社会労働委員会 第26号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/09/10
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 来年度予算並びに諸施策について検討を加えるべき時期が参りまして、各省とも重点施策をいま鋭意策定中のようでございます。 そこで、社会開発なり人間尊重なりを唱えてきた佐藤内閣としても、これから立ち向かうべき内政の七〇年代の重点的なものとして、特に社会保障なり、その中の社会施設なり、あるいはまた公害なり、重大な問題をかかえておるときであろうと思うわけです。 私、実はここ一月ばかりの各地の新聞を切り抜いておるのでありまするけれども、毎日私どもが読みまする新聞紙上で、厚生省に関する記事の載っておらない日はないのであります。厚生省の今後に立ち向かうべきいろいろな施策についての構想なり、あるいは方向なり、あるいはまたそれに関連をする各種諮問委員会等の意見なりというものが載らない日はないのであります。まさにカラスの鳴かない日はあっても厚生省がものを言わない日はないという最近の動向であります。 私は、それだけに実はいま国民から要望されておる厚生省の施策というものがいかに一つの大きな曲がりかどに来ているか、あるいはまた大きく進展をすることを要求されているかということを物語っておると思うのでありまして、そういった点から、いま大臣が、就任以来国会を通じその他の場所を通じてわれわれに言明をしてまいり、あるいはまた、いろいろと方向を示唆してまいりましたことを具体的に実施をすべき段階に来ていると思うのであります。そういう意味合いで、厚生大臣の勇気と決断をお願いしなければならないときだろうと思うのです。 私は、そういった各般にわたるところの施策の中で、きょうはわずか四十分の持ち時間でありまするから、多くを質問することができませんので、ごく簡明にその中の重点的な問題について所信を承っておきたいと思います。 まずその一は、医療保険並びにこれを包むところの医療制度の問題でありまして、これは先月の委員会においても質問があったとおり、医療保険の抜本改正に向けるところの厚生省の諮問が二つの審議会に出されましてからすでにかなりの日数がたちました。厚生大臣は、抜本改正に向けるところの厚生省の姿勢を示す意味から、早急な答申を督促をいたしたのでありますが、しかしいまだにこれに対するところの明確な方針がないという段階であります。そういう中で、伝え聞くところによりまするならば、抜本改正に対するところの二つの審議会の答申がないままにこのまま推移することはどうもでき得ない。特に政管健保の赤字がますます累積をするという事態の中で政府はこれに苦慮しておる、こういうことであります。千九百億に及ぶところの赤字について一体どうするのかということも、当然これは措置しなければならない状態であります。このまま推移するならば、保険料の引き上げなり、一部負担の復活なり、あるいは財政調整なり、何らかの手を打たなければならないじゃないか、こういわれておるわけですが、この抜本改正に向けては一体どういうふうに来年度は措置をされようとするのか。いわばどちらかに腹をきめなければならないところに来ていると思うのです。もちろん抜本改正がなければ、私は、当面する施策という第二段の厚生省の諮問も生きてこないというようにあなたのほうは考えていらっしゃると思うが、しかし抜本改正がないからといって、そのままでもって推移をすべきことであるのかどうか。この点に対して大臣の政治姿勢が問われるところへ来ておるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○内田国務大臣 御意見がございましたように、私ども政府といたしましては、昭和四十六年度の国の予算、またその内容をなしますところの各省の予算の概算要求を持ち出す時期に相なっておりますので、私どもも一応閣議で話し合いができましたワクというものも頭に置きながら、実は厚生省といたしましても八月末に概算要求を大蔵省に向かっていたしております。その中の一々はまだ申し上げにくいところもございますが、田邊さんから御意見がございましたように、私は、今日の国の目標というようなものは、かつての富国強兵にあらず、また経済成長一本やりにあらず、福祉国家の建設ということが国の目標でなければならないし、また国民に対しましては人間尊重という面を強調していくべきだと考えますので、国の予算全体の中における厚生省関係の地位というものも、そういう見地から政府全体で判断をしていただきたい、こういう基礎に立ちましていろいろの構想をこれから先も具体化をしてまいります。 その中で、ただいま田邊さんから医療保険の抜本改正のことについてのお話でございますが、これもお尋ねをいただくまでもなく非常に重大な課題になっております。ことに最近、これはあとで担当の局長からも御説明申し上げる機会があるかと思いますが、政府管掌健康保険などにおける医療費の伸び方というものはかなり著しいものがございまして、所得の伸び、ひいては標準報酬などを通ずる保険料の実質的の伸びというものとパラレルではない面がございます。したがいまして、従来のベースのみならず、このまま放置いたしますと、各種の保険、なかんずく政府管掌保険におきましては、財政上の大きな赤字の問題が生ずるわけでございます。しかし私は、だからと申して、それを単に財政上の見地だけから財政調整をするということは適当ではないと考えるものでございますので、すでに御承知のように、各般の内容を盛り込みました医療保険制度の抜本改正ということを構想をしながら、その一環としてこの財政問題をも考えてまいりたいといまでも思っております。ただし、御承知のようにいまだ関係の両審議会からは政府に対するこの問題処置の指針が与えられておりません。しかし、予算を終局的にまとめますのは、御承知のとおり概算要求の八月末から本年中の終わりくらいまでの間ということになりますので、私どものほうは、審議会に対する立場も考えながら、私どもとして進むべき処置、方法につきましてもこの両三カ月の間に構想を進め、またその間私が必要の場合には今後何回でも両審議会に出席をいたしまして、私の考えますこと、また審議会の御意向につきましてもその方向を確かめ、審議の促進をお願いいたす、こういうつもりでおりますので、明年度この医療保険抜本改正の一端、他のことばで申しますと、さしあたり実施すべき事項に踏み込むということを前提にしながら、この問題に対する財政その他の措置を考えてまいりたい、こういうことでおります。
○田邊委員 きょうは、この前のこの委員会もそうでしたが、私自身もこれを突っ込んでいって、あなたの最終場面における措置を発言してもらおう、こういうことは避けたいと思うのです。大臣の言われた抜本改正をにらみながら、それが一つの見通しを立てる中で、一体現在の政管健保の赤字なり国保の赤字なり、そういうものに対してどういうふうに対処するかというそのかまえは、私はそのとおりだと思うのです。これをくずしてもらいたくないというふうに思う立場から、もうそろそろ決断をしなければならぬ時期だというように思いますけれども、しかしそれをさらに突っ込むということは避けたいと思うのです。 ただ私は、大臣はそういうかまえであって、両審議会に対して督促しているということはうかがい知れます。しかしそれはほんとうに腹のすわった形でやってもらいたいと思うのです。一応督促したという形式だけで名目で終わったという形ではどうにもならぬわけでありまして、やはり抜本改正といっても、私はただ単に医療保険の問題ばかりではないと思うのであります。医療制度全体の問題——あとでお伺いするところの医療担当者の問題なり、病院の適正配置の問題なり、薬の問題なり、あるいは養成制度の問題なり、各般のものがそれにからみ合っているわけでありますから、これらに対してぜひひとつ将来を見通したものを樹立する、そうして当面の課題についてどう処置するかというかまえは、ぜひ失ってもらいたくないのであります。 そう私は申し上げまするけれども、しかしそう言っていながら、厚生省の最近の動向を見ますると、大臣のいまの話とは逆に、たとえば標準保険料制定の提唱なり、あるいは国保の保険税の最高限を二、三万引き上げる、こういう考え方なんでありますね。いわば当面を上塗りするような対策というものがちょくちょく頭を出しておるのであります。この標準保険料の問題なり保険税の最高限の引き上げの問題なりというものは、一体大臣のいまの真意と一致しているのかどうか。まさに当面を糊塗する赤字対策にまた走ろうとする前ぶれではないかと私は思っておるのでありますけれども、これらの問題に対して一体どういうふうにお考えでございますか。 それとあわせて、一部には初診料の引き上げなり、それを含むところの保険料の引き上げ、一部負担の復活という問題も取りざたされているわけであります。したがって、こういったものに対して、われわれが疑心暗鬼になるような中途はんぱなかまえでは、私は非常に残念に思っておるわけであります。大臣、一体事務当局がそういうような考え方に走りがちであるという現実について、あなたはどう踏まえて対処されようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 私は、ちょっと申し上げましたが、最近における医療費の伸び率というものはかなり高いものがございます。これはある意味から申しますと、国民の医療需要がそれだけ伸びてきておるわけでありますので、必ずしも悪いことではない。それだけ健康管理が行き届いてきておるということの一つの証左でもございましょうし、また御承知のように、薬価基準などに登載をいたしまする薬につきましても、従来はとかく制限しがちで、ことに高価な薬等は保険の対象からはずしておったものもあったわけでございますけれども、最近は高価な薬でもこれを薬価基準に載せまして、医療保険の対象としてその薬が使えるようにいたしてまいってきております。したがって、特別に疾病が発生しなくても、医療費が増高してまいることは当然のことであると考えられるわけであります。したがって、そういう事態のもとにおきましては、その医療費支払いの源泉をどこに求めるかと申しますと、すべてこれを国庫負担あるいは国の補助金のみによるということもできませんので、保険であります以上は、合理的な線による保険料負担というようなことの変化についても当然私は考えなければならない問題ではあると思います。しかしその際に、一方で医療費が上がったからそれとパラレルに、他の考慮なしに保険料負担を上げるというようなことばかりでは私は満足しないものでございまして、御承知のように、また先ほど来私が述べておりますように、医療保険全体の合理的な構想というものを描きながら、つまり抜本改正というものを所期しながら、あくまでもそれの一環としていま申するように財政上の措置をも考える、こういうことにいたしたいと思うのでございます。でございますから、お気にさわるようなことになっては恐縮でございますけれども、抜本改正の際には保険料率には一切触れないとか、あるいは患者負担というようなことには一切触れないということではもちろんなしに、私がいままで申し述べましたようなことも十分考慮をいたしながらそういう問題に対処していかなければならない、こう私は考えておりますので、この考え方に立ってこの問題は検討きせるように私はいたしておるのでございます。
○田邊委員 それには私は意見があります。ありますが、いま直ちにその中のどれをとるかということに対して、明確なあなたのほうの答えが得られる段階でないと思いますので、やはり最初に大臣が言い、私も発言をいたしましたように、あくまでも医療保険制度なり医療制度全体の動向を見定めながら、その中で国の持つべき責任の度合い、あるいは国民の負うべき負担の度合い、それを一体どういうふうに考えるかということに対しても慎重な発言がほしいと私は思うのでありまして、大臣の話の中に、衣の下からよろいがちらちら見えるような発言がありますので、どうも保険料の値上げや一部負担の復活がはかられるのじゃないかという心配を持つのであります。その点に対してはさらに慎重な態度を持っていただくことを私は特にお願いしたいと思うのです。 それから、きょうはあまり突っ込んで話をしませんが、医療問題でもう一つ重大な問題は医療担当者の不足、ことに医師の不足と看護婦の不足に対して一体どうするかということでございます。医師の不足に対してはすでに医師法の改正等も最近行なわれましたけれども、しかし実際にはそれでもって実効をあげるということになっておらない。最近聞きますと、医師不足対策のために厚生省は親元病院というものをつくるという話もあり、あるいは僻地の医療をさらに進めるという意味から、僻地医療振興会というものを設立してこれに対処する、こういう話もありますが、一体これはどういうような効果を持つものであるか、われわれはまだつまびらかにしてないのです。それとあわせて、さきの国会で審議をいたしましたが、あなた方の意図するところが合致せず法律案は流れましたが、看護婦不足に対して政府は一体どういうような対策をお持ちであるか。評判の悪かった高校卒一年のインスタント准看をつくるようなそういう考え方ではなしに、これから先の看護婦不足をなくすために一体どういうふうな措置をとろうとしておるのか。まさにさきの国会でいろいろな法律案を出しましたが、それが成立をしなかったままに、朝令暮改でもってあとは野となれ山となれという形ではないかと思うのであります。こういった医療担当者不足の現状に照らしてどういうような対策を講じようとされるのか、簡単でけっこうでありますから、お答えいただきたいと思います。
○内田国務大臣 医療担当者の問題につきましては、簡単に結論として考えられますことは、医師あるいは看護婦さんについてもそうでありますが、それらの配置が私どもが所期するような、また国民が所期するような適正な形で十分配置されていない。つまり医師の相対的の過不足の問題と、それからさらにさかのぼっては、医師、看護婦の絶対数がそれでよいのかという両方の問題になると思いますけれども、前段の問題は私もまことにその配置が不適正であるということは十分に認めておりますので、配置適正化の問題についてできるだけの処置をいたしたい。その一つが離島あるいは僻地等に対する特別の対策でございます。絶対数の問題につきましては、何といってもやはり医師の養成をはからなければなりませんので、文部省に対しましても定員の増加等の要求をいたしておりますが、さらにまた新規の医科大学あるいは医学部等を設置する場合に、付属病院の問題などにつきましても厚生省所管あるいは一般の公立病院等で教育施設として適格なもの、あるいは適格でないものは適格化させて医師養成の一助と申しますか、重要なるささえとして、そして昭和六十年ごろを目標といたしまして国民十万人当たりについて医者の数を百五十人でございましたか、百数十人くらいまでふやしていく、こういう計画を私どもは目標といたすものでございます。 僻地、離島における医師の充足の問題につきましては、僻地診療所等の助成はいたしておりますけれども、そこに定着してくれる医者がにわかにございません。これについても考えるべきでありますが、そこで当面の方策といたしましては、いまお話がございました僻地をかかえる地域の国立、公立病院等を親元病院として、そこから医師あるいはパラメディカルなどの方々を僻地、離島に派遣しやすいような——派遣することはいままでもやっておりますけれども、派遣しやすいような一そうの措置をとる。その一助としまして、これもいまおことばに出ました僻地医療振興会というようなもの、これは特殊法人ではございませんけれども、そういう仕組みをつくりまして、そして親元病院制度の運用を円滑にするというようなことを当面の措置として考え、またそのための予算上の措置も要求をいたしております。 看護婦さんの足りないことにつきましても、もう重々私どもは承知をいたしておりますので、この養成をはかる——そのためにいろいろの御批判はあろうかと思いますが、今日の養成制度につきまして、前回に引き続いてさらに再検討を加えつつ絶対数の養成をはかることと、それから潜在看護婦さんなどを起用するというようなことにつきましてもさらに思いを新たにいたしまして、ひとつそういう面からの充実対策をはかる、大ざっぱに申しますとそういう考え方で進む以外にない。その間のいろいろな方式につきましては、これまたいろいろな手段方法もあると思いますので、そういうことにつきましても重ねて十分な検討をいたしまして、所期の効果をあげるようにいたしたいと思います。
○田邊委員 それでは、いろいろとお聞きしたい点がありますが、時間の関係でできませんから、もう一つだけお聞きしておきます。 それは公害の問題についてですが、これはもういままさに天の声、国民の声でありまして、この日本全国に広がっている公害をどうやって除去するか、それに対して政府はどういう強力な施策と責任体制を確立するのかということ、これはもう国民すべての願いであります。私がいろいろと拝見をしているところでも、厚生省の発想の中でも、中小企業に対する融資をもっとワクを広げる、金利を引き下げる、利子補給をする、こういうようなこともあります。あるいはまた都市の、あるいは産業の廃棄物の広域的な処理をする計画、特に大型のごみの広域処理について、清掃法の改正を含め、考え方をさらにひとつ統一をしていこう、あるいはまた公害防止の費用——研究会からも企業負担について考え方が明らかになっておりまするから、これを受けとめて企業負担を三分の一ないし全額の負担について一体これをどういうふうに法制化していくか、あるいはまた罰則規定を一体どういうふうにしていくかということもあります。あるいはまた公害の科学的な研究をするための研究機関は見送るというような、こういう趨勢にあるようでありますけれども、実際にその情報収集をするシステムをどうするのかという問題もございます。言うなれば今日集中的に高度経済成長下においてあらわれているところの産業公害なり都市公害なり、こういうものに対して一体どういう取り組みをするかということに対して世論は注目をしていると思うのです。一つは法改正がございましょう。そして一つにはやはり予算問題がございましょう。また、あるいは民間のいろいろな団体なりの協力を進めるという体制も一つでございましょう。しかし、その中で一体厚生省は、公害が出てくる発生源は役所の管轄からいえばほかの省でございましょうけれども、これを処理する側に立っているのでありますから、実はたいへん御苦労の多い役所でありますけれども、しかしいままで公害防止を中心としてこれが処理をした。ところが、いよいよこういう事態になりましたから、政府全体で取り組む、こういう形をもって公害防止対策本部を設立されている現状でありまして、私は、政府全体の中でこれが対策に当たられることはもちろん必要でありますけれども、さてそれならば一体いままで厚生省がやってまいりました施策と行政とこの対策本部との関係はどうなるのか。その中で来年度はいよいよ公害対策を充実させなければならぬという考え方に立って、厚生省はいまの公害部ないしは環境衛生局をなくして、生活公害局というような形にして担当を充実させてこれに対処しよう、こういう考え方であります。私は、部局を拡充することについて、これまた必要な部面が多いと思いますけれども、一体、部を昇格させる考え方と、政府全体が取り組む公害対策本部との関連はどうなるのか。そしてまた、公害局をもし設置をするという考え方に立つならば、いままでこれをめぐるところの環境衛生をやってまいりました環境衛生局の機構はどういうようになるか。公害はもちろん公害として取り扱わなければならないいろいろな事態がありますけれども、また生活環境の面でわれわれとしてはいろいろと問題の多い今日でありますから、そういう意味合いで環境衛生局が果たした役割りもこれまた無視できないと思うのです。そういったかね合いと責任の分野との上に立って、一体厚生省の考え方というものは、公害に対処する責任体制を確立する意味合いからもほんとうに必要なものであるのかどうかということに対して、非常に私は注目をしているのでありますけれども、これに対して一体どういう考え方で、どういう所信の上に立ってこれをするのか、まずこの際、大臣の——これは総理大臣にかわっての意味で、政府全体の立場に立ってのその中で厚生省の持つべき役割りというものは一体どういうものかということに対して、ひとつ大臣、非常に懇切にお話しになるのはけっこうですけれども、私、前提はわかっておりますから、端的にお答えいただきたい。
○内田国務大臣 お尋ねの問題につきましては、私よりもむしろ公害担当閣僚として指定をされました総務長官からお答えをしたほうが今日の段階ではよろしい問題もたくさんあるかと思います。しかし、私の考え方としましては、公害は発生源はいろいろありましょうが、要するに人の健康を保護し、あるいは生活環境を保全するのが公害政策の目標でありますから、そういうことになりますと、厚生省の担当する役割りは非常に幅広いものがあると考えます。 従来私は、公害対策中央本部が設置せられます以前においては、公害に関する問題を総合的に厚生省で取り上げて、そうして各省と協力しつつ厚生省を中心に処理するというような考え方に立ちまして、状況が許すならば、厚生省に公害局の設置はおろか、社会保険庁と相並ぶような意味において公害庁ぐらいを設置したい、こういう考え方を持ったわけでありますが、その考え方が、御承知のようにそのまま政府全体の心となりまして、公害庁、公害局にかわりまして、公害対策中央本部というものが総理大臣を本部長として発足することに相なったわけだと私は考えるものでございます。また、これが設置された後におきましても、いままでは厚生大臣が通産省あるいは運輸省を引き連れて公害対策を論じなければならないところにいろいろむずかしい問題がございましたが、今度は総理大臣を長とする公害対策本部のもとに各省が全部入りまして、総合的に、一元的に処理するということになったわけであります。その意味において、厚生省のいままでの公害対策の取り組み方が当然影響を受けております。ただし、冒頭に申し上げましたように、公害は人間の問題であり、生活環境の問題であるということから、私どもは公害を統括する官庁という立場は改めましても、公害政策を進める機動力となる役所である、こう考えまして、公害対策本部を中心にいろいろの施策を政府全体の中において推進をいたしてまいる、こういうつもりでございます。 また、公害局設置のことにつきましては、右のことからおわかりのように、初めとは構想は変わりましたが、世の中の考え方の進み方に役所の機構というものはマッチするほうが国民も納得されると考えまして、引き続き厚生省の内部に公害局を設置するという構想を持って予算要求あるいは部局の改正、人員の増加要求などを今度の概算要求と一緒に出しておりますので、これは今後関係方面との交渉によりまして、できる限りその設置をはかりたいと考えております。
○島本委員 関連。公害の重要なことは、田邊委員がいま言ったとおり、これはまことに省をあげてやらなければならない重大な問題になっている。それから、大臣のいまの考え方、これはわれわれとしてはそれを支持するのにやぶさかではない。念仏のようにただ唱えればいいというだけの問題ではなく、実行しなければならない段階に来て、もうすでに衆議院の中でも公害対策特別委員会をほとんど毎日のように開いてやっている。きのうで証人喚問を終わったところです。この委員会に来ると大臣の御尊顔を拝されるが、公害対策特別委員会のほうに行けば全然出てこないという理由はあなたはどう説明されるのですか。もちろん、委員長もりっぱであり、理事はじめそのほかの皆さんもりっぱであるからここに来るのかもしれない。しかし公害対策特別委員会という、それを専門にやっているところに全然顔を見せないという理由は何ですか。全然だめですよ、それは。偶然にも私はここの委員であるからあなたと話ができる。しかし他のここの社労の委員でない人は全然厚生大臣の御尊顔を拝せない。冗談じゃない。これは笑いごとじゃないのです。出ないといけませんよ。そうしてうんと馬力をかける。あなたは今度バックアップしてやろうとする。あなたはつらい場もある。しかしつらいといって出ないからほかのほうに権限が移されるのだ。移されたらしゅんとなってしまう。そういうことでは大臣の指導が悪い。根本的に考え方がずれている。今後は進んで出なさい。何を差しおいても出て、その所信を貫く、大いにわれわれは鞭撻しますから。出ないということに対して私はほんとうに遺憾である。ひとつこの機会に解明を願いたい。
○内田国務大臣 衆議院の公害対策特別委員会には私も従来からたびたび出ておりますが、昨日、一昨日、それから前回は、残念ながら、私はぜひ出たいと思いながら出られませんでした。その事情を弁解がましいですが申し上げますと、大体十日か十一日ごろには委員会が一斉に開かれる場合が多い。先月は私は、参議院の社会労働委員会からどうしてもというわけで、一日参議院の社会労働委員会に出席をいたしておりまして、どうしても衆議院の公害対策特別委員会に出席することができませんでした。また今回の公害対策特別委員会は、実は全国の民生委員、児童委員大会というのが長崎県で開催をされまして、(「終わって飛行機で来ればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)とても間に合わない。これは社会福祉を非常に重視をする私の立場から、前から日がきまっておりまして、そちらに出ましたので、衆議院の公害対策特別委員会に出られなかったこと、まことに残念でございます。今後におきましては、私はできるだけ出まして、私の所信を申し述べたり、また皆さま方のお尋ねにお答えするつもりでありますので、御了解ください。
○田邊委員 それはもういまの大臣のお話しのとおり、ぜひ具体的な、現実に起こっている公害対策を処理する上から、陣頭指揮をひとつやってもらうように私のほうからも特にお願いしておきたいのであります。 いろいろお聞きしたい点がありますが、時間がなくなりましたので省きます。 その他社会福祉の面でも、何か社会福祉協力費というものを特別税にかわってやるとか、福祉年金の引き上げの問題があるとかいいまするけれども、これは将来の見通しの上に立ってどうするということがなければ、ただ単に金額が上がったという形では私はならぬと思うのです。あるいはまた厚生年金についても、五年ごとの改正について、社会保険審議会は厚生年金の二年ごとのいわば増額をすべきじゃないか、こういう意見も出てきているわけです。そういうことに対して一体どうするのか。あるいは保育所の緊急整備についても、国庫補助の増額等について一体どうするのかという各般の問題があります。こういういろいろな課題がいま出ていますけれども、それだけに厚生省に期待するところが大きいのだから、内田大臣、あなたがほんとうに決意をしなければ、私がちょっと拾い上げてもこれだけの問題があるのですから、なまはんかな姿勢では私はこれは実施できないと思うのですよ。そういう意味合いで、あなたはそれぞれの施策について意欲的な発言もされておるわけでありまするから、そういったものが現実に来年度以降において実現するような、そういう体制をつくるためにぜひひとつ腹を据えて一そうの努力をお願いをしたいと私は思うのであります。そうでなければ、何かあっちも食いこっちも食いで、少しずつ食い荒らして結局は何もできなかったという形に終わったのでは私はならないと思う。あなたがもし必要なら、われわれもひとつ猟官運動じゃないが留任運動をしようじゃありませんか。そういうことでぜひひとつお願いしたいと思いますので、次回においてまたその実現の成果についてお伺いしたいと思います。 実は私お聞きしておきたかったいろいろな問題が時間の関係でできません。恩給局長はおいでになっていますね。実はあなたのほうにかなり詳しくお伺いしたい点がございました。というのは、傷痍軍人恩給の再申請について、昨年五年ごとの改定でもって申請をしておるけれども、一向にそれに対する回答がない。私はそういう意見を各所から聞いて、事務当局からそれに対する事情は聞きました。法律改正等もありましたから聞きましたけれども、きわめて不親切だろうと思うのです。私は、恩給を望んでいるところの人たち、あるいは援護法に基づくいろいろな年金や一時金を望んでいる人たちに対して、恩給局なりあるいは厚生省の援護局は、すみやかな対処、親切な対処をしてもらわなければならない、こういうように思っておるのでありまするけれども、きょうはそれに対してお聞きする時間がございませんからあらためてお聞きをいたします。しかし、そういう私の気持ちなりについては十分くんでいただきたいと思います。 ただ一つだけ事実問題としてお聞きをしておきたいのは、あなたのほうの事務当局に、昨年の再申請の際に、三十八年の申請の際と全く症状が同じという、これは群馬県の保健所の医師の診断書をつけて再申請をいたしましたものに対して回答がなかった。何か電話でお聞きをしたところでは、これは顧問医にお伺いしたところが、症状が固定をした、大体治癒に近いというので今度は支給をしないということでありますけれども、前回と全く同じだというのはおかしいというお話でありますけれども、私は肺浸潤なり肺結核の場合はそういう場合もあり得ると思うのです。しかし、いずれにいたしましても、保健所の医師が症状同じ——もちろん幾らか違うところもあります。ありますけれども、大体同じという診断をいたしたことに対して、前回は、三十八年は支給をされて今回支給されないという事情は私はわからない。何か話を聞きますと、前回やり過ぎたというような話がある。べらぼうなことを言っちゃ困りますよ。いいですか。私に対して、あなたのほうの係が、前回やり過ぎたとは何ですか。そんな不届きな話はないと思うのですよ。前回ちゃんと恩給を支給したら、同じ状態であれば今回も支給するのがあたりまえでしょう。これをひとつ見てもらいたい。あなたのほうに診断書ございましょう。ありますね。なぜ今度支給できないのですか。そんなことはないと思うのです。しかも、実際にその診断をした医師に本人の状態を聞くという措置もとっておらないじゃございませんか。とれるはずなんです。それは手続からいってもとれるはずだ。ただ顧問医が診断書を書面審査をして、それでもって一方的に、あるときは支給をしその次は支給をしないなんという、そんないいかげんな措置が許されるはずはないと思うのですけれども、あなたのほうで知っているとすれば、これに対して端的にお答えをいただきたいと思う。
