運輸委員会海運に関する小委員会 第3号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1970/09/09
会議録
○加藤小委員長 これより運輸委員会海運に関する小委員会を開会いたします。 海運に関する件について調査を進めます。 大型専用船の海難に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します斉藤正男君。
○斉藤(正)小委員 過日の委員会に、大型専用船海難特別調査委員会中間報告書なるものの配付をいただきました。再三読んだわけでありますけれども、主としてこの中間報告書に関連をしてお尋ねいたしたいと思いますが、お尋ねに入る前に、この報告書の形態がまことにずさんであって、これが国会へ出される正式な文書かと思うと、まことに読みづらくて、内容は権威のあるものでしょうけれども、外観、形態が整っていないのに実は驚いたわけで、中間報告が出されて直ちに委員会ということで、お急ぎになった点はわかりますけれども、これを執筆したというか、コピーした人も六人ぐらいでやっておるようでございまして、まことにお粗末であったわけですけれども、一体こういう報告書というのはこんなものでいいのかどうなのか。私としては、どうも小委員会で配布される報告書としては全くの出したというだけであって、なんたるざまだというように思うのですけれども、事務局を担当しているのは船舶局ではないと思うのですけれども、運輸省としてどういうようにお考えになっておるか、質問に入る前にまず冒頭伺いたい。
○田坂説明員 ただいま先生からお話ございましたように、本件の事務局は私どもでございませんが、運輸省の職員の一人といたしましてお答え申したいと思います。 この資料は、委員会の事務局であります官房で原案としてつくられたもので、それが審議により委員会で一部訂正がございましてでき上がったものでございますが、内容が非常に多岐にわたりましたので、事務局といたしまして、それを急速にまとめるという必要性もございました関係で、形態が非常に複雑になっております点につきましては、お許しをいただきたいと思う次第でございます。
○斉藤(正)小委員 事務局でもない船舶局長に答弁をいただいて筋違いかと思いますけれども、ひとつ今後はよく気をつけて、内容、形態ともに権威のあるものをぜひ出していただきたいと要望をいたしておきます。 質問に入りますけれども、一読いたしまして感じた点を数点伺うわけですか、これも海難特別調査委員会がまとめられたものでございますから、局長に聞いたり、あるいは船舶局関係の皆さんに聞くことも筋違いかと思います。本来ならば委員の代表等にお尋ねをするべきかと思いますけれども、その点はひとつわかる範囲で運輸省の考え方としてお答えをいただければけっこうであります。 第一は、かりふおるにあ丸の航海履歴が報告をされております。この航海履歴によりますと、かりふおるにあ丸は四十年度に四往復、四十一年、四十二年度に七往復、四十三年度が十航海、四十四年度の第六次航海が最後であって、その途中で沈没をした、こういうことでありますけれども、その各航海の先は、あるいは北アメリカであったり、南アメリカであったり、あるいは西アフリカであったこともあるし、オーストラリアであったこともあるようでありますけれども、この四十三年度の十航海というのが、かなり激しいピストン輸送に従事をしたのではないかというように報告では受け取れるわけでありますけれども、もちろん船の航海でございますので、仕事が多ければ当然多く航海しなければならぬということで、事情はいろいろあると思うわけでありますが、四十一年、四十二年の七航海というのはわかるといたしましても、四十三年の十航海というのがかなり無理な航海ではなかったかというように思います。法律や規則にあるわけではございませんので、何回が適当だというようなことは規制できないにしても、一体この種の船の航海というようなものはどの程度が妥当なのか、普通なのか、運輸省としての見解をまず承りたいと思います。
○田坂説明員 かりふおるにあ丸の件につきまして御答弁申し上げますが、本船が計画造船の許可の時点で出されました輸送計画におきましては、北米、南米、南アフリカ等を入れまして八航海を予定して計画されて出ております。一方、先生のお話の四十三年度の航海は、北米、南米、豪州合わせまして十航海でございます。そこで、この航海距離を見ますと、四十三年度は計画の航海距離よりも約六%弱の増でございます。そこで、比較の問題になりますが、距離から申しますと、増加航海回数ほどの特別大きな増大ではございませんが、本来、運航におきましても、経験要素も非常に多うございますし、安全の面から十分な余裕を持った計画が立てられるのが私どもの期待でございます。大体計画のときには、航海スピード、航海連続馬力に加味いたしまして、シーマージンを加えまして計画は立てられておるものでございます。
○斉藤(正)小委員 そういたしますと、四十一年、四十二年等については建造計画当時のノルマ以下であって、四十三年の十航海というのが若干オーバーのように思うけれども、これはいろいろな条件からさして問題ではないというように解釈してよろしいかどうか。
○田坂説明員 四十一年、四十二年当初は完成後間もないことでございましたので、あるいはそういう条件も加味されて、その経験を加味されまして十分なゆとりをとり、また一方、それらの経験から、四十三年度はこれまでいけるというような感じで航海の実績が上がったのではないかと思いますが、先生のいま御指摘のとおり、特別問題はなかろうかと存じます。
○斉藤(正)小委員 そういたしますと、四十四年度で、四十五年の二月十日に第六次航海中遭難したわけでありますけれども、この四十四年度の二月十日第六次航海が最後であったということからいきますと、四十四年度というのは、一体何航海するつもりであったでありましょうか。おわかりならひとつ教えていただきたいと思います。
○田坂説明員 計画につきましては明らかになっておりませんが、従来の実績等から考えまして、あと一回あるいは二回、七回から八回の運航ができたのではないかと考えられます。
○斉藤(正)小委員 事実をお尋ねしているだけでございますので、四十年度の四航海、さらに四十一、四十二、四十三、四十四それぞれの年度の航海がありますけれども、日本とどこを往復したかということは、ひとつ年度別、航海別に後ほど資料でお知らせをいただきたいと思います。 二番目の質問を行ないます。検査経歴がやはり出ておるわけであります。四十一年八月、四十二年八月、四十三年五月、四十四年四月というように第二種中間検査が四回行なわれております。毎年中間検査を行なったわけであります。この間、四十二年十一月に第一種の中間検査が行なわれ、四十四年七月に定期検査が行なわれております。この中で注目すべきは、国際満載喫水線条約の改正に伴い、四十二年十一月の第一種中間検査、四十三年五月の第二種中間検査時に、増トンに必要な内部補強工事を実施している、こういうことが報告されております。この増トンに必要な内部補強工事とは一体どういうものであったのか、私しろうとでございますから、むずかしいことを言われると後々質問に困りますので、ひとつわかるようにお知らせください。
