交通安全対策特別委員会 第16号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/09/09
会議録
○受田委員長 これより会議を開きます。 交通安全対策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
○丹羽(久)委員 総理府総務長官に少しお伺いいたしたいと思います。 非常に車が年々ふえてまいりまして、現在、きょうの時点においてはどのくらいの台数があるかということは調べることはちょっと困難でありまするが、四十四年の十二月末に原付を除いて千六百二十万台という車があったわけです。四十三年は千四百万台でありますから、差し引きしますと、原付を除いて年間二百数十万台というのがふえているわけです。御承知のとおりに、日本の国土から考えてまいりますると、このような状態で車がふえる、そうしたときに、いろいろの施設を考えて、交通事故防止に総理府を中心として各省それぞれの立場で非常なお骨折りをいただいておりますけれども、残念ながら、交通問題はなかなかその効果はあらわれてまいりません。そういう意味から私が長官にお尋ねいたしたいと思いますことは、将来の自動車のこのようなふえ方に対してどういうお考え方を持っていらっしゃるのか、国内でこのような伸び方をしておる自動車に対してどういうような考えを持って施策を施そうとしていらっしゃるか、その点について長官にお尋ねいたしたいと思います。
○山中国務大臣 個人が自動車を持つことによっての社会人としての意識、自分の生活レベルという問題に対する自動車との関連性、こういう問題等については一がいにいえないと思いますが、今日の国民感情、市民感情として、自分たちも自動車を持つ身分になりたいというような必然的な願望の存在することは否定できないと思うのです。しかし、日本の国土は大体三分の二近く山岳地帯である。したがって、人間の常時居住する環境、生活環境というものは非常に狭い。局限的な狭い範囲の中で生活を余儀なくされておる。いわゆる居住環境の密度というものは非常に高い。そういう背景が一つありますが、それを考えますと、日本の統計上、アメリカの、あるいはヨーロッパのどれの国の何人当たり一台の乗用車に対して日本はまだ幾らであるという比較等がなされております。また、メーカー等も、そういうように、まだまだ日本にはどんどん自動車を個人家庭というものが持つ余裕が残っているのだというつもりでおると思うのですけれども、しかし、国際的にそれの単純な数字の比較だけではやはり問題があると思うのは、もともと居住環境の過密な場所、しかも、国土のわずかな地域に五〇%近い人口が集中している過密都市が出現しているというようなことを考えますと、自動車の走り回る環境の中の台数の密度というものは、これまた別な意味で考え直してみなければならないものがあるとは思っております。しかし、国の法律ないしは国の方針として、これ以上国民が自動車を持ってはならないというようなことまで考えなければならないか、あるいはやらなければならないかという結論は出ておりませんし、いまのところそのような強制的なものの言い方をするつもりはありません。
○丹羽(久)委員 私は、長官に、今後これ以上車を持つことはよくないとか、適当でないとかという考え方をお尋ねしたのではありません。このような伸び方をしていく国内的条件から勘案してきたときに、はたして妥当であろうかどうかということは一応考えなければならぬ問題だと私は思う。最近、どういうような場合でも、車が多過ぎはせぬか、これに対する考え方をもう少し政府当局も考えなければならぬということがしばしば論議せられているのです。そういう点から、年々二百数十万台ふえている最近の状態において、もっとより以上なふえ方をしていくと私どもは考えなければなりません。そうしたときを三年あるいは五年後に見込んで、基本的な姿勢としても考えていかなければならぬ問題だと私は思うのです。そういうことをお尋ねしているのですが、もう一度これに対する考え方を明らかにしていただきたい。
○山中国務大臣 自動車の保有台数の用途別の大略の分析をしますと、業務用が六〇%、通勤用等の日常事務的に必要となる乗用車が二〇%、その他もろもろの目的のもとにとりあえず自動車だけを持っているというのが二〇%という分類のようであります。そうすると、日本の産業構造、あるいは小さくは生活、普通の商売人としての生活でも、原材料、商品の運搬等いろいろあるわけでありますから、こういうもの全体を考えないで、ここらで自動車の保有をストップさせるということもなかなか言いにくいことであろうと思います。一方において、別な要因で、自動車取得税あるいは反則金、あるいはいま議論されておる自動車に関する新税構想、さらにガソリン税の一そうの負担増というようなこと等から考えて、国内消費の面の頭打ち傾向を心配しておる向きもありまして、メーカーのほうも幾分それらの年次計画の増産計画を手控えつつあるという報道等も一部見られるような環境が、別な次元でありますけれども出てきておりますし、また、国民が不必要だと思われるまで自動車というものがどこまで一体普及していくのか、そこらのところは、もう少し模様を見た上でなければ、これ以上持つのは好ましくないという私の口からの断言はできかねると思います。
○丹羽(久)委員 角度は少し違いますけれども、最近米が非常に余っているということで、その米をどこに処分するかということで、鳥えさにするとか、あるいはもっとほかの方向へ持っていくというようなことをやってみても、やはり余るものは大きに余るということで、これには大きな農業改革をしていかなければならない、転作を考えてもらわなければならぬということはもう国民の声になってきたのです。農民もそれを受けて立つようになってきたと私は思っておる。おそらくそういうことはこの次の国会にも論議せられるでありましょうし、さらにそれは事実となって、そのような転作は施行せられていくだろうと私は思うのです。そういう意味から考えますと、もうこの段階で、将来はどう考えるべきかということを考えていかないと——このままお互いの自由という立場から、車を持ちたい者には持たせてあげる、税金の出せる者は出してもらうという安易な考え方ではなくて、もう少し突っ込んだ基本的な考えを、発表する段階ではなくても、それはやはり研究してもらわなければならないと思っておりますが、長官、どうお考えになりますか。
○山中国務大臣 自動車の問題は、私どもが絶えず心配してまいりました人命を奪うおそれのある凶器としての存在の自動車交通対策というものから、さらに柳町の鉛問題から端を発した光化学スモッグ等の議論によって、排気ガスの発生源としてもとらえてみなければならない。いわゆる交通と公害との接点が生まれておるというような環境にもありますから、これらの両方の角度から考えて、自動車がどこでもかってに走り回ってもいいんだという環境、条件というものは、これからはびしびし規制を強めていく方向にいくだろうと思うのです。 大型トラックの乗り入れについても、路線の制限をさらにふやすとか、あるいは乗用車の通ってはならない一方通行だけの道路とか、幅員によってそういうことをきめたり、あるいは駐車禁止の小さい道路を自動車が通り抜けることは認めないとか、いろいろな条件が次から次に、いわゆる制限される条件として両面から要請されてくると思います。やがては、公害発生の源として、一定の時間等においては相当徹底した自動車の走行規制というものも行なわれる時代も近くくることは間違いありません。ただし、他面においては、中央高速自動車道の工事進捗等々と相まって、東名の完成その他から考えると、自動車の、さらに別な意味における走行あるいは使用等の増大、それに資する条件がどんどんいま発展し、それが現実化しつつあります。これらの両面の現象を考えていくときに、自動車の問題について、日本国民が何人に一人持ったことをもって飽和状態とする、これ以上はふやさないようにするというようなことの断定は、ちょっと私の立場上いまできかねるということでございます。
○丹羽(久)委員 自由国家として、おっしゃるとおりに、いま一軒の家で何台以上持ってはならないというような極端な考え方というのに統一することは困難だろうと思うのです。しかし、やはり基本的な考え方としては、どこかに何らかの処置を将来考えていかなければならぬ問題があろうと思いますから、このような車の伸び方に対して、いま一応、将来を考え、日本の国土の割合、世界的な観点からながめてみた一つの考えをしていただくようにぜひひとつお願いいたしたいと思います。 それでは長官にお尋ねいたしたいと思いますが、この車の販売方法であります。すなわち製造会社が一般の人たちに小売り店を通じて売る、そのあり方に対して、現状のままのかっこうで売っていいとお考えになっておるか、どうでしょうか。これは私はたいへんな問題だと思うのです。たとえすべてが自由であっても、現在は何の法律的制限も受けっこなしに、かって気ままに金さえあれば買えるということなんです。しかしそれは、新車の場合、新しい人が購入すれば、何かで私は記憶しておりますけれども、頭金として何%かを払わなければならぬが、その後は月賦で買い求めることは許されておるようであります。最近の車の販売のしかたというものに対して、買ってください買ってくださいの一点ばりで売りつけられていくけれども、このような状態というのを野放しにしておいていいでしょうか。こういうようなことに対して、私は、大責任者であるところの長官からお考えを明らかにしていただきたい。
○山中国務大臣 販売のあり方、あるいは製造から販売の過程における取り組み方等については通産行政の分野であろうかと思います。しかし、いまの自動車の売り方というものがいいか悪いか。先般も、ハイオクタンガソリンの猛烈宣伝というものについて、実際上は日本車にはたいして効果がなかった、せいぜいセンチュリーが使ってちょっと性能がよくなるくらいのところだったらしいというのがいまにしてわかって、業界としてはそういう宣伝はやらないということになったようでありますけれども、自動車の販売のしかたというものがどういう形にあったほうがいいのか、あるいはどういうふうに規制すべきなのか、ここらのところまでは、交通対策の立場から、私の立場ではちょっと発言しにくいところであり、これは産業政策、あるいはこれが不公正取引ならば公取委員会、それ前の価格構成の流通段階の問題ならば経企庁、やはりそれぞれその分野の意見を聞いてほしいと思います。
○丹羽(久)委員 それじゃそういうことにいたしまして、次にお尋ねいたしたいと思いますことは、人口十万以上のところは、車庫規制によって、それを警察署で証明していただいて、そうして登録をして所有者の手に渡るということになっておる。ところが、十万以下のところは現在野放しなんです。車は自由に買うことができる。こういうようなことから、最近、市内の人たちが、車庫がないために、人口十万以下のところの名前で買って、そして持ってきているという傾向が非常に多いのです。それは長官の耳に入っておるかどうかは別としまして、これで非常な迷惑をこうむっておるし、車をどんどんふやす傾向にある。 そこで問題は、人口十万の都市というものを限定せずして、国内に車を持つ者は何ぴとによらず車庫を持つべきだという規制をひとつお考えいただきたいと私は思います。やはりこれは勇気がなければできないことであるが、国民はそれを期待しているのです。一部の、十万以上の都市の人だけは車庫を規定して持たなければならない。それ以下のところの人は車を自由に求めることができる。それが悪い方向に利用せられている面もあるのですから、この際勇気をもって、全国、何ぴとであろうとも車庫を持つという規制を考えることが適当であろうと思いますが、長官どうお考えになりましょう。これは本来いえば交通局長から聞くべきことでありますが、大綱の方針としてどうお考えになっておるかということを私は長官から聞くのです。交通局長が答弁せられるべきであることはよくわかるのですけれども、交通局長では法律はなぶれませんから、やはり長官がお考えいただかなければなりません。長官はこれに対して賛成の意を表せられるのか、どうも適当でないとお考えなのか、その点をひとつお答えいただきたいと思います。
○山中国務大臣 車庫証明の問題は、たびたび当委員会あるいは先国会の予算委員会等において論ぜられましたが、車庫証明が車購入時の条件としてのみ効力を持たしてあって、そのあと実際にその場所を日常車庫として使っているかどうかというようなことについての追跡調査が行なわれていない。点検がなされていない。したがって、昼もしくは夜間等の一定時間以上の連続した駐車等は取り締まるけれども、それは車庫証明の関係者と所有者との関係で取り締まっていない。まあ、笑い話になりますが、大雪の降った朝に雪を乗せて走っている車は全部にせの車庫証明の車であることを証明して走っているんだから、ただ一回限りしか効力を発生しないが、それだけでも警察で一ぺん取り締まってみたらどうかということを言ったこともありますけれども、その問題としては、やはり条件として車庫証明が必要だということならば、その車庫に実際上日常車がちゃんと納められているかどうかについての確認の手段等は、警察庁もしくは運輸省の車検なんかの場合に前後調査で調べる必要があるということを私としては考えております。しかし、全国民がということになりますと、庭と畑の区別のないだだっ広いところに住んでおる農家の人々もやはりどこかに車庫をつくらなければ車は持てないかということにも極言すればなりますし、全国民にそれを強制するということについてはいまのところ考えておりません。十万以上ならなぜ必要で、十万以下ならなぜ必要がないかという、十万のよしあしについては一つの根拠もあることでありましょうが、いずれ警察庁から答弁を願うことにして、この問題についての検討ならばしても一いいと思いますけれども、全国民にそれを強制するということはなかなかであろうと考えます。
○丹羽(久)委員 十万以上のところは車庫証明がなければ登録することができない。十万以下のところは、何もなくてもただ登録できる。こういう問題の格差は、いまおっしゃるように、十万を限度とすることはどうかと思うから、これに対する調整を、五万にするとか、あるいは三万にするとか、これはまたもつと御検討の上でそうした答えが出るかもしれませんが、全国民に対してはこれをするということを考えていないとおっしゃいますが、十万以上の都市の人たちに対してはその必要があって、十万以下のところの人に対してはその必要がないということ自体が私はおかしいと思うのです。車を持つべき者は、やはり十万以上の都市の人と同じように車庫を持つべきだということであり、国民もそういうことを願っておるのです。そして、あちらこちらに、車庫のない、ただ登録だけでもってきた車が道路わきにほうってあって交通に支障を来たすというようなことは、国民生活の上においてたいへんな迷惑であり、交通整理の上において全く迷惑でありますから、これはやはり早急に結論的なものを出していただいて、いま急に全国民にということが無理であったら、十万からもっと切り下げてもらうということにひとつお考えをいただきたいと思いますが、長官、どうお考えになりますか。
