社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/05
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 小委員会設置に関する件についておはかりいたします。 障害者対策樹立のため、小委員九名よりなる障害者対策小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、設置するに決しました。 次に、小委員及び小委員長の選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認めます。 よって、障害者対策小委員に 伊東 正義君 小此木彦三郎君 斎藤滋与史君 中島源太郎君 粟山 ひで君 川俣健二郎君 山本 政弘君 大橋 敏雄君 西田 八郎君 小委員長に粟山ひで君 を指名いたします。 なお、おはかりいたします。 委員辞任に伴う小委員及び小委員長の補欠選任並びに小委員の辞任の許可及びその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○倉成委員長 厚生関係の基本施策に対する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。増岡博之君。
○増岡委員 厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思うわけでございますが、まず最初に、この前の所信表明の中に「ここに一九七〇年代を迎えたのでありますが、この七〇年代は、持続する経済成長の中にあって、その成果を広く国民各層に均てんさせ、真に豊かな社会を建設すべききわめて重要な年代と存じます。」とおっしゃっておられるわけでございまして、そうして本年度の予算の内容を見ましても、昨年度の厚生省の予算の伸び率以上になっておることはもちろんでございますし、全体の予算の一七・九%の増に対し、厚生省が二二・一%の増を見て要求が出ておるわけでございます。その間におきまして、厚生大臣たいへん御苦労でございましたと、お礼を申し上げるわけでございますけれども、ところが、間々この予算の伸びの中で、ほとんど医療費が大部分を占めているのではないか、したがって、そのほかの新しい政策がきわめて少ないという意見を述べられる方があるわけでございます。したがいまして、その所信表明のいわゆる均てん化の問題とからみ合わせまして、予算の内容の施策の概要につきまして、お話を承りたいと存じます。
○内田国務大臣 増岡先生のお尋ねでございますが、わが国の経済が最近十年間に非常に成長をいたしましたことは、もちろん言うまでもないところでありますけれども、しかし厚生大臣の私として経済成長というものを考えます場合には、単に経済が物理的に成長しただけではほんとうの成長とはいえない。それに伴いまして、社会環境というものが個人の生活水準の伸びに適応するようなぐあいに徐々に整備されていってこそ初めて私は経済成長が高度である、こういうことがいえるものと考えるものでございまして、この点につきましては、総理大臣も今国会の冒頭における施政方針演説で同趣旨のことを述べておるところと私は信ずるものでございます。したがいまして、日本の経済がこれまで伸びてきました、また今後も伸びるでありましょうけれども、これから私ども厚生省の役目というものはますます重要になるところでございまして、すでに存在する社会上のいろいろな摩擦とか緊張とか、あるいは今後もさらに伸びるであろう経済の成長に伴ういろいろの諸問題を、社会保障の予算を増額する等のことに全力を注ぎまして、これを吸収してまいりたいというのが、私が厚生大臣といたしましても考えておるところでございます。 なお、明年度の予算の編成につきましては、諸先生方の御支援もございまして、ただいま仰せのとおり、おかげさまで、前年度に比べますと二二・一%の増額を見ることになったわけであります。それを現年度四十四年度、四十三年度に比べてみますと、一七・六%の伸びでありましたことに比べますと、かなりの成果を私は得たものと考えます。 しかし、一方から見ますと、これまた仰せのごとく、厚生省の予算は非常に伸び率はいいように見えるけれども、その内容は、医療費関係の伸びが重点であって、その他の施策については予算の伸びがないではないかといわれる点なきにしもあらずでありますが、これは特に増岡先生、また委員の皆さん方にも御了承していただきたいのは、なるほどある見方においてはそうでございますけれども、厚生省の予算の医療費関係には二つがございまして、医療保障といいましょうか、医療保険といいますか、国民健康保険あるいは政管健保あるいは日雇い健保等、それらの保険財政の助成費、これを直接の医療費と見まするならば、もう一つの第二範疇の医療費といたしましては、たとえば盲老人に対する白内障の手術費を国で持つとか、あるいは母子保健対策として、国が妊産婦、乳幼児の精密診査について公費負担の割合を多く見まするとか、あるいはまた保育所で保育を受ける児童等につきまして、健康増進をするための予算を組みますとか、いわゆる政策費に属する医療対策費があるわけでございます。これを分析してみますると、いわゆる医療保険関係の助成費に属する範疇で医療費の伸びが八百九億六千万円ございます。それに対しましていわゆる政策的な医療費関係の増額というものが四百二十億円ございます。この両方を合わせますと千二百三十億円になりまして、厚生省の予算が四十五年度において全体約千九百九十何億円、約二千億円の増でありますが、その二千億円伸びるうちの六〇%程度は広義の医療費でありますけれども、保険関係だけの伸びは、いま申しますとおり八百九億円でありまして、これは約四〇%の伸びでございます。その他の医療費というものは、これは政策費であることを私は特に御了承をいただきたいと思います。 また、広義の二つの医療費のほかにおきましても、来年度非常にきめこまかい予算の配慮を確保することができました。これは必ずしもこまかい新規の予算ばかりでなしに、従来あります予算の相当の増額、たとえば水道関係、これは上水道、下水道等を通じましてこれらに対する環境衛生関係の予算というものは六十数%伸びております。また社会福祉関係の厚生省関係のいろいろな施設、保育所とか保育園とか、あるいは養護老人ホームとか、いろいろな施設があることは御承知のとおりでございます。約二万くらいあるのでございますが、これらの施設の整備費も、昨年から比べますと、昨年は四十億程度でありますのを、来年度は五十数億にするとかいうようなこと、あるいはまた、これは金額の問題についてはいろいろの御批判もあろうと思いますが、福祉年金などにつきましても、老齢福祉年金、母子福祉年金、障害福祉年金等を通じまして、これらにつきましてもある程度の増額予算をやる等、そういう実態的の方面でも決して少ない伸び方ではないということをぜひ御了承をいただきたいと思います。
○増岡委員 厚生大臣から一九七〇年代に対しまして、経済成長の中で余剰に取り得る費用、そういうものをなるべく厚生省へ吸収したいということで、たいへん私どももありがたく思うわけでございます。 そこで、現在のわが国の社会保障の各国との相対的な水準と申しますか、そういうことにつきましてひとつお尋ねいたしたいと思うわけでございます。 いわゆる一般社会では日本の社会保障制度はまだまだ不十分であるというふうにいわれておりますし、事実、国民所得に対します社会保障費の給付の費用のパーセンテージは非常に低いように思うわけでございます。ところが、一面、ただいまもお話のございましたように、健康保険の問題につきましては、全国民に適用されておるわけでございますし、それから年金の問題も、多い少ないは別問題といたしまして、一応二万円という線が打ち出されつつある実情であるわけでございます。その他の多少こまかい点につきましては、また後ほどお尋ねをいたすといたしまして、日本が各国に比べまして大体どのような水準にあるとお考えいただいておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 これも増岡先生ばかりでなしに、今日諸先生から、わが国の社会保障給付の水準というものは、国民所得あるいは国民総生産に比べてみると、西欧諸国からはなはだ劣っておるではないかということを御指摘をされておるところでございますが、今日の数字で見ます限りにおいてはそのとおりでございます。たとえば社会保障給付の割合は、国民所得に対しましておそらく四十三年、四十四年の比率で見ますると六・三%くらいではないかと思います。振替所得で見ますると、これがさらに低くなりまして五・五%くらいではないかと思いますが、パーセンテージで申しますと、ヨーロッパの先進国といいますか、ヨーロッパの社会保障先発国に比べますと二分の一、あるいは場合によりますとそれより低い率を示しております。ところが、実態的にはただいまお話がございましたように、医療保障につきましては、それらの先発国と同じ程度の医療給付の金額が今日実行に移されておりますが、問題は所得保障、つまり年金とか手当等の支給について問題が残されているわけであります。これは先生も御承知のとおり、わが国の年金制度がようやく姿を整えてまいりましたのは、厚生年金保険にいたしましてもそう古いものではございません。つまり、国民年金にいたしましても、制度創設以来まだ十年たっておりません。明年初めて拠出制の老齢年金の一番若い十年年金が発足するというような状態であります。したがって、現実の年金支出が少ないために、いま申しますような国民所得に対する少ないパーセンテージが示される原因となっておると思います。しかし、年金制度は、言うまでもなく年とともに自然に年金受給者がふえてまいりまして、本格的受給者がこれから十年、十五年の間に、だんだん多くなってまいりますと、何もしなくても国民所得に対する年金の支給額あるいは広い意味で社会保障支給額の率は上がってまいるわけでありますけれども、しかし、わが国の経済は今後も成長すると思いますので、これまたほうっておいたならば、私ども冒頭に申し上げましたように、一そう社会福祉につきましては、医療保障のみならず、所得保障、さらには社会福祉関係の予算につきましても、でき得る限り増額をいたしまして、そうして年金制度の成熟とともに、日本の社会保障給付率というものが欧米の先進国と同じ程度になる努力を私は今後も続けてまいる所存でございます。
○増岡委員 ただいまのお話で、将来、もうすでに始まった制度のもとにおきましても、このウエートが増してくるということは当然考えられるわけでございます。そこで、その高度成長と相反面いたしまして、自然保護と申しますか、公害の問題と申しますか、先ごろ厚生省が東海自然歩道の計画をお立てになりまして、予算が最初は削られたわけでございますけれども、最後には残ってまいったわけでございます。したがって、このことにつきまして、その間非常に世間でも評判になりました。ぜひとも実現をしてくれろというような各種の団体ができるような状態になったわけでございます。そのことは、実は逆に申しますと、国内の経済成長の陰で、だんだん緑と太陽と水、こういうものが汚染されつつあるということに対する国民の被害意識と申しますか、そういうものが出てきた結果ではないかと思うわけでございます。したがいまして、そういう感情はもちろんあるわけでございますけれども、厚生省といたしましては、公害に対する対策と真剣に取り組んでいただいておるわけでございます。 そこで、当面の東海道の自然歩道、これは国民が非常に注目いたしておるところでございますので、その具体的な計画、あるいはなるべく早く建設してほしいという気持ちもあるわけでございますが、そういうスケジュールがございましたらお示し願いたいと思うわけでございます。
○内田国務大臣 公害防止の問題と、また、ただいま増岡先生御指摘になりました東海自然歩道などによって取り上げられる自然愛護の問題とは、私は、これは車の両輪のようなものだと思います。一方において、日本の経済が発展したり産業が発展するに従いまして、公害が大きな社会的な課題になりまして、私ども厚生省ばかりでなしに、政府をあげて取り組んでおること御承知のとおりでございますが、しかし公害を防止するというだけでなしに、その反面、やはり残された自然をそのままの形で残していって、そして人間の心のふるさとというものをいつくしんでいく、こういう行政が厚生省にとっては非常に大きな課題であると思います。 先日もある新聞がうまいことばを考えてくださって、公害対策と自然愛護対策との連動、連らなり動くという施策を厚生省でとりつつあるというような報道がございましたが、まさにそのとおりでありまして、一方においては公害対策を——いまもまだ効果があがっていないじゃないかというお話がございましたが、これは必ずしもそうではないので、だんだんお話し申し上げる機会があると思いますが、そちらでも効果をあげつつ、自然愛護なども、これはいままでの国立公園、国定公園などのあり方だけでは足りないので、予算などもわずかに十億程度しか年間取っておりません。もっともこれは国の予算だけでございまして、地方公共団体の予算とかあるいはいろいろ年金積み立て金の還元なんかの施策費を入れますと、もちろん多くなるでありましょうが、しかし私は、これで十分だとは思えないわけでございます。そこにあらわれたのが厚生省の施策でもあると同時に、国民の声として東海自然歩道というような着想があらわれまして、国会の諸先生方からも非常な御声援をいただきました結果、初年度といたしまして二億五千万円の着手予算がつくことになりました。これは当面は東京の明治の森といいますか、高尾国定公園から出発いたしまして、東京を振り出しに、途中十一都府県を経過いたしまして、大阪の明治の森箕面国定公園に至る、これは全くいままでの国道、地方道等の車道の側道というようなものではなしに、車の全く通らない道路、ことに歴史や文化の遺跡等をつづりながら、全く車と関係ない、また車が通れないような道を考えまして、主として国立公園、国定公園等の自然公園を縫いながら、そういうような人間の自然に帰れる道をつくることに決定をいたしつつあるわけであります。 これは、もちろん今年限りではございませんで、国がおおむね二分の一くらいの助成をいたしまして、残る二分の一は地方公共団体からも負担をしてもらいまして、そして、おそらくこれが完成いたしますのには三、四年はかかると思いますけれども、その間四、五十億ぐらいの予算にはしていただきたい。 さらにまた、これは東海自然歩道ばかりでなしに、私は奥の細道もやりたい。あるいはまた、中国から九州の方面にも同じようなことをやっていけますように諸先生方の御協力をいただきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
○増岡委員 たいへんありがたい話で、私ども中国地方でございますから、中国地方にもそういう道路をつくっていただきたいと思います。公害の問題につきましては、別の特別委員会がございますので省略させていただきたいと思います。 今後の問題といたしましては、だんだん寿命が延びてまいりまして、本年の調査によりましても、男が六十九歳以上、女が七十四歳以上ということで、人口の老齢化ということが非常にいわれてくるようになってくると思うわけでございます。あるいは、これは労働人口には相当な影響もあるように思われるわけでございますけれども、もともとの子供や若い人が育っていくための母親と子供の保健の対策につきまして、大臣のお考え方を少しお聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 日本人の生命が非常に延びてまいりましたことは言うまでもありませんが、厚生省からも発表をいたしておるとおりでありますが、これは近年健康管理が非常によくなりまして、したがって乳幼児の死亡率というものが御承知のとおり非常に減ってまいっております。また老齢者が、これは十分とは申せませんけれども、老齢者対策等も徐々にその効を奏して、そうして御長命をなさるようになった結果ではあると思うわけでありますが、何にいたしましても、生まれる子供、生まれんとする子供、また生まれた子供が途中で病気になったりあるいは死亡するようなことがないような対策をとることがまず第一に必要ではないか。そのためには、赤ちゃんを身ごもった、妊娠をされた妊婦に対しても、できる限り健康上の、一般診査のみならず精密診査というようなものも国が公費で進めるというような対策を進めようではないかということが、母子保健対策として厚生省が四十四年度また明年度の四十五年度に強く取り上げようとしている課題でございます。御承知のとおり、四十四年度には保健所などで無料で検診する分は別といたしまして、一般の医療機関に参りました場合にも、低額所得者につきましては、妊産婦及び乳幼児の無料一般検診のみならず、乳幼児については精密検診までも公費でやる制度を始めたわけでございますが、来年度におきましてはそれをさらに拡大して、ある程度所得のある人々、たしか所得が百万円ぐらいまでの御家庭につきましても、一般医療機関における一般診査のみならず、精密診査につきましても公費でその検診をする、こういうことにいたしまして、その分の予算を確保いたしております。また、早生児などに対する施策につきましても、前年度に比べまして、明年度におきましてはさらに予算上の施策をも増額をいたしておりまするし、またフェニルケトンとか、あるいはその他子供が育った後において心身障害児などの原因をつくるような病気に対する早期発見、早期治療というようなことにつきましても、できる限り力を入れるということで予算を組ませていただいておる次第でございます。
○増岡委員 ただいま御説明の中にありました妊産婦あるいは生まれ出てくる子供、こういうものも非常に大事なわけでございます。 そこで、これもたとえ話のようなことになるわけでございますけれども、政治家といたしましては、制度が変わる、古い制度になじんでおる人が新しい制度になると戸惑う場合が多いわけでございます。それから新しい制度自体がどのようなものであるかということが的確に判断がつかない場合がある。人間にたとえますと、赤ん坊が生まれましても、赤ん坊自体は、自分が人間であるのか、サルであるのか、神さまであるのか判断はできないと思いますし、ましてや、その能力、限界というものも判断できないわけでございます。そういう例が、変な例でございますけれども、そういう古い制度になじんでおる人あるいは新しい制度に入っていこうとする人、こういうときに政治家が果たしてやらなければならない仕事というものはたいへん大事な任務があろうかと思うわけでございます。 そういう前提で、たいへんこまかいことを申し上げて恐縮でございますけれども、老人の問題が大事だということで、たいへんに老人対策がいわれて、なされておろうといたしておりますし、現にいろいろ予算の面であらわれてきておるわけでございます。老齢福祉年金のことでございますけれども、老齢福祉年金が金額も、これは無拠出でございますから、そう多額なものが二百数十万人という人に与えられるわけのものではないということは、私どもはよく承知しておりますけれども、所得制限によってもらえる、もらえないということがございます。したがって、普通の状態で、その所得制限が通常の賃金の上昇の度合いに応じて上がっていくのであれば、これは差しつかえないといっていいけれども、実は極端に家族の給料が上がった場合にもらえなくなる場合があるわけでございます。二百数十万人が老人の有資格者の中でそのパーセンテージを常に六、七〇%保っておる。相当な人数であるということは間違いないのですけれども、その中で交代をしておる人があると思うわけでございます。特に家族の所得制限につきましては、今年度は相当大幅に増加されたようでございますけれども、本人の所得がいままで三十万円以下であれば出すといっておったのが、今度は三十二万円に上がるというような話を聞いたわけでございます。そういたしますと、今年度から二千円にしようといたしておりますから、二万四千円になるわけでございまして、二万円ふえた人は二万四千円もらえなくなるから四千円損だというようなこまかい計算になるわけでございます。これは将来の問題といたしまして、新しい制度が変わるときには、政治家は必ずそれをうまく国民になじませてやらなければならない任務があると思うのでございますけれども、行政官にもそのような任務があると思うのです。にもかかわらず、そういうような制度自体が変わらなくても、ころころ変わってくるというようなことがございますので、これは将来の問題といたしましても真剣に取り上げていただきたいと思うわけでございます。 そこで、もとに戻るわけでございますけれども、先ほど大臣から妊産婦あるいは生まれてくる子供のことについての対策はお聞かせ願ったわけでございますけれども、その後の、生まれてしまったあとの親子の保健の問題、いわゆる健康な、ほんとうに国民として役に立つような人をたくさん育てていかなければならないわけでございますけれども、その母子保健対策がきわめて重要であると思うわけでございまして、その点につきまして新しい施策があればお聞かせ願いたいと思います。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○内田国務大臣 増岡さんから福祉年金についてのお話がございました。御承知のように、本年度は老齢福祉年金につきましては、月額千八百円を二千円にいたすわけでございます。ただいま御指摘のように、せっかく増額をいたしましても、それが所得制限にひっかかって、絵にかいたもちになってしまっては、全く御指摘のとおり何にもならないわけでありますので、これは、老齢者が一緒に住む御家族の所得は、経済発展とともに上がるのは当然でありますから、したがって、そちらのほうの所得制限も当然上げてまいらなければならぬことは言うまでもございません。御老人につきましては、御承知のように、福祉年金の出る年齢が七十歳以上でございますから、本人の所得というものはなかなか上がる機会がございませんので、いまお説のように、三十万円を三十二万円に上げた程度、しかし、これも私はほんとうはもっと上げたかった。しかし、家族のほうの、扶養者の所得制限のほうの問題がより大切だと私は思うわけでございまして、現在では、これがたしか百十九万円になっておりますのを、来年度からはこれを百三十何万円かに引き上げる程度でございます。しかし、かりに御老人と一緒に住んでおられるむすこさんが、いままでは課長であったが今度は抜てきされて重役になった、月給がぽんと上がったというようなことがありますと、これは所得制限にひっかかってしまう。そうして、上げられたはずの老齢福祉年金がもらえない、こういうことにもなりますので、これも、私はできる限りさらにもっと上げるべきだと考えております。決して今度の上げ方でいいとは考えておりませんので、今後これにつきましては、毎年年金額を上げると同時に、所得制限などにつきましても、これと並行して、合理的に直していくようにいたしたいと思います。 ただ、ぜひひとつ御承知おき願いたいのは、いままでの母子福祉年金でございますが、母子福祉年金につきましては、おかあさんがもらうわけでありますから、おかあさんが本人でありまして、おかあさんの所得制限が三十万円とかなんとかというものでひっかかってしまう。したがって、母子福祉年金の制度がありながら、おかあさんが働いて所得があるために母子福祉年金がもらえないというような不合理が多くあったと思いますので、この制度を今度思い切って改めまして、おかあさんの所得というものは、やはりお子さんの扶養主なんだから、これは扶養主としての所得制限まで大幅に引き上げる、つまり制度の転換をやるということに仕組んでございまして、これらにつきましては、国民年金法の改正法案といたしまして当委員会におはかりをいたしますので、ぜひ御賛成をいただきたいと存ずるものでございます。また、身体障害者福祉年金などにつきましても、同様に来年度は金額の引き上げをいたしておりますし、生別家庭の児童扶養手当とか、あるいは特別児童扶養手当などにつきましても、福祉年金と全く並行する、福祉年金のほうは月二百円アップ、児童扶養手当とか特別児童扶養手当につきましては五百円アップというようなことも仕組んでございますので、これも御承知おきをいただきたいと存じます。
○増岡委員 今度の国会で、心身障害者の福祉協会法案が出るやに聞いておるわけでございまして、これは国立心身障害者コロニーをつくろうという意図のもとにおやりになっておるんだろうと思うわけでございます。各地に地方公共団体あるいはその他で経営いたしておりますコロニーがあるわけでございますけれども、まだ相当数の入所を必要とする人が残っておるように思うわけでございます。したがって、せっかく協会をおつくりになる、あるいは群馬県におつくりになるというのであるならば、これをふえんいたしまして、各ブロックごとに一つでもおつくりいただけるようなお考えがあるのかないのか、あるいはまた、ブロックごとにおつくりになる場合には、今回の障害者の福祉協会を経営者としてお使いになるのか、その点のお考えをお聞かせ願いたい。
○内田国務大臣 ただいま増岡先生からお尋ねの、国立の心身障害者の福祉施設は、御承知のように昭和四十二年から計画をいたしまして、群馬県高崎市につくることになって、これは三年がかりで建設を進めてまいりましたが、これが明年度予算をもって最終的な建設が終わるということになりましたので、これも国立の施設としてではなしに、一つの特殊法人の形にいたしまして、国は国有財産を全部これに無償出損をいたしまして、心身障害者福祉協会というような名前で、心身障害者福祉協会法案ということで当委員会に御審議をいただくことにいたしておるわけでございます。これは御承知のとおり相当大規模なものでございますので、全国的に不遇な立場におる心身障害児あるいは者を収容いたすわけでありますが、この一つをもってとうてい足りるとは私どもは思っておりません。現にブロック別というお話もございますが、全国の都道府県の中で都道府県立といいますか、あるいは都道府県が計画をされまして一つの経営主体をつくって同様の身体障害者施設を設けたい、そのために国も助成なりあるいは年金積み立て金等の還元融賃を得たい等の御計画がだんだんございますので、そういう御計画ともにらみ合わせながらそういう計画を助成していけば、そのほうが効率的でうまくいくのか、あるいは増岡先生の御構想のように、今度できるであろう心身障害者福祉協会なる特殊法人がそういうものをもかかえて、そうしてもっぱら協会のそれぞれの各地域における施設としてブロックごとにそういうものを将来やっていく構想にするのかというようなことは、これは今度の高崎の特殊法人立のものが緒につくばかりでございますので、両々検討した上で一番いい方法を考えながら今後も進んでまいりたい、こういうつもりでおります。
○増岡委員 なるべくそういうふうにお願い申し上げたいと思うわけでございます。また、そのほかの社会福祉施設の整備につきましても、格段の整備を要する面が多々あると思うわけでございまして、特に先ほどからよく話に出ました老人の問題あるいは子供の保育所の問題、そういう整備に要します財源調達の方法、いろいろな方法があるかと思いますけれども、結局はそれぞれが財源調達の方法に悩んでできなくなっておるというのが実情であるように思うわけでございまして、その対策と、その施設の職員の待遇とか、人員の増加とか、運営の改善とか、そういうことにつきまして、ごく簡単でけっこうでございますからお聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 いわゆる社会福祉施設といわれておりますものが、ここに数字がございますが、いま全国に二万ございます。このうち一万三千ぐらいは保育所のはずでございますから、あとの七千ぐらいが養護老人ホームであったり、あるいは児童館であったり、あるいは教護院であったり、身体障害者の福祉施設であったりするわけでございますが、これらの設備に対しましては国が若干の助成費を支出いたしたり、あるいはまた、先ほども触れましたように、公共団体立などの場合には、年金積み立て金等の還元融資でこういうものの施設をやっていただく、こういう方法もあるわけでございます。しかし、何といいましても国が呼び水的に助成金を出すことが一番有効だし必要であると考えまして、四十五年度の予算では五十三億円ぐらいの助成費を計上いたしております。これは従来の予算から見ると相当大幅な増加になっておりますので、これらの助成を呼び水にいたしながらできる限り充足をはかってまいりたいと思います。 ここに数字を持っておりますが、いろいろな施設の充足率を見ますと、まだ十分な充足率に達しておりません。今後ますますこの方面に力を入れてまいるべき事項であると思います。 また職員のお話もございましたが、これらの施設で働く職員の方は、給与ばかりで働くわけではございませんけれども、給与のみならず労働条件なども非常にきついおうでございますので、特に給料のめんどうを見ていこうということで、三年計画で給与の充実もやっておりまして、これらの措置費と申しますか、それも明年度におきましてある程度の増額を計画いたしておるわけでありまして、今後ともさらに御激励にこたえて力を入れてまいりたいと思います。
