文教委員会 第1号
- 発言数
- 34 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/12/02
会議録
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 十一月二十八日、佐藤一郎君、上田稔君及び林田悠紀夫君が委員を辞任され、その補欠として青柳秀夫君、斎藤昇君及び平泉渉君が、昨一日、小笠原貞子君が、本日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として須藤五郎君、柏原ヤス君がそれぞれ委員に選任されました。 —————————————
○委員長(久保勘一君) 調査承認要求に関する件を議題といたします。 本委員会といたしましては、今期国会開会中、教育、文化及び学術に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を本院規則第七十四条の三により議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(久保勘一君) 継続調査要求についておはかりいたします。 教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会の場合においても継続して調査を行なうこととし、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(久保勘一君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。坂田文部大臣。
○国務大臣(坂田道太君) 今回政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現行著作権法につきましては、文部省に設置されました著作権制度審議会において昭和三十七年以来審議を続けるなど慎重な改正作業をいたす一方、改正作業中に保護期間が満了する著作権者を救済するため、三回にわたり保護期間の暫定延長が行なわれ、現在原則的な保護期間は、著作者の生存間及びその死後三十七年間とされていることは、御承知のとおりであります。 政府は、著作権制度審議会の答申を基礎に各方面の意見を聞きつつ、改正作業をとり進め、第六十一回国会に現行著作権法の全部を改正する著作権法案を提出いたし、昭和四十五年一月一日から新制度への移行を予定いたしたのでありますが、同法案は審議未了となりました。 したがって、このまま放置いたしますと、暫定延長措置によって現在存続している著作権のうちには、今年末をもって保護期間が満了し、新制度による保護を受け得ない結果となるものが生じ、従来の三度にわたる暫定延長の趣旨が失われることになるのであります。 そこで、従来の暫定延長の趣旨にかんがみ、新しい著作権法が国会において成立し、施行されるまでの期間を考慮して、さらに保護期間を暫定的に一年間延長することとしたいと考えます。 本案の内容は、以上の理由により、現行著作権法第五十二条により著作権の保護期間が暫定的に三十七年、三十二年または十二年とされている著作物に関し、その著作権の保護期間を、一年延長してそれぞれ三十八年、三十三年または十三年としようとするものであります。 以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
○委員長(久保勘一君) これより質疑に入ります。 政府側から坂田文部大臣及び安達文化庁次長が出席いたしております。 本案について質疑の申し出がございますので、これを許します。小林君。
○小林武君 答弁は必要ございません。質疑に答弁がないのはおかしいですが、時間の関係上。ただ一言だけただいまの文部大臣の提案に対して申し上げておきたいと思います。 提案理由の説明にもありますけれども、著作権の保護期間をさらに暫定的に延長する必要が生じた。どうして生じたかということをひとつやっぱりお考え願いたい。この法律案は六十一国会の当初に出された。その期間において与野党ともに、審議しようと思えばできた。日本社会党としては、これを審議に付すべきだ、そういうたてまえから、何度もそういう要求をしましたけれども、あなたが一番御承知ですが、この問題は衆議院でお蔵に入ったような形になってしまった。今日もし与野党間において話し合いができないでいった場合においてはどうなったかというようなことを考えると、私はやっぱり重大だと思うのです。だからまず第一に私は、政府といたしましても今後こういうことのないような、少なくとも六十二国会、その後の国会の中において著作権が審議される場合には、十分に今日のことを反省されて、著作権法が成立するように努力をするべきだ、このことをひとつ申し上げておきます。 なお、いろいろな事情によって今日まで延びたのでありますけれども、その中には、何か利用するほうの側からのいろいろな注文とかなんとかいうのが出て、伝え聞くところによるというと、その利害関係がふくそうしておるから、この問題は今国会には終了することは不可能だというようなことが流れた。この事実については、これをせんさくする気持ちはございませんけれども、そういうような態度で著作権法というものを扱うべきでないということを一言申し上げておきます。何といっても著作権法というのは国際的な関係もあるものでございますから、どの角度から見ても、少なくとも日本の文化的な国の水準からいっても、それにふさわしいものをつくられるように政府としてもひとつ責任を持ってやっていただきたいということを要望として申し上げておきます。これに対する答弁は要りません。
