社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 125 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1970/04/02
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 援護法は毎年毎年改正されるわけですが、今度の改正につきまして、何を根拠に改正されるのか、それを冒頭にお尋ねいたしたいと思います。
○武藤政府委員 今回の十数点に関します援護法の改正の点でございますが、従来、援護問題懇談会でいろいろ御議論をいただきましたものの中で、六項目ほどがまだ未処理でございましたので、そういうものを今回処理いたしますと同時に、恩給法の改正に準じました数点の改正を今回の改正の方針といたしております。
○後藤委員 去年の四月、六十一通常国会のときにも援護法の改正が審議されたわけですが、そのときに援護法の適用されておる実態と申しましょうか、これを現在調査をしておる、こういうような説明があったわけでございますけれども、御承知のように、援護法の適用者は年々減少に向かっておると思います。去年言われた実態調査の結果なり、さらにこれからの減少の見通し、これについてお答えいただきたいと思います。
○武藤政府委員 昨年の法案の御審議の際にそういうお話がありましたことは、私承知いたしております。昨年の夏にその調査結果がわかりました点につきまして御説明いたしますと、戦没者父母特別給付法の対象であります約千五百人につきましていろいろの調査をいたしたわけでございます。これはもちろん簡単なものでございますが、その概要につきましては、大体同年代の老人の置かれております状況と同じでございました。特にいろいろ希望をされることにつきまして、要望事項等もあわせて調査をいたしたのでございますが、だんだん年をとってさびしくなって、いろいろ相談相手がほしいという方が非常に多くあったわけでございます。それから、いまお話の年金受給人員の推移でございますが、御指摘のように、年々滅ってきております。四十二年では二十万八千人、四十三年では二十万二千人、四十四年では、これは十二月末でございますが、十九万六千人、大体四千人ずつくらい減ってきております。今後もやはりこういう傾向、ややカーブはゆるくなると思いますが、減っていくことは先生の御推察のとおりだと思います。
○後藤委員 いま言われましたように、年々三千人か四千人ぐらい減少しているというような情勢だと思うのです。去年言われたときには、高齢者の実態調査ということを言われたと思うのです。いま言われました援護法の適用者が大体十五、六万ですか、公務扶助料関係が百十万か十五万ぐらいだと思います。両方で百三、四十万ではないかと私推定しておるわけでございます。そこで、援護法の適用を受けておる遺族は、年齢的には大体どういうふうになっておるか。これは実態調査をされたから大体わかっておると思うのですけれども、お尋ねいたします。
○武藤政府委員 いま資料を整理しておりますので、あとでお答えします。
○後藤委員 それでは、あとからお答えいただきたい。 そこで、お尋ねいたしますのは、四十一年、四十二年、四十三年の援護法の改正につきましては、七十歳以上あるいは六十五歳以上、六十五歳以下というようなことで、引き上げ率がそれぞれ高齢者については有利になっておるように記憶いたしております。ところが去年、四十四年からは年齢の区別なしに一律どれだけ、ことしの提案によりますと一律一六%ですかの引き上げ、こういう提案でございます。これは去年、四十四年から一律になったわけです。これは何に基づくかといえば、恩給法の改正に基づく答申でございますが、ところが、その答申の中を読んでみると、高年齢者に対しては別途何か考えるべきである、答申の内容にそういう字句があると思うのです。そのことが、去年も委員会で審議をいたしまして、次の引き上げの際にはそういうことも考慮をしてやっていきたい、こういう答弁が行なわれておるわけでございます。ところがことしの提案を見ますると、そういうことはほとんどないように思います。何歳であろうと一律一六%、こういうことになっております。そうすると、去年の六十一通常国会で審議されたのと幾ぶんそこに食い違いが出るように思うのでございますが、この点、いかがでございましょう。
○武藤政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、昨年の改正の結果、先生のお話のようになったわけでございます。恩給法のほうで、恩給審議会の答申に基づきまして三本立ての仮定俸給が統合されました結果、公務扶助料の金額も一本化されたことに準じまして私どもも改正をいたしたわけでございます。この老齢遺族につきましての処遇改善の問題は、やはり基本的には年金額の増額によりまして処置すべきものであるというふうに私どもは考えております。したがいまして、年金額を今回は二八%上げたわけでございますが、いろいろ老齢者の実態等を考慮しまして、先ほど申しました遺族相談員等を別途設置いたしまして、そういう高齢者のいろいろ指導なり御相談にあずかりたい、かように今回は考えたわけでございます。
○後藤委員 そうしますと、今回はいま言われたようなことを考えられたのですが、たとえばこれからの問題として、あの答申の内容でいっておる高齢者厚遇扱いですか、このことについてはどうお考えになっておりますか。
○武藤政府委員 制度的には四十四年度につきましては一本化したわけでございますが、おことばを返すようで恐縮でございますけれども、先生が御指摘の点は遺族ではなくて恩給該当者についての問題ではないか、かように私考えるわけでございますが、しかしながら、わが方の遺族年金につきましてもそういうような措置をとってもいいではないかというようなお考えかと私は拝察いたしますので、やはり老齢者がいろいろの困った状況にあるという実態につきましては承知いたしておりますので、その点につきましては関係方面と十分連絡のもとに検討していきたい、かように考えます。
○後藤委員 いまの問題、ひとつこれからの問題として御検討いただくようにお願いしたいと思います。 それから、今度の改正の中身は大きく分けると三つか四つになると思います。支給範囲の拡大、それから条件の緩和、それから新しく支給される者ができるというようなことで、大体三つか四つに大筋区分できると思うわけでございますけれども、この援護法というのは非常に中身としては複雑でありまして、なかなか了解しにくい点もたくさんあると思うのです。でありますから、いま申し上げました支給範囲の拡大なり条件の緩和なり新しく支給される者というようなかっこうに区分されまして、これは簡潔でけっこうでございますので、一応の説明をいただきたいと思います。
○武藤政府委員 今回の法改正の概要につきましては法律案要綱にかいつまんで書いてございますが、なおわかりにくい点が先生の御指摘のようにございますので、要点だけをいま御指摘の点に沿って御説明申し上げます。 支給額の引き上げでございますが、これは軍人軍属にかかわるものにつきましては、この公務扶助料、増加恩給等の増額措置に準じまして、つまり一六%引き上げております。それから準軍属にかかわるものにつきましては、その軍人軍属に関するものの七割を相当額といたしております。今回その中で、準軍属でも被徴用者など国家総動員の関係者につきましては軍人軍属の八割、つまりそのグループにつきましては十分の八に引き上げております。 それから対象範囲の拡大につきましては、まず障害年金の対象範囲を現在は第三款症までございしますが、これを第五款症までといたしております。 それから四十二年、四十四年の法改正によりまして、新しく援護法の対象になった戦没者の妻の坊、それから今回の拡大に伴います第四款症の戦争病者の妻の方、それから四十四年の法改正によりまして、特例扶助料をお受けになることになりました父母の方につきましては、それぞれの特別の給付金を差し上げるという拡大になっております。 それから支給条件の緩和につきましては、満州開拓青年義勇隊員、現在では昭和二十年八月九日、ソ連参戦後だけを対象としておりますが、その以前につきましても処遇できるように今回改正しております。 それから新しい制度の創設でございますが、準軍属の遺族に新しく遺族一時金、七万円でございますが、これを支給する。 それから第二款症以下の障害者に妻があるときは加給を行なうという新しい制度を設けております。 以上が今回の法改正の要点でございます。
○後藤委員 去年の六十一通常国会で衆参議院合わせて十八項目の附帯決議があったと思います。この十八項目の附帯決議の中で、今回の改正でどれだけこの附帯決議が生かされておるか、その点をお尋ねいたします。
○武藤政府委員 昨年の四月二十四日の本委員会で附帯決議がされておりますが、この中で私どもとして御趣旨に沿って改善をいたしたという点を簡単に御説明します。これは法律改正だけでなくてその他の問題もございますので、あわせて御説明申し上げます。 未帰還調査の問題につきましてさらに調査を進めるということ。これにつきましても昨年来、詳しくは省略させていただきますが、努力をいたしております。 それから遺骨収集の問題も、各地域につきましてそれぞれ行ないまして、フィリピンにつきましては昨年最終計画を実施いたしました。 それから、動員学徒等の準軍属の処遇について改善につとめよ、こういう項目がございます。この点につきましても、先ほど申しましたように、十分の七から十分の八に改善いたしております。 それから満州開拓青年義勇隊員の問題につきましても、付帯決議にあります八月八日以前の御遺族につきましても、援護措置を今回講じております。 それからこれは予算措置でございますけれども、旧防空法関係の方々にも、医療従事者の方について見舞い金の予算措置を本年講じたわけでございます。 以上が私どもで努力をいたした結果でございます。
○後藤委員 実は去年の四月の委員会で、満鉄職員の援護法適用の問題が、前の厚生大臣なりさらに援護局長等からも、ひとつ趣旨に沿ってやろう、こういうような話になっております。ところが満鉄職員の援護法適用につきましては、中身は非常に複雑であります。具体的に実施に移そうと思う場合には資料等も必要でございますので、なかなか直ちにということにはなるまいと思うのですが、御承知のように満鉄職員の中では装甲列車なり先駆列車なり、あるいはハルピンの調査室ですか、こういうところの勤務の人は援護法の適用を受けておるわけなんです。ところがそれ以外の、軍人輸送列車で足を切られた、あるいは手を切られた、あるいは死亡をした、こういうような人が現在はっきりしておるだけを数えてみましても四十名から五十名おいでになると思うわけなんです。去年種々論議をいたしました結果、ソ連が参戦した八月九日以降、これにつきましてはもう全面的に満鉄職員を援護法の適用に含める、思い切って踏み切ります、こういう答弁が国会で行なわれておるわけなんです。それからさらに八月九日以前の問題については、その実態を十分調査をいたしましてできるだけ含めるような方向でひとつやっていきたい、これも去年、援護局長なりあるいは厚生大臣のほうから返答をいただいておるわけなんです。それで、その後この話は進められておると私も考えておるわけでございますけれども、先ほど言いましたように、中身の問題なり資料の関係なりいろいろむずかしい条件もあろうと思いますけれども、幸いにして満鉄会というのがございますから、そこではかなり資料も整備されておると思いますので、去年の国会でのきまりました方向もはっきりいたしておりますので、ぜひひとついま申し上げました問題につきましては、できるだけ早く援護法の適用の方向へ仕事を進めていただくようにお願いをいたしたいと思うわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
○武藤政府委員 昨年本委員会で先生が御熱心に御質問をされました経緯につきましては、私も前任者から引き継いでおりますし、かつ速記録等も十分拝見いたしておりますので、いまいろいろ御推察になりましたような実態でございますけれども、現在、昨年の夏以降、関係者の方々といろいろ努力を続けているわけでございます。御趣旨に沿って努力中でございますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思うわけであります。
○後藤委員 いまの問題は、去年も時間をかけて論議いたしました関係もございますので、極力早く実現できる方向へぜひひとつお願いをいたしたいと思います。 それからその次には、留守家族の問題です。資料によりますと、四千二、三百名ですか、未帰還者があると思うのです。その中で二十一名ですか、留守家族手当の支給されておるのは。あとの四千名余りの人は、一体現在どういう扱いになっておるのか、一体何か支給されておるのかどうか、いわば四千二、三百名の人がまだ帰っておらぬ。帰っておらぬ中で、二十一家族だけが留守家族手当が支給されておりまして、残りの四千二、三百名というのはどういう形になっておるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
○武藤政府委員 御指摘のように未帰還者は、現在四千二百人ばかりいるわけでございますが、留守家族手当の支給人員は、来年度予算では二十一人でございます。これは未帰還者留守家族等援護法によります手当を受ける条件が、過去七年以内に生存を認められる資料のある者、それから自己の意思によって帰還しない者ではないこと、それからその方が帰還しているとすればその方の収入によって生計を維持していると認められることが必要である、こういう条件がございますので、未帰還者の中には婦女子の方が多い等にかんがみまして、帰還後生計の中心となる方が少数でございますので、対象が少数になっている実情になっているわけでございます。
