運輸委員会 第13号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1970/03/31
会議録
○福井委員長 これより会議を開きます。 航空に関する件について調査を進めます。 この際、日航機乗っ取り事件について政府当局から説明を求めます。山村運輸政務次官。
○山村政府委員 このたびの日航機乗っ取り事件について御説明申し上げます。 これは東京発七時十分、福岡行きのボーイング727でございます。日航の三五一便でございます。そして、これは七時四十九分、名古屋上空で、赤軍派と称する学生約十五人に、北鮮に行くように脅迫されました。これらの学生は日本刀、それから爆弾を持っておる模様でございます。この飛行機の乗員は、乗務員として七人、機長以下スチュワーデスを含めてでございます。それから乗客は百二十九人、満席でございます。計百三十六人、そのほかに子供が二人乗っております。また、この飛行機の機長は石田真二さんと申します。そしてこの機長は、燃料がないので北鮮までは行けないと断わりましたところ、この学生たちは、福岡で給油してから北朝鮮へ向かうように脅迫しておる。そして八時五十九分、福岡に到着いたしました。到着いたしましたが、そのまま飛行機はドアをあけさせずに、乗客、乗務員は機内にかん詰め状態でございます。そして、福岡の県警本部長以下空港にて待機しておりますが、犯人をできるだけ刺激しないように、乗客を安全に飛行機からおろさせるように全力を尽くしております。また、板付空港の警察署長が、乗客をおろさなければ給油はできないと説得をいたしました。しかし、向こうは言うことを聞かないわけでございます。これが九時三十分現在でございます。そして、脅迫があまりひどいものですから、乗客を乗せたまま、いま少しずつ給油をしておるという状況でございます。それで航空局といたしましては、絶対に飛ばさせないという態度で臨んでまいるつもりでございます。 参考になる数字をちょっと申し上げますと、昭和四十四年一月から十一月までの間に、いわゆるこのような乗っ取り事故のようなものが、大体全世界で五十件起こっておるというような数字が出ております。 現在の状況の報告でございます。
○福井委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。加藤六月君。
○加藤(六)委員 われわれは、けさのJAL三五一便乗っ取り事件に対してがく然といたしたわけでございます。いま政府より御報告がございましたように、昨年、昭和四十四年一月から、全世界において五十件になんなんとする航空機乗っ取り事件というのが頻発いたしておる。それに対して、各国いろいろな反響があるようでございますけれども、国際的に申し上げますと、かかる乗っ取り事件が横行しておる国あるいはその国の飛行場に対し、機長あるいは乗務員あるいは飛行機会社が今後乗り入れを拒否したいというような意向等があるやに聞いております。もし、今後こういう事件がさらに引き続き起こるとするならば、まず第一点にわれわれが考えなくちゃならないものは、ようやく世界的に日本の信用というものが高まり、そしてまた、日本の経済活動、経済性というものが世界の各国から重視されているときに、こういう考え方が国際的にびまんしてきたらたいへん困るということ、これが第一点でございます。 それにもまして大切なことは何であるかといいますと、乗客の生命財産の問題であります。乗客の保護の問題であります。国際的にも、昨年だけでも五十件こういう問題が起こっておる。しからば、日本においてもこういう状態がいつ起こるかということは想定されておったのではないか。また、考えた上での処置というものを講じておかなくちゃならない、こういう気持ちがあった。そこに今回こういう問題が起こった。全然関係のない、無実な乗客の保護ということに対し、こういう国際的な問題が起こってきつつあるときに、政府が各航空会社に対して、乗っ取り事件に対する対策というものをどういうように指示しておったか、特に乗客の保護という問題を中心とした考え方はどうであるかということについて、まず第一番にお伺いしてみたい、こう思います。
○金井説明員 お答えいたします。 ただいま先生がおっしゃいましたように、乗客の保護ということについては、運輸省としては対策を講じております。その対策は、運輸大臣が認可するところの運航規程というのがございますけれども、その運航規程の中に、航空機乗っ取りの場合に機長のとるべき処置というのを規定いたしまして、まず乗客を最優先に救出するような手段を講ずべきであるという規程を設けて、乗客優先の措置を講じております。それを簡単に申し上げますと、運航規程の中の第一巻に、「乗客が安全にすみやかに解放されるように努力する」これをまずあげまして、それから「解放された後の乗客が本来の目的地に出発できるよう、あるいはまたその他の便宜がはかられるよう万全の措置を講ずる」これは抽象的でございますけれども、先ほど申し上げましたように、たとえば乗客をおろさなければ給油できないというような、臨機応変にそういう処置を講じまして、何が何でも乗務員よりはまず乗客という点に重点を置いて運航規程を作成するように指示しております。
○加藤(六)委員 それは一般時における運航規程であって、乗っ取り事件に対するような問題に対して——もちろん、平素からこういう問題についてはやっておるわけでございますが、われわれはいま船員法の問題を議論しておりまして、船長権限という問題、航空法におけるところの七十五条の機長権限の問題、こういう問題等もあわせてすでに議論しておったわけでございます。 しからば具体的にお伺いいたしますが、今回のこういうケースが起こるような場合に備えて、まずわれわれが聞きたいのは、乗客の保護という立場から、たとえば乗っ取り事件、こういうものが起こるということを前提とした場合に、機内に武器あるいは武器に類するようなものを持ち込む方法を完全にチェックしておるか、チェックしてないか、これが一点。その次は、現在航空機の合理化、搭乗客の合理化ということに窮するあまり、乗客名簿というものをどのように扱い、どのようなチェックのしかたをしているか。この二点をできるだけ詳しく説明してください。
○金井説明員 お答えいたします。 まず最初の御質問で、これは通常の場合の運航規程ではないかという御趣旨だったかと思いますけれども、航空機不法乗っ取り事件、乗っ取り行為に対する場合の運航規程という特別な項目を設けまして、それで先ほど申し上げましたような乗客優先という項目を設定してございます。 第二番目の点といたしまして、荷物その他の点のチェックをどのように行なっておるかということでございますけれども、これについての成文化された規定は運航規程の中にはまだございません。しかしながら、先般来、例のイスラエルに関する爆破事件がございましたけれども、そのときに、運輸省としましては、口頭で、荷物その他厳重にチェックしてくれという指示をいたしまして、それ以来、国内線の場合も国際線の場合も、怪しいと思ったものについては、乗客名簿その他を参考にしながら、荷物、貨物の点検あるいはチェックをしておるはずでございます。乗客名簿についてもチェックしております。これはあくまでもそのイスラエルの事件以来口頭で指示していることでございまして、まだ文章で成文化されてはおりません。
○加藤(六)委員 部長、あなたはそういうことを言われるけれども、いまのわが国の国内線で荷物をチェックしたということがありますか、ほんとうに。イスラエル爆破事件以来そういう指示をしておると言いますが、ないですよ。それから乗客チェックを口頭でしておる。口頭でしたのはチェックじゃないでしょう。現在わが国の国内航空会社全部がやっておる方法、それは私はチェックとはいわぬと思うのです。 たとえば、それならもう少し突っ込んでお伺いします。けさ東京から乗り込むときに、いま政務次官からの概況報告によりますと、日本刀、爆弾を持って脅迫しておる、こういうのです。しかも十数名の赤軍派だ、こういうのです。十五名という具体的数字がありましたが、十五名の人間の中に——いま機内と機外との連絡その他はとのようになっておるか、私いまの報告の中になかったからわかりませんが、連絡はとれていると思いますが、たとえば何人の人間が日本刀を持っておるのか、爆弾はどの程度の爆弾を持っておるのだ、一本だけの日本刀を持って入ったから航空機内では乗るときにチェックできなかったというのか、それとも相当たくさんの人間が数本の日本刀や爆弾を持って乗ったのかというのは、現在わかっておるのですか、いないのですか、機内と機外との連絡において。
○金井説明員 日本刀が何本で、爆弾がどのくらいだという具体的な数字はまだつかめておりません。 それから、先ほどの御質問に関連することでございますけれども、荷物のチェックというのは、たとえば預ける場合には一応見れますけれども、持ち込む荷物の場合にはいままではなかなかチェックできなかったのが実情ではないかと思います。手荷物、機内に持ち込む荷物でございますね、おそらく爆弾と日本刀は手で持って、預けることなしに、手荷物として機内に持ち込まれたのではないかと思われますけれども、その点のチェックがいままで先生御指摘のとおり完全でたかったかもしれません。要するに手荷物のチェックでございます。
○山村政府委員 先ほど御報告しました十五人というのは、赤軍派と称する学生約十五人で、十五人間違いなしという確認した数字ではございません。
○加藤(六)委員 その次に、乗客のチェックでございますが、いま政務次官より約十五人、赤軍派と称する学生のようなものだ、こういう御説明がありましたが、その連中に——今度は荷物チェックじゃないのです、乗客チェックです。これはけさどういう状態で、どのようにしておりますか。いいかげんなこと言わずに、ひとつ報告してください。 いま航空局長おいでになりましたから、もう一ぺんいまの私の質問を申し上げますと、イスラエル爆破事件以来、荷物並びに乗客に対するチェックはやっておる、乗っ取り防止策は講じておると、こういうことに近い説明がありましたから、この三五一便の中にお客が持ち込んだと思われる日本刀や爆弾はチェックのしかたがあったのかなかったのか、どうしたのだということで、いま部長より答弁があったわけです。その次に私がお伺いしたのは、政府の発表によりますと、十五名程度の赤軍派と称する乗客がと言っておるのだが、しからばその乗客に対するチェックというのは、具体的に言うと、けさの場合はチェックしたのかしなかったのか、いつもと同じ調子であったというなら、平生もチェックしてないのだなということですが、それに対する答弁を求めておるわけです。
○手塚政府委員 本日の乗客につきましては、先ほど御説明、御報告を申し上げたと思います。それに対するいま加藤先生からの御質問でございますが、イスラエル事件が起こりました直後におきましては、荷物、特に手荷物以外の貨物につきまして、これに爆弾その他危険物が持ち込まれるおそれが多分にあるというふうな情報、予測が多かったので、これに対応いたしまして、荷物等のチェックにつきまして、空港事務所の私どもの当局者並びに日本航空の担当の者がこれの非常に厳密なる調査をいたしまして、一回一回の調査をいたしまして、そういった危険物搭載に対する予防措置をとったわけです。いまおっしゃいます今回の事件のような乗客一般ということにつきましては、特にそういった手段をとっていないというのが実情です。けさのお客、特に国内のお客につきましては、かつてずっと昔にやっておりましたパッセンジャーリストというような式のもので、一々詳細に個々別々に当たってそういうものをつくるというようなこまかいことは、最近の乗客の実情等からいたしましても、非常に時間と手続が煩瑣でありますので、そういったことを特にやっておりません。したがって、乗客のまず一般概略的なパッセンジャーの内容はわかっておりますけれども、たとえばいま事件を起こしたような赤軍派的なものであるとかないとかいうようなこまかい一々のチェックは、やっていないのが実情でございます。
○加藤(六)委員 その次に、私は燃料のことは聞きません。私は乗客の立場を考えますと、普通727クラスの機材で水並びに食料はどの程度に積むようになっておるのでしょうか。そして今回のこの727の機内と機外との間に、先ほど政務次官から給油問題についての報告はありましたが、水とか食べ物、こういう問題については、平素の指導と、今回のJAL三五一便の中に積んでおる水と食料がどの程度あるかということは、いま確認されておりますか。また機内との交渉において、こういった水とか食べ物あるいは精神安定剤、こういうものを機内に搬入する方法について、折衝が行なわれておるか行なわれてないか、ちょっと質問があちこちとんとんしますが、機内における生命の保護という立場からお伺いしておきます。
○手塚政府委員 ただいま行なわれましたようなハイジャッキング、航空機不法奪取行為、そういうものに対しまして、常日ごろから航空会社自体でも考えており、私どもも指導いたしておりますのは、乗客の生命の確保が第一であるということになっておるわけです。したがいまして、問題がちょっと横にそれますけれども、いままでの機長の措置、応待のしかた等についても、そういうことを第一義的に考えて措置をしておりますので、危険が乗客に及ぶようなことは一切やらないということです。いま乗客は中へ乗ったままになっておりますが、水なり食料というものは、これはまだ的確なる数量は承知いたしておりませんが、おそらく国内だけを飛ぶつもりでおりますから、いわゆる食料はスナックという程度のものであろうと思いますし、水にいたしましても、福岡を往復してまた東京へ帰って積み込むという程度のものしがなかろうかと思うのです。したがって、ただいまはできるだけある意味で時間をかせいで、その後の措置のきっかけをつかもうということで、警察御当局なり自衛隊も協力を仰いでおるわけですけれども、時間の推移とともに、いまおっしゃったようなことがまた問題になってくるであろうというふうに思われまして、非常に私ども心配しておりますが、その辺は、できるだけひとつ乗客だけにはあまり迷惑をかけないというようなことで、説得を続けることがどうしても必要であろう、こういうふうに考えていま鋭意やっております。
○加藤(六)委員 私、実はこの席へ防衛庁の出席を求めたのですが、参議院の委員会のほうへ出席されておるということでお出にならないというわけでございますが、運輸省がおとりになった措置以外に、各省がどういう措置をこの今回の問題について現在までしておるかということを国民の立場に立って承りたい、こう思っておったわけでございます。 たとえば——これはたとえばの例でございます。交渉がうまく成立せずに、やむを得ず北朝鮮へ乗客の生命を守るために飛ばなくてはならなくなったという場合に、韓国空軍、韓国というものがあります。この場合に対する通報とか処置、韓国空軍側がいわゆるスクランブルを発動した場合、あるいは北朝鮮にその機材、乗客を持ち去られるのはけしからぬといった気持ち等から出動してきた場合の処置という問題等についても、これは外務省あるいはわが国の防衛庁等からも十二分なる措置をとっておいてもらわないとたいへんなことになる。もちろん機長の判断によって韓国領空内は飛ばないような措置等をしてくれるかもしれませんけれども、おそらく、けさのこの問題というのは韓国をはじめ世界各国にすでにニュースとしては飛んでおると思う。そういうときに、韓国の想像せられる出方というもの等についても大いに考慮してもらわないと、乗客並びに乗務員の百三十六名、この生命について非常なる危惧の念を私たち持つものでございます。まあ外務省、防衛庁、緊急質問でございましたので、出席に間に合わなかったわけでございますが、航空局長にここでお尋ねしておきますが、われわれの率直な気持ちとしては、どうぞ乗っ取り学生がよく事態を了承してもらって、彼らがいさぎよく非を認めて、このまま無事平穏に、飛ばない、そして彼らも飛行機からおりる、こういうことにしてもらうのを国民の立場から待ち焦がれておるわけであります。こいねがっておるわけであります。神にも祈りたい気持ちでおります。しかし、これが不幸にして、あらゆる手段方法を尽くしても乗客をおろしてくれない、あるいは乗客をおろしたけれども、乗務員七名をおろしてくれないという事態になって、彼らの要求しておるのは、たしか北朝鮮の平壌に飛んでいけということを要求しておるというように聞いたのですが、この平壌に飛んでいかなければならなくなった場合における現在の国際法規並びに韓国内の法規からいって、どういう危険なる状態が考えられるかということを、航空局長、御答弁ができるならひとつしてもらいたいと、こう思うわけです。