○山中国務大臣 やはりそこらも、何万までがいいかの問題に関連をしますし、十万以上の規制というか、条件のついた都市の住民が車を購入する際に、あなたが先ほど例にあげられたように、隣の九万の町あるいは四万の村というようなところに行って、そこの庭を借りて使っているような形で証明をとるというようなもぐり行為というものは、私が先ほど申し上げたとおり、車庫証明と実際上の車庫の使用が一致しているかどうかということの点検ということにやはりかかってくるというふうに考えます。
○丹羽(久)委員 私に与えられた時間がないそうですから、少しまとまったことをお尋ねいたしたいと思いますが、建設省が今度五カ年計画で、たいへんな数字をあけて、交通安全関係を考えてみようというようなことでありますし、あるいは運輸省も同じようなことを言っております。さらに、警察庁も新しい角度から整備をしていきたいという考えでありまして、全体が非常な熱意でありますが、これが今後運用せられていく上におきまして、総理府が中心でありますけれども、やはり予算を使っていくというのは各省それぞれまちまちなんですよ。そこで、一つのものをつくり上げていくというのにも非常に複雑性があると思うのです。たとえば、建設省と話し合いをしなければ警察もでき得ない、警察の了解を求めなければ建設省がやれないというような、重複した、非常にめんどうな問題があるわけでありますが、今後の総合計画の上において、たとえば予算はそれぞれの省が持っても、総合的に指令を発するとか、それを総合的にこういくべきだという結論をつけたらすぐやっていけるというような機構を持つ必要があろうと思うのです。現在もその傾向にいきつつありますけれども、まだこの間うまくいっていない点がたくさんあると思います。これからの新しい計画に基づいて、長官、どうお考えになっておりますか。
○山中国務大臣 建設省、警察庁、運輸省、それぞれ安全を目的とした五カ年計画、それに基づく初年度の昭和四十六年度の概算要求をいたしておりますが、財源上の処理、あるいはまた申し合わせの、前年度に対する何%増内に入れるというような基本的な問題等について、いずれも未調整のまま、一応計画としては、私の手元で、三省それぞれ詳しく予算要求並びにその計画というものを聞きました。今後はかかって予算編成上は財源の議論になるでありましょうし、あるいはまた、その執行にあたっては、建設省は当初、四カ年の計画、すなわち現在の道路五カ年計画の残り四カ年に合わせてやろうという計画でありましたけれども、警察庁は初年度を四十六年度とする五カ年計画であり、運輸省は十カ年計画であるけれども、これは前期とすれば五年で合わせられる。そこで建設省のほうの概算要求の原案をつくり直してもらいまして、建設大臣の了解も得て、建設省も道路計画とは一年ずれるけれども、四十六年開始の五カ年計画ということに一応予算の足並みを合わせたわけであります。しかし、それ以上、今度は執行にあたっての何らかの調整をする常設の機関を置くかということになりますと、これはやはり各省それぞれの道路計画に従っての付帯した安全施設でありましょうし、また、それらの道路についての警察庁の仕事でありましょうし、それぞれの分野において全く感触を異にいたしておりますから、それらの点はやはり私のところの交通安全対策室において常時幹事会等を開きながら連携をとって、道路のできていないところに信号機が先についたり、あるいは道路ができたあと、そっちのほうには予算は回らないで死傷者が続発するというような、そういう典型的な不手ぎわが起こらぬように調整をしていきたいと思います。常設機構というものはいまのところ考えておりません。
○丹羽(久)委員 長官、あなたの部屋の対策室というのに、いまおっしゃるような常時そういうような相談を求め、相談をしつつ進めていくとおっしゃいますが、そういうようなことははたしてほんとうに可能でしょうか。長官は熱心におやりいただいておりますが、長官が何もかもやるわけにはいきませんからやはり対策室が中心になってやるように、いまのような内容と陣容でこのような各省との調整をほんとうにうまく乗せて実行に移していくことができるでしょうか。私は、それは一つの話であって、実際的にはなかなか困難なことだと思うのです。新しい機構を生み出してもらわないと、仕事は進んでもちぐはぐな仕事の進み方になってはたいへんだと思うのです。やはりスムーズにやっていけるということは、総理府の対策室が中心になっていただく、長官が中心になっていただくなら、そのような陣容が必要だと思うのです。現状の室長はりっぱな方でありますし、仕事も一生懸命やっていただいて私は感謝しておりますが、さて、各省との関係からずっと進めていくには、まだまだ大きく求めなければならぬというような感じが私はするんです。数多くの人たちにそれぞれ分担していただいて、というような感じがするが、長官、これで対策室を満足していらっしゃるでしょうか、どうでしょう。
○山中国務大臣 私は、満足することは何ごとにおいてもあり得ないと思うのですけれども、しかし、いまの機構で非常に不満足であるとは思っておりません。しかし、各省から出ております幹事会等を通じていろいろの施策を打ち出しますが、それが実行官庁において、そのまま末端でなかなかすぐに実現をしてもらえないという隔靴掻痒のきらいは私も感じております。しかし、私の熱意もしくはまたひんぱんな連絡調整、あるいは誤解やお互いの知り得ていない部面の理解ということによって逐次それが解消されつつあるわけでございまして、まあ、役人を使うのに一番簡単な方法は、首を切る権限、任命権を持っておればたいがいの役人は聞きます。しかし、そのほかの実行官庁で、いかに私のほうで機構をつくってみても、任命権者でない限りはやはり同じだと思うのです。その意味で、みんなが相談をして、合意をして押したり押されたり、あるいは不満を言ったりということをしながら合意点を見出していく。その大筋を、私の本部として、次々と新しい政策として国民の前に責任をもって展開していくという、そういういまのやり方をより一そう強力に進めていくことのほうがむしろ是ではなかろうかと思っております。ことに、交通対策の問題は、単に取り締まりだけでは済まず、あるいは建設の道路行政だけでは済まず、いろいろの問題に関連をしてくる。先ほどの公害問題ともすでに関連を持ちつつある。厚生省と警察庁とが相談をするなんてことはいままで一ぺんもなかったことでしょうが、最近は二回も一三回もやったそうであります。厚生省と警察庁とが交通問題を中心に話し合いをするという時代を迎えておりますから、いずれこれらの問題は総合的に新しい展開が必要とは思いますが、あながちそれは機構をつくらなければならぬというふうに私は考えておりません。また、私自身の能力でも、機構がなくても、いまのままである程度国民の期待する方向に進めていくことができるといまのところは思っております。
○丹羽(久)委員 時間が参りましたので私の質問を打ち切りますが、長官、もうすでに一万一千人の人がなくなっているんです。このままでいくと、残念ながら、ことしの統計でいくと一万七千三百人くらいの方がなくなるだろうという悲しい統計が出ておるようです。昨年も一万六千人。これは二十四時間内で計算したものであって、四十八時間、あるいは三日、四日、一カ月、半年になくなった人を通算すると、これに三割五分からまたふやさなければならぬそうです。そういうような事態を国民はどう受け取っておるかといえば、一人でもなくなっていく人のないことを、一人でも事故のないことを、けが人のないことを願っておるのですから、どうぞひとつあなたが中心になっていただいて、ほんとうに新しい予算を十分にもらい、そして車がこれでいいかどうかということを御検討願って、いまおっしゃったように、あらゆる関係省との調和をはかって、一そう事故のなくなるように、私どもも一生懸命にやりますけれども、長官も真剣にお考えいただいておりますが、一そうさらに真剣にお考えいただいて、各省の予算に対して——これは何でもない、金をもらえばやるんだというような考え方の予算要求ではないんです。真剣な、どうしても必要だという最小限を各省はみんな求めていらっしゃることだろうと思うのです。だから、大蔵省との折衝にもひとつあなたに先頭切ってこの予算獲得のために御努力していただいて、そして安全施設を十分にしていただくことを私は最後にお願いいたすわけであります。 時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○受田委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 山中長官の時間の都合でまとめてするようになりましたものですから、私の質問の趣旨だけを簡単に申し上げて、それに対する長官のお考えというものを聞いていきたいと思います。 交通安全のためにいろいろなことが考えられてまいりましたが、その反面交通事故はふえていくというような悲しい状態であります。そこで、これだけ交通が混乱した中で、道路というものに対する考え方を少し変えなければいけないんじゃないか、こういうことがよくいろいろな専門家等からも言われますが、車歩道、いわゆる車の道路、歩道というようなものについて長官としてはどのようにお考えがあるのか。また、そういう車歩道の区分ということについて構想がございますればお伺いしたいと思います。
○山中国務大臣 具体的な構想は建設省からあるいは御説明申し上げるかと思いますが、建設省の新しい五カ年計画の目標の一つに、市街地の道路については全部歩道を完備させるということがあります。歩道をつくった道路についての死傷率はほとんどゼロに近く低減するということが明らかになっておるところであります。昔は、道路は、人間が通ったのが当然の道路ですが、いまはどうも車さまのお通りになる道路で、人間が通るときは信号で通っていい時間を示すから渡れというふうになってしまった感があります。いなかから来た人たちが東京で一番びっくりするのはそういうところだろうと思うのですが、この傾向は逐次地方小都市にも蔓延していくことは間違いありませんので、これらの点は、建設省の計画というものが順調にすみやかに実現していくように援助したいと考えます。
○田中(昭)委員 長官の個人的なお考えでもけっこうですが、いまの車歩道を分離するということについては御賛成ですね。御賛成かどうか、その、点もう少し……。
○山中国務大臣 でありますから、車の通る道路と人間さまのお通りになる道路、これを分けるというのが道路行政の基本にこれからすわってくる。いままではあちこち必要に迫られてつくっていったということですが、今度の基本的な考え方として、それを据えるということにもちろん同感しておりますから、それに対して援助しよう、こう言っているわけであります。
○田中(昭)委員 そこで、交通事故を少なくするということをいろいろな——たとえば、道路をよくすれば、高速道路ができてかえって車の事故がふえ、また内容が大きく死者につながるというようなこともあるようでございますが、その事故の起こります場所等を見てみますと、交通事故については、こうすれば完全になおる、なくなるというようなものがあるようでございます。たとえて私のほうから申し上げれば、現実的に踏切に起こる事故、これは踏切を立体化、高架化すれば完全にそこに起こる事故はなくなる、こういうふうに思うのですが、この踏切道について、踏切道の事故をなくするための立体化、高架化については長官はどのようなお考えを持っていらっしゃいますか、お尋ねしたい。
○山中国務大臣 運輸省の十カ年計画は、各省歩調をそろえるために五カ年計画に前期を切ってもらいましたが、それの重点は、大体においてそういう踏切事故の撲滅というところに置いてございます。でありますので、運輸省の計画からいえば、踏切における非常に大きな事故が多いわけでありますから、それをなくする道は、平面的に人間を乗せた物体と物体とが衝突しない手段ということが簡単明瞭な結論であります。その方向に向かって年次計画を立てていくということになるわけでありまして、あなたの御意見の方向に、来年度予算から姿勢をはっきりと——いままでもやっていないとは言いませんが、年次計画を立てていくということになっているわけであります。
○田中(昭)委員 長官にたたみかけるわけじゃございませんけれども、担当の建設省あたりに聞いてみますと、いままでの建設省の交通安全のための施設というものが大体三つに区切られておるようでございます。特定交通安全のための事業とか、それから改築事業とか立体交差化、こういうふうに大筋三つあるようでございますが、それがやはりいままでと同じような予算の配合のしかたといいますか、そういう面もあるようでございますから、そういう点、踏切道の事故をなくするだけに全部使うというわけにいきませんでしょうけれども、いま長官のおっしゃったことばをそのまま信じまして、そういう方向でやっていただければその問題に対する事故は完全になくなっていくということをどうかお忘れないように、ひとつ進めていただきたい、こう思うのであります。 次に、間もなく、来月は交通安全運動週間というものが例年のように持たれるようでございますが、この交通安全運動週間についてはいろいろ批判もあり、また、この効果のいかんを問われるというようなこともあったと聞いておりますが、そういうことがないように、ほんとうに交通安全運動週間を通じて国民のみんなが事故を少なくしていこうということにならなければいけないと思います。この交通安全運動週間について、長官としてどのようなお考えでありますか。特に、長官はいつも新しいアイデアでもって手腕を買われておられる長官でありますから、そういう面につきましてお考えがございましたらどうかお聞かせ願いたいと思います。
