見、当時の関係者あるいは政府委員に聞いてみましても、電気工事業法が通る通らない、つまり電気工事業法というものによって一人親方の健康保険上における地位が変わるか変わらないかという趣旨の御質問であったかと思いますので、厚生省と御相談をいたしまして、そういうことによって健康保険上の地位は変わるものでないという解釈を御答弁申し上げたというふうに私は理解をいたしておるわけでございまして、その点はこの前お答え申し上げましたことと全く同様でございます。
○中村(重)委員 だから、その解釈によって日雇い健保の対象からはずされることはない、それを私は確信をし、電気工事業法を参議院において全会一致でもって成立をさせるということについて関係者の説得をしているのですよ。ところが、そういう解釈をくだして私に確信を与えて、そしてそういう説得をさせた、だがしかし今回の、厚生省のあなたのほうに相談もしないで一方的にやった行為において、与えた解釈というものが空になってしまったじゃありませんか。大きな利益を失わせるという結果になってきたではありませんか。だから少なくとも先ほどの大臣の答弁は、あなた方よりもよほど前向きの答弁ですよ。全く知らなかった、だがしかし厚生大臣と話し合いをして、電気工事業法の関係においてこういうこともある、そういうことで、健康保険ということばをお使いになったけれども、そういうことも含めて問題の解決のために努力をいたしたい、少なくとも私の質問に焦点を合わした答弁になっています。ところが何ですか、首尾木さんは、自分のやったことに間違いないのだ、通産省に前には確信があるという回答を与え、それによって電気工事業法の成立というようなものに影響があったことは間違いない。ところが、あなたのほうの一方的な今回の打ち切り通告によって、それがそのまま実施された場合重大な影響をもたらされるということがわかりながら、通産省に対して何の連絡もしないでやったということに対して、あなたは遺憾の意を表明しようともしないではないか。手落ちがあったなら手落ちがあったということをはっきりここで釈明をしなさい。そしてこれから先どうするのかという態度を明らかにしてもらいたい。
○首尾木説明員 先ほど申し上げましたように、厚生省、通産省というものの職務の権限の上におきまして、職務上特にこれについて協議をしなければならないというふうに考えておるわけではございません。特に正式の協議を申し上げるというようなことについては必要ないのではないかというふうに考えておりますが、十分この間の事情につきまして、もうすでにこの問題につきましては通産省のほうでも御承知でございまするが、この問題につきまして、さらに詳しく通産省のほうに、今回の措置の結果がどうなるかというようなことにつきましては、十分御説明申し上げるつもりでございます。
○中村(重)委員 いまになってそういうことを言って間に合いますか。それじゃいいですか、説明をする、説明をして、やはり問題があることは間違いないのだから、それによってさらに問題の解決に努力をしようということと、いまの答弁は受け取ってよろしいですか。
○首尾木説明員 この措置につきましては、すでに厚生省といたしましては、省といたしまして踏み切った措置でございますので、この措置の実施につきまして、先ほども申し上げましたような、厚生省としましては、いろいろの方法を、国民健康保険への移行でありますとか、あるいは国民健康保険組合の設置でありますとか、あるいはまた、一部は健康保険の任意包括によってもできるというような面もございますので、そういう問題につきまして善処するという方向でいきたいと考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 それでは、通産省からあなたのほうに逆に、そういうことでは困る、電気工事業法の審議の際に、あなたのほうの厚生省の意見を聞いてこういう回答を与えた、それで既得権は守れるという形において電気工事業法の成立というようなものが大きく影響されておるというこの事実に対して、通産省から、それは困るというようなことで反対の意見が出る、そういったような場合において、問題解決のためにやはり耳を傾ける、そして問題の解決をはかる、そういう考え方だと理解をしてよろしいですか。
○首尾木説明員 私が先ほど申し上げましたのはそういう趣旨でございませんで、私が申し上げましたのは、この措置につきましては、厚生省としてすでに踏み切った措置でございますから、これはやはり日雇い健康保険の運営において、厚生省としてこの措置をとらざるを得なかったということでございますので、これを撤回するとかなんとかといったようなことは、これは全然考えておらないわけでございまして、移行の措置とか、そういったようなことにつきまして、国民健康保険への移行の措置、その他の任意包括の適用とか、そういったような問題につきまして特に御意見があれば、そのようなことにつきましては十分事情をお聞きをいたしたい、こういうような趣旨でございます。
○中村(重)委員 公益事業局長、いまお聞きのとおりだ。いま厚生省としては、この廃止通告を撤回しようという意思はないのだけれども、あなたのほうにそのことを説明をし、また、あなたのほうからいろいろと事情を聞いて話し合いをしよう、まあそういう意味に私は受け取った。そこであなたもうなずいているのだから、同じようにそう受け取ったのだと思うが——人が質問しているのだから、待ちなさい。それならば、ともかく前任者が答弁をしたということは、これはあなたもそれを御確認になった。ただ、あなたのほうは、機械的、おざなり、そういうことでは答弁にならぬと私は申し上げた。そこであなたとしても、問題がさらに大きく影響しているわけだから、やはり国民不在の政治があってはならない、行政があってはならぬとお考えになるならば、自分の答弁に反省をされるだろうと思うのだが、厚生省としてやはり円満に問題の処理ができるように話し合いを進めていこうとする考えがありますか。
○馬場説明員 電気工事業法の成立以前から、もちろん成立いたしましたあともそうでございますが、電気工事業というのは通産省が所管をしておる業種でございます。したがって、電気工事業に従事されます方々のいろいろな問題について、われわれは当然業界の方々からいろいろな御要望を承りまして、われわれ自身で、通産省だけで解決できる問題でございますれば、むろんそのように取り組みたいと思いますし、他の省——厚生省を含めまして他の省に御相談をしいろいろお話を承りまして、その省の方針もございましょうから、そういう御方針を十分承りながら、どうしたらうまくいくかということについて前向きに話し合いを進めてまいりたいと思っております。
○中村(重)委員 それでは、私の質問に対して、前任者が答弁をしておるということに対して責任を感じて、その上に立って問題が円満に解決されるように善処していこうと、そういう考え方と理解してよろしいですね。——おい、だめだ。厚生省じゃない、馬場局長だ。
○馬場説明員 前の政府委員が答弁いたしましたことにつきましての私の理解は、前に申し上げたとおりでございます。 ただいま私の申し上げましたのは、工事業を所管しておりますたてまえから申しまして、その工事業の業界がうまくまいりますように、各般の問題があろうと思いますけれども、もしそれが厚生省に関係する問題でございましたら、業界の御意見、御要望等も十分伺いました上で、厚生省の方針をも十分伺いながら、どういうかっこうか存じませんが、円満に解決のできるように、われわれとしても努力をしていきたいという気持ちはそのとおりでございます。
○松平委員 関連して。先ほど来、中村君の質問と厚生省の審議官の応答を聞いておると、非常に不まじめというか、うそをついたり、その後でまたあやまったりということがあったわけであります。かつてこういうようなことがほかの委員会でもございました。そこで委員長に申し上げたいのですが、厚生大臣をひとつ委員会なり理事会に呼んでいただいて、正式に——先ほど来の答弁が、はなはだ議院に対する態度が軽率というか、そういうことがありました。そこで理事会に厚生大臣を呼んでいただきまして、遺憾の意をその場で表していただきたい、こういうことを提案いたします。
○武藤委員長代理 松平君にお答えいたします。 いまの点につきましては、後ほど各党の理事で御協議をいたしまして、その結果しかるべき方法をとらせていただきたいと思います。
○松平委員 こういうことについては前例もあるわけであります。その前例にのっとりまして、ぜひともひとつ、政府委員並びに説明員の国会に対する態度、それを矯正していただくということについて、処置をしていただきたいと思います。
○武藤委員長代理 御趣旨はよく尊重いたします。