○後藤委員 これは大臣にひとつお尋ねするのですが、いま言いました未帰還者が現在四千二、三百人いらっしゃるという、これは帰ってこられない人ですね。その中でも、いま説明がありました三条件の整っておる人は留守家族手当が支給されておる。ところがそれが二十一名です。そうしますと、残りの四千名余りの人は、戦争に行って主人は帰ってきておらぬ。ところが手当は何も一切ない。こういうようなことでずっときておると思うわけなんです。ここを考えてみるときには、たとえば帰っておらぬ人が四千名余りもいらっしゃるのですが、これに対して何か考えるべきじゃないだろうかと思うのですが、いかがでございましょう。これはひとつ大臣の率直な気持ちをお聞かせいただきたいと思うわけです。
○内田国務大臣 私も実は外地へ長いことおりました経験もありまして、ことによったら私自身が帰れなかったかもしれないようなことも、いまこうして帰ってきておりますけれども、考えられないでもない場合がございましたので、後藤さんがお話しになりましたその趣旨は、私にもよくわかります。ただし、国の財政をもってその留守家族に対して処遇をするのでありますから、帰らないその理由なり事情なりというものをも勘案いたしまして、留守家族の処遇——めんどうを見るほうがいいと思われるものは、できるだけその範囲を広くしてめんどうも見るべきではないかと思いますので、原則的なことにつきましてさらに検討いたしますとともに、ケース・バイ・ケースをも洗いまして、できる限りめんどうを見るようにいたしていきたいと考えます。
○後藤委員 いずれにいたしましても、いま大臣言われましたように、四千二、三百名の未帰還者の中で、わずかに二十一人だけが留守家族手当を受けておるというようなかっこうで、四千名余りの人がいわば戦争に行ったままでまだ帰ってこない、その家族に対しては何ら考えられておらない、これが現実ではないかと思うわけなんです。いま言われましたように、いろいろひとつ考えて、四千名余りの未帰還者の家族に対しても何とかひとつ範囲を広げて、できるだけ一人でも多く対象にするようなことを考えていきたい、こういう気持ちはお互いにあると思うわけなんです。しかしながら先ほど局長の説明のように、三つの条件でありますか、七年間の間に音信のあった人、あるいはその人が帰ってきたら生計の中心になるのだ、あるいは本人の気持ちと、こういうふうなことで留守家族手当というのはわずかに二十一世帯だけですね。あとの四千名というのは、やはり戦争へ行かれたわけなんです。戦争へ行ったままで帰ってこられないわけなんです。ところが、調べようにも調べようがないような気がするわけなんです。全部が全部調べがつかないということではないと思いますけれども、行ったままで、戦争が済んで二十五カ年間隔ってこられない、そういう家族に対しましては、大臣もいま言われましたようなことで、当然何か条件を考えるべきだと思いますけれども、何らかひとつ措置を考えてしかるべきじゃないかと私は思うわけでございますけれども、ぜひひとつその点につきまして、大臣もいまそういうふうに思っておられると私は思いますので、直接担当をしておられる援護局長としてこの問題を具体的にどうお考えになっておるか、その点ひとつ承りたいと思います。
○武藤政府委員 未帰還者四千人につきましては、私どもとしましては、附帯決議の御趣旨にありますように、いろいろと国内調査なり、それから在外公館を通じての調査を行なっておるわけでございますが、本年度いろいろ調査をいたしました結果、例の特別措置法で該当できる方が二百三十五、それから死亡と推定される者が七十四人、それ以外の方はいろいろ消息につきましてさらに努力、調査をするわけでございますが、方向としては私のいま申し上げた点は先生の御指摘の点について沿うことと思いますが、たとえばそういうふうに特別措置法の対象になりますれば当然遺族年金等ももらえる方も出てくるわけでございますので、多少消極的かと思いますけれども、そういうふうにしていろいろ努力を続けていきたい、かように考えております。 なお、ほかの点につきましては、大臣のお話に沿いましていろいろ検討いたしたいと考えております。
○後藤委員 いずれにしても、先ほどから申し上げましたような非常に気の毒だというか、遺家族に対しては、なるべく死亡ではなしに生きて帰ってもらいたいという気持ちは十分あると思うのですけれども、その辺のところはひとつ考えていただいて、あくまでも戦争の犠牲者であるということは、これは間違いないと思いますから、先ほど大臣も言われましたような方向で、次の改正のときには何らか前進的方向で格段の配慮をしていただきたい、こう思います。 それからその次は、去年の委員会におきましてもこれは問題にした点ですけれども、入営なり応召の、入るときなりあるいは帰還のとき、あの当時は列車等も非常に混雑しておる、あるいは空襲を受ける、こういうふうなことで入営途上なりあるいは帰る途上死亡された人があると思うのです。これらの人に対しましては、いま援護法の適用が行なわれておらないわけなんですが、たとえば最近におきましては、労働災害でも通勤途上も含めるかどうかというような話も今日出ておりますが、これは入営、応召で、通勤途上とは言いませんけれども、そういうような情勢から考えてくると、入営なりあるいは召集の行き帰りに少なくともけがをしたり死亡をしたりされた遺族に対しましては、援護法を適用してしかるべきだと私は思うわけなんです。去年もかなりこの問題は長時間論議をいたしたわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○武藤政府委員 入営または帰郷途中になくなった方につきましては、先生御指摘のように非常にお気の毒な事情があるわけでございます。私どもも非常に同情申し上げておるわけでございますが、現在の援護法ではいわゆる在職期間にあった者を救うというたてまえになっておりますので、法の適用ができないたてまえになっております。実は私どものほうの懇談会でもいろいろ同情ある審議が行なわれたわけでございますが、なかなか現段階では無理じゃなかろうかというお話もございましたが、私どもとしては何らかの処遇をするという方向で今後慎重に検討いたしたい、かように考えております。
○後藤委員 こういう対象者の数は非常に少ないと思うわけなんです。予算的にもたいして問題になるほどのこともないと思うのですし、そういう点から考えますときには、ぜひひとつ行き帰りの犠牲者に対しましては援護法の適用をしてもらう、そういう方向で改正をしていただく、これはぜひひとつお願いをいたしたいと思うわけです。今回の改正あたりで、先ほど言いましたように労災でも通勤途上が問題になっておりますし、これくらいな問題はぜひひとつこの委員会くらいではっきり決着をつけていただいてもいいような気がするわけですが、大臣いかがですか。
○内田国務大臣 先ほどから御論議がございますように、援護法の適用対象というものも今日までの間漸次拡大もいたしてまいりましたが、まだ対象として取り上げてもいいと考えられるものが私は残っているようにも思います。いまの応召あるいは入営の往復のことばかりでなしに、他のケースもございますので、それらの問題をもあわせながら、私は緩急順を追ってできる限りその適用範囲の拡大を今後も続いて考えてまいりたいと思います。
○後藤委員 戦争が済んで二十五年にもなりますので、遺族というのはかなり高年齢の人が多いと思うわけです。ですから、せっかくの改正も早くやっていただかないと、その恩典も非常に少ないわけなんです。そういうような意味におきましても、いま大臣も言われましたが、途上だけの問題ではなしに、それ以外にも、援護法の適用を受けなければいけない人がまだほかにあるのではないか。そういうのも含めて、いま申し上げました問題もさらに解決を何とか考えてみよう、こういう返答だったと思うわけですが、援護局長のほうでもいま言われた大臣の趣旨に沿って、たいした数じゃございませんから、これは援護法の適用なり——軍人軍属もあると思いますが、次の改正にはぜひ実現できるような方向へ力を入れていただきたい、こう思います。 それから次には、日華事変の関係です。日華事変中の内地勤務の人、これは一体現在どういう扱いになっておるのか、これをお尋ねいたします。
○武藤政府委員 日華事変中に内地で職務に関連して疾病にかかり、そのために死亡された方々につきましては、現在処遇が行なわれてないわけでございますが、いわゆる軍人、準軍人の勤務関連疾病につきましては、旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律によって措置されておりますけれども、現在、大東亜戦争以後の方々が勤務関連として認められておるわけでございますが、日華事変以後の方につきましては認められてないわけでございます。この点につきましては、実は恩給審議会で、現段階ではまだそこまではいけないというような結論で、恩給局のほうで現在足どめを食っておるような状態でございますので、関係方面とも十分今後その点を検討いたしまして慎重に対処したい、かように考えております。
○後藤委員 大体数でいいましても三千人くらいあるんではないかといわれておるわけなんですが、ぜひひとつこの日華事変で内地におきまして病気にかかって死亡されたこういう軍人軍属、これらの人に対しましても遺族年金を適用する——先ほど大臣の言われました、ほかにもまだあるだろうというような問題の一つじゃないかと私思うわけでございますけれども、ぜひひとつ遺族年金の適用をされるような方向へ早く改正をしていただくようにお願いいたしたいと思います。 それから、その次には戦没者の父母で、公務扶助料の加給の対象になっていない者、この人方に対して遺族年金を支給できるようにしてもらいたい。これは全国多くの遺族の方からの声としていま出てきておるようなわけですが、昭和二十七年度中に満六十歳になっていない人、さらに二十八年の恩給法復活、このときには加給の対象になっておらぬ人ですね。この人方の父母に対しては遺族年金が支給されておらないと思います。これはぜひひとつ支給できるようにしてもらいたいと思います。なぜ一体こういうような扱いになっておるのだろうか、当然これは改正すべきものじゃないかというふうに私は考えるわけですが、この点いかがでしょう。
○武藤政府委員 御指摘の方々につきましては、制度的な考え方をとりますといろいろ理屈はございまして、無理だという説もございますけれども、私どもとしてはやはりいま先生が御指摘になりましたように、実情としては非常にお気の毒な状態にございますので、やはり何らかの措置を必要とする、かように考えまして、実は懇談会でもそういうような御意見をいただきましたので、率直に申しますが、本年度は予算要求をいたしたわけでございますが、いろいろな事情等で予算の計上ができませんでした。こういうものこそまず私どもとしては努力をすべきだ、かように考えております。
○後藤委員 そうしますと、次の改正ではやってもらえますか。
○武藤政府委員 やはり予算でこの問題は措置する必要がまずございますので、そういう点につきましては最大の努力を払いたい、かように考えております。
○後藤委員 改正する決意があるかどうかということです。
○武藤政府委員 予算要求しておりますので、その決意はございます。
○後藤委員 それから次は、再婚解消の妻の問題です。これは昭和二十一年の二月一日から二十七年の四月二十九日までの間に、再婚して離縁して帰ってきた人は援護法の適用になっておる。ところが二十七年四月二十九日ですから、二十七年の五月一日に離婚をして帰ってきた人は援護法の適用にならないわけなんです。そうですね。これは非常に不合理だと思うのです。一日のことで、援護法の適用になる人とならぬ人がある。あえて援護法がもらえるから、離婚をして帰ってきなさいというわけじゃございませんけれども、二十一年の二月一日から二十七年の四月二十九日までの間に再婚をして離婚して帰ってきた人は援護法の適用になるけれども、一日違って五月一日に離婚されて帰ってきた人は、これは援護法の適用にならぬわけなんです。こんなものは当然期間を延長するか、何らかの措置を考えるべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
○武藤政府委員 遺族援護法では、いわゆる再婚というものは遺族年金の失格事由になっております。それはそれとして、私は失格事由の理由はわかるわけでございますし、先生も御理解いただけると思いますが、ただ昭和二十七年の援護法ができます間は軍人恩給も停止され、いろいろ手厚い措置が欠けておったわけでございますので、その間再婚を解消されていわゆる困っておられる方につきましては、それでは救おうということで、援護法の適用までの間に解消された方々につきましては救っておるわけでございます。この問題は、やはり遺族援護法におきまして再婚というものを遺族年金の失格事由にしているという事情からいたしますと、どの程度までの期間の方を救うかということにつきましては、非常にむずかしい問題だと思います。いわゆるなくなった方との夫婦の期間と、それから再婚された期間等の比較も、あるいは必要ではございましょう。あるいはそういうものを比較することははなはだ不適当かもしれませんけれども、いずれにしても、再婚自体はやはり遺族年金の失格事由として私はやむを得ない措置である、かように考えて、現在、援護法ができるまでの間に再婚解消した方々を最小限救っておるということにつきましてはやむを得ないものと考えますが、先生のおっしゃるようにずっと救うということにつきましては、慎重に検討する必要がある、かように考えます。
○後藤委員 これはもちろん、慎重に検討していただくことは当然のことだと思いますけれども、再婚した場合に失権する、それから昭和二十七年の四月二十九日までに再婚が解消して帰ってきた場合ですね、それが二十七年の四月二十九日までに再婚して帰ってくれば援護法の適用になる。ところが二十七年の五月一日だと、もう援護法の適用にならぬ。これは境目の話ですけれども、そういうことになるわけですね。一日のことで、同じ条件にありながら、再婚して向こうにおった期間が一日長かったものだから、結局援護法の適用にならぬわけです。世の中にはその境目境目で非常に有利と不利な問題がたくさんあると思うのですけれども、特にこの援護法の問題については、一日のことで援護法の適用になるならぬ、これはまことに私はお気の毒だと思うのです。大臣、どうですか、こういうことになっておるわけなんです。
