社会労働委員会 第19号
- 発言数
- 202 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/05/08
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 本日、予備審査のため本委員会に付託されました藤原道子君外一名提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。藤原道子君。
○藤原(道)参議院議員 ただいま議題となりました保健婦助産婦看護婦法の一部改正案について、提案理由とその内容の概要を御説明申し上げます。 一昨年春ごろから全国各地の病院で、看護婦増員のための夜勤制限闘争が相次いで起こりました。夜勤回数が多いため過労で倒れたり、やめていく看護婦がふえたため、看護婦が夜勤を月八日以内に減らし、夜勤人員を二人以上にというスローガンを掲げて、みずからの生活と権利を守るため、さらに国民の医療を守るために立ち上がったのであります。 看護婦の労働がいかに過酷なものであるかは、平均月十回、個々には二十回にも及ぶという夜勤は、労働医学調査によって、婦人労働の限界を越えていることが明らかにされました。また労働省調査によると九〇%に及ぶ労基法違反率があり、そのうち労働時間の違反は五五%をこえており、労基法に定められた婦人労働者に対する諸権利は踏みにじられているのであります。 一方患者四人に看護婦一人の基準は二十年も前に定められたもので、二十年の間には国民の受療機会は増大し、医療機関、ベッド数も増加しており、医学の進歩により医療内容が複雑になり高度化し人手をより多く必要とするようになっておりますのに、二十年前の基準ではとても対応し切れるものではありません。すべて看護婦の労働強化となっているのであります。 このような過重労働と月の半分は夜勤という変則的な生活は健康をむしばみ、看護婦のうち約半数が異常産と、一般勤労婦人の二倍もあるということは母体の破壊がひどいことを示すものであります。 看護業務の不明確さは診療の補助と称して診療の代行をしいられ、その一方では人手不足のため雑役まで負わされ、看護婦本来の仕事は三分の一しか行なわれていないのが実情であります。 人の健康と命を守る病院において、看護婦は限界を越える労働をしいられており、こうした看護労働により日本の医療はささえられているといっても決して過言ではございません。 他産業では例を見ない過重労働を強要されながら、その賃金はきわめて低いものとなっています。たとえば学校の教員、他の医療職の栄養士、薬剤士よりはるかに低いのであります。 看護婦はこれまで独身で寄宿舎生活が中心でありましたが、最近では結婚する看護婦がふえ、五〇%近くが既婚者であります。しかし相変わらず独身者中心の勤務体制であり、経験を経た長年勤務の看護婦は高くつくので敬遠され、保育所要求の声があっても認められず、全国七千病院のうち保育施設を持つ病院はわずか一%でしかありません。 これではからだが続くはずはなく、家庭と両立させることは困難であります。そのため年間養成人員の半分に匹敵する看護婦が毎年退職しており、その結果看護婦有資格者の半数も働いていないという事態を招いているのであります。 看護婦養成については国は無計画であり、それぞれの医療機関や医師会などにまかせて全く無責任であります。こうした企業に従属した診療費による私的性格を持つ現在の養成制度も看護婦不足をもたらした一因であります。 看護婦不足はここ十年来叫ばれており、私たちはこれまでに国会で何度も看護婦問題を取り上げ、その原因について明らかにし、解決を要求してまいりました。これに対し政府は何をしてきたでしょうか。私たちの意見には耳をかさず、また三十六年春の病院経営管理改善懇談会の看護管理について近代化を進め、待遇改善や、看護要員確保のための需給計画を立てるべきであるとの報告、また三十九年には看護制度に関して有識者の意見を聞く会が看護婦の給与、勤務条件を改善し、養成は学校教育法の学校でやり、公的養成施設の財政援助をふやせとの中間報告など、他にも多くの政府機関が看護婦問題についての答申、報告を行なっており、昨年六月には参院社労委員会で、看護職員の不足に関する決議が採決されているのでありますが、これら意見もまた無視されており、答申、報告に基づき実現したのは、奨学資金制度、潜在看護婦の再教育講習、夜勤手当の支給、進学コースの設置等こまかいことばかりであり、また今回も不足が社会問題化するや、大量に養成する必要があるので、そのため養成制度を改正するというように、養成制度に問題のポイントをすりかえてしまっているのであります。 医学の進歩に見合った高度な看護が要求されているときに、これに逆行して短期養成の准看が大量に養成され、看護業務の主体となることは、総体的看護の質の低下を招くことになり、制度の改悪にほかなりません。 この高卒一年養成のねらいが不足を理由に安上がり准看の養成を定着させようとすることにあり、ここに政府の低医療費政策を着々と進める姿が端的に見られるのであります。 また現在の診療報酬では看護を手厚くするより、医者は収入になる投薬、検査に力を入れることになるのでありますが、看護は命を守るためにどうしても必要なサービスであります。この看護問題が根本的に解決されるかどうかは、日本の医療が今後どういう方向に進むのか、すなわちますます営利化するか、あるいは国民のための真の医療保障となるのか、医療制度のあり方に深くかかわる問題であります。したがいましていまこそ根本にメスを入れないとますます解決をむずかしくするばかりであります。 医療に携わる女子労働者の生活と権利を守り、国民が安心して医療サービスが受けられる環境条件を整え、国民のための看護体制を確立するには、まず人事院判定を全病院で漏れなく実施し、大幅に労働条件を改善し、専門職にふさわしい賃金を保障することであります。そして既婚看護婦が家庭と両立できる諸条件の改善、とりわけ保育所の完備は急がれなければなりません。これら改善により定着率を高め、潜在看護労働力の職場復帰を促進させることが可能となります。こうした賃金、労働条件の改善こそ看護婦不足解消の基本であります。そして養成は企業の従属物から切り離し、学校教育法に基づき、公費で計画的な養成を行ない、需給のアンバランスを解消すること、准看制度をなくし、准看の看護婦資格の受験機会を多くし、看護婦資格を一本化する。以上が早急に同時に行なわれる必要があります。 将来は予防、治療、後保護にわたる総合的な医療に対応するため、保健婦、助産婦、看護婦の資格を含む総合看護婦資格制度が必要であると考えますが、当面する問題として、看護婦の身分を確立し、地位を向上させるため看護制度を一本化するとともに、わが国の看護水準を総体的に向上させつつ、看護婦の充足をはかっていくことが、いまや緊急の課題であります。 以上がこの法律案を提案いたします理由であります。 次にこの法律案の内容を簡単に御説明申し上げます。 第一に医療技術の高度化に伴い、看護婦の質を高め、社会的地位を向上させるため、経過期間を置いて准看は廃止して看護婦資格を一本化する。経過期間は四年間とし、昭和四十九年四月からは新規の准看養成を行なわないこととする。現に准看である者が進学コースに進んだ場合を除いて、准看護婦として引き続き業務ができることといたしました。 第二には養成課程の一本化であります。 医学の進歩に対応するため養成は短大を含め、高卒後三年以上の大学課程のみとすることにいたしました。 第三は養成施設に対する国庫補助であります。 養成は国の責任で計画的に行なうものとし、大学課程としての養成施設には、施設費、運営費の二分の一を国庫補助することを義務づけ、経過的に存続を認められる大学以外の養成施設にも二分の一以内の国庫補助ができることにいたしました。 さらに、准看護婦が実務六年の経験を経て厚生大臣の定める養成課程を受けた者に国家試験を受けることができることといたしました。 さらに、看護学生に対し修学資金を与えること等といたしました。 以上、この法案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決されますことを心からお願いする次第であります。 ただいまミスでプリントに落とした点がございました。准看が、実務経験六年を経た者は厚生大臣の定める養成課程を経て看護婦の国家試験を受ける資格が与えられる、これが本文にはございますが、この提案理由の中に落ちております。さらに、看護学生に対して修学資金を貸与すること、この二点が提案理由から落ちておりましたので、お許しを得ようと思いましたがつい読んでしまいましたので、お許しを願いたい。 以上であります。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、内閣提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案、藤原道子君外一名提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案、衛生検査技師法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。渡部通子君。
○渡部(通)委員 昨日来いろいろと質疑が行なわれておりまして、いろいろな問題点も浮かび上がっております。ダブる点も出てくるかと思いますが、私は基本的な問題について重ねてお伺いをしたいと思っております。 今回の看護婦法の一部改正案でございますが、こういう政策がとられるにあたりましても私一番痛感いたしますことは、看護婦の需給計画というものがいまだにはっきりビジョンとして示されないということでございます。この需給計画がはっきりとしない以上、それに対する対策ということも非常に不安定な、足場の弱いものになってしまう。そういった点から、いろいろな関係各方面からの不安や、あるいは場当たり的ではないかとか、そういういろいろな反対も出てくると思うのでございまして、この際、やはり看護婦の需給計画を早急に国としてははっきりすべきではないか、これを痛感いたしております。その土台として、現在の不足数というものをはたして明確におつかみになっていらっしゃるのかどうか、これをまず伺いたいと思います。
○松尾政府委員 現在四十三年末におきます就業人口が二十六万七千でございますけれども、これをかりに医療法によりまして定められている病院に配置すべき看護婦の数ということによって算定をいたしますと、ちょうど一割、約二万七千人の不足、こういうことになるわけでございます。要するに、病院にはこれだけさらにプラスしなければならないというのが医療法上からの計算としては出てまいります。ただし、この数字はあくまで、いま申し上げましたように、医療法の四対一というようなことを基準にいたしました計算でございまして、ただいま各地で起こっておりますような夜勤の条件その他を改善するためにさらにそれ以上の人が要るという条件を加えた数字ではございません。したがいまして、要するにそういう勤務条件の改善ということを織り込みますならば、これをどの程度病院が実施するかによって違ってまいりますけれども、さらに不足数は多くなってまいりまして、かりに五十年段階で私どもが到達するであろうと考えているレベルを現在以下といたしましても、九万人か十万人近い不足数になるというふうに推定するのが妥当ではなかろうかと存じます。
○渡部(通)委員 私はその点がたいへん不安定なように思うのです。単に不足数が九万か十万か、こういわれておりますが、九万か十万かというのはたいへんな差異でございまして、そういった点は単に都道府県から上がってくる数字を集計なさっていらっしゃるのか、もう一歩突っ込んで実態調査という点でくふうなされてきたのか、またはそういう上に立っての数なのか、ほんとうに手を尽くしてもつかめないものなのか、あらゆる手を尽くしてみてこれだけが、もっとふえるかもしれないけれども、間違いのないベースとなる不足数であるという確固たるものであるのか、その点を重ねて伺いたいと思います。
○松尾政府委員 一応医療法という形でいけば、先ほどのような二万七千人という数字にしかならないわけでございますけれども、それ以外の条件というものは、実態調査によってはなかなか出てまいらない問題でございます。したがいまして私どもは、少なくとも勤務条件をこの目標まで持っていきたい、こういう前提に立って、それをもとにして計算をするという方法しかとりようがないかと存じますので、そういう仮定に立って一つのこうあるべきであろうという形を前提にいたしましたときには、先ほど申しましたように相当大きな不足数になってくる。これしかいまのところの実態としてはつかみようがない状態でございます。
○渡部(通)委員 現在問題になっております需給総合計画ですか、これを大前提として今回の法律を実は見たいのですけれども、その位置づけが提案理由の中にもはっきりいたしておりませんで、この需給計画を国会に提示をする必要があるのではないか、そういうめどあるいは見通しについて伺いたいと思います。
○松尾政府委員 昨日の各委員の御質問にお答え申し上げた中にも、いろいろ年次的な養成数字の計画でございますとか、あるいは四十八万人を必要とするために起きましたいろんな条件、目標の上昇数でございますとかいうようなことも申し上げたわけでございますが、御必要があれば私いまからでももう少しこまかく御説明申し上げたいと存じます。
○渡部(通)委員 それはいまここで数を聞くということではなくて、私は、やはり一度国会にはっきり提示をすべきではないか、こう思うわけです。これをやかましく申し上げるのは、やはり何といってもこれだけのことはやりたいんだ、これだけはどうしてもしなくてはならないというビジョンが確固たるものになっておりませんと、これがいろんな関係各省の問題やあるいは予算の問題になってしまいますと、やはり尻つぼみになってしまって、龍頭蛇尾に流れてしまう。こういう過去のいろんないきさつから見ましても、はっきりした需給計画というものを厚生省として、国としてきちっとしておく、それを国民の前に明示しておく、これに対しての一プロセスであるという、そういう法律改正を積み上げていかなければ意味がないのではないかと思うのです。そういう意味で、それには医療制度の抜本的改革ということがネックになると思います。この前もこの委員会で身障者の質疑をいたしましたけれども、やはりそこで問題になってくるのが看護婦さん。あるいは僻地医療の問題にいたしましても、これから必要になってまいります母子保健センターの問題にいたしましても、一切がっさいが看護婦不足というところにネックがございますので、そういう日本の全般的な医療機関の規制もはっきりしない、したがって需給計画もそう明確なものが立てられない、こういう中で法律案を審議しなければならないということはたいへん悲劇でございまして、私、あくまでもこの点についての需給計画を国会に示すべきだ、こう申し上げたわけでございますが、大臣の御所見はいかがでございましょう。
○内田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。きのう説明申し上げたからといって、きのうのとおりと言う必要はないので、局長からもう一度ここで説明をいたさせます。
○松尾政府委員 ごもっともな問題だと存じます。 概略を申し上げますと、看護婦の需要の一番ネックになりますものが病院の病床数でございますので、現在百万ベッドという状態でございますが、年々約四万数千のベッドがふえていくという傾向がそのまま五十年まで続くという前提に立ちますと、百三十一万ベッドという病床に相なってまいります。そのほかに診療所の増加というものも当然ございます。この診療所も現在六万九千カ所でございますが、これは約七万五千八百程度にふえてくるという推定を立てております。それからこのほかに、ただいまもお話がございました老人ホームでございますとかその他の身障社会福祉施設、こういうものについても看護婦が必要でございます。あるいはそのほかの保健衛生関係のところ、こういったところにもそういう看護婦の必要性がございます。同時にまた看護婦の養成等に関します従事者、専任教員としての資格を持った看護婦というものも必要になってくる、こういったことも、こまかい数字でございますが、すべて百三十一万ベッドのほかに一応考えておいたわけでございます。 それから第二の問題は、先ほど来お話し申しましたように、従来医療法で四対一でありますとか、結核・精神が六対一でありますとかいうことを基準にしていろいろな需給計画がなされておったのでございますけれども、この問題は看護婦の勤務条件を改善をしていくという条件をやはり織り込むべきであるという観点に立ちまして、その目安といたしましては四十年ごろ出されました人事院判定、いわゆる二人夜勤八日制というものをどの程度織り込むかということをこの条件の中に織り込むことにいたしました。この場合には病院全体として何人というような考え方ではなく、いわゆる一看護単位、通常一病棟と考えていいと思いますが、そういう一チームでもって看護に当たるべき単位、これを大体五十ベッドとして置いておりますが、この看護単位ごとに二人夜勤をいたしますならば、どの程度の数でなければ八日制度を保てないかという勤務表のローテーションは全部きめまして、もちろんその中には週休制度、お休みの日も全部とらなければならぬわけでございます。そういうことを全部いたしまして、婦長を含めますと二人夜勤の場合五十ベッド。実際には患者の数にいたしましては、利用率が八〇%でございますから、常時平均いたしますと四十人の患者ということになります。それに対しまして、二人夜勤の場合は十六人の看護婦、准看護婦がそこにいる、こういうことを看護単位の一つに計算をいたしました。それから一人夜勤の場合は九人の看護婦さんでもって構成をするというふうに算定をいたしております。なお、その看護婦の数を計算するにあたりましては、単にその勤務表の上からだけの計算ではございません。そこに重症あるいは軽症というそれぞれの患者さんの存在があるわけでございまして、それに従来のいろいろな調査研究から出てまいりました、どの程度一人の患者に時間をかけなければならないかということも織り込む、いわゆる看護量というものも時間的に直しまして、それも合わせて計算をいたしまして、ただいま申しましたように十六人と九人という単位を構成いたしたわけでございます。 その上に、全体の病院の中で、百ベッド以上の病院であれば、これから五十年末までの間に全体のほぼ八〇%の看護単位は二人夜勤制度をとるであろう、百ベッド未満であれば四〇%程度が二人夜勤制度に入るであろう、結核・精神であれば約六割が二人夜勤体制を必要とするに違いない、こういうことを一つの条件として計算をいたしまして、それらを全部積み重ねまして、そうして五十年における必要数は幾らであろうかというのをこまかくやってみました結果が、約四十八万六千人就業人口を必要とするという結果になったわけでございまして、それに対してそれをどういうふうに養成していくのか、獲得するかということを今度は供給計画として設定をいたしたわけでございます。 それには、看護婦の養成施設の増設ということが一方においては必要でございます。また同時に、定着率を高めるためのいろいろな条件も必要でございます。それからなお潜在看護婦等についても極力努力をいたしまして、全体といたしましては約二万人程度の再就職を期待する努力をしたいということも織り込んでおりまして、それらを合わせまして四十八万六千というような就業人口の確保を五十年末ではかりたい。 これが看護計画の大きな数字でございます。
○渡部(通)委員 きのうと重ねての御答弁で、その辺はよく了解したつもりでおります。 ただ、現実はたいへんむずかしい問題でございまして、きのうの大臣の御答弁にもございましたように、各関係方面の意見が一致しないままにきていることも御承知だ、根本的検討が必要になることも思いながらという御答弁もございまして、やはりいま局長さんの御答弁にございましたニッパチ一つの問題にしても、あるいは定着率を一つ取り上げてみましても、それが計画どおりにいくかどうかということはたいへん困難な現実の問題でございまして、どうかその点については大臣にも鋭意各方面を説得なされて、それからいまの御計画がたとえ一歩でも半歩でも前進ができるようにお願いをしたいと思うのでございます。 次に、今回の改正が、どう見ても准看主体の増員であるという点について、私、ちょっと伺いたいと思います。 先ほどからいろいろ言われているように、たいへん医療の技術が高度化をしてきておる今日でございますので、この際私はむしろ看護教育、看護技術というものも大いに高められなければならない、こういう情勢下にあると思います。もちろん不足であるということは重々わかっておりますけれども、それ以上に看護技術の向上ということも大事な社会的風潮となってきていると思うわけです。 そこで、その准看だけを主体とした増員計画を今回お立てになったというお立場でございますけれども、やはり私はこの看護婦さんの一つの人権の尊重の上から、技術の成長の上から見ても、あるいは人命を扱う、患者さんを扱うという一つの生命の尊重という立場からしても、数も大事だけれども、むしろこの際は内容の充実、技術の前進というところにも大きなスポットが当てられなければならないんじゃないか、これを思うわけでございまして、そういう意味から見ますと、たいへん今回の施策は場当たり的ではないか。現実問題としていま看護業務というものは、准看と看護婦との区分けというものはたいへんしにくいような実情で、数が不足な上からなおさらそういう現状になっております。その辺をどうお考えになっていらっしゃるのか、どういう立場で今回の立法をなすったのか、それを伺いたいと思います。
○松尾政府委員 第一の点につきましては、私どもは決して准看だけに重点を置いて、准看だけを養成しようという計画ではございません。 具体的に申し上げますと、看護婦の養成定員、一学年定員が四十四年現在で約一万二千人でございます。しかし、これを私どもはこの目標達成の過程におきましてはちょうど倍増、さらに一万二千人の一学年定員を増員いたしまして、二万四千人の一学年定員に看護をもってまいりたい。准看につきましては、三万一千人の学年定員でございますけれども、これはその約四割程度、約一万四千人程度を増加することでカバーをしたいと考えておるわけでございまして、比率だけでは申し上げにくいわけでございますけれども、看護婦に相当大きなウエートをかけまして、そうしてそのバランスをとりたい、こういうふうに考えて計画を立てたわけでございます。これは実際の数字は今後の計画の上で少しずつ変わるかと存じますけれども、いま看護婦と准看の新卒の比率は、私の見るところでは、ごく最近は最もその比率の開きの大きいときじゃなかろうか。大体看護婦の新卒就業者一に対して約四倍程度の准看の新卒就業者という状態でございます。ただいま申し上げましたようなことの積み上げになりますと、大体一対二・二ぐらいまでのところに戻ってくるのではなかろうかと私は予測をいたしておるわけでございます。そういうことでございまして、決して准看だけを中心にして、看護婦を忘れて養成するということではないという点を御理解いただきたいと思うわけでございます。 なお、それに関連いたしまして、第二の問題として、准看と看護婦との業務区分というものが実際上仕分けが困難であるということは、私も全くそう考えておるわけでございます。身分上の差がありながらも仕事の上に明確な区分がつきにくいというところに非常に困難があることは、私も率直に認めておるところでございます。ただ看護業務全体が、看護婦も准看もそれぞれ一つのチームの中での分担といたしまして、業務上の分担というものはそれぞれチームの中で仕分けをするわけでございます。そういうことによって一方では量的な不足、またそれが勤務条件の改善というほうにもつながってくる、こういうことをひとつ含んでいただきまして、量と質と両方兼ね合わせた解決をはかりたいというのが今回の計画でございます。
○渡部(通)委員 病院などに行きますと、看護婦さんが配ぜんをやっているのをよく見受けるわけなんです。ああいうことは給食婦さんなりなんなりがおやりになればいいことでございまして、その辺を見ておりましても現実に業務の内容区分というものは非常に困難であるし、またいまも局長さんがそれをお認めになっていらっしゃる。にもかかわらず、やはり准看と看護婦さんというものを明確に分けて今後の増員計画を進められる方針でいらっしゃいますか。ずっと将来の方向になりますが……。
○松尾政府委員 現実に相当な歴史を持って定着をいたしました准看制度というものがございますので、それはそのままこの計画の中に織り込みたいと考えたわけでございます。将来の問題といたしましては、いま御指摘がございましたように、看護業務の中にも看護婦や准看以外に補助者というものを相当活用いたしまして、看護婦、准看護婦がその専門技術だけを十分発揮できるような業務の体系をつくっていく必要があると思うのでございます。しかし同時に、そういう看護婦、准看というものをどうするかという問題は、これは昨日大臣からお答えございましたように、今後基本的にいろいろな角度でひとつ検討していかなければならぬ問題であるというふうに私どもは考えております。
○渡部(通)委員 その点大臣の所信を伺いたかったのですが、いまの局長さんの御答弁の中で、大臣もとおっしゃっておられましたが、そのとおりでよろしゅうございますか。
○内田国務大臣 そのとおりでございます。これは看護婦さんの中で正看と准看との問題ばかりでなしに、保健婦、助産婦というような面をも含めまして、私はいつの日か根本的に検討すべきではないかという気がいたすものでございます。
