外務委員会 第12号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/04/27
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について、調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。曽祢益君。
○曽祢委員 昨日、中国が人工衛星を打ち上げるのに成功したわけでございますが、私ども本年二月のアメリカのレアード国防長官の議会に対する報告、これは相当信頼できる情報に基づくものと思うのでありますが、それによりますると、中国は大体一千マイルの射程距離を持つ二十キロトン程度の準中距離弾道兵器を七〇年中には配備を始める。そして七〇年中までには八十ないし百基くらいの配備を終わるであろう。また一方大陸間弾道弾すなわち六千マイルの射程距離を持ち、三メガトン級の本格的大陸間弾道弾につきましては七〇年代に発射実験が可能だろう。ことしじゅうにそれから七三年くらいまでには配備ができるようになるのではないか。七五年には十ないし十五基くらいのICBMの配備を擁するのではないか。かような報道もございましたので、中国側の人工衛星の成功には必ずしも不意をつかれたという感じは持っておりません。それだけの実力があってのことだと思うのであります。しかし、いずれにいたしましてもこの中国の人工衛星の発射実験に成功したことは、いろいろな国際的な波紋を起こしていることは事実であります。したがって、この中国の人工衛星発射成功に関して、これを外務大臣はいかに評価されるか、簡単に基本的な評価を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまいろいろ御意見を交えての御質疑でございましたが、大体今回の人工衛星打ち上げの問題については、政府としても案外早い時期に成功するのではないかと見ておりましただけに、このことの事実は事実として、起こりましたことについてはそういうことになったかなという感じを受けているわけでございます。同時にICBMの開発にかねて努力をしてきたようでございますが、ICBMの関係は、あるいはやはり最近の機会に実験が行なわれるのではないだろうか。そうだとすると、太平洋なりインド洋なりに向けて発射することが考えられるのではなかろうかというようなことも想定はいたしておったわけですけれども、そのことよりも先にどういうふうな考え方が行なわれたかわかりませんが人工衛星の打ち上げということ、しかしそういうふうな見方からすれば、今後ICBMと関連なくしては見られないのではないか。政府としては人工衛星の打ち上げについてはこれがほんとうに軍事的な意味というよりも平和的な利用という面に大いにその効果を発揮してもらいたいものだなという希望を持つわけでございます。 それからICBM等についての考え方においては、もう言うまでもないことでございますが、かねて核防条約の問題についても御審議といいますか御論議をいただきましたときにも言っておりますように、現に米ソ間のSALT交渉も進行中でもある。やはり中共としてもこういうものの開発に成功しあるいは成功しつつある、こういう状況下においては、国際的な責任あるいは世界の平和ということについて、もう少し建設的な態度に今後出てくれるように、あるいは国際間の話し合いにも参加するように出てくることが望ましい。私は今回のこうした実験成功についてとりあえずこういうふうに考えております。
○曽祢委員 評価並びに今後に対する希望も交えて言われたのでありますが、もう少し話を詰めて、非常に重大な問題と思うので検討してみたいと思うのでありますが、大体中国が人工衛星の打ち上げに成功したことは、言うまでもなく少なくともIRBMの開発に成功しつつある。配備も始めている。ICBMにも手が届きそうだ、こういうことでありまして、いかにわれわれが科学的、平和的にのみ使ってほしいということを希望いたしましても、現実的な国際政治における意味というものは中国がますます独自の核武装及び核武装を運ぶ弾道弾の体系の開発に成功しつつある、こういう意味だと思うのです。したがって、これが一体現在の米ソ中心の、核強大国中心の世界の政治構造にいかなる変化を与えるのか。やはりこれはかなり大きな変化を与えるのではないか。それがはたして国際平和にプラスなのかどうか。いろいろな中国と米ソの関係、これに非常に大きな影響を与えるのではなかろうか、これを私は考えるのでありますが、外務大臣のお考えを伺いたい。
○愛知国務大臣 大体においてそういうふうに受け取ってよろしいのではないだろうかと思います。
○曽祢委員 特にいま大臣も触れられた米ソ間の戦略兵器の制限に関する、いよいよこれから始まろうとするいわゆるSALT交渉にかなり重大な影響を与えるのではないだろうか。むろんそれは織り込み済みであるといえばそうであるけれども、やはり中国の核開発の、ことにミサイル開発の進歩ということを現実に示したという点において、やはりSALT交渉の前途にますます中国の影を鋭く濃く投影すると思うのですが、この点を一体どういうふうにお考えでしょうか。
○愛知国務大臣 今後の情勢の推移については、私はやはり米ソとしてもこれに対して重大な関心を払いながら、現に進行中のSALT交渉の上にどういうふうにこれを反映させていくか、また、そこからどういうふうな意見、動向が出てくるかということは非常に注意を要するところではなかろうかと考えております。ただいまのところは先ほど申し上げましたように、こういう大勢になってきつつあるということはもう既定の事実というふうにも考えておりましたから、おそらく関係国もそういう意味で織り込み済みということで研究をしておったんだろうと思います。しかしやはり事実は事実としてあらわれればそれだけにまた比重の重さというものを当然予想していかなければならないと思います。
○曽祢委員 米ソ間の戦略核兵器を制限する交渉そのものに非常にむずかしい問題がある。両方とも不必要に軍備を強化したくはないが、さりとて第一撃に対する備えはどうしてもやらなければいかぬ。そこで最近のABMみたいなものをやっているし、もしできるならばむだなABMをつくらないで、そしてこの核兵器のこれ以上の競争は避けられるなら避けたいなという気持ちでSALT交渉をやろうとしているんだと思うんですね。しかし、それにしてもそこに相互の不信感がある。いわんや核兵器を制限するといっても現地でそれを制限しているかどうかを検証する、査察することは、これはソ連のたてまえからいうと許しそうもない。そういう意味だけから見ても非常にこのSALT交渉は望ましいがそれが成果を生むことについての困難が当然あるわけですね。 しかしもう一つ、そこで一番やっかいな問題が、中国という第三の核保有大国がいまできつつある。したがって、ことにソ連は境を接している中国であるから、ソ連のABM網は、ソ連をして言わせればアメリカとの間ならまあまあ話がついてもいるけれども、中国側からの脅威に対してどうしてもやらなければならぬのだ、こういう理屈もあり得るのではないか。またアメリカにしても、かつてジョンソン時代にそうであったがごとく、またいまの政権でも御承知のようにいまのABM網の中にやはり中国からの攻撃に対してもという面もありますが、ソ連に、決してお前を相手にしているのじゃないけれども、中国のほうの出方がちょっとわからないから、これは中国に対するABMとしてどうしても必要なんだ、こういうことに傾きがち。ところがABMそのものは来る核兵器がどっちの国であろうと関係なしにやはりABMができるということに大きな意味があると思うんですね。したがって、実際上中国がますます核大国として乗り出してき、その核保有の内容が程度が現実にソ連なりアメリカを脅威するようなふうになればなるほど、そしてこの中国とアメリカなりソ連との政治的な話し合いが困難だとするならば、単に中国とアメリカ、中国とソ連の関係だけではなく、米ソだけならばもっと話がついたかもしれないのに、中国がそこに入り込んでくることによるこのSALT交渉が非常に困難になる、こういう面を私は心配されるのですが、その点はどうお考えでしょうか。
○愛知国務大臣 私は先ほどから申しておりますように、曽祢さんのお述べになりましたような問題が相当にますます複雑になってくるのでございます。ますます困難さを加えるその面がかなり強くなってきているということを否定することはできないと思います。
○曽祢委員 これは世界の大局に与える一つの心配される影響だと思うのですが、これをもう少し地域を限って中国周辺の非核諸国から見るならば、何といっても中国がもはや準中距離というとあれですけれども、一千マイル、千七百キロメートル飛ぶ核兵器を現実に保持し、それを運ぶミサイルを現実に配備するということになれば、確かに心理的にせよ脅威を感じるのではないかと思うのです。そういう意味からいいましても、中国の意図が主として米ソに対する自衛という立場からやられているということが想像できましても、中国がIRBMの配備を進めていくということ自身が、中国周辺諸国に与える影響というものは相当重大なものがあるのではないか、大国であるソ連に対しても影響を及ぼすのですから。その点はどういうふうにお考えですか。
○愛知国務大臣 この点も大体において私も同感でございます。中共の意図しているところが米ソに向けられているのかどうか、このことも実はまだはっきり分析する余地もあるかと思いますけれども、しかしいま心理的にもとおっしゃったけれども、まことに私はそのとおりだと思うのです。周辺近隣のアジア諸国に対してこれがどう受け取られるか、一言に言ってこれは相当の脅威と受け取られるとしても無理からぬことではなかろうか。どういうふうな反響が起こり得るだろうかということについては、政府としても十分よく見きわめていかなければならぬところだろうと思います。
○曽祢委員 たいへん迂遠なアカデミックみたいなことを申し上げて恐縮でありましたが、そういうような情勢の中で、やはりわれわれが直接に心配するのはむろん日本との関係でありますが、この点について外務大臣の御所見を伺いたいのです。私は中国の核武装ははなはだ望ましくない、困ったことだ、こういうように考える。かといって、日本がここで度を失って衝動的にわが日本の核武装に走るとかあるいは重武装に走るとかいうような対抗策に出るべきではないのではないか。確かに中国の核保有は一つの心理的にもせよ脅威であります。しかし同時にやはり現状だけで見るならば、中国の準中距離核兵器に対してそこにやはりアメリカ、ソ連の核の抑止力というものは、これはきいていると思うのです。逐次それがアメリカに対するICBM等になればなるほど精度が強くなり、また距離的にもアメリカ本国を脅かす、したがってその脅威の程度が違うことは事実であるが、現状において考えるならば、中国のIRBMに対するやはり核大国のソ連やアメリカの抑止力というものは十分にきいていると見ていいのではないでしょうか。そういう意味で、わが国がここであわてふためいて核武装を考えるというようなことはすべきではない。やはり日本としては安全保障の機構あるいは日米安全保障以外にもソ連というもう一つの核抑止力が現実にある、こういうことをやはり見きわめて、いわゆるあわてふためくというようなことは慎んでいくべきじゃないかと思うけれども、そういうことを含めて私の考え方は甘過ぎるのか、伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 結論的に言えば私も大体同感でございます。 まず第一に、こういうことは、かねて先方が着着と準備しておることは情報としては承知しております。そして、同時に日本の安全ということについては、かねての政府としての考え方は間違っていない、かように考えております。すなわち、私はあわてふためいて、あるいはあわてふためくのではなくて、別の角度からも核武装の開発というようなことは考えるべきでないと思います。これは核に対する政府の従来からとってきた体制、方針というものは堅持していくべきものである、かように考えます。同時に、しかし自主的な平和国家としてなし得る自衛力というものと、これを補完するのに核の抑止力ということで、安保条約をもってこれを補完する、これがやはり最善の選択であろう、私はかように考えております。先ほど来お話のございます米ソのSALTの協議、話し合いというものがこれによってどういうふうな変化が行なわれるであろうかということも、やはり米ソのそれぞれの立場において、安全保障についてはどうすればいいかという角度から現実問題として考えるべきものだろうと私は思います。将来こうありたいというようなことについては、これはまた中共側の態度の変化にまつところが多いと思いますけれども、さしあたりの各国のこれに対する対処の方向としては、やはりそれぞれの自国あるいは自国を含む安全保障の体制がいかにあるべきかということについて、最善の考慮をめぐらすのは当然だと思います。そういう点から考えまして、わが国としては現在とっている政策の選択は誤りでない、こういう事態になりましてもこれを推し進めていくべきである、政府としてはかように考えております。
○曽祢委員 そこで、日本の中国に対する政策全般について言及したいのですけれども、時間の関係がありますので、やや観点を変えまして、この間北京で発表されました、覚書貿易継続のバックグラウンドになったいわゆる日中交渉代表団のコミュニケに言及して政府のお考えをただしたいと思います。 私、率直に言いまして、この共同コミュニケができたことによって覚書貿易が継続されたことはけっこうだ。何となれば、覚書貿易は単に貿易だけではなくて、もっと大きな政治的な意味があって、現在の不幸な日中関係の準政府的パイプとしての役割りということで、覚書貿易の継続というものは非常に意味があると思う。したがって、これを喜び、かつここに至る古井君その他の御努力に感謝するものであります。しかし、率直に言って、日本人としてこれを読んでまことにいやな感じに打たれることはいなめないことであります。自分のことにわたってはなはだ恐縮でありますけれども、私は五七年、五九年と浅沼ミッションの一員として中国に旅し、この種に類する交渉に現実に当たった経験もございますが、そういう経験から言っても、一国の総理大臣を呼び捨てにして「佐藤榮作」というような文章は、ちょっと常識から考えても実に考えられない、まことにいやな感じがするわけであります。 それから内容から見ましても、あちらこちらに中国の独断——誤解だけならばいいのですが、独断と言ってもいいくらいのところもあるようであります。それはむろん多くの場合は中国側の発言として書かれておりますけれども、その最大なるものは三点ある。 第一は、日本が軍国主義が復活しておる。これは断定ですね。われわれはその懸念を否定しませんし、そういうことはあってはならない。しかし日本軍国主義が米帝国主義、ソ連修正主義と並べて何か現実の問題としてでき上がったものだという取り上げ方にはわれわれは賛成できないのであります。 また国民の悲願である沖繩返還の交渉の結果が、これをどう評価するにしろ、いわゆる早期本土並み返還の原則はかろうじてであっても貫かれた。ペテンなどということは日本国民は考えておる人は絶対ないと私は思います。危険はあるけれども、ペテンだという評価は間違っておる。 ただ、私どもが考えまして、台湾に対する日米ワシントン佐藤・ニクソン共同声明の言及は、共同声明の中の最大のマイナス点だと私自身は考えておる。なるほど表現そのものは韓国と違って——「韓国の安全は、日本自身の安全にとって緊要であると述べた。」はっきり韓国の安全ということを朝鮮半島に関しては言っておるのですね。ところが台湾のほうは、「大統領は、米国の中華民国に対する条約上の義務に言及し、米国はこれを遵守するものであると述べた。総理大臣は、台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重要な要素である」、よくいえば台湾地域でどっちがやるにしても戦争してほしくないという意味にとれないことはない。ところが、どうも現実にはあまりアメリカの立場を考え過ぎて、台湾で一朝事あるときは、日本地区からの発進に無条件オーケーするのではないかと思われるようにとれないこともない。これは私は共同声明の中で一番譲り過ぎた点ではないかと思うのであります。 そういう観点で、やはりこういったような正式外交文書であろうと、今度の共同声明を見ても、確かにわれわれが中国側のあまりにも激しい意向にそっくりそのままオウム返しになっておりはせぬかと思われている点がありますが、その中でいま申し上げた軍国主義と沖繩返還がペテンであるということのほかに、もう一つ非常に重要な問題だと私思うのは、何といっても台湾に関してであります。これに関してこういうことを言っておるのですね。「中国側は次のように重ねて強調した。中国人民は必ず台湾を解放する。これは中国人民の神聖にして侵すことのできない権利である。」これは中国の立場としてこういう立場を表明することはあり得ると思う。その次に、「いつ、どのような方式で台湾を解放するかは全く中国の内政問題であり、いかなる国も干渉してはならない。」