社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/10
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 特に労働災害に関する問題について質疑を許します。藤田高敏君。
○藤田(高)委員 けさの理事会の特別の御配慮によりまして、本日の委員会の冒頭に、以下質問をいたします労災問題についての質問の機会を与えていただきましたことを、まず御礼申し上げたいと思います。 それと同時に、昨日愛媛県西条市の松下寿電子工業株式会社にかかわる労働災害によって負傷なさった関係者に対して、心からお見舞い申し上げておきたいと思います。非常に限られた時間でございますから、そのものずばりでお尋ねをしていきたいと思います。 まず、大臣にお尋ねをするのでありますが、いま私が指摘いたしました昨日の愛媛県西条市、松下寿電子工業株式会社にかかわる労働災害の実態を知っているかどうか。また、関係官庁として当然調査をなさっておると思いますが、その概要についてお答えをいただきたいと思います。
○和田政府委員 事務的な問題につきまして私からお答えを申し上げておきます。 ただいま御指摘のございましたように、昨日愛媛県西条市に所在をいたします松下寿電子工業西条事業部におきまして、八百人の従業員を集めて朝礼を行なっております際に、床が抜けまして転落事故が生じました。その結果、私どものほうの調査では、二百二十人の方が重軽傷を負われまして、現在入院加療中の方は四十三人、こういう報告を受けております。 なお、この建物につきましては、つい最近新造をしたもののようでございまして、現在までのところでございますと、なお調査を続行いたしておりますが、現在までのところでございますと、労働基準法に基づく安全衛生規則問題は生じていないように伺います。ただし、もちろんこれは勤務時間中の事故でございますので、当然業務上の災害という認定ができます。入院加療をしていらっしゃる方及びけがをしていらっしゃる方につきましては、労災保険によってそれぞれ所要の医療を行なってまいる、こういうことでございます。(「聞かないことまで言ってしまう。」と呼ぶ者あり)
○藤田(高)委員 いま隣の同僚議員から指摘がありましたように、問わず語りの答弁までされる必要はないと思います。 そのことは後ほどお尋ねいたしますが、二つ目の質問点として、この会社に対して、事故発生前、基準法上の安全衛生に関する監督をやっているかどうか、このことについてお尋ねしたいと思います。
○和田政府委員 お答えをいたします。 私どもに報告が、ただいままだ御質問の点について参っておりませんので、至急確認をさせていただきたいと思いますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
○藤田(高)委員 続いて、これに関連をいたしますが、これまた事故発生前に基準法上にいわれるところの違反事実というようなものは、この会社にはあったかどうか、この点についてお尋ねします。
○和田政府委員 ただいま、先ほどお答えを申しましたように、報告をいまのところ聞いておりませんので、いまの御質問の点も、あわせまして報告を聞きたい、かように考えております。
○藤田(高)委員 いま私が尋ねました二つの事柄について、労働省として、昨日この事故が発生してから、いま私が質問をしたようなことについて、現地の基準局なりあるいは監督署に対して、そういう、事故発生前あるいは過去において、基準法上の安全衛生に関する監督なり、あるいは定期監督なり、あるいは基準法違反の事実があったかどうかというようなことについて、厳格な調査をするような指示をしたかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○和田政府委員 お答えいたします。 調査にあたりましては、監督歴の調査もいたすことにしておりますので、調査の報告がありますれば、先生いま御指摘のありましたようなことは、それぞれ判明いたすと思います。
○藤田(高)委員 時間的には、いつごろ、基準局長なりあるいは大臣のところまで報告がある見通しなのかどうか。そして、いまのお答えでは、私の質問は基準法上の監督について、そういう指示をこちらから、この事故が発生したことを知った後、そういうことを調査するように、あるいは実態としていままでどうやってきたかということを、労働省として指示をしたかどうかということを尋ねておるわけですから、その点についての明確なお答えを願いたいと思います。
○和田政府委員 お答えいたします。 事故が発生をいたしますと同時に、愛媛労働基準局から安全衛生課長を派遣いたしまして、地元の監督署長及び当面担当の監督官が事業場に出向いて調査をいたしております。
○藤田(高)委員 なお続いてお尋ねしますが、基準法上にいう定期監督というものを、この工場に対してこれまでやってきておるかどうか、この点についてはどうでしょう。
○和田政府委員 先ほどもお答えいたしましたけれども、監督の実績の有無につきましても、報告がまだ私の手元まで届いておりませんので、定期監督をいたしましたかどうかについてもつまびらかにいたしませんが、報告が参りましたら、御報告を申し上げたいと存じます。
○藤田(高)委員 現地の報告を受けて、そうして指示をするのでなくて、これほど大きな二百数十名にも及ぶ、これはたまたま死者はなかったようでありますけれども、これだけ大きな事故が発生すれば、もっと本省の立場からも、的確に指示すべき事項というものがあるのじゃなかろうか。少なくとも労働者のサービス省としての基本的な性格を持つ労働省が、出先まかせ、出先の基準局なり、監督署まかせというような姿勢自体は、これは私は非常に重大な問題をかかえておると思うのです。 そこで、これは大臣にお尋ねしたいところですけれども、最近われわれ聞くところによると、基準局関係の手不足といいますか、職員の手不足によって、ややもすると見かけだけの、大工場に対しては、基準法上にいう安全衛生に関する事項をはじめ、その他当然監督官庁として監督すべき事柄が、最近非常に手薄くなっておる、ないがしろにされておる、こういうことをよく聞くわけでありますが、そのことに対しての今後の対策なり、あるいは大臣としての所見を聞かしてもらいたいと思います。
○野原国務大臣 今回の松下寿電子工業の事件は、まことに遺憾に考えております。 けさも閣議の席上で話があったのでございますが、どうも事故の発生いたしましたもとになりました廊下は、実は無届け建築というふうに報告がございました。おそらく建築基準法に違反した建設がなされたものだと思う。そういうところで朝礼をやるということ自体が、まことに遺憾なことでありまして、おそらく労働省としましても予期しなかったような事件であろうと思います。したがって、こういうような事例が今後再びないように、建築基準法をしっかり守っていただきまして、そうして、こういう不測の事態がないよう十分に、これは建設省の職務でございましょうが、そのほうでやっていただくと同時に、労働省としましては、十分監督行政を強化する。そういう面では、ただいま御指摘の、監督官の数が十分ではない、遺憾な点があるのではないかという御指摘に対しましては、十分に御意見として拝聴いたしまして、今後の対策に万全を期してまいりたいと考えております。
○藤田(高)委員 基本的には、私はたまたま今度の問題は、あとで質問いたしますが、建築基準法との関連もありましょうけれども、やはり工場におけるこの種の災害の問題は、この基準法にいう、私が先ほど来から指摘をいたしておりますような、安全衛生に関する監督なり、あるいは定期監督なり、こういうものが日常業務として行き届いておれば、私はこの建築基準法にいうようなこういう問題についても、どこの事業主といえども慎重を期すると思うのですよ。私がいま指摘したようなことが日ごろなされていないと、この基準監督行政というものは、あってなきがごとし。大工場になればなるほど、基準局なんかは、そういうことで全く軽視をするという風潮が生まれてきておるのじゃないか、そういう誤った考え方というものが、今回の場合でいえば、これは後ほどお尋ねしたいと思いますけれども、建築基準法に違反してまで、違反して、無届けで、しかも八百人、千人も上げるような、そういう違法な建築をやることになってきたのじゃないかと思うのです。そういう点については、いまの大臣の御答弁では、何か技術的な問題に問題をすりかえて、本来的に労働省として、主管大臣として責任を感ずるべきことについて、どうも私は無責任に近い答弁じゃないかと思うのですね。そういう点については、この種の労働災害に対する、あるいは今後の指導方針について、いま少し労働大臣の責任ある御答弁をいただきたいと思います。
○野原国務大臣 今度の事件は、まことに予想もしなかったような事件だと思います。実は、渡り廊下をつくって、初めてそこで朝礼をやったという、ちょうどグランドか何か工事中だそうでございまして、そこが使えなかったために渡り廊下を利用した初めてのことでございますが、いずれにしましても、こういうような事態を起こしましたことは非常に不幸なことでございますが、その点をあらかじめ察知して十分な行政上の監督をしなかったという点は、遺憾に思いますけれども、工場の渡り廊下を初めて使った、しかもそれがあとでわかったことでございますが、建築基準法に違反しておった、そういうようなことは、行政庁の間でも十分な連絡をとりまして、今後かかる事態がないように、事前に十分に調査をし監督をするということが必要であろうと存じます。この轍を踏まないように、この機会に厳重に、今後こういった問題の起きないように注意する、そういう点で監督行政を強化してまいりたいと考えております。
○藤田(高)委員 時間の関係で、私は強く要望することで労働省に対する質問を終わりたいと思いますけれども、先ほど基準局長のほうから一部御答弁がありましたが、今回の事故は、ただいままでにわかっておる実態から申しましても、これはもう明らかに業務上の災害であることには間違いありません。そういたしますと、当然のこととして、使用者の災害補償責任が当然起こるわけですから、これは基準局として、政府として、この基準法上にいう、少なくとも傷害者に対する具体的な措置、あるいはこの種の労働災害が起こった場合に当然使用者の責任としてとるべき具体的な処置、こういうものについては、すみやかに、しかも厳格に、この事故にあった方が、このことによって生活上の心配が起こらないように、また、治療上の不安なり心配が起こらないように、厳格な指示を直ちにやってもらいたいことを重ねて要請します。 このことについての御答弁もいただきたいと思いますし、いま一つ私のほうから申し上げておきたいと思いますことは、渡り廊下云々と申しますけれども、実は私のうちは、この工場とは直線距離で三百メートルくらいしか離れてないのです。この工場の実態については、正直に言って私はよく知っております。松下寿電子工業株式会社というふうに名前は最近変わりましたけれども、実態はりっぱな松下電器の工場なんですよ。利潤を追求する大会社のことですから、いろいろな形を変えて子会社形式をとっておりますけれども、これは労働省のほうもすでに御承知だと思いますが、この会社は年間三十数万台のカラーテレビをつくっておるまあいわば日本でも有数の工場ですから、こういう工場で、しかも県の工場誘置条例、市の工場誘置条例までも適用されている大工場でこのような事故が起こるということについては、これは私、先ほど冒頭に申し上げたけれども、労働省として、基準監督署として、当然なすべき日ごろの監督行政というものが適切になされてないために、事故がこういう形で発生していると思うのです。今度の、こういう事故が発生してたいへん遺憾でありますけれども、将来、きょう以降再びこういう事故が起こらないためにも、何としても監督行政を強化していく必要があるのではないか、このことについてのひとつ大臣の意見を最後に承りたいと思います。
○野原国務大臣 負傷者に対しましては、労災病院等で完全な治療をする、同時に労働者災害補償保険法を適用いたしまして十分な補償をいたすと同時に、休業中も休業手当等を支給するというように、万全を期して、被害にかかられた方たちの身分を考えるということにいたしております。
○藤田(高)委員 時間がありませんから、建設省関係のことについてお尋ねをしたいと思います。 先ほど大臣の御答弁で、けさの閣議でもこの話が出たようでありますが、いわゆる俗称渡り廊下といわれている事故発生のこの建築については、建築基準法上の届け出さえなされてない、いわゆる違法無届け建築だというふうに理解をしますし、私の調べた範囲でも、そのような実態のようですが、建築基準法上の違法性の問題についての有無ですが、そこらの概要について沢田調査官にお尋ねをいたしたいと思います。
○沢田説明員 御質問の点につきましてお答えいたします。 渡り廊下につきましては明らかに無届け建築でございます。したがいまして、建築基準法の六条によりまして確認を得なければならない事項を怠っていたわけでございますから、さような意味では形式的にまず違反が一つございます。これは形式的な違反でございますが、次に実態的な違反があるかないかという問題が一つございます。通常基準法の法律あるいはそれに基づきます政令で詳しく構造耐力上の条件がきめてございます。こういうものが守られておりますれば、しかも使用上の適性を守っておれば、ああいう事故は起こらないというふうに考えますので、ああいうふうな構造上も問題があるのではないか。すなわち実際の設計にも違反があるおそれがあるということで、現在県の建築課で調査中でございます。これもわかり次第また御報告したいと思います。 以上でございます。
○藤田(高)委員 先ほど私が指摘しましたように、この工場は、わが国でも有数なテレビメーカーですから、少なくとも国の法律がどうなっておるかぐらいのことは十分承知しておる会社だと思う。ところが、いま調査官の説明にありましたように、届け出の義務さえやっていない。しかも二百数十名にわたる労働者にこのような重大な事故を発生さしている。これは社会的にも非常に責任が大きいと思うのです。そもそも建築基準法、建築関係の法令を無視して、このような大会社が建築をする、その一番大きな原因はどこにあるとあなたはお考えか。そのことについてお尋ねをすると同時に、届け出の責任者というのはだれに当たるのか。また、この種の法律違反をした場合の罰則はどうなっているのか、そのことについてお尋ねしたいと思うのです。
○沢田説明員 大会社であろうと小会社であろうと、基準法を守りまして届け出をしないということは、まことに遺憾なことでございます。これをしない人の心理がどうかということでございますが、それはいろいろあろうと思います。まず、そういうことよりも、届け出をしないということは、これはもう重大な手続違反と申しますか、そういうことでございまして、許さるべきことではないと思います。 第二に、罰則のお話でございますが、まず届け出をしなかった建築主、工事施工者、これは無確認で工事をいたしました、あるいは届け出をしなかったということで、第六条違反ということで基準法上の罰則が適用されます。さらに、これを設計をいたしました設計が違法であった、先ほど私が申しましたように、実体の建物も建築基準法違反だったということでありますれば、その設計者に対しまして建築基準法の懲戒処分がとられます。 第三に、工事施工者の問題でございますが、工事施工者が、その設計がもしよかったといたしましても、違った工事をしたことによってこの事故が起こったということでございますれば、これは建築基準法上の罰則も適用されますし、あるいは建設業法の懲戒処分も行なう、かようなことで処分をいたす所存でございます。 今回の事件に関しましては、私どもは非常に遺憾に思っておりますので、厳正な態度で臨みたいという省の方針でおります。また、現地にもさような指示を口頭でいたしております。
○藤田(高)委員 この工事をやった施工者は坂出土建工業会社ということになっていますが、少なくともこれだけ大きな、八百人、千人の人を入れるほどの渡り廊下、あるいはそういう建築物ということになれば、施工者のほうも——これは届け出の責任は事業主にあるにしても、施工者自身が、そういう法律上の義務を完全に果たしておるかどうかということを確認した上で工事をするのが常識じゃないかと思うのですよ。そういうことの確認さえしないで工事をやっておるとすれば、大臣登録なんというものを取り消したらどうか、そういう無責任な、法律上の当然踏むべき具体的な行政上の措置といいますか、手続もやっておるかどうかを確認しないで、そうして、いわばこういう事故を起こすような工事をやるような、あえて言えば、悪徳というか、悪質な、社会的には無責任な事業家に対しては、建設省としては、これは大臣登録をとっておるようですけれども、大臣登録なんというものは取り消したらどうですか。
○沢田説明員 おっしゃるように、無確認工事をやったわけでございますから、まずそういうことで罰則がかかりますし、それから建設業法上も不誠実な行為をしたということに対する処分があります。したがいまして、その処分——いろいろ段階がございますけれども、これは私どもの省の所管ではありますけれども、他局の所管でございまして、どこまで厳重な処分をとるかというのは、調査の結果に待ちたいと思います。
○藤田(高)委員 時間の関係がありますから、最後にいたしますが、私は建築基準法上にいう罰則というものは非常に軽いのじゃないかと思うのです。いわゆる六条違反であっても五万円ぐらいの罰金じゃないですか。こういうことであれば、法律違反をしても、施工者なりあるいは事業主は痛くもかゆくもないと思うのですよ。こういうものでどだい取り締まりをやろうとしても無理ではないか。したがって、この罰則規定の問題についても再検討をする必要があると思うのですけれども、その点についての見解、それと、建設業法上の罰則なりあるいは懲戒処分の規定があるのだけれども、その内容についてはどういうものかということをお尋ねしたいのと、それから最後に、その内容はどういうものであろうと、これだけ多くの労働者に危害を与えたような事故を発生した業者に対しては、監督官庁として厳重な処置を将来の戒めのためにもやるべきではないか。また、その工事をやった施工者だけではなくて、社会的にも大きな反省を求めるために、厳重な措置をとるべきではないかと私は思うのですが、その点についての見解をお尋ねしたいと思います。
○沢田説明員 お答えいたします。 まず第一に、基準法上の罰則が軽いじゃないかというお話でございますが、これにつきましては、いまの六条違反では確かに五万円でございますけれども、これが違反建築であるということで今度それの是正の命令をすぐ出しますが、これに違反いたしますと十万円、あるいは今度の基準法の改正によりまして懲役云々、こういうふうなかっこうの改正も考えております。すなわち、重くするという方向で改正をいま提出しております。業法上の罰則は、戒告あるいは業務停止あるいは免許取り消し、かようなものがございます。 それから、ただいまの最後の点につきましては、業者に対して厳重な処分をしたらということでございますが、私先ほど述べましたように、建築主につきましても、設計者につきましても、あるいは施工業者につきましても、この件に関しましては厳重な態度で臨みたい、かような省の方針でございます。
○藤田(高)委員 現地のほうから、その後調査したことが基準局長のほうへ届いておるようですが、それをぜひ聞かしてもらいたいと思います。
○和田政府委員 この松下寿電子工業は、四十四年十一月に三つの会社が合併をしてできた工場でございます。その後における監督歴はございませんが、合併前の西条事業場に対しまして監督をいたしております。四十二年一月に監督をいたしました際に、女子年少者の労働時間違反がございましたので、検察庁に送検をいたしまして、四十三年十月に法人及び関係者に対して罰金刑が課されております。これを契機にいたしまして、労働時間関係につきましては、現在監督署で確認しているところでは、適法に行なわれているようでございます。 以上でございます。 ————◇—————
○倉成委員長 この際おはかりいたします。 日本道路公団における労働問題について、本日、日本道路公団理事宮内潤一君に参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
○倉成委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。箕輪登君。
○箕輪委員 私は沖繩の雇用問題について若干の質問をいたしたいと思います。 沖繩における雇用、そうして失業の現状についてお尋ねをいたしたいと思います。特に全雇用者、またその中に占めるところの軍雇用者の数、その比率、そういった問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
○住政府委員 沖繩におきます労働力人口は四十三万人、これは四十三年の年平均の数字でございます。そのうち雇用者が二十二万二千人、こういうようになっております。その雇用者の内訳といたしまして、民間関係の雇用者が十四万八千人、これは大体六六・六%になっております。軍関係の雇用者は約四万人、一八・五%、公務が三万三千人、約一四・九%、こういうような数字になっております。
○箕輪委員 それでは、その全雇用者の中に占める軍雇用者は大体一八・五%、四万人、こういう御説明でございますが、軍関係雇用者の現状はどうなっておるか。特に本土における間接雇用に該当する者はどのくらいおるか、お尋ねしたいと思います。
○住政府委員 これも四十一年の十一月現在の数字によりますと、先ほど申しましたように、軍関係雇用者が約四万人強、そのうち本土の間接雇用に該当する者約三万人、その他米国の請負業者等に雇用される者が約一万三千人、こういうことになっております。
○箕輪委員 そのほかに、いわゆるホームヘルパーみたいな者がおるわけでしょうが、それはどのくらいおりますか。
○住政府委員 米軍関係者に雇われております数は、現在のところはっきりいたしておりません。
○箕輪委員 われわれは、大体一万人くらいいるんじゃないかというふうに聞いておったのですが、大体その二〇%の人が米軍関係につとめている、こういうふうに解釈いたしておりますが、沖繩の軍関係離職者の問題が最近たいへん大きな問題になっておりますが、その軍関係離職者の現在までの発生状況、並びに沖繩の七二年復帰を控えて、今後またそうした離職者が、あるいは解雇者が非常にふえていくことが予想されますが、今後の解雇者あるいは離職者の見通しがどういう推移をたどっていくか、ひとつ御説明をしていただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 昨年の十二月四日に米軍から、大体十二月五日四百六名、ことしの一月五日千七百八十名、四月以降二百三十名、合計二千四百十六名の人員整理の計画があるという発表がございました。このうち十二月五日の分といたしまして四百六名が実際は四百二十六名ございました。一月五日の分といたしまして千七百八十名のものが実際は七百五十七名ということでございました。ただ、この七百五十七名は、二月六日に高等弁務官が四百名を撤回するという話がございましたので、たぶんこれは三百五十七名と解していいかと思います。それから二月十三日に三百二十三名の解雇通告がございました。それから三月初めに、三月通告予定といたしまして百五十五名の予定が発表されておりましたが、これは現在通告がされておりません。去年の七月の分が百五十名すでに解雇がございましたので、合計いたしますと、七月の分を合わせまして、また三月の予定も含めまして千四百十一名の解雇または解雇予定ということになっております。 ただ、いま申し上げましたように、いままで解雇された分、それは二月までの分でございますが、合わせまして千二百五十六名、それが実際解雇された員数でございます。 なお、今後の見通しにつきましては、現在全然わかっておりません。
○箕輪委員 大体わかりませんか。全然わからない——七二年までにどのくらい解雇されるか全然想像がつきませんか。
○加藤説明員 お答えいたします。 現在時点におきまして、その見通しは立っておりませんが、ただアメリカ側の軍予算の削減等の状況から考えますと、やはり来年度も解雇があるだろうという予想をしております。そのために、ことしの予算におきましても、その分としてある程度の予算を計上さしていただいているわけでございます。