○田坂説明員 まず最初に、先生から資料の御要求がありました点につきましては、後ほど資料を調製いたしましてお届けいたしたいと存じます。 ただいまの増トン工事の件でございますが、本来満載喫水線は、形状から出される喫水と、それから強度から出される喫水がございまして、この両者の小さいものが満載喫水線として定められております。今回の増トン工事は、形状から出ます喫水が条約の変更によりましてふやされるということになりましたので、一方、その深くなりました分に相当いたします強度上の補強をしたものでございます。約百三十トンの鋼材を投入いたしまして、けた材、バラストタンク内の補強あるいはデッキの補強、二重張りというような、約八項目にわたります改造をいたしております。
○斉藤(正)小委員 そういたしますと、この際の内部補強工事というのは、そのいま言われました国際満載喫水線条約の改正に伴って、これに適合するような補強をやったということであって、かりふおるにあ丸本来の構造に欠陥があってやったものではない、あくまでも条約の改正に伴ってやったものだというように解釈してよろしいか。
○田坂説明員 御指摘のとおりでございます。
○斉藤(正)小委員 次に、船側バラストタンク内の衰耗ということで、四十四年七月の定期検査の際、船側バラストタンクのうち、右舷一、三、五番、左舷二、四番タンクのトランスリングのウェブにについて、その板厚を計測した結果が別紙十一ということで報告されております。いろいろ専門家らしき人々にも聞いてみましたけれども、われわれでは全く知識がなくてわかりません。図表で明らかにされておるわけでありますが、この別紙十一として報告されている衰耗の度合いというものは、運輸省が考えて適法なものであったのかどうか、この程度の衰耗ならば差しつかえないということであったのかどうなのか、専門的な立場から伺いたいわけであります。
○田坂説明員 衰耗限度につきましては、海事協会におきましても、さび等によりまして厚さが減ってきますと、ある程度減りますとそれを取りかえを要求する限度がございます。それとの対比を申し上げますと、四十四年七月に見ましたときの衰耗は平均約一・一ミリでございまして、海事協会の衰耗限度は二・五ミリでございますので、まだ十分な余裕が平均的にはあったということでございます。
○斉藤(正)小委員 もう一度伺いたいのですけれども、このときの検査での平均衰耗が幾らであって、NKの基準は幾らなのか、もう一ぺん数字を教えてください。
○田坂説明員 この調査のときの平均衰耗は一・一ミリでございまして、海事協会の衰耗限度は二・五ミリでございます。
○斉藤(正)小委員 これはそれぞれ右舷一、三、五番、左舷二、四番を計測した結果で、平均が一・一ミリということですけれども、海事協会の規定といったものの二・五ミリというのも、やはり平均をいわれるのか、あるいは部分的であってもこれ以上の衰耗はいけないというのか。同時に、このときの一・一ミリというのは平均である。最も衰耗した部分でどの程度あったのか、ひとつその二点についてお尋ねします。
○田坂説明員 衰耗限度につきましては、激しいものの平均の数字でございます。一方かりふおるにあ丸の最大の衰耗は二ミリでございました。
○斉藤(正)小委員 このNKの基準は平均で二・五ミリ以下ならばよろしいということに対して、かりふおるにあ丸のそれは一番ひどいもので二・〇ミリであった、したがって合格である。こういうことのようでありますけれども、そのNKの基準二・五ミリというのは、平均は二・五ミリだけれども、やはり最低最高の限度があるんじゃないかと思うのですけれども、それはございませんか。
○田坂説明員 ただいま先生の御指摘のように、特に激しいものにつきましては、またそのときの技術的判断によりまして修繕を行なうということでございます。
○斉藤(正)小委員 また和田先生にでもあとから聞いてみないとどうもわかりませんので、保留をいたして次へ進みます。 最終航海における喫水について問題が指摘をされております。「ロスアンゼルスで積載した鉱石量からみると、冬期満載喫水線をこえる喫水であったと計算される。」と報告書は断定をいたしております。最終航海の航路は北緯三十五度、冬期帯域の南方境界線というような説明もついておりますが、この北緯三十五度と北緯四十一度線との間の海域を通っていると推定がされております。しかし、ここで注目すべきは、鉱石の満載量が事故発生の一因と受け取られるかのような報告書になっているわけであります。しかし、ここで注といたしまして、「このことと海難発生との関係は現在のところ明らかでない。」というような逃げは打っておりますけれども、これまたしろうとの判断でありますけれども、私どもが報告書を拝見した感じでは、ロスアンゼルスで積載した鉱石量が冬期満載喫水線を越える喫水であったということがいわれておるわけで、注のほうでいま申し上げましたようなことをいっておりますから、断定したとはいえませんけれども、本報告書は中間報告でありますから当然かとも思いますが、この点がかなりというよりも、一番はっきり報告をされているように思うのです。ほかの点はだいぶぼやけておりますけれども、この点はかなりはっきり書いてあるように私は受け取ったわけですが、そういう受け取り方は早計であるのか、その点の見解はいかがでございましょう。
○田坂説明員 中間報告は、気象・海象、運航、船体強度につきまして、一応そのときに得られました資料を客観的に羅列いたしたものが主体になっております。そこで、このかりふおるにあ丸が通過いたした航路あるいは積載いたしました貨物の重量、これらにつきましてはそれぞれ確認されておりますので、あるいは明らかになっておりますので、その点が非常に強調されたように先生方におとりいただいたのかもしれませんが、客観的に事実の羅列をいたし、それらのうち、対処すべきことあるいは明らかになった面につきましては明らかな対策を講ずるというふうなことでございます。 一方、満載喫水線条約は、船体の安全、耐航性並びに強度を考えてできたものでございますので、この条約以上の積み荷——条約をいたしました場合に、これらが一つの強度に関連いたしましてある程度影響を与えたということはいなめないと存じます。
○斉藤(正)小委員 また後ほどお尋ねすることにいたしますが、遭難前に発見された損傷についてやはり報告がございます。二月十日の沈没前に、二月合の点検——この二月八日の時点というのは、たぶん二月二日、二月六日等にかなりな大しけにあっておるわけでありますけれども、この二月八日の点検で船首楼付近の損傷が報告をされております。これは当然かりふおるにあ丸から無電等で報告があったものを記録としてとどめていたものであろうと思うわけでありますが、この種の損傷というのは、普通航海でしばしば発生するものであるのかどうなのか。また、この程度の損傷は、荒天時のあの程度の船の場合の航海において発生した場合、どのような航海上の支障になるものであるのかどうなのか。そしてまた、この二月八日時点での損傷は、沈没前の九日の直接かりふおるにあ丸が遭難をしたこととの関係において、どの程度のダメージであったのかどうなのか。これもまたきわめて常識的なお答えをいただけばいいわけでありますけれども、お尋ねをいたします。
