沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/17
会議録
○池田委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件についておはかりいたします。 理事田中龍夫君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任をいたしたいと思いますが、委員長において指名することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に宇田國榮君を指名いたします。 ————◇—————
○池田委員長 この際、沖繩・北方対策庁設置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。総理府総務長官山中貞則君。
○山中国務大臣 ただいま議題となりました沖繩・北方対策庁設置法案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。 この法律案による措置の第一点は、沖繩の復帰に関し、その準備のための施策を推進し、並びに沖繩の経済及び社会の開発及び発展をはかり、あわせて北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるために、沖繩及び北方地域にかかる国の行政事務を総合的に行なう必要がありますので、総理府の外局として、沖繩・北方対策庁を設置することであります。 昨年十一月佐藤総理とニクソン米国大統領との間で、沖繩が、一九七二年中に、大多数の国民の意思に沿った形で返還されることが合意されましたことは、まことに慶賀にたえないところであります。これによって一億日本国民の宿願であった沖繩返還という重要な政治課題は基本的に達成されたといえるのであります。 しかしながら、沖繩返還を現実のものとするための沖繩復帰対策の樹立と推進という現実的課題はこれから始まるのであります。四半世紀の間、米国の施政権下に置かれ、特殊な社会経済の実体を形成してきた沖繩を、わが国の社会経済体制の中に組み入れる事業はきわめて複雑多岐にわたる難事業であり、これをりっぱになし遂げるためには、政府はその総力をあげてこれに取り組まなければならないことは言うまでもありません。すなわち、本土と沖繩との間には、各般にわたる制度上の相違があり、また経済的社会的にも本土と比べ相当の差異が存するのでありまして、現に沖繩の人々の中には、祖国復帰を二年後に控え、このような相違、差異がどのように処理されるかをめぐって不安な気持ちを抱く向きのあることは、周知のところであります。沖繩は、さきの大戦においては、本土防衛のとりでとなって全土を灰じんに帰し、幾多のとおとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き米国の施政権下に置かれながら、百万沖繩県民は祖国復帰を叫び続けて今日に至ったのであります。沖繩の祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ一億国民は、この多年の沖繩県民の忍従と苦難、そしてそれゆえに祖国に寄せる県民の大きな期待に償いの心をもってこたえねばなりません。 私は、復帰準備に万全を期し、豊かな沖繩県づくりの方策を樹立して、あたたかく沖繩を祖国に迎え入れることは、本土政府及び一億国民の責務であると信じるのであります。 一方、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題については、戦後処理として残された最後の懸案として領土の返還を実現するための不退転の決意を秘めて政府、国民が今後ねばり強く解決をはかっていかなければなりませんが、これまでの間、種々の問題が存することは御承知のとおりであります。 ただいま述べましたような背景のもとに、今後沖繩と北方地域にかかる国の行政事務を遂行するにあたっては、これらの事務が広く各省各庁にまたがるのみならず、これら事務の複雑性、多岐性、困難性等を勘案するとき、これを総合的統一的に処理することが最も肝要であると考えるのでありまして、これがため、今回、総理府の外局として、沖繩・北方対策庁を設置することといたしたのであります。 その第二点は、現在総理府の特別地域連絡局で処理いたしております沖繩及び北方地域に関する事務につきましては、従来どおり沖繩・北方対策庁において所掌することといたしていることであります。 その第三点は、沖繩・北方対策庁の内部部局に関する規定であります。 沖繩・北方対策庁には、内部部局として、総務部と調整部を置くことといたしております。 まず、調整部の分掌する事務について申し上げますと、沖繩の復帰に関し、その準備のための施策を策定し、並びに沖繩の経済及び社会の開発及び発展をはかるための基本的な施策を策定すること、及びこれらの施策の実施に関し、関係行政機関の事務の総合調整を行なうことがその主要な事務であります。 また、総務部におきましては、これらの施策を推進するための財政上その他の措置を講ずるほか、庁務の総合調整、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の処理及び現在総理府特別地域連絡局において処理している通常の業務を行なうことといたしております。 その第四点は、沖繩・北方対策庁の長は一般職の長官とすること、及び沖繩・北方対策庁長官が、その所掌事務を遂行するにあたって必要がある場合には、関係行政機関の長に対して協力を求め、または意見を述べることができるとの規定を設けたことであります。 その第五点は、沖繩事務局の設置及びその所掌事務の範囲に関する規定であります。 沖繩・北方対策庁及び沖繩事務局は、沖繩現地に置かれます返還準備委員会日本国政府代表事務所と緊密な協力関係を保ちつつ、復帰準備に関する施策を適時適切に実施に移し、かつ琉球政府と連絡調整を行なう必要があるわけであります。この意味におきまして、沖繩事務局は、現在の日本政府沖繩事務所の果たしている役割りより、より広範かつ重要な機能を果たしてまいらなければならないわけであります。 なお、日本政府沖繩事務所は、沖繩におけるアメリカ合衆国の政府機関との連絡、協議を行なう権能を与えられておりますが、これらの権能及び他の法律で同事務所の所掌に属せしめられている権限は、そのまま沖繩事務局の所掌事務及び権限に含められることといたしております。 その第六点は、沖繩甲北方対策庁設置法は公布の日から施行することとし、そのために必要な関係法律の整備に関する規定を附則に設けたことであります。 以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○池田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は次回に譲ることにいたします。 ————◇—————
○池田委員長 沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 まず、外務大臣にお尋ねしますけれども、共同声明と、それから交換公文、この二つを中心にして少しお尋ねをしてみたいと思います。 まず、共同声明のほうでは、返還について具体的に方向を定めておりますのは九項、十項ということになりますが、この九項でいっておる「具体的な話合いをすみやかに開始する」ということと、それから十項の準備委員会に関する大ワクの定めというものでありますが、これは具体的にどのような形でどのような内容のものを進めていくのか、その点を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
○愛知国務大臣 共同声明の第九項でございますが、施政権の返還に関連しますと、ここに書きましたとおり抽象的あるいは原則的な問題になりますけれども、「財政及び経済上の問題があることに留意して、その解決についての具体的な話合いをすみやかに開始する」この点はこのカッコの中にも念のため入れてありますように、アメリカの企業の利益に関する問題もこの中に含まれるわけでございますけれども、本体は沖繩において、まずたとえば現在アメリカのドル通貨が使われておりますが、そういった通貨の交換をはじめといたしまして、いろいろの財政経済上の問題がある。この話し合いというものを進めていかなければならないこと当然のことでございますが、ここに取り上げたわけでございます。 それから第十項の、施政権が円滑に移行されるために必要な諸措置について緊密な協議を行ない、そのために協議委員会が準備作業に当たるということのほうは、具体的にたとえば、これは御質問にいろいろ出てくる問題かと思いますけれども、日本側が返還後において提供すべき施設区域のあり方等についても相当話を煮詰めていかなければならない問題もございましょうし、それから沖繩住民の福祉について、やはり現に施政権を持っているアメリカ側との話し合いを煮詰めていかなければならない問題もある。こういうことを特に取り上げるために協議委員会あるいは準備委員会というものが設置されることが適当であるということを書きましたものでありまして、第九項と第十項というものは、こういう種類の問題があることをここに明確にし、かつまたそういったような準備を緊密に協議しながら進めるための機構を必要とするということを第十項に取り上げた、こういうふうに御理解いただければけっこうかと思います。
○川崎(寛)委員 それじゃもう少しあれしますと、公式の唯一の経路だというように準備委員会については交換公文で言っておるわけです。そこで通常のルートが一つありますね、それから協議委員会、準備委員会というルートが一つありますね、大きく言えばこの二つですね。だから日米交渉、つまり通常の外交ルートによる日米交渉で取り上げるものはどういうものかということを、これは当然整理されておると思いますので、ひとつ明確にお願いしたい。 それから準備委員会のほうで取り上げるものは何かということ、近く準備委員会を開けば当然にこれは——指針と原則の問題については次に御質問したいと思いますが、とりあえず日米交渉でしなければならぬのは何か、それから準備委員会のほうで協議をし調整をするものは何なのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
○愛知国務大臣 この前にもたしか御説明した点だと思いますけれども、返還協定というものをつくらなければならない、その返還協定をつくることを頭に置いておりますのがどちらかというと第九項が中心でございます。この返還協定のほうは通常の外交ルートによって日米両国がこれから相談し合って、そして協定の文案を作成していくことになるわけでございます。ですから、これは通常の外交案件として処理していくのが妥当だと思います。 それから第十項のほうは、先ほどもちょっと申しましたようにこれから具体的に返還されていくためには、ここにも「諸問題の複雑性を認め、」と書いてあるくらいでございまして、まあ非常に広範な復帰の準備を進めていくための問題、具体的な復帰の準備を進めていく問題がたくさんございますが、これがむしろ第十項を中心とした考え方でございます。これについては先ほどもちょっと触れましたように、沖繩のいろいろな意味の本土との一体化あるいは沖繩県民の福祉の向上というようなことについても日米間で煮詰めなければならない問題がいろいろあると思いますが、そういう各般の準備を中心とした問題、こういうことになると思います。