○吉原説明員 お答えいたします。 傷病恩給につきましては無期のものと有期のものとございます。有期のものといいますのは、たとえばいまおっしゃいました肺浸潤等内部疾患が多うございまして、そのものにつきましてはきわめて病状が流動的でございます。したがいまして、最初の裁定にあたりまして顧問医の意見を徴しまして、これは有期だということになりますと、五年目ごとにいまおっしゃいましたように再審査をさしていただいております。そのつど、内部疾患につきましてはお医者さんの診断書のほかにレントゲン写真をつけて出していただいております。私どものほうにおりますところの鑑定の顧問医はこれをつぶさに審査いたしまして、症状がきわめて流動的でございますので、もうなおっておりますと、あるいは快方に向かってまいりますと当然——特別項症から四款症までございますが、その症状に応じましたところの新しい裁定を下しております。したがいまして、私どものほうの担当の係員がたいへん失礼申し上げましたことはこの機会におわびする次第でございますけれども、まだ鋭意審査中でございまして、この件につきましては顧問医一人だけではなしに三名の医員にそれぞれ伺っておりますところでございまして、最終的な結論には達しておりませんが、目下のところはいまおっしゃいましたように次第に快方に向かっていらっしゃるということでございまして、もちろん地元におけるところの医師の診断書のほかに、その入っておりますところの新しいレントゲン写真によりましてレントゲンの写真の権威がこれを鑑定いたしておりまして、その医者の判断によりまして裁定時はこれを裁定をいたしておりますので、そういうところに若干食い違いがあったかと思います。 以上でございます。
○田邊委員 もう一度お調べください。これは民間の医者が見たというのじゃ別だけれども、県の保健所の所長が見ているんですからね。しかも所見がちゃんと出ているんですから。私もレントゲンを見ましたけれども、やっぱり影があります。像がありますよ、肺浸潤。そういう状態というものを、ただ単に書類審査だけでもって、前回と同じ状態でもってはじき飛ばすというのは私はおかしいと思う。しかも一年半もほっておいてあるんだから。何も本人にも連絡がない。そんな不親切な話はないと思うんです。あなたのほうに生殺与奪の権があるとすれば、それだけに事態は慎重に正確を期さなければならないと私は思うんですよ。これは地元にも連絡して、もう一度再審査してください。そうでなければ私は納得しません。そうでなければ、ひとつその状態について私にわかるように説明してください。よろしゅうございますね。聞いてください委員長。
○吉原説明員 この件につきましては、なおよく検討いたしまして、早急に結論を出したいと思います。
○田邊委員 報告してくれるかどうかだよ。委員長を通じて報告を求めているんだ。
○吉原説明員 報告いたします。
○田邊委員 私は、恩給の業務についても、実はこの一つの問題を通じていろいろと考えさせられるところがありました。実はこれに対してもお聞きをしたいのでありますけれども、時間が過ぎましたからやめますが、ぜひひとつ適正な、しかも国民が見て信頼をされるような業務を遂行してもらいたいと私は思います。これは厚生省の援護局についても同じことであります。したがって、そのことの持つ内容について、ひとつ軽きに思わないで十分な対処を心から要望しておきたいと思います。自余の問題については次回に譲ります。
○倉成委員長 古川雅司君。
○古川(雅)委員 公害対策の基本的な問題について若干お伺いをしたいと思います。 最初に、問題になっております公害対策基本法でございますが、例の経済発展との調和条項についてお伺いしたいと思います。 厚生大臣は各所でこの件について法改正の必要性を強調していらっしゃいます。あらためてお伺いするのもおかしいのでございますが、閣議でも大体法改正の方向を決定しているようでありますが、国民の側といたしますと、どうも今後政治的な調整の末に何となくしりつぼみになる、そういう懸念があるのじゃないか、そういう疑問視する世論に対しまして、この際大臣のはっきりした態度をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○内田国務大臣 お尋ねの件につきましては、私は厚生大臣でございますので、したがって公害政策というものは、国民の健康、生活環境の面から論ずべきであるという角度から、古川さんがお尋ねになりましたように、私は従来からこの条項の廃止を適当とする意見を述べてまいっております。しかし今日、先ほどから論議がございましたように、公害対策中央本部ができまして、こういう基本的な課題はこの中央本部におきまして各閣僚の意見を聞きつつ統一的、総合的に処理することになりましたので、最終的の処理は中央本部にまかさざるを得ませんが、私は、厚生大臣としては、いままでの考えを全く変えておりません。また今日まで公害関係閣僚の打ち合わせによりましても、公害対策基本法を改正する際におきましては、どういう形になるかは別といたしまして、このような一般の国民に疑惑を与え、場合によっては不信感を与えるような文言は、これを解消させる方向で話が進んでおると私は解しております。
○古川(雅)委員 この点につきまして観念的な議論は避けまして、ただ通産サイドあるいは総理の政治姿勢そのものからすれば、どうも字句の修正だけで、あるいはこの第二項を削除するということだけで世論をかわそうという、そういう傾向も一部感じられます。いま大臣の御答弁の中にありました、あくまでも国民の健康と生命を守るという立場で、これまで大臣がたびたび繰り返してこの点を強調されてきたそのことにかんがみまして、ただいまの大臣の御発言はむしろ公約としてどうしても公害対策本部の中において、この第二項削除について強力に、むしろ断固として実現するとはっきり表明をいただきたいと思うのであります。とかく、先ほどから議論が、ございますとおり、公害に関しましては厚生省の主管そのものが他の産業関係省に横取りをされている。非常に消極的だ。むしろ厚生大臣のこうした積極的な国民の健康を守るという姿勢が、他の産業関係省の姿勢によって、言うだけに終わらされてしまっている、そういう立場に厚生省は追い込まれている、そういう印象を強くしているわけであります。くどいようでありますが、ひとつ断固とした決意をここで御披瀝をいただきたいと思います。
○内田国務大臣 たびたび申し上げる私の考えに変わりはありません。また、公害というものは国民の健康、生活環境を守るという発想から出なければならない。したがって、国民も厚生省の姿勢には多くの注目を寄せていると私は考えますので、私は自分の所信に向かって今後も忠実に進んでまいる所存でございます。
○古川(雅)委員 そうした大臣の御発言を基調といたしまして、この公害基本法の改正、第二項の削除ということが、文言上だけでなく、今後厚生省が公害対策に取り組んでいく姿勢の上に歴然とあらわれてくることを大きく期待をしながら、以下若干お伺いをしていきたいと思います。 最初に、先般八月十九日の四労政審会長会談で公害に対する緊急対策の話し合いがございました。その中で四党が一致した点につきまして一つ私気にかかることがございますので、大臣の御意向を伺っておきたいと思います。 冒頭にございます公害実態調査をしてその結果を国民に公表するとともに、汚染危険区域の住民の健康診断を公費で実施するという一つの申し合わせがございます。このことに対しまして、これをお受けになれば、厚生大臣としてどのような仕組みでこの健康診断をお進めになっていくか。予算の制約等も十分に考えられると思うのでございますが、これは公害対策の第一歩、基本的な問題でありますし、非常におくれをとっている項目でございますので、ひとつ対策をお伺いしたいと思います。
○浦田説明員 公害のそれぞれの項目についていまの御質問にお答えいたしたいと思います。 まず第一に大気汚染の関係でございますが、大気汚染関係では硫黄酸化物の排出状況についての総点検、それからすす、粉じんの排出基準の改定のための実態調査、それから硫黄酸化物濃度の環境基準に適合しているかどうかという状況の調査、これを都道府県知事及び政令市長に依頼して実施しているところでございます。 それから騒音規制でございますが、騒音規制法に基づく特定工場等に対する規制の実施状況について、これの調査をあわせて依頼しております。 それからなお、緊急対策の一環といたしまして、水銀及び水銀化合物並びにカドミウムによる環境汚染の実態を調査するために、実は当初は来年度以降の計画でございましたのを本年度にこれを繰り上げて実施する。 それと一緒に、カドミウムによります先ほど御指摘の環境汚染要観察地域における住民検診、これは一部実施してございますけれども、まだ未実施の受診者もございますので、その未受診者の健康診断を実施する予定でございます。 これらに伴う予算といたしましては、緊急分といたしまして、新聞紙上その他で御案内かと思いますけれども、環境汚染調査費また住民健康調査費、それからこれら調査測定を行ないますに必要な測定機器の整備費の補助、合わせて約八千万円余りを今年度中緊急の対策として実施すべく目下計画中でございます。
○古川(雅)委員 重ねてお伺いいたしますが、こうした汚染危険区域におきまして随所でこうした実態調査あるいは健康診断の要請があると思います。そうした各都道府県の要請に対して、政府が即座に予算的な措置に応ずることができるかどうか。いまの御説明ではごく限られたところにしか実施できないのじゃないかということが十分感じられるわけでございます。その点いかがでございましょう。公害に対する世論がここまで高まり、そしてまた危機感が高まっているときであります。当然今後そうした調査の要請が激増してくると思われますが、その場合予算面で、またこの調査を即座に実施していく体制の上で十分応じられるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○浦田説明員 先ほど御説明申し上げましたのは、とりあえず今年緊急分としてやっていこうということでございまして、本年限りのものではございません。むしろ来年度以降やっていこうという計画の一部の実施を繰り上げたわけでございますので、当然来年以降の施策の中では先生の御意見の御趣旨に沿うような線でもって、たとえば現在大気汚染防止法関係、あるいはこれは他省の所管にまたがる問題でございますが、水質保全法関係、こういったことでいわゆる指定地域という考え方がございますけれども、これらについてはもう少しそういった指定という考え方をはずして、全体に広げていくといったような観点から検討する必要があるのじゃないかということも考えておりますので、御趣旨に沿うように来年度の予算措置では十分考えていきたいと思っておる次第でございます。
○古川(雅)委員 重ねてお伺いいたします。 公害の測定や分析をする機関あるいは国立衛生試験所等のこうした検査所、分析所、こうした設備の不十分、そしてまた、その職員、研究技術員の不足が非常に問題になっておりますが、今後こうした調査あるいは資料の測定、分析にあたって当然支障が起こってくるのではないかと思います。この点どのように対処していきますか。
○浦田説明員 まず一番問題は、何といってもこういった方面の専門の職員の充実強化であろうと思います。これらに関しましてはかねてから国立公衆衛生院あるいは財団法人日本環境衛生センターなどにお願いいたしまして、職員の技能の向上、練摩についてははかっているところでございます。しかしながら、これらについても必ずしも十分ということはございませんので、なおこの内容あるいは受講人員その他について考えてまいらなくてはならない、このように措置いたしたいと思うわけでございます。 それから、測定に必要な機器の充実でございますが、これらは一部いままでも補助金あるいは交付税によってその拡充、普及をはかってきたところでございます。今年度の緊急対策につきましても、これは三分の一補助でありますが、金額で約四千八百万円予定をいたしております。したがいまして、このような施策を来年度以降も引き続きさらに拡充してまいりたい、このように対処していく所存でございます。
○古川(雅)委員 以上の点で大臣にお伺いいたしますが、この公害の実態調査と汚染区域の健康診断につきましては、これは緊急対策として実現をお願いしているところでございます。予算措置、そしてまたその研究体制等につきまして、非常な不備、立ちおくれがいま指摘をされているわけでございまして、これは相当力を入れていかないと間に合わない問題だと思います。予算はもとより、厚生省が全力をあげて取り組んでいただかなければならない問題だと思います。いままで再三言われておりますが、あらためてひとつ御決意を御披瀝いただきたいと思います。
○内田国務大臣 御指摘を受けるまでもなく、私どもとしては、事の重要性を十分認識いたしまして、本年度における緊急措置については、ただいま局長から答弁を申し上げましたように、本年度の調整費等の割り当てによる予算措置が終了いたしておりますので、限られた地域と申しますか、カドミウム汚染の特定地域に指定されたような地点がおもな地域になると思いますが、そういうところにつきましてはでき得る限り未検診者の検診等を進めます。 また明年度以降につきましては、御承知のとおり厚生省自身は地方官庁を持ちませんので、従来は地方公共団体に助成をして、地方公共団体をして調査あるいは診断等を行なっていただいておったわけでございますが、それのみではなしに、いわば厚生省の直轄班というようなものも持って、そして地方の公共団体等の機関とともに調査やあるいは健康診断をするのがよかろうという構想をもちまして、関係の学会の方々や医療界の方々等のチームを編成して、そしてそれを常時厚生省の特別団体とするような構成のもとで予算要求等もいたしております。何とかその実現をはかりまして、必要な場合には厚生省みずからも地方の活動と相応じていろいろの作業ができるようにいたしたい、こういう構想の実現をはかりたい所存でございます。
○古川(雅)委員 時間の関係で次に進ませていただきたいと思います。 大気汚染防止法につきまして、この問題点で厚生省としてもいろいろと御意見を発表されております。これはあらためて確認をさせていただきたいのでございますが、特に問題点の中で第三条の指定地域を廃止して全工場、全発生源に基準をかけるべきだということに対してのお考え。それから第二点は、排出基準について現行の濃度規制に加えて量の規制もすべきだという意見、これに対するお考え。それから、これは第七条になりますが、現在の「ばい煙発生施設の設置の届出」、実際にはこれは届け出をしただけで操業を開始しておりますが、これを許可制に改めるべきだという問題点。そのほか数々ございますが、ことに住民の健康と密接な関係のある問題点でございますので、厚生省としてのお考え方をここでひとつ御発表いただきたいと思います。
○浦田説明員 お尋ねの大気汚染防止法の問題点、並びにこれを改正するとすれば一体どういった方法で考えるかという問題でございますが、御指摘のように、現行の大気汚染防止法は、昭和四十三年に大気汚染防止のためのいわば総合立法として制定されたものでございまして、その後の非常に急激な重油使用量の増大、あるいはいわゆるモータリゼーションの進展等に伴いまして最近は必ずしも有効適切に対処しているといいがたい面も出ているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この大気汚染防止法を改正するように検討すべきではないかということで、その方向でもっていろいろと問題点をあげ検討をいたしているわけでございます。 以下、その諸点について御説明申し上げたいと思います。 まず第一は……。
○古川(雅)委員 それはけっこうです。詳細にわたりましては私どもも理解いたしておりますので、基本的な態度をお伺いしたかったわけです。 ただ、ここに具体例が一つございまして、これは六月十六日だと思いますが、厚生省が関西電力に対しまして、兵庫県と尼崎市との間に取りかわされました公害防止協定を守るべきであるという申し入れを行なっていらっしゃいます。これは異例の申し入れであるということで非常に高く評価をされたところでありますが、今後、こうした住民の健康を守る立場で、大気汚染に対して一つの歯どめをしていこうという動きは非常に注目をされるわけであります。片や火力発電所等の建設計画が電力需要に追いつかないという状況のある中で、こうした環境基準を守るということの間にかなりのジレンマがあるようであります。この関西電力に対する厚生省の申し入れにつきましても、厚生省は、最後には、公害防止協定というのは紳士協定である、これ以上強く言えないというような態度を示していらっしゃるようでありまして、今後こうした火力発電所等の建設が行なわれる場合、その新規の発電所あるいは増設された発電所の操業によって当然大気汚染が基準を上回るということがはっきりしている場合、今後厚生省としてもかなり強硬な態度でこれに対し申し入れなりあるいは措置を打ち出していかなければならないと思います。ただこれが関西電力に対する申し入れのように言いっぱなしに終わり、ただかっこうをつけたということだけで終わるとしたならば、これは国民の期待を大きく裏切るものであると思うのでございますが、今後こうした問題に対してどう対処していかれるか、お伺いしたいと思います。
○浦田説明員 スモッグ等非常に高濃度の汚染が生じました場合、それの有効適切な措置の一つといたしまして、たとえば重油をたいております場合には低硫黄油のほうに切りかえる。いわゆる燃料転換といったようなことが考えられるわけでございますが、現今におきましてはこれはただ単に勧告権だけにとどまっておるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のように、たとえば火力発電所でもって規定以上に亜硫酸ガス濃度を出しておる、あるいは規定以上にばい煙が出ておるといったようなことに対しまして有効適切な命令、たとえば燃料転換命令などはいわば勧告にとどまっておったわけで、強制権がなかったわけでございます。あるいはまた、自動車のラッシュによりまして起こりますたとえば一酸化炭素ガス濃度あるいは鉛の濃度といったようなものにつきましては、たとえば交通規制といったようなことも考えられることでございます。これらにつきましては現在のところ規制がないわけでございますが、これらの点につきましても措置を強化して、その実現が有効適切にはかられるような形でもって法改正を検討していきたいと考えております。
○古川(雅)委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、いまお伺いした件でありますけれども、私いま発電所をたとえに出したわけでありますが、もしこうした大気汚染によって住民の健康がおかされるという危険性がはっきりしている場合、その建設計画等について今後厚生省の立場、また大臣の立場で、強硬な態度で臨んでいかれる御決意がおありかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 厚生省としてはもちろんその考えでございます。ただ、それには主管官庁もございますので、そういう主管官庁をも一緒に連れていかないと実効が果たせませんので、そういうことのために中央対策本部あるいはそのもとにおける関係閣僚の協議会というようなこと、そういう機能をも十分活用してまいりたいと思います。
○古川(雅)委員 どうかイニシアチブをとって、そうした産業関係省に引きずり回されないようにひとつ強い態度で臨んでいただきたいと思います。今後また具体的な問題が生じましたときに一つ一つお伺いしていきたいと思います。 次に、これは厚生省として一番重大な公害対策の問題ではないかと思いますが、事後処理になりますけれども、公害被害の救済についてであります。いわゆる公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の運用の問題でありますが、法の成立、その後の運用等について数々の問題点がこれまで指摘をされてきております。ただ結論として申し上げたいことは、昭和四十六年度の予算要求を見ますと、この点での積極性が非常に疑われる。私の見たところは、わずか四百万円増くらいの要求しかしていらっしゃらない。厚生省としてはこれは最も力を入れなければならない公害対策の問題であると思いますが、どうしたお考えを持っていらっしゃるのか。たとえば、認定に関しましてもいろいろ問題があるわけでございますが、救済の緊急性が最も高い健康被害、しかも大気汚染と水質汚濁によるもののみを対象としているこの範囲を拡大しなければならないということも大きな問題でありますし、それから医療手当、介護手当等の額につきましても、他の制度云々ではなくて、もう少し大幅に増額をしなければならないという要請もかなりあるところでございます。こうした医療費等だけではなくて、いわゆる休業補償等の生活補償金等も考えてほしいということもございますし、第一地域の指定について、これは大幅に広げていかなくてはならないという要請等もあるわけでございまして、この点非常に納得がいかないわけでございますが、いかがでございましょう。ひとつこの点をお伺いしたいと思います。
○浦田説明員 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の関係でございますが、これらにつきましては、本年においてもいろいろと実質的な内容の改善をはかってまいったわけでございます。たとえば医療手当、それから介護手当について、四月以降につきましては支給の制限をある程度緩和してございます。それから介護手当については、若干増額をしたところでございますが、御指摘の適用範囲の拡大、ことに指定地域にかかるものについての制限というようなものについてどう考えておるかという第一点、これらにつきましては、先ほども御説明申し上げましたように、ただいまいろいろと実態の調査をしているところでございます。あるいは計画中のところでございます。それらの調査結果も待ちまして、いまの適用範囲の拡大については、やはり前進の方向で考えていきたいと思っております。 なお、内容の改善でございますが、やはり第一点といたしましては、来年度におきましては医療手当の支給条件をさらに改善してまいりたい。たとえば大気汚染性の疾病の通院の支給要件がいまでは八日以上となっておりますけれども、これを少なくとも六日以上くらいにしたい、それから介護手当支給額の増額をしたい、以上のようなことを中心に考えておるところでございます。
○古川(雅)委員 厚生省当局のお調べでは、この制度の対象となる人々に対しては少なくとも三億円の経費は必要だというようなことをお伺いしたこともあります。そうした必要性に比べると来年度の予算要求が非常に少ないということで、どうも消極的なんじゃないか、本気になってこの健康被害者の救済に取り組んでいるのかどうかという点を疑問としたわけであります。さらにこれは健康被害だけではなくて物的被害にも及ぶべきだという議論もかなりあるわけでございまして、すでに予算要求をしたあとではございますけれども、今後さらにこれはてこ入れをしていただかなければならない問題であると思います。大臣いかがでございますか。
○内田国務大臣 物的被害に及ぶかどうかということにつきましては、ただいまの法律のたてまえが健康被害に対する補てん、特別措置ということになっておりますので、別個にしなければならないと思います。幸い公害に対する紛争処理に関する特別措置法が施行をされますので、そういう物的被害等につきましてはその方面の手続、処置等をもってカバーできる場合が相当多かろうと考えております。
○古川(雅)委員 次に大臣に直接お伺いしたいわけでございます。例の公害対策税の問題でありますが、これは内田構想として打ち出されましてから非常に議論を呼んだところであります。聞くところによると、大蔵省等では問題にしてないというような、非常に難色を示しているという声も聞いておりますが、これは大臣の責任ある御発言として今後もこの構想をお進めになるお考えか。具体的に内容をお伺いしていると時間がございませんので、御決意、御意向だけを伺いたいと思います。
○内田国務大臣 私が公害についての特別税の構想というようなものの研究を厚生省当局に命じましたのは、当時は公害対策中央本部というものがございませんで、公害に関するすべての施策を厚生省としてまとめていきたいというような野心的な発想から実は出ておりました。でありますから、事は財政の問題であろうと私は一つの素案としてそういうことを研究をいたしておったのでありますが、中央本部ができました後におきましては、それこそ厚生省の担当事項と申しますよりも、中央本部が、あるいは自治省、あるいは大蔵省、あるいはその他の関係官庁と相談をしてきめるべき事項となっておると思いますので、私の構想というものは、そこに手続上、推進上の環境の変化が来ておるというふうに御了解をいただきたいと思います。
○古川(雅)委員 では最後に魚介類の汚染についてちょっとお伺いしたいのであります。 これは最近特に盛んに国民の不安をかり立てている問題でありますが、魚介の奇形あるいは魚介類に有毒物質が含まれている、そういうものが検出されたという報道が重なりまして、第一に調査や研究の体制でございますが、非常に不十分ではないかと思いますし、非常におくれをとっておると思うのでございますが、今後どう対処していかれるか。ひれがないとか、あるいは分析の結果水銀が出たとか、あるいはカドミが出たとか、そういうはっきりしたことももとよりでありますけれども、原因不明で魚がどんどん死んでくる。死なないまでも弱っていく。そういった魚を私たちは日常食べているわけでありまして、これは食品衛生関係になってまいりますけれども、こういったものを私たちが日常口にしていって人体に今後どういう影響を与えていくのか、この点の十分な研究のなされていない。全く初歩的な段階にとどまっていると思います。しかも最近ハマチ等の養殖場において全国各地で相次いで大量に魚が死亡するという事件が続いておりまして、これは何らかの人体に対する影響が今後考えられるのじゃないかということでございます。研究体制について、それからまた、こうした有毒魚介が発生することによって、これは直接所管とは関係ないかもしれませんけれども、沿岸漁民や水産業者にかなりの影響をもたらしていくと思います。今後この問題にどう取り組んでいかれるか、その点をお伺いしたいと思います。
○浦田説明員 水質汚濁と魚介類、ことに食品としての魚介類の汚染という問題は非常に重大な問題だと思います。従来必ずしも系統的ではございませんでしたが、国立衛生試験所あるいは各地方の衛生研究所で、これは主として個々の調査研究として、たとえば微量重金属の含有調査といったようなことは進めてきておったところでございます。また先般、水銀につきましては系統的に全国的な調査を行なって、その結果もすでに公表したところでございます。しかしながら必ずしも現体制が十分とは言い切れませんので、来年につきましては、これらの微量重金属類による汚染あるいはその他水質汚濁に基づきまする魚介類の汚染につきまして、具体的に水域を選びまして調査を進めてまいりたい。また現在いろいろ汚染されておる魚介類あるいは奇形を生じておる魚介類の販売につきましては、これは水産庁等関係の官庁とも連絡協議いたしまして、できれば漁獲の禁止そのものをしていく、あるいは少なくともそれが市販されないように監視指導を行なってまいりたいと考えておる次第でございます。