○山村政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、最悪の事態ができて、そしてどうしても北朝鮮まで飛んでいかなければならぬ、その場合に、いろいろ韓国との間の問題につきましては、但はともあれ運輸省といたしましては、外務省、そして防衛庁に対しまして、この乗客の生命の安全確保というものに対して万全の措置を講ずるよう、強く要望するつもりでございます。
○手塚政府委員 いまおっしゃいましたように、乗っておる暴徒といいますか、赤軍派の連中を説得する以外になかろうということで、その時間をいまできるだけかせごうということをやっております。で、それに至りますまでについて、自衛隊あるいは海上保安庁あるいは警察御当局、いろいろ協力をしていただいております。もちろん、連絡も全部そういうところへいったわけですが、先ほどお話があったかと思いますが、まず浜松の上空等へ参りましたときには、小牧の飛行場から自衛隊機がスクランブルで飛び上がって、これを擁護の体制をつくってくれております。さらにまた、現在滑走路の上に自衛隊の飛行機が二機ばかり着陸をしておりまして、その飛行機が一応故障ということで飛行場はクローズであるというような言い方をしております。さらに警備御当局においては、この周辺を相当な人数で警備、警戒をしてもらっておりますし、飛行機の機体のそばまで、いろいろ服装その他を変えまして、その近くに乗り込んでおられるというような状態で、その間絶えず機内とある程度連絡がとれますので、機長を通じいま説得につとめておるという現状で、それで時間をできるだけかせぎ、その間にそういう状態を続けていきたいということをしております。 さらに一方、万々一ということでどうしても飛ぶというような事態になりました際に、いま言われましたように、北朝鮮のほうへ行くということになりますと、いろいろ向こうから戦闘行為的なことをされるおそれがあるかと思いますので、そういった問題に対処するために、通信連絡で事態を相手に知らせるというような方法をいま一部行ない、なお検討を続けておるというような状態で、また海上保安庁等におかれましては、この対馬海辺周囲に巡視船艇を特別に七管から八隻ばかり出して警備に当たってもらっておるというようなことで、さらに外務省にはこの旨連絡してありますので、いま言った対外問題等になります場合の措置についても、ひとつ外務省を通じてしかるべくお願いをするという手分けをしておる。これらのことを通じまして、とにもかくにも乗客の皆さんの生命の安全を何とか確保したい、こういうようなことで、全機関をあげて努力をしておる最中です。
○加藤(六)委員 私、これでやめたいと思います。そこで、これはもう政府側に要求いたしておきますが、私は、例に出すのはたいへん恐縮だと思うのですけれども、いみじくも金嬉老事件を思い出したわけです。金嬉老事件のときに、ある警察官、ある署長、あるお役人は、あとから非常な非難の対象になるような行動をしたといわれておりますけれども、どんな苦しい、あるいは卑屈といわれ、あるいは態度がおかしかったといろいろな非難を甘受してもよろしいから、どうぞこの乗客の生命の保護ということを最重点にした方法というものをお考え願うように、そして今後こういうことが二度と起こらないように、一般荷物だけでなく、機内持ち込みの荷物並びに乗客のチェックということを、航空会社の経済優先性を尊重するあまり、大量輸送時代だからそういうことはできないということで放置しないように、この二点を強く要望しておきまして、私の今回の日本航空乗っ取り事件に対する緊急質問を終わらせていただきます。
○山村政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、乗客の保護ということをまずまっ先に考えてまいります。そしてまた、今後このような事件が起こらないように、いわゆる現行法の法の範囲におきましてできるだけきびしく、乗客名簿、そして荷物等を調べていくつもりでございます。
○福井委員長 次に斉藤正男君。
○斉藤(正)委員 加藤委員からお尋ねがございましたが、一、二不明な点、さらに要望もございますので、伺いたいと思います。 乗客百二十九人は、百二十九席に対する百二十九人で満席だ。子供が二人おったので合計百三十一名、機長以下七名ということでございますが、十時の段階のニュースは、機長らしき人、レシーバーを耳につけておりましたが、おりて滑走路を歩いておられるような写真が出ておりましたけれども、だれか乗り組み員のうち一人が機外へ脱出というか、話し合いで出ることができたのかどうなのか、相変わらず全員閉じ込められているのかどうなのか。
○手塚政府委員 いまの新しいニュースは、ちょっとそこまで聞いておりませんのでわかりませんが、私が出てきます直前までは、機長以下全員機内にとどめられておる。そして手足自由がきくのは機長である、こういうことで、不確かではありますが、機長以外の、機長一人を除いては縛られておるというようなこともいわれておりまして、なかなか外に出るということ自体がむずかしいのではなかろうか。先ほど申し上げました時間をかせぐというようなことをやっておりますのも、給油と称して給油らしき風をしてやっておったのですけれども、これらのゲージが上がらないということで見抜かれております。車輪が悪かろうが油がなかろうが飛べと、そういうことで脅迫されておるというような話も入っております。
○斉藤(正)委員 いまいみじくも御答弁にありましたように、私は、赤軍派と称する十五名内外の行動はかなり計画的であったと思うわけであります。そう簡単に思いついてやったことではない。計画的にやった。それは、七時十分という時間、それから福岡行きという便であったというようなことから考えましても、明らかにかなり前から計画的にやっていた行動が実現をしたということであろうというように思うわけであります。乗客のチェック、荷物のチェック等、先ほどお話がございましたが、チェックのしようがない。なるほど飛行機の下部に入れる、いわゆる預ける荷物につきましてはチェックをしておった。また、預けた荷物を使って強行するなんということは考えられない。当然身近に持っている銃なり短刀なりあるいは爆薬なりを使うのはあたりまえでございまして、飛行機に預けた荷物が凶器であった場合は、これはそれほどの問題ではないと思うわけであります。しかし、持ち込める荷物をチェックする方法がないというところに、乗ぜられるすきもあったし、また彼らが計画したところもそこにあったというように思うわけでございまして、私どもが飛行機へ乗る場合でも、手に持っている物まで調べられるというようなことはあり得なかったわけですから、これはまあ不可抗力といたしましても、私が伺いたいのは、この百三十一名の乗客のうち、すべてが日本人なのか、外人の乗客はあったのかなかったのか、おわかりでございましょうか。
○手塚政府委員 一人一人いま確認の電報を打って聞いておりますが、いまのところ、明確に外人、日本人別というのがよくわかっておりません。
○斉藤(正)委員 これは現地の福岡へ打電をして聞かなければわからないという種類のものではなくて、乗るときにもうすでにチェックはできておるはずだと思うのですけれども、法の関係その他からいって、これはわからなくてもよろしいのですか。
○手塚政府委員 法の関係その他におきましては、それは必ずしもわからなくてもかまわないと思うのですが、やはり航空機の一番心配しますところの事故の場合、捜索、救難等に向かってまいります場合等に、こういう内容がきわめて重要なことになります。したがって、航空会社におきましては、先ほど申し上げましたように、一人一人の身分、職業等に至るまでは把握はされませんけれども、いま申し上げる子供、おとなあるいは外人、日本人、そういった内容については把握されておると思うので、私のほうにいま連絡、情報の取り方が不十分なためにわからないということでございます。
○斉藤(正)委員 これは福岡へ問い合わせるまでもなく、当然羽田でわからなければならないものだと私は考えております。そこで、給油らしき態度をとって言い分を聞いたような顔をしている、しかし、ゲージが上がらないからばれてしまった——どうも、おやりになっていることが——無理もない、国内においては初めての事件でございますから。こんなことになれたらまたたいへんでございますけれども、どうもちぐはぐではなかろうか。特に、浜松上空で事件が発端をし、自衛隊機が護衛の意味で飛んでいったといいますけれども、一体それは飛んでいって何をしようとするのか、それから対馬海域付近に海上自衛隊が出動して待機をするというけれども、これは何をしようとするのか、どうもいろいろちぐはぐな点が多いと思うのです。もちろん、各般各層にわたって緊密な連絡をとり、万全の対策をとるということはわかります。しかし、目的は、乗客の安全を確保する、乗客に危害を及ぼさないというところに、もう言わぬでもわかっている目標も目的もあるわけですから、あれもやりました、これもやりました、こうも考えました、ああもしました、しかしだめでしたということでは、これは何にもならないと思うわけなんで、要するに、赤軍派と称する十五名をいかにして説得をするかということが第一のことでありますけれども、ちっとやそっとで説得に応ずるような連中なら、こういう計画や行動は私はやらないと思うわけであります。したがって、非常に残念なことでありますけれども、私どもは最悪の事態を常に予想しなければならぬ。あってはならないことでありますが……。全く事故を未然に防ぎたいのはお互い同様でありますけれども、最後はやはり最悪の事態を考えて、適切な措置をとらざるを得ないというように思うわけでありますが、国際協定というようなものはあるのかないのか知りませんけれども、国際的な慣行というようなものが、こういう飛行機乗っ取りの際にどうすべきかというようなことで、世界的には、先ほどお話がありましたように、四十四年の十一カ月までの間に五十件も発生しているというようなことから考えましても、あるのではないかというように思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○手塚政府委員 乗客の安全を期する意味におきまして、先ほどの海上保安庁の出動等におきましては、これはやはり最悪の最悪のときの対策としてはやはり必要であろうと考えます。そういう意味で、皆さんのあらゆる御協力をお願いするということになっておるわけです。 いま最後に御質問の国際的な動きという意味では、いわゆる東京条約というものが、一九六三年八月八日から九月十四日まで、東京でICAOという国際民間航空機構の主催で航空法国際会議が催されました際にきめられた条約がございます。これは日本を含めて十六カ国が署名をしておる。これはただ、航空機内の犯罪についての旗国主義を明示するとか、あるいは国際線機長の権限について、犯人の拘禁とか、途中飛行機をおろす、または着陸地国への引き渡しを認めるとか、不法に奪取された航空機等を可及的すみやかに機長に返還させることを締約国でお互いに義務づけよう、こういうことをきめました内容でございまして、これが即現在行なわれましたようないわゆる不法奪取そのものにずばり当てはまるような内容を持ったものではございませんが、それに関連した内容を一応きめております。さらにIYATAという民間航空会社等の集まりのほうでも、最近におきますこういった大きな不法行為の数々に対しまして、やはりそれの対策というようなことをいろいろきめております。この内容も、たとえば乗っ取りの犯人を法に従って罰するか、被害を受けた国に引き渡すとか、あるいは乗っ取られた乗客、航空機の乗員が、東京条約で具体化された原則に従って直ちに釈放されるように保証するとか、そういうようなことを国際レベルあるいは国内レベル、企業レベルというようなところでお互いにやるように働きかけようではないかという動きとか、あるいは国連等におきましても、やはりこういった問題について国同士、国際間できめていくようにしようてはないかということで、飛行中の民間航空機の強制行き先変更という題目で、正式議題に加えて議論を始めつつあるというようなこととか、あるいは米国、キューバの間で一番事例が多いわけですが、ここでは二国間協定などを結んで、いま申し上げたような内容等を具体的にきめておる。こういうような一連の動きが国際的にございます。 こういうようなことをごらんになりましても、なかなかこれはこうすれば絶対だというきめ手になるような手段方法はない。非常にむずかしい。そういうことで、日本では、日本航空その他定期航空会社において運航規程というものをきめておりまして、その中に、こういったハイジャッカーに対する応対のしかた、処置のしかたというものを規定化しております。これも先ほど来申し上げた、いままで国際機構でいろいろ議論されたところの御趣旨を一応盛り込んでおるわけでございますが、これなどは、たとえて申し上げますと、ハイジャキングされたときの大原則は、乗客の生命の確保を第一とするということをまっこうに掲げまして、そのために機長としては、ハイジャッカーに対して冷静に応対をする。ハイジャッカーは非常に神経がいら立っておるので、そういう者に対して冷静に応対して、特に言語、動作というものに注意をしなければならないとか、ハイジャッカーの応対には機長がまとめて一人で当たるのがよろしいので、機長がやるようにしなければならないとか、さっきの神経のいら立ちをおさめるというようなことにも関連しますが、実際に武器を使用させないように極力話を持っていく、こういうふうにやるとか、乗客に対してはできるだけ冷静を保つようにおだやかに事態を知らせる、その方法はかくかくであるとか、それから強制着陸をさせられたときには、その後の乗客の救助などについて、客室、乗員その他は十分そのときの対策を用意しておく必要があるとか、いろいろきめてはありますが、これをやったから絶対にこういうことは起こらない、あるいは起こって、そのハイジャッカーに対してこれならばだいじょうぶだというようなことまで具体化はされておりません。しかし、原則は、何度も申し上げますように、乗客の安全の確保を第一に考えて、とにかく冷静に説得をして、そういう方向に持っていくということを第一に心がけてやりなさい、こういうことがいままで指示してあるわけでございます。
