外務委員会 第9号
- 発言数
- 112 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/04/17
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたします。
○田中委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。竹内外務政務次官。
○竹内(黎)政府委員 ただいま議題となりました窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この議定書は、毒ガス及び細菌学的手段の戦争における使用を相互に禁止しようというものでありますが、化学・生物兵器の禁止を訴える国際世論が国際連合、軍縮委員会等を通じて、近年とみに高まっており、特に、昨年末、第二十四回国連総会では、まだこの議定書の当事国となっていない諸国は一九七〇年中にこの議定書に加入し、またはこれを批准するよう勧告する決議がほとんど全会一致で採択されました。わが国は、軍縮委員会で明らかにしておりますとおり、化学・生物兵器はその使用のみならず、開発、生産、貯蔵をも有効な管理のもとに禁止することを主張しております。この議定書を批准することは、この主張を推進するためにも有意義であり、また今後の軍縮交渉におけるわが国の立場を強めることになるものと考えます。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、オーストラリアとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための協定を締結するため、昭和四十三年二月以来キャンベラ及び東京において交渉を行ないました結果、昭和四十四年三月二十日にキャンベラにおいてわがほう甲斐駐オーストラリア大使とオーストラリア側マクマーン大蔵大臣との間でこの協定に署名を行なった次第であります。 この協定は、第六十一回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この協定は、本文二十三カ条及び附属議定書からなっており、その協定のおもな内容は、次のとおりであります。 事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については一五%、利子及び使用料については一〇%をこえない税率で課税し得るものとしております、さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬や手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。 この協定の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化面での交流は一そう促進されるものと期待されます。 次に、所得に対する租税に閲する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、イタリアとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための条約を締結するため、昭和三十九年以来ローマ及び東京において交渉を行ないました結果、昭和四十四年三月二十日に東京においてわがほう愛知外務大臣とイタリア側ジャルディノ駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。 この条約は、第六十一回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この条約は、本文二十九カ条及び附属議定書からなり、その規定は、OECDモデル条約案にできる限り従ったものであります。条約のおもな内容は、次のとおりであります。 事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については一五%利子及び使用料については一〇%をこえない税率で課税し得るものとしております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬や手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。 この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化面での交流は一そう促進されるものと期待されます。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国と連合王国との間には、昭和三十七年九月四日に署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約が締結されていますが、近年連合王国が行ないました税制改正に伴い、同条約の規定を整備し、あわせてOECDモデル条約案に沿った修文を行なう等の全面的改定を行なう新条約締結のための交渉を昭和四十三年四月以来ロンドン及び東京において行ないました結果、昭和四十四年二月十日に東京において、わがほう愛知外務大臣と連合王国側ピルチャー駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。 この条約は、第六十一回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この条約は、本文三十カ条からなり、その規定は、OECDモデル条約案にできる限り従ったものであります。条約のおもな内容は、次のとおりであります。 事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については一五%、利子及び使用料については一〇%をこえない税率で課税し得るものとしております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬や手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。 この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じて、両国間の経済、技術及び文化面での交流は一そう促進されるものと期待されます。 最後に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国とインドとの間には、昭和三十五年一月五日に署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避のための協定が締結されていますが、近年インドが行ないました税制改正を考慮に入れるとともに両国間の二重課税回避の制度の一そうの整備をはかるため、政府は、この協定を修正補足する議定書の締結について交渉を行ないました結果、昭和四十四年四月八日にニュー・デリーにおいて、わがほう在インド法眼大使とインド側セティ大蔵省担当国務大臣との間でこの議定書の署名を行なった次第であります。 この議定書は、第六十一回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この議定書は、本文八カ条からなり、これによるおもな修正補足は次のとおりであります。 すなわち、インドの税制改正を反映してインド側の協定対象税目を変更し、また、恒久的施設の範囲及びこれに帰属する利得の範囲を限定して両国間で産業的または商業的事業に従事する者の利得に対する課税関係を一そう明確にするとともに船舶所得に対する課税の軽減率を五年間にわたり現行の五〇%にかえて五五%とすることによって海運業者の税負担軽減をはかり、さらに、インドにおける租税の減免等による産業奨励措置の拡大を考慮に入れ、みなし税額控除に関する規定を整備したものであります。この議定書の締結によりまして、二重課税回避の制度が一そう整備され、両国間の経済交流はさらに安定した基礎の上に進められるものと期待されます。 以上五件について御承認を求める次第でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。 ————◇—————
