P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
61回国会参議院1969/04/01

予算委員会 第22号

発言数
442
登壇者
34
会派数
6
開催日
1969/04/01

会議録

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き締めくくり総括質疑を行ないます。山本伊三郎君。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 まず最初に、佐藤内閣は、経済政策の基本として四十年代に挑戦するということで、昭和四十二年三月に経済社会発展計画を発表されたのであります。これは佐藤内閣として、もうすでにこれは放棄するつもりかどうか、この点ひとつ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうもよく聞きとれなかったんですが、経済社会発展計画は放棄したのかと、こういうお話かと思いますが、御承知のように、私どもはいわゆる計画経済をやっておりません。しかし、一つの目標を持って、そうして経済を指導しておる。その点におきましては、私どもの考えとか、見通し、それを上回る成長をしておりますが、いわゆる発展計画を放棄した、こういうものではございません。また、ただいまの状況は、その発展計画を上増す発展であり、そして、それが他にあまりたいしたひずみを生じておらない。大体健全な方向で発展している。これをさらに強化する。これをいたしますから、いわゆる放棄したと、かようなものでないことは御了承いただきたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 経済社会発展計画を発表されたその理由というのは、池田内閣の高度経済成長が行き過ぎである。これに対して安定成長という佐藤内閣の新しい構想ですね、しかも、その他の社会のひずみを直そうというそういう観点から出されたこの着想については、私は新しい考え方だと思っております。しかし、もう二年目にして経済成長の見通しを誤ってしまった。一体この責任はどうとられますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま山本君の御指摘になるとおり、経済は成長しなければならないが、非常なひずみを生ずる、アンバランスがくる。さらにまた、そのことが国民一般に物価の上昇だとか、あるいはまたその成果を国民のしあわせのほうに持っていかない、こういうことがあるから、どうも経済成長ば望ましいんだが、安定成長、それをひとつはからなければいかぬ、こういうのがいわゆる経済社会発展計画であったと思います。しかし、私は先ほどお答えいたしましたように、なるほど計画を上増す成長ではあった、しかし、この成長によってもたらされたものが本来の目的を達しておる、したがって、たいへんけっこうなんじゃないか、まあ私はかように考えております。  いま御指摘になりますように、やはり安定的な成長である、物価が安定する、さらにまた効率よくこれが進んでいく、そうして、いわゆる国民のしあわせの状況に好影響をもたらしていく、こういうことが望ましいのであります。そういうことなしに、ただ成長、成長という成長一本に力を入れますと、どうしてもひずみを生ずる。ある者は非常にしあわせになる、ある者は非常な不幸をみるといういろいろな現象が生ずる。そういうことの起こらないように、いわゆる発展計画を立てた。それはいわゆる計画経済ではない。そういう意味で、これも御理解されておると思いますが、長くは申しませんが、いわゆる計画どおりではございませんけれども、それを上増すようないい成績を上げている、かように考えます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 いわゆる計画経済を論じているわけではない。皆さん方の土俵の上に上がって論争しているわけです。聞きますけれども、上回った成長という、私は経済成長はしなければいけない、昔のことばで言えば拡大再生産といいますか、必要であります。であるが、その見通しを誤ったということは、やはり物価との関係も出てくると思うのです。その他公害の問題も付属的に出てきますから。そこで、いま政府は安定成長の度合をどこにめどを置いておるか、しかも、計画を上回る成長をしたという原因はどこにあるか、私はいま日本経済の置かれておるところの位置というのは、ここに大きい問題があると思う。現在いわれますけれども、成長、成長と言っておりますが、やがてはこれは大きい問題にぶつかる時期でなかろうか。そういう時期において、ただ成長を上回ったら国民が幸福だ、いいんだということでなくして、はっきりとどの程度が安定成長の時限であるか、その点をひとつ述べてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう山本君、御承知のとおり、いわゆる経済成長をもたらすもの、いろいろ先ほどのひずみ、谷間も生じますが、それよりもやはり一般的には物価にはね返る、物価の上昇を来たす、それで、その物価がある程度上昇するのはやむを得ないと思いますが、非常に高くなっては困る。佐藤内閣になりましてから、とにかく五%、一応その辺を目標にして、それより以下になればたいへんしあわせだ、そういうことで努力をしております。もとの六%あるいは七%というような上昇では困る、これが一つの問題だと思います。  もう一つは、何といいましてもただいまは一国経済ではないのであります。国際経済、そういう意味で国際収支が改善されないと困る。そうして、この二つが私どもの基本的な注意すべき点なんです。国際収支はよくなった、あるいは物価は非常に高くならないで一定のところでおさまると、これが一つの基準であります。それで、日本の経済成長は一体どのくらいがいいだろうか、いままでも三年も好景気が続いた。しかし、なかなか四年目になると問題が起こる。これを長期安定にひとつしようじゃないか、これが私どもの考え方でもある。そこで、まあ一〇%というようなところはいいところだろう、この辺をねらいますが、しかし、なかなかわが国の基調というのは強い。なかなか一〇%ではしんぼうしない。いろいろ政府が気をつけてはおりますが、一二%になり、あるいは一四%にもなる。しかし、どうもいま見まして一二%以上になると特別にわれわれが気をつけないとならないような事態が起こりやすい。だから、いまのところ大体一〇%、それをねらいにして、そこで大体一二%くらいのところまではいいのじゃないか。そうすると、物価のほうもいわゆる五%程度におさまるのじゃないか、こういうふうに考えます。国際収支も大体悪化しないでいくのじゃないか、これが私どもの何といいますか、総体として、まあぼんやりというのもおかしな表現ですが、一応考えるところです。しかしながら、ときに経済成長は一二%でおさまらない。ときに一四%も成長する。そういう際になりますと他にブレーキをかけておさまるようにする。特に物価に注意をする。これはいままでもとってきたところであります。でありますから、いまの長期安定成長、安定成長とはいいますが、これは他国にない高度成長であります。その高度成長を続けるために実情をとにかく正確に把握して、そうして適時適切なる対策を立てていく、これがただいまの経済に取り組む態度であります。いわゆる計画経済というものじゃございませんが、国民の活動の面から見ましても一つの指標がないと困る。国民の皆さんから見れば経済はどんどん成長のできるときに成長さしてくれと、こういう気持ちが非常に強いと思います。けれども成長のできるときに成長さすという、そういうことをやると長続きはしないし、必ず谷間が出てくる。これは気をつけなければなるまい。また、労働力にいたしましても、いまの成長産業のほうには労働力はどんどん片寄りますけれども、その他の面に見向きもしない。こういうようなことになりますと経済全体としてアンバランスが生ずる、こういうことがある。そういうことのないようにというのが私どもの気をつけるところであります。ときには目付役になる、ときには問題がやや沈滞しておると、かように考える場合には財政が率先して力を貸して成長をさしていく、こういうことに実はいまなるわけであります。こういう立場で大蔵あるいは経済企画庁、通産省あるいは農林、全部が一体となりまして、ただいまのような政策を推進してまいりたい。ときにわれわれが予測したよりも上回ることがある。そこで、大体見ておりますと、やはり計画の下になったとき、これが一番批判を受けやすいのであります。そこでその衝にあるものが少し小胆になる。そうすると、せっかく成長すべきものが成長しないということがある。こういうことがありますので、経済の見通しについてはやはり大きからず小さからず、適正なところをねらう、そうして長期的にそれが維持される、こういうことを主体に置いておるというのがいまの現状であります。いろいろ申し上げましたが、足りないところもありますけれども、以上の骨子だけ申し上げておきます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 いろいろと説明を願ったのですが、端的に聞きますが、この前の経済社会発展計画では八%、これは平均でございましたけれども、四十六年度をめどに八%の成長ということで押えられておる、押えてといいますか、つくられておる。いま総理の御意見を聞きますと、一〇%程度が適当な成長の度合いである、こう受け取っていいのですか、それをちょっと聞いておきます。実質ですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、学者によりまして、八%が適当だとか、あるいは一二%をこしてはならないとか、こういうようにいろいろ申します。申しますが、やはり日本の経済の力あるいは現状、そういうものから考えますと、相当の商い経済成長率、それがやはりあるのではないか、かように思って、ただいま申し上げたように一〇%程度だと、かように申したわけです。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私の憂えるのは、現在、もう昭和三十三年程度から非常に経済成長が急速に伸びてきておる、伸びるいまの日本経済のやはり基調というものは、私は一つの理由があると思うのですが、これが行き詰ったときにどうするかという問題が一つある。均衡のとれた成長ということでなければ、あまり過度の成長というのは、やがてはそれは大きい谷間に落ちてくる私は原因になるということから、一応、質問を展開するわけですが、そこで聞きますが、これは今後の論議の発展のためにちょっと聞いておくのですが、昨年は非常に経済は皆さん方政府の見通しよりもはるかに高い成長をしたわけですね。昨年、経済企画庁では、予算編成の参考資料として出された場合には名目で一二・一%、それが一七・三%まで伸びた、これは一体どういう原因であるかということを御説明願いたい。国務大臣(福田赳夫君) 昨年のといいますか、四十三年の経済ですね。この見通しにつきましては、控え目な見通しというのが圧倒的に実は多かったのです。一昨年の暮れ、昨年の初め、そのころは世界経済が四十三年中は下向くであろう、これはアメリカのドル防衛、こういうものが相当効果を出してくるのじゃないか、そういうようなことであったのです。そこで先行き悲観的な空気が多い、そういうところで、まあ一部にはそうでない議論があったという話でございますが、大勢はそういう見方、それに準拠いたしまして、日本の経済もこうであろうと、こういうことであったのですが、アメリカの経済は一向に鎮静しない、また世界の経済も思ったよりは貿易量が多い、こういうようなことから見通しがこういうふうに狂ってきた、こういうことかと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私の尋ねているのは、それもありますが、そういう見通しを誤った、それ以上に伸びたというのは、アメリカの経済がどうかということだけでは私はないと思うのですがね、アメカリの経済だけに日本がそこまで依存するということでないと思うのですが、その理由をひとつ聞かしてほしい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカの経済が私は一番大きな作用をしていると思うのです。日本の経済はアメリカの貿易に非常に関係が深いのですが、アメリカへの貿易が、輸出が三〇%も前の年に比べて伸びた、これは非常に異常なことなんですね。アメリカのほうはどうかというと、ベトナム戦争、非常に国際収支が悪い、このドル防衛、これに非常にやっきとなったわけでありますが、その中心の政策として一〇%増税というものをやったわけです。これが春ごろにはおそくも成立するであろうという年初の見通しが、だんだんおくれて、夏になってやっと効果を奏してきた、まあ効果というか法案の成立を見た、そういうようなことで押せ押せになったわけです。そこで、アメリカの景気はいまだにまだ鎮静の方向をとらない、今日なおとらないというような状況であります。そこへ持っていって国際通貨不安であります。これがかなり国際通商には影響するであろうというふうに見られましたところです。この国際通貨不安が国際各国の協力のもとにことしに持ち越されておるというような状況も出てきている。その面からの国際通商の減退も起こらない。のみならず、かなり国際貿易全体として、年初に見られたよりはふくれ上がっておる、こういうような状態です。それを受けまして、わが日本の経済は拡張基調に向かった。それで、わが日本の国内政策としては、年初来引き締め政策をとったわけです。それにもかかわりませず、日本の国内の設備投資なんか進む。なぜ進んだかというと、引き締め政策を消す要因が出てきたわけです。それは国際通貨不安、フランが不安である、ポンドが不安である、こういうようなことから、わが日本の円が相対的に非常に安定感を増してきておる。そこで御承知のように株式の買い入れ、ヨーロッパの人なんかが日本の株を買いにかかっておる。四十三年度中に実に五億ドルをこえる買い入れがある、こういうような状態です。それからユーロダラーなんかがどんどん入ってくる。そこで、国内通貨は引き締めますが、外貨が入ってくる。その外貨を引き当てとして設備投資が行なわれる、こういうようなことで、設備投資も大きく見通しを上回るような状態になる。そこで当初一二%ぐらいだろうという成長率が一七%をこえる、こういうことになったわけであります。この国際関係の変化ですね、それに伴う日本の円への信頼度の向上、これが異常に日本の経済を発展さしたと、こういうふうに見ております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 いかに福田理論をしても私を説得できないと思いますね。そういう事情は、昨年、四十三年度の予算編成の当時、経済企画庁はそういう見通しをもうすでに持っておった。と申しますのは、四十二年度の一月にこれを出されておりますけれども、その当時のいわゆる貿易収支でいえば一番いいのでございますが、その当時は輸出は七・七%しか伸びない。輸入は二〇・八%伸びるという、その当時見通しを持っておる。それから通貨不安も、もうすでにその当時以前にポンドの問題もいろいろあったわけですね、見通しがある。そういうものを見ながらも、なおかつ押えてかかったんですね。一二・一%にしようという政府の意図は私はわかるのですよ。しかし、私はその実勢を見誤ったということを言っている。あなた言われたことは、四十三年度に来たところの問題を、ずっとこういうことになったらこうなると言われますけれども、そういう要素はすでに四十二年の十二月から一応見られたわけなんですよ、出されておるやつは。貿易の伸びは七・七%しか伸びない、輸出は。輸入は二〇・八%伸びる。それが四十三年度は非常に輸出がふえてきておる。そういう原因というものは、このとき、四十二年度のときにすでにわかっておりながらなぜ見誤ったかという、そこに私は日本の経済の実勢といいますか、基調というか、力というか、そういうものについての認識が足らぬじゃないかということを私は言っておるわけなんですね。その点どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 見誤ったと言えば見誤ったと言ってしようないんですが、つまり世界貿易が一二%増をこえるという、そんなに伸びるとは思わなかった。そういうような世界情勢の見通しだったわけです。これは政府ばかりじゃない。あなたがお調べになりますれば、これは民間の各機関がほとんど四十三年の経済については、先行き不安だ、暗いと、こういう見通しを持ったわけなんです。その見通しは何であるかというと、アメリカの問題、それから国際通貨不安の問題ですけれども、それはアメリカの景気の停滞というのが、停滞なしに今日まで続いておるということと、それからもう一つは、国際通貨不安、それがまあだらだらと爆発しないままに今日になお持ち越されておる。こういうことなんです。ですから、そういう世界情勢の変化が見通しできなかったと言えば、それは見通しできなかった。見込み違いだ。しかし、そういうわれわれのどうにもならない要因がそうさしたのだと、こういうふうにお受け取り願いたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あまりそう力を入れて抗弁する必要ないですよ。間違っておったことは事実なんですよ。数字が出ておる。間違いは間違いだということでひとつ了解いたしましょう。  そこで、そういう過程をたどって、四十四年度の経済成長、これは非常にむずかしい。あとで財政問題であなたにお尋ねしますけれども、経済企画庁の答弁はみんなあなたと違ごうたんでございます。それはいいです。四十四年度の見通しは一四・四%というものに対して、この前もちょっとお尋ねしましたが、自信がありますか。昨年度と比較して自信がありますか。これは必ずまた来年こういうことがありますよ。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 先ほど大蔵大臣から詳細なお話がありましたから、私がそれ以上つけ加える必要がないと思いますが、四十三年度の見通しが悪かったということについては先ほどもお話のとおり、一昨年の十一月にポンドの切り下げがあり、同時にフランに対する不安、ドルの不安、したがって、四十三年度の正月にはアメリカからドルの中期公債を日本にも持ってくれというようなことでアメリカも通貨不安、同時にアメリカの経済も不安じゃないかということで、諸外国の経済情勢が悪いということで、そこで、四十三年度の見通しは十二月の材料でつくった。四十二年の十二月の材料でやったわけです。それに基づいて四十三年度の見通しをみんなしたものですから、したがって、みんな悲観的な考え方をしたわけです。ところが、国際通貨も一応安定するし、それでアメリカの経済も伸びておるし、したがって、日本の輸出が盛んであるというようなことであったわけです。そこで、四十四年度もやはり十二月の材料で大体四十四年度の経済の見通しを立てておるわけであって、そこで、昨年末の情勢のもとにおいては、われわれ心配しておるのはアメリカの貿易制限ということ、それをわれわれ心配したのであります。それと同時に、われわれが考えたのは、四十四年度の下期においては大体世界の経済が鈍化するのではないか。これは日本ばかりではありません。OECDにおきましても、各国ともに四十四年度の下期には経済が鈍化するということをみな発表しておるのであります。そういうようなことから、四十三年度のようには伸展しないということで、四十三年度の実勢よりも少なく一四・四%ということで見通しを立てた次第であります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 四十四年度の場合は自信があるとは言わなかったのですが、そういう見通しを持っておるようでありますが、重要な問題ですから、閣僚の方々、政治家として大きい判断をされておると思うのです。私はこの二十五系列の景気動向指数を見ますと若干問題があると思いますので、これは大臣でなくってもけっこうですから、政府委員から科学的ないまの見通し、まあ現在四月一日ですから、現在の場における四十四年度の見通しを簡単にちょっと説明していただきたい。