○斉藤(正)委員 いずれにいたしましても、企業レベルにおいて、官側のレベルにおいて、さらに国際的なレベルにおいて、最善の策を講じていただきたい。そして、初めてのケースであろうと思いますけれども、これが前例にならないようにあらゆる配慮をして、乗客の保護という点について万全を期していただくことを要望し、関連質問を終わります。
○手塚政府委員 先ほどお尋ねの外人はどうかというお話で、外人は二名乗っておるようでございます。(「何国人だ」と呼ぶ者あり)これは東洋人ではないと思われますが、ミスター・ブリルとミスター・プリーズという二人の名前が書いてあります。
○福井委員長 次に宇田國榮君。
○宇田委員 当局にお尋ねするが、大体搭乗者名簿というのは、本人が偽名を使った者もおるけれども、一応それを航空会社から調査されましたか、その点をちょっと……。
○手塚政府委員 目下その内容を調査中でございます。
○宇田委員 その搭乗者名簿の中には、外人が入っておったか。あるいは搭乗する者は必ずジェット機の場合は指定席というのがある、ABCとか。だから、その十何名であるということならば、集団的にある場所に乗ったか、そこまでわからぬとおっしゃるかわからぬけれども、大体指定されて席がきまっておる。三々五々乗る場合もあるけれども、大体乗るときに、そこに視察人というか、あるいは会社でそういう警護に当たる者ができておるのか。ただ搭乗するのをそのままいままでカウンターで受け付けて、そしてそのままやっていくというほかに、何かそれに対するところの当局の指示によって、搭乗者中の挙動不審の者あるいはまぎらわしい者に対してのそういうことは、いまの制度からいうと絶対に不可能であると思うのでありますが、その辺の見解どうですか。たとえばその十何名の者が乗るに際しては集団的であるか、あるいは指定する場合に、そういうようなことに対して、もう少し何か監督、そういうようなことはできないものか、それはどうですか、当局は。
○手塚政府委員 具体的に臨検に当たるようなことは、これはこういった航空機の乗客に対してはなかなかむずかしいかと思います。ただ、問題が起こりそうである、特に注意をしなければならないという周辺の特別な事情、外国貴賓の往来がある事態であるとか、あるいは国内の著名な方々といいますか、特別な使命を帯びた方々の出入りの際に、あらかじめ警察情報等において、問題がありそうであるというような事態の際には、これは過去においても実際にそういう措置をとりましたが、特にいま申されるようなそういった団体的なものに対する注意を払う、あるいは荷物の検査も入念にやるようなことをやっておりますが、平常の場合におきましては、必ずしもそれほど手の込んだ十分なことはやっていないし、またなかなかそれをやるについてむずかしい事情もあるということになると思います。今回のような場合に、これが集団的に乗ったのか、あるいはばらばらに乗ったのか、その辺のところは今後調査をいたしてみないとよくわかりません。おそらく計画的であったかとも思われますので、その辺は、いろいろ乗り方にも注意をし、あるいは服装等についても相当な注意を払って乗っておるのではなかろうかというふうにも思われますので、そういう事態になりますと、なかなかこれはチェックはむずかしいのではないかと思います。
○宇田委員 それでは、現在十何名の赤軍派と称するというような情報は入っているが、その中には国籍の違った者が入っておるとか、いわゆる外人であるとか日本人であるとかいうことさえもわからないのですか、どうですか。
○手塚政府委員 問題を起こした十余名につきましては、その具体的な内容といいますか、経歴その他については、これはいまのところ私どものところには全くわかっておりません。
○宇田委員 当局は、ひとつすみやかにその善後処置、収拾に協力されて、そして今後再びそういうことのないような善後処置をとってもらいたい。 以上で終わりますが、いまの答弁をちょっと……。
○手塚政府委員 本件につきましては、監督官庁である私どもでとる措置、それから航空会社としてとる措置、また特に警察御当局との緊密な連絡も必要かと思われるので、そういった所管のそれぞれの立場においての十分な措置をとっていきたいと考えております。
○宇田委員 はい、了承。
○福井委員長 次に加藤六月君。
○加藤(六)委員 先ほど来の質問でわからない点が非常に多いわけでございますが、政府側はすみやかに現地に責任者を派遣してこの問題について善処してもらいたいと思います。当委員会にいま政務次官おいでのようでございますが、これは要望でございますが、委員会での審議も大切でございますが、万般の状況を配慮してあやまちない処置をするために、政務次官でもどなたでもけっこうですが、責任ある地位の方がすみやかに現地へ飛んで行ってもろもろの判断をされるように、私要望いたします。
○山村政府委員 ただいま加藤先生から言われました点につきまして、当委員会でいままでいろいろ御審議いただいたわけでございます。この意を体しまして現地へだれかを——もちろん、私が行けと言われれば、すぐ飛んでまいります。そして万全の措置をとってまいりたい、そのように考えております。
○福井委員長 次に和田春生君。
○和田(春)委員 ちょっと時間が短いものですから、ただいままで質問があったことの重複は避けまして、二点ほど重要と思われる問題をお伺いしたいと思います。 いろいろと御苦心をなさっておる模様でございますし、これからも手を打たれると思いますが、最悪の場合には、乗客の安全をはかるために、やむを得ず北鮮へ向けて飛び立っていかなければならぬ、こういう事態になるかもわかりません。そうなった場合に、北鮮に向かってこの飛行機が飛んだ場合に、韓国との問題については先ほどお答えがございましたが、北鮮当局に対してどういう連絡をとり、どういう方針で臨もうとしておられるのか、そのことについて要点をお伺いしたいと思います。
○山村政府委員 ただいまのところ、北鮮とのそのような連絡と申しますのは、実は赤十字を通じて以外にはちょっとないのじゃないかというようなぐあいに考えておりますが、しかし、この事件の推移にかんがみまして、いまいろいろそれらの点を検討させております。
○和田(春)委員 その点に関して、赤十字を通じてということもありますが、御承知のように、ソ連と北鮮とは国交を持っております。わが国とソ連とも国交がございますし、川島特派大使も行っておるような状態でありますが、ソ連を通じて、もしそういうような事態が生じた場合に、乗客、乗員の安全をはかるというような点について手を打つようなことはお考えになっていないのですか。
○手塚政府委員 本件につきましては、特に外交的な配慮が必要かとも思いますので、いま政務次官のおっしゃったのは、一つの方法として私どもがいま考えついておる程度のものでございます。十分よく外務省とも連絡をとりまして、しかるべき処置をとりたいと思います。
○和田(春)委員 それでは、その点については万全の対策をとられるようにお願いしまして、もう一点、先ほどの御質問にもありましたけれども、これはかなり計画的ではないかというふうにいおれているわけであります。といたしますと、もしこれが失敗に終われば別でございますが、成功すると、第二、第三弾の同様のことの計画が行なわれるかもわからない。で、乗客の武装をしているかいなかの完全なチェック等が不可能であるという意味のお答えもございました。万全を期しても漏れるということがございます。そういう場合に、もし今後機内でこういうことが起きたときに、いままでの状況ですと、乗員はほとんど無抵抗でおる以外に方法がないわけです。こういう点について、もしそういう暴力行為をやろうという者が乗り込んで中で事を起こそうとしたときに、いまのままでいいとは考えられないわけでありますが、そういうことに対して、中で防衛をするというか、事故を防御するために、どういう措置をさせる必要があるのか検討をされてきたのか、あるいはまだ検討していないのか。検討してきたとすれば、どういうことをお考えになっているか。要点をお答え願いたいと思います。
○手塚政府委員 まあ直ちに思いつきますのは、鉄道などでやっております公安官あるいは警官自体の添乗をお願いして、そういうものを取り締まるということが考えられるわけでございます。しかし、これは飛行機の特殊性からということになりますが、たとえば拳銃等で暴発あるいは不法に威嚇射撃でもされまして、機体に穴があくというようなことになりますと、特にジェットのような場合には中の油圧が変わってまいりますので、それ自体として非常に危険であるというようなことから、そういった種類の方々をお乗せするということはいかがであろうか。そういう意味で、いろいろ検討もされておるわけなんですが、やはり現状におきましては、先ほど来申し上げております一つの運航規程にきめておりますように、できるだけ冷静に相手を説得する、むしろ相手の言うところにある場合にはそのまま順応していく、していって、乗客の生命を確保するというようなことが、とり得るベストの方法ではないかということに——すっきりした方法ではございませんけれども、世界各国中、特に日本以上にこういう被害に悩まされておる国におきましても、同様な考え方でいま進んでおるという状態であります。
○和田(春)委員 もちろん、超高度を飛ぶジェット機等の中で拳銃が使われるとか銃弾が発射されるという形になれば、これは守るほうであろうと乗っ取るほうであろうと、自殺行為に通ずる危険がありますから、できません。しかし、日本刀、おそらく刃渡りの短いものをボストンバッグの中に入れておったのではないかと思うのですけれども、そういうものでやってきたときに、そういう武器を持って立ち向かってくる者に説得するといっても、全然守る措置がなければ、もう言いなりになるか、無抵抗のまま時のたつのを待つしか方法がないのが世の中の常識なんです。そういうときに抵抗をするほうが危険であるというときには、そのときの判断でもって抵抗をしない、そして乗客の安全を守るということもあり得るでしょう。しかし、そういう攻撃をしてくる者に抵抗をすることによって、これを有効に押えることができるという可能性がある場合に、それを用いる手段が全然ないという形になれば、いつの場合でもやられっぱなしという危険もあるわけであります。そういう点について十分検討されていないといたしますなら、第二、第三と続かないとは限らぬわけでありますから、可能性のある、有効であるという場合には、適当に防御する、そういう手段を政府において積極的に検討し、航空会社とも打ち合わせてやられることが必要ではないか。そうでないと、常に善良な乗員、乗客が被害をこうむることになるかと思うわけです。これは要望であります。この点について政務次官からお答えをいただきたい。
○山村政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、これは機内におきましていわゆる暴徒が蜂起したというような場合に、これに対する防御の方法、これが全然してないということは、考え方によりますと、確かに怠慢であると言われてもしょうがないと思いますが、しかし、今後、航空会社、そうして政府、一体となりましていろいろ検討いたしまして、最善の方法というものを見つけていきたい、このようなぐあいに考えております。和田(春)委員 最後に、もう一問お伺いいたしますが、いま赤軍派と称する者は、北鮮へ行けと、こういうふうに言っているわけでありますが、飛び立った後にまた脅迫をして、中共へ行けとか、あるいはソ連のほうへ行けとかいう事態も起こらないとは限らないわけですね。もちろん、韓国とか台湾へ行けということはあり得ないと思うのですけれども、そういうようにやはり進路を変更させて、いま伝えられるところ以外の共産圏の諸国へ行くという可能性がないわけではない。そういう点はお考えになっておるかどうか。もし起きた場合にどういう手を打たれるか、お伺いしたい。山村政府委員 現在のところ、北朝鮮へ行けということでございますので、おそらくこの場合に、北朝鮮へ行く分の油しか積まないのじゃないかというぐあいに考えます。詳細はわかりません。しかし、そのようなことでございますから、おそらく中共へ行けといっても、油のほうが足らなくなるのじゃないかというぐあいに考えますので、そのようなことはいまのところちょっと考えておりませんで、最悪の場合北朝鮮へ行くということで考えております。
○和田(春)委員 それでは、万全の対策をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○福井委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○福井委員長 速記を始めて。 政府側に申しますが、後刻、最新の情報をわかり次第、関係官から報告するように、委員長から要望しておきます。 ————◇—————
○福井委員長 港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として、名古屋港管理組合副管理者松尾信資君、副管理者今城栄次郎君、以上二名の方々が御出席されております。 参考人各位には、本日御多用中にかかわらず御出席を賜わり、まことにありがとうございました。本案について、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見を承り、もって本案審査の参考にいたしたいと存ずる次第であります。 なお、議事の都合上、御意見は質疑応答の形でお述べ願いたいと存じますので、御了承をお願いいたします。 質疑の通告があります。これを許します。久保三郎君。
○久保委員 参考人にお伺いしたいのでありますが、ただいま審議中の港湾法及び港湾整備緊急措置法の改正は、御案内のとおり、当面伊勢湾、特に名古屋港、四日市港、これのコンテナ専用埠頭整備に関係しての法律改正であります。そこで、すでに御承知のように、コンテナ専用埠頭については、先年それぞれの港湾に対して、いわゆる公団法をもってそれぞれの埠頭公団ができて運営しているわけなんでありますが、今回はその公団の形とは違った、御承知のような形でやろう、いうなら特殊な会社組織ということでありますが、ここで問題になるのは幾つかありますが、一つは、港湾整備はこのほうが便利であるのか、いわゆる民間資金の導入ということでありますが、将来とも港湾管理者としては、いわゆる港湾整備の上において、公団によるよりはこのほうが都合がいいかどうか。それから、港湾管理者の権限というか、いわゆる管理権というか、そういうものと、今回予定されるところの会社設立による皆さんの立場というか、そういうものは、どういうふうに考えられているか。あるいはこれで支障はないと思うのか。念のためにお伺いしたい。どちらも副管理者でありますから、どちらから御答弁いただいてもけっこうであります。