○田中委員長 次に、民事訴訟手続に関する条約の締結について承認を求めるの件、民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の締結について承認を求めるの件及び外国公文書の認証を不要とする条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし、審査に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は、ただいま議題になっております三件について、質問をいたしたいと思います。 そこで、まず最初にお伺いしたいのは、民事訴訟手続に関する条約の説明書、この中を読んでおりますと、「この条約は、ヘーグ国際私法会議の第七回会期において採択された条約案をもととして作成されたものである。」 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 このヘーグ国際私法会議というのは、「オランダ政府の招請のもとに千八百九十三年から不定期に会合を開き、活動してきたものであるが、わが国は、千九百四年の会議からこれに参加している。戦後この会議を常設機関とするため千九百五十五年に「国際私法に関するヘーグ会議規約」が発効し、現在会議構成国は二十六箇国である。」こういうふうに説明されているわけでありますが、この条約を日本が批准をするわけでございますけれども、まずお伺いしておきたいことは、このヘーグの国際私法会議というのは当然国際機関でございますね。
○山崎説明員 さようでございます。
○戸叶委員 国際機関というのは、短く言ってどういうふうなものをさしているのでしょうか。
○山崎説明員 国際機関、俗にはいろいろと意味があると思いますが、先生のおっしゃいましたこの会議その他の関係でいえば、政府間の国際機関をわれわれが普通狭い意味といいますか、正確な意味での国際機関と考えております。これは一つの政府間機関でございます。
○戸叶委員 国際機関としての一つの条件、国際機関であるからには何かこの基本になるようなものがあって、そうしてそれの線に沿うて、お互いの機関同士の連絡をとるということになるわけでございますね。そうすると、このヘーグの国際機関のそういう役割りをするもの、つまり国際機関というものは、一つの基本の条約なり何なりあって、そしてその連携をとっていくわけですけれども、その基本の条約になるようなものというのは何でございますか。
○山崎説明員 このヘーグの国際私法会議は、この説明書にも書いてありますとおり、一八九三年から事実上集まっておって、はっきりした規約はなかったようでありますが、戦後はこれをはっきりしたものにするということで、この説明書にありますように、国際私法に関するヘーグ会議規約というものがつくられまして、これが発効しておりますので、この規約に基づいてこの国際会議が運営されております。
○戸叶委員 そうすると、このヘーグの国際私法会議は国際機関であって、その基礎となる条約というのは、いま言われたような規程があって、この規程に基づいていろいろな連絡をとっているのだ、こういうふうに了承していいわけでございますか。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎説明員 さようでございます。
○戸叶委員 そこで、そういう関係はよくわかりました。 そこで、ヘーグの国際私法会議の規程というものは、国会の承認を得ておりますか。
○山崎説明員 国会の御承認はいただいておりません。これは政府は、現行法令で与えられました権限の範囲内で十分に活動し得ると判断いたしまして、特に一種の行政取りきめとして加入しておりますので、御承認は得ておりません。ただ、ここでは分担金を払うことになっております。この分担金は法務省で年々予算に計上して支払っておりますが、この分担金を払うことにつきましては、国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律というものができておりまして、それに基づいて分担金を支払っておるわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、これは国会の承認を経なかった、そうするとこの規程は条約じゃないわけですか。規程は単なる会則にすぎないわけですか。
○山崎説明員 条約と申します場合、広い意味ではいわゆる条約、協定でございますが、ものによっては交換公文とかそういうものを含めて条約と称することもございます。ただわれわれはこの国際私法に関するヘーグ会議規約は国会の御承認をいただく条約ではない、行政取りきめであると解釈しております。
○戸叶委員 条約の中には国会の承認を経ないでもいい条約というものがありますか。
○山崎説明員 いま申し上げましたように、条約という意味は広い意味と狭い意味とございますけれども、われわれはこの国際私法に関するヘーグ会議規約は国会の御承認を得ないで締結し得る行政取りきめの一種であると解釈しているわけでございます。
○戸叶委員 さっき、これは国際機関である、国際機関であるならば、基本の条約に基づいていろいろな国家間の約束を運営していくのだということで、一応これは国際条約であるということが認められたわけでございますが、ヘーグのこの規約というものは、条約ではあるけれども、国会の承認を経ないでもいい、そういうことですか。ちょっと了解に苦しむのですけれども。
○山崎説明員 先ほど申し上げましたように、国際法の教科書その他で、条約というものを非常に広く解釈する場合には、交換公文までも含む、一つの国家間の約束としては含み得るのでございましょうが、われわれが国会に御承認をいただく条約にはこのヘーグの規約は該当しない、その意味において行政取りきめであると思うわけでございます。 たとえば今後いろいろな条約を御審議いただきます場合に、われわれは交換公文なんかを参考としてお出しいたしますが、これは国会の御承認を得ないものである、しかし一つの国際約束であるということは言えると思います。条約を広い意味での国際約束というふうに解釈するのであれば、このヘーグ会議規約も広い意味での国際条約であるといえるかもしれませんが、憲法に規定されております関係における条約ではないとわれわれは解釈しております。
○戸叶委員 広い意味での国際約束というふうに解釈して、これは憲法にいう条約ではない、そういう判断はどこをもってするわけでしょうか。こういうところをやはりはっきりさせておいていただきませんと、こういう形でみんな逃げられてしまう。条約などをつくる場合に、これは国会に出さないほうがいいなというときには、広い意味の国際条約でございますということで逃げられてしまう傾向があるんじゃないかと思うのでございますが……。