○須藤五郎君 私はきょう出された法案に対しての質問じゃなく、著作権そのものについてちょっと政府の態度を伺いたいんですが、この前、六十一国会に出された著作権法は私はつぶさに検討いたしました。また著作権課長の意見もいろいろ伺いましてよく存じておるわけでございますが、あの法案は従来のものと比べますと一歩前進だとは思うんです。それですから私たちの関係の音楽家とかいわゆる芸術家は、あの著作権法の一日も早く成立することを期待しております、今日でも。しかしまだ芸術家の中にはいろいろな意見があるわけでございます。特に強い意見は写真家協会ですね、あれが制作発表後五十年というのはおかしいと思う。やはりほかの芸術家と同じように死後五十年というふうにしてほしいという点、それから映画監督なぞの映画制作したものの著作権がすべていわゆる東宝なら東宝の経営者の手に移ってしまって、映画監督には著作権というものが認められていないという点ですね。まあ例をあげればたくさんありますが、そういういろいろな点で不備な点がまだたくさんあると思うのです。幸いにあの法案が前の国会で通らなくて、次の国会にもし出されるとするならば、その間にまだ時間がありますから、修正すべきところは修正して手直しをして次の国会に出されるのが私は妥当ではないかと、こういうように思うのです。それでもしも修正なさるならば、いわゆる問題をたくさんかかえておる面の芸術家に直接文化庁長官なり大臣がお会いになって、その人たちの意見をつぶさに聞いて善処されたら私はよかろうと思うんです。私も一人の芸術家といたしまして、その人たちの持っておる気持ちはよく私にはわかるんです。あの法案は私は一歩前進だということは認めるのです。しかしまだ不備な点があるから、せっかく出すなら完全なものを、すべての芸術家も喜び、また使用者も納得するといいますか、私は芸術家の立場、制作者の立場に立って言うのですが、皆さんの中ではやはり制作者——利用者の側もおそらくお考えになっているわけだろうと思うんですが、しかしこの間の法案はむしろ利用者の側にウエートが非常に大きいということを私たちは感ずるわけなんです。特に映画の業者、そういう人たちの利益を非常に大きく守っている面がたくさんある。著作者の面が守られていないという面が非常に不満な点だと思うんでありますから、やはり著作権法というものは、作者、芸術家の立場に大きなウエートを置いて考えていかれるというのが、これが文化国家の著作権法としてはふさわしい法律ではなかろうかと思うんで、そういう意図がおありかどうかということですね。無修正で出されるのか、修正をして出されるのか、その場合にはそういうことを考慮に入れて広く芸術家の意見を受け入れて考えていただきたい、こういう意見を述べたわけでございます。
○政府委員(安達健二君) 第六十一回国会に提出いたしました著作権法、全部を改正する法律案、いわゆる新著作権法案は、昭和三十七年以来四年間にわたりますところの著作権制度審議会の二百八十回にも及ぶ会議を経ましたその答申を基盤として作成されているわけでございます。その間に著作権制度審議会におきましても、ただいま御指摘の写真家あるいは映画の監督なども、数次にわたりまして意見を徴されましたし、また成案を得る過程におきましても、何回もこの方々ともお話し合いを続けてまいったわけでございます。政府といたしましては、この著作権制度審議会の答申に基づいて法案を作成するという根本的態度を持っておるわけでございます。したがいまして、今後新しく国会に提出する法案の内容等につきましても、やはり著作権制度審議会の答申が基盤になるだろうと思うわけでございまして、ただいままで検討してまいっておるところにおきましては、やはりこの基本的な問題といたしましては、審議会の答申を基盤にして作成すべきものではないかと、かように考えておるところでございます。
○須藤五郎君 次長、あなた、私がそう答えるだろうと思っておるお答えをしておるわけですが、それでは著作権の審議会に写真家の代表が入っておって、写真家は発表後五十年でけっこうでございますと、そういう答申をしておるんですか、どうですか、おそらくそうではないと思うんです。審議会に集まっておる、各、知られた人たちを私はこれはだめだとは言いませんよ、そういうことばは使いませんけれども、その人たちがほんとうに審議会に代表としてちゃんとしたりっぱな意見を吐いておるかどうかという点に私は問題があると思うんですよ。だからこの際ああいう状態でつくった法案もなおもっと広く意見を求めて、その人たちの意見を聞いていくということは必要じゃないでしょうか、私はそう思うんですよ。だって映画監督の意見を聞きましたか、聞いたってごく少数のある片寄った人たちの意見、映画監督すべての意見を求めてないでしょう。だからそう言うなら映画監督協会の意見を求めたらいい、写真家協会の意見を求めたらいい。そうでなく個々のわずかの個人の意見を求めて、それですべての問題を解決していくのは、そこに私は不備な点があると思うんです。そういう点はどうですか、大臣どういうふうにお考えでありますか。