矢野智雄経済企画庁調査局長

○政府委員(矢野智雄君) お答えいたします。  現在の二十五系列に基づきます景気動向指数、一月まで判明しておりますが、一月の数字は総合系列で七四、なお、総合系列はさらに中を三つの系列に分けておりまして、先行系列、一致系列、遅行系列とありますが、それぞれの数字を申しますと、先行系列が五五、一致系列が一〇〇、遅行系列が七一・四であります。御承知のように、この系列動向指数は景気に関連の深い代表的な指標二十五項目を使いまして、それぞれの項目につきまして上昇しているときはプラス、下降しているときはマイナスの符号をつけて、全部がプラスであれば一〇〇、全部がマイナスであればゼロ、プラスマイナス半々であれば五〇ということになります。総合系列が五〇を上回っておりますときが景気が上昇局面にあり、五〇以下であります場合には下降局面にあるということになります。先ほど申し上げましたように、一月現在七四、つまり五〇を上回っておりますので、なおその時点では上昇局面ということになります。現在、景気の上昇は昭和四十年の十月を底にして上昇期に入っております。この景気動向指数によりますと、昭和四十年の十月で五〇の下から上へ移りまして、十一月以降五〇以上を続け、つまり上昇局面を一月まで続けているということであります。一月で三十九カ月になりますが、なお、今月、この四月で四十二カ月日を迎えることになります。戦後の最長の景気上昇期は、いわゆる岩戸景気と言われる時点で、昭和三十三年の七月から三十六年の十二月までの四十二カ月であります。それで、まだ二月以降はわかっておりませんが、ただこの景気動向指数は先ほど申し上げましたように、さらに三つの項目、系列に分けております。そのうち重要なのは先行系列であります。先行系列が五〇を割り出しますと、過去の経験によりますと、五、六カ月後に景気の山がくる。つまり総合系列として景気が下降局面を迎える可能性が多いわけであります。  ところで、先ほど申し上げましたように、一月現在で先行系列がなお五〇を上回っておりますといいますことは、少なくとも五、六カ月後といいますと、この現時点で景気上昇期間四十二カ月になるわけであります。おそらくそれを破る記録になることはほぼまあ間違いないといいますか、可能性が非常に多い。つまり先行系列がまだ一月現在で五〇を割っておりませんし、なお、現在の個々の系列を検討いたしますと、まあごく近い将来において五〇を割りそうだということもまだちょっと判断しかねる状況でありますが、しかし、さしあたり景気はなお上昇局面を続け、少なくとも岩戸景気の記録を超える可能性はかなり強いのじゃないかというように判断しております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 まあ景気の動向というのは、なかなか自由主義経済ですから測定しがたいことはよくわかるのですが、冒頭に総理に言いましたように、日本経済のいわゆる基調と言いますか、力と言いますか、これは非常に、もう戦前はもちろんのこと、三十年代になってから非常に変わってきておる。で、谷と言いましても、昔の谷よりも浅くなってきておりますね。山のほうがずっと続いて、いま言われたようにもう四十二カ月、岩戸景気を長引く、上回るというようなイザナギ景気と申しますか、継続しようとしている、そういう動向ですね。したがって、私は、この経済企画庁からもらった先行系列を見ましても、四十四年の初め、それから六月、七月ごろには五〇%ラインを割っておるのです。しかも、それが総合系列になると五〇%ラインを割ったのは五月か四月ごろにちょっと割っておりますね。この動向から見ると、私は日本経済というものはそう海外の経済情勢には、それは敏感であることは事実でありますけれども、そう簡単に、私は不景気といいますか、成長がやまない、成長が落ちない。こういう実は見方をしておるんですが、時間が迫ってきておりますので、この問題についてはそう論議いたしませんが、結論から申しますと、私は一四・四%に、大蔵大臣、先ほど言われましたが、それを押えようとすれば、やはりどこかで手を打たなければ、いわゆる財政的あるいは金融的に何か打たなければ、非常に心配する、行き過ぎというものを懸念される。この点、どうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。いま申しますように、経済は生きものだとしばしば言われる。だから、大事なことは、そのときどきの実勢をつかまえる。経済がどういう状態になっているかということをつかまえる。そうして、それに適切なる政策を実施することだ、それではじめてただいまのような高度成長を維持できる。これをいま、私、別に自慢するわけじゃありませんが、政府のとった政策に誤りがなかった。基本的な線もいいが、いま言われましたように落ち込んだ、その間は非常に短くて済んだ。これから抜け出ることができる。これはそのときの金融政策、これが功を奏したということなんであります。まあ金融政策ばかりではございませんが、政府の持っておる態度、そういうところへ処して功を奏するようになっている。そこで、政府は自慢するわけじゃありませんが、私どもは絶えず気をつけろ、油断はできないんだぞ、これはもう生きものだから、これを長期に経済成長をやらせようとすれば、どうしても絶えず気をつけて、適切に事態を判断して、そのときに必要な政策をとるべきだ、こういうことを申しておるわけであります。私この予算編成にあたりましても、すでに御承知のように、公債を相当発行した。しかし、その公債もやはりこれは弾力的なものにすべきだ、こういうようなことがしばしば言われておりますが、大蔵大臣も特にそれに気をつけて、適当なる運営をしておりますが、そういうことが大事だろう、これはまあそういう意味では各党の協力がなければ困りますので。もう一本筋で、もう進め進めと言うだけではいけない。ここらに問題がある。この辺でいままで苦労していることを御理解がいただけるかと、かように思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 総理は、自分らの宣伝だけされまして言われますが、国会におけるわれわれの相当きびしい批判というものが、政府をしてそうしからしめておるということも忘れてはならぬですね。  そこで、この経済問題に関連して、財政問題で大蔵大臣に聞きますが、そういうものを踏まえて四十四年度予算は、一体、警戒型であるのか、中立型であるのか、あるいは何型か、その点をひとつ明快に大蔵大臣から。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 一言で申し上げますと警戒中立型、前から言っておるとおりであります。なぜそういうことかと申しますと、先ほどから総理からもお話しがありますように、わが日本が戦後最長のいま景気を記録しようとしておるわけなんです。いままでの景気循環からいうと、曲がりかどにきておるわけなんです。時期的な関係からいうと、そういうことになるわけです。その曲がりかどを曲がりそこねさせてはならない、これが私どもの考え方であります。そういうことから、なぜ従来の景気循環が曲がりかどにくるかと申しますと、どうしても一、二年の不景気、不況、それに続いて二、三年の好況、また一、二年の不況、二、三年の好況、好況の間に設備投資も進む、国民の需要も進む、そういうようなことから輸入が多くなってくるわけです。そこで国際収支が苦しくなる、その国際収支を救うために引き締め政策をとる、そこで不況になる、こういうわけでありますが、今日この時点におきまして、景気があんまり進み過ぎ、昨年、昭和四十三年のように一七%をこえるというような成長になりますると、これはどうしても国際収支に負担がかかってきやしないか。そこで、これを是正しなきゃならぬ。それに気を使わなきゃならぬ。こういうようなことで、四十四年の景気、これは警戒してかからなければならぬ。で、国際情勢を見てみましても、大体、国際的な権威者の見方は、先細りだ、下半期には貿易が停滞をすると、こういう見方が普通の見方でございますが、そういうようなこともよく見ておかなければならぬし、またアメリカの景気がいまずいぶん調子はようございますが、またこれが下半期には停滞しやしないかという見方もある。そういうことも考えておかなければいかぬ。そういう景気のマイナス要面もありますので、この先、世界の景気が一体どういくか、その中の日本の景気がどういくかということ、爆発的なブームを起こしちゃ困る。これは先ほど申し上げたとおりでありますが、同時にまた落ち込みがあっても困る。世界環境でそういうおそれもあるわけなんです。この辺の経済の見方というのは非常にむずかしいのです。そういうことを考えますと、日本の景気に対して非常に力強い指導力を持っておる財政、これのかじの取り方いかん、これが問題になってくるわけですが、まあ警戒はしながらも、しかし弾力性のあるかまえ、つまり総合予算主義をとって、そうしてまあ多少の財源の不足がありましても、いつでも対処できるように、あるいは公債を今度は減額をいたしております、発行額を。公債発行額の天井を高くしてあるわけでありますから、もし万一非常な落ち込みがあるというような際には、公債政策の弾力的運営でこれに対処するというようなことも考えております。要は、曲がりかどを曲がりそこねないように警戒するとともに、財政が景気の動きに弾力的に対処して、この四年目の景気をひとつ持続させ、さらにこれを五年目、六年目と続けさしていくようにその基礎固めをしていこう、こういうのが今度の予算の性格であろうと、かように考えておるのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大蔵大臣は警戒的中立型と言われましたが、私のことばをかりれば、悪く言えば暗中模索型予算である。ことばを上品に言えば景気模索型予算。いま言われたのはそのとおりだと思います。非常に判断のしにくい時期であることはわれわれもわかりますけれども、予算の内容を見ると、経済成長率よりも予算の伸びが高い。ましてや財政投融資は昨年より上回った伸び方をしておる。内容を見ますると、公共事業費を昨年の倍程度伸ばしておる。これらを見ると、警戒的な要素というのはどこに見られるか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ総合予算主義をとりまして、いかなる事態に対しましても、非常の事態でない限りこれに対処するというかまえを示しておることが第一点。それからもう一つは公債の発行の額をこれを千五百億円減らしまして、そうしてまあ警戒体制を示すと同時に、公債発行余力、天井を高くいたしまして、そうしてこれのいかなる事態にも対処できるかまえを示しておること。それからいま財政の規模のお話がありましたが、確かに一五・九%という膨張でございますが、これはその中に非常に異常な要因があるのです。つまり交付税、交付金です。これがまあ非常にふえる。そこで、これを四十三年も四十四年も差し引いて考えますと、ちょうど一四・四%という増加率になるわけでありまして、まあ私はその点を考慮しますと、非常に経済成長率と調子を合わせているというふうに考えますが、同時に中央地方、また中央の政府機関、それらが全部合わさって国の物資、労務を利用するいわゆる財貨サービス、これから言いますと、昨年に比べて一二%の伸びなんであります。それらを考えまするときに、まあこれが過大な予算だというふうには考えておりません。しかし、その一五・九%の伸びの中でも、前から申し上げているとおり、これは色は非常につけております。つまり社会資本の取り戻し、これに常時注意いたす、それから社会保障の充実、この二つには特にいま留意をしておる、こういうような性格の予算でありまして、まあ決してこれが刺激型の予算であるというふうには考えておらないわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 公債論についてはあとでちょっと触れますけれども、国債を削減したということ自体、私は景気に対し政府が操作すること自体には実は問題があると思う。日銀引き受けであれば別として、これは民間消化である。政府が使わなければその資金は民間で使うから、これは別の問題があると思う。それから地方交付税の問題については、地方交付税はなるほど地方に委譲するけれども、地方においてそれを消費するんですから、これは国が使うか地方団体が使うかの相違である。これはあなたの言うのは理由にならぬ。しかし、私の言うのは決して警戒型でいかなければならぬという論拠では私はないと思う。非常に政府は両面を考えて予算編成をされたといいますけれども、非常に複雑な要素はありますが、私は本年もやはり政府が見ている一四・四%以上に伸びるという一つの見方をしておる。そこで聞きますけれども、銀行筋の景気見通し、経団連あるいは経済研究所あたりの経済の見通しは大体一六%以上、多いところでは一七%、経済企画庁の研究所の出しておる三つの方式を出している一番下でも一五%、そのいずれの数字を見ても政府の一五%割った一四%台の経済見通しというのは、いまの財界その他から見当たらないんですが、これは一体どういうふうに判断されるか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 民間諸団体等において景気観測をしておりますが、それはお話しのように一五%を大体においてこえるのが大勢でございます。しかし、政府はそれに対して一四・四%ということでありまして、なぜであるかというと、民間のほうはこのままこれをほうっておけばこうなるんだということで、政策意図というものは一切入っておらないわけです。私のほうというか、財政当局といたしましては、これが四十二年。四十三年のように一七%をこえるという成長は好ましくない。もう少しなだらかな成長のほうがよろしい、それが景気が長続きするゆえんである、こういうふうに考えまして、財政ばかりでありません。金融政策においてもこれは一体でございますが、そういう方向に施策をとろうとしておるのであります。その方向の施策がとられるということを前提にいたしまして、経済企画庁では一四・四%、こういうことを出しておるわけです。民間と違う点は私どものほうは政策意図を含めておる、こういうことと御了承願いたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。その経済成長に関連して、先ほど山本委員が触れられたと思いますが、先日の分科会で私が蔵相にお尋ねした今後の経済成長率、四十四年度は一〇%ぐらいと、これは前から御答弁がありましたが、今後数年これを継続したいとおっしゃるが、それは経済社会発展計画もそれに見合って、これは経済企画庁長官の関連ですが、蔵相と同じように成長率を考えられておるかどうか。それから、これは総理にお尋ねしたいんですが。総理もやはり蔵相と同じように、四十四年度だけでなしに、今後数年間やはり一〇%程度とお考えになるかどうか、それからそうなると、いままで池田内閣を批判してきた高度経済成長政策というものと安定成長路線というものとだいぶ違ってくるんですが、それは安定成長路線の底上げになった、そういうもの、まあそういうことなんでしょう。そうしなければいわゆる安定成長路線を高度成長政策に近づけたんでしょう。ですから、そこらのところは一体従来の考え方と、池田内閣のときといまの佐藤内閣とはどういう違いが出てきているのか、それからいまの一〇%程度は明年度、大体四十四年度限りというか、四十四年度見通しであるといわれていたのが、蔵相は今後数年間そうしたいという、これは総理も同感であるのかどうか。それからいまの高度成長と安定成長との関連、この点をひとつ総理からまとめてお答えをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 羽生さんから分科会で御質問がありまして、今後の成長率をどういうふうに考えるかというお話なんで、私は今後の成長率、これは国際経済の動きをよく見ないとわからぬ、そのときどきの国際情勢の動きを見てわが国の成長の高さをきめるべきである、しかし、いままでのような一%、一三%というような高さ、これは高過ぎる、これは低目にしなければならぬ、しかし同時に過去数年前におきましては七%ないし八%というふうに考えたが、どうもこれはわが国の経済エネルギーから見て低過ぎやしないか。ことし、四十四年は一〇%、九・八%ということでいっておりますが、まあ五年間というお尋ねですが、この辺が一つのめどになるのじゃございませんでしょうかと、こういうふうに申し上げておるわけなんです。いまの内閣になってどういうふうに変わったかというと、安定成長政策ということを言っておるわけでありますが、これはあらゆる政策がバランスをとりながら成長発展していく経済政策と、こういう考え方でございますが、その中で特に基軸をなすものは国際収支と物価であります。まあ国際収支は御承知のとおり今日三十二億ドル、きのう現在でちょうど三十二億一千万ドルという外貨保有高に相なりました。それから物価はどうだというと、四十年度はこれは七%という記録的な上昇でございましたが、四十一年度、四十二年度、これも四%というふうに非常に急カーブで下がってきておるわけです。四十三年度は一体どうなるか、きのうでその年度は終わったわけでございますが、おそらく五%切りますか、こえますかという境目ぐらいだろうというふうに思うわけでございます。そういうことを考えて、物価の大勢も、ずいぶんおしかりも受け、また御批判も受けながらも非常になだらかにいっておるわけでございます。そういう点を考えますと、安定成長路線というものが定着しつつある、同時にその終局の結論はどこへいくかというと、いままでは一、二年の不況、二、三年の好況、それの反復でございましたけれども、長続きする、息の長い経済成長につながっていくわけでございますが、これもどうやらそういう方向に行き得そうな形勢である、こういうことをいま感じておるわけでありますが、今後とも精進をしてまいりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの大蔵大臣の答弁でいいかと思いますが、私から特に申し上げたいのは、池田内閣時分と佐藤内閣でどう違うか、おそらく池田前総理も、そう私と違ったことをねらったわけじゃないと思います。高度成長、特にそれに力を入れたこと、力の入れ方が違っているといいますか、特に経済を成長させないことには何にもできないじゃないか、これが池田君の考え方であった。しばしば申しますように、経済は成長すればいいというだけのものじゃない、経済の成長が国民生活、国民にしあわせをもたらすということ、それが最終目的だと、絶えず池田総理も口癖のようにその点は言っておりました。しかし私は、どうもこの高度成長、あの成長ぶりでは、なかなかそのとおりにいかないんじゃないか、かように思うから、やはり安定成長ということばを実は言い出したのであります。私の時代になりまして、特に池田内閣時分と違うものは、一つは過密過疎対策、これが表面化したこと、もう一つはいわゆる公害問題、これが大きな問題になってきた。いわゆる経済は発展はしなければならない。同時に社会開発の面に注意をしなければならない。ただいま言われるような物価あるいは国際収支というものもありますが、もう一つの面は、何と言っても公害あるいは過密過疎対策、経済発展もそれに相応したものでなければならない。それにはやはり、経済だけの立場で、これは都合がいいからというのでどんどん伸ばすと、過密の現象は一そう度を増してくるし、また、ただいまの公害も全然手をつけないということになる。これらの点にもやはりわれわれは気をつけていかなければならぬ。それにはやはり適当な産業の分散計画もなければならない。そういう意味では、何といいましても産業人の協力が必要なんだ、そういう意味から安定成長を言う。  もう一つの問題は、いわゆる生産性の高いもの、そういうものがいまの都市化あるいは公害というようなことをのけても、別にしても、生産性の高いものはどんどん伸びていく、生産性の低いものがおくれる。いわゆる産業界の格差はだんだん大きくなる。ただ単に収益の面で格差が大になる、中小企業や農業が取り残されるというだけではありません。そこにやはり労働人口の集中の度合いもある、非常なアンバランスを来たす。これが政治問題にもなり、社会問題にもなる。だからやはり成長もさることだが、適当なところへ押えて、そして進めていくこと、そうでないと、全体としてやはり不平が出てくる。そういうことでは政治にならない。これが私のいわゆる、安定成長のねらいでもある。先ほど来言われますように、これが物価あるいは国際収支、それにも影響してくる。またすべての産業が、やはりそれぞれのところを得ていくということにもなる。いま起きております現象とも積極的に取り組むという態度である、かように思うわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと意味が違うので関連して。  そういうこともあるけれども、私の申し上げたいのは、いままで、前内閣時代の成長が高過ぎるので、八%程度の成長率で安定成長と、こういって経済社会発展計画ができたのですね。これが一〇%程度にしばらく続くわけですね。ですから安定成長とまあいうけれども、そういう意味での安定で、安定成長の底上げみたいなことになったのじゃないかというのですよ。だから安定成長の内容が変わっておる、そういうことを聞いておる。変わってきたのかどうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 底上げとお考えになってけっこうでございます。とにかくわれわれは、いま日本の経済力そのものを見て、これが自然にほうって置いても、いまの程度でやっぱり成長していく、これが望ましいというか、力相応だ、かように思います。さらに私ども長期に安定させていこうとすると、この辺のところ、一〇%程度に維持するのが適当だ、かように思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういうところに発展さすつもりであったのですがね。しからば政府は、今度の経済社会発展計画の基礎条件として一〇%程度が適当である、これは平均ですね、一体めどをどこに置いて今後――いま手直しされておるようであります。経済成長は、いま言われた成長率は一〇%程度、実質ですね、に置いてやる。しからばどういう年次計画で、それを最終はどこまで持っていって安定さすか、この点はどうなんでしょうか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 大蔵大臣から、今後五年間一〇%程度に成長するのじゃないかというお話がありましたが、現在までの情勢からいえば、一〇%程度の成長を続けるのではないかということは一応考えられると思います。それだけ底上げしたというお話がありましたが、それだけ日本の経済が発展してきたということを意味するのであって、そこで、しかし私はいま、一〇%五年間ずっといくという私はまた確言はできません。これはいま私のほうでいろいろその材料を集めておる最中でありまして、その材料によっていろいろ計算するのでありますからして、いま私が一〇%を五年間成長するのだという確言は、私としてはよういたしません。ただいまの情勢からすれば、一応一〇%で成長するのではないかということは考えられるということを申し上げておきたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 どうも政府には自信のないような答弁ですが、まあ自信を持つのは無理か知りませんがね。外交問題は重要ですが、経済問題は政治の中心ですわね。国民の生活に直結する問題ですね。それが当面は一〇%だが、将来どうなるかわからない、そういうことでは、日本経済のほんとうのエネルギー、力というものの観察が、私はできないのじゃないかと思う。学者はいろいろの意見を言われております、学者は。しかし学者は、おのおの立場の見通しをもってデータでやっておるのですがね。政府は一体いまどういう、何%、実質ですよ、実質何%程度が日本の経済の力に合っておるのだ、この測定は、皆さん方、大臣であれば、一応こまかいことは別として、大まかなことくらい言わなければ、国民に相すまぬと思うのですがね。もうきょうは総括の最後の日ですから、若干なことでは私は許しませんから、その点。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 日本の経済が終戦後こんなに発展してきたのは、一言でいえば、日本人のバイタリティーです、と私は思うのです。過去百年間の教育のために教育水準が上がっておる、そうして新しい科学技術を容易に取り入れたということ、したがって新しい生産が興ってきたということ、新しい技術、新しい生産が興ってきた、新しい産業が興ってきた、そこに日本の経済が発展してきたのであって、その点においてわれわれ自身が、私たちの持っておるバイタリティーを少し評価低く見てきておると私は思うのです。だからして、経済社会発展計画も、時世が違っておったのじゃないかということのお話がありましたが、その一つの原因は、やはりわれわれのバイタリティーを低く見ておったということも一つの原因だと私は思うのです。そこでわれわれ自身が、われわれ自身のバイタリティーをここで再評価をする必要があると私は思っておるのでありまして、日本人はこれだけの力があるということは、戦後の二十三年間に証明されたのでありますからして、それをひとつこの際再評価して、そして今後の世界の経済の動きを見きわめ、そして今後における科学技術の発展ということを見通して、今後の経済の日本の成長率というものを編み出さなきゃならぬと、こう考えておる次第です。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 いまごろそういうことを気がついた政府に対して、きわめて不満の意を表したいと思うんですね。これはもう当然のことですよ。また次にその論議を発展さそうと思っていたら、あなたが幸いに言われた。バイタリティーという英語を使われましたけれども、これはやっぱり労働の質、量の問題、日本のような資源に乏しい国が、これほどおそらく経済が発展するとは、世界各国は知らなかったと思う。労働力の質と量の発展というものは大きなものですよ。この原動力が今日の要するに経済発展を見たんだから、この将来の測定というものは、日本の経済の大きい目安となり、将来を観察する資料ですね。それについてどう考えられておるのか、これは労働大臣でもいいです。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 山本さんのただいまの御説、日本の経済発展の根幹をなしてきたいろいろの要素がありますが、その中において労働力の質、量ともに日本においてはすぐれておった。これが重大な要素になっておることは、御指摘のとおりでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういうことで認められてきたということは、あとでそれをくつがえされないようにひとつお願いをしておきたいと思います。  そういうことで今度の――まあもとに戻しますが、予算、財政問題ですが、先ほど大蔵大臣は言われませんでしたが、経済過熱を若干憂えて考えられたのは、やっぱり減税にかかっておる。で、これは見方は違うか知りませんが、当初二千五百億ほどのいわゆる所得税を中心とした減税をやるということは、八月当時言われたんですね、これは水田大蔵大臣。それが公債と折半されて千五百億に変わったわけですね。私は先ほど言われました四十四年度の後半期における需給の関係が、貿易が非常にふえると言われたのですね。そうなれば経済は成長しておる、生産は上がってくると、その消費というものはやはり国内だという問題が起こってくる。そういう場合に、そういうときに、あなたは警戒的中立型と言われましたが、中立型のところに、やはりもう少し減税というものを多く考えたほうがよかったんではないか、この点どう思いますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま二千五百億円減税論があったというようなお話もありましたが、そういう事実はございませんです。これは二千億ということを新聞で私ども拝見しておりますが、これも公式な意見としては出ておりません。で、結局一兆二千億円の自然増収があると、それをどうするかという問題でございましたが、これはいま公債を出しておる財政でございます。公債政策というのは、私はこれは景気を長続きさせる、でこぼこなしに持続させるという上にきわめて有効なる力を発揮する機能を持っておると、そういうふうに考えますが、それには、民間の景気のいいときにはその発行額を縮小すると、また民間の景気の悪いときにはこれを拡大し、国民経済全体の需要を補うと、こういういわゆる公債発行における節度、これをどうしても重んじていかなけりゃならぬと、こういうふうに考えるわけであります。  いまわが日本が、一体これからどうするかと、三年目の好況から四年目の好況に入ろうとしておるその際に、この公債政策というものが大きくものをいうときなんです。そのときにあたって、この公債政策を一体どうするかということは、きわめて重大な問題でございまするが、やっぱり一兆二千億円の自然増収があれば、まず歳出の需要に充てる、その残りにつきましては、公債発行額の減額ということを考えると、これが私は日本経済全体のためにどうしても考え、実行しなければならないことであると、そういうふうに考えたわけであります。ところが、しかし、一面におきまして物価の問題もあります。それから同時に、現在の所得税の刻みからいいますると、所得税階層の負担が重過ぎてきているという問題もある。  そこで減税もしなければならぬというところに当面したわけでございますけれども、そういう二つの要因を考えながら、残された財源三千億円を大体半々、減税に一千五百億とか国債減額に一千五百億、こういう振り当てをいたしたわけでございます。決して、減税をしたら景気にどういうふうな影響があるとか、その減税を多くするのはどうかというような判断はいたしておらないのであります。減税の中心は所得税減税でありまして、これを国民の可処分所得を若干増加するということ、これは何ほどの景気への影響もあるものではないというふうに考えておるわけであります。まあともかく景気を長続きさせる、それにはまず公債の減額ということを考えると同時に、国民負担も考えるということが実際のところでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 減税問題は、もうすでにだいぶん論議されましたから触れませんが、やはりこういう好況のとき、減税というものに重点を置くべきだ。国債と言われましたが、国債を発行するのは最初反対だったのです。社会資本の増強のためにやむを得ないという福田理論によって、戦後初めてあなたの理論が公債論で出てきたわけです。それはそれとして、私は公債は反対だ。しかし、出ているやつを減してくるのだから、社会党も反対できぬだろうと、こういう論理なんですよ。これはちょっとひきょうだと思うのですね。最初反対しておった、出ておったやつを減す、減すのだから、何で社会党が反対するのか。これは本末転倒の議論ですが、そこに触れません。  そこで経済問題で最後に総理に聞いておきたいのですが、実は日本経済が非常に異常な発展をしたことは、これは間違いない。国民総支出の配分状態を見ると、個人消費が五一%ちょっと四十四年度でふえております。ところがやはり国民総資本の形成、いわゆる設備投資が非常にふえてきております。毎年ふえてきておりますが、産業の基盤を強化するということもいいですが、景気がこういう経済成長のときには、バイタリティーと言われましたが、労働力の非常に力があるのですから、個人の資産、特に住宅とか個人の資産の増強ということをあわせて私は考えるべきだと思う。あなたの経済社会発展の理論からいって、それが非常に日本の場合は、欧米諸国から見ると、個人の資産というものが非常に低いのですね。この点についてどう考えられるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの山本君の説に私は賛成です。住宅並びに生活環境をよくしなければならぬ、かように思います。この際に住宅を指摘された、さすがに烱眼、私も敬意を表し、そういう方向でやっていくべきだと思います。  実は、けさも私テレビを聞きながら、皆さんもお聞きになったろうと思いますが、海外に旅行する者が非常にふえた。いままでの五百ドルを七百ドルにした。その結果は、外国計画をそれぞれの会社が持ったものがほとんど満員状態、押すな押すなの盛況、そういうむだ使いとは申しません、なかなか消費性向は高い。しかも、それが海外旅行に費やされておる。私はちょっとこれを意外に思い、実はちょっと心配もいたしております。  私は、いま言われるように、じみなことだが、やはり住宅、生活環境の整備、みずからやはり貯蓄、そういう方向にどうして向かわないか。これはやっぱり一般の世相が、ただいまのように享楽気分に浸っておるんではないか、実はちょっと私心配し、意外に思った。そういう際に、私は、ただいま山本君が御指摘になりましたが、私ども全面的に賛成でございます。ことに政府自身の点で、そういう点に注意、気を払うといたしまして、その場合問題になりまするのは、やはり土地の問題、そこに重点を置き、住宅をつくることは、今後も計画が進んでおります。さらにまた、五カ年計画が終了すれば、引き続いて住宅年次計画を立てる、かように申しておりますが、住宅、宅地の造成、なかなか思うようにいかない、この辺にむだにならないように、地価の暴騰を来たさないように、さらに気をつけるべきだ、かように思っております。これもやはり有閑地利用、あるいはこれを雑草の場にするなという、そういう運動も各都市で起きておるようでございます。これなども、われわれ喜ぶべき方向だ、かように思います。ただいまのような点に政策をやはり向けていくべきだ、かように思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういう抽象的な、概念的に言うと、総理はそういうことで私に賛成ですが、具体的な政策になると、それに相反したものが多いのですね。海外旅行でも、一体だれがあれを宣伝しておるのですか。政府機関とは言いませんけれども、国鉄の駅へいけばどうなんですか。そういうことで政府の関係機関が奨励しておると言ってもいいじゃないですか。海外旅行に行けるというような階層は、そう低所得者では行けない。ぼくは、政府の、総理の言われることを、国民、各党すら反対できぬようなことを言われますが、個々の政策を見ると、みな相反したようなこと、土地の問題でも言われました。ようやくことしは土地に対する課税も若干出されたようでありますが、大体土地所有者の考え方というものはなっておらぬのですよ、これは。もう自分――所有権というものの尊重があるから、われわれはきつく言えませんけれども、土地の値段によって持ち家というものはほとんどできない。こういうことも実は十分考えてもらいたいと思うのですが、議論すればたくさんありますが、ただ、先ほど申しましたように、国民総支出の内容を見ますると、国内民間総資本形成が十七兆ということになっておるのですね。そのうちの十兆七千億がこれが企業設備です。民間住宅がこれは四兆三千億ですね。やはりこういうことも具体的に考えていかなければいかぬと思うのです。したがって物をつくるという、いわゆる経済の成長ということは大事でしょう。これは私は否定しません。しかし、それに向かうところの個人の生活資産というものを考えるべきだ。これにやはり社会保障制度も、一つの問題ひっかかってきます。  こういう点について、私は、政府、総理が言われたことは一〇〇%受け取りますが、具体的な政策について私は非常に批判をしたい。この住宅問題についても、今後どういう方向にやるかという、これは住宅関係はどこの省か知りません。ひとつ大臣に答えてもらいたい。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) いま御指摘になりました住宅問題は、建設省の大事な柱といたしまして、五カ年計画を打ち出しまして、第四年目を迎えております。きのうも申し上げましたように、八〇%の進捗率を遂げておるのでございますが、新たなる、もう一年を残しましたこの時点に立ちまして、建設省といたしましては、宅地審議会にも諮問をいたしまして、第二次住宅対策をどうあるべきかということの結論が八月ごろ出てまいるのであります。それを期待いたしまして、私は第二次住宅対策につきましては、量の確保をはかるとともに、質の改善というものにも最大の留意をいたしてまいりたい。ことに低所得者に対するところの公営住宅に十分力を入れ、また貸し家対策についても十分ウエートを置きたい、こう考えております。  ことに今年の四十四年度の公営住宅に対しましては、低所得の勤労者に対するあたたかい政策という一環から、ふろ場の設置といいますか、いわゆるその設計のもとにおいて、電気、電線あるいは水道のせん、ガスせん、排水等を十分考えましての設計を立てて、そうして新たなる第二次住宅対策に対する準備を急いでおるような次第でありまして、国民の要望されます住宅問題につきましては、さらに意欲を燃やしながら推進をはかってまいりたい、こう考えておる次第であります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 住宅問題やるつもりでございませんでしたが、ちょっと尋ねたわけですが、これには相当問題あります。大臣は、まあ八〇%完成していると言うが、もともとの計画が低いのですからね。いまの現実に合わないのですから、それを一〇〇%やっても足らないということでありますから。あなた言われることはそのまま信じておきます。ただ問題は、土地の問題が一番大きいということを私は言ったのですが、これはもう時間がございませんから、また建設委員会等やらせてもらうときにはやりますが、それで次に経済問題の最終として、大蔵大臣なり、その他の関係大臣から、国際通貨の問題について非常に不安だ、こういうことをたびたび聞くのですが、なるほど、マルクとフランとの関係、ポンドもまだ安定はしてないでしょう。それに伴ってキーカレンシーですか、基軸通貨というドルにも問題あることは事実ですが、国際通貨における円の位置、それを踏まえて国際通貨のいまの現状、不安と言われる要因を、ひとつ御説明願っておきます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国際通貨不安ということがこの一、二年特に言われておりますが、まあ、これはヨーロッパに問題があると思うのです。特に英仏、この両国の国際収支の問題が注目をされておるのでありますが、イギリスでは御承知のようにポンドの価値の切り下げをやり、同時に物価、賃金の凍結政策をやって、何とかして国際収支の均衡をはかりたいといういま努力をしておる最中だ、このように見ております。またフランは、金を六十億ドルもかかえて、まあドゴール大統領に言わしめれば、われに黄金の水素爆弾ありとまで誇っておったわけでございますが、昨年の五月のゼネスト、これが非常に大きく響いたというふうに見られております。ゼネストによる生産の喪失、それに伴う金の国外への流出、またフランの逃避等もありまして、一時非常にフランの価値がどうなるか危ぶまれたわけでございますが、その後フランス政府も懸命な努力を続けながら、その価値維持につとめておる、そういう英仏において不安があるものですから、相対的に経済態勢のよろしいドイツのマルクの価値が高くなってまいりまして、これは逆にマルク価値の切り上げを要するような状態ではあるまいかということがいわれておるのであります。そういうことがこの一、二年の間のいわゆる通貨不安という問題ですが、さらにさかのぼりますと、国際決済手段の不足問題というのがなお根源に横たわっておるわけです。世界の貿易全体を戦後どうやってまかなってきたかというと、ドルとポンドが基軸であり、特にドルが中心をなしておる。ドルはどういう形かというと、戦後非常にアメリカ経済は強大であり、世界で四百億ドルの金があるというその金の中で二百億ドルもアメリカが持っておった。その後、アメリカの金が、ドルを世界にばらまくという関係から、だんだんと減ってまいりまして、いまは百億ドルを割るか割らないかということを言っておる。で、ドルの世界通貨としての供給にも限界が来ておる。そこで何とか新しい決済手段がないと世界通商が行き詰まりはしないかと、こういう問題が出てきておるのです。この問題の解決策の一つとしてSDR、こういう構想が打ち出されて、今度の国会で日本もこの運営に参加するというので御承認を願いたいというふうに思っておりますが、それが根源にある。そういうさなかにおいて、わが日本の円は、マルク同様、非常に相対的にその地位が評価されてきておるのであります。先ほども申し上げましたが、日本の株式を買いましょうというので四億何千万ドルという買いがこの一年間に集まる。これは円の価値がマルクと並んで一番安定しておる。ドル、マルク、円と、これが一番安定しておるということ。それから、日本に続々と短期資本がいま流入しておるのです。いま日本の金利は諸外国に比べますと、特にアメリカなんかに比べますと二%も安い。その安いのにかかわらず、日本にドルがどんどんと寄ってくる。また、ヨーロッパの人が株を買うというのは、わが日本の円が非常に安定しておるという認識が高まりつつある、こういうことでございます。わが日本が、日本の経済とともに、円の価値を高めつつあるということは全く御同慶の至りである、かように思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は、今後世界経済における通貨の問題というのは非常に重要な問題になってくると思うのですね。で、時間ないから詳しい私は説明できませんが、日本の円の価値が安定しておると言われましたが、私は、ドル三百六十円というのはそれは低過ぎると思うのですね。終戦当時、二十年代においてはあるいはまたこれが高かったかもわかりませんが、現在は私は円はもう少し価値のあるもの、したがって、こういうことから言うと、いま円シフトとかなんとかいわれておりますけれども、円の評価というものが変わってきておる、世界的にですね。そういう意味において、現在実勢から見て、円の価値というのは、ドルと比較してどれくらいに大蔵大臣は見ておられますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは公式の取引をしておりませんからはっきりしたことはわかりませんが、ときどきやみ相場というものがありまして、あるいは三百五十円で一ドルというようなベースがあってみたりいたしておるという話は聞きますけれども、これはどこまでもやみなんです。まあ、大体三百六十円対一ドルでややわが日本に強含みというくらいなところで安定をいたしておるのじゃあるまいか、さように見ておるのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは、いま言われましたいわゆる特別引き出し権――SDRですね、これは将来やはり世界の通貨として固定し、安定して発展し得る見通しであるかどうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) だんだんドルの決済力というか、ドルの量がそう無限に供給できないという事態になりますと何か考えなければならぬ。そこで世界じゅうの専門家が衆知を尽くしてここ数年間やっと編み出したものがSDRなんであります。そういうことからいいますと、これは世界の通貨界におきましては大きな役割を演ずると、こういうふうに見ておるわけであります。ただ、しかし、これが万能薬であるというふうには考えません。さらに世界経済の発展ともにいろいろなことを考えていかなければならぬじゃないか。わが日本ももういまや世界先進国の中でも優位に立つ立場にありますので、そういう諸問題に大きく寄与、参加とか発言をし、そういう国際通貨体制の確立というものに協力をしていかなければならない。こういう立場にだんだんと深く立たされておるというのが実情でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 なかなかSDRの将来も私は問題があると思うのであります。いまの世界の通貨の基本はやっぱり金に基本を置いておると思うのですね。したがって、まあそういう論争はやめますが、日本の外貨保有高に比較して金の保有が少ないと思うのですが、これを、金の保有をふやすという考え方はあるかどうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまわが日本が法的準備として保有しておる金は三億六千万ドルでございます。それに対して三十二億ドル、それを含めて三十二億ドルの外貨保有高、こういうふうになっておる。この三億ベースの金の保有高、これはずっとこの十数年続いておるわけで、二十億ドルの外貨保有高を割ったときも三億ドルベースである。また、三十二億ドルになりましてもまた三億ドルベースである。こういうことを考えますと、どうも二十億ドルが三十二億ドルの外貨保有高になった今日におきましては、金の保有高というものを高める必要があるのではあるまいか、さようにまあ考えております。ただ、しかし、いま金問題というのが世界的に非常にうるさい問題になってきておりまして、日本が金の買い出動に移るというようなことは、まあこれはいまなかなか技術的にもできないのですが、もしかりにそういうことがありとすれば、これは国際通貨の社会に非常に大きな混乱を巻き起こすおそれもあるわけでありまするから、ただいま日本が金の買い出動に移るということはいたしません。しかし、長い目の問題といたしましては、どうも二十億の中の三億ドル、そのバランスを破らなければならぬ、つまり、三十億ベースの外貨保有に対しましてはそれなりの金保有をしなければならぬ時期に来ておる。まあ長い目の問題としてそういう問題を解決していきたいというのが今日の見解でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 いまちょっと言われましたが、いわゆる日本が金の保有をふやす、買いに回れば通貨に不安を起こすというのはどういう原因ですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま、どちらかというと、国際金価値がきめられた金買い入れ価格よりも実勢として少し高いのです。で、高いその価値、つまり、これはおととしのゴールドラッシュ以来そういう状況があるのでございますが、その金価値の実勢が高いというそれにさらに拍車をかけるという結果になる。いわゆる金価値を安定させよう、させようといって世界じゅうが骨を折っている、それに日本が混乱を与えるという結果を来たす、こういうことです。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ドルを金にかえるのですから、もちろんアメリカはオンス三十五ドルで出さなくちゃならぬ義務もありますね。そういうところに大きい問題が含んでおると思われませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカがどうのこうのという関係はあまり考えないのですが、世界全体としていま金価値が協定価格よりは上がっておる。これが非常に乖離するという状態であることははなはだ好ましくないことで、したがいまして、わが日本が買い出動するということは、国際協力あるいは国際仁義という観点から厳に慎しむべき時期である、かように考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 非常に国際協力に重点を置かれますが、諸外国の実情を見たら、そういう通貨について、フランスにしてもあまり国際的に協力しようという考え方を持ってやっておらないと思いますね。一国の国益ということを重点に金の保有をふやしたりやっておるということもありますので、これを私、あまり強く言いませんが、ある程度やっぱり金の保有というものは、いまの世界経済の現状から言えば、もう少しふやしたほうがいいじゃないかということでお尋ねしたのであります。考慮してもらいたいと思います。  それから、物価の問題で簡単に尋ねておきますが、今度の佐藤総理の施政演説を聞きましても、経済企画庁長官もそのとおりでありますが、四十四年度は物価に相当重点を置いて施策を出しておられますが、何べんも尋ねるのですが、もう尋ねること自体に私もうんざりしておるわけでございますが、具体的に四十四年度物価を五%に押えると言われますが、どういう施策を現実にやられるのか。そして、五%に押える、これこそほんとうに国民に約束できるかどうか。この二つをまず聞いておきたいと思います。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 佐藤総理が内閣をつくって以来、物価安定ということを重要施策の一つにしておるのでありますが、しかし、最近においては物価は上昇の傾向が強かったので、したがいまして、特に四十三年、四十四年におきましては、物価対策ということに重きを置いてきたのであります。いま物価上昇の傾向は日本ばかりではなくして、世界各国ともにこの問題で悩んでおります。で、ちょうど符節を合わせたようになったのでありますが、去る三月二十日に物価対策閣僚協議会の初会議を開きまして、そこで物価に対する政府の対策、態度をはっきりしたのであります。その中に、今後の物価に対してどういう態度をとるかということが書いてあるのでありますが、まず、政府の当面の物価対策の重点事項といたしましては、一、食料品価格の安定対策、二、公共料金の抑制と安定対策、三、労働力の流動化の対策、四、流通機構の合理化対策、五といたしまして、競争条件の整備、これは輸入政策を含んでおりますが、これは政府のとるべき態度を示したものであります。同時に、これは国民各層に対しても、やはり物価の安定対策については呼応して協力してもらいたいということで、国民に対して呼びかけたのがあるのでございまして、その一つが社用消費の節約、個人消費の健全化、合理化及び貯蓄の増強を推進すること、二、国民経済の動向も先行ききわめて流動的であるので、この際各企業はその経営についてできるだけ慎重な態度で臨まれたいこと、三、生産性向上による利益の一部をまず価格、料金等の引き下げに振り向ける経営態度を積極化し、物価安定化についての労使の協力を求めること、こういう態度をはっきりしたのであります。しかし、各国ともに物価対策をとっておりますが、たとえばアメリカもニクソンが二十六日に物価の教書を発表いたしましたが、アメリカと日本とは多少ニュアンスが違います、やり方が。というのは、日本では、大蔵大臣がしばしば言うておるように、安定的な景気を持続する、経済成長を持続するという一方で態度をとっておりますからして、ところがアメリカにおきましては、この際消極的な態度をとらなければならない、物価を押えるためには。そこで金融、財政の政策をとるということで、金融では引き締めをやるということをはっきり言っておるのです。財政では増税をやる。それから大幅な黒字予算をとるということをはっきりいたして、そういう金融、財政面で物価対策をとろうとしておるのでありまして、その点は多少ニュアンスが違うのでありますが、日本よりも消費者物価が上がっていないドイツでさえも、去る三月二十日に物価対策の態度をきめたのであります。そういうことで、いま世界各国ともに物価に対して、いかなる政策をとるかということでみんな芳心をいたしておりますが、まあ日本におきましても、以上のような態度を示しまして、そしてまた国民各層の御協力を得て物価の安定をはかりたい、こう考えておる次第でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 何回か経済企画庁長官かわられましたけれども、言われることはいつも一緒でありまして、それをどう実行するかという問題が残っておるだけだと私は思っております。したがって、物価の問題はわれわれも考えることは考えても、それを実施するということはなかなかむずかしいことです、日本のようなきわめて流通機構の複雑な国でありますから。特に生鮮魚介類についてはこれは非常に問題があると思うのです。そこで私は、いつも政府に尋ねますと、五・三%が本年度の物価の上昇率である。平均はそうでありますが、家計における波及効果といいますか、影響力というものはこれは別なんですね。家計の実感がと言われるが、実感ではないですよ。昨年は野菜がどれほど上がっているかと見ますると、二〇・一%ですね。昨年ではない、一昨年になりますね、きょうは一日でございますから。四十三年度は乾物が一二%、生鮮魚介類が一四%、主食が九・八%、たばこが一二%、いわゆる一般庶民階級の家計に及ぼす大きい影響のあるものが全部一〇%以上上がっておる。ところが、平均して政府が出すと、これは五%や四%程度だと、こう言われるけれども、家庭の主婦は承知できない。これについてどう考えられておりますか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおり、各家庭では日常購入する品物の値段が非常に上がっております。たとえば牛肉について言えば四、五年の間に倍になっております。これは毎日買っておられますからして、したがって、高いという感じが非常に強い。そこでまあ一年に一ぺん買うような耐久消費財はこれは下がっておるものがあるのです。そこらを平均して消費者物価というものを出しておるのでありますが、しかし、各家庭においては物が上がった上がったという感じが非常に強いのであります。そこでまあ問題は、やはり生鮮食料品、公共料金その他の問題でありますからして、したがいまして、たとえば、この暖冬異一変のおかげで野菜類が非常に下がりまして、三〇%ほど下がったというようなことで、消費者物価が一月も二月も三%になっているのです。したがいまして、四十三年度の消費者物価が大体五%を切るといまのところ考えておるのです。四・九か四・八ぐらいになるというように考えておるのでありますが、そういうように、日本の物価におきましては、日常購入する生鮮食料品の価格の上下で非常にお互いの生活について脅威を受けるのでありまして、したがいまして、そういう生鮮食料品の物価を上げないような政策をとる必要がある。たとえば肉が上がれば、豚肉が上がれば海外から安い豚肉を輸入するとかというようなこと、そういうようなことについて特に考慮すべきではないかということを考えておるのであって、なるほど物が上がったという実感はこれは国民すべてが持っておるのでありまして、この点は私も否定いたしません。が、しかし、そういう点についてはできるだけひとつ国民に物価が上がったというその騰貴感を持たさぬような今後は政策をとっていきたいと、こう考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 この間の質問、竹田君の質問であったかだれかの質問のときに通産大臣は、下がった十六品目の、冷蔵庫とかカラーテレビとかかみそりの刃とか言われましたが、それは事実ですか。カラーテレビがかりに千五百円下がっても、あれは大体五年か六年ぐらいですね。一日に割ると〇・幾らの数字しか出てこない。だから、これは実感ではなくて事実上家庭の支出は多くなっているのですね。 これは認めなくちゃならぬ。これをどう変えるかということについて、いまの政府では根本的な改革できないのじゃないですか。私はそう思う。築地の市場へ行きましても、大阪の川口の市場でも、あの複雑な仲買い人から、問屋から、それから小売り人というああいう制度、こういう状態はなかなかこれは、佐藤総理がいつも言われます、自由主義経済は計画経済じゃないからと言われますけれども、できる自信ありますか、通産大臣。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、流通問題、流通過程に伏在する不経済の状況というのは、たいへんむずかしい問題でございまして、私どもが当面する問題の中で一番やっかいな問題であると心得ております。また、長い伝承のもとで形成された小売り、卸売りの市場構造でございますので、これを短期間の間に整然と配置がえをしてまいるなんという離れわざはとてもおぼつかないことであると思います。そこで、いま私どもが考えておりますことは、小売りの段階におきましては、現在の小売り商の独立性を尊重しながら、共同の仕入れであるとか、共同の倉庫であるとかというようなものを通じまして配給コストを下げる。これは流通政策ばかりではなく、小売り商自体の自衛のためにも、労働力の不足してまいりました今日やらなければならないことでございまするので、そういうボランタリー・チェーンの方式を拡充していこうというようなことをやっております。それから、卸売り段階におきましては、団地の形成、総合センターの形成という、やや斬新な政策を政府の財投資金等もこれを助けまして推進いたしております。と同時に、目に見えないことでございますけれども、契約の定型化と申しますか、標準化と申しますか、そういうことを通じまして流通コストを下げる。それから、消費者の信用をどのように組織し、どのように助成していくか、そういったこれまたたいへんむずかしい問題があるのでございまして、仰せのように、この問題は容易ならぬ課題であると思いますけれども、物価政策の上から申しまして、どうしても究明し対処しなければならない最も大きな課題であると心得まして、私どもの行政では当面一番力点を置いて芳心をいたしておるところでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大平さんの言うことだから聞いておきますがね。どうも私は、なるほどそうかなあと思うようなことを言われるようにも聞こえますが、これは生産革命といいますか、これは一応日本も進められ、ほとんどこうした生産機構というものは変わってきておることは事実ですが、流通機構というものはこれは旧態依然ですよ。この革命がなくては――革命ということばがいやな人は聞いてもらわぬでもいいですが、この革命なくしては、経済の、何といいますか、組織の形態というものは完備しない。生産とそれから流通、消費、これがひとつ完備して初めて物価の問題が実は安定すると私は見ておるのです。現在の生産部門でも大企業は、独占価格と言うといやがられるようでございますけれども、非常に問題がある点かあります。――もう時間ございませんからそういうこと論じませんが、きょうは流通機構についてだけについて聞いたのでありますが、その流通革命というものをどう進めるかということ、これは単に日本だけじゃ、ないですよ。自由主義国はほとんどそれで悩んでおります。したがって、これをひとつ積極的に取り上げなければいかぬと思うのですが、この点についてもう一回ひとつ明快に大臣の御答弁を願いたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私もあまり知識がございませんので。先ほど申し上げましたように、卸、小売りの段階、それから工場から卸売り段階への輸送等の機械化、一連の過程を通じまして、そこに存在する不経済をどのようにして除去してまいって人手の不足を補いつつ物価対策に寄与するか、そういうことにおいて、先ほど申し上げましたように、私どもの行政の中で最大の力点を置いておるつもりでございます。ただ、問題が困難なだけにたいへん目立たないわけでございますけれども、これから鋭意努力してまいりまして御期待にこたえなければならぬと心得ております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは大蔵大臣に聞きたいのですが、物価問題は、いま申しました生産流通機構等にも関係ありますが、金融にも非常に大きい問題があると思うのです。通貨の発行率とそれから経済成長率、国民総生産の率は大体合致しておるようにもいわれますが、通貨だけでなくて、信用通貨、預金通貨といういろいろのものを合わせますと、非常に日本の通貨は、実経済から見ると、過去だぶついておる。それが私は物価のコストに影響しておるという見方をしておるのですが、その点どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その問題は、裏から言うと、総需要、総供給と、こういうものの問題、そのうらはらをなす金の問題ということじゃないかというふうに思います。通貨、また裏から見れば総需要ですね。これはまあわりあいに落ちついて、今日まできておると思うのです。私ども常々この通貨の発行量という問題につきましては非常に注意深く取り組んでおるわけでございますが、総生産に対する通貨発行額、これを見ますと大体六%前後で安定をしておるわけなんです。昭和四十三年のGNPが四十八兆円ですか、それに対して今日の通貨発行量が二兆八千億円くらいになります。五・六幾らというパーセントになるわけです。そこで、まあ通貨の発行量はそういう状態だと。そこでいま御指摘の問題は、預金通貨がそれじゃどうだと、こういう関係だろうと思いますが、預金通貨の、預金の量はGNPに比べまするとずっとふくらんできております。しかし、これがどういう総需要との関係になりますか、つまり購買力として発動しますかということになりますと、預金の中にもいろいろありまして、大体当座預金がそういう働きをなすわけでございますが、そういう購買力化する預金というものを取り上げてみますと、これもまた安定をしておるのです。それからまた、さらに預金全体として見た場合に、これがどういうふうに回転をしておるかということを調べてみる必要があると思うのですが、その回転率、これを調べてみますると、これまた安定した趨勢を示しておる。したがいまして、いま総需要、総供給の関係のこれとうらはらをなす通貨の供給、そういうものとの状態で物価が大きく左右されておるというふうには考えておりません。特に通貨竜がこれが物価を刺激しておるというふうな見方はいたしておらないのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 総需要、総供給の関係にもいろいろ論議がありますがね。この設備投資に対する資金といいますかね、これも単に税金だけじゃないと思うのですが、これがやはりいわゆる物価に影響する。需要供給総需要、総供給の問題に相当大きい私はウエートを持っておると思います。生産する前に設備投資をするのですから、実はこれが需要供給の中に入ってくるわけなのです。したがって、私は経済成長下における金融面から来る物価へのこの押し上げの要素というものは、そこに大きい問題点があるのじゃないかと私は見ておるのですが、その点どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その点はそのとおりと思います。つまり、景気の波をどういうふうに持っていくか。それには財政も大きなやはり力がありますけれども、これに相並んでやはり大きな影響力を持つものは設備投資である、こういうふうに見ておるわけでございます。ですから、設備投資が行き過ぎますと物財、それから労働力の需要供給というものが窮屈になるということになる。それが総需要、総供給の関係から物価に悪影響を及ぼす、こういうことになる。そういうことを考えながら、設備投資、これは財政のほうではどうにもなりません。金融政策の運用によるということになりますと、注意深く金融政策は運用していく、こういうようにまあ考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 この物価に関係して、ちょっと先ほど尋ねるのを忘れておりましたが、前に返りますけれども、もし四十四年度、年度後半において景気が下降するという状態でなければ、財政面における手というものは、公共事業の繰り延べか、そういうことしかないと思うのですが、金融面ではどういう措置を考えられるのか。これはまあ半年も向こうのことでありますが、どういうことを考えるのか。現在日銀のポジションで一応引き締めといいますか、私はあまりあれは効果がないと思っているのです、私の見方は。公定歩合の引き上げとかその他あると思いますかね。こういう点はどう考えられておりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これから長期にわたって経済を安定的に成長させるというためには、このかじ取りをうまくやっていかなければならぬ。その基本的な手としてはやはり財政の運用ですね。と同時に金融政策。それでこの金融政策が日銀を中心にしてやっておるのですが、いま三割ぐらいの範囲しか取引先というのはないのです。この範囲を拡大するとか、あるいは日銀を通じないでも、金融調整能力を大蔵省としても持つというようなこと、そういうようなことを少し検討してみたいと、こういうふうに考えておりますが、それはまあそういう手段の問題。それから、当面この四十四年の景気が下降するというような状態がありますれば、金利の引き下げをいたしますとか、あるいはポジション指導というものを撤廃するとか、そういうことをして、景気を刺激するという考え方を進めなければならない、こういうふうに思いますが、まあそういう状態になりますかどうか。これは仮定の問題でございますが、もし逆にこれは過熱の傾向が明らかだという際には、ポジション指導というものを一段と強いものに変えていくという必要もありましょうし、金利もいま日本は国際的に低金利になっておりますが、金利を上げていくという方法も考えるとか、財政政策のほうは弾力的に繰り上げ、繰り下げ、こういうようなことを考えるとか、まあ、いろいろな手段を講じながら成長路線というものを堅持してまいりたい、かように考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 経済企画庁長官に聞きますが、これは新聞の報ずるところであるからどうですかわかりませんが、何か経営者団体のところへ行って、春闘について何とか言われているのですね。まあ、物価政策は否定されているようでありますけれども、何か経営者に協力を願いたい。一体、協力を願いたいというのはどういう意味で言われたのですか、その点について。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 先ほど私が読み上げました、去る三月二十日に閣僚の了解を得ました政府の物価安定対策の中で、一番最後のところ、生産性向上による利益の一部をまず価格、料金等の引き下げに振り向ける、経営態度を積極化し、物価安定化についての労使の協力を求めること主いうことであって、これはたびたび私がいままでも申し上げておるとおり、生産性向上によって出てきた余剰価値は、これは労使が分け取りせずして、同時に、これを消費者に転じて商品の価格を安くするようにしてもらったらいいということを私が前から言っておることであって、そういうことをこの第三番目にも書いておるわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは基本的な政府の態度を総理に一ぺん聞いておきたいのですが、総理はたびたびこの春闘を気にして何か、自粛をしてもらいたいと、どういう意味か知りませんが、言われるのですが、私は先ほど冒頭に聞きましたように、日本経済の今日の発展の原動力はやはり労働の質と量、いわゆる労働者。労働者の賃金が非常に経済に見合っておる――私はだいぶん低いと思いますが、戦前と違ってある程度組合の運動によって労使対等の力で交渉して取っていくから景気が持続する。こういう見方をしておるが、これは一応あとにいたしまして、春闘に対して総理はどういう――もちろん干渉はしない――言われることはきまっておるのです。春闘に対する値価判断です。七期も継続した収益、増収、増益ですね。こういう段階ですから、やはり物価をもちろん心配になりましょうけれども、賃金の経済成長に見合った上昇というものは必要だと思うのですがね。これについてどうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどから私はお話を聞いていたんですけれども、経済成長、これやっぱりその成長の効果を国民全体に反映さすというか、返すというか、そういうことが望ましい。いまの言われる労働者のほう、これはやっぱり賃金を上げること、かように思います。それは適当な賃金のアップ。労使双方で話し合っていく。政府は関知しない。それはもちろんであります。しかし、だだいまも指摘されたように、消費者物価がたいへん上がる。これは一体どうなる。これはやはり賃金とかそういうものが全然影響ないのか。これは山本君も影響ないとはおっしゃらない。影響があると。ことに第三次サービス業あたりの上げ方、これは人間の値打ちが高くなっておるのですから、これはやっぱり散髪代も上げるのは当然なんです。やっぱり生産に携わる者だけが所得がふえるというものではなくって、サービス業も、散髪をやっておる者もこれは値打ちがそれだけ上がったんだから高くなる。そうすると、ある程度の消費者物価の高騰、上がり、これはある程度認められなければならないのだと、そして賃金そのものはやっぱり平準化の傾向がある。これは生産性の高いものだけが賃金が高くなって、その他の、生産性がおまえのところは低いのだからそのままとまれという筋のものじゃない、これは平準化する。だから、そこにやはりお互いに、何が目的なのか、社会全体のしあわせはどうしたらいいのか、おのずから労使双方で話し合うにしても結果が出てくるのじゃないか。これも、こんなことは政府自身がとやかく言う筋のものじゃない。労使双方においてやっぱりそういうことを考える。おそらく一企業におきましても、景気のいいときもあるし、悪いときもある。そういうことを考えると、会社自身はある程度蓄積しておくことが、やはり平均して労賃をふやす、賃金、所得を確保するゆえんでもあろうかと思います。そういうことも個々の事業では考えなければならない。同時にまた全体として、やはり平準化ということを考えると、バランスがとれることを考えなければならない。そうして一面に、やはり消費者物価の値上がりということで心ずそれが返ってくるのだから、みずからがみずからを締めくくることのないように、これは適切なる常識的なものがあるのじゃないか、かように思います。過去におきましても、春闘だとか、あるいは年末闘争だとか、いろいろの名前で呼ばれておる賃金アップの場合でも、やはりその点を考えて、まあ因果――物価か先になるのかあるいは賃金が先になるのかこれは別として、相互に関係のあることだけは確かだ。だから、ほどほどに、やはり適当なところに考える。いま所得政策というような議論まで発展をしておりますが、そこまでのことは考えないにしても、総体の構造という点から、お互いに関連し合うもの、だからそこらにおのずからきまるものがあるのじゃないか。私は、ただいまの状況で、労使双方の話し合いにまかしていいことだと思います。ただ、そのことが行き過ぎて、そうして一方的にわれわれの賃金、所得はふやしていくけれども、同時に消費者物価は低いところにとどめる、あるいはサービス料金もこれをくぎづけにしろ、こういうことを言ってくると、これはあまり自己かって、少しかって過ぎやしないか。ここにやはりバランスがとれないと困るのじゃないか。この辺のところはよくわかってもらいたい。まあ政府自身が発言をしておりましても、その政府は、だだいま関与する、こういう形じゃございませんし、もうすでにこれまで労使双方が育成し、そうしてお互いに話し合って、もう基準をつくっておりますから、その基準の上に乗っかって、だだいまの問題を円満に処理していきたい。これはもうすべてが関係する。先ほどお尋ねになりました事柄そのものがもうすでに関係がある、これだけを私は指摘しておきます。これは政府が干渉すべきものじゃない、これだけを申し上げておきます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 まあ総理の言われる腹をずっと読みながら聞いておったのですが、口では人間というものは幾らでも説明ができる。腹の中はどうかということを見すくように聞いておったが、さすがに見すかされないように言われた。私はそういう出身でありますから、日本の労働運動はきわめて穏健です。終戦当時は、一応ああいう混乱の時期でありましたから、みな餓死寸前ですから、あれは別です。非常に日本の労働者はきわめて常識的な運動だと私らは見ております。ところが、総理はいま非常に妙なことを言われたのですが、経営者自体はそういう考え方にまだおらない。一部の人は別です。非常にいいことを言う人がありますけれども、やっておることはなかなかそうじゃない。基本はどこにあるかと申しますと、現在まで日本は自由主義、資本主義国でありますから、経営参加はできない、労働者はね。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 相談をするところはあります、いい経営者は。そこに問題が一つあるのですね。人間というものは幾らもらっても、自分が参画してないのだから、幾らもうかっているじゃないかということも私はあると思う。しかも、株価がずっと上昇すると、みな会社もうけているのだ、これは参画してないから当然出るのですね。したがって、自由主義国の労働運動をどう指導するかということは、これは非常にむずかしい問題、したがって私は、日本の資本家が、いわゆる経営者がもう少し理解のある態度をとらなければ、今後――いまは先ほど言いましたように非常に常識的な運動になっておりますが、今後経済はどう向いていくかわかりませんが、そのときには日本もそういまのような労働運動ではおさまらない。いま言われましたように、物価は下げよ、賃金は上げてくれ、簡単な言い方ですが、そういう意味じゃないのですよ。これは物価は上げてもらっては困る。上がるから賃金を上げてもらいたいということになるのですから、そういう身がってなことを言っておるのではないのです。先ほど言われた質量共に――労働大臣、私の言うことに賛成したのですから、質量はいいですから、そんなむちゃなことを考えておるような労働者はおりません、ただ、いまの経済機構そのものに問題があるのですから。これはしかし、ここで言っても水かけ論で、言いませんが、これをどう調和していくかということが現時における政府の考え方の問題だと思いますね。干渉しないと言われままから、これはそれでよろしいが、私は春闘において今度相当のいわゆる賃上げというものが獲得されてしかるべきだと思う。  それについて、政府関係の三公社と公務員の問題についてひとつ最後に触れておきたい。これは関係ないとは言われない。一般の民間の労働者が賃上げすれば、もちろん公労協の皆さん方の賃上げも当然これは出てくる。この点について、これは三公社関係は、国鉄関係は運輸大臣ですか。それより前に、大蔵大臣、財政的措置はどうされるか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十四年度予算におきましては、一般公務員につきまして七月から五%上げる人件費を予算に組んでおります。それで、人事院勧告がいずれ出てくるわけですが、その人事院勧告を見た上で、また予備費等においてこの額は調整をいたしたい、かように考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 その場合に、人事院の勧告は、この前も非常に問題になりまして、去年はいろいろの末、一カ月早めて七月実施になったのでありますが、ことしはそういう意味で財源措置ができておるから、人事院勧告は四月になるか五月になるか知りませんが、それはそのまま実施するというたてまえですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 人事院勧告がどういう勧告になるか、これは私どもにはわからないのです。わからないから、ことし実施をいたしました七月から五%――まあ一応腰だめでございますが、五%の予算を組んでおる、それから予備費にも若干のものをみておる、これが実情でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 財源措置はそうだけれども、今度人事院勧告は尊重するということですから、実施時期は、かりに五月になれば五月から実施する、こういう腹がまえであるかどうか、これだけ。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 予算の編成に対しましては、大蔵大臣が答弁されたとおりであります。従来と、昨年と異なりまして、昨年は予備費だけに計上してありましたのを、四十四年度におきましては給与費に五%及び予備費に調整財源を計上しておる次第であります。政府といたしましては、常に、人事院勧告に対しましては、これを完全実施するということを基本方針にいたしておるわけであります。ことしにおきましても、いずれ人事院勧告があると思いますので、その勧告のありました時点におきまして、私どもは最善の努力をいたしまして、それの趣旨に沿いたいと考えておる次第でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 総理にひとつ、あんたは聞いてなかったかどうか知りませんが、人事院勧告の実施ですよ、二年間いろいろあなたのほうで御考慮願って一カ月、ずって早めてもらった。もう来年はやはり、相場、額は、これはいいですよ、実施時期だけは公労協と同じ四月から、四月が無理であれば、勧告のときにやるという約束は、これはこの機会に、四分で、私の最後の質問ですから、おそらくこれから、総理の顔を見ることはあっても、廊下で見たって質問はできませんから、ここではっきりと、勧告は完全に実施をする腹であると――すると言うとまた問題ですが、腹であると……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ政府がたびたび尊重するということを申してまいりました。そうして、ことしなぞは特に予算的にもいろいろくふうして、人事院の勧告を尊重するという、それが実際的に尊重したことになるように、こう思って事前に予算も組んでおるわけです。まあそういうような準備もいろいろしておりますので、誠意のあるところはひとつおくみ取りをいただきたい。ただいま、金額はともかくもと――まあことばじりをとるわけじゃないですよ、金額はともかくも実施時期だけはぜひ勧告どおりと、こう言われたが、これは金額は最も大事なことだし、またその実施時期も同様に大事な、勧告としてはさもあるべき筋のものだと、これはもう皆さま方も強い御要望があることは政府もよくわかっておりますし、予算編成にも特別なくふうをしたと、この点を了とせられ、これからどんな勧告が出てくるか、それを見て、そして実施する。それに対応する政府の態度をまたそのときに御批判をいただくようにひとつお願いいたします。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ことばを分析しておるんですがね、いや私の金額と言ったのは、これは人事院勧告が出たら、これ以上にという交渉はいまの公務員の状態ではできないという前提で、これはまあ人事院の勧告が出るまでに組合の諸君が人事院と話しておるから、これはもうきまったものは両者が意見の大体一致したものだという私は一応の想定です。ただ実施時期だけは政府は値切るからね。どうもいまの総理の顔色と、ことばを聞いておると、ことしは期待を持っていいという判断を立てたんですが、これは私は答弁をいただきませんが、これだけはひとつ十分考えてもらいたいということであります。  それから次に、最後になりましたけれども、自治大臣せっかく来てもらったから、時間ちょっと余ったから、地方財政についてちょっと聞いておきたい。あなたはこの地方財政については御苦労願っておるようでございます。全地方団体を代表してお礼を申し上げておきたい。私は礼を言うたあとはこわいですからね。大体この大蔵大臣と約束をして、六百九十億を――これはまあいろいろ理窟は聞いておりますが、なぜ政府に貸すほど地方団体は裕福なんですか、それだけ先に。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) 地方の財政が非常に豊富だから貸したんだろうと、なぜ貸したんだと、こういうことだと思っております。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 私は、地方財政は豊富ではない。やや好転しておることは事実ですが、まだまだたいへん仕事の量が多いですから、なかなかこれに見合わせる財源というものはたいへん確保するんだと。そして六百九十億のことですが、これはもうたびたびお答えいたしておりますが、実は四十三年でも、御存じのとおり、地方財政から国のほうに特別措置をしたと。四十四年度で六百九十億もこれと同じような取り扱いをしたんじゃないかということでありますが、それは少し内容が全然違うのでして、私がこの六百九十億を特別措置したときの、いわゆる昨年末の予算編成期で見ましたのは、つまり四十三年度の自然増収がさらにあるんだと、その自然増収からして地方交付税に回ってくるのが大体七百数十億ある、こういう見込みを一応立てました。そこで、これも山本さんよく御承知だと思いますが、地方の交付税制度において、国税三税の自然増収に伴う地方交付税は、翌々年度、つまり四十三年度の自然増収は四十五年度に精算増となると、こういう制度になっております。その予算編成期に出てきた自然増収の七百数十億の見込まれた額は、これは四十五年度はほかに使えないと、これは制度上当然であります。したがって、四十四年度の予算編成で、いわゆる自然増収に見込まれる額の範囲内ならば、四十四年度の地方財政には影響がないということが一つと、同時に、実は打ち明けて申し上げますと、やはり財政当局に私は強く、この六百九十億を特別措置をいたしますが、これが四十四年度の地方財政の計画に影響しては困るから、まず第一にこちらの希望を言えば、すなわち補正を組んでもらいたい、こう希望を言いました。しかし、これはなかなか、財政当局から補正を組むという明言を、確答を得たのではございません。ございませんが、私の大体その当時の感触からして、これはどうしても補正を組んでもらいたいということを主張したのと同時に、またそういうふうになるのではないかと、こういう私自身の予測があって、いずれにしてもいま前段に申し上げました四十三年度の自然増収は、制度の上からしても四十五年度でなくちゃ使えないということと、その事態によっては、四十四年度の予算編成の推移によっては、あるいは補正を組まれるような場合があるかもしれない、そうすればその金は四十四年度にまた入ってくるのだと、こういう二つの考えでありまして、結論において目当てのある金であることと、同時に補正を組まれたらもう四十四年度でその金は使えるのだと、こういう前提におきまして、その結果四十四年度の地方財政には影響がない、こういうことに私見きわめまして、それで大蔵大臣と御意見を交換してその措置をとったのでありまして、結局は大体予測どおり補正が組まれまして、四十四年度にその金が使えるという段階でございますから、いまもしばしば申し上げましたとおり、四十四年度の地方財政には影響なく、その金、つまり特別措置は特別影響がなかった、こう私考えておりますから、そういう点を十分ひとつ御了解を願いたいと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃ簡単に聞きますけれどもね、そうすると、地方交付税は若干伸びておりますが、昨年の実績から、各地方団体は――一括して言えませんが、各地方団体に交付税交付金はどのくらい伸びますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) 数字その他は政府委員から申しますが、一応、御承知のとおり、今度の地方公共団体の全体の昨年度に比べる伸び率は一八%五くらいになっております。地方交付税につきましての数字は、政府委員から詳しく……。