○田坂説明員 荒天航海におきまして、波の打ち込みによりまして船首楼が損傷をいたすという例はまれではございませんが、これらの波浪外力等が船体に及ぼします影響度は、船体、波浪あるいは操船の相関関係によって左右されるものでございますので、損傷例から、相当な強度といいますか、外力が船体に加わったと考えられます。一方、この損傷の以外に報告が参っておりませんので、このような相当の外力によりましてそれ以外のところに損傷があったかどうかにつきましては、現在確認できないことでございますが、今後この外力等を推定いたしまして、想定される損傷が起こり得たかどうかという検討を進めたいと存じております。 また、この損傷が船体の強度に影響をしたかどうかというお問いかと存じますが、船体の一部の破損でございますので相当の影響はあったと考えられますが、これらにつきましても、今後さらに検討を船体部会において続けたいと考えております。
○斉藤(正)小委員 この二月八日段階の損傷につきましては、報告書を見ますと、私どもでも、よくわかりませんけれども、あらわれた現象としてはさしたるものではない。直接航海に支障を来たすというような損傷でなかったことはもちろんでありますけれども、船首楼付近にあらわれる損傷というようなものが、かなりの外部からの力によって加えられたものが集積して、ということばが当たるかどうか知りませんが、船首楼付近に出た。直接それが船首楼に与えられた力でなくて、ほかの部分に加わった力が船首楼に出てきたというような解釈もあるようでありますけれども、いま局長の答弁によりますれば、まれなことではない、よくあることだ、しかし、相当な外力が加わってああいう現象が出たものであるというようにお答えをいただいたわけでありますけれども、外力がどこへ加わったかというようなことは別として、加わってきたものである。したがって、二月二日なりあるいは二月六日なりの荒天候、これを乗り切ろうとしたかりふおるにあ丸の苦闘といったようなものについて想像できるというように解釈してよろしいのかどうか。
○田坂説明員 中間報告の付属資料にも出ておりますが、二月六日におきましては相当の苦闘をしてこの荒天を乗り切ったというふうに考えられます。二月二日につきましては、詳細な航海のその苦闘の状況はあらわれておりません。
○斉藤(正)小委員 次に、船体の状況について伺いたいと思うわけですが、その第一点は、主要構造部材の寸法がNKの構造基準に適合して建造されているということ。二番目に、衰耗については、衰耗量はやはりNKの取りかえ基準に対し、かりふおるにあ丸のそれは一・一ミリであり、基準の平均衰耗量二・五ミリ以下であった。先ほど衰耗につきましてはそれぞれの船倉についてお話がありましたので、理解をいたすところでありますけれども、建造当時の主要構造部材も構造基準に適合しておったし、バラストタンク内の上部構造の平均衰耗量も基準以下と断定をし、こういうことになってきますと、構造部材についても問題はない、衰耗についても問題はないということになってくると、ほかにやはり理由があって遭難をしたのだ、こういうようにもとれるわけでありますが、この点は、主要構造部材の適合、衰耗の適合というようなことから考えて、ほかに原因を求める。もちろん一つや二つではない、いろいろな条件が重なってああした事故になったことはわかりますけれども、少なくも主要構造部材とかあるいは衰耗量は適合であったというように解釈すべきなのかどうなのか、確認をいたしたい。
○田坂説明員 かりふおるにあ丸の構造につきましては、海事協会のルールの適合性につきまして見直しまして、それには十分適合いたしておる。一方、ロイドあるいはABのルールも照合いたしまして、特別のといいますか、十分な適合をしていることを確認いたしております。 一方、海事協会の規則は、従来からも技術委員会におきまして常時検討されておりますので、今後この損傷も一つの資料といたしまして、あわせて今後の検討をいたしていきたいと考えております。
○斉藤(正)小委員 最後に伺いたい点は、ぼりばあ丸の沈没という事件から、造船技術審議会は当時運輸大臣に対しまして建議をいたしております。ぼりばあ丸の沈没が四十四年一月五日でございましたが、四十四年九月十九日に、造船技術審議会の委員長から当時の運輸大臣に建議書が出されておるわけでありますが、一々申し上げませんけれども、今回の調査会の中間報告書、さらに本報告に盛られるであろうと思われるようなことが実は一年前に建議をされておるわけでありまして、この一年間に運輸省は何をしていたのだろうか。当然打つべきことは打つ手があったはずだというようにも思われるわけでございまして、たとえばその建議書の一番に設計段階のことが書いてございます。「設計にあたっては、政府または船級協会の基準に適合させることは当然であるが、特に新しい構造の船舶であって基準に定められていないものについては、十分な航行実績を得るまでは精度の高い計算を行なう等して、合理的な設計を行なうよう全般にわたり慎重な配慮をする必要がある。」もちろん、このときもかりふおるにあ丸は設計段階ではないわけですから、この一番がストレートでかりふおるにあ丸に適当するとは私も申し上げません。しかし、やはりその三番に、「建造にあたっては、工作精度向上のため、品質管理、工程管理の徹底に努めるほか、設備の改善、検査装置の開発について一層努力するとともに、操業度についても再検討する必要がある。」というようなことも申しておるわけであります。さらにまた、その四番には、「船舶の運航は、いかなる場合においてもその性能に適応したものとする必要がある。このため船舶の性能に応じて、適切な運航計画の策定、運航マニアルの充実および活用ならびに乗組員の船舶および機器等に対する習熟度の向上を図る必要がある。」こういうようなことも明らかにされておるわけでありまして、この建議書が四十四年九月十九日に出されているということになりますれば、どうもやはり今度の事故、さらに事故発生に伴う中間報告書といったようなものが、いたずらに報告なり建議を重ねていって終わってしまうのじゃないか。すでに造船技術審議会が昨年答申をされたものが十分答申の効果をあげていないじゃないかというようにも私は思うわけであります。もちろん、このことがすぐかりふおるにあ丸の遭難につながるものでないことは承知をいたしておりますけれども、どのように一体この造船技術審議会の建議を理解され、またその建議の趣旨を実践されたのか、あるいはされようとしておったのか、伺いたいと思います。
○田坂説明員 四十四年九月の造船技術審議会の建議に基づきまして、直ちに各種の処置がとられておりますが、まず先生の御指摘の一番最後の品質管理あるいは精度向上につきましては、事務次官並びに船舶局長からの指示を日本造船工業会にいたしまして、日本造船工業会から、この品質管理とあわせました精度向上につきましては、鋭意その対策を実施いたしますという返答を得ております。一方、合理的な設計、強度計算上の精密化等、学術的な要素を含みますものにつきましては、船舶局、海事協会、造船研究協会、船舶技術研究所、それぞれの分野におきまして直ちに予算措置あるいは補助金等の対策を講じまして、四十四年あるいは今年度からそれぞれの項目につきまして実質的に進めております。 たとえば強度計算の精度の向上につきましては、昨年、四十四年度から直ちに機構をつくりまして、大体二年半で有限要素法を適用した強度計算の開発をいたすような手当ても講じておりますし、一方、船舶研究所におきましては、実船計測あるいは模型試験、そういうものの準備あるいは実施も進んでおります。今年十二月には、船舶技術研究所におきまして構造模型の第一回の大型模型の破壊試験も行なわれるような段階になっておる次第でございます。 そういうことでございますので、建議をいただきましたことにつきましては、直ちに私どものほうで最大の努力をいたしておる所存でございます。