○川崎(寛)委員 次に、琉球政府行政主席は顧問になっておるわけですね。準備委員会は国際的な機関だ、だから主席は代表というわけにいかぬのだ、こういうことで、これまで沖繩の統治形態の上からくる説明は、東郷局長のほうからもそれぞれ答弁があっておるわけなんですけれども、しかしそもそも、沖繩の置かれておる状態というのが特異な、例のない、まさに異例中の異例というような統治形態が行なわれておるわけですね。そして二十数年間、異民族の支配のもとにあった百万県民が祖国に返る、祖国の施政権下に返るということについては実にたくさんの問題があるわけです。だから当然に県民のほうからすれば、その復帰の作業、協議、そういうものには県民の代表が正式に、つまり同じ資格で参加できるということを望むのは当然だ、当然過ぎる当然の要求だと思うのです。そこで、これは顧問ということになっておるわけでありますけれども、この顧問というのは——同じ議論は繰り返したくないと思いますけれども、顧問は提案権があるのかないのかということが一つ。それから次には、協議をする、調整をする、そうすると最終的にそれをきめなければいけませんね。それをきめるときには日本側の代表とアメリカ側の代表である高等弁務官と両者できめるのか、あるいは第三者の顧問であります主席もその最終決定というところには加われるのかどうか。まあ普通常識ではなかなかそういうふうにいかぬとも思いますけれども、この点は、つまり最終的には沖繩の現地側は、極端な言い方をすると外に置かれて両者できめる、こういう形式的なあれにいくとたいへん問題があると思うのです。そこで提案権が明確にあるのかどうかということと、最終決定のしかた、つまり準備委員会における最終決定のしかた、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほど来申しておりますように、この第十項に基づいて協議委員会が活動するということになるわけでございますが、そのやらなければならない仕事というのは、申すまでもないところですが、二十五年間にわたっていろいろの制度が違ったもとに置かれておられたという百万県民の方々をほんとうに本土と一体化して、沖繩県民として返還後は十分な生活根拠、同等の立場、格差の是正、いろいろな角度から取り上げていかなければならない仕事でありますだけに、この準備委員会にはどうしても沖繩の方々の意向を十二分に反映しなければならない、そういうことで、日米間の合意によって双方の代表者によってつくられる日米合同委員会の組織ではあるけれども、特にわれわれも主席の参加を認めなければならないというか、十二分の発言を沖繩県民を代表して反映しなければならないという趣旨で、特に顧問にここに入っていただくということにいたしましたわけでございますが、今月末にいよいよ発足をすることになるわけで、それだけに四角ばって申しますと、そこで議事手続というものがつくられるわけでございますから、目的が非常にはっきりしておりますし、性格もはっきりしたものでございますから、十分相談して沖繩の琉球政府主席の発言権というものをりっぱなものにしていくように議事手続などもきめてもらいたいものと考えております。 それから提案権を与えるのかというお尋ねでございますが、私は率直に申しますと、提案権というよりも、実質的には三人の合議体でございます。それから投票をするとか二対一できめるとかいうようなものではこの委員会というものはかえってどうかと思いますので、実質的に、二人が委員で一人が顧問ではありますけれども、三者一体となって実をあげていただくようにしたらばいかがかと考えております。形式ばっていえば、提案権はあるのかとおっしゃれば、顧問でございますから提案権はないと申し上げざるを得ないけれども、そういう議論よりも、実質的に十二分に主席の意向が県民を代表して反映するように運営していくことが大切ではないか、こういうように考えております。
○川崎(寛)委員 三人の合合議体だ、こう言われたのですが、そのことが大事だろうと思いますね。だから、これはこまかいことになるかもしれませんが、たとえばまるテーブルで三人がきちっと同席できる、同席というか出るとか、そういうふうな、運営の上においてはこれは十分に日本側としてはその点を、運営のしかた等については主張をし、そういう取り運びをしなければならない、こういうふうに思います。当然にそのことは、理屈っほい言い方でいくと、発言が保障されるのかどうかという点になると、いま顧問は提案権はないのだ、こういうことになったが、しかしそれらの点は一億の国民も注視をしておるし、百万の県民も目の前で見ておるのでありますから、それらの点については、顧問の発言というのが運営において保障されるという点については、これはひとつ明確に外務大臣としてもお答えいただけるのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○愛知国務大臣 琉球政府主席の発言というものが十二分に尊重されるように運営されなければならない、こういう考え方で、少なくとも日本政府代表はその姿勢で運営に当たらせるつもりでありますし、おそらく米側の高等弁務官である委員もそのお気持ちで当たると考えております。
○川崎(寛)委員 そこで、準備委員会で協議をし調整をしたこと、それは日米協議委員会に報告をし、勧告をする、こういうことになりますね。つまり七二年返還以降の問題というのと、それから七二年までの間に具体的に措置しなければならない、あるいは変えていいこと、たとえばこれまで諮問委員会の中で、取り上げられていろいろと検討されておったいろいろな問題、たとえば金融機関の本土との一体化の問題であるとかあるいは社会保障制度についての福祉関係の問題であるとかあるわけですけれども、そういうものはやはり協議委員会を通して、そして両国政府に報告をされて、それからまた返ってきてということになると、むしろ、当面措置をしなければならないという具体的な問題については、そういうルートというのがやかましくきちんとなるならば、具体的な措置については時間がかかるという問題も出てくるのではないか。だから協議委員会が従来年に一ぺんないし二へんという形にしか開かれていない。しかも協議委員会を通さなければならぬということになりますなら、いま言ったような懸念される問題が出てくるのじゃないか、こう思うのです。だからそこらの、返還までの間に直ちに措置をしなければならないこと、そういう問題の扱いというのはどうなりますか。
○愛知国務大臣 まことにごもっともでございまして、結論的に申し上げれば、さようなことのないまうに能率的に運用されなければならない、ぜひそうしたいと考えております。同時に、実際具体的に申しますと、東京の協議委員会のほうは先般の日米間の交換公文によって、性格を改組したわけでございます。しかし同時に日本側の委員は外務大臣と総理府の総務長官でございますから、本来日本の行政機関の上としても、こういう仕事を直接担当しなければならない責任者でございますから、そうしてこれが従来は沖繩に対する日米の援助費の相談をするための協議会でしたから、一年に実は一ぺん本会議を開けばよかったのでありますが、今度は性格が変わって、かつ当の責任者がこちら側としては列席することになり、頻度もひんぱんにいたしますから、私は東京における限りにおいては従来よりかえってずっと円滑に、かつスピーディーにいくのではないか、そういうふうにいたしたいと思っております。 それから那覇のほうは現在まだ施政権が向こうにあって、返還に至るまでの期間でございますから、日米両方の代表者、政府代表者を出す協議委員会ということになりましたけれども、同時に日本の委員は政府代表の資格において、今度できます総理府のほうの系統の事務局との間に、実は的確なところまではまだ相談ができ上っておりませんけれども、適宜併任関係などをいたしまして、これがアメリカとの話し合いをしなければならぬことは準備委員会に持っていってそこでやりますけれども、今度は新しくできる庁との関係においては、現地の事務局長が直結しているわけですから、それと政府代表との間の下の機構の併任関係などをつくることによりまして、これまでよりも、これまた那覇においても日本側の相互の連絡調整というものと一体的に運用するようにしたい、こういうことによって、いま御質問の中にありましたような御懸念を払拭するように運営したい、こういうふうに考えているわけでございます。
○川崎(寛)委員 そこで、いま大臣が後半のほうで触れられた点なんですが、那覇の現地のほう、これは弁務官が平和条約三条に基づいて施政権を行使しておるわけですね。弁務官と日本代表というのは対等の立場で外交交渉をやる、これも異例中の異例だそうですが、外交交渉をやるということになりますね。そこできまったことを具体的に措置をしていくというためには、日米両国に協議委員会を通して返ってくるという一応のルートにはなりますね。そうしてその協議し調整をするそのことには顧問が正式の提案権はないにしても、実質三人の合議体でやっていくのだ、こういうふうなことになりますと、これは施政権の返還をきめたということ自体が、従来、平和条約三条でいくならば相当性格も変わっているというふうに見るべきだと思うのです。そこで、弁務官が大統領行政命令に従って絶対権限を行使しておったという事態とは明らかに変わったのだ、アメリカの沖繩統治というものについての日本政府のコミットといいますか、そういうものは準備委員会を通じて相当強まったというか、関係が深まったというふうに見るべきだと思うのです。その点はどうですか。だから、これまでのように絶対権、生かすも殺すも自由自在というふうな弁務官の権限の行使ということはあり得ない。そして具体的に、つまりもう一つそれを詰めますと、準備委員会できまったこと、そのことを今度は弁務官が実施をしなくちゃならないわけですね。つまり、返還協定でという以外の当面の問題については、弁務官の権限行使というものの姿が変わったというふうに見てよろしいですか。いかがでありますか。
○愛知国務大臣 これはやはり、四角ばって申せば、また、平和条約三条によって立法、司法、行政の三権をアメリカ側が持っているわけですから、高等弁務官の純粋法律論としての権限はやはり、生かすも殺すもというおことばがございましたけれども、そういう意味も含めて、法律論としてはステータスは変わらないと思うのです。そして、返還によりまして完全に日本側にくるわけです。ただ、行政府同士の問題ではあるけれども、最高首脳同士が返還をこうして約束をして、その合意によってこういう組織ができて、そうしてこうこうこういう準備作業をやりましょうということになりました以上は、政治的にというか、実質的にというか、これはだいぶ変わってくる、運用上の問題ではないかと思います。法律上の問題と運用上の問題とは違いますが、運用上からいえば、私は、実質的に日本の代表あるいは琉球主席の発言というものが非常に重きを加えてくるし、そうして、いまお話がございましたように、準備委員会で合意ができたことについては、高等弁務官は、それのとおりに自分がやらなければならないことは自分でやる責任を持つというような点からいえば、ステータスはだいぶ変わってきた、こう御理解をいただいていいのではないかと思います。
