運輸委員会 第30号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1970/09/22
会議録
○福井委員長 これより会議を開きます。 陸運及び航空に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。宇田國榮君。
○宇田委員 御承知のとおり、各国におけるところのハイジャックがひんぴんとして起こって、いまや旅客はもちろんのこと、世界人類の焦点の的となって、全く戦々恐々、戦慄さえ感ずる次第であります。また、なかんずくアラブゲリラにハイジャックされた航空機は一機であって、しかもその損害は、報ずるところによると、百八十億であるというばく大なる損害であったということを私らは承っておるのであります。そこで、まだ現在一部の人たちが抑留されておるということで、非常に世界各国から恐怖心を持たれ、不安感を持たれておる次第であります。 そこで、この問題に対して、これを未然に防止するために、ニクソン大統領は、去る十一日、旅客の乗っ取り脅威に対して直ちに効果的に善処するために、武装警備員の乗務、空港検査装置の配置、諸外国との対策協議、乗っ取り処罰の多国間条約締結、乗っ取り犯人処罰を拒否する国への航空サービス停止など、七項目の特別声明を発表し、この大統領声明は、十一日朝の政府、議会首脳との緊急協議の後発表されたものであると聞いているのであります。政府、議会もこれに全面的に協力いたしまして、そうしていまやニクソン大統領の処置は当然であるという声が起こっておるのであります。わが国においても、すみやかに武装警官あるいはガードマンを搭乗せしむべきだと思うのでありますが、大臣の見解を承りたいのであります。 また大臣は、この重大なる問題を総理並びに関係閣僚と折衝をされ、あるいはそうしたことに対して御検討されたか、承りたいのであります。
○橋本国務大臣 アラブゲリラのためにいまなお抑留中の旅客に対しては、心から深甚の同情をいたす次第であります。御承知のように、わが国におきましても、過日ハイジャックによっていろいろな苦労をなめておりますので、旅客の諸君がさぞかし非常な苦しい立場に置かれておるであろうことを考えまして、心から同情にたえません。 なお、いま御質問のニクソン大統領提言の六項目でありますか、これにつきましては、直ちに運輸省事務当局におきまして関係方面、警察もしくは航空会社等と事務的な検討の段階であります。事務的検討の段階でありますが、その検討段階において、はたして警官もしくはガードマンを乗せてハイジャック防止を——犯人逮捕といいますか、事前には防止が目的でありますが、さような場合に、はたして有効適切に旅客の安全を保障して実行できるか。御承知のように、狭い機内でありますから、もし万一犯人を撃ったたまがあるいは機体の重要な部分に当たらぬとも限らない。その場合における危険性等もあります。ということからして、関係者の中には、慎重論を言う者もあります。また一部の人は、実際はさような発砲するに至らない場合があっても、そういう武装警官もしくはガードマンを乗せておれば、それだけでこの抑止力になるのではないか、こういう意見もあります。問題は、乗客の安全ということが最大の眼目でありますからして、したがって、乗客の安全のための措置として、警察官なりガードマンを乗せることがいいか悪いか、有効適切かどうかということをまず考えなければならぬという意味では、相当慎重に事を運ぶ必要があろうと思います。万が一いろいろな点から考えて、武装警官なりガードマンを乗せるといたしましても、これはまあニクソン大統領も言っておりますように、飛行機の構造等について十分なる知識がありませんと、ただめくらめっぽうに撃てば危険がありますから、アメリカにおいてもまず警察官もしくは軍隊を足らぬ場合は乗せると言っておりますが、そういう場合においても、いわゆる飛行機の構造等の研究を十分にさした上で乗せたいというような意向のようでありますが、わがほうにおいてはまだ最終的な結論に達しておりません。 ニクソン大統領の提案の中で、東京条約、ハイジャック条約ですが、これはせんだって皆さんの御審議を経て、日本も批准を完了いたしております。もちろんこの内容の強化の問題もあります。同時にまた、この東京条約が条約批准国だけに適用せられるとなりますと、今回のような事件には原則として適用されないうらみがある。しかし、そのような国に対しては、ニクソン大統領は他の方面からそれに対して制圧をする、あるいは制限をするというような言い方をしております。はたしてそういう意味において、この条約を批准しない国に対して、ある程度強制力といいますか、抑止力になるかどうかの問題がありますけれども、これは別として、国際的な人道の立場から、人命尊重の上から、東京条約がより強化せられて、これが多数の国によって批准せられ、順守せられる、これが望ましいことであると考えております。 その他の点につきましても鋭意努力を続けて、予防対策を中心にして、わが国としては目下最善の努力を続けておりまして、機械整備、探知器等についてはまだ十分でありませんけれども、一刻も早く機械整備を終わることを強く要請しております。 なお、これに関連して、関係閣僚または総理大臣と協議をしたかという御質問でありますが、ただいま申し上げましたように、運輸省当局としては目下検討中でありますので、その成案ができ、もし必要があれば、関係省とももちろん打ち合わせをしなければなりません。関係省とはいずれにせよ打ち合わせをしなければなりませんが、また総理大臣等に報告する必要がある場合があれば、これはやろうと思っておりますが、現在は目下検討中で、急いで成案を得たい、かように考えております。
○宇田委員 運輸大臣の御答弁によって大体了解はいたしましたが、私の調査したところでは、操縦士も、とにかく離陸後において危険があるのであって、もし武装警官なりあるいはガードマンが搭乗している場合においては、その犯人もそれに対するところの警戒もあり、かくのごときことを未然に防ぐことができる、しかも機長と接近したるところに武装警官なりガードマンを置いた場合は、非常に安心感があるということを某機長なども私に申しており、国民の世論も、すみやかにこの対策を立てなければ、今後旅客機そのものだけではないという、非常な不安を感じておるのでございますから、運輸大臣も善処されるようにお願いいたします。 そこで、それではもし武装警官を搭乗せしめる場合は、警察庁としての予算の問題等もあると思います。アメリカでは相当の予算を計上したと聞いておりますが、この点を航空局長より御答弁願いたい。
○内村説明員 ただいま先生の御質問の、ハイジャックに関しまして、武装警官をアメリカで乗せる、その経費は幾らかということでございます。私ども聞き及びますところによりますと、米国では保安官を乗せておるということに聞いております。そこで、この内容につきましては、非常に秘密にされておりまして、あまりつまびらかではございませんけれども、私の知る範囲において申し上げますと、大体八千万ドルくらいの経費を国で持っておるというふうなことでございます。これは運賃を別にいたしまして、そのほかのたとえばホテル代とか車代、日当といったようなものを全部政府で負担するというふうに聞いております。
○宇田委員 なお、もし警官でなくてガードマンであった場合は、航空会社の負担等があるけれども、航空会社も爆破された場合等の損害を考慮すれば、未然の防止のためのガードマンに対する予算は相当額に達しても、やはり旅客に対するところのサービス、安全を考えて、各航空会社も何とかこの予算を捻出することを考えなければならぬ。いずれにしても、この問題は重大であります。武装警官にするか、ガードマンにするか。ガードマンの場合は航空会社が負担しなければならぬけれども、政府もこれに対して援助または協議する必要があると思いますので、どうかその点を善処願いたいと思います。 次には、中近東地区で日航のハイジャックされるおそれがあるが、これに対する方策はどうでありますか。 また、これに関連して、日航機の爆破などに対して非常にデマが飛び、あるいはまた投書が参っておる。一例を申し上げますと、新聞の報道するところでありますが、松尾日本航空社長などは連日のように脅迫され、五億出せとかいうようなことまで極言しておる状態であります。でありますから、中近東におけるこのハイジャックに対して、航空局長何か情報ありませんか。
○内村説明員 中近東地区のハイジャックと日本航空の問題でございます。日本航空といたしましては、本年たしかスイス航空の事件がございました二月二十四日以来、全日航の空港所長に対して、手荷物、貨物の取り扱い等に対して指示をいたしております。その後、五月あるいは今回の事件がございました九月と、数次にわたりまして同様の注意を喚起すると同時に、特に近東地区におきましては別の指示を出しまして、中近東の空港所長に対しまして、万一の場合はシリア及びヨルダンのビザがすぐ入手できるように準備しておくこと、それからパイロット等乗員に対しては最新の情報を提供する、それからハイジャックされた場合に乗員のとるべき措置については、あらためて再確認させておけというようなことをいっております。さらに九月十四日におきましては、ヨーロッパ、それから中近東の空港所長に対しまして、手荷物、貨物の検査を強化せよということをいっております。強化の方法といたしましては、手荷物の検査は空港の警察に依頼する。それから航空機の警備、これについても空港の警察に依頼するとか、あるいは空港の警察でできないときには警備会社に依頼するというような方法で、万全の態勢をしけということを特に念を押して注意しておるような状態であります。
○宇田委員 航空局長、内容はいいが、もっと高声で答弁してもらいたい。 次に、ハイジャックによる損害保険の問題はどうなっておりますか。
○内村説明員 ハイジャックによる損害保険でございますが、これは戦争保険の一環として扱われております。そこで、今回ハイジャックの問題ができまして、保険会社のほうから、今後ハイジャックというものは保険では扱えませんということを言ってまいりました。ところが、そういうことは困りますので、料率等につきまして種々話をいたしました結果、話がまとまりまして、新たな高い料率により付保するということによって、ハイジャックの場合もカバーされるということになっております。
○宇田委員 次に、不幸にしてわが国の航空機がハイジャックされた場合、着陸国は乗客及び財産の安全を必ず保障してくれるか、この点は航空局長どうでございますか。
○内村説明員 この点は先ほど大臣から御説明ございましたが、東京条約というものがございます。それに加入しております国におきましては、相互に着陸国は「当該航空機の旅客及び乗組員ができる限りすみやかに旅行を継続することができるようにするものとし、かつ、占有権を有する者に対し当該航空機及びその貨物を返還」すべき旨を規定しております。したがいまして、東京条約加盟国そのものにつきましては、旅客及び乗員の安全は担保し得ると考えます。しかし、東京条約加盟国以外のもの、これについては、そういうふうな条約上の義務づけがありませんので、もっぱらこの場合にはその当該国の良識にまつ以外はないというのが現状でございます。
○宇田委員 いま航空局長の明細なる答弁によってわかりましたが、この問題はきわめて重大なる問題でありますから、運輸当局が全生命をかけて解決されるようにお願いして、私の質問を終わります。 次に、けさの新聞を見ると、運賃値上げの問題、これは重大なる問題です。私鉄の運賃の値上げの問題であります。一部新聞でありますが、権威ある新聞でありますので、運輸大臣にお尋ね申し上げたいが、この間経企長官と運輸大臣が協議されて、総理にいわゆる御協議された当時においては、その時期にあらずというような御答弁であったということを承って、この問題は世間注目の的になっておった次第でありますが、その後この経過というものはどういうぐあいになったのか。なるほど私鉄もサービスの改善あるいは車内の改善その他いろいろと諸経費なども非常に増加しておるわけでありますが、物価問題と関連して重大なる問題でありますので、この点に対して運輸大臣の御見解を承りたい。
○橋本国務大臣 御承知のように、私鉄各社から昭和四十三年の秋、四十四年の春にわたって運賃改定の申請が出ておるわけであります。その理由とするところは、一つは、最近における人件費の増大並びに大都市交通圏の整備、都心乗り入れの整備等の増強等からして、現在の状態では今後の設備増強を行なう上において不十分である、かつまた、運営経費の上においても財政的、会社経理的に非常な赤字を計上しておるのであるからして、この際運賃改定をいたしたいという申請書があったことは、御承知のとおりであります。これはすでに前回改定して以来約五年近くになります。前回の改定の際は、四年以内には改定しないという一つの条件といいましょうか、さような意味での一応のくぎづけはいたしておったわけでありますが、その後における毎年の人件費の増強等からして、民営鉄道としてはあらゆる経理上の操作を行なってももう限界に達してきておる、こういうことから申請が行なわれたわけであります。 この問題は、お話しのように、物価の問題にも影響がありますので、政府としては慎重に取り扱うべく、前大臣がこれを審議会に付議いたしましてから、慎重審議、内容の審査に当たってまいったわけであります。御承知のように、最近のいわゆる都市人口の増加といいましょうか、都市人口よりもドーナツ型にふくれ上がってきた人口をどうしてもこの都心の職場に運ばなければならぬ。別のことばでいうなれば、通勤時間、朝の七時から九時までの間、午後の四時から七時までの間というところに集中してきております。しかし、これは運ばざるを得ない生産乗客でありますから、それに合わせていわゆる輸送力の増強を考えていかなければならぬというところになかなかむずかしい問題があります。さようなことからして、御承知のように、運輸省は、前回の改定を行なう際に、輸送力増強を一つの条件にしております。その間、私鉄は五カ年計画を立てて鋭意努力をいたしてまいりましたが、最近になって先ほど申しましたような諸条件の発生によって、なかなか輸送力増強が進まない状態になってまいった。これはゆゆしき重大事であります。私鉄とかあるいは国鉄とか公共団体が経営するといなとを問わず、交通事業というものは、何といっても純然たる公共事業である。その意味において、それが国営であろうとあるいは公営であろうと私営であろうと、その目的とするところは同じでありますから、それに対しては最善の措置を政府も考えなければならぬ。 御承知のように、最近のことでありますが、アメリカにおいて最大の鉄道会社ペン・セントラル鉄道、いわゆるキロ数は大体国鉄と同じ二万キロ、ニューヨークからワシントンあるいはニューヨーク−シカゴという東部地帯を一手にやっておるペン・セントラルという鉄道会社が、経営困難におちいって破産の手続中で、目下更生手続中であります。これはもちろんいろんな条件があると思います。いわゆる経営上の不手ぎわの問題もありましたろうし、その他の条件がありましたが、とにかく鉄道事業というものが、現在の交通事情、交通構造の変化に伴って、いわゆる鉄道オンリーという時代ではなくなった。道路の発達あるいは飛行機でいえば飛行機の大型化、こういうことのために、乗客、貨物ともに他の機関に奪われておるのが現在の状態であります。すなわち、日本の場合でも同様ですが、軌道というものも競争原理に立たされておる。こういうことで、世界最大といいますか、私鉄として世界最大であるペン・セントラル株式会社が破産の宣告を受けざるを得ない。 もう一つ、ただ、日本の私鉄が何とかして今日までやってまいったのは、これは一つには日本特有の企業体で、世界にはその類がありませんが、多角経営をやっておる。すなわち、土地分譲あるいは住宅分譲その他多角経営を私鉄会社が行なっておるところに、日本の場合はある意味においては鉄道が赤字部門をその方面での利益によって埋めてきたという事実もあります。これはアメリカ等ではあり得ません。そういうような努力があったにかかわらず、今日ではもうそれも限界にきておるということから、先ほど申したような申請が出てまいったのであります。 しかし、運輸省といたしましても、また経済企画庁にしましても、この私鉄運賃というものが物価に影響のあることを十分にわれわれ考え、できるだけこれを押えていくべきであるという前提に立ちまして、これら審議を続けてまいりましたが、審議の過程において、やはり最小限度の値上げはせざるを得ない、しかし、それには、経営者が、この公共事業である私鉄の経営に対する姿勢といいますか態度、これについてやっぱりみずから十分に自覚する必要があろう、こういう前提に立って審議を進めてまいったわけであります。過日、そういうような前提に立って、総理に、どうも最小限度の値上げはやむを得ないと考えるということから指示を仰いだのでありますが、総理は、なお私鉄側のより積極的な姿勢を明らかにしてはどうか、安易にただ値上げだけして解決できる問題ではないという、もっともな御意見であります。私たちは相当十分にこれらについても進めたわけではありまするが、なおそれを一そう具体化する必要があるという考えのもとに、その後、事務当局あるいは私なりが関係会社とも個別折衝を行なって、私鉄のこの問題に対する基本的な姿勢、こういう問題をひとつ明確にされんことを希望し、最終的にはいわゆる私鉄大手十四社の社長会において数次にわたって検討し、そうした態度についてはもちろん自分たちも同感であるというような意味合いから、過日御承知のような申し入れがあったわけであります。 あの中で三つほどありますが、一つはいわゆる経営者の姿勢、態度であります。これに対しては、公共事業であるという責任感から、厳正な態度といいますか、きびしい態度をもってやはり経営に当たるべきであるということについては、十分にわれわれも反省し、今後その立場を堅持していきたい、これが第一であります。 第二は合理化。従来も合理化を進めてまいったけれども、より徹底的な近代化を行なう。問題は、輸送関係というものは、結局は人件費の問題に帰着いたします。したがって、合理化というとによっていわゆる人件費の生産性を高めるということ、こういう措置をやらなければならぬ。従来とも、私鉄からの言い分によれば、私鉄は過去数年間における合理化計画によって一・六ぐらいの生産性はあげてきておる、こういうような説明をいたしております。しかし、その合理化を、近代的な社会に必要な合理化はより一そうやってもらいたい。 と同時に、第三には輸送力の増強。先ほど申しましたように、人口がドーナツ型に郊外にあふれている。この輸送力を高めることによって一般社会の産業活動に貢献する、こういう意味での輸送力の増強については、より積極的な措置を講じてもらいたい。こういうことを重ねて希望いたしたのであります。 それに対しいわゆる会社側からして、新聞で当時ごらんのとおりの申し入れがありましたので、私たちはその社長会の積極的な態度等々にかんがみて、この際この問題を解決する必要があろうということからして、事務当局が経済企画庁当局とも十分に打ち合わせをして、そうして現在進んでまいっておる状態であります。
○宇田委員 かかる重大なる問題は、マスコミの上において早く発表されて、われわれ立法府の運輸委員会が関知せずつんぼさじきになっておるようなことではいかぬので、きょうは特に質問を申し上げたのでありますが、いま大臣の御説明を聞いて、いわゆる最小限度の運賃値上げはやむを得ないとしても、いわゆる乗客のサービス改善あるいはその他に対するところのいろいろの条件を付せられてこの問題を検討されておる。まことに大臣としてもこれは苦しい立場で、物価問題とも重大なる関連があり、運賃を上げれば物価が上がる。また労銀が上がる。悪性インフレへの結果になる。いわゆる悪循環作用をなすという原因にもなるのでありますので、どうしても諸般の情勢を勘案されてこの問題とは真剣に取り組んでいただいて、そして先ほど大臣が言われたように、上げるとしても、会社側がそういうところの根本的な改善をしていくということでなければならぬというふうに思うのであります。 以上をもちまして私の質問を終わります。
○福井委員長 内藤良平君。
○内藤委員 きょうは欠陥車の問題、軽自動車関係にしぼってということなんですけれども、宇田委員から私鉄の運賃問題が出ましたので、ちょっとそれにも触れなくちゃならぬと思います。 いまのお話で、運輸当局もいろいろ苦心をしながら、私鉄の経営内容を考えながら運賃問題に取り組んでおる、こういうことでございましたが、私は先般のこの運輸委員会でも御質問申し上げましたけれども、佐藤総理が、公共料金を上げない、私鉄運賃は上げない、こういうことばでありましたけれども、こういうことを言明されてから一年になるわけであります。そしてきのうですか、宇都宮の一日内閣の席上ですか、私鉄運賃問題、これも上げざるを得ないようなお話があったということを聞いております。しかし、私は、いま物価問題が国民の最大の問題になっておる中で、しかも現政府が私鉄の運賃問題、公共料金の値上げをさせないというこの大きな命題の中で、宇都宮の一日内閣で、佐藤総理が私鉄運賃を上げるようなことをある意味では簡単に言われて、そして運輸当局も運賃値上げのほうに進めていくというこのやり方は、やはり国民の立場に立ちまして非常に不満があると思うわけであります。いま国会は閉会中でありまして、私たちの運輸委員会は閉会中のいろいろな問題を調査しておるわけでありますが、こういう重大な問題を、しかも佐藤内閣としても大きな問題である運賃値上げ問題、物価抑制問題を、閉会中にこれを行なうというのは、私はけしからぬと思うわけであります。佐藤内閣の政策が変わったとすれば、少なくとも臨時国会を開くなり、そして全国会議員の審議の中においてこれらを行なう、こういう堂々たる態度があってしかるべきだと思うわけであります。国民の皆さんは、佐藤総理のいままでの言明、これらを通じてだまされたような印象を私はぬぐい去ることができないと思うわけであります。佐藤内閣も、佐藤総理が総裁として四選されるような方向にあるということで、いわば前途はたんたんたるものかもしれません。しかし、そういう政治情勢、いわば自民党内の内部情勢であればあるほど、こういう問題には国民の声をどのように民主的に取り上げて、しかも国民の皆さんに納得のいくようにやるか、こういう政治姿勢がなければ、政治というものが一つの党内事情で聖断されておる、こう言われてもしようがないじゃありませんか。私鉄の一経営の内容をとりますと、運賃問題は収支の相償わざるものを是正する策かもしれませんが、しかし、物価問題全般を見ますと、この運賃の値上げ問題は、私は、少なくとも四十五年度、この中では重大な問題だと思っておるわけであります。この問題で時間をとりますと、きょうせっかく欠陥車問題に集中してやろうという私たちの運輸委員会の日程が狂いますので、これは後日にまた譲りますけれども、私たち社会党としては絶対反対であります、こういうやり方は。また運輸大臣も、こういうふうなやり方で国民の重大関心のある物価問題、私鉄の運賃問題を閉会中に行なう、こういうことはやめていただきたい。私はこういうぐあいに申し上げて、きょうはこの問題は終わりたいと思います。 〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕 さて、軽自動車の問題です。この軽自動車の欠陥問題にしぼって時間を多少かりてというよりも、少しく時間を多くかけてやりたいということですが、大体四十分以内に終わるようにしたいと思います。 ホンダのN360の事故の問題に端を発しまして、国会でも閉会中ではございますけれども、交通安全特別委員会あるいは参議院の交通安全特別委員会で、いろいろ論議をされております。そしていまのところ、警察庁がいわゆる事故事件としてこれを取り上げておるようなぐあいに私は見ております。ところが、この運輸省そのものはどういうお考えでおるのか。どういう態度でおるのか。この問題につきましては、メーカーの関係は通産省かもしれませんけれども、運輸行政全体を見ますと、運輸省がやはりこの問題の主管庁であると思います。ところが、どうも運輸省の出足が鈍いといいますか、この問題に対しまして、いままでの新聞、テレビ等を見ての国民的な感じでは、メーカーに対して主管官庁の運輸省が腰が重い、あるいは弱い、こういう印象を与えておるように思います。どうしてそうなのか。事故という観点で警察庁が動き出しておる。九月十一日の読売新聞の記事を見ましても、「警察庁としては、運輸省とも連絡をとり、構造上の欠陥であることがはっきりすれば、メーカーの刑事責任も問う」こういう強い方針です。構造上の欠陥があるということの判断は運輸省にかかっているような書き方であります。そうしますと、運輸省は、これらの、ホンダNだけではありませんけれども、軽自動車関係の欠陥問題についての構造上の欠陥につきましては、まだはっきりしたものを持っていないのかどうか。運輸省はそういうチェックするような機関を持っていないのか、自動車局はそういう任務がないのかどうか。ところが、自動車局の中には審査センターというようなものがある。しかも新しい車種の場合には型式認定という手続がある。こういうチェックをする機関があって、どうしてまだ運輸省が構造上の欠陥のあるなしについて判断ができないのか。あるいはすでに売り出されておる新車種は、いま申し上げたような欠陥のチェックを受けて、そして売り出しをされておるわけです。すると、運輸省はずさんな仕事をして、そしてそのずさんな仕事を経て売り出された機械が、自動車が欠陥車として道路上を走っておるのか。私はやはりそこら辺に対して運輸省としての問題があると思う。そういう点があるからあるいは弱いのか、見のがしておるから弱くなっておるのかどうか、メーカーの皆さんが圧力を加えておるのかどうか、ここら辺はわからないけれども、どうもせっかくそういうような制度があり、審査センターがある中で、なお運輸省が警察庁からの結果を待たなければならぬという状態は、いつの機会でもどうも運輸行政はおくれておるじゃないか、国民的ないろいろな要望にこたえておらないじゃないか、こういうことのまた一つになるわけであります。先般来問題になっていますホンダのNだけではございませんけれども、軽自動車の欠陥が多く出ております。運輸省としてその欠陥を認めるのかどうか、まずそれから聞きたいと思います。
