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63回国会衆議院1970/04/15

科学技術振興対策特別委員会 第9号

発言数
146
登壇者
11
会派数
3
開催日
1970/04/15

会議録

北側義一公明党

○北側委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  原子力の平和利用に関する問題調査のため、本日、日本原子力発電株式会社社長一本松たまき君、動力炉・核燃料開発事業団副理事長清成迪君及び東京大学教授三島良績君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側義一公明党

○北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。

北側義一公明党

○北側委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。  去る二月政府は核兵器の不拡散に関する条約を調印されたのでありますが、本日は本条約について、原子力の平和利用という観点から、専門家である参考人各位のそれぞれの立場から、わが国に及ぼす影響、内在する問題点等について忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  最初に、一本松参考人よりお願いいたします。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 私、一本松でございます。  この核拡散防止条約と申しますものは、基本的な考え方といたしましては、まことに不平等な大国エゴイズムというふうに思われる点が多々あるのでありまして、われわれもそれを明らかにしたいと努力もいたしたのでありますが、十分な解明を得たとは言えないと思うのであります。しかし、諸般の政治情勢等によってこれを政府が調印されましたことにつきましては、やむを得ないものと私たちも考えております。  問題はどういうところにあるかと申しますと、三つあると思うのであります。一つは査察であります。もう一つは研究開発の点であります。第三には原子力に関します情報交換、この三つの点について問題があるというふうに考えます。しかし、私は特に原子力発電の実際面を担当しております者としまして、この三つの中で、査察が最も直接関係が深いことでもありますし、その点につきまして申し上げたいと思います。  この条約そのものが調印されましたいまは、われわれとしてつとめることは、この結果が最も実害の少ないように円満に行なわれるということを期したいと考えております。これには国際機関でありますから、非常にめんどうな手続も一ぱいありますし、努力すべきところも一ぱいあると思いますが、要は官民が一体になって、この問題に対処していくということが必要だ、そういうふうに考えております。  この査察につきまして申し上げますと、これは大体いままでのところは、原子力のむずかしい技術、あるいは核燃料という、むずかしいものを入れますときには野放し、手放しでこれを入れるということはなかったわけでありまして、これは平和利用というものを義務づけることが行なわれておった。それはどういう形で行なわれておったかと申しますと、双務協定、二国間の協定によりまして、十分軍事転用のできないような仕組みになっておったわけであります。ところが、これをウイーンにありますIAEA、国際原子力機関にこの査察を移管するというところから問題が起こったのであります。この国際的な機関でやります場合には、二国間とは違った意味を持ってくるわけであります。と申しますのは、やはり対象となる国は大きい国もあれば小さい国もある。いろいろあって、中にはなかなか油断のならない国もあるというようなことを考えます場合には、どうしてもやり方というものがシビアになってくる。そういうことのために、最初の考え方はきわめてシビアでありまして、われわれいつも問題にしておったのでありますが、アクセス・アト・エニイタイム、いつでも施設に入り得てそこで査察をする。しかもアキュラシーの問題、正確度がきわめて高い。原爆一個をつくりますのに、たとえばプルトニウムなどのことを考えますと、わずかあればすぐ原爆ができる、そういうようなことを考えまして、非常にシビアにシビアになっていく、そういうことが問題になったわけでございます。それからさらに、この核物質というものが、いろいろ変わっていくわけであります。初めは燃料ウラン鉱石というようなものでありますけれども、それが原子炉の中に入り、あるいは濃縮されて入る場合もありますが、それからそれがプルトニウムになる、そうするとそのプルトニウムが爆弾にすぐなるわけであります。しかも最も簡単になるのは、むしろプルトニウムの爆弾である。そのプルトニウムを、いま申しますようなアキュラシーを求めてやる段になりますと、これは際限のない話で、現実には不可能であるということになると思うのであります。そういうことに対しまして、私たちは、ことに私の会社の東海発電所は、日本における最初の査察を受けるということになりますので、あらゆる手段を講じまして——もちろん、これは政府のやられることでありますけれども、政府をお助けしまして、こういうことになったのではいかぬ、こういうことになったのでは、原子力の平和利用の将来の、世界の大きな目的に障害があるというような立場から、これの簡素化とかあらゆることを求めてきたという歴史があるのであります。  そういたしまして、これがいろいろな経緯を経まして、東海発電所につきましては、一九六七年にIAEAに移管するという措置がとられたわけであります。それから査察の話し合いをいたしまして、東海は査察を受けております。大体いまのところ二カ月に一回ぐらい来るのであります。この査察員というのは、どうしてもそう原子力のことのよくわかった人だけに限りません。いままで来た経験からいってもそうであります。したがって、この説明をして、こういうふうにするのだということをいいましても、なかなかそれが了解されない。また、どうしてもシビアにものがなっていく傾向がありまして、私は、実際に担当しておるものといたしまして、日本には国内法、原子力の規制法というものがある、だから、その規制法によってすべて規制を受けてやっておる、その報告等は十分に差し上げますけれども、それ以外のものは、要求があっても、これはいたしません、しかし日本政府からお話があれば、これは、われわれはそれには従わざるを得ぬわけでありますから、従いますが、非常にむずかしいことでありまして、それに対しての費用は、こちらからつけを出します、請求をいたしますというような態度で、向こうの言われるとおりには決してやっていないのが実情でございます。これが、だいぶやっているうちに、最近はそれほどトラブルも起こっていないようであります。いまでも二カ月に一ぺんづつ大体二人やってきて、一日とか、二日おったこともありますが、主として記録などを調べて帰っておるのですが、ときには、どうも非常識なようなむずかしい要求をするわけであります。東海発電所の原子炉の中に燃料があるわけでありますが、その燃料の中にあるこまかいものまで記録して出せとか計算して出せというようなことを言ったり、そんなものは不可能なのでありますが、そういうようなことを経つつ今日に至っておるわけであります。  また敦賀発電所も、最近運転を開始いたしましたので、これもIAEAの査察を受けております。その実情から申しますと、東海の場合には、まだ燃料を毎日取り出すというようなことがあるのでありますけれども、敦賀につきましては、一年に一回取り出すという程度のものであります。それに出て来て何をしているかといえば、記録を見ている。記録は大体どこにでもあるわけでありますから、何も現場に来なくてもいいというふうに思われるわけでありますが、そういうようなことを繰り返しつつ今日まできているのが実情であります。  そういうようなことから、私たち今度の核防条約に調印をしまして、査察に実害なからしめるためにはどういう対策をとったらいいかということを考えるわけであります。もちろん、これは政府がおやりになるので、政府に一生懸命われわれのこういうふうに考えるということを申し上げているわけであります。第一の点は、さきにも申しましたが、日本には原子力の規制法という非常に厳重な規制法が施行されているわけであります。それに報告等も厳重な、間違った記録は決してしないということで報告はしているわけでありますが、そういう日本の国の査察制度、それを信用するということを第一に考えてもらいたい。しかし、それではIAEAは何もしないのかというと、この点は、私はそこまでは申されないのじゃないかというふうに考えております。でありますから、これは日本政府の査察に相当する規制法の報告というものに対して監査する、あるいは証明するとかなんとかそういうふうな特別な手段をときどきとる。私は、このときどきというのは、一年に一回程度でいいのではないかと思っておりますが、回数はともあれ、ときどき来られるという程度で十分だというふうに考えております。  大体、いまユーラトムで査察を受けておりますのは、ユーラトムの自己査察——自己査察ということばは、ちょっと妙なことばでありますが、日本で自分が査察をする、そういう自己査察、ともあれ、そういう形でありますが、まあ、ここは、私は、まだ明らかにしておりませんが、ウイーンのIAEAがユーラトムの自己査察に対して何らかの方法、そういうことであろうかと思うのでありますが、その程度のところに日本の査察を持っていっていただいたらいいのではないか、そういうふうに思います。ことにこの問題は、問題が非常に疑わしい場合には、特にしばしばその中に入っていくということもしていいのではないかというふうに私も考えます。それから査察は、原則的にいえば、いま申しましたようなことでございますから、どうしても受けるほうは迷惑である。その迷惑度というものを認識してほしい。したがって最小限度にとどめる。不必要なことまでも、個人の興味といえば語弊があるかもわかりませんが、個人が考えてこうするのだというようなことを避けていただきたい。そういうことを十分に査察の実態の中に織り込んでいただきたい。  これは形にあらわれたところでありますが、さらに実質的な問題としましては、要するに原爆の材料になるものをはっきりさせればいいのでありますが、そのはっきりさす方法につきまして、技術的にも十分考えまして、システムアナリシスというようなことばを使ったりしておりますが、そのあと核燃料のサイクルということばを使っておりますが、移り変り、その移り変わりをよく分析いたしまして、その一番大事な要点のところをつかまえて、そこにたとえば計器を置くとか、あるいは記録装置を置く、そういうようなことにしまして、一々人が出てきて、こまかく現場についてそれを見るといったって、見れもしない、そういうむだなことをするよりはもっと科学的な処置をとって、実際が簡単になるようにということを考えております。  さらに、査察員は、さっき申しました自分の興味あるいは自分の判断だけで査察のいろんなことを要求するということは、これはもうだんだんめんどうになることであります。これに対してはIAEAの本部におきまして、それのよりどころ、手引きといいますか、査察に対してのマニュアルというようなことばを使ったりしておりますが、そういうものをはっきりさせまして、この程度のことをやるのだ、それを公表する。そういうようなことになりますと、現場でもこういうことはやるんだということはよくわかりますから、それで実際的には支障なくやれるのじゃないか、そういうふうなことを考えます。ことに原子力発電につきましては、特にこれが原爆の材料になるようなものがわからぬように逃げていくというようなチャンスはきわめて少ない。そういうようなものに対しましては、十分簡素化し得ると思うのでありまして、これは一番多くもありますし、ぜひそういうふうに考えていただきたいと思っております。  それから、いまの事態においてわれわれはどういうことをしたらいいか。われわれといいますか、日本の国として。これは政府のほうで、IAEAで査察条約というのを結ぶわけでありますが、これはいままでの私たちの常識といいますか、から考えますと、一ぺんIAEAで草案をつくってしまいますと、なかなかそれを変更するということはむずかしいということがあります。早い機会にIAEAに対してわれわれのさっき申し上げましたような主張を十分にその草案の中に織り込むようにひとつ努力をしていただきたい。これは理事会とか、いろんな場合があるわけでありますが、専門家会議とか、事務局、特別委員会とか、いろんな組織で検討すべきでありますが、その機会に十分われわれの主張が通るようにこれをやっていただきたい。この場合、これは非常に時間的にもまた内容的にも大事な時期でありますので、十分それをお考えいただき、しかも民間の意見を十分に取り入れていただいて、この査察問題というものが悔いを残さないような形でやられることを特にお願い申し上げたいと思っております。  以上でございます。

北側義一公明党

○北側委員長 次に、清成参考人にお願いいたします。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 私、清成でございます。  実は私は、動力炉・核燃料開発事業団というところに籍を置いておりますので、その立場と、それからもう一つ、原子力産業会議拡防条約問題特別委員会というものの委員長をしております。両方の立場がございますので、おのおののほうから申し上げていくということになると思います。  いま一本松さんからお話がありましたように、この条約はいろいろな論議がありましたが、正式に調印に踏み切られたということになっておりますので、われわれはそれまでのことには触れませんで、この段階でどういうふうなかっこうになるかということを主として申し上げたいと思っております。  最初に事業団の立場から申し上げますと、先ほど一本松さんからお話がありましたように、この問題がもう大体保障措置の問題に限られるというような形に考えるわけでございますが、事業団としましては、これは動力炉開発という立場から、あるいは新型転換炉あるいは増殖炉というものを開発してまいりますから、そういう発電炉としての問題もありますけれども、これはいま一本松さんのおっしゃったとおりでございますが、さらに事業団としましては、あるいは濃縮であるとか、あるいは再処理であるとかいうような形で、核物質の減耗とか、あるいは生成とかというような過程を含んだ仕事がたくさんあるわけでございます。こういう核物質のインベントリーを考えてみますと、もう十年もたちますと、われわれのところのインベントリーがおそらく数千キロに達する。これはわかりやすく言いますと、数百億円の金口のものをインベントリーで持たなければならぬというようなことになりまして、これらが保障措置を受けるということは非常にやっかいなことなんでございます。それに先ほど一本松さんからもお話がありましたような、原子炉とは違いまして、いま言ったようなものは、必ずそれは生産やら処理の工程に立ち入らないとほんとうの保障措置ができないという形になりますので、たいへんな問題になるわけでございます。これがわれわれが一番心配しておる点でございまして、これらが支障のないような形にというのが事業団の立場でございます。  それからまた立場をかえまして、一般の日本の原子力産業という立場から申し上げますならば、これはもう数回申し上げておるところでございますけれども、査察に関しましては、どうしても公平な査察というものが必要だ。これはもう申すまでもないことなんでありますが、各国いろいろ置かれておる条件が違う。第一に核保有国と非核保有国とでは非常な違いがある。御承知のとおりでございます。それからまた、かりに地域的な査察が可能であると考えまして、ユーラトムというものを一つとりましても、このユーラトムの査察とIAEAの一般の査察とは決して同一ではないというふうにわれわれは考える。したがいまして、こういうような不公平をどうしてもなくするという形で進んでいかなければいけないのだというふうに考えます。  それから第二に、非常にわれわれが問題としますところは、機密の漏洩でありまして、われわれは、これは原子力のすべてを決して機密でもって隠そうという考えはございません。基本法にもうたわれておるとおりでございますけれども、しかしながら産業機密というものは必ずあるものでございます。これを大っぴらに公開しておるような国は一個所もありません。したがいまして、日本がこういう産業機密が世界に漏洩するというと非常に国益に害があるということは、これは当然のことでございますが、そういう意味から、この新型の新しい動力炉あるいは濃縮、再生その他の工程あるいは燃料の加工の工程、そういうようなところにありますところの産業機密というものは、非常に漏れやすいものである、漏れるとたいへんな国益を害する。またかりに、当事業団でやっておりますところの遠心分離による濃縮というようなことの機密が多少でも漏れるというようなことがありますと、これは核拡散防止じゃなくて核拡散になってしまう。小国がそういうようなものを手軽にやれるというようなことになりますとゆゆしい大事でございまして、条約の根本義にも反するというようなことがございますので、機密の漏洩ということは、われわれ厳に注意しなければなないことだというふうに考えております。  それから、もう一つは、先ほどもちょっとお話がございましたが、産業活動を阻害しないという点でございます。先ほど事業団のことだけを申し上げましたが、これは核物質のインベントリーが数千キロに達するということ。そのときはまたこれは発電炉も非常に大きな数にのぼります。そういうようなものが非常にやっかいな査察に会いますと、これはたいへんな産業活動の阻害になるというふうに考えておりますので、こういうような産業活動の阻害ということは、厳にこれを警戒しなければならぬというふうに考えるわけでございます。  そういうことを考えますと、われわれとしましては、一般的に申しまして、査察はある程度やむを得ないというふうに思うのでございますけれども、大体核防条約の精神というものをしっかりと踏まえ、政治的にこの目的が達成できれば、私はもう十分だというふうに考えますので、大局を押えてこの査察を行なうということ、いたずらに重箱のすみをようじでつつくようなことをして、ほんとうに抜きさしならぬ形にならぬように持っていかなければならぬと考えます。そういう意味からは、できるだけ簡素化あるいは自動化というようなことをやらなければならぬことは当然でございます。こういうものの研究も、各国と協力してわれわれは本式に日本として取り組むべきだというふうに考えるわけでございます。  それから、われわれのところでもって一番問題なのは、先ほど一本松さんから、IAEA等の協約がきまってしまうと、なかなか動かしがたい、したがって、草案に盛り込むというようなお話がございましたが、私はそれもぜひやらなければならぬと思いますが、完全なものは必ずしも草案には私は盛り込めないだろうという気がいたします。しかもまた、われわれの研究の結果によりまして、どんどん事情は進んでいくということを考えますと、核防条約の変更はこれは別といたしまして、IAEAとの取りきめなんというものは、日進月歩の状態に応じて随時改定できるというような形のことをどうしても考えていかないとだめなんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  産業会議といたしましては、大臣の御要請もありまして、現在この保障措置の問題でもって海外に使節団を派遣をしております。今月の末には帰ってくることになっておりますけれども、それらのいろんな点をまた参考にいたしまして、政府には手を打っていただきたいというふうに考えておるところでございます。簡単でございますがいま考えておりますことだけを申し上げた次第でございます。