○内田国務大臣 後藤さんがおっしゃいますように、この種の法律には、一日違いとか、あるいはまた勤務年限の違い等によりまして、国からの処置が受けられたり受けられなかったりするような非情の場合がしばしばあるようでございます。しかし、そういうような場合におきましても、事の本質が同じで、同じように考えてやったらいいじゃないかという場合には、できるだけ法律の運用でいけるものは運用でいくし、あるいは思い切って改正をしても差しつかえないと考えられるものはやはり実態を見ながらやったほうがいいケースも、この種の場合残されておるとも思いますので、そういうことにつきましても今後の課題として、でき得る限り受給されるべき人に親切なたてまえから考えてまいりたいと思います。
○後藤委員 いま言われましたように、一日二日のことで援護法の適用になるならぬ、これはまことに非情な扱いである、これは大臣の言われたとおりだと思うのです。だから二十七年の四月二十九日と日を切らずに、一ぺんにはいくまいが、たとえば制限期日を順次延期をしていく。冒頭に局長も言われましたように、援護法の適用者は年々三千人から四千人減っていくわけなんですね。しかも戦争が済んで二十五年たっておりますから、遺族の人は高齢になられる人が非常に多いと思うのです。その時分は再婚だ離婚だと若かったかもしれませんけれども、それから二十数年たっておるわけですから、いま申し上げました再婚解消の場合における援護法の適用についても、大臣がああいうふうなことも言っておられるのですから、ぜひ局長のほうでもできるだけ制限期間を延ばす、同じ条件である人には同じような扱いをしていく、公平な立場で具体的にこれから進めていただきたいと思うわけなんです。これは別に法律改正とかいうことではなしに、政令かなんかでやれるんじゃないですか。政令でやれるとすれば、これは簡単といってはおかしいのですが、実施できると思うわけです。いかがですか。
○武藤政府委員 まず後段のほうをお答えいたしますが、現在法律でそういうふうに明定しておりますので、政令等でやることについてはちょっと不可能でございます。 それから、全般的な制度論についての御意見につきましては、おっしゃるとおり一日を境とするところを考えますと、事情につきましては——私どもも答弁に窮するわけでございますけれども、この問題についても懇談会でいろいろ御議論もございまして、やはり終期を延長することにつきましてはなかなか積極的な意見が出なかった事情がございます。しかし、いま大臣もお話しでございましたし、それから先生もいろいろ熱心に御議論いただきましたので、もう一ぺん考えてみろということにつきましては、もちろん私どもも御意見を尊重いたしたい思いますが、なかなかむずかしい問題だろうと私は考えます。
○後藤委員 何でむずかしいのですか。
○武藤政府委員 やはり終期をいつにするかという問題と、再婚そのものが本質的に遺族年金の失格事由になっているという二点にあろうかと思います。
○後藤委員 いま言われたように、再婚は失格に通じておる。ところが先ほど局長が言われたように、二十七年の四月二十九日までに再婚を解消して帰ってきた者については適用をしてやろう。これは何かあなたの説明を聞いておると、お上のお慈悲で救ってやるんだというような説明に私は聞こえたわけでありますけれども、同じような条件にありながら、先ほどの話じゃないけれども、一日の違いで援護法の適用を受ける者と受けない者とある。あなた方だって腹の中では、こういう扱いはいけないんだ、少なくとも同じような条件にある場合には同じように扱いをするのがあたりまえのことなんだけれども、予算とかその他の関係があって、やりたいけれども、なかなかやれぬかもわかりません、こういうことだと思うのです。これは大臣も腹から賛成しておられるようでございますので、ぜひこの問題を改正する方向で局長もがんばっていただきたい、こう思うわけです。 その次は、日華事変以後、事変地、戦地において死亡したところの旧軍人、旧軍属の遺族で現在援護法の適用を受けておらぬ人がおるわけですね。これらの人に対しては援護法の適用というところまでいかなくとも、少なくとも戦争に行って病気になる、死亡された。その理由は軍法会議であるとか自分の過失であるとか、いろいろあるだろうと思いますけれども、戦争さえなければそういうことはないわけです。いわば戦争の犠牲だと思います。これらの人に対して援護法の適用がされておらない。これは、先ほどの話じゃございませんけれども、非常に不公平な扱いじゃないかと思うわけです。しかも数といたしましてもそうたいした数じゃないと思います。非常に少ないんじゃないかと私は思うわけでございますけれども、これらの人にもぜひひとつ援護法の適用ということを考えていただくようにお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○武藤政府委員 現在援護法で救済されていない方々の問題につきましては、先ほど大臣からもお話があり、先生も御指摘がございましたように、いろいろの法律の条件等につきましては、資料を詳しく調べまして許せるものはできるだけとるという方向で私どもはやっているつもりでございますが、はっきりとした法律上の明定事項その他できないものがまだあるわけでございます。そういう点につきましては法律改正その他をやるべきだと思いますけれども、こういう点についてもいろいろ賛否両論があるわけでございますが、戦後二十数年、あたたかい気持ちでこの問題は取り上げるべきであるという先生のような御意見に同調される方も多いわけでございますから、そういう点に着目いたしまして、政府といたしましても、こういう問題につきましては現在慎重に検討しているわけでございます。御趣旨を承りましたので十分検討してまいりたい、かように考えます。
○後藤委員 ぜひひとつ、いまの問題も検討だけしていただいたのではいけませんが、十分検討して援護法が適用されるように、たいして多い数でもないと思いますので、その方向でやっていただきたいと思います。 その次は、こまかい説明はやめますけれども、沈没した対馬丸の問題です。この人方の遺族に対する問題は一体どういう扱いが行なわれておるかお尋ねいたします。
○武藤政府委員 昭和十九年八月に沖繩から本土へ疎開する際に、対馬丸が遭難をして約千数百人の犠牲者が出たわけでございます。この問題につきましては、七百六十一名につきまして総理府のほうで当時の、三十七年でございますが、閣議決定要綱に基づきまして二万円の見舞い金が差し上げてあります。この点につきましては、現地の沖繩からもいろいろと御要望がございますので、現在総理府ともいろいろ相談しているわけでございますが、その当時一応七百人の方には措置がしてある、かように御理解いただきたいと思います。
○後藤委員 いま言われた七百人の人には約二万円でございますか贈呈されておる。そして付き添いの先生は公務扱いになっておる。ところが、付き添い者に対しましては何ら行なわれておらないと私は記憶しておるわけなんです。少なくとも、局長が言われましたように、これは強制疎開なんですね。強制疎開でありましたら、付き添い者の扱いにつきましても、当然援護法の適用をしてしかるべきではないか、これはあたりまえのことではないかと私は思うわけでございます。学校の先生だけが公務の扱いになっておる。なぜ一体付き添い者はそういう扱いにならなかったのか。これは、私、推測いたしますのに、おそらく学校の先生だけでは不十分ですから、付き添いの人もついて七百数十名の人が強制疎開をしたわけなんですね。それだったら、当然付き添い者に対しましても援護法の適用なり何らか考えるべきだと思うわけでございますけれども、いかがですか。
○武藤政府委員 いわゆる生徒が七百二十七名でございますが、これ以外に引率者、世話人として二十四人の方には総理府のほうで対処をしておられますので、沈没された方の全員ではございませんけれども、一応生徒とその引率者につきましては措置が総理府のほうでしてあるわけでございます。ただ、実情として、徴用されて、しかも疎開をされた、あるいは、実質的には先生のおっしゃるように、当人にちは半ば命令的にやられたというふうに受け取られるかもしれませんけれども、その実態につきましてはお気の毒だと思っておりますが、現在総理府のほうでいろいろ検討している状態でございます。
○後藤委員 ぜひいまの問題につきましても検討していただいて、適用する方向で善処をしていただきたいと思います。 それから、大臣がもう行かれるのじゃないですか。ぼつぼつお行きになると思いますが、その前に一つ、老齢福祉年金と遺族援護法との関係ですね。この問題は、ちょっとほかにもいろいろ関係がございますから、大臣の御尽力をいただかないとなかなか解決しない問題だと思います。現在援護法で適用を受けておる人と、さらに七十歳以上の老齢福祉年金がいただける人と、この関係は、老齢福祉年金の金額が控除されるのですか、何かその辺の扱いは、私はここでこまかいこと説明はできませんけれども、老齢福祉年金というのは社会保障の一環として七十歳以上になればもらえるわけなんです。援護法というのは、そのむすこさんのお手柄によって国のほうからもらえるのだ。全然内容なり性質が違うわけなんですね。それをからまして、ある程度控除するというような扱いは間違っておるんじゃないかと思うのです。この点大臣いかがでしょうか。
○内田国務大臣 老齢福祉年金は、御承知のように、本人の掛け金なしで全額国庫負担の支出をもって支給いたすものでありますために、当初この制度をつくりましたときの考え方というものは、他に公的年金の支給を受けることがない場合においてこの老齢福祉年金を支給しよう、したがってその金額もわずかなものでございます。そこで、公務扶助料でありますとか、遺族年金などの公的年金を受ける場合と、この老齢福祉年金とのからみ合いが非常に問題になるわけでありますが、正直にいって私は、公的年金にもいろいろあるけれども、お国のために働かれ、また生命をささげた遺族あるいはその戦傷病者の方々などにつきましては、公的年金の性質が違うとも言い得るのじゃないか。したがって、そういう場合に、老齢福祉年金を出さないということは、いかにも実態に合わないような気もするので、何とかしてその併給を認めようという立場で、実は努力をいたしてまいってきた政治家の一人でございます。そういうことが、皆さま方の御努力も結果をいたしまして、現在でも遺族扶助料、あるいは遺族年金につきましては、福祉年金は全然なしということではなしに、ある程度併給を認められております。しかし、遺族年金とか、公務扶助料が毎年引き上げになりますので、老齢福祉年金のほうに食い込まれるような状況が毎年起こるのでございますけれども、私どもはそうしないほうがよろしいということで、公務扶助料が上がりましても、従来既得権のように出されておりますところの老齢福祉年金につきましては、全部じゃありません、今度から月二千円になり年に二万四千円になる、その全部じゃありませんけれども、そのうち出されましたものにつきましては、既得権のような取り扱いをして、公的年金が引き上げられても、その上乗せとしてそのまま減らさないで残るようなことを毎年実はやってきております。特に、昭和四十五年度におきましては、これは気は心のような程度かもしれませんが、端数整理のようなことに名をかりまして、公務扶助料や遺族年金の引き上げにもかかわらず、老齢福祉年金のほうも、さらに四十四年度以前に受けておりましたものよりも若干よけいに受けられるようなことに実はいたそうと思いまして、これは他の法律によります国民年金法の付則で改正しようという形で取り上げまして、そういうことをいささかなりともいたす。実はそういう考えでおるわけでございます。ただ併給が、まるまる老齢福祉年金を受けられるというところまでは至っておりませんけれども、いま言うような状況であると御承知おきいただきたいと思います。
○後藤委員 そうしますと、いま大臣が言われましたように、ぜひひとつ併給問題を考慮していただいて、先ほど言うように、中身といたしましても、性質の違う問題でございますので、前向きに検討していただきますようにお願いいたしたいと思います。 それから、もうお立ちになると思うが、先ほどからかなりの問題を提起しておるわけなんですが、大臣としても、戦争が済んで二十五年です。毎年毎年減少の一途をたどっていくわけなんです。ですから、不公平な問題なり、当然条件がそうなっておるのに適用されておらないような人、まだまだ具体的問題がたくさんあるわけでございますけれども、ぜひそういう問題については、大臣も力一ぱいひとつ改正できる方向へ今後の問題として全力を尽くしていただきたいと思います。ぜひひとつそのことに対する決意だけおっしゃって、参議院のほうへ御出席をお願いします。
○内田国務大臣 年金その他の支給金の幅の引き上げも、十分ではありませんけれども行なっておりますこと、今年度一六%上げるようなこともやりますと同時に、いままで支給されていないような不均衡の面も、先ほどもちょっと触れましたように、幾つか残っておりますので、それらにつきましては、なかなか一挙にはまいりませんけれども、実は毎年幾つかの問題を片づけておりますことは御承知のとおりでございまして、今回の改正をもってこれで全部が済んだとは私自身も思っておりませんので、同じような努力を引き続き続けまして、ことに遺族の方々が、はなはだ年をとったり、あるいはいなくなってしまってからでは、すべて間に合いませんので、これらの御遺族の方々、関係者の方々の生存に間に合うようなスピードで、できる限りの努力を私どももいたしてまいる所存でございます。
○後藤委員 あと二、三問題がございますのでお尋ねしますが、官衙勤務の軍人軍属ですね、こういう人の扱いは一体どういうことになっておるのだろうか、これの御説明をいただきたいと思います。
○武藤政府委員 御指摘の中央官庁、特に軍の中央官庁等におられました方につきましては、現在対象になっておりません。その理由は、やはり中央官庁でデスクワークをしておられた一般公務員との均衡を考慮して、現在支給制限が行なわれておるわけでございます。
○後藤委員 そうしますと、官衙勤務の軍人軍属は、空襲等で戦傷した場合においても、援護法の適用がないということですか。
○武藤政府委員 公務の場合には、これは当然適用があるわけでございます。私がいま申し上げましたのは、勤務関連疾病の場合でございます。