○渡部(通)委員 いま十分に看護婦さんの未来のことも考えていらっしゃるということでございますが、准看から看護婦さんへの道が現在非常に狭いという現場の声がございます。准看でいらっしゃると、看護婦さんへの道に入りたいという希望者がたくさんおりまして、平均すると五、六倍の門戸になっているようでございますが、そういった点を開いていくおつもりなのか、それの対策としてこの点をお願いいたします。
○松尾政府委員 御指摘のように、准看から看護婦になるための進学コース課程がまだ相当少ないという実態でございますが、最近その方向に向かって非常に増加傾向が出てまいりました。私どもはこの進学課程を大幅にふやすように努力をしたいと存じます、特に進学課程の中でも、いわゆる働きながら進学課程に進める定時制のコース、これに相当力を入れましてふやしてまいりたい。それによって准看護婦さんの御要望にできるだけ多くこたえるようにしたい、こういうふうに考えております。
○渡部(通)委員 私、看護婦という仕事にもう少し魅力が与えられるような時代をつくっていただきたいというお願いでございますが、それについては何といってもやはり待遇でございまして、昔はナイチンゲールの精神でということで聖職視されていたのが、いまはすっかり変わったような感じがいたしまして、どう見ても病院に赤旗が立っているというような実情はいいことではないと思うわけです。看護婦さんというのはやはり一つの使命感のある仕事でございまして、むしろその使命感というものに国が甘えて施策を怠ったのではないか、ここに一つの責任があるのではないかと思うわけです。ナイチンゲールの精神といってもやはり裏づけが要ることでございまして、看護婦さんという仕事を魅力あるものにするためには、何といってももう少し基本的な待遇をよくしていただかないと、これはいかんともしがたい問題だと思うわけです。この待遇問題、きのうからさんざん出ておりますけれども、ニッパチの問題にいたしましてもほとんど解決はいたしておりません。それから夜勤手当の問題にしても国立でわずか二百円、それも値上がりして二百円でございますね。いま千円という要求が出ているそうでございますが、こういう待遇問題についてさしあたってどうしていただけるのか、医療職(三)表を専門職にふさわしく改善をしていただけるものなのか、この辺ひとつ手ごたえのあるお答えをいただきたいと思います。
○松尾政府委員 看護業務というものは非常に特殊な条件でございますので、私たちもこの待遇改善というものについては従来から努力してまいりました。昨年の場合でも、民間と国家公務員の看護婦の間では、国家公務員のほうが約八%高いという実績がございましたけれども、それでもなおかつ、看護婦さんの待遇というものはよりよくしてほしいということを人事院に、これは大臣をはじめといたしまして非常に努力していただいたわけでございます。その結果、一般の平均が一〇・二%に対して看護婦は一二%というように、わずかに高い程度でございますけれども、そういう芽を出していただいたわけでございます。間もなく人事院勧告の時期も迫ってまいりますから、引き続きまして、看護婦の特殊な勤務条件というものを考慮して、待遇をぜひ改善していただくように私たちも大臣にお願いしているわけでございます。 それからなお夜間の看護手当、約四年間百円で据え置かれたわけでございますが、ようやく昨年二百円になりました。もちろん私ども、これも夜勤の実態から見まして妥当だとは存じておりません。このほかに百分の二十五というようないわゆる手当がついているわけでございますけれども、それにいたしましても、夜間の看護手当については私どももさらに上げるべきではないかと思います。これもあわせまして努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○渡部(通)委員 ちびちび上げていただいてもかえって恨みが残るみたいで、何だこれっぱかりか、こういったかなりな意見がございます。これは私は当然だと思うのです。確かに、夜勤をいたしますとタクシーを飛ばしてうちへ帰らなければならない、二百円手当をもらってもタクシー代にもならないというのが実情でございます。この辺もう少し参酌していただけないかと思うのです。 実はこれは東京のどまん中の文京区にある東大病院の寮の実情、これを手紙で拝見したのですけれども、ここで参考までに大臣にも知っていただきたいと思います。みすぼらしい実態を述べたいというのです。建物は二階建て木造で二十年余も続いていて、火事になれば五分足らずで燃えてしまうような危険なものです。ガラス窓もすき間風がものすごく、看護を学んでいる私たちでさえも、個々に健康を守ろうとしてもかぜを引くことが多く、健在とは言いがたい。部屋にかけてあるタオルが凍る寒さです。天井は雨漏りがするし、修理してもすぐ別のところがいたんでしまう、こういう中でございまして、やっと裸電球が螢光灯になり、暖房が火ばちになったというのが昨年だそうでございます。洗たくはたらい、パンは魚網で焼くような状態です、こういう実情が訴えられておりまして、これでは夜勤をして帰ってきても働く瀬がなかろう、ほんとうに気の毒だと私は思う。東京のどまん中、しかも国立の病院でこのような実情がいまだに放資をされておる。それで看護婦不足を言ってみても、人は集まらないように思うわけです。 もう一つ、これは青森県の国立の松丘という病院でございますけれども、ここの実情を聞いてみましたら、養成所でございまして、三十名の生徒さんが勉強していらっしゃる。一年一五人、二年十五人。食費はといいますと、昨年までは一日百四十三円、ことしやっとアップになって百七十二円だそうでございます。一日百七十二円の食費というと、やはりこれは少しお粗末ではなかろうか。ここの患者さんの食事代は二百十四円だそうでございます。しかも患者さんは七百人おりますから、材料等もかなり大量で購入すれば——患者さんにいいものを食べさせるのは当然かもしれませんけれども、それを看護する看護婦さんというのはもっとたいへんでございます。これは割りに合わないと皆さんがお思いになるのは当然ではないかと思うのです。ここの看護婦さんと准看さんと補助看さんという比率は、看護婦さんが二十一人と准看さんが十四人で、その助手さんが五十四人だそうでございます。その五十四人の助手さんが患者さんの私用をしている場合が非常に多い。こういう中で、粗末な食べもので、ライ患者を扱うというような養成所にいらっしゃる。こういう実情を現実にまのあたりにして見ますと、やはり看護婦さんの人権問題になってくる、こういうような気がいたしまして、いま局長さんのほうから御答弁ございましたけれども、これは予算を伴うことでたいへんな仕事でございます。そういう人事院の問題あるいは大蔵省とのかけ合い、こういった点でひとつ大臣の決意を伺わせていただきたいと思います。
○内田国務大臣 看護婦さん並びに准看護婦さんの処遇改善ということと、さらに処遇のみならず、職場環境の改善ということはきわめて大切なことであると私は思います。そうでなければ、いかに制度の改正をいたしまして増員をはかりましても、資格だけ得られた方がどんどんやめていくということになったのではしり抜けで、私どもの計画も達成できませんので、一方におきましては合理的な増員あるいは資格制度というようなものを検討いたしますと同時に、現在いらっしゃる看護婦の方々が職場でほんとうに楽しみながら働いていただけるような、そういう環境づくりを当然やるべきだと私は考えておりますので、先ほど渡部さんから、給与などもちびりちびりでなしに一ぺんに上げろということのお話がございましたが、それは困難であるにいたしましても、これはひとつでき得る限り毎年相当の幅をもって給与を上げるなり、あるいは、繰り返しますが、職場の改善、あるいはお子さんのある看護婦さんにつきましては保育所の設備もする、あるいはまた寄宿舎なり、また、できましたならば住宅などにつきましても、看護婦さんが病院のそばで、結婚されても住めるような、そういうこともやっていくべきだという心がまえでおりますので、これまたひとつ御激励をいただきたいと思います。
○渡部(通)委員 大臣、世論が盛り上がってきたこういうチャンスでもございますし、都内にもこういった粗末なところもあるわけですから、大臣出かけていかれて、それでみんなと語り合ったり、あるいは一つの実績を示されるなり、そういった一つの明るい方向でもユーモアを交えて切り開いていく、こういう率先実践をしていただきたいという念願を私強く持っております。 いま国会の中でだけ議論をしておりましても、皆さんにも了解をしていただけないし、何とか私たちがそれに出ていって、少しでも実績があがるように、これは私もやらなければなりませんけれども、大臣もその誠意のおありになることを何とか実践の上で示していただきたいと思うわけです。 ユーモアという話を出しましたからついでに申し上げますけれども、たとえば呼び名でございます。看護婦さんを魅力ある仕事にするためにも、やはり看護婦、保健婦、助産婦なんというのはあんまりかっこいい名前じゃないなという男の子がおりまして、おれの恋人助産婦なんというのはあんまりかっこいいものじゃない、こんなものもひとつ明るい希望を持たせる意味からも、皆さんから名前を募ってみるとか、そういった明るい方向で、希望を持てる方向で一つの突破口を大臣に開いていただきたい、これは私のお願いであります。
○内田国務大臣 私も全く賛成でございます。ただ私が昨今厚生大臣になったからといって、いままでの現実を根元からひっくり返すようなことをやる自信が私はまだついておりません。しかし歯医者さんに行きますと、看護婦さんもおられるのでございましょうが、別に歯科衛生士という名前の女性の方々がおられまして、私はああいう名前も大いにけっこうな話じゃないかとさえ思います。繰り返しますが、また正看、准看というものがあったほうがいいという説もありますけれども、職務内容が同じならば、これは若い方と経験を積んだ看護婦さんと給与が違うことは私は当然だと思いますが、呼び名は一本にしたほうがいいじゃないかという考え方も、私は当然検討の必要があるということも先般申し上げたとおりでございます。 なおまた看護婦さんの給与でありますが、国立病院、国立療養所、つまり国家公務員でありますところの看護婦さんにつきましては、きのう人事院の当局もここに出ておられまして御説明がございましたが、民間よりもむしろ先駆的によくしてある。また、ある年齢になりますと、民間のほうでは看護婦さんの給与が上がらないのみならず落ちていく、しかし国家公務員でありますところの国立病院、国立療養所の看護婦さんにつきましては、四十歳をこえましても給与はどんどん上がっていくので、民間よりもかなり格差が開いている、こういうような実態の御説明もございました。むしろ私どものほうの国立の病院、療養所の看護婦さんが民間の施設の看護婦さんの処遇や職場環境をも引きずっていくというようなくらいに私はいたしたいと思います。 寄宿舎等につきまして、たいへんどうもりっぱでないところに住んでいらっしゃるお話がございましたが、ほんとうを申しますと、日本は戦争が済みまして二十五年しかたっておりません。したがって患者さんがいらっしゃる国立療養所、国立病院なども建てかえを一生懸命でやっておりますが、まだまだ古い、昔の軍隊の病院をそのまま療養所の病室に使っているようなところも全国的には残っているような状況でございます。私は大臣でございますが、私の家も、女房と結婚したままの家でございまして、雨漏りもすればすき間風もしきりに入る、これは全くそのとおりでございまして、やがてこれは、そのままでは過ごせませんので私は何とかしなければならぬと考えておるものでございますが、これは看護婦さんばかりでなしに、日本の社会の各方面が、いまだんだんそういうものが改良に向かっている最中でございます。私のほうでも、国立の施設の看護婦さんの宿舎等につきましてはだいぶよくいたしてはおりますけれども、まだ悪いものが残っておる。しかし、それでも文部省の大学付属病院あるいは民間の施設よりも、私どものほうの国立のほうがよくなっているところもかなりあるようでございます。そういうことで私は引きずってまいりたいと思います。 なお、私が就任いたしましてからずっと国会で攻められておりまして、なかなか外に出まして看護婦さん方の働いていらっしゃる状況なり宿舎まで見るひまがこれまではございませんでしたけれども、国会が終わりましたならば私も出てまいりまして、国民の一人として、また所管の大臣として看護婦さん方とも語り合えるような機会をぜひ得たいと私は思っております。
○渡部(通)委員 どうぞよろしくお願いをいたします。 保育所の問題等についても、大臣の建てたいというお話は再三伺っておりますが、ちょうどいま育児休職制の問題が持ち上がっておりますから、ぜひひとつ看護婦さんもこれに乗せられないかということでございまして、電電公社が育児休職制に踏み切ったときは、たいへん私うらやましいと思ってみたものでございます。ちょうどいま教職員の育児休職制の問題が出ておりますので、ぜひともこれを看護婦さんにも適用できないか、この点についてはいかがでございましょうか。
○松尾政府委員 看護婦さんが非常に結婚率が高くなっておりまして、昔のように独身の女性だけが看護婦の就業者であるという時代ではなくなっております。したがって、子供さんをお持ちになるというような場合に、いまお話しがございましたような、院内の保育所という問題も出てまいりますけれども、また一面、そういう育児に専念をする機関というものがあったほうが母子ともにいいのではないかという説も非常にございます。私どももぜひこの問題は制度的に検討してもらいたい。昨年も人事院に対しまして、厚生省のほうからこの問題を検討してもらいたいということを強く申し入れたような事情でございますが、私どもも引き続き同じ方向で努力をしたいと考えておるようなわけでございます。
○渡部(通)委員 それはぜひひとつお願いをしたいと思います。やはり、潜在看護力を発掘するということがいま大きな課題となっておりますけれども、これがもう少し具体的に進むためにも、処遇改善の実績をあげるしかないのではないか。これは根本問題でございますけれども、そのほかにもう少し何か具体的にPRをしたり、あるいは登録をさせたりという方向でくふうをこらされているかどうか、そういう実情の上でどれだけ掌握ができているのか、復職可能な人がいるのか、その辺が明確でございましたらお知らせいただきたいと思います。
○松尾政府委員 ただいま御指摘がございましたように、実は潜在という名前を仮につけておりますけれども、どういう方がどこにおられるかということをつかむこと自体が、まず根本の問題でございます。従来各県等にも努力をお願いしておりますのは、各学校の卒業生という方向からたどっていきまして、その現在の存在を把握する方法、あるいは現に働いている方々の知り合いという方向からつかむ、そのほか一般的なPRの方法によりまして、講習会の際等に募集をするということを通じて、各種の手段を講じてやっておるわけでございます。このためやはり処遇その他の問題、勤務時間の問題等もございますが、まず最初にやはりいろいろな希望を聞いてみますと、長い間現場から離れておりますことの不安ということがございまして、ぜひ最近の看護の情勢あるいは医療の情勢等を知っておきたい、こういう御希望がございますので、講習会等を開催する、特に従来開催の個所数が非常に少なかったものを、四十五年は四十六カ所ということに拡大をいたしております。そのほか各県におきましても独自の立場で相当努力をしてもらいまして、現在までの間に、昨年から今日までの間に約七十カ所の講習会が持たれまして、合計いたしますと約二千六百人程度の受講者がございます。いまのところその程度の把握でございますが、その中で大体就業を希望される方というのが約半数という報告でございます。講習会を受けましたけれども、まだ踏み切りがつかないという方もおられるようでございます。約半数というものが就業を希望されておる。今後やはり網の目をこまかくいたしまして、そういうチャンスをふやしたいと考えておりますけれども、おそらくはただいま申し上げました半数程度というものが実際上考えられる数ではないかというふうに感じております。
○渡部(通)委員 やはり潜在看護婦がどれだけ集まってくるかということは、何といっても処遇の改善されたということが世の中にわかってきませんと、なかなかあらわれてもこないと思いますので、働ける人が再び職場復帰ができるようにこれを推し進めていただきたいと思います。 私ほんとうにお願いしたいのは、看護力が足りないからという立場で看護婦さんという大事な人格を扱わないでいただきたいということでございます。いまは女性が仕事をするという世の中の風潮にだんだんなってまいりまして、結婚後の女性の働きというものが労働力として大きく評価されている時代でございます。その中でも看護婦さんなどという仕事は非常に貴重な仕事でございまして、またたいへん長時間かけて技術を身につけたお方たちでございます。そういうお方たちがほんとうに一生をどう女として仕事を持ち、女性として満足に一生を終われるかという見通しのある処遇、こういうあたたかい血の通った配慮、政治のきめこまかさ、こういうお立場で、ぜひとも看護婦不足という問題を取り扱っていただきたい。厚生省の担当のお方になってみますと、足りない足りないということで、そういう何か物理的な問題に流されがちではなかろうかということを、私国会におりましても感じました。そうではなくて、一人一人の人間性の上から一人の女性をどう生かすかというお立場で、あくまでも国の施策は進めていただきたい。これは魅力ある看護婦さんにするために、ぜひともそういう態度を堅持していただきたいと思います。この点は大臣も御同感いただけると思いますが……。
○内田国務大臣 全く渡部さんのお考えに私は賛成でございます。ただ私は専門家ではありませんが、従来のわが国における看護婦さんの養成の仕組みというものは、いわば私的養成といいますか、病院なり医師会なりそれに付属する施設において養成をしてきたという形が非常に多かったわけでありますが、今度ここに提案をいたしました法律につきましても、そういうことをだんだん切りかえてまいりまして、国なり公共団体なりその他の社会福祉施設等が、看護婦さんという一つの独立した専門的職能人を養成してまいる。また将来の頭には、養成所ということでなしに、学校教育法第一条によるそういう学校で、主力としてそういう職能人を養成していくような道の可能性についても構想をいたしながら、私どもはこの法律を出しておるわけでございます。ただし現状におきまして、たびたび申しますが、現状をすぐにひっくり返してしまってすべて学校教育法による教育によるとか、あるいは准看制度というものをいまなくしてしまうということも、現実問題といたしましてはかえって医療制度あるいは。パラメディカルの制度を混乱いたさせますので、その辺にむずかしさがあるわけでありますし、また各方面の意見もあるようでございますが、各方面の意見を伺いながら、今日まだ改善すべき余地を将来に残しながらこの法律の改正をいたそう、こういう私どもの気持ちでございます。御了承をいただきたいと存じます。
○渡部(通)委員 看護教員の問題でございますが、いま看護婦さんたちの大きな不満の一つになっているのが、やはりこの看護教員の資格、そういったものがはっきりしていないということでございます。養成機関等も非常に不備だと思うのでございますが、看護教員が、五十年に四十八万という看護婦さんをつくる上においてどの程度不足しているのか。あるいは、それに対する対策はどうなっておりましょうか。簡単でけっこうでございます。
○松尾政府委員 看護婦の養成機関をつくりますためには、御指摘のように教員がどうしてもその必要な数だけなければなりません。この問題につきましては、資格問題は後ほど申し上げますけれども、一応需給計画上ではそれだけの数が必要だということは、養成施設に対応して見込んで確保したいと考えております。 ただこの資格の問題でございますけれども、これはいままで学校の先生方のように非常に明確にはされていないという点はございます。現在は実態を申し上げますと、実際の経験が三年以上の看護婦さんであると、それぞれ希望もございますけれども、六カ月の講習会というものを持ちまして、いわゆる専任教員のための講習会、それを行ないまして、そういう方々に教員としての修業をしていただく、こういうやり方をやっております。 今後この法律がもし成立いたしましたならば、各養成所の指定に際しましても、いろいろな教員の資格等についてこれをきめるようにしてございますので、その際にも明らかにしておきたいと存じます。なお私どもは、今度の教員の養成という問題については最も基本的な問題でございますので、ただいま申し上げておりますような六カ月コースの拡大ということ以外に、いまのお話のように、本格的に教員のための養成機関というものを恒久化するように検討いたしたいということでございます。
○渡部(通)委員 資格も設定していただけますか。
○松尾政府委員 資格の設定には努力したいと思います。
○渡部(通)委員 待遇が、国立は別といたしましても、医療の範疇で行なわれている。いわゆる看護教員といっても看護婦としての待遇を対象とされているという——資格やあるいは養成機関をはっきりした以上、ここも改善されるべきだと思います。医療の範疇でやっているうちは私はとても無理ではないかと思うのですが、その点の方向はいかがでございますか。
○松尾政府委員 私ども全く同感でございまして、教員の方々が教育に専念をしておるそれ以上に、いろいろな負担を持っておられるわけでございます。こういう方々がいわゆる医療職のままでいるということにつきましては、他との均衡から考えましてもやはり私どもはアンバランスでなかろうか。やはりその期間中、できますならば教育職的な扱い方、あるいはそれができないといたしましても、医療職というものの中で何らか教育職に相当するような方法を講じたい、こういうことで、今後の人事院折衝にもぜひそこのところは十分力を入れたいという予定にしているわけでございます。
○渡部(通)委員 先ほど大臣は、将来の問題として文部省にも移管しなければならないというお話でございますが、いま局長さんのお話を聞いておりますと、看護教員一つの問題をとってみましても、医療行政としてははみ出していかなければならない差し迫ってのことだと私は思うわけです。そういう意味で、先ほど将来とおっしゃいましたが、どの程度のめどをお考えであるか、積極性をお持ちでございますか、その点を大臣に重ねてお伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 これは局長の入れ知恵でも何でもございません。私の大臣としてのビジョンは、早くそういうことを取り上げる時期の到来を私は希望をいたしております。ただ現実は、先ほども問答がございましたように、この五年ぐらいをとりましても、とにかく看護職員を二十万人くらいふやさなければならないという事態もございますので、それとの達成の状況など見比べながらやる以外にないと私は考えます。来年そういう法律案を出すとかいうようなことは申し上げにくいわけでありますが、厚生大臣としてそういう将来構想をも持ちながら看護婦対策に取りかかっておるという私の気持ちを申し上げておるのでございますので、それならいつやるか、何年かということにつきましては、もうしばらく検討の時間をおかしいただきとうございます。
○渡部(通)委員 大臣のお立場もよくわかります。ですけれども、五カ年計画がもうすでに始まっている、それにはそういうものが勘案されなければ進まないという現実を見詰めれば、やはり早急に御努力をいただくしかないと私は思います。 最後にもう一つ伺っておきたいのですが、高卒一年ということがきのう来たいへん問題になっておりまして、実はカリキュラムを詳しく伺いたかったのでございますが、私が心配いたしますのは、時間的には教養科目を高校分を減らすから中卒二年と同じ時間帯はとれる。時間では確かに物理的にはそう考えられるかもしれませんけれども、やはりこれは実務の大事なことでございまして、一年間で看護的な実務の問題、あるいは習うよりなれろの問題でございますね、そういった点を御配慮なすったかどうか。はたしてできるのか。高卒一年の訓練を受けてきて病院に飛び込んできて、注射器を持たされてだいじょうぶか。現実はそうでございますから、その点のお考えを伺いたい。
○松尾政府委員 看護教育の中で実習の時間が非常に大事であるという御指摘でございまして、この点は確かにそのとおりでございます。 大体ただいまの学校教育法に基づく看護高校における八百五時間という実習時間、これは今度の制度にもそのままの時間で取り入れるつもりでおりますけれども、問題はそういう訓練の効果をどういうふうにあげるかということにもございます。従来は実習と申しますと、とかく病院のほうに参りまして何もかもそこでやるのが実習という概念でございましたけれども、いろいろしさいに専門的にも検討していただきますと、いわば実習と申しましても基本的なものは相当教室内で実習できる。基本的なものは教室内でやるべきだという御意見がございます。したがって今回、そういう教室内実習ということについてこれが整備できますような予算を、わずかではございますけれども二千万円ほど組んでおるわけでございます。そういう方向も織りまぜまして、いま御指摘のように実務というものについても十分ひとつできるようにしたいと考えております。ただ、どのような場合でも一つございますのは、ほかの職種の場合でも全く同じでございましょうけれども、いろいろな学校を出ましてそのまま直ちに一人前としてすべて役立つということはなかなか不可能でございまして、この点は、私どもはやはりこの高卒一年のみならずでございますが、すべてにわたって新人というものを受け入れる側についても、新しい人々の訓練と申しますかそういうことはやはり心がけるべきである。これは何も高卒一年、准看のみに限りません。すべてそういう点が医療機関として意識は少ないのではないかということを痛感いたしておりまして、その点はあわせて今後十分指導してまいりたいと考えております。