○山崎説明員 もう一回補足して申し上げますが、私が憲法と言っています場合は、憲法七十三条にいう条約には当たらないということを申し上げたわけでございます。憲法七十三条の国会の御承認をいただく条約というのは、従来から政府からも御答弁申し上げておりますとおり、非常に政治的に重要なもの、それから法律事項を含むもの、それから財政負担を含むものについては国会の御承認をいただくということで、政府はそういう判断の基準のもとにやっておるわけでございます。このヘーグ会議規約に関しましては、分担金を毎年支払っておるという意味において財政負担を含んでおりますけれども、それは先ほど申し上げました国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律に基づいて、その分担金を支払うことが行政府に授権されておると解釈しておるわけでございます。
○戸叶委員 なるほどこの規程の中では分担金を払うということは第一きめられています。 それからその規程の中の六条には、「会議の各構成国政府は、構成国と常設事務局との間の連絡を容易にするため、国内機関を指定しなければならない。」とあるわけですね。そうすると、国家とその機関との約束というふうな非常に重要ないろいろなものがあるわけではないでしょうか。したがって、そういう意味から言いますと、これはやはり国会の承認を経る条約という範疇に入らなければならないのじゃないか。なるほどいまの分担金の問題は法律によって解決しています。これは三十二年の四月に出ていますね。国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律というのが出ています。それで、その分担金のほうはさっさと解決していくかもしれません。しかし、一つの構成国の政府とこの機関との間の連絡をしていかなければならない。そういう意味から言いましても、非常に重要な政治的な役割り等もするわけであって、当然この文から見ましても、私は、これは基本条約として国会の承認を得なければならないのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、この点から見ても、いや別にこれはたいしたことじゃないのだ、まあこれは広い意味の問題だからいいのだというふうにお考えでございますか。
○山崎説明員 御指摘のとおり、ヘーグ条約第六条には、「会議の各構成国政府は、構成国と常設事務局との間の連絡を容易にするため、国内機関を指定しなければならない。」ということが書いてございます。ただ、これにも書いてありますように、このヘーグ規約に規定されておりますことは、お互いの間の情報提供、連絡でありまして、また条約案の起草というふうな問題でありまして、具体的にここで何かの決定をするという機関ではございません。それは一つの具体的な条約作成作業をして、そのでき上がった条約については、現在御審議願っておりますように、われわれは国会に提出をして御承認を得ておるわけでございまして、これは政府間機関ではございますが、その会議において何らかの決定をし、それぞれの国を拘束するというふうなことはいたしておらないわけでございます。単なる情報提供、それから連絡機関でございます。
○戸叶委員 この連絡機関でいろいろ協議をして条約になって、それが今日のようなこういう民訴条約というものになってくることは私もわかっておるわけでございます。しかし、こういうふうな非常に重要な規程で、しかも国際機関の中には基本条約というものが必要である、こういうことが字引きの定義などを見ましてもはっきりしているわけです。先ほどもお話しの中に、基本条約というものが国際機関にはあるのだということをおっしゃったわけですね。ところが、このヘーグの国際私法会議に関しては基本条約というものが規程であるということになって、その規程というものは条約的な役割りをしているけれども、しかしこれは広い意味で使われるものであって、国会の承認を得るような条約ではない、こういうことになりますと、条約の中にも国会の承認を得る、あるいは得ない、両方あるのだというふうに解釈しなければならないわけでしょうか。そして、しかもどういう基準をもって、国会の承認を得る条約はこういうもので、国会の承認を得ない条約はこういうものだというふうに解釈しなければならないかということが一つと、もう一つは、そうすると、この規程は条約の範疇に属さないのだ、条約的な役割りはしないのだ、こういうふうにお考えになっているのですか。
○山崎説明員 先ほど申し上げましたように、憲法七十三条にいう条約、国会の承認の対象となる条約は、政治的に重要な条約あるいは法律的な事項を含むもの、あるいは長期にわたる財政負担を含むものを基準にわれわれは判定しておるわけでございまして、このヘーグ国際規約はこのいずれにも当たらないとわれわれは判定いたしまして、これは国会の御承認をいただかなかったわけでございます。ただ先生の御指摘のように、何をもって条約というかということになりますと、これは国際法の教科書等ではあらゆる国際間の約束をいうのだということであれば、それは条約であるかもしれませんが、われわれが国会に御承認をいただく場合の基準は、あくまで憲法によっておりますので、それに基づけば、これはそういう条約ではございませんということを申し上げたいのでございます。
○戸叶委員 さっき一つの条件として、分担金の問題が出たわけですけれども、分担金の問題は別途の法律で日本の政府は合法的にお払いになっていらっしゃるでしょう。しかしそうなってきますと、国会の承認を得なければならないような条約でも、たとえば分担金の問題があれば、そういう問題だけ切り離して法律をつくって、そうして国会の承認を得ないで、これは国会の承認を得る必要がございませんということで、解釈といいますか解決してしまう可能性が非常に大きくなってくるのではないかということを私は心配するわけです。たとえばいまおっしゃっている意見を聞いておりますと、憲法にいうところのいわゆる国会の承認を経なければならないような条約ではないのだ。しかもそういうふうな条約はどういうものかといえば、政治的に重要なものだとかあるいは財政の負担を伴うものだとかいうような条件をおあげになった。財政負担を伴うというところだけを解決してしまえば、これは憲法にいうところの国会の承認を得る必要のあるものではないということになると、これは政治的には重要な条約ではない、こういうことになるわけですね。逆に言えば、そういうことになりますね、いまの御説明を聞いておりますと。
○山崎説明員 これはいろいろ判断のしかたもあろうかと思いますが、われわれといたしましては、このヘーグ会議は非常に重要な国際私法の立法化に寄与する会議だとは思いますけれども、いわゆる政治的に重要なものではないと考えております。さらにそこの会議で何らかの決定をし、それでそれぞれの国を拘束するというものでもない。単に連絡の機関であり、条約の起草に当たる機関であり、また情報交換の機関であるというように考えておりますので、これはいわゆる法律事項を含むものでもない。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 ただ、長期にわたって政府を財政的に拘束するというものでもございませんが、この会議の運営に必要な分担金はどうしても払わなければならないので、その点だけは別に、このヘーグ会議規約に限らず一般的にこの国際分担金の問題がいろいろ問題となりますので、当時この法律がつくられまして、それをもって解決したというふうに考えております。政府はそういう特定の問題だけを逃げるためにこれを出したつもりではないと承知しております。