○山中国務大臣 ことしの春は、久しぶりに、学童あるいは園児、そういうものの初めて一般社会に踏み出す時期をとらえて繰り上げてやりました。秋の場合においては、やはり秋の行楽シーズンというものを念頭に置いてその期間設定はいたすわけでありますが、いままでは、免許証の調べとか、毎日幾つかの目的に分かれて、その間においてやや重点が散漫になったきらいがありました。そこで、この秋の交通安全運動週間は、建設省の意見等を聞きまして、また私どもの政策上あるべき問題として、八月二十日から出発した新しい道交法による酒酔い運転の徹底したきびしい罰則、一方、罰則があってもそれが守られているかいないかのきびしい一斉取り締まりをこの秋の安全週間の一つの柱にしたい。いま一つは、無謀運転といいますか、そういうものがやはりあとを絶たない。もちろんスピード違反の場合もありましょう。割り込みもありましょう。いろいろありましょうが、そういう無謀な運転というものを一つの取り締まりにしぼっていく。もう一点は、これは常時考えていなければならぬことですが、三本柱を立てるにあたって、最後の柱として、歩行者の保護、ことに、危険物から反射的に機能することが弱くなっている、あるいは経験が浅いという老人、子供を中心とした歩行者を守ること。酒酔い運転、無謀運転、歩行者保護、この三点にしぼって、その間に無免許運転もかってにしてよろしいというわけではありませんで、ついでに調べることもありますが、きょうは運転免許証を見せるというだけの日だ、きょうは歩行者保護だけの日だというようなふうに分けないで、この三本の柱を重点として徹底した取り締まりをやってみようかということで、その方針を決定しております。
○田中(昭)委員 次は、少しこまかい問題になってはなはだ恐縮でございますが、現在、公害問題の中で、自動車が出します排気ガスがいろいろ規制も加えられてきたわけでございますが、この排気ガスの取り締まりについては、運輸省が自動車というものについての所管官庁としていろいろやっていられるようでございますが、実際にこの排気ガスを出す車を取り締まるという官庁の姿勢について、私はちょっと不安に思いましたからお尋ねするわけです。 まず、この排気ガスの取り締まりをするためにはいろいろな測定器が要るかと思いますが、そういう取り締まりはどこがやるのか。運輸省は運輸省で指導はしておると思いますが、その辺長官としてはどのようにお考えになっておりますか、お尋ねしたいと思います。
○山中国務大臣 これは、現実に検査し取り締まるのは、やはり警察庁の第一線の交通警官の諸君にお願いをしております。先般も一酸化炭素検出一斉検査をやりましたが、むしろこれは取り締まられているという感じより、私の車を調べてみてくださいというようなことで、みんな興味を持って、自分たちの車が案外有害な物質を出しているんだということを知ってがく然として、むしろきん然として協力体制を示したということで、たいへんいいことだと思うのです。ただ、問題は、警察の予算としましても、やはり都道府県の負担分もございますし、予算面でそう一斉に検査機器等がなかなか備えられませんし、単価もそう安いものでもありませんから、警察の行政がもっと徹底するように、今週の、すなわちおとといですが、閣議において発表いたしました公害関係緊急予算の中で、特に検査機器の整備の中で、警察庁の一酸化炭素検査のための器具の重点的な緊急整備ということを一つの柱にあげて予算を充当することにいたしました。根本的には、運輸大臣と閣議の席でも話をしたのでありますけれども、いまたとえばアメリカに輸出する車については、エンジン等のスクリーンあるいは排気ガス等のバーナー、そういうもので、国内換算で大体四万円ぐらいの排気の除去装置をもともとつけて出す。しかし、国内に販売する車には、どういう意味か知りませんが、販売競争が激烈であるということもありましょうけれども、そういう取り締まりがアメリカほどきびしくないからということもありましょう。それくらいの、単価を安くするためといえばそれまででありますけれども、アメリカにはつけて輸出しておるのに、国内にはつけたものを販売していないというような点なんかは、ある意味では、自動車メーカーの道義上の問題としての、通産省のメーカーに対する監督指導の要請、一方においては、取り締まりさえすれば、これはその規格に合わせたものをメーカーは製造せざるを得ないわけですから、運輸省の新しいそういう車体の構造についての基準をきびしくしてくれというようなこと等を私のほうから頼んでおります。これは両大臣とも異存はないようでありますけれども、これからは法で規制する、業界がそれを了解して、国内、国外販売車ともに、少なくともいま考えられる最高の排気ガスの規制の措置をつけて販売するということになってくれるだろうと期待をしております。
○田中(昭)委員 いまの長官のお話のことはよくわかったのですが、私が先ほどから質問をしておりますように、実際の取り締まりは現場の警察官が行なう。しかし、現場には、いろいろな測定器なり、そういうものが財政の都合でそろわない。そういうこともあるでしょう。しかし、私ども、先日この特別委員会で視察をしましたときに、各県のいろいろな事情というのを聞いてみましたが、その取り締まりの大もとである県警本部の幹部の人が、そういう機械まで持って警察がやらなければいけないですかとはっきり書っておる。警察は一生懸命ほかの仕事をしております、この取り締まり自体がうちのほうの仕事じゃないんじゃないかというような考え方を幹部が持っておるというようなことは、私は、それに取り組む姿勢としてたいへん悲しいことである、おかしなことであると思う。ものを与え、こうやりなさいと言いながら、それに取り組む人がそうであるならば、いままでの行政が、いろいろな面で実際の現場に行く場合には偏曲されて、そしてほんとうの処置がとれない、そういうことがいつも批判の的になっております。行政不信というようなことばも出てくるような問題もあるわけでございまして、そういうことについては、実際に取り締まりの仕事をする人のものの考え方の中にそういうあやふやなことがないように、長官のほうからも再度そういう点については指示なり通達なりを出すなりして、はっきりしてもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
○山中国務大臣 検査能力だけなら、各県の保健所の職員だって可能だと思うのですね。しかしながら、やはりどうしても車をとめさせ、そして検査を受けさせ、それの是正を命じて、一週間後にそれを直してこいというような、いわゆる権力をバックにしませんと、いまの一般のドライバーの諸君は、何だ、保健所か、すし屋でも回っておれというようなことになりかねない。そこで、やはりどうしても警察の諸君にお願いをしなければなりませんが、これはいい意味の民衆を守るための権力の行使でありますから、そのためにはやはり手足をもう少し与えてあげる、すなわち交通警察官の増員等に対する配慮にいま少しく予算上重点を置いて考えていかなければならぬことではないか。それでなくとも過労気味の第一線の警官諸君に、携帯機械であるとはいえ、さらに機械をおんぶさせて、それで街頭で検査するというたいへんな仕事があるわけですから、そこらのところは、私ども為政者たるもの十分配慮していかなければならぬのではなかろうか。そういうことの配慮なしに行なわれれば、なぜ警察がこんなことまでしなければならないのかということになる。あるいは民衆からいえば、そういうことも大切だが、どろぼうとか、強盗とか、そういうような犯人の検挙の率がどうも低くなったじゃないかという批判も一方にあるわけですから、そういうようなことについて、警察は治安から始まる一切の責任を持たされている立場にあることを思うならば、第一線の警官のつぶやきであっても私たちは聞き落としてはならないと考えております。
○田中(昭)委員 私が申し上げたのは、第一線の警察官の方がそう言われることもございますが、県警本部の幹部の人が、そんなことはうちの仕事じゃありませんよというようなことを言われたから、たいへんだ、こういうことを私は言ったわけでございます。いまの御答弁は、何か知らぬけれども、第一線の警察官のことだけにこだわったように私には聞き取れるのですが、その点を含んでいただいて、どうかそういうことのないようにしていただきたいと思います。 次に、この交通。いろいろな施策がなされておりまして、いままで、たとえば大阪で一方通行をきめてたいへん効果をあげておる。確かに、事故件数、それから死傷者件数も減った、こういうように聞いております。 〔委員長退席、河村委員長代理着席〕 ところが、その反面、接触事故で済むようなものが、かえって死傷を出すような事故もふえておる。ですから、相反するようなことがあることは、これはもうしかたがないかとも思いますけれども、また、実際、あの一方通行というものがたいへん効果があるということで、それでやってみますと、今度はそこを歩く人のことを考えてみると、確かに、いままでは中央に安全地帯があって、かりに渡りそこなった場合には、そこで一息入れてまた渡るというようなことができておったわけです。ところが、一方通行になりますと、全部車でございますから、一気に渡ってしまわなければならない、それに応じた信号機の整備もなされていないといいますか、そういう点もあります。それからまた、人は必ず横断歩道を渡らなければならないのでしょうが、中には、横断歩道を渡らずに、歩道以外のところを渡ろうとすることも事実としてあり得る。そういうことを考えれば、横断歩道をたくさんつけるというようなことも考えた上での一方通行というものを見通していかなければならないのではないか。一方通行がいいからといって、そういうきめのこまかいことを必ずしも考えなくていままで行なわれておることが現状ではなかろうか、このようにも思うわけであります。そういうことを考えてみますと、先月でございましたか、総理が、車の規制、車の走行することに対する規制、時間的に規制するとか、それからまた大型トラックを夜間走らせてみてはどうかというような御発言があったと聞いておりますが、これにつきましても、確かに昼間の交通の混雑はそれで緩和されるかもしれませんが、かりにそういう施策を打ち出したとした場合、実際大型トラックが夜間ものすごい音を立てて走った場合に、国道なり、またそれが走るところの住民の人たちに対する騒音の問題、これまたたいへんな問題が起こってきはしないか、こういうふうに考えるわけでありますが、そういうことまで考えた上でのことではないのではないか。いわゆる車さえ円滑に通していけば、それで済むという問題ではない。先ほど言いましたように、円滑にすることによってかえって事故が多発するというようなこともありますし、こういう点は、私なんかが委員としてここでいろいろ申し述べることくらいならいいのですが、総理がそういうお考えで御発言なさる場合には、当然そういうきめのこまかい配慮がほしいと思うわけであります。 そういうことをなぜ申し上げるかといいますと、交通安全につきましては、先ほどから言いますように、総合的な、ほんとうに現場のこまかい点まで考えていかなければならないという点で私は申し上げておるわけであります。この委員会でもかつて私が申し上げましたが、たとえば話はまた変わりますが、警察のパトカーに救急箱を持たせる、そして、事故を起こして負傷者が出たというような場合に、早急な手当てをすれば死者も少なくなるというようなことの意見を通しまして、それが警視庁のほうでも実現してきてもらっておるようでございますが、そういうようなことを考えますと、現在の道交法の中でも、被害者の救助を義務づけるというようなことを今後考えていくということはどうだろうか、やはり道交法の中にそういうものを義務づけていってはどうだろうか、こういうように思うわけであります。 〔河村委員長代理退席、委員長着席〕 そういう一つの問題を提起したわけでありますが、これに対して長官はどのようにお考えになるか。先ほど申し上げましたきめのこまかい施策といいますか、そういうようなものについてひとつ長官のお考えをお聞きしたい、こう思うわけであります。
○山中国務大臣 一方交通にしても、都心の乗り入れ規制にしても、メリット・デメリットを十分考えて、それによって逆に好ましくない状態というようなものを最大限に排除する条件を整える。乗り入れにしても、禁止するかわりに、それにかわる代替条件をふやしませんと、なかなか一ぺんにとめるだけではいけないことだと考えますから、そこらの点はむしろ慎重に検討いたしておるわけであります。大阪ですでに実行しておる一方通行の例は、警察庁においても、私ども本部においても、いい点、あるいは逆にマイナス面と見られる現象の起こった点等もしさいに調べておりますが、結論は、やはり相当な配慮のもとに実行すればプラスの点が非常に大きいということはもうはっきり出ておりますし、東京都のように、放射線状の道路が原則であるというところにおける一方交通というものは、反対通行路線の設定というのはたいへんむずかしい条件がありまして、警視庁を中心に一生懸命努力してもらっておるところでありますけれども、何をなすについても、細心の注意を払って、よかれかしと思ってやったことによって、そのことの結果もしかりに死ぬ人があるということだと、人の生命はやはりかけがえのないものでありますから、そういうことのないよう万全の注意を払っていかなければいかぬという御意見は、私もそのつもりで、交通行政にはことに慎重に、かつ大胆に、しかも国民の要望していることをどしどし実行する勇気というものが必要であるということはかみしめつつ、その衝に当たっておるつもりでございます。
○田中(昭)委員 終わります。
○受田委員長 林百郎君。
○林(百)委員 交通安全対策の問題は、いま重要な政治問題になっていると思うわけです。私は、この問題について、きょうは三つの観点から検討してみたいと考えたわけです。 一つは、先ほど自民党の丹羽議員から、自動車の個人の所有台数を制限するという方向はどうであろうという話があったのですが、そういう方向での、他の側面の生産をこのように無政府的に許していくという国家行政、これを規制をする必要があるのではないかという問題が一つあると思います。それからもう一つは、その無政府的な生産が許されている自動車産業の中で、当然交通事故を起こすような欠陥を持っておる自動車の生産が野放しにされている。それに対する政府の態度というものが、全く業者まかせにされて、政府の独自の積極的な規制の態度が見られないという問題。それから第三としては、現在の道路行政の中での交通規制をどのようにするか。これはわが党の参議院の春日議員の質問に山中長官も一定の答弁をされておりますので、それをその後どう発展させるかという点で質問をしてみたいと思います。 そういう三つの点で、時間の関係もありますので、長官の専任されておる問題について詳しくお聞きしてみたいと思いますけれども、新聞の報道するところによりますと、九月七日現在で交通事故による死者が一万一千百十九人、一日平均四十四人を突破して、史上最悪の死亡者の記録を出しております。これは昨年よりも十二日早いという、こういう意味での記録を更新しておる。交通事故による死傷者の激増が叫ばれてからもう何年にもなりますけれども、そして、毎年このように交通事故をなくさなければならないということは強調されながらも、もう事態は一年ごとに悪化している。死亡者も一万人を突破するという年がもう十二年間も続いている。昨年の死傷者、傷ついた人まで加えますと、九十六万七千八百人という状態で、これはもう全く戦争と言ってもいい死傷者をここから出してきている。この異常な数字、これは今日の交通問題がもはや小手先の対策だけでは解決できない状態になってきている。六十三国会で山中大臣も、憂慮すべき状況だ、最善の努力を傾注すると言われております。しかし、こういう中で、この問題の解決を、罰則を強化するという側面に力を入れることによって解決ができるのではないかというような方向へ目をそらす危険があるのですが、道交法の改正が施行され、罰則が強化されても、この事故の発生のテンポはゆるくならない、減ってきておらない。道交法が十年間に、今回を含めて六回も改正されたけれども、交通事故はふえる一方だ。少しも減っておらない。こういう事態については長官はどのようにお考えになるのですか。これで交通事故対策のきめ手になるとお考えになっているのでしょうか。