○渡部(通)委員 これで質問を終わりますけれども、先ほど大臣の答弁にもちょっと出ましたが、看護婦が足りないときでございますから、なお保健婦、助産婦になるとたいへんな不足でございます。これを総合的な方向に統一なさる御意向がおありでございましょうか、そうすべきだと思いますが。
○内田国務大臣 そのことも私は、いまそれを統一する意思があるかと言われるとお答えできませんが、看護婦制度あるいは准看制度というものを一本の制度にするというようなことを構想するのとあわせて、いまお尋ねの問題についても構想を練るべきではないか、そういう気持ちを私の将来の課題として持っておるということを申し上げたつもりでございますので、それでひとつ御了承いただきたいと思います。
○渡部(通)委員 たいへん問題があり過ぎて、実を言って一時間弱で切られた時間内で何からお伺おうかと迷ったくらい、困った問題をかかえている看護婦問題でございます。厚生省としても省をあげて当たったという仰せでございましたもんで、どうか関係団体等の意見をよくくんであげていただきたい。これを最後にお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
○倉成委員長 田畑金光君。
○田畑委員 初めに、きのうも質問が出ておりましたが、看護婦、准看護婦就業者については、厚生省の医務局の出された統計資料によれば昭和四十三年末二十六万六千五百七十五名になっておるわけでありますが、厚生省の統計調査部の出しました衛生行政業務報告によれば二十三万九千三十七名になっておる。この相違は何に原因するのか、もう一度明らかにしていただきたい。
○松尾政府委員 二つの数字がございましてまことに恐縮でございますけれども、衛生報告のほうは保助石婦法によりまして毎年十二月三十一日現在で各人が届け出をいたすものを集めたものでございます。したがいまして、その数字になりますと届け出漏れというものが起こり得る、こういうことに相なります。 もう一つ、同じ統計調査部で、病院、診療所につきましては毎年十二月三十一日現在で、そこにおりますすべての就業人口を報告をする制度がございます。したがいまして、私どもの統計といたしましては、統計の専門家の意見も聞きまして、やはり病院、診療所からの届け出就業人口というものがより正確であるということでございますので、病院、診療所の数は、その病院、診療所の報告、医療施設調査の結果を使う。それから、その他のところに就業しておられる方はそういう方法でつかめませんので、これは各自の届け出による報告をとる。こういう二つのものによって二十六万六千という数字を集めておるわけでございます。
○田畑委員 出方、出所が違っておるから、看護婦、准看護婦の就職者状況について相違が出ておるということになってきますと、私は大きな問題になると思うのです。ということは、社会保障制度審議会事務局で四十四年度版として社会保障統計年報を出しております。これによれば、就業看護婦の数は三十九年から四十三年度まで出ておりますが、いずれも厚生省の統計調査部の衛生行政業務報告書に基づいて出ておるわけですね。社会保障制度審議会という権威ある機関で発行しておるこの資料が間違っておるということになってきますると、これは影響するところ非常に大きいのではございませんか。さらにこの社会保障統計年報によれば、単に看護婦の就業者数だけでなく、医師の数であるとか、歯科医師の数であるとか、薬剤師の数であるとか、あるいはまた、わが国の国民総医療費の推計が出ておるわけですね。こういう国民の一番信用できる資料に載っておる数字が、いま局長のお答えのように間違っておるとすれば、この間違っておる責任は、厚生省の出した資料に基づいてできておるわけです。そうじゃございませんか。
○松尾政府委員 そういう二つの種類の統計がございますので、この二つの数字が、調査を行なって完全に合うということは、おそらく統計技術上むずかしいものだと存じますけれども、御指摘のような混乱が起こるということであれば、やはり統計の数字の使い方という問題がございますので、私のほうからもよく統計調査部に連絡をいたしまして、統一したもので、御迷惑のないように今後処理してまいりたいと思います。
○田畑委員 私は、これはひとつ厚生大臣にお答えをいただきたいのですが、社会保障制度審議会の出しておるこの年報の資料が正確でない、こういうことになってきますると、これは私は政府あるいは厚生大臣の大きな責任問題だと思うのです。社会保障制度審議会設置法によれば、「社会保障制度審議会は、内閣総理大臣の所轄に属し、社会保障制度につき調査、審議及び勧告を行うものとする。」第一条に目的がはっきり書いてあります。第二条第二項には、「内閣総理大臣及び関係各大臣は、社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」現に医療制度の抜本改正案の問題についても、社会保障制度審議会に今日諮問をして、その意見を求めておるわけでしょう。最も権威ある機関じゃございませんか。最も権威ある機関にそのような間違った資料が同じ厚生省の中から出されておるということになってきますと、これは単に制度審議会に対する侮辱だけではなく、国民に対しても非常な迷惑だ。この点は大臣、どのようにお考えですか。
○内田国務大臣 いま局長から御答弁申し上げたとおりでございまして、実は私はこのことを初めて知りました。なお、私自身がこれはあらためて検討をいたしたいと思いますが、同じ厚生省の中で、目的は違うにいたしましても、看護婦、准看護婦の数につきまして違った数字があらわれておることは、まことにふかしぎ千万でございますので、必要のない数字のほうは、数字の出し方というようなものはこれは検討して一本にする方向をとらなければならないものでございまして、現状についてはまことに申しわけなく、遺憾と存ずるものでございます。
○田畑委員 局長にお尋ねしますが、そうしますと、この制度審議会の出しておる社会保障統計年報には、先ほど指摘しました医師の数であるとか、歯科医師の数であるとか、薬剤師の数であるとか、あるいはわが国の医療費の三十九年以降の推移などについて載っておりますが、これは同じように正確でないと見なければならぬわけですか。それとも看護婦の就業者数のこの項目だけが正確でないというのか、どっちなんです。
○松尾政府委員 統計調査のいろいろな方法がございまして、いま申し上げましたような衛生業務報告というものでございますと、各人の届け出による。その点は、統計を使う立場におきましても明記して使うべきであろうと私は存じます。その限りにおきましては、そこにあげられたのは、それしか調査方法がないといたしましたならば、そういう調査によって暦年の数字を把握する以外にないと存じます。しかし、それが全く一名の欠もないのかということになれば、各自の届け出漏れというものが多少はあるということを念頭に置かなければならぬと存ずるわけでございます。したがいまして私ども、看護婦についてはそういう二つの数字がございますけれども、より正確を期したいということで二つの数字をあわせて用いているわけでございます。
○田畑委員 局長、あなたのお答えを聞いておると、一人や二人の相違じゃございませんよ。これはあなたのほうから出してきた資料によれば、たとえば先ほど申し上げた昭和四十三年度末の看護婦、准看護婦の就業者数は二十六万六千五百七十五名になっておるわけです。ところが、制度審議会の出した資料によれば二十三万九千三十七名、あまりにも開きがあり過ぎやしませんか。一人や二人の違いということならば話がわかるけれども、何万という相違ということは、同じ厚生省の、たとえば一方は統計調査部から集めた資料、一方は医務局のほうで集めた資料といっても、あまりにもこの違いが大き過ぎやしませんか。さらに私は局長にお尋ねしたいのは、なるほどお話のように届け出制になっておるわけですね。ところが、この保健婦助産婦看護婦法の第十一条によれば、看護婦は厚生省に登録することになっているでしょう。さらに十三条によれば、免許は登録することによってこれをなす、こうなっているでしょう。さらに四十五条によれば、この届け出の義務に違反した者は罰則が加えられておるでしょう。こういうようなことがあるにかかわらず——この法律が正確に、そしてまともに実施されておるとすれば、個人の届け出によって看護婦、准看護婦は正確な数字が当然把握されなければならぬ。把握していないとすれば、これは厚生省の行政の怠慢である。あなた方の行政の怠慢をたな上げして、そうして先ほど私が指摘した厚生省の統計調査部のとった資料は、個人の届け出を集計したものであるから間違っておる、正確でない、これはあなた方自身の行政の怠慢をはっきりあらわしていることじゃございませんか。この点どうなんです。
○松尾政府委員 届け出制度がありながら、それが十分守られておらないということは、やはり行政の不徹底ということを免れないと存じます。
○田畑委員 これは私、特に社会保障制度審議会と関係の深い厚生省あるいは厚生大臣としては、こういう正確でない資料を社会保障制度審議会等に出されるということは重要な責任問題だと思うのです。国民としては、この資料は信用するほかないのですよ。この問題について、私はこの際大臣から明確に、どうされるのか、さらに私は、この際保険局長にお尋ねしますが、制度審議会に出ておる医療費の数字であるとか、医師や歯科医師の数の資料は正確なのかどうか。いま看護婦のようなあなた方のほうでつかんでおる数字と制度審議会が取り上げておる資料との間には食い違いがあるのかないのか、この点どうですか。
○梅本政府委員 先ほどの保険関係の数字につきましては、一応集計いたします場合にも保険局で大体集計をいたしております。独自で保障制度の学識経験者が推計された場合は別といたしまして、食い違いはないと思います。
○田畑委員 いまの保険局長の答弁は、おそらくそうであろうと私は信じたいのです。しかし、まだ私は実はそれを正確に調べておりませんが、おそらくそうであろうと思う。ただし、いま審議されておる看護婦、准看護婦の数字が出発点からこのように資料の面で違っておるということは大きな行政上の怠慢である。なお私が追及したいのは、先ほど指摘しましたこの法律の十一条、十三条あるいは三十三条、四十五条の点から見ても、これは許されない食い違いだと思うのです。この点について大臣は率直に、この行政の怠慢なり手落ちなり非を反省されて、今後このようなことはないということをはっきりここで約束をしていただきたい。
○内田国務大臣 二つの数字が出ておりますことは、先ほども申し述べましたように、まことに遺憾に私は存じます。おそらく本人からの申告調査というものと、もう一つの数字は診療所等に対する職権調査といいますか、機関調査、両方の数字が出されておるわけでありますが、そういうことがなぜ行なわれているかということになりますと、本人申告のほうの数字に誤りがあるだろうということで、おそらく機関調査を始めたんだろうと思いますので、その間の経違をあらためて調べまして、そしてその関係者の皆さまを惑わせることのないように、数字が一本になるような施策を講じるようにいたしたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
○田畑委員 こういう重要な問題が、二つのところから出て、しかも同じ厚生行政の中で相衝突するような数字が出ておる。これによって国民が非常に惑わされる、迷惑しごくなことです。しかも社会保障制度審議会が編集したこの資料の中に、いま言ったようないきさつで不正確な資料が出ておるということになってきますと、これは厚生大臣の大きな責任であると私は思いますので、この点もあわせてひとつ検討されることを強く希望しておきます。 それから次に、私がお尋ねしたいことは、今度のこの法律改正は、要すれば高校卒一年の准看護婦養成所を卒業した者が、従前の中卒二年の養成所を出た者よりも質がより優秀だ、こういう前提で提案理由の説明もなされておるし、法律改正の提案もなされておりますが、どうして質が優秀なのか、この点をもっと親切にひとつ説明をいただきたい。
○松尾政府委員 第一点は、基礎学力が高等学校卒業であるということによりまして、より高い基本資質を持っておる。これが何よりも非常に大事な問題であると存じます。 それから、第二の問題といたしましては、これは看護という問題に携わるにあたりまして、やはり年齢的な要素というものも無視できないかと存じます。それが中卒の場合より高い年齢として、いわゆる成熟した年齢に近づいてきておるということが第二であります。 それから、第三といたしましては、従来の衛生看護講習等において行なわれておりますところの学習内容、教科内容というものと比較をいたしましても、決して遜色のない内容とがここに盛られたということであります。これは専門家の判断にもいろいろまったわけでございますが、要約いたしますと、そういう点で決して劣らないというふうに申し上げられるかと思います。
○田畑委員 あなたは三つの点をあげられたが、帰するところは、いまの二年制度は中卒が主体である。ところが、今回の制度改正は高校卒一年である。したがって中卒と高卒の基礎的な教養の違いがあるから、今度の制度がより優秀だ、これに尽きると私は思うのです。あと二つあげられておりますが、それはたいした理屈ではないと思う。されば現在の中卒二年制度の中でも、すでにあなた方の御説明にありますように、高卒の人方が四割近くを占めておるのでしょう。ということになってきますと、あなたのいま御説明なされたことでは、すっきりしない部分はございませんか、どうですか。
○松尾政府委員 ごもっともな御疑念だと存じます。現在その中学卒でいいところに、約三十数%の高校卒、いわゆる過剰資格で入っておる人がいる。そういうことの実態と比較してどうかということでございますが、いわゆるそういう三十数%の過剰資格で入っておる方は、その教科内容におきましては、中学卒を基準とした教科内容に合わせて自分たちも——こう言っては変でございますけれども、いわば低い、学力を異にしたカリキュラムに合わせた勉強をしておる、こういう点でございます。したがいまして、今度はそろえますと、高校卒という程度でございますので、教科の中身も教え方も従来とは全く違った形で、高いレベルで教えていくということになってくるかと存じます。
○田畑委員 局長の答弁は、結局高校卒にふさわしいカリキュラムを取り入れるので、またこれは専門家の意見を聞いてそのような制度を採用するので、したがって従来の准看養成施設よりは質もよくなるのだ。これだけでは私は納得できぬわけです。やっぱり二年かけて、特に看護業務というものは実習等が一番大事な問題だ、こう思うのです。やっぱり二年かけてみっちり実習等をやってくることによってむしろ看護業務に習熟するというのが、一般的な常識じゃないかと思う。しかし、一年の速成教育ということになってきますと、私はいま実習の面を申し上げましたが、そういう点においてやはり安上がり教育、速成教育のそしりを免れない、こう思うのです。まして、あなたのお話のように、一体准看を養成する教員と申しますか、そういう教員の人方について明確な資格制度があるのかないのか、この問題ですね。要すれば、今度新しい制度を採用されるとしても、新制度にふさわしいりっぱな教員制度などというのが確立されておるのかどうか。予算を見れば、単に再訓練を教員についてやると指摘されておるにすぎませんが、ほんとうに制度がよくなるとするならば、それをよくするかいなかということは、担当の教員にりっぱな人を得るかいなかということにかかっておるわけだが、そういう点について確たる保障があるのかないのか、これを明確にしていただきたい。
○松尾政府委員 御指摘のとおり、この教育の効果をあげますために、教員の質、資格、その能力の高いことが要求されるわけでございます。従来のいろいろな考え方は別にいたしまして、今回、今度の私どもの考え方といたしましては、高等学校卒業の三年の人を教えるいわゆる看護学校の教員の資格も、高卒一年の准看あるいは准看の教育をやる人も、資格においては全く同じであるべきだという形で進めたいと存じます。したがいまして、講習会等に、いまのところ特別の養成機関というような固定したものはございませんけれども、少なくとも今度のこの高卒一年の教育につきましては、こういうものに従事する者については、従来の六カ月コースというような専門の講習会を終えた上でなければ従事しない、こういうふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
○田畑委員 制度を改めれば、当然いまの教員などについては、すでに講習会などがとられて、こういうりっぱな教員を養成した、だからこの制度は心配ないんだ、こういうことが先行して初めてより優秀な質のものが確保されるというなら話はわかるけれども、カリキュラムをもっと高校卒については充実したものができるとか、あるいは専門の教員を養成するとか、すべてこれからの問題で、質がいいのを確保できるかできないかというような議論になっておるようでありまするが、私は、これは順序が逆だと思うのです。もし、いままでの制度で優秀な人が得られないとするならば、従来の中卒二年の制度はいつまでになくするのですか。もしこれによって養成されるものが決して望ましきものでない、准看護婦としての質も決して望ましいものでないとするならば、この制度はいつやめるのですか、これをはっきりしてください。
○松尾政府委員 制度上からは、当分の間存続をするということでお願い申し上げております。で、私は見通しといたしましては、女子の高校進学率がすでに八〇%という平均率でございますので、相当のところが急速にこのほうに切り変わってくると予定をいたしておりますが、しかし一部の地域におきましては、なおそういう方向へいき切らない。やはり従来の制度によらなければ人は集まらないし、また、そういう必要もあるという地域もあるであろう、これを無理に押してしまうということは、やはり需給上も、その地域としても困るんではなかろうか、こう考えておりますので、特にいつまでにやめるということは明言するつもりはございません。ただ、実態としましては、相当早目に変わっていくであろうというふうに予測いたしております。
○田畑委員 私は、きのうからの質疑応答を聞いて非常に納得がいかぬのは、今度の制度によって准看を養成したほうがより質のいい准看ができるという前提で、この法律の改正、制度の改正をなさるならば、当然従来の中卒二年の准看養成制度というものは早く新制度に切りかえることが提案の趣旨に沿うゆえんである、こう思うのです。ところが、局長の答弁を聞いておると、いつやめるのかわからぬ。これでは何で新制度に移行する必要があるのか。かえって制度移行に伴う混乱、摩擦を深めておるだけじゃないのか、こういう私は疑問を持ちますが、この点ひとつ大臣の所見を承っておきたい。
○内田国務大臣 この中卒二年の養成課程というものを、これを一年に減らしてしまうということならば、これはもう簡単にひとつ准看の数をふやそうというそしりを受けるわけでございますけれども、これは、御承知のように、基礎を中卒ではなしに、それを三年上乗せした高卒にして、そうして一年の養成、こういうことでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。 現状を見ましても、局長から御答弁申し上げておりますように、高等学校を卒業して准看になる道が現在はございません。ございませんものですから、にもかかわらず、客観情勢は、全体としてながめた場合には、中卒で就職戦線に立たれる方よりも、高等学校に進学する方の割合がだんだん多くなっておるものでございますから、高等学校を卒業しながら中卒の人とまじって、そうして二年コースの准看をやっているというような状況が、いまの問答にも出ましたように、あっちこっちで行なわれておりますので、そういう客観情勢も考えながら、かつまた、その准看の程度を少しでも引き上げ得るという見込みのもとに、実はこういう制度を考案をいたしております。でありますから、お尋ねのように、できる限り従来の制度はやめてしまうということが一つの方向だと思いますが、高校へ進学する割合が八〇%くらいになっておるということは、主として大都市、あるいは全国的平均においてそういう傾向でありますけれども、地域によりましては、なおかつ高校への進学率がそれほど多くないという地域もあるようでございまして、そういう地域につきましては、いま直ちにその中卒二年の養成コースというものを切り捨ててしまうということも実情に合わないだろう、こういう見地から当分の間これを残すということでありますが、それはやってみまして、状況を見まして、われわれはいいとして今度の制度に切りかえるものでございますから、そう長い間置くということにしないで、私どもが状況を見ながら、いい制度に少しでも早く切りかえていくということは、私は当然やるべきであると思います。ただし、いまの地方の一部の実情等に無理がかからないようなことも考えながらというような、そういう面があるものでありますから、当分の間というようなことばを残しておるわけでありますが、考え方といたしましては、私は今度の制度がいいということで、はなはだしく無理のかからない限り、できるだけ早くこれに切りかえていくのがよかろうと考えております。
○田畑委員 私が申し上げておるのは、大臣、今度の制度改正については、このほうがより優秀な質のいい准看ができるのだという前提でこの法律の改正を出されておるわけです。それからもう一つは量の確保という点ですね。私は、いま質の問題、角度から質問をしておるわけです。もしいままでの制度よりも今回の制度改正による准看の養成がより優秀な准看ができるとするならば、早くその制度に切りかえるべきじゃないのかということ。さらにまた、この法律の改正によれば、今後二年間は従来の中卒二年の制度についても継続して新設を認めるのでしょう。今後二年間は新設を認めるのでしょう。今後二年間は、従来の制度による中卒二年の新設まで認めるわけですよね。さらに、既存の養成所については、いま大臣のお答えがあるとおり、当分の間、これを認めるわけですね。ならば私は、今度の制度改正によってより質のいい准看ができるという前提については、こういう趣旨の説明は取り下げてもらいたい、こう考えるのです。どうなんですか。
○内田国務大臣 ものごとは移り変わることでありますので、いいことをやるにしましても、いままでやってきたことをぽくっと変えますと、非常にまた無理もいきますし、また、先ほど来申しておりますように、各地域によりまして、中卒で就職戦線に立つ比率、あるいはまた高等学校へ進学する比率が違うような地域もございますので、その辺に若干のアローアンスを認めることが実態には適する、だろう。そこで、いまも御指摘のように、現在の中卒二年のコースというものを当分の間認めるのみならず、新設をも認めるという若干のアローアンスがあるようでありますが、新設を認めるほうは、これはもう全く例外的の場合としか私は考えておりません。でありますが、これは全く認めないということでいけるような事態で私はありたいと思っております。しかし、いま言うように、ぽっくりと、こういうことがいろいろ摩擦も生ずるということから、そういう道も例外的に規定はいたしてありますが、これはあくまでも例外中の例外と考えてまいりたいと思うものでございます。
○田畑委員 私は、もし今後、当分の間認める、あるいは今後二年間は新設も認めるということならば、また、私自身も、制度の改正を右から左にすぐすべてが変わるということ、そんな乱暴な議論をしているわけじゃございません。当然、経過措置ということはあってしかるべしと思う。ただ、あなた方のこの制度改正についての提案理由の説明を聞けば、量と質の確保という点で提案をされているわけですね。むしろ私は、今回の制度改正というものは、事実上中卒で進学率が非常に高まってきた。もう八割にもなってきた。また、中卒で就職戦線に出る者が非常に薄くなってきた。こういう客観的な情勢の変化に応じて、従前の中卒二年の養成制度から、高卒一年の養成制度に変わらざるを得ない状況に追い詰められたんだ。そういう自然の姿がそうなってきたんだ。自然の推移がそういうことに移らざるを得なくしたんだ、こういう趣旨であるとすれば、私はわからないでもない。ところが、その実態を無視して、質量ともに優秀な者を確保するためには、従前の制度ではなくして、この制度に切りかえざるを得ない、こういう議論の立て方であるとするなら、私は、すみやかに新制度に移行するような措置を講ずることと、二年間従前の制度に基づく新設を認めるというようなことは矛盾する、こういうふうに考えるのですが、この点、どうですか。
○松尾政府委員 御指摘のとおりのような高等学校の進学率というようなことも一つの条件に入っております。したがいまして、そういう点からと、先ほどの御指摘のような線を合わせますと、御指摘の点は、実態としてはごもっともであると思います。私どもといたしましては、したがって決して当分の間というものをただだらだらという形で期待しているのではございませんで、あくまでもやはり急速に変わっていく実態、背景というものがある。そういうことと同時に、特殊なことを考慮してのことであります。私どもも十分そういう先生の御趣旨についても、制度論は別といたしまして、実際の行政指導の面でもそういう方途を配慮してまいりたいと考えております。