○斉藤(正)小委員 理解いたしました。 なお最後に、救命設備等について、この建議書にも出ておるし、今度の中間報告にも出ておるわけでありますけれども、先ほどお尋ねいたしましたような数点につきましては、金も要ることだし、時間もかかることだ、こういうように思います。その金も用意をしたし、事実研究も試験も進んでおるということで、建議の趣旨は十分生かしているということで理解をするものでありますけれども、この救命設備等についても当然整備は行なわれておるのですが、報告書を見ますと、短艇訓練等について、あの荒天の中で短艇がどれだけ役立つか、海難防止のためにウエートがどうであるかということ、私もそう重視をするものではありません。もちろん短艇訓練等をやらなくてもいいということじゃありませんけれども、これもまた造船技術審議会の建議書にもあるのに、また今度の中間報告書でもるる書いております。きわめて不十分だという結論が出ているのであります。このことも、大洋で、しかも大型船が荒天の中でというようなときの問題と直接どういう関係になるかということもありましょうけれども、やはりこれは金はなくとも何はなくともできることであります。こういうことを繰り返し報告をしなければならぬというようなこともいかがかと思うわけであります。 いずれにいたしましても、この中間報告書を一読いたしますと、本物がどういう形で出てくるかわかるような気がいたすわけであります。それは思い過ごしであり、邪推だと言われればそれまででありますけれども、やはり結論として言えることは、いろいろな条件が重なっての事故であるので、原因の究明は、船体沈没した今日不明な点が多い。今後、あらゆる面で各項目が羅列されておりますけれども、努力しなければならぬというようなことで終わりはしないかということを心配をするわけであります。それはそれで、権威のある委員の諸君が十分時間をかけ調査をした結果のものであるから、しかたがないじゃないかというようにも解釈できるかもしれません。しかし、私は、何といいましても続けて起こった海難事故でありますので、この点は徹底的にやはり悪条件を排除する中で、科学性のある、権威のある報告書にしていただきたいというように思うわけであります。冒頭申し上げましたように、このことは、船舶局長を追及してもどうにもならない問題でもありますけれども、この辺の局の臨み方について最終的にどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
○田坂説明員 先生御指摘のように、このような大型の海難は、いろいろの要素が複合して起こるのが大体の通例でございます。そこで、あらゆる条件を具体的に、また客観的に極力抽出いたしましたのが中間報告であります。これらの資料あるいは今後の研究等を合わせまして、できる限り今後の船舶の安全確保上必要な事項あるいは必要な資料を得るためも合わせまして、真摯にまた公平な立場から原因の究明に当たりたいと思います。
○斉藤(正)小委員 終わります。
○加藤小委員長 和田春生君。
○和田(春)小委員 この大型専用船の海難特別調査委員会の中間報告等につきまして、その後にもいろいろと検討さしていただいているわけでありまして、印刷は大いに粗雑で、先ほど斉藤委員の指摘をしたようなこともありますけれども、内容的には努力をされたあとの見られる点もあるわけです。しかし、どう読んでみてもふに落ちない。特に一番肝心の船体部会の作業内容と、どういうことを調査し、どういうふうに進んでいるのかというような問題につきましては、この中間報告で見る限りほとんど雲をつかむような感じなんです。 そういう点もあるものですから、前回の委員会においては、やはり委員会の責任者からはっきりしたことをお聞きするほうがいいというふうに考えまして、会長を参考人として呼ぶことをお願いして、また今回においては、特に船体部会長を参考人として呼ぶことをお願いいたしました。ところが、いずれの場合も日程等の都合でやりくりがつかないという形で、御出席をいただいていないわけであります。政府の外部の人ですから、あまりせんさくをして強制するわけにもいかないと思いますけれども、これだけの重要な問題で報告を出しながら、国会で参考人としておいでを願いたいということについて、なかなかおいでが願えないという点について、運輸省の担当事務局で、国会で参考人が来て説明することは不都合であるというふうに感じて、できるだけ出ないようにしているということはございませんか。
○田坂説明員 船体部会の委員長の寺沢先生は非常に斯界の権威でございますので、いろいろの面にいろいろな要職をお持ちでございます。また御住所が大阪というふうな条件もございまして、早急な非常に余裕のない時間の御要求になかなか応じられなかったといいますか、予定が詰まっておったということでございまして、私どももできればぜひ今日の委員会に出席願うように再三努力したものでございまして、先生のおっしゃるような御心配はないと申しますか、そういう点はございません。
○和田(春)小委員 それではその点、そのとおりに伺いまして、いろいろな都合で見えられないとするなら、船舶局長が、船体部会の作業内容等につきまして、部会長が来ておられませんけれども、ある程度責任を持ってお答えを願えるわけですか、どうですか。
○田坂説明員 さよういたしたいと思います。
○和田(春)小委員 それを前提にしてお伺いいたしたいと思いますけれども、この中間報告では、総点検結果等をも分析したような表現になっておりますけれども、かりふおるにあ丸について、遭難以前の検査歴、検査のときに発見された損傷歴、増トン工事は別として、どういう補修をしたという経歴、これを遭難前までについて全部お調べになっておるかどうかをお伺いしたいと思います。
○田坂説明員 調査いたしております。
○和田(春)小委員 それでは総点検をいたしました結果、いろいろな問題点が出てきていると思うのですけれども、現在無事で動いている船舶で総点検対象になった船舶が、総点検が行なわれるまでのいま言ったような検査、損傷補修等の経歴と、それから総点検後に発見されたいろいろな問題点というものの比較対照、突き合わせば行なわれたでしょうか。
○田坂説明員 総点検の対象船につきまして、現在総点検時並びにその以前の損傷の内容につきまして調査し、現在集計中でございます。
○和田(春)小委員 かりふおるにあ丸はたいへん不幸にして沈没をしてしまったわけでございますから、沈没当時に船の状況がどうであったかということについては、なかなか正確に知ることができないわけであります。ところが、類似船あるいは同じころにつくられた船、こういうものについて総点検前にもいずれも検査が行なわれ、問題点は補修されているわけでありますから、それが記録として残っているはずです。そこへかりふおるにあ丸の事件が起きて総点検をした。総点検をしました結果、予想外にいろいろな問題が出てまいりました。そして補強工事やら補修がいろいろ行なわれた。そういう点については運輸省もイニシアチブをとられたわけですね。そういたしますと、総点検をする前の検査ないしはドックにおけるチェックで発見されたことと、事故が起きてこれはたいへんだといって入念にやったというものの間には、かなり大きな差があるわけなんです。そうすると、沈没したかりふおるにあ丸の場合には総点検されてないわけです。沈んじゃったわけですけれども、その沈没以前の検査なりあるいは損傷なり補修なりの経歴というものと、類似船とを突き合わせてみる、そして残っている船の総点検結果というものと突き合わせると、おそらくかりふおるにあ丸にもこの種の問題が幾つかあったのではなかろうか、そういう類推ができると思うのです。そういうのが、沈んでしまって引き揚げることのできない船を調べる場合には、私は、非常に科学的な方法といいますか、類推をしていくために必要な手段だと思うのですけれども、報告によりますと、船体部会は四回ワーキンググループを六回開いているわけですが、その中で、そういう論点について議論をされる、あるいは調べていこうという方向が打ち出されておるかどうかをお伺いしたいと思います。