○山中国務大臣 車の増加の割合と死亡者あるいは死傷者の増加の割合とは正比例していく傾向よりも、若干自動車の増加のほうが高くて、死傷者の比率のほうは、比率で言うならば低くなりつつあります。これは逐年の傾向です。しかしながら、まず私たちは日本における自動車事故の実態から見て、歩行者を走る凶器から守るということを重点にいままでやってきましたが、だんだん高速道路等の完成が進むに従って、アメリカ式の走る棺おけというべき自動車自体の起こす事故というものが三〇数%台に上がってまいりましたので、これはやはり、高速道路網等の完備に伴って日本も逐次好ましくない先進国型になりつつある。幸いにして、歩行者の死亡というものは東京や埼玉等では最近減ってきております。これは全部がみんな努力してのことだろうと思うのですが、今後は、自動車を運転する人たちの心がまえの問題、運転のあり方というような問題等にも、取り締まり面ばかりでなくて、御指摘のようなそういう分野の問題が新しい分野として登場してこなければならぬように思います。先般、総理府のほうのPR映画というので、いままでのように交通事故のむごたらしさということだけを強調しないで、車を運転する運転者の心理状態を追っかけていく映画というものがつくれないかというようなことで試写を見てみましたけれども、運転する人たちがどういう状態のときにどういう心理状態でハンドルを握っているかがやはり明らかになる。運転している人がこの映画を見たらぞっとするだろうというような感じの映画ができ上がりました。こういうようなこと等もいま試みにやってみておりますが、今後は、いままでのように歩行者の事故を半減させる努力を目標に掲げていくとともに、一方においては、人命の失われることにはかわりはありませんが、しかし、近代社会の文明の利器として、それを使いこなす人間の考え方、心理によってはずいぶん違うものであろうというようなことも考えますので、お話しのとおり、取り締まり一本というだけの考え方から脱却する時期を迎えておることについては私も同感でございます。
○林(百)委員 そこで、取り締まり一本だけでいくような単純な段階でないということの一つの内容として、無政府的な自動車の生産、これに対する政府の規制というものをどうしても考えなければならない時期が来たように思うのです。さきの六十三国会の所信表明で、大臣は、わが国経済の成長に伴う輸送需要の増加は、自動車保有台数の急激な増加をもたらし、これが交通事故発生の一つの大きな要因となったということを述べておられるわけですけれども、これは、自動車の急激な増加が交通事故急増の大きな要因であることを認めておる趣旨だと思いますが、何か、自動車台数の増加が、経済成長に伴う輸送需要の増加ということで、自然にそうなっているかのように大臣は言っておるのでありますけれども、しかし、そうでなくて、政府が積極的に自動車生産の保護政策をとっている。しかも、その保護政策が非常に無政府的な生産の増強ということだけに重点の置かれた政策をとっているというところに問題があるのではないかというように思われるわけなんです。かつて、通産次官をやっておりました佐橋君がこういうことを言っているわけですけれども、占領軍司令部による自動車産業の製造禁止の解除から、ルノー、ヒルマン、オースチン等との技術提携、日本開発銀行や機械振興法による育成、高い保護関税、物品税、自動車輸入自由化の段階的な解除等々自動車産業の育成、発展のためにとられた措置は枚挙にいとまがない。自動車産業は国民経済を発展させる戦略産業と考えられるからこそ、一般産業に比べて過保護とさえ見られるほどの保護を政府は自動車産業に加えてきているのだ。だから、単に輸送の増強があるから自動車の生産が増強するということではなくて、一般産業に比べて過保護とさえ見られるほどの保護を政府が加えてきておる。それがしかも無政府的に、自動車の生産に対する過保護の政策が人の生命を守ることよりも優先しているというところに今日の交通事故の発生の一つの大きな原因があるのではないかというように私は考えるので、やはりここへメスを入れる必要があるのではないかというように考えて、いまそういう立場から質問をしておるわけです。 昭和三十四年から四十二年の十年間の自動車生産の伸び率は五八七・三%、本年八月の自動車総台数は一千五百二十万台。「数字で見る自動車」、これは運輸省の自動車局で発表しているのでありますが、これで見ますと、昭和五十年には三千四百十七万六千台、こういう数字が出てきているわけですけれども、現在でも一千五百二十万四千台あるということですね。そうしてことに前年八月と比較してみても一一九・五%の伸び率である。ことに貨物用軽四輪と三輪車の伸び率は二三二〇二%、自家用車は二二九三・九%と、一年間の生産台数は、先ほど丹羽議員も言われましたけれども二百四十八万一千台、こういう状態で、昭和五十年には三千四百万台にもなる。統計からいって、こういう生産をこのまま無政府的に許していって、道路だとか自動車の通る条件のほうはとてもこれに間に合っていかない。こういうことでは交通災害を防止することはとうてい不可能のように思うわけですけれども、これについて長官はどういうようにお考えになりますか。
○山中国務大臣 大別して、佐橋君が述べたように、国内産業としての保護育成策と、それから先進国である外国の資本並びに自動車部品等の輸入自由化の遷延策、こういう外に防ぎ内に育てるという両面の政策が今日までとり行なわれてきておる。そのことは認めざるを得ないと思うのです。しかし、すでに、国際社会の世論でも、日本が他国にはプラントまで含めた自動車の生産をどんどん進出し、脅威を与えておるという背景を一方においてつくりながら、なおかつ日本の国内には部品自由化さえも認めない、資本の自由化はもちろん認めないというような状態に対しては、きびしい風当たりがアメリカを中心にあることは事実であります。これらについては、最近、繊維交渉以来、それと関係があるわけではないにしても、日本側の世界経済に示す姿勢がいままでのような姿勢ではいかなくなったのだという考え方は急激に高まっておるわけでございまして、最近の閣議における幾多のそういう決定、繰り上げ、追加等の措置が、いずれも資本、品目等についてなされております。なお、自動車については、それをあと半年さらに繰り上げるかどうかという議論の最中にあるかと思いますけれども、それらの外的要因に比べて、内部の問題としては、先ほども申し上げましたとおり、自動車に対して賦課される公租公課、あるいはそれを使用する人々の負担というものがふえることはあっても減ることはない最近の環境になりまして、自動車の生産者側もいままでの強気一点ばりの姿勢から、ここで一ぺん足踏みをし、もしくはダウンするという体制になりつつあるようであります。日本の場合は、業界が政府に対してまだ少し甘え過ぎておる感じも強いと私は思うのです。あるいは政府が甘えさせたと林先生は言うのでしょうが、そういうどっちの因果関係にしても、アメリカあたりはやはりさばさば割り切って、うまくいかぬと思ったら、トップで走っておるGMなんかが一工場をさっと仕事をやめる、数千名の労働者を一時首にするというやり方をきわめてドライにやっております。日本の場合は、国際情勢なり国内情勢のために、自動車産業全体としてそこまで割り切っていくという姿がなかなかあらわれてきませんし、また、それぞれの社が、自由化後も自分の社だけは生き残るような考え方の環境の中で、いずれも自分たちのシェアの拡大のみに狂奔しておる。ここで、本日ただいま自動車のすべての条件の自由化を行なったときに、日本の自動車産業がはたして何社生存できるのであろうかという、いわゆる決勝点から始まって、振り返って現在の走り方を検討してみようというような反省が見られないということ等は私も事実であると考えますが、しかし、いままでどおりの伸び率をもって自動車の生産並びに消費が伸びていくであろうということについては、幾ぶん、生産者側のほうも、そういうことは許されない時代がきたというふうに見ておることは間違いないと思います。
○林(百)委員 どうも私の質問とかみ合わないのですが、要するに、大臣の答弁は、客観的に業界がどういう状態にあるか、自主的にこうしていくだろうということの説明なんです。政府がこういう無政府的な生産を許すのではなくて、道路の状況、それから交通事故の状況からいって、保有台数が多過ぎるというところにも一つの原因があるとあなたも答弁されておるのだから、それを政策的に裏づけるのには、政府がもっと自主的に生産の規制をしていく、日本の国情に照らした政府側のそういう積極的な政策が必要ではないか、こう私は聞いているわけです。時間がなくて、なおそこのところを問い詰めるわけにいかないので残念です。 次に、これは運輸省がむしろ責任の第一ですから、運輸省に聞くつもりですけれども、交通関係の担当大臣としてお聞きします。 きょうの各新聞で取り扱っておる欠陥車の問題です。新聞に大きく出ておりますから、具体的な名前を出させてもらいます。たとえばホンダN360、これは百五十件事故が起きて、九十一件が欠陥から出た事故のように考えられる、これはユーザーユニオンが発表しておる。死者もすでに四十人も出ておる。こういう問題と、これに関連していろいろな刑事事件まで発生しておるという事態なんです。このように新聞にも大きく打ち出されておるし、ユーザーユニオンもこうやって国会にまで陳情に及んでおるというときに、政府自体は一体みずからこれを調査されたのかどうか、あるいは業界の調査に少なくとも立ち会われているのかどうか、そして追跡調査をした結果どうなのか、ここで大臣答弁できますか。これは担当は運輸省ですから、運輸省の担当官にあとでくわしく聞くつもりですけれども、交通関係の担当国務大臣としての山中さんにお聞きするわけです。
○山中国務大臣 第一の、自動車の生産を減らすか、減らさぬかという国の行政のあり方については、やはり通産大臣を呼んでいただいて聞いていただきたいと思いますが、私は、必然的にそうそう増加率はふえないところに環境がきておる、あとは産業政策の問題と私どものほうの交通対策の問題といかに相談するかの問題になると思います。 さらに、いまの欠陥車問題につきましては、アメリカに端を発した日本車の欠陥車について、当初はメーカー側もみずから自分たちの欠陥車を発表して、そしてその回収につとめるということをやっていたようですが、最近の、ただいま名前をあげられましたホンダですか、それの事件は、メーカーのほうは、いままでの各社の姿勢と違って、それは欠陥によるものでないというような言い方をしているやに仄聞しておりますけれども、しかし、運輸省の立場において、行政監督省として、それらのものは欠陥車であったためにそういう交通事故を起こしたのであるかどうかの判定に立ち上がったという話は聞いておりません。
○林(百)委員 立ち上がっておらないというんですか。
○山中国務大臣 聞いておりません。
○林(百)委員 すると、こういうことが各新聞には発表になっておりますし、それからユーザーからもこういう問題が起きて、国会でも調査してもらいたいと言っているんですけれども、これを受けて立って、政府はどういうことをおやりになる考えですか。少なくとも、交通関係の担当大臣として何かお考えがあるならば聞かしてください。運輸省はやらないと聞いております、私も何にもやらない、こういう意味ですか。
○山中国務大臣 運輸省がやったともやらないとも私は聞いていないということでありまして、私の総理府の仕事は、現業的な実務の問題というものは持たない役所であります。もちろん、プロパーの、恩給とか統計とか、そういう仕事はこれはございますが、その他の、各省庁の行政と調整し指導していくという仕事については、どこまでが一体私の責任であるのか。欠陥車問題も、全体の議論として避けて通るわけにはいかぬと思いますが、いまの本田のケースを対策本部長がなぜ乗り出さぬかということでは、私もなかなかそこまで手は回りかねるし、総理府の本来の調整機能の仕事を越えた範囲であると私は思うわけです。かといって、私がその問題の責任は逃げておこうというつもりじゃありませんけれども、これはやはり運輸大臣と警察あるいは場合によっては法務省問題があるかもしれませんですね。そういう問題でお聞き願いたいと思うのです。
○林(百)委員 そうすると、交通担当の国務大臣として、こういうことが問題になっているから、この問題については十分慎重に調査をして、ユーザーやあるいは世間の納得のいくような措置をしろというアドバイスをする意思があるかどうか、そういう意欲があるのかないのか、それは人の領分だからわしは人にまかしておきますということだけなのかどうか、聞いておきましょう。
○山中国務大臣 その点は、橋本運輸大臣に、本日電話で確かにその点を申し伝えます。
○林(百)委員 あなたのやられた措置で、通勤者天国だとか、あるいは買い物天国だとか、歩行者天国だとかいうことで、一時交通を規制して、そしてそこを通行者に開放したということ、これはわりあいに評判がよかったですね。いいことはいいと私もあなたに率直に言います。それで、その後、これは全国的にどういうように広げようとしているのか、どのように発展させようとしているのか。これがわりあいに評判がよかっただけに、わが党の議員もこれを質問して、その答弁が出ておりますので、その後の計画を担当の方に聞いて、あと大臣に締めくくりで一言だけお聞きして、時間ですからそれで終わります。