○田畑委員 私は、大臣に、やはり医療従事者の質を向上させるためには、いま看護婦のあるいは准看の養成制度については、いろいろ文部大臣の所管、厚生大臣の所管、その他地方公共団体、社会保険の病院に付置する施設等々、広範多岐にわたっておるわけでありますが、やはり学校教育法の第一条に基づく教育体系の中で医療従事者を養成していくというのが、私は今後のあり方じゃないか、こう考えるわけです。そのことによって初めてりっぱな医療従事者の確保はできるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけですが、こういう方向に政府としては将来努力されるのかどうか、このあたりひとつ承っておきたいと思うのです。
○内田国務大臣 私は、原則論としては、田畑先生のおっしゃることに全く賛成でございます。しかし、これも昨日来申してまいりましたけれども、これまでのいろいろな経緯あるいは歴史のようなものがございまして、これはなかなか一気にそう切りかえるわけにいきません。また、はたしてそうした場合に、看護婦さんを志望せられる方方の現実の状況を見ました場合に、さてそれだけでこの看護婦就職戦線に行く道が十分であるかというと、現状におきましては、やはり中学なりあるいは今度は高等学校なりを卒業をして、そうして働きながら看護婦になっていきたいというような方々も現実にはおるわけでございますので、その辺をも考えてまいりますと、全部学校制度のもとにおける、ちょうどお医者さんの養成と同じように直ちに切りかえるということはできないと私は考えます。また、正看、准看というようなものも、本質的には私は区別はあるべきじゃないと考えますので、そういう意味の御意見、また、私が申しましたようなことを遠景に置きますと、中学校卒業で准看になる道から、高等学校卒業で准看になって、そうして必要があればさらに二年の進学コースで正看になるというようなことに近い道というようなものにも、そういうことに対する私は一つの何となく遠景をもちまして、今度の制度を推し進めていると御理解をいただければ非常に幸いでございます。
○田畑委員 私の申し上げておることも、一挙に本来の学校教育の体系に一元化するということは、今後の方向として志向すべきであると思います。直ちに移行することは、事実上、諸般の情勢が許さぬでありましょう。だがしかし、そういうような方向を目ざして努力するということが必要であるということと、また、私が指摘したいのは、これは資料に基づいて一々あげればいいのでございまするが、厚生省から出されておる看護婦、准看護婦の就業者数の状況を見ましても、昭和三十六年を基準にとれば、看護婦は、昭和三十六年に対して一一八・六%の伸びですね。准看護婦については、一七九・六%の伸びですね。また、看護婦の絶対数についても、たとえば昭和三十六年は、正看護婦が十万六千八百九十三名、准看護婦が七万七千八百六十名、四十三年末になっていきますと、看護婦は十二万六千七百五十二名、准看護婦は十三万九千八百二十三名、このように正看護婦よりも准看護婦の数がだんだんふえてくるわけですね。こういう傾向というものは、質のより高い、りっぱな医療従事者確保という面から見るならば、私は望ましい姿ではない、このように見るわけで、厚生省はたしか看護基準というものを示されておるわけでありますが、そういう点から見て、このような傾向について厚生省はどのように考えておられるのか。また、このような傾向に対して今後どう対処していこうとするのか、このあたりを承っておきたいと思います。
○松尾政府委員 御指摘のとおりに、従来の養成所の趨勢から見まして、准看の増加率が非常に高くなっている。しかし、最近におきましては、准看のほうの入学の伸びというものが多少頭打ちの傾向、それから施設の増加率についても多少鈍化傾向が強くなっておりまして、むしろ二年課程での進学コースその他看護婦の課程のほうがかなり伸びてきておるようでございます。私どものほうでも、いま御指摘のように、ただいま准看という制度がございますので、その適当な比率というものは常に配慮しながらこの養成計画は進めなければならぬ、かように考えております。したがいまして、今度のいろいろな需給計画におきましても、准看のみならず、看護婦のほうにも相当ウエートを置きまして進めてまいっておるわけでございます。 五十年末におきましての日本全体の就業看護婦の状態といたしましては、大体看護婦四に対して准看六程度の比率になるであろう、こういうふうに考えております。ただし、これは全体でございます。第二点のように、いわゆる基準看護等の比率の問題、あるいはその中における構成比率の問題については、病院について適用すべき問題でございます。それぞれの実態というものもあろうかと存じますので、その推移を見ながら、やはり弾力的に、これは診療報酬に関する問題でございますので、対応していくように措置をしてまいりたいと私どもは考えております。
○田畑委員 基準看護について病院に適用する問題というお話でございましたが、まさにそのとおりでありましょう。昨日の質疑応答の中でも、医療法に定める標準により算定した場合の看護婦の不足数が、昭和四十三年末において二万七千名ある、こういうことでしたが、二万七千名も医療法に基づく病院における看護婦の数だけでも不足をしておるということは、これはどのように理解したらよろしいのか。ということは、たとえば国民皆保険制度によって受診率も高まってきた、あるいはまた、疾病構造の変化や社会経済構造の移り変わりに伴う客観情勢の変化等に応じて医療の需要が拡大してきた、また病院等のベッド数も非常にふえてきておるということ、たとえば病院、診療所のベッドの増加を見ても、毎年四万以上のベッドがふえてきているわけですね。昭和三十八年から四十二年のベッドの移り変わり、増加の伸びを見れば、四万以上毎年ふえてきておる。ところが、この間二万七千名の看護婦の数が不足していた。こういうふうなことは、大臣、これまた医療行政の大きな怠慢じゃないかと思うのです。 なぜなれば、医療法第二十一条によれば、看護婦の定員というものがはっきりうたわれておるわけですね。さらに医療法施行規則の第十九条第一項の第四号を見れば、看護婦及び准看護婦の定数というものが明確にうたわれているわけです。この医療法に基づく病院の看護婦だけでも二万七千名足りないということが何年も続いておるということ。二万七千というのは動いておるかもしれぬが、とにかく看護婦の不足がずっと続いておるということは、この医療法に基づく、あるいは医療法施行規則に示された基準というものをあなた方は守ってこなかったということで、医療行政の大きな怠慢です。これはどうお考えでしょうか。
○内田国務大臣 今日の医療というものは、国家管理あるいは国有、国営ではありませんけれども、国が皆保険制度までしきまして国民の健康を管理する。ことに厚生省は国民の生活や健康を守るという立場に立つ役所であります以上は、それが国家管理や国営や国有でなくても、そういう面から医療機関の適正配置についてもしかり、また、いまの看護婦さんの定数の問題にいたしましても、また看護婦ばかりではなく、それらのパラメディカルあるいは地方の保健所などにいたしましても、十分な機能を果たし得るほどのお医者さんあるいはその他の医療職員の充実さえもできていないということは、まことに私は残念に存じますので、繰り返しますけれども、国家管理、国有、国営でなくても、私は厚生大臣として、この看護婦さんの充実、そのための看護婦さんの職場環境の整備とか処遇の改善とかいうようなことも、厚生省として十分責任をもって処理すべきであると考えるものであります。過去のことは遺憾な点もありましたが、これから先も、これは環境の変化がありますから、私がここで保証するとか大口をきけるものではありませんけれども、ただ、先生の御激励にこたえてやるのが私どもの役目であると考えるものでございます。
○田畑委員 いや大臣、私は国有とか国営とかそういう議論をされても困るのですね。そうじゃなくして、さっき私が統計資料の問題で指摘しましたね。このように看護婦が不足しておる。先ほど来指摘申し上げたように、医療法に定める標準が守られていないということは、医療法や医療法施行規則に実際違反しておるのですよ。怠慢なんですね。これは医務局長あるいは大臣、どうもいままでの努力が足りなかったことは申しわけないということを、率直に一曹言われれば私はいいと思うのです。そうして、今後このようなことのないように努力をするのだ、その努力の具体的なあらわれとして——答弁を教えるようなものだが、今回のこの法律の改正などもその一環だということをお答えになれば、そうして今後はこういう構想で看護婦不足については対処するのだということをはっきりおっしゃればいいんじゃございませんか。お答えまで私は教えてあげましたけれどもね。
○内田国務大臣 田畑先生から答えを教えていただいたとおりに私は考えるものでございます。また、過去におきまして、基準等につきまして法令が定めているとおりのベッド数と看護婦さんとの対比で充足されていなかったことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
○松尾政府委員 大臣がお答えになったとおりでございます。個々の運用につきましては、医療監視その他で充足するように指導してきておるわけでございますけれども、全体としてそれを言い得るほどの保証をわれわれが持っていないということは、まことに残念な次第でございまして、ただいま大臣からお答えのような線に沿って私どもも努力したいと思います。
○田畑委員 私は、やはり看護婦確保対策としてはいろいろなことが考えられますが、きょう逐一問題をあげることは、時間も許しませんので、ただ特に国立病院等の医療従事者の給与の改善問題について、私はほんとに真剣に取り組んでいただきたいと思いますが、この点について厚生省としては今後具体的にどのような努力を払うおつもりであるのか。昨日も厚生大臣からお答えがございましたが、近く人事院の勧告等も予想されるので、人事院総裁等々と直談判されて、必ず改善をはかるということを約束されましたが、それも一つの方法だと思います。また、今日の医療問題の困難な諸点を考えるならば、私は、閣議等の中においても十分ひとつ大臣が努力されることが必要であると考えておりまするが、こういう問題について大臣の決意を伺いたいということが一つ。 また、医療従事者確保の重要な柱としては、たとえば看護婦、准看護婦の場合等を見ますると、夜勤が多い、賃金が安い、あまりにも過重労働である、こういう不満が、せっかく看護婦、准看護婦を養成しても定着をしない大きな原因だ、こう見ておるわけです。やはり私は、仕事の質や量に応じた待遇の改善をはかることが緊急の課題であり、また労働条件改善の一つとして看護婦の夜勤規制をすみやかに実現すること、すなわち昭和四十年の例の人事院の判定を完全に実施することが一番いま急がなければならぬことだ、これが私は看護婦確保対策の最も喫緊の課題である、このように見るわけでありまするが、この点について局長並びに大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
○松尾政府委員 お説のとおり、私どもも看護婦の関係者の特殊な状態というものに対してこの給与勧告等も承っておりますので、一そう努力をしたいと存じます。 なお、それに関連いたしまして、ただいま御指摘のような勤務条件をよりよく改善する、それの一つの大きな目安といたしましての人事院判定の実施ということにつきまして、すでにそのための増員計画をことしから実施しておりますので、これを必ず早急に実現をしたい、これを努力したいと存じております。
○内田国務大臣 昨日から私が申し述べているとおりでございまして、医療関係者、ことに看護婦さん方の勤労条件の改善でありますとか、あるいは職場環境の改善を含めまして、これはやはりその看護婦さんには国の医療機関におつとめの方と民間の医療機関におつとめの方とありましょうが、やはり国の機関につとめている看護婦さん方のいまの処遇なり職場環境の改善ということを先にやって引っぱっていくことが、これは二十数万の看護婦さんたちの改善の道としては一番大切なことだと私は考えておりますので、これは人事院の方面にもいろいろの課題が、きのうここで話がありましたようにありますが、なお、私は本年もまた来年も引き続いて努力をいたしてまいる所存でございます。
○田畑委員 私は、もっと掘り下げてこれらの問題についても質疑をしたいと考えていたわけでありますが、諸般の事情で、時間の制約もありますから私はやめますが、どうか局長並びに大臣皆さん方のお答えには誠意が込もっておると私は見たいのです。だけれども、残念ながら、いままでのこの種問題の質疑応答を通じ、大臣や局長にせっかく親切な味のある熱意のこもった答弁をいただいても、いつもそれが答弁だけに終わってきたというのがいままでの経過なんです。人事院の判定の実施等については、局長もどこかの委員会では、三年のうちにこの問題の解決をなされるということも約束されておる。しかし、本年度の予算措置の、看護婦の増強などを見れば、どうもあの人事院の判定を三年でやるというのにはあまりにもお粗末過ぎると思うのです。事実また看護婦の確保対策の予算要求として、当初厚生省が五十三億余を要求されたが、それが三十六億余に削られたといういきさつなどにもあらわれておるように、私はこの問題の解決は、やはり大臣の政治的な努力にまつものが非常に多いと思うのです。この点、特に大臣は、もっと真剣に、あるいは、もっと真剣にと言うと語弊があるかもしれません。大臣は、いま一生懸命やろうとお誓いになったのだから、それ以上の真剣ということになってくると頭にくるということになるかもしらぬが、まあ頭にくるくらいの気持ちでこの問題に取り組んでいただきたい。 それから、当然看護婦の増員であるとか、労働条件の改善、こういうことになってきますと、病院の経営の圧迫という問題につながってくると思うのです。したがって、これが実現のためには、いまの医療費の問題であるとか、診療報酬の問題であるとか、医療制度の問題とも切り離してこの問題は考えられないと思うのです。したがいまして、私は、今日大臣が抜本改正について社会保険審議会、社会保障制度審議会に諮問をなされておられまするが、医療制度の抜本改正について、今後のスケジュール等ができておれば、この際明らかにしていただきたいと思います。
○内田国務大臣 いろいろおことばをいただきましたが、私どもとまた昨日来からの皆さま方との問答は、決して私はむだにはならないと考えまして、明るい目標をもって進むつもりでございます。 なおまた、けさの閣議におきましても、佐藤総理大臣からこの問題に触れるところも実はございました。また医療保険の抜本改正が関係の審議会に諮問されておりますけれども、昨日来申し述べておりますように、この医療従事者の問題でありますとか、あるいはまた、医療機関の適正配置の問題等は、いずれもそれに関連する重要な前提をなす問題でありますので、これらの問題につきましては、厚生省から関係の審議会には一つの重要なるファクターとして御説明申し上げているところでございますので、こういう問題の前提をも含めまして医療保険の抜本改正とも取り組んでまいる所存でございます。
○田畑委員 私は、これは梅本保険局長にお尋ねをし、同時に大臣にお尋ねをするわけでありますが、梅本保険局長が、全国の保険、年金、国保課長会議で説示をされておりますね。説示ということばなども私初めて——「梅本保険局長説示」説明で示すとこうなっておりますが、この中で、大臣、局長は、抜本改正は二年以内に実施したいと、国会その他を通じ天下に公約してきた、こういうことをはっきりと言われております。そうして、具体的には昭和四十六年の通常国会に法案を提出したい。いろいろ具体的な内容について触れておいででございまするが、局長が保険審議会等等で接触をされておられますので、あなたの考えておられるように、八月の、事務段階で来年度予算要求の煮詰めをやるその時期あたりには答申をいただけるものかどうか。また私は大臣に、これは八月ごろまでには関係審議会から答申を得なければ、四十六年度から抜本改正の手初めに入ることが当然できないと思いますが、今後そのような努力を約束していただけるかどうか。しかしこれは過般の委員会で、私の質問に対しすでに大臣ははっきり答えておられますが、この際あらためて大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○内田国務大臣 私どもは、たびたび申し上げておりますとおり、抜本改正は、さしあたり実施すべき事項につきましてはぜひ来年度から手をつけてまいりたい、そういうこともございまして、制度審議会を牽制と申してはしかられますが、梅本君も私も来年からやりたいんだからということで審議会のほうの御審議、御答申の促進をいたしておる段階でございます。
○田畑委員 私は八月をめどに審議会の答申が出なければ、また出してもらわなければ、四十六年度から制度改正に着手することはむずかしいと思うのです。現にあなたの部下である梅本保険局長は、はっきりとそのことをさきの説示の中で述べておられるのです。だからそのくらいは大臣の責百においてはっきり答えていただきたいと思うのです。
○梅本政府委員 私申し上げましたのは、関係審議会に明確にこういうふうな意思表示をしてお願いをしてある、そういう線に沿って努力をするということでございまして、御承知のように何しろ審議会は三者構成、利害の対立する委員を含んだ審議会でございますので、その辺はできるだけお願いをして結論を出していただくということに努力するということでございまして、あれだけの審議会が御審議最中にわれわれのほうから明確に申し上げるということは、審議会に対して非常に失礼になりますので、そういう線で各委員にお願いするように全力をあげるということを申し上げたのでございます。
○内田国務大臣 ただいまお答え申し上げましたとおり、来年から実施するという覚悟のもとに、審議会のほうの御審議を牽制しているというとしかられますけれども、その促進をお願いいたしておるわけでございまして、おっしゃるとおり審議会の答申がなければこれは先に進めませんので、ぜひ来年の実施に間に合うように答申をいただくために、現在最大の努力をいたしております。
○田畑委員 なお衛生検査技師法の一部改正についてもお尋ねをしたいと思っておりましたが、これは昨日来の質疑の中で明らかにされておりますので、この点は質問をやめて、私の看護婦法に対する質問はこれで終わるわけでありますが、くれぐれも大臣、私の質問あるいは昨日来の質問の趣旨を十分体されて、今後医療従事者の確保の問題、処遇の改善問題等々について全力をあげて努力されることを強く期待して、私の質問を終わることにいたします。
○倉成委員長 暫時休憩します。 午後零時二十六分休憩 ————◇————— 午後零時四十二分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。寺前巖君。
○寺前委員 医療の問題というのは、人の命にかかわる問題でありますので、私は委員会が慎重に審議され、また答弁される側も、ほんとうに慎重な態度で責任をもって答弁をされる必要があるのじゃないか、そういうふうに思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 私は、最初に問題点を全部並べて、ひとつ後段それに対する御回答をいただきたいというように思いますので、文書で出しておけばよかったのですが、大臣お許しをいただきたいと思います。 今度の問題が出されてきて、一番最初に大きなショックを受けられたのは、私は現在の患者さんであろうと思うのです。それからまた、患者さんを取り巻いておられるところの御家族の皆さん、あるいは国民の皆さん方が、医療機関に働いておられる人とともに、当然私は非常に深刻な思いをされたと思うのです。それは何かというと、ここ数年の事態を見ておりますると、たとえば日赤におけるあの赤ちゃんの取り違え事件といい、その後のいろいろないわゆる医療事故というのがたくさん起こっております。最近もこういう事件が起こっております。佐賀県で、看護婦さんが昼食へ行っているその間に、交通事故の少女が、患者に輸血をまかしていったために死んだという事件が起こっております。これは四月十四日の新聞に載っております。それからまた北海道の釧路では死体を調べてみたら、手術後のミスから、同じ病院で二度、はさみが出てくるという事件が起こっております。昨年は千葉大学で、採血ミスの事件も起こっているというふうに、ほんとうにたくさん医療問題をめぐっての事故というのが深刻になってきているだけに、たった一年の養成期間であるところの、あんな看護婦さんをたくさんつくるということによって、一体こういう問題はどうなるのだろうか。はたして今度出されたところの法案というのが、こういう次々に起こっている医療事故の責任というのを、どこに責任を感じられて出されてきたのだろうか。およそ問題になっていることと結果が違うではないかという不安が、多くの人に出ていると思うのです。私は、この問題について、どういうふうにお考えになっているのか、第一点にお聞きしたいというのが一つです。 それから第二番目の問題は、まず患者さんは、病院において一番最初に呼び出すのは、何といっても——保助看法の第五条じゃございませんけれども、看護婦さんの仕事は、介護するというところの仕事が非常に重要な仕事になっている。何しろ病院に入っても、まずブサーで看護婦さんを呼ぶというところから、日常生活が始まっています。最近のここ数年の事態を見ても——たとえば十年の事態を見た場合に、患者さんは二倍以上にも、今日の高度成長政策の中で、非常にふえてきておる。看護婦さんも一定数ふえました。二倍近くふえた。ところが、お医者さんの数というのは、一・数倍で、そんなにふえていない。だから、結局そういう仕事は看護婦さんに、お医者さんの分を含めて、実際患者さんの側から見るならば責任がかかっていくという事態が生まれているわけです。そこで、こういう事態が現実に発生しておる中で今度出されてきたところの一年制のあの准看の制度、これがはたしてこういうふえてきている患者さんの実態に対して、まじめにこたえてくれるところの制度といえるのであろうか。何しろたった一年間の看護の勉強でもってはたして人体に触れることが責任をもってできるのだろうか。千葉大学のこの採血ミス事件のあとで、看護婦さんから集まった資料などが、看護協会のあの「看護」という雑誌などにも意見が載っておりますが、みなそう言っている。いままでまともの正看の人で、三年間の学校を終わって出てきて二、三年はやはり不安だ、しかもその人たちはみな言っている。何といっても病院においては、お医者さんはお医者さんという立場から患者に接触する、看護婦さんは看護婦さんという立場から、検査技師は検査技師という立場から、薬剤師は薬剤師という立場から、そうして給食の方々は給食の方々の立場から、これらの人たちの総合的な力によって患者さんが回復していくという道にあると思うのです。したがって、それぞれの人がそれぞれの条件から発言をされていくという運営が病院の中で保障されないことには、ほんとうに救われていかない。これは患者の側から切実に思うことです。ところが、いままでのように三年教育を受け、さらに出てきてもまだ不安で、そして今度の事件の中でもはっきり言っているように、お医者さんがこうせいと言われたその道で流れているだけの仕事のスタイル、これでは患者に介護という責任を持っている側からの発言がない。これは、いまでも言えない。ましてや、たった一年の学校を終えてきて、あの仕事についたときに、お医者さんやあるいは検査技師らと一緒になって堂々と討論し合って、患者さんを救っていくという仕事になっていくのだろうか。だれが見ても、今日の高度に医療が発達していくという状況の中においては、これは無理なことをきめているのではないか。一体カリキュラムの面において——いままでのカリキュラムでさえも無理だと言うているのに、どんなカリキュラムを組むのだろうかという不安をみなが持っております。ほんとうにあの戦争中におけるところの、野戦病院に臨時に人を連れていくという姿になっていくのではないか。あるいは県によっては、お医者さんの奥さんに、お医者さんの手助けをする仕事のために講習会をやっておりますが、あの奥さん方のように、ほんとうに帽子のかぶり方一つわからないという看護婦さんになっていくのではないか、みなそう心配しております。看護婦さんが、あの帽子をかぶせてもらったときに身の引き締まる思いをして、そこから一生懸命勉強していく。あの戴帽式というのはほんとうに光栄ある地位だということで、そこから出発していく。ところが、それがかぶせられて数カ月にして直接の看護の仕事をしていくという、それがまた日本の看護婦さんの主流をなしていくということになってきた。これは一体どうなるんだろうか。ほんとうにカリキュラムの面において責任のある体制というのが、国際的に認められるものができるのか、冗談じゃないということを言わなければならぬと思うのだけれども、一体どう考えておられるのか。 第三番目。看護婦さんが足らぬということはもう今日の常識でしょう。だからほんとうに患者の側から言うならば、いい看護婦さんをという要求があります。その看護婦さんの三年制度について、なりたいという人は五倍から六倍も看護学校を求めて行っているじゃありませんか。ほんとうにせめてあの三年間の教育、われわれの側から言ったらさらに学校教育法によるところのそういう制度にしなければならないと思うのですが、そういう充実した看護婦さん、権威のある看護婦さんの希望者がたくさんある。