○松尾参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。 コンテナ埠頭につきましては、名古屋港においても早急に設置をしていただきたいということをしばしばお願いをし、従来は京浜、阪神と同じようにやはり公団組織をもってつくっていただきたいということをお願いしたわけでございますが、このたび、いろいろ政府御当局において御検討の結果、名古屋港の規模からいって、また現在早急にこの事業を実行するには、会社組織をもってやるほうが便利であるし、将来の名古屋港に適当であるという御見解でもって、この会社によってコンテナ埠頭を設立されるという御方針でございまして、これにつきましていろいろ運輸省御当局にもお伺いいたしまして、われわれのほうでも検討いたしました結果としまして、現在の情勢におきまして、政府御当局の無利子の御出資あるいは財投等を出していただき、そしてまた、早急にこの会社が設立されますれば、われわれとしては、名古屋港における今回の設置については、この会社方式によることがきわめて適当であると考えておるわけでございます。したがいまして、名古屋港の管理組合としては、ぜひこの会社組織によるコンテナ埠頭の設置をお願いいたしたい、かように考えております。 なお、これに関連しまして、港湾の管理権と今回の会社設立のコンテナの問題について格別な支障はないかという御意見でございますが、これにつきましても、運輸御当局といろいろ御協議申し上げておりますが、コンテナ埠頭につきましても、港湾法によるいろいろな規制がございます。また政府御当局の御出資もございますし、また管理組合としてもこれについては出資をするという関係上、そうした面から考えまして、この会社によってコンテナ埠頭が運営されるということは、管理組合の管理権には何ら支障はない、十分この機能を発揮し、しかも港湾全体として調和のある運営ができるということを現在確信しておりますので、その点もよろしくお願いいたしたいと思います。
○久保委員 名古屋市の今城さんに一つお伺いしたいのは、御承知のように、今度の国会にかかっている名古屋市の問題では、本件ともう一つ、同じような立場にあるのは道路の問題であります。道路は、御案内のとおり、新しい法律による公社法というもので一応つくっていこう、こういうことであります。その道路と港湾でありますが、港湾も、専用埠頭で専用河岸ということが原則であろうかと思うのでありますが、しかし、たてまえは、これは一般に供用されるというたてまえである。道路は、大体において一般に供用されるものであります。多少内容の実質的なものについては変わりがあると思うが、たてまえからいうと、大体同じようなたてまえにもとれるわけなんです。ついては、その港湾法等の改正では、必ずしも体系として公社というか会社というか、そういう姿がきちっと浮かんでこない、あるいはとらえにくいといったら語弊がありますが、いうなら指導なり監督も、助成の計画の中で作用していくというやり方のようであります。そういうのはある場合においてはたいへん有効な場合もございますが、やはり明確でないために、いろいろなトラブルを将来予想される場合があると思う。ついては、いまおたくの市では二つ国会で議論されているのでありますが、そういう観点からいって、道路の方式と、こういう港湾法の改正というか、そういうものと比較勘案しまして、どういうのがいいだろうか。率直に御意見をちょっと聞きたいのです。
○今城参考人 ただいまのお尋ねは、道路関係では地方公社という形をとろうとしておる、港のコンテナ関係では会社方式をとろうとしておる、港について会社方式が特に都合がいいんだというその理由は何であろうか、こういう意味のお尋ねと解します。お尋ねの中でもおことばがございましたが、コンテナヤードのほうは専用させるものでございます。したがいまして、その中に資本の形で強く民間の発言力が入るということのほうが、かえってやりよいのではないか。また、そういうことからトラブルが起こるであろうという御心配も伺いましたけれども、これについては、松尾副管理者がさきに申しましたように、各種の方法で規制することができますし、組合自身も出資をいたしまして、内部的にも規制ができますので、ただいまのところ、心配ないものと考えておる次第でございます。
○福井委員長 関連して横山利秋君。
○横山委員 いまの久保委員の質問に関連をするのですけれども、第一に、もうすでにでき上がっているのは公団である。今度は民間会社である。しかも両方共通的に運営をしなければならぬ。つまり、共通とは何かというと、公共性については趣旨は共通しておると思うのです。いかにしてできる民間会社の公共性を担保するかという点について、まず運輸省に、制度的に民間会社の公共性を担保する、公団運営と同じような条件を整えるという制度的な条件をひとつ具体的に聞きたい。
○栗栖政府委員 ただいまの御質問でございますが、順を追って申し上げますと、まず運輸大臣の監督と港湾管理者の監督があろうと思います。運輸大臣といたしましては、まず港湾法の一部改正でお願いしてございますように、計画をはっきりさせるということをいたしまして、こういう会社に無利子融資を管理者を通じて行ないます場合には、会社の事前審査を行ないます。したがいまして、会社の内容その他を十分チェックいたすわけでございます。それから次に、管理者を通じて金を貸すわけでございますので、国が港湾管理者に無利子融資する、港湾管理者がそれを会社に無利子融資するという段階になろうと思いますが、そういうお金を貸す無利子融資の場合のいろいろな条件をつけまして、目的外に使わせないということ、あるいはそういう会社は当初の目的の営業以外のことをやらせないとか、そういう意味の公益性の担保ということを十分確保できるようにいたしたいという考えでございます。それからなお、先ほども参考人の方からお話がございましたけれども、港湾管理者のほうからも出資されるということで、会社の内部的にもチェックできる。それからもう一点は、現行の港湾法で、こういう施設をつくる場合には、普通の民間会社に対しましていろいろなチェックをすることができるようになってございます。そういういろいろな方法がございますので、公益性の担保は十分できるというふうに考えております。
○横山委員 質問するに先立ちまして、私は、そこの辺の市民、県民あるいは各団体の意見を徴してまいりました。私の質問の要旨は御連絡してあると思いますから、時間の関係で簡潔に、地元町民の不安についてだめを押しておきたいと思います。 第一に、これに関連いたしますが、コンテナ埠頭はできるけれども、その背後地の整備、交通の整備が計画に伴っていないではないか、コンテナ埠頭ができて、どんどんと車が走り回るけれども、その交通の整備ができていないではないか、背後地の計画が載っていないではないか、こういう疑問が第一であります。そこで、建設省がおいでになっておるようでありますが、この背後地の整備、交通の整備についてどうお考えでありますか。たとえば港の中央部を横切る環状二号線の計画、あるいは防潮堤をつくるときに、将来一つの計画として防潮堤を車を走らせるというような計画がありましたが、それらはいまどうなっておるのでありますか。
○浅井説明員 お答えいたします。 名古屋港の貨物量が相当ふえました場合に、それを背後地ヘディストリビュートする道路網の整備の問題でございますが、長期的に考えますと、これはいまいよいよ事業化される段階になりました名古屋の二環の整備、これが大体主役をなすものと思うのでございます。そのほか、名古屋の都心への連絡といたしましては、来年度から着工を予定しております都市高速道路、これの完成をまって対処していくという形になろうかと思います。ただいまお話のありました防潮堤の上を通す計画というのは、かなり前に一応話の出たことがございます。しかし、これはいずれにしても大計画でありまして、この伊勢湾周辺の広域港湾を相互に連絡する長期的な広い視野からの幹線道路網整備計画の一環として、やはり考えなければいかぬ問題だと思います。まだ構想の段階でございまして、検討中ということでございます。具体的にそれにアプローチするルートもいろいろな案がございまして、まだまとまっておりません。そういう状況でございます。
○横山委員 これらをすみやかに推進をしてもらいたいのであります。 第二番目に、名古屋港は非常に急速な変貌を遂げました。この急速な変貌は、工業港としての変貌であり、産業中心の変貌であります。そこで、名古屋港周辺の住民の非常な不満というものは、もう名古屋港周辺には緑が一つもない、つまり緑化が実に不足をしておる、環境整備も不十分である、つまり地域住民の住むところではない、こういう意見があの辺へ行きますと実に熾烈になっておるわけであります。 そこで、お伺いしたいのは、これらの産業整備、港湾整備の陰に薄れゆく緑化について、一体どういう計画をお立てになっておるか、この計画は一体政府によっていかにささえられるのであるか、助成をされるのであるか。港湾計画の作成の際に政府は当然配慮すべきであるのにかかわらず、配慮をしていないではないか。また整備のとき、どうもいままでの計画予算を見ますと、緑化について文字は書いてあるけれども、しかし、それは政府が補助をできないのであるから、結局起債ができないのであるから、文字に書いてあるだけで、実行もしていないのだ、地元住民及び地方自治体としてはこういう実情のようであります。だから、私が質問よりもぜひしてもらいたいのは、この港湾計画の作成の際に、政府としては、緑化問題、環還整備をもう必須の問題として組み入れてもらいたいこと、それからそれをやる場合も、起債の中にそれを充当してもらいたいこと、この二つを要望かたがた質問をいたしたいのであります。
○栗栖政府委員 ただいまの御意見は、まことにごもっともだと私ども存じております。港湾計画は、御承知のとおり港湾管理者がおつくりになりまして、それを運輸大臣が運輸審議会にかけまして、審査してチェックするというたてまえになってございますので、港湾管理者が立案する段階におきましても、十分検討していただくように指導したいと思いますし、運輸大臣が審査する場合も、御趣旨に沿って行ないたいと思います。 なお、港湾の埠頭用地あるいは工業用地というふうなものを港湾管理者が行ないます場合には、現在起債のあっせんを運輸省がいたしておるわけでございまして、その中でそういう緑化の仕事もやれるというふうに存じておりますので、そういう方向で進めたいと思います。
○横山委員 この点について副管理者にお伺いしますが、特に副管理者のうち、名古屋市助役をしていらっしゃる今城さんにお伺いしたいのは、両方の意味から、副管理者としてと名古屋市という立場から、その緑化計画は、管理組合の所管の分の緑化並びに名古屋市の他の、組合以外の地域の緑化、港の緑化についてどういう計画を持ち、政府にどういうふうに要望をしていらっしゃるか、伺いたいのであります。
○今城参考人 ただいまのことで申し上げますが、名古屋港周辺の緑化については、現在すでにかなり広大な整備促進の計画が策定されておるわけでございます。名古屋市域をその中に取り込んでおるわけでございます。そのうち、名古屋市域の中では、三カ所の緑化地帯が取り込まれておるわけでございます。いずれにつきましても、それぞれ一部政府の補助を受けながら、年次計画をもって推進をいたしておるような次第でございますので、御了承をいただきたいと思います。
○横山委員 政府に確認をいたしますが、その緑化計画は、政府が承認をし、そして起債をあっせんするというのでありますが、起債は緑化計画においても他の港湾計画と同様な扱いを受けるのでありますか。
○栗栖政府委員 ただいまの港湾の中の埋め立てにつきましては、総括的に起債のあっせんをしてございますので、埋め立ての事業の中で管理者が緑化をされる計画があれば、当然その中に入ってまいります。
○横山委員 次に、副管理者の松尾さんにお伺いをいたします。 この名古屋港の水質が非常に汚濁が著しくなりました。これは政府も聞いてほしいのでありますが、先年伊勢湾台風のときに、ばく大な金をかけて防潮堤をつくりました。ところが、名古屋の河川が下水が不十分でありますために、満潮のときには、今城さんを前にして恐縮でありますが、どうしてもうんこや小便が川へたれ流しになってくるわけでございます。それが港に全部入り込んでくる。ところが、防潮堤があるために水質が変わらない。防潮堤の中で、港の中で、それがそのまま環流しておる。したがって、名古屋港の水質は、ここで数字をあげるのは時間の関係上省略しますが、最近ほんとうにきたなくなっております。他の港と比較にならぬほどのきたなさであります。 そこで、時間の関係上、簡潔に伺いますが、松尾さんがこの間県会で、こういう御答弁をされたと私は伺いました。つまり、水理実験をしたいという話だそうであります。水理実験はすでに東京湾と三河湾でやられておりますが、名古屋港は、経済企画庁、工業技術院で二港だけやっておりまして、まだ名古屋港はモデルをつくって実験をしていないのでありますが、この点について松尾さんが政府にすでに要望をされておるのであるか。具体的にそれが緒についておるのであるか。また政府側としては、水理実験をするとすれば経済企画庁の担当だと思うのでありますが、それを実行するような体制になっておるのかどうか、伺いたいのであります。
○松尾参考人 名古屋港の水質の汚濁につきましては、お示しのとおりでございまして、われわれもその対策がきわめて重要であると存じまして、名古屋市並びに名古屋港管理組合、県、さらには国の通産局あるいは運輸省第五建というような各方面の方々と、この問題については対策を御協議申し上げ、いろいろと対策を考えたわけでございます。 その一つとしまして、名古屋港が伊勢湾台風以後、単に防潮堤だけでなしに、埋め立てによって、状況も非常に変わっておりますし、また背後地の状況等も非常に変わっておる。こうした事態を考えますと、この際、十分名古屋港の実態を調査して、特にその模型実験によって、水流の関係あるいは公害の状況というものを十分把握して、こういう点につきましては、いろいろと地元は地元なりに力を入れて、大学等では研究が進んでいるものもありますし、さらに県としましては、これをほんとうに大規模に、各方面の御協力を願って実験したいと考えまして、まだ公式にどういう形でどういうものをつくるかというところまではいっていませんが、今後国の御指導も受け、御援助も受けまして、これを早急に実現をはかりたいと考えておる次第であります。
○横山委員 経済企画庁と通産省に簡潔にお答え願いたいのでありますが、組合及び県が要望しております水理実験について、受け入れ体制はありますか。
○西川政府委員 経済企画庁におきましては、水質保全法を所管いたしておりまして、水質基準の設定はいたすわけであります。現在名古屋港海域につきましては、水質基準設定のための調査を本年度実施いたしております。 先生のおっしゃいました海流の調査あるいはそれの水理実験というようなものは、海流のほうの調査は海上保安庁にお願いしておりまして、経済企画庁は所管いたしておりません。
○根岸説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。 通産省では、名古屋港を含めました伊勢湾全体としての将来の汚濁の予測というようなことが必要でございますので、ただいま三重県、愛知県と検討いたしておるところでございます。
○横山委員 役所同士でまだ不十分でございますが、この点につきましては、ぜひ関係官庁の間に協議をされて、名古屋港の水質が非常に著しく汚濁しておるわけでありますから、一回ひとつ具体的な計画を立て、実行に移してもらいたいと思います。 それから、大臣お見えになりましたので、お耳に入っておらないかもしれませんが、防潮堤があれほどの財源を投下して完成したのは、たしか四十二年だと思います。法律によれば、当然すでに管理組合に移管をされてしかるべきものなんであります。ところが、二年たっても港湾建設局が防潮堤を管理組合に移管してないのであります。移管しない理由は、私の承知する限りにおいては、工場誘致で地下水をくみ上げるものですから、地盤沈下が始まっておる。防潮堤があれだけの金をかげながら、五十センチの予定が一メートルくらい沈下しておるところがある。 そこで、管理組合は何とおっしゃるかわかりませんが、管理組合としては、言を左右にしてといいますか、それは言い方が悪いかもしれませんけれども、一体あれはどうなっております、どういうことに考えたらよろしゅうございますかということを言い、建設局は建設局で、いや、それは心配はない、受け取ってくれというようなことで、押し合い問答して、二年たっていまなお防潮堤の移管ができていないのであります。これはたいへんおかしなことだと思うのでありますが、この際、管理組合がなぜ受け取ってないかということを御答弁を願い、あとで御返事を願いたいと思います。
