予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/29
会議録
○羽生三七君 ただいまより予算委員会第二分科会を開会いたします。 本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、私が正副主査の選任につき、その議事を主宰いたします。 これより正副主査の選任を行ないます。正副主査の選任は、主宰者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽生三七君 御異議ないと認めます。 それでは、主査に川上為治君、副主査に山本伊三郎君を指名いたします。 ————————————— 〔川上為治君主査席に着く〕
○主査(川上為治君) ただいま皆さまの御推挙によりまして、主査の重責をになうことになりました。皆さま方の御協力を得て、その任務を果たしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。 本分科会では、昭和四十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所、経済企画庁、法務省、大蔵省及び通商産業省所管を審査することになっております。三十一日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日、経済企画庁、通商産業省、大蔵省、明後三十一日、法務省、裁判所という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(川上為治君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。 —————————————
○主査(川上為治君) 昭和四十四年度総予算中、経済企画庁所管を議題といたします。 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○羽生三七君 御承知のように、予算委員会が異例の事態になったために、分科会の時間も非常に短縮されましたので、質問のほうも圧縮をして質問をいたします。それで、当局側の答弁もできるだけ要領よくお答えをいただきたいと思います。 最初に、総理が先般、生産性の向上で得た利益を一般消費者にも還元さすべきだとの趣旨で、日銀宇佐美総裁に対して、経営者に対し製品価格を下げるよう指導してほしいと望んだそうですね。これはもうどの新聞にもみんな出ております。そういう事実はございますか。
○国務大臣(菅野和太郎君) そのとおりでございます。
○羽生三七君 実は昭和三十八年の六月十日に本予算委員会で、私、池田内閣に、当時のことですが、物価値下げはどうしたら実現できるかという八項目の提案をして、池田総理が全面的にこれを認められてその実行を約されたわけですが、そのとき同席をされておった当時の通産大臣福田さん——一さんのほうですね、いまの蔵相ではない。この福田さんが翌日談話を発表しました。その談話は、大企業の生産性——大企業は、ビッグビジネスは、生産性の向上に見合って得た利益の一部を消費者に均てんさせるべく、卸売り価格を引き下げるべきである、こういう談話を発表したわけです。まあ、あの当時は総理もすぐそういうふうに物価問題についてこたえる。通産大臣も一野党議員の質問に対してそれに即応してそういう反応を示す。のに、最近は全くそういう積極的な姿勢が見られない。そこで、総理がいま申し上げたように日銀総裁に対して、経営者に向かって製品価格を引き下げるよう指導してほしいというそういう注文をするくらいなら、総理なりあるいは経済企画庁長官が、佐藤内閣は物価問題を最大の政策課題としている以上、何らかの生産性の向上に見合って利益の一部を消費者に還元させるよう、価格引き下げについての総理大臣の談話なり企画庁の見解を発表すべきではないかと思うんですが、これは単なる要望なんていうものじゃない。もう七、八年前に勇敢に当時の通産大臣がやっておるんですから、ましてや当時と事情の違った今日、切に経企庁長官の決断をひとつ望みたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 総理が日銀総裁に言われたのは、ちょうど二十日の物価安定閣僚協議会でこの物価安定に対する政府の態度を決定したんです。そのときに日銀総裁が出席しておりまして、それで、物価対策の閣僚協議会というものは、いままでは「臨時」という名前をつけておったんですが、これは臨時じゃない、もうすべての物価問題については常時会議を開いてやらなきゃならぬということで、「臨時」ということを取りまして、そして構成員も変えて、日銀総裁もそれから公取の委員長も随時出席してもらうというふうに構成も変えたので、その初会議を三月二十日にやったんです。そのときに各了解事項を決定したわけです。それを日銀総裁に申し上げたので、それは新聞にも発表したんです、この内容は。だからして公示したわけです、われわれは。それで国民にも訴えるということで新聞記者にも発表しておるのでありまして、それだからして、われわれ政府のとるべき態度をそのときにもう一度はっきりして、まあ国会ではしばしば総理や私たち言っておりますけれども、もう一度、今度こういう閣僚協議会ができたんだから、ひとつ態度をはっきり国民に示す必要があるということで、これを決定して閣議に了解を得てそして発表した次第であります。
○羽生三七君 それは経過はそのとおりですが、そういう決定の結果、日銀総裁に向かって総理が言ったというのが公式のもので、たとえば経企庁長官がこういう予算委員会等であの決定に基づいての発表はまだ一度もないでしょう、新聞報道だけで。だから具体的に説明してください。
○国務大臣(菅野和太郎君) いや国会、予算委員会でその点ははっきりしたつもりでおったのです。閣僚協議会でこういうように何しましたということは、それは私はどの委員会だったかしらぬが、発表したつもりでおります。
○羽生三七君 それはそういうこまかい経過はいいですよ。いいが、それだけの熱意があるならば、あらためてもっと大々的に経企庁長官なり総理大臣が、日銀総裁等でなしに、全国民にわかるように、大企業が得た利益の一部を消費者に還元させるよう、卸し売り価格を下げるようはっきりした態度を表明すべきだと思う。それだけの勇気を持ってくださいよ。
○国務大臣(菅野和太郎君) それは日銀総裁に特に言ったわけではない。日銀総裁が出席しておったから、そこで日銀総裁がいろいろ意見を述べたりなんかしておったわけで、日銀総裁に特に総理が言ったわけではない。これの原文については私が説明して、そして皆さん御異議ありませんかということで、そこで決定したわけです。だからして、まあ私たちはこれを決定したことを新聞記者に発表したことによって公示したものだというように考えておるのでありまして、なおしかし、これが具体化することについては、予算が済めば、これからひとつあるいは国民にも訴えねばならぬ場合もあるし、これは具体的にそれぞれ措置をとるつもりであります。
○羽生三七君 それですから、抽象的ではそのとおりですが、いよいよいま長官の言われたように具体的になる場合には、そのビッグビジネスが生産性の向上によって得た利益の一部を消費者に還元させるのですから、具体的にはどうするという問題が出てきますね。ですからそういう問題に十分取り組んで、あの決定どおりに行なうということをこういう席ではっきり示せというのです。
○国務大臣(菅野和太郎君) それは私どもいま準備いたしておりまして、そして具体的に今度閣僚協議会できめたことを、これを各方面に働きかけてやるつもりでおります。
○羽生三七君 それはぜひお願いします。 次は、これは私自身が非常に勉強が足りないのか、よくわからないことなのでお尋ねをいたしますが、まあ最近政府は、これは大蔵省か何かの試算で、二十年後ですか、二十年後には国民所得が世界第一位になるというような試算を発表しましたね。まことにおめでたい話ですが、そこで現在——現在というか、昭和四十三年度、これは米ソに次いで世界第三位の国民所得、これは国民総生産ではなく、国民所得ですね、発表しているのは全部。まあこれは大蔵省でも経企庁でもいいのですが、発表しているのは国民総生産ですか、国民総所得ですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 国民総生産です。
○羽生三七君 国民総生産で米ソに次いで世界第三位。それからソ連を除けば第二位と言われておるにもかかわらず、個人の一人当たりの生活水準では世界で二十位とか二十一位と言われておりますね。これに対しては普通私どもは、それは格差があるとか、あるいは社会開発がおくれておるとか、あるいは給与水準が低いとか、いろいろな理屈をわれわれはつけておるわけです。総生産の場合には一人一人の生産の総和ですから、これは人口にも関係があるわけですね。それはわかりますが、国民総生産が十数年来これだけの世界一という驚くべき成長を示しておるにもかかわらず、一人一人の生活水準がなぜ同じところに停滞しておるのか、総生産の発展に従って、たとえば二十一位が二十位になるとか十九位になるとか十八位になるとか、そういうことがあれば、幾らか伸びておるんならこれは話はわかりますね。ところが、総生産のほうはこの勢いで伸びておるのに、なぜ一人当たりの国民生活水準がこんな低い水準にいつまでもおるのか、その理由は私たちいろいろつけていますよ。片方はこんなに伸びるのに片方は依然として同じところに停滞しておるという、これはなかなかわからない。これは先ほど申し上げたように総人口との関係もあるし、それから社会開発とかあるいは生産性の問題等、あるいは給与水準等々各種の要因が複雑にからみ合ってはおると思いますけれども、この問題はどう理解したらよいのかですね、ひとつ具体的に説明をしていただきたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) 一人当たりの国民所得はなるほど最近二十番ぐらいをうろうろしていますが、しかしこれで十年前——私いまここに数字持っていませんが、十年前は、まあ私が経済企画庁長官をしておったときは、たしか一人当たりの国民所得では三十番ぐらいじゃなかったかという記憶があるんです。そのときの国民所得はいまから考えても四分の一ぐらいです、一人当たり。それで順次一人当たりの国民所得はふえております。そこで御質問は、二十番内外で上下しておるということについての御質問だと思うんですが、しかし、これは御承知のとおり人口で割るもんですからして、そこで日本の人口はまあ相当国土のわりあいに多い、そこで私のほうでいろいろな方面から研究してみたんですが、たとえば人口一千万以上で国民所得が百億ドル以上の国について比較してみますると、日本が第九位にのぼるんですね。で、いまの国民総生産を総人口で割りますると、たとえば第四番目がアイスランドです。これは国民総所得わずかに五億ドル、人口はわずかに十九万というようなこと、そういう国が世界で第四番目というのはちょっと聞こえぬと思うんです。しかもああいう国ですからして、少数の人が所得が多いというようなことでありますが、そこで実際人口数で割れば二十一番、二十一番ではあるけれども、実質上においては私は一人当たりの国民所得というものはそう少ないものではないというように私は考えているわけです。
○羽生三七君 これどうですか、政府委員の方々でいいんですが、いまの大臣の答えだけじゃどうも私納得いかない。私は私なりにいろいろ勉強してみておるんですが、なかなかのみ込めない点があるんですが、いまも下の控室で社会党の議員の皆さんと懇談してみたけれども、なかなかみんな、一体真の要因はどこにあるのかということは、これは問題じゃないかという話をしてきたわけです。新聞等でもいろいろな解説はあるけれども、それじゃこれが決定的な要因だということはなかなか新聞、雑誌等にも出ていない。だから政府委員の方でいいですから、ほんとうの要因というものは何だろうかという、人口だけの問題じゃないと思うんです。ひとつ説明してください。
○政府委員(矢野智雄君) いま御質問の最初の点でありますが、国民総生産が拡大しております。それとほぼ類似のと申しますか、その間人口も若干ふえておりますから、一人当たりにたいしますと、その分だけは割り引きされますが、ほぼ同じような近いテンポで一人当たりの国民所得も伸びてきております。世界各国も同様伸びておりますが、その伸びのテンポは日本のほうが総体的にかなり早いために、漸次順位は上がってきております。ただ、この順位が非常にこうわずかずつの差でおります場合にはどんどん順位が上がってまいりますが、そこにかなり断層のあるところですと、二年や三年は少しぐらい上がってもなかなか順位は変わらないのですよ。しかし、またある段階にきますと、またぐっと上がる。たとえば現在二十位ですが、あと十六位、十七、八、九位ぐらいはほぼ同じところだものでして、もうちょっと上がると、今度は三つ四つは順位が上がるかと思います。しかし、また少しギャップがあるということで、順位の点はそのときどきによりまして若干早く上がったりおそかったりすることはあると思います。しかし、各国との比較において、一人当たりの国民所得にしましても、かなり日本が総体的に早いということは事実であります。 それから生活との関連でありますが、一人当たりはいま全体の御質問の中にもありましたように、国民総生産では三番でも人口が多いから低くなる。逆に言いますと、一人当たりは低いけれども人口が多いから全体の規模としては大きくなるといっても、これは単純な算術の計算ですから、それ自身はそう問題の焦点になりませんが、それではなぜ一人当たりにすると低くなるのかと申しますと、最も中心的な要因は、日本の現状では一人当たりの生産性がまだ欧米諸国に比べて低いということをあらわしていると思います。それで、生産性はもちろんいろいろな産業によって違いますが、概してまだ日本の産業は全体的に欧米、特にアメリカに比べればなおさらそうですが、欧米諸国に比べて概して低い。特にやはり現在でも目立っておりますのは農業とか中小企業、サービス部門、そうしたいわゆる低生産部門の生産性がまだ少し格差がある。しかもその比率が欧米諸国に比べますと高い、低生産性のほうが比率が高く、しかもその生産性が低い。たとえて申しますと、農業が、だいぶ比率が減ってはまいりましたが、二〇%程度ある。しかもその農業の生産性が低いといったようなことが一つのやはり焦点かと思います。したがいまして、今後もっと一人当たりにしても順位がどんどん上がっていきますためには、やはりその生産性を向上させていかなければならない。特に低生産性部門の生産性向上というのが重要な要件になってまいります。そうして、一人当たりの国民所得が上がることが生活水準としてもどんどん順位が上がっていく基本的な要件になると思います。ただ、所得が上がればイコールそれで生活の内容がすべてよくなると限らない面もありますので、その点はたとえば社会資本を充実していくとか、こういう努力が一方に伴う必要がある、こういうふうに考えます。
○羽生三七君 この問題はもっと疑問点を伺いたいのですが、やや具体性を欠くので、これをまた適当な機会に譲りまして、次の質問に移ります。 それは経済社会発展計画は現在経済審議会で改定のための検討が加えられていると思うのですが、検討の進行状況はどうか。それから検討の結果それは改定されるのか。あるいは破棄して新しい新計画というようなものをつくるのかどうか、その辺はどういうことでしょうか。
○政府委員(鹿野義夫君) 経済社会発展計画が経済の実勢とだいぶ背離してまいりましたので、この一月の二十四日の経済審議会におきまして、経済社会発展計画について補正を行なうのが適当であろうというふうなことになりまして、経済社会発展計画のまあいわば手直しをいたそうということになり、今年一ぱいで大体その補正を仕上げたいというふうなことで、その具体的な作業は経済審議会の中の総合部会でいたすことになって、この四月の下旬に総合部会を開きまして、具体的な改定作業の組織及び段取り等をきめて具体的な作業に入っていくということになろうかと思います。まあ経済社会発展計画の補正という感じでございますが、おそらく若干目標年次をさらに延ばすというふうなことにもなりましょうから、いわば第二次経済社会発展計画といったようなものになるのではないかというふうに考えております。
○羽生三七君 四月作業が進んで、それがまあ最終的に発表という時期はいつごろになるのですか。
○政府委員(鹿野義夫君) 補正を完成して審議会のほうから政府に案を審議した結果を示すのが、大体いまの目標としましては本年一ぱいかかる、本年末ぐらいのところと考えております。それを受けまして、さらに政府として経済社会発展計画の補正を閣議できめるということになります。それはそのときすぐにやりますか、少し間を置いてやりますか等は、これからさらに検討していきます。
○羽生三七君 それでまあ改定にしてもあるいは新計画にしても、問題点は、本会議の代表質問の際にも触れましたように、いままでの計画と実績とはずいぶんひどい食い違いが、乖離があるわけです。ですから、この新計画は実績のほうに近づけるような計画にするのか、あるいは計画のほうに実績を近づけるようにするのか、そうなれば非常な行政的、政治的指導を強化せなければならぬわけですね。わずかな差のようですが、これだけひどい計画と実績との乖離がある場合に、これはもう単なる見通しで、社会主義経済のような計画じゃないからこれは違いますと言って済まされるようなものではないと思います。そうなれば、いま申し上げましたように、計画のほうに実績を近づける強力な行政指導、政治指導が必要になるし、そうでなければこの逆の形になるわけです。どちらに重点を置かれるのか、その辺はどういうふうになされるのか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 今度の計画につきましては、各方面のひとつ英知を集めて計画を立てたいと思っておりますが、そこで羽生先生も御存じのとおり、いま世の中は非常に変わっておりますから、昔は十年一昔ですが、いまは一年一昔というような世の中になってきておりますから、したがいまして、いまかりに昭和五十年を最後の年にして計画を立てるにしても、その間にたとえば情報化社会というものが発展してまいります。それから日本の経済の国際化というものはますます激化していきます。科学技術の発展というものもいろいろまた予測すべからざるものがまた出てくるし、そういうようなことで、あらゆる起こるべきいろいろの予見を、これも考慮に入れて私は計画を立つべきだと思うのです。それで、その計画を立てれば、それが政府のやはり経済政策の基本になって、各省がそれに対して経済政策を立ててもらうし、またこの経済社会発展計画に準じて、やはり国民もそれによって指導していくというような権威を持つ計画でなければならぬということで、今度はひとつ審議会の委員にもお願いしようということで、先般そういう旨のことを審議会の総会でも申し上げたわけであります。そういうつもりでやりたいと考えております。
○羽生三七君 それは意味するところはわかります。だけれども、いまのお答えは私の質問に対する答えになり切っていない。より具体的にいえば、経済社会発展計画の平均経済成長率は大体八%くらい、ところが、実際はいままで過去三、四年間、一二、三%になっておる。それから四十四年度は実績見通しで九・八%、そうすると、これは本会議の質問でも大蔵大臣に承ったことですし、また後刻大蔵大臣に承ろうと思いますが、大蔵大臣は財政演説の中で、この持続的繁栄を維持したいと言っておる。それは一二、三%を維持したいのかどうかと言ったら、一〇%くらいと言っておられたのですね。それは明年度の四十四年度のことを言うのか。経済社会発展計画で具体的に今後数年間を想定するのがそれになるのか。大蔵大臣にはまたあとで聞きますが、経済企画庁としてはどういうことなのか。
○国務大臣(菅野和太郎君) それは今度第二次と申しますか、計画を立てるについて、いろいろ基礎条件がありますね。そのいろいろな基礎条件を勘案して、その結果として何%ということが出てくるので、はたして一〇%で昭和五十年までずっと持続ができるかどうかというような問題、あるいはまた初めは一二、三%であって、五十年にはあるいは七、八%に下がってくるということも考えられます。で、私はいまそれは言えないが、大蔵大臣はおおよその見当を私は、言われたものじゃないかと思うのです。で、日本の経済は、どなたから御質問があったか、外国の成長率は五%以内だとか、日本では一〇%以上だというようなことで御質問がありましたが、日本は私は外国よりも経済成長率は高いはずだ、それはすべてのいろいろの経済条件が外国に比べていろいろまだこれから発展すべき条件があるから、この条件を満たすことによって日本の経済は発展するから、外国の経済発展よりも日本の経済のほうがそれだけより多く発展する可能性があるということを私はお答えしたのであって、その意味で、大蔵大臣としては一〇%くらいというおつもりを考えておるかもしれませんけれども、私としてはいままだ何%ということは、ちょっと私自身はまだお答えする自信はありません。
○羽生三七君 そうすると、パーセンテージをいまここで明確にすることは困難にしても、先ほど触れた計画ができたならば、経済は生きものですから、一〇〇%正確というわけにもいかぬでしょうが、ほぼ計画に近づけるような政治的な、あるいは行政的な強力な指導がなければ全く意味のないものになってしまうので、今後はそういう考え方を多分に取り入れると解釈してよろしいですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) それで基本になる価値判断、数量等、いろいろ統計やその他の集計の技術がありますが、そういうものもいままでは決して完全なものではありませんからして、そういうものをより完全にして、そうしてわれわれの見通しと実勢が違わぬようにひとつ今度はやってもらいたいと、こういう私は希望を持っておるわけであります。
○羽生三七君 時間がありませんので、具体的な問題を二、三聞いて私の質問を終わりますが、たとえばさっきの国民総生産と一人当たりの生活水準とがなぜこういうようにその意味するところが違うかということにも関連するのですが、そこで具体的な問題に触れるわけですが、四十年度を基準にした国民所得は二十五兆円、これは四十六年度のは四十九兆円ですね。これは年率二・八%程度の伸びを見込んできたわけであります、いままで。この伸び率に対する四十年度以降の実績及び四十三、四十四年度の見込み数字、これは政府から答弁しなくていいです、そんなことしていると時間がかかりますから、こっちから言いますというと、四十一年度は一六・五%、四十二年度は一八・四%、これは実績ですね、それから四十三年度は一六・六%、これは実績見込み、四十四年度は一三・六%、これは見通しです。こういうようにこういう数字が出ておるのに、今度は一方国民所得の実績は、発展計画の目標数字をだいぶ上回っております。この国民所得の分配を各項目別に見ると、これもこっちで数字を言います。これは対前年度比伸び率が最も大きいのは法人所得です。四十一年度が三一%、四十二年度が三二%、これは実績、四十三年度は二五・六%、これは実績見通し、それから四十四年度は一六・六%で、これは見通しですね。それからその次に今度は国民所得の分配項目の中の雇用者所得について四十年度以降の数字を見ると、四十一年度が一四・五%、四十二年度が一五・九%、これは実績、四十三年度が一六・九%で実績見通し、四十四年度が一三・八%でこれは見通しと、これは間違いないでしょう。こう見てくると、いまの数字でも明確なように、雇用者所得と法人所得の伸び率を比較しますとね、四十一年度で二・一倍、四十二年度が二倍、これは実績です。それから四十三年度が一・五倍、実績見込み、四十四年度が一・二倍、見通し、法人所得が雇用者所得を非常に大きく上回っておるわけです。発展計画では、この法人所得を雇用者所得に比して年率〇・六%上回るだけと想定しておったわけですね。それだのに、この法人所得に非常に片寄った分配になっておるわけです。雇用者所得については、最近の人口増加と雇用者数の増加を考えますと、この実態はさらにもっと差のある数字になると思いますが、こういうことがそもそも問題ではないのか、先ほどの問題にもこれはかなり関連をしてくると思う。非常に私は重要な問題だと思いますので、あえて一々の数字は意地悪く政府の答弁を求めないで、こっちから全部言って質問しておるわけですが、ひとつ考えをお伺いしたい。
○政府委員(鹿野義夫君) 法人所得、雇用者所得の国民所得に対するシェアをずっと長期にフォローしてみますと、全体といたしましては、やはり雇用者所得の分配というのが、長期の傾向といたしましてはだんだん高まってはきているんです。ただ、確かに景気のいいときには、ちょうどこの四十一年、四十二年、四十三年のような上昇カーブのときは、どちらかというと、法人所得のシェアが拡大する傾向がございます。それはちょうど過去の岩戸景気の付近の三十五、六年の数字をとりましても、国民所得に対する割合が一五%近くになっております。その二、三年前は一〇%を切るようなことであった法人所得が急に上がるというようなことになっておりまして、今回の四十三年、四十四年の数字あたりも一五%近くにだんだんなってきておりますが、これもやはり全体を通じて見ますと、法人所得のいわゆる分配率はそう大きな変化はございません。それに対しまして個人所得のほうは、長期的に見ますと、だんだん個人所得といいますか、雇用者所得のほうの比率はふえてきておりますが、この一、二年のところはやはりいま申し上げましたように景気の動きの影響を受けまして、ちょっと下がりぎみになっていることは事実でございます。ですから、計画のほうでは、四十六年度に大体五九%ぐらいになるというふうに雇用者所得の配分率を考えておったわけですけれども、それに対してはちょっといまの段階では追いつかない形になっております。これまたこれからの経済の動きによってどういうふうに変わりますか、一がいにその乖離が計画の予定したところと大きく変わったというふうには現段階ではにわかに判断はできないかと思います。全体の傾向としては、計画のねらったところとそう大きく違ってはいないと思いますけれども、ただ大きな景気の動きに左右されているという感じが非常にいたします。
