外務委員会 第20号
- 発言数
- 213 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/11/17
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、愛知外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣愛知揆一君。
○愛知国務大臣 去る十一月十一日オコニシニコフ在京ソ連臨時代理大使より森外務事務次官に対しまして、口頭で行なわれました北方領土等に関するソ連政府の声明に関しまして、本日、森外務事務次官から同臨時大使に対しまして、口頭で日本国政府の立場を次のとおり申し述べました。 日本国政府はかねて国際平和の維持と強化とを外交の基本方針とし、すべての国家との間に友好親善の関係を保持し発展させることに努めて来た。特に隣国たるソ連との間では、両国の政治、社会制度の相異にも拘らず、能う限り善隣友好の関係を発展せしめることがアジア全体の平和にも資する所以であると確信し、相互の関係を増進させるよう常に努力してきた。特に最近数年来、日ソ関係が各種の分野で順調に発展して来たことは、ソ連邦政府も指摘するとおりであり、このことは日本国政府及び国民がともに喜びとするところである。 しかしながら、日本国政府は戦後二十五年を経た今日に至るもなお両国間に平和条約が締結されていないことを遺憾とするものであり、両国の関係を真に安定的な基礎の上に発展させるために、出来るだけ速やかに平和条約が締結されることを希望している。 そもそも一九五六年の日ソ共同宣言は「両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続する」旨を規定しているが、当時日ソ間の国交の回復が平和条約によつて行なわれなかったのは、歯舞群島及び色丹島を除いては領土問題について日ソ間で合意が得られず、これを後日の交渉に委ねることとされたからである。 爾来、今日まで日本国政府は、あらゆる機会にソ連邦政府に対し、速やかに北方領土問題を解決するための交渉を行ない、もって平和条約を締結することの必要性を強調してきた。しかるに日本国政府のかかる積極的な態度にも拘らず、ソ連邦政府は、日ソ共同宣言によって合意したこのような交渉を拒否し続けているのみならず、北方領土の返還を求めるわが国民全体の熾烈な願望をわが国内の一部人士の作為的な運動であるとみなし、しかも日本国政府、国会等によつて執られた一連の国内的諸措置に対してまで非難を行なっいたことは、他国の国内事項に対する干渉の試みと考えざるを得ない。しかもソ連邦政府がその声明において、わが国における北方領土復帰促進運動の展開は、ソ連に対して非友好的な行為であり、日ソ両国関係の実際的諸問題の解決を困難にすると述べていることは、本末を全く顛倒した議論であり、むしろこのような態度こそ日ソ関係の安定的発展に対する否定的要因となることを惧れるものである。 サン・フランシスコ平和条約にもとづき、戦後米国の施政権下にあった沖繩が日本国政府と米国政府との間の平和的な話し合いによって、わが国の施政権下に復帰することになった現在、日本国民のより多くの関心が戦後未解決のまま残された最後の重要な問題である北方領土に向けられるに至ったのは極めて当然であり、また不可避のことである。わが国内に高まっている北方領土返還要求の動きはかかる日本国民の自然発生的な動きであり、国会の内外においてもこれが支持されていることは周知のことである。しかも、北方領土返還による平和条約の締結は、前述のとおり日本国政府が過去十余年にわたって正式にソ連邦政府に提起してきたところであれば、かかる運動は、文字どおり日本国政府及び国民の一致した要望のあらわれであり、かかる真摯な運動に、わが国内諸方面の人士が支持を表明することになんらの不思議はないのである。民主主義国においては、如何なる勢力も、国民の総意に反する運動を有効に組織し、また指導し得るものではないことはあえてここに述べるまでもない。従って、これをもって一部の人士の策動による「報復主義的性格」のものであると非難するソ連邦政府の態度は、全く事実の真相を歪めるものと言わざるを得ない。 ソ連邦政府は、日本国内におけるこのような動きは、国際情勢発展の全般的傾行に逆行するものであると述べ、最近ソ連邦政府がドイツ連邦共和国政府との間に締結した条約を範例のごとくに掲げているが、北方領土問題は、歴史上いまだかつて如何なる他国の領土ともなったことのない日本国固有の領土を、ソ連邦政府が不法に占拠したまま日本国への返還を拒んでいる不自然な状態のみに由来する問題であつて、歴史的、政治的背景を異にする世界の如何なる他の部分の事態とも比較し、ないし同一視され得べき問題ではない。日本国政府は、ソ連邦政府が第二次大戦によって形成された国境という名目のもとになんら法的根拠のないまま、いたずらに自国の一方的措置を他国に強制し、古来如何なる他国にも属したことのない固有の領土を奪うことは国際正義にも副う所以ではないと信ずる。したがって日本国政府は、ソ連邦政府が速やかに歯舞群島及び色丹島とともに国後島及び択捉島をわが国に返還することによって、日ソ間に平和条約を締結し、両国の間に真に安定的な善隣友好関係を確立することこそ、ひとり両国の関係のみならず、アジアにおける平和と 安全の増進に資するゆえんであることをここに重ねて強調したい。 日本国政府は、ソ連邦政府が日本国の上述の立場を理解し、速やかにこの問題の積積的解決への方途を講ずる強い期待を表明するものである。 以上のとおりでございます。 —————————————
○田中委員長 先般、北方領土及び安全操業に関する国際問題調査のため、北海道に委員を派遣いたしました。 この際、派遣委員から報告を求めます。永田亮一君。
○永田委員 先般、私どもは、北方領土及び北方海域における安全操業に関する問題等の実情調査のため、当委員会より派遣されまして、八月十八日より六日間の日程で札幌、根室、羅臼等を視察してまいりましたので、ここに御報告いたします。 派遣されました委員は、自民党永田及び村田の両委員、社会党戸叶及び堂森の両委員、それに公明党の樋上委員の五名であります。 今回、私ども外務委員が現地を視察いたしましたのは、十数年ぶりのことでありまして、そのころは、やっと北方領土返還運動も緒についたばかりでありました。その後、千島歯舞諸島居住者連盟が発足、貝殻島周辺のコンブ漁の民間協定ができるなど領土問題は大きな移り変わりを見せ、また、日ソ関係も人的交流や経済交流等の分野で善隣友好の伸展を見せております。こうした両国関係の接触の変化に伴いまして、根室等各地において、北方領土問題等に関する取り組み方もきわめて積極性を示し、私どもに対して活発な意見や強い要望がなされたわけであります。 まず、札幌市におきまして、町村北海道知事はじめ道当局及び関係諸団体より、北方領土問題、北方海域における安全操業問題等について概括的な説明と要望を受けた後、根室市、羅臼町及び標津町を訪問し、関係当局及び地元関係者から、つぶさに現地の実情と要望を聴取いたし、あわせて海上保安庁巡視船「ゆうばり」にて北方海域を視察してまいりました。 以下、事項別にその概要を申し上げます。 まず、北方領土問題に触れたいと思います。 戦後二十五年「島よ返れ」の悲願を叫び続けてきた地元民は、当然のことながら北方領土の復帰のために、粘り強い外交交渉を通じて一日も早く実現してもらいたいということが各地の懇談会において異口同音に述べられたのであります。さらに北方領土の返還については、地元関係者及び関係諸団体から出された意見は、北海道の付属島嶼である歯舞群島、色丹島はもちろん、歴史的にも法律的にも北海道とともに一体となって開発され、発展してきた国後島、択捉島の返還を求めるという点で一致いたしております。 このように地元としては、日本固有の領土である国後島、択捉島及び色丹島、歯舞群島の一括返還を熱望して、復帰促進運動を展開しており、沖繩返還の次は北方領土だという声も各地で聞かれたのであります。 その反面、沖繩返還運動に比較して、全国的盛り上がりが不十分で、国民世論の統一と高揚を期待する声はきわめて切実なものがあり、各政党間あるいは各人によって北方領土についての意見や主張がまちまちであって、必ずしも国内世論は一本化されておらない実情にあるが、このことは国民総意の結集をはかる上においても支障を来たすので、すみやかに国内世論の統一をはかってもらいたいといった意見や、政府、国会は、北方領土問題で強力な啓発活動を展開すべきだとの意見が随所で述べられました。 北海道においての国民世論啓蒙運動は、道庁に領土復帰北方漁業対策本部が設置されており、年間約八千万円の予算を計上して、領土復帰促進のための啓発活動等の諸対策を行ない、道内世論はもちろん、国内、国際世論の喚起をはかることにつとめております。 また、根室市においては、町かどに「呼び返せ北方領土」といったテーマ塔を建て、さらに「一億が待っている呼んでいる北方領土」等のスローガンを印刷したポスターを張るなど、世論の結集のため町ぐるみの運動を行なっており、地元民がこの問題に真剣に取り組んでいる姿をまのあたりに見て、私どもも認識を新たにした次第であります。 しかし、一方、北方領土復帰期成同盟西村専務理事は、広く国内全般に見た場合、国民世論が一般に低調で、特に二十代の若い世代や女性の関心が低く、とのためにも青少年に対する領土問題に関する教育を充実せよとの発言がありました。 このことは、根室市において北方領土問題に関し取材に参っておりました米国バルティモア・サン新聞社特派員との会見で同特派員が、沖繩となると国民世論が一体となって返還運動を展開するが、北方領土となると関心を抱くほとんどが老人層で、ノサップ岬に来ている若者はバカンスのみで何の関心をも示していないという発言と、千島連盟梅原常務のソ連人はかの地で生まれ、住みつく者が年々増加する傾向にあるが、わがほうは約一万七千名の引き揚げ者も、戦後二十五年たった現在、四分の一が死亡、半世紀たつと千島の実態を表現する者がいなくなる。このままでは、北方領土復帰運動が、孫、子供に対する遺言運動になり、故郷を知らない若い層のみになるということばとを考え合わせると、きわめて示唆深いものを感じるのであって、今後の返還運動は、国民世論の高揚こそ今日の北方領土問題に関する最も緊急かつ不可欠の命題であり、今後、政府、国会、国民一体となってこの問題に取り組まなければならないことを痛感した次第であります。 しかし、領土問題は一連の国際協定によって解決済みであると主張するソ連の壁を、国民世論の統一と高揚のみで突破することは決して容易でないことも地元では認識しております。 このようなソ連の壁に反発するものとして、反ソキャンペーン的な動きが一部に見られるのでありますが、これに対して、川端北海道漁連会長は、私たちの運動はあくまで固有の領土を回復するための純粋な国民運動であって、国民世論を背景として、ソ連と友好親善の中で粘り強い外交交渉を通じ解決されることを望むのであるという発言がありました。 なお、根室地方総合開発期成会から、北方領土復帰への世論を喚起する一環として、ノサップ岬を訪問し北方の島々を眺望する年間約二十万人の観光客のために、「望郷の家」を建設する計画があり、このため特段の配慮を望むという要請があったのであります。 次に、北方海域における安全操業問題についてであります。 根室地方近海を含む北方海域は、魚類の宝庫として有名なところでありまして、この地方の産業構造も古くから水産業を中心に地域の開発がなされてきたところであります。 しかるに、昭和二十年八月、ソ連軍は千島全島を占領し、一方的に十二海里の領海宣言を行なったことによって、かつてこれらの島々に居住していた漁業者を主体とする元島民及びこれら北方海域を父祖伝承の漁場として利用してきた北海道をはじめとする全国関係県の沿岸、中小漁業者は、生活の場を一挙に失ってしまったのであります。 しかし、生活のすべてがこの付近での漁業にかかっている零細漁民としては、十二海里付近に近づけば拿捕される危険があるにもかかわらず、生活を維持するためにあえて出漁せねばならぬ状況下に置かれております。このため昭和二十一年四月「第二暁丸」が多楽島沖合で拿捕されたのを最初に、今日までの拿捕漁船の数は千三百二十四隻、拿捕乗組員は一万一千百八十二名の多きに及んでおります。 拿捕されますと船長及び漁労長は、領海侵犯及び密漁罪で最低三カ月、最高四年の実刑を科せられ、その他の者も一カ月から二カ月の抑留生活を余儀なくされております。また船体、漁具等もそのほとんどが没収されている実情であります。 これら拿捕された漁船員の留守家族の生活は、一家の支柱ともいうべき働き手を失い、収入も断たれ、その生活は悲惨をきわめております。また、船主は、船体及び漁具を没収されることによって、その再建はなみなみならぬものがあり、これは単なる漁業問題というより、大きな人道上の問題と化しております。 そこで、さしあたって北方領土問題が解決されるまでの間、暫定措置として、拿捕のない安全操業を早急に実現してもらいたいと各地関係者より強い要望がなされました。また、安全操業の範囲については、わが国固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉の四島の周辺海域を対象として一括実現されたという意見が強く表明され、赤城試案で示された、歯舞、色丹の周辺海域だけであるならば、地元としては、承服できないとの横田根室市長の見解のように、大多数はこれに反対しており、地元で示された意見は、おおよそ愛知提案の範囲に固まっていると見受けられました。 ただし、愛知提案の中の距岸三海里ということについては、相手のあることだから、こちらの都合ばかり言って交渉が御破算になっては元も子もない。この際一海里でも安全ラインが広がればよいといった現実論もあったが、資源の面でも、安全のためにも距岸ゼロ海里、つまり接岸して操業するのでなければ、現在と同様拿捕の危険があるためにほんとうの安全操業でないという地元漁民の意見もあり、特に佐藤羅臼町長からは、国後島北西海域についてはソ連の主張する領海十二海里を突破、距岸三海里近くで操業しても拿捕されず、事実上黙認されているのであるから、三海里以内まで入るのでなければ意味がないという意見の表現もなされたのであります。 そのほか安全操業の見返りについては、何らかの見返り供与はやむを得ないが、安全操業についての協定は、政府間の協定であるから政府の責任で行なってもらいたいという声も聞かれ、また、西谷根室海上保安部長からは、今後、安全操業協定が成立した場合、十二海里以内にはいれるのは漁船のみで、公船である巡視船が入れぬような取りきめが結ばれれば、巡視船の保護のないまま、拿捕の危険にさらされる可能性がある。したがって巡視船が区域内に入れないような協定を締結するようなことがあっては困るとの意見の開陳が行なわれました。 さらに、抑留者の早期釈放と未帰還の拿捕漁船の返還についても、すみやかに実現されるようにとの要望を受けたのであります。 以上のように、安全操業問題の解決をだれよりも待ち望んでいるのは、戦後二十五年間ソ連監視船による拿捕の脅威のもとに操業している漁民たちであります。しかし現状においては、いつ拿捕されるかわからない不安にさらされており、これは人道上の問題でもありますので、政府において、一日も早く安全操業問題の解決につとめるよう強く要望いたすものであります。 次に、北方領土にかかわる国内行政措置に関する要望や意見が述べられたが、そのおもなものは、第一に、旧漁業権の補償問題であります。 昭和二十四年漁業制度の改革により、旧漁業権を所有していた者に対しては、漁業権の補償が行なわれましたが、北方領土における旧漁業権については、昭和二十一年一月二十九日の行政分離の日に法律上消滅したという理由で、全くこの補償が行なわれておりません。これに対して北方領土はわが国固有の領土であると主張する以上、現在行政権が及ばないにしても補償を行なうのが筋であり旧島民の窮状を救済する上からも本土で行なわれたと同様の漁業権補償を早急に措置してもらいたいという要望が各地で繰り返されました。 第二点として、戸籍事務取り扱いに関する問題であります。 北方地域に本籍を有していた二千世帯の者は、終戦後本土に引き揚げを余儀なくされ、その後、対日平和条約発効とともに本土に就籍、転籍させるように行政指導が行なわれたために、その手続を完了しております。しかし、たとえ形式上であっても、島とのきずなを残しておきたいとする元居住者の心情からして、固有の領土であると主張する以上、その裏づけとして、島に本籍を持つ者の存在を認めろとの強い要望がなされました。松崎領土復帰北方漁業対策本部長からも北方地域に本籍を置くことは、戸籍事務管掌者が置かれていないため、不可能な状況にあるので、戸籍事務所を設けてこれを可能にするようにとの要望がありました。 第三点として、根室、羅臼、標津等の乏しい市町村財政の中から、拿捕見舞い金の支給、北方領土の啓蒙宣伝等に、年々多額の金額が支出されているが、本来これらは一地方自治体の問題でなく、国家的な重要問題で当然国が行なうべきであり、これらの経費について国からの特段の考慮が払われるべきであるとの要望が各関係自治体よりなされました。 その他きわめて多岐にわたる要望がありましたが、要するにわが国固有の領土に対する外交上の主張に見合う内政上の統一的な措置の実施が強く望まれたのであります。 終わりにあたり一言申し添えますと、地元では外務大臣の現地視察をぜひ実現してもらいたいとの切実な要望がございました。横田根室市長の復帰運動は、納沙布岬に立って島を仰ぐことから始まるのことばどおり、わが国固有の領土をながめ、現地の声を直接聞くためにも、外務大臣が現地の視察をされるよう、私どもも強く要望いたします。 以上が、北方領土問題等の派遣視察の概要でありますが、私どもの視察のために御多忙中のところいろいろ御協力をくださいました方々に対して深甚なる謝意を表するとともに、なお、一そうの御努力をお願いいたす次第であります。 —————————————
○田中委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。 派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。 次に、まず北方領土及び安全操業に関する国際問題について質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村田敬次郎君。
○村田委員 お許しをいただきまして北方領土問題について御質問を申し上げたいと存じます。 私は、過般十月二十一日に国連二十五周年記念総会が行なわれ、佐藤首相が国連の総会において演説をされたのでありますが、その際北方領土問題に言及をした、それ以降の時点における問題について御質問をいたしたいと思います。 第一点は、佐藤首相が国連総会で説明をされたのに伴って、それに続いて一連の事態が起こったわけであります。北方領土返還の問題を国際連合の場において訴えるということがはたして妥当であったかなかったかという問題についての意見でありますが、まず十月二十四日にソ連の共産党機関紙のプラウダは、佐藤首相の国連演説について、佐藤総理はせっかくの玉、つまりこれは日ソの友好関係の発展ということでありますけれども、せっかくの玉に傷をつけてしまったという表現を用い、さらに十月二十九日付のソ連政府機関紙イズベスチヤはやはりこのことについての評論を掲げ、総理大臣または日本政府の閣僚の他のだれかが場所柄もわきまえずに北方領土問題について話すからといって、この問題が現実に生ずる筋合いのものではないという激しい主張をしておるのであります。 さらに十一月十一日にはソ連のオコニシニコフ駐日ソ連臨時代理大使が外務省に森外務次官を訪ね、北方領土問題に関する日本側の最近の一連の動きは両国の友好関係にそぐわぬ非友好的な行為であるということを口頭で申し入れをしてまいったのであります。 この佐藤首相の国連演説に対する動きというものは、国際世論におきましてもその評価がまちまちでございますけれども、これをあえて国連の場で発表したということに対する愛知外務大臣の御見解を承りたいと思うのでございます。 聞くところによれば、外務省の内部にも国連の総会において演説することは望ましくないという意見が一部にあったやに承りますが、その辺についての所見を承りたいというのが第一点でございます。 それから第二点といたしましては、国連で演説をされました際に、佐藤首相は記者会見を行なっております。そのときの記者会見において北方領土の問題に触れまして「私は前に「沖繩が終らなければ戦後は終らない」といったが、これは舌足らず。北方領土も返らねばならない。」さらに訪ソ問題に関連をいたしまして、四選後訪ソをする考えがあるかという記者団の問いに答えて「ある。当然ですよ。「私の任期がどうなるかわからないが、訪ソを積極的に考える。」という表現をしておられるのであります。それに関連をいたしまして、首相訪ソの時期ということが当然に問題になると思うのでございますが、佐藤首相は就任以来まだソ連を訪問されていないわけでございまして、この北方領土の問題に関連して、両国の首脳が会談をするために訪ソをする、これはたいへん意義のあることだと思いますが、その訪ソの時期をいっと考えておられるか、このことについて外務大臣のお考えを伺いたい、これが第二点でございます。 第三点は、先ほど愛知外務大臣が御発表になりましたオコニシニコフ駐日ソ連臨時代理大使の申し入れに対する外務省の回答についてでありますが、この回答についてはすでに同臨時代理大使の申し入れがありましてから、当然に正式の日本政府としての意見の表明があるということを私どもも期待をしておったわけでございますが、先ほど発表されましたものによりますれば、これは森次官からの発表であるというふうに承ったのでありますが、ソ連のこうしたわが国の願望に対する見解というものが「国内の一部人士の作為的な運動であるとみなし、しかも日本国政府、国会等によって執られた一連の国内的諸措置」これはたとえば沖繩・北方対策庁の設置とか国会議員団の視察とか、そういうことだと思いますが、「一連の国内的諸措置に対してまで非難を行なったことは、他国の国内事項に対する干渉の試みと考えざるを得ない。」といたしまして、そして最後に「日本国政府は、ソ連邦政府が第二次大戦によって形成された国境という名目のもとになんら法的根拠のないまま、いたずらに自国の一方的措置を他国に強制し、古来如何なる他国にも属したことのない固有の領土を奪うことは国際正義にも副う所以ではないと信ずる。」という所信を発表されたのであります。私はこのソ連政府の発表と、そして日本国政府の本日行なった発表との間に非常に大きな隔たりがあり、しかもそれは平行線的な隔たりであって、なかなかこれを詰めていくことは困難なことであると思うのでありますが、今後その距離を詰めて、何とか北方領土を返還させたいというわが国民の悲願をかなえていくために、愛知外務大臣が具体的な日程としてどういうふうなお考えを持っておいでになるか、以上三点。 第一点は、首相の国連演説についての外務大臣の所見、第二は首相訪ソの時期、第三はオコニシニコフ駐日ソ連臨時代理大使の申し入れに対する外務省の回答をめぐっての愛知外務大臣の意見、この三点をお伺いいたします。