○川崎(寛)委員 だから、法律論としてはという議論もあったわけですけれども、そうしますと、その高等弁務官が、準備委員会できまった全く別の——つまり、高等弁務官であると同時に基地司令官であるということですよね。そうすると、基地司令官のほうの立場を重視する。たとえば、今度の全軍労の首切りの問題等も、施政権者の立場としてならば、このむちゃくちゃな首切りのしかた、不安を与えるようなやり方というものはやれないはずですね。しかし、それはアメリカ国防省の方針だということで、びしびしとやっていくわけです。一方、高等弁務官としての、施政権者としての責任がある、こういうことになりますときに、七二年までは自由だということになると、そういうものが争われる場面というのは、理論的にはあり得ないということはないと思うのです。その点は、せっかく先ほどまでいいことを言っているのだけれども、実際の理論的な面になると、またすうっと外務大臣も引かれるわけですから、そうしますと、基地司令官としての任務が優先をしてくるということになる。七二年までは、実際問題としては軍事優先の政策というのが従来どおりとられてくる可能性というのは相当出るんじゃないか、こう思うわけです。その点は、ただ単に政治的なあるいは運用の問題だということではなくて、やはり相当きちっとそれを制約していくということでなければ、七二年返還までの間の円満な処理ということはできない、こういうふうに私は思うのです。基地司令官としての任務というものと施政権者としての任務というもの、そういう扱いといいますか、権限行使の面において、この準備委員会というのがどれだけ基地司令官としてのほうをチェックできるのか、理論的にはチェックできない、私はこういうふうに思います。これは後ほど基地のあり方の問題等とも関連してすぐ次にお尋ねしたいと思いますけれども、その点はどうなんですか。これは法律論というか、とにかく現地がいま当面をしておる非常な不安の中で、依然として基地司令官の任務というものが優先するならば、いろいろな問題が出ますので、その点をどういうふうにお考えになるか、また日本側の方針としてどういう態度で臨んでいくのか、明確にしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 まず、お答えにならないかもしれませんけれども、現在まだ復帰して施政権が返ってきた状態ではございませんで、準備の段階でございます。そして、復帰の準備の仕事を合意してスピーディーに進めていこうというためにこの準備委員会ができたわけですから、これは法律論でもあるし、また実態論でもございますから、いま高等弁務官の、施政権を持っているアメリカの軍人としての立場といいますか、それは法律的にいえば完全にあるわけでございますね。そして、この準備委員会の仕事は、返還の準備のための仕事でございますから、本来の施政権者としてのやるべき任務というものは、法律上も実態上も当然残る。これは、いま準備の期間でありますから、自然の姿でございます。 ただ、準備といいながら、先ほど申しましたように、最高首脳の間で、もう七二年中に返還ということはさまっている段階ですから、この準備期間、返還に至るまでの期間においての高等弁務官の政治的立場といいますか運用上の立場というものについては、昨年十一月に合意ができるまでの間と、その合意ができてから今日以降の状態においては、これは運用上というか、心組みというか、姿勢というか、そういう点でも相当大きな変化がある。しかし、法律論的にいえば、実態的にいっても、まだ平和条約第三条が働いているんだということをやはり私は忘れることはできないと思います。
○川崎(寛)委員 では、次に地位協定の問題をお尋ねしたいと思いますが、地位協定の問題は、準備委員会の中で、具体的な調査という任務も交換公文の中にありますね。だから、地位協定の沖繩への適用の問題は、準備委員会の中でやられていくと思うのです。その場合に、これは予算の総括質問等でもあるいは一般質問等でもいろいろと議論があった点でありますけれども、地位協定を変えることがあり得るということで適用を検討する場合と、変えることはない、現行の地位協定でいくんだという場合とでまた違ってくると思うのです。調査によって協定は変えざるを得ないということになるのか、あるいは地位協定というものは、現行の地位協定を七二年返還の際に沖繩に適用するということになるのか。地位協定適用の問題はどういうふうな形になるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 この地位協定の問題は、本土並みになるわけでありますから、その返還の時点においての本土における地位協定がそのまま適用されるわけでございます。したがって、これは仮定の問題になりますが、そのときに現在の地位協定が変わっているとすれば、その変わった姿が適用されることになる。これは自然の勢い、自然の成り行きです。 その次は、今度は実態論というか政策論になりますけれども、実はこの地位協定の問題につきましては、本委員会でも申し上げておりますように、将来のあり方として、日米両方の立場からいって改善の余地があるのではないだろうかということで、日米双方で研究の課題としていきたいと思っておりますが、本土におきましても、御承知のとおりと思いますが、現行の地位協定のもとにおいても改善すべきものがまだ相当ございますから、これはやはりその研究と並行していきたいというふうに考えております。
○川崎(寛)委員 それでは地位協定は、現行のものというコンクリートのものではなくて、返還の時点における地位協定、だから当然に沖繩の現地における基地の検討あるいは本土における米軍基地の管理その他運用の問題等を通じて、それまでの間には動きもあり得るということになりますね。
○愛知国務大臣 そのとおりでございます。ただ、その政策論というか、現在の政府の見通しといたしましては、御承知のように地位協定の改正ということはやるとすればずいぶんいろいろ検討したい点がございますから、そう簡単に、そしてこれは日米双方の合意でなければなりませんものですから、相当の時間がかかります。率直な見通しから申しますれば、私はいまの気持ちで言えば、一九七二年の早い機会に沖繩の施政権返還の実現をはかりたいという意気込みでやっておりますから、見通しとすれば、そのときまでに地位協定が変わっているかどうかということについては、むしろそうではないのではないかという見通しを私としてはいま持っております。
○川崎(寛)委員 時間の関係もありますから急ぎます。 布令百十六号、沖繩の軍の労働者にとってはたいへんな布令になるわけですけれども、昨年の初めも総合労働布令の問題でいろいろといきさつがあったわけですね。布令百十六号廃止ということについて準備委員会に臨む意思があるかないか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 これはやはり準備委員会としては相当広範ないろいろの仕事をする立場にございますから、こうした間接雇用に移行し得るような問題につきましてもこの委員会においての検討の課題と考えてよろしいのではないかと思います。
○川崎(寛)委員 それから間接雇用制度でありますけれども、どうも話ほどうまいぐあいに早く進んでおらぬような感じがしてならないわけですね。 もう一つ、愛知外務大臣が現地の立法院の代表者諸君に会われたときには、日本政府が主導権をとりたい、こう言われた。川島副総裁は、先般沖繩現地に行かれたときに、この問題は日本側が主導権をとるべき問題でないと言われた。与党と政府との間で食い違いがあるんじゃないか、私はこういうふうに思います。その点はいかがですか。あくまでも日本政府が主導権をとってこの問題解決に進む。それから準備委員会ではこの間接雇用の制度の問題を取り上げていく。つまり抽象的には二月十三日の日米協議委員会で外交ルートにのせるということがきまったわけであって、のせているのかどうかまだよくわかりません。その点、日本政府側の主導権の問題と、それから準備委員会でこれを取り上げて早急に新しい制度、解決への方向に向かう意思があるのかどうか、伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 この点は、先ほど川崎委員と私との問答の中にもそのニュアンスがあらわれたと思いますけれども、現在が準備期間中で、アメリカの施政権が存在しているのだということに重点をやや置いてものを言う場合と、それから今後の沖繩問題についての運営の姿勢というようなことに比重を置いて申します場合と、表現に若干の食い違いがあろうかもしれませんけれども、考えることは私は同じだと思います。私は全軍労の方々のみならず、沖繩の方々にはいつも言っているのですが、私自身といたしましては、もう返還の話がきまったんだから、沖繩におけるところの問題はまつ正面にわがほんとうの同胞といいますか、ことばが練れませんけれども、ほんとうにわがこととしてまっ正面から四つに取り組んで、わがこととして解決しなければならないという気持ちで、一生懸命現にやっておるつもりです。その気持ちをそういった場所におきましても表明いたしておりますから、そういう点を全軍労の方々も評価してくださったのではないかと思いますが、私はその気持ちでやってまいりたい。したがって主導権ということばを使ったかどうか私は忘れましたけれども、わがこととして間接雇用の問題も大いに前向きに取り上げて、そうしてアメリカ側も現にいま研究はしているわけなんですが、なかなかやはりいろいろむずかしい問題もあるようでございまして、当初意気込んでお話ししたほどのスピードがかかってないことは残念でございますけれども、私といたしましてはいま申しましたような気持ちで、主導権といわれればそれでけっこうでございますが、そういう気持ちでやってまいりたいと思います。
○川崎(寛)委員 その点は現地の春闘ともからんでおりますけれども、どうもやはりあの熱いときですね、五日間の百二十時間に及びますストライキがあった時点、あれからしばらくの間の感じというものとそれからしばらく時間がたったいまではずいぶん冷えてきている感じが率直にあるのですよ。それは施政権の問題だとか、あるいは困難だということでいま返ってきているわけですけれども、その点はぜひ一日も早く解決をするということで進めていただきたいと思います。 それから次には日米安保協議委員会。先ほど基地のあり方の問題等につきましても現地のアメリカ側の意向はよくわからぬ、こういうことでありました。正式にそういうことを話し合うためには日米安保協議委員会を開かざるを得ないと思うのでありますが、いつごろ開く予定なのか、要求するのか、伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 安保協議会はできるだけすみやかに開きたいと考えております。ただ国会中でございましてなかなか時間的余裕もございませんのと、それからやはりいまもお述べになりましたが、基地の今後の運用その他につきましても米側でもいろいろ考えているようでもございますから、いまのところはちょうど五月十三日が国会の閉会になります。その間双方ともいろいろ勉強すべきことは勉強しておいて、国会閉会の直後に安保協議会をぜひ開きたいということで、米側と事務的にも連絡をいたしております。
○川崎(寛)委員 本土の基地も縮小されるであろう、沖繩の基地も当然縮小という方向に進む、こう考えますが、一方沖繩の経済の開発ということを考えれば、どういう基地が返してもらえるか、使えるかということは沖繩の経済開発にとってもたいへん影響が大きいわけです。だから沖繩の琉球政府としてもそれぞれ使われているいまの基地の実態というものを調査をし、ぺんぺん草がはえておったり単なるゴルフ場になっておったりいろいろあるわけですから、そういうものについては基地の縮小の方向づけというものをどういうふうに考えておられるかということが一つと、それから時間の関係がありますので重ねてお尋ねしますが、施政権が七二年まではあるという事態の中で、沖繩の基地のあり方、たとえばチャップマン海兵隊司令官やリーサー陸軍長官がアメリカの議会等で証言をしておりますけれども、沖繩の基地の機能、沖繩の基地のあり方、そういうことはアメリカが一方的に、現在は施政権を持っておるからきめられるのだ、理論上こうなりますわね。しかしそのことは、これは時間がないからこのこと自体は問いませんが、アメリカが負っておる国際的義務の関係その他からして沖繩の基地が七二年返還までの間にどういう基地になるか、どういう基地の機能の形に固まってくるかということは、七二年以降の今度は安保条約のもとでの運用でいろいろとまた問題も当然出てくるわけですね。でありますから、それらの点についてどう判断をしておられるか、伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 これもまことにごもっともな御意見であり御質問であると思います。政府といたしましてもそういう点についてはいろいろと配慮あるいは研究をいたしておるわけですが、何よりも必要なことは現在の状態——これは前国会のときには、私も、施政権があるものですから、基地の状態も日本政府としてはなかなかつまびらかでございませんということを申し上げて、それが実態だったのでありますが、先ほど来のお話にあるいは私のお答えに申しましたように、共同声明におきまして返還がきまった、その後の状態は私は変わったと思います。そしてこれは防衛庁側から詳細お聞き取りをいただきたいと思うのですが、まず実態をよく見るということが、この返還がきまりましたあと何よりも必要なことで、それと並行的にいわば青写真が日本側としてできるわけでございます。これは防衛庁的な角度からもぜひ必要なことじゃないかと思うのですが、同時に、いまもお話しのように、それと関連して沖繩の県民の方々、ことに全軍労の方々の生活の安定ということを考えていかなければならない。そういう意味では、沖繩の県民の福祉の安定という大目標ともまたつながることだと思いますが、そういう順序でいま鋭意検討を始めているところでございます。具体的なそういう行動のあらわれも近く出てくるはずでございますが、そういう点についてはひとつ防衛庁のほうからも説明を御聴取いただきたいと思います。