○羽生三七君 私のいま指摘したいことは、必ずしも計画と実績、あるいは実績見通しとの違いを言っているわけじゃないんです。問題は、他の雇用者所得なり法人所得との差というものを言っているわけです。計画と実績との違いをそれほど重点に置いて質問しているわけじゃないんです。ですから、そういう問題が実は生活水準との問題等にも私は大きな影響があるのではないかということを指摘したいためにいま申し上げたわけであります。 それからもう一つそれに関連する事例としては、個人利子、賃貸料所得の伸びと雇用者所得のそれとを対比した場合、これも経済見通しに出ておるわけですが、この場合でも、かなり発展計画の見込みと雇用者所得の見込みとそれから実績と、個人利子、賃貸料所得の見込みとその実績とにかなりの差がある。これは前の法人所得ほどの差はありませんが、ある程度差があるんですね。このことはやはり国民所得の分配が企業とかあるいは財産所得者層に厚く、そうして勤労者の階層にいわば薄い、こういうことが言えるんじゃないかと思うわけです。だから、経済成長の成果の配分の跛行的性格、あるいはその不均等性ですね、これは資本主義社会だから当然だと言えばそれまでのものですが、これがやはり日本経済の非常な大きな問題点ではないか。これは物価問題にもある程度私は関連があると思いますが、こういう問題を今度の新計画では、せっかくつくったって政治的にそういう指導がなければこれは問題になりませんので、いま申し上げたこと一々について私は詳細な答えは求めませんけれども、こういうおおよその趨勢に基づいて、来たるべき経済社会発展計画の改定案というものは、改定計画といいますか、これはこれらの問題を踏まえて、いま日本の経済なりあるいは国民生活が当面問題としておる焦点がどこにあるかということをよく把握していただいて、それに値する政策立案をやっていただきたい、こういうことを考えて特に数字というものを若干御披露したわけです。これは通り一ぺんのことでなしに、ぜひひとつ御見解を承らしていただきます。
○国務大臣(菅野和太郎君) この経済社会発展計画は、大体基本は経済の効率化ということをもととして、そうして一方では物価の安定、それから一方では社会開発ということ、この三つを目標にしてつくったものであって、私はこの基本は今後においても変えられぬと思います。いま羽生先生が言われたような事柄は、まさしくその中へ入れて考うべき問題だと思うのです。所得の格差なんかはあってはいかぬ、みんなそれぞれの人が所得は均等であるということ、生活をみな均等化していくというところにこの発展計画の目標があると思うのです。だからして、今日までの状況においてそれが具体化されていないことはわれわれも遺憾に思いますけれども、その点は先ほどからお話がありましたとおり、経済が非常に急激に発展したために、ある時期においてはそこに乖離がありますけれども、しかし基本としては、いま申し上げたように、また羽生先生の希望されたような状況を満たすために私は計画を立てたいと、こう考えておる次第であります。
○羽生三七君 もう一つでございますが、それは分配面と並んでもう一つ問題になることは税制面における問題ですね。これはしばしばもう予算委員会等で指摘されたことですが、これは法人の場合、税及び税外負担を対前年度比で見ると、四十年度はマイナス〇・八——あれは四十年は不況のときでしたから、これはマイナスになっていますね。ところが四十一年度は一〇・二%、四十二年度は二六・七%と、こうなっております。そして法人の社内留保ですね、対前年度比は四十年度はマイナス一三・一%、これは先ほど申し上げたように四十年度の不況の影響ですね。四十一年度は七七・九%、四十二年度は四一・七%と大幅にふえてきておる。これが民間設備指導型の原資に使われた理由でありますね。ところが、個人の場合の税負担はこういうことから対比して、個人の場合の税負担は好不況にかかわらず四十年度は一八・四%、それから四十一年度一二・二%、四十二年度は一九・二%、こういうふうに増加を続けておるわけです。社会保険の負担とか、そのほかいろいろありますが、分配面での伸び率を低く押えられておる。被雇用者が税制面では逆にむしろ法人等に比べて高率負担をしておる。これも一つ問題だと思うのです。これは経企庁に言うよりもむしろ大蔵省にほんとうは言うべきことなんですが、これは経済の新しい計画なり、あるいは国民生活に重要な関係がある問題であると思うので、所管は大蔵省の問題であるかもしれぬけれども、経企庁としても十分ひとつお考え、御検討をいただきたい。これは重要な問題だと思って特にこれを問題にしたわけです。長官のひとつ御見解を承らせていただきたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) お説のとおり数字というものはあくまでも公正でなければならぬので、そういう意味で法人所得と個人所得とのそこの違いというものは、これはもちろんいろいろ問題がありますが、法人所得、留保所得など多いというようなことは、これは日本は御承知のとおり戦後資本がなかった国ですからね、それでいままで借金生活してやってきたのが日本の今日の企業の生き方です。したがって自己資本というのは大体少ない。社会資本のほうが多かった。そこで自己資本を増すようにさすという意味においての私は資金政策ではなかったかと思うのです。漸次自己資本を増して、そして会社の健全な発展をはかるという意味でそういう税制をとったのではないかと、こう私は考えておるのですが、まあその点はもちろんわれわれとしましても、今後日本の法人、会社、企業というものはどうあるべきかということも計画にあわせて考慮すべき問題だと、こう考えております。
○羽生三七君 この経済社会発展計画の中で一番計画と実績の乖離のはなはだしいものは民間企業の設備投資ですね。そうすると、ここにこまかい例を私はたくさん控えてきておるけれども、時間がもうあとわずかしかないからやめますが、これでいくと、経済社会発展計画というものは政府各部門間の財源配分計画あるいは配分見通し、どうもそういう感じがするのですね。ですから、民間企業においては、民間関係の指標にこういう大きな違いができる。政府関係の各部門間の財源配分は、これは計画と実績は若干の食い違いはあってもそう大したことはない。片方のほうは、経済指標のほうで動きますから——ということでやっているわけですね、この違いを説明されておるわけです。そうすると、経済社会発展計画というものは、いま申し上げましたように、政府各部門間の財源配分の長期見通し、あるいはその計画、こういう性格づけですよ。そういうものではないかという気がするのです。ほんとうならば、そういうふうに名前を変えてしまったほうがいいのではないかと思うし、もしほんとうに経済社会発展計画を新たに再び日本の経済発展の指標として世に問うならば、それに値いするような計画と、その計画を遂行するための強力な行政指導を伴うべきである。また、それがなければたいして意味はないと考える。その決意を伺って私のきょうの質問を終わります。
○国務大臣(菅野和太郎君) 民間の設備投資が予想以上にふえたということは、これは先ほどもちょっとおことばの中にもありましたが、経済というものは元来は流動的なものであって、ことに日本ではこういう自由主義をとっておる国でありますからして、民間人がやることについて一々こちらがコントロールするわけにいかない。したがって、また、今日日本の企業者がそれぞれの自己の思惑によってやってきたために日本の経済もここまで伸びてきたと私は思うのです。これを政府が一々指導しておったらここまで伸びなかった。そういう意味において私は日本の経済が発展してきたということは、経営者なり労働者なりがみな協力してやってくれたということに原因があると思うのです。それがわれわれの考えておるよりも予想以上にその活動が伸びてきた。また、それがために日本の経済はこれだけ伸びて、海外の輸出も盛んになってきたと、こう思うのであって、民間設備が予想より多かったということをもってこれを単に非難するわけにいかない。ただ、われわれ心配いたしますのは、過当設備です、民間の。これを少し心配するわけです。実際の需要以上に供給がふえたというようになってはいかぬのであって、外国輸出が盛んになればそれだけ需要がふえるから、したがって供給をふやすということで、みなメーカーが競争して過当競争をするというようなことで供給過多になって、かえって販路を縮めるというようなことがあってはいかぬのであって、そういう点をわれわれはコントロール、見守る、ウオッチする必要がありますけれども、民間の企業はこれはできるだけ民間にまかしたらいいというのがわれわれの考え方であって、また、そういうように今後もいきたいとかように思っております。
○羽生三七君 質問をやめるつもりでおったのですが、一言なかるべからずで、そういうお考えわからぬでもありませんよ。しかし、それでいけば結局あれじゃないですか、問題になるのは、資金配分とか、あるいは税制面とか、そういう問題があるでしょう。それだから、確かに私企業の旺盛な計画意欲なり潜在的エネルギーというものが日本経済の発展に寄与してきたことは間違いない。その結果としていろいろな格差も出てきたし、それから各種の公害とか、あるいはその他の問題が出てきたわけです。だから、それを調整するためにあるいは税制面で、あるいは資金配分でどうするかという政治課題が残されておるわけです。それを無視しまして、民間企業が伸びたために経済が発展したと言われると、質問終わるわけにこれはいかぬわけになる。
○国務大臣(菅野和太郎君) それは、元来初めは民間の経済にまかす、企業マインドにまかす、それに弊害があれば、それはもちろんわれわれのほうで金融面で指導するとか、あるいは財政面で指導するとかということはやはりやる必要があると思います。弊害が起こらぬようにやっていく。しかし、民間の企業マインドはわれわれがコントロールしてはいかぬという考え方です。しかし、企業マインドでかれらがかってにやることによっていろいろな弊害を生ずる場合にこれはコントロールしなければならぬ、こういう考え方です。だといって放任主義だという意味ではありませんから、その点はひとつ誤解のないようにしてもらいたい。
○羽生三七君 まだ申し上げたいことは一ぱいあるけれども、一応、きょうは時間の制約がありますので、これで終わります。
○主査(川上為治君) この際、おはかりいたします。 分科担当委員外の委員村田秀三君から発言したい旨の申し出がありますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(川上為治君) 御異議ないと認め、発言を許します。村田君。
○担当委員外委員(村田秀三君) 私が質問を申し上げたいことは、たぶん昨日仙台で株主総会を開催されたと思われます東北開発株式会社福島工場の譲渡問題についてお伺いしたいと思います。 前もって質問の要綱をお知らせしておきましたが、現地の情勢が動いておりますので、場合によると関連はするけれども、前もって申し上げましたことと違うことも質問いたすかもしれませんけれども、その点は御了承いただきたいと思います。昨日の株主総会におきまして議題、そして決定をされたかどうか、これは私はまだ聞いておりませんので、その点ひとつお答えをいただきたい。
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘の件につきまして、昨日臨時株主総会におきまして、東北開発会社福島工場を福島製鋼に営業譲渡するという件につきまして御了承を得た、こういうふうに承知をいたしております。
○担当委員外委員(村田秀三君) この問題は、衆議院でも過般やられております。したがいまして、特段に重複するつもりはありませんが、しかも時間が短こうございますから、すぐに本論に入りたいと思いますが、そうすると、株主総会で了承を得ましたその結果、譲渡本契約といいますか、それはいつ日付で行なわれますか。
○政府委員(宮崎仁君) 福島製鋼と東北開発会社との昨年来の交渉におきましては、四月一日に譲渡をしようという計画というふうに伺っておりますが、もちろんその前提といたしまして、従業員の問題等もございますので、組合と十分話し合いをいたしまして、円満に妥結した上で引き取ってもらう、こういうことになっておりますので、ただいま団体交渉継続中でございます。予定どおりいくことを私ども希望いたしておる次第でございます。
○担当委員外委員(村田秀三君) そうすると、重ねてお伺いしますが、私らの聞く範囲内では、本調印の月日は三月三十一日付ではないか、こう聞いておりましたが、ただいまのお答えですと四月一日、しかも労使の問題が解決された以降に本調印なさる、こう理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(宮崎仁君) 私の先ほどのお答えがちょっと不十分でございましたが、三月三十一日に契約を結びまして、四月一日から譲渡をするという予定だそうでございます。具体的にはもちろん従業員の問題がございますので、十分話し合いが済んだところで譲渡をしていくということで、昨日の臨時株主総会におきましても、そういった条件をつけて了承された、こういうふうに伺っております。
○担当委員外委員(村田秀三君) そうすると、何か矛盾があるような気がいたしますが、三月三十一日に本調印をいたして譲渡契約を結んで、そして四月一日から譲渡をする、こういうことですね。しかし、その前段として労使の問題が解決されてからという先ほどの言い方もあったのでありますが、それが若干言い直されたようだが、いずれにいたしましても、形式的には四月一日に譲渡はするけれども、本質的にはいわゆる労使の問題が解決するならば、解決した時点で譲渡の契約内容が変更されるという、そういうこともあり得るわけですか。
○政府委員(宮崎仁君) 三月三十一日までに労使の交渉が円満に妥結することを私どもは希望しているわけでございまして、それによって契約を結び四月一日から譲渡するという形が一番望ましいと考えておるわけでございますが、もしかりに万一その交渉がそれまでにまとまらぬということになりますと、おそらく若干契約を結ぶ時期をずらさざるを得ないかと考えております。
○担当委員外委員(村田秀三君) そうすると、労使の問題が妥結しない限りは、いわゆる予定をいたしております三月三十一日の契約も先に延ばさざるを得ない、こうしかと理解してよろしいのでございますね。
○政府委員(宮崎仁君) 私どもはあくまで三月三十一日までに妥結することを希望しておるわけでございます。事実問題としてそれまでに妥結しないということになりますれば、若干のズレはやむを得ないかもしれないと思っております。
○担当委員外委員(村田秀三君) それじゃまあ希望しておる、そのことはわかります。また計画を持っておられることも、それは理解いたしますが、しかし現場は動いているわけでありますから、それが三月三十一日時点で労使の問題が妥結しない場合は、当然これは時日があとにずれることもあり得るということを確認をいたします。 それでは次いでお伺いいたしますが、いまの話の内容からしますと、労使の問題がどう決着するかによって多少譲渡契約の内容的なものが変わるのではないかと私自身は想像するわけでありますが、そう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(宮崎仁君) 譲渡契約の内容につきましては、もちろんその大きな問題としては、譲り渡す資産の価格の問題であるとか、その条件であるとか、あるいは職員の待遇の問題であるとか、さらに譲渡後における販売の問題であるとか、いろいろございますが、時日のもしズレがかりにあったといたしますと、そういったことによる調整は若干要るかと思います。しかし、いま申し上げたような問題でございますので、実体的な問題として大きな変更はないのじゃないかと思います。ただ一つ申し上げておかなければなりませんのは、相手側の会社としては、この工場を譲り渡しを受けた後における設備増設の計画があるようでございますので、そのほうとの関係で時期的には非常に制約があるというふうに私ども伺っております。
○担当委員外委員(村田秀三君) はい、わかりました。そこでお伺いいたしますのは、譲渡価額、これはもう当然のことだと思いますが、計画段階においては固定をしているわけでしょう。それは、もう少し具体的にその点をお聞きいたしますが、私ども聞く限りでは、高萩工場と福島工場が一緒に譲渡されるということでありますが、それがひとつ事実かどうかということと、それからその譲渡価額につきましても、当然高萩と福島工場は分離してこれは評価をされているのではないかと、こう思います。その内容的なものをちょっとお伺いしたい。
○政府委員(宮崎仁君) まず第一のお尋ねの点でございますが、福島工場それから高萩工場も含めまして、カーバイト事業部門一切を福島製鋼に譲渡するという内容になっておるようでございます。 価格の問題につきましては、もちろん会社同士の話し合いはかなり詰まっていると思いますけれども、正式の譲渡契約を結びますときに流動資産等の評価もその際にいたしますので、私どもとして正式な会社の申請を待ってこの問題の判断をいたしたいと考えておる次第でございます。会社のほうとしては、こういった問題に対する適正な第三者等の評価をお願いして、いろいろ内容を詳細に評価をやっておるというふうに私ども承知をしております。
○担当委員外委員(村田秀三君) 会社の方どなたか来ておりますか、前もってお呼びはしていたわけですがね。それじゃきょうの問題に合いませんから、会社の方はこれはしかたありません。 そこでお伺いしますが、その譲渡契約は三月三十一日にするわけでありますから、それまでには当然きまらなくてはならぬわけでしょう。
○政府委員(宮崎仁君) そのとおりでございます。
○担当委員外委員(村田秀三君) そのとおりだね。そうすると、現時点でどの程度まで煮詰まっておるということを聞いておりますか。
○政府委員(宮崎仁君) 実は数日前に衆議院の社会労働委員長におきまして、東北開発の総裁に対しまして同じ質問がございまして、固定資産の額につきましては二億五千ないし三億の間くらいというふうに御了承願いたいというふうに総裁おっしゃっておられました。私どもも大体そんなところできまるものというふうに伺っております。
○担当委員外委員(村田秀三君) これほんとうにきまっていませんか。
○政府委員(宮崎仁君) それは事前折衝をやってあるわけでございますから、大体の額はきまっておるのだと思いますが、御承知のとおり、こういった重要財産の処分につきまして主務大臣の認可その他の手続もございますので、いまの段階で明確にし得ないということでございますので、もう一つは流動資産についての評価、これはその時点にならぬとわかりませんが、そういったものもあわせて決定したい、こういうことだと思います。
○担当委員外委員(村田秀三君) これはきまっておるけれども、いろいろな事情があって公表できない。きまっておらないとすれば、これはいまおっしゃった限りでは経済企画庁の責任でないと言えばそれまでの話になるかもしれませんが、二億五千万から三億円というずいぶん幅のある話ですね。おそらくそのようなことはないと思います。経企庁としてはそれを知らないわけですか。だから、きまっておるけれども、どうしてもこれは言えないというのと、全然きまらないというのとではこれはだいぶ違うわけでありますから、その点明確におっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(宮崎仁君) 私どものほうでは相手会社との折衝の状況等についてそのつど報告を聞いておりますので、大体詰まっておるというふうに聞いております。正式に契約が終わったところで申請をしてくるわけでございますので、それまではこの額については明確にし得ない、こういうように伺っております。やむを得ないであろうと、こういうふうに了承しておる次第であります。
○担当委員外委員(村田秀三君) ぼくは了承できないのですがね。監督官庁ましてや当該責任者として全然知らぬということはないですよ、これは。少なくとも東北開発株式会社は、私がいま歴史を申し上げる必要もないほど、言ってみればなるほど特殊法人かもしなない、資産の管理運営については政府の手を離れるとはいうものの、これは当然に企画庁に監理官を一人これは振りつけておるのでありますし、さらには会計検査院の検査対象にもなっておるわけでありますから、いってみれば準国有資産ですね。それが処分されるときに、直接の担当監理官あるいは監理すべき庁が、その経過がどうもわからぬということはまことに心外にたえないと思いますね。だからきまってはいる、しかしながらこれは公表できないのならできない、それはそれでいいでしょう。だからきまらないとするならば、これはたいへんな取引をしようとしておるわけですから、その点明確にしてもらいたいと思います。
○政府委員(宮崎仁君) 先ほど申しましたように、両者の折衝の過程におきまして、大体そういった評価の額については話が詰まっておる、こういうふうに伺っております。しかし、これは正式に契約が締結するまで外へ出したくない、こういうことでもありますので、その経緯は私ども了承しておるわけでございます。評価の方法等につきましても、内容をある程度伺っておりまして、まあ大体妥当ではないか、こういうふうに判断をいたしておる次第でございます。
○担当委員外委員(村田秀三君) 評価の方法も聞いておるということでありますが、まあ前段の問題は、これはやりとりしても、いまここでどうしても言いたくないようです。実を言うと、私は、現場の交渉をいたしておる方々からの報告によれば価格はきまっておるということを会社の責任者から聞いております。だからおたくのほうでそれを知らないということはあり得ないと思います。もちろん価格が幾らにきまっておるかといっても幾らになりましたということは言ってきておりません、正直に申し上げまして。そこまでは言いません。しかし、きまっておるということです。これは売り値をきめないで売る人もいないし、買うほうだって買い値をきめないで買う人はいないはずですよ。少なくとも仮協定を結んで本協定を、本契約をしようという段階、それも二、三日の間でしょう。しかもそれが総会で確認されたとするならば、当然それは価額もきまっておる。あとは、先ほど来の話のように、団体交渉の経過の中で多少のズレはある、こういうことに理解しなければならないと思いますよ。時間がありませんからどうもならぬようでありますけれども、そういうような監理のしかた、監督のしかたというものはありませんよ、常識的に考えても。そう私は思います。 そこで、次の問題に入りますが、評価のしかたを聞いておるということでありますが、実は私も貸借対照表をいただきまして見ました。そこで、この二億五千万から三億というのはどこをどうやってそういう価値が評価されたのかなと非常に疑問に思っておるわけでありますので、その評価のしかたを伺っておるとすれば、ここでひとつ発表していただきたいと思います。
○政府委員(宮崎仁君) 福島工場の固定資産の簿価は、四十三年度末で大体四億二千万余円ということになるわけでございますが、このうち土地の部分が四千百万余円でありますけれども、この分については日本不動産研究所等に依頼をいたしまして、そうして適正な評価をやっておるということでございます。それ以外、建物等はございますが、これは現在の用途そのままで使えない部分等もございますので、そういった点も考えまして、また、この工場の譲渡が従業員全部をつけましてそうして引き取ってもらうという条件でもございますし、また現在カーバイト事業においてここ数年一億五千万ないし一億六千万程度毎年赤字を出しておるというような状況でございますので、その辺の程度をいろいろ勘案いたしまして額をきめる、こういうふうな報告を受けておりますが、そういう考え方でやるということは大体妥当であると、こういうふうに私どもは考えておる次第であります。
○担当委員外委員(村田秀三君) もとよりそれだけの説明ですべてを了承することはこれは不可能です。不可能ですけれども、疑問点だけ一つ申し上げますが、固定資産四億二千万、土地が四千百万、こういう話ですね。これは不動産研究所で正当に評価されているということです。実はこれをどう評価しているのかということを聞きたいと思うのですが、とにかく土地四千百万という評価にいまおっしゃいましたが、四十三年十月一日の貸借対照表を見ますと、三千二百六十三万なんです。私の表の見方が間違いがあれば御指摘をいただきたいと思いますが、とにかく三千二百六十三万五千ですよ。
○政府委員(宮崎仁君) 四十三年十月末の福島工場だけの土地は簿価で三千二百六十三万五千でございますが、先ほど申しました数字は、このほか高萩充てん所あるいは社宅、残滓の捨て場、その他の土地とございますが、そういうものを全部入れて申し上げた数字でございます。
○担当委員外委員(村田秀三君) この表のことでやりとりしたくありませんが、財産目録には高萩の分も同じようにこれは掲載をされているわけですね。そうして貸借対照表これ一枚ですから、私はこれは込みじゃないかというふうに理解しておったのですが、別だとはっきり言っていいですか。
○政府委員(宮崎仁君) ちょっと、先ほどの答弁が誤っておったようでございますので訂正いたします。簿価三千二百六十三万五千は高萩充てん所等も含めた土地の価額でございまして、四千百万と申しましたのは、専用側線の利用権等も含まれるということでございます。