○増岡委員 ごく最近でもないのですけれども、看護婦の不足の問題が非常に取り上げられておりまして、今度の予算でもその養成につきまして相当見込んでおられるようでございます。私どももその対策推進については極力協力してまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、その点につきましての政府の対策の概要と、それから新しい制度ができます。先ほどちょっと申しましたように、古い制度になじんでおる人は新しい制度がどのようなものかわからない。したがって非常に不安があるというような面があって、いろんな方面で議論が行なわれておるようでございますから、その点とあわせてお答えを願いたいと思います。
○内田国務大臣 看護婦の問題は、私は医療制度の中で一番重要な問題の一つである、こういう認識を持つものでございまして、年度計画をもってその充足をはかっていくことになっておりますことは増岡先生も御承知のとおりであります。 そこで、明年度におきましてもいろいろの施策をやるわけでありますが、まず養成所の整備費の助成を増額いたしてまいるとか、あるいはまた、これは新しい施策になるわけでありますが、そういう養成所の運営費について国から助成金を出す。これはちょうど文部省における私立学校の運営費に助成を新しくやるのと、規模は違いますけれども、相対応するような考え方のもとに運営費の助成をするということ。また、従来やっておりまする看護婦さんあるいは准看護婦さんの修学資金の貸し付けの幅なり範囲を広めてまいるとか、あるいはまた、看護婦さんであられた方が子供さんが生まれていま第一線から引いておられるような方を、いわゆる潜在看護婦さんといいますか、これらの方々に第一線に戻っていただきますために、お子さま方のめんどうを見るような保育所のようなものを特設をするその助成をしてまいるとかというようなこと、こういうことを予算上は考えております。 もう一つは、この間予算委員会でも問題がございましたが、これらの養成所で働いておられる看護婦あるいは准看護婦になられる方々につきましては、いま他の方面で行なわれておる勤労学生所得控除というものを適用すべきではないか、こういうことも取り上げられておりますので、それらの面につきましてもぜひあわせて解決してまいるつもりであります。 それからもう一つ、この点が先ほど増岡先生のいわゆるPRが足りない、どういうことかわからぬじゃないかというお話に関連すると思いますけれども、看護婦の養成コースに一つ新しいコースを加えることにいたしまして、いままではたとえば准看護婦になります際には、中学校を卒業して二年間の准看養成所に入らないと准看の国家試験が受けられないということでありますが、今日中学校でやめてしまわれる方というのは非常に少なくなって、大部分が高等学校に進まれます。したがって、高等学校を卒業した者については、一年課程の養成所を新たに設けまして、そして准看護婦試験を受けられる資格を与える、そういう制度を設けることに計画をいたしておるわけであります。これらにつきましては、実は関係の保健婦助産婦看護婦法の改正法案もこの国会で御審議をいただくことになっておりますので、詳しい点につきましてはなおその際に御説明をいたしたいと思 います。
○増岡委員 ただいまのお話で、私どもは大体の ことを知っておるわけでございますけれども、国民一般あるいは看護婦さん自体が、今度の新しい制度のもとに学校がどういうふうに運営され、どのような教科内容を持つかということについてまだ未知であろうと思います。その点をよくお知らせいただくことが、いろいろな面で摩擦を生じないで済むゆえんであろうと思うわけでございます。 そこで、話はかわりますけれども、前からやかましくいわれております医療保険制度の抜本改革の問題でございます。それはもう歴代の厚生大臣も総理も言っておられるので、政府の公約ともいうべきものとなっておると思うわけでございます。しかし、その解決につきましては、いろいろな利害関係がございますし、非常に困難であろうと思います。各種審議会等の審議も必要であろうと思われるわけでございますが、そのスケジュールがどのような進行状態になっておるのか、あるいはまた、私ども考えますのには、この抜本改正を行ないますには、相当思い切った医療制度あるいは薬事制度等の関連制度を改善する必要があるのではないかと思います。その点につきまして、ごく簡単でけっこうでございますから、お聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 医療保険の抜本改正は、私どもといたしましても大きな懸案で、これはもうぜひ達成をしなければならない事柄と心得ております。言うまでもなく、いま医療保険制度が、国民健康保険をはじめ、政管健保等々八つの方式に分かれておるわけでありまして、一つの試案として、これを三つくらいのグループにまとめて再編をして、そうして給付の合理化なり、あるいはまた保険料負担の均衡なり、あるいはそれぞれの制度においていまいろいろの財政上の格差がございますが、それらについても調整の方策を講じてまいるべきだ、こういうような構想のもとに、昨年来社会保障制度審議会、社会保険審議会、両審議会に諮問中でございます。また、この医療保険の抜本改正ということは、八つの保険制度を三つのグループに縮めてその合理化をはかればいいということだけでは達成されないので、保険外のいま御指摘の医療制度についても、当然、たとえば医薬分業の問題でありますとか、あるいは保険があっても医療機関がないというようなことでは保険の運営ができないわけでありますので、それらの医療機関の適正配置の問題でありますとか、あるいはまた、診療報酬の緊急是正はできておるわけでありますけれども、これの根本的の合理化というような課題ももう一つあるわけでございますので、それらの課題を含めまして、ぜひひとつこのむずかしい問題を処理いたしたいと思っております。 それらのスケジュールでございますが、以上のようなむずかしい問題を含んでおりますので、ごく短期間の間に全面的の解決ということはできないので、二つに分けまして、最終のあるべき姿というものに到達するため、とりあえずまずやらなければならない事柄と、それから最終目標的事項とに分けまして、少なくとも最初に申し上げました改正の基礎をなす、前提をなすものにつきましては、まず明年度、昭和四十六年度においてはそれが実現できますような、そういう目途のもとに、いま申しました関係審議会からも答申をいただいて、そうして関係各方面と協議を進めてまいりたい、こういう心組みで鋭意努力をいたしております。
○増岡委員 次は、新聞によく出ておりますいわゆるスモン病、これがまだ原因が不明だといわれてみたり、あるいは発見されたような記事が出てみたりしておるわけでございます。これが全国で一万人をこしたとかいうようなこともいわれておりますし、いまだに原因不明のまま、したがって治療法が確立できていない状態にあるわけでございます。スモン病は一万人もおりますから新聞で相当やられるわけでございますけれども、そのほかにも筋ジストロフィーの患者でございますとか、いろいろな——これは人数か少数でございますので比較的やかましくございませんけれども、ガンとか高血圧とか、こういうものは大ぜいの人がかかりますので、非常に目について施策が行なわれておるように思われますけれども、こういったスモン病はじめ、それ以下の原因不明の病気につきまして、厚生省といたしましては相当な対策をお考えいただいておると思いますし、研究費の適正な配分もいただいておると思うわけでございますけれども、その点お聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 スモン病をはじめ、御指摘のような、原因不明また診断方法も確立しないし治療方法も確立していないようなそういう病気、しかもそのあり方が非常に悲惨な病気につきましては、私どもも、医療を担当する官庁といたしまして、当然心を砕いておるわけでございます。 スモン病につきましては、これは厚生省中心といいますか、厚生省所属の予防衛生研究所の甲野博士を中心としまして、各方面の専門家においでをいただきまして、スモン病調査研究協議会というものをつくりまして、そして診断基準なり、あるいは原因の究明なり、治療方法の確立などにつきまして鋭意検討を進めておるわけでございまして、これらにつきましては、明年度におきましても相当の特別研究費というようなものを用意いたしまして、そして一日も早く事態の解決につとめてまいるつもりでございます。 また、いまほかの方面の病気として筋ジストロフィーというようなお話もございましたが、これはまた他の同僚議員の方々からも先般も御指摘をいただいておりますけれども、べーチェット病とかカシンベックとかいう病気もある趣でありまして、私も、その方面の専門家でないからよくわかりませんけれども、しかし、これも御指摘のとおり、難病奇病のようでございますので、これらの問題も含めまして対策を十分立てていかなければならない、こういうつもりでおります。
○増岡委員 実は、私昨年インド、ネパールへ行ったわけでありますけれども、ネパールは例の麻薬の巣くつがございます。そこで日本人らしき者も出入りしておったようでございますし、それからインドで麻薬を持ち込んだ日本人が逮捕せられたという事件もあったそうでございます。最近になりまして、わが国でも大学の山岳部の学生が麻薬の遊びをしておったという新聞記事が出ておるわけで、これはたいへんな問題だと思うわけでございまして、これはいろいろな意味からの取り締まりが、厚生省以外からもできるのかと思いますけれども、厚生省としても、この問題について何かお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 麻薬につきましては、今日一番しょうけつしているのは、私は大麻関係の事犯だと思いますので、これらにつきましては、大麻取締法のもとにいろいろ対策を立てておるわけでございますが、私は、正直に申しまして不案内でありますので、薬務局長がおりますので、説明をいたさせたいと思います。 なお、最近、ほんとは麻薬なのかどうか知りませんが、LSDというようなものも麻薬取締法に基づく政令指定をいたしまして、これらについても取り締まりを始めておりますので、薬務局長から御説明をいたします。
○加藤政府委員 大麻につきましては、御指摘のとおり最近非常に大麻事犯が増加の傾向にございます。三十七、八年ごろ非常にしょうけつをきわめましたいわゆるヘロイン等の麻薬事犯は、麻薬取締法の罰則強化等によりまして最近は非常に少なくなっておりますが、大麻事犯がこれに反しまして非常にふえてきております。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば三十九年の麻薬事犯の実績と、それから四十三年の検挙の人員の比較をいたしますと、約八倍に検挙件数がふえているという状況でございます。 大麻につきましては、最初のうちは、外人旅行者だとか、ベトナムからの米軍の兵隊というようなもの、あるいは外人バーのホステスといった外人関係の事犯が多かったのでございますが、ここ二、三年来、日本人の大麻事犯というものが非常にふえてきているということでございます。これにつきましては、私ども八つの地区に麻薬取締官事務所というものがございまして、麻薬取締官が約百六十名ばかりおります。それから、都道府県にも百三十名ばかりの麻薬取締員というものがおります。そういうものと協力し、並びに警察関係、それから税関、海上保安庁と協力いたしまして、できるだけ水ぎわでこういう麻薬の持ち込みを取り押えるという方向で努力してまいりたいと思います。要は関係行政機関の協力にあると思いますので、情報の交換その他によりまして、関係の各官庁が協力してこの撲滅に当たってまいりたいというぐあいに考えております。
○増岡委員 この問題はたいへんな問題でございますから、ぜひとも各機関と御協力の上、厳重に取り締まりをしていただきたいと思うわけでございます。 ただいままでいろいろ申し上げましたけれども、ともかく約二千億円の予算が厚生省におきまして増額できたわけでございます。これは非常に大臣に御努力いただいたわけでございますけれども、しかし、そもそもその原資というものは、国民総生産が向上し、それに正比例するわけではございませんけれども、税金が上がってくる、その中から出てくるお金でございますので、大蔵省からせっかく取ってこられた予算にけちをつけるわけではございませんけれども、国民が一生懸命血と汗で働いたその結果の国民総生産、あるいはその結果の予算、その結果の厚生省の配分でございますから、最初に、あるいは所信表明の中で申しておられますように、ほんとうに国民の間に社会福祉が均てん化するような趣旨で御処置を願いたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉成委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十三分休憩 ————◇————— 午後一時十九分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。田邊誠君。
○田邊委員 新しい大臣を迎えまして、いろいろと今後の施策についてお伺いしたいと思うのでありますが、きょうは医療問題については、また別の機会に抜本改正を中心とした問題についてお伺いしたいと思うのでありまして、医療保険の問題、医療制度の問題を除いた、当面する課題に対して二、三お伺いしたいと思うのであります。 佐藤内閣の改造によって、先輩内田さんが大臣になられたのですが、どうでございましょうか、ほかにいろいろと希望されるような所管があったと思うのでありますけれども、厚生大臣になられてあなたはよかったとお思いでございますか。
○内田国務大臣 田邊先生のお尋ねでございますが、正直に申しまして、その瞬間には私はたいへんためらったり、また戸惑いをいたしましたが、しかし考え直してみたところが、私がいままで政治家としてやってまいりましたことがおおむね経済の成長とか財政とかいうような、そういう方面をやってまいりまして、それとうらはらになりますところの社会保障関係というものには私は実は正直に申しまして十分の注意を払ういとまがなかったわけであります。 ところが、私は今度厚生大臣を仰せつけられまして、そして静かに考え直してみますると、経済がここまで発展してまいった日本におきましては、やはり経済の発展というものに裏打ちされる施策というものがなければ、経済の発展というものは意味がない。その裏打ちはすなわち厚生大臣の仕事だということを十分認識をいたしまして、厚生大臣に就任いたしましたことを私は非常に光栄に思い、またその道を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○田邊委員 たいへん心強い御発言を承りまして、今後われわれも大いに期待をいたしておるわけでございます。 そこで、大臣の委員会における所信の表明を見ましても、一九七〇年代はいよいよ内政の年代であり、内政の年である。したがって国民生活の向上を中心としてこの施策の推進に当たりたいということを書いておいでになる。その中で特に社会保障は中心的な役割りを果たすべきだと書いておるわけであります。さらにあなたの記者会見を私拝見をしておりまして、人間福祉を前進をするということを盛んに強調されておるのであります。一体、人間福祉を前進をして、社会保障の推進に役立てていきたいというこの大臣のおことばというのは、端的に言いますならば、これはどういうことを意味しておるわけですか。
○内田国務大臣 先ほど申し述べましたことにも関連いたしますが、経済が成長いたして、お互いの生活水準も上がってまいりましたけれども、しかしその恩恵を受けることができない人々にとりましては、私は経済が成長しただけにそういう方々が置かれている谷間はかえって深くなっている面があるのではないかと思います。たとえば老齢の方々あるいは心身障害者の方々あるいはまた低所得の方々、そういう方々に対しましたは、日本の経済がここまでよくなり、高くなってまいりましたので、その谷間を埋めることがこれからの仕事だということ。もう一つは、経済がここまで成長をいたしてきます過程におきまして、いろんな摩擦や緊張が生じてまいってきております。その摩擦や緊張というものを吸収することが、私はこれから厚生省に課せられた大きな使命である、かように考えるものでありまして、さような両面から勉強させていただくつもりでございます。
○田邊委員 したがって、社会保障の中心はやっぱり人間を尊重するところにありという、いわば佐藤内閣の中心の課題にあなたは正面から取り組みたいという意欲を持っていらっしゃると思うのであります。 そこでいまお話しの、いわばいろいろな摩擦やいろいろな矛盾というもの、言うなれば経済の高度成長下において必然的に起こっているところの一つのひずみ、これを是正することがいま非常に重要なところに来ておると思うのでありますが、社会保障の充実というのは、このいわば当面するひずみの是正にとってもきわめて私は重要な役割りを果たすものである、こういうように思うのであります。言うなれば、国民全体の所得が上がり生産が上がってまいりますけれども、その中で一体この所得をどのように振りかえていくかということが、われわれに課せられた社会保障を充実させる面からいって、になうべき私は現実的な課題であろうと思うのであります。 そういう点から見ますると、一体この社会保障の水準というものに対して、現在の日本の置かれている状態からいって、あなたは満足すべきものとお考えでございますか。先ほど増岡委員の質問に対して、予算等の面について努力をし配慮したという御発言がありましたけれども、しかしなおかつ現在の日本の社会保障の全体的な水準というものに対して——水準ということは、必ずしも私はその位置ばかりに当たらないと思う。内容の問題も含まれておると思うのですが、そういうものも含めて社会保障の水準というものに対して、あなたは一体どのように現在見られておるか、お答えいただきたいと思います。
○内田国務大臣 今日の客観情勢のもとにおきまして、私は社会開発というものが日本におきましてはおくれておると正直に思います。その社会開発とは何かというと、一方においては社会資本の充実、道路でありますとかあるいは住宅でありますとか、そういうものを含む社会資本の充実と、もう一つは社会保障、社会福祉の充実、これが私はやはり社会開発のもう一方の大きな柱であると思うのでありますが、これをも含めまして、正直のところ、私はこれで十分だとは考えておりません。 いまお尋ねの水準でございますが、これは先ほど増岡委員からの御質問の際にお答え申し上げておきましたけれども、これを国民所得なりに対比してみます限りは、ヨーロッパの先発諸国から比べますと、正直のところ、まるで問題にならないくらい低いパーセンテージに置かれております。すなわち教えられるところによりますと、ヨーロッパの先発諸国では一二%あるいは一八%くらいまで、国民所得に対しまして社会保障給付というものがいっておるにもかかわらず、日本の一、二年前の昭和四十三年ぐらいの数字で見ますと、せいぜい六・三%、これをいまおことばのございました振替所得で見ますと、五・五%というような低いところにある。したがってこれはおいおい先発諸国の水準まで引き上げていくべきであり、これはまたあとから申し述べさせていただく機会もあると思いますけれども、またそういうように引き上がるような仕組みに現在なってきておると思います。 その一つは、年金等が未成熟でありますこと、田邊先生もよく御承知のとおりでございまして、年金が成熟する場合には、当然私は、この社会給付というものは上がっていくということ、また日本の社会構造が現在のところでは老齢層もそんなに多くはありませんけれども、これから十年、二十年の間に老齢人口層というものが、これまた先進国並みになっていくということも考えなければなりませんし、また、いままで家族制度の中で吸収されておったいわば私的扶養、子供が親のめんどうを見る、また家庭が身体障害者を、社会にほうり出さないでめんどうを見ておるということのあり方が当然変わってまいりますので、そういう事態の推移を考えますときに、私は先ほど申しますとおり、この水準はさらに積極的にも上げなければならないものと考える次第でございます。
○田邊委員 そこで私はひとつ具体的に、大臣いまだんだん上げていくべきものだ、またそのような方向にいくものであると言われましたけれども、先ほどの質問に対するお答えの中でも、年金制度の発足やその他日本の社会保障関係の制度の発足というのが非常におくれていたということも指摘をされております。これは私は、いままでの保守党内閣のいわば内政を軽んじ、それに対する具体的な計画のなかった結果であると判断をいたしまするけれども、それはともかくといたしまして、いま非常におくれている、これをだんだん西欧並みに追いつかせなければならぬというのであります。かなりのスピードアップをしなければならない、こういうことだろうと思うのであります。いままでのようなテンポで行きますならば、西欧諸国も当然また進歩発展を遂げておるわけですから、なかなか追いつかぬ。追いつかぬどころか、逆に引き離されていく、こういう状態も現出しないとは限らないということを考えますならば、この際、私どもは、スピードアップする——ただ単に観念的な、希望的な観測でスピードアップをするということでは、これは何にもならぬのであります。現実にスピードアップをして、西欧に追いつくプロセス、その計画、こういったものが具体的になければ何の意味もないというように私は思いまして、ただ単に大臣がここでもってその希望的な観測を述べただけでは、私は、政府の政策なり政府の計画として受け取ることは国民はできないと思うのですよ。したがって、あるべき姿として、いま国民所得の大体六・五%から六・八%になろうとしておりまするけれども、これらの社会保障の給付なりというものに対して、あなたは一体当面どのくらいまで引き上げるべきだというようにお考えですか。 昭和三十七年に、社会保障制度審議会は、御案内のとおり、昭和四十五年度までの間に西欧諸国の三十七年度並みに引き上げるべきだ、こういう勧告をいたしておるのでありまするけれども、いよいよその制度審議会が意見を申し述べた四十五年度が来るわけであります。したがって、われわれは、振り返ってみて、この際、ひとつ日本の社会保障について具体的な計画について政府の所信を明らかにすべき段階に来た、私はこういう認識に立つわけであります。したがって、国民所得の一体どのくらいのパーセントをあなたは当面必要とし、その目標に向かってこれから施策を充実していこうというようにお考えですか。
○内田国務大臣 この道で長年御研究の田邊先生の御所論、私はまことにもっともだと思います。ところで、それに対しまして、私は二つの問題を取り上げざるを得ないのでありますが、その一つは、国民所得に対する社会保障費の割合、あるいは振替所得の割合でありまするが、日本の経済成長率が非常に高い。西欧諸国に比べまして、それは三倍も五倍も高いような状況で進んでおりますので、社会保障給付の率が相当ふえましても、この国民所得に対比いたします場合には、いかにも足踏みをしているような、そういう姿である。しかし、日本の経済の成長率というようなものも、安定成長政策というようなものを政府全体としても当然とるわけでございますので、いつまでもいままでのような状態にもいくまいと思いますので、したがって、私どもがともどもこの社会保障政策に重点を置きます場合には、その率は当然上がってくる面があるということが一つと、それからもう一つは、この社会保障に対する国の政策の高低が、いまお述べの現時点における国民所得に対する率だけでいかないことは、田邊先生御承知のとおりであります。また先ほど来私が述べておるとおりでありますが、私は、やはり究極の目標としましては、少なくともこれは西欧の先発諸国並みにいくべきだと思います。しかし、幸い経済企画庁を中心といたします経済審議会でも、昔は長期経済計画でありますとか、中期経済計画でありますとか、経済の発展だけを主軸にして計画を立てておりましたのが、この前から、経済社会発展計画というようなことばも使うようになり、ことに現在経済審議会を中心として新経済社会発展計画を立案をせられまして、その中で、経済の発展と、またわが国の社会保障制度の行くべき道というようなものにつきましても、取り上げてまいることになっておりますので、私どもはその新しい経済社会発展計画において取り上げられる施策や、また見通しをもにらみながら、できる限りの努力をやってまいるつもりでおります。 なお、答弁がちょっと長くなりますが、ことしの厚生省の予算の前年度に対する増加率というようなものも、御承知のとおりでありますが……
○田邊委員 それはあとから聞きます。 大臣のお答えでもって、とにかく西欧並みぐらいにしたいというお話、したがって、制度審議会の答申にもございましたように、当時の西欧の——これはいろいろな見方がありますが、EECの諸国に対して現在は三分の一くらい、北欧や英連邦に対して二分の一程度しか日本の社会保障は行き届いていないと言われておるわけでありますが、そういうような状態の中で一応西欧並みにしたい。言うなれば、国民所得に対するいわば社会保障給付費というものの割合——これはもう絶対的なものではないかと私は思います。それだけをただ単に基準にするということについてはもちろんわれわれも異論があります。しかしただ、政府が一つの目標を立てるために、一つの計画を立てるために、私はそれは一つの努力目標というか、やはりいわば一つのねらうところにつながるだろうと思うのです。 そういう意味合いで申し上げているのでありまして、そういう意味合いで、いま大臣の言われたとおり大体西欧並みということになれば、もう七、八年前のそういった諮問機関における話からいいますならば、当時西欧で、大体国民所得の中における一五%ぐらいは社会保障の給付費としてやるべきじゃないか、こういうことが言われておりました。ILO等でもそういうことが言われてきたのですね。そういうことになれば、まあわが国もひとつこのめどをにらみながら、これから先いろいろな施策を講じていくことは、当然大臣の西欧並み水準ということばを裏づける意味からも、必要だろうと私は思うのですね。いま申し上げたように、それだけが絶対でないにいたしましても、それらを一つの尺度にしながら、やはり具体的に社会保障に関する年次計画を立てなければならぬと私は思うのです。これは経済審議会等でもっていろいろ検討されておりましょうけれども、やはり政府自身がこれに対する年次計画を立てなければならぬ。昭和四十五年度において一五%といっても、現実にそうなっていないわけであります。これはひとつ、これから先何年間計画というものを立てて、それに沿って努力をしてみるということは、私は決して意味のないことではないと思います。いや、そうではなくて、いまのいわば政府の考え方からいいますならば、私はこれは絶対に必要ではないかと思うのであります。そういう意味合いで、たとえば五カ年計画を、四十五年度からといってもなかなかたいへんだろうから、四十六年度からでも五カ年計画を立てて、昭和五十年なら昭和五十年をにらんで、一九七〇年代の前期においてひとつわれわれは社会保障についてはかくかくのところまでやっていこうじゃないか、こういうことに対してひとつ内田構想はございませんか。
○内田国務大臣 大蔵大臣からしかられるかもしれませんが、私は、いま田邊さんが仰せられました国民所得に対する一五%ぐらいの比率というものは、決して無理な比率ではないと思います。ただ先ほど申しましたように、日本の社会構造の変革というものと見比べながら、それは究極の時点においてはそのくらいの比率に当然持っていくべきだ、こういうふうに私は考えるのであります。ありますがゆえに、仰せられるように長期計画、総合計画というもの、つまり総合計画というのは、これも先ほど触れましたように、経済の成長率等に関連した総合計画あるいは他の社会資本の充実に関連する総合計画と、それからもうよく御承知のように、日本の何と申しますか社会保障、社会福祉の特に対象となることになります人口構造の老齢化というものが、ここ十年、二十年、三十年ぐらいの間に、私どもが見通しております数字によりましても、それが非常に、大体西欧化いたしてまいりますので、そういうものとの関連においても、これは厚生省として当然長期的な見通しというものをつけてまいるべきだと、私は正直のところ考えております。 ただ、同じことを申すようで恐縮でございますが、せっかく経済社会発展計画でこの問題を取り上げまして、一つの見通しなり方針というものをお出しになるということでありますので、そういうものの成果をも私どもは十分参照いたしまして、厚生省ばかりではなしに、国全体として長期見通しというものをつくる努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