○野村説明員 お答えいたします。 先生仰せのように、運輸省といたしましては、軽自動車の型式の認定ということを新車についてやっておりますし、それから使用過程車については、軽自動車以外については検査をやっておるわけでございます。 ただいま御指摘の、いわゆる欠陥車といわれる問題について運輸省の態度がなまぬるいというお話でございますが、私どもといたしましては、特に昨年の春、夏にかけましていわゆる欠陥車問題が起こりましたときに、直ちに、いままで運輸省のとりました審査の問題、それから自動車メーカー等に対する行政指導の問題等について部内の体制、それから審査のあり方、行政のあり方につきましてあらゆる角度から検討をいたしまして、現在私どものとっております措置といたしましては、その時点におきまして、昨年の六月の時点におきまして、それまでいわゆる欠陥というものが明確になりました自動車については、回収といいますか、リコールの制度を規則を改めまして実施するということになりまして、自来リコールというものが行なわれております。この点につきましては、いわゆる欠陥車の是正ということはある程度行なわれておると思います。ただ、先生御指摘のような個々の具体的な問題につきまして、たとえば警察庁あるいは検察庁等の刑事訴追の対象になっております個々の具体的な問題につきまして、私ども行政当局として、まだその結論が出ます前に、それについて行政当局の立場からいいとか悪いとかいう意見は出せないと思いますが、その審理の過程におきまして、技術的な鑑定とか、そういうものにつきましていろいろと協力を依頼されれば、当然これには応ずるわけでございますが、現に係争中の個々の問題について、私どもの立場からいま意見を出すということはあるべきではないと考えております。 ただ、一般論として申し上げますと、欠陥車ということが非常に世間でも言われておりますが、現在メーカーにおきましても、あるいは学識経験者等の技術的な知識を拝借いたしましても、また私どもの事務当局が技術的にいろいろ検討いたしましても、ある種の試験、性能の試験、検査ということはもちろん行なっておりますし、それによってある程度の判断をいたしておりますけれども、いわゆる黒白を明らかにすると申しますか、マル・バツ的にこれはいいんだ、これは悪いんだというようにふつっと割ったような結論を出すということは、なかなかこれは現在できておらないというのが実情でございます。したがいまして、その点に関しまして、メーカーサイドあるいはユーザーサイドについての意見の相違がいろいろあると思いますが、そういう問題につきましては、私どもさらに今後検討したい、さように考えます。
○内藤委員 それで、大臣もおられるけれども、実際の自動車局から私は聞きたいと思うわけです。 型式認定の際、軽自動車は届け出制ですね。私はそういうぐあいに調べて聞いていますけれども、大型、小型、いわゆる360以上のものは登録制だ。ところが、360以下は届け出ればいい、こういうぐあいになっておる。 それから型式認定で、審査センターでいろいろ審査するわけでしょうけれども、実際運輸省の審査センターでは、新しい車が出た場合に、加速の審査であるとか、あるいは性能の審査であるとか、あるいは操縦の審査であるとか、あるいは耐久性の審査であるとか、こういうものを十分にやっているのかどうか。そういう審査機関があるのだから、そこでそういうことをやっておるのかどうか。そういうものをやっておるとするならば、その段階で、市販される前の段階で、運輸省のいわゆる考え方の中で、これはまずいということが出てくることがあるわけです。だから、これをやっておるかどうか、これをまず第一に聞きたい。
○野村説明員 ただいまの先生のお話の中に、型式認定については軽自動車は届け出ではないかというお話でございましたが、これはそうではございませんで、軽自動車につきましては、いわゆる普通自動車が自動車の所有につきまして登録という制度をとっておるのに対しまして、届け出でございます。 それから新車の型式につきまして、普通自動車はいわゆる型式の指定ということをやっておりますが、軽自動車については型式の認定ということでやっております。で、認定と指定ということは、実質的にはほとんど違いはございませんので、ただいま先生のお尋ねのように、私どもの審査部門におきまして型式認定時におきましての審査をやっております。 この審査項目は大きく分けましても約十五項目ほどございます。たとえば最大安定傾斜角度の試験とか、あるいは原動機性能の試験とか、制動装置の試験、それから動力性能試験、最小回転半径の試験、そういうような試験を含めまして試験をやりまして、そうしてその記録を審査をしておる、こういう状態でございます。したがいまして、単にいわゆる届け出るということではなくて、いま申し上げましたような審査の項目をきめまして、そのきめられた項目に従いましてメーカーが具体的な試験をする、そうして、その試験の結果のデータを提出して、そこで私どもの審査部門が審査をして、それが保安基準に合致しておれば、それはよろしいということで認めるものでございます。そういう審査をやっております。
○内藤委員 そこで、時間の関係上こっちからも申し上げますが、年間どのくらい審査センターに新車種の申請件数があるものですか。
○野村説明員 年間約千百台、型式の審査をやっておるという状態でございます。
○内藤委員 ところで、審査センターは一車種一台にどのくらいの時間をかけて審査をするものでしょうか。
○野村説明員 平均いたしまして、一車種一台につきまして約一カ月程度の時間をかけております。
○内藤委員 そうしますと、年間千百台ですか、これを一車種一台一カ月といいますと、年間に千百台こなせますか。
○野村説明員 ちょっと私の説明が不十分でございましたが、もちろん、一カ月の間ある一つのものに全部あげてかかっているわけではございませんで、いろいろとほかのものと組み合わせてやっておるわけでございますが、審査の体制といたしましては非常に不備であるというふうに考えております。
○内藤委員 一カ月に一台というあなたのことばじりをとらえるわけじゃありませんが、そのくらいやるとしますと、休みもありますから、年間に十台くらいになっちゃうのですね。十一台くらいで精一ぱいですよ。ところが、千百台もあるとなりますと、そういうものを審査センターでいろいろ審査をして、だいじょうぶだというぐあいにしてやる場合には、いまのホンダN360などというのは、そういう審査をやったものかどうか疑わしくなりますね。いま申し上げたように、千百台もあって、それを一カ月に一台程度の審査しかできないとすると、他の何百の車種はもうほとんど形式的に、書類審査のようなかっこうで市販の場に出てしまう、町に売り出される、こういうことを想像しても可なりでしょう。そこら辺に欠陥車が道路上を横行するということがあり得るというぐあいにも考えられるのでありますが、それはどうでしょう。
○野村説明員 私どもといたしましては、本年の七月に交通安全公害研究所ができますまでは特に審査体制というものが不十分であったことは、もう率直に認めざるを得ないと思います。ただ、その当時におきましても、個々の審査にあたりましては、相当の時間と精力をさいてできるだけの審査をやってきたつもりでございますが、きわめて不十分でございましたので、ことしの七月に審査部門の強化をはかったわけでございますが、これでもなお不十分でございます。したがいまして、今後この審査部門の強化につきましては、私どもは審査能力の向上とか審査のシステムのさらに研究改善ということとともに、審査体制の整備ということには一そう努力していきたいと思いますが、いままでもとにかく与えられた人員で、審査部門の担当者としてはそれなりに相当の努力をしてまいったと私は思っております。
○内藤委員 努力なりその誠意はわかりますけれども、ことばじりをとらえるのじゃありませんが、私はっきり申し上げるけれども、実際問題として年間に千百台も新車種の申請があるのをわずか十六名程度の人員で、そして私の調べでは、一車種一台に二十日間はかかるといわれております。あなたは一カ月と言ったが……。そうすると、十六名の人員で一台に二十日間はかかるのに、千百台の審査をこなすというのは不可能じゃありませんか。そういう中からホンダN360のような現象が出てくるということを私は指摘せざるを得ないと思うのですけれども、あなたはこれはどうお考えですか。
○野村説明員 一つは人数の問題と、それからもう一つは審査体制の問題でございますが、先生のおっしゃるように、審査体制としては非常に不十分であると思います。ただ従来は、行政部門の中に審査部門がございまして、いわばほかの業務もやり、審査もやるということでございましたが、本年の七月からは一応その審査に専念できるという体制にもあるということで、多少の事務執行の改善はなされたと思いますが、きわめて不十分でありますので、今後はその審査体制の強化ということにさらに努力をしたいと思います。
○内藤委員 ちょっとくどいようですが、はっきり言って、運輸省じゃ、町に売り出しする前に型式認定の手続があって、審査センターに申請があった場合、構造上の関係の欠陥を厳重に審査して、これはだいじょうぶだ、こういうことの責任をもってそれを売り出しさせるということは、事実上やっていなかったのでしょう。やれなかったのでしょう。それはどうです。
○野村説明員 新車を売り出す前の型式認定について自信がなかったとおっしゃるのでございますが、これは私どもいろいろ審査を専門家の手によってやりまして、その専門家の審査の結果を信頼してやっておるわけでございますから、それが適正に使われれば十分有効に使われるというめどをもってやったつもりでございます。
○内藤委員 あなた個人を追及するわけじゃないけれども、いままでの話を総合しますと、運輸省の段階では、かりに欠陥のある車でも、新しい車種の申請があった場合に十二分にそれを審査して、それでオーケーを与える、こういう状態がなかったということがわかるでしょう。私は大体そういうぐあいにわかったつもりでおるわけです。千百台も年間に申請がある。それを十六名の人数よりない審査センターで、一台にあなたは一カ月だ、ぼくの調査によって少なくとも二十日間かかる。こういう中で、この車は完全だ、こういうところが間違っておる、だめだ、直しなさい、こういうぐあいに、運輸省が売り出しする前に責任をもってこれを指導していく、欠陥を審査センターの中で見出して、これを是正してからやらせる、こういう体制なり実績が今日までやれなかったわけでしょう。やれないから、見のがすといいますか、黙認といいますか、書類審査という形で新しい車種が国内に出ていった、冷静に客観的に考えまして、こういう結果になるのじゃないですか。あなたの責任を追及するのじゃなく、現実を見て申し上げるのです。どうなんですか。 〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕
○野村説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、この型式認定をやります際のいろいろな試験評価につきまして、すべての試験評価に私どもの審査官が直接立ち会いをしてやったというものではございませんので、そういう点につきましては、書類によって審査をしたという部面が相当あるわけでございます。それから、一カ月約千百台ということを申し上げましたが、これは全く異質の型式、相類似してない型式のものではございませんで、この中には部分的には相互に相当型式の似通ったものもあるわけでございまして、そういうものをあるグループにまとめて審査をするというような体制をとっておるわけでございます。ただ、技術的な、たとえばその書類審査をいたします前の審査の能力等につきましては、私ども審査官についてもいろいろと研修もさせておりますし、それから最新の技術を身につけておることでございますから、先生の御懸念のように、たとえば能力的にこれができなかったとかいうようなことはないと私は確信しております。ただ、おっしゃるように、全部のものについて立ち会いをして、自分が直接現物について確かめたということではない部門があることは事実でございますので、一定のフォームに従った試験をやらせて、それを書類でチェックをする、そのチェックの能力については、私は相当の能力を持っておったものだというふうに考えますが、これは陣容的には非常に人数も少のうございますし、そういう意味で、現体制でいいとは私どもも考えておりませんが、その点につきましては、将来さらに改善をはかりたい、こういうように考えます。
○内藤委員 整備部長さんおりますね。——保安基準というのを運輸省では持っていますね。そこで、いまの審査センターでこれはいいとか悪いとかいう基準は、この保安基準によるわけでしょう。そうすると、書類であろうと何であろうと、運輸省の保守基準というもので、審査センターの中を通じてオーケーということで出されたその車が、操縦のミスか道路の関係かわからぬけれども、しばしば事故を出してくる。その場合に、運輸省の車両関係の方々として、保安基準というものを一応持っておって、それを通過したものが町でいろいろ事故が出てくるという場合に、あなたたちはどうお考えになりますか、これをひとつ。
○隅田説明員 先生御指摘のとおり、道路運送車両の保安基準というものは、道路運送車両法の省令で定めております。これは車の安全性につきましての最低限度をきめた基準でございます。御指摘のとおり、車両が、たとえばほかにも車両の点検整備とか、使い方についてもいろいろな制度がございますが、そういう制度を十分守った上で車両が使われている限りは、保安基準に車は準拠している状態であるとわれわれは考えております。
○内藤委員 時間もありませんから、私は結論的に申し上げると、運輸省でやはりそういうチェックのできるものを持っている。規則もある。基準もある。審査のセンターもある。人数もおる。その関門を通過して町で売り出される新しい車種が事故を起こす。こういうことになりますと、これはメーカーの責任もあるかもしらぬけれども、運輸省も責任はあるというぐあいにお考えになりませんか。どうですか。
○野村説明員 一般的にはそういう型式認定についての行政をやっておるわけでございますから、一般的な責任、社会的な責任と申しますか、これは当然あると考えております。
○内藤委員 一般的というよりも、車の問題、交通問題、技術的な問題もあるでしょうけれども、安全問題を通じて保安の基準までも設けておる。いろいろな法律もある。そういう運輸省ですね。そこで何人かの人間がおって、審査をするセンターもある。そこで一応パスしました新車種は、これはやはり保安基準で安全度を一応チェックされて、そうして出たというぐあいに解釈していいわけでしょう。それが町へ出て今度は事故を起こした。中古車じゃなく、新しい車だ。そうなりますと、私は、やはり運輸省に保安基準はあるけれども、型式認定の段階において審査のセンター等において完全にこれを審査し、だいじょうぶだというふうに折り紙をつけてやっていないということを言わざるを得ないと思う。そこに今度の欠陥車の問題の一つの要因、原因があるんじゃないか。そこで、ホンダN360のことを例にとりますと、アクセルから力を抜いた際横ぶれする、そういうことをあなたのほうでいま私たち申し上げているような段階でそれを発見した場合には、あなたたちは売り出される前にそれを是正させるでしょう。そういうことがいままでやれなかったということはどういうことなんですか。書類審査その他でたくさんの申請があるために、おたくのほうの人数が足りない、あるいは審査センターの審査のいろいろなやり方がまだまだ不十分であって、そのために、そういうようなことが出てきた、こういうぐあいに私は考えをたどっていかざるを得ないわけです。どうなんです。局長さん、そういう場合もあり得るんだということをはっきり言えないのですか。
○野村説明員 事故と申しますか、そういうことがあった場合の原因でございますが、私は大きく分けて三つあると思います。一つは車両のいわゆる構造といいますか、品質あるいは部品の取りつけ方、そういういろいろ車両の構造、設計上の問題が技術的に保安基準に適合しておったかどうかという問題が一つと、それからもう一つは、新車といえども、それを購入いたしまして使用している人は、常時ユーザーとしての点検整備というものが義務づけられておりますので、そういう日常の点検整備ということが正しく行なわれておったかどうかということが第二点でございます。それから第三点といたしましては、その運転が適正に行なわれておったかどうかということでございます。大体事故というものは、この三つのいずれかあるいはこれらが競合して起こるものでございますが、具体的な事故が起こった場合に、あるいは起こりかけた場合に、それが直ちに構造上の技術的な欠陥によるものかどうかということは、これは私は具体的な場合に十分調査をしてみなければわからないかと思います。私どもとしては、適正に使われ、点検整備も適正に行なわれ、そして適正にそれが運転されるならば、この車は事故を起こさないというふうに考えるのが型式の認定でございまして、逆に言えば、正常に整備をし、正常に運転をしても事故が起こるであろうというのが欠陥車でございまして、その辺のボーダーラインにつきましては、いろいろ技術的にむずかしいことはあると思いますが、私どもの考え方は、いま申し上げました三つの要因につきましてそういうふうに考えておることを申し上げます。
○内藤委員 それではもう一つ確認しますけれども、例をホンダN360の場合にとりますと、下りカーブのような場合、アクセルからパワーを抜くと蛇行しちゃう、ハンドルがきかなくなってしまう。こういうのは、いま運輸省で行なっている審査センターの審査の段階では、そういう状態が出るような、ある一定の距離あるいはそういう複雑な道路の状態の中で操縦を行なうというような審査を行なっておらぬのですか。実際的にいろいろな道路の状態の中で、あるいはホンダN360のように前輪駆動でということなんでしょうが、私たちしろうとから考えても、型式認定で新車種の申請があった際には、あらゆる角度からの審査をして、それをオーケーするものだと思うわけなんです、一般的な審査の場合には保安基準があるんだから。ところが、局長の話を聞くと、そういう徹底的な審査でなく、一通りといいますか、そこら辺の段階はわからぬけれども、あらゆる角度の審査じゃなく、一般的な、適当な審査といいますか、ことばは悪いかもしれぬけれども、そういうものでオーケーを与えてしまうんだ、こういうぐあいにあなたの発言を聞いていると受け取れるんだけれども、いまどういうぐあいにしてやっておるわけですか。
○隅田説明員 お答えいたします。 結論から先に申しますと、現在いま先生の御指摘のような試験はやっておりません。補足させていただきますと、現在高速時の操縦性、安定性につきましては、いろいろいわゆる普通の意味のテスト方法はございますが、しかし、型式認定というような場で適用するようなものは、これはいいものである、悪いものであるというようなことを判定するような試験方法につきましては、いまいろいろ交通安全公害研究所その他で検討してもらっておりますが、まだ体制が確立しておりませんので、われわれとしても適用ができないということも技術上の事情としてございます。
○内藤委員 それでは部長、そういうものは必要だけれども、制度上なり人間の関係でやれなかった、こういうことですか。
○隅田説明員 判定が十分つくものでございますれば、われわれもやりたいと思いまして、現在新しくできました研究所を含めまして、そういうような試験方法についてどういうテストをやるのが一番いいかということについて検討はしてもらっております。しかし、現在の段階ではまだそこまでいっておりません。
○内藤委員 端的に言いますと、理論的にはわかっておったけれども、いろいろな関係でやれなかった、やらなかったということですね。はっきり言ってください。
○隅田説明員 先ほど申し上げましたとおり、技術的な問題が解決すればやる所存でございます。
○内藤委員 時間もないのですけれども、技術的といいますと、かりに審査のセンターで車体なり構造なり操縦性なり耐久性なり、いろいろ審査をする技術がある。それは理論的にわかっておる。わかっておるけれども、予算の関係、人間の関係でなかなかやれなかった、こう理解していいですか。
○隅田説明員 予算、人間の関係はもちろんございますが、それだけでなくて、現段階では、型式認定の上で審査方法として取り上げるのに、まだわれわれとしても技術的な解決がついていないということでございます。予算的、人間的な関係ももちろんないわけではございません。
○内藤委員 ちょっとそこで大臣にお伺いしますけれども、いままでの局長なり部長と私の質疑応答を通じまして、大臣も一つのお考えが私は出たと思うわけでありまして、私の言わんとするのは、ホンダN360に端を発しまして、軽自動車の事故の問題をこの委員会でいろいろ審議をするようになったわけであります。欠陥車であります。私、まあ国会に出てまいりましてから、去年、おととしはいわゆる大型、小型ですか、そういう欠陥車問題を審議したわけでありますけれども、今回は軽自動車になったわけであります。いまのわれわれの質疑応答でもおわかりのとおり、360以下はどうも新車種の型式認定の数が多いせいか、なかか徹底してこの審査センターで保安基準によって審査をするということが事実上不可能であった。そういう中から書類その他の審査を通じまして、ホンダN360のような車が町に売り出された。そして事故が出てきておる。私はこういうぐあいにいままでの中で理解していいと思うわけであります。そういう点につきまして、運輸行政の最高責任者として、大臣は、運輸省の機構の中におきまして本そのままでいいのかどうかということもお考えになったと思いまするけれども、運輸省としてもこれはやはり大きな責任があることだというぐあいに私はなると思うのでございます。単にメーカーの問題でない、あるいは運転者の問題じゃない、あるいは道路上の問題じゃない、こういう点があるというぐあいに私は理解したわけでありますけれども、大臣として、最高の責任者として、その点ひとつ御見解を承りたいと思うわけでございます。
○橋本国務大臣 御承知のように、現在わが国内で使われております自動車は、大型、小型を含めまして一千七百万台であります。その中で軽自動車といわれるものが五百五十万台になっております。毎年新車として出てまいりまする軽自動車の数は百十万台であります。これはまあ基礎数字であります。そこで、軽自動車につきましても、現在検査の対象になっておる車両と同様に保安基準が適用されております。新車につきましては、昭和二十六年以来型式認定をやってきておる。また保安基準についての適合性を確認しております。使用過程のものについては、昭和三十八年七月から定期点検整備検査をやっておる。また分解整備を行なう整備工場に対しては、二十六年以来認証制度を適用しておるわけであります。また、さらに、万が一構造、装置の欠陥による事故が多発した場合に、臨時検査を昭和三十八年七月から実施をしておる。こういうぐあいに、軽自動車につきましても、保安基準のたてまえから必要最小限度の措置は今日まで講じてまいってきておるわけであります。 ただ、型式認定の場合、内藤さんからいろいろ御質問がありました実地検査といいますか、そういうものについては、ずいぶん省略しておる点があることは事務当局から説明のとおりでありますが、しかしながら、この型式認定の際には、普通車両と同様にかなり数多くの精細なデータを出して、それに対してメーカーがみずから責任をとるという体制をとっております。千百種にのぼる新型でありますが、御承知のように、自動車工業というものは、モータリゼーションでありますからして、千百の新車がすべて一つ一つ違っておる、いわゆる手製のものとは違っております。すなわち、機械によって一定型式のものでつくられつつあるわけでありまして、部分的には相違がありますけれども、その大部分はいわゆるモータリゼーションでやっておるのでありますから、したがって、一つ一つの全部の部品を検査するという問題とは違うように、私は技術者でありませんが、理解をいたします。しかしながら、私はこの前の委員会でも申し上げましたが、軽自動車の目的は何であろうか。軽自動車の目的は、いわゆる高速を目的とするのか。そうではなく、いわゆる使用者にとって、高速ということを除いて他の利用価値がある点で、軽自動車が今日の数を占めるに至ったんだろうと思うのです。 実は製品検査、いわゆる製品の管理検査といいますか、こまかい型式認定をやって、必要なる部分については実地検査を行なう、そうしてでき上がったものを認定するわけでありますが、でき上がった百十万台という製品に対して一つ一つの検査、これを役所が行なうということは不可能であります。したがって、御承知のように、他の機械の類でも同様ですが、製品検査というものは、当然メーカーが責任をもって行なうべき立場になっております。これは自動車に限らない。たとえば電話機のごときもの、ああいう数多くのものになりますと、製品検査はいわゆるメーカー自身が責任をとってやる、こういうたてまえになっておることは御承知のとおりであります。これはそれ以外の普通車両でも同様でありますが、何十万あるいは百万、百二十万、将来は二百万、三百万も毎年売り出されるでありましょうが、そういう状態になったときに、運輸省が一切の製品の一々の検査を行なうことはできない。これは御承知のとおり。したがって、今後これらの欠陥車対策には幾つかの対策が必要であります。一つは、最初に申しましたように、その自動車の目的によってある程度の制限を加える。たとえばスピードについても制限を加える。あるいはまた一方、メーカーにおいては製品一つ一つに対して完全なるいわゆる管理体制をしいてもらいたい。自分が与えるのでありますからして、したがって、諸種の検査については十分なる管理体制をしいてもらいたい。 御指摘のように、いろんな道路の状態に従って検査をしたかと言われますと、事務当局が答えたように、実際上はできにくい。というのは、道路の状態も千変万化であり、あるいは気候等によって雨が降った場合、風があった場合、いろいろの条件があるからして、たとえばこれは検査センターにおいてある程度の検査をいたしましても、万全に近い実地検査ができるとは保証ができかねるのであります。しかし、万全でなくても、最小限度のことはやりたいと思います。 こういう意味におきまして、今後の軽自動車の目的及び企業側のとるべき責任体制並びに運輸省がやるべき責任体制を明確にして、そうしてこのような事件が起きないように処理をしていきたい。こういうことによって、今後いわゆる欠陥車を絶滅する方向で、かなりきびしい態度で運輸省もやりますが、メーカー自身も人命に関係ある問題でありますから、十分に考えてほしいと同時に、ドライバー自身も考えてもらわなくちゃならない。軽自動車でもって百キロ以上飛ばすということ自身無理があると思います。皆さんも軽自動車に乗って百キロ以上飛ばしたときに車がどういう状態になるか、これはおわかりになるはずでありますから、その点においては、運輸省としてもある程度制限を加える必要がありはしないかということで、いま事務的に検討を加えさしております。これら三位一体となって欠陥車を撲滅していきたい、かように考えておりますので、御協力のほどをお願い申し上げます。