○後藤委員 公務の場合には適用がある。関連疾病で病気になって死亡された場合、これは援護法の適用になっておらない。これは軍人といえども適用になっておらない。これは私は非常に不合理だと思うのです。たとえば、軍人が官衙勤務をしておった、そこで病気になった、死亡された、こういうことになりましても援護法の適用がないということは、これは一たん前にそういうふうにきまったものですから、そのままにされておるのではないかというふうな気がするわけでございますけれども、これも当然改正すべきであると思うのですが、いかがでしょう。
○武藤政府委員 やはり、これは一般公務員との均衡上、制度的にはなかなかむずかしいと思います。ただ、いま先生おっしゃったように、御当人御自身については、私ども同情申し上げているわけでございますが、いま言った理由でなかなか困難ではなかろうかと考えます。
○後藤委員 まあひとつ、ほかとの均衡の関係もあろうかと思いますけれども、ぜひ検討をしていただくようにお願いをしたいと思います。 それからさらに、沖繩の問題でございますが、沖繩ではあの戦争のために家族全部が犠牲になった人があろうと思うのです。これらの人はいま祭られておると思うのです。こういう人に対しては、いま厚生省として何らか気を使っておられるのか、何らか処置しておられるのかどうか、この点の御説明をいただきたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 いかんせん私が小学校二年生で終戦になりました。それ以前の問題でありまして、私どもがその後自分たちで耳にした範囲からお答えいたす以外にないわけであります。 現在、御指摘になりましたような沖繩の全滅家庭について、その供養をしておられる方々に対して何らかの措置をしておるということはございません。現状では何ら措置はとっておりません。それと同時に、これは一つの問題点かもしれませんけれども、はたしてその全滅家庭の場合に、その供養をしておられる方々というものを一体どうつかんでいくべきであろうか。祭祀料等を交付する場合も、どういうふうなつかみ方をすべきであろうか。これも技術的にも非常に問題がございます。御指摘になりました問題点としては、私どもは十分考えなければいかぬ問題であるとは思いますが、そうした趣旨からいきますならば、むしろこれは援護法の法体系には必ずしもなじまないのじゃないか。むしろこれは総理府の沖繩に対する特連局の行政の中で何らかの措置をとるべき課題の一つではないかと考えますので、いまの御質問の趣旨につきましては、私どものほうから総理府のほうにも連絡をし、特連局の中で何らかの検討をしてもらうようにしていきたい、かように考えます。
○後藤委員 そうしますと、厚生省としては何も考える必要を認めない、こういうことですか。
○橋本(龍)政府委員 必要を認めないとは決して申し上げておりません。むしろその供養をしておられる方々に対して何らかの措置をできるならすべきであるとは私ども考えます。ただし、いわゆる全滅家庭の供養をしておられる方々の認定その他については非常に問題もありますし、率直に申し上げて、いわゆる供養ということを対象にした考え方というものは、必ずしも私どもがその遺族援護を中心とした体系である遺族援護法の中で考えることには、むしろ問題がありはしないか。むしろこれは別種の観点から考えるべき課題ではないかと、そういうふうに申し上げたわけであります。
○後藤委員 ぜひひとつ、いま言いましたような全滅家族ですか、これは毎年毎年供養を執行しておられると思うのです。その供養執行者に対しましては、いま具体的にこうやれということは申し上げませんけれども、いま言われました方向で何らかひとつ措置を考えていただく、これはぜひひとつお願いいたしたいと思います。 それから、今後の援護法の改正でございますけれども、公務扶助料の率にのっとって、一六%でございますか、引き上げになっておる。現在のところ十五万七千円ですか、引き上げになっておるわけなんです。ところが、昭和二十年八月の資料でございますけれども、その当時、軍人の位で兵長だった人の公務扶助料が年間四百八十円、月に割りますと四十円です。ところが、その当時、旧制中学を卒業した人の賃金は四十二、三円だったわけなんです。私の言わんとするのは、兵長で公務扶助料が四十円であって、旧制中学を卒業した人の当時の賃金が四十三円、大差ないわけです。ところが、現在の援護法の金額を考えてみると、いま申し上げましたような考え方に立つならば、旧制中学を卒業したということは大体現在の高校卒ですか、これに該当すると思うのです。そうしますると、高校卒業の初任給というのは大体三万二、三千円じゃないかと思うのです。そういうことを考えてみると、昭和二十年から現在昭和四十五年でございますけれども、その間にどんどん率としては悪くなってきておる。一人当たりにすると、月割りにしますと一万二、三千円ですか、こういう金額を考えるときには、この引き上げというのは冒頭言われましたように、公務扶助料の引き上げ率を根処にしてやったのだ。なるほど理屈はそうだと思いますけれども、もっともっと引き上げるべきではないかと思うわけなんです。それと同時に、該当する人がふえていくということなら、これまたいろいろな点で問題があるかもわかりませんけれども、毎年毎年対象者が四千人から五千人減少していくわけなんです。対象者が減るから引き上げを大幅にやれということではございませんけれども、昭和二十年と現在との賃金の比較等から考えてみましても、非常に低いと思うわけなんです。こういう点につきましてどうお考えになっておるでしょう。
○橋本(龍)政府委員 終戦前の恩給と公務扶助料と当時の賃金水準とを比較された数字が、今日もそのままの形でいくのが妥当であるかどうか、必ずしも私も判然といたしませんが、事実問題として、現行の遺族年金等の金額が、これで何ら問題のないものだとは私も決して申し上げる意思はございません。ただ、御承知のとおりに、大体従来から遺族年金は恩給法に基づく公務扶助料と歩調をとってまいりましたことは、いま後藤委員も御指摘のとおりでありまして、今回もこれに見合う改定をいたしてまいったわけであります。そして、その改定の根拠になりましたものは、いわゆる物価の上昇率と公務員の賃金のべースアップというものを勘案してこれは計算をしてきたわけでございます。この方法自体も的確かどうかはいろいろ御議論があるところだろうと思います。私どもとしては、今後も公務扶助料とのバランスは、やはり遺族年金においても考えながら進めざるこ得ないと思いますけれども、その増加については、できる限り努力をいたしていきたいと今日もなお考えております。
○後藤委員 質問を終わりたいと思うのですが、先ほどから満鉄職員の問題をはじめとして幾つかの問題を提起したわけです。去年における衆参議院の附帯事項八項目のうちで、先ほどの説明のように、ある程度は解消しておるわけでございますけれども、また、この援護法の問題は、次から次へと勉強をしていきますとかなり問題があるわけなんです。まだまだ、私申し上げましたのはほんの一部分でございまして、条件の問題から、不公平な扱いの問題から、さらに当然適用しなければいけない人が除外されておるというような多くの問題があると思いますが、先ほどからいろいろ出されました問題、さらにそれ以外の問題もあろうと思います。援護局もたいへんだろうと思いますけれども、これらの諸問題を解決する方向へ全力を尽くしてやっていただきたい、こう思います。それだけ強く要望いたしまして、最後に援護局長の決意を聞き、終わりたいと思います。
○武藤政府委員 いろいろ問題点を御指摘いたかき、御督励をいただきまして非常に感謝しておるわけでございますが、先生御推察のように、残っている問題はいろいろむずかしい問題がございますけれども、しかし、置かれている方は非常にまたお困まりの方も多いわけでございます。そういう趣旨も十分考えまして、今後努力していきたいと考えます。 それからなお、先ほど資料の不備で落としました点を、最後に失礼ですけれどもちょっと御説明させていただきます。 遺族年金の場合には七十歳以上は四九%、それから遺族給付金の場合は、七十歳以上が四二%、それから公務扶助料の場合は、七十歳以上が五三%、これは四十三年度の調査でございます。 以上でございます。
○後藤委員 終わります。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 ことしの一月のことですが、日本精神神経学会で学会の雑誌が出ておりますが、その一月号で会員全員四千人に訴えを送って、いろいろ精神病院の中に起こっておる事件について、一連の事件の根底には、医師としての道義心、倫理観の欠如がある、こうみずからを告発といいますかしているのは、御承知だと思うのです。これは一連のルポにも載せられておりますけれども、同時に、反面には、精神科の医者あるいは医療職員も、そういうことについては私は非常な衝撃を受けておると思うのです。こういう話を聞きました。これは非常に良心的な精神科医の場合でありますが、子供さんに、おとうさん、あなたもこういう同じことをやっているのかどうかということを聞かれて非常に衝撃を受けた、こういう話があります。その方が涙を浮かべて私どもに話をしたという話もあるわけであります。 同じように強制入所とか、あるいは指定病院制度があります結核と精神病というものを二つ比べてみた場合に、結核対策については比較的に重視、拡充といいますか、そういう国の政策が立てられていたのではないだろうか。もちろん、その背景には富国強兵といいますか、明治以来の考え方があっただろうし、同時に、戦後には、率直に申しまして、組合ができて強くなったという影響もあると思うのです。簡単に首を切れない、病気になった場合には医療費が非常に高くなる、あるいはまた労働力の確保ということもあっただろうと思うのですが、しかし、いずれにしても、そういう意味で結核は非常に重視、拡充せられてきた。もちろん、それが十分であると私は申し上げませんが、しかし反面に、精神病の場合には、自宅監視というか、つまり座敷牢に入れておけばいいのだ、そういうような精神病者の処遇の考え方が、明治以来それこそ貫かれてきているのではないか。いまでもそういうものが残っているのではないだろうか。新聞の記事を見ても、実はそれが裏づけられておるのではないだろうか、そういう気がするわけであります。 そこで、まず第一番にお伺いしたいのは、精神病院というものは一体治療所と考えておるのか、あるいは収容所とお考えになっているのか、その辺をひとつ厚生省の考えを聞かしていただきたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 細部にわたりましては関係局長よりお答えさせますけれども、その前に、この席を拝借しておわびを申し上げておきたいと思います。 先般来一部の精神病院において、患者の人権の侵害に当たるような重大な事実が幾つか新聞等で報ぜられました。たとえ一部の施設においてと申しましても、こうした事態を起こしましたことについて、所管する責任がある厚生省としてきわめて遺憾なことであります。と同時に、関係の方々に対してはおわびを申し上げなければなりません。この席を拝借して、委員各位を代表として国民にもおわびを申し上げる次第であります。 いま精神病院というものを収容施設と考えるか、あるいは医療施設と考えるか、という御指摘がございました、ただいま大臣参りましたから大臣からお答えをいたすのが至当でありましょうが、申し上げました中途でありますから、便宜私から申し上げさせていただきます。 従来からこうした手きびしい御発言を、私どもは実は何回かちょうだいしてまいったわけでございます。私どもは、精神病院というものは、単なる収容施設であるとは断じて考えておりません。御承知のとおりに、医学の進歩によりまして、かつてはなおらないと思われたような精神障害につきまして、今日では完全に治癒の対象になり得るという医学的な成果が目前に示されておるわけです。その保護また医療の責任を負うべき精神病院というものが収容施設であってはなりませんし、また、単なる収容施設でも決してありません。私どもは、精神病院というものは、あくまでも患者の医療を基本に置いている医療のための施設であると考えております。
○山本(政)委員 それじゃお伺いいたしますけれども、ルポにあらわれたように、あるいは精神神経医学会で指摘されたような人権問題が精神科になぜ集中するのだろうか、結核のお医者さんが、きょうまでは結核のお医者さんであって、あしたは精神科のお医者さんになり得るというようなこともあるかもわからぬ。私が知りたいことは、なぜ悪徳医者が精神科に集中するのだろうか、一般科でも、保険制度の問題とか、あるいは診療点数の問題とか、いろいろな問題が出ております。しかし、一般科だと、臨床検査というものがいろいろな角度からできると思うのです。たとえば臨床の場合には、一種のメニューといいますか、そういうものすらできているのじゃないだろうか、しかし精神科の場合は、臨床検査は非常に限られておるというような気も私はするわけです。私はしろうとだからよくわかりません。ことばをかえて言いますならば、まともに診察しては、診療しては、治療しては、もうからないというようなことがありはしないだろうか。あるいは、一般科の場合は差額ベッドというものがあります。しかし精神病というのは、長い、慢性である、しかも、そういう理由から差額をとるとしても私は限界があるだろうと思う。それから、医療行為には、手術とかいろいろ一般科にはあります。しかし精神科の場合には、薬物療法あるいは作業療法あるいはレクリエーション、しかも作業療法とかレクリエーションということは——もちろんレクリエーションは別といたしましても、作業療法については点数化されておらぬというようなことがある。そういうことが原因になっておるんだろうか。私は、あとからいろいろな問題点を指摘したいと思うんですけれども、一体なぜ精神科にそういう事件というものが、特に人権問題に関するような重件というものが集中するんだろうか、これは実片たいへん疑問になっておるわけであります。その点についてどうお考えになっておられるか。