○田邊委員 そこで、国にはいろいろな計画があると思うのですよ。社会保障ばかりでなくて、いつも引用される、たとえば防衛力と社会保障との関係というものを盛んにいわれる。それが直ちにいわばてんびんの形でもってはかられることがいいかどうかについては議論がありましょう。しかし、防衛力整備計画は御案内のとおり、いま第四次までなろうとしているわけであります。第四次防はどのくらいかということについては、つい先だっての予算委員会でもって明らかにされたとおり、大体国民総生産の〇・八%から一%ということをいわばにらんでおるわけであります。防衛力整備計画のほうはいま言ったようにすでに、第三次防から第四次防に四十七年から入ろうという状態です。内政の年であり、人間福祉を増進をして社会開発をする、こういう題目を掲げている佐藤内閣において、社会保障に対する年次計画がないということは、これはどうしても私はうなずけないことだと思うのです。そういう意味合いから私は、第四次防が具体的な数字としてあがってきている状態の中で、一体社会保障に対する考え方はどうすべきかということに対しては、やはり大臣が明確なお答えがなければならぬと思うのであります。私どもも、たとえば昭和四十五年に国民所得の一五%といってもできません。すでにもう西欧はその時点でもって、それ以上の高い水準に達しておるわけであります。これがたとえば五カ年計画を四十六年度から立てるにいたしましても、昭和五十年に至った場合における諸外国の水準というのはさらに高度化するでありましょう。したがって、たとえば昭和五十年をにらんで国民所得の一五%をにらんでみても、相当なおくれをきたしていることは疑いない事実であります。しかし、私はそれでもやはり一つの考え方として、政府がそれをにらんで策定をするならば、それなりに評価できると思うのであります。たとえば私が試算いたしましても、国民総生産を毎年一〇%増と見込みますならば、昭和五十年は百二兆四千億になります。国民所得をその八〇%とにらみますれば、八十一兆九千二百億になります。一般会計は毎年二二%増とにらみまするならば、昭和五十年においては十四兆三百二十四億程度になります。これは国民総生産に比べて一三・七%になります。 そこで、われわれは昭和五十年に少なくとも西欧並みの社会保障水準に追いつこうじゃないかという考え方にたって、一五%の給付とにらみまするならば、その際われわれとしてはやはり約十二兆の金がその時点では必要になってくる、こういう形になろうかと思うのであります。そして、社会保障の予算というのが現在国の全体の中で占める割合というものが非常に少ないわけでございますけれども、少なくともこれを約四分の一の二五%くらいまで引き上げなければ、とうていこの水準を維持することはできない。私は実は自分でこういう試算をしてみたのでありますが、私は当然政府においてもこれらのことに対する一つのビジョンはあっていいんじゃないかと思うのです。それができなければ、それすらもできないとすれば、大臣、あなたは一体国民所得に対して社会保障の給付費というものを年々大体何%くらいふやさなければならぬと思いますか、お答えいただきたい。
○内田国務大臣 田邊さんからたいへん御激励をいただいておるわけでありますが、先ほど来申しますように、私はビジョンのないことはやりたくない。日本の社会構造、また人口の年齢構造などがこの二、三十年間にだんだん西欧並みに変わってくるという、その他の諸要素を見比べながら、たとえば田邊さんが示唆されましたような一五%というようなものに到達する、そういうビジョンを持ちながら努力いたしてまいる所存でございますが、昭和五十年といいますと、いまから五年後であります。五年後ということでありますと、日本の人口の老齢化がいかに早くても、まだまだEEC諸国や北欧諸国における人口構造まではまいりません。また、おことばを返して恐縮でございますけれども、いまの年金制度をとりましても、国民年金では五年後には六十五歳の老齢年金というものを受ける人々がまだそんなに多くございません。ようやく来年、十年の経過的措置による年金を受ける人が発生するという程度でありますので、したがって、私は五年後の五十年に一五%という数字に至ることは無理であると思います。しかし、せっかくの御示唆でございますので、そういうことも頭に置きながら、要はビジョンを持った長期総合的な施策を立てる努力を厚生省もしてまいる。実はいままでも努力をいたしてきておるようでございます。ただ、それが道路整備五カ年計画とか、住宅計画とか港湾計画とか、あるいは厚生省の中におきましてもありますような、上水道の整備計画とか下水道の整備計画でありますとか、あるいは社会福祉施設などで働く従事員の方々の給与改善の年次計画でありますとか、看護婦の補充充足計画などについても、そういうものについては年次計画が立てられるわけでありまするが、この社会保障給付と国民所得との関連というものが、そういうものと趣を異にいたしまして、非常に複雑で相関関係が多過ぎるということも田邊先生よく御承知のとおりでございますので、田邊先生のおことばは十分私は胸にとめまして、さらに私は前進をさせるように政府部内においてその起動力となってまいりたいと考えるものでございます。
○田邊委員 厚生省の予算なり社会保障の給付を充実させるという意味からいっても、いわば場当たり的な、その場その場のつかみではいかぬと思うのですよ。いま大臣のお話にもありましたように、いみじくも今年度の予算の全体を見ればおおばんぶるまいをしていますね。いろいろな、景気を刺激するような予算を組んでおるわけであります。そうなってくると、どうしても社会保障の関係というのはじみであり、目立たないものですから、押されがちなんであります。したがって、一つのめどを立てて、一つの計画を立てていけば、そういった点に向かって政府部内においても、あるいは財政のひもを握っておる大蔵省に対しても仕事がやりやすくないか、予算が取りやすくないか、これから先のいわば施策の充実がしやすくないかと私は考えて、そういう意味合いからやはり具体策を持たなければ、ただ場当たり的に、あれもやってくれ、これもやってくれというだけではならぬのじゃないか、こういう意味合いで私は申し上げておるのであります。私の意見には、大臣も基本的には賛成のようでございまするから、ぜひそういう意味合いで内田大臣がおるときに厚生省の、今後の五年なり十年なりの将来を見渡して、やはり仕事が順調に進むような、他の予算に押されない、こういう状態というものの基盤をつくってもらいたい、こういうことを私は特に希望するがゆえに実はお願いをしておるわけであります。さらに、この点に対しては、あらためてひとつ大臣に検討していただいた上に立っての御答弁をいただく機会を持ちたいと思うのであります。 そこで、さっき大臣の御発言の中に、いま経済審議会の中でいろいろと検討されておる、こういうお話がございました。ことに最近も、社会保障小委員会において一つの報告書が出されておるのであります。大臣もお読みになったと思うのでありまするけれども、この中で一番問題になっておりまするのは、私が申し上げたように、国民所得に対する社会保障給付費というものが、西ドイツの二〇%をはじめとしてかなりの水準になってきておる。日本は一九六七年においてはわずかに六%にすぎない。これをもっと引き上げなければならぬというのが基本的なかまえでありましょう。それともう一つは、いま日本の社会保障の中では、医療部門に対する給付が非常に多い金を使っておる。それに対して所得部門、特に年金部門といっているのを中心とした所得保障の面に対して、いわば給付なり施策は非常に少ない。この比例をもっと直さなければいかぬ、こういうことをいっておると思うのですね。四十二年において医療部門が四六・二%、年金部門が一二・八%、私が大体五十年といったのは、経済審議会も五十年をにらんでいるのですよ。医療部門は五十年で三五%、年金部門は一・三%ぐらいに引き上げなければならぬ、このくらいになるであろうと実は予測をしておるのであります。ところが、外国においては医療部門が大体二〇%から三〇%、年金部門の割合というのは三〇%から四〇%を占めている、こういうことの指摘があることからいっても、私はこの割合というものに対してこれから考えていかなければならないと思うのですよ。ところが、この質問に対して実はお答えをいただくことになると、いわば医療に金かかかるんだ——ここに保険局長いるけれども、医療保険は、抜本改正の中でもって、いわば受益者負担の原則か何か間違った思想を導入いたしまして、これに対してはひとつ国の負担を少なくしていこう、こういうような意見になっては困るのであります。問題は、医療部門に対する金が多いんじゃなくて、年金部門に対する、所得保障に対する部門が極端に少ないというところにこのねらいがあることを誤りなくひとつ見ていただかないと、へたな答弁されては困りますから。そういう意味合いでもって、医療部門なり年金部門の割合というもの、これを逆調にしなければならぬというこの政策審議会の報告書は、私は一つの重要な示唆を持っていると思いますが、一体どの程度がこの割合としては適当だとお考えになりますか。
○内田国務大臣 最後のお尋ね、たいへんむずかしい問題で、私は即座にお答えできませんが、経済審議会の社会保障小委員会の草案なるものを私も拝見をいたしております。あれは経済審議会の国民生活部会ですか、その中のまた一部門の草案のようでありまして、せっかくその方面の学識経験者の方々が集まられて、ああいうわれわれの激励にもなるような前向きの案をつくっておられるのを、私がここでいろいろ批判をすべき限りではないので、あれらが経済社会発展計画として全体としてまとめられる中でどう取り上げられるかということを、私は非常に楽しみと期待を持っておる次第でございます。これも世の中がだんだん、田邊先生のお説のように、みなが社会保障の重要性というものを十分認識してまいり、また従来の厚生大臣もそうであったと思いますが、私はことにいままでの経済成長推進のほうをやっておった罪滅ぼしというか、それの裏打ちのほうの意味もあって、ひとつ史上最高の厚生大臣にもなりたいぐらいの努力を、実は皆さんからの教えをいただきながらやってまいるつもりでございますので、いまの小委員会報告は非常に私は敬意をもってこれを判断をいたしております。 ところで、医療保障のほうを、たとえばこれを応益者負担のような形で、国の助成を少なくするような方向で片づけるというようなつもりはございません。また、これは学門的にいいまして、そういうことをやりまして国の負担が減って、そして被保険者の負担が多くなりましても、社会保障給付金の割合には関係ございません。どっちでも、両方足したものが社会保障給付金になるわけでございますので、医療保障というものを押えるつもりは毛頭ございませんが、たびたび申しますように、年金のほうはまだ不成熟である。したがってこれか成熟する段階におきまして——もちろんただいまの二万円年金なんというものは、私は五年先、十年先二万円でいいとは全く考えません。国民所得も上がってまいりますから、またいろいろな生活水準その他の変化もございますから、そういうものを直す努力を続けながら、年金を成熟させたい。また年金ばかりでなしに、年金と類似の他の手当のようなものも、私は所得保障として残されておるものもあると考えるものでありますので、そういうものも医療保障と均衡のとれるようなパーセンテージといいますか、シェアを私は持っていきたい。 それとさらに合わせて、社会福祉に対する施設、これは一体どっちに入るのか知りませんが、厚生省の予算を見ますると、厚生省のお役所の方々は、そういう社会福祉の施設の中のいろんな経費も、これも医療費のほうに分類して入れてしまっておるので、たいへんその点は適当でないんじゃないか。社会福祉における子供や老人や身体障害者などに対する国の予算支出は、これは単に医療保障と見るべきではないので、所得保障的なものもあるし、全然第三の福祉施策的なものもあるので、分類し直せと実は私は命じておるわけでございますが、そういう面にも配慮しながら御激励にこたえていきたいと思います。
○田邊委員 大臣、これからひとつ長いおつき合いをいたしますので、答弁をひとつ私の質問に対してそのものずばりやってください。あなたいろいろなことを言うけれども、そういうことでもって私どもは納得するのではありませんよ。 それと、さっき国民所得に対してどのくらいまで水準を引き上げるべきかということに対しては、いろいろと御意見がございましたが、その中でも、経済審議会がいわばいろいろと審議をして意見を取りまとめているから、これに対してわれわれは注目をしながらいきたいという御発言がございましたので、私は引き取って社会保障小委員会の報告書なるものを取り上げたのでありますが、そうすると、そのほうはまあまあやっているからこれもひとつよく注目をしたいということでは、全くもって、内田厚生大臣には社会保障に対する具体的な施策について方向づけというものがないということになりますな。そういうようにわれわれは認識をしてかかってこれからあなたとおつき合いをすることは、非常にさびしいと思うのでありますけれども、私はそういうことでないと思うのですね。 そうすると、何もここでもって、医療部門の中においていろいろな分野があるけれども、これはいわば所得部門なり年金部門の中に仕分けをしなければならないようなことをいまお聞きをする段階ではないのでありまして、これはまた中身については逐次お伺いしますけれども、そういう冗長な御答弁でなくて、私の質問に対して、そういったことはわからぬ、考えてないというなら考えてないでよろしゅうございます。しかし、そういうふうにだんだん年金部門等について、所得保障について充実していかなければいかぬのだ、比率はだんだんそちらのほうに向けていかなければならぬのだ、こういうふうにお考えであるのかどうか、ひとつ端的にお答えいただきたいと思います。
○内田国務大臣 いま田邊さんのおことばの最後の部分のとおりに私が考えておることはお答えしたとおりでありますから、さらにそのことを私は確認をいたしておきます。 なおまた、経済社会発展計画というものは、これは人がつくるものとして、私どもがほったらかしておいて横目で見ておるわけでは決してございませんで、厚生省の方面からもある部門には参画をさせまして、そして私どものビジョンやら希望を盛り込むような努力をいたしておりますことをつけ加えておきます。
○田邊委員 きょうはあまり突っ込んだ意見を吐く時間がございませんので、次の問題にいきますが、本会議がございますから、一つだけお答えをしておいていただきたいと思います。 いま、人口構造の変化によって非常に長生きをしてまいりましたね。さっき増岡さんもそのことを取り上げました。そこで老人対策というものが非常に重要になってきたというお答えがあったのでありますが、、老人対策というのは一体どういうふうにとらえてこれをやろうとなされておるのですか。気の毒な年寄りがたくさんおるからこれを救ってやろうというような、いわば救貧的な意味における対策として老人対策をやろうとしておるのか、あるいはそうでなくて、社会問題全体の中においてこれをとらえて、解決を迫られている時代の要請によっているものだ、こういう御認識でございますか。老人問題を一体どういうふうにお考えですか。
○内田国務大臣 好むと好まざるとにかかわらず、人口の老齢化現象というものが出てくるわけでございまして、したがって老人問題というのは、私は今後社会保障の中で一番大きな部門を占めることとなると思います。これに対しましては、私は単に所得保障とか医療保障だけで事が済むとは思いませんで、それらの六十五歳あるいは七十歳以上の方々に、十分それを社会の先輩として生きがいを与えるようなやり方というものをまず考えるべきだ、それに補足して、医療保障の問題とかあるいはまた所得保障の問題でありますとか、あるいは住宅の問題でありますとか等々、必要なる施策を考えてまいりたいと考えるものでありまして、これについてはまただんだんお話をさせていただきたいと思いますが、皆さま方とも御相談をさせていただきながら、次に打ち出す一つの老人対策の予算を聞いていただく機会を、ひとつぜひ持たしていただきたいと思います。
○田邊委員 またあとにしましょう。
○倉成委員長 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。 午後二時休憩 ————◇————— 午後二時三十八分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。田邊誠君。
○田邊委員 老人問題に対して何かたいへんな野心を持っておられるようでございまして、これはぜひひとつ承りたいのでありますけれども、そこで大臣のおことばの中に、老人問題についてはやはり社会的な役割りを果たすようにしなければならぬということは非常に重要だと思うのです。現在日本では老後の生活は不安でありまするから、働かなければならない、あるいは働けるときは働くべきだという、こういう層というものが非常に多いことは、世論調査等でも御案内のとおりであります。 そこで、いま老人問題として考えなければならぬのは、何といってもいまの日本の年寄りは、若いときの生活の条件というものが非常に悪かった。賃金も劣悪あるいはいろいろな社会環境も悪くて、そういう中で呻吟をしてきた結果というものが今日を招いている。しかも老後の生活のよりどころである年金制度が確立していない。こういう非常に谷間におるわけであります。そういう現状を踏まえて、一体老人対策の現状はどうなっておるか。いま大臣がお話しのあった野心的な考え方からいって、いまの老人対策はやや満足すべきところまできておりますか。
○内田国務大臣 私は老人対策につきましては、新しく就任した厚生大臣として野心的な考え方を持ちたい、こういうことを述べたわけでございますが、先ほど来田邊さんのお話にも出てまいりますように、これから十年、二十年、三十年の間には、日本の人口構成は非常に老齢化して西欧並みになるわけでございます。また、今日は家庭の中で吸収されておる老人問題の相当部分というものも、おそらくは家庭外で国が老人対策を講じていかなければならない時代になると考えますので、そういう時期を私どもが長期的観点からにらみます際には、老人対策というものはあらゆる方面から充実をしなければならない、こういうことでございまして、その野心的な構想の一部、まだこれは完全にでき上がっているものではございませんが、実は総理大臣にお願いをいたしまして——まだお願いはしていないのですが、この秋ぐらいに老人に関する全国の関係団体の代表者や識者を集めて、千人か二千人ぐらいの老人に関する一つの社会会議とでもいいますか、これは佐藤総理会議と名をつけてもけっこうなんだが、そういう会議をやろうと思うから総理にも出てほしいということで、そこであらかじめいろいろな段取りをいたしまして、必要なるべき老人対策というものをいろいろ打ち出して検討して、そして国民的な一つの老人を迎えるあり方というようなものを打ち出そう、こういうことを実は構想いたしておる次第でございます。これは昨年でございましたか、一昨々年でございましたか、アメリカでも老人問題に関するホワイトハウス会議、白亜会議というものをやったこともあるようでございまして、その方面を御検討の議員の方々もあられまして、日本でもやるべきだ、こういうような私に対するプライベートの御提案などもございますので、そういうものを中心としていろいろ盛り上げてまいりたい、こういうことでございます。
○田邊委員 全国の老人に集まってもらっていろいろと意見の交換や施策に対する相互の話し合いをする老人会議なるものを持つという考え方は、一つのユニークな考え方で私は歓迎いたします。ぜひひとつそういう機会を持ってもらいたいと思うのです。 ただ、持ちますると、これはおそらく政府の施策に対する抗議の場所になるのではないかと私は思うのです。いろいろな不満や不平がうっせきをしておる老人層である。したがって、そういう状態の中でもって政府の施策というものがいかに不十分であり、いかにその場限りのものであるか、対症療法的なものであるかということについての不満が爆発する会議になるのではないかと思います。しかし、爆発してもそれはそれなりに意義があるから、そういったものをぜひ推進をしていただくことをお願いいたします。 内田大臣の話を聞いていまして、具体的なものが初めて出てきましたが、そこでいまの老人福祉法なるものについて、私はきょうは内容に触れません。しかし、いま老人福祉法でもってやっておる無料の健康診査なりあるいは老人クラブの運営に対する補助なり、あるいは寝たきり老人に対するところの対策なり、あるいはホームヘルパーなり、いろいろな施策を講じておりますけれども、これまた非常に不十分であります。きわめて中途はんぱであります。健康診査にしても、それでもって病気を発見したら、そのあとの治療は一体どうするかということでもって診査を受けることをしり込みをする。老人クラブも、これは一体どういう目的に基づいていまこの運営が適切になされているかといったらば、これは非常に問題があろうと思うのです。ホームヘルパーにつきましても、予算が幾らか増額したといっても、これはまだまだ専門的にこれに取り組むという状態にその給与の面でもいっていないということを考えたときに、私は問題が非常に多いと思うのですが、それだけでなくて、老人福祉法を三十八年に制定をいたしましたけれども、当時の事情の中で老人福祉法をつくったことについてはそれなりに意義があったと思うのです。しかし、これらの施策をやることだけが老人対策ではないのです。さっき大臣が言われたとおり、いわば積極的な社会的な意味を持たせる、役割りを持たせる、喜んで働ける状態をつくりあげる、そして、働けない者に対しては、年金を中心として政府でもって老後の生活を安心して暮らせるような状態をつくり上げる。いわば国全体の問題、国民全体の問題として老人対策を考えなければならぬところにきていると思うのです。そういう意味からいいますならば、老人福祉法の制定の意味というものは、私は時代の進展とともに内容的にも変革を来たさなければならぬ時期にきたのじゃないかと思うのですよ。したがって、そういう意味合いで総合的な老人対策に対する法律をつくるなり、あるいは老人福祉法の中身についての再検討をすべき時期にきているのじゃないか、こういうように私は思いますけれども、どうでございましょう。大臣、その点に対してお考えがありましたらお聞かせをいただきたい。
○内田国務大臣 何か隣から書きものがきましたが、それにかかわらず私は答えたい。 それは、田邊さんのおっしゃるとおり、また私が先般来述べましたとおり、老人問題は七〇年代、さらにそれをこえて八〇年代、九〇年代の一番大きな社会福祉策にならねばならぬと考えますので、先ほども申しましたように、この秋ごろひとつ佐藤総理にも出てもらう老人会議というものをやりまして、そして、われわれがやらんとする、また皆さま方が提唱されるようないろいろな施策について世論喚起をしよう。政府のやり方が足りないといういろんな意見が出ればそれでけっこうなんでございますが、そう言う裏には、私はいまやっておるような老人福祉に対する施策を法律をも含めて総点検をする。たとえば、いまの老人住宅問題と申しましても、だんだん家族と離れてまいりますから、これは非常に重要性を持っておりますけれども、十分ではございません。あるいは寝たきり老人の特別養護老人ホームなどにつきましては、収容されておる充足率というものは非常に低い。養護老人ホームにしてもまたしかりでありまして、そういう問題から始めまして、今日はもう六十歳、六十五歳といいましてもみな達者な老人がおられますので、それらの人に、さっきも申しましたように、社会に対する指導的活動を与えますためには、定年制の問題も当然再検討すべきでございましょうし、御指摘の老人クラブなどにつきましても、実は私が先般の予算で最後に一つかみ取ってきてその老人クラブの対策費みたいなものも載せたのでございますが、別にこれは法律上どういう仕事をしなければならないということじゃないと思いますけれども、これらのお年寄りが、社会の先輩として意義を感ずるようないろんな行動のための場にもしたいと思います。 また、所得保障の面におきましても、私はいまの老人の福祉年金で、これをわずか月千八百円を二千円にふやすというようなことでいけるものではございませんし、また拠出制の老人年金が成熟するのはこれからまだ何年か先ですが、そのころ二万円でもって足りるとは決して思いませんので、それらについてもぜひひとつかさ上げを考えたい。 また、医療の問題もございましたが、今日では老齢者に対する一般検診とか精密検診とかいうものを国費である程度までやっておりますが、それで病気が発見されたあとにおきましては、特定の結核とか精神障害などについては公的医療の制度もありますけれども、その他についてはない。そこで私は、医療制度の抜本改正を行なうに際して、私どもが一つの考え方としておりますような老人対象の保険制度、しかもそれは掛け金につきましても、その被保険者の負担を過酷にすることなく、また、給付につきましても、今日の家族の七割ということではなしに、あるものは一〇〇%までの給付をするというようなことを医療保険制度の抜本改革の一つの試案の柱といたしておることも、田邊先生御承知のとおりでございます。それらの問題を総点検をさしていただきたい。幸い厚生省に社会福祉審議会というものがございますので、そこに一つの部門を、現在もあるかもしれませんが、設けさせていただきまして、広くそういう方々のお知恵も拝借しながらこの老人福祉対策というものを抜本的に検討をし直し、前進させたい、こういうつもりでおります。
○田邊委員 ひとつ老人福祉法の中身についても、いまの趣旨を体しながら検討してもらいたいと思うのです。あとでもってこれは具体的な中身の問題で討論したいと思いますから、そのときの御用意にひとつお願いしたいと思うわけであります。 いま大臣が、老後の生活保障の中で重要な柱は年金だと言われましたね。問題をあなたのほうからだんだんに展開をしていただきましたから、それに沿って質問をいたしましょう。 年金制度でいろいろな問題がありますけれども、二つ、三つ抽出をして考えれば、一つは額の問題ですね。これは、一体どの程度が当面老後の生活を営むにあたって必要最小限度であるとあなたはお考えですか。
○内田国務大臣 これは、老齢者が置かれておる家庭の事情、地位などによって一がいには申し得ないと思いますけれども、私は、たとえば生活保護費を考えました際に、今度生活保護費の引き上げも一四%いたすわけでありますが、これは四人世帯で三万何千円ということになるはずでございます。したがって、今日の老齢者が、いかに福祉年金であれ、月二千円ということでとうてい満足すべき状態ではないと私は思いますので、これは今後もでき得る限り引き上げてまいる。ただ、これは無拠出のものにつきましては、結局国民全体の負担でもあり、また拠出制年金とのかね合いもございますので、いまの老齢福祉年金を拠出制年金と同じように二万円のベースにいま直ちに持っていくということは、これはなかなか実現不可能だと思いますが、年々増額に努力してまいる所存でございます。
○田邊委員 いまの物価の状態、生活水準の状態から、最低幾ら老後の生活を営むに必要ですか。
○内田国務大臣 お答え申しますように、老人に扶養者がある場合と、あるいはまた家族から離れている場合と、それぞれ違うと思いますので、最低幾らということはいま申し上げにくいと思います。
○田邊委員 いろいろな条件がありますけれども、それはなべて一人当たり幾ら最低必要だということはわかりましょう、生活保護基準だってあるのですから。あとでお聞きしますけれども、生活保護基準というのは、それはでたらめですか。そんなことはないでしょう。ある一つのよりどころがあって初めて基準を設けられているのでしょう。そうすれば、そういうものから演繹をして、いま最低生活に必要な基準というものは当然出るべきじゃないでしょうか。幾ら必要ですか。
○内田国務大臣 老齢者でも所得かなくて生活保護世帯になる場合があるわけでございますから、そういう場合は、いま私が申し上げましたように、また田邊さん十分御承知のような生活保護、生活扶助を受けられるわけでありますが、いまお互いに論じているのは、そういうような生活保護の対象にならないような老人についてでありますから、これは老人家族の構成にもよるし、またその扶養者の所得の状況にもよるということを申し上げて、いま幾らということを私に言えとおっしゃられても、ちょっと私はなかなか一がいに申し上げにくい。ここに幸い社会局長もおりますから、ひとつ補足して政府委員から答えさせます。
○田邊委員 一般家庭の標準の世帯の一人平均からいって、老人人口を構成をしている六十歳以上の平均からいきましたら、一体最低どのくらい必要ですか。
○伊部政府委員 生活保護におきます老人世帯の保護水準は、一級地を例にとりますと、老人一人世帯、六十五歳女といたしまして、生活扶助は一万一千三百五十五円でございます。老人二人世帯、同じく生活扶助は、六十八歳男、六十五歳女という家庭で一万九千三百七十一円であります。
○田邊委員 生活保護基準からいいましても大体一万円必要ですね。大臣おわかりですな。そうなったら、それだけなくちゃ最低生活を保障する年金制度になりませんね。不十分である。したがって、そこまでは当座いまの物価の状態から、生活水準からいって、当然引き上げるべきである、こういう観念に立つことは当然でしょう。いかがですか。
○内田国務大臣 多少私の申し上げていること、田邊さんに誤解があられるようでありますけれども、いまの生活水準については、それまで達しない人々は生活保護の対象として取り上げられるわけでありますが、私が申しておるのは、必ずしも老人だけ一人、二人おるわけではなしに、私などはとっくに親を送ってしまいましたけれども、この間まで生きておったわけでありまして、親を扶養しておった。この親につきましては、私と共同世帯を持っておりましたために、私はできるだけめんどうを見ましたが、何万円なければということでないものでございますから、それぞれの老人の置かれておる家庭生活、家族生活との関係、また扶養者の状況等において違うということを申し上げておるわけであります。