○内藤委員 もう五分で終わります。 ぜひがんばっていただきたい、こう思います。と同時に、何となく運輸省がこの種の問題に対して腰が重いという印象を与えておるようであります。やはり運輸省として交通行政全般に対して責任があるわけでありましょうし、国民も期待しておるのでありますから、国民の皆さんの要望にこたえて、やはりどんどん積極的に果敢にやっていただきたい。特に運輸大臣には、大臣就任当時から交通問題の一元化の問題、総合的な問題等含めて、私たちはいろいろ期待をしておる次第でありますし、欠陥車の問題等につきましても、これは運輸省だけでできないことは明らかでありますけれども、しかし、行政指導の強化によりましては、事故の発生防止あるいはメーカーの反省等も今日以上に実現できる面があると思います。その点をひとつ強く要望したいと思うわけであります。 それからもう一つつけ加えたいのは、車検の問題が、どうも民間に車検を委託するような行政の推移でございますが、どうも車検の民間委託によりまして、私たちが昭和三十八年に国会でも附帯決議をつけましたけれども、この運輸省としての監督ですね。民間の車検委託の場合の監督行政の強化、あるいは指定の工場の基準ですね。基準の厳格、こういうものが時間のたつにしたがってだんだんおろそかになってきておるのじゃないか。これもある意味では監督官が少ない、労働基準監督官が少ないということで労働災害が続発しておると同じように、やはり自動車の事故の問題も、車検の段階で運輸省の監督すべき人員が、どうも行政整理関係にからんで一律にやられておるかわかりませんが、やはり民間委託の車検の問題も、時日の経過とともにおろそかになってきておる。やはりこれは事故につながる問題でありまするから、そういう問題はひとつどしどし運輸行政の問題として強化しまして、そして国民の負託にこたえるようにぜひひとつこれもあわせてやっていただきたいと思うわけであります。 それからもう一つは、排気ガスの規制でございますが、これにつきましても、なかなか結論が出ないでおりますけれども、今日これは公害の中でも大都会の場合におきましては大きな問題であります。排気ガス問題、これらも一酸化炭素だけではなくして、窒素の酸化物あるいは炭化水素、こういうものもあるわけでありまして、アメリカ等におきましても、この排気ガスの規制は非常にきびしくしておるという話でありますから、こういう面もひとつ交通運輸の行政の中で厳格に、しかも敏速にやっていただくようなことをあわせて要望しまして、私の時間は少しく超過したようでありますが、なおまた同僚の皆さんからいろいろ詳しく御審議があるものと思いますので、私はこれで終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 内藤委員の貴重なる御意見、十分にこれを参酌しまして、万全を期したいと思います。
○福井委員長 次に田中昭二君。
○田中(昭)委員 運輸大臣が時間がないという関係で、短い時間になると思いますが、お伺いしたいと思います。 公害等がたいへん問題となっておる反面、物価問題は、佐藤内閣の基本施策として、物価を上げないという方向の姿勢は変わってない、私はこのように信じたいわけでございますが、けさほどの新聞を見てみますと、私鉄運賃値上げの問題でございます。大臣、あなたは大体私鉄十四社、営団地下鉄の値上げ申請を認めておられますが、私鉄の言い分が妥当であると考えておるのか、これが一つ。また昨日、総理が宇都宮の一日内閣で言われた中で、適正な納得のいく範囲で、そのように報道されておりますが、これは大体だれが納得するのか、だれが納得すると解釈しておられるのか、大臣の所見を伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 私鉄運賃の値上げ申請につきすしては、先ほど宇田委員に対してお答え申し上げましたが、重ねて田中さんからの御質問であります。値上げを納得するのはだれかということになりますと、むずかしい問題もありますけれども、一応形式上からいうなれば、これは行政に入る問題であります。ただ、政治的な問題からいうなれば、物価問題にも関連があるわけでありますから、したがって、単なる行政的な事務だけでもない、こういうことはいえると思いますが、法律論からいえば行政事務であります。行政事務ではありますけれども、これが国民にいろいろ直接間接に影響がありますので、そこで、御承知のように、このための特別の法律によって審議会が設定されております。この審議会は、運輸大臣との関係はなく、審議会自身が独自のもとに審議を進めていく。その審議会においては、もちろん申請者の意向を徴するだけでなく、第三者、学識経験者の意見も聞き、あるいは一般使用者側といいますか、国民側の方々の代表者の意見も聞きながら、そうして慎重なる審議をして答申をすることになっております。その程度のものでいいかどうかという議論はありましょう。もっと広くあるいは広範囲に、あるいはもっと何万何千の人に聞く必要はありはしないかという御議論もありましょうけれども、なかなかそれまで広げることが実際上可能かどうかの問題がありますので、国会において公聴会をやります場合においても、大体五、六名の人にしぼって予算等の公聴会が行なわれるわけであります。一応国民の代表といいますか、国民の方々の意見も聞くというたてまえでやっておるわけであります。同様に審議会におきましても、それらの国民の代表という形はありませんけれども、実質的には国民の意向を聞こうということでやっておりますからして、もちろんそれには賛成の場合もありましょうし、反対の場合もありましょうが、これら意見を徴しながら、審議会としては最終的な結論を下す、こういうたてまえになっておることは御承知のとおりであります。あるいは御質問の御趣意に十分に沿わないかもしれませんけれども、大体そのような方針でやっておることを御了承願いたい。
○田中(昭)委員 時間がございませんから、私のほうも端的に一部分的な問題をはしょったような形になるかと思いますが、大臣も簡単明瞭に——初めから質問にわからないようなお答えをいただいては困ると思うのです。簡単明瞭にお答え願いたいということを希望しておきます。 私鉄が鉄道部門の経営がたいへん苦しい、その反面、輸送力の増強ということがいわれておりますが、なかなかこれが遅々としてはかどらないと思うのです。しかし、その反面、最近の私鉄は沿線開発等にたいへん力を入れまして、不動産、観光、スーパー、そういう面に進出して膨大な増収をあげておる。これはもう御承知のとおりです。こうした私鉄経営の実態をあなたは認識した上で、値上げはやむを得ない、こう判断したのか。先ほど私の質問の中に、大臣としては運賃値上げの申請を妥当と思いますか、こういう質問もいたしましたが、それに対するお答えがなかったと思いますから、あわせてお答え願いたいと思います。
○橋本国務大臣 数字等については事務当局から説明をさせますが、申請の内容の一部でありますけれども、鉄道部門について約二百億円の赤字があります。それに対していわゆる不動産収入等——等といいましても、ほとんど不動産収入でありますが、不動産の利益によったものでその赤字をカバーして、現在の配当をもらっておる、こういう申請になっております。申請内容を十分に検討し、かつまたいわゆる総合経営でありますから、この運賃の値上げ申請に対しても、今後ともに総合経営の前提に立ってきびしい査定をいたしたい。しかしながら、今日ではもう不動産収入をそれだけ期待することは困難の事情を、われわれ審査の経過でありますが、中途においてそういうような状態等もわかりますので、したがって、最小限度の値上げはやむを得ないのではなかろうか。こういうような考え方でおるわけであります。
○田中(昭)委員 この問題はたいへんな問題であるということで当初に申し上げましたが、いわゆる行政の責任者として総理も、先月七日でございますか、あなたの申請に対してストップをかけられた。そのときに総理が言われたことは、安易な経営姿勢が問題であって、私鉄の運賃値上げはストップすべきである、このような意味の発言があったと思う。それを受けてこの一カ月そこそこの段階において、私鉄側は、九月期から一分減配する、さらに合理化を推進するというような決意書を提出した。私は、そういう一分減配とか、ただ合理化を推進するというような決意書だけで、ほんとうに私鉄側の姿勢が改まったとは認めがたい。いままでにもそういうことがありません。私鉄企業が利益の一分減配をするというようなことに対して、これは今後大きく問題にしていかなければならない。私鉄企業の経営に政府が介入するという問題もございましょう。時間がございませんからいろいろ申し上げられませんが、こういうことは、いままでの政府の運賃値上げを認めるための一つのゼスチュアじゃないか、このような感じがしてならないが、この点に対して大臣はどのように思っておられるか。 また、私も国会に参りましてまだ日にちも浅いわけでございますけれども、私たちが国会に参りましたときに一番感じたことは、いまその一つの例を申し上げますと、あなたの前の前の大臣の中曽根さんのときに、四十三年の参議院選挙のときに、中曽根さんが私の選挙区にも来られましたが、そのときに運賃値上げを約束して、半年後に私の地方の西鉄の運賃は上がった。上がるというその年末の段階で聞きただしてみると、前の運輸大臣が約束したことはどうしようもない、こういうことが言われております。次の大臣は国鉄運賃の値上げでたいへん問題でした。そしてあなた。あなたの段階でこの私鉄運賃がさらにまた値上げされる。そういう背景、佐藤総理の四選ムードも、先ほど言われたように安定した。当然閣僚の交代もあるだろう、そういうことも考えてみますと、私は一連の政府の欺瞞政策じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○橋本国務大臣 私鉄の運賃問題は、別に四選問題とは全く関係がありません。先ほど答弁いたしましたように、総理が言われましたのは、安易な態度でこの問題は解決すべきではない、したがって、ストップというよりは、私鉄がみずからの経営姿勢、態度あるいは具体的な将来の合理化等十分なる決意を必要とするのではないかというような意味の話でありまして、必ずしもいまおっしゃったようなストップという意味とは少し事情が違いますが、ただそこで、私は運輸行政をつかさどっておる大臣として、やはり全体の状態を見ていかなければならぬということがある。先ほどもちょっと触れましたが、大都市関係、私鉄は主として大都市関係でありますが、その旅客等の流通機構の重要な一端をになっております。関西においては全体の七割、東京においては約四割、このような状態を占めておるわけであります。しかも、将来ともに大都市の管理センターとしての役割りはますます増大してきておる。都市集中の傾向、これは産業構造の変化からきております。そういう中において、輸送力がその産業構造の変化に伴って都市集中が行なわれるところの情勢に適応できない場合にはどうなるであろうか。それはかえって社会生活の不合理といいましょうか、社会生活の不便を来たし、あるいは産業活動の不便を来たす。こういうことになりますれば、それは結果においてその地域社会の不均衡を来たす結果になる。でありますから、今回の値上げにつきましても、強く輸送力の増強をわれわれは要請いたしております。そういう意味において、これらの三つの問題を目標として、そこで最小限度の値上げはやむを得ないのではなかろうか、こういうような方向で目下検討を進めておる、かような状態であります。
○田中(昭)委員 政治情勢とは関係がないとおっしゃったが、やられた結果は、明らかにそのようなものだということを私は再度ここで申し上げておきたい。いままでの大臣がかわるたびに運賃値上げをなされた。五年に一度の運賃値上げというようなことも先ほどから言われておりましたけれども、五年に一度大臣がかわっておられるわけじゃないが、大臣のかわるたびに何か運賃値上げが行なわれるということを私はここで指摘しておきたいと思います。 最後になりますが、その私鉄運賃の値上げがわれわれの市民生活にたいへん大きな影響を与えることは明らかであります。運営して市民にその利益を与えるという鉄道事業の公共性を考えるならば、ただ単に赤字が出たから値上げを認めるという姿勢は改めるべきであると私は思います。そういう国民の立場に立っては、絶対私鉄運賃の値上げは反対であります。さらにこの運賃値上げが、新年度の予算がきまろうとしておる段階において、四十六年度の予算にも多大なる影響を与え、ひいては国家予算の破綻を来たすのではないか。そういうインフレ等につながるこの値上げに対して、大臣としてどのような見通しを持っておられるのか、その点を最後にお聞きしたいと思います。
○橋本国務大臣 これは私鉄とか国営とかということに限りませんけれども、根本的問題としては、いろいろお互いに検討しなければならぬ問題があると思います。これは公共事業である。それが私営であると公営であるとを問わない。こういう意味では、これは純然たる大衆の足でありますから、その抜本的な問題については将来ともに考える時期がくるのではないだろうかと思います。しかしながら、現在直ちにその措置をとり得るかといいますと、なかなかむずかしい問題があります。したがって、いま私鉄に対して特別な助成策といいますか、補助金策という考え方はとっておるわけではありません。ただしかしながら、相当きびしい査定になると思いますから、したがって、先ほど申しました輸送力増強あるいは安全施設、こういうものに対してはやはり政府がある程度協力をしてやる必要がありはしないだろうか。昭和四十五年度におきましても百数十億円の開銀資金が出ておりますが、もちろんこれはただでありませんで、七分という相当の利子でもってこれを支給しておりますけれども、これはほんの何分の一にすぎません。したがって、やはり相当賃金を押えるというたてまえになりますれば、ぎりぎりのところ、厳重な査定をしました上でのことでありますが、輸送力増強のためには、やはり開銀のワクを本年度よりはもっと増してやらないと、実際上の輸送力の増強はでき上がらないということも心配いたしております。いわゆる国の助成といいましても、ほんとうに金をくれてやるというようなことにはなかなか現在のところはまいりませんが、最小限度の措置は国としても考えていかなければならない、かように考えております。
○田中(昭)委員 この私鉄運賃の値上げが新年度の予算に影響して、それに対してどのような見通しを持っておられますかということについては、お答えがなかったと思いますが、もう一回お願いします。
○橋本国務大臣 ただいま申しましたように、開銀のワクを増大するということであります。それ以外に特別の金をくれてやるということはいたしません。
○田中(昭)委員 そのような簡単なことでの私鉄運賃値上げについては、私は絶対反対であるということを申し上げて、質問を終わります。
○福井委員長 次に和田春生君。
○和田(春)委員 ただいまの質問に関連いたしまして、私鉄運賃の値上げ一点にしぼって質問を申し上げたいと思います。時間を節約する意味で、同僚委員との重複を避けまして、要点的に御質問申し上げますので、的確に運輸大臣のお答えをお願いしたいと思います。 先ほども運輸大臣は前質問者に答えまして、前に申請をされた運賃値上けが引き延ばされた理由について、佐藤首相が、私鉄の合理化の努力が足りない、そこで簡単に認めるわけにいかない。そういうような点からもっともであるということで、いままで延ばしてきたという意味のお答えをされたわけでありますけれども、今回値上げはやむを得ないというふうに踏み切ったというふうな措置をとられるに至ったその合理化の努力というものは、どういう点に努力のあとありというふうに認定されたか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 一つは、端的にお答え申しますが、何といっても大都市の輸送力増強は一刻を争う問題である、これが第一であります。第二は、合理化の問題ですが、当時新聞でも御承知と思いますけれども、今回、一人当たりの生産性は、従来努力してまいりまして、現在までに——従来の計画が三千七百八名のいわゆる合理化を行なう——これは首切りという意味ではないようであります。要するに、必要な部門についてはモータリゼーションを行なうことによって人員を浮かすという考え方のようであります。将来においても、この点は、四十五、四十六年度において、従来の既定計画の上にただいま申しました三千七百八人を加えて、そうしてその六七%に当たる二千四百八十人の追加の省力化を行なう、こういう方針を明らかに申し入れております。これによって一人当たりの生産性は一・五六倍でありますか、その辺まで上昇するということを申し入れております。この一つには、われわれ運輸省からいいますなれば、何といっても大都市の輸送力増強は一刻もゆるがせにできない、これがまず第一点。第二は、これにこたえて私鉄関係が輸送力増強については合理化計画を必ず遂行する。そのためには、一方においては資金を生み出したり、将来のベースアップ等にも備え、従来のベースアップの解消のためにも、自動化を行なうことによって省力化を行なう、こういうきちっとした態度をとりましたので、そこで最小限度の値上げは必要である、かように考えるに至ったわけであります。
○和田(春)委員 ただいま運輸大臣から合理化の内容の一、二の例がお答えございました。新聞に伝えられておるところによりますと、そのほかに、株主配当を一分減配をしたこと、来年の春の賃上げについて経営者側がきびしい態度をとるという方針を打ち出したこと等を勘案したというふうに伝えられておりますが、その真偽のほどはわかりませんけれども、いまの合理化の内容とあわせて考えますと、政府が運賃値上げと引きかえに積極的に私鉄の労使関係に介入をいたしまして、人員整理あるいは賃金の抑圧、そういうものを引きかえ条件にして運賃値上げを認めていく、そういう気配がきわめて濃厚になっておりますけれども、そうなってきますと、いわゆる正しい意味の合理化とかあるいは私鉄の輸送力を増強するとかということとはおよそ見当の違ったところに発展をしていくのではないかということを感ずるわけでございますが、その点いかがお考えか、大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 人員整理は社長会からも何ら申し入れてありません。したがって、省力化というものは、人員整理とは別の方法で行なわれるものと考えます。 それから配当の問題は、もちろん政府側からこれを希望したわけではありません。全体的に見て、いわゆる会社側が今日の国民世論等々から考え、また公共事業の性質から考えて、みずからういうような考え方を明らかにしたという点でございまして、行政府としては、いわゆる会社の経営に干渉する意思は全くない、かように御了解願います。
○和田(春)委員 そういたしますと、前回、運賃の値上げの申請について、これを認めるわけにいかない、こういうふうに首相が判断をして延ばしまして、今回値上げを認めることになったということについては、合理化の努力が十分ありというふうに判断をしなければ、国民に対する説得力、世論に対して納得を得ることはできないと思うわけですけれども、いまの運輸大臣の御答弁によりますと、どうもその点がはっきりしない。具体的にたとえば一人当たりの生産性が一・五六倍というようなことでございますけれども、五〇%も生産性を上げるという形になりますと、もし路線の状況ないしは現在のダイヤをそのままにしておけば、ただでさえ満員で詰まっているところに、さらに人間をすし詰め満員にして、締め殺すくらい車両に詰め込まぬことには、生産性というのは上がらないというふうに考えるのが常識でございますけれども、一体その輸送力の増強というのはどういうふうに根本的にお考えになっているのか、その辺についてどうも理解に苦しみますので、的確にお答えを願いたいと思うわけであります。
○橋本国務大臣 ちょっと私が、簡単簡単というお話でありましたから、ことばが足らぬようでございますけれども、一・五六倍の生産性が上がったということは、昭和三十五年以来の努力によってそうして今日までにそこになったということでございます。来年度一ぺんに〇・五六を上げるというわけではないわけでありまして、昭和三十五年以来、逐次いわゆる機械化あるいは改札の自動化等によって進めてきた。もちろん、これは社会の改造等も影響があると思います。あらゆる方面からそのような努力を続けてまいった、こういう意味でありまして、一ぺんに五割も生産性を高めるということは、これはできない相談であります。そういう努力をして、なお今後とも積極的な努力を続けますということで、これは料金の最小限度の値上げをわれわれもやむを得ないのではないか。それまでやっても、なおかつ会社側の話によれば相当の赤字が出るわけであります。そういう点から考えて、いわゆる会社にもできるだけの負担はさせる、また利用者側も最小限度の負担をひとつしてほしい。ということは、輸送力増強ということが非常に大事である。第三には、政府もこの際助成金等は出せませんけれども、開銀等の安定した金をことしよりはよけいにこれを配分して、そうして輸送力増強の資金にあてがってやろう、こういうような三つがお互いに助け合っていこうじゃないかというところに、今回の最小限度の値上げの基本的な精神があります。
○和田(春)委員 そういたしますと、合理化の努力をすることが必要だということがいわれておりますけれども、結局その合理化ということについて政府側がメリットを認めるというふうにお考えになったことは、省力化によって三千数百人の人員が節約できる、大臣のお答えによると、それは首切りではないと言われますけれども、ただ具体的な問題はそれだけでございますか。来年の賃上げについてきびしい態度をとるとか、あるいは株主配当を一分減配するということは、合理化の内容とは関係ないことである、そういうふうに政府はお考えになっておりますか。それとも、それも合理化の一環とお考えになっておるのか。その辺のことを確かめておきたいと思います。
○橋本国務大臣 配当を会社みずからが幾らかでも減配をしようということは、合理化とは関係はないと思います。ただ、こういう公共事業といいますか、こういうような事業は、何といっても従来ともに低配当にならざるを得ないでしょう。そういう意味において、ただ不動産収入でも特別大きくありますれば別でありますけれども、現在の情勢から見ると、大体頭打ちになってきたということから見まして、やはり主たるものは鉄道収入によって支出をまかなわなければならぬ。もちろん、それでもなおかつマイナスの面、赤字の面があると思いますけれども、そういうことになれば、鉄道収入、軌道収入が中心になれば、やはり会社側としても配当等において考えざるを得なかったのではなかろうか、かように考えます。したがって、配当制限と人員整理は合理化とは全く関係はないと思います。