○戸叶委員 私も一つの疑問を抱きましたのは、たとえば外務省の国連局の専門機関課で出しております「主要国際機関の概要」という中でヘーグの国際私法会議というものの規程があるわけですが、それを見てみますと、決議案とか条約はこういうものであって、これが決議案で、これが勧告だとかいうふうな分類の中に国際私法会議の規程というものが条約の範疇の中に入っているわけです。ですから条約というふうになっていながら国会にかけないのはおかしいのじゃないかという疑問を抱かざるを得ないわけです。ですからそういう点はどうやって説明をしていただけるわけでしょうか。
○山崎説明員 私ちょっとその資料をいま手元に持っておりませんが……。
○戸叶委員 それでは読み上げます。「事業」という中で「一九三一年十月に開催された第七会期は、右第六会期の事業を承けて、討議を行ない、次のような条約案その他を採択した。」と書いてあるわけですね。その中に「有体動産の国際的売買に適用される法律に関する条約案」「外国会社、社団及び財団の法人格認許に関する条約案」「本国法と住所地法との間の抵触解決のための条約案」「民事訴訟に関する条約案」「ヘーグ国際私法会議規程案」こういうのが条約とされているわけです。そして民事訴訟に関する条約案と同列になっております。それからその次には勧告がいろいろと出ておりますが、ここでたとえば「国際私法に関するヘーグ諸条約の解釈の権限を常設国際司法裁判所に対し認めるために一九三一年に調印された議定書の当事国の増加を目的とする勧告」とか、そういった勧告が二つ、それから決議というふうにちゃんと分類をしてあるわけですね。そして今度のこの民事訴訟に関する条約案というものと同じ格に規程がなっているわけです。規程となっておりますけれども、条約案の分類の中に入っているわけです。そうすれば民事訴訟のこの条約が国会の承認を得る以上、この条約も当然国会の承認を得なければならないのじゃないかと私は考えたわけでございますけれども、いまおっしゃるのによると、条約の中にはいろいろな解釈があって、たとえば三つの事項に合わなければ国会の承認を得ないでもいい条約もあるのだというお話でございました。そこで私どもからいうと、それでは分担金はどうかといえば、分担金は財政的には解決した。しかし政治的にどうだといえば、政治的には、重大だけれども、それほどたいしたことはない、政治的な意味では大事じゃない、こういうようなことであり、法律事項では必要ないんだということで国会の承認を得ないで済むのだという、そういうふうな説明があったわけですけれども、これで見ますと、はっきり条約案ですから、当然これは国会の承認を得なければならないのじゃないか、こういうふうに考えたわけでございますが、この点はどういうふうに釈明をしていただけましょうか。
○山崎説明員 それを書きました国際機関の概要という一つの説明資料でございますけれども、そういう条約ないし規程の法的性格を十分考えて書いたものではないのではないか。その当時一つの採択されたものを羅列したものだろうと私は解釈いたします。しかし、もちろん政府といたしましては、そういう条約案がほんとうに成立し署名し、また発効させるためには一つ一つの内容について検討するわけでございますが、いまおっしゃいましたように、有体動産売買条約その他の非常に実体的な規程を設けておるものについては、もちろん検討して、もしそういうものが入るようになれば国会の御承認を得ることは当然であります。ただ規程のほうは全く手続的なものであり、連絡機関であるので、その後検討を加えた結果国会の御承認を得る必要はないというふうに判断したのであろうと思います。
○戸叶委員 そうすると、外務省で出したこの資料の分類は間違っているんだ、この分類をするときには、ほかのはみんな条約として国会の批准を得なければならぬのだけれども、その中の規定だけは、これは国会の承認を得るものじゃないにもかかわらず、その中に間違って載せたらしいと解釈するんですけれども、それとも間違っていたと解釈なさるのですか。
○山崎説明員 間違っていたと申しますか、その当時採択されたそういうものを一括してあげたわけでございますけれども、その執筆者が条約というふうに書きました理由のものは、先ほど申し上げましたように、非常に広い意味での国際約束という意味でただ書いたのだと思います。憲法七十三条にいう条約ということを意識して書いたものではないのではないかと思います。
○戸叶委員 同じ範疇の中にみんな国会の承認を得なければならない条約の名前が出ていて、その中にちゃんと出しておいて、これだけは国会の承認を得ないでもいいのだなんということはだれがわかりますか。私は、一般的な意味でこれは条約としてあげておこうという気持ちで書いたらしいなんて、そこまでとても読めないんですけれども、普通の人読めますか。外務省の方だとすぐお読めになれますか。これはみんな条約として批准しなければならない、しかしこれだけは批准を得ないでもいいのだけれども、条約にひとしいくらい重要なものだから、だからここへ入れておこう、しかし国会の承認を得ないでもいいんだ。じゃ、国会の承認を得ないでもいいというふうにちゃんと分類しておいたらいいじゃないですか。
○山崎説明員 そういうペーパーを執筆しております者は、一応会議の事業として書いておるわけでございまして、その内容について十分検討していないで書くために、そういう点の誤解を与えるような書き方をしたことはよくないと思いますが、われわれ条約局におる者さらに法務省の関係は、そういう条約案の一条一条についてさらに検討するわけでございまして、その検討の結果から見ればこのヘーグ会議規約とその他の条約とは全然性格が違うということをわれわれとしては判定して、それに従って措置を講じたわけでございます。
○戸叶委員 私どもはしろうとです。ですから参考資料からしか知識を得ることはできません。ですから、この条約は国会の批准が必要なのだ、しかしこの条約は、同じ条約案の中に入っていて重要な列に並べられていても、国会の批准を得ないでもいいのだというようなことは、普通にしろうとが見たときはわかりません。それは条約局からごらんになって、一条一条審議した人はおわかりになると思います。しかし私たちはわからないわけです。だからこういうふうな間違いがないようにすべきではないか、こういうふうな間違いというか、おたくのほうからいえば、外務省からいえば間違いだとはお思いにならないでしょう。ただこれはさっと並べられて、内容をよく読めばわかるじゃないかといってしまえばそれまでですよ。しかし私たちのしろうとから考えれば、これもそうなんだ、これもそうなんだ、こういうものをなぜ国会で審議しないのだろうということを考えざるを得ないと思うのです。ひとつ例外なら例外、これはかけなくてもいいならいい、こういうふうなもう少し気を配った資料にしていただきたい。こういう資料は私は出してほしくないと思うのですけれども。
○山崎説明員 その点はまことに御指摘のとおりでございまして、私たちもその点十分チェックしないでそういう資料が作成されましたことは申しわけないと思います。今後注意いたします。