○担当委員外委員(村田秀三君) はい、わかりました。 そうしますと、私の希望を素朴に申し上げておきますが、これはどのように評価がえされるかということを、あとで資料をいただきたいと思います。 とにかく福島工場の土地は、側線を入れないで二万八千七百二十六坪、高萩が七千三百四十三坪、合計して三万六千六十九坪、そうして評価額が、先ほど申し上げました三千二百六十三万五千ですね。それを込みで坪計算をいたしますと、これは坪九百五円くらいにしかならない。それから、残滓処理場なんかございますから、これは低く押えてこれをカットいたしまして計算をいたしましても九百七十円、こういうことになるのです。あの周辺私も福島ですから知っていますが、いまその辺の田は七千円くらいで売れるという話も聞いておる、あるいはその周辺をある会社が坪一万円程度で売ってくれないかという折衝を始めたということも聞いておる、非常に疑問があるんですよ。そこでこれをひとつ二億五千万から三億の中でどう評価されようとしておるのか、私もこれはきわめて関心を持たざるを得ない問題であります。いろいろ赤字をしょわせてやるわけじゃないと思いますが、一部営業も続けるということであります。しかし一部営業を続けるということは、損害を予測してやる人もないと思いますね。ある程度ペイするであろうという見通しを持って引き受けるのではないかと思います。そうすると損害分も含めて譲渡契約をするなどという契約のしかたなんていうのは、これは民間同士ならありませんよ、こんなやり方は。そういうことを監督しないで何を監督するのかという問題だって出てきます。したがって、ここでは何も現実的な資料というものはありませんからいろいろと申し上げることはできませんけれども、少なくともこれは非常識的な取り引きがなされるのではないかというような懸念を抱いておるわけです。まあよけいなことを申し上げるとそうなるのです。こういうことをかりに現在の法律体系の中で正しく扱いましたといっても、付近住民は了解しません。何か陰でするのじゃないかというところで、これは行政不信につながってくるわけでありますから、だれに、どこで、どのようにこれは追及をされても、公明正大に答えができるような処理のしかたをしていただかなければならないと私は思います。 そこで長官にお伺いいたしますが、その点のひとつ所見を表明していただくと同時に、この帳簿上の資産を譲渡する際には当然機械も、設備も、社宅も、土地も新たに評価がえをして契約をなさるはずだと思いますので、その評価がえをした数字を、後日お出しをいただくということをお約束をいただきたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 今日売買するにあたっては、帳簿価額は別として、やはり時価で売買さるべきものと思いますから、おそらく評価がえしておると存じますが、評価がえしておるのであればその資料をあとでお見せすることにいたします。
○担当委員外委員(村田秀三君) そこで、時間もございませんので次の問題に入りますが、労使の問題は現在どのようになっておりますか、報告を聞いておりますか。
○政府委員(宮崎仁君) 本日の状況は私まだ報告を受けておりませんが、二十七日までの状況でありますと、大体こういう形で福島製鋼に営業譲渡するという基本方針につきましては組合側としても了承いたしました。条件として二つのことが問題になっておるように伺っております。一つは、東北開発会社を退職いたしまして、退職給与金をどうきめるかという問題、もちろん規定の退職給与金が交付されるわけでございますが、それにさらにもう少し追加をしてもらいたいという御要望が組合側に一つございます。それから福島製鋼に移りました後における職員の身分の問題、これについて現在よりも悪くならないようにいろいろの要望がある、その二つについて団体交渉を行なっております。本日もおそらく団体交渉をまた再開しているのではないか、こういうふうに承知をしております。
○担当委員外委員(村田秀三君) この問題は、こまかに入りたいと思っていましたが時間がございません。今回は特殊な事情でございますから、延ばしますとあとに差しさわりがございますから私はやめますが、実は内容的なことも、私、報告を現地から受けております。言ってみればわずかなことなんですよ。何でこんなことにこだわっておるのだろうか、こう思う。先ほどおたくがおっしゃいましたように、とにかく三月三十一日にはやる努力をするけれども、妥結が条件だ。しかもその妥結がなされなければ後日に食い込む場合もある。そうすると、おそらくはもうすでに、あなたがここでもって発表はできないかもしれないけれども、現地では譲渡価格はきまっているのだと、こう言うのですよ。いずれにいたしましても、その交渉の経過でもって多少動く余地があるとするならば、その多少の動きなんというのは、これはもう金額に計算したらわずかのことですよ。これはひとつ労使間がすみやかに解決するように行政指導をなさったほうがよろしいかと私は思います。どうしてもそれができないとするならば、そのできない理由を聞かなくちゃならないわけですが、いかがでございますか。
○政府委員(宮崎仁君) 一月以来の団体交渉の経過におきまして、私もその状況をそのつど伺っておるわけでございますが、御承知のとおり、東北開発会社が三十九年に再建計画を立てました際に、カーバイト事業の将来を考えますと、これは適当な転換をはからなければならないというので、再建計画に織り込んでおった懸案の問題でございます。いままでいろいろのお話もございましたが、今度の話が一番職員の点からいっても条件がいいと、こういうふうに判断をいたしまして私ども賛成をいたしたわけでございます。したがいまして、労使間の円満な妥結が見られるということを強く希望しておるわけでございますが、ただ、ただいまも申し上げました再建計画ということで相当膨大な金額の政府出資を仰いでやっと再建をするという会社の現状でもございますので、内部的な条件は非常にきびしいものがあるというので、そういった点を十分考慮して会社の首脳部としてはからってもらいたい、こういう意向でございます。もちろん、この譲渡に当たりまして規定の退職金を払わなければならないわけでございますが、その分についてはいわゆる再建出資金の計算の過程におきまして考えておりますけれども、したがいまして、この額を基準にしてひとつやってもらいたい、こういうことで私どもは申し上げているわけでございます。ただ、申すまでもなく、これは会社として当事者能力は十分持っておるわけでございますので、総裁、担当理事等の努力で円満な妥結をはかられるように希望しております。
○担当委員外委員(村田秀三君) 時間がございませんのでやめますが、先ほど申し上げました資料、それもひとつできるだけ具体的なものをいただきたいと思います。もしも疑義があるとするならば、後日またこの問題について質問をしたいと思います。その点を留保いたしまして終わります。
○鈴木一弘君 長官、万博の問題で最初にお伺いしたい。万国博の参加国が最終的には七十カ国以上になるだろう、そういうふうに見られているわけですけれども、御承知のように、中近東の関係でイスラエルが脱落したという非常に残念な事態が発生しております。で、こういうように、いま七十カ国以上になると見込まれている参加国のうち、イスラエルのように脱落者が続いて出るということになれば非常に困ることでありますので、その点、大国だけの万博というわけにはいかないと思いますから、やはりかなりな配慮というものを政府としてはしなくてはならないと思います。その点どういうふうな御意向であり、またどのような御所存でいらっしゃるか、これを最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 具体的なことは政府委員からお答えさせますが、お話しのとおり、今度はアジアで初めてでありますからして、まあ私たちの最初の希望は、アジアの諸国は経済力の少ない国でもひとつ参加をしてもらいたいということで極力参加を慫慂したわけです。初め参加しないといっておった国々も近ごろ参加を申し出てきたので、その点は大体目的を達成したように思うのでありますが、しかし、その他アフリカ、中南米あたり、御承知のとおり、経済力が少ない国ですからして、そういう国も参加してもらいたいということで二度も三度も勧誘に行っております。まだ最後的な決定はしておりませんが、どうしても五月までには決定をしなければならないと思っておりますので、その間の経過をひとつ政府委員から答えさせます。
○説明員(井上保君) 脱落の問題でございますが、それ以外に今後ふえてくる見込みの国がございます。しかも今後ふえてまいります国は、どちらかと申しますと、御指摘のような発展途上国というようなものが多いわけでありまして、いまのところこういう国が十あるいはそれ以上ふえてくるのではないか、こういう観測をいたしております。したがいまして、そういう国が入ってくる場合におきましては、そこに地域別の共同館をつくりまして、そこで展示をやってもらう。そういうことになりますと、各国当たりの負担部分が少なくなるということで各国の参加がしやすくなるということになります。現在三つないし四つ程度の共同館を考えておる次第でございます。それで経費を軽減いたしますと同時に、こういう少ない経費につきましても、なるたけ向こう側が入ってきやすくするというようなこともございますので、発展途上国の一次産品の買い付けを可能な範囲で促進していくというようなことも考えております。それからまた輸入代物弁済と申しますか、こちらが買いますものの代金で向こうのパビリオンの経費を出したいというような申し出もございますので、これは関係省庁あるいは商社等中に入れまして、極力そういう要望が実現されるような手段を研究しておる最中でございます。そういうようなことで発展途上国の参加を慫慂したい、こういうように考えております。
○鈴木一弘君 地域別共同館、こういうような考え方でやられるわけですけれども、この展示館の建設が現在五十一館ですか、着工している。こういう話ですが、外国のほうはまだ十八館ということで、目標の七十カ国の三分の一程度ということになるわけです。これで大体見込みというものはおつきになるのでしょうか、どういうような状態なんでしょうか。
○説明員(井上保君) 発展途上国の入ります予定の共同館でございますが、これの建設は、まあ協会が事実上やりましてそこに小間割りをしていくというようなものもございます。そういうものが多うございまして、そういうようなことで、そういう今後入ってくるものの展示に必要なパビリオンの建設については時間的な問題はまだあまりない、今後着工しても間に合うということでございます。
○鈴木一弘君 今度の会場には現在三千人程度の労務者が働いているということですけれども、一番最高のときには一万五千人程度は必要だろう。そうなると、この労働力の確保ということが非常に大きな問題になる。賃金は上がるでしょうし、それから労働力が一時に必要になる、工事も一時に集中する、こういうことになりますと、これはいままで何でもかんでも突貫工事で、オリンピックに見るようなふうにおやりになったのですが、こういう問題の解決あるいは計画、こういう点がはっきりしませんと、いろいろな関係に労働力の問題が出てくると思いますので、伺いたいのです。
○説明員(吉本実君) ただいまの万博の労務対策の件でございますが、万博は国家的なお祭りというような観点からも、政府全体としてぜひこの労務の確保ということをはかる必要があるということで、私ども全力をあげてこれの労務者の確保にはつとめている次第でございます。具体的にはいわゆる広域職業紹介の業務の強化ということで、必要に応じまして、すでに第一期の送り出し目標を設定して現在実施してございますが、四月からさらに第二期の目標を設定し、各都道府県から必要な労働者を誘致するようにはかっている次第でございます。また沖繩の労働者につきましても、当地の開発青年隊等が昨年第一回のチームをつくりましてこちらにまいりましたが、現在第二期が、今明日中まいりまして、さらにこれに参加する、本土との一体感を強めるということからも積極的な受け入れを進めている次第でございます。こういったいわゆる広域職業紹介は、全部、万博の臨時安定所を大阪の吹田に設けてございますが、そこで一括して、特に求人関係も一元的に処理している。こういうような実態でございます。今後ますます求人が増大してくると思いますが、先ほど来ございますように、一時に集中することのないよういろいろ私どもとしてお願いしてございますが、そういった際にもできるだけ各方面を督励しまして、この労務確保に万全を期していきたい、こういうような気持ちでございます。
○鈴木一弘君 一時に工事が集中することのないようにはかってもらいたい。そうでないと、なかなか労働力は非常にむずかしいという感じがするわけですけれども、この点は長官どういうふうに工事の問題なり、お見込みですか、いまどう見ても一時的にギュッと集中するような感じを受けるのですけれども。
○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおり、工事がだんだん会期が迫るに従って集中するということは、これは私は免れがたい状況だと思います。これは世界の各国——私もブラッセル、カナダの当事者にも聞いたのですが、みな苦い経験をなめておるのですね。会期が迫らんと工事が進捗しないということで非常にみな苦い経験をなめているということを私聞いたのでありますが、しかし、まあいまの日本の建設状況からいくと、これは私は十二月に聞いた話でありますが、ちょうど、十五カ月前ですが、カナダも、ブラッセルも、日本のほうがまだ建設状況は進んでおるということを私に言ってくれたのであります。これは前から、万博には昔から言われておることですが、万博は三分前に完成する、ということばがあるそうであります。これはブラッセルの人から私は聞いたのでありますが、まあそういうことで日本のいまの状況を見て、だいじょうぶ完成しますよと言って私を激励してくれたことがあるのでありまして、まあ私も協会の人あるいは建設業者の人にお目にかかっても、大体やれますと、みな言っていますから、私自身はいまのところ安心しておるわけです。
○鈴木一弘君 結局、いかにして労働力が確保できるかということに、そうするとなりますよ。これからいまの工事を何とか配分をうまいぐあいにといっても、やはりどうもそうは見えない、こういう状況はあります。広域の職業紹介あるいは沖繩からというようなことで十分まかなえるという見込みがついているのですね。
○説明員(吉本実君) 私どもは全体の計画をにらみ合わせまして送り出し計画を立てておりますが、現在までのところこの達成に十分いけるのではないかと思っております。
○鈴木一弘君 次は、これはあと地の問題です。まだ始まらないうちにあと地のことを聞いて恐縮なんですが、あと地の利用計画いかんによっては資金計画も変わるし、建設のあり方も変わる、こういうことになってくるわけですが、現在は関係者の間でも、まだ白紙の状態だということであり、政府のほうにも特に成案というものはないように聞いております。全国総合開発というのは、経企庁でも大きく取り上げているようです。そういう観点等から見ても、かなり有効な利用を考えなければならぬ。そのあと地利用の計画はどういうような方向、あるいはどう持っていくのか、いま一つは、万博は大阪府それから運営の万博の協会、それから施行主の政府というふうに三つになるものですから、その三つの顔があと地の問題についてお互い顔をそむける、こういうことがないように願っておるわけですが、その点についてはどうですか、この二つについて。
○国務大臣(菅野和太郎君) あと地の問題については、私は早くきめたいと思っておるのです。そうじゃなければ、建設する場合にも、あと地の問題はやはり関連して建設してもらったほうがいいと思うのです。そこであと地の問題を早くきめたいと思っておりますので、私が今度また万博を担当して間もなく、あと地の問題は早くきめようということを言明しまして、各方面からあと地をいかに利用するかというアイディアをいまお願いしておる。この万博というものは世紀の祭典であるし、私から見れば、今後百年間には、もう二度と日本にはこないと思っておるのでありますから、せっかくこういうような大計画の万博を永久にひとつ残るようなものにしたいと、で、あそこは百万坪開拓したのですが、百万坪を全部利用するような何か利用方法はないかということを、皆さんの知恵で、英知でひとつ定めたい、こう思っておるので、いま各方面からいろいろなアイディアを求めております。それで大阪府からもあるいは大阪市からもあるいは大学からもいろいろいってきておられますが、いま私のほうで資料を収集している最中でありまして、いずれ相当アイディアが集まったときに、ひとつ万博の閣僚協議会できめたい、こう考えておる次第です。
○鈴木一弘君 これはかなり早急にやらないと、建設の問題と非常にからんでくるわけですから、大臣のめどでは、ぎりぎり一ぱいどの辺というふうにお考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) ぎりぎり一ぱいというところまではっきり言明できませんが、まあ私の考えでは、七、八月ごろまでに見当つけたい、こう思っておるのです。
○鈴木一弘君 次は、万博の性格で、国民の間からいろいろな声が出て、大企業の利益のためじゃないかとか、国民大衆のものではないではないかというふうな批判があって、万博自体についての意義ということが正確に理解されていない、こういうことから誤解も出ているだろうと思いますが、そればかりともまたいえないような感じもする。たとえば民間企業の展示館が非常に多い。その場合、商業政策的なものが第一義的に出るようなことがあれば、その非難が現実になってまいります。そういう点で施設への参加というのは、施設参加の経済界の規模というものもよくない。展示館と違うのですから。こういうような点等も大きな原因になってくるのじゃないかという心配をするわけです。かりの心配ならけっこうなわけなんですけれども、この点についてのいろいろな配慮をしていかなきゃならんと思うのです。この点の見解をひとつお伺いしたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) 万国博覧会というものは、これは日本全国民の博覧会ですからして、したがいまして、一億の国民がそれぞれの持っておるものを活用してもらうということ、知恵のある人はアイディアを出してもらうとか、そういうことで一億の国民がこれはわれらの博覧会という気持ちを持ってもらって、いま万博はあまり世間に知られてないという話がありましたが、この間万博の記念切手を売っても、即日に売れましたし、全国的に。相当国民が理解を持ってきたのではないかと思いますが、御承知のとおりこれは日本で初めてです。万博というものについてほとんど理解してない人が多かったと思うのです。それがようやく最近万博というものがPRの結果だんだんとわかってまいりまして、これはわれらの博覧会ということで、みなだんだん盛り上がってきておるのではないかと思うのであります。ちょうど私も一昨年カナダへ参りまして、カナダの当事者から聞いたのですが、まだ一年前まではカナダにおいても国民が十分理解してなかった。そこで二千万の国民のわれらの博覧会というキャッチフレーズを出して、そしてようやく国民が理解してきて、みな非常に熱心になってくれたという話を聞いたのでありますが、まあ日本におきましても、今度小学校にも、中学校にもテキストを送りまして、万博の知識を中学生、小学生にも教え込むというような考えをしておりますし、その他各方面から万博のPRをやってもらっております。三月十五日は万博デーとして全国的にいろいろ催しをやっておりますし、それから各府県で万博の推進会議というものを設けてもらって、そして市長、知事が中心になってやってもらっております。これがまた非常にPRになるのじゃないかと思うのです。そこで問題は、やはりわれらの博覧会ということでやってもらうので、そこで商業的なような意味に堕してはいかぬという、われわれ考えをしておりますし、また万博の規則を見ても、そういう商業的なことにやっちゃいかぬという規則がありますからして、それによってやはりコントロールしていきたい、こう考えておりますからして、商業的にはならぬように、国民がみな自分らの博覧会としてこういうものができたというような気持ちを持って、国民が喜んでひとつ見学してもらうようにしたい、こういうふうに考えておる次第です。
○鈴木一弘君 カナダで開かれた万博の運営委員会で、日本の今度やる万博に対して、警備の問題、警備状況についての非常に心配があるということがいわれているということですが、万博についての警備の問題あるいはその内容、対策ですね、こういうことについて伺いたい。
○政府委員(海江田鶴造君) 最近、昨年来学生等によります不法事案等が起こっておりまして、これが内外の新聞報道等に報ぜられておりますので、外国あたりでも、はたして万博の際円滑に行なわれるのかどうかということの心配があるように私どもも聞いております。しかしながら、まだ一年先のことでありますので、確定的なことは申し上げる段階ではございませんが、大体万博の警備については、私ども考えておりますのは四つほどあると思いますが、一つは平日十七万、あるいはピーク時には四十二万、合計期間を通じて三千万くらいの観客が内外から来るということでありますが、これの安全の問題、それからもう一つは車を含めた交通の問題でございまして、これもピーク時には一日二万九千台くらいの車が来るという予想を立てておるわけでございますが、これの交通事故防止並びに渋滞の整理あるいは広域的な交通の整理、それから次は、外国から見える人のほかにいわゆる参加国の元首、これが約二十五、六カ国見えるのではないかと見積っておりますが、これ以外にも元首に準ずる人たちが相当見えるわけでございますが、これの安全の問題がございまして、さらに一番問題になっておりますのは、万博に対する組織的な妨害行為でございまして、これは一部には、万博に反対するために反戦万博をやろうというような動きがあるように報告を受けておりますし、また三派全学連の中には、これを紛砕するのだというような動きを示しておる向きもあるようでございますが、私どもとしましては、これからそういうものに対する調査並びに準備をいたしまして、警備に万全を期していきたいということで、大阪府警察を中心に鋭意検討を重ねておりまして、当面は大阪府警察が原則的には平常時六百名、ピーク時には——これは日曜、祭日でございますけれども、ピーク時には約千名の警察官を常時配置して、必要があればさらに機動隊その他を使って適切な警備対策を立てる、こういうことでございまして、一応万全を期しておるということでございます。
○鈴木一弘君 外国の代表も来るあるいは多くの観客も来ることでございますから、この点は十分対策を、念には念を入れてやっていただきたいと思います。 それから長官、次は、外務大臣が万博関係閣僚協議会で中国の招請をしたいということについての最終的な結論を得たい、こういう話があったのですが、これはどういうふうに見解をお持ちですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 実はまだやっていないのです、万博の閣僚協議会は。予算が済んでからそれからひとつ開きたいと、こう考えております。そのときに当然それが問題になると思います。
○鈴木一弘君 長官としては、担当大臣としていかがお考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) これは、私はもう、参加してもらえば一番けっこうだと思いますけれども、しかし、いまの日中間の状況のもとにおいては、まず不可能ではないかという私の考え方です。
○鈴木一弘君 これは努力をしてもおそらく受けないであろうということか、まあわが国から考えて無理じゃないかという考えか、二つあると思うのですが、どちらでしょう。
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は努力してもまず不可能じゃないか。というのは、台湾のほうがパビリオンを出すことになっておりますから、したがって中国としては、よしやこっちが懇請してもだめじゃないか、こう私は考えます。
○鈴木一弘君 ちょっと物価の問題に移りまして、ビールの問題で伺いたいのですけれども、いま四社しかはっきり申し上げてメーカーがないわけです。それで新しくタカラビールができたけれども、これも失敗したということで、新しい競争ということがないわけですね。その上、これは大蔵関係でありますけれども、免許制度が小売り等にあって、流通段階でも新規に加入するということは不可能です。そうなってくると、生産者数が少なくて販売の数も少ない、制限をされる。こういう意味で非常に競争制限というような市場の構造になっているわけです。これははっきり申し上げて、公正自由な市場形成ということにはならないと思います。自由経済ではないかということになってくるわけですから、そういう点についてこれはむしろ競争制限的なものは撤廃させるべきである、こう思うのですが、その点はいかがお考えですか。
○政府委員(岩尾一君) ビールの問題でございますが、去年の秋、三円値上げをいたします際に、三円といいましても全部総計いたしますと百二十億ほどの金になるわけでありますが、これは非常な問題であるということで、企画庁のほうで四社を呼びまして、そして自粛をしてくれということを要望したわけでございますが、その際からわれわれは、いま先生のおっしゃいましたように、実際に競争をやっておるというふうに言われておりますけれども、現実の姿においてはある程度の行政介入のために競争が阻害されておるというような条件はこれは撤廃したい。しかし、これについては各官庁あるいは各部面において御意見がございます。そこで、いま物価安定推進会議の部会でこういった行政介入が物価にどういう影響を持っているかということを検討していただいております。その検討を持って結論を出したい、こういうふうに思っております。