○川崎(寛)委員 もう時間ですから、一応これで……。
○池田委員長 暫時休憩いたします。本会議終了後再開いたします。 午後二時二分休憩 ————◇————— 午後三時三十八分開議
○池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行します。川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 先ほどの点、もう一回振り返りますけれども、地位協定の問題ですね。つまり、いまの地位協定を変えない方針で協議に入るのか、あるいは先ほど見通しとしては変えることはないだろう、こういうことを言われた。ちょっとそこにひっかかるわけですよね。そこで、それならば、この共同声明の第四項のベトナム戦争継続の場合にはということで、協議の問題が、「十分協議することに意見の一致をみた。」こういうふうになっておりますね。このことはいままでB52の問題その他でいろいろ議論がこれまでもあったわけでありますけれども、チャップマン海兵隊司令官やあるいはリーサー陸軍長官等が沖繩基地のあり方の問題について、いま米議会のほうでもいろいろと証言をしておることが報道されております。そこで、この七二年までは沖繩の基地をいかような基地にすることも米軍にとっては可能なわけでありますし、そういう方向で進んでいくだろう、こう思います。そこで、端的に、だからもう一ぺんしぼりますと、地位協定は変えない方針で協議をするという方針なのか、つまりベトナム戦争継続の際にはこの協議という問題にかかってきて、地位協定のあり方を検討せざるを得ない場合があるかもしれないであるかどうか、伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 共同声明第四項のベトナムに関するくだりの協議ということと地位協定の問題とは全然関係はございません。これは先ほど申し上げたとおりで、かりに基地協定というものがそのときの時点で現在のものから変わっていれば、その変わった姿が変更なしに沖繩に適用されるわけでございます。それから変わっていなければ現行の地位協定がそのまま適用される、こういうわけでございまして、第四項とは関係ございません。
○川崎(寛)委員 それは第四項とは関係がない、はずしますよ。そうすると問題は、変わっておれば、それが適用されればそれが本土並みだ、その理屈はわかるのです。理屈はわかるのですが、そこで問題は、地位協定というのは変えない方針で協議をするのか。つまりいま本土の基地のほうについては触れておりません。沖繩の基地だけで考えるわけでありますけれども、その場合に現在の地位協定というものを場合によっては検討し改定をし、それを沖繩に適用ということもあり得るということでありますね。
○愛知国務大臣 それはあり得る。これは何べんも申し上げているとおりで、本土並みなんですから、本土にそのときに適用される姿がそのまま沖繩に適用されるわけです。
○川崎(寛)委員 そうしますと、つまり沖繩の県民のほうにしてみれば、私は前にもちょっと質問したことがありますように、いま沖繩の基地の地下にはパイプラインも入っておるし、いろいろな形になっているわけですね。だからそういう状態の中で、たとえばことしの一月、これは新聞情報でありますが、防衛施設庁が行ったけれども、実際には基地の検討もできなかったというので、何にも検討することができずに帰ってきたわけですよ。まさか今度ば準備委員会ができて、小委員会等が設置される、あるいは新聞情報によれば部会というような話もあるようでありますけれども、そういうものがつくられて地位協定の適用のしかたについて検討、こういうことになった場合に、どうも現行の地位協定というものをそのまま沖繩には適用しにくいのだという問題が出た場合に、じゃ協定を変える、こうなりますならば、沖繩の県民にとってみますならたいへんな不安がそこに出てくるわけです。だからそれは、検討によってはあり得るというふうに、現地で適用のしようという検討のしかたによっては地位協定を変えざるを得ないということもあり得る、こういうふうに理解をしていいわけですね。
○愛知国務大臣 ずばり申し上げて、返還にからんで地位協定をどうこうというふうには私は考えておりません。大事なことは本土と何らの変更なしに、安保条約関連の一連の協定は変更なしに適用されるということが非常に大事なことでございます。したがって、返還に関連して地位協定を改悪するなんということはあり得るはずはございませんし、また沖繩についてだけ何か変えるというようなお尋ねも含むとすれば、そういうことは、変更なしにという大原則にもとりますから、全く考えてはおりません。
○川崎(寛)委員 その問題は、地位協定の問題については変えない方針でいく、しかし理論的にはあり得る……。
○愛知国務大臣 ちょっとそのところがからみ合っているのじゃないんでしょうか。地位協定を変えるということは、私は防衛庁とともに政府部内としても検討をしていこうということに合意しているわけでございますが、それは一口にいえば日本のためによくなるように改善をしたいというわけなのでありますから、沖繩の方なり本土の方が不安が増すような改定などということは考えるべきものでもないんですね。それを何か返還にからんで地位協定がいわば改悪されることが理論的にあり得るのか、そういうふうなお尋ねを含んで、るとすれば、さようなことは全然政府として考えていることではございません。こういうわけでございます。
○川崎(寛)委員 ただ、沖繩の基地の機能を落とさないようにするのだということは共同声明の中で約束されておるわけですね。だから私はかつて本委員会で、米基地協定のような場合のことも——あなたがちょうど第一回目のロジャーズ会談のあとでしたかに、お尋ねしたこともありました。その基地のあり方そのものをきめていく基地協定の問題でありますから、その点はたいヘん抽象的に悪くしないんだ、こう言われる気持ちはわかりますよ。わかりますけれども、しかし一方で基地の機能を確保しなくちゃならぬのだ、こうなってきたときに、その基地の機能を確保することが現在本土の米軍基地に適用されておる地位協定ではたいへん困難だという問題が出た場合に、なおかつそのことを変更はないんだと、それは日米合同委員会の運用のしかた等もまたからんでまいりますけれども、しかしその点についてはやはり明確な方針でいかなければそこに問題が出てくるわけですから、たいへんしつこい質問をしておるわけなのです。
○愛知国務大臣 基地の機能を落とさないために沖繩における地位協定が現行のままであってはいけないという場合が想定されるかということが前提にあるわけですね。そうでございますね。そうではございませんで、そうなれば沖繩返還の本土並みという大原則がそこなわれることになります。この返還につきましては変更なしにという本土並みと、七二年中核抜きということは、これは大原則でございますから、いかなる状態がありましても、これはアメリカとしても踏み切り、日本がそれに合意をしておるわけですから、これは大原則であります。したがって午前中にもお話がございましたが、第四項の協議というものの中には、これは望まない事態が万々一起こるかもしれないという、ベトナム戦争が終結という形にならないという万々一の可能性ということを考えた協議であります。したがって第四項の協議の内容というものはどういう協議になるかということはわからないわけです。しかし七二年中の返還と本土並みと核抜きということにはかかわらないのだ、そういう協議という意味で消極的な制約があるのだ、こういう御説明を午前中にもいたしたのですが、その点はきわめて明確でございます。
○川崎(寛)委員 あとの質疑者の時間もありますから、私はなるべく早く終わりたいと思います。 それじゃ、返還協定、それからその返還に伴う措置法、こういう作業が二つ大きく重なりますね。重なるというか、出されなければならないということになりますと、返還協定のほうが一応先だというのが常識的だと思うんです。だから返還協定を大体いつごろまでにまとめ上げる、七二年返還ということのためには、その前に法令の整備ということ、つまり返還に伴う暫定措置法といいますか、そういうものになっていくと思います。そのめどというものをどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 これは当委員会でも前回にもお答えいたしたところですけれども、返還協定の話し合い作業というものと、それから実態的な話し合いといいますか、準備作業というものは並行的にいくわけです。同時にこれはいわばワンパッケージでございます。ですからたとえば協定ができ、国会で御承認をいただくに際しましても、一方の中身のほうが話し合いがついていかなければ、御審議を願うときの政府の御説明ができないわけでございます。したがって、その終期は大体一致しなければならない。したがって、いつそれがめどだというお尋ねに対しましては、もうなるべく早くやらなければなりませんが、終期は、一九七二年中に完全に復帰ができるようにするためには、国会の御審議の期間もなければなりませんから、逆算していって、できるだけすみやかに出しますということ以外には、現在はお答えができません。といいますのは、ようやく協議委員会もでき、準備委員会も発足するばかりになっているときですから、いまスタートラインについたわけですから、それからだんだんとおおよそのめどがついてくるわけです。しかし、終局的には、私の率直な気持ちで言えば、一九七二年の早い機会に完全に復帰ができるというところに終点を置いて、それから逆算して準備を間に合わせ、国会の御審議の期間もその中に十分とれるようにということでやってまいりますと、準備作業や協定案の作成、合意ということは、かなり早い時期でないといけないわけですから、そういうことを頭に描きながら、準備や作業をどんどん進めていかなければなるまい、こう考えております。
○川崎(寛)委員 終わります。
○池田委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 沖繩の経済問題、特にアメリカの経済援助につきまして、外務大臣にお伺いしたいと思います。 まず、沖繩に対するガリオア等の戦後の経済援助でありますが、アメリカのどのような根拠法に基づいて支出され、援助されたものであるか、この点について御説明をいただきたいと思います。
○東郷政府委員 沖繩に与えられましたガリオア援助の根拠法そのものは、日本にも与えられましたいわゆるガリオア法案、これに基づくものでございます。
○中川(嘉)委員 それでは、この経済援助、すなわち、ガリオア援助資金でありますが、戦後の沖繩にどのような形態でなされたか、その大要について簡単に御説明をいただきたいと思います。
○山野政府委員 ただいま資料が手元にございませんので、的確には申し上げられませんが、このガリオア割り当て資金といたしましては、現金交付と建設事業計画、それから物品、役務、食糧その他の日常品、あるいは技術援助とか、教育技術訓練援助、施設の建設援助、こういうことになっておりまして、一九四七年から五七年まで一億六千三百二十一万六千ドルという総額になっております。
○中川(嘉)委員 それでは、確認の形でお伺いするようになりますが、沖繩に対する米国のガリオア援助はどのような方面に——ここでもう少し、実は、たとえばいろいろ公社がありますが、そういった面からどのような方面にどのような形態で使用されたか、お答えをいただきたいと思います。
○山野政府委員 いま申しましたように、一九四七年から一九五七年のガリオア割り手て資金総額一億六千何がしの資金としましては、現金交付は、琉球政府のサービス関係の方面に使われまして、琉球政府の計画の中へ入っております。 それから建設事業計画としましては、いま御指摘になりましたような電力施設、これは電力公社でございます。それから水道施設、これは水道公社でございます。そうしてその他。この電力施設と水道施設につきましては、ガリオア資金から直接入ったのは、一九五〇年、五一年、五二年でございまして、その後はガリオア資金からは入っておりません。 それから、物品、役務、食糧、その他の日常品、こういうのは、一九四七年から始まりまして一九五四年まで、百五十二万八千ドルをもってほぼ完了していまして、あとはごく軽少でございます。 それから技術援助は、一九五一年から始まりまして五七年まで、教育技術訓練資金としては、一九五〇年から始まりまして五七年まで、かように相なっております。
