社会労働委員会 第25号
- 発言数
- 281 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/08/10
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際申し上げます。 本日は、水資源開発公団理事戸嶋芳雄君に参考人として御出席いただいております。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 地域開発の一つの大きな柱でありまする水資源を確保するために各地で多目的ダムが建設されておりますが、このことは、日本の経済発展の上に一つの大きな役割りをいたしておるわけでございまして、その重要な意味合いを私どもは十分感じ取っているわけであります。ただ、ダムの建設に伴って、その地域で長い間生活をしてまいりました住民にとりましては、ダムの水没等によって大きく生活環境が変わり、あるいはまた、いままでやってまいりました自分の営業なり職業なりの前途に大きな不安を及ぼすわけでございまするので、いろいろと問題が起こることはうかがい知れるわけであります。 そういった中で、その衝に当たるところの政府なり、あるいは事実上工事を請け負う公団なりというものが、これに対してあたたかい措置をしなければならぬことも理の当然でありますが、私は、政府の地域開発、そしてそれを行なうにあたっての基本的な考え方としての人間の尊重、生活の尊厳を維持するという立場からいいますならば、ダムその他の、政府が行なう公共的な仕事によってそこなわれるところの関係住民に対してあたたかい手当てを施すべきことは理の当然だろうと思います。 厚生大臣、直接あなたの所管でない仕事が非常に多いですけれども、いま私が申し上げたような観点からいいますならば、いままで生活してまいった条件が維持される、あるいはまた、さらに突き詰めていえば、ダム等ができて、生活環境が変わり、職業が変わっても、なおかつそれに支障がない、こういう状態をつくることが、私は、政府の経済発展の上からいっても非常に重要ではないかと思うわけであります。どうでしょう、生活を最も優先的に考える立場にある厚生大臣としては、こういった政府が行なう諸施策にあたってのそれぞれの国民に与える影響については、必ず補償を取りつけるような、そういう態度がほしいと思うわけでありまするが、あなたの所感はいかがでございますか。
○内田国務大臣 田邊委員の言われること、私は当然のことであると思います。もちろん、公共の利益とまた私人の利益の調整が必要でありまして、しばしば個人の利益のために公共の利益が閑却される、そのために公共の利益のための施策が進まないというようなことも従来はあったかと思いますが、それは私は、両者の調整をはかるべきことでありまして、その場合には、いま田邊さんが指摘されましたような個人の生存上の立場や利益は、公共の利益とともに十分考慮さるべきことだと私は思います。なおかつ、今日の日本の私どもの政治の目標が、人間尊重あるいはまた福祉国家を目標とするというようなところにきておりますにあたりましては、一そう私はその点は重視さるべきことであると考えます。
○田邊委員 いま大臣がおっしゃったような、私どもは、道路にいたしましても、あるいは住宅にいたしましても、都市におけるいろいろな工事が現在進んでおるわけでありまするけれども、いま大臣のお話のような考え方でもって、従前の生活条件が低下することのないような、そういう手だてを講ずべきじゃないかというように私は思うわけであります。 そこで、水資源開発公団から戸嶋理事がおいででございますが、あなたのほうでダムの建設を実除におやりになってきている立場からいいまして、私は、この生活の補償をするという立場かり、ダムの補償はかなり苦心の要るところではないかと思うのであります。特に私は利根川の上流に住んでおりますので、ダム建設が非常に多い地区でございますが、そのつど住民は実はたいへんな苦境に立っておるのであります。いままで、そういった立場で、補償基準は、いま大臣からお話のありましたように、従前の生活をそこねない、あるいはまた、他のそれに類似するところの公共事業と比較をいたしまして、決して遜色のない基準を、あるいは補償をすべきである、こういう立場から仕事を運ばれてきたのではないかと思いまするけれども、いかがでございますか。
○戸嶋参考人 いまの田邊先生のお話、私のほうもダムを相当手がけてまいりまして、補償という点から申しますと、政府の閣議決定の要綱等がございまして、いろいろ制約はございます。しかしながら、われわれ実際にダムをやっておるものとしては、その制約の中で知恵をしぼりまして、できるだけ将来の生活の保障をするという観点でやっておるつもりでございます。
○田邊委員 そこで、最近利根川の上流地点でもって多目的ダムがつくられておるわけでございますけれども、特に群馬県の勢多郡東村に着工を予定いたしておりますところのいわゆる草木ダムについて、私は国会の委員会においてしばしばこれを取り上げて、政府当局なりあるいは公団に対して指摘をしてまいった経験があるわけでございます。いよいよ着工を目前に控えて、実はこの補償問題が一番大きなところにきたのではないかと思っておるわけでございます。私は予算委員会の分科会でもお願いをしておいたのでありますけれども、やはりこの補償の個々の問題を解決するために、そのめどになるところの補償基準をなるべく早く出すべきではないか、こういうように私は実はお願いをしてきたつもりであります。ところが公団は、立ち入り調査等の条件もあったわけでありますけれども、この補償基準を発表するのが非常におくれてまいったのでありますが、一体どういう理由でもってこの補償基準の提示がおくれてきたのか。私どもとしてはいささか公団のやり方に対して不満を持っておるわけでありますけれども、その間の事情に対して、簡単でけっこうでありますから、ひとつお答えいただきたいと思います。
○戸嶋参考人 お話のように、われわれのほうといたしましても、実は補償基準はできるだけ早く出したいというので努力をしてまいりましたが、一昨年のちょうどいまごろから、ようやく地元が補償の基準を出すための準備としての調査をやらしてくれるということになりまして、鋭意調査をやっておったわけでございますが、その後駅の問題等が起こりまして、地元としても補償を受けるという態勢がなかなか整わなかったという点がございますので、これはわれわれのほうも努力が足りなかったと思いますけれども、そういった事情でおくれたわけでございます。しかし今度去る七月の二十四日に基準を発表いたしたわけでございますので、これからはできるだけ早く地元と話し合いをして円満な妥結に早く持っていきたい、こう考えております。
○田邊委員 そこで、いまお話がありましたように、いろいろな事情でもって補償基準の提示がおくれてまいったわけでありますが、この内容については、当然地元といろいろな折衝を重ねた結果もその中に盛られておるのではないかと私は思うわけであります。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○戸嶋参考人 おっしゃるとおり、その間に地元の正式な意思表示はないわけでございますが、いろいろ地元の様子を伺うことができましたので、できるだけそれを取り入れたつもりでございます。
○田邊委員 いまお話がありましたように、地元といろいろ折衝を積み重ねてきた結果この補償基準が出された、私はこういうように理解をいたしたいのであります。しかし、あなたのほうで提示をされた補償基準を私も拝見いたしましたが、その内容についていろいろと不備な点があるのではないかと私は思うのです。あるいはまた、一般的な補償基準と比較をしてどうも少しく不足をしているのではないか、こういうふうに思うところもあるわけであります。この点は、まだ建設省お見えでありませんが、私はやはりこれに対する国の基準があると思うのであります。そしてまた公団も、他のいろいろな国がやるところの公共事業と比べて遜色のない基準を当然出されておるのではないかと私は思うわけでありますけれども、その点は十分検討された結果でございますか。
○戸嶋参考人 われわれのつくりました基準については、もちろん地元として御不満な点も中にはあると思います。しかし、われわれとしては、建設省とも相談しまして最大限の額を出しておるつもりでありますが、今後地元との折衝によりまして、われわれの誤っている点、あるいは気づかなかったような点がありましたならば、それを地元との間で話し合いで解決をしてまいりたい、こう考えております。
○田邊委員 建設省のほうは、いろいろなダムをつくる際に、ダムの補償に対して一つの基準を設けておると思うのですね。その基準は私は必ずしも幅のない基準ではないと思うのです。尺度だろうと思うのですが、そういった点で、いま例に出しましたのは草木ダムですが、その補償基準が公団から提示をされました。いま戸嶋さんのお話では、建設省とも十分打ち合わせをして出された、こういうふうに承っておるわけですが、あなたのほうもこれに対しては相談を受けていますね。
○黒田説明員 補償基準につきましては田邊先生おっしゃるとおりでございまして、一応の閣議決定に基づきますところの補償基準のワクという問題はございますけれども、それぞれのダムの地域の特殊性という問題もございまして、全国同じ基準で出しているわけではございません。それぞれその地域に適合した基準というようなもので出しておるわけでございまして、今回のこの草木ダムにつきましても、これは実際に現地で公団のほうで折衝いただいているわけでございますが、私どもその基準の内容につきましては相談を受けております。十分こういうような現地の経過を経てきた基準が発表されておるというように聞いております。
○田邊委員 したがって、国が行なうところの他の公共事業の補償と十分な比較検討はされておるというように考えてよろしゅうございますね。
○黒田説明員 おっしゃるとおりでございまして、全国的に私どもはバランスを考えておるわけであります。
○田邊委員 そこで、補償の中身について十分お聞きをする時間が実はございませんから大かた省かしていただきまして、あとで公団の戸嶋さんともまたいろいろと折衝をいたしたいと思います。私自身もその解決のためにぜひひとつ協力させてもらいたい、こういうふうに思っておるわけでございまするから、こまかい点については触れませんけれども、たとえば土地の買収がございます。その買収価格の中で田畑の買収価格が出ております。この田畑の買収価格は、田については一等から三等級まであって、一等級が七十万円。畑については一等級が五十五万円というふうになっておるわけであります。ところが、この勢多郡東村でいま国道の改修工事をやっておりますけれども、この国道の改修工事でもって拡張用地買収の価格は、田については一律七十五万円、畑については一律六十万円と私は聞いておるわけであります。そうしますると、このダム建設に伴う田の買収価格は、一等から三等までありまして、その一等が七十万円、この国道の拡張用地買収の価格の七十五万円を下回っておる。畑もまた同様である。私は、やはりこういった現実に地元でもって行なわれておる公共事業を比較をした際に、こういう差が出てくることについては、地元民は納得をしないんじゃないかと思うのであります。したがってこれは一等から三等までですから、必ずしも全部が一等に入るわけではございません。国道のはたの用地と、あるいはまた離れているところの用地と、当然その価格は違うでございましょうけれども、しかし、いま言った国道の拡張によるところの買収価格が出ておるということから見まするならば、少なくともそれに適応するような価格が提示されても私はふしぎでないと思うのですけれども、そういった点で地元の不満があることに対して公団は一体どういうふうに御承知でございますか。
○戸嶋参考人 いまのお話の件でございますが、実は国道のつけかえによる用地買収の事例等も調べたわけであります。私のほうで七十万円という田の価格を出しておりますが、田については、それ以外にお手元の基準の二四ページから二五ページにわたって「農業補償」というのが別に書いてございます。そこで、七十万円の田を持っている人は、それに加えこの区別による余分な農業補償がつくわけでございまして、大体において国道のつけかえの用地の買収価格よりも高くなるというのがわれわれの見ている点でございます。
○田邊委員 私は、営業補償にしても、農業補償にしても、それから労務休業補償、こういった問題にいたしましても、これはそれぞれ当然違う意味があると思うのです。これは働いておる労働に対する一つの評価も含まれておると思うのであります。したがって、田そのものに対する評価とは若干意味合いが違うことはいまのお答えの中でも明らかなとおりです。したがって、そういうものを加えたら、あるいは国道の拡張によるところの用地買収よりも上回るだろう、こういう話は私はそのまま受け取るわけにいかないと思うのです。しかも一等級ですらも差があるのでありまするから、全部が一等級になるのじゃありません。おそらく一等級になるものはそのうちの何分の一かにすぎないだろうと私は思うわけでございまして、畑については七等級まであるわけですから、そういった点の大きな格差というものを考えたときに、これを平均した場合に、いま戸嶋さんのおっしゃったようなぐあいに、他の公共事業との比較の上に立って遜色ないということは私は最終的に出てこないと思うのです。一等級についていえば、農業補償を含めればあるいは多くなるかもしれない。しかし、それ以外のものについて考えたときには、決してそういった状態にならない、こういうように私は思うわけであります。 いま事例を出しましたのは一つの事例でありまするけれども、私はそれ以外にもいろいろと問題点はたくさんあると思うのであります。特にあの中でもって山林労働者なりあるいは石材に働く労働者なり、そういう労働者の生活の補償、こういったものに対して実は明らかな基準が示されておらないのであります。大体われわれの地元で聞いているところでは、五人家族でもってこの補償によって受ける金額は七十万くらいじゃないかというような話をしておるわけでございまするけれども、私は、そういった働く労働者が受けるところの損失に対して、十分な手当てを講じるような基準が明確に提示をされてない、いわば今後の話し合いによるという、こういう形になっておるわけであります。そこにまた意味があるというように、逆にとればとれないでもございませんけれども、要はこの基準は、そういった意味合いで、地元の住民に対して実はいろいろな疑心暗鬼を生んでおるんじゃないかと思うのでありますが、そういった点から見まして、この基準は基準でございますけれども、いま開発課長もおっしゃいましたが、私は当然全国いろんな状況の変化や土地の価値等や、それから生活条件等の違いというものがあろうと思うわけでございまするから、基準が示されたから、あくまでもこれは断じて動かせないというものではないと思うのであります。今後の話し合いや今後の事態の進展の中で、この点をあなた方一応の基礎にするにいたしましても、十分弾力あるところの態度をもって臨む、こういうようにならなければならぬと思うのですけれども、そういった心がまえはございますね。
○戸嶋参考人 その点につきましては、先ほどからも申し上げておりますように、地元の御意見を十分承って、そして弾力的に考えていきたいと思います。
○田邊委員 それからもう一つ参考のためにお聞きをしたいと思うのでありまするが、ダムをつくる地点はどこでも実は山村僻地が多いのであります。したがって、ダムがつくられて水没する、あるいは生活ができなくなってきた、職業を変えなければならぬ。自分の家が水没しなくても、その農地がやられた、あるいはあそこにある石材が沈まったという形でこれから職業を変えなければならぬ形になるわけですが、実は安易に村から出ていこうという気風があるわけです。ところが、私どもはいままで群馬県で知っておるダム群の建設を見ましても、藤原から始まり、県営の相俣にいたしましても、矢木沢にいたしましても、そういったダムの水没によってほかの土地に移っていった者の行く末というものは、実は決して豊かでないのであります。最近はかな初用心しているでありましょうけれども、実は散財をして生活の困窮を来たしている、こういうものがあるのです。やはり住みついた土地の条件の中で今後生活することができれば一番いいわけであります。過疎に拍車をかけるようなそういうダムの建設の際に、私どもは地元にできるだけそのまま定着できないか、こういう実は願いを持っているわけでありますけれども、そういった点から見ますると、村内にとどまる者が不利で、村外に出ていく者が有利なような補償というものはすべきでないと思うのであります。ところが、実は村内にとどまる者と村外に出ていく者との補償の違いがあるわけであります。そういった面に対してお考えが少しく行き届かないのじゃないかと私は思うのであります。もちろん、村外に移転する場合は、いろいろな動産にいたしましてもあるいは不動産にいたしましても、移転の費用はよけいかかるものでございましょう。しかし私は、キロ数によって村内移転と村外移転というものがそれぞれ区別をされて基準が出されておりますけれども、村外移転をいわば有利にするような基準というものは必ずしも好ましくないのじゃないかと思うのです。距離別の補償基準が明示されておればそれで足りるのじゃないか、こういうように思うのでありまして、こういった点は、私たちがその立場に立って見た場合に、村外に流れる者に拍車をかける、こういう状態になりがちではないかと思うわけであります。やはり過疎化しつつあるところの山村僻地に対してあたたかい手当てを講ずる、そういう意味合いからも、この基準の出し方に対していささか考え方を新たにしてもらう必要があるのじゃないか、こう私は思うわけでありますけれども、この点はいかがでございますか。
○戸嶋参考人 いまの点は、田邊先生のおっしゃっておるように、移転料その他についてはやはり村外は多くなるというようなことで、高く出しております。しかし私は、特に草木ダムにおいては、労務者的な方が非常に数が多い、そこでそういう人をなるたけ村内に定着させるということを考えていきたいということで、県と村と一緒になってお願いをいたしまして、それで県のほうでは、その村の中に農工大の山林がございます。その山林を払い下げすることについて非常に御努力を願っております。そして、われわれも側面的にその払い下げについて協力をいたしました。その山には石がございますので、石屋につとめておられる労務者の方々に対して、将来石を供給してその生活を安定さしていく、あるいは林業労働の場を与えるということになっていけば非常にいいのではないかということをわれわれは考えております。 なお、村のほうの計画によりますと、二十戸の公営住宅をつくられるということで、われわれもそれについて側面的に協力しようということで、国道の捨て上等をその敷地に流しまして、できるだけ安い値段で公営住宅ができるように協力をいたしております。そういった別途の生活補償の点でいろいろわれわれも考えてまいりたい、こう考えております。
○田邊委員 総合的な判断でもってやることはもちろん必要ですから、私はその考え方を否定するものではありません。しかし、やはり個々の補償の出し方について、私は、いま言ったような土地に定着する、こういうことに対してやはりそれを奨励するような立場をぜひとってもらいたいという意味でお話しを申し上げているわけですから、その点をぜひひとつお含みをいただきたいと思うのであります。 いま公共施設の問題も出ました。私も再三にわたって、石が埋まることに対して、ぜひひとつ東京の農工大学の演習林を譲り受けてもらって、それでもっていままでの石材業なりに働く労働者の引き続き生活を維持する道が開けてこないか、こういうふうに考えてお願いしてまいったのでありまするけれども、この点は大体めどはつきましたか。
○戸嶋参考人 現在の段階では、問題は価格の点だけちょっと解決ができないでおりますが、いずれ近いうちに村長さんも選挙で新しい顔が出てくると思いますので、そうすれば一気に価格の点も解決するように県にお願いしたいと思います。
○田邊委員 これはぜひひとつ建設省も、金銭補償が主体でありまするけれども、やはり働く立場というものを確保してあげるために、私は再三にわたって林野庁に対して、国有林の払い下げ――これはダム等の補償によって払い下げることはいわば適法でないというような話もあるわけですけれども、私は、手続はいずれにいたしましても、そういった措置ができるようにというふうにお願いしてきたわけです。ひとつ開発課長のほうも、ぜひそういう立場でもって問題の解決がはかられるように側面的な努力をお願いしたいわけですが、よろしゅうございますね。
○黒田説明員 補償の問題につきまして、私どもが申しております個人補償、これは大体金銭関係が主体になるわけであります。このほかに公共補償、先ほど話が出ましたいわゆる農工大の払い下げの問題があるわけでございますが、その問題につきまして、私どもといたしまして、一つの広い意味の補償対策といたしまして、河川局のほうから林野庁のほうへもいろいろお願いをしているわけでございまして、私どもが公団から聞いておりますところによりますと、だいぶ煮詰まってきておるように聞いております。しかし、まだ今後具体的な事務的な細部の問題があろうと思いますが、そういう問題につきましても、私どもも前向きに今後協力してまいりたい、そういうように考えております。
○田邊委員 ぜひひとつ早急の機会に解決をはかられて、地元がよりどころがあるような状態をつくってもらいたい。これが補償そのものを解決し、ダムの建設がスムーズに促進をされる要因になるだろうと私は思うのです。 そこで、時間がありませんからあと一、二点だけで終わりたいと思います。 駅やその他の公共施設の問題については、私は直接総裁等とお会いをしてお話をした経緯がございますからここでは触れませんけれども、住宅の問題にいたしましても、駅にかわるべきバスの運行にいたしましても、いろいろと実は思い悩んでいる地元の要請にこたえて解決をはかってもらいたいというように要請をするわけでございます。 そこで、ダムの建設に伴うこれらの補償について、私は非常に心配な点が二つばかりあります。 一つは、その補償がたくさん出るのじゃないかという錯覚があるものですから、先行投資をしたりあるいは余分な金を使ったりしたために、補償金が出ても、そのときには生活再起ができないような状態が非常に多いのです。草木ダムの場合も、いま聞くところによりますと、すでに地元の銀行や信用金庫に対してかなり借金をしているのじゃないかという話を聞くわけであります。もちろん村外の土地を買ったり、いろいろな営業をしたり、そういったこともしなければならぬでしょう。いずれ出ていかなければならぬという気持ちから、そういったことに金を使うこともうかがい知れるわけでありますけれどもその点は非常に結果が思わしくないようなことを考えたときに、私は非常に心配であります。すでに群馬銀行や桐生の信用金庫等に対して一億七千万円くらい借金があるのじゃないか、こういう話も聞いておるわけでございますけれども、これらに対しても、その衝に当たられる公団も、地元の村やあるいは対策委員会その他の幹部の方々とも十分話し合いをいたしまして、安心をして今後に対処できるようなきめのこまかい配慮もぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。 もう一つは、つい最近群馬県警察本部が、このダムの水没地域に突如として仮のバラックを建てたりいろいろなうちを建てましてそこに住みついているいわゆるダム屋と称する右翼団体等の取り締まりをいたしておるわけでありますけれども、私は、善良な地元の住民とこれらのダム屋とは判然と区別をされて対処すべきだと思うのです。もちろん、正当な権利があれば補償を出さなければならぬでありましょうけれども、しかしそういった者が巣くっておるためにどのくらい地元の住民やダムのために被害を受ける人たちが迷惑を受けておるかということに対して、あなた方もすでに御承知のとおりだろうと思うわけでありますから、その点に対して、よきものはよき、悪きものは悪きと判然と区別をなされて、この点に対して厳然たる対処をお願いしたいと思いますが、その点はいかがでありますか。
○戸嶋参考人 最初の点でございます。これは公団自身がやる範囲も少ないと思いますけれども、県にも連絡をとりまして、できるだけむだな融資等はなさらないように銀行その他の金融機関にもお願いするようにしたいと思います。なお、販売業者等にも自粛を願うことも幹部等と一緒になってやりたいと思います。 それから第二点の問題ですが、この点はおっしゃるとおりでございまして、われわれもそれは判然と区別してやっていきたいと考えております。その点は建設省のほうにもよくお伝えをいたしておきたいと思います。
○田邊委員 いろいろとお聞きをしたいのですが、時間が参りましたから終わりたいと思います。 最後に一つ、いろいろ問題を内包しておるわけでありますけれども、すでに補償基準も出ました。地元は、草木の対策委員会にいたしましても、あるいは連合対策委員会にいたしましても、この補償基準は不満である、一括返上すべきである、こういう声が強いのであります。私はその気持ちももちろんわかるわけでありまするけれども、また公団には公団の方針もございましょう。したがって、いま私が開発課長や戸嶋理事からお聞きしましたとおり、補償基準は補償基準として、今後地元と十分話し合いをされて、これに対しては弾力的に対処する、できるだけ地元の言い分も聞き、認めるべきものは認めていく、そしてまた、皆さん方の方針について理解をしてもらう点は十分話し合いを重ねる、こういうことがあくまでも必要であろうと思います。何か権力的な意味でこれを押しつけるという形ではなくて対処されることが、やはり問題の解決のために必要である、こういうように思っておるわけでございますけれども、地元と早急の機会に話し合いを開始し、いま私が申し上げたような立場でもって弾力的に対処されるお考えであるかどうか、最後にひとつお聞きをしておきたいと思います。
○戸嶋参考人 おっしゃるとおり、私のほうもできるだけ早く地元との話し合いを進めまして、早く円満な妥結にこぎつけたい、こう考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○田邊委員 終わります。
○倉成委員長 質疑を続けます。古寺宏君。
○古寺委員 最初に、ベーチェットの問題についてその後どういうふうになっているか、お伺いをしたいと思います。
○松尾説明員 ベーチェット病につきましては、いろいろな御指摘もございまして、とりあえず早急に各種の研究に着手をするという必要もございますので、医療研究特別助成費約四百万円をもちまして、去る七月の初めに第一回の研究班の打ち合わせが行なわれたという状況になっているわけでございます。
○古寺委員 ベーチェットに関しては非常にいろいろな問題がございまして、その研究が非常におくれておるわけでございますが、スモンの例と同じように、科学技術庁の特別研究促進調整費の関係は一体どういうふうになっておりますか。
○松尾説明員 まだ結論を正確に得ているわけではございませんけれども、厚生省の研究のほかにそういう費用が出してもらえるならばということで、一応官房を通じましていま折衝中のはずでございます。
○古寺委員 科学技術庁のほうにお伺いいたしましたところが、厚生省のほうからまだそういうような要請が出ておらない、こういうお話を承っているわけでございます。このベーチェットは診断基準もまだきまっておらない、治療法もはっきりしていないわけでございまして、当然緊急研究費というものが考えられなければならないと思うわけでございますが、厚生省のほうの検討が非常におくれておるというふうに考えられるわけでございますが、その点についてはどうでございましょうか。
○松尾説明員 私ども医務局としましては、かなり前からそういう方向で向こうにお願いをするよりに官房のほうから参事官室を通じまして折衝を続けているというふうに考えております。もしさような点で多少何か遅延している面があるといたしましたならば、これはさらに私も促進するように努力いたします。
○古寺委員 ただいま局長からも御答弁がございましたが、大臣といたしまして、この緊急を要する研究費の問題について、科学技術庁に対してぜひこれをひとつ強く要望していただきたいと思うのでございますが、その辺の大臣のお考えを承りたいと思います。
○内田国務大臣 これは新しい病気でございまして、それに対応する厚生省としての単独の十分の予算を確保しておらない事態からいたしますと、私は四百万円以外につきましても科学技術庁と相談をいたしてまいりたいと考えます。
○古寺委員 先日の新聞によりますと、今度東京都におきまして、神経内科疾患の総合研究施設というようなものをつくる構想を発表したようでございますが、国としてはこれを地方自治体に、各ブロックごとにあるいは県別にこういうものをつくるというお考えを持っているかどうか。あるいは地方自治体からそういう要請があった場合には、厚生省としてその要請にこたえるような準備ができているかどうか、承りたいと思います。
○松尾説明員 東京都の神経系統専門病院の計画につきましては、私どももまだ新聞で拝見をした程度でございまして、何ら正式の連絡も計画についての構想も聞いておらない段階でございます。ただ、国といたしましてそういうような病院をつくるということにつきましては、ほかの特殊な病院等と同じように、たとえば融資その他の問題について、その計画に従いまして十分検討した上で、必要であれば十分な努力はしたいと考えております。 それから国自身がさような専門病院を持つかどうかという問題でございますけれども、その点について私どもは、こういうものだけのための専門病院を持つという考え方は、少なくとも私自身はまだ持ってはいないわけでございます。しかしながら、そういうような診療機能を病院が持つということはきわめて重要な問題でございます。一般の病院の機能の強化という中において、そういう方向で要望にこたえ得るような機能の賦与ということを考えてまいりたいと思います。
○古寺委員 そうしますと、このいわゆる神経病専門の医療機関については、地方自治体から要請があれば厚生省はそれに応じていく、そういうふうに考えてよろしいわけでございますか。
○松尾説明員 先ほど申し上げましたように、この独立の、それだけを専門とします病院をつくるということについては、そういう具体的なプランを私としては持っておりません。しかしながら、各都道府県においていろいろな病院計画の中において、そういうような特殊性を持ったものがその地域に非常に必要であるという観点から、そういう特殊な病院を病院計画の一環としてつくるということであれば、それについては十分な内容において御助力を申し上げたい、そういうつもりでおります。
○古寺委員 国がそういういわゆる専門的な施設をつくらないために、東京都が独自でそういうものを今度発表したと思うのでございますが、わが国にはそういう専門の施設が現在まだ一つもございません。そういう点について大臣はどういうふうに考えておられるか、承りたいと思います。
○内田国務大臣 専門的な病気のことで、私はわかりませんが、世の中は常に前向きに進んでいると私は思います。たとえば、結核とかあるいはらいなどにつきましては、皆さま方の御協力と私どもの努力によりまして、これが次第に征服されてまいりまして、非常にいい状態になっております反面、新しい病気がわれわれの認識の対象になったり、また従来からありました病気による死亡率が非常に高位を占めるというように、非常に世の中が変わっておりますので、常にそういう事態や現象には注目しておくれないような医療行政体制というものにつとめるべきだと、私は一般論として考えます。したがいまして、いまの問題につきましても、いきなりそれに飛びつくという準備はできておらないようでございますが、新しく問題を提起されたことでございますので、それに取り組んでいく姿勢というものは、私はとっていくのがいいのではないかと思います。
○古寺委員 最近結核にかわりまして年々ふえつつあるといわれているサルコイドージスについて、厚生省はどの程度、実態を把握していらっしゃるか、最初に承りたいと思います。
○村中説明員 サルコイドージスの問題は、相当歴史が古いようでありますが、日本におきましても昭和三十五、六年ごろから文部省の研究費、あるいは最近では厚生省の研究費を投入してこの問題の究明をいたしておるわけでございますが、一九六〇年だったと思いますが、国際的な会合がありまして、従来これの診断の方式について統一的な見解がなされておりませんでしたので、このときに世界の学者が集まりまして、統一的な診断の基準を一応考えたわけでございます。その後これをもとにいたしまして、国内の学者も、日本国内のサルコイドージスの発生について調査を進めておりますが、最近の調査の発表を見ますと、ここ十年間前後で約千七百五十名の患者あるいは患者に似た症状を呈する者の把握をいたしております。 この本体につきましては、御承知のとおり感染説とかあるいは異物の反応説あるいは素因説というふうな説がいろいろありまして、必ずしも現在の段階では病因について定説がないようです。また、外国の学者では、あるいはこれは結核性のものじゃないかとか、あるいは非抗酸性菌という説もありまして、国際的にもまだ本体の究明が行なわれていない。ただ、この疾患の特徴として、御承知のとおり胸の写真をとるときに副次的に発見されるという例が非常に多いわけであります。言いかえますと、結核患者の健康診断の過程の中でこのサルコイドージスというふうな症状を呈する所見が見つかっておるというふうな形で、現在国内の学者は、主として結核関係の専門者を中心にいたしまして、内科の系統あるいは皮膚科の系統あるいは眼科の系統あるいは疫学者、病理学者という方々で、相当大きく網羅した研究班をつくってやっております。 この千七百五十名ほどの把握されている患者の内容につきましては、感染性は現在は不明である。それからツベルクリン反応は約七〇%以上は陰性である。これが結核とだいぶ違うところだと思います。 それから診断については、ただいま申し上げましたエックス線所見あるいは皮膚の検査あるいは目の検査あるいはクベリン反応というような抗原を使った皮膚反応による組織の生検、こういうものをもとにして診断をしております。 それから疫学的な関係では、性別――これは男女の間においては差異がほとんどない。国際的な学者もそういう見解のようであります。年齢は二十歳代に相当多い。これは先ほど申し上げました結核検診の関連であるいはこの年代層が多いのかもしれませんが、これはなお不明であります。ちょっと変わった学者の意見としては、人種的に特異なものがあるのではないかというふうなことがありまして、アメリカの学者が、検診の過程の中で黒人にこの種疾患が発見されている、ある集検では十倍から二十倍白人に比べて多いというふうなことがありまして、これがきっかけで、有色人種ということもあろうかと思いますが、日本の学者の発表を求めたというふうな話も聞きますが、現在の段階では、こういう人種的な差別というものなのか、あるいは、そういう人種の生活環境が原因なのかということにつきましては、残念ながらまだ国際的にも究明されていないというふうな実情でございまして、この予後経過は比較的良性である、経過はよろしいというのが一応学者の定説のようでございますが、中には失明する者と申しますか、目の障害が伴う場合が若干あるということも記録されておるようです。 なお、治療につきましては、現在ステロイドホルモンを使っておるということでございますが、しかし、これも完全に治療効果があげられるということでもないようでございますが、大体、私どもが現在発表されている資料をもとにして知っておりますことは以上のような点でございます。