○和田(春)委員 時間が非常に制限をされておりますので、この問題については、また機会を改めてお尋ねをいたしたいと思いますが、ただいまの大臣の御答弁の限りでは、一体どれだけの合理化をするという約束がなされたのか、政府がそれをどのように合理化の努力のあとを認められたのかということについては、的確にわかりませんので、その点についてはきわめて不満であり、遺憾であるということを申し上げておきたいと思います。 ところで、輸送力の増強その他の問題が触れられましたけれども、今日の私鉄の問題につきまして、大都市近郊の開発利益とか、あるいはデパート、スーパー、遊園地その他に関連投資をする、不動産業に進出をするというような形の多角的な経営においてまかなっているという実態についても、世間からいろいろ問題にされておりますけれども、一方、そういうような多角経営によって鉄道運賃収入の赤字を埋めることができないようなローカルの軌道もあるわけであります。こういう点を総合的に考えてみますと、国鉄が現在破産状態に瀕しておりますけれども、陸の鉄道による輸送、それから道路輸送、空の輸送あるいは内航海運による輸送、こういうような各種手段の異なる交通機関の間における競争条件が整備されていないというところに重大な問題があるように思うわけであります。軌道やその他についてはばく大な投資をしなくてはいけない。これからも輸送力を増強していくという形になりますと、単線のところは複線化をする必要がある。さらに現在の路線を延ばす必要がある。新しく路線をつくる必要がある。そういうことを考えますと、土地の取得からそれに対する膨大な設備投資というものを考えていきますと、これが企業の負担にかかっていく。ところが一方、路面による道路輸送の点を考えますと、道路は大かた公共の負担によって行なわれておりまして、道路という輸送手段についてのコストの負担といいますか、設備投資というものは、それぞれの企業の負担に転嫁をされている部分がたいへん少ない、そういう面もあるわけであります。こういう問題をほうっておいて、つじつまを合わせようと思って世論をいろいろごまかすようなことをやってみましても、やがて遠からずつじつまの合わないことになってくると考えるわけであります。したがいまして、全体的にそういうような競争条件をできるだけバランスをとるように整備をする。さらにそれに加えて政策的に低い運賃をきめる。あるいは通勤とか通学とか、そういうような面についての政策運賃というものがきめられる場合において、それについての公共負担というものについてのあり方を明らかにする。そういうような総合的な抜本政策というものをきめまして、将来にわたる見通しというものを立てなければ、行き当たりばったりのことにならざるを得ないと考えるわけであります。 そこで、いま国鉄の問題が起きております。私鉄の中においても、経営形態においていろいろの差異もあるわけであります。また、地下鉄の建設も進むでしょう。そういう抜本的な交通手段の総合調整というものについての方針を立てて、これを次期の国会におはかりになる、それまでは一切の運賃値上げは認めない、そういう決意をもって政府は取り組むというお考えがあるかどうかということを、特にこれは運輸大臣に決意と所信としてお伺いしたいと思う。
○橋本国務大臣 大都市交通圏の総合体系というものは、お話しのように非常に大事な問題でありまして、私もかねてからこれが検討をいたしておるわけであります。もう一つは、競争原理のお話ももっとものお話であります。その競争原理ということは、同じコストの上に立ってある程度の料金をきめろ、こういうことだろうと思います。そういう場合に、公営、私営の別はないものと理解してよろしいと思います。民営だから国が助成するのは好ましくないとかいうお話ではないだろうと思いますが、そういう点において、これは根本問題でありまして、競争原理を公平に行なうという問題は、私も、考え方としてはかねてからそういう考え方を持っております。しかし、これを実施するという段階になりますと、なかなか問題があります。企業形態が現在のままでいいかどうかという問題もあろうと思います。お話しのような点は、十分にこれから積極的に検討を進めていきたいと思いますが、それができるまで運賃値上げをストップするというわけにもまいりません。これは基本的な大問題でありますから、一朝一夕には片づかない問題であろうと思いますが、国鉄その他も考えますと、そういう総合体系、そしてその企業体系をどうすべきかといういろいろな問題が入ってまいると思いますが、十分その点は今後とも検討してまいりたいと思います。
○和田(春)委員 それでは最後に、これは大臣にお願いをいたしておきたいと思いますけれども、それまで運賃の値上げをとめるわけにはいかないというお話でありますけれども、根本的な将来の見通しがなしにそういうことが行なわれているということは、ますます国民の運輸行政に対する不信を増すばかりであると思います。したがいまして、基本的な問題を立てて、それまでどうしてもやれないという、ほんとうにこれはやれなくて、助けてやらなければいけないという事実があるならば、いろいろな割引その他において本来公共負担に属するべきものを負担しているならば、その面は当面めんどうを見てやってもいいと思うわけでありますが、いま大臣からお聞きいたしました答弁の限りにおいては、今回値上げに踏み切る、これを認めるということについての政府の答弁の内容については、全く納得ができませんし、この点については、今後行政に対して根本的な反省をされるように特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○福井委員長 次に松本忠助君。
○松本(忠)委員 去る九月九日の朝日新聞に「ホンダN360欠陥調査を国の手で」、こういう大見出しで、ある団体が衆議院の運輸委員会に陳情という記事が載っております。 〔委員長退席、和田(春)委員長代理着席〕 私も陳情を受けました一人といたしまして、そしてまた、事欠陥車と聞きますと、昨年の六月五日に、衆議院の交通安全対策特別委員会におきまして、国会において初めて欠陥車問題を取り上げ、火つけ役を買って出ました因縁もありますので、一言申し上げたいのであります。 私は、朝日新聞に載りましたホンダN360という軽自動車だけでなく、日本で生産され、販売されているところの軽自動車全般の問題について、幾つかの質問をしてみたいのであります。 そこで、最初に確認いたしたい問題でございますが、いままでもいろいろと欠陥車問題につきまして議論がなされてまいりました。しかしながら、案外おろそかにされていることは、欠陥車とは一体何なのだという、欠陥車に関する定義がまだはっきりとしていないように私は思います。私は、車両保安基準に適合していないこと、または車両の保安基準に適合しなくなるおそれがあるもの、こういうものが欠陥車というのであると考えておりますが、この点いかがでございましょう。まず、欠陥車の定義について局長にお伺いをいたしたいのであります。
○野村説明員 ただいま先生のお話のように、結論的に申し上げますと、おっしゃるように、保安基準に適合する正常な運転、正常な整備のもとにおいて、保安基準に適合しないものが欠陥車であるというふうに考えております。
○松本(忠)委員 もう一点伺いますが、もう一つあるんじゃないかと思いますのは、取り扱い不良によるもの、たとえば限界以上のスピードを出して起こった自動車の破損、こういうものは欠陥車にはならない。この点はどうですか。
○野村説明員 正常な運転、正常な整備ということでございますから、その運転におきましても、それが通常その自動車において常識的に要求される以上の乱暴な運転をした場合には、運転そのものに問題があるので、それが直ちに車そのものの性能の欠陥ということにはならない場合があると思います。
○松本(忠)委員 それから次に確認をいたしますが、欠陥車としていままでリコールされたもの、これらの車は、いずれもハンドル部分であるとか、あるいはまたブレーキホース、ブレーキペダル等において保安基準に適合しない部分があったので、欠陥車とみなされたと解釈してよろしゅうございますね。
○野村説明員 そのとおりでございます。
○松本(忠)委員 それではさらにもう一点伺いたいのは、朝日の九月九日付の記事によりますと、ある団体の事務局長の話の中に、N360をさして、「一口で言えば設計思想が間違っていたというほかない。」こういう発言がございます。この発言に関しましては、独断的で何ら証明するものがございませんし、また短いことばでございますから、この表現が真意を尽くされているかどうか、この点にも疑問があります。でございますが、同じ設計でも、Aはいいと言い、Bは悪いと言うことが起きるのではなかろうかと思います。そこで、設計思想の間違いも欠陥車の概念に含まれるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
○野村説明員 設計思想という意味でございますが、私どもは、これをその車の設計に対するメーカーの基本的な考え方というふうに理解するわけでございますが、その考え方自体にはいろいろの特徴がありまして、一がいにそういう考え方がAの場合はいい、Bの場合は悪いというふうには言えないと思います。問題は、具体的な個々の車の構造、性能、設備、そういう物理的なといいますか、そういうものが具体的な車について欠陥車であるかどうかということが論ぜられるわけでございまして、抽象的な考え方というものではないというふうに私ども考えております。
○松本(忠)委員 それでは、設計思想の問題ということは、当局では欠陥車の中には含まない、こういうことですか。
○野村説明員 思想といいますか、それがどう具体的な生産品にあらわれるかということでございます。したがいまして、思想を取り上げて、その思想が欠陥であるかないか、これは私は簡単に言えないと思います。
○松本(忠)委員 次に問題は移りますが、一例をあげて言いますと、Nの場合は、四十三年六月までには九件のリコールを行ないまして、同年十二月までに九七%を回収しているということでございます。現在Nの問題の争点になっておりますのは、この種の単純な欠陥問題でなくて、車の特性とかフィーリング、こういうきわめて抽象的な、しかも人によっては賛否両論の分かれる問題であると考えるのでありますけれども、この点はどのように運輸省では考えられますか。 〔和田(春)委員長代理退席、村上委員長代理 着席〕 そこで、申し上げてみたい第一は、すでに皆さんは自動車を常に使用されております。十分御承知のことでございましょう。車には大なり小なり特性があるということであります。この点話題になっているホンダの360にいたしましても、あるいはスバルの360にいたしましても、特性という問題はあるだろうと思います。この点はもう皆さんも十分御承知でございましょうけれども、車には大別して三つある。いわゆるFR型、フロントエンジンのリアドライブ型、FF型、フロントエンジンのフロントドライブ型、RR型、リアエンジンのリアドライブ型、またこれらの三つを組み合わせましたいわゆるジープと称するものもございます。しかしながら、皆さん方も乗り、私どもも普通乗っておりますFR型、これは代表メーカーは、言うならば日本では日産とかトヨタの各級の車、こういうふうになると思います。それでFF型はいわゆるいま問題をいろいろかもしておりますところのホンダのN、RR型は代表品なのがスバルであろうかと思います。一般的な中型車は、エンジンが回転し、シャフトを通じて後輪が駆動する、こういうふうな形になっておりますが、御承知のように、FF型はフロントエンジン、すなわち、前にエンジンがあり、直結して前輪が駆動するという形になっております。RR型は後部にエンジンが収納されており、そしてまた直接後輪を駆動する、こういうふうな形になっております。この三種はそれぞれ車の性質であって、またそれぞれに違った特性がある、このように私は思うのであります。しかし、このことをメーカーが使用者に徹底して教えているか。エンジンのあり場所によってハンドルさばきが大きな影響を受けること、特にそれがスピードが出ている場合、その場合におけるところのハンドルのさばき方、あるいはまた急な下り坂にかかった場合のハンドルさばきなど教えているかというと、メーカーはユーザーに徹底して教えていない。この辺につきましては、あとで私は自動車の教習所の問題についても御質問したいと思っておりますので、その際にまた言いたいと思いますけれども、とにかく最近のメーカーの宣伝文句を見ますと、うちの車はスピードが出ます、百二十五キロも出ますというスピードの宣伝はする。きょうの新聞にもこの自動車の宣伝の問題に対してはいろいろと出ております。自工会でもこれに対して警告を発しなければならない云々の記事も出ております。このように最近のメーカーの姿勢といいますか、スピードを売りものにしようというところに大きな問題がある、こう思うのであります。 そこで、ただいま申し上げましたような車の特性、この車にはこういう特性がありますというその特性をよく理解させること、これを怠っているところがあるのではなかろうか。こういう問題をなおざりにして、販売販売、売ることばかりにきゅうきゅうとしているのではなかろうか。ですから、この特性を十分にわきまえた運転者が正しく運転すれば、そうそう事故は起きるものではないと私は思っております。だから、この特性までを欠陥とすると、全事故を車の責任としなければならなくなる、こういう事態も起こることが考えられます。すなわち、ドライバーが自分の運転技術をたなに上げて、自動車の欠陥による事故だと主張するおそれがあると思われるのであります。このような事態が一般化した場合には、交通事故防止上きわめて憂慮すべき事態が起きるのではなかろうかと私は考えるのであります。大体、軽自動車というものは、御承知のように、小さなずうたいです。タイヤから見ても、中型、小型に比べますと小さいし、自動車の扱いをしていないといっては、これはたいへん失礼な言い分かもしれませんけれども、車検体制もとられておりませんし、車庫の規制も受けておらない自動車であります。これらを念頭に置いて、軽自動車に対する世間一般の考え方を改めていかなければならないのじゃなかろうか。要するに、メーカーは車を販売するときに利点ばかり強調せず、こういう性質を持った車ですという一面も、利点と同様に強調して売るべきではなかろうか、こう私は思うのでありますが、この点につきまして、運輸省、通産省並びに警察の見解をそれぞれ聞かせていただきたいわけであります。
○野村説明員 先生のおっしゃるように、最近の自動車のディーラーと申しますか、そういう販売にあたりまして、自動車の、たとえば最高スピードとか、あるいは快適性というようなことは、非常によくPRが行なわれておりますが、反面、その自動車の運用について、特に注意すべき点というようなことについてのユーザーに対する解説なり注意を喚起するという点が、確かに片手落ちであるということは、これはもう御説のとおりだと思います。 したがいまして、運輸省としましても、そういう意味で、今後車の取り扱いについても、メーカー、ディラーからユーザーに対して注意を喚起して、それぞれの特性を十分知った上でその車を使うというような措置をもっと親切にPRをし、そういう、何といいますか、お願いをユーザーにするというような措置を講ずるように尽くしたいと思います。
○大永説明員 運輸省自動車局長から答弁されたとおり、通産といたしましても、販売店連合会等を通しまして、販売店に対し、ユーザーに対して適切な注意をいたしますような販売のしかたをするように、指導してまいりたいというふうに考えております。
○井口説明員 ただいま運輸省、通産省から御答弁がございましたが、私どもといたしましても、とかく快適性あるいはスピードといったような点が強調されまして、場合によっては法令違反の広告ではないかと思われるような実態もあるようなわけでございまして、そういったことでなしに、もっと安全確実な、その車の特性を一般によく知らせるような販売方法というものをとってもらえるならば幸いである。今後とも機会あるごとにそういう方向へ私ども指導してまいりたいというように考えます。
○松本(忠)委員 それぞれ、ただいまの問題に関しまして三省庁とも前向きの答弁でありまして、私もその行政指導を大きくやっていただきたい、こう思うわけであります。 第二の問題点でありますが、現在売られている軽自動車の構造上の問題であります。はたして現在の構造でいいのか、これを私は思うのでありまして、たとえて言いますと、車軸幅は現在のままでいいか、あるいはホイールベースの寸法はこのままでいいのかどうか、懸架装置、すなわち、操縦性及びロードホールディングなどが高速運転に耐えられるのかどうか、また車体の剛性はこのままでいいのか、強度について心配はないのか、車の安全性について問題はないのか、あるいは排気量は三六〇で妥当なのかどうか、これらのいろいろな問題をかかえているように思うのでございます。 そこで、ちょっとお尋ねしますが、現在販売されている軽——日本の国において軽が誕生して、その最初に売り出されたのは、大体いつごろでございましょうか、簡単に……。
○隅田説明員 昭和三十二年ころだと思います。
○松本(忠)委員 昭和三十二年ころ——けっこうでございます。 大体その時分には高速自動車道路があったでしょうか、なかったでしょうか。
○隅田説明員 現在のような高速自動車道路はまだなかったと思います。
○松本(忠)委員 そのとおりでございます。 そうしてまいりますと、時代は大きく変わっておるわけであります。変貌を遂げているわけでございます。軽はそれについていく改良がなされてきたかどうか。高速道路が生まれた。それに対して、軽自動車というものがそれについていくような改造がなされているのかどうか、改良がなされていたかどうか、この点を私はお伺いしたいわけであります。 私は、日本の自動車産業において軽が発売された思想といいますか、背景といいますか、これを考えてみましたときに、経済の成長につれてだれもがたやすく車の所有者になれる、車を持てるという国民車構想がその動機ではなかったかと思うのであります。メーカーは、小さな車体で高い性能を持った、馬力の出る、スピードの出る車を要求されて、かなり無理して設計しているのではなかろうか、無理した設計をやっているのではなかろうか、こういう心配を私は持つものであります。これらの点から考えまして、軽自動車という車について、もう一度まないたの上にのせて洗い直してみてはどうか。ドライバーの安全、しいて言うならば、国民の生命の安全につながる問題でございますので、もう一度軽というものを根本的に洗い直してみる必要があるのではなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。そういう意味におきまして、新しい軽のワクといいますか、国民が安心して乗れる軽自動車をつくり出さなければならない。疑問のない、疑点のない、安心して乗れる国民車構想、こういうものがなければならない、こう思うわけでございますが、それに対して運輸省、通産省の考え方を聞かせてもらいたいわけであります。
○野村説明員 先生のおっしゃるように、軽自動車のそもそも売り出されました当初と、世の中も大きく変わっておりますし、また軽自動車そのものの性能もずいぶん変わっております。したがいまして、今後の軽自動車がほんとうに安全に運転され、事故のない国民の足として利用されるためには、今後制度的にも、また審査の面にも、いろいろ研究を要する点が多いと思います。 私どもといたしましては、軽自動車は、いままで普通自動車と同じようにいろいろと、まあことばが違いますが、型式の認定とか、あるいは定期点検整備とか、そういうことをやってまいりましたけれども、今後より一そう軽自動車が安全に利用されますように、前向きに十分検討したい、制度の面につきましても検討したいと考えております。
○大永説明員 軽自動車が発売されましてから今日まで十数年たっておりますが、その性能につきましては、非常に進んでまいったことは事実でございます。 今後の問題につきましては、今後におきます軽自動車の技術的な発展の可能性と、いま御指摘になりましたような安全性の問題とを兼ね合わせて、いろいろ研究していくべきものだというふうに考えております。
○松本(忠)委員 お二人からいま答えがありましたが、私がお伺いしたいのは、この車軸幅がどうかとか、ホイールベースの寸法はこのままでいいかどうか、懸架装置はどうなんだ、三六〇という排気量でいいのか、こういう具体的な問題について、私は、もう少し前向きな答弁、これではまずいのだとか、いいのだとか、はっきりしたほうがいいと思うのですね。その点、担当の整備部長、どうですか。
○隅田説明員 先生の御指摘は、おそらく軽自動車の大きさが現在の性能に対して小さいのではないかという御指摘だと思いますが、先ほど大臣の説明にもございましたが、大きさのほうを再考慮するか、あるいは軽自動車の今後の問題として、たとえば速度の問題などというものについて何らかの規制を加えるか、方法としてはいろいろあると思います。私たちといたしましても、技術的な検討を加えながら、多面的にいろいろな検討をしてまいりたいと思います。
○松本(忠)委員 もう少し技術的にどうですか。抽象的な問題でなくて、私たちがいま心配しているのは、車幅の問題あるいはホイールベースの問題、三六〇というワクの中ではたして安全な車ができているのかどうか、国民はそれを非常に心配しているわけです。そういう点についてもう少し私は熱心に討議されるべきじゃなかろうか、こう思うのです。
○隅田説明員 現在出ております軽自動車につきましては、大きさとのバランスにおいて心配はないと思います。
○松本(忠)委員 排気量……。
○隅田説明員 排気量についても同様でございます。
○松本(忠)委員 そうしますと、現在出ている軽自動車という全般の問題、軽自動車については全く危険がない車であるということがいえるわけですか。
○隅田説明員 そのとおりでございます。
○松本(忠)委員 わかりました。それほどまでに運輸省が確信を持たれるということは、私は当然なことだと思うのであります。またそうでなければならないと思うのです。そうして、いま三六〇というワク内であの軽自動車がつくられております。この排気量をふやしたらどういうことになるか、この点はどうですか。軽自動車として三六〇のワクをはずす考えがあるかないか、あくまで三六〇にとどめておくべきかどうか、この点はどうですか。
○隅田説明員 現在のところ、排気量をふやしていく考えはございません。
○松本(忠)委員 考えはない、そういう現在の形というものをあくまで尊重して軽の開発をはかっていく、こういう考えですね。——わかりました。 それでは通産にお伺いしますけれども、四十四年度におきましてわが国の代表的な軽自動車はどれくらい生産され、使用されているのか。また、外国にも輸出されているわけでございますが、どれくらいの台数が輸出されているのか。さらに、代表的な軽自動車のメーカーの各社別に一応数字を示してもらいたいと思うわけであります。なお、外国からこういう欠陥車呼ばわりをされたことがあるのかどうか、この点についてもあわせて伺っておきたい。
○大永説明員 一九六九年、暦年でございますが、軽乗用車の生産が五十六万台でございます。最も多いのが本田技研でございまして二十万台、それから鈴木自動車が十二万台、以下ダイハツが八万台、富士重工が七万七千台、こういうふうな数字になっております。あとは省略申し上げます。それからトラックにつきましては、同じく暦年で、四十四年で生産台数が五十五万七千台ございまして、一番多いのが本田の十三万一千台、続きまして鈴木の十一万六千台、その次はダイハツの十万六千台というふうなことになりまして、以下は省略させていただきます。 以上が生産でございまして、そのうち輸出されたものというのは、乗用車につきましては同じく一九六九年で約八千台ございます。それからトラックにつきましては二万一千台あるというふうな状態でございます。 この輸出にからみます海外での評価につきましては、消費者団体等で発行しております雑誌等で、ある種の軽自動車についていろいろ書かれているのを見たことがございますが、それ以上は詳しく情報を耳にしておりません。
○松本(忠)委員 そのある種の外国の雑誌という問題は、この席で発表できることですか、できないことですか。できなければやむを得ませんけれども。
○大永説明員 私も正確なことを記憶しておりませんので、ちょっとこの席で申し上げかねます。
○松本(忠)委員 それじゃいいでしょう。一応いまのお話によりますと、一九六九年の生産台数が百十万台、外国に輸出されているのが、トラックと両方入れると約三万台、こういうふうに承知するわけですが、いまお答えのなかった、外国においては、特にN360については、何か評判の悪いことを聞いていますか。
○大永説明員 私は、寡聞にして聞いておりません。
○松本(忠)委員 それではもう一点運輸省に伺いたいのですが、現在の軽自動車の保有台数、最も最近の統計でけっこうでございますが、おっしゃってください。
○野村説明員 四十五年六月末で五百五十万八千台でございます。