○村中政府委員 ただいま次官がお答えいたしましたが、最近の精神障害者の治療の様相というのは、近代医学を取り入れまして非常に変貌してまいっていることはもう事実でございます。 〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕 ただ、御指摘のございますような精神病の治療にだけ、何かほかの疾病、特に結核などと違う点があるのではないか、そういうことが関連して精神病院に不祥事件が発生するんではないだろうかという点につきましては、しいて申し上げますと、一応疾病の医療ということにプラス患者の医療保護ということが、精神衛生法のたてまえになっておる。御承知のとおり、自傷他害のおそれのある患者については、措置の方法を講じまして、ある程度の人権を拘束しながら医療に携わるとか、医療機関に収容するという場面も出てまいる。その辺が、私考えますに、他の結核その他の一般の疾病とは違う要素があるんではないかというふうな理解をいたしております。これが過去の精神障害者の医療につきましては、先ほども御指摘がございましたような、自由を束縛して、いわゆる座敷牢というふうな形の中で閉鎖的な処置をしていたというふうな過去の歴史的な事実もございますし、一部現在も精神病院の中では、自傷他害の危険のある場合には、医療プラス保護という立場から、特別の病室を用意をして、そこで処置をしておるという実態があるわけであります。そういうことがいろいろからみ合いまして、非常に残念なことでございますし、また数も少ない例だとは考えますけれども、精神病の医療施設においては、そういうことが残念ながら起きたというふうに私自身は理解しております。 しかしながら、最近の精神科の医療の進歩は、御承知のとおり次第に閉鎖的な治療から開放的な治療の方向に向かってまいっております。現実に、私どもにいたしましても、収容即終わりということではなくて、ある程度の回復の時期には、地域に帰して、その中でケアをするというふうな方向に、精神医療患者の軽快者についても施設の整備など考えてまいっております。今後の精神病の医療の一環としては、当然社会生活を営み得るような、そういう患者の回復がかなうように、地域社会の中で回復患者の訓練あるいはアフターケアというようなことを、あわせて先ほどの重い患者や自傷他害の危険のある患者の医療保護と二本ての形で措置をするという必要があろうかと考えております。
○山本(政)委員 大臣が一時までだそうでありますから、答弁をひとつ簡単にお願いしたいと思います。私も質問をできるだけ簡潔にいたしたいと思います。 D・H。クラークが日本における地域精神衛生についてWHOに報告をいたしておりますね。これは政府のほうが実は呼んだわけでありますね。そうして、特にあの報告書によれば、精神医として、顧問として、呼ぶにはイギリスの方を呼びたいということで呼ばれたと思うのです。その報告にいろいろな問題点を指摘しておるのだけれども、私が読んだ範囲では、その問題点に対して何ら改善措置がとられておらぬと思うのです。もし具体的に指摘せいと言われれば私自身が指摘したいと思いますが、時間がございませんので……。病床の不足とかいろいろな点があげられておるけれども、このことに対して何ら改善措置がとられておらないような気がするわけであります。もし厚生省がこの報告に基づいて何らかの措置をとられたというのだったら、具体的な例をあげていただきたいと思います。
○村中政府委員 WHOの顧問ドクター・クラークが先般来日しましてやりました項目には、大きく分けると七つくらいの項目がございます。ただいまちょっと触れましたけれども、地域精神衛生の体制を確立する必要がある、さらに医療従事者の訓練、研修ということをやる必要がある、あるいは政府に対しては、もっと組織、機構を拡大強化すべきであるというふうな趣旨の七項目ほどの勧告をいたしておりますが、この地域精神衛生対策につきましては、四十五年度の予算で、特に過密都市の地域精神衛生対策費という形である程度の予算を組んでおりますし、さらに社会復帰のために、テストケースということで約百八十名収容のできるような施設の施設費と運営費を四十五年度予算で組んでおります。これらを柱にいたしまして、先ほど来御指摘の、閉鎖的な病院の中の医療から一歩進んで、地域社会でアフターケアをつとめながら地域の中で社会訓練ができる、社会復帰ができるというふうなことを考えてまいりたいと思います。
○山本(政)委員 ではお伺いいたしますが、ドクター・クラークはリポートの中でこう言っております。「私は八百ほどある病院のうち十五の病院を見学しただけである。そこで、私の所説には誤りとして棄却されるようなものがあるかもしれない。しかし、これらの施設はすべて、優良とか最優良といった好評の病院であった。情報を提供してくれた人たちから私は、他の病院がもっとずっと粗末であるということや、それらの病院の三分の一は非常に悪いということをきかされたが、こうした種類の病院を一つも見せられなかった。次の観察報告はこうした条件を考慮してみられなければならない。」「非常に多くの病棟が必要以上にも閉鎖されていた。束縛方法、保護室、個室、四方囲まれた安全閉塞区画があまりにも頻繁に使用されていた。患者たちは、その大半が明らかに長期間独房監禁に閉じ込められていた。二つの病院の新しい建物が鋼鉄型の柵や回路閉鎖式のテレビ等のような念の入った装置をそなえた安全閉塞区画であった。こうした装置は有害な孤立や退行へと導いてしまうものである。」こう言っているのです。このことに対して改善措置がなされておりますか。もしなされておるのだったら、学会の雑誌に指摘をされたような問題がかなり改善されるはずだったと私は思うのだけれども、それが今日非常に多発をしておる。まさに逆行じゃありませんか。このことについて一体どうお考えになりますか。 そして最後に、あなたは地域精神衛生会云々と言っておるけれども、ドクター・クラークはこう言っておりますよ。いいですか。「社会精神医学の最近の発展についての認識も全くないようであった。」こう書いているじゃありませんか。どこにあなた方のおっしゃるような前進という方向がとられているか。あなたのおっしゃることはきわめて抽象的ですよ。
○村中政府委員 現在、人口万対約二十三の精神病患者の収容施設がございます。先ほど来申し上げておりました措置患者の対象はそのうちの約三分の一であります。そういう実態の中でドクター・クラークは数少ない施設を見たわけでございますが、やはりこういう専門家の意見は意見として率直に聞くべきだと私は考えておりますし、医療機関の中で、ただいまお読み上げになりましたような事項についての感想があったことも私は承知いたしております。ただ問題は、残念ながら現在のわが国の精神病院あるいは精神病院に収容されている患者の実態からいたしますと、三分の一以上が法に基づく自傷他害の危険があるという対象になっている。そういう中でできるだけ地域社会と結びつけながらアフターケアをしていくということは非常にむずかしい問題でありますが、しかし、これはむずかしいということではなくて、これからだんだん開発しながら、そういう先進諸国のやっているような方向に精神病患者の治療あるいは医療施設を持っていく。確かに実態としては遅々としておりますけれども、私ども一生懸命そういう方向に持っていくように努力をしたい、こう考えております。
○山本(政)委員 だから、あなたは問題をすりかえられているのです。自傷他害ということで精神病患者一般を律しておるじゃありませんか。しかし、学会の雑誌に出ていること、あるいはルポルタージュに出ていることは、自傷他書の患者いわゆる措置患者だけじゃございませんよ。一般の軽度の人たちも全く人権を侵されている人が多いじゃありませんか。措置患者によってその他の三分の二の患者のことについて律してはいけませんよ。一般患者はどうなっているか。一般患者の人権が非常に侵されているという事実があるじゃありませんか。そしてあなたは、過疎過密と言われるが、それでは一つ例を示しましょう。八王子には万対でいえば百十八の病院がある。だけれども、江東には万対ゼロじゃありませんか。二年間あるいは三年間に一つぐらい病院ができてもいいと思うのです。 もう一つ言わなければならぬことは、きのう医療金融公庫に資料をいただきたいという話をいたしました。私がもらった資料はこれだけであります。精神病院の新施設数は二百四十一、そして新病床数と総合病院の病床数がわかった。それから、一般病院については新施設数と新病床数、総病床数がわかっただけで、金額については何もない、わからぬというわけです。わからぬというのはデータがないというわけであります。医療金融公庫は、少なくともお金を貸し付けるところでしょう。それが幾ら貸し付けたかデータがないなんというばかなことが一体どこにありますか。私が申し上げているのは、そういう考え方というものが厚生省にもある。だから、それが医療金融公庫にだって波及しているのです。自分の貸したものについて一件当たりの金額までデータができていない。しかも、それはおととしの分ですよ。さきおととしのはどうだ、これもできていないという。そういうことが考え方として根底にあるから、あなた方のいまのような答弁が出てくるんだと思うのです。たいへん失礼な言い方かもわかりませんけれども。なぜ私が医療金融公庫にこれを聞いたかというと、これはあなたも御承知だと思いますけれども、国公立病院よりか私立病院のほうがはるかに精神病院が多いし、病床としても比較にならぬほど大きくなってきているでしょう。そういう事実に私は問題があると思うのです。医療金融公庫にそれだけのデータがないということに対して、一体これはだれに答弁をお願いしたらいいのかわかりませんけれども、それに簡単にひとつ答弁を願いたいということと、それから、いまの過密過疎というような問題からすれば、八王子と江東と比べてそれだけの格差がある。それから、これは数字を申し上げればいいのですけれども、私立病院と国公立病院とでは非常に格差が出てきている。私立病院が問題にならないくらい多いのです。そういうことを一体どうお考えになっておるのか。
○松尾政府委員 医療金融公庫の点につきましてお答え申し上げますが、精神病床の貸し付け金額がわからないということでございますけれども、これは時間をおかしいただければ十分わかるはずだと存じますので、私のほうでも再度それについては調査をいたします。
○村中政府委員 ただいまの病床数、過密過疎の問題の点について御指摘でございますが、御承知のとおり、精神ベッドにつきましては、都道府県を一つの区域として、そこで人口万対二十五床というのが昭和四十三年の十二月に医療法の基準の中で改正して定まって、現在そういうことでございまして、東京都の場合は都一円という形の中で規制をされる。必ずしもただいまの御指摘の点のアンバランスがそのことで是正されるとは思いませんけれども、いまの規制方式はそんなふうになっております。 なお、御参考までに申し上げますと、全国で十九の県がすでに人口万対二十五床となっております。そういう実態でございます。 なお、私立とその他公的施設との病床数の比率の問題でございますが、これは御指摘のとおり、残念ながらと申しますか、実態は八〇%が私立で、その他が二〇%、おおよそそういうふうな比率でございます。これは、しかし私どもといたしましても、私立をだんだん国公立に持っていくということにも一つの方法があるわけでございますが、私立の施設の内容がよい方向に改善されるような指導を現在やっております。なお、都道府県立の施設につきましては、補助金の用意もいたしまして、その促進については努力しておりますが、年間千数百床という程度の伸びが実態でございます。
○山本(政)委員 いいですか。一九五五年に公立病院は一万九百八十二、私立病院は二万九千二百五十四、これが精神病院の病床数であります。それが一九六六年には公立病院が三万七百六十九へ私立病院は十五万九百四十ですよ。しかも医療金融公庫の融資の状況からいえば、総病床数のうちの一万三千七百二という病床数のうち精神病床数は三千五十七という病床数を融資しているのですよ、金額はわからないということですけれども。しかも精神病院じゃなくて、一般病院の数というのは一九六八年には四十七万四千七百五十七病床がある。私立病院についていえば五十二万八千八百八十一という病床がある。その病床と精神病床と比べてごらんなさい。はるかに精神病床に対するウエートのほうが大きいということがいえる。絶対的といっていいくらい大きいのですよ、融資の状況からいえば。しかもその多くが私立病院に融資されておる。なぜだろうか。精神科が集中されると、つまり精神科医がなぜそこへ、悪徳医者が精神病科に集中するのと同じように、なぜ医療金融公庫がそれほど貸し出しを精神病院にウエートをかけねばならぬのですか、なぜそれだけの需要があるのだろうか、それをひとつ教えていただきたい。なぜ医者が集中するのか。それだけの需要があって融資がされるのだろうが、融資されるということは需要があることですからね。精神病というものについて何か不純な気持ちが働く、要するに経営者については不純な気持ちが働いておるような気がしてならぬのですよ。そういうものを見れば、数としては実態としてそうなっておるじゃありませんか。それを一体どうお考えになるか。
○村中政府委員 医療金融公庫の貸し付けの基準につきましては私十分存じませんが、精神病床の需要の問題でございますけれども、御承知のとおり、現在−昨年の六月でありますが、二十三万の病床がでございますが、回転率がたしか一〇三%くらいになっておると思います。大体一〇〇%を上回っておるという実態であります。言いかえますと入院の需要がある。ただ問題は、先ほど来御指摘のように、一体精神病院に入院させる、あるいはされる度合いと申しますか、程度と申しますか、基準と申しますか、そういうものが明確なのかどうか、診断の問題になりますけれども、この問題は非常にむずかしゅうございまして、実際には精神科の専門医が判断をして入院が必要だというふうなことに私どもはたよるほかはないわけであります。ただ、精神病院患者の入院している実態につきまして、四十四年度で実態調査をいたしております。いずれ遠からずこの成績がまとまると存じますが、これらによると、おおよそ退院させてもいいんじゃないか、あるいはこれは措置をするのが適当じゃないか、あるいは、これはもしも病院以外の中間的な施設ができれば、そこでアフターケアをするのが適当じゃないかというふうな内容がいろいろ出てまいっておりますけれども、これらの結果をよく行政の上に反映するようなそういう指導、努力を私自身やりたい、こう考えております。