○古寺委員 私どもの調べた範囲では年間約三千人くらいずつ増加をしているというふうに推定をされております。さらにまた、現在協議会が掌握しておるところの患者数は約二〇%くらいではないか、あとの残りの人はほとんど潜在しているのではないか、こういうふうにもいわれております。 ただいまの御答弁にもございましたが、この病気の予後を見ますと、失明したりあるいは呼吸不全を起こしたり、心筋の病変によって不幸なコースをたどるという例もございますので、この病気の早期診断、早期治療というものは非常に重要な問題であると思うのでございますが、現在までこのサルコイドージスに対して厚生省はどのような対策を行なってきたか、また今後どういう対策を考えておられるか、その二点についてお伺いをしたいと思います。
○村中説明員 ただいま申し上げましたように、このサルコイドージスの本体というものは、原因の究明自身もまだ学者によっては説がいろいろあるようでございまして、この研究対策としては、先ほども触れましたけれども、昭和三十五年から六年、七年にかけては文部省で研究費を投入しております。それから、厚生省では医療研究助成金の形で昭和四十三年度、それから四十五年、本年でございますが、一応研究費を投入いたしまして、数十名の関心を持っている学者グループに対して、疫学的な研究あるいは治療の研究、そういうふうな方向での研究をお願いしているということでございます。いろいろこの問題の取り組み方については御意見があろうかと思いますが、先ほど来申し上げますように、疾病そのものが相当古い、昔からある疾病ということで、結核の健康診断の過程の中で発見されている、しかも従来問題になっております結核に比べて、比較的予後がよろしいというふうな問題もありまして、私どものこの疾病に対する対応の姿勢といたしましては、とにかく原因の究明に対して学問的なアプローチを期待しているというのが実情でございます。ある学者は結核菌によるというふうな説を立てた時期もありますが、これは御承知のように国際会議では否定をされております。あるいはまた別な学者は、松の花粉が原因ではないか。と申しますのは、米軍が海外に派遣されまして、帰ってきた患者の健康診断の過程の中で、何か松の木の地帯に生活していた者の中でサルコイドージスの症状が出てきた者が相当高かったというふうなところから、松の花粉説というふうな原因説を立てた学者もいたようでございますが、これは最近の国際会議では、主唱者自身が、この考え方は違うということで取り下げております。といったふうに、原因につきましては相当多様な面からまだ今後いろいろな形で検討を進めなければならないのじゃないかというような点で、感染する説というのは若干ないわけではございませんが、学者の支持する層は非常に少ないというふうな実態もあわせまして、現在の段階では病因の究明ということも学者のユニークな見解に期待するというのが私自身のこの病気に対する応対の考え方でございます。
○古寺委員 いまの御説明にもございましたけれども、子供の場合には非常に自然治癒率が高い、そういうふうにいわれております。しかしながら、現在の段階におきましては、はたしてそれが完全治癒したものかどうか非常に問題が多いわけでございます。しかも成人者の場合におきましては、約七六%において目に所見がある、しかも失明率は約一五%である、死亡率も七%ぐらいである、こういうふうにいわれております。今後このサルコイドージスがだんだんに増加するというような傾向にあるわけでございますが、いままで長い間の貴重な研究によりまして、ようやく国際的な水準にまでは到達したと思いますが、なお今後残されている病因の追及あるいは治療法の確立の問題、いろいろとあるわけでございますが、それに対して厚生省が、医療研究助成のために百五十万円の助成をしておられる、これでは本格的な研究はできないのではないか。かりに追跡調査をいたすにいたしましても、一人一万円を要するといたしますならば、千人を追跡調査する場合には約一千万円の経費が必要になります。さらにまた、現在までの診断方法として、生体検査あるいはクベリン反応による判別診断等を行なっているようでありますが、これの試験管内的診断法の開発ということも大きな問題になっているわけでございます。今後こういういろいろな研究に対しては相当大幅な研究費の助成が必要である、そういうふうに考えるわけでございますが、そういう点についてはどのようにお考えになっておられますか。
○村中説明員 昭和四十二年の患者の調査の学者の発表によりますと、私ども承知しております致命率は〇・七%というふうな数字を持っておりますが、私は、確かにお話のように心臓にサルコイドージスの所見が出て死亡するという例もあるわけでございますが、疾病の重症の度合いからまいりますと、これはやはり学者のほぼ一致した意見のように良性のものであるというふうな判断をいたしております。中には失明するというふうな不幸な転帰をとる方もいるようでございますが、疾病全体から受ける私どもの判断としてはそういう判断をいたしております。 ただ問題は、そういうふうな疾病ではありますけれども、病因の究明がまだできないという現在の段階の中で、障害を受けた患者さんの心配というふうなことを察しますと、私自身としても早く原因が究明されること、あるいはよい治療法が発見されることを心から期待をするわけでございますので、今後ともこの種の研究については、学者の意見を十分聞きながら適当な研究費配分を予算化するような努力をいたしてまいりたい。現在、昭和四十五年度におきましても百五十万円の研究費を計上いたしておりますが、これが一体多いか少ないかという議論は確かにあろうと思います。しかし、私の考え方といたしましては、ただいま申し上げましたように、原因の究明、治療法の確立というふうな方向に焦点をしぼりながら、今後の研究については学者の意見を聞きながら措置をしてまいりたい、こう存ずるわけでございます。
○古寺委員 これは、スモンにいたしましてもベーチェットにいたしましてもそうでございますが、非常に研究費が不足なために、病気の病因あるいは治療法の確立ということがおくれてきているわけでございます。特にこのサルコイドージスにつきましては、長い間研究が行なわれているにもかかわらず、その研究費が少ないために思うように成果を出せない、こういうような結果になっているわけでございますが、今後こういう点については、やはり十二分に関係者の方々の御意見も聞いた上で、十分な予算を持って研究を進めるべきであると思いますが、こういう点についてひとつ厚生大臣の御決意を承りたいと思います。
○内田国務大臣 先ほども申し述べましたとおりでございまして、古寺先生がおっしゃることと私は同じような気持ちを持っております。
○古寺委員 このサルコイドージスについて一番大事な問題は、診断基準がまだはっきりしていないということでございます。そのために結核と誤診をされて長い間結核の治療を受けたり、あるいは目の疾患におきましても、やはり誤診を受けて七のうちに失明するというようなケースもあるわけでございます。最近の例といたしましては、国鉄の運転をしておられる方が、非常に視力障害が出てきて、いろいろ精密検査を行なった結果、サルコイドージスである、そういう診断がつきまして、治療によって一応軽快し、事故を防ぐことができたのでございますが、現在交通事故が非常に多発をいたしております。もしドライバーにこのサルコイドージスが潜在している場合には、これは大きな社会問題にもなるのじゃないか、そういり危険を多分にはらんでいるわけでございますか、この診断基準の作成、これは目下の急務であると思いますが、そういう点について厚生省当局はどういうことを現在考えておられるのか、承りたいと思います。
○村中説明員 最初に申し上げましたとおり、一九六〇年のワシントンの国際会議でただいまお話しのサルコイドージスの診断の基準、考え方が明らかにされました。これをもとにして各国の関係の学者が自国の患者の診断をしているということでございます。日本の、ただいま申し上げました研究費を投入いたしております研究協議会の考え方といたしましても、四つの群に分けまして、臨床像所見、それからクベリン反応、生検というふうな三つの項目を中心に一応サルコイドージスの診断をしております。 ただ問題は、お話しのガン患者あるいは皮膚科の疾患あるいはその他の骨などの疾患、そういうものにくるサルコイドージスの診断というのが的確にできるかどうかということになりますと、これは必ずしも、この疾病そのものが臨床医師の間あるいは学者の間でも浸透が十分でないというふうな点もありまして、ある医師を訪れて別な診断名もつくというような例もあろうかと存じます。しかしこれは、ただいまのサルコイドージスの研究協議会の活動が活発になってまいりますと、そのようなPRが次第に行き届いてまいることもありますし、私どもといたしましても、こういう研究の結果につきましては、広くPRの材料に使いながら関係の医師の診断に役立てるようなそういう努力を今後してまいりたい、こう思っております。
○古寺委員 一応の診断基準はございますが、これは胸のレントゲン写真とかあるいは生体検査による方法でございますが、現在まだ日本の――クベリン反応にいたしましても非常に開発を要する問題が残っているわけでございます。これを一般の医師にそういう診断をしいても、十分な鑑別、診断ができない場合が私は往々にしてあると思います。そういう点からいたしまして、この病気の診断につきましては、特定の専門医療機関というようなものを指定いたしまして、そしてこのサルコイドージスの患者の掌握、早期発見というものを緊急にやる必要があるのではないか、私はそういうふうに考えているわけでございますが、そういう点については厚生当局では全然手を打っていないようでございますが、そういう点については今後何か考えていらっしゃるか、もう一度承りたいと思います。
○村中説明員 先ほど申し上げましたように、このサルコイドージスの研究というのは、結核患者の健康診断の過程の中でわが国においてはアプローチされてきたという経緯がありまして、お話のように、この診断が一体普遍化する道はどうなんだということになりますと、相当先の問題になろうかと思います。しかし、とにもかくにもいまの段階で患者の疫学的な調査あるいは診断方法の究明というふうな問題、さらには原因の究明、治療法の確立というふうな、手がけるべき数多い項目があるわけでございます。私は、これを一つ一つじみちな研究に期待しながら処理をしていくというのが、現在のサルコイドージスの研究の過程としては一番必要なことだと考えております。 御提案のような、たとえば研究班とは別に指定の医療施設をつくる、あるいは診断の場所をつくる、確かに御提案ではございますが、行政がすぐそのままタッチをするかどうか、学者の意見なども十分聞いた上で判断をする問題だと考えます。
○古寺委員 現在、このサルコイドージスに対しては、ステロイド療法が行なわれておりますが、しかしステロイドホルモンにもいろいろ問題点があります。さらにまた、このステロイドホルモンの療法が適さない、全然用いられないというような患者さんもたくさんいるわけでございますが、その治療法についての開発に対しても全然研究費の助成がございません。今後ステロイド療法の問題につきまして、治療指針と申しますか、そういう点について厚生省はどういう方向でこれを解決していくお考えであるのか、その点を承りたいと思います。
○村中説明員 ステロイドホルモンをこの疾病に使用して有効の点につきましては、御指摘のように学者の間でも必ずしもこれが有効適切な治療方法だというふうには考えていないようでございます。さらにまた、ステロイドホルモンの持つ副作用と申しますか、副次的な障害を考えますと、いたずらにこの種患者にステロイドホルモンを中心に治療を続けることがいいかどうかということが当然出てくるわけでございます。これはしかし治療例数を重ねながらどういう方法で投与していくのが適当か、量の問題とか期間の問題とかいろいろ出てまいります。この点は実際に臨床的に治療をしている研究メンバーの意見を聞きながら、最大公約数的なまとめ方をして今後の治療の基準を考えていくというのが私は常識だと考えております。私、まだ十分治療をしている学者の意見をそういう意味では徴しておりませんが、例数が検討にたえるだけ重なってまいりますと、私どもといたしましても治療の一応のめどとしてステロイドホルモンがどの程度の有効性を持つものなのか、あるいは治療基準としてどういうものが適当なのか、こういうことの判断は意見を聞きながらしてまいりたいと思います。
○古寺委員 新しい免疫反応の開発の問題であるとか、こういう問題については、もう学者の方々は一応そのかぎは握っているわけでございます。ただ研究費が思うようにないためにその研究ができない、あるいは治療法にいたしましても、ステロイドホルモンによって副作用を受ける場合もあるでしょうし、いろいろなところに問題点があるわけです。こういういろいろな問題をかかえておりながら、人命尊重の立場で当然この研究には厚生省としては十二分に助成をしてあげるべきであると思いますが、これが今日まで放置されてきたということはまことに残念なことであり、また悲しむべき事実である、私はそう思うわけでございますが、今後こういうような無責任な、いわゆる非常に消極的なこういう病気に対する行政のあり方では、問題がどこまでも解決できないままで犠牲になる人がたくさん出ると思います。こういう点について、厚生大臣は、来年度の予算の問題もございますが、こういう難病と申しますか、また、現在まで十二分に研究されなかった病気に対して今後どういう姿勢でこれらの問題を解決していく、そういう方針をお持ちになっているのか、もう一度承りたいと思います。
○内田国務大臣 お互いの人間生活が複雑になってまいったり、さらにまた科学技術、ことにメディカルな方面の進歩もございまして、いままで気づかれなかったような病気であって、今日まで等閑に付されておった分野も確かにあると私は思います。そういう事態に対応いたしまして、これまでの機会におきましても古寺委員からしばしば御指摘がございましたが、私は、いたずらに過去の体制にのみなじむことなく、新しい事態に向かっては新しい研究の方途を進める、あるいは診断基準なり治療基準なりというようなものも、できる限り学者の皆さま方の知能を動員して、打ち立てて、そして人間の健康を守り、幸福を増進することにつとめてまいるのが私どもの責任であると考えますので、今後におきましても、私がいま申し述べましたようなことを念頭に置きつつ、予算、組織その他の面におきましてできる限りの前向きの処理をいたしてまいりたいと考えております。
○古寺委員 昭和四十七年にはサルコイドージスの国際協議会がわが国において開かれる予定にもなっております。スモンやベーチェットあるいはこのサルコイドージスの例を見ましても、これは長い間こういう病気がある、こういう病気のために国民が苦しんでおる、そういう事実ははっきりわかっているわけでございます。今後こういう点につきましては十二分にひとつ前向きの姿勢で対処されることを最後に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉成委員長 小林進君。
○小林(進)委員 私は最近、いまの政府のおやりになっておりますことについてふに落ちない問題があることを感じておるのであります。それは何かというと、現在の医師不足の問題をどう解決をするかということに対して各省それぞれの異なった意見をお出しになっている。国民ははなはだ迷惑をしているというこの問題でございまして、これははなはだ重大問題でございますので、関係大臣に御出席をいただいて、それぞれ公式の場所で公式の発言をお願いをいたしたい、こういうことで御出席を要望したわけでありますが、残念ながら文部大臣がお見えにならないということで、はなはだ残念しごくであります。 第一に、私は文部大臣にお伺いいたしたいのであります。文部大臣、いらっしゃいませんか。大臣がいなければ代理ぐらい……。待っていましょう。 それでは、来ないようでありますから、ひとつ来たときに質問することにいたしまして、実はこれは厚生大臣、自治大臣もお考えのところだと思うのでありますが、いま日本では非常に医者が不足をしている。この不足をしているという前提のもとで、厚生大臣も自治大臣もそれぞれその不足をどう補うかという点で答弁をしていられるのでありますが、同じいまの内閣の中でも文部省は、医者の絶対数は少なくないという見解のもとにものをおっしゃっている。私どもはむしろここから解明していかなければ問題の解決にはならぬので、私は文部省にそれをお伺いしたがった。同じ内閣の中で、医者は足りないというのと足りなくないという意見が対立をしているのですから、これでは幾らやったところで問題の解決になろうわけはないのであります。だから特に文部大臣の御見解を私はお伺いしたい。私自身も、また国会の中も、超党派的に現在わが日本には医者が不足している、だからこれをどう解決したらいいか、医療行政全般を論ずるときも、私たちはそういう立場でものを言っているにもかかわらず、驚くなかれ文部省は、医者は足りなくないんだとおっしゃる。そこからひとつ問題をお聞きしたいと思っているが、おいでにならない。弱りました。 自治大臣、この文部省の見解はいかがでありますか。あなたは、医者は十分あるとお考えになっていないようであります。御所見を承りたいと思う。
○秋田国務大臣 私は、医者は十分足りておるとは考えておりません。したがいまして、御承知のような医学専門高等学校の構想を打ち出したわけでございます。
○小林(進)委員 厚生大臣いかがですか。
○内田国務大臣 絶対的に医者の数が十分であるかどうかということにつきましては、いろいろ見解もあると思いますが、少なくとも医者が地域的に偏在をいたしておりまして、国内多くの地域において相対的に不足しておる状態につきましては、私自治大臣と認識を一にいたしております。
○小林(進)委員 私は文部大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、文部大臣は御都合がつかないそうで、大学学術局長がおいでになったそうであります。あなたの直接の管轄の問題でありますから、若干役不足で実は私は満足はいたしておりませんけれども、お伺いいたします。 あなたにお伺いいたしたいことは、わが国の医師の数はいまこれで足りるのか、不足をしておるのかということです。いま自治大臣にも厚生大臣にもお伺いいたしました。自治大臣は明確でありました。絶対数が不足しているから、そのための対策をいろいろ具体的に考慮しているのであると言われた。厚生大臣は若干あいまいでありまして、絶対的に不足かどうかわからぬけれども、地域的に偏在があるから、それを何とかしなければならない、考えにおいては自治大臣と同じだと言った。私は聞いていて同じだと思わなかったのでありますけれども、結論は同じだとおっしゃった。それに対して大学学術局長は、新聞を通じて、わが国の医師の絶対数は少なくない、それが都市に集中し過ぎているのが問題なんだ、こういうことを言われておる。だからそうさせている原因は医療行政にある、その解決が先ではなかろうかということで、医者の絶対数は不足をしていないとあなたは言われた。その御所見をここで承りたいと思うのであります。
○村山説明員 大臣の出席ができませんので、大学学術局長でありますが、かわりまして御説明を申し上げます。(「おくれてきたのはどういうわけだ」と呼ぶ者あり)会議に出ておりまして、連絡がありまして直ちに参ったのでありますが、結果的におくれまして申しわけございません。 医師の所要数の問題でございますが、これは所管としては厚生省の御所管だと思うわけでございますが、文部省でも医師の養成を所掌しておりますので、厚生省と連絡を保ちまして医師の所要数を前提としながら養成をやっておるわけでございます。この所要数の算定方法につきましては、国際的にもこれがきめ手だという方法はないようでありますが、長いこと人口十万人当たり百人を基準として考えておったようであります。そういう考え方からいたしますと、現在必ずしも不足してないわけでありますけれども、最近は医療内容も向上、進歩してきましたので、人口十万人当たり百人といったような数の算定方法では不十分である、もっとふやすべきではないかという意見が強まってまいっておりまして、文部省としても、それは傾向としてはそのとおりだろうと考えております。したがいまして、どれほど必要かということにつきましては必ずしもきめ手がないわけでありますけれども、現在人口十万人当たり戸十二人程度に相なっておりますけれども、この程度では足らない、かように考えております。
○小林(進)委員 実に驚くべき答弁を私は承った。いま日本全国を歩いて、都市を離れた自治体の首長が何で一番困っているかあなたわかっていますか。公害問題とあわせて、それよりも深刻に彼らが嘆いているのは医師不足の問題です。自分の行政区域内の医者をどう一体確保するかということが地方行政の首長の最大の悩みですよ。そういう現実の悩みの中で、医師の定数は十万人当たり百人が世界の基準である。何をほざいたことを言う。そんな基準がどこにある。われわれはWHOの毎年、毎月の月報も資料も見ているけれども、君の言うようなそんな定数はないわ。現実に見れば、社会主義国家のソビエトあたりは十万人に対して二百十人、資本主義の頂点にあるアメリカだって十万人に対して百五十人近くの定数を持っているという状態だ。そういう世界の趨勢の中で、百人や百十二人は若干少のうございますと言う。君は何を一体ふざけた話をしている。しかも中医協の中の医療需給調査委員会――会長が東畑精一先生、これが今年五月の十日に調査の結果を発表した。その中にはこういうことを言っていますよ。これは皆さん方、もちろん行政の責任者ですからみんな知っているはずだ。私が繰り返さぬでもいいだろうけれども、参考のために申し上げるのでありますが、その中には三十年から四十一年までのわが国の患者の増加率というものは一日平均三十万九千人である。一日の増加率が四十万ばかりふえているのだ。で、医療法の施行規則によれば、年間八千四百十五人の医師をふやさなければならない、こう言っている。しかし、ここ数年の大学医学部卒業者の数は年間三千人から四千人だ。これも君の管轄だから、ひとつ正確な数字をあとで私はお聞きしますけれども、病院、開業医を合わせた年平均の増加は四千五百四十八人にすぎない。年々三千八百六十七人の医師が不足していることになる。また、患者数に対応する望ましい医師の数は、外来部門で十万五千百十一人なくてはならない。入院部門では五万二千六百人で、これを修正計算をして十七万千七百十一人の医者が必要である。これに対して日本の現在の医師数は、常勤、非常勤合わせて、病院が六万五十一人、一般診療所は開業医を主としてこれが八万四百十三人、計十四万四百六十四人と推計をされていて、結局三万人以上の医師が不足している。患者数の増加により年々医師不足が深刻になることを指摘し、計画的な医師の養成を強調しておる。これが中医協の五月十日の発表です。 これはまず厚生省に要望しておきますが、この中医協の報告がいっているはずでございますが、残念ながら私は新聞だけでございますから、その資料を私のところに回していただきたい。こういう国が委託している中医協、東畑精一会長を通じて、年間三千八百六十七人の医師が不足をしている。国全体として三万人以上医師が不足していると明快にうたっているじゃありませんか。何です。そういう答申のある中で、絶対数が不足しているのか不足していないのかわからないとか、地域的に偏在しているとかいうような、そういうあいまいな考え方のもとで医療行政をやられたり医師の養成をやられたりしているから国民が迷惑を受ける。この答申が間違っているかどうか、この答申に対する所見を各省それぞれ承っておきたいと思うのであります。
○松尾説明員 中医協がいわゆるマクロモデルの計算の中で出しました数字は、いま先生のおっしゃったような十七万幾らという数字を出しています。ただ、これにつきましては、いろいろな過程がございますが、終局的な目標として私どもがいろいろ考えております線と比べますと、そう大きな差はないんじゃないかというような判断をいたしておるわけでございます。
○秋田国務大臣 自治省といたしましては、医療行政の主務官庁ではございませんから、直接その内容についての批判はお許しを願いたいと思いますけれども、過疎地域のいわゆる無医地区の医療確保という見地からは、われわれはその責めを持っておるわけであります。そういう見地から、大体ただいまの報告は好ましいものと考えております。
○村山説明員 文部省といたしましては、先ほど申し上げましたように、医師の所要見込み等は、厚生省の御意見を基礎にいたしまして、それによりまして判断いたすわけでございます。厚生省のほうからも、そのような審議会の御答申があったというような関係もあるわけだと思いますけれども、現状では医師は不足であるので、養成数もふやすべきだというお話を承って、そのとおりだと思って検討いたしておる次第でございます。
○小林(進)委員 私は、いまの回答の中で特に聞きたいのは文部省なんだ。しかし文部省は、先ほどのお話の中には、まだ十万人に対して百人がどうの百十人がどうのというお話で、若干絶対数の不足している点を認められないようなそういう答弁でございましたが、いまは若干変わって、厚生省かなんかの申し入れによって絶対数が不足しているやに考えるとかいうふうな答弁でございました。私どもはまだこれだけでは満足にいかない。この中医協が答申をした、わが日本の国において絶対数が三万有余足りない、一年間で三千八百有余人ずつ医者が不足をしていくというこの問題を、あなたはどうお考えになるか、これを認めるか認めないかということを私はお聞きしているのであります。
○村山説明員 所、要の見通しあるいは不足の見通しについて、数字的な厳密な点につきまして私どもといたしまして正確に判断する立場でもございませんし、また能力もないわけでございますので、その点はお許しいただきたいと思いますけれども、傾向といたしまして、なお底者は不足であり、増加する必要があるということについては十分承知し、認めておる次第でございます。
○小林(進)委員 大学学術局長としては、あなたは新聞に発表せられた答弁から見ればだいぶ前進をいたしました。前進をいたしましたから、私はその点で満足できないが、時間もありませんからこれはこれで打ち切り、そういう基礎的な答弁の上に立って私は次の質問をいたしたい。 まず自治大臣にお伺いいたしますが、あなたは七月四日の日、高知県庁で、いわば辺地の医療確保を前提として新しい医学教育というものについて御所見を発表になりました。医学高等専門学校設立の構想であります。大体東京と大阪と二カ所くらいに一校ずつ設け、中学卒業生から、六年制、収容人員一学年百人、一校六百人、そしてそれを卒業した者を辺地に置いて、卒業後九年以上公立病院等に勤務せしめる。これは専門医と異なって一般医と称する。医療全部、外科から内科から耳鼻咽喉科から脳神経科に至るまで全部これにひとつ扱わせようというこういう一般医の養成をお考えになったようであります。これに対するあなたのお考えを承って、なおかつその実現のためにいまなお専心されているのかどうかお伺いをいたしたいと思うのであります。
○秋田国務大臣 いわゆる医専の構想内容は大体いま小林先生仰せのとおりでございますが、なお若干つけ加えたい点がございます。それは中卒後六カ年間専門的に医学の修学をした後、公立病院等に勤務をお願いいたしますが、さらに二カ年間実地に業務を修得されまして、いわゆるインターン期間――なおその間にできますれば、そこいらは私専門家でございませんから、よく事務的に御検討を願いたいと存じておりますが、スクーリング等、あるいは通信教育等、足らずと思われる点がございますれば、またさらに近代医学におくれをとらないよう修学の便を与えまして、二カ年間を経ました後に医師の――ただいま行なわれておる国家試験を受けて、そしてそれに受かったものを正式の医者として取り扱う、こういう点をつけ加えたいと思います。 しこうして、これを提案しましたゆえんのものは、ただいま御質問のございましたとおり、諸外国の例等も兄、最近の患者数、医師の増加数等の関係を見まして、絶対数不足があると考えましたので、やはり医学生をふやす必要があると考えたことが一つ。 それから、しかし自治省といたしましては、辺地における医師を確保しなければなりません。それは過般国会を通りました過疎地域対策緊急措置法においても明文で、国及び地方公共団体の責任として明確に確保ということがいわれておる。確保ということはどういうことか。開業医を人口の少ない地に定着確保することは、現行の点数医療保険制度から申しまして困難なことは申すまでもございません。そこで、こういう地域に定着をしてもらうお医者さんは、やはり公立病院の公務員の性格を持っておる医者でなければならない。しかし、これが非常に少ない。なり手がない。したがってこれが待遇につきましては検討をし、改善を加えなければならないと思っておりますが、なお輸送機関あるいは道路等の整備をもって巡回医療制度を確立すれば足りるのではなかろうかという議論に対しましては、私は、今日の過疎法が要求しておるものは医師の定着である。医師の辺地における居住を要求されておるものと心得ております。このことの実現がなくいたしましては、私は過疎法に対する政治家として、大臣として、忠実にその義務を果たしたとはいえない。こう思いまするから、この点について特別のくふうを講じなければならないと考えた次第でございます。 それにはなるべく日本の医療水準を下げずして、しかしてなるべく早く所要の医師にここに定着していただくよう、必要期間居住していただくよう処置すべき特別の施策が必要であろうと考えまして、そして、比較的年若き中卒の時代から、辺地における医療に従事するという一つの使命感を持たれた方を特に優遇をいたしまして、使命感を持った教育機関で教育をしていただくということが大事なのではなかろうかと考えまして、いろいろ考慮の末あの構想を発表をいたしたわけでございまして、発表をする前には事務的に関係省に当たり、厚生省並びに文部省には連絡を事務官の間においてとらしたものでございます。
○小林(進)委員 その後、発表になりましてそれを具体的にどう進められたというお話は承っておらないのでございまするけれども、あれだけの構想を大臣の責任において発表なさったのでありますから、たとえていうならば、学校は文部省の管轄でありますけれども、こういう特殊学校のケースにおいては、文部省の管轄を排除してあるいは自治省直轄等の形でおやりになろうというのかどうか。あるいはまた、その後その設立のためにどれくらい具体的に事態を進めておいでになったかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○秋田国務大臣 これはもちろん自治省管轄の学校にいたそうとは考えておりません。あくまでも厚生省と文部省との考えによるところの正規の学校として取り扱っていただきたいと考えております。しこうして、これにつきましては事務的にただいま三省の考え方を披瀝をいたしましていま詰めておる段階でございます。 また、過般閣議におきましても、事の重大性につきましては関係閣僚間で論ぜられているところでございまして、総理もまた今日の進歩した医療の恵みというものが過疎地域に及ぶように考慮すべき旨を発言をされておりますので、閣議におきましても問題になり、いま事務的に詰めておることは――時期がございますので、せいぜい急いで何らかの結論に到達をいたして、これが実現をはかりたいと考えて、せっかく努力をしておるところでございます。
○小林(進)委員 あなたはこれを発表する前に、厚生省並びに文部省にも連絡をとって、連絡の上で発表されたと言われた。その後、閣議の中でもこの問題を議題に供された、こういうことを言われているのでございますが、あなたの発表になったのは七月の四日だ。七月の二十八日の、これは私は特に重大問題でありまするから各新聞を見た。一般紙を見た。読売の朝刊には、文部大臣の談話といたしまして、四十六年度、来年度は国立大学の新設は認めない、したがって医学部は認めない、こういう発表をされておる。同じ談話についてサンケイ新聞は、国立大学の医学部は認めない、私立大学では設置基準に合えば認めてもよろしい、こういうことを言われておる。どの新聞を見ても、文部大臣は、いまの自治大臣の構想を含めて医師に関する限りは大学の新設も医学部の新設も認めない、こういうことを言われているのであります。全く相対立をしております。この間に時間的に二十日間の期間もあるわけでありますから、相当閣議の中で話し合いがあったあとの新聞の発表でないかとも推察をせられるのであります。こういう点、文部大臣がおられなくて残念であります。医学部教育、大学教育の責任者ですから。学術局長、ひとつ大臣になりかわってこの問題について答弁をしていただきたいと思います。