○栗栖政府委員 ただいまの高潮防波堤の件でございますが、これは経緯を申し上げますと、あそこはマイナス四十メートル以上軟弱層がございまして、そこにああいうかたい防波堤をつくったわけでございます。設計当初から沈下は予測してございまして、御承知かと思いますけれども、いわゆるサンドドレーン工法というふうな特殊な工法を使いましてつくったのでございます。ただ、圧密という現象は、サンドドレーンを使いましても完全には終らないで、永久圧密になるまでかなりの時間を要します。先ほど御指摘ございましたように、これは事前にいろいろと地質調査をやりましたり、いろんな計算をやりまして、予測するわけでございますが、現地に当たりましては、予測は多少の食い違いが起こってまいる次第でございまして、当初三十センチ下がるであろうという予測をしてつくったわけでございますが、まだ今後さらに十五センチくらいは下がるであろうという現在の調査の結果でございます。それで、地盤沈下を起こしたから防波堤そのものがあぶなくなるのじゃないかという御心配、いろいろ検討しましたところ、ございません。 なお、地盤沈下をしたために高潮を防ぐ効果がどうなるかというチェックもしておるわけでございますが、防波堤は波を防ぐ効果も持っておりますし、非常に効果があるわけでございます。地盤沈下がございましても、高潮を防ぐ効果につきましては、いまの調査の結果はだいじょうぶだというふうに確信してございます。 ただ、御指摘のように、管理組合への管理移管はおくれてございますが、私ども、現在のところ、十五センチくらいさらに下がるのであろうという予測を持っておりますけれども、それの落ちつき方を見まして、ある程度までほとんどおさまったところで引き継ぎたいというふうに考えています。
○横山委員 そんなばかな話はないと私は思うのであります。あなたは十五センチくらいまだ沈むかもしれないとおっしゃるけれども、初めは五十センチ、それが一メートル下がって、また十五センチ下がるかもしれない。工業自体はどんどん進出するわけであります。地下水をくみ上げるわけであります。だから、十五センチでとまるかどうか、予測はしがたいのであります。 管理組合がなぜ受け取らないかという話を聞きたいわけでありますけれども、あなたが問わず語りで話していらっしゃるようでありますから、あなたにお伺いしますが、そうすると、建設局が前に管理組合に受け取ってくれと言ったのだけれども、管理組合は受け取らないから、もうしばらく自分でもって修理する、こういうように理解してよろしいのですね。
○栗栖政府委員 現在の沈下状況は、でき上がりましてずいぶん時間がたっておりますので、大体の見当はついてまいったわけでございます。ただ、なお先ほど申し上げましたように、もう少し下がるかもしれないという点で、いま様子を見ておるということでございますし、修理その他は、先ほど申し上げましたように、防波堤そのものがこわれてございませんけれども、引き継ぎをするまでに何かの支障が起これば、建て直してつくるということに相なろうと思います。
○横山委員 それでは無理に移管をさせようとはしないということだと理解をいたします。 次は、この財政の問題でありますが、横浜と神戸におきましては、四十五年度から財政の助成率が、十分の十だったやつが十分の九になりました。しかし、一方名古屋港は十分の六であります。この点については、私ども地元の者のみならず一般の人たちが、どうにも納得できたいという感じを持っておるのであります。大蔵省おいでになっておりますが、これはどういう理由で名古屋港が十分の六でありますか、まず質問をいたしたいと思います。
○井上説明員 お答えいたします。 現在のわが国の公共事業の補助率は、一般的にはいわゆる応益原則と申しますか、受益の程度に応じて補助率が定められるというのが一般的な通例でございます。ただ、ただいま先生の御指摘になりました横浜、神戸のほうは、むしろ非常に歴史的な異例でございまして、横浜、神戸、北海道というところは十分の十に一部の施設がなっておるわけであります。(横山委員「関門もあるでしょう」と呼ぶ)関門があります。そういう歴史的な産物であり、むしろ異例のケースとして十分の十であった。いわばどちらかといいますと、一般的な通念、応益原則の上に応能原則みたいなものをつけ加えて現在の補助体系ができたので、それで今回、横浜、神戸、関門の内地三港につきましては、十分の十を十分の九に引き下げ、内地の他の各港に近づくという形をとったわけでございます。
○横山委員 歴史的な異例は何年続いておりますか。
○井上説明員 約百年です。
○横山委員 大臣、歴史的な異例が百年続いておるというのであります。それで、いま日本における重要港として、少なくとも横浜、神戸及び名古屋、こうなるのがあたりまえであります。私は、横浜、神戸が異例であるということなら百歩譲ってわからぬでもないけれども、関門やあるいは北海道が異例で百年続いておる。名古屋港がこれほど急速な発展をして、そして重要な港としてやっておるのに、いつまでたっても百年続いた異例を名古屋港に適用しないということについては、常識的にもどうにも私どもは納得できないのでありますが、この機会に名古屋港も異例の中に入れてもらうということについてお骨折りを願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
○橋本国務大臣 横山さんがおっしゃるように、名古屋港の占めておる港としての重要性は年ごとに重く、また大きな意義を持ってきておるわけであります。したがって、横浜、神戸が歴史的なことからああいうような制度が持たれてきたわけでありますが、本年度一分引き下げたわけでありますが、名古屋が将来日本に占める重要港湾の地位から考えて、これはできるだけ引き上げて、そしてやはり大きな港の利益を受けるということに、ことしも努力をしたのでありますが、実現を見なかったわけです。しかし・将来ともにこれが努力をして、同じような国庫負担率を得られるように努力をいたしたいと考えております。
○横山委員 だめを押すようで恐縮でありますが、横浜、神戸、それから名古屋、それから下関、北海道、順番からいっても、当然そうなるべきだと思うのでありますが、来年度の予算の際には格段の大臣の御努力がいただけるものと承知してよろしゅうございますか。
○橋本国務大臣 原則としては、そのような方針で来年度努力をいたしたいと思っております。 ただ、この際、港湾政策の中で考えなくちゃならぬことは、何もかも国の費用でやっていくという従来のたてまえがいいかどうか。もちろん、港湾事業というものは相当の費用を食いますからして、国が相当額を持つことは当然でありますけれども、一〇〇%いわゆる国の負担でやっていくことがいいか悪いか、そういう問題は全体的な港湾の形成から考えてもいかなければなりません。しかし、名古屋のような重要港湾が差別待遇を受けておることは考えなくちゃならぬ、かように考えて、来年度予算については格段の努力をする考えであります。
○横山委員 大臣がおっしゃったので、大蔵省へだめを押すのはやめますけれども、十分ひとつ大蔵省も承知をしておいていただきたいと思います。 簡潔に副管理者お二人に伺いますが、この木材港を三百億くらいかけてつくりました。いまどんどんとできておるわけでありますが、その木材港の背後が市街化調整区域になっておるわけであります。あれだけの金を投下して木材港をつくりながら、工場誘致がその周辺にできない、あるいは道路やその他背後地として適切な処置ができないということは、どうも計画それ自身がちょっとおかしくないか、それが一つであります。 それからもう一つは、造成地域がどんどん広がっておるわけでありますが、それがまだ無籍地である。したがって、進出してきた企業は登記ができないから、土地を担保にして金を借りることができない。承れば、県としては、三月末までに何とか無籍地を町と町の間の争いを整理して解決するようにと言っておるのですが、もう三月三十一日であります。この二つの問題は今後一体どうなさるおつもりなのか、承りたいと思います。
○松尾参考人 ただいまの二つの問題、この名古屋港の工業地帯、いわゆる西部の臨海地帯の背後地でございますが、これは現在都市計画法での市街化区域、市街化調整区域の区分について、県と地元の間でいろいろと協議をして計画の決定を進めている段階でございまして、まだ正式に決定しておりません。しかし、この港の埋め立て地域は、もちろんこれは工業地帯でございますが、その背後地は御承知のようにいわゆるゼロメートル地帯といわれる海面より低い農業地帯でございますし、しかもこれはいろいろ土地改良等をやっている地域でもあるし、そうした関係で、この処置については調整区域にするか、市街化区域にするか、現在慎重に検討しております。しかし、われわれとしましては、将来この地域が住宅地あるいは工業地帯として開発の必要があるというめどがつけば、これは市街化区域にすることもやぶさかでないわけでございまして、こうした御趣旨の点は十分体しまして、こうしたいわゆる木材地域の今後の運営に差しつかえないように、県としては十分の措置を講じていきたいと考えておりますので、御了承を願いたいと思います。 なお、現在西部の埋め立て地が、特に弥富、飛島村の前の地域がまだ地域決定ができていない。言いかえれば、二部はまだ竣工検査が十分進んでいない点もございますし、もう一つは、町村のちょうど境界に当たるところでございますので、この埋め立て地域についてどのように境界線を引くかというので、両町村、いわゆる弥富町と飛島村の間で、こうした工業地域をできるだけ自分のほうに取り込みたいという考え方で、両町村の話がつきませんので、県が間に入って現在調整を進めておりまして、これは遠からず解決したいと考えておりますので、御了承を願います。
○横山委員 もう一、二問であります。 今回の転貸債でありますが、大蔵省並びに運輸省との間のお約束と言われるのでありますが、明白にこの際だめを押しておきたいと思いますのは、転貸債は別ワクと理解してよろしいか、県、市の起債のワクを圧迫しない、こういうように理解してよろしゅうございますか。
○栗栖政府委員 ただいまの御質問の御趣旨のとおりに別ワクに考えております。
○横山委員 大蔵省、よろしいですか。
○井上説明員 その目的によるものでございますので、別ワクと考えております。
○横山委員 最後の質問でありますが、この防潮堤が最近地元で問題になっておるのであります。それは、港の船舶の出入する口が二つしかない。ある場合には、それをもう少し広げたらどうか、いや広げては困る、こういう地元住民と港の利用者の間に若干の問題があるわけであります。防潮堤というものは、いざという場合にたいへんな役割りをするのでありますけれども、それまではどうも港の利用者にとっては不便だというような感じを持たれがちなのであります。この際、この防潮堤というものの存在価値が、普通の場合におきましても有効な役割りを果たすようにしたらどうか。この意味におきまして、先般、名港港湾審議会でポートアイランドの構想が決定をしたそうでありますが、運輸省としてはそのことをどういうようにお考えになるか。防潮堤を利用した港の拡大と港湾施設の拡張というものについてどうお考えであるか、伺いたいと思います。
○栗栖政府委員 まだ具体的な計画は承っておりませんが、名古屋港は御承知のようにどんどん発展してまいっておりますので、将来あの水域にいろんな施設をつくるということもあり得ようかと思います。具体的に管理組合からの構想が出ましたら検討してみたいと思います。
○横山委員 管理組合は、そのポートアイランドの構想についての決定はまだ政府に出していないわけでありますか。
○松尾参考人 まだ計画は一応構想の段階でございまして、正式の計画として運輸省のほうには出ておりません。
○横山委員 それでは、以上の質問をまとめまして、運輸大臣に総括的な御返事をいただきたいと思います。 第一に、私どもが考えておりました点は、先ほど御質問をいたしましたように、東京、横浜に匹敵する助成率を明年度よりやってもらいたいということであります。 第二番目は、この埠頭建設の公共性にかんがみて、新設される会社の運営については、人事運営等について公共性が保たれるよう特段の配意をしてもらいたい。それは先ほど四つの法制的条件があるとおっしゃいましたが、運営上におきましてもこれは特段の配慮を願わなければなりません。 第三番目には、コンテナ埠頭の新設をはじめ港の整備、拡充に比べて、背後地の確保と道路整備が不十分であるから、すみやかにこれに対処しなければならぬということであります。 第四番目は、名古屋港周辺は、水質汚濁と大気汚染が近年著しく悪化しているのでありますから、もう少し国及び県、市、管理組合等の出先機関が協力体制の機構をつくって、長期計画を立てて強力にこれが改善をし、政府もこれを援助しなければならぬということであります。 第五番目は、港湾整備による港の急速な変化にかかわらず、港湾地帯の緑化をはじめ地域住民のための環境整備が著しく立ちおくれておるのでありますから、これが整備計画を立てて、すみやかに優先的に実行をしてもらいたいということであります。 第六番目は、これはもう時間がございませんから、私の意見にとどめておくのでありますが、港湾行政における重要な隘路が労働力不足であるということはもう多言を要しません。これが確保に努力をしてもらいたいことであります。 第七番目は、この新設会社へ転職する公務員に関する労働条件についてであります。これはいろいろ議論のあるところでありますが、この公務員について十分労働条件について配慮をする必要があるということであります。 以上七点につきまして、大臣の御意見を伺いたいのであります。
○橋本国務大臣 横山さんの重要な御発言また御意見、十分に尊重してこの対策を講じ、ものによっては来年度予算に計上してこれが実現を期するように努力いたします。
○福井委員長 この際、参考人の松尾さん、今城さんに一言申し上げます。 本日は、御多用中貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○福井委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○福井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決されました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○福井委員長 航空に関する件について調査を進めます。 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣。