○田坂説明員 まず、総点検の結果の概略的な考え方でございますが、総点検におきまして明らかになりましたことは、一部にクラック等の小さな損傷が——一部といいますか相当部分にあった。それから一方、接岸によります損傷につきまして、外部の外板の凹損がひどくないのに、内部の構造は相当にいたんでいる。それから一方、バラストタンク等の塗装の行なわれていない部分、これらの衰耗が意外に早かったというようなことでございまして、これにつきましてさらにあわせて補強をやっておりますが、これらにつきましては念には念を入れるという趣旨が大きなものでございます。 一方、かりふおるにあ丸につきましては、先生の御指摘のような検討は、本船は四十四年七月にぼりばあ丸の事故の以後定期検査を迎えておりまして、このときに、総点検で行なわれましたと同等の足場を組み、あるいは照明をしというふうな総点検同等の点検を行なっております。 〔小委員長退席、菅波小委員長代理着席〕 これらの点検状況を総点検船と対比いたしまして検討をいたしておる次第でございます。
○和田(春)小委員 この前もその点は質問したのですけれども、かりふおるにあ丸の事件が起きてからの総点検と、その前における検査時の点検というものの内容は、これは幾ら船舶局長が強弁されましても、明らかに内容に差があるのですよ。これはもう現場の検査官なり造船所の技師なり立ち会った者を呼んできて、はっきりどの程度やったかということを言わせればわかるわけなんで、かりふおるにあ丸の事故が起きてから後にやったことと起きる前のことが同等であったというのは、それはたいへんな形式論にすぎないと私は思うのですよ。やっぱり気がまえが違う。 そこで、総点検の結果いろいろあるのですけれども、私のほうは政府のように行政権力を持っておりませんから、資料を提出をしてくれないとどうにもならぬわけですけれども、提出をされた資料あるいは現場の点検結果報告というものを集めていろいろ分析をしているわけなんですが、鉱石専用船、これは調査の対象になりましたのは十七次船から二十四次船まででございますが、総点検隻数三十九隻のうち、資料を提出されたものが三十五隻、そのうち補強工事を施工済みのものが十隻、こういうふうになっているわけですけれども、その内容を私のほうで一これは提出された報告なんですから、実際それよりもっと多いかもわからぬですね。それだけでも損傷件数が四千九百六十六件、川船平均で百四十二件になっておる。それから補修工事の件数が一万三千百四十件、一船当たり平均三百七十五件になっている。それから補強工事の件数が七千百八十九件、一船たり二百五件という異常に大きな数字になっているわけなんです。同様に十七次から二十四次までのうちで、鉱油との兼用船になりますと、損傷件数は一船当たり六十五件、補修工事が百四十件という形で、たいへん少ない。三分の一程度である。これは私どもで集めた資料なんですが、実際はこれよりもっと多いんじゃないかと思うのです。その損傷の分布につきましても、損傷の中で、いわゆる座屈、バックリングが千八百四十五件、それからクラックが三千百二十一件、こういう形になっているわけでありまして、これまた鉱油との兼用船と比べますとたいへんに多いわけなんです。 〔菅波小委員長代理退席、小委員長着席〕 相当鉱石専用船には問題があったのではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、そういう点船体部会においていろいろと追及をし、分析をされたかどうか、お伺いをしたいと思います。
○田坂説明員 ただいま先生から御指摘のありました点につきましては、両者の対比は現在分析を進めております段階でございますが、確かにそういう実態は出ておるかと存じます。一方、私どものほうにおきましては、損傷あるいは欠陥の程度をもう少し上のほうにとりましてやっておりますので、件数は比較的少なく、両者の比較におきましては大体同じようなレベルで下がっておりますけれども、件数は先生のおっしゃるように比較的少なく見ておるわけであります。 なお、それらの損傷が少ないあるいはないということが望ましいことはもちろんでございますので、これらの点につきまして今後損傷を少なくするという点につきましても、あわせて検討を進めておる次第でございます。
○和田(春)小委員 私どものほうは、これは主として船舶からの報告なんでございまして、さっき言ったように、ないことをやったとはしていないと思うのですね。むしろそれ以外にあるんではないかと思っておる。そういう中で、損傷個所が一隻当たりどれくらいかということを造船年次別に調べてみますと、やはり私たちの予想どおり、総点検の結果では二十次、二十一次船が非常に多いわけなんです。 それから、それに対してこれは使用した鋼材のトン数が報告をされておりませんので、実際どれくらいの量が使用されたかということはわかりませんが、少なくとも新しく鋼材を補強して補修をしたという個所、これはいまあるところ、はつって溶接したというところを除きまして、新しくダブリングをやるとかあるいは鋼材を入れるとかいうような形で補修をした件数は、二十次、二十一次がそれぞれ一隻当たり、二十次の場合に八百四十三件、二十一次の場合に七百八十八件。ところが、二十二次になりますと、それが四十件ぐらいに減っている。二十三次がちょっと多いのですが、それでも二百件くらい。二十四次は新しいですからほとんど問題がない。二十次の前の十九次になりますと二百七十件くらいということで、二十次と二十一次が鋼材を使用して補修をしたという件数が異常に多いということが、総点検の結果私どものほうでは資料で出てきたわけですけれども、そういう点は船体部会の検討の結果でもあらわれたでしょうか。
○田坂説明員 先生のおっしゃるのと同じような状況があらわれております。これに対します判断につきましては、できました時点と、それから定期検査の時期を過ぎておるか過ぎておらないかというような関連、定期検査のときに十分な修理といいますか相当な修理が行なわれたあとの総点検か、あるいは定期検査の前の総点検か、そういうふうな関係もございますので、特別何次船、何次船というふうな各次船の特異な現象であるかどうかにつきましては、今後の検討が必要かと考えられます。
○和田(春)小委員 確かに今後の検討が必要だと思いますけれども、いずれにしても、二十次と二十一次にそれが集中しておって、前後は非常に低くなっている。グラフに引いてみますと、二十次と二十一次のところががぼっと飛び出しているということは、損傷の件数においても補修の件数においても出ているわけなんです。どう判断するかという判断の問題は別としまして、やはりこれはわれわれとして見ると異常ではないかと思うわけです。目下その点の点検が進められているということでございますが、これからあとに質問をする問題も含めまして、そういう総点検結果をこまかく分析したデータというものを公表をされる用意があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○田坂説明員 全体的な傾向あるいは細部につきましても公表をいたす考えでおりますが、いろいろの関連がございますので、船名は公表できないのじゃないかと考えております。