○中川(嘉)委員 それでは、大きなものとしましては、琉球電力公社、あるいは先ほど言われた水道公社、そうしてまた琉球開発金融公社、琉球銀行と、いろいろあると思いますが、いまこの四つだけを例にとりまして、おのおのの公社あるいは銀行等に関して、現在の資本金の額は幾らぐらいか、そうしてまた、内訳として、ガリオア援助はどのくらいか、その他の資金は幾らくらいか、こういった明細について教えていただきたいと思います。
○山野政府委員 この資金の一般的な状況につきましては、私ども手元にこの計数を持っておりますが、その資金が、ガリオア資金が幾ら、あるいは公法四八〇号のものが幾ら、一般援助が幾らという内訳の表はただいま手元にございませんので……。
○中川(嘉)委員 それでは、後日でけっこうでありますが、ひとつその内容についてお知らせいただきたいと思います。 それでは、この点はひとつ外務大臣にお答えいただきたいと思うのですが、沖繩において、先ほどからお話ししておりますガリオア援助の果たしてきた役割り及びガリオア資金の性格について、政府はどのように評価し、また判断をしておられるか、この点について御所見を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 ガリオア資金につきましては、米国が、本土におきましても占領当時からガリオア資金の使用についてはいろいろの、一口に言って援助をやってまいりましたと同じように、沖繩におきましても、ガリオアの援助につきましては、沖繩としても相当の利益といいますか、福祉上のプラスになったことが多いと理解いたしております。
○中川(嘉)委員 この沖繩に対する援助でありますが、沖繩県民に贈与したものであると判断をなさっておられるか、それとも日本あるいはドイツのように返還すべきものであると解釈をしておられるか、この点に関する外務大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 御承知のように、たとえば一九五二年当時に極東軍総司令部から当時の琉球軍司令官にあてました指令に、この点に触れているくだりがございます。ガリオア資金を米国に払い戻させるために琉球人に負担をかけることを期待してはならないということが、この指令の中に出ておりますことなどから見まして、私はガリオア援助費そのものを、復帰後になりますから日本政府でございますが、日本政府に償還をせようという請求はないと信じております。しかしこれはこちらの考え方でございますから、これから復帰準備の先ほど来いろいろ出ておりますような問題の一つとして、先方がどういう態度をとるか、これからの問題でございますけれども、米側からそのような請求がないとは思いますけれども、万一あったような場合には、わが国としてはこれに応ずべきではない、政府としてはそのように考えております。
○中川(嘉)委員 ただいまお答えいただいたわけでございますが、せんだって外務大臣に例の米側管理資産の買い取りの問題についてもいろいろお伺いしたときに、いろいろ御意見を伺いまして御答弁いただいたわけですが、それとただいま御答弁をいただいたこととの関連性はどういうふうになるんでしょうか。要するに向こうからそういうあれがあったとしても、あくまでもそういうものを買い取るべきでないという結論でこれから進まれるかどうか、この点についてどうでしょうか。
○愛知国務大臣 この点は、ただいまガリオア援助費ということでお尋ねでございましたから、その援助費そのものについては万一請求がございましても、これは拒否すべき筋合いのものである。また私がいま引用しましたような根拠も当方としては引用できる主張である、かように考えるわけでございます。 さて、それでは一般的な米側資産のどういうものを買い取るべきか、あるいはこれを無償で譲渡を受けるべきものであるかという、今度は一般論になってまいりますと、またおのずから対処のやり方も違えなければならないものもあろうかと思います。こういう点についてはまだこれから折衝や交渉に入る段階でございますから、実は実地調査もこれから始めるわけでございますから、ただいまのところまだあまり多くを申し上げるだけの考え方をまとめておりません。
○中川(嘉)委員 次に、沖繩における金融機関としては現在どのような公社、銀行あるいは金庫等があるか、お答えをいただきたいと思うのです。これは大蔵省のほうの関係だと思いますが、ひとつお願いしたいと思います。
○吉田説明員 沖繩にございます金融機関といたしましては、民間金融機関と政府金融機関に分けられるかと存じますが、民間の金融機関といたしましては普通銀行が二行、琉球銀行、沖繩銀行とあります。信託会社が琉球信託、沖繩信託の二社、相互銀行が中央相互、南陽相互の二行、信用組合がやはり二つございます。そのほか、労働金庫が、沖繩県労働金庫が一。そのほか外国銀行が二行。また保険会社といたしましては、生命保険会社が二社ございます。損害保険会社も二社。そのほか外国保険会社が、これは主として駐留軍人軍属のみを対象といたしておりますが、約十社程度、損害保険会社についても同様な外国関係の支店または代理店が九社ございます。政府関係の金融機関といたしましては、琉球政府の法律に基づくものが、大衆金融公庫、これは住民大衆への生業資金の貸し付けや、中小企業貸し付け等を行なっております。それから農林漁業者のための組織体に対する中央機関でございます農林漁業中央金庫がございます。そのほか、これは米国民政府令に基づくものでございますが、琉球経済発展のための長期融資を行なうものといたしまして、琉球開発金融公社がございます。このほか、系統金融機関といっておりますが、農協、漁協等の組合のうち、信用事業を行なうものが七十五ございます。それから最後に沖繩信用保証協会というのが一つございます。 以上でございます。
○中川(嘉)委員 続いてお尋ねしたいのですが、本土においても金融機関の合併等の再編成の動きがありますが、施政権が返還されたときには沖繩における金融機関についても、監督官庁としては当然その再編成についての構想が練られていることと思いますが、この青写真についてひとつ御披露いただきたいと思います。
○吉田説明員 沖繩の民間金融機関につきましては、一社が独占するという弊害を避けるために、それぞれの種類につきまして二社並立しておる場合が大部分でございます。その結果、どうしても規模が小さく、また経営効率の点でも低下せざるを得ないという傾きがあるわけでございます。こういう状況でございますので、琉球政府の金融検査庁といたしましても、昨年の九月に通達を出しまして、それぞれの金融機関の経営者に対し、本土に復帰したあとの経営の姿につきまして、合併等の措置をあわせて考えて、将来の経営方針をいかにするかということを自主的に考えなさいという指導をしておるように承知いたしております。現在の段階といたしましては、私どもはむしろその実態を見きわめるということが先決であると考えておるわけでございまして、できるだけ経営効率を高め、これから本土の金融機関に伍して営業できることを期待しておるわけでございます。場合によりましては個別的な、ケース・バイ・ケースの問題といたしまして、整理統合ということについてもできるだけの協力はしていきたい、こういうふうに考えております。
○中川(嘉)委員 現在沖繩において本土復帰不安の一つとして、いま申し上げましたような金融機関再編成の問題がありますので、ひとつこの点について十分御留意をいただきたい、このように思います。 続きまして、沖繩における各種の企業でありますが、こういった企業は長期資金についてどのような金融機関から、どのような条件で融資を受けているか、この点をまず明らかにしていただきたいのです。
○吉田説明員 金融機関の実態については、現在本土にございます金融機関ほどの詳細な資料を持ち合わせておりません。ただ、全般的に、たとえば金利水準というようなことから申しますと、大体わが国の本土程度に近い水準にあるように見受けられます。これは銀行貸し出し金利あるいは預金の受け入れ金利等からいたしまして、大体同水準でなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 それではいまおっしゃった、今度は本土でありますが、本土における各種の大企業は、長期資金をどのような金融機関からどのような条件で融資を受けているか。質問の内容は同じようになりますが、今度は本土の場合であります。これをひとつ参考までにお聞かせいただきたいと思います。
○吉田説明員 もう先生も御承知かと存じますが、金融機関の貸し出しの場合に相手の信用度あるいは融資の内容によって一がいに申し上げるわけにはいかないかと存じます。ただ公定歩合とリンクいたしまして標準金利制度というのを採用しておりまして、最も優良な条件で融資する場合にどの程度かという申し合わせがあるわけでございます。これは大体六分五厘前後だということになっております。それから手形等の条件が、いわゆる並み手というようなものでございます場合には八分前後、こういう状況でございまして、一がいにちょっと御説明することは非常にむずかしいかと存じます。
○中川(嘉)委員 それでは次に外務大臣のほうにお伺いしたいことですが、ただいまいろいろ説明をいただいたことから、本土企業と沖繩の企業が長期融資を受ける場合の金融機関とその条件というのは大体いま御説明をいただいたようですが、現状においてはいかに沖繩の企業が金融面から見た場合でも非常に不利であるということを実は私たちは聞いておるわけです。こういった点で沖繩が本土に戻った暁には、沖繩の企業は中小企業金融公庫あるいは政府関係金融機関等から長期低利の設備資金の肩がわり融資を受けることを希望しておるようでありますけれども、この現地の希望に対して政府はどのように対処し処理するお考えであるか、この点、外務大臣にお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 こまかいことはともかくといたしまして、午前中にも申し上げましたように、まず第一に通貨制度を切りかえなければなりませんが、そうなりまして本土と同じような経済基盤ができる、その上に立ってやはりこれから大蔵省のいろいろな考え方、それから同時に沖繩県民の希望や考え方を総合して考えていかなければなりませんが、考え方の基本としてはやはり本土並み、本土と一体化でございますから、同じような条件にある中小企業の方々に対しては本土と同様な条件によって融資が受けられるようにしてあげなければ、格差の解消とかほんとうの一体化ということにはならないわけでございますから、そういう基本的方針でしかるべき措置をとっていかなければならない、こういうように考えております。
○中川(嘉)委員 最後になりますが、沖繩の人たちの本土復帰不安の一つといたしまして、沖繩の企業は復帰した際に本土の大企業に全部吸収合併されてしまうのじゃないかというように非常に心配をしておるわけでございまして、セメント会社であるとかあるいはビール会社、これらについてはせっかく沖繩の人たちが苦心して育成した企業を、場合によっては倒産さしてしまうようなことがあっては復帰の意味がなくなってしまう、このように思うわけでありますが、沖繩の既存の企業に対して政府はどのように対処していかれるのか、この点を最後に明らかにしていただきたいと思います。