佐々木喜久治自治省大臣官房参事官

○説明員(佐々木喜久治君) 交付税の総額は、おおむね二五%程度の伸びになっております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃないのだ。六百億というのは、何か開発公社ですか、そういうものをつくって、地方交付税から出しますね。したがって、各地方団体に、府県と市町村にわけて、去年の実績、たとえば何々町であれば去年の実績から二五%ふえていいという、そういう感じにとっていいのですか、そういう意味で。総額伸びているというのはわかっておるんだ。各市町村の昨年の実績から幾ら伸びるか、現実に幾ら伸びるか。

佐々木喜久治自治省大臣官房参事官

○説明員(佐々木喜久治君) 交付税の額は、道府県並びに市町村の状況によってその伸び率がやや異なりますけれども、大体市町村分におきまして、いろいろな財政需要の伸び等から見ますと、昨年の実績からいたしますならば、おそらく市町村分は二十数パーセント台の伸びになるということが予想されます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 府県は。

佐々木喜久治自治省大臣官房参事官

○説明員(佐々木喜久治君) 府県につきましては、平均いたしますならば大体一七、八%ぐらいの伸びではないかというふうに予想しております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 昨年はどうですか、昨年は。昨年より多いはずだが。

佐々木喜久治自治省大臣官房参事官

○説明員(佐々木喜久治君) いま数字を持っておりませんので、あとで調べて御報告申し上げます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃ最後に、公害の問題ひとつ聞いておきたいんですが、これはまあ大きな問題ですから総理に聞いておきたいんです。公害は今日一番大きい社会問題となっております。たびたび各委員から質問しておりますから、総理の意見なり厚生大臣の意見も聞いておりますけれども、公害という中にはいろいろ問題がありますね。いま問題になっている大工場からのいわゆる危険物なんかの放流なんかは別といたしましても、特にこの都市関係では産業からの廃棄物の処理が周辺に非常に問題になっている。ごみはいわゆる清掃事業として収集いたします。これもなかなか完全にいっておりません。これも一つ問題でありますが、時間がありませんからきょうはやりませんが、それ以外に産業からの廃棄物、いわゆる工場とかそういうところから出てくる、これが全く周辺部に来るとそのまま放置されている。それがいわゆる害虫とかそういうものの発生の原因にもなりますし、こういうものについて総体に――総理ですから、公害に対して今度二つの法律をつくられるようでありますけれども、もっと大きな範囲の公害、こういうものに対して今後政府はどう考えておられるか、これをお聞きしておきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 山本さんのおっしゃるように、産業廃棄物の問題はこれからの大問題だと考えております。ことに合成樹脂等が非常に多くなってまいりましたりいたしますので、したがって一般のじんあいの焼却ということも大きな問題でありますが、しかし産業廃棄物の問題は、これはもう今後たいへんな問題だと、したがいまして、今後そういった産業廃棄物をいかに処理をするかといういま検討を始めようといたしておるわけであります。御承知の大阪におきましても、一つの大きなある意味の実験的なものを設けまして、大量に処理をするモデルをひとつつくろうというので、大阪府の計画にマッチをしてこちらも助成をいたそうとしておるんでありますが、こういうことをはじめといたしまして、まああらゆる科学技術を動員をいたしまして、今後のはかり知れない産業廃棄物をいかに処理していくかということの検討に移りたい、かように考えておるわけであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの厚生大臣のお答えでいいかと思いますが、最近特に目立つのは、自動車の残骸があります。これは簡単に焼却するというわけにもまいりません。至るところにその残骸が存する。これはたいへんな問題だと思います。また、先ほどもちょっとお答えしたのですが、あき地や空閑地ですね、雑草がどんどんはえている。これはもう非常に条例等で、雑草つみ取れ、こういうことをやっておりますから、このほうの処置はだんだん変わってくるかと思います。とにかく公害はたいへんな範囲においてわれわれの生活に危険あるいは胸威を与えておる。こういうものと取り組んで――これは一つや二つの法律で済むわけではありません。幸いに基本法ができておりますから、この基本法を基準にして、さらに大々的に起こる公害と取り組んで、適切なる処置をすべきであろう、かように思います。もちろん、そういう場合に産業の問題がありますけれども、産業も肝要ですが、これは何といいましても、経済が発展し、その効果がお互いの生活にしあわせになるように、そういう方向へ持っていかなければならないと思います。公害を起こして何の産業の発展ぞやというふうに言いたい気がするのであります。そういう意味で、気づいたところから、またつかまえ得る問題から、それぞれ処理していきたいと思っております。最近は、それぞれの発生源、公害が発生しているその源がだんだんわかってきておりますので、その発生者の責任において処理すべきものだと思っております。  しかし、もう一方、いまのあき地における雑草だとか、まあ最近問題になりますのはし尿処理、これなども公害といっていいのではないか。このし尿処理が進んできたことはたいへんしあわせですけれども、市町村、自治体において、し尿処理、これが適切でないために一部の者に非常に迷惑をかける、こういう問題もあります。いろいろ考えてみると、われわれが処置しなければならない公害の範囲をそこまで拡大していいかどうか、そこにも疑問がございますが、もっと生活に密着して不都合のあるものはそれを処理していく、そこまで政治は取り組まなければならないのじゃないか、かように私は思っておるような次第であります。したがって、原因発生の原因者、これはもちろんその責任を遂行していただきたい。その他のものにつきましても、国家的に、あるいは地方自治体として、それぞれのものを処置していく、こういう形でもっと住みよい社会をつくっていきたい、こういうふうに考えております。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして山本君の質疑は終了いたしました。  午後一時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時十六分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。多田省吾君。

多田省吾公明党

○多田省吾君 初めに外交防衛問題についてお尋ねします。  私たちは、日米安保条約というものが、極東条項をはじめ戦争に巻き込まれるような異例な条項を含んでいるために危険であるという立場から、米軍基地の撤去、また形骸化、段階的解消を主張しております。また沖繩問題に対しましても、たとえ核抜き本土並みとしましても、事前協議の柔軟な運用によっては非常に危険である、こういう立場から即時無条件全面返還というものを主張しているわけであります。そのほか、核の問題につきましても、これはどうしても非核三原則の国会決議を必要とするのではないかという主張をしております。その立場から総理にお尋ねしたいのでありますが、まず最初に、きのうも問題になりましたが、岸特使が核抜き有事使用というようなことを記者会見で申しました。二十九日の予算委員会分科会でも、私は愛知外務大臣に対して、二十七日のニューヨーク・タイムズの報じている、すなわち日本の政界に強大な影響力を持ち、タカ派の指導者である岸元首相が、最近核抜き自由使用を唱えていると大きく報じているということをあげて、そういう核抜き自由使用というようなことを向こうで主張するのじゃないかということを申しました。それに対して、個人的な会見だし、そういうことはないと、こう外務大臣は申されていたわけですが、こういった報道をされてしまったわけでございます。その点はどうなっておりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点については、昨日も御答弁をいたしたわけでございますが、岸特派大使の任務は、アイゼンハワー元大統領の葬儀に参加する、これで特派大使として政府がお願いして渡米していただいたわけでございます。同時に、岸元総理はアメリカに知己もたくさんおられます。こういう際にそれらの方々と会うということは、これは自然の成り行きであろう。そういうときに日米間の問題等についてのお話が出ても、それは個人的なお話であり、また沖繩の問題等につきましては、政府としても御承知のように腹案がまだきまっておりませんし、また、昨日総理からも御答弁がありましたように、政府としての訓令を持って特使として活動するというようなことは考えてもおらなかった、こういうのが事実ありのままのところでございます。昨日もさような、いまおあげになりましたような報道がございましたので、さっそく電話で連絡もいたしましたし、また昨晩おそくも岸特使と電話で連絡もいたしております。これからニクソン大統領はじめ二、三の方とお会いになることになると思いますけれども、そういう環境であり条件でございますから、お会いになりましても、個人的な一般の話は出ようかと思いますけれども、これは政府の見解とか、あるいは政府から委託された任務の執行ということでは全然ございません。  なお、そういう際にも明らかになりましたが、たとえばロジャース国務長官なども、岸さんがせっかく来られたならば、自分もお会いしたいと、お近づきになりたいと、こういうような先方からの招請があったので、お断わりするまでもあるまい、しかし、私、たとえば外務大臣はじめ、昨日来のいろいろの行き来もあるので、そういうことを十分に含んでその案内に応ずる、こういうようなことでありました。これが事実ありのままの状況でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、そういう危険性がありますから、私はそういうことはないかと二十九日の予算委員会でただしたはずでございます。そしてその後、愛知外務大臣は岸特使と会っておられるんじゃありませんか。なぜその辺の話し合いができなかったのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申し上げたとおりが事実でございますから、報道は報道といたしまして、ニクソン大統領と会われるという前に、私が前々から申し上げたとおりのことをさらに念のために岸特使にもお話をしておるようなわけでございますから、御懸念のようなことは私は全然考えておりません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それじゃ記者会見で核抜き自由使用と言ったことも、そういうことはないとおっしゃるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、報道は報道としてと申し上げてあるわけでございまして、まあ時間的にいいますとどういうことになりますか、大体これからの時間かと思いますけれども、お会いになることになったので、その前にそういう点につきましてはお互いに確認をし合っておるようなわけでございますから、具体的なそういう基地の態様等についての見解の披瀝というようなことは私はないと、かように考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 この報道に対して官房長官は記者会見で、こういった核抜き自由使用とか、あるいは核抜き本土並みとしても、夢前協議の柔軟な運用で幾らでもイエスということができるというような岸特使の記者会見発表を踏まえてでしょうが、それは総理とニュアンスの違いだけであって、根本は同じなんだと、こういうような報道がなされておりますけれども、官房長官のおっしゃった真意はどういうところにあるのですか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) 私これは総理から直接こうだということじゃございませんで、ずっと総理のお話を伺って、御意見を伺っておりますと、いわゆる自由使用的運用、そういうものは総理の頭には全然ありませんということを私は私なりに推察をいたしておることを申し上げたわけであります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 じゃ総理大臣にお尋ねしますけれども、こういった問題に対して、いまどのように考えていらっしゃいますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はこの問題でたいへん当惑しております。私と岸、これはきょうだいであります。また、きょうだい仲はたいへんよいのです。プライベートのことを申し上げて相すみません。同じ選挙区で争ってはいるが、たいへんきょうだい仲はよいわけです。したがって、これはもう世間に与える印象は、岸のしゃべることは私の思っておることで、私のしゃべることも岸がまたしゃべる、こういうようにこれはもう相互に連携が非常に緊密である、これはみんながそういうふうに思うのは当然だと思います。また自然だと思います。しかし、やはり幾らきょうだい仲がよくても、公私の別は明らかにする、これは私どものきょうだいの仲間ではそういうような一つの基準にもなっております。公私の別はちゃんと区別する。そこで今度岸が出かけます際に特に私は頼み、あの元の大統領がなくなった、その弔問に行くのだ、そういう意味で十分ニクソン大統領に対しても弔意を表してほしい、こういう意味で実は出かける前に私、時間を一緒にしてしばらく話し合ったわけです。しかし、もちろんただいまのような立ち入った話ができるような時間でもありませんし、またそういうことをしたこともございません。しかし、出発前に私自身会っておりますから、そこでいろいろな疑わしいことも言われてもしかたがない。が、私どもはきのうもここで申しましたように、あの記事を見まして実は私びっくりぎょうてんしたのです。さっそく電話をさせた。そうして外務省から電話をかけて、これらの点についての注意を促したような次第であります。もちろん私が申し上げるまでもなく、各国によりましてそれぞれのサイコロジーは違いますけれども、いまの弔問に出かける、そうしてまあ用事を済ましてくる、これはたいへん軽率な扱い方だと思っております。しかし、岸自身いろいろ知り合い、知人もいますし、日本が当面する問題についてそれらの知人と話し合う、これはあろうかと思います。したがって、いまも外務大臣が話をしたように、ロジャース自身、先方からも会見を要望しでおる、こういうような話が出ておりますから、それはそれとして、とにかくただいま出かけておるその用向き、これは非常にはっきりした、この葬式に参加する、弔問でございますから、それがまず第一の仕事、そうしてあと余裕があればもちろんわれわれが当面しておる問題がございますから、それらの話が出るだろうと、こういうことは予想いたしますけれども、しかしその時と所、これはやっぱり選ばないといけない。ましてや、いまのような私の考えてもおらないような話は実はされては困る、かように実は思っておるのでありまして、きょうだいでありますだけに、私は非常に当惑をしておる、この点を率直に皆さん方に御披露いたしまして、仕事が仕事であるということを申し上げると同時に、私がいつまでもきめないからいろいろな誤解を受けるのだと、皆さんからのおしかりはおしかりとして私は受けますが、ただいままで沖繩の基地の態様、これがどうあるべきかという、これは私がしばしば申しますけれども、まだきめておりません。したがって、幾ら仲のいいきょうだいでも、そういうような点について話し合いはまだないのでございますから、このことは私、間違いなしに皆さまに申し上げ得る。これはまあできるだけ早くきめなければならないことですけれども、私が出かけるのにはまだしばらくの余裕がありますし、そうして私はこの基地の態様をきめることがやっぱり沖繩返還、これがうらはらの関係にあるたいへん大事な事柄だと、かように思いますので、将来、後世の者が見まして、間違いのない選択をした、こういうことでありたい、かように思って、この点についてはまだ慎重にしておる次第であります。しかもその慎重だということも、それは自由使用というようなことを含んでか、こういうようにいわれるならば、そういうことをしない、そういう方向で私はまずきめようと、最後の決断を下しておらない、こういうことだけは申し上げ得るように思います。こういう点だけをはっきりさせておいて、まだきまっていないのだと、この点を御了承をいただきたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 二十九日の夕刊の報道等を見ますと、岸特使は葬儀に行くのだけれども、ニクソン大統領がもし時間がなかった場合は、二、三日待ってでも会うのだとか、そういった積極的な発言をされている。また、このニューヨーク・タイムズ紙の核抜き自由使用を主張しておる岸特使という報道も、その当時は特使じゃなかったでしょうけれども、こういう報道をしておることは総理だって御存じのはずです。それなのに、そういった新聞記者会見の内容である核抜き自由使用、あるいは核抜き本土並みでも事前協議を柔軟に運用してイエスということをやれば、もう幾らでも自由使用になるのだということをもうはっきり言っておるようでございます。このことに関しても総理大臣としてはこれは意外であると、そんなことは考えていない、こうおっしゃるわけでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は日本の国益に合致する、また自主にきめること、これが事前協議のわれわれのとるべき態度だということを、この席で詳しく申し上げたとおりでございます。これが日本の国益に合致する、しかも日本が自主的にきめる、こういうことであれば何をか言わんやでございます。だから、それより以上に、ただいまのように自由使用が目的で、何でもイエスと言うんだと、そこに歯どめのないような発言は、これはまた岸自身のいままでの説明からも引き出せないんじゃないか、かように――私は兄弟であるがゆえにそこらは善意に解釈するのかしりませんが、いままでの解釈から見まして、そんな非常な変化があろうとは私思いません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 官房長官が御用事だそうですから、最初に官房長官に関係のある問題を申し上げたいと思います。  いわゆる仮定でありますけれども、返還後の沖繩基地を米軍がベトナム戦争等に使いたい、直接戦闘作戦行動に使いたいということを事前協議求めてきたら、政府はどういう態度をとるんだと、こういう質問はもうたびたび質問されております。で、保利官房長官はある新聞のインタビューで、極東の外には行かせないというような、すなわちベトナムには行かせないというような報道がなされておりますし、それから愛知外務大臣は二十九日、ことしじゅうに返還のめどをつけても、実際の返還まで若干の年月がかかる、その間にベトナム情勤が変わっていることを期待するというようなことをおっしゃっているし、また総理大臣は、まだきめてないようなことをおっしゃっている。で、総理大臣としての御見解はどうなのか、この統一した見解を伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 統一した見解は、ただいまきめておらないということでございます。きだめような言い方をする人があったら、私の内閣としての内部の問題で、まだきめておりません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 きめてない問題について、官房長官や愛知外務大臣がそれぞれニュアンスの違ったような答弁をなされているということはどういうことですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) おそらく仮定の問題だから答えたくなかったろうと思いますが、そこは皆さん方のほうが引き出すことがお上手だから、仮定だということのそのワク内でどういうように考えるかという考え方を聞かれた、それを自分で話した、かように私思います。したがって権威がないものです。

多田省吾公明党

○多田省吾君 私は、この日米安保条約というものが、極東の平和と安全のためには米軍が日本の基地から出動できるということ、あるいは相当な配置、装備の変更や、あるいは兵員の移動等に関しても米軍の一方的な権能があるというようなことは、まことにほかの条約と比べても異例中の異例だと、このように思わざるを得ません。外務大臣どう思われますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) どういうことをおっしゃるのかわかりませんが、そもそも安保条約というものができましてから昭和三十五年の改定に至ります間のいろいろの論議を振り返ってもいただきたいと思うんです。その当時は、日本側が片務的な、まあいわば押しつけられているようなかっこうで安保条約があるではないか、というのが私は大多数の方々の御意見ではなかったかと思うんです。それに対して当時の岸内閣がアメリカ側と非常な努力の結果、三十五年の改定ができた。多くを申しませんが、その中にたとえば事前協議というようなことが入ったということは一つの大きなメリットだと思うのです。つまり日本の国益からいって、あるいは日本の立場からいって、ノーと言うことはこうこういうことであるということが、安保条約、交換公文、第六条、そしてそれに基づく了解というようなものができました。そしてその後の過去九年間におきましても、私は日本国民の御期待に沿うような運用ができた。こういう状況から申しましても、おことばを返すようですが、現行の安保条約がアメリカに一方的に押しつけられているというようなことは、いささかおことばが過ぎるのではないか。率直に私はこう考えます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 外務大臣は何だか誤解していらっしゃるようですが、私がお尋ねしたのは、日米安保条約は、ほかのいわゆる軍事条約等に見られないいわゆる極東条項が入っている、あるいはアメリカ軍の一方的な権能ではありませんか。ああいう重要な装備、配置の変更等以外はアメリカ軍の事前協議なしの運用にかかっているのです。そういう点はほかの条約と違うのではないか、こういうふうにお尋ねしている。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはまたたいへん根本的な問題になると思いますけれども、私は日米安保条約の目的といたしておりますことは、日本と日本を含む極東の安全に寄与するということが眼目になっておる。また日本の現状というもの、あるいは日本の憲法というもの、それを的確に実施をし、順序をしていく。そして日本の安全を守るのにはどうしたらいいかということででき上がっているのが安保条約であって、あなたは安保条約に反対のお立場をとっておられるのかもしれませんけれども、私どもは日本の実情に即した最もよき選択であると確信しておるわけであります。ですから条約の体裁、あるいはでき方等について、ほかと違っているところがあるかもしれません。しかし、これはいわゆる中ソ同盟条約みたいないわゆる軍事同盟でもございませんし、非常にユニークな私は日米安保条約はでき方である、かように考えておりますから、違っておるところがあるからといって、何で一方的にアメリカ従属だというような御議論なさるのか、私には理解できません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは昨年の衆議院の予算委員会で、極東条項はほかの条約と比べて異例じゃないかと、駐略条項、極東条項どうだと、そういう質問に対して佐藤条約局長は、はっきりそのとおりだと、それから総理大臣も大体その点を認められて、本土における問題としては基地の使い方は別に心配していないと、こうつけ加えられている。いまの愛知外務大臣のお答えとだいぶニュアンスが違うのですが、総理大臣どうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はただいま申し上げましたように、その条約の体裁とかでき方とか条文の書き方とか、これは先ほど申しましたように、なるほど違っている。しかし、それだからといってそれが何で外国の一方的な云々ということには私はならない。その実態を申し上げているわけであります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 じゃそのおかしい点はこれから詰めてまいりますけれども、法律論的にいって、事前協議というものは厳密には日本側の発議権がない、また拒否権がないと、こう言えるのじゃないでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもまあ前々からたびたび申し上げておりますように、そもそも日米安保条約の考え方というものは、まあ通俗的なことばでいえば、アメリカが日本を守る義務ができた、その義務に対して日本が提供しているのが基地であります。したがって、本来ならば米軍がその基地を自由に使用することができる、その使用することができることについて、アメリカが本来なら自由にできるのに、この条約、交換公文によって義務を負っているわけですね、使い方については。したがって、アメリカのほうにその義務を履行すべき責任があって、そして基地をこういう場合に活用したいというときには、向こうから申し出てくるという意味において先方にイニシアチブがあるというのは当然のことでございます。それに対してイエスという場合もあるし、ノーと言う場合もあるというのが私は事前協議のたてまえである、かように考えるわけでございますから、純粋の法律論からいって事前協議の発議権はいずこにありやといえば、これはアメリカ側にある。これは私は法律論として純粋に申し上げればこれが正しい考え方であると思います。しかし、同時にこれは第六条の問題であって、第四条については随時協議ということもちゃんと規定がされてございます。したがって、実体的に申しますれば、こちらが事前協議にかけるべきものをかけそうもないというような、そういうことはあり得ないとは思いますけれども、万々一、仮定の問題として考えられるような場合には、法律的にいっても第四条を援用することもできるし、実体的にいえばただいま多田委員のおっしゃるような懸念というものは封殺されている、こういうふうに考えるのが私は当然だと思います。したがって、いまお話しになるような点は全然御懸念がないと、私はかように申し上げてよろしいかと思います。  それから、これもたびたび申し上げておりますけれども、一例をあげれば、原子力を推進力にする潜水艦の入港というようなものは、これは実は事前協議の対象には条約上はかかっていないけれども、こういう問題につきましても、これは昭和三十九年の当時以来十分事前の協議が行なわれ、安全審査について、政府としてはだいじょうぶだということを確信を得ましてこれを認めておるわけですが、これを認めておるというのは、安保条約の約束した事前協議等に基づいて認めておるわけではなくて、いわば実体的にいえば随時協議というようなものであろう。しかし、この際も第四条を援用しているわけでもございませんで、事実関係からおきましてもそういうふうな御懸念はないと私は言い切って間違いないと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 まあそういう御答弁はしょっちゅう伺っております。それをわきまえた上で質問しているわけです。純粋の法律論的にいえば、この第六条の事前協議に関しては日本に発議権もないし拒否権もない、このように言えるのじゃないでしょうか。端的にお答えいただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは純粋の法律論というよりも――純粋の法律論からいえば、私がいま申し上げたことが純粋の法律論です。しかし、これが何で日本が不利になるんでしょうか。私は実体からお考えいただきたいと思うのであります。あらゆる条約の構成あるいは事実上の運用上からいいまして、私はその六条の問題でどちらにイニシアチブがあるかということがさほど実体論として問題になるとは思いませんのですが、その点はあるいはわれわれの考え方が相互にすれ違うのかもしれませんが、私はその意味は率直に言って理解できないわけであります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 この前の総括質問で矢追委員の質問に対しては、法律論からいえば法的には発議権なしと、このように答弁されたではありませんか。きょうの答弁と違うじゃないですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) どうして違うんでしょうか。純粋の法律論ということに限定してお尋ねだから、これはこの事前協議というものの性格からいってそういうことではございませんかということを先ほど来申し上げておるわけです。しかし、安保条約全体の構成からいいますれば、その発議権が事前協議に対してどうなっているのかというようなことは、非常に率直に申せば、私は条約全体であなたのおっしゃりたい御懸念については十分カバーされている、これが私の見解であります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 私は第四条の随時協議なんか聞いてないのです。第六条、しかも事前協議、しかも法的の発議権云々ということです。この前の矢追委員の質問には、はっきり法的には発議権なしと、こう答弁されている。自語相違じゃありませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 純粋の法律論から申しますれば、アメリカ側が義務を負っておるわけですね。その義務を負っているところのアメリカが日本に対して事前協議をして、そうしてイエスかノーを認める、こういうわけでございますから、何もこちらからアメリカにかわって事前協議をイニシアチブをといるということは、純粋の法律論からいえば、私はないと、かように考えるのが、私は純粋の法律論であろうとかように申し上げておる。