○田邊委員 生活保護においても大体一万円必要だというのですから、これは最低でしょう。まして、一般家庭の状態からいえば、それ以上に必要なことは言わずもがなであります。しかも核家族化が進んでいる今日において、もちろん老人だけの世帯が全部ではありませんけれども、老人だけの世帯が非常にふえてきているのですよ。いま二四%くらいだと思いますけれども、どんどんふえてくるのですね。そういう中でもって、一体老人が独立して生計を営むかいなかは別として、最低の生活は何ぼ必要だということは、大臣、おわかりでしょう。一万円必要だということは大臣もうなずかれたのです。だから、年金制度は十分でないですね。少なくともこれは夫婦で二万円くらいのところにいかなければ話にならぬわけですね。話にならない。そこで、国民年金等も夫婦二万円と称しておるけれども、これはずっと先の話ですから、そんなぐあいにいかないのでありますけれども、額はいま申し上げたように、これはもう最低幾ら必要だというのは、大臣、頭の中でのみ込んでこられたと思うのですね。私の言うことや伊部局長が言ったことで、あなたは大体お気づきでありましょう。
○内田国務大臣 たびたび申すように、老人一人なら一万何千円、二人なら一万何千円ということを政府委員が答えているのですから、それだけない世帯は生活保護世帯に落ち込んでしまって、生活保護世帯になるわけです。ところが、いま老齢福祉年金を千何百円出している家庭で生活保護世帯におちいらない人は、他に所得があるか、他に所得を持っている家族と一緒に住んでいるものですから、したがって、生活保護世帯といえども一万何千円だから老齢福祉年金はそれ以上でなければならないということはないということを私は申し上げている。しかし、お互いの表現のすれ違いがあるようですから、私の申し上げたことをそれなりに御理解願いたいと思います。
○田邊委員 そんな観念で年金制度を考えたのでは将来が危ぶまれますよ。職業があるとか、家族の扶養があるとか、そういったことはいわば補足的なことなんです。それがなくても最低生活を営める状態を年金制度でつくろうというのが国の本旨じゃないですか。他に何か財源を求めるような、木によって魚を求めるような話は、私はこの際やめてもらいたいのです。あなた方の責任において確立すべき年金制度は一体どのくらいが必要であるか。そしてその選択は自由に国民が選ぶ。六十歳以上になってなお働きたい人については適当な職につかせる、年金で暮らしたい人に対しては、少なくとも最低の生活費を年金で与える、こういう状態でなければならぬことは、これは言わずもがなでしょう。そのことからいって、年金額はあまりにも少なきに失しているではないかということを私は言っているのでありまして、そんなにあなたが抗弁しなくても、私はそれらの状態が複雑であり、区々であることについては十分承知していますよ。傾向があるでしょう。さっき申し上げたように、家族制度が崩壊して、ばんばん分離しているではありませんか。そういったことからいって、われわれはどのような状態に持っていくべきかということを、あなたの方向を私は聞いているのです。
○内田国務大臣 たびたび申して恐縮ですが、現状においては、拠出制において二万円ということに、これは昨年改正をいたしました。しかし、無拠出の福祉年金においては、いま直ちにそこまで持っていくというわけにはまいらないので、少しずつ引き上げて、今回月二千円になるわけですが、私は厚生大臣としてはそれで決して十分ではないと思うので、今後も毎年額の引き上げなりあるいは所得制限の引き上げなどについて努力をいたしてまいりたいということを申し上げておるわけでございますので、御了解願います。
○田邊委員 またあらためて論議をしますが、私は、少なくともそういった意味合いからいって、厚生年金についても定額部分をもっと三倍くらいにふやすべきだ、国民年金についてもあめ玉年金といわれるような汚名を返上するような、まあ少なくともすぐ一万円にならぬとしても、五千円なら五千円は支給するようにすべきである。こういう目標の上に立って施策しなければならぬと思うので、ひとつ大臣のおことばを返して恐縮でありますけれども、あえてそれを申し上げたのであります。その点はぜひおわかりいただきたいのでありますが、開始年齢は一体どの辺が適当ですか。
○内田国務大臣 私は、いまの福祉年金は七十歳ではおそ過ぎると思います。でありますから、何か特別の措置によって金額を減らして六十五歳という制度もあるように聞いていますが、私は、今日の諸般の関係からいうと、六十五歳くらいが適当だと考えるものでありまして、したがって拠出制の国民年金におきましては六十五歳とされておりますし、厚生年金は六十歳でありますから、いずれにいたしましても、七十歳というのは少し酷のように私は思います。
○田邊委員 ちょっと前進したようでも中身で後退したところがありまして、共済みたいに五十五歳で出すところもありますから、実際には六十歳というのが定説です。ですから、福祉年金についてだけ何か前進的なことを言ったけれども、平均値を求めればかえって後退でありまして、もうちょっと御認識を新たにしていただきまして、六十歳開始が適当であるというように思想の統一をしてもらいたいと思うのですよ。大臣、そうでしょう。現状より後退するような話をされては困りますよ。
○内田国務大臣 いまの国民年金は、御承知のように、拠出制が六十五歳になっておる。私はそれを七十歳に後退させるということではない。むしろ厚生年金においては退職後条件として六十歳というのがあるのだから、したがって、そういう点から考えても、福祉年金の七十歳というのは、できればもっと前のほうに持ってくることが望ましいという、私の厚生大臣としての愛情のある意見を述べたのでありまして、よろしく御理解をいただきたい。
○田邊委員 御自分で愛情あると言っているから確かでしょうけれども、もっと福祉年金の開始の年齢を引き下げなければならぬ、こういう意味であなたのいまの発言は努力あるものと認めます。しかし、実際には、将来六十歳、六十歳に線をそろえるようにしていかなければならないというように思っておるわけであります。その意見に対してはあなたは賛成されたと思うのです。 もう一つ重大なことは、いま何といっても一番年金制度のネックになっておるのは物価の値上がりでしょう。こういう物価の値上がりの中における貨幣価値の切り下げによって、いわば年金制度が事実上体をなしておらないという現状から見れば、これはやはり物価の引き上げに伴ってスライド制をとらなければならぬということは御案内のとおりでありまして、五年に一度の厚生年金についての再計算等はきわめて不合理であることはもう定説になっておるわけでございますから、繰り上げ等もいたしておるわけであります。そういった点から、イギリスにおいて年金のスライド制を大胆にとろうとしているこの状態の中でもって、このスライドの問題に対して、少なくとも各種の審議会において五%以上の物価の値上がりがあった場合には年金制度についてはスライドする、こういうことが適当であるという勧告があるわけでございますので、そういった点からいって、スライド制の実施というのは焦眉の急ではないかと思いますけれども、いかがでございますか。
○内田国務大臣 私は田邊先生の御示唆のとおりであると思います。つまり、今日の物価を基準として二万円年金というものがいわれておりますけれども、現実にそれが手に入っていくまでの間に、物価の値上がりばかりではなく、お互い国民の生活水準の上昇もありましょうから、その間におきましては、当然支給金額の再検討をすべきである。ことに、いまの国民年金法にも、また厚生年金法にも、表現はややゆるいわけでありますけれども、生活水準の上昇その他の事情を勘案して善処すべきであるという意味の条文が置かれておりますし、五年ごとの年金の再計算制度もありますので、両方からみまして、必ずしも五年を待たないでも、年金の給付額につきましては、冒頭に申す事情に応じた改定を加えるような、そういう姿勢でぜひまいりたいと考えております。
○田邊委員 ちょっと不満足ですけれども、再計算の時期を早めたいということや、福祉年金の年齢の引き下げ等について、きわめて断片的ではあるけれども意欲的な御発言もございますから、あらためてまたお伺いすることにいたします。 それから、来年度の厚生省の予算は、さっきも私申し上げたように、国民所得の状態から見れば非常に不満足であります。大臣は児童手当以外は大体満足であるというようなことを予算の折衝が終わったあと申されたそうでありますが、そんなことではたまらないのでありまして、不満足きわまる予算であります。特にこれは、もう言わずもがなですけれども、何かたいへんふえたようなことを言っておるんですね。二二・一%増とか言っておるけれども、さっきの増岡さんの御質問にもありましたように、この中における医療費の占める割合を差し引きますと、まことに少額しかふえていない。こういう自然増あるいは医療費の値上げ増によるものを差し引いた場合における社会保障の増加分は、国の全体の予算の中ではきわめて劣悪な状態であるということを私は指摘をいたします。これは近来まれに見るほど厚生省はこの予算の中でもって獲得することが少なかったというように言わざるを得ないのですが、反発はありますか。医療費の値上げ増を差し引いてですよ。予算項目はいいんですよ。反発はありますか。
○内田国務大臣 田邊さんはまことにきびしい見方でございますけれども、とにかく前年度に対する増加率にいたしましても、いまお話がございましたように、あるいはまた増加の絶対額におきましても、あるいは国の予算全体の中に占める厚生省関係の予算の割合を見ましても、昨年度よりよくなっておることは御承知のとおりでございます。ただ、その中では、御指摘もございましたが、ふえたのは医療費で、それを除くと実質的な他の社会福祉面におけるふえ方はまことにりょうりょうたるものだという御叱責でございますが、まず、とにかくあれだけの率なり額なり——率で言うと、いまお話がございましたように二二・一%、額で申しますと約二千億近くふえた。その中のほんとうの医療費のふえ方は、私流の計算でいくと二千億ふえた中で八百億くらいでございます。それに政策医療費みたいなものを入れますと千二百億くらいふえたことになりまして、したがって、厚生省の予算は二千億ふえたけれども、その六割は医療費ではないかということを言われがちなんですが、中身をひとつAグループ、Bグループに分析して見ていただきたい。親切に見ていただいて、おまえの予算はだめだだめだとおっしゃらないで、よくやったから来年もっとやれというふうな御激励をいただきたいと思います。
○田邊委員 ぼくは、将来のことを考えるから親切に質問しておるんですよ。あなたのように、てまえがってに、何でもふやしたと考えることによって一体将来どうなりますか。こんなことでもって社会保障の充実をはかろうとする、そういう意欲的な姿勢は見られないというふうに私は思うから、親切きわまりなく予算の中身について質問しておるのでありまして、そういうてまえがってな数字だけ並べては困ります。 同僚議員の質問もありますから、あと二つ三つだけ、中身はもう演説をいたしませんで質問いたしますが、生活保護についての基準を一四%——社会局長に言わせると、社会福祉の向上のための総合的な施策をこの際やるという意欲的なことを何か書いているが、これは一体どこから出るのですか。厚生省の要求は一六%。この根拠は何ですか。きまった一四%で、一体この生活保護の基準というものは満足すべき状態でありますか。最近はエンゲル係数だけにたよっているわけではないけれども、この状態は一体どうなりますか。国民一人当たりの消費支出の伸びは一四・六%、個人消費の全体の伸びは一五・九%であります。これからいってみまして、これに根拠を置いて一五%を要求し、最終的に一六%に落ちつかれたんじゃないかと思いますが、それはきわめて少ないですね。パーセントは去年より確かに多い。しかし、いまの物価の上昇の面からいい、全体の生活水準の上昇の面からいい、あるいは栄養価値の面からいい、栄養審議会の三十八年一月二十五日の答申からいって、四十五年を目標に、カロリーと栄養価値を一体どういうふうにすべきかということに対する見地からいっても、これはきわめて不満足である、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。 これは私は毎年質問しているのですが、一体どこに生活保護基準の根拠を置いてあなた方は予算折衝をされ、それが決定されるのですか。これは政治的なかけ引きやっかみ金ではいけませんよ。憲法の規定するところの最低生活の基準、これは政治的かけ引きできめられるべきものではないと私は思う。現状に照らして科学的な根拠がなければならないと私は思う。そうでなければ憲法違反であると思うのですが、この根拠は一体どこにありますか、ひとつ端的にお聞かせいただきたい。
○伊部政府委員 生活保護につきましては、予算折衝の過程におきまして、厚生、大蔵大臣の間におきまして、ただいま御指摘のように、明年度一四%引き上げの決定を見たのでございます。その間におきまして、厚生省案あるいは大蔵省案といったような経緯はないのでございますが、本年度は昭和三十九年以来二二%台がついたのでございますが、ただいま先生御指摘のような、明年度のいろいろな要素を考慮いたしまして一四%の引き上げを実施いたした次第でございます。
○田邊委員 答弁になっていないから、これはあらためてやりましょう。 時間がないから次へ移りまして、児童手当はもうたびたび言われました。本会議、予算委員会でも言われたから御案内のとおりでしょうけれども、四十五年度を目途として実施すべき児童手当についての大綱について昭和四十四年七月二十八日に審議会に意見を求めておるわけなんですから、四十五年からやるというこのことは、諮問書々見ても当然の帰結でありまして、四十五年から実施できない政治的な責任は非常に大きいわけですね。 そこで、いま諮問をしている中身について見ますると、第三子からさしあたりやるということで、四、四、二の割合、それから三千円ということが書かれておるわけでございまするが、児童手当の目的といいましょうか、創設の理念というものは一体どこに置かれているのですか。この児童手当の問題は、英国のビバリッジが一九四二年に一つの示唆をしておりまするけれども、いわば防貧対策として考えられてきたのでありますが、その後人口対策や社会的な政策の意味を含めて最近とられてきたのですね。しかし、いずれにいたしましても、私はやはり再生産に必要な意味で、子供は社会全体が責任を持つという立場でなければならぬと思うのです。そういった意味合いからいって、私はこの第三子からやるということの意味はきわめて不届き、不合理だと思うのですね。第一子からすべきであるということは当然の成り行きであります。これは人口政策からいってもそうなんであります。外国では第二子から全部やるというところもあります。これなどは、近代その説が間違っているという方向にいっているわけでございますが、これは私は児童手当を創設しようという政府の意図というものが誤って設定をされているのじゃないか、こういうように思うのでありますけれども、児童手当の創設の理念は一体どこにありますか、ひとつ一言で言ってください。
○内田国務大臣 これは実はなかなか一言で申し上げられないような複雑な内容をはらんでおりまして、昨年七月、審議会ができまして、本年度予算編成までにまとまった答申をいただくに至らなかったというようなことでございます。そこで私は、就任以来わざわざこの審議会も持っていただきまして、何とかこの八月の時期まで——あとの段取りのことを考えまして、段取りの内容については申し上げませんけれども、八月までにひとつ審議会としての統一的な考えをいただき、しかもそれは、審議会としての考えだけではなしに、いまもおっしゃった第一子か第三子かというような問題も含めまして、なかなか複雑な議論がありますので、審議会には各方面の方々が参画されておりますが、それらの意見を含んで何とかコンセンサスが得られる案をぜひひとつ八月までにいただきたいということでお願いをいたしておるわけでございまして、このことにつきましては本会議並びに予算委員会でたびたびお答えを申し上げたとおりでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○田邊委員 あなた、それで、使用者である財界、これが一番ネックであることは御案内のとおりなんです。これに対して具体的な説得工作を始めていますか。この使用者負担について財界が納得をするということが実は一番重大なんであります。したがって、審議会に具体的な答申を求められるということも必要であると同時に、いわばこの四、四、二の割合の、財界と、それから二の地方自治体、これに対して具体的に大臣が、了解するような手だてを進めなければならぬと思うのですけれども、これをやっていますか。
○内田国務大臣 これは一子から支給するか、三子から支給するかによって、まるでその数字が違ってくること御承知のとおりでありますが、それらの財源区分等につきましてもいろいろな意見がありますので、したがってそういう意見をまとめていただくことにいま私は専念をいたしております。初めからこれは財界負担であるとか、それを説得するということでなしに、それらを含めて、まとめることをお願いいたしておることを御了承いただきたいと思います。
○田邊委員 あなたの役割は私はそこにあると思うのですよ。それをしなければ、審議会がいかに答申をしても、実際はなかなか実施の運びにならぬ。だから来年度に実施をしたいとすれば、そういう日本の財界のこれに対する抵抗、これらを考えて、これに対してやはり具体的な手だてを講ずるのが私は厚生大臣の役目だと思うのです。それを実際にやらなければいけないですよ。あなた、そういう努力をされる用意がありますか。
○内田国務大臣 四、四、二の負担でいくということで私に財界面を説得ということになれば、私はどういう努力もいたしますが、現在の段階では、四、四、二の負担でいくとかいうようなことも、そこに意見が一致してきておりませんので、そういうことの帰趨をも見まして、私は前向きで最善の努力をいたす所存でおります。
○田邊委員 これは前の大臣が諮問の中で、やはり企業側と国と地方公共団体が分担をして、プールして手当を支給するということをいっておるのですから、四、四、二であろうとなかろうと、どうしてもそこが障害になっておるとすれば、それに対して具体的な手当てを早くしなければ間に合わぬですよ。これは四十六年度にも間に合わなくなるのですよ。だから私は、やはりそういった面における大臣のそれこそ積極的な、意欲的な、野心的な行動がなされなければならぬ、こう思うものですから、約束を実行するための手当てとしてそのことを主張し、強調しているわけです。やってくれますか。
○内田国務大臣 たびたび申しますように、財源負担の問題はきまっておりませんが、これは究極においては財源が要る問題でありますので、私はその問題の解決に向かって邁進をする所存でございます。
○田邊委員 それでは、もう時間がありませんから、私は内容的な問題についてはあとでもって一つ一つお答えをいただくことにいたしまして、最後に一つだけ、問題が違いますけれども、在日朝鮮人の帰国について一昨年の八月からとだえておるわけですね。モスクワからコロンボ会談があって合意した面もございます。ところが、代表団の入国手続等の問題でいま中断をしている。人道的な問題であるというような点で、私はしばしば指摘してまいっておるのでありまするけれども、これに対して、やはり早期に帰還の道が再開されることが望ましいと私は思うのであります。人道的な立場から、大臣、これに対してひとつ日赤等を督励をし、政府の誠意によってこれが具体的な再開の道が開かれるように、ひとつそういう努力をやられますか。
○内田国務大臣 この問題の経緯並びに現状につきましては、いま田邊さんがお述べになったとおりでございまして、両日赤間で話し合いを進めております。いま申請済みで未帰還になっておる一万数千名の方々の処理につきましては、これはおおむね話し合いがついていると私は思うのでありますが、そのあとの処置につきましては、日赤側は、人道的見地に立って、そのあと向こうから配船してくる船に乗船をされる北鮮側の代表の入国手続問題について簡素化の提案をいたしておる、それについて北鮮側の御了承がないということでつかえておるわけでありまして、両当局が両方とも人道的見地に立って、この問題をすみやかに解決することを私は期待いたしておる次第でございます。(田邊委員「期待だけ……」と呼ぶ)こちらから提案をいたしておりまして、こちら側の人道的簡素化方式に対して、北鮮側の了承が得られないというところが問題になっておるのであります。これはひとつこちらからも、なお、さらに何べんでも話し合いを進めるべきではなかろうか、こういう段階でございます。
○田邊委員 いろいろと不満足な点がございますので、各項にわたってはひとつ後の機会でもって大臣の所信をただしながら、あなたのおことばの中にあった誠意を私どもが具体的にくみ取れるような政策を打ち出していただくことをぜひひとつお願いしたいと思います。 終わります。
○倉成委員長 島本虎三君。
○島本委員 農林政務次官も要請してあるのですが、まだ見えておりません。これはやはりイエスかノーか、はっきりした態度の表明も必要でありますので、事務的な段階だけの問題ではないのでありますから、出席を要請してあったのであります。可及的すみやかに来るように、委員長のほうからもその点十分に要請しておいてもらいたいと思います。 御存じのように、食用にも有機水銀使用の、いわば有毒バレイショが出回ったということで、だいぶ新聞をにぎわしておるのであります。そして、それだけではなく、関係者がそれぞれ送検騒ぎまで惹起されております。そして、いわば有毒ジャガイモといわれるものが市販されているほかに、学校給食や養護施設でもこれが園児に給食された、こういう例も出てまいりました。幸い異常の訴えはまだ全然出ておりません。これは不幸のうちにも幸いだと思いますけれども、しかし、異常の現象が今後も出ないようにわれわれは期待し、祈ってやまない次第なんです。 それにしても、札幌市の中央卸売り市場では、食品の衛生監視員が、水銀中毒と見られる皮膚炎を起こしたことが、先月の二十七日にこれまた報道になっているのであります。こういうふうにして見ますと、万博を前にして、こういうような食品関係のいわば指導がたるんでいるのではないか、こういうことがあってはとんでもないことになるのであります。私は、その経過と措置についてまず農林省から報告を求めたいと思います。
○山下説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。 ただいま御指摘のありましたように、今回北海道の一部の地域から、有機水銀剤で消毒された種バレイショが一部混入して出回った事実がございますが、このことはまことに遺憾に思っております。このような事態が発生いたしましたことは、最近バレイショの供給が若干不足ぎみの関係がございまして、一部の取り扱い業者が北海道内の農家の庭先におきまして種バレイショを買い付けまして、これを出荷、販売したためによるものでございます。 北海道庁、東京都庁などにおきましては、事態の重大性にかんがみまして、有機水銀剤で消毒されたバレイショの販売の中止並びに回収など所要の措置を講じました。また、私ども農林省におきましても、このような有毒なバレイショを食用として販売させないように、厳重に通達をいたした次第でございます。今後はこのような事態になりませんように、事前に十分指導をしてまいりたい、このように考えております。
○島本委員 さきに東大病院で惹起した血漿の治療によるところの少年の水銀中毒死事件、これもまた重大な問題であったわけであります。これはあらためて水銀のおそろしさというものを認識させた、こういうようにいっても差しつかえないと思うのです。水銀の使用基準について、もうすでに再検討して、十分指導しなければならないことは言うまでもないと思うのです。厚生大臣も、いままで田邊委員との間でいろいろ優秀なる質疑応答がございましたが、この具体的な問題に対しては、ただ希望的観測だけの答弁ではだめなんです。そういう点からして、水銀の使用基準に対しても明確に再検討の段階にある。 それだけじゃございません。熊本、新潟の有機水銀中毒によるところの公害、この問題が大きい社会問題になっておりますけれども、この患者すべてが裁判に移して、その段階でもまだこれが決着がつかない。決着がつかない段階だけじゃなくて、これから何年かかるかわからないというような不安さえある。それだのに、また公害事件といわれるような有機水銀中毒事件、こういうものに対する対策さえも、治療法の開発さえも、十分まだ発見されないうちに、また有毒なるこういう食品が出回る。こういうことに対しては私は最も遺憾と思っております。これは監督行政すなわち農林省、厚生省、この両方の立場から、あるいは農業の面から、もう一つは食品の面から、その両方からの指導のあいまいさが結局こういうことを生み出しているのではないか。まして万博を目前にして、これは放置できる問題じゃないと思う。私は、そういうようなことからして、農家が秋に貯蔵するときに有機水銀剤を含んだ、食品には使えない防腐剤、これはセレサン石灰ですか、新ルベロン石灰25、こういうようなものを振りかけた、こういうふうにしておいて、それを市中に回してきた。こういうふうになると、回って店頭に出て初めてわかるのが食品なんです。それまでの間、だれもわからない。おそらくこういうようなものに対しては、二度と——この出回るに至ったルート、こういうようなものに対して二度と同じことを繰り返しちゃならないはずなんです。私は、こういうような点では厳重に監視し、今後は指導しなければならないんだ、こういうふうに思っております。どうもあなたたちはまた例のとおりの答弁ですから、厚生大臣、こういうような問題に対して、あなたの厳然たる決意をここにひとつ表明してください。
○内田国務大臣 有機水銀を防腐剤として用いた種イモが食用に回ってきたということを聞きまして、私どもも非常に驚いておるわけでありますが、元来、島本先生も御承知のように、有機水銀は食品衛生上からももう食品には全く用いさしていないものであります。しかのみならず、これは毒物及び劇物取締法の毒物指定になっておりまして、その食品外の取り扱いにつきましても、厚生省といたしましては特別な取り扱い方を指示をいたしておるわけであります。したがって、今度の種イモの消毒用に使われたものも赤く染めてあったわけでありまして、これは毒物及び劇物取締法の対象になっておる薬品であると同時に、農林省御所管の農薬取締法の対象にもなっているはずでありまして、農林省としても農薬として種イモに限って使わしておる。こういうことでありまして、厚生省はこの水銀につきましては、いま御指摘のいろいろの案件等にもかんがみまして、これはもう食品については全く容認していないものでございます。それがああして出回ってきたということで、私どものほうも農林省に協力をいたしまして、直ちに全国の都道府県とかあるいは食品衛生監視員等に通達いたしまして、そしてこれらの措置を講じさしておるわけでございます。 なお、先般の血漿にまじえた水銀につきましては、これは食品ではございませんで、先般予算委員会で私が御説明申し上げましたとおり、血漿というものを今日製造保有するためにはこの方法しかないということで、厳重な規制のもとに薬として使わしておるのでありまして、今度のジャガイモ問題などとはまるで性質を異にするものでございますが、これらにつきましても、この水銀につきましては、私ども最も神経質になってやる決意で、私は省内の関係方面の職員にも厳重に言い渡しておるところでございます。これは農林省にも十分御協力を求めるものでございます。
○島本委員 この血漿の問題については、これはもう直接追及したんじゃない。水銀がこういうふうにおそろしいということの認識を新たにする一つの素材として出した。これに対してあまりにも、指導の面が欠けるのか、どういうふうな面が欠けているのかわかりませんけれども、簡単に防腐剤として使うような傾向が農薬の場合生じてきているから、そのために、水銀のおそろしさを認識させるための例としてこれを言ったんです。 いまあなたはそうおっしゃいましたが、それならば、この毒物及び劇物取締法によると、これはあくまで特定毒物になっているわけでしょう、農薬のうちで。そうなりますと、農林省のほうでは、農薬取締法によってこれをやはり取り締まっていることになるわけでしょう。厚生省も取り締まっておる。それから農林省も取り締まっておる。それが両方の取り締まりの目をくぐって出てきた、こういうことになると、農林省の権限はどこからどこまでで、厚生省はどこからどこまで取り締まるのか。これをあいまいにしておいたら、それが盲点になってしまうわけでありませんか。このルートというものとあわせて、一体どこからどこまでが農林省、どこからどこまでが厚生省か、この責任分野を明らかにしてください。
