社会労働委員会 第14号
- 発言数
- 300 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/24
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これをを許します。田邊誠君。
○田邊委員 今年も各労働組合による賃金引き上げを中心とした運動が行なわれておりまするけれども、景気の状態についての見解はいろいろありまするが、一応高原的に好景気が続いておるということもありまするし、何よりも消費者物価、最近は鉄鋼をはじめとする卸売り物価の上昇等も異常に続いておるという状態でございまするから、労働者の賃金引き上げの要求というものもまた非常に切実なものがありまするし、熾烈なものがございます。そういった点で、今年の春闘についての今後の見通し等についてはわれわれは非常に注目をいたしておるのであります。 そこで、きょうは時間がございませんから、きわめて端的に一言ずつお伺いしたいのでございますけれども、昨年大体一六%以上の賃金引き上げが見込まれたのでありまするが、今年ただいままでに一万円以上の賃金引き上げを確保したという労働組合がかなりあるということも聞き及んでおるわけであります。したがって、一万円以上の妥結を見たところ、回答を見たところが総数何ぼありますか。それから、現在の状態では一体どのくらいの額というものが平均的に出されておるか。それから、時期的に見た場合には、例年の春闘に比べて今年はかなりテンポが早いのかどうか。その辺についても、簡単でけっこうですから労政局長からお答えいただきたいと思います。
○松永政府委員 ただいまの御質問の第一点でございますが、一万円以上を出しました会社が相当数にのぼっておるということを私どもも聞いております。春闘共闘委等の調査によりますと、七百社以上がすでに一万円を出しておるということでございますが、私どものところでは正確にはまだ把握をいたしておりませんので、その点はそれでごかんべん願いたいと思います。 それから第二点といたしまして、全体としてどうかということでございますが、ことしは全体としてのテンポはややおくれがちでございます。ただ、月末に向けまして相当スピードアップされるのではないかというふうに私は見ておりますけれども、御承知のように、たとえば電機関係等がきのう、おとといストライキをやりましたけれども、まだ妥結を見ないというような状況でございます。 それからもう一つ、特殊の事情といたしましては、本年は万博関係等がございまして、例年よりは万博関連の産業、特にホテル等において早期に高額の妥結を見ておるというような状況がございます。 それから、現在までに早い組では新聞とか出版、放送、そういった関係が相当早目に妥結をいたしております。それから鉄鋼が昨年より四日おくれでございますけれども、七千四百円の回答をいたしまして、これはまだ妥結には至っておりませんけれども、例年の例から見ますと一発回答ということでございますので、おそらく妥結を見るのではないかというふうに見られております。 以上のような概況でございます。
○田邊委員 大体総評系でもって七百、同盟系で百以上が一万円以上の妥結ないしは回答を得られておるという状態でございます。鉄鋼は大体一発回答が例年のとおりでございますから、七千四百円回答は事実上の妥結になるであろう、こういうふうにいわれておるのであります。いま労政局長は、全体的におくれておるという話ですけれども、すでに新聞あるいはホテル等高額でもって妥結を見ておるところもかなりあるわけであります。春闘としてはいよいよ山場に差しかかっておるというふうにわれわれは判断をいたすわけであります。 そういう状態の中で、この春闘に対して政府は一体どういう態度をお持ちでありましょうか。自民党の労働問題調査会がつい最近見解を発表いたしましたが、現在の好景気並びに高物価の状態の中では賃金引き上げを行なうことは妥当であろう、実はこういう見解を発表しておることは、与党としての立場からいいますならば、私はひとつ注目すべき見解ではないかと思っておるのでありまして、やはり近代的な労使関係を打ち立てる上からいって、現在の労働者の要求ないしはいま言った諸条件、こういった点から見て自民党の労調がこの種の見解を発表したことに対して、私は一つの歓迎すべき事態であると思っておるのであります。したがって、政府もおそらくこの春闘に対しては、いまのような条件下における春闘という意味合いを踏まえますならば、当然これに対して何らかの態度、見解というものが示されなければならない、こういうふうに思っておるのでありますけれども、春闘に向ける政府の考え方、態度は一体どのようなものでありますか、大臣からお答えいただきたい。
○野原国務大臣 政府といたしましては、賃上げその他の労使間の経済的問題の処理については、労使が国民経済の動向や企業の実体をよく考え、相互信頼の上に立って自主的に話し合いを行なうとにより、問題の平和的かつ合理的な解決がはかられることを期待しておるわけでございます。また自主的交渉による解決が困難な場合には、労働委員会等の公正な第三者機関の力をかりることによって、平和的に早期に問題の解決をはかることにいたしたいと期待しております。
○田邊委員 私が質問通告をしたものを全部書いて一括して回答してはいけませんよ。私の質問は、いまの賃金引き上げというものがある程度必要である、こういう自民党の労調の考え方もあるが、政府もやはりこの春闘に対しては、現在の高物価あるいは景気の上昇、こういった点から見て、労働者の切実な要求に対してはある程度こたえなければならない、私は、答弁をすればそういうことになるのだが、そういう考え方であるかどうかということをお聞きしておるのであって、自主交渉の問題や、あるいは公労委や中労委に対するところの政府見解まで全部述べてくれと、まだ言っていない。その点をひとつお答えいただきたい。
○野原国務大臣 物価の上昇の現状等考えましても、これは容易でない問題である。したがって、そういうことが今後の賃金の問題に当然はね返ってくるということを考えております。したがって、ある程度の賃金の上昇はやむを得ない現象であろうかと思っておりますが、それにしましても、日本経済が当面しておるいろいろな問題を考えますると、安易に賃上げのみを主張されるという立場も困ると思います。そういう点で何とか労使間に理解と互譲の精神を加えて、ひとつ円満な妥結ができれば、何より幸いだと考えておるわけでございます。
○田邊委員 そのあなたの答弁に対しては、実は私、毎年やっておりますので、いろいろと論議をいたしたいところですけれども、きょうはお約束ですから論議いたしません。生産性に見合う賃金とか、あるいは物価の上昇を来たすおそれのある賃金引き上げについては云々というような見解が例年あるわけですけれども、今年は実は端的に自民党の労調はそういうことは言っていないのであります。その点の意味合いを大臣も十分くんで、賃金引き上げの妥当性というものに対して、やはりさらに突っ込んだ考え方をお持ちになるように私は切望したいと思います。 さて、さっき申し上げたような事態で、この月末に春闘の山場が参るわけであります。私鉄は御案内のとおり六千七百円の回答を不満といたしまして、さらに交渉を積み重ねるということを希望しておるのでありまするけれども、大手私鉄の経営者側はこれ以上交渉することはできないというのでもって、いわばあっせん申請をいたしたのであります。労働組合側は一方的なあっせんに対してはこれは拒否するという態度でありまするけれども、おそらく中労委は職権あっせんに踏み切らざるを得ない、こういうような観測をいたしておるわけですね。電機労連も、いま労政局長のお話しのとおり、いよいよ第二次の二十四時間ストライキを三十日にかまえる、こういう事態であります。私はやはりこの飛び石連休の中をはさんだ、三十日の私鉄、電機等を中心とし、全体的なストライキを踏まえての戦いが展開されることに対しては、国民に与える影響は非常に重大である、こういうふうに思っておるのであります。したがって、これに対してはもちろん基本的には労使の自主的な交渉を進めなければならぬ。第二番目には、中労委等の職権あっせん等の行くえを見なければならぬ、こういうことでありまするけれども、政府がやることがございますな。いま大臣がずっと棒読みされた答弁の中にもありまするけれども、私は一番大切なことは何かといえば、労使の自主的な交渉だろうと思うんです。私鉄についても会社はもっと交渉すべきである。経営者側はもう交渉はだめだ、行き詰まりだ、あっせん申請だ、こう言っていますけれども、私はこの辺に日本のいまの労使関係のいわば一つのネックがあるのじゃないか、こういうふうに思っておるのでありまするけれども、この三十日のいわば私鉄、電機等を中心とする統一ストを目前に控えて、政府の打ち出すべき態度と具体的な方法というのは何ですか。
○野原国務大臣 労使間の話し合いが好ましいわけでございますし、また自主的な交渉によってだんだんと要求その他が具体的に示されてくると、その段階において、やはりなかなか両者の話が合わないという場合が多々あるわけでございます。その際においては、やはり両者の間をあっせんする一つの機関として中労委があり、あるいは官公労の場合には公労委員会のいろいろな調停や裁定もあるわけでございます。なるべくそこまでいかないうちに話が妥結を見ることは好ましいわけでございます。まだそういう面で労使双方とも話し合っておる。あるいは腹の探り合いをしておるのかもしれませんが、一日も早く話し合いを進めていっていただいて、ある程度の線が出て、これならよかろうということになれば一番いいのでありますが、どうにもしようがないという場合には、それらの機関によって妥当な解決をはかっていただくというしかけになっておりますので、それを大いに期待しておるわけでございます。
○田邊委員 しかけの話はいいですから、政府は見解を示すべきだと思うのです。私のほうから結論を言います。やっぱり民間の私鉄等の大手についても当然自主交渉をもっと煮詰めて、会社側が最後のところまで誠心誠意、労使間の交渉の中でもって最終の決着をするということをまず基本にすることを、私は大臣の答弁の中にもそういう点が読み取れると思っておりますので、そういった点で政府の努力というものを、いわゆる労使双方に対して、最後までそういった粘り強い交渉をやって最終的な決着をすべきだ。それから中労委等については、当然三十日の事態を踏まえて、これを考えながらひとつ具体的な措置をすべきである、こういうことを政府が働きかける必要がある、このように考えておるわけであります。そういう私の考え方に対しては、あなたは一致されますか。うんとかノーとか言えばいいのです。
○野原国務大臣 この問題につきましては、労政局長が専門家でございますから、労政局長から答弁させます。
○田邊委員 そういうのはやっぱり政治家として、あなたは最高責任者として、労働大臣としての感覚でもって、考え方でもって判断しなければいけませんよ。 そこで、それではいまの質問とあわせて答弁を求めますが、民間の大手がいま三十日を控えておるのですが、公労協関係も三十日に統一行動、それから来月の八日にさらに統一行動を踏まえておるわけです。したがってこの公労協に対して——これがいわば春闘の最後の山場になる、こういうように予想されるわけでございまするから、この公労協に対する解決に政府が最大の努力をすることは、これはもう民間と違いますから絶対必要なことである、こういうように思っておるわけでありまするけれども、私はこの公労協のいままでの状態を見ますると、何といっても当局側がいわば交渉の能力を持たない。たががはめられている。当事者能力を持たない、自主交渉をしない、こういう状態であります。組合も今度は調停、あっせん、仲裁等の助けをかりないで、何とか自主交渉で解決をしよう。国鉄、動労は調停に持ち込んだようですけれども、これは合理化の問題であります。賃金問題はもっといわば煮詰めるべきである、こういう公労委会長の見解によって、事実上の差し戻しという状態であります。したがって政府は、この公労協の賃金引き上げに対しては、ぜひひとつ各企業に対して、各管理者に対して当事者能力を持たして、自主交渉で具体的な回答をする、これをぜひひとつ早期にやってもらいたいというように思うのですけれども、このたばねであるところの労働大臣は、この公労協の賃金引き上げに対して、明確な見解を示してもらいたい、こういうように思うのです。これはできますね。もう十時半なんだから、忙しいから、大臣がきちんとした答弁をしなさい。
○野原国務大臣 三公社五現業等につきましては、いろいろ問題があるようでございます。特に国鉄は、いろいろな合理化の問題や財政上の事情から、すでにもう労使ともなかなかお互いに回答を出しづらいということで、ついに公労委のあっせんを依頼したという段階でございます。ほかの二公社五現業につきましては、先般来から話しておるのでございますが、当事者の間でできるだけ話を煮詰めていく、具体的に回答を出すことが必要ではないかということで、実は両者にそういう話をしておるわけでございます。そういう面でできるだけ早く一つの回答がそのうちに明示されるのではないかと考えておるわけであります。しかしその場合であっても、おそらくはなかなかどうも御満足のいけるような回答が困難だろうと予想されます。その際においては、公労委のあっせんに持ち込まざるを得ないということでございますが、さてそういうことの段階におきまして、早くもストライキの宣言というようなことがございます。どうも私は、御質問にはございませんけれども……(田邊委員「よけいなことは言わないでいい」と呼ぶ)そういう問題がございまして、どうも公労委のあっせんの過程においてそういう問題が出ますと、これはまことに好ましくないということで、私の名前で実は警告を発したわけでございます。まあ何とかその前に円満な妥結ができるように精力的に努力いたす決心でございます。
○田邊委員 それじゃもう、大臣、一応の前段の自主交渉、当事者能力を発揮して具体的な回答をする、こういう大臣の言明を私は信頼をして注目をしますから、きょうはこれで打ちとめますけれども、引き続き社労委員会の機会あるごとにその具体的な経過について御報告を求めるようなことを私はお願いしたいと思いますので、ぜひそういうことでもってあなたの最大の努力を心から希望してきょうの私の質問を終わります。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、内閣提出の家内労働法案、田邊誠君外六名提出の家内労働法案、同じく最低賃金法案の各案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。島本虎三君。
○島本委員 大臣がいまおりませんので、その間、直接大臣に関係はありますけれども、その他にも関係のある問題について、この際明らかにさせてもらいたいと思います。 いよいよ家内労働法が発足する日も近いわけでありますけれども、家内労働関係でやはり危倶されている点が若干あります。その若干ある危倶されている点、こういうような点は何としても解明しておかなければなりません。家内労働手帳が今後出されることになっても、何らそれに対して恩典がないではないか、恩典がないままに発行するのでは無意味じゃないか、こういうような声があるわけであります。これはまさに、家内労働手帳を発行するためにしかるべき恩典があるということだけは明確にしておかなければならないことは論をまちません。そうして明瞭に恩典をうたって普及することになれば、まさに一石二鳥である、こういうようなことになるわけであります。 しかしそれにも増して家内労働法、この適用になる家内労働者、こういうような人たちが百四十三万人にも及ぶという推定があるのであります。それらの人たちはやはり家内労働者として、退職金や労災保険や社会保険や失業保険、こういうようなものは、家内労働者自身の負担にならないようにしてこれらを実施さしてやらなければならないし、してほしいものだ、こういうような声もないわけではないのです。私はそういうような観点から、家内労働者の社会保障はどういうふうに考えているのか、この点についてまず議論を展開していきたい、こういうように思うのです。家内労働者の社会保障についてどう考えておりますか。
○和田政府委員 お答え申し上げます。 家内労働者の社会保障問題につきましては、臨時調査会におきましても家内労働審議会におきましても、非常に御熱心な御討議がございました。この討議の過程では、家内労働者は確かに雇用労働者ではないけれども、雇用労働者的な見地から社会保障を考えるべきではないか、こういうご意見も出ましたわけでございます。しかしいろいろ審議を尽くされました結果は、社会保障制度につきましては今後さらに検討をしていくべきだ、こういう趣旨の答申が最後に出たわけでございます。これはもっぱら性格論からまいったものでございまして、家内労働者は、この法案の定義にもございますように、いわゆる人に使用されるものではない、そういう意味における使用従属関係心ないことを前提にいたしてこの法案を形成をしておりますので、人に使用され、使用従属するというたてまえの社会保険関係のものを入れるのは非常にむずかしいであろう、こういうような結論になりまして、社会保障制度に対しては今後さらに検討をする。しかし、雇用労働者という性格としてつかまえない、一般的な意味における社会保障制度はもちろんあるわけでございますが、その上については当然それぞれのものを所管される各省において、社会保障制度全体の問題としてお考えをいただくということでございます。 さらに、労災保険の問題が出ました。労災保険につきましては、これは労災保険のほうに特別加入制度というものがございまして、雇用労働者でない者につきましても特別の加入制度を認めていく。俗にいわれる一人親方、こういうような方に対する特別制度がございますが、その制度を活用することによって、家内労働者のうちで危険及び職業性の疾病の危険度の高いものについては特別加入を認めるべきであろう、こういう趣旨の答申があったわけでございます。それを受けまして、労働省としましては、今後新しくできます家内労働審議会の御意見を聞きつつ、労働者災害補償保険審議会のほうにおきまして、特別加入について、前向きの姿勢でこの特別加入を認めるようにしていこう、こういうことになりました。現在では、いま申しました安全上問題のあるもの、職業性の疾病の出る可能性の強いものについては特別加入制度を認めようということになりました。その場合におきまして保険料が問題になります。特別加入制度は加入した御本人が保険料を払う、こういうたてまえになっております。そのたてまえは貫くけれども、実質的には保険料が委託者の負担になるような行政指導をするようにと、こういうことになっておりますので、私どもといたしましても家内労働法案が成立をしました暁には、保険料は一括して委託者のほうで負担するような行政指導をさしていただきたい、こういう考えでございます。
○島本委員 さすがに答弁をはぐらせるのはうまいですね。労災保険だけを聞いたんじゃないんです。これだけが社会保障ですか。それを丁寧にやっても、そのほかのやつは全部抜けてるでしょう。家内労働者は雇用関係がおっしゃるように明確ではなくても、これは労働者であるということには変わりないわけです。あえて言うと、一人親方、こう言われるのかもしれないし、経営労働者、こう言われるのかもしれないし、それはいろいろ言われるのには相違がありませんけれども、労働者であることには変わりありません。したがって、彼らに対する社会保障、こういうようなことに対しては一般の被用者並みの水準を維持してやることは肝心だと思っているのです。それは当然でしょう。したがって、この家内労働者に対しての医療、老齢保障及び失業保障、こういうようなものの制度の適用、こういうようなものが大事になるのです。あえて労災だけを聞いたのじゃないのです。保障というと当然、病気になったときの保障が一つ。それをいまあなたが言ったにすぎない。仕事がなくなった場合の保障、失業保険、これは何も言わないでしょう。それから老齢になった場合の保障、年金関係、多分にあるでしょう。これも何も言わないでしょう。少なくともこれらの三つを社会保障的な考え方、制度、こういうように言うじゃありませんか。これは労災だけを言っていたって何にもならぬですよ。そういうようなことであなたも肝心なところをはぐらかしちゃだめですよ。それで、どう考えているか、言ってください。
○和田政府委員 ことばが足らなかったようでございますので、補足をさしていただきますと、先ほども申し上げましたように、雇用労働者という立場で家内労働者をつかまえることは今回の法案では少し無理でございまして、雇用労働者でないものについての家内労働法案というかっこうになっておるわけでございます。雇用労働者につきましては、基準法その他があるわけでございます。したがいまして法律案の構成として、雇用労働者であることを前提にするのはむずかしいわけでございます。 それに対しまして、いま先生の御指摘の医療の問題あるいは失業保険の問題、これはいずれも雇用労働者を前提にした上での使用者の負担という構成になっております。その点は家内労働審議会におきましてもいろいろ御議論がございまして、当面雇用労働者的立場での各種社会保険を適用することは無理であろう、しかし一般的な意味における社会保険制度全般の問題としては、国民でありますから当然その適用対象になる、そういう場合に非常に労働のにおいの強いこういう家内労働者に対する社会保障、あるいは具体的に言いますれば失業、医療、そういうような問題についてはさらに今後諸般の制度とのかね合いで検討を続けていくことが望ましい、こういうのが家内労働審議会の答申でございますので、いま先生のお話しになりましたような意味合いも込めまして今後検討をさしていただきたい、かように思います。
○島本委員 依然としてやはり官僚的答弁です。失業した場合にはこれは雇用関係がないからだめなんだ、この前提に立ってだめだといえばだめなんです。何のために擬制適用ということばがあるのですか。労働者であるならばこれは擬制適用、こういうようなものも考えてやって、そして失業したときの保障の手段としてある、こういうようなことだって当然考えられてしかるべきだと思うのです。失保に対しても、これは雇用関係がなければだめなんだ、これはもうはっきりわかったのです。擬制適用という方法もあるのですけれども、せっかく家内労働法をつくりながらこの擬制適用さえも考えないのですか。これは委員長、大事なことですな。
○和田政府委員 いま先生の御指摘になりました擬制適用問題も、実は論議がございました。そういう意味からしまして、労災には一種の擬制適用が現在あるものですから、それで特別加入ということで労災のほうは対処することができたわけでございますが、それ以外の社会保険一般につきましては、どうも擬制適用制度が現在ないわけでございます。それには各制度ごとにそれなりの理屈のあることでございますので、今日の段階で直ちにそれぞれの社会保険の法律の中に擬制適用制度を設けるべきだと言い切るのはなお問題があるだろう、こういう御趣旨のように審議会の審議を私ども承っております。だからそういう意味では、先生の言われるとおりのことも今後研究させていただきたいと思います。
○島本委員 どうもだめです。そういうようなのは長々言ったってだめだ。時間の関係上ことばを簡潔にして、だめならだめだといって引っ込みなさい。老齢の場合、厚生年金に入れてやったらいいじゃないか。これに対してもやはり雇用の関係がない、こういうようなことになってだめなんですか。この点だけはだめかいいか、これだけ一つ言ってください。
○和田政府委員 現在のところでは残念ながらだめでございます。
○島本委員 そうすると、せっかく家内労働法をつくりながら、この社会保障的なものはおそらく、病気になったときの保障と思われる国民健康保険、また労災保険関係は、これは特例による措置として認められる、それ以外は、今度は仕事がなくなったときの保障も老齢時の保障もない、一般的だ、こういうようなことになってしまうわけです。そうなると、何らかの方法でこれはカバーしてやらないと、世界各国ができても、まだ家内労働法ができないから、日本ではこのことが問題になってから十年、ほぼ十年たってようやくできてきた。それなのに、依然としてこういう状態でこれを発足させるということになったら、これは手放しで世界に誇れるような法律ではない。このことだけははっきりしているわけです。この不利を何でカバーしてやるのか、これも問題だと思うのです。これは官僚ではだめですが、大野政務次官、こういうような不利な点は、失業した場合、または老齢の場合、こういうようなものは何らかでカバーしてやらなければならない、こういうふうに思うのですが、これに対しての考え方を承っておきたいのです。
○大野政府委員 現在の状態におきましては、先生の御指摘のように、十二分にはいっておりませんことははなはだ残念であります。しかしながら今後、現在の国際情勢あるいは国内情勢からいっても漸次これを改善していき、一日も早く、可及的すみやかにやるようにしたいと考えております。
○島本委員 熱意と意欲はわかりますけれども、そういうことを言っても官僚が言うことを聞かないものです。こういうように指摘されなければわからないような状態じゃ困るのです。しかしほんとうにないのか、これをつくる場合に、通産省と十分連絡をとったかどうか、このことも私としては問題になるわけです。これは、通産省関係には小規模企業共済法というのがあるということを聞いているのですが、これはどのようにして運営されていますか。
○斎藤説明員 小規模企業共済法によりますと、共済契約を締結することができる事業者は小規模企業者でなければいけないということになっておりますが、その小規模企業者の範囲は、第二条によりますと、常時使用します従業員の数が製造業等の場合には二十人以内、その他の商業、サービス業の場合は五人以内の小規模の事業者であることということになっております。この家内労働者が小規模共済にかけ得るかどうかという問題でございますけれども、一応小規模企業共済法によります要件は小規模事業者であるということが要件でございますので、事業としてそれを営んでおることが必要かと存じます。したがいまして、家内労働者の場合も、それが製造加工等の委託業務を業として営んでおれば、小規模企業共済法の対象になり得るかと存じます。
○島本委員 それだったら、もうこれははっきり二条で定義があるわけです。これはもう請負をすることになっておりますから、そのためにこれは純雇用労働者と認めないんだから、認めない以上、請負をされていたら、これは小規模の企業者、こういうようなことに当然なるのです。これはなるのかならないのか、労働省、これはどうですか。
○和田政府委員 先生が御指摘になりましたように、法律の第二条の第二項に家内労働者の定義が書いてございますが、これによりますと、「物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者」から「その業務の目的物たる物品について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者」でありまして、さらに同居の親族以外の者は人を使わないということを普通の常態としておる、こういうものということでございますので、ただいま通産省のほうからお答えがありましたように、人を使用をしておるという状態にはなりにくいのではないか、かように思います。
○島本委員 そうすると、小規模企業共済法の適用は家内労働者は受けられない、これをここで断定することになりますが……。これは大事ですよ。
○斎藤説明員 小規模企業共済法では、事業主であることが必要でございますけれども、従業員をかかえておることが必ずしも必要ではございません。従業員の数が、製造業であれば二十人以上であってはいけないとか、商業、サービスなら五人以上であってはいけないということでございますので、従業員が一人もおりませんで、自分だけで事業を営んでおる事業主も小規模企業共済法の対象になります。したがいまして、家内労働者も、それが事業として継続してやっておられれば、小規模企業共済法の対象になりまして、共済契約が締結できると考えます。
○島本委員 通産省でそういうふうに……。労働省のほうでは、それに該当しないという理由はどこにあるんだ。とんでもないじゃないか。
○和田政府委員 私のことばが足りなかったようでございますが、いわゆる俗に言う使用者という立場ではないということを御説明しましたが、小規模企業者という立場にはなり得るという通産省の御答弁は、そのとおりでございます。
○島本委員 そうするとやはり、政務次官も御承知のように、社会保障関係の点では、病気になったときの保障はまずまずあるけれども、仕事がなくなった場合の、失業したときの保障だとか、老齢になった場合の保障というのは、まだ手薄である。こういうふうになった場合は、何らかの方法でこの不利をカバーしなければならない。通産省のほうでは、小規模企業共済法というのがあって、それにこれは該当するものであるという見解がここで成り立ったわけです。そうなると、やはり今後は、このもう一つの方法として、これによるところの一つのカバーする方法も考えてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うんです。これは次官、この点に対してはよろしゅうございますか。これはもうそっちじゃなく、あなたのほうで……。