多田省吾公明党

○多田省吾君 条約局長もたびたび答弁されていますが、いつもそれは前からの内閣、これからのことを通じてそういえますか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 純粋の法律論は大臣のおっしゃったとおりでございます。アメリカが義務を負っておりますから、アメリカから申し出るのが純粋の法律論としては当然のことだと思っております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それじゃ純粋の法律論からいえば、事前協議に関しては日本側も発議権ありということですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ちょっと私も答弁に当惑するのですけれども、純粋の法律論からいえば、事前協議というものは、義務を負っているところのアメリカが、俗なことばで言えば、日本にお願いをする、そのお願いに対して拒否あるいは応諾というものができることになっているというのがこの制度でございますから、純粋の法律論からいえば、日本がアメリカにかわってイニシアチブをとって事前協議をするというようなことは、この純粋の法律論からいえばおかしいのではないでしょうかということを申し上げているわけで、その裏からいえば、こちらには発議権というものはない、ないというと、そこだけをとらえられると非常におかしく聞えるかもしれませんけれども、そもそもが、アメリカが日本の承諾を得なければできない義務を負っておる。そのことを規定しているのでございますから、純粋の法律論からいえば、日本にイニシアチブ云々ということ自身がおかしいのじゃないか、これが私どもの見解でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、端的に言えば、日本側には発議権なしということでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 端的に、純粋に法律論からいえば、ないのが筋合である、こういうふうなことをいまるる御説明申し上げておるわけです。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それから拒否権も日本側にない、このように言えますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは拒否権ということばを、また法律論、条約論から申し上げなければならないと思いますけれども、いわゆるノー、拒否するということは絶対的にあるというのがこの事前協議のたてまえでございます。国際法上、いわゆる拒否権とか、何とかということが、また御論議の種かと思いますけれども、そういう点につきましては、別に法律の専門家からお答えさせるほうが適当と考えます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 結局、事前協議というものは、岸・アイク共同声明もありますけれども、これは法的拘束力はないわけですから、同じく純粋の法律論からいえば拒否権がない、こういうことではないでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは非常に重大な御質疑だと思うのです。安保条約第六条、それから交換公文、国会の御承認を得ておる、それに基づいての事前協議でございますから、法律的拘束力云々ということは、私は法律的拘束力というか、条約的拘束力というものは十分にございますと、こう解すべきだと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 もし日本側がノーと言った場合でも、アメリカが強行した場合はどうなりますか。これは条約破棄とか、そういったことを要求するとか、そういうことになるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも純粋な条約論としてお答えいたしますけれども、さようなことがございますれば、これは条約違反でございます。たいへんなことです。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それは何によって条約違反になるのですか。岸・アイク共同声明というのは法的拘束力はありませんよ。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約それから国会の御承認を得ている交換公文、こういうところに根拠を置いた条約であり、もの付属文書でございますから、それに規定された約束に違反し、あるいはそこで合意された条件に違反するということになれば、これは私は当然条約違反である、かように考えます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それじゃ安保条約の第何条のどの項ですか。それからもう一つは、日本では交換公文は批准されたかもしれませんけれども、アメリカの上院では批准されておりませんけれども、どうしてそれが拘束力を持つのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは安保条約というものが根本であって、これこそ両国間の成規な手続を経た条約なんでありますから、この普通の条約におきまして、条約違反というようなことを予想した規定というものは、あまり私は例がないだろうと思います。これは条約に明らかに違反する、条約全体に対して。こういうことはあまりにも私は明らかなる事理ではなかろうかと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、安保条約の全部なんて、そんなばかなことはないはずです。何条の何項によって条約違反か、それをお答え願いたい。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 安保条約の交換公文がアメリカで批准されていないというお話、これは安保条約のみを国会に上程したことは事実でございます。ただ、安保条約六条には、その施設、区域のアメリカの使用の形が出ております。そこにこの施設、区域の使用及び合衆国軍隊の地位は、ここの「別個の協定及び合意される他の取極により規定される。」ということばがちゃんとここに入っております。それに基づきまして交換公文ができたわけでございます。したがってアメリカもこの六条については、立法府も拘束されているわけでございます。したがって、根拠と申しますれば、六条及び交換公文ということになると思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 しかし、事前協議はあくまで協議であって、同意ではありません。それはアメリカの上院でも言われております。どうしてこれが日本がノーと言って、アメリカが強行した場合に、条約違反になるんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはしかし第六条で御案内のとおり、ここへ読み上げるまでもございませんけれども、ただいま条約局長も申しましたように、条約の私は六条、これの違反、したがってそれに関連する交換公文にはもちろん違反する、かように断ずべきであり、これはもうむしろ国際法上の通念ではないでしょうか。こういう点に規定の根拠を置き、かつそれについて全体の構成が二重、三重にできておりますその合意に違反するというようなことは、条約全体の違反だということは、私は当然過ぎるぐらい当然ではないかと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そんなに大事な事前協議をすべきその内容ですね、いわゆる重大な配置の変更、重大な装備の変更あるいは直接の作戦行動ですね、こういったことは一体合意議事録ができておりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも前々から申し上げておりますように、条約、交換公文それから両国の了解、そしてさらに岸・ハーター共同声明というような一連の組み立てでできておるわけでございます。そういう関係から理解していただければ、おのずから私はおわかりになることではなかろうかと考えるわけでございます。したがいまして、その議事録を出せ出せとおっしゃいますけれども、私はこれは当時の当事者ではございませんが、その点についての議事録で印刷をして署名したものはございません。ございませんけれども、それにかわる十分な措置ができている、私はかように信じております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは日本側はだれ、アメリカ側はだれの間にできた了解ですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもしばしば申し上げておりますように、条約が締結されましたときの当事者でありまする外務大臣と、駐日大使との間に了解ができているわけでございまして、その了解の内容は前々から国会にもプリントをして差し上げているようなものでございますから、これは相当のものであるということは御理解いただけると思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ところが、その相当のものがアメリカのあの限りなくたくさん経られた上院審議にも全然出てきませんし、そういう大事なものならばやはり公のものとしてとっておくべきではなかったか、そしてそういったものだったら信頼だけのものですから、これは非常に不十分のものではないだろうか、こういうものはまさしく条約に不可分のものではないか、こう思いますが、どうでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ですからいま申しましたように、一連の構成で条約、これは両国のあらゆる意味で正式の手続を経ている。交換公文につきましては、アメリカ側のことをただいまもお話がございましたが、これはアメリカの国内法あるいは国会の議事運営の慣行に従ってとられた手続でありますが、日本側といたしましては日本国の構成に従って国会の御承認を経ているところの交換公文、そしてその交換公文の中で重要な装備、配置、行動ということがはっきり具体的に文字に明らかにされております。そしてそれを受けて、その運用についてはこういたしましょうということが両国が合意をしているわけでございます。国会の御承認あるいは国会の御承認には至っていないけれども、両国の当事者の間の責任を持って運用がきめられている。そしてさらにそれを大きく補強する意味で、岸・ハーター共同声明、これは共同声明でございますから、国会の御承認は得ておりませんが、そうやって一連の法体系としては念入りにやっているつもりでございますから、議事録がだれがどう署名したかと、それはないのですから、ないことはないと申し上げる以上に方法もございませんけれども、私どもとしてはこの一連の構成の上から見て十分に信をおいていただけるだけの措置は当時の政府がとったものである、かように御理解をいただきたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 しつこいようですが、念のためにお聞きしたいと思いますが、秘密協定なんかはもちろんございませんですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 全然ございません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 事前協議規定というものがイエスという場合もあり得る。第三国から見ればイエスと言えばアメリカ軍の行動に対して日本の意思で参加したことになりますし、また、万が一にも米軍の出撃が行なわれた場合には対外的にはアメリカと共同責任を負わされるということになると思いますが、どうでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ前々から申しておりますように、まず第一に、私はこの安保条約というもののメリットは、脅威というようなものが具体的に現実にあらわれないように、未然に防止するということがこの本質であると考えるわけでございますから、いまお話がございましたようなことは、私の考えとしては仮定の事実である、しかし、万々一どういうふうなことで想定されているかは別として、いまお尋ねの点は、日本の基地の中から作戦行動を発進する場合に、日本がアメリカから事前協議がかかってきた場合に、オーケーと言った場合にはどうなるか、こういったお尋ねだと思いますが、そのオーケーを言うか言わないかは日本の自主的な判断であり、それは国益に基づいて決定すべきものである、かように申し上げるよりほかにないと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、私は仮定の問題としてイエスという場合もあり得るとおっしゃいますから、イエスといった場合は日本の意思参加、あるいは共同の責任のように第三国にとられるのではありませんかと御質問しているのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) こういう非常に重大な問題をあまり仮定で論議をするのもいかがかと思いますけれども、まあ先般来当委員会でも御議論があったように、まあこれも正確な法律論ではございませんけれども、戦争というものの定義というものが国際的にも最近は非常に変わってきている、国連ができ、その活動が始まってから。国連憲章などもそういうことで、そういう基本的観念でつくられているものと私は理解するわけです。したがいまして、日本がどこかから襲われるというときには、これはもう完全なこちらとしては自衛の措置、防衛――純粋の防衛の措置の場合に限られると思いますから、そういうときにイエス、オーケーというような場合は非常な危険が振りかかっているときではなかろうかと、常識的に想定するわけでございますから、おそらく多田委員の御質問のお気持ちの中には、日本が侵略的な戦争に巻き込まれて、日本が戦争の片棒をかついだのだというふうにとられはしないかと、こういうふうな御趣旨が御質問の中に入っているかと思いますが、私はそういうことは考えられない。純粋な防衛の措置である。したがって、日本の安全に対してどういう危険度であるかということを自主的に判定して、イエスをそういう場合に、仮定の問題ですが、言うのであって、それが戦争に巻き込まれ、あるいは他国の戦争に片棒をかつぐ責任をとらされるのではないかというようなことを起こすようなことは少なくともしたくないことである、私はかように存じます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは日米安保条約の非常に大事な問題であり、日本の平和と安全に関する問題でございますから、私は法律論的にお伺いしているわけであります。どうか外務大臣も感情的にならずにお答え願いたいと思います。ですから、私は日本の平和と安全のためにのみ結んでいるのだったら、いま大臣おっしゃるとおりかもしれませんけれども、極東の平和と安全のために米軍は出動し得るわけですから、その点で申しているわけです。で、侵略といってもお互いに侵略の規定は違うでしょうし、まあそれは別としまして、それでは第五条は本来まあ日本の自衛権を発動するわけでありますけれども、自衛権は権利であって、本来義務ではないわけです。しかしながら、安保条約の第五条によって在日米軍基地が攻撃された場合は日本が一緒になって防衛する義務を負っていると思うのですが、すなわち好むと好まざるとにかかわらず、日本は米軍と共同の軍事行動を起こさなければならないと思いますが、それはいかがでございましょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 第五条の場合は、これも条約の文言についてのお尋ねでございますれば条約局長からお答えいたさせますが、内容的に言えば、日本自体が具体的に、客観的にほんとうに日本の存立が脅かされるような事態を予想しての条文でございます。ほんとうにこれは何と申しましょうか、たいへんな場合のことを仮定的に規定しておる、かように考えてしかるべきではないかと思いますし、その場合には、先ほど申しましたが、アメリカは俗なことばで言えば日本を守る義務を負っているわけですから、日本の国が具体的な危険にさらされた場合には、共同して、しかし、日本の自衛隊は、安保条約の上にも明らかになっておりますように、憲法の条章のもとにおいて自衛隊は行動すると、こういうふうに御理解いただけばけっこうだと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それでは条約局長から。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 大臣からお答えいたしましたとおりでございます。アメリカの基地が攻撃された、日本における、日本の領域の中におけるアメリカの基地が攻撃されたという御設定だと思いますが、これはアメリカの基地と申しましても日本の領域の一部でございます。決してアメリカの租借地でも何でもございません。したがって、日本自体の領土が攻められているということでございますから、これは当然のこととして日本の個別的自衛権は働くという事態だと思います。したがって、これはもちろん憲法上の手続に従って日本は行動を起こすわけでございますが、その際日本が個別的自衛権を行使するというのは私は当然の事態じゃないかと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 私はそんなことは聞いていないのです。安保条約の第五条がない場合はいまのおっしゃるとおりだと思う。第五条のある場合は、やはりアメリカ軍と一緒に行動する義務を負うのじゃないかと聞いている。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはどうも私の答弁では御満足いただけないのかもしれませんけれども、いまも条約局長が申しましたように、日本の領域の中にある基地が何かしらん脅威を受けるということは、すなわち日本のこの国土が侵されるという、そういう危険性の場合ですから、アメリカに対する義務というよりも前に、私はこれはお互い日本人として固有の自衛ということでこれの火の粉を払うべきではないかと思います。そしてその際におきましても日本の自衛隊は憲法の規定するところに従っての行動である。しかし、それ以外の場合において協力してくれ、共同して日本の安全を守る、火の粉を払うということにおいて、日米がその限度において協力するということは当然だと思いますけれども、日本がそこで義務を負うというような考え方は私はどうもあまりよく理解できませんので、これは当然の日本の自衛ということで理解し、かつ憲法の許す範囲内においては自衛隊が活動する、こういうふうに考えてしかるべきではないかと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 私は純法律論的にお聞きしているのです。そういうおそれがあると困りますから聞いている。条約局長、いまの問題、法律論的にお答えください。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) その義務があるかどうかというお話でございますが、どういうふうにお答えしたらよろしいかわかりませんが、個別的な日本には自衛権がございますわけでございますから、義務を履行しない、日本が武力行動を起こさないというときには、個別的自衛権を行使しないという形を予想せざるを得ないわけでございます。その形ができるかというお話でございますが、これはもちろん憲法上の規定に従って、手続に従ってということがかぶっておりますから、その限度において制約があるということは事実でございますが、それ以外の制約というものはないと考えるのが当然じゃないかと思いますが、当然日本が攻められているわけでございますから、その自衛権を行使するというのは普通の状態じゃないかと私は思いますのでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、私も法律論的に聞いていると言っているのです。ただいま第五条がない、日米安保条約のない場合には、たとえばある党が言っているように、無抵抗ということも考えられるのではありませんか。もし、第五条があって、米軍基地があるために、米軍基地が少しでも攻撃されたら、日本の自衛隊なり日本なりが一緒に行動する義務があるのではないでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) どうもお答えにならないかもしれませんが、いまのお尋ねの中に、無抵抗ということもあり得る、日本が何か――どういう場合が想定されるかわかりませんが、日本の本土がある軍事力によって侵され、国土が侵されたというときに、日本が何らの措置をしないでじゅうりんにまかせることも一つの方法であるという、お考えが――お考えがということは取り消しますが、だれかが、そう考える人があるかということをかりに前提にするならば、あるいは安保条約があるから日本は日本を守るみずからの、何といいますか、私は本来の義務だと思いますが、アメリカに対する義務だという解釈があるいは成り立つかもしれませんけれども、私はその前提となることが、仮定にいたしましても、あまりに私にはほど遠い仮定でございますから、この程度の御答弁以上にはできかねることを御了承いただきたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですからこの問題は、日米安保条約があるための危険性を私どもは申しているわけで、私は何も無抵抗とか何とか言っているわけじゃない、われわれがやれということじゃない。ただ、第五条の「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」とはっきり言っていることは、これは義務規定じゃないかと、こういうことを伺っているわけです。簡単なことなんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私は、おことばを返すようですが、簡単なこととは思えないのです。というのは、条約論といたしましてという仮定のお尋ねではありますが、私は、日本のお互いの国土が侵されるという危険が現実に目のあたりに迫ったときにも無抵抗でいるということから考えれば、そうすれば、安保条約があるから日本国民は日本国を守る本来ならみずからの義務をアメリカに対して負うた義務であるのかと、こういうお尋ねであろうかと思いますけれども、そういうふうに、前提が、日本は無抵抗でよろしいのだということを前提にするなら、あるいはそういう御議論も成り立つかと思うのでございますけれども、安保条約は、みずからがみずからを守る義務と権利があるということを前提にして、足らざるところを補うという意味で安保条約がつくられておるわけでございますから、そういう危険のときには日本は日本のそういう感覚で、そしてアメリカは日本を守るという義務を履行するために、さような場合に協力してそういう襲う敵を追い払うということを宣言するということは、私は当然のことではないかと、かように考えるわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 もう一つこの前お聞きしてはっきりお聞きできなかった問題に、もし――これは仮定の問題ではありますけれども、差し迫った問題でありますからお尋ねしますけれども、沖繩の基地に米軍が、事前協議の対象となる以上の兵力があると思われます。そういう場合に、もし本土並み、いわゆる事前協議が適用されるような姿で返った場合は、これはアメリカとして事前協議事項として日本に通告してこなければならないのじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は別の意味で仮定の事実でございまして、というのは、基地の態様については、まあいろいろな点からいろいろの想定される問題、そして国民の皆さまがそういう場合に一番支持してくださるような態様を考え、かつこれを相手方に説得をすることができるようないわばフォーミュラというものについては一生懸命いまも考えている段階でございまして、まだ結論は出ていない。そういう意味での仮定のことでございますが、これはそれこそ特別の定めなき限り、安保条約が沖繩に適用されるという場合には、先ほど申しました一連の法体系、組み立てがそのまま沖繩に適用されることが望ましい、特別の定めがない場合は。こういうふうに考えているわけでございます。  そこでその次に、具体的な御質問の点に入るわけでございまして、これも仮定の問題ですからひとつ誤解を生まないようにお願いをいたしたいと思いますが、昭和三十五年のときを振り返ってみますと、三十五年の改定前のときに日本の本土内にありましたいろいろの施設等については、あるいは配備、装備ということについては、その以降において、改定後において、事前協議にかかる事項というものを、あのときに取りきめができた。これはあの当時のことを客観的に申し上げているわけです。ところが、それに関連いたしまして、先般来いろいろ御議論がございますように、あるいはメースBというものもあるであろう。あるいは現に沖繩にありまする兵力量というものが三十五年以来、合意されておりまする兵員の装備、配置の重要な変更ということに、たとえば一個師団程度とかあるいは何々ということがかねがね詳しく御説明しておりますが、それよりも多い場合も想定されますが、こういうものをどういうふうに処理していったらいいかということも、またいま申しましたような仮定の事実の上に立ちましていろいろ検討しなければならない問題であろう、かように考えておる次第でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、それは私の質問に対するお答えじゃないのじゃないかと思うのです。その場合に、あるいは交換公文でやるとか、あるいは話し合いでやるとか、あるいは共同声明でやるとか、これはいろいろ考えられます。だけれども、そうじゃなくて、そのまま事前協議をオーバーするような姿で返ってきた場合には、当然事前協議の対象になるし、アメリカは日本に事前協議として通告してこなければならない。われわれもイエス、ノーをはっきり言えると思うのですが、その辺のお答えが、二十九日もなかった、これはどうなんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは、したがって、いまもお答えいたしましたように、まだそれは別の意味で仮定の事実であり、われわれとしても腹案は白紙の基地の態様について持っておりません段階でありますから、お答えにならないお答えしかできないことを御了承願いたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは白紙とは違うと思うのですよ。そうなった場合はどうなるのか、事実関係をお聞きしているのに、その条約の解釈のしかたをおっしゃらないのでは、これはもうこっちも質問できません。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 仮定のことではございますけれども、客観的な、歴史的な事実を先ほども申し上げれば、昭和三十五年のときには、現にあるものには触れないで、今後ふえる見込みのあるようなものについて事前協議というものがつくられた、これは客観的な事柄です。しかしそれに対して、沖繩の問題についてどうこうということを私は言っているわけでは決してございません。しかし、そういう筋のものでございますし、いま私は的確に申し上げたつもりですが、沖繩に現にアメリカ軍が保有しているところの装備とか、その他のものについて新しい段階においてどういうふうにしたらいいかということについては、われわれといたしましても考究をしております。しかし、これは基地の態様ということに直接関係するものだ、あるいは基地の態様それ自体の問題でございますから、私はまだお答えになるようなお答えはできかねるということを率直に申し上げているわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それでは仮定ではありますけれども、何らの取りきめや、共同声明も行なわれない場合にはもとからあったものとして事前協議の対象にはならないということをいうんですね、三十五年と同じような姿で。私たちは三十五年のときとは全然違うと思うのです。あれは旧安保から新安保にはっきりと乗り移っている。今度新しく日本の施政権下に入るのですから、当然入ったものそのものは事前協議の対象になると、こう私たちは理解しておりますが、違うのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、決して誤解を招かないように私も申し上げているつもりでございますけれども、新しい事態でございますから、特別の定めなき限り、先ほど申しましたように、そのまま現行の体系がかぶるということになる、特別の定めがなければ。そういう場合にやはり考えの中には、そういうことも言う人もあり得るだろうかということも念頭に置かなければならないと、こういう意味で申し上げたわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは私は政府の重大なインチキだと思う。新しく日本の施政権下に入ってくるんですから、その姿において、三十五年のときとは条件が全然違うんですから、入ってきた米軍の装備というものをそのままそっくり新しく、仮定ではありますけれども、事前協議の対象になる場合は、アメリカは通告しなければならないと、こう思います。違うんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 仰せになっていることは私によく理解できているんです。それはまあそう申すと失礼でありましょうが、言外によく御理解いただけると思います。したがいまして、そういう問題を含めて私は国民全体の御期待に沿うようにいかなるフォーミュラを確立すればいいかということを鋭意検討いたしておりますが、結論的にどうということをまだ申し上げる段階でない。お述べになっております問題点は私にはよく理解されておりますと、かように申し上げているわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 だからあれは、政府の理解というものはまああくまでもその場合は不問に付すというようにしか受け取れない。これは私たちは重大な政府の片寄った姿勢であると、こう思わざるを得ません。  次に、総理は、非核三原則につきまして、つくらず、持たずは憲法問題で、持ち込まずは政策だと、このようにだんだん後退しているんです。そのように後退していくなら、たとえば戦略核兵器は攻撃兵器でつくらず、持たずだが、戦術核兵器は防御兵器だから憲法問題に関係ないからつくる、持つなんて、そのように飛躍するんじゃないか。確かに自民党の幹部の中には、引き金つきの核兵器は日本に持ち込んでもいいじゃないかという主張をする人もいるようでございますし、これは総理はどのように理解しておられるんですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) やはり憲法上の問題に関連がございますので、私が一応お答え申し上げますが、この問題も実はもうしばしば出た問題で、しばしばお答えを申し上げているとおりでございまして、いままたあらためて別なことを申し上げるわけではございませんが、総理がおっしゃいましたように、このつくらず、持たずというのは憲法上の問題がある。確かに問題がございまして、しばしばこの核兵器の問題でいろいろ質疑応答もございますが、ともかくも憲法と、それから憲法のもとの法律から照らし合わしてみれば、持たず、つくらずということも、実は現在では法律を合わせている限り、原子力基本法上、やはり法律上はそれができないことになっておる。  ところで、残る問題は、持ち込みに同意を与えないということでございますが、これもしばしば申し上げておりますように、これは必ずしも憲法上の問題でもない、原子力基本法の問題でもない。何となれば、第一に憲法から申しますれば、しばしば引用される最高裁の判決でございますが、その考え方は、われわれはむろん旧安保条約ができますときから、この安保条約によって駐留する米軍、これが憲法九条の戦力を保持しないという規定に抵触するんではないかというようなことは、旧安保条約をつくりますときに、私どもとしては当然大きな論点の一つであったわけなんです。その際に考えましたことがまた同時に最高裁の判断になっておりますが、要するにわが国が主体的に管理権、支配権を持つものについての規定であって、管理権、支配権を持たざるもの、つまり外国の駐留部隊がそういうものを持つものについては憲法九条二項の問題ではないという解釈が出ております。そういう意味でアメリカ駐留軍が持ちますものについては憲法上は問題がない。  もう一つは原子力基本法の問題でございますが、原子力基本法も条文をいま照らし合わせてみればおわかりになると思いますけれども、わが国権の支配のもとに立つもの、これを自主的に運営するとかいうようなことばから見ても明らかでございますが、そういうものについての規定である。したがって、これまたそういうものでないものについての所持については触れておらない。そういう意味で、持ち込みを許すか許さないか、それはもっぱら政策上の問題であるということになるわけでございまして、さらにそれについての疑念がありましたら御説明申し上げます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 法制局長官にいまの質問に関連してお伺いしますけれども、もしかりに核がついて沖繩が返る場合には、いまのお話だと、非核三原則の上だけの政策上の問題として持ち込ませない、あるいは持ち込ませるをきめるというだけで、安保はそれには関係ないわけですか、事前協議はその場合どうなりますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 沖繩が返還される際の配備とか、装備とかいうような問題について事前協議の関係はどうであるかという御質疑がさんざんいまございまして、外務大臣がお答えになったとおりでございます。ここであらためて私は申し上げませんが、いまの御質疑は、非核三原則の問題としてどうとらえるかという問題になるのかということはございますが、それはむしろ政策上の問題ですから、非核三原則がこれは常に本土に関して述べられておったと思いますけれども、要するに広い意味の政策上の問題として考慮の対象になる、こういうことでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 お答えの確認ですけれども、ということは、まあさっきの議論の続きでございますけれども、沖繩の基地の態様についてはあくまでも政策の上で核を入れるとか、入れない、あるいは装備の大きさをどうするとかしないはきめるというんですか、安保が適用された場合。それと安保の適用というものとは全然それは別問題である、こういうことになるんですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 正確にお答えを申し上げますが、いまおっしゃるように全く――言い方があるいは問題になるかもしれませんが、全然別問題でございます。つまり、政策上どうするかの問題と事前協議にかかるかどうかという問題は全く別でございます。かりに事前協議にかかる場合には、いまの政策的な判断によってどうするかという問題である、こういうことになるわけです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私聞いているのは、しつこいようですけれども、沖繩が返る返り方の場合ですね、それをどうきめるかということはあくまでも政府の政策だけの上でどうするかということである、いままでのお話だとそうなるわけです。もう一つの問題として、いままで言われていることは、沖繩が返れば当然安保の適用範囲に入ると言われているわけです。そうすると今度は、いま沖繩にある基地とか、あるいは米軍というものもその安保の適用下に入れば、当然その装備とか、あるいは核があるとかないとかはその事前協議というものがかぶってこなくちゃならないんじゃないかと。ところがさっきからの外務大臣の答弁だと、それは関係ないように聞こえるわけです。そうなると、もし政府が政策の上からいって、いまのいろんな世界情勢から考え、アジアの情勢から考えて、沖繩の米軍はたとえ事前協議の基準以上のものがあっても、それが必要だ、あるいは核は必要なんだ、こう認めた場合は、結局安保なんか関係なしに何でも沖繩で米軍ができるということになればこれははなはだ問題じゃないか、そういう意味で聞いているんです。総理からも答弁願いたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 先ほども申し上げましたとおりに、事前協議の対象になるかならぬかというのは、先ほど非常に時間をかけて外務大臣からお答えになったわけでございますから、それはそれで繰り返してもいたしかたございません。それはそれで御理解いただきたいと思います。  そこで政策上の問題はどうかと、政策上の観点から考えるべきであるということを申し上げましたが、私は法制局長官でございますので、憲法上の問題になるか、あるいは原子力基本法上の問題になるかといえば問題にならないということだけお答えすれば足りると思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 じゃ、あらためて外務大臣にお尋ねしますけれども、重要な装備の変更の中に核兵器というものは入っているわけですか。核つき返還の場合は事前協議の対象になりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはまた議論がもとへ戻るわけですが、沖繩の返還問題につきましては、現在まで政府としては、特別の取りきめがなければ、憲法はもちろんですし、安保条約もそのままの法体系がかかっていくと、こういうふうに考えております。しかし、それを具体的にどういうふうに組み立てていくかというようなことについては、実態の問題もございますから、基地の態様の問題としては白紙であるという態度をまだ変える段階にはきておらないわけでございます。で、かりに特別の定めがない限り安保条約が適用される。また、これは条約だけでなくて、その法体系がかぶりますから、これは従来やっておったようなやり方でやることが望ましいと、こういうことは言えると思うのでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、端的に聞きますけれども、もちろん仮定ですよ、仮定の問題として核つき返還の場合、あるいは自由発進を認める場合のみは事前協議の対象になるけれども、配置の場合は三十五年と同じようにそのままほっかぶりにして済ますと、こういう意味なんですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そこがちょっと違うのでございまして、先ほど誤解を招かないようにお願いをいたしますと言ったのはそういう点で、いまお尋ねの点も含めまして三十五年のときはそうでございましたと。かりに、これもかりに申し上げるわけですが、そのままが施行されるということになるとですよ、そうすると、現状は現状として今後というようなことを言う人もあろうかもしれない。そういうことも頭に置きながら、国民の御期待に沿うようなフォーミュラはどうしたらいいかということを私は真剣に検討しておるのでございますと、私はそれ以上は申し上げないでも、先ほどもお願いいたしましたように、問題の所在は私も心得ているつもりでございます。そういう点を含めまして真剣に考究中でございますと、これが私の態度でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 白紙、そういった仮定ならいざ知らず、現実に事実関係でこういった場合は日米安保条約論上どうだろうかとお聞きしているのに、これにお答えいただけないということは、ちょっと私たちとしては不満ですね。総理大臣、どうでしょうか。仮定の場合ですね、いま重要な問題ですから。核つき返還の場合、事前協議の特別の取りきめなき場合は事前協議の対象になりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 仮定の場合と言われますが、いま現状にある状態、それならば事前協議の対象にならないでしょう、いまあるんですから。事前協議というのは、そういう事態をこしらえる前に協議するのが事前協議ですから、それはございません。だけど、いま仮定の場合ですが、いまの沖繩の基地をどうしようかという、これがいま一番私どもの問題なんです。でございますから、いまあるがままの姿で日本に引き継がれる。それは私ども十分交渉して、どういうものがあるということをちゃんとはっきり了承した上でくるわけですね。だから、いわゆる事前協議というか、まだないものの前の段階ということはないんです。それは現にあるんですから事前協議にならない、そういうのは。新しく核を持ち込む、これは確かに事前協議になる。しかし、沖繩に現にあるそのままのものがこっちにくる、あるということをこちらで十分調べれば、もうその調べるだけで済むわけですね。その調べたときに、どうも気に食わないと思えば、そういう軍基地じゃ困るからそれは除いてくれと、こういうことを言うだけですね。あるいはそれだけの基地で、あれだけの広範のものは困るからもっと縮小してくれ、こういうようなことを言うわけですから、いわゆる事前協議じゃなくて、返還交渉の協議の対象になると、かように御理解いただければいい。私は、どこまでもそのことがいまきまらないので、私がまいっておるということをたびたび申しました。ことば使い、ことばじりをとったようですが、いわゆる事前協議というものではない。けれどもその事態、いまあるがままの姿を何ら、うのみにして日本に持ってくる、そんなことはない。これはうのみにしてそのまま持ってくるなら、私ども何も心配しません。ここでもそのままお話ができるのです。そういう状態じゃないです。また皆さん方の希望もおっしゃらないけれども、そういう、メースBは困る、核抜きでないと困る、さらにまたもっと縮小しなければ困る、こういうような皆さん方の御意見じゃないかと思う。だから、私はむしろ、いま政府はまだきめてないのだ、そのいまの法律論もさることながら、この際聞きたいことは、皆さん方がこういうふうに考えているが、政府はどうだ、こう言って、むしろ政府に少し教えてやると、まあ幸いに白紙だといってまだきめてないと言うのだから、間違いのないように教えてやる、こういうことであってほしいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから私たちは、いつも沖繩は即時無条件全面返還で核抜きということを教えてあげているのです。いまの総理の御答弁ですと、ちょっと外務大臣の御答弁とニュアンスが違うようです。総理大臣は、配置の重要な変更、装備の重要な変更も、もう沖繩はそのまま返ってくるんだから、もう核つきの場合も、仮定ですよ、事前協議の対象にならないのだと、こうおっしゃるわけです。外務大臣の場合はちょっとニュアンスが違って、そのことは答えたくないみたいな、言外に言っていることは。総理はずばりとお答えなさった、外務大臣も総理と同じ御意見なんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 実際私も当惑するのですが、どういうふうに御答弁申し上げたら御納得がいかれるか。私は先ほど申しましたように、何と言ったらいいでしょうか、三十五年の当時始まった事前協議というものは、あのときはああいう環境でこういうふうになっておりますよということも念のために客観的事実として申し上げたんですけれども、いわゆる事前協議だけでは律し得られないような問題もあろうかもしれません。返還がきまりましてからどういう形にするかということになれば、事前協議の問題になる。こういうふうに申し上げましたら、もう少し御理解は進むかもしれません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それでは外務大臣と総理の御答弁は違うじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は外務大臣と特別に違っておるとは思いません。それからまあ外務大臣に交渉させますが、これ多田君に申し上げますが、沖繩が返ってくると、こういう場合に施政権も返還、軍基地のあり方もそのときに十分協議するはずです。そこで、私はしばしば、基地の態様がきまっておりませんから答えられませんと言っている。いま言われる事前協議というものが、返還に際しても基地の態様について十分協議するか、こういうことなら、そのとおりでございますと、こう言うので、私別に変わってないように思うのです。もういまのあるがままで一応返って、それから核を返せと、こういうことになれば、それこそ事後協議とでも申しますか、事前協議でないように思います。だけれども、返還交渉自身に基地の態様が全然問題にならないということはないです。当然私ども考えます。  それからまたもう一つ、いままで本土には全然核がない、今度新しく沖繩にしろ、沖繩が返ってくるときに、核つきで返ってくるならば日本が核武装したことになるから、これはたいへんじゃないかと言われる。そういう意味においての事前協議というか、そういうことも含めて核基地の態様はこれはやはり返還の際に十分協議しなければならない、かように思います。おそらく外務大臣は後者に十分力を入れて、もしあそこに核がある、沖繩の核ではあるけれど、それは日本が核武装したことになるのじゃないか、それがやはり事前協議の対象になるのではないか。こういうことのように法律論でいろいろの議論をしているのではないかと思います。しかし、私はどちらにしても沖繩にある米軍基地、それがそのまま何らの審査なしに返還というものが実現するとは思いませんから、審査する際に、沖繩の基地はどうあるべきだ、われわれが納得できるのはこういうことだ、こういうものをつくりたい、かように思いますので、外務大臣と特に違ってはいない、これはひとつ御了承いただきたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 大体理解できましたけれども、もうちょっとわからないところを総理大臣にお聞きしたいのですが、それじゃ配置の場合も、結局、仮定で申し上げますが、それで特別なとり定めなきとき、海兵隊一師団以上とか、空軍一師団以上とか、その事前協議のワクを越えるものがそのまま返ってきた場合には、事前協議の対象になりますか、それとも、そのままあるんだからそのままにしますといういわゆるほおかぶりといいますか、その二つの議論がいまあるわけです。総理大臣はどちらをおとりになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、もちろん、沖繩の返還は一日も早く実現したい。同時に、また、その際に、日本、沖繩、この安全が非常に弱められることのないように十分注意をいたします。そういう意味で、この基地の態様を考えてみる。審査します。ただいまのように申しますと、それじゃ核つきだ、かように心配なさるかわかりませんけれども、しかし、これから先の科学的な進歩はいろいろございますから、その辺の変化は、もちろん、近代科学を十分に使うということで私どもの安全を確保する、こういうことで、私は考えたい。そこに、いますぐということならたいへん困るが、まあとにかく返還の時期までに相当の期間もあるだろうし、また、いろんなことも考えのうちに入れて、国際情勢の変化やあるいは武器の進歩もあるから、その辺にわれわれが結論を出し得るのじゃないか、かように実は思っておるのです。これも、いわゆる仮定の事実かわかりません。で、問題は、仮定の事実でこういうことを議論するのもけっこうですけれども、とかく仮定では事柄が間違いやすいですから、あれは仮定だとこう言って断わるのもいかがかと思いますし、大事ないまの討議でございますから、私は正確を期する意味において、いまの軍基地のあり方については、まだ白紙でございます、まだ結論を出しておりません、こういうことを重ねて申し上げまして、ただいまの御議論も御議論ですが、それはひとつ伺っておくことにいたしたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それは何もフリーハンドを侵すとかそういう問題じゃないと思うんですがね。条約論の解釈だと思うんですけれども、それすらやはりお答え願えませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 条約の態様については、先ほど来の議論で、法制局長官や条約局長の答弁でもういいのじゃないかと思います。私がいま言っている仮定の問題にからんでの条約論というものは、仮定の問題でありますだけに、その条約論は先ほど来は一応説明していますが、納得がされない。これはどうもしかたがないのじゃないかと聞いておりますので、だから、その仮定の事実にあまりとらわれての条約論もちょっと私多田君と違っていかがかと思いますが、差し控えていただいたほうがいいのじゃないか、かように思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 関連。先ほど来の質疑なりあるいは答弁なりを伺っておりまして、従来、総理は沖繩が返還されれば、特別のとりきめがない限り日米安保条約の適用になる、こうおっしゃっております。そこで、いま、多田委員の質問は、現に沖繩にかくかくの基地があり、かくかくの装備がある。したがって、それが安保条約の事前協議の対象になるのじゃないか、こういうふうな質疑をずっと続けてきたわけです。それに対する総理並びに外務大臣の答弁を要約してみますと、沖繩の基地の態様はどうするかということは、返還交渉にゆだねる問題であって、いわゆる返還がされてから安保条約が適用になるのだから、この場合、安保条約の事前協議の問題として取り扱うのではなくて、返還交渉の問題として取り扱う、こういうふうな御答弁のように伺ったのですが、どうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりだと私は思っておりますがね。いま、ただ、沖繩の返還と軍基地が分離できるような議論だとちょっとそれも困りますけれども、おそらくそれは一体としての交渉になるだろう、こういうように思います。それで、そのときに、はじめていまの交渉の問題が起こる、かように思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 関連になりますけれども、先ほどの多田委員の質問に対する答弁はちょっと私は違う答弁のように思うのですが、事前協議の対象になる基準を、沖繩返還の場合に、核だけではなしに、軍隊の数等についてもその基準を越えることは、たとえば特別の定めのない限りこの安保の事前協議の対象になる基準がございますが、その基準を越えることはあり得るかいなか、その点をもう一回はっきりお願いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、いまある安保、これは特別の定めなき限り、いままでの安保についての私どもの説明に変更はございません。したがって、事前協議の対象になるもの、これも重大なる装備の変更、こういうものは当然事前協議の対象になる、これはいままでの解釈でございますし、今後もそのまま続けていくだろう。そこで、いま問題は、この沖繩の場合に、おそらく、私が予想しなかったことは、沖繩の基地ではあるが、それは本土が核基地することになるんじゃないかと、そういうことを考えると、事前協議の対象になるんじゃないかと、こういうようなお尋ねかと私は思うんですが、これもいま沖繩がまだ施政権は向こうにあるし、返還はしておりませんから、この返還がされる際にそういうことをも含めて十分実情を審査し、適合する処置をとると、これが私の仮定抜きの実際の議論でございます。だから、仮定的にいまの状態でどうかと、こう言われましても、これは仮定の議論としては関心もありましょうが、ちょっと不適当じゃないだろうかと思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 もう一問。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 簡単に願います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、事前協議の対象となる基準を越えないように返還交渉には努力をすると、こう受け取ってよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 基準といいますかね、いままで重大なる変更というか、そういう場合に問題になるんですね。それは沖繩にはいま基地があるといわれている、核基地があるといわれている。これがそのまま来れば必ず重要なる変更がある。であるから、非常に法律的な説明で、特別なる取りきめがない限りという条件をつける。だから、そこのところに、一体、沖繩返還にどういうような事態が起こるか。そういう特別な取りきめをする必要があるか、あるいはしてはならないか、そこに一つの問題があるわけです。ここらに問題があることを指摘しておきまして、ただいまの状態はまだ白紙の状態だ、それを間違いのないようにしようというのが私どもの考え方であります。また、皆さん方の御協力も得たいし、まあ自民党はそこまで考えたのかというようなものにぜひともしたい、かように実は思っておる次第でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、私たちの主張はもうはっきりしているんです。新しく日本の施政権下に入るんだから、もう当然、核つきの場合、あるいは一個師団以上の配置の場合は、事前協議の対象にすべきである。その以前に、特別の取りきめとか、共同声明とか、それは一応論外として、それがない場合はですね。ところが、総理や外務大臣のお答えは、それすらまだ言えないんだというふうに受け取らざるを得ないと思う。そこで、勘ぐれば、昭和三十五年のときのように、ほおかぶりで済ますということも考えられる。  次に、法制局長官に。先ほど、私たちは、戦略、戦術核兵器ともに区別できないし、これはともに攻撃ですから、こんなのは憲法上禁止すべきは当然だと思いますけれども、何だか政府の中には、戦術核兵器は防御兵器だから、つくっても憲法には抵触しないようなことをおっしゃっていますけれども、ほんとうですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げますが、米軍が保持する武器のことについては先ほど申し上げたとおりですが、わが自衛隊が持つことについての御質問でございますようでございますが、これについては、戦略兵器あるいは戦術兵器ということばをよく使われておりますけれども、これはどうも私どもきわめて正確なる概念がよくわかりませんので、おおよその見当はむろんつきますけれども、私どもの言い方からすれば、やはり自衛の正当な目的を達成する限度にとどまるものかとどまるものでないか、まあごく大ざっぱな言い方でありますが、それが基準になると思っております。したがって、通常兵器であってもそういう基準を越えるようなもの、これはいろいろ個々の兵器については問題がございましょうけれども、そういうものはやはり憲法上問題がある。しかし、また、その基準内のものであれば、核兵器であっても、これを持つことについて、むろん国民感情はよくわかりますけれども、憲法上通常兵器と差別はされない。したがって、憲法から言えば、それが全く自衛の限度内にとどまるもの、もう全くどこから見ても性能上そうであるというふうなものがもしかりにあるとすれば、あるとすれば、憲法上は問題がない。しかし、先ほど申し上げましたように、これは全く憲法からくる理論だけの問題でございまして、原子力基本法等によってそれを自衛隊が持つことも少なくも、違法である、したがって、持てないという結論は明白でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 だんだん歯どめがなくなるんです。ですから、この席でも、結局、引きがねつきの核兵器を日本の自衛隊が持ってもいいじゃないかといったようなことを主張する自民党の幹部の方もいらっしゃるわけです。で、いま、原子力基本法と申しましたけれども、これも、勘ぐれば、たとえば銃砲刀剣類所持等取締法があっても、警察法で必要とあればピストルは持つとか、銃剣は持つ。原子力基本法が平和利用をうたっていても、自衛隊法で必要なら武器であるから持つと、こういうことにエスカレートしないとも限らない。ですから、われわれは、あくまでもやはり国会で決議するなり、あるいはアメリカと日本で共同声明で、日本に持ち込まないと言うなり、あるいは、総理大臣が、現内閣の責任においてでよろしいですから、結局は沖繩返還になっても非核三原則は日本において保持していくんだ、宣言していくんだと、こういうような歯どめをとらなければ、これはたいへんなことになるのじゃないかと、こう思いますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩の問題は別にして、一般的に申しますが、これはいろいろ武器の変遷というようなこともございます。したがいまして、一がいにはなかなか言えないと思いますね。だから、これは今日のこの段階において言えること、それこそは、私どもが核兵器は持たない、これははっきり言っている。今日この段階においてこれはもうはっきり言えることですし、また、尋ねられれば、はっきり進んで答えるということであります。しかし、これから二十年先、三十年先、そんなことは私どもなかなかわからないことであります。これは、現に、過去におきましても、たいへんなものだと思ったものが、そうじゃなくなってきている。そういうことを考えると、そういまの国民感情、そのままを持続する必要もないんじゃないかと思うわけです。私は、ことに、一応申し上げたいのは、みずからこの国を守るんだ、その気概を持てということを盛んに申しますが、気概はあるけれどもその能力がない、能力はどうしてくれるんだ、こういう国民が出てきたときに、国民がそういうような感じになったときに、なおかつ、一切その能力は与えない、こういうことを言う政治家というものは国民の意思を無視することだと、かように私は思います。しかし、今日この段階において、核兵器は持つべきでない、かように私考えておりますから、私は、他の席で、佐藤内閣においては持ちもしませんし、つくりもしませんし、使いもしません、これはもうはっきりと言ったと思います。これは佐藤内閣として言えることだと思います。しかし、お互いに、ただいまも申しますように、おそらく昔ならピストルがずいぶんこわいものだったろうと思います。しかし、いまは、ピストルはもう通常兵器だ。そうして、そのなにも、使い方によってこれは護身用にもなっておるというようなものだと思います。だから、そこらにずいぶん感じは変わってきますから、いまのこの段階で皆さん方が間違いのない方法だと、かように申されても、今後の変化に対応するとは私は必ずしも思わない。その辺は十分お互いに気をつけ、国家百年の大計のもとに処置すべきだと、かように私は思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 いまいわゆる核防条約がアメリカの上院で批准されましたがアメリカはABMをつくろうとしております。ソ連はすでにガロシュ・ミサイル等をモスクワ近辺にABMとして備えております。この核防条約の精神には賛成だと外務大臣、総理大臣はおっしゃっております。あのABMのアメリカの開発というものが、ほんとうに核防条約の精神に沿っているものかどうか、好ましいものであるかどうか、それをお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ABMの問題につきましては、当委員会でもいろいろの御論議がございましたが、まあアメリカの立場から言えば、これが第二撃力とでも申しましょうか、そういう立場で防御的な意味に徹するのであって、そうして抑止力ということからいってこれが必要なことであると、こういう説明をしておりますので、その観点から、核防条約の精神には触れないのであると、まあこういうふうな言い方をアメリカはしておるわけでございますね。これは私どもも同じく核防条約の問題を持っております。また、沖繩に、いまも盛んに御論議がございましたような問題を持っておりますが、核防条約の問題等につきましても、私ども精神にはもちろん賛成であります。かねがね申しておりますように、日本側の主張というものもいろいろの点で取り入れられておりますけれども、今後各国の――まだ未調印、未批准の国も相当ございます。それらの国々の動向などともにらみ合わせまして十分慎重に対処してまいりたい、かように考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それじゃ、アメリカの一部では、そう確かに言っております。ところが、反対も非常に強いわけです。それは外務大臣も御承知のとおりです。いま上院で盛んに論議が取りかわされております。日本の外務大臣として――これは皮肉でもありません。アメリカの意向じゃなくて、日本の外務大臣として、やはり核防条約の精神に賛成だとおっしゃっておるんですから、そういうABMの増強というものに対して私は反対すべきだと思う。ますます核軍備競争は盛んになります。そうすれば、ソ連がまたそれに対抗するABMないし核軌道爆弾等の核兵器をさらに開発するようになるでしょう。果てしない軍備拡張、核兵器拡張競争になるでしょう。われわれは反対です。外務大臣はどうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まず、基本的に、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、私どもは、憲法の理想に従って、核なるものが全世界から武力としてなくなることを希求すべきであり、その方向への努力は一生懸命にするべきであると考えます。同時に、現実の問題として、国家の存立の一番基本の要件は、国の安全であり、自由と繁栄が保てることでありますが、そういう点から見ますると、現にいまの世界情勢というものは、やはり手放しで楽観はできない。こういう現状に即して、先ほど来御論議のあります安保体制によって、日本の自衛力の足らざるところを、いわゆる抑止力に依存することによって戦争の勃発を未然に防止したい、これが基本的な考え方でございます。そこで、そういうことを前提にいたしまして、いまABMのお話がございましたし、また、先ほど来御論議のある武力としての核というものに対してどう考えていくべきであるかということは、現実の問題としても沖繩の問題等を含めて非常に大きな問題であり、日本といたしましてもいろいろ考えなければならない点がたくさんあると思いますが、実は、率直に申しますと、こういったような大きな点についてアメリカが現に現政権においてどういう考え方をしておるか、特にアジアに対しましてどういうような考え方をしておるかというようなことについても、基本的なものの考え方としてわれわれとして聴取する必要がある、取材する必要がある。同時に、われわれの好まざる方向が出ないようにするということが日米の信頼関係をより強くするゆえんであると思うのでございまして、及ばずながら、沖繩返還問題という大問題をしょっているわけではございますが、同時に、基本的にそういうような点につきましても私といたしましても十分アメリカの考え方というものも掌握したい、こういうふうな考え方を持っておるわけでございまして、ここでいたずらにABMは反対とか賛成とか申すのは、日本の外務大臣としては現在の段階においては差し控えるべきことだと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 防衛庁長官にお尋ねしますが、三月二十八日の「朝日新聞」に、大蔵省の方針として、防衛計画を毎年更新するんだ、三次防、四次防という五カ年計画じゃなくて、毎年を発足年度とするローリング・システムに切りかえるのではないかというような記事が載っておりますけれども、そういう御意向は防衛庁あるいは大蔵省にございますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 防衛計画につきまして、ローリング・システムはどうかというようなことは、私は新聞ではちょっと拝見しましたけれども、そういうことが大蔵省から正式の意見として出ておるわけでもありません。私たちはそういうことも検討はいたしますけれども、現段階におきましては、現在やっておるような行き方でいきたい、かように思っております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 松野防衛長官のときも、二次防の最後の年度を初年度とする三年・三年の防衛計画を立てたいというような意見もございました。大蔵省としては、今度の問題は少しは考えていらっしゃいますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま、そういったようなことは考えておりません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 防衛庁長官にお尋ねしますけれども、できるだけわかりやすく、米軍基地が沖繩にどの程度現在ありますか、わかる範囲でお知らせ願いたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 沖繩におきますところの米軍の状況は、これは機密の部面もありまして、私どもとしては明らかになっていない面がずいぶんあるわけでございますが、いろいろと公表されておる資料を総合して推測いたしますれば、現在、沖繩の米軍の兵力は、約四万五千人といわれています。その内訳は、陸軍が約一万二千人、海軍が海兵隊を含めまして一万三千人、そうして空軍が約二万人といわれております。また、主要な装備としましては、メースBのほかに、地対空ミサイルとしてナイキがあります。また、航空機としましては、F105あるいはF102というような戦闘機がありますほかに、哨戒機とか偵察機とか給油機等があるといわれておりますが、なお、爆撃機のB52が臨時に配備されておることは、御承知のとおりでございます。その程度私たちは大体わかっておるのでございますが、詳しいことは……。