○愛知国務大臣 北方領土問題は戦後わが国のかかえております最大な外交問題の一つであることにつきましては、申し上げるまでもないことであると思います。同時に最近になりまして、この問題は国際的な関心も相当に呼び起こしている問題であると私は認識いたしておるわけでございます。こういうおりからでございますから、佐藤総理が国連総会に出席いたしまして演説をする機会に、この日ソ間の領土問題という懸案を平和的な話し合いによってぜひ解決したいという意図を各国代表の前に披瀝いたしましたことは、私は国連憲章の精神にもかなうものであると考えまして、妥当であったと思われるわけでございます。この点について先ほど、これを取り上げることについては反対があったのではないかという御質疑もございましたけれども、私といたしましては、積極的にこの点に賛意を表し、かつそのプレゼンテーションと申しますか、そういう点につきましては、十分周到な注意をいたしたつもりでございまして、私は本件に総理演説が触れましたことは妥当であったと考えておる次第でございます。 それから第二点は、総理大臣の記者会見の場における総理の御発言に関連して、訪ソの問題をお尋ねになりましたが、これは顧みて他を言うようになっても恐縮なんでありますけれども、私が最近ある機会にコスイギン総理と会いましたときにも、コスイギン総理もいつかどこかで佐藤総理に会いたいなという感懐を漏らしたくらいでございますから、しかるべき時期に会う、あるいは訪問する、あるいは訪問し合うということは、私は大局から考えて、日ソの親善友好関係ということから考えて適当なこととも考えておりますけれども、たとえば訪ソするといたしましても、実りの多き訪ソであってほしい、そういう角度から考えまして、ただいまいつ、その時期が妥当であるかということについては、まだきめてもおりませんし、また具体的に話を詰めておるわけでもございません。 それから第三番目のお尋ねは、十一日にソ連の臨時代理大使が森次官に申し入れをいたしましたのに対しては、ただいま御意見のありますとおり、日本側からといえば、かねがねソ連として言っておりましたことを、腹一ぱい何かつづってきたような感じがするわけでございますが、それに対しまして、わがほうの北方領土問題に対するかねがねからの、また国民的の願望であるところのいろいろの根拠を十分主張し、かつ、ただいまのも、お尋ねがございましたが、内政干渉みたいな言動に対しましては厳重に注意を喚起いたしたわけでございます。先ほど読み上げましたものの中に、それらの点は私としては十分に織り込んだつもりでございますが、お話のように、双方の態度といいますか、ソ連の態度はずいぶんほど遠いところにある、これは現実に私も当事者の一人として認めざるを得ないわけでございますが、基本的には友好関係の雰囲気の中、平和的な話し合いで、忍耐強くこの結実を求めるということで今後ともやっていきたい。当面のところは、さらに先ほどお話も伺いましたが、安全操業の問題というような非常に緊切した、早急に手がけなければならない問題もございます。また経済問題その他ではむしろ先方が非常に要請をしておる問題もございますが、安全操業の問題について申しましても、領土問題というものを留保しながらといいますか、当方の主張を堅持しながら、その上に立って当面の安全操業問題を解決をしたい、それから他の各種のソ連側の希望する問題等につきましても、一つ一つ友好信頼関係の上に立って解決をしていきたい、そして領土問題が片づきさえすれば、平和条約の締結が直ちにされる用意があるということで、この態度というものをただいま申しましたが、忍耐強く強力に積極的に押してまいりたいと考えております。
○村田委員 ただいま愛知外務大臣の御説明に出たことに関連をしてお尋ねをしたいのでございますが、今後日ソ両国間に横たわる距離というものを詰めていくために、愛知大臣は、安全操業問題とか経済問題とか、そういった日ソの共同利害の存する問題についてアプローチをしていくことがたいへん必要だということを言われたのでございます。 これに関連してでございますが、たとえば永野重雄さんは、一九七〇年代はシベリア開発を軸とする日ソ経済協力の時代であるということを言っておられまして、先般も日ソ経済委員会において、たとえば北サハリンの天然ガスの開発、それから輸入をする問題であるとか、あるいはナホトカに隣接するウランゲル湾に新しい港を建設することはどうであるかとか、そういったような問題が、たとえば経済団体連合会でございますとかあるいは日本商工会議所といったような経済ベースの機関が中心になって進められておるということがございます。私は、こうしたシベリア共同開発等の問題は、まさに両国の親善を深めていくためにかっこうの問題であると思うのでございまして、こういったシベリア開発の推進等を契機として、北方領土問題についてもできるだけアプローチをしていくというようなことはたいへん有効なことではなかろうかと思うのでございますが、それについての大臣の御見解をお伺いしたいということと、最後に、先ほど永田理事の現地視察報告にありましたとおり、北海道の現地におきましては、愛知外務大臣に現地を視察していただくことを望む声がきわめて高いわけであります。沖繩返還のめどがつきました現在、今度は北方領土の返還というものに国民的な世論を盛り上げなければならないという見地からいたしますれば、愛知外務大臣におかれては、一日も早く北方領土をあなたの目で見ていただきまして、そしてその見聞によって確められたところを、先ほど申し上げましたような経済問題、安全操業の問題と関連をして、ソ連に行かれ、そして具体的な話し合いを進められて、首相の訪ソというものをさらに次の日程として考えていくべきではないか。それもしかも一日も早くそういったことを実現していただきたいと思うわけでございますが、これらシベリア開発の推進と北方領土問題の解決についての御意見、それから愛知外相の現地視察と訪ソについての御見解を続けて承りたいと思います。
○愛知国務大臣 ソ連側がシベリア開発を中心としていろいろの点で日本側に期待を持っているということは、各種の筋からよく理解ができるわけでございます。その中に、ただいまも御指摘がございましたが、ウランゲル港の建設ということについては大体話がまとまっておりまして、日本側としても協力をいたしまして、ウランゲル港が日本との間にも非常に重要なルートになってまいりましたので、この建設については協力をし、かつ期待を持っていきたいと思っております。 それから、たとえばこれもただいま御指摘がございましたが、埋蔵資源等につきましても、現地の調査等については日本側が希望するならば相当の条件と申しましょうか、自由に調査をするというようなことも向こうとしては考えておるということも示しておりますけれども、日本の国益という立場から申しまして、かりに取り上げるにしてもどういう形でやったらいいかということをプロジェクトごとにあるいは資源調査も含めまして十分慎重に取り上げてまいりたい、こういうふうに思っております。 それから北海道視察につきましては、外務委員会の御調査がありましたその直後に与野党の委員の方々からも非公式にすでに御要請があり、不肖私に対してそういう御期待をいただきますことは、まことに感銘いたしておるわけでございます。御要請に沿いたいと考えております。
○村田委員 時間の関係で、以上で質問を終わるわけでございますが、最後に御要望だけを申し上げておきたいと思います。 先ほどの、本日発表されたオコニシニコフ在京ソ連臨時代理大使に対する外務省の見解を拝見いたしまして、私どもが感じますことは、プラウダやイズベスチヤに見られるソ連の論調というものは、日本の国内世論というものをまだ十分に知っておられない点があまりにも多過ぎるのではないか。たとえば総理府の世論調査を見てみますれば、歯舞、色丹、国後、択捉の四島が、現在なおソ連に占領されておるということを知っておる者が八四%にものぼっておる。また日本が北方領土についてソ連と交渉しているということを知っておる者が七〇%で、もっと積極的に交渉を進めるべきだとする者が七一%にも達しておるのでございます。そしてまさにこれは与野党一致の北方領土復帰の要望の問題でございまして、これはソ連の新聞等が指摘しますような、いわゆる上すべりの世論でないことは明らかなのでございますから、外務大臣におかれましては、私が申し上げましたようにぜひ北方領土の視察をされ、さらに経済問題等を通じてソ連との接触をはかられ、そして首相訪ソを一日も早く実現して、国内世論、国際世論を喚起していただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○田中委員長 永田亮一君。
○永田委員 私は大臣に対して領土問題それから領海問題、この二点についてお尋ねをいたしたいと思います。 時間がございませんので、端的に私の意見を申し上げてみたいと思います。 領土問題につきましては、先ほど駐日ソ連代理大使に対する森次官の通告、私もそのとおりだ、たいへんけっこうだと思うのです。ところがソ連はあくまで領土問題は解決済みだということを主張してやまない、おそらくこれからもそうだろうと思うのです。こっちは日本の固有の領土だということを主張して、あくまで平行線に行く可能性が十分ある。 そこで私は一つ提案をして大臣の所信を伺いたいのですが、この際国際司法裁判所に提訴してみてはどうかということであります。これはおそらく外務省の当局としては国際司法裁判所に提訴をしても相手が受けて立たなくては何にもならぬというお答えが出るのではないかと思いますけれども、しかし私は政治的な意味において、提訴するということで十分意味がある、世界に向かって日本は北方領土をあくまでがんばるのだという意思表示をするだけでも意義がある、こういうふうに考えますがいかがですか。
○愛知国務大臣 北方領土問題を何としても解決したいということについては、いろいろの方法論が考えられると思います。いまの御提案もその一つであり、敬意を表するわけですが、ただいまのお尋ねにもありましたように、事務的にといいますか、法規的に見ますと、御承知のようにソ連としては国際司法裁判所の管轄権の受諾宣言に参加していないわけでございまして、そういう点から申しまして、国際司法裁判所に提訴するのにははたして条約的、法律的に効果というものがほとんど期待されないのじゃないかという点がございますので、なおその辺のところについては慎重な検討をさせていただきたいと思っております。
○永田委員 いまの大臣のお答えは、これはたぶん外務省のお役人さんが書いたものをお読みになったんだろうと思うのですが、これは事務的にいえばそのとおりなんです。しかしわれわれは政治的な判断をしなければいけない。先ほど話題に出ておりましたが、佐藤総理は国連総会で北方領土の発言をされた。これだって私は佐藤総理のやられることにみんな賛成じゃないけれども、これは政治的な意味で非常によかった。国連総会の場において北方領土を日本が主張するということは、世界に向かって日本は北方領土に強い関心を示しておる、このことだけ、新聞に出ただけでも、これは非常に効果があったわけです。ですからいまの、手続上においてソ連が受けて立たない、それはもうわかり切っておることですけれども、しかし国際司法裁判所に日本が提訴したということは、これはもう非常に前進に役立つことだし、これをやることが政治的な解決の一歩前進だと私は強く信じておるのです。ですから、ぜひ国際司法裁判所に提訴しなさい、したらどうですかということを重ねて申し上げたい。 御参考までに申し上げますが、たしか一九五〇年ごろだと思いますが、英国の軍鑑がアルバニアの何とかいった、コルフ海峡ですか、あそこを通っておって、機雷に触れて八十何人か死傷を受けた。このときに英国は国連の安全保障理事会に提訴した。国連の安全保障理事会では、それは国際司法裁判所の問題だろうというので、国際司法裁判所に回されて、国際司法裁判所では、たしか九十四万ポンド英国に与えるべきだという判決が出ておるわけです。これはもちろんアルバニアのほうが手紙か何かで受けたということであります。実際には九十四万ポンドは払っていないようでありますが、しかしこれだけでも世界じゅうの人が、こういう事件を知るわけです。北方領土なんといっても、日本国内でもまだPRが足りないとわれわれがわあわあ言っているくらいですから、外国の人は北方領土なんといっても何だかわからないのですよ。固有の領土だ、インヒアレント・テリトリーだといったって何をいっているんだろうか、北方領土とは何だろうという調子で、世界じゅうの人、だれもがわからぬですよ、北方領土といっても。ソ連がこういう不自然な不合理なことをやっているのだということを世界の人に知らせる意味でも、司法裁判所に提訴すべきだ。あらためてもう一ぺん御所信を伺いたい。
○愛知国務大臣 ただいまお話がございましたように、外務省の事務当局の書きましたものは、先ほど申しましたとおりでございますが、同時に私は、政治家としての永田さんに敬意を表したわけでございまして、私としても十分ひとつ方法論は検討さしていただきたいと思います。
○永田委員 もう一つ申しますと、この英国がやったと同じように、安全保障理事会に一ぺん出したらどうかと思うのです。これはもちろんソ連がいるからビートーを使うにきまっている。ビートーを使っても、安全保障理事会に提訴したということで非常な世論を喚起するのです。それで安全保障理事会はだめだから、今度は国際司法裁判所に持っていく、こういうことを考えてみてはどうかと思いますので、御参考までにちょっと申し上げます。 それから時間がないから次に領海の問題。この間北方領土へ参りましたときに、根室あたりの漁業組合なんかが盛んに言っておることは、たとえばソ連のサンマ漁船あるいはサバの漁船、これが日本の領海が三海里だから、そのちょっと先の四海里周辺に来て、根室の沖の辺でサバをみんなとる。それから北陸沖でサンマをとる。これは日本の漁業家にとって非常な打撃であるという訴えを聞いたわけであります。ソ連は十二海里というものを主張しておる。日本はなぜいつまでも後生大事に三海里でなければいけないのか。三海里を守っているメリットというものはどこにあるのか、それをまず伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 これは俗に言えば、受ける立場と出ていく立場と両方ございますから、それらの点も十分勘考しなければならない。こちらが出漁する場合に三海里説をとっているということは、先方の国の三海里までは自由、公正に出漁ができるわけでございますから、そういう点のメリットは、国際的に大多数の国が順守し合っている領海といえばただいまのところは三海里でございますから、それと合わせてメリットがあるということが言えると思います。しかしこの点は先般来、前の通常国会のときにも申し上げておりますように、たとえば国際的に十二海里説が大多数の国によって支持され、そしてこれをお互いに順守し合うということの見据えが十分つきますならば、日本としてはそれを支持するにやぶさかではないわけでございまして、私はただいまのところ、私の個人的な意見になるかもしれませんけれども、十二海里——領海が六海里で、六海里が専管水域、そしてその十二海里以外に対しては沿岸国といえども風鈴つきに何ら特殊の権益を設定しないということが大多数の国、特に日本の国益からいえば日本の関係の深い国々の領海についてさようなことが合意されて順守されるということならば、これが一番適切な解決策ではないかと思います。したがって、そういう意図をもって領海関係の国際会議その他にこれからもいろいろと努力をしてまいろうと思っております。三海里にあくまでも固執するという考えは持っておりません。
○永田委員 いまの大臣のお答えで、日本が受ける場合と出ていく場合がある、そのとおりだと思うのです。こっちは三海里を守っておれば相手も三海里を守ってくれるであろうということを期待して、こっちは三海里だからおまえのほうだって当然三海里であるべきだ、これは憲法みたいだけれども、相手国の公正と信義に信頼をしてやっておるというおつもりなんでしょうけれども、しかし現実にいま日本の漁業の問題を見てみますと、たとえば日本とソビエトとか、あるいは日米加漁業条約、こういうものがあるでしょう。もうそういう何海里何海里なんというのじゃなくて、個々の条約ができちゃっているわけですよ。その条約でいえば、東経何度から何度とかいう区域をきめちゃって、そこでとらなければいかぬ。日本と韓国でもそうですね。そういうふうに二国間にそういう条約がどんどんできてくるのだから、三海里を相手に期待したって、それは二国間の条約のほうで規制されるわけです。南米に行けば十二海里どころか、二十海里、二百海里なんという国があるわけでしょう。そうすると日本の漁船は全くメリットがなくて、こっちばかりひどい目にあう。こっちへ来るというのはソ連か韓国の漁船でしょうけれども、ソ連か韓国の漁船が日本は三海里だからといって三海里の近くまで来てごっそりとることができる。こっちは向こうが十二海里、あるいはもう二百海里という国があるのだから、とんでもない沖でなければ漁業ができない。こんな不公平なことはない。私は、いまおっしゃったような意見もわかりますが、アメリカだって三海里をとったあと九海里専管水域をつくっているでしょう。日本はアメリカのまねをするのが得意だから、九海里専管水域をつくったらどうですか。三海里だけでなしに十二海里まで領海にするか、あるいは三海里領海で九海里専管水域にするか、こういうことをどうして早くやらないのか。漁民はずいぶんしんぼう強いと私は思うのですけれども、日本はなぜ三海里を早く放棄してやらないのか。そのことと、それから日本がこれをかりに十二海里にしようと思ったらどういう手続でやったらいいのですか。もうきょうから十二海里だとみんなに言えばそれでいいわけですか。もしそれでいいのだったら、きょうこの場で日本は十二海里だと世界に向かって言ってくれれば、もうそれで向こうは入ってこられないということになるのでしょうか、ちょっと伺います。
○愛知国務大臣 私が申しましたのは、日本として今後考えるべきところの一番妥当な線は十二海里説ではなかろうか、先ほど率直に私申し上げたとおりです。しかしこれはやはり相互に順守し合う、それからことに、それに風鈴的な沿岸国の権利とかなんとか留保をお互いにつけないということが非常に大事だと思います。それは条約的にやはり確約ができなければいけないのであって、日本だけが一方的に十二海里だと旗をあげてみましても、ちょうど——差しさわりがあるかもしれませんが、ある国が二百海里といって旗をあげておりますけれども、これが実効があがっているかといえば、そんなことではございません。ということと同じことでございますから、やはり誠実に国益を守る意味からいって、国際条約として、たとえば海洋関係の国際法学会というところが権威をもって検討をしておるわけですから、そういうところから出てきたコンセンサスが条約化されるということが一番望ましい。正確な日付は忘れましたけれども、十二海里説がすでにほぼコンセンサスを得ようとして、そしてある国々がこれに沿岸国としての留保をつけるということでコンセンサスができなかったという事例もございますから、その点をほぐしていくことが最大の焦点であると思います。そこのところへ日本としても焦点を合わせてまいりたい、かように考えております。
○永田委員 もう時間がきたというのでこれで終わりますが、その十二海里ということで全世界の国々がみんな同意すればこれは私は一番いいと思うのです。そういう動きがあるというお話ですから、国連などでどの国も例外なく全部十二海里ということに早くきめていただきたい。ただそれがいつのことやら、いつまでたっても同じ調子でいくようでしたら、私はやはり日本がばか正直にいつまでも三海里を守っておるということは、日本の漁民にとってはちっともプラスにならない、マイナスばかりだということを申し上げ、十二海里ということを単独にでも宣言をしていただきたい。希望を申し上げます。 終わります。
○田中委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私ども先ごろ北方領土を視察しまして、いろいろな面で多くの人たちの陳情を受けたわけでございますが、その詳しい報告につきましては先ほど永田理事がお読みになりましたので、それをお聞きになったと思いますが、具体的に誠意をもって解決をしていただきたい面がたくさんあるんじゃないかと思います。 そこで、私がきょうお伺いしたいのは主として安全操業の問題でございますが、それに先立ちまして、先ごろ佐藤総理が国連で北方領土の問題を訴えられた。このことについて村田議員からもソ連との国境等を取り上げていろいろ質問がございましたし、永田理事もたいへんいいことだったといって双手をあげてほめられたわけです。私は領土の問題というのは非常に国民の願いであり、重要な問題ですし、これはねばり強く着実に双方で話し合っていかなければならない問題だと思いますので、今後におきましてもいろいろ苦労があっても、やはりそれをねばり強く交渉していかなければいけない問題だと思います。ただ、私が気になりますのは、国連での二十五周年の会議で演説の中に取り上げられたということを聞きましたときに、国連でのそういうときに取り上げるものは大体において国際紛争になっているような問題が取り上げられているんじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございまして、一体日本とソ連との領土問題というのはまだ国際紛争の場にはなっていない、二国間の問題であるというふうに考えていたものですから、これをお取り上げになったというのは、国際紛争として国連で取り上げてもらいたいという御意思があったのかどうかということがまず一点。 それからこういうところでお取り上げになったからには、国連で持ち出したことによって何らかの効果を私は期待されたのではないかと思う。どういうふうな効果を予期されてここで持ち出されたのか。この二点をまずお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほど私申しましたように、この問題は日本の最大の問題の一つであるのみならず、最近におきましては国際的にも相当の関心を呼んでいるように私どもとしては観察しているわけでございます。そういう機会に本件についての日本の総理大臣としての考え方を内外に披瀝いたしますことは、いろいろの意味で今後の解決に当たる道について有効である、かように考えたからでございます。これによって、直ちに具対策についてこういうことをやるというところまでは考えておりません。
○戸叶委員 国連で取り上げることによって、別にたいして期待をしたということではない、世界的ないろいろな世論を呼んでいることだから持ち出したというふうなお話でございましたが、この問題はまだ国際紛争という中にはもちろん入っていない、こういうふうに理解をしてもよろしゅうございますね。