○古川(雅)委員 最後におっしゃった汚染された魚——あるいは、漁師の方が魚をとっていけすに生かしてまいります。漁港の中に入っただけで、汚染された海水のところを通っただけで魚が死んでしまう、そういった魚について販売をしてはいけないとか食べてはいけないとか、そういう規定は現段階ではないわけでございますね。今後御検討になるということでございますか。
○浦田説明員 現在それら汚染された魚介に対して、食品衛生法上これらが有害な食品であるという判定については必ずしも判然としていない面もございます。したがいまして、これらについても法改正を検討すべきであるということで、現在研究中でございます。
○古川(雅)委員 この九月一日に厚生省はこの調査計画を御発表になったわけでございますけれども、大臣としてもこの問題は相当重大な問題としてお取り上げだと思いますが、この汚染魚介類の人体に及ぼす影響、健康に及ぼす影響についての調査は、早急にかつ十分な研究ができるように措置していただきたいと思います。この点よろしくお願いいたします。 じゃ、次に譲ります。
○倉成委員長 古寺宏君。
○古寺委員 昭和四十一年三月の科学技術特別委員会におきまして、農薬の残留毒性の問題について決議がなされておるわけでございますが、その後残留毒性の研究並びに対策をどのようになさってこられたか、今後の方針もあわせてお伺いしたいと思います。
○浦田説明員 実は厚生省はすでに昭和三十九年度より主要農作物についての残留許容量の設定作業を続けていたところでございます。現在までに十二食品にかかる八農薬の許容量が定められております。 今後の計画といたしましては、さらにこの作業を進めまして、昭和四十八年度までに四十八食品についての残留許容量を設定するようにスケジュールを立てております。これによりまして、主要農作物についてはほぼ規制がかかることになると思います。
○古寺委員 残留許容量のきまっていない動物性の食品、ことにBHC関係、それから主食の米等に対しましては、いつごろまでに残留許容量を設定するお考えであるか。またこの許容量を設定いたしましても、青森、岩手あるいは山形県等におきましては、衛生研究所に十分な施設がないために対応できない、そういうふうにいわれておりますが、その対策については厚生省はどのようにお考えになっているか、承りたいと思います。
○浦田説明員 米に関する残留農薬の許容量につきましては、今年じゅうに設定する予定で作業を進めております。それから小麦でございますが、これはいま作業を継続中でございますけれども、昭和四十五年、四十六年の二年計画におきまして、来年一ぱいには定めたいという予定でございます。 また御指摘の動物性食品、ことに一番重点は牛乳かと思いますが、このBHCの残留の許容量につきましては、ただいま全国的な調査をまだ行なっている最中でございますが、これらの調査結果、それからただいま別途、国立衛生試験所におきましてベータBHCの慢性毒性試験も追及中でございますので、これらの結果を勘案いたしまして、できれば本年度内を目途として許容量の設定を牛乳についてはきめてまいりたいと思っているわけでございます。 また、たとえこのように基準をつくりましても、県の段階では分析機器の不備あるいはその他の理由で必ずしも実効が期せられないではないかという御意見でございますが、現在青森県におきましては分析機器が二台、岩手県におきましては一台といったようなことで、設置されていることはいるわけでございます。それから実績といたしましても、昨年度じゅうに岩手県では残留農薬の検査を実施している実績がございます。青森県についても同様でございます。しかしながら今後のいわゆる行政需要の増大に対応するためにはこれらをさらに強化しなくてはならないということで、地方交付税の中から衛生研究所等の経費の増額を推進すべくただいま努力しておるところでございます。実績で申しますと、四十四年度におきましては、検査機器、検査用消耗品費等入れまして、地方交付税の標準額は五十三万円でございますが、これが四十五年度におきましては一躍百九十万円ということになっております。絶対額そのものが小さいので一躍ということはあれでございますが、そういうことで、経過的に見ますと拡充されてきておるわけでございます。さらに今後この努力を続けたいと考えておる次第でございます。
○古寺委員 米のBHCの残留量につきましては、一部衛研で発表したようでございます。これは厚生省並びに農林省も調査いたしていると思いますが、特にBHCを多く使っている地方の米の残留量という問題は非常に大事な問題でございます。いままでの調査を見ますと、東北地方はあまり発表になっていないようでございます。これは当然公表すべきであると思いますが、どういうふうになっているのでしょうか。
○浦田説明員 米の残留農薬の実態調査結果は、実は公表しているところでございまして、もしも御要望がございましたら後刻先生にお届けしたい。別に隠していることではございません。
○古寺委員 最近、大阪の衛研あるいは高知の衛研におきましてキュウリの残留毒性の問題が報道されておりますが、こういう許容量を上回っている野菜、くだものを消費している消費者に対する対策、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
○浦田説明員 従来キュウリにつきましてはドリン剤の吸収というものが選択的に行なわれるおそれがあるということを承知いたしまして、ことに今夏のキュウリの需要期に備えまして、私どもとしてはそういったことのないように取り締まりを厳重に強化するように指示してございます。 キュウリに対しまするドリン剤でございますが、これらの散布及び土壌に対する使用につきましては、農林省で安全使用基準というものを作成いたして、それでは禁止されておるところでございますが、どうも高知のキュウリの残留農薬というものは、裏作のたばこなどに使用されたドリン剤などに原因するのではないかと考えられますが、いずれにいたしましても、許容量をこえたものが発見されました。たとえば香川県におきましてはエンドリンが〇・〇五、岡山県ではディルドリンにいたしまして〇・〇六、あるいは鳥取県でディルドリンで〇・〇四三、徳島県では〇・一七といったふうに私どものほうに報告が来ておりますが、これらにつきましては人体に対する影響というものを考えまして、違反品の発見された生産県に対してその商品を取り締まりますとともに、その違反の原因についての調査も現在進めておるという状況でございます。
○古寺委員 そういたしますと、四年前に禁止したものが出てくる、そういうことが今後たくさん出てくるということが考えられるわけでございますが、消費者はそういうことがわからない。それを食べてしまっているわけでございます。そういう点について一体、これはだれが責任を負うわけでございますか。
○浦田説明員 店頭に出回りましていよいよ食品という段階になりますと、これは食品衛生法の規制にかかわるわけでございます。生産の段階におきましては農林省でございます。農林省の係の方が見えておられますので……。
○福田説明員 いまお尋ねがございましたアルドリン、ディルドリンなどのドリン剤に関しましては、昨年の暮れに厚生省のほうから食品衛生法に基づきまして残留許容量が発表されましたので、農林省といたしましては当初の調査結果に基づきまして安全使用基準というものをつくったわけでございます。昨年の十二月でございますが、残留許容量の設定と同日付で事務次官の依命通達をもちまして安全使用基準なるものを通達したわけでございます。 その内容の一部を申し上げますと、アルドリン、ディルドリンにつきましては、トマト、キャベツなどにおいて土壌に施用するだけ。キュウリはこういう薬を非常に吸いやすいというようなことがあるようでございますので、キュウリにおきましては種子に粉衣するだけ、それ以外の使用方法はしてはならない。またエンドリンにつきましてはクリだとかたばこだとか一部の作物の場合を除きまして一切使用してはならない、こういった内容を持ちました安全使用基準を昨年の十二月に通達しまして、関係諸機関等々を通じましてその周知徹底をはかってまいった次第でございます。 今回、一部キュウリからドリン剤が検出されたということでございまして、その原因につきましては目下いろいろ調査中でございますが、安全使用基準の違反あるいはそれを守らなかったこと、あるいはそのほかにも、先ほど来お話がございましたように、たばこなどに使われたものが土壌に残っていてさらにキュウリに吸収されたのではないかというような疑いもございますので、農林省といたしましては、関係各部局相談いたしまして、さらにこのドリン剤の安全を徹底するために「アルドリン、ディルドリン及びエンドリンの安全使用について」という通達を九月五日付で出した次第でございまして、それによりまして前作にドリン剤を使ったあと作についてはキュウリなど吸いやすいものに使ってはならない、キュウリをつくる予定があるというところには前作にドリン剤を使わないようにという指導をいたしておる次第でございます。
○古寺委員 時間がないので急ぎますが、果樹地帯でダイホルタンという農薬を使っておりますが、この中毒が非常に発生をいたしております。しかもこの農薬につきましては軟こうを一緒に保護クリームとして売っているわけでございますが、皮膚の炎症だけではなしに内臓の疾患が非常に出ているわけでございます。肝臓あるいはじん臓、そういうような障害が出ているわけでございますが、こういう農薬が普通物として取り扱いをされているわけでございます。こういう点については厚生省は一体どういうふうにお考えになっているのか、承りたいと思います。 いま、この患者の写真を持ってまいりましたので、これを大臣に見ていただきたいと思います。 〔古寺委員、写真を示す〕
○加藤説明員 毒物劇物にどういうものを指定するかということにつきましては、一応私どものほうでは指定基準をつくっておりまして、たとえば毒物につきましては、動物実験によりまして経口、口から入れる場合のLD50——と申しますのは、その動物の口から入れまして実験した動物の五〇%が死ぬ、それをLD50と申しておりますが、LD50が体重一キログラム当たり三十ミリグラム未満のものは毒物といたしております。それから三十ミリグラムをこえ三百ミリグラム未満のものについては劇物というぐあいに指定いたしておるわけでございます。ただいま御指摘の薬品につきましては、そのいずれにも該当しないということで毒物劇物に指定していないということでございます。
○古寺委員 このLD50はわかりますが、LD50できめていく場合には、急性の毒性だけが対象になるわけでございます。当然慢性の毒性を考えなければならない、こういうことが決議もされているわけでございますが、そういうことが一向に改善されていないようでございます。今後こういう点についてはすみやかに改善をしていただきたい、このように御要望を申し上げます。 時間がないので急ぎますが、これは昨日のある新聞の投稿欄でございます。北海道の一主婦の方でございますが、「農薬の毒性が問題になっているが、リンゴ園で働いていた私の友人は原因不明の病気で二年間ほど床に伏し、若い生命を散らした。遺体を解剖した結果、脊髄に毒性農薬がたまっていたという。リンゴの樹の下で洗わずに食べていた新鮮な果実が命取りになったのである。」これは投稿の一部でございます。こういう点からいきまして、この残留毒性の問題については相当突っ込んだ研究というものがなされなければならない。しかも発ガンの問題あるいは催奇形性の問題等も加味しているわけでございますが、今年度の予算を見ますとわずかに二千万円の委託研究が行なわれているようでございますが、その研究の内容についてお伺いをしたいと思います。
○村中説明員 農薬の慢性中毒の問題でございますが、御承知のとおり、急性期の場合には、皮膚の症状あるいは呼吸器系の症状がいろいろあるわけでございます。これは慢性期に経過してまいりますと、たとえば、頭が痛いとか、食欲がなくなるとか、全身の衰弱とか、他の疾病と区別のつかないような症状が幾つか重なって出てくるというような問題点が一つあります。そこで私どもは、四十五年度におきまして、農薬を扱う農民の——ただいま果樹園の話が出ましたけれども、農民の農薬の慢性中毒についての研究という形で、ただいま御指摘になりました二千万円の研究費を農村医学会のほうに出しておるのであります。内容を簡単に申し上げますと、急性及び慢性中毒に関する情報収集とその解析ということで、中毒臨床例の調査、それから農薬散布従事者の健康の実態調査、農薬の皮膚炎のパッキテストによる調査研究、こういうふうな項目。また大きな二番目のタイトルとしては人体における農薬残留量の調査及び中毒症状発現に関する実験的研究というふうなテーマで人体内の有機塩素剤の残留量の調査、それから有機水銀中毒におけるアレルギー学的な研究、これは動物実験を一応いたしております。三番目の大きなタイトルといたしましては、各種農薬中毒の治療に関する研究、こういう三つの大きな項目に分けました研究を四十五年度で農村医学会にお願いしておりまして、まだ来年度の問題でございますが、この研究は今後引き続いてお願いしたいというふうな考え方を持っております。
○古寺委員 先ほどお見せいたしましたダイホルタンにつきましては、アメリカにおいてすでに催奇形性の問題が問題になっております。あるいはパラチオンは現在でも果樹園で非常に多く使われておりますが、アメリカではこのパラチオンによる死亡例、中毒例が非常に多いということが発表になっております。こういうような強毒性の農薬については、製造あるいは販売、使用というものを当然これは禁示すべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、厚生大臣はこの点についてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか、承りたいと思います。
○内田国務大臣 厚生省といたしましては、これはあくまでも人の生命、健康を預かる役所でございますので、他の効用のことも考えなければならないことはもちろんでございましょうけれども、できる限りこれをシビアに処理したい、私はこういう気持ちでおります。ただ、現在の法制の仕組みが、農薬につきましては、たしか農薬取締法という法律のもとに登録制をとっておりまして、その登録するかしないかにつきましては、あるいは慢性毒性、急性毒性等の問題とも関連があると思いますが、農林省の判断をも尊重してまいらなければならないと思います。しかし農林省といえども、またこれ農作物に対する有効性の問題ばかりでなしに、人の健康なり生命に多大な関心を持っておるところと考えられますので、両省におきましてその点を十分研究をいたしました上で最も安全なもののみを登録させる、またさらに、登録されたものにつきましても、その後のいろいろな研究やまた科学技術の進歩によりまして、登録を認めたときの事態と違う状況のものにつきましては、私は何らかの措置があるべきだと思います。これは農薬ばかりでなしに、私どものほうの主管をしております医薬についても同じことが言えるわけですが、その辺の法制上のたてまえにおいては、必ずしも私がいま述べたようなたてまえに法制上なっていないところもあるように思いますので、私は今後これらの点を検討をしていくべきだと考えております。
○古寺委員 わが国の農薬の使用量というものは、毎年ウナギ登りに上昇しております。対面積の使用量を外国と比較をいたしましても、アメリカの六、七倍、あるいは諸外国の十倍近い農薬を使っておるわけでございます。こういう点について農薬以外の防除法、そういうような開発は、これは当然すみやかに開発すべきである、こう思うわけでございます。農林省はそういう点についてはどのようにお考えですか。
○福田説明員 農薬の安全につきましては、いろいろ先ほど来お話が出ておりますように、安全使用基準の設定、あるいは危害防止等によって指導の万全を期しておるわけでございますが、また先生御指摘のように、農薬以外の防除手段につきましては、天敵の利用促進につきましてもいろいろ研究を進めておるところでございまして、すでに実用化の可能性のついたものから次々と実際の使用の場面に取り入れていきたいと考えております。本年度から果樹害虫天敵利用促進事業という事業を進めまして、実用化可能な天敵三種類につきましてその増殖施設を県に補助するというような事業を行なっております。三種類の天敵をそれぞれ三つの県に、当面九つの県に補助する予算を本年度からとっておりまして、今後これを毎年続けていきまして、当面いま使います天敵が、かんきつの天敵三種類でございますので、かんきつ県三十県まで行き渡らせたいと思っておりますし、今後さらに利用可能の見込みがつきましたものにつきましては、同様にその天敵の増殖施設を県に補助するなどの施策を施していきたいと考えております。
○古寺委員 先ほど局長さんのほうから御説明がありましたが、慢性の毒性の研究につきましては、一つの農薬について数千万円かかる、こういうふうにいわれておるわけであります。わが国の場合におきましては、すべての農薬を対象にして二千万円の研究費でございます。このような研究体制では十分な研究は進まない。今後こういう研究体制をさらに強力に推進していかなければ、残留毒性の問題、慢性中毒の問題は解決つかないと思うのでございますが、こういう点につきまして、厚生大臣は今後どういう決意でお臨みになる考えであるか、承りたいと思います。
○浦田説明員 これらの慢性毒性の問題につきましては、厚生省としては国立衛生試験所の毒性部が中心となって、これらの問題の研究を進めておるところでございまして、それらの予算は六億という数字が計上されております。先ほど御指摘の、従来の二千万円程度の研究費と申しますのは、特に私どもが行政サイドのほうからいろいろ問題にしております基準値の最終的な決定の参考にする資料を提供していただくという意味のものでございまして、すべてではございません。
○古寺委員 慢性の中毒につきましては、ほとんどその実態が今日まだ解明されておりません。先ほどの投稿にもございましたように、そういう農薬の慢性中毒によって死亡している、犠牲になっている人がたくさんいるのではないか、私はそういうふうに考えるわけでございます。 さらに、この農薬中毒の問題につきましては、全く補償がないわけでございますが、農業に従事しておる人がほとんどこの中毒者でございますので、当然これを職業病として今後取り扱い、また補償すべきである、そういうふうに考えるわけでございますが、この点について、大臣は職業病として今後取り扱うというような考えを持っているかどうか承りたいと思います。
○福田説明員 農薬の中毒につきましては、いままでいろいろ御答弁を申し上げましたように、いつも危害防止運動あるいは農薬の表示等にその旨をしるさせる、あるいは中毒防止要項その他のことも農薬に表示させまして、万全を期しているところでございます。急性中毒につきましては、死亡がかなり減少しておる。四十四年度は散布中の死亡事故というものは十五名程度にとどまっておりますが、そのほかに誤用とか自殺、他殺などが八百二十名ぐらいに達しております。これらにつきましては、今後低毒性の農薬の普及とか農薬以外の防除手段の普及等によりまして、危害防止の指導の徹底につとめたいと考えておるのでございます。また自殺、他殺等につきましても、農薬の適正な保管、管理等の徹底によりまして、防止につとめてまいりたいと考えております。また慢性中毒の件に関しましては、何と申しますかその確認等々につきまして私どもははっきりしない点もございますので、先生御指摘のような職業病としての取り扱いにつきまして、農林省側としましてはただいま直接どうこう判断するわけにはまいりませんので、関係各省などと連絡をとりまして検討をしてまいりたいと考えております。
○内田国務大臣 これは私も伺っておりましたが、たいへんむずかしい問題で、にわかに私がここで結論的なことを申し上げにくいと思いますが、しかし広義においては私は一種の職業病、あるいはもしそれが許されるならば、労働災害に類似するようなふうにも考えられる課題であると考えますので、そういうことをも頭に置きまして、いま農林当局からお答えがありましたように、今後の研究課題といたしてまいるべきだと考えます。
○古寺委員 それでは時間ですので、以上で終わります。
○倉成委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 時間が非常に制約されておりますので、きわめて簡単にお尋ねしたいと思います。きのう、おとついと公害対策特別委員会で論議され、話題になりました田子の浦のヘドロの問題なのですが、いわゆる都市、産業廃棄物については厚生省が所管である、そういう立場からいきますと、この田子の浦の海上投棄の問題について、もう少し厚生省としては明確な立場でものを言うべきではないか、私はそう思うわけでございますが、さきおとついの科学技術特別委員会の席におきましても、厚生省のある課長さんの答弁等を聞いておりますと、きわめて抽象的で無責任きわまりない答弁である、こういうふうに考えるわけであります。まず、この田子の浦のヘドロ海上投棄について厚生省はどのように考えているかお尋ねしてみたいと思います。
○浦田説明員 田子の浦のヘドロということに限定されての御質問でございますが、必ずしも御趣旨はそういうことでなくて、むしろ田子の浦のヘドロに象徴される産業廃棄物について、厚生省は一体どのような考えで取り組むつもりか、その対策を持っているかという御指摘だと思います。 産業廃棄物全般につきましては、私どものほうでお世話になっております生活環境審議会に、かねて都市及び産業廃棄物の処理についての方策いかんということで検討をお願いしていたところでございますが、さきにその第一次答申を受けまして、私どもはそれに基づきまして都市及び産業廃棄物の処理要綱をすでに作成しておるところでございます。その中で、具体的な方策等も定めまして、必要な財源措置、あるいは場合によりましては法改正の検討なども含めまして、現在その作業を進めている段階でございます。 お尋ねの、ヘドロに象徴されまする汚泥の処理の問題でございますが、これらにつきましては、根本的には私どもはまず第一段階といたしまして、企業の責任において前処理を十分にしていただいて、工場から出す、その段階において無害それから安全なものにするべきであるというふうに、まず第一段階として考えております。 それから、それによりましてもなおかつ、たとえば都市廃棄物で例を申しますと、下水道の終末処理場におきましては、相当大量の汚泥が発生いたします。またそれぞれの工場で十分に前処理をしたものにいたしましても、汚泥としての排せつ物はかなり多量に残るわけでございます。これらの最終的な処分でございますが、それらにつきましては、生活環境審議会の答申の中では、御指摘の外洋に対する投棄につきましては、必ずしも全面的に反対の意向ではございません。しかしながら人体に対する影響その他については、非常に慎重にその無害であるということを確認した上で、しかも水域その他の条件を十分に調査確認して、たとえば海洋処分の地点の選定といったことにつきましても、専門家の意見も聞いて慎重に行なうべきであるという意見でございます。 なお、これらの海洋還元に関しまする具体的な、技術的な基準というのは、目下鋭意検討中の段階でございます。
○大橋(敏)委員 私がいまお尋ねしたのは、いま答申の内容をいろいろとおっしゃられましたが、それは全くそのとおりだと思いますが、要するに田子の浦の例をとりましても、今度二十日から強行海洋投棄をなされるというそのものについても、それが有害であり、あるいは毒性、影響が分析された上で、これなら安全であるという確認もなされないまま投棄される、そこに問題があるということですね。もっと私が言いたいことは、ごみの問題、産業廃棄物等については、最近非常にやかましくなっておりますが、では一体どこに捨てたらばいいんだ、こう、企業側からあるいは排出者側から、いわゆる開き直られる姿になった場合、都市、産業廃棄物等の総責任である厚生省としては責任問題になると思うのですね。これは、捨てるな捨てるなと言うけれども、では一体どこに捨てればいいのか、言われるところに捨てますがね、こうこられますといよいよ問題であろうと思います。そういう立場から厚生省は、もっと早急にそのルールといいますか、そういう問題が起これば直ちにそれを指示できる、そういうものを確立すべきである、いわゆる体制の確立ですね、これを急ぐべきであるということを私は言っているわけであります。 家庭から排出されるいろいろなごみの内容も、御承知のとおりにずいぶんと変わってきております。焼けるごみだけではなく、焼けないゴミ、焼けにくいごみ、あるいは粗大ごみといって、想像以上のごみの内容になっております。また産業廃棄物にしてみても、経済社会の活動の避けがたい所産であります。つまり活動の規模に正比例して必然的に起こってくる問題であります。いわゆる文明の産物といわれているわけでございますけれども、私はごみによって逆に文明が破壊されていく、こう心配するわけであります。今日までごみの問題も取り上げられなかったではありませんけれども、無視とは言わないまでも、厚生省としては非常に軽視した立場で進んできたのではないか。生産生産と、あまりにもいままでは物をつくることのみに目を奪われて、そのあと始末のほうに対する心の配り、そういう対策、そういうものがなかったのではないか、こう思うわけであります。そういう立場から考えて、今後厚生省としてどのように具体的に対策を立てられようとしているのか、お尋ねしてみたいと思います。
○浦田説明員 御指摘のように、従来厚生省が産業廃棄物という点について対策が不十分でなかったかという点は、私はいなめないと思います。一般の家庭から出るごみ処理につきましては、先生御案内だと思いますが、すでに清掃施設整備緊急措置法、これに基づきます五カ年計画でもってその整備をはかってきたところでございますけれども、それに加えるに、それ以外のものといたしまして、産業廃棄物という問題が起こってきたのは、先生御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、多少その点に対して時期的におくれたうらみはありますけれども、早急にこれらに対して具体的な対策を立てていきたいということで、まず第一点といたしましては、どうしても都市、産業廃棄物はその性格上高度の処理技術あるいは広大な還元用の土地あるいは場合によっては海洋の確保、海洋還元の事業といったものを必要とするために、従来の市町村あるいは排出者がみずから処理する、処分するといった体制を一歩踏み出しまして、いわゆる広域的な処理体制を立てるべきであるということを中心に、まず昭和四十六年度におきましては、いま申しました広域化計画を推進するために、一番問題の起こっておる都道府県につきまして、その計画推進会議を設置して具体的な、地域に応じた計画を立てさせる。それから廃棄物の処理、処分に関しまする技術水準の策定を早急にやる。これは目下急いで作業しておるところでございますけれども、引き続き全般の面につきましても必要な技術水準の策定を続けていく。それからさらに地方公共団体に対しまする国の財政援助につきまして、これは予算要求として大蔵省に出すべく目下準備中でございます。なお、これらを強力に推進するために、現在の法体系でいいのかどうかということにつきまして、関係法令の整備も検討を進めているところでございます。
○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねしますが、いま局長さんがいろいろと答えました。要するに、ごみ処理の問題特に産業廃棄物等についての対策は、厚生省としてもおそきに失した感じがある、今後は広域行政的な内容からぐんぐん推進していく、あるいは市町村に対する財政援助も強力にやっていこうと思うという答弁があったわけでございますが、最高責任者は大臣でございますから、大臣の決意をここではっきり聞いておきたいと思います。