○遠藤説明員 農薬の取り締まりにつきましての農林省の所管の分野を申し上げますと、農薬取締法自体は、農薬の製造、販売を行ないます業者に対する取り締まりの法律でございます。しかしその中で、登録に際しまして使用方法それから用途、そういうものを明定いたしております。今回の場合も、水銀の粉剤の場合は種子用のものと明定をしておりまして、そのほかのものには使えないような指示はいたしてあります。それから先どうするかということになりますと、生産段階——畑、たんぼにございますものに対します消毒及び種子消毒につきましては、農林省の植物防疫法関係で設置しております都道府県の職員が農家を回りまして指導するということになっております。ただ、今回の場合のように製品になってまいりましたものにつきましては、所管の範囲内を離れるということに相なるわけでございます。
○島本委員 厚生省はどこからどこまで、……。
○山高説明員 毒物及び劇物取締法につきまして御説明申し上げますと、毒物及び劇物取締法は、毒性または劇性の著しく強いものにつきまして、これは農薬に限らず、工業用薬品につきましても同様でございますが、これが流通の過程におきまして、毒性の面に着目して、取り扱い者に被害を及ぼさないように規制しようとする趣旨の法律でございます。ただいまの農薬の問題につきましては、農民がこれを使用する場合に準用いたしまして、毒物及び劇物取締法の規定のうち一応取り扱い、表示、保管、着色を準用いたしております。申し上げますと、特に農業用薬物につきましては、これは先ほど大臣が御答弁申し上げましたように着色しておりまして、取り扱い者に被害を及ぼさないようにいたしております。農民の手に渡りましたあとは、使用につきましては、これは農薬取締法のほうでやっていただくことになっております。
○島本委員 私の言うのはそれなんです。いま聞いただけではわからないのだ。どっちがどっちだか、まだ私もわからない。したがって私は設定しますから、違っていたなら言ってください。 生産、流通、販売までは、これはやはり農林省が当然責任を持たなければならない範囲である。店頭に出された場合、農家から外へ一歩出された食品に対しては、厚生省が食品衛生法によって取り締まらなければならない範囲のものである。こういうふうに私は分類して考えますけれども、そのとおりですか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 ただいま生産、流通、販売とおっしゃったわけでございますが、生産までの段階のものは農薬取締法及び植物防疫法によって指導、取り締まりができるようになっておりますけれども、販売——何と言いますか、今回のような場合につきましては、どちらの法律でもちょっと取り締まれない。指導によるほかはないということになっております。ただし私どもといたしましては、種イモ以外にあの農薬を使ってはいけないということになっておりますので、それが食品に流れたということであろうかと思いますが、そういう事態を予想しておりませんでしたものでございますので、その辺、先生御指摘のように、穴になっておるところがあるということを考えざるを得ないと思います。
○金光政府委員 食品衛生法におきましては、店頭において販売するという行為につきましても当然法により規制しているわけでございますが、販売という行為の中には、店頭のみならず、不特定多数の人々に授受する場合も含んでいるわけでございますから、食品衛生法に違反する食品を不特定多数の人に授受するという場合も、この食品衛生法の規制の範囲に属するわけでございます。
○島本委員 今回の場合、特に酢酸フェニル水銀を成分とする水銀系の農薬であって、これはすでに禁止されておるもの、すなわち散布用の水銀系農薬、それと土壌消毒用の農薬、こういうようなものに対してはもうすでに禁止されておって、ただ種子消毒用の農薬としてほんの一%程度だけ認められておるものである、許可されておるものである、そして使用されている。ほとんど一%ぐらいのものがこのようにして出回ったという事故なんです。大部分のこの土壌消毒用の農薬、それから散布用の水銀系の農薬、これに至っては九〇%以上もあるようなものが禁止されているはずなんです。使用していないはずなんです。この許可されている種子消毒用の農薬、ただ一%ぐらいのものがこういうようにして脅威を与えているのです。そういうようなことからして、農林省のほうでは、生産、流通、販売までもう一回よく考えてあなたのほうで調べてごらんなさい。しかし、これは一たん農家のほうを出ると、食品の場合には、農家が売ってあると、もうすでに食品衛生法の対象になるわけなんです。この辺があいまいで、生産までだと言う、倉庫へ入れるまで。その辺まであるかないか、流通へ入るか入らぬかまで農林省では関知しないと言う。しかし、あくまでも生産、流通、販売、これまでは農林省はき然としてこれを指導し、監視しなければならないはずなんですが、その点に対する一つの盲点があるのじゃありませんか。やはり厚生省にもある、農林省にもある。この両方の管轄、これだけはもう一回再検討して、今後再び起こさないために具体的な措置をとる必要があると思うのです。これは大臣から……。
○内田国務大臣 私も、大臣をいたしておりますが、私は国民の一人として考えた場合にも、島本先生御指摘のとおりだと考える。法律の構成は、食品としては全く禁止されておって、厚生省の食品関係には影も形も認めていないような、そういう有機水銀を塗った種イモが店頭の販売に供されるということは厚生省としては迷惑しごくのことで、ダイナマイトを持ってきて、ダイナマイトをくだもの屋で売ったらそれも厚生省が取り締まれというのと同じようなことになって、たいへん迷惑する話なんですが、しかし厚生省といたしましては、それが店頭で販売されるということになりますと、とにかく販売用の食品として持ってこられたわけでありますから、冒頭に述べましたように、私どものほうでも、それは農林省に協力して万全の手配を実はいたしたわけでございます。しかし、そんなことを言ってみても国民大衆には、とにかくジャガイモというものがどこまでが一体種イモに使い、どこまでが食用に供されるということは、消費者、主婦の方々はわからぬわけです。これがかりに赤いものが塗ってあるといたしましても、何のために赤いものが塗ってあるか、私の女房に聞いてもわからぬわけでありまして、私は、食品行政というものはほんとうに厚生省、農林省が一体になって——私のほうの食品衛生法というのは、読んで字のごとく、人の健康を守るために、食品について有害物がないような、何といいますか、防御的の性格のものでありまして、市場制御的な要素というものは一つもないのでありますので、これはほんとうは所管の問題ではなしに、食品には農水産物がたくさんあるわけでありますから、そういうものに対する消費者指導の面なども含めたような行政をどこかでまとめてやる。やらなければ常に連絡会議を持ってやるような仕組みでなければならぬはずだと私は思いまして、可能な限り、もしできるならばほんとうに食品法というようなものにいまの食品衛生法を直してしまって、農林省のほうの食品関係の管理法がありますならばそういうものも取り込んでしまって、そして食品行政というものは私のほうで一手にひとつ消費者大衆に向かって指導をやる。そのかわり局の次長には農林省から人を出してくれと言ってもかまわないわけであります。そういうふうにしなければ——ほんとうにうちの女房でも、厚生大臣の女房でも、いまのジャガイモが種イモか食用かわからぬということについて、いま私は国民の一人として申し上げたんですが、今度は厚生大臣に返りまして、それらの点につきましては、私は農林省のほうとも十分打ち合わせたり、あるいは経済企画庁に国民生活局というのがございまして、そこが消費者行政の何か中核的な指導をやるということで、最近関係各省の担当官を集められて、そうして何か需要者総合会議みたいなものをやっておるようでありますから、そういうところでもこういう問題、島本先生のたいへんごもっともな御提案を取り上げていただくようにして、要すればそれは法制の根本的な改正というようなことまでいくのが、私は今日のほんとうの行政としてのあり方だと思います。
○遠藤説明員 ただいまの補足をして申し上げます。この今回のような水銀粉剤でございますが、これは、先生先ほど御指摘のように、種子消毒用以外には禁止しておりますが、これが粉剤のような場合でございますと今回のような使用をする場合が出てまいりますので、今後こういうようなことが出てまいりませんように、今年度限りで粉剤の水銀剤は全部販売をやめさせることにいたしております。来年以降は液剤になります。液剤になりますと、種イモを植えます直前に入れるのでなければ商品価値をそこなってしまいますので、今後そういうおそれのないような方向に指導を変えてまいりたいと思います。
○島本委員 大臣も意欲的な具体的な決意を表明されておるので、それに向かってひとつ邁進していってもらいたい。いままでのような取り締まりの手段、措置、監督、こういうようなところでは、どうも押えるところのないような部分がある個所にありますから……。法律があっても適用がない。あえてさがすと指導だけだ。この指導はきいてもきかぬでもこれは流れちまいますから……。そういうところに盲点があります。したがって、この具体的な措置はいま大臣十分考えられて、この際ですから、やはり管理の面からも十分にいろいろな考えを総合しておいてもらいたい、こういうふうに思うわけです。これは、いまここで大臣の言ったことば議事録に載っておりますから、今後二、三カ月後に再び同じような質問をして、なっているかなっていないか点検をするようにいたしたいと思いますから、ひとつ大臣、いまのことばを必ず実現しておいてもらいたいと思います。 それとともに、この点を特に私は聞いておきたいと思うのです。それは、つい最近、日本農業生物学研究会員である茨城県の木村安明さんという人の新聞投書を私はちょっと汽車の中で見ました。それによりますと「すでに姿を消したはずのイモチ用有機水銀農薬が“堂々と”陳列してあった。」というのです。もしこれがほんとうだとしたら、目的は販売のためですから、当然稲作のために買って使用する農家があるということは推察されるでしょう。この取り締まり、指導を幾ら厳にすると言ったって、こういうふうなものがすでに店頭にある。すでにそういうのは禁止されておるものだが、店頭にある。こういうのをそのままにしておいていいものかどうか。これは、私は、やはり疑問なんです。いもち用の有機水銀農薬、こういうものはいま使用されているんですかどうですか。それで、こういうようなものについてはギャップというか、取り締まりの面や監視の面や指導の面なんか、どうもちぐはぐじゃないか。農林省関係では厚生省のことは知らぬと言う。厚生省のほうは、自分のほうだけやっておればいいのだ、あともしあげられたら農林省だ、こういうような考えじゃだめじゃありませんか、大臣。こんなにも販売用に供して売られている。農林省ではこれはどう思いますか。
○遠藤説明員 ただいま御指摘のような投書が朝日新聞の「声」欄に先般出たのでございますけれども、私どものほうは農薬検査所を通じましてそれの回収に当たっております。原則としましては、先生おっしゃいましたように禁止しておるものでございまして、四十五年度内で大体全部いもち病関係はなくなるはずでございますので、本来ないことになっておりますけれども、店などでストックを持ったものがときどきそういうところに出るのでございまして、見つけ次第、私どものほうでは回収に当たるようにいたしております。
○島本委員 それで今度は、農林省と厚生省の指導面についてちょっと私は伺っておきたいのですが、この四十一年以来、種子用を除いては、有機水銀剤は農薬として使うことは禁止されておる、こういうことなんですけれども、農薬には農民はもうなれてしまっておりますから、そういうことからして、これを単なる防腐剤としか考えないで、腐りどめなんだと、こういう考えで簡単に使用するというような面がないかということです。私は、こういうようなことに対しては、毒物意識がないんじゃないか、そして同時に、自分自身を守るためにも、これは認識させなければならないはずのものじゃないか、こういうような点は、あるいは農協あるいはどっかへまかせ切りにして、こういうようなものに対する認識を欠いている点があるんじゃないか、これは農林省の怠慢であるし、同時に、厚生省も責任の一半を負わなければならないはずのものじゃないか、こう思うのですが、こういうのは、毒物意識を与えるところまで徹底して今後は指導すべきだ、こういうように思うのですけれども、これはどういうようにお考えですか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 農薬でございますから、いずれも大体毒物か劇物になる場合が多うございますが、先生が御指摘のとおり、農家がともすればその使用になれてきて、お粗末な使い方をするという憂いはあるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げました都道府県に植物病毒虫防除所というものを国の補助金で置きまして、相当数の——全国で将来約六百近くのつもりでございますが、いま分散しておりますのを六百カ所ぐらいにまとめまして、そこに指導員を置きまして、それが回ってきまして、指導をすることにいたしております。 もう一つは、臨時の職員でございますが、都道府県でやはり、全国でまとめますと一万八百人ぐらいの防除員がおりまして、それにもたのみまして、そういった指導をいたしております。 それから、常々私ども心配をいたしておりますので、安全使用につきまして安全対策の予算を計上いたしまして、毎年組織化をいたしまして、防除組織によって、個人個人でなるべくやらないというものと、それからそういったものの指導者、中核になる人、それから先ほど申しました各種の県の職員、そういったものにつきまして、毎年毎年厳重な研修、講習を、厚生省関係の出先とも御連絡をいたしましてやっているわけでございます。私どもも怠っているわけではございませんけれども、御指摘のような点にまだ不十分な点があるからこういうことも起こるんではないかと思いますので、より一そう戒心いたしまして、指導を厳重にいたしてまいりたいと思っております。
○島本委員 答弁は要りませんから、厚生省においても、大臣はじめ、こういうような危険物意識を十分浸透させるように、これは指導しておいてもらいたいと思います。 それからWHO、FAOの合同委員会で食品中の残留農薬の許容量をきめた際に、酢酸フェニル水銀、これが残留してはならないということにされているはずだ。そしてこの水銀農薬は、単に物の表面に付着するだけではなくて、作物内部に浸透されるか、または根を通して浸透される、こういうようなおそれがあってはたいへんだと思うのです。それで、土壌から根を通して吸収されるおそれがないのか。おそらくこういうようなことについては、これはもう国立衛生試験所あたりで十分調査さしているはずだと思うのですが、今回の場合なんかは特にバレイショ、そのほかに酢酸フェニル水銀、こういうようなものを使った場合には、根を通して土壌から吸収し、作物の中に蓄積されることがないかどうか。これはやはり重大でありますので、その研究の結果の発表を願いたいと思います。
○小島説明員 ただいま先生御指摘のございました酢酸フェニル水銀は、FAOとWHOの合同専門家委員会で一日の摂取許容量を定めておりまして、これは〇・〇〇〇〇五ミリグラムというのが、体重一キログラム当たり毎日摂取してさしつかえないとされている量でございます。しかしながら同委員会といたしましては、これは非常に少ない数字であるが、できれば摂取しないほうが望ましいということを意見としてつけ加えております。そのために、私どもといたしましては、当時農林省と協議をいたしまして、酢酸フェニル水銀を稲に使ったりする農薬としての散布を全面的に禁止していただいたわけであります。ただ現在は、種子等に消毒用として使います分につきましては、やはり世界的にこれは非常に強力なものでございますので、使われております。ただ種子に使いました場合には、これはほとんどといいますか、全く生産物のほうには残ってこないということがわかっております。それからまた水銀剤をまきました場合に、土壌から吸い上げられるということもわかっております。こういうこともございましたので、稲等に対する使用を禁止したわけでございます。私どもとしては、現在食品に対する水銀の使用は一切禁止しております。 それから今回のジャガイモにつきましては、塗りつけました粉が内部に入るかどうかということは、私どもの国立衛生試験所で検査いたしております。また東京都においても検査いたしておりますが、現在まで中間的な結果でございまして、最終的にはまだ数日かかるのでございますが、現在までの結果では、内部にはほとんど浸透していないという結果が得られております。
○島本委員 これは内部に浸透していない、こういうようなことでありますが、傷がついた場合に、そのものが内部に浸透してもやはり有害ではない、こういうようなことになるわけでしょうか。または傷つかないままに種子用としてそれが植えられた場合には、そこから新たに芽が出てきた場合には、一切これは関係がない、こういうようなことでしょうか。傷ついて中に入ってしまえば、それをすぐ食用として食べる場合には蓄積にならぬかどうか、こういうような点も、この際国民を安心させるために、はっきりしたデータによって、この席を通じてはっきり言っておいたほうがいいのです。そこを聞いておきたいのです。
○小島説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、私どもで現在中間的に得ておりますデータでは、皮に付着しております分も非常に少量でございます。それから、また洗いましたときには、ほとんど落ちてしまうということがわかっております。ですから、洗いましたジャガイモを食べて中毒をするというようなことはございません。それからまた、もしほとんど洗わずに食べたといたしましても、これを一時的に食べたということでございますと、それによって中毒が起こるということはほとんど考えられません。ただ、水銀というものは体内に蓄積するものでございますから、少量であっても長期これを食べるということは好ましくございませんので、私どもとしては、今回のジャガイモにつきましては、できるだけ早く回収の措置をとって、こういうものは国民が何年も食べ続けるということのないように今後とも厳重な措置をしてまいりたいと考えているわけでございます。 また傷がございましても、いま申し上げましたように、塗りつけます散剤は、水銀の含有量が非常に低いものでございます。また傷が一部につきましたものでも、あと洗ってしまえば、それによって摂取される水銀の量というものも、それほど多量ではございません。一時的な摂取によって中毒の起こる心配はないと考えます。
○島本委員 あと二、三になりますけれども、これは、いままでの答弁で、有害なものを使わなくてもいい薬品の開発ができておって、それを来年から使用させることによって、いままでのような杞憂は一切消滅する、こういうふうに理解していいですか。
○遠藤説明員 危険性のない薬というわけではございませんので、種子消毒の場合、液剤でございますと——これも水銀剤でございます。いまのところ、種子の菌を殺しますのは、水銀剤以外にいい薬はございません。ただ使い方の面といたしまして、いままでの粉剤でございますと、今回のようにあらかじめ倉庫に入れるときにまいておくようなことをするおそれがあるわけでございます。しかし、液剤の場合でございますと、相当時間液の中にイモなり種子なりを浸漬いたしまして、それから植えるということになりますので、植えつけ直前でなければそういう薬をつける可能性というのはほとんどなくなってくるという、そういう意味でございます。
○島本委員 それで、やはりそうなると、一%程度の種子消毒用の薬液、これは許可されてありますけれども、依然として来年以降もこれを使わせる気であるということですか。
○遠藤説明員 先ほど申しましたけれども、今回問題になりましたルベロン石灰はもう使わない。販売をやめますから使えません。水銀剤ということでは、液剤の水銀剤を使うことになります。
○島本委員 だから、それは現在の、今回のようなそういうような毒物ではないのですか、これは。
○遠藤説明員 毒物でございます。
○島本委員 そうしたら、それを使うことによって、結果は別に杞憂されるようなことは一切ないということですか。
○遠藤説明員 まあ絶対ゼロであるかという御質問ですと、私もお返事に困るわけでございますが、今回の場合のようにあらかじめ粉をまぶしておくというようなことは、液剤の場合でございますと、液につけてしまいますと、もはや食品としての商品価値を失なうように、しなびたような状態になってしまいますから、そういうことはやれない、元来種イモの消毒の場合は、植えつけ前に消毒をせよという指導を、北海道庁もいたしておりますし、私どももいたしております。それが今回、あらかじめそういうことをやっていたということが出たわけでございます。あらかじめやって、倉庫の中に入っていたものが商品に流れたわけでございます。それが倉庫にある間は、そういう薬をまかずに、いわゆる浸漬いたしますと、食用としては、イモが商品価値がなくなってしまいます。ですから、種イモとしてしか売れません状態、しかも植えつけ直前でなければそれを使わないということが大体ほとんど間違いなく想定されますので、そういう措置をとったわけでございます。絶対ゼロかということになると、私も何とも申し上げられません。
○島本委員 それと同時に、今後はそういうような薬品を使わなくてもいいような開発研究ですね。これはやはり十分やっていかなければならないと思います。 それと同時に、新しい農薬にかえて、できるまでの間、すぐ見分けができるような——種子保存用については着色は現在のままではっきり見分けつくのですか、つかないからそういうようになったのですか。むしろこれはもう新薬ができて、これを全然無害であるというようなところまでいったらよろしい。それまでの間は、やはり着色を厳重にして、これは一見して食用じゃないということがわかるようにしておかなければならないじゃないか、こういうように思いますが、現在のような着色方法でこれはいいんですか。
○遠藤説明員 その農薬の毒物といたしましての着色の問題は、私からお答え申し上げますよりは、厚生省からのほうが適当だと思いますが、ただ先ほどおっしゃいました農薬の開発でございますが、これは私ども、農薬でございますので、どうしても毒物、劇物に片寄りがちでございますが、人畜に無害、なるべく害が弱くてそういう役に立つという薬を開発するように、科学技術庁、農林省、厚生省、それぞれ連絡いたしまして開発につとめておるわけでございます。なかなか思うようなものが出てまいりませんので、今後も一生懸命その点をやっていきたいと思っております。
○島本委員 あと一問くらいになったら、さっぱりいい答えが出てきませんね。これで終わるつもりで最後の締めをやっているのだけれども、さっぱりいい答えが出ないので、これは長引きますね。 大臣、この農薬の開発研究、こういうようなものに対してはまた意欲を燃やさなければなりません。しかし、いまの話は、ただやる、やるだけで実がないようですね。しかし、これは国立の衛生研究所はもちろんあるし、いろいろな機関を厚生大臣のもとに持っているのだから、これは今度農林省に協力してやって、こういうような毒性のないような農薬というようなことで、ひとつ研究開発してください。それを厚生省のほうでやらぬとだめなんだ。
○内田国務大臣 私も農林省のほうの御担当の参事官の御説明を承っておるわけでありますが、現在のあらかじめ使用しておく粉剤を液剤に改めて、そうして種子なり種イモなりとしておろす直前に長期間液体にひたしておくから食品には出回らないということからいうと、私は農林省がいま開発されている、今度からやろうという方法を一つの方法だと思いますけれども、私どものほうでは、さらに一歩進めまして、農林省に協力して、そういう水銀剤を使わなくても種子なりイモなりの保存がきくような、それこそ新しいひとつ資材を開発するように各研究機関を動員いたしまして、そうしてもうそういうものはないのだ、液体であれ、粉末であれ、ないのだというようなことに、努力をひとつやらしてみたいと思います。
○島本委員 この二つだけ確約したから……。 最後に、それに対して一生懸命に携わっておった食品衛生監視員、これの数は何ぼあって、これくらいで十分ですか。どうせ少ないから、これは増員しなければならない状態になると思いますが、これに対しても画期的な決意をひとつ表明しておいてください。
○内田国務大臣 食品衛生監視員の数は全国で五千数百人でございます。五千数百人あればいいのですが、正直のところ、そのうち専任者は千名余りで、残りの人々は監視員ではあるけれども、いろいろの関係の監視を兼ねたような兼務者が多いと聞いておりますので、これはもう食品が複雑になってまいりますから、安心して買いものができますように、いま仰せのとおり、これらの監視員の充実につきましても、今後さらに私は意を用いていくようにいたしたいと思います。
○島本委員 じゃあ、これで終わります。 先ほど言ったように厚生省、農林省両省ともに、同じ薬の管理の問題で盲点があるのがはっきりしましたから、その盲点を埋めるためにも双方ともに今後協力し合って完ぺきを期するようにしておいてもらいたいと思います。 きょうまだ政務次官ついに最後まで来なかった。これは大臣からも少し言っておいてください。いまあなたの声価は高くなっているのだから、この際もう一つ大いに——農林政務次官が来ないなんて、こんなことはありません。二人もいるのに、一人も来ないとは、何ですか。ばかにされている。委員長、あなたも気をつけないとだめですよ。なめられているのだ。これは厳重に申し渡しておいてください。 以上をもって終わります。
○倉成委員長 古川雅司君。
○古川(雅)委員 初めての質問でございますので、きわめて単純なお尋ねのしかたをすると思いますが、御答弁につきましては、そのまま今後の貴重な資料として、さらに私自身の勉強に励みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 概して今国会におきましては、社会保障政策の強化拡充が盛んに論議をされておりますが、非常に総花的であるという国民の印象は否定できないと思います。 大臣に私最初にお伺いしたいのは、先ほどから議論されております老人問題についてでありますが、これは老人天国といわれておる北欧に比べまして、この北欧諸国が百年の歴史を持っていることに比べますと、わが国のおくれはたいへんなものである。対策が早きに失するということは、どの点をとってもあり得ない。現状に追いつけない老人対策の確立、この点は一日も早く、明らかな社会保障にビジョンを与えていく施策の確立が待たれているのであります。 そこで最初に大臣にお尋ねをするのでありますが、この老人問題を社会保障政策にどのように位置づけて今後前進をさせていくおつもりであるか。先ほど来と質問が重なるようでありますが、もう一度位置づけについてはっきりした御答弁を承りたいと思います。
○内田国務大臣 古川先生からたいへん御謙遜のおことばがございましたが、私もごらんのように初めて厚生大臣として答弁に立つものでございまして、いろいろそこつな点がございますのでお許しをいただいて、だんだんまた完成した答弁ができますようによろしく御指導をお願い申し上げます。 老人福祉対策の問題が非常に重要な課題になってまいりますことは、私が先ほど述べましたとおりでございますが、これはもう古川さんも十分御承知のように、日本ではたとえば今日を例にとってみましても、六十五歳以上の老人の方の実数がおそらく七百二、三十万人くらいだろうと思います。言いかえますと、七・二、三%というところだろうと思いますが、例にお引きになられました北欧の諸国では、この比率がはなはだ高い。シングルではございませんで、十数%ということになっておるわけであります。したがいまして、老人福祉対策ということも日本より先発をいたしておると思うのでありますけれども、しかしわが国も最近の人口の増加の状況、また構成比重の推移等を見ますると、たびたび申し述べますように、これから二十年、三十年にはだんだんヨーロッパ型の人口構造、すなわち老齢人口が一二%ぐらいまではどうしてもくるような見通しになるわけでございますので、ここに私は老人対策の一つの大きな問題の原因があると思います。 もう一つは、これまで日本では私的福祉と申しますか、お年寄りを家族の間にかかえてまいっておる部門が相当まだまだあったと思いますけれども、これからはだんだん核家族の傾向も強くなりまして、そうしてそういう家族的扶養といいますか、家族的福祉対策が社会福祉対策に置きかわる、こういうことになるだろうと思いますので、この両点から考えましても老人問題というものは、長期的見通しのもとに今日から福祉政策を、いろいろと皆さま方のお知恵もかりながら積み上げてまいりたいと思います。さような心がまえでやってまいりたいと思います。
○古川(雅)委員 何も社会保障政策のすべてが老人問題であるということを申し上げているのじゃありませんで、どの一つを取り上げても重大問題であります。しかし、その中で特に老人問題についてはどのように位置づけていかれるかと、その点をお伺いしたわけでございます。お願いいたします。
○内田国務大臣 でございますので、これは今日の医療保障あるいは年金等を含む所得保障、そういう面とも関連がございますが、私はもう一つの、それと柱を同じくして並ぶ社会福祉対策の一番大切なものの一つとして、これを位置づけてまいりたいと思います。しかし、これも分析をいたしますと、やはり御老人の医療の問題もございます。あるいは年金等を引き上げてまいるというような所得保障もございますので、やはり医療保障、所得保障と重なる面が多いと思いますけれども、しかしその他のまだまだやるべき福祉施策もほかに多々あることと考えております。