○箕輪委員 私は、七二年の沖繩復帰を控えて、やはりあらゆる分野において本土と沖繩が一体化政策をとらなければならないと考えています。そこで、この雇用の問題も、やはりその一体化政策の中で考えていかなければならない問題だと考えるわけです。 これは加藤君に聞きたいのですが、今度の米軍の大量解雇に対しまして、わが国の、いわゆる本土政府がどういう措置をとってきたか、ひとつ説明をしていただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 昨年の十二月に解雇通告がございました直後、本土政府といたしまして、関係各省の会議を持ちまして、そこで討議した結果、十二月二十三日の閣議了解といたしまして、従来本土の駐留軍離職者の関係と比較しまして、沖繩の関係者がやや不利でございました点を直しまして、特別給付金の支給をするということ、それから、離職者の再就職を容易にするための職業訓練をしていく、それから、本土に就職を希望する者につきましては、本土に就職できるようにあっせんをする、また、基地内におきましても職業訓練を実施いたしまして、その離職した場合に対応できるようにしたい。そういうような意味合いの閣議了解をいたしたわけでございます。この閣議了解に基づきまして、本年度の予算におきましてすでに計上されておりました五千万円の対策費と、さらに特別給付金といたしまして約七千万円、これは予算の流用ということになりますが、それを加えました一億二千万円を、本年度における離職者対策費ということにいたして支出を予定しております。 なお、来年度におきましても、この離職者対策をさらに充実する必要がございますので、離職者対策費、また、その他職業訓練費等を加えまして、約三億八千六百万円の予算を計上して御承認をお願いしているわけでございます。
○箕輪委員 今度の大量解雇に対しまして、私の聞いておりますところによると、わが政府はアメリカ側に対して何がしかの申し入れをしたと聞いておりますが、それに対してアメリカ側から回答があったかなかったか、あったとすればどういう回答があったのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 ことしの一月九日、ちょうど第一波のストの最中でございましたが、本土政府といたしましては、アメリカ側に、本土の駐留軍の離職者の場合と比較しまして、沖繩のほうが不利な条件にあります退職金の増額の問題、それから、離職する前の予告期間の延長の問題、また基地内訓練、基地の中における配置転換に対する配慮というようなことをアメリカ側に申し入れをしたわけでございますが、その中で、退職金の問題につきましては、本年度予算においては考慮はできない、予算上無理であるということが、ランパート高等弁務官のアメリカから帰ったときの記者会見の発表にありました。予告期間の問題につきましては、従来は大体四十五日ということでございましたが、実際問題としてそれよりもやや早目に計画が示されるようなふうに感じております。本土政府に対しては、直接アメリカ側から返事があったというふうには聞いておりません。
○箕輪委員 それと、もう一つ、沖繩と本土の違いは、本土では間接雇用の制度をとっておりますが、沖繩では現在直接雇用の制度がとられております。七二年に沖繩が復帰するということがきまった以上、やはり復帰対策の一環として、この雇用制度の改善に、本土と一体化につとめるべきだと思いますが、それについてどういう考え方を持っているか、お尋ねしたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 御指摘のように、沖繩の軍雇用者の雇用関係は直接雇用でございまして、本土とその点非常な差がございます。沖繩が七二年に復帰するということがきまりましたので、もちろん、それの施政権返還のための準備といたしまして、沖繩の軍関係労務者の雇用関係も本土と同じような形に切りかえていくということは当然必要でございます。そのための準備といたしまして、われわれといたしまして、七二年に返還する際に、スムーズに移行できるように準備を進めてまいりたいというふうに考えております。 ただ、返還前におきまして、本土の間接雇用に準じた制度を沖繩に導入できるかどうか、これにつきましては、法律上にもまた実体的にもなお検討を要する事項があるように思われますので、そういう点も含めましてできる限り労務者の地位の改善につとめるという方向で措置していきたいというふうに考えております。
○箕輪委員 本土のように間接雇用制度の適用を考えようとすれば、法律的にも、また現実的にも、非常に問題があるからという御答弁でございますが、私も、この問題はたいへんむずかしい問題だ、こういうふうに解釈をいたしておる一人でございます。政権担当者も違うし、また琉球政府と日本政府の立場も違うし、そういうことを考えますと、アメリカがすんなりと琉球政府に間接雇用の責任を持たせるかどうかということについては、私もアメリカの気持がわかるような気がしまして、これは相当むずかしいと思うのです。 しかし、私どもは、七二年の復帰がきまる以前から、全軍労の方々は、もうすでに復帰を要求し、さらにまた、アメリカの撤退を要求しておったのです。撤退を要求している以上は、やはりアメリカが帰ったあとはどこへ就職するんだということを考えていなければならないと思うのです。そこで、アメリカが帰ったあとはおれたちはどこへ就職するんだ、再就職の問題が当然考えられていなければならないと思うのですが、その再就職について過去にどのくらいの実績があるか、これをお知らせいただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 沖繩におきましては、御承知のように、本土と比較しまして非常に産業のほうもおくれております。そういう関係で、雇用の機会というのはなかなかっかめない事情にあろうかと思います。そのために、本土政府といたしましても、沖繩の職業紹介制度がもっと充実されることが望しいというふうに考えまして、そのための援助もいたしております。また、いまの状態では、沖繩だけで解雇者を再就職させるのはなかなかむずかしいというふうに思われますので、公共事業その他をもっと促進いたしまして、それによる吸収ということも考慮しているわけでございまして、来年度の予算におきましても、相当大がかりな公共事業をやるような計画になっております。しかし、それでもまだ完全に解雇者の就職ができないということも予想されますので、本土において雇用できる機会が与えられるように、本土の職業紹介制度との関連を十分つけながら、この問題について対処してまいりたいというふうに思うわけでございます。
○箕輪委員 昭和四十四年の九月に、琉球政府は軍関係離職者等臨時措置法というものをつくりました。これで再就職等が促進されるかに私は思ったのでありますが、その内容と施行状況についてお尋ねしたいと思います。そして、ただいま申し上げましたように、答弁がよくわからないのでありますが、再就職した実績があれば、再就職の実績がどの程度あるかということをお知らせいただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 昨年八月の十五日に立法院で可決されました臨時措置法は、九月十三日に公布されております。ただ、施行規則の制定がおくれまして、ことしの一月十日づけで施行規則が公布されておりますので、一月十日に初めてこの臨時措置法が実際上動き出したということが言えるかと思います。その内容は、本土のものとほとんど同じであるというふうに言っていいわけでございます。 なお、再就職した数が現在どの程度あるかという点につきまして、私のほうでわかっている数字は非常に少ないのでございますが、報告を受けておりますのは、十三名程度ということになっております。ただ、これは現時点におきましては、まだ失業保険がもらえるとか、あるいは本土へ来るか来ないか、沖繩にとどまるか、そういうような点についての判断が十分つかない状態であろうかというふうに思われますので、今後、先ほど申し上げましたような職業紹介制度の拡充強化、また本土の職業紹介制度との結びつきを十分いたしていきますれば、その点は飛躍的に増大してまいるのではないかというふうに思っております。 なお、本土企業も進出を相当計画してきているように思われますので、本土企業の沖繩進出に伴いまして、再就職の機会も相当大きくなるであろうというふうに考えております。
○箕輪委員 今後そういうふうに本土の企業が沖繩に出ていったり、また、沖繩自体が、新しい事業を興こしていこう、公共事業等を興こしていこう、そういう時点になれば、雇用の窓口も広くなっていくことはだれでもわかるのですが、当面の問題としては間に合わないと私は考えるわけです。 そこでお尋ねしたいのは、いま解雇された人あるいは自分から離職をした人、そういう人々が沖繩で再就職の場があるのかないのか。たとえば軍関係では給料が民間よりよろしい。ですから、同じような雇用条件でもって民間に入ろうとしてもなかなか入れない、そういう状況があるように思うのです。しかし、それだけで再就職しないということは、これはやはりよくないと思います。ですから、私の聞いた範囲で、これはうわさかもしれませんけれども、いま全軍労は解雇反対を唱えておりますから、その組合員の解雇者に対して、しばらくの間再就職するなというようなことを言っているようなことも、ちらちら耳にするわけです。これについては、労働大臣、あなたから御答弁をいただこうとは思いません。しゃべりづらいでしょうから、しゃべらなくてもけっこうなんですけれども、私が調べた範囲におきますと、今度の四十五年度予算の中でも、労働省プロパーの予算も含めて、合計しますと大体八億一千三百五十五万円離職者対策関係の予算を組んでおります。こんなに組んで、いま聞きますと、受け皿はりっぱにできているのだけれども、その受け皿にのらないようなことを指導するというようなことがもしあったとすれば、たいへんなことだと思うのです。どうか、そういう意味で、私は、時間がございませんから、ちょうど三十分になりますのでやめますけれども、ひとつ沖繩の産業開発について——これは、労働省はもちろんでありますが、総理府特連局が中心となって各省がこれをやらなければだめです。各省が力を合わせてやらなければ実りが少ないのでありますから、どうか各省に緊密は連絡をとりながら、早く雇用の促進をするようにやっていただきたいと思います。 最後に、一言だけ、各省との連絡は緊密にとれているかどうか、これについて御答弁をいただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 昨年の十一月に、復帰のめどがつきました直後に、各省との関係を密にいたしまして、復帰対策、また沖繩の復興関係、開発関係を進めていかなければならないという観点に立ちまして、関係閣僚会議及び幹事会を設け、また昨年の十二月十五日の次官会議の了解で、各省担当官会議というものを設け、その中に七つの部会を設けて、それぞれ問題につきましての各省との討議を進めております。現時点におきましては、まだその討議結果が出てまいっている状態ではございませんが、三月、四月、五月と、この問題につきましてのさらに突っ込んだ討議を重ねてまいりますれば、沖繩対策が、総合的な、計画的なものとして成り立っていくだろうというふうに予想しております。 先生御指摘の点につきましては、十分意を注ぎまして、総合的な計画がスムーズに実現できるように努力いたしたいと考えております。
○箕輪委員 最後に、ただいま私が質問したいろいろな諸問題について、労働大臣としてどういう決意で臨まれるか、大臣の御決意のほどをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○野原国務大臣 沖繩の問題につきましての箕輪さんの御意見、まことにごもっともでございます。私どもは、沖繩の将来につきましては、あの沖繩県民百万の人たちが、いかにしてほんとうに豊かな生活を送り得るかという問題につきましては、今後の沖繩の開発という問題、これは沖繩本島並びに八重山、西表その他幾多の島嶼を含めまして大きな開発が必要だろうと思います。そういった問題と同時に、新しい工業地帯が沖繩で当然考えられることでございますが、そうした事態ができまして、日本の経済の成長発展におくれないように、沖繩もまた大きく発展できるように考えておるわけでございますが、さしあたり、この軍に従事しておりました方々が離職されたという事態につきましては、これは大いに職業訓練等行ないまして、そうした方々が再就職の機会を得るということも必要でございます。それにつきましては、沖繩だけではなかなか問題が困難であるということを予想しましたので、これは当然国内にお迎えしまして、その人たちには十分に働いていただくと同時に、いろいろな技術を身につけられて、沖繩が大きく発展できました暁には、沖繩に戻って、沖繩開発の中心となって働いていただくということも必要だろうと存じます。そういう面で政府は、あらゆる方面が一致協力して、沖繩を七二年には本土にお迎えできる、その時点においては、いろいろな面で緊密に沖繩との間の問題を円滑に解決してまいりたい、そういう線でただいま閣僚協議会等も設けましてその問題を相談しておるわけでございます。いろいろな重大な問題がございますけれども、前向きにあくまでも積極的に沖繩問題と取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
○箕輪委員 以上をもって終わります。
○倉成委員長 向山一人君。
○向山委員 時間が限られておりますので、労働大臣並びに幹部の皆さんにお伺いをいたしたいと思います。 先ほど申し上げましたように時間がございませんので、問題によってはごく簡単にお答えをいただいて次に進ませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 まず第一に、たいへん大きなことをお聞きして恐縮でございますが、佐藤総理の施設方針演説によりますと、一九七〇年代は人間尊重の上に経済の繁栄を来たして、いまだかつてないような日本を建設していこうというふうな形で、私どももかねがね同じ考えを持っているわけでございます。この考え方を遂行するためには、労働省に課せられた責務は非常に大きいように私は思います。わが国の国民総生産額が二千億ドルをこえるようになり、さらに十年後には三倍に達するであろうという状況の中で、私は、総理の施政方針演説は、労働省よ、しっかりやれ、というような感じを持つわけでございますが、これについて労働大臣はどうお考えか、お伺いしたいと思います。
○野原国務大臣 日本経済の高度成長化によりまして、労働省が果たすべき役割りは非常に大きいと思います。今後の問題としまして、労働力がだんだんと不足してまいります。これに対する対策、むしろこの問題が最も大きな問題として日本経済の成長発展に決定的な影響があると私は考えております。同時にまた、あくまでも経済の成長の中で、働く人たちの生活の安定と福祉の増進、そういった問題で、やはり豊かな国民生活をつくっていく。働く人たちも、恵まれた条件のもとに、だんだんと意欲を持って日本経済の発展に貢献できるような体制が必要であろうと存じます。 そういった面で、私どもは、今後の労働問題を、労働者もあるいは資本家側も、お互いに理解と協力によって今後の対策を円満に話し合いで進めていくということができますならば好ましいことと考えております。そういった面で、今後の対策は、むしろ日本の経済の高度成長の中にあって、いかにせば働く人たちの立場というものが十分に尊重されるか。同時にまた、国民生活も、生産の上昇によってある程度物価も安定し、あるいはある程度引き下げができるということになりますれば最も好ましいわけでありまするが、そういったことを考えながら、今後の労働問題に対処してまいりたいと考えております。
○向山委員 そこで、四十五年度の労働省予算について詳細に見ますと、役所の中で、末端の行政の面で見ますと、従来から労働省関係が一番金がない。しかも、行政面から見ると、一番人員が少ない。こういうことは、私ども末端にタッチしておってもよく感じたわけでございますが、四十五年度の予算におきましても、その予算の額から見ても、あるいは全体の予算が一七・九%というふうな、四十四年度に比べた伸び率から見ても、労働大臣が非常に御苦労されたことを私はよく承知をいたしておりまするけれども、一九七〇年代の大きな問題と取っ組んでいかなければならない、このむずかしい課題と取り組む姿勢として、労働省予算の伸びは少ないように思いますが、ごく簡単にひとつ大臣の率直なお考えをお聞かせ願いたいと思う。
○野原国務大臣 御指摘のとおり、労働省に入ってまいりましてつくづく感じましたことは、非常に予算が少ないということでございます。しかし、少ないからといってできないかというと、労働省はいろいろな面ではかなり前向きの仕事も計画もしておりまするし、予算の面も配慮しておるように見受けます。しかし、労働省予算の中で最も大きな問題は、失対事業という特殊な事業の費用が、だんだん、経済の成長あるいは失対の労務者の老齢化といったようなことから、特別失対事業等を取りやめるに至った事情等もございまして、その面の予算が多少減っておる。しかし、いろいろな面ではかなり前向きに考えられておると思うのでありますが、しかしこれは、全体から見ますると、やはり労働行政が非常に重大であるという点から見まして、もっと強化していいのじゃないか。御指摘のように、労働省の予算もそうだし、あるいは人間等におきましても、必ずしも十分になされていないといううらみがあるように考えております。したがって、今後の労働行政につきましては、国の経済の発展を決定づけるものはむしろ労働行政であるという観点からいたしまして、職業安定の仕事あるいは基準局の仕事、訓練の仕事と、いろいろな面にわたり、あるいはまた婦人労働という問題あるいは青少年の問題等を含めまして、積極的にひとつ労働問題と取り組んでいくためには、相当労働関係の予算というものはふやさなければいかぬということにも考えておりますので、これは部内において十分に調査をしまして、今後の問題としてやはり前向きに積極的に取り組んでいこうという決意のもとにやっておるわけでございます。
○向山委員 ただいまの労働大臣のお答えを聞きましてたいへん気強く思っております。大臣も、当初の所見の発表の中で、一九七〇年代における課題は、経済の成長と勤労者の福祉の調和をとらなければならぬということが非常に大事だというふうなことを申されております。全く同感でございます。 そこで、一九七〇年代は、高度の経済発展を期す中で福祉面の充実をはかっていかなければならない状態に立たされているわけでございますが、私はまず第一に、働く勤労者の皆さん方の福祉を重大に考えないと、もちろん、弱い方々に対して十分な福祉をしなければならぬのはあたりまえでございますけれども、何としても、この大きな国の経済をささえている勤労者の皆さん方に対しまして、ほんとうに意欲を持って働けるような労働行政を打ち立てていかなければならない、こういうふうに考えますので、そういう面から、これからひとつ労働省管轄の事項について御質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 最初に雇用問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、七〇年代を迎えて、大臣も所見発表の中で、労働力不足がますます本格化する時代を迎えている、こうおっしゃられておりますし、また、そのとおりだと思いますが、今日情報化時代を迎えまして、おおよそ五年後、十年後の状況が、いろいろな経済の発展の中で予想ができるような電子計算機等も発達をしてまいりまして、この将来の予測がだんだんある程度つくような時代に現状は入ってきておりますけれども、この労働力不足の問題についての今後の長期的に見た需給関係をどんなふうにごらんになっておるか、大臣あるいは関係の方でもけっこうでございますから、お答えを願いたいと思うのです。
○住政府委員 労働力の需給関係はどのようになるかということでございますが、いろいろ推計が出ているわけでございますけれども、たとえば、現在経済社会発展計画の改定作業が行なわれておりまして、その中での労働力研究委員会等の試算によりますと、まず供給の問題としまして、今後労働力人口の伸びは従来よりは鈍化する。たとえば、昭和四十年から四十三年の平均伸び率は一・八%でございますけれども、今後五十年ごろまでの伸び率というものは一・一%ぐらいに減る、こういうようなことで、非常に労働力人口の伸びが減る。それからまた、従来労働力供給の大宗を占めておりました学校卒業者で就職する者の数を見てみますと、これは昭和四十一年が約百五十万でございまして戦後最高でございましたが、これまた、出生率の影響等を受けまして、たとえばことしの三月学校を卒業して就職する者の数が百二十三万くらいに減る。それが昭和五十年くらいになりますと百十四万くらいに減る、こういうように労働力供給の絶対数が非常に減少してまいるということが一つの大きな傾向でございます。 それから、その内容について見ますと、労働力人口の伸びが鈍化するばかりでなく、非常に高齢化していく、こういう特徴がございます。たとえば昭和四十三年から五十年までに、四十歳以上の労働力人口は、四十三年に比べまして七百万以上もふえますけれども、たとえば十九歳から十五歳までの労働力人口というものが二百万足らず従来よりは減る、こういうことで、非常に労働力人口の高齢化が進んでいくというような特色がございます。 さらに、学卒の問題につきましても、進学率が高まりまして、高卒の割合あるいは大学卒の割合がふえまして、中卒の割合が非常に減少する、こういうような特徴があげられると思います。一方、需要面におきましては、今後経済の成長が依然として一〇%台ぐらい続きますならば、成長に伴う雇用需要というものは従来どおり出てくるわけでございます。それと同時に、先ほど申し上げました高齢化による引退者、死亡者等も従来よりもふえてまいります。そういうような補充もしなければなりませんので、そういう二つの要因が重なり合いまして、需要が非常に強くなっていく、供給が減ってくるということで、労働力不足の状況が非常に深刻化してまいるのではないか、こういうふうに考えます。
○向山委員 ただいまお答えがありましたような状況でございますので、そこで労働省といたしましては、今後この労働力が高齢化し、あるいはまた、若年の、いわば企業が一番ほしいような労働力が不足してくるわけですが、こういうことに対してどういうふうに対処していく御計画を持ってしるのか、その点についてちょっと簡単にお願いいたします。
○住政府委員 供給が絶対的に減少してまいります。したがいまして、できるだけ労働力の質を高める、こういうことがまず必要かと思います。そういう意味で職業訓練——訓練は公的施設による訓練あるいは事業内における訓練、そういうものを一そう助長していかなければならぬのじゃないかと思います。それから、学卒者が非常に少なくなっていくのでございますが、たとえば中高年齢の方々等につきましては、なお就職が困難であるというようなこともございまして、そういう方々の能力を生かして再就職を促進していく、あるいはまた、身体障害者とか帰人労働、まだ働いておられない方、働きたいという希望がありながら働いておられない方々もございます。そういう方々に、あるいは訓練を施すなり、あるいは適切な求人を紹介する、こういうような体制の強化というようなことも考えていかなければならぬというように思っております。と同時に、非常に大きく産業政策の問題になると思いますが、まだ日本の場合、西欧諸国と比べまして、たとえば一次産業のウエートが高いとか、あるいは自営業者だとか家族従業者の割合が高いとか、そういうような意味で就業構造の改善をはかっていく、こういう余地も非常に残されております。そういう意味で、産業政策を所管する官庁との連携をとりながら、産業構造なり就業構造の改善をはかっていく必要があろうかと思います。と同時に、わが国の企業は、やはり人手過剰の時代における雇用管理と申しますか、人の使い方からまだ脱却していないというような点もございます。そういう点に対するいろいろな援助なり指導というものも必要になってくるかと思います。その他いろいろ中小企業等の労働力不足に対しましては、中小企業の福祉施設等を中心とする環境改善に対する援助というような面でも、国の施策として大いにやっていかなければならない問題があるかと思います。そういうようなことを含めまして、激化する労働力不足に対しまして、総合的な対策を講じていかなければならない、こういうように考えておる次第でございます。