北側義一公明党

○北側委員長 次に三島参考人にお願いいたします。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 三島でございます。  私は、いままでのお二人と違いまして、大学で核燃料工学という講座を持ちまして講義をしたりしている者でございますけれども、今回の保障措置の問題につきましては、昨年の夏から科学技術庁の中でこの問題に関する検討会がつくられまして、専門家の方を集めて検討しておられたのでございますけれども、その会合の場にメンバーの一人として加わりまして、ことに総括グループの主査をつとめまして、取りまとめのお世話をしたりした関係で、主として技術的な問題について意見を申し述べたいと思っております。ことに条約が調印されまして、九月までというくらいの期間で、IAEAでもいろいろ査察の問題についても検討がこれからされるようでございます。わが国としてもそれに備えていろいろ御検討になると思うので、私の意見も御参考になればと思って申し上げたいと思っております。  一般論として、御承知のとおりでございますけれども、何か防止をするというような目的で規定をつくろうという話になりますと、本来性善説とよくいわれるのに立ってものを考えるか、あるいは性悪説に立ってものを考えるかで行き方がたいへん違うことは御承知のとおりでございます。それで、よく防犯関係の規則などもそうでございますけれども、もっぱら性悪説に立って規則をつくってしまいますと、ほんとうに性善な者から見るとたいへん迷惑がかかるということになるわけでございます。査察の問題についての目下の日本の立場というのはこれに近いのじゃないかという気がいたします。そこで、実施にあたりましてくれぐれも日本が不当に損をしないように、十分配慮をしなければならないと思います。しかし当人が、ただ自分が性善だといってがんばるだけではなかなか現実論としてはむずかしいと思いますので、いままでもいろいろお骨折りになったと思いますけれども、原子力の平和利用については日本という国は性善なんだということを国際的によくわからせるように、あらゆる機会をとらえて今後も努力をする必要がございます。IAEAでいろいろなルールをきめます上に、日本の主張を通すためにもなお一そうの努力が必要だろうと感じております。  査察の受け方でございますけれども、これにつきましては、すでに先ほどからお二人の参考人の方もおっしゃいましたとおりに、日本のようにほんとうに平和利用しか考えていない国が、原子力の各分野の健全な伸びがこれによって極力妨げられない、しかもIAEAで考えております査察の目的が達成されるような方法を見つけることが必要でございますけれども、これについては、わが国も積極的に大いに努力をして、手伝わなければならないだろうと思われます。この場合に、いろいろの事情を考えますと、核を持たない国の中でもって、日本のように大きな原子力工業を持っておって、しかも核燃料サイクルについてかなり確立したものを持っているというのは、一つの特殊事情であると思いますので、そういう立場からの主張というものを非常にはっきりしたほうがいいと思います。したがいまして、この査察の実施方法がどうきまるかによって、最も実質的に影響をこうむるのが日本ではないかという気がいたしますので、国連でいろいろ検討されます場合に、十分日本の意見を主張していただきたいと思います。  保障措置の方式でございますけれども、これは昨年の末に東京で開かれましたIAEAのパネルのときにも論ぜられたと思うのですけれども、受ける国が責任を持ちまして、その国の中で核物質の平和利用でない方向へ転用されることを防ぐようなシステムをちゃんとつくりまして、その国の持つ管理制度のようなものを確立しておりますということを見せて、したがって信用してまかせてくれといったようなやり方がよいとされておりますが、これはそれでよろしいと思いますが、国際的な問題でございますので、世界にはいろいろな国がございますから、ただ当人が、自分の国のやり方はかくも確立しておるから安心してまかしてくれと言うだけでも、必ずしもうまくいかないかと思いますので、国際的な査察を受けるということを用意しなければなりませんけれども、それについては先ほどからいろいろ御意見がありましたように、できるだけよってこうむる被害が最小限度に済むように考えなければいけない。それには具体的にどんなふうにしたらいいか、と申しますのは、最初に申しました、昨年検討会で報告書をつくったりしておりますけれども、そこに述べられておりますような考え方がやはり妥当であろうと思うのでございます。それは、そもそも性悪説に立ちまして一切監視するんだという調子でかかりましたら、これはとうてい現実論としてできるわけもございませんし、ほんとうに性善だというものにとっては弊害ばかり出てまいりますので、検討会の報告書のときもそういう考えをとったのでありますけれども、本来の目的以外に転用がもし起こったらすぐ見つかる、必ず見つかるという方式をつくっておいて、したがって事実転用ができないというような考え方をとるほうが妥当であろうと思われます。そのほか、すでに二人の参考人からも御指摘がございましたように、わが国の中で原子力産業の生産活動や研究活動がこれから伸びてまいりますのに、その障害を最小限度にするような努力をしなければなりませんが、それには、原子力施設というのは、本来核燃料物質を扱ったりするわけでございますから、自分の安全性あるいは経済性確保のために、必要に基づいて自分で核物質の管理のシステムというものを持たざるを得ないで持っておるわけでございますから、これをじょうずに利用いたしまして、新たにつくる規制というのを最小限度にとめるように努力することがよいだろうと思います。  なお、それでも保障措置を適用するために必要な設備が多少プラスアルファが必要になりましたり、あるいは手続のために費用がかかったりすると思いますけれども、そういうものについては査察を受ける側だけが負担することにならないように配慮をする必要があると思います。  それから、先ほど機密のお話も出ておったのでございますが、原子力産業あるいは研究施設の活動が円満にまいりますためには、そういう仕事の上の諸情報が外に漏れるということは最小限度にとめるべきでございまして、いやしくも査察という名にかりましてそういう秘密が不必要に漏洩するということがないようには十分配慮しなければいけないと思うのです。特に産業機密の話はもっともでございますけれども、研究開発につきましては、わが国の原子力研究というのは、最初は欧米の追試のようなことが多かったわけでございますけれども、最近ではたいへん独自性のあるものがたくさん出てきております。何の研究でもそうでございますけれども、プライオリティの確保というのは非常に大事でございまして、だれさんが初めてどういう問題に着目して研究を始めてというようなことは非常に尊重されるべきでございます。結果はもちろん公開でございますけれども、公開のところまでいく途中で、研究の内容なりなんなりが不必要に漏洩することがないように、これは十分配慮いたしませんと、わが国の独自の研究開発が妨げられると思います。  それから保障のシステムでいろいろな問題点があると思うのでございますけれども、核物質といっても一律ではございませんので、緩急をよく考えて差をつけてやるということについて十分配慮をしたほうがいいと思います。それはどういうことで緩急順序をつけるかと申しますと、核爆発の装置に対しての技術的、時間的距離と申しますか、そういったものをよく考えまして、その大きいか小さいかによって査察のきびしさというのを当然かなり変えたほうがいい。いままででも査察の回数をきめますためにエフェクティブ・キログラムというものを目安にして区別するという考え方がございまして、こういうのが一つの例であると思うのです。さらにもう少し進めてまいりますと、同じウランでも天然ウラン、低濃縮、それから高濃縮までいろいろの濃縮度がございますけれども、それに応じましてもっと差をつけてもいいんじゃないか。それからプルトニウムといっても、一つのプルトニウムというだけでなくて、同位体の比率というもの、その辺も十分考慮して、多少の差をつけるようなことが考えられていいんではないかといったような気がいたします。検討会でいろいろ検討したときもそうでございましたが、具体的なやり方といたしまして、大別して二つございまして、核燃料物質を扱う施設別に分けて、それぞれ施設ごとに収支をちゃんと管理する。そのためには、封印できれば一番簡単でございます。封印でれきば、入ったもの、出たものだけつかまえておれば、中でどうなっておるか見ないで済むわけでございます。封印できない施設もございますので、そういうものについては監督、管理体制というのをしっかりつくって、それを信用しまして、そこからの報告で見ていく。そうして何かおかしいことがあったら、もちろんいつでも調べることができるようにデータはとっておきますけれども、日常的にそのデータを全部提供しろということは言わないというようなやり方がとられます。もう一つ新しい考え方といたしまして、検討会で試みをしたわけでございますけれども、国の中での核物質の流れを一つの系と考えまして、それに対して最近いろんな工業でとられておりますようなシステム解析の手法を適用いたしまして、全体の流れとして押える。そしてそれに基づいて査察をやる場合に、押えるべき点がどことどこだという最小限度のポイントを押えまして、それだけで済ませられないかという方向に向かって努力をするわけでございます。これはまだ開発の途上にございますけれども、わが国の立場なんかから見ますと、多分こういうやり方というのが一番被害が少なくて実効をあげるいい方法になるだろうと思いますので、これからもわが国でもこのやり方につきましては、大いに費用もかけなければいけませんし、十分援助をして努力してほしいと思います。今度IAEAで既存の保障措置の再検討も含めていろいろ検討されるのであれば、こういうやり方について大いに主張をしていただきたいと思います。しかしこれは査察を受ける国がいろいろな国があって事情がみんな違うわけでございますから、どれかの方法を画一的に世界じゅうのみんなに押しつけるというのはかなり困難だと思われますので、日本のような場合には、先ほど申しましたような、全体の流れを一つとして押えましてシステム工学でいくというのがたいへん都合がいいわけでございます。小さな国で原子炉が一つしかないとか、あるいは原子炉はあるけれども再処理の施設がないとか、いろいろな国の場合に必ずしもそうでないほうがいいかもしれませんので、施設別に検討するというやり方と、システム解析のように全体を一つの流れとしてやるやり方と、両者をうまいぐあいに二本立てに使い分けるというようなことも一つの考え方かと思います。こういう、わが国の査察を受けますときに最も被害少なく、しかも効果が上がるような方法の開発というのはまだやることが残されておりまして、計量方式その他いろいろございますけれども、こういう問題の検討についてはこれからの技術的な面で大いに私どももお手伝いをしてやりたいと思っております。  実際の査察のやり方といたしましては、よく話が出ますように、ヨーロッパのユーラトムのやり方がありまして、ユーラトムが責任を持って引き受けるというやり方でございます。わが国の場合にもちょうどこれに対応して、日本という国が責任を持って引き受けるからまかせてくれというやり方でよいだろうという御意見が非常に多いわけでございますけれども、私もこれでよろしいと思っております。ただ、ほかの国からながめました場合に、片方は共同体でございますし、日本の場合は一つの国でございますから、そういう事情の違いというのが当然考えられるわけでございまして、日本の主張を通しますためには、それに対応して適当ないろいろな処置を考えなければいけない。たとえば、国連から見た場合のわが国の信頼度といったような問題について、よそから見た事情というようなことを十分認識いたしまして善処しなければならないかと思います。国際的の信頼度というのはなかなかいろいろなむずかしい問題があると思います。ただ道徳的にまじめであるという話だけでは済まないかと思いますので、諸般の国際情勢をよく考えていただいて、私どもの技術的に詰めました査察方式をバックにしていただいて、査察の適用によって日本の原子力関係者への望ましくない影響のようなものが最小限度になるように今後とも努力をしていただきたいと思っております。大きな線といたしましては、核防条約の調印の際に政府の声明が出ておりますが、あの中に書かれておりますような考え方に立脚してよいと思いますけれども、それにさらに検討会で結論を出しましたいろいろな技術的な問題を盛り込んでいただいて、その後の技術進歩なども考慮に入れて修正をしていただいてよろしいと思っておりますけれども、多少心配なのは、八月の終わりまでにというような、検討期間がかなり限られております。その間に、最初から十分いろいろなことをよく考えていただいて、内外の情勢を御判断いただいて、提案のしかたにしても発言のしかたにしても有効な方法を考えていただきまして、時間切れだということになって不利なことで承認せざるを得なくなるということにならないようには、くれぐれも御配慮願いたいと思っております。  以上、簡単でありますが、私の意見を申し述べました。

北側義一公明党

○北側委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。     —————————————

北側義一公明党

○北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 参考人の皆さん方、たいへんお忙しいところを時間をおさきくださいまして、たいへん貴重な御意見ありがとうございました。  きょうは東京大学の三島さんが二時半までというような時間の制約があるようでございますので、私、初め三島さんの関係の技術的なことだけに限って質問をしたいと思います。  いま、いろいろ参考になる御意見を伺ったわけでございますけれども、査察に限定をして申し上げますと、こういうことは言えるのじゃないか。原子炉の場合は、インプット、アウトプットだけはわかるわけでありますけれども、使用済み燃料の中でどれだけ燃えてどれだけプルトニウムが出たというようなことは、これはいまの日本の技術でもそうですが、世界の技術でもちょっとわからないんじゃないか、非常に困難ではないかという問題があると思うのであります。それで、あとは施設設計のチェックや処理工程の立ち入りということになれば工業機密というものが漏れるというようなことがありまして、まあ、日本の場合にはたいへんいまのところおくれておりますから、さして秘密にするようなことも少ないのかもしれませんが、いずれにしてもノーハウというものが暴露されてしまうというような危険性があるわけであります。それで、一つの案としては、受け入れ口、取り出し口と、在庫品とスクラップ、廃液、こういうような大ざっぱなチェックで施設ごとに大体見当がつくんじゃなかろうか、こういうことをめどとして、それから個人個人の査察員の好みといいますか癖といいますか、そういうことでいいろな査察のやり方が違ってくるというのがいままでの通例のようでありますけれども、やはり査察の基準というものはきっちりときめる必要がある。まあ、査察の基準についていろいろこまかいことがあるようでありますが、きょうは時間がございませんから省略いたしますけれども、そういうことが一つ。——一ぺんにまとめて質問して恐縮なんでありますが、おも立った点だけは質問したいと思います。まとめて御回答願いたいと思います。  それから低濃縮の場合は、大体これはウランの場合でありますけれども、商業用ということになって、高濃縮の場合になりますと、これは核爆発という可能性があるということになりますと、低濃縮のものについては査察の必要はないんじゃなかろうか、こういう考え方が一つあるわけであります。そういうようなことで、高濃縮のものにつてだけ査察をするということだけでも、たいへん査察というものは簡略になるというような考え方が一つございます。  それで、いろいろごたごたと御質問をして恐縮なんでありますけれども、何と申しますか、日本の場合には大体原子力基本法でもって平和利用に限るということになっておるわけなんでありますけれども、そういうことが前提となれば、ほんとうは査察の必要はない。核防条約の精神からいえば、査察は全然必要ないわけなんであります。こういう点でも、非常に意見はあるわけなんでありますけれども、まあ、それは一応別問題といたします。  あとは、こまかい話がたくさんあるのでありますが、最後に一つ申し上げておきたいことは、いま申し上げたように、原子力基本法で平和利用に限定しているという国はちょっとほかにはないんじゃなかろうかと思うのです。それから、国会でもって四回にわたって核兵器の廃棄、それから平和利用に限る、核実験をやめてくれという決議もしておるわけであります。そういう精神からいえば、これを強調することによって、日本の国はなぜそれほどこまかい査察を受ける必要があるのだろうか、これが基本となって外交交渉を進めるべきではなかろうか、こういう感じがしてならないわけであります。  そのほかに、たとえば核爆発というのは、理論的にどこからどこまでが爆発でどうのこうのということは、いろいろこまかい問題があるのでありますが、ごく大ざっぱに言って、たとえば電力の流れというものをつかまえれば——軍事利用には国家規模でもってばく大な費用というものが要るわけですね。だから、財政というものがどうなっているのかというような見方、それから電力はどういうふうに使われているかというようなものの見方、そういう大局的な見方をすれば、はたしてこれが核兵器に使われておるかどうかというようなことは大体、そうこまかい査察をやらなくてもわかるはずであるし、また、日本のようにもう絶対に軍事利用はしないんだというふうな前提に立っておる場合は、そういうことだけで、ほとんど私は査察の必要がなくていいんじゃないか。にもかかわらず、ヨーロッパはユーラトムによる自己査察、アメリカとソビエトはほとんど査察がない。日本だけが特に査察を受けなくちゃならないということを考えると、あまりにも不公平だという感じがするわけです。われわれは何もアメリカとソ連に対して特定な概念を持って反発しようという気持ちがあるわけではなくて、あくまでも日本の国の利益と立場からすると、これを調印したということは、私は、大局的な政治的な判断ではあったんでしょうけれども、少し早まったのじゃないかという気がしてならない。どう考えても調印を押えて、ほんとうに国益上これならいいという見通しがつくまで調印すべきではなかったという意見を、私は個人としては持っておるわけでありますけれども、そういう点について、ごたごたと御質問して恐縮でございましたが、三島さんにまとめて御意見を伺いたいと思います。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 ただいまいろいろお尋ねの件につきまして申し上げますが、まず最初から参りますと、施設によって査察のやり方が当然違うわけでございまして、先ほど私が申しましたように、原子炉のように、ほとんど封じ込められて、入り口と出口だけで押えられるというものは簡単だけれども、再処理の施設のように、実際に、御指摘がありましたとおり、燃料というのは燃焼度、このくらい燃したからプルトニウムがどのくらいできたかということの推定の精度は技術的に限られておりまして、たとえばミリグラムまで正確にわかるのかというと、そんなにはまいりませんが、それを補う方法として、先ほどおっしゃいましたように、いろいろな点でチェックして押えればいいのではないか。  それからもう一つは、プルトニウムというのは非常に高いものでございますから、実際に、おそらく、使用済みの燃料の再処理を頼む側にいたしましても、幾ら入っているかわからないという——わからないというのは、さっき申しましたような意味の非常に高い精度で幾らできているかわからないままで頼む、たとえば入り口に持っていって、あとは頼みというような頼み方はたぶんしないであろうと思いますので、必ず再処理を依頼した側のほうからも、ほんとうに溶かして調べてみたらどれだけプルトニウムができておったかというようなデータを出すことが当然必要でございますので、そういうことではっきりすることができるでございましょうし、そのためには、再処理を頼んだ側と頼まれた側と両方が立ち会って検討するような機会があると思います。データは必ずきちんと残るのであって、それを毎回何も報告させなくても、疑問があったときにはトレースすることはできるであろうと思います。  それから、濃縮度の違いで、低濃縮は査察が要らぬのではないかというお話があったわけでございますけれども、しないで済めばそれに越したことはないと思うのでございます。どのくらいの濃縮度までどうであるかというのは、先ほど私は、核爆発装置までの技術的時間的距離という表現をしたわけでございますけれども、どんなものがどのくらいあったら一つできるかといったような問題、もう一つは、その国の中にございますいろいろな技術的のバックグラウンド、設備もそうでございましょうし、技術もそうでございましょうし、そういういろいろなものから考えまして、そのものができるまでにどのくらいの時間を要するか、場合によれば幾ら時間がかかってもできないということがあると思いますけれども、そういったような点を考慮して、十分検討した上で、どの程度までの濃縮度は天然ウランに近い扱いをしてもいいとかいったようなことをきめるのだろうと思います。どこかに適当な線があると思うのでございますが、いま低濃縮といっているものはみな要らないかどうかというのは、少し丁寧に検討してみませんとはっきり申し上げられないと思います。  それから、基本法があって、日本では平和利用に限っておるのであって、したがって、それを信じてくれれば全然査察の必要はないではないかというのは、それはそうであると思うのでございます。ただ、国際的な信用の問題からいって、こっちがそういう点でだいじょうぶだといって通れば非常にぐあいがいいと思うのでございますが、その辺は私にも十分わかりませんけれども、いろいろな国際関係から見てそれだけでは納得してもらえないのであれば、ある程度納得させるための処置というものを最小限度に講じなければならないのではないか。ただ、不必要に、みずから買って出たみたいにあまりいろいろなことをこちらがやりまして、そのためにわが国の原子力産業その他の健全な発展に不当にマイナスになるようなことは避けなければいけないと思っております。  十分お答えにならなかったかもしれませんが、なお、もし足りませんでしたら、お尋ねをいただきまして……。