○内田国務大臣 この問題につきましては、私は大橋さんと全く同感でございまして、私は就任以来機会あるごとに、この産業廃棄物あるいは都市廃棄物の処理体制の創設といいますか推進といいますか、またそれに伴って必要な法律の改正あるいは制定をぜひやれということを督励をいたしてまいってきておるところでございます。今日清掃法がございますが、清掃法の対象となっておりますのは、やはりその時代を反映いたしまして、何といっても家庭廃棄物を対象とし、しかもその処理の責任機関としては市町村長を責任者とするような体制であり、しかもまた対象となる区域などにつきましても、特に限定があるというようなことで、今日の大きな課題になっております都市廃棄物、産業廃棄物あるいは建設廃棄物などに対応する制度、法制としてはまことに不十分であるということを私は常に感じておるものでございますので、この清掃法の改正あるいはこれと関連する別立ての法律にいたしますか、その辺は検討いたしておりますが、そういう法律体制もつくりまして、処理の責任体制というものを市町村長に限定せず、いまもお話がございましたように、より広域的な府県あるいはその他の団体をも責任体制に加え、またこの処理などにつきましても、必要に応じては市町村、府県などとは別に、一種の地方産業廃棄物公社といいますか協会といいますか、そういうような特別の機構をもつくり得るような、そういう道をも開く考えでございます。 また機構ばかりでなしに、産業廃棄物の処理についても、焼くのかあるいはプレスをするのか、あるいはクラッシュをするのかという技術の問題も必ずしも確立されておりませんが、それは一本に固める必要はないので、数本のそういうことをあわせてやれるようにいたしまして、いままでのように、焼却施設でなければ国の補助の対象にならない、また起債の対象にもならないという狭い見地をやめてまいりたいと思います。 さらにもう一つは、これらの産業廃棄物が出てまいりますもとにさかのぼりまして、これは公害処理と同じように、やはり廃棄物を排出するその企業に第一次的な処理の責任を置きまして、できる限り企業内の処理をして、あるいはまた分解をしたり分類をいたしまして、しかる後、公共的に処理するものを外に出すというようなこともぜひ必要であると考えまして、そのような中身をも考えつつ、法体制あるいは財政体制の整備をはかっております。 最後に、田子の浦のヘドロあるいは紙製造の際の残渣物でございますが、これは私は技術的にはよくわかりませんが、それは産業廃棄物でもございましょうが、むしろいままでは、工場の汚水といいますか、工場の排水というような観念を持って、水質保全法あるいは工場排水等の規制に関する法律というようなものの対象として取り上げられてきたようでございます。その体系で取り上げることも私は適当であろうと思います。水域指定の問題でありますとか、あるいはいままでは汚水を下水道などに流します場合には対象からはずしておったのを、そういうものを加えるとか、そういう面の検討も必要であろうと思いますが、さきに述べました産業廃棄物というような見地からも、汚水とは別に産業廃棄物としての企業内の処理もはからせるというような道についても考えていくべきだと思っております。
○大橋(敏)委員 いまの大臣の答弁に、いささか不満といいますか疑惑を抱くようなところがあるのですが、時間の関係がありますので次に移ります。 市町村に対する強力な財政措置をやろう、こういうことでございますが、いままで市町村でごみ焼却場を建設するような場合には、たてまえとしては四分の一の補助になっているはずであります。ところが、私は北九州市出身でございますが、ちなみに北九州市のごみ施設、清掃工場が四十四年から三カ年計画でいま建ちつつあるわけでございますが、それが十五億四千二百万円の総工費に対して、国の援助は二千四百万円で、六十分の一しかついておりません。これなどはいろいろと内容を探ってまいりますと、補助対象事業費とかいって、あるいはまたその中に補助対象基本額なんというものが設けられて、だんだん補助の対象の基本額そのものが問題になってきて、そのためにこのような低い金額になっておるのだということを聞いたわけですが、こういうことでは実際問題として市町村の財政を圧迫するし、いわゆる清らかな、住みよい、豊かな環境づくりをやろうという市町村の努力にマイナスになっているのじゃないか。もっとこういう基準を改めて、どしどしと四分の一らしい実質的な援助をやるべきだ、こう私は考えるのですが、大臣その点はどうでしょうか。
○内田国務大臣 私が先刻述べましたのは、いままでの市町村を対象とする補助率の改善というようなことには触れませんでした。むしろ産業廃棄物は市町村を処理責任者とするだけではとうてい処理できないので、より広域な府県あるいは場合によっては府県、市町村等が協力してつくり得るような産業廃棄物処理協会式なものをも取り込んでいかないと、これからの新しい事態には対応できないということを申し上げ、またそういう施設に対しても新しく、どの程度の補助率になるかは別といたしまして、補助助成の対象にするあるいは起債の対象にするというような新しい構想を持っていくことが必要だということを中心に述べました。 さて、現行の清掃法によるごみの焼却処理施設等に対する補助につきましても、実態については大橋さんがお調べになったとおりのものも多かろうと思いますが、これらのことにつきましても、でき得る限り市町村がそういう焼却処理が可能なような道をつくるために、補助の方法なり対象なりの改善とかいうようなことももちろん並行して考えていくべきだと思いますので、それはそれでまた改善の方法を考えてまいりたいと思います。
○大橋(敏)委員 あわせて、市町村に対する補助率の問題については清掃工場等のみならず、土地、いわゆる埋め立て用地に対してやはり相当の費用がかかっておりますので、この点もあわせて補助の対象にすべく検討を進めてもらいたい。強く要望しておきます。 それで最後にお尋ねしたいことはプラスチックの問題でございます。腐らず、減らず、変わらないこのプラスチックは、現在の清掃法あるいはごみ処理の段階ではどうにもならぬ姿になるのではないか。市町村ではもう頭痛の種でございます。ですから私が言いたいことは、プラスチックに対する特別の研究あるいは開発、そういうものに手をかけていくべきである。いま通産省のほうには検討の機関があるようでございますが、厚生省としても、いま言いましたように都市、産業廃棄物等の第一人者でございますので当然これは考えるべきであると思うのですけれども、どういうお考えでいらっしゃいますか。
○浦田説明員 プラスチックその他いわゆる合成樹脂の問題が清掃上あるいは産業廃棄物の上から申しまして非常に重大な問題をはらんでいることは、御指摘のとおりでございます。私どもそれらを最終的に処分する責任を持っておる者といたしましては、まず第一にプラスチックに対します専焼炉というものでもって焼却するのが一番いいんじゃないかと考えたわけでございます。もちろん、問題を起こさせないために、すでに生産の段階で、プラスチックのようにあとまでも処分に困るといったようなものをつくること自体御研究願うということは、またそれぞれの関係の省にお願いしなければならぬ点でございますが、できた以上は、これは専焼炉による焼却をするということを考えるのが一番よろしいのじゃないか。 それからこれは埋め立てますが、その場合にやはり融解して形を小さくする、あるいは破砕して扱いやすいようにするといったようなことで埋め立て処分も考えられるところかと思います。 それからプラスチックに対しまして何か特別の微生物を発見いたしまして、ほかの有機物と同じようにそれを生物学的に処理してくれるといったような研究、あるいはその他の方法が考えられるわけでございます。 私どもといたしましては、いま申し上げましたようなことを中心に、研究者のほうの研究も進めていただく一方、処理施設その他の増強についても来年度の予算において考えてまいりたいと考えている次第でございます。
○大橋(敏)委員 もう一問、最後に。話は全く変わりますけれども、種痘問題でちょっと触れたいと思うのですが、一問だけで終わりますのでよく聞いておっていただきたいと思います。 種痘禍が問題になりまして、厚生省もやっと重い腰を上げた。しかしながら被害者、さらにこれから種痘を受ける関係者においてはまだまだ不安はぬぐい切れない。しかしいよいよ九月からまた実施されるということでございますけれども、私は、まず種痘を受ける赤ちゃんの予診制度といいますか、そういうものを義務づけるべきではないか、こう思うのでありますが、この点についてはどうか。 それからもう一つは、いままで種痘については大体定期的に集団的に行なわれていたわけでございますが、それを、それのみならず、やはり行きつけの医者に自由に行ってできるというような体制に持っていくべきではないか、こういうこと。 それから、もう一つは補償問題でございますけれども、先般厚生省できめられた死亡者あるいは後遺症の方に対する補償の内容でございますが、これはまだまだきわめて低い内容であるし、これはこれで打ち切りではなくて、入り口の段階である、さらに検討されて増額されていく内容であるかどうか、そういう点についてお答え願いたいと思います。
○村中説明員 種痘についての第一点の予診の制度化という点の御指摘でございますが、御承知のとおり、現在予防接種法を親法にいたしまして政省令、実施規則というような形で処理いたしまして、ただいまお話しの予診の内容の具体的な事項については、現在実施規則の中できめているわけでございます。ただ御承知のとおり、この予防接種法自身が法制定後相当たっておりまして、昭和四十三年以来これの改正の検討を現在いたしておるわけでございます。この中で、ことにことしになりましてから出てまいりました種痘の接種の関連の中での予診問題とからめまして法改正の段階での検討はいたしたいと思いますが、いま予診そのものを制度化と申しますか、法律の中にうたい込むというような問題については若干詰めるべき事項があるというふうに私自身判断いたしております。 それから第二点の、従来の予防接種につきまして場所をきめてやっておりましたが、これはある府県あるいは町村ではすでに地域の医師会といろいろ話し合いをいたしまして、ただいま御提案のような医師会がこれの委託を受けて実施しているというふうな実態も私自身見ております。今回の種痘の問題に関しまして医師会といろいろ話し合いをいたしまして、先般の通知をもちまして、かかりつけの医師をできるだけ活用するというふうな通知で指示をいたしました。これも御趣旨に沿えるような形で今後実行を促進するような努力をいたしたいと考えておる次第でございます。 それから第三点の死亡者及び後遺症を受けた障害者の補償と申しますか、見舞い一時金の内容、額の問題でございますが、御承知のとおり、これは今回の応急的な行政措置ということでこの問題を発足させているわけでございますが、これが制度化ということは再々委員会その他で御説明申し上げておりますように、現在実施いたしております大臣の諮問機関の伝染病予防調査会の中で、救済問題も含めた制度化、法律改正の検討をいたすことになっております。この中で十分議論される事項かと考えております。
○大橋(敏)委員 終わります。
○倉成委員長 西田八郎君。
○西田委員 だいぶ時間がおくれているようですからピッチを上げて質問したいと思いますが、大臣にまずお伺いしたいのです。 先日、省議で四十六年度予算の大蔵省に対する要求の厚生省の基本的な施策が定まったように聞いておりますが、その施策の重点的な内容についてまずお聞かせを願いたい。
○内田国務大臣 御承知のように厚生省の受け持つ行政の範囲は非常に広うございまして、大ざっぱに申しましても社会福祉関係の行政と、それから国民の医療、健康、こういう方面の行政とございます。また個々の行政事項が最大公約数がほとんどない、一つ一つそれぞれ行政の対象として特色のある事項が多うございまして、いわば数点の重点事項にしぼるということが必ずしも適当ではないと申し上げ得るような行政を担当いたしておりますので、私どもはいまの時節にかんがみまして、できるだけ国民の社会福祉を、年寄りについてもあるいはまた身体障害者につきましても、あるいは心身障害者につきましても、あるいはそれらの発生原因を初めから遮断するところの母子福祉対策等につきましても、財政的あるいは政策的な重点を置くというようなことを実はいたすと同時に、保健衛生の面などにおきましても、これまたはやりのものだけを対象とするということだけではなしに、国民の健康増進のためのいろいろおくれている面にもそれぞれ配慮をいたす、こういう考え方をもちまして、特に目玉商品というものはつくらず、これは御批判をいただくと総花的ということになるかもしれませんが、私はそれは必ずしも非難さるべきことではないと考えまして、そのようなたてまえのもとに、できるだけ厚生省の予算上のシェアも広げてまいる。 また先般、要求には間に合いませんでしたが、医療保険の問題あるいは児童手当の問題等も、当初の要求とは別な形においてそれも持ち込むというようなことでおる次第でございます。
○西田委員 うまいこと、大臣、やはりわれわれと違って頭の回転も非常にいいし、また政治的にも手腕があるので、何かごまかされたように思うのですけれども、私の関知する範囲内では、七大施策を掲げてやるというふうに承っておるわけですけれども、それに間違いはないか。 具体的に申し上げますと、まず第一が、環境の汚染、破壊を防ぎ、自然を保護するための施策、そして二番目に、生活環境条件を整え、国民生活の充実をはかるための施策、三番目に、心身障害者、老人など社会の歩みにおくれがちな人々や児童の福祉を向上するための施策、四番目に社会福祉施設を緊急に整備し、あわせて施設の運営、職員の処遇を改善するための施策、五番目に、経済の成長に対応して生活水準を向上するための施策、六番目に、国民を疾病から守り、必要な医療を確保するための施策、最後に、その他の重点施策。その他が入って重点施策になるのはおかしいのです。だからまず六つと理解していいんじゃないかと思いますが、これは間違いないでしょうか。
○内田国務大臣 そのとおりであります。
○西田委員 六十三国会のさなかにおきまして、医療制度の抜本改正について一体いつごろに答申が出されて、それについてどう処理をされるのかという質問に対して大臣は、大体八月中ごろまでに答申を出してもらって次の国会で抜本改正ができるようにする、こういう非常に明快な御答弁があったわけであります。またもう一つは、児童手当の問題につきましても、これは今日非常に重要な問題であるということで、目下審議会で審議中である、したがってこの問題の答申が出され次第、その具体的な施策について考えたいという答弁があったことを記憶をいたしておるわけであります。 それらの問題について、現在まだ出てこないというのはどうなのか。もちろんこれは政府あるいはこうした立法府の機関からはずれて、民間の方々でつくられておる審議会でありますから、そこで審議されておるのに政府があまり介入するということもまたいろいろな批判を受けることになろうと思いますけれども、少なくとも今日医療制度の問題はきわめて重要な問題であると思うのです。これに対してこうおくれておることの根本的な問題は一体何なのか、その辺についての大臣の所信あるいはまた所見を聞かしていただきたいと思います。
○内田国務大臣 ただいまお尋ねの問題は、私が先ほども触れた二つの大きな課題でございます。 児童手当のことにつきましては、私が期待をいたしておりますのは、またおおむねそのとおりであろうと思いますのは、今月の中旬には大綱の御答申をいただけると考えておりますので、それを基本といたしまして私のほうといたしましては、これは新しい問題でございますし、厚生大臣限りの判断では処理できない分野がいろいろございますので、そういう方面とも十分打ち合わせを遂げまして、そうして来年度の予算あるいはその他の制度の具現と十分関連せしめつつ処理したいということで、私は前向きで臨んでおります。 医療保険の抜本改正につきましては、たびたびお尋ねもいただきお答えを申したとおりでございまして、とうていこのままでは、医療保険はいろいろの面におきましてむずかしいところに差しかかっておりますので、そのことは関係の両審議会の委員の各位も十分御承知であられると思いますので、これにつきましても、何月何日ということは私はまだ承ってはおりませんけれども、政府に対しまして何らかの御意向が、来年の予算の最終的な処理には間に合うような段階においていただけることを私は期待をいたしております。そうしないと、この問題は非常な大きなむずかしい問題を一そう先に持ち越すことになると考えます。私自身もまた両審議会にも必要に応じてはお願いをいたしまして、一日も早く御意見をいただいて今後の処理を進める所存でございます。
○西田委員 私の聞き及ぶ範囲でありますけれども、医療制度の抜本改正ができない一つのネックといいますか隘路というか、それに、現在幾つかある健康保険でも、保険組合のものもあれば政府管掌のものもある、また国民健康保険も、市町村の管掌するものと国民健康保険組合というようなものをつくっておられるものがある、そのほか国家公務員、地方公務員の共済制度、現業の共済制度、いろいろあるわけですけれども、そういう保険事業主というのですか、保険者自体のいわゆる財政状況等が非常に格差があるので、それの統合をすることについてもきわめて微妙な問題があるように聞いておるわけなんですが、その辺はひとつ実務者のほうから、どのようになっておるのか聞かしていただきたいと思います。
○戸澤説明員 お話のとおり、抜本改正の大きな柱の一つとしまして、被用者保険の各保険者間の財政調整という問題を諮問の中に盛り込んでおります。審議会におきましては、まだそういう諮問の本格的な審議に入っておりませんので、その問題についての十分な討議は進んでおりませんけれども、相当の議論が呼び起こされることは予想されます。しかし私どもとしましては、この財政調整の考え方は、それぞれの沿革と伝統を持つ各種の被用者保険を生かしながら、その上に立って各保険間の費用の負担の公平化とかあるいは財政の長期安定をはかるための方策として、非常に合理性が認められる考え方ではないかと思っておるわけなんです。相当の反対また批判のあることは予想されますけれども、私どもとしましては、関係者また国会の御理解をぜひとも得まして、その実現に向かいたいというふうに期待しているわけであります。
○西田委員 それは期待されるのはいいですけれども、これはやはり自分の財産だと思うと、持ち込んでいるものも、政管健保が赤字だからひとつ黒字の出ておる組合保険で埋めてくれといってもなかなかうんとは言わぬと思うのです。 そこでやはり問題になるのは、政管健保がなぜそれほど年々赤字を累積していかなければならぬのか。ここに問題をしぼって検討して、そして医療制度の審議会のほうでいろいろ審議をされているのとは別に、やはり行政指導としてもっと適切な指導をなすべきではなかろうかというふうに私は思うわけです。ということは、私の知っている事業所で、実は政管の扱いになっていたわけですけれども、ひとつ思い切って健康保険組合をつくろうじゃないかということで、周囲の同列資本系統の会社を集めて健康保険組合をつくった、つくったところが、最初の年は非常に収支は悪かったけれども、しかしここ三年目で黒字が出るようになったというような報告も受けておるわけなんです。したがって、そういうこともあるので、何か現在の政管に対して抜本的にメスを入れる方法があるのではないか。たとえば同業種の被保険者をかかえている同一地域の人の健康保険組合をつくらせるとか、あるいは地域で多少業種は違っても類似の業種の組合をつくらせるとか、そういう運用をさせるようになればおのずから経営努力というものも出てくるし、また赤字を出してはたいへんだということから、いかにして黒字にするかという熱心な努力が行なわれるように思うわけです。国民健康保険にしても同じことだと思うのですが、そういう意味でそのような方法は考えられないものなのか、もっとそれに対して抜本的な補助体制というか指導をすべきではなかろうかというふうに思うわけですけれども、こうした考え方についてどういうふうに考えられるか。
○戸澤説明員 組合主義の自主的な運営による利点と申しますか長所、これは確かに認められると思いますので、自主的に運営できる組合の設立助成につきましては今後ともその線でもって進めてまいりたいと考えているわけでございますけれども、零細中小企業等も多うございまして、全部を組合主義というようなかっこうでもって運営していくことは問題もございますので、いまのところ組合主義と政府管掌と二本立てでもっていくという考え方をとっておるわけでございます。それで政府管掌の保険の合理化とか効率化につきまして考える余地はもちろんあると思いますけれども、相当合理化につとめておるわけでございまして、やはり政管健保等につきましては体質的な問題、つまり組合等に比べると、構成している被保険者の年齢とか健康状態、それからまた疾病につきましても罹病率が高いといったような体質的な問題が大きく響いてまいりますので、幾ら努力をしてもやむを得ない政管健保につきましては、全体的な意味からほかの保険とある程度の調整を行なうことが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○西田委員 いま御答弁があったように、やはり組合をつくるということが非常に経営そのものにもプラスになる、また被保険者の給付その他についてもプラスになるということであるとするならば、積極的に現在の政府管掌になっておる事業所等の適切な調査等も行なって、そしてこれに組合なら組合をつくらして、その方向で努力をさせるようにすれば、現在政管で出ておる赤字というものは少しでも解消されるわけです。解消されれば、そのことが結局は政管の被保険者に対して今度は給付も向上できるというようなことになるのではないかと思うのですけれども、その点どうも手ぬるいような感じがするのですが、いかがでございましょう。
○戸澤説明員 現在認めております健康保険組合の中にも、大部分は黒字経営をしておりますけれども、若干は赤字を出しておるところもございますし、中小企業等を中心としておる政管健保につきましてこれを一挙に組合主義に移行してやるということにつきましては、組合の行き方にもいろいろ運営のしかたがあると思いますけれども、踏み切れない問題があるというところで、当分はその二本立ての考え方でいきまして、将来その調整を考えたいというふうに事務当局としては考えておるわけでございます。
○西田委員 まあちょっとはっきりしない御答弁なんですけれども、大体その趣旨はわかってもらえたと思うのです。 そこで、そういうふうにするとするならば、やはりそれを助成するといいますか、育成するという意味でもかなり補助額を引き上げる必要があるのではないかというふうに思うわけですが、補助額等の引き上げその他については考慮されておるのかどうか。
○戸澤説明員 もちろん抜本改正がどういうかっこうに落ちつくかわかりませんけれども、これはそれぞれ被保険者側また保険者側、いろいろ合理化について協力をいただかなければならないわけであります。もちろん国としてもそれに対して必要な現在以上の補助をするという考え方でおります。まだその結論が出ておりませんので、具体的には出しておりませんが、考え方としては、もちろん国も現在より以上の支出をしなければならぬというふうに考えております。
○西田委員 次に児童手当ですけれども、これはたしかテレビで報道されたと思うのですが、小委員会で三人目以上の子供に対して三千円という児童手当を支給しようというような結論が出たように思うのですけれども、大臣、これはまだなんですか。
○内田国務大臣 先ほど申し上げましたように、それは今月の中旬くらいに答申をいただけるというふうになっておりまして、その方向がどうであるかということは実は私うすうす感じておりますが、私がこの問題については何とかひとつ、いろいろまた知恵も出したり動きもいたしたりと思っておるものですから、その点しばらく私にお預けをいただきたいと思います。
○西田委員 次に、七二年、いよいよ沖繩が返還されてくるわけですけれども、沖繩で、立法院で、たしか県民皆保険ということで、保険法が改正されるという情報を得ておるわけでありますが、それによりますと一本立てというのと、被用者とそうでない一般の人との二本立てという意見が対立しているようなのであります。しかし、七二年に本土へ沖繩が返還されてくると、これは当然日本の国の法律が適用されるということになろうと思うのです。その場合、こうした保険関係なんかはどうするのか。具体的に厚生省等は、立法院等のほうとそういう連絡をし、指導をしておられるのかどうか。それから自治省は税制等についてはかなり具体的な働きかけ、連絡があるようなんですけれども、それに対して厚生省はどういうふうにしておられるのか。実は、おそらくこれは道路交通につきましても、右側通行を左側通行にしなければならぬでしょうし、たくさんの国民生活上の問題が起こってくるわけです。 わけても、この医療問題ということになってくると、何とかして医療を早く本土並みにしてほしいという要求も強いわけでありますが、そういうものについて、政府として何か対策を立ててすでに具体的活動に入っておられるのかどうか。
○内田国務大臣 仰せのとおり、返還後の沖繩における医療保険制度というものは非常に大きな課題でございます。皆保険制度という、その前提のもとにいろいろやるといたしますと、これは保険制度ばかりでなくて、その制度を動かすための医師の数、医療機関の数なども、はたして皆保険をささえていけるだけの基盤ができているかというような問題もあると私は判断をいたしておるのでございますが、そういう問題をも含めまして、実はいま厚生省の中に沖繩返還に伴う厚生関係行政の調整に関する検討の仕組みを正式に大臣命令で設けて、目下その面を検討いたしております。ただいまの段階では、おそらくまだお答えでき得ない状態にあると思います。
○西田委員 そうしたことで検討をしていただいておるということならまことにけっこうでありますが、しかし、これは急いでいただかないと、立法院で出ておる法案が与野党対立しておりますので、一体どちらにきまったか、その後のニュースは把握していないのですけれども、これが一本立て、県民皆保険ということで一本立てというようなことになりますと、今度また本土の各種保険が適用されるということになってくると、これは大混乱を起こすことになるのではないかと思うわけであります。したがって、そうした点はひとつ、これは医療制度だけの問題でありますけれども、国民年金関係も当然のことになってくるわけであります。一日も早くやはり混乱を来たさないように、特に本土復帰を熱望いたしております沖繩県民にこたえていくべきだというふうに思うわけなんですけれども、そういう点について強く要望をし、かつ許される範囲でひとつ答弁をいただきたい。
○戸澤説明員 医療保険の関連の問題につきまして、存知しているところを御報告いたしますと、私どもの方針としましては、もちろん返還と同時に内地と全く同様の保険制度を実施したいというふうに考えておるわけでありますけれども、現地の事情が現在のところ皆保険になっておりませんし、それから診療報酬も違いますので、直ちに同じような方向で実施できるかどうか、若干問題があると思いますので、この点は現地とよく相談をして進めてまいりたいと思っております。 最近得た情報によりますと、立法院で、日本の健康保険のように現物給付にする法案、それから国保を指向する法案、いずれも成立せずに継続審議になったというふうに聞いておりますので、今後、方向としては、最初申し上げたとおりでありますけれども、何か暫定措置が必要であるかどうか、そういうことにつきましては現地並びに沖繩庁ともよく相談しながら進めてまいりたいと考えております。
○西田委員 次に、最近高度産業化といいますか、産業社会化というか、そういう方向に向いてまいりまして、家族制度というものの崩壊と若い労働力の流動、そうしてまた農村の近代化、また米作の過剰というようなことから、労働人口が非常に流動をいたしておるわけでありますが、それに関連をして起こってきておるのが老人の対策であります。せんだっても新聞、テレビでも放送されましたように、夫婦二人が死んでいても三日も四日もわからなかったというような悲しい事態が起こっております。たまたまああして報道機関にとらえられた方々は報道をされますけれども、しかしそうでない人たちはこれはどれだけあるのかわからないのではないかというふうに考えますと、自分かってに年をとってきたわけじゃなしに、人間の生理として年をとってきて、そうして働けなくなったそれらの人に対してほとんど保護らしい保護が加えられていない、こういうような実情では、これは文化国家、経済大国とは言われないと思うのです。これらの人に対する保護対策というのは目下の急務ではなかろうかと思うのですが、しかしこの老人対策も、国民年金の対象になる人、農業者年金の対象になる人、そうして産業雇用者の対象になる人、国家公務員、地方公務員の対象になる人、いろいろおられるわけですが、そういう人たちが同じように年をとってから受ける待遇、処遇というものも非常に違う、これはきわめて私は不合理な問題ではなかろうかと思うのです。したがって老人対策に特に力を入れるという来年度の予算のようでありますけれども、これについて基本的な考え方をひとつ聞かしていただきたい。