これを国家がだあんと受け入れる対策でも何で組まぬのであろうか。これはみんなが疑問に思っているのです。希望者がありながら、その希望者にこたえることを何でやらぬのだろうか。この疑問に対してどうするんだということをはっきり答えなかったならば、まじめにこの看護婦さんが足らぬという問題に対する責任を果たしていないのじゃないだろうか。これが第三番目の問題です。 第四番目の問題。現に看護婦さんでやめていっている人たちがたくさんおります、この世の中に。あるいは現に入ってくる側から、片一方からやめていくという人が、大体それの半数近くずつやめていくというふうにいわれております。やめていかぬように、あるいはいままで看護婦さんの仕事をしておった人たちがほんとうに喜んで看護婦さんとして仕事をしてもらうという条件を何でつくらぬのだろうか。足らぬというのだったら、だれでも考えられるのは、そのことをやったらどうだろう。これはこの間からの質問は、主としてここの問題にくると思うわけです。これがわからぬとみんな言います。大体看護婦さんの問題については、看護婦さん自身に聞いたら一番よくわかる。質の問題について言うならば、それは患者さんの側から聞いたら、心配の側から聞いたら一番よくわかる。圧倒的な日本の看護婦さんが今度の制度についてわからぬと言っているのですから、看護協会の諸君たちがみんなそう言っているのですから。だから、やめていった人たちに対して、あるいはこれからやめるであろうという、いま起こっているこの諸条件に対して言うならば、せめて私は最低三つの処置をここに出してこなかったらだれも理解できないだろうと思う。 それは何と言ったって、看護婦さんが社会的に権威ある位置として認められるような待遇の問題だと思うのです。看護婦さんの待遇を社会的に権威ある待遇として位置づけられたら、またそのことと同時に、一方でちゃんと準備が進んだのだったら、よしやってやるということになるでしょう。しかしこの話は全然具体的にないじゃないですか。 それから、若いときに看護婦さんになった。結婚する。子供が生まれる。これは当然のことです。それじゃこの子供が生まれてくるという問題に対して、一体どういう処置をとってこられたか。たとえば厚生省関係の国立の保育所を見たって、一割余りのところにあります。みんな労働組合がつくっている。あなたたち自身は何にもつくったことない。今度その関係について若干の補助金を出すという。しかし圧倒的に多いそれぞれの企業の病院の中に託児所がなければ、子供は預けられないのですから、その託児所に対して、どうぞおつくりなさい、そういう子供に対して措置費を出してあげましょう、そういう話でもあるのだったら、まじめに看護婦さんをたくさんつくろうという話になるかしらぬけれども、それは全然ないのじゃないですか。 それからもう一つあると思うのです、少なくともやらなければならぬことは。それは何かと言うたら、いま准看の人がたくさんおりますよ。現在この准看の方々の、正規の看護婦さん、正看となってすわっていきたいという希望をばっと積極的に引き上げる。もう六年も准看をやっておられる人だったら、簡単に講習で資格を与えていくとか、簡単な方法で、意欲を持ってだっと進めさせていくという道をつくってあげなければならぬと思う。いまの准看の人たちが看護婦さんになろうと思ったら、また勉強にいかなければならないでしょう。ところが、勉強にいくだけじゃないですよ。実習を受けなければならぬ。結局やめなければならぬことになってしまう。だからほんとうに保障しようというのだったら、国家的にいまの准看の方々を積極的に正規の看護婦にするために直接的な助成をやって、そしてちゃんと月給も渡して、ほんとうに優遇して看護婦になるという道を提起しているんだったら、これはほんとうにまじめに日本の医療水準を高めるためにやっておるということになると思うのですけれども、その辺が一体まじめに考えられておるのだろうかとみんなが思っている問題です。 それから第五番目に、最後に、いろいろあるのですけれども、衛生検査技師の問題についても聞きたいと思う。片一方では、医療の問題について、看護婦さんの問題は安上がりで簡単にやっていこうという問題が出ている。ところがその半面においては、ここでは今度は、日本の今日の医療水準が高まってきているのだから資格を高めなければならぬ。これは私はいいことだと思う。人の命にかかわる問題の検査をするのだから資格をちゃんと、りっぱな教育をされるようにしていったらいいと思う。ところが今度の……
○倉成委員長 寺前委員に申し上げますが、お約束の時間が迫っておりますので、結論をお急ぎ願います。
○寺前委員 そういう人たちを養成するところですね。私は、いまの二年の養成期間を三年制の臨床のほうに切りかえようというのだったら、臨床に切りかえるにふさわしいそういう養成期間の学校に対する具体的措置はこういうふうにしますのじゃ、あるいは今度新しくするところの質を高めるための学生に対する助成はこうしますのじゃとか、教官はどうしますのじゃという問題を当然考えなければならないと思うのです。そういう点がちっとも裏づけが考えられてない。一体こういう問題についてはたして医療を高度に発達させるたにまじめに考えられたのかどうか、私は疑問に思うのです。 こういう五点について私はひとつ回答をいただきたいというように思います。
○内田国務大臣 お答えを申し上げます。 寺前委員の御質問は、第一点、第二点とも、今度の准看の資格についての改正は安上がりの准看をつくる仕組みではないか、こういうお尋ねでございますが、そうではございませんで、従来は中卒それから二年、こういうのを、今度は三年のよけいな基礎教育を基盤といたしまして、その上に一年ということでございますので、年齢から申しましても、従来は十八歳で准看の資格がとれたのに今度は二十歳でなければとれないということになるわけでありまして、全体といたしましては私どもはやはり准看護婦になられる方々の資質の向上に役立つものと心得ておるものでございます。 それからこれもまた各委員からいろいろお話がございましたことに関連をいたします第三点、四点でございますが、看護婦さんなり准看護婦さんなりの養成を一生懸命やりましても、一方で職場環境の不備でありますとか、あるいはまた勤労条件の劣性というようなことで、やめる人が多くては何にもなりませんので、私どもといたしましては、養成は養成で力を入れる一方、たびたび申し述べてまいっておりますように、現在の看護婦さんまた准看護婦さんの処遇の改善、職場環境の整備というようなことには今後できる限りの力をほんとうに注いでまいる所存でございまして、両々相まちまして、この看護婦対策の万全を期してまいる所存でございます。 それから、衛生検査技師のほかに、今回臨床検査技師の制度をつくりましたことは、医療の高度化に伴う世論、また実際のこの方面におけるパラメディカルのあり方を客観的な事態といたしまして、それに即応する措置をとったことでございまして、先般来御説明をしておりますところで御了承をいただきたいと思います。 これを要するに、私どもはほんとうにまじめな気持ちで、これらの看護問題、あるいはまた検査問題に対処しまして、医療の充実また向上ということのために少しでもよかれと思ってやっております善意を、ぜひひとつ御了承をいただきたいと存ずるものでございます。
○倉成委員長 寺前委員に申し上げます。 お約束の時間が経過いたしました。 —————————————
○倉成委員長 次に、内閣提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案について、参考人より意見を聴取することにいたします。 参考人各位には、本日は御多忙のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。 何とぞ参考人におかれては忌憚のない御意見をお述べ願いたいと思います。 なお、議事の都合上、参考人より約十分程度に御意見を要約してお述べいただきたいと存じます。 それでは、まず寺尾参考人からお願いをいたします。寺尾参考人。
○寺尾参考人 寺尾でございます。時間の制約がありますので、はしょって賛成の意見を申し上げたいと思います。 近年における社会情勢の変化は、医療制度や医育制度に大きな変革をもたらしてきておることは御承知のとおりでございます。この医師を主体とする医療体系の中で、看護業務はその補助的あるいは潤滑油的な機能を果たすとともに、患者の療養上の世話を主要な任務としているきわめて重要な役割りを持つものということができます。この業務は、皆保険及び公費負担の充実等による受診率の増加、交通災害の激増、成人病、公害、職業病等の疾病構造の変化、科学の発達に伴う医療技術の複雑、高度化等により、ますますその需要を高めつつあるのが現状でございます。 この業務に従事する看護要員の不足は、すでに十年前から叫ばれていることながら、いまだにその改善の兆を見出し得ないことは、われわれ医療に携わる者としてまことに遺憾なことでございます。現に看護要員の不足のために病棟の閉鎖を余儀なくされている病院を幾つか数えることができます。 さて、病院における看護要員の業務はまことに幅広いものがありますが、看護要員の何が不足しているかを明らかにする必要があると思います。 いまその業務の内容を大まかに分類してみますと、病院の保険請求事務や経理事務、雑役的な業務、これは無資格者でも行ない得るものでございます。それから、病院固有の一般の看護業務、専門技術の知識と経験を必要とする業務、病棟管理業務等は、有資格者が行なうものでございます。これらに分類することができるわけでございますが、これらの業務のうちで、無資格者によって行ない得るものは病院管理の上で明確に区分をして、有資格者がタッチしないでもよい体制にすることがまず必要なことだろうと考えます。 昭和四十三年末におきます東京都における一般病院の就業有資格者数は総数の七八%とされております。有資格者のうち、看護婦と准看との割合は、看護婦がわずかに多いが、大きな差はございません。その年齢構成を見ますと、看護婦は二十五歳から三十九歳が六六%を占めております。准看は二十九歳までの者が八五%を占めておりまして、三十歳以上の者は一五%にすぎないわけでございます。この年齢構成から見ますと、専門技術の知識と経験を必要とする業務、病棟管理の業務等、このような年期の必要な業務は看護婦が主体となって行なっておる。それから、病院の固有の看護業務は、主として准看によって遂行されていると見ることができるわけでございます。 東京都の医師会が昭和四十三年の末に行なった調査によりますと、一般病院における過去一年間の退職者は、看護婦は総数の一五%、准看は総数の二七%となっております。この統計からわかることは、准看が病院業務の主体である病院固有の看護業務をにないながら、年間にその三分の一近くが移動し、二十九歳以後まで定着している者はきわめて少ないということがわかるわけでございます。この層の不足と定着性の欠除が看護婦不足の最大の根拠をなしていると見ることができるわけでございます。したがって、当面の医療危機を改善するのには、この准看の確保、増員をはかることと、定着性を与えることがその眼目になると思います。医師側といたしましては、現時点における従業員の不足による医療の危機に対処するためにも、なるべくすみやかにこの層の確保と定着性を望んでいるものでございます。 さらに、将来の問題として、厚生省当局が考えられているように、働きながら学ぶ養成施設の全員が高校卒のレベルで准看の資格を得た後、一人でも多くの者が進学コースに進み、看護婦の資格を得る努力を続け、その素質を高め、定着性を増し、結婚後もこの職種にとどまることを願っているものでございます。 看護婦という専門職は、医師と同様、その業務範囲はきわめて広範であります。また、日新月歩の医学、医術の進歩を常に取り入れて自分のものとする日常の経験が質の向上に大きな役割りを果たすものでございます。一定の医学及び看護学の基礎的な知識を得、基本的な実習を体験した後、さらにそれぞれの専門的分野、内科、小児科、産婦人科、麻酔科その他において現任教育が必要とされるものであって、長い経験によって医師と同様その質を高めることができるものでございます。 高卒一年千四百十時間という新カリキュラムによって、重点的かつ効果的な基礎教育が行なわれ、准看の資格を得るとともに、さらにその大部分が進学コースに進み、看護婦としての高度の教養と技術を身につけ、実地の経験を重ねて、りっぱな専門職として社会的な地位を高め、社会の要請にこたえることのできることを心から私どもは期待をいたすものでございます。 以上で私の賛成の意見を終わります。(拍手)
○倉成委員長 次に、森参考人にお願いいたします。森参考人。
○森参考人 私は看護教育者の立場から、看護教育はいかにあるべきかということを申し上げて、准看教育が果たして必要であろうかということ、看護補助者はどうあるべきかということを申し上げるつもりであります。 保健医療の概念が拡大してまいりますと同時に、看護の概念も非常に拡大してまいりました。従来は、看護といえば病人の世話ということに限っておりまして、これは医師の補助業務であるというだけの看護の概念から脱却いたしまして、看護の対象は健康、不健康時の別なく、あらゆる人間が対象になっております。そういう人々を看護者は、専門的なその人の社会的健康生活に必要なあらゆる角度で、個人の背景をよく理解した上で、対象とする集団並びに個人に対して専門的な支援をする活動であると思います。 その専門的支援の活動の分野を見てみますときに、これは病床であり、あるいは社会生活を営んでおります家庭においての健康破綻の条件であり、あるいは会社における、その集団における個人の状態なり、あらゆる角度からそれを判断した上で、その個人の健康上のニードを身体的、社会的、情緒的側面からとらえまして、その必要性にこたえながら、ここに適切な看護指導をし、あるいは必要な援助をすることが看護でございます。 そういう概念から見ますときに、心理的、社会的側面から人間を理解するということで、看護は医療の補助業務ではないという観点に立ちましたときに、現時点において行なわれております看護教育制度並びに教育の内容あるいは看護教育を実践します教員の養成等を見てみますときに、これは非常に前近代的な徒弟制度教育の域から脱していない内容に定着しているように思います。 看護教育につきましては、四十三年から現行法で新しい専門教育ということを提唱しながら、その中に高度の知的、専門的人間教育をうたいながら、医療における専門職業人の教育ということをスローガンに教育がスタートされたわけですけれども、その教育内容の水準を短期大学の水準に対比させながら教育するということでございますが、その実態を見てみますときに、三年課程の教育内容が非常に膨大でありますし、一単位十五時間という中に、大学教育であれば当然一時間出講するために前後二時間の自己活動が必要である。よく考えて判断し学ぶ学生でなければ、個々の人間を見詰めていく場合にも、自分でよく見詰める目、見たことを判断する判断力、それを判断した上で独断で実践できる行動力、そういうものに結びついていかないわけですけれども、現時点における三年課程の教育の中におきましてすら、その専門職としての看護教育においては時間がなお不足と見るものでございます。医療が非常に高度化し、複雑化してまいりました時点において、それに従事します看護婦の機能もまた非常に高度の専門職を期待されていると思います。そこにおいて現在のような専門性を期待されております看護婦の教育は、高校卒の三年制以上の教育でなければ、看護の機能は果たし得ないと思います。 そこで、ただいま行なわれております准看教育を廃止するという政府のお考えには、根本的に賛意を示すものでございますが、看護の業務は非常に複雑でございます。特に病院の医療業務においての補助的な役割りをします職員としての看護補助者の教育も、ぜひ必要だろうと思いますが、その看護補助者の教育においても、中卒ということではなくて、高校を卒業しまして一年程度の専門的補助者は何をなすべきかということを明確にした上での専門的な教育をいたしまして、補助者はあくまでも補助者としての域で、専門的に看護補助業務を推進するような教育方法が必要ではないかと思います。 そこで、ただいま提唱されております高校一年の教育内容が、どういうところからその根拠が出たのかということを考えてみますと、これは現在の准看教育の制度の中で行なわれております高校の看護科教育の内容と対比してみますときに、高校一年の教育は確かに成り立つように思われます。しかし、高校教育は、学校教育法の一環において行なわれております教育でありまして、その教育内容の方法につきましては、非常に厳選された、意図的な、組織的な教育をなすべきはずでございますが、それが十分にでき得てない実態の中から高校の看護科を卒業した准看の資格を有する者が、さらに二年課程の進学コースを選ぶ実態を見てみますときに、看護の職業に准、正のただいまの業務内容に区別のないところにもその無理があるとは思いますけれども、その看護業務の複雑さ、むずかしさ、高度の判断の必要性というものを、現場に出た准看の方々が非常に痛感するところが進学コースを選ばせる実態となっておるように思います。 そういう観点の中で、一歩教育施設を見てみますときに、現時点では各種学校に類する高等看護学校がございます。あるいはまた進学課程もありますが、大学課程における教育状況は非常に貧弱でございまして、四年制大学は東大の保健学科、これは四十名ですけれども、そこを卒業した方々は、保健業務に従事することは非常に少なくて、保健学科卒業生イコール看護教員になり得ておりませんし、高知女子大看護科二十名、聖路加看護大学四十名、熊本大学の教育学部の教員養成課程並びに徳島、弘前それぞれの教員養成課程が計六十名あるだけでございまして、その教員養成課程の実態を見てみますときに、はたして看護教員の養成の実態としてふさわしい状況であるかどうかを考えてみますときに、教員の養成ということがまだ非常に不足しております時点において、いまの高等看護学院を看護大学にすると申しましても、まだその先行する教員の養成という状況から見ますときに、不十分でございます。 そういう時点で早急に期待したいことは、看護の資質の向上が急務でございますので、看護教員の養成施設、国立の総合大学の中においての看護教員養成課程を幾つかつくり、あるいは単科の四年制看護大学を大幅につくりまして、三年制の短大を出ました人たちがさらにそちらに進み、あるいは研究課程に一歩進みながら、臨床で研究したものをそこに持ち込みながら、研究機関としてそういう門戸を開くということが、看護を専門職として、将来性あるものとして育てるための急務ではないかと考えます。 そこで、准看教育に関する問題を云々します前に、教員組織の貧困性——看護学校における教員並びに准看教員などにつきましては、教員の規定などが明確にされておりませんし、教員の養成条件などが、三カ月ないし長くて一年の養成課程を出ることを要件とするというのみにとどまっています。こういうことから考えてまいりますと、現時点において高校の看護科教育に関する教員も十分でありません上に、教育方法を検討してみますと、ただいまの時点で行なわれております教育方法は、形だけは高校看護科と申しましても、そこにおります教員は、指導方法等に専門的な資格を持っておりませんために、教育の内容、指導方法にも非常にむだがあります。そういう面で、准看教育ということは、近代医学においても、医療の中において准看よりも正看を大幅に教育しながら、保健医療の中における看護業務を専門的な職業として実践できる看護婦の養成という角度から見ますときに、准看教育をできるだけ近日中に廃止しまして、四年制大学並びに高等看護学院課程の看護学校を大幅に増設しまして、片や、不足対策につきましては、看護婦の有資格者がやめていかないための対策を根本的に講じていただくということが必要ではないかと思われます。 以上でございます。(拍子) —————————————
○倉成委員長 これにて衛生検査技師法の一部を改正する法律案についての質疑は終局いたします。 —————————————
○倉成委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○倉成委員長 この際、暫時休憩いたします。なお、本会議後直ちに再開いたします。 午後一時二十一分休憩 ————◇————— 午後二時十九分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 まず、内閣提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題といたします。 休憩前に行ないました本案についての参考人からの意見聴取を続けます。それでは今井参考人にお願いいたします。
○今井参考人 参考人の今井です。 私は本法律案に反対する立場で意見を述べたいと思います。 私は、新潟の県立加茂病院附属准看護学院を卒業しまして、県立六日町病院に一年、そして県立ガンセンター新潟病院に八年勤務し、学院を卒業して九年になります。九年間の体験を通して、現場の看護婦を代表して意見を述べさせていただきます。 卒業してまず驚いたのは、看護婦は何でもやらなくてはならないことです。最初の勤務場所は、一般内科と結核病棟、それに伝染病棟の三つの混合病棟でした。病床数は八十、常時入院患者は六十ないし七十名です。もちろん、その当時一人夜勤で十七歳の私が六十人から七十人の患者を受け持っていた状態でした。そこで起こった一つの実例をお話ししたいと思います。TB病棟ですから、付き添いはもちろんついておりませんが、重症患者ですと、病院で出る食事のほかにいろいろなものが食べたいと訴えます。それで私たち看護婦の中にも、そういう気持ちを察して、病院での食事のほかに魚を焼いてやったり、おじやをつくってやったり、そしてまた買い物にまで出かけ てあげました。そして、最初の準夜勤で一人の結核患者がなくなりましたけれども、その患者さんは、だれもがその晩なくなるとは思っていなかった軽症の患者さんでしたけれども、九時の消灯を過ぎてから腸内出血を起こしまして急変されました。主治医はもちろんおりませんし、当直の医師に連絡するのに歩いていかなければならないところでした。家庭にも連絡しなければなりません。一人では当然できませんので、軽症の患者さんから家族に連絡してもらい、医師のところに連絡に行き、かろうじて息を引き取る直前に間に合いました。そして、患者さんはなくなる直前まで意識があり、冷たくなった手で私の手を握り、こう言いました。看護婦さん、だんだん手足が冷たくなった。早くあたためてくれと細々と言いました。そのことばを聞いたとたん、十七歳の私はぞっとしてしまい、気持ちも転倒してしまい、何をしてあげたらいいのか考えられず、ただ当直の先生のところへ走っていきました。振り返ってみれば、私にもっと深い知識があり、経験があれば、適切な処置ができたはずです。そして、深い観察力があればもっと行き届いた何らかの方法があったはずだと思います。 また、夜間急患で、赤痢患者が四人と胆石の患者が一人入院してきたことがあります。一人で点滴注射から、看護婦がやってはいけない薬の調剤までやらされました。普通の人では想像もできないことをやらなくてはなりませんでした。学校では、やってはいけないと教えられたことが、実際にはあたりまえとして通っているのです。 いままで述べたのはほんの一例です。十七歳の准看護婦に与えられた現実は過酷なものばかりでした。これが責任ある県立病院で実際に行なわれている姿でした。二年間の知識では実際に役に立ちません。まして一年の専門教育では、それ以下であり、それ以上のものではないと考えます。 そして、私たち准看護婦は、医師または看護婦の指示のもとに業務を行なうと規定されておりますが、前にも申したとおり、一人夜勤では指示を受けようにも受けられません。また、看護婦と同じ仕事をしていながら給料は数段低いものでした。待遇の差別は言われようもない感情となってチームワークを乱し、人間関係を複雑にしていきます。同一労働なら同一賃金がだれが考えても納得のいくものと思います。ただ、資格が違うからというだけで差別は許されないと思います。 また、この法律案の提案の理由として、資質の向上と准看護婦の不足対策が述べられておりまして、前にも述べましたように、中学校卒業二年の准看護婦でその中の専門教育では不十分なものが、高校を卒業しているから一年でいいというはずはありません。ただ理解度が中学校卒業よりは高いからという理由ならば、大学卒業なら一カ月や三カ月でもよいと言われるのでしょうか。高校卒業三年の看護婦でも、卒業後三年実際に勤務して初めてその科のベテランといわれております。ですから、全部の科を習得し、ベテランの看護婦といわれるのには最低十年はかかるのではないかと思います。それほど看護婦という職業は経験が必要なものと考えます。患者さんのほうにしてみても、十七歳や十九歳の看護婦に看護をしてもらうよりは、経験豊かな看護婦を選ぶはずです。 看護婦が不足しているといわれますが、新潟県の場合を見ますと、昭和四十四年十二月の看護婦数は、准看も含めまして一万七千三百八十九名です。そのうち就業している看護婦は六千九名です。就業率は何と三五%になっております。 〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕 この数字は現に登録されている数ですので、未登録者を入れますと就業率はもっと低くなります。なぜ就業率が低いのかと申しますと、労働条件が悪く、看護婦をやめていくのです。退職理由の四〇%は結婚、育児、家事の都合、その次は進学となっております。結婚しても働ける労働条件さえできれば、みんな働いております。子供や家族の犠牲の上で勤務している状態が現状です。 また、人事院判定が守られず、新潟県でも複数夜勤八日制の協定が行なわれても、実際は十日から十日以上の夜勤をしている病棟がたくさんあります。また、夜勤に伴う問題の一つに、夜勤が終わっても家に帰れない状態があります。この四月から県立病院では準夜勤の送りにだけ年間百七十万円の予算が認められました。しかし、その百七十万円も、一人一回百円という低い金額です。市内に住んでいる私でもそのほかに三百円の自己負担があります。一歳の子供をかかえていればどうしても家に帰らなければなりません。そうして夜食も出ないし、タクシーの送りもしてくれない。そうして仕事は重労働、多くの看護婦は腰椎ヘルニア、腰痛症、貧血、胃腸障害、それから異常分べんなど、病院の中で病人がつくり出されている現状です。 私たちは、県立病院に働く看護婦が、昭和四十三年の三月、夜勤闘争を推し進めて協定を結びましたけれども、それ以後この協定ができましてから退職者の数が減っております。昭和四十二年、県の看護婦の卒業者の就職卒は三七%でしたけれども、闘争以後六六%と高くなっております。これらのように、よい労働条件なら看護婦はやめないことを新潟はこの数で証明しております。全国でもそういう状態が出ていると聞いております。 政府は、准看護婦制度を廃止しまして、何らかの方法で現在いる准看護婦を進学させるような方法をとり、一日も早く制度を一本化し、学校教育法に基づき制度をつくり、患者が安心して医療を受けられるよう努力されますことを強く訴え、参考人の意見を終わります。(拍手)