○戸叶委員 私は実を申しますと、この条約の問題で、これからそういうふうな誤解を招かないようにするという、そういうことばよりも、もっと奥深く心配をしているわけです。条約があって、そういうものを国会に出さないで、たとえば事務的な手続で、法律かなんかで片づけてしまうというようなやり方が、今後においてもやられるんじゃないかということを心配するわけです。私は、そういう点について、どういうようなものは国会にかけないでいいかとかいうようなことを、少し具体的な例で研究をしてみたいと思いますので、きょうはこの問題についてはこの程度にしておきます。ただ、資料の問題について、普通の人が読んでも誤解しないような書き方をしていただくということをはっきりおっしゃっていただいたので、今後はそうしていただきたいということを申し上げまして、この問題はこの程度にいたします。 そこで、第二の問題ですが、これは四十四年の委員会でちょっと問題になった、たいした問題ではないのですが、たいへんに議論の的になったことなんです。昭和四十四年の六月でしたか、この外務委員会でアラブとベルギーの租税条約を審議していたときに付加税のことで問題になったわけです。アラブの条約には「こざと」のついた「附」という字があってベルギーのほうにはないということで、いろいろここで質疑応答があって、そしてそのときに外務省のほうでは、これからの二重課税の条約の付加税の場合には「こざと」をとります、こういうことで統一をされたようでございます。そこで、それじゃほかの付属書とか付属文書というような場合にはどうするかということが言われたときに、法制局のほうでは、こういうことばを使われました。速記録を読んでもいいのですけれども、オールドボーイは「こざとへん」をつけています。しかしいろいろなことが流動的ですから、だんだんに若い人は簡単になってきて、付属の「付」は「こざと」をとります、こういうふうに言われたのですけれども、外務省のほうは一生懸命それに対して何か抵抗しながら付加税の「付」だけは「こざと」をつけませんというような言い方をされたわけです。そこで、両者がおっしゃったことは、今後においてこの「付」の字は検討いたします、こういうことになっていたわけですけれども、法制局もそれからまた外務省のほうも「付」という字についてはどういうふうな解釈に統一をされたかということを念のために伺っておきたい。というのは、いろいろな条約に「付」という字が出てまいります。この条約にも「付」というのが出てまいります。あのときにいろいろ激しく議論をして、私もオールドボーイだかガールの仲間にいるのかと考えたわけです。私は何か「付」という字は「こざと」のあるのとないのと内容が違うような気がするものですからその議論を出したのですけれども、そういうふうに法制局して言われたものですから、じゃこれから私たちが書く場合にはみんな「こざと」をとらなければいけないのかというふうに考えている。ところが、今度出た条約の中に出ている、これは附属書とか附属何々というのですからつけていらっしゃると思いますけれども、その後ずいぶん長くかかっておりますから、もう検討されて統一されたと思いますので、その点をどういうふうに統一されているかということをあらためてお伺いしておきたいと思います。
○山崎説明員 昨年、先生からそういうお話がありましたことは、私も承知しております。その後法制局とも種々協議いたしました結果、結論といたしまして、ここに書いてありますように附属書とか、ここに附属吏というのが出てまいりますが、そういうような場合には、従来どおり「こざとへん」をつける。それ以外の場合、交付とか添付とかというような場合には「こざとへん」をつけないというふうに、法制局と協議いたしました結果、条約、法律を通じてそういうふうに統一するというふうにきまったわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、附属書、附属文そういうものは「こざと」をつげるわけですね。
○山崎説明員 そうです。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
○戸叶委員 それは条約関係でわかりました。付加税の「付」はつけない、添付もつけないのですね。
○山崎説明員 そうでございます。
○戸叶委員 そうすると、附属書、附属文に限って「こざと」がつくわけですね。 もう一つ伺いたいのですが、そのときに一般の話は出なかったですか。たとえば学校などの附属小学校とか附属何々というのは、私たちはやっぱり正しいことばを使わなければいけない、正しい字を書かなければいけないと思うものですから、一般に使う場合にどういうときに「こざと」をつけようかということを考えるわけです。これは外務委員会の問題じゃないですから、多くは質疑応答はしませんけれども、ただ問題は、これから書いていく場合にとういうときに——付加税の場合は「こざと」をつけない、附属書の場合は「こざと」をつける、附属文のときにもつける。それから添付するというときはつけない。何かそういうことは条約に関してはわかりますけれども、一般のときには、外部での問題のときにはどういうことになるのでしょうか。
○山崎説明員 われわれは実は外務省の条約の観点で御協議したわけでございますが、法制局としては、いま先生御指摘のありましたようによく出てまいります附属書、いまの附属吏、附表、そういうふうな場合には「こざと」へんを従来どおりつけるという御判定でございまして、われわれもそれに同意したわけでございます。ただ一般の法律に出てまいります附属書の「ふ」はどうするか、附属小学校の「ふ」はどうするかということになりますと、実は私もつまびらかにいたしません。
○戸叶委員 これは外務省に伺っても無理でしょうし、これは文部省なり何なりの問題でしょうからこの程度にいたします。 そこでこの条約の内容について一、二点伺いたいと思います。民訴の条約の二十条に「無償の訴訟上の救助」というのがありますね。それが二十四条になりますと、これを平たくいえば二十条で裁判費用が払えない人に対しては無償で訴訟の救助をするわけですね。この文章から読むと、それを受けた人がよその国に送達した場合に、その国の費用の償還というものを請求することができなくなるというふうになっているわけですね。そうすると、そちらのほうの国へ行って払ってほしいということまで言うわけですね。こちらのほうで無償で救助をしておいて、今度は次のほうの国まで行ってそれに対してこちらからいろいろおせっかいをするような形になるわけですね、この二十四条との関係を見ますと。それはよその国のほうまでそういうことをする必要がないじゃないかというふうに考えるわけですけれども、この点はどういうふうに解釈したらよろしいでしょうか、ちょっと質問がくどくどしましたけれども、おわかりになりましたか。
○三井説明員 この条約では、第七条でございますが、費用の関係については相互に償還請求しない。ただし特定の費用については償還請求することができるという規定がございます。ところが二十四条にある締約国の訴訟上の救助が与えられたときは、条約上償還請求できる特殊の費用についても、その関係ではお互いに償還請求をしないというのがこの二十四条の趣旨でございます。
○戸叶委員 それを私どもから言いますと、訴訟の救助ということは、その国で与えたことであるから、よそのほうまで及ばなくてもいいのじゃないかというような気がするわけですけれども、やはりよそのほうまで及んだほうがいいでしょうか。どういうところからそういうことがきたのでしょうか。
○三井説明員 この条約の趣旨は、一つはある締約国で行なわれたことはすべての締約国に及ぼすということで、要するにすべての締約国の間でものごとが同じように運ばれるという原則が貫かれておりますので、この訴訟上の救助についても、ある一つの締約国で与えられた救助は、ほかの国でも全部救助の効力を生じて全部救助は与えられる、そういう趣旨でございます。