これを受けて、「日本側は中国側の立場に賛同するとともに、」それから中華人民共和国が唯一の合法政府であり、台湾省は中国の領土の一部であり、二つの中国の隠謀には加わらない。終わりのほうは従来から使っておった字句と思いますけれども、台湾問題には二つの面があって、なるほど中国人から見れば中国の国内問題だとこれを強調されるのは当然だ。しかし、これが現実に国際の平和を決定するかぎであることは事実なんです。したがって、日本の立場からいえば、いついかなる場合であってもどういう方法でも解放は御自由ですということはないはずじゃないでしょうか。あくまで日本は、平和的に中国側が話し合ってくれるならけっこうである。実力によって云々ということは絶対困りますよというのが日本の立場ではなかろうかと思う。 そういう意味からいって、この点が私が一番心配する点であります。時間がありませんが、一応その点に関する、あるいは共同声明全体に対する評価について、また私がいま申し上げた諸点についての御所見を簡単に伺いまして、最後に私がもう一点だけ質問する時間を与えていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 覚書貿易に関連する共同コミュニケの問題につきましては、政府といたしましては、先般、御承知のように内閣としてこの声明の中に盛られている事項についての見解を官房長官の記者会見において述べましたことに、内容的には尽きていると思います。その内容的にと申しますのは、いまおあげになった諸点であると思いますが、軍国主義云々については、これはもう全国民的に、率直にいえば誤解どころじゃない、誤解以上のものの見方であって、これについては全国民的にその当たらざることをよく自覚しておられ、またこれに対して政府の考えておりますことは問題なく全国民的な支持を受けているものと私は確信いたしております。 それから沖繩の問題についても御同様でございます。ことに私は当事者といたしまして、あの国民的な要望、国会におきましてもあれだけの御論議を通してコンセンサスができ上がった、早期返還、本土並み、核抜きということを貫くことができまして、着々と返還準備が進んでいることは御承知のとおりでございます。また国会におきましても、もう全会一致で沖繩の国政参加も実現することになった、こういう点について、ペテンだとかなんとかいうことは、こちら側からいえば歯牙にかけることもないくらい、事実はあまりにも明白であり、また政府の態度に対しまして、自由に、公正に、正規の手続によって行なわれて、そして総選挙の結果においてこれが明らかになっておるところを見ましても、これはとかくこちらで言うほどもないくらい、日本的にいえば事柄は明白であると思います。 それから三番目におあげになりました台湾問題につきましても、これはしばしば当委員会でも申し上げておりますように、一つの中国という、国民政府、北京政府の主張については、これはわれわれとしては中国の内政の問題であって、こういう問題は平和的な何らかの処理、そして結末が出てほしいということを望んでいるだけでありまして、とかくそれに対して言うべきではない、こういう態度で来ておるつもりでございます。いわんや、この問題が武力によって解決されるということは、全くわれわれの希望せざるところであって、先ほど御引用になりました日米共同声明あるいはいわゆる総理大臣のプレスクラブでの演説にも御言及いただきましたけれども、台湾海峡においての武力的な紛争ということも予見しない、したくない、こういうことであるということが一項入っておりますことも、これはプレスクラブの演説でございますが、これが基本的な認識であります。万々一武力抗争が起こるようなことがあって日本の安全に関連してくるようなことになればこれはたいへんであるから、そういうことのないようにかまえていこうというのが、この趣旨でございます。したがって、台湾解放をいかなる手段によってもやるのだということを容認するというようなことは、私、政府といたしましては全然容認することはできない、これは明確にしなければならない点である、かように考えるわけでございます。 総じて、もう率直な感想を申し上げますと、先ほど申しましたように、これは誤解とかなんとかいう以上の、あるいは次元の違う問題である、あるいはもっと奥深く、背景その他も十分洞察していかなければならないことである、かように考えております。要するに、ここに表現されたことについて、私個人といたしましては、売りことばに買いことばというような取り上げ方は私としてはしたくない。ここにあらわれているような中国側のものの見方というもの、これはどういうことであろうかということについては、もっと真剣に、深刻に考えていかなければならない、かように思っておる次第でございます。
○曽祢委員 これをもって最後といたします。 そこで、これらの二つの共同コミュニケと中国の人工衛生の成功と、やはり二つ案件として考えてみたいのですけれども、日本の中国に対する政策です。一つは、やはり何といっても中国を国際社会に引っぱり出す——引っぱり出すということばは少し強過ぎるかもしれませんが、迎える、特に軍縮あるいは国連というようなところに出てくるようにしたほうがいいと思います。これをやはり政府としては、国連その他の国際軍縮機関、会議等にぜひひとつ中国を迎えるという、閉鎖社会ではなくて開放社会に迎える真剣な努力をすることは、やはり日本のセキュリティーのために必要だと思います。 第二には、やはり日本と中国大陸とのパイプですが、覚書貿易及びこれを推進された諸君の努力と熱意を買うとともに、やはりパターンとして、こういうのでいいのかどうか。やはり原則は政府機関の接触が一つ、これはもう大使会談、いろいろありましょうけれども、政府機関の接触。それから交渉、接触のやり方があまりにも一方的だ。日本だけが中国側に行って四十日も北京でさびしい思いをすれば、それはもう貿易交渉をまとめさせるためには政治的に譲ってもいいんじゃないかと考えられるのは、心理的に当然だと思うのです。しかしそういうことは必ずしもほんとうの意味の日中の了解にプラスであるかどうか問題があります。したがって、少なくともこういう種類の準政府交渉をするとすれば、やり方においても、必ず日本側が向こうに行くというのでなくて、中国側の要人を日本に連れてきてよく見てもらうことが特に必要だ。あるいは交渉の形式としては、たとえばルーマニアとかなんとか、中国側も安心して行かれるような第三国で、政府交渉あるいは準政府交渉もやられたらいいんじゃないか。日本側が北京だけに行くというやり方も、やはり検討する必要があるんじゃないか、こういうことです。そういったような覚書交渉等について、政府としては古井氏やあるいは藤山さんが行くときにも、しっかりやれ、頼むよというだけでは済まないと思うのです。そして、できたことをただ批評し非難するだけではいけないのであって、どういうふうにしたらいいかというステップをつくり出していかなければならぬ。そのためにはやはり中国の言っているような条件をそっくりそのままのむわけには、これは台湾との条約関係でできないと思います。その他あらゆる貿易上の障害の撤廃、これはもう言い古されたことであるけれども、吉田書簡の取り扱いをやめるとか、あるいはその他の貿易交渉について、特に中国側の人を迎えることにもっと積極的になるとか、あるいはその他いわゆる積み上げ方式をばかにしないで、気象協定にしろ、郵便協定にしろそれもどんどんやっていく。そして最後にはやはり国連における中国の両政府のこの処理についてどうするか、もっと中国大陸の実権者を国連に迎える積極的な努力を日本としてなすべきだと私は考える。これらの点について、外務大臣のお答えを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○愛知国務大臣 政府の外交の基本方針が、緊張の緩和ということにあることはしばしば申し上げているとおりでございます。そういう角度から、これもしばしば申し上げておりますように、政府機関間の接触、対話の場を持って、双方が同じ立場に立って、言うべきことを十分に言い、自由な条件の上に立って自由な意思交換をするということができれば、いま考え得る最善の方法ではないだろうか。これもいつも申しますことですが、抑留邦人というような人道的な問題もあることでもございますし、そこで大使級会談ということについては、いつでもいかなる場所でもということで、こちらは誠意を持って門をたたいてまいっておるわけですが、この点についていまだに門が開けませんことは、残念に思っておるような次第でございます。なし得る努力は今後とも続けてまいりたい。 それから核防条約の調印の際に、政府の内外に明らかにいたしました声明におきましても、安全保障問題あるいは核の問題等については、フランスや中共もこれに参加をするようにして、世界平和のために、核軍縮のために協力をしてもらいたいという日本政府の意向というものは明らかにしておりますことも、御承知のとおりであると思います。これもどうかそういうふうになるようなことに努力をいたしたいものだと考えております。 それから覚書貿易については、これは私といたしましても謙虚に、この覚え書きが出たあとにおきましてもいろいろのことを真剣に考えておるわけであります。またいろいろの立場の方の御意見も謙虚に伺って、政府のとるべき態度を間違いのないようにいたしたい。私なりに努力を続けておるつもりでございます。その中には、たとえば日中間の貿易の量というものは、昨年の実績を見ましてもかなり伸びております。ことしもおそらく友好貿易が相当伸びるのじゃないかと思いますが、それだけに、当初のLTのときに比べて覚え書きの比重がどんどん減っております。こういうことからいって、こういう形式のものを続けても意味が薄くなってきたのじゃないか、あるいは薄くなってきているものに政治会談というものをどうしてもくっつけておかなければならないのだろうかというような意見もございます。それも一面の根拠はあろうかとも思いますが、ただ私率直に申しまして、先ほどお触れにもなりましたように、この共同コミュニケには非常に私も、さっき申しましたように受け取れない、あるいはそれ以上の気持ちを持ちますけれども、しいていえば一つのパイプがとにかくあるということは、これはメリットだと私も考えます。この点は同感でございます。ただこのやり方で今後も続けることがいいか、あるいはその中に改善の余地がないだろうかというような点については、少しじっくり、今回も行かれて御苦心された方々の冷静な御意見なども十分伺いまして、また各方面の方々の御論議なども十分伺いまして、かりにこれが改善の方法があるとすれば、これも考えていいのじゃなかろうか。ただ、これもまた相手のあることでございますから、こちらだけがこの点について一人相撲をするわけにもまいりますまい。こういうふうな考え方で、今後とも善処いたしたいと考えておる次第であります。
○曽祢委員 終わります。
○田中委員長 不破哲三君。
○不破委員 最近の国際情勢に関連をしまして、沖繩の問題について若干伺いたいと思います。 政府は沖繩返還についての構想を示されるにあたって、大体七二年までにはベトナムの問題が解決しているだろうという見通しを何べんも表明されていました。しかし最近の状況を見ますと、ベトナムの問題自体が非常に解決の見通しが明るくない。それからさらに、ラオスとかカンボジアとかいう地域、インドシナ全域に戦火が拡大しており、ラオスの場合にはB52の爆撃とか、カンボジアの場合にもアメリカからの武器の提供であるとか、アメリカからの介入の問題も、ずっと具体的にあらわれてきているという状況にあります。そういう意味で私どもは、沖繩返還の問題と不可分の問題として、こういう情勢に関連しての沖繩の米軍基地の役割り、こういう問題を一そう深刻に考えざるを得ないという状況が生まれていると思いますので、そういう点から二、三の質問をいたしたいと思います。 第一に、沖繩の基地の機能の問題でありますけれども、先日三月三十日の予算委員会で私が質問しました際に、アメリカのレアード国防長官のことばを引いて、アメリカ側が西太平洋全域あるいは東アジア全域に対する作戦補給通信基地としての沖繩の機能を考えている、こういう状態が沖繩の施政権が返還された後に認められるかということを質問したのに対して、佐藤首相並びに愛知外相から、安保条約に基づく本土並み基地というからには、西太平洋あるいは東アジア全域に対する作戦補給基地のようなものは、施政権返還後は考えられないという答弁をたしかいただいたと思っております。 それでそれに関連して、具体的にもう一歩突っ込んで伺いたいのですけれども、その政府の見解は、突き詰めていえば、施政権返還後に、東アジア、西太平洋という地域の中で、政府が考えられている極東以外の地域、その中にはインドシナ諸国が含まれますけれども、こういう地域に対して沖繩の米軍が、沖繩を基地にして戦闘作戦行動に出ようというような場合には、これは認めないというのが政府の方針であるのかどうか。つまり、先日の西太平洋全域に対する戦闘作戦あるいは補給基地としては認めないと言われた御見解は、そういう場合の戦闘作戦行動などについては応じないというのが政府の見解だと解していいのかどうか。その点を立ち入って伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 念のために、前段の前提にされていたところにも触れて申し上げたいと思いますが、ベトナムあるいはインドシナ半島の情勢については、一般的な情勢判断としても私も憂慮いたしております。そしてたとえば当今、カンボジアを中心にした情勢等については大きな関心と憂慮を抱きまして、日本政府としてもなし得る限りの努力、すなわち平和的に処理ができるように、また軍事的な紛争がエスカレートしないように、なし得る限りの努力をいたしたい。これはいろいろ申し上げたいこともございますが、時間の関係もございますから、その意図だけを申し上げておくにとどめたいと思いますが、これと沖繩返還とは、前々から申し上げておりますように、七二年中の返還、核抜き本土並みという原則はかかわりがございませんことを、念のために明らかにいたしておきたいと思います。 同時に、ベトナムに対する米軍の撤退も、先ごろも向こう一カ年間の撤兵計画も明らかにされているということも御承知のとおりでございます。 そこで具体的な沖繩の基地の構想問題でございますが、三月三十日に申し上げたところに変わりはございません。要するに、沖繩の基地が本土並みに日本に返還されてまいります場合におきましては、安保条約の性格、使命のワクの中で、かつ事前協議ということが当然に適用されるというそのワクの中で処理すべきものである、かように存じておりますから、これが範囲が、あるいは対象が広がるということは考えるべきではないと思っております。 それからなお、その当時御質問がございましたしいたしますが、その後も米側からこういう点について公式、非公式を問わず政府側に連絡あるいは要請というものはございません。 それからさらに、いろいろのアメリカ側の言動等を調査いたしておりますけれども、前に申し上げましたように、全体として御案内のようにアメリカの、ミリタリープレゼンスが減少される。そしてこれは予算削減という問題ももちろん関連いたしておりますが、そこで縮小しながら合理化をはかりたい。そこで場合によれば、あるところにおりました補給の司令部というものを他の場所に移転する、そしてマネージメントをより効率化するというようなことが中心に考えられているようでございますから、実質的な大きな問題に転換するとは見られませんし、いわんやただいま申しましたように、具体的にそういう動きもございませんし、またたてまえとしてただいま申しましたようなワクの中で処理すべき問題である、かような考え方、要するに三月三十日にお答えいたしました線と何ら変わるところはございません。
○不破委員 その縮小しながら合理化という問題についてはあとでまた伺いたいと思うのですけれども、念のために重ねて伺いますと、そういたしますと、たとえばラオスとかカンボジアとかベトナムとかいう地域の戦闘行為に対して、沖繩の基地を戦闘作戦行動に使いたいというような問題については、事前協議があっても七二年返還以後はお断わりになるというふうに理解をしてよろしいわけですね。
○愛知国務大臣 これはただいま申しましたように、いま私どもの考え方並びに行動は、少なくとも現状以上に軍事的にエスカレートしないように、平和的な解決策ができるように、周辺の国々も含めまして、早急に何らかの対策を講ずべきであるという態勢に立っておりますから、いまお尋ねのような事態が起こることを予想しておりませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
○不破委員 そうすると、かりに政府が考えられているような見通しがそのとおり実現しないでそのような事態が生まれた場合のことはいまはイエスともノーとも答えられないという御回答でしょうか。