○大野政府委員 通産省において、そういうようなものがあるという御指摘であり、労働者じゃないじゃないかというわけでありまするが、もちろん私どももそれは考えてないものではございません。今後一日も早くそういうようなものをつくるように努力して、そして救済方法等においても、もっと確立したものをつくりたいと考えておる次第です。
○島本委員 そうすると、これはやはり、小規模企業共済法という法律があって、その範疇に入ると、こういうようなことはまずはっきりしたわけです。そうなりますと、その小規模企業者、こういうような中に家内労働者も入るとすると、これはもう名称のいかんにかかわらず、国民健康保険あるいは国民年金、こういうようなものとは別に、小規模企業共済法に基づくところの措置というようなものもあえてとり得るということになるわけです。そうですね。通産省のほうに重ねて聞いておきたいんですが、御承知のように、国民健康保険、それと国民年金、これがあるんですけれども、そのほかに、かてて加えて、この小規模企業共済法というものをつくらざるを得なかったというこの理由、これをお知らせ願いたいのです。
○斎藤説明員 ただいまの家内労働法にいいます家内労働者は常に小規模企業共済法の対象になるかという点でございますけれども、先ほど申しましたように、事業として営んでおる場合に適用になることになっておりますので、反復継続してその事業が行なわれておることが必要かと存じます。したがいまして、一回限りの内職といったようなものの場合は、この業として営んでおると認められない場合には適用にならない場合もございます。 それから、小規模企業共済の目的でございますけれども、これは法律の第一条に書いておりますが、小規模企業者の相互扶助の精神に基づきまして、小規模企業者が事業を廃止したりいたしました場合に、その後の転換のための資金を確保するとか、あるいはその後の生活の安定の資金を確保する、そういう目的で小規模企業者相互に掛け金を掛け合いまして、一定の、たとえば廃業等が主たる事由でございますけれども、事由に該当する場合には共済金を払う、こういうふうな仕組みで、いわば小規模企業者の相互扶助的な制度でございます。
○島本委員 そういたしますと、小規模企業者とこの家内労働者、これらに対しましてこの小規模企業共済法が適用されるとしても、この制度が対象者の福祉の増進にどれだけ役に立つかという点でも、まだ若干の疑問がないわけじゃないということに相なります。いまも説明がございましたが、その法律の第一種共済契約によりますと、一、事業を廃止した場合、二、疾病、負傷または死亡した場合、三、六十五歳以上で掛金を二十年以上納めた場合、この三つの場合に共済金を支給する、こういうようなのがたてまえになっているようであります。そういたしますと、事業の廃止、これは二条の三の一号、ここになりまするけれども、小規模の企業者や家内労働者、これはもうそれを業としておる該当する家内労働者に対して、失業保障の制度としてはこれしかない、こういうふうに考えていいものだろうかどうか。それと同時に、失業保険の任意加入者として認めることができないのかどうか。これもやはり依然として問題として残るわけでありますが、この点は、両省にお伺いしておきたいのですが、どんなもんですか。
○和田政府委員 失業保険につきましては、私どものほうからお答えさせていただきますと、失業保険は五人以上のものについて一応現在適用になりまして、将来は全部の雇用労働者に適用になりますが、これも先ほどお答えしましたように、雇用労働者ということが前提になっておりますので、任意適用制度がいまの法律にはございません。そこで、現行法では無理でございますが、将来の問題としては、私ども研究をさせていただきたいと思います。
○島本委員 なるほど現行法では五人以上の人は強制ですけれども、任意加入というやつだって、これは考えられないわけじゃないでしょう。任意加入ということでこれは考えて実施してやれるかどうか、また、やるべきじゃないか。任意加入者と認めることができないかどうか、これをやるべきじゃないかということなんです。それでなければ、この小規模企業共済法の中ではなかなかその実をあげることができないような内容であります。そうすると、それを適用することができる家内労働者でもなかなかそれによることが、困難であるし、制度としても十分ではなさそうである。そういうふうなことになると、やはり失業保険の任意加入者ということで認めてやってしかるべきじゃないのか、こういうふうに思うわけなんです。これはやはり重大なポイントなんですが、通産省のほうでは、小規模企業共済法の場合なんかには、ほんとうに制度としてこの程度が万全なものですか。これで満足に運営されていますか。
○小宮山政府委員 お答えいたします。 この法律が万全かといわれますと、これは五年ごとに見直しをすることになっております。来年これが時期に入りますので、この点はいろいろ考えまして改正をしていきたいと思っております。
○島本委員 そういうふうにして、家内労働法が出てこの問題を先にやったから、その内容で十分説明しなければならない点があるのです。家内労働者そのものの範囲にも三種類あるのだ。こういうふうなことになっている。そのうちの二種類はここに該当するのだから、家内労働者は現在は小規模企業者共済法−小規模ですからおそらく一人でやる経営者でもこれに該当するのだから、まさにこの家内労働者のこれを専業的にやっている人は当然該当するはずなんです。ですけれども、たった十六万人くらいしか該当者がいないのだそうじゃありませんか。この家内労働者のほうでも、適用人員百四十三万もあるそうですね。そうなると、通産省側のほうでもこの法律を宣伝しているのか宣伝していないのか、共済法であるからそういうようなものに対してあまりPRもしておらない、その結果両方の接点がずれてしまっているからこういうふうなことになるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。私はそういうような点からして、小規模企業共済法、この第二条の三の二は「疾病、負傷又は死亡」による共済金の給付なんですけれども、この制度は家内労働者が疾病もしくは負傷により仕事ができなくなった、こういう場合にも当然これは適用されてしかるべきものである、こういうふうに思うわけなんです。
○小宮山政府委員 その場合掛け金の納付を続けておれば、そのとおりでございます。
○島本委員 したがって、家内労働者等には一般日雇い健康保険並みの傷病者手当の制度が適用できないためにこの制度をつくってあるのだ、またこれも当然利用できるのだ、こう考えてもいいのじゃないかと思うわけです。そうすると、疾病のために労働に従事することができないで報酬を得ることができないときは、第四日目から一日について標準報酬日額の六割相当を六カ月問支給するというたてまえになっているのが政府管掌の健康保険、こうなっておるわけです。そうすると、政府管掌の健康保険でも家内労働者に対しては適用がないとすると、ますますもって、法律をつくっても、家内労働者は一人親方としての小規模企業共済法、これによってもほど遠いし、またこの政府管掌の健康保険、これに入っても優遇措置も受けられない。こういうようなことになれば、これはやはり法律をつくっても、現行のいい制度もなかなか利用させられないというようなことでは、別に誇れるような法律でもないじゃないか、こういうように思わざるを得ないわけです。これは申しわけありませんが、小規模企業共済法なんか、ほんとうに払い込んだ金に利息をつけてただ返す程度のものにすぎない状況なんです。ですからこれも完全ではない。また制度そのものの適用ということになりますと、これは残念ながら労働省のほうの考え方も、せっかくこれをつくりながら画竜点睛を欠いておる、こういう観なきにしもあらず、こういうようなことに相なろうかと思います。それでせっかく適用できるというような法律である場合には、これも改正する時期に来ているんだというようなことであるならば、あわせて政府管掌の健康保険、それと小規模企業共済法、これあたりでも結局社会保障的な面を持つのでありますから、その点は名前が保険であっても共済法であっても考えてしかるべきじゃないか。これは国庫負担なんです。失業保険の場合は四分の一国庫負担、これは三百九十五億ほどいっておるわけですね。労災保険の場合は十七億、給付費のみについての負担があるわけですね。それから政府管掌の健康保険の場合には、議論になったとおり二百二十五億も負担しておるわけですね。それから厚生年金の場合には給付費の二〇%の国庫負担、これは坑内夫の場合には二五%、事務費全額国庫負担になっておる。国民年金の場合にもおおむね保険料総額の二分の一の国庫負担、福祉年金は全額、一般失保の場合は四分の一、それから日雇いの場合は三分の一ですか、そうなると国庫負担の全額が三百九十五億、こういうようになっておるわけです。少なくともこれは社会保障的な運営の中に一つの補完的な役割りを果たさせる、そしてこの不利をカバーさせるための一つの補完的な運用にするというならば、もっと国庫負担の点を十分考えて、この三つの種類に分類されると思われる家内労働者のうちの二つはこれが適用になるはずですから、こういうような面においても十分これはカバーしてやるべきじゃないか。この点は十分考えて、今後の改正の資にしておいてもらいたい、こういうように思うわけです。 もう一度、この件に対して両省の政務次官から、これは官僚答弁じゃなく、皆さんの決意を込めて伺いたいと思うのです。基準局長からは何も聞かぬでもいいですから……。
○大野政府委員 先ほど申し上げましたように、前向きの姿勢でもって十分に取り組んでいく所存であります。もちろんわが国は平和国家であり、なおかつ社会福祉あるいは社会保障というものの充実を目ざしておる今日において、いまだ不備な点もございますけれども、その前段としてまずこの法案を通し、そしてまた不備な点は十二分に補足してやっていく心がまえでおりますから、どうかその点御了承賜わりたいと思います。
○小宮山政府委員 共済制度については、先生のお話のように来年五年目になりますので、その見返しをしなければならないので、ぜひそういう点も勘案して今後とも前向きでやりたいと思います。現時点においては、政府出資が四億でございます。それから事務費については三億補助をいたしております。
○島本委員 それでも少ないですね。ほかのいま私がいろいろ読み上げたものに比較したら、相当少ないです。まだ社会保障的じゃないから、そういうことを主張しないから、またそういうふうに活用しないから、それからはずされるから、その程度なんです。おそらくは家内労働法ができたあとはそれを適用する人も当然あるわけですから、その場合においても十分国のほうでもあたたかくこれを指導してやるべきだ、見てやるべきだ、こういうように思います。 それとあわせて、この二条の三ノ三に、六十五歳以上で二十年以上掛け金を納めた者に対してのみ一時金、こういうようなことのようですけれども、厚生年金並みにこれは六十歳以上にやはり附正してしかるべきじゃないか、こういうように田うのです。この点等についてはどうですか。
○斎藤説明員 御指摘のように、老齢給付の場合は六十五歳以上で二十年以上掛け金をかけた場合というのが条件になっておりますけれども、本来この共済法の目的が事業の廃業の場合のあとの転換資金なり生活の安定資金というものを共済金として給付するというのがねらいでございますので、老齢給付というのが本来の目的ではございません。そういう事情もございまして、一応六十三歳といたしておりますが、さらに御指摘の点は検討してみたいと存じます。
○島本委員 もう少しやりたいと思いましたが、建設のほうで待っているそうですので、これ一つだけに限ってやってもらいますが、いま申し上げたように、通産省のやっているこの小規模企業共済法、これはわずか十五万程度しか加盟者がないということのようです。百四十三万名も家内労働者は数えられるのです。また一説によると三百万名もいるという。こういうようなことになっているのです。しかしやはり依然として十五万程度の小規模企業者の共済法の適用程度では、これはどうにもならないと思います。ですからその点は家内労働法の成立にかんがみて、今後この適用拡大の努力は当然すべきだ、こういうように思いますが、ひとつ決意を聞かしていただいて、それであなたのほうはよろしゅうございます。
○小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりに前向きに検討していきたいと思っております。
○島本委員 そういうようなことでございます。私があえて申し上げる必要もないほど、これはもう労働者であるといっても家内労働者の場合は労働者じゃない。じゃ企業者であるかといっても、いまのようにつっかかるところがある。家内労働者の場合はいずれのほうをとっても——普通の雇用関係にある労働者、またはもうこれは一人でも経営者ですから、そういうような場合には、いずれをとっても世間並み以上にこれを優遇してやるのでなければ、これらの恵まれない人に対しての今後の手厚い保護にならない、これは言うまでもないほどはっきりおわかりのとおりなんです。私はそういうようなことからして、大野政務次官、ことばは前向き前向きといういいことばですけれども、指摘してみると実際はまだまだあるのです。家内労働者の社会保障、いま私のほうでこの面を見ても、軽労働者である、また経営者である、この考えのいかんを問わず、病気になった場合の保障はまずまずであっても、あとは仕事がなくなったり老齢になったときの保障は一般の国民並みであって、あえてもうこれはそれ以上の恩典は何らない。手帳は出す。手帳を出す以上、こういうような点についても十分恩典を与えてやるように考えるのでなければ、今後手帳そのものに対しても十分浸透もしないだろうし、運用いかんによっては今後これがあまり活用されないんじゃないか、こういうような点も私自身としてはおそれるわけなんです。したがっていまいろいろありましたけれども、失業保険の適用の問題、厚生年金を適用させる問題、こういうような問題は、現在のところではまだ雇用関係がないという事実のもとに不利な状態に置かれてありますが、この不利をカバーするためには今後十分皆さんの努力を期待しなければならない、こう思っているのです。私の言うのは決して無理じゃないと思うのですが、これは政務次官、二つだけは重要ですから、今後これだけは忘れないで十分の手当てをしておいてほしい、こういうように思うのです。いま言ったの十分おわかりですね。じゃ決意を聞かしてください。
○大野政府委員 ただいま先生御指摘の失業保険あるいは厚生年金等において、一方においては事業主あるいは雇用労働者、そういうようないろいろなむずかしい問題点がありますけれども、その点についても一般国民並みじゃないか、その他のことについては一般国民並みじゃないかというお話でありますが、もちろん私どもも先ほど申し上げましたように、その点についても、今回提出のこの家内労働法の中において不備があるじゃないかということで考え、またその点についても前向きの姿勢で今後進んでいきたいと考えておりますから、ここら辺はどうかひとつよろしくごしんしゃく賜わりたいと思います。
○島本委員 委員長、十一時十五分になっても大臣まだ来ないのですか。
○倉成委員長 急がせましょう。
○島本委員 じゃ政務次官、あなたが答えることは全部大臣が答えたのと同じような重みを持つことにしてこれから進めていきたいと思うのです。これは委員長も聞いていますから、そういうふうにして、あとからそういうような意味じゃないということがないように、ここではっきり確認をしておいてもらいたいと思う。ことに基準局長は御存じのようになかなか能弁家であって、能吏でありますから、言を左右にしていろいろ糊塗するくせのある人ですから、今後これに対して十分カバーしておいてもらいたい、こういうように思うわけです。 私があえて聞きたいのは、低い工賃だとか劣悪な労働条件、非衛生的な作業環境、こういうような中で長時間労働をしいられておった。しかも継続的な仕事の保証もされない、そして無権利の状態に放置されておった。これがいままでの家内労働者の実態であったわけであります。しかしこういうような状態を是正するために、また世界的な一つの流れのもとに、十年間の準備期間を置いてようやく提案されたのがいま審議中の家内労働法、こういうようなことになるわけです。御承知のようにGNPは自由主義の国で二番目を誇っているわけです。しかしながら、いまごろになってこの家内労働法を提出された。まさにおそきに過ぎた、こういうふうな感がないわけでありません。しかし提案された以上、これは憲法で保障された健康で文化的な生活を営む権利を家内労働者に保障するために、これを十分審議し、そうして政府もその趣旨を体して、答弁はもちろんですけれども、今後十分誠意を示しておいてもらいたいし、修正すべきは修正してもらいたいし、そして検討事項については、いままでも答弁ございましたが、十分検討してもらいたいし、それで附帯決議が出されましたならば、当然その意に沿って今後関係各省庁を通じて積極的な態度をとるべきだ、私はそういうふうに思うのです。これは大臣に決意を聞いてから入りたいのですが、まだ依然として来ません。この決意だけはあなたに聞くのも大臣と同じことですから、ひとつこれをはっきりさせておいてもらいたい、こういうふうに思うわけです。
○大野政府委員 附帯決議等につきましては、もちろんその御意見を尊重して十二分に配慮してやっていく所存であります。
○島本委員 附帯決議等についてはということですけれども、これは今後審議の過程で、いま言ったように附帯決議だけじゃなしに、その内容等によって各省庁にわたる場合もあるわけです。その場合に、いまのように連絡が十分でないというような結果もここに露呈されたわけです。今後これを通した場合には附帯決議についても、また検討事項としていろいろ言われた点についても、あるいはまた修正すべき問題があった場合には、進んでそういうようなことに対して誠意を示すべきである、こういうようなことなんです。だからいまのように附帯決議だけじゃなしに、修正するものはする、附帯決議は十分守る、検討事項は今後身をもって十分誠意を示す、こういうようなことでこれに応じてやってもらいたい、こういうふうなことなんです。これは当然過ぎるほど当然なことなんです。私はそのようにやります、こうあえてもう一回言ってください。
○大野政府委員 審議の過程においていろいろな問題が出た場合に、意見が一致を見、あるいはその点においてやるべきことがあれば、これは十二分にしんしゃく、またそしゃくいたしましてやっていく所存であります。
○島本委員 今度は家内労働法制定についての今度の問題点について、逐条ごとに承っていきたい、こういうふうに思っております。 まず、私どものほうでは、前にも申し上げましたように、家内労働者、こういうことになりますとなかなかこれは把握しがたいような状態にあるわけです。そうして、この業者に対する規制、こういうふうなものは、内職者の権利を擁護するためにも、今後これをきびしく規制するのでなければめだし、いままでの考えのように、ただ追従するだけでは、この法律も十分に実施されるようなことにならない。すなわち、悪質業者に対しての取り締まりを厳重にするということです。これは刺しゅうまたは弱電、こういうふうなところに見られるのだそうでありますけれども、誇大広告で人集めをするが、しかし内容はそのとおりじゃなく、悪質と思われるような業者もいる、こういうふうなことであります。これではせっかく法律をつくっても、家内労働者の権利を擁護することにはなりません。そうして、契約については、いままでは口約束でやる習慣が多かったわけです。したがって、業者の押しつけ、またこの習慣等に押されて、口約束だけではっきりした雇用契約を文書にあらわさないままでやっておった。こういうふうな傾向があるわけです。この傾向のあらわれとして、法律ができても、いまだったらいろいろ抜け道を考えながらやるような傾向さえないわけじゃありません。この大もとである労働基準法でさえも、今度労働基準法できめられた罰金を払って違反しても、もうかるならばあえてそれをやりかねないような状態であります。また、以前に私どもが十分に知っておりますけれども、横浜、神戸、このような港では、港湾労働法ができて、そういうようなことができないはずなんですが、依然として中間に手配師がはびこっておって、そうして事故が盛んに起きておった。そうして手配師があとを断たない。法律で禁止されてあっても、そういうふうなものが平気で出てくる。どこかに抜け道があります。私は、こういうような観点からし て、いままで言ったこの抜け道がわかります。基準法の場合は罰則が少な過ぎる。港湾労働法の場合には、ただし書きによってあとから緊急と認め る場合には届け出だけすればいい、こういう抜け道があるから、それを利用して手配師がはびこっているのです。この家内労働法の中にはそういうふうな観点も十分注意しておいて、抜け道だとか、それを利用する悪質業者がはびこるようなことのないよう十分配慮しておかければなならない、こういうふうに思うのです。これが第一点ですが、これをどう考えますか。
○和田政府委員 先生御指摘のように、法律には確かに抜け道といいますか、裏通りといいますか、そういうものがとかくありがちでございますし、いろいろ勉強をしてはそういう努力をする悪徳業者もおるわけでございます。家内労働法案につきましても、先生の目からごらんになりますと、ずいぶん不備な点が多かろうと存じますが、家内労働がきわめて複雑多岐であり、しかもそれぞれの家庭で行なわれることがほとんど原則であるというような事情を考えますと、一気に理想的な法律にまで持っていくということは非常にむずかしい事情にあると思います。そういう意味で、私どもとしては、ただいま先生から御指摘のありましたような悪徳委託者によって不当に家内労働者が損害を受けるということのないようにということをまず第一の前提といたしまして、必ず委託者と家内労働者の間には家内労働手帳を設けて、契約条件をはっきりさせる。家内労働手帳という文書の形ではっきりいたしまして、口約束で事を済まされないようなことにしていきたい、こういうこともその一つでありますし、工賃につきましても、極端に低廉な工賃ということはいろいろ問題がありますので、最低工賃制度を設けて、それ以下の工賃を払わせない。あるいは安全とか衛生、けがの問題、病気の問題がございますので、これも実情に応じた安全衛生の措置を講ずるというようなことを、当面の緊急な問題として今度の法案で規定をしようとしておるわけでございますので、いろいろむずかしい問題があることは十分意識をいたします。 それからなお、この法案が成立をいたしまして、行政措置が浸透していくにつれまして、漸次内容の充実をはからしていただきたい、かように考えますので、御了承いただきたいと思います。
○島本委員 いかに法律をつくっても、その抜け道があるということは言う必要がないほどはっきりしています。また、その罰則等についてあまり量刑軽きに過ぎれば、それをあえて無視しても違反を犯す、こういうふうな悪徳業者がなきにしもあらずです。その点では十分この家内労働法の中では指摘される点が多うございますから、この点は、実施にあたっては十分配慮する必要があるということをはっきり申し上げておきたい、こう思います。 それと、このいわゆる家内労働者の対象の範囲これはどういうふうなことになりますか。専業的、内職的、副業的家内労働者、この全部とするのか、それとも、そのうちの何かについては今後別に考えるのか。この対象の範囲を明確にしておいてもらいたい、こういうふうに思います。
○藤繩政府委員 家内労働法の対象は、そこにございますような定義の家内労働者全部でございますので、御指摘の専業的な家内労働者に限らず、内職的な家内労働者も含めまして副業的家内労働者、三つの類型的家内労働者を全部包含するものでございます。
○島本委員 あえてお伺いしますが、同居の親族以外の者を常時使用していないものに限る、外来補助者の使用というもの、これはどういうふうに考えているのか、この点も、この機会に、法には書いてありますけれども、明確にしておいてもらいたいと思います。
○藤繩政府委員 御指摘の点は、家内労働審議会でも非常に御議論がございました点でございますが、答申では一応いま提出しております法案にございますように、常態として他人を使用しないものに限るということになったわけでございます。しかしながら、この点は外国の立法例等もございますし、またそういった必要性が将来生ずることもあるかもしれませんので、今後とも審議会等の席で十分議論もございましょうし、私どもも検討をいたしてまいりたいと思います。いずれにしましても、法律で言っておりますのは、常態として他人を使用しないということでございまして、たまたま臨時に他人を使用するというふうなものは、これは家内労働者に入るわけでございます。
○島本委員 常時使用していないもの、それならば臨時に使用するものはよろしい、どの程度を臨時として見るのか、十日のうち一日が臨時か、二日が臨時か、五日が臨時か、九日まで臨時か、こういうふうなことになれば、当然その範囲によって、考え方によって、今後政令、省令、こういうふうなものの決定によって、これが死ぬか生きるかの重大な問題になり得る。この常時使用していないものに限る、そうすると臨時に使用しているものはよろしいということになります。その臨時の範囲はどの程度を考えておりますか。
○藤繩政府委員 御指摘の点はまことに千差万別の状態にございますから、一律に何人、あるいはどういう状態ということを規定することはなかなかむずかしいと存じます。 ただ、答申の御趣旨も、法律論としては一応割り切るけれども、しかし、できるだけ実態に即して処理をするという考え方でございますから、できるだけ臨時の範囲を幅広く、実情に応じまして、たとえば地域なら地域を包括的にとらえて適用ができるような、そういう弾力的な考え方で今後臨んでまいりたいと思います。
○島本委員 仲介者というようなのがありまするけれども、この仲介者というのはどういうものなんですか。
○藤繩政府委員 家内労働は、先生御承知のように、大部分が家庭内等で行なわれているのが実情でございます。したがいまして、委託者から物品等を持ってまいります、あるいはまた製品を集めます、あるいは代金を支払うというようなことがございまして、実際問題としてそこに仲介人が存在しておるということが事業全体の流れを非常にスムーズにするという面がございます。現に私どもの調査でも、全国で委託者は十万五千人ばかりおりますが、そのうち代理的な仲介人が約一万一千、それから請負者的な仲介人が一万一千、大体二万二千ばかりの仲介人がございます。そういよ実情にございます。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○島本委員 家内労働者に対して仲介人がいて、工賃のピンはねをしている向きもある、こういうようなことも聞くのですけれども、これは特別規制をしないのはどういうわけですか。
○藤繩政府委員 先ほどお答えいたしましたように、実情といたしまして仲介人の存在が必要な場合が多いわけでございまして、実際問題といたしましても、その場合に五ないし二〇%程度の仲介手数料というものが支払われているのが実情でございます。そこで、委託者から払われる工賃につきましては、今度家内労働手帳で工賃の額が明確になるわけでございますから、その工賃が払われていなければ六条違反になるわけでございまして、そういう意味でも、仲介人のピンはねそのものについての規制ということにはなっておりませんけれども、六条の制度あるいは最低工賃制度の適用ということで、ともすれば起こりがちなピンはねというようなことは、今後防いでまいることができるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○島本委員 仲介人とは請負的仲介人、代理的仲介人、こういうようなことになっており、請負的仲介人の場合は委託者、それから代理的仲介人の場合は運びだとか取り次ぎ程度である、従業者とみなす程度のものである、大体こういう見解のようであります。そうすると、なぜこれを法にはっきり明記しないのですか、この理由をひとつ説明願いたい。
○和田政府委員 お答え申し上げます。 いま先生が御指摘になりましたのは、実態的にそういうように分けた場合に、そういう二つの種類の仲介人があるということでございまして、代理的仲介人はまさに従業者そのもので委託者の一種の走り使いをする、こういう意味のものでございますが、請負的仲介人といいますのは、法律的にいえばむしろ委託者でございます。ある業者から委託を受けて、自分の責任で家内労働者に委託をする。法律的にいいますと、後者の場合は委託者、こういうかっこうで処理されますので、法律論といいますよりも、先生おあげになりましたが、実態的にはそういう様相がある。それを法律的に整理をいたしますと、代理的仲介人のほうは、これは委託者とその代理人という関係でありますし、請負的仲介者といいますのは、法律的には委託者だ、こういうように御理解をいただきたいと思います。