○佐々木(義)委員長代理 質疑を許します。川俣健二郎君。
○川俣委員 参考人の皆さん、どうも御苦労さまです。 ちょうどお医者さん、看護婦さん、そして看護婦さんを教育する育ての親と申しますか先生、お三人がおそろいになったところでございますが、私は皆さんの御意見を拝聴しながら、当委員会はどうやったら一番看護婦の問題が円滑に行なわれるであろうかということを審議してきたわけですが、皆さんのようなお立場の方が、たとえば厚生省の医務局長を中心としてもっともっと審議されておったとすれば、このように何だかんだと、部外者と言ってはあれですが、もっと社労委員会でスムーズに行なわれておったではないかということを痛感いたしました。たいへんわがままな注文でございますが、あくまでもそれぞれの職務のお立場からお聞かせ願って、あまり団体の代表的な、政治的な意図のないお答えを願いたいと思います。 この法律もぼつぼつ委員会で採決される時期でございますので、私は委員の一人として意思決定をする段階になりましたのですが、さらに私の疑問の点が皆さん方に解きほぐされるということは光栄の至りでございます。順序といたしましては、最初に看護婦さんであります今井さん、そして教育に当たっておられる森さん、そして医師の立場から会長さんに、特に寺尾さんには、私は、ここ一、二カ月考えてまいりました看護の独立性、総合性、こういったものをわれわれ一般社会人としてどう受けとめたらいいだろうかというようなことを考えておる一人であるだけに、項目的な質問は差し控えますので、御高説を拝聴したいと思います。 それではたいへん幼稚な質問から始まりますが、今井さんのほうからお伺いしたいと思います。今井さんはいつごろから看護婦になろうと志を立てられたのでしょうか。
○今井参考人 私は、中学校時代から看護婦になろうと思っておりました。
○川俣委員 看護婦になる前と看護婦になってからのお話を、先ほどちょっと触れておりましたが、さらに感想を端的に申されるといかがでございますか。
○今井参考人 看護婦の職業に准看とそれからいわゆる看護婦という二種類があるということを私は知りませんでした。学校に入ってから初めてそういう制度があるということを知りました。で、学校に入ってほんとうに看護婦になって、自分の進む道はやはり看護婦になってよかったというふうに私は思っております。ですけれども、学校で習ったものが、勤務をしてからほんとうに役に立つようなことは少なく——一例ですけれども、准看学院で看護原理を習います。たとえば患者さんの髪を洗うということを一週間に一回してあげたほうがいい、そういうふうに習っておりますけれども、実際に勤務してみて、私が卒業してから初めて患者さんの髪を洗ってあげたのが三年たってから一回あっただけです。そういう状態で、あまりにも学校の中の教育と実際に病院に出て働いたところではかけ離れておりました。ですけれども、やはり患者さんの命を預かるという仕事は崇高なものですし、私は一生続けたいと思います。
○川俣委員 副看護婦というのは正式にあるのかどうか知りませんが、実際に存在しておるでしょうか。そういう仕事が存在しておるのか、何となく通称そう言っておるのでしょうか。
○今井参考人 法律的なことは、私は副看護婦というのがあるというふうには聞いておりません。ただ聞く話によりますと、開業医なんかでは補助的な役目をする人たちがそういう名称で呼ばれているのではないかということを聞いておりますけれども、法律的にあるというふうには聞いておりません。
○川俣委員 労働強化が非常に叫ばれておりますが、今井さんの職場、周囲で労働強化——これはメジャーがございませんので、労働基準法をひっぱり出してみますと、今井さん、あなたの職場で労働基準法が守られておる率と守られてない率、何%ぐらい労働基準法違反が堂々と行なわれておるだろうかということを伺いたいと思います。
○今井参考人 さっきも申しましたとおり、一人夜勤では准看護婦は勤務できないことになっているはずです。それがあたりまえのように一人夜勤をやって、指示なしに直接患者さんに接しているわけです。そういうことで、私たちは非常に責任を持って患者さんに接するということはできませんけれども、現実としてはやはりせざるを得ない状態に置かれているわけです。その率といわれてもはっきりしたことはわかりませんけれども、いろいろな本なんかで見ますと、ある監督署ですか、調べたところによると、九〇%以上が違反をしているというふうに聞いております。現に私たち県立病院の中でもそういう違反は無数にあります。そういう点をあげていったら病院経営というのは成り立たないのじゃないかと思います。
○川俣委員 これは端的に例示的に伺いたいところですが、看護婦がせっかくパスしてやめるという数字を私は非常につかんでおりますが、きのうもこの質疑応答がなされたわけですけれども、あなた周囲で、できればあなたの学校時代のクラスメートで、あなたの看護婦の勤続年数をさっき伺いましたが、その間やめてしまった実例というのはございますか。
○今井参考人 私の同期生は十六名おりますけれども、約半数近くがやめております。
○川俣委員 そこで、そのやめられたのはクラスメートですからよく音信が行なわれておると思いますが、結婚のために家庭に入っておやめになるのか、それとも職を変えてしまった。端的に、もっと率直に言うと、こんなあほらしい、と言っては悪いのですが、からだが持たない、安い賃金だ、条件が悪い、ということでやめられたのか、その辺いかがでございましょうか。
○今井参考人 やはり、ほとんどが結婚、それから出産と同時にやめていく例が多く、ただ労働がきついからやめていくという人は、同級生の中には一人しかおりませんでしたけれども、ほとんどは結婚と、育児ができないということでやめていく人が多いです。
○川俣委員 先ほどあなたの御説明に、腰痛症の話が出ていましたが、これは私にも訴えがきております。そこで、あなたの周囲で、あなた自身も含めて、かなり女のからだにはたえられないという、からだがもたないという感じを受けておりますか。
○今井参考人 はい。さっきも申しましたように、腰痛症は、私自身も腰痛症で、ことし病院にかかっておりますし、現にそういう人がかなり大ぜいおります。それで、一年間一人の看護婦が病院にかからないということはないと思うくらいに病院にかかっております。特に看護婦という職業は、患者さんを運搬したりすることが多くあります。ましてや大きな男の方を運搬するということは、一人夜勤、二人夜勤のときは全体重をかけて移すわけですから、それだけ労働がきついということがいえると思います。
○川俣委員 さらに進めます。 環境の問題の一つに、お医者さんとの関係でございますが、苦しいも楽しいもお医者さん次第だという面があるんではないかと思いますが、今井さんは、ある程度その点があるだろうとお感じですか。
○今井参考人 現在私のつとめている県立ガンセンターでは、そういう、先生によって左右されるというふうなことはないと思いますけれども、やはり小さい病院に行きますと、どうしても先生が絶対的なものになりやすい、それに服従というような形がまだ多くあると思います。
○川俣委員 看護協会には、看護婦さんは全員入っておる団体ですか。
○今井参考人 いえ、看護協会は任意加盟ですので、やめたければいつでもやめますし、でもほとんどが加入しているんじゃないかと思いますけれども、また入ってない県もあるというふうに聞いておりますが、よく存じません。
○川俣委員 もう一つ、看護協会の話を伺いたいのですが、この問題ばかりでなく、看護協会のいろいろな決定されることが、比較的加入されておる看護婦さんの意思を代表されておるでしょうか。
○今井参考人 私も看護協会に入っております。何回かそういう総会とかなんかには行っていますけれども、ここで看護協会がどうこうとあまり言いたくないのですけれども、たしか五十人に一人の割合で代議員というのがいるわけなんですけれども、その運営方法があまり下部にわからないような仕組みになっているんじゃないかと思うのです。私たちの要求を組み入れていろいろそういう催しものなんかをやるのですけれども、なかなかこういう大事な制度についても、下からとにかく集会を開いてくれというふうに言われなければ、上のほうではなかなか集会を開かないというような状態がここ数年続いておりますし、過去にも看護協会を脱退したいというような意見が圧倒的に多くあったのですけれども、やはり、それはよくない、自分たちの問題は自分たちでよくしていこうということで、私の病院ではほとんどの人が加入しておりますが、非常に不満は多くあります。運営の方法、非民主的なやり方についても、そうですけれども……。
○川俣委員 今井さんには最後の質問ですが、いまの法案に対する御意見を、先ほどのお話にだいぶ入っておりましたが、あなたが受け入れる先輩として、ねえさんとして、高校プラス一年というフレッシュな看護婦さんが入ってきた場合に、都合、不都合というのはいろいろあると思うのですが、その点をひとつお聞かせ願いたいのです。
○今井参考人 現実に、新潟県では高校の中の看護科というのがありまして、実際にそこの看護科の学生がうちの病院へ実習に来ておりますけれども、いまのところは学生ですからとやかく言われませんけれども、非常に労働条件のきついところへそういう人たちが卒業してぽんと入ってこられても、実際には役に立たないのじゃないかと思います。現に看護科の学生で卒業しまして就職した人はほとんどいないというふうに聞いておりますし、ストレートに進学コースに進んでおるのが実情です。
○川俣委員 ありがとうございました。 次に森さんに伺います。 看護婦さんの業務内容というものを、質というか、程度でお話を伺いたいところでございますが、先ほど補助者というか、そういうような副看護婦というか、実際あるのじゃないかということを私も東北の地元で感じておるわけですが、じゃ一体看護婦さんというのは、どういうところから看護婦さんの仕事で、質的に、程度的に、技能的にとの程度——私は十九歳のときに盲腸をやりました。手術の前に看護婦さんにやっていただいたあの動作は、はたしてどの程度の看護婦さんがなさるのか、包帯洗い、汚物処理等々、それからさらには、ずっと質が上がっていくと、お医者さんのほうの区域に入るというような認識は間違いであって、看護婦はやはりあくまでも看護という範疇があるのだ、お医者さんとは別の道があるのだ、こういうように理解するのがいいだろうか、そういうところを少し意見を入れてお聞かせ願いたいのです。
○森参考人 看護婦の業務の中で補助業務と申しますのは、これは身内の者でもできる業務は補助業務と考えてよろしいのではないかと思います。そして、身内の者よりも熟練した訓練を受けて、そうして行動する場合に、基本的な判断ができるという程度の業務においては補助業務といってよろしいのではないかと思います。 医療の中で看護の役割りは、診断、治療に関する面で診療ということになりますと、ある面では診療の援助という形で患者への説明、不安の除去、それから処置などを受ける場合の安楽のための援助という行為がありますけれども、治療そのものは医師が行なうということが、多くの場合、医師の業務でございます。看護婦の独自性と申しますか、たとえば手術を受ける患者さんが非常に不安な状態に立たされておりますときに、その手術に対する不安の除去をする精神的な援助といいますか、どういうところが不安なんだろうか、それをよく聞きながら取り除き、安心して手術に臨めるような態勢をつくりながら手術に備えるということになります。手術の前の看護業務にはいろいろございますが、これは男子の場合などでしたら、男子の補助員がしても差しつかえない行為だと思います。そういう面で補助員に渡していい業務と、それからいわゆる集中ケアといわれるような重症患者ばかりを観察したり看護したりする場面におきましては、看護婦さんが患者を観察し、その状態がどういうことを意味するかを考えながらそれに対処していくということ、あるいはまた、軽症患者におきましても、社会復帰していく場面において、たとえばその患者さんが胃かいようだといたしますと、胃かいようになったその患者さんが運転手だったりいたしまして、非常に神経を使い、食後も十分な休養がとれないような立場のお仕事の方でしたら、その社会的背景を理解しながら、どうすれば病気を回復しながらお仕事を続けていっても差しつかえないかというような指導の領域まで看護婦が指導していくということが看護業務でございます。医療業務と看護業務という面では、治療行為は医師が行ないますけれども、治療に関する援助と患者の生活指導、あるいは社会人としての健康生活を維持、増進するための指導並びに援助ということは、看護行為で十分できる行為でございます。
○川俣委員 時間があれですから端的に伺ってまいります。 今日、年々出る正看が少ないのですが、これは応募者が少ないのでしょうか。
○森参考人 お答えいたします。 正看護婦の応募状況は、ここ二、三年ずっと固定しておる現状でございます。大体平均いたしますと五倍程度でございます。多い学校ですと十何倍、もっと多いところは十七、八倍というような学校もございますし、少ないところでは三倍程度というところもございますが、平均いたしまして四、五倍程度でございます。
○川俣委員 そうしますと、いま世に訴えられており、この法案が出されたのは、看護婦が少ないということが非常に大きく出ておるわけでありますが、応募者は多いのだということになると、森さんは教育に当たられておりますが、教育機関でしょうか、それとも教育する先生方が不足だということでしょうか。こういったものをもし日本において手早く解決するとすれば——幾ら先生方が足りないといっても諸外国から輸入するというわけにもまいりません。いま私たちは一年ではあぶないから三年くらい、しかも医療制度の中ではなくて学校教育の中で教育すべきだということを真剣に考えておるわけですが、その場合に受け入れる教育機関、そして先生方、こういったもののあれができるでしょうか、それに対応して。
○森参考人 いまの看護教育の現状は、多くの学校は医療費の一部をさいて看護婦の養成のために差し向けられております。これは准看、正看を問わず、大部分医療費の一部を看護教育に充てている現状でございますので、応募者が多くても、そして相当優秀な応募者がございましても、やはり教育します場合に、人員の定数というのがございますから、それを大幅に確保できない実態でございますが、これは教員にも問題がございます。看護教員を養成します施設がほとんどございませんで、国立系統では国立公衆衛生院の一年コースがございますけれども、これは保健婦、助産婦、看護婦全部合同での一年コースでございますから、人員も六十名程度ということで、需要にははるかに足りませんし、四年制の看護大学を卒業しましてもすぐ教員ということにはなりません。そういう点で、厚生省で設けられております看護教員養成課程の講習会がございます。その講習会は以前は三カ月でございましたが、看護教育の高度化を重要視されまして、ただいま六カ月になっております。それも年に二回ということで、応募します看護学校はたくさんある中から、わずか六十人定員の二回程度ということ。看護協会でも講習会を持っておりますが、これもやはり必要な教科を取り入れながら最短コースでということで、じっくり考えて、教育管理なりあるいは教育心理なり、いろいろな教育者として必要な教育コースということになりますと最低一年以上必要ではないかと思います。そういう点で、現在の看護教員は、看護学校を卒業しまして、二年以上現場を経験している人で優秀な人がマークされて、そして、そういう講習会に出る機会を待ちながら教員になり、それが待てないところは、その講習を受けるということを前提に教員になっておるというふうな実態でございます。ですから、医療費の一部をさいて看護教育をしておる実態においては、増員ということは不可能でございまして、結論的には、学校教育体系の中で国がその教育の責任をもって教育していただかなければ、看護教育の将来ということはいつまでたっても期待できないと思います。
○川俣委員 たいへん伺いたいところに触れていただきました。私の少年時代ですけれども、例が悪いのですが、月月火水木金金という時代がございました。これは一億国民が、イデオロギーは別として、勝たねばならぬということで、たとえば三年の士官学校を一年にしたり、あるいは予科練習生を半年や一年で特攻隊につくり上げる、こういうところからこういうことばが出た。そして、その場合に、中では教官との関係で非常にいざこざがあったやに聞いております。これは私はその当時の人に聞いております。それで、月月火水木金金じゃございませんが、一年で早く仕立てようというような法律が世に出されるので、それに森さん方が当たらなければならぬ。その場合に、早いとこ何とかやれるだろうというお感じを持つのか、これは長ければ長いほどいいわけですが、しかしあまりのんびりしていたのでは、年もいくのに、しかも量がふえないということなんで、一年くらいで何とかやれるだろうかということと、何年くらいが適当だろうかということをお聞かせ願いたい。
○森参考人 たいへんむずかしい御質問でございますが、一年課程で、これは厚生省のほうからお示しいただいておりますように、現時点での高校における看護科の教育内容と、それから高校を卒業しましてから一年間の教育、いま案で出されております教育時間数を比較してみますときに、数字だけから見ますと、専門教科だけを見てみますときに、これは成り立つような見通しもできるわけでございます。ただ看護婦を養成するということであれば、これは補助者の養成ではなくて看護、准がつきましても看護婦を養成するということであれば、医療が非常に高度化してまいりました今日において、どんなに猛訓練をしましても、一年課程で准看護婦の教育ということは不可能と思います。 それじゃ、どのくらいあれば看護婦としてまず基本がしっかりした看護婦ができるかということになるかと思いますが、これは先ほど私もお答えを申し上げましたが、少なくとも三年以上ということを考えて、准看護婦であっても同じ看護業務はしなければならないわけですから、そういう点で、判断の軽重ということで、自分で判断できなかったところは看護婦にということもなかなか不可能な現状で、一つ一つの場合に判断が必要になってまいりますので、最低三年ということが基本的であり、理想を申し上げれば四年ということになりますが、看護婦の教育ということは、専門性が非常に高く期待されております今日ですから、最低高校を卒業しまして三年は必要と思います。
○川俣委員 時間ですが、せっかくでございますので、お医者さんの立場から、先ほどあらかじめ問題を提示しておりましたので伺いたいと思います。これは一々やりとりをしませんので、御高説を拝聴するということで、あと先輩の各委員に質問を譲りたいと思います。 というのは、看護婦さんというものを見た場合に、きのう医務局長に質問したわけですが、保健婦さんとか助産婦さんがやってくるということになりますと、単独で仕事ができるものだと私は思うのに、看護婦さんというのは、やはりお医者さんの付属物で、労使関係、そういったような間柄だと思っておりましたら、医務局長は、川俣の考え方は間違いである、やはり看護というのは独立しておるのだということを教えていただきました。そういう関係者の話を私はずっとここ二、三カ月いろいろ伺ってまいりましたので、その独立性というものを、日本の国においてもこの辺でぼつぼつ、お医者さんに雇われながらお手伝いにエプロンをかけて発生した日本の看護婦から、この辺で裸になって抜本的に教育していく時期ではないだろうかという考え方がいよいよ私も固まりつつあるところなんで、ひとつ造詣の深いところを伺いたいと思います。 それからもう一つは、なぜ看護婦さんだけが准看があって、保健婦さんや助産婦さんに准がつかないのだろうかということを見まして、看護というのはやはり一つではないだろうか。ただそれぞれの分野が違うがために保健婦、助産婦、看護婦、こういうように分かれておる。やはり日本の歴史も、法律も、保助看法というのは一つになっておるということからも考えますと、やはり総合性というものをここで先生方の立場から訴えていただかないと困るという考え方からあえて御高説を承りたいと思うわけでございます。
○寺尾参考人 全般的な意見ということでございますが、医療というものは、先ほども私の述べましたとおり、あくまでも医師が主体性を持たなければならない。 〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕 ことに医療の面では特に主体性と責任を持たなければならない仕事でございます。われわれといたしましても、あくまで看護業務の独立性は認めておりますけれども、そういう意味での医師の主体制と責任という——医療に関する限りは、われわれの重大な責任を果たすためには、やはり医師の専門的な指導というものを要する面が多分にあることをひとつ御記憶を願いたいと思うわけであります。 そういう意味で、私どももいまお話しのとおり、看護婦を雇う——医者が使っているという考えでなくて、やはり独立した一つの専門職としてこれを認めながら、いまのようなわれわれの責任を果たしていきたい、こういうように私は考えております。 それから、准看がなぜあるかという問題でございますが、先ほども私が触れましたとおり、病院の中には、ただ看護婦と申しましてもその仕事は非常に広範で多岐でございます。先ほどの話にもありましたとおり、看護婦が患者をかついだり、あるいは病院の掃除をするような、看護婦さんの資格がなくてもできるような仕事は、病院管理の上でこれは分離して十分チェックすべきであろうと思うわけでございます。そういう面からは、いわゆる看護婦の労働というものを軽減することがよほど可能になるのではないかというふうに考えております。准看という制度が昭和二十六年からできておるようでございますが、先ほど私が統計で申しましたように、現在病院の中の固有業務というものは、ほとんどがこの准看の人たちによって現実に行なわれているという事実をよく御認識をいただきたいと思うわけでございます。将来はともかくといたしまして、現時点では、この人たちが、ことに二十九歳以下の人たちが八五%いるということ、三十歳以上の者がわずかに一五%しかいないということは、やはりこの人たちの必要性があるわけでございます。ただ、病院の中でこれを区別して考えないで、やはり看護婦さん——准看に対して正看と申しますが、病院の中では十分な要員がそろいますならば、経験の富んだ正看護婦を主体として、その下に准看あるいは見習い等をつけました看護チームが編成されておりますのが通常でございまして、十分に経験の富んだ正看護婦が准看を指導しながら病院業務を行なっておる、看護業務その他が行なわれておるということを御認識をいただきたいと考えております。そういう点で、現実にはやはり准看というものが、いまの時点においては、あの病院の中では相当大きな看護婦の病院看護の固有の業務が行なわれているということを重ねて申し上げたいと思います。
○川俣委員 たいへんありがとうございました。参考になりました。先ほどお話ししましたように、お医者さんと看護婦さんと、そして看護婦さんを教育するお三人が、厚生行政に当たっておられる医務局長を中心としていま少し審議されたら、こういうように何だかんだといろいろと言わぬでも済む法案ができたであろうということを、いよいよ意を強くいたしました。参考になりました。ありがとうございました。
○倉成委員長 渡部通子君。
○渡部(通)委員 私も参考人の方々に二、三の点御意見をぜひ伺わせていただきたいと思います。 寺尾会長さんのほうからお願いをしたいと思います。 厚生省の御説明等によっても、いま国立、公立の病院に勤務していらっしゃる看護婦さんや准看護婦さん、それに比較して開業医さんあるいは私立病院に勤務しておられる方々のほうがどうしても給与が非常に低い、こういう御説明でございますが、医師会としては、待遇改善についてどのようなお考えをお持ちでおられるか。また、このように給与が低いといわれる理由はどこにおありなのか、その辺からちょっと伺わせてください。
