P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
63回国会衆議院1970/03/27

外務委員会 第4号

発言数
89
登壇者
8
会派数
3
開催日
1970/03/27

会議録

田中榮一自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  旅券法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 先国会におきまして、旅券法が提出され、衆議院ではこの案の審議をいたしましたが、参議院がほかの法案とのかね合いで通らず、国会解散で新しい国会ができました。そこで、かつての委員会で質問をした点とか、あるいはまた前向きに答弁をされた点など生きているということを念頭に入れながら、当時質問できなかった内容などについて二、三お聞きしたいと思います。  第一に、海外渡航の権利というものは、憲法から見ましても、国際法の上から見ましても認められていることは、私がいまさら申し上げる必要もございません。したがって、旅券の発給が制限されてはならないことは当然でございます。元来、旅券を持つ人が日本人であるならば、日本国民であるという意味と、安全に相手国に支障なく旅行ができるという意味で旅券を持つものであると思います。としますと、どうぞ来てくださいという招待状があれば、当然それを持っていく人は守られるわけでございまして、その意味からいっても、原則としては国交回復国とか、あるいは未回復国とか区別すべきではない、原則としては区別すべきではない、こう思うのでございますが、念のために大臣にこの点を伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 前々から申し上げておりますように、旅行の自由ということは、そもそも人間として基本的な一つの人権として持っていることである、かように考えます。ただ、旅券というものの性格は、旅行先の相手国において、その国の適当な保護を受ける、あるいは相手国から便宜を供与してもらえるというような、また単純な身分証明書と違った法律的性格を有するものである、私はかように理解いたします関係で、やはり相手国の、特に未承認国との間の関係というようなことになりますと、一がいに承認国との間と全く同様にするということは、旅券というものの性格からいっていかがであろうか。要するに、理想的な場合を考えれば、もうどこの国とも、世界じゅう全部承認国であって、国交が、われわれの外交の基本方針のように、どの国とも共存の関係になり、どこの国とも国交が正常になるというような場合が理想であって、そういう場合には、原則的な、人権的な意味がもっと広く解釈されてもいいわけだと思いますが、現状ではそこまで割り切っていくことは、ちょっとどうかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣のおっしゃることも、私は分析してみますと、身分証明書的なものであると同時に、相手国から保護されていかなきゃならない。で、そういう意味で、未承認国との関係は、ともかく政府としては、相手国がわからないのだから、また保証でもされなければ困るというふうなお立場から、現状においては区別をしなければならない。しかし原則的には、これは人権として持っているものである、権利として持っているものである、旅券というものは、当然公平に発給されて、そうして使えるものであるということをお認めになりながら、現状ではそういう問題を懸念していらっしゃる、こういうふうに了承したわけでございますが、そこで相手国がどうぞ来てくださいと、いろいろな仕事をするのにも、貿易なり、あるいは報道関係なんかにもどうぞ来てくださいと言うからには、やはり保証いたしますということで迎えるのだと思います。したがって、いま大臣が懸念されるようなことは、私は例外を除いてはないのじゃないか、こういう意味からいいますと、やはり原則というものをはっきりと踏まえて、この旅券の発給ということをしていただきたい、こう思うわけでございますが、もう一度この点を伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 大体のお考えは、そういうことで私はいいと思いますけれども、ただやはり仮定の問題として考えますと、まあ国によりましては、いらっしゃいと言ってくれるのはいいけれども、それが日本の国内の国益に反するような将来の行動なりあるいは約束なりということを取りつけるため、あるいはそういう意味の便宜を供与するための手段というものも、私はあり得る場合があると思います。それがよく問題にされますけれども、第十九条ですか、現行のこれは存置するわけでございますが、そこにかかってくる問題かと思います。これはもうあえて率直に申しますけれども、そういう点があるということは、やはり政府の立場としては明らかにしておかなければならない点かと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日本の国内の国益に反するような行動というような問題でございますが、このことにつきましては、あとから私は少し質問をしてまいりたいと思いますけれども、いま大体この未承認国などに行く人の中で問題になっているのは、一般の人たちもありますけれども、そういう人たちよりも、むしろ貿易関係とか、スポーツ関係とか、あるいは報道関係とか、そういった方たちに、国によっては限られているような面、限られるということは言い過ぎかもしれませんが、そういうような人たちが多いというような面があるのじゃないか。こういう面からいえば、あまり差別をされなくてもいいではないかというふうに考えるわけでございますが、たとえばスポーツ関係なり、あるいは技術者とか、こういう人たちに対して、あるいは貿易、あるいは報道人、こういうような人たちに対して、別に制限をする必要はないのじゃないか、こういうように思いますが、この点を念のために伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これも大体の考え方は、私、別に異存はございません、そういうお考えに対して。ただ、しかしやはりケース・バイ・ケース、未承認国に対しましては審査をするということになっておりますのも、あまり申し上げますと、かえって問題がこんがらかるかと思いますけれども、そこに政府の立場としての考え方、あるいは留保しているところがあるということは御理解がいただけるかと思いますので、念のために申し上げておきます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう少しその点を伺いたいのですが、これはまたあとの機会にしたいと思います。  今度の旅券法の改正というのは、昭和二十六年にできた旅券法でたいへんに古くて、手数も省かれ、また海外渡航者の激増に間に合わせて便宜をはかっていこうとする点とか、あるいは五年数次往復旅券を大幅に活用しようとしている点だとか、全体的に私は前進というものを認めるわけではございますけれども、承認国といわゆる未承認国との間に差別がつき過ぎるという点は、どうしても納得ができない点だと思うのです。つまり、一方では五年間有効で、商用であろうと、観光であろうと自由に行けることになって、そうして記載の中に、包括記載というので、全世界地域としての旅券で旅行が認められて、そういう面ではたいへんに前進するわけでございます。  また一方、いわゆる未承認国、東ドイツとか北ベトナム、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国などはシングル旅券で、その手続にも、まず趣意書を出してそうしてそのあとで申請書を出す、こういうような、手続上も時間的にも非常に制約をされてしまうので、こういう点から見ますと、一方はその目的のいかんを問わず包括的な旅券を出すのに、一方においてはあまりにも制限をしてしまうという、この差があり過ぎるのではないか、不公平があまりにもあり過ぎるのではないかということを心配をいたしますが、この点はいかがでございましょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 非常に差があり過ぎるというお話でしたけれども、たとえば承認国に対する旅券でも——さっき私十九条と言ったのは間違いでございまして、十三条ですが、十三条第五号も、承認国に対する旅券につきましてもアプライされるわけでございます。それから、将来運用の問題としては、未承認国に対しても数次旅券ということを考える余地もないではない。つまり、要するにさっきからのあれをぐるぐるめぐりするわけですけれども、政府の立場として、やはり旅券ということになりますと、承認国と未承認国を全部同一に扱えと言われるのは素直にいってちょっと御無理ではないだろうかなという常識的な感じをお持ちにならないでしょうかということを申し上げたいところでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま大臣がおっしゃいました十三条の五号の問題は、やはりこれがいろいろなところで問題になっているところでございまして、これはあとから私も質問したい、こういうふうに考えております。  そこで具体的にお聞きしたいと思いますのは、未承認国といえども理想としては当然、それからまた、私どもから考えるならば、旅券法の性質ということから考えましても、趣意書というようなものを出さないで、そうしてこういう四カ国の場合も、ほかの国への渡航のときと同じように、すぐ申請できるということが望ましい。