○向山委員 労働力の質の向上をはかることが非常に大事だと考えております。私は、過去におきまして、労働省が職業訓練、産業内の訓練を非常に熱心に行なってきて、特に昨年度におきましては訓練法の改正も一部行なったりしまして、職業訓練校等がだんだん充実されてきております。このことは、非常に時宜に適した措置で、けっこうだと思いますが、先ほどのお答えにもありましたように、だんだん中学の卒業生が少なくなりまして、ほとんど高校に進学することになっております。どうも一般が、学校教育法に基づく学校教育のほうへ走りがちでございますけれども、私は、むしろ技能者の養成といいますか、技能労働者を重要視して、労働省の関係の職業訓練校等をより充実していくことが非常に大事ではないかというように考えております。最近では、産業界におきましては、たとえば仕上げ工のような業種になりますと、もう高校を卒業してから入ってきたのでは、どうしても技術の習得が思うようにいかない。中学を出て訓練校で勉強しながら技術を身につけるということが非常に大事になってきております。従来、オートメ化の時代になれば技能者はあまり必要がない、しろうとでもできるからというような考えだったけれども、現実は、現在のような高度の産業社会においては、全くそうした考えとは逆にますます技能労働者の必要を来たしております。そこで労働省は、こうした訓練校の充実、職業訓練の関係になお一そう力を入れていく必要があると思いますが、こうした関係についてのお考えと、それから、一部の県ではすでにもう職業訓練校で二年くらいやれば、あと地域の商業高校に二年くらい通えば卒業を認めるというふうな方法をとっているところもありますが、いずれにいたしましても、こうした職業訓練の関係にもっと力を入れたり、こうした施設の充実をはかっていただきたいと思いますけれども、こうした点についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
○石黒政府委員 職業訓練の振興の必要につきましてたいへん力強い御意見を承りまして、ありがたく思っております。全く仰せのとおりでございまして、今後の技術革新に対応して、労働者がその職業生活を充実して営むためにも、職業訓練の充実ということが非常に必要であると感じております。お聞き及びかと思いますが、とりあえず職業訓練生の倍増という目標を立てまして努力いたしております。しかしながら、ヨーロッパの職業訓練の発達した国に比べますと、日本の職業訓練受講生も実は非常に少のうございますので、倍増というのは実はとりあえずの目標でございまして、実際は現状の五、六倍にふやさなければならないと考えております。そのためあらゆる施策を強力に講じたいと努力をいたしております。 それから、高等学校との連係のお話がございましたが、現状におきましては、職業訓練所に、訓練校に通いながら、工業高校その他の通信あるいは定時制の教育を受けておる者が多々ございます。それに対しましては、いわゆる技能教育の連係措置ということで、二重負担にならないような連係措置を講じておりまして、かなりの成績をあげておりますが、まだまだ不十分でございます。ただいま学校制度全般の検討が文部省で進んでおりますので、働きながら学ぶ人たちが、よりよくそういった便宜を受けられるように、文部省にも注文をつけるべきところはっけまして、働く青少年の福祉、訓練教育の向上をはかりたいと考えております。
○向山委員 そこで、本年度の労働省の予算にもございますように、幸いに本年度は日本において国際技能競技大会が開会されるわけでございまして、私どもも技能向上に対して一般にPRをする一番いいときに当たっているように思います。もちろん、宣伝だけでいいわけではございませんが、この職業訓練校がもっと重要視される一つの要因は、何としても職業訓練校を出た方々に魅力を持たせなければいけない。これは本人自身のほうから見れば、誇りを持つというか、プライドを持たなければならぬが、ほかのほうから見て魅力を持たせなければなりません。そこで、技能検定協会とかいろいろな方法で、技能士制度が労働省にはありまして、このほうも相当に力を入れて進んでいるわけでございますが、訓練校を出た生徒に対しましては技能士の制度もございますから、何かもっと社会的にも待遇の面で恵まれるような方向へ力強く進めていったらどういうものだろう。また、そうすることが本人のためにも、また産業界のためにも非常にいいように考えますけれども、そんな点につきましてひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○石黒政府委員 たいへんごもっともな御指摘でございまして、私どももその方向で日夜いろいろ苦心をいたしておりますが、昨年の職業訓練法の改正におきまして、職業訓練課程終了者に技能士補という名称を与えましたのもその一つのあらわれではございます。しかし、その名称を与えただけですべてが解決するわけではございません。あるいは、ほかの安全衛生関係であるとか、あるいは建築、自動車整備、もろもろの他の法令に基づく資格というものを訓練校を卒業する者が自動的にもらえる、あるいはそういう資格を得るのに特典が与えられるというようなことも、現在若干の点で認められておりますが、これを拡充いたしたいと存じます。 それから、何よりも第一にはやはり技能尊重の機運を醸成する。腕に職を持って額に汗して働く人が一番えらいんだという認識を徹底させたいと思いまして、これもいろいろPRにつとめておるのでございますが、なかなか一般的に御認識をいただくところまでにはいきませんが、御指摘のありました技能オリンピックなんかも非常にいい機会でございます。これを機会に一そう努力いたしたいと考えております。
○向山委員 労働力の問題でございますが、今日政治の大きな一つの課題として過密過疎の問題がございます。 そこで、この過疎地域におけるところの産業の発展が非常に重要になってきております。過疎対策の一つとして、恵まれない過疎地域に工場の建設等が政府の方針の一つにもなってきておりますが、こうした過疎地域に工場をつくる場合に、この地域の労働力の問題とか、あるいは技能者の問題、こうした問題があって、潜在労働力等は相当に実はあっても、実際にはこれらの方々に技術がない。技能がない。そうかといって、さしあたり手近で技能の習得をするような施設もない、こういうような問題がいろいろございますが、こうした過疎の地域におけるところの労働力の問題あるいは労働者の技能の問題、こんな問題について何か特別お考えになられているかどうか。そんな点についてひとつ御所見を承りたい。
○住政府委員 過疎地域に対する対策の問題でございますが、これは、先生御承知のように、昨年の五月に新しい全国総合開発計画がきめられております。それから、いろいろ地域開発法がございまして、計画的に過疎地域の開発に取り組んでいくということがございまして、そういう計画を立てる際に、過疎地域におけるところの労働力の問題とか、あるいはそういった労働力を進出企業に対してどのように考えていくか、たとえば、いま御指摘のように、訓練等の問題もございます。それから、地域を魅力あるものにするためには、どのような考え方でいくべきか、そういうような観点のもとに、地域計画等を立てる場合におきましては、私ども労働大臣、協議を受けておるわけでございまして、たとえば訓練施設の問題だとか、移転就職者のための住宅の問題だとか、それから福祉施設をどのように計画的に配置していくか、計画の中にそういうものを織り込んでいくということになっておりまして、そういう意味で、労働省としても、労働力の観点から地域開発に参加いたしておるところでございます。
○向山委員 先ほどの答弁で、労働力の増加は現状非常に鈍化しているし、また、これからも年々一・一%くらいになるであろうというふうなお話がございました。しかし、経済が一〇%も成長していくとすれば、成長分についてはまた別途に考えなければならぬというふうなお答えがございましたが、わが国は、御承知のように、アジアにおける工業先進国でございまして、アジアの開発途上国等におきましては、日本からの技術援助も非常に希望しておりますし、また、工業開発等の要望も強いわけでございます。わが国のほうが若年の労働者がだんだん少なくなる現状から見て、今後アジアのこうした自由主義国家群の中の開発途上国等の若年労働者が、わが国に来て大いに働きながら、またこれらの国々へ帰って、自国の産業を発展させたい、こういうような考え方の場合に、こうした近隣のアジアの国々からの方々を、労働省として国内産業に積極的に受け入れていくことについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○野原国務大臣 アジア地域におきましてはまだ非常に工業化がおくれておりますが、もちろん日本も経済援助等によりまして協力する。そして、一日も早くアジアが新しい工業国家に成り立つように指導し、援助することは当然必要であろうと思います。ただ、アジア地域における青少年をわが国に受け入れてやるということにつきましては、ある程度の技能訓練等ならばいいと思いまするけれども、国内の労働力の不足対策として連れてくることについては、問題がございましょう。したがって、そういう問題につきましては、十分慎重に考えなければならぬ。したがって、アジア地域における工業化の促進は、日本の大きな責任でもあろうと思いますし、協力にやぶさかでないと思うのでありますが、そうした労働力をこちらに導入して日本の労働力不足を補うという政策につきましては、これは慎重に考えなければならぬ。むしろいまのところその必要はないというふうに考えております。 この機会だから申し上げますが、日本の労働力不足問題につきましてはいろいろ見方があると思います。けれども、やはり日本経済の大きな成長発展の過程におきまして考えてみますと、まだ日本にはかなり開発すべき労働力があると私は見ております。同時にまた、かなりむだ使いがある。これはまことに遺憾でありまして、そうした特に若年の労働力等につきましては、これは老齢者に置きかえていくとか、あるいはまた、家庭婦人等の婦人労働力というものが、ある程度新しい労働の力として活用できる可能性はあるわけでございますから、そういった労働力のむだ使い、あるいは未開発の労働力をいかにして日本経済の発展に役立たしめるかというような問題につきましては、今後積極的にこの問題と取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○向山委員 時間がありませんので、ごくかけ足であと一、二お伺いをしたいと思います。 最近新聞紙上等で労働災害が報道されることが非常に多いわけでございますが、人命尊重の見地から、労働災害の予防については真剣に取り組まなければならない事態でございます。こうした労働災害の発生の状況、あるいはまた、この予防の対策を強化しなければいけないと思いますが、この点についてひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○和田政府委員 御指摘のとおり、労働災害がしばしば世上で問題になっております。まことに私どもとしては遺憾に存じておりますが、最近の傾向を数字的にちょっと御紹介を申し上げますと、昭和三十六年が最高でございまして、死傷病統計によりますと、昭和三十六年は四十八万一千件余りの死傷病者がございました。これは休業八日以上のけがや病気になられた方でございますが、それが四十三年には三十八万六千、九万五千件ばかり減ってまいっております。これはもちろん基礎にあります雇用労働者数が相当の伸びを示しておりますので、しかも絶対数が減ってきているということは、全体としての率が非常に低下をしてきている、こういうことが申し上げられると思います。しかし、残念ながら、最近におきまして、四十年代になりましてその減少傾向が停滞ぎみである、こういうことが一つ問題でございます。 それと、もう一つは死亡者の問題でございまして、死亡者の方がこのところ大体六千人を前後いたしましてほとんど変わらない。横ばい状態になっている。これも絶対数が六千前後でございますから、率としてはもちろん低くなっておりますが、こういうような問題が私どもの悩みの種でございまして、何としても人間尊重という見地からいたしますと、死亡者はもとよりのこと、死傷者の減少をはかりたいということで、昭和四十三年度から第三次の労働災害防止基本計画、五カ年計画をきめまして、現在その防止計画に基づきまして年次計画をつくってやっておるところでございます。 それで、私どものやっております具体的なことを申し上げますと、先ほどから大臣がお答えを申し上げておりますように、安全衛生に関する監督指導というものを基準行政の最重点としてやっておりまして、この点は、最近は部内に徹底をしてきておると考えております。それ以外には新しい材料、新しい技術というようなものによりますものがだいぶん出てまいりますので、防止関係の研究活動の充実をやらなければならぬ。それからもう一つは、災害が出ますのはやはり企業そのものでございますので、どうしても企業における首脳陣が、災害防止ということに徹底した考えを持っていただきますことが非常に重大だと思います。過去の経験に徴しますと、社長さんが非常に熱心である会社は、災害防止が非常に行き届いて災害率も低い。しかし、必ずしもそうでないところでは災害も多いということがございますので、私どもとしては、企業におけるトップレベルの方の安全に対する意識を高める、そういう啓蒙活動を徹底的にやってまいりたいと考えております。 なお、先生も御存じだと思いますが、災害防止に関する団体が中央協会のほか五つの業種別団体がございます。これは自主的な災害防止活動を積極的に業界に浸透しようとする協会でございますが、これらと一体となりまして、明かるい職場をつくるためには、災害のないということが何よりも重大であると思いますので、そういうことで積極的な努力をさせていただきたい、かように考えております。
○向山委員 いろいろお伺いしたいわけですが、時間がございませんので、ただいまお聞きいたしましたように、経済発展の目ざましい陰には、こうした非常に多くの方々の不幸がひそんでいるわけでございまして、こうした場合の労働者の皆さん方に対して支払われるところの労災保険の給付額が、日本は国際水準から見て低いのではないか、こういうような意見もあるわけでございますが、もしそうだとすれば、一体この労災保険の給付額について、労働省はどういうふうな施策を講じていくお考えなのか、これについてひとつお答えを願いたいと思います。
○野原国務大臣 労働災害補償法の改正を考えておりまして、今度改正いたしますと、ようやくILO百二十一号条約の国際基準に達するということでございまして、これは法案を提案しておりますので、皆さま方の御審議をいただくと思いますけれども、よろしくひとつ御指導をお願いしたいと思います。
○向山委員 時間が参りましたので、以上でやめたいと思いますが、冒頭にも申し上げましたように、労働省の関係では、今後家内労働法の提案やら勤労青少年に対する基本法やら、いろいろ法律をもちましてさらに労働行政の推進を計画されているわけでございますが、現在の日本の経済をささえている一番中心の産業労働者に対しましては、ひとつ思い切った労働条件の改善をはかっていかなければ、特に中小企業、零細企業に働くこれらの中の労働者が——大きな企業の労働者がいつもいろいろな表の前面に出てまいりますけれども、非常にめぐまれない状態の中で毎日の生産に従事しているわけでございますので、これらの方々に対する福祉の面、あるいはいろいろなところをきょうはお聞きしたいと思いましたが、時間がまいりましたので申し上げません。こうした問題こそ一九七〇年代の非常に大きな課題だと思いますので、こういう点について、冒頭に申し上げましたように、労働大臣はひとつ遠慮されぬで思い切って日本の将来のために御努力を願いたい、こういうことを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
○倉成委員長 島本虎三君。
○島本委員 私は、今回特に駐留軍労働者の人員整理と雇用安定対策の確立及び離職者対策、との三つに重点を置いて以下質問を展開してみたい、こういうふうに思います。 念のために申し上げますが、余分なことばを省くために、これは全部原稿にしてありますから、答弁のほうも的確に願いたい、こういうふうに思います。 まず、去年いろいろ事件がございましたが、駐留軍の労働者に大量の人員整理が発生しておったということはもう御存じのとおりでありますが、この人員整理は、昨年の七月のニクソン大統領のいわばドル防衛政策の施行に伴う海外基地の縮小、要員一〇%の削減、レアード国防長官の軍事費三十億ドル削減、こういうようなことによるものでありまして、昨年の九月以降は、在日米軍の陸海空軍において約三千名余り、本年一月以降も同じく四千四百名余りの首切りが通告されたこと、御存じのとおりなんです。一方、先ほど箕輪委員の質問にもあったとおりに、沖繩の軍関係労務者に対しても二千数百名が基地から締め出される、解雇通告がされているという現状であります。雇用主である防衛施設庁長官に、現状をどう措置しようとしているのか、この実際についての詳細な説明をひとつ願わなければなりません。 それと同時に、特に三月四日のレアード米国防長官発表の三百七十一カ所の米軍基地の整理縮小の第二次計画、それから三月七日新聞発表の陸軍関係のほぼ全面撤収、七月から一年間に、主要八基地を残して、その他の基地は不明確、こういうようなもののようであります。そうなりますと、当然そこに働いている労働者に対して、これは十分な保障がなければなりませんし、保障がないままの首切りは、重大な政府側の怠慢につながるものであります。この発表後、これら陸軍関係の基地に働いている駐留軍労働者約一万五千人余りが解雇されるであろうという報道がありますが、これは一体どういうふうになっているのでしょうか。この内容を明らかにしてもらいたいと思います。三月五日並びに三月七日の読売新聞の第一面でこれが明らかに報道されているのであります。この事実を詳細に報告してもらいたいと思います。
○山上政府委員 三月五日、七日にそういった事実が新聞に報道されておりますが、最初にレアード国防長官の談話、これは、かような談話があったということは私どもも承知いたしておるのでございまして、内外の三百七十一カ所、これはアメリカ内外という意味だと思いますが、大部分が国内のもの、それから外国の基地についても含んでおるという発表があったのでございまするが、日本に関する関係におきましては、同じく陸軍長官が議会において、日本、タイの補給関係の施設を段階的に整理していきたいということを証言しておるということを承知いたしておりますが、これらにつきまして、日本政府と在日米軍との関係につきましては、現在のところ特段の具体的な整理その他についての通報はございません。在日米軍施設について、近く若干の整理、調整があるであろうというような情報が、米側から非公式な連絡を受けておるようでございますが、そのほかには具体的に私どもといたしましては何ら通報はございません。 なお、それらに伴ういろいろの新聞報道等は承知いたしておりますが、三月七日の読売新聞にあるような、どこそこの基地がこういうふうに整理されるとか、こういったようなことについては、ただいまのところ何らの情報が入っておらない次第でございます。 〔委員長退席、伊東委員代理着席〕 なお、最初の第一段にございました米軍の基地の整理に伴ういろいろな問題、あるいは労務者の整理に伴う対策につきましては、われわれといたしましては、昨年来かような場合の措置に備えまして、特別給付金の増額であるとか、あるいは離職者対策特別協議会の活用をはかりまして、離職者対策あるいは雇用の安定、その他調整期間の延長等のいろいろな、言いますれば多角的な措置によって、できるだけかような措置に対するところのショックをやわらげ、また、労務者が今後身の振り方に困らないようにということを主体にして最善の努力を尽くしておるという実情でございます。
○島本委員 そうすると、基地廃止、縮小の第二次案並びに陸軍のほぼ全面撤収ということは、これは正式に決定し、通告を受け、今後それに対処をしなければならない事項である、こういうふうにはっきり理解しておいてよろしゅうございますか。
○山上政府委員 大量の整理があるという通告は受けておりません。それに対処するかどうか、今後の情勢によって判断いたしたい、かように考える次第でございます。
○島本委員 そうすると、いままでの通告は、これは基地を廃止するという通告だけで、そこに働いている労務者の整理は何らしない、こういうような通告だということになりますが、それでいいのですか。
○山上政府委員 今年の六月までの整理見通しとして約三千八百名の整理をするという事前の通報を受けておるのでございます。これに伴いまして、逐次具体的な整理要求というものはございます。私の申しましたのは、新聞に出ておるような大きな施設の整理というようなことについての通報は、具体的に何らございませんということを申し上げているのでございます。
○島本委員 そうすると、この第二次計画の遂行によって、いわば関連と申しますか、陸軍基地の全面撤収の中でも、規模の大きい相模総合補給廠であるとか、キャンプ座間であるとか、また所沢補給廠であるとか、こういうような基地が沖繩に一元化する、あるいはまたフィリピンあるいはまた台湾というふうにいろいろと取りざたされておりますけれども、こういうようなことはやはり事実であるのかどうか。それと、在日米軍基地は一体その場合どうなるのか。通報があると思いますが、政府の見通しについてもはっきりこの場で表明しておいてもらいたいと思います。今後のために必要であります。
○山上政府委員 ただいま当方の承知いたしておりまするのは、若干の基地の調整があるかもしれないということでございまして、ただいま先生がおっしゃったようなたくさんの基地が沖繩に行くというふうな特別の連絡は受けておらないのでございます。したがって、われわれといたしましては、ただいま先生がお述べになりましたような施設等が、将来近いうちに整理になるというようなことは、目下のところ特段の情報を得ていない次第でございます。
○島本委員 これは受けておらないということはないというふうに解釈すべきか、まだ発表だけしないということなのか。外務省も来ておられると思いますが、この件は、いまの防衛施設庁長官の言と同じですか。あえてこの問題については何ら申し入れがないのですか。
○大河原説明員 先ほど来御発言ございましたように、アメリカ政府といたしましては、昨年の夏ニクソン大統領が、国防予算削減の見地から、軍人軍属約一〇%の削減という方針を宣明いたしておりますし、それを受けまして、八月にレアード国防長官が、国防予算三十億ドルの削減という発言もいたしております。ここらの関連におきまして、米側といたしましても、今会計年度内に米国内並びに海外におきます米軍の基地の整理ということについて、内部的ないろいろな検討をやっておるというふうに私たち承知いたしておりますけれども、去る三月三日にリーサー陸軍長官が上院の軍事委員会で証言をいたしまして、極東地域の補給基地を沖繩に大体集中する、在日米陸軍の補給基地を段階的に整理するという趣旨のことを発言いたしております。したがいまして、こういう状況のもとにおきまして、在日米軍基地が整理の方向に向かっているというふうには承知いたしておりますけれども、具体的にいかなる時期にいかなるかっこうで整理されるかということについては、承知いたしておりません。
○島本委員 本会議でもこの点が若干問題になりましたが、いま外務省の報告にあるとおりでございまするけれども、中曽根防衛庁長官の言によりますと、最近使用中の在日米軍の基地の自衛隊との共同使用方式、こういうようなことばで公表をされておるようであります。この内容ははたしてどうなのか、駐留軍の労務者はその場合は一体どういうふうな立場になるのか、この点についてはやはり措置の点と合わして不安がありますので、この際明確にしておいてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。 ことに共同使用方式ということになりますと、これはいわゆる有事駐留になるんじゃないか、こういうようなふうに変更するのじゃないかというふうにして本会議でもだいぶこの議論は深まったようであります。しかし、共同使用方式ということを中曽根防衛庁長官が発表した以上、これに対しましてはっきりした裏づけがあろうかと思います。この点について説明願いたいと思います。
○山上政府委員 中曽根長官がおっしゃいましたのは、私どもは中曽根長官が政治的な御見解をいろいろ発表されたものと承知いたしておるのでございます。したがいまして、自衛隊が米軍の基地の管理というようなことを将来やっていくとしても、どういうふうに今後一体やっていくか、どんな程度にできるか、また、いまの安保条約の範囲内でどの程度にやれるものかというようなことは、今後研究していく課題であろう、こういうふうに考えております。いまどういう程度に整理するのだ、その際人間が減るのであるかどうだとかというところまで、まだ検討は至っておりません。