○村山説明員 医学高専の構想につきましては、自治省のほうから事務的な御連絡がございまして、それに対しまして文部省としては、高等専門学校の制度は、現行制度上、若年のうちから一貫して技術と理論とを教育する必要のある特定の分野、現実には工業と商船でございます。その分野のみについて認められておる制度であって、これを他の分野に拡大するということになれば、それ相当の議論をした上でその可否を決しなければならない。現時点でこの構想について賛否を求められるならば、それはかなり無理な御構想だといわざるを得ないというような御返事を申し上げた。 それから、国立大学をつくるかどうかという問題は、これはまだ文部省として全省をあげての検討を経た決定ではございませんので、大臣の心づもりを記者会見等において申し上げたことかと思いますけれども、御案内のように、現時点で国家機構の定員の拡大ということは抑制する方針がとられておりまして、国立大学といえども現在形式上国家機構の一環でありますし、定員は総定員法のワク内にあるわけであります。そういう情勢でありますので、国立大学の新設ということはきわめて至難な情勢にございます。そういう情勢を受けまして国立大学の新設はやらない、医学部といえども同じだという見解を記者会見において述べられたものと思います。 それから私学につきましては、医学教育についてはいろいろな問題もあるわけでありますけれども、現在私立大学を認可する基本的な態度といたしましては、学校法人から申請がございまして、これが基準に照らして適合しておるということを文部大臣の諮問機関でありますところの大学設置審議会が答申をいたしますれば、従来の慣行上、その他の観点から文部大臣が否認した実例はございません。そういう慣行に従いまして、私学において医科大学の新設の申請があり、大学設置審議会において基準適合の判断があれば認可し得るであろう、こういう従来の慣行、たてまえを申し述べたものだと思います。
○小林(進)委員 実に、私はこういう大臣の、文部省のものの考え方を聞いて、あまりにも世間の実情にうとい、その高踏的なもののやり方にあ然たらざるを得ない。むしろ私は憎しみを感じている。だが、そういう問題は別にして、あなたの答弁によると、第一に、自治大臣の構想によるこの医療高等専門学校の設置は認めない。それから第二番目には、旧来の法律どおりにきた国立の大学の新設も医学部の新設もこれを認めない、こういうことですね。医者の不足というものは先ほどからもくどく申しましたが、医者を新しくつくり上げる道は文部省しかない。文部省の、あなたが管轄している大学学術局しかない。だからあなたのところでそういう考えで、国立大学では認めない、新しい高等専門学校の医者の教育も認めないといえば、いま日本国民があげて困っている医師の不足問題というのは、これは全く解決をしないということだ。言いかえれば、国民がどんなに医者に困っていようとも、大学はもう抑制になっているから増設をしない――そんなことは国民の関知するところじゃない――医者はつくらないんだ、こういう答弁とわれわれは解さざるを得ない。ただ私立学校は別だ、これは設置基準にさえ合っていれば、届け出てくれば認めるんだ。これは届け出制にすればよろしい。しかし現実に、いま一人が入学をするために私立学校が父兄にどれだけの金を負担せしめているかは、あなた方知っていられるはずだ。知らないのなら文部省なんか要らない。世間の相場も知っていられるはずだ。私立の医科大学に一人入学するときに、選ばれた秀才の一人や二人は別だけれども、普通一般の相場は五百万円から一千万円といっている。金のない子は私立の医科大学に入れない。それは入学のときの裏金だけだ。そのほかに、大学の課程六年間を卒業するまでに一体どれだけかかるか。一般の文科系の大学に比較して何倍もよけいの金がかかることを、あなた方は知っていられるはずだ。医者の不足があって、設置基準にさえ合っていれば私立大学にまかせましょう、国立大学に対しては、医学部に対しては断じて窓を開く意志はない、こういうことをあなたはいま言われたわけであります。私のいま言っていることに対して間違いがないかどうか、いま一回ひとつ責任をもって答弁してください。答弁によってはわれわれも覚悟をきめなければならない。
○村山説明員 この医師養成の沿革を申し上げますと、戦前は御案内のように大学と医学専門学校の二本立てでございまして、数からいえば大学よりも専門学校のほうが多うございました。戦時中にかけまして医者が不足するということで、主として医学専門学校を増設することによって数をふやしてまいりました。その関係は、大体戦前は一年当たり三千人ぐらい養成しておりましたけれども、戦時中にこれを約一万人までふやしまして、戦後いろいろな制度が変わったわけでありますけれども、医学教育につきましても、厚生省などと相談いたしまして、程度を高めて数を減らす必要があるという観点が立てられました。そこで一万人近く拡大した医学教育機関の中で、医学専門学校は、これは大学に昇格できるものは大学にする、昇格できる見込みのないものは整理するということで措置を進めまして、結局入学定員にいたしまして約三千名、正確に申しますと二千八百四十名でありますけれども、それにしぼりまして医科大学、大学医学部だけで医学教育を行なうことにいたしました。そういう状態が十年余り続いたわけであります。その時点においては、先ほど強い御批判を受けましたけれども、医者の需要数は人口十万人当たり大体百人をめどにする、日本は医専を含めればたいへん過剰になる、それからまた医学教育というものは非常にむずかしいので、専門学校では不十分であるからということで、程度を高め数を減らしたわけでありますけれども、明和三十五、六年ごろから患者の増加、ベッドの増加、医療内容の向上などからして、従来の考え方は修正する必要があるんではないかという考え方が起こってまいりまして、厚生省とも御相談しまして、昭和三十七年以来逐年医学部は増員をはかっております。今日までに千五百四十名増員をいたしております。戦前は一大学当たり百人、百二十人もあったわけでありますけれども、いまは入学正員八十人以下にしぼったわけでございます。しかし現時点では百人まではふやそうということで千五百四十人増募して、現在は四千三百八十人になっています。ただ、この効果は必ずしもまだ現場にあらわれておりません。と申しますのは、修業年限が六年でありますし、また卒業してからもしばらく大学におって研究するというのが通例でございます。そういうことでまだ十分効果があらわれておりませんが、漸次効果が及ぼされると思います。 それから、これだけふやしましたけれども、なお百人を基準にいたしまして百人未満の大学が相当あります。入学定員にいたしまして六百名分あるわけでございます。ただこれにつきましては、百人にできないそれなりの理由がございます。教員組織が不十分でありますとか、あるいは施設設備が十分でないということから、百人になしたくてもなせずにおるわけでございますので、医者が不足であるという認識に立ちまして、まずもって百人未満のものについて百人まではふやしていく、そのために国立大学でも増募をはかりますし、公私立大学につきましては必要な助成なども行ないまして、現在の入学定員百人までふやすということは現時点で大いに努力いたしたいと思います。 なお、入学定員を百人よりもっとふやせないかという問題もございますし、また大学の医学教育を進める場合に一番むずかしい問題は、付属病院を持たなければならぬということになっております。付属病院を持つことが財政的にも教育的にもいろいろな問題がありますので、大学の増設ははかばかしくいかないわけでございますけれども、付属病院だけではなしに、関連病院も活用することによって医学教育は拡大し得るのではないかという意見も高まっております。こういう点も慎重に検討いたします。できるだけいま、いい医者を養成しなければならぬわけでありますので、新設も努力はいたしますが、まずもって既設の大学においてもっと数をふやすという点についてできるだけの努力をはかり、なお新設の場合でも、現在新設が非常にむずかしい諸条件に縛られておりますので、その諸条件の検討も進めまして、できるだけ医学部の入学定員の増加、つまり医師養成数の拡大をはかっていこうと思っております。
○小林(進)委員 君は、そんな古いことを、みんなの知ってることをべちゃべちゃ、聞いているんじゃないんだよ。われわれは、そんなことじゃない、いま切実に困っている問題に対する君たちの考えを変えることを聞いている。だから私は繰り返したのだ。間違いはあるかと言った。君は一言も答えないじゃないか。何だ君、失敬千万だよ。 厚生大臣にお伺いしますけれども、あなたは、いまぺらぺらとしゃべったけれども、あなたもそれに近いようなことを言われたが、医師の不足を解決するために、いわゆる大学の新設や医学部の増設によって解決する以外にはない。しかしそのためには付属病院がなかなか金がかかるけれども、付属病院のない新設の医科大学をつくって問題の解決をしたらどうかというようなことをあなたは発表されたことがあります。それに対するあなたの所見をひとつお聞きしたい。
○内田国務大臣 医者が地域的に非常に不足をいたしておることについては、私が先ほど私の認識が秋田自治大臣と同じであることを申し述べたとおりであります。 その前段の総数、絶対数のことにつきましては、いまも文部省当局からお話がちょっとございましたように、いろいろの意見もありますので、ということで、私はその問題はあまり多くは触れませんけれども、総体的不足の問題はぜひ解決しなければならない。そのためには、結論として申しますと、いまもお話がございました毎年公私の医科大学を通ずる入学定員として許されておる三千三、四百人の数を、私のほうはこれから当分千七百人くらいふやしていただきたい。そうして、毎年六千人くらいにふやしていただくという構想をもって、昭和六十年ころには人口十万人当たり、さっきもお話が出ました百五十人程度のところまで持っていけるような基礎をつくりたい、こういう実は構想を出発点といたしております。秋田大臣の構想の生じまするその事態につきましては、私も同じ趣旨のことをたびたび申し述べておりますが、ただ秋田構想そのものを実現するといたしましても、その医者ができますためには、六年の上にさらにインターンというような制度を二年積んで、それから医者の国家試験を受けさせるということになりますと、これからやはり八年先でないと医者が出ないということになりますし、またそのできた医者というものが中学の上に積み上げますので、基礎の教養というものが非常に弱い上に積み上げる、下部構造が弱い上に積み上げるということが問題になりますので、そうなれば、いまの医者の養成、大学制度六年、しかも直ちに国家試験を受けさせて、あとは、御承知の先般の医師法の改正によりまして、臨床研修制度というものを、医者になってから専門的な勉強をしていただくという制度に比べまして、何ら時期的にプラスになる面がないばかりでなしに、今日の医療技術が非常に進歩、向上している際に、いわば専門的な知識を持たない、一般医といえばていさいはいいが、二級資格の医者というようなものをつくることは、正直申しまして私どもは適切でないと判断をいたしておりまして、そのことは秋田自治大臣にも、同じ六年、八年ならば、いまの大学制度を拡充することのほうがより充実した医者ができる。しかも時期的には同じだ。 そうすれば、何が一体医学校の増設をはばんでいるかと申しますと、そのうちの一つには、今日の医学校の設置基準というものは、御承知の付属の大学病院を持たなければならないということにされておりまして、したがってこの医科大学あるいは医学部の新設、増設などの初度調弁費というもののうちの半分程度、あるいはそれ以上の付属病院の設置費を必要とする。金額にいたしますと四、五十億円は少なくとも大学病院、付属大学病院の設置に要するという事態のもとにおいては、文部省もなかなか学部並びに大学の新増設は踏み切れまいということで、幸い御承知のとおり厚生省は二百数十の国立病院ないし国立療養所を持っておりますし、さらに全国を見渡しましても、国立病院ばかりでなく、県立、市立病院等の公立病院が最近は非常に充足しております、程度が高くなってまいっておりますので、これらの国立、公立病院を新設さるべき医科大学あるいは医学部の付属病院として提供して教育病院としての役割りを持っていただくということをやることによって、医学校の新増設がスムーズにはかられるのではないかという、こういう構想が、先般私が秋田構想に対応し、また文部省に対しましてお願いをいたしておる構想でございます。 これについては目下三省の事務当局で詰めをいたしておりまして、私はできるならばこれは秋田大臣を中心として、三省が集まって最後の仕上げはどうするかということを秋田君にも申し入れをいたしておる、そういう段階でございます。
○小林(進)委員 私に与えられた時間が零時五十分でありますので、時間を経過して申しわけない。申しわけないのでありますが、私はまだこの問題はもっと深く掘り下げて徹底的にやりたいのでありますけれども、時間の制限がありますから、結論を急ぎます。急ぎますから、私の希望を申し述べる。 まず、自治大臣と厚生大臣のほうでは医者の不足という点においては一致しているのでありますから、どうかひとつ具体的な一致した意見をまとめてもらいたいと思います。これはあなた方のほうで……。自治大臣のおっしゃるのは六年プラス二年だ、インターン期間を入れて八年。厚生大臣のほうは高校三年にプラス大学教育六年でありますから、九年たって医者になる。違いはたった一年くらい、大体同じことになっちゃいますから、その間に何か話がきまればきまるわけであります。ただ自治大臣の構想はいなかのほうに縛りつけておくというのが一つの特徴でございますから、そういうことも含めて話し合いをしていただきたい。 問題は文部省です。文部省がガンだ。私はだから――大学学術局の中で、これだけ国民が困り抜いている医学行政に対する専門家が何人いますか。あなたのところに医学教育を専門に担当している専門家が一体何人いますか。大学学術局に何人います。これは第一、日本の大学教育の欠陥です。何人もいないじゃないですか。家永さんばかりいじめるような反動的な者ばかり集めていて、こういう医学の進歩的な問題を専門的にやるような者は一人も置かない。決して医者なんか日本に余っていませんよ。いま日本の医者の平均は都市で百五十人で、農村僻地における平均が六十六人です。先ほども厚生大臣が言ったように、厚生大臣は六千人にふやして、百五十人まで持っていきたい、こう言われたが、百五十人に持ってきても初めて都市並みです。ならして都市はふえていない。集中している、集中していると言うけれども、都市の平均が百五十人、やっと理想的な姿にいっているにすぎない。それだけの状態なんだ。絶対数が不足しているのです。それを大学の教育、あなた方のところで専門的に取り組むのは一人も置かない。それから厚生省もけしからぬ。こんな僻地で医者がなく、いまや僻地だけでなくて、郡病院から町村の公的病院まで医者はないじゃないか。この前、県知事に会って医者の問題はどうしたと言ったら、冗談じゃない、もうこんなことは国の責任だ、各県知事が声をなしておこっている、国の責任だ、十年間われわれは苦しんでいる。みな、県立病院の医師不足の問題で県知事あたりは手をあげていますよ。そういう問題を一つも厚生省は考えてくれない。考えてくれないで、文部省に頭を下げている。文部省なんかに頭を下げることはない。あなた方の仕事じゃないですか。国民が困り抜いている問題です。だから、厚生省は詐欺だと言っているのですよ。国民皆保険でございますとうまいことを言って、金を取るだけが皆保険だ。みんな保険料を取っておいて、医者にかかるときは医者にかかれないじゃないか。取りっぱなしじゃないか。これは詐欺ですよ。国みずからが、医者にかかれないような皆保険制度をやって、保険料を取っている。こういう詐欺行為をやめるために、いま少し厚生省も強くやってもらいたい。文部省は医学行政を厚生省に移しなさい。文部省は移しなさい。迷惑しごくだ。国民の側からは、文部省の大学学術局というものは迷惑しごくの存在です。ちっともためになることはない。この命や健康に関する問題をあなた方のようなものがこれをつかんでおいて、専門一つ置かないで、そうしてへ理屈ばかり言っている。わけのわからぬことを言っている。国民は、公害というよりか、命の問題で泣いている。それもきのうやきょうの問題じゃない。公害は五年の問題というけれども、医師の問題はもはや十年、十五年からの問題なんだ。毎年、毎年、われわれはここで血を吐く思いで、国に行政の道を迫ってきている。隘路はあなた方だ、医者をつくる道はあなた方の手しかないんだから。それほどつくるのがいやだったら、もう手をあげてやめなさい。厚生省でも自治省でも、みんな特殊学校になって、そちらのほうに医者の教育機関を移しなさい。少なくとも四十六年から国民がもう医者なしに泣かないように、国が詐欺をしているような行為がないように、いま予算の編成期でありましょう、これは、自治省も厚生省も文部省も、早く内部の問題を調整をして、大蔵省に一丸となってぶつかって、医者の一万人や三万人をがたがたと力尽くしてつくるようなひとつ頭の転換をしてもらいたい。大臣の頭の転換、これをひとつ私は要求いたします。やらなければ、私は、この問題をあくまでやりますよ、国民の命の問題でありますから。そうして、この問題は、繰り返し言うが、ガンは文部省だ。いいですか、ガンは文部省ですよ。あなた方が一番悪いんですよ。あなた方は悪党です。その悪党がひとつ気持ちを変えて大いにやっていかなければならない。大学学術局長、ものすごい顔をしてさっぱり反響がないけれども、帰ったらよく文部大臣に言っておきなさい、私も言うけれども。 時間がありませんから、これで残念ながら私は終わります。
○倉成委員長 古川雅司君。
○古川(雅)委員 私は、本日は、過疎地域の老人問題についてお伺いをしたいわけでございます。 老人対策、老後の生活保障に関する問題につきましては、すでに議論が尽くされた感はございますが、その対策、解決につきましては、遅々として進んでおりませんし、また、いよいよ問題が深刻化しております。ことに、過疎地域というふうに私、きょうは地域の格差という観点から、いろいろ当局の御意向を、また今後の方針をお伺いしてまいりたいと思います。 最初に、きょうは、農林省の農政局から増満農政課長においでをいただいておりますので、過疎地帯、ことに農山村、漁村等における老後対策についてお伺いしてまいりたいと思います。 引き続き、予想される日本経済の高い成長に伴いまして、特に社会条件の変化が激しくなっております。人口構造の変化によって、農村、特に過疎地帯においては、残されたお年寄り、老人だけが農業に携わっているという傾向が非常に強くなってまいりました。当然、この農業の経営構造という観点から、農政局当局としては、この農村地域の、ことに過疎地帯に対する老人の生活保障、老後生活の対策についてはお考えになっていると思いますが、この点いかがでございましょうか。
○増満説明員 四十三年の農業調査によりますと、農業に基幹的に従事しております就業者の数は九百三万人でございますが、その中で、四十歳以上のいわゆる中高年齢層の比率が六六%、約六百万という数になっております。御指摘のように、農業就業構造の老齢化と申しますか、そういうことが非常に進んでおりますし、特に自然条件の劣悪な、交通通信の不備な過疎地域でこの傾向が非常に著しいわけでございます。 それで、この点は、農業の生産性を向上する、近代的な農業を育成するといった総合農政の観点からいたしまして、非常に問題でございます。それで、総合農政の一環といたしまして、これらの中高年齢層が有利円滑に引退または転職によって離農することができるように、一方において、新しい農業のすぐれたにない手を確保するとともに、もしそう意思すれば、そういう高齢者が円滑有利に引退し得る条件をつくることが必要である、こういう考え方で、まず引退につきましては、先国会で、農業者年金基金法が成立いたしましたが、この農業者年金基金によります年金給付事業あるいは離農給付金の支給の事業等を実施することといたしている次第でございます。 しかし、引退ということだけでなくて、離農の円滑化ということになりますと、御承知のように、中高年齢層は地元の雇用機会が不足するといったようなことから、就職の機会がございません。特に過疎地域ではそういう問題があるわけでございます。そこで、在宅通勤形態でもって就職できますように、道路、通信網の整備などをいたしまして、これと相まちまして、農村地域に計画的に工業を導入する、そういう必要があるということで、目下、労働省、通産省その他関係のところとも密接な連絡をとりながら、諸策の樹立、実施を検討中でございまして、さらに促進してまいりたいというふうに思っております。
○古川(雅)委員 農業者年金が発足をいたしましたけれども、これは当然、国民の期待を裏切る非常に貧弱な内容のものでありまして、老人対策につきましては、総合農政の中で、特に農村の老人、過疎地帯の老人に対する健康の維持あるいは医療の確保、生活の保障、福祉施設の充実といった点に期待することはできないと私は判断をいたしております。ことに、最近こうした地域におきましてよく聞くことは、高校を卒業した子供さんが一年間働いて得てくる所得に匹適するだけの収入を得ようとすれば、米作だけでも一人で、あるいは一家をあげて二百から三百アール、二町歩から三町歩耕さなければ追いつかない。こうしたことで、若い人たちはどんどん都市部に流出をしております。三ちゃん農業は昔の話で、いまは全く老人だけによって農業経営が行なわれているところが特にこうした過疎地帯には多いわけでございまして、農林省農政局自体に具体的な老後の生活保障に対するかまえはないと私考えている次第でございます。 続いて、自治省のほうから佐々木参事官においでいただいておりますので、先般四月二十四日に公布、施行されました過疎地域対策緊急措置法についてお伺いをいたしたいと思います。 特に過疎現象につきましては深刻かつ範囲の広範の度を非常に速めておりまして、いま社会的な非常な問題になっております。こうしたときに、従来離島、辺地あるいは山村等の区分で部分的に公共的設備等の整備が行なわれてきた。それをこの立法によって合理的に社会資本の効率化、健全な市町村の自治を育成していこう、こういう立法精神で発足したと聞いております。自治省が事務次官名で都道府県知事に通知をした五月十五日付の通知がございますけれども、この中で過疎地域の振興計画策定、そしてまた市町村の過疎地域振興計画、これを定めることを指示いたしております。この振興方針のほうは六月二十日までに内部協議を終わり、市町村計画、都道府県計画については七月末までに策定をする方針になっているというふうに私は理解をいたしておりますが、この緊急措置法の制定によりましてこうした各都道府県、市町村から出てまいります過疎対策に対するニードについて、これから私たちはどれだけ期待ができるものか。ことにいま私が問題といたしております老人対策について、老人の福祉施設の建設等につきましては過疎債という点ばかりではなく、この法の精神の一つ、最重要点として老人問題をどのように取り上げ、この過疎緊急措置法で救済できるものか、その点について一点お伺いしたいと思います。
○佐々木説明員 先般の過疎地域対策緊急措置法の規定に基づきまして、現在各都道府県並びに市町村がそれぞれ過疎地域振興方針並びに過疎地域振興計画の策定を行なっておるのでございますが、本年度、法律制定後まだ日が浅いために、これらの計画の策定がややおくれておるような感じでございます。ただ、私どもがいまそれぞれでき上がってきております部分から逐次事業計画等についてヒヤリングを行なっております。大体今月一ぱいくらいにヒヤリングは終了できるのではないだろうかというような感じがいたしております。これらの計画に基づきまして、その計画に掲げられました事業につきましては、主として過疎債をもってこれらの事業の所要財源をまかなうわけであります。それ以外にも、ただいま御指摘ございましたような老人福祉施設等につきましては、国庫補助もあるわけでございます。それらの国庫補助も期待をしながら、同時に地方負担分につきましては過疎債をもってまかなう、こういうたてまえにいたしておるわけでございます。ただ、この過疎地域の振興計画実施は、それぞれの地方団体のいわば自主的な計画でございます。私どもがこれこれの事業についてどれだけの事業量を実施しろということは、別に指示もいたしておりません。あくまで地元の必要に応じましてそれぞれの計画に盛って、その必要な財源を私どものほうに要求してくるというようなたてまえでございます。したがいまして、本年度どれだけの老人福祉対策が行なわれるかということは、それぞれの地方団体からの要求が出そろってみませんとまだ数字が確定できないのでございます。ただ、傾向として、いままで出てきたものからいいますと、特別養護老人ホームといったようなもの、それから老人の集会施設といったようなものが、要求としては老人施設の中で比較的多いのではないか、こういう感じがいたしております。
○古川(雅)委員 老人問題を抜きにして過疎対策というものは考えられないと思います。そういった点で、都道府県あるいは市町村からの計画に基づいて、その上に立ってこの法の施行を行なっていくという御答弁でございましたけれども、おそらく各都道府県、市町村、そういった地域からはこの老人施設の問題、あるいは先ほど議論のありました辺地における医療確保の問題について、いわゆる財源を伴った相当の要求があると思います。この緊急措置法を通してどれだけその地元の要望にこたえていけるか、それだけのものをこの措置法にわれわれは期待してもいいのか、その点をお伺いしたかったわけでございます。この点いかがでございますか。
○佐々木説明員 現在、過疎地域に対する財源措置は、一般的には地方交付税の配分を通じまして一般財源の配分を重点的に行なっておりますと同時に、それぞれの地方団体において特に必要な施設について過疎債をもって充当していくというような方針をとっております。したがいまして、これらの事業につきまして十分な財源措置ができるかどうか、その点はそれぞれの地方団体の計画というものもにらみ合わせなければならないわけでございますが、同時に過疎債のみならず、交付税等の財源措置もはたして適切であったかどうかという点もあわせて検討する必要があるだろう。ただ、御指摘ございますように、これからの地域政策の中で特に過疎対策事業というものは私どもも重点的な事業として考えていかなければならないものでございます。でき得る限り地元の要請にこたえるように、また地元が考えております事業が十分できますような体制で私どもも財源措置を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○古川(雅)委員 厚生大臣にお伺いいたしますが、いま農林省と自治省に過疎地域の老人対策についてお伺いをいたしました。お聞きのとおりでございます。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 大臣もこうした過疎地域における老人の生活のありさまについてはよく御存じだと思いますが、国民のごく一部を除いて、老後の生活については非常に不安がございます。しかも寿命が延びれば延びるほど生活の苦悩が深刻化している、それが延長しているというのが実情でございまして、特に老人対策が今日どうしても都市部あるいはその近郊部に偏重されているのではないかという傾向を認めるわけでございますが、この過疎地域対策緊急措置法に示されております自治省の認めた七百七十六の市町村、この過疎地域に対しましてそうした地域の老人対策、ことに老人ホーム等の福祉施設の実情についてこれまで調査をなさり、あるいは今後の対策についてお考えであったかどうか、その点からまずお伺いしてまいりたいと思います。
○内田国務大臣 お尋ねの点につきましては、私は、二つの要素が複合する問題で、その二つの要素を取り合わせて十分な対策を考えるべきだと常に思っております。その一つは、申すまでもなく過疎地域に残されている方々は老人が非常に多くなってきている、こういうことでございまして、老人対策の中でも、過疎地域の問題とそれから老齢者問題との交わる点を見出していくべきだ。平易に申しますと、老人問題は過疎地域においては一そう重要な課題だ、こういうことであります。 もう一つは、これは私は常々述べているところでございますが、これから日本の老齢者の絶対数の比率もこの十年、十五年の間に量的にはふえ続ける傾向をとっていること。しかも質的には、いままで家庭の中で吸収され処理されておった老人福祉対策というものが、社会の外に投げ出されて、社会福祉対策という点で取り上げなければならないような、そういう社会情勢が非常に濃厚になってきた、質的にも老人問題というのは重要性を帯びてきた。このことは過疎地域たると、あるいは人口の集中地域たると同じでありまして、したがって過疎地域につきましてはこの両面からこの問題と取り組んでいくべきだということを常に考えております。 しかるに、従来はそのとおりになっていたかというと、必ずしもなっておらないように思います。たとえば特別養護老人ホームなどでも、ある府県におきましては過疎地域にはないところがある。そういうところが埋められておりませんでしたが、本年度予算等でそういうことを埋めるばかりでなしに、今後老齢者対策を全面的な重点施策の一つに考えます際に、さらにいまの過疎地域のことについては私は思いを寄せてまいりたい、こういうつもりでおります。
○古川(雅)委員 社会局長にお伺いしたいのですが、いま自治省で過疎地域を指定しているわけでございますが、特にこういった点をピックアップしてこうした地域の老人対策、老人施設の実情、生活の実態というものをお調べになったことがございますか。また、今後お調べになる計画がございますか。
○伊部説明員 老人関係につきましては、実態調査を本年も実施をいたしますので、その機会に過疎地域の状況もつとめてわかるよう努力いたしたいと思います。
○古川(雅)委員 いままでないということでございますね。
○伊部説明員 特に過疎地域をまとめて調べたものはございません。
○古川(雅)委員 先ほど来申し上げておりますとおり、実情が非常に深刻でございますので、こういう点特に重点的に調査を進めていただきたいと思います。 そちらからいただきました老人ホーム施設の、実態についての表がここにあるわけでございます。絶対数が非常に足りないということも一つ問題でございます。定員総数から見ても日本全国でたったの七万人、これはもう前々から問題になっているところでありますが、特に特別養護老人ホーム、いま大臣のお話の中にもございましたが、過疎地域で、ないところがあるどころじゃないわけですね。県で、ないところがたくさんあるわけです。たとえば秋田、一つもございません。それから山梨、鳥取、こういったところには一カ所もございません。今後あるいは来年度、こういうところにも早急に特別養護老人ホームをつくっていくという計画をお持ちですか。全然ないのです。あるいは、一カ所というところがたくさんございます。これはそちらの資料でございますからよく御存じのとおりだと思います。県で一カ所というところがたくさんあるわけです。また軽費老人ホームにつきましても、ないところがたくさんございます。これはもう特養どころではないわけです。一々あげるのもたいへんですが、岩手、秋田、山形、福島、千葉、富山、福井、山梨、長野、三重、滋賀、京都、奈良にもございません。島根、広島にもないですね。山口、徳島、香川、愛媛、福岡、長崎、熊本。ほとんどないということです。こうした施設の実態であります。まして、先ほど申し上げましたとおり、こうした施設がどうしても都市に集中する、あるいはその近郊に設置されている。お年寄りだけでほんとうに心細い、不安な生活を送っている。過疎地帯における施設の問題なんというのは、遠い話になってしまう。こういった点から考えても、施設の増設、あるいは先ほど来申し上げております過疎地帯の老人ホームの設置、そういった点について相当強力な、相当積極的な方針を打ち出し、来年度の予算に何らかの形でそれを盛り込んでいかなければいけない、これは非常な急務であると思うのです。局長、いかがでございますか。
○伊部説明員 老人福祉施設、なかんずく特別養護老人ホームにつきまして、先生御指摘のとおり、絶対数が非常に不足いたしております。したがいまして、全体として今後急速に整備をはからねばならないということを考えておるのでございますが、その際、もとよりニードの高い地域、たとえばただいま御指摘のような過疎地域につきましては優先的に整備をはからなければならないということを考えておるのでございます。特別養護老人ホームにつきましては、秋田、山梨、鳥取が現在一カ所もないのでございますが、本年度の補助金の交付に際しまして、これらの三県とも一カ所ずつ割り当てておりますので、明年に入りますれば実際に動き出すようになると思います。しかし総量をふやしますとともに、さらにこの地域間のアンバランス、あるいはニードの高いところに重点を置いていくということについては御指摘のとおりでございまして、社会福祉全体の整備につきましてただいま、大臣の御指示もありまして、いろいろ事務的に検討いたしておる段階でございますが、その際十分そういう問題を考慮してまいりたいと考える次第でございます。
○古川(雅)委員 こうした老人ホームの増設の推移につきましては、これもそちらから資料をいただいております。年々増設の数が非常に少ない、これではとても追いつかないというのが現状であります。特に過疎地域におきましては、これはその公共団体の財源の窮迫も異常なものがございまして、たとえささやかなものでも設置をしたいと考えましても、これは財源的に許されないわけであります。そういったときに特に、社会福祉施設に対する措置費の国庫負担金の交付基準が問題になっているのであります。この基準が非常に現実に即さない、非常に低いものである。このことが一そう地方財政を苦しめている。そうした過疎地帯の市町村の財政を苦しいものにしているこの基準の増額について、現在御検討なさっているか、どういうふうになっているのか、ひとつお伺いしたいと思います。