○山本(政)委員 医務局長にちょっとお伺いしますが、たとえば一般病院で病床数が一〇〇あるとしますね。そのときに一一〇あるいは一三〇入れるケースというのは非常に多くございますか。イエス、ノーだけでけっこうです。
○松尾政府委員 一般病院では一〇〇をこえることはまれでございます。 〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕
○山本(政)委員 もう一つ、入院の需要が多い場合に号、ういう措置をとることがありますか。
○松尾政府委員 緊急な事態等がありますれば、これはやむを得ずそういう定床をこえても入れるということはあり得ますけれども、いま申し上げましたようないわば常態的にそういうものはないとお考えいただいていいと思います。
○山本(政)委員 いま医務局長のお答えのとおりですよ。精神病については病床数をはるかに上回って入れておるじゃありませんか。必ずしも措置患者だけじゃありませんよ。病床数が一〇〇として平均二二〇近くなっておるでしょう。碧水荘の場合、一二七、多くの病院が病床をこえて入院させておるんですよ。なぜだろうか、お答えいかだきたいと思います。
○村中政府委員 たしか私の記憶では一〇三が全国平均だと考えております。 なお、精神病患者が、他の一般の患者と違って病床をオーバーして収容されている、何が原因かという点のお尋ねでございますが、非常に端的に申し上げますと、私は患者の収容と病床とがマッチしないという形が一点あろうと思います。なお、一〇〇%をこえて収容されている中には、おそらく山本委員も施設をごらんになって先刻よく御承知のとおりと思いますが、大きな部屋があって、ある程度定数をこえて収容できるような施設が残念ながらいまなお残っておるというふうなことが、一〇〇をこえた形でも収容可能だというふうな結果を引き起こしているというふうに考えております。
○山本(政)委員 私は、あなたのお答えは、たいへん率直に申し上げれば正直じゃないという気がしてなりません。と申しますのは、実態としては、精神病については悪貨が良貨を駆逐する、そういう原則というものが貫かれているような気がぼくはしてならないのですよ。それは率直にお認めになったほうがいいと思う。 たとえば、例を申し上げましょう。日野市の七生というのですか、肉屋さんと米屋さんが経営者じゃありませんか。そのうちの一人が、名前は私申し上げませんけれども、理事長をやっているわけですよ。医療法人、私立の病院です。土地建物を貸して、そして理事長として利潤を取り立てるのですよ。私に率直に言わせれば、もうけをとるのですよ。こういう例は幾らでもあるのです。なぜそういうふうに、本来の医療の関係者でない人たちが経営をするのだろうか、そういうところにあなた方はメスを当てたことがありますか。だったら私、ここに申し上げてもいいですよ。そういう実態というものをあなた方にもう少し認識された、もっと率直なお答えがいただきたいと私は思うのです。もう一ぺん私は重ねてその答弁をお願いしたいと思います。
○村中政府委員 病院の開設者が非医師であるというふうな点についての御指摘かと存じますけれども、現在の医療法のたてまえの中から、たしかこれは排除する方法がないと思います。問題は、病院の管理経営ということが、実際に専門家によって行なわれるという実体が法の中では要求されるわけでございまして、この中で私は、正しい病院の運営が行なわれるような、そういう努力と規制、協力はぜひやる必要があるし、今後もやっていきたい、こう思っております。
○山本(政)委員 大臣の時間があるようでございますから、私は他の質問はあとに回しまして、一番私がお願いしたいことについて質問いたしたいと思います。 今度のいろいろなトラブルが出てきているところに、私はやっぱり監査制度ということに一つ問題点があると思うのです。それで、監査の欠点というのは一体どこにあったとお思いになるか、公衆衛生局長にひとつお伺いしたいと思います。
○村中政府委員 私どもが、精神衛生法に基づいた精神病院の監査の対象というのは、御承知のとおり指定医療機関についての監査でございます。実際に措置されている患者が正しく療養、医療保護を受けているかどうかという点の問題でございますが、年じゅう医療という中から手分けをして各指定医療機関を回りながら監査をやっておりまして、この監査の報告では、一様に、これもいろいろ報道されておりますが、医療従事者の数が足りない、あるいは病床をオーバーして収容されているというふうな問題点が指摘をされておりますが、これはただいま山本委員御指摘のとおりに、非常に根っこが深うございまして、改善が困難と存じますけれども、できるだけの努力を払っているわけでございます。
○山本(政)委員 病床の問題とかその他の問題があげられているのですけれども、私は、たいへん意地悪な言い方かもわかりませんけれども、人権の問題にお触れになっておらない。昭和四十四年十一月十五日、これはある新聞の社会面に出ているのです。都の監査は節穴か、こういうことであります。これは監査をやらないことがありますね。青梅の精神病院、ずさんな監査の原因として、監査の事前予告、これが一つ。書類だけのチェック、第二番目。第三番目は、病院の監査は一年に一回が原則だけれども、四年に一回しかなされておらなかった。こういう三点があげられております。何で予告をするのだろうか。慣例として予告になっている。私は、監査というのは、事そういうものに対しては抜き打ち監査というものが原則であるべきである。たとえば船とか汽車とかそういうものの機械の検査、かまの検査といいますか、そういうものは私も経験があります。それは定期検査でなければならない。これが原則でなければならない。ところが、こういう施設に対する監査というのは、予告監査ということではなくて抜き打ちにするのが原則であるべきだと私は思うのです。何で予告するのか、この点をお伺いしたいと思います。
○村中政府委員 精神病院の監査の場合は、一般的な医療監視という立場からの監視が一点。それからもう一点は、先ほどから申し上げておりますような指定医療機関に対する措置患者を中心とした監査と二つあるわけでございます。この後段の措置患者を中心にした精神病院の監査というのが、私どもが現在やっている一これは年に一回やっております。これには医療の支払いその他で、相当事前に相手方に資料を用意してもらう事項があるわけです。そういうことでやむを得ず事前にあらかじめ知らせてやっているわけでございますが、そういうことで——しかしこれだけがすべてだとは私自身も考えておりませんで、こういう思いがけない、あるいは残念な管理上の事故が出るとすれば、今後の問題としては、適宜適切な監査のことを考えなければならない、こう存じます。
○山本(政)委員 医務局長にちょっとお伺いするのですけれども、一般病院には常勤というのですか、常勤の医師が二十四時間中詰めておらなければならぬはずですね。書類も整備されておらなければならぬのですね。つまり、私が申し上げたいのは、カルテにしろ、処方せんにしろ、入退院の書類にしろ、常に整備されておるべきだと思うのですけれども、それが原則だと思うが、その点どうなんでしょう、お尋ねします。
○松尾政府委員 御指摘のとおりの状態でございます。
○山本(政)委員 もしも書類を整備するというのだったら、私はそういうことが整備されておるはずだと思うのです。また、そうしなければならぬはずだと思うのです。もし医者がおらなければならぬというのだったら、そういう医者が詰めておらなければならぬはずでしょう。それならなぜ、そうしておるのだったら、一カ月前の予告なんて不必要じゃありませんか、つまり病院がほんとうにきちんとされておるのだったら。そして、病院にはいつ行っても責任者というものがおるはずだと思うのですよ。それなら予告をする必要はないはずだ。その点どうなんです。
○村中政府委員 ちょっとことばが不足だったと存じますけれども、ふだん日常の診療のほかに、定期的な監査になりますと、たとえば半年間とかあるいは一年間とか、こういう資料の用意がある。そういう点についての事前の準備も必要かということで、従来医療監査と申しますか、指定病院の監査につきましては、そのような方法をとっておるわけでございます。
○山本(政)委員 たいへん申しわけないのですけれども、大臣、もう少しお願いします。 あなた、措置患者のことだけ言っておりますね。それじゃ私、申し上げましょう。時間がないので、大臣の御都合があるそうですから、少し詰めていきたいのですけれども、いままで、監査の結果いろいろな事態が改善されたということはありませんよ。精神病院においても、監査の結果摘発されたことはありませんよ。摘発されたことは、全部といっていいほど、あなた方の監査の結果やられたことじゃないのですよ。例を申し上げましょう。精神病患者の実態がほとんど監査によってわかったものじゃないということの証拠には、大阪の栗岡病院、これは患者が実態を書いた紙を石にまるめて外へ投げたということがあるでしょう。それで実態がわかったということがありますよ。安田病院、これは退院した患者が実態を申し出て、そして摘発されている。碧水荘は、これは新聞記者の方が入っていって、そして調査をしたわけでしょう。相模湖病院はどうだ。これは同じように退院患者の訴えじゃありませんか。そして、いまはよくなっているけれども、小林病院。以前の小林病院はどうなんだ。患者の家族が都庁に医療費を払いに行ったところが、本人は退院したことになっておるわけです。しかし実際は病院に在院しておったわけでしょう。なぜだろう。監査が近いので、ごまかすために書類上のごまかしをやっていたわけでしょう。あなた方は、幾ら書類をやれといったって、事前で一カ月予告をしたら、そういうごまかしが現実にあるのですよ。だから、抜き打ち監査が必要だということがいわれるのでしょう。監査というものは、少なくとも施設とかそういう病院というものに対しては、本来ならば抜き打ちであるべきですよ。ここに、私のところに入った一例がありますよ。相棒湖病院の場合には——名前を言ったほうがいいから申し上げましょう。監査の当日には、いつ来るかわかっているから、散歩に出しておくのですよ。あるいは白衣を着せて看護婦さんのかっこうをさせたりなんかしているのですよ、現実に。青梅の厚生病院は看護婦をそのときだけ雇っているじゃありませんか。まさに一カ月の予告の弊害がここに出ているのですよ。そのときだけごまかせば、あとは人権をどんなに無視しても、いためてもいいということになっているわけだ。このことは措置患者に限らぬ。 大臣にお伺いしたいことは、一体抜き打ち監査を原則とするお考えがあるかないかということが第一点でございます。その点についてお伺いいたします。
○内田国務大臣 病院、ことに精神病院のような特殊なものに対しまする監査、監視のやり方ということにつきましては、正直に申しまして、私はこれまでのやり方は存じておりません。また、それが一体、監査というようなものは、一般的には抜き打ち監査であるべきだと思いますが、しかし政府委員から答弁のありますような必要のもとに、事前の通告というようなものがなければならないのかどうか、その辺も、正直のところ私にはわかりませんけれども、先ほどからここにおって伺っておるばかりでなしに、近来新聞等の取り上げ、あるいは予算委員会等の場におきまして、精神病院における不当の行為や、あるいはまた不備の状況が各方面から指摘されておりますので、私は、こういう機会に皆さま方からそういう御指摘をいただき、究明をいただいたことは、非常にいい機会だったと考えるものであります。新聞に載っておりましたような病院につきましては、私自身も早速その関係の局長等にも説明を求めましたところが、それぞれの措置がなされておるようでございまして、それにつきましては、まあそれで済んだことでありますけれども、しかし世間からいえば、それは全体のまた一部だけであって、問題にされている病院以外にもいろいろの不当のかどがたくさんあるともいわれておりますので、私どもは、こういう機会に、十分都道府県の当局とも打ち合わせ、また厚生省自身も、しっかりした姿勢をもってこの精神病院の対応策というものを正していきたいと考えております。ことに、精神病院につきましては、精神衛生法というような法律が——あれはたしか議員立法でできたと思いますが、国会の意思によってああいう法律までできており、本来いえば都道府県立病院、あるいはそれができない場合には、その指定制度までつくられ、国の措置その他の助成まできめられておる。そういう仕組みでありますので、私は、厚生省としては、一般病院に対する以上の留意、監督が必要であることを痛切に感ずるものでありますので、これは今後もでき得る限りそういう姿勢で向かわせるようにいたしたいと思っております。
○山本(政)委員 大臣、一点だけ、私お答えをいただきたいのは、監査というのは、監査のしかたを見ていると書類監査なんですよ。ですから、私は申し上げたいのは、そういうことからいろいろな欠陥が起こってくる。同時に、抜き打ち監査でなくて予告の監査でしょう。立ち会いは地区の医師会の人が立ち会うのですよ。そこには、率直にいえば、なれ合いも出てくるかもわからない。だから、監査というものを抜き打ちにすることを原則とする考えがあるかどうか。これだけの答弁でけっこうなんです。それが第一点。あともう一点あるのです、大臣にお聞きしたいことは。
○内田国務大臣 一般論としては、私は、監査というものは、こういう面の監査ばかりでなしに、抜き打ち監査であるべきだと思いますが、事柄の性質に応じて事前の書類整備等の必要のある場合もありましょうし、その辺のことについては私はよくわかりません、正直に申しまして。でありますが、いまも述べましたように、精神病院に対する国の姿勢というものは十分厳重、厳格であるべきだということは、私も十分心得ますので、それの一環として、監査のあり方などにつきましても、今後さらに私は関係の向きとも打ち合わせて、納得のいくような方向に進みたいと思います。
○倉成委員長 山本君、大臣はもういかがですか。