○島本委員 そうすると、今後のアメリカ政府の政策によって、在日米軍の基地のあり方、こういうふうなことも大きく変動があるということは予想されるわけであります。そうして、情勢の変化によって、駐留軍労働者は常に今後首切り、失業、こういうような事態にさらされるものである、こういうように予測されます。当然日本の政府は、この雇用主であります以上、こうした雇用の不安を一日も早く解決しなければならないということは当然であります。具体的な解決方法について明らかにしていなければならないはずであります。就職、生活保障、こういうようにして政府が直接責任を持たなければならないこの問題について、どのように措置しておりますか、この点具体的に御報告願いたいと思います。
○山上政府委員 基地に勤務いたしまする従業員の不安な状態というようなことが、将来も現在もそういった事態が起きてくること、これはわれわれといたしましても、できる限りこれを防止するような方法で対策を考えなければならぬと思っておるのでございまして、御承知のように、従業員の整理という問題は、国防費の節減というようなことから基地が整理される、あるいは従業員を整理するというような方向にいくといたしましても、これらの措置をできるだけ円満にするためには、どうしてもやはり調整期間というものをできるだけ長期に持っていくというようなことが第一に必要ではないかということから、昨年来この整理にあたりまして、できるだけ長期間の調整期間を設けるようにということを米側と折衝いたしておる次第でございます。現在のところ、一応解雇予告日に先立ちまして、極力三カ月以上の期間を置くというようなことで実施いたしておるのでございます。 それからまた、整理される方々のために特別給付金というのを日本政府として支出いたしておるのでございまするが、これにつきましても、実は昨年、従来の金額に対しまして、平均いたしましておおむね三倍近い増額をいたして、かような大量整理というような事態に対処して措置いたしたい、こういうふうになっておるのでございます。 また、かような方々がおやめになる場合には、できるだけその就職の機会がうまくいくようにするために、なるべく配置転換等によってやりまするが、それでできないものに対しましては、就職のあっせん等についてできる限りの措置を講じたい、離職者対策協議会で決定いたしました方針に基づきまして自後の就職のあっせんということに最大の努力をいたしておるのでございます。幸いにして今日さような措置が相当の効果をあげておると思うのでございまするが、今後もこれらの措置を強力に進めて、対策に万全を期してまいりたい、かように考えております。
○島本委員 その成功をおさめている措置、それをもう少し具体的にお知らせ願いたいと思います。
○長坂政府委員 たとえて申しますというと、現在も横須賀で人員整理発表になっておりますが、横須賀労務管理事務所の職員が、進路指導ということで五名米軍の基地内に入りまして、離職予定をされております従業員の方々の進路の相談にあずかっております。それで日々就職の希望者も出てまいります。そういうことを各基地で行なっております。それから、中央、地方の離対協あるいは商工会議所とか、県、市それぞれ御心配いただいておりまして、そういうような会社の求人の説明会なども利用しておるというようなことでございます。それで、昨年の十一月、十二月に整理になりました者につきましても、現在約四〇%の就職を見ておるというような状況でございます。 以上でございます。
○島本委員 そういたしますと、いままで心配しておった点は、これは当然昨年来の問題でありますから、生活保障のない、こういうようないわば馘首には絶対反対だ、保障措置を具体化するまで現在の人員の整理を少し延期してもらいたいと施設庁長官、政府関係者に対して要求してきているのが、いわば全駐労であったようであります。 それで、いま聞いてみますと、これはなかなか成功しておる、こういうようなことが報告されておるようでありますけれども、駐留軍労務者の平均年齢は四十四歳、実質的に解雇されている現場労働者は五十歳以上の人が大部分、こういうようなことになりますと、再就職はきわめて困難なような状態にあるということはどなたもわかっているとおりなんであります。したがって、こういうような理由のもとに長期の事前調整期間を六カ月、こういうようなことにすべきである、こういうようなことの要求はやはり十分聞いてやってほしいことである、こういうように思ってまいりました。防衛施設庁も解決に努力してまいるということを確約をした、こういうようなことになっておるわけであります。六カ月と聞いておりましたが、いまは三カ月でこういうような期間をはっきりとさせた、こうような防衛施設庁長官からのお話もあるわけであります。そういうようになりますと、これは五十歳以上の人たちでも、いまおっしゃったように、四〇%以上の就職者をはっきりつかんで出した、こういうようなことに理解していいのでございましょうか。この点どうも私ども少し疑り深いかもしれませんが、現状に即してこれだけの数字の裏づけがほしいのであります。どうぞお答えを願いたいと思います。
○長坂政府委員 いま先生のお問い合わせの年齢別のものは、実は現在手元にまだ資料が整ってございません。ただ昨年の人員整理要求は、千九百九十六名というのに対しまして、内部の、米軍基地内での配置転換等を行ないました者が五百九十五名、それから退職希望、整理の予定者ではなかったけれども、この際退職をしたいという者が三百十三名ありまして、それで調整されたものが約九百八名、それで、さらに希望退職者を含めまして千四百名の退職者が出るわけでございますが、その中で埼玉、東京、神奈川についてみますと、相当の求人がございまして、求人を求めている会社も一千前後にのぼっております。それから、それに対する説明会、出張所の開催等も二十七回とか、開催の個所も二十二カ所というぐあいにしまして、そういうことを経まして就職の決定を見ておりますのが、総数で——二月の末でございます、三月に入りましたので、また今月末になりますと、少し状況が変わってまいると思いますが、二月末で五百六十四名の就職を見ておるということでございます。ちょっと年齢別にはまだ分解してございませんので、御質問には沿い得ないと思いますが、以上でございます。
○島本委員 委員長を通じて、この年齢別の就職資料をひとつ出してもらいたい、このことを要請しておきたいと思います。
○伊東委員長代理 出しなさい。
○島本委員 それから、施設庁長官のほうから、特別給付金を支給するようになっておる、それと、もう一つ、三カ月以上の期間を置くことになっておる、この二つは十分手厚い措置である、こういうような御意見のようでございまして、そういたしますと、私自身、具体的に聞いてみたいと思いますが、今次の一月以降の首切り通告について、今回の人員整理の通告は、陸軍関係は一応除いて、空軍は六月三十日と、こうなっておるようでありますけれども、同じ在日米軍の中で、海軍関係だけは、私の調査によりますと、一月六日、これは五百名、一月二十六日、四百名余り整理の通告を受けているようであります。三月の末、四月一日、こういうふうに解雇されることになっている、こういうようなことを私は入手しているのでありますけれども、これは事実でしょうか、ひとつこれを御発表願いたいと思います。
○山上政府委員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
○島本委員 そうすると、三カ月の事前調整期間、こういうものはないということになるじゃありませんか。その前にあなたが、これだけとってあるから手厚い措置だと言ったのはうそじゃありませんか、これはどういうことですか。
○山上政府委員 極力三カ月以上の調整期間を置くようにするということを話し合ったのでございまして、今回の整理にあたりましても、大多数は六月末までということになっておるのでございまして、その限りにおきましては、大部分のものが三カ月以上ということになっておるのでありますが、一部に三カ月に満たないものもございます。これにつきましては、われわれといたしましても、三カ月ということをきっちりできればそれにこしたことはございませんが、いままでのところはそこまでいっておりません。ひとつ極力三カ月以上にするようにというようなことの最大限の努力はいたしております。しかし、中には例外的に、できないものもございます。いまの横須賀の場合につきましては短くなっておるのでございますが、これは国防費の削減に伴いまして、横須賀におきますところの事業が縮小されたということで、どうしてもやむを得ないということで、実施に移されておると承知いたしております。
○島本委員 そうすると、アメリカの言うとおり——三カ月以上とったから安心だといいながらも、海軍の点は、アメリカの都合によって三カ月以内、これもやむを得ない。そうすると、いままで三カ月以上とったからだいじょうぶと言ったことは、どうなんですか、海軍だけは例外で、これはもう絶対当てはまらないということになってしまうじゃありませんか。防衛施設庁長官は、そういうような場合には、はっきり日本の立場からものを言うべきじゃありませんか。向こうで言われたとおりそのまま、はいそうですかとやって——極力ということばがいま出てきたのです。あなた、いままで極力とは言っていないのです。三カ月以上とったと言っているのです。今度は、極力そのために努力していると言う、いつの間に極力が入ってきたのですか。
○山上政府委員 私は最初から極力と申し上げたつもりでございます。もし間違っておりましたら訂正申し上げたいと思いますが、最初からそういうふうに申し上げておったつもりでございます。御了承願いたいと思います。
○島本委員 そうしたら、九十日に満たないものについてはこれはもうあきらめざるを得ないということですか。極力九十日にするために、何らかの手段を講じても施設庁としては努力するということですか。これは労働大臣もよく聞いておいてもらいたいことなんです、この辺から。しかし、これはどうなんですか。極力をつければ、何でも極力やったけれどもだめだったで済まされる問題ではないのです。少しこの点を明らかにしておいてください。
○山上政府委員 この問題につきましては、極力三カ月以上にするというとおりでございまして、われわれといたしましては、この問題が発生したつど、これらにつきまして、三カ月に満たないものについては米側とこれの延期について交渉しております。私自身も交渉いたしましたが、現在までのところでは、これを延ばすということについて話がついておりません。 そこで、横須賀の場合につきましては、ただいまいろいろ退職あるいは整理、転換等の自発退職を募ったり、あるいは配置転換をしたりというような折衝をいたしております。これらの具体的な数字がはっきりいたしました段階で、さらに重ねて、米海軍当局とも話をしてみたいというふうに考えておる次第でございます。
○島本委員 これはなおこの場所ではっきりしておいてもらいたいと思います。 一月段階で全駐労のストがございましたけれども、この全駐労の人員整理の事前調整期間、当時は六カ月、こういうふうにして制定すべきであるという要求があったようであります。施設庁の長官は、必ず次のように解決するから一月段階のストライキを延期してもらいたい、こういうように回答しているはずであります。すなわち、人員整理の事前調整期間を三カ月にする、以上の内容で契約の改定を行なう、こういうようなことで、当然ストもそれによって収拾延期された、こういうように私伺っておるわけであります。いまの三カ月、いわゆる九十日、これがはっきりした状態でストを収拾したと思ったら、それも海軍のところからくずれ、これも極力やるのだからやむを得ないというような印象を与えるような事態があったことは残念です。しかしながら、この問題については、今後、極力努力するのは、やむを得ないから努力したという証拠をつくるのじゃなくて、実質的にそれ以上のものをとるために努力するものでなければならない、こういうようなことなんですよ。どうも長官はもう議会答弁が少しすれっからしになっておりますから、この点は十分誠意をもってやってもらいたいと思うのです。 まず、契約改定を行なったかどうか、これについてひとつはっきりしてください。あなた、これを言明してストを収拾したはずだ、こういうように聞いておるわけであります。争議にまで介入して、契約改定をするからと言ってストを延期さして、そのあとそうなっておらない。そうして、これも極力努力したのだからやむを得ない、こういうようなことでは、あなたはまことに重大な、労働組合の組織に対して侮辱をしていることになるのです。労働大臣の場合にこういうようなことは許されませんからね。ひとつ、改俊の情があるならば、もう少し明らかにこの点をいまこの場所でしておいてもらいたいと思うのです。私は納得しません。
○山上政府委員 前回の通報の場合におきましても、契約改定については、当時の段階——現在もそうでございますが、現段階においては困難である、したがって、実際の措置として、極力三カ月以上期間を置くようにするということを申したのでございまして、私どもは、その線に沿って今後も努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○島本委員 契約改定を行なったのかどうかと聞いておるのです。努力しているかどうかと聞いているんじゃない。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 ことに三カ月の事前調整期間を置くこと、こういうようにした一月の段階の防衛庁の小幡事務次官と在日米軍のフランクリン参謀長の間で確認されていることじゃないか。それがまだ米軍との間で契約が改定されていない、こういうことは一体どういうようなことなんですか。これは明らかに約束違反である、信義無視である、こういうことをいわれても差しつかえないと思うのです。米軍との交渉の状況、こういうようなものははっきりできるならばこの際はっきりさせてもらいたい、こういうように思うわけです。これは重大なる問題ですよ。どうなんですか、これは。
○山上政府委員 契約改定についてはまだいたしておりません。今後、契約改定についても努力いたしたいということを申した次第でございます。 なお、フランクリン参謀長と小幡次官との会談の結果、実際措置として極力三カ月以上にするようにするということを確認いたしたのでございまして、ただいま例外があるということでおしかりを受けましたが、契約改定ができないゆえんのものは、米側としては契約改定ということになると、完全に三カ月以上を絶対にやらなければならぬということが現段階でどうしてもできないということで、まだ折り合いがついていないというのが実際でございます。われわれとしては今後も努力いたしたいが、現実はそういうようなことでございますので、正直に申し上げた次第でございます。
○島本委員 長官、その場合には司令官が交代する前であり、交代してから云々ということもあったようでありますが、もうすでに交代も済んでおるようであります。そうすると、当然契約改定、これは正規になされなければならない事態であり、そういう交渉は進めておらなければならないはずだ、こういうふうに思うわけです。やっていますか、これは。
○山上政府委員 契約改定につきましては、ただいまも折衝中でございます。今後も努力をしてまいりたい、かように考えております。
○島本委員 これは雇用責任者である政府と在日米軍との間で三カ月の事前調整を行なう、こういうように確認がはっきりあったわけであります。また、これは極力とかなんとかいうようなことばもあるというようにいま承りましたが、同じ在日米軍の中でも海軍関係者の人員整理と陸空軍関係者の間の相違があるということはいまわかりました。しかしながら、これはやはり海軍関係、横須賀その他でございましょうけれども、これはもう事前調整期間が契約された三カ月に満たない、こういうようなことに対しても私としては不満であります。しかし政府を代表する者が全駐労にストライキを中止させて確認したことが実施されない、こういうようなことは、これはやはり許すべき問題でないと思うわけです。その場合には責任を持って具体的にこうしますということを明示しなければならない。そうでなければ誠意を疑われます。これは一体どういうような具体的な明示をしたのか、それで全駐労の皆さんはこれに対して了解したのか、どうもこういうような場所でこれを聞く場合にはその点がまことにあいまいなんです。私はこれはあいまいにしておくべきではない、こういうように思いますから具体的な明示、これに対して全駐労の皆さん賛成したのかどうか、了解をとったのかどうか、これを簡単に答弁してください。
○山上政府委員 極力三カ月以上の調整期間を置くようにするということで、全駐労に回答をしておるのでございます。前回、さような回答につきましては全駐労側は、賛成という表現はいただいておりませんが、特段異議はなかったのではないかと思っておる次第でございます。
○島本委員 雇用主である施設庁と全駐労と団体交渉で、今回の海軍関係の人員整理は事前調整期間が三カ月に満たないけれども、離職者が出ても責任を持って再就職を行なわせる、こういうようにはっきりあなた言ってあるのです。そうしますと、三月の再就職を行なわしめる、こういうようなことでありますと、もうすでに三月の末、四月の一日これを目前にして実際はどの程度まで再就職をあっせんしたのか、また就職さしたのか、こういうような点についてもはっきり伺っておかなければならないのです。これははっきりやっておるんでしょうな。
○山上政府委員 三月末、四月一日を予想される整理対象者につきましては、これまた配置転換とともに就職のあっせんについてもつとめておる次第でございまするが、現在まだ数字がどの程度であるかということを把握いたしておりません。なお、この方々が就職する問題につきましては、職業安定所を通ずるところの就職あっせんばかりでなく、防衛関係の産業界にも呼びかけて、広く離職される方々の就職についても要請をいたしたのでございます。その会合の詳細等については、また後ほど関係の担当部長から申し上げますが、これまた積極的に受け入れるという話し合いをいたしております。したがいまして、われわれとしては、いろいろな措置を講じまして、この整理される方々の再就職については、責任を持って努力するつもりでございます。
○島本委員 再就職が決定しない場合には、解雇の延期、この件について米軍と交渉する、こういうようにあなたははっきり回答されているわけなんであります。これはそのとおり理解しておいていいですね。
○山上政府委員 今月の半ばには大体再就職のめどがつくと思います。その資料等が明らかになった段階で、重ねて米軍当局とも話をしてみたい、かように考えております。
○島本委員 その場合には、解雇の延長を含むものである、こういうふうに理解しておきたいのですが、もちろんあなたはそれを言明されておりましょうから、そのとおりでしょう。
○山上政府委員 そういったような問題も含めまして、あるいは今後の就職の問題、その他全般的に話し合いをしたい、かように考えております。
○島本委員 ちょっと私はわからない点があるので、これは説明してもらいたいと思いますが、海軍基地の人員整理に対して、技術者が必要である、また優秀な技術を持った人を残しておきたい、こういうような意図からいわゆる首切りを行ないたくないんだ、こういうような理由で命令休業制を実施している。こういうことをちょっと聞いたのですが、この命令休業制というものは、一体どういうものなんですか。それは命令休業をしているならば、一人についてどの程度の支払い、また本人は現給のままですか、命令休業ですから、休業しても現給のままの給与だ、こういうように理解すべきでありますけれども、この点は命令休業はどうなんですか。
○長坂政府委員 一般的に申しまして、米軍のほうの作業の量が減少してきた場合、従来確保してきた優秀な技術者というものを手放すにはあまりにも惜しい、一定期間——特に横須賀などの、ここで見ますと艦船修理部というところは、一種の独立採算制をとっておるところでございますので、その所定の量に達するまでの作業量がない場合、その従業員には命令をもって休業を命ずる。そして身分はつないでおく。それからたしか六〇%から八〇%までの給与は保障しておきまして、その間はほかに行って働いてもいいというようなことになるわけですけれども、そうして一定期間また作業量が回復してくるまでつなぎとめておくというようなことが命令休業の制度の趣旨でございます。
○島本委員 命令休業の趣旨はわかりました。 そうすると、この命令休業制を行なって六〇%に賃金を下げてこの額を保障して、そのあとで首切りを強行することになれば、解雇された労働者の受給する諸給与は、給付金は全部低額ということになるのは事実でしょうか。もしそうなると、これはでたらめもはなはだしいことになるのではないか。これを縛っておいて六〇%にして、そして首切りをしたなら六〇%に見合うだけの給与で支払うことにする、こういうことになったのであれば、これはとんでもないことだろう。このような措置に対して施設庁はどういうふうにしていたのか、これを承りたい。そして、こういうようなことをやることについて、一体どうなのか、労働省のほうの御意見も承っておきたいと思うわけです。
○長坂政府委員 先生の御質問といいますか、御懸念の点でございますが、そういう休業を命じて下がった給与を人員整理の場合の退職手当の計算の基礎にするということは、制度上ございません。それでもとの給与、基本給を基礎にいたし、それに所定の諸手当——人員整理の退職手当を計算する場合に組み入れるべきいろいろな手当がございます。それを組み入れまして、つまり下がらない前の状態で人員整理の退職手当を計算する、そういうような仕組みになっているのでございます。
○島本委員 六〇%か八〇%かというんですが、これは八〇%ですか、六〇%ですか。
○長坂政府委員 失礼いたしました。六〇%でございます。
○島本委員 やはり六〇%か八〇%かというと、多いほうの額にわれわれは考えたがるものであります。私自身も、八〇%かと思いましたが、よく聞いてみたら六〇%のようであります。こういうようなやり方は、やはり私どものほうとしてはあまりにも感心できない。首をそれで切ってしまうということになると、なおさら悪いじゃありませんか。そういうふうにして、これは命令休業制というのですか。そういうふうに命令休業制というようなものにするならば、一たんそれをもとに戻して、それで行なうというならばわかりますけれども、休ましておいてばっさりやってしまう。何が何だかわからぬままに首になってしまう。休めというから休んでいたら、そのまま首だったというようなことになったら、ちょっとおかしいじゃありませんかね。私は初めて命令休業なんということばを聞いたので、いま聞いてみたのです。よく帰休制度だとかなんとか、そういうことが労働省のほうにもことばとしてあるようでありますけれども、それと同じなのかどうか。これだけは駐留軍独特のものなのか。これは米軍の命令によってやっているものなのかどうか。命令によってやっているならば、この点ははっきりした態度がとれるはずでありますから、この点の見解をひとつ示してもらいたいと思います。
○長坂政府委員 先ほど申し上げましたように、米軍内部の作業量の多寡に応じてやむなくそういう措置をとるわけでございまして、根拠としては米軍の命令でございます。 それから退職手当の面につきましては、先ほど申し上げましたように、もとの給与に戻して計算をするということでございます。 以上でございます。
○島本委員 じゃ、それはもとの給与に戻してその上で処置するということですね。
○長坂政府委員 はい。
○島本委員 それは聞いておきます。そうすると一〇〇%ですね。
○長坂政府委員 基礎といたしましては一〇〇%になります。つまりその月額としてはもとに戻りまして、一〇〇%に戻りまして、それであとの人員整理の割り増しの率がかかってまいります。そういう意味で、基礎は一〇〇%であると申し上げます。
○島本委員 これは、昨年末に解雇された駐留軍離職者に対しては、施設庁では長官が退職金を一カ月分の特別給付金を支払ったと、こういうようなことをさっき発表されました。それは額はどれほどになりましょうか。
○山上政府委員 昨年末におきまする離職者に対しましては、給与の一カ月相当分ということで支給いたしました。平均して一人当たり約六万円であったかと思います。