○戸叶委員 すべてに及ぶという意味で解釈するわけですね。わかりました。 そうすると、第二の問題で、送達条約のほうで三十三条に、ここに「この条約は、千九百五年七月十七日にヘーグで署名された民事訴訟手続に関する条約第二十三条及び千九百五十四年三月一日にヘーグで署名された民事訴訟手続に関する条約第二十四条の規定の適用を妨げるものではない。」こういうことが書いてあって、この後者のほうはここにありますからわかります。ただ前者のほうは、「千九百五年七月十七日にヘーグで署名された民事訴訟手続に関する条約」ということがあるのですが、これがどういうものであるか全然わからないわけですね。こういうふうな文句が出てきますと、やはりこれはどういうものだろうと思っても、参考資料も何にもないわけで、やはり外務省はこの条約を審議するには、そういうふうなことばが出てきたらば、それはどういう内容のものであるかぐらいの資料を出す親切さがあっていいんじゃないんですか。審議をする上において必要じゃないかと思います。ただこれだけ見ますと、そのまますらっと読んじゃえば何でもないんですけれども、一体これは何をきめてるんだろうということをちょっと疑問に思うのですね。ですから、こういうふうなときにはやはり、この民事訴訟手続に関する条約というのはこういうものが書いてございますというぐらいの資料は今後出すような親切さを持っていただきたいということを要望しながらその内容をちょっと聞かしていただきたいと思います。
○山崎説明員 千九百五年の条約のテキストを参考としてお出ししなかった点はわれわれの手落ちかと思いますが、実はこの条約は日本は当時加入いたしませんでした。その後これが全面改正になりましてこの千九百五十四年の条約ができた。全面変わりましてできたものでございますから、われわれはそれを中心に考えておりましたことと、日本が加入していなかったのでございますが、内容的にはもちろん千九百五十四年の条約とほとんど同一でございます。ただそれが、いろいろ改善されておるわけでございます。ただもちろん条約のテキスト、中に引用されております以上、御参考に出すべきであったかとは思います。
○戸叶委員 内容的に同じであると、そうおっしゃってしまえば私どもそれでわかるわけですよね。ただそういうふうなことばが何にもないものですから、これを見ますと、一体何が書いてあるんだろうかというふうに考えざるを得ないんで、その程度のことであるなら、その程度の説明を今度は何らかの形で参考として出しておいていただきたい、こういうふうに要望いたします。 そこで、民事訴訟条約の一条に「受託国の指定する当局」ということがあるわけですね。「受託国の指定する当局」というのは、日本はどこなんでしょうか。やっぱりそれは受託国によって「指定する当局」というものは違うと思うんですけれども、全部までは伺う必要ないんですけれども、四、五カ国、日本はどこで、ほかの国はこういうところもありますという程度のものをちょっと述べていただきたい。
○山崎説明員 わが国の場合は、この「受託国の指定する当局」は外務省でございます。これはただ、民訴手続に関する条約等の実施に伴う法律案では、「外務大臣」と書いておりまして、正確には外務大臣でございますが、実務的にいえば外務省でございます。ほかの国はどうなっておるかということでございますが、たとえばフランスあたりはやはり外務省でございます。それからドイツなんかは地方裁判所長になっておりますし、イタリアあたりは司法省となっております。わがほうは法務省と協議いたしました結果、やはり外務省がこれになることが適当であろうということでありましたので、今度法務委員会で御審議願っております法律案ではその点が、「外務大臣とする」ということが第二条に規定されております。
○戸叶委員 いまの問題は、そうすると法務委員会で審議する法案の中にはちゃんと「外務大臣」というふうに指定してあって、ほかの国のもみんな法務省の参考資料に出ているというんですが、私どもこんなに詳しく必要ないんですけれども、法務委員会で必要なんですけれども、法務委員の人にこれは何だろうと聞かれて私も答えられなかったものですから、ちょっと伺っておきたかったわけですが、法務委員会等ではどこはだれということははっきり書いて表か何かでちゃんと出すようになっているのでしょうか、この点を伺いたい。そしてまた出すようになっていたらば、そういう印刷があるのだったら、こちらへも出していただけたらなおしあわせだと思います。あまり軽視しないようにしていただきたいと思います。
○三井説明員 法務委員会には私どものほうで作成しました資料を出しております。一覧表をつくっております。
○戸叶委員 法務委員会にそういうのをお出しになるんだったら、たいしてお手数のかかることじゃないのですから、こっちのほうへも出すようにしていただきたいと思います。やはり条約を審議する上において知っておきたいと思いますから出していただきたい。 それから送達条約のほうの二条ですが、二条に「中央当局」というのがあるのですが、これは日本はどこですか。
○山崎説明員 これも法律案で規定されておりますが、外務大臣でございます。
○戸叶委員 そうすると日本は外務大臣で、これは九カ国くらい入っているというのですから、ほかの国は、たとえばイタリアは司法省とかというふうな、いわゆる受託国の指定する当局と大体同じとみなしてもいいわけでしょうか。
○山崎説明員 必ずしも同じではございませんが、われわれの調べました範囲ではデンマークは司法省、アメリカは国務省、フィンランドは外務省、ノルウェーは司法省、イギリスは外務省、スウェーデンは外務省でございます。ただ二、三まだ照会中でわからない点もございます。これは必ずしもこの民訴手続条約にいう指定当局とは全部一緒ではございません。
○戸叶委員 あまり言いたくないのですが、そういうのを審議するときには、法務省ではどうぞちゃんとその資料を外務委員会にもお出しになっておいていただきたいと思います。私のほうからも要求いたしたいと思います。 それから第二の外国公文書の認証を不要とする条約について一、二点伺いたいと思うのですが、第一点は、この公文書が作成されてそして相手国へ提出されるまでの経路、どういう経路をたどって提出されて、どういう方法で認証が行なわれるかということ、いままでこの条約に入らないうちはですね。それをまず伺いたいと思います。
○三井説明員 現在の取り扱いでございますか、わが国から出すほうでございますか。
○戸叶委員 ええ。
○三井説明員 わが国から外国の当局へ出す場合には、たとえば公証人の作成した文書でございますと、公証人の署名を法務局長が認証いたしまして、法務局長の署名を外務省で認証いたしまして、その外務省の証明に基づきまして提出国、たとえばフランスの当局へ提出する場合にはフランスのわが国にある領事官に提出いたしまして、そこでこの認証、まさにこの本件の認証をいたしまして、それからその認証を受けた公文書をフランスのたとえば裁判所なり何なりへ提出するというたてまえになっております。
○戸叶委員 そうすると、いまの例で言いますと、認証するところは、いま日本とフランスを対象にしたわけですが、フランスの領事官、今度はその手数が省けて、そのことは日本の外務省で認証するということになるわけですか。
○三井説明員 そういうことでございます。要するに外務省の証明が最終的なものになって、相手の国の領事官の認証は不要になるということであります。
○戸叶委員 この条約もいろいろと手数の省けることですから別に反対をすることはないと思うのです。で、三条に「権限のある当局」というのがありますね。この「権限のある当局」というのは日本はどこをいうわけですか。これも外務省ですか。