○島本委員 では仲介者の中には、請負的仲介者の場合は、これは委託者として法によってはっきり罰則も伴って運営される、こういうようなことであるならば、仲介者ではなくてこれは委託者である、こういうようなことになるわけで、仲介者ということになると何も載らないわけだ。これは実態的には運営の面では仲介者であって、法的には委託者なんだ、こういうような見解のようであります。請負的仲介人の場合には、これは仲介人といわないで委託者と、こう言うべきじゃないか、こういうように思うわけです。
○和田政府委員 先ほど申し上げましたように、仲介人というものにつきましては、法律的には仲介人ということばを全然使っておりません。仲介人というのはいわゆる実態を一応いったものでございまして、それを法律的にはどういうように構成をするかというのとは多少観点が違うわけでございます。代理的仲介人と申しますのは、自分の名前では家内労働者にいろいろなことをやらないのでございまして、これはあの人に頼まれてあなたのところへ持っていきますよと、こういうような言い方をするのが代理的仲介人、それに対しまして、請負的仲介人と一般にいわれておりますのは、その人の名前で、たとえば私が請負的仲介人でございますが、私がその家内労働者に、こういうものをつくってくれ、こういう加工をしてくれと頼むのでございまして、私の責任で工賃の支払いその他をやるのを請負的仲介、こういうことになっておりまして、法律的にそれをいいますと、後者の場合は委託者、前の場合は自分の名前でやりませんものですから代理人というようなかっこうで構成をしております。
○島本委員 何としても仲介者の扱いについては、実質的にも名称の上から見てもまぎらわしいものがある。ですから、この請負的仲介者は委託者、こうみなしてやっているからいいと言うけれども、それと類似の行為をした者に対しては何ら手の施しようもなくて、法律からはこれは全部適用除外になる、こういうようなことになります。 そうなりますと、そのけじめをどこでつけるのかというようなことも当然問題になりますから、運営上これは今後十分気をつけなければならない問題じゃないか、こういうように思うわけです。もともと仲介人の存在、このものに対して意識してこの立法作業をしたのかどうか。そういうものが漏れてしまっておったので、あとから、請負的仲介人の場合は委託者とみなしてそういうような運営をすることになったのか、まあどうかわかりませんけれども、この辺にまずあいまいに運営される一つの大もとがあるのじゃないか、こういうように思います。ひとつ運営の面においては、十分気をつけなければならない点だ、こう思います。私は、この点が今後あいまいに運営されたならばしり抜けになるおそれがある場所だ、こう思うのですが、ここは絶対私の心配はないというようなことに理解したいんだけれども、できるように答弁してください。
○藤繩政府委員 請負的代理人につきましては、いま局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、代理的仲介者についてしり抜けになるのじゃないかという御指摘でございますが、この法案の三十六条には両罰規定がございまして、そこで、代理人、使用人その他の従業者が違反をしたときには「行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」という条文がございまして、行為者を罰する行為者罰の規定がございまして、御指摘のような場合には、その代理的使用人そのものを処罰するという体系になっておりますので、そこで押えることができるというふうに思っております。
○島本委員 請負的仲介人は委託者として罰則の適用を受けるけれども、代理的仲介人は単なる運びであったり取り次ぎ者であったり、これはこういうような法的ないわば重大なる資格を持たない者であるから処罰の対象にならない、単なる従事者である、こういうようなことにわれわれは説明を受けてまいりましたが、そうするとあなたのいまの説明とは違うのです。これはひとつ、私の言うことが間違いなのか間違いでないのかよくわかりませんが、そこをこの際はっきりしておいてください。それじゃだめだ。
○藤繩政府委員 御説明があるいは間違っておったかもしれません。恐縮でございますが、いま御説明申し上げましたように、請負的な仲介人は委託者として、本人として罰せられることは当然でございまして、それ以外に本法案の三十六条で代理的仲介人も行為者として処罰をされる、こういうことになっております。
○島本委員 では次に進みます。 そうすると、これは委託者の——当然仲介者を含めまして、いまなかなか把握できない、わからない、こういうのが実際であるようです。ことに何段階も中に入るとなおさらこれが容易じゃなくなるわけです。ことばでは簡単にそう言っても、これはなかなか容易なことじゃないのです。どこの品物なんだろうか、これもその品物にネームが入っていて初めてわかる、こういう状態でありますから、そうでない限りはどこから来たのかわからない。仲介人が何べんも入って持ってくるのもある、こういうようなことも聞いておるわけです。そうなりますと、当然委託者の定義の明確化と把握と実施の方法、こういうようなものに対しても、やはり明らかにしておかなければならないのじゃないか、これは当然であります。 それで、委託者に対して、定義はなにですけれども、これを明確に把握する、この方法はどういうようにしてやりますか。それと家内労働者の把握の方法、この両方の把握の方法についてひとつ具体的に御答弁願いたい。
○藤繩政府委員 先生御指摘のように、従来われわれも家内労働者の調査をやりましても、これはなかなか把握が困難でございます。一般の工場労働と違いまして、家庭等に存在しておる、あるいは場合によって家内労働者であることを隠すというような傾向もございまして、なかなか把握が困難でございます。 そこで、この法案では御承知のように二十六条には届け出制度を設けまして、委託者は「委託に係る家内労働者の数及び業務の内容その他必要な事項を都道府県労働基準局長に届け出なければならない。」という規定を設けておりますのと、また、二十八条におきましていろいろ報告義務を課しております。また、労働基準監督官が常時監督をするという体制も整えておりますので、この法案が成立しますれば、従来よりは格段にその点は把握ができるようになろうかと思います。ただ、そうは申しましても、御指摘のように実態はたいへん複雑でございまして、そういった法的な手段だけでは不十分だと思いますので、私どもも各地方のそれぞれの業者団体等を十分把握するようにつとめまして、あらゆる方法でその実態を十分つかんでまいりたい、さように思っております。
○島本委員 あらゆる方法で実態をつかむ。あらゆるですからあらゆる方法でしょう。しかし、具体的にはなかなかつかみ得ないというのが実相なんです。ですから、これからやろうとしてもやらない面や、それから漏れる面や、また悪質に運営される面なんかもあることは初めからわかっておる。それに対して完全な把握、これは委託者と家内労働者の両面に対する把握が重要です。この点については、まさに遺憾なきを期してやってもらいたい、このことだけは強く申し上げておきたい、こういうように思います。 ちょっと委員長についでに申しますが、これはどういうことなんですか。大臣が来る来るといって、何かのうそみたいにして、初めは十一時十分の予定だったのですよ。次に二十五分、三十分、次に四十分。四十分過ぎてもまだ来ないじゃないですか。あまりばかにするのもいいかげんにしておいてもらいたい。十分という約束で行っているのです。この重要なのに何事ですか。
○増岡委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○増岡委員長代理 速記を始めて。
○島本委員 大臣、せっかく参りました。そして、いままでは大臣いなくても、大臣と同じ意味の次官によっていろいろ答弁をしてもらって、言ったことはそのまま委員長のもとに確認してあります。ですから、今後もそういうようなことで進めますから、時間だけはちゃんと守っておいてもらいたい、こう思うのです。 いままでやりましたけれども、家内労働法の中で家内労働手帳という点、これは大臣も知っておるように、第三条の中で「労働省令で定める」というのが幾つあるのですか。三条の中で「労働省令で定める」というのが全部で五カ所もあるのです。全部が労働省令で定めるような法律だった場合には、家内労働手帳を出してやっても、一体何が何だかわからないし、労働省でどういうような考えを持ってやるのか、省令が出ないで依然としてわからない、こういうことになってしまう。 それで、先ほどから言っていたとおりに、家内労働法が施行されて、そうして十年も十分準備しました、大臣来る前にいろいろ論議をやったのですけれども、これでほぼ完全かと思ったらほぼ抜けておるのです。ほんとうにこれはひどい。こういうふうにして、保障の点なんかほとんど野放しになっておる、こういうような状況なんです。まして家内労働手帳の点でも、いま十分に御存じのように、これをもらっても、自分らに恩典もなければ、ただ徴税の対象になるだけではないかというおそれがあるのです。ですから、これに対して税金その他で十分恩典を付与するのでなければならないし、社会保障的な面も、手帳をもらった者に対しては特に認めてやるようにしなければならない。こういうふうにしてやってきたのです。 残念ながら手帳の問題にこれから入ります。社会保障的な面は通産との連携もとれておらない。そうして、一人親方というところの小規模経営者、こういうような立場からの連携もとれておらなかった、保障も何ら連絡がなかった。今後の問題として改正をするように要請しておいたわけです。今度労働省自体の持っておる法律の中でも、これは失業保険法の問題でも任意適用の問題にもなっておらないわけです。そうなりますと、今後この家内労働手帳の問題一つも労働省の掌中にあるわけです。勘定してごらんなさい。一つの条文の中に五つ労働省令によるというのがあるのです。ですから、第三条の手帳、こういうようなものは、省令がなければだめだというふうに思われるほど省令ばかりの法律です。したがって、こういうような省令の中に法律が埋没されておる、こういうような法律のつくり方、こういうのはあんまり芳しくないのではないか、こういうふうに思うのですが、今後の運営の面とあわせてひとつ、こういうことはないようにしたいと思うのですが、省令にゆだねられ、省令の中に埋まった家内労働手帳、第三条とあわせて、なぜこういうようなスタイルをとったのか、これについて大臣に御答弁願いたい。
○和田政府委員 法律構成問題でございますので、まず私からお答えを申し上げておきたいと思います。 先生御指摘のように、この法案では、法律の規定に基づいて労働省令に委任をしたいという部分が相当多うございます。中身はごらんいただきますと大体事務的なものが多うございますが、もう一つの配慮は、中央家内労働審議会に、委託者及び家内労働者、学識経験者でもって構成をします審議会をつくるわけでございますが、その審議会にかけまして、実態に合わしていろいろの御議論を願って省令をつくりたい、役人だけで独断でやるということでなくて、そういうことで省令をつくってまいりたいと思いますので、事務的な事項に対する省令委任が相当多うございますが、これは家内労働という実態がきわめて複雑多岐であって非常に多面的でございますので、それらのことをわきまえた方々の御審議も仰ぎながら省令をつくりたいという配慮もありますので、その点御了解をいただきたいと存じます。
○島本委員 じゃ、この委託契約をする人、これはだれなんですか。
○藤繩政府委員 委託契約の当事者は当然委託者と家内労働者となります。
○島本委員 そうすると、委託者というのは、これはどういう人を委託者というのですか。
○藤繩政府委員 委託者につきましては、第二条の三項に定義をいたしておりますように、「物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他前項の労働省令で定める者であって、その業務の目的物たる物品について家内労働者に委託をするものをいう。」わけでございます。
○島本委員 したがって、それはもう責任者というようなことになる場合には、これは手帳交付の責任者、それから労働衛生の責任者または工場、あるいはまた仲介人あるいは直接現金や品物を持ってきた人、こういうような人が責任者になるわけです。そうすると、この範囲は一体どこなんだということが当然疑問になるのです。書いているのはわかる。書いているのはわかるけれども、こういうような手帳なんかの問題にかんがみて、一体どの辺が委託者なんだということを、ここにはっきりきめられないとわからない。私がわからないのが無理なのか、法律に書いてあるそれでわかっておくとあとくされがないのか、この辺あたりで、少しくどいかもしれないが、この家内労働者の場合には特にこの点も重要なんです。というのは、大きいデパートがもうすでに家内労働者の手まで持ってきてこれをやらしている例があるのです。その場合には委託者は決して三越ではないのです。ですから、そういうような実態を見る場合には、法律ではそう書いてあるからそのとおりだ、実際やる上にはだれが委託者になるのだ、この疑問は当然生ずるのだ。ですから、いまあれを読んだのは、法律に書いてあることで私が聞いているのは、そういうような具体的な例からして委託者とはどの部分をさすのだ、これをはっきりしておいてもらいたい。
○藤繩政府委員 御指摘のように、家内労働の実態は非常に複雑でございまして、特にいまお話しのように、たとえば大きなデパートがブラウスならブラウスを発注をする、その間に問屋等がございまして、そして、場合によってはまたその中に、先ほども御指摘の仲介人等が存在しまして、そして家内労働者にいく、こういうふうになっておるわけでございます。 そこで、いま御説明申し上げました法律でいっております委託者というのは、委託契約の当事者でございますから、問屋が発注をしてやる場合にはその問屋が委託者になりますし、それから先ほど御議論のありました請負者的な仲介人というものが委託者になる場合もあるわけでございます。ただ法律上の委託者はそういうふうにきまりましても、なおいまお話がありましたように、物品の運搬とかあるいは集荷とか、あるいは家内労働手帳を現実に持って歩いてその人に渡す人とか、そういういわば業務に従事する人がたくさんおるわけでありまして、それが先ほどの代理的な仲介人になるわけであります。そこで、法制上もそういったものについての規制も必要でございますので、先ほど御説明しましたように、三十六条の両罰規定というようなものも設けたというのが経緯でございます。
○島本委員 これは大臣、いま言ったような答弁があったのです。しかし、実際この法の盲点と思われるような点で、これは大企業そのものが中間の委託者を通じて全部家内労働者にこれをやらせているような面が多いのです。そして、いろいろな紛争がもしあったとすると、形式上はそれらの人があえて紛争をやり、あるいは解決するだけで、それを注文した人は、それのらち外である、こういうような状態があるわけです。包装紙、こういうようなものに対しては、そういうようなこともあるようであります。したがって、これは問屋あたりまでも十分調べて、弱い者同士であまり紛争をさせないように、そして、同時に手帳だけでもう十分に取り締まるだけの対象ということはなんですけれども、大もとの委託者、こういうものに対しても、ただ安く発注させるというだけ、こういう仕組みのもとに家内労働者を使ってはならない、こういうような大きい問題になるわけです。家内労働法が施行されて、そして、それも現在のような——これから言いますが、低賃金ですから、低賃金のままでやると、やはり雇用労働者よりもそっちにやったほうが安くまた専門的によくできる、こういうような部分もあり得るわけです。そうなりますと、往々にして、そういうようなやり方をとる場合には、これはもう低賃金の上になおさら低賃金を押しつけるような結果がここに招来されることになります。それじゃもう手帳をつくってやってもどうにもならない、こういうようなことになるわけですけれども、こういうような点も十分考えて今後は運用しなければならない、こういうように思いますが、この点は大臣、よろしゅうございますか。
○野原国務大臣 いろいろ伺っておりますと、なかなか複雑なむずかしい問題もあろうかと思います。家内労働法の立法の精神というものは、御承知のとおりに家内労働者の待遇、労働条件等を改善して、安心して家内労働をできるようにしよう。したがって、この立法のねらいとするところは、あくまでも家内労働を行なっておる人たちのためになるような政策を思い切ってやっていこうというわけで、その趣旨から考えましても、家内労働法の施行にあたっては、十分その辺を配慮し注意して、そうして、いやしくも家内労働者がいたずらに不当に苦しめられたり搾取をされたりというような事実が起きないように、また、手帳交付にあたっても、その点を十分に見定めてつくるとか、いろんな面で家内労働手帳にはそれらの点を明らかに、搾取が行なわれないように、あるいは賃金の支払いがおくれないように、いろんな条件が加えられているということで、働く人たちを守っていくというふうにいたしたいものだと考えておるわでけございます。
○島本委員 そのための手帳である場合には、これは行政上都合のいいやり方を考えたほうがよろしい、こう思います。その場合には、家内労働手帳、こういうようなものを行政官庁で作成して、そして委託者に買い取らせて交付させる、こういうようなやり方、現在はもうすでに日雇い手帳なんかそういうようなやり方をやっているようですけれども、こういうようなやり方のほうが行政上都合がいいのじゃないか、こういうふうに考えますが、労働省はどういうふうなことを考えておりますか。
○和田政府委員 家内労働手帳は、性格としましては、実は委託者と家内労働者の契約事項を明らかにする文書、こういうかっこうなものになりますので、法律的には委託者が家内労働者に渡す、こういう法律構成になっております。 実際上の問題につきましては、ただいま先生が御指摘のように、こういうようにしたほうが便利ではないか、統一的に把握されて便利ではないかというようなことは、実際上の配慮のことになるわけでございますので、先生の御趣旨、私ども十分わかりますので、今後の運用の中で、そういう必要がある場合には、私どものほうで印刷をして、委託者に買わせてそれを家内労働者に渡すというような考慮も、今後実際を見ながら配慮をしてまいりたいと思います。
○島本委員 それのほうがいいと思います。というのは、委託者だけにやらせると、あるいは虚偽の宣伝や、いろいろなそれに類するようなものに使うおそれがないわけではありません。それよりも、はっきり行政官庁の都合のいいような仕組みにやらすほうがよろしい、こういうふうに思うわけなんです。 そして、これは大臣に、この問題についてはやはり具体的な例として私の調査した問題を申し上げて、今後の参考にしておいてもらいたいと思うのです。 元委託者の場合には一時間百六十円でやった。仲介人がそれを持っていって、現地の家内労働者へやったところが六十円で請け負わしておった。これは古河、小山、この方面にあった実例であります。そして、結局は工賃の不払いが出る。もうすでに二〇%近く不払いが出ている。四十四年度の調査です。そして、その中には仲介者、元請業者、これがわからなくなってしまった。そして今度賃金なんかも当然遅配になる例もあった、こういうようなことであります。そうなりますと、家内労働者が不当な委託契約でいままで苦しんだ例があったわけでありますから、法律でこういうような点も十分に規制しておく必要もあり、同時に、法だけで規制するといってもなにでございまするけれども、これははっきり、こういうような点の行政指導をあわせてやっておかないと、現にこれはあることですから、この点は十分考えてこの運営に処しておいてもらいたい、こういうように思うのです。この点は大臣、重要ですから……。
○野原国務大臣 ただいま家内労働の実態の一端をお触れになりましたが、百六十円で受けてきたものを、実際家内労働に従事する人たちには六十円で契約した。まことにどうも、そんなばかなこと、があってはならぬと思うのでありまして、そういうことがあればこそ実は家内労働法が必要だ、厳重な手帳も必要であろうと思うのです。先ほど手帳のことにつきましては、行政庁がつくって、これをを買わしたらどうか、委託者に買わせる、たいへんいい提案だと思います。これはやはり当然そうすべきだと思う。で、私はこの際いろいろな関係各位の御意見を伺って、ひとつりっぱな手帳りっぱな手帳といっても、あまりむやみに厚くてむずかしいものをつくってもしようがないのですが、家内労働に必要なものは全部そこに書き込んでおって、これが家内労働を行なう人たちの身を守っていく、生活を守るに足るような手帳を設けましてやっていくということを至急に検討させたいと思っております。あくまでもこの家内労働法ができた以上は、先ほど来お話のありましたような非常な搾取を受けておるというような実態が完全になくなるような行政を指導したいと考えておるわけでございます。
○島本委員 次に、六条関連の最低工賃の問題にちょっと入りますけれども、これは最低賃金も最低工賃も、全国全産業一律二万五千円以上とすべきであり、それを時間でそれぞれ配算するような方法も一方法であるとして、これはもういろいろ論議されておるところです。この最低工賃の制度なんですけれども、この最低高賃の決定方式というものはどういうようなことによってやるのですか。また、あわせてこの最低工賃の決定基準、この二つについてはっきり説明願いたいと思います。
○和田政府委員 最低工賃につきましてはこの法案では八条に規定をいたしておりまして、たとえば、労働大臣または都道府県労働基準局長が、一定の地域内において一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善をはかるために必要があると認めるときに、最低工賃について中央家内労働審議会または地方家内労働審議会に諮問をいたしまして最低工賃をつくるということになっておりまして、発議権は、そういう意味からいたしますと労働大臣または都道府県労働基準局長が持っておる、こういうことになっておりますが、行政官庁が発議をいたしますには、いろいろの方面の意見その他を伺った上で発議をするというようなことになっております。そして、審議会にかけられましたときには、第九条で「異議の申出」というのがありまして、関係者が一定の期間内に——この法律では十五日ということにしておりますが、一定の期間内に異議の申し出ができるようなことにしております。 それから、最低工賃のきめ方は、俗にいわれますピースレートによってきめるというようなことでございます。 なお、審議会で審議をいたします場合には、必ず関係の家内労働者または委託者の意見を聞いた上で措置をする、こういうようなことにいたしております。 それから、最低工賃でございますので、法律の十四条で、最低工賃を下回る工賃をきめた契約はその限りにおいて無効になりまして、最低工賃としてきめられたとおりのものを払わなければならない、こういうようなことになっておる次第でございます。
○島本委員 それで、この最低工賃、これは少なくとも——家内労働者組合、団体、こういうようなものをすでに認められております。もうすでに発足している組合ももちろんあるわけです。協同組合として発足しているものももちろんあるわけです。そうなりました場合には、労使対等の立場で、委託者と家内労働者の同数の代表で交渉し決定したその結果、こういうようなものについてはいまの法律と同じような拘束力をもってこれは実施させてやるべきじゃないか。当然これは民主的なルールによって認めてあげてもいいのじゃないか、こう思うのですけれども、このための努力は、いまの家内労働法にまさに画竜点睛を施すというか、重要なポイントになるのじゃないかと思うのです。これは大臣、官僚のほうではちゃんと法律でこうやっておるのだからこれできめるのだと言いますけれども、これを一歩出て、やはり代表者できめたものに対しましては、法と同等の拘束力を持たせる、こういうようなことは当然必要な措置じゃないかと思うのですが、この点について見解を述べてもらいたい。
○野原国務大臣 御意見のとおりだと思います。
○島本委員 そうすると、家内労働者の就業時間については一日八時間、一週四十八時間とすべきであるという意見が、答申の中に少数意見として付されてあるわけです。この最低工賃の基準をきめる場合にも、八時間労働の週四十八時間を基準にしてやる、こういうようなことにして、その原則の上に立って具体的に今後は省令またはその規則によって指導すべきじゃないか、こういうように思うのですが、これはきめても往々にして実施されない場合が多いのですが、この時間の問題についてはどういうような考えでいますか、この指導方法とあわせて説明願いたい。
○和田政府委員 就業時間につきましては、法文の中で委託者及び家内労働者ができる限り長時間労働にならないようにお互いに努力しなければならぬという規定を設けてございます。これは、先生十分御理解をいただきますように、自分の家庭の中で働くのがほとんどでございますので、何時から何時まで働いたか、こう聞きましても、いや何時から何時まで働きましたと言ってしまわれますと、タイムレコーダーがあるわけでもございませんし、なかなかむずかしいことでございますから、そういう意味で就業時間をきちっと規制をするというのは非常にむずかしい。ただ、しかし、時間等で、普通のいわゆる工場生産と家内労働が混在をしておるような場合におきましては、都道府県の基準局長が、就業時間についての一定の行政措置を講ずることができるようになっておりますが、これはむしろ例外でございまして、一般的には家庭内のことでございますので、ほんとうに何時から何時まで働いたか、あるいはその途中で家事をやったりいろいろなことをやりますので、使用者と雇用労働者というような場合におきます労働時間とは、そういう意味においては相当異質の面がある、かように思います。そういうこともありまして、実は工賃につきましては、時間給という工賃はほとんどないのでございまして、全部ピースレート方式で行なわれております。ただ、それを、このくらいのものならば一時間にこのくらいできるだろうという推定を用いて、八時間ならどのくらいになるだろうという推定はできますが、これは、どこまでも推定問題でございまして、厳格な意味における時間給ということは非常に問題があるように思います。そういう理解の上に立ちまして、最低工賃につきましてもピースレート方式でいく、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○島本委員 いま一般の高校卒または中卒、これの初任給はどれほどになっていますか。
○藤繩政府委員 昭和四十四年三月の中学の卒業者が二万六百八十四円でごございます。高校卒が二万四千三百七十八円でございます。
○島本委員 中卒でも高卒でも、やはり約二万円と、二万五千円、こういうようなことになっているのです。それで、最低工賃をきめる場合にでも、現在、本年度四十四年度の調査によっても、これはいま時間給でやっている、こういうようなこともございましたし、いろいろやっているようでありまするけれども、電気関係では八十五円七十四銭程度、経験年数が二年四カ月、それから洋裁では八十二円五十五銭、経験年数六年八カ月、それから単純作業、セールスは七十九円七十二銭、これは経験年数は二年七カ月、そして平均して七十一円六銭、これの平均年数は四年七カ月、こういうようなことになっているわけです。そうして、このやっている作業状態は、工場が家庭まで延長されたと同じような状態で、機械まで家庭の中に持ち込まれて、そうして工場作業と変わらないような状態でいま行なわれているのです。こういうような家内労働の実態を見る場合には、やはり工賃は安い。そうして会社、工場の初任給とは問題にならない。そして、こういうような電気関係、それから洋裁関係、セールス関係、こういうものを含めて、やはり固定給を払うよりも、こっちのほうが安くいくということで、これを利用されている面も、いま言ったように多いわけであります。そうなると、なおさらのこと、今度審議会で安くきめてしまったこの最低賃金、こういうようなものがある限り一やはり家内労働法をつくっても、この流れが依然として利用されることになってしまえば、これまた何にもならない、こういうことになるわけです。したがって、全国一律の最低賃金制を出すということが、家内労働法を実施するためにも、いま必要な段階にきているわけです。それと同時に、それまでの間、時間にして百五十円程度になるまでの、そういうような指導をひとつしてやるべきだ。そうでなければ、初任給と同じような状態で働く家内労働の賃金とこれは全然合わないではありませんか。これはやはり全国全産業一律の最低賃金ができるまでの間は、一時間百五十円を目標にして、それを下回らないように指導してやって一ほぼ初任給に近くはなってもまだ遠いのでありますから、そういうような指導こそ必要だと思いますが、これは大臣のほうからはっきり決意を述べてもらいたいと思います。
○野原国務大臣 さきにも全国一律最低賃金という話がございましたが、これは家内労働の多くが工程が細分化されている、あるいは物品もサイズも形も違っているというようなことで、最低賃金を全国一律に非常にとりづらいという問題がありますが、これにつきましては、中央最低賃金審議会におきまして審議されておりまして、この答申が近くなされるだろうと思いますが、これと密接な関連を持っておりますので、あらためて検討いたしたい。確かに私も全国一律最低賃金というものが将来考慮さるべきものではないかというように考えております。