○島本委員 平均して六万円程度ということはわかりましたが、今回の人員整理の通告者の中では、横須賀の海軍関係は全部三月の末か四月一日、陸、空軍の一部には三月の末、四月というものもありまするけれども。基地労働者としてほとんどここで長い間それに従事しておった人であります。そういうような人だとすると、これは政府が雇用主ですから、解雇者は国家公務員に見られるような措置でひとつ見てやるというようなことも、これは恩典の一つとして当然与えてもいいことじゃないか、こう考えられるわけであります。この全駐労も、アメリカ政府の政策変更に伴う苦切り、こういうようなこともありますから、万一解雇が実施されるにしても、全部統一的に六月一十日あたりまで延期する、そうなれば当然給与も上がります、上がった中で解雇してやるならば、手当もまたふえる、こういうようなことをしてやるならば、これは当然可能なる範囲の親心、こういうようなことになるのじゃないかと思うわけなんです。いまのままではこれは該当することはできません。しかしながら、就職できない者はそのまま延ばしてもいいということでありますから、これは六月まで延ばしてやる、そして給与が上がった時点であたたかい措置をしてやるような思いやりをこの際考えられないものかどうか、また当然すべきじゃないか、これが自主的な管理能力というものじゃなかろうか、こういうように思うわけなんです。やはり長官もあたたかい血が流れていると思いますが、この点等についてもひとつはっきりあたたかいおぼしめしを示してみてください。
○山上政府委員 昨年末の解雇につきましては、従来慣行的に行なわれておりました調整期間に比べましてきわめて短期間、短い予告期間——御承知のように契約上の予告期間が四十五日ということになっておりまするが、それとほとんど変わらないような短い期間の通告によって大量に整理され、しかも年末年始にかかるというような特別の事情がございましたので、本来かような場合の特別給付金として、御承知のように昨年の春に大幅に増額をいたしました特別給付金だけの措置では済まないというふうに考えまして、特別の措置として一カ月分というものを昨年暮れに支出したのでございます。したがいまして、今後起きる整理につきましては、昨年の春に改正しました特別給付金を支給するということでは、これはもちろんいたしまするが、暮れにいたしましたような特別給付金は、いま申しましたような特別の事情でございまするので、これを今後の離職者に適用するということは、そういった事情にかんがみましてきわめて困難ではないかというふうに考えておるのでございます。われわれといたしましても、できるだけ整理期間を延ばして、そういったようないろいろな措置を講じてやれば、これにこしたことはないし、できるだけそういうふうにしたいとは思っておりまするが、整理の問題は米軍の国防費の削減にかかわる至上命令のような形できておりますので、さような措置を講ずることもまたむずかしいのではないかと思っておる次第でございます。これらにつきましては、先ほど来申し上げましたような離職対策に万全を期していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○島本委員 施設庁長官は日米安保条約によるところの何か会議があるそうでありまして、それに行く時間も迫っておりますが、あなたの答弁はどうも納得できない。納得できないけれども、時間だというならやむを得ません。しかし、いまのようにして、年末であるから特別給付金として一カ月分を見てやった。しかしあなたは、これを年末だからと言わなかったじゃありませんか。特別給付金と三カ月の期間十分見てやって、ゆうに三倍のあたたかい手当をしてやるのだ、こういうふうに言っている。いま聞いてみたら、年末だけで他のほうはやらぬということになる。いつあなたは三百代言的なことを言うようになったのですか。去年十二月やったならば、ことしやる人にだって当然これはやってもいいじゃありませんか。すでに二十年もつとめておって、そしていますぐやって、四月、六月、二カ月やると、二十万円近くも違うじゃありませんか。なぜ、そういうむごたらしいことをやるのですか。アメリカ政府がこれをやれと、あなたに命令しているのですか。とんでもないじゃありませんか。こういう問題に対しては、雇用主である政府の自主性が問われるゆえんです。今後対米交渉を行なう場合の姿勢、こういうようなものはあなたはき然としてやらないといけませんよ。あなたが日本国を代表しての駐留軍労務者に対しての雇用者じゃありませんか。そういうような立場から、アメリカに振り回されているようなやり方、まことに不満です。その会議に、またいまのこのこ出ていかなければならないとしたら、やるわけにはいかない。したがってこの点だけははっきりさして、それから行ってもらいたいと思う。これは二十万円程度違うのですから、今後何らかの方法でこれを考えてやらないとだめだ。まして、それだけの問題じゃないじゃありませんか。団体交渉の中であなたは、人員整理の通告者に対しても九十日の事前調整期間に満たない労働者に対しては再度整理を延長するのだ、こういうようなことさえもはっきり言って、議事録にとどまっているのです。そういうようなことをするならば、四月一日以前の解雇者に対しても延期の措置ぐらいは当然とってやってしかるべきと思うのですよ。年末に対してはそれをやってやった。年末でなければやってやらない。こういうふうにして、基地労働者、同一に働く人に対して差別的な扱いをする。解雇、こういうもののためにあなたはいま日米行政協定によるところの会議に出ていかなければならないとするならば、まことに私は残念です。ほんとうにまだまだあなたをとめておかなければならないのですが、ひとつ、この点について納得させてすっと帰ったらどうでしょうか。
○山上政府委員 昨年三倍にいたしましたと申しましたのは、昨年の三月でしたか四月に政令を改正して、従来の特別給付金を平均して三倍程度に増額いたした措置を最初に申し上げた次第でございます。昨年末のは、同じ給付金という名前を使っておりますが、違うものであります。あれは昨年末の特別の措置としていたしたということをお答え申し上げたのでございます。 なお従業員の解雇にあたっての措置につきましては、われわれといたしましても最大の努力をいたしたい。そういうような意味で対米折衝なりあるいは国内措置なりにつきましてもできるだけの努力をいたしたいということを申し上げておく次第であります。
○島本委員 いまの点ではできるだけ対米折衝で努力して、年末に対してやったような問題を含めて平等な扱いをする、あなたが雇用している労働者のためにこれを与えてやる、これは基本的な考え方であります。まして三倍以上にも上げたというこの実績を——ある人は三倍になったけれども、ある人は三倍に満たない、今後またそれ以上差がつくことがないようにしてやるのが、いわば親心であります。 最後にもう一回、今後あらゆる努力を傾注しますということだけは、この機会に言っていただけますか、言っていただけませんか。
○山上政府委員 先ほど申し上げましたように、年末に支給いたしました特別給付金につきましては、年末における特殊の事情がございましたので、今後の整理者全部に適用するということについては、きわめて困難な実情にあるということを申し上げておきますが、私といたしましては、できる限りの努力はいたしたい、かように思います。
○島本委員 山上さん、これは、年末であるから一カ月分を出してやってもいいのだ、それ以外のものは出さなくてもいいのだ、こういうような考え方ではいけないのですよ。だから、首切られる人は年末に切られた方が得だ、それ以外に切られてはだめだとするならば、あなたが進んで、年末以外には切らないようにしてやったらいいじゃないか。いつもばっさばっさ切りながら、年末のほうは一カ月よけい出してやります、これでは不平等であります。き然とした態度で対米交渉に臨まなければだめですよ。これだけは私は納得できないのですけれども、今後は努力するということだけは労働大臣の前で言って、いまのことばを具体的に実践する、これを私は期待しておきたいのですが、これは単なることばじゃなしに、あなたの誠意を聞いておきたいのです。誠意を持ってひとつもう一回、同じことばではなしにここで答えてもらいたい。
○山上政府委員 きわめて困難な実情にありますが、今後努力してまいりたい、かように考えます。
○島本委員 これは十分納得することはできません。しかし、もう次に移ります。 次は、人員整理を通じて政府の方針、こういうようなことをいままでずっと基本的な問題としてただしてまいりましたが、雇用主であるところの政府の姿勢、これは、いまのようにほんとうに全くなっていないようであります。国の重大な任務遂行に直接当たった駐留軍労働者に対しては、責任ある体制の確立をさしておくことが最も必要である、こういわざるを得ません。いま、この体制が確立されてあると思いましたけれども、年末の場合は特に一カ月を認め、その他は認めない、こういうふうに、もうすでにいろいろとこれが優柔不断なようであります。また、こういうようなことをかってにやられるようでは、ほんとうにこれはアメリカに振り回されている、こういわざるを得ないことで、日本のいわば駐留軍労働者のためにはまことに残念だ、こう思わざるを得ません。今後は、やはり基本的に、政府の自主的労務管理、こういうようなものを確立されなければなりませんけれども、駐留軍労働者のこの根本問題の解決、これは、不安定きわまる雇用条件というものを解決するところにあるわけであります。したがって、雇用不安を抜本的に解決するためにこそ今後政府もつとめなければならない、こういうようなことに相なろうかと思います。駐留軍労働者の雇用安定法、こういうようなものは、いままでもう十一回も出されておるのでありますけれども、日の目を見ないうちに今日を迎えてしまったわけであります。今国会でも、二月二十一日にこれはすでに提出してあります。これは、この点等においても、現在の状態のもとにはっきりした態度をもって早く審議し、その成立を望むものでありますけれども、政府としても、施設庁長官並びに労働大臣、こういうような根本的な抜本体制を今後立てるのでなければ、とうていこの解決にはならない、こういうふうに思いますが、ひとり、大臣、防衛施設庁長官から御所見を承っておきたいと思います。
○野原国務大臣 駐留軍労務者の離職者対策につきましては、十分遺憾ないような措置を講じたいと考えております。私もまだ研究不十分でございますから、十分に検討いたしまして、将来の問題としてこれは円満にひとつあれしたいと考えております。
○山上政府委員 駐留軍労働者の雇用の安定ということを実現しますことは、われわれといたしましても、趣旨においてはきわめて同感でございます。できるだけ、この駐留軍従業員の離職あるいは雇用の安定等について政府全体として努力してまいりたい、かように考えておる次第です。
○島本委員 これはほんとうに私も残念に思いますけれども、これでもう一つはっきり聞いておきたいことがあります。 私も、前に言ったように、年末のそれを出してやった、それを、今後これをやらないということを認めたわけではございません。前向きに検討するというならば、今後交渉の中でこれをあなたが行なえるような余地を残しておいたわけであります。これも全然やらないということになると、私はあなたを不信任するかもしれません。そして国会の中でどういうようなことが起こるか、私は予想できないのであります。しかしながら、それにいたしましても、やはり前向きの善処を心から私は期待しておきたいと思う。ただ、これに納得したのではありませんから、あとからこの問題についてもう一回十分やらしてもらいたいと思います。 それと、大量の離退職をかかえて、全駐労の組織もいまやもうすべてをあげて再就職の促進に当たっているというのが実態であります。当然労働省もこれはやらなければならないはずのものを、今度は組織をあげて全駐労の労働組合そのものが当たっているわけです。そうしてもう防衛産業に全部再就職云々、こういうようなことも聞いておるわけでありまするけれども、それにはやはり一つ一つ穴がある。ほしいのは若年労働者であり技術者である。こんなことからして、これはもうわれわれとしては、この要請そのものをしても、まさにそのまま当てはまるというような、こういうようなことに対しては、とうてい自信は持てない。そうなると、政府、自治体も可能な限りこれは協力すべきである、こういうふうに思わざるを得ません。再就職に対しても、これは可能な限り協力するのでなければなりません。それだけではなくて、大量離退職者に対して、今後国の責任ではっきり対処しなければならないはずなんです。 駐留軍の離職者、こういうようなものは、国もあっせんするというけれども、国みずからもこれを採用してやる、こういうような態度でなければならないと思っておりますが、この件について、大臣並びに施設庁長官、どういうように考えられますか。 それとあわせて、国の問題になりますと、当然、総理府の参事官も来ておるようでありますから、はっきりこれに対する決意を申し述べておいてもらいたいと思います。
○田邊委員 議事進行について、ちょっと発言……。 山上さん、あなたは、ずっと私は質問を聞いておりまして、きわめて巧妙な、親切のような答弁をされるけれども、実際にはきわめてそれは不親切ですよ。いまも、特別給付金の特別措置についても、退職時がたとえ年末であれ、あるいは一月であれ、いつであれ、退職することについては変わりないのですから、十二月の時期において退職する人に対しては特別措置ができて、今後これについてできないはずはない。理屈からいっても、それはできないはずはないです。したがって、あなたは、ただ単に努力するというけれども、やはり実現するという決意のもとに今後最大限の努力をすることをここではっきりさせなければならぬと私は思うのです。あなたにそれだけの義務があると思う。責任が当然あると思うのです。ですから、ただ単に努力ではなくて、当然特別給付金の特別措置ができた十二月の時点と同じような措置が今後できるように、実現するように、その先頭に立って最大限の努力をする、このくらいの答弁があってしかるべきだ。いかがですか。
○山上政府委員 昨年末の措置につきましては、先ほども申し上げましたように、年末であると同時にきわめて短い期間で整理をせざるを得なかったということでもあり、また大量の整理者を出したというような事情がきわめて総合された実態で特にあの措置を講じたのでございまして、その趣旨は政令にもうたってあるとおりでございます。したがいまして、この政令を直ちにそういうふうに適用するということもむずかしゅうございます。われわれといたしましては、今後の問題につきましては、こういった場合の整理がある全員にこれを適用するということはきわめて困難ではないか。これをたとえばきわめて短い調整期間の者に対して適用する方法があるかどうかというようなことを含めて今後できるだけ努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○住政府委員 先ほど駐留軍離職者の政府関係機関に対する採用の御質問でございますが、御承知のように現在総理府に中央離職者対策協議会がございます。そこでいろいろ検討をいたしておるわけでございまして、二月十七日に各省に対しまして、具体的にどのように採用できるかというようなことにつきまして打ち合わせを行ないまして、現在その結果を待っているような状況でございます。
○島本委員 それでこれは労働大臣にも今後十分考慮してもらいたい、こういうふうに思うことでありますけれども、駐留軍労務者の雇用の安定をはかる、こういうようなことにつきましては、やはりいろいろ各省がこぞって努力しなければならないはずのものなんです。ただ、いままで雇用対策法なるものが出されておりましたけれども、それはいわば第三条というところがありまして、その中には労働大臣に責任のすべてを負わせるような体系になっておるわけであります。そういうふうになりますと、やはりその辺が労働省としては問題点の一つじゃないか、こう思いまするけれども、国の雇用契約は防衛施設庁、労働省、こういうふうなものがやはり中心であるべきであって、責任は政府にあるのですから、防衛庁、労働大臣協議してこれに当たるようにしてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。そして今後は転職措置だとか転用期間、こういうふうなことについて万全を期するのが運用の面ではまことにいい結果を生み出せるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。できれば、これは一定期間基準内賃金を保証するようにして、これは高年齢層の人が多うございますから、できるならば一年ぐらいを見てやりたい。そして手取りも本給の八割程度まで特に見てやってしかるべきじゃないか、こうさえ思うのでありまするけれども、今後こういうような扱いについて防衛施設庁並びに労働大臣、こういうふうなところで十分協議してこれに当たるようにしてもらいたいし、十分この点は考慮願いたい、こういうふうに思うわけなんですけれども、大臣いかがですか。
○野原国務大臣 お話の点はよくわかりましたので、今後は十分協議いたしまして、できるだけのことをいたしたいと考えております。
○島本委員 これはいわば、私自身、先ほど全駐労が組織をあげてこの問題に取っ組んでいる、こういうふうなことを申し上げました。これは大量の離退職者、こういうふうな者を生み出して、その就職のあっせんにあたってまことに労働省だけでは手に負えない、こういうような事態とまた特殊性を考えて、今度全国労働福祉厚生協会、いわゆる離職者センターなるものを設けて基本財産を資金として一千万円を出して、運営費を六百万円も組んでこれに当たらんとしているわけです。そして地方の既設の機関、こういうようなものとも十分連絡調整をはかりつつ目下認可申請中であるということを聞いているわけです。これはもう政府に対してまさに鞭撻的な機関でもあるように思われますが、これは重要な役割りを受け持った機関である、こういうふうに言わざるを得ません。今後就職、生活の安定、住宅の確保、このためにはまことにりっぱな重大な役割りを受け持つことに相なろうかと思います。これは何らかの方法で労働省でもこういうような機関に対してはめんどうを見てやるのがしかるべきであります。そうして関係法改正すべきはして、そうしてまた他の方法があるならば、それによってとりあえず国が助成できる法的な根拠条項を置いて再就職者の定着を期する、こういうような見地から住宅の確保というようなことに対しても十分配慮して当然協力してやるべきだ、こういうふうに思うわけなんです。この点労働省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○住政府委員 現在、全国労働福祉厚生協会を財団法人として設立したいということで認可の申請が参っております。おそらくこの協会は防衛施設庁のほうとの共管ということになろうかと思います。趣旨は、先生おっしゃいましたように、国の離職者対策等と関連いたしましてよりこまかい離職者対策を行なっていく、あるいは駐留軍労働者とか離職者の生活の安定等をはかっていく、趣旨としては非常に私ども同感でございます。さらに無料職業紹介等の事業もおやりの計画もあるわけでございまして、そういう許可を早くするとか、その他運営につきまして現在の態勢のもとでできるだけの協力をいたしまして、協会の目的が達成されるように協力してまいりたいと思っております。
○島本委員 それじゃこれで終わりたいと思いますが、最後に大臣に要望を申し上げておきたいと思います。 現在は日本の駐留軍労務者であります。しかしながら、いずれ沖繩の全軍労の諸君も当然同じようなことに相なろうかと思いますが、復帰されたあとにおきましてはそれがはっきりするわけであります。今後全軍労の労働者も本土の駐留軍の労働者と同じく間接雇用に切りかえ、そうして人員の整理が発令されているこういうような人に対しては本土並みの退職金の支払い、こういうようなものも認めてやり、本土と同じく人員整理については事前に調整機関を設置してこれに当たらせる、こういうようなことをしてやっていただきたいし、こうすべきである、こういうようなことを強くわれわれは望むものでありますけれども、大臣のこれに対する決意を伺って私はやめたいと思うのですが、答弁次第によってはまた延びるかもしれません。
○野原国務大臣 御意見はよくわかりました。政府でもできるだけそういう方向へ進もうということになっております。なかなかむずかしい問題ではございますけれども、御意見十分今後の問題としてその方向に進めたいと考えております。
○島本委員 終わります。
○倉成委員長 この際本会議散会まで休憩いたします。 午後一時四十九分休憩 ————◇————— 午後四時四十三分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私は、ただいま話題にのぼっております失対事業に関連いたしまして、いろいろな事実を示しながら政府の見解をただしてみたいと思っております。 まず最初に、いまここに私が掲げております新聞は、天下の公党、日本共産党の機関紙、赤旗でございます。その三月七日、三月八日付の新聞でございますけれども、常に彼らは真実を追求し、国民の自由を守り、権力の圧政と戦い、正義の味方と称しておられる日本共産党のりっぱな機関紙でございます。これに掲載されております記事の内容でございますが、私には納得のいかないことばかりなのでございますので、失対問題に関連した内容でございますので、お尋ねする次第でございます。 まず、この三月七日の赤旗の記事を読みますと、「黒柳議員がのべている「事件」なるものは、昭和四十三年二月〜三月に田川市でおきた、いわゆる“田川闘争”をさしています。」こうまず書いてありますが、もしそれであるならば、ちょうどその当時、いわゆる四十三年の三月十四日の衆議院の予算委員会で同じ問題を私が取り上げまして政府の見解をただしたのでございます。そのときの会議録も実はきょうは持ってきておりますが、私がここで問題にしたいのは、ただいま掲げました赤旗の記事、その記事に表現されていることがもし事実であるとするならば、当時私に答えられた政府の、労働大臣をはじめ当局の答弁者は、私に偽りの答弁をしたということになる、私はこのように考えるのであります。もしそうであるならば、政府としては重大なる責任問題になると考えますので、その点について明確に見解を述べてもらいたいと思います。 では続けまして赤旗を読みます。「ことの発端は、田川職安が二百四十八人の失対労働者にたいし、一方的に公共事業への配置転換を強要し、これに応じなければ失対事業に就労する資格を打ち切ると脅迫したことにあります。」このようにあります。さらに赤旗には「当時、公共事業は、労働の内容が失対事業とほとんどおなじであるのに、賃金は低く、失対労働者がこれに不安をおぼえ、田川職安にたいし、「労働条件の明示」と「団交」を申し入れ、」云々とございますが、私が当時質問したときに政府の答弁を聞いた範囲においては、いまのような一方的に公共事業への配置転換を強要したとか、あるいは脅迫したというような事実があるような答弁はどこにも見えないのであります。さらに、賃金が低いとか労働条件が悪いというような記事も先ほどあったわけでございますが、そのような事実はあったのかどうかということをきょうもう一回答弁をしてもらいたい。さらに、私は当時全日自労以外の組合は就労したという説明を受けたと記憶しているのでございますが、その点も含めて説明をしていただきたいと思います。
○住政府委員 昭和四十三年の田川職安におきます失対紹介停止処分につきまして、御指摘のように同年の三月十四日の予算委員会の分科会におきまして、労働大臣なり政府委員ないしは失対部長から、いろいろ当時の状況について答弁いたしておるわけでございますが、事実調査の上お答え申し上げておるのでございまして、その事実にはあるいはその答弁には間違いはない、こういうように考えております。
○大橋(敏)委員 政府の答弁には事実に基づいた答弁で間違いはないというわけですね。それではさらにお尋ねいたしますが、田川職安においては憲法に保障された労働者の団結権、労働組合の団交権を踏みにじるような、憲法に抵触するような事実は、私がかつて質問した際にはなかったと御答弁があったように記憶いたしておりますが、このような事実があったのかどうか、そうして答弁が間違っていたのかどうか、この点についても本日はもう一度はっきりと御答弁を承りたいと思います。
○住政府委員 先生御承知のように失対事業につきましては、事業主体とそこに働く労働者の間に労使関係があることは当然でございます。失対事業の性格からいいまして、賃金等につきまして団体交渉の対象にならない面がございますけれども、そういうものを除いては団体交渉の事項は残っております。職業安定所は失対の紹介適格者を失対事業に紹介する、こういうことでございますので、本来労使関係がないわけでございますから、その関係におきまして団体交渉等を受ける筋合いのものではない、こういうことを当時も御答弁申し上げておるのでありますが、現在のたてまえからいきましても団体交渉等はないというように考えております。