○伊部説明員 社会福祉施設につきましては、二分の一の国庫補助ということが法律上定められておるのでございますが、御指摘のように、単価は十分ではないのでございます。本年度におきましても、七%ないし一〇%程度の引き上げをそれぞれ実施いたしておりますが、今後とも実情に見合うよう改善に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○古川(雅)委員 大臣にお伺いいたしますが、この国庫負担金の交付基準でございますけれども、これは、いま局長がお認めになったとおり非常に現実に即さない低いものであります。わずかずつの引き上げではもう間に合わない。これは大幅な増額を何とか来年度の予算に示していただきたいと思うのでございますが、いま局長のおっしゃった、適正な基準の引き上げというと、どのくらいにお考えになっていらっしゃいますか。
○伊部説明員 事務的にただいまいろいろ検討いたしておる段階でございますので、この時点で数字を申し上げるところまで煮詰まっておらないわけでございますが、公立のみならず、民間施設につきましても、補助単価が低いことはきわめて重要な問題でございますので、ぜひこれの改善には引き続き努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○古川(雅)委員 ここで問題になるのは、この基準の設定にあたって、厚生省の指示するとおりのものをつくっていればそう低くないのだ、ぜいたくなものをつくろうと思うから低いという不満が出るのだ、そういう思想がどうもあるのじゃないか。地方の市町村等におきましては、いつもそうした壁にぶつかってこの基準の低さを嘆いているわけでありますが、この点いかがでございますか。
○伊部説明員 社会福祉施設でございますので、非常にぜいたくなものが適当であるということはいえないと思いますが、しかし、老人の方々が日常生活を楽しく、かつ、安全に過ごせるような建物はぜひ必要でございます。そういう意味におきまして、こういう単価内においてまかなわねばならぬというふうに考えているわけではございませんので、やはり非常に各地方の要望が強い、しかもいろいろな、予算その他の制約もあるということから、やむを得ずこうなっておるわけでございますが、今後ともぜひ改善に努力したいと考えておる次第でございます。
○古川(雅)委員 大臣、いまの局長の御答弁をお聞きになったと思います。大臣もはっきりお約束をいただけますか。
○内田国務大臣 私はできるだけ努力をいたしたいと思います。 実は、私は、就任後、若干の、老人福祉施設ばかりでなしに社会福祉施設を視察をいたしました機会がございますが、これは、もともと、大体社会の谷間に置かれざるを得ないようなお気の毒な方々のための施設でございますので、りっぱで、近代的で、いいものを見ますと、私どももほんとうに心が明るくなったような気持ちがいたしました。それに反しまして、非常に貧弱な施設を見ますとやはり心が痛みます。ああいう社会福祉施設というものは、よければよいほど、お互い、国民あるいは国家のヒューマニズムのあらわれがそこにしみ出しているような気持ちがいたしますので、私は、できますならば国庫も補助率を高くすると同時に、地方公共団体並びに国民の皆さま方についても、できるだけ御理解と御協力を得て、りっぱないいものをつくって差し上げたいと思います。 しかし、御承知のとおり、厚生省の予算が一兆一千億をこえておりましても、なかなかこれが、やはり社会福祉省としての方面の支出と、健康保険省――医療保険などをも含めましたそういう方面の支出と両面がございまして、それぞれの面が、独立した省のごとく一兆以上の予算でも何とかして得られないか、こういう気さえいたすわけでありまして、どれだけ社会福祉あるいは保健衛生の方面に予算がいただけるかということと、どういう事柄に重点を置くかということにもかかっておりますので、私の気持ちがそのまま、これが直ちに実現するかどうか、私もそこは非常に苦慮していますが、大臣としての私の気持ちは右のとおりでございます。
○古川(雅)委員 施設をずっとごらんになったということでありますが、大臣がはたして、いわゆる過疎地帯のお年寄りの生活の実態についてどのくらい御存じであるか、私は少々疑問に思う次第でございます。こうした地帯については、ほんとうにむざんというか非常に悲惨な状態でありまして、いまお伺いをいたしました交付基準の増額どころか、むしろ全額をもってこうした地域に早く施設を国がつくってあげるべきだと私は思う次第でございます。 さらに、こうした過疎地域のお年寄りが、働けるうちはいいのでありますが、一たん健康をそこないますと、いわゆる寝たきり老人としてさらにわびしい生活にたえなければならないということになってくるわけでありますが、ここでまた一つ問題になりますのが、いわゆる家庭奉仕員についてであります。 これは、いまさら申し上げるまでもありませんが、これは基準として、こうした奉仕員に対する給与が、昨年度は一人一万九千二百円、今年度多少増額になりまして、これは物価上昇分をカバーするにも満たない額でありますが、二万一千二百円。この三分の一を国、県が三分の一、市町村が三分の一というふうに負担をしているというふうに伺っております。このとおりでございますか。
○伊部説明員 そのとおりでございます。
○古川(雅)委員 ところが、これは、予算上は大体六千百人国が認めているわけでありますが、その充足率は八〇%であるというふうにお伺いをいたしました。ことに、こうした過疎地帯で、家庭に寝たきりのお年寄りをお世話する家庭奉仕員に対しましては、こうした非常に安い給与では、第一、人が集まらない、これが一番の悩みであります。やむを得ず、この国が一応基準を示しました二万一千二百円に、市町村で出費をしてこれにプラスアルファの給与を加えて、そして、やっとどうにか奉仕員に、少ないながら給与を支払っているという現状を、あちらこちらで聞いてまいりました。これがまた、地方公共団体のたいへんな財政の負担になっております。こういった現実について、どのようにお考えになりますか。
○伊部説明員 寝たきり老人対策といたしまして家庭奉仕員制度を設けたのでございますが、たいへん困難な仕事の中で非常によくやっていただいておると思うのでございますが、先生御指摘のように、数におきましても、あるいはその給与におきましても、まだまだ十分であるとは考えておらないのでございまして、老人対策の重要な一環といたしまして、老人対策につきましては施設の整備ももとよりでございますが、さらに在宅の方々に対しまして有効適切な方法、手段を講ずる必要があるのでございまして、その一つといたしまして家庭奉仕員の方々の待遇の改善あるいは研修の強化、そういう点一そう努力をいたしたいと考える次第でございます。
○古川(雅)委員 これは厚生白書によりましても、寝たきり老人は大体四十万人と推定されておるわけであります。その四十万人のお年寄りに対して、家庭奉仕員が六千百人、しかもその八〇%ですから四千八百人しかいない。しかも、地方にあっては、その奉仕員のなり手がない。よく新聞等で悲惨な報道がされるわけでありますが、こうした僻地等において、お年寄りがなくなって半月も一月もわからなかったというような実情も非常に最近ふえてきておるわけであります。この家庭奉仕員の充足、そしてその待遇については、これは真剣に考えていただかなければならない。この二万一千二百円ではどうしようもない。実際問題としては三万ないし三万五千円くらいにして支払っているという、そういう実情を幾つか聞いております。これはもう検討をするとか考えるとかという問題じゃなくて、来年からどこまで一体引き上げられるのか、事務的なまだ検討の段階というようなことじゃないと思うのでございますけれども、どのようにお考えでございますか。
○伊部説明員 明年度予算はただいま編成の最中でございまして、まだ数字的なことを申し上げるところまで煮詰まっておらないのでございますが、いずれにいたしましても明年度この単価改善ということにつきましては、できるだけ厚生省としても強力に努力をするということを申し上げたいと思います。
○古川(雅)委員 大臣は先ほどから厚生省の予算云々ということをおっしゃっておりますが、どうかこうした過疎地域の悲惨な老人の生活の実態をひとつよく今後お考えいただきまして、あわせて、自衛隊の戦闘機一機幾らするかという点も考え合わせられまして強力に予算要求をし、こうした老人対策について十歩も二十歩も万歩も前進をした財政措置が来年度こそできるように、ひとつぜひ御尽力いただきたいと思います。あわせてこうした僻地、過疎地域における医療の実態につきましては、先ほど小林委員の質疑を私もそばで聞かせていただきまして、これも深刻な問題であります。これは過疎地域における老人問題とあわせて、どうしても早急に解決しなければならない重大問題であると思います。これから各省、文部、自治、厚生と折衝をしてというような先ほどの御答弁でございましたが、これは緊急事項としてひとつ早急に方向を示していただきたい。今年度の予算におきまして患者輸送車等若干の予算が計上されておりますが、こういった点について自信を持っていらっしゃるのであれば、さらに来年度これを大幅に増強して、そしてこうした過疎地域の、特に老人の医療の需要に対して十分こたえていただけるように、ひとつ措置をしていただきたいと思います。 最後に大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
○内田国務大臣 予算につきましては極力努力する所存でおります。
○伊東委員長代理 田畑君。
○田畑委員 私、厚生大臣に、先ほどの小林議員の質問に関連して、医者の養成の問題教育の問題等についてお尋ねをしたいと思うのです。 先ほどの質疑応答を聞いておりましても、自治大臣が旅先でこうしゃべる、また厚生大臣が北海道へ行ってこういう話をされる、そうするとまた文部大臣がそれに反対をする。旅先に行くと気やすい気持ちになるので、あのように同じ内閣の閣僚でありながらばらばらの話が出るのか、国民の側からいうとまことに迷惑な感じがするわけです。文部省は教育の立場から医学教育の問題を見ておるわけでありますが、しかし厚生大臣としては医療行政の立場で、直接国民の生命と健康について責任を持っておいでになるわけです。秋田自治相の旅先の話については、私はいろいろな点から論駁されておるから取り上げる気持ちはございませんが、厚生大臣がお話しになるようなことは、医療行政の最高責任者であるだけに、国民としては非常に大事な発言であるし、そうしてまたその実現を期待するわけであります。厚生大臣としましては、この北海道談話の内容について、四十六年度からどのように具体化していこうという御方針であるか、これをまずひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。先ほど大臣としては年間の医者の養成を将来は六千名程度に引き上げていきたい、昭和四十五年の定員は四千三百八十名でございますが、これを年六千名ずつ養成するということになれば、どういう計画でこれを達成するか、こういうことなどほぼ厚生大臣としては構想をお持ちだろうと思いますが、ひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
○内田国務大臣 北海道に参りましたときに私が述べました、国立病院あるいは公立病院等を医科大学の教育病院として提供することが医者の養成施設を拡充する方法としては最も現実的であるという考え方は、私があの際突如として思いついたものではございません。すでにそれに先立ちまして、同じような考え方を事務的には厚生省の当局から文部省の当局にもサゼストいたしまして、文部省の協力のもとに医師の養成の数をふやしてまいることが、今日の医者の絶対的あるいは相対的な不足の情勢に対処する道である、こういうことを私どもは前から考えておったものでございます。ただ当時秋田自治大臣からも表明をせられました、ことばは悪うございますが、程度を落とした医者の養成、特定医、二級医というものの養成につきましては、厚生省といたしまして、今日医療が非常に進歩をいたし、専門化いたし、その教育のためには基礎教育から相当の充実した教育にまたなければならない事態のもとにおきましては、秋田構想というものは適当ではないということも私どもは考えておりましたので、したがってあのときに私が述べました方法によって、現在の学校教育法が要求しておる医師の養成方法というものをそのまま実現を容易にするたてまえとしてはあれが一番いいということを考え、また現在も考えておるものでございます。このことにつきましては、今日文部省と私どものほうとも折衝し、さらにまた自治省のほうとも、事務的にもまた私が自治大臣とも接触をいたしまして打ち合わせ中でございます。文部省のほうで私どもの考えについては必ずしも反対の意向ではないようにも報告を受けておりますので、さらにこれを実現可能なものにするためには、いろいろ補足すべきものもあると思いますので、何とか私は、私どもの構想によりまして、文部省と協力して、医師の養成増員をはかってまいりたいと思います。 増員の幅につきましては、先ほども触れましたが、昭和六十年、いまから十五年後におきまして、人口十万当たり百五十人くらいの医師が必要である、こういうことを想定せられておりますので、それから計算をいたしてまいりますと、今日の医師の入学定員四千数百人というものをさらに千数百人医学部の増設なりあるいは医科大学の新設なりによってふやすような体制を――これは毎年同じ幅でふやすということでもないでしょうが――考えないと、六十年の数字を実現することができない、こういう考え方でおるものでございます。
○田畑委員 私が大臣に希望し、また同時にお尋ねしておることは、大臣の構想自体についていいとか悪いとか申しておるわけじゃありません。いなむしろ私は、大臣の構想は、医療行政の最高責任者として、現状に即して、むしろ実際的な医者確保の一つの道であるとすら考えておるわけです。ただ問題は、そのような大事な問題について、旅先でぱっぱっと構想を打ち上げる。そのような重要な問題については、厚生省の事務当局だけでなくして、文部省ともあるいは文部大臣ともあらかじめ少なくとも話し合いを進めて、相当程度に責任のある将来の教育構想である、私はこういう時点に立って大臣が発言されるならばわかるのです。大臣のお話のように、付属病院設置の条件をはずして、医大の新設、医学部の新設をやる。学生の臨床研修は国公立病院や赤十字病院等でやってもらう。これ自体の構想は私はけっこうだと思うのです。私はむしろ、文部省もそれくらいの弾力的な姿勢で臨まなければ、先ほど小林議員が文部省を強く非難したようなことになると思うのです。それだけ具体的な構想があるならば、やはり文部省や文部大臣とも話し合いをされて、四十六年度予算編成を間近に控えておるならば、年度計画でこれを遂行していく、私はこういう具体的な成案があってあの発言、そして権威ある発言、このようになると思うのです。この点について、秋田自治大臣の発言、これは私は非難するほどの値打ちのある内容でないと思うのです。問題は、自治大臣として、府県知事や市町村長、あるいは地方自治体から強い僻地医療対策を求められておる。僻地医療をどうするか、こういう切実な問題から、自治大臣はああいう安上がりの医学教育を発言したまでだと思いますが、問題はやはり、それを受けて具体的な国民のための医療行政をやるのは、厚生大臣。そういうことになってきますと私は、旅先における札幌談話というものは、これは重要な内容であるし、来年から当然私は実現に踏み出すものであると考えておりますが、そのように期待してよろしいかどうか、この点をお尋ねしているわけです。
○内田国務大臣 北海道談話というものは、先ほども述べましたように、実は突如として出たものではございませんで、かねて厚生省の潜在的な構想でございます。北海道というところは御承知のように過疎地帯が多うございまして、総体的には非常に医者が不足しておって、それを何とかしてもらわなければならないというお考えの方々が、私に新聞記者団を通じましていろいろな御質問がございましたし、時あたかもその直前に自治大臣構想というようなものが語られておりましたので、厚生大臣それをいかに受けとめるかということも含んでのお尋ねでございました。それに対して私が、何らの構想なし、こういうことを国民に述べることも適切でないと考えましたので、私の願望をも含めまして所信を述べた、こういうわけでございます。このことはあれで終わっているわけではございませんで、私の談話以前から引き続きまして、また今日も続きまして文部省と打ち合わせをいたしております。これは私と文部省と話せば済むものでございまして、外に向かってどうこうと言うべきことではございませんが、ここに文部省の局長もおりますが、文部省のほうにおきましても私どもの構想を受け入れていただくことが、今日の医師不足に対応して医師の養成を円滑にする道だと受けとめて御協力をいただきたい、こういうふうに考え、私は来年の予算などにつきましても、その線に沿っての措置が講ぜられるように努力をいたす覚悟でおります。
○田畑委員 これは文部省の局長にお尋ねしますが、先ほど、文部省の態度あるいは方針というもの、医学教育に対する姿勢というものが、あなたの答弁を聞いて一応わかりました。しかし、もっと医者不足の深刻な事態ということを考えてみるならば、私は厚生大臣の発表された医学教育の構想などは、これは文部省としても十分検討し、これが実現に協力することが、医療行政の前進のために文部省としてもとるべき措置、態度ではないのか、こういう感じを持つわけです。あなたの先ほどのお話を承っておりますと、定員が百人未満のところをとりあえず百名にしていきたい。一体、それによってどれくらい医者の増員というものが期待できるのか。また、あなたの先ほどのお話を聞いておりますと、国の機構であるとかいろんな機関の増設については、国全体の方針として押える現状にあるので云々というようなお話がありましたが、四十五年度にすでに秋田大学において医学部の新設もなされておるわけですね。この間の国会において、そのような法律の改正もなされているわけです。やはりこの際、学部の増設なりあるいは医科大学の新設等については、国民医療の需要という観点に立って、文部省としてももっと前向きにこれは取り組むべき問題であると考えますが、大臣の意向をあなた御存じと思うが、文部省としては来年度予算編成にあたってどのように対処されるのか、これをもう一度ひとつ承りたいと思うのです。
○村山説明員 医師が不足であって、その養成をふやすべきであるということにつきましては、先ほども申し上げましたように、文部省ではその数量的な見通しが必ずしもはっきりしない時点から、すでに八年来増員につとめてまいっております。昭和三十七年以降今日まで、全体で千五百四十名の入学定員をふやしております。その大部分は、既設の百名未満の大学において、入学定員を百名までの間で教員組織、施設設備の増強とにらみ合わせながらふやしてまいったわけであります。それが約千三百人程度であります。今年度初めて医科大学、医学部の新設に踏み切りました。それで国立一つ、それから私立三つをつくりました。累計で千五百四十名になっておるわけであります。 今後もまず第一段階の問題としては、医師が不足であるという認識は引き続き持っておりますので、そういう方法を続けたいと思います。と申しますのは、医師の不足は深刻でありましても、これが養成ということは、医師というのは非常にむずかしい専門職業でありますゆえに、拙速ということは避けなければならないと思います。とすれば、やはり新設よりも既設の大学で拡充の余地があるならばそちらのほうで拡充するというほうが、質的な面においての信頼感というのはやや立ちまさるのではないかという感じでございます。そこで、現在まだ百名に満たない大学の入学定員を累計いたしますと、六百名程度ございます。それをまず第一段階にやってまいりたい。 それの次に、あるいはそれと並行して新設の問題が起こり得るわけであります。新設の問題につきましても、前向きで対処いたしたいと思いますし、また新設を進める場合の一番大きな負担といたしまして、付属病院の問題がございます。付属病院の負担を軽くし得るならば新設も容易になる。増募もまた容易になるわけであります。現在医学教育基準で、入学定員に応じまして付属病院の規模などもきまっておりまして、現在の百人をさらにふやすためには、病床数の規模もふやさなければなりません。そこで、付属病院以外に市中病院の教育研究所を活用し得るならば、付属病院の負担を現在以上にふやさず、場合によっては軽減し得るのではないかということで厚生省とも御相談いたしております。大筋におきまして、厚生省と関連病院の点でさして食い違いがないというのはその点でございます。 ただ、文部省としましては、現時点で直ちに付属病院なしで医学部がつくれるかどうかについてはたいへん疑問を持っておりまして、この問題は相当慎重な、関係者も含めました議論が必要なのではなかろうかと思っております。 しかし、少なくとも現在のわが国では大学の付属病院において、学部教育に一〇〇%、卒業研修についても八、九割の部分を付属病院でやっておるわけであります。諸外国においてはむしろ卒業研修は大学病院以外のほうにウエートがかかっておりますし、学部の臨床教育についてもその一部を市中病院でやっておるという実情がございます。ただ、現状においてわが国で、事実上大学病院で学部教育はもちろん、卒業研修までやっておるということは、やはり市中病院において教育研究の点で学生なり卒業生の研修を引き受けるだけの条件が整っておらなかったのではないかという点に大きな理由があるわけであります。厚生省におかれまして、教育関連病院として市中病院を整備されるということはたいへんけっこうなことでありますし、文部省としても、ぜひそうやっていただいて、大学の付属病院の負担を軽減できればたいへんけっこうだと思います。 そういう施策と関連いたしまして、増募の問題につきましてもなお前向きで取り組みますし、それから新設というような場合には、厚生省、文部省、自治省、大蔵省、いろいろと関連するところが多うございますので、これまた前向きに取り組みまして、できるだけ医師の需要の増加に対応する医学教育の拡充をやってまいりたい、かように思っておる次第であります。
○田畑委員 いま文部省のお話を聞いておりますと、とにかく既存の大学の定員を百名に持っていくだけでも六百名の増員の余地があるということでありますが、そのために大学病院の施設の充実その他予算措置が必要になってくるわけであります。この点については、ひとつ内閣全体として年度計画によってこれが実現できるように厚生大臣としても御努力願いたいと思うのです。 また、いまの答弁の中でもありましたように、卒後の研修あるいは大学における臨床研修等についてもっと一般の病院を利用したらどうか、こういう問題でありますが、その点において、大学病院に限らず国公立病院で研修を進めていくという厚生大臣の構想は、私は非常にけっこうなことだと思うのです。そのことによって、私正確には記憶しておりませんが、たとえば大学の医局には相当のお医者さんが滞留しておるわけです。二万名にわたるのじゃないかと記憶しておりますが、そういう問題についても解消と申しましょうか、解決されることにもなるわけであります。ただ問題は、見ておりますと、大学と地方の病院というものは、人事の関係で非常につながりが深いわけです。いわばどこの病院はどこの大学の系列、どこの大学から派遣されたお医者さん、こういういわば身分的な、封建的な人事の支配関係が大学と地方の病院にはあるわけでありますが、こういう困難な問題を乗り越えていかなければ厚生大臣の構想は実現せぬわけであります。先ほどのお話を承りますと、この構想は厚生省内部では今日まで相当時間をかけて検討してきておる、こういうお話でございますが、いま私の申し上げたような諸点について、医務局長からこのような隘路について厚生省としては乗り切るだけの自信があるのかどうか、承りたいと思います。
○松尾説明員 従来、大学と特定の病院との間の非常な教室閥的あるいは大学閥的なつながりというものがございまして、そのためにそういうものが隘路になって、厚生大臣の構想しておる教育病院というものの機能が十分にできないのであります。私どもも、まさに御指摘のような問題は、当然私たちの全力をあげまして、また各方面の御協力をいただきながら突破すべき問題であるというふうに考えております。幸いにいたしまして最近そういう学部、いろいろな教育サイドに従事しておられる方々、あるいはまたみずから教育病院になってもいいような病院におられるような方々の意見、いろいろと意見もございますけれども、いま先生が御指摘のような方向に大いにお互いの壁を破りましていくべきである。したがいまして大学側は、極端に申し上げれば大学を中心とした関連病院という言い方をいたしますけれども、その中にはいま御指摘のようなにおいがなしともいたしません。しかし、病院側のほうは、むしろ病院が幾つかの大学を教育的に機能させるのだ、関連をするのだという気持ちも最近非常に濃厚に出ております。私どもは、そういういまいろいろに動きつつあります空気を十分に育てながら、御指摘のような点は、人事の交流面において十分勘案してまいらなければならぬと考えます。また同時に、言うまでもないことでございますが、そういうことが十分にできますためには、その教育病院たるものがより内容を充実いたしまして、そういう交流を容易にするような道も整備しなければならぬと考えております。
○田畑委員 医者の不足というのがいろいろな角度から論議されるわけでございますが、先ほど申し上げたように、私は秋田自治大臣の構想というのは、僻地医療対策というものがとにかくなっていない僻地における医者の定着なり確保というもかできないというところに問題があると思うのです。この僻地医療対策について、厚生省としては、四十六年度の予算措置で何かいままでよりも一歩新しい措置をとる具体策をお持ちなのかどうか、これを明らかにしてもらいたい。
○松尾説明員 僻地の医療確保の問題が最も困難な、また私どもの努力の一番やらなければならない問題でございます。従来から、先生も御承知のとおり、単に医者をそこに定着させればいいというだけのものではなくて、通信、交通というようなものの開発に着目いたしまして、大いに機動力あるいはそういったものを活用しながら、単なる医師の確保ではなくて、医療の確保に資したい、こういうことで、三十一年以来、内容につきまして多少ウエートの変更はございますけれども、そういう方向で整備をしてまいっております。この方向は今後のいわゆる僻地といわれているところのいろいろな環境条件が、ただいま申しましたような交通面その他においても逐次開発されてくるという期待もございますので、この線は一応このままで通してまいりたい、強化してまいりたい、こう考えております。しかしながら、さらにこういうものを総合いたしまして、もう少しきめのこまかい対策を立てるべきではなかろうか。ただいま予算編成の調整中でございまして、最終的な構想についてはまだ申し上げる段階ではございませんが、私どものいまの考えといたしましては、僻地の無医地区を含みまして、それに一定の広域と申しますか、一つの圏というものを想定いたしたい。その中には親元病院をはじめといたしますいろいろ活用すべき保健資源というものが含まれる、こういうところをひとつ大きくセットをいたしたい。それでその親元病院のみならず、その地区における診療所の方々、そういった方々も一致協力いたしまして、組織的にその圏内にある僻地の医療というものにみんなで協力をして手を伸ばしてまいりたい、こういうものを第一次的につくりたいと考えております。 同時に、その場合に大いに機動力を活用すべく整備をする必要があることはもちろんでございますが、一面また僻地におられる方々の健康管理ということもきわめて重要な問題でございます。たとえば精密検診というような機会を必ずつくりまして、その結果が親元病院等にも十分に保存され、いかなる場合でもその患者さんが過去において一体どのような状態にあったかということが直ちにわかるという組織も展開したいと考えております。できますならば、そういう僻地に医療のための連絡所といったものも設置いたしまして、そこに、もし得られるならば、保健婦の設置ということも考えて、急患等に際しましては、直ちにそこから親元病院なりそういうところに連絡する。ただいま申しましたようなその地区の保健資源もあらかじめ整備した方法によって活用して、何とかそこに健康管理とともにより一歩前身した体制をつくってみたいものだ。この辺が一つの考え方でございますが、なお細部につきましては、ただいま折衝中でございまして、その程度のことしか申し上げられません。
○田畑委員 結局いままでの方針をさらに踏襲するということにすぎないですね。いまの局長のお話を聞いておると、僻地医療対策の第一次計画とか第二次計画、第三次計画をいまやっておるわけでありますが、内容は、患者の輸送車であるとか巡回診療車の整備の問題であるとか、親病院を強化して医療団をつくり、これを派遣するとか、結局こういうようなことが僻地の対策で、お医者さんをもっと適正な配置をするというようなことは、いまの自由開業医制度のもとにおいてはもうだめなんだ、できないんだ。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 もうあきらめの上に立っていまのような政策、行政を積み重ねていくだけなのかどうか封確かに、いまのようなやり方によって、健康診断であるとかあるいは僻地の患者の健康の確保の点にはそれなりの成功を期待できるかもしれぬが、交通の不便な、ことに積雪寒冷地帯等、冬は交通が途絶するような地帯については一体どうするのか、こういう問題、保険料は納めているけれども、医療給付が受けられないという現実の問題等について、私は、政府としても、厚生省としても、もっと積極的な手が打たれていいのじゃないか、考えてもいいのじゃないか、こういう感じがするわけです。これはまた保険局長に関係するわけでありますが、いま社会保障制度審議会、社会保険審議会等において医療保険制度の抜本改革をいろいろ検討しておりますが、その前提の問題として、医療機関の適正配置の問題であるとか医療担当者、医療従事者の確保の問題、これが前提問題として論議をされておるはずですね。だから、そういう点においては、単に僻地の問題は医務局の医務行政だけでなくて、当然保険局長の分野である保険の立場から見ても、いまの僻地の医療はこれでいいのかどうか、こういうことになってこようと思うのですね。この点どのようにお考えですか。
○松尾説明員 御指摘のとおり、私たちも現在皆保険体制において、いま例に出されておりましたような事例がありますときに、医療というものが行なえない、私どもはやはり大きな泣きどころだと自覚をいたしておるつもりであります。したがいまして、積雪等の場合におきましても雪上車、あるいはことしから新たにまた新規なものを導入してみましたけれども、そういうようなあらゆる手を考えて医療の確保に資したいということでございます。 しかし、根本的に医者をすべていろいろなところに張りつけていくということは、言うべくしていまの段階では非常に困難であると考えております。と申しますのは、一つは、先ほど来御指摘のように、日本全体としての医者が非常に足らないという問題がございます。それからまた、医療自体について、やはりなるべくいい医療というものを僻地の方でも希望しておられますので、そういったものに対応する方向というものも考えていかなければならぬ。その辺を考えますと、ただ張りつけていくということだけでは、現実問題、経済的な問題を含めまして非常にむずかしい問題でございます。私どもは、むしろただいまはなはだ陳腐のようではございますけれども、従来のそういうものをさらに総合的に強化をして医療自体を何とか確保する、よりよく確保するという方向に進みたいと考えておるわけでございます。
○戸澤説明員 お話のとおり、ただいま社会保障制度審議会、社会保険審議会におきまして抜本対策の御審議を願っているわけでありますが、いままでのところ、その関連問題としてお話しの医師等の医療従事者の確保の問題がいろいろと検討されてまいりました。このことは、保険の給付の均衡、負担の均衡ということを考える場合にも前提として解決されなければならない大きな問題であろうかと思います。基本的には医務局のほうでいろいろ対策をお考え願っておりますけれども、保険の立場からも点数その他におきまして、そういう医師の確保について協力できる面はできるだけ協力するように考えていきたいと思います。
○田畑委員 医務局長、僻地とか無医地区とかいろいろいわれておりますが、一体僻地だの無医地区というのは新しい統計でどれくらいになっておるんですか。またその定義ですね、内容の説明もあわせて御答弁ください。
○松尾説明員 私どもが使っております無医地区というものの定義は、はなはだきめのこまかいところからスタートをいたしておりまして、医療機関がない地区で、半径四キロ以内というところに五十人以上の人がおれば、それを一つの単位として一つの地区だというとり方をいたしております。 そういう行き方でまいりますと、全体で二千九百二十地区があるわけでございます。さらに対策をいろいろと講じますためには、それだけでは不十分でございます。たとえば人口集団あるいは交通の便、不便というものを中心にいたしながら、ABCの三つの地区に分けております。A地区というところは最も対策を急ぐべきところでございまして、たとえばもよりの医療機関まで徒歩で一時間半はかかる、そういうところ、あるいは公的な輸送機関も一日二往復しかない、こういうところを一応A地区といたしまして、これに最重点の施策を講ずる、こういうやり方をいたしております。それからこれに準じますのがB地区でございます。それから現在は無医地区でございましても、近い将来に、あるいはその条件から見て、いわゆる開業医の進出等が期待できるであろうというようなところはC地区というふうにいたしておるわけでございます。最も急ぐべきA地区というのがおそらく六百十三ほどあるわけでございます。