○鈴木一弘君 まあビールはこの前三円のいま値上げのお話がありましたけれども、これはさみだれ値上げをやったものですから、公取としてもどうにもならぬということですが、政府は不買運動をやるという以外には国民には呼びかける方法がなかったわけです。こうなると、プライスリーダー制みたいになって、一つが上げてあとが追随をするといううまいやり方をやりますと、これは話し合い、談合で上げたのではないということになって、どうにもならぬ。そうなると、これは非常に今後の、ビールに限らず寡占態勢というものがだんだんできてきますと、こういう傾向は強くなってくる。しかも消費者を守るという立場といいますか、そういうものはない、競争は制限されてしまう、どうすればいいんだということになるわけです。政府の打つべき手もないということになる。そういう場合、これは私どもはどう対処していいのかということが非常な大きな問題だと思うんですが、この点についてはどういうお考えですか。
○政府委員(岩尾一君) ビールの場合は、御承知のように、アサヒビールが上げまして、続いてずっとサッポロ、キリンと続いてやったわけですが、まあわれわれから見ますと、これはまさに談合じゃないかと、こう思うんですけれども、実際上談合の事実があったかどうかということで公取としては御判断をなさるという立場ですから、私もあの際ああいう値上げのし方は公正取引に対して違反しているんじゃないかと、公取委員会のほうで調べてもらいたいということを企画庁のほうから正式に申し入れをしております。しかし公取のほうでは、まだこれは違法であるということは言ってきてはおりませんから、公的にはなかなか手が打てないだろうと思います。ただ、いま言ったような業界の態勢で、寡占だから必ずそうなってしまうというわけのものでもないと思います。これはまあ流通機構の問題もございますが、その際各社の社長にお話をしましたときに、サントリーのほうは、もう二、三年待ってもらいたい、そうしていま現在非常にサントリーのシェアは小そうございますから、流通面というものもアサヒの流通を借りて売っているわけでございます。そういうことで非常に伸びておりますけれども、シェア自体は非常に小さい。そこで、どうしてもそういう競争が適正に行なわれないということになるので、もしサントリーのシェアというものがもっと大きくなってまいりますと、あるいは流通面におきます新規参入を阻害するというような行政介入はなされないということになりますと、競争が活発に行なわれ、適正な値段ができてくるということになるだろう、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 プライスリーダー制の慣習ということから、今回の場合は協定値上げでないということで、公取もなすすべがなかったわけです。そうなりますと、これはどうしても独禁法自身というものの運用の強化というか、独禁法自体の強化をはからなければならぬということになるわけなんですけれども、その点は経企庁としては、いま公取には強く申し入れたいということですが、独禁法をそれに強化していこうという考え方、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(岩尾一君) 独禁法自体はいろんな性格を持っておるわけですけれども、現在の、いま申しましたようなビールのような状態の場合に、これが適正な取引であるかどうかという判断の点についてあるいは問題点があるんじゃないか。しかし、また逆に少なくとも寡占状態になればすべて競争は阻害されて価格は管理価格になってしまうというような感じで行なわれておる面もあるわけです。いろんな面で問題がありますから、検討は十分していっていただきたい。そういう意味で私ども物価を所管しておる官庁としての検討を続けて、意見がまとまりましたら申し上げたいと思いますけれども、いますぐここで独禁法をどうこうという判定はまだいたしておりません。
○鈴木一弘君 時間が非常に制限されておりますから、これで終わりますが、酒の販売の免許の問題もありますし、それからお米の販売業務の流通経路それから鉄鋼の設備調整、平電炉の操業等についていまお話がありましたように、政府の介入というものがある。こういう介入というものによっての国家への影響は十分いま検討するのだというお話なんですけれども、これは十分私たちはやってもらいたいと思うのですね。そうしていかないと、確かに寡占だから物価が上がるというわけじゃありませんけれども、プライスリーダー制になりやすいし、また管理価格的に構成されていきやすいということだけはこれは否定できない、非常に競争の多い場合に比べますと。そういう点でこれは十二分にいわゆる強力に検討してもらいたい、こういうふうに思うわけです。これは最後ですから、長官に御答弁をいただいて終わります。
○国務大臣(菅野和太郎君) この販売価格を制限するということは、これはなかなか困難な問題だと思いますが、まあこの一つの方法としては、消費者運動というものを強化することが一つの方法だと思うのです。ところが消費者というものはひとつも結合してないものだから、高い高いという声があってもそれが響かない。そこで消費者運動と申しますか、そういう方面の、ひとつ今後われわれとしては消費者保護という立場から、そういう消費者のひとつ運動を起こすことを考えてもらいたい。それからいまお話しのとおり、寡占であれば競争制限する可能性が多いことは事実です。しかし寡占だから寡占価格が出るという結論はすぐ出ませんけれども、そういう危険の多いことは事実でありますからして、そういう点については今後ともやはり公取と連絡して、そしてひとつできるだけそういう寡占価格を形成しないような行政指導をとることについて、慎重にひとつ考慮したいと、こう考えております。
○鈴木一弘君 これは非常に効果の上がるようにお願いしたいと思います。
○渡辺武君 菅野長官に伺います。 長官は今度の国鉄運賃の値上げの問題について、初めのうちは値上げ反対の立場をとっておられたようですけれども、その後、値上げ賛成に態度を豹変されたわけですけれども、この最初値上げに反対された理由は何か、また態度を変えて賛成に変わられた理由は何か、これをまず最初に伺いたいと思うのです。
○国務大臣(菅野和太郎君) 最近の物価騰貴は、物価が上がると同時に賃金が上がる、賃金が上がると物価が上がるというような循環性を見ておる。 〔主査退席、副主査着席〕 ことに最近では、物価の騰貴は政府指導型だということを言われておるのであります。で、政府が管理する価格が上がるから、ほかの一般物価も上がるのだというムードが強くなっております。そういう意味でこの物価対策としては、公共料金を一切上げないようにしなければならない。そこで公共料金の問題で最も重要な地位を占めるのは米価です。米の値段です。それから鉄道料金などがやはりその点においては指導する力を持っておりますので、そこで、私としては公共料金をこの際は全部ストップして、そうして物価を安定したいということで、まあ大蔵省や運輸省と折衝したわけです。しかし米価の問題につきましては、これはたびたび総理からも言うておりますように、生産者米価、消費者米価は据え置くという方針だということをたびたび言明しております。これは米審にかけなければ最後の決定はできませんからして、据え置く方針だということを言明しております。その他の公共料金としては、たとえば麦の値段、これも上げたいという希望がありましたけれども、麦も上げてもろうたら困るということでこれも抑制したわけです。それから塩の問題も大蔵省から上げたいと言うてまいりましたが、これも抑制したわけです。電話、電信の問題も郵政省からぜひ上げたいと言うてまいりましたが、これも抑制したわけです。そこで、最後に残ったのが鉄道料金でありまして、そこで、私たちは鉄道料金は〇・二%の上昇をとっていますからこれを上げることにはもう初めから反対をしたのであります。しかし、一方、国鉄の状況はどうであるかというと、まことに私から言うと破綻寸前にあるような状況であるということ、この点については、実はわれわれも考えなければならぬので、国鉄は日本の交通の動脈でありますからして、もしこれに多少なりとも支障を来たせば、それがやがて物価にいろいろなことで影響を及ぼしてまいりますからして、国鉄は何とかしてやっぱり生きてもらわなければならない。私のほうでは料金は上げずにやってもらいたいということでいろいろと折衝したのでありますが、やはり料金をこの際何とかしなければ国鉄は生きていけないというお話にだんだん承ったので、そこで私のほうとしては、まず国鉄自身の体質改善をやってくださいと、今度の法律もその一つのあらわれですが、国鉄自身がまず体質改善してくださいと……。それからいままで独立採算制をとってきておったのですが、この際は政府あるいは市町村が国鉄のためには多少ひとつ援助すべきじゃないかということを主張しまして、まあ政府としては利子の立てかえをやるということ、まあ御承知のとおり。それから市町村は市町村の納付金を二十五億円減らしてもらうということになったのであります。 〔副主査退席、主査着席〕 しかし、それでもなおかつやっていけないということでありましたので、それじゃ適正な国鉄の料金の値上げはやむを得ないということで、料金の値上げを最後に承諾したわけであります。
○渡辺武君 そうしますと、この国鉄の財政再建計画なるものを十分検討された上で賛成されたということですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) もちろんそのとおりです。
○渡辺武君 そうしますと、私申し上げるまでもなく、この財政再建計画ですけれども、これは十年間に三兆七千億円のばく大な設備投資をやろうという計画でして、まあ貨物輸送、交通貨物輸送ですね。これなどを中心として輸送力の増強をやるし、同時にまた、ローカル線の廃止とか、あるいはまた無人駅をつくるとか、あるいは国鉄の労働者に対する人員整理だというような、言ってみれば国鉄機構全体についての根本的な転換と再編成、こういうようなことを含んだかなりの長期計画だと思うのです。今度の国鉄運賃の値上げはこの長期計画の出発点として行なわれたということです。御存じのとおり、国鉄はこれまで四十一年の三月と、それから四十三年の四月にそれぞれ毎年運賃及び旅客運賃——貨物運賃は最初に申し上げましたが、次は定期料金の値上げということをやりまして、今度で四年間に三回目という値上げです。しかも、この国鉄の財政再建推進会議の意見書を見てみますと、当初は一〇%程度の値上げで、今後十年間に何回も上げたいというような趣旨のことがはっきり書かれているわけです。国鉄総裁もこの国会では四年に一回くらい値上げしたいというような答弁をされておられます。今後数回値上げが行なわれるということを織り込んだ計画だと見なければならぬ。長官がこの国鉄財政再建計画を検討した上で今度の料金値上げに賛成されたということになりますと、今後、長期、継続的に国鉄運賃が値上げされるというこの計画を承認されたわけでございますが、今後の国鉄運賃の値上げもまた承認するということになるのでしょうか、その点どうでしょうか。
○国務大臣(菅野和太郎君) それはもし今度法律が幸い——幸いといってはあれですが、通れば、国鉄の再建の方法が立ちますから、それによって今後の国鉄の運営が行われることになると思います。こう私は考えております。 そこで問題は、私が最も考えたのは、国鉄がどうしてこのようになってきたかということは、これはひとつオーバーにいえば交通革命、運輸革命だと思っているのです。この変わってきた交通に対していかに善処するかということが根本だと思うのです。これを善処せずして、料金を上げるというようなことを簡単に考えておったら、これは毎年料金を上げなければならぬ。それだから、私は国鉄総裁には料金を上げてそれで事足れりというようなお考えは甘過ぎる、もう少し根本的に考えなさい、この交通関係がいかに変わってくるかということを根本的に考えて、その対策を考えなさいということを強く要望したのです。したがって、今度別の国鉄の財政再建法案というものが出ておりますが、そういうことでまずそれをやってもらって、その上で料金の値上げ問題を考えてくださいということをお願いしたのですけれども、将来の料金の問題については、私のほうとしてはいまだ考えておりません、私自身は……。しかし、国鉄のほうとしてはどういうふうに考えられておるか知りませんが、私のほうでは将来の問題としてまだ考えておりません。
○渡辺武君 物価担当大臣としての菅野長官の答弁としては、私はこれは非常にあぶなっかしい答弁だというふうに思います。なぜかといえば、いま申しましたことをもう一回繰り返すことになるわけですけれども、今後十年間に数回の値上げをするということを織り込んだ計画でしょう、これは。これを承認した上で今度の値上げを認めるということになれば、この次の運賃の値上げ、これまた同じ理由によって認めざるを得ないということになるのじゃないでしょうか、そういうことで物価問題について責任ある政策をやることができましょうか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 今後の問題につきましては、私のほうでは社会経済発展計画を立てておりますから、その中に織り込んで考えたいと存じます。国鉄自体が今後どうあるべきかということについては、まだそこまで私たちも考えておりませんから、社会経済発展計画の中に今後の国鉄はいかにあるべきかということについて考えていきたい、こう考えておる次第でございます。
○渡辺武君 国鉄の方見えておりますか……。今後の運賃の値上げについてどのような計画を持っておられるか。総裁は四年に一回と言っておられたが、大体どのくらいか。また値上げの率ですね、それをどの程度に考えられておるか。また今後の値上げは貨物運賃の値上げなのか、それとも旅客運賃の値上げなのか、それからまた定期の割引率を引き下げるということもやるのかどうか。それからまた国鉄財政再建推進会議の意見書によりますと、国鉄の運賃の値上げについては国鉄運賃法ですね、これの特例措置を講じて運輸大臣が認可すれば値上げができるようにしたいということも書いてありますが、そういう意図を持っておるかどうか。 それからもう一つ、国鉄の側からの発表だそうでありますけれども、赤字路線などについて国鉄がやむを得ず継続して経営しなければならぬというようなときには、その赤字の問題も織り込んだ運賃の計算方法を取り入れたい。たとえば今度の運賃の値上げによりますと、五百キロメートルまでは一キロメートルごとに四円二十銭ということになっておりますけれども、赤字の出ている路線については一キロメートルごとにたとえば十五円とか二十円というような高い比率をきめるという二重のやり方もとるというようなこともいわれているそうでありますが、そういう意図があるかどうか、それらの点についてお答えいただきたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 私からお答え申し上げます。 まず第一の、今後の再建計画における運賃問題をどう考えておるかという御質問でございますが、先ほど菅野長官がおっしゃられましたように、私どものほうとしましてはこの再建推進会議の意見書の六九ページにも書いてございますけれども、結局、今後物価の変動等によりまして職員の給与ベースが上がると、その給与ベースの吸収はいまの鉄道の生産性ではとても吸収できない。これは過去の実績が示しておりますが、そうすれば給与ベースの値上がりのうちの生産性で吸収できない部面につきましては、ある程度運賃でみる以外に方法がない、その分を税金でいただくわけにもまいりませんし、純粋の経営上の赤字になってまいりますので、今後の物価の変動に伴う給与単価の上昇分に見合うものは、外部から運賃の形でいただかざるを得ないということで、総裁が申しました四年ピッチと申しますのは、この財政再建推進会議でいろいろ試算をいたしておりますその試算に、一応四年ピッチで一割ずつ上げたらこうなるという試算をしたのでございまして、むしろ今後の物価上昇に伴って職員の給与単価がどう変わってくるか、逆に申しますれば、一切今後物価の変動がなければ、これは給与ベースが生産性向上以外に上がらないということになりますので、それならば運賃はいじらないで済む、こういう計算になっております。 第二の点は、客貨の問題でございますが、いわゆる貨物で損をして旅客でもうけているじゃないかというお話でございますが、これはすでに国有鉄道運賃法第一条におきましても、総括的な原価を補うもので、すなわち鉄道の全支出が全収入でまかなえるようにするんだというのが運賃法のたてまえでございまして、いわゆる運送種別別の原価ということはすでにとれない状況になっております。非常に鉄道の事業が盛んな時分には、これは運送種別別に原価を計算いたしまして、運送種別別の運賃をもらいますけれども、すでにこういうふうな、さっき菅野長官のおっしゃいましたとおり、いわゆる輸送革命がございまして、日に日に輸送の状況が違っておりますので、結局鉄道全体としての原価を収入でカバーするという考えに変わらざるを得ないということでございます。 第三の、いわゆる赤字線などについて特別運賃をつくる気があるかどうかというお話でございますが、実はこれは数年前に一ぺんやったことがございます。新しく鉄道建設、いわゆる閑散線区というのがございまして、その運賃を多少原価に近づけるという意味で、一般の運賃よりも高くしたことがございますけれども、これはむしろ逆に負担力のない方々でございますので、たしか半年ぐらいやりましてやめてしまった経験がございます。したがって、いまさっき申しました運送種別ごとの原価、それから線路別の原価というものは、今後やはりやっていくのは非常にむずかしい、たとえば北海道でも東海道新幹線でもやはり運賃は同じだというたてまえでいく以外にしかたがないと思います。 それから、今後の運賃の問題につきましては、運輸省の問題でございますので、運輸省の御当局からお答えいただきます。
○政府委員(山口真弘君) ただいまお話がございましたように、国鉄財政再建推進会議の意見書では、運賃の改定につきまして、再建期間中、運輸大臣の認可事項にすることがいいのじゃないかという趣旨のことがございますが、この趣旨は、物価騰貴などのやむを得ない要因に基づく運賃改定につきましては、適時適切に行なわせようという趣旨で、その際、政府におきまして諸物価の動向だとか、家計への影響だとか、そういったようなものを慎重に考慮して行なうことがよいのではないかという趣旨であろうと思うのでございます。しかしながら、今回の運賃の改定におきましては、これを認可制にするということにつきましては、現在の運賃法のたてまえが一応法律でもって、国会の議決を経て改定するというたてまえになっておりますので、たとえ再建期間中であろうとも、これを変更する——非常に重要な問題でございますので、今回は一応これを見送りまして、今後これを慎重に検討してまいりたい。こういうふうに考えておるところでございます。
○渡辺武君 労働者の賃金が上がるから運賃の値上げをせざるを得ないというような趣旨の答弁がありましたけれども、私はこれは非常に重大だと思います。これはまた後ほど取り上げるとして、その前に菅野長官にもう一言だけ伺いたいと思います。これは十二月二十六日の、公共料金を据え置くことについての経済企画庁の見解発表の中にあることばですけれども、こういうことばがあるのです。「貨物については他の輸送機関との競争力を失ったから運賃引き上げで赤字を処理できないとして、逆に旅客運賃の引き上げに転嫁するのは、受益者負担の原則からもまったく説明できない。」旅客運賃の値上げをやるということは、受益者負担の見地からしても全く説明できないのだということを経済企画庁の見解として発表しておられる。私は、政府や国鉄当局が受益者負担、受益者負担ということを盛んに言いながら、公共料金などを引き上げていく、こういうやり方は、これは絶対反対します。大体受益者負担というのは、これはある特定の利益をこうむった特定の人、これについては、非常に限定された意味で言えると思いますけれども、国鉄の輸送力増強その他というような一般的な問題については使うべきものではない。不当に受益者負担というような概念を拡張して、このことによって国民、特に働く国民に大きな負担をかけているというのが受益者負担の問題だと思う。しかし、いま私が申し上げた問題はそういう間違った立場に立っておられる経済企画庁ですら、受益者負担の原則からみても、これは納得できぬということを言っておられる。この点どうですか。いま運賃の値上げに賛成された長官が、あなた御自身が受益者負担という見地からどういう……。
○国務大臣(菅野和太郎君) 私自身は受益者負担ということばは使っていないので、利用者負担ということばを使っております。その受益者負担ということばは、元来は違った意味で使われてきたものだと思います。しかし汽車などは汽車に乗った人が料金を払わなければならぬ、それは利益者負担ということです。それからしてそのことばはわれわれが汽車賃払ったり、あるいは電車賃払ったりする、利益者負担ということですから、それを言っておるのです。しかし、その利益者負担のほうに重きをかけてはいかぬというのが、われわれの考えであります。そのことを昨年末に発表したわけであって、だからして利益者負担で何でも解決せいという意味ではないのです。私たちの考え方は、国鉄は先ほど申しましたように、体質改善を先にやりなさい、それから国が負担しなさい、その上でなお赤字が出るのであれば、適正な価格で再建をやりなさい、こう言っておるのです。何でもかんでも利益者がみな負担すべきであるという考えではありません。
○渡辺武君 ちょっと私の伺ったことをよく御理解いただけなかったかと思うのですが、つまり今度の運賃値上げによる増収によっていま国鉄が計画しておる投資計画という内容を見てみますと、それは確かに新幹線などの延長というようなものも入っておりますけれども、特に力点を置いておるのは、中長距離貨物輸送八千五百億円ということだと思うのです。新幹線のほうも新幹線に旅客をどんどん吸収して、そうしてそのあいた路線は貨物をどしどし走らせるというような見地からすれば、やはり特に大企業の貨物輸送というものに間接に非常に役立っておると言わざるを得ない。旅客が何で貨物の輸送を増強するために高い運賃を払わなければならないのかということです。それが受益者負担と言えるのかということです。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま渡辺議員の述べられたことは、私も言ったことであります。貨物にも負担さしたらいいじゃないか。しかし、いま貨物の料金を上げることは即物価の値上げになりますから、そこで貨物の運賃の値上げはいまやめてもらいたいということをお願いしたわけであります。旅客だけでこの際はなにしてもらいたいということをお願いしたわけであって、それはもう趣旨は渡辺議員の言われることは私も同じことを言ったわけであります。