○橋本国務大臣 ただいまは慎重審議の結果、御採択をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 なお、この機会に御報告申し上げておきたいことがありますので、簡単に御報告申し上げます。 御承知のように、けさ七時十二分羽田発の福岡行きの日航機が、赤軍派の学生と称される約十五名の学生によって乗っ取られまして、現在は福岡に着陸中であることは、関係当局からすでに皆さんに御報告済みと存じますので、詳しいことは御遠慮申し上げます。 ただいま十二時八分でありますが、赤軍派の学生と思われるところの学生から次のような要求が日航当局に——赤軍派の学生十五名とも十四名とも言っておりますが、その学生から日航当局に対して、子供、婦人、心臓病患者十名をおろすので、おり次第北朝鮮に向けて出発せよ、こういう要求が出されております。これに対して空港当局は目下検討中である、こういうような報告がただいま到着いたしました。 今回の事件はまことに遺憾千万でありまして、特に空港当局がいろいろの面において手配が不十分であったとは考えませんけれども、これらの問題が起きましたことは、まことに遺憾に存じます。この点、遺憾の意を表しておきたいと思います。 ただ、これに対しまして空港の取り締まりといいますか、あるいはこういう飛行機事件に関する法律というものが十分に整備されておらないようであります。これは将来の問題になりますが、これらの点もあわせて長期対策というものを検討しなければならぬということで、閣議においてもその点が論議されまして、近いうちに関係閣僚の間でこの長期対策といいますか、こういうことを大いに研究して万全を期しましょう、こういうことになっております。 ただ、私といたしましては、長期対策は必要でありますけれども、緊急の措置として、飛行場の警備その他荷物の取り扱いといいましょうか、そういう危険物の点から、こういうものをどうすべきかということを関係二、三の当局と今夕刻中にも相談をしまして、万全の措置を講じたい、かように考えておることを御報告いたします。 もう一つ、いま情報がありましたので、御報告申し上げます。 能登沖、カムチャツカ西方、北千島東方の三区域中——この前、御承知のように、土佐沖のやつは取り消しになっております。この三区域が残っておるわけですが、御承知のように、外務省からは全部を取り消せ、こういうような要求をしておるわけでありますが、ただいま申し上げました能登沖、カムチャツカ西方、北千島東方の三区域中、本日九時三十分から十時四十五分の間のウラジオ無線局の航行警報によりますと、カムチャツカ西方及び北千島東方が取り消されたということであります。したがって、能登沖についてはなお航行警報は触れておらない。しかし、能登沖については、日本側は強硬にこれが取り消し方を要求しておりますが、きょうの向こうさんの無線では、カムチャツカ西方と北千島東方の二区域は取り消す、能登沖には触れておらない、こういうことであります。
○河毛政府委員 私どもがけさ九時三十分から十時四十五分までウラジオ無線局の航行警報を聞きましたところによれば、いま大臣のおっしゃったとおりでございます。したがって、この航行警報には能登沖は触れられていない、こういうことでございます。能登沖は触れられていないということでございます。
○福井委員長 この際、午後一時半再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ————◇————— 午後一時四十六分開議
○福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 船員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
○久保委員 船員法の改正については、すでに何人かの同僚委員から質疑がかわされておりますので、私は簡単に二、三の点についてお伺いをしたいと思うのであります。 まず第一に、この法律案の点でありますが、いわゆる改正案によりますれば、第一条第二項第三号の改正であり、第三号は、いわゆる「政令の定める総トン数三十トン未満の漁船」ということで、提案説明では、五トン以上の漁船についても船員法を原則として適用するということでありまして、かねて三十七年の三十トンから二十トンに引き下げの改正ができました以来長い間の懸案事項でありまして、関係当局のこれまで改正までにこぎつけられた御労苦に対しては、心から敬意と感謝を申し上げるわけでありますが、改正案では政令に譲る点が大半であります。でありますので、政令の内容についてひとつお伺いしたい、こういうふうに考えます。 それからもう一つは、その中身と関連いたすわけでありますが、この法律案は成立後来年一月一日から施行と、こうなっているのであります。説明では、段階的にこれは実施していく、こういう御説明もありますので、あらためてその政令の内容を御説明いただきたい、こういうように思います。
○高林政府委員 お答え申し上げます。 第一段階といたしまして、適用は、ただいま御指摘のございましたように、四十六年一月一日から適用したいと考えております。その場合の政令といたしましては、十トン以上二十トン未満の漁船のうちで、漁業法五十二条に基づく許可漁業、具体的には沖合い底びき網漁業及び大中型まき網漁業でございます。それから漁業法六十六条に基づく中型まき網漁業または小型機船底びき網漁業の許可を受けた漁業というものと、それから小型サケ・マス流し網の許可を受けた漁業ということになっております。初めの許可漁業につきましては、十トンから二十トンまでの範囲、それから小型サケ・マス流し網については、それの全体というふうに第一段階においては考えておるわけでございますが、そういうように第一段階適用いたしまして、逐次適用範囲を拡大してまいり、おおむね五年程度で全体適用ができるように進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○久保委員 そこで、続いて関連してお尋ねしたいのは、いまの許可漁業でありますが、これは十トン以上のものについて来年一月一日からということでありますが、それ以外の十トン以下というか、いわゆるいまおあげになったもの以外はどういう段階を予想しておられるか。五年くらいということでありますから、かなり長い期間を要すると思うのでありますが、いま御説明の許可漁業あるいは五十二条によるもの、こういうものについて来年の一月一日からやって、そのあとずっと五年間残りは保留しておくのかどうか。段階というから、もう一つか二つのきざみがあるはずだと思うのですが、その予想はどういうふうになっておりますか。
○高林政府委員 本件につきまして、船員中央労働委員会で審議されましたときに、段階適用という考え方が出たわけでございますが、大体五年程度でやります場合に、その中間でございますところの、四十六年から始まりますと四十八年くらいに、大体一つの考え方といたしまして、たとえば十トンから二十トンの、ただいま申しました許可漁業以外の漁業というようなものが考えられるというようなことが審議の過程でございました。私どももそういうようなめどを一応考えておりますけれども、具体的にはやはり第一段階の適用の実施状況、それからまた漁業センサスのいろいろのあらわれてきた結果、そういうようなものも考え、また事務取り扱いの関係等も勘案いたしまして、進めてまいりたいと考えておるわけでございます。おおむねいまのところ予想されますのは、大体四十八年くらいに第二段階というようなことが考えられるのではないかと思って、現在関係各省と——また今後の推移によりまして、各種の政令をつくりますごとにきめてまいりたいと考えておる次第でございます。
○久保委員 いまのお話だと、具体的に説明があった二つのもの、これ以外は、四十八年くらいにもう一つの段階というか、あるが、具体的にはこれはまだきめられない、こういうことでありますが、漁業センサスの結果を見てというお話でありますが、このセンサスからはどんなものが出ると予想されておりますか。どういうふうに出るのであるか、これはどうですか。
○高林政府委員 漁業センサスからは、第一に、現在答申にございますが、地先漁業に属するものはこれを除きます。地先漁業に準ずるものが漁業センサス等で明らかになりました場合に、それを除くという考え方でございますので、第一に、地先漁業に準ずるものがその結果あらわれてくるということが一点。 それから次に、雇用関係、経営状況、そういうようなものが漁業センサスの結果なお明らかになってくると思います。したがって、家族労働の比率その他の問題をおおむねある程度はつかんでおりますけれども、そういうようなものを見て、どこに一番被雇用者が多いか、そういうようなところも見ながら、適用の幅を考えていきたいと考えておるわけであります。
○久保委員 そうしますと、大体において漁業全体というか、中小、零細というか、そういうものの実態が必ずしも的確に把握されないうらみが一つはあると思うのです。そういうことも一つの原因というか、要素だろうと思うのですが、センサスができますれば、全体として把握ができる、こういうふうに思っていいと思うのですね。そうですね。どうですか、それは。
○高林政府委員 概括的には大体つかめようかと思います。それはいろいろ調査項目等によってさらに検討せねばならぬ問題があるいは出てくるのではないかと思いますけれども、全体的にはそういうような傾向になるかと思います。
○久保委員 そうしますと、来年の一月一日から実施するものはお答えのとおりとして、それ以外のものについては、センサスの結果を見て、これはいつの日に取り組んでいくというようなことを結論づけられるのだろうと思うのでありますが、ただ、日にちを切らぬで——日にちを切らぬでというのはおかしいが、大体できそうなところからなしくずしにそのときどきに応じてこれはやっていこうということではないのでしょう、いま具体的でないものについては。いずれにしても、われわれの希望としては、漁業センサスが出たならば、この時点で関係各省と協議もせねばなりませんけれども、その上に立って区分けをして、いつの日にやるというその時期ですね、そういうものを含めて政令で指定していく。もちろん指定であるからすぐじゃなくて、四十八年じゃないと諸般の準備もできないものもあるし、あるいは四十七年でできるものもあるかもしらぬ、あるいは四十八年より少し延びなければならぬものもあるかもしらぬということに区分けができると思うのですね。そうでないと、何かいままでのお話をきちっとしないと、具体的に御説明があった六十六条、五十二条によるところのもの、十トン以上二十トン未満、これだけははっきりしているが、あとは何というか、かすみがかかってよくわからぬということでは、ここまで御努力いただいた漁船、船員に対する船員法適用というのが、画竜点睛を欠くといったらたいへん言い過ごしかもしれませんが、画竜点睛を欠きますので、ぜひタイムリミットをつけながら指定をするというふうに持っていってもらえないだろうか、こういうふうにわれわれは希望をするわけなんですが、どうですか。
○高林政府委員 決してなしくずしにするとかという考え方はございません。地先漁業及びこれに準じますところのものを除きまして、五年程度を目標に全般的に適用するように、その間に各種の予算措置あるいはまた保険会計等の関係をも見ながら、毎年毎年いろいろ具体的な調査を進めて具体化してまいりたいと考えておる次第であります。
○久保委員 そうしますと、いまさしあたりおあげになりました漁業法の六十六条、五十二条というか、こういう関係のものは、法律が通りますれば、すぐにこれは御指定になるということでありますか。
○高林政府委員 そのつもりでおります。
○久保委員 われわれもあとのことが多少心配ではありますが、むしろこの際考えてほしいのは、漁業労働の実態、いわゆる労働力の確保の問題、これは質量ともに関係してまいりましたし、深刻であると思うのですね。そういうことからいって、関係各省庁、いわゆる関係の方がおられますが、これはひとつ前向きで実施していくということをぜひ約束をしてほしいと思うので、水産庁並びに保険庁のほうからも一言、ほんとうに現実に担当する皆さんでありますから、心がまえのほどをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
○山崎説明員 私どもも当然、この法律が通りますれば、運輸省の方針をよく伺いつつ、また諸般の調査を進めまして、できるだけ早期にこの適用がはかられるように努力してまいりたい、かように考えております。
○石田説明員 水産庁といたしましても、船中労委の結論等を尊重いたしまして、いま運輸省、社会保険庁と相談してやっておりますが、今後とも方針に従いまして、円滑に事が進められますように努力いたしていく覚悟でございます。
○久保委員 次に、船員保険課長にお尋ねするわけでありますが、船員保険法適用に相なりますれば、現在労災保険に入っておられる船主船頭というか、そういう方々が船員保険法の中では一応除外されるというか、そういうことになってまいります。この適用については、やはり仕事の実態、経営の実態からいって、これを一般の船員と同様にそういう制度の中に引き続いて入れるべきだろう、こういうふうに思うわけであります。これについては先般来各委員からもお尋ねがあったようでありますが、あらためてお尋ねしたいのは、そういうことにするにしても、船員保険法の改正を必要とするのかしないのか。保険法を改正しなくてもそういうものができるのであるかどうか。もしできるとするならば、来年の一月一日からそういうものが適用になるわけでありますから、それは実施することで考えておられるかどうか。あらためてこの点を確認の意味でお尋ねしたいと思います。
○山崎説明員 先生お尋ねの点は、確かに陸上のほうでは特に一章を設けて、そういう船主船長のような方の加入を認めるような制度をつくっております。私どものほうにおきましては、この間もお答え申し上げましたとおり、特に章を設けることなく、と申しますのは、性格が被用者保険という形でもって貫かれておりますものですから、そういう章は設けてはございませんけれども、終戦後に、やはり同様な社会保障を進めるというような観点から、運用で、特にそういう御希望の方についてはそういう社会保障に欠けることのないようにという扱いをしてまいった時期も確かにございますので、現に労災保険のほうに入っておいでになる方がこの改正のためにそういうことから落ちてしまうということは問題でございますので、私ども関係方面とよく協議の上、必ず善処してまいりたい、かように考えております。