○田畑委員 この問題については、いろいろ文部省からの答弁もお聞きいたしましたが、このような厚生大臣としての構想、あるいは厚生省として長年研究し、検討した結果がこれだという考え方を打ち出された以上は、来年度の予算措置を通じ、これがほんとうに一歩を踏み出すような実現のための御努力をぜひひとつ願いたいと思うのです。 また、僻地医療対策等についても、ただ単に従前の方法を積み上げるだけでなくして、もっと情勢の変化に即しながら、この問題の解決に精一ぱい努力することを切に私は望みたいと思うのです。 そこで、私少し問題を変えますが、七月七日でございましたか、厚生大臣が社会保障制度審議会に出席され、戸澤保険局長も一緒においでになったようでありますが、医療保険制度の改正のうち、さしあたり実施すべき事項については緊急に検討していただき、四十六年度の実施に間に合うよう答申をお願いしたい、このように厚生大臣から強く要望されておりますが、早急に検討していただいて、さしあたり実施すべき事項というのは何を考えていらっしゃるのか。おそらく四十六年度から踏み出したい具体的な施策を意味すると思いますが、何を考えていらっしゃるのか、この点ひとつ御説明願いたいと思うのです。
○戸澤説明員 最近、大臣から社会保障制度審議会及び社会保険審議会におきまして、審議の促進について要請申し上げたわけでございます。これは両審議会とも、約一年近くにわたりまして、諮問の本論についての議論に入らずに、関連の問題についての検討をずっとされておりまして、それがほぼ終了いたしまして、これからいよいよ本論の御審議に入るという段階でございますので、この機会に一そうこの審議の促進方をお願いいたしたわけであります。 そういう状況でございますので、まだ来年度実施すべき事項について、何から着手するかというようなことを政府として具体的に考えてはおりません。八月の来年度の予算概算要求の段階に間に合うように答申をお願いしてあったのでありますが、そういうまだ本論の審議に入らずに結論が出ておりませんので、概算要求もできない、こういう状況でございます。今後、八月一ぱいということはむずかしいにしても、なるべく早い時期に当面実施すべき事項、着手すべき事項についての御答申は得られるものと考えておりますので、それに基づいて具体的な対策をきめていきたいというふうに考えているわけでございます。
○田畑委員 それはあなた方、無責任きわまる答弁だと思うのですよ。審議会のほうに行って早く答申を出してくれ、さしあたり実施すべき事項については、ひとつすみやかに出してくれ、それを受けて来年度の予算措置を講じたい、大臣は、この間の国会のこの委員会において、抜本改正については、八月をめどに答申をいただいて、そして来年から逐次解決に乗り出したい、こういう答えをしばしばなさっておられるわけですね。児童手当制度についてもそうでしょう。ところが、八月の今日になって、何から手をつけるかまだ考えていない、こういういまの局長の答弁、では何のためにあなた方は両審議会に行って、早く答申を出してくれ、さしあたり実施すべき事項についてもと、こう言っているのですか。その内容を説明してくれと私は求めている。大きなうそをついて今日まできたということになるじゃありませんか。大臣としてはどうお考えですか。
○戸澤説明員 大臣が、この機会に両審議会に御要請をされましたもう一つの実体的なものとしては、ことしの初めごろから医療費の増高が非常に目立ってきておりまして、この情勢で進んでまいりますと、保険財政はさらに一段と悪化することが考えられますので、そういう財政の逼迫というようなことも踏まえて、ひとつ来年度の抜本対策の実施を促進すべく御要請申し上げたわけでございます。私ども一部に伝えられておりますように、ただ財政対策を目的にした第三次の特例法とかそういうものは考えておりません。したがいまして、そういう財政の問題を解決するためにも、財政対策を含めた抜本対策についてぜひ来年度から着手をしたいというふうに考えているわけであります。 しからば、その内容はどういうことかと申しますと、あの昨年御諮問申し上げました諮問書に付して当局の試案というものを提出してございますが、この試案のうちの問題につきまして、私どもできるだけこの線に沿って、できるものから実施したいという考えはいまだに変わっておりませんので、私どもとしましては、あの試案に盛られました幾つかの問題を中心にぜひ審議をお願いしたいというふうに考えているわけでございます。
○田畑委員 各種保険の内容についてもお尋ねしたいのでございますけれども、時間の制約もありますから、私は政管健保だけについてお尋ねしますが、政管健保は、この間の国会においては、四十四年度の赤字見込みは十六億、こういう説明でございましたが、何ぼになっておりますか、実績は。
○戸澤説明員 最近、四十四年度の決算が出ましたが、それによりますと、三-八ベースでもって、お話しのとおり十六億の赤字見込みでございましたのが、決算の結果は五十六億の赤字になっております。
○田畑委員 いま局長の答弁にあったように、ことしになってから医療費が異常な増高を見ているわけです。三月の医療費は、前年同月に比べて二五%以上ふえている。四月、五月と同じような傾向が続いているわけです。あなた方としては、四十五年度については、単年度の赤字を三百七十八億くらいとこう見込んでいたようですが、おそらく今日の医療費の増高の足どりを見れば五百億になるであろう、四十五年度末には累積赤字が二千億前後になるであろう、こういうことのようですが、間違いございませんか。
○戸澤説明員 いまの医療費の増加の趨勢が今後も続くとすれば、大体お話しのような程度の見通しになろうかと思います。
○田畑委員 いま局長のお答えによれば、関係審議会に対して答申を早くしてくれと求めておる大きな原因は、この異常な保険財政の赤字の問題を中心に何らかの措置を講じなければならぬ、ただしかし、第三次健保特例法を出すようなわけには政治的にもまいらぬ、こういうことのようでございますが、もし答申が出ないということになってくれば、来年はこのままでいくわけですか。法律の改正その他等については何も手を染めないで、いまの法律運営でこのままやっていくわけですか、この点どうですか。
○戸澤説明員 その点、私どもも非常に憂慮しておるところでございまして、いましばらく医療費の動きをながめ、それからまた十月の定時改定によりまして春闘の結果による収入面の増加も明らかになってきますので、それらを見まして最終的に来年度の予算編成の態度をきめたいというふうに考えているわけでございます。来年度の予算が組めないほどの状況になればこれは何らかの対策を考えなければなりませんし、そのためにも財政対策を含めた抜本対策にぜひ来年度から手をつけたいというふうに考えまして、答申の一日も早くいただけることを期待しているわけでございます。
○田畑委員 私のお尋ねしておるのは、お聞きしますると、関係審議会ではようやく前提問題の検討が終わって、その分野についての報告を九月ごろ出すであろう、それ以降にようよう医療保険問題についての論議を深めていくと聞いているわけです。さすれば一体予算編成に間に合うような答申が期待できるかどうかというと、私、非常な疑問じゃないかと思うのですね。そういうような場合には一体どうするかということなんです。さしあたり実施すべき事項の内容については、なるほど試案の中にも一応出ておるわけでございまするが、もしそのように答申も間に合わぬ、予算編成の時期は来ておるというようなことになった場合、いまのような医療費の増高から、医療保険財政を何とかしなくてはならぬという立場に立って、またまた保険料率の引き上げであるとか、あるいは標準報酬の上限の引き上げであるとか、あるいはもう一度また薬の一部負担をやってみるとか、こういうことになりやせぬかなという感じを持つわけでありまするが、この点、厚生大臣、ひとつ大臣としてどういう見通しをお持ちなのか。いまの関係審議会の審議の進行状況を見ますると、厚生大臣がしばしばこの委員会で、八月ごろまでに答申を受けて四十六年度から抜本改革に手をつけたいと言ってこられましたが、それはとうていむずかしいような状況ですね。これは一体どうするんですか。この点ひとつ大臣の見通しなりこれからの方針なりをはっきり聞かしていただきたいと思う。
○内田国務大臣 私も御同様にこの件は非常に苦慮をいたしておるわけでございます。医療費の引き上げもありまするし、また医療水準の全般的上昇ということもございますので、支払い金額は当然に各府県ともふえてまいってきておるわけでありますが、だからといってふえた分、したがってその支払い資源を単純に保険料の引き上げであるとか、また患者負担の新設というようなことでやるのは、いかにも私どもとしても残念であり、知恵のないことであると思いますので、保険制度全般につきまして世上いろいろのお考えを持たれておられる方もございますので、それらのお考えも反映した保険制度の抜本的改正の中でいま申し上げたようなことを吸収していくのが一番いい方法と考えますが、しかし抜本改正ということになりますと、それは一年や一年半で最終的結論に踏み切るということも無理だろうと考えましたのが、抜本改正を前提に置きながら抜本改正を可能ならしめるような出発点としての考え方、さしあたり実施すべき事項についての審議会からの御答申をいただきたいということで、この一年間やってまいりました。しかし、だんだん時間も迫ってきておるわけでございますので、答申はいただけない、それはしり詰まりでどうするかということになりましても、あまりに算術的なことになってしまいますので、私はもっと幾可学的な考え方を審議会の委員の方々にもぜひ持っていただきまして、何らか私どもがこの問題を切り抜けられるような端緒を与えていただけるような、中間答申であれ、あるいはそれに似たようなものでもよろしゅうございますので、私どもの予算の編成に間に合うような、そういう知恵をかしていただきたいというのが現状でございます。 それが出なかった場合にはどうするかということに、これはしまいには追い詰められるわけでありますが、私は現在において追い詰められた場合にはこうするということは考えてもおりませんし、審議会の皆さまともども、われわれがこの困難な問題の打開に努力をしてまいりたいということで一ぱいでございまして、これが私の現在の考え方でございます。
○田畑委員 私、大臣のことばを聞いても、局長のことばを聞いても、はっきりつかめないのです。何を考えていらっしゃるのか、何を審議会に当面の問題として早く答えを申してくれと言っておられるのか。ただ、幾可学的とか算術的とか言われますが、幾可学的な報告というとやはり財政問題をどうするかということでしょう。赤字の保険財政をどうするかという問題。結局一部負担をどうするか、財政調整をどうするか、あるいはまた保険料率を上げるか上げないか、先ほど指摘した標準報酬の上限をまた上げるかどうか、これが大臣や局長の考えている幾可学的な報告の内容だなという感じが私はするわけですが、どうなんですか。そうなんですか。ひとつはっきりしてもらいたいのです。
○内田国務大臣 ではございませんで、それなら算術的構想になってしまうわけでありますから、将来の抜本構想とつながるような意味においての当面の出発点としての考え方、それは私がいまここでそういうことを言明するわけでは全くございませんが、料率問題とかあるいは患者負担問題などに触れざるを得ないようなことがかりにあっといたしましても、それはただ足し算や引き算でそうなるのではなしに、将来のビジョン、抜本構想、理想の姿につながるものとしてのそういう措置でなければ、私は、自分としてもつまらぬことだ、こう思っておるわけであります。したがって、追い詰められればそれでいきますというようなことは、ここで私は申し上げるつもりもないし、そういう考え方でもおらないものでございます。
○田畑委員 聞けば聞くほどわからなくなりますが、そういうことなら、ば、被用者保険であるとか、あるいは国民保険であるとか、あるいは老齢者保険とか、いわゆる将来のあなた方が示されておる医療制度のビジョンそのものから議論してこなければならぬ問題になってくるのです。そうなってきたのでは、さしあたり実施すべき事項とはまた関係のないことなんだ、間に合わないことなんだ。さしあたり実施すべき事項とは何かと聞いても、全体の構想と関連して考えているというようなお話。しかし、全体の構想と関連して考えるならば、一年や二年ではできないという御答弁。だから、何を当局は考えていらっしゃるのか、厚生大臣も局長も何を考えていらっしゃるのか、あなた方が委員会へ出ていろいろお話しなさっておることを幾ら読んだって内容がうかがいしれない。ただし、あくまでもあなた方の医療行政の怠慢からまたまたこのような各保険財政に赤字が出てきたので、それを被保険者や患者の負担に強要するようなことは、絶対に予算編成の中でやってもらってはならぬ、このことだけをひとつ強く希望しておきます。 それからもう一つ最後に、旅先の談話で厚生大臣は心やすさでお話しなさったのかどうか知りませんが、きのうは長崎で原爆二十五周年の慰霊祭が行なわれましたね。たしかこの間広島に行かれたときですか、大臣は、被爆者の援護について、できれば次の国会に被爆者援護の強化、充実の法律の改正等、あるいは予算措置等をやりたいということを発表なさっておられますね。私はあれを見まして、非常に前向きに、さすが内田厚生大臣は取り組んでおられるなと、内心うれしく思ったのでございますが、厚生大臣が考えておられるその内容は、現在の被爆者医療法であるとかあるいは昭和四十三年の五十八国会で成立を見ました被爆者特別措置法、この法律の内容の充実だけではなくして、三十余万の被爆者がかねて強く政府や国会に念願しておりまする被爆者援護法の制定等も頭に描かれて、例の被爆者援護審議会の設置を打ち出されたものであると私は受け取ったわけでありまするが、そのように受け取ってよろしいのかどうか。来年の予算措置の中で被爆者の援護強化について相当前向きの姿勢で取り組まれるものと私は見ておりますが、そのように期待してよろしいかどうか。
○内田国務大臣 まず八月六日の原爆被爆二十五周年の犠牲者の慰霊式並びに平和祈念式に政府を代表してだれが行くかということになりました場合に、私は、総理大臣が行かれない場合には厚生大臣の私が、いろいろな問題をしょいながらも、また正直に申しまして心が晴れ晴れとしないながらも、行くのが一番いい姿だろうと考えまして、進んで参りました私の気持ちは、田畑さんにもぜひ理解をしていただきたいと思います。そういう中で式は厳粛に行なわれまして、私も心を平らかにいたしましたが、もちろん犠牲者につながる方方もたくさんおられまして、いろいろの問いかけもございましたし、簡単でございましたが記者会見もございました。現在の被爆者対策というものが、医療法と特別措置法の二つの体系に分かれて措置されておりますが、それらの措置の内容につきましても、被爆者の方々に御不満があられることも前から私は承っておるものでございますが、今回の場合にもそういうことについての発言、質問を私も受けたわけであります。で、将来これを、いまお尋ねがございましたように、援護法といいますか、よりさらに進めたような法律体系にしてほしいというような御要望も前からあることも私は承知をいたしておりましたが、そのことには、正直に申しまして私は、八月六日のことばとここでことばをひるがえすわけでは決してないのでありますが、私どもが踏み切ったわけではありません。これは課題として与えられておるが、なかなかむずかしい問題だといま思っておりますし、またその際のお答えの中でも申しておきました。 ただ、個々の措置につきましては、たとえば管理手当でございますか、そういうものの年齢の引き下げの問題でありますとか、あるいはまた、小さい問題ではございましょうけれども、所得制限の緩和の問題でございますとか、当然手を触れなければならない問題につきましては、私もそれらはもちろん前向きで考えてまいりたいということも考えておりますし述べてございます。 医療審議会の問題につきましては、現在の医療審議会を幅広く運営することによって対応したいということも私は広島の現地において述べておりますが、それに対しまして、重ねて何べんか先方の御意見もございまして、医療審議会ということでなしに、広く被爆者の代表をも加えた審議会に体制をすべきだという御意見もございましたけれども、私は現地においてそれを否定してしまう勇気は正直のところ持ち合わせません。私が広島へ参りましたのも、冒頭に申し述べましたような私の気持ちから参っておりますので、頭から否定はいたしませんが、それは繰り返して申しますが、現在の医療審議会等を改組し、あるいはまたその運営の幅を広げるような方法をもってしてはいかがかとも思っておりますが、それらの点につきましては、御要望のことも胸に置いて対処してまいるという意味のことを申し上げたわけでございまして、いま申しましたようないきさつのうちに、私読んでございませんが、広島のあの例の私のことばというものが報道機関等においてつづられておったものと思います。 以上申し述べました私の気持ちをそのまま集約いたしまして、わかったようなわからないようなことを申し上げてたいへん恐縮でございますが、今後対処をしてまいる、こういうことでございます。
○田畑委員 私はこれで終わりますが、あなたのいまの答弁はよくわかったですよ。いまの答弁の内容は、現行の二つの法律の内容をよりよく充実することは当然であるけれども、被爆者の人方と接触しておるうちに、私の気持ちはやはりその人方の主張しておる援護法的なものを考えてあげなくちゃならぬ、こういう気持ちで私は発言をしたということをいまお話しになったわけですから、その発言をすなおにひとつ来年度の予算の中で、あるいは法律の中で実現するように、八月六日広島で大臣がお話しなさったことは、非常に大事な、そしておそらく被爆者の皆さんも、ほんとうに私たちの気持ちをわかってくれる厚生大臣に感謝し喜んでおると思うのです。その気持ちをよく来年度予算の中で必ず実現するように私は強く要望して、あなたのいまのことばは記録に残ります。いまほんとうの気持ちをそのままあなたはお話しになった、その気持ちのとおりやってもらえばいいのです。私はそれを強く希望して質問を終わります。 ――――◇―――――
○倉成委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 いま公害問題がまさに社会問題というよりも国家的な問題になっておるわけですが、このそれぞれの公害の被害にあうところの住民に対して、十分な手だてを講じなければならぬことは理の当然でありますけれども、公害発生源になっておるところの企業、それからその企業に働く労働者に対する手だてというものが必ずしも十分であるとは言いがたいのであります。そういった点から見て、それぞれの公害に関係をする企業に働く労働者の健康、生活条件、こういったものを十分手だてを講じなければならぬ、このことは理の当然のことでありまするが、労働省はこれまでこの種の公害発生源になっておるところの企業の労働者に対して、どういうような手だてを講じてこられたか、大臣からまず所見を承りたいと思います。
○野原国務大臣 企業内においては労働者の健康管理、作業の安全という問題を中心といたしまして災害対策という面から特に所管してまいりました。たまたま公害問題がやかましくなってまいりましたが、この際、労働省として工場の監督行政もやっておる関係を考えますると、公害の発生源を断つというか、そういった面でも当然労働行政の立場において取り組むべきであるという観点で、最近におきましてはさまざま対策を講ずることにしておるわけでございます。
○田邊委員 一般的には大臣の言われたとおり、健康管理を初めとして労働者に対してよりよい職場の環境づくりを私はしてもらわなければならぬと思うのです。しかしいまはその環境づくりなり、そういう点検、管理をすることの前に、そこに働く労働者の生命がどうなのか、一体働く労働力が売れるのか売れないのか、こういう深刻な事態に私は来ているのじゃないかと思うのです。したがって、通り一ぺんの健康管理をやっているというようなことでは相済まされない実情に私は来ておるのじゃないかと思うのであります。あとでもって実例を申し上げまするところの群馬県の安中の東邦亜鉛の製錬所のカドミウム公害についても、その地域の住民がいまやたいへんな実は公害に見舞われておる。水俣病、イタイイタイ病、そういったものにあわせて指が曲がる指曲がり病というような、いわば奇病が発生しておる、こういうことをわれわれは承知をいたしておるわけです。とすれば、そこに働いている労働者がそのいわば公害なり災害から除外されているはずはないのであります。いな、むしろ私は周辺の住民よりも、そのカドミウムを実際に取り扱っておる、いわば工場に働いておる労働者の生活条件、生命自身が非常に危険な状態じゃないかというように私は思っておるわけです。 そのことの事実についてはあとでまたお伺いいたしまするが、去る五日労働省は、最近続発するところの公害源になる企業に働く労働者あるいは企業のこれらの公害について、ひとつ総点検を行なう、こういうことを発表いたしました。私は非常に注目すべきものではないかと思っておるのであります。私に言わせれば、いままでこの種のことが当然行なわれるべきであったにもかかわらず、これをないがしろにしておった労働省の行政に対して私は強く反省を求めなければならない、こういうように思っておるわけでありまするけれども、きょうは時間がありませんからひとつ端的にお伺いしたいのですが、いまあなた方のほうで総点検を行なおうとする対象になる工場というのは、一体どういう種類の工場を予定いたしておりますか。
○和田説明員 つい最近地方にも指示をいたしまして、有害物を取り扱っております工場、事業場に対する総点検を指示をいたしました。九月中がちょうど労働衛生の準備月間になっております。その九月中に総点検を実施いたしたい、かように考えておりまして、重点は化学工場が重点でございますが、単に化学工場に限りませんが、全国で大体九月中には二万事業場程度の総点検をやりたい。 中身といたしましては、有害物をどう処理し、扱い、どう中和あるいは除毒をしておるかという状態、それからそこに従事をしておる労働者の健康状態の管理についてどういう管理を行なっておるかというようなことを重点にして、いま申しましたような事業場について総点検をいたしたい、かように考えております。
○田邊委員 化学工場が特に公害の発生源になる一番大きな要素を持っておることは、これは疑いない事実ですから、私は化学工場を中心として総点検をするという意味は、これは十分あると思うのであります。しかし、この際、私は化学工場ばかりでなくて、従前長く言われてきたじん肺にしても、あるいはその他の機械工場にしても、あるいは繊維関係の工場にしても、実はいろいろな労働災害が発生をしてきたわけですから、これらもひとつこの際含めて、一体日本に働く、各企業に働く労働者の健康の状態は一体どうなっているのか、作業環境は一体どうなっているのか、その根源になるところのいろいろな危険物や、あるいは公害の有害物発生、そういった状況は一体どうなっているかということを、私は、これは政府の責任において調べるべき時期に来ていると思うのです。したがって労働省が化学工場を中心として総点検運動をやることは、そういう意味合いで私は重要な意味を持っておると思うのでありますから、ぜひ、化学工場をやることはもちろんでありまするけれども、それ以外の有害物や、あるいは危険作業や、そういったものがあると予想されるところの事業所について、あなた方がその状態を突きとめる、根源を突きとめる、私はこういう作業をやらなければならぬのじゃないかと思いまするけれども、そういうことを逐次やるところの用意がおありであるかどうか、あわせてお伺いしたい。
○和田説明員 公害関係法令その他いろいろの法令で有害物質として一応指定してございますのは、七十五物質ございます。これについて、全部について点検をすることは、先ほど申しました九月中に直ちに全部することはなかなか困難でございますので、この中で公害として問題が提起されやすい物質、あるいは量的、質的に見て問題のあるもの、立地条件、所在地の密集状況、こういうような問題を考え合わせまして、さしあたり九月には十九物質を使用しておる事業場についての点検をいたしたいと考えております。 で、先ほど申しましたのは、化学工場を中心としてということでございまして、単に化学工場に限りませんで、監督署のほうではある程度まで、どこの事業場ではこういうものを扱っているとか、化学工場でなくてもこういうところがある、あるいは粉じんの出やすい工場があることも把握いたしておりますので、いま申しましたような三つの条件を念頭に置きながら二万事業場――このことは単に九月に一回やって済ませるというわけではございませんので、今後漸次その範囲を広げていきたい、かように考えております。
○田邊委員 局長の言われるような方向で、私はこの際ひとつ洗い出しをしていただくことを、ぜひお願いしたいと思うのであります。しかし、実際はいままでこの種の調査は当然やるべきであったのですね。いままであなた方の調査の中で、有害物質の排出を認められるようなそういう工場、こういったものは私はかなりあったのじゃないかと思うのですね。これらの問題に対して一体どういうふうに対処をいままでされてきたのですか。
○和田説明員 たとえば四アルキル鉛、そういうようなものにつきましては、安全衛生規則で基準の恕限度あるいは排出基準というようなものをつくっておりまして、すでに実行をいたしております。あるいはじん肺の問題につきましても、同じようなことをやっております。従来もちろん労働者の健康を守るためにいろいろなことはやっておりますが、最近の公害問題の全体の趨勢から見ましてもう一回洗い直してみよう、こういう角度でありまして、従来ともそれ相応なことはやっておりますが、この際もう一回洗い直してみよう、こういう観点でございますので、御了解いただきたいと思います。
○田邊委員 厚生省もおいでですが、いま有害物質として、いままで特に鉛等については重点的にその放出の状態を観察してきたと思うのですが、その他ベリリウムの粉じんなりあるいは鉱物性の粉じんなり、それらのものを含めて今後は点検の中に入れていこうというお話であります。これらは重大な対象物質ではないかと思いまするが、それと同時にやはり工場から排出される水、その中にかなり有害物が含まれていることが、付近の住民にとって大きな脅威を与えている要因になっているのじゃないかと思うのであります。特にその点では、排水についていままでのベンジンに加えてシアン、クロムもひとつぜひこの際点検をいたしたい、こういう形でありまするけれども、厚生省のほうの考え方から見て、いま私が申し上げたような二、三の問題とあわせて、この際、労働省がそういう計画をされておるならば、こういった種類の有害物についてはやはりぜひ調査の対象なり研究の対象にすべきではないかというようなものがございますか。一番問題になるものは何でございましょうか。代表的な二、三の例をあげて御説明いただければ幸いでございます。 〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 厚生省のほうにひとつ聞いてみましょうか。
○浦田説明員 この数年来環境汚染の原因といたしましていろいろなものがあげられておりますが、やはりその広さ、規模から申しましても、まず第一にあげられるのは、大気汚染といたしまして起こっております亜硫酸ガス、SO2の問題であろうと思います。それから近ごろ自動車の排気ガスといたしまして、排気ガスの中に含まれております有害物といたしまして問題になってまいりましたのは鉛でございます。それと一酸化炭素でございます。その他これから先調べていかなければならないものといたしましては、炭化水素あるいは酸化窒素の問題だろうと思います。 それから一方、水質汚濁の問題でございますが、これも大気汚染と同様に微量重金属の問題がこのごろ非常に重要視されてまいりまして、先ほど先生が御指摘のように水銀あるいはカドミウム、あるいは近ごろはシアン、これらはいずれも単なる水質汚濁という問題じゃなくて、場合によりましては土壌の中に対する浸透という形で、結局は水の中にその汚染物質がまじる、あるいは農作物にまじるといったような危害を招いておりますが、これらについて私どもは、その規模といい、有害性といい、最重点として考えていくべきものと思います。
○田邊委員 いまそういうお話がありましたものを労働省はもちろん踏まえて検討されるだろうと思うのであります。そこで、そういった総点検運動をやられることについてはわれわれは歓迎をするわけでありまするが、またその点検をすることによっていろいろな管理体制あるいは監視をするということについて、当然そういったことをお願いをしなければならぬと思うのでありまするけれども、一番問題になりまするこの点検とあわせて、そこに働く労働者の健康状態、こういったものに対しては一体どういう措置をいままでおとりになってきたのか、これから、その総点検とあわせて、有害物質を排出されるような工場に働く労働者の健康問題については一体どうするのか、これに対してひとつ措置を考えておられたらお答えいただきたい。
○和田説明員 労働基準法におきましては、雇い入れの際、あるいは一定の事業におきましては定期に健康診断をやらなければならぬという規定がございますのとあわせまして、有害物質を扱います職場に働く労働者に対しては特殊健康診断をやらなければならない、こういう規定がございまして、それぞれの物質、事項等が書いてございますが、それによりましていままで、あるいはCOの問題につきましてもいろいろと、あるいは四アルキル鉛とかあるいは鉛とか、そういう問題については特殊健康診断をやっておるわけでございますが、最近におきます傾向を十分ひとつ考えながら、われわれとしては特殊健康診断の範囲なり、健康診断項目なりを、その扱う物質に合うようなものに変えていって励行したいということが一つ。それと、公害汚染地区ということで規制をされておる地区の工場、事業場に働いておる労働者の諸君につきましては、従来はただ一般的な健康診断ということでございますが、これからは、公害との関連の非常に濃いような健康診断をやってもらうことが非常に有効であるということで、今後私どもとしては一般の健康診断の中に、尿とか血液に関する検査とか、あるいは気管支に対する検査、そういうような健康診断項目を追加をしたいということで、せっかくただいま検討をいたしておるところでございます。
○田邊委員 これは非常におそきに失しておるんですよ。そこで、私はあとでその排出物のシアンの問題については厚生省にまたお聞きをしたい事実問題がありまするが、いま基準局長の言われた、汚染地区の労働者に対してはやはり精密検査をしなければならぬ、こういうことで考えておるようですが、端的に、安中の東邦亜鉛のカドミウム公害はいま非常に大きな社会問題になっておるわけですが、実はあの周辺の農民に対する問題や、それから汚染米の問題や、それぞれの問題が世論をにぎわしておる陰に、あそこの製錬所に働く労働者の健康診断の問題が表面に出なかったのであります。ところがつい最近、群馬の労働基準局でもってお聞きをしましたところが、実は健康診断をした結果があるのだ、こういうので、私は驚きまして内容をお聞きをしましたら、非常に危険な状態であるということが発表されたわけですね。この中身についてはすでに御報告があったと思いまするけれども、尿の中にカドミウムがある労働者というものが、最高は一リットル当たり四十九マイクログラム、少なくとも一・五マイクログラム、平均して十七・九マイクログラムのカドミウムが検出をされておる。しかも一リットル当たり三十マイクログラム以上の労働者が十四人もいる。この健康診断に当たったのは群馬大学の衛生学の野見山という助教授が指導して行なったのですが、現地の医師によりますると何かこの労働基準局の発表はいささかオーバーだということを言っておるのでありますが、しかし大同小異でありまして、この須藤さんというお医者さんの発表によっては三十マイクログラム以上の人は九人というのでありますから、あまり差異はないわけでありまするけれども、これは実はたいへんなことだと私は思うのです。それ以外にじん肺の状態、鉛の状態あるいはその他のいろいろな障害が起こっているという状態が発表されておるわけであります。私は去年の、これは聞くところによりますると、六月から九月にかけて健康診断をしたというのですから、このときのものはあなたのほうは、診断をされたらば、マル秘でもって何か机の中にしまっておいて後生大事に持っておるという取りきめになっているのですか。そういうふうなぐあいにあなたのほうはしているのですか。こういったものを発表されたあとの措置は、そのまま放っておくということは、こういったことはあなたのほうは指導しておるんですか。
○和田説明員 東邦亜鉛の安中製錬所の従業員につきましては、昨年の四月に群馬の労働基準局が事業所を指導いたしまして、先生がいま御指摘のように六月から九月の間に、カドミウムの関係のある職場に働いておる者二百十九名――関連いたします下請労働者十一名を含めまして二百十九名ですが、健康診断を実施いたしまして、問診及び血液検査、機能検査、こういうようなカドミウムの症状が判定できるような健康診断を実施をいたしました。その結果といたしまして、カドミウム中毒で非常に特異なものとしておられます歯牙黄色環については一人もなかったのでありますが、尿中のたん白が陽性のものが若干見つかりまして、その尿中のカドミウム量につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたが、この所見のあったものの中で一・五マイクログラム・リットルから四十九マイクログラム・リットルまでのものがございまして、平均的には十七・九マイクログラム・リットル、こういうような状態でございます。これにつきましては、実はこのどこから上が危険であるかということについての定説がまだないように聞いておりますが、アメリカあたりでは働いておる従業員については、大体百グラム以上になると問題であろう、こういうことが言われておるわけでありますが、わが国におきましては百はちょっと高過ぎやしないかということで、産業衛生協会の意見を伺いまして、おおむね五十マイクログラム・リットル、こういうところで押えて、一応それ以上ですと従業員の場合については問題があるということでありますので、ただいま申しましたような数字が安中製錬所の状態でございましたので、一応群馬の労働衛生指導医などの意見も聞きまして、カドミウムによるいわゆる汚染されておる状態が異常所見であるというものは、昨年の状態ではないということに一応いたしております。ただ、これにつきましては、この八月、九月にかけまして、再度検査をしておりますが、なおこれらの結果につきましては、所見があって必要な処置を講じなければならないような状態になりますれば、もちろん監督署あるいは基準局が事業所に対しまして必要な措置あるいは業務上の疾病扱い等について、もちろん指示をいたしますが、先ほど申しましたような所見でございますので、特段の指示はいたさなかったわけであります。 この健康診断の結果は公表すべきかどうかにつきましては、一応公表義務というものもございませんで、それぞれの扱いにまかしてあるということでございますので、特に一般的にこういう状態であったという公表をする特段の理由のない場合は、それぞれの関係者が承知をしておるということでまあいいのではないだろうか、こんな判断でございます。