○松本(忠)委員 ただいまの答弁によりますと、生産は年間百十万台、日本で使用されている車は五百五十万台、先ほども大臣の発言にもあり、いまも局長からお話があったとおりでございます。このように大量に使用されている軽自動車につきまして、特にホンダN360について、責任ある立場の運輸省も警察庁も、あのいわゆる欠陥車問題について調査中であって、欠陥ありと認めておらぬようであります。これでは軽自動車の使用者にいたずらに不安を与えるだけでありまして、益がないと思う。一刻も早くこれは決着をつけるべきであろうと私は思うのでございます。 去る七月十日に、私は、交通安全対策特別委員会におきまして、イーグルハンドルの問題を質問いたしました。その後、イーグルハンドルの問題につきまして公開テストをやったということを聞いております。その結果については、この席でお伺いしょうと思っておりません。また別の機会に譲ってもけっこうです。とにかく私の質問したあのイーグルハンドルの問題点は、危険か危険でないか、これをはっきりしなさいということをあの席で申し上げました。その後公開の場所でテストをやったということは、たいへんけっこうなことだと私は思うのです。去る九月の十一日ですか、参議院の交通安全の特別委員会ですか、向こうは衆議院と違って公害ということばが入っていたと思いますが、その特別委員会におきまして、自動車メーカー三社の代表を参考人として呼んでおります。私もその席に傍聴しておりまして、いろいろと参考になることを聞いたわけでございますが、その際に、わが公明党の沢田議員から本田の西田専務に対して、公開テストを実施してはどうかという質問をいたしました。それに対しまして西田専務は、この車に構造上の欠陥があるなどということは全くない、車はその使用目的に沿って正しく使われてはじめて正しく作動する、公開実験は望むところでありますという、まことに自信に満ちた答弁がありました。 そこで、欠陥車かどうか明確な結論を出すために、この際、私は、Nはもちろんのこと、全軽自動車の操縦安定等に関する公開テストを行なうことが必要であろうと考えるわけです。そこで私は、これに対しまして具体的に公開テストの方法を提案して、そして論議をしてみたい、こう思うわけであります。 松本の一つの公開テストの考え方でございますが、一応読んでみますと、私は、最近問題になっている軽四輪乗用車の操縦安定に関する論議の発展を考えて、次のような方法による公開テストを提案する。テストの内容といたしまして、テストすべき内容、それからテストする機関、テスト車の選び方、この三点について逐次述べてまいりたいと思います。 まず、テストすべき内容(項目)でございますが、車の操縦安定性を評価する方法についてはいろいろありまして、論議の分かれるところでございますが、大別しますと、二つの方法があると思います。一つは機械、すなわち、自動車だけの性質をつかむような方法、もう一つは、あくまでも人間が機械を使って走行することを考慮して、人間プラス機械の要素をできるだけ織り込む方法、この二つがあると思います。しかしながら、テスト及びその評価の繁雑さから見ますと、一の方法がまことに簡単ではございますが、現在の問題の争点を考え、かつ、車は人が運転するものである事実を考慮するときには、人が運転する車の操縦安定の正しい評価に一歩でも近づく必要があろうかと思いますので、二の方法をとるべきであろうと考えます。 二の方法は、近年十数種類のテスト方法が開発されまして、発表されておりますが、この中で基本的な方法といたしましては、アメリカと日本でほぼ定説化しつつあるものに五つありますが、その第一がパルス応答法テスト、第二は周波数スウィープ・スラロームテスト、第三番目がレーンチェンジテスト、四番目が回避テスト、五番目が限界、転倒テスト、この五つがあると思います。これらにつきまして、そのテストの持つ意味及び方法を簡単に申し上げてみたいと思います。 パルス応答法テストというのは、テストの持つ意味は、中高速走行状態での車の操縦性、安定性の度合いを測定する。テストの方法といたしましては、一定速度で走行中ハンドルに九十度の操舵を加える。ハンドルを九十度切り、もとの位置に戻して走る、こういうやり方をする。時間にいたしまして〇・四秒から〇・五秒、大体一秒間に二回くらいそれを操作する早さ、こうしてサイン波形をつくる。これによる車の挙動を車に載せてあるところのジャイロ加速度計で測定するという方法であります。言うならば、最大限のハンドルミスが車に与える状況を調べていこう、こういう考え方のものであります。 第二番目が周波数スウィープ・スラロームテスト。このテストの持つ意味は、中高速走行状態での人間、それが機械糸としての操縦限界及び自動車の安定度を測定する。要するに、人間も機械の一部である、運転ミスは事故に直結する、こういう点を見るためでございます。テストの方法としては、一定速度で走行中に運転者が〇・二サイクルから二サイクル、時間でいうならば一秒間に〇・二回、五秒かかって一回ハンドルを切ってもとに戻すなど、ゆっくり、そしてまた速く車のゆさぶり運動をする。そうしてその周波数で安全で可能な限り、最大操舵を行なってまいります。すなわち、周波スウイープを行なう。その結果、車はスラロームを行なう。このときの各周波数に対する限界操舵角及び車の挙動を車に載せているところの計器ではかっていく。要するに、だんだん波の形を大きくする、そして限界近くまでもっていく、こういうテストをする。 第三番目がレーンチェンジテスト。これは中高速で走行中、あらかじめ存在の予知できる障害物、たとえば追い越し時における追い越し対象車あるいは道路工事など、これを回避するところの性能を見る。同様に追い越し時の安定性等を測定する、運転技能の違いが車に影響する程度も見ていく、こういうテストであります。方法といたしましては、三・六メートル幅の走行レーンを二本隣合って引き——三・六メートル幅というのは、要するに通常道路の一車線幅、実用に近い幅、この三・六メートル幅の走行レーンを二本隣合って引きまして、一定間隔に三本のゴムのポールを立てます。その前後に車の通過検出装置を置いて、三本のゴムポールの間を車が二回レーンチェンジしてもとのレーンに戻り通過していく、その間の平均車速を測定し、通過の成否を記録する、これを運転技能の異なる数名の運転者にて各数回テストをする、そうして統計的に車のレーンチェンジ性能を比較する。たとえて言うならば、車が四台でも五台でもいいのですが、四台なら四台、運転者が七人なり八人、この七人なり八人がそれぞれがその四台の車に数回乗って、そして平均価を出す。車の性能と運転技能の差が車に与える影響を見てみよう、こういうことであります。 第四番目が回避テスト。このテストの持つ意味は、中高速走行中の車及び運転者が前方に突然あらわれた障害物を安全に回避し、安全にもとの走行レーンに戻り得るかを測定する。車の安全性などはもちろん、運転者の運転技能の差がどのような形であらわれるか、その差も測定していく。これは、ただいま第三番目に申し上げたやり方と同じでありますが、やり方のほうで、三番目に申し上げましたのは、障害物があらかじめ予測される。さっきのように道路工事をやっているとか、追い越し時の対象車があるとか、あらかじめ予測されるそういうものでなくて、この四番目にいま申し上げたものは、障害物が突然あらわれてくる。ですから、テストの方法といたしましては、三・六メートル幅の走行レーンを二本隣合って引いて、その進行中の左側に遮蔽板を数十枚並べまして板べいの状態として、その板べいの遮蔽板の裏側から運転者の予知できぬ場所から障害物を突然飛び出させる。車はその障害物を回避して隣のレーンに入り、回避した後はまたできるだけすみやかにもとのレーンに戻る。この間、二つのレーンより車がはずれたならば不合格、障害物に接触しても不合格、ブレーキの使用は運転者の自由とする。これはよく街頭においてもあるわけでありますが、子供の飛び出し、こういう問題がございます。とっさに子供が飛び出してきた、そういう場合にどの程度障害物を回避する力があるかどうか、これを調べよう、同時に、車の安全性、運転者の技能がどの程度その車に影響するかを調べたい、こういうことであります。 第五番目が限界、転倒テスト。このテストの持つ意味は、インターチェンジまたは急ハンドルでの転倒に対する車の強さを測定する。方法としては、高速で直進中、急ハンドルを切った場合、または円旋回の円の内側へ急ハンドルを切った場合の車の挙動を写真等で撮影する。これは時間と車の速度、そして車の旋回している状態、これを一度に撮影できる機械がすでに開発されているそうでありますから、そういうものをもってやれば、はっきりと結果を得ることができると思うのでございます。 そこで、二番目のテストの機関でございますけれども、この点については、操縦安定性に関するテストは近年非常に発達してまいりましたとはいいながら、決定的に絶対であるという方法はまだ見出されておりません。したがって、幾つかのテストの結果を総合的に判断して結論づける方法がとられているわけであります。したがいまして、出てきた結果、出てきた数字を正しく評価するためにも、公正な立場の学識経験者グループの判断が最も大切であると考えます。そこで私は、テストの実施を当衆議院の運輸委員会が提案し、実施及び結果の評価、解析をゆだねる機関としては、交通安全公害研究所あるいは日本自動車研究所、これが単独かあるいは共同して行なうこと、このようなことが最適ではなかろうか考とえるものであります。この場合、当事者であるところの日本の全メーカー並びにユーザー、運輸省、通産省、警察庁等は直接このテストには関与させない、こういう方法でやってはどうかと思うのであります。 そこで問題になるのが、テスト車をどうして選び出すかというテスト車の選出の問題であります。最も公正な方法は、製造台帳一覧表の中から任意抽出の方法で車のナンバーを指定して、その車の所有者から借用するか、事故を起こした車の前後任意のナンバーを抽せん等で選び出して、その車の所有者から借り出してテストを行なう必要があるのではなかろうかと思います。特に、現在問題となっている車種だけをテストする場合は、ただいま申し上げた方法で行なうべきでありましょう。なぜならば、メーカー、ユーザーがそれぞれ対立した議論を戦わせております現在、どちら側から提供された車も使用することは公正を欠くおそれがあろうかと思います。またテスト車は、問題が構造的に持っている欠陥性の問題なのでございますから、その車を現在法で仕業点検あるいは定期点検整備、こういうふうに義務づけている範囲で、正しく整備した状態に置いた上でテストを行なうべきであろうと思うわけです。 また、一連のテストにあたっては、同時期、たとえて言うならば、四十二年から四十三年くらいの間の他の軽四輪乗用車を加えて比較テストすることが、あらゆる意味でテストの価値を高めるものであろうかと思います。 なお、テストドライバーに関しては、テスト実施機関の公正な判断にゆだねるべきでありましょうが、現在対立する論議の一端に、平均的ドライバーあるいは正しい運転さえ行なっていればとする二点があることを十分考慮して、選出することが好ましいものではないかと思うのでございます。 なお、一言つけ加えたいことは、先ほどの大臣の答弁にもございましたように、ただいままた局長も言われたように、軽自動車が日本において五百五十万台にも達しようとしておる現在、一部問題の車種だけのテストでは十分なものとはいえません。そこで、再々申し上げておりますように、問題とされている車種を含め全軽自動車の完全テストを行なうことが、あらゆる面において必要であると考えるわけでございます。 そこで、運輸省、警察庁、通産省に伺うわけでございますが、この公開テストの必要があるかどうか、簡単明瞭に三百ずつお答えいただきたいわけであります。
○野村説明員 ただいまの先生の御提案、私ども非常に参考になりまして、そういう意味で伺っておったわけでございます。 ただいま先生が読み上げられました先生の私案につきまして、さらに私ども詳細に検討しなければならないと思いますとともに、操縦の性能とか安定性に対しては、どこが試験をやるということでなしに、一般的に世の専門家たちの意見を聞きましても、非常に客観的なその評価の試験の方法と、黒白が一目りょう然と出るというような方法は、現在のところ残念ながらないというふうに私どもは理解しておるわけでございます。しかしながら、何らかの形でテストをするということにつきましては、実は私どもたまたま、いまの先生の提案とは全く関係なくなんですが、民間の日本消費者協会という、これは通産で監督しておられる財団法人だそうでございますが、その団体が自主的にテストをしたいというような申し出があったということを聞いております。したがいまして、その詳細な内容はまだわかりませんが、先生の御提案の趣旨を体しまして、もしここの責任者と話を事務的に詰めて、それが公正な方法でテストが行なわれるということであれば、私ども先生の御提案の趣旨に沿ってその方向で検討する。そういう意味におきまして、テストを行なうことにつきましては私ども異存はございません。
○井口説明員 ただいまの御提案の内容につきましては、私どもたいへん高い評価のできる内容であろうかと考えております。ただ、私、不幸にしまして、きわめて専門的な分野につきましては直ちに的確な判断ができないわけでございます。 いずれにいたしましても、軽自動車についてはたして問題があるのかないのか、そういったことについても、いろいろな疑惑がある現在でございます。大多数の人が納得できるような姿で、こういった公開テストといったような形で早い時期に評価が行なわれるということであれば、たいへんけっこうなことであるというように考えております。
○大永説明員 テストの具体的な内容につきましては、いろいろ専門的な角度から検討すべきものがあると思いますが、公正な第三者の機関が公正なやり方でやるテストにつきましては、われわれといたしましても異存はございません。
○松本(忠)委員 いま運輸、警察、通産、それぞれから、公開テストは原則的にはいい、ただ技術的にいろいろ問題がある、しかし、いずれにしても、公正妥当な方法で公開テストが行なわれるならたいへんけっこうでないか、こういう前向きな話があったわけでありますが、ところで、当運輸委員会といたしまして、この公開テストを提案することについて、委員長はどうお考えになるか、ちょっとこの点お伺いいたしておきたい。
○村山委員長代理 松本委員にお答えいたします。 その件につきましては、あらためて理事会にはかった上できめてまいりたいと思います。
○松本(忠)委員 了承いたします。 ただいま三省庁からそれぞれお話があり、また運輸委員会としても後刻理事会を開いて協議するということでございますが、いま私が申し上げました提案の中には、たぶん実施面においてかなり無理な面があろうかと思います。専門家から見て無理な注文と思われる点におきましては、十分専門家の意見を聞くことに私はやぶさかではございません。運輸省として、ただいま局長のお話の中に、日本消費者協会ですか、そういうお話も出てまいりました。それも一つの方法だとは思います。いずれにいたしましても、運輸省のいまの発言も十分理事会におきまして協議をいたしまして、そしてなるべく早い機会に、だれもが納得できる公正な方法によって公開テストが行なわれることを私は重ねて希望しておきます。 それで、特にここで私がお断わりいたしておきたい問題は、私はメーカーの代弁者でもございませんし、また一部団体の味方でも、政府機関の擁護論者でもございません。私は、昨年の六月に初めて欠陥車問題を国政審議の場で追及いたしまして、現在の欠陥車対策の幾つかを提案したものでございます。したがいまして、欠陥車問題について、正しい方向で発展していくことを心から願っているものでございます。いたずらに政争の具や、ためにする騒動の道具にされることは、心から耐えられないものでございます。なぜなら、一部団体の当運輸委員会に陳情されましたその資料を詳細に検討いたしましたところ、私には幾つかの不合理が目についたわけであります。さきに新聞報道されました十四件の欠陥車による事故といわれるものを、私、独自に調査いたしましたところ、警察署に事故届けがなされていないものが二件ありました。これは具体的に申しますと、四十三年五月二十一日、兵庫県神戸市外の六甲有料トンネルで起きた事故、もう一件は、四十四年三月二十日、和歌山市の国道上で起きた事故、この事件が、私の調べた範囲では、警察には事故届けが出ていないように思うわけでございます。さらに、提出されました資料の事故状況及び被害状況に、警察の調査と異なるものが数件あらわれています。たとえて申しますと、その一例は、四十四年四月五日に発生した事故でありますが、資料によりますと、二名の重傷、車は全焼したとございますが、私の調査したところによりますと、二名は軽傷で、事故を起こした車は下取り車として同種の車と買いかえられているということがわかりました。事故状況も、一部団体の報告では、五十キロから六十キロで走行中突然蛇行激突としておりますが、警察の調べをお借りいたしますと、第二は、スリップ痕から逆計算すると、百キロ以上で急ブレーキをかけた結果と推定される、このようになっております。 そこで、さらに提出されました資料について日ましたときに、三年間に起きた八十九件の事故のうち、ここに私、手元に先般いただきましたので持っておりますが、この資料の中で、八十九件の事故の中で、事故発生の年月日のはっきりしないものが三十五件あります。乗車人員が不明なものが二十七件、事故発生場所の不明なものが十八件、運転者氏名の明らかでないものが八件、事故状況の書かれていないものが一件などがありまして、国会で審議をしようとする資料としてはあまりにも粗雑であると同時に、その事故が車の欠陥だと断定するためには、先ほど私が提案したような過酷なテストを必要とするだけに、この資料をもって欠陥車だときめつけていることは、ためにする騒動の道具としか考えられないわけでございます。 そこで、警察庁に伺いたいわけでございますが、私の手元に提出されているこの資料が警察庁にも提出されているのかどうか。私は当然提出されていることと思うわけでございますが、いかがでしょうか。また、警察庁の調べでは、先ほど私が申し上げたような実際との違いが認められているかどうか、この点をひとつお答えを願いたい。
○井口説明員 日本ユーザーユニオンからは、去る七月六日付をもちまして、N360についての問題点を指摘する届けがあったわけでございます。しかしながら、具体的な事件につきましては、ただいま御指摘のようなものについて、正式の通告を受けておりません。最初にお話しになりました十四件につきましては、私ども新聞紙上に出ておったものにつきまして一応の調査をいたしました。ただいま御指摘がございましたように、そのうちの二件は警察に届け出がなかったということが、私どもでも確認されておる次第でございます。 なお、全体で九十例ほどその種の事件があるということにつきましても、新聞紙上で知りまして、その後ユーザーユニオンのほうにその記録を提出してもらいたいということを申し入れておるのでございます。まだ提出されておりません。そういったような状況でございます。
○松本(忠)委員 いまの御答弁ですと、ホンダN360の操舵安定性欠陥事故例という私どものいただいたものは、警察庁のほうにいっていないのですか。
○井口説明員 先方に対しまして、ただ新聞で見ただけでございますので、そういった事件の記録をいただきたいということをお願いしているわけでございます。まだ私どものほうには下さらないということでございます。
○松本(忠)委員 しかし、おかしなことですね。本来、欠陥車の解明については、まずわれわれが考えるのは、欠陥であるということをメーカーに申し入れるべきだ。それと同時に、運輸省、警察庁にもその事実を具体的に明記して調査を依頼するのが、一般的なやり方だと思うわけであります。このルールは、私それが適正ではないかと思いますが、その点どうでしょうか。運輸省と警察の御答弁……。
○野村説明員 先生のお説のとおりだと思います。
○井口説明員 お説のとおり、事件の記録がないことには、私どものほうでもその判断のいたしようがないというように考えております。
○松本(忠)委員 要するに、繰り返すようでありますけれども、欠陥車ができた場合には、当然ユーザーがメーカーに対して、この車はこういう車じゃないかといってメーカーに通知するのは当然のことだと思う。それと同時に、それを運輸省なり警察庁なりに通達をする、通知をする、具体的にその事実を通知していく、そうして調査を依頼していくのが一般的なやり方だ。この点はいま御両者がお認めになったとおり。ところが、いまお話を伺いますと、要求をしても、その資料が警察のほうに出ていない。こういう点を聞きますと、まことにこの一部の団体のやり方については、ルールを無視しているとしか考えられない。私は、先ほど申し上げましたように、メーカーの代弁者でもございません。また一部団体の味方でもございませんし、政府関係機関の擁護論者でもございませんけれども、公正な立場に立ってこれを考えたときに、どうも合点のいかないユーザーの姿であろうかと思うわけでございます。欠陥車問題は、事ドライバーの生命に関するもの、いや、国民の生命に関するものである以上は、公正に、しかも徹底して調査をする必要があると考えております。したがいまして、先ほど私が提案いたしました全軽自動車、日本で生産されたところの軽自動車全部について、公開テストを早急に実施すべきである、私はこう思うわけであります。そうしなければ国民がこの疑惑をいつまでもいつまでもそのままで、何か割り切れない姿でいたのではいけないと思う。どうしてもこの問題は公正妥当な方法によってはっきりやることが、むしろユーザーのためでもあり、メーカーのためでもある、私はこう思うわけであります。どうかそういう意味におきまして、この欠陥車問題のはっきりした論争を公開の席上できちっとするということを、私は重ねてお願いしておきたいわけであります。 なお、若干時間をいただきまして、もう二つばかりの問題点を簡単に申し上げておきますので、運輸省と警察に聞いてもらいたいわけです。 現在の軽に対する野放し優遇をやめろということです。これは自動車である以上、整備点検、チェックするのが当然であります。ところが、軽は車検がないわけです。この問題は、軽の台数が多くて、現在の車検体制では手が回らない。普通車でさえも行く行くは整備工場に車検業務を代行させたいという考え方に運輸省は立っているようでありますけれども、軽は手が回りません、御随意に、これでは困るわけであります。軽自動車独特の車検体制を考えろ、こう私は言いたいのであります。そして、そうした定期点検のほかに、車に乗る人自身が仕業点検をすることは当然のことである。また軽自動車は、いわゆる車庫の設置法に定められたところの車庫を必要としている車かどうかというと、その適用を受けていない。軽のスペースと普通車のスペースとどれだけ差があるか、こう聞きたいわけです。おそらくその差で言うならば、二割増しぐらいのスペースを余分に普通車はとっている、若干軽が小さい、こういう状況ではないかと思うわけです。現在は車が道路を車庫がわりにしている。この道路を車庫がわりにしている問題については、私は、もうほんとうにこの問題についてはたびたび注意を喚起しております。この車庫の問題についても、一度使用開始にあたってここを使いますというだけであって、その後実際にそこを使わなくとも警察は黙認の形です。これが実情です。その後その車庫が使われているかいないか、そういう追跡調査をしたことはおそらくないわけですから、わかるわけがないだろうと思います。 ついでに言っておきますけれども、人口十万以下の都市では車庫なしで済む車があります。これをいいことにいたしまして、十万以下の都市に使用根拠地を置いて——東京周辺にそういう都市があります。そこに使用根拠地を置いて、実際には車は東京で使っている、走っている、こういう例がだんだんふえてきている。これは改めなければいけないことではないかと思うのです。要は、軽自動車に対し、独特な車検体制をつくる考えがあるのかないのか、この点について当局の考えを聞いておきたいわけです。
○野村説明員 軽自動車も最近は非常に台数が多くなりましたし、また先生御指摘のように、非恒に性能も向上をしてきております。したがいまして、私ども、軽自動車の安全については、いままでもある程度の制度をもちましてその安全を規制してまいりましたところでございますが、現在の時点におきましては、軽自動車も車検の対象になり得るように、まず施設の整備あるいは要員、技術者の養成というようなことを整えていくような方向で、近い将来車検の対象に持っていけるように、検討をただいまいたしておるところでございます。
○松本(忠)委員 車庫の問題についてはどうですか。
○井口説明員 ただいまの保管場所の確保に関する法律でございますが、御指摘のように、いろいろな欠陥があるわけでございます。これらの点について、各地からの要望もたいへん強い。私どもといたしましても、早急に是正方の検討を運輸、建設、総理府と相談をいたしたいというふうに考えております。また軽自動車の取り扱いにつきましても、これは車検の問題とも関係があろうかと思います。ぜひ運輸省とも御相談をしてまいりたいというように考えております。
○松本(忠)委員 その問題は、ぜひとも可及的すみやかに解決をしていただきたいと希望しておきます。 次に教習所の問題でございます。現行の教習所制度がはたしてこれでいいのかどうか。たとえて言いますと、学科の中でエンジンの構造は教えますけれども、そのエンジンがフロントにある場合とリアにある場合、またはフロントエンジン・リアドライブの場合には、運転上どういう注意が要るかということは教えているかどうかというと、教えていません。また、法規は教えますけれども、一時停止はどうあるべきか、信号のある交差点を通過するにはどうあるべきか、信号のない交差点の通過はどうあるべきかということは教えても、雨で道路のぬれているとき、またはぬれ始めたとき、またはスリップしたときはどうハンドルさばきをすべきか、あるいは幼児が飛び出してきたときにはどう処置すべきか、こういうことについては全然教えていない。さらに、先ほどからいうところの車ごとの性質、すなわちFR型、FF型、RR型によってどう違うかということは、全く教えていないのが現在の教習所のやり方ではないかと思う。 ここに私は問題があると思うのです。たとえば、かなり高速で走っていて、ちょっとした障害物に乗ると、一瞬ハンドルは敏感に響くものでございます。このとき、エンジンの位置によってハンドルに対する影響はおのずから違うものだ、こう思います。そのとき、ハンドルをとられたと思って、たとえば右に切る、車体が動揺する、これはいけないと思って左に切る、次々に切り方が大きくなって蛇行が激しくなる、どうしたらもとへ戻るかと思って急ブレーキをかける、そうすると、どこかに衝突するか、転覆するか、こうして事故が発生するというわけであります。 私も、今回の件につきまして、二、三当たってみました。時間が少なかったので十分とは言えませんが、申し上げてみますと、ふだんからその車になれている人が運転している場合は事故が少ない。たまたまそのとき借りて運転した。すなわち、車になれていない人が乗った場合に、事故が発生しているように思います。 こういう点から言えることは、現行の教習所の教育のあり方、またその後のドライバー教育について、一考も二考もせねばならない状況にあるのではないかと思います。この自動車教習所の制度及びその後のドライバー教育のあり方、こういうものについて、運輸省当局、警察ではどのようにお考えになっているか、これを最後に質問をいたします。