○古川(雅)委員 国民の皆さんのこの老人対策につきましての御期待は非常に強いわけでございまして、ただいまの大臣のおことばから、社会保障政策の中で最重点の一つとして今後取り組んでいかれるという、そういう強力な姿勢を受け取ることができたと思います。 この個々の問題に入らしていただきたいと思いますが、最初にお年寄りの施設の問題でございます。老人ホームは、これはおせじを申し上げるようでおかしいのですが、ここ数年間でかなり状況が変わってまいりました。おんぼろ兵舎を改築したような建物は次第に鉄筋に変わってまいりましたし、食事の内容についても少しずつよくなっております。したがって旧来養老院といわれたような非常に暗い印象は確かに薄らいできてはおりますが、まずこの施設の数の点では、お年寄りの実態から見ますと、その収容能力はまだ一%に満たないということがよくうたわれております。この中で特に私は特別養護老人ホームについてお伺いをしたいのでありますが、この現状について担当の局長から御説明をいただきたいと思います。
○伊部政府委員 ただいま御指摘のように、老人ホームに対します需要は急速に高まっておるのでございます。現在老人ホームの定員はほぼ七万人でございまして、このうち養護老人ホームが五万九千人、特別養護老人ホームが約八千人、軽費老人ホームが三千人でございます。
○古川(雅)委員 きわめて貧弱な実態であるということはいまの御説明でも明らかでありますが、この将来計画につきましては、具体的な年次計画、詳細な年次計画ができているか、お持ちであるか、その点の御答弁をお願いしたいと思います。
○伊部政府委員 老人ホームに限らず、社会福祉施設全般につきましてなお急速に整備を要すると考えておるのでございまして、特に老人ホームにつきましては、四十一年の総理府の世論調査によりましても、約三%がいますぐ入所したいという回答をしておりますし、諸外国の例でまいりましても二%程度という数字がございますので、これらの点を勘案をいたしまして、早急にこの不足分を埋める計画を立てたいと考えておるのでございます。ただいま施設整備の長期計画につきましては事務当局におきましても研究をいたしておりますし、特に社会福祉審議会の中の施設分科会におきまして、長期計画を中心に検討いたしておる段階でございまして、早急に結論を得たいと考えておるのでございます。
○古川(雅)委員 早急にというお答えでございますが、いつまでにという期限を切って急ぎその計画を明らかにするというお考えはございませんか。
○伊部政府委員 ただいま審議会におきまして検討いたしておる段階でございますので、いつまでという時期は申し上げにくい段階でございますが、厚生省といたしましては、明年度を初年度として施設整備に取りかかりたいというふうに、事務当局としてはもくろんでおる段階でございます。
○古川(雅)委員 審議会の答申が出次第直ちにこうした将来計画が明らかになるというお答えでございまして、一日も早くそうした計画が発表されるように期待をしてやまないものでありますが、この七〇年代の老人福祉につきましては、施設や食事の改善、こういうものを進めていくことはもちろんでありますけれども、現状が満足できるものでないことはよく御承知のとおりであります。あわせて、核家族の傾向が非常に進んでおりますので、やはりますますふえております孤独なお年寄り、こうしたお年寄りの方々に愛情を与えていく非常にきめのこまかい施策というものが期待されているのではないかと思います。 これは一つの例でございますが、養護ホームにおきましては、現在お年寄り二十人に対して寮母さんが一人というような実態でございます。今年度の予算要求では十五人に一人という要求をお出しになったそうでございますが、これが認められなかった。現場におきましてはこの点非常に失望しているわけでございます。御承知のとおり寮母さんの労働過重という点は、ごらんになっているかどうかわかりませんが、もう目に余るものがございまして、これは一日も早く改善をして差し上げたいと思うのでございますが、今年度こうして認められなかったということに対しまして、今後あるいは少なくとも来年度この点は必ず実現してみせる、通してみせるというような点について、御所信はいかがでございましょうか。
○伊部政府委員 御指摘のように、養護老人ホーム等におきます施設の職員は、日夜非常に苦労して仕事をしていただいておるのでございます。特に老人の場合におきましてはいろいろ心理的な問題も多うございますので、御指摘のように、単に肉体的な労働のみならず、精神的にも非常に苦労が多いのでございます。そういう趣旨で、なるべく寮母の数をふやしたいということを財政当局にお願いをいたしておるのでございますが、本年度は庁費の増額あるいは人件費のアップ等全般的には相当の改善を見ました関係上、見送ってもらいたいということで、御指摘のように二十人に一人ということになったのでありますが、明年度におきましてこれが達成できますよう、最善の努力をいたす覚悟でございます。
○古川(雅)委員 これは養護ホームを例に申し上げたのでございまして、養護ホームだけではありません。ほかの施設においても同じでございますが、来年度はかなりそういった点で寮母さんの過重労働の負担を軽くしてあげるということについて期待をしてよろしゅうございましょうか。大臣、お願いいたします。
○内田国務大臣 厚生省が所管をいたしております社会福祉施設は、まず赤ちゃんのお世話をする乳児院から始まりまして、いまお話の老人ホームに至るまでずっとあるわけでございまして、これらの従事員の人数の収容人員に対する割合を引き上げるということにつきましては、私ども非常に大きな関心を持っております。ことしも実は乳児院等、他の方面におきましていろいろ増員がありましたことは御承知のとおりでございますが、来年度はことしやれなかった分ばぜひひとつやってまいりたい、こういうことで養護老人ホームの従事員につきましても十分配慮をいたす所存でございます。
○古川(雅)委員 大きく期待をさせていただきたいと思います。 施設の問題にあわせましてお年寄り向けの住宅の問題、先ほども御発言があったようでございますが、この実態につきましては昭和四十三年度に六百五十戸、累計で千九百八十六戸、昭和四十四年度は計画でございますが、七百九十一戸で、二千七百七十七戸になるというふうに伺っております。まずこのお年寄り向けの住宅でございますが、一部には全く計画性がないんじゃないか——実態に照らしてみますとあまりにも僅少であるし、そういった点いかなる施策があるかお教えをいただきたいと思います。あわせまして、この老人住宅の内容でございますが、ベッドの貸与等も今後お考えになっているようでございますし、ベッドを置く場所あるいは階段等につきましてもいろいろと配慮があってもいいのじゃないか。その点どのような計画でお進めになっていらっしゃるか、ひとつお伺いいたします。
○伊部政府委員 ただいま御指摘の点は第二種の公営住宅だと思いますが、建設省所管としてやっておるのでございます。老人住宅全般につきましては直接の所管は建設省になると思いますが、厚生省といたしましても、ただいま御指摘のような老人問題が非常に重要になってくる、特に戦後急速に都市集中をいたしておりますが、一定の時期においてこれらの方々が隠退をされる時期が近いわけでございまして、こういう点につきまして建設省に対しましても強力に働きかけてまいりたい。なお、昨年五月、先ほど大臣からお話がありましたように、中央社会福祉審議会に対しまして老人福祉の総合対策を諮問いたしておるのでございます。この中におきましても住宅が非常に大きな一つの問題になっておるのでございますが、これらの審議ともにらみ合わせて、御趣旨に沿うように努力をいたしたいと考えております。
○古川(雅)委員 大臣にお伺いをいたします。 お年寄りに対する施設の問題につきましては、老人ホームをつくって差し上げて、そちらのほうへお入りいただくことも一つの考え方ではございますが、やはり何と申しましても、家族の皆さんと一緒にお暮らしになることが何よりのしあわせではないかと思います。そういう点から考えますと、現在の日本の住宅事情というのはあまりにも貧弱でございまして、この点は今後大きく施策を進めていただかなければならないのでありますが、総理府の調べによりますと、お年寄りをかかえている家族が全体の約二九%はあるというようなお話を伺っております。そこで大臣、お年寄りのいらっしゃる家族、こうした家族を公営住宅等に優先的に入居を認めていくというようなことを、強力にお進めになっていくお考えはございませんでしょうか。
○内田国務大臣 私はまことにごもっとものお話であると存じますので、御示唆に従いまして、私どものほうからもそういうふうに関係の向きに強く要望をしてまいりたいと思います。同時にまた、老人向け住宅の設計などにつきましても、お年寄りだけが住むのではなしに、家族と住む場合に、たとえば一戸であっても上下を区切りまして、上のほうには若い子供たち夫婦が住む、下のほうに老人夫婦が住めるというような設計でやってほしいというようなことも従来要望してまいりまして、それのおおむね典型的な住宅が札幌にできているというような話も私は聞かされておりますので、そういう施設の中身につきましてもさらに今後の事態に即応していろいろ注文も厚生省として関係筋に出してまいりたいと思います。
○古川(雅)委員 大臣のお説を伺っておりますと、あすからでも実現しそうな、非常に明るい見通しが目に見えてくるようでありますが、ひとつこの点につきましては、今後慎重に、強力に進めていただきたいことをお願い申し上げる次第でございます。 次にお年寄りの医療の問題でございますが、これは、寝たきりのお年寄りにつきましては、いろいろといままでお話があったところでございます。これは老人対策の中でもなかなかたいへんな問題ではないかと思いますが、家庭奉仕員や看護婦さんの派遣の実情がどのようになっているか、その点の御答弁をいただきたいと思います。
○伊部政府委員 老人家庭奉仕員につきましては、明年度二百人増員をいたしまして、手当におきましても若干の増額をいたしておるのでございます。訪問健康診査につきましては、寝たきり老人のうち、相当期間医療を受ける機会が得られないような方を対象とした一万三千人に対しまして、医師及び看護婦延べ六千六百人を派遣をして精密検査をする新規の予算を、明年度盛り込んでおるわけでございます。
○古川(雅)委員 家庭奉仕員の待遇についてはいかがでございますか。
○伊部政府委員 手当月額一万九千二百円でございますが、これを二万一千二百円に明年度引き上げる見込みでございます。
○古川(雅)委員 これは、寝たきりのお年寄りにとりましては、こうした奉仕員の方や看護婦さんの巡回はたいへんな楽しみでございまして、いま御説明いただきました実態からうかがいましてもまことに貧弱である。あまりにも少な過ぎるということはおわかりいただけると思います。今後の増員計画、そしてまた、そういったなかなか金銭づくではできない、ほんとうに真心から奉仕していらっしゃるこういう方々に対する待遇のアップ、そういった点についてどういう御計画を持っていらっしゃるか、改善策をお聞かせいただきたいと思います。
○伊部政府委員 今後、寝たきり老人に対しまして一そう施策を強化する必要があることは、御指摘のとおりでございまして、今後実情に応じまして増員及び待遇の改善につきましては引き続き努力いたしたいと考えております。
○古川(雅)委員 具体的にはどのくらいというふうな計画はお持ちではございませんか。
○伊部政府委員 現段階におきまして、明年度二万一千円という線が出た段階でございますが、具体的な数字はともかくといたしまして、なお改善に努力いたしたいと考えます。
○古川(雅)委員 大臣、お聞きのとおりでございまして、非常に貧弱な実態でございます。この現状の打開に対しましては相当な熱意をもって当たっていただきませんと、この寝たきりのお年寄りに対する対策というのは解決できないのじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○内田国務大臣 仰せのとおりでございまして、私が承知いたしておるところでも、寝たきり老人が、しかも特別養護老人ホームに収容されていない在宅の寝たきり老人の数が四十万と、こういうことがいわれております。それに対する施策が、御指摘のように私は決して十分であると考えられませんので、在宅の寝たきり老人に対する施策につきましても充実をいたしたいし、また、その養護老人ホームに入りたい方で入れない方が、実際入っている方の倍もおるような状況も聞いておりますので、この在宅と、それから特別ホームに入る、両方をあわせて私はこういうものの改善についてできる限りの努力を払ってまいりたい所存でございます。
○古川(雅)委員 お年寄りの医療の問題については、これは非常に深刻なものがございまして、日本におきますところのいわゆる死亡原因が御承知のとおり脳卒中、ガン、心臓病、老衰というような順序を占めております。老人病対策ということもこれは年来非常な御努力をいただいているわけでございますが、こうした早期発見、早期治療を要します医療対策につきましては、お年寄りについては非常にまた心配な点がたくさんございます。というのは、これも核家族の傾向の影響といえますが、お年寄りはなかなか手持ちのお金を持っておりません。したがって、なかなかお医者にかかれない、むすこさんやお嫁さんにお金をせびって医者にかかるということもできないような方がたくさんいらっしゃる。これが実情でございます。お医者に週に三回なり四回なり行かなければならないところを、つらいのをがまんして一回ぐらいしか行かないでいる。そういう声をたくさん聞いております。この点について申し上げればいろいろ例はございますけれども、いずれにしても、お年寄りの医療費の全額公費負担ということはたいへんな要望でございまして、これは一日も早く実現を見ていただきたいと思うのでございますが、大臣、この見通しについてはいかがでございましょうか。
○内田国務大臣 先ほど社会局長からもお話がありましたように、医師や看護婦を家庭訪問をさせて、そして健康診査をする、また、ある範囲においては精密検査につきましても公費で負担するというところまではいっていますが、その結果、むずかしい病気が発見された場合に、その治療費をどうするかという問題が御指摘のように残されていると私は思うものでございます。その場合も、今日の国民健康保険でございますと家族給付七割、こういうことでございます。また組合健保等におきましては五割というようなことでもあるのでありますので、その患者負担の医療費をどうするかということにつきまして、古川さんの御希望、御要請といたしましては、そういうものにつきましても公費負担の道を開く可能性があるか、こういうお尋ねのようでございますが、このことにつきましては、私はそれができれば一番いいことだと思う。それができれば一番いいことでありますが、これは特定の病気についてはそういう公費医療の制度をとっているわけでありますが、いまの脳卒中でありますとか、あるいは老衰とかいうようなことにつきましては、公費医療の道が開けておりませんので、今度の医療保険制度の抜本改正の際に、実は七十歳以上の老人を対象とする一つの保険のシステムをつくって、そうして御本人の掛け金負担なしに、十割を主として、ある場合には十割でない場合も特定の場合にはありますけれども、そういう一つの方式をとることによって、老人医療の問題を大きく解決しようという一つの試案が出されておりますので、それらの改正の検討を通じて、私はこの問題に取り組んでまいりたいと思います。
○古川(雅)委員 今回の予算で、健康診断、また精密検査をさらに強化していくという点も認められましたし、さらに白内障の手術という非常に一歩前進した施策を盛られたことは、これはたいへんなことであると思います。非常に歓迎されております。高く評価されております。ただ、先ほど来私が申し上げているお年寄りにつきましては、これは病気のいかんを問わず、御当人の医療費については全額国が持ってあげるべきだ、また、持っていただきたいという国民の要望について、これを一日も早く実現をしていただきたいということを申し上げたのでございまして、これをいわゆる抜本改正の結論が出てからというような御答弁であったかと思いますが、その一応の結論が出る前に、お年寄りの問題については、特に厚生省の努力によって、お年寄りの問題だけはひとつ優先させて全額公費負担という施策を実現していくという御決意はございませんか。
○内田国務大臣 古川先生の御要望は、強く私の胸を打つものがございますが、医療制度の抜本改正の問題も、御承知のようにここ一、二年の間には処理しなければならないことでございまして、それをからめてこの問題を前向きで検討させていただく、こういうことを私どもは考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。
○古川(雅)委員 事が抜本改正ということにしぼられてまいりましたけれども、そうしますと、この抜本改正ということに期待をかけて、一応この結論が出たとすれば、お年寄りの医療費については全額公費負担になるというふうに期待してもよろしゅうございますか。
○内田国務大臣 抜本改正というのは、ただ抽象的の改正ということではございませんで、一つの試案が厚生省から社会保障制度審議会並びに社会保険審議会に出されております。その場合の七十歳以上の老人を対象とする医療保険制度につきましては、全額公費負担ということではなしに、他の財源調整の方法によって、一定の掛け金がなされ、また国からも出費をいたしまして、そうして、患者である老人の方にとりましては全然負担がないか、あるいはほとんど負担がなしにこの問題を処理するという方向で打ち出されておりますので、そういう意味で御理解をいただきたいと思います。
○古川(雅)委員 大臣、まだお若くていらっしゃいますので、年寄りの気持ちがどの程度おわかりいただいているかわかりませんが、こうして病気に悩んでいらっしゃる年寄りの気持ちになりますと、これはやはり経済的な負担ということば一日も早く取り除いて差し上げる、そうしたあたたかい施策を真剣に考えていただかなければならないと思います。 先ほど来の抜本改正というお話でございますが、この抜本改正に期待をいたしますと、私たち一は大きく裏切られるのではないかという懸念を持っております。と申しますのは、このお年寄りについての医療費の公費負担の点につきましては、私の理解するところでは、外来の患者については一〇〇%、入院患者については七〇%というお考えであるようでございますが、その点いかがでありますか。間違いございませんか。
○梅本政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○古川(雅)委員 お年寄りの入院患者については、非常に長くなるから、これは現行の七〇%に押える、外来だけを一応一〇〇%というような構想に見受けますけれども、これは、抜本改正を云々する前から、こうした思いやりのない、非常に貧困な内容になっておりますけれども、この点いかがでございますか。
○梅本政府委員 ただいまの案は、医療保険の中におきます老齢保険の制度でございまして、御承知のように、医療保険につきましては、一説によりますと、医療保険といえども、全額十割負担と申しますか、それが理想だという御説もございますけれども、現在の医療保険につきましては、被扶養者は五割でございます。それから、国民健康保険は世帯主も世帯員も七割、そういうふうな給付率でございますので、その点を勘案いたしまして、私のほうの試案としましては、一応入院七割としたわけでございます。これにつきましては、いろいろ別途の計画なり、あるいはそういうものとの関連もございまして、一応医療保険につきましての給付率はこれでスタートをいたしまして、いわゆる低所得者その他の点につきましては、また別途公費負担なり、そういう点で補っていけばいいのではないか、こういう考え方を打ち出して、ただいま社会保険審議会と社会保障制度審議会の御意見を聞いておる最中でございます。
○古川(雅)委員 御説明、よく私理解できないのでございますが、そうした試案の出発点からして、こういう非常に後退的なお考えを持っていらっしゃるということについては非常にさびしさを感じます。 何も、外来、入院の別なく、とにかくお年を召していらっしゃるというその一点だけで、医療費については一切心配ないという点を強く打ち出していただきたかったと思うのでございますが、ひとつ、この医療費の問題については、今後とも私たちもいろいろ意見を述べさせていただきたいと思いますし、要望もさせていただきたいと思います。重点的な問題として、大臣ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 次に移らせていただきますが、お年寄りの所得保障につきましては、これも、先ほど来お話のあったところでございますが、現行の年金制度を盛んにあげていらしゃいますけれども、現実の問題として、お年寄りは非常に生活苦にあえいでいらっしゃいます。ことに核家族の傾向によりまして、自分は自分と、年をとってからの生活は自分が責任を持つべきだというような考え方、これは非常に嘆かわしいことではありますけれども、そういった傾向が強まっております。今後、お年寄りの所得については、やはり国が責任を持って保障して差し上げるという方向に強力に進めていただくべきではないかと思いますけれども、この点、いかがでございましょう。
○内田国務大臣 私は異存がございません。ただ、年金制度につきましては、もう十分御承知のように、福祉年金制度と拠出制の年金制度、両方のたてまえをとっておりまして、拠出制のほうにつきましては、いまのこの段階においては、一応、御老人の夫婦で月二万円というような目標を掲げて制度を組んでおります。これはもちろん、先ほどもお話が出ましたように、今後の国民全体の生活水準あるいは物価等の事情に応じまして、私どもはさらに引き上げ、改定をはかるべきだと考えておるものでございます。 福祉年金につきましては、明年度の予算におきまして、月千八百円を二千円にするわけでありますが、これも先ほど田邊先生からたいへんきつい御意見もございましたが、現在の段階におきましては、無拠出のために、これを一万円、二万円に引き上げるということはなかなかできませんけれども、年々、でき得る限りこれを引き上げると同時に、また、これらの御老人については、これを扶養せられる家族の所得もあることでございましょうけれども、その所得制限などに制約されて老齢福祉年金がもらえなくならないように、これらの措置をもさらに私は、年々検討を進めてまいりたいと考えております。
○古川(雅)委員 日本では、こうした老齢福祉年金の歴史そのものも非常に浅い、新しいということは認めますけれども、しかし、国民の皆さんが最近非常にふに落ちない点、これは政府が、お年寄り御夫婦について月二万円の年金を差し上げるということを盛んに宣伝をしていらっしゃることでございます。この実態については、いろいろいわれておりますけれども、御承知のとおり標準の報酬の月額が三万八千円という一つの制限がございます。そしてまた、加入期間が二十四年四カ月の人は月二万円の年金を受けるというシステムでございますので、三十六年に発足を見ておりますし、これは昭和六十年にならなければまるのままの恩恵を受けられない、そういう一つの心配があるわけでございます。こういった点、各種の年金等を含めて、お年寄りの生活上、少なくともこれだけは所得を保障して差し上げるべきだという点についてはいろいろ議論があるわけでございまして、公明党におきましても、これはどう見積もっても月に二万円は国の力で保障してあげるべきだというような主張を私たちいたしております。決してこれは多過ぎる額ではございませんし、諸外国の年金制度の実情に照らしましても、お年寄り一人月二万円の所得保障は一日も早く実現して差し上げるべきだというふうに私たち申し上げたいと思いますが、大臣いかがでございましょう。
○内田国務大臣 そういうことでこの年金制度は組んであります。しかもなるべく加入者の掛け金が過重負担にならないように御承知のとおり、国民年金につきましては、掛け年全体の三分の一は国が拠出時に負担をする。私どものほうで、一般会計からもらいました国の補助金、それを特別会計でお預かりをして、積み立て金を掛け金と一緒に運用しておるような状態でございます。また、厚生年金につきましても、二〇%の国の負担を給付時にいたすようなたてまえをもとっておりまして、私どもの気持ちといたしましては、できる限り掛け金が少なく、また、年金給付額は、そのときの生活費に応じ得るような金額として支給ができるようにということを考えておるものでございます。しかし、これも、古川先生から御指摘がありましたように、年金制度の発足が浅いために、たとえば厚生年金をとりましても、今日、平均の年金額というものは、二十年とか二十四年までにはいっていないので、おそらく十五、六年というようなところで厚生年金をもらっている方々が多い。したがって、この十月に初めて二万円になる年金の裁定を受ける方々が出てくる、こういうような状況でございまして、全体を平均しますと二万円になっていないような状況もございますので、私どもは今後、これは法律の規定もございまして、ときどきこれらについて財政上の再計算をやる仕組みもございますし、また、それを待たないでも、先ほど申しました物価や生活水準というような見地から、それらの年金の額を引き上げる方向で常に検討してまいりたい、こういう考えでございます。
○古川(雅)委員 所得保障につきましては、これは今後また重大な問題になっていくと思いますので、おりおりにまた伺わせていただきたいと思います。 ただ、この点につきまして、非常にささやかなことではございますが、一つだけお伺いしておきたいのでございます。局長でけっこうでございますが、わずかの老齢福祉年金を受け取っている方が、たまたま家族の方の所得がふえて受給の対象にならなくなる、こういう事態が生じますが、すでに支給されました年金をお返ししなければならないというような事態が生じていると思うのでございますが、これは数にしてどのくらいの件数がございますでしょう。また、金額もおわかりになりましたら教えていただきたいと思います。
○廣瀬政府委員 最初に所得制限の問題でございますが、毎年、この所得制限の限度額といっておりますが、限度額は引き上げております。これは大体物価の上昇を追いまして、大体賃金の伸び程度の比率で上げております。具体的には四十四年度と四十五年度の比率を申し上げますと、扶養義務者の所得制限は二二・九%の率で上げております。そういう事態にございますので、その扶養義務者に所得がありまして、従来年金を受け得るような程度の所得の人が、普通の状態であれば引き続き年金が受けられるというふうに仕組んであるわけでございます。ただ、たまたまその扶養義務者の方が非常に収入が多くなった、この限度額をこえるというような場合も絶対にないわけではございませんで、そういう場合には、従来年金を受けておられた方が受けられなくなるという場合はございます。 具体的な数字でございますが、四十四年度について申し上げますと、扶養義務者の所得が昨年よりも上がったために、従来支給を受けていた方で受けられなくなった方が約六万人ございます。逆に、従来所得が高かったために支給の停止を受けていた方が、それほど伸びなかったために今度は支給されるという方が約四万人おられます。それから、これとは全く別に、新しく七十歳以上になって老齢年金をもらえるという方も出てまいりまして、絶対数は毎年上がっております。そういうことで若干中に出入りはございますけれども、絶対数はふえておる、そういう状況でございます。
○古川(雅)委員 お年寄りでございますし、事務的なこまかい点についてあまり通じていらっしゃらない方もかなりいらっしゃいます。そういう方々が、せっかくいただいたわずかの年金を、所得の制限でもって今度は返さなければならない、これは非常にむごいことだと思うのでございますが、こういった点について何か温情はございませんか。
○廣瀬政府委員 従来所得制限以内でございまして年金をもらっていた方が、所得制限以上の収入になったために以後もらえなくなるということはありますが、そのためにいままでもらった金を返すということはないわけでございます。所得がふえたためにそれ以降の福祉年金はもらえないということはございますが……。
○古川(雅)委員 ございませんか。
○廣瀬政府委員 それはございません。
○古川(雅)委員 先に受け取って、あとからその所得の限度額をこえて……。
○廣瀬政府委員 福祉年金をもらう方は、その所得がどれだけあるかという審査を受けて、限度額以内であるということがわかって初めて福祉年金を受けるわけでございますから、かりにその審査が間違っておった、あるいは収入がもっと別にあったのを申告しなかった、そういうような特殊な場合は別ですが、普通の場合は、いままで当然にもらえた福祉年金を返さねばならないということはないのであります。
○古川(雅)委員 そういう事態があった場合、それは事務的な誤り、ミスと判断してよろしゅうございますね。