これは当然早くそういうふうにならなければいけないと思います。またそういうふうにしてもらいたいと思いますけれども、そこまでいまいけないとするならば、この趣意書と申請書とを別々に出さないで、趣意書と申請書とを同時に受け付ければ、多少時間が早くなるのじゃないかというようなことも考えられますけれども、そういうことはお考えになっていないかどうか。もちろん私たちは、趣意書などというものを出さないで、申請書をすぐにほかの国へ行くのと同じようにしたいということは、したいというよりも、するべきであると考えておりますけれども、今日の段階で、いま大臣の今日までの御答弁によって判断をして考えるならば、趣意書と申請書とを同時に受け付けるようになされないものかどうか、こういう点をまず伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 申請書というものは、やはり私も考え方としては御同感でございます。そこで、まず漸を追うて、そんな程度では満足できないとおっしゃられるかもしれませんけれども、私はいま、この間、実はこの席でも申し上げたつもりでございますけれども、趣意書と旅券の申請書は同時に出していただく、それから極悪書は、この前の国会の御審議のときにもいろいろ御批判をいただきましたが、少なくとも提出の部数を半分にする。ですから、趣意書をたくさんつくられないことと、それから旅券申請書と同時にすることと、この点においては相当の改善をするつもりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ではいまのことは、趣意書と申請書を同時に受け付けるようにする、これが一つお約束されたわけです。  そこでもう一つは、趣意書が部数が多過ぎるから部数を少なくする——いま中華人民共和国へ行く人は、十五通くらい出しているわけです。これはいろいろな省に行くということで、その人の身分がどうであるかということをいろいろ調べるわけです。そういうことの必要をあまり私たちは認めないわけですけれども、いまの段階でしかたがないといたしましても、いまの外務大臣の御答弁で、それじゃ十五通は要らないけれども、大体どのくらいでこれが解決されるとお考えでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 さしあたり半分にしたいと思っています。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これはどういうところから聞いたかわかりませんけれども、大臣が半分くらいにするとおっしゃったのに、何か外務省の方が、大臣は半分にするとおっしゃったって、結局は十五通要るんだからリコピーをこっちでするんだから、手間は同じだよというように言っておる方があると私は聞いておるのです。そうなってくると、結局同じだと思うのですけれども、これとの関係は一体どういうふうになるのでしょうか。念のために伺っておきませんと、今後やはり問題を残すと思いますので……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは私は初耳でございますけれども、確かに半分にいたすつもりでございます。  それから許可といいますか、発給するまでの日数も、したがってできるだけ早く発給するようにいたしたいと思っております。現在は三週間かかっておるのですね。これはやはり趣意書を半減することと関連いたしまして、その時間もできるだけ短縮したいと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 趣意書の数と、それから発行する期間の日数とは比例するとは思いませんけれども、しかしいままで三週間かかっていたものがもっと短かくなる、おそらく十日くらいでできるとか、そういうような形になれるというふうに考えてもよろしいかどうかということと、それから七通ということは、別にリコピーをとるでも何でもない、七通で済ませるんだ、こういうふうに了解してもいいでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私もその現場のテクニカルなあれはちょっと正確に自信を持って申し上げられませんけれども、とにかく申請者の手続、手数を相当に軽減するという趣旨でございますから……。それからまた申請書とそれから趣意書を同時に提出していただく、それから出たならば、三週間は一かけないというようなところでよほど簡素化できるのではないかと思っております。  それからある地域に、たとえば純粋の商用で行っておられるような方については実績もわかっておるわけですね。たとえばある地域にはこういうことでしょっちゅう行かなければならない、また行かれてこういう仕事をしておられるというような方の実績なんかもわかっておりますから、そういうことも十分事務当局も念頭に置いて簡素に、能率化して、あるいはまた親切に扱うということをこの際努力を新たにするようにいたしたい、こういうふうに私の気持ちとしては考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 三週間も四週間もかからないで、ぜひ早くやるようにしていただきたいと思います。  そこで、いま外務省のほうでは、たいへん世界に誇るような旅券の機械化ということをされたようで、私も機械には弱いほうで、見に行ってわかりませんけれども、しかし何か能率をあげてもらえるんだろうなということを期待しておるわけですけれども、初めのうちはたいへんこんがらかってミスだらけだったというようなこともあちこちで聞くわけですが、大体落ちつかれたと思います。そこでこの機械化によって、いままでよりも一体どれだけの時間が省かれるか。たとえばいままで申請して一週間でもらえていたものが一体どれくらいでもらえるようになった、一日でもらえるようになったとか、二日でもらえるようになったとか、その機械を使うことによってどれだけ早くなったかということ、それから趣意書を出した場合、申請書を出したときにはこの機械化には当てはまるのでしょうか、全然機械化とは別の形でやられるのでしょうか、この点も念のために伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 機械化については、実際見てもいただいたと思いますけれども、相当簡素化されたと思いますし、それから御承知のように東京、大阪等が旅券申請のほとんど半分くらいを占めているわけですが、ここと直結した機械力が発揮できるようになりましたから、これで正確にどのくらいスピードアップになりますか、これは専門家から御説明いたしたいと思います。ただ、あまり漸新な機械を急速にあれしましたために、初めちょっとミスが出て、かえって暫時御迷惑をかけましたけれども、これはすっかり本筋に乗ったようでございますから、私も安心いたしております。  それから趣意書を出す場合どのくらい簡素化、能率化にアプライされるかということ、これは事柄の性質上必ずしも機械化でスピードアップされるその比率でもってはスピードアップされないかもしれない、その点はお含みおきいただきたい。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 ただいまの機械化によってどれだけ短縮できるかという御質問でございましたが、現在機械化をやっておりますのが北海道、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡というところでございます。この大きな道府県との間には専用回線を設けまして、機械で送り、それから受け取るということになるわけでございますが、現在申しますと、往復とも機械化しておりますのが大阪と兵庫だけでございます。これについては従来郵便でやっておりましたのが機械でやれるわけですから、その分だけ往復で数日短縮されました。あとそれ以外のところにつきましては、材料を外務省へ送ってまいりますのは従来どおり郵便でございます。それに基づいて印字いたしまして、それでもとへ送り返すわけでございますが、これが機械でございます。これは片道の郵便分だけ省略されるということになるわけで、その道府県の距離によって違いますけれども、一般的にはそういうふうになるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、スピードアップというよりも機械によってたくさんの旅券を扱うことができる、こういうふうなことですね、いまのを伺っていますと。やはり旅券がうんとスピードアップされるのじゃないか、たとえばいままでは申し込んでから一週間も十日もかかっていたのが、二日か三日でできるように機械化されたのかというような、しろうとですから、機械されてたいへんよくなります、省略になりますということを伺いますとそういうことしか考えられないわけなんですけれども、そうじゃなくて往復の郵便の片道が省かれるというふうな程度のもの、それでも二日や三日は省かれると思いますけれども、そういうふうなものであって、むしろたくさんの旅券を機械化で一時に扱えるというようなことのほうが多いのですか、その分にメリットがあるわけですか。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 この点につきましては内部での事務処理も機械化によって進むわけでございます。現在のところ、さっき申し上げたような郵便分でございますけれども、機械が整備されて、従来つくるのに数日かかっておったものが追いかけられることなくどんどん処理されるということになってまいりますと、本省側での作成につきましてもまた数日省略されるということになると思います。