○久保説明員 ただいまのお話の中で、全国で買い物道路というのは八百件ばかり、それから通学、通園道路及び子供の遊び場道路、これがそれぞれ千件ばかり、それから歩行者天国といわれるものが全国で九都府県で、数字は私の手元にありますけれども、ちょっと——おそらく二十カ所以上の場所になっております。 そこで、私どもが考えておりますのは、基本的には人と車の分離を道路の上において実現していこうということです。ただし、車の交通量の点も考えてまいらねばなりませんので、それぞれの道路環境、交通環境に応じて人優先の政策を進めてまいりたい、そういう場合に、警察が先立ってやるということよりも、やはり地域住民でありますとか、市町村当局でありますとか、そういったような人の要望の非常に強いところを、条件を考えて、そういうような方向をさらに推し進めてまいりたい、こういうことであります。
○林(百)委員 全国的にですね。
○久保説明員 さようでございます。
○林(百)委員 長官に一言。これはあなたが国会答弁されて、あなたのときに実行されて評価されている問題ですから、あなたの考えはどうなんですか。今後どういうようにしていこうということですか。さらに一そうこれを広げていく、あるいは裏通りを規制していくという問題まで残っておりますけれども……。
○山中国務大臣 全国二十万以上の都市並びに県庁所在地における小学校単位で、一本以上の道路を日曜及び祭日に子供たちに一定の区間を遊び道路として供給しなさい、このことが東京都を中心に行なわれてはおりますが、まだそれが全国的に行なわれていない、徹底していないきらいがございます。その点を、ただいまの交通局長のことばにちょっと出ましたように、警察が取り締まりの立場からここを締め切ってしまうぞという姿勢を示すことはどうかということが、やはり末端の警察署長さんも同じ見解であると私も情報をとっておりますので、そこで、教育委員会等の要請というようなことを受けてやるようにしなければならないだろうということで、その方面も現在手配をしておりますが、要請を受けて、警察は直ちに飛び出していく、承知したといって、ただいま申し上げましたような条件を各地区に設定していってもらう。あるいはまた、それらの道路を設けようにも環境が許さないところは、校庭開放ということになるでありましょう。その校庭開放についても、やはり学校管理者の校長先生あたり等からすれば、むやみに窓ガラスを割られて、一体その窓ガラスを教育委員会がほんとうに見てくれますかとか、あるいは、いまの鉄筋の校舎になっておりますところは、便所までかぎのかかった屋内にあることになって、校庭で遊ぶ子供たちが、いわゆる立ちもしくはかがむという姿をやるらしいので、そこらも、ちょっとした便所みたいなものをつくったり、金網を張ったりというようなことなんかも予算化しなくちゃいかぬだろうということで、文部省とは連絡をとっているわけでございます。 あとは、いま相談中でございますので、ここでそう明らかにできない立場にもありますが、検討中のものとしては、六メートル五十以下の道路、すなわち、中央の行きかうための空間五十センチ、それから路肩というようなものの必要幅をとりましても、なおかつ、人間が歩いていたりとまっていたりすると、自動車が双方から行きかいますと危険であるというようなところの道路は、一定の幅員以下は、一方交通の原則以外には自動車を相互に交通させないということを、原則としてですけれども一徹底していこう。あるいは、現在、三メートル五十以下の道路においては駐車を禁止することになっていますが、しかし、三メートル五十以下の道路を自動車が通ることそのものが第一問題ではなかろうかということで、三メートル五十以下の道路は原則として——これはもちろん、六メートル五十以下も三メートル五十以下も乗用車というのが主になるわけでありますけれども、これは原則として通行禁止である、こういうような措置をいま検討さしておりますが、しかし、これは第一線の取り締まりの、東京ならば警視庁を含めての合意が成立しませんと、実行という段階で、方針はきまったがなかなか実行されないというのではやはり問題があると思いますので、実行のための会合をよくよく何回も積み重ねて、結論を得た場合においては、国民の皆さんに、こういうことになりますから地域の住民の皆さんの理解と協力を示してほしいというふうに持っていきたいものだと思って、いま作業中で、急いでいるところでございます。
○林(百)委員 ひとつそういう方向へ一そう努力を重ねられることを期待して、私は質問を終わりといたしたいと思います。
○受田委員長 長官、御苦労さまでした。
○松本(忠)委員 委員長、委員が少ないじゃないですか。この状態はまことに遺憾だと思うのです。委員長からしかと御注意をしていただきたいと思います。
○受田委員長 委員のかり出しを直ちに措置するように……。 それでは、委員のかり出しをいま指示しましたから、いまから田中君と林君との国務大臣以下に対する質問を行ないます。田中昭二君。
○田中(昭)委員 まず建設省のほうにお尋ねするわけですが、現在、交通戦争ともいわれるように事故がどんどんふえておりまして、悲しいことでございます。死傷者もさらに増加しておる。この交通事故を絶滅する、また一人でもその犠牲者を減らす、そのためにいろいろな交通の安全のための対策があると思いますが、先ほどから申し上げましたように、完全に事故者をなくする方法として、踏切の除却並びに改良について、まず建設省はどのようなお考えなのかお聞きしたいと思います。
○井上説明員 お答え申し上げます。 道路と鉄道の踏切道におきます事故を防止するために、また、安全な円滑な交通を確保するために、政府は、運輸省と建設省では、昭和三十六年に踏切道改良促進法を制定いたしまして、踏切の除却、すなわち立体交差化、それから踏切そのものの構造の改良、それと、これは運輸省の関係でございますが、踏切におきます警報機等の整備、こういうものにつきまして三十六年以来促進をしてまいったわけでございます。この踏切道改良促進法は、実は本年度末をもって効力を失います。私どもといたしましては、さらに運輸省と御相談をいたしまして、この法律をさらに五カ年くらい延期をいたしまして、なお足らざる踏切道対策を推進したいというふうに考えております。 また、それに伴いまして、私ども建設省では、四十六年度から、交通安全対策五カ年計画、先ほど総理府の総務長官から御説明のございました五カ年計画をただいま策定をいたしております。従来の交通安全三カ年計画といいますのは、いわゆる既存道路に対する歩道橋の設置という狭い範囲の交通安全対策でございまして、今回の改定いたします五カ年計画の場合には、ただいまの踏切道の安全対策、立体交差化というものを組み入れまして、積極的にこれから実施をいたしたいというふうに考えております。
○田中(昭)委員 いまの建設省の考えでは、最後にございました踏切道については立体化、高架化をすることが解決する一番の方法だ、このように理解してよろしゅうございますね。それが私も一番いいことだと思います。 次に、警察庁のほうにお伺いいたしますが、この踏切による事故は、事故の中で大体どのような割合を占めておりますか。また、年間の死者、負傷者がどのくらいありますか、わかりましたら御説明願いたいと思います。
○久保説明員 昨年中に発生いたしました踏切の人身事故は千八百六十八件となっております。これは全体の人身事故の中で〇・三%でありますが、この中で死亡事故は七百七十七件、これも全体の死亡事故の中では五%でありまして、したがいまして、踏切事故になりますと、その被害が件数に比べて非常に大きいということが言えます。四十四年の数字は四十三年よりも若干ふえております。 なお本年一月から八月末までの死亡事故は四戸七十二件で、昨年同期よりは三十件減っております。 以上のような状況であります。
○田中(昭)委員 いまお聞きのとおり、死亡事故についてはたいへん高い割合を占めておるということによっても、この踏切道を改良するということが必要である、こう思うわけでありますが、先ほど総務長官のお答えにも、踏切道についてはやりたい、いわゆる完全に事故者をなくするということについては、踏切道が高架化、立体化になればそこの部分だけ減るのだということについての長官のお答えもあったわけですが、それを考えながらいまからお答え願いたいと思うのであります。 まず建設省、運輸省両方にお聞きいたしますが、踏切の立体化、高架化を推進すれば、その場所における死傷者は完全になくなる、こう思いますが、この点は御異存はございませんね。両省からそれぞれお答え願いたいと思います。
○井上説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、立体交差化をいたしますと、いわゆる自動車と列車の衝突というものはまずなくなる、皆無になる、最も効果があると思います。
○信沢説明員 そのとおりだと考えております。
○田中(昭)委員 それでは建設省にお尋ねいたしますが、全国の道路、すなわち国、県、市、町村道とあると思いますが、踏切の数はどのくらいございますか。
○井上説明員 道路法上の道路、これは国道、都道府県道、市町村道。道路法上の道路と鉄道との踏切は、ただいま全国で約五万二千八百カ所あるということであります。
○田中(昭)委員 五万三千八百カ所大体あるというのですが、その中で平面交差したものはどのくらいあるのですか。いわゆる立体化されていない踏切ですね。
○井上説明員 ただいま申し上げました数字の五万二千八百カ所のうち、平面交差は四万四千カ所でございます。
○田中(昭)委員 その四万四千カ所の中で、建設省が直轄的に仕事をする一般国道というものの中にある踏切はどのくらいありますか。
○井上説明員 いわゆる一般国道の中には、四十四年度末で七百六カ所ございます。ただし、本年度の初めに地方道から一部国道昇格をいたしまして、その結果、ごく最近の資料によりますと八百九十二カ所ございます。
○田中(昭)委員 運輸省のほうも聞いておいてください。国道で九百近い踏切があるわけですが、そういう踏切については、これは交通安全の立場からいえば、完全になくしていこうという姿勢でなければならない。そうするならば、たとえば国道の九百近い踏切の中で、いままでたいへん事故が多発した、死傷者が出た、そういうすなわち魔の踏切ともいわれるような踏切がどのくらいあるのか、そういうことは当然調べてあると思いますが、その地点、それから数をお聞かせ願いたい。運輸省のほうもそういうことについては十分考えておると思いますから、それぞれからお聞かせ願いたいと思います。
○井上説明員 いま先生の御質問にございました魔の踏切、あぶない踏切というのは、特に限界がなかなかつけにくいものですから、私のほうでしかとつかんでおりませんが、ただ、そういうあぶない踏切で早くこれを立体交差化すべきであるという踏切につきましては、先ほど申し上げました踏切道改良促進法で、運輸省と道路管理者のほうと御相談をしまして指定することにいたしておりますが、ただいま指定を受けております踏切は全国で六百四十五カ所ございます。実は、この六百四十五カ所の大部分は、すでに立体交差化事業を済ませております。 先ほど申し上げましたように今後踏切道改良促進法を延長いたしますとすると、もう一ぺん運輸省と実態を調査いたしまして、先生おっしゃいましたような危険な踏切を再度指定をして、それについて立体交差化を進めるということになろうかと思います。
○信沢説明員 国鉄の場合に限って申し上げますと、国鉄の場合、どの踏切が魔の踏切であるかということの資料はただいま手元にないわけでございますが、踏切は、いままで私どもは一種、二種、三種、四種というような区分けをいたしておりまして、第一種と申しますのは人がおりまして、遮断機もございます。あるいは、人がいないけれども自動的に遮断機がおりてくるという踏切でございます。第二種と申しますのは、ある限った時間に踏切警手が遮断機を降下する、夜中になりますと踏切警手もいなくなるという踏切でございまして、これは現在ございません。第三種と申しますのは、警報機が鳴る踏切でございます。第四種は、何もなくて、ただ踏切注意という標識が立っている踏切でございますが、最近の傾向といたしまして、この三種の踏切の事故が非常に多くなってきております。過去二年間二十六件ばかり大きな事故があったわけでございますが、そのうち三種の事故が二十六件のうち十七件を占めておりますので、今後の整備の方向といたしましては、第三種の踏切の一種への格上げ、あるいは先ほどお話しがございましたような立体交差化の推進ということになるのではないかと思います。
○田中(昭)委員 まず建設省のほうですが、いまそういう踏切については調べたものがないという御発言があったわけですが、そういう姿勢ではほんとうにそういう踏切をなくしていこうというようなことではないではないかということが一点です。その後のお答えにしても、六百四十五カ所ですか、指定をした。それはほとんどできてしまった。それがいままでにできたということは、それによって事故もたいへん減ったわけですからけっこうなことでございますが、それは今後どのように計画なりまた実施についてお考えになっておるのか。まあ、五カ年計画もあることでしょうし、五カ年計画によって国道の踏切はどの程度直っていくのか、そういうことをお答え願いたい、こう思うわけであります。 運輸省のほうも同じく、国鉄が道路を専有して、そういう踏切であぶない個所があるということについては今後十分調査をされて、そして重点的にやっていただかなければいけない、こういうふうに思うわけです。両省のほうからそれぞれお答え願いたい。
○井上説明員 五カ年計画はただいま中身の策定中でございます。特に地方道につきましては、それぞれ各県の知事さんあるいは市町村長さんが道路管理者でありまして、ただいま各県からいろいろと要望をとりまして、五カ年計画の中身を積み上げ中でございますので、恐縮でございますが、地方道につきまして詳しいことを御返事する段階にございません。 ただいま御指摘の国道につきまして申し上げますと、八百九十二カ所ございますが、そのうち、建設省が直轄で道路改良をやる、その際立体交差をするという予定のものが三百六十二カ所、八百九十二カ所のうち三百六十二カ所ございます。ただいまの段階では、このうち二百六十カ所くらいは今度の五カ年計画で立体交差化ができるであろうというふうに予定をいたしております。 なお、国道でございましても、都道府県知事が管理をいたしております区間が相当ございます。それにつきましては、実は、地方道同様ただいま各道路管理者と協議中でございまして、五カ年計画でどのくらいできるというはっきりした数字をただいま現在では持ち合わせておりません。 ただ、この踏切道の立体交差はたいへん金がかかるものでございまして、八百九十二カ所の国道の踏切を全部立体交差化するというのはたいへん至難でございます。私どもとしては、たとえば工場への引き込み線と国道との交差、引き込み線で列車回数が少ないというところ、あるいは山間部の国道で自動車交通そのものがそれほど多くないというところ、それからもう一つ、市街地の密集地帯で、その場での立体交差が不可能に近いところという三種類のものを考えておりますが、最後の種類のものは、これはまた都市計画その他で、別途の手段、たとえば鉄道の連続高架と申しますか、そういったもので処置していく以外にございませんが、こういう軽微な踏切というものを除きまして、その他のものはなるべく今度の五カ年計画の中で手をつけてまいりたいというふうに思っております。