○山本(政)委員 それではもう一点だけ。 私が申し上げたような実態があるとするならば、抜き打ち監査を原則とするお考えがありますか、ないですか。このことが一番大切なことなんですよ。だから私は、たいへん申しわけないけれども、大臣にお伺いしているわけです。もう一つあるわけです、実態は。
○内田国務大臣 ただいまお答えを私が申し上げたとおりでありまして、私がいまここで、監査はすべて抜き打ち監査にしますと言ってみて、そのとおり——これはおことばを返してたいへん恐縮でありますけれども、そのとおりでいけるものかどうか、その点、私にも経験もまた自信もございせんので、本来、監査というものはそうあるべきものだとは思いますけれども、しばらくひとつその研究をさして、そして姿勢を正していきたい。これでひとつ御了承をいただきたいと思います。
○山本(政)委員 時間があるようですから、それではこれは大臣に対してもう一ぺん留保させていただいて、次に移りたいと思います。 書類監査の欠陥がどこにあらわれているかということは、これは三月五日に新聞に碧水荘病院が出てきた。そして三月九日と十七日に立ち入り検査をやった。その結果が明瞭に出ているのですよ。あなたは措置患者のことばかりおっしゃっているけれども、碧水荘における医師の必要数は八名あるはずなんです。抜き打ち検査の結果——これは医療法に基づく医師数ですね、それで調べてみたら、八名おるべきところが四・二名しかおらなかった。四・二名というのはまことにおかしいですけれども、四・二名しかおらなかった。医師の充足率は、先ほど申し上げたように五三%。看護婦の必要数は六十三名なんだけれども、現員数が二十一名、充足率は三三%であります。入院患者数は、三月九日現在、定床数が三百七に対して三百九十名入っているんです。二七%の超過、こういう実態が抜き打ち検査で出てくるはずなんですよ、もしあなた方がほんとうにその気になれば。特に私立病院についてはそういうことが言える。だから、抜き打ち検査をおやりなさいと、こう言っているんです。定期検査は不必要だと私は言っているわけじゃありません。そういうことをもう一ぺんお考えになって、あなたのお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○村中政府委員 ただいまの御指摘の点、私自身もそのとおりだと思います。従来より事前に通告の上での検査に偏重し過ぎていた、今後は抜き打ち検査もぜひ取り入れていく必要があるし、取り入れていきたい、こう考えております。
○山本(政)委員 これはクラークの報告に、監査制度というものをちゃんと書いてあるんですよ。御存じですね。この勧告の中には国家監査制度を設けなさいといっている。ザ・ボード・オブ・コントロールとでもいう制度を設けなさい、こういっております。問題は、先ほど私がクラークの報告の一部を申し上げたような中から出てきたと私は思うのです。その点について、コミッショナーというんですか、監査官というものを設ける意思がおありになるかどうか、これはひとつ次官にお伺いしたほうがいいと思います。
○橋本(龍)政府委員 いま局長からも申し上げましたように、従来も明前に通告した定期的な検査、書類検査だけでいいと私ども考えない。そして、随時御指摘のとおり抜き打ち検査は取り入れていきたいということは申し上げたとおりであります。それをどういう方法でやるかは、もうしばらく検討の時間をちょうだいしたいと存じます。むしろ急を要する問題でありますけれども、同時に、この制度を変えること自体が、相当大きな問題が将来出てくるわけでありまして、ただいま御指摘のようなおしかりを今後受けないためにも、多少の検討の時間は私どもはちょうだいをいたしたいと考えております。検討の結果は、またその時点において御報告を申し上げたいと思います。
○山本(政)委員 次官がたいへんまじめな御答弁をなされたので、私はあまり申し上げたくないんですけれども、都市の監視対象病院というのは七百五十一、それに対して監視員が四名であります。私はなぜそういうことを申し上げるかと言うと、地区の医師の立ち会いというところにも問題があると思うのです。つまり、監査官制度というものは、ことばとして適当かどうかはわかりませんけれども、つまり、精神病院その他のそういう関係の方々に対してアンタッチャブルの組織・機構というものがあっていいんではないだろうか。そして、そのチームの中に、むしろ精神医という人が全部ではなくて、私とものような——という言い方はおかしいですけれども、つまり、そういう人たちはすでに精神病院についてはある程度なれっこになっているのではないだろうかという気がするわけです。これは、この学会の雑誌にも、アピールのうしろの別のところにあるんです。「われわれ自身が感覚麻ひの落とし穴にはまりこんでいはしまいか。たとえば、長期入院の慢性分裂病に対するときのやりきれない気持とはうら腹に、患者の生命の危険のなさや、たとえ死んでも家族からうらまれることが少ないといった安易な状況になれきっていないだろうか。」こういっているんですよ。これは私のしろうと考えでありますが、そういう人たちが見たときに、若干改善されたなという考えを持つかもしれない。しかし私は、今日の実態はそんなもんじゃないんじゃないだろうか。むしろしろうとの新鮮な感覚で監察をしていくといったほうが実態に即応したものが出てくるのではないだろうか、こう思うのです。 それと同時に、違反病院に対する処罰の例というものが非常に少ないということもあわせて考えてもらいたい。最近は小林病院だけだったと思うのです。そういう点について私は、書類監査あるいは抜き打ち監査、そういうことを申し上げました。結論として申し上げたいことは、自治体の病院についてもそういうことが言えるかもわかりませんけれども、まじめに、良心的にやっているところは、のびのびと治療のできるようなものがあっていいんじゃないだろうか。あるいは精神科という特殊性にかんがみて、医療費の問題というものも考慮していいんではないだろうか。そのかわり、監査を厳重にしていくということがあっていいんではないだろうかという考えがするわけです。そういう意味で私は、いまの国家監査官制度というものについてのそういうチームをつくるべきではないだろうか。そして、そのチームのメンバーにも、先ほど申し上げたような、フレッシュな感覚で精神病院を見直すことのできる人が必要ではないんだろうかということを申し上げたいのであります。たいへん申しわけないですけれども、再度、私のいま申し上げたような面について見解を聞かしていただきたい。
○橋本(龍)政府委員 非常に有益な御指摘をいただいたわけでありますけれども、一部、山本委員の御発言に対して、ただいま伺いながら、私自身の疑問とする点もございます。と申しますのは、それこそ行政府の一員としてここに答弁に立ちながら、こういう答弁を申し上げることが適当かどうか知りませんが、私は、いわゆる監査制度というもの、監査官制度というものを大きくしていくこと、すなわち行政機関の監督権限、監査権限、機能というものだけを大きくしていくことが、必ずしも精神病院の改善につながるとは思えない部分もあります。はっきり申し上げまして、行政機関の権限が私的な機関にあまり強くなることを、私自身としては好まない点もございます。ただ、現行の監査制度、これは制度そのものにも、またその内容についても不備な点があることは、先ほどからきびしく御指摘をいただいたとおりであります。これについて私は、法の改善は真剣に考えたいということも申し上げました。その中で、いま御提案のありましたような、新しい感覚のものをどうやって取り入れていくか、これは私どもは今後の課題として真剣に検討させていただきたいと思います。ただ、必ずしも監査官のチームを大きくすることだけ、そしてフレッシュな感覚ということを強調するあまりに、精神障害者という、また精神障害という一つの疾病、そしてまた、その治療機関の必要な役割り、こうしたものに対して十分な知識を持たない方をその中に加えることがよいかどうかについては、なお私は検討の余地があると思います。先ほどの答弁を繰り返して恐縮でありますが、今後の宿題としてお預けをいただき、真剣に検討さしていただきたいと思います。
○山本(政)委員 宿題でけっこうです。ただ、次官の見解の中に——私は、チームをかりに編成をしたときに、しろうとだけを入れるというのではなくて、そういう人たちをチームのメンバーとして加えることも考慮していいんではないだろうかという一つの提案であります。もう一つは、私は、そういう制度というものは、何も拡大強化をしてくるんではない、実態からいえばなきにひとしいということが言えるんじゃないだろうか。それならば、それを補完するものがあってしかるべきだ。もう一つは、ドクター・クラークがそういう提案をしていることに対して、私は、厚生省はどういうお考えを持っているか、これは全く無視されるのか、そういうことについてただしたかったからお伺いしたのでありまして、監査官制度というものについてせっかくの提案というものを——率直に申し上げましたら、ドクター・クラークの報告の中に、拾い上げたものは私はたいしてないと思うのです。そういう意味で、クラークの報告についてもう一ぺん目を向けてもらいたいと思う。なぜ私がしろうとの人を入れたフレッシュな感覚でと、こう言ったかと申しますと、これも私の知恵ではありません。ここにある新聞の「精神病院 選び方の十八章」というのがあります。私どもが見てなるほどと思う。同時に、私どもが日ごろ危惧をしているようなことがやはり現実にある。それはわれわれが見ても肯定的なものがあるのですよ。これは措置患者だけではありません。一般の患者——一般の患者というとおかしいけれども、その他の精神病患者に対しても適用できるようなものがあるのです。部屋の問題とかいろいろあります。経理の問題もあるでしょうし、あるいは開放的であれかしという問題もあるでしょうし、療法の問題もあるでしょうし、あるいは患者の問題、保護室の問題もあると思う。そういうことに対して私は申し上げたのでありまして、ひとつ再検討をしていただきたいということをお願いいたしておきます。 それで、公衆衛生局長にお伺いしたいのですが、電気ショック療法というのがありますね。その電気ショック療法、診療の指針の中にこういうことが出ております。実施方法としてはいろいろなことが書いてありますけれども、その中でこういうことが書いてあります。「療法上の注意」の中に、けいれんの電気療法をやる場合に、けいれんの際、歯牙を損傷し、舌、口腔に咬傷を生ずるおそれがあるから、ガーゼで包んだゴム等を奥歯にかませておきなさいということがあります。あるいは、けいれんの終わった後に、直ちに呼吸の回復しない場合には、時を移さず人工呼吸を施し、正常呼吸となるまでよく看護しなければならない。私は電気ショック療法がこれほどのものとは実は知らなかったわけであります。そして、実施に先立ち、十分患者を説得し、受療を納得させる必要がある、こう書いてあります。そこで新聞に出ておりますように、「電パチがこわい」、つまり、これはある意味ではお仕置きの部屋として、それが外に出ることを隠蔽するために患者を恐怖にかりたてる。そして、それが外部に出ることを隠蔽しようとする一つのあらわれだと思うのですけれども、実際にこれを見ますと、やけどのあとがたくさんあるわけです。そこで、この療法上の注意のところにこういうのがあるんですよ。皮膚の火傷を防ぎ、かつ抵抗を少なくするために、電極は脱脂綿とガーゼで包み、濃食塩水に十分浸しておきなさい、こういうのがある。碧水荘はまさにそういうことをやらなくて、直接に当てているからやけどのあとが出てきているんでしょう。それでお伺いしたいのは、一体ショック療法というのは、治療法としては精神分裂症においては最大の治療効果をあげるものとされておるのかどうか、その点をちょっとお伺いしたい。
○村中政府委員 電気ショック療法についてのお尋ねでございますが、私自身も医学を学んでおり、電気ショックの扱い方の指導を受けましたが、薬物療法ではなかなかきかないという場合や、ただいまお話しのような分裂症あるいは躁うつ症あるいはアルコール中毒というような場合に間々使っております。一時下火になった時期もあったようでございますが、現在また活用され始めているというふうに聞いております。なお、ショック療法は電気のほかにインシュリンショックというのがございますが、最近はあまり使われていないようであります。
○山本(政)委員 そうすると、最近また使われ出したということですね。そうなると、いまの電バチ先生ですか、これは特に私立病院についてい、えるのでしょうけれども、その反面、非常に良心的にやっているところもあることを私は承っております。私の申し上げたいのは悪徳精神病院のことですよ。精神病院の院長は、ある意味ではもう裁判官以上だと思う。特に電気ショック療法を使った、それで外部にその実情を知らせたくないというようなときに、それでおどかしていくということも書かれている。態度がちょっと横柄だと電気療法をやる。そういうことで、精神病院の先生方、特に院長は、ある意味では絶対者だといってもいいくらいの力を持っておるのだと思うのですけれども、精神科の場合、率直に言って、私よくわかりませんが、そういうものを規制する方法はないだろうか。たとえば精神科についてのみ医師法を改正するというようなことができないものであろうか。何かほかに方法としてあるのではないだろうか。つまり、精神科だけについてそういう専門医制度が考えられていいのではないかという気がするのです。気やすくほかの科からかわって精神科医になるというようなことを防いで、もっと人道的な立場に立って治療するというような方法なり制度が考えられないだろうか、専門医制度が一つの方法かどうかもよくわかりませんが、そういうものが考えられるか考えられないかということですが、その辺の意見をひとつ聞かせてもらいたい。
○村中政府委員 特殊な精神障害者を治療する技術者の問題でございますが、現在相当の年限を積んだ者については精神衛生鑑定医という制度がありまして、実際に病院で治療する必要があるかどうかという判定にはこれが使われております。昭和四十一年でございますか、前回の精神衛生法の改正のおりに、この問題について国会で意見が出まして、特殊なそういうものを扱う精神病医については専門的な技術者医師を考える必要があるのではないかというような提案もあったと記憶しております。これは、御承知のとおり、医療制度全般の問題ともからんでくるのでありまして、率直に申し上げまして、私自身もこの制度が早急に精神病医について始まりそうだというような自信はございませんが、そういう動きはあるわけでございます。