○山野政府委員 ただいま御指摘になりました問題が現在沖繩でも非常に大きな問題になっておるわけでございます。したがいまして、これは予算委員会の分科会で総務長官からもお答えがありましたけれども、沖繩の本土復帰にあたりましては、まず沖繩の既存企業をどうやって保護するか、あるいはそのために必要な特例措置、暫定措置も考えなきゃいかぬという一つの暫定的な激変緩和の施策が講ぜられなきゃいかぬことは申すまでもありません。それから、いまお話がありましたようなセメントとかビールとかそういう企業と競合するような企業が進出することに対しても、これは行政指導か何かわかりませんが配慮をする必要があるんじゃなかろうか。それから本土から進出する場合に考えなきゃいけませんのは、いま外資問題でいろいろ問題が起きておりますけれども、何か沖繩の将来の経済発展の基盤になる装置産業その他の先導産業をどうして導入するかという問題がございまして、そういう施策を講ずることによって沖繩の将来の経済発展を期待している、大体方向としてはそういう方向ではないかと思います。そういう産業に対するいろいろな奨励措置、沖繩側、本土側における奨励措置、あるいは特例措置、そういうようなことを含めまして、返還協定の準備と並行しまして私ども今後総理府が中心になりまして各省庁と十分協議をして進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
○中川(嘉)委員 そうしますと、いまこのように考えるというお答えでありますが、現時点においては具体的にはまだはっきりしたそういうあれに取りかかってないというふうに了解してもよろしいわけですか。
○山野政府委員 現在総理府につくっております各省庁の沖繩復帰対策担当官会議で産業経済部会その他関連部会がございまして、そこで問題点の整理をやっておる段階でございますので、これからそういう会議を通じて具体的に検討してまいりたいと考えます。
○中川(嘉)委員 大体、以上申し上げましたとおり、沖繩復帰に際しましては政府はあくまでも沖繩県民の意向を尊重して、よく言われるように復帰してよかった、ほんとうの意味でよかったと言わ承るようなそういう施策を真剣に御検討いただくことを切に要望いたしまして、きょうはガリオア関係はもう少し資料がありましたら質問が長くなりましたのですが、一応これをもって私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。
○池田委員長 林百郎君。
○林(百)委員 外務大臣にお尋ねします。 沖繩の施政権が返還されたときサンフランシスコ平和条約、いわゆる平和条約第三条ですね。これの実質的な効力、それから形式的な形ですね。依然としてサンフランシスコ平和条約の第三条として存在しているのかどうか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
○愛知国務大臣 条約の専門的な説明は条約局長からいたしましたほうが正確かと思いますけれども、私が理解いたしておりますところは、沖繩に立法、司法、行政の三権を持っておりました施政権者であるところの米国政府が、今後でき上がります返還協定によって日米両国の合意によって日本に返還されるということになりますれば、その当該の条文は自然に効力がなくなる、こう解釈をいたしております。
○林(百)委員 自然に効力がなくなる、そうすると形式的には三条は存在はしておっても実質的な効力は失われる、そう聞いておきます。もっともサンフランシスコ平和条約の第三条については、今日すでにもうこれは国連憲章との関係で効力の存在しないものであり、廃棄すべきものであるというわれわれの立場があることは念のために申し上げておきます。 そこで今度はサンフランシスコ平和条約第三条が根拠となっておる大統領の行政命令、布告、布令、指令、そういうものはどうなるのですか。
○愛知国務大臣 返還と同時に、これは根拠がなくなるものと理解いたします。
○林(百)委員 そうすると、現在沖繩で有効な布告、布令、命令、いわゆる高等弁務官の行政命令、これは琉球列島の施政に関する大統領命令、具体的には高等弁務官の布告、布令、指令というような形で出ているわけですが、そうしますと、これらのものを改めて、これにかわるような法律を立法することによって、事実上行政命令、布告、布令等を継続するということが考えられるかどうか。考えられるとすれば、どういう部門はそうし、どういう部門はそういう必要がないのか、どういう構想ですか。
○愛知国務大臣 これは返還協定が効力を発生いたしますと、日本の憲法、法令その他が全部これまた変更なしに日本領土たる沖繩県に適用されるわけでございますから、いままで布告とか布令とかあるいは民政官命令とか出されてあって、それで日本の法令の対象とならないようなものは全部なくなってしまう、そしてその穴になるところがかりにあるといたしましても、それを埋めるために特別の立法はしないというのが返還の姿である、かように考えております。
○林(百)委員 理論的には外務大臣のそういう立場が政府の立場とすれば、そういう立場があり得ると思いますが、しかしかりに政府がいうとおり、一九七二年までベトナム戦争が継続した場合に、一九七二年に確実に返還されるかどうかということに若干の問題があるにしても、政府は、いや返還は一九七二年に問題ないのだといっています。そうすると、一九七二年に返還を予定し、そしてそのときには布告、布令、指令は全部廃止になる、それを埋めるような本土立法はいまのところ考えていないというと——明らかに本土立法に抵触するような事態がいま沖繩で現実に進行している。たとえば外資対策の問題等が喧伝されているわけですけれども、新聞などにも書かれておりますけれども、一〇〇%外資会社がどんどん進出してきておる。かけ込みはいまだということでかけ込んできている。ところが本土の立法によれば、これは外資法によって規制されなければならない。ところが実際はそういうものが、現在サンフランシスコ条約三条の立法、司法、行政権をアメリカが持っているということからかけ込んできている。こういう場合の規制をどうするつもりでしょうか。いまの間にしておかなければ、かりに政府のいう一九七二年に返還されるとしても、そのとき大きな問題が残されるのじゃないでしょうか。それについてどうお考えでしょう。
○愛知国務大臣 これは先ほど川崎委員との問答の中に出てまいりましたのと同じような種類の問題かと思いますけれども、林さんの仰せのとおり、法律的にいえば、返還の効力が発生するまではアメリカが施政権を持っておりますから、何でもやろうと思えば、現行の布告、布令その他の支配下においてできるわけでございます。したがって、いまかけ込みと仰せになりましたが、かけ込みをやろうと思えばアメリカの施政権下においてやれるということがいえるわけでございます。しかしそこは昨年十一月以降においては返還が合意されたわけでございますから、そういうかけ込みなどがないようにそれを規制するのが、現在はアメリカ側の責任であり、アメリカ側の仕事でありますけれども、そういう点については十分アメリカ側が日本側の立場を理解してこれに対処してくれる、これを期待すると同時に、アメリカ側もその辺のところは十分理解して措置しておるように私は承知いたしております。
○林(百)委員 外務大臣はアメリカ側に期待するし、そういう措置をしておると言いますけれども、現実に新聞の報道するところによれば、外務大臣の期待に反して、一〇〇%外資の会社がここのところ目立っている。これは早急に何かの措置をしなければならないということが普通の新聞紙上でも報道されておるのですけれども、そうすると政府としては期待しているということだけで、別に何らこれに対する規制的な措置の申し入れをするとか、あるいは何らかの日米両国政府間の話し合いをするとかいう措置はとっておらないのですか。
○愛知国務大臣 これは冷静に申しますと、返還になりますれば、本土の各事業法その他が全部適用されるわけでございますから、いまかけ込みをやっておりましても、その返還の時点で適用される法律によって、そのかけ込みの権利と申しましょうか、それが薄められることになる、そういうことで対処できる、私はかように考えております。
○林(百)委員 非常にデリケートな問題ですけれども、一〇〇%外資会社がかけ込んできても、返還の際には現在本土に適用されている外資法が適用されてくるから、それは規制されると言うのですが、現実にはどう規制されることになるのですか。たとえば資本の一部がそれだけ強制的に減資される、あるいは強制的に日本の資本が持つというような措置がとられるという意味ですか。具体的にはどうなることですか。
○愛知国務大臣 まずそのかけ込みの問題については、すでに日本政府といたしましてはアメリカ側とも話し合いをしておりますし、それから琉球政府とも、これは先ほど申しましたように法律論としては別でございますけれども、事実上復帰を前提にした話し合い等はすでに行なわれておるわけでございます。それから共同声明の上でも、米側の既存の企業というものに対しては問題がありますよということは、念のため共同声明の上にもカッコ書きで出しておりますが、こういう既存のものを公平に扱うということと、それからかりにかけ込みというようなものがありました場合の返還後の取り扱いについては、当然日本政府は主体的な立場で、ものによっては話し合いで資本の構成を変えてもらうものも、企業側で自主的な措置をとるものもございましょうし、いろいろの方法があると思いますが、しかしとにかくかけ込みというようなことはアメリカ側としても望ましいことではないはずでございますから、今後とも十分にその点については注視してまいりたいと思っております。
○林(百)委員 こういうことも伝えられておるのですけれども、要するに米国企業のそういう損失について、米国資産の買い取りの協議をする、政府が損害を補償してするとか、あるいは米国資産の買い取りの措置を講ずるとか、そういうことは政府は考えておりますか。要するに資本関係の構成を外資法に基づくような資本関係に変えていくということは、政府はそれはどうするのですか。命令するのですか、要請するのですか。相手は外国の会社なんですから、どうするつもりですか。
○愛知国務大臣 資産の買い取りということを、私企業についてあるいは私企業の中の資本について日本の政府が買い取るというようなことは考えておりません。資産の買い取りの有無というようなことについては、先ほども御質疑がございましたけれども、現在運営されておる、たとえば公共企業的なものについてはどう処置するかという場合に、買い取りとか無償とかいう問題は当然出てくるかと思いますけれども、いまの私企業の関係については出てこないと私は考えております。
○林(百)委員 私企業であるだけに、そういう政府の行政的な措置ができないということになれば、いま明らかに、本土の外資法そのほかの外国資本を規制する法律に反するような資本進出が行なわれていることに対して、これはどういう措置をとらなければならないかということは、すみやかに処置をしておかないと、私企業であるだけに非常にめんどうな問題が起きるというように考えるわけですが、それとからんで、これは政府構想の一つとして当沖繩委員会に山中長官が発表されたのですけれども、いわゆるフリーゾーン地帯を設けるということが言われておるわけなんですけれども、これによりますと、那覇市とコザ市を二十年程度貿易関係については関税をかけない取引地域にする、一定の地域をですね。こういう本土の法の適用を除外された特別地域を存在するということも考えられる。これは山中長官がたしか当委員会で言明しているわけですけれども、これは政府の国務大臣として表明しているわけなんですけれども、同じ国務大臣である外務大臣はどういうお考えですか。
○愛知国務大臣 この考え方は、実は前々からも考えられておる一つの傾聴すべき意見であると思いますけれども、しかし、現在政府全体として、フリーゾーンあるいは自由港を沖繩につくろうという考え方がきまったわけではございません。今後沖繩における企業をどうするかということについては、先ほど来いろいろの角度からお話がございましたが、今後も研究を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○林(百)委員 そうすると、フリーゾーン構想というのは、山中総務長官の個人的な見解であって、政府の共同に責任を持つ考え方としてはまだ打ち出されておらないのだ、それは山中長官個人の見解を当委員会において述べられたものと位署づけていい、こういうことですか。