北側義一公明党

○北側委員長 井上普方君。

井上普方日本社会党

○井上委員 私は三島先生にお伺いしたいのですが、性善説と性悪説ということでものごとをお考えになる。まあ国際的にこの性善説、性悪説で通用しないということは、もう三島先生も御存じだろうと思いますし、かつまた、いまの日本を取り巻く国際環境の中で、特にアメリカの中でさえも一部、中国の核開発よりも日本の核開発のほうがこわいんだというようなことすらいわれておる現状であります。そこで、当然、日本に対しましては、国際的にこれは性悪説でこられる、このように私は思うわけです。しかし私ども日本といたしましては、先ほども石川さんからも言われましたように、再三にわたる国会における決議等々もありますので、私はそういうことはないと思うのですが、先般向坊先生が座談会をなさっておられる記事をごらんになりましたですか。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 どこでのどういう座談会でございましょうか。

井上普方日本社会党

○井上委員 雑誌ですね。文芸春秋でしたか、中央公論でしたか。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 見ていないと思います。

井上普方日本社会党

○井上委員 その中で現在の原子爆弾くらいは核燃料のサークルの中の誤差くらいのところでひとつ核兵器がつくられるのだということをおっしゃっておられるのです。それからまた、それに対しましてまだまだこれから査察を——どれだけ使っていったかという計器類の開発もやらなければならないというようなこともおっしゃっておられる。さらにはまた、その廃棄物を一体どういうように処理するか、これも将来にわたってここ十年間の大きな課題であるというようなこともおっしゃっておられるわけです。そういたしますと、これは私ども核兵器は絶対日本は持ってはいかぬという立場からいたしましても、これだけ大きな核燃料が今後十年、あるいはまたこれでございますと三十五年間に使われる、決定せられるわけですから。そうなりますと、現在の誤差の範囲内くらいのところから核兵器がつくられるということになりますと、私、これはゆゆしき問題で、さらに核原子工学にお取り組みになっておられる先生方の細密なる計器類の開発というようなことはやっていただかなければならないのじゃないかと思うのです。この点についてどういうようにお考えになられるのか、ひとつお伺いいたしたいのであります。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 先生いまお尋ねの件でございますが、まず最初に性善説、性悪説というような簡単な話で世の中は通用しないだろうというお話は、それはそうなんでございまして、そもそも最初にそういうように分けてお話をしたわけでございますけれども、実は当人が幾らわが国はこういう法律があって絶対に平和利用しかしないんだとただ言っているだけではたぶん通らない。それに対して、どうやって日本の考え方なり真意なりを信用してもらうかというのはなかなかむずかしい問題であると思いますので、先ほど最後のほうにちょっと申しましたように、やはり国際的にある程度日本の考え方というものを納得してもらって、それを承知してもらうというのは必ずしもそういう道徳的な議論ばかりではございませんで、いろいろな国際的な力関係その他の問題が当然入ってくるだろうとは思っております。したがって、純技術論で検討会で技術的に検討しましたようなものをベースにして、担当してくださる方に十分いろいろの点を配慮してやっていただかなければいけないと思っております。  それから、向坊さんの座談会で言われたことでございますけれども、これは具体的に何の話でどういうふうにおっしゃったかよくわかりませんし、原文を見ておりませんので、ニュアンスもわからないのでございますけれども、誤差範囲というのはちょっとどういうことかよくわかりませんが、さっきもちょっと申しましたように、燃料の燃焼度がどれだけ燃えたかという正確なのを勘定で出すというのは、現在の技術では限度があるわけでございます。したがって、かなりのたくさんの量の燃料が燃えたあとでもってその中に幾らあったかというのを勘定すれば、勘定して出た値とほんとうにそれを溶かして出てきたプルトニウムを集めて計量した値とは若干の相違があるのは事実だと思います。その量がたとえば爆弾を一発つくるのに何キロ要るかという数字と比べると、勘定だけではかなりの量になるかもしれません。だけれども、だといって、さっき申しましたように、幾ら燃えたかわかりませんという話で再処理施設に入って、それっきりどうなったかわからないというような管理システムにはとうていならないだろうと思います。必ず実際溶かしてみたら幾らできたかという話はそこでつかまるはずなんでございます。したがいまして、おそらくほんとに燃えた量を計算して出した値と、あとで分析して出した値との数字に差があるという話はそうなんでしょうけれども、だからそれを知らない間に持ち出して爆弾をつくるのに使えるんではないかという話とは必ずしもつながらないと思いますので、そこらはちょっとどういう話をされたかはっきりわかりませんけれども、誤解があるのじゃないかという気がいたします。  それから計量法の確立にそういう方面の研究をしておる者はもっとがんばれというお話はそのとおりでございまして、いまのように精度はあげるべきでございますから、燃焼度を幾らであるのかを計算して出す方法にいたしましても、技術は刻々と進歩しておるわけでございますから、これからほんとうに計算をしたものとほんとうに燃してみたら幾らできたというデータとの比較をしながら、計算のしかたなどもだんだん改良されて精度があがっていくと思いますので、現在このくらいの精度だという話と、五年、十年先に依然としてそんな精度だということにはたぶんならない。その計算のしかたのほうも勉強いたしますし、できたもののはかり方のほうも当然研究開発が進んでいくと思います。

北側義一公明党

○北側委員長 近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 二時半に退場されるそうですから二点ばかりお聞きしたいと思います。先ほども一本松さんと清成さんのほうから、IAEAの査察員のそういう技術的な面で非常に不満を述べておられるわけです。現在データで見ますと一九六九年十月末で三十九名おられるわけですね。IAEAの考えにおいては一九七三年には大体二百人の査察員を必要とする、このホスマーとテイラーの推計からいいますと、若干のそういう人員の食い違いがあるわけですけれども、そうしますと、この二百五十人の陣容を考えてみますと、大体いろいろ補助員等も入れて八百人くらいの陣容になるのじゃないか。そうした場合、そういう技術的に非常に不安を覚えるような人に査察をまかしていいかという問題がある。そうなれば、なおさらこの基準という問題が重要になっているので、この基準の点について若干の考え方をお述べになったわけでございますけれども、もう少し具体的に、われわれもしろうとですからわかりませんけれども、査察の基準という問題についていろいろお考えがあればお聞きしたいと思う。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 ただいまの御指摘の点は、私も同感でございまして、査察員の個人個人の差でもって実際に査察を受ける側の調べられること、その内容その他があまり違うということはよくないと思いますので、できるだけおっしゃいますように、査察員はいろいろ人もかわりますでしょうし、これから先になりますと、人数もたくさんになってくると、質的にもいろいろ違いも出てくるだろうと思われますので、これはこれから実際に査察を受ける方式、具体的なやり方というものを議論されるところで当然出てくる話だと思いますけれども、だれがいつやっても全く同じにいくような査察の方式、やり方、それからものさしにあたるようなものをしっかり取りきめて、個人差があまりないようにするのが理想であると思うのでございます。ただ実際問題としては、やはり多少の差はどうしても出ると思いますけれども、その方向に向かって努力しなければならないのはおっしゃるとおりだと思います。具体的にどうすればいいかということは、こまかい、ものによって非常に違いますので、抽象論で恐縮でございますけれども、おっしゃることはそうだと思いますので、なるべく客観的な基準がちゃんとでき上がって、そうしてしかも必要最小限度のポイントの押え方で効果があがるようなやり方に対しては、相当努力をして議論を尽くさなければいけないのじゃないかと思います。その上に納得がいったらそれで受けるということでよろしいのじゃないでしょうか。

近江巳記夫公明党

○近江委員 大体その基準というのは、やはりIAEAから出されるのを待つわけでしょうか。日本としてこういう基準にしてもらいたいという案を出して、向こうでもいろいろ考えておると思うのですけれども、そういうものと折衷でやっていくとか……。日本から早急に出すわけですか。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 それは当然そういう議論をIAEAでやることになりましたら、日本でも一生懸命考えまして、こちらの案を積極的に出したほうがいいと思います。黙って待っていてできたものを見せてもらって文句を言うというやり方もございますけれども、文句を言うにいたしましても、それはどういう相談になるのか存じませんけれども、ある程度向こうに委員会ができまして案をつくられるというのでしたら、当然日本も有力な国ですからメンバーになるのだろうと思いますので、そのとき十分意見を述べればいいし、それからある程度きまったものに対してまた検討して言う機会もあると思いますので、それに備えて十分勉強しておくというのがまず必要じゃないかと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 けっこうです。

北側義一公明党

○北側委員長 三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 核兵器の不拡散に関する条約全般あるいは根源について質問することによって査察の問題も大きく浮かび出てくると思うのです。それが逆に、三島先生がお帰りになるというので、私たちは枝葉のほうから聞くようになって非常に恐縮なんですが、またそれだけに私たちの聞いておることが非常に不確実なことになると思いますし、また技術的になると思います。しかしいたしかたありませんので、技術的にひとつお聞きしたいと思うのですが、先生のお話では二つに分かれると思う。一つは査察に対する古いやり方でいいだろう、そういう願望、それからもう一つは八月の終わりが大体期限だから提案発言を有効にやらなければいかぬというやり方、おもな点はその二つだったと思うのです。そこで後段のほうですが、提案発言を有効にやり時間切れにならないようによく気をつけろ、こういうお話なんです。そこで先生方のお考えというものが、すでに私たちの聞いておるところでは、IAEAの法律部長として杉原真一君が行っておられます。これをどういうように活用するかということを具体的に聞かしてもらいたいと思います。  それからそこにおられる科学技術庁の川島芳郎君が保障室に兼務としておられるわけですが、もう具体的に科学技術庁ではそういう担当もきめられた。そこへそういう願望だけじゃなくてどういうように有効に先生のお考えを持っていこうとされるのか。そうでなかったら、せっかく言われたことが抽象的論議に終わると思うのです。それだけひとつ聞かしていただきたい。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 ただいまのお話の私の申しました内容は、技術的な話だとか、それからこういうふうにすればいいではないかといったようなある程度の提案の論文にわたるようなものでございましたら、現状でかなりよくでき上がっておると思うのです。いままで国内でずいぶん勉強もいたしましたり検討もいたしましたので、純技術論としてはかなりりっぱなものができ上がっておると思いますので、それを主張するだけで通れば簡単でございますけれども、IAEAの検討会でいろいろな国のある中で日本の主張を通そうと思いますと、そのためにはいろいろと日本の考え方なり何なりをわからせるために、事前にいろいろな適当な処置を講じましたりあるいはまだ認識不足のととろに理解させるために努力をしたり、そういった配慮が必要だろうという意味でございまして、それから提案のしかたにつきましても、多少は日本の主張をうまく通すための会議の進行のしかたの技術もございましょうから、その辺のところをじょうずに配慮しませんと、とにかく期限がかなり迫っておる、時間が迫っておるために結局時間切れになるということがないように、いまからあとのタイムスケジュールをよく考えまして、この時期にこういうような了解を得るように議論をよくするとか、いろいろなことをよくお考えになったほうがいいという意味でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 全くそのとおりで、私も先生の御心配されておること、よくわかるのです。それを先生のお考えとしてはどういう方法でその効力あらしめるか。それは発言のしかたとか提案のしかたとか相手にわからせる方法とかいうものがあるんだ、こうおっしゃるのですけれども、そういう検討をどこでやりどういう方法で具体化していけばいいかということを先生のお考えを聞かしてもらいたい。理屈はわかるのです。お考えを聞かしていただきたいということなんです。現実にもう法律部長として行っておる人もあるし、それからここにいる川島君あたりは保障室で係をしている、いろいろ研究をしておられるのですけれども、その内容はまたあとで聞かしてもらうとして、ひとつ先生のお考えを聞かしていただきたい。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 私は国連の中の会議の進め方の経験もあまりございませんし、具体的にこういうところに対してこういうことを言ったらたぶん有効であろうというような具体的な話はむしろよくわかりませんので、技術論を詰めましたものといたしまして、せっかく技術論としてはかなりよく詰めたというのは自画自賛になるかもしれませんけれども、かなり筋書きとしては、議論としてはよくできているように思いますので、それがほんとうに有効に日本の主張として通りますためには、そこからあとの御専門の方で善処していただきたいというような意味で申し上げておるので、そこから先をどういうふうにしたらいいかというのは、私は専門家でないのであまりよくわかりません。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それでは方向を変えてお伺いしたいのですが、いまIAEAでそういう査察の草案をつくっておる。それに日本の主張を入れれば入る可能性があるとお考えになっておるか。言いかえれば、ある程度主張してうまくいえば、日本の主張がその中に入る可能性があるのだ。それが五〇%か三〇%か知らないけれども、入る可能性があるのだとお考えになっておるかどうかということを聞きたいのです。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 いま進んでいるというお話しでございますけれども、大体今度検討する委員会ができましてこれから作業が始まるわけです。そして八月くらいまでの目標で作業が進むと思いますので、その機会に、日本からもメンバーが出ているわけでございますから、最初からそういう主張をすればいいわけでございますけれども、昨年の暮れの東京のパネルのときに出ておりました議論だとか、それから昨年こちらの検討会で検討した結果をあちらへ持っていって関係の方と議論をしてこられたお話などを承りますと、決して通らないことはないので、日本の主張というのは非常にリーズナブルであるということではないかと思っております。ただリーズナブルだけでは通らないところがあるだろうと思いますので、十分いろいろな配慮をする必要があるだろうと思っております。