○和田(春)小委員 そこまで一般に知らせてもらうということは無理かもわかりませんけれども、こういう点はやはり公表してあらゆる角度から検討をして、NKのルールのまずい点があるならば直すべきは直す、今後の設計において必要なものは取り入れていくという謙虚な態度が必要であると思うのですが、いままでの調査特別委員会の作業内容を見ますと、そういう点はひた隠しに隠されているという印象が非常に強くて、われわれ必要な資料もなかなかとれないのです。あの手この手を回して苦労しないと集まらないというのがいままでの傾向で、どうも運輸省はそういう点たいへん閉鎖的といいますか、秘密主義の傾向が強いと思うのですが、今後は調査の過程でも、われわれが必要とする場合には資料等の提示に応じていただけますか。
○田坂説明員 先生のおっしゃるように、極力資料の提出につきましては御要求のあったものについて公表あるいは御提出いたしたいと存じますが、委員会の先生方の御了解を得る必要があるものにつきましては御了解を得て、得られたものにつきましてお出しする、そういうふうに考えております。
○和田(春)小委員 それは返事にならぬので、それだったら了解をしなかったら全然何も出てこないということになるわけで、それでははなはだ困るわけです。そのために最初に、委員会の会長なり副会長なりお見えになりませんけれども、責任持って御答弁願えますかとお伺いしたところ、ある程度そういうつもりで答弁するということなんで、あなたを委員会の代表のつもりで聞いているわけですから、もう少しはっきりしてください。
○田坂説明員 この委員会の資料、海難特別委員会の資料でございますので、私一人で御返事できるものでもございませんが、私どもの関連いたします分につきましてはできるだけ出したいと存じます。また今後、運輸省の中で先生の御意見を反映いたしまして、関係の局とも話し合いをいたしたいと考えます。
○和田(春)小委員 ここでこれ以上この問題をやりとりしましてもなかなからちがあかぬと思いますので、委員会ないしは委員会外でも、われわれが検討したいときに資料要求しますので、それにはできるだけ応じていただきたいと思います。 また質問を本題に戻しますけれども、先ほどいろいろあげましたが、この鉱石専用船について私どもの調べた限りにおきましては、運輸省があのかりふおるにあ丸の事故が起きてから総点検のときに、船首部に重点を置いてやれという指示を出されました。それは総点検の結果においても、その指示はある程度正しかったということが裏づけられているようであります。大体船長を四つに割りますと、船首部の四分の一のところにたいへん集中している。それからもう一つわかったことは、総点検の結果、船体の深さを三等分しまして上層、中層、下層と分けますと、大体三等分された下層部に半分くらいいろんな損傷が集中しているということもわかってまいりました。それから、これはアフターエンジンの船で構造がそうなっているのですが、エンジンの前のバルクヘッドからあとは主として横構造になっている。専用船はそれから前は縦構造といったような形になっている。その場合に、その横構造と縦構造とのつけ根の付近にもかなり問題があるのではないかという傾向がうかがわれたわけですが、そういう問題もいままでに船体部会の中で議論をされたことがあるでしょうか。
○田坂説明員 船首部一五%、船底部あるいはエンジンルームの後部、これらのところは、それぞれ船体前部につきましては剪断力、船底部につきましては縦曲げモーメントの応力、あるいは後部につきましては、船体のといいますか、機関の振動による応力、それぞれ原因がございまして、損傷は比較的多いのではないかということ、これは従来からもわかっておることでございます。そこで、これらにつきましては、海事協会で従前からこれらの対策につきましては検討が進められておる点でございます。 なお、総点検等におきまして船体前部に努力を集中いたしましたのは、かりふおるにあ丸あるいはぼりばあ丸、これらの船が前部の損傷によって船体の喪失を来たしたということでございますので、特別に前部の欠陥についての検討を行なったわけでございまして、前部、船底部、後部のいろいろの損傷につきましては、従来からわかっておったことでございます。わかっておったといいますか、検討が続けられておったことでございます。
○和田(春)小委員 従来から多少いわれておったというようなことが、総点検の結果非常に特徴的にあらわれてきているように思うのです。この点につきましても、調査委員会でいろいろ分析をされ、出ましたら、いまはまだ作業の途中だそうでございますが、後ほどそういう資料なりそれに対する所見なりもお伺いをいたしたい、こういうふうに考えるわけですが、これらの私どもが調べた範囲内におきまして、特に二十次、二十一次の造船、鉱石専用船を中心にしまして、船体構造上いろいろ矛盾はありますけれども一これから申し上げるようなところにある程度問題があったのではなかったか。これは推定でありますけれども、そういうことが損傷の傾向から考えられるわけです。 その一つは、二十次、二十一次船については、フレームのスパンが少し長過ぎる、そのためにひよわな面ができておったのではないかということが一つ。 もう一つは、トランスバースリングの数が少なくて、もう二つか三つ入れておいたほうが横強度を強めるという点でよかったのではないか。どうもこれらの船は、縦強度に比べて横強度でかなりアンバランスがあるように考えられるという点が一つです。 それからもう一つは、縦のほうでいうと、ロンジのバルクヘッドの板厚がもう少し厚くないとまずいのではないか。その後の造船の傾向なんかと比較いたしまして、そういうことが考えられる。 それからもう一つは、防食がうまくいっていないので、これはだいぶ明らかになっておりますけれども、衰耗がかなり一部分の部分的な点検以上にいろんなところで進行しておって、マージンを食ってしまっておるというようなことがあったのではないかということですね。 それからもう一つは、非常に初歩的な工作ミスですけれども、溶接忘れというようなものがかなり発見をされている。両側溶接すべきところを片側しかしてないとか、下側でよく見えないところは相当にわたって溶接が行なわれていない。非常に船が大きくなるものですから、つい検査の見落としその他でそういう問題がある。これがやはり二十次、二十一次が急激に大型化をしているというような関係から、そういう点についても問題があったのではないかというような点がいろいろ推測されるわけなんです。 そこで、こういう私がいま推測しているようなことにつきまして、いままで船体部会の中でどの程度議論をされているか、あるいはそういうことは議論にのぼらなかったのか、目下検討中であるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○田坂説明員 先生の第一項のフレームトランスリングあるいはロンジチューディナル・バルクヘッド、これらの板厚あるいは寸法あるいは間隙といいますか、フレームスペースの問題につきまして相対的に考えますと、これは二十次あるいは二十一次の船の鋼材重量は特別少なくない、船の大型化に従いまして、トン当たりの船体の重量、鋼材重量が減っていく傾向から考えますと、特別少なくないということから考えまして、これらの点につきましてそう支障はなかったというふうな概念的な感じはございますが、これらにつきまして今後検討は進める所存でございます。 一方、波浪外力と船体との相関関係等もさらに詳細に詰めるべき点もございますので、実船実験あるいは船舶研究所におきます水槽における模型試験等を続けまして、これらの点を究明いたしたいと思います。 一方、溶接忘れ等の欠陥につきましては、現在バイタルな分につきましては特別な検査を行なっておりますので、忘れた部分、これらにつきまして、現在これらが忘れられてよろしいというものではございませんが、バイタルな影響につきましてはないのではないかというふうに考えられております。