林祐一外務大臣官房外務参事官

○林説明員 いま部長の御説明の点を若干補足させていただきます。  先生おっしゃるように、量もそれから申請後発給するまでの期間もかなり短縮できる、これはただいま部長の説明がございましたように、三月十六日に機械化を東京都を加えまして六府県に実施をしておりますが、その間若干の調整のためにおくれたという点ははなはだ申しわけなく思っておりますが、それもだんだんなれてまいりまして、ほとんどもとに戻りつつございます。さらに東京の外務省と大阪府それから兵庫につきましては、商用等につきましては特に往復電送を部分的に実施しております。したがいまして今後もこの往復電送を他に随時、なれ次第実施したい、とりあえず三月十六日から実施しました往復部分につきましての日数をはかってみますと、なれ次第によっては一週間から五日ぐらいで済むのではないかと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 せっかく機械化されて早くやるというふうな宣伝が行き届いておりますから、どうぞその実を結ぶように期待をするわけですが、そこで二つの具体的な例を私は説明していただきたいと思う。  それは、五年間有効の全世界包括旅券を持っている者がいま述べられた四カ国に行くには追加申請をしなければならないというんですね、どこ九へ旅行している場合には出先で。ところがそういうときに追加申請をするときには非常に手間を〉るんじゃないか。たとえば世界包括旅券を持っている者が急に東ドイツのほうに用事があって行かなければならない、西ドイツまで来ていてもそこで手続をするということになると、そこで相当時間がとられてしまうと思いますけれども、そういう不便というものは依然として残っているというふうに了承しなければならないのでしょうか、この点を伺いたいと思います。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 新しい旅券法になりました場合には、仰せのとおり四カ国を除いた包括記載のマルチプルで出かける、そうして行っている間に未承認共産国のどこかへ行かなくてはならぬという場合には、やはりもう一つ別にシングル旅券を申請していただくわけでございます。たとえば西独まで行っておりまして、そこから東独に入るという場合には、東独行きの旅券を、シングル旅券をとる必要があるわけです。この場合の手続といたしましては、やはり渡航申請書その他の必要もございますので、おそらくは現地よりも東京で、本社の方たちが政府部内をクリアーする、つまり外務省を通じましてその他のほうもクリアーした上で東独行きの旅券を出していいということになりましたら、わがほうの西独、まあどこかの御希望の一番近い館に電報を打ち、そこの館でもって東独行きのシングル旅券を受け取っていただく、こういう段取りになるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その間待っている時間は最低でどのくらいですか。非常に時間がかかるんじゃないのですか。

林祐一外務大臣官房外務参事官

○林説明員 現実の状況を見てみますと、たとえばベルリン総領事館で、東独を通過していきたいと——いま部長がおっしゃいましたようになるべく東京を出発する前に処置されたほうが簡便だと思うのです。しかしながら在外でその必要性が発生した場合におきましては、現地の総領事館で電報その他でもって送ることも承知しておりますので、それほどの時間を要しないでもって旅券が、改正後も入手できる措置を講じたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま西独、東独の例ですから、それほどむずかしくないかもしれませんけれども、よく貿易商社の人やらあるいは報道関係の人が困るようなケースが起きてくると思う。というのは、たとえばハノイなんかに行っている人、そういうふうな報道関係あるいは貿易商社の人が急に朝鮮に入れというふうなことの命令が来て、両方とも商売上相当急がなければならないと思うのです。そういうふうなときには、日本の出先機関のあるところですから、結局香港なり何なりに来て、そして東京のほうでは本社にインビテーションなり通知が来たわけですから、本社のほうがインビテーションをいろいろ操作をして、そして趣意書を出してもらったりなんかして手続きをして、その間香港にとどまっていなければならない。そうするとその間にいろいろとニュース関係も終わってしまえばあるいは貿易関係の仕事もおくれてしまう、こういうような事件が出てきて、貿易商社の人もこういう点がいままでと比べまして非常に困る問題ではないかというふうに考えるわけです。したがって、いま林さんが、たいへん簡単に、電報でもって出先の領事館からさっさと打ってやればすぐ片づきますなんということになると二、三日で済みそうですけれども、いまの手続でさえも手間がかかるのに、二、三日ではとても片づかないのではないか。急ぐ時間、緊急性のある問題等の場合にはとても間に合わなくなるのじゃないかという点を一番心配いたしますけれども、こういう点は大臣どういうふうにお考えになるのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはできるだけ早くやって差し上げたいということで、私も御承知のようにテクニカルなことはよくわかりませんけれども、私の気持ちとしてはそういうことで指示をいたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま大臣がその趣旨をよくわかってくだすって、できるだけ早くしたいというふうにおっしゃったわけですけれども、事務的なことを扱う方に伺いたいのですが、大体最小限度幾日くらいでできるでしょうか。こういう点をある程度伺っておきませんと、いままでの慣習になれた人たちから見ると非常に不安だと思うのです。私もやはりそういうことを伺っておきたいと思いますので、大体事務的にこのくらいでやれるというふうなめどだけでも教えていただきませんと、やはりいままでにそういう話がいろいろ出てきているのです。ですから、ちょっと大まかな点でもいいですから教えていただきたい。たとえば十日かかるなんというといろいろな問題か起きてしまうと思うのですけれども、やはり最小限度十日くらいかかるでしょうか。三日か四日くらいでやっていただけますか。

林祐一外務大臣官房外務参事官

○林説明員 現在でもそうでございますが、やはり出先の在外公館に出ていただきまして、それから電報その他で行動を対本省に開始するわけでございます。したがいまして、できれば私たちとしましては、そういう事態が予見されるのであれば、日本を出発される前にそれらの地域に行くことができるように、あらかじめ渡航先といいますか、シングル旅券をとっていただくことを希望したいわけであります。もしかりに在外において、未承認共産圏地域においてそういう事態が発生した場合におきましては、結局そういった地域から日本の在外公館に行くまでの時間と、それから行ってから東京との間を往復する時間というものを考えてみますと、一がいに何日ということを私いまここで申し上げるわけにはまいりません。われわれとしましては大臣おっしゃいましたように、事務的になるべく早く処理したいという気持ちで一ぱいでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 大臣もおっしゃいましたように、一生懸命取り組んでくださろうとするお考えはよくわかります。ただ問題は、そういうふうな問題が起こりそうな場合には、予見されるときには前もってそのあれをとっていけということですけれども、予見されるときはいいですよ、いままでも予見されない場合が非常に多かったわけです。それから急に事変が起きるとか、あるいは急に取引に行けというような問題が起きてくるわけです。  そこでもう一つの問題は、こちらの国へ行くという場合に、まあ未承認国ですけれども、たとえば北京なら北京に例をとりましょう。その旅券をとって行っても、ほかのほうからは別にインビテーションはこなかったわけです。用事ができてきて、それからくるわけですから、初めからとるというわけにいかない。もし初めからとったとすれば、両方からのインビテーションをもらっておいて、そしてこっちに行かなくて済むかもしれないけれども、もらったということになると、こっちの国に対して行かないのは失礼になると思うのです。そういうような非常な不便が出てくるということは、いままでそういう業に携わっていた人たちから見れば非常に不安じゃないかと私は思うのです。そこで、出先の機関で東京の外務省との間の連絡をできるだけ早くしてやるということでございますけれども、できるだけ早くするというお気持ちはわかっても、実際問題としてなかなか手間がかかるのじゃないかということを私は一番心配するわけなんです。十日以内にできるなんということはほとんどないのじゃないか。大体のめどとしてはいかがでございますか。そうすると仕事なんか済んでしまって、そしてむだでもまた別に新たに出さなければならない、あるいは東京まで帰ってきたほうがいい、そういったいろいろな問題が出てこないか、これがいまの旅券法の問題点だろうと思うのですけれども、この点をなお念のために伺わしていただきたいと思います。