○中村(重)委員 公益事業局長の答弁も、あなたは厚生省から牽制されて、全く無責任きわまる答弁をしている。何のために、いまあなたは業界、業界ということばを使うのか。業界のことをぼくは言っているのではない。日雇い健保の関係は被保険者なのだ、個人個人の問題に影響を及ぼしているわけなんですよ。いわゆる一人工事士の問題なのだ。何のために業界云々という問題をここであらためて持ってこなければいけないのか、引き出してこなければいけないのか。これはいわゆる一人一人の日雇い健康保険の対象になっておった電気工事士の利益をそこなうという問題があってはならないから、その利益をそこなわないように努力をしていきたい、そういうことで、理解をしてよろしいですか。
○馬場説明員 先生のいまおっしゃったとおりでけっこうでございます。その意味で申し上げました。
○中村(重)委員 委員長から要請された時間がはるかに過ぎているので、この問題は保留をして、私はあらためてやりたいと思います。やります。 特に私は、厚生省が通達をしておる内容について——厚生事務次官、社会保険庁長官が都道府県知事に対して通達をしている。「この問題が深刻化し、第六十三回国会における衆議院審議の段階で行なわれた擬制適用の法制化についての修正は、この法制上の問題点の解消を意図したものであり、また、この修正案が衆議院において可決されたことにより現在のままの取扱いがもはや法律上認めがたいものであることが明確となったこと」、これを理由にしている。こじつけもはなはだしい。法制化というものは、ここでいっているように、衆議院の修正という形において衆議院を通過をしたわけなんだ。いいですか。これが意思なんだ。この意思は衆議院においてはいささかも変わっていない。擬制適用というのは法制化すべしという考え方は変わっていない。ただ参議院において時間切れによってこれが廃案になったにすぎない。にもかかわらず、あなたのほうでは一方的に、廃案になったという理由を悪用して、こじつけて、これの廃止の通達をするということに至っては、ひきょうもはなはだしいことを私は申し上げたい。実際はこれは逆なんだ。衆議院において、この擬制適用ということを法制化しなければならないということが確認をされた。だが参議院においてこれが廃案になった。しかも時間切れで。次の臨時国会においては再びこれが問題になるであろう、新たなものを提案するであろうし、当然衆議院におけるところの修正が日の目を見る形に進むであろうということは、これは少なくとも常識なんだ。にもかかわらず悪用して、こじつけて、これを廃止通達の理由にするに至っては、全く報復措置というものが、そのとおりだということをこれによっても立証している。しかしこれは、あなたに答弁を求めたってしょうがない。ただいま松平先輩の発言によって当然理事会が開かれて、厚生大臣は理事会に出席してくれるであろう、そういう形に委員長は必ずや善処してくれるであろうと私は確信をいたしますから、その際にあらためてこの問題を取り上げていきたい、こう思います。この点については質問を留保いたしておきます。 時間がありませんから、公害問題について私は時間をかけて質問をしたかったわけですが、せっかくおいでですから、ただ一点だけにしぼってお尋ねをいたします。 対馬の佐須川、椎根川、この二つの流域についてカドミウムの汚染による調査をずっと続けてこられたという事実は、そのとおりでございますね。
○橋本(道)説明員 いま御質問のございました対馬の佐須川及び椎根川の件でございますが、この件につきましては、四十四年、カドミウム環境汚染の要観察地域として指定をいたしまして、昨年一年間私どもが最も力を入れてまいりましたのは、従来汚染調査につきましては相当なものがございますので、慢性カドミウム中毒としての患者があるかいなかという健康診断と、それにつきましての鑑別診断、及びそこの住民がどの程度カドミウムを摂取しておってどの程度排出しておるか、今後どのように具体的な対策として問題解決をやるかということについての基礎の調査をいたしてきたところでございます。
○中村(重)委員 その調査はいつ終わりましたか。
○橋本(道)説明員 本件の調査につきましては、現在最終の取りまとめがもうすぐ公開できるというところになってきております。
○中村(重)委員 五月三十一日までに調査を終わって、もう結論は出ていましょう。
○橋本(道)説明員 いまおっしゃいましたのは、結論は私はまだ存じませんが、研究委員会の方の報告が六月の末までにははっきり公に公表されるという段階にある、私どもはそういうぐあいに存じております。
○中村(重)委員 NHKの報ずるところによると、これは調査は終わった、そして現地にはそのことが通知されてきておる。ところが長崎県衛生部長名でもって、資料提出者に対してはその内容は明らかにしてよろしいけれども、それ以外の者に対しては公表してはならないということで秘密にしている。富山の例あるいはまた福岡の例しかりであります。何のために調査ができたものを秘密にしなければならないのですか。この佐須川あるいは椎根川流域の住民はかんかんになっておこっている。この一連の秘密主義というものは何のためにおやりになるのですか。
○橋本(道)説明員 いまおっしゃいましたような秘密にいたすという気は私ども毛頭ございません。全体の報告書が出てきまして、それを六月の末には全部に公表いたします。またそれにつきまして一人一人に説明をいたします。私自身も、いまから二週間前に対馬に行きまして、患者にも会ってまいりました。決して秘密にする意図なりは私どもはございません。お話のございました衛生部長がどうこう言ったという件については、私は関知いたしておりません。
○中村(重)委員 さっきの日雇い健保の問題でかちんと頭にきて私もかんが上がっているんだが、あなたには別に大きい声でやろうとしているのではない。しかし秘密にしているということはよくないと私は思う。それで大臣にさっきお尋ねしたのです。大臣も、これは公表しなければならないんだと言った。ところが地元ではそうは言っていない。地元では、会社もそう言っているそうだが、何も秘密にすることはない、どうも厚生省のさしがねで秘密にしているようだ、そういうことがもっぱら関係者の中で確認されているような形なんです。それを裏づけるものとしては、私がいま申し上げましたように、あっちでもこっちでも厚生省の指示による秘密主義がとられているということ。NHKにこの事実が報道されたのですよ。衛生部長名でそういうことが通達されたということは、あなたは知らないとおっしゃったんだが、NHKがこれを取材して、おそらく全国的にやったんではないかと思う。調査がどうなっているかということは、あなたのほうでは絶えず連絡をとっておやりになっていらっしゃるんだろうから、衛生部長名でそういう通達があったか、あるいはなかったか。少なくともNHKによってそのことが報道されたというこの事実から考えても、あなたのほうでは、もう少し実態をつかんでおられるのではないかと思うんだが、どうなんですか。
○橋本(道)説明員 そのお話を申し上げます前に、私どものとっておりますルールを申し上げたいと思います。 調査研究班は行政が直接タッチするものではございません。全く調査研究班の学者の先生方がやられまして、その実施にあたって行政が協力すべき点は協力するという形をとっております。そういうことにおきまして、この調査研究班の成果といいますのは、純粋に調査研究班自身が取りまとめをいたしまして、私どもは委託契約を結んでおりますから、委託契約の報告書を厚生省に出していただいたあとは、その先生方が学会に発表するのも自由でございますし、私どもが委託契約としていただいた報告書は全部公開をいたすということを公害行政の原則としております。委託契約の規則によって出していただくまでに、あちこちにぱらぱら漏れていろいろなことをやるというのは考えも何も整理されておらないということで、委託契約後は完全な公表をいたしておりますので、秘密主義という点につきましては、私は時間が少しずれているということについての一つの誤解ではないかと思います。現地におきまして、私はNHKの対馬の記者クラブの方には全部会いまして、はっきり申し上げましたのは、六月中には全部まとめて、全部まとまればこれは完全に公開する、対策としては七月の中旬に厚生省として打ち出す、そういうことでございますので、秘密にするということは毛頭ございません。