○愛知国務大臣 国際的紛争という意味にもいろいろございましょうけれども、とにかくなかなか日ソ間におきましても相当に対立的な見解が固定しております。同時に、ソ連側としての本件に対しての言い分は、先ほど来もお話に出ておるように、わがほうの考え方とは非常に対立をしておる。しかも、これはソ連側からいえば、一部復讐主義者云々というふうな見方を公言しておるわけでございますから、それが間違った見方であり、考え方である、あるいは誤解に基づくものであるということは、内外にあらゆる機会に宣明しておきたい、これは必ず役に立つことである、かような考え方に立っているわけでございます。
○戸叶委員 私この問題でいろいろやっていますと時間がなくなりますから、これ以上申し上げませんが、ただ政府としてこれを国連の場へ出したからには、そしてまたいまのような目的でお出しになったからには、当然ソ連からの何らかの反応というものがあるのじゃないかということを期待してされたのじゃないかと思います。そういうものが何にもなくて、しかもあれだけのことをしたのだから友好裏に解決するだろうというような甘い考え方で記者会見に臨まれたようですけれども、あとにはそうではない、かえってソ連から非常にきびしい何か申し入れというようなものになってあらわれてきたということになりますと、あまり効果ということはなかったのじゃないかというように私ども思います。もちろん領土の問題ですから、これは国民的な願いとしていろいろな角度からいろいろな形で解決していかなければならないことは私どもも十分知っておりますけれども、今回のそういう措置に対してはたしてほんとうにすばらしかったということがいえるかどうかということには少し問題があるのじゃないかというふうに考えますが、この点を伺いまして次の問題に入りたいと思います。
○愛知国務大臣 この点は先ほど永田理事から御意見がございましたけれども、これだけの大きな問題ですから、今後ともあらゆる方法を考えて目的を達成したいわけでございます。先ほど国際司法裁判所あるいは安保理事会等の問題も永田さんから御提案があったようなわけでございます。そういうこともいろいろ考えてみまして、この際内外にこの点についての日本国民の願望、そして事実関係というようなことを明らかにしておくことは、確かにプラスであったのではないか、私はかように考えております。
○戸叶委員 次に、それでは安全操業の問題に入りますが、新聞報道によりますと、北洋の安全操業に対して二十三日からモスクワで交渉が始められるということがいわれておりますが、この内容はどういうふうな線でいこうとされているか、お差しつかえなかったら発表していただきたい。と申しますのは、いままでの日本の政府は、ソ連との交渉のつど、交渉態度がたいへんに違っていたように思います。いままでの歴史を見ますと、たとえば吉田総理の時代には、平和条約にある千島列島の範囲は北千島、南千島の両方を含むというような発言をして、次に鳩山首相の時代には、国後、択捉の全面返還を要求して、そして四十年の五月には赤城農相が赤城試案で安全操業の対象海域を歯舞、色丹というふうに出して、四十一年にはコスイギン首相あてに佐藤総理が歯舞、色丹の安全操業を要求する、こういうふうな形でいろいろ変わってきております。いろいろ変わることはしかたがないとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり私どもとしては一体どういう線で今後交渉されるのかということが知りたいわけでございまして、それに加えて、愛知外相の愛知提案というのは、いわゆる歯舞、色丹、国後、択捉の四島の沿岸三海里——十二海里、三から十二マイルの間というふうになった。そしてこれに対しての交渉ではないかと私ども思いますけれども、この点を念のためにお伺いしておきたいと思います。
○愛知国務大臣 結論から申しますと、いわゆる愛知提案というものを基礎にして今回の交渉を開始する、かようなわがほうの態度でございます。私になりましてからあらためて始めましたのは、昨年九月私が訪ソしたときでございますが、そのときにおおむねこの提案をいたしておりますが、本年の七月ノビコフ副総理が来日いたしましたときに、まあ、しかとそれを具体的に内容的に了承した上ではもちろんございませんけれども、安全操業の日本側申し入れに対して交渉をする用意を明らかにしたわけです。そうして先方はイシコフ漁業大臣をもって政府の責任者にする、そういうわけでございました。そして一日もすみやかに交渉の開始を心がけておりましたが、ソ連側の都合で延び延びになっておりまして、ようやく今月二十三日から交渉をモスクワで開始することに合意ができまして、先方はイシコフ漁業大臣、わがほうは中川駐ソ大使を代表にいたしまして、有田欧亜局長平松水産庁漁政部長等をモスクワに派遣することにいたしました。わがほうとしてはただいま申しましたような態度でこの交渉に臨むつもりでございます。
○戸叶委員 地元の人ももちろんそういうようなことを望んでいるわけでございまして、まあ外務大臣のおっしゃったような交渉に持っていかれると思いますけれども、ただ、いま大臣がおっしゃったように必ずしもそのとおりにいくということにはいかない面もあるのじゃないか、なかなかむずかしい面もあるのじゃないか。たとえばソ連のほうでは四島の周辺というのじゃなくて、歯舞、色丹だけの周辺ということも出てくるのじゃないかというふうに心配するわけです。そこはもし交渉の過程でそういうふうな話になってきた場合には決裂してこられますか。それともどういうふうな態度をお示しになりますか。あくまでも四島だけを主張していて、そして話を進めていく、いざというときにはどういうふうなことを決意していられるかということもまず伺っておきたい。これは現地の人が非常に望んでおることでございますから、一ぺん確かめておきたいと思います。
○愛知国務大臣 わがほうといたしましては、ただいま申しました基本方針で交渉に臨むつもりでございます。そして一週間詰めて話し合いを行なう。これから交渉を始めるわけでございますから、こちらの考え方にできるだけ結論が出るように全力をあげてまいりたいと思っております。これから始まることでございますから、その後過程的にどうということは、交渉に当たる前のわがほうの態度としてはまずこの辺でとどめておきたいと思います。
○戸叶委員 交渉の過程でございますからこれ以上申し上げませんが、そこで、やはり交渉にあたってこういうことを頭の中に入れておいていただきたいということは、この安全操業の協定は普通の漁業条約と違うと思いますけれども、たとえば協定違反を起こした者の裁判管轄権をどのように考えて交渉されるかということが一つ問題になってくると思います。地元では三海里から十二海里の間の線を引いて、そしてきちんとされますと、かえってマイナスになるというようなことを言っているわけでございますけれども、もしもそういうものの線が引かれますと、安全ラインを侵害するとソ連に拿捕されるばかりではなくて、わが国の取り締まり、処罰の対象にもなるというような二つの面がありますので、こういう点もよく考えておいてもらいたい。地元の人は決して違反をしたいという気持ちはなくて、しかたがなしに、食べていかれないから、しざるを得ないというようなことでございますので、安全操業協定が成立した場合に、ソ連邦との漁業条約にあると同じように、この「漁船又は人の所属する締約国の当局」にのみ裁判管轄権があるというふうな形で結ばれないものかどうか、この裁判管轄権の問題もそういうふうな意見があるのですが、この点はどういうふうに受けとめられるでしょうか。
○愛知国務大臣 現地の当事者また関係者の間にその点についてただいまお述べになりましたような点、非常な関心の強い問題でございますから、それらを十分政府としても胸に入れまして対処してまいりたいと思っております。
○戸叶委員 それから安全操業協定が成立した場合に、巡視船がその区域に入れないようでは巡視船の保護のないまま拿捕の危険にさらされるというようなことになりますので、巡視船もはいれるような交渉をされるかどうか、この点も考えていただきたい。 それから、ついでですから、もう一つ伺いますが、安全操業協定が成立した場合には国会の承認をお受けになるかどうか、この二つの点をあわせてお答え願いたいと思います。
○愛知国務大臣 前段のお尋ねに対しましてはまことにごもっともで、私どももそのように考えておるわけでございまして、そういうような点についてはこの本体の水域の交渉その他がまとまるに従って細部の取りきめが必要であると考えておりますが、そういった種類のものは私は行政協定的なものでいいのではないかとただいまのところ考えております。
○戸叶委員 もう一点だけお伺いしたいのですが、安全操業の見返りについてですけれども、コンブ協定などにも見返りはあったわけですが、安全操業の見返りについて何らかの必要があるかと思いますけれども、この点はどういうふうに基本的にお考えになっておられるかということ。 そうして、第二はどういうふうな見返りを考えていらっしゃるか。たとえば経済協力とか、漁獲物の一部を提供するとかいうふうな問題、あるいは見返り供与として寄港問題を持ち出された場合にはどうなるか。これはやはりこの領土の問題、領土権の問題等にも関係があることでございますから、やはりはっきりさせておいたほうがいいと思いますが、この点はどうなっているか、伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 率直に申しまして、これはこれからの交渉でございますが、ある程度の見返り的なことは場合によりまして考えざるを得ないかと、相互の話し合いでございますから……。ただ、寄港問題は私の理解しておりますところでは、ソ連側も日本側の意見、主張というものを大体了解しているのではないかと考えます。つまり寄港問題は見返りにしない。それから入漁料というような性格のものは、こちらとしては考えたくない問題でございます。双方の、何といいますか、漁業協力とか、資源保護だとかいうような点について、相互が協力し合うというようなことについて、若干のこちらが何といいますか、そういう意味の負担といいますか、協力をするということは、場合によっては話し合いに応じてもいいものがあるかもしれないと思います。
○戸叶委員 まだいろいろこまかい問題があるのですけれども、これ伺っていますと時間がなくなってしまいますので、あと一点だけお伺いしますが、現地に参りましたときに、ソ連側が公海上において軍事演習をして、それに対して通報されていない、それに対して無線でキャッチするのみであるというようなことを根室の海上保安庁で聞いたことがございましたが、こういうようなことがあるのかどうか。そしてまたこういうときに漁船に与える影響、つまり漁獲の量が減るというようなことの補償の問題、こういうふうな問題等につきましては、水産庁ではどんなふうにお考えになっているかをお伺いしておきたいと思います。
○大和田説明員 私ども、ラジオ等によって海上保安庁がソ連の軍事演習について傍受をいたすことが多いわけでございますが、海上保安庁と私のほうでそれぞれ漁協その他に直ちに通報いたしまして、万全の措置を講じております。現在、たしかことしの春でございますか、ソ連側が日本の漁場について相当大きな影響を与えるような大演習をする計画がございましたけれども、外務省を通じてそれに抗議し、取りやめを強く要請しました結果、ソ連がそれをやめた経緯もございまして、まだ、大きな軍事演習等によってソ連に直接補償を具体的に要求するという例は、最近はございません。
○戸叶委員 そういうふうな場合には日本の水産庁としては漁民の方を見てあげるというか、補償してあげるというお考えはありますか。
○大和田説明員 これは具体的な問題が起こったときのことでございますが、私ども、もしもこちら側の要請あるいは抗議によりましても演習が行なわれて、それによって日本の漁船が不測の損害を生ずるようなときは、当然ソ連に対して補償を要求すべきものと考えます。直接水産庁が漁民に対して補償するというところまでは現在考えておりません。
○戸叶委員 いろいろこまかい問題がありますけれども、あと何かの機会に質問することにして、この問題に関してはこの程度にいたします。
○田中委員長 樋上新一君。
○樋上委員 先ほどから同僚議員の質問を聞いておりますと、また佐藤総理の国連での演説、訪ソする希望を記者会見で述べたり、非常に政府は北方領土問題解決に積極的な姿勢であるように見受けられたのですが、積極的な姿勢の政府に対して、私は次の質問をいたしたいと思います。 先ほどからの質問にあったごとく、十一日ソ連大使より抗議が申し込まれた。その抗議の中に、北方領土に関する日本側の最近の取り扱いは、公的地位にある人々が人工的に返還運動を盛り上げていると指摘しています。これから申し上げることが人工的盛り上げ運動かどうか、この当否は別といたしまして、実は非常に不愉快な体験をしておる一人でございますが、ことしの春でございますか、東京駅で北方領土の早期返還という署名運動をしているある団体があったのですが、私は何げなくそういう署名をすると、直ちに五百円を出せと、こう言うのです。署名をあなたは言うたじゃないか、五百円をどうして出すのだ、それに対するカンパだと言うのです。そんなことは書いてないじゃないかと言うて見てみたら、みんな出してもらっています……。そういうぐあいに話しして、何げなく署名をすると全部その人たちは、御婦人の名前も男性の名前もあったのですが、全部五百円ずつを書いてあったのです。全く不愉快なので署名を取り消すと私は言ったのです。実際そういう運動は常識ある人々のひんしゅくを買うと私は思うのです。こういうことはむしろマイナスであると思うのです。私は北海道へ行きまして、現地にもそういう運動をして、はなはだ地元でも迷惑をしておる。こうした運動に対して外務大臣はどうお考えになりますか。
○愛知国務大臣 私その経験を残念ながらいたしておりませんので、そういう事情をただいま伺いましてびっくりいたすようなわけでございます。純粋な国民運動でなければなりませんし、無理やり募金を強制するというようなそういうやり方は好ましくないものと考えます。関係のところへさっそく連絡をいたしまして、さようなことのないようにいたしたいと思います。
○樋上委員 北方領土返還要求は、国民世論の盛り上げが自然発生的なものでなければならぬと思います。これは当然のことだと思うのです。政府や一部の団体によって人工的に盛り上げ、つくられた運動であってはならない、こう思うのです。また私たちはそういう運動ならば反対いたします。何よりも北方領土の問題は自然発生的な世論の結果が大切である。これを短兵急に盛り上げようとすると、人工的な盛り上げ運動になる、こういうわけなんですが、国民の素朴な声に対する——まず国民の中に共通の歴史認識、また史実の基礎知識、これがなければならないと思うのです。私もこの役割りは実に大事なものであると思う。私が北方領土の視察から帰って、そして自分の選挙区へ帰って、北方領土は固有な領土じゃないか、どんなものかと、みんなの人に聞いてみると、あまり詳しく知らない。実に驚くべき次第です。これで私は、一体この人たちは、じゃ中学、高校時代に北方領土の問題について学校ではどのような教育が与えられておったか、素朴な疑問も持つのでございます。文部省からどなたかおいでになっていると思いますが、日ソ共同宣言の締結された昭和三十一年ごろの中高等学校の教科書では、北方領土をどのように扱われておるかということをお伺いしたいのです。
○宮野説明員 昭和三十一年の日ソ共同宣言締結当時の教科書の記述は、北方領土に関していかがであるかという御質問でございますが、遺憾ながら、当時の教科書を見ますと、現在おっしゃっておられる北方領土は歯舞、色丹、国後、択捉の四島をさすものと理解いたしますけれども、それらの島々がわが国の領土であるというふうに明確な認識を持って書かれておるものは、実際問題としてあまりございませんでした。当時の教科書の実情は、遺憾ながら、そういう意味におきましてその点につきましては不明確であったというふうに理解しております。
○樋上委員 私は現在の教科書を全部見るひまがなかったんですが、南方同胞援護会が発行いたしました「南と北」こういう本がある。これの第四十九号に、渡辺明氏の書かれた「北方領土と教科書」という論文を見たのでございまするけれども、この論文を読んでみますると、いままで同僚議員が質問し、政府は前向きに積極的な御答弁がありましたが、その声もむなしく犬の遠ぼえのようなものだということを私は感ずるのでございます。なぜかと申しますと、大部分の教科書は北方領土のことを一言半句も筆をとっていないということなんですよ。いまの御答弁にありましたように——いろいろ申し上げたいのですが、時間の関係上個々の教科書の内容まで立ち入る時間がございませんのですが、外務大臣、これを一応置いておきますから、自動車の中などででも一ぺん読んでもらいますと、これは抜粋されたものですが、いかに北方領土の教育が根本的にできていないかということがわかります。ちょっと例をあげますと、中学校の義務教育における歴史、これは八社、八つの会社ですね、八社の八冊のうちで北方領土について全く記述のないものが五冊あるんですね。この五冊のうちに朝鮮の南北分割、ドイツの東西分割に触れたものがありますけれども、日本の北方領土については一音半句も触れておらない。また高等学校の地理はAとBがございます。それは十一社二十四冊のうちに北方領土に関する記述は一言半句も見出すことができない。この論文にはそうはっきり書いてある。日本の教育がこんなことで、北方領土返還を国民の声として言われても、国民は何を政府が言っているのかということがわからない。私はこの教育問題について、外務大臣に青少年の教育ということについて基本的な問題でお伺いしたいのですが、どうでしょう、こういう点は。
○愛知国務大臣 ただいま文部省側からも答弁がありましたように、従来の経緯を考えてみますと、まことに残念と申しますか、遺憾に存じているわけでございます。政府といたしましては、特に沖繩返還問題が御承知のような過程になっておりますのにもかんがみまして、北方領土問題については最近特に力を入れているつもりでございますので、それらとあわせましてひとつ関係方面にも大いに関心を高揚して、足らなかった点について補強をするようにそれぞれ考えてもらうようにいたしたいと存じます。
○樋上委員 私も現地へ行きまして、いろいろと外人記者にも会いました。その外人の記者たちが納沙布港に行って若い者に聞いてみれば、現地の青年はどう言っているかというと、北方領土返還というものは年寄りが言っている、若い者は無関心である——わが国の領土であるということに対する教育ができていないものですから、現在現地の青年でも無関心である。ですから、その外人記者に、あなた方はそうおっしゃっているけれども、若い者は何にも考えておりませんよ、こういうぐあいに言われまして、永田さんの報告にも書いてございましたように実に驚いたのですけれども、北方領土問題の教育の面にいろいろ今後は力を入れていかなければならないということをいま大臣もおっしゃったのですから、この点について文部省も十分留意していただきたいと思うのです。 それからさらにもう一つ、この「南と北」には「現行の指導要領に関する限り、文部省は領土問題を回避しようとしているのではないか、少なくともはなはだ冷淡であり、無関心ではないかとの感を抱かせる。」と書かれているのですが、これに対して文部省として何か反論なり反省なりございますか。
○宮野説明員 若干補足して御説明いたしたいと思います。 先ほどお答えいたしましたのは、昭和三十一年前後という御質問でございましたので、そのとおり申し上げたのですが、その後いろいろ各方面から御要望等もございまして、時期としては大体十年くらい前からでございますが、先ほど申し上げました歯舞、色丹、国後、択捉の四島につきましては、わが国固有の領土であるという考え方のもとに、教科書の検定におきましてもそのような考えのもとに検定に当たっております。そして現在の教科書の実情ですが、北方領土問題をどの学校種別のどの教科書で取り扱うかということは、いろいろ技術的な問題がございますが、全部載っておるものという意味でお答えいたしますと、現在の中学校の教科書では、必ず北方領土問題がいずれの教科書にも出てまいりますようになっております。 それから、指導要領では北方領土問題について回避しているのではないかという御質問でございますが、現在文部省のほうで教育課程の基準として定めております学習指導要領の改定作業が大体終わったところでございますが、今回の改定におきまして、従前の指導要領と比べまして、領土問題については一段と積極的に記述がございます。たとえば中学校の「歴史的分野」——いままでは歴史の部分で特に指導要領上は領土問題という文句が出ていなかったと思いますが、「歴史的分野」では、明治のところで、明治維新の初期のところで、領土の画定があったということを教えるように求めております。そういうことが新しく入っているというようなこと等もございます。それから政治経済関係の「公民的分野」というのが中学校で新しく設けられましたが、その分野では特に領土問題につきまして、もっと大きくではございますが、国家の主権、領海を含む領土、国際法の意義と役割りというようなことを学ぶようにするというふうになっておりまして、前よりも一段と明確にしたつもりでございます。
○樋上委員 いろいろ御答弁になりましたが、時間がございませんのでそれを詰めることはできませんが、ソ連の教科書にどのように書かれているか御存じですか。
○宮野説明員 承知いたしておりません。
○樋上委員 ソ連の教科書を、この北方領土を承知していないということは、私は不勉強であると思うのですがね。現地の者は、ソ連のあそこの島にはソ連の子供ができておる。日本は帰ってしまって、再び帰るときは自分たちの寿命がなくなっているときではないか。ところが、ソ連のほうはどんどん教育して、これは自分の領土だというぐあいに教えているのではないか。日本では領土を教えていない。次の時代にはもう何にもわからなくなってしまう。こういう点を、私は根本的に教育問題が重要ではないかということを申し上げておるのですが、これは要望しておきます。一ぺん調べてください。 それから最後にもう一問言うのですが、政府としては北方領土問題でどのくらいの予算を計上されているのですか。——答弁しておったら時間がありませんので、要望します。 私が調へましたところ、北方領土問題対策協会、これに四千四百四十六万出ている。北方領土復帰期成同盟、これに外務省から七百六十五万出ているのですね。私の言いたいのは、北海道よりの補助金が千六百三十一万円出ている。せめて北海道から出ている補助金、そのくらいは日本政府は出すおつもりはないか、そう私は申し上げたい。調べてみますと、地方公共団体の計上している予算と国の予算と比べると、国が北方領土に対して積極的に取り組んでいると私は思えないのですよ。外務省の出している北方領土復帰期成同盟の七百六十万。北海道より補助金として千六百三十一万円。来年度出す補助金を何とかして北海道の補助金並みに出してもらいたいということを申し上げておきます。 それからもう一つは、根室の望郷の家——根室の岸頭に立っても霧で見えない。そこで、たくさんの人が言うのですね。そこで、私は大体そのところに望郷の家というものをこしらえて、そこで、パノラマ式にパッと一般の人が見えるようにしたい。予算はどのくらい要るかといったら、大体五千万円くらい要るというのですね。その五千万円を政府が出そうというお気持ちになっていただきたい。北方領土のほうはもう一つも予算がない。また、北方資料館も年間二十万人くらいの人が見ておる。非常に利用度が多いのですが、もっと内容の充実と整備が必要となってきておるので、この点についても増築したい、四十万円くらいの予算を出せばできるというぐあいに、現地は非常に望んでおるのですよ。こういう点を積極的に予算を出してあげてもらいたい、こう思うのです。北方領土宣伝のために、向こうはいろいろとポスターやマッチをこしらえているのですが、それは全部市町村の負担になっている。こんなことではなかなか進まない。国が積極的にやるべきである。こういうぐあいに私は希望するのですが、外務大臣、最後に一言、私の申し上げましたことについて御答弁願いたいと思います。