○大橋(敏)委員 それでは、ただいまの御答弁によりますと、この赤旗に書いてあるような労働者の団体交渉権あるいは団結権、これはないとはっきりお答えになったということですね。そういう事実は全くなかったと私は理解したいのであります。 それでは、ただいま赤旗に報道されております、田川職安が憲法に保障されている労働者の団結権、労働組合の団交権を踏みにじる暴挙を行なったという報道は事実ではないというように判断し、理解してよいかどうか、もう一回あらためてお答えいただきたいと思います。
○住政府委員 私ども、団結権の侵害については、安定所としてはそういうことはなかったと思います。 それから団体交渉は本来職安との関係においてはない、こういうように考えております。ただ失業者の就労の問題でございますから、団体交渉ではございませんがいろいろ話し合いは続ける、こういうような面での接触場面は多かろうと思っております。
○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねしますが、いまの局長の答弁に御同意なさいますね。
○野原国務大臣 職安局長の答弁のとおりでございます。
○大橋(敏)委員 それではいまの赤旗の記事に限ってはあくまでも労働省の見解が正しい、赤旗の誤りである、こう私は理解してまいります。 次に移りますが、私は当時、田川の職安に行っていろいろと事情を聞きましたときに、田川の職安から出ております記録を見せてもらいましたが、その写しをここに持ってきております。それを読み上げてみます。「失業対策情報随時報告」というのです。「田川公共職業安定所」としてあります。日時は昭和四十三年三月十九日十一時四十六分から十三時四十八分。場所、田川公共職業安定所所長室。職安側出席者、所長、次長、職業紹介課長、労働紹介係長、女子紹介係長、ほか四名。当事者の属性、衆議院議員(日本共産党)調査団、衆議院議員田代文久、松本善明、日本共産党中央委員渡辺武、田川地区委員長犬飼憲、全日自労福岡県支部委員長中田嘉吉、全日自労田川分会田代保、そのほかずっと列挙されておりますが、時間の関係で総員二十四名というところまでまず読み上げてみたいと思います。 私はこの交渉の内容をつまびらかに拝読させていただきました。この交渉状況を見てまいりますと、きょうは時間の制限がございますので、一々内容を取り上げて説明する余裕がないのが非常に残念でなりませんが、人身障害の問題あるいは器物破損など事こまかな記録が示されております。相当圧力的な内容であるように思われるのでございます。 またいまの資料のほかにも、その当時の一月十日から日記的に毎日その全日自労等々の交渉内容がこまかく、詳しく記されております。この資料を見てみますと、たとえば一月二十日には、「現場掲示を実施、全現場に掲示するも全日自労の強い反対行動にあい職員に負傷者が出た。二班編成(一班八人)、掲示現場二十三、負傷者、田鍋、左股、腹部打撲、清水、口裂傷、顔面打撲、平田、腰部打撲、井塚、左足甲ねんざ、長副、左足首ねんざ、岡田、背中、津田(所長)、左手首ねんざ、時計ガラス破損、秒針破損」こういうこと。そのほかにもいろいろとその当時の模様が列挙されているわけでございますが、このときの状態はかなり普通の姿ではなかった。しかしながら、私が当時質問したことに対する小川労働大臣の答弁は、「私ども報告を受けております限りでは、なるほどたくさん前例のある問題ではございませんけれども、事柄自体非常に複雑した問題でもないと思っておりますので、いまのところ、特に人を派遣するということはいたしておりません。しかし、時期を見て、必要に応じて労働省から派遣をいたしまして実情の調査もしたいと考えております。」当時はこのような答弁でございました。私もこれは単なる全日自労との関係だけだったのか、ほかの組合とは問題はなかったのだな、このように考えるわけでございますが、その点をもう一回答えていただきたいと思います。
○遠藤説明員 大橋先生御指摘のように、これは全日自労だけの問題でありまして、他の全失労、全民労、全国自労につきましては、安定所長の説得によりまして公共事業に就労いたしておりますので、問題を起こしておりません。
○大橋(敏)委員 それでは、私はこの赤旗の記事が偽りであるというそれを証明する意味も含めまして、事実を取り上げて質問に移ってまいります。 第一に、去る三月四日参議院予算委員会におきまして、わが党の黒柳議員が取り上げました失対事業に関する問題、すなわち全国二十七都道府県で七十名にのぼる日本共産党所属の議員あるいはシンパの議員が、議員でありながら失対事業に就労している、その中には失対対象者の収入限度額をこえる議員報酬を受けながら、さらに失対賃金をも受給しているという、いわゆる二重取りの不正行為の疑惑を指摘したわけでございます。これに対しまして、労働大臣もあるいは法務大臣も国家公安委員長も、十分調査の上善処いたします旨の答弁があっております。そこで、きょうは労働大臣と警察庁の方がいらっしゃっていると思いますので、その後どのような措置をとられたのか、またその結果はどうであったのかをお尋ねいたします。
○野原国務大臣 先般の問題でございますが、一定基準をこえる所得を有する者については、地方議会議員であるといないとを問わず失業対策事業へ紹介し、就労させてはならないものであること、及び、就労しない者に賃金を支払うということがあってはならないことについては、かねてから指示しているところでありますが、今回さらに失業対策部長名で各都道府県あてに通達を発し、強く是正方を指示したところでございます。
○住政府委員 なお福岡県におきます具体的な指摘事項につきましては、県を通じまして現在調査させている最中でございます。
○高松政府委員 私のほうといたしましては、労働行政に関する問題でもございますし、労働省と連絡をとっていま調査を進めているところでございます。 それからまた、福岡の具体的な名前の出ました件につきましては、質問の要点を直ちに福岡県警に伝えまして、現地においても知事部局の関係部門と協議の上必要な措置をとるように連絡をいたしたところでございます。
○大橋(敏)委員 いま御答弁いただきましたが、私も今度労働省から出ております通達、これは二通ございましたですね、この二通ともよく承知いたしておりますが、その通達の趣旨に沿いまして厳重に措置されていくことこそ国民の期待にこたえるものと私は考えるものでございます。 そこで私は、本日さらにもっと悪質と思われる新事実をここで示しながら政府の見解を求めるものでございます。 まずその第一といたしまして、福岡県の山田市西村悟市会議員に関してでございますが、これはすでに黒柳議員が参議院予算委員会におきまして、確たる証拠を示しながらその詐欺行為の疑いを指摘した人物でございます。しかし三月八日の赤旗には「「詐欺行為」という公明党黒柳発言は中傷」 「西村市議に出張旅費との「二重どり」はない」このような凸版の見出しがございます。これについてでございますけれども、この西村悟市議が、実は黒柳議員が発言をして間もない三月七日に、これはまだだれも知っていないと思いますが、三月七日に本人みずからが不正受給と思われる賃金の一部を返納しに来たということを私は聞いておりますけれども、そのような事実を知っているかどうか。 それからさらに福岡県田川市の共産党所属同市市会議員全日自労幹部の松岡正春氏、これもすでに参議院の予算委員会で指摘された一人でございますが、これまた議員でありながら失対対象者となり不正受給の疑いありとしたものでございますが、これがまたまた三月六日に、これは少し様子は違いますけれども、全日自労の原田書記長を通して返納の申し入れがあったと聞いているが、そのような事実は承知しているかどうか、知っていれば明確に説明していただきたいと思います。
○遠藤説明員 ただいま大橋先生御指摘の二件につきましては、山田市の市会議員西村悟氏は三月七日に、御指摘の出張中の失対事業に就労した賃金相当額を受け取るように頼んだ覚えはないけれども、賃金台帳に記載されて払われているということがそもそも間違いである、したがって本来受領すべきでないのでお返ししたいということを、三月七日に飯塚失対事務所にあらわれまして申し出があったようでございます。そこで飯塚失業対策事務所の次長の個人名でかりに預かっておいたというように報告を受けております。 それから第二の田川の件につきましては、全日自労の田川分会の原田書記長から田川失業対策事務所に三月六日に電話がありまして、松岡正春市会議員が間違って受領した失対賃金を返納したいという申し出があったそうでございます。しかし失対事務所のほうでは返納すべき賃金の額が明確になるならば受け取ってもよろしいけれども、現在のところ調査中で不明確でございますので、その辺お返事をいたしましたところが、全日自労の田川分会で保管をしておくという返事があったという報告を受けております。 この山田市の市会議員と田川市の市会議員二名が市議会の行事中の失対就労賃金を受け取ったという問題につきましては、現在調査を行なっておりますが、調査の結果不正の事実が明らかになりますれば、行政機関として返納命令を出しまして厳正な処置をとるということはもちろんでありますが、さらにこういった行為が犯罪を構成するという疑いがありますならば、関係当局とも連絡の上厳正な処置を講じたい、かように考えておる次第であります。
○大橋(敏)委員 黒柳議員は、私が申し上げるまでもなく参議院の予算委員会においては確たる証拠を手にし、総理大臣にも労働大臣にもその予算委員会の席上で示したのであります。それにもかかわらず赤旗には、公明党の黒柳議員の発言は中傷であるとか、あるいは二重取りではないとか、このような問題でございます。またいまの失対部長の答弁を聞いておりますと、たしか事実は報告のとおりに説明なさったのでしょうけれども、何だか出張中のものであるならばそれを返せば問題ではないのだ、このような印象を私は受けるのであります。われわれはもちろん出張中に受けたお金も大問題だし、さらに本会議だとか委員会に出ていながら、あるいは失対のほうでは働かないでいて働いたとして賃金を受給する、それ自身が詐欺行為である、詐欺的行為ではないか、こう追及指摘しているわけである。それに対して法務大臣もあるいは国家公安委員長も、それが事実であれば詐欺行為と認められます、詐欺行為と思われます、このような答弁があっているわけでございまして、単に返させればよい、このようなものではないと思うのであります。そういう事実を見つけたならば告発すべきであると思いますが、その点についてはどうでしょうか。
○遠藤説明員 調査の結果そのような事実が明らかになりますれば、行政措置としてはこれは返納命令を出すことは当然でございますが、さらに失対就労不適格者としての処置をどうするか、あるいは犯罪要件を満たせばこれを刑法上の処置としてどうするかということは検討の結果措置いたしたい、こういうふうにお答え申し上げたわけでございます。
○大橋(敏)委員 とにかく国の大事な予算を食いものにしていくような悪徳なそうした議員については、厳正なる態度で臨んでいただきたいことをつけ加えておきます。 次に問題の事例でございますけれども、政府の見解をただしたいと考えております。 福岡県の筑後市の中島凡男という市会議員のことであります。日本共産党所属全日自労現地分会委員長のことでございますけれども、まあ結論から先に申し上げますと、ただいま私が申し上げました田川と山田市の市会議員の実例と同じように、議員でありながら失対の適格者となり、そして失対賃金を受け取り、さらに本会議やあるいは委員会に出ていながら、いわゆる働かないのにかかわらず働いたとして全額支給されているという事実があるという疑いがあるということ、これが一つです。 それから二つ目には、同市から土地と建物を借りて、そこにその本人が無料で居住しております。しかも、この建物は失対事業の円滑な運営をはかる目的のために、昭和三十一年六月ごろから組合の事務所兼詰め所として設けられたものでございます。ところがそれが、昭和三十三年ごろから、すなわち中島凡男氏が市会議員になったときのころからですね。同市から十万円の補助金が支給されて、失対事業に働いている家庭の幼児、乳児を預かるという、失対労務者の便宜をはかる目的のその建物が、自由保育所と名づけられているようでございますけれども、開設されているということでございます。ところが今日では、失対関係者の幼児、乳児はほとんどそこの中には入っていないで、しかも一般の保育料としては、幼児一人について千六百円から二千円、乳児一人につき二千八百円から三千円とって経営しているわけでございます。しかも当初の目的、趣旨からは逸脱したこの保育所に、保母のかわりとして失対に就労している労働者を三名専従的に使用して、しかもその労働賃金のほうといえば失業対策費から支給されているという問題でございます。 いま申し上げたのは、大体の大まかな姿でございますが、私はいまから証拠を示しながらお話をしてみたいと思います。 ここに持っておりますのは同市の四十四年度の「議会総務委員会出席記録」、中島凡男氏はそこの議員であるようでございます。要するに、この総務委員会に所属していて、何日何に出席したということは明確でございます。それと、ここにありますのは、その市の「失対労働者就労状況実態」というものでございます。これは昭和四十四年から四十五年二月までの一人一人の賃金の支給の内容が示された写しでございます。それで、これをつけ合わせてみますと、その不正の姿が十分見えるのでございます。中島凡男氏の四十四年度の議員報酬は六十万四千円でございます。そして四十四年度中に受け取った失対賃金は十八万二千七百八十八円、それに期末手当八万三千八十五円。加えますと、失対のほうからもらったのは二十六万五千八百七十三円ということになります。その中に、いま申し上げましたように、働かないで働いたとして賃金を受け取っている事実が明確に示されております。 それからもう一つの、これは自由保育所の問題でございますが、もう少し詳しく申し上げますと、先ほども言いましたように土地、建物ともその市から貸し付けられたものでございますが、土地は九百三十二・二一平方メートル、建物は百十三・六一平方メートル、いずれも同市のもので無償で貸しているわけでございます。しかしこれも市の立場として、失対事業の運営上必要と考えた措置であったことも考えられないことはないのでございますが、確かに当初の目的、趣旨のままに運用されているのであるならば、市の立場も私は理解できないわけでもございません。ところが、さきに述べましたような問題を数多くはらんでおります。ちなみにそこに使用されている失対労働者の三名というのは、角田某、渡辺某、東某というこの三名でございます。それはこの資料の中にはっきりと失対労働賃金が支給されているのであります。明確でございます。こういう問題について三年前福岡県の監査が行なわれました際に、いろいろ問題点が指摘されております。そのときに、善処をいたします、このような約束がされているということを聞いておりますけれども、今日までなお是正の姿は見られていないのであります。労働省といたしましてこの事実を知っているかどうか、またこのような問題をどう考えているか、まず答弁を願いたいと思います。
○遠藤説明員 失業対策事業に就労をしない者に賃金を支払ってならないことは、いわゆる不就労賃金の支払いを禁止しておりますことは御承知のとおりでございます。すでに再三再四にわたって全国的に厳正な処置をとるように指示いたしてまいっているわけでございます。福岡県につきまして一部そのような悪例が残されておったことも先生御指摘のとおりでございまして、ここ二、三年来、これにつきましても厳正な指導をしてまいっておりますが、御指摘の筑後市の中島市議の例をおあげになりましたが、この点につきましてはもちろんこの例に漏れるものではございません。事実調査の上、そういう事実がございますれば、厳正な措置を講じたいと考えております。 また、第二点の筑後市の保育所の問題でございますが、失業対策事業につきましては、労働大臣がその事業計画を立てることになっておりまして、この中身といたしましては、いわゆる公共以外の施設につきましては、失対事業の就労を認めておりません。したがいまして、こういった市の所有する物件でございましても、これを個人が借り受けて保育所を運営しております際には、失業対策事業計画といたしましては、これに失対就労者を就労させるということは一切認められないわけでございます。もしこのような事実がございますれば、これも実情を調査いたしました上で厳重に措置いたしたい、かように考えている次第でございます。
○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねいたしますが、事実を十分調査した上の発言でございます。この問題は労働省の監督不行き届きである、そういうことを率直に認められるべきだと私は考えるのであります。確かにきのうきょうの問題でもなく、大臣就任以前からの問題でありますけれども、今後の決意をも含めて大臣の所感をここでお聞きしたいと思います。
○野原国務大臣 失対事業につきましては漸次改善を加えておりますが、福岡県の問題につきましては、調査の上厳重に措置いたしたいと考えております。
○大橋(敏)委員 厳重に御調査をなさるのは当然のことでございますが、私がいま労働大臣に申し上げましたように、あなたが御就任なさってからの問題ではないけれども、労働大臣として、いまのような事実があるとすれば、当然国民に対して何らかの意思表示、すなわち遺憾の意を表すべきじゃないか、私はこう思うのですけれども、その点はどうですか。
○野原国務大臣 御指摘のような点はまことに遺憾に存じます。したがいまして、至急に調査をさせまして、今後は善処するということにいたしたいと考えております。
○大橋(敏)委員 これまでの審議をいろいろと総合してまいりますと、確かに労働省としては、いままで失対事業の正常化にかなり努力なさったことも私は認めないわけではございません。しかしながら、失対事業の中にはまだまだかなり根深い問題点が残されております。そこで、私は思うのでございますが、労働省として、この失対事業の正常化、あるいはこうした問題が山積しております今日、実情調査団というものを派遣なさる意思はないかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
○住政府委員 失業対策事業の正常な運営、就労秩序の確立等につきましては、従来からもいろいろ努力をいたしておるのでございますが、まだ十分その実があがっていないということについては非常に遺憾に存じております。今後、常にそういう方向で対処していかなければならないと考えております。特に福岡県の場合は、石炭離職者とか非常に失業問題のむずかしいところでございまして、現在失業対策事業の規模も相当数にのぼっておるわけでございます。いろいろ御指摘のような問題もございますし、従来からもいろいろ県を通じて指導もいたしておりましたし、私どものほうで担当官等も設けましていろいろの措置をとっておったのでございますが、今回御指摘のような問題もございますので、責任ある者の調査をすみやかに実施いたしまして対処してまいりたいというように考えております。
○大橋(敏)委員 とにかく、いま福岡県においては非常に乱れているといいますか、こうした議員でありながら失対に籍を置く、しかも二重取り等の問題が次々と出ております。さらに、いまわが党の黒柳議員のところには、まだまだ佐賀県からも、あるいは北九州からも、そのほかいろいろな県から実情が訴えられております。また次々とこういう問題が出てくるように思います。ですから、少なくとも直接の担当者である失対部長ぐらいは直ちに現地に調査のために派遣なさる、それが当然ではないか、私はそう思うのですが、どうでしょうか。
○住政府委員 ただいま申し上げましたように、失対部長が適当かどうか別といたしまして、責任ある者の派遣をいたしまして実情の調査に当たりたいと思っております。
○大橋(敏)委員 それでは、きわめて要領よく答弁をしていただきましたので、この辺で切り上げたいと思いますが、最後に労働大臣にお尋ねいたします。 いま局長が答弁いたしましたように、いまの福岡県等は特に問題の多いことでありますので、調査団やあるいは責任ある者を出すということについて、大臣から確たる答弁を願いたいと思います。
○野原国務大臣 失対事業の運営につきましては、はなはだ遺憾な点が多かったということを率直に感じます。したがいまして、今後は厳正に進めたい。そのためには、必要に応じて調査もいたしますし、今後の対策を講じたいと考えております。
○大橋(敏)委員 私はもう少し質問したいと思っておりましたけれども、時間の関係もございますので、最後に一言要望申し上げて終わりたいと思います。 私たちは、何も失対労働者そのものを責めているわけではないのであります。先ほどから何回もくどいように言っておりますが、議員という身分にありながら、しかも失対就労の収入の制限を越えていながら、しかも失対に籍を置いて二重取りをやっていくというような、こういう問題について徹底的に措置をしてほしいということでございます。 それから、先ほどの保育所の問題でございますけれども、確かに現在のままの運営というものは、まことにあきれ果てたものでございます。しかしながら、いまそこに預けていらっしゃる市民の皆さまの幼児、乳児の方、その家族の方たちの便宜等を考えますならば、保育所そのものの必要性は十分にあるわけでございますので、もし労働省として厳正なる措置をとられるといたしましても、その保育所が何らかの姿で、いまのような姿でなく是正された姿でさらに運営が続けられるような措置を、厚生省とともに取り合ってやっていただきたいということでございます。 これは私の強い要望でございますが、大臣に一言お答え願いたいと思います。
○野原国務大臣 御要望のことはよくわかりました。今後十分連絡をとりまして実現につとめたいと考えております。
○大橋(敏)委員 終わります。
○倉成委員長 西田八郎君。
○西田委員 私は、先日表明されました大臣の所信をもとに質問をいたしたいと存じます。 大臣もその所信で表明されておりますように、一九七〇年代は飛躍と発展と調和の年だといわれております。特に脱工業時代などといわれて、産業構造の変化が、好むと好まざるとにかかわらず要請されております。そして、必然的に労働力の流動、労働の質の変化など、急激な変革を余儀なくされるであろうことが予見されるわけであります。それにふさわしい労働者生活の向上、労働者福祉の増進ということは、きわめて重要な問題でなければならないと存じます。かかる見地から、以下各論にわたって、大臣または関係者に対しまして質問をいたしたいと存じます。 なお、与えられました時間が約一時間でありますから、その時間の都合等もありまして、後刻この社会労働委員会に審議が予定されております議案に関連する部分につきましては省略をいたしたいと存じます。 まず、雇用対策でありますが、大臣の所信としては基本的に同感ではありますけれども、しかし、労働力の円滑な流動をはかるというためには、まず第一番に、私は住宅政策でなければならないと存じます。そういう意味で、特別に何かその対策があるのかどうか。建設省等で考えておられるところの住宅建設その他によってこれを転嫁していこうとする意思があるのではないか、こういう点についてひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。
○野原国務大臣 御承知のとおり勤労者住宅大体一万戸建設を考えております。しかし、それだけでは十分ではないのでありまして、実は労使間の話し合い等も考えまして、将来は勤労者の人たちに家を持ってもらう持ち家政策を検討しております。そういった問題がわが国のよりよき労働慣行にプラスになる、産業経済の大きな発展に役立つのではないかとただいま検討中でございます。
○西田委員 それに関連をいたしまして、われわれ労働者は失業保険、健康保険、厚生年金、またサラリーマン税ということでかなりな勤労所得税を払っておるわけであります。したがって、税金分を差しおいても、われわれが国家の中に預けておる金というものはずいぶん多額にのぼると思うわけであります。そうした積み立て金を取りくずせとは言いません。また還元融資せよとは言いませんけれども、そうした積み立て金があるわけでありますから、それと同じような見合いにおいて、もっと労働者に積極的な持ち家制度というものをつくるべきが至当ではないかと思うのですけれども、これに対して所信はないですか。