多田省吾公明党

○多田省吾君 基地の数と面積は。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 基地でございますが、大体公表されておるところを推測いたしますと、沖繩における米軍の基地は約百二十カ所といわれております。そうして、その面積は約三百平方キロメーター、かように存じております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 現在の沖繩の基地は、そのように、日本の本土の基地と数も面積もほとんど変わりなく非常に広大なものです。ですから、安保条約も、結局は、本土並みとしましても、相当内容的に変質してくるんじゃないか。特に沖繩基地の重要性につきましては、この前のフォーカス・レティナ作戦でも、米軍司令官が、沖繩がなかったら一日間の待機もできなかったし、作戦行動は失敗していただろう、こう言っておりますし、プエブロ事件でも、沖繩から戦闘機が発進したが、到着する前にプエブロ号は北朝鮮に捕獲されたと、米第五空軍司令官マッキー中将が下院の軍事委員会小委員会で証言しているとおりでございます。そういう観点から私はお尋ねしたいのですが、総理大臣、どうでしょうか、もし朝鮮半島に武力紛争等が不幸にして起こった場合、日本といわゆるアメリカ軍との間には安保条約もありますし、また、国連軍に関する地位協定もありますし、吉田アチソン交換公文、また、それに関する交換公文もございますし、また、一九六六年からは、国連において、いわゆる朝鮮問題に対する決議というものの日本は共同提案国になっております。この決議の中には、北朝鮮、中国を侵略国と非難した決議、あるいは三十八度線突破決議というものも含まれているわけですね。こういった観点から、紛争が起こった場合に、結局、在日米軍以上に国連軍に対する協力となりますと、資材やあるいはいろいろな使役なんかも提供することを約束してありますから、ますます事前協議でものを言えなくなるんじゃないか、こういう感じを受けます。したがって、日本の米軍基地がちょっとでも攻撃を受けた場合は、そのまま日本との戦争、すなわち日本が戦争に巻き込まれるようなおそれがあるんじゃないかと、こう危惧するわけでございますが、総理大臣としていかがお考えでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の場合は、自衛隊の行動範囲等がきちんと法律できまっております。これに出ていくことはございません。問題は、いまある米軍の基地が攻撃を受けた場合、日本が戦争に巻き込まれるんじゃないか、そういう御心配ですが、しかし、事いやしくも米軍であろうが、何であろうが、日本の国土に対する攻撃、これは断固われわれは排撃する、これはわれわれ国民の当然の義務だ、かように私は思っております。ただいまのように何だかアメリカのせいのようにも言われるのでございますが、私はそうじゃなくて、日本の国土は守っていかなければならない。また、そのために基地を提供している。その基地に攻撃があれば、日本本土への攻撃は、われわれは立って断固守る、これは当然のことじゃないかと思います。私は、それよりも、いま、基地を提供していることにより、日米安保条約があることにより、日本はむしろ戦争に巻き込まれない。これは過去においてそういうことを示しております。いわゆる強力なる力、これがアメリカを上回る力が出てくるとそこに問題があると思いますが、ただいまの状態では、アメリカが強力なる力としてアジアの押えになっている、かように私は思いますので、その心配はない、国民は安心していてよろしい、かように私は思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 いわゆる朝鮮問題決議、これは国連で毎年行なわれておりますが、たとえば、フランスとか、コロンビアとか、トルコとか、相次いで共同提案国から脱退しているわけですが、日本が一九六六年から共同提案国になっている理由は何でございましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点も先般来いろいろお尋ねがございましたが、日本といたしましては、国連の大多数の国々と意見を同じうして、そうしていわゆる朝鮮事変が始まりましてから国連において数回決議が繰り返されております。この前も御議論がございましたが、一九五〇年当時などは、もちろん日本は国連にも入っておりませんし、決議に入ってもおりませんけれども、そういった点に直接触れないような点につきましての決議については、その趣旨に賛同をいたしておるわけでございます。他の国々のいろいろの考え方もございましょうが、日本としては、適切な態度である、かように考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 その決議のことでちょっとお尋ねしたいんですけれども、政府の昨年三月二十一日のいわゆる三十八度線突破決議に対する統一見解によりますと、結局一九五〇年の六月二十五日及び二十七日の決議が在韓国連軍に三十八度線を突破する権限を与えたのだといっておりますけれども、具体的にこれはこの二十五日、二十七日の決議のどこが三十八度線突破の権限を与えているのでございましょうか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) 五〇年の六月二十五日の安保理事会の決定と申しますのは、まず内容的に申しますと二つございまして、朝鮮事変の始まったときの軍事行動、すなわち北朝鮮の軍事行動が国連憲章三十九条に書いてあるところの「平和の破壊」というものに該当するんだという決定が一つでございます。  その次は、したがって北鮮軍に対して三十八度線まで撤退することを要請した、これが六月二十五日の決議でございます。ところが二日たちまして六月二十七日には、これは、前の要請を聞かずに、撤退していない。したがってこれに対してやはり国連憲章三十九条を引用いたしまして、各国、国連加盟国に対して、この武力攻撃を撃退することについて、国連に対する協力を要請するという勧告をしたわけでございます。これが安保理事会が憲章の条項に基づいて行なった決定でございます。したがいまして、国連軍自身の戦闘行動に対する法律的根拠は、この二十七日の勧告、すなわち三十九条に基づく勧告から出ておるわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 じゃあ、具体的に二十七日のどこがそうなっておりますか。じゃあ二十五日というのは誤りですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) すなわちただいま申しましたように、二十五日の最初の決議では、撤退を要請しておるわけでございます。その二十五日の要請を北鮮が聞き入れないという事態に対して、二十七日において国連軍の結成及び侵略行為の撃退を勧告したわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、二十七日のどの文章が、三十八度線突破の決議になっているんですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) この三十八度線突破ということは、具体的に三十八度線以内で戦闘行為をしなければならないとか、あるいは三十八度線を越えてもいいとか、そういうことはこの安保理の決議では述べておりません。そのあとは御承知のとおり……。

多田省吾公明党

○多田省吾君 いや、そんなこと聞いていない。そうすれば、この政府見解は、国連軍が前記の目的のために必要と認めた場合、三十八度線を越えて行動することを排除したものではないと解されると、二十五日及び二十七日の安保理決議がそうだと政府見解では述べているじゃないですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) その政府見解は、そこに書いてありますとおり、法律的根拠ということで述べておるわけでございます。質問そのものが三十八度線を越えた戦闘行為が一時ございましたが、その戦闘行為の憲章上の法律的な根拠はどこかという御質問に対して、政府の公式見解が述べてあるわけでございます。したがいまして、元来、国連憲章によれば、総会はそういった法律的な権限を与える機関ではございません。そこで朝鮮事変が始まりましたときに、いま引用いたしました二つの決議、具体的には六月二十七日の決議に、援助を大韓民国に提供することを勧告するとありますが、もちろんこれは援助だけではなくて、武力攻撃を撃退し、かっこの地域における国際の平和及び安全を回復するに必要と思われる援助を大韓民国に提供するよう勧告する、これから法律的には出てくるものでございます。実際問題といたしましては、戦闘のぐあいで上に行ったり南に下がったりしたことは御承知のとおりでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 私は、厳密な法律的立場に立って政府の見解を述べればとおっしゃっているから、法律的な立場に立ってお聞きしているのです。どこに三十八度線を越えてもいいなんていう条文があるんですか。三十八度線へ撤退することを要請しただけで、越えていいなんていってないじゃないですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) 戦闘行為が三十八度線の北で行なわれたか南で行なわれたかということは、これは事実問題でございますが、一つ例をあげまして御理解を願いたいと思うのでございますが、今日、休戦協定で休戦ラインというものができております。ところが、この休戦ラインは、御承知のとおり、厳密な意味で三十八度線ではないんでございます。東のほうの大部分は、三十八度線を越えて、韓国側と申しますか、国連軍側が北のほうに行った。それから反対に西側においては、北鮮側が三十八度線を南に出ておるわけでございます。しかしこの場合でも、休戦協定ができたということでそれは了解されておるんでありまして、したがって、休戦協定があるにかかわらず、三十八度線以北の韓国部分に対しては北鮮が攻撃し得るとか、あるいは休戦協定の三十八度線以南のところについて韓国側あるいは北鮮軍が回復し得るとか、そういうことはなくなっておるわけでございます。したがいまして、現実に法律的に申しますと、国連憲章の関係ではあくまでもいま引用いたしました二つの決議、ことに具体的には六月二十七日の安保理事会の決議が法律的根拠になっておる、こういう法律的の説明になると思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 どこの文章ですか、文章を言ってください。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) 文章はただいま申したところでありまして、三十八度線を突破してもいいとかあるいはそれ以内でなければならぬとかいう文章はございません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 どういう文章でいっているんですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) この一番最後のところでございますが、結局、二十七日の決議におきまして勧告した内容でございます。もう一度念のためにお読みいたしますと、「国際連合加盟国に対し武力攻撃を撃退し、かつ、この地域における国際の平和及び安全を回復するために必要と思われる援助を大韓民国に提供するよう勧告する。」、したがいまして、この武力攻撃を撃退するというのは、一体どこの武力攻撃を撃退するかという問題、それからこの地域における国際の平和及び安全というものはどこであるかという問題、こういうことになると思います。おそらくこの決議では、この地域というのは、この決議の内容からあるいは当時の情勢から考えまして、三十八度線以内であるとはとうてい考えられないのでございます。文章といたしましては、いま読みましたところでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それは日本の外務省だけのかってな考えであると私は思うんです。この条文からは、どこからも三十八度線突破なんか出てこないと思うんです。その証拠に、一九五〇年九月段階で、アメリカでトルーマン大統領は、この六月二十五日、六月二十七日の決議によって国連軍が三十八度線を越えられるとは見ておらないで、これは越えられないと言っていますよ。それは外務省の文章に載っていますよ。どうなんですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) 繰り返しになって恐縮でございますが、国連軍の行動の法律的根拠は、国連の決議以外からは出てこないわけでございます。したがいまして、ただいま申しました安保理事会の決議というものは、そのまま少なくとも当時におきましては、すなわち休戦協定ができる前におきましては、この戦闘行為に関する問題はそのまま生きておると、こういうことでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それでは、トルーマン大統領が見ていないのに、外務省だけが二十五日と二十七日のは三十八年度線突破決議だと認めておるのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) いいえ、いままで申し上げましたのは、日本外務省の見解ということではなくて、国連のワク内で、加盟国はすべて法律的な見解としてはこのように考えているわけでございます。政治的な観点はまた別でございますが、しかし、問題は、ことに御指摘になりました去年のこの政府の統一見解におきましては、法律的な観点を統一見解として申し上げておるわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 もう時間もありませんから申しますが、法律的な見解では、他の国連諸国は全部ほとんど十月七日の国連総会決議をもって三十八度線突破決議と称しておる。どうなんですか。その証拠をあげてください。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) この法律的問題として、いま申しました安保理事会の決議、二つの決議以外に法律的根拠を認めている国は一つもございません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それじゃ時間もありませんから、国連局長だいぶ苦しいようですから、それを他の諸国が二十五日と二十七日に認めているという統一見解を資料として出していただけませんか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) この資料と申されますと、国連のワク内の問題でございますから、それが可能であるかどうであるか、ここで申し上げられませんが、可能であった場合には取り寄せて差し上げたいと思います。ただ、こういうことについて、国連の法的見解を政府として入手するということがいままであまり例のないことでございますし、しかし可能であれば後刻取り寄せて提出したいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから、トルーマン大統領も認めていないのですよ。それは外務省の文書にあるのです。この前の答弁でも、十月七日が三十八度線突破決議だとおっしゃったじゃありませんか。どうしてそういう詭弁を言うのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) この十月七日の国連総会の決議につきましては、その去年の政府統一見解に述べてあるとおりでございます。法律的には、国連軍の活動の法律的根拠になるものではございません。これは統一見解のとおりでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 この問題はまた質問趣意書等でお聞きしたと思いますが、まことにおかしいことばかりおっしゃる。  次に、この前も北朝鮮や、中国を侵略国と断定した決議、あるいは三十八度線突破決議というものがいわゆる休戦協定というフィルターにもうかけられているから、その規定はなくなっているのだみたいなことをおっしゃいましたけれども、じゃ具体的にどういう休戦協定のどの部分でそのフィルターにかけられたか、それをひとつおっしゃっていただきたい。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) この朝鮮問題に関するただいま申しました安保理の決議及びその他のすべての国連総会の決議、これは安保理の決議については、ただいま申しましたように、国連活動については、勧告であって決定ではないわけでございます。それからまた国連総会のすべての決議も、もちろん法律的拘束力を有するものではない。したがって、法律的拘束力を持たない各種の決議を積み重ねます場合に、前の決議の文章がどういうふうに変わったかということは、これは全然いじらないのが実際でございます。国連において毎年いろいろな決議をやります場合に、前の決議がどういうふうに変わったというふうに、文章を変更してかかるということは、これは条約なら別でございますけれども、こうした決議については、そういうやり方がないのでございます。ただ抽象的に申し上げられますことは、休戦協定ができてから軍事活動をする権限が両方になくなったということはわかっております。それからもう一つは、決議の中に長期にわたって一定の機関をつくるなり、あるいは規則をつくなりというものは別でございますが、そのときどきの事態に対処した決議というものはその実態から言って一々終わっておる、こういうことは抽象的に言えますけれども、国連の実際のやり方として一々前の決議の文章はどこが生きておる、どういうふうに変わったか。たとえば三十八度線というものでも、いま申しましたとおりに、休戦協定は必ずしも三十八度線ではない。そうかといって、前の三十八度線のところの決議を一々修正してかかるということはない。変わったものとして受け取られておるわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 国連局長にはずいぶん聞きたいのですけれども、時間もありませんからあれですけれども、じゃ六月二十五日、六月二十七日の決議に関しては、トルーマン大統領のあれは、三十八度線突破の決議じゃないということを認めているということは、それはどうですか。あなたは認められますか。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) おそらくトルーマン大統領が言われたのは、朝鮮戦争が北のほうに攻めのぼったときのことだと思いますけれども、しかし法律的に申しますれば、いままで申しましたように、一国の大統領が国連決議の法的効果を変え得るものではございませんし、ただいま申しましたように、法律的にはあの五十年の六月二十七日の国連決議が法的基礎になっているということでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 総理大臣にお尋ねしますけれども、いわゆる国連の地位協定あるいは吉田・アチソン交換公文というものがはっきりと役務や、資材の提供を約束しております。そうなりますと、結局事前協議以上の問題が出てくるのじゃないか。道義的に、政策的に、やはり朝鮮半島の武力紛争に対して国連軍への協力に対してはやはり拒み得ないのじゃないかと思いますけれども、これはどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 国連に加盟している以上国連の取りきめどおり行動することは、これまたあたりまえのことでありまして、国連に対する義務でもあると思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そうしますと、国連軍から事前協議の要請があった場合は、もうほとんどイエスということになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは概括的に申すわけにはまいりません。事柄にもよります。わが国の国益に適するかどうか、こういうことはやはり自主的にきめます。しかし国連軍に協力することは国連加盟国の当然の義務であると、かように私は思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そうしますと、事前協議を求められた場合にノーということは、結局吉田・アチソン交換公文を死文化するということになりますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 事前協議にノーということも、イエスということもある、こういうふうなことを申しておりますが、死文化するというのはどういう意味なんですか。私はやはり国益に沿う、そして自主的にきめると、こういうものである、かように思っております。その意味においては死文化されていないじゃないですか。死文化というのはどういう意味のことですか。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから吉田・アチソン交換公文においては協力を約束しておる。それでもノーと言った場合は、ちょっともう死文化するように思いますがね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、これは自主的に、独立すれば当然国益を守る、そういう意味で事前協議に対する対応策、イエスあるいはノー。そしてまた米軍自身も日本の意思に反してやることはないと、そのことも言っております。その問題は、別にいま事前協議の問題としては、いわゆる私は国連の命令に反するとか、国連義務と抵触するとか、こういうような問題にはならぬだろうと思います。しかし、同時にその二つの目的がありますから、国連の義務を遂行することと同時に日本の国益を守ること、その二つに立っての判断だと、かように御理解をいただきたい。

多田省吾公明党

○多田省吾君 次に北方領土の返還に対しましては、私たちは歯舞、色丹、国後、択捉は日本国固有の領土として強く返還を求むべきであり、また、いわゆる中千島、北千島等においても当然まだその帰属がきまってないわけでありますから、その帰属をきめる上において関係国に会議を要請し、あるいは米、日、ソ、三国間の会議を開く等して返還を求めるべきであると、こう思いますが、政府は、その点どうお考えですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この問題につきましては、当委員会においても前に御質問がございましたが、サンフランシスコ会議における対日平和条約の第二条(C)におきましては、千島列島についての規定がございますが、この当時から日本といたしましては、国後、択捉、歯舞、色丹というものは、ここに、いわゆる千島列島に入らないということで、あとう限りの努力をいたしましたし、また米英等におきましても、その主張は認められております。それからそれとまた別に、もう古くから、前世紀時代以来から、あらゆる意味合いにおいて、これらの島嶼は日本の固有の領土であるということが立証できまするので、日本といたしましては、サンフランシスコ平和条約締結後におきましても、あらゆる機会において対ソ折衝をいたしておることは、御承知のとおりでございます。ただいまお述べになりましたような御意見も一つの御見識と存じますけれども、政府といたしましては、国後、択捉、歯舞、色丹、これについては、あらゆる意味において十分な根拠を有する、あるいは沿革的にもこれを十分に立証し得る。こういう立場に立ちまして強く主張を継続し、そして今日に至っているわけでございますが、今日以降におきましても、忍耐強くこの立場というものを貫徹をして、この北方領土の返還を期したいと、強くかように考えておるわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 時間がありませんので、外交、防衛問題以外にもお尋ねしたいのでございますが、文部大臣にお尋ねいたしますけれども、いわゆる拒否権問題につきましては、法制局に依頼をしておられるようでございますけれども、その依頼をされた根拠ないし現在どのようにそれが進展しておりますか、お答え願います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) たびたび任命権の問題につきまして申し上げておるところでございまするが、とにかく大学管理機関が申し出いたしましたそれに基づきまして文部大臣が任命するということになっておるわけでございますが、普通の場合は、その選考は大学機関がいたすわけでございます。と申しますのも、教授あるいは学長等の任命につきましては、その政治的信条や、思想あるいはイデオロギーということにかかわりなく、これはそういうことでもってこれを拒否するということはできないたてまえになっておることは、申すまでもないことでございます。しかしながら、さりとて、この管理者として、また国家公務員としてあるいは学長として、国家社会に対して負う責任から考えまして、著しく不適当であるということが客観的に明瞭に認められた場合においては、任命し得ないこともあり得ると、こういう解釈は三十八年以来一貫してとってきておる政府の考え方でございまして、その点については、法制局長官が昨日もお答えをされたとおりでございます。しかし、ただいま問題になっておるような具体的な問題につきまして、いま少し慎重に検討するということも大事かという考えで、ただいま御検討願っておる次第でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 もう一つは、いわゆる社教審の答申で、放送大学の問題が出たわけです。わが党でも昨年からマスメディアにやはりテレビを活用すべきではないかということを主張しておりますけれども、大臣は、この社教審の答申はどのように取り扱われるおつもりですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 御指摘のとおりに、実は社会教育審議会に諮問を行なってまいったのでございますが、一年半ばかりの審議を経まして、去る三月二十九日に答申が行なわれました。答申は、大学におきます放送の利用につきまして、次の三点の提案を行なっております。  その第一は、すぐれた教授の講義を多くの学生に効果的に伝える手段として、放送を大学における授業そのものに活用すること。第二は、社会人の教育要求にこたえるため、大学が、その講義や研究成果等を放送によって広く一般に開放することであります。第三は、大学通信教育において、組織的に放送利用を取り入れることでございます。  社会教育審議会から答申をいただいた以上、その諸点につきまして、文部省としては、原則的にこれには同感するところでございまして、前向きの姿勢ですみやかに検討を行ない、その実現のために施策を講じていきたいと思っております。イギスリにおきましては、すでにオープンユニバーシティというものが、再来年の一月から開議するということになっております。わが国におきましても、高等学校の段階等におきましては、NHKその他におきまして、こういうテレビ等による教育というものが行なわれておるわけでございますが、今後、大学というもの、あるいは一般の国民の要求というものが、生涯教育という形になってまいりました以上は、既設の大学の開放講座等を利用することはもちろんでございますけれども、こういう通信、テレビというものを通じまして、国民が学問をしよう、あるいは教育を受けようとする意欲を満たすということは、当然政府としても考えていかなければならないことであると思っておる次第でございます。今日国民のための大学ということを考えるにつきましても、こういう考え方というものをあわせ考えていくべきものだと、私は考えておる次第でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 この問題について、郵政大臣はどういうお考えでございますか。