○愛知国務大臣 結論としてはそうでございます。政府として決定するという段階には至っておらないわけでございます。同時に、これはよけいなことを申し上げるようでございますが、本土の中にも、ある港湾都市におきましては、フリーポート案というものも相当の権威ある形で一つの案として提唱しているというようなものもございますわけですから、一つの考え方としては私は検討に値するものだと思っておりますけれども、いま申しましたように、政府としてあるいは沖繩関係者の間に決定した考え方というところにはいっておりません。
○林(百)委員 外務大臣は傾聴する構想だと言いますけれども、これは山中構想によれば、このアイデアのもとは、香港、台湾の高雄、こういうところの構想だ。これは明らかに植民地的な、租界地域というか治外法権地域を新しく設けることになるのであって、われわれは、絶対にそういう構想を傾聴というようなことばで聞き入れるわけにはいかないと思います。そういう意味で、こういう外資のかけ込みが行なわれていることに対して、適切な措置を講じないために、こういうような非常に植民地的な構想が出てくるのであって、それはやはり外務大臣がいまアメリカ政府と交渉して、そういう外資が目立って最近一〇〇%会社として沖繩に進出してきているということに手を打たない、そういうことのために、同じ閣僚の中からこんな意見が出てくるのだ。これは決して傾聴に値する意見ではないとわれわれは考えているわけなんです。 そこで、先ほどの、これは川崎委員も聞かれておったのですけれども、地位協定の適用の問題なんですけれども、一九七二年までに地位協定が改定されないという保障もないわけなんですが、これは絶対現行地位協定は一九七二年までには改定しないのだ、だから本土並み協定が適用されるのだ、こう聞いていていいのですか、それとも地位協定については流動的、弾力的だから、一九七二年までに本土の地位協定が再検討される、場合によっては改定されるということもあり得るということなんですか。
○愛知国務大臣 この点、私の御説明がへたなためかもしれませんが、どうも正確に政府の立場を御理解いただいていないような感じがするのは非常に残念なんでありますけれども、たとえば、ほかの法律にいたしましても、あるいは政令にいたしましても、七二年某月某日に沖繩の返還の効力が発生したときに、そのときの法令が変更なしに適用されるというのが本土並みであると思います。ですから、現在、今日存在して施行されている他の法令にいたしましても、これが改善されて、七二年某月某日に存在しているとすれば、それがそのまま沖繩に適用される、それと同じでございまして、地位協定が改善されておれば、改善された姿で沖繩に適用される、何か沖繩返還にひっかけての御論議でありますと、沖繩にだけ——率直に申しますとこういうことだと思うのです。米軍の便宜によりよき便宜を与えるために何か政府は沖繩について地位協定の改悪をもくろんでいるのではないか、かようなお考えがどうも御質問の底にあるように思うのですが、さような考え方はわれわれに毛頭ございませんで、日本の本土におきましても地位協定というものは相当改善の余地がある、これは日本の国民の福祉のために、しかしそれにはなかなか検討を要する事項も多いから、これを改定し、そしてまとめるのにはかなりの日数がかかるであろうということは率直に認めざるを得ませんから、はたしてそういう地位協定の改善が間に合うかどうかということは、私は、見通しとしては、しかとは申し上げられない。しかし、仮定の問題ですが、よりよき地位協定というものができ上がって、改善されておれば、それが当然に沖繩に適用されるのが自然の姿であるし、それが政府の姿勢でございます。こう申し上げておるわけでありまして、返還にひっからんで何か地位協定を沖繩の人のためにならないような、あるいは米軍のために利益を倍するような地位協定を何かその改定にひっかけているのではないかということであれば、どうかひとつそういう誤解——私からいえば誤解なんですが、誤解は解いていただきたいと思います。
○林(百)委員 一方それは、愛知さんのほうからいわせればそういうようにお言いになるかもしれませんけれども、われわれのほうからいわせれば、愛知さんのいう地位協定がそのまま一九七二年の沖繩の返還の場合には本土並みに適用されるということは、これは政府とわれわれの立場は違いますけれども、かりに政府の立場に立って解釈しても、現行の地位協定が適用される。したがって、いま沖繩に進行しておる危険な核基地の可能性を持つ基地だとかあるいは現実には核基地があったり、本土には見られないようないろいろの態様の基地があるわけですけれども、きょうの愛知さんの答弁によると、そういうものを受け入れることを前提として地位協定を改定して、要するに一九七二年までに地位協定を本土において改定して、そして沖繩にちょうど適用するような地位協定にしておいて、さあ本土並み地位協定の適用だということをされるのじゃないか。これは野党の側とすればなかなか政府を信用するわけにはいきませんから、そういうことが考えられるわけなんです。だから一九七二年までに現行地位協定は改定しない。したがって現行地位協定がそのまま沖繩に適用されると言われるのか、あるいは流動的に考えて、一九七二年前に地位協定が改定されることもあり得る、それで改定されるとすれば当然一九七二年にはその改定された地位協定が適用されるのです、こうおっしゃるのか。その点をここではっきりと言っておいていただきたい。
○愛知国務大臣 ですから、アメリカ軍が沖繩の基地を現在に近いところであるいは本土よりももっと自由に使いたいという気持ちで地位協定の改定ということを望むであろう、こういうふうな御心配あるいは御発想からの御質問ですから、そういうことはございません。これはもう全然考えておりません。要するに本土においてもまだこれは十分検討されて利害得失がはっきりされないから、こういうふうに誤解を招くのかもしれませんけれども、われわれは地位協定というものを改定すれば共同使用とかいうようなことがもっと楽になるのではないかという発想で、そのほかにもいろいろ直したいことも実はあるわけでございますが、そういうものが改善されたならば当然それが沖繩に適用されるのだ、こう申し上げておるわけですから、これは沖繩返還あるいは沖繩の基地の態様と結びつけて地位協定というものを論ぜられるというのは政府としては全く考えてもない、痛くない腹を探られることでございますから、その点は御理解をいただきたい、こう申し上げておるわけであります。
○林(百)委員 それでは基地の問題についてもう少し突っ込んだ質問をしてみたいと思うのですけれども、愛知さんのいまの答弁は、地位協定に従って日米間の合意によって沖繩返還後沖繩の米軍基地についての使用の有無は決定されるのだ、こういうように解釈いたしましたが、そうすると、すでに沖繩にアメリカの基地があるからそれを既得権として存続するのではなくして、新たに地位協定に基づいて日米両国の合意によって使用が認められるのだ、そういうことになると、もし日本政府が同意できない基地があって、アメリカ側がその存続を希望したというような場合はどうなさいますか。
○愛知国務大臣 これは前々から申し上げておりますように、返還協定の問題、それから基地をどういうふうな——たとえて言えば、一番簡単な場合は、縮小ということばを使えば一番よろしいかと思うのです。縮小とか整理とかいうことについては別個の日米間の話し合いが必要だと考えておるわけです。したがって返還時において安保条約の各条項に従って日本側が提供する基地については、施設区域については地位協定がそのまま全部すっぽりとかぶるわけです。 そこでいまの御質問に入るわけですが、たとえばAならAという基地を日本側としては提供したくない、アメリカとしてはぜひ提供してもらいたいということがかりにあるとすれば、それは返還までの日米間の話し合いの中の問題だと思います。もしさような意見の食い違いがあります場合には、日本側としては努力を尽くして日本側の主張が通るようにする、こういうことにせざるを得ないと思います。
○林(百)委員 もう一、二点でやめたいと思います。 そこが問題なんですね。実は旧安保条約締結のときの岡崎・ラスク交換公文というのがあるんですね。これはもう外務大臣御存じだと思いますけれどもね。これによりますと、米軍が使用する個々の基地については平和条約発効後九十日以内に日米間で合意することにする。しかしその合意が成立しない場合はアメリカが占領時代に使用していた基地の使用を継続して許される。要するに合意によるけれども、合意ができなければそのまま継続するというような、こういう岡崎・ラスク交換公文があって、いずれにころんでもアメリカはそのときまでに使っている基地はそのまま使える。こういう交換公文があるんですから、だから私は念のためにあなたに聞いておるので、要するに日米の地位協定の合意ではなくて、日米両国の協議による合意を待つのだとおっしゃっていますけれども、ではこういう岡崎・ラスク交換公文のような、平和条約発効後九十日以内に日米間で合意することにするけれども、合意が成立しない場合は占領当時の米軍基地はそのままアメリカが使うことができるというような取りきめは、まさかなさらないと思いますけれども、その点ここではっきり言えますか。
○愛知国務大臣 いまおあげになりました交換公文は一九六〇年の安保改定のときになくなったわけでございます。したがって現在私がよく言っております安保条約関連取りきめそのまま変更なしにという中には入りません。したがいまして沖繩返還の話し合いのときには、そういうものができないように政府としては最善の努力をいたします。
○林(百)委員 それからこれは言うまでもないのですけれども、かりに一九七二年前に地位協定の改定があるような場合には、これは当然国会にかけて国会の承認を経ますか、どうしますか。
○愛知国務大臣 地位協定は当然国会の御承認を必要といたします。
○林(百)委員 あと一つの問題だけで終わりたいと思うのですが、愛知・マイヤー交換公文ですね。これは国会にかけなくてもいいのですか。国会の承認を経なくてもいいものなのでしょうか。それについて当事者であるあなたにひとつ聞きたいと思うのです。
○愛知国務大臣 これは両政府間の、これからこういうふうに作業を進めてまいりましょうという意味の申し合わせでございますから、これは国会の御承認は要らないものと政府としては考えております。同時にしかしその中で現に御審議を願っておりますような点について、日本としての立法事項については、当然国会の御審議を願っているわけでございます。
○林(百)委員 愛知・マイヤー交換公文に基づいてただいまわれわれが法律案を国会で審議するのですから、その基本である愛知・マイヤー交換公文、これは明らかに条約でありますし、それからどういう性格の条約かということは後に申しますけれども、これは民主的考え方からいえば当然国会の承認を要するものだと思うわけなんです。 その理由は、実は昭和三十九年三月十八日の当院の外務委員会で藤崎元条約局長は、条約——これは交換公文を含めての条約、要するに交換公文の場合であっても、「法律事項を含む条約」「予算または法律で認められている以上に国の財政負担をもたらすような条項を含む条約」、「法律事項または財政条項を含んでおらなくても、政治的な重要性があると認められるもの」は、これは行政権の範囲内で処理し得ないものだ、こういう意味のことを、これは佐藤前条約局長、藤崎元条約局長、いずれもそう言っているわけですね。ここにおいでですか。−この限りではあなたはいいことを言っていると思うのです。 そこで、この愛知・マイヤー交換公文を見ますと、これは第一に、佐藤・ニクソン共同声明に基づいて取りかわされているものであって、政治的に非常に重要性を持っている。しかもこの共同声明自体が国会の承認を得ておらない。これは日本の国の安全保障にとって、将来非常に重要な影響を及ぼすものですけれども、これ自体が承認を経ておりませんけれども、この重要な共同声明から端を発しておる。第二は、日米協議委員会の設置及び一九六五年の日米協議委員会の権限についての拡大が、愛知・マイヤー交換公文には明らかに規定されておるわけなんですね。「日米協議委員会の機能は、同協議委員会が復帰準備に対する全般的責任を負うものとしてここに拡大される。」これは言うまでもなく、この交換公文の中にあるわけなんです。それから第三には、この「協議委員会が策定する原則及び指針に従って」現地で日米両政府間の協議、調整を行なう準備委員会の設置とその任務をきめている。これは、いずれを見ましても、佐藤前条約局長あるいは藤崎元条約局長の解釈から申しましても、こういうものは当然国会の承認を経るべきものである。そうでありませんと、こうやって協議委員会の権限が拡大して、そして日米共同声明も国会にかけられない。愛知・マイヤー交換公文も国会にかけられない。それに基づいてつくられた、拡大された協議委員会も、何をするか、これも国会にかけられない。それを補佐する準備委員会も国会にかけられないということになると、沖繩の復帰問題は、全然国会の承認を経ずしてどんどん進行することができる。こういうことから私は、当然、愛知・マイヤー交換公文は国会の承認を要するべきものだ。しかもいま審議している臨時措置法案が成立しない以前でも、政府は、この二十四日にもう準備委員会を開こうとしているわけですね。そうすると、ますます愛知さんともあろう方が、国会を軽視するもはなはだしいといわざるを得ないわけなんです。すなわちこの重要な内容を持つ交換公文を国会にかけないということは、沖繩の復帰準備に関する一切のことが国会の承認を経ることなくして、国民の十分目の届かないところで進められることを意味しておる。政治的にはですよ。したがって、あらためて愛知・マイヤー交換公文は当然国会にかけるべきものだというように私たち考えるのですけれども、あなたともあろう人が、どうしてもっとちゃんとこれを国会にかけて承認を経るという手続をとらないのですか。