○島本委員 そうすると、やはり工賃に対する権利の保護というようなものも必要になってまいります。それで通貨払いがきまっているようでありまして、これはまことにけっこうです。しかし、この中で直接払いと差し引き相殺の禁止と、それから定期月一回払い、これだけはなぜきめてやらなかったのですか。
○藤繩政府委員 直接払いをなぜ規定しなかったかというお話でございますが、先ほども仲介人というような問題でいろいろ御議論がございましたように、家内労働の実態からしまして、委託者の事業所と家内労働者の就業場所が非常に離れているというようなこともございまして、この点は雇用労働者と同じように扱うということはむずかしいということで、審議会の答申もさような考え方になっているものと思っております。 なお仲介人につきましては、先ほど従業者ということで、もし違反があればそれによって処理する、こういうことでございます。 それから、毎月一回以上払いという点につきましては、法案にございますように、物品完成品を納めてから一カ月以内に払えということになっておりますので、実質的にそういうことが十分担保できるというふうに考えているわけでございます。
○島本委員 少なくともその程度まではやってほしかったと思います。しかし、これは、もうやっていると同じように、適用の面で、実際面でこれを十分配慮してやってほしい、こういうように思います。 次に、手帳を出す以上、この手帳に対する恩典を完全に考えてやらなければ、この運用の面において蹉跌を来たすおそれがある、このことをおそれます。それで、この手帳所持者には、所得には税金をかけないのだ、こういうような原則で——当然この原則というようなものは、あえて私が申し上げる必要もないほど立案者は知っているのです。この内職者には税金をかけない、それはほとんどが生活費に繰り入れられている金額だからです。 そのデータによると、教育費を補うためというのが三〇・三%、それからおかず代のためというのが二二・三%、おやつ代というのが四・七%、医療費が一二・七%、耐久消費財が三・四%、合計すると、これはやはり生活費に繰り入れられているというのが七三・四%に及んでいるわけです。そして、レジャーのためであるとか生活合理化のためであるというのが一四・九%であります。その他が七%、こうなりますから、ほとんど七三%以上が生活費として使っていることになります。そうなりました場合には、ことさらにこの内職所得者に対しての税制上の配慮は完全にしてやってしかるべきだ、こういうふうに思うわけなんです。この税制上の配慮、これは恩典としても、手帳所有者に対しては課税はさせない、こういうようなことでなければならないと思いますけれども、この配慮は十分してありますか。
○和田政府委員 税制につきましては、ただいま先生の御指摘になりましたような観点から、家内労働審議会からも、税制審議会及び大蔵大臣、労働大臣に対しまして、配慮をしてほしい、こういう意見具申が出ております。実際問題といたしましては、工賃のいまの状態でございますと、内職的な場合にはほとんど課税がされないような金額でございますが、相当の収入のある場合においては、現在の税法では、事業所得または雑所得ということで課税されるたてまえにはなっております。これらの問題につきましては、免税点の引き上げあるいは勤労所得の控除、そういうような問題、あるいは分離課税の問題、こういうような点がございますので、私どもといたしましては、それらの点について税制方面で配慮をしてくれますように今後とも働きかけをいたしたいと思いますが、一般的な減税とあわせて、先生いまお話しのように、ほんとうに家庭の中の教育費とか食費とかに充てられることでございますので、ぜひ減税ができるような努力をさらに続けてまいりたい、かように考えております。
○島本委員 これはよく大臣も聞いておいてほしい問題です。 この税金の問題、これにはやはり額の問題と考え方の問題が当然あるのです。それは否定しません。まず国税関係から見ますと、当然、内職者に対しては雑所得になるわけです。それと、専業者に対してはこれは事業所得になるわけです。そうすると、サラリーマンに対しては、パートタイマーのようなものを含めて、当然これは給与所得になるわけです。そうなりますと、この専業者、いわゆる事業所得になる分は、そのほかに地方税の面では、住民税のほかに個人事業税が課されるわけです。そうなりますと、今度国税の点と、事治省のほうでは特に、住民税はまだしも、個人事業税の点まで十分この点は配慮してやらなければならないんじゃないか、こう思われるわけです。したがって、これはやはり事業所得ではなくて給与所得として扱ってほしい、こういうような声も出てくるわけです。しかしそうなりますと、やはりここで、労働者としての色彩が薄くなるからという考えもある。しかしながら、よくこの内容を考えますと、いまは言われなかったと思いますけれども、事業所得の場合には必要経費は認められる、しかしながら給与所得の場合には源泉徴収で必要経費は認められない、いずれがいいかということになるわけです。しかし、いずれがいいかということになっても、これは内職ですから、内職の場合には生活費ですから、生活費には課税しないというたてまえで、今度やはり自治省あたりでも、個人事業税あたりの点でも、これは国税と同様に十分配慮してやらなければならない問題じゃないか、私はそう思うのです。−自治省の人来ておりますか。これに対してやはり自治省でも明快なる決意を表明しておいてほしいわけです。——来ておりませんか。来ておりませんでしたら、大臣、この点は十分考えてやってほしいと思います。
○野原国務大臣 家内労働に従事しておる人たち、最も零細な、生活もなかなか容易でないという方々がより豊かな生活をし、あるいは自分が家庭におってもその余暇を働いて生産に大きな寄与をしよう、そうして家庭の生活の安定を得ようというふうな、まことに好ましい方々であろうと思います。したがって、日本経済の発展に応じてそうした家内労働を通じまして大きくこれからも御協力いただける大事な方だろうというふうに考えますときに、やはりこれは御指摘のとおり、家内労働は何らかの特典、配慮が必要なことはもう申すまでもございませんので、私どもでき得れば将来、家内労働で働いた分は免税されるんだとはっきり言いきれるようになりますればまことにいいと思いますが、その方向に向かって一生懸命努力をいたしたいと考えております。
○島本委員 努力を極力要望しておきたいと思います。それであまり時間もないようですから、結論を急ぎます。 というのは、病気の問題であります。大臣来る前から、この問題に対してはだいぶ質疑応答をきわめました。しかし十分ではありません。私の調査によると、やはり内職をしながら病気になっている者が六一・四%、これは四十四年度の調査によってはっきりわかりました。やはりこれは病気になっておる率が相当高い。災害とあわせて、やはり自己負担になる分がだいぶ多いわけです。いままでけがと弁当自分持ちというような点で運営されていましたが、今度法律ができます以上、委託者負担ということにでもして家内労働者を十分守ってやるべきではないか、そうしてなお、自宅で療養しておるという人も一五・七%もいましたし、それから治療しておる者が二〇%おりましたし、それから治療ができないという者が一・七%もおりましたし、治療するほどでもないという者が一九・三%、こういうように検出されたわけです。そうして見ます場合には、やはり健康診断もこれは定期に行なって、その費用は国民健康保険なんかでは認められませんから、当然業者で負担して、そうして国民健康保険の場合でもその差額は十分見てやるというようなことにして、こういうような病気で悩む人がなくなるようなことは当然指導すべきでないか、こういうように思うわけです。ことに、そうでありません場合には、労働条件にも関係してまいりますけれども、これは私の手元のほうにも、接着剤を使用したために、妊婦ですけれども子供に異常を来たした、こういうような例があります。それと同時に、出産時に多量の出血で死亡したという例もございます。そうなります場合には、いままではこれは潜在的な現象でしたが、今度は家内労働法ができたら法のもとに保護されるわけでありますから、こういうようなことに対しては当然、労働条件とあわせて健康診断を定期的に行なっていって、そうして十分からだを守るようにしてやらなければならない、こういうように思います。それと同時に病気によっては——特定の危険、有害な職種があります。そういうようなところに対しては、労災上特別加入させてはいるとは思います。しかしながら、それでもなおかつ定期診断、それとあわせて危険、有害な職種、こういうようなものに対して特殊健診は当然やってしかるべきではないか、こういうように思うのです。母体とあわせて健康保持のためには万全を期してもらいたい、こういうように思うのです。 一回に全部言ってしまいましたので、これに対しましての答弁と、あわせて決意を伺っておきたいと思うのです。
○野原国務大臣 家内労働に従事する人たちの健康を守るという点、ただいまのところは国民健康保険であるそうでございます。しかしこのことは、将来やはり当然事業主にも御負担をいただき、より一そう定期の診断もし、療養についても手厚い療養ができるように、そういう面で、家内労働法ができましたその結果、そういうような対策が十分に講ぜられるように、今後の問題として慎重に強力な、ひとつその方向において検討を進めてみたいと考えておるわけでございます。
○島本委員 もう一つ大臣にお伺いしておきますが、これは家内労働審議会の設置の問題になりますけれども、これは必置するというのが原則であります。それと同時に、この委員の任命、これに対してはやはり内職を主にしているような婦人の代表はぜひとも入れて、認めてやるべきことが妥当だ、こういうように思うのですけれども、この審議会の委員の内容、構想、考え方、これもこの機会に伺わしておいてほしいと思います。
○和田政府委員 家内労働審議会の構成は、学識経験者のほか委託者及び家内労働者の代表の方にはぜひお入りになっていただくような構成になっておりますので、いま先生の御指摘のようなことにしてまいりたいと思います。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 なお、地方の家内労働審議会につきましては、法案では政令で定める都道府県基準局に置くということになっておりますが、これは家内労働者数とのかね合いの問題であると考えておりますが、今後におきます家内労働者数の推移を見ながら、漸次計画的に進めてまいりたい。かように考えております。
○島本委員 まだまだあるんですが時間が迫りましたのでこの辺でそろそろやめなければならないんです。残念ですけれども、最後にこの点で強力に要請しておきたい、こういうふうに思うのです。その要請の強力な点は、公共補導所、これがあってもいままでは、さっぱり——あっせんや業者との仲介をやっておっても、工賃や労働条件や、工賃の遅欠配に対しては一切かまっておらない、こういうような状態であったようであります。そうなりますと、今後やはり同じような状態でも、これを利用する人が少ない現状からして、さっぱりやってないようなものだから、これを利用しないという傾向が多いんじゃないか。したがって、こういうような問題に対してははっきりとしたある一定の権限を与えてやる、そして十分に責任を果たせるようにしてやってほしい、こういうふうに思うわけです。 それと同時に、この委託打ち切りの予告ですけれども、これについても、やはり予告制度というのをもう一歩進めて、予告手当の支給、こういうようなところまでも考えてやったらいいんじゃないか、こういうように思うのですが、この公共補導所の内容の充実とあわせて、この予告手当の支給について、ひとつ前向きの答弁を承りたい、こういうように思います。
○高橋(展)政府委員 内職公共職業補導所関係のことにつきましてお答えいたします。 先生も御存じのとおり、この内職公共職業補導所は、家内労働問題が非常にクローズアップしてまいりますよりもさらに早く、昭和三十年以来婦人少年局が中心になりまして、早くから内職従事者の就業条件の向上ということをはかりますために、都道府県に補導所を設置いたしまして、そこで適正なあっせん、技術補導等につとめてまいったわけでございます。もちろん法的な根拠によるものではございませんで、予算措置によりまして指導行政、サービス行政として進めてまいったものでございます。年々その事業は拡大してまいりまして、現在三十八都道府県に四十七の補導所を設置いたしております。年間の利用者が少ないというお話でございましたが、年間約五十六万人の方に御利用いただいております。あっせんの成立いたしました件数は十六万件、また技術補導等が七万ということでございます。もちろん三百万を数えます内職就業者、あるいはそれと同数と考えられます内職就業希望者の需要に見合うというものではございませんが、この補導所のほかに、さらに相談員を置きまして、補導所を利用できない方々のためにもサービスを均てんさしているわけぐございます。今回の家内労働法の制定によりまして、法律上明文をもってこの補導所の位置づけ、権限等が規定されることはないわけでございますが、しかし、この法律が制定されますことにより、従来から行なっておりますあっせんあるいは指導につきましてのいわばベースというものがしかれるわけでございますので、たとえば工賃等につきましても、最低工賃の規定等によって指導の目安も確立いたします。また不払い等につきましても、御指摘のとおり、従来は事業所の調査をして、不払い等の起きるような事業所を極力排除するというような事前防止の措置をとる、あるいは不払いの事態が起きましたときは、これも行政指導によりまして、就業者の利益を守るように指導するにとどまったわけでございますが、法が成立いたしますれば、補導所といたしましても基準局に通報することによりまして、有効な措置がはかられることになるということでございますので、この法律の制定によりまして、補導事業はその機能において強い下ささえを得ることになるかと思います。また反面、補導所で適正なあっせんを行なうことによりまして、この法律の予定いたしますところの労働条件の向上ということにつきまして、実質的な効果を進めてまいることができる、そのように考える次第でございます。
○和田政府委員 打ち切り予告の問題でございますが、法律の第五条に、継続的ということについては書いております。それ以外に、実は同じ委託者というような場合でなくて、複数の委託者から同時に仕事を受けているような場合もございまして、実態はなかなか複雑でございますので、法律にはその点の規定はございませんが、今後先生の御趣旨を体しまして、積極的にそういう問題について研究をさせていただきたいと思います。
○倉成委員長 古寺宏君。
○古寺委員 昭和三十四年に発足いたしましたところの臨時家内労働調査会が昭和三十五年に中間報告を出しまして、各種の行政措置を実施すべきであるということを明らかにしております。それから十年を経過しておりますけれども、その間どのような行政措置がなされたか、承りたいと思います。
○藤繩政府委員 現在までも行政指導といたしまして最低工賃あるいは標準工賃あるいは家内労働手帳あるいは適正時間の指導等を行なっておりまして、御承知のように、現行の最低賃金法二十条に最低工賃の規定がございます。そこで四十二年の三月に奈良県のくつ下製造業の家内労働者に最低工賃を決定いたしましてから、四十五年の二月までに十四件最低工賃をきめておりまして、約三万人の家内労働者が適用を受けております。 それから最低工賃の額も物品の一定単位によって決定されておりますけれども、これを八時間に換算いたしまして、大体五百四十円から千四百円くらいの間に分布をいたしておるわけでございます。 それから最低工賃制と並びまして、工賃の妥当な決定というものを普及する趣旨で、三十六年四月から標準工賃というものを推進してまいりました。これも四十五年の二月までに百三十三件、約二十万人の家内労働者を包含いたしまして標準工賃を定めております。 それから家内労働手張も事実上指導をいたしてまいっておりまして、四十五年の二月までに六十三件、対象家内労働者にしまして五万五千九百人の家内労働者を対象に普及をいたしております。 それから安全衛生措置につきましては、御承知の三十四年のベンゼンのりの中毒問題を契機といたしまして、ベンゼン含有のゴムのりの製造禁止措置をやりまして、それ以後安全衛生に問題のある産地につきましては、特殊健康診断を一部実施いたしますとか、あるいは作業環境の測定、改善指導の実施をいたしますとか、安全作業の方法の周知をはかるとかいうような指導をやってまいっております。 また就業時間の適正化につきましても、一般の雇用労働者と合わせまして、産地等で就業時間の適正な指導あるいは勧告というようなものを行なってまいっております。
○古寺委員 ただいまの御報告の中で、労働手張は三十五年に行政措置が始まって以来約五万六千でございますので、非常に少ない数でございます。さらにまた標準工賃にいたしましても、あるいは最低工賃にいたしましても、決定以来改定がほとんどなされていない。そういうような実情でございます。さらにまた安全衛生の問題にいたしましても、ヘップサンダルのベンゾールの中毒事件その他ありましたけれども、これに対する十分なる措置というものが今日までなされておらない。こういう状況のもとでこの家内労働法が成立いたしましても、今後これらのいろいろな問題が十二分に解決されるということは非常に困難なように感ぜられるわけでございます。そこで、労働大臣は今後これらの問題についてどういう決意で対処されるおつもりであるか、承りたいと思います。
○野原国務大臣 家内労働につきましては、いままでいろいろ立法措置が講ぜられていなかったという点で、非常に遺憾な点が多かったと思うのです。しかしこの家内労働法が成立しますれば、家内労働を守っていくという一本のはっきりした法律ができるわけでございますから、その適用によって今後は家内労働を積極的に進めていく、労働者の立場も十分に守られていくということで、非常に実効はあがるのではないかと考えております。そういう面でこの法案は、非常に大きな意義を持っておるものだと考えておるわけでございます。
○古寺委員 そこで、家内労働手張の問題でございますが、いまお話があったように、従来の行政指導によっては、六万人近くの人が実施を見ておりますけれども、今後、百数十万あるいは三百万といわれるこれらの家内労働者に対してこの労働手張を交付するということは非常に困難である、そういうふうに考えるわけでございますが、これを実施する上においては、どういうふうにして全家内労働者に手張を交付する計画になっているか、それを承りたいと思います。
○和田政府委員 先生御指摘のようにいまわずかに五万六千人程度のものでございますが、私どもの調査で把握し得たものでも百三十三万にのぼっております。これを一気かせいにやるということは非常にむずかしいと思います。といいますのは、それぞれ家庭で仕事をなさっておるというようなことで、なかなか外部から捕捉しがたい方がおられます。そういう点がございますので、法律の規定では二十六条、二十七条、二十八条というような規定がございまして、委託者からそれぞれ報告をさせる義務を課しておる。こういうものを活用いたしまして、委託者にはこういう家内労働者を雇っておるということをその事業所に必ず名簿を備えなさいというような法的な手段も、今度この法律ができますれば初めて講ずることができるわけであります。 それともう一つは、家内労働法ができましたということに対する啓蒙を一般的に行ないまして、委託者及び家内労働者の方々がこの法律の中身を御理解をいただく機会を得まして、そうしてこの法律に基づいてこういうようなことになったのだ、こういう御理解をいただいてまいりますれば、非常に早いスピードで家内労働手張の交付というのもいままでと違ってできるのではないかかように思っておりますし、私どももそういう姿勢で努力をしていきたい、かように考えております。
○古寺委員 先ほども島本委員からお話がございましたけれども、家内労働審議会で家内労働者に対する税制の改善についての建議がなされております。この建議について大蔵当局あるいは自治省、そういうところと労働省とどういうお話し合いがあったのか、あるいは税制調査会その他においてこの家内労働者の税の問題についてどういう討議がなされたか、その点について承りたいと思います。
○和田政府委員 家内労働審議会から、税制につきましてそれぞれ関係方面に建議が出ました。この建議の趣旨は大蔵省あるいは自治省に正確に伝えますとともに、家内労働審議会においてこういう建議が出るに至りましたいきさつについては事務的にも説明をいたしました。その際に、そういう建議の趣旨等については関係各省においてそれぞれ理解をしてくれておりますが、いまのところ家内労働法がまだ制定をされておらない、こういうような事情もございまして、家内労働法制定後におけるいろいろの実態を把握しながら、税制方面としてはさらに考えていきたいということでございますので、先ほど大臣がお答えを申し上げておりますように、私どもとしては、家内労働法の制定ということを契機にいたしまして、税法の問題についてもさらに建議の内容に従って関係省との連絡を密にして改善をはかっていきたい、かように考えております。
○古寺委員 現段階におきましては、家内労働者の中には非常に零細な苦しい生活の中から事業税を払っている方がたくさんいらっしゃるわけでございます。この家内労働手張が交付されることによって、税金の面に対する心配が非常に強いようでございますけれども、ただいまの御答弁によりますと、大蔵あるいは自治省の理解を得ておる、こういうお話でございます。その理解を得ておるというお話は、今後家内労働者に対して免税をするのか、あるいは事業税などの課税最低限を引き上げるとかそういうような処置をなさるというように理解してよろしいかどうか、その点について承りたいと思います。
○和田政府委員 ただいま御指摘のように、事業所得として考える場合と雑所得として考える場合と二つでいま行なわれております。先ほども申し上げましたように、家内労働審議会の建議の趣旨につきましては、それぞれの省に説明をし、その趣旨については向こうの理解を得ておりますが、しからば具体的にどういうように組み込んでいくかということにつきましては、法律の制定その他を待って双方で研究しようじゃないかというのが実態でございます。私どもとしましては、特に雑所得で払われておる問題につきましては、先ほど大臣から御説明を申し上げましたように、まさに家計の補助というような意味合いのささやかなものであるということがいまのところ多うございますので、実際問題としては課税されておらないのが実情でございます。しかし、専業的な場合におきましては事業所得ということになりますが、これは実は相当の額の所得の得られる場合が非常に多うございます。そうしますと、一般的な所得とのかね合いの問題をどういうように考慮していったらいいのか、勤労控除の問題等ともかね合いまして、他の制度との均衡をどうとっていくかということにつきまして、労働省といたしましても見解をまとめて、具体的に関係省と折衝するような姿勢を今後とっていきたい、かように考えております。
○古寺委員 家内労働審議会の建議の内容は、この制度を実施するためには、その前にこういう税制の検討が必要である、家内労働法を実施する上において、あるいは家内労働手帳というものを今後推進していく上においてこういう税制の検討が必要である、そういうふうに私は聞いておるのでございますが、そういう準備がなされないままにこの法を実施いたしましても、家内労働手帳を全家内労働者に交付することは非常にむずかしいんじゃないかというふうに考えるわけなんです。その点についてはどうでございましょうか。
○和田政府委員 家内労働審議会の会長から総理、大蔵、労働大臣にあてて出されました建議書につきましては、家内労働対策について諮問を受けて別紙のとおり答申したけれども、この趣旨を有効に実施していくためには、家内労働者に対して税制の改善をはかることが必要であると考えられる、こういう趣旨のものでございまして、実は今度の法律によりまして家内労働手帳を出していきますと、家内労働者の方がはっきりしてくるわけでございます。いままでは非常につかみにくかったのですが、はっきりしてくる。はっきりしてきた姿のものに対してどういうような処置をしていくかというような問題になってくると思いますので、法律の制定とあわせてそういう点を考えていく、法律の制定によって明らかになってきたものについての措置をしていくということのように私ども理解をいたしまして、先ほどの御答弁のようなことを申し上げたわけであります。
○古寺委員 次に進みますが、家内労働者の就業時間というのは平均どのくらいになっておりますか。
○藤繩政府委員 家内労働者の就業時間は、性格上非常に把握が困難でございますけれども、昨年の九月に私どものほうで調査をした限りにおきましては、一日当たりの就業時間数は、男子の場合平均九時間でございまして、女子の場合は平均七時間となっておるわけでございます。男子の場合はそのほとんどが専業であるために、雇用労働者の労働時間よりも若干長くなっておりますが、女子の場合はそのほとんどが内職でございますので、男子に比べて就業時間が短くなっているという状態にございます。
○古寺委員 私が先日承ったところによりますと、専業の家内労働者の方々は、朝早くから夜の十二時ごろまで労働をいたしております。あるいはまた内職をやっておられる方々も、相当深夜まで一生懸命働いていらっしゃるわけでございます。今度のこの法案の内容を見ますと、労働時間については努力規定になっておるわけでございます。こういう状態であっては、家内労働者の健康の問題いろいろな問題が心配になってくるわけでございますが、なぜこれを努力規定にしたのか、その辺のお考えを承りたいと思います。
○藤繩政府委員 家内労働は通常自宅で自由な時間に行なわれるものでありますので、就業時間の把握が非常に困難だということを先ほど申し上げたわけでございますが、そういった実態にかんがみまして、雇用労働者と同じような就業時間の規制というものは本来無理な事情にあることでもございますし、答申の趣旨に従いましてさような努力規定にいたしたわけでございます。しかしながら就業時間の規制につきましては、法案にもございますように、行政官庁が審議会の意見を聞いて、たとえば始業終業時刻の規制とか、一斉休日などの就業時間の適正のための効果的な手段を勧告するということも措置をいたしておりますので、そういった方法で今後も適正化をはかってまいりたいと思います。
○古寺委員 労働時間の規制という問題については当然労働基準法の精神からいっても明記しなければならない問題だと思うわけでございます。家内労働者の場合、なぜこういうような過重労働をしなければならないか申しますと、非常に工賃が安い。先ほどもお話がありましたように、生活のために無理をしているわけでございますので、こういう点については、労働省としては十二分に、過重労働におちいらないようないわゆる最低工賃というものを今後考えていくお考えがあるのかどうか、またそういうことによって健康を害したりいろいろな場合にそれを補償するような、あるいはそういう過重労働にならないような指導、職業教育と申しますか、安全教育と申しますか、そういうものを指導していくお考えがあるのかどうか承りたいと思います。
○和田政府委員 ただいま賃金部長からお答え申し上げましたように、就業時間それ自体の規制については、行政技術的に見ましても非常にむずかしい問題がございますので努力規定にしておりますが、実は先生ただいま御指摘のように、何も好んで長時間働くわけではございませんので、一定の収入が得られるという面からの問題が家内労働にはあると思います。そういう点からいたしますと、最低工賃を設けることによって一定の収入が得られるような下ささえをすることのほうが、むしろ現在の家内労働にとりましては重要な問題であると思いまして、そういう点でこの法案の中に最低工賃に関する規定を設けたのも、全くそういう趣旨に出ておるわけでございます。私どもとしましては、情勢の推移を十分見きわめながら、最低工賃を漸次引き上げていく努力をしたい、かように考えておりまして、安全衛生問題につきましても、人に命ぜられるというよりも、自分自身で家内労働者がおやりになることでございますが、家内労働者の方々にそういう問題に対する啓蒙をいたしまして、家内労働からけがをしたり病気をなさらないようにしたいと思いますし、委託者が機械を提供するような場合には、安全装置をつける、あるいは安全にその機械を操作する方式を家内労働者に教育をするとか、そういうようなことについての行政指導をやってまいりたい、かように考えております。
○古寺委員 委託者が家内労働者に対して委託をする場合には、あらかじめすべての委託物品について最低工賃の設定を受けるようにしなければ、最低工賃制度としては非常に不完全なものになる、そういうふうに考えられるわけなんですが、その点についてはどうでございましょうか。