○愛知国務大臣 いろいろ御意見を伺いまして、政府としての努力のまだ十分でないところもよくわかった次第でございまして、そういう点につきまして今後一そうの努力をいたしたいと思います。
○樋上委員 じゃ、終わります。
○田中委員長 曽祢君。
○曽祢委員 議事進行に協力する意味で、本日の質問は取りやめます。 ————◇—————
○田中委員長 引き続き国際情勢に関する諸問題について質疑を行ないます。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は中国問題について外務大臣にお伺いしたいと思いますが、ことしの中国の国連代表権問題というのは、例年にない大きな国際的注目を集めております。この代表権問題で二、三お伺いしたいと思いますが、それに先立ちまして、先ごろ十月の二十四日に日米間の合意がワシントンで行なわれて、佐藤、ニクソン両氏によって発表がなされました。その中の中国問題というところを見ますと、中国問題については日米両国が十分その政策を調整していく必要があることを認め、将来の発展につき緊密な連絡と協議を続ける旨を合意した、こういうふうに書いてあるわけでございます。これはどういう意味のことをいわれているのか、内容についてお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 今回の佐藤総理とニクソン大統領の会談というのは、ただ一回だけで、そう長い時間でもございませんでしたし、それから、会談につきましての共同声明とか共同コミュニケというものは全然出さない、その必要もないということになりましたので、そのようになっております。新聞に対する説明ぶりのガイドラインというものだけは双方の報道担当者で用意しておこうということで、その中では、中国問題については簡単に意見の交換があった、今後なお中国問題については連絡を緊密にしていきましょう、こういうガイドラインというものが担当者間にできておりました。もちろんこれはガイドラインですから、そのまま読み上げたものでもございませんから、政策の調整云々というようなことばもそこに使われておったわけでございますけれども、政策の調整というようなことが会談の中身の重点ではなかったと私は承知いたしております。
○戸叶委員 しかし、日米で合意をしたという発表が、政策の調整をするのだということが一応書いてあるわけですね。私どもは目でそういうものを見まして、見たものしか、それによってしか内容がわからないわけでございます。 もう少しお伺いしたいことは、ちょうどカナダの中国に対する態度、イタリアの中国に対する態度あるいはそのほかの国々の中国の国連代表権の問題等に対するいろいろな態度というものは、アメリカもおそらくぴんぴんと感じていたと思うのです。そういうふうなやさきにこういうふうな政策の調整というようなことを言われますと、やはり何かそこにあるのじゃないか、今回アメリカが国連総会で出してきた新しい中国に対する政策の転換というものがこの中にあらわれて、意味されているのじゃないかということを私どもは感じますが、その点はいかがでございましょうか。
○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねの中にはいろんな問題が含まれているように思います。答弁は簡単にということですので、簡単に申し上げたいと思いますけれども、国連総会において、中国代表権についてアメリカ代表が最近演説をいたしました。この内容等について総理、大統領会談でそういう趣旨のことが出ていることはございません。これは私がその御両所の会談にはつき合っておりませんから、私が見てきたわけではございませんけれども、それは出ておらなかったはずです。 それから、これはいろいろの読み方があるだろうと思いますけれども、これはまた答弁が長くなって恐縮ですけれども、米代表の演説は、私もテキストを読みましたけれども、たとえばアメリカのマイヤー大使は、昨日私のところへほかのことで来られたときに、念のためだと言っておりましたけれども、ジーグラー報道官が解説をしているのをお読みいただいたでしょうか、その解説で明らかなように、本件についての米国政府の態度は変わっておらないのです、念のために申し上げておきますということを、ちょっとコメントしておりました。こういう次第でございますことを御披露いたしておきます。
○戸叶委員 佐藤・ニクソン会談のときにこの間の米代表の国連演説というものが話に出なかった、私はそうだと思います。ただ、中国問題については今後政策の調整をはかっていくというふうなことばが出てまいりますと、やはり中国問題を討議するときにはお互いに政策を話し合って、そして相近寄っていこうじゃないかというふうなことにもとれるわけです。アメリカのこういうふうな行き方に対して日本も近寄ってもらいたい、そういう調整をはかってもらいたいというふうにもとれるわけでございますが、このことばは全然そういうふうにとらないで、何にも関係ないのだ、中国問題については日本は日本で独自の考えで行けばいいのだし、アメリカはアメリカで独自の立場で行けばいいのだというふうなお考えなのかどうか。もしそうだとすればこんなことを言う必要はなかったのじゃないかと思いますが、この点の懸念を晴らしていただきたい。
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、政策の調整ということが、両方の合意したプレス・ガイドラインに出ていることばではなくて、それはわがほうのプレス担当者のことばで、解説の中に出ていることばだと私は承知いたしておりますが、それはそれといたしまして、国際問題、外交問題等についてのいろいろの問題について日本がアメリカと相談し合い、あるいはアジア・太平洋諸国と相談をし合い、あるいは御承知のようにヨーロッパの日英、日仏、あるいは日ソ、あしたから始まります日イ、そういうような各国との多面的な接触において、いろいろの外交問題について忌憚なく意見を交換する、そしてできるだけ日本の立場というものも確保していくというのが、私は日本としての当然の立場ではないかと思うのでございまして、特に関係の深い国々との間で大きな問題について意見を開陳し合う、そしてできるだけ日本の望むような一つの線を展開していくということは、私は当然のことではないかと思うのでございます。
○戸叶委員 外交問題をアメリカとの間でいろいろ話し合って調整していくということは、私もわからないわけではないわけです。いままで大体アメリカの言うとおりに日本の政府も外交問題では態度を表明してきておりますから、そのくらいのことはされると思いますけれども、ただ中国の問題に対して、それではやはりこれまでと同じようにアメリカの考え方と同じような形を日本がとっていかなきゃならないのかどうか、こういうふうな点を非常に疑問に思いますので、この点をはっきりさしていただきたい。
○愛知国務大臣 一口に申しますと、日本としては、中国問題に限るまいと思いますけれども、日本の国益を伸ばしていくということ、それからもう一つは国際的、ことにアジアにおける緊張を防いでいく、緩和していく、この二つが私は日本外交の眼目だろうと思うのであります。そういう点から見て、常にあらゆる問題に対して、特に中国問題というような非常に大きな問題につきましては、日本の立場として、そういう角度に立ってどう考えていったらいいかというようなことについては、できるだけ多くの国々の同調を得ていくやり方が適切ではないか、私はかように考えます。
○戸叶委員 もう少し具体的に伺いましょう。アメリカで今度の国連総会では二つの中国論を出してきたと思うのです。強調していることは、国連の代表権を持つ中華民国の除名は理解しがたいということと、除名して中華人民共和国が入ることが反対である。二つに分けてきております。このことは明らかに二つの中国をさしていると思うのですが、しかし問題は国連の代表権のことであって、加盟国を除名したり追い出したりするという意味ではないと思うのです。つまりだれが中国を代表する者であるかというのが私は代表権の問題であろうと思います。ところがアメリカが出してきたのは、国民政府は追い出さない、中国は入ってもかまわない、こう言うのは、私は、代表権の問題に対するアメリカの認識の混乱ではないか。二つの中国論をはっきりここに出してきている。こういうふうな扱い方を、国連の代表権問題ですべきではない、こう考えますが、外務大臣はいかがお考えになりましょうか。
○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回のアメリカ代表の演説のテキストを読んでみまして、読む人によっていろいろのとり方があるだろうと思います。同時に、駐日米大使が、先ほど申しましたように、これは従来の態度と違っておりませんということを念のために私に申しておりましたことも、念のために申し上げるわけでございますが、日本の態度がどうであるかということは別といたしまして、どういうふうにこれを読むべきかということは、いろいろ分析をしてみる必要があると思いますけれども、いままでの状況は以上のとおりでございます。
○戸叶委員 従来の態度は変わっておりません、まあ、そのとおりに受けるにしても、今度の代表権問題のこのアメリカの演説というものは、国民政府は追い出してはいけないとか追放してはいけない、中国は入ってもかまわない、こういうふうな二つの立場をとっているんですから、やはり何といっても二つの中国論と見ざるを得ないのですが、この辺はどういうふうにお考えですか。
○愛知国務大臣 そこのところは、いま申しましたように、眼光紙背に徹しての見方はいろいろあると思いますけれども、要するに、国連に出ている議題が、いわゆる重要事項指定方式とアルバニア提案でございますから、重要事項指定方式に賛成でアルバニア提案に反対である、このことを説明しているんだと思います。私は、それが今回の眼目であるし、またそういう意味におきまして従来と変わっていないと、こういう説明をされたものである、こういうふうに理解いたしております。
○戸叶委員 大臣たいへん頭がいいから、じょうずにお逃げになっているのですけれども、やはりそれはちっとも変わっていないと思います。結論的にはそうなると思います。アルバニア提案には反対である。重要事項指定方式には賛成だ。しかし、そのアメリカの今回強調していることは、国府を追放しない、そうして、中共が入ってくるのもかまわない、こういうふうな、いわゆる二つの中国、一つの台湾一つの中国というような、そういった表現内容をとっているところに、私どもはたいへんにひっかかる問題があるのですけれども、この点は、たいへんにしつこいようですけれども、どういうふうにおとりになるかを、もう一度念のためにお伺いしたい。
○愛知国務大臣 これは、別の角度から御答弁するとこういうことがあるんですね。たとえば国連における佐藤総理の演説を、あるアメリカの新聞は、二つの中国というふうに表題で出しておりました。しかしあれは、あの演説並びに日本の総理としての見解は、二つの中国ということを全然考えているわけではございません。一つの中国であるべきだということがかねがねの信念でございますが、まあ、先ほど、やはり見方、読み方によってとり方も違うのではないだろうかということを申し上げたわけでございまして、アメリカの政策について、ここに盛られている演説の原稿をさらに、自分はこういう意味で書いたのであるということを御説明するだけの私は立場にございませんから、アメリカの演説について私はコメントできないと思います。ただ、私が直接受け取った話としては、態度が変わっておりませんということは、先ほど申し上げたように私は理解いたしました。
○戸叶委員 それでは、違う角度から伺いますが、佐藤総理が四選の前に記者会見で、中国は一つだ、中国大陸を敵視するつもりはない、中国問題は中国人自身の問題だからとやかく言えない、こういうふうなことをはっきり言っておられるので、中国は一つであるということは、たびたび日本の政府も言っているとおりですけれども、こういうふうな立場から見ますと、国連でのアメリカのフィリップスの演説とは少し内容が違うのじゃないかというふうに思いますけれども、日本のこういう態度というものは、依然として変わらない。一つの中国として見ているのだというふうな態度は変わらない。フィリップスの演説も、そういう内容に日本政府は解釈するというふうに断言できますか。この点が私どものはっきり伺っておきたいところなんです。
○愛知国務大臣 私、いま申しましたように、アメリカの演説をどう評価するか、分析するかということは別といたしまして、わが国といたしましては、ただいま仰せのとおりでございます。従来の考え方、態度と変更はございません。
○戸叶委員 アメリカのほうがどうあるかわからないということでございますので、私どもが文書等によって見る限りにおいては、いまの日本の政府の態度とは違っているように思うわけであり、そのために政策の調整というようなことになってまいりますと、たいへんに問題が出てくるのじゃないかというふうに考えますので、この点を、しつこいようですけれども、私は伺っているわけです。したがいまして、私がいま大臣から伺ったところでは、日本の政府は、あくまでも中国は一つである、こういう観点に立っているのだということが一つ。それからもう一つは、アメリカのほうはどういうふうに考えているかははっきりしない。はっきりしないというか何というか、その人のとり方によって違うのだというふうな大臣の御答弁でございますから、その問題はあとの機会にまた伺いたいと思います。 そこで、いま私どもが伺っておきたいことは、政治的、道義的にはいろいろ問題はあろうと思いますけれども、法律的な観点から考えた場合に、もしも一つの中国ということで、かりに北京政府を認めたとするならば、当然法律的には台湾政府というものが消滅するというふうに解釈していいかどうか。これは政治的にいろいろ問題ありますよ。道義的にもありますけれども、法律的にはそうなるのではないかと思いますが、この点の解釈を伺いたい。
○愛知国務大臣 法律的ということですから、それでは条約局長から御答弁いたします。
○井川説明員 純法律的に申し上げますと、一つの国に一つの正統政府がございまして、その政府にとってかわりまして別の正統政府をその国を代表する政府として承認いたしましたならば、前の政府は、その国全体を代表する政府ではなくなります。
○戸叶委員 わかりました。ちょっとその点伺っておきたかったのです。 そうすると、もう一つ法律的なことですけれども、日華平和条約がある以上、日本政府は北京政府を承認できないというお考えでしょうか。そういうことはあり得ないわけですね、いまの立論から行けば。日華平和条約があるから、日本は北京政府は承認できないのだということは、いまの立場からいえば言えないわけですね。これももちろん法律的な問題ですけれども、この点も念のために伺っておきたい。
○井川説明員 日華平和条約の存在にかかわらず、と申しますのは、ほかの第三国の例を考えてみましても、その国とある条約関係あるいは平和条約を結んだことがあるかもしれませんが、そういう国の政府の変更を認めまして、前の政府ではなくて、この新しい政府をその国全体を代表する政府と認めるということは、これはいわゆる政府承認の理論で、国際法上の理論でございまするから、そういうことは当然あることでございます。
○戸叶委員 わかりました。この点をちょっと伺っておきたかったのです。 それからもう一つ外務大臣に伺いたい、というよりは、私の意見を申し上げたいのですが、中国の国連加盟ということは、将来においてはやはり日本の政府も望ましいことだと思います。これを別に排撃はしないと思うのです。だとするならば、そしてまたお隣に中国があるのでやはりこの大きな中国を無視できない、この国との平和関係を結んでいくことが何といってもアジアの平和の確立に役立つのだ、こういうふうな観点に立っていくならば、中国との間に提携をしていくということ、あるいは中国の国連の代表権を認めるというようなことを基本線にしたならば、その中国の国連代表ということを表に出して、そういうことのために出てくるいろいろな問題点を解決していくという基本姿勢に変えていくべきではないか。たとえばいま台湾の問題があるから中国の国連代表権の問題はむずかしいとか、平和条約があるためにあるいは経済提携があるために中国との問題はむずかしいとか、こういうふうに言う前に、中国の国連代表権を認めるというそういう基本姿勢があるならば、中国の国連代表権を認めます、それではそのあとに出てくるいろいろな問題をどういうふうに解決するかという、そうした積極的な方向に姿勢を変えていくべきではないか。いままでのはやはり何といっても消極姿勢のほうではないかと思うのですけれども、前向きの形で解決していくべきではないかと思いますが、この点については外務大臣はどうお考えになりましょうか。
○愛知国務大臣 まず一番最初に申し上げたいと思いますのは、いろいろ御意見や御批判はあることと思いますけれども、現在政府といたしましては、国連における中国代表権の問題については、やはり国連憲章第十八条に基づいて重要事項として取り扱うべきものである。それから、日本は従来から国民政府との間に国交関係を正常に持っております。また現に中国代表権を国連において認められておる。これを追い出すというようなアルバニア決議案には反対せざるを得ない。こういう立場を現に政府はとっておる。これが現在の政府の立場であることはあらためて申し上げるまでもないことであると存じます。 それから次に、これはいま戸叶さんのおっしゃるような問題へのアプローチの道も一つの道ではございましょうけれども、国連における中国代表権の問題をまずきめて、それからそれに関連する問題の取り上げ方というアプローチを御提案になったわけですけれども、おことばを返すようでなんですけれども、日本としては、申すまでもなく中国はお隣に位して、そしてカナダあるいはイタリアというようなところとは違って、国益上からいっても非常に重要な要素になっているということから考えまして、まず中国に対してどうしていくかということを主体的に自主的に考えるべき問題だ、代表権の問題というようなものは、日本の立場から見ますればむしろあとの問題だというふうに考えられなくもないのじゃなかろうか。その辺のところにつきましては、しばしば申し上げておりますように、現状が最善だということは考えておりません。しかし当面のところ、国連総会における議題として審議も行なわれておる最中でございますから、現在の日本政府の立場はいま申し上げましたとおりであるということにとどめておきたいと思います。
○戸叶委員 アルバニアの決議案というものが単純多数決で通るかもしれない。そして通ってまいりますと重要事項指定方式というようなものも影がだんだんに薄くなってくる。そうなると、やはり日本としても、中国の問題は前向きに積極的に考えますという態度から見ますと、何かそういうような取り組み方が必要ではないか。たとえば政府がいつもおっしゃるのは、台湾との問題があるから、日華平和条約があるから困るのだということでいつも逃げていらっしゃるので、私は態度を変えてみたらどうか、もっと前向きになったらどうかということを申し上げたわけでございます。ですから大臣にその点を質問したのですが、いま大臣はこれまでと同じような考え方でいらっしゃるようでございますが、来年あたりになりますと、重要事項指定方式というような決議案に対しても違った変化が出てくるのじゃないかと思いますが、こういうふうなお考えは大臣お持ちでしょうか。この点をもう一点最後にお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 現在のところとしては、先ほど申し上げたような政府の態度でございますが、同時に先ほどもちょっと申しましたように、未来永劫にこういうやり方でいいかどうかということについては十分真剣に考えるべき問題である、そういう性格の問題であるというふうに私は考えております。
○戸叶委員 中国問題はこれで終わりますけれども、あと五分しかないですからちょっと一問お伺いしたいのは、沖繩の問題でガルフという石油会社に対して、アメリカの民政府が何か権利を与えているようでございますけれども、しかもそれが六十年間にわたっての権利を与えているようですが、その法的根拠は一体どういうものか。そして琉球政府の立法に優先するもので絶対的のものであるかどうか、こういうことを時間がないので続けてお伺いしたい。そして、さらにこういうふうなことになりますと、日本から見るとちょうど中国にあった租界の再現ではないかというようなことさえも私どもは考えるわけでございますが、この点を政府はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかをお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 この問題については、率直に申しまして、ちょっと事実と報道されておりましたことが食い違いがあるようでございます。ガルフ会社に対して六十年間の管理権が与えられた旨の報道についてでありますが、問題にされております指令にはこのような規定は全然ございません。そしてこうした管理権というものは沖繩の本土復帰とともに当然失効、効力を失うものであるということが明確になっているようでございます。
○戸叶委員 それならばいいのですけれども、日米共同声明の九項で、沖繩における米企業の利益に関する問題に留意するということが書いてありますので、やはりアメリカの企業というものを、こういう形で日本の領土になってからもなおかつ許しておくという権限がアメリカにあるかどうかということを、私ども疑問に思ったわけです。そこで日本に復帰すると同時にそういう権限は施政権者のアメリカといえども与えることができないのだとはっきりさせておいていただきたいし、またそういうことは交渉の過程においてもはっきりさせておいていただきたい。これを私は要望いたします。
○田中委員長 青木正久君。