○愛知国務大臣 これは単なる仮定の問題だからお答えできないというのではなくて、政府の意図としてデスカレーションと申しましょうか、平和的な処理になし得る限りの努力を傾倒したい、そして周辺の国々にも呼びかけをいたしておるところでございますから、その目的が達成できるようにここで大いに努力を集結しているときでございますから、それが成功しない場合のことは予想したくない、こういう意味でお答えを補充させていただきたいと思います。
○不破委員 じゃ次に伺いますけれども、そういう七二年返還以後の沖繩の基地の機能を考える場合に、どうしてもその前に基地の返還の交渉の問題がございます。それでこの点についても先日お伺いしたわけですけれども、七二年施政権返還の際に残される基地というのは、日米両国合意した基地に限る。これは従来の地位協定を適用するというたてまえからいって、日米両国の合意した基地だけが残されるということは、確認をしてよろしいでしょうか。
○愛知国務大臣 これはまあ法律的にお答えすれば、返還前は向こうがまだ施政権を持っておりますから、日本の要望に対して向こうがこれをアクセプトし得る、そういう意味で両方の合意のある点で処理をしたいということになると思いますけれども、できるだけ日本側の主張というものは十分に貫徹するようにいたしたいと思います。それから同町に、返還の準備については、先般準備委員会に関連する法律も通していただきましたし、着着とと申し上げてもいいかと思いますが、進めておるわけでございますが、ひとつこの基地の問題については、やはり現場の状況の掌握ということが、これは私からお答えするよりも防衛庁の直接の問題でございますけれども、現地を十分に調査するということが、現場の掌握ということが、そうした話し合いに臨むにつきましても、絶対的に必要な要件でございます。これは返還話がきまります前とあととでは状況もすっかり変わってきたわけでございますから、日米の協力によって現場の掌握、そして沖繩の安全の防衛ということについては、これは当然のことながら日本側の責任になるわけでもございますから、そういう点も踏まえまして、十分現場の掌握ということを早急にいたさなければならない、かように考えております。その上に立って十分日本側の意向が貫徹できるように、日米間の返還準備の段階におきまして話し合いを持ちたい、こういうふうな順序で考えていきたいと思っております。
○不破委員 具体的な整理あるいは返還のプログラム、これは確かに調査の上に立って進められると思いますけれども、それの前提になる外交上の取りきめ、つまり交渉のワクになる取りきめですね、それについて限定をして伺いたいと実は思っているわけです。 それで、私どもが沖繩の七二年返還の際の状況を考える場合に一つの参考になるのは、日本の場合に一九五二年に日本が占領状態からサンフランシスコの平和条約によって状態が変化した、あの時点の交渉ですね、これが一つの参考になると思っているわけなんです。あの際には、この講和条約の発効前に日米間で基地全部について合意がたしかできなくて幾つかの基地は合意できないまま講和発効時点を迎えたというふうに記憶をしているわけです。それで、やはりそういうことは今度の沖繩の基地交渉についても当然起こり得る。それで、先日愛知外相は、日本の側からいってどの基地が必要かということを、これから調査の上検討をして交渉をしたいと言われましたけれども、その結果と、それからアメリカ側の構想が合致しないという場合は当然予想をしないわけにいかないわけですね。その場合に、日本の本土での五一年の条約の場合には岡崎・ラスク交換公文によって意見が合わないものは残すという取りきめがたしか行なわれて、何十カ所かの基地がそういう形で残ったというふうに記憶をしているわけですけれども、今度の沖繩返還交渉の場合に、日米両国の見解が合致しなかった場合、それはどういうことになるのか、その点について伺いたいと思うのです。岡崎・ラスク交換公文のように日本側の要求と合わないけれども残すということが絶対あり得ないかどうか。
○愛知国務大臣 岡崎・ラスク交換公文は、十年前の安保条約改定のときにこれは失効したと申しますか、消えたわけでございます。それから今度沖繩の場合に、かりにそういう点で合意といいますか、両方の見解が十分でなかったという場合におきましては、返還になり発効すれば地位協定が変更なしに適用されるわけですから、そして安保協議委員会におきまして基地の縮小といいますかそういうことも含んで日米間の協議事項になるわけでございますから、本土並みに、返還後におきましては日米の相談の場においてこれをさらに進めていくということになるのが自然の姿であると思います。
○不破委員 その際、つまり地位協定が全面適用されますと、いわば日米合同委員会で協議の成り立ったものだけが貸与をされるということになるわけですね。だからしたがって、その協議が成り立っていないものは施政権返還後の沖繩には存続し得ないはずだということになると思うのですけれども……。
○愛知国務大臣 いま私申しておりますように、かりにそういうことがあった場合には安保協議会というようなことも申したわけですが、その前段において先ほど申しましたように、そう長い期間ではございませんけれども、これから一年余りの相談の期間がここにあるわけでございますから、その間に十分煮詰めてそういう問題が残らないようにしていきたい、これが現在の立場でございます。
○不破委員 そうしますと、念を押すようですけれども、日米合同委員会の場でなり、あるいはそれ以前の交渉でなり、日本側が同意をしないで基地が残るということは、今度の場合にはあり得ない。ともかく五一年の日本の講和の場合には、日本が合意しないまま残された基地が何十カ所かあったわけですね。それがそういう形で保証されたわけですけれども、沖繩の場合には、そういうことは予想していない、あるいはあり得ないというふうに考えていいですね。
○愛知国務大臣 そういうふうに運びたいと思っております。 それからなお十年前の経緯については——正確に言えば二十年前から十年前までの経緯については、私も直接の当事者でございませんでしたから、事務当局から必要ならば御説明いたします。
○不破委員 そうしますと、西太平洋全域に対する作戦補給基地という機能を初めから予定をしている基地ですね、これも存続を認めるかどうかということが返還交渉の中の一つの焦点になるわけだというふうに考えざるを得ないわけです。と申しますのは、先ほど愛知外相が言われたように、アメリカは全般的には縮小計画を立てていますね。合理化をしよう。その合理化の場合にどこに焦点を置いているかというと、いろいろなアメリカ側の構想を聞いてみると、縮小計画の焦点が全部沖繩に集中をされている。それで海兵隊にしても沖繩に集中をして、ほかの地域での配置を減らすあるいは補給問題にしても、沖繩にすべての神経の網の目を集中をして、ほかの負担を軽くする。つまり、縮小合理化計画といって発表されているものが、沖繩あるいは日本というものを限って取り上げてみると、非常な増強計画。むしろ機能の拡大計画という形であらわれているわけですね。これはたとえばチャプマン司令官が発表した海兵隊の構想にしても、とてもことし、来年だけにとどまるような構想とは思えない長期的な形で海兵隊の基地の構想を発表しておりますし、リーサー陸軍長官が発表した補給基地構想については、外相のほうからはただ管理機能だけの集中だという御答弁がありましたけれども、これもいろいろ調べてみると、それだけの、いわば帳簿上の機能の集中とはとても思えない節が非常にある。私どももっと詳しく調べたいと思っておりますけれども……。つまり西太平洋全域の米軍の基地の合理化計画というものが、いわば沖繩にとってみると機能の拡大計画に当たっている。そうなりますと、沖繩に残される基地というものの中に、アメリカの構想には明らかに単なる政府が考えている極東の範囲だけで機能する軍隊ではなしに、初めからインドシナその他を含んだ東アジア全域で機能するということを公然と予想し計画にしている基地の構想が発表されている。これを実際にこういう種類の基地の存続を返還後の沖繩に認めるのかどうかということは単に実態の問題ではなくて、政府が考えている本土並みということの基本的な性格にかかわる問題だと思いますので、念を押して伺いたいのですけれども、そういう機能と実態を持った基地の存続を七二年返還以後は認められないというお考えであるのかどうか、それともこれはやむを得ないというふうに考えられておるのかどらか、そこのところを具体的にというか基本方針として伺いたいと思う。
○愛知国務大臣 基本方針としても具体的な考え方といたしましても、先ほど申しましたように、三月以来申し上げておることを基本方針にいたしております。この点は先ほど申し上げましたように、アメリカ側の考え方といいますか、たとえば海兵隊あるいは補給司令部それぞれにいろいろの計画を持っているようでありますけれども、しかしこれは日米の間の相談の対象でも何でもありませんし、それから日本の沖繩に対する考え方というものは、安保条約の目的、使命そして本土並みということで、そのワクの中で処理をしなければならない。その点については十分にアメリカ側の同意と合意を得なければならない。かりに向こうでほかの要請がありましても、そういう態度で貫いていくべきものである、かように考えております。
○不破委員 そうすると、その点に関連をして、日米共同声明の取りきめというものが一つの問題になってくるというふうに考えるわけですけれども、あの取りきめの中に、第七項に有名な条項ですけれども、「沖繩の施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではない」という日本政府の見解が定式化されておりますね。その場合の米国が負っておる国際義務ですね。これにはSEATOとかANZUSとか極東の範囲を越えた国際条約ですね、これは含まれているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 米国が他国に負っている義務という中にはそういう条約は含まれておると思います。しかし同時に、そのことは何べんも申しましたし、また書いたものでも差し上げておるわけでございますが、それが自動的にそのままアメリカに対する日本の義務とかいうことには絶対にならない。そしてこれは日米の間におきましては安保条約が運用されるわけで、その中には、何べんも申しますが、事前協議その他の条文が安保条約に入っておりますから、その網を通してでなければ日本の主体的な意思というものは表示されないし、その日本側の意向が積極的でない限りは他国に対してアメリカが結んでいる条約の履行というものはそこで制約を受ける、これが条約の構成でございます。
○不破委員 返還後の基地が実際に戦闘行動に使われるかどうかという場合、これはいま言われた安保条約の夢前協議の適用で日本政府の意思に従ってチェックできるということは筋がそれなりにわかるわけですけれども、問題は、先ほどから私が問題にしております初めから西太平洋あるいは東アジアの全域を対象とした、そういう機能を持った基地の存続を認めるかどうかということが返還交渉の中で問題になる場合に、アメリカ側は日本政府の約束した条項ですね、いま外相が言われたように、この国際義務の中にANZUSも入ればSEATOも入るという解釈を日本政府がとっているが、それによって負っている義務を妨げないのだという前提で基地のことを考えるとなれば、政府が言っているように、西太平洋に向けた米軍基地は認めないのだとした主張とこの日米共同声明の文面で約束された主張とは矛盾するのではないか。大体ANZUSについてもSEATOについてもそれの義務を妨げないということを前提にして沖繩返還をやるという立場に立てば、レアード国防長官その他が言っているように、初めから東アジア全域を対象とした基地が沖繩に存続するのも当然ではないかというアメリカ側の主張が十分成り立ってくるというふうに考えるわけですが、その点の矛盾はいかがでしょうか。
○愛知国務大臣 その点は確かに非常に重要な点でございますが、いま私は、SEATO、ANZUSが含まれているとは申さなかったので、米韓、米比、米台というのは、日米安保条約というものがそこへ当然あるわけですから、そういう広範な地域を対象にしたアメリカの負うているコミットメントというものはそこには入ってまいりません。
○不破委員 そうすると、それでは先ほどの答弁が訂正されたわけですけれども、第三項における域内における防衛条約上の義務という場合にも、第七項における極東諸国の防衛のための国際義務という場合にも、政府がいわれている極東の範囲を越えるような条約ですね、SEATO、ANZUS、それは入っていないというのを政府の統一解釈と考えていいわけですね。
○愛知国務大臣 そういうふうにお考えいただきたいと思います。
○不破委員 それから最後にもう一問伺いたいのは、先日の質疑の際に私が施政権返還後の基地交渉、それから施政権返還前の基地交渉、これは本質的に質が違うはずだということを質問したところが、外相は、これは質は変わらないという答弁をされているわけですね。しかし先ほども言いましたように、日本が返還交渉でやる場合には、いま米軍が握っている基地を、今度は七二年以後は日本が貸与する基地に転化をするわけですから、その際には日米合同委員会なりあるいはその他の方法でなり、日米の合意が前提になる。つまり日本が合意をしなければ七二年以後は基地は残らない。そのかわり残った基地については日本の責任が当然生じる。それからまた、一ぺんそうやって日本の合意のもとにアメリカに引き渡した基地を、今度は日本が返還を求める場合には、いま本土でやっているように、アメリカ側の合意が前提になる。つまり日米の合意が逆に成り立たなければ今度は返ってこないということになる。そういう意味では七二年以前の基地交渉と、七二年以後の基地交渉はいわば主客がかわるといいますか、拒否権ということばは正確ではないのですけれども、それ以前なら日本は拒否権がいわば成り立つのに対して、それ以後の問題についてはアメリカ側の拒否権が成り立つ。これは非常に質の違う交渉がやられるということになると思う。その意味で外相が質が違わないと前に答弁されたのはどうも解せないわけですけれども、その点はいまでもそのお考えですか。
○愛知国務大臣 その点はいまでもそういう考え方なんです。ただ法律的にいえば、いまおっしゃったような関係になると私は思いますが、私は日本としての気持ちの上で、日米間でこういう問題については十分話を詰めて合意をしていく、そうしてその目的は、返還後において日本が提供し得る基地のあり方というものを想定しながら返還前の交渉に当たっていく、そういう気持ちを私どもとしては強調したつもりで申したのですが、それはおっしゃるように、返却前と返還後の法律的なステータスは変わります。そういうことを前提にして、気持ちとして私もこれからの交渉に当たりたい。その点に比重を置いてお答えをいたしたわけですから、そういう意味からいえば気持ちは変わっておりません。
○不破委員 それでこれは単なる気持ちでは済まない問題だ。つまり私どもは沖繩の米軍基地が非常に危険な内容を持っておりますから、これの全面的な撤去なしには、沖繩を中心にした平和も、完全な意味での日本の主権もないと考えておりますけれども、政府が考えられている本土並みということをほんとうの意味で貫くためにもその気持ちで交渉をして、その気持ちが十分返還以前に通らなくても、それは返還後の交渉で解決がつくではないかというようなことで交渉されるとすれば、これはいまアメリカが考えている沖繩を中心にした新しい極東の基地体制の再編成を私どもがチェックするなどということはおよそ不可能だ。つまり太平洋全体に対する基地機能の拡大などということは絶対に認めない、そのような基地は、もしも存続させようというのだったら、これは絶対に合意をしないし、日本が拒否権を持っている段階で一切認めない。つまり五一年の交渉当時には日本がやらなかったそういうきびしい交渉をやらなければ、かりに本土並みという政府が掲げていることでさえこれは全く看板だけのものになってしまうと言わざるを得ないと思いますので、その点については問題点を指摘しまして、時間も参りましたから、これで質問を終わらせていただきます。
○田中委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 先ほど曽祢さんとの中国の共同声明の問題で答弁がありましたけれども、この際一つ伺っておきたいのは、中国側が日本の軍国主義を指摘した、これはけしからぬ、誤解だ、こう言われるわけですが、古井さんと中国側の話の内容について、向こうが軍国主義と指摘している根拠、何をもってそう言っているというようなことについては、古井さんから詳細な話を聞かれたのでしょうか。
○愛知国務大臣 まだ聞いておりません。