○和田政府委員 最低工賃につきましては、実は私どものただいまの考えとしましては、標準的なものにつきましては最低工賃を設けることによって、その波及効果により類似のものが漸次上がっていく、こういうような意味合いの最低工賃設定が非常に実際的ではないか、こういうような考え方でございます。 ただいま先生御指摘の、委託をするときにあらかじめ最低工賃を決定してしまったらどうかということでございますが、これも先生よく御理解をいただいておりますように、きわめて複雑、多岐、多面、多様性に富んだものが家内労働に加工委託、製造委託等をされるわけでありまして、それを一々最低工賃ということで行政機関で決定いたしますことは、実際問題として行政上でずいぶん行き詰まるような面があるのではないか、かような実際的な配慮もございまして、今回はあらかじめ最低工賃をきめるということは一応差し控えておりますが、今後の推移を見ましてさらに研究をいたしたいと考えます。
○古寺委員 毎年物価の上昇が著しい中にあって、最低工賃をすべての委託物品について毎年決定していきませんと、いままでのように家内労働者はいつも低賃金に押えられて、生活が苦しいために過重労働をしなければならない、そういう心配があるわけでございますが、そういう点についてはどういう措置を考えておられますか。
○和田政府委員 最低工賃をきめます場合には、同一または類似の雇用労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して定めるというような考え方を法案の中に規定しております。雇用労働者の最低賃金につきましては、実は生計費とか、あるいは類似の労働者の賃金あるいは使用者の支払い能力というようなものを考えてきめることになっております。そういたしますと、一応最低賃金についても物価の上昇ということが念頭に置かれておりますので、その範囲内においては、最低工賃は最低賃金とのかね合いを考慮しながらきめることになっておりますので、一応物価の値上がり問題も反映し得るような法的な構造になっておる、かように考えております。実際の運営にあたりましても、私どもは最低工賃が実効のあるものであってほしいということを常に念頭に置いてこの運用に当たってまいりたいと思いますので、最低工賃の下ざさえにつきましては、物価問題あるいは賃金上昇問題を念頭に置きながら、審議会の御意見を承りつつ修正をしていく、改定をしていく、こういうようにいたしたいと考えております。
○古寺委員 今年の春闘の中間結果を見ても、一万円とかあるいは九千円の大幅賃金値上げということが報道されておりますけれども、家内労働者の賃金というのは、一時間当たりの安いのになりますと二、三十円から、平均しても百円くらい、そういうふうに押えられております。この法案を出した目的というのは一いわゆる低賃金というものを改善するために今度の法案が出るような経過になっていると思いますけれども、この問題について労働大臣はどういうふうにお考えになっているか承りたいと思います。
○野原国務大臣 この家内労働法提案の最も大きなねらいは、あまりにも低い労働条件で働かされておったという点を、少なくも最低工賃を保障するということをねらいとしたものでありまして、その点では、これによって、これからは家内労働なるがゆえに極端に低賃金だということは許されないと思うのです。この点は、中央最低賃金審議会におきましていろいろ御検討願いまして、将来は全国最低賃金が一律制になるかいなか、御検討いただいておるわけでございますが、少なくともこの法案によって最低工賃というものは保障されるということになるわけであります。今後の日本経済の発展のために、ますます安心して家内労働が盛んに行なわれるということを期待しておるわけでございます。その意味で、この法案は家内労働を守っていく一歩前進の法案であるというふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 この法案をいろいろ検討してみますと、最低工賃の決定には地域の差別を認めているようでございます。本来この法案は、家内労働者の生活の安定をはかるということが目的でございますけれども、工賃の最低額を上げるということが大きな目的になっているわけでございます。この点から考えますならば、地域差を是認するということは全くおかしいのではないか、こういう点につきまして、今後の運用のしかたによっては、かえってその格差を大きくするというような心配が出てくるわけでございます。そういう点について心配がないかどうか承りたいと思います。
○和田政府委員 先生御指摘のように、確かに法案では地域差を一応是認することを前提にいたしますような書き方になっておるわけでございます。これは実は家内労働で行なわれます労働がもう非常に多種多様であるということでございまして、何百品目にものぼるというようなことでございます。それともう一つは、私どもの実態調査の結果で見ますと、地域的に相当なアンバランスがございますので、それをにわかに一律にすることについては、かえって低いほうにさや寄せをされるおそれすら感ぜられるようなばらつきでございます。そういうことを考慮いたしまして、現在のところでは地域差を是認せざるを得ないのではないか、かように考えております。 ただ、私どもは最低賃金法の施行を担当いたしておりまして、すでに相当の実績をあげてきておりますが、これにおきましては、低いところの地域の最低賃金をできるだけ上げようとする努力を重ねまして、経済のいろいろな状態もありますが、漸次その効果があがってきておるように考えております。こういう最低賃金法の施行の経験を、この家内労働法の施行にあたりましても、最低工賃について考えて、できるだけ地域差を是正するような方途で最低工賃の決定をしていく、こういう努力を重ねていきたい、かように考えております。
○古寺委員 地域差を是認するということは、本来の立法趣旨に反しているというふうに考えます。今後全国一律を目ざすべきであると思いますが、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
○野原国務大臣 将来はそういうことにしたいと思っております。いま中央最低賃金審議会で御検討いただいておりますので、その結論をまって考えるわけでございますが、少なくとも、将来においてはそういう方向に向かっていくということを考えておるわけでございます。
○古寺委員 家内労働者の工賃というのは、機械設備の減価償却費あるいは暖房費、光熱費、全部入っているわけでございます。その審議会は今後、いろいろ工賃をきめる上において、こういう点を考慮に入れて最低工賃というものをきめていく、そういう方針になっているかどうか、承りたいと思います。
○藤繩政府委員 御指摘のように、工賃の場合は、賃金と違いまして、そういった減価償却費あるいは原、材、副材料費というようなものが入っておるわけでございます。家内労働審議会で最低工賃をきめます場合には、当然、そういうものを差し引きまして、そのあとの額につきまして、一定の能率を勘案いたしまして、時間、賃金と比較をして均衡を見ていくというような手順に相なろうかと思います。
○古寺委員 次に、安全衛生の問題でお尋ねをしたいと思いますけれども、危険な業種、また、それによって発生する疾病にはどういうものがあるか、承りたいと思います。
○藤繩政府委員 家内労働者の疾病の事例といたしましては、先生も御承知の、東京の下町に起こりましたヘップサンダル事件、有名でございますが、東京やあるいは三重で、そういったヘップサンダル製造におけるゴムのり使用に関する有機溶剤の中毒、あるいは岐阜県等に見られます洋食器の研磨におきます粉じんによるじん肺、あるいは岐阜あるいは愛知の陶磁器の絵付けの顔料による鉛中毒というようなのが、いままで出てまいりました疾病のおもな事例でございます。
○古寺委員 昭和三十三年でございますか、このベンゾール中毒が起きまして以来、こういう職業病的なものに対して、労働省は具体的にどういうような行政措置を講じてこられたか、もう一度御説明願いたいと思います。
○和田政府委員 ヘップサンダルにつきましては、ベンゾールののりが問題がございましたので、これの製造禁止をいたしまして、ベンゾール中毒というようなことのないようにいたしました。その他、特定の有害物を扱っておりますものにつきましては、毎年の労働災害防止実施計画の中で、特定有害物を指定いたしまして、それを使用するような工場に対しては、特別の行政監督を行なうというようなことで、有害物からくる中毒とか疾病に対する予防措置を講じております。
○古寺委員 東京のヘップサンダルのベンゾールの中毒事件以来、現在、この家内労働をやっておられる方々に対しましては、特殊健康診断あるいは健康診断というものを実施しておられますか。
○和田政府委員 危険、有害業務を扱いますものに対しましては、基準法の定めるところによりまして、特殊健康診断を実施いたしておりますが、家内労働につきましては、実はそういう法的な規制が現在ございません。しかし今度の法案が成立をいたしますと、そういうことに対しても、施行できるような根拠法規ができる。そういう根拠法規を基礎にいたしまして、措置を講じてまいりたい、かように考えます。
○古寺委員 昭和三十五年のこの中間答申による「行政措置」の中を見ますというと、「労働省はその後この報告にしたがって行政措置の推進につとめている。」こういうふうに説明がなされておりますけれども、それでは、一体、どういうふうにその推進につとめてこられたのか、その辺を承りたいと思います。
○藤繩政府委員 御指摘のように、三十五年の九月に臨時家内労働調査会から、家内労働手帳の普及促進でございますとか、あるいは標準工賃制度の普及促進でありますとか、安全衛生意識の高揚でありますとか、あるいは安全衛生に関するサービス業務の推進でありますとか、そういうものを推進せよというような意見をちょうだいいたしておりまして、先ほど御答弁申し上げましたような程度でございますが、いろいろと行政措置をやってまいっておるわけでございます。 ただいま先生がおあげになりました有機溶剤、粉じん、鉛等のそういう特殊な疾病に関連いたしまして、現在まで、多分に試験的ではございますけれども、特殊健康診断を行なった例がございますので御紹介申し上げますと、東京、三重の有機溶剤を使用するヘップサンダルの製造、それから新潟、岐阜、愛知の粉じん作業を伴う金属洋食器の研磨、それから、陶磁器の成形等岐阜、愛知の鉛含有物を使用する陶磁器の絵付けなど、家内労働者に対しまして、いままで三千三百人ほどでございますが、特殊健康診断を実施しておるわけでございます。
○古寺委員 この「家内労働の現状」という本の中には「1 安全衛生上問題のある家内労働密集地帯に対し、家内労働安全指導員、家内労働衛生指導員等による巡回相談を実施する。」「2 特に有害と考えられる作業を伴う業種に対しては、その有害の程度を把握するために、作業環境の測定、有害原材料の分析等を行う。」「3 特に有害と考えられる作業に従事する家内労働者に対し、特殊健康診断を実施する。」こういうふうになっているわけでございます。ところが、ただいまの御説明を承ってもわかりますように、新潟県の三条市あるいは燕市、あるいは静岡、桑名、大阪等のヘップサンダル、あるいはベンゾール事件のあった東京の家内労働者に対しては、十分なこういうような措置が行なわれておりません。先日視察に行った際にも、有機溶剤によるところの皮下出血、あるいは湿しんと申しますか発しんと申しますか、こういうような障害も出ておるようでございますが、今後、このいわゆる安全衛生の問題については、具体的にどういうふうに指導をし、あるいはこれを実施していくお考えであるのか、そこをお聞きしたいと思います。
○藤繩政府委員 先生御指摘のように、従来必ずしも十分にまいっておらない点はたいへん残念でございますが、家内労働法が成立いたしますれば、根拠法規もできますことでありますので、その辺を大いに推進しなければならないというふうに考えております。特に、この法案では、安全衛生に関する具体的な規定を省令で定めるようになっておりますので、そういった省令を今後家内労働審議会の意見をお聞きしながらきめていくわけでございますが、たとえば委託者がプレスなどを家内労働者に譲渡あるいは貸与するような場合に、安全装置を取り付けさせるとか、あるいはそれらについての扱いを指定するとか、あるいは危険有害な業務を委託するにあたっては、やはり作業方法等を指示する、あるいは安全衛生教育を実施するというようなことを義務づける、あるいは有害な原材料等による危害を防止するためには、その貯蔵方法あるいは内容物の表示というような具体的な措置を、そういった省令で規定していくというふうなことをまず行ないまして、その省令に基づきまして具体的に監督の措置を推進したいというふうに考えております。
○古寺委員 いままで過去九年間かかってもこういうような、実態でございます。今度この家内労働法案が通りまして、実施する段階になって、はたしてそういうようないろいろな規制、指導、そういう対策が実施できるのかどうか、これは非常に心配なわけでございます。しかもまた、家内労働者の実情というのは、非常に狭い作業場の中で、家族がみんな一緒に生活をしながら作業を進めておるわけでございます。そういう作業環境をこれから改善していくためには、相当の資金も必要でございますし、また、そういう家内労働者に対してそういう衛生知識を与える、あるいは危険有害物についてのいろいろな措置を指示いたしたとしても、これはなかなか実効が伴わない、こういうふうに考えられるわけでございますが、そういう点について、大体何年ぐらいの計画でこれを実現する見通しに立ってお考えになっているか承りたいと思います。
○和田政府委員 家内労働につきましては、ただいま先生が御指摘のように、確かに自分の家で、非常に狭いところでいろいろな作業が行なわれているということで、なかなかその改善が実を結ばないだろうという御指摘は、−実際問題としてはそういう面が非常に多かろうと思います。この安全衛生に関します措置につきましても、実は家内労働審議会でとくと、いま御指摘のようなことも勘案しながら、家内安全衛生の措置を講じていただくことにいたしております。そういう意味では、決して理想に走らずに、着実に行くというのが、おそらく家内労働審議会での焦点になってまいると思います。それを考えますと、極端な負担が直ちに出てくるというようなこともなかろうと思いますが、それだけにまた、一方において、計画的に何年でどうというようなこともきめかねるような事情もあるだろうと思います。そういう点からいたしまして、私どもは特にあぶないものから漸次手をつけていくということでございまして、何年計画でどうこうというような問題は、いま直ちにお答えを申し上げますよりも、家内労働審議会での審議の模様等を通じた上でお答え申し上げたほうが妥当だと思いますので、そういうように御了解をいただきたいと思います。
○古寺委員 現在サンダルの加工をやっている方方が大体三万人ぐらいいらっしゃる、こういうふうに聞いておりますけれども、こういう方々はいずれも有機溶剤の中毒の危険にさらされているわけでございます。こういう方々の健康診断、特に特殊健康診断というものが必要でございますけれども、そういう点について、いままで労働省がおやりになった成果を聞きましたところが、昭和四十四年度には九十八万円の予算をもって特殊健康診断というのを実施いたしております。今後これはサンダル、有機溶剤だけじゃございませんが、いろいろなこういうような危険な仕事に従事している方々に対する健康診断、この点については労働省は委託者にやらせるのか、あるいはまた労働省自体がそういう特殊健康診断を定期的に行なっていくのか、その辺をはっきりさしていただきたいと思います。
○和田政府委員 特殊健康診断は、特別の危険有害な作業に従事される方にはぜひ必要であると私どもも考えております。特に有機溶剤関係についてはぜひやらなければならないことだ、かように考えております。その点につきましては、実は委託者といいましても、全部家内労働に落とさずに、自分のところでもやり、かつ家内労働者に広委託をするというような向きがありますと、基準法で、自分のところで使っている雇用労働者については特殊健康診断をしなければならない義務がございますので、その義務を強制するわけでありますが、そういう際に、家内労働者についても同じような健康診断を受けるような指導をしていきたいと思います。 なお、今度法律が成立いたしますれば、そういうような根拠も法律的にできるわけでございますので、そういう措置をして委託者にもやらせる。しかし、非常に零細な委託者というような場合もあるわけでございますので、私どもとしましては、四十五年度予算におきまして五百万少しでございますが、衛生環境の改善に関する経費がございますが、この中からしかるべき額を中央労働災害防止協会に支弁をいたしまして、家内労働者に対する特殊健康診断というようなことも、必要の度合い、優先順位に応じてやってまいりたい、かように考えます。
○古寺委員 かりにこの特殊健康診断が一人当たり五千円でできたとしますね。そうしますと、五百万円全部使っても千人の人しかできないわけでございます。そういうような予算であっては、家内労働者の安全というものは守れない、そういうふうに考えるのです。あるいはまた、委託者にやらせるといたしましても、零細な委託者といたしましては、非常にお金がかかりますので、全部の家内労働者にそういうことが徹底されない、そういうような心配があるわけでございます。そういう点から考えて、この問題については労働省自体がやはりもっと真剣な気持ちになって善処しなければならないんじゃないか、そう考えますので、労働大臣のお考えを承りたいと思います。
○野原国務大臣 御指摘の点は、今後十分に考慮して、積極的に進めてみたいと考えております。
○古寺委員 精一ぱい努力してくださるそうでございますので、まことにけっこうではございますけれども、それと同時に、作業環境の問題です。雇用労働者に対しては、労働者住宅であるとか、あるいはいろいろな融資制度もございます。しかしながら、家内労働者に対しては、そういうような恩典がございません。今後この家内労働者に対して、そういういろいろな費用についての助成あるいは援助ですね、融資制度、そういうものについて労働省はお考えになっているかどうか、承りたいと思います。
○和田政府委員 融資制度につきましては、専業的な家内労働者の皆さんに対しては、実はいわゆる企業者という立場で通産省のほうにも融資制度があるように思います。しかし、専業的な立場にいらっしゃらない方につきましては、通産省の問題でなくて、私どものほうに問題が返ってくると思います。私どものほうも、いま中小企業に対しましては、安全衛生に関する特別融資制度を労働福祉事業団でやらしておりますが、これらと同じ精神に基づきまして、今後の実態を見きわめて、この融資制度を家内労働者に設ける必要があるということになりますれば、積極的にそういう制度を設けるように努力したいと思います。
○古寺委員 それは現在の制度の中に含んでいく、吸収していくというお考えでございますか。
○和田政府委員 安全衛生に関する特別融資制度でございますので、いまのところはいわゆる企業者ということで融資をしておりますが、研究をいたした結果によりましては、この中に含むか、あるいはまた別立にしますか、ちょっと融資条件から考えますと、どうも別立てにせざるを得ないんじゃないかというような感じもいたしておりますので、研究をさせていただきます。
○古寺委員 家内労働者を見ますと、職場と家庭が一緒でございます。そのために、先ほどもお話しいたしました有機溶剤あるいはアンモニアの入ったのりなんかをお使いになっているようでございますが、そういう中で、家族が生活していく上においていろいろな危険が伴うわけでございます。それに対する安全教育を実施する場合に、全家内労働者までそういうことを徹底させるためには、非常にこれは努力が要ることだと思いますが、そういう体制について労働省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○和田政府委員 実は家内労働者百四十三万のうちで、非常にあぶない中毒症状が出るというようなものに従事していらっしゃる方はそれほど多くございません。そういう点からいたしまして、私どものほうでも、この有機溶剤はあぶないというような点がわかりますので、これは委託者を教育いたしまして、委託者が家内労働者の方に有機溶剤の性格その他をよく知らせる、あるいは保管方法を知らせるというようなことで、安全衛生教育をさせることがまず第一だと思いますが、それに対しましては、私どもとしてももちろん全面的に協力をして指導していきたい、かように考えます。
○古寺委員 そこで監督行政になるわけでございますが、現在労働基準監督官が非常に足りない、こういうふうにいわれております。今度の家内労働法案が通った場合には、家内労働者のためのいわゆる監督官というものを何名ぐらい考えているのか。その点について……。
○和田政府委員 四十三年に、この前の通常国会でございますが、家内労働法案を提案いたすにあたりまして、家内労働者の特別分というようなことで二十五人ほど監督官をふやしたわけでございます。それは相変わらずいまも続いておりますが、しかし、私どもの考えとしましては、いま監督官が四十五年度は全部で二千七百五十三人になるはずでございますが、これを特別に家内労働班とかあるいは一般基準法関係の監督官というようなことで分けずに、有機的に総合的に使ってまいりたい、かように考えておりますが、基準法だけでもなかなか手一ぱいの面もございます。そういう点で今後監督官の増員ということについてはよほど私ども努力をしなければ、家内労働法について有効な措置ができない面があることをおそれておりますので、今後さらに増員については努力をさせていただきたいと思ます。
○古寺委員 時間がないようでございますから、監督官の問題については来週また委員会で質問を申し上げますので、そのときに詳しくもう一回伺いたいと思ます。時間がございませんので、最後に職業補導所の問題でございます。内職公共職業補導所、これは非常に数が少ない。また十二分にその機能を発揮しておらない。私どもの青森県におきましても、−内職公共職業補導所におきまして昨年一年間に取り扱った世帯が一万一千百六十世帯でございます。ところが希望する世帯は三万一千三百十世帯もある。こういうような実情でございますけれども、今後これをどういうふうにふやしていくのか。また、この補助金にいたしましても、三分の一の補助金のようでございますが、今後補助金をふやして大幅にこういう補導所をふやしていくお考えがないかどうか、これは大臣に承りたいと思います。
○野原国務大臣 詳しいことはわかりませんのであれですが、とにかく内職の職業の補導所なども大いにふやしたいと思いますし、また、家内労働法が成立をいたしまして、ますますこの仕事が大いに日本経済に役立つということになって、また家内労働に従事する人たちもますますふえるということになりますと、当然監督官の数なども相当大ぜいふやしていかなければならぬと思うわけでございますが、そういう体制は、今後この家内労働法が成立をいたしまして、それが行なわれた際において十分その点を配慮し、検討し、積極的にこの問題の処理に当たりたいと考えております。
○古寺委員 それでは時間ですので終わりますけれども、この法律はかなり抜け穴だらけの法律である、そういうふうに考えられるわけでございます。家内労働者の労働条件の改善であるとか、あるいは生活の安定ということが目的でございますけれども、はたしてそういうことが実現できるかどうかということが非常に心配でございます。今後この立法の目的に沿って、労働手帳の問題、賃金の問題あるいは安全衛生の問題その他について、十分に御配慮の上、家内労働者のためにひと一つ措置していただきたい、こういうふうに要望いたしまして私の質問を終わります。
○倉成委員長 西田八郎君。
○西田委員 時間が極力制限をされてきましたので、特急で質問をいたします。 まず、この家内労働法制定という動きが出てまいりましたそもそもの発端は、三十四年に家内労働審議会が発足しまして、いわゆる谷間にある家内労働者を保護しようという発想から出てきたものではなかろうかと思うのです。しかし、この家内労働審議会の中には、労働者の代表もおれば経営者の代表もおる、学識経験者もおられるということで、非常に利害関係が対立をしてまいります。そういうことで、審議会の答申というものは、一応ずっと読ましていただきましたが、これはいわゆる最大公約数というものがとられてきておる。したがって、利害関係をできるだけ調整しようということになっている。そこできわめて具体性の欠けた答申ということになってくるのではないかと理解するわけであります。そこへ持ってきて家内労働というものは、昔からの内職との境目が非常につきにくい。こういうようなことと、最近に至っては、特に労働力不足というような関係から、本来ならば職場でやらなければならない仕事までも家内労働に委託されるというような傾向が非常に強くなってきている。そのために、労働省としても、十分な実態把握ができていなかったと思うのです。したがって、この法案の全文を読んでみまして、その目的に家内労働者の労働条件の基準をきめると書いてあるが、その基準になるようなところがどこにあるのかということを見てみますと、工賃はこうしなければならない、しかし原則としてというようなことばがある。あるいは努力しなければならない。肝心なところは省令で定めるというふうに逃げておりまして、きわめて抽象的であります。また、先ほどからの答弁を聞いておりましても、ほとんどがきわめて抽象的な答弁でありまして、実態をどう把握しているかというような確信を持った政府側の答弁はないわけであります。そういう点から考えまして、この法案が成立をいたしましたあとの法律的効果といいますか、いわゆる立法の目的とした家内労働者保護の立場からくる法案の効果というものについて、ひとつ労働大臣の御答弁をいただきたい。
○野原国務大臣 西田委員の御指摘のとおり、これは必ずしも満足すべきものではないと思うのであります。しかし、いままで十年間もいろいろ論議がありながらこの法律ができなかったという点を考えてみまして、ようやくにしてこの家内労働法案がまとまった。審議会の幾たびかの審議を経てこういうものに固ってきた。やはりこれは家内労働者の保護の立場、工賃を保障したりいろいろな点で十分な効果をあげ得べきものだと思います。同時にまた、考えてみますと、家内労働を使っていろいろやっておる企業というものは、むしろ大企業ではなくて、その下の下請企業とか非常に零細な企業があるわけでございます。家内労働という問題と同時に、一面においては零細企業も同時に救っていくという非常に複雑な問題、しかし日本の経済の現状は、家内労働者の多数の人たちに安心して働いていただく、生産に従事してもらうという必要もあるわけでございます。同時にまた、零細な企業者もだんだん安定をして企業として成り立っていくようにしたいということで、内容的にはなかなかむずかしい問題を内蔵しておるわけでございますが、しかしこの法律の施行にあたっては、その辺を十分勘案しまして、わが国の労働問題の一環として大きな役割りを果たしていただくように、きめこまかな配慮を加えて改善に改善を加えていく、とりあえずこの辺で出発をさしていただいて、足らざる面があれば、皆さま方の御指摘になりましたような諸点は漸次改善を加えていく必要があろうかと思います。そういう意味で、この法案の内容等必ずしも十分ではないけれども、この際皆さま方の御協力を得てやっていきたいと考えております。
○西田委員 どうも具体的な御答弁がいただけない、これは無理もなかろうと思うのですけれども、そこで三つぐらいに分けて具体的に聞いてみたいと思うのです。 たとえば税制の問題です。これは家内労働者はいままで全部ほおかぶりしてきておるわけです。ところが、労働手帳ができて収入がはっきりすると、雑所得になるのか、あるいは勤労所得になるのか、事業所得になるのかは別として、税金を払う対象になってくることだけは事実なんです。そうすると、労働者は、いままで税金を払っていなかったが、払うようになるわけです。税金を払って一体今度は何のメリットがあるかということになると、メリットというものはほとんどないわけです。社会保障にしたって適用がほとんどできないというのですね。現行法上はできない、こうおっしやるわけです。これはあとで質問しますが……。そうすると、この法律ができることのほうが、労働者のために、いままで現在やっている人の当面の利害関係というものを考えてみると、有益というよりもかえってむしろ不利な面が非常に大きくクローズアップされてくるのじゃないか。そういう面について、税制について先ほど御答弁がありましたけれども、あれでは十分ではないと思うのです。特にこの法律によりますと、労働基準法第九条にいう労働者という定義をここで適用しておられるわけです。そういう説明がついていますね。この政府が出されている「この法律で「労働者」とは、労働基準法第九条に規定する労働者をいう。」そういうことに定一義というところでなっていますが、これは私の解釈が間違っておれば間違っていると指摘していただけばいいけれども、少なくとも賃金を得てその報酬をもって生計を維持する、あるいは生活の維持にそれで補完しているわけですから、私はこれは事業者ではないと思うのです。労働者とみなすべきではないか。そうだとすれば、一体税制の面でどういう取り扱いをするのが最も有利な方法なのか、その点について基準局長のほうからひとつ、いままでに試算されたことがあるのか、そしてそれについてどういうふうにして処置していこうとするのか、お伺いしたいわけです。