○久保委員 法改正を伴わずしても運用でできるということでございますので、それならなおけっこうでありますから、ぜひそういう運用をしてほしい、こう思います。 そこで、これは三省庁に念のために要望しておくのでありますが、かなり広範囲に、いまお話に出ているように、自分で船に乗りながら経営していくという経営主がかなり多い実態であります。そうなりますと、船員法を改正してせっかくの制度が生きてくるかどうかというのは、そういう経営者の理解と協力がなくてはできない仕事でありまして、それにはまずもって理解をさせることが先決であります。ところが、要員の面ではそれぞれの省庁においてもかなり切り詰められているのが実態でありまして、必ずしも現場の第一線の要員がうまく配置されているとはわれわれは思っていないのです。しかもこれは大きな変革といったら語弊がありますが、前進だと思うのです。だから、思い切った施策であるかわりに人間が足りないということになりますれば、法改正の理解というか、そういうものもなかなか末端にしみ通らぬ場合が多いと思うのです。そこから出る誤解あるいは不徹底、摩擦ということになりますれば、これは混乱を起こすことは必定でありますので、要員の獲得はわれわれも微力でありますが御協力を申し上げなければならぬと思うのでありますが、と同時に、やはり第一線の諸君としては、これが自分たちの本領であるというか、仕事の一番大きな使命であるということにかんがみましても、親身になってこの制度の適用について理解と協力をさせるようにぜひ指導をされてほしい、こういうふうに思うわけです。あまり申し上げたくないのでありますが、いま末端では、どうも親切に教えてもらえないという声が間々耳に入ってきます。これは人手がないところに仕事が多いから、問い合わせがあっても、木で鼻をくくるわけではありませんが、通り一ぺんの返事ということになろうかと思うのでありますが、なかなか法律の条文など読むような環境にない諸君が多いのでありますから、ぜひそこは予算も伴うことでありましょうが、惜しみなくそういうものには出していただいて、完全に持っていけるようにしてほしいと思うのであります。特にこれは運輸省の船員局の出先あるいは保険庁の出先、水産庁はもちろん、業界を通じて、これはやはり自分の仕事としてやってほしいと思う。これは要望になりますから別段に御返事は要りませんが、そういうことをひとつここでつけ加えておきたいと思うのであります。 そこで、保険の問題に関連いたしますが、御承知のように、今国会に労災法の改正が提案されておるわけであります。この労災法の改正とは直接関係はございませんが、労災法の制度に対しての答申に基づいて、今度は改正案が出るわけでありますが、その答申の中で、御承知のように、すでにこれは公表されておることでありますが、法律によらないで制度の中で改善していこうという幾つかの項目があります。その中の一つに、労災就学援護費の新設ということで、言うならば労災による遺児の育英資金の創設というものを労働省は今回やっておりまして、新しい法律改正ができて、施行と同時にこれもやっていこうというふうなことでありまして、われわれ非常にいいことだと思っているわけであります。そこで、漁船の船員の遺児についても、当然そういうことがあってしかるべきだろうと思うのでありますが、特にいままでの業界を中心にした調査によっても、非常に気の毒な子供たちがかなりいるわけであります。交通遺児の場合には、加害者というかそういう者がおりまして、多少資金等についてもめんどうを見るということで発足したわけでありますが、この漁船船員の遺児に対しては、加害者というのが実は天候というか、おてんとうさまくらいしかないわけでありまして、極端なことをいえば船主の問題にもなるかもしれませんが、いずれにしても、直接的な加害者というものがかなり不明確であるというところもありまして、何か業界としては遺児の育英資金の創設について苦労をしているような話が先般の新聞等にも出ております。これはもちろん法律によらないことでありますが、先ほどお話し申し上げた労災に取り込んでいく。そして今度は船員法適用——いままでも適用になっている者もありますから、そういう場合には、向こうの労災のほうではいま申し上げたように育英資金が出る、船員法のほうではどうなのか、こういうことになるわけなんですが、まず船員法の中でそういう制度を創設することになったのかどうか、この点聞きたいと思います。
○山崎説明員 先生いま御指摘のとおり、陸上の労災保険の場合におきましては、法律によらないで、言いかえますと、福祉施設費として、労災就学援護費というものを創設するように四十五年度予算で予算措置が行なわれております。したがいまして、陸上でございますと、勤労者がこういう災害によりましておなくなりになった場合に、各種の遺族年金等の年金が出てまいるわけでございますけれども、年金のほかに、四十五年度以降におきましては、こういう援護費が福祉施設費として出されているというような形でございます。私ども船員法並びに漁船保険法、この援護費の関係は、実は四十五年度ではまだ実現を見ておりません。ちょっとお尋ねに先走ったようでございますけれども、実はそういう関係でございますので、私どもも労災にならいます法律改正を実は今国会に御提案申し上げておるのでございますけれども、それについての諮問を申し上げました際の関係審議会からの答申に、やはり海上労働につきましても、その遺児の就学援護につきましては、労災保険と見合いにおいて早急に検討すべきである、こういう御意見はいただいておるところであります。予算措置の関係から一年おくれておりますけれども、私ども、総合保険でもございますので、そういうようなところも十分踏まえつつ、早急にこの制度を検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○久保委員 これは予算も伴うことだと思うのでありますが、いまお話しのとおり、労災との均衡上からいっても、当然取り上げていくべき問題だと思うので、年度中途でやりにくい問題もあろうかと思うのでありますが、善は急げということもございますので、これは年度中途でも取り上げてもらうようにぜひ検討をしてほしい、こういうふうに思うのですが、そういう考えは保険庁の中にはないのですか、どうですか。
○山崎説明員 この関係は福祉施設費と申しまして、給付金ではございませんので、一々法律改正は必要としませんけれども、やはり保険給付費といたしまして、福祉施設費の中はそれ相当の項目を立てまして予算積算がなされておりますので、先生の御意向でございますので、十分検討はいたしたいと思いますけれども、年度途中からの実現は、やはり予算との関係で非常に困難かと、かように考えております。
○久保委員 予算の関係もあるのだろうと思うのですが、われわれももう少し検討さしてもらわなくちゃいかぬと思うのでありますが、いずれにしても、そういう制度が片方にできた限りは、まあできなんでもやるべき筋合いかとも思うので、ぜひ善処をしてほしい。 それからもう一つは、先ほど申し上げたように、船員保険法では、いまのお話からいえば、少なくとも来年度ぐらいからは何とか取り上げられそうだというのがあると思うのですね。船員保険法に適用になっていないもの、あるいは過去において——これからもそうでありますが、過去において船員保険ならず、そういう制度が全然ありませんから、そういうものをやっぱり救済していくことは、いまのお話とは別な立場から必要だろうとわれわれ考えている。そこで、業界でもそういうことでやっているということでありますから、この際は、保険庁はむずかしいことかもしれませんが、水産庁あたりが中心になってバックアップをすべきでないだろうか、こういうふうに思うし、資金についても適当な方法を考えるべきではないか。これは船員局においても同様だと思いますが、船員局の予算から出すことばかりが資金の供出ではないと思うのですね。海関係というのは広いのでありますから、そういう関係からも何か方法はありはしないかということで、一つの例からいくならば、モーターボートでは利益があがっているのだろうから、ああいうモーターボートのほうからもひとつ金をもらってあげたらどうだろうか。一つの例ですよ。予算からとれればなおけっこうであります。 まず第一に、水産庁、どうですか。これはあなたのほうの業界の問題にもなりますのでね。
○石田説明員 ちょっと御紹介申し上げますと、ただいま全漁連、全国漁業協同組合連合会でございますが、その中に、漁船海難遺児を励ます全国協議会というものが設けられておりまして、ここで海難遺児に対する育英資金をつくろうと計画いたしております。これは資金目標は七億円でございまして、三年計画で集めることになっております。四十四、五、六、この三年間でございます。目下集めつつありますが、まだ昨年の暮れまでに一千万円台しか集まっておりませんが、これから集まるわけでございます。これができ上がりましたら、これは水産庁、あるいは文部省のほうにもすでに話をしておりますが、財団法人をつくりまして、そこでこの基金を運営していきたい。大体対象になりますのは義務教育でございますから、小学生、これは千円くらいでございます。中学生、これが二千円くらいと考えております。こういう制度を運営していきたいと考えておりますが、まだ準備が整っておりませんので、財団法人の設立の認可は出ておりません。この夏くらいに出るのではなかろうかと思います。そういたしました場合には、まだ全漁連等から政府の資金的な援助等の話は具体的に来ておりませんが、そういう民法法人が正式にできました後において、またいろいろ話も持ち上がろうかと思います。それから、先ほど先生から示唆を与えていただきましたが、そういう方面にもあるいはお願いすることになろうかと思いますが、目下のところは基金づくりに精出しておるところでございます。
○久保委員 これは保険庁には何か便法はないですか。
○山崎説明員 私ども、御案内のとおり、保険料をいただいて、保険給付をしてまいるというようなシステムでございますので、ちょっと現在のところなかなか便法は思いつかないのであります。
○久保委員 局長、外郭団体を含めて、これはやはりこの際金を集めてやる必要があると思うのですね。ひとつ一はだ脱いで協力してやったらどうかと思うのです。これはもちろん異存のないところだと思うのですが、ぜひそういうふうにお願いしたいと思う。これは御返事は要らないです。 時間もあまりありませんから、先に参ります。 そこで、この船員法が一応通りますれば、かねて懸案でありましたILO百十四号——これはまあ五トン以上のものが全体が目鼻がつきますればでありますけれども、およそ目鼻がつけば、百十四号の漁船員の雇入契約に関する条約は当然批准ということになると思うのでありますが、そういう日程はどういうふうに考えておられますか。
○高林政府委員 ILO百十四号につきましては、この改正案が成立いたしました場合に、できるだけ近い機会にこれの批准等の手続について進めていきたいと考えております。なお、そういう機会に、ほかの条約についてもいろいろ検討してまいりたいと考えております。
○久保委員 そこで、同じILOの百二十六号の条約でありますが、これは漁船の船内船員設備に関する条約であります。これはいまどういうことになっておるのか。未批准であると思うのでありますが、これには、言うならば、船員設備規則というか、そういうものを当然のごとく制定しなければいかぬだろうと思うのであります。ところが、そういう作業は今日どうなっているのだろうか、簡単に御説明をいただきたい。
○高林政府委員 船員の船内設備基準でございますけれども、これにつきましては、現在、商船につきましては大体結論を得まして、近い機会にこれを省令化するつもりでございます。それの作業が済み次第、この百二十六号関係あるいは全般的に漁船の船内設備について、あらためてまた船員中央労働委員会におはかりしたいというふうに考えております。
○久保委員 これはスムーズにそういう手順になってまいりますか。いまの様子でどうでしょう。
○高林政府委員 前の説明ちょっと間違いがございましたが、商船の部分について結論を得ておりますので、一連のものになっておりますから、当然次へ移るように、船員中央労働委員会ではそのような準備になっておりますので、スムーズに移り得ると思っております。
○久保委員 これはお話しのようになかなか問題があります。そうしまして、百二十六号条約はかなりきびしい。きびしいといっては語弊がありますが、程度の高い内容のようにわれわれ見ているわけなんでありまして、必ずしも日本の業界というか、そういうものがいい返事をしないような情報も聞いておるのでありますが、それはどうなんですか。最近はもうそういうふうに納得してきておりますか。
○高林政府委員 やはり条約の水準というものがかなり高い場合、たとえばこの百二十六号もそれになるかとも思いますけれども、もちろん部分、部分いろいろ問題点があると思います。したがって、全般的にそういう水準と現実の姿というものとのかみ合わせで、作業においては相当むずかしい問題が出てくるかとも思います。そういうような点は、船員中央労働委員会において公労使三者において十分討議して、そしてまとめて出すことにしております。あるいは問題点としていろいろその他の問題が出てまいるかとも思いますけれども、私どもといたしましては、できるだけ労働委員会と協力いたしまして、全体的にまとまるように努力してまいりたいと考えております。
○久保委員 船員の労働安全衛生規則というのが三十九年にできたのでありますが、ほかのほうでは労働安全衛生規則というか、そういうものが同じようにございますが、これは最近の船の構造その他から見て、しかも具体的でない部分もかなりあろうかと思うのであります。これは一ぺん再検討というか、中身を検討する必要がありはしないかとわれわれは見ているのでありますが、その点はいかがですか。
○高林政府委員 船員労働安全衛生規則につきましては、確かに再検討を要する点がございますので、再検討を前から続けておりまして、昨年の十一月にこの船員労働安全衛生規則の改正に関しまして、船員中央労働委員会の答申がございました。それで、その答申の御趣旨に沿いまして、できるだけ早い機会に公聴会を——これは法律上公聴会が必要でございますが、公聴会を開いて、できるだけ早い機会に、本年上半までの期間においではこの改正をやりたいと思っておる次第でございます。
○久保委員 いずれにしましても、最近の労働災害というか、これはかなり深刻なものが出てまいっております。しかも特に漁船の場合は、統計に載らないいろいろな災害がたくさん出ていると思うのです。これは役所の末端機構が十分でないということも一つの原因でありますが、先ほどの話のように、経営者自体が操業に乗り出しているというので、そういう報告や連絡というか、そういうものも完全に行なわれないために、ともすれば何かあまり災害に対しては焦点がすわらぬかっこうが今日まで多かったと思うのです。だから、いまお話しのとおり、前半において検討して考えていくということでありますが、これはやはり実行させるような体制というか、そういう体制が一番大事だと思うのです。これは水産庁も一半の責任といっては語弊がありますが、片棒をかつがなければいかぬと私は思っておるのでありますが、水産庁としてはこれはどんなふうに考えていますか。これはやはりいま船員局長のお話しのとおり、作業には一口乗っているだろうと思うのですが、実施についてはなかなかむずかしいと思うのです。そのむずかしいことは、やはりどうしても業界を通してやらなければならぬということでありますが、水産庁としては、そういう体制築きには何か特殊な考えを持っておられるかどうか、いかがですか。
○石田説明員 水産庁も直接の出先を若干持っておりますが、水産行政は主として都道府県の水産部局を通じてやっておりますので、ここを通じて海難の防止等の徹底をはかっていきたいと考えております。一昨年でございましたか、八戸沖のイカ釣りの件がございまして、先生からも御質問がございましたが、そのときにも部長からも申し上げたと思いますが、われわれとしても運輸省と一緒になりまして、災害の防止等には特に気をつけております。 それから、最近は通達等を出します際にも、もし海難が起きた場合には、海難にあった人の不幸だけではなくて、漁業の経営そのものも破壊されてしまうということでありますので、経営者としても、これは特に自分の利害にも関係することでもあり、それから人権の問題でもあるからということを特につけ加えて指導はしてきております。