○松本(七)委員 私どもは、これは感じですけれども、古井さんのテレビ会談とかその他の発言を通じても感じられるのですが、私どもは、さっき曽祢さんもちょっと触れられましたが、軍国主義の危険性は多分にある、こういうふうに見ざるを得ないわけです。それならば中国側があれほどきびしいことばで、かつ断定的に言った根拠はどういうところに求めておるのだろうかということを一応われわれも考えてみなければならないし、ただ政府のように、それはけしからぬ、誤解だ、曲解だといって反論するだけでは、私は問題は解決しないと思います。それは私どもから推測すると、いま不破さんも述べられたように、一つは今後の基地のあり方、特に沖繩施政権返還をめぐって今後の日本の米軍基地がどういうふうになってくるかということ、それから大きくは、これは曽祢さんも触れられましたが、やはり何といっても人工衛生の成功を見た中国の国際的な発言力というものはだんだん強くなることはもう明らかですから、何とかして国際社会の一員に中国を加えるという問題がありますね。今後の国連における日本の役割りは、これは中国の国際的な力が大きくなればなるほど、へたをすると、これは国際的な組織が二分される危険もはらんでいる、それだけにやはり国連における中国の代表権問題というものを日本がどうこれから扱うかということは、かなり緊急を要する問題になってきておると私は思うのです。それからもちろん第四次防衛整備五カ年計画に含まれると予想されるような防衛産業の育成強化、こういうこともやはり当然今後の日本の軍国主義の問題を考える場合には重要視しなければならないことでしょう。さらには朝鮮に対する、特に朝鮮民主主義人民共和国に対する日本政府の態度、先ほど不破さんも触れられましたが、これはベトナムばかりじゃない、カンボジアその他に対する今後の対応のしかた、そういった総合的な日本政府の態度なりあり方を、相手はやはり詳細に分析しておると思うんです。したがって、そういう環境の中で、今後少なくとも日中関係を、貿易の面ばかりではなしに、だんだんよくしていこうという政府の考え方が具体化していくためには、単に日中の問題に限ったのではだめだ。やはり広くこれらの政治姿勢全体のあり方というもの、特に私は施政権返還を契機にしながら、安保がこの六月二十三日から自動延長になるわけですから、政府のそういう方針が大きな誤解のもとにやはりなっていると思うのです。したがって、具体的に私がお聞きしたいのは、われわれが政府の立場になって、ここに何とか日中関係をもっとよくしていこうという場合に、何から取っついたらいいだろうか。先ほどは準政府レベルの交渉をどこかほかのところでやる方法はないかとかいろいろ言われておりましたが、いまそれをやろうとしても、あのようにきびしい批判を持っている中国側がおいそれとそういう交渉に応ずる可能性は私は非常に少ないと思うのです。そこでどうしても、これはもう少し具体的な問題ですぐ政府が一方的にやろうとすればできる問題、そしてこれが中国の誤解を解くためにも大きな役割りを果たし、今後の日中の関係を改善するにも役立つような問題を取り上げるべきではないか。それはいまさしあたり適当な問題というのは、やはり何といっても、いままで政府のとってきた国連における代表権の問題をめぐって、重要事項指定方式、やりたいという気持ちはよくわかりますけれども、少なくとも提案国にはならないというくらいのことは、私はいま一番差し迫った方法ではないかと思うのです。そういう方法をとる意思があるかないか。それから、ないとすれば、何かもう少し具体的な方法でそういう誤解を払拭する方法について考えておられないだろうかという点をまず伺いたい。
○愛知国務大臣 まず具体的な問題として国連の代表権の問題でございますけれども、やはりいまもお話しになるように、これは国際的にも非常に広く深い問題でありますだけに、国連の運営のやり方としても、これほどの大きな問題がほかの問題に比べて単純多数決の方式で取り上げられるということには政府は反対でございまして、重要事項として扱わるべきことは当然であると現に考えておる次第でございます。 共同提案国になるかどうかということについては、この上とも慎重によく検討をいたしたいと考えております。
○松本(七)委員 何かそれ以外に、いわゆる軍国主義という、政府の言う誤解を積極的に取り除く方策についてお考えがありますか。 〔委員長退席、永田委員長代理着席〕
○愛知国務大臣 これは私率直に申し上げるのですけれども、私は軍国主義がすでに日本にできているなどと、全国民が心の中で、そういうことについてそのとおりだと思っている人は、私はないと思っております。ですから、平和憲法のもとにおいて徴兵などを絶対に考えているわけではないし、海外派兵ということばを使いますと、またいろいろと御議論があるかもしれませんが、常識的に言って海外派兵などというのは絶対に考えてもおりませんし、非核三原則をもってやっておるのでありますから、先ほど曽祢さんのおことばもございましたが、私は別に動ずる必要も何もないのであって、もしお考えの中に、中共側が言っていることをそのまま尊重するということになると、これは私どもから言えばたいへんなことになると思います。動ぜずに、妥当と思う国民的な心情の上に立って平和外交を推進していく、これが私は日本政府としての立場であるべきである、かように考えております。
○松本(七)委員 私は、もし政府がどうしても重要事項指定方式の提案国になることを依然として続ける方針であるというならば、次には、政策的に一致しておって、むしろ政府の政策を裏づけるという意味で、前から私どもが主張しておるように、非核三原則、非核武装宣言をやはり最高機関の国会で、この政府の政策を必ず将来実現させる保証として、いつまでもこれがなされるのだ。どうかすると、この非核三原則というものは一時的なものであって、将来はこれは変えなければならぬというような含みのある発言が、自民党の要路の人々からときどき出るものですから、こういうこともやはり、将来日本が核武装についてももう少し変わった方向にいくのではなかろうかという誤解のもとになっていると思うのです。だから、行政府というのはこれは内閣は一時的なものですから、やはり国会の場においてこの非核武装宣言というものをするということが、政府の政策をより諸外国に対して信用させる裏づけになると思うのですが、この機会にそういうことに踏み切られる御努力をする気持ちはないでしょうか。
○愛知国務大臣 私の意見として申し上げますなら、非常に率直に申し上げまして、安保条約の堅持ということを御承認いただけますならば、非核三原則というものは、そのかさのもとにおいて、どういうお取り扱いをされても私個人としてはけっこうでございますが、先ほど曽祢委員にもお答えいたしましたように、安保条約の堅持ということが前提でございますから、その点に御同意をいただけるということが前提になればけっこうでございます。
○松本(七)委員 そうすると安保条約堅持ということは、つまり核についてはアメリカに依存するというその保証があれば、国内における非核武装の国会における宣言はけっこうだ、こういうわけですね。
○愛知国務大臣 安保条約も未来永却なものではないと思いますけれども、現在の時点に立って考えれば、安保条約を堅持するということが私は日本の平和憲法下における最善の選択である、かように考えますから、安保条約を当分の間、相当長期間にわたって堅持するということが合意が得られるならば、それとの関連において非核三原則ということをどういう手続でおきめいただいても、これは私はけっこうだと思います。
○松本(七)委員 そういう問題について、政府は自動延長をやろうという方針をきめているわけですから、もう時期もずいぶん切迫しているわけです。この十年間の安保条約の運用の実態その他今後の見通し等について、いま問題になったような点を含めて国会で十分もう一度論議するということが私はどうしても必要だと思うのです。まあわざわざこの自動延長中に国会の審議がないような状態をつくり出して、早く平穏のうちに自動延長しようというような意図が明らかに見えているわけですけれども、これらについて私どもは正式に国会における安保論争というものをもう少し十分にやるという態度をきめることになろうと思うのですが、外務大臣のこれに対するお気持ちをお伺いしておきたいと思います。
○愛知国務大臣 論議は幾らあってもけっこうでございますけれども、私はいま申しましたように安保条約の堅持ということについては国民的な支持があるものと確信し、またこれが国益のために最善の策である、かように考えております。
○松本(七)委員 そこで、きょうは私は資料要求を兼ねて伺っておきたいのは、安保条約の運用の過程で、いわゆる米軍によるいろいろな被害を受けましたね。アメリカの飛行機が落っこちたとかいろいろありますが、いわゆる地位協定における補償の問題で未整理になっておる債務がまだだいぶんあるということなんですが、どのくらいの額になっているでしょうか。
○東郷政府委員 お話しの問題は地位協定十七条あるいは十八条に関しまして、その実施は防衛施設庁においてこれを行なっておりますが、私の承知します限りでは、そのつど処理されておると存じますが、未整理の分はどのくらいあるか私は存じませんが、施設庁当局ともよく照会して調べたいと思います。
○松本(七)委員 米軍人による故意あるいは過失によって日本国が与えられた損害で、特に十分なあれが行なわれていないものとして、三公社五現業にかかわる補償の分が、意見が対立してそのままになっておるという話があるのですが、その点はどうでしょう。
○東郷政府委員 これは御承知のように、公社の国家機関であるかどうかという地位の問題に関しまして、問題がございまして、その後まだ解決を見ておりません。
○松本(七)委員 そうすると、それが解決していなければ補償額もきまらないわけでしょう。国家機関であるかそうでないかによって負担額が変わるわけだから。そうすると、それの損害補償をしていない分が全額でどのくらいになっているのでしょう。
○東郷政府委員 お話のとおりでございますが、数字はいま手元に持ち合わせておりませんので、ちょっと申し上げられません。
○松本(七)委員 それを詳細な資料を出してもらいたい。委員長にお願いしておきますけれども、特に三公社五現業にかかわるもの、大体金額はそれほど多くはないと思うのですけれども、十七億四千万円ぐらいじゃないかと思いますけれども、この詳細な資料を出していただきたい。それはあとでけっこうです。 それからアメリカ側はあくまでもこれは国の機関だ、こういうわけですね。それだから国の機関の場合には最初の五万四千円を控除するわけでしょう。そうして、あと七五%、二五%で負担するということですね。それで国の機関だというその根拠はどういうところにあるのでしょうか。何をもってそういう主張をアメリカ側はするのでしょうか。
○東郷政府委員 たいへん申しわけございませんが、だいぶ前の話でございまして、私も一時はその議論を全部覚えておりましたけれども、ちょっと忘れておりますが、要するにアメリカのほうではこれに的確に準ずる機関もないものでございますから、政府の監督権とか予算の出どころとか、その他日本の公社の実情をアメリカの頭で判断するとこういうことになるというようなことであったと思いますが、またわがほうの、これは政府機関とは別だとはいいながら、補償の問題に関してはいろいろな主張をしたこともございますので、双方意見の一致を見ないままにまだ解決を見ておらぬわけでございます。 金額は一番大きいのはたしか国鉄でございまして、あと専売公社、電電公社は比較的少額であったと存じますが、いずれこれは取り調べまして、御報告を申し上げます。
○松本(七)委員 これはアメリカ側の主張と日本の主張と詳細に参考資料で出してもらいたいのです。 大臣、これはずいぶん前のことと言われるけれども、ずいぶん前からこういう問題がそのままになっているのですよ。ですからいやしくも安保条約を延長しようという以上は、そういうものを国民が納得できるようにきちっと整理してもらいたい。これをそのままにして、しかも今度は七二年から沖繩の基地が、施政権返還ということで基地が、いろいろさっき不破さんも言っていたように、問題が出てくると思うのですけれども、一たん返還され、認められた基地が確定した後にでも、今度はいままで沖繩で起こっているいろいろな事件と、それから日本本土との関係で、こういうことがあいまいなままに将来続くと、これはますます解決しにくくなると思うのです。ですから自動延長するというこの時期に、十年間の期限の切れたこの時期に、きちっとそういう問題については解決しておいてもらいたいと思うのです。外務大臣いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 御意見は尊重いたしてまいりたいと思います。
○松本(七)委員 それからこれもだいぶ前に言われたことですが、昭和二十九年に洞爺丸のあの惨事が起こったときに、アメリカの軍人軍属が相当死んでいますね。その死亡補償と相殺させる考えがあったといわれているのですね。そのことについては三十五年に小坂さんとロバートソンの会談でこれが約束されたというようなことも言われているのですが、その事実があるのでしょうか。
○愛知国務大臣 これはいまのお話のありました三公社五現業の懸案の中の一つになっておると私は承知しております。
○松本(七)委員 だからそれは約束しているのですね、相殺するという。
○愛知国務大臣 正確にお答えをしたいと思いますから、資料をもう一ぺん読んでお答えいたします。
○松本(七)委員 それではたとえばアメリカ軍が使う電話料金あるいは公団道路の使用料ですね。こういうものについても何か日米間には相当意見の対立があるということですが、どうなんでありますか。
○愛知国務大臣 電話料金にも懸案がございます。これは相当な額でもありますので、ただいま当事者間におきましても折衝が続けられております。
○松本(七)委員 こういう未解決の問題をこのままで自動延長するお考えですか。延長期限までにはきちっと解決するお考えなんでしょうか。
○愛知国務大臣 できるだけ解決をいたしたいと思いますけれども、これが条件というようなことには考えておりません。
○松本(七)委員 それから今度は、適法行為による損害補償はどうなっておりましょうか。たとえば原潜航行のために日本側に損害が生じたというような場合に、これは当然政府は補償要求をされるおつもりでしょうか。
○東郷政府委員 いまの適法行為による請求権というのはちょっとよくわかりませんが、施設提供公害その他については、これも施設庁のほうでいろいろ手を打っておられます。 それからいまの原潜のお話についても、これはたしかある程度見舞い金を出したことを承知しております。
○松本(七)委員 そういうことも資料に出していただけますか。いままで補償した額、それから原潜についての資料。
○東郷政府委員 原潜に関しまして佐世保に幾ら出したか、これは簡単でございますけれども、その他のことはちょっと御質問の範囲がよくわかりませんので、どういうことになるかちょっとわかりません。
○松本(七)委員 だから原潜航行等に準じた、アメリカ政府として故意または過失でない適法、合意の分について日本国側が損害を受けたものがあるでしょう。それから今後も起こり得ると思うのですが、原潜航行等で思わざる被害を受けるということ、将来そういうものについても補償をするという原則が確立しているかどうか。
○東郷政府委員 原潜の場合に関しましても、そういう原則が確立したということではないと存じます。あの場合には、佐世保の港からの魚が売れなかったというようなことが一つ原因になったと思いますが、そのほかにどういう例があったか、今後もどういうことが起こり得るか、いままでどういうことがあったかという点については施設庁等について調べまして、できるものは後日資料として提出いたします。
○松本(七)委員 佐世保であったようなことが今後起こった場合、同じ魚の被害でもいいです。あのときには出したけれども、今後は出さないというのでは困るので、今後もやはりあのような被害に対しては補償するかということなんです。
○東郷政府委員 それはやはり今後起こった時点において、その個々の事件について判定する問題かと存じます。
○永田委員長代理 山田久就君。
○山田(久)委員 それではもう共同コミュニケについてはすでにいろいろな話が出ておりますので、重複を避けて一、二この件についてお尋ねしたいと思います。 この種の政治的発言というものは、皆さんよくおわかりのように、これにはいろいろな背後の事情、またねらい、そしてまた政治的いろいろな意図というようなものが存在するわけですから、この点のいろいろな事情の分析というようなことを離れて、額面通りにこれを受けとめるというようなことはあまり当を得たものじゃない。よく背後の関係を分析した上でこういうものは慎重に対処するという態度で臨まなければいかぬ、こう考えておりますが、おそらく政府もその点では同様な考えであろうと思いますけれども、念のためにその点についてのお考えをひとつお尋ねしておきたいと思います。