○山崎説明員 これはやはり外務大臣でございまして、具体的には外務省の領事移住部領事課が扱っております。
○戸叶委員 私はこの程度で質問を打ち切ります。
○田中委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 民事訴訟手続に関する条約につきましてまずお尋ねしますが、提案理由の説明によりますと、この条約は一九五四年三月一日にヘーグで作成されている、こういうことでありますが、一九五四年の民事訴訟条約にいままで加入をしなかった理由はどういう理由でしょうか。この点をまず伺いたいと思います。
○山崎説明員 この条約が作成されました一九五四年、つまり昭和二十九年当時は、わが国民の渉外的な司法事件というものは非常に少なかったわけでございます。したがいまして、この条約に直ちに加盟する実益が乏しかったために、すぐにこれに加入する手続はとらなかったわけでございます。しかし最近海外との経済交流も非常に増大いたしますし、人間の行き来も活発になりまして、こういう渉外司法事件というものは量的に非常にふえてきております。それからまた、相手とする国もふえてまいっております。それでやはりできるだけ多くの国との間にできるだけ簡単に公文書の送達や司法共助を行なうことができるようにするという要望がありまして、そこでこの条約の参加を考慮するということになったわけでございます。ただ、これをやります場合には、関係国内法の改正その他整備が必要となりますし、また法制審議会その他でも御検討願う必要があります。法制審議会のほうでは、このヘーグでつくられた司法条約その他いろいろな条約について一々検討された上で決定されたものでありますから、検討にかなり手間どりまして、ようやく今回御審議願っております三つについては批准したほうがよろしいという御意見をいただきまして、今回提出するに至った次第でございます。若干時間がかかりましたことは事実でございますが、何ぶんにも民事訴訟法のこまかい手続の問題でございますので、検討に手間どった次第でございます。
○中川(嘉)委員 特に提案理由の終わりのほうに、いまおっしゃったような「この条約の締約国との間では、訴訟件数も多く、現在幾多の不便が」云々とありますが、このように述べていらっしゃるのは、いま言われた点だと思いますが、改善に向かう姿勢が非常に消極的だったのではないか、あるいはおそかったのではないか、このように思うわけですが、これに対する政府の御見解としては、いまおっしゃったように検討に手間どった、このように了解してよろしいでしょうか。
○山崎説明員 全くそれ以外の理由はございません。十分検討した結果、これは非常に利益があるという判断が下されたわけでございます。ただそれに若干時間がかかりましたことは事実でございます。
○中川(嘉)委員 それでは現在わが国と外国との司法共助の取りきめはどのような形になっているか、何カ国くらいと取りきめが行なわれているか。これをちょっと参考までに知らしていただきたいと思います。
○山崎説明員 現在では、司法共助取りきめに関しましては、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法という法律が明治三十八年の法律でできております。これに基づいて司法共助が行なわれております。したがいまして、これに対してはこの共助法の第一条に定めるいろいろな条件が満たされた場合には、外国からの司法共助の嘱託に応ずるということになっております。 それから、それじゃそれに基づいてどれだけの司法共助の取りきめができておるかと申しますと、現在のところは主要国二十二カ国との間に司法共助取りきめができております。
○中川(嘉)委員 この外国裁判所に対する送達、証拠調べの嘱託の実施状況ですが、これはどんなふうになっておりますか。
○佐々木説明員 昭和四十年から四十四年までの最近の実績は次のようになっております。日本から外国への送達件数ですが、これは全部で百七十三件でございます。外国から日本へ来ました送達は五十五件でございます。 それから証拠調べでございますが、これは日本から外国へ行ったものが十五件、外国から日本へ来たものが七十五件となっております。これは全部外国政府、それから外国裁判所の共助を得てやったものでございますが、領事送達でやったものは全部で六百二十八件、それから証拠調べにつきましては十三件、こういう数字になっております。
○中川(嘉)委員 私の手元に別の資料がございますが、これは大体三十年以降の件数として、おもなものが中華民国百七件、アメリカ六十一件、ブラジルが五十件、イギリスが三十四件、こうあるのですが、おもにどのような内容のものか、おわかりになればひとつ御答弁願いたいと思います。
○三井説明員 事件の内容は、主として身分関係のものが多いそうでございます。特に離婚、それからまた第三条の問題では相続に関係したものが多いということであります。
○中川(嘉)委員 先ほど外国裁判所の嘱託による送達、証拠調べのお話もありましたけれども、ドイツが四十五件、イタリア十九件、イギリスが十件、同じような質問になりますが、この逆の場合ですが、これはおもにどのような内容でありますか、この点について……。
○三井説明員 その点は調査いたしましたが、はっきりわかりませんでした。
○中川(嘉)委員 外国と司法共助の取りきめがなければ送達、証拠調べの嘱託はできないと思いますが、韓国との間はどのようになっているか、この点どうでしょうか。現在の韓国との実情について説明していただきたいと思います。
○山崎説明員 現在韓国との間には証拠調べ、送達等に関する共助は行なっておりません。
○中川(嘉)委員 そうしますと、実際にそういうふうにしたいのにできなかったのか、それとも何か他の理由があるのか、その辺はどうでしょうか。あるいはまた、これからどのようにその司法共助の関係をしていくつもりか、その点をあわせて御答弁願いたいと思います。
○山崎説明員 韓国との間にも少なくとも司法共助の取りきめはしたほうがいいとわれわれも考えておりまして、韓国側にも申し入れておるわけでございますが、先方は検討中という返事でありまして、まだ話がついていないわけでございます。 それからただ実際問題に立って何か具体的な送達についてどうしてもしなければならぬということが起こりましたときには、民事訴訟法の第百七十八条の規定に従っていわゆる公示送達というものを行ないまして、さらにその訴訟法の第百七十九条第二項ただし書きの規定によって、この公示送達を行なった旨を郵便で送達を受ける者に通知しております。
○中川(嘉)委員 ヘーグ国際私法会議において採択されたところの条約及び発効状況ですが、これがどのようになっていますか。条約名のおもなものからまずあげていただいて、お答えいただきたいと思います。
○山崎説明員 戦後に作成されました条約案は十七ございます。そのうち十五が条約となりまして、署名に開放されまして、そのうち発効しているものは八つでございます。いま御審議願っております三つの条約以外に、有体動産売買条約、それから有体動産所有権移転条約、それから有体財産売買行為管轄条約、それから本国法住所法地抵触規則条約、それから扶養の関係では扶養義務準拠法条約、またこれに関連する条約でございますが、未成年者保護条約、それから遺言方式条約等がございます。このうち遺言方式条約はすでにわがほうは国会の御承認を得て加入いたしております。