○和田(春)小委員 どうもその点、御答弁あまりはっきりしないのですけれども、いいのではないか、だいじょうぶなのではないかという態度では、調査をする目的は達せられないと思うのですね。事故が起きているわけですから、やはりそこに問題があるのではないか、おかしいのではないかと、まず疑ってかかって、徹底的に究明をしていく、そしてその結果が明らかになった上で、これは疑ってかかったけれどもそうではなかったという結論なら、われわれも承服できるのですけれども、まだ調査の過程あるいはその中間報告にもそういう傾向が出ていますが、まあ問題がなかったのではないか、大体よかったのじゃなかろうか、そういう考え方で見ていったのでは、ほんとうの原因の究明ないしは問題点を明らかにするということは私はむずかしいと思う。そういう基本的な姿勢について、いまの局長の御答弁を聞いていますと、重大な疑問なきを得ないので、ぜひこの点についてはすべてについてまず疑ってかかって、そして明らかにする。事は人命にかかっている。大きな財産にかかっている問題なんですから、ぜひそういうふうにしていただきたいと思うのですけれども、その点はいかがですか。
○田坂説明員 御説明がまずくてそういうふうにおとりいただいたかと思いますが、先生のおっしゃるように、すべての点を疑問を持ちまして十分に検討をいたしてきておりますし、また今後もそういたしたいと存じますが、そういう検討を加えまして、溶接の欠陥といいますか、溶接忘れ等につきましては、現在のところ出ております溶接忘れの部分を考えますと、これらの点はバイタルな問題に相当しないものであるというふうに判断されたものでございます。
○和田(春)小委員 その点がどうもおかしいのですけれども、前にもそういう点を委員会で何度か質問をして、私の意見も述べたのです。たとえば総点検によって報告された中には、こういうことがあるわけですね。船体の重量を軽くするために、ライトニングホールをあけていますね、こういうふうにプレートに大きな穴を。それをあけたけれども、その周辺に非常にクラックが入ってくる。そこに問題が出てきた。そこでまたお金をかけてライトニングホールに鋼板を当てて穴をふさいで、強度を保っているというような例もあるわけです。クラック自体とか、あるいはいま言った初歩的なミスですけれども、溶接忘れ、その分だけを見れば、それはたいしたことはないようだけれども、そういうものが、船体に異常な応力がかかってくるとかいろいろなものがあったときに、それ自体が直接事故の原因ではなくても、総合されて事故につながっていくとか、あるいは主要な構造では在来ない、本来なら力がかからない、そういうような補助的なもの、そういうようなところにさえもクラックが入るとか、非常な応力腐食があらわれてくるということ自体は、想像以上の力がかかっているのではないかというふうに疑ってかからなくちゃいけないと私は思う。そうでなければ、せっかく金とひまをかけてこれを調査をするという価値がないと思うのですけれども、その点どうですか。お考えを聞きたいと思うのです。
○田坂説明員 基本的には先生のおっしゃる御趣旨と全く同感でございます。
○和田(春)小委員 それではぜひそういうふうに進めていただきたいのですが、抽象論ではなくて、こういう資料を調査委員会でつくって、われわれに御提示を願えるかどうか、お伺いしたいのです。それは、いまの技術水準といまの設計思想によってかりふおるにあ丸と同型船を設計をした場合に——これはかりふおるにあ丸をつくった造船所という意味ではありませんよ、調査委員会には権威が集まっているわけですから、設計をした場合に、その主要構造の部材の寸法とか量とかいろいろな面につきましてかりふおるにあ丸と同じものになるのかならないのか、そういうものを一ぺんここで現在の技術水準と設計思想でやればこういうふうに設計をする、それとかりふおるにあ丸とを突き合わしてみたときに、一体どこが違うか、そういうような資料を出していただくことができるでしょうか。
○田坂説明員 可能でございますので、そのような資料を調製いたしたいと思いますが、何ぶん大型な船でございますので、時間が相当かかるかと思いますが、時間の御猶予さえいただければ調製いたしたいと思います。
○和田(春)小委員 もう一つ、それと関連して、先ほど斉藤委員からの御質問にもありましたが、私もしばしば取り上げたように、四十二年に増トン工事をやっているわけです。約六千トン近い船を一隻載せたのと同じことになる。これは満載喫水線が深くなっているわけですけれども、調査委員会の報告によりますと、何か満載喫水線条約に違反をしているから、事故につながったかつながらなかったかわからぬというような説明もありますけれども、私どもの船乗りの常識からいえば、満載喫水線というので誤解がありますが、もう田坂局長専門家で御存じのように、これは乾舷からきているわけですね。満載喫水線を定めるという一必要は、船の船体強度や安全の問題というよりも、安全は安全でも予備浮力の問題からきているわけで、一定以上の乾舷を残しておかないと船が危険であるということになる。私どもも満載で航海したことがありますが、俗にいう青波というので、船そのものが波の下に大きく落ち込んでしまって、船がぶるんぶるんといって、しばらくして浮き上がってくるという航海を何度もしたことがあります。それは満載喫水線で予備浮力が残っているからです。船体強度の問題では、やはり船にかかるウエートの問題になると思うのです。そういうことになってくると、設計のときよりも六千トン近いウエートがかかる。そうすると、もしかりふおるにあ丸を初めから六千トン増トン工事をやった場合のデッドウエートというような考え方で設計をした場合と、増強工事、補強工事を幾らかやっていますけれども、その差が出るのか出ないのか、そういう点について検討されたでしょうか。
○田坂説明員 先ほど斉藤先生に御答弁いたしましたように、満載喫水線は、船体の形状、これは和田先生のおっしゃるフリーボードといいますか、波の落ち込みあるいは予備浮力、こういうものに関連するものでございます。一方、船体の強度からの喫水と、その両方の計算によりまして出た喫水のうちの小さいものをとるということでごございますので、先生のお説でございますが、強度の要素も予備浮力という面と同じウエートで、両方の面がかかってくるわけでございます。
○和田(春)小委員 そこで、私、区別をしていって、安全という場合には、これは乾舷と予備浮力の問題である。強度という面から見ますと、それは船のウエート、水の中にそれだけ沈んでいくわけですから、そういう関係なんじゃないか。その点に、増トン工事が若干行なわれているというけれども、初めからそれだけのウエートが積めるというデッドウエートで設計をした場合と、若干の増トン工事をやった場合との結果の比較というようなものについても、これはぜひ検討をしてもらわなければならないと思います。その点をやっていただきたい、こう思うわけです。