○和田政府委員 今度の法律案によりまして、確かにいま御指摘のようにベールをかぶっていたものがはっきりするじゃないか、こういう点の御指摘でございます。その点は確かにはっきりさせたいという趣旨でございますので、それは労働条件を明確にして委託関係をはっきりすることによって無用な紛争を除くとともに、家内労働者の労働条件の向上に資するためには、その契約関係を明確にしておこうということからああいう規定を設けておりますし、その他安全衛生につきましても、それから最低工賃につきましても、先ほど大臣が申し上げましたように、従来よりは一歩前進する、数歩前進したとは言いにくいと思いますが、そういう点に問題がある。 そのために、ただ問題は税金の問題いままでは所得が隠れておったのに今度は出てくるじゃないか、こういう点は御指摘のように確かにあります。ただ、いま工賃の状態でございますと、実際問題としては所得税がかかるとか、あるいは住民税がかかるというような状態の工賃ではない。ただ事業所得の場合は、これは実は専業的な家内労働者の方には事業所得がかかる場合が多いわけでございます。実はこういう方々は、いまでもほんとうに堂々たるお仕事をなさっておって、普通の意味の税金が相当かかっているように思います。いずれにしましても、所得税がいまかからないからいいではないかということではございませんで、私どもは、せっかく働かれる方が、そのために意味なく税金が取られるということであってはならぬと思います。そういう意味では分離課税の問題だとか、勤労控除の底上げの問題だとか、そういうようなこと、あるいは所要経費の問題、こういうようなことにつきまして、先ほどもお答えしたましたけれども、労働省としても一つの案をつくって、具体的にこの法律が施行されるようになりましたならば、大蔵とか自治とか関係のところと十分協議をして、この法律ができたがために課税が非常に重くなったということのないような状態をつくる努力をいたしたい、かように考えております。
○西田委員 それは十分守っていただきたいと思うのです。 それから、いまの答弁の中で多少認識のズレがあると思うのです。昔の家内労働者ということになれば、内職に毛のはえたものということになりますけれども、最近の家内労働はそんなものじゃありませんよ。月収十万をこす人だってざらにいるわけですから、そういう人たちの税制面というものもやはり考えていかなければならぬ。だから、やはり低いところを上げるというのが政治の常道であります。しかし、かなりなことをやっておられる人たちに対して、それが法の網の目をくぐって見のがされるということであってはならないと思います。この点は、もう少し実態というものを把握されるようにお願いをしておきたいと思います。 次に、安全衛生の問題ですけれども、これは非常につかみにくいと思うのです。しかも職場が個一人の私宅ということになりますから、その場合、監督を強化するという先ほどのお話もあったわけですけれども、どういうものを使っているか、どんな職場環境であるかということをまずもって点検をしなければならないのですが、その場合には、やはり訪問を申し上げて立ち入り検査というようなことになりはしないかと思うのです。そして有害だということがわかっても、拒否されたらこれはやらないのかどうか。いわゆるプライバシーとの関係においてどのような方法をもってそれを点検し、かつ点検した上に立ってでなければ改善勧告というものはできないと私は思うのです。それはどういうふうにして行なわれるのですか。もしも立ち入りを拒否された場合どうなるのですか。
○和田政府委員 安全衛生につきましては、先ほど申し上げましたように、これからの具体的な措置は家内労働審議会の意見を聞きまして、決して無理のないようにしてやっていきたい、こういうように考えるのが第一点でございます。 第二点は、やはりどういう仕事が委託されるかということによりまして安全衛生問題が把握できるわけであります。たとえば金属のおもちゃであればプレスの問題がある。プレスにはこういう危険がある。あるいは有機溶剤ならば、こういう有機溶剤を使えばこういう問題がある。そのためには局所排気装置をつくらなければいかぬとか、そういう問題は業種によって把握できると思います。その把握された業種に基づいてそれぞれの作業をやっていらっしゃる自宅に行ったりするわけでございます。今度は実はこの法律のうしろのほうに規定がございまして、監督官には、自宅でございますが、立ち入り権限がございます。それは拒否されますと刑罰にひっかかるということでございます。しかし、これは普通の工場、事業場と違いまして、確かにプライバシーと非常に密着した問題がございますので、私どもはプライバシーのことを十分意識しながら、しかも与えられておる立ち入り権限というものを有効に使う、こういう教育をぜひ全監督にしなければならない。決して無用にプライバシーを侵すことのないように努力したいと思います。
○西田委員 そこで、問題になっていることでございますけれども、労働組合法第十八条ですか、地域の一般的な拘束力というものがあるわけですね。そうすると、その付近でこれは類似の作業がなければいいけれども、どうしても類似作業あるいは関連する作業というものが、やはりかなり家内労働として広く広がっていくと思うのです。そういう場合に、その地域の労働組合と経営者の間にできた協約というようなものが、類似の、同種の産業の労働者ということになってくれば、適用されるということになるわけですが、この点の家内労働法との関係はどうお考えになっているのか、ひとつお聞かせいただきたい。
○和田政府委員 実は、組合法のほうは、労働協約でそれを地域的に拡大する、四分の三以上の場合に拡大するということになっておりますが、それは同種の産業の同種の労働者ということになっておりまして、雇用労働者を前提にしておると私どもいま考えております。なお、その点について多少研究さしていただきますが、あの法文の趣旨はそういうことでございまして、家内労働に直ちにかぶってはこないのではなかろうかと思いますが、正確にはさらに検討してお答えを申し上げたいと思います。
○西田委員 次に、社会保険関係の適用の問題です。労災法については、特別加入方法を考慮するということなので、これは一応了承したいと思うのです。しかし、健康保険、失業保険については、これは先ほども質問があったわけですけれども、日雇健康保険法の擬制適用という制度がいまとられておりますね。その擬制適用制度の人には日雇健康保険の場合は、日雇手帳を持っておって、そして印紙を張らなければならぬようになっておるわけですけれども、擬制適用者の場合には、その印紙の貼付を必要としないということになっておるわけですよ。そして、健康保険証にマル擬という擬制適用であるという証明をもらえば、その労働者の適用組合というのですか、そういう組合を結成することによって擬制適用を受けられる。たとえば大工さんとか、左官屋とかいうような人もこの適用を受けられるようになっておるわけなんです。そういうところに道が開いておられるのに、ほんとうに自分が働いて、そのことによってめしを食っていかなければならぬ、生活をしていかなければならぬという人に、現在行なわれておることがどうして行なわれないのか、この辺についてひとつ御答弁をいただきたい。
○和田政府委員 健康保険につきましては、普通雇用労働者の場合の問題でございますので、ただいま先生御指摘の擬制適用につきまして、まことに申しわけございませんが、私、勉強不十分でございますので、一人親方のような場合のことを今度論議されているというように聞いておりますが、はっきりとした姿で行なわれているかどうか、不勉強で申しわけございませんが、もしそういうような道が、労災保険で特別加入制度というのがございますが、それと同じような制度がもし向こうにあることがはっきりいたしますれば、厚生省とも話し合いをいたしまして、十分適用問題については努力をさしていただきたいと思います。
○西田委員 これはぜひやってもらいたいと思うのです。散髪屋さんもこの擬制適用の範囲の中で、自分のところで散髪しながら、これはおそらくやみということであろうと思いますよ。思いますけれども、日雇健康保険の適用を受けておる人がおるのです。うちで中風で寝ているおばあさんで、日雇健康保険の擬制適用を受けている人が現実にあるのですから。そういう点から考えれば、これは当然適用されるべきだと思うのです。ところが、先ほどの答弁を聞いておると、現行法ではできない、こうおっしゃる。労働省で解釈した場合はできないものが、厚生省でやっているということ、これはおかしい。そもそも、ばらばら行政の本質的なものを暴露されたようなものなんですけれども、十分ひとつお考えをいただきたい。 次に、労働時間の問題であります。先ほども御答弁がありまして、男子で平均九時間、女子が七時間、これはどこからとってこられた統計か知りませんが、私はこんなものじゃないと思うのです。しかし中断をされたり断続的に作業をいたしますから、ほんとうの労働時間というのは把握するのはむずかしいと思うのであります。そうしてまた、八時間やれ、四十八時間やれということを言ってみたところで、なかなかこれはむずかしいと思うのですが、それについて法律では必要な勧告をすることができるということになっていますね。ですから、それの把握については一体どういうふうに考えておられるのか。また、その把握存した場合に、労働時間というものをt一体適当な労働時間というものは基準法の範囲内なのか、あるいは基準法を多少オーバーすることも考えておられるのか、その辺についてお伺いしたい。
○和田政府委員 就業時間につきましては、非常にむずかしいという御認識をいただいておりますが、そのとおりでございます。都道府県の基準局長が必要な勧告をするといいますのは、実は家内労働と普通の雇用労働と混在したような産地がございます。そうしますと、電灯を一斉に消すとか、消さないとか、向こうがやめているのにこちらで機織りの音がするとか、そういうような場合、この場合普通の例として考えられると思いますが、そういう場合には、大体雇用労働者の働いている時間とごろを合わしたい、こういう考え方でございますので、おおむね八時間というようなことが一つの目安になっている。一般的に、孤立にありますものを適用することはほとんど不可能だ、かように思っております。
○西田委員 次に、委託者の保護の問題です。委託者というのは、大体家内労働者を守るために、委託者はどっちかというと取り締まられる側のほうに立っておると思うのです。しかし、委託者にもいろいろありまして、先ほども説明のあったように、代理委託もあれば、代理をする人あるいは事業請負をする人というようなこともあるし、そうしてまた、直接その会社経営をしている人からの委託というものもあろうと思うのです。しかし、私は主として問題にしたいのは、その代理委託の場合ですね、この場合が非常に気の毒な立場に立たされると思うのです。家内労働者の側と、それから委託をしてくれる人の間に立たされて、工賃の折衝だ、あるいは数量の折衝だ、いろいろの面で苦労すると思うのですけれども、それを考えてみますと、これは家内労働者とほとんど生活実態というものは変わらない人がやっているのではなかろうかと思うのです。それに対する保護というものは一体どうなるのか。先ほどの御答弁によると、その人が自分も委託を受けて家内労働をやっておれば家内労働者とみなされるようですけれども、私どものほうのことばでいうと伝馬船というのですが、これはは扇の骨を削る産地があります。その産地にはそういう人がおるわけなんですけれども、その人たちの保護というものは、一体この法律の中でできるのかできないのか。あるいはできないとすれば、そうした者に対する保護というものはあるのかどうか、ひとつお伺いをしたいと思います。
○和田政府委員 確かに仲介人と俗にいわれておりますが、その中に二種類あることは先ほどお答え申し上げたとおりであります。そのうちの先生の御指摘は代理的な行為を行なう人の場合であります。この法律では、確かにそういう方の特別の保護規定はございません。委託者に対してはどちらかというと取り締まり法規でございますので、委託者に対する保護というのは特にはございません。そういう観点からしまして、代理人の保護規定というものはございませんが、確かにグループリーダー的におやりになっておる代理者がおられますが、そういうときには、いまお話がありましたように、家内労働者として保護される面は出てきますが、グループリーダー的でなくて、ほんとうに仲介人だけの場合は保護規定はございませんが、ただ法律の運用にあたりましては、一体代理人が悪いのか、ほんとうの委託者が悪いのか、そこらに対しては、十分私ども法律施行の上で配慮していくべきだ。大体の場合は、悪い代理人もおりますが、委託者のほうが問題だと思いますので、そういうときには、委託者のほうに問題の焦点を合わして取り締まるというようなことをやっていきたい、かように考えております。
○西田委員 本会議が二時から開会で、もう予鈴も鳴っておるわけですから、まだまだ聞きたいことがたくさんあるのですが、この辺で遠慮さしていただきますが、最後に要望事項を申し上げておきたいと思います。 この法案も、先ほどから質問もし、各委員の方々の応答の中でも明らかなように、省令にまかされることが非常にたくさんあるわけであります。したがって、省令にまかされるということになれば、おそらく審議会の意見を聞いてということになると思うのですが、そういう場合にも、審議会だけでなしに、立法府として国会でわれわれ議論しておることも十分ひとつ考慮していただいて、そして省令を定められるように、その点を配慮願いたいということをお願い申し上げたいということが一つと、それから公布されました場合には、やはり周知徹底せしめなければならぬと思うのですが、この徹底がなかなかむずかしいと思うのです。しかも、先ほど申し上げましたような和金の問題だとか、あるいは安全衛生の問題によって監督の手が伸びてくるというようなところから、あまり好ましくないと感ずる人も中にはいるわけなんです。しかも家内労働者の八八%までは主婦だというふうにいわれておるわけでございますから、そういう主婦の方々が最も目につきやすい方法、たとえばテレビを利用するとか、あるいは市町村、都道府県で発行しておる広報を利用するとか、そういう点で労働省だけの仕事にならないように、地方公共団体あるいはその他の関係省庁とも十分連絡をして、そして、この法律の周知に対して徹底されるように要望して終わりたいと思います。
○倉成委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩します。 午後二時二分休憩 ————◇————— 午後四時一分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。 農林水産委員会において審査中の、芳賀貢君外十四名提出の農民年金法案及び内閣提出の農業者年金基金法案について、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、開会日時等につきましては、農林水産委員長と協議の上決定されることと存じますので、御了承願います。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、内閣提出の家内労働法案、田邊誠君外六名提出の家内労働法案、同じく最低賃金法案について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
○寺前委員 時間がありませんので、もう基本的な態度で労働大臣にお尋ねするということにしたいと思います。協力します。先ほどからの話の中で、家内労働者がきわめて劣悪な作業環境、一方的に低く押えられた工賃、長時間労働という労働条件である。しかも継続した仕事の保証がなく、労働基本法、労働基準法などの適用が、この分野においては権利として十分保障されていないのではないかという角度からの皆さんの意見でもあったし、労働省の皆さんのお話でもあったように私は聞くのですけれども、この家内労働法の制定の趣旨は、憲法で保障されるところの労働者の労働基本権、あるいはそれに基づくところの労働組合法とか労働基準法、こういうものをこの分野の労働者に当然与えるべきだという態度でもってこの法案の制定に臨まれているのかどうかという点を、基本的な態度として一点お伺いしたいと思います。
○野原国務大臣 御指摘のとおり、この法律は工賃の最低額、安全及び衛生その他家内労働者に関する必要な事項を定めて家内労働者の労働条件の向上をはかり、もって家内労働者の生活の安定に資するということをうたっておるわけでございます。したがいまして、その意味におきましての家内労働者の労働条件の基準の問題であるとか、参託者及び家内労働者に対するさまざまな条件を生とめまして、安心して家内労働に従事していただくということに考えておるわけでございまして、御指摘のような性格を持っておると考えております。
○寺前委員 それじゃ大臣、もう一度正確に聞かしていただきますけれども、憲法で保障されるところの労働基本権、それに基づくところの労働組合法あるいは労働基準法、これを基本に据えてこの法律はつくったのだ、そういうふうに解釈してよろしいな。
○野原国務大臣 御指摘のような点に見合う観点からこの家内労働法ができ上がっている、こう考えます。
○寺前委員 それじゃ引き続いて大臣に聞きたいのですが、労働組合法の第一条によるところの趣旨というのは、労働者と雇用者の間の対等によるところの態度でもって賃金などを決定していくことになっていると思うのですが、その点はどうでしょう。この法律の中でもその趣旨をこれで生かされているというふうに言われますか。その点について労働大臣の見解を聞きたいと思うのです。
○野原国務大臣 趣旨としてはおおむねおっしゃるとおりであろうと考えます。
○寺前委員 それでは具体的に、どの点がここでいわれているところの働く条件について、使用者と働く者が対等の立場において交渉し決定していくということが、この条文のどれによってそのことをいっているのか。これはやはり大臣に聞かぬといかぬ問題、一番基本の問題なんだから。貫かれているのか……。
○野原国務大臣 具体的な問題ですから基準局長に……
○和田政府委員 委託者と家内労働者の対等問題でございますが、たとえば家内労働手帳によって労働条件を明確にして——労働条件といいますか、請負条件、加工条件を明確にするということは、対等の立場での取りきめ方を明確にしようというところに基本的な問題があると思います。 それから工賃のきめ方につきましても、直接払いとか、そういう法律による強制を行なうということも、両者の間を対等なものに持っていこうというための措置、こういうように私ども考えております。
○寺前委員 一番基本的な問題からいうならば、工賃の決定による一たとえば工賃の話についていうならば、両者で交渉によってきめたものを基本にして法制化していくという態度をとるのが基本的な態度ではないのでしょうか、大臣。それが組合法にいうところのものとしてここに生きてこなかったらだめなんじゃないでしょうか。
○野原国務大臣 本来はそうあるべきだと思いますけれども、何せ各家の中で労働している、非常にたくさんの方々がおる、それがみんな労使間で話し合いをしてきめるというのはなかなかむずかしいと思うのです。そういうことでその仲介に立つ人が必要である場合もありましょうし、あるいは会社から直接話がある場合もある。何せ普通の会社につとめておる勤労者の方々とはおのずから性格が違っておりますから、そういう面で必ずしも労使の話し合いで万事うまくいくというふうに思われない。その点が家内労働のむずかしいところであろうかと思います。
○寺前委員 大臣、むずかしいことは、現実がそうなっていないということから明らかだ。それじゃ、たとえば一定の組合が一定の地域にある場合に、その地域のそういう人たちとの間に交渉を持ってやっていくということについて、それは法制的にもそれを最低工賃として保障していくんだということは、この法律から言えるんですな。いまの大臣の答弁からいうと、そうなりますよ。
○和田政府委員 一定地域で、一定の組合、家内労働者の皆さんの一つの組合ができまして、あるいはいまのところは協同組合というかっこう、あるいは労働組合というかっこうで現実にありますが、その方々と委託者のほうとで話し合いがついて、一つの団体規制的な行為を行なわれますことは、一般的な民事契約の問題として、それに従っていくということがいえると思います。その民事契約によってできましたものを最低工賃というかっこうにするかどうかは、今度の法案に定めてあります最低工賃設定手続を踏んでいただければ、そうしてそれによってそういうものができれば、法律に基づく最低工賃、そういうことになろうと考えております。
○寺前委員 いまの発言からよるならば、なるかならぬかはわからぬということになると思うのです。両者の間に決定したことが、直ちにそれが法制的拘束をするということにならなかったならば、それは労働組合法の第一条に基づくところの態度を保障したことにはならぬのではないかと私は思うのですが、大臣いかがでしょうか。
○和田政府委員 労働組合法は御存じのように長い歴史に基づく、労働者といわゆる資本家と申しますか、経営者との間における実質的対等原則を確保するために労働者の団結ということを規定をいたしまして、その団結を保障しておるということになっております。それに対しまして、家内労働者の場合につきましては、実はいろいろの様態がございますので、厳密なものを見てみますると、労働組合というかっこうで存在をしている団体が、私どもの承知している限りでは四つほどございます。これはすでに中労委あたりで労働組合であるという認定を受けておるような組合もございます。また、一方におきましては、協同組合というかっこうで存在しておるものもございます。そういうようにいたしまして、家内労働審議会でも、この団結の問題についてはいろいろの御議論がございましたけれども、現実に存在しているものが非常に種々多様であるということで意見が必ずしも一致しないわけであります。労働組合的にいくべきだ、いやそうじゃなくて事業的な非常に強いものもあるんだから、協同組合的にいくべきであるというような御議論が出ましたので、家内労働審議会としては、当面の問題としてそのどちらかに割り切るということをやめて、この家内労働者の方の団結の問題は今後さらに検討していこうというような結論になりまして、先生御存じのように答申にもそういうふうに出ておりますので、それを受けたわけでございます。
○寺前委員 今後の問題ということは、この法律によるならば労働基本権にかかわるその問題、たとえば最低工賃の決定については労働大臣や労働基準局長の職権によってきめていくということになりますので、したがって、基本的に労働組合法に基づくところのあのことを保障したということにはならないというように解釈してよろしいな。
○和田政府委員 法律的に申し上げますと、労働大臣及び都道府県基準局長がきめるということになっておりますので、団結に基づいた労働協約をそのまま認めていくというかっこうの法文形式にはなっておりません。なっておりませんが、実際の運用にあたりましては、そういうものができますれば、そういう事情を勘案をして、労働大臣なり基準局長なりがこの法律に定められる所定の手続をとっていけば最低工賃になる、こういうことでございます。
○寺前委員 それじゃ話を進めます。その件の意見はそれなりにわかりました。 それから次に、今度は逆に労働者の側から、この法律ができたら一体どういうことが保障されるのだろうかということの期待というのは非常に大きいと思うのです。それは長い間劣悪な条件のもとにおっただけに、このことに対する期待は大きいと思うのですね。 そこで、それじゃたとえば現実に起っている問題からいうならば、労働災害が非常に劣悪な条件下にあるから激しい。救済問題というのは、緊急の問題としてみんな期待していると思うのです。たとえばいろいろな職業病が、家内労働者のことですから発生している。しかしそういうものが、普通の大きな会社などにおいては労災の補償という形で適用されたり、あるいは仕事の面からいうたら失業保険の問題とか、こういうような一般の労働者が持っているところの健康保険あるいは失業保険あるいは労災保険、この種の問題に対する期待は非常に大きいわけですね。これは大臣もよく御存じだと思うのです。この法律によってほんとうに、普通のそういう経営の労働者と同じような保障が実際にされるのかどうか、大臣、どうでしょう。
○和田政府委員 この法律で家内労働者がどういう保護を受けるかということについて、条文的な問題でございますので、私からさしあたって答えさせていただきたいと思います。 今度の条文では、ただいま先生御指摘のように、いままで委託者と家内労働者の間における約束がきわめて不明確だ、そのために出てくる無用の紛争というのはずいぶん多うございましたし、そのために委託者があまりにも得をする、家内労働者が損をするというような事例が非常に多うございました。それを規制するものとして、家内労働手帳ということで労働委託条件をきわめて明確にすることによって無用の紛争を省く。とともに家内労働者が、自分はこういう条件のもとにこういう加工をしているのだということに明確な自覚を持って働いていただけるようにすることができるようになった、こういうように思います。 それから工賃の支払いにつきましても、とかく支払いがおくれがちであったりあるいは現金が渡されなかったり、そういうようなことから出てくる弊害がございましたので、今回は現金で全額を払え、そうしてそれも一カ月以内に払えというように、期限の明示等をいたしておりますのもそういうことでございます。 それから安全衛正問題につきましても、これは事の性質上努力義務をまず第一の前提としまして、第二は、都道府県の労働基準局長から所要の安全衛正に対する処置ができるようなことをいたしまして、けがとか病気ということから家内労働者の方を法的に保護するような規定を設けた。 その他打ち切りにつきましても一定の、六カ月以上継続の場合にはできるだけ早く予告をするというような努力規定を設ける等いたしましたようなわけで、相当の進歩があるものと私どもは考えております。
○寺前委員 私はそういう部分の問題があることも事実だと思うけれども、労働者が共通して願っている現実の救済からいうたら、何といったって普通の工場で働いておったら失業保険——継続して仕事がないのだから、そうなってくると、失業保険という責任ある雇用関係を保ってほしいとか、あるいは労災の補償ですね、それは特別労災補償の適用じゃなくして、それこそ雇用関係にある形態でやっておらぬとか、そういう問題については解決されていないことは事実ですね。これはやはり直接この法案の出ることを待っている人にすれば、大きな問題だと思う。それからまた労働基準法が、これは大事な問題だ。そうすると労働基準法という問題が、労災の問題もその一つとしてそこから出てくるわけだけれども、労働基準法で一定の時間の中で、週何時間、一日何というワクがあると、こういうワクで労働者は拘束されるようになる。ところが個人契約みたいな形になるからそれは時間がきめられない云々と言われるけれども、契約をもしも対等の立場に立った交渉の上においてやる、賃金決定をやっていく、そうした基準法に基づくところの割り増し賃金の問題まで含めて賃金決定を両者問でやっていくという体制をつくるならば、私は、基準法の適用をされるところの時間の問題とか、あるいは一週間、一日の給与の問題とか、有給休暇の問題とか、こういうものが全面的に適用されていく、だから基本は平等、対等の立場に立ってやることができる法律としなかったならば、私はむしろこの法律によって——労働基本権というものはあります、労働組合法はあります、労働基準法はあります、しかしこの分野の人たちにはそれが適用しにくいのだ、適用しにくいのだから、この家内労働法で最上といわなければならないという結果になって、逆に、あの労働基準法は労働者の最低の条件を規定するところのものであって、これ以上にしなければならないというあの労働基準法を低めることになるのではないかということで、労働大臣、私はもう一度聞きたいのですよ。これが労働基準法を低める役割りをする法律にはならぬだろうか。あれは最低基準をきめるものであって、労働基準法以上のものをやりなさいと法律ではなっている。ところが、こういうやり方でいったら、これより下げることになるんじゃないか。それは具体的に言ったら、たとえば職場の安全の問題一つを見ても、契約者と労働者と両者の間によって決定する、やっていくのだということで、労働者の側に責任を持たされる結果になります。こういう点から見ても、基準法を下げる役割りを家内労働法は持っているんじゃないか、このことを一言聞いて、私はこの質問を終わりたいのですが、大臣、一つだけ簡潔にお願いしたいと思います。
○野原国務大臣 いままでは家内労働という地位がきわめて不安定であり、劣悪であった。したがって、家内労働法ができまして、初めて一般の労働者に準ずるような扱いを受ける。しかし、これは労働基準法を引き下げるというようなことは断じてあってはならないと思うし、またそういう性格のものでもない。やはり労働基準法のワクの中で労働者の地位が守られるものであるというふうに考えておるわけでございます。