○廣瀬政府委員 そのとおりでございます。
○古川(雅)委員 いただいてるものはそのまま決して返さなくてもよろしい……。
○廣瀬政府委員 正当な場合はそういうことはございません。
○古川(雅)委員 予算委員会におきまして大橋委員が、老人の福祉総合研究所という提案をいたしました。これはお年寄りのいろいろな問題があるわけでございますが、その研究機関が非常に現在ばらばらであるので、これをひとつ総合的にまとめて研究所を設立してほしいということを申し上げたわけでございますが、大臣、この点については予算委員会の御答弁のままでよろしゅうございますか。
○伊部政府委員 老人問題につきましては、御指摘のように、今後いろいろ研究を要する部分が多いわけでございます。したがいまして、現在既存の、たとえば人口問題研究所あるいは社会保障研究所を活用する、あるいは厚生科学研究などの研究をより進める等の施策を進めることはもちろんでございますが、大橋先生あるいは現在御提案のありましたようなことも検討の重要な参考にさせていただきたいと考える次第でございます。
○古川(雅)委員 これは非常に急なお伺いになると思いますが、大臣、この点の御構想はどうお持ちでございましょうか。と申しますのは、労働省におきましては、すでに産業医学総合研究所というようなお考えをお持ちのようでございまして、今年度予算では大蔵省から大幅に削られまして、調査費だけが残っているようでございますが、かなり構想は進んでいるようでございます。それと並行して、という言い方は間違いかもしれませんけれども、老人の福祉総合研究所、この構想を急速に進めていくというお考え、いかがでございましょうか。
○内田国務大臣 老人問題全般につきましては、先ほど田邊委員からの意見もございました際に私が申し述べましたように、私は一つの野心的な考えを持って、網羅的に大きな問題を出して、そうして国民的討議に付して、今後の大きな旗じるしにしたい、こういうようなことをいまたくらんでおるわけでございます。総理大臣のところにも私は持ち込みまして、総理もひとつ陣頭指揮で出てほしい、こういうことを申し述べるつもりで、だんだんと用意をいたしておりますので、そういうこととも関連して、そういう中で検討すべき一つの項目として、これは検討項目ということにさせていただきたいと存ずるものでございます。
○古川(雅)委員 大きく期待をさしていただきたいと思います。 老人問題の最後になりますが、いずれにいたしましても、現在の六十代、七十代の皆さんは、戦争に次ぐ戦争の中でたいへんな御苦労をなさって、今日の経済繁栄の基礎を築いていらっしゃった大功労者でございます。どれほど大事にしてもし足りないといえるのではないかと思いますが、いままで申し上げた点もございますけれども、もう少し身近で手っとり早い、お年寄りに喜んでいただける幾つかの施策があるのじゃないかと思います。従来いろいろ御意見はあったかと思いますが、その一例として私大臣のお考えをお聞きしたいのございますが、現在地方自治体によりましては、いわゆる老人手帳というのを交付いたしております。これは手帳をもらったというだけで非常に喜んでいらっしゃるお年寄りもかなりいらっしゃいます。ところが、この手帳をいただいても何の恩典もございません。非常に卑近な例で恐縮ではございますが、たとえばお年寄りのめがねあるいは補聴器を購入するとき、その半額なり一部を国で補助して差し上げる、あるいはあんまとかはり、マッサージ、そういったものにかかるとき、あるいはお芝居を見るとき、映画を見るとき、バスや鉄道やあるいは船舶についても、お年寄りであるといってその手帳を示せば、敬老の意味でその半額は公費で負担して差し上げる、そのくらいのサービスは決してできないことではない。ちょっと努力していただければ、こうしたささやかな楽しみを、また恩典を、お年寄りに与えて差し上げることができるのじゃないか。これは私のつたない考えかもしれませんけれども、こういった点にお年寄りは大きな期待を持ち、また楽しみを案外抱いていらっしゃるわけでございます。国民の皆さんが、お年寄りをみんなで大事にして差し上げる、これまでの御苦労をねぎらって差し上げる、そういった意味では決してできないことではないと思います。現にこれは、よく引き合いに出されますが、学生諸君にしてもかなりの恩典を受けていることが、いまあげました中にも幾つかございますし、お年寄りに限ってこれができないということはないと思うのでございますが、この点、大臣いかがでございましょうか。
○内田国務大臣 古川先生からたいへん親切な御提案で、私などももう六十数歳になりまして、そういうことになりますと恩典が受けられるわけで、まだまだ厚生大臣を除く、こういうことでもないでございましょうから、私どもほんとうに自分のことのように、この老人対策としては御示唆のあることをも含めまして検討さしていただきまして、ほんとうに社会の先輩の方々に、一そう健在で働いていただけるような、そういう望みを持っていただきたい。かように先生のおっしゃること十分参考にして尊重いたすことを申し述べるものでございます。
○古川(雅)委員 時間がございませんので、次に移らしていただきます。 次は、これも先ほど来御意見の出ております障害者対策でございますが、最初に、具体的に現状が貧弱であるということは、これはもうくどく申し上げるまでもないと思います。現状の打開ということをひとつ前提として御答弁いただきたいと思いますが、その一つといたしまして、身体障害の、これも総合的な研究所、これは仮称でございますが、こういった研究体制を今後どう強化していくか、その点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
○伊部政府委員 心身障害者の福祉対策を推進するためには、心身障害の予防、治療、あるいは特にリハビリテーション技術の研究が必要でございますので、現在国立精神衛生研究所、国立身体障害センター等において実施をいたしますほか、厚生科学研究費、医療研究助成費等を支出いたしまして、その推進につとめておるところでございます。また、補装具の研究開発の分野につきましては、昭和四十四年度より国立補装具研究所を整備をし、本年発足をする予定でございます。 なお、昨年十一月、身体障害者福祉審議会につきまして、これらの問題も含めまして、今後の身体障害者対策のあり方について諮問をいたしておりますので、その一環として、研究のあり方につきましても十分詰めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○古川(雅)委員 問題は、こうした総合的な研究機関が非常に立ちおくれているということでございまして、これは緊急にその方向を打ち出していただき、具体的な形で実現を見ていただきたいということをお願いいたしておきます。 次に、施設の絶対数が少ないということはこれは論を待ちませんけれども、あわせて在宅の障害児、おうちで治療していらっしゃるそうした障害児の対策につきましては、これは先ほどお年寄りとあわせまして、家庭奉仕員、その実態や、またその待遇については、これまたたいへんな貧弱さであると思います。今後その点どのように強化をしていらっしゃるか、一応方向を御説明いただきたいと思います。
○坂元政府委員 在宅の心身障害児の福祉対策でございます。先ほど来お年寄りのほうのお話がございましたが、在宅の心身障害児の福祉対策につきましては、従来からいろいろな施策をやってきておるわけでございます。特に相手が大体児童でございますので、やはり早期に発見をして早期に療育を加えるというのが基本的なたてまえでございます。したがいまして、そういうことから児童相談所等の専門家が絶えず在宅のそういう障害児の家庭を訪問するなり、指導するなり、あるいは助言するなりやっているのでございます。と同時に、従来からやっております育成医療の給付、あるいは補装具等の給付、あるいは特に重度の心身障害児に対しましては、先ほどお話が出ておりました特別児童扶養手当等の支給をやっております。特に明年度四十五年度におきましては、いま御指摘になりましたように、家庭奉仕員の制度を新たにつくりまして——これは従来お年寄りにあった制度でございますが、そういうような制度、やはりそういう在宅の重度の障害児、そういう人をかかえる家庭に対してもそういう家庭奉仕員を派遣して、いろいろめんどうを見ていただくというようなことをやっております。明年度はこれ以外に、育成医療なりあるいは補装具の基準の単価等を大幅に引き上げていく。これは特別児童扶養手当も改善を加えていくわけでございますが、今後の方向としましては、私どもとしましては、どうしてもこれまでの障害児対策が若干施設中心というところに重点が置かれ過ぎていた。在宅のそのような障害児の対策がちょっとバランスがとれなくなってきているきらいがございますので、新大臣の意向もございまして、在宅のそのような障害児等の施策というものを今後相当強力に推進していく。そのための従来の施策を強化するかたわら、明年度は、いま申しましたように、そういう家庭奉仕員等の制度を設ける、こういうような形でまいったわけでございます。今後もそういう方向で強力にこの在宅者対策というものを進めてまいりたい、かように思っております。
○古川(雅)委員 御説明いただきました在宅児対策につきましても、また施設の問題につきましても、これは重大な欠陥を含んでいるわけでございまして、今後の施策に期待をしたいと思います。 ここに例をあげさしていただきますが、去る二月二十八日の朝日新聞でございます。ほんの一例でございますが、秋津療育園の実態が報じられております。大臣お読みになったと思いますが、ここはせっかくできました定員五十五ベッドを備えるこの施設に、例の医師、看護婦の不足によって実際には二十七名しか入れない。あと二十八のベッドに対して入園希望者が四百人も押しかけているというような実態でございまして、これはほんの一例にしかすぎませんけれども、ことごとくこのような実態であることをひとつ踏んまえて、今後の善処をお願いいたしたいと思います。 次は、この二月に発足をいたしました心身障害児の扶養保険制度について御所信を伺いたいのでございますが、これは御承知のとおり、障害児の保護者の相互扶助の精神に基づいて出発したものでございまして、地方公共団体のさまざまなアンバランスを是正するために今度国がタッチなさることになったわけでございます。これは任意加入の保険契約というシステムをとっておりますが、これはいろんな意味で非常に制約がある、限度があるということを聞いております。 三つの点でお伺いしたいのでございますが、一番大きい点は、これはやはり心身障害者の福祉施策の推進の根本的な、基本的な責任はどこまでも国にあると思います。これはやはりこうした任意制にまかしておかないで、国がもう少し中心になって進めていただきたい。現在社会福祉事業振興会に事務費を補助し、あるいはこれを実施しております地方自治体に事務費の半額を負担しているという程度でございますが、実施しております自治体によりましては、低所得層に対してその掛け金の一部を負担して差し上げているというようなことも聞いております。これはむしろ日本全体に国がして差し上げるべき問題ではないか。これが一つと、自閉症児といわれておりますが、こうしたお子さんを持っていらっしゃる扶養者に対してもこれは適用すべきではないか。さらに、この制度によって受け取ります給付金でございますが、これをいわゆる生活保護世帯、生保者においては収入と認めるべきではないのじゃないかというこの三つの点についてお伺いしたいと思います。
○坂元政府委員 昨年の暮れの国会で成立をさしていただきました心身障害者扶養保険制度は、いまお述べになりましたように、この制度はもともとそういう心身障害者をかかえております保護者が相互扶助の精神に基づきましてスタートした制度でございます。地方公共団体が昭和四十一年ごろからやっているわけでございます。国としてこの制度の健全な発展をはかりたいということで、法律改正をお願いしてスタートをいたしたわけであります。そういうような発足の経緯からいたしまして、やはりこの制度はそういう相互扶助の精神に基づくいわば私的な保障制度だという一つの基本的な考え方があるわけでございます。 それで、いま御質問の、国がこの制度について積極的にめんどうを見るべきじゃないか、あるいは掛け金の負担、援助等について地方団体がやっているが、国が手を出すべきじゃないかという御意見でございます。いま申しましたように、この制度のそもそものそういう基本的な理念といいますか考え方が、私的な保障というところに出発点を置いておりますので、そこらの問題点をもう少し慎重に検討を加えないと、国が直接乗り出してこの制度をいわば公的な制度としてやっていくということになりますと、現在ありますいろいろな他の公的年金制度との調整なりあるいは考え方の調整等がどうしても必要になりますので、この点につきましては慎重に検討しなければいかぬのじゃないか、こういうふうに考えております。 それから、第二の自閉症の問題でありますが、自閉症の人たちをこの制度の対象にできないかという御質問のようでございましたが、私どもとしましては、やはりこの制度は精神薄弱なりあるいは身体障害児なり、そういうようなハンデを持った方を対象にいたしているわけでございますので、たてまえとしては自閉症の方も一応この制度の対象になるというふうに考えているわけでございます。 それから、第三点は、社会局長のほうから答弁いたします。
○古川(雅)委員 要領を得ないもので時間の経過に非常に不注意だったものですから、最後に一つだけお伺いして質問を終わらせていただきたいと思います。大臣にお願いいたします。 昨日わが党からカシンベック病の対策について申し入れを行ないました。スモン病、べーチェット病をはじめといたしまして、こうした社会病につきましてその対策が急がれているわけでございますが、きのうお願いいたしました社会病救済基金制度、これを実現していただきたいということに対しまして、大臣の所信を伺いたいと思います。 さらに、きのうお願いをいたしました中に、こうした社会病の研究を進めていらっしゃる専門家からいろいろと声をお聞きする公聴会をお持ちになるお考えはないか。 さらに、こうした患者の医療費の補助等についてお考えをお示しいただきたいと思います。 なお、児童手当等につきましてはまだいろいろお聞きいたしたい点があるわけでございますが、本会議また予算委員会等でいろいろ御所信を伺ってまいりましたし、これ以上追及するのは時間の点でできないのでございますが、一つだけ、大臣がお約束をいただきました今国会中に経過の報告なりその骨子を御報告なさるとおっしゃった点についてもう一度確認をさしていただき、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○内田国務大臣 スモン病をはじめ、べーチェットとかカシンベックというような、実は私が初めて承ったような名前の病気、その診断なり治療方法も確立されていないような病気が存在することは、私はまことに悲惨なことであると考えるものでございまして、これらの病気についての対応策につきましては、厚生省で持っている予算等の有効活用をもってできる限り対処するよう、担当の方面に私が昨日指令を出したような次第でございます。 また、昨日御提案がございました社会病救済基金制度というような制度を考えられないかという口頭での御意見もございましたけれども、これも全く新しい構想のようにも思いますので、十分今後検討をさしていただきたいと存ずるものでありまして、いまここでそれをやろう、こういうわけのものでもございませんので、しばらく検討の時間をかしていただきたいと存じます。 また、これらの病気の処置につきまして専門家の意見を聞く公聴会を持つというようなことにつきましては、その形はどうであれ、すでに古川先生御承知のように、たとえばスモン病につきましては、厚生省の予防衛生研究所のウイルス部長さんなんかを会長にいたしましたスモン病調査研究協議会というようなものを設けまして、ひとり厚生省のみならず、関係方面の専門家の方々で、これらの処置について研究を分担してやっておるわけでありますが、そういう方法も参考にいたしまして、べーチェットなりあるいはカシンベックというようなむずかしい病気につきましても、私は何らかの方途を求めていくべきであろうと思います。 最後の児童手当の問題につきましては、四十五年度に実現の予算を計上することができなかったことは、総理大臣も申されておるとおりまことに残念でございますが、現在私から児童手当審議会の諸先生にも、でき得る限りこの八月を目途として具体的にまとめられた案を御提示いただけるようにお願いをいたしておるわけであります。しかし、今国会中に何かまとまった案はできないか、こういう先般もお尋ねでございましたが、私は正直に申しまして、この国会中に児童手当についての構想というものをまとめ上げるということまでには至らないであろうから、この国会中に、その時点までにおける審議会の審議の経緯なりあるいは問題点というようなものを御報告するような、そういう努力をお約束いたしておるのでございますので、いずれにいたしましても、そういう方途を通じまして、私は今後も前向きにその制度の実現に向かって進みたいと考えるものでございます。
○古川(雅)委員 予定の時間をたいへん経過いたしまして失礼いたしました。ありがとうございました。
○倉成委員長 田畑金光君。
○田畑委員 けさほど来の大臣の答弁を承っておりますと、さすがに大蔵省出身の秀才だけあるなという感を深くしました。局長の補佐も要らぬような、何でも御存じで、わずかな時間のうちにマスターされたということは心から敬意を表します。まあ全身これ抱負経綸だ、こういうふうに承りましたが、ただし、昔からことばの多い者にはろくな者はねえというようなことばもございますので、ひとつ、先ほど来答弁されたことを実施に移されるとすれば五年間ぐらいは厚生大臣をやってもらわぬと、とても実行は不可能じゃないか。ところが、残念ながら厚生大臣というのは毎年交代しておるわけです。したがって、内田厚生大臣も、おそらくこの秋ごろにはおかわりになるんじゃなかろうかなどと心配しておりますが、そこで私は、大臣としては、在任中これとこれだけはきちんとけじめをつけ、また実現をしたい、実現をさせねばならぬ、こういう方針があってよろしいと思いますが、内田厚生行政が今後最重点として取り上げられる問題は何と何であるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○内田国務大臣 田畑先生からたいへん激励をいただいたり、また峻烈なる御批判をいただいたりいたしまして、私恐縮をいたしておるわけでございますが、でき得ることならば私も、内閣の改造ごとにそれと運命をともにしていまの地位を去るというようなことなしに、何かひとつ皆さま方の御教導を得て、一仕事も二仕事もやらしていただきたいと思いますので、どうか野党の諸先生方からもよろしく御支援をお願い申し上げる次第でございます。 そこで、おまえはどういうことをやるかと、こういうことでございますが、これはうっかりして申し上げないと、あれはおれの大切な提案が落ちたということで、またしかられることになっては困るのでありまして、とにかく私がやってまいりまして、厚生省の仕事というのは、ほんとうに大きいものから小さいものまでいろいろありまして、予算のつけ方にいたしましても、全くきめこまかくやらねばならないような事柄ばかりでございまして、私が申し上げないことは決して私の顧慮の中にないということではございません。どんな小さいことでも、それが国民の福利、厚生、健康に関係を持つことならぜひやってまいりたいと思います。ことにせっかく田畑先生のおことばでございますので、しいて申し上げますと、前々から与党が懸案といたしておりまする医療保険制度の抜本改正——しかも私は、これは単に八つの保険制度を三つの保険制度に縮めて、そうして給付なりあるいは掛け金なり、あるいはそれぞれの間の財政調整をすればいいということだけでなしに、その根底をなすその医療制度そのものにつきましても深く措置をしなければ、この面におきましても、先ほどもちょっと触れましたけれども、保険制度はできておっても医療機関の適正配置が得られない。無医村というものがある。あるいは医薬分業の問題、さらにはまた診療報酬そのものに対する根本的な改正というものも、私はあわせて検討されなければならないと思いますが、せめてこれらの問題を私は何とか片をつけたいということが第一でございます。 それから、しばしば皆さん方から責められておるところでございますが、児童手当につきましても、それがたとえば何千億を要するような大型、理想的な形でなくとも、とにかく何か児童手当の出発のような形でもいいから、私の時代に片をつけたいと思うことが第二番目であります。 第三番目は、先ほど来申し述べておりますように、時代とともに国民層の老齢化現象というものが大きく進むわけでございますから、総合的な老人対策というものにつきまして、抜本的な、これも再建設といいますか、そういうようなことはぜひひとつ皆さま方からお教えをいただきながら取り組んでまいりたいと思うものでございます。
○田畑委員 さすがです。私も実はぜひ厚生大臣としてやっていただきたいのは、長年の懸案である医療保険制度の抜本改革に手を染める、第一歩を踏み出すということが第一だと思います。老人医療の問題を含めておやりなさるならば、第三の問題も自然解決されると思います。第二の問題としては、やはり児童手当制度を必ず踏み出すということ、社会保障制度の三本の柱であるこの児童手当制度を必ず実施に移すということ、このことが私は新厚生大臣がやらねばならぬ大きな仕事であり、目標でなければならぬと考えております。私が内心考えていたことと、いまの答弁、全く一致いたしましたので、うれしく思います。 同時に、私は行政についてけじめをつけてもらいたい、こういうことでございます。私は、先ほどの医療制度の問題と児童手当の問題は後刻若干触れたいと思いますが、行政にけじめをつけてもらいたいということは、端的に申しますと、政府の行政全体がそうでなければならぬと思っております。いかなる事情があっても行政を曲げてはならぬということだと思います。たとえば私は、ただ一例をとって御質問申し上げますけれども、昨年の秋からことしの初めにかけて医療費の引き上げの問題が出されました。中央医療協議会においては、御存じのように医療担当者側、公益側、支払い側、三者三様でなかなか意見の一致を見ないままにことしになったわけであります。この間、昨年の十二月、御承知のように日本医師会は、一日八時間を原則として各医療機関ごとに診療時間の表示を指示したわけです。表示時間以外は自由診療とする、こういう指令を出したわけでありますが、このことは国民に非常な不安と動揺とショッキングなニュースであったわけです。私は、この指示のもとに山梨県以下十三の府県が三月一日以降時間診療に踏み切る、こういうようなことを新聞等で見ましてびっくりいたしました。まことに遺憾なことだと思いました。この取り扱いはその後どうなっておるかということを御説明いただきたい。
○内田国務大臣 田畑さんが御指摘になりました診療時間の制限の問題、制限外は保険診療はしないというような意味をも含んだ告示の通達がありましたことは私も承知をいたしております。しかし、これは結論から申しますと、そういうようなむずかしい事態を生ずるまでには至らないで、医師と患者側の相互理解の問題としてこれは解決の緒についておるものでございまして、実はその間私どもも、ここで方法は申し上げませんけれども、それぞれの措置をもいたしました結果、いま御指摘の山梨県——実はそこは私の出身地でございますが、そこにつきましても、いまのポスターのごときも、時間外は保険診療に応じないといいますか、時間外は自由診療であるというような文言はすっかり削りまして、ただ医者といえども、研究時間も、ことにまた医者以外の医療従事者の勤労条件等もあることでございますので、診療時間制度というものについての患者側の理解を求める、こういうようなたてまえで事が進みまして、これが大きな問題に至らなかったことは、私はその点非常に安心をいたしておるのでございます。要は、私は、これはやはり医師と患者との相互信頼の問題としてこの問題を解決するようにいささか尽力をいたしました次第でございます。現時点における大体の状況はそうでございまして、一、二県やや紛糾を来たしそうな県もございましたが、これらにつきましてもあっせんの措置等が講ぜられまして、そうして事なきを得ておる、こういう状態にきておることを御報告できると思います。
○田畑委員 厚生大臣をはじめ関係都道府県知事において最善の努力を払われて、このような事態が未然に善処されることを私は切に願いたいと思います。 ただ、私は、この問題をきっかけといたしまして、現在の法律のもとでこのようなことはいかように解釈すべきであるか、そういう一つの問題を提起する意味において、以下、私は大臣並びに関係局長にお尋ねをしたいと思うのでありますが、保険医の指定を受けておる医師が、ある時間は保険診療とし、それ以外は自由診療とする、そういう方針で保険診療をもし拒否するというような場合は、これはいまの健康保険法等のもとにおいて妥当なものであるかどうか、あるいは違法な行為であるかどうか、いかようにこれは解釈すべきであるか、現行法に照らしてその点をひとつ教えていただきたいと思います。
○梅本政府委員 御承知のように、健康保険法には「保険医療機関又ハ保険薬局ハ当該保険医療機関ニ於テ診療二従事スル保険医又ハ当該保険薬局ニ於テ調剤ニ従事スル保険薬剤師ヲシテ第四十三条ノ六第一項ノ規定二依ル命令ノ定ムル所ニ依リ診療又ハ調剤ニ当ラシムルノ外命令ノ定ムル所ニ依リ療養ノ給付ヲ担当スベシ」、また療養担当規則というふうな法律に基づいた規定もございまして、「保険医療機関は、懇切丁寧に療養の給付を担当しなければならない。」あるいは「保険医療機関が担当する療養の給付は、健康保険の被保険者及び被保険者であった者並びにこれらの者の被扶養者である患者の療養上妥当適切なものでなければならない。」というふうな法律の規定あるいは療養担当規則その他の条文がございます。それとともに、御承知の診療報酬の点数におきまして、現行の診療報酬におきましては、時間外加算あるいは深夜加算というふうに、時間外に診療をされた場合には何点の加算、あるいは深夜の場合は何点の加算というふうな体系になっておるわけでございまして、やはり診療時間外に保険診療を拒否するということにつきましては法律上問題があるというふうに考えております。
○田畑委員 いまの保険局長の答弁にもありましたように、保険医が保険診療の時間を設定して、それ以外の時間には診療を拒否するということは、いま指摘されたように、健康保険法の四十三条ノ四を見ても、四十三条ノ六を見ましても、この条文に抵触するわけであります。また、診療報酬の中には、時間外の加算、深夜加算も料金の表示がなされておることも、これは明白であります。また、今回の医療費引き上げの中においても、そのような加算措置も講じられておるはずであります。したがいまして、先般大臣はじめ関係者の努力によって未然に善処がなされたが、医師会の指示のようなああいう措置が、現行の法律から見ましても、特に皆保険における皆医療制度のもとにおいては遺憾なことであるわけでございまするから、そういう点については、くれぐれも再びそのような事態の発生がないように、大臣としてさらに細心の努力を払っていただきたい、こう考えております。 さらに、私はこれに関連して、いまの法律のもとにおいて医師が自由診療を許される場合はいかような場合であるのか、ひとつそれを例示していただきたいと思うのです。
○梅本政府委員 御承知のように、現在の制度におきましては、健康保険その他保険医療を取り扱う場合におきましては、まず医療機関なり医師のほうから、自分が保険を取り扱うという申し出を都道府県にいたしまして、都道府県のほうがいわゆる健康保険法その他の法規、担当規則その他を順守してもらうということで、それだけの義務を負ってもらうということで指定をしておるわけでございます。したがいまして、自分は保険を扱うのはいやだという医療機関なりお医者さんがありました場合には、これは自由診療になるわけでございます。それが大きな分野になっておりますが、そのほか、診療報酬体系の中におきまして、たとえば歯科診療、そういうふうなものにおきましては、診療報酬上差額徴収というものを認めております。その場合におきましては、差額徴収の部分につきましては、一応理論上自由診療、こういうふうになるわけでございます。
○田畑委員 いまわが国の総医療費、これは四十四年度は二兆円前後になるかと思いますが、その中で、いま局長の答弁に基づく全額自己負担の医療費というものは幾らくらいにのぼっておるのか、何%くらいにのぼっておるのか。
○梅本政府委員 ただいまの先生の全額自己負担というのは、行政府としましては、自由診療でございますので、私のほうで統計上タッチはいたしておりません。ただ、私のほうでわかっておりますのは、先ほど二兆と申されましたが、そういう総医療費の中におきまして、保険者負担分でありますとか、あるいは公費の負担分というふうな割合がわかっておるわけでございまして、その中の患者負担分につきましては、昭和四十二年度を例にとってまいりますと、二三%というふうになっております。