林祐一外務大臣官房外務参事官

○林説明員 仰せのとおり、たとえば在香港の商社の方が急に用命で北京へ行きたいという事態が発生する場合に、香港からの出発では確かにわれわれも電報で処理します。できるだけ早く処理するというふうにやっておりますが、現状でもそうでございますが、しかし今後におきましては、機械化と法律の改正ということで全体のわれわれの意欲がわいてまいりますので、そういった全体の方向の中で、本件の処理もできるだけ早くするとか、簡便な措置を講ずるということで努力していきたいというふうに考えております。したがいまして、いまのところ何日とここでお話しできる状態でないことを残念に思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私もそれを伺うことはちょっと無理だとは思いますけれども、さっき大臣がおっしゃいましたように、できるだけ早くやるようにしたい、また担当の方々もできるだけ早くやるようにしたいとおっしゃったのですが、急ぐ用事なのにとても三日、四日ではできないということになると、せっかくの商談もまとまらないというようなことになりはしないかというので、私はこの点を一番心配します。だから、こういうことが早くなくなるようにしてもらいたいということが、この旅券法の中心の考え方なんです。それ以上詰めませんけれども、ぜひその点を大臣お考えになっていただいて、そういうケースが多いですから、そういうケースをほんとうに一週間以内、三日以内くらいで解決するくらいの意気込みで取り組むように、外務省にといいますか担当の方に督励をしていただきたいと思うわけです。  そこで、二十三条の二項の一、いまの問題にからむわけですけれども、「一般旅券に記載された渡航先以外の地域に渡航した者」これに三万円以下の罰金と、ケース・バイ・ケースで今後においては旅券を出さないようにする、刑事罰にされ、また出されないようになるということになりますと、旅券というものの性質から見ましても、こういうふうなやり方というものは少し過酷過ぎるのじゃないか。こういうふうな過酷なやり方というものをなくすか、あるいはそういうふうな罰金なりそれからまた旅券を今後において出さない、そういうふうな原因をつくらないということが私は一番大事だと思う。出さないでおいて罰金のほうを重んじていくというふうなことのないように、ぜひ早くしていただきたいと思います。大臣のお考えを伺いたいのと同時に事務局に対して、三万円取ってまた旅券を出さないようにするというようなことは少し過酷過ぎやしないかと思いますが、この点のことを伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 前段のお尋ねの点については、本日もたびたび申し上げておりますように、私の気持ちもおわかりいただいておると思いますし、私もこれは口先だけでなくて、実効があがりますように十分措置いたしたいと思います。  それから罰則の問題でございますけれども、これは前国会の御審議のときにも私は率直に申し上げたつもりでございます。私は、将来の問題としては、こういうことがなくなるように諸般の情勢がもっと緩和されることが望ましいと思います。要するに、法体系を整備するためにやむを得ずこの三万円というものがかかっておるわけですから、そういうことも考慮の上に置きますと、三万円は罰金として取った、また旅券は取り上げてもう出さない、こういうことのないように措置いたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 両方の罰としては少し過酷過ぎるんじゃないでしょうか、この点は。いまの段階でどうしても罰金を取らなければならないとすれば、罰金を取って、さらに旅券を出さないというのは、少し過酷過ぎはしないかと思いますが……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは併科するということが原則ではないように私も理解しております。ですから、実行上もなるべくそういうことがなくて、あなたのおっしゃる過酷にならないようにいたしたいと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 まあ原因を取り除いていくように努力をしていただきたいということで先に進みますが、十三条の一項五号は、さっき外務大臣がおっしゃいましたように、「外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」というところがございますけれども、これは法律事項として具体的に明示すべきではないかと思うのです。たとえば法律できめられていないで、外務大臣の自由裁量で——これは著しく日本国の利益または公安を害する行為を行なうおそれがあるというふうに、外務大臣の裁量で、この国民の権利というものを侵害していくというのは、多少行き過ぎになるんじゃないか。たとえば人によってこの認定が違ってくるわけで、何らそこに基準というものがないので、愛知さんのようなりっぱな大臣でしたらそういうことはないかもしれませんが、人によってはそういうふうな行き過ぎをする方があるかもしれない。この点がいろいろな問題をこれまで起こした点ではないかと思いますが、この点について、何ら基準もなくて行き過ぎをするというこの条項は、少し問題があるんじゃないかと思いますが、これはどういうふうにお考えになるのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはまことにごもっともな御意見でございまして、私も前国会のときにもるる御説明いたしましたし、現在も同じような考え方でおるわけでございますけれども、やはり基本をさかのぼれば、旅券というものの性質と、それから率直に申しますと、分裂国家に特に日本が囲まれているという現状から申しまして、なかなかクリアカットに割り切った態度がとれない。そこでこの条文についてはるる御説明するまでもございませんけれども、ここにいういわゆる「外務大臣」というのは、外務省ということだと思います。行政機関としての外務省、そうして法文の上からも「著しく且つ直接に」というような非常にしぼった書き方をしていることと、それから特に外務省が裁量権を発揮いたします場合には、あらかじめ法務大臣によって代表されている法務省当局とも協議しなければならないというようなことも、通常の行政権の裁量としては、法文上のしぼり方にも、それから運用上のしぼり方にも非常な制約がかかっておると私は思うのです。したがいまして、その裁量権を行使いたします場合には、十二分に戒心していかなければならない。こういう規定を置かなければならない、むしろ何といいましょうか、あえて言えば、不幸な状態にある国際環境の中で、これを運用いたします上においては、十二分に配慮をしていかなければならない。そのことが、従来も法の精神であったと私も考えておるのでありますから、これは外務大臣の人の問題ではなくて、政府として十二分に戒心して運用すべき規定である、こういうふうに心得べきものであると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これまでもこの条項でいろいろ問題があったようでございますし、今後におきましても、やはり非常に行き過ぎをされますと困るここであり、いまの裁量権を使うときには十分考慮しなければならないという大臣の御答弁は、大臣の御答弁としては受け取れますけれども、そういうことが今後においてなかなか守られないような場合が非常に多いわけで、この点も十二分に注意をしておいていただきたい、これを申し上げたいと思います。  そこで、もう一、二点伺いたいのですが、留日華矯の広州交易会参加のための渡航申請に対して、一部の人には——二十一名に許可して、十三名は不許可になったということでございますけれども、日中の関係がいろいろな角度で前進をしているときに、こういうふうな措置というものは適当じゃないのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。そこでこの問題は、おそらく入管の問題ともからんでいると思いますが、きょうは入管の方には来ていただいておりませんけれども、外務省としては不許可になった方々をそのままにしないで、入管と話し合って、まだ間に合うのですから、交易会に行かれるように許可するようなお話し合いをする御意思がないかどうか。