北側義一公明党

○北側委員長 三島先生、どうもありがとうございました。

三島良績東京大学教授

○三島参考人 どうも失礼いたしました。

北側義一公明党

○北側委員長 石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 どうも参考人の都合で枝葉のほうの話が先になってしまったわけですが、科学技術庁長官も幸いお見えになったので、これは実は外務大臣のいるところではっきりと話をしなければ、ここで幾ら議論を重ねても収穫はないのじゃないかということを心配しているので、委員長において、これは理事会でお話しになることでございましょうけれども、ぜひ外務委員会との合同審査会なり、それができなければ外務大臣にぜひ御出席を願ったところで、この話は国益を守るという立場で討議をしなければならぬ非常に重要な課題ではないかと思っておりますので、ひとつぜひ委員長において御配慮を願いたいと思うのです。  それで私が申し上げましたように、これはアメリカとソビエトの核の独占である。いま盛んにSALTということで戦略用兵器の制限問題について、軍縮問題についてアメリカとソ連で話し合いを始めることになっておりますけれども、そのSALTに備えて相当激しい核装備の拡張競争というものが行なわれておるということが巷間伝えられておるわけです。たとえば、ミニットマンの十倍の運搬能力を持っているSS9というのが、ソビエトでは三百基ぐらいできているのじゃないか、それがそのうちすぐに五百基くらいになるんじゃなかろうか。これは疑心暗鬼かどうか知りませんが、アメリカのほうはそういうふうな情報をもとにしてそれに対応する多核弾頭長距離弾道弾というようなものを非常に急いでおるというようなことで、アメリカとソ連だけはどんどんそういうものに対して核軍拡戦争をやっている。それで日本やその他の非保有国については絶対それはまかりならぬというようなことも、どうも——われわれ決して核軍備をしたいという気持ちは毛頭持っておりませんけれども、どうもかって過ぎるのじゃないかという気持ちがぬぐい切れない。これは国民全部の感情だろうと思うし、それからこれはほんとうは三島さんがいたときにお伺いすればよかったのでありますが、核爆発装置というものに対する保障措置というものをIAEAでやることになるわけですが、理論的にいって一体核爆発というものはどこからが核爆発であるかということが、ちょっと私は疑問が多いのではなかろうかと思う。三島さんがいらっしゃらないのでこれは原子力局長にでもお伺いするほかないと思うのでありますけれども、たとえば高速増殖炉開発のために臨界実験装置だ、それからプルトニウムでも同じようなことができる、また核融合の研究装置というものが爆発装置に該当するかどうか、この限界は一体どうなんだという学問的、理論的な定義、これは確立されておるんですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 先生おっしゃいましたが、学問的定義というものはちょっとないんじゃないかと私も思います。条約の中には核兵器及び核爆発装置と書いてございます。私たちはいまの兵器として使われやすい核爆発装置という考え方で現在考えているということでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 こういうのはあげ足取りみたいな話になって恐縮なんですけれども、こういう基本的な定義問題までもはっきりしてないんですね。核爆発装置というのはどこからなのか。核兵器というのは大体はっきりしておるわけであります。核爆発装置ということも査察の対象にする、その限界がさっぱりわからないままにこういう問題がどんどん進捗をしているということについて非常に割り切れない気持ちを持っておるわけなんです。  それと外務省の方がせっかくいらっしゃっていますから質問したいのでありますが、私はこれは外務大臣に質問しなければならぬのですが、先ほど私が申し上げたように、基本法のような形でもって核軍備はしないのだというようなことをいっているところがほかにございますか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 いまの御質問については、はっきりしたこまかい資料がございませんが、たとえばデンマークのような国がそういう政策をはっきりとっていたと記憶いたしております。例といたしましては、たとえばスイスなどにおきましては、核武装をすべきか、すべからざるかという議論が議会で非常に問題になりまして、いままでのところはしないという決定できているように思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私も大体そんなふうな印象を受けておりまして、日本ぐらいはっきりと核装備はしないのだということを言い切っている国はないわけですね。国会で何回も核実験についての抗議、それから核装備というものについてこれは全面的に廃棄をしろというようなことをいっている国はないわけなんです。先般、何か中国の周恩来と北朝鮮の金日成が会って、日本の科学技術庁の原子力の予算は全部核爆発のための研究だというようなことを言い切っているようなことも聞きまして、認識不足もはなはだしい、それほど日本は信用されないのかという感じがしたわけなんですけれども、それは別といたしまして、とにかく日本ぐらいこれに対してはっきりした態度を法律的に持っている国はないわけで、それからいうと、私が先ほど言ったように、何のために査察をするのだということを言う権利があるわけなんですね。だから、そう言ってもなかなか信頼されないということももちろんあるでしょうけれども、そういう腹がまえを基調として今度の査察問題の交渉に向かってもらいたい、これはまず第一のお願いなんであります。  ところが、それと相反するようなことを私申し上げるわけなんですけれども、実は三木さんが外務大臣のとき、やはり合同審査会をやって日米原子力協定の問題について相当激しく私が渡り合ったことがありました。どう考えても納得いかない、ということは、核防条約で査察問題をいまさらとやかく言おうとしても、日米原子力協定でもって非常に先取りされているんです。いろいろ問題はたくさんあるのですけれども、たとえば、十一条にはこういうことが書いてあるのですね。「両当事国政府の合意により国際原子力機関の保障措置によって代置される範囲を除き、次の権利を有する。」——アメリカ合衆国は持っておる。そのほかこまかいことがたくさん書いてあるんですけれども、端的に言うと、「原料物質、特殊核物質、減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材」、これについてはアメリカが査察をする権利を持っている。こうなると、核防条約で幾らおれたちは査察はここまでだといって押えても、減速材料まで査察の対象にしてアメリカにその権限を与えるということになると、何のために核防条約でもって国際原子力機関によるところの査察はけしからぬのだと言ったって始まらないですね。私は、この核防条約を前提として、まだ調印される前、話題になっている時点において、日米原子力協定というものがあって、こういうことまできめるということでは、核防条約にたいへんな影響があるのではなかろうか、こういう質問を私はしたのですが、あいまいのままに過ごされてしまって、とうとう正式調印を見てしまった、私は非常に残念でならないのです。でありますから、この保障措置の中身がどうあろうとも、今度アメリカは独自の立場で、アメリカから提供された、たとえば重水がありますね、重水なんか日本でもできるのですよ、日本でもできるのですけれども、アメリカから買ったほうが安いという場合がある、特殊の計測機がある、これは日本ではなかなか技術的につくることがむずかしいという場合がある、アメリカから輸入をする、ところがそれの査察ということで、炉の中をのぞき込むということになれば、先ほど言ったように、工業機密というものは全然守られない、こういう事態がある。こういうふうな日米原子力協定を結んでおいて、いまさら何の核防条約の保障措置協定だということを私は言いたい。この点の解決はどういたしますか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 まず最初に、日米原子力協定の、いまの御指摘になりました点でございますけれども、この規定を読みますと、「設計及び操作を非軍事的目的のために確保し、かつ、保障措置の効果的な適用を可能にする目的をもって、この協定若しくは旧協定に基づいて日本国政府若しくはその管轄の下にある者に提供された次に掲げる物又はそのようにして提供された原料物質、特殊核物質、減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材のいずれかを使用し、加工し、若しくは処理する次に掲げる物の設計を審査する権利」という文句がございまして、減速材物質それ自体が保障措置の対象となっているという規定ではございませんで、その点ちょっと説明させていただきます。  なお、日米原子力協定に基づきます保障措置と、それから今度の核不拡散条約のもとにおけるIAEAの保障措置との関係におきましては、われわれといたしましては、少なくとも核不拡散条約に基づく保障措置協定をIAEAと結びます場合には、それと重複するような保障措置は受けないようにしたい、そういうように措置したいというふうに考えております。これは将来の交渉の問題でございますので、そうなっているという趣旨を申し上げるわけではございませんが、今後の努力目標としてはそういうふうに考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 いまのこまかい条文の問題はあとでいいのですけれども、十一条のBの(1)だけをお読みになっているようですが、(2)のほうはそうじゃないですよ。「原料物質、特殊核物質、減速材物質又は合衆国委員会が指定するその他の資材」とこうなっておる。設計だけじゃないですよ。これは非常に驚くべき条文だと思って、いまでもぼくは慨嘆にたえないのだけれども、それはBの(1)だけお読みになって——(2)の項になりますと、違うのです。設計だけじゃございません。それはいいですね。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 いまの点でございますが、確かに(2)の項は設計だけではございません。ただこれを読みますと、この協定または云々によって「提供された原料物質又は特殊核物質に関して、並びにそのようにして提供された次に掲げる資材、設備及び装置、すなわち」として書いてございまして、これこれ、(a)の中に減速材物質がございます。そのあとに「のいずれかにおいて使用され、それから回収され、又はその使用の結果生産される原料物質又は特殊核物質に関して、」という書き方でございまして、この(2)も、減速材物質それ自体を保障措置の対象としているのではないというふうに私どもは解釈しております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 その法律論議はあとでまたゆっくりやりますけれども、これは実際言って、アメリカから重水について査察の申し入れがあったことがあるのですよ。これは拒否したようです。拒否したようですけれども、この条文に基づいて実際に向こうから申し入れがあったのです。そういうふうなことが日米原子力協定でもって先取りをされていながら、そういうことが前提となると、今度の核防条約は非常にやりにくくなっているのではないか、こういうことで、私は、核防条約の前提として、この過去の日米原子力協定があるということは非常に残念だということを申し上げたい。このこまかい法律論等はいずれ機会を改めてやりたいと思うのです。  そこで、いろいろ申し上げたいことがあるのですが、こまかいことになりますから、あとは外務大臣との話でいろいろ申し上げたいことがあるのですけれども、IAEAという機構ができた当時は、アメリカもソ連もこれに協力をして、原子力の研究開発のために共同の利益を享受するためにということに大義名分はなっておるのですけれども、最近はどうも米ソのための警察機構のようなかっこうになっている。これは私は非常に残念でならないのです。その他に国際原子力機構というものを活用するというが、利用の余地がほとんどなくなっているというような状態なんですけれども、IAEAそれ自体は各国の機密保持というものを義務として約束をされておるかどうかということなんですね。これはどうなんですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 ただいまの御質問は、おそらくIAEAが保障措置を適用する場合の商業機密との関連の問題であると思いますが、現在IAEAの保障措置文書というものがございます。それから現在のIAEAの憲章自体の中にも、事務局長及び職員は、その公的任務により知るに至った産業上の秘密または他の機密の情報を漏らしてはならないという規定がございます。それから現在のIAEAの保障措置文書の中にも、そういった商業上の機密を漏らしてはならないという規定がございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私の聞いた範囲では、どうもIAEAには各国の機密の保持というものは確約されていないというように聞いておったのです。そうしますと、この日本の工業機密が漏洩するということはなおさら重大な問題になるのではないか。いまのお話ですと、一応そういう義務づけられておるということで、その点は一応了解いたしました。  それから、これは技術的なことになるのですが、査察員独自の判断に基づくところが多過ぎるので、基準をきめてこれを公開しなければならぬというような話があるわけです。こうなりますと、われわれはしろうとでございますから、どういう基準がいいのかということははっきりわからないのですが、三島さんいらっしゃらないので、ちょっと私もだれに質問していいかわからないのですけれども、この問題はまたいずれあと回しにいたします。私も一応の資料だけは持っておるのですけれども、それを言ってみても答える人がいるのかどうかわかりませんので、それはあと回しにいたします。  そこで、こういうふうな査察員が、人によってはだいぶこまかい質問をする。それに答えなければならぬということになると、その相手によりましては相当程度のところまで提供せざるを得ないような羽目になってしまうということが査察の実態のようであります。そこで、この基準というものはどうしても必要だということだけは申し上げておきたいと思います。その基準のあり方というのは、先ほど三島先生のおっしゃったようないろいろな基準の立て方があるだろうと思うのですけれども、これは向こうから言われて出すということじゃなくて、日本だけが非常に不公平な査察を受けている。したがって、日本だけについて必要以上の査察を受けるということはどう考えても納得がいかない。ということは、ヨーロッパはユーラトムということで自己査察、アメリカ、ソ連というものはほとんど査察を受ける必要がないというような状態で、IAEAの査察を日本だけが特に多く受けているわけですね。こういうばかげたことはないと思うのですよ。そういうことだけは、どうしてもこの不公平だけは除去しなければならぬという点で、受けなければならぬとすれば、限低限の基準というものはきちんときめてやったらいいのではないか。先ほど来使用済み燃料中でどれだけプルトニウムができたか数値を出すことはいまの技術では非常に困難だとおっしゃっていたのに対して、それは何とかしなければならぬ、こういうふうな三島さんのお答えであったようでありますが、私の調べた範囲では、どう考えても一〇%か一五%くらいの誤差は出るのです。こういう誤差が出る。これを排除することは、日本の技術だけじゃなくて世界の技術でも、目下のところ外側からの計測としては不可能だというように私は聞いております。それが先ほど言ったように、誤差の範囲内で爆弾が幾らでもできるという向坊先生の発言になって出てきたのではないかと私思います。それとこれとはちょっと次元が違いますけれども、そういうことで、基準は、設計の基準とか計量の精度の問題とか査察基準、その諸制度を施設ごとに、あるいは全体の流れとしてこういう基準というものをはっきり確立をして、それの基準は公開をしてそれ以外のことはやらないというような形にぜひ持っていってもらわなければならぬと思うのです。  それから、定期査察と不意打ち査察及び疑問査察それぞれあるわけですね。これは査察の性格が違うわけです。違う査察の場合においても、それぞれの基準というものはなければならぬ、こう思うのです。非常にこまかいものになるだろうと思うのですけれども、私はこういう基準というものははっきりきめてもらいたい。それと非常に重要な問題だと思うのですけれども、被査察者の権利、たとえば、日本なら日本が査察を受ける場合、だれが査察に来るかというようなこと、あるいはどういう程度に踏み込んで査察をするかという場合に、これを拒否する権利というものが現在のところ明確にされておらないわけです。私はアグリーする権利もあればこれをアグリーしない権利も当然持っていいのではないかと思うのですが、その点でこれを確立をしてもらいたいと思うのですが、この点の御意見はいかがですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 最後の点でございますが、現在の保障措置手続のほかに、もう一つ査察員文書というものがございまして、その査察員の派遣のしかたについてIAEAできめました文書によりますれば、査察員を受けるほうの国は事前に特定の査察員の任命について同意をする権利を持っております。同意をするというのは、つまりその査察員は困るとなれば、それを最初に拒否する一種のアグリーメントでございますが、そういう手続がきめられております。したがって、ある査察員が好ましくないと思えば事前にその査察員は好ましくないということを言う権利が残されております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 その査察者に対するアグリーメントだけではなくて査察をしておる最中に、基準がいかに確立されたとしても必要以上に踏み込んで内部を査察する、それはちょっと困るという場合も出てくるのですが、それを拒否するという権利はいまのところはなさそうに思うのですが、その点はどうですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 いまおっしゃいました点は、確かにいまのところは明確になっておりません。問題はその拒否いたします場合に、ほんとうに査察にとって必要かどうかという認定権の問題になっております。現在のところは、したがって、そういう場合にどうするかということは必ずしもはっきりはしておりませんけれども、もし査察員が踏み込むということによって特定の原子力施設について非常な損害を受けるというような場合には、これはおそらくその施設と査察員との話しではなくて国とIAEAとの話ということになるのではないかと思います。ただ手続的にはその点ははっきりしておりませんので、将来その交渉において取り上げられるべき一つの問題点ではあると思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 結局、査察員独自の判断に基づくところがいままでのところは非常に多過ぎたということが定説になっておるようなんです。やはり独自の判断に基づかないという原則をまず確立をする。それが独自の判断になり過ぎるという場合には、拒否権というか、これを拒否することができるということを確立する。そのためには内部でその基準というものを確立をする。  それからあと一つは、査察員によって運転、操業の停止はあり得ないということにしてもらわなければならぬと思うのです。これは査察をするからいまちょっと機械をとめろというようなことになると、これは原子力の関係の場合は、とめると、これがまたそれから操業させるのがたいへんな手数がかかるわけですね。そういうことは絶対できないんだということにしてもらうというようなこともやはり技術協定の場合には必要なんではないか。その原則はやはりはっきりさせなければならぬ、こうわれわれは考えておるわけです。これは将来、一本松さんのほうからもお話がございましたように、数千万キロということになって、たくさんな発電所ができて、そういうところに、一々そういうふうなとめろなんていうようなことになるようなことが可能だという道を残しておいたのではたいへんだと思うのです。したがって、停止をする、操業をとめろ、運転をとめろというようなことがないような原則というものを、その基準というか、今度の協定でははっきりさせておいてもらいたい、こう思うのです。そういうこまかいことは原子力局のほうといろいろのお打ち合わせをすると思うのです。  それと、科学技術庁長官に申し上げたいのですが、先ほど三島さん、低濃縮でも軍用化ができるようなお話がございましたけれども、どう考えても二〇%以下の濃縮で軍用ができるということはちょっと考えられないと思うのです。したがって、二〇%なら二〇%という程度を区切って、それ以上になりますとこれは濃縮ウランというものがどうしても必要になってくる。濃縮ウランということになれば設備によって使用電力料というものが変わってくるわけですけれども、使用電力料と製品との関係というものを調べて、さらに電力消費料と産業分布、こういうものを調べていけば、これは核兵器に使ったかどうかということはおよそのところで見当がつくのではないかと私は思うのです。  それから、あと一つは、ウランの軍事利用ということになれば、国家規模でやらなければならぬということでばく大な開発費、それから財政というものをどうしても伴う。そういうものを監視していけば、これは大体常識的に見て見当がつくわけですね。そういうふうなことを見る。もちろんそれだけではだめでしょうけれども、そういうものを見ればそうこまかな査察をやらなくても事足りる、私はそういう感じがするわけなんです。そういう点のお考えはどうでしょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 濃縮ウランの濃度によりまして、軍事的な利用がある濃度以上でなければできないということは私も常識的に承知をしておりますが、具体的に何%以下のものはどうであるということはやや専門的でございますから、私はもう少し勉強させていただきたいと思います。また、濃縮ウランの設備をやりますには相当多額の費用を伴いますし、それらからもある程度予算の使い方等によりまして、これがどういう目的に使われるかというようなことの見当はつき得るものかとも思います。しかし、それをどういうふうにIAEAとの査察協定の中に取り込んでいくかという問題は、やや技術的な問題でございますので、私、感じとしてはいまおっしゃったようなことも考慮されるべき点ではないかと思いますが、ややまだ専門的な問題でございますので、私も決定的なことを御返事できないことは残念でございますが、もう少し十分検討させていただきたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 こまかい点その他、いろいろ外務大臣がいらっしゃるときにまた詳しく質問したいことはたくさんあるのですけれども、ほかに質問される方もたくさんおるようでありますから、最後に簡単に一つ質問したいと思うのです。  平和的な爆発といいますか核爆発装置、平和的に核爆発を利用するというのは大きな道路工事というか、運河をつくるとか山をくずすとかいう場合にあり得ると思うのですね。しかしながら、これは禁止をされるということになるわけです。私は専門家ではないものですからよくわからないのでありますけれども、たとえば、カリフォルニウムというような核種があって、これはいまのウランとかプルトニウムなんかの放射能の大体千分の一ぐらいの放射能でもって同じような爆発を起こし得るのだ、理論的にはそうなっておるのだ、しかし、これを開発する技術というものは相当困難だ、なかなかそう簡単なものではないと思います。そういうような研究開発を進めて、どういうことがあっても、核爆発をやっていいかどうかということについては問題があります。問題がありますけれども、そういう可能性がある。そういう場合に、そういう可能性もこの核防条約で日本では現在できないということになるわけですね。そ点をひとつ確認をしておきたいと思うのです。これは外務省の方に伺いましょうか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 ただいま御質問の点につきましては、条約の解釈上は、条約が禁止しておりますのは核爆発装置の製造でございます。したがって、製造に至らない研究についてはこの条約で禁止されていないといというふうに考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは無期限の草案だったものが二十五年ということであるから、二十五年内にはそういう研究開発はなかなかむずかしいと思うのですけれども、しかし将来はこういうこともでき得ると思うのです。そういう研究の余地のないということを非常に残念ではないか、私はこう思うのです。核融合というようなこともありますから、その方向よりは核融合のほうがいいんだといわれることがあって、そういう研究まではいかないかもしれませんけれども、しかし、ともかくいずれにしましても米、ソが自分だけが独占をして、核兵器が世界の国に広がらないという点では、原則的にはわれわれもこの趣旨には賛成ではありますけれども、どうもひとりよがりであるという点と、査察をどんどん踏み込んでやるというふうなことを、日本だけが不平等に甘受しなければならぬという点は、どう考えても納得のいかない点が多過ぎるわけであります。そういう点でいろいろ問題の多い核防条約でありますので、一応調印をしたということについてもわれわれいろいろ意見はありますけれども、批准まではよほど国益を守る立場で慎重な態度で、き然たる態度でもってひとつ対処してもらいたいという希望だけを申し上げておきます。