○渡辺武君 それは失礼ですけれども、まことに無責任な態度だと私は思います。旅客運賃というものは一般の国民が自分のふところから払うお金です。貨物料金というものは、これはあとから数字を申し上げますけれども、主として大企業の製品を送るものです。その輸送力を増強するために一般国民の運賃を上げて収入をまかなう、これが一体受益者負担と言えますか。もう受益者負担の論理そのものが今度の運賃値上げではくずれている、こういうふうに言わざるを得ないと思うんです。 次に移りますけれども、特に国鉄の経理を見てみますというと、旅客輸送のほうでは一貫して黒字が出ており、貨物輸送のほうは一貫して赤字が出ておる、こういう構造になっております。これは国鉄が最近までの資料を発表しておりませんので、残念ながら一九六四年までの資料しかいまここで申し上げることはできませんけれども、一九六〇年から六四年までの五年間に旅客輸送のほうで国鉄があげている黒字が二千七百十六億円、ところが貨物輸送では赤字が六百二十三億円、こういうふうになっております。きのう衆議院の本会議でわが党の林議員の質問に対する運輸大臣の答弁によりますというと、一九六六年には貨物のほうは五百三十五億円の赤字を出しており、旅客輸送のほうでは九十六億円の黒字を出している、こういう状態です。貨物のほうで圧倒的な赤字が出ている。それはそのはずだと思うんです。国鉄の発表している旅客運賃と貨物運賃のキロ当たりのコストを見てみますというと、旅客のほうはコストに比べて八割とか九割とか低くなっている、ところが、貨物のほうはどうかといえば、たとえば一九六五年にはコストに比べて一四三、つまり運賃に比べて原価のほうが四三%も上回っているという状態です。そういう状態で、黒字を出す源泉が旅客輸送のほうで、赤字を出す源泉が貨物輸送、しかもこの貨物輸送というのはこれは大体大企業が圧倒的に比重を占めているという状態、これも国鉄の発表した数字です。出荷量年間五万トン以上及びコンテナ月平均百個以上を出す事業所、これが全国で四百八十二事業所ある、これが国鉄を利用している、これは事業所ですから会社別にすればこれよりもっと少なくなる、ほんの一握りです。この事業所が一九六五年に国鉄を使って輸送した貨物が九千六百万トンで、同じ年に国鉄がどれだけの貨物を輸送したかといえば、約二億トン、ほとんど半分がほんの一握りの大企業によって占められている。そうしますと、国鉄がコストを割ってまで安い運賃で貨物を輸送しているのは一体だれのためか、ほんの一握りの大企業の利益に奉仕していると言わざるを得ないじゃないですか。そういう状態があるのにもかかわらず、その貨物輸送を増強するために旅客運賃を上げてその金をまかなう、これは不当と言わなければならないじゃないですか、どうでしょうか。私はこれが国鉄が大企業に奉仕している姿であるというだけじゃなくして、国鉄運賃法の第一条にも違反していることだと思う。 私が申し上げるまでもなく、皆さんのほうも御存じだと思いますけれども、国有鉄道運賃法の第一条の第二項に「前項の運賃及び料金は、左の原則によってこれを定める。」として、その一が「公正妥当なものであること。」二が「原価を償うものであること。」三、四とありますが略しますが、こうなっている。一体コストよりはるかに安い運賃で貨物輸送をすることが公正妥当なんですか、それともまた原価を償うものなんですか、これは明らかに国有鉄道運賃法違反です。私はこういう事態を根本的に解決することがいまの国鉄の財政問題を解決する第一の道だというように思います。別のことばで言えば、大企業には安い運賃で貨物を輸送して、そうして一般大衆からは高い運賃を巻き上げている、こういう不当な料金体系、これを根本的に転換する。だから今度の値上げでも、旅客運賃は据え置いて貨物運賃のほうを妥当なところまで引き上げるということをやれば、旅客運賃をこれほど上げなくても据え置いたままで、しかもなおかつ国鉄は財政の再建を十分やっていくことができるというふうに考えます。この点どうですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は基本的なことだけお答えします。あとは国鉄のほうからいろいろお話があるかと思いますが、貨物が大企業のものだという考え方は私は根本的に違っておると思います。貨物というものは大部分が消費に充てられる、われわれの消費物資です。貨物運賃が上がると商品価格が上がって物価を上げることです。だから今度も貨物運賃を上げないということにした。貨物運賃を上げると物価にすぐ影響するから、そこで上げないということにした。で、商品価格、小売り価格が高いというのは、そのパーセンテージは忘れましたけれども、これは輸送料です。だから輸送料をできるだけ低くしたいのがわれわれの考え方です。だからして国鉄が運ぶところの貨物が大企業のものだと、大企業の人だけがもうけておるという考え方は私は基本的に反対です、根本的に。その点は運んでおる荷物が大企業者の所有のものであればいざしらず、そうでなくてみな国民一般が消費する品物なんです。それは生産財もあります。したがって貨物運賃に対して大企業が特別の恩典に浴しておるという考え方はひとつ根本的に変えてもらいたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の貨物輸送の構成でございますが、その御質問の前に国鉄が現在とっております貨物運賃制度をぜひ御考慮願いたいと思います。ということは、現在私どものほうでとっております貨物運賃制度は、実は陸上交通機関として国鉄しかなかった時分の非常に古い税金の高の従価等級制という、ものの値段をもって運賃をきめておりまして、値段の高いものは高い運賃をとる、安いものは安い運賃をとる、さらに安いものの中で生活必需品はさらにそれから割り引きする、こういう運賃制度になっておる。したがって値段の高いもの、先生のおことばをもってすればいわゆる大企業的なもの、たとえば酒とかビールとか、あるいは電気洗濯機、これが大企業かどうか知りませんが、そういったものはうんと運賃が高いわけです。米とか木材とか鮮魚とか、こういうものは非常に安くしておる。ですから大体高いものの運賃でもうけて安いものをカバーする、こういう従価等級制度をとっております。それがいわゆるトラック運賃と全然運賃の立て方が違っておるということでございまして、いまの先生のことばをもってすれば、確かにもっと上を切って下を上げるということをすればお説のとおりになると思いますが、それは非常に物価に対する影響が強いということでございます。その点どうぞ誤解のないように、——現在の国鉄貨物運賃制度が従価等級制で、そうして生活必需品は非常に安くしており、いわゆる大企業と申していいかどうか知りませんが、一級、二級の料金、高級貨物の運賃が非常に高い。したがってそれはトラックへ自然に逃げていって、そちらのほうへどんどん実際入っておるわけでございます。そういう意味で、運賃制度をお考えの上でぜひいまの御検討をお願いすれば、結局いま運賃制度がおかしい、もっと上と下を縮めろ、こういう御議論になると私は思います。
○渡辺武君 いまお二方の御答弁がありましたけれども、やはりそれは理由にならない理屈だと思いますよ。あなた方のおっしゃることを聞きますと、いかにあなた方が大企業の利益を守るためにきゅうきゅうとしているかということがよくわかるような感じがします。たとえば菅野長官の言われました、貨物運賃を上げると物価が上がる、——私は国鉄が扱っておる貨物が全部大企業のものだなんということは言やしませんよ。先ほども申しましたが、少なくとも大企業とみなされるところが数字の上だって半分近くの輸送を占めておる。そうですね。いま私があげた数字はそのことをはっきり物語っておる。この一事でもわかりますように、国鉄が貨物運賃をコスト以下にまで下げておるということは、やはり大企業の利益を守るということになっておる。じゃあ、私は農産物や中小企業の製品の運賃を上げろと言っておるわけじゃない。大企業の製品の運賃を上げるべきだということを言っておる。 さて、その製品の運賃を上げてそれで物価が上がるか。そうじゃないんですよ。長官は、これは近代経済学の立場に立って考えておられるからそういう間違ったことをおっしゃっておられるんでしょうけれども、運賃が上がれば輸送コストが上がるわけだから、大企業の場合でいえば利潤が下がるだけにすぎない。それを大企業が巨大経営という力によってそのコストの上がった分を価格に上乗せしてくるから価格が上がってくる。だからして問題は、大企業自身の罪悪にある。したがって、これらの大企業に対しては、国会が適正な監視もしくは監査の機構を設けて、彼らを民主的に国民の立場に立って統制して、このひどい物価値上がり原因である独占価格の値上げをやらないようにすれば、こんなものは解決できるんです。 また同時に、多少国鉄の大企業の貨物運賃が上がっても、いまの国鉄の輸送力増強計画によれば、これは国鉄の財政再建推進会議が非常に強調しておりますように、自動車、船舶などとの一貫輸送体制にフレートライナーをつくるんだとか、あるいはまた、コンテナ輸送システムを完備するんだとか、非常に強調しておる。事実、いま国鉄は着々その方向を目ざしてやっていっておると思う。いまトラックと国鉄と比べてみてどっちが一体輸送コストを安くできるのか。トラックは幾ら積んだってたかだか十トンか二十トンしか積めない。それに二人の人が乗って、そうして走っておる。国鉄のほうはどうですか。数十両の貨物を、これを一人か二人の人が輸送しておる。コストという点からいえばはるかに大量輸送、低廉輸送ができる、そういう条件を持ったのが国鉄ですよ。それをなぜその国鉄がトラックに押されてきておるのかといえば、定時に、しかもお客さんが望んだときに望んだ場所にトラックのようにうまくは輸送できないということからトラックの利用がふえてきておる。だからしていま国鉄がフレートライナー、あるいはコンテナシステムその他でもってぐっとやっていけば、これはもうトラックなんて私は太刀打ちできないような事態になると思う。 つまりいま国鉄がやろうとしているのは、運賃はトラックよりもはるかに安いところでもって据え置いておいて、しかも国鉄のサービスぶりをトラック並みのところまで発展させるというところに、いまの国鉄の輸送力増強計画の本質があると思うのですよ。ということになれば、当然これは管理流通費用は安くなりますよ。一方で貨物の輸送そのものの運賃が上がっても、管理流通費用が下がれば、これは大企業にとったってそうたいした痛手じゃない。だからして大企業のふところばかり心配なさらないで、一般国民大衆からのふところから、みな自分の腕で働いて苦労して毎日生活をしておるそういう人たちに、料金を上げて苦しい暮らしをますます苦しいところに追い込むようなそういう運賃の値上げをするのではなくて、いまの国鉄の運賃体系を根本的に変えて、大企業の製品輸送に正当な運賃をかけて、そうして経理をまかなうべきだ、これは当然のことだと私は思います。 なお、先ほど国鉄の方が、いまの国鉄のコストの計算のしかたは総合原価主義だ、貨物、旅客それぞれでやるんじゃなくて、全体として、言ってみれば込みでやるんだというような趣旨のことを言われたと思いますけれども、これは何でしょう、貨物と旅客だけじゃなくして、つまり路線じゃなくして、全国的に集計すると、そういう意味ですね。だとすれば、たとえ込みであっても、黒字の出ている旅客のほうの運賃を上げて、赤字の出ている貨物のほうの運賃を上げないなんという、そんなことが合理化する理屈に役立ちますか。もしあなた方の言う理屈で考えてみれば、一体あなた方はなぜ赤字ローカル線を廃止しなければならぬというようなことを言い出しておるのですか。これは路線別に計算をしてローカル線は赤字が出ておるから、だからしてこれを廃止したい、そういうことを言っておるんでしょう。そうでしょう。総合原価主義だから、だから貨物運賃を上げないのだ、旅客運賃を上げるのだというそんな理屈は成り立ちませんよ。
○説明員(磯崎叡君) ローカル線の廃止の問題につきましては、多少私どもの申し上げておることが全部御理解していただけないのじゃないかと思っておりますが、私どもは赤字だからやめるというきわめて簡単な議論を申しておるのじゃございませんです。すなわち、すでに、レールを敷きあのでっかい車を動かすというあの古い輸送体系というものは、ある程度の輸送量がなければ過剰投資なんだ、したがって、道路並びに自動車という非常に簡便な輸送機関に代替できるものはそういう新しい輸送機関で代替していって、そうして過剰投資はやめていくのだ、こういう意味での赤字線廃止論を申しておるのでございまして、赤字だからやめるのだという簡単な議論では、私たちは決してそんなことでは世の中に通らない。その辺のことは私どもの説明が不十分だったと思いますが、この推進会議をお読みくださってもよくわかると思いますが、結局新しいと申しますか、近代的な交通機関に代替できるものは——鉄道というものは十九世紀に興ったわけで、非常に投下資本の大きいものでございます。財産の大きいものでございます。したがって、これで輸送するにはある程度の分量がなければむだになることはわかり切っておるわけでございます。したがって、そういうことの少しオーバーなところは、現在の鉄道でオーバーなところは新しくできた交通機関に譲っていくのだということで赤字線のお話が出たわけでございます。したがって、私どもはローカル線の廃止と申しております。赤字線の廃止と申しておりません。ただ、新聞等はたまたまそういうことを申しますが、私どもはあくまでも過剰投資になったところについて新しい交通機関にかえていく、これはどの経済学から見ても当然のことだというふうに考えております。
○渡辺武君 それは一定の事実をどういうことばで呼ぶかということにすぎないわけでしてね。事実、総合原価主義という原価主義をとっておるというたてまえからいけば、そういうような問題が出てくるというのはそもそもおかしいのですよ。あなた方の総合原価主義というのは、これは貨物運賃は押えて、そして旅客運賃だけ上げると、こういう口実に使われているにすぎない。 そこで、私、まあ運賃の問題はこの辺にして、もう一言だけもう時間が来ましたので伺ってやめますけれどもね。先ほどこの国鉄の赤字の原因は、これは労働者の賃金が上がっているからだということを言われましたけれども、鉄道自身の発表している数字からいうと、そういうことにはなっていない。たとえば鉄道の人件費、これは昭和三十五年から昭和四十二年までどのくらい上がったか——これは名目なんです。しかも人件費だから一人一人じゃなくて、全体に払ったものです。昭和三十五年を一〇〇とすれば、四十二年は二二六、約二・三倍ということになっているにすぎません。ところが同じ原価の中でたとえば利子及び債権取り扱い諸費、これを比べてみますと同じ期間に三四八、約三・五倍にふくれ上がっている。それからまた修繕費はどれくらいになっておるかといえば、同じ期間に二七七、それから減価償却はどれくらいふくれ上がっておるかといえば二七〇。つまり原価を構成する諸要素の中で、利子及び債権取り扱い諸費が、これが一番急速にふくれ上がっておる。つまり人件費の占める比重というものは低下しておるという状態です。だからして、国鉄経営赤字の一つの大きな原因は、先ほど私が申し上げました国鉄が大企業に奉仕して、大企業の貨物運賃これを安くしている、コスト以下にしているというところに一つの大きな根源があると同時に、特に銀行などの金融機関からばく大な借金を負ってその利払いに追われているというところに大きな原因がある。そのことをあなた方は一言も言わないで、一切労働者の賃金が上がったからということで労働者を締め上げようと考えておる。さっき菅野長官も、一番最初賃金と物価の循環なんという議論を持ち出されましたけれども、これはもう世界的にも間違いが証明された経済学の間違った理論です。いま私が申し上げましたこの事実をひとつとってみただけで賃金が主要な原因じゃないということがはっきりしている。この国鉄の財政再建をするためには、私はこの莫大な、千億をこえる莫大な国鉄の利払い、一日三億と言われている、少なくとも大銀行に対する利払いは、これは一時たな上げをする。あるいはいま国鉄が負っている膨大な累積債務、これの元利の償還は、これは延期して、そうして必要な資金は、これは国が一般会計のほうからできるだけまかなっていくというふうにする必要があるのです。国鉄はいま公共企業でありながら、独立採算制というたてまえをとられて、そうして必要な資金を借金してまかなっていく、金融機関にべらぼうな金利を払っている、それが国鉄の経営状態を非常に困難にさしている一番大きな原因だと見なければならない。運賃のほうでも大企業に奉仕し、金利支払いでも大企業に奉仕している。ここにいまの国鉄の財政困難の最大の原因があると見なければならぬと思う。もちろん国が一般会計から国鉄に補助を出すと言っても、いまのように大企業に奉仕の国鉄のやり方をそのまま残しておいたんじゃ私は何にもならないと思う。したがって、国鉄の管理をほんとうに国民の役に立つような方向に民主化してもらいたい、ほんとうに働く国民に奉仕する国鉄にする方向でいまの経営のやり方を根本的に改めるということを条件として、国が一般会計のほうから国鉄の必要な資金をまかなっていくべきだ、これが解決する第二の手段だというふうに私は考えますが、この点について菅野長官の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 国鉄を再建する対策について、私が先ほども申し上げましたとおり、いま渡辺委員のおことばの中にもありましたが、国鉄自身が体質改善をするということ、すなわち激変した輸送の状況に応じた国鉄の経営をやるということ、それはいま先ほども渡辺委員のおことばの中にもありました、そういう点がありましたが、そういうことをやってもらいたいということが第一の条件です。 第二は、市町村が財政的に援助するということ、最後に、適正な料金の値上げをするということによって国鉄のこの難関を切り抜けなければならぬという考え方で臨んでおる次第であります。
○渡辺武君 時間がないのでこれで打ち切ります。
○西田信一君 渡辺君の質問に関連いたしまして若干お聞きしたいと思います。 国鉄の財政再建、いろいろ苦心をされているようであります。ことしの今度の運賃引き上げもその一環かもしれませんが、その他いま言われたように、体質の改善とかいろいろなさなければならぬことがたくさんあると思うのであります。ただ私、ここでこの際お聞きしておきたいと思いますことは、いまもお話に出ましたように、ローカル線というか、赤字線というかわからないが、全国の相当線数をこの際ひとつ廃止しようというような考え方がまだ依然としてあるようであります。いまもそういうふうなお話があったのですが、これは経済企画庁でもいわゆる国土総合開発、将来これは西欧に追いつき、西欧を追い越し、アメリカに追いつき、アメリカを追い抜こうという、たいへん力強い、われわれも非常に将来希望の持てる日本でありたいと思っておるし、またそういう方向に向かっておると思います。そこで、代替交通機関で鉄道にかえられるとかあるいは赤字であるからということだけで簡単に地方路線の廃止というようなことをやりますと、私は将来非常に問題を残すと思うのです。都会の市街路面電車をとっ払っているところとは少しわけが違うと思います。市町村でも公営のバス事業なんかずいぶんやっておりますし、これなども黒字の出る路線、赤字の出る路線は、これはもう企業には必ずあるのです。これは赤字であるけれども、住民福祉のために、住民の足を確保するために赤字の路線を無理をしてやっておる、これが実際だと思うのです。 そこでこの問題は、私どももいままでしばしば公の席でいろいろ議論をし、運輸大臣なんかの見解も聞いて私はそう簡単に軽率に扱わないのだという御答弁をいただいておるのでありますけれども、ごく最近に全国的には知りません、ある地方、といっても私は北海道ですが、北海道あたりで具体的に線名をあげまして、そうして六月にはこれは国鉄だけではできない仕事で運輸大臣の認可で政府の腹がきまらなければいかぬ、そういうことを発表されたのか、漏れたのかもわかりませんですけれども、そういうことが報道されたりなんかするたびに非常に恐慌を来たしておる。それでいま現状だけでものを判断しちゃいけないと私は思うのでありますが、もう少し先を見越して国鉄の財政再建ということを無視してやれということじゃありませんけれども、少なくともこれからの地域開発、この過密過疎の関係、大都市化の防止、こういったいろいろな角度を考えますと、地方鉄道の簡単な廃止というようなことは言ってもらいたくないと思うのです。ああいったようなことがいろいろ言われておるし、国鉄総裁なんかもだいぶん強いことを言っておられるようだけれども、国鉄の財政再建の立場で経済企画庁も運賃その他についてもちろんこれは御相談があるわけですが、国鉄としてはどうしてもあんなことをやりたいのか、この間発表して六月には第一回目をおそらく発表するのだ、こういうことが出ておったのでありますが、そういう事実があるのかないのか。それからまたあのような膨大な八十三線、北海道十五線なんということを言っておられるが、一体これはどういう国鉄の考えなのか。 それから経済企画庁長官に、——こういう問題について経済企画庁長官は、ただ国鉄の財政再建ということだけでもう判断しておらぬと思いますが、一体どういうふうに考えておられるか、相当深刻な影響を地方に与えている問題であるだけに、ひとつはっきりしておきたいと思うのです。
○説明員(磯崎叡君) いわゆるローカル線の廃止問題につきましては、すでに国会におきまして総裁からもたびたび申し上げておりますが、私どもといたしましては、去年発表いたしました数字は、一応ひとつの形式的な基準で出した数字でございまして、その後各方面からいろいろ御意見も承っておりますので、現在各線区につきまして非常に具体的な調査をいたしております。しかし、これを実際やめるということになりますれば、これは西田先生のおっしゃったとおり、非常に大問題、地域住民にとりましては。ことに過疎の問題との関係でございますが、私どもといたしましては、各地域につきまして非常に具体的に将来の発展計画あるいは道路計画等につきまして一線一線調査している段階でございまして、しかもその調査の結果すぐ右から左に廃止するというようなことじゃなしに、地域住民の意向を十分調べまして、場所によりましては、すでに場合によっては道路に取りかえてくれというふうなところもないわけではございませんので、そういうところにつきましては、鉄道を撤収して道路にしようというようなことも考えなければいけないと思います。十分地域住民の御意向を承って、政府の御承認を得てやっていきたい、きわめて慎重にこの問題を取り扱っていきたいというふうに考えております。過般何か北海道の新聞に出たこともちょっと私聞きましたが、あれは全く事実無根でございますので、その点はっきり私申し上げておきます。
○国務大臣(菅野和太郎君) 赤字路線の問題につきましては、まだ運輸省から御相談も何もございませんが、御相談があれば具体的に御相談いたしますが、基本的には地方開発ということをわれわれ考えているのであって、それに対してその路線が絶対に必要であるかどうかということ、そういう立場から赤字路線をひとつ検討してみたい、こう考えております。
○主査(川上為治君) 以上をもちまして経済企画庁所管に関する質問は終了したものと認めます。 —————————————
○主査(川上為治君) 次に、昭和四十四年度総予算中、通商産業省所管を議題といたします。 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配布してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(川上為治君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木一弘君 これは大臣、最初に電気料金について若干伺いたいのですが、この間の十一日の予算委員会で総理がですね、電気料金については生産性も上がっているから値下げの必要があるかどうか検討したい、こういうようなことをまあ答弁をされたわけですけれども、この検討は通産省としては始められておられますか、その辺のところから……。
○国務大臣(大平正芳君) われわれとしては常に総理からの御下命のあるなしにかかわりませず、電気料金のあり方、水準、構成というようなものはしょっちゅう見ておかなければいかぬわけでございまして、そういうふだんの電気事業に対する注意は怠っていないつもりでございます。したがって、あのときも総理大臣が言われた趣旨はおそらくこういうことであろうと、私どもも当面考えておりますことはこういうことでございます、というふうに、簡単でございますけれどもお答えをいたしておいたわけでございます。
○鈴木一弘君 中国電力が四十一年に電気料金の値下げをやったわけですけれども、その料金値下げができた理由は、経済性の高い火力発電がふえた、あるいは設備投資の節減につとめる、電力の損失率が非常に減ったとか、こういうことで労働生産性が上がった、まあそういうことで値下げの理由にされたわけですが、ほかの電力会社のほうにも同じようにだいぶ蓄積ということによっての料金値下げ、こういうことが考えられるのじゃないかと思うのですが、そういう余裕はいかがでしょうか。ないのかどうかですな。
○国務大臣(大平正芳君) 個々の会社のことでございますが、中国電力につきましてはいま言われたように水島地区等に需用が集中して、そこに効率的な火力発電が行なわれて、ロスも少なく効率が上がったということは御指摘のとおりでございます。その他の会社につきまして、ちょうどそれに似たようなケースで値下げを可能にするような要因の有無についてでございますが、個々の具体的な事情でございますので公益事業局長から答弁させます。
○政府委員(本田早苗君) 御指摘がありましたように、中国の場合には非常に特殊な事情があったわけでございます。御承知のように二十九年の電力料金を定めましたときには、火力のウエートが他の平均よりもはるかに高い四五%、しかも老朽火力であったために発電原価が非常に高く、それを算入しておる。その後御指摘のように新しい電力需用の伸びに応じまして新鋭火力を入れたために、火力のコストはもっと下がりました。この傾向が非常に大きかったということと、先ほど御指摘がありましたように設備投資におきまして需用のかたまっておりますために、その地点に発電所をつくったために、送電の設備が他に比較しまして三分の一あるいは二分の一で済んだということが非常に大きな特色になっております。かような事情が中国として特殊なコストの引き下げの大きな要因になっておりまして、全体といたしましては、前に大臣からもお答えがあったと思いますが、水力と火力の比率が火力のウエートが非常に高くなりましたために、火力のコストは下がりましたけれども、発電総コストの中としては必ずしも下がらずに上がっておる。と申しますのは、水力が上がっておるあるいは他社からの購入電力料金が上がっておるというようなことから、三十三年に比較しまして、かなり発電原価としては上がっておるというような傾向でございまして、中国の特殊事情が中国の料金引き下げを可能にしたというような事情で、他の電力会社については必ずしもそういう事情ではない。平均してはいま申し上げたように発電原価が上がる、こういう事情になっております。
○鈴木一弘君 いまのに私はちょっと異論があるんでして、それでその点を伺いたいんですが、火力発電所の熱効率は二十六年ころに比べれば確かに非常に倍以上に効率が上がってきている。それから現在では超臨界圧ですか、こういうような採用によって、これが熱効率が四〇%というと倍以上ということになります、二十六年ごろの。そういうものが出てくる。また送配電の損失率も二十六年には二四・九%、それが四十二年には七・六%というふうに非常に下がってきております。ということは効率がすごく向上しておるという。それからまたいわゆる技術革新、これによってですね、いままでのような小規模なものでなく、大容量の何十万キロワット、そういうような発電機を使うようになる。これはどんどんできてきておる。そういうことから二十九年あたりに比べると、火力の原価が当時五円九十銭といわれていたが現在は二円四十銭くらいに、つまり半分以下になっている。そういう点を見ますと、この火力になったとかならぬとか、その点は多少ありますけれども、というよりは、私は昔の水主火従から火主水従に変わっただけに、その点原価の実態はむしろこういう下がってきている。それに対して料金の実態というものが伴っていないんじゃないか。こういうような疑問を持たざるを得ないのですよ。その点についてはどうですか。
○政府委員(本田早苗君) 確かに御指摘のように、現在も四十二年の実績で火力の原価は二円四十三銭程度になっております。したがって非常に下がったということで、御指摘のような熱効率あるいは燃料費の低下等がきいておるわけでございます。水力は手元に三十三年しかございませんが、八十九銭が一円五十五銭になっております。それから他社からの受電というのがピークの電力になりましたので、三円六銭であったのが四円二銭に上がっております。これの構成比が三十三年では水力が六四・四%、火力が二五・三%で、他社受電が一〇・三%であったわけでございますが、四十二年の実績でまいりますと、水力が二四・一%、そして火力が六三・九%、他社受電が一二%、これはほぼ同程度のものですが、こういうことで加重平均いたしますと二円七十四銭になるわけでございます、アワーの平均単価といたしまして。三十三年は八十三銭で水力発電のウエートが非常に高かったため、火力は当時三円九十六銭、約四円であったわけでございますが、また他社受電が三円六銭でその加重平均が二円二十一銭であったわけでございます。したがって御指摘のように、火力のコストは非常に下がりましたけれども、火力のウエートが高いために火力のコストダウンが普通予想するよりきかなくて上がってきておる。こういう事情になっておるわけでございます。