また、そうしていただきたいと思うのですが、この点はどういうふうにお考えなんでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 広州交易会の問題については、前回の当委員会でしたか、楢崎委員からも非常な御要請がございました。そのときに、たしか二回にわたって詳細に申し上げたっもりでございますけれども、実はこれは一つの政府としての姿勢の転換でございまして、従来は、たとえば人道的というようなことでだけ取り扱っておりましたが、今回は、長い間平穏に商取引に従事しておられた、そうして交易会に行って——純粋なそういう目的で渡航されるという方を頭ごなしに、行くことは困るというような態度はとるべきではないというふうに政府の考え方を転換したわけでございます。まあいわば初めての試みでございます。したがって、個人審査ということで、そしてこれはいまも仰せのとおりでございますが、国内的な、行政官庁等の十分な審査もしてもらいまして、それらの官庁がこういうところから始めたらよろしいのではないかということで、いわば保証してくださるような方々については、外務省としては、もう異存は全然ございませんという態度でこの姿勢の転換をいたしたわけでございます。したがって、オール・オア・ナッシングというお考えから言えば中途はんぱじゃないかという御批判もございましょう、あるいは不公平というような御批判もございましょうが、しかし政府としては、十二分に協議をいたし、また姿勢の転換も初めての試みとしていたしましたことですから、今回のこの結果については、ひとつこれでごかんべんを願いたいと申しますか、今回はこれでひとつピリオドを打っていただいて、そして今後の推移によりましてまた前向きにこうした問題を取り上げていくようにいたしたい。ここでおとどめをいただきたい、こういうお願いもいたしたいわけでございます。そういう環境や考え方につきまして、ひとつ十分の御理解をいただきたいとこちらから実はお願いするわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 まあ日中関係を前進させるというようないろいろな御発言等から見ましても、せっかくそこまで踏み切られた今日の外務大臣としての態度としては、少し私は残念だと思います。できれば、残された人たちも行かれるように、外務省が中心になって、お骨折りをいただきたいというぐらいに私は考えておるわけですけれども、いまの外務大臣の答弁では、それもかなわないようで、まことに残念だと思いますが、今後においては、そういう点を十分に考慮していただきたいと思います。  そこで最後にもう一つ伺いたいのは、きょうの新聞で、まあ万博関係に対して——未承認国から万博を参観に来たいというような場合に、北朝鮮からだけは入れないほうがいいんだ、むしろ入れないんだというふうなことが出ておりましたけれども、中国や北ベトナムのほうからは入国を認め、北朝鮮のほうは入国を認めないんだというふうなことが出ておりましたが、そういうふうなお考えでいらっしゃるのでしょうか。そうだとするならば、四つの未承認国のうちの北朝鮮だけを別にされた意図がどこにあるか、この点をまず伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 この点も、実は、しばしば、率直な見解を表明しているつもりでございますが、未承認国あるいは未承認の共産圏の国と申しましても、数が相当あるわけでございますね、そんなにたくさんではございませんけれども。そしてやはり国情、それから、その国を取り巻くいろいろの隣国その他との関係、あるいは日本との国交の関係というような、いろいろの観点から考えますと、たとえば中国に対してどうだから、一律にこれは右へならえというふうにはいかない性質の問題ではないかと政府としては考えておるわけでございます。  そういう次第でございますので、この具体的な問題につきましては、この前も申し上げましたが、率直に申しまして、非常にむずかしい問題である。なお十分にひとつ検討させていただきたい。この前、申し上げました答弁と、今日御答弁申し上げますことと変わりはございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この委員会では、まだこの問題は取り上げられておらないと思います。というのは、私も何かの機会に外務大臣に別に伺ってからと思いましたけれども、あちこちで、新聞やらいろいろな報道やらが伝えられておりますし、それから、質問もほかの委員会ではされておりますので、私もこの委員会ではっきり伺いたいと思って、きょう取り上げたわけでございますけれども、いままでは、まあ取り上げないほうがむしろいいかしらと思って考えていたぐらいだったのですが、ほかで取り上げるものですから、私も取り上げたわけなんです。  そこで、私はこの際、ぜひ伺っておきたいことは、北朝鮮の問題で、この前の旅券法を審議にあたっては、速記にもはっきり書いてありますように、大臣がいろいろと前向きの姿勢をお示しになって、そして委員長から、理事会ではこういう話し合いがあったというような速記まで残されておりますので、そういう点も、私どもはそのとおりにすなおに今日もずっと続けていっていただくことを考えておりますけれども、ただ、問題は、たとえば、具体的な例を引きましてたいへん恐縮でございますけれども、北朝鮮の場合には、もしも万博というようなものに来るというようなときに、あるいは、日本との貿易をやっている関係で、技術者が来たいというようなことを言い出しましても——この前大体技術者が来られるというところまでまとまったんですけれども、途中でこわれてしまった。その理由が何かというと、やはり韓国のほうからのいろいろな横やりが入ったというようなことで、だめになってしまったというようなことがあったわけですけれども、私は、こういう点では、遠慮をしないでほしいと思います。というのは、やはり日韓条約のときにたびたび私どもがはっきり政府から聞いておりますのは、韓国の管轄権は休戦ラインより南に限られて、北には別にオーソリティが存在するというふうなことを述べられているわけでございますから、このことは、いまの政府自身が、日韓国交の正常化をしても決して北朝鮮を無視するものじゃないんだ、オーソリティーがあるんだということをおっしゃっているのですから、韓国の言うことにやたらに縛られたり、あるいはまた、北朝鮮の問題まで韓国から横やりを入れられるというようなことは気にしてほしくないというふうに、私どもそう思うわけでございますけれども、この点をはっきりさせておいていただいて、そうだとするならば、やはり万博への入国なり技術者の今後においての入国というようなことも検討されていいのではないかと思いますが、この点だけを御答弁いただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まず、第一点でございますが、前国会のときに、当時の北沢外務委員長から御発言になりましたことは、政府としては、拳々服膺してまいりますことはもちろんでございます。  それから、その次は、韓国であろうとどこであろうと、世の中いろいろのことをいろいろ報道されたり何かいたしますけれども、私としては、内政干渉に屈するようなことば絶対にございません。これは節度と筋目を立ててまいりたいと思います。日韓国交ができましたあの条約では、いまさら申し上げるまでもございませんが、国連決議を条約の中に引用してあったことも御承知のとおりでございます。そういう点は十分わきまえておるつもりでございますが、ただ、日本の立場に立って自主的に考えましても、先ほど申し上げましたように、国交関係のある国々と日本との関係とか、あるいは、率直にいえば、現実の事態に対して、分裂国家といわざるを得ないと思いますが、そういうところの相互間の関係とかいうようなところは、日本の目から見、あるいは政府として、どういうふうにやっていったらいいかということを十分考えていかなければならない、これは主体的な立場だと思うのです。  そこで、いま具体的なお尋ねでございますが、まあ紋切り型の御答弁でたいへん恐縮でございますが、これはやはり政府として、ケース・バイ・ケースに慎重に取り扱わなければならない、こう申し上げることでとどめておいていただきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この問題、もう少し外務大臣のお答えをはっきりいただきたいと思うのですが、かえってここでいただかないほうがいいかもしれませんので、何らかの機会にまた詰めさせていただくことにして、私の質問はこれで終わりたいといと思います。      ————◇—————