○田邊委員 私の言うのは、ただ単に形式的な、公表をすべきであるとかないとかいうことでなくて、これに対する措置を誤ってはいけないということなんであります。昨年の六月ないし九月の時点でもって調査をした。健康診断をした。確かにあなたのおっしゃるように五十以上のマイクログラム・リットル以上の人はおらなかったかもしれない。しかしその後の状態はどうなっていますか。継続して健康診断をやっていますか。やってないでしょう。一年ほうっておいて、またことしも秋にその後の状態を調べよう、こういうのであります。しかし私はいま大体私どもの知識で考えられる、特に群馬の労働基準局も発表いたしました三十マイクログラム・リットル以上のものが十四人おるという、こういうことを発表いたしましたのは、かなりこれが積み重なっていきますと非常に危険な状態であるという一般的な定説なんです。私はこの指導をいたしましたお医者さんにもお聞きをいたしましたし、いままでカドミウムの問題を取り扱っておる人たちについても実はいろいろとお聞きをいたしましたけれども、やはりそれらが積み重なって具体的に、たとえば指が曲がってくる、あるいは脊髄が曲がってくる、そういう状態になったのではもうおそいわけであります。したがってそういう所見のあった者に対していち早く手だてを講ずることが必要じゃないか、こういうふうに思うのですけれども、それらの措置がいままでなされていないんじゃないか、こういうふうに私は思っているわけです。厚生省の医学的な専門の立場から言いまして、かなり長期間働いている人たち、また、そうして働いており、その地域に住んでおる人たち、こういった人について尿の中にカドミウムが少なくとも五十近い者があるという状態というものは、私はきわめて異常ではないか、きわめて危険ではないか、こういうふうに思っておるわけで、きのうやきょう来て突如としてそれが出たというんならば別でありますけれども、そうでない。そこに長年住みついて働いている労働者、これについてはきわめて危険ではないかという学説を私は聞いておるわけでありますが、その点はどうなのか、どなたが答弁されてもいいんですけれども――環境衛生局長どうですか。
○浦田説明員 東邦亜鉛の安中製錬所におきますカドミウム関係の従業員の検診結果につきましては、私つまびらかに承知しておりませんので、またいま初めて聞いたお話でございます。カドミウム中毒自体、そのものがまだ学問上研究中のところが多い問題でございまして、これからいたしまして直ちに、たとえば尿中の排出カドミウム量が一リットル中何マイクログラム以上であれば異常である、あるいは正常な範囲はどれかということについては、今後いろいろと検討する問題が残っておるのでございますが、一応厚生省のほうで先般来のカドミウムによる環境汚染の問題を取り上げてその対策を考えた場合には、尿中カドミウムの濃度が、要観察地域におきます住民検診におきまして二次検診に回す一応のめどといたしましては、三十マイクログラム一リットル当たりという基準をしいてやったという事実はございます。それからその後要観察地域におきます農家の保有米のカドミウムの濃度という問題に関連いたしまして、お米でも一般米のカドミウムの安全基準をどうしようかという問題について、食品衛生の立場から私どものほうで専門家を招きましていろいろと意見を聴取したのでございますが、先ほど労働基準局長のほうからもお答えがございましたが、現在のところ労働衛生上の観点からこの問題に接近していく方法が一つ。これは外国の数字を引用いたしますと先ほど労働基準局長が言われたように、百マイクログラム一リットル中というのが一応の基準になっておりますが、日本におきましては先ほどの五十を私ども要観察地域におきます二次検診に回す基準としてとりましたのは、実はこのところに端を発しておるわけでございます。それを三十マイクログラムというふうにしたわけでございますが、そのほかに犬によります実験、それから腸管を通じましてのカドミウムの吸収率といいますか、食べものを通じた場合に腸管からどれくらい吸収されるか、そういったようなものを詳しく調べました結果、三十マイクログラム、一リットル尿中の濃度というものを基準としたカドミウムの汚染米の安全基準というものは、一応玄米におきましては一・〇PPM未満という点が出たのでございまして、御質問の詳しいカドミウムの慢性中毒というものについては、いまのところ、私が申し上げたようなデータしか残念ながらないのでございます。 〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
○田邊委員 ちょっと、環境衛生局長のお話の中で、特に汚染米の玄米一・〇PPMという基準の出し方については私は異論があります。これはまたあとで機会を見ていろいろと問いただしたいと思います。 労働基準局長、いま環境衛生局長からお話があったように、私は、三十マイクログラム、一リットル当たりというのはやはり要注意というか、こういう一つのところじゃないかと思うのです。それ以上の人が十四人おったという事実は、私は何としてもほうっておけなかったのじゃないかと思います。ですから、いま私はそれで責任を追及してどうこうというものではありませんで、要は昨年度そういう事実があったわけでありますから、これに対して追っかけてその後の状態を追跡する、そしてまた、それに対して措置をする、こういうことがどうしても必要じゃないかと私は思うのですよ。ですから、いまお話があったように、必ずしも五十以上にならなければこれは心配ないという、そういうことではないと思うのです。これが逐年重なっていく中で、爆発的に非常に危険な状態が来るということも予測されるわけであります。安中で働いている労働者の中で、いま安中で起こっている指曲がり病にかかっている人がいない、こういうふうにあなたは判断できますか。
○和田説明員 指曲がり病の状態にある人は、現在の従業員にはおられないようでございますが……(田邊委員「見たことありますか。ちゃんと健康診断してそれを見たかね。指曲がりの問題は最近でしょうが」と呼ぶ)いま聞きますところではないようでございますが、さらにもっと調べろということでございますれば調べてみますが、いまのところはないようでございます。 それから、先ほど環境衛生局長から三十マイクログラム、リットル当たりというお話がございましたが、これはやはり従業員の方はカドミウムに曝露されている期間は一般住民の方と比べて短いわけでございます。大体八時間といっていいと思いますが、それに対して住民の方はもっと長い期間カドミウムに曝露されているということで、基準が一応、第二次の検診を要する、こういうような状態から見て低くなっておる、これは医療上やむを得ないと思います。
○田邊委員 ぼくはちゃんと精密に質問しているのだ。労働者の中で長期間そこに勤務しており、しかも汚染地区から通っている労働者がいる、そういったものについては危険な状態にありはしないかとちゃんと質問しているのであって、あなたの答弁するようなことはちゃんとわかっておるのだよ。しかも指曲がりの問題については、あなたのほうでは健康診断をしていませんよ。冗談言ってはいけません。指曲がりの問題は所見としてはつい最近起こってきて、地方の住民がそれに対していわばいろいろと問題を提起して、それをいま群馬大学で調査している段階ですから、昨年の六月なり九月のときに指曲がりの問題を対象にして調べたという事実はありません。だめです、そんなことは。調べてごらんなさい。 そういうことで現実に新しい事態が起こりつつある。ですから私は、昨年の健康診断だけで、あと野方図にほうっておいたのは危険じゃないか、こういう事態がわかってくれば、ことしの秋にやるというけれども、早急の機会に、こういう汚染地区の代表的なものといわれる安中のごときは、健康診断、精密検診をすべきじゃないかというように思っているのですけれども、そういう指示をされる用意がございますか。
○和田説明員 御答弁が中途半ばになりまして申しわけございませんでした。先ほどは五十と三十の問題に触れたわけでございますが、それ以外につきましては実は先生がいま御指摘のように、これは長い間の蓄積の結果がそういう異常所見を呈してきますので、もちろんフォローしていかなくちゃならぬ。カドミウムの所見のあるもの、尿中のカドミウムについてはフォローしていかなくちゃならない、そういうことでございまして、ことしは八月、九月にやるわけでございます。もちろん昨年所見のあった者については、そういう点について相当入念にやらなければいけない。私どもとしましては、安中の場合は昨年の六月から九月にかけてやりましたのが、ことし八月、九月というのはちょっと期間的に遠いように思います。大体年に二回ぐらいやるほうが妥当ではないだろうか。といいますのは、特殊健康診断は、ほかの有害物質につきましては年に二回、こういうふうに義務づけているものが多うございますので、カドミウム中毒の問題につきましても、現在は指導でございますが、指導で年二回やるようにしたほうがいいということでございますが、さらに状態を見まして、その必要性を十分に法的に求める必要があるならば、安全衛生規則を変えまして所要の措置を講じたい、かように考えております。
○田邊委員 ひとつ、安中問題ばかりでございませんで、全国の汚染地区におけるところの企業の労働者の健康診断については、この際厳重な診査を行ない、適切な措置をお願いしたいと思う。 あわせて、その施設の設備改善なりに対する措置を怠ってはならないと思うのです。いま住民は、汚染米で、いわば自分のつくった米は食っちゃいかぬ、供出してはいかぬ、売っちゃいかぬ、いわば仕事を放棄しろという状態なんです。ところが、その発生源になっている安中の製錬所は、相変らずもくもくと煙を出している。この操業を停止してもらいたい、あるいは操短してもらいたいという要望が非常に強いわけです。したがって、ひとつそういう規制も含めて、私は設備の問題については当然やってもらいたいというように思うのです。その総点検運動をするというお話で、いろいろお聞きをしたかったのでありますが、時間がございません。監督官を総動員してやりたいというのだけれども、いままでまさか仕事をしなかったわけじゃないだろうと思う。仕事をしておったと思うのです。これは余分な仕事ということではないが、総点検するにはまたいろいろな労力が要ると思うのですが、大体、監督官は千八百人ぐらいですか……
○和田説明員 二千七百五十三人です。
○田邊委員 こういう化学工場や何かをやるというのでありますけれども、大体二万事業所ぐらい、これ以外を含めると五万事業所の全部に対して点検ができるかどうかということになりますと、現地の監督行政からいいまして非常に困難じゃないかと思うのですよ。これはやはり、各基準局におる監督官をフルに動かすということになれば、私は実はたいへんな作業量じゃないかと思うのです。そういったことに対して、あなたのほうは、仕事はやらせるけれども、配置をしている監督官の人員については、これはいままでどおりなんという形では、実際にはこの種のことは私はやりおおせないと思うのです。こういう監督官の増員等の問題に対しても、私は十分な決意と努力をすべきじゃないかというように思っているのですけれども、その点はどうですか。これは大臣からもお聞きしたい。
○和田説明員 御指摘のように、二千七百五十三人と申しましても、実は第一線に働いている諸君は千八百人少々ぐらいでございまして、現実に監督という作業で具体的に出ていってくれますのは千八百人ぐらいでございますので、非常に手不足を感じております。全部で事業場が二百六十万あるわけでございます。しかしそういう意味で来年度予算におきましては、ぜひ監督官の増員ということについて、私どもとしては力を尽くしてまいりたい。それとともに、監督をやります方式あるいは装備関係、そういうものに対してもぜひ手を尽くさねばならぬ。この有害物質に対して有効な措置をする装備がないというのも、第一線の実情でございます。そういう点につきましても、来年度予算あたりでは十分ひとつ努力をしたい、かように考えております。
○田邊委員 時間がございませんから私は飛ばしまして、排水の問題で実は厚生省にお聞きしておきたいのでありますが、ベンジンばかりではなくて、シアン、クロム等についてこれから先労働省も一生懸命点検をするというのでありますが、実際にはシアン公害と言われているものが最近非常に多くなってきているんですね。私のほうの群馬県においても、伊勢崎でコイが浮上したとか、桐生において井戸水が汚染されたという状態があるわけでございます。ところが、これはいずれを見ましても、保健所の事件が起きたあとの初動調査にしても非常に立ちおくれている。まして桐生の、シアンが出ているという井戸水の調査については、この付近の住民が前後五回にわたって保健所に依頼をしている。ところがこれは「飲料適」という判こを押して返している。ことしの七月十八日にもシアン等はないかといって依頼したにもかかわらず、それに対して「飲料適」という返事をしている。ところがその水をもう一度県の衛生研究所にその係員が持っていって調べたら、それから二〇PPMという大量のシアンが出た、こういう状態であります。私は、いまこれだけ公害の問題が叫ばれているときに、こういった措置が出先の役所でもってとられているのでは、住民は安心して暮らせないと思うんですよ。井戸水からシアンが出ているんですよ。青酸カリをぶち込んだということでしょう。そういった状態をほっといてはたして衛生行政が完ぺきであるといえるかどうか、私は非常に心配でたまりません。私は群馬県の地方版でもって、その桐生のシアン問題が出ている新聞の切り抜きだけを実はここ十日ばかり集めてきたのですが、これはいまたいへん世論をわかしている。保健所の無関心さに対する大きな怒りが出ている。検査依頼に対して「飲料適」ということをやった、こういうことがいわれているのでありますが、こういう排水に対する除去装置、これがどのくらいできているのかといったら、ほとんどできていないんですね。メッキ工場を十三調べたら、十一できていないというんですよ。群馬県でもってこれらの排水処理についてメッキ工場を調査いたしましたところが、百三十三の事業所のうち回答があったのは百三、そのうち四二%はそういう施設をやっていない、こういう調査をしたというのです。私は全国的にも調査をしてみれば大同小異ではないかと思うのですけれども、こういったシアンの排出がなされるような企業に対して、一体厚生省はいままでどういう防止策を講じてきたのか。またこういったものは、住民が依頼しなければ実際は調べないのですか。工場についても、あるいは付近の井戸水についても調べない、あなたのほうは実はそういう消極的な行政しかやっていないのですか。それからいま桐生でもって具体的に井戸水が汚染されている、こういう状態になってきておりまするけれども、この水質検査をその後十分にやっておるのでございますか。さらに、住民が要望しておりまするが、住民の健康診断を桐生についてはこの事件が起こってからおやりになりましたか。まとめて恐縮でありまするけれども、ひとつお伺いをしておきたいと思います。これはただ単に桐生や伊勢崎やその他に偶発的に起こったことではないと思う。保健所は七月三十日に、毒物及び劇物取締法十五条の二の違反によって告発をしたというふうになっておりまするけれども、もちろん告発はすべきでありましょう。すべきでありましょうけれども、告発しなければならぬ事態まで放置しておいた責任はどうなのかということを私どもは痛感をせざるを得ないわけです。これらの問題に対して、一体どういうふうに措置をし、これから先これらのシアンを放出するようなメッキ工場の設備の問題に対して、どういうふうな取り締まりと規制をし、どういうふうな改善をしようとするのか、その点に対してひとつまとめてお伺いしたいと思います。
○加藤説明員 シアンの問題でございますが、先生御指摘のとおり、このシアンの対策は私ども努力いたしておりまするけれども、必ずしもまだ十分じゃない、非常に残念に思っております。これは一つは、このシアンを使いますのが、先生御承知のように、電気メッキ等の零細企業が非常に多いわけでございます。それで私どもといたしましては、昨年も環境衛生局長と薬務局長の連名通達で、とにかくシアンを使っている電気メッキ工場等は年一回は必ず監視員を回らせる、それでおかしいところがあったら再三出向いてその改善命令を出して施設の改善をするようにということを通達をいたしておるわけでございます。これは励行が相当なされておりまして、相当改善されておりますけれども、まだまだ不十分な点があると思います。 問題は、一つはその施設を改善いたしますのに相当金がかかるわけでございます。五、六百万かかる。ところが零細企業で年間の売り上げが五、六百万というところもございまして、やりたくてもなかなか金がかかるというような問題もございます。私どもといたしましては、一つは来年度の予算要求に入れたいと思うのでございますが、こういうシアンとかあるいは水銀とかカドミウム、こういうものを薄めるための装置、しかも経済的にやれるような方法、そういうものの研究を委託いたしまして、そういう方法を開発するというのも一つの方法かと思います。 とりあえず私どもといたしましては、毒劇関係の監視員をフルに動かしまして、こういう施設について事前にそういう不正なものをチェックいたしまして、その改善に今後とも努力していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○田邊委員 時間がないからひとつ具体的な問題については――いま桐生の問題、相当に実は問題になっているのですね。これは、付近の住民は、井戸水がどうなっているのかということで非常に心配しているわけですから、ひとつこれに対して調査をしていただきまして、具体的に一体どういうふうに措置をするのか、ひとつ私のところへ結果とあなたのほうの方策をお知らせいただきたいというふうに思います。よろしゅうございますか。
○加藤説明員 御報告いたします。
○田邊委員 それでは、いろいろとお伺いしたい点がございますけれども、時間が参りましたので、具体的な問題についてさらに機会を得て質問をいたしまするけれども、どうぞひとつ労働大臣、あなたのほうでいま総点検運動をされようとするやさきでありまするから、国民の期待にこたえられて、労働者が安心して働けるような、そういう厳正にして緻密な点検をやっていただき、それに対してそれぞれの役所を通じて措置ができるような、そういう対策をひとつ講じていただくことをお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○倉成委員長 古寺宏君。
○古寺委員 現在わが国の技能労働者は百八十二万人不足をしている、そういうふうに言われておりますが、最近の技術革新に伴って今後ますます技能労働者の不足が深刻となりまして、職業訓練の果たす役割りが非常に大きくなってまいるわけでございますが、労働省ではこのような情勢に対してどういう対策をお考えになっているか承りたいと思います。
○野原国務大臣 御指摘のとおり、技能訓練が非常に不足しております。そこで、労働省では訓練生倍増という計画を立てまして、それに最も重点を入れてやろうという体制で進めておるわけでございます。詳細は局長から答弁させます。
○石黒説明員 ただいま大臣から申し上げましたとおり、技能労働力不足が非常に深刻になってくるのに対比いたしまして、職業訓練の進展度というものは必ずしも十分でないので、私ども実は非常なあせりを感じております。昨年訓練法の改正をいたしまして、本年、職業訓練基本計画を策定いたすことにいたしまして、目下作業中でございます。これができました上で、また国会の御審議も仰ぎたいと思っておりますが、養成訓練につきましては、新卒は今後貴重な労働力給源であるから、原則的には皆訓練、全部訓練するということを理想といたしまして、当面、養成訓練をとりあえず倍増いたしたいというふうに考えております。 それからそのほかにおとなの、いわゆる成人訓練につきましては、従来失業者に対する転職訓練だけを行なっておりましたが、今後は現役の労働者を現役のままで再訓練する、補充訓練、成人訓練というものを強力に進めたいというふうに思っております。こういった目標を達成いたしますためにはもちろん訓練の基盤整備が必要でございますので、そのために公共訓練校の充実強化ということと、それから事業内訓練の拡充のための援助ということを並んで強力にいたしたいと考えております。
○古寺委員 ただいま大臣から訓練生の倍増計画があるというお話でございますが、その倍増計画の内容というのはどういうふうになっておりますか。
○石黒説明員 ただいま申し上げましたように、訓練生を何年までにどのくらいまでふやしたらよろしいかという目標は、目下作業中の職業訓練基本計画において明らかになるところでございますので、詳細なことを申し上げますのは、この訓練基本計画の作業がこの秋にはできますので、その上で申し上げさしていただきたいと思っております。
○古寺委員 労働省の調査によりますと、大体百八十二万人の不足である、こういうふうにいわれておりますが、これは五人以上の事業所を対象にした調査でございますけれども、五人以下の中小企業に対しては調査がされておりません。その不足数を考えますと、はるかにこれを上回る数になると思うのでございますが、労働省では一体五人以下の事業所の労働力の不足、技能労働者の不足というものをどのくらいに推定をしておられるか、承りたいと思います。
○石黒説明員 御指摘のごとく技能労働力の不足状況の調査は、失業保険の適用対象事業所を対象といたしておりますために、五人未満のものが入っておりません。五人未満の事業所につきましては、非常に事業所の数が多いということと、流動が激しいために調査が非常に困難でございますので、目下のところいたしておりません。これは何人くらいと推定しているかとおっしゃられますと、実は非常に私どももお答えに窮するわけでございますが、五人未満の事業所に働く従業員の割合から推定いたすよりいたしかたないかと存じておりますが、その推定作業は実はまだいたしておりません。
○古寺委員 この不足数の不足率を見ますと、千人以上の大規模事業所の不足率はわずかに四・五%でございます。ところが五人から二十九人の小規模事業所におきましては四四%も不足をいたしております。ただいま申し上げました五人以下の零細企業におきましてはさらに私は深刻な実情にあるのではないか、そう思うわけでございます。最近はそういう技能労働者の不足から生産が思うように上がらない、あるいは労務倒産を引き起こす、そういうふうにまでいわれているわけでございます。その経営基盤が非常に脆弱なために、職業訓練による技能労働者の養成確保が困難でございます。したがいまして、これに対する国の援助助成というものをさらに強化しなければならないと思うわけでございます。 そこで、きょうは、私は特に、共同訓練団体に対しては指導員の手当、施設の借り上げ維持費、教科書、教材等、訓練に直接必要な運営経費については補助をされているわけでございますが、その補助額及び補助率を引き上げなくてならないのではないか。また職業訓練団体の事務職員の給与につきましては、全然補助がないわけでございます。この点についても今後当然考えてあげなければいけない、また地方公共団体や職業訓練法人に対する共同職業訓練設備の設置費補助につきましても、最高額が二百五十万円でございます。この点についても今後補助額を引き上げるべきである、そういうふうに思うわけでございますが、その点について労働省はどうお考えになっておるか承りたいと思います。
○石黒説明員 御指摘の点は、全くそのとおりに私どもも考えております。補助率は従来国が四分の一、県が四分の一、合計二分の一でございましたが、この補助率をもってしては企業の自己負担がなかなか苦しいという声も非常に強うございますので、来年度予算におきましてはこの補助率の引き上げを要求いたしたい。 それから補助対象といたしまして、共同職業訓練団体の事務職員というものが現実におかれておって、その人件費の重圧にたえかねておるという実情もございまして、この点につきましても人件費を補助の対象に加えるということにいたしたいと考えております。 それから共同訓練施設に対する補助金は毎年引き上げてまいったのでございますけれども、だんだん訓練に対する熱意が向上するにつれまして、その施設の規模、内容も充実、拡大する傾向がございますので、来年度予算におきましては施設費補助も大幅に単価を上げるように努力いたしたいと考えております。
○古寺委員 今度は具体的にお尋ねをしたいわけでございますが、事業内職業訓練の実施状況を見ますと、新規採用者に対して千人以上の規模の事業所では八八・四%、五人から二十九人の規模の事業所では二〇・五%しか訓練を行なっておりません。こういう点につきまして、来年度はどういう方針で事業内職業訓練を実施していくお考えであるのか、特に中小企業、零細企業に対するところの事業内職業訓練の来年度のお考えを承りたいと思います。
○石黒説明員 御指摘のごとく、従業員に対する訓練を実施しております率は、大企業と中小企業で非常に差異がございます。ただいまお示しの数字は、これは認定訓練以外の訓練も全部含めての数字であろうと存じますが、実際は、職種によりますけれども、一週間や二週間の訓練というのは実は非常に不十分でございますので、先ほど申し上げましたように、新卒で採用した場合には全員を訓練するというところに持っていきたいと考えております。そのためには訓練の補助金を上げるということも必要でございまして、ただいま申し上げたようなことを考えておりますし、また従来は共同訓練にしか補助金を出しておりませんが、これを中小企業の単独訓練にも出してまいりたいというふうに考えております。 それから、いずれにいたしましても中小企業は訓練の負担に非常にたえかねるということがございますので、一つの方法としては、これは公共の訓練校を拡充いたしまして、国または都道府県の手で訓練した者が就職できるようにしてやるという方法が一つでございます。それからもう一つは、訓練負担を軽減するということでございます。これは補助金の拡大でございますが、現在の補助金を多少拡大した程度では本質的に訓練経費負担が軽減されるというわけにはまいらない。年に四千三百円でございますから、倍になっても八千六百円しかいかない。この負担を飛躍的に軽減するためには、外国における訓練税とかあるいは訓練賦課金という構想のような特別な財源を求めるということも研究しなければならないと思っております。これは容易な仕事ではございませんので、来年度すぐにできる仕事ではないと思いますが、できるだけの助成措置を講ずる。同時に訓練基準につきまして、従来は非常に硬直的な訓練基準でございましたが、昨年の法律改正以来訓練基準を全面的に改正いたしまして、従来は中卒について三年の訓練一本でございましたが、訓練期間につきましても三年もの、二年もの、一年もの、それから半年訓練というようなものまでできるようにいたしまして、できるだけ訓練がしやすいというようにもいたしたい。そんなようなことを考えておる次第でございます。
○古寺委員 事業主の負担を見ますというと、一カ月の会費が月平均四百円と、それから訓練生一人当たり八千六百円ですから、合計で九千円になるわけですね。非常にその事業主の負担が重過ぎるので何とか補助率をアップしてもらえぬか、こういう要望が非常に強いわけでございますが、来年度においてこの補助率を変えていく、そういうお考えがあるかどうか承りたいと思います。
○石黒説明員 ただいまの補助率は、基本的には従業員特に新規学卒に対する職業訓練というのは、これはおよそ新卒を雇う経営者の当然の義務であるという観念から出発いたしまして、したがってそれに対して国、都道府県が補助するのはせいぜい半分までということで、四分の一、県と国と合わして二分の一という補助率でございますが、現実の実情を見ますと、こういう理屈はともかくといたしまして、ともかく経費負担にたえかねているという声が強うございますので、やはりこの声にはこたえなければなるまいということで、四分の一の補助率を来年度の予算要求におきましては三分の一に上げる、すなわち国、都道府県合わして三分の二にするという要求をいたしたいと存じます。ただしこの問題は、いま申し上げましたような、そもそも訓練はという理論上の問題と、それから理屈はともあれ、補助率というのは一ぺんきまったのを引き上げるというのは大蔵省は非常にきらうところでございますので、たいへんに困難な予算折衝に相なるかと存じますが、全力を尽くしてその実現に努力いたしたいと考えております。
○古寺委員 それから事務職員の給与の問題でございますが、これは大体一校当たり二人くらいの事務職員が配置をされているようでございますが、この事務職員の補助についてはどのくらいをお考えになっておるわけですか。
○石黒説明員 現実に共同職業訓練施設が事務職員を雇っております態様は非常にまちまちでございまして、協同組合の事務員が片手間にやっておりますところから、一人二人の専任職員を置いているところ、それから三人五人を置いているところまで、たくさんあるわけでございます。私どもといたしまして、来年度要求では、職業訓練法人となっているものにつきまして事務職員一人の補助をとりあえずいたしたい。補助額といたしましては、三分の一補助で一人当たり二十七万円の要求をいたしたいと思っております。
○古寺委員 それから共同職業訓練施設費の補助でございますが、最高額二百五十万円。それで訓練校の実態を見ますと、青森県で申し上げますと、八戸市であるとか青森市のような場合には非常にこの訓練生が多いわけです。七百人から八百人もいる。片一方、普通の訓練校のほうは百名内外である。そういうふうに非常に訓練生の多い施設も訓練生の少ない施設も、二百五十万円という最高額で押えられているわけでございますが、そういう点については来年度はどの程度までのこの施設に対する補助を考えていらっしゃるか、地域に応じた、実態に応じた補助というものをお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
○石黒説明員 従来はこの種の施設につきましては共同訓練センター一本の補助でございまして、それが二百五十万円ですが、昨年度からこれに対しまして機械費補助というのがつきまして、これは一職種当たり五十万円でございます。したがいまして職職がふえるに従って、たとえば二職種なら百万円でございますが、五職種ならば二百五十万円、合計して五百万円ということで、ある程度規模の要請にたえるものであると考えるわけでございますが、来年度は一カ所当たり三百万円以上の単価にいたしたいと考えております。 さらに、私ども訓練校につきましては成人訓練というものを、先ほど申し上げたように考えております。この成人訓練のセンターというものを若干の訓練校に付設するということを考えております。この成人訓練センターは成人訓練と同時に共同訓練のためにももちろん使えるものでございまして、これにつきましては数百万円から千万円以上というような大きなものまで考えてまいりたいというふうに考えております。
○古寺委員 ただいまこの補助率のアップあるいは補助額の引き上げ、そういうような問題についていろいろお話があったのですが、これは大蔵に対する折衝においては相当の決意が要るのではないか、こういう御答弁がありましたが、この点については労働大臣はどういう御決意でもってこれらの問題の解決に当たるお考えであるか。特にこの岩手県におきましても、こういう職業訓練の問題が非常に大きな問題になっております。それで、この点について大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○野原国務大臣 職業訓練に対する予算要求は、まとまり次第強力にこれを実現に努力してまいりたい考えでございます。
○古寺委員 いままでの公共職業訓練施設では、最近の技術革新の進展や地域の実情に対応できない、そういうような実情になりつつあるわけでございますが、今後における公共職業訓練施設の整備拡充につきましては、職業訓練の基本計画をまつまでもなく、緊急に推進をしていかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、労働省のお考えを承りたいと思います。
○石黒説明員 御指摘のとおりでございまして、職業訓練施設の拡充につきましては従来からたいへん努力しておるわけでございますが、来年度におきましても都道府県立の訓練校及び雇用促進事業団立の総合訓練校、双方につきまして三十職種前後の職種増を計画いたしておりまして、この職種増の内容につきましては、特に総訓の分でございますが、最近の技術革新に対応する新しい職種の開発ということに重点を置いてまいりたいと考えております。 同時にまた、従来の訓練校はかなり古いものもございまして、訓練施設が旧式になっておるというところもございます。こういう既存訓練校の内容の充実ということは本年度からかかっておりますが、来年度は特に努力をいたしたいというふうに考えております。
○古寺委員 身体障害者や中高年齢者に対する職業訓練というものをもっと拡充しなければならない、こういうふうに思うのですが、来年度の計画をお示しになっていただきたいと思います。