○愛知国務大臣 この種の問題の取り上げ方については、ただいまごく簡単なお話でございましたが、山田さんのお考えをお述べになりましたところに私としても同感いたしておる次第でございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、共同声明のでき方とか、あるいはつくり方とか、だれが参加したとかいうようなことは別にいたしまして、ここに盛られた問題の中で軍国主義云々とか、沖繩返還がペテンであるとか、あるいは台湾については武力解放も辞さないかとかいうようなことについて見解が非常に激しく出ておりますが、これらは政府としても、政府の意図するところとは——私、全く誤解という以上に適当なことばがないのでありますけれども、何か次元の違った世界から出てきたもののように思いますけれども、やはりそこにあらわれていることは、政府の考え方、あるいは私が信頼しております国民の大多数の方々の考え方とはあまりも違っていると思いますから、その点だけは明らかに、政府の意図というものを明確にしてということにいたしましたわけで、それ以上に私は売りことばに買いことばというような態度をとりますことは、大国日本にふさわしからざる態度である、こういうふうに考えております。
○山田(久)委員 十分そういう大きな雅量と忍耐で対処されるということは非常にけっこうだと思うのです。さしあたり私の見るところ、私見を申し述べさせていただきますと、この対日強硬発言ということの内容のいろいろな裏面、これに関連しているところの中国の諸新聞、その他要人の発言等を総合して考えてみますと、どうもやはりまだ中国における文化大革命というものの終息、むろん先方は終息したなどと言っておりませんが、これがまだまだ相当国内的な不安な状況というものが存在しておる、そういう事実をむしろ裏書きしているというようなことになるのではないか、こう見られる点が非常にあるのでございますけれども、この点について政府はどのような分析を持っておられるかという点が一つ。 それからもう一つは、実はどうもこれを見てみますと、中共が日本をアジアにおけるライバルとして、そういうかなり強い意識をだんだん出してきておる、日本の経済的な非常な発展というものに相当強くショックを受ける一といってはおかしいのですけれども、この点を見て、これが必然的に政治に結びついてくる、政治の方向なり影響力に結びついていくというようなことになってきたならば、ここには一つ大きな不安と懸念がある、できればひとつ何とかいろいろな方法によって、これに牽制するなり、阻止するなりということを考えていきたい、こういうような考え方もそこにあるようなふうにどうも思われるわけです。 次には、日本の政府の行き方、現政府の行き方をコントロールというか、制肘を加えるという考えに立った場合に、何といってもいまこの政府をつくっておるものは自民党である、ことにこの前の選挙の結果というようなところも踏まえてみると、ひとつやはり自民党の中にくさびを打ち込むと申しますか、そういうような考慮が多分にあるようなふうに見受けられるわけでございまして、御承知のように、毛沢東は、彼の戦術といいますか、自民党の中における潜在的矛盾というものを利用して、これをいろいろな意味で牽制するというような考慮もどうも多分にあるようだ。以上のような、これはさしあたりの私の意見でございますけれども、そこら辺のところは頭の中に置いておいて、コミュニケ自身は、先ほど大臣も申されたように、これは覚書貿易の代表者の資格でやっておるものでございますから、それなりのことは頭に置いておかなければなりませんけれども、やはり全般の動きとして、そこら辺の判断というものも頭に加えながら、さらにその他の分析とともにこの問題についての中国に対しての対処方針を考えていくべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、この辺のところについて、さらに政府のほうに、お考えあるいはまた特に分析というようなものがございましたらお聞かせいただきたい、こういうように考える次第でございます。
○愛知国務大臣 政府としても、あるいは外務省としては特にそうでございますが、先ほど申しましたようなことはともかくといたしまして、こうした中共側の態度の表明というものをいかに分析し、いかに理解するかということについては、ほんとうに真剣に情勢の分析を詰めてやっております。また、先ほど申しましたように、日本国内におけるいろいろの見方についても謙虚にいろいろの見方をとり上げて、将来の検討の資料にいたしたいというようなことを考えておるわけでございます。こういうことを申しますと笑われるかもしれませんが、中共内部、毛沢東主席にしても周恩来氏にしてもずいぶん御苦労なことだと私は思います。やはり国内的に、あれだけの大きな国であれだけ多くの国民のあるところで、これをどうやってまとめていくかということについてはずいぶん苦労があることだろう、想像にかたくないと思います。また、文化大革命が終息したというわけでありますけれども、それだけにまた国民の中には、俗なことばでありますが、リラックスしたいという気持もあるいは出てきつつあるかもしれませんが、そういう面も含めて対外姿勢については、これまたずいぶんいろいろと苦心をしておることと想像しているわけであります。そういう点から、今回の覚書貿易の問題だけではなくて、四月の初旬には北鮮に周恩来氏も出かけて、この共同声明なるものもまた私どもからいえばずいぶんきつい対外硬の態度を明らかにしております。それらもあわせまして、やはり私どもとしてはあらゆる情報あるいはそれから出てきます判断等の上に立って、日本としてとるべき態度というものを十分堅実に考えていかなければならないと思います。 〔永田委員長代理退席、委員長着席〕 ただいまのお話の中にもいろいろの示唆がございますけれども、なるほど一面には、日本がこれまで敗戦後再建の努力を続けてきたその成果が非常に上がっているということに対する認識も、私は相当これに関連があるのではないかとも思われます。同時にまた、奇妙なことには、最近の総選挙が行なわれましてから以来、あの総選挙の結果等については中共側から何らのコメントが公式、非公式に出ておらないこともまた一面興味のある点ではなかろうか。そういった点にも、いままでいろいろ先方も考えて、そしてこういう態度に出てきたのではなかろうかと思われる節もないではない。こういったような点も、確かに御示唆のあったような点もあるように思われますが、要するに、先ほど曽祢さんにお答えいたしましたように、動じないで、そうして日本としての主体的な独立を守るということに徹してまいりたいと思います。私どもから言えば、内政不干渉ということは先方があれだけ大きなスローガンにしているが、人の国に対してはこれほどのことを言われるというのにも、また何かの意味があるのかもしれませんが、そういうことも冷静に分析判断していく必要があるかもしれません。お答えにならぬかもしれませんが、しいて申せばそんなふうな感じを持っております。
○山田(久)委員 われわれの政策というものが、単なるムードや思いつきということではなくて、やはり徹底した客観的な情勢判断、情勢分析というものによって打ち立てられる、こういうことがぜひ必要と考えられるところでございますので、本件に限りませんけれども、ひとつこの問題についても徹底した情勢分析をぜひ行なっていただきたいと思うのです。それに基づいてひとつ長期的な対中共政策というものも打ち立て、また短期的な面において何が可能であり、何が可能でないか、そういうようなことについても、はっきりした見きわめをつけ、それに対していろいろの対応策を考え、また言うべきものははっきりした態度を表明するというようなことが必要であろうかと考えるわけでございます。さしむき中国のほうで言っている点とか、そういう点では台湾問題とかいうようなことを中国問題として取り上げているようでございますけれども、いずれにしてもこの日米関係の中においては、中国問題の占めているウエートというものは非常に重要であることは御承知のとおりでございます。今後この中国問題の対策をいろいろわがほうが立てていくについても、そういう意味においては、日米間の率直な話し合いというものが必要でございますし、そういうような考慮から、米中関係というものに一つの動きが出てきたということは、むしろわが国にとってはこれを歓迎する、あるいは進んでこの点についてはわがほうの考え方でリードしていくというような心がまえも必要であろうと思います。いずれにしても、すでに日米間においてこの問題は当然十分話し合われているとは思いますけれども、さらにひとつ、日米間の一九七〇年代における大きな外交的な課題として、話し合いをこの点において詰めていただくことが必要だ、こう考えておりますが、この点についての外務大臣のお考えはいかがでございましょうか。お尋ねいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 これはごもっともでございまして、アメリカとの間の情報交換あるいは自由な意見の交換ということについては、従来からも意を用いているつもりでございますが、なお一そう緊密にやってまいりたいと思います。 なお、お尋ねはございませんでしたけれども、最近は、自由圏諸国はもちろんでございますが、共産圏その他の国々からも万博などの機会に非常に多くの外国の指導者が日を追うてておられる。万博はともかくといたしまして、この機会に、いながらにして外交問題についていろいろの意見交換ができまして、たいへん有益であると考えている次第でございます。 また最近は外国におきましても、ちょうど幸いに国会後になりますが、引き続き国際会議が次々と行なわれますので、いろいろそういう点も活用いたしまして、日本として誤りのない進路を歩むことができますように、必要な適切な情報の収集あるいは意見の交換ということに特に積極的につとめてまいりたいと考えております。
○山田(久)委員 次に、先ほど外務大臣がちょっと触れられましたけれども、中国と北鮮の間の新たな動き、これがこの間の周恩来首相の北鮮訪問と共同声明というようなことで、新たな動きが出ているわけでございまするけれども、あの共同声明等を通じて見られるところから一体——この中国と北鮮の従来の関係は御承知のとおりでございます。ここの新たな動き、これをどういうふうに考えていったら、いいか。またこの動きに対して当然、まあわれわれの見るところではソ連は内心非常に穏やかでないということであろうと考えておりまするが、その前のあるいはその後においてソ連と北鮮との関係において何か、つまり昨今の関係についてそれを察知するような動きなり情報なりがございましょうか。この点についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 まずこの中共と北鮮の関係は、これはもうよく御承知のとおり、一九六六年文化革命が大体始まったころから、中共、北鮮の関係は急速に悪化しておったようでありますし、その後ある時期にはほとんど断交状態を思わせるような状況であった。ところが昨年の末ごろから両国関係は漸次好転のきざしを見せ始めて、本年に入ってから両国が大使を交換した。で、今回の周恩来の北鮮訪問というものは、両国の関係が相当の程度に回復したということを示しているものではなかろうかと考えられるわけでございます。中共側としてはやはりこれから外交的にも、先ほど申しましたようにいろいろ苦心をしておるところだろうと思いますが、北鮮との関係を調整するということがまず外交姿勢展開の手始めというような考え方があったのではなかろうかと想像される節もございます。同時に北鮮側としてはやはりソ連との関係というものをまた十分考えていかなければならない。そういうような微妙な点が共同声明などからも読み取られるのではなかろうかと思います。 そういうわけでございますが、この件に関してその後ソ連側からあるいはその他の方面から、何か新しい情報がないかという趣旨のお尋ねでございましたが、大体いま申しましたような情勢が見受けられるという以外には、新たに申し上げるほどの進展はないようでございます。 また中ソ関係においては、北京会談はとにかく続けられておる。ともかく国境紛争のようなものは何とか再び起こらないようにするということを最小限度にこの会談を続けることによって維持しているのではなかろうかとこういうふうに見受けるわけでございまして、それぞれに、あるいは中共側のほうがもう少し強いかもしれませんが、公にされている新聞論調等においては非難の声が依然として強い姿勢で続けられているということは、御承知のとおりの状況でございます。
○山田(久)委員 最後に、現在の仏印の情勢についてでございまするけれども、カンボジアの動きその他を見ておりますると、仏印の問題というものは、ベトナム、ラオス、カンボジアとこうあるけれども、その相互の関係はまさに非常に不可分な関係にあるということを思わせるものがございますし、まああそこの安定ということがアジアの平和についてきわめて重要な問題である、そういう認識を新たにさせるものがあるかと存じます。昨今の造反外交から立ち直った中国でございまするけれども、動きを見ておりますと、カンボジア等の動きも関連いたしまして、中国がこっちのほうにかなり影を映し始めているというような感じ、これはわれわれだけの感じではなくて国際的な専門家もそういうような動きを非常に注意深く見ているようでございまするけれども、まあ昨今のここら辺の動きについて、特に外務省筋といいますか外務大臣はどのように発展推移を考えておられるか。ひとつこの点について御意見を承っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 インドシナ半島の状況全般については政府としても非常に大きな関心を持っておる次第でございます。ことにここ数日来のカンボジアの状況については、率直に言って非常に心配でございます。先ほどもちょっと申しましたが、戦争的な紛争というものがこれ以上拡大しないように何とかして平静化するようにということについて、日本としてもなし得る限りの協力、努力はいたさなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。 幸いに去る十五日から十七日までエカフェの会議がバンコクで行なわれました。きわめて短い期間でございましたが、それにもかかわらず参加国の中の特にインドネシアのマリク外相、それからタイ国のタナット・コーマン外相、それからニュージーランド、あるいはさらに進んで豪州というようなところの政府筋の人たちが、期せずして、周辺諸国あるいはアジア太平洋の国々としても何とかひとつ協力して平定化に共同した努力をしようではないかという声があがりまして、その後もいろいろと外交チャンネルを通じまして相談をいたしておるのでございますが、これからの情勢の推移にもよりますけれども、何らかの形でこれらの五カ国あるいはさらに進んでもう少し広い範囲において、共同して相談をし合って、そしてしかるべき方法、合議の上で何らかのアピールをするなりあるいは何らかの措置を共同してするようにしようではないかということが、ある程度具体化するような状況に現在なりつつある。日本政府といたしましても相当の期待を持ち、かつこれに対しては及ぶ限りの努力をいたしたいと考えておるようなわけでございますが、何ぶん紛争が起こりあるいは起こらんとしているときでもございます。日本国が徹底した平和主義の国であるたてまえのもとに何らかの協力の姿をあらわそうというところに苦心の存するところでもございますので、そういう方向に向かっていま努力を続けている次第でございます。 特に中共の投影とかあるいは影が何らかの意味でさしているというふうには、いま私どものやっておりますこうしたような動きの中には、その要素というものは大きくは出てきておらない、こういうふうに見ております。
○山田(久)委員 これで終わります。
○田中委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は、先ごろの、いままで御質問がありました政治コミュニケといいますか、会談コミュニケの問題について伺いたいと思いましたし、また、私どもなりの背後の分析等もしたがったのでございますが、この問題はある程度出ておりますし、また本会議等の質問等のこともございますので、それを勘案いたしまして、一点だけお伺いをしておきたいと思います。 先ほどの外務大臣の御答弁を伺っておりますと、このコミュニケにつきましては、真剣に、深刻に考えていきたい、あるいはまた、謙虚に取り上げて、そしてよく研究をしていきたい、こういうふうなお答えでございました。私、考えますのに、先ごろの内閣委員会で、総理大臣がたいへんに何か怒りを込めて強硬な発言をされたのとはたいへんに違っていられて、そういうふうな態度でやはり臨んでいらっしゃるということが、私は必要じゃないかと思いますが、それにはやはり何といっても、今度帰ってこられた方々との話し合いをして、その中で、じっくりと話した中でやっていかなければならない問題、あるいは考えるべきことは考える、こういうふうにしていかなければ、なかなか日中の関係というものはよくならないのじゃないか、こういうことを考えるわけでございますが、この点のことをお話し合いをして、取り入れるべきものは取り入れつつやっていくというお考えがあるかどうか、念のために伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 ここのところが、まあ私から申すと非常に大事なところだと思うので、もう一度申し上げたいと思いますけれども、私は、だれがつくったかどうかということは別にいたしまして、この覚え書きの上に出ている、特に先ほど曽祢さんも、三つの点に焦点をしぼってお尋ねをいただきました。その三つの点は非常に大きな問題点である。この三つの考え方については、政府としては全く理解ができない。反対かと言えばもちろん反対だ、その点だけは、政策の根本の問題ですから、日本政府の態度を明らかにいたしたわけでございます。その点が一つでございます。 それから、私が謙虚に、真剣に、深刻にと申しましたのは、この覚え書きに盛られたこと自体を取り上げるという意味ではございませんで、中共側がこういう姿勢を示している、あるいは先ほど述べましたように、北鮮側と共同声明を出している、そういうような背景やこういうような態度を表明しておること、さらに、これをある意味では裏づけたというとまた間違いかもしれませんけれども、これまた人工衛星の問題というようなものもここに出てきたわけでございますが、それらの一連の中共側の態度が何を意味するものか。場合によれば、問題は、正確に認識した上に立っての、政治的ポスチュアであるというふうな面もあるかもしれませんし、また、そうでない正真正銘のポスチュアであるかもしれませんが、それらの情勢分析等を真剣に、謙虚に研究をしてまいりたい。そうして、われわれとして、中国政策について考えるべきところは真剣に考えてまいりたい、いまこれが出たからといって、動ずべきことではない、こういうふうに申したわけでございまして、私がこの覚え書きに出ている事柄自体を、真剣に、謙虚に取り上げるという意味で申したわけではございませんことを念のために申し上げておきたいと思います。