田中榮一自由民主党

○田中委員長 この際、愛知外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。愛知外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 法案の御審議をいただいている途中に恐縮でございますけれども、一言御報告をさせていただきたいと思います。  御承知と思いますけれども、昨三月二十六日、ソビエト連邦の関係当局から公示されました爆撃演習計画の実施水域の中に、簡単に申しますと、土佐沖の水域とそれから日本海の能登半島の先の水域とこの二カ所が含まれておるわけでございます。この両水域は、日本自体の漁業関係から申しましても、大きな関心を持たざるを得ないところであり、また、航空路あるいは船舶の航行路から申しましても、これは大きな関心を持たざるを得ないところにまたがっておるように見受けられますので、先ほど当委員会に参ります直前にトロヤノフスキー駐日大使を招きまして、外務省として口上書をもってソ連政府に申し入れをいたしたわけでございます。  要するに、日本政府といたしましては、公海における爆撃演習等の実施に際しましては、他国による公海及びその上空使用の権利に合理的な考慮を払うことが演習実施国の当然の義務であると考えるからでございます。そうしてこの二つの水域は、いま申しましたように、日本としていろいろの点から大きな関心を持たざるを得ないので、かような水域において投下爆撃の演習をすること、そうしてこの水域はいずれも、公海の中とはいうものの、日本国の中央部にきわめて近接する水域であることにかんがみまして、本爆撃演習計画を中止してもらいたいということを強く要請することを主体にいたしました口上書をもって申し入れをいたしたわけでございます。なお私から口頭をもちまして、日ソ関係がかなり親善友好関係にあり、ことに四月早々にはポドゴルヌイ元首が来日されることになっております。また自由民主党の川島副総裁がソ連側の非常な希望によりまして、四月早々モスクワで開催される見本市に特使として出席することになりましたそのやさき、どうしてこういう近海でこういうことをやられるのであるか私にはその趣旨がまず最初に解せない。したがって、これは両国の友好関係からいっても取りやめることが両国の親善関係のためにも望ましいことであるということ、その他を申し添えたわけでございます。  なお、今回ソ連側が公示いたしました水域は、このほかに北方水域にもございます。カムチャッカ沿岸にもございますけれども、特に日本の中央部に近接しているところを口上書には具体的に地位を示しまして、かような申し入れをいたしたわけでございます。これに対するソ連大使のとりあえずの応待は、全く自分は承知していなかった、どこからそういう入報をせられたかと言っておるくらいでございまして、これは事実ソ連大使としては知らなかったと理解してしかるべきではなかろうかと思います。  そういうような状態でございますから、さっそく本国に直ちに日本政府の申し入れを伝える、自後については連絡を密にいたします、かようなことでございます。とりあえず御報告申し上げます。      ————◇—————

田中榮一自由民主党

○田中委員長 引き続き旅券法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。大久保直彦君。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 旅券法の一部を改正する法律案につきまして、二、三大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。  関連いたしまして、ただいま戸叶委員から御質問があったようでございますが、万博の参観について未承認国からかなりの申請があり、それに対して政府が寛大な前向きな見解をとっておられるというニュースが流れているわけでありますけれども、その経緯また真偽のほど、そしてどんな国からどのくらいの申請があったのか。そういう点をお伺いいたしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 未承認国から万博に来たいということで入国の申請が具体的にございましたことは、私は承知しておりません。いまのところ、先ほど戸叶委員からお話がございました一件は間接に私が承知しているわけでございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 そうすると北鮮云々という御見解は、大臣は御存じないところでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 いま私が申しました戸叶委員からお話がありました件というのは、北鮮からのことでございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 けさのニュースによりますと、かなり寛大な措置がとられているような報道がなされているわけでありますけれども、その点については大臣が御存じないことでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 どうも、ごらんのとおり事務当局に聞きましても、外務大臣としては何もまだ聞いておりません。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 この問題あとでまた……。  私はアメリカの査証について、若干お伺いいたしたいと思いますが、外務大臣も御承知と思いますけれども、アメリカという国はニューワールドというたてまえから、すべてアメリカに来る外国人を移民としてみなしておる。一九五二年にアメリカの上院を通過した移民国籍法、俗に移民法といっておりますけれども、それが基本をなしてすべての外国人を移民という概念でとらまえてそして、その中から移民に当てはまらない人を例外として、チェックポイントではずしておる。他国と違ってアメリカの入国が非常にきびしい現状であるわけでありますけれども、わが国でも出入国管理令第二節上陸拒否の第五条で、伝染病予防法適用者並びに精神障害者等六項目にわたって外国人の入国、上陸拒否をしているわけでありますが、アメリカはその項目が何とさきの移民法二百十二条によりまして三十一の項目を設けて入国の拒否の理由にしているわけでございます。入国について日本は、アメリカにおいてはそれでも最上の待遇を受けておる、こういうふうにアメリカでは評価をされておって、その内容については外務省の多大な努力が高く評価されているというふうに伝えられておるわけでありますけれども、ここで大臣にお伺いいたしたいのは、この日米の友好関係のもとにそれがきわめて順調である両国間において、特に日米の文化的交流、特に音楽家でございますが、きわめて不平等な事実が現在存在しておる。といいますのは米国の音楽家はどんどん日本にやってきてギャランティを受けながら演奏活動ができておりますのに、日本からの場合は、それはきわめて困難な現状になっております。大臣はこういったことをいままでお耳にされたことがあるか。またもしそれが事実であれば、そういったことについてどのようなお考えをお持ちになるか、その点をまずお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 どうも突然の御質問の事項で、ことにアメリカの取り扱いでございますから私ちょっとつまびらかにいたしませんが、御必要ならば調べまして後刻御説明いたしたいと思います。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 日米両国間が非常に友好関係にある現時点において、そのような事実がもしあるとするならば非常に理解に苦しむことですし、これは全く事実であるわけなんです。これから具体的に申し上げますが、アメリカの連邦法の公法四一四、セクション一〇一のAの十五番というところにザ・ターム・イミグラント・ミーンズ・エブリー・エーリアン、アメリカのすべての外人を移民と見る。エクセプト、ただし(A)から(I)までの項目を設けて九項目で、それを例外として出しておるわけでありますが、その中のHの項目がアン・エーリアン・ハビング・ア・レジデンス。イン・ア・フォーリン・カントリー・ウィッチ・ヒ一・ハズ・ノー・インテンション・オブ・アバンダニング、海外に居住地があってそれを捨てる意思のないものを(H)の項目でくくってあるわけであります。この中でフー・イズ・オブ・ディスティングイッシュト・メリット・アンド・アビリティ、私も英語はよくわからないのですけれども、アメリカから音楽家の入国についてはこの(H)の(i)のビザを取れ、必ずこういう御指定があると思います。この(H)の中の(i)でディスティングイッシュト・メリット・アンド・アビリティ、特殊な価値、そして能力いわば特殊性と訳すのだと思うのですが、こうしたことがひっかかりまして日本の音楽家がアメリカで特殊性を持っているとは認められないといったところから、アメリカがビザを出さない。こういうケースが往々にあるわけです。このことは(H)番のビザ、日本の音楽家がアメリカにおける特殊性を立証される手続が非常に複雑であり、困難であること——現実は手続上の複雑さをもっていやになってしまうわけなんですけれども、日米通商航海条約によりますとそういった不合理な点は全くなくて、むしろ相互主義によって平等な立場で日米間のいろいろなそういった交流等がはっきりうたわれているんじゃないかと思うのですが、その点については、条約局長、いかがでしょう。