○国務大臣(坂田道太君) 著作権法はまあ御承知のように非常に基本的な問題がありましたがために、昭和三十七年から慎重な改正作業をやってきたわけでございます。それでやはり広く聞くということは大事なことでございますし、またそうしなければならぬことだと思いますし、その作業を積み重ねてやっと一応の成案を得たわけなんでございます。だからというて、これがそのまま何と いいますか、そのとおりでなければならぬというわけのものではないんじゃないかというふうに私ども思います。ですから今度新たにやりますときには、原則といたしましては、あくまでもこれを提出いたします私としては審議会の意見を尊重して提出をするという立場は貫かなきゃならぬのじゃないか。しかしながらいま仰せのような、たとえば写真家協会であるとかあるいは映画監督者であるとかというような方々とも、確かにわれわれはお話し合いをいたしましたし、その事情も聞いたわけですけれども、現在のところはこのような法案ということになったわけでございます。しかしこの問題はいろいろあるわけでございますから、またお聞きをするというようなことがあってもしかるべきであるというふうに私は思います。それからまた私どもといたしましては、これが政府として出しました以上は、その原案が一番正しいと思っておるので、そのようにやっていただきたいわけでございますけれども、しかしそこはこの国会でございますから、国会によって最終的にはきめていただくことであると思っております。それだけ申し上げれば何を私が申し上げたかということは、わかっていただく方はわかっていただくと、こう思っております。
○須藤五郎君 この問題、また法案があらためて出てきた場合に審議することにしまして、きょうはこれで終わります。
○委員長(久保勘一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 著作権法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保勘一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(久保勘一君) 昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。坂田文部大臣。
○国務大臣(坂田道太君) このたび、政府から提出いたしました昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 私立学校教職員共済組合は、御承知のように、昭和二十九年一月に、私立学校の教職員の福利厚生をはかる目的のもとに私立学校教職員共済組合法によって設立されたものでありますが、自来、本組合が行なう給付については、国・公立学校の教職員に対する給付の水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。 しかしながら、既裁定の年金額及び昭和三十六年十二月三十一日以前のいわゆる旧法期間の年金額等において、国・公立学校の教職員と比べてなお不均衡な部分がありますので、今回これらの点を改善するため、この法案を提出することといたしたものであります。 次に、この法案の概要について申し上げます。 第一に、国・公立学校の教職員の既裁定年金につきましては、過去数回引き上げが行なわれてきております。しかし、私立学校の教職員の既裁定年金につきましては、一度もこのような措置がとられておりませんので、この不均衡を是正するために、今回国・公立学校の教職員の既裁定年金の引き上げに準じて、次のような改善を行なうことといたしております。 まず、私立学校教職員共済組合法の規定による年金につきましては、その計算の基礎となっている標準給与の額に、その標準給与が適用されていた期間に応ずるそれぞれの改定率を乗ずることによって、昭和四十四年十一月分から、年金額の引き上げをはかることといたしております。またこれに伴って旧私学恩給財団の年金につきましても相応の引き上げを行なうことといたしております。なお、他の共済制度と同様、既裁定の退職年金及び廃疾年金の最低保障額を現行の六万円から九万六千円に、遺族年金の最低保障額を三万円から四万八千円にそれぞれ引き上げることといたしております。 第二に、旧法期間の年金及び一時金の額を計算する場合は、国・公立学校の教職員につきましては最終俸給額を基礎といたしておりますが、私立学校の教職員につきましては退職前三年間の標準給与の平均の額、すなわち、平均標準給与の額を基礎といたしておりますので、この不均衡を是正するための率を政令で定め、この率を旧法期間の年金及び一時金の額を計算する場合の平均標準給与に乗ずることといたしております。 第三に、他の共済制度の例に準じて、給付等の基礎となる標準給与の月額の下限を現行の一万二千円から一万八千円に、上限を現行の十一万円から十五万円に引き上げることといたしております。 最後に、この法律は公布の日から施行することとし、旧法期間にかかる給付の改善及び標準給与の月額の上限、下限の引き上げについては、厚生年金保険法における改正等を考慮して昭和四十四年十一月一日から適用し、また他の共済制度の例に準じて、既裁定年金の引き上げについては昭和四十四年十一月分から、既裁定年金の最低保障額の引き上げについては昭和四十四年十月分から、それぞれ適用することといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(久保勘一君) 本法案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ質疑はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○安永英雄君 本案について、多少の意見を加えて賛成をいたすものでございます。 