○青木委員 私も中共問題についてお伺いしたいと思います。一般の感じで、ただいま戸叶委員からお話がございましたけれども、中共問題が動いているという感じがきわめてするわけであります。国連においては目下中共問題で審議が進んでおります。また国内でも与野党の中にいろいろな動きがあるわけであります。私は、その中共に対しまして強い態度をとるあるいは弱い態度をとる、俗にいいますタカ派でもハト派でもないわけで、その辺を歩いているごく普通の日本人と同じでございます。したがいまして、言うなればスズメ派みたいなものであります。何となく動いておるようなこの中共問題このもやもやにつきまして若干具体的にお伺いをしたい、こう考える次第です。 最近、カナダに続きましてイタリアが中共を承認したわけでございますけれども、この承認の方式を見ますと一台湾につきまして台湾の領有権を主張する中共の立場、これを留意するということが出ているわけでございます。台湾の中国領としての不可分性を認めたいわゆるカナダ方式というのが、イタリアについてもカナダについても採用されたわけでございます。このカナダ方式というものがやや定着してきたかのような印象を受けるわけでありますけれども、この点どうお考えになりますか。
○愛知国務大臣 私は必ずしも定着してきているとは思わないのでございまして、これは将来どういうふうな変動が予想されるかとか、あるいは日本が自主的に中国問題にどういうふうな対処をするかということとは別に、客観的に考えまして、必ずしもそうは考えられないわけでございます。というのは、いまさら御承知のことを繰り返すようで恐縮ですけれども、カナダあるいはイタリアというところは、政治的にも経済的にも北京とは台湾に比べて密接な関係にございましたし、かねがね中共に対しては外交的にも正常関係を持つべきだということで、いろいろ北京側と苦心した折衝をしておるようでございましたが、これが今回決着がついたようであります。そして同時に、たとえばこれまたよくいわれることですが、ベルギーがどういう態度をとるであろうかというようなことについては、今度は逆に台湾というところに対しての関心も相当深いようでございます。したがいまして、一つの方式が固定するというようなふうには必ずしも考えられないのではないか、こういうふうに存じております。しかしこういったような動きがともかくあらわれておるということは十分注視しておく必要があると思います。
○青木委員 大臣のお話のとおりでございますけれども、カナダという国はアメリカの隣でありまして、北米大陸の仲のいい二つの国でございます。このカナダがいわゆるカナダ方式を採用したということについて、事前にカナダとアメリカとの間で話し合いがあったかどうか、大臣はどう御推測されるか、お伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 これは第三国と第三国との関係でございますから、私からはっきりお答えすべきことでもございませんしいたしますが、一般的にいろいろの意見交換はやっておることと思いますけれども、こういう具体的な問題について、どういうことであったかということについては、お答えを申し上げる立場にございません。
○青木委員 先ほど大臣からもお話が出ましたけれども、イタリアに続きましてベルギーあるいはオーストリアなどの国が中共承認に踏み切るといわれておりますが、このお見通しはいかがでございますか。
○愛知国務大臣 多少の動きはあるだろうと考えていくのが常識的ではないかと私は思います。ただ、現在まで国府を承認しておるのが六十六で中共承認が五十五だったと思いますけれども、この状況は、重要事項指定方式がどういう表決になるであろうか、アルバニア提案がどういう表決になるであろうかということについて、いまいろいろの予測が行なわれておりますが、いま申しましたこの二つの政府といいますか、これを承認している六十六対五十五というものにはさしたる変動がすぐに起こってくるようには必ずしも見ておりません。
○青木委員 次から次へと中共承認の国がふえているわけでありますけれども、その方式をめぐりましても、当初に承認いたしましたイギリス、これはイギリス方式と申しますか、次いで承認したフランス方式、カナダ方式、こういう中共を承認するいろいろな方式をよく調べてみますと、何か中共の言い分がだんだん通ってきたような、こういう傾向にあると思います。この事実は中共の国際的立場というものが強化されて、逆に台湾の国際的立場が低下している、こういうふうに客観的には見られませんでしょうか。
○愛知国務大臣 一つにはいわゆる文化大革命というものが終息するに伴って、中共としてのいろいろの態度の変化というものもあるいはそういうところに反映しているのかもしれませんですが、今後の状況の変動については十分注視してまいる必要があると思います。
○青木委員 いずれにいたしましてもだいぶ中共問題が動いているわけでありまして、中共承認の国がふえているというこういう事実ですね。この事実の進みぐあい、つまりテンポですね。これは政府がかねて予想していたテンポと同じであるか、それとも政府の想像されていたテンポより早いか、この点はいかがでございましょう。
○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたようにカナダ、イタリアの承認というととは、この辺のところで踏み切ることになるであろうということは政府としても予測をいたしておったところでございます。これからの動向については、先ほど申し上げましたようにさらにある程度の国の承認ということはあるかもしれませんが、そういう状況については、先ほど来申しておりますように十分客観的な事実あるいは要素として注視をしてまいりたいと思います。
○青木委員 アメリカの態度が変わったのではないかという点につきましては戸叶委員から詳しく御質問があったわけでありますけれども、いずれにいたしましても、新聞報道によりましても二つの中国の方向に向いてきているということが伝えられておりますし、かつまた初めて中華人民共和国という正式の名前を何回も出してアメリカの代表が演説しているというようなことを見ますと、やはりアメリカの中国問題に対する態度といいますか、態度は同じでもその底流といいますか、その背景といいますか、何かそのニュアンスの違いがあると思うのですけれども、態度は全く同じだとお考えですか、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 戸叶さんにお答えいたしましたように、現在国連における中国代表権問題の取り扱い方については、米国は今回の総会につきましても従来と変わらない、さように私は見ておるわけでございます。しかしそれ以外のことにつきましては、これは先ほど申しましたように、ただ単にフィリップス代表の演説の分析だけではまだ何ともコメントすることはできないのではないか。将来の状態に対していろいろと考えていることもあるであろう、これはお互いさまのことではなかろうか、こういうふうに考えております。
○青木委員 中共の国連加盟でございますけれども、もしこれが認められた場合です。かつて中共はアメリカとソ連の支配する国連には入らないという態度を表明したことがあったように記憶いたしますけれども、現在におきましてもし中共の国連加盟が認められた場合、中共はこれに加盟するとお考えですか。
○愛知国務大臣 中共の考え方、動向ということは、率直にいって従来の常識だけではなかなか判断がつかない点もあると思います。したがってどういう動きが出てくるか、何とも私申し上げられないと思います。従来のところはいまお話しのような態度をときどき示しておりましたが、今後どういうふうになりますか、これは何とも私としては予断ができないと考えております。
○青木委員 そこで日本の中国問題に対する態度になるわけですけれども、一部には世界の大勢に立ちおくれをとらないようにすべきだ、積極的に日中国交改善をはかるべきだという意見もございます。また他方、日本の場合はイタリアとかカナダというような国とは違う立場にあることも明白な事実でございます。そこで日本の中国問題政策というものはやはり自主的にこれは解決せざるを得ない、また自主的に解決すべきだと思うわけでありますけれども、日本の中国政策、これを自主的に打ち立てるというその場合、ポイントとなる条件といいますか、たとえば国際情勢、特に極東情勢がどう変わるかというようなこととか、あるいは日本の国内情勢、これがどう変わるかというようなこととか、あるいは中共、台湾の国内情勢がどう変わるかとか、いろいろなことがあると思うのですけれども、どういうことが、日本の自主的な中国政策を変える場合にそのポイントとなるか、お示しを願いたいと思います。 〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕
○愛知国務大臣 まず日本としては日本の国益ということ、それから国際緊張、特にアジアの緊張緩和といいますか、この二つの基本的な点に立脚して考えていかなければならないと思います。それから従来から政府としてもしばしば明らかにしておりますように、中国は一つであると考えておるわけでございます。二つの中国とか一つの中国一つの台湾という考え方を示したことはございません。現在までのところこの考え方に変わりはございません。そして一つの中国をつくり上げるのは何としてもこれは中国あるいは国民政府自体の問題である。願わくはこの両方が平和的な話し合いでもってこの問題を解決してほしい。いやしくも武力行使というようなことでお互いに解放というようなことを考えてもらいたくない。いやしくも武力解放というようなことが考えられるとするならば、町これは日本といたしましてもセキュリティーの問題からいたしましても、これはたいへん好ましくないことである、こういうふうに考えております。
○青木委員 外交の基調といたしましてアジアの緊張を緩和する、緊張を高めないということと、国益を伸ばしていくということをお示しになりましたけれども、国益という点だけ考えますと、この中国問題は中共を認める方向に行ったほうが将来の国益になるのではなかろうか、そういう意見がございました。 〔山田(久)委員長代理退席、委員長着席〕 現在台湾に対する国際信義の点を中心にして一つの中国を主張しているわけでございますけれども、その国益の点で中共ということは考えられないでしょうか。
○愛知国務大臣 国益と一口に申しますが、これはいろいろの要素があると私は思います。その中には政治的、信義的あるいは条約的、いろいろな要素もございましょうし、国内の世論ということもございましょうし、あるいは経済問題ということもございましょう。いろいろの要素がある。かつ緊張緩和ということと関連いたしましてわが国の主体的な安全ということも十分考えていかなければならない。結局するところ、私は先ほど原則論的に申し上げましたけれども、願わくは一つの中国問題というのはその民族の手によって話し合いで解決してもらいたい、こういうことにならざるを得ないのではなかろうかと考えておるところでございます。
○青木委員 最後に一問、中国問題ではございませんけれども、沖繩の問題で、復帰の交渉がどんどん進んでいると思いますけれども、このやさきにあたりまして、きのう終わりました沖繩の選挙でございますが、この選挙結果も日本交渉にまあ直接は関係ございませんけれども、いろいろ有形無形の影響があると思います。沖繩選挙結果につきまして御感想を承りたいと思います。
○愛知国務大臣 私はまず第一に、昨年十一月の返還交渉の話がまとまって、そして本土並み、核抜き、七二年返還という基本原則がきまり、そしていろいろのことがだんだんに解決されてまいりまして、いよいよ国政参加がここに実現をして、沖繩県百万の県民の代表の方がこの衆参両院に登場されるということは非常に喜ばしいことであり、また当選されたいずれもの方が、返還、復帰ということについては非常な願望と期待を持っておられることは明らかであると思いますので、今後返還交渉の具体的な問題について沖繩県民の方々の御要望をこの国会を通じましても十分に伺い、また政府の考え方も十分お聞き取りを願いまして、円滑な交渉が進み、かつ実りますように、この上とも努力を新たにいたしたい、かような感想を持っております。
○青木委員 時間が参りましたので終わりにいたします。
○田中委員長 永田亮一君。
○永田委員 私は先ほど来、アメリカの態度について戸叶理事それから青木理事の質疑応答を承っておりまして、わかったような気がするし、わからないような気がする。それはきのうですか、駐日大使がいまおっしゃいました大臣をたずねられて、アメリカの態度は変わっていないのだというお話をされた。ところがフィリップス演説をよく聞いておりますと、去年のアメリカ代表の演説とはだいぶ違うわけです。去年までは簡単に言うとこういうことなんです。一つは、つまり国連憲章の原則を破って頑強にそういうことをやる国は追放すべきだけれども——これは憲章第六条です——だけれども国連優等生である国府を追放することは不当である。もう一つは、それに引きかえて共産中国は国際社会の乱暴者だから、これは国連に加入の資格がない、こういう柱があったのですよ。ことしのフィリップス代表の演説を、日本の新聞に出たのを繰り返して読んでみても、二番目の、中共は乱暴者だから入れるべきでないというようなことは何も言ってないわけです。違うでしょう、これは。それで私がお伺いしたいのは、いま世界じゅうの人が、と言うと大げさかもしれぬけれども、日本の人は、ともかく鶴岡大使がどういう演説をするかということを、もう注目して聞き耳を立てているところなんです。いま大臣は、日本の態度は変わらないのだ、こういうお話だった。そうしますと去年日本の国連の演説は、いまの二つと似たような骨子ですね。一つは国民政府は国連憲章に忠実な国としてその追放に反対する、もう一つは中国に国連憲章遂行の意思があるかどうか疑わしい、そういう意味の演説をされたわけです。それで今度鶴岡代表がどういう演説をされるか知らぬけれども、もし去年と変わらないのだ、日本はちっとも変わらないのだということになると、一つは国民政府というものは国連憲章に忠実な国だから追放に反対だ、もう一つは中国というものに国連憲章遂行の意思があるかどうか疑わしいからこの点は反対だ、こういう演説をされるのですか。
○愛知国務大臣 鶴岡大使の演説はまだしばらくあとになると思いますけれども、ただいまいろいろ御論議いただいておりますようなことも十分参考にいたしまして演説をいたさせることを考えております。要するに変わらない変わるということは、重要事項指定方式に対してコースポンサーとしてやりました。これについてもいろいろ御批判や御反対もあることも承知しておりますけれども、事実としてそういう立場をとりましたし、アルバニア提案には反対せざるを得ない、先ほど申し上げたとおりでございますから、その意図が明白になればよろしいと考えております。
○永田委員 もうちょっと具体的に言いますと、フィリップス代表と同じような演説をされるのか。そうではなくて去年と同じような演説をされるのだったら、世界の目はアメリカは進んできた、しかし日本は依然として保守的な立場を持っている、こういう解釈をすると思うのです。アメリカと同じような調子の演説をさせますか。
○愛知国務大臣 これは先ほど来申しておりますように、日本は日本の立場がございます。本委員会におきましても、本日も幸いにしていろいろの御論議が出ておりますが、これらも十分参酌いたしまして、ことしはことしにふさわしいような演説をさせたいと考えております。
○永田委員 私はフィリップス代表の演説をずっと読んでみまして、つまるところは、私の解釈はこういうふうに感じたわけです。つまり国民政府の追放さえ主張しないのだったら北京政府の国連加盟にもあえて反対しない、そういうふうに私は読んだのです。大臣はどうお感じになりますか。
○愛知国務大臣 そこがやはり比較的簡潔なステートメントですから、読む人によっていろいろの読み方もあろうかと私は思うのです。問題は、要するに重要事項指定方式とアルバニア決議案に対する賛成討論、反対討論というものが、結論として去年と変わっていないということは同じことではないだろうかと思います。そういうふうに私は読み取っておるわけでございますが、日本代表の立場におきましては、日本として現在最もふさわしいようなステートメントにさせたいと思っております。
○永田委員 きょう、ひるのニュースを聞いていたら、たしかサウジアラビアとチュニジアが二つの中国論をやったということを言っておりました。私はアメリカの腹の中はよくわからぬけれども、こうじゃないかと思うのです。中国加盟を実現して、しかも国府の議席も残す、そういう方式がもし実現可能であればこれに越したことはない。できないかもしれぬけれども、できればそれに越したことはない。そういう腹があるのじゃないかということと、それからできないことをそう言うことは、つまり中国はそれじゃ承知できないといって入ってこないから、結果においては国府を守る。うがち過ぎかもしれぬけれども、結果においては国府の議席を維持していくということがねらいである、こういうふうにも受け取れるのですが、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 これがどうも私もなかなかお答えしにくいところなんですけれども、いま御自身でもうがち過ぎた見方ではないかという注釈をおつけになりましたけれども、非常にうがち過ぎればそういう見方もできるかもしれない。しかしそこまではうがち過ぎではないか。すなおにとれないでもない。これは結局先ほど申しましたように、眼光紙背に徹してどういうふうに読むべきか、なかなかそこは的確には——ほんとうに考え方がはっきりしておればもう少しすっきりとした表現にもなるかもしれません。いろいろの見方があり得ると思います。私はそのいずれとも私の意見としてお答えしているわけではございませんが、いろいろの見方はあり得るでございましょうということを申し上げただけでございます。
○永田委員 もういいです。
○田中委員長 堂森芳夫君。
○堂森委員 外務大臣に、以前の外務委員会等でもただたび日米間の繊維自主規制の問題について質問をいたしてまいりました。きょうは通産大臣の出席も要求しておきましたが、どうしても都合で出られないという連絡であります。まことに遺憾だと思うのであります。国会軽視もはなはだしい、こう思うのでありますが、主として外務大臣にこの問題について、二十分しかございませんので、二、三の点についてお尋ねしておきたいと思います。 まず十月の二十四日にニクソン・佐藤会談が行なわれて繊維輸出自主規制の問題については早期に妥結をはかるという意味で合意に達した、こう新聞にも報道されております。それからあなたはお留守であったようでありますが、十四日の朝早く総理公邸で政府首脳会議が開かれて、繊維の自主規制問題についての最終的な政府の態度をきめる、こういう重要会議が開かれたと新聞は報道しております。そして直ちにその席で通産大臣のまとめた通産省の事務当局案というものを政府の最終的な案として——内容は簡単にいいますと十七品目六ワクであります。従来業者との間の話し合いとはかなり違ったものになってきました。こういう案を最終的な案としてワシントンの牛場大使に訓令を発した、こういうふうに新聞は報道しておるのであります。大臣は十四日の夜でございますか、ドゴールさんのお葬式に参列されてお帰りのようでありますから、もちろんその会議にはお出ましでなかったでありましょう。しかし訓令を発するのは外務大臣の責任で発せられるのでありますから、外務大臣はお帰りになってその間の事情はよくお聞きのはずである、こう思うのであります。私は今回の政府の態度について非常な不信感を持たざるを得ないのであります。何でも佐藤さんがアメリカからお帰りになって、十月三十日に総理官邸で谷口会長以下業界の首脳を集めてお話しになった——これは新聞で私は見たのでありますが、その話によると、あくまでもこの問題の決着は日米の互譲の態度できめるということ、これが第一の重要な点である。第二点はあくまでも緊縮均衡をはかるようなことはしない、日本の輸出がどんどんと縮まっていって均衡をはかっていくようなことはしない。それから三番目は前の綿製品の協定、LTAのような長期的なものにはしない。それから第四番目は、非常に業界がおこっている点でありますが、今度のような見切り発車をするような、業界と話し合いがつかないようなことでは絶対妥結をはかることはしない。こういうふうに佐藤さんが約束された。これは谷口会長等が記者会見で発表したことであります。ところがきのう業界が大会をやって、谷口会長等が言っておることばを聞きますと、あんなにうまく総理は言われたのに、政治家のことばはわれわれにはわからぬことがあるのかもわからぬが、どうも納得できないような態度で政府は臨んでおられる。これならばやむを得ぬ、われわれはあくまでも反対するのだ。もし政府の強権をもってやるならば輸出業務等も拒否してやる。またあるいは行政訴訟に訴えてでもわれわれは反対するんだ。いわばやけくそのような態度をもって臨むのだというふうな——これは新聞記事であります、私が聞いたのではありません。新聞記事ではそういうことが報道されておる。これはたいへんなことになるのであります。そういうような態度でおるのでありますが、外務大臣に一々列挙してみても、それはあなただけの責任ではありません。そこでお尋ねするのでありますが、十四日に訓令を発せられまして、牛場大使が十五日でございますか、ホワイトハウスでフラニガン大統領補佐官と会談をして、そして昨日の夜政府に報告をして請訓を仰いでくる、こういうふうに新聞に報道されました。きょうの新聞を見ますとその内容はいろいろ書かれております。新聞を読んで私もよくわかっているのでありますが、そう長い答弁は要りませんが、大まかなところどういう重要な報告があったのでございましょうか。外務大臣は、いま交渉途中だからそういう発表はかんにんしてくれ、許してくれ、こういう御意向もあるかもしれませんが、新聞にはもう書いておるのでありまして、どうかひとつできるだけ、大まかな大柱だけでけっこうですから御報告を願いたい、こう思います。
○愛知国務大臣 十月の二十四日でございましたか、総理大臣とニクソン大統領の会談がございまして、そこで長い間の懸案だから双方の話し合いを十分詰めて合意に達するように交渉を再開しようじゃないかという話がどちらからとなく出て、そうやりましょうということでとにかく交渉を再開するということに合意ができたわけでございます。それに基づきまして、政府といたしましても、非常にむずかしい問題で、長い間堂森委員の非常なる御心配や御協力をいただいております問題だけに、政府といたしましても非常に苦労に苦労を重ねまして、ただいま御指摘のように、ちょうど私は残念ながら不在中でございましたが、十三日に、アメリカ側も最終案といっておるようでございますが、アメリカ側の考え方に対してわがほうとしてはこういう考え方で行きたいんだということを訓令いたしました。それに対しまして、昨晩おそく牛場大使がその指示を実行に移しました結果をとりあえず報告をいたしてまいりましたが、これは一部に報道されておりますとおりでございまして、御承知のように——簡潔にということでございますし、よく御承知でございますから、ごく簡単に申し上げますが、大きく分けても五つ大きな問題があるわけでございます。それに対してご先方の期待しておるところとはだいぶ食い違いございますから、いわゆるクラシフィケーションと申しますか、その案の中身等について、向こうが求める質問に対し十分に一生懸命答え、かつ説明に大いに尽力をいたしました。日本の業界との接触その他をも含めまして、こちら側の困難な状況、考え方等も十分話し、詰めました。その結果、先方の担当のフラニガン特別補佐官は一日、間を置いて、そして当方の時間で申しますと、明日の午前六時半ということになっておりますが、もう一ぺん会いましょう——こちらの想像では、そのときにこちらの対案に対するさらに向こうの対案をそのときに示すのではなかろうかと期待をいたしておりますけれども、さらにもう一ぺんこういう点はどうか、こういう点はどうかというような打診が続けられるかもしれません。これは明日の午前六時半以降を待ちませんと何ともわかりませんが、こうやって本舞台にいよいよ具体的な論点が上程されておるわけでございますから、これは何と申しましょうか、私の担当の範囲外でございますけれども、そういう点をまた政府としても十分検討いたしまして、関係の業界の方々に対しましても、いろいろ御相談をしたり御納得をいただくような努力がさらに展開される、こういうことに相なろうかと考えております。ごく大筋の経過は以上のとおりでございます。