○石黒説明員 身体障害者につきましては、私ども昨年から省内に関係各局を集めまして、身体障害者総合対策会議というものをつくっておりまして、各局ばらばらでなくて、これをたとえば訓練でどういう訓練をすれば職安ではどういう方法でそれを就職させるというような総合的な対策を考えております。それに従いまして本年度予算も考えておるわけでございますが、特に身体障害者の職業訓練につきましては、実はやや旧式と申しますか、あまり近代的でない職種の訓練がかなりのウエートを占めております。これに近代工業的な職種を加えるということ、並びに入所する者につきましても、従来は中程度の身障者まででございましたが、重度身障者も入れていくということを考えなければいけない。それで全体として身障者の数に比べまして訓練あるいは職安登録という数は非常に少のうございまして、これを飛躍的に伸ばすような方法で努力いたしてまいりたい。 それから中高年につきましての訓練は従来から努力しているところでございますが、御承知かと思いますけれども、中高年の転職訓練につきましては、予算上お認めいただきました定員未満の入所者しかいないのが実情でございます。これは一ぺん失業者にならなければいまは転職訓練を受けられないというところに欠陥がございますので、最初に申し上げましたように、現役で雑役夫をやっているという中高年の人に、現役のままで成人訓練を施して、たとえば旋盤なら旋盤の夜間の訓練を受けさして旋盤工にするというような成人訓練というものを来年度から新たに強力に推進いたしたいと考えておるわけでございます。
○古寺委員 農業者であって他産業へ就業しようとする人や出かせぎをする人に対する職業訓練というものが非常に不十分なわけでございますけれども、これに対して来年度はどういう計画をお持ちになっているか。
○石黒説明員 農業からの転職希望者につきましては従来から門戸を閉ざしておったわけではございませんが、転職訓練全般の中で農業出身者はわずか三%前後でございます。本年から総合農政の展開に伴いまして、農業転職者用の特別の訓練をやることにいたしております。農民というのはなかなか半年、一年の長期の訓練になじまないような惰性がございます。農業者用の訓練というのは思い切って三カ月という短期訓練にする、その間必要な者にはその訓練手当もあげる、それから職種の選定につきましてもできるだけ農業者になじみやすい職種を選ぶ、しかもそれを一般の公共訓練校だけじゃなくて、移動式の簡易訓練施設でやるというようなことを本年から試行的に始めておりますが、これを来年度は本格的に展開する。さらに訓練校そのもの以外に農協その他の農業関係団体に委託訓練をするというような新しい手法も考えたいと思っておるわけでございます。 出かせぎにつきましてもこの農業者に対する訓練の一環としてこれを吸収するようにいたしたいと考えております。
○古寺委員 来年度は総合農政の展開あるいは減反の問題等もありますけれども、そういう観点に立って対象人員を大体どのくらい考えておられますか。
○石黒説明員 これは農林省及び職業安定局と最終的に調整しなければなりませんので、まだ確定的な数字ではございませんが、現在のところは一応公共職業訓練校及び簡易訓練施設を合わせまして一万三千人ほど、ことしが三千七百人でございますが、一万三千人ほどということで考えております。
○古寺委員 まだまだこれでは不十分だと思いますので、さらにこの対象人員をふやしていただきたいと思います。 それから事業内訓練生の中で非常に災害が多い。もちろん人手不足もあるでしょうし、中小企業においては特にそういうことが影響していると思いますが、十分な安全教育というものがなされていないのではないか、そういうふうに思うわけでございますが、大体労働省が把握している災害の実態ですね、それはどういうふうになっているか承りたいと思います。
○石黒説明員 訓練生の災害につきましては、実は公共訓練生の災害は別途私どもとして集計いたしておりますが、事業内訓練生の災害というのは、これは従業員の災害として一般の労働災害の中に集計されておりますために、訓練を受けている者がそのために受けた災害は何人かという集計は実はいたしておりません。ただ現実の問題といたしましては、これは当然労働基準監督署の監督の対象になる。しかも訓練生のほとんど大半の者が十八歳未満でございますので、年少労働者として特別の手厚い保護の対象となっております。基準行政としてはかなり濃密なる監督をいたしておるところでございます。
○古寺委員 こういう点につきましては非常に父兄の方々も心配をしていらっしゃるわけでございます。新しく社会に出発をいたしましてせっかくその前途を期待しておるにもかかわらず、いろいろな事故や災害によって問題を起こしているようでございます。今後これらについては十二分なる指導、監督を徹底して、新卒の若い十八歳未満の技能労働者が安心して働けるようなそういう環境をつくるようにしていただきたいと思うわけでございます。 次に、技能検定の合格者は非常にすぐれた技能を持っているにもかかわらず、企業等においては適正な処遇を受けていない、こういうふうにいわれているわけでございますが、国においてもこういう検定合格者に対するところの処遇の改善というものを進めるべきであると思いますが、この点につきましては大臣から御答弁を願いたいと思います。
○野原国務大臣 技能検定を受けて優秀な成績をとった者は、当然待遇の面でもそれは報われなければならぬのがまだ徹底を欠いておるとすれば、今後はその面を十分に徹底させまして、技能検定を受けた者はそれぞれの職種において十分報われるような対策を実現さしていきたいと考えております。
○古寺委員 局長から具体的などういう措置をお考えになっているか承りたいと思います。
○石黒説明員 技能検定合格者の処遇の調査を昨年からいたしております。その結果によりますと、平均的な値といたしましては、検定合格者は同じ年齢の同じ勤続年数の者に比べますと賃金は一割から二割高いという数字が出ております。したがいまして、それだけすぐれた腕を持った者は企業としてはよい待遇を与えておるということが一般論として申せるかと存じます。 しかし、それでは具体的に意識的にどういう待遇をしたかという点になりますと、企業が特別昇給をさせるとか一時金を与えるとかという処遇をしたかどうかということになりますと、そういう特別の処遇をした事業所は全体の四割しかないということになっておりまして、残りの六割は特別の処遇はしてない、ただ腕がいいから自然に賃金が上がっているというだけなんです。この処遇をもっと意識的にはっきりした処遇をさせたいと思っておりますが、製造業関係の工場におきましては年功序列給というのがございますために、非常に賃金はいじりにくいわけでございます。しかし、たとえば建設業関係ではこれはかなり横断的な職種別賃金がございますから、そんなところからまず熟練度に応じた横断的賃金というものを技能検定合格者を中心として推進できないかというようなことを検討しておる段階でございますが、御指摘のようなことは非常に大事なことだと思いますので、今後も鋭意努力いたしたいと思います。
○古寺委員 今後策定をされる予定になっているところの職業訓練の基本計画あるいは技能労働者の養成、確保を実現するためには、今年度の予算は大体百五十億程度でございますが、今後少なくとも年間二百五十億程度の予算を計上しなければこれらの諸問題の解決はむずかしい、そういうふうに思うわけでございますが、労働大臣としては来年度どのくらいの予算をお考えになっているか。二百五十億くらいの予算の獲得を目ざして現在着着検討を進めいてらっしゃるかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○野原国務大臣 まだ最終的には事務当局の案を聞いておりませんが、非常に重要な問題でございますので、百五十億といわず、必要な大幅な予算はまとまり次第これを要求し、実現に当たるよう努力する考えでございます。
○古寺委員 百五十億ではこれは本年度と同じでございます。ぜひひとつ二百五十億くらいの予算を実現できるように今後がんばっていただきたい、そういうふうに御要望を申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。
○倉成委員長 古川雅司君。
○古川(雅)委員 去る七月六日、広島県沼隈郡沼隈町の常石造船、社長は神原秀夫という方でございますが、この二十万トンバースでアメリカのパイプ敷設船インターマック五〇一号、九千五百トンが塗装作業中に船内爆発を起こしました。三人の死亡者と六人の重軽傷を出しております。いろいろ調べましたところが、この造船所におきましては非常に災害の発生件数が多いということが問題になっております。冒頭に局長にお伺いをいたしますが、これは何か監督行政上、労働基準局に責任があるのではないかという気がいたしますが、いかがでございますか。
○和田説明員 ただいま御指摘のございました常石造船所につきまして本年の七月六日午後七時三十五分ごろ火災事故がございまして、死亡者三名、重傷者――やけどでありますが二名、そういうことでございます。 私どものほうで四十二年以降二十二回にわたってこの会社に対して監督を実施いたしておりまして、そのつど違反事項を発見をし、その是正を求め、大体そのつど是正をいたすわけでありますが、二十二回の監督実施の状況を記録的に見てみますと、同じような違反事項が是正をされながらまたその次に出てくるということでございます。非常に遺憾に存ずるわけでございまして、今度のような死亡事故を契機にして、この会社に対しては厳重な態度で私どもとしては臨まざるを得ない、かように考えております。
○古川(雅)委員 これは全く政府の監督行政が無視されておるということをいまの局長の御答弁の中からも拝察したわけでありますが、特にこの造船所に勤務をしております従業員から事情を聴取いたしましても、いわゆる労働基準監督署の監督のある日には比較的作業環境の整備が行なわれ、危険な作業現場においてはその日だけ作業を中止するというような事態でごまかしている。しかも事故が発生したときには、せいぜい一週間か十日間は自重をして、かなり注意が徹底するけれども、その後はまたもとのような状態に戻ってしまうというような実情であるということであります。いまの局長の御答弁で、今後さらに厳重に注意を促すということでありますが、これほど監督指導が無視され、そうして災害が繰り返されるということは重大な問題ではないかと思うのです。大臣、いかがでございますか。
○野原国務大臣 ただいまお伺いした情勢では、確かにどうもまことに芳しくない遺憾な点だと思います。今後厳重に監督を行なう必要があると考えております。
○古川(雅)委員 しかもこれはすでに基準局のほうでお調べ済みだと思いますが、この会社におきましては社員は五百人でありまして、そのほか八百人から千人くらいの下請従業員が常時働いております。この下請従業員に圧倒的に災害が多いということも大いに問題ではないかと思います。この点は後ほどまた繰り返さしていただきますけれども、ここでひとつ当局の御見解を伺いたいのは、いわゆる労働監督官の問題であります。今年度の予算で七十五名の増員が認められておりますが、この七十五名はすでに充足されているのでありましょうか、いかがですか。
○和田説明員 七十五名の増員ができました分につきましては、まだ全員が充足されたかどうか確認いたしておりませんが、当署にできるだけ多く配置するように、あるいは事務官から監督官の資格のある者を配置がえするように指示をいたしておりますので、相当数は配置がえができておるもの、かように考えております。
○古川(雅)委員 これは委員会のたびに何度も言われていることでありますが、この監督官の増員については一向に前進を見ないわけでありまして、昭和二十三年の二千四百八十一、昭和四十年の二千五百九十八、以下わずかずつふえ、昭和四十五年度で二千七百五十三、こういう現況であります。ちなみに、冒頭に申し上げましたこの重大災害の起こりました現場を担当している広島県福山の労働基準監督署の内容を聞いてまいりました。監督官八人のうち実働は六人である。しかも管内の対象の事業所数が一万二千、そのうち製造業種は四千三百、重点作業所が八十、しかもその重点作業所の中にはこの常石造船をはじめとし、九千人を擁する日本鋼管、ここには四十二の関連業者が入っておりますが、こういったところも入っております。これだけの重点作業所をかかえ、わずか六人から八人の監督官で監督行政を進めていくということは、むしろ監督官自身の勤労意欲、職務に対する責任意欲というものを全く喪失しかねない、そういう現状にあるのではないかと思います。 これは全国的な問題になってくると思いますが、特に私はいまここで重大災害のありました福山について申し上げているわけでありますが、最近急激に工業化が進みまして、しかもここ数年間ほとんど監督官の増員はなされていない。全国的な立場で考えると、何か配置の不適正あるいは現状に追いつけない、そういう問題が残されているのではないかと思いますが、そうした全体的な立場からいかがでございますか。
○和田説明員 先生ただいま御指摘がございましたように、二十三年度から比較いたしまして、監督官の増員の数はほとんど見るべきものがございません。それに対しまして、適用事業場数あるいは適用労働者数は五倍ないしは三倍というようなたいへんなふえ方でありまして、今後ともこの傾向は、多少スローダウンはいたしましても続く、こういうふうに考えられます。 一たん配置をいたしました監督官は、その住居関係その他からしてなかなか異動がむずかしいわけでありますが、ときに応じてときどき定員の組みかえを行ないます。しかし、何と申しましても絶対数がきわめて不足をしているという事実でございまして、特に福山の監督署のように、最近あそこに重要な工業地帯ができまして、続々工場、事業場がふえておるというような急テンポのところにつきましては、御説のように全体の配置としましても確かに不十分なことはございます。これは水島とか福山とか鹿島とか、全国的に見ましても相当そういう問題をかかえておりますので、私どもとしましては、増員等とのにらみ合いの上でぜひ有効な配置をするような配慮をしなければいかぬのではいか、かように考えております。
○古川(雅)委員 大臣、そういう状態であります。しかも私が問題にしたいのは、そうした第一線にある監督官がたいへんなオーバー労働である、過重労働であるということを特に私は強調したいわけであります。今年度かろうじて七十五名の増員で、それもまだ充足されていないという現状から考えまして、来年度は相当深刻にこの問題に取り組んでいただかなくてはならないと思うのであります。 さらに、こまかいことで恐縮でありますが、これは直接担当である労働省の皆さんが一番よく御存じだと思いますが、この監督官の皆さんの勤務条件、労働条件であります。たとえば超過勤務手当、これはこうした災害が起こるのは時間を問いません。この常石造船の災害のときにも、現に監督官の皆さんは午前三時まで現場で調査に当たっております。しかしその超過勤務手当が出るかどうかはわからないという現実だそうでございます。予算は組まれているけれども、予算のワクがあるので、そのワクを越えて超過勤務を払えるかどうかわからない、そういう状態なんです。この点いかがでございますか。これは何とか考えていただかないと、ほんとうにこれからますます災害防止に取り組んでいく第一線の皆さんがやる気をなくしてしまうと思うのですが、いかがでございますか。
○和田説明員 基準局は労働基準法の施行を担当しておるわけでございますので、そういう観点からいたしましても、職員の労働条件については十分気を使わなければならぬわけであります。予算でございますので、一応一人に対して超過勤務年間どのくらいというような計算はもちろんございますが、その間当然彼此流用し得る余地はあるわけでございますので、たとえばこの福山の問題等につきましては、十分その勤務状態等を調査いたしまして、所要があれば超勤の追加配分というような措置もとりたい、かように考えております。
○古川(雅)委員 その点は十分考えていただきたいと思います。第一線ではその点徹底しておりませんので、あらためてひとつ行政指導をして、こうした不安を除いていただきたいと思います。 さらに機動力の問題でございます。これは金をかければ何でも解決するといってしまえばそれまでですが、現実としてはこうした重大な工場災害が起こったというときに、まっ先にかけつけてくるのは警察です。そのあとに来るのは報道関係です。一番最後にかけつけるのが監督署で、これは機動力がないということが大きな悩みになっております。これなども早急に考えていただかなければならぬ。非常に行動半径が広くなっておるので、これも来年度の予算で強力に進めていただきたいと思います。大臣いかがですか。
○野原国務大臣 どうも機動力が十分ないという話を聞きまして遺憾に思います。明年度の予算には十分な要求をいたしたいと思っておりますが、先ほど来お話のございました基準監督官の数をふやすという問題につきましては、労働省の最重点の問題として強力に進めたい。これは公害対策の問題等もございまして、労働省がこの面からも、各工場に対する公害のいろいろな問題がなくなるように積極的に取り組んでいくという点からも、労働基準監督官の数は、従来の例にとらわれませんで、思い切って大幅な増員を要求するという態度でいきたいと考えております。
○古川(雅)委員 金のかかることばかりで申しわけありませんが、もっとこまかいことがあるのです。監督官の被服であります。冬ものは四年前に一着支給されただけで、夏ものは去年やっと一着いただいた。安全ぐつは五年前にいただいたもので、もうとっくにありませんから自弁で買ってはかなければならぬ。手袋に至ってはいまだに一足も支給されていない。これは現場のあの危険な作業場の中をかけずり回って監督行政に当たる監督官の皆さんにとってはどうしても必要なものです。予算がないということだけでこういう現状のままほっておいてもいいのかどうか、これは問題だと思います。やる気をなくするのは当然だと思います。しかも官舎等の待遇においても非常に貧弱である。こういう声をほんとうに労働省当局の皆さんが聞いて真剣に取り組んでいらっしゃるのかどうか。実際公務員試験にパスしても監督官になり手がない。パスはするけれどもならない。こういう現状が全国あちらこちらに見られるそうでありますが、この辺の待遇については今後いかがでありますか。
○和田説明員 被服及び安全ぐつ、それから安全帽、こういうものにつきましては、できるだけ実情に応じて支給するということでありますが、先生がいま御指摘の具体的な例につきましては、そういう状態であるといって直ちに肯定を申し上げかねるものがありますが、このところ毎年実はそういう経費が入っておりますので、実情を見ました上で、先生の御指摘のように非常に間遠になっているということでは困りますので、実情を調べた上で措置をしたい、かように考えます。
○古川(雅)委員 いろいろ申し上げてまいりましたが、この災害を起こしました造船所だけでなく、ことに下請の事業所等に勤務して作業している皆さんにとっては非常に複雑な心情がございまして、とにかく事業所をつぶすわけにはいかない。さりとて少しでも高い賃金を得て生活を確保しようと思えばからだを張って仕事をしなければならない。ということは、危険を覚悟で、災害を覚悟で仕事をしなければならない。そういったときに、何よりもたよりになるのはこの労働基準監督官であります。監督官の指摘、監督官の指導を全面的に信頼し、監督官が安全を守ってくれるのだ、そういう信頼感をもって見ているわけであります。第一線の監督官の皆さんがもっと意欲をもって、誇りをもって任務に当たることができるように、今後十分御配慮いただきたいと思います。 それから、先ほど申し上げましたいわゆる社員と下請従業員との格差の問題であります。特に災害が起こって、いわゆる労働者災害補償保険法による適用が行なわれる。その場合、保険の範囲内ではよろしゅうございますが、いわゆるプラスアルファとして被災者と会社との個人的な話し合いで見舞い金が支払われているのが現状であります。この場合、通例労働組合のある場合には、労働組合と会社側に一定の話し合いがついております。この場合、下請業者になりますとこういったプラスアルファの補償がありません。今年度労災保険法の給付内容が若干改善をされましたけれども、まだまだ不十分であるということは当局もお認めになると思います。そうした中でこのプラスアルファの占める意味が非常に重くなってまいります。一家の働き手を失った、あるいはけがで収入源を断たれた、そういうときに十分な見舞い金を求めるのはこれは人情であります。この場合、下請といわゆる会社員であるということの格差によってあまりにもその災害後の見舞い金に差があるということは、このままほうっておくことはできないと思うのであります。この点について、個人間の問題であるとはいいながら、当局として何らかの調査をし、実態を調べ、そして今後どうすべきかということをお考えかどうか、この点ひとつお願いいたします。
○和田説明員 働く方がなくなられた場合におきます労災保険の扱いにつきましては、前国会で御審議をわずらわし御制定いただいたので、私どもとしては漸次実情に合わせつつ労災保険の充実をはかっていきたい、しかもその充実がほんとうに扶養者のためになるようなことでいきたいということで重点を年金に移しております。しかし、一般的には働き手がなくなられたときには一時的に金が要るというようなこともございまして、今度の改正でも、一時金の額を四百日から千日分に変えさせていただいております。 こういうことに関連をいたしまして、労災の無過失賠償責任問題とは別に、先生からいまお話がありましたように、事業主側が見舞い金あるいは慰謝料というかっこうで一時金を支給いたします。確かに御指摘のように、元請と下請の場合に金額に差異があるというのは残念ながら今日は通例でございますが、しかし、一部の産業等におきましては、同じところで働いて同じところで死んだならばそういう見舞い金等については同額にすべきだということで、すでに同額になった会社もございます。そういうふうに一般的な風潮としては漸次同額のほうに持っていくべきだという空気が強うございます。もちろん、これは監督官なり監督署が同額にすべきだという法的根拠はございませんが、行政指導あるいは話し合いという場面にそういうことを言いまして、できるだけ同じような額に持っていきたいという希望を持っております。
○古川(雅)委員 傾向としては了解をいたしますが、現実の問題としてこういう災害にあった気の毒な方がどんどん出てきておるわけでありまして、そういう点、今後強力な措置をひとつお考えいただきたいと思うところであります。 ことに冒頭に申し上げましたこの会社におきましては、労働組合が結成されていないというようなことが労災後のこうした見舞い金等の交渉について大きな支障を来たしているという実情がございますけれども、これだけの大きな会社において労働組合の結成を会社側が認めないということは、むしろ労働組合の結成、労組のろの字を言っても首になりかねないというような会社に対しましては、当局としてはどういう指導のあり方が残されているのか、その点一点伺いたいと思います。
○和田説明員 労働組合問題でございますので、私から申し上げますことは責任の立場外でございますのでたいへん恐縮でございますが、一般的に言えますのは、労働省はもちろん必要なところに労働組合ができる、これはずっと労働教育というようなかっこうで経営者にも労働者の方々にもそういう姿勢でまいっておりまして、県の労政課あるいは労政事務所あたりでは労働組合の結成というような線で行政を進めておる、こういうように承知をいたしております。
○古川(雅)委員 問題は変わりますが、労働安全週間、それから労働衛生週間にいわゆる優秀事業所の表彰がございます。いろいろな種類の表彰を設けているようでありますが、この表彰を決定する一つの基準、これにいわゆる労働災害の発生件数あるいは災害の発生度数率といいますか、こういうものが関係があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○和田説明員 安全週間におきましては、災害の度数率をまずもって優良かどうかということを判定する最大の基準にいたしております。
○古川(雅)委員 そうした場合、これは私の見込み違いかもしれませんが、いわゆるこうした下請業者を動員して事業を経営している会社においては、その本社員が起こした災害しか発生件数として加算されない、下請業者の災害についてはこれに加えないというふうに聞いておりますが、いかがでございますか。
○和田説明員 実は、かつてはそこの元請だけというような意味合いで審査したことがございますが、最近は元請、下請が常態的であるような場合におきましては、一つの事業所の中で働くという意味で下請も入れなければいけないということで、明確に下請の災害率がどうであるかということを審査の対象に加えることにいたしております。
○古川(雅)委員 それは徹底しておりますでしょうか。
○和田説明員 四十四年度からただいま申し上げました基準に変えまして、その趣旨を各基準局には通達の形で明示をいたしておりますので、四十四年度以降における選考については非常にはっきりしていると考えております。
○古川(雅)委員 これまでの傾向が、いわゆる下請業者が起こした災害については問題でない――と言うのは言い過ぎかもしれませんが、発生件数の中に加えられないということで、元請会社が下請の従業員に対する安全衛生思想の徹底を欠いていた、怠慢になっていたというような傾向を生んでいたのではないかと思います。この点いかがでございますか。
○和田説明員 ただいま先生の御指摘のような風潮もあるように感じましたので、四十四年から下請を入れての災害率を考えるということに切りかえまして、元請、下請の災害予防については重要な責任を持っておる、こういうものを表彰等を通じて徹底をしたいという気持ちでございます。
○古川(雅)委員 時間がございませんが、最後にもう一度確認をさしていただきます。こうした労働基準監督署の警告にもかかわらず、同じような不注意で、同じような不熱心さで災害を繰り返している事業所は、こうした災害が続いていく限り今後どのように対処されていくか。相変らずばかにされたまま、警告が無視されたまま何回も警告を繰り返して終わらせていくのか、断固たる何らかの態度をおとりになるのか、その点、局長と大臣からお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○和田説明員 この具体的な問題になりました労政事情につきましては、従来の監督例から見まして、私どもは措置についてまことに遺憾であったと思っております。今後の災害、しかも重大な死亡災害事故でございますので、こういうものを契機として、こういう会社に対して私どもは厳重な態度で臨みたい、原因その他の究明を待ちまして、必要な措置を私たちの持っている権限の最大のものを発揮して災害事故が繰り返されることのないような努力をいたしたいと考えております。
○野原国務大臣 ただいま局長から御答弁のとおりでございまして、そういう不良の作業場につきましては、厳重に今後とも対処するよういたしたいと考えております。
○古川(雅)委員 最後に申し上げておきますが、私、あくまでこの会社を非難することを強調するだけではございませんので、年々起こっておりますこういう災害の犠牲になっているほんとうに働く人たちを守っていただきたい、その第一線に立っている基準監督官が喜んで誇りをもって仕事をしていただけるように、その点を強調してお願いした次第でございまして、今後の強力な行政指導をお願いする次第でございます。
○倉成委員長 田畑金光君。
○田畑委員 自動車局長がいらしておられますから、まず自動車局長にお尋ねをしたいと思うのでございます。 局長、御存じのように、ことしの春の賃上げはあらゆる産業で大幅なものがあったわけです。私鉄バス関係でも、大手私鉄が八千九百五十円で妥結し、地方の中小私鉄の労働組合でもこれを目標に賃上げの要求をしてきたわけです。しかし、最近の過疎地域の発生あるいはモータリゼーションの影響で、地方の中小私鉄の場合、経済事情が悪化してきておるために、労働者側の要求も必ずしも一〇〇%達成できない企業がしばしば出るわけでございますが、これに関連いたしまして、最近一般的な傾向として地方のバス企業あるいは中小私鉄の企業等においては非常に経営上の隘路が出てきておるわけであります。自動車局長でございますから、私はこの際、地方バスの赤字路線の問題について、政府としては特に地方自治体の助成策、こういう面でどのように取り組んでいかれる御方針なのか、この点をひとつ最初に承りたいと思います。
○野村説明員 ただいまの御質問でございますが、運輸省といたしましては、お説のように、過密バス対策と同じように過疎バス対策というものが非常に問題になっております。これはいわゆる過疎地域、離島とか辺地とか、あるいはその他の過疎地域におきまして、一方では人口の流出が毎年毎年相当ございます。また他方では、自家用車の普及というようなことがございまして、過疎地域を事業区域といたしますところのバス事業の経営というものは、総じて非常に悪化をいたしております。 そこで、私どもといたしましては、昭和四十一年から、わずかでございますけれども過疎バス対策というものを始めております。それで、おかげさまをもちまして年々少しずつ――国家の助成、これには当然関係県の非常な御援助を得ておるわけでございますが、少しずつそのワクを広げてまいりました。 現在、三つのことをやっております。一つは、過疎地域におきまして、一定の基準以下のいわゆる過疎バスというものに対しては、そのバスの路線を維持するための運行経費の補助ということをやっておりまして、これに対しては、全事業で経常赤、また乗り合いバス部門で経常赤を出しておりますところの過疎地域のバスに対しましては、大体その経費の、車両償却前の運送費から人件費を引きました額の半分、これを国で見る、残りの半分は県で見るというようなことをやっております。これが四十五年度の予算としては七千百万円ほどついております。 それからもう一つは、同じような過疎地域でございますけれども、大部分はいま申し上げました路線と重複することが多いと思いますが、車両を購入するその購入資金の三分の一の経費を国で持つということをやっております。残りの三分の二は事業者が持つということで、これは四十五年に二千五百万円ほどの予算が認められております。 それから第三は、以上のような措置を講じましてもなお非常な過疎地域であって、民間のバス事業者が路線を維持できない、お手あげになった、こういうようなところにつきましては、その関係の市町村等の公共団体が、そこで住民の足を確保する措置をやむを得ず講ずるというケースがあるわけでございますが、そういう場合にも、その購入する車両の経費の三分の一を国が見るという制度でございまして、これは実は本年度四十五年度から認められたわけでございます。この経費を、わずかでございますが約八百四十万円ほど見ております。締めて四十五年度ではこの三つの部分にわたりまして約一億六百万円ほどの予算がついております。今後四十六年度予算の要求にあたりましては、過疎地域というものがだんだん広がり、また過疎バスの運行というものがますます困難になってまいっておりますので、私どもさらにこれを拡充強化していきたい、かように考えております。
○田畑委員 対象になる企業は幾らですか。
○野村説明員 対象になります企業は、四十五年度で申し上げますと、路線維持費、これは三十一社、二百二十五の運行系統会社としては三十一社でございます。 それから、乗り合いバスの車両購入費の補助、これは四十五年度はまだ確定いたしておりませんが、四十四年度で申し上げますと、十五社、二十七両、それから民間企業が廃止する場合に市町村が購入する場合、これはまだ本年度でございまして、これから対象を調べまして決定する、こういうことになっております。
○田畑委員 いまお聞きいたしますと、全部の国の助成額が一億六百万、いうならば現在の国の助成策というのはスズメの涙程度という表現に当たるのではないかと思うのです。そこで、やはり地方のバス企業というのはあくまでも公益事業で、特に過疎地域になればなるほど、バス企業に依存する住民の期待というものは大きいわけでございますから、したがいまして、こういう助成策については、四十六年度以降もっと積極的に取り組むことが必要であると思うのです。幸い過ぐる六十三国会では、これは議員提案でございましたが、過疎地域対策特別措置法が成立を見ておるわけであります。ただ残念ながらわれわれは、あの法律の中で、特にいま問題として指摘しております一般乗り合い旅客自動車運送事業等について、これが経営者等に対し経営上の欠損金等に対しては相当額の補助を出すような明確な立法措置をなすべきであったけれども、その大事な点が欠けていた。まことに遺憾だと思うのです。画竜点睛を欠くということになると思います。したがいまして、いま局長の御答弁なさいました国の助成措置等については、バス企業の公共性、公益性にかんがみられて、もっと積極的に努力されることを期待いたしますが、その御用意があるかどうかをこの際明らかに承りたいと思います。
○野村説明員 ただいま申し上げましたように、いわゆる国の補助金と申しますか、そういう助成の方向といたしましては、四十六年度は四十五年度の制度をさらに拡充強化する方向で努力をしたいと思っておりますが、さらに、これはまだ運輸省の省議を経てきまったわけではございませんが、私ども自動車局といたしましていま省内で声を大にして発言いたしておりますのは、補助金というよりもむしろ――補助金ももちろん必要でございますけれども、過疎地域で公共性の強いしかも住民の足として維持しなければならないバス事業については、基本的に長期に考えますと、バス路線網の合理的な再編成というようなことも考え、またいろいろ企業の協業化と申しますか、そういう提携を考えると同時に、そういう事業に対しましては、私ども長期低利の財政資金を確保するように要求をしたい。それもいま申し上げましたようなもっと地域を拡大をして、地方の公共の立場から見ればどうしても必要なバス路線については、積極的に長期低利の財政資金の導入をはかって企業基盤を強化するような方向でやりたいと考えておりますが、これはいろいろ財政上の問題もあるようでございますが、私どもとしては、省内でもこのことを極力主張をし、ぜひ運輸省全体の意見としてこれが実りますように努力をしたいと考えております。