北側義一公明党

○北側委員長 次に三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 科学技術対策特別委員会で核拡散防止条約についての質問をやりますのはきょうが初めてですから、ひとつ素朴な質問からさせていただきたいと思います。外務省からも見えておりますし、科学技術庁の長官もおられますから、最初になぜこの核拡散防止約条を調印しなければならないのか、これをひとつお伺いいたしたい。それからその調印をし、発効が三月六日でしたか、発効し、そのあと批准という段階になるようですが、なぜこの間に間隔を置くのか、時間を置くのかということをひとつ聞いておきたい、外務省のほうから聞きたいと思います。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 核拡散防止条約に署名いたしましたのは、日本政府といたしまして核拡散防止条約の基本的精神には賛成であるということを従来から申しておりました。それで日本の立場といたしましては、この条約ができるだけ早く発効して、核兵器が多くの国に拡散するのを防ぐ、したがって、それによって世界平和の維持が容易になるということが日本の国益につながるものではないかというふうに考えたわけでございます。なお、それに加えまして、御承知のように条約が発効いたしますと、百八十日以内に保障措置のための交渉が開始されることになっております。それで、このような保障措置の交渉におきまして、日本が署名国になっていることによってこの条約の基本精神を支持するという立場を明確にしておくほうが、条約の交渉にあたって有利であるという判断も働いたわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 いま言われたことが趣旨のようでありますが、それならば三年間論議されたときに、政府部内あるいは与党の中での論議に終始して、なぜ国会という場を放置しておくか、その点をひとつお聞きしておきたい。もう一つ突っ込んでいいますならば、これは与野党の数が違うからいいものの、批准とそれから調印ということにおいて批准に反対と出たときにはどうなるか、それは問題ない、見通しがあるから。しかし反対と出たときにはどうなるのですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 条約の批准が国会の御承認を得て行なわれるということは言うまでもないことでありまして、国会の御承認が得られなければ条約の批准ができないということになるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、もしこの条約の基本精神に国会の御賛成をいただける場合には、この条約がわが国の原子力の平和利用を阻害しないという点が確保されれば、批准について御承認を得られるのではないかという期待を持って、事務的に進んでいるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 先がたの論議にもありましたように、日本はとにかく原子力基本法を持ち、平和憲法を持っておるのですから、ことさらにこれをやらなくともいいという意見もあるわけなんです。その中で国会ないしは国全体が原力子に対するところの正しい理解を持ち、そして原爆に対しての規制、そういうことを期待して、こういうことをことさらにいわなくともいいわけです。私が申し上げたいのは、今日まで硬軟両論あったということを聞いておるわけです。この核拡散防止条約を調印するか調印しないかという問題について、にわかに調印をしたという中には、将来にまたこれを託して、いま査察についてお二人の参考人からいろいろお話をしていただきましたが、そのことについてはあとからお聞きするとして、その査察問題等に対するところの手当てをしなければならぬという問題が残っているのでしょう。これなしに調印して、強硬論者のほうに対してはこれを納得させる方法はないのです。だからその努力をしなければならぬわけでしょう。そういう努力がまだあとに残っておる。こういう努力を残しながら、これを調印しておるわけですから、調印というものがすんなりと批准されるという見通しも必ずしもあるといえないし、ないともいえない状況じゃないですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 将来の見通しにつきましては、私ども下僚の申し上げるべきことではないと思いますけれども、私どもといたしましては査察を含むIAEAの保障措置に対して有利な協定を結びますためには、やはり日本の立場を条約に署名することによってはっきりしておいたほうがいいのではないかというふうに考えたわけでございます。  なお、条約に署名いたします以前の状態におきまして、これは東南アジア等の国も含めてでございますけれども、しばしば日本は核保有の考えがあるのではないかというような外国新聞の論調が出たこともございます。私どもといたしましては、そのような無用な疑惑はできるだけ避けたい、そして疑惑を避けるためには、やはり条約に調印すべきではないかと考えたわけでございます。ただ条約に調印いたしましても、法律的に縛られるのは言うまでもなく批准という行為によってでございます。したがって、その批准までの間に、この条約による保障措置が、わが国の原子力の平和産業に無用な害を与えないという点が確保されれば、よいのではないかというふうに考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 大局的には賛成だということで、外務省の考え方では、各国の核武装が条約の上でいままで野放しになっておった、そういう時代が終わるのだというような認識と、それから日本の核武装はこれで絶対にやらないという世界に対するあかしだ、こういうようなとらえ方をされておるのですが、そういたしますと、ここに二つの疑問が残ってくるわけです。  その一つは、政府が先に調印してあとに批准するというつもりのようですが、問題点がその間に解決がつくのかどうか。先がたちょっと私もお聞きしましたけれども、そういう自信があるのかどうか。これは三島さんのお考えでは、希望的な観測を持って、なるべく手続上あるいは発言のしかたということでおくれをとらないようにしなければならぬというお話もございました。これは外務省のほうとしてはそういう自信があるのかどうか、これをひとつお聞きしておきたい。  それから一方で米国の核のかさの抑止力による、これは核を自分の手に持っておるかあるいは核を持った人を小わきにかかえておるかというだけの違いで、事実は核武装と同じような見方ができるんじゃないか。安保条約との関連において私たちはこういうような疑問を持つわけなんです。  最初の、問題点を解決づけることができるという見通しかどうかということを一つお聞きしておきたい。それから二番目の問題について、なるほど世界には核を持たないというあかしは立てたものの、核抑止力の核のかさに日本がおるということは、米国の核を日本に運んできたりあるいは米国の力でこれをそこに保存するというようなことは可能でありますから、必ずしも日本が核を持たないというあかしを世界にしたことにはならないのではないか、こういう疑問を持っております。この二つを伺いたい。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 最初の、外務省としての自信があるかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この保障措置協定がわが国にとって一方的に不利なものとならないようにあらゆる努力をするし、またその努力によってこのような目的を達成する見込みはあるというふうに考えております。もちろんこの場合に、とうてい外務省だけの力ではまいりませんので、国論のバックを受けた上、いろいろ専門家の御援助を得て関係国を説得いたしたいと思います。問題は、国によっていろいろ立場が違いますので、わが国の考え方それ自体が直ちにすべての国に受け入れられるかどうかという点については、いろいろ紆余曲折は当然あり得ると思いますけれども、外務省としてはできるだけの努力はいたしたいと思っております。  それから政府声明にもございますように、そのような努力をむしろはっきりわれわれに義務づけるという意味で、保障措置協定の内容がわが国にとって実質的に不利なようなものである場合には、条約の批准はいま直ちには行なえないような状態にあるということは、われわれも覚悟している点でございます。  その次の核抑止力の問題で、米国の核抑止力に依存している場合には、日本自体が核武装をしないというあかしにはならないのではないかという御質問と了解いたしますけれども、諸外国が問題といたしておりますのは、日本自体が核を持つ潜在力を持っており、またそのように向かうのではないかという疑念でございまして、核を持たない国が外部からの核攻撃に対して他の友好国の核抑止力に依存するということにつきましては、それをもってその国が自分も核兵器を持つ野心があるという解釈は、外国はとっていないというふうに了解しております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それはたいへん疑問が残りますので、いずれあす外務大臣においでいただくんだろうと思いますから、そのときお伺いしたいと思います、一番重要な問題ですから。  そこで、西田長官にお伺いしたいのですが、原子力産業新聞の三月二十六日号に、「核兵器不拡散条約に調印したが、保障措置の実施については、できうる限り、発展するわが国の原子力平和利用を阻害しないよう措置する考えである。」これはまことにけっこうであります。私も賛成なんですが、一体どういう措置をなさるのですか。いま外務省は自信があるという話だけでどうするという話はなかった。科学技術庁長官としてはどういうことをなさるつもりですか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 原子力の平和利用という立場で、このたびの条約の調印をいたしました日本の立場は、政府声明で内外にその所信を示したところでございまして、わが国が諸外国に比べて非常に不利にならないように、また平和利用の立場が阻害されないように、あるいは商業機密が漏れないようにというようなことの内容が満足しなければ、容易に批准することはできないという立場をとっておるわけでございます。  そこで、外務省から条約調印に至る考え方、態度についてお話がございましたが、私はその談話、新聞に載っておりますような気持ちを持っておるわけでございますが、そこで現在IAEAでは、いよいよ条約の発効に伴いまして条約発効後のIAEAの保障措置に対する態度と申しますか、方針を決定するための特別な委員会等もすでに発足することになったようであります。そこで、政府声明がすでに内外にわが国の態度を明らかにいたしておりまして、この方向に沿うて、国内におきましてもいろいろな保障措置に関しますところの技術的な開発等につきまして鋭意努力をいたしておるところでございます。そしてこれらの技術的な計測方法等の採用等によりまして、回数、査察の簡素化、あるいはまたわが国が持っております国内法等によりますところの管理制度、これをその面に取り入れてまいりまして、その簡素化をはかるというようなこと等に関しまして、まず第一には、やはり諸外国の関係国、あるいはIAEA当事者の十分な理解を得るということが一番必要なことであろうと考えますので、私どもの立場においても、また民間側の御協力もいただきまして、すでに原子力産業会議のそうそうたるメンバーにいま欧米を回っていただいておりますが、これらによりまして十分わが国の立場というものを各国に認識をしてもらうということもすでに実行に移しておるわけでございます。同時にまた諸外国のことにユーラトム等におきますところの自主査察の実際やっております方法等につきましては、これは詳細まだわかっておりませんが、こういう機会にできるだけそれらの国とも接触をしていただきまして、これらの実態もひとつ見きわめてまいりたい。そうしてわが国とこれらの諸国、特にユーラトムとの間におきますところの不平等性をこの際排除したい、こういうことでそういう方法、手段もとっておるわけでございます。そこで、いずれこのIAEAの保障措置に関する委員会等が動き出すと存じますが、調印をしたという立場におきまして十分にそれまでにわが国の態度というものをひとつ固めまして、そしてもちろんこれは外交交渉を通してやるわけでございますから、外務省が主体になりますが、私どももともともに——おそらくはIAEAが何か標準的な保障措置、査察を含むところの標準的なものをきめるであろうと存じまするが、これらに対しましても十分なひとつ発言をいたしまして、そしてわが国の主張というものが国際的に認められるような努力をしたい。  さらにまた続いては、わが国とIAEAとの交渉というような時期も、もちろんこれは批准を経ての問題でございますが、それを見きわめた上で個々のIAEAとわが国との協定の交渉等にあたりましてもその主張を貫いてまいりたい、かように考えておるわけでございます。とにもかくにも調印をしたという立場において、わが国の発言というものが諸外国並びにIAEAに相当強力に行ない得るという立場に立っておると存じまするから、また具体的なことにつきましては専門的になりますので局長等に答弁をさせていただきまするが、いろいろなわが国の管理制度の活用あるいは各種の計測その他の機械的な手段によりますところの簡素化というようなことをひとつぜひ実現をしてまいりたい、かように考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 一本松さんに聞きたいのですが、新聞の座談会ではこのように言われておるのです。大国のエゴイズムまる出しでけしからぬ、査察を受けるのはわが国と非核保有国で非常に不平等、こう言われておるように思うのですが、このお考え方は間違いございませんか。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 私はさように考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 その他この座談会を読んでみますと、米、ソ、英、仏、中国の五大国の核保有国が固定化されるので、全面核軍縮に向かわなければ賛成できない、こういう意見もあります。そういたしますと、政府声明は、核大国は「具体的な核軍縮措置をとる」、その点を批准の前提として明らかにしております。非核保有国が核の使用に伴う侵略のおどしを受けた場合、直ちに安保理事会を通じての行動その他実効ある措置を進めること、三番目、原子力平和利用に対する査察、すなわち保障措置でわが国が不利な取り扱いを受けないこと、この三つのことが言われておりますが、外務省としてこの三つはなかなかむずかしいと思うのです。いまの一本松さんのお話しのように、大国のエゴイズムまる出しでけしからぬ、査察を受けるのはわが国など非核保有国だけじゃないか、こういう非常に強い意見があるわけなんです。こういう強硬論に対してまずこういうような前提条件をつけてこの条約に調印をしたわけですが、そういうことは外務省としてやりますか。一本松さん、ちょっと済みません。外務省おられますから……。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 もちろんわれわれといたしましては、核軍縮等の諸問題が非常に容易な問題であるとは全く考えておりません。これは非常に困難を伴う問題であるとは考えております。また他方、核軍縮が完全にでき上がるまでわれわれは条約に入らないということをその政府声明で言っているわけでは決してございません。外務省といたしましては、少なくとも核軍縮のための努力が進んでいくという状態でなければ、非核保有国がある程度不利益を受けるその条約に入るのはむずかしいのじゃないかというふうに考えたわけでございます。  なお御承知のようにNPT、核不拡散条約の第六条に「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行なうことを約束する。」ということが規定してございます。したがって、このような交渉が誠実に行なわれるということがこの核不拡散条約の前提であるというふうに思っている次第でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それはわかるのですよ。第六条にそういう誠実にやらなければいかぬ、誠実に交渉できるということですが、しかしこれはわが国の中に強硬論と柔軟な意見とがあったんでしょう、これを調印する段階において。これが前提になって強硬論を押えたわけでしょう。一本松さんなんかはこの中では非常な強硬な御意見を出張されておりますが、私たちも一本松さんの言われることになるほどと思うところがあります。それはこのことばはいわば眠り薬ですね。これをやるから承知しておれ、こういうことなんですけれども、きわめて困難な問題を引っぱり出しておられるわけですが、理想として掲げるのなら、平和憲法に掲げてあります。それから日本の国だけのことなら、原子力基本法がありますからそれでいいわけですけれども、相手の国を説得していかなければならぬのはなかなかむずかしい問題だと思うのです。これだけで一本松さんなんかは了解されたのですか。それはちょっと参考人にお聞きしたいと思うのですけれども……。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 ただいまお話しの中に、最初の大国エゴイズムにつきましては、私は基本的にさよう考えております。それははっきり申し上げます。しかし、そのあとの軍縮に関してのことは私は申しておりませんで、新聞で実はほかの方が申されました。私は自分の関係している査察、平和利用、これに限定して考えるのである、その場合に私の申しましたことは、これを二十五年縛っているところに非常な大きな問題点がある。これはそのときの話では、現在も双務協定で査察を受けているんじゃないか、だから何も変わったことはないというような御意見もあったものですから、それは違う、現在は教えてもらって、向こうのものを輸入してやっているから双務協定による査察を受ける。しかし、これからは日本は自主的な開発努力をして大いに原子力分野で発展しようと思う。その場合に二十五年も長く縛られるということは困る。だから、実際の害のないような形にしていただきたい、そういう趣旨でございました。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 御意向はよくわかるのです。その三番目に——いま言うたのは政府の軍縮の声明でして、その三番目に保障措置でわが国が不利な取り扱いを受けないことということがあるのです。これができるかどうかということは非常に疑念を持っているのです。そこでそれなら保障措置についてお聞きしたいと思うのですが、私はこの保障措置というものはいまいわれておるような保障措置なら不賛成だ。ただし、ユーラトム方式なら大体納得がいくのじゃないだろうか。あるいはそれよりも先がた言われたように、日本には管理体制がしっかりしておるのだから、その管理体制の報告、こういうものを主眼にして、そしてそれに不審があれば実際に査察なさい、こういうようなやり方をするか。一番きついのをAとする、ユーラトム方式をBとする、そして日本が提唱したいというような気持ちであるのをCとする、こういうように考えましたときに、清成さんやそれから一本松さんはどれを考えられますか。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 この査察のやり方につきましては、いまA、B、Cとおあげになりましたけれども、私らといいますか、私は大体Bのユーラトムの方式を考えております、個人的にわたるかもしれませんが。