○鈴木一弘君 なるほど、その事情はよくわかりました。ですが、一つは火力だけを見れば非常に重油の価格も下がってきている、熱効率も上がる、こういうようにどんどん変わってきている。そのために労働生産性も非常に上がっているわけです。一人当たりの販売の電力量を見ても、二十六年が一〇〇ならば四十二年は六一五というふうにとにかく六倍以上になっている。賃金の分配率のほうも二十六年が二四・九%、それが現在は一六・三というふうに賃金への分配率は下がってきている。つまりそれだけ総発電のコストというものは低下しているというふうにしか言えないわけです、こういう事情から考えますと。その点はいかがなんですか。コストは上がっているように思えない。
○政府委員(本田早苗君) 御指摘のように、労働の生産性は非常に上がっておりますから、人件費の比率というものはそれほど変動はないわけでございまして、ベースアップにかかわらず変動はないという状況になっております。ちょっと申し上げますと、いまの御指摘でまいりますと、販売費及び一般管理費というようになっておりますが、これがやはり各種の何が入りまして三十三年が七十三銭であったものが最近は八十六銭という程度になっております。
○鈴木一弘君 じゃあ今度はちょっと話題を変えまして電灯料金について伺いたいのですが、電灯料金の四十二年の九社の平均単価が十二円三銭で、電力料金四円八十四銭に対する二・五倍になっているわけです。ところが、大口電力を見ればこれは三円八十二銭で、これはそれに比べますと電灯料金というのは三倍ということになる。外国の例ではイギリスが一・三倍、カナダ一・九倍、西ドイツ一・九倍というふうに非常に低いわけです。わが国だけが二・五倍とか三倍というふうに非常に高いことになる。これは需用の形が西欧と違いますと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、いろいろいままで言われていた配電の費用がかかるというようなこと、あるいは配電に対しての損失があるというようなこともだんだん率の向上に伴ってその差が迫ってきていると思うのです。迫ってきているのにこういうふうに三倍あるいは二・五倍ということはわれわれ納得しがたいものがあるわけです。この点について納得できるように答弁していただきたいのです。
○政府委員(本田早苗君) 御指摘のように電力料金につきましては、電灯料金が平均の電力料金あるいは大口の電力料金に対してかなり高い率になっている、約二・五倍程度になっております。この理由は、配電費等の産業用電力とは違ったものがあるという点も御指摘のとおりでございます。しかし需用別電力料金はやはり原価主義でやっておるという事情がございまして、一つには御指摘の低電圧の供給をやっておる、これが配電のロスにもつながる、配電コストにもつながって電灯が高くなるということになっておりますが、これらのほかに一つには使用時間数が違うわけでございまして、大口電力はキロワット当たり月間で四百時間くらい、四百キロワットアワー使うわけでございます。これに対しまして家庭用は平均いたしますと八十時間くらいでございます。したがいまして固定費の割り掛けということになりますと電灯がどうしても高くなる、こういう事情がございます。それから先ほど御指摘の送電のロスは、高圧に対して二回も余分の変圧をやる、その上に配電線で配電するロスがございます。その上に需用家費と申しまして、御承知のように検針、それから料金の計算あるいは集金、引き込み線だとか、メーター、こういうものが需用家ごとに必要だということのために電灯のほうではキロワットアワー当たり非常に高くついている、こういう事情がございまして、これらの諸事情が重なりまして、先ほど御指摘のように電灯が平均で十二円三銭、それから電力は四円八十四銭、こういうふうな格差が生じておるわけでございます。ただいま御指摘のように、若干使用状況が変わったではないかという点がございますが、これらの点につきましては料金改定のときに、ほとんどのケースでは平均値上げ率に対しまして電灯の値上げ率のほうが電力値上げ率よりも低いという形になっております。
○鈴木一弘君 外国の例に比べた場合の異常に高い感じ、こういったことについてはどういうふうに考えているのですか。
○政府委員(本田早苗君) 特に安いのはカナダ等でございます。これは非常に豊富な水力の電源を持っているということがございます。それで他の国で比較いたしますと、アメリカが非常に安くなっておりますが、アメリカの場合は一世帯当たりの消費電力量が格段の相違でございまして、現在の日本の平均使用電力量は米国の終戦直後の使用電力量程度になっておりまして、しかも非常に大量に使うことに伴いまして逓減率をとっておるわけでございます。現在の日本の消費状況で逓減率をとりますと、大量に使う大口家庭電力需用者が非常に安くなるという形になりますので、これは均一料金でやっておる、こういうことが影響として出ておると思います。ドイツの場合はわりに高くなっておりまして、邦価計算でいきますとやはり十二円何がしでございますからそれほど安くない、それからフランスも同様でございます。イギリスは電力使用量もアメリカほどではございませんが、日本よりも多いという事情で若干安くなっております。以上で終わります。
○鈴木一弘君 いまのは金額の比較だったのですが、電力料金、大口電力に対してのいわゆる電灯料金の倍率が高過ぎるのではないか、ほかに比べても。こういうことを言ったわけです。
○政府委員(本田早苗君) 比率から申しますとフランスは日本よりも若干格差が大きいという事情になっておりまして、ドイツは日本よりも若干格差が低い、アメリカ、カナダ等は大体二倍ということでございます。
○鈴木一弘君 それともう一つ、これは大臣から伺いたいのですが、財投の金が二十六年から四十一年までに電気事業関係で約一兆円をこえているわけです。そうしてそれはその間の工事の資金の二二%以上もまかなっておるわけです。これは非常に安定した金であるし、利息も安いし、そうすると逆に考えますと、支払い利息の負担というものはかなり減ったということになる、電力会社にとって。これが一つ、これは非常に大きなものになると思います。しかも複利的に計算すればたいへんなものになる。それからそこへもってきて減価償却というものがずっとできておりますし、定額法の償却限度額に対して一四〇%以上というようなそういう償却をしている、こういうことを三十六年から続けているわけです。非常に内部留保というものが厚くなるようになっている、そういうことから考えてみますと、財投によって加速度的にかなりの利益を得られるように変わってくるわけですね。これは減価償却を今度は定額法でやった場合には四十二年度だけで六百八十億円も浮く、ということがいわれておる、これは私は料金値下げのほうに回してもいいんじゃないか、こういうふうに思っているわけなんですけれども、その点についてのお考えは。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、戦後開銀資金を復興経済政策のために電力とか石炭とかあるいは造船とか大口のそういうところに使ってきたわけですが、ようやくそういう目的を達しまして、今日それが償却期にきております。現在では新しく借り入れる金と、それから償還する金と、それがほぼ見合うような段階にきまして、開銀資金の構成から申しますと、戦後の復興期における金融状況とその実態が非常に変わってきたと思いますが、それはともかくといたしまして、そういう大量の強制貯蓄による政府資金が長期に低利に供給されたということが、確かに電力事業を今日あらしめた大きな原動力でありましたことは率直に私ども認めます。それがしたがって電力料金を今日まで安定した水準において維持できた大きなささえであったと思います。 それから償却の問題でございますが、償却は税務の計算から申しますと、電力事業というのは定率償却でいっておるわけなんでございますが、料金の改定の場合は、定率法、つまり税務計算において定率法をとっておるのをそのままコストの計算に入れますと異常に高くなりますので、暫定的に定額法による償却によって原価計算をやりましたベースで料金をはじき出していこうと、そういう政策を暫定的にとったわけでございます。したがって、仰せのように、それが原則ではないんで、それはただいま料金を急に上げたくないという趣旨で、便宜的に、過渡的にとった償却法でございまして、私ども電力事業を見ておるものから申しますと、本来定率法になるべく早く返りたいという願望があるわけでございまして、幸いに鈴木先生御指摘のように、だんだん電気事業の経理内容がよくなってまいりまして、いま九八・何%まで定率償却ができるようになった状況でございます。したがってこれを定額法に直しますと、仰せのように六百億とかいうような大量のものがそこに期待できるわけでございますが、私どもとしては電力を安定供給の基盤に乗せると、こういう装置産業でございますから、全体の投資の九三%もが固定投資になっておるというようなところでは、償却が生命でございますから、この償却だけきちんとさせて、産業の基本の動力を供給するんでございますから、安定的な供給ができるだけの経理体制を電気事業にとらしたいということでございますから、ようやくその域まで達してきたというように考えておるんでございまして、これはもう一ぺんいまの電気料金をつくったときに返りまして、定額法に返すということは非常に切ないんです。これをむしろそうすべきではないんで、定率法でやらしていただいて、これから長く安定供給を実現すべきじゃないかというように考えておるわけでございまして、できるならばちゃんとした定率法による償却をやらした上で、そのベースの上で料金の安定を保証していくというように電力政策をやりたいと、そう考えておるんですがね。
○鈴木一弘君 電力料金の安定をということばじりをつかまえて失礼なんですけれども、安定ということが、いわゆる会社側だけのほうを向いて安定なのか、いわゆる電灯料金というような一般大衆のほうを向いた安定かということで非常に問題が出てくると思います。たまたま安定というのが物価引き上げのために使われてきたという苦い経験があるものですから、こういう質問をするのですけれども、一ぺん安定すれば当分どころか、ある一定までいけばまた下がってくる、コスト低下を伴ってくる、そういう意味の安定ということですか、大臣のおっしゃったのは。
○国務大臣(大平正芳君) まず第一に、これから上げたくないというのが第一のわれわれの関門でございまして、ところがいま非常に過密地域の送配電コストが上がりつつあるというようなこと、先ほど局長が言われたように、火力の比重が高まってきておる、売電コストも高くなっておるというので、へたをするとこれはまた料金を上げなきゃならんような事態になりはしないかということをむしろ心配するんで、ぜひともそんなことがあっちゃたいへんだという、それをどうしても防がなければならぬというのが第一の問題でございます。 それから第二の問題として仰せのように、できれば下げたいということは当然のことでございまして、いまの火主水従というようなことが、将来の技術革新等の結果新しい動力源が確保される、しかもそれが非常に安くつくとかいうようなこと、技術の革新、革命的な何かが起こってまいりますれば、それはそういうことが期待できるかもしれませんけれども、いま当面予想される限りの状態におきまして下げられるかということを問われたならば、これは容易じゃないじゃないかと、私は考えておりまして、とりあえずはどうしても上げたくないという点に力点を置いております。 それから電灯料金、電力料金の問題は、先ほどからも御議論がございましたが、問題は結局、電気事業法でわれわれが料金を算定する場合の原則がうたわれてございまして、それを忠実に実行いたしておるわけでございまして、特にこれを高くするとか低くするとかいう政策的な弾力的な調整をわれわれができないような仕組みに電力事業法はなっているわけでございまして、私が申し上げているのは、電灯電力も動力電力も産業電力も同じようなぐあいに、この料金体制の是非についていろいろ議論があるかもしれませんけれども、これを前提としてこの全体の水準を何としても上げないようにやろうじゃないかという点に、いま政策上の力点に置いているつもりです。
○鈴木一弘君 これは電力料金の問題で、いわゆる電力会社の再々編成ということが一時言われたことがあるのですけれども、再編成して九電力になったわけですが、再々編成によって、いわゆる買電料金とかそういったものについてもこれは直せるし、また経理内容等についても非常に整理ができるわけでありまして、そういう再々編成というような動き、あるいは考え方というのは政府にはおありになりませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 結論から申しますと、そういう考えはございませんで、九電力プラス電源開発というものは、十社体制といいますか、そういうものの組み合わせで広域運営的な考え方を加味しまして需給をできるだけ効率的に合わせていきたい。それから建設のほうもそれぞれの立場に応じて、能力に応じてやってもらっていくといういまの体制でよろしいのではないか。根本的に再々編成をやるというようなことは考えておりません。
○鈴木一弘君 九電力の社長会で、電源開発の問題がいま出ましたので伺うのですが、電発の政府持ち株のかなりの分を九電力に肩がわりして民間経営形態にしたい、そういうことによっていま大臣の言われたような十社形態になるわけでありますが、そういうふうに意見が一致したということですが、政府側としてはどういうふうに考えておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) いま全体の電発の資本は、一億民間が出して、あとは全部政府が六百七十億ですか、持っているわけでございまして、こういう状態は決していい状態ではないわけで、九電力が力が出てきたわけでございますから、九電力にある程度持たす——ある程度というのは、私どもとしては半分ぐらいは、いまそれをきめているわけじゃございませんけれども、半分ぐらいは九電力に持ってもらおうじゃないか。それで九電力と電発との間の協力体制というものを、資本的にもあるいは人事的にも十分タイアップができるような姿勢に持っていくほうが実際的じゃないかというようなことで、ことしとりあえず一割程度、六十億ばかりですね、試みに買ったらどうだという申し入れをしまして、向こうもお引き受けする用意があるというところまできておるわけでございまして、これはことしでやめるわけじゃなくて、私どもといたしましては、半分ぐらいのところは九電力に持たそうというぐらいの考え方でおります。
○鈴木一弘君 これはいわゆるどのぐらいの価額で払い下げるということになりましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) それが確かに問題でございまして、これは国有財産でございまするし、厳正を期していかなければなりませんので、市場に公開されている株式ではございませんので、とりわけ公正な委員会をおつくりいただいて、そこであらゆる角度から御検討いただいた適正な価額というように考えておるんでございまして、私どもがこれは幾ら幾らぐらいだろうというような見当をつけるべき問題でもなく、現につけてもいないのでございまして、大蔵省のほうで厳正にお考えいただきたい、こう考えております。
○鈴木一弘君 次は問題を変えまして、例の堀田通産事務官のことでちょっと伺っておきたいんですがね。この汚職事件がまだ落着をしていない。私どもが調べたんでも贈賄した会社が約三十社、製鉄、石油化学、機械、造船、自動車、繊維、製紙、ガス、原子力、そういうような大企業がほとんどの相手である。これは通産省自体として、体質的に問題があったんじゃないだろうか。省の中では、業者のそういうような接待について利害が直接からんでなければそういうことがないんじゃないか、むしろ業者の実態を知るためには当然の職務として接触をする、接触が接待まで受ける、こういうところまでいってもいいんじゃないかというような声があるということを聞いているんです。私はこれはとんでもないことだと思うんです、それでは。その点について、これは通産省としても真剣に考えなけりゃならない問題である。いま一つは、とにかくたった一人で全部仕事をやるというようなスペシャリストということである。そういう甘やかしたということが大きな問題だったと思う。この二つの点について今後の対策といいましょうか、それを伺っておきたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) ああいう事件を起こしまして、まことに御心配をかけて万々恐縮に存じております。通産省の全体の問題といたしまして、御案内のように、日々業界となまの接触がいろんな関係であるわけでございますから、私どもといたしましては、できるだけ明るい雰囲気の中で、不正なことの起こり得ないような環境をつくらにゃいかぬと存じて、私も就任にあたってまず第一にそのことを職員の諸君にお願いをしておいたのでございます。私の見ておるところ、私が予想しておったより空気が明るいし、そういうことは非常にうまいぐあいにいっておるんじゃなかろうかと思っておったんでございますが、ああいう事件が出て実は非常に驚いたわけでございます。これは通産省のものの心がまえといたしまして、全然接触がぎくしゃくいたしまして、非常に官僚的になることも問題だと思うのでございます。また業界との接触において、彼らが持っておる知識経験を吸収せにゃいかぬということもございますから、その接触は適度に持ってもらわなければならないと、しかし、その度合いを越してはならない、その度合いをどのように見るか、その常識的な節度というようなものを十分心得てもらいたいという点も特にお願いをしておいたわけでございまして、私は全体といたしまして、まず省内の空気全体をじめじめしたものでないような明るいものにすること、それから民間との接触において非常に公明な雰囲気の中で節度のあるものにするようにしたいということで鋭意努力していきたいと思います。 それから第二の点につきまして、特定の方が長くその職にあるというようなことはよくないということでございまして、いまのケースの場合二十年間も同一ポストにおったということは、確かに御指摘のとおり問題なのでございまして、ある一定の期間がくればかえていくという仕組みを考えなきゃいかぬということを事務当局に指示いたしておるところでございます。と同時に、特定の一人に権限が集中していくということも危険なことでございますから、これは内部で適当に牽制し合って、最終の判断は合議制でやるような仕組みを同時につくろうじゃないかという点も指示いたしておるわけでございまして、そういった仕組みをあわせてつくり上げて、こういったことのないようなぐあいに運営をしてまいらなければならぬ、そう考えております。
○鈴木一弘君 時間がなくなってしまいましたので簡単にやります。いままでの捜査の段階では、私は、大昭和製紙、図書印刷とかいう名前を新聞等で見たわけでございます。そのほか私が言ったように、製鉄から石油化学、機械、造船、自動車、繊維、ガス、原子力というふうにまであるということになると、これは一人の官僚に全部機構が集中している感じです。やはりどうしても権限を持っているところが見通せないというところからそういうことが起きた、何かそういう汚職の芽を切るには、見通せるようなシステムにしなければならない、といって絶えず監視役がいてパトロールするわけにいかぬでしょう、業務の中でもって見通せるようなシステムを考える機構というものを直していく、こういうふうでなければならないと思います。大臣のほうでは、いま私が申し上げたような贈賄した会社が三十幾つもあるということを御存じと思いますけれども、どの程度までおつかみになっているかということと、いまの官僚機構の中でどこまで一体よく権限が見えるようなシステムに変えていくつもりか。いまのお話だけだと、一人一人の権限を分散するとか、あるいは長年同じ職場におらせないと、これだけでしたが、それだけじゃなくて、日常の業務もきちんと見通せるものでなければならない、これを私は申し上げたいのです。そういう点については機構、システムに問題があるのではないかと考えられるのです。改革の御意図はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 第二の点の機構、システムが見通せるようなそういう仕組みにつきまして、いまサゼスチョンをちょうだいいたしたわけでございますが、これは仰せのような仕組みをつくり上げていくことは私は賛成でございますし、いいことだと思いますが、その点につきましては私どものほうでひとつ研究さしていただきたいと思います。 それから第一の点についての、どこまで掌握しているかという点について官房長からひとつ。
○政府委員(両角良彦君) 今回の事件で直接関係を持ちました企業は、現在まで当局におきまして明確にされましたのは二つでございまして、ただいま御指摘のございましたような各種の企業は、関税暫定措置法によりまする減税の適用を受けた機械を輸入した企業としてはなお多数のものがあろうかと思っております。
○鈴木一弘君 十分省としても調査を進めると、そうして再びこんなことがないように厳重な手段をもって臨んでいただきたい、これは要望しておきます。これで終わりたいと思います。
○主査(川上為治君) 以上をもちまして通商産業省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 —————————————
○主査(川上為治君) 次に、昭和四十四年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配布してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(川上為治君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○山本伊三郎君 それじゃ一日の総括質問をやるひとつ準備質問をやっておきたいと思うんです。ここであまり種あかすと一日がおもしろくないから、種あかさずに、大臣の腹の中をひとつ探ってみたいと思います。 四十四年度の予算の基本的性格、大臣の財政演説にもあったんですが、最初、四十四年度の予算編成、——前の水田大蔵大臣のときに聞くと、四十四年度の予算の性格は、いわゆる警戒型という景気抑制を重点に置くんだというようなことを発表されたんですが、今度の四十四年度の予算は、大蔵大臣は中立型警戒予算と言われておりますが、一体その性格はどういうことなのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 非常に鮮明な違いというわけじゃありませんけれども、私の気持ちの上では若干の違いがあると思うんです。前大臣のこれの見方は、これは警戒型だ、そのことばが示すように、どちらかといえば非常に景気過熱ということを重要視し、これに対して注意を払わなきゃならぬというところに考え方が集中しておったように思うんです。これはまあ時の流れがそうさしたんだと思いますが、私が大蔵大臣に就任したときの経済情勢、特に四十四年度の経済がどういうふうに動くかという見方になりますと、国際経済の動き、これが非常に見通しが困難でありまして、ことに通貨不安がどういうふうに解決されるか、四十三年に解決されないままに四十四年に不安状態が持ち越されている、これが場合によると国際通商不安につながる可能性なしとしない。そうすると貿易日本、その日本の経済には非常に大きな影響が来る。その点もひとつにらんでおかなきゃならぬ。 それからもう一つ、アメリカの問題があるんです。アメリカの新大統領としてニクソン氏がきまった。このニクソン大統領がどういう態度、政策をとるか、まだはっきりしない段階でございましたが、いずれにしても傾向として受け取られるところは、前のジョンソン時代よりはやや成長抑制型の政策をとるに違いない、そうするとアメリカにおきましても景気後退現象というものが年度の途中において起こってくる、こういうことを考えておかなきゃならぬ。政治経済全体として、また特に日本に関係のあるアメリカがそういう傾向であるということを一方においてとらえなきゃならぬが、今度は国内の経済の動きはどうか、こう言いますと、依然資金需要が非常に強いです。それから賃上げの動き、これも相当の勢いである。 まあそういういろんな経済の動きを見ておると、ひょっとするとこれは過熱というようなところにいかないとも限らない。で、九・八%の実質成長を見た経済がひょっとすると一〇%をこえるような事態にならぬとも限らない。つまり、国内から見るとそういう要因もある。つまり、過熱しやしないかという要因もある。そこへもっていって、国際的には、景気が後退する、こういう要因もある。そこで、一体どっちのほうへこの大勢が動ていくのかというのが非常に見通し困難な状態であったために、予算としては、経済に対してプラスもマイナスもせず、しかし、性格としては警戒というか、世界の動き、国内の経済の流れ、こういうものを非常に注意深く見守っていかなければならぬ、そういう情勢を背景とした予算である、こういうふうに考えたわけであります。