河本敏夫自由民主党郵政大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 社会教育審議会の教育放送に関する答申は、私も拝見をいたしました。内容は、放送において教育をもう少し重視していこう、こういうことでございまして、全面的にその方針は賛成でございます。そこで、お尋ねの問題は、電波の波があるかどうかということではないかと思いますが、テレビには、教育用に現在波を一波用意をいたしております。音声放送につきましては、ただいまのところはありませんが、現在電波を再編成中でございますので、それが終わりましたならば、教育用に回す波は出てまいる予定でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 次に総理大臣に、電気・ガス税、また電気料金のことでお尋ねしたいのですが、このことは、もう衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会、各分科会等において何回も時間をとってやられておりますので、簡単にお尋ねしたい。  佐藤総理は、特にこの三月十一日の予算委員会で、電気料金は、コストも下がったし、生産性も上がっているので、値下げの必要があるが、検討するというような御趣旨の御答弁をされました。その後検討されてどうなされたか。また、電気ガス税の悪税をやめられるおつもりはないのか。さらにもう一点は、いわゆる地方の電力会社の料金というものが、むしろ東京電力や、関西電力よりもむしろ高いわけです。そのために新産業都市といっても、地方にあまり産業が行きたがらない。こういう点もございます。それを是正なさるおつもりはありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 電気ガス税は、これは悪税には違いございませんが、ただいまの状態では、自治体の有力な財源でございますから、全部を直ちにやめるということは困難でございますが、しかしこれに対して十分善処していきたいというのが私の考え方でございます。なお引き続き研究させるつもりでございます。また電気料金、ガス料金、これらについても適正であるのか、これはそれぞれ通産省において十分検討してもらうようにしております。まだ結論は出ておりません。また、こういうものはそう簡単に結論が出るものではないと思います。また、果たしておる役割り等を考えまして、やっぱり十二分にこの業界との了解も取りつける、そしていま御指摘になりましたように、いなかのほうがむしろ高いとか、こういうような問題もございますので、そういうような点も十分考えまして、そうして合理化していく、こういうようにつとめたいと、かように思っております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それから電気料金につきましては、いわゆる電灯料金は非常に高い。十二円何がしでしょう。ところが会社、工場等の電気料金は非常に安い。この点は是正する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはやはり適正に料金を決定しないと、ただ大量である、集金が楽だというような理由だけで料金をきめられても困りますから、その辺は十分均衡がとれるように、バランスがとれるようにしたいものだと、かように思っております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 厚生大臣に児童手当問題でお尋ねをしたいのですが、四十四年度の厚生省の要求が削られて調査費がついたわけでありますが、いま地方自治体においてもすでに六十都市が実施しようとしておりますし、すでに実施した都市ももう三十にわたっております。さらに東京都でも、本年の九月をめどにして実施したいと言っております。昭和四十五年度から真剣に実施なさるお気持ちがあるかどうかお伺いいたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 児童手当は、来年度から実施できるように準備を進めておるわけでございます。この国会で児童手当審議会を設けていただくように法案を出しておりますのも、その心がまえでやっているわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 総理大臣も昭和四十三年から実施したいという希望を持っておられたわけでございますが、四十五年度から実施したいという御希望は変わりございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) できるだけ早く、何年度とは申しませんが、厚生省の、いま厚生大臣の答えたことを支持していきたいと思っております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 地方都市で児童手当をやっているところで問題になっているのは、それを、生活保護世帯にかかる場合は支給しないとか、あるいは差し引くとか、そういうことをしております。またさらに、いろいろ交通災害共済制度なんかもせっかくできているのに、それも生活保護世帯から差し引かれたりしておりますけれども、もう少し保護世帯を優遇するとか、そういうお考えはありませんか。これは再々言われていることですが、児童手当の問題も含んできましたので、特にお願いしたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいま国の法制といたしまして、いわゆる生活扶助の額を一応基準を国できめているわけでございます。したがいまして、その基準を上回る収入がある場合には、これは収入認定をせざるを得ないという立場に立っているわけでございます。しかしながら、特殊の条件で、日常の生活の収入の資に充てるものではないという解釈のつく限りは、収入認定をしないでそうして福祉の役に立つようにいたしたい、かように考えておるのでありますが、その説明のつかない部分につきましては、残念ながら収入認定をせざるを得ない、こういうことになっております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 自治大臣、どうですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) 児童手当は地方団体で画一的にやっているのではなくて、現にやっているところとやらぬところとあります。やっているところにつきましては、できるだけのやはり自治省といたしましては財政的な配慮をいたしております。これは、基本的に国でいよいよ四十五年度から大体目標としてお考えになっているようでございますから、これと、いまの地方でやっておりますのは、基本的につまり法制上確立したものじゃないものですから、だから、われわれとしてはやはり児童手当は必要だと認めておりますから、それに対する財政措置をできるだけやろう、めんどう見ようと、こういう考えでありますから、今後いろいろ問題がありましたならば、なるべく支障のないようにひとつそういうことを配慮したいと、こう思っております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 最後に厚生大臣に公害問題についてお尋ねしたいのですが、第一点は、いわゆるカドミウム禍について発表がありましたけれども、われわれとしては非常に不満であるわけです。特に人体試験がやられないのに心配はないというようなことは納得できない。事実対馬においても、もうすでに死亡された三人、生きている一人、さらにまた新しく六人の方が、レントゲン写真の結果イタイイタイ病じゃないかという疑いもありますし、またいわゆる安中市におきましても、萩野博士等の所見の結果は、一期、二期、三期まではあるのじゃないかというような、あるいはカドミウム肺というような危険もあるという見解も出しております。これは十分調査していただきたい、こう思います。  それから第二点は、最近、いわゆる公害といえば公害なんですが、悪性新生物による子供さんの死亡者数が非常に多くなっております。これは、食品添加物とかあるいは中性洗剤とかという影響が多分にあるのじゃないかともいわれております。さらに、ハードな中性洗剤が相変わらず使われている結果、玉川浄水場等では一日百数十万円も活性炭を使って浄水しているような現況です。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 多田君の質疑時間は超過しております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 こういった状況から見て、もっと公害に真剣に処していくべき時期ではないかと、こう思いますが、厚生大臣の所見はどうですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) カドミウムの公害問題につきましては、先般厚生省で発表をいたしましたのは、いわば中間発表のようなものでございまして、河川の水あるいは水田の土壌、河川の中の土壌あるいは米の中のカドミウムの含有量等から調査の結果、中間的な報告をいたしたわけであります。しかし、これで健康上必ずしも十分と言えません。まだ不安が相当ございまするので、今後調査を続けて、そうして不安のないようにいたしていきたい。特に健康調査につきましては、近く、御承知の安中あるいは宮城県、対馬等の健康調査の結果も、医学関係の権威ある調査会によりまして審議をいたしまして、結果を発表いたすつもりでございます。しかしながら、それだけで十分とは思いませんので、今後ますますそういったカドミウムの汚染の少なくなるように、関係各省あるいは東大等と関連を持ちましてそうして完ぺきを期してまいりたいと、かように考えます。  それから、乳幼児あるいは少年といいますか、十四歳未満のいわゆる悪性な新生物による死亡が多いというお尋ねでございますが、これは最近は大体まあ横ばいの傾向でございまして、他の死亡原因が非常に少なくなってまいりましたので、したがってこういったガン、こういうまあガン関係と見られる疾病でなくなる人の率が多くなったように見えますが、実数におきましては、横ばいの現象でございます。これは食品の添加物あるいは中性洗剤のためとかというようには考えておりません。この原因につきましては、世界的にいま研究中でございますが、やはりガンの原因と同じようなものであろうと、かように考えております。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、多田君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) この際、午前中の山本委員の質疑に際して自治省の答弁が保留されておりましたので、自治大臣の発言を許します。野田自治大臣。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) 先ほど政府委員からはっきりしたお答えができませんでしたが、ちょうどまた、いま資料を持っておりますから、政府委員からお答えいたします。どうぞ御了承願います。

佐々木喜久治自治省大臣官房参事官

○説明員(佐々木喜久治君) 先ほどの質問に保留いたしました分につきましてお答え申し上げます。  昭和四十三年度におきます地方交付税の伸び率は、道府県分につきまして二一%、市町村分が二八%でございます。これは交付団体ベースでの数字でございますが、その実額は、県が約一千七十八億、市町村が九百七十七億でございます。昭和四十四年度の見込みは、道府県分につきましては、昨年度の伸び額の分には、地方債の繰り上げ償還分が計上されておったわけでありますが、この額がほぼ土地開発基金と見合うというような数字になりますので、府県分につきましては、本年度の地方税収入の伸びによりまして若干の減が見られるかと思いますが、市町村分につきましては、本年度の市町村分の配分見込みから土地開発基金分を差し引きいたしましても、交付団体ベースではおそらく三〇%近い伸び率が予想されるわけでございまして、市町村分は昨年度の実績からいたしますならば、平均して減少することはないというふうに考えております。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、片山武夫君の質疑を行ないます。片山君。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 私は総理にまずお尋ねをしたいことがあります。これから国の安全の問題、あるいは安保、沖繩等の問題についてお尋ねしたいわけでありますが、その前に総理にひとつお尋ねしたい。  ちょうど総理は、三十九年十一月に総理に就任されて、すでに四年半近い年月を経過したわけであります。この間総理は、一体何人くらい大臣を入れかえになったか記憶ございますか。これはおそらく記憶がないだろうと思うのです。私の数えたところによりますと、延べ百人以上になります。一年以上やっておられる方は十指に満たない、こういったような状況、私はこれはたいへん問題だと思うのです。総理が総理大臣に就任されて、総理のほんとうの政治を行なう。こういうことになれば、これは党内の調整であるとかあるいはまた派閥の調整とか、党利党略、そういうことではなくて、国民のための政治をすると、こういう姿勢を打ち出すためには、非常に重要なことだと思う。と同時に、これがいろいろ政治不信、こういったような問題につながっていくことを、私は総理並びに自民党のために非常に惜しむものであります。お答えがないので、次に問題を移します。  外務大臣にちょっとお尋ねしますが、あした二日から六日、アジア閣僚会議が開催されるというふうに聞いておりますが、そのとおりですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 第四回の東南アジア開発閣僚会議に三日間出席いたします。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 その目的内容はどういうものでしょうか、

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは一言で申しますと、第四回目になりましたが、参加国の地域的協力で、一番初めにスタートいたしましたときには、何か日本語のことばでございますが、こういうことばが使われたようです。東南アジアの各閣僚間においてゆかたがけの懇談をしたい、というようなことばが使われたようでございまして、そういうことばに表現されるように、非常にとらわれない自由な各般の意見の交換ということでスタートしたのでありますが、やはり三回も経過いたしてまいりますと、たとえば農業開発基金の設置の問題でありますとか、あるいは経済調査センターの設置でございますとか、かなり具体的な問題がこの会議でも取り上げられるようになりましたが、そもそもの最初の言い出したのが、やはり日本側であったようでございまして、そういう関係もございますので、この会議を今後におきましても実りあるものにしたい。いま申しましたように、一口で言えば平和目的のために地域協力で、それぞれの地域の民生の向上、この中には単なる経済援助計画だけではなくて人口問題とか、あるいは文化問題、あるいは医療問題というようなことも含めまして、なるべく地域相互間の共同した計画的な青写真をつくりながら、これに対して日本はもちろんでございますが、応分の資金的、技術的な援助をしていかなければならない、こういう関係でございます。今回も具体的な提案が四、五でございますが、その四つ、五つの具体的なプロジェクトの問題ももちろん大事でございますけれども、日本といたしましても、海外援助ということについて一つの転機を迎えているような感じもいたしますので、日本としても相当前向きに意欲的に合理的な援助を、協力を進めたいと思います。同時に、東南アジアの各国におきましてもいわゆる自助の精神に基づいた積極的、合理的な民生の向上政策というものが前向きにでき上がり、かつてこれが地域協力の上に効果をあげるようにというような基本的な考え方について合意を盛り上げるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 ちょうどいま時期が時期だけに、この会議の中で当然いま沖繩返還の問題にからんだ問題として韓国やあるいは台湾政府からいろいろ要望があるのではないか、かように考えておるのですが、そういうように伝えられておりますが、その点についてはどうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) アジア関係にはこのほかにもいろいろの組織がつくられておりますが、今回バンコクにおいて開かれまする東南アジア開発閣僚会議には韓国、中華民国は参加いたしておりませんので、いわゆる東南アジア諸国ということで結成されておるわけでございます。  なお、ついでに申し上げて恐縮でございますが、六月の九日から三日間、これは日本において行なわれますが、ASPACの会議が行なわれます。これには韓国、中華民国も参加いたしております。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 続いて防衛、沖繩の問題について質問をしたいと思いますが、いまいろいろ、今日も安保条約あるいは沖繩返還の問題について問題になっております。いろいろ御答弁の中で少し問題を整理して、交通整理したらいいんじゃないか、こういう気持ちで質問をいたしますので、端的にひとつお答えを願いたい。  総理は今日まで、非核三原則は守る、沖繩返還後も守る、こういうふうに言われておりますし、そういったような立場はいかがでしようか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのところ、そのとおりでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 それから、いま一つの問題として総理は、安保体制を確保する、堅持する、こういうことをしばしば言われておりますけれども、その中にあるいわゆる安全保障条約、これはやはり継続するという意味にとれますが、そのとおりですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日米安全保障条約体制はこれを続ける、こういうことでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 したがって、安全保障条約はそのまま継続するということになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これを堅持する場合の形はどういうようにするか、そこのところはまだきめておらない、かようなことでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 その堅持するしかた、継続するしかたなんですが、これはまあいろいろ、そのまま継続する場合もあれば、あるいは共同声明とか、あるいは特定の協約をする、いろいろ方法はありますが、方法は別として総理の意思としては、この安全保障条約はそのまま継続したい、こういうことですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは誤解があると困りますから、その安全保障体制は堅持する、その堅持のしかたはどうするか、まだそれはきめておらない。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 二十九日の外務大臣への質問に対して外務大臣ははっきりと、いわゆる安保体制は堅持する、ということは、安全保障条約をそのまま継続することなんだ、こういうふうに答えられていますが、この点ちょっと食い違いがあるようですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いま申したとおりをいままで一貫して申しております。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 外務大臣から。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いま総理の言われたとおりでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これは二十九日の議事録をひとつ見ていただきたいと思うのであります。確かに、継続する方法についてはいろいろあるので、これは白紙だ。確かに白紙の中に入っている。入っていますが、その条約をそのまま継承したいということには変わりはないというふうに聞いたわけですけれども、いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そのときにも、これはそこだけをごらんになるとそういうことになると思いますけれども、たとえばそのときには、特別の取りきめというようなものはどういう形になるか、事前協議というようなものはどういう形になるかと、なかなか細部にわたっての御質問でございましたから、私のお答えは、特別の定めのない限りということを前提にして申し上げたわけです。それから、条約をどういう姿で残すかということについても、方法論はいろいろございましょう、ということを含めて申し上げたわけで、いわゆるサブスタンスにおいては何ら変わるところはございません。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 確かに、条約の継続のしかた、これは白紙だとおっしゃった、そのとおりだと思いますが、結局その白紙という部分は限られた部分なんです。それからいま一つ、沖繩返還に際しまして、いろいろ核抜きか、あるいは自由使用か、いろいろの問題がありますけれども、しかしこの事前協議条項、これはまあ継続するという形がとられるやに私は聞いておりますが、いかがでしょうか。その中の問題だ、かように理解してよろしいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 特別の定めがなければ安保条約は沖繩に適用される。その場合の安保条約というのは、先ほどもいろいろと細部にわたって御議論ございましたが、交換公文そのほか一連の体系というものが適用されると、特別の定めがなければさようになるのが自然でございましょうということは、かねがねお答えしておるとおりでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 そこで、何かわかったようなわからないような逃げ方をされますが、これを論議しているとまた時間もかかりますので、私やめます。ただ、申し上げたいことは、この事前協議の中でいろいろ問題が多い。その内容については、沖繩の態様を含めて白紙だ、こういうふうに私は理解しておるのですが、そのとおりでよろしいでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ、大体においてそういうふうに御理解いただいてもよろしいと思いますけれども、先ほど多田委員の質疑応答もお聞き取りのとおりだと思いますので、いろいろの考え方を想定いたしまして、何が最もよき選択であり、後世の方々からも評価されるであろうか、ということを念頭に置いて鋭意検討中でございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 私は先ほどの討論を聞いておる中で私なりの結論を出した。したがって、安全保障条約をそのまま継続していきます、あるいは事前協議条項もそのまま適用していくという中で一番問題になるのは、事前協議の中におけるいろいろの基地の取り扱いの問題です。非常に大きい問題です。問題としては大きい問題だけれども、条文上取り扱い上から言えば限られた部門になっていくのだ、私はかように理解して聞いておったのですが、いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも仮定、仮定ということで何べんも私も申しておりますけれども、すぐ次の瞬間には仮定ではなくて、これが私の意見であるようにおとりになられるときが多いので、たいへん私も当惑する場合が多いのでありますけれども、事前協議の問題だけにしぼられると、範囲が狭くなってくると、そうばかりは私は仮定の問題としては考えられません。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これはまた論議が発展していく危険性がありますので、私はこの程度でやめたいと思いますが、いずれにしても白紙の内容ですね。白紙の内容をここでぴしゃり明らかにしていただきたい。これは幾つかあると思います。こういう問題が白紙なんだということを明らかにしていただけば、これは問題がはっきりするのですが、何かみんな白紙になってしまう、そういう危険性もありますので、白紙というのはどことどこだ。先ほども言われたように、安全保障条約は継続していく、その中で継続のしかたが違う。これははっきりしておる。あと沖繩基地返還にからんで問題になる問題は、いわゆる事前協議の中におけるいろいろの取り扱いの問題だ、かように私は理解しておるのですが、違いますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいまも申しましたように、大体そういうことにお考えいただいていいかと思いますけれども、これを限定的に断定――そういうふうにお考えになってよろしいと申しましたのは、たとえば事前協議という問題にこれをしぼられたのだというふうに断定されるほどに、私どもの考え方は煮詰まっておりません、というふうにお考えいただきたいと思います。たとえば先ほど、これは私からも御説明いたしましたし、また総理からも補足していただいたわけですが、沖繩の現状というのが現状なんでございますね。ですからそれに増加して何かやるというようなことなら、従来の観念の事前協議で律し得ることもございましょうけれども、何ぶんにも返還の時期というものは、合意ができましてからある程度先のときでもございます。そのときにはっきり施政権が返還される。そのときのステータスというものがどうであるのが一番望ましいのか、というその内容、実質が一番大事なことでございまして、それから先――それから先と言えば、観念的の、それから先に法制的にどうやれば、国民の皆さま方の御納得と御満足を得られるかというふうに運んでいくのが、私は筋だと思うのです。ですから事前協議というもの、しかも現行の事前協議――三十五年当時にできましたときの背景、状況、それだけにしぼって、問題はそれだけなんだなと、こういうふうに念を押されますと、私はお答えができません。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 いまのお答は再三再四お伺いしておるんですが、それを煮詰めていくと、結局、そういうことになるんですよ。   〔委員長退席、理事米田正文君着席〕 結局、装備をどうするか、いまの基地の範囲をどうするか、核をどうするか、これだけにしぼられてしまう。それは、事前協議の対象になるんだよということを言われている。だとしたら、事前協議条項が残っていれば問題がない。こういうことになるんで、何もないんですよ、白紙の中には。私はそう思うんです。いま一度お伺いしますが、白紙の中身をお伺いいたしたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは、どのようにお考えになりましてもよろしいですが、いまおっしゃったことに対して、私がイエスと申し上げるのにはまだ早い、かように考えます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 問題を別にしましょう。  そこで、まずお聞きしたいことは、六月に外務大臣は、このことについてアメリカで下打ち合わせをなさる。十一月には、総理大臣が行ってめどをつけてくる。こういう段取りになっておりますが、一体この白紙の部分をいつみんなに知らせて、私は、こういう態度でアメリカへ行くんだと、いつお示しになるおつもりですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもしばしば申し上げましたように、六月がいわば本格的下交渉の始まりであって、最終的に総理の訪米されるとき、この間、少なくとも約五カ月ぐらいはございます。なかなかむずかしい問題でございますし、相手のあることでもございますから、忍耐強くわがほうの考え方、主張というものを十分に説得をしていかなければならない。同時に、この問題の解決は、かねがね私ども明らかにしておりますように、イエスかノーかを迫る、対決であるということでは、私はいけないと思うんでありまして、双方の話し合い、理解の中にこの大問題を片づけ、処理をしなければならない、こういう考え方でございますから、たとえば、これでおれたちの考え方はもう初めからこうなんだ、イエスかノーかを求める、こういうふうなやり方だけでは、私は、この問題の扱い方としてはいかがかと思います。同時に、国民の御協力、御納得がなければ成果をあげることはできませんし、また、成果とも言えないと思いまするので、その話し合いのやり方ということも、それ自身もなかなかむずかしい問題であると、かように考えておりますので、まず先ほども、そういう点にも触れての応答があったわけでございますけれども、アメリカの何といいますか、アジア全体に対するものの考え方、見方、それに対してわれわれの見方というようなところがら、その合意の線というものを、しかも、われわれの考え方というものを強く向こうに説得をしていくというその段階からまず始まらなければいかぬのではなかろうか、かように考えておりますので、そしてかたわら、十分国民の皆さまの合意が得られるように、こういうふうな運び方をしてまいりたいと思います。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 ただいまのことも、たびたびお聞きしたような気がしますが、要は、国民のやはり意思に沿った交渉が行なわれなければならぬ。こういう意味で、広く各界の意見を聞きたい、そして腹をきめたい、こう言っておられる。したがって、腹がきまったら、そしてそれをどういう形で国民に知らせてその協力を求めるか、それはいつかということをお聞きしたい、総理。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、どういう方法がいいか、あるいは私、出かけます前に、各党の党首会談でもしようかと、いろいろあれやこれやと考えております。いわゆる秘密外交をするつもりもございませんし、また、こうしてお話を聞き、また話をする、そのことによって通ずる場合もあります。何か適当な方法を考えたいと思っております。また、できるだけそれも変わらない、――もう私の最終的な考え方で、変わらないその時期に話がしたい、かように思っております。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 それは、もういつまでたっても、論議が尽きないわけでありますが、一応打ち切りましょう。  そこで、企画庁長官にちょっとお尋ねしたいんですが、企画庁でもって発行している「経済見通し」、これがありますが、これはどうも実績と何か見通しとだいぶ食い違っております。そこで一応四十一年から四十二年、四十三年度にかけて経済成長率、物価指数、これは消費者物価指数、国際総合収支の見通し、これの実績とひとつ見通しとの数字をお示し願いたいと思います。

赤澤璋一経済企画庁調整局長

○政府委員(赤澤璋一君) 四十一年度から申し上げますと、国民総生産は四十一年度の見通しは三十五兆三千五百億円、名目で一一・三%、実質が八・七%という見通しでございましたが、実績は三十六兆六千六百十四億円、名目の成長率が一七・一%、実質が一二・四%であります。それから消費者物価のほうは五・五%の上昇という見通しでございましたが、実績は四・六%であります。それから国際収支のほうは、総合収支で三億五千万ドルの黒字という見通しに対しまして、実績は五千八百万ドルの黒字、これが四十一年度でございます。  それから四十二年度につきましては、国民総生産が四十兆九千五百億円、名目一三・四%、実質九%の伸び率に対しまして、実績は四十三兆一千百六十七億円、名目で一七・五%、実質が一三・三%であります。それから消費者物価のほうは四・五%の上昇というのに対しまして、実績は四・二%の上昇。それから国際収支のほうで、総合収支では、収支均衡ゼロということでございましたが、実績はマイナスの五億三千五百万ドルであります。  なお四十三年度はまだ実績が出ておりませんので、実績見込みとの対比を申し上げますが、四十三年度の見通しでは、当初見通しが国民総生産四十七兆八千四百億円、名目一二・一%、実質が七・六%の伸びというのに対しまして、実績見込みで五十兆五千七百億円、名目一七・三%、実質一二・六%であります。なお消費者物価のほうは四・八%の上昇という見込みでございましたが、実績見込みの面では、五・四%ということになっております。それから国際収支でございますが、国際収支は四十三年度の当初見通しは三億五千万ドルの赤字というふうに見込んでおりましたが、閣議決定をいたしました実績見込みにおきましては、十二億ドルの黒字ということでございます。  以上でございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 非常にこの見込みと実績に狂いがあるわけなんでありますが、大蔵大臣は、この四十四年度のいわゆる経済企画庁で出された見通しと政策、これに基礎を置いて、四十四年度の予算を組まれたのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 全くさようなとおりでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 過去三年間のこの実績と、それから見通しのこの誤差、これはどこから出てきたんですか。自己批判をしてみたことがございますか、企画庁長官。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 四十三年度の経済見通しの作成は、四十二年の十二月に作成するのでありまして、そのときの経済情勢、動向を見て、四十三年度の経済見通しを立てるのであります。  四十二年の十二月の経済動向はどうであったかと申しますと、十一月にはポンドの平価切り下げ、同時にフランに対する不安、またドルに対する不安というようなことで国際通貨が非常に動揺しておったのであります。でありますから、国際通貨の動揺に関連して世界の経済の動揺ということが考えられる。でありますからして、たとえばアメリカなどでも、四十三年の正月にはアメリカの中期公債を日本でも引き受けてくれぬかというようなことを頼みにくるような情勢でありました。そういうような関係で、当時の人々はみな悲観的な考え方をしておったわけであります。先ほど申し上げましたとおり、国際収支も三億五千万ドルの赤字ということになっておったのでありますが、その予想が全部、まあ間違ったといえば間違っておった、見通しが悪かったということは言えるのでありまして、国際通貨が非常に安定いたしまして、したがって、また世界の経済も安定いたしまして、貿易は盛んに行なわれる、したがって日本の対米輸出も盛んである、したがって日本の民間設備投資も盛んであり、個人消費も盛んであるというようなことで、経済が非常に伸びてくるし、国際収支の関係もマイナス三億五千万ドルがプラス十二億ドルというようなことで違ってきたのでありまして、要するに、予見すべからざる事情が起こってきたために、そこで見通しと実績とが違ってきたということが言えると思うのであります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これは、四十三年度だけならいいけれども、四十一年度から四十三年度、ここ数年続いておるのですよ。したがって、この見通しに根本的に何か誤りがあるのではないですか。ということは、私も、四十四年度の今度の予算の編成の見通しの中に書かれていることを調べてみますと、ただ単に見込みだということと、努力するということが混同しておるのです。こういうことでは、大体われわれがこれを基礎にして予算を審議しようとしても、ちょっとどうもその内容があいまいで、これを基礎にしてどうも審議できない、こういう状態になる。したがって、一体努力してどうなるのか、このままいったらどうなるのかということを見通しの中ではっきり入れていただくことによって、われわれはこの四十四年度の予算も十分にその上に立って調べることができるんだけれども、何か混同しているようなんですが、いかがですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 見通しの中には、そのときにおける経済動向の単なる予測ばかりじゃなく、その年度において達成さるべき政策運営の努力目標をも含めて見通しを立てておる次第であります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 その辺がはっきりしないんです。この表現を見ても、こういう伸びが見込まれるとか、こういうふうに努力するとかといろいろ書いてある。項目によって違うんですよ。これはどう見たらいいかということなんですが、いまおっしゃったような言い方だとすれば、努力が入っているのですね。いわゆる政策の効果をねらった結果がこうなるのだ、それにしては、いままであまり違い過ぎていたのではないか。だから、何か根本的に間違いをおかしているのじゃないかということを私は疑ぐるわけです。どうですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) これが共産主義の国であれば、計画経済やれますからして、そのとおり生産もやります。が、しかし日本のように自由主義の経済をとっておる国では経済が非常に流動的でありますからして、したがいまして、その予見したことと違う経済があらわれてくるし、またいろいろ問題が起こってきます。たとえばこの四十三年度の消費者物価でも五・四%というようにわれわれは予測しておったのでありますが、今日では大体四・九%あるいは四・八%であります。その原因は何かといいますと、昨年末の暖冬異変です。それから昨年の夏あまり冷え過ぎたということ、こういうことがわれわれ全然予見ができない。それがために、五・四%と思っておったのが四・九%になったのでありますからして、そういう予見すべからざるいろいろ問題が起こってくる。これが経済現象でありますからして、初めからこのとおりになるということをわれわれ一応はそのときの数字を基礎にして、そのときの経済動向を基礎にして予見しますけれども、そういうような一年間の間でいろいろのできごとによって結果が違ってくるということを御了承願いたいと思うのでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 どうもいまの御説明では満足しません。何も計画経済の方式をとれといっているのではない。過去の三年間の実績と見通し、この食い違いについて私はただしておるんです。そしてその中に、根本的にこの取り扱いが間違っている点は、ただ単なる政策なしの見通しで幾ら、そこにこういう政策を加えてこのように努力すると、この二通りのものをむしろ出してもらったほうがわれわれにはわかりいいし、また政府としても努力のしがいがあるのではないかと思うんですが、この点いかがですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 四十一年から三年間非常に違ってきておるということは、これはわれわれもその点においては、責任があるのでありますが、大体が昭和四十年、異常の不承気でありましたので、そこでその四十年の不景気なときを基礎として四十一年の見通しをした。ところが、経済成長が非常にすばらしい成長を見ましたのでそこで実績が違ってきた。そこで四十二年度もやはり控え目に四十一年度の動向を基礎として四十二年度の見通しを立てたのでありますが、やはり日本の経済が非常な勢いで発展してきたということで違ってきたのでありまして、これは先ほどもちょっと山本委員からの御質問がありましたが、やはり日本人のバイタリティーの問題、われわれがその日本人のバイタリティーを低く評価したところにも原因があると思うんです。もっと日本人は優秀なバイタリティーを持っておったのを、それをわれわれ低く見積ったところに原因があるし、国際情勢が変わってきたということ、それなども原因でありまして、そういうようなことで、その見通しを立てたときに、考えられなかった問題が起こってきたというところに原因がある。こういうふうにお考えくださったらよいと思うのであります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 何としても私は納得がいきません。私は、いまの政治が、また実績がどうなっているかということではなしに、見通しとして出されたこれについて、私はお尋ねしているんですよ、いいですか。おわかりになりますか。どうして違ってくるのか。こんな違ってくる――これは見通しですから、多少の違いはこれはやむを得ないとしても、違ったら違ったで、この本に前年度の食い違いはこういうところに問題があったというところから始まって、次の見通しにいくのが、これは常識だと思うんですよ。それがない。ないからまた違った見通しになってしまうんじゃないかと思うんです。  そこで、私がお聞きしているのは、政策を行なわないで一体自然のまま、現状のままいったらどうなるか、ひとつ見通しを立てて、そしてこうなってはいけないので、こことこことここにてこ入れの政策を行なうのだ、そうすることによって、今度四十四年度のいわゆる財政政策を運営したい、こういうふうに出していただけば、われわれは非常に見いいのですが、これではごまかしですよ。ごまかし、はっきり言って。これじゃちっとも参考にならぬ。こういうものを参考にしてひとつ予算の審議をしてくれと言われても、それはちょっと私はうなずけない。その点。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) その点は総理の所信表明の中にも、大蔵大臣の財政見通し、また私の経済見通しの中にもはっきり言うてあるのであります。   〔理事米田正文君退席、委員長着席〕 この安定した経済成長を持続せしめるという一つの目標、一つは物価安定という目標、この二つの目標に向かって予算を編成し、また経済を運営していきたいということをはっきり掲げておるのであります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 時間がないので、どうも突っ込んでいけないで困るんですが、企画庁長官、いま非常に景気がいいからって笑って済ましておられますけれども、これは逆の面をいったら首の問題ですよ。総理もそうでしょう。逆をいったら、どうなるんですか。こんな甘っちょろい見通しを出して、これで納得しろということは私はいけないと思う。だからこれはあやまちを改むるに私ははばかることなかれ――したがって、いますぐにこの四十四年度の経済見通し、この追加として、このままいったらどうなるのかということをひとつ追加していただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 四十四年度はまだ始まっておりませんからして――まあきょうから始まったのですが、まだ間違っておるとかおらぬとかいうことはわかりません。したがいまして、われわれは四十四年度はわれわれの見通しのとおりに経済は運営されるというように考えておりますが、もし途中において、見通しと違うような場合があれば、たとえば非常に過度な設備があるというようなことであれば、あるいは公共投資を延ばすとかいうようなことも考えられるし、あるいは公債の募集を減少するとかいうようなこともまた政策として考えられると思うのであります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これはね、重大な私は問題だと思うんですよ。これは専門的につくられたものだと思うんです。したがって、先ほど指摘したように、見込みとそれから努力とが混同しているじゃないか、していませんか、いますか。どちらですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) それは、先ほど申し上げましたとおり、単なる経済動向の見通しばかりではありません。そこに政策運営の目標も含めて、来年度の経済見通しをしておるわけです。しかし、その政策運営は大体達成さるべきものであるというわれわれの考慮のもとで、その目標を掲げておる次第でございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 しからば、お尋ねしますが、いわゆる政策効果があらわれないまま、いや、ここに重点施策として書かれていることをやらないままでいったら、どういう数字になりますか、お尋ねしたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) それは、いまの物価安定の目標の中に五%という数字を出しておりますが、その五%を実現するのには、どういうふうに努力するかということについて、たびたびいままで申し上げたとおり、公共料金の値上げはストップするとか、あるいは生産性の高い商品であれば、それによってその商品の価格を下げてもらうとかいうような、そういうようないろいろの政策を考えておる次第であります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 どうも私もしろうとですけれども、そういうしろうとじみた答弁では私は理解できません。専門家が、私はこれはつくったんだと思うんです。そういう努力によって、物価は五%に押えようということがこれははっきり出ておりますよ。そういう努力をしなかったら、一体どのぐらいいくんですか。その見通しはないんですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 五%という目標を掲げなかったならば、おそらく六%以上になるんじゃないかと、消費者物価が。それでは日本の経済に対して非常な影響を及ぼすので、そこで五%という目標を掲げた次第であります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 そういうことを、これにひとつ追加してつけてもらえないかということを私は言っている。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) それはたびたび私がここで申し上げておることであります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 何ですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 他の委員からの御質問で、それはたびたび私はそういうふうに申し上げておる。このままほっておけば、六%近くまで消費者物価は上がるかもしれないということで、そこで五%という努力目標を掲げて、これは実現することは非常に困難であるけれども、ひとつ政府はこの点において全力を注いでやるということは、本会議でもお答えしましたし、ここでもお答えしておる次第であります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 それは耳にたこができるほど聞いています。そうじゃなくて、ほかの指数についても、そういったようなどのぐらいになるかという見通しを追加する気持ちはないかということを聞いておるんです。物価だけじゃありませんよ。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) その政策目標を掲げずして、日本の経済はどんなになるかということは、これはとてもわれわれ予測はできません。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 政策はわかってますよ。これはまあ時間があればゆっくり申し上げたいんだけれども、私の言っていることがわかりませんか。政策をやったから、ここへ持っていけるんだと、これはわかりますよ。それはそのとおりに私は受け取りたい。そこで、こういう重点政策を行なわなかったら一体日本の経済はどうなっていくんだということをひとつつけてもらいたい。いまは、物価は六%ぐらいになるんだとおっしゃった。ほかにもあるでしょう。それをつけてもらえるか、もらえないかということをお尋ねしておる。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) そういうようなことは、それはもう政治じゃありません。それは学者がいろいろ考えられて書かれることであって、われわれ政治する以上は、大体国民の向かうべきところを示さなければならぬのでありますからして、その政治目標に向かってどういうようにするかということをわれわれは掲げる必要があると思うのであります。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 私は、もうそういう答弁ではちょっと理解できないのですよ。企画庁の中には、専門的な連中がそろっているわけでしょう。いいですか、そういう人たちが、これをたんねんにつくればできないことはないと思う。それは、きっぱりしたものはできないかもしれません。しかし、ある程度のものはできると思う。その上に立って、こういう施策をすると、ここまで落ちるのだと、こういう数字になってきているのですよ。それをなぜ一緒につけないのだということを申し上げているのですが、つけられませんか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) そういう実現のできぬ、またそういうことを考えても無効な、むだなことを私はする必要はないと思っております。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これは打ち切りましょう。あとで十分考えてください。  そこで、今度は四十四年度のこの経済見通し、これは先ほども質問があって、大蔵大臣も御答弁になったように、警戒中立型だと言っておられますが、これは明らかに昨年度に比して一五・八%に広まっております。これはいろいろ巷間言われておるように、大型刺激型だ、こう言われておるわけです。したがって、そういう中で、これに出ております、いわゆる物価を五%に押さえる、で、国際収支は一億ドルくらいだろうとかいうようなことが出ておるのですが、どうもこれを基礎にして考えていくと非常に不安なんですが、大蔵大臣、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 経済の見通しでありますから、なかなかこれは実績がどうなるか不安はあります。まあ、過去においてもなかなか当たらない、四十四年度は一体どうなるか、これもここでこのとおりですと、こういうふうには申し上げかねると思いますが、現時点において、政府が全精力をあげて見通し得る経済の姿はそんなものであろうと、こういうふうに思うわけであります。それで財政のほうは、経済見通しと因となり果となって動いていくわけでございますが、もしお話のように過熱の要素があるというようなことでありますれば、繰り延べをいたしますとか、そういうようなこともいたしたいと存じます。また、逆にかげり現象だというようなことがあれば、繰り上げ支出でありますとかあるいは増加支出であるとか、そういうことも考えなければならぬかと、こういうふうに考えますが、いまこの時点に立って考えますと、どうもその財政で刺激を与えるとかあるいは経済の動きをディスカレッジするとか、いずれの特別の方策もとる必要はない、まさに中立的姿勢でしばらく推移し、世界経済の動き、また国内経済の動き、そういうものを十分注意して、もし異変がありますれば、これに対して対処するという構えでよかろうか、かように考えております。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これは小さい問題なんですがね。これは大産業、大企業はひとりでに鋭意努力して成長していきます。残された中小企業、これはもう非常に苦しんでおると思いますが、特にいま中小企業のいわゆる救済法として下請代金支払遅延等防止法というのがあります。これは一体どういうふうに運営されておりますか、この法律と、この中小企業の動向という、この政府で発行されたこの中を見ますと、えらい法律で規制した数字と実際に行なわれているいわゆる手形の期限が食い違っておるわけなんでありますが、これは一体どういうことになっておるのか、御説明願いたいと思います。これは通産省に。