○内田国務大臣 老人対策、老人福祉の問題が非常に大きな社会的の課題になることを私は予想をいたしております。諸外国では百年くらいかかった老人層の形成が、わが国では最近の状況ですと二、三十年の間に同じような状況が来るというような問題と、またそれよりもさらに重要なことは、これまで家庭内で親子の間で吸収されておった老人福祉の課題が、核家族化というような社会生活の意識、あり方の変更に伴いまして、老人福祉の問題が社会福祉の問題に投げ出されてきているということに私は大きな関心を持たなければならないところがあると存じます。 そのようなことを頭に入れまして、いまも御指摘がございました年金その他の所得保障の問題あるいはまた健康保障の問題、さらにまた老齢者の健康と申しますか、平均寿命などもかなり高くなりまして、昔でいえば老齢者であられた方々も、今日では十分社会的活動能力を持っておられる方々に対して社会的活動の機会を与える問題、あるいは住居の問題、ことにまたそれらの間に処しまして、一人暮らし老人に対する特別措置の問題等、いろいろの面にわたりましてできる限りひとつ手をつけてみたいと私は考えまして、いまここで一々申し上げませんが、先ほど御指摘がございました六つあるいは七つの厚生省の施策の中でも、特に私は考えを注いでおる施策にいたす所存でございます。
○西田委員 それは非常にむずかしい問題で、これを全部一ぺんにやろうということになればたいへんな問題もありましょうし、また寝たきり老人対策であるとか、あるいは老人のいこいの場所であるとか、そういう施設の問題も含めれば相当なことになろうと思いますけれども、せめて私はやはり年金の支給される時期くらいは統一されるべきではなかろうかと思うのです。現在御承知のように、国家公務員で旧恩給法の適用者はほとんどなくなられたようですけれども、それが共済組合で五十五歳、厚生年金が六十歳ですか、そして国民年金が六十五歳、そして老人の国民年金の適用になっていない、もうすでにその時点でかなり年をとっていた人に対する福祉年金が七十歳というようなことになっておるわけなんですけれども、こんなことこそおかしいんじゃないかと思うのですね。これはもちろん保険制度でありますから、受益者負担あるいは受益者の受益というような形でそれぞれの財政状況に応じて支払われるという形がとられてきたんでしょうけれども、しかし、国家的見地から見ればこれは同じ老人である。その立場に立てば、やはり年齢にこういうように差があるというか、支給開始の時期に差があるということは不合理きわまると私は思うのです。そういうものについては是正する意思があるのかないのか。また、早急にそれらの保険会計の実情等によってやれないとするなら、一体どういう方法をもってそれを統一する方向に進めようと考えておられるのか、お聞かせをいただきたい。
○内田国務大臣 御指摘のようなことがございます。しかし、これらにつきましては、それぞれ制度の沿革もございますし、また制度創設の本質もございますので、にわかに年齢をすべての制度について合わせるということもできない面もございますが、私は御趣旨のようなことも私みずからも考えまして、できる限りその間の調整措置も講じたいというような考え方のもとに、明年度の予算の要求にも臨んでおるわけでございます。
○西田委員 これはひとつ早急に厚生省あたりでも検討を加えられて、医療制度の抜本改正もありますけれども、こうした年金の統合、一本化というようなことをもっと抜本的に考え直して施策を出すべきではないかというふうに考えるわけです。したがって、英断をもってひとつ——私、いままでの厚生大臣にもいろいろの形で陳情をしてまいりまして、園田厚生大臣なんかも、分べん手当の引き上げについてぱっと思い切ったことをやられたわけなんですけれども、ひとつ内田厚生大臣もこの辺でいい花火——花火であってはいけないですが、ひとつ後世に残すようないい施策を樹立していただきたいと思うのですが……。
○内田国務大臣 いろいろ御意見を参考にいたしてまいります。
○西田委員 それと、特に要望しておきたいのは、福祉老齢年金といわれながら、扶養義務者の所得が多ければこれは支給を制限するというようなことなんですけれども、先ほど話が出ましたように、核家族化の中で大体年寄りのめんどうはもう見なくてもいいのだというような思想が流れておるのです。親に孝行せよというようなことを言えば、かえって子供から笑われるような世相になってきておるときに、そういうことを認めながら、片一方、扶養者に所得があれば制限をするというようなことは理屈に合わないので、しかも多額の金を出すわけではないのだし、年間通じて三万円程度のものですから、ひとつこういうものは撤廃すべきだということを強く要望したいことと、もう一つは早急に、金額にして大したことないと思います。まあファントム一機買うくらいの金額で済むんじゃないかと思いますけれども、七十歳の老齢福祉年金をせめて五歳くらい引き下げるというようなことをひとつぜひ努力していただきたいと思います。
○内田国務大臣 御高説十分承っておりまして、私も同じような考えを持っている点がたくさんございます。
○西田委員 次に、福祉関係はこれから重要な問題になってくるのですが、だんだんと国民生活も向上をしていることはいなめない事実だと思うのです。その内容においてはいろいろあろうと思います。そうしますと、社会から取り残された老人と関連をして、やはり気の毒な心身障害者等がおられるわけであります。ところが、それらの施設はだんだんとふえておりますし、またボランタリー運動等でそういう施設に対する慰問等も最近かなり盛んに行なわれるようになってきたわけですけれども、どうも私が行って聞く範囲においては、こういうところで働く人の待遇が非常に悪い。これは私は早急に改善をすべき問題だと思うのです。先般も保助看法の改正でいろいろ問題が出たわけでありますけれども、これだってやはり根本は処遇の問題ではないかと思うのです。したがって、これらの処遇について一般世間並みに水準が上がってきておるわけでありますが、まして使命感を持って働いている人に対してはそれ相当の報酬を見るべきだと私は思考するわけなんですけれども、そういう点について四十六年度予算の中で抜本的に大幅に引き上げをする意思がありやなしや、ひとつお伺いしたい。
○内田国務大臣 それも私は同感の点がたくさんございます。また御承知のように三年計画でございますとか、現在その計画年次中でございまして、一般的な処遇の是正等も進めてまいりますが、それとは別にある種の方法で、一般的是正では及び得ないような面をカバーをしていくというようなこともぜひ考えてみたいということで予算要求もいたしておるわけでございます。何とか実現をはかりたいと思います。
○西田委員 これはぜひひとつお願いいたしたいと思います。 委員長、まだ時間ありますか。
○倉成委員長 あまりないのですが……。
○西田委員 それではあと一点だけ伺いたいのです。 管理美容師制度の問題なんですけれども、いまどの程度進捗しておるのか。地域によりましては反対派、賛成派があってかなり混乱を来たしておるように聞いておるわけなんですけれども……。
○浦田説明員 西田先生御指摘のように、一時そのような混乱と申しますか、一部の反対の声もありまして実施が危ぶまれたという向きもあったのでございますが、その後の進捗状況を調べましたところ、昭和四十五年八月三十一日現在で理容師におきましては八万五千三百六十九名、美容師につきましては七万二千四百五十八名の受講者をすでに数えております。したがいまして、実はこの管理美容師の受講者の予定が二十七万でございますので、来年の十二月の末までの間には全部受講が終わるという予定は依然として狂っていないと思います。したがいまして、その後は、私どもとしては一応全体としては順調に進んでおるというように考えております。
○西田委員 反対される人の意見の主として中心になっておるのは——これは議員立法でありますから私どもが言うのはおかしいかもわかりません。法律として制定されて施行されれば行政府の責任になると思うのですが、これはやはり問題があるのじゃないか。常時に二人以上営業する場合、これは同居の家族等も含まれるということになっておるわけですし、こういうことであるともう家族的な経営は全然できないのではないかというふうに考えるわけですね。したがって、こういう点は私の口から言うのはおかしいのですけれども、改正をして、せめて、就業者の人員は——基準法でも五人以上ということになっているわけですね。ですからこれはもう改正をすべきではなかろうかというような気がするわけですけれども、そういう点について、もし厚生省のほうでお考えがあるならひとつ聞かしていただきたい。また、そのことが大きな支障になっているような原因でもあるように思いますので、ひとつその辺についての所信を聞かしていただきたい。
○浦田説明員 先ほども申しましたように、法施行の当初におきましては、当局側の説明の不十分な点もございましたし、また関係者の方々のいわば理解不足に基づく誤解もございまして、混乱があったことは事実でございます。しかしながら、先ほど数字でもってお答えいたしましたように、全体としてはその後順調に進んでおります。私ども法律改正はいまのところ必要はないというふうに考えております。
○西田委員 法律改正の必要がないというふうに断定されますとちょっと問題があるように思いますね。これは片一方で裁判が進行していることですから、もし裁判等で政府が黒という結果が出たら一体どうするかという問題があるわけです。ですから、それはやはり必要がないという断定はされないほうがいいと思うのですが、どうですか。
○浦田説明員 ちょっとことばが過ぎましたが、全体として順調に進んでおる、いまそういった反対があったということも事実でありまして、裁判があることも承知しておるわけでございます。現在の段階においてすぐ改正するといったようなことを取り上げるのは、かえって混乱を増すものではなかろうかということでございまして、将来絶対しないということではございませんので、現在のところは現在のまま推移したほうがよろしいのではないかという意味でございます。
○西田委員 終わります。
○倉成委員長 寺前巖君。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○寺前委員 いまの西田先生の発言の最後のところに管理美容師の問題が出ておりましたけれども、いまの問題については局長が断言的な話を強硬に言っておられましたけれども、明らかに実態の上においては問題が出ておると思うのですよ。それで、これは議員立法でやった性格でもありますので、委員長のほうにおいてしかるべく検討していただきたいということを私は最初に申し上げたいと思います。 そこで、本論に入りたいと思いますが、いま老人の問題が出されましたが、今月になって私は二つの特徴的な老人の問題を見せつけられたと思います。一つの特徴点は、身寄りの人がまわりにおらないために、十一日間とかあるいは一週間とか知らないままにお年寄りがなくなられておったということを近所の人たちから知らされたという事件です。もう一つの特徴点は、自分の嫁に行った先のおかあさんが九十歳になった、自分自身も嫁に行った先で六十五歳になってからだの調子が悪くなってきた、おかあさんのめんどうを見ているたけではもうたまらなくなってきた、自分も同じ運命になってはたまらないというので、道連れにするところの心中が起こったという特徴点であります。最近のお年寄りの幾つかの例が出ておりまするが、私は二つの特徴点を見せつけられたと思う。 そこで私は、この二つの特徴点についてお聞きしたいと思うのですが、まず第一に、自分のまわりに身寄りがおらない、お年寄りだけで生活をしている、あるいは孤独な単独の生活をやっている、こういうようなお年寄りが私は二百万前後はあるんじゃないかと思うのですが、そういう方々のうちで、直接老人ホームなりあるいは相談員なりを配置して、一体どれだけの人たちと接触をしているのでしょう。ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○永原説明員 ただいま先生から御指摘になりましたように、一人で暮らしている老人が全国的に六十一万人おります。そのほか老夫婦で暮らしている方を含めますと、百二十万世帯、いわゆる高齢者世帯ということでございますけれども、その中で約一割は子供と断絶した生活をしている。それから約七割程度は子供とわりあいに接触を保っておるというような状況でございますけれども、そのうちの老人たちの約一割は老人ホームに入りたいという希望を申し述べておりますし、それから約四割程度の方々が病弱だという訴えをいたしております。 そういうような実態でございまして、現在私のほうでも新しい対策として、一人暮らしの老人対策というものに本格的にこれから取り組むということで、現在民生委員あるいは地域社会の方々がチームでお世話するということの体制をとっておりますが、今後は家庭奉仕員をある程度大幅に増大するということでカバーをして、一人暮らしの老人たちの孤独あるいは病気のときのお世話をしたいというように考えております。
○寺前委員 いまの数字は、私はもう一つぴんとこなかった。資料を直接見てやっておるわけではありませんので、あれですが、老人の基準が、先ほども西田先生が問題にしておられましたが、七十歳以上で老人といっておるときもあれば、六十五歳もあるし、六十歳という話もある。一方では定年制だといって五十五歳という話も出てくるし、複雑だけれども、ざっと昔から、言うならば六十歳以上の人をお年寄りと一般的にいってきたと思うのですね。そうすると、大体一千万人が日本の国におると思うのです。一千万人以上おるのではないですかね、ぼくはおると思うのですよ。そして、そのうちのざっと八割が家族と一緒に生活しておって、二百万ほどの人々が老人だけで生活をしたり一人で生活をしたり、何かそういう関係だと思うのですよ。そして、その二百万のうち老人ホームに入っておられる人たちというのが七万くらいじゃないでしょうか……。(「そんなにないよ」と呼ぶ者あり)そんなにないですか、概数だから六万でも七万でもいいですけれども、七万人くらいおられる。それからホームヘルパーの関係で世話になっている人たちというのが、何ぼいますか、実際に世話になっておる人というのもやはり五万か七万くらいじゃないですか、ぼくはそうだろうと思うのですけれども、ヘルパーの人数から見るならば、おそらくそうだろうと思います。それからその他介護員というような制度もありますけれども、介護員にしても数は知れております。そうすると、二百万のそういう身寄りのない人たちの社会の中において、直接そういうめんどうを見てもらっておる人は一割ないだろう、二十万ないだろうと思います。老人クラブとかそういうものの分野を見ても、四割くらいしか——これには程度はいろいろありますけれども、ああいう形で接触が存在しているのは四割くらいと考えても、おそらくそうでしょう。そうすると、全く切り離されて存在しておられるところのお年寄り二百万のうちで、ほんとうに老人クラブの面まで含めて、何らかの形で月一回を含めて、そういう関係のないという人が百万や百二十万くらい存在しているのではないだろうか。こういうことを考えてくると、私は人ごとじゃないと思うのですね。最近起こっているところの、あとから気がついてくるという問題。そこで私は、残されたところの、現在手を打っている範囲だけでは、まだ多数の圧倒的部分の、身寄りと離れているところの老人に対して、接触しないままに、孤立したままに存在している問題は解決がつかない。だから何としても、少なくともこの二百万の人たちが何らかの形で接触する条件を、要するに長期にわたって放置されるという不幸なことのないようにするために、積極的な手だてを打ち出していかなければならぬのじゃないだろうか。いまやっているやり方では、老人の比率が一割から二割高まっていこうという今日の全体の状況から見ると、ぼくは長期にわたって処理しないままにこの種の事件というのは引き続いて起こっていくんじゃないだろうか。だからそこを積極的にその分野の人たちがやっていく手だてを打ち出していく必要があると思うのですが、大臣何かその辺を考えておられますか。
○内田国務大臣 先ほども西田さんの御意見に私からお答えをいたしたとおりでございまして、老齢者対策というものが、いまでもそうでございますが、今後一そう日本の大きな政治上の課題、社会上の課題になるということを私は痛切に感じております。これは、今回のような一人暮らしの老人のお気の毒な死亡事故に関連しなくても、私は一般的にこの問題が老齢者福祉対策というものが大きな問題になると考えまして、常に事務当局を激励したり、私自身もこの問題に大きな重点を置くような姿勢を実はとってきております。 数字的に分析をいたしますと、たとえば老齢者の施設に収容したり、あるいはホームヘルパーでありますとか、あるいは介護員とかいうような制度を充実いたしましても、おっしゃるとおりごく一部の範囲の一人暮らしの老人にしか当面は手が触れられないと思いますけれども、それらは一挙にできない問題もございますので、私はそういう姿勢をもって、今後でき得る限り国の手あるいはまた地方公共団体あるいは民間の有志の方々のそういう向きの活動が助成されるような方向をとってまいるつもりでございます。 なおまた、一般的には老人クラブの活動もございましょうし、そういうことも助成いたしますが、なお老齢者の一般的の健康診査という制度がございまして、またそれによって特に精密検査等が必要な場合には精密検査のほうに処置を移すわけでございますが、そういう健康診査の範囲なども、できる限りその範囲といいますか、それの対象に確実になるような措置も進めていくことが必要だと考えます。その健康診査の対象になっておられる方々は、おそらく十万二十万ということではなしに、これはかなりの人数になっていると思いますので、あの手この手を通じまして社会の先輩である老齢者の福祉を進める所存でございます。 なおまた、相当社会的活動を望んでおられる元気な老齢者もございますので、そういう方にはむしろ社会参加の機会や意識を与えてまいるということが大きな老齢者対策であるということも考えてまいらなければならない、こういうことも考えておるのでございます。
○寺前委員 いまの老人検査の問題でも、たとえば予算ひとつ見ても、ほんの部分ですよね。老人全体を対象にした検診になっていないですよ、予算の面から見ても。ですから私は、ほんとうのところ、放置されたままに進んでいるというふうに思うのですよ。 それで私は、ちょっと検討してほしいなと思うのですが、実はよく地方自治体なんかで保育所が今日問題になってきてますからね。保育所をつくらなければならない。しかし保育所の建物、すぐに思い切ってやれぬというときに、個人の家ですね、個人の家を開放して、里親制度といって三人なり四人なり子供を臨時に集めて世話をする、その世話をしてもらう人にお礼を出してやっていますよ。たとえばお年寄りの場合でも、老人のいろいろな施設をもっと大量につくっていくということをやらなければならぬけれども、さしあたって緊急に、たとえば一町内で町内のどこかの家にお年寄りに集まってもらってそしてやるような、個人の家を施設にしていく、あるいは相談員制度をもっと民間に積極的にやって、そういう積極的に申し出た人々は、積極的にお年寄りのあれをやるということをして、私は少なくとも二百万人を対象にして、金が相当かかる分野の問題については、研究を十分やってもらってやる必要があると思うけれども、さしあたって私は、百数十万人の放置をされたままで進んでいくという事態に対しては、積極的に、緊急に、すぐにそういうことからでも始める必要があると私は思うのですがね。大臣、やはり具体的にやらなければ、私はこういう事件というのは引き続いて出ていくだけであって、ああ、ああというだけで、私はこの日本の社会に長い間生活を送ってきた人に対して、これはおまえの今日までの生活が悪かったから不幸なことになっているんだでは私は済まぬ仕事だと思うのです。大臣、その辺はもう一度積極的に打って出ることを直ちに検討してもらう必要があるのじゃないでしょうか。
○内田国務大臣 たいへんありがたい御激励だと思います。これはもう皆さま方から御激励を待つまでもなく、厚生省、厚生大臣以下当然これは大きな社会的な課題としてやらなければならないことと心得ておりますので、お説の点なども私は十分に参考にいたしまして、手の届くところ、また予算もふやしますけれども、予算の及ばないところでも可能なところはできるだけ進めてまいりたいと思います。幸い、しかしいまの老齢者福祉対策に関する意識が、これは私ども政府あるいは国会ばかりでなしに、私どもがたまたま地方に参りましても最近非常に高揚してまいってきておりますことは、私ども激励を受けたり、また政府の施策だけでは手ぬるいということで、いろいろの地域社会において手が打たれておりますことも、私は非常に意を強くいたしておりますが、それに私どもは甘えることなしに、皆さん方の御激励にこたえるような措置を進めてまいりたいと思います。
○寺前委員 私は激励しているつもりではございませんのですけれども、好評だという話もあるけれども、決してそんなものじゃないと私は思いますよ。この問題はほんとうのところ深刻ですよ。だから私は、いま進めておられるような態度では、ほんとうにお茶を濁しているような結果にしかならない。ほんとうに私はこの悲しい老夫婦の死をむだにしないために、直ちにこういう分野で活動している人たちの意見を積極的に組み入れて、ちょうど今月は敬老の日もある月だけに、威儀を正して謙虚に研究してもらいたいというふうに思います。 そこで、第二の問題に移りたいのですけれども、先ほど言いましたところのお年寄りを道連れにして自殺をしていくという、この痛ましい現象ですね。聞くところによると、日本のお年寄り、御婦人の自殺率は世界で第二番目だというのですね。この汚名は私はたいへんな汚名だと思いますよ。自殺率が第二番目だ。自殺率第二番目のところの厚生大臣、私はこれは海外へ行っても、国連へ行っても、日本人というのは年寄りを自殺に追い込んでおいて何とも思わぬのかというふうに言われたときに、総理大臣は国連に行かれるようですけれども、どんな顔をして歩いていくのだろうかと私は思うのですよ。 だから私は、少なくともこの問題について抜本的な問題を提起したいと思いますけれども、時間がありませんから、それはきょうはやめます。せめていまからでもやり得るところの問題について考えてみようじゃないですか。やり得るところの問題についてすぐにでも……。私はいま現に一番問題になっている幾つかの問題だけでもすぐに取り上げたらどうですか。抜本の話は別にして…。 一つは年金の問題だと思いますよ。さっきも年齢を下げる、何ぼもかかりゃせぬという話があったのです。年齢を下げるという問題もあるし、それから福祉年金——生活保護をもらっている人が福祉年金をもらったら引かれてしまうという、こういう制度——私はお年寄りに限ってはそういう生活保護なんかとは別個に福祉年金は出してあげる。それから公的扶助を別にとっておられたら、それとは関係なしに福祉年金をお渡しする。ともかくたいした金額じゃないですよ。せめてあの程度の年金についてはともかくお年寄りの扱い方を別個にしてやるというくらいな思い切った処置は、金額にしてもたいしたことはないと思うのです。しかも多くの人々が厚生年金や何やらいうて将来の年いったときのことを考えて掛け金をやっている、そういう積み立て金というのが四兆何ぼもあるわけでしょう。そういう事態まで国民が全部真剣に考えているときだけに、この年金の取り扱いについては思い切って緊急処置をとるべきじゃないか。これは私は一つ提案をしたい内容です。 それから第二番目に、お年寄りの仕事だと思うのです。私は、労働省がやっておるところのあの緊急失対事業法の中に、高齢者の対策がありますよ、法律ではちゃんと。第何条でしたかね、法律がありますよ。ところが、現にお年寄りのところの、緊急失対のこの法律の項に基づいての仕事は行なわれてないのですよ。私は、厚生大臣として閣議で労働大臣に、国自身が高齢者に失対法に基づくところの仕事をやってやってくれと言うぐらいのことをやってもらったらどうだろうか。私はきょうはちょっと具体的に提起しておきたいと思うのです。 それから三番目に、これは医療の問題です。せめてお年寄りに無料でお医者さんにかかれるようにということで、これもまたかなりの自治体で問題になっていますよ。すでに東京ではそのことは打ち出されました。園田厚生大臣は、やろうじゃないかという話までしておったじゃないですか。私はせめてお年寄りが医療費はただでお医者さんにかかれるように、このぐらいのことを打って出て、自殺率第二位というこの汚名を何とか返上する方向に大臣やれぬもんかいな、せっかく敬老の日を迎えるのだったら、そのぐらいのことを準備されたらどうかと私は思うのですが、どうでしょう。
○内田国務大臣 いろいろ御指摘がございますが、申されるまでもなく、だんだん私が先ほどから述べておりますように、老齢者の福祉対策というものはきわめて大切な、また大きい課題でありますので、いろいろの面からこの課題をとらえてでき得る限りの対策を進めてまいるつもりでございます。年金の問題しかり、また老齢福祉年金の併給などの問題しかり、また医療対策の問題しかり。医療対策などにつきましては、医療保険の抜本改正という中におきましても、つとにこれを取り上げて関係審議会に諮問をいたしておることも寺前君御承知のとおりでございます。 その他、すでに御承知と思いますが、そういう一人暮らしの老人が、新聞に出ておったようなまことにお気の毒なことにならないために、都会地におきましては、そういう一人暮らしの老人の家庭に特別の愛の電話といいますか、そういうようなものを引いてまいることとか、あるいはまた、電話が必ずしも普及していない地域につきましては、いままでのホームヘルパーとは別の老人福祉相談員というような制度を新しくつくって、そういう相談員に一人住まいの老人のお住まいを回っていただくとか、そのほかいろいろの講ずべき処置があると思います。そういうことをでき得る限り進めていきたいと私は考えておりますので、この上ともなおいろいろまたお知恵を拝借いたしたいと思います。
○寺前委員 いま具体的に提起された電話問題とか相談員の問題ですね。私は決して否定はしないですよ。非常にいいことだと思いますし、ヘルパーももっと増員してほしいと思いますよ。いろいろ改善もしたいと思うのです。しかし私は、けちをつけるわけじゃないのだけれども、こういうのをやっているということだけでは、大部分のお年寄り、全体として自殺率第二位とか、このような痛ましい状況のもとから救えない。だから、全体として共通して、しかも自治体を含めてそのことをすぐにやりたいという動きがあるものに対しては、ぼくは少なくとも大臣、積極的に一緒になって考えてもらえぬだろうか。たとえば老人医療を無料にしたいというのは多くの自治体ですでにやられ始めているところもあり、これはもう流れとして出てきておる。なぜそれを政府として積極的に取り上げられないのだろうか。少なくとも流れとして共通した、せめてと出されている問題、これについてはそうだと言って激励しながら一緒になって考えるということを私は具体的に考えてほしい。私は全面的に老人政策はこうあるべきだという問題をきょうここでやろうというのではないのですよ。少なくともいま提起されてきている、各地で共通してやられているその仕事ぐらいはおやりになったらどうなんでしょう。そういう意味で私はきわめて限られた部分の質問をしたのですよ。どうでしょう大臣。
○内田国務大臣 いずれもけっこうなことでございまして、私はその実現をはかりたいと思います。厚生省は、御承知のようにたとえば大蔵省とか建設省とか農林省あるいは通産省のように地方機関というものを持ちますかわりに、府県とか市町村とかそういうものを厚生省の第一線の機関としておりまして、これらの地方公共団体と一緒に協力しながら、これは老人福祉対策に限らず社会福祉の施策、あるいはまた国民の衛生、保健の施策なども進めておることは御承知のとおりでございますので、地方がおやりになってそれに国が助成をしたり、あるいはまた国が肩がわりをだんだんしていくというようないろいろなケースもございましょうが、寺前君の言われること、私はもうすべてそのとおりだと思います。私は思いますというよりも、私どもは一つ一つそれに手を染めて、そして、これからますます社会に厚くなる老齢者の層というものに対応する国のあたたかい政治というものをやってまいりたい。これは私本気で考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○寺前委員 もう蛇足はやめたいと思います。それじゃ、大臣が本気で考えておられるという以上は、責任をもって自殺第二位の汚名を返上してもらうために、いま言われたことをやっていただきたいということを要望して終わります。