○戸叶委員 覚え書きそのものについての政府の立場なりお考えなりはあろうと思います。しかし、それによって来たる背景というようなものにもいろいろあると思います。そういう意味から申しまして、やはり、こういう覚え書き自体も含めながら、あるいはまた中国に行ってこられた方々の感触等もいろいろお話し合いになって、そうしてその上に立って日本が今後中国に対してどういう態度をとっていくかということをおきめになっていくということが必要ではないか。と申しますのは、私どももこの委員会にぜひこの間中国へ行かれた方々に来ていただいて、非、公式にでもいいからいろいろお話を伺いたい、こういうふうに考えているわけでございます。中国と日本との関係というものは、今後におきましても、アジアの平和ということから考えても非常に大切なことでございますから、そういう点を特に真剣に考えていただきたい、これをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○愛知国務大臣 私といたしましては、もちろん十分時間をかけてお話もゆっくり伺いたいと思っております。ただ、政府の代表という意味でも何でもございませんから、そういう点で私なりに配慮をいたしておるわけでございます。同時に、先ほど以来、動じないということを申しておりますのは、私の気持ちでございますから、何も一日を争ってというよりは、とっくりひとつ冷静にお話を伺ってみて参考にしたい、この点については私はそういうふうな考えでおるわけでございます。
○戸叶委員 先ほど曽祢委員からも、たとえば一つずつできることからやっていくことも、積み上げ方式も必要ではないか、こういうことを言われたのですが、私は藤山代議士がテレビで話をしていらっしゃるのを聞きました。その中で、聞き手になった方が、政府は今度の国会で、選挙以来一つずつ、前よりもある程度前向きに答弁しているじゃありませんか、中国のことについては。というようなことを聞いていたと思うのであります。そうすると、藤山代議士が、それでは、だめなんで、言うだけではだめなんで、やはり一つ一つ実現できることをやっていかなければだめなんで、実行しなければだめなんだ、こういうふうなことをおっしゃったのです。私も全くそのとおりだと思うわけですけれども、先ほど曽祢委員がいろいろ例をあげてお話しになりましたが、それについてのお答えはなかったように思いますが、いま藤山代議士のおっしゃったようなこと、そういうふうなことについてはどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○愛知国務大臣 私、率直にお答えをいたしたいと思いますけれども、従来いろいろ話題になっておりましたようなことを並べ立ててみましても、そういうことでこの大きな複雑な問題がにわかに解けるとは思いません。それからもっと率直に申しませば、こちらだけが一人相撲で、差し出される踏み絵を一つ一つ踏んでいくということは、私は日本外交のやり方としては拙劣であると考えます。
○戸叶委員 確かに私は大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。いろいろなことを並べてもしかたがない、むしろやはり中国に対する基本的なかまえというものをはっきりさせていかなければ、もう日中関係というものは打開できない、こういうふうなことを結論としておっしゃったのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、これらの問題についてはあとから伺いたいと思います。 もう一つこの基本的な考え方として、たとえば、これは党内のことですから何とも申し上げませんが、自民党の中には、いわゆる土下座外交などという失礼なことを言っている方もいらっしゃるようでございますけれども、しかし今度のいろいろな御苦労の中から覚書貿易を結んで共同コミュニケというようなものを出された、コミュニケを出されたという背後には、ほんとうに御苦労があったと思うのですが、一つの日中のパイプという意味から申しましても、やはりこういうことは必要であったというふうに評価をしていいと思いますが、これは基本的な問題ですから、大臣にその御意見のほどを伺っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 この点は先ほども申し上げたつもりでございますけれども、これに対してもいまいろいろの意見があると私は思います。端的に申しまして、覚書貿易というものが現在の状況においてどれだけのメリットがあるだろうか、こういう点についての批判なり反省もあることは、これはもう事実でございます。たとえば貿易の量全体に対して一〇%になるかならないか、その代償としてこういう声明を出されるということはいかがであろうかというような見方もあることは、御承知のように事実でございます。また反面におきまして、その覚書貿易ということはともかくとして、こういうパイプがとにもかくにも持たれているということは、メリットとして評価すべきではないか、これも傾聴すべき御意見だと私は思います。それやこれや、先ほど申しましたように、一日や二日で政府としての態度をきめるべくあまりに大きな問題でございますから、先ほど来申しておりますように、いろいろの見方や見解を謙虚に聞きながら、この次はどういうふうなやり方で、継続するとすれば継続したらいいか、あるいは方法論その他に改善の余地があるかないか、あるいは当方があるとしても、相手のあることでございますから、向こうの対応の可能性はどうであろうかというようなことをやはり真剣に検討していかなければなるまい、私はこういうふうにいまのところ考えておる次第でございます。
○戸叶委員 この問題は別の機会に聞くことにいたしまして、先ほど山田議員が触れられましたカンボジアの問題について二、三点伺いたいと思いますが、先ごろ、シアヌーク元首が旅行中にロン・ノル首相が実権を握られまして、そして間もなくベトナム人の多量虐殺がございました。私どもはあれを新聞で見たりテレビで見まして、ほんとうに身ぶるいをする思いをしたわけでございますが、あんな人道主義に反することが行なわれていいのかしらというような義憤さえ感じましたけれども、これに対して、やはり日本の政府としては何か国連の場にこの問題を意見を具申するなり、あるいはカンボジア政府に対してこういう問題について何か言うなり、そのくらいのことをしてもいいのではないかというふうな気持ちを私ども持ったのでございますけれども、このことについての外務大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○愛知国務大臣 これはごもっともなお考えと思います。私も、そういう考え方も含めまして、何とか日本として手を差し出すべき時期である、しかも、日本は利益代表を頼まれているということもありますけれども、むしろ日本だけというよりも、たまたま、先ほども山田さんの御質疑にお答えいたしましたように、周辺のアジアあるいは太平洋沿岸国でもかなり真剣な心配を表明しておることが私も実感をもって掌握することができましたから、できればこういう各国との協力の中に立って手を差し伸べることが、それだけ力強いのではないかと思います。そういう方向でいま急速に努力を展開しておるわけでございます。場合によれば関係国の会議というようなものもあるいは開催されるようなことになるかもしれませんし、必ずしもそういう方法にはとらわれないで、なし得る方法というものはほかにもあり得るかと思います。急速に方法論を研究中でございます。
○戸叶委員 日本が何か援助するとかなんとかいうのじゃなくて、虐殺事件そのものに対して私どもは憤りを感じたわけです。だから、そういうものに対して何らかの意思表示なり、また外務大臣はああいうことに対してどういうふうにお考えになるか、そのことに限ってちょっと伺っておきたいと思います。あとの問題はあとから質問させていただきます。
○愛知国務大臣 これはもう人道的な立場に立って、問題なく、こういうことはまことに困ったことでございますから、政府といたしましても、当該の政府等に至大な関心を表明し、遺憾の意を表明していることも事実でございます。
○戸叶委員 アメリカの報道官の発表によりますと、いまカンボジアにベトナムの人が四万人入っているというようなことをいわれているわけです。私ども考えてみますのに、シアヌーク殿下のいられたときにも、やはり国境のところに解放戦線だとか、あるいはベトナムの人があそこを通るという意味で、いたと思うのでございますけれども、今回特にシアヌーク殿下からこのロン・ノル将軍にかわられまして、そしてこういうふうなことがアメリカから発表されたということは、シアヌーク殿下のいたときとかわって、そこら辺を通った、そこにいた人たちがもっと中まで入ってきたというふうに解釈するわけでございましょうか。この点はどういうふうに解釈したらいいのかと思って、私はわからないのですけれども、政府としてはどんなふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
○愛知国務大臣 この辺のところになりますと、公式の見解の表明というものはなかなか掌握できない点も多うございまして、日本の政府としてこれこれの者がこの程度にいつのときからいた、あるいはいたらしいというようなことは、申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますし、また、ただいまも申しましたように、周辺の国々などといろいろと協議をし、情報を交換するというようなことは、そういう面も私は役に立つのではないか、かように考えておる次第でございます。
○戸叶委員 アメリカが式器援助を依頼されて、そして武器援助をしたというようなこともいわれておりますし、また韓国も場合によっては兵隊を出してもいいというようなことまでいうほど、援助をしようとしておる。そういうふうに韓国に対して援助を求めているわけでございますけれども、日本には当然そういうことはいってこないと思いますが、日本の政府が何かの形で、たとえばいわれてきたときには、一体どういうふうな形をお示しになるのか、その点も伺っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 実はカンボジア政府、ロン・ノル政府といたしましては、広く各国に対して援助を求めているわけでございまして、その援助を求めたという書簡の写しと申しましょうか、それを外交機関から外務省に伝達してきておりますけれども、これに対しては日本といたしましては、武器援助というようなことはもちろん考えておりません。ただ、いまどういうふうにすべきかということは、何としても戦争状態がエスカレートしては困る、何としてもこれがデスカレートして平和的に落着をしてもらいたいために努力をしたい、こういう観点に立っておりますので、どういう方法をとるかということを含めて、まだ政府としてはきめておりません。ただ、先ほども御指摘がございましたが、虐殺事件などということはとんでもないことですが、同時に相当の避難民と申しますか、これは大量にカンボジアに入ったりしておる事実もあるようでございますから、場合によれば人道的な立場で、具体的な救援でも求められれば、場合によっては何か考えなければならぬ場合もあり得るかもしれませんけれども、その辺のところはまだ、しかと実情もわかりませんし、また政府としての態度もきめておりません。
○戸叶委員 アメリカが武器援助をやるなどということによって、だんだん戦線がエスカレートしていくような危険性をはらんでいるわけで、私どもたいへん心配をするわけです。 そこで、カンボジアは中立を守っていた国ですから、中立は守っていってもらわなければならないし、そういうふうな角度からやはりみんなが考えるなら考えていくべきであって、一方の陣営の刺激をするような形をとるべきではない、私はそう思うわけです。 そこで、日本の政府として、何か援助を求められれば人道的な立場から援助をする、武器援助はしない、そういうふうなことをおっしゃっているのですが、そういう人道的な立場の援助であるならば、やはり赤十字を通してやるべきであって、日本が直接にすべきではないのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、この点についてはどうお考えになりましょうか。
○愛知国務大臣 やはり全体の考え方としては、カンボジアについては、一九五四年のジュネーブの協定といいますか、話し合いがございますから、その線で、そして、現在の政権も、前政権と同じように平和中立という路線を継承したということを宣言しておるわけでございますから、各国の協力で一九五四年の協定の線に戻るようになれば、これは一つの全体としての大きな行き方ではないかと思います。 それから、具体的に救援の問題でございますが、ただいま赤十字云々というお話もございましたが、われわれとしては、方法も、出るか出ないかも、まだきめておらぬわけでございますけれども、人道的な立場ということから申せば、お話しの考え方も示唆のあるお考えである、かように考えております。
○戸叶委員 けさの新聞で、日本の船が二隻カンボジアのメコン川で何か銃撃を受けたなんて書いてございましたけれども、この点については詳しく情報が入っておりますか。
○愛知国務大臣 この情報に接しまして、非常に憂慮いたしておるわけでございます。さっそく抗議及び真相の詳細な調査報告を求めております。もう来ておるかと思いますけれども、こちらへ参りましてからまだ入報がございません。重大な関心を持っております。 なお、あわせてお答えいたしますが、幸いに、前々から十分な警戒手配いたしておりますが、在留邦人等には現在のところ心配はございませんようです。
○戸叶委員 在留邦人も大ぜいいることですけれども、このままの状態に置いてもいいという政府のお見通しでございますか、それとも、なるべく早く何とか処理しなければ、帰ってきてもらうなり何なりしなければならないというようなお見通しでございましょうか、この辺のところを伺いたいと思うのです。と申しますのは、アメリカが武器援助をしたのどこが何したのということになりますと、私どもはたいへん心配をいたします。また、B52がたいへんにエスカレートしてどんどん飛んでいくというようなことも聞くわけでございまして、このアジアの一角でそういうことが行なわれているということは、たいへんに、私どもにとっても黙っていられないことでございますから、もっと早急にこういう点を調べて、そして報告をしていただきたいと思いますが……。
○愛知国務大臣 在留邦人につきましては、ただいまのところ心配はございません。しかし、ただいま申しましたように、状況は注意深く見守っております。それから、万一の場合の措置等についても、十分前もっての計画、準備はいたしておりますので、ただいまのところはまず心配はないと思います。 その他の点につきましても、私といたしましては、先ほど山田さんのお尋ねにもお答えしたのですけれども、ちょうど、これも幸いだったと思いますが、十六、七日以来、関心の深い国々とお互いに積極的に心配をし合いまして、すでにいろいろ相談をし合っているということも、もうすでに何らかの影響力を及ぼしつつあるやにも私は見受けているわけでございますが、さらに積極的な段取りを積み上げてまいりたいと考えております。