○信沢説明員 運輸省におきましても、現在、踏切事故の総合防止対策という考え方に立ちまして、建設省のほうと、あるいは関係各省の方々といろいろ煮詰める作業をさしていただいているところでございまして、先ほど申し上げましたとおり、鉄道の踏切につきましては、少なくとも第三種の踏切というのが一番ガンであるということに立脚いたしまして、連続立体交美化、単独立体交差化、三種の一種化、そのほか保安施設ということを取り上げて、現在どのような総合防止対策を立てたらいいか検討して、作業中の段階でございます。
○田中(昭)委員 建設省のほうですけれども、いまあなたがずっと答弁されたことを聞いてみますと、なかなか自分で言ったことがよく合いませんよ。ということは、先ほど全部で八百九十二ある、その中で五カ年計画で指定したのは二百六十だ、そういうようにお答えがあった。その前に、九百近い踏切については財政上全部できません、そういうようなお話があって、そして二百六十しかできない、二百六十しか考えておらない、こういうお答えのあとに、最後になって今度は二百六十以外にも手をつけたい、そういう意味に私はとれたのです。そんな何兆円もという予算を使って計画を立てるのだったら、少し自信をもって答弁してもらわなければ困りますよ。 私が提出してもらった資料によりますと、いまのお話は全然違う。違うことをいまここでいろいろ議論するわけじゃございませんけれども、たとえば、先ほどの八百九十二にしましても、相当な財政上の裏づけがなければできないということはわかりますけれども、全部やるわけじゃない、その中で二百六十くらいしかやらないということの計画の中に織り込まれている二百六十というものが妥当であるかどうか。それじゃ、二百六十を計画しておるならば、その二百六十の踏切はどこからやっていくのか、そういうことも何もないじゃないですか。あなたの答弁ではないとしか言えない。そういう点もう少し考えて、もう一回答弁願いたいと思うのです。
○井上説明員 私の説明が若干前後しまして申しわけございません。 八百九十二カ所の国道のうち、建設省が直轄で管理いたして改築をいたします区間の中にあるものが三百六十二カ所でございます。その三百六十二カ所のうち、二百六十カ所を今度の五カ年で立体交差化の事業をいたします。八百九十二と三百六十二の差でございますが、これは都道府県知事が管理いたしております国道でございます。現在、五カ年計画の中で、それをどれだけ、何カ所立体交差化するかはいまの段階ではちょっとつかめておりません。国道の八百九十二カ所のうち二百六十カ所だけではなくて、都道府県知事に国が補助をいたしまして立体交差化するものが、今後計画がはっきりきまりますとやはり何百カ所か出てまいります。そういうことでございます。
○田中(昭)委員 そこで、そういう三百六十二の直轄の国道については、とにかく早くやってもらわなければいけない、こういうことになると思いますが、私のほうから資料を求めまして出してもらった中で、たとえばそういうふうに全国二百六十の個所を直すということでございますが、先日この委員会で九州、福岡方面を視察しまして、そこで、福岡で実際国道の踏切があって、たいへん交通渋滞等を来たしておるという現場を見てきたわけですけれども、そこは大体いまの二百六十カ所に入っておるものかどうか。また、資料によりますと、福岡市内に四カ所の国道踏切があるそうでございますが、それも同じく二百六十カ所の中に入っておるものかどうか、これを確認しておきたいと思います。
○井上説明員 福岡市内には、ただいま国道には四カ所の平面交差、踏切がございます。そのうち最も大きな国道二〇一号と鹿児島本線の交差いたします妙見踏切、これにつきましては、現在工事中でございまして、大体四十七年には完成をするという計画でございます。あとの三カ所につきましては補助区間といいますか、都道府県知事の管理区間がございますので、先ほど申し上げましたように、これから都道府県知事から上がってまいります計画をあわせまして調整して、五カ年に手をつけるかどうか、計画をはっきりきめたいと思っております。
○田中(昭)委員 次に、別な問題に移りますが、私が七月の運輸委員会でちょっと質問をいたしまして、その問題の中で、まだ未解決なりもう少し詰めておきたいという問題がございますから、その問題に移ります。 それは、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定についてでありますが、その事業についての費用の負担区分について取りきめがありまして、その細則の中の第七条によりますと、鉄道の受益額は、事業費の一〇%が国鉄、私鉄は七%、残りの九〇%から九三%が道路側の負担である、このようにきめてあります。同じ細則の中の十条には、高架化されるところの下の高架下利用、この面についてもきめてございますが、その面積の利用は約一割を公共施設に使用させる、このようにあるわけですが、この取りきめが私はたいへん矛盾しておると思う。道路側の国、公共団体が九〇%から九三%も出資しておりながら、そのできた施設に対する所有権ももちろん私鉄にあるわけでありますが、その高架下を一割しか利用できないということについては、建設省はどのようにお考えになっておるか、また運輸省も同じくどのようにこのことについてお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○今野説明員 ただいまの御質問の鉄道高架化事業につきまして、道路側の負担が九〇%、国鉄側が一〇%、それと高架化の下の部分の利用についての両方のことをいまおっしゃいまして、もう少し下を使わしたらいかがか、公共側で使ったらどうかというようなことが一つと、それからその程度の使い方だったらもう少し道路の負担を減らしてはいかがか、この二点だと思います。ただいまおっしゃいましたように、道路側の負担の九〇%と申します数字と、それから高架下の利用、これはもちろんうらはらでございまして、高架の下をどの程度利用するかということが上の負担率に響いてまいります。いろいろ運輸省国鉄、建設省三者で実際に仕事をやります地点につきまして、これは数十カ所ございますが、国鉄側の受益がどのくらいあるかということを全部拾い上げまして計算をいたしました。その際に、高架下を一〇%は公租公課程度相当額で使わしてもらうというきめをいたしまして、上部の負担率をきめたわけでございます。したがいまして、簡単にただ九〇%だとか一〇%だとかいうふうにきめたわけではございませんで、実際に今後やります地点につきまして一々受益相当額を計算いたしまして、それでこのようなきめをいたしたわけでございまして、公共側が過大に負担しておるとか、あるいは鉄道側が過小な負担だというふうにはなっていないというふうに考えております。
○山本説明員 ただいま建設省さんのほうからの御答弁にありましたのと全く同意見でございまして、この協定をつくります上におきましては、ただいま街路課長さんがおっしゃいましたような趣旨で検討いたしまして、昨年の九月に取りきめたものであります。
○田中(昭)委員 それは取りきめていいのですが、ただ簡単にいろいろな調査をしてそうなった、こう言いますけれども、それじゃその姿勢はどうなりますか。国の金というのは当然国民の税金です。国民の税金で国鉄、私鉄に、——国鉄は国の公社というような関係にありますけれども、かりに私鉄に七%の負担をさせる。かりにその工事が百億としますと、百億の工事に九十三億を国が国民の税金から出して、そしてその残りの七億円を私鉄が出した。でき上がった施設は全部私鉄という大企業の所有になってしまう。その所有のいわゆる高架下の利用については、国が国民の税金から九三%も出されたものが、なぜ高架下は一〇%しか公共利用できないのですか。そうしますと、国民は自分の税金で大企業に施設をつくってやって、その反対給付として、私鉄に、輸送力を増強したということで運賃を上げさせてやる。税金で施設をつくってあげて、そのつくった結果は運賃が上がるというようなことは許されない。運輸省も、建設省も、それぞれ税金を払う国民の立場に立ってなされていないじゃないか。この点だけについて、建設省なり運輸省のそれぞれのお考えを聞いておきたいと思います。
○今野説明員 ただいまの高架下の利用につきましては、一〇%と申しますのは公租公課相当額で使用するということでございまして、それだけではないわけでございます。それ以外にも公共の用に供する。ただ、その場合には、使用料は従来行なっております鉄道側の使用料で使用するのでございますが、一〇%だけ公共用に使うというわけではございませんで、できるだけ公共用に使う。その場合には鉄道側がその協議に応ずるというような、私どもとしましては、わりに進歩的な協定を結んだものだと思っておるわけでございます。 それから、鉄道高架につきましては、先ほど御質問がたくさんございましたように、何せ市街地の平面交差をできるだけ早く解消したいということで、道路側の要請によってつくった協定でもございます。鉄道側からは受益額以上に金を負担させるとか、そういうわけにはまいらなかったのでございます。ですから、受益相当額を負担させて、しかも高架下はできるだけ公共用に使わしてもらうということでこの協定はできておるのでございます。
○田中(昭)委員 課長さんにいろいろそのことだけを言ってもなかなか解決しないと思いますが、これはだれが考えてみても、そういう国の道路なり県の道路なりの一部分を鉄道が踏切として使っている。その踏切がなくなることによって道路はたいへんよくなるということであれば、国が九割出す、国鉄は一割出すというような、そんな考え方でなくて、全部国がつくってやればいい。全部つくってやれば、私は、高架下を利用するについては、何も一割とか二割とか、そんなことを言う筋合いのものではない、こんなふうにも思うわけです。それがただ申し合わせというようなことでそういうきめ方をされることに問題がある、このように指摘しまして、これは時間もありませんから次の機会にまた質問していきたいと思います。 次に、先ほど総務長官も道路というものについての考え方にもちょっと触れられまして、いまの交通事故をなくするためには歩道をつくっていこう、そういう考え方があるかと思いますが、歩道については、建設省として今度の五カ年計画にどういうふうなことを主眼にお考えになっておるのか、また、その計画の内容についてお聞かせ願いたいと思います。
○井上説明員 交通安全施設の整備につきましては、昭和四十一年に成立いたしました交通安全施設等整備緊急措置法に基づきまして、三カ年計画を立てて実施いたしてまいりました。第一次の三カ年計画は昭和四十一年から三年でございますが、特にこの三カ年では、歩行者保護ということで、横断歩道橋に重点を置いてやってまいりました。ただいま昭和四十四年から六年までの第二次の三カ年計画を実施中でございます。この三カ年計画では、ただいま御指摘の歩道設置、すなわち車と人とを分離するというところに重点を置いて現在実施中でございます。来年が第二次三カ年の最終年度に当たるわけでございますが、前国会で交通安全基本法というのができまして、これから基本計画を立てて、各省力を合わせて交通事故の絶滅を期するという機会でございますので、建設省としましては、残りました一カ年の三カ年計画の最終年次を拡大改定いたしまして、先ほど総務長官がお話しのように、昭和四十六年度以降五カ年計画を策定してやっております。この五カ年計画は、特定交通安全施設、すなわち現在供用中の道路に歩道をつけたい、あるいは横断歩道橋をつけたい、私どものほうのことばで特定交通安全施設等整備事業と申しておりますが、これの総額が二千三百七十五億でございます。その他、既存の道路に歩道がつけられないような人家が密集しておるところ、そういうところは小さなバイパスをつくりまして、町並みの中の道路から自動車を外へ追い出すという、いわゆる改築事業でやります交通安全的な対策事業、それから、先ほど来の踏切道の立体交差化、こういうものも含めまして、昭和四十六年度以降五カ年間に総額一兆二千七百億という規模をただいま予定いたしております。これはもちろん警察のほうの交通信号機の設置あるいは交通の規制、取り締まりというようなものとの調整を総理府のほうでしていただきまして、これからその中身をはっきり詰めてまいりたいと思います。ただし、そこで私どもの目標は、警察のそういった交通信号機、取り締まり、規制というものと私どものほうの道路構造の改善ということと合わせまして、昭和五十年には歩行者が自動車にやられる事故を半減させたいということを目標にいたしております。特に、歩道の設置につきましては、いろいろとただいま計画策定中でございますが、現在私どもの手元にございます計画では、市街地部分にございます道路、それに歩道を設置する必要がある道路というのがおおむね二万一千キロございます。その二万一千キロのうち、ただいますでに歩道がございますのが約八千六百キロございます。残りの道路に対して全部歩道をつけるということを計画の内容にいたしております。すなわち、市街部で歩道設置の必要なところには一〇〇%歩道をつくる。それ以外に、地方部でも歩行者の交通量の多いところ、危険な場所、そういうところを選び出しまして、地方部にも別途歩道をつける施策を進めてまいるという予定でございます。 以上でございます。
○田中(昭)委員 いまの計画はたいへん遠大な計画だと思いますが、その約二万一千キロですかね、そういうものが五カ年計画で一兆二千億ぐらいできちっとできますかどうか、それの確認が一つ。 それから、いろいろございましたが、時間がありませんから、最後に、通学路の安全、このためにはどういう施策が盛られておるのか、それをお聞きして質問を終わりたいと思います。