○増岡委員長代理 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。 午後二時八分休憩 ————◇————— 午後二時四十六分開議
○増岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 昭和四十五年の八月十七日に、在日米軍統合司令部から、北海道千歳の米軍クマ基地の完全閉鎖、またはそれに伴って人員の整理を言い渡されたわけですが、整理そのものよりも、そこに働いておりました従業員の生活安定のための施策は万全を期さなければなりません。その意味におきましても、その後のいろいろな模様等については労働省ははっきり知っておられることだと思うのですけれども、その事態はどういうふうになっておりますか。
○小鴨説明員 北海道千歳基地におきます人員整理が、四十六年の六月三十日までに従業員八百九名のうち七百七十四名解雇する、こういうことが発表されました。 私ども、離職対策をあずかっておる者といたしまして、駐留軍の大量解雇に対する対策ということをいろいろ講じてきたわけでございますけれども、通告がありましたときから、直ちに、八月二十一日でございますか、道庁に北海道離職者対策本部というものを設置いたしまして、今後の離職者に対する再就職その他の対策について特別な対策を講じていこうという体制を整えたわけでございますが、二十七日に至りまして、千歳の労務管理事務所管内におきまして千歳総合職業相談所というものをさらに下部機関として設置いたしまして、現在業務を開始しておるところでございます。
○島本委員 基地の閉鎖の言い渡しが六月三十日までである、従業員の解雇は三月三十一日までにしてしまうという。そうすると、もうすでに三カ月のズレ、それだけ早まっているのじゃないか。北海道の三月三十一日、これは春でありませんで、きびしい冬の最中で、しばれる最中であります。この寒さの中に、解雇を言い渡され、また解雇されるということは、これは最もひどい時期にこれを行使されるということになります。これは御存じのとおりです。やはりこれは適当な時期まで当然延ばしてやって、失業者の多発する時期でない時期を選ぶのが一番妥当じゃないのか。だれしもそう思うわけですが、労働政策としても、これは同じ対政府部内の問題ですから、十分この時期の打ち合わせをすべきじゃないかと思います。六月三十日まで、あなたのおっしゃったとおりです。しかし実際は、三月三十一日までにこれを全部終了させようとしていることが問題だと思います。その時期は一番しばれる時期であって、失業者の多発時期であります。それに合わして全員解雇を終わるということになりますと、これは寒さのきびしさの酷の上に残酷の酷がつきまとう、こういうようなことに相なるのであります。労働政策上最も好ましからぬ現象だと思いますが、これをひとつ部内の打ち合わせによって時期を変更し、せめて五月から六月、この辺までに集中して言い渡させ実施させる、こういうようにしたならば最も適当じゃないか、こう思います。どうせやめるのですから、そのための準備期間は長いほどいいのですから、こういうような点は配慮として当然必要じゃないかと思います。ひとつ当局の賢明なる御答弁を賜わりたい。
○小鴨説明員 ただいま先生の御指摘の点、まことにごもっともだと思いますが、御承知と存じますけれども、いままでも、防衛施設庁におきまして、年末年始におきますところの整理というものについては、これは極力避ける、あるいは無計画なさみだれ的な整理というものも極力避けるように米側に申し入れてきたところでございます。いま先生御指摘のように、労働政策上どう考えるかという御質問のことでございますが、私どものほうといたしましても、その趣旨からいたしまして防衛施設庁と十分連絡をとりまして、十分な調整時期を設けて計画的に整理されますように今後も米軍と十分交渉するよう、そういう点について協議していきたいというふうに考えております。
○島本委員 その答弁に満足いたします。なお、こういうふうにしたという防衛施設庁の結果を後ほどはっきり資料として私のほうへ報告願いたいと思います。委員長、それよろしゅうございますね。
○小鴨説明員 ひとつそのように処置いたします。
○島本委員 次に、いわゆる離職者センターという、これは無料で職業紹介をやる場所ですが、これは現在、中央、東京、それから神奈川、青森、福岡、長崎、この方面にそれぞれあるようです。千歳でも、このような大量解雇をかかえながらこの問題に苦慮されておることは御存じのとおりです。したがって北海道におきましても、千歳市におきましても、労働省においても、この問題等に取り組んでおられることは、私も十分敬意を表しております。いまや離職者センターが労働省にかわって無料の職業紹介を進んでやるというわけですから、それを設立する許可認可というようなものは大いに便宜を取り計らうようにしてやるべきじゃないか。現にやっているようでありますけれども、もう何より先にこの問題は労働省で取り上げて解決してやるべきだと思います。設立運営費の補助、助成、これは十分考えてしかるべきだと思いますが、この点等はいかが行なわれておりましょうか。
○小鴨説明員 ただいま先生御指摘の離職者センターにつきましては、御説のとおり、既設三カ所について設置されてございます。これまたいわゆる離職者のきめのこまかい再就職の相談ないしは指導という点について欠くことのできない機関だろうというふうに私どもも考えておるわけでございます。したがいまして、いままでも防衛施設庁と連絡をとりまして、このような離職者センターの育成については一そう努力をしてまいったところでございますが、今回の大量解雇に伴いまして、再びこういうようなセンターができました暁におきましては、私どものほうといたしましても、無料職業紹介業務、これについていわゆる職業安定機関を補完する業務というふうに考えまして、積極的にこれを許可していきたいという方針でございます。
○島本委員 積極的にこれを補助、助成していきたい、それは大いにけっこうですからやってもらいたいと思います。 その内容の一つとして、当然これは五十歳以上の人たちの紹介という制限が一つあるのではなかろうか。東京並びに大阪を含めまして、その方面の労働事情、こういうような点はよくわかりますからそれでよろしいと思います。ただし冬を控える北海道並びに僻地といわれる過疎地帯、九州や北海道の場合には、これまた特別な労働事情があるんじゃなかろうか。その場合には、この五十歳という範囲をもう少し年齢的に切り下げて実施することも考えてしかるべきではなかろうか、こういうように思われますが、この点等については現行を変える必要なしとお考えでしょうか、現状に合わせてその点も十分配慮しなければならないとお考えでしょうか。まさにこれこそ労働省の一つの分かれ目にもなろうかと思います。重大なポイントであります。いかがでしょう。
○小鴨説明員 ただいま先生の御指摘の点は、従来私どものほうでいわゆる職業転換給付金の一環として雇用奨励金、そのような中高年等の労働者を採用するという場合に事業主に融資する雇用奨励金という制度がございますが、そういう点についての年齢制限を取っ払えという御趣旨であろうと存じます。この点はほかのたとえば身体障害者あるいは石炭離職者というものとも平仄をとりながら駐留軍離職者の再雇用についての転換給付金というものが支給されているわけでございますので、そういうものとの関連から、一挙にいまここで責任をもってお答えするわけにはまいりませんけれども、何ぶんにも御指摘のとおり、寒冷地でありかつ高齢者であるというために就職がきわめて困難だという事情も私ども十分存じておりますので、なおいま御指摘の点をも十分含めまして検討していきたいというふうに考えます。
○島本委員 次に職業訓練、この問題はまたまことに重大な様相を呈してきておるわけです。中高年齢層であり転換が容易でない、こういうような人、行政的には三十歳代の人はもう羽がはえて飛ぶように売れます。しかし五十歳になったらぴたっとこれがとまる。また転換させるためのいろいろな施設やそういうような訓練もなかなか容易じゃないわけであります。職業訓練の拡大強化の必要はいまや重大になってまいっておるわけでありますけれども、しかしそれに対しては、中高年齢者の人、こういう人たちの場合は、いままであるがままにやっている、これだけじゃどうしても足りませんで、それだけでやってもまだ十分開拓できませんので、私はこの際十分この高年齢者層に対する職業訓練の拡大強化の必要があると思いますが、この点等については十分配慮してございましょうか。
○小鴨説明員 御指摘の職業訓練受講希望者の方の中には、今回の場合には中高年齢者が相当多いだろうと存じます。私どものほうも、公共職業訓練校というものを、もちろん北海道にも各種設置してございますけれども、大量の場合におきましては、特に駐留軍の場合におきましては、閣議決定にもございますように、優先的にこれを入所させる、現在までこういう方針で来ておるわけでございますので、今回の場合にももちろん訓練校への優先的な入校ということを特に考えておるわけでございます。また事業主からの委託も受けて、職業訓練校においてはこれを積極的に取り上げてやっていきたいということも現在考えておるわけでございます。さらに、中高年でございますので、こういう方面向けの科目、それに見合うような訓練科目も特に調査いたしまして、十分訓練校において早急に手を打つように私どものほうからも連絡をとって措置いたしたいというふうに考えております。
○島本委員 その点は十分そつはないと思いますけれども、特にこの点は強く要望しておきたい、こういうふうに思います。 次に、失業保険は増額になってございますが、しかし雇用促進手当の点ですが、これは上がったでしょうか、上がらなかったでしょうか。上がっても僅少だと思うのですが、この点はどうなってございましたか。
○小鴨説明員 いま御指摘の就職促進手当でございますけれども、これは従来平均日額七百二十円でございましたが、今回から八百二十円に上げております。それから扶養加算につきましても、従来第一子につきましても日額二十円であったものを六十円にアップしてございます。なお、来年度もできるだけこれを増額するように現在検討中でございます。
○島本委員 上がってもほんの少しですね。いまごろ子供も十円、二十円といったってあまりありがたがらない時代ですよ。上げるなら百、二百、千と上げてやるのが一番いいところですが、この雇用促進手当はどうも幅が狭く上がっているようですね。何かこれには意図がございましたでしょうか。
○小鴨説明員 これは従来の一般の中高年その他の職業転換給付金の一環として設けてある制度でございまして、それらの単価増というものに見合いまして中高年の場合の就職促進手当についても上げる、こういう形になっておりますので、十円、二十円ではどうかという御指摘もございますが、なお今後の予算折衝の過程でも、御趣旨の点を配慮してできるだけ努力したいと思っております。
○島本委員 これはわれわれが審議していながらいまあなたに聞くのは少し私もずるいかと思いますよ。しかしこの部分だけ少ないのです。もっと幅を大きく上げてもよろしい、こういうふうに思いますから、十分検討してもらいます。 それと同時に、事業主の雇用奨励金ですか、これは三十歳以上の場合は七千円でしたと思います。四十歳以上の場合は八千円だったと思います。五十歳以上の場合は九千円の奨励手当が出ているわけであります。当然アップをする必要があると思いまするけれども、この期間は一年だけでしたか。一年という期間に固定すべきじゃなく、現状に即応するためにももう少しこれは考えてやるべきじゃないか、こう思いますが、ことに高齢者を見る場合には、一年の延長ということではなしに、実態に合わして考える、こういうふうにすべきじゃないかと思いますが、この点はどうでございましょうか。
○小鴨説明員 雇用奨励金についてのお尋ねでございますが、いま年齢別にそれぞれ月額支給しておるわけでございますけれども、これは現行一年というものを限度としておるわけでございます。中高年ということでもう少しこれを延長できないかという御指摘でございますけれども、一方、雇用事情が逐年よくなってまいりまして、中年方面についてのいわゆる再雇用という点は漸次よくなってきておるのではなかろうか、マクロ的に見てそういうことは言い得ると思うわけでございます。ただ、いま御指摘のように、高齢者については、若年はもとより、中年と比べればまだ就職も困難だという実情も私ども納得できるわけでございますので、今後ともこの年数等についてさらに延長するかどうか、よく検討さしていただきたいと思います。
○島本委員 その背景として現地の苦労があるのです。三十歳代の人はほしがって、苫小牧、室蘭、旭川の方面からも来ております。五十歳以上になるとぴたっともうお断わりとくるわけです。したがって現地の苦労としては、三十歳から四十歳の人を二人やるから五十歳の人を一人入れてくれ、三十歳代の人を五人やるから五十歳代の人を三人もう余分に雇ってもらえないか、こういうような技術的な苦労を重ねているようです。しかしながら、やはり残るのはこの方面の高齢者がまだ残ります。その場合の対策の一つとして期間延長というようなことも十分具体的問題として考えてもらいたいということです。これはひとつ真剣に考えてみてください。これは決してマイナスになる問題じゃなかろうと思います。 次に、今回の場合は特に政府が直接雇用しているような人たちが八百十四名でございます。そのほか空軍が四十三名でございまして、政府が直接責任をもって雇用している者のほかに軍が雇用しておる者もあるわけであります。そういうような人たちはたちどころに首であります。しかし、そういうような人たちは母子家庭の人が多いわけです。そういうような人も何ら手当もなしに、何ら報酬もなしに、犬ネコのようにというと少し大げさですけれども、きょうこれでおしまいというともう路頭に迷うような状態になっているわけです。政府のほうで責任をもってやっていった者には特別手当はじめ十分考慮された待遇がございます。しかし、直接雇用されているいわゆる母子家庭に属するような人たちは、そのままもう切り捨てごめんというような状態にしてほうり出されてしまうわけです。これはやはり同じに使われているわけですから、一方はちゃんともう法の定めるところによっていろいろな給付が出ます。しかし、それにない者は同じに働きながら何も出ないというようなことは差別があり過ぎます。この点は皆さんのほうの職業安定、雇用安定というような見地からしても特別給付的なものをやはり考えてやるべきじゃなかろうか。もとにおいては同じに働いている人たちなんです。ただ雇用の形態が違うだけなんだ。これはそのままおっぽり出すのは少し残酷過ぎるのじゃないか、この点等においても十分考えなければならないのじゃないか。考える方法はある。何だ、生活保護法の適用というのがあるのです。これは現在の場合は最低ですから、これに甘んずるようなことにさせてはなおいけない、こう思います。やはり一般駐留軍労務者に出されておるいわゆる特別給付的なものに類するものも労働省としては今後考えておくべきじゃないか、こういうように思います。この点はいままで考えませんでしたでしょうか。また、考えているならばその構想なんかもこの際ですから御発表を願いたいと思うのです。いかがでしょう。
○小鴨説明員 いわゆる国が雇用している以外の米軍の直接雇用者の問題、特にその中身としてはメイドというような米軍人・軍属等の私的な雇用者等の問題についてだろうと存じます。法律的なことを申し上げてはなはだ恐縮でございますけれども、現在の駐留軍関係の臨時措置法の適用対象には実はこのメイドはなっておらない、また、雇用関係等から見ても、国内の基準法上の場合には家事使用人というような実態を持っておりまして、これまた適用の対象外という形できておるわけでございます。特に米軍関係のこういう私的な雇用者については、雇用期間というものも相当長いということも事実でございますけれども、しからば国としてそういう法令に基づいた特別給付金が出るかということになると、これまた現行法制上は出る仕組みにはなっておらない、こういう状況でございます。御指摘のように、心情においてはまことに忍びないということは私どもは十分わかるわけでございますが、国からいま直ちに特別な給付金的なものが出るかということになりますと、私からはいま直ちにこれをどうするという金銭的な給付という点についてははなはだお答えいたしかねる現状でございます。ただ、何ぶんにも離職者ということでございますので、その再就職のあっせんという点については、私どもの職業安定機関におきましては、現在のいろいろな援護措置を十分に活用いたしまして、再就職について遺憾のないようにもちろん措置していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○島本委員 軍雇用者は臨時措置法で救済できるようになっておりますが、私的な雇用者の場合にはいま言ったような状態に放てきされるわけです。ただし、これもやはり生活保障対策は十分考えてやらないといけないと思います。その一端として手当的なものを考えられないか、適用できないけれども準用はできないか、こういうふうなことなんですが、それも少し考えてみてやってほしいと思います。できるならば準用してやって、少しでもこの急場を救済してやってほしい。しかしながら、できなくとも最後は生活保障対策だけは責任をもって確立してやらぬと、こういうような人は哀れな母子家庭が多うございますから、そういうような場合にはすぐ社会の暗やみに転落してしまうおそれさえあるわけであります。未然にそれを防ぐのも政治ですから、また皆さんはそのための行政をつかさどっているのですから、いま言ったことは一つの発想として直ちに受けとめて、それに対する対策の万全を期してもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○小鴨説明員 いまの御趣旨を十分体しまして、私どものほうでできる限りのことをしていきたいと思っております。
○島本委員 基地の返還、これはもう望ましいことでありますけれども、これも離職者の再就職に役立てるような利用施設として転用したいものである。こういうような点は、現地の市役所はじめ北海道、こういうような方面でも十分強く要請をしておるようであります。どうせ建物を全部持っていくわけでもございますまい。それを公共の施設にするか、または何かの施設として残すならば、いままで働いていたような人をここへ残すことも可能ではないか。これは防衛施設庁の仕事に属することだと思いますけれども、雇用の立場をとる労働省でもその片棒をかついでしかるべきだと思います。これは部署が違うからというのではなしに、この要請を踏んまえてひとつ十分成果をあげてやってほしい、こういうふうに思います。この点は少しおまけ的ですが、どう考えますか。
○小鴨説明員 もちろん、駐留軍離職者の再雇用については私ども全面的な責任を持っておるわけでございますから、基地の転用という点について、そこに再就職することによって雇用の安定が期せられるということでありますならば、施設庁とも十分連絡をとって再就職に遺憾のないように措置していきたいというふうに考えます。
○島本委員 その中でなお進んで自立営業を希望する人もおられるわけです。たとえば、免許証がありますからハイヤー会社を興して、それによって自分でやっていきたいという人、長い間基地で働いて、いわば国としても十分手厚くもてなさなければならない人たちですから、自立営業を希望してやる人、こういうような人たちに対しては十分援助をして差し上げなければならない。許可認可を要するもの、また融資等を要する面に対しては、十分漏れなく手厚く扱ってほしいと思いますが、いま例にあげたようなもの、それからほかにやりたい希望があったり融資を申し出たりする面、こういうような面についても十分配慮してやってしかるべきだ、こう考えます。皆さんの場合も十分考えておると思いますが、この際もう一回はっきり言って、哀れな千人以上の人たちを安心させてやってほしいと思いますが、いかがですか。
○小鴨説明員 自立営業の場合の問題でございますが、これまた臨時措置法の精神並びに規定でも自営支度金というものを支給する規定がございます。私どものほうの国の業務の一環といたしまして、これらの者について自営支度金というものを支給する体制も整えてございますので、もちろんそちらのほうの支度金の支給ということもやりますけれども、いま各地につくっておりますところの就職援護相談所というようなところにおきましても、融資業務その他については関係方面と十分連絡をとり、あっせんの労をとっていきたいというふうに考えております。
○島本委員 これで終わりますけれども、いままでの答弁では私は満足しております。問題は、答弁では満足したけれども、答弁だけでやらないということになったらこれは不満足になります。大事な点はひとつ資料として出すように要請しておきまして、なお答弁そのものの一つ一つは議事録で確認していきます。十分その答弁に実を結ばせるようにして、いずれ再びこの場所から、あなたを呼び出して再質問させることのないように十分対処してもらいたいことを心から要請いたしまして、私の質問を終わる次第であります。
○増岡委員長代理 川俣健二郎君。
○川俣委員 私は出かせぎの問題にしぼって、出かせぎの労務をめぐる諸問題に一体どのように取り組んでいるかということをただす意味で、局長と意見交換をさしてもらいたいと思います。 私は、この出かせぎの問題を取り上げて社労委員会で質問するのは今回で四回目でございます。大臣に出かせぎをどのように考えておるかという意見を聞いてみますと、たいへん出かせぎというのは政府から見て役立っております、特に腕っ節の強いところが非常に役立っておる、このように終戦後日本の経済が高度成長したのも、まあビルの建設、新幹線の工事、そういう土建業から、ひいては電気工事、自動車会社、そうして繊維類等々、一貫して出かせぎの労務者というのは日本の終戦後の建設に非常に役立っておる、こういうところまではお互いに確認いたしましたが、ただ問題は、腕っ節が強い、非常に安直に使える、秋来て春帰るという出かせぎ労務者を、計画的に保安教育をしたり、あるいは職能教育を徹底的にして職場に入れるということがなかなか不可能だと思うのです。これは理解されるところでございます。出かせぎをめぐる問題では、まず一番大きな問題としては事故でございます。これはガス爆発、尻無川の問題、事故が非常に多い。あるいは出かせぎ労務者をかき集める、まあ上野の人狩りの問題もこの前新聞ざたになりましたが、私たちが政府当局の姿勢をただしたわけです。そして失業保険の不払いの問題等々あります。それで、きょうはその中で一つ、賃金の不払いという問題にしぼって、時間を二十分割り当てられましたのでお伺いさしてもらいたいと思います。 一体、出かせぎ労務というのは、ちょうどきょうあたりから東北、北陸一帯に稲刈りが始まり、十月一ぱいで稲の始末が終わる、十一月一日から二週間というのは冬じたく、家を囲い、つけものをし、冬の用意をして、一月十五日にやってくる。そして、失業保険のこともあることでしょうから、六カ月つとめていく、こういうことで、ことしは減反減収、米価の据え置き等でおそらく相当の出かせぎ労務者が数えられましょう。従来は約二町歩くらいまでの農家のむすことかおやじが出かせぎに来た。今度はもう三町歩から四町歩くらいの農家でもどうしでも来ざるを得ないということで、かなり膨張はいたします。それで、この出かせぎにまつわる賃金不払いの問題だけを取り上げてみますと、その問題は非常に大きく取り上げなければならない現象なのかどうか、局長はどのように感じておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○和田説明員 賃金不払い問題は建設業には非常によく発生をする事故でございまして、件数からいいますと、全産業の中で建設業が一番多いわけでございます。その中でただいま先生の御指摘のありました出かせぎ労働者関係の不払い件数について、ちょっと資料に基づいて申し上げてみます。 四十四年の状態を申し上げますと、四十三年から四十四年に繰り越しました件数は二百六十九件、それに関連のある労働者の方の数は千三百五人、金額にいたしまして三千八百六十万二千円、四十四年じゅうに新しく発生をしましたのは二千九十八件、対象労働者が六千七百二十三人、金額にしまして二億強でございます。この四十四年に繰り越しましたものと四十四年に発生しましたものについて、監督署がそれぞれ努力いたしまして解決した件数が千九百十一件、対象労働者の方にしまして六千三十一人、金額にいたしまして一億七千四百十六万一千円ということでございまして、繰り越し分及び新規発生分の合計に対する比率を申しますと、解決しました件数では八割強、対象労働者の方については七割五分強、金額にいたしましては約七割三分、こういうような解決を見ております。これらにつきましていろいろの事情でどうしても解決が不能であるということで監督署が認定しましたのは二百四十三件、関係労働者の方は千九十三人、金額にしまして三千五百万をちょっとこえる程度でございまして、それ以外のものは四十五年に繰り越したということでございます。 この数字からおわかりをいただきますように、監督署といたしましては、賃金不払い問題は、その関係される労働者にとっては生活の基本の問題でございますので、極力解決に努力をいたしておる。その結果がいま申しましたように、解決件数としては八割をこえるというような状況でございますが、残念ながら解決不能が二百四十三件ということで、一割を多少こえるというような状況でございまして、これはたいへん私どもとしては遺憾に存じております。 そういう時点をいろいろ検討いたしまして、私どもとしましては、四十五年度から賃金の立てかえ払い基金制度というような制度を業界の自主的な努力として積み上げさせてはどうかというような問題意識を持ちまして、それは実はすでに、それほどの大きな数ではございませんが、ある程度そういう立てかえ払い基金のようなことを地域別あるいは請負系列別にやっていらっしゃる向きもございますので、そういうものを今後育成することによりまして、支払い不能というのは行くえ不明その他の問題でございますが、そういうことによって支払い不能の件数が出ないような制度が業界の自主的な努力でできるよう行政指導をする、こういうような姿勢でただいま対処いたしておるところでございます。監督署としましては、できるだけ就労経路を把握しまして、これらの事故の出ない監督署としての努力もさらに今後とも続けさせていただきたい、このように考えております。
○川俣委員 六、七十万の労働者にまつわる諸問題ですから、いろいろと問題件数もだんだんにふえてまいりました。ただ、解決の比率としては非常にいい成績を示しておると思います。ただ、やはり二百四十三件というあれも見ておるのですが、どういうようなケースが多いのか、もし傾向がわかりましたらお知らせ願いたいと思います。
○和田説明員 二百四十三件の内訳の正確なところをただいま手元に資料がございませんので、もし御必要ならば後刻差し上げることにいたしますが、二百四十三件の中では、非常に零細な建設業者でございまして、その業者が行くえ不明になってしまった、こういうような例が相当多いのじゃないか。それと、実はいろいろの事情がおありでございましょうが、労働者の側からもう取り下げるというようなのが二百四十三件の中に入っております。
○川俣委員 まあ零細であり、行くえ不明であるということ、私もそう推定しました。ただ、零細であり、行くえ不明にならなければならぬような業者が出かせぎ労務者を使うという場合に、大体下請の下請のまたその下請——そこに大臣がおられれば、もう少しほかの官庁との関係で出かせぎ労務者を使う事業所というものを別の角度で検討すべきではないか、点検すべきではないかということを申し上げようと思いましたが、それはさておきまして、私は今回具体的な諸問題は取り上げません。局長のところの担当官に非常にお世話になって、少なくとも私が取り上げた不払い問題が全部いまのところは解消済みであるわけです。 そこで、いま局長は賃金立てかえ基金制度ですか、これをどのように奨励していこうとするのか。一応権威あるシステムにしていこうとするのか、それとも単なる業者に協力を仰ぐという程度のものなのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