○中村(重)委員 秘密にしないんだったらこれはそれでよろしい。だけれども、私の聞いておるところでは、五月末に調査を終わっている。現地にもそのことが伝えられているということですから、私は六月末までかかる必要はないであろう。一カ月たちますと、非常な疑心暗鬼というものがやはりありまして、地域住民は不安の中に生活をしなければならぬ。ちょうど武藤さんが公害部長であったとき、私は、調査が急速に行なわれていかなければ、そして調査の結果がまとまったならば早く公表しなければ、住民に対して大きな不安を与えるからということを注意を促したことがあるのですよ。ですから、一カ月待たないで、ひとつ早く調査結果を事実のまま公表するということにしてもらわなければならぬと思います。もう一度、いつごろ調査結果を公表するか、そのことをひとつ伺いたい。 それから、橋本局長に、対馬の対州鉱山の問題、保安面、鉱害対策ということでは完ぺきであるというようにあなたからお答えになったのですが、このように、いつまでもだらだらしたような形になりますと、依然としてあそこの鉱害対策というものが何かやはりうまくいってないのじゃなかろうかという不安が実はあるのではないかと思います。ですから、そこらについてその後対処したこと、またあなたの確信のほどを、あとでひとつ——あなたのほうから先にお答え願ってもけっこうです。
○橋本(徳)説明員 対州の問題につきましては、一昨年来いろいろ問題になっております。それで特に最近におきまする水の調査、これは昨年の暮れにやっておりますが、基準点をはるかに下回っております。ところがいろいろ調べてみますれば、先生御存じのように、あの辺にズリその他もいろいろありますので、さらにそういったものの施設改善というふうなことで、昨年、四十四年度、五千九百八十八万円投資しましてさらに改善をはかっております。 それから同時に、昨年来の問題になっておりまする昔の旧ズリでございますが、あの上に部落がある。われわれよくわからないけれども、これが何らかの危険にさらされておるのではないか。そういったものに対してひとつ県として案を出してほしい、それによって中央で協力すべき点は協力をしたいということで、昨年来申し込んでおりましたが、最近長崎県のほうから報告が参っておりまして、結局あの上の部落で水を飲むということが一番問題なんで、その水については、かつては鉱山用の専用水道から取っておったが、最近町営水道ができておるので、水は飲んでないからその点はだいじょうぶ。ただ、野菜、こういった点にいろいろ問題がありはしないかというふうなことから、長崎県、農林省ともいろいろ話をいたしまして、現地におきまして試験田をつくり、その試験田によっていかなる方法を講ずるか。たとえば石灰等を散布することによってカドミウムの従来の蓄積が除去されるかどうかとか、あるいはもしそれでできないならば、客土その他の方法をどうすればよいかという試験田を現在つくって試験をやっておるというふうな報告が実は来ておりまして、こういったものには若干の時間は要するかと思いますが、できるだけの対策はとっておる次第でございます。
○橋本(道)説明員 結果につきましては、六月中には間違いなく全部のものを公表いたします。それによりまして、私どもとしての対策を明らかにいたしたいと思います。この点につきましては、私どもは、地元の方が非常に御不満を持っておられるということを一この間参りまして精密検査を受けましたほとんどの人に、一人一人会いまして、いろいろな苦情を全部承りました。また、地元の部落会の方とお目にかかりまして、約二時間にわたりお互いに腹を打ち割ったお話し合いをしまして、私の話をしたことは、全部現地の録音に入っております。 そういうことでございますので、決して厚生省は秘密にするということではございません。ただ、従来慢性カドミウム中毒というものが医学の分野で経験されておりませんでしたので、どういうぐあいにその人に説明するかという点について、昨年までは、学者の中でも、あるいは厚生省でも困っておったわけでございます。しかし、本年は相当の研究の蓄積を見ましたので、これによって、悪いものは悪い、いいものはいい、これはどういうぐあいにするかというようなことを明確にいたすということを、現地ではっきりお約束をいたしておりますので、その点については、六月末の公表と、おそらく七月の中旬になると思いますが、それに対する厚生省の対策というものは、はっきり公表いたしたいと思います。 ————◇—————
○武藤委員長代理 この際おはかりいたします。 先般、日本万国博覧会の運営について実情を調査するため委員を派遣いたしましたが、派遣委員からの報告書が提出されております。これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕 —————————————
○八田委員長 四時三十分から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。 午後二時四十七分休憩 ————◇————— 午後四時四十八分開議
○八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。加藤清二君。
○加藤(清)委員 私は、この際委員長のお許しを得まして、ただいま世間を騒がしておりまする日米繊維問題の件についてお尋ねしたいと存じます。 すでにけさほど来、同僚委員の皆さんがるる御質問になっていらっしゃるようでございます。それを集約してみますると、この二国間の協定を結ぶか結ばぬかという問題ではなくて、質問者の意見は一致しておる。結ぶべきではない、なぜ無理して結ばなければならないのであろうか、こういう疑問が残っておるのですけれども、意見は一致しておる。結ぶべきではない、このような状況でございます。一歩進みまして、もし結んだとしてもそれは効果がない。効果がないのみならず、これはたいへんな悪影響を及ぼすものである。その悪影響は、日本国はもちろんでございまするが、アメリカ国もまた、日米の繊維の貿易交流が自由に行なわれることよりは、二国間協定によって制限をされるほうがインジュリーが多くなる、私はこういう材料も持ち、そういう信念でお尋ねをいたします。 最初にお尋ねするんですが、けさ新聞が一面トップに大きく取り上げております。通産大臣御案内でしょう。アメリカとの協定が結ばれたその後において、それと同じ協定をカナダと日本でも結ぶんだ、そういう約束をカナダのトリュドー首相が佐藤首相に取り付けたと、国へ帰ってから御報告になったようでございます。通産大臣は当該関係の責任大臣でございます。この問題について、佐藤総理からおそらくや御相談もあり、あなたもこれに対して意思の表明をなさったことと存じまするが、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 けさほども申し上げましたように、いろいろ質疑応答をごらんいただいたそうでございますから詳しくは申し上げませんが、当時私はたまたま不在でございましたので、存じませんでした。 なおそこで、けさほどにつけ加えて申し上げられますことは、先ほど総理大臣と一時間ばかりいろいろお話をしてまいりまして、そのことについて総理大臣は、トリュドー首相と繊維について話したことはないと言っておられます。
○加藤(清)委員 トリュドー首相と話し合ったことはないと佐藤総理がお答えなさったんですか。それはいつの話でございます。
○宮澤国務大臣 つい一時間ほど前でございます。
○加藤(清)委員 つい一時間ほど前——はい、もう一度確認いたします。新聞はこれほど書いたけれども、つい一時間ほど前の佐藤総理、宮澤通産大臣の会談において、佐藤総理はそのようなことはなかったと本日の新聞記事を否定なさったんでございますか。もう一度念を押します。
○宮澤国務大臣 新聞記事を特に進んで否定をされる意図があったかどうかは存じませんが、自分はそういう繊維の話をトリュドー首相としたことはないというお話でございました。
○加藤(清)委員 それでは、一つの事象に対して同じ時刻に、日本の総理とカナダの総理の発言が食い違っておるわけでございますね。食い違っている。いずれが正しいと通産大臣はお考えでございますか。
○宮澤国務大臣 日本の総理の発言が正しいと考えます。
○加藤(清)委員 外務省来ておられますね。——かかる事態が発生した場合に、外務省はいかなる措置をとられますか。
○鶴見説明員 けさほどの新聞の報道がございましたので、さっそく現地のほうに、どういうことなのか調べるように訓令をいたしております。
○加藤(清)委員 新聞記事を見てではなくて、すでにこのことは前からわかっておったはずである。外務省としては前からわかっておらなければならないはずである。なぜかならば、トリュドー首相はきょう発表したのではない。在カナダ日本大使館に対していつ訓令を出されました。
○鶴見説明員 先ほどお答え申し上げましたように、本日訓令を出したわけでございます。
○加藤(清)委員 本日はわかった。本日の何時にでございます。
○鶴見説明員 何時と申しますか、私がきょうの午後その電報を発電するのに決裁をいたしました。
○加藤(清)委員 その答えはいつ返ってまいりますか。