乙竹虔三中小企業庁長官

○政府委員(乙竹虔三君) 数字の御説明を申し上げます。下請代金支払遅延等防止法によりまして、下請業者と親企業者との間の決済条件が違法なものにつきましては、これは取り締まりをやっておるわけでございまするけれども、この下請代金支払遅延等防止法によりますると、たとえば品物を渡しましてから六十日間で代金ないし代金にかわる手形を渡さなければならない。その手形は、当然割り引くものでなければならないというふうなことになっておるわけでございまするが、その違反を防止するために、公正取引委員会と中小企業庁とで調査をしておりまして、その調査の中で違反の疑いの濃いものは中小企業庁及び公正取引委員会で行政指導いたしますとともに、さらにその行政指導の効果のあがらないものにつきましては、公正取引委員会において勧告をしておるわけであります。これは業種別に非常に違うわけでございまするが、私たちのほうで調べましたところによりますると、機械関係のものは比較的よろしいと。しかし、繊維関係のものについては一部悪いものが個々にある。ないしは、最近の自動車の下請におきましては、日の当たる会社と必ずしもそうでないものとの格差が目立ってくるというふうな状況がございまして、一般的に申しますると、昨年の引締めの解除の後に親企業と下請企業との間の決済条件はだんだん緩和し、もとに戻りつつあるのでございまするけれども、現在におきまして、先ほど申し上げましたような一部例外的な業種につきまして、決済条件が必ずしも改善されていない、ないしは要警戒の状況にある。これが現在の概括でございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 私の質問の要旨を間違えているように思いますが、法律では六十日間ときまっておりますが、この中小企業庁ですか、ここできめたのは九十日とか百二十日とか書いてあるのですが、これは一体、法律無視ですか。

乙竹虔三中小企業庁長官

○政府委員(乙竹虔三君) 商品を渡しましたあと六十日以内に代金の決済をしなければいけないということになっておるわけでございます。その代金は、現金の必要はないのでございまして、手形で支払ってよろしい。その手形の決済期限が、そこにございますように非常に短いものは六十日以内、しかし、長いものになりますと九十日ないしは百五十日、ないしは百五十日以上というふうな手形の決済条件がある、こういうことでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これは法律で六十日以内に手元に金が入るということだと思いますが、それを特に中小企業庁あたりで、その手形の期限を長くしてこういう指導をしているということについては私は理解がいかないのですが、通産大臣どうでしょう、これは。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま長官から御説明申し上げましたとおり、六十日というのは、給付がありましてから代金を支払う、代金を支払うという意味は、手形の交付でもいいのでございまして、それを六十日といっているわけでございます。申し上げた六十日、九十日、百五十日というのは、手形の決済期間のことでございますから、全然別な観念であると考えております。私どもといたしまして、その六十日――法律できめられました給付の日から代金を支払う期間を、六十日を九十日とか百二十日とかいうように指導するというようなことは毛頭考えていないわけでございまして、手形の決済期間をできるだけ短縮するような指導は鋭意やっているわけでございます。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 これは下請代金支払遅延等防止法、これはざる法だといわれておるのですね。そして、下請業者からはこれはなかなか言えない問題です。したがって、これは親会社のほうに強力に指導してもらわなければこの実効はあがらないわけなんです。そういう状態があると思う。そういうことで一番問題になるのは、これはもう中小企業、金が入らないということで苦しんでいるわけなんでありますから、その点を十分に考えて、これはざる法でないように行政指導していただきたい、かように思うのです。  最後にお尋ねしますが、これは文部大臣、ちょっとお尋ねしたいのですが、学生運動を通じてですね、いろいろ問題があるわけなんでありますけれども、何かことばの上でも非常に混同しやすいことばがいろいろ使われております。これはやはり一度整理しないとぐあいが悪いのじゃないか。ということは、いわゆる学生が、スト権だとかあるいは大衆団交だとか交渉権だとかいうことが定着しつつあるようであります。これはマスコミでもそういう表現を使っておられるし、また当局においてもそういうことばを堂々と使っておられるのですが、こういう表現は私は問題があろうかと思うのですが、文部大臣とひとつ労働大臣、これについての所見を承りたい。  私は、これは法律用語の一つだと思いますので、こういうことが当然にあってしかるべきだと、こういうことが定着しますと、問題はさらに拡大していくと思いますし、用語のただ単に問題ではありますけれども、これは十分に政府としては注意していかねばならぬ問題だと私は思うのです。いかがでしょう。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 御指摘の点は私も同感でございまして、たとえばこの確認書の中にございますところの団体交渉権というようなもの、一番しまいにはあるいはこのことばは変えるとか申しておりましたわけでございますが、とにかくそういう団体交渉権というものは労使間の問題、これを良識と良心の府であり、言うならば理性的にものごとを解決していくというそういう大学のたたずまいとしては、まことにふさわしくないことばであるというふうに思っております。  それからまた参加ということばも、これはドゴールさんが、彼一流のフィロソフィーから出たことばではございましょうけれども、フランスにおける学生参加とは、私が繰り返しここで申し上げますように、たとえば大学の学長の任命権は、文部大臣が発議をして、そうして閣議で承認をし、そうして大統領が任命をするというような、きわめて中央集権的な制度のもとにおいてそのようなことがいわれておる。あるいはまた登録学生の六〇%以上の投票によって学生が参加をできる。あるいは政治的活動というものは一切まかりならぬ、ただ情報の自由のみが許される。しかも、その制限は、たとえば教育の場、研究の場あるいは病院周辺においてはやってはならない。こういうきわめて厳格な形においての参加が認められておるわけでございますが、この参加を日本の社会に持ってまいりまして、参加だ参加だと、こう言うわけでありますが、私はやはりこれは学生の地位とかあるいはまた学生の意思をどういうふうに大学の自治に反映させていくかというようなことばに置きかえて考えたほうが実態に合う。むしろ、参加参加という概念は、教職員の、教授のいわゆる権利と、あるいは学生のその地位に基づく希望表明の権利というようなものとを、同一、同等のものと混同するおそれがあるわけでございまして、この点には十分注意をしなければならないと思っております。  また、加藤代行につきましても、私は十七日の際におきましても、あるいは十二月の二十九日の際におきましても、そのことを指摘いたした次第でございます。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。  いま文部大臣がおっしゃったように、団体交渉とかスト権というようなものは、労使間に使うことばであって、いやしくも大学あるいは学園の府において、そういうことば自体も使うべきものではない、大いに自粛すべきものであると思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして片山君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、岩間正男君の質疑を行ないます。岩間君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 締めくくりの総括質問にあたって、佐藤総理がこの秋に訪米される、それに際しての基本的な態度をまず最初に伺いたいと思います。  まず最初に、総理はサンフランシスコ平和条約によって日本政府がアメリカの沖繩継続占領を認めたことは正しかったといまでもお考えになっていられますか、どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) サンフランシスコ条約で認められた行為だと、かように思っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは、現在アメリカが依然として沖繩を占領、支配していることは合法的であると考えていられますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ここが非常に重大なところだと思います。合法と認める限り、これは沖繩の処理についての権限はこれはアメリカにあるということになるのではないのですか。そうすれば、日本側の態度は返還要求というようなものではなくて、お願いとか、あるいはアメリカの言い分を承るということにならざるを得ないのじゃないか。これは基本的態度として非常に重大だと思いますので、お答え願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩の潜在主権がある。また、私がこの前ジョンソン大統領とお話をしたときに、共同コミュニケでも、その返還について両三年のうちにめどをつけよう、そういうところまでこぎつけたのであります。いまさらこれが違法だとか合法だとか、向こうに言い分があるのだ、こちらは受け身だ、さように別にこちらが卑屈になる必要はない、これはもう当然のことであり、また、両国の間は親善友好があるのでございますから、私どもはそれを基礎にいたしまして、そうして卑屈にならないで堂々と話をしたい、かように私は思っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 処理の権限はどっちにあるのですか。日本ですか、アメリカですか。沖繩処理の権限。沖繩の問題を処理する権限、これはどっちにあるのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは両国でいま話し合って片づけようと、かようにしております。いま、ただいまの状態で私どもが何もしなければ、もちろんアメリカがこれを占有しておる、こういう状態でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 愛知外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 総理から御答弁になったとおりでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 きょうはこの速記録を持ってきました。あなたは二月六日の衆議院の予算委員会で、――アメリカは施政権者である立場において、沖繩の処理についてはアメリカが権限を持っていると考えております。これはどういうことです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは平和条約第三条のくだりを御説明いたしたわけでございます。立法、司法、行政、三権を持っておる……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 おかしいじゃないですか。委員長、おかしいじゃないですか。権限はない。ところがこっちのほうはちゃんとアメリカにあると言っている。はっきり食い違う。その食い違いを出してください。そういうことでごまかしはできない。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本には潜在主権があると、先ほども総理が申されたとおりでございます。したがって、話し合いで解決をする、こういうことでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 政府間で総理と外相違うのです。食い違いがあるのですね。そういう形で実際は場合によって変えちゃいかぬと思います。はっきりさしてください、そういうことです。  私は、これは訪米の基本的態度としてはきわめて重大な問題だと思います。ここのところがきまらなければだめなんですね、いろいろのことを言ってみたところで。そもそも沖繩は日本固有の領土である、これは総理も認めるでしょう。したがって、サンフランシスコ条約第三条は、領土不拡大の原則を取りきめたカイロ宣言や、その履行を確認したポツダム宣言に完全に違反している。さらに、国連憲等にさえ違反するものです。すなわち、日本は、十三年前すでにこれは国連に加盟している。アメリカも沖繩を信託統治に付する考えはないということをしばしば言明している。こういう現在、依然としてアメリカが沖繩を軍事占領し、アメリカの侵略の基地として百万県民を苦しめている現状、このことを一体、総理は不法、不当とお考えにならないですか。私は、当然こういう立場に立つなら、これはサンフランシスコ条約第三条を破棄して、そうして沖繩の返還を堂々とこれは要求する、その立場に立たなければならぬと思うのでありますが、これはいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そこになると、遺憾ながら共産党と私どもの主張は違います。私どもは先ほど申したとおりの日米関係、また、アメリカがサンフランシスコ条約、その際に沖繩を占有することになった、かように思っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 友好などという、そういうことばでごまかしてはだめです。基本的に国の主権を守るという立場に立つ最高責任者がそれじゃ困る。ここのところは、やはり要求は要求として明確にする。国際法的にもこれは明らかな問題ですよ。時間の関係から詳細をやりませんけれども、もうはっきりしているでしょう。これは国連憲章違反だ。これを現在続けている。これに対して要求するのはあたりまえでしょう。私は、したがって、このような態度に立って考えている限り、今度の交渉というやつは非常にやはり実は日本国民の真の意思に沿わない、そういうことが出てくる。それで私は、まず、結局、今度出かけられる。そうすると、アメリカとしてはこの沖繩返還という問題を利用してアメリカの極東核戦略体制を強化する、さらにまた、安保体制を堅持して日米軍事同盟を一そう拡大強化する、こういうことが実は大きな一つのねらいになっているわけです。沖繩返還交渉の背景です。結局、佐藤総理はいまのような態度で、友好とか何とかいうことで、当然の権利を権利として主張するという立場に立たない限りはここに落ちざるを得ないと思う、こうならざるを得ないと思うのですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんものわかりのいい岩間君にしては意外な発言だと思います。と申しますのは、私がこの沖繩を日本の本来の主権、潜在主権を顕在主権にするといいますか、潜在主権が認められる、それを表面に立てて本土に復帰させる、その場合にいま軍事同盟を強化するとか、核基地云々というような話まで出ておりますが、私は沖繩が日本の憲法下に返るのだ、平和憲法のもとに返るのだ。また、日本もさきの戦争から考え方は変わっております。もう軍国主義、帝国主義、さようなものじゃございません。この点は岩間君もよく御理解じゃないかといままで思っていたのですが、とんでもない、こんな方向に向いちゃいないですよ。どうかそこら辺は誤解のないようにお願いしたい。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あなたはそういうことを言いますけれども、一昨年の共同コミュニケでどういっている。これははっきり確認事項でしょう。さらに、ニクソン大統領はこう言っていますよ。自由アジアの安全を弱めるような取りきめはしない、こう言っているんですよ。そうしてまた、どうですか、佐藤総理は、いままであらゆる機会に言ってこられた。沖繩返還にあたって日本と極東の安全をそこなうことなき解決をはかる、この点については変わりないんでしょう。そうしたら、これは日米全くこういう点では一致しているですね。沖繩を中心とするやはり戦略体制の強化ということが当然これは予想される。どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも話が食い違うようですけれども、私は、日本の国民から見ましても、沖繩県民、これはわれわれの同胞だと。それが異国のもとにあるのにわれわれも忍びない。また、沖繩の同胞も一日も早く日本に帰りたいと言っている。これを実現しようというのが私の考え方であります。同時にまた、その際に、日本の安全が弱化される、こういうことがあってはならない。これはやっぱり日本の安全も第一に考えなきゃならぬ。日本の国も安全であり、同胞が一つの国家を形成する。こんなはっきりわかる、わかりやすいことはないじゃないですか。それをどうしてそんなに曲げてお考えになるんですか。私はその方向でいま努力し、また、共産党はイデオロギーがあるにしても、やっぱり岩間君も十分われわれの努力は理解してくださる、いままでの発言でさように思っておりました。これが軍事基地化されることについてはもちろん反対だと思います。この沖繩同胞、これが祖国に復帰する、これは一日も早いがいいというこのことは、しばしば共産党の方も発言されたと思います。同時にまた、日本の安全はどうなってもいいんだ、かようなことは申されないと思う。私は、やっぱり、日本の安全は確保すべきだ、これは日本共産党の主張でもあるんじゃないか、私はさように思います。そういう意味から意外な質問で、私、驚いている。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 都合のいいときは、沖繩県民の要求によってやると言うでしょう。無条件全面即時返還、三大選挙がはっきり示しているでしょう。なぜそれをやらない。そうして、かってに自分の考え方でそれをねじ曲げてやっているでしょう。だから、そういう点じゃ、いまのようなことばは通りません。私は、極東の安全ということを前提にしてそうして話し合うということは、沖繩返還に見合って日本が一そうアメリカの核戦略体制への加担を深めることになる、こう考えますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はさようには思いません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 では、お聞きします。極東におけるかなめ石としての沖繩基地の地位は今後も変わりないということ、これは認められますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本に返ってきましたら、沖繩が変化いたします。いわゆるアメリカの施政権下にある際に果たしておる沖繩の役割りと、日本に帰ったときと、これは変わってまいります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 日本と極東の安全をそこなうことなき解決、こういうことを言われて、したがって、かなめ石としての沖繩の位置がなくなれば、あなたたちの言い分から言えば、これは戦略的にもたいへんなことになるでしょう。沖繩はますます戦略的に重大なことは、最近のフォーカス・レチナ作戦、これを見てもわかる。これについては、沖繩というのはどんなに重大かということをあらためて再確認されたということがいわれる。こういう点はどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 遺憾ながら私はその説に賛成いたしません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 賛成しないと言って矛盾があるでしょう。共同コミュニケでも確認している。この前の施政方針の演説その他でももう数々確認している。そういう中でかなめ石としての沖繩の役割りというのはこれは認めざるを得ない。  それから次にお聞きしますが、それなら政府は今後も沖繩基地を含めたアメリカの核抑止力にたよる、こういうことを言ってきましたが、この点に変わりはございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この沖繩を含めた核の抑止力にたよるという、このことは沖繩が日本に返ったときに、その沖繩にある核基地、それをも含むかと、こういう疑問が出てまいります。したがって、その点はもう少し明確に申し上げておかなければならない。沖繩がいままで果たしている役割り、これはなるほどアメリカが施政権を持っている。そしてアメリカ自身が日米、米韓、米タイ、米比の条約、ANZUS等を持っております。その場合にグアムと同様に、これがアメリカの施政権下にありますから軍事的に大きな役割りを果たしている。かように私は思います。しかし沖繩が日本に返ってきて、日本の施政権下に返ってまいりますと、日本の内地における基地と沖繩の基地と、これは区別すべき何ものもなくなる。これはいままでしばしばそういう説明をいたしたわけであります。ただこの場合に、私いま今日ある沖繩の強力なる基地というもの、これがどうなるかということにいま私は問題を集中して、そして沖繩返還問題と取り組んでいる。だから、普通の状態ならば、ただいまのように内地にある米軍基地、日米安保条約による米軍基地と変わりなくなる。だから、何らかの取りきめがない限りそういうことになるのだ、こういうことをしばしば申し上げてきました。そしてこの基地のあり方をどうするかということがまだきまらないのだということを私は再三にわたって申し上げてきた。今日も、午前中から基地の態様はどうかとたびたび言われましたが、それはまだきまらないのだ、こういうことを申し上げております。しかし、ここで観念的に言えることは、いま言われるように、日本に返ってきた沖繩、それとアメリカの施政権下にある沖繩、これは必ず違った態様になるだろうと思いますし、また、私どもはそれにしたいわけです。それをどういうような形にしようかというのが議論の焦点であります。皆さん方からもいろいろ聞かれる。だから、私はこれは別なものだと考えてよろしいと思います。しかし、それをまたどうするのだ、どうなるのだと言われると、そこまでは言えないというのがいまの状態であります。したがって、私はアメリカと話し合いの上でこういう問題を片づけていく、これは当然の権利だと、だから、アメリカと対決してでもこれを、祖国復帰を実現するのだ、こういう共産党の考え方に私は賛成はしないわけです。十分友好関係のうちに話し合えばわかることなんだから、それをひとつやって実現しよう。これは私はちょうど一昨年ジョンソン大統領と話し合って、あのコミュニケをつくったその基礎でもあるわけです。したがいまして、私は今後その線で交渉を進めていこう、かようにいま考えているような次第でございます。誤解のないようにお願いしておきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あなたは最初のほうで、本土と沖繩を区別すべき何ものもない、そういうようなことを言って、そのあとで特別の取りきめがない限りと、こう言っている。だから、そういうふうに二段に使い分けているのですよ。だから、ほんとうに区別しないというなら、特別の取りきめをしないと、この議場を通じてはっきりおっしゃい、第一にね。これが第一。  それから第二は話し合い、これはわれわれ共産党も話し合いはいいだろうと、しかし基本的な態度というもの、ここをはっきり押えてやらなかったらこの話し合いは、いままでの例もありますけれども、結局は日本がそれに巻き込まれて、そして向こうの言いなりになるということですから、この点どうなんです、一体。そういう腹はできていますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、私誤解されると困ると思ったので、特に本土と区別のあること、特別の取りきめがなければということを付け加えたわけです。私やっぱり途中で、これがわかっていてくれたと思いますが、いま岩間君もそれをやっぱり先にはこう言って、あとで直したと言われたが、これはいままでの答弁で一貫していることなんですから、これはもう今回はずしたからといって、その真意に変わりはございません。  ところで私がアメリカの言いなりになるかどうか、腹はできているか、かようなお尋ねでございますが、私は日本の総理でございますから十分日本の権利、国益に従って、その立場で交渉いたします。これはもう共産党の方もその点はお認めをいただきたいと、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあ沖繩の返還に伴なって、第三には、沖繩防衛ということで日本の自衛隊が増強され、日米共同防衛体制が拡大強化される、こういうこともこれは明らかだと思います。そういうことを総合して考えてみますと、アメリカの極東核戦略体制が強化され、その一環として日米軍事同盟の拡大強化、こういう明白な線が沖繩返還を通じて出てくる。私ははっきりそう考えておる。そういう事態が起こるから見てごらんなさい。あなたが帰ってくればわかる、秋の何をやって。私は、今度の国会でこういうものに対して、これはいろいろな布石が行なわれていると思うんですよ。たとえば、まあ米軍に関して言えば、この米軍は憲法のらち外である。あるいはまた国連憲章に基づく米軍の行動は憲法違反でない。自衛隊に関して言えば、自衛権の名による自衛隊の核保有あるいは海外派兵、交戦行動、こういうものは憲法上問題なしと、こういうことを言ったんですが、こういうことは全く今度のそういう事態に対するところの布石と、こういうふうに考えられると思いますが、その点いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話は、これは共産党の立場からの岩間君の御意見だと、かように私伺っておきます。私はあえて、これについてとやかく申しません。いままでもたびたび申しました、ただ御意見は御意見として伺うと、かように申しておきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 一言だけ、私はまあ締めくくりの結論をやりたいと思うのですが、以上を総合して結論されることは、秋の訪米というのは、私は日本の将来にとって非常に危険なものを持っている。したがって、いまや沖繩県民を含めた全国民の要求は沖繩の即時無条件返還、こういうものを戦い取らなければ真の目的を達成することはできない。これが第一点。  次に、安保条約の問題です。これは、きのうの本委員会で佐藤総理は沖繩の基地の態様によっては安保条約の改定もあり得るということを、あなたははっきりおっしゃいました。こういうふうに答弁されたことでもわかるように、沖繩返還と安保条約は密接不可分にからまっているんです。したがいまして、いま沖繩問題を利用して安保の実質的な改定というものがたくらまれているんじゃないかと、こういうふうに考えられる。だから、これは総理も御存じだと思いますが、つい最近三月二十二日に沖繩で祖国復帰協議会の会合が持たれました。この中ではっきり軍事基地の撤去と安保条約の廃棄ということを、新たに要求として入れているんです。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、結論を急いでお願いします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 沖繩の立場に立って総理は問題を解決すると、こう言われておりますから、したがってこういう事態を御存じと思いますが、こういう事態に対してこの沖繩百万県民の気持ちというものをどういうふうにお考えになるか。このきびしい現実の前に立って私は、はっきりここで御答弁願いたい。繰り返して言います。沖繩の無条件即時全面返還と安保条約の廃棄、これこそがいま全日本の国民の要求である。そうして真の独立をかちとる方法である、こういう点をはっきり申し上げたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 持ち時間もなくなったようですから、簡単に答弁いたしますが、私は二つばかりの点で反対なんです。沖繩を戦い取れ――ことばがよし何にしろ、戦い取れということばは不穏当だと。もう戦争は、私どもはやらないはずなんです。これはもう私が申し上げるまでもなく、平和憲法のもと、戦い取れば、これは不穏当だ。この点だけはひとつ十分お考えいただきたい。まあ、しかしそれはどちらでもようございます。  それからもう一つは、いまの日米安保条約を廃棄しろ、これはもう先ほどからたびたび申し上げておりますように、廃棄する考えはございません。この体制を廃棄する考えはございません。また私は、沖繩復帰協の考え方を知らないではございません。しかし、それは必ずしも、主席を出したからといって、大多数の意見だと、かようには考えておりません。もちろん、少数の考え方も私は尊重するつもりで、日本国民の全体の考え方、大多数の考え方、それによって私は行動する。このことをあなたに申し上げておきます。どうもことばが不穏当であった点は、できればお取り消しを願いたい、かように思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、岩間正男君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、山田勇君の質疑を行ないます。山田君。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 まず、総理にお伺いいたします。  本日は四月一日、エープリルフールとか四月ばかとかいわれまして、外国ではうそをついても、人をかついでも許される日のように聞いておりますが、どうかきょうは私には、うそ偽りのないところをわかりやすくお答え願いたいと思います。  さて、政治不信とか国民不在の政治とかいわれて、もう久しいわけでございますが、私の知るところでは、その傾向は強まりこそすれ、是正される方向には進んでいないと思われます。今国会の一つの焦点でもある沖繩問題について、政府答弁を聞いておりますと、一そうその感を深くするわけであります。すでに幾人もの方が何度となくこの委員会においても、この問題について発言されておりますが、私も一応、念のためにこの機会にお尋ねしたいと考えます。  先般、総理は、この予算委員会で、沖繩返還の態様について、ちらりと核抜き本土並みというようなニュアンスの発言をなされましたが、すぐその翌日、また白紙だと言をひるがえしておられましたが、こういうことでは、総理が一体何を考えているのか、国民にはさっぱりわかりません、もちろん私を含めてでも。昨年の自民党総裁選におきまして、当時の三木外相の本土並みの返還論に対し、認識不足もはなはだしい、外相に任命していた御自分の不明をわびる一幕があったり、また下田駐米大使の、愛知外相の核つき返還に近い発言を放任してきた経過から考えて、国民はおぼろげに――ほんとうにおぼろげにです、総理の考えを推察することができるのですが、しかしながら、日本の国の進む道を左右する大きな問題をどうしてはっきりさせないのか、全く私にはわかりません。六月の愛知外相、秋の総理の訪米を間近に控えまして、一国の責任ある総理として、すみやかに方針を国民に示し、国論を統一し、アメリカとの折衝に当たるのが常道だと思いますが、いかがでしょうか。まして世上うわさされているように、選挙対策としての目先だけのごまかしのような核抜き本土並みを唱えることは、私は許されないと思います。もし、総理が考えておられる沖繩返還の態様が世論の動向と違った場合はどうなさいますか。国際情勢の大きな変化、また軍事技術の進歩によって沖繩基地の極東に占める役割りが大きく変われば別ですが、ただ世論の動向に左右されるということでは、一国の総理として責任ある態度とは申せません。御自分の正しいと思う方針を国民の前に堂々と発表して国民を説得する、総理にはそれだけの力があると私は信じております。国民の先頭に立ってアメリカと折衝されるのが、最も望ましい総理の態度だと私は思います。きのうの委員会におかれましても秋山委員が、アメリカの国民性――いわゆる柔軟な国民性ということでこちらの態度をはっきりしますれば、向こうもその心づもりを持つというようなことを言われましたが、総理はいつまでも白紙、白紙と言っているのは何か信念のない、たよりない総理に思えるのですが、いかがでしょうか。国民が政治に信頼を置き、総理を頼もしいと思うにも、この際総理、はっきりとした考えを御披露願いたいと思います。きのうの委員会からきょうの予算委員会までずっと私は聞いておりましたが、いつも白紙、白紙でございます。ここで総理がかりに一年生議員の私に、この白紙から一歩出たものを言えば、おそらくこれは号外ものでございます。私の人気が上がるとともに総理の人気もますます上昇すると私は考えますが、いかがでしょうか。これだけ野党の皆さまがこれでもか、これでもかと押されたんですが、総理は依然として白紙の態度から一歩も出ておられません。その点ひとついかがでしょうか。よろしく御答弁をお願いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 山田君にお答えいたします。  なかなかユーモアのある、ユーモアを交えてのお尋ねでございます。しかし事柄はそのユーモアどころか、たいへん真剣な、重大な問題でございます。国にとりましてはこれはたいへんな問題である。したがって私も、まあ何度も申すことですが、慎重の上にも慎重に考えて、そして誤りなきを期そうと、こういうことをいままでも申しております。つい先ほども申したばかりでありますので、山田君になったそのとたんに変わるということは、それはできませんですが、どうかこの点はいままでの答弁で御了承をいただきたいと思います。ただ私が皆さん方の非常に心配していらっしゃいます――この結論はただいま申したようなことですが、それまでの道行きとして、あるいは解散がちょっとちらりと出まして解散目当ての、いいかげんな議論をしちゃ困るというようなおしかりもありました。私は、こういう事柄も解散問題と沖繩問題とごっちゃにして、これと取り組んでおるというような態度ではございません。まあ私の政治的な態度、これは真摯そのものでございます。まじめそのものでございます。ユーモアもわからない、そのほうが私には適当なんで、その辺もひとつお考えになられて、ただいまのお尋ねはお尋ねで、いままでお話したところで、ひとつその点は御勘弁を願いたい。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 次に、これも国民の政治への不信に拍車をかける結果となりました問題でございますが、国鉄運賃改正の衆議院における審議の経過であります。これほど国民が関心を持ち、注視している問題の処理を衆議院ではどうして審議を尽くし、国会を通じ国民に了解を求める道をとらなかったのか、私には理解はできません。まあそういったことの繰り返しが国民を政治から離れさせ、若い人々を反体制に走らす原因にもなると思いますが、総理はこの間の事情をどう説明なされるか、お伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、国会こそ堂々と出席して、そしてそれぞれの政党の主張を披瀝する、国会を通じて国民の批判を仰ぐ、それが本来の姿だと思いますが、私はまあ先ほど岩間君にずいぶん乱暴な答弁をいたしました。衆議院の本会議では共産党が最後まで出席されて、そうして堂々と意見を述べられたことに非常に敬意を表している次第であります。これらの点はいいことはいい、悪いことは悪いとされるんじゃないかと、私はさように思いますので、ただいまの国鉄運賃の問題にいたしましても、これはやはり何としても堂々と審議を尽くす、そのことが必要だと思います。私はまあそれぞれの政党にはそれぞれの理由があるだろうと思います。理由があるにしても、とにかく審議を尽さくれなかったことは、私はまことに遺憾に思います。そういう意味で多数の横暴、これはけしからぬということ、また少数の意見も尊重しろ、しかしその少数の意見の尊重が、こういう事柄によってどうしても法案は通さない、あらゆる力を用いるのだ。こういうことになっては、それこそ多数の横暴じゃなくて、少数の横暴ということになるのではないか。私は国会の審議というものはそうしたものではない。やっぱり少数党でも自分の主張は堂々と述べる、いま山田君はそういう立場で私に質問されたと思うんですが、これは当然のことだ。そういうことでないと国民がやはり政治というものを信頼しない。これはどうもいまの大学と同じようじゃないかということで、たいへん批判が厳しいと思います。しかしこれは、私どもも、もちろん野党だけを攻撃するのじゃございません。私ども与党の多数を持つものも国民の前に批判を受けて、そういうことで謙虚に、こういう事態に対して改めていかなければならない、かように私は思います。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 時間がきたようですから、次へ急がせていただきます。  次に、行政管理庁長官にお尋ねいたします。内閣から今国会提出第一号の法案となっております国家公務員に関する総定員法についてでありますが、対象になっております国家公務員労働組合の人々は、この法案に対して絶対反対を唱えております。いわゆるスト権を持たず、団交権もない。まして人事院勧告すらまともに守ってもらえないような政府に、生存権を売り渡すようなことはできないと、私の部屋にもたびたび陳情が参っております。二万六千人の定員削減は必然的に公務員労働者の首切り、強制配置転換、また労働強化につながると訴えております。首切りという問題は、労働者にとって最も深刻な問題です。直接にしろ間接にも、そういったことを政府はやるつもりはないと私は思いますが、どうかその点をお聞かせ願いたいと思います。また、公務員の数が多過ぎるために財政硬直化を招いているとも言われておりますが、一方では自衛隊、警察官を大増員するというような計画もあるわけですが、こういった点を納得のいくように御説明を願いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  いわゆる総定員法は、いま御指摘になりましたような公務員等からの陳情は、私もたくさん葉書等でいただいておりますが、言われるがごとく、首切りをやるなどという考えは毛頭ないのみならず、首切ってはいけない。首切らないために提案をし、御審議を願っておると申し上げて差しつかえないと思います。御案内と思いますが、数年前国会で御審議願い、御決定いただいた臨時行政調査会設置法、これにつきましては衆参両院で与野党を通じて附帯決議をつけていただいておるわけでありますが、その附帯決議にはむろん国民のために簡素、合理的な行政機構で運用して行政サービスをしっかりやらなければならぬ。行政改革は必要ではあるが、しかし首切っちゃいかぬ、首を切るべからずという附帯決議をちょうだいしております。それを受けまして臨時行政調査会は二年にわたり慎重審議、調査の結果を総理大臣に答申をいたしまして、その答申の中にも、いま申し上げたような趣旨を生かす意味で、適当の制度をつくるべきであるということを受けまして御提案申し上げましたのが、いわゆる総定員法なのであります。したがいまして、国会の総意を念頭に置きながら運営さるべき宿命を持っておる法案でございますから、通過させていただきましたのちに、いま懸念されるようなことがあるはずがない。あっちゃいけない。もし、そんなことをしたら国会に申しわけないという性格のものでもあるわけでございます。したがって繰り返し申し上げますが、首切りということは一切あり得ない。むしろ、そういうことを防ぐ趣旨で御提案申し上げたと御理解をいただきたいと思うわけであります。まあ出血人員整理が問題となるとしますれば、必要性がなくなった部門に冗員を抱えていて、どうにもならないというときには、これはやむを得ず首切りということにつながるかと思うのであります。そういうとき以外には、首切りということはあり得ないと思うわけです。したがって、弾力的な定員制度にいたしまして、常に行政需要に即応した定員の配置が実現されておりますれば、いま申したような出血人員整理などはあり得ないということと存ずるわけであります。また、定員配置について、強制配置転換があるんじゃないかというふうな懸念を述べられる投書等も私もちょうだいしたことをいま申し上げましたが、そういうことはあり得ない。実施方法としましては、前年度から今年度、さらに来年度にわたりまして、各省庁から欠員が出ました定員を、三年間で五%いわば供出していただきまして、その欠員でもって行政需要の緊急なところには配置をするし、不急になったところからは供出を出したままで、他日の活用する定員財源にするというふうなやり方でございますから、なま首を切ることもないと同時に、強制配置などということは原則としてあり得ない。また場合によりまして、現につとめておる人をどこかに配置がえすることもあり得るとは思いますけれども、それはむろん本人の意向、能力等も勘案して、合理的になさるべきことも法案の成立の趣旨から申し上げましても当然である。さような考えでおる次第でございます。  なお、労働強化になって云々という御指摘もございましたが、少数精鋭で行政需要に応ずるということが、労働強化などと言われるいわれはないとは思いますが、このことを実施するにつきましては、別途、人事院の勧告等にもお触れになりましたけれども、それらを含めまして、公務員の待遇改善ということも、あわせ考えられつつ運用することが望ましいと存じております。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 そういう点でいろいろと論議したいのですが時間がございません。  それからもう一点、本日からその総定員法が成立するまでの間、法律で定められたワクからはみ出した二千人以上の公務員のことが問題になっております。これらの具体的な処置をどうなさるかお尋ねいたします。高辻法制局長官も、こういう問題は困ったというようなことが新聞談話に出ておりましたが、その点いかがでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 失礼いたしました。実はちょっとほかのことを考えておりまして、ただいま伺ったところでわかりましたが、お尋ねの趣旨を間違えるといけませんので、こういうことでございましょうか。要するに、総定員法ができないといたしますと、三月三十一日限りの政令で置かれたものが、一体どういう関係になるか。これはもう率直に申し上げて、はみ出した定員の存在というものは、何としてもこれは違法の状態にあるということは言わざるを得ない。私どもは、やはりそれが国会のお取り扱いいかんにかかわるものではございますけれども、それか国会での――これはよけいな推測かもしれませんけれども、違法の状態に置くことが本旨であるとは思われない。したがって、私どもの念願といたしましては、定員法の施行、これを四月一日にあわせることによって、そういう違法な状態がないようにしていただきたい。これはよけいな申し分かもしれませんけれども、とにかく違法の状態があること、これをやはり新しくできる法律において、治癒するような、要するに適法の状態に置くような、そういう御措置をぜひお願いしたいと考えております。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 では次に、建設大臣にお伺いいたします。住宅問題は、依然として庶民の生活の中で大きなウエートを示しておりますが、政府は低所得者向けに公営住宅の建設を推進してきたわけですが、いまだ目的の達成には私はほど遠いものであるように思います。この時点で公営住宅法を改正しようとしていることは、政府の住宅政策の貧困を裏づけるようなものだと私は思っております。公営住宅法改正の目的はどこにあるのか、詳しく御説明を願いたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。  住宅環境の整備、また、住宅建設の促進は、佐藤内閣の最も重要な課題として鋭意その達成に努力をいたしてまいっているような次第でございます。御指摘になりました公営住宅は、いまさら申し上げるまでもございませんが、低所得者の方々が非常に住宅を求めておられる。困っておられる。これらの方々に低家賃で供給をいたす。すなわち、国が補助をいたしまして、地方公共団体に建設及び管理をしていただくというのは申し上げるまでもございません、公営住宅の目標でございます。この制定が二十七年に行なわれまして以来、もう二十年近くになろうといたしておりますが、ここにお入りいただいておる勤労者の方々で、もう十数年に達しまして、各会社あるいは職場においてはもう管理職――部課長以上の収入を持っておられる。すなわち十数万円も所得を持っておられる方々が入っておられる半面に、住宅なくして毎日非常に困っておられる低所得者の方々が数多くある。これを考えますと、私は社会正義感の立場から、また、社会公平の立場からこれを解決しまして、低所得者の方々に住宅を提供するということが私は正しい政治の姿勢だと、こう考えまして、これらの方々にひとつ立ちのきをお願いする。しかし、それも決して無理を申し上げるのではなくして、よく話し合いをいたしまして、そして猶予期間も十分設けまして、ことに御家族などに病人等がありました場合には猶予もする。また、お困りの方々には後に入っていただく公団住宅にはお世話をいたすと、こういうようなことで、公営住宅法の改正をいま審議をお願いいたしておるような次第でございますので、私はこの法改正は最も正しい住宅環境整備、また、正しい意味の低所得者に対する愛情のある住宅政策だと、こう考えておる次第であります。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 次に公害と身障者問題を厚生大臣にお尋ねしますが、まず、公害の問題ですが、明治以来、特に戦後の日本の急速な経済発展は、公害を無視することによって達成されたという学者がいるほどでございます。国民の大多数が多かれ少なかれ公害をこうむっているわけでございます。政府は、大気がよごれ川、が濁り、魚や作物が食えなくなるまでその対策を考えようとしません。病人が出て死ぬ危険にさらされて、初めて公害病の認定をする始末でございます。これでは公害を受けた住民は政府をのろうのは当然でございます。政府は、すみやかに公害をまき散らすあらゆる公害の元凶に対し、断固とした処置をとることは言をまちませんが、それとともに、今後はすべての公害に対する予防措置を一そう徹底して、積極的に推進する必要があると思います。予防という見地に立った政府の基本的な考えがあれば、あわせてお伺いしたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 公害問題は、おっしゃいますように、もう数年前からの問題でございましたが、ようやく一昨年に公害対策基本法をおつくりをいただきまして、それをもとにいたしまして今後公害源の発生を除去する。同時に、公害によって悩んでおられる人たちを社会保障の手によって救ってまいって、そうして今後住みよい日本の社会をつくり上げてまいりたい、日本の産業の発展も公害のないような状態における産業の推進につとめてまいりたい。生産関係の各省とも連絡をいたしながら、政府一致をいたしましてその方向に進んでおります。本年の予算におきましても、公害につきましては特別の重点を払っていま御審議をしていただいておるわけでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 私は各施設を回りまして、園田厚生大臣とともに斎藤大臣は非常にこういういろいろな問題について御理解があるということを各施設で聞くのですが、そういう点について、時間もございませんので飛ばしますが、大臣、あの成人の重障者の施設というものはございません。そういう点、まだまだ対策は手ぬるいと思いますが、ひとつそういう不十分な点を何とぞよろしくお願いして、私は厚生大臣への質問を終わらしていただきます。  続いて、最後にもう一点、総理にお伺いして私の質問終わらしていただきます。  このことは、参議院議員の選挙でもあればよく問題になるのでありますが、いわゆる二院制における参議院の性格といいますか、機能についてであります。明治憲法下における貴族院と違いまして、現在の参議院は国民から直接選ばれているわけでありまして、これはちょっと余談になります、私事でたいへん恐れ入りますが、私が当選した当時、自分のことを代議士とテレビで言ったことがあります。それを週刊誌がとりまして、タレント議員の知能指数はあんなものだと、代議士は衆議院であって、参議院は国会議員というのだというふうに言われましたが、ぼくは国民の代表であるから代議士でも間違いじゃないと、そう思っておりますが、それはさておきまして、参議院の存在価値は、国会の審議を慎重の上にも慎重を期するためにあると思っております。そういった点で私は疑問に思うのですが、一会期中には数多くの法案が提出されます。たまに参議院先議というような法案が回ってきますが、いわゆる重要法案というものは衆議院で可決後でないと送付されてきません。年度末とか会期末の押し迫った時点での審議は、慎重の上にも慎重という点では難点があるのではないかと私思います。衆議院と並行していわゆる予備審査をもっと活用してはと思うのですが、いかがでしょうか。参議院の特殊性を強める意味からも必要でないかと思います。国会対策のことになると思うのですが、自民党総裁である佐藤総理としての御意見をお聞かせ願います。それをもちまして私の質問を終わらしていただきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのは、むしろ自民党総裁としてのお答えと言ったほうがいいと思います。両院議長、もちろんこの二院制、十分成果をあげて、そして国政に支障なきを期する、このたてまえで両院議長とも努力しておられると思います。そこで私どもも、それぞれの政党がそれぞれの所属議員を衆参両院それぞれ持っておるわけですから、どうかこの両院がうまく調和いたしまして、そうして二院制度の成果をあげるよう、これをひとつ努力していただきたいと思います。いままではしばしば、衆議院の方がおこるかわかりませんが、参議院の方はみずから良識の府だと、こういうことでほんとうに良識的な政治活動を続けてこられたと思っております。そこで、いま言われるように法案等の審議におきましても、政府はこの両院にお話をいたしまして、できるだけ一方に片寄らないでできるだけ分けてやることが審議の上から見ましても効率がいい、かように思うのでございますが、なかなかそうもいかないところがあるのでございます。そのことになると、政府は議会に対してはよほど弱いのであります。これはどうも議会を政府がコントロールするわけにまいりません。これは独立の立法府であります。そこで両院でよく話し合っていただいて、そうしていわゆる先議権云々ということもものによってはありましょう。たとえば予算のごときものははっきりいたしておりますけれども、法案等については両院において適当に分けて、そうしてものによっては、ただいまお話しになりましたように予備審査をするとか等によりまして、十分審議の成果をあげるよう、この上ともやるべきではなかろうかと思います。ただいまそういうお話がありましたので、これは各党とも山田君のお話を伺っておりますから、これからそれぞれ議運等の運営におきましても、ただいまの少数意見は尊重される、かように私は確信をしておりますので、そういう意味で、私もまた自民党の立場において私の考え方を率直に披露した次第であります。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 時間が延びたことをおわびいたします。どうもありがとうございました。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上で山田君の質疑は終了いたしました  以上をもちまして締めくくり総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。  総予算三案の質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) それではこれより三案の討論に入ります。  通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。村田秀三君。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十四年度予算三案に対し反対の討論を行なわんとするものであります。  本委員会の質議を通じて明らかになったことは、佐藤内閣の政治姿勢が、外交、防衛、財政、経済の運営各般にわたって国民無視の政策が続けられ、憲法を形骸化する拡大解釈は、もはや国民の黙過し得ないまでに達したと見られることであります。しかもそこから起きる国民の批判や不満また要求は、強権をもって制圧しようとするかまえを一そう強めつつあることは、権力政治の強化として容認できないのであります。  すなわち今国会論議の最大の焦点は、沖繩返還の態様と日米安保条約との関係でありましたが、総理は口で憲法尊重を唱え、かつ非核三原則を厳守することを約束し、また返還の態様は白紙であると言いながら、沖繩における米軍の核兵器が戦争抑止力として有効に作用していることを異常なまでに強調し、また「防衛的核兵器の持ち込みは政策上の問題であり憲法違反にならない」と言い、かつ「早期返還なら核基地の容認を核抜きなら早期返還絶望」などと言っていることは、核アレルギー解消論と相まって、核兵器を国民に押しつけ、核安保体制へエスカレートしようとするものであり、そのまま中国敵視政策のあらわれとなり、朝鮮問題と関連してアジアの緊張を激化し、日本の平和を一そう危うくするものとして国民の断じて許すことのできない問題であります。  また財政、経済の運営にいたしましても、国民を無視し大資本に奉仕する政策は容認できないのであります。すなわち貿易及び資本の自由化に対応し国際競争力を充実すると称し、民主的経済諸法規を無視し、かつ計画的な信用インフレ政策をてこにあらゆる助成措置の上に巨大資本の実現を促進してまいりました。その結果、わが国経済は昭和四十一年以降、年率二八%をこゆる成長率を示しましたが、この繁栄は、極言すれば、巨額の国債発行と通貨の増発、銀行及び企業間信用の膨脹、物価騰貴による数字の上の成長であり、通貨を現物資産に換価できる産業や資本家の富を蓄積いたしましたが、汗して働く勤労国民の実質所得は低下し、零細な貯蓄、年金積み立て金などは著しく減価せしめられ、生活基盤を破壊されているのであります。そして無計画な財政、金融、経済の運営は産業間格差、地域間格差また階層間所得の格差を増大させ、交通事故、公害、犯罪を激発せしめ、国民の生活を圧迫し、不安を増大せしめていると言わねばなりません。  以下予算三案に対する問題点を指摘し、反対の立場を明らかにいたします。  まず第一は、インフレ、物価引き上げ予算であることを指摘をいたします。政府は、この予算を景気警戒中立型と言っておりますが、実体は経済の名目成長率一四・四%をこえ一五・八%にふくらんだ、むしろ景気刺激型、インフレ促進の予算であると言わざるを得ません。それのみか、過般、衆議院運輸委員会において混乱を引き起こした国鉄運賃一五%の引き上げが運輸関係産業に波及することは、あいまいな政府答弁でも明らかであり、末端価格の上昇が、予測できる自主流通米の導入なども加えて、四十四年度消費者物価は、政府見通しの五%をはるかにこえることは、あまりにも明白であります。毎年引き続いて五%台の物価上昇率を見込まねばならない経済の運営は、政策的なインフレ造成であり、反対であります。  第二に、社会保障無視の予算であります。社会保障関係費は全体で一五・八%の増額といわれておりますが、昨年十二月、予算編成を前にして出された社会保障制度審議会の悲願とする申し入れば生かされておりません。すなわちわが国の社会保障を、昭和四十五年において西欧諸国の昭和三十六年水準までに引き上げようというものでありますが、むしろ佐藤内閣が成立した昭和四十年度以降停滞し、経済社会発展計画に示された昭和四十六年度には、国民所得に対する振り替え所得の比率を昭和四十年の五・五%から七・五%にする計画を手直しし、依然として五・五%に据え置くことは、佐藤内閣の社会保障無視のあらわれと言わざるを得ません。しかも社会保険関係では貨幣の減価がそのまま年金生活者に被害を与え、二万円年金と称する若干の手直しが、さらに第二の税金といわれる保険料の引き上げとなってあらわれることは容認できないのであります。  それとともに、予定される健康保険特例法の延長は、国民と国会に対する固い約束を捨て去るものとして、これまた許すことはできないのであります。  第三に、国民不在、農民無視の農政であります。国民の生命をささえる食料の供給は数量、価格ともに安定的にならなければならないはずであります。しかしながら現状は、需給の不安定が価格の変動となり、この循環作用を恒常的にしていることは、生産農民ばかりでなく、国民としても不満のあるところであります。にもかかわらず、生産と消費の安定を保証する唯一の食管制度を骨抜きにし、自主流米通制度を導入したことは、政府の現状確認の答弁はあっても、将来に不安を残すものであり、農産物の輸入政策の拡大と相まって農村を破壊するであろうことは間違いないところであります。  第四は、あまりにも資本、資産を優遇し、大衆にはいかに重税であるかということであります。四十四年度は空前の一兆二千億円の自然増収が見込まれるにもかかわらず、所得税減税はわずかに一千五百億円にすぎず、自然増収に対する過去の減税率二二%を下回り、逆に租税負担率で昨年度の一九・三%から一九・七%に上昇していることは、減税どころか増税といわねばなりません。その反面、資本優遇の租税特別措置は四十一年不況期に税率を引き下げたままであり、連続的好況の今日でも復元しないために、本年もまた国税のみで三千二百億円の減税が行なわれるのであります。そして配当所得者の課税最低限は五人家族二百八十二万円、勤労所得者は九十三万円であることを比較して、いかに資産優遇の税制であるかを知ることができます。  第五の問題は、安保型治安強化の予算であるということであります。政府は、財政硬直化を理由として公務員賃金の抑制、受益者負担を強化して社会資本、民生費を押える反面、防衛費は予算要求を大幅に認め、自衛官六千人の増員をはかり、一機二十億円の戦闘爆撃機F4Eファントム百四機の購入を決定したことは、憲法の精神をさらに踏みにじるものとして許すことはできません。と同時に、警察官五千人の増員は明らかに七〇年に備え、政治に対する国民の不満や批判を強権をもって押えつけようとする反民主的な治安対策として許すことはできないのであります。  最後に、大学問題がいよいよ深刻化しつつ国民の前に暗影を投じております。戦後二十余年、積み重ねられた、資本主義競争激化の社会機構、諸制度の矛盾が教育と学問の場を通じて一挙に吹き出したと見ることができる本問題の解決は、各般にわたって根本的に考究対処しなければならないにもかかわらず、単に管理体制を強化し、学問それ自体を体制内に一そう密着させようとしていることは、学問の自由を破壊するものであり、むしろそのことのほうが大学問題の将来に暗影を投ずるものとして反対するものであります。  以上幾つかの特徴的な反対理由を述べましたが、本予算案の編成が当初の方針より大幅に膨脹したことは、選挙対策型予算であると巷間うわさされるごとく、党利を優先し、国民の生活を無視  したものと断ぜざるを得ないのであります。このような国民不在の予算案に対し、わが党は断固反対するものであります。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 小林章君。