○和田説明員 実は先ほどお答えを申し上げましたように、すでにあります制度の運営の姿等を私どもも昨年から勉強をいたしまして、この八月の二十四日に各都道府県の基準局長に対しまして私の名前で「建設業における賃金支払いの確保に関する自主的措置の促進について」という通牒を出しまして、その通牒の中で、一定の要項をつくって、そしてそれぞれの各地方基準局の管内の建設業の代表者の方々に集まっていただいて、賃金不払いの様相、そしてそれがもたらす社会的影響、特に不払いの直接の対象になっていらっしゃる労働者の方の生活の問題というようなこと、及び最近におきます人手不足等に関連をして、賃金不払いが起きるということがいかに業界にとってマイナスであるかというような趣旨をよく建設業界の代表者に徹底をいたしまして、基準局としては関係の行政機関——これはもちろん安定関係もございますし、建設関係もございますが、そういう関係の行政機関と関係業界の代表者若干名をもって建設業賃金支払い確保措置推進のための協議会をつくって、その協議会で寄り寄り討議をしていただいて、先ほど言いましたような制度に進むようにしたらどうか、こういう趣旨の通達をいたしまして、この線に沿って行政指導をするようにということをいたしまして、そういう成果について一定の状況に達したときに本省に報告をするように、こういう通達をいたしたわけでございます。もちろん法律上の根拠その他というようなものは、先生御承知のようにないわけでございますが、いまのようなことで業界、関係行政機関が一体になって、こういう問題についてとくと協議をしながら自主的につくるような機運をつくっていきたい、かように考えております。
○川俣委員 そうです。そういうようにオーソライズされた法律というのはないので、社会党のほうでもそれを具体的に組織を通して提唱しようと思います。 先ほどの件数を聞いた場合、私らのような代議士を通せばわりかた解決するが、届け出のないというか泣き寝入り件数がかなりあるやに私らは想像するわけです、地元を歩いてみますと。おそらくことしの冬は五十万、六十万はおろか八十万から百万人の農民が手間賃をかせぎに来ると思います。それは農家の家計というのは耕うん機の借金その他借金責めで、一方、米価は上がらないし物価は上がる、こういうあれからすると百万人になると思います。 防止策の問題にちょっと入ってみたいと思いますが、よく仕事場を世話してくれぬかと私らも職業柄頼まれるわけです。私はその場合にたいがいお断わりする。全部一応職安を通して持ってこい。その場合ですと比較的解決も楽だと思うのです。そういうように職安を通してすべて事足りるかということになると、約倍近くなる出かせぎ労務者がばっと東京、大阪周辺の都市に集まるわけです。その場合に、苦しい業者は、苦しいから払わないし、逃げ腰だし、行くえ不明になるし、つぶれるので、未然に防ぐ方法とすれば、意地悪い監督というんじゃなくて、行政監督の強化というものがこの場合必要になってくると思います。これはかなり必要だと思います。これは、出かせぎ労務者が急に倍ふえるのですから、公務員の監督官を定員その他の削減で同じように縛られるということになると、ことしの冬はかなり事故も起きるし、めちゃくちゃな労働災害も出てくるし、賃金不払い事件も出てくると思うので、局長が頂点に立って、この辺で監督官の大幅な増をある程度この予算期に考えないといかぬのじゃないだろうかと私は私なりに考えています。その辺の考え方を、あるいは数字をもって説明でさましたら来年度はどういう考え方をしておるのか、今後どのように監督強化をしていこうとするのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○和田説明員 建設業につきましては、実は全産業の中では、私どもの非常に不足をしております監督陣容ではございますが、比率的にいいますと相当密度の高い監督を実施しております。それはもちろん賃金不払いもございますが、災害問題も重大でございますので、そういうことでやっているわけでございます。今度出かせぎ労務者の方が農村のいろいろな事情によってたくさん出ていらっしゃるというただいま先生の御指摘でございます。そういうことに対処しまして、私どももよほど思いを新たにして監督行政をやらなければならぬと思いますが、先生御承知のように、政府は全体として五%の削減計画を立てまして着々実行をしております。監督官についても五%それ自体は例外でございませんで、一応かけられておりますが、ただそれをほかに、四十五年度におきましても、ささやかではございますが七十五人の監督官の振りかえ増員というようなことができまして、監督官自体の減少はないようになっておりまして、むしろ四十四年よりはふえるということになっております。したがいまして、他の事務的な職員はまるまる欠けますが、監督官のほうはそういうことがない状態でございます。しかし、ふえるといいましても、四十五年度で全部で二千七百五十三人、第一線の監督署におります監督官は千九百十一人というようなことで、非常な手不足でございます。それに対しまして、事業場は約二百六十万でございますから、監督官の担当いたしますものを割ってみますとたいへんな数になります。そういうことで、能力的に不足をしている。ただ人間をふやすということだけでは問題でございますので、私どもとしましては、監督行政の運営のあり方をコンピューターあるいは機動力というようなものを使いまして、より効率的なものにするという新しい監督技法と申しますか、そういうものを導入して、できるだけ人員増を押えながらも、私どもの計算で申し上げますと、これから三年間には千三百人くらいの増員をしなければ、どうしても私たちが考えておる工場、事業場に対する監督がある程度のレベルに達しない、こんなような考え方でございまして、八月三十一日に概算要求として出しましたものは、その千三百人を三年間で達成するということをたてまえにいたしまして、四百七十人ばかりの来年の監督官増員をお願いしておるという姿勢でございまして、大臣も、監督官の増員については、この委員会等で非常に御熱心な御質疑がございまして、非常に深くその点を考えていらっしゃいますので、監督官増員につきましては、私ども事務当局としては、まだ不十分ではございますが、いま申しましたようなことで、いままでより一そう積極的な姿勢で対処できるような努力をさせていただきたい、かように考えております。
○川俣委員 もう一点。それは確かにこの前の質問の際にも大臣が約束しましたから、労務者が倍にふえるのにそれの監督官を一律五%削減ということで同じように減らすことは、どう見たって不合理であるし、姿勢がおかしいということです。それに対してオーケーとは言えないが一応予算原案に出すということだった。ただ私は、ことしの冬を非常に心配しておるわけです。その場合に局長はコンピューター、機動力等を活用して未然に防ぐ。まあ少し災害のほうに入るかもしれませんが、たとえば私が、鉱山会社ですけれども、会社づとめに二十年近くつとめてみますと、私は事務屋ですが、技術屋方のそぶりを見ますと、今度の月曜日、火曜日監督課長が参りますというような予告がわりかた多い。また、知らしてほしい、一ぱいやろう、こういう姿勢では、特にいま鉱山の場合非常に保安体制というのは確立しているんだが、出かせぎ労務者というのは、さっき申し上げましたように、秋来て春帰るという、そういう出かせぎ労務者に、大臣は腕っ節が強いところを重宝がるんだが、腕っ節だけを活用するんじゃなくて、相当高度なる技術、それから監督業務をさせておる、そういう意味もあって、少し監督官の監督する姿勢、マナーを局長は十分に考えて、やはり上から下へ浸透させるようにすべきだということを、局長の考え方を伺って最後にしたいと思います。
○和田説明員 私どものほうで定期監督ということばで言っておりますが、工場、事業場に出向いて監督いたしますのは原則的には相手方に知らせずに、向こうから見ますれば抜き打ち監督をするというのをたてまえにいたしております。ただ、何か特別な事情がありますような場合に、むしろ整備をしてもらったほうがいいと思われるような場合も間々ございますので、そういうときには予告をして整備をしてもらうということをいたしますが、原則はどこまでも抜き打ち監督ということでございまして、決して予告をするということを本来のものにしてはおりませんので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。 監督官のほうも、このごろは特に安全衛生の監督につきましては、私ども監督官の質の向上ということに努力をいたしまして、研修だとかあるいは内地留学だとかいろいろのことを技官の諸君にやってもらっておりまして、漸次その質を上げていきますとともに、研究体制も漸次充実をしているというようなことでございますが、心がまえとしましては、安全衛生がすぐれて技術的なところが多いわけでございますので、そういう点は案外に工場、事業場では知識がないという向きがございますので、そういう点は、単にしかるばかりが芸ではないので、その欠点と改善の方策というようなものを、具体的な事例をあげて説明をしながら安全衛生問題の処理に当たるように指導をいたしておりますので、そういうことで今後の監督を続けていきたい、かように考えております。
○川俣委員 どうもありがとうございました。
○増岡委員長代理 山本政弘君。 〔増岡委員長代理退席、佐々木(義)委員長代 理着席〕
○山本(政)委員 五月の十五日からきょうまで百十八日ですか、百二十日くらいですか、中鉄バスの争議が行なわれている。きょう私は参考人をお願いしたけれども、諸般の事情でどうしてもだめだということになったようでございます。ただ、きょう理事懇談会で十月十日までにこの問題が解決をしなければ、中国鉄道の社長を参考人に呼ぶということを御決定をいただきました。そのことについてひとつ委員長に御確認をお願いしたいということが一つ。 もう一つは、きょうの話の中で、会社側から中労委のあっせんが出たなら、これは前向きにひとつ対処をしたいということがあった。したがって私は、参考人については一応きょうの出席ができないということを了承したわけでございますが、そのことについて御確認を委員長からお願いをしたい。
○佐々木(義)委員長代理 速記をとめて。 〔速記中止〕
○佐々木(義)委員長代理 速記を始めて。 それでは正式の理事会にはかりまして、趣旨に沿うよう努力いたしたいと思います。山本君。
○山本(政)委員 五月十五日からストに入って、七月の二十四日にあっせんに対する回答が出ましたが、これは拒否であります。八月の十七日に地労委から再提案をした。さらに会社側へ八月二十五日早急に結論を出すように要請をした。 〔佐々木(義)委員長代理退席、増岡委員長代 理着席〕 そして八月の二十九日、会社の回答は同じ回答であります。その回答は組合を非難した回答として私は受け取っております。八月の二十九日にはさらに地労委が争議のあっせんについて、新学期も始まることだし、特に県北のほうの交通というものについてひとつ考えてほしいというあっせん案を出したと思うのです。そして九月の二日に会社の回答は拒否、そして地労委はあっせんを打ち切った、私は大まかな事態はそうだと思います。その中で会社側が組合の団交請求に誠意をもってこたえておらぬ。そして、地労委のあっせんが七月の二十日に出ておる。組合はこれを受けておる。しかし九月二日に同じような回答でもってこれを拒否しておる。ある意味では、これは異論があるかもわかりませんけれども、私の考えからいえば、もっぱら第二組合づくりに狂奔しておったという事実があると思うのです。そういうところを見ますと、会社が一貫して組合の団体交渉権を拒否をしてきたというふうに受け取っていいのじゃないだろうか。しかも会社の合理化案というのは、具体案のないままに人員整理をやる、こういうように私は実は受け取っておる。岡山の地労委のほうも、争議のあっせんについての正式文書のコメント、口頭でありますけれども、私はそういうふうなことを書いておるのも拝見をいたしました。この争議に関して政務次官も、せんだっては、あれは川俣さんの質問でしたか、答えて、ひとつ前向きに争議の解決に努力すると言っておられる。しかしいままでじんぜん日を過ごしてきておる。こういうことに対して一体労働省当局はどうお考えになっておるのか、その点をひとつお伺いいたしたいと存じます。
○松永説明員 ただいま御指摘のございました中鉄バスの争議につきましては、山本先生ただいまお述べになりましたように、非常に長期にわたりましてストライキが続けられておりまして、労使紛争が非常にむずかしい状態になってきておる、これは御指摘のとおりでございます。そして、この間におきまして、地労委も争議の性質にかんがみましてあっせん等の調整を行ないまして、いろいろ全体の情勢を把握することで考えておったようでございますけれども、御指摘のごとく、七月の十一日に職権によりましてあっせんに入りまして、七月二十日にあっせん案を出したという経過をたどっておるわけでございますが、ただいまおっしゃいましたように、地労委の努力によりましても争議の解決を見なかったということは、私どもといたしましても非常に遺憾に存ずる次第でございます。 その間、当委員会におきましても御質問がございまして、労働省としても争議の早期解決に対して努力をいたしたいということを御答弁を申し上げまして、私どもとしては、われわれの行政の出先でございます県の労政当局と緊密な連絡をとりまして、情勢の把握あるいは争議解決の見通し等につきまして、できるだけ情勢を把握いたしたいということでやってまいったのでございますが、地労委が間に入りましたので、念願といたしましては、地労委の調整によりまして解決するということを強く念願をいたしておった次第でございますが、いま申し上げましたようなことで、まだ解決が見られないというような事態でございます。 そこで、組合側のほうの意向といたしましては、中労委にあっせんを申請をして、中労委によって解決をしたいというような意向のようでございます。会社側がこれに対してどういうふうに応ずるか、あるいは応じないかということにつきましては、いまだはっきりいたしませんけれども、中労委のほうには組合側からあっせん申請がございましたので、現在中労委といたしまして、係を派遣をいたしまして、現地におきまして地労委で勧告をいたしております。自主交渉ということで解決できるのか、あるいはまた地労委がさらに再あっせんというようなことがいいのか、あるいは組合の申請どおり中労委でこの問題を取り上げたらいいのかというようなことの解決をねらいといたしました、中労委としての情勢把握を現在やっておるという段階でございます。 いまもそれをやっておると思いますので、刻々と情勢が明らかになってくるかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、当委員会におきまして政務次官からも御答弁を申し上げましたごとく、バスの会社でございますので、特に県民の足を確保するという面からいきまして、県民生活に非常に大きな影響があるという性質の事業でございますので、解決のやり方、仕組み等はいろいろあるかと思いますけれども、要は、問題はやはり労使双方が解決したいという体制を強く持ちまして、従来これだけもめてまいりましたので、いろいろな行きがかりや不信感等が出ておると思うのでありますけれども、しかし労働問題というものは、紛争が起こりました以上解決をしなければならない問題でございます。したがいまして、当事者である労使のそのかまえというものとあわせまして、第三者がこの活動等をいたしまして解決をはかる、これが両方うまく組み合いませんと解決ができないということでございますので、われわれといたしましても、それから地労委も中労委もこの問題に真剣に取り組むことは言うまでもございませんけれども、同時に労使双方に不信感があれば、不信感をどうやって払拭するかということを真剣に考えまして、そうしてなお話し合いも同時に継続をする。解決に向かって関係者が同じように歩調をそろえて向かうということが何といたしましても大事かと思います。法律上の権限や強権に基づきまして解決するという性質のものでございませんので、どうしても当事者が主体になり、そうして第三者がこれに御助力をするという仕組みの上におきましては、何といたしましても、労使双方の心がまえ、これが一番大事だと思いますので、そういう基本を踏まえまして、私どもといたしましても解決に努力をすることにいたしたいと思います。
○山本(政)委員 和田さんが時間ですから、ちょっと先に質問させていただきたいと思います。 会社側が基準法違反を犯しているのではないだろうかという疑いを、実は私は持っておるわけであります。三六協定はいま中鉄支部と会社側とは結ばれておらぬと思うのです。そうして中鉄支部は過半数を持っておる組合だと思う。ところが第二組合員を使って時間外労働あるいは休日労働をさせておる。 これは中鉄バスの総社営業所の時間外労働のあれですけれども、従業員数四十九名、私鉄の中鉄支部が三十七名、バス労九名、管理者が三名、この中でバス労組合員の時間外労働あるいは休日勤務の時間というのは——これは名前は申し上げないほうがいいでしょう。Aという人は休日出勤数が二、時間外労働百五十七時間。Bという人は休日出勤一、時間外労働百三十一時間。Aの人はそのほかに深夜の時間外労働時間が七時間。これは六月。七月には、Aという人は休日出勤が四、時間外労働百三十時間。Bという人は休日出勤二、時間外労働百二十時間。八月は、Aは休日出勤二、時間外労働時間百二十五時間、深夜時間が一時間。Bは休日出勤二、時間外勤務数が百二十八時間、深夜一時間、こういうふうになっている。これは私は基準法違反じゃないかと思うのです。いろいろの名目はあるかもわからぬけれども、少なくとも、争議中に——三六協定を結んでおらぬということは事実です。それに対してこういうオーバー労働をさせておる。 このことについては、八月二十四日に岡山の基準局に対して実態調査を依頼して、岡山の基準局はこれを約束されておるのです。そうして八月三十日には、基準局は会社側を呼んで、時間外の協定をしておらぬところは協定を結びなさいと言って、会社側に資料提出を要求している、こういうことも私は報告として受け取っておる。 このことに対して、基準法違反であるかどうかということが第一点、第二点は、八月二十四日そうして八月三十日の実態調査並びに資料提出要求について、そういう調査がなされたのか、あるいは資料が出されておるのかどうか、この二点についてお伺いをしたいと思います。
○和田説明員 中鉄バスにつきましては、従来から時間外協定は各事業所単位、営業所単位で行なわれております。中鉄の場合は全部で八事業所ということになっております。そのうち三十六条協定は、先生御存じのように、過半数を代表する者の意見を聞いて協定を結んでやるということになっておるのですが、その要件を満たしておりませんのが総社営業所と津山営業所でございまして、これは実はいま先生がお話しになりましたいわゆる第二組合との話し合いでできた協定をもってこちらのほうに届けられましたが、私どものほうの調査では過半数代表とは認めがたいということで、その受理を拒否いたしました。したがいまして、総社営業所と津山営業所については三十六条協定はございません。それ以外につきましては、それぞれ過半数要件を満たしておりますので、監督署といたしましては有効な三十六条協定として受理をしておる、こういうことがまず第一点でございます。この点は実は八月の二十一日に岡山の基準局が会社の者を呼びまして、どういう状況になっておるかということと、所轄の監督署からの書類の提出、両方合わせまして調査した結果、そういうことになっております。したがいましてそういう状況でございましたので、八月二十九日に本社の常務に基準局に来てもらうように呼び出しをいたしまして総社営業所、津山営業所については三十六条協定がないことにかんがみて違法状態があるように考えられるから、至急違法状態の是正をするようにという口頭の注意をいたしますとともに、九月の五日、七日に両営業所に対しまして監督を実施いたしました。監督を実施しました対象期間を、七月の二十一日から八月の二十日までの一カ月間について監督を実施いたしましたところ、運転士の労働時間について主として休日労働について、協定のないことにかんがみまして、これをやらしておるということの基準法違反を監督の結果発見をいたしました。それから通常の時間につきましては、非常に少ない量でありますが、時間外労働の違反事実があるということでございます。 ただいま先生が御指摘になりました労働時間につきましては、実は労働時間の長さの考え方が多少監督署と意見が違っておる面があるのではないかと思いますが、監督署のほうではいわゆる実労働時間とは何ぞやということにつきまして検討をいたした結果、会社にあります実労働時間に関する協定の理解のしかたのほかに、私どもとしては出動手待ち時間を加美まして実労働時間を一応考えておる。拘束時間を考えずに実労働時間ということでやりますと、時間外労働が二人の運転士の方について成立するという見解をとりまして、九月九日、昨日でございますが、こういう監督の結果をもちまして、中鉄バスのほうに、違反があるから是正をするようにという是正命令を出しておるというのが現在の実情でございます。
○山本(政)委員 つまり三六協定違反の事実があるということですね。——ありがとうございました。 そういうことから、関連をしたことでお伺いしたいのですけれども、八月二十九日に事故が起きておりまして乗客ら二十三人が重軽傷をしておる。この運転をされておるのは第二組合の人であります。なぜそうなったのか。私は交通労働者というのは、旅客の人命を輸送するという責任を負わされていると思う。そういう人たちを会社が協定に違反して、そうして運転にかり立てておる。そういうことから過労が出てき、そして交通事故が出てきている、こう思うんですよ。もしこれがノーマルな状態であったら、おそらくこの事態というものは起こってこないだろう。過疎地帯で旅客がかりに三分の一に減ったら、働いておる人たちも三分の一でいい、賃金も三分の一でいい、あるいは食事も、三度の食事を一度に減らしてもいい、これはあるいは言い過ぎかもわかりませんが、そうしてバスを運転しなさい、これは私は公益事業の性格に照らしてあるべき姿ではないと思う。いわば八月二十九日の事故の発生は、これは長期にわたった過重労働の中で起こった一つのトラブルだろう、こう私は思うのですけれども、そこら辺に対して一体どうお考えになっているか、ひとつお答ええいただきたい。
○小林説明員 ただいまお尋ねの中鉄乗り合いバスの転落事故について申し上げますと、二十九日十時十五分ごろ、国道百八十一号線の勝山−河内線でございますが、道路の右側のドライブインの中にある停留所で客扱いを終わって出たときでございます。右折した際にハンドルの切りそこないで二メートル下の水田に転落、横転した。その結果軽傷二十二名の被害が出ております。これの原因につきましては、運転操作の誤りであるということが判明しております。なお先ほど先生の御指摘の労働時間、超過勤務の問題等につきましては、私どもで調査した結果、特別の問題はないようでございます。
○山本(政)委員 あなた方が調査した結果、そういうことではないというふうな御判断かもわからない。しかし運転操作の誤りというのは、長期的に堆積された疲労というものがそういう結果をもたらしたかもわからない。これはどちらともいえないと思うのです。あなた方がおっしゃるように、全くそういうことがないとはいえないと思う。再度お尋ねいたしますけれども、あなたのおっしゃるようにそういうふうに断定できますか、できませんか。
○小林説明員 直接の原因といたしまして、運転操作の誤りであるということになっておるわけでございまして、それの背景につきましては、これはさらに根本的に調査しませんと何とも判断できないと思います。
○山本(政)委員 話をもとへ戻しますけれども、労政局長にひとつお伺いしたいのです。 ここに四十五年七月二十四日の会社のあっせん案に対する回答があります。その「斡旋案に対する考え方」の二ページに、「今次会社の回答に対し真向うから反対して無期限ストライキを行なうだけでなく、」云々と出ておる。番号2の「合理化問題について」。つまり合理化問題についてストライキをしておるからわれわれはその話し合いに応ずることはできない、そういう回答ですね。ところがその後八月二十九日に出ておる回答書には、「本件の経過については既に申上げて来ました通りの事情でありますし、一方組合はあっせん案を受諾した後その闘争姿勢を益々強化してきており、」云々と書いてある。そして一ページのところには、「八月十七日あっせん委員より、もし組合がストライキをやめた場合あっせん案が受けられるか、あっせん案はバス労の協定と同じ内容を考え出したものであるからそのつもりで受けてほしい。」そういうことに対して、ストライキとかなんとかでは今度はないのだというふうにとれるような文言になっておると思うのです。前はストライキだった。今度はストライキとかなんとかいうよりか、もう問題なしにあっせん案のテーブルにつくことはできないのだという回答だと思う。これを見ますと、何か会社側というのが一貫した考え方ではないと私は思うのです。初めのときには、ストライキをやっておるからあっせんに乗れないのだ、その次は、状況が変わってきていないにかかわらず、ストライキやるとかやらないとかいう問題ではないのだというふうに、これを読んで私は受け取ったわけです。そういうふうに、会社は一貫してこのあっせんには乗らないのだという態度を貫徹してきておるのじゃないかという気が私はしてならないわけです。したがって、岡山の地労委の方々もたいへん苦労されておるのだと思うのです。そういう点に対して、労政局長は全く中立的なお立場に立っておられると思うのですけれども、一体そういう会社側の態度がノーマルであるのかどうか、つまりあるべき会社の姿なのかどうか、労政局長としてどうお考えなのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○松永説明員 ただいま会社の回答書等をお引きになりまして、会社の態度、考え方についての御指摘があったわけでございますが、私どもも、あっせん案というものに対しまして会社がこれを拒否する態度である、その後におきましても、結果におきましてやはり拒否の態度を貫いたということは、御指摘のとおりだと思います。それに対して組合側は、あっせん案を受諾する、こういうことを言っておりますので、あっせん案に対しましては組合はこれを受けて、それで解決をしたいという意思表示をし、会社のほうがあっせん案を拒否しておる、これは事実だと思います。ただ、その場合に、現在紛争中の問題でございまして、会社と組合との間に、これは率直に申し上げまして、私が受け取りました感じは、両方とも不信感を持っておるということでございます。したがって、やはりその問題解決としましては、一番大事なことは、その不信感を払拭する。払拭するのにどうしたらいいか。そうして、地労委等があっせんをします際に、やはりそこが一番問題ではなかったかというふうに思うのでございますが、その関連におきまして、会社側が悪い、あるいは組合側が悪い、あるいは一方的にどっちかが悪いという判断を私が、御質問だと判断をせよと、こういう御質問のようでございますけれども、これはどうも現実にその問題の調整にタッチをいたしたわけではございませんし、なおかつ、また今後この問題を解決しなければならないという立場に立ちますというと、いまの段階でどちらがどうだという判定を下すことは、有害にして無益であるというふうに私は考えております。
○山本(政)委員 労政局長としてはたいへん苦しいお立場だと思うのですけれども、それでは、四十五年九月二日、このあっせん案に対する回答は、もう一つはっきりと明文で書いているわけですね。「八月二十四日の回答の繰返えしのようではありますが、会社の基本方針は当初から変っていないのであります。従って示されましたあっせん案そのままではストライキの有無に拘わらずお受けできない」と、こう言っているんです。一番初めの回答は、ストライキをやっているような態度は困る。今度は、ストライキの有無にかかわらず。こういう姿勢はあるべき姿かどうか。なぜ私がそういうことを申し上げるかというと、八月二十九日の岡山県地方労働委員会の会長からの「争議のあっせんについて」は、「八月十七日にあっせん員が貴社に対して示した提案は「(イ)組合はストをおさめること。(ロ)同時に会社は、あっせん案中の協議事項について例えば組合との間に覚え書を交換するなどの方法で、早急に処理すると云う条件をつけて、あっせん案を受諾すること。(ハ)その他、あっせん案を受諾する為の条件があれば申し出てほしい。」」こういう非常に弾力性に富んだものだったんです。ところが、そういう内容のものでありましたけれども、「八月二十九日付の貴社の御回答は上記あっせん員の提案の趣旨に即したものではなく」と、こう言っているんですよ。そして「七月二十四日付の貴社の御回答を繰り返されたにすぎない」と、地労委がはっきりとこう言っているんですね。つまり、会社側の態度というのは、要するに、初めから的をはずれた回答をしているじゃないか、ということは、会社の労務政策についてあるべきノーマルな姿ではないということを指摘しているのではないだろうか、私はこういうふうに理解しているわけです。再度お伺いしますけれども、その点について、一体どうお考えになっておるか。