ただ私がいま了解しておりますのは、ユーラトムとIAEAとの関係はまだきまっていない、これからだというふうに実は思っておりますから、これは核防によって新しい事態が起こったのでありまして、いままでの査察と必ずしも一つも変わらぬものであるかどうか、これは私は疑問があると思います。これは外務省の方がよく御存じでしょうが、私の了解です。いろいろ新しいユーラトム方式というものができるということになるとしますと、大体この方式に近い形が適当なところではないか、さように考えております。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 いまAかBかCか、こうおっしゃられますと、もちろんわれわれはCを希望する。その次がBである。最後がAでございます。しかしながらC、Bなどというものは、そう望んだとてそれはおっしゃるように必ずしもたやすく得られるとは思いませんので、われわれはどうしてもAを対象として準備を進めておかなければいかぬ、これは当然そういうふうにわれわれは考えます。しかしながらそのAを対象として考えておりますようなあるいは自動計測装置、あるいは国内管理システムというようなものができ上がれば、これは自然にそれがCにつながってくるのであって、あくまでわれわれは現在ではAを対象としていろいろなことを考えておき、研究も進めるという態度を捨ててはいかぬと思いますが、私は日本の置かれている現状といいますかあるいはこれまでの経過の措置を考えますと、CやBがそんなに簡単にできるとは私は決して思っておりません。しかしあくまでわれわれはCを主張し、それがどうしてもだめならBという形に強硬に主張してもらわなければいかぬ。強硬に主張してもらえるかどうか、私は実は心配しているわけです。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 外務省のいまの話の中からも外務省の非常に主体性のない意向が出てきたのです。いまのお話をお聞きしておりますと、とにかくユーラトムとIAEAとの交渉はまだできてないから、まだそういう具体的に動くときでないのだ。また西ドイツがすでにこの核防条約に賛成の調印の運びに至ったものですから、にわかに日本があわて出したというように西ドイツ本位だ、それからユーラトム本位だというような外交の姿がいまの話の中には出てきております。私はこういうところに日本として自主性がないような気がするのです。  さて、とやかく文句だけ言うておってもしかたがないので、先がたの三島さんのお話では、政府ではすでに保障担当の方もできておるし、あるいは保障についての原案ももうできておるのじゃないかというようなお話もありましたが、梅澤原子力局長、そういうものがもうすでにあるんですか、できましたか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 御説明申し上げます。  実は三島先生のお話は二つごっちゃになっております。一つは、いままでも査察を受けております。一本松社長なんかのほうの御意見もございまして、いまの査察も簡素化しようということで、それからIAEAで簡素化の検討会もございましたので、その関係から去年の八月までに簡素化の検討をいたしました。これは技術の範囲内でやりました。その案ができましたのを十二月のIAEAの会議等にもわれわれの意見として出したわけでございます。その場合には、核防ということを頭に置いておりませんで、査察の簡素化という考え方でやったものでございます。したがいまして、このたび、この三月になりましてから、いよいよ調印になりましたので、いまその人たちを含めまして、また広く検討のメンバーを集めまして、検討委員会を三月につくりました。これは核防に対処しましての査察技術の簡素化についての検討会という意味でいまつくって、本日も午前やっておりますが、着々進めております。これにつきましては、われわれがなかなかIAEA、ユーラトム等の情報が入りませんが、まあいろいろな情報をとりつつ、それをそこで御判断していただくのと、それから前々から査察の簡素化で出ましたデータを再検討いたしまして、IAEAの出方に応じてこちらのほうの意見をあらかじめ準備しておこうという考え方でいま準備しているところでございます。それでその事務をやりますために、いま私たちのほうの査察室というのをその前につくったわけでございます。この査察室というのは現状の査察がございますので、現状の査察に対する仕事と今度の査察問題に対する準備の問題、こういうことをやる形にしております。それからわれわれのほうが査察に対して全部やるわけでございません。外務省と私のほうと、一番関係しますのはその上にもう一つ通産省でございます。その三つの連絡会というのを設けまして、そこで行政的な連絡を常にするという形の準備体制を国内としてとったわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それで川島君が運営委員におられてIAEAとは非常に近しい関係にもあるし、それで大体これならいけるというような見通しも持たれておるだろうしするので、そういう見取り図があるかということをいまお聞きしておるのです。それからいま参考人の方も、それから大臣も、保障措置については日本の国の原子力の平和利用という問題に対して阻害にならぬように十分考えてもらいたいという願望を持っておられるし、そうすると、それにこたえるべき役所がもうできておるのですから、そういう見取り図はできましたかということを聞いておるのです。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 その見取り図というのはまだ全部確立しておりません。いま見取り図そのものの中身の検討を進めておりまして、できるだけ早くその見取り図をつくりたいということで、検討委員会をいろいろ何度も開いておるというのが現状でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 外務省にひとつお聞きしておきたいのですが、全面軍縮がとにかく前提だというグループがやはりあるわけなんですね、日本の強硬論者の中には。そうじゃないですか。それに対して、これだけの条件をつけて、これらの人を納得さすことができるのか、私は非常にひよわな感じがするのです。全面軍縮というたって、これからやりますというてどこまででも延ばせますよ、三十年でも延ばせるし、四十年でも延ばせる。将来に向かってやるのだということになればいいわけなんですけれども、核防条約を幾らやってみたって、大国が、要するに自分は核を十全に駆使して抑止力だと称してやりますならば、これはどんな方法でもとって核拡散が可能になります。これは後に申し上げたいと思うのですが、日米安保条約というものが非常に有効に働いておるんだとも言えますけれども、核の場合は必ずしも有効に働くという考え方は私は持たぬわけなんです。識者もそういうように言うておるわけです。  そこで、この間の新聞の座談会を私見ました上で、外務省としては全面軍縮が前提だというような人まで納得さし得るかどうかということをひとつお聞きしたい。それに対して、それだけの手だてを持っておらなかったら軍縮は他国まかせだ、ソ連の書記長のほうからそういう提案がアメリカに最近なされておる、こういうことだけを待っておっては、核防条約の六条の意思表示にはならぬわけです。いつ、どういう方法でこの意思表示をなさるか、どういうことをすればこの意思表示が実を結ぶか、その見通しを持たぬと、そんな宙に浮いたような話ばかりしておっても困る、その点ひとつお聞きしておきたい。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 先ほど申し上げましたように、政府声明で申しておりますのは、全面軍縮が達成されるまでは条約に批准しないということではございませんので、少なくとも全面軍縮のためのいろいろな部分的な措置の交渉が継続して行なわれていなければならないという考え方をとっているわけでございます。全面軍縮のためのいろいろな部分的措置というのは、現在もジュネーブの軍縮委員会で交渉が行なわれておりまして、海底の軍縮の措置、そのほか生物化学兵器の禁止等の、これは核ではございませんけれども、大量破壊兵器の禁止のための交渉が続けられております。日本は御承知のとおり軍縮委員会のメンバーでございますので、このような交渉をできるだけ促進するということが、その第六条に掲げられております完全軍縮を目的として誠実な交渉を行なうということになるのではないかというふうに考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私、二月十日の朝日新聞を見たのですが、その限りにおいては、評論家の田中慎次郎氏、との人の主張は、多核弾頭ミサイル、MIRVなど新しい兵器の開発が、軍縮といいながらいま盛んに行なわれておる。それで米ソとも苦労しておる。国の安全を追求するための政治の道具の核兵器が逆に国家の政策を引っぱりかねない、これも田中さんが言っておられる。核兵器拡張競争は量だけでなく、質的変化がある。安全保障は量だけで安心できない、こういうような言い方をしておる人を、いまあなたがおっしゃったような言い方で納得がさせられるかどうかという、これくらい強い主張があるわけなんですね。何かインチキのような感じがするのです。そんな人をも、核軍縮やりますよ、軍縮に努力しますよというだけのことでは、現に起こっておりますよというようなことだけでは納得させることはできない。日本がどんな主張をしておったのか、どんな主張を今後しようとしておるのか、それを言ってもらいたいのです。海底の軍縮の問題もありますね。海底に核を置かないという、こういう取りきめもなされようとしております。しかし日本が積極的に主体性をもってどんな軍縮を進めるか、私は大いに主張していいのだと思うのです。そういう点をお聞きしておきたいと思います。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 核軍縮につきましては、いろいろな問題点があると思いますが、たとえば核兵器を海底に置くことの禁止に関する条約等につきましては、日本は、これを積極的に支持して、その成立の推進のために努力しております。ただ現在の段階では、アメリカから出ました最終の修正案に対して、ソ連からまだ回答がないという状態で、成立が延びておりますが、日本といたしましては、できるだけこの条約が——現在の軍縮委員会の会期中に条約草案が少なくとも成立するように促進したい考えであります。このほかに核軍縮の問題といたしましては、御承知の、先ほど申されましたソウルの交渉がございますが、この交渉に関しましても、日本としては、できるだけこの交渉が成立する、あるいは一挙に全面的な協定でないにしても、少なくとも段階的な核軍備競争の縮小といった形の協定がいま成立するように、側面的に努力する考えでございます。  そのほかに、軍縮委員会で問題になっております件といたしましては、たとえば現在核保有国が有している核爆弾あるいはそのための濃縮ウランの生産の停止、または縮小等の問題もございます。これらの問題につきまして、できるだけ核保有国を含めて、交渉が進められ、協定が成立するように努力しているわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 査察の問題について、一本松さんにお伺いしておきたいのですが、この座談会の記録を見ますと、日本が雄飛する日、金をかけた研究開発が外に漏れ、査察は必要以上にきびしいだろう、原爆一個をキログラム単位からグラム単位になるだろう、綿密に査察される、相手が悪いことをしないかと疑ってかかるのが査察である、こういうように発言されておりますが、間違いありませんか。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 ここで申しましたこと、新聞に出ておることは、私も読みましたが、そのとおりであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 この査察制度を非常に不満にされておりますが、先がたの話では、ユーラトム程度でいいと、こういうように言われていることと私は何か矛盾を感じるのですが……。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 問題は、現実的にいまのいろいろな世界の情勢、核防条約のできたいままでの経緯、そういうものを初めからずっとながめてみておりまして、それといままで査察に関しましては、一九六一、二年ごろからもうウィーンにしょっちゅう行って、この査察に対して交渉を、現実に私たちの会社といいますか、これはもちろん政府でおやりになることでありますけれども、東海発電所の、査察を受けるという当事者の立場から、IAEAにしばしば出かけていって、政府交渉の手伝いのような形で現実にやっておるランダースとか、そういうような人たちを、うちの嵯峨根博士などが直接ずいぶんこれは論議を重ねました。そういうことから考えまして、それで一九六七年にIAEAに東海発電所の査察をまかせるという段階に立ち至ったのであります。それで、その査察の実態を見、それから現在の核防条約のいままでのいきさつをながめて見ておりまして、査察の程度をどの程度にすべきか、これは、もうないに越したことはない。これは家宅捜索みたいなもので、受ける側からいうと、まことにいやなものであります。これは、ないに限りますけれども、しかし一般の情勢を見まして、私が実際的な判断として、さっき申しましたユーラトム並み程度のことはぜひ確保したい。ただAと申しますか、日本だけが最も厳重になることは絶対にお断わりしたい、こういう気持ちであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 核を持たなければ日米安保体制から抜け切れないという考え方、二十五年というのは、いま一本松さんも言われましたように、ずいぶん長い、その間、核防条約にわれわれは参加している限り、米国の抑止力にたよるとか、あるいは核の傘にすがるとか、こういう考え方に立ちますならば、安保条約が二十五年間これによって保障されたかっこうにならないか、こういうことも外務省としては検討されましたか。なるほど五年ごとにこれを再検討するという規定はございます。再検討会議を持つということもあるようでありますけれども、しかしながら、先がたの外務省のお考えでは、安保条約の二十五年間長期化をここに約束したかっこうになるのではないですか。日本は持っておりませんし、アメリカの抑止力にたよるのですから、その軍縮は、日本として提唱するところの具体案はそうない。大国を規制する方法もない。現実に核開発は、まだどんどん進んでいる。こういう状況の中で、そういう結果になるということが言われているのですが、外務省としては、そういう見通しについて、どういう考えを持っておられますか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 安保条約との関係につきましては、いま非常にテクニカルなことを申し上げて恐縮でございますが、この条約と安保条約の期間とは直接の関係はないというふうに考えております。ただ先ほど申し上げましたように、この条約の第六条に掲げられてある核軍縮の交渉が進んで、したがって、ほかの国の核抑止力に日本の安全を託す必要がなくなるという事態もあり得ますし、またそれとは逆に依然として核の交渉が満足に進まないで、日本の安全を他の国の核抑止力にたよらなければならないという事態が残ることもあり得ますが、これは、いずれ遠い将来の問題でございますので、現在の段階でまだ断定的なことを申し上げるのもどうかというように考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 最後に、清成さんにお聞きしたいのですが、二十五年というのは長過ぎる、五年ごとになるほど検討はできるということですけれども、それでかなり産業界は規制されるという意見が産業界には強いのですか。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 きょうは実は査察の問題を主にして申し上げよう、こう思って来たのですけれども、いまのようなお話でございまして、私は産業界全般の意見としまして何度も政府には申し上げてあるのですが、二十五年という期間は、これは四分の一世紀、次の世代までを縛るというものでありますので、軽々に考えるべきことではないということはわれわれ以前からの考えでございます。五年ごとのチェックと申しますのは、その運用をチェックすると書いてあります。条約の精神やらフィロソフィーそのものをチェックするというふうには書いてない。したがって、五年ごとのチェックなんということはたいして意味がないというふうに私は思っておりますので、あれは二十五年縛るという形にわれわれは受け取る。なおかつ条約の改正というのは、なるほど規定があります。規定がありますけれども、これは核保有国全部、それからIAEAの理事国全部の承認がなければできないということなんで、これは実際問題絵にかいたもちで、私は実際の改定というものは二十五年間できないというふうに考えますので、二十五年間という期限は非常に長い。こういうものはわれわれはどうしても承知できないのです。五年ごとのチェックの際に、運用をチェックするだけでなくて、条約の精神から条約自身を変え得るような何らかの措置を入れておくべきだということは、われわれかねがね実は主張しておったということなんであります。ですから二十五年間固定されるというと、この凍結は相当に保有国と非保有国との間の格差は免れ得ないのではないかというふうに私は考えるのです。  しかしながらひるがえって考えますと、先ほどから軍縮の問題と関連づけて申しておられますけれども、全面軍縮と核軍縮とは私は切り離して考えております。われわれがどうしてもやらなければならぬと思うのは核軍縮でありまして、全面軍縮なんてできそうもないことを幾ら言ってみたって私はだめだと思います。したがいまして、核軍縮の実があがるということをこの条約でほんとうにやってもらわぬと、六条でただ誠実に交渉するというようなことだけをうたわれても、われわれは納得できない。したがって、一歩でもいいから核軍縮の実を示せというのがわれわれの態度でございまして、また日本でそれだけのことを言う資格があるというふうに私は考える。われわれが言うならば、少なくとも現在非核保有国を二十五年間固定しようというならば、われわれとしては核保有国はいままで以上に核装備というものを拡大しないというぐらいな一文は入っておってしかるべきではないかというのが実はわれわれの考えです。そういうことはたくさん言いましたけれども、実際はこれは政府の責任において調印されるということは、われわれとしてはやむを得ない。言うだけのことは言うてございます。それで実際に政府のおっしゃることもよくわかるのでございます。したがって、実際に調印に踏み切られたら、踏み切られた時点で、日本のいま置かれている、調印してまだ批准しないという現状においてできるだけの努力をして、政府のやられたことを有効に、しかも効果あるようにやっていきたいというのがわれわれの産業界の考えでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 わが党といたしましても、この核拡散防止条約につきましては検討いたしましたので、この問題について参考人にとやかく私たちが意見がましいことを言うのはいかぬと思いますので、お考えを率直にお聞きして、政府との間の問題点をわれわれがその間に見つけて、またあすもありますので、わが党の主張としては一ぺんぶつけてみたいと思います。  それできょうは参考人に対する質問ということが主体になっておりましたので、この程度でおかしてもらいたいと思います。