小林章自由民主党

○小林章君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十四年度一般会計予算外二件に対し、賛成の討論を行なうものであります。  わが国の経済は、国民各位の卓越した能力と勤勉、そして、わが党の経済政策を背景とする政府の政策運営のよろしきを得まして、昭和四十年度の不況を克服し、その後三年にわたり、一貫して拡大の歩みを続けてまいりましたが、さらに四十四年度の経済も順調な拡大基調は続くものと予想されております。国民総生産の規模も、いまや自由世界で第二位の五十七兆八千六百億円が見込まれるようになりましたほか、国際収支におきましても、外貨準備高は初めて三十億ドルを突破することになりました。このような繁栄は、わが国が、かつて経験したことのない長期にわたるものであり、あらためてわが日本民族に対する自信を強め、かつまた、わが党政府の適切なる政策によるものとして御同慶にたえないところであります。同時に、国際経済社会におけるわが国の地位と信用とそして責任が、一段と重きをなしてくることを感ぜずにはおられません。しかしながら、海外の通貨、経済情勢は、アメリカ、ヨーロッパ等を通じ、必ずしも楽観を許さないものがあります。また、わが国内におきましても、消費者物価上昇の動きは、依然として根強いものがありますし、一部には景気のかげりがささやかれ、今後の経済の安定発展に対する不安もないわけではありません。均衡のとれた経済の安定と発展は、わが国の政治に課せられた最大の使命であると考えます。政府と国民が一体となり、一段と固い決意をもって臨むならば、過去の実績の示すとおり、わが党内閣は、十分その使命を果たし、国家と国民の繁栄と幸福を向上するであろうことは確信して疑いません。  このような使命をになったわが党内閣が編成した四十四年度予算は、前年度予算に引き続き、これらの諸課題にこたえて施策の前進をはかるため、財政体質の改善をはかり、また、物価の安定に特段の配慮を加えるほか、重点施策に財源を適正に配分しており、私はこの予算の内容を是とするものでありまして、以下その内容につき、若干の所感を申し述べてみたいと存じます。  第一は、財政の規模についてであります。昭和四十四年度の一般会計の総額は、六兆七千三百九十五億円でありまして、対前年比、一五・八%の増加となっております。これを、名目経済成長の伸び率、一四・四%と比較して四十四年度の財政は、現在の景気に対し刺激的であるという意見が一部にありますが、財政の景気に及ぼす影響という点では、政府の財貨サービス購入の伸び率によって見ることが妥当であり、その伸び率は一二・三%で、名目経済成長率より低く、この面から四十四年度の予算が景気に対して刺激的であるという批判は当たりません。むしろ景気に対して警戒的に配慮していると思うのであります。その他あとで述べますように、大幅な公債減額を織り込むなど、四十四年度予算は警戒中立型の予算で、まことに時宜を得た規模のものであると考えます。  第二は、公債政策についてであります。四十年度末に公債政策を導入し、四十一年度から本格的な建設公債を発行したわが国財政は、それまでの収支均衡の財政運営から、国債を抱いた財政運営に質的転換をしたことは御承知のとおりであります。当初、世間の一部には、いまのわが国で一たび国債が発行されると、とどまるところを知らず増発され、財政インフレは必至であると、不安に満ちた評価もあったようであります。しかしながら、私が申し上げるまでもなく、インフレが起きないどころか、四十、四十一年度の国債発行によりまして、デフレ不況は克服されたばかりでなく、その後、長期の経済成長が続いております。この一事をもってしても、わが党並びに政府の公債政策が正鵠を得たものであったことがよく理解できるのであります。ところで、経済が好況で、税収等の経常収入が順調のときには、公債発行を抑制して他日に備える必要があります。現に景気の好調とともに、その発行額は毎年度減額されてまいっております。四十四年度予算におきましても、前年度に比し、一千五百億円減額して、四千九百億円となっております。これによりまして、一般会計歳入中における公債依存度は、前年度の一〇・九%から七・二%と、かなり引き下げられておりまして、政府の財政に対する節度が十分うかがえるのであります。今後とも、公債政策の健全にして弾力的な運営を期待するものであります。  第三は、税負担の軽減をはかったことであります。今回の税制改正におきましては、広く国民各層の意見をいれ、中小所得者の負担軽減を主眼とし、所得税では平年度一千八百二十五億円にのぼる大幅な減税を行なっております。課税最低限の引き上げ及び給与所得控除の適用範囲の拡大を行なうほか、過去十数年来見直されなかった税率構造に手を加え、その緩和をはかったことであります。これによりまして、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限は、十万円引き上げられて九十三万五千円となりましたほか、中堅所得層以下の税金が久しぶりに軽減されております。このような大幅の所得減税は、他の自営業者等と比べ、不利な立場にあるといわれるサラリーマン諸君の声に対する政治の配慮として、まことに時宜を得たものと思うのであります。  そのほか、租税特別措置の整備合理化、土地対策の推進、納税者の権利救済制度の改善等、いずれも広く国民の意向を実現するものと言えましょう。  第四は、物価の安定について格段の配慮を加えております。すなわち、米麦及び塩の価格を据え置く方針をとるとともに、公共料金の引き上げは、国鉄運賃を除き、極力抑制することとしております。特に、塩の消費者価格のごときは、三十七年以降値下げまでして、そのまま今日に及んでいるのであります。米価につきましては、財政負担を増額して、生産者及び消費者価格を据え置く方針をとることとしており、これは四十四年度における物価の安定に大きく寄与するものと思われます。また、物価安定を考慮に入れた四十四年度の適度な財政規模と公債発行額の縮減につきましては、さきに申し述べたとおりでありまして、当面の経済情勢に照らし、まことに適切な措置であります。  そのほか、消費者物価上昇要因を解消するため、予算、財政投融資を通じて低生産性部門の近代化をはじめ、流通対策、競争条件の整備などの各般の施策が拡充せられていることも妥当なものと考えるものであります。  次に、国鉄運賃の値上げにつきましては、国鉄の収支が、もし運賃改正を行なわないならば、四十四年度において償却後で大幅な赤字となり、放置すれば四十五年度にはさらに悪化する状況にあることを考えれば、やむを得ないものと考えます。国鉄財政再建のためには、国鉄自身の合理化努力を前提に、政府としても新たに国鉄財政再建債四百八億円の貸し付けと、その利子の全額を補給することとしており、運賃改定とともに、いわば三位一体の措置がとられたものと考えます。  なお、自由主義経済のもとでは、政府の物価抑制にはおのずから限界のあることは申すまでもないところでありまして、政府は率先、みずから努力するとともに、物価安定につき、広く国民各層の理解と協力を求めるよう常に意を尽くすべきであると考えます。  第五は、総合予算主義の堅持についてであります。四十三年度は、政府買い入れ米の予想外の異常増加によりまして、予算補正を余儀なくされましたが、総合予算主義を採用した成果は、わが国財政の健全化のため、相当大きな功績を示したものとして評価するものと考えます。新予算においても、引き続き総合予算主義のたてまえを堅持するとともに、さらにくふうを加え、公務員給与費、食糧管理特別会計への繰り入れ等の補正要因の大きなものを、あらかじめ該当項目に措置しておりますことは、現下の情勢にかんがみ、財政の体質改善に資するものとして当を得たものと思うのであります。今後とも、総合予算主義のもとに、財政運営の適切を期すべきものと確信いたします。  第六は、重点施策に対する財源の配分であります。経済の発展と調和のとれた国民福祉の向上をはかるため、社会保障の充実、社会資本の整備をはじめとして、農林漁業、中小企業の近代化、貿易の振興及び経済協力の推進、文教及び科学技術の振興並びに地方財政の健全化等、限りある財源が適正かつ効率的に配分されておりまして、政府の措置を妥当とするものであります。特に、新規政策として、とり上げられました総合農政の推進についてでありますが、古米の累増等に対処して、農政の綜合的是正をはかり、食糧需要の動向に即応した農産物の安定的供給を確保するため、米管理の改善を行なうほか、農業の生産性の向上と選択的拡大及び農家経営の向上をはかるために各般の施策を総合的に推進せんとして、予算額、融資ワク等を飛躍的に増額いたしておりますことは、今後の農政の発展向上に大きな期待が寄せられるのであります。  以上要するに、昭和四十四年度予算は、みずからの財政体質を改善しつつ、同時に、経済の持続的成長、物価の安定、そして経済の国際化に応ずる体制の確立を達成せんとするものであります。  最後に、内外の情勢はきわめて流動的でありますので、政府においては常に事態の推移を十分把握して、予算の執行にあたっては財政金融政策の適時適切な運営がはかられますよう格段の配慮を願いたいのであります。  以上をもって私の賛成討論を終ります。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 二宮文造君。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十四年度予算三案に対し、反対の討論を行なうものであります。  戦後二十余年間におけるわが国の予算編成は、御承知のような紆余曲折を経てまいりましたが、今日のそれは全くマンネリ化し、清新さを欠き、新しい時代の要請にこたえ得ないほどに動脈硬化を来たしているといわざるを得ないのであります。政府が毎年度に発表する予算編成方針は、焦点の定まらない抽象的、形式的な作文にとどまっているのはまことに残念であります。したがって重要施策と銘打ったものも、どのような価値序列をつけるかどう予算化するかは、全く政府、与党の御都合主義に委ねられることとなり、予算編成や各省庁予算の査定基準となり得ないことは周知の事実であります。  さらに、具体的に予算編成過程を見ますとき、大蔵原案作成前の段階で各省庁とその出先機関化した与党政調部会で事前調整が進められ、大蔵原案発表から政府案確定の段階では、いわゆる圧力団体が幅をきかせ、みにくい予算ぶんどり合戦が演じられていることも、また衆目の一致するところであります。このような事態は、一般国民の眼のとどかない舞台裏で実質上の予算編成が行なわれてしまうという国民の疑惑、声の大きいところには減税も予算措置も行なわれるとの国民の感情等々、そのいずれもが直ちに政治不信につながる重要課題であると指摘するものであります。  議会政治が、多数決原理によって運営されることは当然であります。さりとて、そこには少数意見の尊重もまた不可欠の要件とされているのであります。しかも、過般の選挙におきましては、野党は五〇%をこえる国民の支持を得ているのであります。こうした現実を踏まえますとき、予算編成に当たっては、旧来の慣習を改め、議会制民主主義の本義を最大限に取り入れるべき時代に入っていると痛感するものであります。すなわち、予算編成方針作成の過程において、野党の党首と総理並びに大蔵大臣の会談を開催し、その時点における最重要施策と、それに要する財政措置を最大公約数的に選択する機会を設けるべきではないかと意見を申し述べるものであります。それこそ、マンネリ化を脱却し、ややもすればおちいりやすい政党政治の弊害から、国民のための予算に立ち返る道程ではないかと思うのであります。  以下数点にわたり反対の理由を明らかにしてまいりたいと思います。  第一に、昭和四十四年度予算もまた明らかに景気刺激型の予算であり、物価を押し上げ、国民生活を苦しめる大衆無視の予算であると言わざるを得ないのであります。財政は、連年驚くべき膨張を示しております。いわゆる当然増経費が大きいことは財政当局みずからが認めておるところでありますが、それを是正する具体的努力を示さず、硬直化打開の公約も全く影をひそめていることは大いに責められるべきであります。また、財政規模の形式的膨張を糊塗するため、本来一般会計で処理すべきものを財政投融資計画で逃げたり、国会審議の眼の届きにくい各種の特別会計や、公社、公団等の運営に転稼し、また継続費、国庫債務負担行為の隠れみのを駆使するなど、あえて景気刺激型となった政府の安易な態度を指摘するものであります。  第二に、国債政策についてであります。政府は、四十四年度の国債発行を四千九百億円と見込み、四十三年度より一応千五百億円を減額しているのでありますが、国債残高は四十四年度末で三兆一千九百四十二億円に達するのであります。また、これらを財源とする諸施策が、年度限りのものでなく、継続的な性格を持っていることから、好況時における圧縮、制限を困難にすることは当然であります。さらに、償還費も累積して、四十四年度分は利子支払いだけでも一千五百十五億円が計上されているのであります。四十七年度以降の建設国債の償還が始まると、元本償還のために国債を増発しなければならない事態になるでありましょう。これらは財政硬直化の要因をさらに激化させるばかりでなく、インフレを招き、国民大衆の負担をさらに増大することは明らかであり、政府の猛省を促すものであります。  第三に、減税についてであります。政府は、四十四年度一兆二千億円以上の自然増収が見込まれるにもかかわらず、所得減税はわずかに一千五百億円にとどまっているのであります。しかも、ここ数年間、政府の行なった減税は、その大部分が物価調整のためのものであり、国が徴収する所得税の総額は年々増加しているのであります。いま標準世帯について見ますとき、昭和四十三年の課税最低限は八十三万三千円であり、一方、マーケット・バスケット方式による食糧費を基準とした最低生計費は七十九万七千円となっているのであります。すなわち、生きるためのギリギリの線、最低生活費の中から税金が払われることとなっており、勤労大衆は、いわゆる重税に悩んでいるのであります。国鉄運賃をはじめとする一連の物価上昇の趨勢にある今日の段階においては、わが党の主張するように少なくとも年収百三十万円まで課税最低限を高めるべきでありましょう。  第四に、物価についてであります。国民は、いま政府主導型の物価値上げに失望と怒りをぶっつけているというのが実情であります。国鉄運賃値上げは、やがて私鉄、バス、タクシーのいわゆる便乗値上げを誘発することは必然といわれております。また、消費者米価は据置きとはいいながら、食管会計の赤字補てんのための自主流通米の運用は、うまい米、まずい米の国民の批判を真正面から浴びながら、結局は家計における食糧費支出を増大させることは必至であります。物価値上げはまさに政策の貧困そのものであり、受益者負担、あるいわ利用者負担の原則をそれにすりかえていることを強く指摘するものであります。  その他、治安、防衛関係費におおばんぶるまいをしている反面、生活保護費や身体障害者、老人、児童に対する施策の冷たさ、あるいは住宅、交通、公害防止などの施策のおくれなど、全く国民不在、国民無視の予算案といわざるを得ないのであります。  以上をもちまして私の反対討論といたします。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 片山武夫君。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題になっております四十四年度予算三案に対し、次の理由により反対の意を表明いたします。  第一の理由は、政府の財政政策が、相も変わらず景気循環の成行きにまかせたその場限りに終始しているということであります。政府は、これまで財政主導型のフィスカルポリシーと称して国債発行に踏み切り、財政硬直化打開の名のもとに総合予算主義を唱えてきましたが、その相半ばにして、早くも食管繰り入れを中心として総合予算主義の原則をみずから破っております。特に、昭和四十三年代の国内政策の主要課題は、国民のすべてが待望するところの福祉国家の建設、教育国家の創造にあると考えられるのでありますが、それには財政、経済の総合的計画性なくしては不可能だと思うのであります。しかるに、この予算案では、そのような反省と積極的施策が見られないのは残念にたえません。  第二の理由は、国民の切実なる所得税減税の要求を無視した点であります。明年度予算案では、租税の自然増収が一兆二千億もの多額にのぼっております。従来の例から考えても、当然その二〇%、二千四百億円を減税し、いわゆる百万円減税を行なうべきではありませんか。ところが、政府は、財源難を理由にこの要求を退ける一方、大企業優遇の租税特別措置を温存し、特に利子、配当の優遇措置で実に八百十五億円もの減税を行なっているのであります。まことに不公平もはなはだしいと言わざるを得ません。  第三の理由は、政府みずから物価対策に無策であることをさらけ出していることであります。すなわち、四十四年度の消費者物価の上昇は五%とされておるのでありますが、国鉄運賃の値上げが実施されることによって、政府の予想はもろくもくずれ去ろうとしております。加えて私鉄、バス、地下鉄などをはじめとする公共料金等の値上げも誘発しまじき状況になっておるのであります。なかんずく私鉄料金については、委員会の審議を通じてその抑制をただしたのに対し、ついに確たる解答が得られなかったことは、これははなはだ残念であります。この際、政府において真に物価の安定を期するならば、国鉄をはじめ公共料金の抑制に断固たる姿勢を示すほかないと思うのであります。  第四の理由は、地方住民の福祉軽視の点であります。政府は、地方財政の好転を理由に、当然交付すべき交付金を借り上げておりますが、この措置に対しましては納得ができません。地方財政需要は最近ますます増大しているのであります。あまつさえ住民税の軽減を要求する叫びは日増しに強くなっております。この点政府に猛省を促すものであります。  最後に、社会的不均衡に対する政府の誠意が感じられないということであります。いまやわが国の国民総生産は世界第二位に上昇しておりますが、社会資本と社会保障は先進国中でも最低の部類に属するありさまであります。少なくとも経済社会発展計画の目標を達成しようとするならば、住宅、環境衛生整備費、社会保障費の大幅増額があってしかるべきだと思うのであります。ところが今回の予算案では、それが大幅に下回っている、さらに、われわれの要求する児童手当制度の創設が見送られているということなどは遺憾しごくでございます。  私は、以上の理由から、この予算案をきびしく批判するとともに、政府に猛省を促しつつ、討論を終わります。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 須藤五郎君。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十四年度予算案三案に反対いたします。  反対理由の第一は、この予算案が日米軍事同盟の強化をはかるものであり、危険な戦争の道に通ずるものだからであります。  政府は、沖繩の本土並み返還をちらつかせながら、核つき自由使用の沖繩をかかえ込み、本土の沖繩化をはかろうとしていますが、本委員会での愛知外務大臣の、沖繩に安保条約が適用される前に米軍が持ち込んだものは事前協議の対象にならないという発言や、アメリカにおける岸特使の、沖繩に自由使用基地を認める趣旨の発言は、その意図を暴露したものであります。この目的を達するために、この予算案は、一般会計で四千八百三十八億円、継続費と国庫債務負担行為で二千七百三十五億円という巨額な軍事費が組み込まれております。また、海外経済協力や貿易振興のために、財政投融資を含めて、昨年に比べて二八%増の四千八百九十億円と大幅にふやしております。これは、アジアの反共軍事体制において日本が積極的役割りを果たせというニクソンの要求にこたえて、アメリカのアジア侵略を補強しながら、日本の大企業のアジアへの進出を飛躍的に促進しようとするものであり、またアメリカと日本の大資本の利益のために、日本の人民を戦争と侵略の道に引き入れるものであります。しかも政府は、トロツキスト暴力集団を泳がせ、これを口実に、大学問題を治安問題にすりかへ、大学制度をはじめ、教育制度の全面的な反動的再編成を法と秩序の名により行なおうとしております。このため、警察機動隊二千五百名を含めて、警察官の五千名の増員と、装備の強化、自衛隊の治安出動体制の整備など弾圧体制を一段と強めようとしております。わが党は、このような反動的予算案に反対であります。  第二に、この予算案は、アメリカに従属した軍国主義の復活と、アジア進出の経済的基盤を強め、独占資本に奉仕するものであります。本予算案は、一般会計と財政投融資を合わせて二兆九千億円もの公共事業費を組んでいますが、その大部分は、幹線高速自動車道路、港湾、空港、大企業本位の工業用地、工業用水などであり、また、造船利子補給や石炭対策費など、大企業本位の援助、救済に多額の国費を投入しております。反面、住宅、下水道その他生活環境の改善や公害対策などは全く不十分であり、交通事故対策費や災害対策費に至っては、昨年度よりも減らされておるのであります。  特に第三は、この予算案は以上のような支出をまかなうために一定の役割りを果たしてきた諸制度の根本的な改悪を行ない、人民に対する収奪を一そう強めようとしておることであります。すなわち政府は、物価安定を最重点とすると言いながら、国鉄旅客運賃の大幅引き上げ、電話基本料金の改定など、公共料金の引き上げにより物価値上げの先頭に立っております。特に国鉄運賃一五%の引き上げについては、政府の言ういわゆる赤字なるものは、金融機関へのばく大な利子の支払いや、アメリカ軍と大企業の貨物輸送の増強のための費用を勤労者の犠牲でまかなおうとするためにつくられたものであることが明らかとなりました。しかも政府と国鉄は、これを理由に国鉄労働者十六万人の削減、ローカル線の廃止など、国鉄の大資本本位の再編成計画をあくまで強行しようとしております。  一方政府は、租税特別措置その他で、大企業や大金持ちには一兆数千億円にのぼる減免を行なっておりながら、これには口をぬぐい、サラリーマン減税などと意識的に宣伝しております。自然増収一兆二千億円のうち、所得税減税はわずか千五百億円にすぎないではありませんか。しかもその内容は、重役、部課長クラスなど、一部高額所得者には大幅減税を行なう一方、勤労者にはかえって重税となるものであります。このために、政府は国税不服審判所を新設して徴税体制を強化しようとしております。さらに、総定員法や地方公務員の定年制により合理化を強行し、人事院の勧告制度を踏みにじる不当な見込み賃金を押しつけようとしております。また、自主流通米制度の新設、生産者米価据え置きなどによる食管制度の取りくずしと農地制度の改悪、失業保険と日雇い健保の改悪が行なわれようとしております。  以上のごとく、本予算案は労働者、農民、勤労者市民に一そう過酷な犠牲をしいるものであります。また地方財政では、その交付税の借り上げなどによって地方財政に重大な圧迫を加えております。したがって、わが党はこのような予算案に強く反対するものであります。  わが党は、安保条約の廃棄、沖繩の即時無条件全面返還による日本の独立と中立の実現、国の財政の徹底した民主化を主張します。すなわち軍事費や人民弾圧費、大資本のための海外進出費や公共事業費を削減するとともに、独占企業や大金持ちに対する税の特別の減免をやめ、高度の累進課税を行なうことを主張します。そうしてこれらの財源によって、四人家族で年百二十万円までの免税、物価の安定と賃金の引き上げや、社会保障制度の拡充、住宅、公害、交通安全、災害対策、その他労働者、農民、中小商工業者の生活と経営の改善などによって、日本経済の自主的、平和的発展をはかることを強く主張して、討論を終わります。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、三案の討論は終局したものと認めます。  それでは、これより三案の採決を行ないます。昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算、以上三案全部を問題に供します。三案に賛成の方は起立を願います。   〔賛成者起立〕

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 起立多数と認めます。よって、三案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき三案の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後六時三十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