○鶴見説明員 先方ではいろいろと問いただすこともございましょうから、いま直ちに断定的にいつということを申し上げかねる点は、御了承願いたいと存じます。
○加藤(清)委員 在カナダ大使館とのいろいろのやりとりは、過去においてはどのくらいの時間を要しました。なぜ私がこういうことを押さなければならぬかと申しますと、どうも近ごろ政府みずから、特に外務省は食い逃げが多いからなんです。緊急発令の場合には、この電報はそうたいしてかからないはずなんです。飛行機で飛んでいったって、二日も三日もかかるはずはありません。電信電話が今日こんなに発達しているときに、そんな時間がかかるはずはない。皆目わからぬなんということでは承服できない。いつ返事が返ってきます。
○鶴見説明員 先生も御存じのとおり、外務省の電信のやり方には、大至急とか普通のやつとかいろいろございます。本電は大至急で打っておりますので、出先のほうといたしましても、これを受けて大至急に処理して、なるべく早く返事してまいると存じております。
○加藤(清)委員 それは二、三日と受け取ってよろしゅうございますか、なるべく早くは。
○鶴見説明員 二、三日になりますか、あるいはもっと早いかもしれませんけれども、その点は必ずしも現在の段階では断定的に申し上げられない。その点は十分御了解いただきたいと思います。
○加藤(清)委員 では、二、三日よりももっと早くなるかもしれぬというお答えを了としまして、私はあすも国会で待機いたしておりますから、その返事が参りましたらぜひひとつ。きょうの質問でございまするから、きょうの質問の答弁はきょういただきたいところでございますけれども、これはやむを得ません。あすまで待ちまするから、あす、あさっての間、少なくとも今週中に御答弁をいただきまするよう委員長に要望いたしておきますから、委員長からよろしくお願いします。
○八田委員長 さよう取り計らいます。
○加藤(清)委員 それでは次に進みます。法制局来ておられますか。——ちょっと前へ出ておってください。 国会の決議とはどんな権能を有するものでございましょうか。私の過去の経験からいけば、法律に準ずるものと心得えておりまするが、いかがなものでございましょうか。
○真田説明員 お答え申し上げます。 御質問の趣旨がやや受け取りにくい点もございますけれども、私のほうとしては、決議の法的な拘束力といいますか、法的な効力があるかないか、イエスかノーかというような観点からお答え申し上げたいと思います。 御承知のように憲法には七十三条に、内閣は法律を誠実に実施しなければならないという義務が書いてございますので、法律についてはもとより法的な効果といいますか、政府に対する拘束力があるわけでございますが、決議につきましては、特にそういう意味の法的な効果はないというふうにいわざるを得ないと思います。ただ、国の最高機関の一翼である議院、衆議院なり参議院が決議案を可決されました場合には、その趣旨を十分尊重して、なるべくその実現に沿うようにできるだけの努力をしなければならぬという政治的の姿勢は当然ある、尊重しなければならぬという政治的な要請は働くというふうに考える次第でございます。
○加藤(清)委員 決議の趣旨を尊重して、これを誠心誠意実行に努力するということは、あの決議の際に総理大臣も答弁に立っておられるところでございます。 そこでお尋ねしますが、それに内閣、行政府等々が違反した場合はどういうことに相なりますか。
○真田説明員 各議院において可決されました決議の内容を、政府が尊重しないということはないことだろうと存じますけれども、かりに、仮定の問題といたしまして、全然決議の内容を尊重しない、一顧だに与えないというようなことがあれば、それは当然政治的な責任の問題になると思います。ただ、それが違法だとか無効だとかという法律問題ではないということだけは、先生も御了解いただけるだろうと思います。
○加藤(清)委員 これは私が申し上げる必要がないでしょう。釈迦に説法だろうと思いますが、御案内のとおり憲法六十五条には「行政権は、内閣に属する」六十六条には、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」とあるわけであります。同時にまた九十八条では、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、」だけじゃございません。「命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」憲法九十八条でございます。私の言っていることに間違いがございますか。
○真田説明員 憲法にただいまお読みになりましたような条章が設けられてあることは、そのとおりでございます。
○加藤(清)委員 ゆえに、今度の協定が決議に違反して行なわれたりすれば、憲法違反の疑いが発生し、公務員法違反の疑いが発生するのは当然でございます。また業界は、こぞってこれに対して反対をいたしております。この問題はあとで触れますが……。これは国民の求めている声に行政府が反するということである。特にまた、アメリカの声は聞くけれども日本の声は聞かないということになりますと、これまた、公務員は公僕であって国民の前に平等な奉仕者でなければならぬ、という憲法の条章に違反するおそれがある。いわんや日本の国の国民の声はそっちのけにして、アメリカの声だけを聞いたということになりますと、もはやその公務員は、日本の国の公務員としては資格を喪失すると断ぜざるを得ないのでございます。 そこで、一歩進めまして、もししいてこれを行なう場に合は、どのような手段、手続、方法をお考えでございましょうか、通産大臣にお尋ねする。
○宮澤国務大臣 非常に深遠な法律論は、どうも私のえてとするところではございませんので、ごく常識的に申し上げますが、内閣が国会の決議を尊重しない、決議を無視したような行政をするということは、これはもうわが国憲法そのもののたてまえからそういうことは想定されないことでございますから、国会の決議の趣旨というものは、常に行政の中に大切なものとして取り入れられていかなければならないと思います。 次に、業界の——これはいま一般論でおっしゃっておられますから、私は繊維業界というようなことを申しません。一般に業界の云々というお尋ねでございますが、これは私ども国民全体の利益に奉仕をする立場でございますから、特定の業界ということよりは、国民の全体の利益というものをやはり大事に考えていくべきものかと思います。
○加藤(清)委員 でも、国会の決議があり、憲法の条章に違反するおそれありといえどもなおやらなければならない場合に、どのような順序、手だてと手続がありましょうかとお尋ねしておる。
○宮澤国務大臣 私は、法律論はえてでございませんので、いまのようなことはおそらくないのではないかと思います。
○加藤(清)委員 公務員の立場といい、内閣の立場といい、国会の決議は尊重する、違反はしない、こうお答えですね。これはさきの国会と同じ答弁で、それはそれでけっこうです。しかし、なおきのう、きょうの新聞によりますと、きのう四者会談があった、十八日にはめどをつけて何がしのことをしなければならない、こういうことでございまするが、もし国会の決議に反する行為をあえてしなければならないときは、これはもう一度国会で審議をし直して、決議のし直しをする必要があると思いまするが、これはいかがでございますか、法制局。
○真田説明員 先ほども申し上げましたように、法律ではなくて、各議院、参議院または衆議院の決議の問題でございますので、それを尊重するというのは政治上の、政治的な姿勢としての問題でございますから、法律論にはならないというふうにお答えせざるを得ないのじゃないかと思います。
○加藤(清)委員 では、法律論でなくて、具体的にお尋ねしましょう。 国会で決議したことについて当然それを尊重し、それを実行に移すと述べておきながら、内閣ないしは公務員がそれに反する行為をあえて行なっても、それを合法的にするには、もう一度委員会でそれと反対な決議をすれば、これはある程度合法的である——是非善悪を言うておるのではない。手続、順序をお尋ねしておる。その必要はあると思います。やりたい場合には、違反することでも何でもそのままほおかぶりして、休会中にかってなことをやればよろしい、こういうものでございましょうか。常識的なお尋ねでございます。
○真田説明員 仮定の問題といたしまして、衆議院または参議院における決議の趣旨、内容と違う行政措置がとられて非常に困る、どうしたらいいかという問題だと存じますが、もし決議の内容どおりのことをもって政府を拘束したいということであれば、それは法律を制定していただくということに相なろうかと思います。あるいはまた、内閣に対する政治的な不信任の理由として取り上げるということも、これはもちろん理論の問題としては可能でございます。 あと、決議のやり直しをすべきかどうかということは、これは各議院のおきめになることでございまして、私のほうで、そうすべきだとか、しなければならぬということを、お答えする筋ではないというふうに考えます。