○寺尾参考人 現時点におきまする給与は、一般の開業医におきましては国立その他に比べまして低過ぎるとは私どもは決して思っておりません。以上であるとは考えておりませんけれども、私どもの区における給与体系を見ましても、准看の初任給は現在二万八千円程度でございます。 ただ、ここで私申し上げたいことは、これはやはり医師の診療報酬と密接な関係を持っております事柄でございまして、ボーナスというふうな形のものが、国立その他に比較いたしますときわめて低いということはいえると思います。大体、平均が半カ年で一カ月程度しか与えられておりません。これは、やはり大きな原因は、保険の低医療費の政策に基因するものと考えております。中には非常に高い収益をあげていらっしゃる方がありますけれども、これもやはり保険制度の片寄りで、大ぜいの若いお医者さんがたくさんの患者を診療すればそれだけ診療報酬があがるという、私のようにだんだん年をとりまして、機動性がなくなってまいりますと、それだけ患者の数が減りまして、熟練する度合いといいますか、年とともに収入が低下するというふうな逆傾向を持っております。大学の教授にいたしましても、学校を卒業いたしましたばかりの医者も、保険の報酬は同一でございます。そういうところに大きな欠陥があると思います。こういうふうなことで、やはりほかの企業と比較いたしまして、全般的に見れば開業医に勤務される看護婦さんたちの報酬は低いということが言い得ると思います。
○渡部(通)委員 ちょっと、もう一つでございますが、いまの質問の中で、それに対する待遇改善の問題でございますが、これは医師会としての見通しなり——まあいま国としても、厚生省のほうとしても、公立、国立に関しては待遇改善をすると、こう言っておりますが、医師会のほうの御見解を聞かしてください。
○寺尾参考人 医師会といたしましては、いま申し上げたとおり、原因が保険の低医療費というふうなことにあるとするならば、やはりそれを改善する努力をすることが私どものつとめであり、したがってそのことが改善されれば報酬も上げることができるということが言えるわけでございます。ただ、私ども開業しております医師の中で、国立あるいは大病院と違いますことは、住み込みが非常に多いということです。いまの新しい若い人たちの考え方は、やはり自由を求めて、寄宿生活というものにあこがれております。大きな病院は大体デラックスな宿舎等を持っておりまして、そういうところで待遇の改善が行なわれておりますが、医師会といたしましては、将来こういうことに備えまして、医師会自身が従業員の共同宿舎を建てまして、そしてこのような待遇の改善をそういう面からもはかっていきたい、こんな考えをいまのところ持っております。
○渡部(通)委員 現在医師会の准看護婦養成所を卒業して働いていらっしゃる准看さんというのは非常に数が多い、そういうことでございますけれども、実際問題として医療に従事した場合に、看護婦さんと比較して、その准看さんでは支障を来たすとか、あるいは患者さんが不安に思うとか、そういう実情はございますのでしょうか。
○寺尾参考人 実は、病院の場合と一般の開業医と比較いたしますと、非常に作業、業務の上で大きな差があります。一般の開業医、ことに無床診療所におきましては、特に有資格者を必要としない業務のほうが多分に多いと思います。したがいまして、私どもの医師会にいたしましても、看護婦として無資格者というのは、大体将来准看あるいは看護婦になる目的で医者のうちに住み込んで、そこから働きながら学校に通っている、そういう方々が医師の指導で、資格を持っている人とほぼ同等な、病院と比べればわりあいに簡単な仕事を十分にやっていける状態にあるということを申し上げておきます。
○渡部(通)委員 もう一点、今回の高校卒一年という制度の問題でございますが、それについては先生は一応賛成という先ほどのお立場でございますが、この問題だけに限ってのお考えをお伺いしたいと思います。
○寺尾参考人 今度改正になります高校卒一年以上ということは、現在の医師会の経営しております准看学校に当てはめてみますと、何ら変わりがないわけでございます。一年以上ということで、私どもは二年、いままでも二年でございましたが、やはり千四百十時間を二年間で行なう予定にしております。厚生省の考え方も、一年以上という——私どもの定時制午後四時間行なう准看学校、東京都内に十七ございますが、そのような学校はすべてそれに属しますが、法律は変わりましても実際の教育の上ではいままでとあまり変わりが出てこない。むしろ千四百十時間というふうに一応法律でカリキュラムの時間が減らされたとしますならば、午後四時間の定時制を私どもが行なっておりますと、一年半でそれが消化できることになります。実習が八百五時間、講義が六百五時間ということでございますので、一日四時間ずつ午後の一時から五時までの授業で一年半やれば消化できる時間でございますので、あとの半年は、私どもはできるならば高校卒も中卒の方も含めまして、看護婦さんとしての倫理面、精神面の教養面の向上のためにこの時間を十分使いたいと考えております。看護学あるいは医学の技術ばかりでなくて、りっぱな人格を与えるための努力をしたいと考えております。
○渡部(通)委員 森さんに二点ほど伺いたいのでございますが、いまお話しのございました高校卒一年でよいかという問題でございますが、現場に携わっていらっしゃる先生として、先ほど一年ではとんでもないというようなお話がございましたけれども、高校卒一年の教育を受けて現場にいらした場合に、実際問題として、どのくらいたてば一人前としてお役に立つのか。先ほどは、教育として三年というお答えでございましたので、現場に立った場合にはどのくらいでお役に立つものでしょうか。
○森参考人 いまの准看教育と申しますのは、正看教育のひな形のような教育内容でございまして、正看の場合には、一般教育科目が非常に多うございますが、専門教科に関しては全くのひな形でございます。基礎科目も、専門科目においても、あらゆる項目が盛り込まれて、ただその時間数が少なくて准看の教育内容が組み立てられておりますけれども、そういうことではたしてよいのかどうかということは本質的な問題になりますが、准看を看護者として見るならば、補助者じゃなくて、責任の持てる看護婦として見ますならば、一年で教育して何年たって実際に役に立つかということ、いわゆる三年課程で教育した看護婦と同等の責任を持ってもらえるかということは、比較にならない問題だと思います。看護補助者としての教育という時点で、高卒一年の期間で看護補助者を養成するならば、あくまでも補助業務ということで、特別のむずかしい判断やら何やらできなくて、そういうようなことだけに熟練する技能者といいますか技術者といいますか、そういう教育でございましたら、もっと内容も検討されて、それじゃどういう項目を盛り込めば補助者として活用できるか、たとえば専門科目等におきましても、補助者ならば、もちろん解剖、生理等は必要でございます。医学も必要でございましょう。しかし病気に関することなどにつきましては、本質的に内科、外科の基本をマスターさせるという程度で、医療補助者としての教育は成り立つのかもしれません。そういう時点で考えましたときに、補助者としてならば、いまの准看みたいに技術者の形で、卒業した時点で業務も何も同等のものを期待されるというような教育ですと非常に問題だと思いますが、あくまでも補助者教育ということになりますと、これは卒業しまして三年もたてば、補助者としては一人前、十分役立つのではないかと考えます。あくまで補助者、これは准看ではございません。
○渡部(通)委員 今回改正になろうとして法律として出されております高卒一年という教育内容のカリキュラムの問題でございますけれども、これに対しては、育成に当たっておられる皆さま方の御意見というのは反映されているのでしょうか。相談あるいは検討等は加えられたものなのでございましょうか。
○森参考人 厚生省のほうでお示しいただきましたものは、たぶん審議会等で御検討されて、その審議会には看護婦の学識経験者などが加わっておりますので、そこで検討されておりますものと私は推定いたします。示されております数字も、高校において行なわれております衛生看護科の教科内容と対比させながら数字をお示しになっておられますので、高校における衛生看護学科は、高等学校における看護教育ということでも、いわゆる職業教育として認められた教育機関でございますから、そこで三年間で行なわれております時間数と専門科目につきましては考慮されて示されている数字でございますが、看護婦にとって患者を扱い、人間を扱うという本質から考えますときに、人間を見る社会学だとか、心理学だとか、教育心理ですとか、哲学ですとか、そういうようなものが大学においては教養としてということになると思いますが、看護教育においては、それをマスターして自分で行動できるときに初めて職業人として教養が生きると思います。あらゆる場面にそれが発揮されなければならないわけでございます。高卒一年というコースにおいては、そういうコースは高校で履修しているから、一年間においては、それは高校のものを自分で活用するようにということで、教育プログラムの中には組まれておりません。一年間教育するのであれば、いまの准看教育のように、生徒は一学級二十人以上五十人というふうなことで認可されております。そのような寺子屋式な教育ではなくて、もっと臨床に出ていく場面でも、ただ見よう見まねで何時間現場に出ていって学習すればいいということではなくて、意図的に、何をどんな方法で教え、どの程度に学ばせるかというような配慮があって、組織的に一年間みっちり教育されれば、いまの高校の衛生看護科教育と同程度のものはできると思いますが、それは教育の運営次第ということになりまして、これはいままでの准看のような教育施設の状況の中で教育活動が展開された場合には、成り立たないもののように思われます。
○渡部(通)委員 次に、もう一点でございますが、先ほどの御意見の中では、准看を廃止したほうがいいという御意見を述べていらしたようでございます。理想としては、看護婦さん一本でたくさんあれば問題はないのでございますけれども、現実としては地方等においても、高校へも行けないというような御家庭の中から准看養成コースを選んで、そしてりっぱに看護婦さんの試験も受けておる、そういうコースを進まれる方もたくさんいらっしゃると思いますし、また現実としても准看護婦さんが現在半分というような実情でございます。こういった方々の准看を廃止した場合に、救いの道といいますか、そういった方々の将来というもの、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるかひとつお示しください。
○森参考人 中学卒業者の高校進学率がたいへん多くなっておりますが、能力的に恵まれながら経済的に恵まれない対象においては、高校においてただいまの衛生看護科の組織なども、県立でしたら看護科なるがゆえに県からの特別の助成金というのが出されておる、奨学金が出されております。それからいまの制度がよろしいというのではございませんが、自分が看護婦になろうと思えば、看護科に進めば特別奨学金制度などもございますので、それを十分活用して、ただいま存続しております看護科に進む道はございます。それから高校に入れないような経済的にそんなに恵まれない人でしたら、むしろ看護関係以外の企業もたくさんあるわけですから、そちらのほうに進まれるほうが御本人もしあわせではないかと思いますけれども、どうしても看護婦になりたいのなら、高校の奨学金制度がございますので、それは十分活用できると思います。それから昔のほんとうに貧しい家の子弟が看護婦になるというような背景から派生しました看護教育でございますから、何か福祉事業のような看護教育というように結びつけられがちでございますが、現在高校を卒業して進学します看護学生の家庭背景などは、非常に恵まれた家庭がもちろん多くて、専門職業教育を身につけるために入ってくる学生が多うございます。そういう時点で、高校に入学できる学費程度あるいはそれ以上の学費でも自分で出せる家庭の子弟が多うございますので、そういう点で福祉事業と看護ということの過去の因果関係というものはもちろん断ち切っても十分成り立つ教育と私は思います。
○渡部(通)委員 今井さんにまた二、三点お願いをしたいと思いますが、今井さんが進学コースへいらっしゃらなかった理由というのは、先ほど長年働いていらした経験のお話を伺いましたが、その間に進学コースをとってみようというお気持ちになったかどうか。あるいは、いまだにいらしてないという理由がございましたら……。
○今井参考人 私もやはり進学コースに進みたいという気持ちはいまでもあります。独身時代は、やはり三年実務を経てから進学コースへ進むということで、四年目に進学したいということで、そういう勉強もしました。そういうときに、やはり結婚という問題が年齢的にちょうどぶつかった時期です。ですから、結婚をした場合すぐ出産、育児ということで、そういう進学コースへ進むのは年齢的に非常に無理なあれだったと思います。それで結婚している准看護婦、現在働いている准看護婦のほとんどはやはり進学したい、そういう希望はみな持っています。
○渡部(通)委員 もう一つ現場にいらしての体験を伺いたいんですが、准看であるということにおけるマイナス点ですか、そういう差別のようなことはどういう点でお感じになるかどうか。
○今井参考人 まず第一点は、さっきも申しましたとおり准看なるがゆえに、同じ仕事をしていても賃金の上で非常に差が出てくるのです。私は卒業して九年になりますけれども、現在三万四千円いただいております。ですけれども、やはり長い目で見ました場合、給料の面で非常に大きな開きが出てきますし、そういう面で非常に差がある。それから実際に仕事をしておりましても、やはり深い知識が要求されるわけです。そういう場合、非常に判断に苦しむ場合が多くあります。ですから、実際に勤務している准看護婦が、一生続けるということになれば、どうしても深い知識を求めるのは当然だと思います。さっきも言ったとおり、進学コースへ行って勉強したいという希望はみんな持っております。
○渡部(通)委員 きのう以来いろいろと看護婦問題が論議をされておりますのですけれども、その中で、先ほども話しましたが、准看を廃止して看護婦さん一本にするという意見が出ておりますけれども、この点について、准看さんのお一人として、個人的なことでけっこうでございますが、反対でしょうか、賛成でしょうか、御意見を……。
○今井参考人 やはりいまの准看護婦というのは、看護婦と同じ責任を負わされますし、実際に仕事の内容は同じものをやっているわけであります。ただ、仕事をやっていく上にやはり判断というものが要求されてくるわけです。ほんとうに死に直面した場合、深い知識があるのとないのとでは大きな違いが出てきます。実際にそういう場面に当たってみますと、ほんとうにどうしていいかわからないということが多くあります。やはり同じ仕事をする上で、患者さんの命を預かる仕事ですので、やはりいまの不十分な教育の中で出てきた准看というものを廃止して、看護というものは一本にしぼって、その上であらためて先ほどから申されている補助的な、そういう人は必要だと思います。病棟の中でそういういろんな雑用だとか、それから単純労務というのは一ぱいあります。ですけれども、やはり患者の命を預かる面で、先ほど森さんが述べられたような一本化というのが望ましいと思います。
○渡部(通)委員 たいへんにありがとうございました。貴重な御意見をたくさん伺いましたが、最後に私、要望でございます。審議に入る前にこういう参考人の御意見をぜひこの次からは伺えるようなチャンスを設けてほしい。終わっちゃったあとで伺ってみましても、実に残念であったと思います。それを最後に委員長に要望する次第でございます。どうもありがとうございました。
○倉成委員長 寺前巖君。
○寺前委員 せっかく命にかかわる非常に大事な問題を審議する機会に、参考人の皆さんにおいでいただいておるのに、十分に御意見も聞かずに審議が終わるということになるとまことに申しわけないものだ、ぜひ私も発言さしてほしいということでお願いしたんですが、一言というお約束なものですから、三人の方々に質問をしますと一言になりませんので、やむを得ませんので、ひとつ御了解をいただきまして、現場におられる新潟県立ガンセンター新潟病院の今井ヨシイさんからだけお話をお伺いしたいというふうに思います。ひとつ御了承のほどをお願いします。 実は、先ほど大臣に対する質疑のときに、最近看護婦さんが昼食のために出ていって、その途中で患者に輸血をまかしておいて少女が死んだという記事が四月の中ごろありました。あるいはまたその前日には北海道の釧路で、遺体からはさみが出てきた。「術後ミス 同じ病院で二度」そういう記事が出てくる。昨年は千葉医大の採血ミスの問題が出てくる。それから前に、日赤のあの赤ちゃんの間違いというのがある。何といっても一番心配なのは、ほんとうに今度いわば一つの医療制度ができ上がるわけですね。そういう問題として出てきたときに、患者の側からこういう事件が——今度の制度で出てくるところのあれが主要な看護婦さんの内容になってきたらどんなものだろうかという非常に大きな不安があるわけであります。このことについて大臣に答弁を求めたのですが、なかったもんですから、私はどうしても、現場におられる人がこういう事件を見たり聞かれたときに、一体どういうふうなことを一番最初にお感じになるだろうか。そして自分のところの病院ではだいじょうぶだろうか、今度の法案によってその点は責任持てるということになるのだろうか。私はこのことだけを一言お聞きしたいというふうに思います。
○今井参考人 先ほどの質問の中のああいう医療事故というものは、高校卒業して一年という准看護婦が大量に出てきた場合、それは当然起こり得ることだと思います。現に私たちの病院の中でも——これは公表しないことになっているのが通例だと思いますけれども、隠れた医療事故というのは無数にあると思います。現に私は三年前手術場に勤務をしておりまして、さっき先生がおっしゃられたような事故、そういうことは患者には話されませんけれども、実際に数例あります。事実です。いろんな本を読んでいかれて——現場に働いていらっしゃる方がきょう大勢いらっしゃいますが、そういうことはほとんどの方が知っていらっしゃると思います。ただそれが病院の外へ出ないだけであって、医療事故というものは無数にあると思います。現に赤ちゃんの取り違え事故が起きましたときに、ガンセンターでは何をしたかといいますと、新生児室にかぎをかけただけなんです。そういう事故が発生してあらためて厚生省からそういう指導があったとき、看護婦をふやさないで——定員二名をふやすというようなことがあったんですけれども、まず何をしたかといったら、かぎをかけた。そういう人間の命を、生まれながらにしてかぎをかけるようなことは絶対許されないと思います。そういうことでやはり責任持てないと思います。
○寺前委員 非常に重大なことを私聞きました。厚生省が、かぎをかけたということだけでああいう赤ちゃんの問題を終わらされているということは、大臣、よく聞いておいてもらわなければならぬ。だから、出されたところの法案で、こういうことで責任がとれないということを現場の人が言っておられることを聞いたときに、もう一度考えてもらう必要があるんじゃないだろうかと私は思います。終わります。
○倉成委員長 参考人には御多用中御出席いただきありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 —————————————
○倉成委員長 次に、本案に合わせて藤原道子君外一名提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題とし、両案についての質疑を許します。田邊誠君。
○田邊委員 保助看婦法につきましては、昨日来各委員からいろいろな角度で質問が繰り返されてまいりました。私は基本的には政府原案に反対であるという立場におきまして、この際政府の考え方なり今後の方針を確認するために、基本的な内容に限って総括的に若干の質問を行ないたいと存じます。大臣の明快な御答弁を心からお願いする次第であります。 現在、看護職員の数が大幅に不足をして、このために国民医療の確保に重要な支障を来たしていることは、すでに国民がすべて認めているところであります。厚生大臣も本法案の提案説明の中にその事実を率直に認めて、この深刻な事態に対処するために今回改正が行なわれたことを申し述べておるのでありますけれども、しかし直接医療の場において働いている労働者はもちろん、これら専門団体ですらもがこの法案に反対しているという、こういう理由は一体どこにありましょうか。政府は、まずこの事実に十分耳を傾けるべきだと私は思うのであります。 その一番大きな原因は、常に問題が起きたときに、いわば場当り的にものごとを処理するという政府の安易な態度にあることは、十分責められなければならぬと思います。夜勤に関するところの人事院の判定というのが一体いつ出されたのか、厚生大臣も御存じのはずであります。また、かりにこの判定が出なかったとしても、この看護婦不足という問題は、きのうやきょうに始まったことではありません。厚生省は、口を開けば、最近における医療の高度化、医療需要の増大ということをあげて、これが看護婦不足の唯一の原因であると宣伝をいたしておりますけれども、医療需要の増大ということを一つとってみても、国民皆保険が実施をされました昭和三十六年、このころからすでにこの問題は予想されたことではございませんか。われわれは、すでに数年前から今日の事態を予測いたしまして、早急に必要な措置を講ずることを繰り返して主張してきたにもかかわらず、何らなすところがなく、漫然と今日まで問題の解決を放置してまいりました。いよいよせっぱ詰まって、どうにもならなくなった段階で、当面を糊塗するような今回の改正案を出してきた政府の姿勢に、一番大きな問題があるといわざるを得ないのであります。私は、このことをまず第一に指摘しなければならぬと思います。 今日各方面で論議されている看護婦の問題は、ただ単に数が足らないというだけではなくて、医学の進歩や医療の高度化に伴って、看護制度をどのように対応させるか、この意味で現在の看護制度を根本的に再検討しなければならない。まことにこの点にこそ、重大な問題があると私は思うのであります。 そこで、まず厚生大臣にお伺いしたいのは、大臣は、一体この看護制度について、私がいま申し上げた方向で根本的に再検討する必要があるとお考えであるかどうか。またお考えがあるとすれば、一体いつごろをめどに、またどのような手順でこれを進めようとされておるのか、この点を明確にお答えをいただきたいと思います。
○内田国務大臣 国民皆保険制度を実行いたしまして、今日までまいっております。またこの間医療の高度化というようなことも、医学が進歩するにつれまして行なわれておりますことは、御指摘のとおりでございますが、しかし、こういう医療体制が成り立ちますためには、どうしても看護婦制度というようなものが同時に充足、確立されておらなければ、制度の運営はとうていできないわけでございまして、政府におきましても、この間の事情を承知いたしておりまして、これまでも看護婦の充足のためには、あるいは養成設備の整備のための助成でありますとか、あるいは看護婦さんを志望せられる方々に対する就学資金の貸与の問題でありますとか、いろいろの方途を講じてまいりましたけれども、しかし、このままでまいりますならば、昭和五十年ごろの時点をとってみましても、これは十万人内外はどうしても不足する。したがって、いままでと同じような助成体制だけでは対処でき得ないところがございますので、いままでとってまいった体制の上に、さらに今回法案の御審議をわずらわしておりますような、たとえば運営費に対する助成でありますとか、あるいは一方におきましては、看護婦の養成機関の充足をはかる一方、准看護婦の養成体制につきましても、事態に即した、現状に即した新しい制度を取り入れるというようなことをいたしておるわけであります。 しかしながら、私は厚生大臣として考えてみましても、看護婦の制度の中には、これまでも指摘をされてまいっておりますように、二つの制度、看護婦制度と准看護婦制度というものを、そのまま置いていいのかというような問題をはじめ、根本的に検討しなければならない問題も、今回の法律案以外にございますので、そういうことを、私は、昨日からも心にとめながら御答弁をいたしてまいっております。根本的のそういう検討につきましては、今回の法律案が昭和五十年を目標とする看護婦の需給あるいはまた資質の向上というものを達成をいたすことにしておりますので、これの達成と見合いながら、私は考えさしていただきたい、かようなつもりでおります。
○田邊委員 いまのいろいろな意見の中で、私ども大臣の意見に賛成のできない点がありますけれども、しかし現在の看護制度が不十分であって、これを基本的に改善しなければならぬというお考えであることだけはくみ取られました。したがって今後の制度の改正にあたっては、当然国民医療の動向や、あるいは社会経済の変化、特に医療保険制度の抜本改正と関連をさせながら十分な検討をいただくことが必要だろうと思うのであります。 しかし、この際、やはりこの看護制度の再検討の際には、一つには現在の准看護婦制度を廃止する、もう一つには、看護婦の養成はあくまでも学校教育法に基づく学校で行なうということ、この二つの点はぜひ確認をしてもらいたい。特に現在看護婦の養成が、いわゆる企業の中でもって養成しているという域を脱しておらない、看護業務の主体性がそこなわれているという点に大きな問題があるわけでございまして、この解決のためにも、看護婦養成を学校教育の体系に一元化するということが絶対に必要であると思いますけれども、大臣のこれに対する所見を承りたいと思います。