○井上説明員 御指摘のように、危険な道路でございましても、歩道を設置する余地のないところが相当ございます。こういうところには、先ほど申し上げましたが、小規模な迂回路的なものをつくって、車をそっちへ回してしまう、あるいは、これは取り締まりと申しますか、規制のほうで一方通行にして歩道を設置する余地をつくる、そういった次善の策で交通の安全をはかりたいと思います。 それから、特に通学通園路につきましては、法律の上でも指定基準がございます。現在の指定基準は、学校から五百メーター以内というような規定がございますけれども、実態はそれより長いものを要求されておりますので、今度、法律の改正に伴いまして、この通学路の指定基準を再検討いたしまして、そのかわり通学路の統廃合というようなことをしていただきまして、重点的に通学路の整備をはかりたいと思います。特に、現在の国道あるいは県道に対しまして歩道を設置する、これは非常に困難でございます。むしろたんぼのあぜ道というような、幹線道路に並行する市町村道のようなもの、これを通学路にしたほうが安全であり、かつ安上がりであるというようなところが相当あるようでございまして、今度の五カ年計画では、そういうたんぼのあぜ道みたいなものも取り上げまして、歩道及び自転車道の専用道として安全な通学路の整備をしたい、そういうふうに考えております。
○受田委員長 林百郎君。
○林(百)委員 交通安全の対策の一つとして、欠陥車の問題について、主として当該責任官庁にお聞きしたいと思うわけですが、念のために私のほうでごく最近の欠陥車についての新聞を拾い上げてみまして、恐縮ですが、個々の具体的な名前もあげさせてもらいますと、八月三十一日の読売新聞にはホンダN360の欠陥車の事故が二十二件に達したということが載っております。この記事によりますと、死者が十三人、重軽傷者が四十七人、事故の体験や不安定な運転経験を訴える人が八月三十日までに百件をこえた、こういうように記載されております。また、日本自動車ユーザーユニオンでは、ホンダN360について欠陥の指摘が今日までに百件以上ユーザーユニオンにきているということを報道しております。さらに、これはちょっとさかのぼりますが、八月七日の同じ読売新聞によれば、トヨタ自動車工業の欠陥車八十三万八千十二台が回収されるという記事も載っております。八月二十三日の日経を見ますと、これは鈴木自動車工業の欠陥車による事故で、刑事責任が追及されているという記事が載っております。九月一日には朝日新聞に東洋工業の欠陥車のマイクロバスの記事が載っております。それからさらに少し古くなりますが、四十四年三月名神高速道路で起きたニッサンエコーのマイクロバスの事故など、欠陥車あるいは欠陥車の疑いのある車による事故が大きな問題として報道されております。日本自動車ユーザーユニオンによれば、いま問題になっているニッサンエコー、ホンダN360のほかにも改善すべき欠陥にほおかぶりして生産販売をしている車種が少なくないとも言っております。きょうの朝日新聞その他の各新聞にもこのことが報道されておりますが、朝日新聞の記事を見ますと、ユニオンの報告が記載されていますけれども、約百五十件の情報を技術的な見地からホンダN360について選別した結果、九十一件に欠陥事故の疑いが濃く、その犠性者は死者が四十人で、重軽傷者が百十四人だ、こういう数字が出ております。 〔委員長退席、田中(昭)委員長代理着席〕 これはユーザーユニオンの陳情についての報道に載っていることです。しかし、いずれにしても、こういうことは放置しておくわけにいかないということで各新聞社が取り上げていると思うのですけれども、ことにニッサンエコーあるいはホンダN360、こういう欠陥車としていま焦点の的になっている自動車に対して運輸省としてはどのような行政措置をおとりになったか、それをまず報告していただきたい。とったかとらないか。
○隅田説明員 ただいまお尋ねの車は、ホンダN360とニッサンエコーの問題であろうと思います。 ニッサンエコーの問題につきましては、当該事故が起きましたのはちょっと前でございますので、その事故が起きたあと、日産のほうからリコールがされておりますし、それから構造変更もされておりますので、現在走っている車につきましては少なくとも問題はないと思います。 それからホンダN360につきましては、実は私どものところでは個々の事故の詳細につきましてはわかっておりません。きょうの新聞にございますように、多数のものがそういう事故を起こしているという新聞情報は出ておりますので、それなりにわれわれもその事実を新聞として承知しているわけでございますが、N360が初めて出て以来現在までに何度も構造変更が行なわれておりまして、少なくとも現在販売されているN360につきましてはあぶないということはないと考えております。
○林(百)委員 これは警察庁と運輸省にお聞きしますが、ホンダN360あるいはニッサンエコー、同車種の同じような種類の事故ですね。すなわち欠陥車事故と思われるようなものがいままで報告があったのかどうか、それをお聞きしたいと思うのです。ということは、ユーザーユニオンのきょうの陳情の書類によりますと、ホンダN360については、事故理由がほとんど高速時における横ゆれあるいは蛇行ということで、ことに蛇行が非常に多いわけですけれども、ハンドルを切ったとたんに蛇行、ブレーキを踏んだところ横転というような同じ種類の理由での事故が九十一件報告が出ているわけですが、これは常識的に見ても、ユーザーユニオンの報告をどう評価するかは問題かもしれませんが、少なくともこれを見ると、ほとんどホンダN360の蛇行あるいは横ゆれ、同じ種類のものが九十一件もあるということになると、欠陥車と見ないほうがどうかしていると思う。あるいは、少なくとも疑いを持って運輸省が独自の調査に入らないほうがどうかしていると思うのですけれども、そういう報告があったかどうか。 〔田中(昭)委員長代理退席、委員長着席〕 同種の車種について同種の事故原因の報告があったかどうか、そういうものを追跡調査したかどうか、警察庁と運輸省にお聞きしたい。 それから、ニッサンエコーとホンダN360に改善をしたというのですけれども、それはどういう点を改善したのか、運輸省が指示したのか、業者のほうで自主的にやったのか、その点も答弁願いたい。
○久保説明員 ニッサンエコーにつきましては、昨年の三月京都で起きた事件があります。この点では科学警察研究所の鑑定が出、さらにまだ不足の分がありますので、現在京都大学に鑑定を依頼しております。さらに捜査が継続中であります。 それから、京都の事故はシャフト回りの脱落ということでありますか、類似の件として、一昨年のたしか十月であったと思いますが、滋賀県でもやはりニッサンエコーの事件が出ております。この点も滋賀県で現在捜査中であります。ただし、厳密にはシャフト回りではありますが、京都と滋賀の場合は若干違っているようであります。 それからホンダN360につきましては、新聞で九十余件の数字が出ておりましたが、私どものところにユーザーユニオンから連絡がありました。これは若干前でありますが、十四件ございまして、それについて調べてみました。詳細なところはありますが、この件の中で二件は警察に届け出がなかった。それから残りの十二件の中で、ハンドルのぶれによるもの、つまり車体の構造上の原因があるのではなかろうかという疑いのあるものが二件ございました。 それから、これとは別個に私どものほうで、N360の問題が高速に関連しているようでありますので、特に高速道路の事故について調べてみました。これはこの一月から八月の二十日まででありますが、これによりますと、安全性に関係のあると認められる事故がN360で二十六件ございました。このうちやはり同様にハンドルのぶれによる原因と思われるものが一件でありまして、それはそれぞれについて、原因と、刑事事件になるのかならないのかという事前の調査をなお進めております。 なお、これらの事故を通じて見ましたところの特徴といたしましては、大体車が満席である、ほとんどの席が詰まっているというような場合、それから七十キロ、八十キロという高速を出しているような場合、それからカーブに差しかかった場合、そういった特殊な形態の場合に事故が起こっておるようであります。 そこで問題は、N360の常態においてすでに車体構造上問題があるのか、あるいは特殊なケースの場合にそういった問題があるのか、そういう特殊なケースというものが車の安全上一体許されるものかどうか、いろいろ問題もございましょうと思われますので、現在、運輸省の事務当局と協議をし、さらに、第一線では、その車と当時の調書に基づいて検討を進めておるところであります。
○隅田説明員 報告を聞いていたかどうかという、前の問題でございますが、一つ一つの事故は、何と申しましても警察が第一線で把握をされまして、その場でもって事故の状況を調べられるのが通例でございますので、ちょっとこれは例は違いますが、バスの事故とか、われわれのほうで運送事業者の監督の立場から報告を求め、あるいは直接的に出向いて調べなければならないようなものを除きますと、直接的にわれわれのほうで把握できる事故というのは非常に少ないわけでございます。ただいま交通局長から御答弁がありましたように、N360の事故につきましては、現在警察のほうで調べておられますのをわれわれの車両技術の立場からサポートいたしまして、目下事務当局のほうでいろいろ検討させている段階であります。 それからエコーの問題につきましては、これはレンタカーでございまして、私たちの行政はユーザーもその対象に入っておりますので、当時運輸省を通じて事故調査は若干いたしました。もちろん、事故現場を捜査し、その原因を追求していくのは警察のお仕事でありますので、警察と協力をしながら進めたわけでございます。そういう意味で事故の状況は知っていたということでございます。 それから構造変更の問題でございますが、構造変更というのは、私たちのほうで指示をする前に、一般的に言いまして、車は新型が出ましてからどんどん構造変更されていくのが普通でございまして、このエコーにおきましても、N360におきましても、構造変更は何回となく行なわれております。これはメーカーが自主的にやるものでございます。 それから、先ほど一番最初にも申し上げましたが、事故がわりあいに多発しているという情報をわれわれが新聞その他で知ったのは四十四年ごろでございますが、N360というのは四十二年の当初から出ておりますので、最近の車についてそういう問題が起きておるかどうかという点はこれからの調査に基づくものだと思います。
○林(百)委員 たとえば昭和四十三年六月二十一日の午前九時ごろ、これは名神高速道路でニッサンエコーのプロペラシャフトがミッション部分から抜けて十一名の死傷者を出した。それから昭和四十四年三月十一日午後五時二十分ごろ、名神京都東と京都南間の下り線で同じようにプロペラシャフトが抜けて二十三人が重軽傷を負ったという事故が起きておる。それよりさかのぼりますが、四十三年十一月十五日、これは人命にかかわる事故ではなかったけれども、これもニッサンエコーですが、名神茨木インターチェンジでプロペラシャフトが曲がってミッション内で焼けついていたという事故があった。これはだれが考えても、常識的に考えて、プロペラシャフトが原因で事故が起きたというふうに考えるのが当然だと思います。三つほど重なっているわけですが、これらの事故について、プロペラシヤフトの回転数について事後に試験をやらせたか。あるいは運輸省が自分でやったか。やったとすればどういう状況でやったか。そこをちょっと知らせていただきたいと思います。
○隅田説明員 個々の事故の原因を調査するために運輸省でそういう実験をやらせたりやったりしたということはございません。
○林(百)委員 そうすると、日産のほうからこの試験をやったという報告もないのですか。
○隅田説明員 私がただいま申し上げたのは、個々の事件の原因を調査するためにという意味でございまして、私たちとして、一つの知識を得るために、そのときにどういう状態であったかということで日産のほうから報告をとったことはございます。それは、四十四年の五月に、日産の社内試験といたしまして曲げ振動試験をやっております。それからその同じときに温度関係の試験もやっております。
○林(百)委員 私のいま聞いているのはプロペラシャフトですよ。プロペラシャフトがミッション内で焼けついたとか、あるいはミッション部分が抜けたということになっているんだから、プロペラシャフトについての実験をさしたかどうか。そしてこれには一体運輸省は立ち会ったのかどうか。立ち会っていないでしょう。
○隅田説明員 いま申し上げました曲げ振動試験とか温度試験というのは、プロペラシャフトの試験でございます。
○林(百)委員 それは立ち会ったのですか。
○隅田説明員 これは社内の実験結果をとっておりますので、立ち会っておりません。
○林(百)委員 そうすると、このプロペラシャフトが欠陥車の一つの欠陥になっているという認定は、運輸省自体はどう考えるのですか。
○隅田説明員 このプロペラシャフトにつきまして日産がリコールをやりましたのは四十四年の六月でございます。リコールをやるということは、いわば日産のほうできめたわけでございまして、私たちのほうでリコールをやるときめたわけではございません。
○林(百)委員 そうすると運輸省自体の考えはどうなんですか。それじゃ、運輸省自体としてはプロペラシャフトに欠陥があるということを指示したわけでも何でもなくて、日産のほうがみずからリコールしたのですか。プロペラシャフトでリコールしたのですか。
○隅田説明員 当該事故の原因がプロペラシャフトであるかどうかということは別にいたしまして、このリコールによってプロペラシャフトの危険回転数は上がりますし、より安全になることは事実でございますので、そういう意味では、われわれとしてもある程度のサゼスチョンをしたことはございますが、日産独自でやったとお考えくださってもけっこうでございます。