○加藤(清)委員 いみじくもおっしゃられました。これは内閣不信任の原因になる。公務員一人一人ならばいざ知らず——一人なら罷免すればよろしい。しかし、内閣全体がこれに違反をした場合には内閣不信任の原因になる、当然のことでございます。それだけ聞けばけっこうでございます。 それで、あえて本件を強行することによって、内閣不信任を受けて立つ覚悟がございますか。
○宮澤国務大臣 国会の御決議の基本とされるところに違背をするつもりはございませんので、よもや不信任をちょうだいするとは考えておりません。
○加藤(清)委員 もう一つだけだめ押しをしておきます。いまの通産大臣のおことばからいけば、あとこれから申し上げようとすることは全く、だめ押しでございまするが、もし一、政府が決議に違背して行なった行政措置並びに行為のために、それから損害を受ける者が発生した、たいへんな損害を受ける者が発生した場合に、その損害の賠償を受けて立つ覚悟、準備ができておりますか、おりませんか。なぜかならば、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」と、憲法は十七条におごそかに規定しております。受けて立つ勇気がなければできぬことでございます。いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねは、法律論のお尋ねのようでございますから、不法行為がございましたときには、憲法の規定に従って損害の賠償をいたさなければならぬことと思います。
○加藤(清)委員 私は、いま国内憲法を基本に質疑をいたしましたが、今度は国際法の関係についてお尋ねいたします。国際的にはこれは一体どうであろうかという点について法制局にお尋ねいたします。 国際法と国内法とが、同じ問題について同じ時期に競合した場合に、いずれが優先するのでございましょうか。この問題は、過去、衆議院の予算委員会において、本会議において、あるいはこの本委員会において、何度も論議された、言い尽くされた問題でございます。したがって、国会においてはもはや定説に相なっていると言うても間違いないと思いますが、この際念を押して聞いておきます。
○真田説明員 条約と国内法との効力の問題に関しましては、すでに御承知のとおりいろんな学説がございます。大きく分けまして二つに分かれると思いますが、一つは、いわゆる一元説といわれるものであり、いま一つは二元説といわれております。 二元説というのは、条約なり国際法は、国と国との間の関係を規律するものである。それに対しまして国内法は、国内問題として国家と国民の間、あるいは国民相互間の事柄を規律するものであって、条約と国内法とはそれぞれ規律の対象、体系が違うのだから、かりに相抵触する内容の国際法と国内法があっても、どちらが優越するか、どちらが負けるかという問題にはならないというのが二元説でございます。 一元説というのはこれと異なりまして、国際法も同時に国内法としての効力があるという説でございまして、この説によりまして申し上げますと、相抵触する内容の条約と国内法が並存した場合には、国内法の効力としては矛盾、抵触いたしますので、どちらが勝つかということがそこで問題になるわけでございます。現在のわが国におきましては、いまの二つのケースのうちの一元説がとられているということが通説であると私、存じます。一元説のうちで、では条約と国内法とどちらが勝つのかという優劣の問題といたしましては、条約優位説がとられているというふうに存じます。
○加藤(清)委員 通産大臣、お聞き及びのとおりでございます。国際法学界においては二元説と一元説と二通りの学説があり、しかし二元説は、独立国が多くて交流の少なかったときの過去の遺物である。今日ではほとんど先進国は一元説をとっている。その一元説とは、国際法と国内法が競合した場合においては国際法を優位と認める、大体こういうことですね。 そこで、あなたが一番心配しているところのミルズ法案ができた場合、一体国際法とどういう関係が発生してくるか。あるいはあなたがミルズに脅かされて、それこそ平家の落ち武者が富士川の水鳥の羽音に驚いて逃げ去っていくよな態度をとられて、二国間協定を結ばれた場合に、この二国間協定は、一体現在行なわれている国際法と対比した場合に、どういう結果になるかということが問題になってくるわけなんです。 そこで、最初にお尋ねすることは、LTAとこの問題、本件と——本件とは、いまあなたがしようと直面していらっしゃるこの日米新繊維協定、これは相矛盾するかしないか。私は、LTAの第一条と第六条にすでに書かれていること、すなわち、このLTAは本品だけに限るものであって他には押し及ぼさない、こういう固い約束——大体法律の第一条というものは、その趣旨が書かれているはずであります。その趣旨に反するものであると私は断定すると同時に、このLTAの関係諸国が全部それを認めて調印しているところでございますが、通産大臣は否定なさいますか。
○宮澤国務大臣 ちょっとお尋ねの御趣旨があまり精緻過ぎてよくわかりませんが、おそらくLTAの一条にはああいうことを言っておるので、そこで綿製品以外のものについて同じような話が起こってくるのは、LTAの一条にきめておることと違うではないか、概略そういう御趣旨かと思いますが、私どもその点はしばしばアメリカに対して申しておるところでございます。
○加藤(清)委員 もう一つの国際法、日米の間に結んだ国際法、すなわち日米友好通商航海条約、これは前文もしかりでございますが、各条にわたって、この条約を結ぶ二国は内国人と同等の待遇を与えるという趣旨をうたっております。内国人と同等の待遇を与える。またの条章は最恵国待遇を与えると相なっております。それなるがゆえに、それを守って、その線に沿って、日米間のむずかしいといわれている資本の自由化までがいま前進しつつある最中でございます。そういうやさきに差別待遇、アメリカ産の繊維製品と日本産の繊維製品がアメリカの国内で差別を受ける。あるいはまた、アメリカ産の小麦が日本へ輸出されてくる、石油が輸出されてくる、鉄鉱石が輸出されてくる、綿の材料コットンが輸出されてくる、その場合に、日本国内において国産品と差別をされるということは、これはとらざるところである。日本もとらないところである。日米友好通商航海条約と今度あなたがやろうとしている問題は、同じ時点において同じ品物が競合する——品物じゃなくて国際法、すなわち、友好通商航海条約と今度あなたがつくろうとしている二国間協定とは競合する。その際に友好通商航海条約のほうが優先すれば、つくっても効果がないではないか。冒頭に私は申し上げましたが、国内憲法のたてまえからいっても、つくっても効果はないではないか。国際法の立場からいっても、優劣を比べたら負けるではないかと申し上げておるわけでございます。私の言うておることが間違いでございましょうか。国際法学者の定説でございます。
○宮澤国務大臣 いまのお話は、いよいよ私に論点がはっきりいたさなくなりましたが、いま繊維ということがございますから、私があまりお答えしたくないことがいろいろございます。と申しますのは、私はアメリカの立場を弁護したいとあまり思っておりませんので、それで一般の法律論としてお聞き取り願うとすれば、いまのような場合ですと、後法優位ということになるのではないかと思います。つまり、一つの条約があり、後に新しい条約ができたというときには、後の条約が優位になるのではないかと思います。つまり、新たなる合意と認めるということではないかと思いますけれども、これは繊維の問題には何も関係ない法律論でございますから、どうも私の知識はその程度しかございません。
○加藤(清)委員 おことばを返すようでまことにおそれ入りますが、私の言わんと欲している基本は、国内法でいけば、一般法よりは憲法が優位に立ち、法律と条例であれば法律が優位に立つ。国際法でいけば、国際法のほうが優位であって、条約のほうが下位に属する。したがって、言うなれば基本法、母法にもとったり競合するようなものをあとからつくるという、そのことがあやまちであると申し上げているわけでございます。おわかりになりませんか。おわかりにならずにこの協定を結ぼうとしていらっしゃるとするならば、これは重大でございます。いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 実はよくわかりませんのですが、ただいま国際法と条約ということを言われまして、先ほど通商航海条約とおっしゃいました。通商航海条約は条約でございます。そこで、いま私どもは日米間で何か条約のようなものを結ぼうとは実は思っておりませんけれども、新しい何か条約でも何かのことである、それと通商航海条約との関係は、古い条約と新しい条約という関係だけになってしまうのではなかろうかと思います、それは同じ両者間で合意がある場合には。