○愛知国務大臣 ただいま私、常識的に申し上げたわけですけれども、ひとつ新条約局長の井川君から御説明いたします。
○林(百)委員 私、こまかく聞きませんけれども、なぜこれを国会にかける必要はないかという、まずあなたの答弁をお聞きして、それから新条約局長に聞きます。
○愛知国務大臣 これはただいま申しましたように、両行政当局間で、これから沖繩の準備作業を進めるための機構を話し合いでつくって出発しようということを相互に確認し合ったものであって、これはもう行政上の手続の問題だと私は思います。 それから共同声明も国会の御承認を得る手続はいたしませんでしたけれども、沖繩の返還の問題につきましては、共同声明でも両国の立法府の支持を得て云々ということばが明確にありますし、協定はもちろん国会で十分御審議をいただきたい、当然これは国会の問題としておこるわけでございまして、共同声明の上で立法府の支持というは上院の議決事項にするかどうかということについてまだ確たる取りきめが、これは米国内部の問題でございますが、ありませんので、支持ということばを使われた、希望したわけであります。わがほうとしては、この支持というのは国会の承認を意味するもの、こういうふうなわけでございますから、共同声明の一番大切な返還の問題については、協定の成立について国会で十分御審議をいただきたい。 それからマイヤー大使との交換の書簡につきましても、日本側として立法事項と感じまする分については、今日もこうして御審議をいただいているわけでございますから、その辺のところを、政治的あるいは従来の慣行あるいは政府の見解というものについては御了解をいただきたいと思います。
○井川政府委員 藤崎、佐藤両条約局長が申し上げましたことはそのとおりでございます。 ただ、この協議委員会準備委員会につきましては、ただいま愛知大臣が申し上げましたとおり、全く行政権の範囲内でできることであると私ども考えております。 まず第一に、法律事項でございますけれども、この交換公文は法律事項を含んでおりません。と申しますのは、ただいまもとよりこの法案の御審議を願っているわけではございますけれども、この交換公文によりますると「委員会は、大使級の日本国政府代表及び」云々云々というふうになっておりまして、たとえば現在の外務公務員を日本国政府代表とすることもできるわけでございます。ただ俸給その他の関係からいたしまして、新しくこういう職を設けるほうが便利であり適当であるというのでこの法律案の御審議を願っているわけでございます。 なお、財政問題でございますけれども、財政自体はたいした問題はございませんけれども、この交換公文の二項の(4)でございますが、「両政府は、両政府の事前の承認に基づき、委員会の活動に要する共通費用を予算上資金が割り当てられることを条件として、」云々というふうになっておりまして、予算で割り当てることを条件としております。 政治的の問題でございますが、政治的には確かに、ことに佐藤・ニクソン共同声明はたいへんに重要なものでございますけれども、これは法律的意味で両国を拘束するものではない。両国首脳者の政策的意図の声明であるという意味からいたしまして、これも法律的拘束力を持っておりませんので、この国会の御審議の対象になるというわけではございません。 また、協議委員会準備委員会自身はいわゆる国際機関ではございませんで、この交換公文にも書いてございますように、「協議及び調整のため」の両国政府の話し合いの場所でございますので、いずれにいたしましても行政権の範囲内でできる措置であると考えております。
○林(百)委員 これで終わりますが、私が、愛知外務大臣ともあろう方がと言ったのは、こういう意味ですから……。外務大臣として重大な責任を国民に対して負っておられます、日本の国の安全の保障について重大な責務を負っておるあなただから、一そう国会の審議をすべてのことについて民主的に経るという心がまえを持つべき地位にあるのではないか、そういう意味でございます。 それから、条約局長については全く詭弁で、法律事項を含んでいないと言いながら、沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法案、現にこの法案を提案して国会の審議を経ておる。ですから法律事項を含んでいないというのは詭弁だと思います。 それから財政事項は、あなたも言われましたけれども、交換公文の二項の(4)は、経費の支出分担について取りきめてあるわけですね。額の多少は別にしても財政的な負担のことはここに記載されているわけです。 それから政治的な重要性については、まさに日米協議委員会が全責任を沖繩の復帰について持つという権限を拡大するという非常に重要な内容を含んでいる。こういう意味であなたのおっしゃることはおよそ先輩の言うことよりは非常に後退した非民主的な御意見だ、惜しむべきものだ、こういう意見を述べて私の質問を終わります。
○池田委員長 関連して、簡単に、川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 いま条約局長が国際的機関でない、こういうふうに言われたわけです。ところがこれは前回アメリカ局長にお尋ねをしたときには、高等弁務官、一地方の軍司令官が外交交渉権を持つのはおかしいじゃないか、そういう話をした。しかしこれは外交権を持つんだ、そして系統図としては国務省、アメリカ大使そして高等弁務官、こういうことで外交権を持つ機関だ、こう言ったわけです。そうしますと、協議、調整の話し合いの機関であるならば、主席を同じテーブルの上に乗せられないということはそこからは出てこない。これは同じテーブルの上に乗せられるわけでしょう。話し合う、協議をするというのであれば、大統領行政命令に従ったそういう統治形態ではなくなるわけです。であるならば、顧問という形でなくて、日本代表とアメリカ代表とそれから現地の代表ということで協議をし話し合うということであるならば、同じテーブルの上に同じ資格で話し合いに臨んで、国際的取りきめ機関でないならば、私はこれは何ら問題はないと思います。だからどうしてもこれは一つ同じテーブルの上に乗せる、こういう方向にいくべきだと思います。なぜそういうふうにしたのか。
○東郷政府委員 前回の私のお答えのお話が出ましたので、もう一ぺん御説明させていただきますが、この前申し上げました趣旨は、この返還の準備というのは、日米両政府の間で、沖繩県民あるいは琉球政府の意向も十分反映させつつ進めていくべきものであるということ、並びに現在の琉球政府は日米両政府と同じ性質の政府ではないというような事実から、これを諮問委員会の場合とは違いまして、これを三者全くそういう代表ということで並べるのは適当でない、したがってそのかわりにこれを顧問ということで出ていただく。しかし出ていただいた以上は、顧問として出席される琉球政府主席の活動を制約するものは何ものもない、この返還準備がこういう式の中で十分達成される、こういう趣旨を御説明したわけでございます。
○川崎(寛)委員 いや、それじゃいまの私の質問には答えていないのです。高等弁務官は外交権を持つんだ、こういうふうなことだったわけだけれども、しかしいまの条約局長の答弁からしますと、国際的な取りきめの機関でないんだ、だからきわめて特異な——特異なというか、施政権は返っていないが日本の領土内で話し合いをしていくわけです。協議し調整をするというのであるのでありますから、顧問の琉球政府主席が何がゆえに同じテーブルの上に同じ資格で着けないのか。十分に反映させるその意味はわかりますよ。十分に反映させることはわかるけれども、私が本会議の場合に質問いたしましたように、提案権はないわけです。だから善意で受けとめるということはわかる。しかしなぜ同じテーブルに同じ資格で着けないのか。協議をし調整するそういう機関である、国際取りきめの機関としてそこで決定する機関でないわけです。日米協議委員会に報告をし勧告をする、そうなるのですから、それならば取りきめの機関でない。であるならば、同じテーブルに同じ資格で着くこと自体何ら差しさわりはないはずだ。外務大臣、その点どうですか。
○愛知国務大臣 いろいろ言い方によって何かもたもたするようでございますけれども、要するにこの準備委員会というのは、日本国とアメリカ合衆国との指名した者が二国間の仕事を合議するための準備の機関でございますから、二国間の命を受けて、それぞれ行政府の命を受けて仕事をする場に出るものですから、やはり両国の代表者同士という意味では一つの外交機関というべきものかと私は考えるわけでございまして、それぞれ国と国を代表する立場の者が共通の目的に向って対等に話をしていくというところの場に、琉球政府行政主席という人がそこに委員としての資格を持って入るということはちょっとなじまないのではないかというようなことから、しかし沖繩の非常に大事なことにかんがみまして、実際上は、私もさっき常識的に申したのですけれども、協議をする機関でお互い三人で相談し合う機関というふうに運営していくということで、いわば法理論と実際論の一つの接点の妥協的考え方である、こういうふうに御理解いただければ、常識的に御理解いただけるのではないかと思います。とにかく世界歴史にもないような平和裏の領土の返還というものについての作業をやっていこうという、こういう特殊な場合の特殊のものでございますから、その辺のところはあまり法理論的に理詰めでいけない面もあるのではなかろうか。たいへん常識的な御説明で恐縮ですが、そういうふうに御理解願えればありがたいのではないかと思います。
○川崎(寛)委員 もう終わりますけれども、なじまないというのは、いまのような統治形態がなじまないのだ、もともと例のないような状態で統治形態が続けられているのですから。平和的というけれども、それは私も問題にしてきたことはありますけれども、ザールにしたってトリエステにしたって平和的に戦後領土問題の処理はしてきているわけです。だからこの沖繩のいろいろな二十数年間の統治を終えて施政権を返還させようという場合に、この二十数年間にあったいろいろな問題、それを内政的な面について準備委員会でこれから処理をしていこう、こういうのですから、なじまないとかそういうことではなくて、大臣が言う三人合議体のような形で運営していこうという、そこはよくわかりますよ。わかりますけれども、しかし同じテーブルに着けないというものではないはずなんだ。これ以上は質問しませんけれども、その点は繰り返しその準備委員会の運営という問題についてはひとつ考えてもらいたいということを申しまして、終わりたいと思います。
○池田委員長 他に質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 次回の委員会は来たる十九日木曜日開会することとし、本案の採決をいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時九分散会