井川克一外務省条約局長

○井川政府委員 御存じのとおり日米通商航海条約第一条に書いてあるわけでございますが、いわゆる絶対待遇の最恵国待遇というものにはなっておらないわけで、この条約におきましては、特にいわゆる条約商人と条約投資家というものが入国でき、その他は、「外国人の入国及び在留に関する法令の認めるその他の目的をもって、」ということになっております。これはもっぱらアメリカの移民国籍法におきまして、他の国との通商航海条約をもちまして、入国の保証を与え得るのは条約商人及び条約投資家であるということになっておりますので、どの国に対しましても条約を結ぶときに入国保証をし得るものはこの二つのカテゴリーだけであるわけでございます。したがいまして、わが国の条約もそういうふうになっているわけでございまして、わが国がほかの国と比べて不利な待遇を受けているわけではないと考えております。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 ただいま第一条をお引きになったわけでありますけれども、第八条の二項に、「いずれの一方の締約国の国民も、外国人たることのみを理由としては、他方の締約国の領域内で自由職業に従事することを禁止されることはない。」このようにはっきりうたわれておるわけでございますが、現実にはそういった連邦法の規定、ディスティングイッシュト・メリット・アンド・アビリティを持たないわが国の音楽家はアメリカに入国するビザは出ない、これが実情になっておるわけであります。もう少し大臣の認識を深める意味でよけいな話をいたしますが、アメリカにはこれ以外に民間団体でございますが、ミュージシャン・ユニオンと俗に言っております、正式にはアメリカン・フェデレーション・オブ・ミュージシャンという組合がありまして、これは全米に組織を持った強力な団体であるわけなんですが、このユニオンの許可がないとアメリカにおいて演奏活動ができないということになっております。はなはだしいのは、歌手の場合などは比較的容易であるわけなんですが、その歌手が伴奏のために日本からテープを持参しますと、そのテープに録音してある楽器の、いわゆるアメリカ人が演奏したギャランティをこちらから払わないと、俗にいうショバ代みたいなものを払わないと、そのテープも回すことができない。これはミュージシャン・ユニオンの一つの規制になっておるわけです。そうしたことからこれだけ日米は友好関係がありながら、アメリカからはどんどん日本に来て演奏活動が行なわれているにもかかわらず、こちらからは全く行けない。このディスティングイッシュトですか、舌をかむような一項目がございまして、戦後二十数年たってもこの問題は依然として解決されておらない、こういった事実が厳然とあるわけなんですけれども、こういった点についてまことに一般的には理解に苦しむ。もっと日本からそういったアメリカの連邦法の解釈なり、また前向きの折衝がなされなければならないのではないか、こういった声が民間にはあるわけなんですが、こういった事実の問題について、大臣どのような——個人的でもけっこうでございますが、いかがでございましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 アメリカの入国の問題は、これはもうほんとうに、個人といいますか、常識的に私もときどき耳にいたしますが、たとえば若い人たちでも一時観光旅行ということならばわりに簡単にビザがもらえるけれども、相当長期ということになりますと、やはり向こうで職につくのではないか、あるいはアルバイトをするのではないかというような点については、相当厳重に審査をしておるように承知しておりまして、ときどきそういったような陳情なども受けることがございます。そういう状況は存じておりますけれども、いまおあげになりました、特に音楽家等について差別待遇といいますか、日本との間に不平等な扱いがあるとすると、これはいまさような事実のようでございますから、よく調べまして、まあ一つはアメリカの国内法の関係もあると思いますけれども、運用上アメリカが、特に日本と友好関係の上に立って、もう少しゆるやかな扱いをしてくれるように、場合によれば折衝の問題があります。法律を変えさせるというところまではなかなかむずかしいかもしれません。私率直に言いまして知りませんでしたことをお教えいただいて、たいへんありがとうございました。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 ビザがとれないために日本からの演奏家が締め出されているという問題なんですけれども、アンバランスなこの事実は、先ほど申しました日米通商航海条約の精神からはかなり逸脱しているのではないかという考えで、ぜひともこの辺の点について、さらに政府としても検討を進めていただくことを要望いたしまして、この問題は終わりたいと思うのですが、問題は、今度は日本の場合なんですけれども、お伺いしたいのは、日本では外国の演奏家が演奏活動を目的として入国を希望した場合に、どういったビザを出しておられるのか、その点はいかがですか。

西澤憲一郎法務省入国管理局総務課長

○西澤説明員 演奏家の入国に際しましては興業活動という入管令四条一項九号という資格を与えております。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 それは六十日云々という制限のある分ですね。

西澤憲一郎法務省入国管理局総務課長

○西澤説明員 そうです。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 そうしますと、当然観光ビザでは日本で演奏活動はできないということになっているわけですね。

西澤憲一郎法務省入国管理局総務課長

○西澤説明員 観光ビザにおきまして日本で演奏活動をすることは許されておりません。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 これも大臣に認識を深めていただきたいのですが、日本は世界的に音楽の最大のマーケットと称されて、外国のアーチストが続々と上陸してくるわけでございますが、まじめに日銀に外貨を申請して、その許可を得て来る分については全く問題はないと思うのですけれども、いまお話が出ました観光ビザで入国をして、そして日本で荒かせぎをし、あぶなくなると一回国外に逃げ出して、その同じ人物がまた日本に入国をして、そうしたビジネスをやっているという事実、そして国内でも何かそれをバックアップするような業者がおりまして、そういったことを促推しておるような事実を私は知っております。こうしたことは全く残念なことなんですけれども、大臣はこういったことで何か御報告を受けられたことがありますでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それも私はときおり耳にいたしております。そういう関係で、先ほどのあれに関連するようになりますけれども、あまりこちらが善意にだけ立っておりますと、やはりまたそういう悪意の人たちが、これは日本のパスポートではありませんから日本人が出る場合とは違いますけれども、やはりそういうことがございますものですから、出入国の関係やあるいはパスポートの発給等については、相当慎重に扱っていかなければならない問題が、私は承認国との間にもある、こういうふうに考えているわけでございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 私は、不正の事実を摘発することが目的ではありませんで、問題は向こうのパスポートの問題なんですけれども、在外公館でこのビザが出されているのだと思うのです。その在外公館でビザを出すについて、こういったいわゆる悪徳外国人に対するブラックリストと申しますか、そういったものは用意されておるのかいないのか、お伺いしたいと思います。