○加藤(清)委員 宮澤さんは官僚のうちでは一番おつむのよろしいお方だと私は今まで尊敬しておったわけなんです。そのお方が理解ができないということは、私の頭が、私の表現がよっぽどへたか悪いかということなんです。しかし、どんなによい人でも間違えることはあるし、どんな悪い者でも思い込めた一念というものには間違いのないことが多いのです。 先ほど来申し上げました、国際法と国内法とが競合した場合に国際法が優先するではないかと言ったことは、ミルズ法案ができた場合にいずれが優先するかというところにポイントがあるわけなんです。おわかりかね。日米友好通商航海条約は、内国人と同等の待遇を与え、しかも最恵国待遇を与えるというているにもかかわらず、ミルズ法案は日本の製品に対して、内国人と同等の待遇とか最恵国待遇を抹殺するの法律である。いずれが優先するかということを国際司法裁判所に提起された場合には、過去の法律論争で明らかである。すでにこれはコットンの協約の初期において、アメリカの南部諸州の州法が禁止しているからいけないというクレームをつけられたことはあった。日本のコットン、シルクをアメリカへ輸出する場合に、なぜ日本のコットン、シルクは制限を受けなければならないのかという問題が起きたときに、それは南部諸州の州法が反対しているからいけないんだというお答えが時の通産大臣からあった。そこで業界はアメリカの裁判に訴えた。その結果は、日米の友好通商航海条約が優先するという結論になった。それはいま法制局がおっしゃったことと同じことで、一元説をとっているからです。 なぜこんなことを言わなければならないのか。それはあまりにも日本の今日の政府がミルズ、ミルズと、事ごとにミルズが何か最高優先で金科玉条のもののようにおっしゃられるから、それは心配要らないことであるという法律的根拠と前例を申し上げたわけでございます。私の言うておることが間違いでございますか、通産大臣。
○宮澤国務大臣 私は、ミルズ法案というものを別に弁護したくありませんので、このお答えはあまり進んでしたくないことでございますけれども、ただ法律論として考えますと、かりにミルズ法案というものが法律になる。そういたしますと、それと日米通商航海条約との関係がどこが問題になるだろうかと考えますと、内国民待遇云々が問題になるのではない。何となれば、これはもう関税でも何でも内国民待遇というものは問題にならぬわけでございますから、そうではなくて、最恵国約款のところが問題になるのかと思われます。ということは、ミルズ法案が特定の国に対してのみ適用されるということでありますと、それはそのようなことになるのではないかと思います。しかし私は、ミルズ法案が特定国のみを対象としておるかどうか存じません。法律としてはそうではないという構成をとっておるのではないかと思いますが、そうなれば、いまの問題は起こらないのではないかと思いますが、しかし、あまりミルズ法案の弁護をするような結果になりますのはおもしろいことではございませんので、法律論としてはそうかなと思うだけでございます。
○加藤(清)委員 私は、この問題で論争したり、あるいはあなたのことばじりをとって時間をかせごうとは思いません。こういうことはすでに定説になっているのですから。ただ、それを認識しているかいないかの相違である。しかし、いま聞いてそのままほうることのできないことは、ミルズかミズルかどっちか知らぬけれども、その声に驚いて、これが一番の、ねばならないところの根本原因のようにおっしゃっていらっしゃった。政府みずからの責任者が、その内容が二国間のものであるか多国間のものであるかがわからないとおっしゃっては、これは聞き捨てならぬです。内容をわからずに驚いてみえるのですか。そうなれば、ますます水鳥の羽音に驚く平家の落ち武者ということになる。いかがでございますか、これは。
○宮澤国務大臣 実は、ちょっと遠慮して申し上げましたので、ミルズ法案は、一定の条件があるときには、そういう国からの輸入についてクォーターをしくという権限を大統領に与えるものと考えますが、それは特定の国を、他の国に対して差別待遇するという趣旨ではないというふうに私は思っております。
○加藤(清)委員 そうすると、これは多国間に押し及ぼす、こういうことでございますか。
○宮澤国務大臣 多国間という表現はおそらくは適当ではなくて、法律の定める一定の要件を満たした場合には大統領はかくかくすることができる、こういうことであると思います。
○加藤(清)委員 逃げてはいけません。一番大事なところをごまかしてはいかぬ。そんなことでごまかされて引っ込む気だったら、私は質問に立たない。外務大臣はきのう私の質問に対してこう言っておられる。きょうの朝日は大きく書いている。朝日だけじゃございません。毎日さん、読さんから中日さん、繊研さんから日本繊維新聞さん、全部書いている。きのうの私の質問に対して外務大臣はどう答えたかというと、まず暫定である、暫定で妥結し、それ以後の規制は切り離す、こういう意味のことを言っておられるのです。つまり暫定暫定で、短い期間だからしんぼうせい、納得せいという意味があったのでしょうけれども、あくまで暫定妥結、それは包括規制とこう言っておる。暫定、包括規制は多国間ですか二国間ですか、聞く必要はないわけなんです。これは二国間。だからぼくは、いまのミルズ法案と日米友好通商航海条約を比較せざるを得ぬことになったわけだ。けれどもあなたが、当のあなたが、ミルズ法案は多国間か二国間かわからないとおっしゃるならば、これはまた別な角度からお尋ねせなければならぬが、これは一体どっちなんです。閣内不統一では困るのです。
○宮澤国務大臣 御質問が非常にとらえにくいのでございますけれども、どういうことなんでございましょうか。ミルズ法案というものは、私はこれを弁護するのはまことに不愉快きわまりないことですが、何も日本を特に名ざして、これに対してだけ何か規制しようというものではないと思っております。
○加藤(清)委員 一つ一つ聞いていきましょう。しからば二国間ではなくて、多国間に押し及ぼす、こういうことでございますね、ミルズ法案は。
○宮澤国務大臣 それは多国間ということばで言われますことが正確でないと思いますので、一定の要件を満たす国がなければゼロ国でありますし、複数あれば複数国であるということだけのことと思います。
○加藤(清)委員 では今度、それから発生して出てくる日米の繊維規制の協定は二国間ですか、多国間ですか。
○宮澤国務大臣 日米の繊維規制の協定というのは何でございますか。
○加藤(清)委員 いまあなたたちが用意して、四者会談をやられて、十八日までに案をつくって向こうに示そうと用意していらっしゃるそれは、二国間ですか、多国間ですか。
○宮澤国務大臣 協定をつくるつもりはございません。
○加藤(清)委員 協定という名前がいけなければ、日本の繊維製品の輸出規制と言うておきましよう。
○宮澤国務大臣 よく御存じのとおり、業界に自主規制をしてもらえないかということを言っておるわけでございますけれども、それを踏んまえましても、日米間の交渉というものは、これは主要輸出国が同じような措置をとるということが前提になる、こう申しておるのでございます。
○加藤(清)委員 主要輸出国が平等に扱われることが前提である、これでいいですね、そこまでは。ところが、あなたが業界に向かっていま盛んに説得工作をしていらっしゃるのは、日本の業界だけでしょう。台湾とか朝鮮とか香港とかの関係輸出国の業者に向かって、何かサゼスチョンなりプッシュなりなさったことがありますか。ないでしょう。だから、あなたの努力は日本とアメリカとの関係なんでしょう。どっちなんです。
○宮澤国務大臣 私は日本政府の役人でございますので、日本の業界と話をしておるわけでございますが、そのときに、かりに日本の業界が自主規制に応ずるというときには、それは同時に他用の、主要輸出国の業界が同じような措置をとるということがもちろん前提になり、かつ、同時に行なわれるということでなければならない。それがわれわれが米国とこの問題を話し合っている一つの基本的な条件であるということは、業界もよく御存じでございます。