○内田国務大臣 御指摘の件につきましても、私は昨日来、そういうことをも踏まえて御答弁申してまいりましたが、これまでの看護婦の養成ということが、ただいま田邊さんのおことばの中にもありましたように、企業内養成といいますか、それぞれの私的機関が、自分の必要とする准看護婦あるいは看護婦を養成するということで出発してきたようなたてまえをとっておりますが、私は、これは医療制度の充足というものは、看護婦問題をも含めまして、政府が政治的責任をもってやるべきだ、こういう観点に立ちまして、看護婦の養成のことにつきましても、私的機関、企業内育成ということだけにまかせないで、今度の法律案の中にもそれらの条文もございますけれども、政府が、一方におきましては運営費などに対する助成もしながら、それらの管理監督ということも政府の責任によってやってまいるということを出発点にもいたしているものであります。また、それらの養成につきましては、将来の目標としましては、学校教育法第一条による学校制度の体制の中で、これを一本とした取り上げ方というものを当然検討しなければならないということは、十分私も頭に置きながら——しかし現在の諸般の情勢からいたしますと、急にそれに切りかえるということもできませんので、そういう将来の理想は理想といたしまして、現在の制度また運用を生かしつつ、そういう理想に向かう心がまえをもって進みたいと考えます。
○田邊委員 これは大臣がその心がまえで——これは理想ではありませんよ。当然それを現実化しなければならない責任が、あなたはあると思うのです。したがって一応、学校教育の体系に一元化することは望ましい、そういう大臣の御答弁があったことだけは、しかと承知をしておきます。 したがって学校教育という以上は、これは看護大学というものをやはり国立または県立でつくるという意味でありまして、私立の大学にやらせるという意味ではございません。この点は、ぜひ大臣もよく御記憶にとどめておいていただきたいと思います。医師の教育にしても、一部の私立の医科大学では、たいへんな金が必要である、寄付が必要である。これをもし看護婦に当てはめていくことになればたいへんなことであります。国が公立の学校を大幅にふやす、そして看護婦の養成をやることによって現在の養成機関を企業の隷属物から解放するというのが、私どもの主張であります。医者の教育の場所の轍を踏まない、そういう決意があなたにおありであるかどうか、これは当然文部省にも聞くべきことでありますけれども、国民医療という立場で、大臣のあるべき方向としてあなたの御決意を一言お伺いしておきたいと思うのです。
○内田国務大臣 将来看護婦の養成につきまして学校制度による場合には、今日まで行なわれておりますところの医者の養成に関する国立、私立大学のあり方等は十分これは参考にいたすべきことだと私は考えております。
○田邊委員 提案者の藤原議員に、この際一言お伺いしたいのであります。 いま私が大臣にお聞きをしてまいりましたのは、やはり医療の問題、特にその中の現在深刻になりつつある看護婦の問題は、その看護婦制度を抜本的に改革をする、しかもその方向というのはやはり学校教育法に基づく看護婦に一本化する、こういう方向でなければならぬと私どもは考えて、大臣の所見と将来への展望を実はお聞きしてまいったのであります。そこで藤原議員から提案をされましたこの法律案というものは、いま政府が出している当面を糊塗するようなそういう考え方と実は相異なって、この抜本改正と一元化に向けて一つの将来の方向をさし示しているのではないかと思いますが、政府案と提案をされました案との基本的な相違というのは一体どこにあるかお伺いしておきたいと思うのであります。
○藤原(道)参議院議員 お答え申し上げます。 先ほども御質問がございましたように、看護婦の不足の問題はきのうやきょうのことではございません。と同時に、いま看護婦が各種学校で養成されております。そういう結果、短大二年卒業で資格をとられた学校の先生、高卒三年の養成所を経た看護婦さんが国家試験を受けて、それから十年ばかりの年間におきましてその給与の差が一万六千円くらいになっておる。短大二年卒の学校の先生、それから三年で国家試験を受けた看護婦さんの給与にこうした格差ができている。これは学校教育法にのっとらない各種学校であるということに原因があると思いまして、私たちはもう七、八年前から学校教育法に一元化すべきである、そうして国は国の公の機関の責任で学校教育にしろ、そして看護婦さんには就学資金を十分貸与するよう、こういうことを主張してまいりました。これに対して政府は、目下文部省と調整中でございます、何とか御期待に沿いたいと考えておる、こういう答弁を繰り返しながらきょうまで来たわけであります。そして今度看護婦不足を口実といたしまして、こうした中途はんぱな、看護婦のレベルダウンになるような法案の出たことはまことに遺憾でございます。私はこうした意味から、看護婦は准看の場合——先ほどの参考人はまだ御遠慮の面があったと思います。同じ職場で看護婦をしながら、准看なるがゆえに非常な差別感を持たれる。あるいはまた、看護補助者と准看の給与があべこべでございます。雑務をやる看護助手のほうが、准看よりも高い給与をいただいておる。それからまたいまのような夜勤の回数、重労働、こういうことで看護婦不足を来たしておると考えております。したがいまして、この看護婦の待遇の改善がまずなされなければならない。これが十分厚生省案にはあらわれておりません。前の厚生大臣のときに、私がなぜ看護婦が定着しないのかと質問いたしましたら、職場に魅力がなければ無理でございます、こうわかっていながら厚生省がこれと取り組まないところに、厚生省の怠慢があると考える。したがって私は、この際、政府のこの法案に対しまして納得がまいりません。したがいまして、ぜひとも教育は教育法にのっとったものに切りかえていく。それから准看は、いま病院によりますと看護婦長さんまで、あるいは病棟主任まで准看にやらしております。ところが先ほどの医師会のお話では、そういうことには触れておりません。しかし、そういう重要な役割りを当てながら待遇は非常に悪い。こういうことですから、希望を失って職場を離れる人が出てくるのでございます。したがって私の経過措置としては、准看さんの進学コースなり、あるいは実務六年以上経て、厚生大臣の定める講習を経た後に国家試験を受ける権利を織り込んだ法案でございます。教育は教育法によるもので、公の機関で責任を持ってやる、そうしてあくまで夜勤は、少なくとも、私たちは六日と主張いたしますけれども、人事院判定が八日でございますから、八日で、そして二人夜勤に切りかえていく、こういう私たちの基本的な考え方が政府案と相違いたしております。 それから、高卒一年の准看でございますが、高等学校を卒業した准看さんはストレートに進学コースへ行けるわけですね、いまの法案では。ということになると、現実どれだけが准看の職場にとどまるかどうか。いま高等衛生学校ですか、看護科ですね、ここを卒業した人の多くはストレートに進学コースへ進んでおるのです。こういうことになると、やはり今度の政府改正案によりまして看護婦の充足ができるということは私には考えられません。まず待遇を改善すること、教育制度を改善すること、こういうことを優先して行なわなければならない。これが私たちの考えておる案でございまして、今度の提案いたしました法案にはそれが詳しく載せられておりますが、お時間の関係もあるようでございますから、この程度で……。
○田邊委員 いま藤原議員からいろいろと御答弁がありましたとおりに、私は現在の看護婦制度、看護婦の現状の中では解決を迫られておる非常に多くの問題があると思います。その幾つかを私どもはここで質問をしたかったのでありますけれども、各委員の質問の中で織りまぜておりますから私は省きたいと思う。たとえば教育内容の問題、実習をどう重視するかという問題、あるいは教員の資格の問題、そして教員の処遇の問題、さらには教員自身の養成機関をどう充実させるかという問題、そうして准看コースからいま御指摘のありましたとおり看護婦へのいわば進学コースをわれわれはどう開いていくか、これに対して特別の措置をとるべきじゃないかという問題、さらには看護職員のいわば処遇の改善の問題、これはもう人事院で特に私どもは強く迫っておるところでありまするけれども、格づけの問題、そしていまやはり世論をわかしておるところの、ニッパチ問題といわれる夜間の勤務の問題、こういう、現状に照らして幾つも解決をしなければならない問題に迫られておると思うのであります。これらの解決を着実にやっていく中で、将来に向けての根本的な解決をはかる道筋と努力をそれぞれお願いしなければならないというように私は思うわけでございまして、藤原議員の今後における洞察をされた活動を心から期待をするわけであります。そのことはすなわち、政府に対してもぜひ私はお願いをしたいところであります。 最後に、厚生大臣に、いろいろな根本的な問題がありまするが、当面の看護婦不足を解決するためにも直ちに実行してもらいたいこと、実行する気持ちがあれば必ずできること、これに対して私は簡単にお伺いしたいと思うのです。 私たちは、今回政府が出されました改正にある准看護婦制度というのは、まさにこれはインスタント准看、こう呼びたいのであります。要するに安上がり看護職員を大量に養成して、数だけそろえばよろしいという、そういう意図がありありとうかがわれるわけであります。こんなことでは少しもよい医療を受けたいという国民の希望に沿うことではございません。しかも看護婦は、三年の養成期間を必要とするいわゆる正看の養成所の志願者は定員の六倍にも七倍にもなっておるという状態です。これでは看護婦は足りないのではなくて、看護婦になろうとする人々にその道をわざわざふさいでいる、こう言われてもしかたがないと思います。今年度の予算においても国立病院の養成定員の増加はわずかに百人足らずであります。この際、ひとつ志願者を大幅に受け入れることができるように、まず国立の施設が率先して養成定員をふやす、そして全体として養成定員を拡充する必要があると思うのでありますけれども、政府にこの考えがあるかどうか。各委員の質問にもありましたけれども、私はそれをさらに念を押す意味で政府の考え方をお伺いしたいと思います。 さらに、民間施設であってもまじめに養成に努力しているところもございます。これらのものに対して、政府の補助というものは、地方公共団体と日赤済生会だけしか国の補助がないのであります。私はこんなことでは実はまだまだ足らぬ、こういうふうに思っておりますから、これらの養成所に対する政府の補助金を大幅に増加して、各方面に対して補助する考え方があるのかないのか。 最後に私は、現在看護婦や准看護婦の資格を持っているけれども、子供がいるとか、家庭の事情とか、一番大きい問題は給与が低い、そういう大きな理由をもって就業していない人たちがおるわけであります。これはいま就業している人たちとほぼ同数いるといわれている。その潜在的ないわば資格を持っている人たち、これらに対してどう掘り起こすのか、これらに対して政府は、実態を把握して、この潜在看護力をどう活用をはかろうといたしているのか。ひとつこの二、三点の問題に対して、簡単でけっこうでありまするから明確な御答弁を大臣にわずらわしたいと思います。
○内田国務大臣 いろいろ貴重な御意見を拝聴いたしまして、御指摘の諸事項につきましては、たとえば看護婦への進学コースのための養成所の施設の充実というようなことにつきましても、これは制度の変更はございませんから、法律には載っておりませんけれども、私どもは、この五年の期間内においてこれを倍増するたてまえをとらんといたしておるものであります。さらに、官公立のみならず、民間の養成施設等につきましても、施設または設備の整備費につきましては、これは従来は国の補助金の形では出ておりませんけれども、医療金融公庫等からの融資につきましても実態に即するように私はこれを大幅に広げるべきである、こう考えるものでありまして、そういうことも心がまえをいたしております。 また、せっかく看護婦、准看護婦の資格を持ちながら、結婚と同時に第一線を引かれておられますようないわゆる潜在看護力の方々が再び第一線に復帰していただけますような、たとえば保育所等の施設、あるいはまた、もう一ぺん帰っていただくに足るような職場の魅力の充実というようなことにつきましても、ひとつあらゆる考慮をいたしてまいりたいと思うものでございます。私どもは、いまの見地から、またいろいろ各方面の御意向を聞きながら苦心をいたしまして、ほんとうに誠意をもって、また、それに伴う予算もせっかく五十年を目標とする計画を初年度として組み立てましたので、この上ともよろしく御指導をお願い申し上げます。
○田邊委員 いま大臣はるるとして言われましたけれども、先ほど申し上げたように、当面するいろいろな課題、解決を迫られているいろいろな事項、これに対して丁寧に、しかも一つ一つ着実に実行する、そういうような中でもって、医療の抜本改正とあわせてこの看護婦制度の根本的な解決への大道を歩まなければならないと思うのです。したがって、いま政府が考えているような、当面を糊塗するような、その種の考え方でもって切り抜けよう、こういうようなこそくな手段はやめにいたしまして、あくまでも学校教育に基づく看護婦制度の一本化をはかることを差し示す政府の態度というものを、この際国民の前に明らかにすることこそが政府の責任である、このように考えているわけでございまして、いま大臣の言われました二、三点に対して、その努力を買いながらも、やはり基本的な姿勢とその考え方の誤りを私は最後に指摘しておきたいと思うのです。 願わくは、政府は、これらの考え方をひとつ撤回をされて、新しい視野に立ってこの看護制度の抜本的な改革に取り組んでいただくことを強く要求いたしまして私の質問を終わります。
○倉成委員長 これにて内閣提出の保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○倉成委員長 ただいままでに委員長の手元に、伊東正義君から本案に対する修正案が提出されております。
○倉成委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。伊藤正義君。
○伊東委員 私は、ただいま議題となっております保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 お手元に修正案が配付してありますので、朗読は省略いたします。 要旨は、改正法案の附則において、政府は、昭和五十年末までに成果を得ることを目途として、保健婦、助産婦、看護婦及び准看護婦の業務内容、免許の資格等について調査研究を行ない、看護体制を確立するために必要な措置を講ずべき旨を規定しようというものであります。 何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。 —————————————
○倉成委員長 修正案について御発言はありませんか。——なければ、これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、本案に対する修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○倉成委員長 この際、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君より、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。田邊誠君。
○田邊委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案附帯決議 政府は、国民医療に占める看護職員の役割の重要性にかんがみ、次の諸点について特段の配慮を行なうべきである。 一 看護制度の改善は、今後における国民医療の動向その他社会経済情勢の変化を見とおし、慎重に行なうことが必要であるが、とくに看護職員の養成については基本的には、学校教育の体系に一元化する方向を志向することがのぞましいと考えられるので、逐次それに必要な体制の整備について検討を進めること。 二 当面の看護職員不足問題に対処するため、潜在看護職員の再就職を促進する措置を積極的に推進するとともに、養成施設の大幅な増設(とくに、国公立施設を重点とする。)とこれに伴う教員の確保、修学資金制度の拡充等看護職員の養成の強化に努力すること。 三 看護教育の向上を図るため、養成施設に対する指導を強化するとともに、民間養成施設に対する運営費補助については、実習病院で必要とする経費をこれに含めるなどその内容の充実及び増額を行なうこと。 四 看護職員養成施設における教員の資格制度を確立し、その処遇の改善を図るとともに、教員養成のための専用機関の設置について検討すること。 五 いわゆる進学コース、とくに定時制課程の設置を国が卒先して行なう等その増設につとめ、准看護婦が働きながら看護婦になるための途を拡大するよう配意すること。 六 看護職員志望者の確保と職場への定着を図るため、看護職員の給与処遇を大幅に改善すること。とくに国立医療施設については、夜間看護手当の大幅な引上げ、准看護婦の上位等級への昇格を含む医療職俸給表(三)の改善、臨床実習指導者に対する手当の支給、既婚職員のための保育施設の整備等の措置を講ずるとともに、育児休職制度についても検討すること。 七 人事院判定にそった夜間看護体制の実施に必要な看護職員の確保については、なお不十分と考えられるので、さらに大幅な増員措置を講ずること。 以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については、伊東正義君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
○内田国務大臣 ただいま御決定のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して、政府といたしましても努力する所存でございます。 —————————————
○倉成委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○倉成委員長 次に、自然公園法の一部を改正する法律案、検疫法の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。内田厚生大臣。
○内田国務大臣 ただいま議題となりました三法律案につきまして、その提案の理由並びに要旨を御説明申し上げます。 まず、自然公園法の一部を改正する法律案について申し上げます。 現在の自然公園法は、陸上の風景を保護し、これを適正に利用することを目的としておりますが、わが国周辺の海域には熱帯魚、サンゴ、海藻等美しい海中景観がありますので、これを保護するとともに、これを観賞し、もって国民の保健、体養に資することが必要であり、このため所要の改正を行なおうとするものであります。 以下、改正の要点につきまして御説明申し上げます。 第一に、厚生大臣は、すぐれた海中の景観を保護するために、現在のもののみならず今後指定する国立公園または国定公園の海面に、海中公園地区を指定することができることといたしております。 第二に、海中公園地区においては、熱帯魚、サンゴ、海藻等海中の主要な景観要素である動植物の採捕、工作物の新築、鉱物土石の採取、海面の埋め立て、物の係留等を行なうときは、厚生大臣または都道府県知事の許可を受けなければならないこととし、その景観を保護することといたしております。また、海中公園地区の周辺一キロメートルの海面においては、鉱物土石の採取及び海底の形状変更を行なうときは、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならないこととし、必要な場合には、これを規制することができることといたしております。 第三に、海中公園地区内においては、ごみその他の汚物をみだりに捨てる等利用者に迷惑をかける行為をしてはならないこととしております。 その他所要の改正を行なうことといたしております。 なお、この改正法は、公布の日から施行することといたしております。 以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、検疫法の一部を改正する法律案について申し上げます。 現行の検疫法は、制定以来大幅な改正を経ることなく今日に至っておりますが、近年とみに、わが国に来航する船舶及び航空機は増加を示すとともに、コンテナ船の就航、大型タンカーの出現など、輸送形態も大きく変化を遂げつつあります。 このような変化は、わが国のみならず世界的な動向であり、また、伝染病の近時における流行状況の変化にもかんがみ、昨年、世界保健総会において、現行の国際衛生規則にかわり、新たに国際保健規則が採択されたのであります。 わが国といたしましても、この際、同規則の趣旨にのっとり、検疫制度をその内容に即したものとするとともに、あわせて検疫業務の合理化をはかることとし、この法律案を提案いたした次第であります。 次に、改正法案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、発しんチフス及び回帰熱を検疫伝染病から除くことであります。 発しんチフス及び回帰熱は、近時、国際航行により伝染するおそれがほとんどなくなり、国際保健規則でも検疫伝染病から除くこととなりましたので、わが国においてもこれらを検疫伝染病から除くことといたしております。 第二は、検疫所長が、検査を行なうため、貨物の陸揚げ等を指示できることとすることであります。 近時国際輸送手段としてコンテナによる輸送が大幅に取り入れられてまいりましたが、この船舶内または航空機内での検査には、技術的な困難が伴いますので、その検査にあたり検疫所長が必要と認めるときは、これを検疫所長の指示する場所、たとえばコンテナ埠頭等に陸揚げさせ、または運び出させて検査を行なうことができるようにし、貨物の検査を効果的に行なうものであります。 第三は、衛生的に安全な船舶については、検疫区域で停船させずに、直接に、港に入れることとする道を開くことであります。 すなわち、現在の検疫方式では、来航する船舶を検疫区域で停船させた上で検疫を実施することを原則としておりますが、衛生的に安全であると判断される船舶については、直接に港に入れる方途を講じ、効率的な検疫を行なえることとするものであります。 第四は、検疫港及び検疫飛行場の衛生管理を強化することであります。 現在、検疫所長は、検疫港または検疫飛行場において、検疫伝染病について一定の調査を行ない、衛生措置を行なうこととしておりますが、検疫伝染病に準ずる伝染病についても、これらの措置を講ずる等これをさらに強化することといたしました。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。 日雇労働者健康保険につきましては、昭和三十六年以来法改正が行なわれないまま今日に及んでおりますので、給付内容をはじめ制度面についての改善が緊要な問題となっておりますが、一方、その財政は、今日、非常な悪化を来たしており、昭和四十四年度末には、九百億円に近い累積赤字が生ずる見込みでありまして、このまま放置すれば、財政的に破綻し、制度の崩壊は必至という情勢であります。 このため、政府といたしましては、今般、現行制度のたてまえのもとに、給付内容の改善及び保険料額の改定を行なうこととし、社会保険審議会及び社会保障制度審議会の答申の線に沿って改正法案を策定し、ここに提案いたすこととした次第であります。 次に、改正案の内容について申し上げます。 まず、給付内容の改善につきましては、第一に、療養の給付期間現行二年を二年半に延長し、また、その後においても、所定の保険料が納付されていれば、引き続き給付が受けられるようにいたしております。 第二に、傷病手当金の支給期間は、現行は二十二日でありますが、これを三十日に延長し、また、支給日額も現在二百四十円、三百三十円の二段階でありますが、これを四百円、八百円、千三百円の三段階として引き上げをはかることといたしております。 第三に、出産手当金につきましても傷病手当金と同様に、その支給期間、支給日額の改正を行なうことといたしております。 第四は、埋葬料につきまして、被保険者本人に対する支給額を現行四千円から一万円に引き上げることとしております。 第五は、分べん費につきまして、被保険者本人分べん費を現行四千円から二万円に、配偶者分べん費を現行二千円から一万円に引き上げることとしております。 次に、保険料額につきましては、昭和三十六年以来八年にわたり、賃金日額四百八十円以上の者は二十六円、四百八十円未満の者は二十円に据え置かれてまいりましたが、その後の賃金の上昇を考慮し、賃金実態に即して合理化をはかることとし、賃金日額千円未満の者は三十円、千円以上千七百円未満の者は六十円、千七百円以上の者は九十円に、保険料日額を引き上げることとしております。 なお、賃金日額四百八十円未満の被保険者につきましては、現行どおり二十円に据え置くこととしております。 最後に、この法律の実施の時期につきましては、公布の日からといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概略でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○倉成委員長 次回は、来たる十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十三分散会