○久保委員 これは筋違いかもしれませんが、現場というか、地方には、県の出先だと思うのでありますが、たしか水産指導員というのが配置されていると思うのですね。そういう人が大体において漁労というか、あるいは加工というか、そういうものの指導をおそらくしているのだろうと思うのでありますが、いまあなたがおっしゃるような面にまではなかなか指導が行き届かぬ、こういうことだと思うので、これは守備範囲からいけばむしろ運輸省であろう、こういうふうには思うのでありますが、業界の指導はやはり水産庁が中心にならぬとうまくいかない実態でありますので、ぜひこの点についても考えてもらいたい、こういうふうに思います。これも要望でありますから、御返事は要りません。 それから、もう一つ申し上げたいのは、船員災害防止協会等に関する法律というのが、四十二年でありますか、できているのです。おかのほうにもこれと同じようなものがたしか一年前に、四十一年にできていますが、おかのものもそうだろうと思うのですが、船員災害防止協会そのものの活動について、これはわれわれ実態をまだよく調べてはおりませんが、側から見ている範囲では、当初の意気込みほど実効をあげていないように思っているわけであります。特にこの船員災害防止協会として当然なさねばならぬ船員災害防止規程の制定も、ことしも実施計画の答申が出たのだろうと思うのでありますが、その中にはおそらくその制定をうたってあるだろうと思うのですが、今日までこれができない原因は何であるか、今度はできるのか。これは協会の者を呼んできてお話を聞いたほうがいいかもしれませんが、これを監督指導するところの船員局長のほうから一言お伺いしたいと思うのです。
○高林政府委員 船員災害防止規程につきましては、船員災害防止協会において現在制定を急いでおります。この規程につきましては、現在の予定では、まず商船及びカツオ・マグロ漁業につきまして、この五月に船員災害防止協会の総会において定めまして、直ちに船員中央労働委員会のほうで審議をする予定にしておりまして、大体六月くらいにはこれの制定のめどがつくかと考えております。
○久保委員 大体予算はどの程度使っておりますか。四十五年度予算はまだきまらぬと思うのでありますが、四十四年度ではどの程度の予算でこれはやっておられるか、おも立ったその事業はどんなことをやったか、おわかりでありますれば御披露願いたい。
○高林政府委員 船員災害防止協会の四十四年度の予算規模は約五千六百万円でございます。それで、大体こういうような予算規模に基づきまして、各種の災害防止のためのいろいろな対策、それは大体災害防止の実施計画に定めておるいろいろな項目について、実施を進めておるという段階でございます。
○久保委員 この協会は、先ほど言ったように、ほかよりかなり手ぬるい仕事をやっているのじゃないかと思うのですがね。手ぬるいというか何というか、何か仕事ができないんじゃなかろうかと思う。これは局長としてどういうふうに見ておりますか。
○高林政府委員 当協会が発足いたしまして大体二年くらいになると思いますけれども、やはり発足の過程におきまして、なかなかいろいろな事業面において困難な問題が多いのでございます。確かに先生御指摘のように、手ぬるいような感はございます。私どももいろいろ協会と御相談申し上げまして、まずこの災害防止規程というものについては早急にやるように、そしてまた、今後の事業活動というものをさらに積極化するように、いろいろの面で話し合いを進め、またわれわれとして必要な援助、指導をやっておるつもりでございます。
○久保委員 そこで、船員災害防止規程は、それじゃことしの五月までにできるということでありますね。——わかりました。 ついででありますが、災害防止協会の四十三年決算及び四十四年の事業報告というか、まだできませんか。できなければ、四十三年度の事業報告、そういうものがありましたならば、あとでけっこうですから出していただきたい、こういうふうに思います。 大体私からお尋ねしようというさしあたりの問題は以上でありますが、冒頭申し上げましたように、船員法改正については、われわれの長年の希望というか待望でありましたので、一日も早く実施されることがわれわれの期待なんであります。でありますから、先ほど船員局長が答えられたように、五年以内にはというのでは、何か少し期待にはずれるような気持ちも実際はするのであります。しかし、実態も見ないで、まあ一日も早くというだけではできないものもあるだろうから、多少の時間はかけるにしても、五年というのは最大のタイムリミットでありまして、それ以前に全部が船員法適用の中に組み込まれるということをぜひ考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 ただ、もう一つついでに申し上げたいのは、次の機会にまたお尋ねしたいと思いますが、言うならば、船員法の改正と船舶安全法のもう一ぺんの点検、それからもう一つは、従業規則というか、従業制限ですね、こういうもの三本立てでやはり安全な漁労ができ、水産業が発展していくということになりはしないかと思うのでありまして、関係の皆さんおいででありますので、船員法改正だけで事足りるというものではないということを最後に一言申し上げて、私の質問を終わります。
○福井委員長 田代文久君。
○田代委員 船員の安全と生活条件の向上ということを目ざしておる点で、この法案に賛成でございますが、いままでの質疑の中でなおどうして本納得させていただきたいという点で二、三質問いたします。 それは、これは結局事業量がふえるが、これを執行する機構あるいは人員というのがほんとうに適正かどうかという問題ですね。具体的に申しますと、たとえば九州の海運局は十六人の船舶労務官がおって、そうして昭和四十三年度には千五百隻以上の船を扱っておる。かりにこれを二人で調べるといたしましても、二百隻以上受け持たなければならない、こういう計算になるわけです。政府の説明でも、法の適用を受けておる船舶の検査というのは、全国で八十七人の担当官がやっておられるというような現状で、これが通るという場合に、九州の場合で申しますと、五百隻以上、三千人以上の船員の認定が非常にふえていくというような形になっていく。そういう場合に、現在のそういう人員でやれるかどうかという問題ですね。無理にやろうとすれば、できないか、あるいはまたこれに従事しておる労務官の非常に密度の高い過重労働になるんじゃないかという問題ですね。ですから、結論的に申しますと、実際にスムーズに法案が目ざす方向でこれを活用するとすれば、そういう意味での人員の増ということはぜひとも必要じゃないか、それを確保するために、どうしてもそれだけ人員をふやしてもらう必要があるんじゃないかということを質問したいと思うわけです。
○高林政府委員 確かに、現在労務官の数が、船舶の数に比較いたしまして非常に少のうございます。現在労務官は全体で八十七名で、そういう意味では、労務官の仕事をやります場合に相当きつい点があると存じます。実際問題といたしまして、私どもも極力重点をしぼってやっていくというふうにやっておりますけれども、確かに、こういうような適用範囲の拡大に伴いまして、さらに事務量が増加いたします。来年度につきましては、一月からということもございますが、そういう観点から、振りかえ増員五名というものを来年度予算においては考えておるわけでございます。しかしながら、今後の問題につきましては、確かに拡大する過程においてなお努力をしてまいらなければならないと考えておりますので、先般も政務次官がお答えいたしましたように、私どもといたしましては、必要な人員の確保というものに最大限の努力をするとともに、現在の行政事務を極力簡素化いたしまして、それによってまた幾ぶん回し得る人を考えてみたいということも考えておる次第でございます。
○田代委員 あとのほうの簡素化の問題は、これはなお私のほうも研究してはっきりしなければならぬですが、前半の御答弁ですね。とにかく現在のこういう法案を実際に有効に発展させるためには、現状では確かに人員は足らぬという面がある、だから当局としては、その増員ということについては、とりあえず五名ですか、が、将来それがうまくいくようにふやすという方針だというふうに理解していいわけですか。
○高林政府委員 そのとおりでございます。
○田代委員 そうしますと、現在出張所に一人しかおらぬところがありますね。ところが、こういう出張所を廃止するとかいうような計画が具体的にはあるんじゃないかと思いますが、もしそういう一人出張所というようなところを廃止されるというような場合における基準はどういう基準で——とにかくそういうことは、常識的にといいますか、一般的な話はわからないでもないのですけれども、実際においてはそういうところを、いままであったやつを廃止するというようなことになりますと、この法案の趣旨に反するんじゃないか、このように考えますので、どういう基準で廃止されようとするのかというような点をお答え願いたいと思います。
○高林政府委員 行政簡素化の観点からいたしまして、地方海運局の出張所を廃止することを大体各出張所について考えておるわけでございます。この場合においての考え方といたしましては、基本的には行政簡素化のために極力人を減らして、そして組織を簡素化してまいるということでございますが、ただ、そういった場合に、当然行政サービスの面から見て欠点が出る、マイナスが出るというようなことがあってはならないと考えます。 そこで、現在地方海運局の出張所が行なっております仕事は、大体船員法の関係におきましてはいわゆる雇い入れ公認という事務と、それから船員手帳の交付ということ等いろいろございます。これにつきましては、その出張所のあります市町村において、それらの事務を引き受け可能であるかどうかということをまず考えまして、それらの市町村と相談をいたしまして、行政サービスということについて遺憾がないというようなことを勘案いたしまして、出張所を逐次廃止をしてまいるということを考えておるわけでございます。現在、そういう意味の指定市町村といたしましては約百九十ばかりございますが、今後も適用範囲の拡大等を考えます場合に、これらの指定市町村が——具体的にその市町村と相談をいたすのは当然でございますけれども、そういうような指定市町村制というものも活用してまいる考えでおる次第でございます。
○田代委員 実際にそれをやれるかどうか、ちょっと納得できないのですが、なお、私たちの考えとしては、この法案の趣旨からいいましても、一人出張所で一人で仕事をやるというような場合に、船長さんで、しかも一人で船に乗っているというようなこともあって、夜も働きに出られるというようなことがある。そういう場合も考慮しますと、むしろ一人出張所ではなくて、現象的には人が余って仕事がないような姿があっても、これは実際、船員の安全とかそういう生活の基本条件に関する問題ですから、むしろ二人の複数くらい——気象台の問題なんかなおさらでございますけれども、ふやしてやるというのが、船員のためにも、また船員法の基本精神からいっても正しいんじゃないかと思うのですが、そういう考えはないですか。
○高林政府委員 これは出張所を廃止するか、あるいはこれを強化するか、二つの道があると思いますけれども、全体的にやはり運輸省機構といたしましては、極力行政の簡素化をはかってまいりたい、そして行政の簡素化ということと、行政サービスの改善ということが矛盾しないような範囲において、指定市町村制を考えていくということを考えておりまして、やはり基本的な方向としては、むしろ極力指定市町村制を活用し、そしてそれを増大していくということのほうが、公認あるいは手帳というような事務については、船員あるいは船舶の所有者にとってかえって利便になる点が多いのではないかと考えております。もちろん港によって多少いろいろな事情が違いますが、そういうような事情の違いについては、十分また具体的に市町村あるいはその他船舶の所有者団体というようなものといろいろ相談をしてまいりたいと考えております。
○田代委員 私どもは労働組合なんかの御意見も伺いましたけれども、そうなりますと、これは明らかにそこの人員の整理、首切りに通ずるのではないかという不安があるのです。それから国民なり漁民の方とすれば、そういうことを実際やれるかどうかという問題があるというようなことで、十分納得できないのですが、そうしますと、千葉県の太平洋沿岸の館山出張所、それから四国の室戸岬の出張所などはそのまま維持されるのか、廃止されるのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○高林政府委員 どの出張所をどういう順序で廃止ということについては、船員局といたしましては、いま直接の所管ではございませんけれども、私ども聞いておりますところでは、いまおあげになりましたような二カ所については、いろいろ問題があるようでございます。そういう点を聞いておりますので、具体的な実施については、その方面の関係者といろいろ十分相談しながら進めていく考え方であるように理解しております。
○田代委員 そうすると、問題があるということは、こういうところは廃止すべきではない、廃止するとこれはいろいろ問題があるのではないかという意味においての問題なんですね。ですから、こういうところは当然廃止すべきではないと思います。そういう点を考えていただきたいのですが、この間の御答弁では、この業務量がふえるということで、市町村のそれに委託するという問題もありますが、アルバイトを雇って、そうしてそのアルバイト料なるものを予算化して、それで補うという説明があったように思いますが、そういうアルバイトでとりあえず処置し、それを補うというような予算あるいは人員をどのくらい予定されておりますか。
○高林政府委員 新規適用船員に対して船員手帳の交付という、一度交付いたしまして、あと比較的ない、ごく一時的な事務の増大に対処いたしますために、要員といたしまして、賃金職員というものを三カ月分——これは来年度については一月からでございますが、三カ月分のものといたしまして、十一万一千円の賃金職員の賃金分を案として計上しておる次第でございます。
○田代委員 そうしますと、そういうアルバイト、臨時雇いですね、これをやられている方々は、むしろ職員あるいは臨時職員というような身分関係をはっきりさせて、それを雇用される必要はありませんか。
○高林政府委員 その点につきましては、いままで賃金職員はかなりございましたけれども、こういう方々はいわゆるアルバイトでございまして、そういう必要は心ずしも具体的にはなかったように全般的には思いますけれども、もちろん、そのときの定員その他の状況によって、また必要な方にお願いするというケースもあり得ると思います。
○田代委員 最後に、これで終わりますけれども、最初に、この法案の精神と実際の事業量の増加という関係から、増員ということは当然考えなければならないということでございまして、また、実際に現地の第一線で働いておられる勤務員諸君の方々にとっては、やはり非常に大問題でありまして、ことにそれによって労働量が非常にふえるとか、労働が強化されるとか、そのために、船員の安全あるいは生活の向上について、これが法の目ざすとおりにうまくいかないということになると困るわけです。ですから、十分その点を考えていただいて処置していただきたいということを要望しまして、質問を終わりたいと思います。
○福井委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十一分散会