林祐一外務大臣官房外務参事官

○林説明員 外国人がその国の旅券を持ちまして日本に入国したいというとき、第一義的にはまずその国にありますわが国の在外公館に参りまして、日本入国の査証をとりたいという申請をしてくるわけでございます。その際に、単に観光ないしは短期旅行という場合におきましては、きわめて簡単に現地査証を出すことにいたしております。その際でありましても、在外公館の窓口におきましては、いま先生御指摘のように、要注意人・物という点で、一応そういうものは用意して一々チェックしております。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 あまり時間がないので荒削りな話で恐縮でございますけれども、以上で終わりたいと思います。先ほどの未承認国云々の問題も、好むと好まざるとにかかわらず、事前にそういう申請を予測されて措置をとられたような記事がけさの読売新聞に載っておるわけですが、こうしたことは「万国博見学のため、日本を訪問する外国人が激増しているが、」云々とありまして、「観光、商用の目的ならば未承認国からの訪日もできるだけ認める方針を明らかにした。」こういう記事でございます。この点の真偽についてあらためてお伺いいたします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは具体的な手続あるいはそれを扱うのは私は入管だと思いますけれども、外務省として特にそういう方針をきめたことは実はないのでございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 それではその問題はけっこうでございます。  次の問題に移りたいと思いますが、今回の旅券法の改正につきまして、手数料の問題でございますが、主要国における旅券の手数料はどのように  なっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 これは手数料の高いのから低いのさまざまでございます。高い例を申し上げますと、ソ連は二年有効の旅券で一万四千四百円になります。それからフィリピン、これも二年  のもので一万一千円、これが高い例になります。それから今度新しい旅券法で日本の場合、五年数次のものは六千円にいたしておりますけれども、これに匹敵するのがフィンランドの五年で六千円、全く同じ例がございます。アメリカは五年で四千三百二十円という例になっております。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 手数料というのは一体何を基準に算定されているのでしょうか。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 御存じのとおり、現在の旅券法におきましては、シングル旅券は千五百円でございます。それから数次が三千円というふうになっておりますが、これはさらにさかのぼりますと、これの算出根拠は昭和十年の旅券が五円だっ、たわけでございます。物価指数から見てまいりまして、昭和二十六年、現行法ができたときでございますが、その昭和二十六年には十年に比べて三百倍になっているということで、三百倍の千五百円にしたということのようでございます。それから現在御審議いただいております新しい旅券法に基づいたものは、シングルが三千円、それからマルチプルが六千円というふうに倍になっておりますけれども、これは消費者物価指数をとってみますと、昭和二十六年を一〇〇といたしまして、昭和四十四年が二〇八となっておりますが、大体二倍でございます。こういう根拠から倍額にしたという事情でございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 ただいま物価指数からの御答弁があったわけなんですけれども、念のためにお伺いしたいのですが、いま旅券一冊の原価はどのくらいになっておりますか。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 これは算出の根拠は非常に困難なんでございますが、一応予算要求しますときの材料で申し上げますと、内訳ですと旅券の印刷製本費、申請書の経費、人件費それから郵送費連絡費というようないろいろな要素を考えまして、外務本省だけの分で見ますと、昭和四十四年で五百二十四円でございました。それからさかのぼって昭和二十六年、現行法のできましたときは三百六十四円、その中間の昭和三十三年の数字では四百六十四円というふうになっております。さらにもうちょっと先を見まして、機械化をいまやっておりますけれども、全部機械化が済むと予定されております昭和四十八年を考えてみますと八百九十三円になるわけでございます。それで昭和二十六年三百六十四円のときを一〇〇といたしますと、昭和四十八年は二四五となって約二倍半になる計算でございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 先ほどソ連が一万四千四百円だという高いほうばかりお述べになったのですね。それから比べると確かに六千円というと安いように思うのですが、実際は私の手元にあります資料ですと、スウェーデンなんかは千四百円、またアメリカでも四千三百円、ニュージーランドは二千二百円、マレーシアなんかは千七百円という数字になっておるわけなんです。いまのお話を伺っておりますと、原価からしても六千円というのをどういうふうに割り出されたのかあまり明確でないように思いますし、一律に何か倍にぽんと三千円が六千円に思い切って上がっている。これは何も国庫に入る手数料の収入を負担する必要もないのだと思いますし、いわんや旅券の発給の事務というものが、国民としての当然の権利でもあり、国としての義務ということから考えても、むしろその辺の料金の面は、一律に二倍の六千円ということではなくて、もう少し御検討の余地があるのではないか、このように思いますが、大臣いかがでございましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは率直に申しまして、いろいろな考え方があると思うのでありますけれども、いま遠藤政府委員から申しましたように、これは前のときからの主として消費者物価指数を基準にいたしまして、それから諸外国の例も、い御説明いたしましたようにずいぶん幅がありますが、大体こんなところでいいかなというような、これは非常にざっくばらんな話でございますが、消費者物価指数で見たということでございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 ざっくばらんな御答弁をいただいので、これ以上こまかく申し上げませんけれども、私たちの希望としましては一倍半ぐらいに、これもざっくばらんな算定でございますが、とどめておいたほうがよろしいのではないか、こんな考えを持っております。  それから、時間があまりありませんので、また次回にお願いしたいと思いますが、北鮮の問題について一つだけきょうお伺いしておきたいことは、外務大臣あての一般渡航申請書ですね、これはごらんになったことございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 ございます。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 この一般旅券発給申請書をずっと見てまいりますと、「渡航先国(地)」というところがございますが、この中で最後のほうに「共産圏」とございますね。ここにずっと国の名前が列記してあるわけでございますけれども、いま問題になっている「東ドイツ」それから「中共」「北ヴィエトナム」、分裂国三国だけここに名前が「五〇六」「六〇〇」「六〇二」とございまして、なぜか北鮮だけがここに入っていないわけなんです。こういったやり方はかえって相手を刺激するといいますか、私どもは、どういうお考えで北鮮が入っていなかったのか、遠藤さんの御答弁の前に、この大臣あての申請書をごらんになって、こういう点について大臣はどういう御見解をとられますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは、従来のあげ方は渡航先の少ないところがはずれているのです。そういうことで便宜上こういうふうになっておったのでありまして、今度旅券法改正が効力発生いたしましたならば、この書き方等についてもくふうをこらしたいと思っております。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 四つの分裂国のうち、東独、中共、北ベトナムは私はあまり量があるとは思わないのですけれども、列記されている以上、北鮮も加えたらよろしいんじゃないか、このように思いますが、加えた上であとでまた御検討があればそれはそれで別の問題でありますが、とりあえず一般旅券発給申請書には北鮮も載せておいていただいたほうが何かとよろしいんじゃないかと思いますけれども……。

遠藤又男外務大臣官房領事移住部長

○遠藤(又)政府委員 実はこの申請書にあげられてある地域は百一ございます。これをつくりましたのは昭和四十二年でございますが、昭和四十一年の渡航先の数字を出しまして、そのうちで多いところを百一選んだわけでございまして、たまたま昭和四十一年は北鮮行きはわずか十件だったもので、入らなかったわけでございます。それで分裂国家四つのうち三つ入って、北鮮だけを差別したようにとられますけれども、実際はそういうふうな昭和四十一年の実績から選んだだけのことでございまして、差別する意思から出たものではございません。いずれいま大臣から申し上げましたように、新しい旅券法ができましたら、またこれをつくり直すわけでございますので、そのときに御指摘の点念頭に入れて検討したいと思います。

大久保直彦公明党

○大久保(直)委員 きょうは時間がございませんので、ここで終わらしていただきたいと思います。

田中榮一自由民主党

○田中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