○堂森委員 もうちょっと詳しくお尋ねしますが、私は単に新聞報道による以外は知る方法がないのですが、新聞報道を見てみますると、あくまでも個別の、品目別のしぼりといいますか規制といいますか、そういうものを頑強にやはり繰り返して主張をした。日本の立場の主張の根拠である総ワクでいく、こういうような態度に、フラニガン補佐官のほうから強く抗議的な意見の開陳があった。したがって十七品目六ワクなんということは問題にならぬ。もっと強くもっと個別的なワクづけといいますか、そういうものをつくるべきであるという繰り返した主張があったとか、あるいは年間伸び率二〇%と日本は言っているが、一〇%どころかもっとずっと一〇%以下にしなければこれは問題にならぬとか、あるいは規制期間を向こうは二年九カ月と言っておるし、こちらは二年五カ月という主張でございますか、あるいは基準にする年次をどうするとか、すべての点で全然意見の——これならよかろうというようなそういう話は全然なかった。全部がこんなものでは問題にならぬ、こういうふうな意見であったというふうに新聞では読めるのです。そして牛場大使はまだ二、三回の話は必要であろう。そしてあなたがおっしゃるように日本案に対する何か修正案を出すか、あるいは具体的な日本案を批判した何か回答があるか、それはどちらかわからぬようなことも書いてある——これは新聞報道でありますが、あって、外務大臣としての愛知さんがおっしゃるように、何か修正案がかなり早く、十八日出るような状態ではないように思うのですが、外務大臣もう一ぺん御答弁を願いたい、こう思います。
○愛知国務大臣 その点は私も大体同様に観測しておりますので、明日のこちら時間の早朝に、向こうのかなり具体的な対案というものが提示されるかどうか、さらにこちらの提示しました案について、この点はどう考えるか、この点はもう少しどうかならぬかというような意見を求めてくるのか、その辺のところはどうもよくわかりません。これは交渉に当たりました牛場大使自身がそこの目安がついておりませんのですから。それがもうほんとうの実情でございます。
○堂森委員 愛知外務大臣も御承知のことでありますが、前に国会で決議をされました決議案は、業界の同意なしには自主規制はしない、こういう内容が入っていると思うのであります。今度は業界は了解しないのでございましょう。これは一体国会軽視にならぬでしょうか。国務大臣ですからひつと御答弁願っておきたい、こう思います。
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、政府は政府なりにこの間に立ちましてずいぶん苦心をいたしまして、いろいろの考え方をまとめつつあるわけでございます。これから日米間の折衝が進みますに従いまして、これは先ほど申しましたように、大きくいって五つの内容があるわけでございますし、相互相関連しておりますが、こういう点についてはかねがねの日本側の主張にほぼ歩み寄ったとか、あるいはこの点については相当こちらの考え方をのんだとかいうようなところが出てまいりますれば、それとワンパッケージにしまして、政府の苦衷もよく御説明をして、さらに努力を傾注いたしまして業界と接触しお話をするということが、私もどうしても必要だと思います。同時に、アメリカ側から求められていることは自主規制なんでございますから、どうしてもそういった納得を前提にせざるを得ないわけでございます。その辺のところにつきましては、きわめてむずかしい環境の中にあるわけでございますけれども、最後的、最終的な懸命な努力をし、また大所高所からの各方面の御理解、御協力をいただくように全面的な努力をいたさなければならぬと思っております。
○堂森委員 新聞報道によりますと、政府は最終案ということでああいう訓令を発したが、まあ実際はむずかしいのだ、そういうことも新聞は書いているのです。将来さらに折衝の結果、これをも修正していかなければいかぬだろう、こういうようなことも新聞等には報道されておりますし、これは絶対的な——絶対というのは世の中にないわけですから、そういうふうなことも予期されておるようでありますが、今度のそうしたことで日本側の、全く何といいますか、勝ち負けと言うとおかしいが、べた負けといいますか、何かそういう態度でこれが妥結されていくということは、非常に私はこれはいろいろな意味から、道理から言ってきわめて遺憾なことであると思うのでありますが、きょうは外務大臣にそう私が詰め寄ってみたところで、ということでございますから、きょう時間がもうあと三分ほどしかないですから、通産大臣にきょう来てもらえませんで、繊維雑貨局長さんですか来ておられるようでありますから、今度の政府の最終案があのままの姿で妥結して実施されるとしますると、直接アメリカ向けの輸出の落ち込みですね、それから極東三国へ原料として出ていっておりますから、これも当然これらの三国からの対米輸出も規制を受けるわけですから、これも合わせて、業界では一億ドルぐらいの輸出減にひっくるめてなると、こういうことも言っておりますが、繊維雑貨局長、それはやってみなければわからぬ、そんなことでは政府は責任を果たせませんですよ。どのくらいの見込みを持っておられますか、御答弁願いたいと思います。
○楠岡説明員 先生御承知のように、繊維製品の市場の動向は、流行の変遷が非常に激しゅうございますので、将来の見通しはなかなかつけにくいのでございます。したがいまして、特に最近のようにいわゆるファッションの変化が非常に激しくなってきておりますときには、なかなか正確な需要の想定はむずかしいと思います。そういうことで、特にいま業界の一億ドルという数字は、ただいまの私どもの提案を基礎にしたものではないと思うのでございますけれども、たとえば来年の輸出が通常でどのくらい伸びるだろうか、それにまた、押えられればどのくらいになるだろうかという、あるいはその一部がどのくらいからワクになって、あるものがどのくらいの部分いわば頭打ちになるだろうかというようなことは、なかなかむずかしゅうございます。ものによりまして非常に影響を受けるものもございます。たとえば、いままでに非常によく伸びております二次製品のようなもの、これも伸び率のいかんにもよりますけれども、わりあいと影響があろうかと思います。全般的に、先生おっしゃいましたように一億ドルが一体幾らになるであろうかという点につきましては、正直に申しましてなかなか算定しがたいわけでございますけれども、私どものほうとしてはできるだけ個々のものの動向を見ながら、損害を小幅にとどまりますように努力してまいるつもりでございます。
○堂森委員 局長に詰め寄ってもあれですが、努力するといったって、あなた、要らぬというもの、輸出してくれるなというものがどうして努力できましょうか。 それはともかく、業界はたいへんな怒りようでありますが、そこをさらに、では一体どんな対策をもって——前から新聞にも報道されております、そういう場合にはこういうこともしよう、ああいうこともしようとされておりますが、そういう場合にはただいまのところどういう対策をとっていくという考え方でございますか、お聞きしておきましよう。
○楠岡説明員 私どもとしましては、この際一番努力すべきことは、何といっても業界が不満足ながらもとにかく納得していただけるような線にどうしても持っていきたいというのが、私どもの第一の希望でございます。そして、かりに妥結ができましたときに、どんな損害が起こるであろうかということを考えてみますと、たとえば、いままでアメリカあるいは間接に香港なり台湾なりへ輸出されておりました織物が出なくなった、それがだぶついてまいりますために、その自体の処分が問題でありますとともに、国内の市況が非常に悪化するということが考えられます。それから、私どもいま構造改善対策というものをやっておりますけれども、そういうものの需給想定が狂ってくるという問題もございます。それから二次製品につきましては、極端なことを申しますと、いままでアメリカ向けとしてつくっておりましたものが売れなくなるということになりますと非常に問題でございますし、また輸出をやっておりましたものが内需に転換する。内需に転換してまいりますと、今度は内需を専業としておりましたものが困る。そこでどう助けたらいいかというのでいろいろな方法が考えられるわけでございますが、繊維製品は個々の商品につきまして非常に個性の強いものがございまして、政府でたとえば一括して買い上げて、それをストックするということも、ものによっては非常にむずかしいかと思います。それからもう一つ、具体的にどのくらいの損害がどの場所で発生するかというのが実はまだはっきり見きわめもつきませんもので、私どもとしては検討は命ぜられておりまして、いろいろやっておりますけれども、現段階で、まことに申しわけございませんけれども、まだ最終的な結論が出ないという状況でございます。
○堂森委員 まことに対策にしても不満でありますが、時間もありませんから、いずれまたあらためた機会に質問をしたいと思います。 ただ私、愛知外務大臣に申し上げておきたいのですが、今度の対米繊維交渉の経過を国民が見ておりますと、一体日本に外交があるんだろうかという疑念が非常に強く出ております。これは一愛知外務大臣だけの責任だと私は申しておるわけじゃないんです。けれども、そういう疑念を国民に強く植えつけまして、そして佐藤内閣はもちろんでありますが、大きな不信感が生まれてきておることは、これはもう明らかな事実でありまして、大いに外務大臣、がんばってもらいたいと思います。私、野党ですから激励しておきまして質問を終わります。
○田中委員長 大久保直彦君。
○大久保(直)委員 私は外務大臣に対しまして、ただいま同僚議員からいろいろ質疑がございました中国問題並びに、もし時間がありましたら大陸だなの問題について御質問申し上げたい。 具体的な問題に入ります前に、基本的な政府の姿勢について二、三お伺いをしておきたいと思うのです。 政府は、この一年間機会あるたびに、中国問題は七〇年代の最大の外交課題であるということをしばしば述べておられますが、現実的には一歩の前進もなかったのではないか、むしろ昨年の日米共同声明をめぐる中国の動向等を見ましても、むしろ後退ではないかという印象が強く受け取れるわけでございます。私、この七〇年代の最大の外交課題として中国問題を考えますときに、中華人民共和国の国連復帰に対する日本の態度と、それから国連とは関係なく日本と中共との両国間の国交正常化、こうした二つの問題に分けられて考えらるべき問題であると思いますが、私ここで基本的にお伺いしておきたいのですが、この国連復帰という問題に対する日本の姿勢並びに日中両国の国交正常化、このいずれを政府は優先しようと考えておられるのか、方法論として基本的な態度を伺っておきたい。
○愛知国務大臣 国連の代表権といたしましては、先ほど来るる申し上げておりますように、政府の方針というのは、第二十六総会における本件の取り扱いにつきましてはアルバニア決議案に反対せざるを得ない、それからこうした問題はいわゆる重要事項として取り扱うべきものである、この態度でこの第二十六総会に臨むべきである、かように考えております。 それから中国問題に対する日本政府の基本的な考え方というのは、先ほども触れましたように、私どもとしては二つの中国とか一つの中国一つの台湾ということを言うておるわけではございません。一つの中国であるべきである、同時にそれは中国の人たちの手によって平和的に話し合いで解決をしてもらいたい、その方法として武力行使というようなことは考えてほしくない、こういうことで、これが基本的な考え方であります。以上のとおりでございます。
○大久保(直)委員 私の質問の趣旨がよく御理解いただけなかったかと思うのでありますが、国連に対する中国の代表権の問題とからんで、中国の国連復帰という問題と、日中両国間の国交正常化、これは表裏一体の問題であるかと思いますが、七〇年代の外交の重大な課題としまして、将来にわたってどちらを優先しようとお考えか、もしあればお伺いしておきたいと思います。
○愛知国務大臣 これはかねがね七〇年代の問題といっておりますように、私は率直に申しまして、日本の国益の上に立って、そしてアジアの緊張が激化しないように、紛争が緩和するようにということで、中国問題と取り組むべきものであって、これはとちらを優先して——国連における代表権問題を優先して考えるべきか、中国政策を優先して考えるべきか、どちらかといえば中国問題に対する基本的な態度というものが、私は日本の国益からいって自主的に十分練り上げるべき問題であると思いますけれども、しかし相互関連することはこれまた自然の勢いである、かように存じております。
○大久保(直)委員 それでは具体的な問題についてお伺いしますが、いま国連総会で、重要事項指定確認の決議案とアルバニア決議案がもしともに過半数を得たような場合の取り扱いについては、どういうふうになりますでしょうか。
○愛知国務大臣 私はいまも申しましたように、必ずしも国連における代表権問題というものがすべてではないと思うのです。しかし客観的な国際情勢の変化というものは、これはまた考えていかなければならない大きな資料であり指標であると思いますから、第二十六総会におきましても、この二つの決議案の状況がどうなるであろうかということにつきましては、十分の関心を持っていきたいと思います。したがいまして、昨年との比較、あるいは数年来本件が問題になって以来の、あるいは十数年来の経過等と引き比べてみて、これをいかように考えの資料にすべきかというようなことについては、これは結果が出たその結果によりまして、また十分にひとつ検討してみたいと思うわけでございまして、それ以上は、いずれ最近の機会にこうした資料がはっきり出るわけでございますから、ただいまそれを越えて、こうなったらどうということを申し上げるのには時期がちょっと早いのではないかと考えます。
○大久保(直)委員 それでは個々に伺いたいと思うのですが、もしアルバニア決議案が可決された場合は、十六総会の重要事項の決議案の効力はどういうふうになるとお考えになっていらっしゃいますか。
○西堀説明員 先生よく御存じのとおり、重要事項指定方式というのは第十六回の総会以来毎回通過いたしておりまして、それ以後の総会におきましてはこれを確認するという形で行なわれておるのでございます。したがいまして、本年度におきましてアルバニア決議案がかりに多数を得たといたしましても、これは重要事項指定がひっかかりますので、これは通過するということには相ならない、単にこれは多数を得たという歴史上の事実となる、こういうことでございます。
○大久保(直)委員 そうしますと、国連局長に伺いますけれども、アルバニア決議案が可決または否決にかかわらず、十六総会の決議の効力は持続をしておるのだ、いまこういう御答弁であったと思うのですが、であるならば、なぜ毎年確認の決議案を出さなければならないのか、その点をひとつ。
○西堀説明員 確かにそういう御疑問をあるいは有せられるかも存じませんけれども、したがいまして重要事項に関する決議を再確認する決議案を出しておるわけでございます。十六回のときは指定の決議でございます。それ以後はこれを再確認する。それなら、なぜその前のものをまたしなければならないかと申しますと、これはまあ政治的な理由と申しますか、そのほうが明確であるというのが一つ。もう一つは学説におきましても、ある総会において通過いたしました決議がその次の総会を縛るかいなかという点につきましては、少数説ではございますが反対の学説もございますのでそれを明確にする意味におきまして、毎総会において再確認をする、こういうことになっております。
○大久保(直)委員 いまの御答弁ですと、いまの御答弁の中にありましたように、毎年確認をされてこなければならないはずの決議案が、実は二、三年抜けておりますね。この問題は、先を急ぎますからよろしいと思いますが、もし将来、アルバニアの決議案のようではなくて、いずれかの国によって、この重要事項の決議、第十六回総会の決議を否認するような決議案が提出されて、もしそれが可決されたような場合はどうなりますか。
○西堀説明員 ただいまの先生の御質問は、要するに、重要事項指定がされたものにつきまして、その決定を取り消すといった決議案が出たときにはどうなるかということだと存じます。それにつきましては、実は、憲章の正式解釈と申しますか、国連の有権的な解釈というものは遺憾ながらないのでございます。憲章にも規定がございませんし、それから、手続規則にも規定がございません。それから、いま申し上げましたように、有権解釈と申しますか、前例もございません。理論的に申しますならば、重要事項指定の取り消しは単純多数で足りる、こういうこともございましょうし、あるいは、その取り消しには三分の二を要するのだということもございましょうし、あるいは、取り消しには憲章第十八章、これは先生御存じのとおり、憲章の改正手続でございますが、これを経るべきである、こういった三通りの憲章の解釈論があるわけでございます。そのいずれにつきましても、それぞれそれなりの理由がございます。しかしながら、政府といたしましては、申すまでもないことでございますけれども、国連による憲章第十八条の有権的解釈が今後行なわれるといたしましたならば、当然これに従うことに相なります。
○大久保(直)委員 外務大臣に伺いたいのですが、ただいまの御答弁にありましたように、有権的解釈はない。しかし、もしこの重要事項を取り消す決議案が出された場合の表決は、重要事項そのものは過半数で決せられているわけでございますから、過半数でよろしい、そういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
○愛知国務大臣 これは、いまも国連局長から御説明いたしましたように、前例もないし、確定解釈もございませんから、日本だけの意見できまるというわけのものではないと思います。ただ、しいて意見を申し上げますならば、私はかねがね申し上げておりますように、現在の国連の状況から申しても、単純多数決で扱うのはいかにもお粗末ではないかということで、ずいぶん多くの案件が重要事項に指定されているくらいでございますから、一たん重要事項に指定されたものを取り消すというときには、やはり相当の手続を経るほうが条理的に正しいのではないか、私はかように存じております。しかし、これはいま申しましたとおり、いろいろの説があり、そしてその説には、それぞれの理論的根拠もあるようでございますから、何とも確たることは申し上げることはできません。
○大久保(直)委員 私は、本年わが国政府が、この重要事項指定方式の提案国になりましたことについては、はなはだ遺憾の意を持つものでございますが、来年重要事項の再確認の案が提案できない状況にあるのではないか、政治的に提案する根拠がなくなりつつあるのではないか、こういう認識を持つものでありますけれども、先ほど国連局長の答弁にもありましたが、もし来年この再確認の決議案を提出しない場合は、十六総会の議決というのはどういうことになるのでしょうか。
○西堀説明員 先ほどから申し上げておりますとおり、やはりバリッド、有効でございます。
○大久保(直)委員 そうすると、本年もこの再確認の決議案を提出しないでも、十六総会の決議は有効である。そうすると、その再確認の提案の決議を出すこと自体が意味がなくなるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○西堀説明員 私は、実はバリッド、有効であると言い切りましたけれども、それは、日本政府が従来とってきた解釈である、こう言うのが正確な言い方であろうかと存じます。したがいまして、来年度どういうことになりますか、国連におきまして、有権的な解釈と申しますか、それが、表決あるいは議長のルーリング、また、ルーリングになりますと当然これはチャレンジが行なわれますが、そのチャレンジによってそれがひっくり返される、あるいは議長のルーリングが勝つ、これは全くわからないわけでございますが、それはそのときの国連の解釈による、こういうことになります。
○大久保(直)委員 ただいまの短い時間のやりとりでございますけれども、先ほどの国連憲章の有権解釈がないというにもかかわらず、いまの答弁、大臣、いろいろ伺っておりますと、過半数で重要事項に指定されたものを取り消すのも、常識で考えれば、これは過半数で当然取り消しができるのではないかというけれども、しかし、内容的にいろいろ問題であるから、やはり三分の二というようなニュアンスが出てくること自体が、やはり私たち日本の中国敵視政策と指摘されるゆえんのものじゃないか。ちょっとことばははしょって飛躍しますけれども、そんなことを私、申し上げておきたいと思います。 さきの国連総会で、総理の演説の後、記者会見におきまして、総理は、中国問題、国連加盟などという問題は具体的に言うと次元が低い、私はもっと大きな立場から分裂国家の解決を訴えたい、こういうコメントをなさっておりますけれども、先ほど大臣の御答弁の中に、総理の国連演説の中で、中国問題があたかも二つの中国を支持するがごときニュアンスに外国の記者に受け取られたということがございますけれども、私は、国連の総理の演説の中で、中国問題が取り上げられたとは認識をいたしておりません。分裂国家という意味での言及はございますが、それ以外の問題はない。 私は、ここで伺いたいのは、ことばじりをとらえるようで恐縮でありますけれども、次元が低いというような問題をなぜわざわざ重要事項にしなければならないのか、これははなはだ国民が理解に苦しむところじゃないか。大臣の所感を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 これは、私が従来から申し上げておりますことで御理解をいただきたいと思うのです。というのは、私は、中国問題というのを、国連における代表権問題ということに置きかえて、それだけの角度から論ずるのには、あまりに中国問題というものは日本の立場から見て大きな問題ではなかろうか、私はこういうふうに考えておるのです。しかし、先ほども御答弁申し上げましたように、それは相互関連する問題であることも私は否定いたしません。私がいま前段で申し上げましたようなニュアンスを打ち解けた記者諸君との懇談の席で、それは次元が低いよと総理が言われたのは、多少そういう点を意識して、中国問題というものは国連の代表権問題とだけして取り上げることはいかがであろうかと、こういう気持ちがにじみ出ていたのではなかろうかと思います。しかし、それにしても、先ほどもこれも申しましたように、一々私はここに記録も持っておりませんが、国連局長から御説明いたさせますが、ずいぶん小さな問題も国連では、これは単純多数決ではいかぬぞということで重要事項に指定されておる現況でございますから、この中国の代表権問題というのは、重要事項に指定するのは私は当然じゃないか。たまたまアルバニア決議案に賛成とか棄権とか、あるいはすでに中華人民共和国を承認している国も、重要事項については賛成討議をしている国がかなりございますことは、御承知のとおりでございますので、国連の運営というまた別の大きな角度から立てば、重要問題は重要事項として扱うのは、私は国連の権威としても必要なんじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