○野原国務大臣 全く同感でございます。この問題についてはひとつ積極的に実現の方向に向かって検討いたしたいと考えております。
○西田委員 積極的というのはわかるのですが、大体今度の予算の中でも、事前に考えられましたものの中に、失業保険を十年以上支払った者に対して、企業の保証をたてまえとして融資をするという形が出されておったと思うのです。しかし、それはどうなったのか。今度の予算の中には見受けられないのでありますけれども、そういう点については今後どういうふうに考えておられるか。
○住政府委員 先ほども大臣から申し上げましたように、労働省と申しますか、職業安定局といたしまして、雇用促進という観点から、移転就職者が住宅がないために移れない、こういう観点から、移転就職者用の住宅一万戸の建設をずっと続けておるわけでございます。これは来年度もそのように考えております。さらに、雇用促進事業団におきまして、これまた雇用促進という観点から、事業主が従業員のために住宅等の手当てをする場合に融資をいたしております。したがいまして、労働者個人に直接いろいろな手当てをするということは、住宅政策といたしまして、現在のところ建設省が中心になってやっておることは御承知のとおりでございます。住宅公団だとか住宅金融公庫その他の制度で、大いに住宅供給をやっておるわけでありますが、先生の御指摘は、労働省においてもそういうようなことを考えたらどうだ、こういうことだと思うのでございます。実は、率直に申し上げまして、私どももそういうような考え方を持っておりますが、住宅政策の一元化等との関係もございまして、なかなか問題点も多うございますので、いろいろ関係各省等とも相談いたしまして、できればそういうような方向で実現できるように、現在せっかく勉強中でございますので、御承知をいただきたいと思います。
○西田委員 何かちょっと論理が矛盾するように思うのですけれども、雇用促進のほうでは一万戸認められておる。そして、新しい方法を講じようという場合には、それは住宅政策の一元化ということで認められないのだ、おかしいのではないですか。それならば雇用促進事業団の分もなくして、一元化の方向でいくべきだと思う。したがって私は、一元化というのは、言うことであってなかなかむずかしいことだと思いますので、今後もいま局長の御答弁のあった分については、努力をしていくと約束をしていただけますか。
○住政府委員 先ほど申し上げました雇用促進事業団のほうは、雇用促進、労働力をどう流動していくか、要するに労働者が再就職しやすいようにということで、事業主に対していろいろな施策を講じておるのでございます。ちょっとことばがよけいで、住宅政策のことまで申し上げて恐縮でございましたが、先ほども申し上げましたように、さらに労働者個人についてもそういうような制度ができないか、それは労働者の福祉あるいは財産形成のためにも非常にいいことだと考えておりますので、現在研究をいたし、関係各省とも相談してまいりたい、こういうように考えております。
○西田委員 次に、日本の年功序列型賃金というものが、労働力の流動というものを非常に阻害しておるように思うわけであります。そういう意味で、今日職場転換給付金というものが雇用対策法できめられまして、これは事業主に支給されておるわけでありますけれども、現在の額ではたして十分なのか。といいますことは、予算が四億から減っております。そうしたことを考えましたときに、どうも言うことと、予算等でなすこととが表裏つながっていないように思うわけでありますが、その点、この職場転換給付金が見積もられておる程度でスムーズな労働力の流動ができるのかどうか、その点ひとつ関係者の御答弁をいただきたいと思います。
○住政府委員 御指摘のように、職業転換給付金につきましては、いろいろな手当をいたしまして、労働者が職を離れた場合に、再就職を早めるという観点から、いろいろな措置をしておるところでございます。歴年不用額等も出ておるのでございますが、これは、一つには失業保険の適用の拡大等も行なわれまして、失業保険の受給期間中に再就職が行なわれるというようなこと等もございまして、必ずしも全額使うというようなことにはなっておらないのでありますが、失業保険を受給し終ってもなお就職できない方々とか、失業保険を受給できない方々の再就職のためには、非常に効果のある制度だと思っておるわけでございまして、私どもそういう各種手当等につきましての増額等をはかりまして、大いに利用していただくように考えておるわけでございます。
○西田委員 増額をはかると言われながら、ではどうして予算では減っているのですか。その辺のところをひとつ聞かしていただきたい。予算はことしその部分は減額されておりますね。
○住政府委員 年度当初に、大体この制度を利用していただく方々の数字の想定をいたしまして予算を計上しておるわけでございますが、最近ここ数年間の傾向等を考えますと、対象人員が減っております。これはもう御指摘のとおりでございますが、他方、内容の充実ははかっておるわけでございます。にもかかわらず、減っておりますのは、対象人員の減少を見込むことによって、予算額の計上が少なくなっておるのでございます。
○西田委員 大体了解いたしました。 次に、農業従事者の離職の問題でありますけれども、長い間の土地に対する執着というものが、そう簡単に農業から離れるということを許さないと私は思うのです。したがって、そうした農業離職者に対する一種の意識革命というものが今後必要になってくるのではなかろうかというふうに思うわけでありますが、それに対して何か妙案を持っておられるかどうか。ひとつ大臣お答えいただきたいのですが……。
○野原国務大臣 農村から離れて他の産業に従事する、いわゆる離農の方々が非常にふえてくることを予想いたしまして、これに対しましては、労働条件をよくするためには職業訓練という問題がございます。職業訓練に大いに力を入れてやると同時に、やはり農村の方々の相談相手となる相談員制度をつくり、あるいは巡回相談といったようなことをやりまして、適格な人たちがいかなる方面に就職したらいいかというふうなことを十分に周知させまして、そうして職業訓練にもつかせる。訓練手当であるとか、あるいは移転手当であるとか、その他いろいろな特別の手当を出しまして、できるだけ農村から進んで他の職業につこうとする方に対してはお世話申し上げよう、こういうことで、いま労働省は一生懸命その対策に取り組んでおる状態でございます。何とかひとつ円滑に、総合農政の一環の一役をになって、農村の方々のためにやってやりたい、こういうつもりでございます。
○西田委員 それらの具体的な施策についてはわかりますが、問題は意識の問題ですね。それをどういう形において処理をしていくか、消していくかということが問題だと思うのです。土地というものは、長年、先祖代々、あの土地が自分のものになったらということで、小作人の時代から土地に恨みを持ってきたわけです。それが終戦後の農地開放により自分のものになったわけです。ですから、これはきわめて重要な宝ものをもらったという意識があるわけです。その土地を今度は離して農業を離れて新しい職場に入っていくというふん切りですね、きわめてむずかしいのは。あるいはこれは農林大臣に聞くことかもわかりませんが、そうしたことを適切にやらないと、なかなか農村の労働力の第二次産業への流動ということは考えられないと思うのです。その辺について、何か的確な所信があるのか、あるいは方法を持っておられるのか。
○野原国務大臣 現在の農村から離れてしまうということはなかなか困難な問題でございます。したがって、農家はある程度の農業経営をやりながら一面においては所得の道を得るという兼業の姿でだんだんと進んでいくであろう。しかし、やがては土地を離れ、新しい職業で身を立てるという方もふえてくると思います。しかし、これを無理にやろうとするわけじゃないのでありまして、これはやはり時間をかけて、その方々が安心して希望を持って新しい仕事に取り組んでいけるというような状態をつくるためには、職業の訓練であるとか、いろいろなお世話をする必要があると思うのであります。そういう面では、特に中高年齢層が多い農村地帯でございますから、必ずしも十分な職業が与えられるかいなか、実は非常に心配でございますけれども、あくまでもそういう面に対しましては、職業の新しい分野の開拓について相談員制度を置き、あるいは巡回相談等をやりまして、できるだけ多くの人たちが安心して従事できるように訓練等も進めてやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○西田委員 これ以上お伺いすると農業政策になりますからやめます。 次に、海外からの労働力の流入ということが、最近経営者特に繊維の経営者あたりから口に出されてきておるわけでありますけれども、そういうものに対して大臣の所見を伺いたいのです。
○野原国務大臣 海外からの労働力の問題は、やはり、東南アジア等におきましては、職業訓練とかあるいは新しい技術の開発といったような面でいろいろな要望があるようでございますけれども、しかし、直ちにそれを日本の労働力に加えてこれを導入してやっていくという段階ではない。むしろ国内における未開発の労働力を開発をする、あるいはむだをなくすとか、あるいは家庭婦人等を労働の仕事の面に動員できるものはする。あらゆる面で国内対策を十分に立てた上で、ずっと将来の問題としてはあるいは起こり得るかと思うのでありますが、私どもは、目下外国の労務者、労働者をお迎えするというふうな姿勢はとっておりません。
○西田委員 次に、この雇用対策の中で重要なものに家庭婦人の職場復帰という問題があると思う。最近ミセスパワーというようなことばも使われまして、いわゆる第三次産業からの第二次への移動、あるいは第一次産業から第二次への移動というようなこととあわせて、ミセスパワーというのはきわめて重要な問題だと思うのですが、それについて、潜在能力のある婦人が、実際は家庭の都合等もあったり、あるいは通勤、就業の時間等の関係があって、自分が過去経験した能力を十分生かして使えない場合があると思うのです。そうしたことは、できるだけやはりその能力を生かして使うという方法を考えなければならないと思うのですが、それにしてはあまりにもこれらの人たちの労働条件が非常に劣悪であります。パートタイムにしましても、臨時工にしましても、非常に労働条件が劣悪であるわけでありますけれども、これらに対して婦人少年室を通じてか何かの方法でその努力をなさっているのかどうか、お伺いしたいわけであります。
○野原国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どもも、家内労働力などを十分に活用したいということで、この国会には家内労働法を提案することになっておりますが、こうした面でまだまだ働く人たちのために十分の新しい分野をひとつ開拓していこうということで意欲的にやっていこうというわけでございます。詳しいことは局長から答弁させます。
○高橋(展)政府委員 お答えいたします。 家庭婦人の潜在能力を活用する、そのための条件整備ということでお尋ねいただいたように思うのでございますが、おっしゃいますように、中高年婦人の潜在能力というものは、外国の場合と比べましたときに、まだ日本では雇用率も高くなくて格差がございますので、今後の進出に期待できるところがかなりあるように思われます。 ただ、いろいろな条件がそろっておりませんために、これらの家庭婦人たちが、就業を希望しながら働けない、こういう状態もあるように見受けられるのでございます。これに対しまして、大臣から申し上げましたように、家庭の中で就業するということのための条件整備も考えまして、家内労働法等によりましてそれらの就業の条件を改善してまいるとともに、また、家庭婦人が家の外に出て職場に通って働くことのための援助もしてまいりたい。たとえば就業分野を拡大いたしまして、家庭婦人が働くところの分野を、現在のように非常に単純な条件の低い分野だけではございませんで、その能力を十分に発揮できるような場所で働けるように職業紹介等を強化いたしましたり、あるいはまた、職業の技能を賦与いたしますために職業講習、職業訓練を強化いたす、あるいはまた、お話も出ました家庭生活との調和をはかるために、パートタイム雇用制度の条件を整備いたしますとか、あるいは特に子供の世話という問題に対処いたしまして、託児のための諸施設を設置してまいる、そのようなことを今後十分に充実強化してまいりたい、そのように考えておるのでございます。
○西田委員 条件の整備の中で、たまたま出たわけでありますけれども、このパートタイマーということになりますと、社会保険の適用の範疇外に置かれておるわけであります。一応失業保険が、一定の厳格なる条件のもとで支払われるということになっておるわけでありますけれども、その他は除外されているように思うわけでありますが、これらについて、現在の適用の条件を緩和する意図はありませんか。
○住政府委員 パートタイマーに対する失業保険の適用の問題でございますが、従来の臨時的あるいは内職的なパートタイマーから非常に態様が変わってまいりまして、ほとんど常用と変わらない。労働時間も長くなり、雇用期間も長くなる。さらに賃金だとか労働時間等について、就業規則等の適用も明瞭になってきております。そういうような実態からいたしまして、御承知のように、一定の条件のもとに失業保険の強制適用にいたしておるわけでございますが、いま申し上げましたように、実態等も変わってきておりますので、そういうように雇用関係が通常雇用と変わらなくなってきておる段階におきまして、実態把握の上、強制適用の範囲を広めていきたい、こういうように考えております。
○西田委員 先ほど高橋局長から託児の問題が出されたわけでありますけれども、たしか大阪府下で一カ所夜間の託児をやっているところが、それが条件が沿わないのか、何か公認されずに、そのままになっておるという話を聞いております。これから特に産業の発展、技術の革新というものから、ただ昼働くというだけでなしに、二交代制というようなもの、あるいは変則二交代制というようなものも余儀なくされてくるのではないかと考えました場合、夜間における託児の方法について、何か局長のほうで試案をお持ちか、方針をお持ちか、お聞かせいただきたい。
○和田政府委員 労働基準法関係で、夜間の問題について多少お答え申し上げておきたいと思います。 託児所につきましては、基準法の第八条第十三号に該当することになっております。したがいまして、労働時間につきましても、普通の婦人の制限よりは緩和されておりまして、一日九時間まで働ける。それから基準法の六十二条で、深夜業につきましても一応制限がないことになっておりますので、労働時間の九時間の範囲内であれば、夜間でも一応託児所の保母さんは働けるというかっこうにはなっております。
○西田委員 そういう見解があるとするならば、ひとつそうした見解で、この夜間託児というような方法も今後十分配慮をいただきたいということを申し上げます。 次に、労働大臣にお伺いするわけですが、この婦人の労働関係に関するILO条約八十九号で、工業に使用される婦人の夜業に関する条約、さらに百三号で、母性保護に関する条約、百十一号で、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、こういう勧告の各号があるわけでありますけれども、これは日本がまだ批准をいたしておりません。最近、韓国あるいは香港等におきまして、婦人の深夜労働というものが大っぴらに認められるようになりました。そして、その認められる理由として、私どもの情報で入ってきておりますのは、日本が寸そうしたILO関係の条約を批准していないではないか、したがって、基準法では禁止されておるけれども、実際はやっているんではないかというような形から、どんどんと取りくずしをされていっておる。これはアジアの地域の労働組合の連帯しておるALOというところにおいて問題になっておるわけであります。したがいまして、この問題は、きわめて重要な問題だと思います。これに対して、大臣は早急に批准する手続をとる意思があるかないか、その点をお伺いしたいわけであります。
○野原国務大臣 ILO条約の問題につきましては、できるだけ早く批准すべきであるということでありますが、条件等をできるだけ早く整備いたしまして行ないたいと考えております。 また、先ほどの御意見につきましては、基準局長から御答弁させます。
○和田政府委員 いまおあげになりました三つの条約につきましては、深夜業につきましての工業的業種は、御存じのように禁止してございます。しかし、条約を批准しないことに伴いまして、いろいろな誤解が生じているのではないかという趣旨の御質問でございますが、ILOの適用委員会でも、その問題は、私どもいろいろ報告をいたしておりますし、監督年報も出しておりますので、万なかろうとは存じますが、今後の問題につきましては、ただいま労働基準法研究会でいろいろ研究をしていただいておりますが、それらの検討の結果を待って善処いたしたいと思っております。
○西田委員 次に、職業絡介について二、三お尋ねをいたしたいと思います。 最近、学卒者の青田買いというのが非常に激化してきておりますが、これに対して何か防止する対策あるいは防止の方針がございましたら、ひとつお伺いをいたしたい。
○住政府委員 青田買いの問題は、特に高校卒について激しいのでございます。従来いろいろそういうことは、学校教育の観点からも、あるいは適正な職業選択の観点からも望ましくないということで努力いたしておったのでございますが、必ずしも思ったような効果をあげておりません。そこで、実は明年三月卒業生の選考の問題をどうするかということで、昨年の初めからいろいろ業界、文部省、そういったところと協議を重ねてきたのでございますが、ことしの方針といたしましては、選考時期としては八月一日以降を厳守する、その厳守する担保をどうするかということでございますが、一つは、たとえば高校が直接求人を受ける場合であっても、安定所の選考期日についての確認を受けるということ、それから、それ以前の早期の選考については、高校が紹介しない、これを、ことしの八月一日でも——早いのでございますが、とにかく八月一日で守ろうじゃないかということで、労働省、文部省あるいは業界、各団体等とも意思疎通ができておりまして、それを地方の段階にさらにおろして、同じような徹底をはかるということで、とにかくことしは、八月一日以降の選考ということで目下努力しているわけでございまして、ぜひ効果をあげたいというふうに考えている次第でございます。
○西田委員 それはぜひとも守っていただきたいと思うわけであります。子供も安心して勉強していられぬだろうと思います。もうすでにこの三月で卒業ですね、そうすると、来年三年生になる子供に、もうすでにつばつけというのですか、そういうものが始まっているわけでありますから、厳格にお守りをいただきたい。 それと関連をいたしまして、文部省などと協議いたしまして、いわゆる後期中等教育の中に職業課程というようなものを導入される意思はありませんか。
○石黒政府委員 その点は、私ども実は切望しているところでございまして、現在の工業高校生におきましては、職業教育的なものもやっておりますが、これは全時間の一五%くらいで、非常に微々たるもので、もう少し職業教育をし、かつ、特に実技の教育をするというような課程が、後期中等教育並びに高等教育に取り入れられることを非常に希望いたしておりまして、文部省にもいろいろな機会に申しておりますが、なかなか学校制度というのは大きく変えるのはむずかしいのでございまして、いましばらく時間がかかる問題ではないかと思っております。
○西田委員 もう一つ、これはきわめて重要な問題でありますけれども、精神薄弱者あるいは身体障害者、こうした方が当然守られなければならないのに、それが一般の求職者といわゆる割り当て制というような形において職場に送られてきております。その人たちが就職するということは予期していなかった企業におきまして、それに対応すべき職種がないので、非常に無理な仕事をさしておるという実態がある。こういうことに対して十分気を使っていかなければならぬ。特に、十人雇ったところは、十人今度は新しい人を割り当てるから、その中にこの一人一人採れというようなことを、現地の職業安定所で強要されるというような事実があるわけです。こういうものに対して、どうですか、お考えをひとつ聞かしていただきたい。
○住政府委員 これも先生御承知のように、身体障害者については雇用率を設けております。民間の事業所の場合は一・三%、官公庁の場合は一・七%という雇用率の設定がございます。これはもちろん強制ではございません。努力すべき義務ということで、身体障害者雇用促進法に規定されております。身体障害者の雇用につきましては、障害の部位だとか、残されておる労働能力だとか、そういうことを判定いたしまして慎重にやらなければならない。むしろケースワーク方式で私どもやっておるわけでございますが、いま御指摘のような事実があれば、それはたいへん遺憾なことでございまして、ほんとうに身体障害者の残存能力なり、どういう作業に向くか、職業に向くか、こういうことをほんとうによく判断して職業紹介すべきであることは当然のことでございますので、さようなことが行なわれておりますならば、たいへんなことでございますので、十分そういうことのないように徹底をはかっていきたいと思っております。
○西田委員 この件に関して、もしそういう事実が明らかになれば、その点については十分なる処置をするということですね。わかりました。 次に、沖繩の軍関係の労働者の離職対策でありますけれども、これも大幅な援助だとか、あるいは手厚い対策だとか、いろいろと美辞麗句が並べられておるのですけれども、これは現行の国内法によってしかできないと思うのですが、これもやはり本土並みではないのですか。この辺のところ、特別に何か対策があるのかどうか。
○住政府委員 現在沖繩の軍労務者の離職対策につきましては、大体本土の駐留軍関係離職者等臨時措置法と同じ法律が実は昨年制定、公布されて、ことしの一月十日から、施行規則もできまして、動いております。同じレベルの法律ができ上がって動いておるということでございます。そこで、ひとつどのような手厚いことをしておるかということでございますが、たとえば本土就職の場合に、普通の規定でまいりますと、移転費用というものは限度があるのでございますが、沖繩の離職者が本土に就職するという観点から、普通以上の移転資金を出す、さらには、本土に着きました場合に、移転援護金というものを支給いたしまして、本土、沖繩間の流動化が円滑にできるようにいたしております。 さらに明年度は、特に雇用促進事業団におきまして、離職者援護センター等をも建設いたしまして、離職者のほんとうに親身になって相談ができる援護措置ができるように、そういうこと等を考えておりますとともに、沖繩の軍労務者が本土に来て、さらに再離職するような場合は、本土の離職者臨時措置法と同様の措置が受けられるように、予算措置等も講じているわけでありまして、そういうようなことが、大臣の所信表明で申し上げました中身でございます。
○西田委員 雇用対策の総括といたしまして、私特に大臣並びに関係局長にお願いをしておきたいわけでありますけれども、やはり雇用対策というものは、これは正常なあるいは健全な生産秩序を守るという企業を対象にして行なわれなければならないと思うのであります。生産秩序を破壊するような行動、たとえば基準法違反であるとか、あるいは公害を出しているとか、あるいはまた、その他の法令に違反をしている、先ほど冒頭で質問のありました愛媛県西条の松下寿工業の問題もそうでありますけれども、そうした法令に違反をしているところへのあっせんというものはなすべきでないと思います。したがって、そうした問題も厳重に監督、監視し、そうした上に立って、労働者を送っても安全だ、しかも、その産業が発展することが国益の増強につながるのだという確信を得てあっせんをすべきだ、雇用対策というものはそういう形の上から生まれてこなければいけないと思うのですが、現実に労働基準法に違反し、あるいは諸法令を守らないところにあっせんされている、こういう事例があるわけですから、その点は十分御注意をいただきたいと思うわけであります。これについて大臣からひとつお答えをいただきたい。
○野原国務大臣 御趣旨の点よくわかるわけでございます。その方向に向かって今後十分対策を講じたいと考えております。
○西田委員 もう一つ、要望といいますか、いたしたいことは、現在の労働省の機能と、そして予算の範囲内できわめてむずかしい七〇年代初年の労働対策、特に雇用対策というものができるのかどうか。一部コンピューターの取り入れ等による職業あっせんセンターなんかも増設をされるように聞いておりますけれども、それ以上のテンポで産業界は進んでいく。そういうものについて十分対処ができるのかどうか、お伺いしたいわけであります。