○加藤(清)委員 あなたのいまのおことばがほんとうであれば、これは業界が、いや、本委員会の委員の皆さんがいままで述べておったことと同じなんです。それならば当然ガットでやりなさいということになる。ガットの場でやれ、多国間であれば——多国間ということばが聞きにくいとおっしゃるならば、関係輸出国と言うておきましょう。アメリカへの関係輸出国は多国である。だから日本とアメリカだけの問題じゃない。関係輸出国全体に押し及ぼされるべき問題であるとあなたがおっしゃるならば、なぜ日本だけが急がなければならぬですか。なぜガットの場でおやりにならぬですか。なぜガットの事務局長、ロングさんですかショートさんか知らぬけれども、ロングさんはなぜ、日本とアメリカだけが先に手を結ばなかったら、この問題で先に妥結しなければ、ガットがくずれるなんというあほうなことをおっしゃるのですか。いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 自主規制ということは、これはガットのワク内の話ではございませんから、本来のガットにはなじまないものであります。でございますから、先ほどのように申し上げておるわけです。
○加藤(清)委員 そんな答弁では承服できません。自主規制とはガットの場になじまないものである、それはことばは額面どおりそのとおりでしょう。国語学的に解釈すれば、それはあなたのおっしゃるとおりでございましょう。しかし、それじゃ別の立場に立って、別な立場というより別な方面からお尋ねをいたしてみます。 一体、アメリカと日本とだけの妥結を、なぜそんなに急がなければならぬのですか。関係輸出国全体の関係であるというならば、なぜアメリカも日本と同様に——ガットの場まで通産大臣を呼び寄せて、そして耳打ちしたりしなければならないのですか。なぜアメリカは平等に扱わないのです。なぜ日本だけが先ににらまれるのです。
○宮澤国務大臣 私は、アメリカにガットの場に呼ばれたことはございません。
○加藤(清)委員 多国間ということばがあなたはきらいなようですから、もう一度言います。アメリカ側は関係輸出国一般にこれを押し及ぼそうとしている。しかし、あなたは早く結ばなければいかぬ、早く結ばなければいかぬ、日本とアメリカは早くやらなければいかぬ、早くやらなければいかぬというので、私はまた、アメリカのサゼスチョンがあった、プッシュがあったと思いきや、そうではなくて、あなたみずから好んで行ったんですか、この間パリへ。あるいはガットのロングさんにお会いになっていらっしゃるようですが、あなたみずから好んで行かれたんですか。はしなくもしっぽが出ましたね。順番にしっぽが出てきますよ。
○宮澤国務大臣 パリにはOECDの閣僚会議に出席のために参ったわけでございます。それ以外何もございません。それからアメリカと日本とが先に交渉を始めたことにつきましては、けさほどもお尋ねがございましたから申し上げましたのですが、日本の総理大臣とアメリカの大統領が、ともかくこの問題については互譲の精神で善処をしてみようではないか、たまたま現在ジュネーブで交渉も両国間で行なわれていることなので、それを詰めていこうではないかという、そういうお話から始まったことでございます。
○加藤(清)委員 OECDが主たる目的であったそうでございますが、あなたがお帰りになって羽田で御発表になったことは、OECDの問題ではなくして、この二国間の繊維協定のことがクローズアップされているし、あなたの答弁もまたそこに集約されていたようでございます。おのずから世間の見る目がどこに焦点があったか、あなたの今度の目的がどこにあったかは、これをもってしても推定にかたくはない。 話がそこに進みましたから私はお尋ねいたしまするが、あそこでロングさんとお会いになったようでございます。ロングさんはあなたに何をどう言われたのです。もうすでにこれは新聞発表にあることでございます。新聞発表が正しいか、うそかを確認する意味において、お尋ねいたします。
○宮澤国務大臣 これもけさほど申し上げましたので、それを御参酌願いたいと思うわけでございますけれども……。
○加藤(清)委員 それでいいです。わかりました。 それではあなたにお尋ねします。ロングさんと何回お会いになりましたか。
○宮澤国務大臣 二回ほどだいぶん長いこと話をいたしました。
○加藤(清)委員 一回はパーティ、一回はどういうかっこうでございましたか。
○宮澤国務大臣 OECDの閣僚会議では、ほとんど毎晩ディナーのようなものがございまして、そのあとには、御承知のように相当時間がございいまして、そういう場合での話でございます。
○加藤(清)委員 おっしゃったとおりでございます。パーティの会合と夕食の会合でございます。公式文書をお見せいただきたい。
○宮澤国務大臣 公式文書と言われますのは、何の公式文書でございますか。
○加藤(清)委員 ロングさんがあなたに切にお頼みになった、見るにたえなかった。見るにたえぬというよりは、同情にたえぬと言ったほうがいいでしょう。そういう意味の表現。だから聞かざるを得なかった、だから急がなければならぬ、こうなっておるわけです。そこで、ロングさんがあなたにそう言われた以上は、一ぱい飲んだ席で、ようよう君、こういうことだから頼むよと言って、あなたがそれほど感激して帰ってこられたのか。そうじゃないでしょう。あなたも向こうも国際上の重要なポストにいらっしゃる人だ。しかもその人の言うことを聞かなければならぬ。国内にはこれほど反対がある。業界も反対している。国会も決議している。それをあえて押し切ってやらなければならぬというほど重要であれば、これはりっぱな書類か何かあったでしょう。そうでなければ、耳打ちされたくらいで、あなたのようなおつむのいい人が、そう簡単に動くようなことはありません。いかがです。
○宮澤国務大臣 けさほどお答え申し上げましたことをごらんくださると、そういうお尋ねはないはずなのでございますけれども、ロング氏は何も日本に同情しておるわけじゃないのです。この問題について長いこと見ておったが、そうして日米両国にいろいろ言ってみたけれども、どうしてもなかなか片づかない。自分としては個人的な資格であるけれども、こうなればガット体制の崩壊につながるものであるから、仲介に出ざるを得ない、こう言ったわけでございます。私も政治をやっておりますから、ことにそういう非常にデリケートな面で、ロングという人のガットにおける立場も察してやらなければなりません。何もそれを書きつけでもらってこようというような根性は、私は持っておりません。
○加藤(清)委員 業界がこれほど反対している。国会も与野党一致で決議している。それをおかせば法律違反、憲法違反の疑いもある。それはあなたは万々承知の上のことなんです。それほど重大な案件を、しかも別な目的で行ったその席の夜の晩さん会において、ちょいちょい言われたくらいのことで、それであなたは君子豹変して日本へ帰ってきて、いやじゃいやじゃという業界を説得しようという気持ちになられたのですか。そうじゃないでしょう。この席では言いにくいかもしれません。そこで私が言うてあげます。これは世間ではこう見ておる。実はもとは総理とニクソンとの秘密会談に始まっている。それを最初は前の通産大臣の大平君に言いつけた。ところが大平君は断わった。身がわりにあなたが通産大臣になられた。愛知外務大臣は、これはもちろん佐藤総理の言うなりになっている。しかし、事むずかしいからというので、官房がこれに加わってきた。大村官房副長官がこれに加わった。そこで原案ができた。今度のパリ会談は一体何であったか。中山大使も呼ばれている。中山大使がロング事務局長に日本から持っていった原案を泣きついて、ガットの名前をかしてくれ、日本の業界や日本の政界を説得するためにガットの名前をかしてもらいたい。そこで相手方は、それならばということで、日米間の問題が円滑にいかないとガットがくずれるおそれがあるということになった。つまり中山氏がそれを提案した。中山の作曲である。それをロングが編曲したのである。その編曲を宮澤通産大臣が日本へ持ち込んできて振りつけをしておるのである。私の意見ではございません。国際通のその筋の方々が軌を一にしておっしゃっていらっしゃることを、私はまとめて申し上げました。もしそうでないとおっしゃるならば、そうでない性格のものである、そうじゃなくてロングさんのほうから提案されたものであるとするならば、せめてメモくらいはあるはずなんだ。メモも何にもなしで、酒の席であるいは——酒と言っては失礼だ。夕食の席でちょいちょいと話したくらい。あなたとロングさんが正式に会われたのは二回だと報じておる。その二回だけの耳打ちでもって、国会の決議案をやったり、業界を困らせたり、そんなところまで、あなたの頭が幾ら鋭敏でもそんな急遽にいくものでございましょうか、疑わざるを得ない。疑うのは私一人ではない。何と御答弁なさるでしょうか。国民が期待して聞いております。