○大久保(直)委員 いまのおことばでありますけれども、国連憲章の中で、代表権問題が重要事項として取り上げらるべき問題であるかどうかということについては、私は疑問がございます。しかし、またこれをやっておりますと時間がなくなるのですが、先ほどの二つの中国論についてまた別の見解はないと思いますけれども、十一月十四日の新聞によりますと、十一月の二日、三日両日開かれました日米政策企画委員会、ここで外務省の某部長が出席されておりまして、この会議でも一つの中国、一つの台湾の方向で原則的に双方の考え方は一致したといわれる、こういうふうに新聞報道はございますが、この点についてちょっとどういうことであるか、内容を聞かしていただきたいと思うのです。
○愛知国務大臣 政策企画委員会というものはアメリカとの間だけではなくていろいろの国との間にやっておりますが、要するに事務レベルの相互連絡研究会とでも申したほうがよろしいかと思います。これは日本におきまして外務省が政策を決定をするようなオーソライズされた機関ではございません。非常に参考になる仕事あるいは研究はやっておりますけれども……。そうして、そこの中で一つの中国、一つの台湾というような考え方もあるということが指摘されたのであって、これは政府の方針といたしまして先ほど来私が責任を持ってお答えしておるように、一つの中国、一つの台湾ということは政府としてはそういう見解を従来からとっておりませんし、全然変わるところはございません。
○大久保(直)委員 私はこの十一月二日、三日に行なわれましたこの会議の前提があるものですから、このフィリップスの国連演説を聞きましてなおさら二つの中国論という感を強くするわけなんです。私この内容を読みまして、先ほどもどなたか御質問がありましたけれども、国連憲章第十八条の現加盟国の除名項目また六条の除名措置の条項を引用して、中華民国はこれら憲章の原則に違反するような行為は犯していないとフィリップスは言明しております。また、国連は今日まで加盟国の追放を単純多数決できめたことはなく、これを許可することは危険な先例を残すとも言及をいたしております。これは明らかに先ほど指摘がありましたけれども、やはり一つの中国、一つの台湾を言っているものである。私は、ここに重大な理論上の混乱があるのではないかということを申し上げたいわけなんですけれども、国連における中国の問題というのは、あくまで代表権問題であって、国家の除名とかまたは排除とかいう問題ではない。代表権をどちらにするかという問題であると思うのですが、このことについてさえフィリップスはこういったことについて言及をしているということについても、なお大臣のこのフィリップスの演説に対する見解といいますか、お考え方は、先ほどの御答弁と全く変わらないものでしょうか。
○愛知国務大臣 これは同じ人間でございますから変わるはずがないのでございまして、要するにフィリップスの演説に限らずどなたの演説でございましても、さっき私は率直に申しましたように、佐藤さんの演説も、聞く人によると、その人の一つの考え方で解釈しますから、これはアメリカの一つだけの新聞でございますけれども、二つの中国を主張したのであるとヘッドラインに出るくらいですから、読む人によってはこうも違うものだなというふうに私は感得いたしましたことを申し上げたのでございまして、このフィリップスの演説のごときはいわんや国連におけるステートメントでございますが、要を得ていないところもあるんじゃないか。ですから、眼光紙背に徹する人からごらんになれば、いろいろ違った見解が出てくるんじゃないか。 ただ、ここで示されていることは、二十六総会におけるこの提案されている案件についてのアメリカの態度というものは変わっていなかった。これだけははっきりしているんじゃないかということを先ほど来強調しておるわけでございます。
○大久保(直)委員 私、別に眼光紙背に徹して読んだわけではないのですけれども、あたりまえに読みまして、どうもそういった気持ちを感ずるわけです。大臣は先ほどから三度もそういうことばを使っていらっしゃるところを見ると、紙背に徹すると何かあるのじゃないかということを是認していらっしゃるのじゃないかと感ずるわけなんです。 この問題はこれで終わりまして、先ほどの、報道担当の方が解説を交えて説明したという注釈もございましたけれども、両首脳は、佐藤・ニクソン会談後の記者会見で、両首脳は日米両国が中国問題について十分その政策を調整していく必要があることを認め、緊密な連絡と協議を続ける旨合意したと、これは解説的ニュアンスがあるというふうに先ほどお伺いしたわけですけれども、解説として使うことばであれば、重大なことばを使い過ぎたのじゃないか。日米両国が政策を調整するということは、あくまでもアメリカと日本が共同歩調をとる、こういうふうに一般国民は受け取っても、これは弁明の余地はない、そういうふうに私は解釈するわけなんですが、その点についてあらためてお願いをしたいと思います。
○愛知国務大臣 これは、先ほど申しましたように、共同コミュニケというようなもので双方の両首脳が合意したわけではございませんから、その点はまずお断わりいたしておきたいと思います。 それから、第二には、先ほども申したと同じことで恐縮なんでありますけれども、いろいろの問題につきまして、友好国との間に十分意見を調整し合うということは、私はむしろ当然なことと思っておりますし、そして、よけいなことを言うとおしかりを受けるかもしれませんが、方々の国と、いま、たとえば定期協議だけでも、たいへんな数になっておりまして、各国との間に一年に一回必ず大臣同士が意見交換するということは、とりもなおさず政策の調整といってもいいのではないかと思います。これがやはり日本としての必要なことじゃございますまいか。私は、そういう意味におきまして、現にソ連との間にもできるだけ話し合いを詰めることにしております。友好な、自由な意見の交換、そこによって意見を交換すれば歩み寄りは出てくる、これが外交の本旨ではないだろうか、私はそういうふうに考えております。
○大久保(直)委員 時間がございませんので、中国問題は以上で終わりますが、最後に大陸だなの問題につきまして一つだけ伺いたいと思います。 現在、韓国と台湾との間で、大陸だな問題が非常にクローズアップされておりまして、過日外務省から、金沢さんですか、代表で、交渉にソウルにいらっしゃったというふうに伺っておりますが、その交渉内容または現状況について、きわめて簡単でけっこうですから御説明いただきたいと思います。
○須之部説明員 先般の韓国との話は、十一月の初めでございます。元来この韓国との間の問題は、ことしの五月に韓国のほうで関係法令を具体的に施行しました結果表面化してきた問題でございます。先般の話し合いは、専門家同士の話し合いということにいたしまして、具体的な結論を出すということを初めから目標としていなかったわけですが、双方の考え方を十分にお互いに説明し合ったということでございます。 双方の基本的な考え方はいろいろあるわけでございますが、現在交渉中でございます、詳細は省略させていただきたいと思いますが、基本的にいえば、韓国のほうは、自然的に延長、つまり朝鮮半島から延びておる大陸だなは自分のものだという立場であり、日本のほうは、大陸だなという問題はやはり双方の当事国の話し合いできめるべき問題であるという立場をとっておるということでございまして、その点についての意見の交換を行なったということでございます。現在の段階は、双方の主張をいま双方で整理検討しておりまして、それがまとまりましたらば、次の会合をいつやるかということについて打ち合わせるという段階でございまして、話し合いを続けるという点につきましては双方とも合意を見ておるということでございます。
○大久保(直)委員 最後に、いまそういう交渉を行なわれておるということでございますけれども、この法理論争を両国間でやっている間に、現実には、どんどん、韓国による既成事実がつくられつつある。私は、このことを見て、この既成事実が先行してしまいますと、もしあとで法的に明快な結論が出た場合に、それが規制できるかどうかということは、そこまでは触れませんけれども、この既成事実がどんどん先行する、このことについて、やはり何らかの措置を日本政府としては講ずべきではないか、こういうことを思うわけですけれども、政府としてどのようなことを考えておられるか、大臣から伺って私の質問を終わりたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまアジア局長から御説明いたしましたように、大陸だな問題については政府としても重大な関心を持っております。そしてそういう既成事実などがつくられないように、一方的な措置はとられないように十分の措置をいたしておりますから、私はただいまのところ積み上げられる心配はないと思っておりますが、なお韓国の動向その他十分注視して、決して御心配になるような事態を起こさないように、この上とも十分の警戒をしてまいりたいと思っております。
○大久保(直)委員 大陸だな資源につきましては、日本にとって非常に重大な問題でありますので、ただいまの大臣の御答弁がそのまま着実に履行されることを心から期待しまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
○田中委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 私は主として中国問題について外務大臣に御質問申し上げたいと思います。 いまさら言うまでもないことでありまするけれども、一国の外交政策は第三国がどういう態度をとったからというようなことによって左右されるべきではない。非常な情報時代ですから、カナダあるいはイタリアが国民政府から承認を北京政府に変えた、あるいは今度の国連総会におけるいわゆる中国代表権問題の議決が非常に変わってくるのではないか。場合によったらアルバニア決議案が通るかもしれない。また、重要事項指定方式——われわれはその提案国になるべきでないという強い政治的見解を持っておるのでありまするが、それも少しあぶなくなってきた。こういうような動きが確かにある。かてて加えて先ほど来議論になっておりましたアメリカのフィリップス代表の演説も、簡単にいえばブルータスおまえまでもかといわぬばかりの、日本だけが取り残されたという感じがするような、かなりあらしが吹いている。私は、外国のまねをするということはいけないけれども、同時に国際情勢が大きく動いているというその動き、底流あるいは渦巻き、こういうものをやはり正確にとらえて機宜適切な外交措置をとらなければいけない。これはもう言うまでもないことだ。そういう意味では、きょうは特に与党の二人の理事諸君も非常に紳士的に質問されておりましたけれども、私は、言っていらっしゃることは必ず外務大臣にもひしひしと胸に刺さるものがあったと思う。私はそういう意味でことしの五月、本院の本会議における演説の中でも申し上げたのでありまするけれども、やはり従来政府がとってまいりました一つの中国、これは台湾の国民政府である、こういう方針はどう考えてもフィクション、虚構である、擬制である。したがってこれはやはり修正されなければならない。時とともにフィクションは通用しなくなる。同時に他方においてはむろん一方の北京政府の主張である、すなわち北京政府だけが全中国であるという、これも一つの主張であるけれども、台湾に国民政府の名における一千四百万人の中級な国があることも事実です。しかもその国とは、国民政府が負けて台湾に逃げてからあと、日本の実際上の意思にかかわらず、アメリカの強要によったにせよ、大陸から逃げてきてしまったところの国民政府と日本政府は平和条約を結んだ。そしてその平和条約をわれわれは誠実に守るという立場からいえば——私は先ほど意外な答弁を聞いてあとで条約局長にはっきりたださなければいかぬと思うのですけれども、この国民政府との間の条約を、人がかわったから直ちに別の政府にと承認先を変えるといいますか、そう簡単にできていいものかどうか、非常に疑問だと思うのですね。台湾の中でクーデターが起こってその政府に承認が継承される場合もあるでしょう。しかし、少なくとも台湾の国民政府との条約にはいろいろな経緯がある。吉田さんがダレス国務長官に出した書簡にいっているように、日本としては中共は侵略国であるから絶対平和条約を結ばないとかなんとかそのときのいろいろなまくらことばはもう通用しないと思いますけれども、少なくともこの条約において、現在の国民政府が現に領有している地域に関し、ほかの政府に領有権を認める、あるいはほかの政府がその地域についても唯一の中国代表者であることを別の承認行為でやったならば、われわれは条約上一つの大きな違反になるという行為を起こすのじゃないかと思う。したがって、そういう点を考えると、われわれがこの中国大陸との国交正常化に努力すべきだという、これはわが国のコンセンサスなんですね。だが、このコンセンサスを現実に積み上げ方式で北京政府との間に直接やっていこうと思うと、カナダですら——日本と違ってカナダは承認先を国民政府から北京政府に変えるのに条約上にも何ら障害はなかった。したがって、カナダは今度は国連総会におけるアルバニア決議案には賛成だ。つまり中国の政府は唯一無二に北京政府であるということに無条件に賛成だ。しかし同時に、その北京政府が台湾を領有しあるいは解放する権利を持っておるということを外交文書で、これは強制もしないけれども裏書きもできませんという立場をカナダはとにかく守り通した。私はそういうことはわが国の場合には一そうもっと大きな制約があろうと思うのです。経済上、政治上あるいは安全保障上の制約もあろうし、特に条約上の制約があって私はできないと思う。そこで問題は、日本としては表裏一体であるけれども、北京政府との国交調整の問題を北京政府とだけ積み上げていく努力はもうやらなければならぬ。だがしかし、一方においては国連総会における足並みが非常に早いこともあって、もういや応なしにわが国は国連総会においてこの中国代表権の問題について、つまり北京政府を代表に認めるのか認めないのか。その場合無条件なのかあるいは有条件なのか。その有条件というのは、アルバニア決議案のように国府を追放するという条件までのむのか。アルバニア決議案を初めのほうとうしろのほうと二つに分けて、中国の代表権を北京政府にしようということだけをまず表記した場合には一体どうなるのか。いろいろな問題が起きている。事態は非常に大きく動いている。問題は単にことしの総会でかろうじて重要事項指定方式が勝ったというだけでは済まないくらいに大きく動いておる、私はこういうように考える。そういうわけですから、ぜひひとついままでの答弁だけでなくて、これからやはり考えていくのだから、本日のところは一つの中国、それは国民政府であるという従来の方針を変えておりませんということは、従来の政府の方針だから、事実として、私は反対であるけれども、認めますけれども、それにこうしがみついていていいのかどうか。もっともっと大きく情勢は動いておるのではないか、こういうように思うわけです。 そこで、前段が長くなって恐縮ですけれども、そういう意味から一つ考えたいのは、やはり何といってもフィリップス演説は、確かにいま私が言ったように、前段の、中共は悪者だというものはなくなった。むしろむちゃ言わなければ、国府追放ということを条件にしなければ代表権を認めていいのだという方向に窓を開いた。これは間違いない。だから形式論としては、外務大臣が言われるように重要事項指定方式の提案国である、それからアルバニア決議案の中の国府の追放には反対であるということは変わっていないけれども、その背景は全然変わってきている。少なくとも中国代表権に関する限り、北京政府、あるいはことしの総会だけでは実らないかもしれないけれども、一つの大きな融和的ゼスチュアをしていることはこれは歴史的意味があると思うのです。もっとそういうことを日本で早くやってくれと言っているのに、それが日本でやられないで、アメリカのほうがそっちのほうにきた。いや、それは従来と変わらない、アメリカの方針は変わらないという説明をしなければならないようなこと自体、私は国民として非常に残念だ。私は、それだけ大きな展開がある、このことを申し上げて、もう一ぺん御意見を伺うとともに、先ほど、親しき仲だけれども、井川条約局長の御答弁は、私は何か誤解されて言っているのじゃないかと思うんですね。現実の国民政府との平和条約のたてまえから見て、法理的に見て、条約的に見て、北京政府を承認することに支障なしという御意見には、私は承服しかねる。外務省としての統一見解をお尋ねいたします。
○井川説明員 曽祢先生に、私が申し上げましたことでおしかりを受け、まことに申しわけなく思っております。私、戸叶先生の御質問に対しまして、ほんとうに答弁がへただったことと思いますけれども、平和条約——私もたしか第三国の場合を考えますとということばを申し上げたつもりでございます。私が戸叶先生の御質問を——戸叶先生も、法律的に答えろというおことばでございました。私、法律的、抽象的に考えますならば、たとえば甲という国と乙という国が戦争いたしまして、そこに平和条約ができた、それが平和条約の存在でございます。そのような平和条約の存在状態があって、あと十年でも二十年でも三十年でもたちまして、その甲という国において、Aという政府からBという政府に、いわゆる合憲的な手段でなくてその政府がかわったという場合に、そのBという政府を承認する妨げとして、甲と乙間の平和条約の存在がB政府の承認の妨げになるかどうかという点だと、戸叶先生の御質問を理解いたしました。そのように抽象的に、純法律的になるならば、その平和条約の存在自体は、甲国の代表政府をAからBに承認するということに妨げはないことがある。したがって、そういうふうな場合に、B政府を承認することがあり得る、こういうふうに純法律的に、抽象的に申し上げたつもりでございます。中共自体の問題、台湾との関係は、これは先生御指摘のとおりたいへん大きな政治問題、また歴史的な、政治的な、社会的な非常に大きな問題を含んでおりまして、私ごとき者が御答弁申し上げるべきことではございませんが、ほんとうに抽象的に、そういう設題のもとに私は御答弁申し上げたつもりでございます。
○愛知国務大臣 私も、条約局長と同様に、かねがね日華平和条約の中身、その背景、それらにつきましては、曽祢さんの、当時からの国会での御意見も私としてもよく勉強しているつもりです。たいへん敬意を表しておりますことをこの際申し上げておきます。 私は、中国の問題というものについては、先ほど申し上げましたように、これだけの八億の国民がいる一つの超大国がお隣にある。これとの関係が現状のままでいいとは決して思っておりませんことはたびたび申し上げたとおりでございますが、あまりにも日本にバイタルな関係を持っているところであり、そして曽祢さんの御指摘のように、日華平和条約というようなものに象徴されている、非常に大きな、長い関係もございますから、この間に処して、いかに国益の上に立ち、そして、先ほども触れましたけれども、日本自身のセキュリティーの関係も考えて、どういうふうに展開していくのが一番よろしいかということについては、まことに微力でございますが、あらゆる知恵をしぼって検討は続けておるつもりでございますけれども、本日のところは、たまたま国連総会において代表権問題がすでに論議も始まっておりますし、政府としての態度が御承知のような態度でもございますので、たとえば鶴岡大使をしてどういうふうに表現をさせるかということについても、これはいま当面の、一番の処理を要する問題であると考えております。だんだんと時が経過するに従いまして、私の考え方というものもだんだんとひとつ建設的に考えてまいりたいと思っております。いま、何と申しましても国連の最盛期と申しますか、そのときでございますから、政府といたしましては、今回の総会について従来の態度どおりであるということを申し上げるにとどめておきたいと思います。それが、先ほど来申し上げております私のかまえ方でございます。
○曽祢委員 外務大臣からはっきり伺いたいのですけれども、やはり日本の、この国民政府との条約というものの存在を無視できないと思う、遺憾ながら。政治的にかりに遺憾であっても、これは条約的に、これを無視するのではなく、やはりそれの制約を心得て、そして北京政府との国交の正常化の努力をやる、これは私は当然だと思います。その点は単なる抽象論で議論してもしようがないですけれども、日華平和条約というものの存在は無視できないということをはっきり確認していただきたいと思って、外務大臣の御答弁をお願いいたします。
○愛知国務大臣 それは、従来政府として申し上げておるとおりの態度でございます。また、いまもその点に触れたつもりでございます。