○寺前委員 それではこれで終わらせていただきますけれども、最後の問題については、私は労働基準法を下げる役割りをするというふうに見るのが至当だと思います。 終わります。 —————————————
○倉成委員長 この際、申し上げます。 本日は、全日本家内労働者組合総連合副会長本間熊蔵君及び東京交通労働組合主婦の会常任幹事塚本すみ子君の両君に参考人として御出席いただいております。 本日は御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 何とぞ参考人各位におかれましては、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序といたしまして、最初参考人より約十分程度に御意見を要約してお述べいただき、そのあと委員の質問にもお答え願いたいと存じます。 また、議事規則の定めるところによりまして、参考人の方々が発言なさいます際には、委員長の許可を得ていただくことになっており、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめお含みおき願いたいと存じます。 それでは、まず本間参考人からお願いいたします。
○本間参考人 私はいま御紹介にあずかりました家内総連の副委員長をやっております本間でございます。 私はベンゾール中毒事件で最も深刻な体験をした家内労働者として、家内労働の実態と問題点について御報告申し上げます。 委託者の性格についてまず述べたいと思います。 家内労働に委託する委託者、すなわち問屋、あるいは製造業者及び仲介人でありまして、商品を生産する製造業者というよりは、実際には問屋的、商人的な性格が非常に強い小零細業者がほとんどであります。 彼らは完備した事業場を持たず、原材料とデザインを指定して家内労働者の間をあちらこちらに持ち運ぶことによって、最後的には製品となって店頭に帰ってくるのであります。このような委託者の事業場は実際には家内労働者の自己の家を工場や倉庫として製造業者に無償で貸与しているのが実態であります。 彼らは自己の事業を拡大しようと思えば家内労働者に出す材料を増加すればよく、特別に事業場の拡大のための設備投資めんどうな雇用契約による従業員の募集や、そのための流動資本を必要としないのであります。また事業を縮小しようと思えば、家内労働者に出す材料を減らせばよく、休業補償の必要はないのであります。また事業場を閉鎖する場合、労基法にいう解雇予告、退職金の支払いなど一切のめんどうなことは必要としません。家内労働に依存している各種の家内工業における共通点は、前近代的生産形態、問屋制家内工業であるということがいえましょう。 このほか、大企業が家内労働者に直接または仲介人を通じて委託することは近年増加してきています。このことは、労働力の不足が深刻化し、潜在労働力の開発が大きな原因と思われます。 時間の都合上、仲介人の性格は省略させていただきます。 三番目に、家内労働者の実態について御報告したいと思います。 家内労働者は各自己の住まいを作業場に当て、起居する場所と同一個所で作業を行ない、家内労働者の労働力は、おもに世帯主とその家族の労働であり、中には親族の人が同居している場合があります。 特殊の例外としては繁忙期に知人から臨時に手伝ってもらう人もあるようであります。家内労働者、業者をおたなと呼んでおり、だんな、職人という関係、近来では社長、専務とか呼称は変化しつつありますが依然としてその関係は封建的従属関係に縛りつけられ、繁忙期には寝ずに仕事に追い立てられ、また仕事がなくなれば見向きもされないし、委託者の言いなりにならざるを得ないような仕組みの中に家内労働者は置かれております。以上のような労働条件のもとで工賃の決定は自主性を欠き、業者と対等の立場で適正な工賃の決定ができない状態にあります。この原因は雇用労働者と異なり、事業主及び店員との間で毎日の仕事の授受のたびに接するので、事業主及び店員のごきげんを損ずることは、その日からの作業量の減少に結びつくことを極度におそれるからであります。次に、家内労働の概念について御報告いたします。 現代における産業構造の変化とともに労働形態の変動も激しく、労働事情も近代的就業構造と相まって婦人労働分野に見られるように労働市場も拡大し、労使区分が明確化しようとしている現状の中で、家内手工業の、特に雑貨商品等の生産関係においては旧来依然として、前近代的な従属的家内労働によって生産が行なわれているのであります。 家内労働の関係においてそれを統一的にとらえることは困難でありますが、私は、家内労働政策の実効性を高めるためにも家内労働の性格を科学的に分析し、家内労働関係を明確にする必要があると思います。 私たちにあっても家内労働者ということばを用いる場合、明確な統一的内容を持っていたわけではなく、私ども実際運動に携わっているものとして、その必要から、はきもの産業だけでなく、あらゆる業種の家内労働関係から見て統一した内容を持ちたいと考え、次に申し上げるように分類したのでございます。 家内労働者と称されている中に、商業的な性格の強い者と労働者的な者、内職者とに大別できると考えます。 商業的な家内労働者とは、この人たちの生活程度は上層の部に位置し、独立手工業者として販売機能と高額な生産工具を所有し、常時的に少数の雇用労働があって、業者との関係は従属関係というよりも、むしろ経済上の関係と見られる側面が強く、経営者的な性格を持っております。 労働者的な家内労働者とは、前者とは全く反対で、簡単なとるに足らない生産工其しか持たず、前近代的な従属関係によって支配され、随時技術指導と労務管理労働力の把握が業者の手によって行なわれ、生産計画及び商業的利潤もまた業者にゆだね、その労働の成果も、また市場的評価も業者の手にあり、みずからは、労働力を提供し、その労働の対償として受ける工賃収入によって生計を維持しております。したがって、この種の家内労働者は委託者との従属性が強く、その仕事も継続的であり、固定的で、雇用労働者の地位に近いもので労働者的であります。 内職者については、その実態について諸先生方も御理解が深いことと存じますので省略させていただきます。 このように、何ら商業的利潤を得る手段もなく、ただ肉体的労働によって工賃収入を得て、これにより生計を営んでいる家内工業の生産に従事する家内労働者は、法的には雇用関係はないとはいえ、本質的には賃金労働者と大差ない労働関係の中に働いております。また現在では労働力の不足が家内労働者の分野にも大企業からの就職勧誘の手が伸び、低工賃、ひま場、長時間労働等、劣悪な労働条件下での生活をきらい、親子で働いていた家内労働世帯の中で、若い人は雇用労働者として転業する傾向が二、三年前よりあらわれ、労働力の減少により複数の委託者の仕事をしていた家内労働者皆無といってよいほど大きく変化しております。このような変化は思想面にも影響し、家内労働者は業者的意識が強いといわれましたが、業者的意識は薄れ、労働者としての自覚を深めてきております。 以上のごとく、実態は賃金労働者と本質的には大差ない性格を御理解いただき、一定の委託者のもとで継続して働いている家内労働者には労基法の準用をはじめとして、労災保険、健康保険、失業保険、退職金、休業補償等の社会保障制度を適用すべきであると考えます。 次に、安全衛正と業務上の疾病について申し上げます。 家内労働者の作業場は、四畳半ないし六畳程度の寝食も同所で行なう場所において行なわれているのが普通で、都市においては大部分がアパート生活または間借り生活であります。このような環境と長時間労働という悪条件も加わり、非衛正的なもとで作業が行なわれております。 昭和三十四年七月、東京ヘップサンダルの家内労働者及び内職の間で発生したベンゾール中毒事件も、このような環境の中で生じたのであります。 家内労働者の使用する副材料の中に、有機溶剤(接着剤、ゴムのり)及び鉛、水銀等が使用されております。この種の家内労働者は常に健康上の不安な気持ちで作業をしております。このような現状でありながら何らの保障も与えられておりません。 一定の業種については定期的な無料健康診断、特殊検診等を行なうことを委託者に義務づけ、さらに労災保険の適用を行なうよう強く要望する次第であります。 最後に、ベンゾール中毒事件で最も深刻な体験をなめた東京サンダル工組合の家内労働者として、労働保護並びに社会保障立法より除外されてきた家内労働者の保護のために、家内労働関係を明確にし、労働基準法の精神に従い、労働条件を規定され、もって家内労働者の最低生活を保障される立法を心からお願いして私の報告を終わります。(拍手)
○倉成委員長 次に、塚本参考人にお願いいたします。
○塚本参考人 御紹介にあずかりました塚本でございます。 今国会で家内労働法が制定されるという運びになったということは、私たち内職をやっております者にとって、いままで強い要求であっただけに、非常に喜ばしいことだと思っております。ですけれども、残念ながら、私たちの弱い内職者の実態に即応した家内労働法であるかどうかということに対して、私たちは非常に内容的に不十分なものを感じて残念に思っております。その上に立ちまして、家内労働者、弱い内職者の立場に立って強い要請をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 私ども主婦の会は、内職を暮らしの問題として、春闘の大幅賃上げの戦いと結合させながら、運動を進めてきました。昭和四十年二月第一回内職大会を開き、本年第六回の大会を開きました。毎年大会を開くにあたり、全国の内職者からアンケートを集め、製品別に工賃は幾ら、どれくらい時間がかかるか、一時間に何個できるか、そして幾らになるのか、日収は幾らか、月収は幾ら、なぜ内職をするのか、工賃の不払いや労働災害はどうか、職業病、などの実情調査をしてきました。 無権利のまま放置されている内職者の強い要求を申し上げます。 第一に、専業者重点のものでなく、内職者の権利を守る家内労働法にしていただきたいということです。 第二に、家内労働法案はその第一条で、「この法律は、工賃の最低額、安全及び衛正その他家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上」と「生活の安定に資することを目的とする。」とうたつていますが、第十三条の最低工賃額規定ではたしてこの目的を達成できるでしょうか。家内労働問題の最も重要なポイントは、工賃であります。労働省の推定による家内労働者は、四十三年調べで百二万人のうち、専業型家内労働者は一四・七万人、副業型家内労働者は六・一万人、家庭の主婦の内職者は八丁二万人という数字になっております。四十四年の中間では百四十三万人の家内労働者となっていますが、このように家庭の主婦の内職者が圧倒的に多数を占めています。しかもその一時間当たり工賃は、男子労働者の賃金の六分の一、女子労働者の賃金の三分の一という低さです。家内労働者の工賃を調べると、大部分が時間当たり平均五十円から七十円という低賃金です。主婦の会四十四年度の調査では、平均七十一円六銭です。この安過ぎる工賃は、内職は安いのがあたりまえという委託者と内職者相互から生まれたものであります。円単位の時代に、内職工賃は銭単位です。内職もりっぱな労働です。このような劣悪な労働条件から内職者を解放し、この法の目的とする内職者の生活の安定を期するために、内職の最低工賃は全国すべて、同一の内職製品、同一の業種について一律に最低工賃をきめていただきたいと思います。同一の内職製品でも、都市と郡部では大幅に賃金の差があります。現状では委託者は、東京の工賃が高いと関東各地方に持っていき、さらに東北地方まで安い工賃を追いかけていくのが実情でありますから、このような面から考えても、全国的な工賃規制がどうしても必要であります。答申では最低工賃の決定の基準は、同一地域の同種または類似の業務の労働者に適用される最低賃金、それがない場合にはその労働者の賃金と均衡を考慮して決定することになっています。このようなさめ方は、最低工賃が同種の労働者の賃金との比較においてこれを下回らぬようにするという原則は一応入っていますけれども、最賃制の場合と同様、最低工賃を全国全産業一律制を採用していたたきたいと思います。 第三に、工賃の遅配、欠配をなくしてもらいたいと思うのです。本年の調査でも、不払いが四十三年に比較して二・二%の増加となっています。不払いが増加してきていることは問題です。工賃の遅欠配の場合、どこが保障するか。国なり自治体で保障していただきたい。第四に、家内労働手帳について第三条二項に「委託者は、委託をするつど委託をした業務の内容、工賃の単価、工賃の支払期日その他労働省令で定める事項を、製造又は加工等に係る物品を受領するつど受領した物品の数量その他労働省令で定める事項を、工賃を支払うつど支払つた工賃の額その他労働省令で定める事項を、それぞれ家内労働手帳に記入しなければならない。」とありますが、内職者は手帳が発行されると、それによる税金のことが心配になってきます。家内労働者の工賃収入が明らかになることは、徴税がやりやす、なり、低額収入の者も課税の対象として追及されることになります。内職などにつきましては、十万円で良心に従って申告をしなければならない。配偶者控除の適用は、自分は受けることがでさないという現実です。家庭の主婦の内職収入にまで課税をする、そうして配偶者控除を十万円こえたら削っていこうという基本的な態度は、徴税行政として妥当であるかどうか、御一考いただきたいと思います。また、内職の契約のしかたにより、たとえば雇用関係にあるときは限度額が二十二万五千円までの控除がされることになっていますが、家庭内でする内職者には、非常にきびしいもののように思います。内職者に税金をかけないでいただきたい、そして内職者に利益を与えてほしいと思うのが、私たち弱い内職者の希望でございます。 第五に、安全及び衛生については、第十七条で「委託者は、委託に係る業務に関し、機械、器具その他の設備又は原材料その他の物品を家内労働者に譲渡し、貸与し、又は提供するときは、これらによる危害を防止するため、労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。」とあり、「とることを命ずる」と十八条にありますが、労働災害やその被害の経済負担から内職者を守るためには、もっと厳重な委託者責任が問われてよいのではないでしょうか。また、職業病もふえてきています。健康診断、治療など委託者で保障してもらいたい。 第六に、内職者の組織の保障をしていただきたい。内職者の自主的組織である内職友の会が、十年も前から結成されております。主婦の会も内職運動として数年前から組織づくりに取り組んでいます。組織をつくって要求を出させる家内労働者組織を積極的につくらせるようにしてもらいたい。 第七に、中央、地方家内労働審議会に内職者婦人の代表を入れていただきたい。 このほか労働時間の問題などいろいろありますけれども、時間の制約がございますので、ここで終わらせていただきたいと思いますが、どうぞ弱い内職者の身になって、立場を十分お考えいただいて、やはり真の家内労働法を制定していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
○倉成委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 参考人、ほんとうに御苦労さんです。ありがとうございました。 いま審議をしながら、皆さんの参考人としての意見をもっと早くから聞きたかった、こういう感じさえしました。われわれもその気になって審議はいたしましたけれども、しかしやはり実際に触れたそういうようなことばは強く心を打つものがある、こういうように思います。 それで本間参考人に承りたいと思いますが、労働組合ができているようです。この労働組合ができておって、委託者、いわば親方との団体交渉というか、こういうような折衝はどういうようなぐあいに行なっておりますか。そして、そのきまったことはよく守ってくれますか。そしてまた、まあ団体交渉ということばで言うか、いろいろあるでしょうけれども、すなおに応じてくれるようですか。組合ができておるそうでございますので、この点についてまず参考人に承りたいと思います。本間参考人にお願いします。
○本間参考人 私の組合は昭和三十四年に結成いたしまして、その間三十五年に労働委員会から法人格をいただきまして、労働組合として現在までやっています。その間これは要するに組合性格と、それから委託者の組織が任意であるということで、組織対組織の団体交渉というものは業者の団体のほうで拒否しておりますのでできませんが、団体とは懇談会という形で諸問題をいままで続けてやってきておりますが、ここのところ二年ばかり開かれておりません。それで各個々の委託者のところに、組織として職場会を結成しております。この職場会と組合とが協力して、一メーカーに対して団体交渉を持っております。そして、そこで団体協約をつくっております。しかしこれは実際、先ほども報告の中で申し上げましたように、団体協約をつくって、その後の実施が、毎日個人で作業の授受をいたす、接触するのは個人個人が毎日接触する、そういう中で業者のほうで切りくずしが出てまいります。そしてそれを追及していくと、その人はあすから仕事がない。おまえはうるさいからもう仕事を出さぬというようになってくる。こういうようなことが繰り返しになって、実際持続性はいままで持っておりません。しかし組合としては、必ずそれを実行させるように種々交渉しております。
○島本委員 ありがとうございました。せっかく組合ができても、相手方のほうではなかなか言うこともよく聞いてくれないし、交渉にも応じてくれないような傾向があることもわかりました。そしてそういうような場合には、何か政府の機関、こういうような機関に話し合ったりして、これを実施させるようになすったことがございましたか。
○本間参考人 実を申しまして、われわれ家内労働者でございますので、自治体とかこういう公の機関に対して交渉するということは非常に苦手でございまして、いままで不当労働行為なんという形で申し出て決裁がおりたことはございません。
○島本委員 いままでそういうような状態で労働組合として運営していた。これがやはり家内労働者のいわば一つの悲劇だっただろう、こういうように思わざるを得ないのであります。しかし朝からの質疑でも尽くされておりますけれども、今度新しく家内労働法ができた場合、それぞれ基本権を尊重する立場から十分これを行政的にも指導するというはっきりした態度の表明が政府側からもありますから、その点は今後自信を持って運営すべきだ、こういうように思います。 もう一つ、本間参考人は、何かきげんを損ずると作業量まで減少されるので、きげんを損じないように、だんなさまと言ったりしてきげんをとっておるようであります。こういうようなことがいまでもなお現実の問題としてあるのですか。
○本間参考人 現実にあります。
○島本委員 そういうような場合にはどういうようなことになりますか。きげんを損ずると、今度おまえに注文を渡さないとか、また、量を減らすとか、そういうような仕返しがあるのですか。
○本間参考人 それはあります。われわれは毎日、サンダルで申しますと大体百から二百足くらいの作業量をいただくわけであります。そういうようなことをやりますと、それが五十足になり三十足になり、後には、きょうは仕事がないからということでそのまま委託が打ち切られる場合がございます。
○島本委員 どうもありがとうございます。だいぶわかってまいりました。 それから手帳の問題も出ておりますけれども、おたくさんのほうの組合だと思いますが、家内労働手帳、現行のような程度のものでは、こんなものは要らないのじゃないか、やる以上やはりはっきりした恩典か——それによって税金の単なる申告だとか収入の明確化をはかられるだけにすぎないので、その程度ではこんなものは要らないのじゃないか、こういうような声もあるということも聞いておるわけであります。しかし、手帳そのものによって今後労働条件のいわば改善と申しますか、いろいろ雇用条件もこれによって改善していこうとする意図があるわけであります。そういうようなことからして、手帳の問題については今後不足な点なんかをもっと十分考慮してやらなければならないのですけれども、今度政府のほうでつくってそれを業者のほうへやって、変に宣伝をさせたりすることのないようにして、りっぱな手帳制度にして交付したいという意向があったわけです。手帳について、皆さんのほうで何か、こういうようにしたらいいという考えがございましたら、せっかくの機会ですから、この際に参考にまず承っておきたいと思います。これは本間参考人と塚本参考人、両方からお願いしたいと思います。
○本間参考人 家内労働手帳については、いま島本先生がおっしゃられたように、私のほうでは実際この手帳には困り切っておるわけです。というのは、ただ単にいま島本先生が言われた理由のみならず、先生方も審議の中で、なるほど家内労働というのは多岐多様にわたっていて、これはちょっと問題があるぞというようにお感じになったと思います。そういう中で、この家内労働手帳が行政指導によって全般に行き渡るかどうか、普及する度合いが問題であろう。というのは、この手帳が渡る者と渡らない者ができてくる。そうすると、われわれの業者のほうでは、こういうことができてくると思います。手帳を持っている者にははっきりと出さなければならぬ、こっちのほうに出すと工賃は規定どおり払わなければならぬ、ところが手帳を持ってないほうには安くさせられる、だから手帳を持ってないほうに仕事を流すというおそれがあります。そういった点で、これをやるにはやはり行政指導がどこまでいけるのだろうか、どこまで徹底して普及させられるのか、こういった点について私は疑問を持っています。そのほかについては何もありません。
○塚本参考人 労働手帳について一般の主婦の声を申し上げますと、家内労働手帳が出ることによって税金をかけられるということに非常におそれを抱いております。と申しますのは、主婦は家計が赤字で、そこで苦しくてどうしようもなくて働いて、やっと得た収入の中から、家内労働手帳が出ることによって明確化され、そしてそれに徴税されるとなると、いろいろな弊害が出てくるわけです。と申しますのは、扶養控除も受けられませんし、それから扶養手当、これもその企業企業によって制限がございますけれども、ほんとうに公労協あたりは十四万五千円くらいまで働きますと扶養手当を没収される、扶養控除も引き揚げられる、そしてその上にまた税金がかけられるということになりますと、一体主婦は何のために働いているのかという状態になりますので、家内労働手帳がおそらく出るとしても主婦はなかなかそれを、幾ら雇用状態の明確化といろいろなものが銘打ってあって、内容的にはすばらしいものであっても、税金がこわくて、それをいただくということにはならないと思います。そういう点におきまして、家内労働手帳が発行されるということに対して、私はいいとも悪いとも申し上げることはできませんけれども、その中で主婦がこういうような考えの中にいるということを皆さんでお含みおきいただきたいと思うわけです。それで先ほどもお願いしましたように、弱い内職者の税金を何とかしていただきたい。ほんとうに税金をかけないでいただきたいということがお願いできれば、労働手帳はすばらしいものだということに判断いたします。
○島本委員 税金の問題に関連して、これは塚本参考人にお伺いしますが、内職をしている人の統計を見ますとたいがい教育費おかず代、おやつ代、医療費それから耐久的消費財その他、七三、四%が生活費の足しということで使われているようなデータが四十四年度の調べに出ておって、私どもも一応驚いた次第です。そうなりますと、ちょっと私ここで質問したいのですが、生活に困っている中で生活保護法の適用を受けているような人は、収入があったらその分だけ減らされますから、このような人に対してはどういうようになっているのかちょっと心配なのです。生活保護法の適用を受けない人のこういうようないろいろな内職によるところの収入データなんか、みなそうなんです。現在は生活保護の適用を受けても千分それで生活していけるというような段階ではございませんから、それらの人たちも勢い内職に従事していなさるのじゃないか。そのようなことになると、生活保護基準もございましたり、いろいろそれに対する条件がございます。こういうような人たちに対してはどういうふうにしておられるか、この実態を差しつかえなければちょっとお知らせ願いたいと思います。特におわかりにならなければけっこうですが、この生活保護法の適用を受けている方なんかもおられますかどうか。
○塚本参考人 私どもの「主婦の会」では、生活保護法を受けている方は少数です。いままで内職をする人は、もうほんとうにごく貧しい人がやっているというような判断をされていたように思いますけれども、現在ではそういう貧しい人の内職というよりも、一般の婦人がほとんど、いまも御質問の中にありましたように、生活費に追われて働いているというような、そしてその生活費に追われている中でも、いまは昔と違いまして小学校を卒業したら働きに出すとか、中学校を卒業したら働きに出してといったような考え方ではなくて、一般一様にせめて高校までは、せめて大学へやってやりたいというような主婦の願いから生活費をかせいでいるというような状態です。そしてその中で、ただいまも御質問にありましたけれども、教育費、それと食費にまかなわれているということもございますが、ほとんどの主婦はみな生活費と教育費ということの中で働いています。 そしていまの御質問の生活保護法を適用されれいる人というのは、私たちの中ではほんとうに少数の人でございますので、私もはっきりその内容はつかんでおりませんけれども、現時点におきまして中高年の婦人また小さいお子さんを持っている人たち、そういう人たちの内職はほとんど、ただいまもお話し申し上げましたように教育費と生活費の中に——まあ中には耐久消費財に支払っている人もたくさんございます。それはやはり近代的貧乏というのか、やはり皆さんがテレビを持っていればテレビ、冷蔵庫を持っていれば冷蔵庫というように耐久消費財の中に加えておりますけれども、それはあくまでも一部的なものであって、実際の面におきましては生計費の中に繰り入れているという状態ですから、どうぞ……。
○島本委員 あと一、二で終わらしてもらいますが、いろいろ、これは塚本参考人のほうから一応税金の話が出されました。それに対して心配だという点もございます。これでやはり内職者に対しては雑所得というようなことになったり、専業者に対しては事業所得になったり、それからサラリーマンに対しては給与所得、それがいろいろ地方税のほうにも影響してきて、もうこれは専業者に対しては個人事業税もかかる、こういうようなことです。やはりそれを心配してやりました結果、これはかからないように努力するそうであります。ですから、その点心配は私どもはあまりしておらないのでありますけれども、あまりにも悪いのかもしれません。ただこの法案、いま出ておりますが、これに対して賛成なのでしょうか、反対なのでしょうか、最後に御両人からひとつそれぞれの意思の発表を願いたいと思います。
○本間参考人 全面的に反対とは申せませんが、ないよりあったほうがいいという意見のほうが強いようでございます。これを土台として家内労働の実態に即した法律に変える努力をお約束願えれば、私は賛成いたします。
○塚本参考人 私どもはここ数年来、昭和四十年から家内労働法を制定してくださるように要請をし続けてまいりましたので、今国会で制定されるということは非常にうれしいことだと思います。 ただ、私が先ほども申し上げましたように、家内労働法がほんとうに内容的にまだ不十分だと思いますので、今後その内容を変えていっていただきたいと思うだけでございます。私としましては、というより私ども「主婦の会」としましては、家内労働法が制定されるということは非常に喜んでおります。
○島本委員 ちょっといまの質問に関連して山本委員がぜひ発言したいそうですから……。
○山本(政)委員 関連して。 本間さんにちょっとお伺いしたいのですけれども、この法案は要するにあまり実のない法案だというお話ですね。それで実態に即してというお話がありましたが、実態に即してというのは一体どういう意味なのか私もよくわかりませんけれども、つまりこういう意味ですか。 一つは、一般的な言い方をすれば労働者としての基本権を認めよ一こういう主張なのか、あるいは具体的にいえば休業補償の問題があるだろうし、あるいは労働時間の問題があるだろうし、そして時間からいえば家内労働というのは、私よく知りませんけれども、非常に長時間労働のような気がする。そうすると、オーバータイムの問題もあるだろう、あるいはその他の問題もあるような気がするのですけれども、一般の人たちには退職金があるけれども、あなた方にはおそらくないような問題もある。そういうことについての何か展望といいますか約束といいますか、そういうものがあればいいというお考えなのか、その辺ひとつはっきりと聞かしていただきたいと思うのです。
○本間参考人 家内労働の実態に即してというのは、現在の法案の中に、定義でもおわかりのように、こんな複雑な家内労働の実態が一つにきめられている。これが先ほど私が報告の中で分析しましたように、実際に言って、社会保障制度にしても、あるいは労働基準法を適用するにいたしましても、適用できないような人も含まれているわけです。こういう法の適用範囲の問題を明確にして、その中で、私の申しておりますように、労働者的な、要するに従属関係によって結ばれているような家内労働者に対しては、労働基準法の精神に従って準用していただきたい、こういうことを加味していただきたいということでございます。