北側義一公明党

○北側委員長 次に近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 先ほどからいろいろ条約等の問題についても話があったわけでありますが、特に第六条は、結局条文としては実態的なものが明記されておらない。要するに交渉することだけを約束をしておるにすぎない。これについては先ほど御意見があったわけですが、重なりますので、われわれはそういう観点に立っておるということを申し上げておきます。  それから、非核保有国の安全保障について、要するに何ら明記されておらないということなんです。私も一九六八年六月十九日の非核保有国の安全保障に関する安全保障理事会決議、これもずっと読んでまいりましたけれども、ここのところについてどのように思われるか、両参考人から簡単にお聞きしたいと思うのです。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 私実は、原子力平和利用という面、つまり査察とかそれから研究開発、それから情報交換、こういうふうな重大な問題があるわけでございまして、そちらのほうを主としていろいろ申し上げておりまして、いまの防衛問題その他につきましては遠慮さしていただきます。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 私はいま産業会議と、それから動燃事業団という立場でおりますが、いまのお話は、安全保障の問題でございましたですね。これは個人の意見になってまことに申しわけないんですけれども、あれはいつでございましたか、だいぶ前に鶴岡大使が国連でこの安全保障の問題について演説をしておられますが、この安全保障の問題が達成されるということが核防条約では非常に大事なことなんだという趣旨のことを主張しておられたと思います。私は全面的にあの鶴岡大使の御発言に賛成でございました。ああいう態度で政府が臨んでくださるならば非常にけっこうだというふうに私は考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 ぼくが言わんとするところは、要するにこの決議案というのが結局保障の決議になっていないということですが、きょうはお二方は特に査察の問題等を中心としたそういうことで来られているのですからこれ以上はお聞きしませんが、これは決議になっていないということなんです。そのところをお聞きしたいと思ったのです。  それではこの査察等の問題について重点にお聞きしたいと思うんですが、現在日米、日英、日加それぞれの協定に基づく査察があるわけですが、そうしますとこの核防条約による査察と競合する部門の扱いなんです。この重複する部分は省略するように、このように主張しておられるわけですが、その点実現する見通しというのはあるわけなんですか。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 現在のIAEAから受けております査察は、これは双務協定から両者がアグリーしまして、そうしてIAEAの査察に移したわけであります。今度の核防条約による査察というものは、もっと広い形になる。でありますからつまり、具体的に申しますと、どうせIAEAと日本なら日本が査察条約を結ぶのでありますけれども、今度の核防による査察というものは、大体この加盟国は世界的になっておりますが、その査察が少し性質の違うものになるのじゃないか、さように考えております。しかし両方を一緒に受けるということはないものと私は考えます。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 抵触、矛盾するところはございます。ございますが、しかしそれは、われわれは、これから受けるIAEAの核防条約の査察ということで考えていくよりほかはない。それでまたいいんじゃないかというふうに考えております。たとえば、いまの二国間協定から三国間協定へ移りまして、IAEAの査察を受けておりますが、これはアメリカから持ってきたところの核燃料物質ということになっておりますが、今度の査察では国内でできました、たとえば人形峠なら人形峠でとれましたウランにも保障措置がかかるということになっております。これは、われわれやむを得ないということで、そのつもりで考えております。  それから、あとのいろいろ違う点は、先ほどから言われましたようにこれから改善すべきところをできるだけ改善していただいて、そして新しい核防条約による査察ということに踏み切っていきたいというように考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それからIAEAとの保障措置協定において、他国と比較して不利にならないようにと、先ほどからもそういう主張があったわけです。そうした場合、日本がもし単独で加入する場合に、他の単独加入国と同じ内容で査察を受けるのはやむを得ないのではないかというような考えがある。これはそういうようになってくるわけです。つまりどんなに皆さん方が、またわれわれがその不平等性を主張しても、IAEAで査察の程度というものがきまってしまえばもう交渉の余地がないんじゃないか、そう考えるのが妥当じゃないかと、こう思うんです。その点先ほどからずっといろいろ他国と比べて不利にならないようにというようなことを論議なさっているわけですけれども、その辺はどう解釈なさるのですか。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 いまきまってしまえばとおっしゃいましたが、きまってしまえば大体そういうふうな空気は強くなるんじゃないかというふうに私も考えます。しかし、いまIAEAの中におきまして、その草案を一生懸命検討しておる最中であります。この時期に、さっきから八月までというようなことがちょいちょい出ておりましたが、ある時期に日本のわれわれの主張をIAEAの検討会の場に持ち込みまして、日本の主張が通るように努力していく。これには日本だけということよりは、むしろ各国の同意が得られるというふうに私は考えますので、そういうふうな同意も得て、有効に日本の主張が入っていって、実質的に査察の迷惑をあまり受けないようにやるべきだと思います。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 先ほど三木先生のお話のときにお答えしましたように、ABCとおっしゃいましたが、AB必ずしもたやすくはないと私は思いますので、いま御質問のような困難な点はあると思いますが、一本松さんのおっしゃったように努力をしていくということは大事だろうと思うのです。私は冒頭の陳述で申しましたように、一ぺんできてしまうとなかなか動かぬということが非常に困ることなんですね。これは、査察に対するわれわれのいろいろなこれからの研究というものは、そう簡単に短時日に、八月までにみんなの研究が済んでしまうなんというぐあいにいかないと私は思いますので、それからあとも引き続いてわれわれは研究していって、できるだけ実害のないような方法を考えていきたいというふうに思っております。そのためにはわれわれの研究ができ次第、リーズナブルであるならばIAEAとの協約というようなものが容易に変えられる、それは改善ですから改善するのに何もいかぬという必要はないんで、IAEAとの協定はリーズナブルな実績が出てきたらいつでも変えられるのだという取りきめをどうしてもしていただいておかぬと、いまおっしゃるような心配がずっと固定化すると考えますので、そういう点を政府にぜひ御努力を願いたいと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 われわれとしても、皆さんのその主張がわれわれの主張でもあるわけですから、これはぜひ貫いていただきたいと思うわけです。しかし、いろいろ最悪のことも考えなければならぬわけです。皆さんがそのように主張なすったとしてもそれがいれられない場合はどうなるか、そういうような状態であっても政府は批准の方向に向かっておる、そういう場合皆さんはどういう態度をとられるわけですか。その大勢に、やむを得ないということになるわけですか。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 これは、どういう事態になってくるかということは、もちろんはっきりしているわけでありませんが、相当困るということが出てまいりましたならば、その困る点を十分にわれわれとしては主張する。しかし、といってこれでわれわれがこの査察を拒否するとか批准をしないとか、そういうようなことができるわけでももちろんありません。われわれの主張を十分に主張する、そういうことにいたしたいと考えております。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 いま非常に御返事に困る問題が出ましたけれども、要するにこれを署名されるときのいまの政府の御態度といいますか、ほんとうに議論して納得がいくまでは批准は幾らでも延ばすのだというようなお話がありましたので、そういう点に満幅の信頼をもってわれわれ対処していきたいと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 両参考人からそういうような御意見があったわけですが、科学技術庁長官は、これは非常にむずかしい問題でありますけれども、両者の先ほどの御意見を聞かれて、今後外務省をはじめとして、政府関係にどういう働きかけをされるか、それを聞きたい。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 調印にあたっての政府の態度はすでに御承知のとおりでございます。そこで、少なくとも国益を損じない、こういう取りつけを得た上でなければ容易に批准という行為には移らない、こういうことは政府の声明ではっきりいたしておるところです。そこで問題は、保障措置の問題が中心になってまいりますが、これは、原子力の平和利用ということ、平和利用と申せばこれは産業と結びついていることは当然でございます。したがいまして、日本の原子力産業界の皆さまが御納得をくださるというような見通しが立たない限り、産業界の意思に反して政府が独走するとか、そういったことはあり得ない、またすべきじゃないというふうに存じておりますので、そこでいま産業界の御協力も全面的にちょうだいしながら、政府、また産業界一体となってこの日本の主張を貫くべく、理解させるべく努力をいたしておるところでございます。何と申しましてもやはり調印したという立場におきまして、先ほども近江先生お触れになりましたが、もしも発効後のIAEAの保障措置に対するあり方が、日本がものを言えない立場ですっかりきまってしまって、それを押しつけられるということではなお不利でございますので、調印国たる立場におきまして、政府一体となりまして、また民間の御協力をちょうだいしてわが国の主張というものをそのような場において十分にひとつ発言もし提案もし、そしてまた交渉もし理解をさせ、そしてわれわれの所期の目的を貫徹したところで批准にいく、こういう考えをはっきりと持っておるわけであります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから第五条の内容からしまして、将来わが国がこの核爆発の平和利用を考えた場合、すべて核保有国に全面的に依存しなければならないのじゃないか、自主開発という点から考えた場合は非常にそれが閉ざされた方向になるのじゃないか、その点を心配するのですが、この点について両参考人からお聞きしたいと思うのです。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 核爆発の平和利用という問題は、私は、二十五年間はないというものではなしにもつと弔い時期にあるのじゃないかというふうに考えております。いまアメリカにおいて平和利用の核爆発の実験をいろいろやっておりますが、日本は国が小さいからそんな必要はないだろうということも考えられますが、しかし最近の土木工事一つ見ましても非常に大きな規模になってきておりますし、山をくずしていく場合も、いままでの火薬爆発ということでは不十分になる時期が来るのじゃないか。ただし、これは放射能の関係がありますから、きれいな水爆、これがいつできるかという問題とも関連しますけれども、そういうことは平和利用の面でも十分考えておかなくちゃならぬ問題だと思っております。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 核爆発の点につきましては、先刻も核爆発の定義がわからないというような点がいろいろ議論されておったようでございます。そのとおりでございますが、ただわれわれが現在、核爆発の条項は先ほども外務省のほうから御答弁があったと思うのでございますけれども、研究を禁止されておるわけではないのでございます。研究の自由だけはわれわれは、核爆発であろうと何であろうと平和的な原子力の利用に対する研究というものの権利はどうしても留保しておくべきだということをかたく実は主張したのですが、そういうことは大体受け入れられまして、研究の自由だけは確保されているというふうにわれわれは考えます。  なおまた、われわれに直接いろいろなところで目先に関係のある、たとえば、定義がはっきりしないために増殖炉のクリチカルアセンブリーなんというものは、あるいは多少暴走に近い実験なんかをやりますと、それを核爆発と見るというようなことでは困りますので、そういうような点やらあるいは濃縮の点やらあるいはまたいまアメリカなんかでちょいちょいいわれておりますような中性子発電というようなものもある程度の小規模の爆発と考えられないこともないというようなことで、そういう平和利用の面は、決してそういうことまで禁止しようと言っているのじゃないということは、アメリカからも口頭でございましたと思いますが、会議のときにも返事を得ておりますので、当面、われわれは平和利用に対するその条項はわれわれの研究開発を妨げるというふうには理解しておりません。