○戸叶委員 いま外務大臣がお考えになっていらっしゃるような関係国との話し合いということですけれども、この関係国としてあげられている五カ国というのは、大体ベトナムに参戦している国だとかあるいはアメリカに好意的な国だとかいうような形の国でございまして、なかなか中立政策を今後も続けさせていくというような結論が出ないのではないかというような感じがするわけです。もっと幅広く中立国などの意見も聞くような形にしていかなければ、この中で話をしているだけでは、このカンボジアの、いわゆるいままでのような中立というものが保てるような議論が出てこないのではないかということを考えますけれども、この点についてはどんなふうにお考えになりますか。 ことに、アメリカが、グアム・ドクトリンというようなものを提唱しているわけでございまして、そういうふうな渦中に日本が巻き込まれるような形になりはしないか、これを私は心配するわけですが、この点についての外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 その点がまさに私が一番くふうを要するところであると考えております。一方に偏するようなことの形になったり、そこに引きずられるようなかっこうになるのでは、これは私の真意ではございません。そういう関係を十分頭に置きながら、われわれの考えておりますような平定計画と申しましょうか、平穏になることに、ほんとうにその目的が成果があがるようにしたいということで、いまいろいろと苦心をし、また工作もいたしておるような次第でございまして、お考えの趣旨は私と同じではないかと思います。そこが苦心の非常に要るところであると思います。 同時に、日本といたしましても、やはりこういう問題については、日本としての国際的道義的責任をやはり分かち合ってしかるべきことではないかと私は思いますので、一人穴に引っ込んで、ただ口先だけで平和を望むだけではまいらない、その辺のところに、賢明なビヘービアと実行の伴うような措置をやりたいということで、鋭意検討中でございます。
○戸叶委員 私はこれで終わりますけれども、ともかくインドシナ半島に起きているような問題というのは、中国のすぐ目の前にある問題でございまして、今後の日中関係というものにもたいへん影響がございますので、十分気をつけて対処していただきたい、このことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○田中委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 きょうは、国際情勢に関しまして、質問を大きく二つに分けまして、カンボジアの問題と、それから日中問題について、大臣に伺いたいと思います。 先日の新聞報道によりますと、大臣は、インドシナ緊張打開のために、インドネシア、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、日本の五カ国会議を開催する意図のあることが伝えられておりますが、先ほどもこのことについてはちょっとお話しがありましたけれども、このメンバーを見ますと、現在ベトナム参戦国あるいはアメリカ寄りの国ばかりであります。このように一方の側に加担している国で会議を開いてみましても、このインドシナ和平にどのような寄与を期待できるか、非常に疑問であります。われわれの見るところでは、このようなメンバーでは、公平で実りのある結論は出ないのではないか。むしろ一方の側に加担する、援助を引き受ける、こういうような結果になるおそれが出てくるのではないかと思いますけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほど来申しておりますように、今月の中ごろに、たまたまインドネシアそれからタイあるいはニュージーランド、これらの国国もこのカンボジア問題について非常な真剣な心配を持っていることがわかりましたので、これらの間で何かよい相談ができるならば、それを取りまとめて、広く各国に呼びかけて実りのあるものにすることが一つの方法かと考えた、これは事実でございます。同時に、いま戸叶さんにもお答えをいたしましたように、一方に偏するようなことであってはいけませんし、また私の考えとしては、一九五四年の一つの基本線というものがございますから、そういうことからいって、また日本とは違った感触を持っておる国もございますから、それらの国々にもしかるべく連携をとりながら、場合によったら会議体を持つこともけっこうでしょうし、場合によったらそれぞれの外交ルートを通しましてコンセンサスをつくり上げることも必要である、かように考えております。日本としては戦争に介入するというようなことはとんでもない、その逆のことをねらっているわけでございますから、おのずから方法論等につきましても、急ぐことはやまやまでございますけれども、堅実で、目的の線を見失ったり無原則になったりしてはいけませんので、私どもとしてはそこに非常な苦心を払っているわけでございます。たとえばいきなり外相会談というようなことではなくて、最後の落としどころというようなことに対して十分の根回しと合意を求める、そして参加する国々も一方に偏しないような少なくとも呼びかけはすることは必要であるというような手は着実に打ちつあるつもりでございます。まだ中間的に御報告を申し上げる段階でございませんけれども、基本的な考え方並びにとりつつある姿勢はそういうことでございますので、五カ国で会議をするというようなことは、現在の段階では考えておりません。
○中川(嘉)委員 それではその点の話はわかったのでありますが、カンボジアのロン・ノル政権を政府は承認したのでしょうか。それとも従来の政権をそのまま継承しているということで、あらためて承認行為をしないのか、この点どちらでしょうか。現状について御説明いただきたいと思います。
○愛知国務大臣 この点は正確な日にちは覚えておりませんけれども、三月十八日に新政権から従来国交関係を結んでおった国々に対して一津に、今度の政府はカンボジアの憲法によって合法的な手続によって成立した内閣である、それからその政策は前内閣の中立平和を基礎にした政策を踏襲するものであるという口上書を各国に差し出し、日本といたしましてもカンボジアにおいてあるいは東京においてその口上書を受け取ったわけでございます。そして各国の動向等も見合わせながら日本といたしましてはこれを受領したそのままの状態でございまして、ただいまのところは、これは革命政権とか憲法を否定したものでありませんから、合法的な前内閣を踏襲したものである、こういう見方をいたしておるわけでございます。そして大使もそのまま接受しておりますし、また先方の大使も新内閣に対して派遣をした、こういう姿を続けておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 いま御説明いただきましたけれども、当然これは憲法的な手続で政権交代した場合は承認する必要はないわけですが、非憲法的な場合は新たな政府ができたということであらためて承認する必要があるという点、それでシアヌークを留守中に追い出してロン・ノルが政権を握ったという点、この点によって憲法的な手続によっていないというふうに考えられるわけでありますし、ロン・ノル政権はいまだ不安定である。さらに新しい政権が交代しないとも限らない。したがってそういう流動的時期にこのロン・ノル政権を早期に承認したりあるいは支援するということは、政治的にもそしてまた日本外交にとって賢明ではない、このように思いますが、この点についてはどうでしょうか。
○愛知国務大臣 カンボジアの憲法の解釈その他はカンボジアの国内の問題でございますから、要するに周辺の国あるいはカンボジアと国交を持っている国々の大体の帰趨というものを参考にしながら処理していくのが通常のやり方であると思っておりますから、現在はそういう態度をとっているわけでございます。 同時に、しからば見通しはどうかということになりますと、ほぼ安定しつつあるように見られますけれども、また同時に流動的な要素もないではなさそうに思います。政府としても、このカンボジアをめぐる、あるいはベトナム人の問題等については、したがってカンボジアの領域内あるいはカンボジアの国民あるいはそこに関連を持つところのベトナム人、こういう人たちあるいはその領域における事柄について人道的な立場ということに立ってのしかるべき措置というものが堅実な行き方ではないか、こういうふうに考えますので、したがいまして、ある面ではクリアカットな態度というものがとれない、あるいはとりにくいということもあり得る問題かと思います。それだけに、せっかく各国もそれぞれの立場で非常にこの解決を急いでおりますけれども、その間に処して日本の立場というものを十分踏んまえ、また堅実なやり方で、助けるべきものは助けたい、こういう複雑な条件下において賢明な工作を現在早急に探求することに努力している、これが実情でござ います。
○中川(嘉)委員 きょうはだいぶ限られた時間で、お聞きしたいこともたくさんございますので、説明を要するところ以外はなるべくひとつ簡単な御答弁でけっこうでございますから……。 それで、現在ロン・ノル政権とシアヌークが対立をして武力抗争が伝えられているわけでありますが、政府は現在のカンボジアの事態をどのように見ておられるのか。つまり国内問題として見ておられるか、あるいは国際問題として評価しておられるか。私の意見としては、両者の抗争そのものは国内問題であると見るべきで、外国は介入すべきでない、このように考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○愛知国務大臣 介入するとすれば、その目標というものは、さっきから申しておりますように、一つの目安というものは一九五四年の協定ということではなかろうかと思います。
○中川(嘉)委員 北ベトナムや民族解放戦線がやっているのは非常におかしいというふうに思います。やはりカンボジアの人たちが主体となっているのではないか、このように思うのです。政府は一方的な情報で、たとえばよど号のときでも、北鮮の発砲であるとか、あるいは金浦空港に人が降り立って歩いているとか、こういうような一方的な情報が伝わった。こういうことを考えますと、一方的な情報で判断するのもこれは問題があるのじゃないか。これがかりに国際的な解釈が行なわれたとするならばそういうことも考えられるわけでありますが、やはりいまのカンボジアの事態はカンボジア人同士の争い、つまり国内問題としてわれわれは静観をすべきである、少なくともいまのロン・ノル政権にてこ入れをする——先ほど御説明のありました人道的という意味はよくわかります。しかしながら、それ以外の目的であるとか、そういうような援助をすべきではないと思いますが、この点はあくまでも人道的というふうにしぼって了解してよろしいわけですね。
○愛知国務大臣 人道的な立場と、もう一つ一番大きなことは、これが戦乱のちまたにならないということ、これを防がなければならないということが大目的じゃないかと私は思います。
○中川(嘉)委員 新聞報道によりますと、カンボジアの政府軍が、ベトナム人ということだけで無実の人たちを数千名虐殺している、こういうことが大々的に報道されているわけでありますが、さらにカンボジア政府軍が進撃するときに人だてをつくって進撃している、こういうことが写真入りでもって報道されている事実、これに対しては政府はこれらの事実を人道上どのように考えておられるか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 人道上これはまことに遺憾千万な事柄であると見て、そしてそれなりにこういうことはおやめなさいよという態度をとっていることは、先ほども御説明したとおりでございます。
○中川(嘉)委員 だから政府がもしも人道上という形でカンボジアを援助するというなら、まずこのたびの虐殺事件に対して目をつぶって不問に付したまま援助するということになれば片手落ちだ、このように思います。われわれはこの虐殺事件については公正な非難をすべきと思いますけれども、これに対してはさっき戸叶さんのほうからも御質問があったようでありますが、政府はどういうような所見を持っておられるか、お答えいただきたいのです。
○愛知国務大臣 これは大いに非難すべき事柄である、こういうふうに考えておるわけでございますが、さてそれならばそれ以上にそこに対してどうするかということについて建設的な御意見があれば、何でも私は伺いたいわけでございます。
○中川(嘉)委員 一九五一年に効力を発生した集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約、一名ジェノサイド条約というのがあります。この第二条のところでありますけれども、「この条約では、集団殺害とは、国民的、人種的、民族的又は宗教的な集団を全部又は一部破壊する意図をもつて行われた次の行為のいずれをも意味する。」、そのうちの二、三をあげますと、「集団構成員を殺すこと。」「集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること。」、これに(c)、(d)とまだ続いておりますが、要するにこういうことが禁止されているわけであります。このたびのカンボジアの虐殺事件は、ベトナム人ということだけで罪のない人が数千人虐殺された、これはまさにいま申し上げたこの犯罪に該当するものと思うわけであります。政府はこれに対する見解をどのように考えておられるかということ、先ほども大体御答弁いただいておりますので、あわせて次の質問をもしてみたいと思いますが、こういうような犯罪行為を犯しているロン・ノル政権に対して、わが国が国民の税金から無条件に援助するということは国民としては納得できないのではないか、無条件なカンボジア援助はむしろ差し控えるべきではないか、このように思いますけれども、この点はどうでしょうか。政府としてどのように考えておられるか。
○愛知国務大臣 殺害問題とは別になるかもしれませんが、先ほど申しましたように、ベトナム人が同時にカンボジアの領域の中に避難といいますか入ってきている、そしてこの人たちが食べるものも着るものも何にもない、あるいは住むにうちもない、薬もないという場合に、これを放置していいかどうかという問題が別にあるのではないかと私は考えるわけでございます。
○中川(嘉)委員 このジェノサイド条約になぜ今日も入ろうとしないのか。すでに七十三カ国がこの条約に入っているにもかかわらず日本が入っておらないということは、われわれとしては非常に奇異に感ずるわけでありますが、政府は国際協力を対外政策、こういうふうに打ち出すのであるならば、こういう条約に入るのは当然だ、このように思いますし、今回のハイジャックの条約に入ろうとしていることを思えば、やはりこの条約にも当然入って国際的にそういう不法行為、これを規制することに協力すべきではないか、このように思うのですが、この点はどうでしょうか。
○井川政府委員 まだわが国はこの条約に入っておりません。ただ、やはり国内法の立場その他からいたしまして現在まで入っておらないわけでございますけれども、さらに検討いたしまして結果を御報告いたしたいと思います。
○中川(嘉)委員 カンボジアの問題についてはこのくらいにして、最後にもう一つだけ。 先日日本の新聞記者の方が二名行くえ不明になった、こういうことを聞いております。これは事実であれば何月何日に入国をして、そうしてどういう目的で行ったか。これは当然取材であると思いますけれども、こういったことがはたして外務省でキャッチされておるかどうか。あるいは外務省としてはどういう手を打ったか。そしてまた最後にこの問題について現状は一体どうなっているか、こういった点について御説明いただきたいと思います。
○愛知国務大臣 その件にお答えする前に、ちょっと私先ほど申し落としましたので補足いたしておきますが、避難民等の問題については、その前に申しましたように、御承知のように日本はカンボジアにおけるベトナムの利益代表国を頼まれているわけです。そういう観点から特にこの問題に関心を多くせざるを得ない。そこでまずその実情を掌握することが必要であると考えまして、その実情調査のために、日本の官憲を入れることについて、ベトナム及びカンボジアの両政府に申し入れをいたしておりました。いまここであれしましたら、双方から同意の回答が来ましたそうですから、それに基づきまして必要な措置をとりたい。そして実情が日本側の立場でわかりましたらそれに応じた対世を講ずべきである、かように存じております。
○金沢説明員 いまの大臣の御説明を補足を申し上げたいと思いますが、カンボジアにおりますベトナム人についての事件がございますので、ベトナム政府は非常にこれを心配いたしまして、ベトナム政府がカンボジアに実情視察団を派遣したいということを言ってきたわけでございます。それで日本はベトナムの利益代表をやっておりますので、その話をカンボジア政府に伝えまして、そしてカンボジア政府がこれに同意をいたしたわけでございます。したがいまして、もうごく近日中にもベトナム政府の、これは公共福祉大臣だと思いましたが、その人を団長にして約十名くらいのベトナムの視察団がカンボジアに行く、こういうことになっております。 それから一方カンボジアにおりますベトナム人で、この際ベトナムに帰りたいという人々については、カンボジアから帰国するにあたっての旅券、査証その他の事務について、日本の現地におります大使館がこれを援助する、こういうことも現在話を進めておるわけでございます。 以上、補足して申し上げます。