○山本(政)委員 もう一つお伺いしたいことは、あのヘップサンダル事件ですか、それでちょっと思い出したのですけれども、つまり、たとえば接着剤一つにしたって、いま原材料が非常に変わってくる。それに応じて、そういう薬品関係も常に激しい変わり方をすると思うのです。そういう場合に、こういう言い方をするとたいへん失礼かもわかりませんけれども、つまり家内労働をおやりになっている方々は、そういう薬品の性質が有毒であるかどうであるかということは使う前にはわからぬわけで、使ってしまって、病気にかかって初めてこれは有害だというようなことがわかるのだろうと思うのです。そういう場合に、それを規制するものは何もないわけですね。私はよく知りませんけれども、たとえば役所の指導課かどこかへ行って、これこれの薬品が有害かどうかということを調べてもらうと、その結果はわかりますね。しかし、そういう手間ひまを家内労働者というのはおそらくやらぬと思うのですよ。そうすると、要するに常に病気にかかってしまわなければ、そういうものが有毒であるかどうであるかということがわからぬということになるのじゃないだろうか。その辺について一体どうすればいいのか。あなた方にそういうお考えがあるかどうか。もしお考えがあれば、そういう点もひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
○本間参考人 労働災害の問題につきまして、ベンゾール中毒でさんざんやりまして、このベンゾール中毒の発生した状況を理解されればおわかりになると思いますけれども、家内労働者の場合、一作業場において集団で作業をやっておるわけではございません、分散してやっておる関係上、ああいうように入院して再起不能な貧血症なんという診断を下されない限り、そういう患者が出ない限り、これは把握することは困難でございます。私のほうでは、これは先ほど申しましたように、小零細企業でございますので、委託者のみの責任によって——有機溶剤の場合は特殊健診をしなければならないし、またこれが世帯主だけでなくて家族もそうでございます、子供も含めて。子供が遊んでおる場所で使っておりますので、特殊健診をやる場合は、一家族全部やらなければ意味ないわけです。そういう意味では、これは経費が高いものですから、実内労働者個人の負担ではできません。したがって、委託者と国と公共団体等の援助によって定期的にやっていただきたい、私はかように考えております。
○山本(政)委員 どうもありがとうございました。
○倉成委員長 古寺宏君。
○古寺委員 本間参考人にお尋ねを申し上げたいと思いますが、今度の問題点の中では仲介人の性格ということについては省略をいたしておりますが、今度の法案が通った場合においても、悪徳仲介人によるところのピンはねと申しますか、そういう懸念があるのではないかということが考えられますが、この点についていかがでございましょうか。
○本間参考人 仲介人と申しましても、いろいろございます。自分がある作業をやって、そして若干の雇用労働者を持っている場合と、そして家内労働者をあわせ使っている場合、あるいは全然作業をやらずに家内労働者のところあるいは内職者のところを回ってやっている場合、こういう場合があります。それからこの口銭については、いろいろありますが、大体内口銭と、委託者から一個幾らというふうに単価でもって請けてまいって、そのうちから自分の利益を搾取して家内労働者に渡しているのが現状であります。したがって、私どもの立場とすると、われわれの工賃を保護するためには仲介業者のほうを少し締めていただきたい、こういうふうに考えております。
○古寺委員 先ほどのお話の中に、工賃の決定は自主性を欠き、業者と対等の立場で適正な工賃の決定ができない状態にあります、こういうふうになっておりますけれども、今度の家内労働法が通った場合には、こういう心配はなくなるというふうにお考えでございましょうか。
○本間参考人 その点につきましては、この法律によって当局の行政指導が十分なされればなくなると思いますけれども、行政指導が十分でなければ、なかなかこれは解消にまではいかないと思いますが、われわれ組織を持っているものは、この法を武器といたしまして業者と戦っていくつもりでございます。
○古寺委員 先日、浅草のほうに行っていろいろ見せていただいたときには、家内労働者の方の住んでおられる、また作業なさっておられる場所は非常に狭い場所で、しかも借家やアパートが多い、こういうことをお聞きいたしました。今度のこの法案が通った場合には、いろいろな安全衛生規則によって改善をしなければならないというような事態もあるいは起こるんじゃないか、こういうふうに考えますけれども、自分の家でない、アパートや間借りでございますので、当然大家さんの承諾を得なければ、これはできないわけでございます。今後家内労働を続けていく上において、それが承諾されない場合にはそこからどこかへ移転をしなければならない、そういう心配もあるわけでございますが、この点については、いかがでございましょうか。
○本間参考人 いま古寺先生がおっしゃったとおりで、それが私たちの一番悩みの種でございます。したがって組合といたしましては東京都に対して、仕事ができる、作業してもいい都営住宅をつくってほしいということを請願いたしておる現在でございます。
○古寺委員 去る三十四年の七月、東京をはじめ大阪、桑名、いろいろなところでベンゾールによる中毒が発生いたしました。その後労働者は、家内労働審議会の答申に基づいて、健康診断あるいは特殊健康診断を行なうというふうになっておりましたけれども、そういうことについて実際本間さんは特殊健康診断を何回ぐらい受けられ、また同業者の方々の中で、その健康診断の結果、中毒症状があらわれているというふうに診断を受けた方が何人くらいいらしたでございましょうか。
○本間参考人 ベンゾール中毒の発生した当時には、組合員が約二百五十、特殊健診、これは東大病院の先生方の協力を得て実施いたしました。そのときには、大体八割までが要注意、その八割の中で要治療者が約四〇%おりましたが、現在ではおりません。しかし、その後の状況ですけれどもこれははっきりと医学的には申せませんが、私はじめ、この手が、こういうように紫色に変わっております。これが、無理がちょっと続きますと、一昼夜おきますと、かゆくて、皮下炎を起こしますが、これものりのせいではないかと思います。私自身、実際においてまだ健診を受けてはおりません。また、女の人たちのそういう訴えが組合のほうにもきております。そのほかにまだ、家族のほうで、婦人のお産の場合に、近ごろ、多量出血で死亡する人が出ております。これも、医学的に健診しておりませんので、実際において、現在それがのりの中毒であるのか、そういうことが原因しておるのかどうかは私は確認しておりませんけれども、昨年の三月、一名なくなっております。これは、それまで非常にじょうぶで、お産は四回目でございまして、非常に元気に働いていた奥さんでございます。年齢は三十三歳です。この人がなくなっております。 いままで健診を受けたことがあるかと申しますが、私は三十四年のときに受けたきり、その後健診を受けておりません。
○古寺委員 有機溶剤ののりの中に入っておるアンモニアによって、同じ部屋に住んでおる、一緒に生活しておるところの子供さんが小児ぜんそくになったとか、あるいは一緒に働いている若い女の人に白血球の減少が起きたとか、あるいはまた、毎日労働しておる奥さんが猩紅熱のような発しんが出ている、あるいはまた、本間さん自体も皮下出血が起きている、こういうようないろいろな中毒症状みたいなものが最近ふえておるようでございますが、こういう点について、今度の家内労働法では、はっきりした労災保険の適用といいますか、そういうものがないわけでございますけれども、この点については、将来当然全面適用すべきであると私は考えますが、そういう点については、どのようにお考えでございましょうか。
○本間参考人 古寺先生のおっしゃるとおりでございます。先ほど私が申し上げましたように、有機溶剤の場合は、普通の健康診断ではわからない。町の病院に行きまして、こうだと思うのだが見てくださいと言っても、いや、うちではそれはわからぬということで、これは、特別な病院に行って特殊健診を受けなければならぬ。これの経費が、大体、一人の健診がいまから十年前で六千円と申しますから、いまちょっと医療代も上がっておるようでございますので、おそらく万という金になると思います。これが個人負担では、とうてい家内労働者ではできません。したがって、何といたしましても、先ほどから申し上げているように、法でもって、委託者と国と公共団体等で、家内労働者の特殊健診をしていただきたい、かように考えております。
○古寺委員 こういう作業場、作業環境というものを変えていくためには、当然いろいろとお金がかかるわけでございますが、家内労働者の方々は銀行その他からの融資も受けられない、また、お借りしましても、利息が高いために、返していくのには容易でない、そういうこともお伺いをいたしておりますが、この融資制度についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。どういうことを御要望なさいますか。
○本間参考人 融資制度と申しましても、家内労働者でございますので、現在金融機関を全然持っておりません。ただし、私の組合−組織を持っておる者は労働金庫に加盟しておりますので、そのほうから融資を受けております。なぜそういうようにしましたかというと、いままでは、そういう制度がなかった場合、委託者から、生活に困ると、前借りとかあるいは借金という形で金を借りておりまして、そうすると、借りているために恩に着せられる、あるいは、それが自分のひけ目となって、工賃交渉の場合に大きな影響を来たすわけです。そういう点が低工賃をもたらした原因になるということで、組合もいま労働金庫に加盟しまして、生活に困った場合は労働金庫から借り入れをするというようなことでやっておりますが、組合のない人は、おそらく質屋しかないと思います。
○古寺委員 先ほどもお話がございましたが、所得税は納めていないけれども、事業税を取られる。今後労働手帳が交付されるようになった場合に、非常にそういうことが心配であるというお話をお聞きしましたけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
○本間参考人 家内労働者の税金の問題について、私たちも組織をあげて、国税庁をはじめとして、東京都のほうに、事業税の撤廃、できるならば給与所得にしてほしいということで請願もいたし、陳情もいたし、交渉もいたしてまいりました。この事業税の撤廃を根源として——私たちの基本的な立場は、先生方も御存じだと思いますけれども、民法にいう請負というように言われるわけです。あるいは自営業者だとか、おまえたちは下請業者じゃないかというように言われるわけですけれども、われわれの実態がはたして請負であるかということが、私たちは納得がいかないわけです。たとえば請負といわれるのは、俗にいう、 一軒のうちを建てる大工さん——軒のうちを建てるんだから、これをおまえ幾らで請け負えというようなことで契約されるのが請負だと、通常私は考えております。詳しい理解は持っておりませんので、その点議論はできませんけれども、私たちが委託契約する場合、このものを幾つつくって、いつまでに納めるということで契約しているのではございません。自分をはじめ家族の労働力を前提として、向こうでその労働力に生産計画を盛り込んで、私たちに委託してくるわけです。したがって、いつ幾日までという期限つきの委託契約ではございません。期限はございません。メーカーがその製造業を営んでいる限り継続されていくわけです。私も一軒の委託者をもう二十五年やっております。こういうように継続されるわけで、一つの物件を、請負契約という形で企業がきめ、そして、それが終わったら次に新しいものを契約されるというものではない。したがって、先ほども申しましたように、われわれの工賃を実際に給与に準ずるその他の収入と見ていただいて、われわれに事業税だけは絶対に廃止してほしいということを懇願してまいりましたけれども、東京都のほうで調査して、その中間報告で私たちのほうに返ってきた点を申し上げます。 われわれに、請負だということはいま申しましたが、おまえたちは作業場を持っているから事業だと言う。われわれが寝起きする四畳半か六畳の間で、子供が遊んでいるところで仕事をしている、こういう規模のものまでも、要するに作業場といえるのかどうか。これが私たちは納得のいかないことなんです。作業場と一がいにいえば、一つの規格を持ち、一つの棟が存在し、一つの面積があって、そこに生産工具なり何なりの設備をしたものが作業場じゃないのか。われわれは仕事場を片づけて寝るのです。昼の御飯なんか、自分の仕事台の上で食べるのです。これが作業場といえるのでしょうか。私は納得がいかない。それから、生産工具を持っている、ミシンを持っているじゃないか、工業用ミシンを持っているじゃないかということを言われます。しかし、工業用ミシンといっても、いま嫁さんに行く若い娘さんたちの嫁入り道具の中に、高価な刺しゅうミシンまでもその一つに数えられる現在の生活状態、それと同じなんです。われわれの持っているミシンなんというものは、実際、高性能のものでも、たかが七万ぐらいで買えるわけです。しかもいまは月賦販売が非常に盛んでございますので、食うものをさいても、自分の道具である以上は月賦で買います。こういうものがいわゆる設備投資をしたといえるのでしょうか。これが設備投資をしているんだということです。私は納得がいきません。 それから、おまえたちは、仕事を持っていけば、自分一人でやれというのじゃなくて、だれにでもさしていいじゃないか、そういう自由な立場にあるじゃないか、これは大きな家内労働の実態を正しくとらえている人の見方ではないんじゃないか。われわれ専業的な家内労働者と内職の関係というのは分業的関係にあって、搾取関係にはないんです。というのは、委託者が、近ごろみたいに労働力が不足になれば、自分で内職者をさがすという手間省きのために、おまえにこれやるからこの分をだれかに頼んでやってもらってくれというようなことで、生産をあげるための手段に家内労働者が使われて内職さがしをやっているんです。いわばこれは、先ほど申しましたように、家内労働者と内職の関係というのは分業的な関係にあって、搾取関係にはないんです。 それからまた、自分ができない量を委託者がよこすというのは、ぼくたちは、強制労働だ、そんなできないものをやれと言ったってできないんだということを言えば、内職者に、この部分だけでも内職者をさがしてやってくれ。だけれども、こちらとしても、さっき申しましたように、いわゆるだんな、職人という人情的な浪花節調の関係に置かれて、だんなのごきげんを損じてはいけないから、何とかいたしましょうということで、人よくやっているわけです。それで、内職者のところに行って、ただで手間をつぶしてやっているわけです。しかし、それは将来における自分の作業量を保障してほしいからなんです。そういうことを理由に、おまえたちは事業なんだ、だから事業税を納めろ、こういうように言われているわけです。ですから、私たちは給与所得にぜひともしてくれとは申しません。だけれども、こういう実態なんです。労働者、自分の商業利潤も何もない、工賃だけで生活しているわれわれに、事業者だと言われたら、私たちは納得いかないんです。ぜひともこの事業税の廃止だけはやっていただきたいと考えております。
○古寺委員 ヘップサンダルの家内労働者の方がお使いになっているのりは、シンナーのような非常に強烈なにおいがいたしますけけども、きょうはのりをお持ちでございましょうか。
○本間参考人 持ってきておりません。
○古寺委員 そうですか、残念でございました。今度機会がございましたならば、労働省のお役人の方にもぜひ一度そのかおりをかいでいただいたほうがいいのじゃないかと思います。 それで、賃金の問題でございますけれども、今度最低工賃が保障されるようになれば、朝から夜十二時ごろまで家族総員でもって働いていらっしゃる方の労働時間の短縮ができるかどうかですね。これは内職のほうも同じであると思います。内職のほうでも、未亡人の方あるいは身体障害者あるいは病人の方まで生活のために内職をし、夜おそくまで働いております。この賃金が適正になる、あるいは現在よりもある程度引き上げられて生活に困らないようになった場合には、労働時間は短縮できるかどうか、御両人の方からお伺いしたいと思います。
○本間参考人 いま最低工賃制の問題について、最低工賃がきまれば労働時間も短縮できるかどうかということでございます。私といたしましては、現行工賃が低い——これはいま単価として申し上げることはちょっとできませんので、税金の申告当時に組合で調査した平均を申しますと、夫婦二人で四万のものが二二%、五万程度のものが二五%、六万のものが一〇・四%、七万が一〇・四%、八万が一六・六%、九万が六・二%、十万以上のものが二%、こういうようになっております。金額で申しますと、一世帯の月収平均が八万六千五百四十三円、一人頭にいたしますと三万七千三百八十円、こういうような収入の統計が出ております。 それから労働時間の平均を申しますと、八時間労働が三・二二%、それから九時間はゼロ、十時間が二〇・九%、十一時間が十一・二%、十二時間が一九・四%、十三時間が一四・六%、十四時間が一九・四%、十五時間が八・〇六%、十六時間が一・六一%、十七時間が一・六一%、平均いたしますと十二・三七時間が平均労働時間となっております。 しがいまして、現在の工賃では、それで規制されて、最低工賃がきめられたからすぐ労働時間も短縮しろといわれても、これはできません。したがいまして、労働時間を規制するならば、現行工賃を引き上げていただきたい。それでなければ労働時間の短縮はできないと思います。
○塚本参考人 労働時間の実態を申し上げますと、主婦の会の統計では、工賃の安い人ほど労働時間をよけいにやっているということなんです。そして工賃なんですけれども、九州では一時間十円の内職をやっている人がございます。それに比較しまして東京では一時間三百円という内職工賃の人もいます。そういう一時間三百円の方は一日に四時間ないし五時間しか働いていません。ところが、九州の方のように一時間十円という方は一日十一時間働いております。そういうような実態が出ておりますので、先ほど申し上げましたように、東京で高いものは東北に行く、東北で高いものはといって随時安いほうに工賃が追いかけるように、地方へ地方へと移行していきます。ですから、全国一律に、全産業がほんとうにどこの土地へ行っても同じ工賃であるならば、そういうことが可能ならば、労働時間の短縮はできると思います。
○古寺委員 最後にもう一つお尋ねしたいのですが、公共内職補導所というのがございます。これは非常に少ないので、新聞の誇大広告であるとか、あるいは会社の駐在員によって内職をやっている方がございますが、こういう方々の賃金を聞きますと、非常に賃金が安い、そういうことを聞いておりますが、今後この内職公共補導所のような公的な内職をあっせんする場所でございますね、こういうものをどのくらいふやしていったら、そういうような問題が解決されるとお考えでございましょうか。
○塚本参考人 内職公共補導所ですけれども、その補導所の内職工賃が非常に安いわけです。それが全国一般的に右へならえをされると私たちは非常に困るわけです。ですから、その内職補導所の賃金のきめ方に一つ問題点があると思うわけです。ですから、そういうような規制の上に立って、そして内職者の工賃を引き上げる役目をしてくださるのでしたら、全国各所にほしいと思います。できるだけ多くほしいと思いますけれども、賃金を引き下げるような役目をする補導所でしたらば、私たちは非常に問題があると思います。現時点で、私も内職もパートもやってまいりましたけれども、内職工賃は十年一日のようにあまり差がございません。ですから、そういうことの問題の解決方法ですね、そして授産場とか補導所なんかで内職工賃をきめるときには、どのような点左もって工賃をきめるのであろうかと私自身疑問に思っております。十年前と同じような工賃では私たちは納得できないわけです。私が前にやっておりました内職工賃を申し上げますと、子供のお人形のネグリジェですが、それを縫った時点では一枚十五円でした。ところが現在では、補導所を通じて来ますその同じ製品が一枚六円から七円です。いまの物価の上昇から比較して、何か反比例のような気がするのですけれども、そういうような内職工賃のきめ方に問題があると思いますので、そういうことも皆さんでお考えあわせいただきたいと思います。
○古寺委員 それでは時間でございますので、これで終わります。ありがとうございました。
○倉成委員長 寺前巖君。
○寺前委員 どうも御苦労さまでございます。もう時間がおそうございますので、最後的に御意見だけを一言おっしゃっていただいたらけっこうだと思うのです。 それは、この法案によってみんなの組合員さんですか、何をこれで実現できるだろうかと期待されたか。それと、これによってこの点が困ったことだという問題点ですね、端的に問題点だけをお聞きしたい。もうおそうございますので、その点お二人からお聞かせいただいたら私はけっこうでございます。お願いします。
○本間参考人 この法案についての問題点と言われましても、言えば幾らもあるわけです。ですけれども、私たちが期待していたのは、先ほど私が説明していた点に尽きると思います。われわれは労働者と大差ない関係に置かれているのだから、要するに賃金労働者と同様に、労働者としての基本的権利、団体交渉権なりあるいは団結権なり、こういったものを保障していただいて、そのほかに社会保障制度を適用していただきたい。これを基本的に期待していたわけでございますけれども、実際面においてその点が薄れておりますし、全然ないものもございます。私は非常に遺憾だと思っております。 それから、問題点になるのは、何といいましても、塚本さんのほうからもお話がありましたが、労働手帳の問題それから安全衛生の中で、委託者も、それから家内労働者も、ともにその防止措置をとれという義務づけがありますけれども、いま申しましたように、非常に低所得の家内労働者に、はたしてどれだけの設備ができるか、私としては自信がございません。その点が問題だと思います。
○塚本参考人 私、先ほども申し上げたと思いますけれども、内職者にとっては非常に内容的に不十分です。ですけれども、制定されることに対しては非常に喜んでおります。今後皆さんの御努力によって、弱い内職者の利益になるような内容に変えていっていただくことに期待しております。
○寺前委員 終わります。
○倉成委員長 両参考人には御多用中御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 —————————————
○倉成委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○倉成委員長 速記を始めて。 おはかりいたします。 ただいま田邊誠君外六名提出の家内労働法案について、提出者全員から撤回の請求がありました。本案は、すでに本委員会の議題となっておりますので、これを撤回するには、委員会の許可を要することになっております。つきましては、本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、田邊誠君外六名提出の家内労働法案の撤回を許可するに決しました。 —————————————
○倉成委員長 ただいままでに委員長の手元に、小山省二君、島本虎三君、大橋敏雄君及び寒川喜一君より、本案に対する修正案が提出されております。 家内労働法案に対する修正案 家内労働法案の一部を次のように修正する。 第十九条中「政令で定める」を削り、「置く」を「置くものとする」に改め、同条に次のただし書を加える。 ただし、政令で定める都道府県労働基準局 にあっては、この限りでない。 附則第六条中労働省設置法第十六条第一項ただし書の改正規定を次のように改める。 ただし、地方家内労働審議会は、政令で定 める都道府県労働基準局には置かないものと する。
○倉成委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。小山省二君。
○小山(省)委員 私は、ただいま議題となっております家内労働法案に対する自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四派共同提案にかかる修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 家内労働に関する審議機関として「労働省に中央家内労働審議会を、都道府県労働基準局に地方家内労働審議会を置くものとする。ただし、政令で定める都道府県労働基準局にあっては、この限りでない。」ものとする。 以上の修正に伴い、この法案の附則について所要の字句整理を行なうこと。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
○倉成委員長 本修正案について質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 修正案に対しまして質問を申し上げたいと思います。 まず地方家内労働審議会については、その役割りの重大性から見て、当然全国に置かれるべきものであり、この修正案もその趣旨に出るものと考えるのでありますが、ここ三年以内に計画的に全国にその設置を進める考えはないかどうか、以上労働大臣にお伺いしたいと思います。
○野原国務大臣 御質問の御趣旨はごもっともでありますので、東京、大阪、愛知の三都府県に限らず、家内労働者の多数存在する地域の労働基準局には地方家内労働審議会を早急に設置するよう、今後とも努力してまいる考えでございます。
○島本委員 終わります。
○倉成委員長 これにて内閣提出の家内労働法及びこれに対する修正案についての質疑は終局たしました。 —————————————
○倉成委員長 次に、家内労働法案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、小山省二君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○倉成委員長 この際、小山省二君、島本虎三君、大橋敏雄君及び寒川喜一君より、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。島本虎三君。
○島本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 家内労働法案に対する附帯決議 政府は、本法の施行にあたり、次の事項について特段の配意をすること。 一 家内労働者に対して、税制の改善を図るよう検討すること。 二 工賃について賃金と同様な民事上の保護を図るよう検討すること。 三 最低工賃の決定に際しては、最低工賃の八時間労働換算額について最低賃金との均衡を考慮するよう配慮すること。 四 最低工賃制度に関しては、最低賃金制度の基本的なあり方について、中央最低賃金審議会の意見の提出があったときは、再検討すること。 五 労働者災害補償保険制度における特別加入制度に加入させる家内労働者の範囲については、家内労働における安全及び衛生の実情に即して決定し、必要に応じて業種の拡大を図るよう検討すること。 六 本法施行に必要な労働基準監督官の確保、地方家内労働審議会の設置その他家内労働行政体制の整備充実に努めること。 七 少数の他人を使用する者でも、必要がある場合は、家内労働者に含めることについて検討すること。 以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 本動議について採決いたします。本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については、小山省二君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。野原労働大臣。
○野原国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に今後ともなお一そう努力いたしたいと存じます。 —————————————
○倉成委員長 おはかりいたします。本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○倉成委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 厚生関係の基本施策に関する件、特に在日朝鮮人の帰還問題について、来たる二十七日日本赤十字社当局より参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任、願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 次回は来たる二十七日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十三分散会