○曽祢委員 そのあれはいいんですけれども、しかし、だからといって、私は、そういう制約があるからといって、特に国連における動きというものは相当基本的な動きだと思うので、だから単に重要事項指定方式の提案者になる——これは要するに、理屈はありますよ。確かに私自身も、北京政府を迎えるべきだという積極論者であるとともに、そのことは直ちに台湾といいますか、最終的には台湾住民といったらいいのかもしれませんが、当面は国民政府という形をとっているかもしれません。そういうものを追い出すというそれを、ただ単純多数でやるということに、ぴんとこないものを感じます。ですから、アルバニア決議案を全部読んでみると、私は賛成するわけにはいかない。しかし問題はもはや、アルバニア決議案を二つに分けて、国連に中華人民共和国、北京政府ですね、北京政府の正当な地位を認めろ、つまり中国の代表は国民政府じゃなくて北京政府だという意見はますます強まっているし、また国連の普遍性からいっても、その点は私は間違いのない正しい方向だと思うのですね。問題は、しかしそのことが、しからばそれと切っても切れない関係のある、めんどくさいけれども、むずかしいけれども、国民政府なり台湾住民というものの自治権あるいは自決権あるいはメンバーシップ、いままでの加盟国であった立場をどうしたらいいか、ここに問題の中心があることは間違いない。しかもそれはアメリカ案がサゼストしているように、アメリカ案のバックには御承知のようにライシャワー教授だとかあるいはフェアバンク教授だとかいう、これは一つの中国、一つの台湾という、フォーミュラ化すると誤解があるからいけないけれども、政府も言っているように、できることなら二つの中国政府が仲よく話し合ってきめることなら無条件に賛成しようじゃないかということ、それがなかなかできなければ、とりあえず国府を追っ払うのは反対だということ、それから結局、国府という政府よりも千四百万という住民の一体民族自決の権利というものは、国連憲章の点から見て、全然ネグレクトして、パワーポリティックスだけで片づけてはいけないじゃないかという、こういう意見、そういうものがそこに存在するのだと思うのですね。わが国の場合は、アメリカの場合にさらにそれにかてて加えて国民政府との特殊の条約関係がある。したがってそれにいろいろ苦慮をして、一つの中国即台湾ということはペケであるから、今度は一つの中国、全部北京だ。そんな即効薬的な解決はわが国の場合にできないこと、のみならず、多くの国がそれに賛成しないのじゃないですか。もしわが国が従来のような消極的な議運の手続論みたいな、こっちのほうが先議だ、重要事項指定方式が先議だということでアルバニア案の通過をブロックして阻止する。それだけをやってないで、アメリカの方向がそっちであるかどうかは別として、アメリカの方向をむしろ日本政府が先取りして、ひとつ世界の大勢を見て、国民政府にもやはりはっきりものを申して、われわれは条約上のあれは守るけれども、中国大陸の代表としての北京を国連に迎えることが世界の大勢だから、それに反対するのはこれは不合理だということで、日本のほうがそのアイデアをスポンサーする。ただし、その場合に台湾を一方的にただ追放するというなら、そういうことは賛成できない、これはひとつ考えようじゃないかということ、たとえば、人の国のことはどうでもいいんですけれども、カナダやイタリアのごとく、最近になって国府から北京政府に承認先を変えた国でもやはり重要事項指定方式には賛成もするし、そしてやはりいわゆる北京政府の台湾領有権の主張はテークノートする。簡単にいえば承っておく。むろん反対はしないし、あなたが強く主張をしておることはよくわかっております、留意しておきましょう、拘束されませんと言っておることは、中国の代表者は北京にきまっておるのです、彼らから見れば。しかし台湾というのはどうなるかについての一つの余裕を残しておるという、こういう妙味がある態度だと思うのですね。その方向にわが国が積極的に動くことができないのか、こういうことを私は申し上げておるわけです。ですから従来の解釈、ただ一つの中国でいくのだ。社会党さんの言っておることと言っておることは同じなんだけれども、その相手が全然違っておるという、そういうことでなく、悪いけれどももっとまじめにというか、具体的にほんとうに中国政策を前進させるのだ。その前進のフォーミュラが必ずしも両方の政府にお気に入らないかもしれないが、直ちに解決はできないかもしれません、しかし少なくとも解決へ向かっての真剣な努力をわが国のイニシアチブで国連の場だけででもやるべきじゃないかというのが私の真意なんです。そういう点にお考えを願えないのか。またこういう機会にやらないと、私は、バスに乗りおくれるなんというけちなことは言いませんけれども、やはり歴史的に見て、皆さんも御承知のように、イギリスが中共を承認したとき、フランスが中共を承認したとき、今度カナダが北京政府を承認したとき、だいぶ条件がだんだん辛くなっておることも事実ですね。そういう意味で大勢におくれないということの考慮は一つも恥ずかしくないと思うのです。むしろ国民としては日本がむずかしいことであるけれども、積極的にかまえてほしい、こういう気持ちを持って政府にわれわれはおすすめしておるのであります。そういう意味でどうかひとつ——外務大臣もいままではこうきたということはわかっておりますよ。だけれども、それではもう、ちょっと行き詰まりといっては悪いかもしれませんけれども、かりにことしの表決においてかろうじて重要事項指定方式だけは通るでしょう。アルバニア決議がどうなるか知りませんが、私は前段と後段で表決したら非常におもしろい結果が出やせぬかと思うのですけれども、しかしそれはアルバニア決議が通っていても、重要事項指定方式だけは通るから、ことしはそれでいいという。しかしそれではもう政策的に行き詰まりであることは明らかだと思うのです。どうかひとつ十分に御検討を願って、私の申し上げたことに積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思うわけです。大臣の御答弁をお願いいたします。
○愛知国務大臣 率直に申し上げますが、非常に建設的かつ周到にいろいろな条件をおまとめになっての御意見で、私は心から尊敬して傾聴いたしました。 先ほども申し上げましたように、将来いまのままのような状態ではいけないということは私も考えかついろいろと検討いたしておるわけですが、先ほども申し上げましたように徐々にひとつ情勢の変化を十分にとらえ、かつ従来の経緯の上に立って前進をするように、とくとひとつ考えさせていただきたいと思います。
○田中委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 私は沖繩の問題と中国の問題について質問しようと思います。 最初に沖繩の問題で、一昨日に行なわれました沖繩の国政参加選挙、先ほど同僚委員からその結果についての意見を外務大臣に求められておりましたけれども、これはどの論調を見ましても、衆参両院において革新が勝利をしておるということであるし、それから日米共同声明路線を沖繩県民が歓迎をしていないということを証明をしておるというふうに思うわけです。その結果について、外務大臣、これからの日本の外交においては非常に重要な沖繩返還協定の問題、この結果を考慮に入れて、日米共同声明路線について、反省をして進まれるかどうかという点について、お答えをいただきたいのであります。先ほどのお答えの中では、その点について何ら触れておられなかったのでこの点にお答えをいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 昨年の十一月の日米共同声明については私は責任者であり、当事者でございます。今回の沖繩の選挙については、先ほど私、自分としての感じを申し上げたわけでございますが、昨年の十一月の共同声明は、私は日本の国益を守る上からいって、日本の自主的な立場からいっても、これが最善の選択である、私はかように確信をいたしております。
○松本(善)委員 再度にわたって、この選挙の結果についての何らの反省を示されないということについて、私はたいへん遺憾の意を表したいと思います。これは今後の沖繩問題についての政治姿勢にきわめて重大な影響があると思うのでありますが、先ほど同僚委員に対してガルフの問題についてお答えになりました。先ほどは、六十年の権限を付与したというようなことは民政府の指令第一号には一切書いてないということでありますが、これは外務委員会での答弁ということになりますと、私は非常に遺憾な答弁だというふうに思うのであります。確かに文章上はありませんけれども、その第十項に、「一九六九年十一月十日にガルフ・エイジャン・ターミナル社に付与された海床下層土および水域の使用の許可が有効である限り」その権限が、今度の布令で与えられた権限が有効であるということ、このことはすでに外務省は知っておるはずであります。この最初の六九年の十一月に与えられた許可の中に六十年ということがあるわけです。これをいまだに知らないということであるならば外務省は一体沖繩問題をどう考えておるのか、きわめて重大な責任だというふうに思います。その点について、そういう六十年の権限を与えるというようなことは一切事実無根なのか、いままで報道されたことは一切間違っておるのか。それから琉球政府もこの点について撤回の申し入れをしておりますが、これは根拠のないものに基づいて撤回の申し入れをしたのか、この点についての外務大臣の見解を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 本年の八月一日付本指令第一号の発出に至る事実関係については、ガルフ社は、従来から琉球政府及び米民政府と協議を続けていたところ、昨年十一月に至り、同社は、米民政府に対し、同社の精油基地である平安座島周辺の公有水面の使用及び所要の建造物の建設、運営、維持等についての許可方を申請し、米民政府はこれに対し許可を与えた。さらに米民政府は同湾内航行の安全、海水の油濁防止等についての同社の管理責任及び権限を明確にすることが適切であると考え、本年八月一日付で右指令を発出したということであります。しかしながら、米民政府、ガルフ社とも、本件管理権に固執するものではなく、本指令にかわるべき琉球政府の何らかの措置について協議を続けていきたい意向であると承知しております。日本政府としても、琉球政府と米民政府との間の協議によって公正、妥当な解決が与えられるものと考えております。いずれにせよ、米国民政府による右指令は、ガルフ社の管理権が同指令が改廃されない限りにおいてのみ存続する旨定めており、同指令は沖繩の本土復帰とともに効力を失うものであり、またガルフ社の金武湾港における管理権は既得権として復帰後も要求され得るものでは全くありません。右指令において、ガルフ社に六十年間の管理権が与えられた旨の報道はありましたが、右指令にはかかる規定はありません。本件管理権が復帰とともに失効せしめ得るものなることについては、米政府もガルフ社も十分了解しております。これが私の得ている報告でございます。
○松本(善)委員 それは非常に浅いものであります。現に私はここに民政府指令第一号の全文を持っております。私の申しました六九年十一月の許可ですね、それはその中にあるわけです。それについては御存じがないようであります。私はきわめて遺憾であると思いますけれども、この点についてはその内容が外務省に入っているはずであります。あとでそれを資料として御提出いただきたいのであります。その点をお聞きします。
○井川説明員 アメリカ局によく調べさせまして、この次の機会に御答弁その他さしていただきたいと思います。
○松本(善)委員 これはまことに不勉強きわまるものであるというふうに私は思います。そして、もし六十年の権限を付与するというようなことであるならば、当然に外務省は抗議すべきものであります。これは愛知外務大臣の言われることであるならば、来年にはすでに返還協定に調印しようという、そのことを承知の上で、六十年の管理権限を付与するというようなふざけた話、当然日本政府として抗議をしなければならない。この点につきましては新聞報道で、外務省が文書で抗議したということが報道されておりますが、これは事実でありますか。
○愛知国務大臣 とにかく返還が御承知のように本土並み、核抜き、七二年ということがきまっておりますし、そしてその基本線でいま返還協定の話が出ているところへ、六十年間もそういうものが権限が与えられて、それが続くなどということは私は考えられないと思います。いま私に出ている報告を読み上げましたけれども、これは当然効力がなくなるものである。当然のことだと思いますが、しかし、いろいろお調べになったんでございましょうから、こちらも誠意をもって調べてお答えをいたします。
○松本(善)委員 それでは、その抗議をしたということが事実かどうか。これは讀賣新聞でありますが、政府は抗議したということを報道しております。これは事実でないのかどうか。もしこういう、私が申しましたような事実、結果において六十年の権限を与えたということになるならば抗議をする意思があるか。この二つについてお答えをいただきたい。事実かどうかということと、事実であれば抗議をするかどうか。
○愛知国務大臣 事実であるとするならば抗議どころではないと思います。私は率直に申しまして、詳細な、お調べになりましたことと同じような程度に私自身調べておりませんから、その点は留保いたしますけれども、そういうことがあろうはずはございません。ですから、事実そういうことが約束されているとかなんとかいうことであるならば、抗議はもちろんのこと、さようなことがないように、しかと措置をいたします。
○松本(善)委員 それから沖繩問題の最後に、ことしの八月二十一日に、沖繩返還協定交渉と復帰準備作業について、わが党中央委員会は公開質問状を政府に出しました。これについて外務大臣は、九月十二日の沖繩特別委員会で私に対して、正式の答弁をするということを申されたのですが、ずっとされていないのであります。これはいつされるのでありますか。
○愛知国務大臣 ただいまお話しのありました点は、たしか私の記憶では、事態が明らかに進展をしていくに従って私はお答えをいたしますとお答えしたのではなかったかと思いますが……。
○松本(善)委員 正式にお答えすると言われました。
○愛知国務大臣 それじゃ、お答えしました点がまだでございましたら、お答えできるようにいたします。
○松本(善)委員 文書でいただけますか。文書で正式に答える、政府としての答弁をまとめられるということを言われたのですから……。
○愛知国務大臣 できるだけ御趣旨に沿うようにいたしますが、ものによりましては、まだお答えができないものがあるはずでございますから、その辺のところは御了解をいただきたいと思います。
○松本(善)委員 いつまでにいただけましょうか。
○愛知国務大臣 これはいま申しましたように、事態が進むに従ってと考えておりますので、いまはっきり何日とお約束することはできないと思います。
○松本(善)委員 では中国問題について伺いますが、最初に、この問題ではこの委員会におきましても中国の国連加盟ということばが何度も使われております。これは正確でないように私は思うのです。外務大臣は代表権の回復問題として答えられておったようであります。念のためでありますが、中華人民共和国が国連の一員になるということは、これは新規加盟の問題でなくて、中国の代表権の問題であるというふうに政府は考えているかどうか、この点についてあらためて確認をしたいと思います。
○愛知国務大臣 それは正確に条約的、法律的に申しますと、代表権の問題というふうに理解いたしております。
○松本(善)委員 そういたしますと、中国を代表する政権は一つであって、二つであり得ない、そういう意味で先ほど言われたような一つの中国、一つの台湾、あるいは二つの中国という考えはとらないのだ、こういうふうに先ほど来の御答弁を伺ってよろしいでしょうか。
○愛知国務大臣 それは必ずしもそうはいえない場合もあるのではないかと思います。これは先ほども私申しましたように、中国政策というものをどう考えていくかということと、それから国連における代表権の問題と、これは相互相関連はいたしますけれども、場合によりましては今後の、これはまた国連自体がどういうふうに動くかもわかりませんし、そういう点で正確にいえば違う場合もあると申し上げるほうが正しいのではないかと考えます。
○松本(善)委員 そうしますと、中国を代表する政権は二つあり得るという見解をとられることがあり得る、こういうことですか。
○愛知国務大臣 そうではございません。中国というもの自体は、私は一つであるべきであると、かように存じます。
○松本(善)委員 日本政府は蒋介石政権を中国を代表しているというふうに考えて対処しておる、このことについては、そのとおりでありましょうね。
○愛知国務大臣 先ほど来るる申し上げておりますように、第二十六国連総会における政府の態度は従来と変わりませんから、そういうことに相なります。
○松本(善)委員 先ほど曽祢委員が質問されたことにも関係をするわけでありますが、中華民国を名のっておる蒋介石政権を中国を代表しておるものというふうに考えておられる立場で、中華人民共和国と国交回復をするというようなことができるでありましょうか。
○愛知国務大臣 その問題は、あれでございましょうね。やはり中国問題をどう扱っていくかということであり、それから一つの中国とかあるいは二つの中国とか、一つの中国、二つの台湾という説もありますね、世の中に。そういうものとの関連がございますから、私は現在政府の立場だけとして申し上げれば、一つの中国であると言わざるを得ないと思います。しかし、先ほど曽祢さんの御意見の中にもありましたように、いろいろの考え方はあり得ると思うのです、将来の問題として。そういうところにつきましては、私は現在の場合、何とも政府の立場として申し上げることはできません。一つの中国であるべきものであるということを申し上げるにとどめておきたいと思います。
○松本(善)委員 端的に申しますと、日華平和条約、日台条約あるいは日蒋条約ともいわれますけれども、この条約は蒋介石政権が中国を代表するものとして結ばれたものである。言うまでもなくそういうものであります。この条約をそのままにしておいて一体中華人民共和国と国交を回復することができるかどうか、あるいはこれは同質のものでありますけれども、中国の国連での代表権問題、蒋介石政権をそのままにしておいて中華人民共和国の国運代表権を認めるということができるかどうか。同じ質の問題だというふうに思いますけれども、外務大臣にお聞きしたいのは、日華平和条約といわれておる日台条約、日蒋条約、この条約をそのままにしておいて中国との国交回復ができるとお考えになっているかどうか。
○愛知国務大臣 それは結局議論が堂々めぐりするのではないでしょうか。私は政府の立場において中国は一つであるべきものだと思います。そして中国側において、現在のところは双方ともに一つの中国を主張しておられるが、それぞれ自分のところが中国全体を代表するものであるという主張に立っておられるが、これはひとつ話し合いでもって平和的に解決してもらいたい。そして、先ほどの曽祢さんの御意見によれば、それがかりにむずかしいことであろうが、できたらばその姿を日本としても承認すべきであろうという御意見がありましたが、そういう御意見もあるわけですから、そういう事態になってどういうふうに考えたらいいかということをきめるべきである。いま仮定の事実の上に立っては何とも申し上げることはできないと思います。
○松本(善)委員 仮定と申しますよりは、この問題はもう先ほど来の論議の中でも形を変えて各委員から出ておるわけであります。これについて政府がどういう考え方と見通しを持っているかということは国民の前に明らかにしなければならない。私どもは、この日台条約が中国の国連での代表権問題あるいは中国との国交回復の問題で中心的な問題になるというふうに考えておるわけであります。これはそのままにしておいて、何らこれをいじることなしに、蒋介石政権が中国を代表しているという立場のままで中華人民共和国との国交回復ができると考えておるか、できないと考えておるか、これは仮定の問題というよりもう現実の目の前の問題であります。この点については、政府は見解を明らかにできないということでありますか。
○愛知国務大臣 まあ言わせたいと思われる論点は私もわからないでもありませんけれども、現在そんなに簡単に申し上げるような簡単な問題じゃないということは、先ほど来るる申し上げておるとおりでございまして、国民政府があるのに、そして、それと条約があるのに、それを前提にして中華人民共和国を承認することができるかできないかと、こういういまの段階では、私はそういう御設問に対してはお答えをいたしませんと申し上げるのが、政府の立場として正しいと思います。
○松本(善)委員 それでは最後に一つお聞きしておきたいのは、先ほど曽祢委員は、台湾政権を全中国を代表しておるというふうに見るのは明らかにフィクションだ。政府の関係者、自由民主党の議員の中でも、これはフィクションだということを言われておる人がたくさんあります。この中華民国立法院は七百七十三人の定員で、現在台湾にいる者は四百三十九人だということです。この数もきわめてあいまいなものだということであります。しかも、一九四八年一月に選挙で選出をされてから翌年台湾に行って、それ以来改選は行なわれていない。任期は三年であるけれども、その権限を延長して現在に至っておる。こういう立法院である。数もはっきりしない。二十年も前に任期三年ということで選出された人だけである。この政権をどういうわけで全中国を代表しておると見ることができるだろうか。私は、これは明らかにフィクションだ、擬制である、これは正しくないというふうに言わざるを得ないと思います。外務大臣にお聞きしたいのは、この政権がなぜ中国を代表しておるというふうに見ておられるのか、あるいは端的に言うならば、これをフィクションと考えておられるかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 一つの見方からいって、中国大陸は中華人民共和国が支配をしておるという事実を私どもは認めている、これはしばしば政府がお答えしているとおりでございます。
○松本(善)委員 私の申しました問いにお答えをいただきたいのであります。政府の立場は、先ほど来言われましたように、蒋介石政権が全中国を代表しておるというふうに見ておる。先ほども私は確かめました。当然のことであるけれども、いまの質問をするために確かめたのであります。外務大臣はそのように言われました。その根拠をお聞きしております。それは擬制である、フィクションであるというふうにお考えになるならば、そうだというふうに答えていただきたい。その根拠について伺いたいのであります。
○愛知国務大臣 ですから私はお答えしているつもりでございます。中華人民共和国政府が中国を支配しているということは客観的な事実であります。これが私はあなたの御質問に対するお答えであると思います。
○田中委員長 松本君に御注意申し上げますが、予定の時間をだいぶ経過しておりますので、結論をお急ぎ願いたいと思います。
○松本(善)委員 これが最後です。外務大臣に結論的に伺いたいのですけれども、中華人民共和国が中国を支配しているということが私に対する答えであるとするならば、中華民国という名前でいる蒋介石政権が全中国を代表しておるというふうに考えているのは正しくないという結論にならざるを得ないのです。全中国を代表しているというふうには考えていないということが結論であるかどうか、それについて、そうであるかそうでないか、その点だけお答えいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 日華平和条約というようなことにしぼってお答えをすれば、やはり条約というものは、そのできたときの背景や歴史的な状況その他にも大いに根拠があると私は思います。それは、先ほど曽祢委員の御意見の中にもそういった趣旨のことが盛られていると思いますから、そういうことをあわせて考えなければいけないと思います。しかし実際問題として事実問題は中国大陸においては中華人民共和国政府が支配している、これは何人も客観的に承認している事実ではないでしょうか。これが事実であり、そしてもう一つは政治的あるいは道義的背景、歴史というものが日華基本条約においては一つの意義を持っておるということは言えるのではないかと思います。
○松本(善)委員 いまのは非常に矛盾に満ちた御答弁だというふうに思いますが、これで質問を終わりいます。
○田中委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十三分散会