○松永説明員 御指摘のように、いま地労委の会長河原氏の名前で出しました文書におきましては、確かに、地労委がここをねらって解決をいたしたいというふうに考えておった点について、会社が応じてくれない、これはもう地労委がそういう判断をしたことは明確に出ております。その場合に、私ども争議の調整あるいは解決ということを考えます場合に、あっせん案を出す前に、できるだけの煮詰めをいたしまして、そうしてあっせん案を出します際には、問題点が明確になり、そうして解決の見通しがとにかく立つという段階であっせん案を出すというのが通常の状態でございますけれども、いかさま長い争議でありまして、結局、地労委は、努力したけれども、地労委の意図と会社の意図とも食い違い、そしてまた、このあっせんが失敗いたしましたあとにおきまして、地労委の勧告によって、たしか私どもが得ている報告でありますと、自主交渉をやれという勧告であったので、自主交渉をやったけれども、そこでも何らの成果があがっていないということから考えますというと、地労委のそういう意図をしたところと努力の結果にもかかわらず、やはり労使恥地労委と三者の間に意思の疎通が欠けておったということは認められると思います。
○山本(政)委員 中鉄支部は初めに要求を出しました。その要求を受けないためにストに入ったわけですね。しかし、こういう百十八日ですか、その中で、中鉄支部は要求をおろしてきていると思うのです。そのおろしてきている条件というのは、合理化問題については、一つは、会社が強制解雇をしないという原則に立って具体案を提起した場合は直ちに協議に応じると、こう言っているのですよ。第二番目の賃上げと第二基本給の問題は、賃上げの額は会社の八千五百円を了承する、こう言っている。配分案も会社案を了承する、こう言っている。それから、第二基本給は九月の退職金協定改定の際に協議する、こう言っている。それから、臨時給のストカットの問題については、別途協議の上に定めましょう。そうして、定める場合には、労働委員会など会社、組合が合意する第三者の意見を聞いてみましょう、こう言っているでしょう。そうして安田さんの問題については、労働委員会の仲裁によって解決をはかる。浅野問題については、地労委が示したあっせんによって解決をはかる。そうして、その他の問題については、早期に平和解決のための協議を行ない、争議に訴えることはしない。——当初の要求からはるかにおりた要求だと思うのです。にもかかわらず、歩み寄りしないのは会社側だと思う。これだけおりてきている。おりてきているから、会社は、なるほど局長がおっしゃるように不信感はあるかもしれないけれども、不信感を取り除くためにも、私は、テーブルにつくべきだと思うのだけれども、それを一向進めようとしない。きょうの懇談会の場合も、私はいろいろなことを聞いておるので、常務に対してもお話をいたしましたけれども、全く生硬な態度で、お話をしていることをお伺いすると、早期の解決ということについては、まさしく組合側に責任があって、自分たちはあやまちのないものだと、こういうふうな感じさえ私はするのであります。これは私は会社としてはとるべきじゃない。特に会社が、先ほどから申し上げたように、公益事業であって、特に県北に対して独占です。これは美作地方なんていうのは、独占の事業ですわね。そういうことを考えてみた場合には、一体どういうふうな感覚を会社が持っておるのかと私は疑わざるを得ない。 再度お尋ねしますけれども、組合はおりてきているのですよ。当初の要求からはるかに、私から言わしたらおりてきていると思う。にもかかわらず、会社は一歩だに前進をしようとしていない。この辺について一体どうお考えになっているか。
○松永説明員 先ほども申し上げましたように、私といたしましては、労使双方の紛争でありますので、どちらがいいとか悪いとかいうことは、申し上げるべき立場にも、また時期でもないと思いますので、それは申し上げませんが、ただいまお読みになりました地労委の会長から会社あての文書におきましても、あっせん案を受諾するための条件があれば申し出てほしい、こういうことを言っておるわけでございますので、地労委のあっせんが不調に終わりました後のこととして、こういうことを言ってもしかたがないと思いますけれども、さらにこの段階で、その条件について具体的にもっと地労委と話し合いができなかっただろうか。ということは、労使関係を長年やっておりまして、この段階でもう一段階あったのではないか。これは終わってしまったあとの繰り言でございますけれども、そういう感じは率直にいたします。 それからもう一つ、ただいま御指摘になりましたように、その後の地労委の勧告に基づいた自主交渉、九月の四日と六日にやったようでございますが、組合のほうはこのようにいろいろ条件につきまして申し出をいたしておりますので、やはり現在中労委にあっせん申請ということがございますけれども、先ほども申し上げたように、労使両方が本体であるわけでございますので、今後ともやはりテーブルについて話し合いを進める、この態度はぜひとも持ってもらいたいというふうに思っております。
○山本(政)委員 局長に確認したいのですけれども、それは会社側に対する要望ですね。特に会社側に対する要望でございますね。
○松永説明員 この自主交渉がもの別れになったあとで、たとえば組合が自主交渉をやりたいという意向があるのかどうかという点については私は確認いたしておりませんので、ここで申し上げられますのは、労使双方ともテーブルについて話し合いをしてもらいたい。その際に会社のほうが渋っておれば、会社のほうがその積極的態度をとるるべきだ。組合が渋っておれば、組合も積極的態度をとるべきだということでございます。
○山本(政)委員 組合は要求をおろしておるのです。初めの要求からはるかに下がっているのです。しかし会社側が何ら提案していないという点に対しては、どうお考えですか。
○松永説明員 会社のほうが渋っておれば積極的に会社がテーブルにつくべきだということでございます。ただ、事実をどちらがどうという確認をいたしておりませんので、責任を持った立場からいたしますと、渋っておるほうがつくべきだということでございます。
○山本(政)委員 局長、たいへん苦しい御答弁で、立場はよくわかるのですけれども、私は、会社のほうが今回については多少前向きの姿勢で歩み寄りを示すべきだと思うのですけれども、それはともかくとして、私の手元にたくさんの陳情の写しがまいっております。これは久米郡PTA連合会長、総社市議会の議長、岡山県真庭郡湯原町議会、津山の市議会、岡山の市議会、いろいろなところから来ている。来ていることは、公益事業だから、そして県北三十万の住民にとっては大切な足が奪われるのだ、しかも日常生活、あるいは周辺の産業経済に支障を与えておる。しかも過疎化にこのことは一そう拍車をかけておるのだ。ほかのところも全部同様趣旨であります。あるいはその中にはもっと切実に、子供の通学あるいは病人の輸送というようなことに困惑しておるというようなことも書いている。 そして私が仄聞するところによると、七月十日前後に地労委があっせんに入ろうとした段階で、会社はあっせんに入るべきではない、入らないでほしいという工作を開始したということも私は聞いておる。これは輸送業務に携わっておる人たちの責任を省みない言動だ、こう思うのです。これだけのものが実は来ておるのです。そういう中で、これは運輸行政の問題になりますか、一体どう考えておるのだ。田畑さんの質問のときにも、過疎地帯の交通ということについてさらに一考を要することがあるのではないだろうかという、運輸行政のことについてもたしか触れたことがあると思いますけれども、これもまた当事者として、百十八日に及ぶこの空白期間というものに対して一体どう対処されておるのか、このことについてひとつお伺いをいたしたいと思います。
○小林説明員 中鉄バスの長期にわたるストによりまして、約半数の路線が運行を休止してきております。その後、地元の足の確保に対します措置といたしまして、当該中鉄バスにおいてとり得る措置として、たとえば貸し切りバスの乗り合いバスへの転用というようなことによりまして、現在といたしましては、全体的に約六割の路線が一応確保されておる状況であります。その反面、約四割に当たりますところが、先生御指摘のとおり非常に足の確保がなされていないわけでありまして、日常の生活に種々の不便を来たしておるということはまことに当然なことでございまして、これが対策といたしましては、直ちに他のバス会社が応援にかけつけるというようなことも、労使紛糾中の場合にかえって解決に支障を来たすということも予想されるわけでございまして、そういった問題については目下事態の推移につきまして慎重に見守っておる段階でございます。また、当該市町村におきまして事態が非常に急迫してきました場合には、市町村においていろいろな自家用車による輸送というようなものについて、陸運局あるいは陸運事務所におきまして積極的な指導をしたいと考えておるわけでございますが、何ぶんそういった措置はあくまで臨時または応急の措置でございまして、このようなむずかしい問題の根本の解決になるとは考えておりません。根本的な問題としまして、ただいま先生の御指摘になりました問題が確かにあろうかと思います。今回の問題も単純な賃上げの問題だけでなくて、事業の合理化というようなものが同時に提起されておるようでございまして、したがって、こういった点から問題の解決がむずかしくなっておるということは私どもも十分承知しておるわけであります。バス事業の非常な過疎化に伴う問題につきましては現在、先生御承知のとおり、一部補助制度も始めております。また事業でございます以上、単にそういった国の補助あるいは地方公共団体の補助ということだけでもまいりませんので、当然合理化というような問題もやっていかなければならぬだろうと思います。こういった事柄あるいは運賃政策の問題、そういった問題がすべてからむわけでございまして、今後のそういった地方におきますローカルバスの問題はなかなかむずかしいわけでございますが、そういった点につきまして私どもといたしましては、できるだけ総合的な対策を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そういった関係に相なりますので、それぞれのお立場におきましてやはりそれぞれの影響というようなことが当然起こってくるかと思います。たとえば、企業といたしましては運賃政策の問題があろうかと思います。あるいは合理化の問題もある。合理化の問題につきましては当然労使間の問題を派生しやすいということもございますし、あるいは補助制度の問題につきましても、財源等の問題で非常にむずかしい問題もあるわけでございます。いずれにいたしましてもいろいろな角度から、それぞれの立場から最大限の努力をいたします。また、できるだけ問題が解決する方向でぜひ対処していただきたいと思うわけであります。
○山本(政)委員 私が申し上げたいのは、四カ月こういう状態が続いているわけですよ。いまから直ちに対処していただきたいなどということじゃなくて、なぜ四カ月間ほっておいたのだろうかという、運輸行政に対して疑問を持っている。中国鉄道に対する運輸行政上の指導というものがなぜできないのだろうか。経営の問題もあるかもわからぬ、こういうお話もありました。四十年を一〇〇とすれば、中鉄バスに働いている労働者の人たちは四十四年は七五まで減っているわけであります。営業収入は、四十年を一〇〇とすれば、四十四年までの数字ですけれども、一四〇になっているのですよ。一人当たりのかせぎ高だって、四十年は八七の数に対して四一四年は一六三、たいへんなものであります。しかもちゃんと会社のほうは二億円という金をバッチリと取っておるわけです。赤字だと言いながら、ちゃんと取っているわけですよ。そういうところから見れば、過疎を理由にして合理化というものをやっているのじゃないだろうか。現実に赤字でやりくりができないのだということよりか、むしろ過疎を理由にしてそういう合理化というものをやっているのじゃないか。同じ企業があります。たくさん同じ企業があります。しかし、同じ企業は全部回答を出しているのですよ。そしてもう解決しているのです。この中国鉄道以外にこれくらい長い争議をやっている会社がいまありますか、どうでしょうか。
○小林説明員 先ほど非常に合理化等が賃上げ等の問題とからんでおると申し上げたのですが、これは一般論としてそういうことになっておるわけでございます。にもかかわらず全国的に見まして、他の会社におきましてはこれほどのストが長期化するというような現在の状況でございません。そこに、この中鉄バス独自の問題点が私は多々あるかと思います。そういった点は私どもも推測にかたくないわけでございますが、何ぶんにも労働争議の過程、最中でございますので、直接的な指導というようなことはなかなかまいらないかと思います。したがいまして、先ほど御説明いたしましたように、現在私どもの立場といたしましては、地元住民の足の確保というものを第一義に考えて、種々の対策を講じつつあるわけでございます。もちろん労使の問題につきましても、一般監督上の立場から、早期解決するよう誠意をもって問題の解決に当たれということは、折に触れてそういった指導をしておることは当然でございます。
○山本(政)委員 二億円というのは、これはおそらく減価償却じゃないかと思うのですが……。 労政局長にちょっとお伺いしたいのですけれども、もしかりにでいいです。もしかりに、しかしこれは事実でありますが、かりにということで御答弁願ってかまわないかと思います。六月十日前後であります。県北の津山の商工会議所の幹部と中鉄バスの幹部が会談をしている。そのときに社長は、皆さんにたいへん御迷惑をかけているけれども、もう少ししんぼうしてほしい、もうしばらくたてばストのない組合にしてみせる、こういうことを言っておるわけです。同じ時期に美作振興会の幹部と会った際も、同じことを言っておる。組合との団交の際にも、私は七月に現地に行ってまいりましたが、組合員の中からも実はそういう実態を、おまえたちの組合というものを骨抜きにして、ぶっつぶしてやるとか、こういうことも言ったと聞いております。直接私は耳にいたしました。これが私は、回答書に書かれておる藤田社長の基本精神だと思うのです。しかしそれは別といたしまして、もしこういうことが事実であるとするならば、私は経営者として労使をうまくとりまとめる人のあるべき姿ではない、こう思うのですけれども、もしという仮定でけっこうであります、どうお考えですか。
○松永説明員 仮定だという御質問でございますので、私の考えを申し上げますと、ストのない組合にしてみせるということが、労使関係を正常化して労使の間に紛争がなくなってストがなくなるという意味であれば、私は賛成であります。しかし後半でおっしゃいましたように、会社が組合をぶっつぶすということでありますれば、これは労組法が厳禁をいたしておりますことでございますので、これは違法でございます。
○山本(政)委員 時間がないので、少し急ぎますけれども、もう一つ労政局長にお伺いいたしたいのですが、中鉄バス労働組合が四十五年七月十七日に「中鉄バス株式会社社長藤田正藏殿」として申し入れをしております。その中に次のように書いてあります。「現在」、これは第二回目のあっせんのことでございます。「現在地労委職権あっせん作業には、争議の初めに申し入れた如く、私鉄支部に服従するが如き回答を出さないよう十分に配慮するよう申入れます。もしも中鉄バス労組の意に反する回答で終止符を打つ安易な妥結を見れば、中鉄バス労組の組織は今後総べての労使関係の正常化がくずれ、第二の中鉄争議が誘発する恐れがあるので一言ご注意を申上げる。」こう出ております。 私は、少なくとも働いている人たちの条件をよくするということで、実はこの争議が始まったと思う。もちろん使用者側の態度というのは、経営というものについて考えていることでしょう。それぞれの立場がある。しかし、こういう申し入れというものは私ははなはだ理解に苦しむ。それからストのない組合にすると言いながら、もし妥結をしたならば現在あるよりももっと激しい争議というものが続発するだろう、誘発するだろうということを注意として申し上げるのだという、こういう態度というものはあるべき態度ではないと思うのだ。このことについてどうお考えになっておるか、ひとつお聞きしたいと思います。
○松永説明員 先ほど申し上げましたのは、労使の間柄につきまして、使用者側からする労働組合に対する干渉等については労組法で厳禁をいたして、なすべきことでないということであります。ただいまいわゆるバス労のお話が出たわけでございますが、一般的にいいまして、一つの会社におきまして運動方針が異なります二つの組合があった場合には、やはり労使関係はそれだけ複雑になり非常にむずかしくなるということでございまして、この場合にも、率直に申しまして、労使関係と同時に労労関係というものがあるというふうに私は考えます。ただ、具体的にどのようないきさつで、どのような労働組合の関係があったかということについては必ずしもつまびらかにいたしておりませんけれども、労使関係を規律いたしております労組法の考え方といたしましては、アメリカ等と違いまして、労働組合は自由設立主義でございます。アメリカの場合には交渉単位制がございまして、そうして組合が二つある場合にはどちらが代表権をとるかということが法制上きめられるようになっております。日本の場合には自由設立主義でございますので、一つの会社におきまして二つの組合ができました場合にも、会社と労働組合との関係におきましては、どちらの組合に対しましても労使対等の立場で交渉をし、そうして労働条件の妥結をはかるということがたてまえになっておりますので、往々にしてこのように組合が二つに分かれたという場合には紛争が起こりがちでございます。ただその場合に、それぞれの組合が運動方針を持ち、そうして会社と交渉いたしますので、違った意見が出てくるということはやむを得ない。労使関係安定という見地だけから考えますと、必ずしもそれが好ましいとは申しませんけれども、それに対しまして、この組合が一つでなければならないということは言えない日本の法制になっておるわけでございます。ただ概括して言えますことは、このような状態にありましては、とかく労使関係が紛糾しがちであり、そうして解決もなかなか困難である、これは一般通例的に言えることではないかと思います。
○山本(政)委員 ただ、私がお伺いしたいのは、つまり中鉄バスの労組の意に反する回答で終止符を打つような妥結を見れば、第二の中鉄争議を誘発しますぞということはおかしいのではないか、こう言っておるのです。そのことだけでございます。もう一度お答えをいただきたいと思います。
○松永説明員 この争議の経過におきまして、一方の同盟系のバス労と会社との間におきましては、すでに春闘の賃上げの際に妥結を見まして解決しておるということが一方においてございます。その場合に、労使関係、労働運動という観点から見まして、このいま紛糾をいたしております中鉄支部との解決がどうなるかということにつきましては、バス労のほうが重大な関心を持つ、これは当然なことかと思います。そうして自分の方針が正しいと思えば思うほど、自分の主張を強く出すということだと思います。ただ御指摘のように、そういうことを具体的に——これは言いましたのは地労委でございますか、地労委に対してものを言ったのがいいか悪いか……
○山本(政)委員 会社に対して。
○松永説明員 通常の場合、やはり会社との間におきまして正しいと思って妥結をしたその条件について信念を述べるということは、当然のことではないか。ただその場合に、紛糾するかしないかの見通しは、これはまあいわば先の見通しでございますので、そういう見通しを言ったということにすぎないのではないか。ただそれを極端に言いまして、法律上どうかということになりますと、これは法律に関係のない自由な範囲内である。それから労使関係安定のためにいいか悪いかということになりますと、二つの組合があって競い合っているということは決して安定にはプラスではなかろう。しかし違った意見をそれぞれ述べ合う、あるいは会社に対して団交の席上、わが組合こそいい組合で、わが主張が正しいということを主張するのは、これまた当然のことだと思いますので、いま御指摘になりましたその一つだけを取り上げて、いわゆるバス労でございますかの態度が悪いというふうに断定はむずかしいのではないかというふうに私は思います。
○山本(政)委員 私は、バス労も、公益事業ということでやはりこれは早く解決をしたいという気持ちを持っているだろうと思うし、中鉄バスもそうだろうと思う。そういう段階で、解決をするということによって県民が多くの利益を享有することができるということも事実だろうと思うのです。そのためには、やはり冒頭から申し上げたように、会社が歩み寄りをしなければならぬだろう、こう思っております。しかし、その歩み寄りをすることに対して、歩み寄ったら県民のためになるはずだけれども、そうでなくて、第二の県民のためにならない争議というものが誘発されるであろうということについては、私は理解がいかない。しかもそれを注意をする。関心を持つことは、これはあなたのおっしゃるとおり、私はあたりまえのことだと思います、組合が二つある以上。法的にはこれはあなたのおっしゃるとおりに、どうにもならぬと思う。しかしこういう態度というものはやはりたいへん遺憾ではないだろうか、私はこう思うのですけれども、もう一度……。
○松永説明員 たいへん微妙な点についての御質問でございますが、私ども申し上げられますことは、第一組合、第二組合といいますか、中鉄支部とバス労の二つの組合がある。そして二つの組合との間に労使関係、団体交渉が行なわれるという状態、その状態自体は事実でございますので、やはり方針といたしまして、労働運動の方向といたしましても、また会社の態度といたしましても、先ほど御指摘のようなストライキが起こらないような、労使関係が紛糾しないような方向で、両組合、会社両方ともやるべきであるということにつきましてははっきり申し上げることができます。
○山本(政)委員 たいへん不十分ですけれども、一応了承して最後の問題に移りたいと思います。 年間臨給はストライキの分はカットする、こういっている。ところが、労働協約の八十三条で、いままでは会社と組合との間に争議中の臨給というものは含まっておらぬというふうになっておったという話を私は承っておるわけであります。そして臨給のストカットというのは最高裁の判例にも出ております。最高裁の第二小法廷、昭和四十年二月五日、固定給というものは、拘束された勤務時間に応じて支払われる賃金としての性格を有するものである、そういうふうに規定していると思うのです。そして基準法でも、賃金の支払いのことについて二十四条に規定していると思うのです、これはあるいは労政局長の分野ではないかもしれない、基準局長ではないかと思いますけれども、労働省という関係で一体どういうふうにお考えになっているか、それをひとつお伺いしたい。たいへん御迷惑かと思いますけれども。
○松永説明員 年間臨給とストライキの関係についての御質問だと存じますが、一般論といたしまして、ストライキ中の賃金は支払う義務がない、これはもう明確でございます。それとの関係におきまして年間臨給については協約の意思解釈の問題、協約でどのような規定になっておるかということを見ませんと、その解釈というか、私の意見を申し上げることはちょっとむずかしいのではないか。たいへん申しわけないのですが、協約の詳細を見ておりません。 それからもう一つは、不当労働行為等の経費援助をしてはならないという規定がございます。それとの関係におきまして、それにひっかかるかどうかという問題。ポイントは二つあるかと思うのでありますが、たいへん恐縮でございますが、協約等を調べました上で、あらためて御答弁を申し上げたいと思います。
○山本(政)委員 時間が超過して申しわけないのですけれども、運輸省と労働省のお二人の方にお伺いいたしたいのです。ともかくも百十八日この状態になっておるわけです。次官は私どもに、川俣さんが質問されたとき約束されておるのです。そうして基準局に対しても、地元のほうでは再三にわたっていろいろな要請をされておる。非公式でありますけれども、地方陸運局に対しても、私どもはこの問題について早期解決を指導してほしい、こういうことを言っておる。だけれども、今日までそのままになっておる。依然として状態は続いておる。たいへん私は不満なんですけれども、一体運輸省はどうなさるおつもりなのですか。この中国鉄道バスというのは補助制度があるというけれども、補助制度を受けておりません。何で受けてないのか私にもわからぬ。しかし補助制度を受ければ多少でも私は経営というものに対してプラスするところがあると思うけれども、承りたい。そういうことに対しても一体どういう指導をなさっているか。これは特に独占地域である県北、その中でも美作地方に対して多大の不便がある。私は、単に過疎であるから——収入があるときには路線をつくって、収入がなくなればこれは取り払ってもいい、公益事業の性格としてはそうはならぬと思うのです。そうして、いまの状況ではいつ解決するかという見通しもない。一体行政の指導として運輸省はどうお考えになっておるか。 それから労政局長にお伺いしたいのは、自主交渉をやりなさい、こう言っている。だけれども、なかなか不信感があってうまくいかないのだろうと私は思います。特に会社が歩み寄らない限りは、これはなかなか解決がむずかしい。きょうの懇談会で、中労委のあっせんが出ればひとつ前向きで対処したいという答えは、神吉さんからもありました。しかし従前のように硬直した態度を示しておるならば、これまたいつ解決するかわからぬと思いますが、一体どう対処なさるおつもりなのか。そして私は、率直に申させていただければ、前向きの姿勢で解決するという次官のことばがあったし、いままた業務部長からも、今後何とかしたいということばがあったけれども、それならば実際にどういうアクションをとろうとなさるのか。地方陸運局が解決できないならば、運輸省が進んで行けばいいだろうし、そして労働省も、私はひまがあるとは申しません、忙しい中だろうけれども、やはり本省からどんどん行かれて指導していただかなければ、この解決というものはなかなかできないと思うのです。特に私が岡山に行ったときには、村長さんあたりはほんとうに困り切っております。マイクロバスを都合したり、あるいは村の、あるいは町の予算というものから何とか捻出して、幾ぶんかでもその緩和をしたい、こう言っているけれども、いまの町村の財政ではそれが意のままにならぬと言って嘆いておられる。そういう実態というものをひとつあなた方に知っていただいて、すぐに何らかの行動をとっていただきたい。それに対してお二人のお考えをひとつ聞かしていただきたい。きょうは大臣が御病気だそうで、大臣がおるなら私はもう少し詰めてみたいという気もありましたけれども、御病気で入院中ですからこれはどうにもならない。せめてあなた方からきちんとしたお答えをぜひいただきたいと思います。
○松永説明員 御指摘のごとく非常に長引いて、しかも調整は容易でない状態でございます。そこで地労委のあっせんが不調に終わりましたこの段階におきまして、組合側が中労委という意向でございますので、実は私どものほうから中労委に対しまして、この問題は非常に重大な問題であるので、ぜひともしっかりした責任者を派遣してもらいたいということを申しまして、事務局の調整担当の次長が現地に参っております。これは非常に長い経験を持ったベテランでございます。私どもといたしまして最近いたしましたことは、解決のためには責任の持てる相当の責任者を派遣したいという意味で、調整関係の最高の責任者を派遣をいたしております。 なお今後ともいろいろ御指摘もいただきまして、解決のためにはあらゆる可能な手段をとりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○小林説明員 運輸行政の立場からは、直接労使問題にとやかくのあれがないことは当然でございますが、現地の陸運局に対しまして県あるいは地方労働委員会等、関係の方面と十分密接に連絡をとるようにいたしまして、私どもで、自主解決を促進できるようにできるだけの配慮をしたいと思います。私どもの直接の第一次的な仕事といたしましては、地元の足の確保でございますので、そういった点については従来からも種々の対策を練っておりますが、そういったものにつきまして今後最大の努力を払いたいと思います。
○山本(政)委員 では終わります。
○増岡委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十六分散会