私立学校は、私人による財産拠出を基盤として自主的に経営されるのが本来のあり方であります。私立学校の特質を発揮するためには、できる限り自主的な経営が望ましいのでありますが、しかし現状は自力のみによって安定した学校経営を行ない、教育水準の維持向上をはかることが次第に困難になってまいったのであります。 すなわち、私立学校は戦前のような安定した経営基盤を失い、急激な臨時的経費の増大とこれに伴う債務の累積、さらに教育研究の高度化と、最近における物価の上昇等に伴う経常経費の増大等、困難な問題に直面しているのであります。 またその収入源は、大部分を学生納付金にたよらざるを得ないため、所要経費の増加に伴って授業料、入学金等の相次ぐ値上げを余儀なくされているのであります。 最近における私立大学の学生納付金の急激な値上がりが私立大学の学生、父兄にとって大きな負担になってきており、特に入学金施設拡充費等の著しい値上がりが進学への大きな障害になっているのはゆゆしい問題であります。最近における大学進学を希望する幅広い中間層の多数にとって私立大学の授業料等学生納付金の額は容易ならぬ負担であるし、一方奨学金制度が完備されていない現状においては、国の助成費を思い切って拡充し、低廉な納付金で高等教育の機会を国民一般に開放させることが緊急の対策として必要であると思われます。 現在、私立学校に対する国の援助の状況を見ますと、本年度の私学振興予算の総額は約百二十億円であり、私学振興会の財政投融資借り入れ金を含めても三百六十億円であります。国立学校特別会計予算額約二千八百億円に比べてあまりにも少ないといわなければなりません。 わが国における学校教育で、私立学校の占めている重要性から見て、国が私学振興に力を入れているという状態ではないと思われるのであります。したがって、現在国が私学振興のため行なっている助成制度の一そうの拡充をはかると同時に、私立学校教員の人件費を含めた経常経費について、思い切った助成策を直ちにとるべきであると考えます。この抜本的助成策の確立をしないで真の私学の振興はあり得ないのであります。 次に、私学共済に関する基本的な考え方と、今後早急に改善を要する課題について申し述べたいと思います。 国家社会が期待する教育を行なうためには、優秀な教師が必要であり、そのためには教職員の身分、生活の安定が絶対条件であるのであります。したがって、教職員の福利厚生等、その身分、生活の安定保障については国公、私立の差はなく本来同一であるべきであると考えます。委員会の審議を通じて明らかになされましたように、私学経営の困難さを理由に低賃金を押しつけ、いまだに給与体系もない学校現場もあるという現状であります。昭和四十二年に臨時私立学校振興方策調査会の答申が文部省に提出され、「私立大学の教職員の待遇については、現在、特に退職年金制度の確立していないことが問題とされている。私立大学の教職員の身分保障を強化するとともに、私立大学に優秀な教職員を確保することに資するため、退職手当制度を確立するほか、共済制度、災害補償等の福利厚生のための措置の充実・強化をはかる必要がある。」としているのであります。しかるに政府は、この答申にこたえ得る対策は何らとっていないのであります。施策をとらぬのみか、施策の基礎とも言うべき私立学校の給与の実態について全く把握がないと私はこの委員会の審議を通じて感ずるのであります。退職手当の制度化、災害補償の確立にいたっては、積極的な施策に欠ける面が多いのであります。今回の改正で長年の懸案であった既裁定年金の引き上げ等、国公立学校の教職員の過去における年金の引き上げの水準まで引き上げられたことはまことに喜ばしいことでありますが、本来、先ほど述べましたように教育基本法の趣旨からも国共済の改正と同時に、このような改正が行なわれるべきであって、このように改正がおくれたことは、いわばそれだけ組合員の損失を来たしたことになるわけでありまして、文部省の責任は重大だと思うのであります。さらに、今後物価変動に対応する年金スライド制の実現をはかるべきでありますが、当面の措置としては、国共済において給付内容、所要財源率等の改善について改善が行なわれた場合は、私学共済においても同時に対応した改正が行なわれるべきであると思います。 なお、今回の既裁定年金の引き上げに伴う財源措置がきわめて不明確であることは、今後に大きな問題を残しておると思います。本年度は、財源調整費の使用等で対処できるとしても、将来組合員の掛け金の引き上げを来たすのではないかという心配が大きくあるのであります。 既裁定年金の年金額の引き上げは、政府の物価上昇政策に基因するものであって、その負担は、本来組合員が負担すべきものではないのであります。 また、私学共済の健全な運営を確保する上からいっても、その財源措置については明確にする必要があります。したがって、すみやかに既裁定年金の年金額の引き上げに要する財源の負担関係について合理的で明確な制度を確立する必要があります。 次に、長期給付に要する国庫補助について申し上げたいと思います。 その第一は、責任準備額についてであります。