○山本伊三郎君 それは、大体そういう見方も一方できるんですが、アメリカの景気の動向は、毎日、新聞を見ていますが、ニクソンの経済政策は大筋ではジョンソンの経済政策と変わらないという見方が強いんですが、ただ、経済政策がどうあろうと、日本との関係の輸出関係、まあ貿易関係ですね、これが非常に大きい問題になると私は見ておるんですね。アメリカの景気動向、世界の経済情勢、それから通貨の不安の問題は一応別にして、アメリカの経済動向というのは、日本との経済関係で輸出が低下するという関係ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) アメリカの経済面から見ての最大問題は、一方において国際収支ですね、アメリカの。つまり、これはドル防衛ということですね。それからもう一つの問題は、アメリカの国内経済自体のインフレ化傾向、つまり、消費者物価が比較的安定しておったわけですが、去年一年の推移なんか見ますと、わが国の消費者物価上昇とそう大差ない状態になってきておるというようなことですね。それから賃金の上昇傾向も強くなっておる。そういうような国内の景気過熱ですな、これを押えなきゃならぬという情勢があるわけです。それに対して、ジョンソンの当時は、ドル防衛政策と過熱抑制というそういう二本立ての政策でありましたが、やっぱりニクソン新大統領になりましてからも同じ考え方を進めておるんです。おるんですが、その進み方の度合いは、これはなお新大統領になってからのほうが深刻です。それで、まずドル防衛の問題、これが特に日本には響いてくるわけです。アメリカの国際収支、これを見ておりますと、輸出は順調に伸びておるんです。ところが、輸入が非常に激しい。つまり、国内の過熱とつながっておるわけですね。国内の産業設備投資、それから消費購買力、そういうものの需要が非常に旺盛だ。そういうようなことで輸入が激増しておるわけですね。ですから、昨年は、アメリカとすると、この十数年見たことのないような非常に奇形な国際収支バランスになったんですが、貿易収支が、これが平常時には五、六十億ドルの黒字です。それを記録してきたアメリカが、昨年は、なんと貿易収支黒字幅がわずかに九千万ドルだ。九千万ドルですよ。一億ドルにならないんです。そういう貿易収支面の悪化を来たしたわけです。それが新大統領下の対策を非常にシビアなものにしてくる、こういうことですね。輸出増強政策はもちろんとるが、それは同時に輸入の抑制ですね、これについてもかなり思い切った政策を出してくるのではあるまいか。現に、輸入抑制というか、輸入の背景となる、根っことなる国内の物資需要を押えるための一〇%課税ですね、これをさらに継続する措置でありますとか、それから設備投資抑制、そういうための高金利政策でありますとか、それからさらに直接的には輸入の抑制というようなことで自主規制問題というものがちらほら論議されるとか、いろいろなそういう政策が打ち出されてきているんですが、前より多少そういうものが激しさを加えている、こういうふうに見ているわけです。
○山本伊三郎君 その点は、いろいろの要素があることはわかるんですが、直接日本経済にアメリカの景気の影響するところは、やはり貿易収支、輸出輸入の関係が一番影響があるわけですね。したがって予算編成の基礎となった主要経済指標でも、輸出は依然として昨年より伸びるという数字が出ているんですね。輸入もふえる。この輸出輸入、貿易収支の状態を見ると、アメリカの景気については、いま言われた、こちらからすれば輸入がふえる、向うは輸出をふやそうとしている、こういう指標の政府から発表された貿易収支の数字から見ると、あまり悲観したものは出ていないんですね。
○国務大臣(福田赳夫君) そうじゃないんです。つまり、昨年はどのくらいになりましたか、昨年は対米輸出が一昨年に比べて三〇%こえるという激増ぶりを示したわけです。しかし、さらにわが日本の輸出が四十四年においてもそういう調子であるかというと、そうは見ないんです。これは非常にふえることはふえます。ふえますけれども、伸び縮みを非常に低く見たわけです。その対米輸出が三〇%以上となったと申し上げましたが、その場合の世界全体の輸出が二五%増ですね。ところが、四十四年という問題の年はどうなるかというと、大体伸びは半分に見ているんです。
○山本伊三郎君 対米の場合……。
○国務大臣(福田赳夫君) 世界全体。対米の場合幾らというまだ詰めをしておりませんけれども、アメリカの場合はかなり減るというふうに見ているわけです、伸びが減る。
○山本伊三郎君 ぼくは、四十年から、岩戸景気のときに、四十二カ月続いた景気ですね、そのときの経済指標、経済企画庁の一応二十五系列の経済動向指数を見まして、あれから見て、アメリカの景気の動向は日本経済に響くというが、あのときと違う要素は、いわゆる外貨の準備高がそのときと非常に違うと思うんですね。したがって、日本の経済がいままで底が浅いといわれておったけれども、私は、アメリカの景気がこうだからすぐこちらに大きくはね返えるというような、そう弱いものではないという一つの気持ちを持っているんです。しかし、全然影響しないということはないですよ、貿易の約五〇%は対米貿易ですから。しかし、そういうことから見ると、そうアメリカ経済の下降状態が日本経済のかげりを深くするとは思っていないのですが、その点は、時間もそうないので、その程度にしておきます。 昨年の——昨年あなたは閣僚でなかったのですが、昨年の経済見通しは非常に誤りましたね。名目で五%以上違っておる。その原因は、日本経済の底の深さというものの見誤りじゃないかという気もするし、まだほかに要因たくさんありますが、そういうものから見ると、四十四年度の景気の動向というのは、心配な要素はあるけれども、そんなにぼくは落ち込むというようなことはない、むしろ過熱の心配のほうが若干濃いんじゃないか、そう見るんです。さっき冒頭に尋ねたときは、中立、いわゆる警戒型と言われたのは、両面どちらでも考えていこうということに大臣は考えてああいう方針出されたと思うのですが、むしろ警戒型のほうが重要な要素になるんじゃないか。これは予測ですから、当たる当たらぬは別として。昨年のときは、水田大蔵大臣のやったときは、私のほうが実は見通しは勝ったわけです。今度の場合は、福田大蔵大臣とわしとは勝負しようとは思いませんが、一日にやりたいと思うのですが、その点、私は、中立型というのですか、警戒型を、どう考えておられるか、どちらにウエートがあるかということだけ一ぺん聞いておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) どちらにウエートというよりは、いま見通しが非常にむずかしい。むずかしいから、いかなる事態がありましても、これに即応して日本経済を適正な成長を維持していこう、こういうかまえで目をさらのようにして警戒態勢にある、こういうことですね。
○山本伊三郎君 ぼくは、ずっと予算書を、きょうは予算書を持って来なかったんですが、ずっと内容を検討してみたんですが、あなたの言われるものが端的にあらわれておるのは、減税と公共事業費の関係ですね。公共事業費は昨年から見ると大きく伸びていますね。これは、景気を、一つの過熱といいますか、伸ばす、成長に対して拍車をかける要因になりますね。減税の場合は、昨年よりもはるかに減税率はふえておるけれども、昨年の景気の動向から見ると、もう少し減税してもいいんじゃないかという主張をこの前も私は言ったんですが、それはある程度押える、こういうことであらわれておるのですが、この点、私、大蔵大臣、どう考えているかと申しますと、先ほどちょっと冒頭に尋ねたように、貿易収支は若干昨年より悪くなるということは私は認めておる。輸出の伸びは、伸びますけれども、伸びはちょっと低下して、輸入はふえておる。しかし、それは外貨準備高でカバーできるが、その需要供給の場合に少し国内の総需要と申しますか国民消費を若干伸ばしておかぬと困る場合が起こるんじゃないかという私は気もするのですが、そのためには減税は思い切ってやるべきだという私は主張をしておるのですが、この点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) その点は、私は、そうは思わないのです。私がいま一番心配しておりますのは、社会資本の立ちおくれ、これを取り戻す、これをやっておかぬと、五年先、十年先に日本の国というものはゆがんだ形になってくるんじゃあるまいか、ここが一番の心配事ですね。ですから、国民経済の構図というものは、総需要の面から見ますれば、まあ五二、三%が国民消費、あと、設備投資が大体二〇%前後、それから政府の財貨購入が二〇%を切る、多少引っ込んだという程度で、あといろんなものがありますけれども、大体大ざっぱに言うとこの三つですが、私は、日本国経済のピクチャーの中でどの点を重大視しなきゃならぬかというと、社会資本の立ちおくれの取り戻しの面だ、こういう考えです。
○山本伊三郎君 社会資本の立ちおくれは、これは歴代政府の一つの責任であることはわかるのですが、あまりにも民間設備が高度にずっと十年ほど伸びたから社会資本の立ちおくれになったんですが、私はそういう社会資本の立ちおくれは認めるけれども、昨年は非常に公共事業費を押えて、ことしは非常に伸ばしたということは、やはり景気調整の考え方というものがそこに含まれておるのじゃないかというような私は見方をしている。単に社会資本をふやすんだということであれば昨年も同じような形で伸ばしていかなきゃいかぬが、昨年は非常に落としておいて、ことしは実は上げたということには、景気調整の役割りが一番端的にフィスカルポリシーであらわれるのが公共事業ですから、そこにあったんじゃないかと思うのですが、それは間違いですか。
○国務大臣(福田赳夫君) やっぱり景気調整の役割りもしなければならぬ、同時に国としてやらなけりゃならぬことは進めていかなけりゃならぬというのが財政の任務だ、こういうふうに思うんですね。むしろ、本来の財政の任務というのは、財政がやらなければならぬ仕事は何だというと、やはり社会資本の問題、社会保障の問題、教育の問題、そういう問題でありますが、いま一番政府がやらなきゃならぬ問題は、これは公共事業、社会資本の問題だという認識を持っておるんですが、それとても、それをそれだけ突っ走るわけにはいかない。やっぱり全体の景気ということを見ていかなきゃならぬ。景気の他の要因、景気要因の状況によりましては、急がなきゃならぬ公共事業も、ときには押えなきゃならぬ、こういう場合もあり得るわけですね。
○山本伊三郎君 それじゃあと二問で、こういう財政の基本的な問題はまた一日に譲りましょう。 次に端的に申し上げますが、今度の四十四年度の総理、大蔵、経済企画庁三大臣の演説の中で、一番大きく取り上げられたのは、物価政策ですね。これは、流通機構の問題とか、生産性の低い農業とか、中小企業の生産性を上げるとか言われるが、ぼくは金融政策にも大きい責任があると思うんですが、この点、大蔵大臣はどう見ますか。
○国務大臣(福田赳夫君) それはそうですよ。金融政策は物価水準の問題と非常に大きくつながっている。どういうことでつながっているか、というと、やはり金を出す。金を出すと、やっぱり一番すぐ端的に響いてきますのは設備投資ですから、いま消費金融というのはそうはたくさんやっておりませんから、消費にも響いてくるわけですが、端的に響いてくるのは設備投資ですね。設備ができますれば、その設備を稼働せしめるために人手が要ることになります。人手が要るということは、労働需給の逼迫ということになる、それから賃金の問題にもつながってくる、こういうことになる。そうすると、いろんなもののコスト、これに大きな響きを持ってくる、こういうことになってくる。いろんな意味で金融政策と物価はつながっておる問題でありまするが、その辺の金融政策は非常に大事だと思います。
○山本伊三郎君 そこで、その金融政策に対して、いまは自由主義経済ですから、金融界に対して政府が打つ手というものは限界がありますね。で、大蔵大臣としては、そういう物価の上昇のファクターにそういうものがあるということを認められたならば、政府として、四十四年度の物価——五%と言われたが、もっと上がるかもわかりませんが、打つ手は金融問題でしょう。ほかの要素のやつは別として、金融政策として一体どういうものを考えておられるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、金融政策という、物価問題から言うとむしろ周辺のところへ来ておりますが、私は物価問題の本質論を言えば、これはやっぱり低生産性部門の近代化、これが立ちおくれておる、このつまり構造問題ですよ。その問題を根本に置いて、それからもう一つは、金融問題、金融政策とも関連のある国の総需要、総供給、この問題ですね。この関係になってくると思うんですが、いま事は金融の話になってきておりまするが、金融は、総需要の抑制、特に設備投資ですね、この抑制に力があるわけなんで、いま、私は、日本銀行が産業界にタッチしているのを見ているところによりますと、資金需要が非常に多いです。しかも、設備投資に対する需要が多い。しかし、これを無制限に提供するというようなことになりますと、山本さんもおそられるような過熱状態、これを誘致するおそれがある。私もそういうふうに判断をします。で、いま日本銀行が、昨年以来ポジション指導という形の金融調整をやっておりますが、この態勢はくずす必要はない、また、くずしてはならないと、こういうふうに申し上げておるわけです。
○山本伊三郎君 日本経済のポジション指導というのは、これは私あまりきめ手にならぬと思うんですよ。しかし、これは時間かかりますから、いずれの論議に譲りますが、最初言われた物価の上昇の大きなファクターの低生産性の部門に対する生産性を上げるということ、これは、日本のいまのこの産業構造、経済構造では、除々には進むけれども、一番大きいのは農業でしょう、低生産性部門といったら。中小企業の場合は若干上がりつつありますがね。農業部門に対する生産性を上げるということは、私はなかなかいかないと思うですね。政府の入れているようなあれぐらいのことでは私はできないと思うんですが、そうすると、しばらくの間、日本の経済が成長していく段階においては、もう五%程度の物価の上昇というものは押えられない、こう私は断定しているんですが、どうですかね、自信がありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十四年の話ですか。
○山本伊三郎君 いや、ずっと二、三年の間。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、物価の動きを見ておりますと、昭和三十年代の初めの三、四年というものは非常に安定をしておったわけですね。ところが、物価が頭を持ち上げ始めましたのが昭和三十六年なんです。六年、七年、八年と六%をこえる上昇を続けたわけです。そこで、御承知のように、公共料金のオールストップというのを三十九年にやったわけですね。これが響いて、三十九年という年は物価上昇が六%台から四%台を記録するようになったわけです。ところが、公共料金のオールストップというやつは、これは長続きできない。そういうことになりますとまた物価に影響するということにもなり、四十年には公共料金ストップ政策を解除しなければならぬというようなことにもなり、四十年という年は、あの大不況の年でありましたけれども、七%という最高の物価上昇の記録を示したのですが、その後まあ物価という問題に非常に努力もし、いろいろ手も尽くして、四十一年、四十二年と続けて四%をちょっとこえるというところにとどまったわけですね。四十三年が一体どうなるか、こういう問題ですが、これも去年の秋ごろからの見通しじゃ五・四%なんという見通しもありましたけれども、まあその五%前後というところにいけるのじゃないか、あさって終わるこの年度の上昇はそんなところにいけるのじゃないかというように見ているのですがね。四十四年がどうなるか。私は二つ明るい理由というものを持っているんです。一つは、四十三年では非常に物価情勢が苦しくなったのは、とにかく消費者米価を八%上げた。この影響は無視できなかったと思うのです。それからもう一つはいわゆるげたというのが三・二%もあったわけですよ。五%も上がるというその中で、三・二%はもう上がっておると、純粋の物価の動きは一・八%と、こういうようなことなんですから、これは非常に苦しい立場だったわけですが、今度は三・二%という四十三年度のげたが四十四年度ではずっと楽になるんです。これはかなり楽になると思うんです。そういうようなことを考えますと、企画庁長官は控え目に五%を何とか維持維持と言っておりますが、私は何とかして五%をかなり切り込むような結果にいたしたい、こういうように考えておるわけなんですが、お話のように物価問題というのは成長があるから非常にむずかしい。しかし、むずかしい問題だからといっても取り組まなければならぬ問題ですから、まあ経済政策の主軸として取り組みたいと思っております。
○山本伊三郎君 大体わかって注文しているのですから、答弁はひとつ簡単に。親切に言うてもらうのはいいのだが、時間がないから、物価問題はまた次の一日に譲ります。まあいろいろ意見はありますが、あなたの言われることが間違いであるとは言わないのですが、問題がある。 もう一点だけ、公害問題が非常にやかましくなっているのだが、今度の四十四年度の予算を通観して、公害問題はいろいろやられているが、政府の施策としては予算措置はきわめて微々たるものですね。間違いであったら言ってもらいたいのですが、私がずっと拾ってみても六十億前後じゃないかと思うんですね。すべては民間の企業者に依存をしておるというような状態ですね。民間の企業者としても、大企業の場合はそれをこなすだけの能力はあると思うんですが、中小企業者では公害を防除するというだけの能力がない。そういうことですが、政府は、公害問題に対して、これほど重要な人間尊重の政治というものを打ち出されているのだが、これに対してなぜ予算をもう少し施策上出せないのかという疑問を国民一般が持っているのですが、その理由と考え方を言っていただいて、私の質問をそれで終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 六十何億というのは、たしか一般会計からのことかと思いますが、公害は、私どもの考え方では、これはまず公害を起こす主体ですな、まあ企業です、これが起こさないようにまず気をつけなければならぬ。起こしたら起こしたことに対する始末をしなければならぬ。これをほうっておいて全部政府が見ましょうということがあったら、親方日の丸でどういうことになるか、これはもう天井がわかりません。そこで、企業者に責任を持たせるというこの方針を堅持するわけですが、それに対して、しかし、それにしてもこれは企業者だけじゃうまくいかぬじゃろう、こういうことで政府がこれを援助する体制ですね。仕組みはそうなるわけです。そこで、企業を援助するのですから、一般会計の金というよりは、金融になるわけですな、趣旨として。そこで、公害防止事業団というものをつくって、そこから融資をする、また開発銀行、これは大企業に対しては開発銀行で融資をする、あるいはまた小さい中小規模のものに対しましては中小企業金融公庫において融資をする、こういうことで金融にかなりのものを期待をいたしておるわけなんですが、確かにこれはこれからの政治の最大の問題と言ってもいいと思います、公害問題は。これはまあだんだんいい案さえできますれば金を惜しむべきものじゃない、そういうふうに考えますが、この上とも努力をしていきたいと思います。
○羽生三七君 時間が限られておりますので、簡単に二、三お尋ねいたしますが、ただいま山本委員が物価問題に触れられましたが、先ほど経済企画庁の長官にもお伺いしたことなんですが、これは大蔵大臣にひとつお伺いしたい。先日、経済閣僚協議会というのですか、そこで、生産性向上で得た利益の一部を消費者に還元せよというような意味のことが協議をされ、佐藤総理大臣が宇佐美日銀総裁に対して経営者に対して製品価格を引き下げるよう指導してほしいと望んだと新聞に出ておるわけです。実は、私、昭和三十八年六月の本院予算委員会で、当時の池田総理に物価問題で質問した際にいろいろ得案をした。そのときの福田通産大臣は、あなたじゃない、福田一さんのほうですね、翌日談話をすぐ発表しました。ビッグビジネスは生産性の向上に見合って得た利益の一部を消費者に還元するべく卸売り価格を引き下げよという談話を発表したことがあります。翌日すぐやってくれました。ところが、先ほど、そういうこともあるので、経済企画庁も物価問題について何らかのそういう声明なり指導なりをすべきではないかと言ったところが、それは新聞に出ているのでいいだろうと、こういうわけです。それでは、何のために協議会を開いたのかわからない。ですから、そういうことが協議をされたならば、それから総理が日銀総裁を通じて経営者にそういう指導をしてくれということを要望されたならば、少なくとも物価問題の現段階を見て、大蔵大臣としても何らかのそういう意味の行政指導といいますか、声明なり談話なり、総理なりあるいはしかるべき方が行なうべきだと、そのくらいの熱意はあってもいいんじゃないか。新聞に出ておるからそれでよかろうというのは、私非常に不満だったけれども、それ以上企画庁長官は答えないので、あえて多くを言わなかったわけですが、大蔵大臣としてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) この間の物価問題閣僚懇談会は、私は初めの五分ぐらい出まして、あとは参議院予算委員会に出席のため、どういう具体的なやりとりがあったかは——結論だけは承知しておりますけれども、具体的なやりとりについては承知しておりません。おりませんが、やっぱりどうも農林物資の価格、これはどうしても低生産性部門の問題を解決するまでの間は上がっていくだろうと思います。それからまた、中小企業だ、あるいは特にサービス業でありますとか、こういうものも上がっていくだろうと思います。御指摘のように、そういうおくれた産業部門は上がっていく傾向を持つ。どうしても、物価を安定させるためには、近代科学技術が受け入れられる大企業ですな、この方面で価格引き下げが行なわれなければ、これはどうしても上がってしまいます。これはいまのお話も非常に大事なことと思うのでありまして、私どもがタッチする企業家等に対しましては非常にそういうことを力説しておるし、私のいま大蔵省で関係しておる金融機関、これに対しましてもコストの引き下げ、コストが大事だ、そして金融機関でいいますれば金利を安くする、これが物価を安くするゆえんにつながっていくわけですから、そういうことを力説しておるわけですが、たいへん大事なお話なので、これは通産大臣が主管ですから、通産大臣にこういうことを羽生さん言われておるということをお伝えし、善処を求めるようにいたします。
○羽生三七君 やはり、前に福田一通産大臣が言われたくらいな熱意を持って、大平さんでもいいし、大蔵大臣でもいいし、それから菅野企画庁長官でもいいです、だれかが、主務大臣なり関係閣僚が声明するくらいな熱意がないと、それは少しくらい行政的に要望をするなんということじゃ私はだめだと思う。これは強く要望しておきます。 それから次には、これは本会議で私が伺った質問を繰り返すことになるのですが、財政演説で大蔵大臣が経済の持続的成長を維持したいと言われた問題についての質問で、ほぼ一〇%くらいの成長率ということを言われましたですね。一〇%弱くらいのと言われましたが、それは、四十四年度だけのことを言われるのか、いまの経済社会発展計画の長期計画八%程度というのを発展計画の改定と関連をして一〇%程度の持続的成長を維持されようと言うのか、その辺はどういうお考えでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、世界経済の動きとも関連してくるわけなんです。世界経済の動きが浮き沈みがずいぶんありまして、それがまた日本にも影響してくるわけで、日本だけが世界の動きとかけ離れてひとり動くというわけにはまいりませんから、三、四年前までくらいは七、八%程度はいいじゃないかというような考えを持っておりましたが、日本のその後の経済のエネルギーというものを見ておりますと、どうも七、八%というところでは低い、一〇%程度のところを見ておってそう支障はないのじゃないか、そういうようなことを考えますと、四十四年というばかりじゃない、この数年、少なくとも五年ぐらいの間はそれくらいのことを頭に描きながら他の諸施策を見ていくということにしたらどうかなあと考えている次第です。これは、なお、長期計画をいまやっておりますから、もう少し科学的に検討したいと思っております。