○中川(嘉)委員 送達条約の第二条とそれから十八条の中央当局というところがあります。この中央当局は、同じく第二十一条でオランダ外務省に通告することになっているわけでありますが、嘱託国は受諾国のどこへ送達すればよいかがすぐわかるわけでありますが、しかしながら、この民訴条約の第一条と九条の指定当局はどこにも通告しないで、嘱託国は受託国のどこへ送達してよいかわからない、このように思うのですが、どうして通告することにしなかったのか。違いがあるんですか。この点、どうでしょう。
○山崎説明員 その点の相違は御指摘のとおりでございます。したがいまして、この送達条約のほうがそういう意味においては、条約的に見れば、改善されていると思いますが、民訴手続条約においてはその点がはっきりしていないことはございます。ただ現実の問題といたしましては、ヘーグ国際私法会議の事務局を通じて法務省のほうで常時情報の交換が行なわれておりますので、どこの国がそういう宣言をしたとかいうことは全部わかるようになっておりまして、実際上の不都合は生じておりません。
○中川(嘉)委員 いまお答えいただいたわけですが、この民訴条約を締結している二十一カ国の指定する当局、それから送達条約を締結しているところの九カ国の指定中央当局、これはどういうところか、各国別にもしわかりましたら、まずお答えいただきたいと思います。二十一カ国及び九カ国です。
○山崎説明員 おもなところを申し上げますが、民訴手続条約の場合には、ドイツは地方裁判所長、ベルギーは名あて人居住地の王国検事、デンマークは地方裁判所の判事または裁判所長、フィンランドは外務省、フランスは同じく外務省、イタリアは司法省、それからルクセンブルクは検事長または検事正、ノルウェーは郡または市裁判所、オランダは区裁判所、裁判所書記官、スウェーデンは外務省、それから加入国といたしましてはイスラエルはイエルサレムの裁判所事務局長、ユーゴスラビアは共和国執行委員会領事部、チェコスロバキアは外務省、ポーランドは名あて人の居住地の裁判所長、バチカンは司法官、ソビエトは外務省、われわれの調査で判明いたしましたところは以上であります。 それから送達条約のほうの中央当局として指定されておりますのは、デンマークは司法省、アメリカ合衆国は国務省、フィンランドは外務省、ノルウェーは司法省、連合王国、英国でございますが英国は外務省、スウェーデンは外務省となっております。二、三わからない点がありまして、これは目下照会中であります。
○中川(嘉)委員 いま最後に照会中であるというようにおっしゃられたのですが、この条約はいま衆議院の承認を求めているのであって、照会中であるというのはとんでもない。むしろ問題があるのですが、この点は一体どういうお考えでしょうか。いまおっしゃられなかったところが結局照会中と解しているわけですけれども、この点、どうでしょう。
○山崎説明員 照会中のものにつきましては事情がわからないわけでございますが、いろいろありまして、まだ全く指定していない国あるいは一応回答はきたけれども、どうも間違っているのではないかというのもありまして、もう一回照会している国、その他の事情によるものでございまして、御指摘のとおり、これがはっきりいたしませんと、この条約に入りましても、この条約はうまく動かないわけでございますから、われわれとしてもいま極力もう一回事務局を通じ、あるいは直接にそれをはっきりさせるように努力しているわけでございます。
○中川(嘉)委員 どうももう一つはっきりしないようですが、やはりこういう重要問題ですので、一刻も早く具体的にどういうふうな姿になっているかという点について明確にしていただきたい、これを要望したいと思います。
○戸叶委員 ちょっといまの問題で……。この条約が国会で批准されるまでにこれは明確にできますか。
○山崎説明員 できるだけ努力いたします。ただ、たとえば送達条約の締約国のうちにはボツワナとかバルバドスとかいう国も入っておりまして、これは実はわからないのでございますが、たとえばボツワナ、バルバドス等は、わが国の在外公館もございませんし、結局直接通信するか、あるいは事務局を通じて問い合わせるわけですが、向こうの事務能力の関係もあるわけで、なかなかつかめなくてわれわれも苦労しておるわけでございます。しかしこれはできるだけ努力いたします。ただ、これは言いわけではございませんが、実際はこれが発効いたしましても、事件が起こるまでにこれがわかれば不都合はないので、発効したとたんに全部わかっていないと困るということではございません。
○戸叶委員 問題はあるけれども、この次にしましょう。
○中川(嘉)委員 それでは次に、この民訴条約の最初のページですが、「裁判上及び裁判外の文書の送付」とありますが、この「裁判外の文書」というのは具体的にどういうものでしょうか。
○三井説明員 「裁判外の文書」と申しますのは、現在まだ訴訟が起こっていない、したがって裁判上の文書ではないけれども、将来訴訟が起こり得べき可能性がある、あるいはその起こり得べき訴訟を防止するそのために送達が必要であるという文書、たとえば催告書とか債権譲渡の通知とか、わが国では執行力ある公正証書、こういうものが裁判外の文書である、こういうことになっています。
○中川(嘉)委員 そうしますと、外国でいうところの裁判外の文書も同じような性質と解してよろしいですか。
○三井説明員 さようでございます。
○中川(嘉)委員 民訴条約第十九条には、「司法行政を担当する最上級の職員」というところがあります。これは日本ではだれがなるのですか。
○三井説明員 わが国では、これは実施法では最高裁判所と指定いたしました。
○中川(嘉)委員 そうしますと、最高裁判所が司法行政を担当する最上級の職員と了解してよろしいですか。
○三井説明員 さようでございます。
○中川(嘉)委員 民訴条約の三条、それから送達条約の第五条、これに「特別の方法」というところがあるのですが、この「特別の方法」というのはどういう方法ですか。
○三井説明員 この点は、現在まで調査いたしました限りでは、ある国では一定数の証人の面前で送達を行なうようにという請求がある場合があるそうでございます。
○中川(嘉)委員 では最後に、外国公文書の認証を不要とする条約のほうですが、一つだけお尋ねしたいと思います。 この件について、ヨーロッパ以外の国々、すなわち東南アジアとか北米とかあるいは南米等のこの公文書の認証というのはどのようになっておるか、ひとつ参考までに教えていただきたいと思います。
○山崎説明員 御指摘のとおり、東南アジアとかその他の国はまだこの条約にあまり入っていないわけでございまして、そういうふうな国に関しましては、やはり従来どおりの認証を要求されるわけでございます。具体的には、わがほうのそういう公文書でわがほうで証明したものを、さらに相手国の在日大使館または領事館の認証を受けて提出するというふうな手続になります。ですから、できればそういうところもこれにできるだけ入ってもらいたいとわれわれ思っております。
○中川(嘉)委員 それでは先ほどの話にちょっと戻りまして、例の照会中の国々の件で、ボツワナあるいはバルバドスですか、いろいろ国の名前が出ておりましたけれども、この中にはオーストリアであるとかスペイン、フィランド、そういうところも、当然イタリアなんかもあるようですが、単に照会中ということでなしに、一刻も早くひとつ具体的に調べ上げていただくということを要望いたしまして、以上で質問を終わらしていただきたいと思います。
○田中委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる二十三日、午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時七分散会 ————◇—————