昭和四十三年度において約十三億不足を来たしておるのでありますが、私学共済の適正な運営の根幹ともいうべき責任準備額に不足を生ずること一は、きわめて経営としては不健全であり、会員に不安を与え不信を招く結果になるものであります。 私立学校教職員の給与は、国公立の教職員に比べてはるかに低額である上に、しかも私学共済の特色として幼稚園教員等の低所得の組合員がすこぶる多いのであります。組合員の掛け金を現在以上に引き上げることはきわめて困難といわなければなりません。したがって、私学共済の健全な運営を確保し、その給付の水準の向上をはかるためには、前に述べましたように、私学教職員の人件費に対して国庫補助を行なうと同時に、長期給付に要する費用の国庫補助率を当面百分の二〇に引き上げることがぜひとも必要であります。 第二には、短期給付に関する赤字経理の問題であります。現在、私学共済経理に累積赤字として約五億円があります。委員会の審議で明らかになりました主たる原因は、医療保険制度のあおりを受けて起こるべくして起こった赤字であります。この赤字の解消の対策は医療制度の抜本的解決なくして解決のできる問題ではないということははっきりしております。本法案に示されておる標準給与の下限を一万二千円から一万八千円へ、上限を十一万円から十五万円へ引き上げ、その引き上げ幅の増収を赤字補てんに充当したり、一般組合員の掛け金値上げによって補てんをはかっても解決し得ない問題であります。ましてや政府の施策の失敗に基因するこの赤字対策というものは零細な組合員の掛け金によって解決すべきでなく、国の責任において早急に補てんすべき措置をとるべきだと思うのであります。 以上のような点が解決されれば、かねて懸案になっております未加入校に対する全校加入の対策の基盤にもなると考えます。 その他問題はたくさんありますが、そのつど委員会の審議の中で大臣の決意のほども承っておりますので、省略をいたしたいと思います。 以上をもちまして、意見を加えて賛成をいたすものであります。
○萩原幽香子君 本案につきましては、さきの国会の委員会の中で各方面から詳しい審議がなされましたことでもございますし、またそのつど大臣から非常な決意のほどもお示しをいただきましたので、私はきょうは内容には触れませずに、若干の要望を付して賛成の意見を申し述べたいと存じます。 私学共済組合の長年の懸案事項でございました既裁定年金の引き上げ等の措置がおそきに過ぎたとはいえ、また引き上げ額も十分とは申せませんけれども、ここに実現を見ましたことは、私学振興のためにまことに喜ばしいことと存じます。 私は、さきの国会で本法律案の審議の際に、幼児教育振興の立場から申し述べてまいりましたが、わが国におきまして幼児教育においてきわめて大きな役割りを果たしております私立幼稚園の大半が本共済組合に加入をしております。しかもこの私立幼稚園が本組合の中で大きな比率を占めていることも御案内のとおりでございます。さらに私立幼稚園は他の学校法人等に比べましても、財政的基礎が非常に弱く、またその教職員は給与がきわめて低く、しかも勤務年数におきましても平均三年余といったような現状でございます。このことが私学共済の組合の大きな特色の一つでもございます。したがいまして、私立幼稚園教職員の待遇の抜本的改善策を推進すると同時に、当面、教職員等の掛け金負担の過重を避けることによって、幼児教育の振興をはかるとともに、私学共済組合の健全な運営を進めるために、長期給付に要する経費の国庫補助の増額及び短期給付に要する経費に対する国庫補助の実現をはかることがきわめて必要であり、このすみやかな実現を切望するものでございます。 以上、私は主としまして、さきの国会で幼児教育振興の立場から、この問題に触れさせていただきましたので、あわせましてきょうもまた幼児教育振興の立場から若干の要望を申し述べまして、賛成の討論を終わりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
○委員長(久保勘一君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保勘一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決 すべきものと決定いたしました。 ただいま可決すべきものと決定いたしました昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党五党の共同による附帯決議案を委員長から提出いたします。 案文を朗読いたします。 以上でございます。 おはかりいたします。 ただいまの附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保勘一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。坂田文部大臣。
○国務大臣(坂田道太君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、誠意をもって検討いたしたいと思います。
○委員長(久保勘一君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保勘一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時四十一分散会 —————・—————