○羽生三七君 そういうことになると、これは先ほど山本委員もちょっと触れられましたけれども、そういうことがまた物価と財政金融との関係ともなって、物価にどういう影響をもたらすかという問題もありますが、時間の関係でそれはそれだけにしておきます。 その次に、公債問題、国債問題ですが、四十四年度は四千九百億円となっておりますが、あるいは年度途中でさらに減額されるようなこともあるかもしれません。また、七期連続の増収増益というような好況期に、公債発行ということがやはり刺激的な要因になるのではないかと思う。だから、発行額が少なくなったとかどうとかいうことじゃなくて、発行するかどうかというそのことがそもそも問題として問われているんではないかという気がするわけです。もちろん市中消化であれば資金が民間から政府へ移るだけのことでありますが、結局、市中消化分だけ日銀が買いオペをやることになるのではありませんか。そうすれば、そういうことが行なわれると思うけれども、好況期には余裕分を減税にというこのお考えですね、そういうことのようですが、その減税も手段や方法は確かにもっと他に選択の道があるんではないか。こういう好況期に、たとえ減額したとしても、公債を発行するということはどうであろうかという疑問を持つわけです。もちろん、私、しろうとでありますから、そういう絶対的な確信があるわけではない。私は私なりにそういう考えを持つんですが、この辺のお考えを聞かしていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十一年度から公債政策をとっているわけです。この公債政策を取り入れた根本的な趣旨ですね、これを御理解願えると、その問題のお答えになるかと思うんですが、これは二つの意味があるんです。一つは、いま、日本の国づくりというか、そういう側面から見るときに、日本の国民の所得は非常に低い。それで、その後まあだんだんと高くはなってきておりまするけれども、諸外国に比べますとまだ二十位というような程度の国民所得ですね。しかし、それでわれわれが世界で第二十位の生活感を味わっておるかというと、私は味わっていないと思う。十九位はイタリアです。イタリアのすぐ下くらいの生活感を味わっているかというと、味わっていない。なぜかというと、蓄積というものが日本人にはないんです。それは、あと五年したら、この勢いで行くと、一人当たりの国民所得が今度はイギリスを抜きますよ。しかし、イギリス人と比べた日本人の生活がどうだ、こういうことですよ。これはまたイギリス人の生活感と日本人の生活感というものは非常に違っておると思う。なぜかというと、これは蓄積ですよ。みんな、石でつくった何年も続くような堅牢な、しかもりっぱな家を持ち、また、何年も何十年も続くような調度を持ち、また、家をめぐる生活環境というものが整備されておる、そういうところを見ますと、日本人の家庭に蓄積を与えなきゃいかぬのです。それから家庭ばかりじゃないんです。企業もそうなんです。戦後、朝鮮戦争ブームでばっと立ち上がったわが日本経済、バラック建てみたいな日本企業です、これをちゃんとした鉄筋体制に改めなきゃならぬ。そういうことを考えますと、日本の企業というものも蓄積が非常に浅い。ところが、さっき山本さんにも私申し上げたんですが、政府のやるべき任務というのがこれは年とともにかさんでくる。もうこの趨勢というものは世界的な趨勢でもありますね。特に戦後廃墟から立ち上がったわが日本とすると、社会資本の立ちおくれというようなものを考えまするときに、どうしても世界の各国よりもなお高い速度で行政需要というものがふえていく。さあそのふえる行政需要というものをどうやってまかなうかということになると、増税以外にないわけなんです。ところが、その増税じゃ、これは企業また家庭に対しましても蓄積というチャンスを与えない。これは増税しちゃここじゃいかぬ、やっぱり国が借金をしてもこの際企業と家庭に蓄積を与えなきゃならぬ、こういうことを考えたのがその第一点なんです。 それから、もう一つは、これは景気調整の問題なんです。財政が景気の動きに対してだまっておるべきじゃない。これは私が大蔵省へ入った直後、例の高橋さんが公債政策というものを採用して、当時非常に安定した経済成長が実現できましたが、ああいう記憶もあり、ひとつ財政というものが景気調整に乗り出すべきだと。で、ずっと見ておると、戦後一、二年の不況、二、三年の好況、また一、二年の不況、二、三年の好況、こういうことを反復しておりますな。そんなことをすることは日本の発展上ロスが多い。そういうことをあらしめてはならない。景気循環だから、山もあり谷もありましょうが、私は、山は低くなきゃならぬ、谷は浅くなけりゃならぬ、それを調整し得る要因は何だというと、それは財政にそういう役割りを背負わすことだと、そういう考え方なんですね。 ですからその二つのねらいがあるわけなんですよ。いまお話しのように、どうも好景気であるから公債を出さないでいけ、いくべきじゃないかというようなお話でございますが、好景気だからといって、しかしながら、行政需要を押えるということはできない。しかし、同時に、好況時でありますれば国の財政をそう拡大するわけにもいきませんから、公債の発行額は減らすという考え方をとらなきゃならぬ。四十四年度予算ではいわばまさにその二つの要請を充足しているというふうに考えておるわけなんですがね。まあこれからまた来年四十五年も景気がよければ、やはり公債は減らしていく、発行額を。四十七年もよければなお減らしていく、漸減方針。しかし、この公債の火の種を消さないようにはしておきたい。そうして、もしその世界的な影響で大デフレーションだというような際には、公債を増発して国の景気調整に役立てる。つまり、国内の景気を維持する、こういう考え方をとりたいと思っておるわけであります。
○羽生三七君 実は、いま、国民生活水準が世界で二十位とか二十一位と言われましたが、国民総生産と関連してこの問題を実は最初に経済企画庁長官に聞いたんですよ。世界で二、三位といわれる国民総生産を達成しておる日本が、なぜ生活水準は依然として低位にあるのか。総生産のほうは毎年ずっと十年以上こういう世界一の成長率で伸びておるのに、個人の生活水準は依然として十年以上ほぼ同じところで停滞しておるという、これは理由がわからぬので、勉強のために聞かせてもらったが、あまり明快な答えでなかったのです。それについての蔵相の議論を聞かしてもらいたいが、それは別として、蔵相は財政新時代の中において公債の定着ということをお考えになっておられる。いまその見解の一部が出されたわけですね。漸減方式で行かれるというので、まあ種を残しておきたいわけですね。そうすると、脱却するという時期はないわけですか、公債政策から。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、国民が公債になじむ、市中消化、ほんとうの市中消化ですね、金融機関とか何とかに割り当て式で持ってもらうというのでなくて、証券会社が売ってくれる、こういう程度のものは残しておいたほうがよかろうと、こういうふうに思うのです。というのは、公債発行というものを全然やめてしまって、さあ今度は五年目に大不況だ、どうしても公債発行が必要だといって公債を出すときには、これは容易なことじゃない。やはり常日ごろ公債というものに対してなじみを持っておいてもらったほうがよかろう。それが証券会社が消化し得る額が二千億になりますか、二千五百億になりますか、その辺はこれは経済の発展とともに数字は多少は違ってきますけれども、まあ二千億程度の公債が常に出ておって経済に何らの影響はないし、二千億とすれば、これは五年見れば一兆円ですね。一兆円のそれをかりに全部なくしちゃうということになれば、一兆円の増税をすると、こういうことになるんです。私は、日本の国民生活、また企業の状況というようなことを考えますときには、やはりそういう増税政策をとるよりは、二千億円程度に公債が減ってきたという際には公債は残しておいて、それ以上の財源があれば減税政策、そっちにいったほうがよかろう、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 これは、蔵相の考え方がこの三年間にかなり大きな変化をしたと私は思うんです。というのは、四十年で公債を発行しましたね。あのときには赤字公債と言われたわけです。その前には、これは特に佐藤総理ですが、公債なんか断じて発行しませんと何回も繰り返し繰り返し言われたわけです。おそらく蔵相もほぼそれに近いことをこの前の蔵相時代におっしゃっておったと思う。それからその次には、二千何百億円ですか赤字公債の名において発行して、その次には建設公債と、こうきたわけです。そうすると、今度はもう公債定着論、そういうふうに変わってきておるのですが、四十年度まで何にも公債がなかったのに突然出したって別に不便はなかったわけです。火をともしておかなくたって出そうと思えば出せる。無理に残しておくという必要もないということになると思うのです。だから、私は、ただ減税ということだけではいわゆる蔵相の財政新時代における公債定着論というものの論拠が非常に薄弱だと思いますが、それはそれとして、そうすると、このままでいって、まあかりに好況期に若干手かげんをしても、このまま続けていくとすると、数年後、あるいは十年後に、その累積額は、この利子に償還を加えれば、その年度の国債費というものは相当なものになると思う。たとえば、国債費が何千億になって、ほぼ同額の公債を発行しているというようなときがきても、やはり日本経済に及ぼす効果というものは同じことなんでしょうか。どうもその辺はぼくは納得がいかないのですが。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十一年に公債発行政策をとり出したとき、公債の財政の依存度は一七%ぐらいでございましたか、一七%の財源を公債でまかなったわけです。これをずっとやっていくと、これはかなり重い負担になったと思うんです。しかし、公債の理論というものはそうはならないんです。毎年毎年一七%公債を発行するということにはならないのは、つまり、公債発行によって沈滞した景気が上昇するわけですね。したがって、そこに自然増収というものが出てくる。したがって、財政は伸びます。これは行政需要が伸びるのですから伸びまするけれども、それにもかかわらず、公債依存度というものは、だんだん下がっていく。これはことしは七・二%まで下がってきておるわけであります。で、この勢いでずっといくと、来年度あたりは五%くらいになりましょうか。だんだん下がっていくわけでありますが、公債政策をとった昭和初期ですね、昭和八年、九年、十年、十一年は同じ傾向をとっておるわけであります。それで、私は、公債政策の運営の機軸としての四十四年の景気もこれを維持できる、そうするとまた財源は来年も再来年も伸びるだろう、公債の発行依存度というものは下がっていくだろう、こういうふうに見ておるんですが、じゃ、いままでどのくらい発行したか。四十一年度からちょうど二兆六百億、その程度の国債、しかもこれからそうたくさんは出ませんが、その程度の国債というものは、これは国際的というか、諸外国に比べると、まことに何というか軽微なものでありまして、——国債累積額ですよ。これは軽微なものでありまして、そう心配する必要はないのです。私は、この政策は日本経済全体の発展のためにわりあいにうまく機能しておると、こう見ておるわけです。ただ、これは、劇薬ですから、使い方によりますとたいへんなことになる。節度というものを保っていかなければならぬということには最大の努力を払っていきたいと思っております。
○羽生三七君 誤解のないように申し上げておきますが、私はいついかなる条件下においても国債発行は悪だと言うのではないのですが、これはそういう一部の人の議論と若干違うのです。条件いかんによってはそういうことはあり得るんですね。それを前提として質問をしておるわけです。だから、いまのような時期にはむしろ回収をはかるような情勢にあるのじゃないかと思う。それから蔵相は外国の例を引かれましたけれども、これは、戦前なんかに、諸外国の一部で発行した公債が、いまむしろそういうことが先進国の一部の貨幣価値の評価の上の障害になっておるのじゃないでしょうか、私はそう思うんですね。むしろ日本は二、三年前から新しいこういう条件を生み出したわけでありますけれども、そういう意味でいえば、戦前あるいは戦後二、三年前まで、そういう外国の一部の国のような条件下になかったわけです。それは新しいものをつくり出したわけですね。しかも、それは、確かに国民の新しい資産を別な形で形成するには違いないけれども、いずれは後世の国民がこれを返還していかなければならない、償還していかなければならないものなんですから、条件のいいときには脱却して、そうして減税は他の手段方法によるのがノーマルな状態ではないか、私はしろうとなりにそういう考えを持っておるので、いついかなる条件下でも公債はたとえ二千億でも三千億でも残しておくのだという議論は、私はいかがかと思う。やはりある一定のこういう条件のときがくれば公債政策から脱却するのだということがなければ、ちょっと健全な財政政策とは言えないのじゃないか。当然またそういう時期があっていいのではないか、それを想定すべきではないかという気持ちがするのですが、いかがなものでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは長い先のお話じゃないかというのが私のあれなんですね。公債なんか出さぬで財政をやっていけるような状態でありますれば非常にいいんですがね。しかし、私は、国が借金はなくなりましたといっても、国民と企業が借金だらけだというのじゃ、これは国の体制には相ならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。やはり国はある程度借金をして、民を富ましむべし、企業を富ましむべし、こういう考え方に立ちたいと、こういうわけなんです。
○羽生三七君 それは必ずしもいただけないんですよ。先ほど私は詳細な数字を経済企画庁長官に披露しましたけれども、大企業は、先ほども申し上げましたように、七期連続の増収増益をなし遂げておる。それから社内留保もたいへんな伸びです。法人税は逆に安い。それで公債は、将来国民大衆の借金になる。ですから、いまの蔵相の論理は相当矛盾があると思っておりますが、きょうはほんとうに時間がないので、これ以上多く申し上げません。 その次に、これもやはり先ほどの山本委員の質問に若干関連するんですが、消費者物価の上昇の要因として、これは非常に複雑なもので、単純ではないと思います。これは需要超過もあるし、コスト・プッシュもあるだろう。あるいは需給関係もあるでありましょうし、構造的な要因もあるだろう。特に日本の場合はそういう要因が複雑にからみ合っておる。そういう条件下で消費者物価というのは上がっておる。それもあるけれども、同時に通貨の供給量にも若干の関係があるんじゃないか。蔵相は、先日の予算委員会で、これはだれの質問に答えられたかちょっと記憶ありませんが、通貨は伸びておるが、この伸びは経済成長と見合いをとって伸びておる、こう答えられておる。ところが、実際の通貨量は、実物経済の成長より増大が大きいということが数字の上に出てくるわけです。たとえば、実質国民所得が三十五年度からことしまでに二・二三倍に対して、日銀発行券は歴年平均して三・三六倍。ある程度成長通貨ということもわかりますよ。だが、それは経済の実態成長と見合っておると蔵相は答えられたのですが、必ずしも見合っていないんじゃないか。こういうことも消費者物価の上昇に若干影響があるんじゃないか。そういう意味で、これはきょう私は時間があれば日銀総裁も呼びたかったんですが、時間の関係でやめましたけれども、本来中立性を持つべき日銀が、どちらかといえば若干成長のほうに偏向しておるんじゃないかという感じもいたしますが、この通貨量という問題も消費者物価に若干の影響があるんじゃないか。私は、また、さっきの公債と同じように、どんな場合でも通貨が一%でも実質経済、実物経済に比べて多くちゃいかぬというような、そんな硬直した議論をしておるわけじゃないんです。それは比較の問題だろうと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまのは、実質成長率に比べてのお話のようでありますが、これは、ノミナルの経済成長、名目成長ですな、これに比べますると、大体合っているんです。また、それを目安にしながら金融政策の一つの指針としておる、こういうことなんでございますが、これが成長というか名目成長まで上回るというような状態でありますと、これはやはり容易ならざる状態であると思いますが、まあ金融政策についてはかなり節度をもってやっておると、こういうふうにいま私ども見ております。何なら、数字をごらんに入れてもけっこうでございますが。
○羽生三七君 いま蔵相の言ったとおりの数字ならよろしいです。 じゃ、もう時間ないようですから、もう一問で終わりますが、その次に外貨事情ですね。約三十億ドル台になったわけです、日本の保有外貨が。しかし、世界の高金利時代がまだしばらく続きそうな趨勢にあるわけです。それから同時に、各国の輸入制限などで貿易拡大を妨げる趨勢もなしとはしないわけですね。そういうことがあるけれども、この外貨保有高の増大は主として輸出の伸びによって出てきた現象であることは、これは間違いない。しかし、世界の景気動向等を見ても、必ずしも先行き楽観を許さない。許しませんが、この三十億ドル台の外貨保有高という趨勢は今後なおしばらく続くものとお考えになるのかどうか。続くものとすれば、こういう情勢に対処して、たとえば短期の外債は減らすとかなんとか、とにかくこの三十億ドル台に臨む蔵相の外貨とか国際収支上の対策といいますか政策というものは一体どういうものなのか。これはただ一時的な現象でノーマルなものじゃない、不安定なもので、また落ち込みがあるというのか、あるいはしばらくはこういう趨勢が続くんだと、その際はこういう対策をとりたいというのがおありなのか、その辺をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) いま三十億ドル台の外貨事情というお話ですが、そのよって来たる原因は何だといいますと、貿易収支がよかったということもあるんです。あるんですが、思いがけない外資の流入というものがこれはかなり多いのでございます。たとえば、外国からの日本の証券買いですね、これなんかが去年の春以来非常な勢いです。この一年度、四月から三月までを通計すると、五億ドルをこえるんじゃないか、証券買いが。これは売りがやはり二億ドルぐらいありまするから、ネット五億ドルじゃございませんけれども、それにしても三億ドルは残ると、こういうような状態ですね。その他、日本は、世界に比べますと、いま非常に金利が安いんです。日本は高金利の国だということで、諸外国に比べると二%ぐらい高い国だったんですが、いまは逆に二%ぐらい安い国になった。それにもかかわらず、わが日本に外貨が流入する。なぜかというと、これは日本の円が非常に安定している、こういうふうに見ているんだろうというふうに思うのでありますが、まあ高い金利のところへほんとうは動くべきです。ところが、そこに行かないので、安い金利の日本にドルが集まってくる、あるいはその他の外貨が集まってくる。何だというと、私は、日本経済、特に日本の円に対する信認ですね、これが端的にあらわれているだろう、こういうふうに見るわけです。私は、そういう環境のもとで、三十二億ドルの外貨、これ外貨多きをもって尊しとしない、これはその内容を堅実にしなければならぬというので、いま羽生さんから御指摘のように、日本の経済全体の貸借対照表ですね、この中から短期のいつでも引き揚げられるような外資、これをどんどん整理していく。これはちょっと数字は申し上げることができないわけですが、かなり多額のそういう短期債務を整理していく。これは不良資産じゃございませんけれども、危険な分子のあるそういう負債は排除しようというので整理をしていく。かなりの額にのぼっております。三十二億という外貨保有高になりましたが、同時に、それだけの保有高を持ちながら、日本経済の貸借対照表の内容がきわめて堅実になっているんだと、こういうふうに御承知になってよろしいかと思うのです。 今後どうするかというと、短期資金はなるべくこれを受け入れない、こういうふうにいたしたい。それから長期中期の資金は、性質のいいものにつきましてはこれを導入する、こういうふうな考え方でございます。そうして、あくまで安全に、しかも国際収支の天井を高くしておいて、世界に少しぐらいの経済変動がありましても日本は日本独自の成長、繁栄の道がたどれるような道を開いておきたい、かように考えております。
○羽生三七君 蔵相は、この前衆議院で金の購入をしたいというような意味の発言をされたようですね。ところが、すでに時期を失したのじゃないかと思うのです。私はこれはドルが再び金とリンクされる公算は非常に少ないと思います。これはある意味においては、ドルと金との問題で、交換性に関する問題で、アメリカに遠慮されてきたということもあると思います。それはとにかくとして、金とドルとの交換の停止が今後続くとすると、国際決済の手段として金というものはなかなかこれは使いにくくなるほど貴重なものになるんじゃないかと思うのです。そうなれば、この場合、決済手段にはどういう通貨がいいかという問題が一つあると思いますね。ドルとポンドは必ずしも安定したものではない。そこで、外貨保有の中の一部をマルクにかえるというようなことは考えられないのかどうか、また、お考えになっておらないのかどうか、そういう問題はどうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 外貨の保有の形態ですね、これはよほど慎重にやっていかなけりゃならぬのですが、いま金が三十二億ドルの外貨の中で三億六千万ドルぐらいになっておるのです。これはいま国際通貨不安という状況下において日本が金の買いに出るということはどうも適当でない、こういうふうに考えて、そういう努力はいま当面はしませんが、しかし、長い目で見まするときに、日本は二十億ドルのときも三億ドル金を持っておった、いま三十二億ドルの外貨になったのにまだこの水準だということ、それはよくない。もう少し、三十二億ドルの中らしい金の保有額にしなきゃならぬ、こういうふうに考えております。その残りは何かというと、これは現金だとか預金だとか、あるいは証券とか、こういう形で持っておるわけでございますが、マルクはどのくらい持っておるのか……
○羽生三七君 内訳はちょっとわかりませんか。内訳は発表したがらぬようだけれども、いいじゃないですか、少し話してくれても。
○国務大臣(福田赳夫君) ドルが御不安のようなお話がありますが、私はドルというものにはそう不安は感じないのです。つまり、いま、ドルがドルがといっていろいろの話が出ますが、これはベトナム戦争が終局するというときになりますれば、アメリカの国際収支は非常に肩の荷が軽くなる。これはドルの地位というものも確立される、こういうふうに見ておる。したがって、ドルというものに結びついておるいまの形ですね、これはまあいいと思いますが、同時に、いま、国際社会においてドルだけではもう決済手段として非常に不十分だということになってまいりまして、まあいろいろの人が研究しました結果、SDRという新決済手段がとられようとしているわけなんです。マルクで持つ、これはマルクの今日の地位から見て当然考えていい問題だと思います。マルク債の取り入れとか、あるいは同じような意味合いにおきましてマルクの債券を持つ、あるいは預金を持つ、これは当然考えていいことだと思います。
○羽生三七君 これで終わりますが、それでSDRが国際通貨体制の将来にわたり最も有効な手段であり、これは永続性があると御判断になるかどうか。これは非常に問題である。何か一時つなぎの感じがするのですが、絶対の確信をお持ちでしょうか、それを伺って質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) つまり、ドルというものが戦後国際決済に大きな役割りを果たしてきたわけですね。どういう形で役割りを果たしてきたか。御承知のように、世界で金が四百億ドルあります。その中でアメリカはとにかく三百億ドルの金を持っておったのです。それを背景としてドルを出しておった。そのドルが世界の通貨の決済をまかなうという立場にあったのですが、アメリカはそういう形でドルを海外に放出をして、その結果金が海外に流れる。いまはもう百億ドルを割ろうとしておるわけですよ。もうアメリカとしてもドルを諸外国に放出するのは、せとぎわというか、限界点になってきておるわけです。これ以上ドルに多くを期待することはできない。そこで、どうしても長い目から見まして新しい決済手段が必要だ、こういうことになるわけなんですが、ここ数年間にわたって世界の知能が考え出してこれしかいまのところはない、こういうのがSDRというわけなんです。しかし、これで万能じゃないと思うのです。なおいろいろなことが検討されておるようでありますが、しかし、これも国際流動性の増加という上においてかなり大きな働きをするであろう。国際社会において大いに働くということを期待をいたしておるのが現状でございます。
○山本伊三郎君 ちょっと大蔵大臣に参考に聞いておきたいのですが、先ほど説明になったのでちょっと気がついたのですが、国民の貸借対照、つまり資産負債の関係が非常に伸びてきた、よくなってきたと言われますが、これは数字を出していない。これは銀行筋でも数字を出していないのですが、十億ドルないし十二、三億ドルと言われておるのです、資産のプラスのほうが。これは大蔵省としてはそういうものをはかる方法はないのですか。やっておられるけれども数字を言えないのですか。 もう一つ、これで最後ですが、短期外資をなるべく少なくする、長期のほうにかえていくということですが、それは理由はよくわかるのですが、その押える方法は政府としてどういう方法でやられるか、その点だけちょっと伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) まず、国の総収支というか国全体のバランス、これはよく大蔵省として検討して、そして常にそういうものをどういうふうになっているかということを見ておるわけでございます。これはほんとうの何というかお蔵番としての大蔵省だけが心得ている問題でありまして、公表もいたさないし、どこの国でもそういうことはやっておらないのです。ただ、個々の短期資金の動きとかなんとか、そういうものにつきましては公表することもございますが、全体のやつはなかなかどこの国でもやっておらないことであります。 それからどうやって短期資金を減らしていくかという問題でありますが、これは銀行なんかが短期資金を外貨の形で借りて運用しておる、そういうものの返済をしていただきます。そういうことでありますとか、あるいは新しくそういう短期の金が入ってくる、これを抑制いたしますとか、そういう二つの方法があるけれども、大体、短期資金というのは、これは銀行が商売決済用に借りているわけですが、それは外国の金は使わない、なるべく日本の円を使う、こういうような形をとるようにお願いをしているわけであります。
○主査(川上為治君) 以上をもちまして、大蔵省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 これにて予算委員会第二分科会を散会いたします。 午後七時十一分散会 —————・—————