○井口説明員 交通事故が、道路の上で車を操作することによって発生する意味で、ドライバーの資質の高い低いということが一番関係が深いというふうに私ども考えております。 このドライバー教育でございますが、私は、本質的には、いまの教育制度というものは、実態に即したものだというふうに考えておりますけれども、ただいま御指摘がございましたように、現在の教育内容自体については、相当に検討する余地が多かろうというふうに考えているものでございます。特に、ただいまおっしゃいましたように、もう少し実態に即した運転、あるいは法規の上に片寄り過ぎているのではないかといったような点でございますが、何と申しますか、免許取得のための最低限度の法律的な教育というものに、あまりにも傾き過ぎているという傾向が事実あるわけでございます。こうした点について、実質的にはいろいろ指導してまいっておりますが、まだ十分是正されない点があるわけであります。ただ、やはり法規なら法規が試験科目ということになっているとすれば、試験に出るものについてのみ一生懸命勉強するということになるわけでございます。来年道交法改正の機会に、法規とは別に、イギリスでやっておりますようなハイウエーコードの運転教本というようなものを法定いたしまして、その中にしかるべき注意事項を書く、それもまた運転試験免許の対象になるというような内容的な改善が、相当はかれるのではないかと考えております。 また、同じ車種でございましても、ただいま仰せになりましたような、いろいろな型によって違う特性を持っている点がございます。この点はたいへんむずかしい点でございまして、現在の免許種別で同じ種別でございますと、その中にいろいろな種類の車があるわけでございます。そこで、各種の車についてそれぞれ教育するということはたいへんむずかしい点があるわけでございます。もし前輪駆動と後輪駆動の車とたいへん区別して扱わなければならないということになってまいりますと、場合によっては免許種別の変更ということも考慮しなければならないわけでございます。そういった点もいろいろむずかしい問題を含んでいるように思います。しかしながら、やはり教育の内容といたしましては、その中にはいろいろな種類の車があるということ、そして実際にハンドルを握る場合には、種々の車の特殊性をのみ込んでよく車を運転すべきであるということに、もう少し十分の注意をして教育をする、そういったことで考えていかなければいけないのではないか。 また、免許取得後の教育について、現在の制度がはなはだ不十分であるということも考えているわけでございます。さらに自動車教習所の教習員、検定員といったものの質の向上についても、その教育体制が必ずしも十分でないということを十分反省いたしております。実はそういったことで、ただいま免許取得後の運転者に対する教育機関というものを来年度地方に公共の手でつくりたいということで、提案をしているわけでございます。ただいまこれは自治省と折衝中でございますが、ぜひそういったしっかりした公共的の立場からの運転者の再教育の機関と、あわせて教習所の検定員、教習員というものを十分教育ができるような機関をつくってまいりたい、これが今後の運転教育に大きな寄与をなし得るのではないかというふうに私ども考えているわけでございます。何とか実現したいと考えている次第でございます。
○松本(忠)委員 非常に前向きな答弁であります。ぜひ一刻も早くいま課長の述べられたことを実現していただきたい。先ほどもお話の中に出てまいりました、副読本の問題等につきましても、久保局長が必ず秋までには実現して、日本のベストセラーにするとまで言っているわけでありますが、まだ依然としてその姿を見ないことは、私は残念に思っております。一日も早くほんとうに自動車の使用者のことを思った簡易な、だれにも理解できるような副読本をつくって、そして事故のない、ほんとうに平和な道路行政をつくり上げてもらうことを私は心から望んでおります。どうか一そう勉強して、りっぱな道路行政、運輸行政、警察行政を行なっていただきたいことを心から念願しております。 以上で終わります。
○村山委員長代理 渡辺武三君。
○渡辺(武)委員 軽自動車の安全性について、同僚議員からいろいろな御質問がございましたので、できるだけ重複するところは避けてまいりたいと思います。 まず、道路運送車両法に基づきまして、現在運輸省令というものがございます。その運輸省令の中に車両の保安基準がいろいろ定められておるわけでございますが、この保安基準なるものは、つまり自動車には、大型だとか普通だとか小型だとか軽自動車だとか、いろいろ種別があるわけでございますが、そのような車の大小に関係なく保安基準が適用されておる、こういうふうに理解をしておるわけですが、それでよろしいかどうか。
○野村説明員 ただいま先生のお話しのように、保安基準につきましては、軽あるいは普通を問わず適用になっておる問題でございます。
○渡辺(武)委員 そうしますと、現在の制度は、いわゆる軽自動車というものには、先ほどお話がございましたように、車検制度というものがないわけでございます。したがいまして、この保安基準が適正に満たされているかどうか、これをチェックする機関は、軽については一体どこでおやりになっておるでしょうか。
○野村説明員 保安基準の適用についてでございますが、これは実はユーザーと申しますか、車を使用する人々の自覚にまつ面が非常に強いわけでございます。たとえば毎日の仕業点検とかあるいは定期点検整備とか、この問題につきましては、これは一つの訓示規定と申しますか、精神規定と申しますか、そういう規定でございまして、これを罰則をもって強制するということができませんのは、先生の御案内のとおりでございます。ただ、継続検査につきましては、当然継続検査をやらなければ車を使用することはできませんから、そういう意味で一般的に、これは軽でございませんが、検査適用車でございますが、そういう制度になっております。その他のいわゆる定期点検整備というようなものにつきましては、ユーザーの自覚といいますか、そういう面に期待するところが非常に多くて、国が強制的にこれの履行を担保するという手段は、実は一般的な監督指導以外の方法というものは残念ながら現在ございません。
○渡辺(武)委員 定期点検整備による、いわゆるユーザーの義務と責任においてこの保安基準を満たしていくのだ、こういう御見解のようでございますが、これは軽に限らず自動車全般について、ユーザーはそのような義務と責任を持っておる。ところが、それではやはりはなはだ危険性があるので、普通自動車以上については車検制度というものを設けておられる、こういうふうに理解をするわけです。ところが、軽自動車に関しては、ユーザーの義務と責任において、定期点検という制度があるのだから、それで保安基準が満たされていくのだ、こういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
○野村説明員 この定期点検整備といいますのは、先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももこれを確実にユーザーに実施してもらいたいということは、たとえば陸運局がもよりの自動車整備振興会等を通じまして、いろいろと整備振興会と連絡をとりながらユーザーに働きかけるというようなことでございまして、現在もいわゆる行政指導の域を出ない指導をやっておるわけでございます。現在の体制は、私は制度的には非常に不十分であると思います。ただ、これは非常に数が多うございますし、それからまた、言うなればユーザーの自覚にまつべきことでございますので、これを法律的に強制してどれだけの実効をあげ得るかという問題もありますし、一つは法律技術的にこれを義務づけることのむずかしさということもあると思いまして、非常に私ども苦慮いたしておりまして、ユーザーの自覚にまつという、制度としては非常に問題のある点だとは思っております。
○渡辺(武)委員 どうも御答弁がはっきりしないようですが、軽自動車とそれから普通自動車がございますね。軽のみが車検が免除をされておるわけですから、それにはそのように、制度が悪いとかなんとかおっしゃいますけれども、制度が悪ければ制度を直さなければいけないのであって、そのようにおやりになってきたのには、何か理由があるのではないだろうか。いわゆる軽はその程度の、ユーザーの注意義務を十分行なっていれば十分安全が保たれるのだとか、そういうようなことがあったのではないのか。それでなく、ただ単に軽のみは国策上日本の道路も狭いからなるべく多くの国民の皆さん方に使っていただきたいので、そういう負担を少しでも軽くしよう、こういう意図で軽のみを免除されておるのかどうかですね。その辺がもう少し具体的に明らかなものがございませんでしょうか。
○野村説明員 先生の御質問の趣旨は、つまり検査の面において、軽というものは検査の対象になっておらない、その他諸般の面において非常にユーザーの負担も少ないというようなことで、あまり大きな問題ではないということで、自主的な定期点検整備等に期待すればいいのではないかという御質問かと解しますが、私どもとしましては、最近の軽の性能の向上、それから国民の間における普及ということにかんがみまして、確かに先生のおっしゃるように、いろいろ問題があると思います。ただ、軽が発売されました十数年前の状態におきましては、軽というものは、普通車よりも比較的万事ハンディなものでございましたし、また一方では、これは最近もわりにそういう点が言えると思いますけれども、事故率とか故障率とかいうようなものが、いわゆる普通車に比べて非常に低いという意味から、軽を検査の対象にしなかったということも一つの理由であろうかと考えます。
○渡辺(武)委員 現在、普通車については車検制度というものがあるわけでございますが、現在の車検制度なるものが、いわゆる一般的にいわれております欠陥車、ふぐあい個所が十分にいまの制度そのものでチェックできるとお考えになっておられるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○隅田説明員 先生御案内のとおり、現在行なっております車両検査は、中まで分解した結果の検査はできておりません。しかし、外観的な項目を押えた、たとえばブレーキだとか、ヘッドライトだとか、そういうものの性能については、一通りできておると考えております。
○渡辺(武)委員 車検時にあたっては、いろいろのチェックポイントがきめられまして、それによってチェックがされておるというふうに考えるわけですけれども、道路構造の変化あるいは自動車の性能の向上というようなことで、いろいろな変化がございましたね。たとえば従来高速道路がないときは、最高時速六十キロという制限がございました。それらが逐次最高速度そのものも大幅にゆるめられておりますし、そういうような状況の変化に従って、そのチェックポイントというものが変えられた事実があるのかどうか、あるいはそういう状況の変化はあったけれども、依然として前と同じようなチェックポイントでおやりになっておるかどうか、この辺をひとつお尋ねしたいと思います。
○隅田説明員 問題は継続検査に限ってお話をしてよろしいかと思いますが、高速の問題に関係いたしまして保安基準が改正されているというケースがございます。たとえばヘッドライトの照射距離、これは昔の規定よりも現在は高速化に伴って上がっております。こういうような場合には当然検査の基準も変わってくるということもございますが、継続検査でやっておりますことは、何ぶん外観的な基礎的な性能だけでございますから、車両検査そのものの項目が保安基準と無関係に変わっていくというようなケースは残念ながらございません。
○渡辺(武)委員 そこで、前に御質問申し上げましたように、現在の車検制度で、このような道路構造なりいろいろな自動車の性能にマッチして十分に安全がはかられるであろうかどうか、こういう御質問を先ほど申し上げたわけです。そこで、現在は、現在のチェックポイントをやっていけば一応保安上はチェックできるのだ、こういうふうにお答えになったと思います。ところが実際は、そういう高速走行時における事故のチェックというものは、いまのチニックの方法では、現実の問題としてうまくできないということがあろうかと思います。それは運輸省当局も認めておられますように、高速試験というものをおやりになっておりませんね、現実に。したがって、高速時にどのような変化が起こってくるかというようなことについては、実際にはチェックされていないということでございますので、その辺を将来どのようにお考えになっておられるか。いまのままでどのような道路の変化があろうとも十分にチェックできていくというお考えのままにお進みになるのか、やはり道路構造の変化、いろいろな状況の変化によってそういうものをあわせ基準の中に加えていくというふうにお考えになっておるかどうか。
○隅田説明員 ただいまのお話の高速時の問題は、これは新しい新規検査のほうの問題になるかと思うのでございますが、この場合には、確かに御指摘のとおり、高速時のそういうようなものについては、現在性能テストの場合でも行なわれておりません。しかし、私たちといたしましても、将来の問題として重要な問題と考えておりますので、いかなる方法でやるかということを実は最近検討を始めた段階でございます。
○渡辺(武)委員 その辺に、実はお役所の仕事はきわめてマンマンデーだと言われる一番の原因があろうかと思います。御承知のように、名神高速道路ができましてからもはや数年を経過しておるわけです。さらに東名高速道路ができ、その延長は四百キロ以上にも及んでいるにもかかわらず、いろいろな事故が発生して、ようやくにしてこれから検討していこうと思っております、こういうことでございまして、いかに問題が起きなければそれに対処しないかという行政の姿というものを端的に私はあらわしておると思います。そういうことであってはいけないわけです。事人命に関する安全の問題は、むしろ一歩一歩と先んじた手段、対策というものがなされていかなければならないわけでございます。とうとう人命が失われてからいろいろあと追い的な対策がなされていくということ、これはきわめて重大な問題であろうかと思います。ひとつその姿勢から根本的にお直しいただく、こういうことが必要ではなかろうかと思うわけですが、そういう点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○野村説明員 ただいま渡辺先生の御指摘の、時勢の進展に即応する検査体制の整備ということ、まことに御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもいろいろといままで努力してまいったつもりではございますが、御指摘のように、非常に不十分な点があるということは十分考えられますので、これを機会にと申しますか、最近の状況にかんがみて、さらに体制を強化して、そういう検査事項の改善ということに前向きに取り組みたいと思います。
○渡辺(武)委員 実はこの件につきましては、私は先国会にも前自動車局長に御質問を申し上げたわけですが、そのときに局長は、まあ御趣旨はよくわかりますので、そのような体制の整備を急いでいきたいと思います、こういうふうに答えておられるわけです。そこで、自動車局長はおかわりになったわけでございますが、技術革新が非常に激しいのだ、したがって、もうお役所がちょっとでもなまけておると役に立たなくなってしまう、だからそれに追い着くために、もっともっとそういう車検制度なりいろいろな走行テストなり、そういう機能を充実していきたい、こういうふうに実はお答えになっておったと思います。したがって、現在いろいろ来年度予算等が要求をされておると思いますが、運輸省の中では、具体的にそのような充実強化をはかるための予算措置としてどのような要求をしておられるか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
○野村説明員 第一番は、安全問題につきまして申し上げますと、特に私ども考えておりますのは、試験研究面におきまして、交通安全公害研究所の研究体制を整備するということで考えております。これはただいまちょっと数字を持っておりませんが、予算的に今年度の予算を飛躍的にふやしていくということでございまして、——ただいま数字が参りましたのでお答えしますと、これは要求段階でございますが、交通安全公害研究所の予算といたしまして、ことしは一億三千二百万でございますが、これを現在の要求といたしましては三億六千八百万ということに要求をしたい。これは一つは、安全だけでなく、公害も当然入っておるわけでございますが、この試験研究体制の強化ということでございます。 それから地方におきましては、主として地方でございますが、検査登録要員、特に検査要員の充実ということで、八十四名の人員の増加要求を検査だけでやっております。 それから、指定整備事業に対する監督の要員ということも要求をいたしておりまして、行政面と試験研究面と両方にわたって、定員的にも予算的にも充実をはかりたい。とともに、その内容、検査の方法といいますか、内容の改善も研究したいというふうに考えております。
○渡辺(武)委員 それでは次に移りますが、御承知のように、現在自動車も製造開始をするにあたっては、いわゆる運輸省当局は型式認定を行なっておられる。その型式認定を受けて、メーカーは車の製造を開始しておるわけであります。車が製造を開始して完成をいたしますと、車検制度によってまた検査がある、そして今度は運行の許可が与えられる。車検を受けたものから走ってもよろしいという許可を実は与えておるわけでございます。いわゆる国そのものが許認可をしておられるわけでございます。 そこで、私は、メーカーの責任あるいはユーザーの責任、さらには国の責任についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。 いま申し上げましたように、つくってもよろしい、走ってもよろしいという許認可を与えましたあとで、いろいろな不ぐあい事項が発見をされる、こうした場合に、そのような欠陥問題は、国としての責任というものは、一体あるのかないのか。つまり、たとえばチクロの問題だとかいろいろな問題がございましたね。あれも国家が製造を許可しておるのだから、それを一挙に廃却するためには何分かの補償をしてやらなければいかぬとか、いろいろなことが論議をされたわけですね。自動車の場合も、これはかってにメーカーがつくっておるわけではないと思いますね。製造開始前にあたっては型式認定を受けて、また走行にあたっては車検を受けて、許可を受けて走っておる。そして不ぐあい事項ができますと、現実の形としては、国は何も知らぬ顔をしておって、すべてが製造者の責任というふうに転嫁をされておるように思うわけですが、それであるならば、そういう責任のない許可なりあるいは認可なりであるならば、私は、むしろ廃止をすべきではないであろうか。そして、責任の所在をもっと明らかにしておくべきではないか。ただ一応製造開始してよろしいという認可をして、運行してよろしいという許可を与えながら、いまも申し上げましたように、その過程においては、いろいろ不安全個所のチェックが詳細にわたってなされておる。で、その段階には国そのものも発見できなかった。そして運行してよろしいという許可が出た。そのあとで起こるいわゆる欠陥車の問題について、これはやはり国にも相当な責任があるのではないだろうかと考えるわけでございますが、まず、どのようなお考えを持っておられるかどうか。 それからいま一点は、欠陥車、いわゆる不ぐあい事項が発見をされて、そして自動車メーカーがユーザーに対しましてリコールをいたします。そうしますと、ユーザーそのものは、そのリコールを十分に知りながらも、そのリコールに応じないという場合がございますね。そしてたまたまその期間に事故が起こってしまった。そういう場合の責任というものは、一体どこが持つべきであろうか。ユーザーが持つべきなのか、メーカーが持つべきなのか、これらの点について運輸省としてはどのようなお考えを持っておられるであろうか。 さらに、先ほどから何回もお答えを願っておるように、ユーザーそのものは、定期点検、つまり、定期に自分の車を整備工場に入れて点検整備を受けなければいけないという義務を持っている。しかし、そういう義務を怠ってしまったという場合は、おっしゃるとおり、現在法律においては何ら罰則はないわけでございますけれども、しかし、そのためにかりに事故が起こったといたしますと、その責任は一体どこが負うべきであろうか。これらの点について、運輸省としてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
○野村説明員 ただいまの先生の御質問は、実際上も法律上も、私非常にむずかしい問題だと思います。実は、この問題につきましては、自動車だけではございませんで、私どもの運輸省の中で一般に各般の検査を担当しておる部門を持っておりますために、運輸省全体として、検査制度というものと国の責任のあり方ということについて、何回か論議を重ねてきております。しかしながら、現在のところまだ結論を得ておりません。非常に問題があるわけでございますが、私どもはこういうふうに考えております。一つは、国というものは、いまおっしゃるように、自動車について申し上げますと、自動車の型式認定をし、そして運行検査証書を与えて、検査に合格したものについては、それを動かしてよろしいという許可を与えておるわけでありますから、その自動車の事故につきまして、ある程度の責任があるということは当然であろうと思います。ただ、先ほども内藤先生でしたかの御質問に対して、私お答えいたしましたように、事故とかそういうものが起こりました場合には、大きく分けて三つの原因があろう。一つは、いわゆる欠陥車ということばであらわれておりますが、車そのものの物理的な構造なり性能なりの欠陥で起こる場合。それからもう一つは、先生のおっしゃるように、ユーザーが日常の点検整備をちゃんと整えておって、いつでも使用の用に供せるような整備を怠らなかったかどうかといろ問題。もう一つは、具体的にそれを運行する場合に、適正な運転の方法であったかどうかということであろうと思います。一般にはそういうことが考えられると思いますけれども、個々の具体的な事件の場合でございますと、どれが主因で、どれが副因であるのか、あるいは三つが重なり合ったものか、その辺を見分けることが非常にむずかしいのであろうと私は思います。しかしながら、 一般論としましては、少なくとも自動車の物理的な性能につきまして運輸省が検査をしておりますれば、その構造について国家がいわばオーソライズしたものでございますから、その限りの監督責任と申しますか、そういう意味の国家の責任は当然あると思います。しかし、それをまた換言いたしますれば、それでは国の検査に合格したものを使っておればそのユーザーに全然責任がないかというと、そうは言えないのであって、そのユーザーの使用が適正であったかどうかというようなこと、あるいは平生の整備が適正に行なわれておったかどうかということも、勘案しなければならないというふうに考えております。
○渡辺(武)委員 政治的に責任があるというふうにお考えになっておっても、それは形の上でどのようにあらわれておるであろうか、こういうことでございまして、たとえばいままでいろいろリコール車の問題が起こっておりますね。そのリコール車の問題が起こっております何件かの案件について、それらが直ちに運輸省の中に取り入れられて、そしてチェックポイントに加えられたのか。いろいろな問題点が具体的にそういう形で今後にプラスしていくといいますか、そういうあと処理が実際なされているかどうか。口の上だけで、責任はございます、非常に申しわけないと思っております、これだけで終わっておったのでは、実際には何にもならないわけです。むしろ国としてとり得る体制というものは、そういうふうに検査してきたんだけれども、実際に起こってしまった。これはいけないということで、次には再び起こらないような処置が現実になされていなければいかぬわけです。そういう事実がいままで何件もあるわけですから、どのようにおやりになっておりましょうか。
○隅田説明員 ただいまの御指摘の点、具体的に例を申し上げますと、たとえばリコールの問題の中に、ブレーキホースの配管が製作上不適当であったために、方々でこすれたために欠陥を生じたというのが出てきております。これなどは、実際問題といたしまして、試作車をベースにして型式審査をいたしますときにはちゃんとつくられておりますので、なかなか発見がしにくいわけでございますが、それ以後の審査では、そういう部門でも十分な間隔が設計上とられておるかどうかという意味での項目の追加をいたしております。 〔村山委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、率直に申し上げまして、メーカーが全知を尽くしてつくってきました車が、しかもなおリコールという姿が出るということ、私たちのほうも全力をあげていろいろな意味での型式審査をしておるのでございますが、やはりリコールのような形で出てくるものは、外から見たのではなかなか見つけにくいものが多いということも、正直いって事実でございます。そういう意味では、審査の項目をふやし、厳重にしていくということにわれわれ前向きに取り組んでいくつもりではございますが、同時に、リコールという制度そのものは、やはり残しておくべきじゃないか、こういうふうに考えております。