○宮澤国務大臣 耳打ちとおっしゃいましたが、そんなものではございませんので、めしを食いながら話したわけでもございません。これは事実を申し上げておきます。 その前に言われましたことは非常に基本的に大事なことでございます。だれかがロングの名前をかりて提案をしたか、そういう事実はございません。また、ちょっとお考えくださいましても、加藤委員であればおわかりいただけることですが、そんなことができるものではございません。そういう報道が一部にございました。非常に想像力にあふれた報道だとは思いましたが、そういう事実はございません。
○加藤(清)委員 ないならばけっこうです。私もそれを望みます。 それじゃあなたは、なぜ君子豹変してそんなにお急ぎでございましょうか。
○宮澤国務大臣 けさほども申し上げましたが、かなりの時間がたち、しかもアメリカでも、よい悪いは別として、国内法が準備されておるというような状況において、ロング氏としては、自分が預かっておるガットがもはやこのまま放置しておくと崩壊をするということを、真実心配をしておりました。そのことが、私もなるほどわかることであるというふうに考えたのであります。
○加藤(清)委員 急げ急げと理事さんのほうからのお話、要請でございますが、重大な問題でございます。カナダとだけでも一億ドルになんなんとする貿易量でございます。日本の繊維業界のことを思えば、そんな三十分や一時間でこれを解決するなどというようなことはできっこないことなんです。あなたはロングさんとでも数回会ったとおっしゃった。だから私どもとでも数回会ってもらいたい。ロングさんの意見だけに従う必要はないということがだんだんと明らかになるでしょう。 そこで急ぎます。なるべくけさの質問とは重複したところは避けていきますが、業界が同意しなかったらどうするかという質問が午前中に行なわれておるはずでございます。だから私はその答弁は求めません。すでに答えが行なわれているからです。しかし、これは業界が反対で政府が賛成で、それで一方的に政府のいうなりに実行に移したとすると、これはもはや自主ではないのですね。自主は自主でも、アメリカの自主であり、それに賛成した日本政府の自主ではあるかもしれないけれども、業界にとっては強制的ですね。一方的、ごり押しでございますね。一方的、ごり押しにして、公務員がなお無理を行なって業界に損害を与えた場合には、先ほど私が申し上げましたところの憲法十七条ないしは国際裁判所に訴えられるという問題が残りますね。これは自主ではないのですから。これはいかがです。
○宮澤国務大臣 業界がやらないものを政府がやるということはできないことでございますし、私どももそうするつもりはございませんかち、お尋ねの前提が成り立っていないと思います。なお同時に、自主規制というものはいろいろ各方面に過去にもございましたが、これは決してだれもみずから望んで喜んでやったものではございません。そういう意味で、自主規制という名前は私はあまり愉快な名前でないとかねて思っており、申しておるのですが、いろいろ考えて、それもやむを得ないかとして行なわれたものが、過去に行なわれた多くの自主規制であることは御承知のとおりでございます。
○加藤(清)委員 浦野理事の切なる希望でございまするから、こういう証拠物件も持っておりまするし、関係書類はこんなにたくさんございますし、まだたくさんございますが、委員長の趣旨に従うためにあと二問だけ、これも簡単にやります。 百歩譲っても、協定を急ぎ過ぎている、協定を結ぶ——協定ということばがいけなかったら、日本・アメリカ繊維製品輸出制限、この事実を急ぐ、形づくろうとしていることを急ぐ、そのことはあまりにも急ぎ過ぎである。巷間伝えられるところは沖繩との交換説、これはもうソ連の新聞までがそれを発表しておる。何もソ連だけではない。第一に関係輸出国はみなそれを心配している。EEC諸国やイギリスまでがそれをいうておる。百歩譲って交換したとしても、なおそれでも早過ぎると私は思う。なぜ早過ぎる。沖繩の返還は一九七二年である。二年先である。しかもいま急遽やらなければならぬという毒ガス、これも移す移すと言いながらまだ移っていない。沖繩百万島民の切なる願いであるB52、これはどうかしてもらいたい、こう言うておっても、それもまだ何ともなっていない。そういうやさきに、なぜそんなに急がなければならないのでございましょうか。もしこの際これをやったとしますると、ウールに関する限り一年既往にさかのぼる結果が生じてまいります。なぜかならば、ウールは見込み生産ではございません。注文生産でございます。一年先の注文を受けてすでにつくってしまっておるのでございます。なぜこちらだけが一年既往にさかのぼって、なぜアメリカだけが二年先に延ばしてしなければならないのか。これこそはカキの種と握りめしの交換であったとしても、これはおかしい。交換だったら等価交換、同時交換でなければならない。一体どういうわけだ。これをどうなさる、お聞きしたい。 もう一つの問題は、これが非常に重要なのでどうしてもするとおっしゃるならば、歯どめを承りたい。きのうも外務大臣にこれを詳細尋ねましたが、一つも答えがない。あったら承りたい。歯どめがない。歯どめがないようなものを、暫定なんと言うことはおよしなさい。強制を自主と言い、歯どめのないものを暫定と言うたら、小中学校の子供までが日本の国語を疑うようになります。それは時の政府の不信を招く基でございます。ショートがロングに変わるのです。一年といっておったのが十七年になったのがLTAでございますから。 それから最後の質問として、これほど重要な案件でございまするがゆえに、当然これは国会の本会議にかけるべきでございます。なぜかならば、決議があるからでございます。安保の問題だけではございません。公害の問題もございます。かたがた、ことし結べば際限なく延びて、いつまで続くかわからぬところのこの協定問題がございます。したがって、協定を結び条約を結ぶには、事前か事後に必ず国会に批准を求めなければならぬということは、憲法に定めるところでございます。したがって臨時国会を召集して本件を十分に検討する。法律的にも必要でございまするが、具体的事実の上からいってもそれが必要だと思います。あなたの立場を守る意味においても、ぜひひとつ臨時国会を開かれるよう、私は声を大にして国民の求めるところを要望するわけでございます。 最後に、あなたの立場はきわめて御苦労で、お気の毒だと思います。心は二つ、身は一つ、いずれについていいのやらたいへんお困りだ。私はほんとうにお気の毒だと思っています。与野党一致したところ、意見でございまするがゆえに、私どもも、でき得る限り時の通産大臣の御苦労を少のうして、御協力を申し上げたいと思うておりまするが、身は一つにして二つの問題が一時に降りかかったときに、一体どうなさるおつもりか。これはとくとひとつ過去の歴史に残った政治家のあとをよく見届けていただきたい。あくまでそれは国益に殉じた者、日本祖国のために働いた者、それが歴史に残っているようでございます。こいねがわくは、私はあなたのような明敏な頭を持ったりっぱな人に期待をかけて——それこそ先般、第二の犬養にならぬようにと申しましたら、それはむすこの話でなくて、おやじさんのほうになりたいといみじくもおっしゃられました。ぜひ、おやじさんのように総理大臣になられるワンステップとして本件を善処されるよう要望して、質問を終わります。
○宮澤国務大臣 沖繩につきましては、しばしば総理大臣が言明されておりますので、本件と沖繩との関係というような御質問は、これはもう総理大臣がしばしば言われましたところでおわかりいただいておることと思います。 歯どめのことでございますが、これはなかなかやはり重要な問題でございます。つまり、かりに業界が暫定規制ということを考えてくれます場合に、それが文字どおり一定期間の暫定であることの歯どめ、これが一つ私は大切だと思います。それから別途に、この繊維は特別のケースであるというアメリカの大統領のお話でありますが、したがって、文字どおりそうであるかということについての歯どめ、これも大事なことではないかと思います。 それから、臨時国会云々でございますけれども、これは私がお答えすべき問題ではないと思いますが、かりにこの問題で臨時国会をお開き願う必要があるかどうかということを私が尋ねられたといたしましたら、私は、本件についてはそういう必要があるとは思わないというふうに、総理大臣にお答えいたすであろうと思います。と申しますのは、従来、国会における御決議の基本のお考えに、私どもは違背をしてこの問題は解決しようとは考えていないからでございます。 第四の点は、仰せになりますように、国益を旨といたしまして最善を尽くしたいと考えます。
○八田委員長 次回は、来たる七月二十一日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三分散会 ————◇—————