○林(百)委員 私はそこに問題があると思うのですよ。たとえばプロペラシャフトの回転数についての実験も、この実験に、人が乗って車体全体が下がった状態で、そしてプロペラシャフトが回転して最高にゆれた場合、そのときの自動車の床と地面との間の空間がどれだけであったかどうかということの検査、ここが非常に重要だと専門家は言っているわけですね。それからプロペラシャフトが地面と接触して事故が起きた、こういう事例もあるので、そういうことも起きる可能性が一体あるのかどうか。人が乗って、重いものが乗ってですね。こういうこともあるわけですね。それから日産の第一設計管理部次長も、「栗東事故が起こるまで、なぜエコーのプロペラシャフトが故障するのかわからなかった。正直いって私たちがエコーを設計するときは高速道路がこんなに発達するとは考えもしなかった。そのために四十二年式エコーは最高回転数と危険回転数が近くなった、ということはあります。」と言っている。最高の回転数と危険回転数が非常に接近してきて、最高回転をすると非常に危険な回転数になるということがわかってきた、エコーをつくるころは高速道路がこんなに発達するとは思っていなかったと言って、このプロペラシャフトに故障する可能性のあることを表明しているわけですね。また日産の部品販売一課長、名前はここにありますが、これは特に秘しておきますけれども、「欠陥公表後、恒久対策として、センターベアリングを入れた二分割の新しいプロペラシャフトにかえた。古いシャフトの価格は一万七千円、新しいシャフトは三万一千円です。」こう言っているわけですね。この二つの談話は、エコーにプロペラシャフトの欠陥が存在しているということを認めたことを日産自体もはっきり言っているわけですね。つまり、さきのプロペラシャフトが抜けて起こった三件は、いずれも欠陥車による事故だという意味のことを言っているわけですね。そうして多くの人命を犠牲にしている。日産自体が欠陥車による事故だということを表明している。そういう事故に対して、どうして運輸省はみずから実験をするなり、会社の実験に立ち会わないのですか。本来疑いを受けている会社に実験さして、こういたしました、それを運輸省が受け取って、ああ、そうか、それじゃそれでいいということだからこそユーザーも、それから各新聞社も書き立てるんじゃないですか。みずからやる権限があるし、立ち入り調査をする権限もあるわけでしょう。それをどうしてみずからおやりにならないのですか。
○隅田説明員 説明が不足でまことに申しわけございませんが、一つ一つの事故の原因につきましては、それぞれ専門の方が鑑定をされてやっておられるようでございますし、現在もいろいろ裁判その他が進んでおるようでございまして、それについての見解につきましては、私たちとしては何とも申し上げることはできないわけでございます。しかし、一般論といたしまして、エコーのリコールをニッサンが持ってきたという、その前に、われわれとしてもある程度の行政指導は、口頭指示はもちろんやっておりますが、公式にはあくまでニッサンが持ってきたという形でございます。われわれとしては、その持ってきたリコールというものの内容がよくなる方向であり、安全になる方向であるならば、残っておる日本じゅうのエコーは全部安全になるわけでございますので、その際にはそのまま言うとおり受け取って差しつかえないという判断をしたわけでございます。
○林(百)委員 高速時における操縦性の安全性、横ゆれあるいは蛇行、こういうことが欠陥車として、ニッサンエコーの場合はだれが見てもそう思われるというようないろいろの材料が集まってきている。そういうときに、しかもこれは運輸省自体がそのことについてみずから責任を持って実験をして、その実験に基づく指示はしておらない。ただアドバイス程度のことはしたと言っているわけですね。しかし、この高速時における蛇行が出てくるとか、あるいは操縦性の安全性に欠陥が生じてくるというような、高速時における操縦性安全性は一体型式指定規則の中に入っているんですか。あなた方は初めにそれを調べていないわけでしょう。
○隅田説明員 高速時の問題としていろいろな問題が出てまいりますが、いまのお話の中で、たとえばプロペラシャフトの回転というようなものでございますれば入っております。しかし、たとえばホンダN360にあらわれておりますような操縦性安定性という問題になりますと、これは現在のところ残念ながらまだ行なわれておりません。
○林(百)委員 だから、私が聞いているのは高速時ですよ。型式指定のあの条項を見ると、ほとんど静的な、静止の状態の場合の条項しかないのです。ところが、実際ニッサンエコーで起きているのは、これはホンダN360もそうですけれども、高速時に起きている。そしてまたニッサンの当局者も、高速道路がこんなに発達するとは思わなかった、だから最高回転数と危険回転数が非常に接近してきたと言っているわけでしょう。そうするとあなた方は、高速時におけるニッサンエコーの操縦の安全性というのは一度も運輸省としては見ておらないということじゃないですか。そうして会社側が報告を出したから、それはそれでいいだろうということになっているということになるんじゃないですか。
○隅田説明員 ちょっと技術的な説明をつけ加えさせていただきますが、ニッサンのプロペラシャフトの回転の問題は、高速時ではございますが、これは一応回転数としての計算をやってわれわれとしては審査をしております。
○林(百)委員 それは高速時でやったんですか。
○隅田説明員 はい。一応最高はわれわれのほうで……。
○林(百)委員 しかし、型式指定の中にはないじゃないですか。
○隅田説明員 車の性能としてございますところの最高速度の場合の回転数が安全回転数かどうかということのチェックは一応やっております。
○林(百)委員 型式指定の中にそういうことはありますか。高速時の場合に調べろということはありますか。私のほうのあれにはありませんよ。
○隅田説明員 型式指定の個々の項目はわりあい抽象的に書いてありますのであれでございますが、われわれとしては、プロペラシャフトの危険回転数を調べるということは、内規として一応きめてやっております。
○林(百)委員 それじゃ、その資料を後ほど私のほうへ提供してください。いつどういう状態でやったのか。 それからホンダN360の場合の高速時における蛇行の欠陥の問題ですね。これは運輸省でやったんですか、型式指定。
○隅田説明員 高速時と申しますか、動的な操縦性安定性の試験は現在のところはまだやっておりません。
○林(百)委員 それはニッサンエコーの場合だけやって、ホンダN360はどうしてやらないのですか。
○隅田説明員 技術的な説明をつけ加えさせていただきますが、プロペラシャフトの回転数をやることと、ハンドルの操縦性安定性を試験することとは、実は技術的に全然別なことでございます。それで、プロペラシャフトの危険回転数をはかるということは計算上もわりあいにはっきりできるわけでございますが、動的な自動車の操縦性の安定性を試験するということは、試験方法そのものはないわけではございませんが、現在までのところ、比較試験ができるという程度でございまして、絶対的な性能をそれではかると申しますか、きめるということはちょっとまだできかねております。これはそういう意味で、一つの車のくせと申しますか、タイプと申しますか、そういうようなものをある程度表現することは可能かとも思いますが、これは悪いものであるかいいものであるかというようなところまできめるような試験のやり方というものはまだ確立していないわけであります。
○林(百)委員 そこが問題なので、たとえば型式指定の十三条を見ますと、「指定自動車の製作者は、当該指定自動車の構造、装置」云々について「次の事項を運輸大臣に届け出なければならない。」として、要するに業者のほうでいつも届けて、そうしてそれをあなたのほうは受理する、こういう形になっているわけですね。それから道路運送車両法の四十六条を見ますと、これは公害基本法の経済条項と同じように、「第四十条から第四十二条まで、第四十四条及び前条の規定による保安上の技術基準(以下「保安基準」という。)は、」「使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、且つ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであってはならない。」とある。要するに、通行人に危害を加えないような安全性を確保しなければならないけれども、しかし、そのことのために製作者または使用者——この場合は使用者ですけれども、不当な制限を課することになってはならない、こういう条項があるわけですね。だから、この型式指定を見ましても、あるいはいま私のあげました道路運送車両法を見ましても、これは業者のほうがいつも運輸省に届け出をして、そうしてそれを形式的に運輸省が調べる、しかも、その基本は製作者に損害を与えるようなものであってはならないというようなことが書いてある。ここに今日の欠陥車の重要な疑惑があり、あるいは、事実また九十何件も起こっているのに運輸省が非常に冷淡な形になって世間から非難を受ける根本的な原因があると思う。だから、こういう欠陥車がありと認める場合は、かりに業者が試験をする場合には運輸省が必ず立ち会う。立ち入り検査権もあるわけでしょう。これは道交法にもありますし、道路運送車両法にもありますから、みずから行って立ち会うということ、あるいはみずからが検査するということ、こういうことを今後おやりになるかどうか。そうしてまた、そういうことをただ届け出るだけでなくて、みずから積極的にやって、そうしてそれに応じない場合はこれは取り消すというようなことを明文ではっきり書くように型式指定規則を改正する意思はありませんか。そうでなければあなた方は結局日産や本田の弁護ばかりやっているようにしかわれわれには聞こえないですよ。思い切ってそういうように型式指定規則やあるいは道路運送車両法も改正する意思がおありですか。 このユーザーのほうの陳情を見ますと、「運輸省は、何故に死者三十三名をこえる犠牲者を生んだ欠陥車ホンダN360の型式承認を取消し、もしくはただちにその高速走行を禁止しないのか。」こう言っているわけですよ。だから、場合によっては型式指定を取り消すことができる、その後の実績によって、同じような欠陥が累積される場合は取り消すことができるということを型式指定規則の中に明文化するという意思はありませんか、どうですか。
○隅田説明員 車両法の七十五条の四項によりますと、「保安基準に適合しなくなり、又は均一性を有するものでなくなったときは、その指定を取り消すことができる。」という条項があります。その型式指定を取り消すことができるという条項があります。ですから、保安基準に適合しなくなったということが明らかになれば、当然型式指定を取り消すことは考えられます。
○林(百)委員 そうすると、それは、そこの条項にそういう条文があるから型式指定において特別に明文化しなくてもいい、こういうことですね。そうすると、いま問題になっているホンダN360、これについてはとりあえず型式指定を取り消して、十分の調査をする、あるいはその高速運行を禁示する、こういう意思がおありですかどうですか。どういう措置をとるつもりですか。
○隅田説明員 N360につきましては、技術的な解明はまだ全然済んでおりませんので、すべてそういう技術的な解明を待った上で措置をとりたいと思います。
○受田委員長 持ち時間が過ぎましたので、結論を急いでください。
○林(百)委員 そうすると、技術的な運輸省独自の調査というのは、いつごろどういう方法でなさるつもりですか。それで、場合によっては取り消す、そういう意思がおありですか。
○隅田説明員 N360の問題につきましては、これからすべて検討が始まると考えておりますが、いまのところ、取り消すとか取り消さないとか、まだそこまで申し上げるわけにはまいらないと思います。 技術的な問題として、ことに、先ほど申し上げましたとおり、動的な操縦性安定性の問題につきましては、技術的な学界の定説がまだ十分にでき上がっておりません。したがいまして、技術の問題として、これがいいものであるとか悪いものであるという結論を下すことは、いまの見通しとしては非常にむずかしいのじゃないかというのが私個人の観測でございます。
○林(百)委員 これで終わりますが、そうすると、それは本田にやらせるのですか、運輸省が、あなたのほうが独自でやるのですか。
○隅田説明員 まだ、私のほうでN360の動的安定性を直ちに試験をやるとかやらないとかいうことを申し上げておるのではございませんで、ちょっと時間をいただきますが、私たちのほうで、この七月一日から新しく交通安全公害研究所というものを発足させております。そこに事故解析室というものも新しくできておりますが、ここの問題として、この問題を一ぺん研究の立場から取り上げさせてみたいとは考えております。
○林(百)委員 ところが、もうすでに、ユーザーユニオンの報告では百五十事故事例のうち九十一件が蛇行で問題が起きているのだ。死者が四十人、重傷者が百十四人、こういう数字まで出ているのに、まだこれはこれから研究するという段階なんですか。そういう疑いがあるから、高速の運行については一応の停止をさせるとか、一応型式指定を取り消しておいて、そしてさらに調査をして改善を命ずるとか——そういう意思は全然なくて、これから研究なさるというんですか。
○隅田説明員 そのユーザーユニオンの出しております数字につきましては、私たちもまだ新聞で見ただけでございますし、警察庁のほうと共同して個々の事故につきましての内容の検討をやっている段階でございまして、いまここで完ぺきのことを申し上げられないわけでございます。
○林(百)委員 そうしますと、あなたのほうでは、その調査というものはいつ始まって、いつごろ終わるのですか。そんなのんきなことを言っていれば、事故は次から次へと起きてくるわけでしょう。もう百五十件も起きているというのに、学者の意見も一致していないからこれから研究するということで、その責任を果たすことになるのですか。いつごろ調査を始めて、いつごろ結論を出して、いつごろ発表できることになるのですか。
○隅田説明員 しかし、現在のところ技術的にまだ十分結論が出ておりませんので、ここでいつごろまでにということを申し上げることは非常にむずかしいと思います。
○林(百)委員 委員長、押し問答していてもしようがないと思いますので一応これで終わりますが、率直に言いまして、もう現実に事故がこういうふうにたくさん起きている。それから、これはユーザーユニオンだって専門家がいるわけなんですから、それぞれ調査をしている。そして、ニッサンエコーの場合にはプロペラシャフトに欠陥がある、あるいはホンダN360には蛇行という操縦性の問題が高速度の場合にあるということが指摘されているのに、あなたのほうはまだ独自で調査もしておらない。運輸省独自で調査もしてないわけでしょう。そしてまた、ホンダの場合は調査を命じて、その報告もとっていないわけでしょう。そういうあなたの態度というものは、これは率直にいえば、あなたは本田や日産の弁護をしているとしか聞こえないわけなんですよ。結局、疑いを持たれているものの報告を聞いて、これから調査を始めますという程度では、監督官庁としての運輸省が欠陥車に対して独自のきびしい態度で臨んでいるという印象を全然受けないじゃないですか。だから、私は、もっと運輸省がきびしい態度で臨んで、少なくとも疑いのあるようなものは一時指定を取り消して、至急改善を命ずるとか、あるいはそういう事故の起きるような条件の運行はこれを禁止するとか、そういう措置をとらなければ、これは運輸省の欠陥車に対する信用というものは全く失墜するということを警告しまして、時間がきましたから私の質問はこれで終わります。
○受田委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十七分散会