○渡辺(武)委員 それでは問題を移しまして、現在軽自動車というものがあるわけですけれども、これといわゆる普通自動車との区別は、一体何によってなされておるのでしょうか。
○野村説明員 排気量三六〇CCという基準でやっておることは先生御案内のとおりでございます。
○渡辺(武)委員 その三六〇CCが適当かどうかについて、なぜ三六〇CCというものがその限界になったのか、この辺については何かございますか。
○隅田説明員 軽自動車制度ができました昭和二十六年前は、実は記録が残っておりませんので、三六〇CCをどういう技術的根拠できめたかということについて、現在われわれはちょっとつまびらかにしておりません。ただ当時は、四輪車は事実上非常に少のうございまして、現状みたいなものを考えることはむずかしかったのではないか。二輪車に対してのある倍率で考えたのではないだろうかというのがわれわれの推定でございます。
○渡辺(武)委員 一応当時にさかのぼれば、いわゆるレシプロエンジンを対象にしてお考えになっておったのではなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、すでに御案内のように、ロータリーエンジン車が開発されております。また、もろもろのエンジンがいまや開発寸前にある。こういう大きな情勢の変化があるわけです。したがいまして、その三六〇CCというものの限界がはたしてこれでいいのかどうか。そのような検討をなされたことがあるのかどうか。すでにロータリー車は走っておりますよ。そういう情勢の変化を見ながら、運輸省としてはどのようなお考えをお持ちになっておるのか。先ほどから申し上げておるように、問題が起きてから考えるのではなくて、十分前向きの姿勢で対処していくということだったものですから、当然お考えになっておるだろう。したがいまして、ロータリーエンジンがすでに開発をされ、すでにもうあるメーカーからはその型式認定の申請まで出されておるわけですから、そういう情勢の移り変わりを背景にしまして、運輸省としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○隅田説明員 新しいタイプの内燃機関、あるいはほかのそれにかわるべき原動機が出現しつつあることは御承知のとおりでございます。現在の三六〇CCという規定は、レシプロエンジンで四サイクル、二サイクル共通の規定と考えております。それ以外の新しいものについてどういうふうに拡張していくかということについては、正直に申し上げて、目下検討中でございます。
○渡辺(武)委員 したがいまして、CCのみによってそのような区別をしていくということがもはや困難な状況になってきておるのではないだろうか。たとえば公害対策である排気ガス対策にいたしましても、現状、軽自動車には、普通自動車と比べましてきわめてゆるやかな規制がなされておる。その理由はと問えば、これはやはり三六〇CCのエンジンではなかなかむずかしいんだ、したがって、やむなくある程度その基準をゆるめざるを得ない、こういうお答えが返ってくるであろうと思いますけれども、だとするならば、その三六〇CCにこだわらなければならない原因というものが一体どこにあるであろうか。むしろ人命をむしばむそのような排気ガス公害というものを多少でも少なくしていくためには、エンジンに余裕を持たせることが必要だということならば、四〇〇CCではなぜいけないのか、四五〇CCではなぜいけないのか、こういうことがやはり問題になってまいると思います。したがいまして、そのCCによってその限界を固執するということが非常に問題ではなかろうか。むしろそのような情勢の変化に応じた新しい方法による車種の区別方法といいますか、こういうものを考えていかなければならないときにもうなっておるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、それについて運輸省はどのようにお考えでしょうか。
○隅田説明員 御指摘のとおり、三六〇CCをどういうふうにするかという問題は、軽自動車問題としていろいろ議論があると思いますが、先生のお話のとおり、これを四〇〇CCにしてはいけないのかどうかというような意味の見方だけではなくて、三六〇という姿に置いた場合に、それでは軽自動車はどうあるべきか、こういう見方もできるとわれわれは考えております。現在のところ、先生のおっしゃるとおり、制度としてどうするかということも検討はいたしておりますが、同時に、三六〇CCの現在の規定の中の軽自動車というものはどうあるべきか、こういう方面の検討もして、多面的にいろいろな検討をしながら将来前向きな姿勢をとっていきたい、このように考えております。
○渡辺(武)委員 それならば逆に質問をいたしますが、排気ガス公害のCOガス規制がなぜ軽にゆるやかでしょうか。
○隅田説明員 先生先ほど言われましたとおり、軽について、現在軽以外の車よりもゆるやかな規制になっておるのは、技術開発が追いついていないからでございます。しかし、われわれといたしましては、これをこのまま置いておくつもりはございませんで、できるだけ近い機会に、軽についても基準を一般並みに追い込んでいくという態度をとっていくつもりでございます。
○渡辺(武)委員 そういう両面からいきまして、おっしゃるように、三六〇CCにこだわる必要はないのではないかというふうに私は思うわけです。片面からいけば、やはりエンジン容量の小さいものが排気ガスの浄化装置はなかなかむずかしい、こういう理由づけがなされ、片面からいくと、三六〇CCにこだわるような答えが出てくる。これは相矛盾をいたしておるわけでございまして、やはり確かに長い伝統によっていろいろりっぱなエンジンができるように性能も向上されてきておる。したがって、その歴史をここで一挙にその基準を取りはずしてしまうというのはいろいろ問題があるのだ、こういうことであろうかと思いますが、しかし、現実に排気ガスの問題が新たに加わってきておるわけですから、そういう新しい情勢を加味した上で、どうあるべきかということがやはり検討されていかなければならないのではないであろうか、かように考えるわけでございますので、その辺もひとつ十分に考慮をしていただきたい、かように考えるわけでございます。 次に移ります。現在軽自動車と普通自動車に分けまして、いろいろな交通事故が起こっておるわけでございますが、普通自動車と、それから軽自動車の一万台当たりの事故率というのは、一体どのようになっておるでしょうか。
○隅田説明員 現在の軽自動車の一万台当たりの人身事故件数を調べたものがございますので申し上げますと、軽乗用車で二百二十二・四人でございます。軽の貨物で百九十三人でございます。現状、以上のようになっております。
○渡辺(武)委員 普通乗用車はいかがですか。
○隅田説明員 軽以外の車のほうは、たとえば貨物自動車の四輪は四百二十四人、乗用車のほうは三百七十六人、これは四十四年の警察庁の統計の数字でございます。
○渡辺(武)委員 自家用普通トラックあるいは自家用普通乗用車と軽との事故率の対比を見ましても、軽のほうは約半分ないしそれ以下という事故率になっておるわけですが、その中で、本日の問題になっております、いわゆる欠陥車と目される自動車の構造上、性能上のふぐあいによって起きた事故、これは一体どの程度の件数になるでしょうか。
○隅田説明員 手元の数字がちょっと出し方が違っておりますので、けたが違って説明がちょっとむずかしいのでございますが、軽自動車につきまして、四十四年の千台当たりの車両故障による事故の発生件数は〇・〇八になっております。これに対する全部の自動車、先ほどのは全部じゃございませんが、全部の自動車のそれに比較される件数は〇・一四、こういうことになっております。
○渡辺(武)委員 ではもう少し簡単にわかりやすくしていただきたいと思いますが、いまいろいろな交通事故が起こっておるわけです。その中で、車両の構造上いわゆる欠陥車と目されるものが起こしておる事故というものは、一体交通事故のうちの何%ぐらいでしょうか。
○隅田説明員 手元に四十三年の資料しかないのでございますが、全自動車の事故件数の中で、車両故障による事故のパーセンテージは〇・五%でございます。これは先ほどの先生のおっしゃった、いわゆる欠陥車の事故かどうかということになりますと、ちょっと性格が違ってきますけれども、普通の意味での車両故障による事故でございます。
○渡辺(武)委員 全交通事故量に対して欠陥車も含めた車両事故による事故、これは〇・五%、つまり一%に満たない、こういうことですね。そうしますと、本来的に欠陥単に基づくところの事故の発生というものは、さらにそれよりも少なくなるであろう、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○隅田説明員 そのとおりでございます。
○渡辺(武)委員 そうしますと、やはり交通事故によるもろもろの問題点、その九九・何%かはまだまだほかに問題があるのだ、こういうことになるわけですね。したがって、この欠陥車問題にいたしましても、これは事人命に関する問題だということで、非常に大きな社会問題になっておるわけでございます。ところが、数字上調べてまいりますと、いまも御説明がありましたように、それはまあ全体から見れば〇・五%以下の問題だ、こういうことでございますので、もちろん、それはたとえ〇・五%といいましても、十分な指導、監督あるいは注意義務というものは怠ってはなりませんが、交通事故全般の交通行政の上からいきますと、まだまだほかに大切な問題がある、こういう理解でよろしゅうございますね。
○野村説明員 先生おっしゃるように、いわゆる車両の欠陥以外の全般的な事故防止のための問題点は、ほかにたくさんあることは御指摘のとおりでございます。
○渡辺(武)委員 それではあと一点の問題についてお尋ねしたいと思います。 先ほどもちょっと問題になりましたが、現在の運転免許制度そのものは、御承知のように、箱庭的な運転免許制度、これがとられておるわけでございます。先ほど教習所の問題があげられておりましたけれども、教習所の内容は、これは必ずしも教習所に行かなくとも運転免許さえ受ければ免許資格は取れるわけですから、したがいまして、運転免許制度そのものにやはり問題があるのではなかろうか。それがやはり安全——いまも言われておりますような非常に多くの運転技術の問題、いろいろな問題で、交通事故の激増に大いに寄与をしているのではないであろうか。御承知のように、あの運転試験制度のもとにおける試験は、きわめて小範囲の、いわゆる箱庭的な運転試験が行なわれておりまして、実際の社会に出ますとほとんど通用しないような状態の中で、それさえパスすれば運転免許が得られる、こういう状態になっておるのではないかと思うわけです。したがいまして、これらもつまりは高速道路ができ、いろいろだ自動車の増加、いろいろな状況の変化があるのですが、それらがやはり十年一日のごとく同じような形における試験制度というものが残されておるわけですけれども、この試験制度の状態について、変更されるなりあるいはどのような方向で今後改革をされていこうとしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○寺尾説明員 お答えいたします。 現在、来年度予算で交通教育安全センターの要求をしておるのでございますが、この目的の一つは、指定自動車教習所における指導員であるとか、あるいは検定員であるとか、そうしたものも現存も一応講習をやっておりますけれども、正式にそうした教習員に対して、そういう学校を通らなければその教師としての資格を与えないというふうに持っていくための問題を一つ考えてございます。なお、高速運転であるとか、あるいはまた車種が違うに従っていろいろ運転技術も違うという問題もあるのでございます。そうした問題につきましては、今後よく研究しまして、十分指導してまいりたい、かように考えております。
○渡辺(武)委員 ちょっと質問の要旨と食い違っておると思いますが、その教習所へはいま必ずしも行かなくても、運転免許試験さえ通れば運転免許をもらえるわけですから、必ずしも自動車学校へ上がらなければならないということは義務づけられておりませんね。したがって、その教習の内容ではなくて、つまりは、社会の情勢の変化に対応して試験制度そのものが改革をされていかなければいけないのではないだろうか。教習所というところは、どういう科目の試験が出るか、その試験にパスすることのみを最重点にやる、これはあたりまえのことですよ。なるべく早くお客さんに免許を取らせるというのが目的ですから、だから余分なことは教えませんわ。したがって、そういう道路構造の変化なり、いろいろな高速時代に入ってきたときに、いまのような試験制度でいいのかどうか、こういうことを実はお尋ねをしておるわけです。
○寺尾説明員 現在、路上教習というものを二時間以上義務づけておるわけでございますが、高速時代に入りまして、場所がないのでどういうふうにするかということについて、いま苦慮しておるのでございますが、来年度の法改正その他を通じまして、何か前向きに考えるべきではないかということで、目下研究中でございます。
○渡辺(武)委員 なかなか的確な答えが得られないわけでありますが、いずれにいたしましても、精勢は日々に新たになるわけでございまして、いつまでも旧態依然たる状態を続けておりますと、それに基因するところの交通事故というものもやはりあると思うのです。私自身も免許を持っておりまして、十何年経験を持っておりますけれども、現実に高速道路なんかを走りますと、日曜日なんかおそらく危なくて実際には走れないというのがいまの現実の姿なんです。ところが、運転免許試験そのものには、そのような状態はほとんどないわけでございまして、いわば箱庭的な、スピードも四十キロ以下のような状態の中で、うまく回りさえすれば免許が取れる、こういう制度によって運転免許が与えられておるわけですから、そういう人たちが運転免許さえ取れば、法律上は直ちに高速道路でも何でも支障なく走れる。この辺にもやはり大きな問題があるのではないだろうか。したがいまして、これは道路の構造変化その他によって当然早急に考えていかなければならないことであったのだけれども、なかなかいろいろなむずかしい問題があってできなかった。特に高速試験等は場所等の問題もございます。しかし、その次善の策として、いろいろな問題があるはずなんだけれども、そういうことが、ただむずかしいからということだけでなおざりにされておるということ、それもやはり一つ交通事故増加の原因につながっておるのではないだろうか。交通事故撲滅という問題、人の命を尊重するという問題は、一応国民の悲願であると口ではいろいろ言われますが、ところが、現実にはそういうことがなかなか——具体的にやれるような問題までもなおざりにされておるというのがいまの状態ではないだろうか。特にその衝に当たる警察庁あるいは運輸省それぞれが、実際にはいろいろな問題が起きなければそれに対処できないという現実の問題、この辺は、関係当局はそれぞれ大いに反省をしていただかなければならないのではないだろうか。そして、ほんとうにみんなが力を合わせながら、この交通事故の撲滅という方向で官民一致して努力をしていく、こういうことがなければいかぬ。その率先的役割りを果たすのは、やはり運輸省であり、警察庁であり、実際のその関係省庁でなければならないと思うわけです。にもかかわらず、いろいろ質問をいたしてまいりますと、目下検討中でございますとか、非常に苦慮いたしておりますという答えのみしか返ってこない。これははなはだ遺憾なことでございまして、私どもが簡単に考えることでも、まだまだ何とか次善の策としてはあるはずだ。運転免許を取ったらあくる日から高速道路を走ってもよろしいというようないまの状態を、何とかしていかなければならぬじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。 時間が参りましたので終わりますが、いずれにいたしましても、もう少しひとつ真剣味を持って、各省庁はこの交通事故撲滅のために御努力をいただくように特にお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○福井委員長 次に林百郎君。
○林(百)委員 私は、最初に委員長に希望するのですけれども、実は大臣に運賃の問題を質問しようと思ったのですけれども、私のときにはもう大臣いないので、はなはだ残念ですが、そのかわり、かわりの部長が見えるそうですから、見えましたらその点を一問質問をさせていただきたいと思います。はなはだ残念ですが、最初に欠陥車の問題について質問をしていきたいと思います。 欠陥車の問題につきましては、国民の間から大きな疑惑が持たれていることは間違いないことであります。そしてまた、当委員会にユーザーユニオンからも、ひとつぜひ御調査を願いたいという希望のあったことも、これは委員長御承知のとおりだと思います。先ほどの同僚委員の発言もありましたけれども、私のところへ来ておるユーザーユニオンの資料によりますと、事故の日時は全部記載しておりますし、乗車人員も事故状況も全部記載してある。こういう資料が私のところへ届いて、これによると、この事故原因が、たとえば横ぶれ、蛇行、そういうようなのが非常に多い、共通の事故の原因となっている、したがって欠陥車の疑惑が非常に多いので、ひとつ運輸委員会で調査していただきたいという希望が出てきていると思うわけです。しかもその後、この問題を衆議院、参議院の交通安全対策の委員会で扱いました後の各紙を見ますと、まず九月十一日の日経を見ますと、警察庁がホンダN360の事故について再調査に乗り出した。それから九月十一日の読売を見ますと、「裁判所も欠陥鑑定」をする。「八王子の事故 被告の申請認める」それから警察庁「三十五件を調べ直し」という記事が出ております。それから同じく九月十一日の朝日新聞には、「誠意見せぬメーカー 再燃した欠陥車さわぎ」同じく九月十二日の毎日新聞では、「誠意ない」とおこって「ユーザー側、近く大会」を開く。一方、本田側から三度くらい示談をユーザーユニオンの側に話し合ってきたという記事が出ております。さらに毎日新聞の九月十一日のを見ますと、愛知県警が総点検で欠陥原因事故三件をつかんだ、これがほとんどホンダN360だ、こういう記事が出てきておるわけであります。したがって、この問題について重大な疑惑を持つのは当然であり、与してまた当委員会においても、この国民の疑惑にこたえるために誠意をもって審議をするのはあたりまえであって、この問題を取り上げて、ホンダN360は欠陥車じゃないかという立場から質問をするのは、どちらの側に立ったへんぱ的な立場だとはいえない、そういう信念を持ってこれからの質問をいたしたいと私は思うわけです。 そこで問題は、国民がいま一番大きな不満を抱いていることは、率直に言って、運輸省の態度が非常に逃げ腰だということだと思う、これだけのことが出てきておるわけなんでありますから。 そこで、まず第一にお聞きしますが、これだけ世間で大きな問題になっておるわけでありますけれども、その後、型式指定規則の十三条による本田側からの届け出ですね、事故の原因が設計または生産過程にあると認められるような場合に対する届け出が御承知のとおり十三条にありますが、これはあったのですか。
○細谷説明員 最近におきまして、N360につきましての本田からの欠陥車の届け出はございません。
○林(百)委員 そうすると、これだけの大きな疑惑を持たれているわけでありますけれども、運輸省としては、いわゆる道路運送車両法百条に基づく報告を求めるとか、あるいは現地へ行って検査、質問するということはしたのですか。報告書も求めていないのですか。
○隅田説明員 運輸省としては、事故そのものの報告を求めるということはやっておりません。
○林(百)委員 私の聞いているのは、事故そのものの報告を求めるのではなくして、あなたも御承知のとおり、道路運送車両法の百条二項に、「当該職員は、第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者の事務所その他の事業場又は道路運送車両の所在すると認める場所に立ち入り、道路運送車両、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。」ということがある。それから一項には、「業務に関し報告をさせることができる。」とある。これは何もやってないのですか。
○隅田説明員 事実上の問題として、メーカーを呼んで説明を聞くということはやって……。
○林(百)委員 やっているのかいないのか。
○隅田説明員 現在の事情がどういう状態になっておるかということは聞いております。
○林(百)委員 ではそれをここで報告してください。——それでは念のためにお聞きしますが、道路運送車両法の第一条の「目的」の安全を確保を求めるために、百条に基づいて、道路運送車両の所有もしくは事業に関し報告を求める、これに基づいてきちっとやっているのですか。任意に出てきて話を聞かしてくれということなんですか。
○隅田説明員 これは百条に基づいてではございません。
○林(百)委員 念のためにもう一度言っておきますが、国民の疑惑の一つの大きな原因は、こういうことにもあるのですよ。大体、各省の事務次官が一年に一人ぐらいずつ自動車メーカーのところにおりていっているんですよ。私どものほうは、これは調査してみましたがね。たとえば三十九年には運輸省の岡本君、これは嘱託ということで決定はしましたけれども、人事院で——これは参議院に出ましたけれども、続いて四十年には経済企画庁の事務次官の松村君が日産自動車へ、四十一年には郵政省の事務次官の佐方君がスバルの富士重工に、四十四年は通産省の次官の山本君がトヨタ自動車、にこういうふうに政府と自動車メーカーとの関係というのは非常に密接なんですよ。私のほうは献金も調べてますよ。そういう中で非常に大きな疑惑を持たれているときに、これだけ新聞が書き上げて、国会で問題にしているときに、当該行政責任のある運輸省が、百条に基づいてちゃんと、場合によっては現地へ行って調査をすることができる、帳簿を調べることもできる、そういう権限が与えられているのに、何にもしてないというのは、一体どういうことなんですか。それでは、あなたが任意にホンダN360の関係者を呼んで聞いた話をここで全部言ってください。そういうことをしているから、運輸省は逃げ腰だといわれるんですよ。
○野村説明員 ただいま先生の御質問でございますが、法律百条に基づいて向こうに出頭を命じ、これに基づいて事情を聴取したかということでございます。これは先ほど整備部長が答えましたように、これに基づいてはやっておりません。しかし、これは何も今度の欠陥車といいますか、御指摘の問題だけに限らずに、私どもは日常調査を要する事項、調査を要すると認める事項がある場合には、当該の責任者に対して事実上、こういうことを聞きたいからということで事情を聴取する、あるいは事故等がありました場合には、向こうの会社のほうから積極的に資料を持ってくるというようなことが、日常の私どもの執務をやっておるやり方でございます。特にその法律何条に基づいて出てこいというようなことは普通やっておりませんので、ただいま私どものほうからお答えしましたのは、そういう日常の事故なり問題があった場合には、しかるべき責任者を呼んで事情を聴取する、あるいはこちらが出向いて向こうで聴取するということを事実上やっている、こういうことを申し上げたわけでございます。
○林(百)委員 だから、普通やっていないということが問題だ。特にいまこういうふうに大きな問題になっているわけでしょう。問題になって、運輸省には権限があるわけでしょう。現地へ行って作業状態を調べることもできる。現地へ行ってその欠陥車とみなされる自動車を見ることもできる。あるいは帳簿を調べることもできる。場合によっては報告を求めることもできるとあるんだから、それをどうしてやらないのですか。その権限をどうして行使しないかということを私は聞いているわけです。そういうことをやらないということは、権限がちゃんと与えられて——いま国民の間から大きな問題が起きて、各新聞も一斉にこうやって、裁判所や検察庁や警察庁まで乗り出しているということが出ているのに、運輸省がみずから与えられた法律の権限に基づいて調査をしないということは、それは国民から疑惑を持たれてもやむを得ないんじゃないか、職務を怠慢にしているといわれてもやむを得ないんじゃないか、こう私は聞いているわけなんですよ。そうじゃないですか。あなた、違う監督官庁である運輸省以外のところがみんなやり出したといって新聞に報道しているわけでしょう。それをあなたのほうはまだ、いつも任意に向こうが来たら聞きます、法律で呼び出すようなことはいたしませんということだけでは、これは運輸省が誠意をもってこの問題に当たっているといえないではないか、また国民が見て、そう見てもやむを得ないじゃないかと、こう私は聞いているわけです。しかし、そのことはもういいですよ。呼ばないと言うんだから、そして、任意に関係者を運輸省に来てもらって事情を聞いたと言うから、だから、聞いた事情をここで話してくださいというんですよ。
○細谷説明員 この件につきましては、本田技研の吉田部長に来省を求めまして、問題になっております十四件の事故につきましての本田技研側の調査状況等を聴取いたしております。
○林(百)委員 調査した結果どういうことなんですか。