○田畑委員 昭和四十二年の医療費の負担割合というものを見ますと、保険者負担部分が政管健保で三千二百億、組合健保一千八百億、国保二千五百億。さらに三十三年までは保険者負担は五〇%以下であったか、今日は——というのは四十二年ですが、これが六五%。患者負担は三十三年までは五〇%近くを占めていたが、二二%。全額自己負担分は一・二%。これは昨年の健保特例法の審議の際に政府が出された資料の内容でございます。この場合、全額自己負担一・二%というのは、これは何ですか。
○梅本政府委員 失礼いたしました。統計調査部で計算をいたしております資料によりまして、四十二年度で、金額で申しまして、全額自費、これはたぶん先生のおっしゃっているものに該当すると思いますが、三百五十億、構成比にいたしまして二・二%というふうになっております。
○田畑委員 自由診療の場合というものがどういう場合かということは、いま答弁でわかりましたが、かりに被保険者が保険証を提出した場合、保険医がもし診療を拒否するとすれば、医師法十九条、ここには医師の診療義務等が明確にうたわれておりますが、医師法違反ということになろうと考えるわけであります。いかがでしょうか。
○梅本政府委員 いま先生のおっしゃいましたのは、保険その他に関係ございませんで、医師一般といたしまして応招の義務というものでございまして、医師が診療を求められた場合には応ぜなければならないという規定でございます。
○田畑委員 当然医師一般でありますが、私が申しました保険証を提示して医療を求めた場合に、もしそれを拒否すれば、当然この条文に該当するわけだと解釈しますが、そうでしょう。
○梅本政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○田畑委員 この十九条によれば「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」正当な理由があれば拒むこともあり得るわけですが、この場合の正当な理由というものはどういう場合をさすのか。
○梅本政府委員 医師法の解釈問題でございますので、医務局長、所管局長から、ほんとうは申し上げるべきでございますが、正当な理由と申しますのは、医師が不在でありますとか、医師自身が病気である、そういう客観的に見まして正当な理由がある場合というふうに聞いております。
○田畑委員 昨年の暮れからことしの初めにかけまして一斉休診というのが現実に日本医師会の指示で全国的になされているわけです。ちょうど正月をはさんで休み日でございましたからさほど影響があったとは見受けませんが、その節、厚生省としては、医師会等とどのような接触をなさったのか、これは大臣からお答えをいただきたいと思います。
○梅本政府委員 当時、大臣おいでになりませんでしたので、前大臣でございましたが、医師会の監督を所管しております医務局長並びに厚生大臣が医師会のほうに対しまして、そういう挙に出ないように警告を発しましたり、あるいは出向きまして説得に行ったというふうに聞いております。
○田畑委員 私は、この問題についてこれ以上掘り下げてお尋ねすることはやめますが、ただ私が申し上げたいことは、やはりお医者さんも人間です。また、深夜の往診とか、あるいはまた朝から晩までということは、精神的にも肉体的にも限度を越したことは、神さまでない、人間であるお医者さんに要求し、期待することは、これは無理だと思いますが、今回の日本医師会のとった指令措置のねらいは、要すれば、医師も八時間労働、できるだけ患者もその時間内で診療を受けるように協力してくれ、こういう人間的な当然の権利の主張から出ておる面もあると私は善意に見ておるわけであります。そういう面は、われわれとしては十分今後尊重しなければなりませんが、ただ、あの問題が起きたのが緊急医療費の値上げにからまってああいう強硬措置が打ち出されたというところに、実は遺憾きわまりない感じを国民として禁ずることができないわけです。先ほど大臣の答弁の中にもありましたように、医療の問題も結局患者と医師の人格的接触だと思いまするし、また、今後皆保険制度のもとにおいて大切なことは、医療担当者あるいは医療従事者というものが、ますます社会的な使命が重くなってくることを考えてみたときに、医師会等が、単に圧力団体という名における圧力を行使しなければならぬというようなことがないように、やはり医療行政が適切を得ることが大事な課題であり、それこそまた今後の政府の厚生行政の重大な面であると私は考えるわけであります。そういう点において、私は今後の厚生行政において、筋は筋として、あくまでも、いかなる場合においても通すべきである。しかしまた、何によって起きたかという原因については、政府みずからも反省をされて、このような事態が再び起きないように善処されることを強く要望しておきたい。この点について大臣の所見を承っておきます。
○内田国務大臣 田畑委員のおっしゃること、私にもたいへんよくわかります。私は、ただいま保険局長と田畑先生との間で交換されました法律問題に私自身が立たなかったのも、これは私は、冒頭に申しましたように、医師と患者と相互理解の問題ということを主にして今回の診療町間の問題も片づけましたので、ここであえて私自身が法律論を展開をいたさなかったのでございますが、実は先般、ある機会に、医師と厚生省とは車の両輪である、こういうことばがございましたので、私は、いや、激励はまことにありがたく存ずるが、医師と国民が車の両輪であって、その間に、両輪がうまく動くように潤滑油をさしてまいるのが厚生省の任務だと私は考えるので、そういうふうに私はひとつ厚生大臣をつとめようと思いますので、よろしく御指導を願いますと、こういうことを実は私は公の席で申しました。たいへんなことを申したような気もいたしますし、私が、いま申しましたことばを、今後のむずかしい課題を控えて、どこまでやり通せるかわかりませんけれども、そういう所信をもって私は進んでまいるつもりでございまして、ただいま田畑先生の御所論につきましても深く承っておるものでございます。
○田畑委員 時間の制約もありますのではしょりますが、昨年の八月五日、というと、あの大学立法、健保特例法で荒れに荒れた国会の最後の日に、時の斎藤昇厚生大臣の名で、医療保険制度改革要綱試案なるものを、社会保障制度審議会と、さらに社会保険審議会に諮問をされておられます。これは、いまどういう作業状況になっておるのか、この点が一つ。 さらに、この厚生省が提案をされた試案なるものは、昨年の六月四日、自民党が国民医療対策大綱というものを出されて、その対策大綱には五項目にわたって重要な付帯意見がついておるわけです。この五項目の重大意見は、国民医療対策大綱の中に書かれた重要な骨組みに対して、それを批判しそれと矛盾する五項目をつけておるのでございまするが、とにかく私が承りたいのは、昨年八月五日厚生省が出された医療保険制度改革要綱試案なるものは、与党の国民医療対策大綱と調整して、あるいは与党の了解も暗々のうちにいれた上に立たれてお出しになった改革案なのかどうか。さらに、この諮問の内容を見ますと、将来の基本構想という問題と、もう一つはさしあたり実施すべき事項、こういう二つの柱を立てて諮問をされております。さしあたり実施すべき事項というのは、おそらく四十六年度あたりから着手しよう、こういう内容であろうと考えておりますが、冒頭に大臣が私に約束された、とにかく内田厚生行政で実現する第一の柱は、長年の懸案である医療保険制度の抜本改正に着手することだ、このようにおっしゃいましたが、まことに心強い限りであり、私はぜひそれをやってもらいたいと思うのですが、この点についてひとつ制度審議会等の審議の現状と、そしてまた、四十六年度の第一歩を踏み出す、さしあたりやるべき事項については何なのか、こういう問題等について、局長並びに大臣のほうからお答えをいただきたいと思います。
○梅本政府委員 自民党の国民医療対策大綱につきまして、御指摘の重大な反対意見と申しますか、それがついて政府のほうに参ったわけであります。これを中心にいたしまして、厚生省としてはそれを検討いたしますのと、それから、関係各省とも話し合いをいたしまして、それで八月五日に社会保険審議会に諮問した次第でございます。たとえば勤労者の家族は、自民党の国民医療対策大綱と同様に、地域保険におきまして給付のみを行なおうというのは、その自民党の国民対策大綱のとおりをいたしましたが、たとえば自民党の国民医療対策大綱には業務上外の傷病を同一の制度で取り扱うということになっております。いわゆる健保と労災とを一本で取り扱うということでございましたが、これにつきましては関係各省、労働省ともいろいろ相談しました結果、これは試案の中に取り上げないというふうな形で十分取捨選択をしましたと申しますか、関係各省で検討いたしまして試案を作成したところでございます。その後、これは法律の規定がございますので、社会保険審議会と社会保障制度審議会の議を経なければなりませんのでそちらに諮問をいたしましたが、まず社会保険審議会におきましては、現在までのところ総会三回、まあ総会と同じ形でございますが、全員の懇談会九回、それから運営委員会三回、計十五回、大体一カ月に二回半ばかりのペースにおきまして審議が進んでおります。ただし、審議会委員の皆さんの話し合いによりまして、まずその医療保険の部分に入るに際して、それの前提事項と申しますか、関連事項である医療制度について審議をしようという合意ができて、現在のところ、もう数回にわたりまして、厚生省所管はもちろんのこと、場合によりましては労災の関係あるいは文部省にも一部関係しますような医療制度全般につきまして、行政当局から各委員に説明をしておる段階でございます。一方、社会保障制度審議会におきましても、諮問をいたしましてから総回三回、それから全員の委員会を八回ばかり、計十一回ばかりこの問題につきまして審議が進んでおりますが、制度審議会におきましても、やはり医療保険に入る前に、その関連する医療制度につきまして審議をしようということでございまして、この前私が全般的な説明をいたしましたが、次回におきましてもう一回この医療制度の役所側の説明をするという段階にきておるわけであります。 それから、第三点は、さしあたり実施すべき事項でございますが、前の特例法、前国会その他特例法の御審議を通じまして、総理大臣以下厚生大臣が国会を通じて公約をいたしました、二年以内に抜本改正に着手いたしたいという点がその焦点といたしてまいったところでありますが、その意味で、われわれの判断といたしましては、この抜本改正の問題はなかなか利害関係が錯綜しておりますのと、根が深い問題でございますので、場合によりましては相当の審議会の審議があるのではないかということもおそれております。それで、さしあたりやはり二年以内に実施いたしたい、できるものから抜本改正を段階的に実施いたしたいということで、二年以内に着手いたしたいということを明示して諮問をいたしたわけでございます。具体的には、審議会にお願いしてございますのは、二年以内にやるためには、来年の国会に法案を提出いたしませんと何事も実現をいたしませんので、次の四十六年の通常国会に法案を出したい、それを出すためには、ことしの十二月の予算編成までに法律の裏づけになります予算を確定いたしたいということでございますので、普通のルールで申し上げました場合には、財政法によりまして毎年予算の要求をしますことしの八月三十一日、概算要求に間に合いますように、少なくともさしあたり実施すべき事項については御答申をいただきたいということを明確に意思表示をして審議をお願いしている次第でございます。
○田畑委員 そこで、この八月までに、さしあたり実施すべき事項について関係審議会から答申がなければ、四十六年度の予算措置なり立法化なりはできないわけです。また、そうでなければ大臣の就任中に第一歩を踏み出すこともできぬわけです。私は内田厚生大臣がこの秋かわってもらうことを希望するのではありませんよ。ぜひひとつ留任されて、この仕事に取り組んでいただきたいということを前提に申し上げておるわけですからね。しかし、従来の大臣の任期から見れば、一年ごとにかわっておって、一年ごとに新しい人に新しい角度から質問しなければならぬということで、これだけでもわれわれは非常な労力なんです。そこで、来年から実施するということになってきますと、いま局長が答弁されたが、あなた方としては、具体的に何を審議会にこれはぜひひとつ八月までに出してくれよと頼んでおるのですか。
○梅本政府委員 諮問いたします内容につきまして、将来構想とさしあたり実施すべき事項というふうに試案を二つに分けまして諮問をいたしております。全部御説明しますと非常に長くなりますが、さしあたり実施すべき事項の中心点は、抜本改正の一つの点といたしまして、給付の割合に不公平がないようにというのが一つでございます。現保険におきましては家族は五割でございます。国民健康保険は七割にまでなっております。そういう点は、関係団体その他の出されました意見その他を判断いたしまして、こういう点につきまして家族を七割にまで上げるということにつきましては、そう根本的な対立もなくして実現できるのではないかというようなことで、やはり皆保険下において給付にアンバランスがあるというような点を是正をいたしたいというような点。しかし、それをどの財源でまかなうかというようなはね返りの問題につきまして、私のほうとしましては、財政調整によってこういう点はまかなっていきたい。保険料の面におきましては財政調整ということを織り込んでおります。 朝来非常に御議論がございました老人医療の問題につきまして、老齢保険を一応創設する。しかし大臣の説明によりましては、老齢医療の問題におきましては、公費負担の医療でやる方法、それからこういう保険の形式でやる方法、両者混合してやる方法がありますが、一応これにつきましては非常に緊急でございますので、老齢保険につきましてはほんとうは将来構想というもっと慎重に検討してもらうべき筋合いではあるけれども、さしあたり実施できる事項に入れましたという御説明をしまして、老齢保険法をあげております。 それから、一方、国民健康保険につきましては、従来関係者から叫ばれておりました標準保険料の制度というふうなものを中心に、できるところからやっていきたいという構想でございます。
○田畑委員 たいへん具体的になりましてうれしく思いますが、いまの健康保険の医療給付の均衡化の問題、あるいは老齢保険制度の創設の問題、国民健康保険の標準保険料設定の問題、こういう問題を第一歩として、四十六年度から着手できたということになれば、これは長年の懸案が一歩前進したということ、内田厚生大臣がこれをやられるということは、日本の将来の社会保障の歴史の中に永久にその名をとどめることだ、このように私は考えるわけです。ひとつこの点は、大臣、政治責任にかけて実行されることを切に願いたいと思う。 忘れもしませんが、昨年の七月十日夜の八時ごろ、ちょうどこの部屋であの健保特例法が与党の——この廊下で、立ったままで、二年という時限を取っ払って、そして保険料率、初診料、再診料の引き上げを健康保険法の本法で固定化したわけです。そうして、あれから三泊四日か四泊五日か知りませんが、徹夜国会が続いたわけです。七月十三日の夜中に佐藤総理大臣は、わが党の和田耕作君の質問に対して、こういうことを答えております。今回の修正にかかわらず、抜本改正の早期実現を期する政府の決意に変わりはない。はっきりとこのように言われておる。また、当時与党の政調会も、特例法をやめて健康保険法本体の改正に踏み切った際に、抜本改正はあくまでもやるということは天下に約束しているわけです。だいじょうぶ、いま保険局長からお話しになったような点は四十六年度から始められると私は信用いたしますが、ひとつ大臣の答弁を承っておきたいと思います。
○内田国務大臣 全くいま梅本政府委員から御説明申し上げたとおりでございまして、また田畑委員からお話がございましたことは、私も昨年当時議場におりまして、よく承知をいたしております。私が今回厚生大臣としての責めを負うことになりましたので、せめてこの将来構想の基盤をなす中核的な当面実施すべきことをまずやれば、あとはその上の上部構造になりますし、レールは敷かれるわけでありますので、それまでのことはぜひ皆さま方の御協力、御支援を得ましてやらせていただくように、私も努力をいたす決意でおりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田畑委員 昨年健保特例法が先ほどのような経過を経て吹っ飛んでしまったわけです。そこで例の外来患者の一部負担も薬剤の一部負担もやめになったわけです。その後伝うるところによれば、四十四年、昨年の医療費の赤字、また四十五年度ば特に二月一日からの医療費の引き上げ、さらに七月一日からのかさ上げ、こういう医療費の急増によって四十五年度の保険財政はさらにまた相当赤字が積み増しをするであろう、こういわれておりますが、四十三年度の決算も出ておるはずです。四十三年度の累積赤字、四十四年度の赤字見通し、四十五年度の予想される累積赤字、どういう数字になるのか、ひとつ簡単でいいから、数字をあげてください。
○高木政府委員 政府管掌健康保険の財政状況について御説明申し上げます。 四十三年度の決算の数字でございますが、四十三年度の決算の結果、四十三年度末の累積赤字は千百八十七億でございます。四十四年度におきましては単年度赤字は十六億生ずる見込みでございますが、過去の累積赤字に対する利子等を含めますと、実質赤字が九十三億ということになりまして、四十四年度末の累積赤字は千二百八十億になる見込みでございます。四十五年度におきましては、先生ただいま申されましたとおり、先般の医療費の改定が満年度影響を受けますので、単年度赤字が三百七十八億生ずる見込みでございまして、支払い利子を含めますと、実質赤字が四百七十四億で、四十五年度末の累積赤字が千八百五十四億に達するものと現在見込んでおります。
○田畑委員 私はこの際、大臣にひとつ確認をしておきたいのですが、いまお答えがありましたように、四十五年度の単年度の赤字は四百七十億と想定されて、四十五年度末の累積赤字が千八百五十四億、こうなっておるわけですね。たまたま四十二年に初めて健保特例法というものが出てきて、強引に成立を見たわけでありますが、その前年四十一年度は単年度の赤字が二百六十六億、さらにその前年の四十年は四百九十七億、こういう赤字が出て——四十年四百九十七億。四十一年二百六十六億。そこで、政府としては、これはたいへんだというので、健保特例法というものに財政赤字の解決を求めてきたわけです。私は、先ほど大臣が抜本改革の第一歩を四十六年度から踏み出すのだというお答えを聞いて非常に安心はいたしましたが、またまた四十五年度単年度四百七十億の赤字、年度末は千八百五十四億、こういうふうになっていますと、また健保特例法みたいなものを出さなければ赤字財政のやりくりがつかないような結果になりはせぬか、こういうことを心配するわけでありますか、そんなことは絶対に——二度じゃない、三度目ですね。二度まではということはありますが、三度までやられたのではこれはかないませんからね。もう三度は決してやりません、そんなことは考えていませんと、ひとつはっきりお答えいただきたいと思うのです。
○内田国務大臣 政管健保の赤字の累積想定につきましては、私も正直に申しまして全く心配をいたすものでございます。現在でも定額二百二十五億の一般会計からの繰り入れをもらっておるわけでありますが、とてもそれでは間に合わなくなる。正直に申しまして、いまの運営が、資金運用部からの赤字不足分の借り入れをしてそして医療費を支払っておるような状況で、借り入れ金の利息までついているというような状況でございますので、したがって、これをどう処置するかということは非常に大きな課題でございますけれども、私はでき得る限り田畑先生が御心配になられるような、そういうようなコースにならない道で抜本改正に関連してこれを片づけてまいるような道を開いてまいりたい、こういうことで実は苦心をいたしておるものでございます。
○田畑委員 念を押しておきますが、大臣、このような健保財政だけじゃございません。日雇い健保を見ても同じ問題があります。また特例法のようなことで急場しのぎに財政赤字を被保険者や患者にかぶせるようなことではいけません。もし財政赤字で困ったような場合には、国庫負担は二百二十五億でずっと横ばいになっておるのですから、国庫負担でやっていきますぞ、このように私は理解いたしましたが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○内田国務大臣 これは実は政管健保だけの問題ではございませんで、国民健康保険のほうにも、医療費に伴う政府の四割五分の助成というものが大きく伸びてまいることもございまして、これにつきましても、田畑先生御承知のように、大蔵省はそのうち五%を地方公共団体に四十五年度は持たせるというような言い方さえも提案されておったことも事実でございましたけれども、医療費の値上がり分も含めまして四五%という率を私どもは貫いてまいりました。のみならず、今回の補正予算でも、御迷惑をおかけいたしまして、この国保の赤字額は四五%きっちりまで埋めてまいった、こういうことも——これは国保と政管健保とは違いますけれども、私どもの誠意がありまするところもぜひおくみ取りいただきたいと思います。抜本改正のレールは来年までにはどうしても敷くつもりでおりますから。私は、そこで解決したい意欲に燃えておりますけれども、それは第二の特例法を出すとかいうことではございませんけれども、そういうことにならないように最善の努力を私がする、こういう気持ちでおりますので——これは医療保険制度をとっております、公費負担制度ではございませんので、保険料の問題がどういう形になるか、給付を改善すれば保険料の問題も当然一方においては生ずることあるべき問題でありますけれども、私は、それを田畑先生が御心配になるような方向で逃げようという魂胆を持っていまここに私は立っておりませんので、しばらく私どもの苦心や努力に御鞭撻をいただきたい、かようなことを申し上げるしかないと思います。
○田畑委員 私は、老人医療の問題についても少し触れたいと思いましたが、約束の時間も間もなく参りますのでそれはやめますが、私、大臣にお願いしたいのは、再び健保特例法のような形をとらぬように、ひとつ、長年の約束ごとですから、抜本改正によってあるべきわが国の医療制度、国民医療の道を見出すように努力を重ねていただきたい。 最後に、私は、児童手当の問題について一言だけお尋ねしておきますが、児童手当うそ八百集、私はそういう本にもなるのじゃないかと思うのです。ちょっと調べてみますと、昭和四十一年の五月七日、十一日の両日、鈴木善幸厚生大臣でしょうか、社会労働委員会で、児童手当制度は昭和四十三年じゅうまでに実施する心組みで準備を急いでおります。昭和四十二年三月二十三日、坊厚生大臣は予算委員会で、昭和四十三年を目途といたしまして目下鋭意検討いたしております。さらに御丁寧にも、佐藤総理大臣、確かに昭和四十三年にはこれを実現しようというので、いろいろ各方面でただいま検討しておる最中でございます。四十二年十二月十四日、園田厚生大臣は、予算委員会で、児童手当制度は昭和四十四年度には。ぜひやるというめどで実現したい。四十三年一月三十一日、本会議で佐藤総理大臣は——ここが大事ですよ、児童手当については確かに公約している。児童手当懇談会の結論が出た上でこの実現に努力してまいるつもりであります。ずっとありまして、長くてとても読む時間もございませんが、さらに四十三年三月十三日、園田厚生大臣は予算分科会で、児童手当制度は児童手当懇談会の結論に基づいて財政当局と折衝を進めたい。昭和四十四年度には出して責任を果たしたい。ずっとこうきておるのですね。ましてや斎藤昇厚生大臣は、これは私も昨年の六月五日この委員会で質問をいたしましたが、私はそのとき、少なくとも懇談会の報告の中に書いてある程度は国が持つべきである。厚生大臣は、この問題について予算措置をされるにあたっては、どういう立場に立ってこの問題に取り組む御意思でありますか。これに対して斎藤厚生大臣は、私としてはいまおっしゃった観点に立って進めてまいりたいと思うと、すなおに私の質問に答えて、四十五年度からは実施するということを約束されています。そうして、その間、いま申し上げたように、児童手当懇談会をおつくりになって、その報告を待って実施するということを約束されておるのですよ。総理大臣も、そうして厚生大臣も。ところが、児童手当懇談会が一昨年の十二月でございましたか報告を出しましたね。そうして当然四十四年度の予算には措置されると思ったが、それが措置されない。こういう経過をたどって、今度はまた昨年の七月から児童手当審議会というものを法律をもっておつくりになって、そうしてこの審議会の答申を待って、こういうことになっておるのです。 悪いようだが、政府は、懇談会だ、審議会だ、ああだこうだということで、引き延ばし引き延ばしにこれをただ口実に使っているにすぎないとしか私には見えないのです。大臣、ほんとうにやろうと思えば四十五年度から実行できたのでしょう。問題は、現に斎藤厚生大臣は経団連の皆さんとしばしばお会いになった。経団連の皆さん方が、企業負担を出してくれれば、四十五年度から発足していたのではございませんか。問題は、審議会の答申があるないじゃなくして、その財源を政府が幾ら出すか、財界に幾ら求めるか、あるいは被用者本人に負担をさせるのか、あるいは自営業者に負担をさせるのか、こういう財源の問題に結局は帰着するのでしょう。なかんずく企業主の負担をどうするかというところにこの問題の困難性があるのではございませんか。私は、審議会の答申のいかんよりも、もう大臣はそういう点に接触をなさることが、四十六年度に児童手当制度を発足させる一番大きな出発点になると見ておるのですが、この点どうでしょうか。
○内田国務大臣 ただいま田畑先生が読み上げられました国会での政府の答弁というものは、私は実は全部承知をいたしております。それを全部私は目を通しまして、私がいかにこれに対処すべきかということにも苦慮をいたしておるものでございます。私はほんとうに誠心誠意やるつもりでおります。でありますから、先般来本会議あるいは予算委員会などにおきましても、いままでと同じような一年のがれの発言ではございません、もっと違った意味の発言も私はいたしておるつもりでございます。田畑先生も、どうせ厚生大臣は十一月にはかわるというような御発言もしばしばございましたが、先般もどなたか野党委員の方が、内田君は十一月にかわるのだから、内田君は相手にならない、厚生大臣は相手にならない、総理大臣のみを相手にするということで、総理大臣と問答を重ねておられましたことも、そういう田畑先生の引用されましたような事態の積み重ねでそうさしておると私は思うのであります。しかし、これがどうしてできないかということは、単に財源分担だけの問題ではほんとうにございません。これに関連する現行の社会福祉上の諸制度のみならず、一般に行なわれる日本特有といいますか、日本社会において一般に行なわれるいろいろな賃金形態の問題との関連、あるいはまた税における控除との関連等の問題もございます。それが一つと、もう一つは、何といいますか、歴代の厚生大臣あるいは総理大臣がやろうと思いましても、なかなかそこにまとまり得ない。何といいますか、正直申しまして、社会的合意というのがなかなかまとまり得なかった。そこで私は、今度の児童手当審議会会長の有澤さんほか委員の方々とも懇談をいたしたのでありますが、幸いにもこの児童手当審議会の委員の方々は、単に学識経験者という方々ばかりでなしに、各方面のバックグラウンドを持たれた方々がそれぞれいらっしゃいます。そこで、その審議会で、単に一枚の一項から十項まで並べたふうなことでなしに、それをまとめるについて、ぜひ背後関係の合意というものも取りつけるという方向で御尽力を願いたいということまでも、私は申し上げております。それで、私が出る幕がありますれば、財界であろうが、それが公共団体であろうが、私は出て、おまえひとつ道をつくってくれということであれば、おまえが出てひとつ説得、交渉せよということであるならば、そういう場合にはいつでも私は出るつもりまでの考えをもちまして、ほんとうに審議会の諸先生方に、もうこれの調整、取りまとめをお願いをいたしておる次第でございますので、どうぞこの案を得ますにつきまして、もうしばらく時間をかしていただきたい。私は何とか八月くらいまでにあとの段取りが可能なような御答申をいただきたいということで努力を——私はあとの段取りということばを実は申しておりまして、それが私は先に延ばすということからそういうことを言うのでは決してございません。いままでの田畑さんがお読みになったそれを見ましても、四十二年には四十三年からやる、四十三年には四十四年からやる、また四十四年には四十五年からやる、この四十五年に私は四十六年にやるというようないやなことばを使いたくないということで、私も苦慮いたしておりますので、微力なものではありますが、ぜひ御激励をいただきたいと思います。
○田畑委員 ちょうど約束の時間も参りましたので、これで私の質問を終わります。 ひとつ、大臣に健在で、どうぞ先ほど約束された三つの大きな柱、これをやられれば、これはたいした大臣だと思うのです。そうして、やがて大蔵大臣となり、派閥の領袖となり、やがて天下を望むことになると思いますので、どうぞがんばっていただきたいと思います。 終わります。
○倉成委員長 次回は来たる十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十四分散会