近江巳記夫公明党

○近江委員 その点はっきりと何らかの確約がほしい。五条だけの解釈でいけばそういう誤解もあるわけですから、それじゃその辺のそういう研究開発なり今後の平和利用についての確約といいますか、その辺の措置ということはお考えですか、外務省。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 特にいわゆるはっきりした約束という意味での文書等はございませんけれども、こういう解釈につきましてはいろいろの条約に関する話し合いのときに日本の解釈も申しておりまして、特に反対を受けておりません。たとえば国連の総会で、この核不拡散条約を採択いたしましたときに、鶴岡代表がそのような解釈を演説の中で言っておりますが、それに対して特に反対は受けておりませんので、そういう解釈は成立し得るというふうに思っております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから、核防条約に加盟しない国、フランス、中国等と、将来何らかの開発協定を結ぶということを考えた場合、非常に困難なことになってきているわけです。そうしますと、今後フランス等ともし何らかの協力関係が生ずるとするならば、どういうものが考えられるかということなんです。この辺どうですか。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 核防条約に入らない国との協力関係というものは、考えられると思うのでございます。現在でもわれわれ、フランスとは日仏の増殖炉の開発に関する協力協定を結んでおります。これはこの核防条約に関係のない増殖炉の情報の交換でございますからそれはいいのでございますが、それと、多少この保障措置に関係のあるようなものも現在出てきております。それはフランスで大体できましたところのラプソディーという高速実験炉、これに日本でつくりました燃料を持っていきまして照射を依頼するという問題が、実は起こっておるのでございます。これらは向こうも承知をしまして、こちらもそのつもりでいま準備しておるわけでございますけれども、そのときにはやはり日本から持っていきました燃料に対しましては、保障措置がどうしてもかからざるを得ないということになりますので、その点だいぶわれわれも解釈上いろいろな点で方々に交渉をしましたのですが、大体は日本の燃料、これは米国から来た燃料でございますが、一応アンカレッジ経由で持っていきますので、一応アメリカに返ったものと、こういうふうな考えで、アメリカとユーラトムとの関係で、フランスにおいてはユーラトムの査察でいいじゃないかということで、フランスも承知をしますし、アメリカも大体承知しておるというかっこうで、一応はそれでもってこの問題は円満にやっていけるような形に実はなっております。ですから、多少これから起こると思いますが、こまかいことは考えられません。ケース・バイ・ケースでひとつそういう方策をとっていきたいというふうに考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 今後IAEAと交渉について、いろいろと今後具体案を練られるわけですが、強力な主張ということも先ほどお伺いしました。このIAEAとの打ち合わせは具体的にいつごろから始められるか、その辺のスケジュールはきまっているのですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 つい先ほど、四月の二日でございますか、IAEAの理事会で今後のスケジュールについての決議案ができまして、それによりますと、保障措置委員会ができまして、その保障措置委員会が六月の初句に会合をすることになっております。それで、その保障措置委員会にはIAEAの事務局長から、核防条約下における保障措置協定の内容に関する事務局長としての報告が出て、それでその報告に関連して保障措置委員会の討議が進められることになっております。そうして、保障措置委員会は七月に報告書を理事会に提出いたしまして、理事会は八月までに採択することになります。ただ、この保障措置委員会が討議いたします最初の事務局長の報告は、現在すでに核防条約を批准しております国のための保障措置協定のモデルでございます。したがって、それが必ずしも今後核防条約を批准する国に自動的に当てはまるわけではございませんけれども、ただ、一つの先例となりますので、われわれとしても、先ほどから両参考人が言っておられますように、できるだけ日本の考え方を織り込むような努力を保障措置委員会等において進めていきたい、そういうふうに考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 先ほども、この条約に加入してしまうと、たとえば国内資源等についても査察を受ける。そうした場合、共産諸国の場合はフリーパスということになってくると、産業機密等が非常に漏れるんじゃないかと思うのですが、この辺についてはどのようにお考えですか、岡参考人からお聞きしたいと思います。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 査察を受けます場合に、国内技術保護という面からの問題ですが、いろいろなものを見られますとすぐわかりますが、これは先ほどからいろいろ出ましたけれども、そういう点は非常な支障になる、そういうふうに考えております。ですから、支障にならぬようなことをウイーンのIAEAの会議で十分取りきめて、これは、共産圏から人が来るというようなことは、それはまたそれとして、まあ、先でどうなるかわかりませんが、いまのところでは拒否することもできますし、いろいろな方法で、そういうことの研究の障害にならないように、十分の措置を講じなくちゃならぬと思っております。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 いまお話しのとおりでございまして、これは、まあ、規定では査察員をある程度こちらが選び得るというようなことは残っているそうでございますが、なかなか、完全にそういうことができるかどうかは実はわかりませんので、先ほども申しましたように、国内の体制といいますか、われわれがこれから研究をしまして、できるだけそういうふうな施設に立ち入る、あるいは工程や何かの内容に立ち入る、設計の内容に立ち入るというようなことをしなくてもいいような研究をこれからやりまして、だれが来てもデータだけでもって処理ができるというようなことを早く完成する必要があると思いまして、そちらのほうだけを、いま全力をあげてやるというのがわれわれの現在やるべきことだろうと思って、一生懸命やっておるところでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 もしも、わが国が条約に加盟しない場合、これはいまの状態では、まあ、現実はいろいろな問題があるにしても、コースをいくように思いますけれども、これは仮定ですが、条約に入らなかったとした場合、核燃料物質や技術情報というものが今後入らなくなるわけですか。どうですか、その辺は。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 この核防条約に入らないという事態を想像しまして、今後原子力平和利用、これはウランの入手から濃縮ウランの入手、または機械、つまり原子炉等の輸入とか、そういうものに支障があるかないかということは、ちょっとそう簡単に言えないことじゃないかと思います。しかし、入らないと何らかのことがあるかもしれぬという感じはいたしますけれども、直ちにこれで困るとかあるいはだいじょうぶだということは容易に言いがたいのじゃないかと私は思います。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 いまの一本松さんの御答弁で大体尽きておるのでございますが、私も感じを申し上げますと、四十何カ国で批准、発効いたしましたが、将来もっと加盟国の数がふえていくというような姿にかりになるといたしました場合に、日本が加盟しないという立場をとっておるということになりました場合、それは直ちにどういう影響が出るかということはいまから予測できません。できませんが、日本は何と申しましても海外に燃料資源を求めなければならない立場でございまするから、各国の考え方とか態度、受け方によりましてはそういうような影響が全く起きないということも考えられない、影響が起きることもあり得るというような感じがいたします。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから、これは外務省にお聞きしたいと思うのですが、核大国の非核保有国への核兵器持ち込みですね。これは当然禁止すべきであるわけなんですが、条約中に明記されてないわけですよ。これについて、外務省としては、いろいろ検討されたと思うのですが、どういう見解をお持ちですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 純粋の法律解釈としては、この条約は核兵器の持ち込みには、おっしゃるとおり何ら触れていないと思います。したがって、核兵器を特定の国に持ち込ませるかいなかということは、全くその国の政策の問題であると思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから、フランスと中国が参加しておらないという点については、これはもう非常に心配な点が残るわけですよ。ですから、極端に言えば空文同然じゃないか、こういう意見まで出ているわけです。この辺についてはどう思われますか。外務省と長官にお伺いしたい。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 外務省といたしましても、中共及びフランスがこの条約に加盟することが望ましいというふうに考えております。日本政府声明の前文にも「フランス共和国政府および中華人民共和国政府がすみやかに条約に参加して、核軍縮のための交渉を誠実に行なうよう希望するが、それまでの間でも、この条約の目的に反するような行動をとらないよう希望する。」というふうに書いてございます。これが政府の基本的な態度であると考えます。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 ただいま外務省から御答弁申し上げましたとおりに考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから、本条約は核の地下実験の禁止に触れてないわけですが、これも非常に大きな問題だと思うのです。日本としては当然、その辺のところは強力に主張すべきだと思うのです。この辺については、外務省としてはどういう態度をとられたのですか。

小木曽本雄外務省国際連合局外務参事官

○小木曽説明員 核の地下実験の禁止につきましては、現在ジュネーブの軍縮委員会で議題となって、交渉が進んでおります。それで、日本といたしましては、地下実験の禁止はできるだけすみやかに実現すべきであるという立場で臨んでおりますが、地下実験の禁止に関しましては、従来問題となっておりますのは、地下実験を禁止した場合、その違反に対する査察をどういうふうにするかという問題でございます。従来米国は、現地査察が絶対必要であるというふうに主張しておりまして、御承知のとおりにソ連がそれに反対している経緯もございます。日本は昨年の軍縮委員会で、ある一定限度までの核爆発の探知が、つまり遠距離探知が技術的に可能となった際は一定限度以上の地下実験を禁止し、そしてさらにその科学的な探知手段が進んで、さらに弱い核地震波をも探知できるような事態になった場合には、かりに非常に小さい爆弾の爆発が探知し得ないにしても、全面的に禁止するという考え方をとってはどうかという主張もしておりますが、必ずしもその主張に対して米ソ両国を含めて完全な賛成を得られておりませんので、この交渉は現在のところ行き悩んでおる状態でございます。ただ日本といたしましては、できるだけ地下実験の禁止を刑の条約で成立させようというふうに努力しております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 外務省としても政府の声明の中でそれをいろいろ主張する、それはよくわかるのです。参考人の皆さんもわれわれが考えていることと同じようなそういう強い意見をお持ちなんです。しかしそれがほんとうに力が結集されて、おっしゃっていることが実らなければ何もならぬわけですよ。したがって、今後のやはりそういう強力な主張を実らせていく方向づけが非常に大事じゃないかと思うのです。ただもう機関はあるけれども、それが聞きおく程度に終わるようなことであっては何にもならぬと思うのです。その点両参考人は今後の方向としてとのように今後進めていかれるか、その辺のところをひとつお聞きしたいと思うのです。

一本松たまき日本原子力発電株式会社社長

○一本松参考人 この点は最初にも申しましたが、対策として基本的には日本国内法というものを重視して、しかしそれだけで、自己査察のみでやるということは通りにくいと思いますので、ある程度の監査制度といいますか、そういうようなものはIAEAから受けるというような形になると思うのであります。そういうことが大体ユーラトムの査察方式というものに近いものだというふうに私は現在のところ了解しておるのでありますが、そういうところに向かって全力をあげて努力をする、この努力という意味は、これは政府でおやりになるのがたてまえであります。民間はあらゆる協力をいたしまして、実際はこういうふうになっておる、技術開発はこういうふうにして、システムアナリシスはこういうふうな形で、こういうふうにやっていけば実効をあげ得るとか、そういう具体的な研究をどんどん進めていきまして、それを政府のほうにも十分進言し、ウイーンのIAEAでいろいろやられる場合の資料といいますか、知識さらに経験をバックにしたものを十分に取り入れていただいて、そして理由のある主張を強力にIAEAにしまして、そして査察条約というものを最も有利に結ぶということにしなくてはならない。そのためにはわれわれは人間の面でも何でもあるゆる御協力をしてやっていきたい、そういうふうに思っております。

清成迪動力炉・核燃料開発事業団副理事長

○清成参考人 いま一松松さんのおっしゃったことと全く同じでございまして、政府が常々と主張できるようなバックデータをつくることに全力をあげていきたい。これはほんとうに政府と民間と一緒になってやらなければ私はできないものだと思いますので、全力をあげて政府をバックアップしていくというつもりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 政府もそういう方々のそうした決意をお聞きになって、これから全力をあげてやられると思いますが、いろいろな問題点が出てきたわけでありますから、それを強力に実らしていただきたいと思うのです。  それから、この間参議院の予算第二分科会において、防衛庁長官がこういう答弁をしたのです。わが国の原子力潜水艦の保持の可能性を明らかにしたわけです。これは将来において非常に大きな、いろいろな意味を持っておると思うのです。防衛庁長官のこの発言について、長官はどのようにお考えですか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 私、新聞で見ましたので、詳細に的確な発言を実はまだ読んでおりませんが、しかし昭和四十年の国会で、原子力基本法第二条の解釈に関する統一見解というものを政府から申し上げております。それによりますと、原子力基本法第二条には「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」と規定されており、わが国における原子力利用が平和の目的に限られておることは明らかである。したがって、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところである。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考える。これは四十年の当時の見解でありますが、こういうふうに見解を申し上げております。  そこで、原子力船はすでに「むつ」を建造いたしておりますけれども、原子力を推進力とした商船の原子力船の建造ということを将来どうするかということは、いろいろいま検討されている段階でございます。したがいまして、この統一見解で述べましたところの原子力の船舶の推進力としての原子力利用が一般化したという状況に達していないことは明らかでございます。でございまするので、おそらく防衛庁長官の御答弁はこの政府の見解をお述べになったのであろうと思うのでございますが、私どもはこの見解には変わりはないのであります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 要するにそういう論理が通用するとすれば、今後原子力を推進力とする軍艦あるいは軍事用の陸上輸送機関ですね。いまのところではこれを飛行機に積むなんということは、小型化ということはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかしそういうことも技術の開発に従ってやはり考えられるわけです。そうなってくると、そういう軍事面において保持してくる可能性というものがますます出てくるわけなんです。そうしますと、原子力基本法に平和に限るということがいってある。そういう条文からしても、これは非常に大きな問題だと思うのです。ですから、長官として、ただその統一見解がこうだからということじゃなくして、これは非常に大きな問題だと私は思うのです。もう一歩長官として、そういう拡大された面を将来想像した場合、そのままで野放しでいいかということなんです。その点についてはどうお考えでしょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 おそらく防衛庁長官のお答えになったことが、近い将来に原子力潜水艦をつくる、こういうような御答弁ではなかろうと実は私は思っておるのであります。つまり政府の統一見解の限界内においてお答えになったものであろうと思っております。ただ将来、船の推進力は原子力を使うことがもうほとんど一般化するというような時代がきたときにも、それじゃ自衛艦、いま御指摘になった軍艦なりあるいは潜水艦に限って原子力の推進力を使わないかということになりますと、そこら辺は、そういう一般化してない現状ではそういうことは考えられないというのが政府統一見解でございますから、現状はそういう状況であるというふうに判断いたします。私は防衛庁長官の御答弁の趣旨もそこら辺にあるのだろう、こういうふうに存じますので、四十年の政府の統一見解というものには変化はない、こういうふうにお答えしたわけでございます。このことは、それじゃ将来そういう時代が来ても永久にそれまでしないという統一見解にはなっておりません。現実にそういう時代がくるかどうかわかりませんが、そういう時代のことまでここで、そうなっても用いませんということを私としてお答えはできませんけれども、その統一見解は現状におきましては変わりがないということを明確に申し上げておるわけでございますから、それでひとつ御理解願いたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 防衛庁長官の説明足らずといえばそうかもしれませんけれども、しかし要するに軍事のこうした面から考えますと、スピードといいあるいは燃料の量といい、将来原子力が開発されてくれば、それが要するにかぎを握ってくるのじゃないか、このように思うのです。そうすれば拡大されて、どんどんとすべてがそういう方向に走っていくということになってくるわけです。この点は非常に心配ですよ。防衛庁長官もこういう発言をなさっておるのですから、政府として再び——それから時代もだいぶたっておるわけですから、国民を安心させ納得させる見解なりをやはり私はお出しになるべきだと思うのですよ。時代の推移に合わせて、その辺については総理にでも長官としては進言される気はありますか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 どうも同じことを繰り返して申し上げて恐縮なんでございますが、船舶の推進力でありまして、たとえばこれはおしかりになるかもしれませんが、自衛隊が使っておるかりに自衛艦というものも一つの船舶であるというふうに見ますと、船舶の推進力ということで、それが兵器であるかどうかというまた議論に分かれるかもしれませんけれども、船舶の推進力として一般化した時代がこない現状ではそういうことは認められない、こう言っておるのでございますから、それが普通の常識化したというときにも、自衛隊が使うところの船舶に限って原子力は使わないということをここで言い切れということは、ちょっと私としてもいま申し上げかねるわけでございますが、まあ表と裏と申し上げる形になりますけれども、そういう現状にないのでそういうことは考えられない、こういうふうに申しておるわけでございます。それでひとつ御賢察を賜わりたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 もう時間がありませんからこれで終わりますけれども、要するに将来のそういう考え方というのは四十年のそれに出ているわけですけれども、防衛庁長官の発言の国民の皆さんへの伝わり方というのは、非常に軍事利用というニュアンスが強いわけですよ。これは急速に拡大していくような感覚を与えておるわけです。ですから、その辺のところを何らかの形で安心し納得さしていただける、そういう措置をおとりになるかどうかということをお聞きしておるのです。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 防衛庁長官ともよく話し合いまして、その真意を確かめまして、おそらくはこの統一見解の限界を越えたものではないと存じますけれども、十分にひとつ連絡いたしまして、そしてもしそういう誤解を与える点がございますれば、しかるべき機会にその点を明らかにしたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それではこれで終わりますが、防衛庁長官ともお話をされて、正式な、国民の皆さんがはっきり納得できるそういう回答を早い機会に私に提出してください。これは委員長お願いしておきます。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 承知いたしました。

北側義一公明党

○北側委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。      ————◇—————

北側義一公明党

○北側委員長 この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  宇宙開発の基本問題について調査を行なうため、小委員十三名よりなる宇宙開発の基本問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側義一公明党

○北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側義一公明党

○北側委員長 御異議なしと認めます。  それでは宇宙開発の基本問題に関する小委員に       加藤 陽三君    木野 晴夫君       佐々木義武君    菅波  茂君       田川 誠一君    橋口  隆君       前田 正男君    井上 普方君       石川 次夫君    三木 喜夫君       近江巳記夫君    北側 義一君       吉田 之久君  以上十三名を指名し、小委員長に前田正男君を指名いたします。  なお、小委員、小委員長の辞任及びその補欠選任並びに小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その期日、人選その他所要の手続につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側義一公明党

○北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会

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