○中川(嘉)委員 その二人というのはだれとだれですか。名前まですでにわかっておると思いますが……。
○愛知国務大臣 ちょっと私からも訂正しておきますが、いまの日本の官憲と私申しましたのは間違いでございます。ベトナム政府がカンボジアのベトナム人の処遇について調査をしたいということについて、日本が利益代表国としてあっせんをして申し入れをして、これのオーケーが参りましたから所要の措置をとる、日本としてもこれに協力をする、これが現在の状態であります。 それからもう一つの問題は、二人の報道関係の人たちが要するに行くえ不明になっている、これは最初から、このできごとができたときから、外務省といたしましてもできる限りの救援の工作をいたしておりますが、現地の状況がきわめて複雑であって、なかなか困難を感じておりますが、これについても金沢参事官から詳細御説明いたしたいと思います。
○金沢説明員 行くえ不明になりました日本の記者は二名でございますが、これはフジテレビの記者でございます。名前は一人は日下といわれたと思います。もう一人の名前はちょっといま承知をいたしておりません。この方々はサイゴン駐在の方で、今度のカンボジアの新しい事変のために現地におもむかれたのだろうと承知しております。しかしいつカンボジアに入国されたかということについては承知はいたしておりません。たまたまその日にはカンボジア政府の組織いたしました新聞記者団の現地視察の一行に加わって、約八十名くらいの一行と一緒においでになりまして、そのときに行くえ不明になられてその後消息がわからない、こういう状況でございます。
○中川(嘉)委員 もう一人の方の名前がわからないという点も、まあこれは別に詰めるつもりはございませんが、ひとつ……。(愛知国務大臣「わかっているんですけれども、ここに資料が来ていないのです」と呼ぶ)そうして、いま現段階においてもう少し詳しい状況を一刻も早くつかんでいただきたいということを要望いたします。 次に、中国における——これは別のテーマになりますが、人工衛星打ち上げに対してお聞きしたいと思いますが、この中国の打ち上げに関連して、このことは核兵器開発の第一歩、その一歩前進というのが一般的な見方ではないか、このように思います。国内のタカ派の人たちがこの機会をとらえて、これに対抗して日本も核兵器開発への傾向を深めるとすれば、日本が核兵器競争の渦に巻き込まれる結果になるのではないか、こういうことになるわけですが、政府はそういうことの絶対にないということをあらためて約束できるかどうか、この辺についてちょっとお答えいただきたいのです。
○愛知国務大臣 本件については先ほど来いろいろ御質疑もございましてお答えしたつもりでございますけれども、この人工衛星の打ち上げは、まあ一口にいえば、予想より早過ぎたという見方もございましょうけれども、私どもとしてはまあこの辺のところが大体時期ではないかと考えておりました。それから、同時にICBMの実験が、早ければ昨年暮れぐらいに行なわれるのではないか、おそくもいまごろまでには行なわれるのではないかと想像もしておりましたが、これはまあ実験の射程の関係その他からいって、あるいは太平洋、あるいはインド洋というようなところが関連をするかもしれないということもあって、あるいはこれは少し延びるかもしれませんが、ともかくこれは単なる人工衛星の問題というよりは、やはり軍事的な目的がからんでいると想像するにかたくないのではないかと思いますが、政府といたしましては、まず第一にこういう点については、中国側のまず人工衛星については平和目的にひとつ限定してもらいたい。あるいは核の兵器の開発については、前々から言っておりますように国際的な協調のワクの中で、たとえばNPTに対して積極的に参加をするように望みたいという希望を現在表明しておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 平和的な目的ということに限って考えた場合に、これは打ち上げ成功に対して、日本側としては祝電か何か打たれたんでしょうか。
○愛知国務大臣 これはそういうことはいたしておりません。日本の人工衛星打ち上げについても北京政府からは何も祝意を表しておりません。
○中川(嘉)委員 中国の核兵器の開発はわが国にとっても非常に脅威である。これは申すまでもありませんが、非難するだけでは何らの効果も及ぼさないわけであって、わが党は、北京政府の承認あるいは国連への加盟、代表権の問題については政府は再考せよということを実は常に要求してきたわけでありますが、これは中国を国際社会の中に組み入れて、この中で緊急の問題を解決しなければ、もはや中国抜きではそういう問題の解決はないという前提に立っているからであります。中国の政府は承認しない、そしてまた国連加盟には重要事項指定方式で加盟を阻止しようという政策を政府がとっているということは、私はこれは誤りでないか。中国がいつまでたっても国際社会のワク外に置かれているようでは、いわゆる国際平和というものは期待できないんじゃないか、政府は中国の承認についてカナダとかイタリアのように踏み切るべきであって、代表権問題についても日本はいままでのようなこの態度はやめるべきじゃないか、このように考えますが、政府は中国政策に対してこのような修正をはたして考えておられるかどうか、この点をひとつ伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほどお答えを落としましたが、日本政府としてはこの今回の実験については——についてもと申しましょうか、動じてはおりません。同時に、日本として現にとっておる安全保障に対する政策はこれでいいのだという確信の上に立っておるわけでございます。したがって、日本がこの機会に核武装を持とうなどという考え方は持っておりませんことはあらためて申し上げるまでもないことだと考えるわけでございます。 それから国連代表権の問題その他につきましては、先ほど来るる申し上げておりますように、私は中国政策については真剣に検討する、国際緊張の緩和ということがわが国の基本方針でありますから。しかし現実にはそう簡単な問題ではない。これには忍耐強く生体的な立場において国益を守りながら、また他国の動向なども十分に洞察しながら対処すべき問題である、かように考えておる次第でございます。 なお、カナダ、イタリア等のことにも言及なさいましたが、いかにあの交渉が困難であるかということも詳しく申し上げませんけれども、やはりそれなりになかなか簡単なことではない。国が遠ければ遠いだけ気楽な点もございましょうけれども、それでありながらなおかつ今日に至るまで合意ができていないということは、いかに本件のむずかしさが国際的に存在するかということを明らかにしておるものではないだろうか、かように考えます。
○田中委員長 この際、金沢参事官から発言を求められておりますので、金沢参事官に発言を許します。金沢参事官。
○金沢説明員 先ほど御質問のありましたフジテレビのつかまった二人の、現在行くえ不明になっております方の名前でございますが、一人は日下陽と申されます。もう一人は高木祐二郎と申されます。
○中川(嘉)委員 それで、日中問題についていろいろとお聞きしたかったのですが、だいぶ実は大臣からいろいろすでに御答弁がありましたので、一、二質問させていただきたいと思います。 政府は、先日の日中コミュニケに対して激烈な非難を浴びせられたわけでありますが、あの覚え書き署名した古井氏は政府の代表ではなくて、一私人の資格で行なわれたはずだと私は思います。ここでお聞きしたいのですが、このコミュニケははたして民間協定ですか、それとも国家間協定ですか、この点についてはっきりとお答えいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 これは純然たる民間協定でありますことは、この覚え書きの上でも私は明らかであると思います。
○中川(嘉)委員 民間協定と言われるのであれば、この間非常に激烈な非難があったわけですが、なぜそのように非難されたのか。そしてまた民間同士の話し合いの中に政府の意見が介入したとするならば、これは非常に屈辱的だと言わなければならない、このように思うわけです。日本においてすら実は軍国主義だ、こういう考え方を持っている人もいても別におかしくない、そういう人を事実私も知っております。また自民党内においてかかる考えについてもいろいろと御意見があるようでありますが、古井氏の場合もそういうことを考えれば、むしろ党内の問題じゃないか、このように思うくらいです。この際、政府がどうしてあのようにそういう民間の協定に対して激烈な非難をされたのか、この点はっきりと伺いたいのです。
○愛知国務大臣 民間の協定でありますことはただいま申したとおりでありますが、この中に佐藤内閣のとっている政策あるいは日本が軍国主義ときめつけていることあるいは沖繩返還がペテンであるというようなことについては、日本政府としてもこれに対して意見を表明するということは日本政府の自由でありますし、かつ日本国内の国民の大多数の方々が、こういうふうに民間協定でありながら中国側が非難、一方的な独断的な見解を表明していることに対してそのままにしておきますことは、かえって日本国民の希望にもそぐわないことではないかというふうな意味も込めまして、閣内におきましての全閣僚の意見が一致した——一致したところではございません、全部が初めから一致しておるわけてございますが、これを官房長官の記者会見における発言として統一的に見解を表明した次第でございます
○中川(嘉)委員 時間的にもだいぶ迫っておりますので、もう少しこの件についてと思いますが、先をちょっと急ぎます。 この間、古井氏の私人としての署名に対して実はあれだけの反論がありましたが、いまは自由とおっしゃいましたけれども、それに基づいて反論されたのですから、それよりももっと公的な性質を持っておると思われる、実はこの間アメリカの下院議員が下院外交委員会に提出した文書、日本の軍国主義化の文書に対して、ここに資料がありまして、二十四日付の毎日ですが、大臣もこの中で、「これも個人的見解の色彩の強い調査団」云云、こういうふうにおっしゃっておるようですが、これはあくまでも下院の派遣した調査団でありますので、こういった公式な調査団に対して、あくまでも政府がより公式に態度を表明すべきではないかと思いますけれども、これは何らかの態度を表明されたものかどうか、あるいは将来どういうふうなおつもりでおられるか、この点はどうでしょう。
○愛知国務大臣 とりあえず、この調査というものは二人の議員の方が日本に来て、いろいろの情報を研究されて、それを報告したものである、しかし、個人的な色彩の強いものである、そうして、その情報源は偏しているようである、それからアメリカの国会等においてもたいしてこれを重視しておるものではないようであるという、私の非公式会見において私はコメントを加えておきましたが、一々こういうことについて、公式に政府として見解を表明するほどのことはないだろうというのが私の考え方でございます。
○中川(嘉)委員 中国に対しては非常にプライベートなそういうものに対して、非常に自由であるということに基づいてああいうふうに抗議を申し入れ、反論しておられる。ところが、アメリカのような場合には、いまおっしゃっておるような理由に基づいて一々言う必要はないとおっしゃるのですが、ちょっとその辺がもう一つはっきりとわかりにくいのですが、これはどういうわけですか。中国に対してはああいうふうにやられたわけですね。アメリカの場合はその必要はないというのはどう解釈したらよろしいわけでしょうか。
○愛知国務大臣 ちょっと反問するようになって恐縮なのでございますが、とにかく民間協定という形ではございますけれども、日本の政策について、あるいは日本の内閣について、あるいは総理大臣であるところの個人に対して、これほど強烈な見解を表明して、内外にこれを大きく報道されているということについて、私どものとった態度というものがどうであるかということについては、御批判は御自由でございますけれども、それと二人の議員が、いわば国内的な国会の一委員会に対する報告というものとを、しかもその内容において取り上げられている事柄と比較して見ていただければ、おのずからそれによって、こちらとしてとるべき態度がわかるのではないかと考えるわけでございます。さらにつけ加えて言えば、これは非難がましいことを私は外務大臣として申すわけではございませんが、日本のとにかく民間代表という人がこれに判をついておるということにおいて、またいろいろ政府としては重要でございますから、日本国民全体に対して日本政府としての見解を明らかにする必要があるということは、さらっとお考えいただきましても、この態度、いずれがよかったかということについては、おのずから結論をお出しいただけるのではないかと思います。
○中川(嘉)委員 それでは軍国主義でないという前提に立っていろいろ御答弁いただいておりますが、その点は一応わかったのでありますが、報道によりますと、岸元首相が先日韓国において日韓協力委員会第二回の総会に出席されて、その終了後にソウルの日本大使館で記者会見を行なって、そうして自衛隊を公認しなければならない、憲法前文と第九条の改正が必要である、自民党員は憲法の改正に基本的には賛成していると思う、このような重大な発言をしておられるわけでありますけれども、岸さんは元首相でもあり、党内の最有力者である、こういう方がああいうことを言われるのは、たとえ現職でなくともその影響は大なるものがあるのではないか、このように思います。こうなると、いわゆる議院内閣制というものをとる体制である限りは、政府の意向もこれと同一と見ざるを得ないのでありますが、政府はこれらに対して、また岸さんの発言に対してどのように釈明されるか、この点を伺いたいと思うのです。
○愛知国務大臣 釈明するまでもなく、かねがね内閣としての意見は公に表明しておることでもあり、この国会においても、予算委員会等において憲法改正というようなことは考えておりませんということを国会の場において明らかにいたしておりますことは、総理大臣の言明でございますから、これが現内閣の基本であるということを重ねて明らかにしておきたいと思います。
○中川(嘉)委員 それではその点はよくわかりました。 一私人といっても政府の主張と違うことを言ったことに対して当然——そのときはおそらく大使も同席しておられたのではないかと思うのでありますが、大使は何らかの助言をして訂正すべきではないかと思うのですが、これが行なわれなかったとするならば、これはまた大使に何らかの責任があるのではないかと思いますが、これはどうでしょうか。そばにおそらく同席しておられたと思いますが……。 〔委員長退席、永田委員長代理着席〕
○愛知国務大臣 大使が、国会議員等がある種の会合に出たときに御案内をしたり、将来のいろいろの参考にするために同席しておることはおりおりあることでございまして、それを一々そのときの言動に対して責任を負うというような筋合いのものではないと思います。
○中川(嘉)委員 最後に、日本が軍国主義でないといえば確かにこれは認めますし、また私はなにも日本が先ほどから軍国主義だと言っておるわけではないわけなので、その道へまっしぐらに行こうとしておる姿勢を私は何となく感ずるわけで、そういう立場から申し上げたわけですけれども、この軍国主義化を押えようとしておるのがわれわれ国民の悲願ではないか、このように思います。したがって、われわれが日本安保条約の段階的解消ということを言うのも、こういう軍国主義化への基礎をなくそうとする信念に基づいているにほかならないわけでありまして、またわが党が完全中立ということを党の政策としておるのも、まさにこの点にあるわけでありまして、こういう日本の政策をとって、はじめて諸外国は日本に国連の平和機構のそういった機関を置くことに実はもろ手をあげて賛成してくれるのではないか、こういうことを期待するわけでありますけれども、政府はいま申し上げたようなわが党の政策主張に対してどのように思われるか、最後にお答えをいただきたい、このように思います。
○愛知国務大臣 安保条約は明文に明らかでありますように、国際連合等の国際機関によって日本の安全ということに対して、もはや絶対に安心ができるというところが終局の目標で、その際にはこれをやめることになっておるわけでございますから、長い目で見ての理想ということからいえば、私は御意見と同じようなことになると思います。
○中川(嘉)委員 安保のことについても幾らかのお伺いをしたかったのですけれども、きょうは時間が参りましたので、以上をもって終わらせていただきます。
○永田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十九分散会