○田坂説明員 この点につきましては、一応調査をいたしております。そこで、百三十トンの増トン工事としての鋼材をつぎ込んだわけでありますが、最初からそれと同等の計画をいたしましても、大体同等近くの重量になるという結果を得ております。
○和田(春)小委員 その当時はそういうふうに言われておるわけですけれども、造船所はそれに投入するインプットのデータを導入しただけで、NKがどういう判断によって増トン工事を承認して検査をしたかという内容については皆目わからないわけですから、もし調じておってはっきりしておるというならば、これはあとでよろしゅうございますけれども、私のほうにその資料と所見をお知らせ願いたい、こういうふうに思います。 時間もあまりありませんので、あとのほうの質問に移りたいと思うのですが、この点検の内容と関連して非常に重要視されておった実船計測につきまして、いままでいろいろ支障があってなかなかできないというお話であったのですが、最近の新聞によりますと、何か具体的に計画が進んでいるようなんですが、この席上で、どういう計画とどういう内容でやろうとしておられるのかという点をお伺いしたいと思います。新聞には大きく出ていますよ。
○田坂説明員 実船実験につきましては、現在、日本造船研究協会を中心といたしまして詳細な計画を立てておるところでございますが、新聞に出ておるそうでございますが、私、見ておりませんけれども、早急に実施いたしたい考えで現在進んでおります。まだ最終決定ではございませんが、おおむね進んでおります形は、予算総額大体五千百三十万円、試供船は大阪商船三井の笠木山丸が第一候補でございます。まだ最終的には決定されておりませんが、第一候補でございます。十一月末竣工、また十一月末ごろ出港の予定のようでございます。
○和田(春)小委員 新聞の記事によりますと、船舶局の内田首席検査官は今後は運輸省がリードしていくと語っているというふうに報道されているのに、船舶局長があまりしっかり聞いておりませんというと、えらいちぐはぐな感じなんですが、その点はいかがですか。
○田坂説明員 新聞を見ておりませんという御返事をいたしたわけであります。
○和田(春)小委員 それじゃ、笠木山丸が第一候補だそうですけれども、私たちの承知するところによると、笠木山丸はかりふおるにあ丸やぼりばあ丸が問題を起こした海域は航行しない、一番なぎであるといわれている、船乗りにとってもしけの面では一番気楽な航路だといわれておるオーストラリアの航路に就航するというふうに聞いているのですが、承知の上でこれを選定されることにしたのですか。
○田坂説明員 笠木山丸の就航予定航路は、欧州航路とそれから南アメリカ航路と聞いております。そこで、欧州航路につきましては相当平穏な海と聞いておりますが、この実船実験を行ないますに要しますいろいろの付帯の条件、一方また、これと対比されまして船舶技術研究所で行なわれます模型船によります試験、これらの関連でございますので、平穏といいましても、相当の波の中を通り、それらの計測点がある程度とれれば、その模型船との対比、それから相関関係を得るにはそう支障がないと考えております。
○和田(春)小委員 いま笠木山丸は欧州航路と南米航路というふうにおっしゃいましたが、私たちの聞いているのは、豪州航路と聞いているわけなんです。えらい食い違いがあるわけなんですが、それはひとつはっきりしていただきたいと思います。 それから、波浪の衝撃という場合に、瞬間的な衝撃もありますけれども、やはり連続衝撃を受けるということがこういう巨大船に対してどういう影響を与えていくかということがたいへん問題ではないか。これはあなた方のやっておられる調査委員会でも、かりふおるにあ丸が遭難をするまでに何度か大きなしけにあっているということをたいへん重視をしておられる。そうすると、いまの船舶局長の御答弁とは調査態度というものに食い違いがあるように思うので、もしほんとうに実船計測をやって波浪の衝撃、それに対する船体の内部応力のものを的確につかもうとすると、やはりそういうしけるところを走る船というものを使ってやらなくてはいけないと思う。どうもそういう点について運輸省の指導性と熱意が不足をしておるように思うのですけれども、笠木山丸にとどまらず、チャンスをつかんでそういう点も調査を進めて、より的確な材料を得るということに努力するお考えがあるかどうか、この点を最後にお伺いしたいと思います。
○田坂説明員 この実船実験につきましては、一回限りのものでございませんで、十分な資料が得られるまで継続していきたいと考えておるものでございます。一方、中間報告で何回かの荒天に遭遇したということを申し述べておりますのは、その荒天のつどあるいは損傷が加えられ、それらが次の荒天において発達させられたのではないかというようなニュアンスのものでございまして、また、今回の実船実験は損傷の部分を対象にするものではこさい喜んで——対象といいますか、損傷の計測ではございませんで、波浪によって起こる応力を計測するということが主体でございますので、その中間報告の、先生のおっしゃいました前段のお話とはちょっと違った関係じゃないかと存じます。
○和田(春)小委員 ちょっと私の言っていることを取り違えているので、私は何も損傷の実験をやれなんて言ってないのですよ。実験してぶちこわしたなんてめちゃくちゃで、それはいまも申し上げているように、実船計測で波浪の衝撃であるとか、それに対する船体の応力とか、いろいろな問題の数値ですね、そういう点を調べるのだけれども、一時的に力がかかるのと連続して力がかかるというのは、これは当然違うわけですね。そういう点はやはりある程度調べていかないと、連続航海する船の場合にははっきりしたデータがつかめないんじゃないか。豪州航路ですと、あの太平洋航路の大体二〇%かせいぜい三〇%しかしけの規模においても回数においてもあわないのですよ。だから、たまにはあうかもしれないけれども、連続して三日も四日も五日もしけの中を航海していくということはまず期待できないので、そういうものを調べるように積極的に取り組んでもらいたい、こういうことを言っておるので、三回か四回波にぶっつけてみてこわしてみろということを言っているのではないのですから、それは誤解せぬようにしておいてください。
○田坂説明員 先生のお話、よくわかりました。そこで、この実船実験で得られました応力あるいは水圧力、それらの模型試験との対比ができますと、模型試験におきましてそれから上の応力あるいは上の水圧力につきましても連続した試験ができますので、そのほかの条件の最もよろしい笠木山丸が第一候補ということに考えておる次第でございます。
○和田(春)小委員 それでは、予定の時間が参りましたので、この席ではこれ以上質問を続けることはやめたいと思いますけれども、議事録等をよく調べていただきまして、次に委員会をやるときには、技術的な面も含めて、できるだけ的確にお答えできるように、またできれば部会等の責任者にも出席してもらえるように、運輸省において配慮をお願いしたい。そのことを申し上げて、質問を終わります。
○加藤小委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十七分散会