○田畑委員 ここで個別企業の問題にちょっと触れるわけでございますが、局長も御承知のように、ことしの六月一日に中国バスでベースアップ問題の協定が成立を見たわけです。協定が結ばれたわけです。その節会社と中鉄バス労組との間には、合理化に関する覚書が調印をされておるわけです。その第一項に、赤字路線の削減と人員整理、この項目がございますが、実はこの項目がまた同じ企業にある私鉄側の組合と会社側の紛争の種にもなっておるわけであります。その問題はその問題といたしまして、赤字路線を削減するということになってきますと、これは要すれば事業の縮小あるいは一部の休止、廃止、こういうことになってくるわけでありますが、当然に道路運送法第四十一条に基づいて運輸大臣の許可ということになろうかと見るわけであります。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 その場合には、当然また第四十一条の第二項によれば、運輸大臣は公衆の利便という尺度から事業の休廃止等について判断を下すと思うのでございますが、その辺の事情について、このような一地方の具体的なバス問題を取り上げておるわけでありますが、このような場合については運輸大臣としてはどのような態度で臨んでおるのか、今日まで事例があればその事例もあげて御説明いただければ幸いだと思います。
○野村説明員 バス路線の廃止、休止の問題につきまして、ただいま先生の御質問になりましたように、道路運送法に基づいて処置をするわけでございますが、権限的に申しますと、三十キロ以内のものについては地方陸運局長が権限を委任されております。それからそれ以上のものにつきましては中央で運輸大臣が行なうことになっております。それを行なう場合には、もちろん法律の趣旨に基づきまして、その路線を廃止することが地元民にどういう影響を与えるかということを十分検討してやるわけでございますから、他に交通手段がないとか、あるいはほかの会社で並行路線があるかないかという事情も調べますと同時に、先ほどちょっと申し上げましたことに関連するのでございますが、もし民間の事業者がこれをやめる場合には、その市町村がそれにかわってやる用意があるのかどうか、その辺の事情を十分検討いたしまして結論を出すわけでございまして、この辺のかね合いは非常にむずかしいわけでございますが、株式会社とは申せ非常に公共性の高い事業でございますので、単に採算の面だけからその路線の存廃を論ずるということはございません。そういうことで、非常に地元の事情を調べながら検討する、こういうことになっております。
○田畑委員 大型景気で労働者の賃上げも大型ベースアップという傾向になってまいりますと、交通運輸企業においても当然私鉄大手十四社の賃金の水準というものが地方の企業にも大きな影響を与え、また同時に、働く人方からいうならば、この物価高の生活環境のもとにおいて、より高い私鉄大手十四社の賃金をめどに賃金交渉が進められることは、これは当然なことだと思います。しかしながら、現実に個別企業を見ますならば、相当のベースアップをはかるためには、どうしても赤字路線の問題が大きな制約条件になってくること必至だと思います。中国バスの場合も、そのような地方バス企業の宿命がこの合理化に関する覚書の協定書になったのであろうと私は見るわけでありますが、先ほど局長の御答弁の中にもありましたように、バス路線の再検討であるとか、協業化の問題であるとか、あるいは長期低利の資金を融資して公共性の確保のための措置を講ずることについては、今後ともひとつ一そうの御努力を切に願いたいと考えておるわけであります。 そこで、今度は労政局長にこの問題に関連してお尋ねをしたいのでございますが、この六月一日の例の中鉄バスのベースアップの協定にあたって、退職金規程改正に関する協定書というのができているわけですね。それによりますと、要すれば退職金の算定基礎に賃上げ額の一部を算入しないといういわゆる第二基本給化の傾向というものが、これは単にこの中鉄バスという会社だけの問題なのか、あるいはバス会社一般にこのような第二基本給化という傾向が現実にあるのか、あるいはまた、単に交通企業だけでなくして、あるいは鉄鋼とか電力、その他いろいろなわが国の産業の中において、最近毎年大幅のベースアップが実現しておりますが、そのベースアップはそのまま要すれば退職手当の計算基礎になっておるのかどうか、これらの傾向をひとつ御説明いただきたいと思うのです。
○松永説明員 ただいま先生御指摘になりましたベースアップの一定部分を退職金の算定の際に入れないという例は、正確に統計的にはつかんでおりませんけれども、私どもときどき耳にいたしております。これはバス会社等だけでなくして、ほかの産業にもあるように承知をいたしておりますが、バス関係では会社側の提案として私ども承知しておりますのは、二十七、八くらいの会社がそれをことしの春闘の際に提案をしたということを承知いたしております。 ただ、問題が非常に労働者にとっても重要なものでございますので、解決をした件数は非常に少ないようでございますけれども、いま言われましたような第二基本給といったような考え方が提案され、そしてまたそれが協定されたという例も聞いております。なお、退職金算定の際に協議するというような解決のしかたをしたところもあるように聞いております。
○田畑委員 これはひとつ労働省としても、最近第二基本給化の傾向というものが、単にバス企業とか交通企業だけでなくして、その他の産業にも漸次こういうような形が取り入れられてきておる。好むと好まざるとにかかわらずそういうふうな事実関係があるということは、これは周知の事実でもありますので、もっと正確な数字を把握されて、しかるべき機会にひとつ御答弁を願いたいと思うのでございます。何かいま資料を出したようでございますが、そこに載っているんじゃございませんか。
○松永説明員 最近単なるベースアップだけでなしに、そういう意味では春闘の賃上げの際の交渉がいろいろな角度からなされております。それで私どもは、春闘の賃上げの際にどのようなことを協定したかという調査を、実は項目をつくりまして昨年も行ないましたが、ことしも行なうことにいたしております。そして、その中にいまおっしゃられましたようなベースアップの一部を退職金算定の基礎からはずすというようなことの協定がなされたかどうかということも調査項目に入れておりますので、この調査ができ上がりますと統計数字的なお答えができるかと思いますが、大体九月か十月くらいまでかかると思いますので、その資料ができ上がりましたら、またそれに基づきまして御説明申し上げたいと思います。
○田畑委員 最近、たとえば私鉄やバス企業の中において経営者側が――これは私は決していいと言っているわけではございませんが、第二基本給化の傾向というものを強く取り入れてきておるのは、反面においてはいわゆる労働者の退職積み立て金の運用について、大蔵省の厳重な監視監督もあるわけで、そこでまた支払能力とか経理の運用、こういうふうな面からこういう傾向が出てくるのだと思います。 ただ、現実に中国バスにいま起きている争議の一つの大きな内容が、第二基本給化の問題であるというようなことを考えてみるなら、やはり労働省としてはこのような傾向というものについて、正確な資料なり統計数字なりをお持ちになることが、労使関係の正常化に役立つ労働省の役割りだと思うのですね。そういう点について今後御努力を切に期待したいと思います。 同時に、私といたしましては、これはあえてあなた方に説明あるいは感想を求めても、そのようなことはいわく言いがたいと思いますので、ただ私だけの気持ちを申し上げますならば、中国バスにおいて半数前後の組合員が五月十五日以来無期限ストライキに入っている。これがために市民の足に深刻な影響をもたらしているということを考えてみまするならば、こういうような問題の解決等についても、できるだけ手をかしてやることが大事なことじゃないのか、こういうことを痛感するわけです。また、この中国バスにおいては、一方の組合と会社側とでは、このベースアップ八千五百円の協定にあたって、合理化の協定も結んでおるわけですね。その合理化の内容は、担当者制の廃止であるとか、改札係の廃止であるとか、手持ち時間の勤務要領であるとか、結局これは経費を浮かして八千五百円のベースアップを支払おうという、そして先ほど申し上げたように、モータリゼーションの今日の時代において、地方バスがなめてきておる経営上のしわ寄せがこういう形であらわれておると思うのです。また反面において、いかなる企業であっても、やはり今日の激しい競争の中で存在し生き抜くためには、労使相協力して、切り詰めるところは切り詰めていく、こういうようなことも必要でないか、こういう感じを持つわけで、どうかそういうふうな角度において、いま個別企業の問題を取り上げてあまり云々することは私も希望しませんが、このような争議が発生しておるということはまことに遺憾だと思うし、こういう問題の解決については、労働省としても直接の問題でないかもしれぬが、ひとつ行政指導の面から善処されることを切に願いたいと思うのです。 私の聞くところによれば、七月二十日に岡山県地方労働委員会が職権あっせんで一つの提案をしておるわけでございますが、不幸にして会社側が拒否し、一方、私鉄支部はこれをのんだ、こういういきさつがあるわけですね。ただ地労委のあっせんの内容について私はとかくの批判を申し上げるつもりはないのでございますが、すでに一方の組合とは六月一日付で協定が成立し、正常な運行が行なわれておる。そのときいろいろな協定がなされておる。ところが、地労委のあっせんの中には、その協定と矛盾するような内容があっせんとして出されておる。そこらあたりにせっかくの地労委の職権あっせんが、一方が認め、一方が拒否する、こういう事態になったと見るわけでありまするが、それをどう評価するか別にいたしまして、やはり交通企業という大事な公営事業において、たとえ地方的な問題であるといたしましても、争議が長引いて地方の人々に迷惑をかけてはまことに遺憾なことだ、こういう感じを強くいたすわけでございますが、どうかこういう点等において、労働省としても十分情勢を把握をしておると思うのでございまするが、その立場においてこの問題の早期解決のために努力することを強く希望したいと思うのです。もし私の申し上げたことについて労働大臣、一般論としてでもけっこうでございまするが、御所見があればこの際承っておきたいと思います。
○野原国務大臣 先ほど来お話を承っておったのでありますが、中鉄バスの問題、特に過疎地帯を運行しておるバスは非常に深刻な問題であろうと存じます。この問題については、なかなか企業内で解決つかない問題だと思います。そうした過疎地帯に対しては何か別途な配慮が必要であると考えておりますが、中鉄の問題につきましては、すでに自動車局長の答弁もありましたごとく、やはりこれは別個に財政上の配慮をするとか特別な対策を講ずる、過疎地帯に対しては別な意味で、過疎地帯を救うという意味の国の大方針がきまって、それによってそうしたバスもある程度運行できるという対策が必要であろうと思います。この問題は、御指摘がございましたので、十分検討いたしまして、今後できるだけの御協力を申し上げたいと考えております。
○田畑委員 私はいまの大臣の御答弁でけっこうだと思いますが、先ほど申し上げたように、この間の国会でも議員提案で、過疎地域対策緊急措置法という法律が成立を見ているわけです。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 この法律の内容は、いろいろな問題があるのでございますが、特に過疎地域住民の足の確保の問題、交通輸送の整備の問題、こういうことが一番大事な問題でもありますので、先ほど自動車局長からいろいろ今日まで努力しておる内容についての説明がございましたが、これをさらに充実強化すること、これがやはり過疎地域問題の重大な課題だ、こういうことで内閣の一員として労働大臣は、四十六年度予算編成にあたっては、私がここで申し上げたことをどうぞひとつ閣議の中で反映するように御努力なさることを切に希望申し上げて、私の質問を終わります。
○倉成委員長 寺前巖君。
○寺前委員 大臣は何かアメリカの鉄鋼労連の幹部の人とお会いになるそうで、最後までおれぬという申し出があったようですけれども、私あえて意地きたないことを言うわけではないのですけれども、そう一人で長々とやろうというわけじゃございませんし、国会審議が一カ月に一ぺんしかない日ですので、できたら最後までおっていただきたいということをまず私は希望申し上げます。それについてあえてお話をされるのだったらしていただいてもいいですけれども、それもあまりきたなさ過ぎますので、私はこれ以上言いませんけれども、そこを勘案してやってもらったらけっこうだと思います。 私は最近職業指導の問題をめぐって二つの陳情を受けました。二つの職業安定所を通じての指導上の問題、これを受けた人は中高年齢層の人です。今日の社会生活の中において、若い者で夫婦共かせぎをやっても生活がたいへんだ、まして年をとったらどうしたらいいのだろうかという問題を持っているときだけに、中高年齢者に対する働く保障をどうしてあげるか、高齢者に対する保障をどうしてあげるかというのが社会生活の上においても大きな問題だと思いますので、受けた二つの陳情について、その事実とそれに対するお考えを聞かしていただきたいと思うわけです。 一つの事実は、福岡県の八女の職業安定所を通じての問題です。局長さんのほうにはすでにお話がいっているかと思いますので、詳細な問題は避けますけれども、私の手元にその陳情を言っておられる人の要旨と陳情の理由がきておりますので、ちょっとその一面だけを申し上げたいと思うのです。 要するに、八女の公共職業安定所にて下川さんという長い間、三十年余り建築大工として働いておられた方が、兵役中の負傷などが原因で内臓疾患が慢性化し、高齢化してくるので、いまのうちに何とか他の職業につきたいものだというので八女の職安に行って、そうして中高年齢等の就職の促進措置のお願いをした。ことばを悪く言えば、一年ほど放置された。感情的に言うとそういうことです。そしてやっとたどりついたのがパン製造工程の仕事、セブンパン舟小屋工場に紹介されていった。ところが、契約書を見てみますと、パン製造工としての適応訓練の職種が契約されているのにもかかわらず、その大部分の仕事はパン製造工程ではなくして大工仕事をそこでやらされてきた。これが職場適応訓練というふうにいえるんだろうか。ほんとうにまじめに職業安定所はこういうような指導を考えたんだろうか。非常に疑問に満ちる処置がされている。私は話を聞いておってそう思うのです。 こういう経過があったと思うのですが、この問題をめぐって、あなた方のほうは、職安のやってきたことについてどういうふうに思っておられるのか、ちょっと聞きたいと思うのです。
○住説明員 事実関係はただいま御指摘のようなことでございますが、いまもお示しになりましたように、本人は長年大工の経験が深いということで、やはりそういう技能を生かすということが、賃金も高くなりあるいは本人の経験も生かす、こういうことになるだろうと考えまして、安定所はそういう趣旨の職業紹介を数回以上にわたってしておるわけでございますが、その間、いま御指摘のように時日の経過があったということも事実でございます。しかし本人の御希望等もございますので、製パン工としての職業訓練を工場と委託契約をした。もちろんその委託契約の内容は、各種原料を計量配合して仕込む、発酵醸成させる生地づくり作業のほか、台車の修理とか箱の修理補修作業、ボイラーたきの手伝い等も行なう、これが契約内容でございますが、紹介はあくまでも製パン工ということで紹介いたしておりますので、前段のほうに重点があったことも事実だろうと思います。しかし工場においては、後段のほうの、要するに製パン作業のほか台車の修理だとか箱の修理、そのほかの補修作業等が中心になって職場適応訓練が行なわれておったのでございますが、たまたま職場適応訓練が終わる直前になりましていろいろ問題が起こりまして、本人の事情等も考慮いたしまして、職場適応訓練の委託契約を解除いたしまして、本人を就職促進のための指導コースに乗せておるというのが現状でございます。その間いろいろ本人との相談あるいは委託事業所に対する安定所の指導ということにつきまして、必ずしも十分でなかった点があったかとも思いますが、大体そういうようなことと承知いたしておるわけでございます。
○寺前委員 いまのお話の中ですけれども、やはり自分はもう大工仕事をやめて職場適応訓練を学びたいということで契約になられた場合に、そうだというて職安が紹介したら、それを学ぶところに世話していくのがあたりまえだと思うんですよ。現に何回かここへ指導官の人も行っておられるようですけれども、やっておる仕事が違うということも見ておるわけでしょう。そうすると、これは職安の指導の側にも明らかに問題があるんじゃないだろうか。契約面からいって、私はかたいことを言おうというわけじゃないんですよ、ないんだけれども、ほんとうにまじめにこういうふうに求めていかれて世話をしたら、世話が生きるようにあくまでも世話していくのが私は常識だろうと思う。そういうことにならなくなってきている。また、むしろ相手の会社の人も、こういう契約にはなっているけれども、まさかそれを勉強させて、そしてそこで仕事を定着させてやるんだということまで真剣に考えておられるようにも思えぬのですよ、話を聞きましたら。ということになると、職安行政というのは、一人一人の人がまじめに生きていかれるように責任を持っているやり方になっていないといわざるを得ないのではないだろうか。特に若い人は労働力が足りないということで引っぱりだこになるかもしれませんが、年をいくと、やはり仕事がなくなっていくだけに、親切心というのが必要じゃないか。ここの例というのは、そういう意味では親切になぜやれなかったのだろうかということを、ここで反省してもらう必要があるのではないだろうか。 特に福岡県で昨年の三月ですか、この監査請求を、四人ほどの方がこの職場適応訓練のあり方の問題についてやっておられるようですが、その監査請求で百六の事業所の監査をやられて、その監査結果を発表しておりますが、その一番最後に、この制度は実施後六年余を経過しており、本県においても、かなりの成果をあげているところであるが、前述のごとく委託契約の際において、一部に何か不備事項があったことは遺憾である云々ということが出ているわけですね。そうすると、あの福岡県の地方の人にとっては、この職安におけるところの中高年齢者に対する措置というのが不親切だということで従来から問題になっていた。一部そういうことはありました、だから注意しますという監査の結果も出た。ところが、引き続いて依然としてこのような不親切なことが起こっている。そうすると、職場適応訓練のあり方をもっとまじめに改善する必要があるのではないか。福岡の人が言うのは、私はもっともだと思うのですよ。どうでしょうか、その辺のことは。
○住説明員 私から申し上げるまでもなく、就職促進の措置というのは、非常に就職の困難な失業者に対してどうして常用就職をはかっていくか、こういうことで長期、短期の職業訓練とかあるいは職場適応訓練、職場講習とか、あるいはそういう訓練を必要としない方には就職促進の指導のコース、こういうようないろいろなコースを用意いたしまして、就職促進指導官によるいわばケースワーク方式によって親身になって相談をし、指導をし、民間の常用就職をはかっていく、これがもう制度の大前提であることは申し上げるまでもないことでございます。 私どもは、先生もその御趣旨のことをおっしゃったと思うのでございます。そういう趣旨でこの制度の運用をはかっておるわけでございますけれども、制度の運用そのものは相当の効果をあげている、しかしながら、いまの監査委員会の監査報告の最後のくだりにも御説明ございましたが、全部が全部一〇〇%、百点満点、こういうような事実でないことも承知しておるわけでございまして、すべて百点満点になるように制度本来の趣旨を生かして運用していきたいと思っておるのでございますが、一部そういうことがあるのは、非常に残念なことであると考えております。
○寺前委員 そこで、いまの話の続きですけれども、職場適応訓練というのは、やはりそこに定着させようという目的でやるわけでしょう、お金を出してやるのだから。それが失われた。その間さんざん使われてきている。大工さんとしていろいろな仕事をやらされてきた。ところが、自分が契約したのはパンでしょう。それが相手にされなかった。これほど本人をばかにした話はないと思うのですけれども、この責任はどうとりますか。
○住説明員 いろいろ契約内容といたしましては、私ども最初に申し上げましたように、製パン工の作業のほか、箱だとか台車の修理とかあるいは補修作業あるいはその他の、たとえばボイラーのかまたき等の作業も行なう、こういうような契約にはなっているわけでございます。その間、私は安定所の本人に対する指導が正しかったかどうか非常に問題があると思うのでございますが、大工という技能職は、非常に尊重といいますか、貴重になってきているような状況もございます。安定所のほうでは、そういう技能も半面生かし得る、こういうようなことが本人の当該作業所におけるいろいろな条件が有利になるのじゃないか、こういうような考え方もあったのじゃなかろうかというような気もいたしております。 そういう意味で、必ずしも本人との間に意思の疎通が十分行なわれていたかどうか、これは非常に問題のあるところだと思うのでございますが、全体といたしましては、そういうような前提に立つならば、不適切であったけれども、契約には必ずしも違反していないのじゃないか、こういうようにいま聞いている範囲内においては考えているわけでございます。
○寺前委員 ここに契約書がありますから見せますよ。「パン製造工」と書いてありますよ。本人は、長い間やっていた大工をやめるために、新しい腕をいまのうちにと思ってやっているんでしょう。それが、明確に製造工を勉強しに入っているのに、それは全然教えてもらえないでいる。それが不適切で済みますか、局長さん。それで最後にチャイされているでしょう。コースももう変わってしまった。本人が長い間そこでがまんしておったら教えてくれるんかいなと期待しておったところが、全然それに触れないままにチャイされてしまって、使われるだけ使われた。何だ、職場適応訓練というのはこんなものか、そういう気持ちになったのは私は当然だと思うんですよ。こういう指導のあり方というのは、基本的にも私は問題だと思いますよ。本人をばかにした話だ。それで今度は、指導コースにいま何か一カ月乗っているが、それがそのあとどうなりますか。その間にパーになってしまったら――一年間待たされて、その次にそこへ入って、そしてその仕事はやらされぬでおいて、最後にパーになって、指導コースにまた乗った。一体その一人の人の人権をどう考えているのか。その契約の中のどこから大工の仕事をやるという契約が出てまいりますか。そうじゃないですか。
○住説明員 いま聞きましたところ、四月一日にこの契約内容に更新を行なっておりまして、私が申し上げましたような契約内容について訓練が行なわれている、こういう事実のようでございます。
○寺前委員 契約内容を更新したということは、私聞いたことがないから、私もそれはあとから調べることにしょう。それは私がもろうたのだから、そう言われた以上は、それ以後に更新しているのだったら、私も調べましょう。しかし何で更新したのか。更新した以上は、それだったら仕事は責任を持ちましょうという話があったと思うんですよ。それを何でチャイしてしまうのですか。
○住説明員 これは、ちょっと失礼をしましたが、四月一日から更新した契約内容でございます。それ以前は、最初の契約は私が先ほど申し上げましたような契約内容になっておったようでございます。つまり、二月から三月末までは私が申し上げましたようなことが契約内容である。で、四月から七月三十一日までというのがこの契約内容でございます。そういうように、私、事実関係を誤認して申し上げましたので訂正さしていただきたいと思います。 それから、そういう意味で申し上げましたように、私は、本人との意思疎通あるいは契約事業所との関係、そういう点において十分でなかったことはまことに申しわけないと思っておるわけでございます。
○寺前委員 申しわけないでは済まない。その会社からチャイされてしまっているんだからね。それでその次また指導コースに乗って、それが一カ月でチャイされたら、ほんとうに私は、そうでのうてもすでに一年間待たされたという内容からも、そこの会社での関係で不信を持っていると思う。私は、全体を通じて職業安定指導の問題について全く不信を持たす事実経過になってしまうということから見て、これは責任持って、その本人のためにも、単に本人だけじゃなくして、全体の職業安定行政の権威のためにも、この問題は処理をされることを願いたいと思うのですよ。 時間もありませんので、もう一つ陳情を受けましたので……。同じ福岡県の問題です。行橋というところに公共職業安定所がありますね。行橋のところに中高年齢者等就職促進措置の道を求めて一般求職に行って、そして話をしたという事実が四月の段階にあるんですよ。ところが、五月までこの措置に乗せてくれないんだ。そして、その間何回もその措置のことを要求したら、あんた自分で仕事をさがしてこいという暴論まで吐かれたというのだ。それで、しかし暴論とは思わぬある人は、歩いて三つの会社まで回ってますよ。会社へ行ったら、職業紹介所からここへ来いって何か紹介でもあるのですかと言われてけられる。それはそうでしょう。ということで、一週間に一ぺんか二へん職安へ行っては――向こうへ行きましたらこうでしたと言いにいきながら、結局こういう中高年齢者等の就職促進措置の制度がありながら、なかなかこれの相談に乗ってくれない。そうして最後、五月になってからやあやあ言うたら、こんな紙切れくらいやるわということで初めてそのコースに乗る紙切れをくれたというんだ。そうして、五月何日かに、結局二十六人の人がそれを出したけれども、最近になって二十六人全部が全部、あんたは働く意思がないから、あるいは誠実かつ熱心でないとか、失業者でないとかいうレッテルを張られて、二十六人が二十六人とも全部アウトだという。 そこで、私に話をした人の例を一つ二つ言ってみますと、松本チエ子さんという人がおられましたけれども、この松本チエ子さんは、自分の家のおやじさんがからだが悪いので、子供をかかえて、全部で五人おるんだということで、転々と仕事をやってきた経過を話してくれた。二万三千円から二万五千円くらいほしいんだ、雑役でけっこうだ、こう言うておったというんですね。そして不認定になった。一週間くらい前にユタカ工業を紹介されたのでそこに行ったら、行くときには賃金千円くらいになるという話だった。行ってみたら六百円で通勤手当が二百円で、話がちょっと違うたということと、もう一つは、非常に音の高い仕事で、大体会社自身がそのために場所を変えられた。だから私は、これは困ったこっちゃ、この環境じゃかなわぬと思ったというんだね。そこに二人ほど行ったわけです。課長さんも指導官の人もついて行ったらしいんですけれども、お断わりになるのだったらいいですよということだった。それじゃ別なところをくれるのかいなと思って断わったら、あんたは誠実かつ熱心でないということで不認定になった。それからもう一人の野村すえさんという人は、紹介もなく、ただ一回、四百円くらいのところがあるけれども、五十五歳にもなってから仕事はないからなということで、話がちょっと来たというんだ、それで、四百円じゃ殺生だと言うて断わったら、それでやっぱり同じように不認定が出てきた。まあ二十六人が二十六人ともこうなってきたというんだから、私は、一体これはどういうことになっているんだろう。職業安定所というのは、ほんとうに仕事をさがしてあげて、そうしてあとあと責任を持つということの仕事をやるところと違うんかいな――同じ福岡でも最近こういうふうに二件も私のところに陳情が来ているんですけれども、これはどういうことになっているんでしょう。
○住説明員 先ほど八女の安定所の委託訓練が成功しなかったというのは、委託事業所の選定にあたりまして、われわれ慎重な配慮を加えておるのでございますが、たまたまその事業所で役員交代に伴う機構改革がございまして、製パン工は必要でなくなった。こういうことで非常に適応訓練の終期に近づいてそういうような事態が起こったのでございます。そういう意味で非常に悪い条件が重なったのではないかというように私は考えておるわけでございます。 それから行橋の職安のことにつきましては、詳細はまだ承知しておりませんが、これもまた御承知のように就職促進の措置は、就職が特に困難な中高年齢の失業者に対していろんなコースを用意しながら常用就職をはかっていこうということで、その場合に本人の申請、申請に基づく認定、その認定をした上で就職指導官が、本人にとって常用就職するためにはどういうコースがいいか、こういうようなことをきめることになっております。その認定の基準につきましては、これも御承知のように非常に詳細な基準――これは職業安定審議会の意見をも聞いた上で基準をつくっておるのでございますが、その基準に従って厳正かつ公平にやる、こういう趣旨になっておるわけでございます。行橋の職安の御指摘の問題については、実情がどうであったか詳しい事情は把握しておりませんが、御質問もございますので、少し詳細に実情を調べてみたいと考えております。
○寺前委員 それでは、私はもうこれ以上詳しくはやりませんけれども、私は、福岡県の労働行政を担当しておられる人たちの意見もちょっと聞いてみたんですよ。まあよりによって職業を求めて来ている人を拒否する、そんな仕事をしているはずがないのですから、やはり苦労しておられるのですよ。 そこで、苦労しておられる苦衷を聞いてみたのです。そうすると、やはり適当な仕事がないのですよ。と言うのです。そうだろうと思います。苦労しておられると思うのですよ。やはりそういう意味では、問題になってくるのは、一定の年齢にきた人たちに対して、私らはもう四百円のところを無理に行ったりしなくてもいいようにしようと思ったら、やはり国家が公共事業などを積極的にやり、失対事業のワクをちゃんとしっかりつくっておいてもっとやらしてくれたら、そうして一方でどんどん職業の開拓をやらしてくれるという条件を与えてくれたら、私どもはそんな恨まれるようなことにならぬのですけれどもということを言っているのですよ、指導官の諸君たちが。だから、そういう意味で私少し気になりましたので、最近でもないのですが、六月に読売新聞に大蔵省が失対事業の事業費の三分の二は国庫補助で三百九十六億円に年間なっているということを載せて、そういうことで全体として全廃をする方針云々というような内容の記事を載せましたですね。六月段階ですか、この問題をめぐって、失対に現に働いている人たち、一方で職安の姿がそうなっている、そうして、一方でこういうことになってくるということになってきたら、私どもはどうなるんだろうということで、非常に不安になっておわけです。 そこで、労働省として、来年度にあたって失対の問題についてどういうふうにやっていかれるつもりなのか。大蔵省の案を支持するといわれる立場なのかどうか。その辺を聞きたいというのが一つと、もう一つは、明らかにこの中にも老齢者に、いまの失対の人たちがふえてきているという問題があるわけですね。これは事実だと思うのです。私の府県で見ておってもそうですよ。そうすると、このお年寄りの方々に対して、私どもはやはり陳情を受けたのでは、全国的にお年寄りに対するところの、緊急失対法の中の十一条の二にあるお年寄りに対するところの事業を積極的に受け入れるべきじゃないかという陳情を各府県やっているようですね。これに対して、年寄りの問題に対してどういうふうに考えておられるのか聞きたい。この二点をお聞きしたいと思います。
○住説明員 第一点についてお答えします。 御承知のように、非常に労働力事情が、需給関係が逼迫をしてまいのております。それと、現在行なわれている失対事業の現状という二つの面から、非常に失対事業に対する各方面からの強い批判、意見がございます。私ども失対事業を運営する立場におきまして、そういうような意見、批判に対して、現状の失対事業を考えてみますと、やはりそれに該当するような事柄も決して少なくない、こういうような感じでいろいろ失対事業のあり方について検討をしなければならない、こういうように考えております。それは私、新聞記事について直接の論評は別といたしまして、私どもそういうような立場に立って現在の失対事業を検討する、こういうことが当然やらなければならない仕事かと思っております。 それから、それに関連いたしまして、御承知のように高齢者就労事業の問題でございますが、これは老人福祉の観点からもそういう問題をどう考え、どう対処していくかということになろうかと思うのでございまして、そういう問題も含めまして根本的に失対事業のあり方について見直す時期にきておるのではないかというように考えておるわけであります。
○寺前委員 それでは最後に私の希望意見を言っておきます。 さっきも申し上げましたように、年いってから仕事を得ることができない状況、しかも職安行政が、先ほど言っておるような問題点を幾つか含んできておるという状況を見たときに、私は軽々しく失対問題についていろいろ批判があるということを言うべきではなかろうと思うのです。もっと積極的に職業の開拓を責任をもってするという、責任を負うことを――一面で、やはり十分に保障のない限り、私はこういうことをやったら逆に社会不安をつくるであろうし、また、お年寄りの問題については、ほんとうに積極的に取り上げなかったら、憲法でも保障されておるところの働く権利が、他の形で一体それではどうやって保障するのか。できなかろうと思うのです。ですから、私はこの問題についてはまじめに検討していただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
○倉成委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十六分散会