○細谷説明員 調査をいたしました結果、本田技研側の見解といたしましては、車両の欠陥によるものではないという見解を述べておりまして、私どもといたしましても、この問題については、いまのところ、手元にございますデータ等によりましては、その判定が非常に困難であるというふうに考えております。
○林(百)委員 そうすると、運輸省は、これについて保安基準を厳守させるためにも、運輸省としては独自の調査を今後行なう。先ほど同僚委員から一つの提案として公開テストという話もありましたけれども、しかし、とりあえず監督官庁である建設省が、この問題について独自の調査をなさる意思があるかどうか、まずお聞きしておきたいのです。 というのは、これは、私はだれがどこからよこしたという手紙は別としても、この問題が起きてからの書簡に、欠陥車については本田のほうでは極秘で修理をしています、四十三年の暮れには全国の本田SF整備工場に埼玉製作所あるいは狭山製作所等から約百名近く、かなりの人が修理に出ていっています、やった仕事についてはわかりませんが、四十四年の春には販サービスということでN360の足回りの修理でかなりの人が行っていますということで、もう百人近いと思われるような人を出して修理をやっているということが、これは内部からちゃんと手紙が来ているわけですよ。そればかりじゃありません。だんだん私のほうは証拠を出していきますけれども、部内で極秘の販サービス作業要領という、こういうものがあって、もう必ずここだけは欠陥があるから必須整備をしろという条項までちゃんと書いてあるんですよ。これあとで詳しく申し上げますけどね。それで、その対策品までできているんですよ。一方では欠陥車を出しておいて、一方では対策品なつくっておいて、そして修理ということで、これは私のところへ受け取りまで来て、手紙も来ていますけれども、二万円近くの修理費を出している。そういうことが行なわれているのです。そんなことを運輸省は知らないのですか。もしそういうことを知らないとすれば、これは驚くべきことでありまして、いま課長さんの言われた十四件については、私のほうではこれを欠陥車と認定するかどうかの材料がいまないので、運輸省としての責任ある答弁はいたしかねると言いましたけれども、これについては、運輸省としては独自で、この問題、本田のいま国民の一番疑惑の的になっている360号について、独自でこれは動く形で調査をされるという意思はあるのですか、ないのですか。
○野村説明員 私どもは、独自と申しますか、運輸省の立場からこれを調査する意思は十分持っております。 ただ、ここで先生に御理解いただきたいのは、先生先ほど、よその官庁は調べておるじゃないか、運輸省は調べないのはおかしいという御指摘でございましたが、私どもの見解は、もちろん運輸省も調査いたします。またいたしております。しかし、事柄は、これも先生に申し上げるのは釈迦に説法になりますけれども、刑事訴追の対象になっておるわけでございます。それをその途中の段階において行政官庁が調査をして、その結果をあるいはこうとかああとかいうことは、これは私どもとしては差し控えたい。したがって、私どもの立場から、調査はこれはやるべきものと考えますけれども、いわゆる捜査当局のような立場と違いますので、それを現段階において外部に公表すべきものではない、こういうふうに考えております。
○林(百)委員 欠陥車として警察庁が再調査に臨む。欠陥原因としてホンダN360について愛知県警が総点検でつかんでおる。それから裁判所も欠陥として鑑定をする。要するに、欠陥車という立場で、よその官庁がみんな動いているわけなんですよ。これだけの刺激があるならば、当該運輸省が欠陥車の疑惑を持って、そうして与えられた権限に基づいて調査をなぜなさらないのか、ここを私は聞いているのですよ。あなた方は、調べようと思えばちゃんと調べる権限が与えられているじゃないですか。その発動を全然しないといったら、運輸省おかしいじゃないかということを言われてもあたりまえじゃないですか。
○野村説明員 ですから、いま申し上げましたように、私どもは調査をいたさないということではございませんで、むしろ調査はいたしますし、いたしております。ただ、いま先生がおっしゃった欠陥車としてというのは、おそらく欠陥車の容疑としてという——容疑ということばは適当かどうかわかりませんが、欠陥車としての疑いが十分あるということで捜査当局においては捜査をしておるのであって、欠陥車であるという判定が出ておれば、これはもう欠陥車でございますから、そのような措置を当然しなければなりません。欠陥車であるかもわからないという、その一応の疑問はあるということで、運輸省としても当然調査すべきものでございます。ただ、現段階において、正規の捜査機関が捜査をしておるときに、私どもがいままでの調査の結果はこうであるとかどうであるとかということを外部に発表すべきものではなかろう、こういうふうに考えております。調査をしないと申しておるのではありません。
○林(百)委員 もちろん、他の裁判所、警察庁あるいは県警、それが欠陥車としての容疑が濃厚だということで、それぞれの行政権を発動しているということはあなたの言うとおりです。そこで、そういうようにすでに世間が大きな疑惑を持ち出してきているんだから、運輸省も、ここで運輸省の見解をあれこれ言わないにしても、独自の調査をしているとすれば、その調査している模様を国会に報告してください。裁判所や警察庁へはけっこうですから、この運輸委員会に、あなた方が調査した模様を報告してください。
○野村説明員 私ども、いままで申し上げましたように、担当者を呼んで調査をし、また資料の要求をするということをやってはおります。しかし、それは現段階において、関係行政当局としてまだ発表すべきものではないと考えておりますので、御要請には応じかねると思います。
○林(百)委員 どうしてこの運輸委員会へ発表ができないんですか。あなた方の行政の作業については、われわれもまた監督をする責任があるわけですから、それで聞いているわけですが、あなた方が、いま疑惑を持たれているホンダN360について調査をなさっているというなら、その今日までの経過、その持っている今日までの一応の結論を運輸委員会に報告できないというはずはないでしょう。
○野村説明員 私ども、この前、今月の十日でございましたか、理事会の御決定によりまして、本日の会議に出るべく準備いたしましたときに、本日の会議は、要するに、最近安全問題においていろいろ問題のある軽自動車一般の安全性について、運輸省として——主として運輸省でございますが、運輸省としてどういう対策を講じてきたか、また今後どういうふうに講じようとするのかという、一般的な軽自動車の安全対策について審議をするという御方針だと承りました。したがって、個々の具体的な問題については、今日この場で、いま先生の御質問のような御審議の方法であるというふうには私ども承知しておりませんので、そういうふうに私は申し上げておるわけでございます。
○林(百)委員 じゃ、これをお見せします。 四十三年十月七日付で、本田の本社サービス部で「サービス作業要領」というのをマル秘で出しているわけですね。ここには、必ず整備をしろという条項があるのです、必須条項がね。必須整備、これが五点。これは必ず整備しなければいかぬというのですよ。それから点検整備が数点あるわけですね。こういうものがあって、もう欠陥のあることを認めて、こことここは必ず点検しなさい、ここは必須の整備をしなさい、ここは点検整備をしなさい、こういうものがマル秘で出ているのですよ。これはあなた見たことがありますか。——ちょっと見てください。
○野村説明員 これは見たことはございません。
○林(百)委員 それなら、それを取り寄せて調べる意思はありますか。
○野村説明員 私どもとしては、私どもの立場から先ほども申し上げますように調査をするつもりはございますが、先ほどもお答えいたしましたように、いま係争中の具体的な問題について、私どもがここでどうするということを申し上げる立場にはないと思います。その点御了承いただきたいと思います。
○林(百)委員 せっかく私のほうであなたのほうに資料を提供して、こういうものがあるから、欠陥車かどうかを判断する材料として、会社側から取り寄せてお調べなさいと言うのに、調べないと言うのですか。マル秘として四十三年十月七日に本社サービス部から出ておって、必須整備個所、点検整備個所、それから、若干型を変えた場合にも、また必須整備個所、点検整備個所があるわけですよ。しかも、このことによって、こういう手紙も来ているわけです。受け取りがこうあって、そのたびに二万くらいずつ整備料が取られているわけです。それで、この人は何と言っているかというと、「今後、設計、組立て工程、SFのサービスと共に根本的に安全性を追求する必要を感じるものです。なお一方、ホンダ製品の持ちの悪いのは定評の有ることです。目新しさが買われるので、ユーザーが目を開くべきだと思うものであります。」と言って、受け取りまでつけて手紙をよこしているわけですよ。そういう資料を私があなたに提供しているのに、どうしてあなたは、それならば参考までにこれを会社から取り寄せて、運輸省としても調べてみますということがここの委員会で答弁できないのですか。
○野村説明員 先ほど申し上げましたように、私ども、きょうこの委員会において御審議されますのは、軽自動車の安全問題一般についての審議をする、特定の個々の問題について審議するのではなくて、軽自動車一般の問題について審議をするという理事会の御決定に基づいて参ったわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃっておられる、いま取り上げられた具体的な問題について、私がこの席で、こういう調査をいたします、その結果御報告申し上げますということを言うにつきましては、これはやはり、委員会としての正式な御指示があれば別でございますけれども、そうでない限りは私お答えできないと思います。
○林(百)委員 あなたがそういう妙な論理を展開するなら展開するでいいでしょう。しかし、ますます疑惑が高まるだけですよ。林委員から言われました資料、参考までに取り寄せて調べますと言ったっていいじゃないですか。欠陥車一般だからホンダのことを言っちゃいかぬということはどういうことなんですか。そんなべらぼうな話はないでしょう。いま欠陥車一般の中で一番問題になっているのがホンダN360だから、当委員会において360について集中的に質問するのがなぜいけないのですか。 しかも、もう一つ資料を提供しますが、フロントダンパーASSY、これを右と左と五回にわたって修理をしていますよ。これもあなた、よく書いておきなさい。そして会社に問い合わせてごらんなさい。それからステアリングピニオン・コンプ、これを九回ぐらい修理しています。あなたのほうで材料がほしいというなら、むしろ私のほうで提供してあげましょう。あなたのほうで木田からとるのがそんなにいやだったら、いつでも私のところへいらっしゃい、提供してあげますよ。同じ個所、右と左を五回も修理するなんということは、これはもう欠陥車ですよ。よく調べてごらんなさい。 それからもう一つ問題になるのは、これが問題になってから、本田側がひそかに事故車の回収を始めているわけですよ。ユーザーユニオンから出されたこの材料のうちの二件を隠密回収しているわけですね。これはあなたのほうにないというのですけれども、運輸委員会にありますよ。運輸委員会に資料として出ているはずですよ。出ていませんか。なければあれですが、先ほど同僚委員も言っていましたけれども、このうちのナンバー五七の小川和夫さん、埼玉県大宮市土手町一の二九五、これはひそかに本田が来て、ひとつ見せてくれないか、何か違う個所がどこか事故が起きているのじゃないかと思うからといって、本田が直接来ているわけですね。それからもう一つ、やはり埼玉県大宮の栄橋線の本橋詳二という人のところへ、これは私のところへちゃんと報告が来ていますが、問題が起きてから回収を始めている。それからもう一つは、これは警察に関係あることですが、こういう手紙が来ているわけですね。これは九月十八日付ですけれども、「九月十四日午後六時三十分頃福岡市香椎の国道三号線上で突然の蛇行で手に負えなくなり、横紙し車は大破しました。幸ひ乗ってゐた三人(学生)は軽い怪我で済みましたが、三人の話ではすごいはやさの横振りでどうする事も出来ず、丁度ラッシュ時で対行車も多く恐ふは此の上もなかった。この横ぶれは蛇行などと云ふやさしいものではなかったと話して居ります。警察の方も運転のミスによる事故でもなく、他人に怪我をさしたのでもないので交通事故としては取締まらないので、ホンダと話合う様にと申されましたが、ホンダ新宮SF(福岡市新宮町)の方は論外だ、ホンダの車に欠陥はないと相手になる様子もありませんが、事故後私の方でホンダ販売店に預けて置いた車を警察から知らして来たからと勝手にホンダSFが引取って帰った後で引取りの知らせがあり、タイヤの空気圧等事後策がしてある様にも思われます。」これも警察のほうでは、運転ミスじゃないのだから、製造元の本田と相談しろといって、いつのまにか本田へその車が行っていた。こういう手紙も来ています。これはたくさんある中の一、二ですから、これが一般的だとは私は言いません。しかし、こういう手紙が、この問題が国会で取り上げられてからひんぴんとして来ている。隠密の回収が始まっているということも来ている。ということになれば、これを運輸省がなお手をこまねいているというわけにはいかぬのじゃないかという材料に私は言っているわけなんです。 そこで、もう時間がありません。あと、私は運賃の問題もひとつちょっと聞かなければならないので、ここで結論を言わなければならないのですけれども、法改正の問題なんです。 一つは、道路運送車両法の四十条から四十二条の保安基準がありますね。これはあなたも御承知のとおり。これを動的な状態でどうかという基準をこの中に入れる、こういう改正の方向は考えませんか。要するに、自動車を時速八十キロで走らせた場合にどういう状態になるかという、こうい改正ですね。
○野村説明員 道路運送車両法の問題点の改正につきましては、私ども検討を進めております。現在運輸技術審議会の自動車部会というものがありますので、この道路運送車両法の改正事項も含めまして、自動車の安全対策全般について、この審議会の御意見をお聞きすることになっておりますので、ただいま先生の御指摘の点につきましても、今後いろいろ検討していくようにしたいと思っております。
○林(百)委員 同じことで、もしそこが根本的にそうなりますと、これは型式指定規則の届け出事項についても、やはり動的な状態——これは、型式指定規則は非常に形式的な静的な条件だけの届け出になっておりますので、道路運送車両法の保安基準の改正の方向を考えるならば、これもまたやはり動的な状態の場合どうかということを届け出させるような改正の方向を考えるべきだと思いますが、この点についてはどうですか。
○野村説明員 さきの御質問とそれからいまの御質問とあわせて、現在省令で規定してある事項を法律にあげるべきだという御意見と、それからもう一つは、静的な状態においてとらえているものを、動的な状態にとらえるように内容のチェックのやり方を変えろ、こういう御意見だと思います。法律事項であるか、省令事項であるかということは、これは私どももいろいろ検討しなければなりません。とらえ方の問題につきましても、これは技術的にそういうことが可能であれば、私どもはそういう方向で検討をしたいと思いますが、問題は、技術的にどういうふうにして客観的にとらえるかということの検討をまって結論を出したいと思います。
○林(百)委員 いずれにしても、型式指定規則についても検討はしている。要するに、いまのままで十分だとは考えないので、検討はしている。あるいはその実際の実施を変えることによって、規則は規則のままにしておくのか、あるいはやはりいろいろの問題が起きておるから、規則自体を改正する方向へ考えているかどうかという点が一つと、ついでですからもう一つ聞いてしまいます。 これはいま公害基本法の経済条項、経済条項とよく言いますが、道路運送車両法の四十六条に「第四十条から第四十二条まで、第四十四条及び前条の規定による保安上の技術基準は、道路運送車両の構造及び装置が運行に十分堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、」これはけっこうです。「且つ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであってはならない。」だから、保安基準が「通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、」まではいいけれども、しかし、このために製作者に不当な——不当なということばはありますけれども、「不当な制限を謝することとなるものであってはならない。」これはいま公害基本法の、経済の発展と調和するという条項が非常に問題になっている際に、この点は考慮する意思がありますかどうですか。
○野村説明員 第一点についてお答えいたします。 型式認定のやり方の内容については、現在検討をいたしております。したがいまして、先ほどの御質問にありましたように、その内容が現在の型式認定の規則を変える必要があれば、これは当然規則を変える、実行でできることであれば実行でやるということ、要するに、やり方の内容をただいま検討しておるということでございます。 それから第二点、ただいま御指摘の点は、確かに公害基本法の経済条項と表現は違いますけれども、何といいますか、その思想において似ている点があると思います。したがいまして、これは政府部内の方針としてそういう線に沿って、何といいますか、公害防止優先という方向でこれも検討するということは、お約束できると思います。
○林(百)委員 これでこの点は終わります。 それからもう一つ、これはこの前課長さんが見えたときにもお話ししておきましたが、やはり運輸省の権威を確立するためには、運輸省独自の自動車のテストセンターですか、これは相当の人員と設備と予算が要ると思います。そういう点についてはわれわれもまた協力するつもりですが、そういうものを将来設けて、やはり運輸省独自のテスト、独自の見解というものを持ちませんと、それがないと、業界とあなた方との間のいろいろな疑惑を持たれるのであって、その点についても将来の展望としてはどういうことを考えているか、これを聞いて、私はこの質問は終わります。
○野村説明員 運輸省独自の自動車の審査といいますか、そういう研究施設を持ちたいというのは、私ども、特に運輸省の技術者の一つの夢であると言っても私はいいと思います。ただ、現実の問題として、いまいろいろ予算上あるいは定員上の制約がありますので、非常にこれはむずかしいことは私どもよく承知をしておりますが、できることならばそういうセンターを持ちたいということは、これはもう当然私どもの技術陣はみな考えておると思います。
○林(百)委員 では、この点はけっこうです。 私鉄運賃の問題、私のほうも、党の見解がありますので、ひとつお聞きしたいと思うのですが、大体新聞の伝えるところによりますと、業界、私鉄十四社が三二・二%の申請で、これを二〇%から二三%平均引き上げを考えているということが新聞に出ているわけですけれども、これはそういう方向でいま検討しているのですか。
○須賀説明員 お答えいたします。 民営鉄道の大手十四社におきましては、先生お話のありましたように、四十三年の十二月から四十四年の一月にかけまして運賃改定の申請を行なったわけであります。その改定の申請の内容は、増収を約三二・二%はかりたい、それによって五百億円余の増収を得たいということでございます。また、交通営団におきましては、同じように四十四年の一月に値上げの申請をいたしまして、増収率二三・二%、約六十五億の増収をはかりたい、こういう内容のものでございます。この申請理由の内容といたしまして、現在数次にわたって行なっています輸送力増強並びに運転保安工事の遂行のため、あるいはまたその他の物価を吸収するため、こういう理由でございまして、これに基づきまして本年一月、運輸省といたしまして運輸審議会に諮問をいたし、七月の初旬に二日間にわたりまして公聴会を開催した、こういうことでございまして、その後いろいろ私どもも経済企画庁と打ち合わせておるわけでございますが、新聞紙上等に出ております二〇%あるいは二三、四%、そういういろいろな数字が出ておりますが、われわれとしては現在検討しておるわけでございます。しかしながら、きのうの一日内閣でも佐藤総理からも、運賃についてある程度やむを得ないだろう、こういうお話がありまして、現在経済企画庁と最終的な打ち合わせをしておる段階でございます。
○林(百)委員 時間がありませんので、率直に聞いていきますが、私鉄が関連事業をやりていることはあなたも御承知ですね。関連事業の中心は、一つは観光事業、一つは不動産ですね。不動産に関する宅地造成だとか不動産所有ですね。そこで、これは七月の七日、八日に開かれた公聴会の田中東急副社長の発言として、東急の場合、関連会社の総収入は三千五百億円、利益は七十八億円で、東急に言わせればいい成績とは言えないが、こういう数字が出ている。そしてまた、関連会社への融資も年々減少はしている。こういう数字は大体こんな数字ですか。
○須賀説明員 お答えいたします。 いま詳しくは存じません。
○林(百)委員 大体そのくらいの数字ですか。わからないのですか。
○須賀説明員 ちょっと資料を持ち合わせていませんので、わかりかねます。
○林(百)委員 いろいろお聞きしたいのですが、時間がありませんのではしょりますが、西武の分譲土地建物の評価が約百三十四億円というこの数字はどうですか。
○須賀説明員 まことに申しかねますが、いま会議の途中から参ったものですから、資料を持ち合わせないので、まことに恐縮でございます。
○林(百)委員 それじゃやむを得ません。それは一切やめて、そこで、私のほうの党としては私鉄の運賃の値上げは絶対反対なので、そのかわり、もし私鉄が企業を拡大しようとすれば、兼業部門の黒字ですね、ばく大な不動産を所有し、宅地造成をして、そこから大きな利益をあげて、あるいは観光事業からあげて、私の数字ですと、東急では約三千五百億の総収入といっていますけれども、この黒字を投資するということ。それから退職引き当て金や減価償却、この減価償却が特に甘く見積もられていますけれども、これなどの社内留保資産を十分検討して、これを投資に向ける。それから不動産業部門の持ち家、持ち土地を処分して、ここから投資の原資を求める。それから私鉄企業は御承知のとおり通年大体大企業は一割の配当をやっていますけれども、この配当を減配してもやむを得ないと思います。こういう形で私鉄料金の値上げをこの際やめる。総理もストップを一応かけたようなゼスチュアだけしたけれども、配当を一分下げてそして何か意見書か何かを運輸大臣に出したら、それで私鉄料金値上げのほうへ動いたというけれども、私たちは、いま言ったような兼業部門における黒字、退職引き当て金、減価償却の甘さをきびしくする、不動産部門の持ち土地、建物を処分する、私鉄企業の通年一割配当、これは大企業ですが、これをやめる、全然やらないというわけにもいかぬでしょうけれども、これを減配するというような方法で、この際私鉄料金の値上げをしない、そういう方向については運輸省はどう考えていますか。
○須賀説明員 先生御指摘のとおり、われわれの計算によりますと、鉄道事業では赤字を出しているということになっておりますが、兼業部門で黒字を出していることは事実でございます。兼業部門と申しましてもいろいろございますが、その黒字の大部分は不動産でございます。兼業部門でも相当の赤字を出しているバスなんかもあるわけでございますが、いままでの状況では、鉄道あるいはバスといったものの赤字を不動産でカバーして一割配当しているというのが実情であるわけでございまして、不動産でカバーし切れない分につきましては、特別損益で事業用の不動産を売ったりしてやっているわけでございます。それが実情でございますが、先生御指摘のとおり、兼業部門から回したらどうか、こういうお話でございますが、これは道路運送法でもあるいは倉庫のほうでも航空のほうにもあるかと思いますが、すべて能率的な経営のもとにおいて適正な原価を償い、適正な利潤を含むものであること、しかもそれは各事業ごとにということになっておるわけでございますけれども、こういう問題につきまして、物価との関係もございまして、できる限りこれを低位に押えたいということから、一部分、先般来いわれておりますように、兼業部門の黒字を鉄道部門のほうに回して、運賃改定率のある程度の引き下げに協力させるという方法が現在出つつあるという段階であるわけでございます。 それからもう一つは、先般新聞にも載りましたように、十四社の社長会の決議によりまして、省力化とか、合理化とか、そのほかに輸送力の増強をしっかりやりますとか、あるいは経営態度をしっかりやりますというほかに、配当率の引き下げを検討する、こういった決議内容が出てきておるわけでございまして、こういう線にのっとって現在作業を進めておる段階であります。
○林(百)委員 そうすると、結論ですけれども、そういういろいろの方向を目ざしながら、一応私鉄運賃は、上げる率は別としても上げるという方向で、きょうも秘密に運輸大臣と経済企画庁長官とが会議をしておるようですが、上げるという方向で運輸省としては今後検討するという、そういう態度なんですか。
○須賀説明員 本日幹部会が開かれまして、その途中から私出てきたわけでございますが、そういう方向で進んでおる途中に出てきたわけでございます。
○林(百)委員 それじゃけっこうです。
○福井委員長 本日はこれをもって散会いたします。 午後三時二十二分散会