○住政府委員 労働力不足は現実問題として非常に深刻化してまいるということは御指摘のとおりだと思います。私どもそれに対処いたしまして、いろいろな施策を講じておるのでございまして、万全の対策がとれるかどうかについては、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、万全の対策をとるように努力をいたしているつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
○西田委員 意地の悪いことを言うようですけれども、職業安定所あるいはそのほか職業紹介等の業務を現地に視察をいたしますと、何ぶん人手が足りませんのでということで、窓口で労働者は一日あるいは半日泣かされているし、一回で済むところを三回も四回も通わされているのであります。これはいまおっしゃったことに間違いありませんね。やっていただけますね。
○野原国務大臣 いままでのところ、まだそういった遺憾な面が皆無ではないので、したがって、率直に今日までのことを反省もしまして、今後の新しい日本の経済の発展のために役立つような労働行政を真剣に打ち立てたいと考えている次第でございます。
○西田委員 次に、労働者の環境整備等についてお伺いしたいわけでありますが、労働大臣が所信表明された中で、労働条件で一番大切な賃金と労働時間と休日に一言も言及をされていないわけであります。これは一体どういうわけなんですか。
○野原国務大臣 休日の問題やその他につきましては、当然のことと考えまして言わなかったわけでございますが、働く人たちの立場というものを十分に考えて、今後も従来以上にその問題に対しては理解をもって進めたいと考えております。
○西田委員 そこでお伺いしたいのですけれども、最近、総評、同盟、中立労連、いわゆる日本のゼネラルユニオンといわれる大きな組合がいわゆる春の賃上げ闘争というものを展開をいたしております。これに対して労使の激突ということも予想されるわけでありますが、片や、生活を守るという立場から、きわめて高い賃率を要求をいたしております。片や、経営者側におきましては、生産性を上回る賃金の支払いはできない、こういうようなことで事前からきわめてにぎやかであります。しかし、日本の労働者の賃金というものは、長い弾圧の中で低賃金であえいでまいりました。したがって、今日総生産性を上回る賃金の上昇をもってしても、なおヨーロッパの労働者の諸君のそれに見合わないわけであります。ここに経済生産は自由諸国第二位、その所得は第十九位といわれる矛盾が存在するのではなかろうかと思われます。もちろん、農業の近代化あるいは中小企業の近代化等をはかる中から、全体の総生産というものを引き上げるということも考えなければなりませんが、しかし、それにしても、あまりにもみじめな労働者の賃金であると思考するわけでありますけれども、これに対してひとつ大臣の所見を聞かしていただけませんか。
○野原国務大臣 この問題はきわめてむずかしい問題でありますが、私どもは日本経済は今後もますます安定して成長を続ける必要がある。同時に、まだまだ国内におきましては社会資本の充実が十分でない。したがって、そういった公共投資も必要でございますし、また各企業におきましては、設備の投資、近代化などもいたしていかなければならぬ。そして生産も大いに上げていくということで、その中で使用者側と働く人たちとの間に、適切妥当な話し合いのもとに、均衡のとれた形で賃金が上昇するということが好ましいと思います。同時にまた、言うならば、生産性が上がった分については、ある程度国民消費者にも還元する必要があると考えております。そういった国民を忘れての、労使だけの話し合いでも困る。そういった形でどうしてこうした均衡のとれた健全な発展ができるかという問題につきましては、労使双方あるいは学識経験者、労働省も加わりましてすでに発足しておりますが、産業労働懇話会のごとき機関がいろいろと自由に話し合いをいたしまして、お互いに理解と協力をもって今後の政策を進めていくということが好ましいと思います。今日、諸外国よりもむしろ非常に困難な問題がたくさんあるわけでございますが、そういった面で、単に労働賃金だけを上げるということにつきましてはなかなかむずかしいと思います。やはり、いかにして均衡のある話し合いで円満に進めていくかというところに問題があろうと思います。日本経済というものは、今後ともますます健全に発展をしなければならぬ、成長を続けていく必要があるという観点において、その成長を可能ならしめるような両者の理解ある態度が日本経済の今後を決するのではないかというふうに考えております。
○西田委員 これは大臣の所信として承っておきまして、議論をすれば切りがないのでやめます。 次に、中小企業に働く労働者の労働条件を確保するために監督指導を進めるということにうたってあるわけでありますが、どの程度の監督をなさるのか。場合によると、私企業介入というようなことでシャットアウトを食らうようなこともありはしないか。そういう点でどの程度その監督指導をお進めになるのか、ひとつお伺いをしたいわけであります。
○和田政府委員 監督指導につきましては、もう長い間の基準行政の経験がございますので、大体問題のある事業場というのはそれぞれの監督署ではおおむね把握をいたしております。そういうところに対しましては、安全衛生関係を最重点にいたしまして、要するに労働災害の防止ということを最重点にいたしまして監督を実施いたし、特に悪いと思われます事業場につきましては、特別指定をいたしまして、俗に特安事業場、こう言っておりますが、特別安全指導をするような事業場等を指摘をいたしまして重点的に監督指導しておる。その中ではやはり中小企業がそういう指定を受ける率が高うございまして、そういう意味では中小企業に対する安全関係の監督を特に念入りにやっておる、こういうことでございます。
○西田委員 たまたまお伺いしようと思っておりました労働災害の防止対策というものが出たわけでありますけれども、私は三年ほど前に災害防止対策委員会というものが持たれまして、各労働基準局に委嘱をされておるわけでありますけれども、それにもかかわらず、最近の産業労働災害というものは非常にふえておる傾向にあります。そしてまた、ふえておっても、無災害記録を樹立せんがために、指の一本くらい落としたやつは健康保険で治療をさせるというようなことをやっておる業者も実際にはおります。これは私は知っておるけれども、ここであえて暴露する必要はないから暴露しませんが、そういう事実があります。そういうものに対する監督も十分に行ない得られるかどうか、ひとつお伺いしたいわけであります。
○和田政府委員 業務上の災害について監督署がたいへんやかましいので、業務上でありながらそれを私病として処理するというようなことを間々聞かされるわけでございますが、そういうことがあります場合には、もちろん私ども事業場に対しまして監督をし、それが事実に違反するならば必ず業務上で処理をするようにいたしております。私どもとしましては、ぜひ労働者の皆さんにも御理解をいただいて、事業場が何らかの意味でそういうようなことを指示するようであれば、遠慮なしに監督署のほうに申告をしていただきますれば、私どもとしては、そういうものはぜひ是正をさせたい、かように考えております。
○西田委員 こういう現象が起こるのは、やはり労災保険の掛け金のメリット制ということからくるのではなかろうかと思うのですけれども、そういう点についてはどうお考えになりますか。
○和田政府委員 メリット制が直ちに業務上の疾病を私病的な扱いにするということにつきましては、確かにものの考え方として一応成り立つと思いますが、実際に監督を実施しておりますと、そのことよりもむしろ、うちの安全が悪いということのほうが、メリットから離れて、求人その他の問題も考えて、いま御指摘のあったようなことが言われる。このごろでは一般に、あそこの事業場では非常に業務上が多いというようなことになりますと、事業場としては世間体が悪いというような問題のほうがむしろメリット制よりはウエートが高いのではないか、かように考えております。
○西田委員 これは欲ばりな質問になるかもわかりませんが、いよいよ十四日に万博が開催されまして、十五日から一般公開をされるわけですが、この万博の工事場で、たくさんなくなった方あるいはけがした方等があると思うのですけれども、そういう労働者に対して、今度の万博に際して招待をするというような処置がとられておるかどうか。
○野原国務大臣 万博の工事に働いた人たちでとうとい犠牲になりました方が十八名ございます。この十三日に追悼式を行ない、同時に記念碑を立てるということで、遺族の方々をお招きしてあるわけでございます。
○西田委員 次に、環境整備について二、三お尋ねしたいのですが、まず第一に、繊維なんか特にですが、独身者の単身雑居生活というものが非常に問題になっておるわけでありますけれども、これを解消することについてお考えがあれば聞かしていただきたい。
○和田政府委員 御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、お答え申し上げましてから、何でしたら訂正させていただきます。 繊維産業におきましては、独身で寄宿舎に入っている者がずいぶん多うございます。そういう点につきましては、もちろん雑居ということはございませんで、厳格に、精密に分かれておりますし、事業場付属寄宿舎規程によりまして、一定の衛生基準あるいは安全基準、要するに生活基準を定めております。ただ、それにつきましては、最近、繊維産業で特に現在の状況からすればその基準を引き上げるべきではないか、こういう声が主として繊維産業関係の組合の方から出ておりますので、四十五年度予算におきましては、その実態調査のための経費を計上いたしまして、どういう状態であるかの実態を明確にした上で、その事実に基づいて検討を加えさせていただきたい、かように考えております。
○西田委員 いまさら実態を調査するというようなことでは、もうおそいのではないかと思いますけれども、ひとつ力を入れてやっていただきたいことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。 次いで、単身者アパートを雇用促進という名目で建設をして貸していくというような考え方はないかどうか。
○住政府委員 原則として、雇用促進住宅は世帯用として建設をいたしております。
○西田委員 世帯だけでその雇用促進ということにはならないんじゃないかと思うのであります。やはり独身労働力というものはきわめて有能な労働力であるし、それの雇用を促進するということは、世帯主も単身者も同様だと思います。どうしてそれは世帯主だけに限られておるのか。
○住政府委員 従来の雇用対策の観点から、移転して就職する場合に、単身者よりも世帯主のほうが住宅に困る面が非常に多い。こういう観点から、原則として世帯用のものを建てておるわけでございます。 なお、雇用促進事業団の雇用促進融資、これは住宅対象があるわけでございますが、そういうものには、もちろん世帯用、単身用の区別はなくて、住宅融資として取り扱っておりますので、御了承いただきたいと思います。
○西田委員 これは議論をしたいのですが、あまり時間がないのでまたの機会に譲ります。 そこで、環境整備についての最後のお尋ねとして、持ち家対策について、税制あるいは資金面で改善をするというふうにいわれておるわけですが、税制で改善するというのは、一体どういう措置をとっていただけるのか、お伺いしたいと思います。
○和田政府委員 持ち家促進のための税制上の優遇措置の概要について御説明を申し上げたいと思います。 住宅貯蓄の所得税控除ということで、一定の住宅貯蓄につきましては、その積み立て期間中、毎年の貯蓄額の四%、限度が一万円でございますが、に相当する額を所得税額から控除することにいたしております。 第二点は、企業から従業員が受ける利子補給についての企業に対する非課税をしておりまして、一定の部分について利子補給されたものについては所得税を課さないことになっております。 それから、企業から住宅を低額で譲り受けた場合のことでございますが、従業員が企業から自己用住宅を時価より低額で譲り受けました場合には、時価との差額について発生する経済的利益については課税をしない、こういうことになっております。 それから、企業から住宅資金を低利または無利息で借り受けた場合でございますが、この場合には、通常の金利との差額について発生をいたします経済的利益については課税をしない、こういうことになっております。 それから、企業から新築住宅を譲り受けた場合には、登録免許税の減税、こういうようなことを行なっておりまして、通常千分の五十を払うべきところを千分の一ということにいたしております。 次に、企業が従業員に分譲するための住宅を取得した場合の不動産取得税の非課税でございますが、企業が従業員に分譲する目的で取得した新築住宅を六カ月以内に従業員に譲渡した場合には、企業に対しては不動産取得税を課さない、こういうような措置を講じております。
○西田委員 住宅貯蓄の控除額が一万円というのは少し低いんじゃないか。引き上げる意思はありませんか。
○和田政府委員 ただいま御説明申し上げましたような状況でございますが、御指摘のように、私どももまだ低いと思いまして、ことしも大蔵省のほうには申し出をしたわけでありますが、他の減税全般の問題とのかね合いもありましたのか、四十五年度は実現いたしませんでしたが、今後さらに努力を続けたいと思います。
○西田委員 次に、勤労青少年対策について一つだけお伺いをしたいと思います。 青少年が非生産部門で非常にたくさん働いております。特に風俗営業法で取り締まられております、十八歳未満の人は入場お断わりしますという看板のあるところに、従業員として十八歳以下の人が働いておる、こういうことはきわめて不健全なことではなかろうかと思うのですけれども、こういうところの就業を十八歳まで禁ずるという意思はないかどうか、あわせて、これを二十歳に引き上げる意思はないか、お伺いしたいわけであります。
○野原国務大臣 青少年が、たとえば町のパチンコ屋などに就職するという問題、これは、今日の時代から見ましても、必ずしも好ましいことでないという点で、実はパチンコ営業等に若い人たちが就職することに対しては、むしろ制限すべきではないか、禁止をさせるという意見もありまして、これは検討に値すると考えております。新しいそうした分野、特に第三次産業の遊興飲食といったような方面に就職することについては、できるだけこれを避けさせたいと考えております。
○西田委員 関連をいたしまして、英国等でとっております選択雇用税というようなものも考えておられないかどうか。
○住政府委員 選択雇用税の問題でございますが、イギリスがそういう制度を採用するに至ったいきさつ等につきましては、先生御承知のとおりだと思いますが、要するに、労働力が三次産業に流れ過ぎる、生産分野である第二次産業にはなかなか入らない、あるいは歩どまらない、こういうような状況から一つは考え出されたものだというように聞いておるわけでございますが、わが国の場合、現在の状況を見ますと、一次産業は構成割合が御承知のように非常に下がっております。同様な意味で、二次産業の割合というのが英国の場合と違いまして、必ずしもそう低くないというような状況等もございまして、直ちに選択雇用税のような制度が日本の場合に当てはまるかどうかということについては、なお検討の余地があろうかと思っております。ただ、今後の労働力不足に対処いたしまして、そういうような考え方が、あるいはいろいろな考え方があると思いますが、そういうことにつきましては、今後の労働力状況等も考え合わせまして、十分研究、検討をしていかなければならない、こういうように考えております。
○西田委員 いままでの質疑とお答えを通じまして、終戦直後に制定されました基準法を改正する時期にきているのではなかろうかと思うのですけれども、時間にいたしましても、もう四十八時間というのは古過ぎる。ILOにおきましても、四十時間がもうすでに採択されておるわけであります。そういうような問題について、この基準法を改正するという意思はありませんか。
○和田政府委員 労働基準法につきましては、いま御指摘のように、昭和二十二年から施行いたしまして、二十数年間たっておるわけでございます。その間におきまして、産業構造あるいは就業構造、社会構造あるいは社会生活全般に非常な変化があったことは事実でございます。そういうことにかんがみまして、最近基準法に対していろいろと各方面から御意見が寄せられておりますが、国会におきましてもいろいろと御論議が行なわれております。そういう事情にかんがみまして、私どもといたしましては、昨年の九月から労働基準法研究会ということで学識経験者二十人の方にお願いをいたしまして、これは労働基準法を改正するとかあるいは労働基準法を改正しないとか、そういうような前提を全く設けませんで、現在の法制が持っておる問題点、あるいは実態の動いている中で、現在の労働基準法で包摂し得るものがあるのかないのか、そういうような事実について専門的、客観的な御判断をいただいて、その結果の報告を寄せられることをお願いしておりまして、すでに四回ほど総会を開いていただいておりますが、非常に真摯な御検討をいただいております。今後なおしばらくの間その検討をいただいて、研究成果があがりましたときに、私どものほうに研究会から御報告を寄せていただく。その研究結果を待ちまして、いま先生の御指摘のような問題等につきまして、どういうところに問題があるかという所在をはっきりいたしまして今後に対処いたしたい、かように考えております。
○西田委員 そうしますと、労働基準法九十八条によって設置されておる労働基準審議会との関係はどうなるのか。それは純然たるということで、いろいろ問題点を発掘するためだ、あるいはそれらのことを検討するためだとおっしゃるわけですけれども、九十八条はそうした業務を含めて基準審議会にそのことが付託されることになっておると思うのです。基準局長は諮問に応じなければならないということになっておると思うのですが、この関係はどうなるわけですか。
○和田政府委員 いま御指摘のございましたように、基準法で基準法施行に関する重要事項及び法律の改正に関する審議をするための労働基準審議会がございます。これは公的な法律上の機関でございまして、政府が基準法の改正をするという場合には、必ずこの審議会を通さなければならない、こういうことになっております。それに対しまして、ただいま御説明申しました研究会は、そういう段階のものでございませんで、労働大臣が基準法に対していろいろの意見があるので、それを客観的、専門的にどういう状態にあるかを把握いたしまして、その上に立って、もしかりに基準法を変えなければならないというようなことになりました場合には、審議会にお願いをしよう、こういう諮問を申し上げるということになります。しかし、審議会自身のほうでいろいろ問題があるので、審議会自身として活動をするということも、審議会の権限として当然にございますので、審議会のほうが独自の行動をとられますことを私どもが制約する意思は全くございませんが、今度の研究会発足にあたりましては、それらの問題につきまして審議会にも御説明を申し上げ、審議会でもいろいろと御議論をいただきました結果、労働大臣の権限としてそういう機関を設けてやることについては、今後研究会の研究の中間的な段階で、しばしば審議会に報告することを条件にして設置を容認されたような次第であります。
○西田委員 この点はまだ誤解があるようでして、私どものほうに相当の苦情も入り込んでおることでございますから、ひとつ基準審議会のほうの理解を十分はかっていただくように要望をいたしたいと思います。 最近労働運動も非常に国際化してまいりました。海外に出る、これは労働者の代表だけでなしに、経営者も含めて労働事情の調査に行かれるわけであります。そして、ことしの予算を見ますと、バンコクに労働出張所という意味ですか、これを設けられる予算案が計上されておるわけでありますけれども、タイ国は、御承知のように労働運動を弾圧しておる国であります。こういうところに設けるくらいなら、日本の労使、政府も足しげく運ばれるところの欧州あるいはアメリカあたりにそうしたレーバー・アタッシェというのですか、事務所を設けて、そしてそれらの海外に旅行する人の便に供すべきではなかろうかと思います。ことにILO等は公的の機関でありますから、労働組合といえども、経営者といえども、政府といえども、日本の国を代表して出席する人たち、そういう人たちの便宜に供するために、そうした在外事務所を設置するという必要が今日出てきておるのではなかろうかと思うわけであります。西独あたりは、すでに東京にもそうした公的な機関を置いております。そういう点から考えて、在外の事務所の設置について意思があるのかないのか。意思があったら予算に出ておるのでしょうけれども、予算に出てないところを見ると意思はないのだろうと思いますけれども、それらについてどう考えておられるか。
○野原国務大臣 今回バンコクにレーバー・アタッシェを置きました目的は、主として東南アジアにおける各地の労働条件あるいは新しい技術協力、そうした後進国の工業化の意欲が非常に盛んである、そういうような面でいろいろな労働問題についての調査をしようということでございまして、このことについては、直接労働組合のために設けるわけではないわけでございます。東南アジアにおける労働力が、いかにして新しい工業国家として建設の方向に向かっていくかというような問題について、広範多岐にわたる調査をしようということでございます。もちろんその中には、労働組合があちらに行かれる際などにはお世話は十分できると思いますけれども、そういった観点からレーバー・アタッシェを設けるということになったわけでございます。
○西田委員 これを最後の質問にするわけでありますけれども、いま労働大臣のもとで産業労働懇話会というものが持たれておるわけであります。非常に望ましい方向であって、この懇話会を育成するというか、もっと活発な討議のできる場所にしていただきたいと思うわけでありますが、しかし、こういう産業労働懇話会を通じまして——今日労働の意義というものは非常に大きくなってきておりますし、また、労働の社会的責任というものも大きくなってきております。そういう意味で、労使協調路線というようなこともいわれますけれども、そうしたものではなしに、労使というものは対等という形の中で、やはり産業、政治その他についても意見が反映されることでなければならないと私は思います。とりわけ、この産業労働懇話会は、政府の政策を推進する、あるいは立案する過程の中においても、一つの大きな役割りを果たしていくのではないかというふうに思うわけでありますが、これに対する育成といいますか——育成というと少し語弊があるわけでありますけれども、これの運用をますます活発ならしめられるようお願いをいたしますとともに、この機会を通じて、西独のような労働者の経営参加というような方向についてお考えがあるかどうか、これをひとつお伺いしたいわけであります。
○野原国務大臣 産業労働懇話会は、使用者側の委員と労働者側の委員、それに学識経験者、それに労働省と一緒になりまして、同じ土俵の中で、日本の産業経済の発展に労働の果たすべき使命と役割りを十分話し合っていくということでございますが、その話し合いの中に、だんだんと建設的な意見が高まりを見せ、そうして、日本の経済がますます安定的に発展をする。同時に、働く人たちの地位もだんだんと保障され、よくなっていくということは好ましいわけでございます。そういう方向で、大いに意欲的にあすこの懇話会を活発にお願いしまして、自由に御意見を御開陳をいただくということを考えております。そうして、そのことがおそらく、今後の日本の経済の発展に非常に大きな役割りを果たすことを期待しております。そういうような面で、私どもは、今後ますます積極的に懇話会の開催をお願いし、また、それをリードしてまいるつもりでございます。
○西田委員 終わります。 ————◇—————
○倉成委員長 この際おはかりいたします。 厚生関係の基本施策に関する件、特に医療保険に関する問題調査のために、参考人より意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 なお、日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 次回は、明後十二日正午委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十二分散会