○山本(政)委員 いま精神衛生鑑定医の話が出ましたけれども、ここにこういうことが書いてあるんですよ。「精神科医の自己批判と提案」という中に、「学会評議員や精神科健保審査委員の中に悪徳病院の顧問をしている人がある」とあります。そうすると、精神衛生鑑定医の場合も、そんなことを申し上げるとたいへん悪いかもわかりませんけれども、やはりなれっこになっておるのではないだろうか。地区の医師が立ち会うという場合、精神衛生鑑定医が見るという場合だって、特に悪徳ですよ、そういう場合に、そういう従来の既成観念から考えられている場合には、なかなか脱皮することができないのじゃないかという感じがするわけですね。そういう意味でひとつ、ことばを返すようですけれども、もちろん、これはなかなか複雑な問題だと思いますが、一歩前進をしていく動きがあるということは、私たちはたいへんけっこうなことだと思いますけれども、何とかそういうことについて一ぺん研究をしてみるということをひとつ厚生省としてやっていただきたいと思うのですけれども、この辺についてどうお考えになりますか、お答えをいただきたいと思います。
○村中政府委員 専門医制度を制度化することにつきましては、いろいろな他の職種とのバランスの問題も出てまいるわけですけれども、ただいま御提案のような専門的な形で精神病患者を扱える方法がないかという点につきましては、これも従来も意見交換が行なわれておりますが、中央精神衛生審議会という諮問機関がございます。その中で専門医の研修という問題も議論されております。私自身もそこにまた提案いたしまして検討してもらう、こう考えております。
○山本(政)委員 ありがとうございました。私は、そうしていただければ少しでも役立つのではないかと思うので、いまの局長のお考えに対して心からお礼を申し上げます。 保険局長にお伺いいたしますけれども、ドクター・クラークの報告の中に健康保険の項があります。4の4ですか、そこに実は二つの指摘をしております。健康保険制度から起生する難点というのを指摘しておるのですけれども、一つはこれは非常にやっかいな問題だと思うのです。それは統一された国家による保険制度をつくりなさい、そういうことが望ましいのだ、これは現行法のもとではなかなかむずかしいと思いますけれども、ただ二番目の提案の中に、医療保険の支払い制度が、全国的に精神治療のパターンを指図されておる、こういうことが実は指摘をされております。それから、これは私はよく存じませんけれども、中央社会保険医療協議会にも精神医が参加をしておらないという話も実は聞きました。なぜそういうことを私がお伺いいたしますかといいますと、クラークの指摘の中に、「入院患者の治療の支払いはうまくいっており、比較的ゆるやかである。ある医師は入院患者の治療でよい生活をすることができるし、経済的にも病院を繁栄させることができる。」何かこれを見ますと、私は、武見会長が精神病院というのは牧畜場業者だとかなんとか言ったことを思い出すのですが、外来患者について、「外来患者の精神治療は支払いが悪く、施された治療の長さとか、質だとか、程度だとかにかかわりなく各部門に対して一様な割合で支払われている。このことは、個々の患者に長時間かけることを阻止し、ごく短時間の面接でできるだけ多くの患者を見るように医師を奨励していることにもなる。」こう書いておるわけです。それで、これはいつでしたか、前にも質問申し上げたのですけれども、たとえば診察についての初診料というのは、甲表によれば四百五十円、乙表によれば三百円、一般病院やあるいは診療所の診察時間というものは、精神病院に比べて——私はしろうとですからよくわかりませんが、時間が少ないのじゃないか。精神病院の場合には、クラークのそういう報告から見ても、特に問診の時間は本来長かるべきではないだろうかという気がするわけであります。再診療の場合については、これは申すまでもありませんけれども、六月三十日までは甲表百四十円、乙表四十円ですから、再診の場合はたいへん低いと思うのです。そういう初診料とかなんとかいうことについて、精神病院に関しては何か別途に考えられることがありはしないだろうかという気が実はしてなりません。そういうことについてお答えをお願いしたいと思います。
○梅本政府委員 ただいまの点でございますが、これは率直に申しまして、現在の診療報酬体系につきまして世間一般にいわれておりますのは、三時間待って三分の治療、こういうことが世間からいわれている一番の問題点でございます。この点につきましては、さらに精神科の問題だけでなしに、これはわれわれとしては診療報酬体系からくるとは思いませんで、やはり患者の量、医療需要、そういう点と、施設、医師の数というふうな関係に赤ろうかと存じますけれども、御指摘の、確かにおっしゃるように、精神科の問題につきましては、やはり注射でありますとか薬物投与よりも、じっくりとカウンセリングをやったり、あるいは相談をするということが医療上特に必要な点だろう、こういうふうに存じております。 ただその点は、精神科だけにつきまして診療報酬の体系をすみやかに変えるか、あるいはそれじゃ結核はどうか、あるいはまた、疾病によりましても、相当いろいろな問題につきましてやはり十分な診察が要るというふうな問題もございます。それを横に並べましたときに、特に精神科だけを取り出すということにつきましては、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、おっしゃる点は、せっかく医療をやり、医療費を、集めました保険料の中から支払うわけでございますので、やはり、問題としてはそういう点が生きてくるような診療報酬体系を今後は考えていく必要があると思います。 御承知かと思いますけれども、診療報酬の点につきまして、昨年からことしの初めにかけまして一定の改定をやったわけでございます。そのときの中医協の答申にも、今後診療報酬の体系について中医協自身も抜本的に検討する、これはもう四十二年答申のときからの方針でございましたが、間に緊急是正が入ってまいりまして、緊急是正というような形に追われて抜本的な検討に入っておりません。この辺が今後の問題としまして、中医協の中におきましても、精神科の問題としましては、おっしゃるようなそういう問題、あるいはリハビリテーションの問題、あるいはまた、それを抜本的にやる場合に保険でどの程度やるか、あるいは精神衛生法その他を公費でどの程度やるかというふうないろいろな根本問題がございますが、その検討の際には、おっしゃるような趣旨で関係者に十分御議論をしていただきたい、こういうように考えております。
○山本(政)委員 精神科というのは——何で私がそう申し上げますかというと、これはクラークのことばばかりを借用するようですけれども、こう書いてあります。「私は、医師にとって精神療法をしたり、計画した長期にわたる面接を行って生活をたててゆくことが不可能なのだということをきかされた。」そうしてずっと書いておりまして、「個人治療、特に入院患者の身体的な治療に、医師の時間を費やさせ、地域精神衛生の問題に背を向けさせてしまう積極的な誘因が」こういう点にあるのじゃないだろうか、そうして、もしそういうことがあれば、精神治療というもののサービスが実は虚弱化されてしまう、こう彼は極言をしておりますね。そういうことで実は私は申し上げたのですけれども、そういう点はひとつ、いまのお答えもありましたけれども、考えて参考にしていただきたいと思いますが、同時に、作業療法になぜ点数がつかぬのだろうかということを疑問にするわけです。作業療法というのはあくまでも治療でしょう。つまり、こういう言い方は非常に画一的になるかもわからぬけれども、電気ショック療法、これは最近また復活され始めたというのですけれども、それから薬物療法——薬物療法というのは作業療法に対する道を開いた、こう私は少なくとも厚生省の本から拝見をいたしました。そうすると、作業療法というものが治療になるなら、点数というものをなぜ考慮しないのだ。もちろん、そのことに対してある程度の規制というものは必要だと思いますよ。しかし、作業をやるということが必ずしも利益をあげるということとはつながらないと思うのです。そういう意味で、作業療法になぜ点数をつけないんだろうかという疑問が実はするわけですけれども、この点どうお考えですか。
○梅本政府委員 現在の点数表におきましては、これは点数表の体系の立て方にいろいろあると思いますけれども、やはり個々のはっきりしました医師が行ないます診療行為につきまして、何点何点というふうに点数が規定してございます。それ以外にもいろいろの行為が出てくるわけでございますが、それはひっくるめまして、現在のところ、入院であれば入院時基本診療料、こういうところに一応理論的には全部含まれておるという形をとっております。これはたとえばどういうことかと申しますと、病院というものを形成しておりますときに、その中にはボイラーマンの人件費もございましょうし、それから会計職員の人件費もございます。ただし入院料に加算ができるという形のもので、基準加算制度を設けておりまして、看護婦についても加算を認めております。これは加算でございまして、根っこはどこにあるんだという議論になりました場合には、そういうものを含めまして、入院料の中に含まれているという考え方でございます。したがって、この作業療法というのは、今後はいろいろまた精神科の面あるいは整形外科の面で発達をしてくるだろうと思いますけれども、現状におきましては、そういう関係者で、一応人としましても、OTあるいはPTという形の職種が数年前からできております。しかし、この基本診療料の中におきまして、たとえばOT、PTでございますとか、あるいはレントゲン技師でございますとか、特に甲表におきましては、薬剤師の行為でございますとか、そういう関係のものは全部まだ分かれておりません。そういう意味で、現在の観念におきましては、そういう病院として必要な療法につきまして、医師の行なう歴然とした個々の行為について、点数のないものにつきましては、初診料、再診料あるいは基本診療料に含まれているという考え方をとっております。これがいいか悪いかはまた別問題です。
○山本(政)委員 時間を少し超過しているようですから、私結論を急ぎますけれども、現に私は聞いたのですけれども、作業療法でもうけようとすれば、相当あくどいことをやらなければならぬということを聞いております。それから、ここに大阪の病院の実例がありますけれども、作業療法に名をかりて、これは一日に二時間、一週間に何時間でしたか、ともかくもオーバータイムをさしてはならぬということが基準法にありますね。しかし現実には、その基準法を越えた作業療法というものをやらしているわけですよ。これは労働基準監督官に話したってどうにもならない問題で、入院患者というものは労働基準法にいう労働者じゃないのですから、それをいいことにして、たいへんなオーバー労働がなされておるのだということも書いてある。一日につき二時間以上、一週間を通じて六時間以上の残業を厳禁して、そして違反した雇い主は、六カ月以下の懲役、五千円以下の罰金だといっているんだけれども、この適用はないわけですね。そして、そういう作業療法の中から、あわせて先ほどたびたび申し上げたような悪徳病院の中では、職員の切り詰めとか患者のすし詰めとか、職員の資質あるいは施設の低下ということが行なわれておる、こういうような気がするわけです。 そこで、厚生省の考え方の中に、もし精神病院で作業療法というものがそういう利益をあげているからというような考え方があるのならば、私はそういう考え方というのは間違いじゃないか。たいへん僭越な申し上げ方かもわかりませんけれども、やはり治療ということへ転換をさせるということになれば、再度考慮すべきじゃないだろうかということを実は考えるわけであります。 なお、そのほかに、患者の家族の会を結成をするにしても、これをチェックをしていってなかなかさせない、こういう問題がある。精神病の家族というものはなかなか外部にそういうことを知られたくないということもあるでしょうし、患者自身の取り扱いについてもなかなか複雑な事情があると思うけれども、もしそういう家族の会というものが病院に反映をされるということになれば、よほどましになるのだろうという気もいたします。あるいは看謹上の養成にしても問題が多々あるのじゃないだろうか。看護課長がおれば実はむしろお聞きしたいのだけれども、看護婦というのは、精神病の場合でなくたって母親がわりになるのじゃないだろうか。看護士は父親がわりになるというのが本来のあり方じゃないかと思うのです。ところが、何か措置患者だけを対象に考えて、暴れるから男で、あるいは場合によっては力で押えつけることが必要なんだという考え方がもしあるとするなら、これは私は精神病患者の治療に対してたいへん不幸なことじゃないかと思うのです。 いろいろ申し上げましたけれども、そういう点もぜひお考えを願って、前向きで対処していただきたい、こう思うのであります。そういうことで、最後に次官のお考えをお聞きをいたして私の質問を終わりたいと思います。
○橋本(龍)政府委員 前刻から、あるいは医療費関係について、あるいは実態について、また監査制度について、精神病院並びに精神障害者の福祉についてのきわめて多くの御指摘をいただきまして、今後の参考にいたすべき点も非常に多かったと思います。ただいまの御意見ばかりではなく、再三引用されましたクラーク報告にいたしましても、またその他の場所で指摘をされております問題点につきましても、含めましてもう一度精神病院全体について、また精神障害者に対する人権擁護の基本的な考え方、私どもとして検討すべきものは再検討し、でき得る限りの改善をはかってまいりたいと思います。 ————◇—————
○倉成委員長 おはかりいたします。 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 次回は来たる七日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十九分散会