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61回国会参議院1969/03/31

予算委員会 第21号

発言数
187
登壇者
19
会派数
3
開催日
1969/03/31

会議録

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  本日は、まず各分科会における審査経過について、主査の方から御報告を聴取することといたします。  それでは、便宜、第一分科会主査小林章君からお願いをいたします。小林章君。

小林章自由民主党

○小林章君 第一分科会における審査の経過を御報告申し上げます。  当分科会の担当は、昭和四十四年度予算三案中、皇室費、国会、会計検査院、内閣、総理府(経済企画庁、科学技術庁を除く)及び外務省所管並びに他分科会所管外事項であり、三月二十九日と三十一日の二日間にわたり慎重に審議を行ないました。以下それら質疑のうち、おもなものについてその要旨を御報告申し上げます。  まず皇室費につきましては、新東京国際空港建設に伴う三里塚御料牧場の移転計画とその進捗状況はどうなっているかとの質疑がありましたが、瓜生宮内庁次長から、新しい御料牧場は三里塚御料牧場の約六割ほどの広さで、若干手狭になるが、従来の飼料生産と競走馬の飼育をやめる方針なので、十分間に合うと思う。目下国際空港公団が、牧場をはじめ職員のための施設等の事業を進めており、夏ごろには移転できると思うとの答弁がありました。  次に国会につきましては、国会職員の待遇改善を中心に、具体的で詳細な質疑が行なわれましたが、これに対し、宮坂参議院事務総長はじめ関係当局から、四十一年度当時二百余名いた行(二)職の職員を毎年度行(一)職へ移行させ、四十四年度末には約九十名になる見通しであるが、行(二)職撤廃の方向で一そう努力する。また速記職については、現行給与表の運用だけでは行き詰まる事態になっているので、抜本的な打開策を検討中である。さらに議院警察職については、俸給表の一、二等級での頭打ちが強まる傾向にあるので、俸給表の足を伸ばすことと、暫定一等の定数をふやすことで対処したいとの答弁がありました。  また、国会図書館にある児童図書が利用できない状態のまま放置されているとの報道についてただしたのに対し、河野国会図書館長より、児童図書は整理されており、閲覧できるが、ただ検索のための閲覧目録が未整備なので、四十四年度に冊子目録をつくる準備を進め、四十五年度には目録を完成し、この種図書の利用を一そう便利にしたいとの答弁がありました。  次に、総理府につきましては、官庁の労使関係の改善、安定のためには、官側が交渉能力のある責任者を配置する必要があるのではないかとの質疑がありました。これに対し、床次総務長官及び人事院総裁より、最高責任は各省庁の大臣であるが、問題により人事課長、会計課長などが交渉に当たっている。さらに中央交渉機関としては、総理府人事局が当たっており、労使関係の安定には今後も一そう努力をしたいとの答弁がありました。  次に、防衛庁につきましては、沖繩返還、四次防など、将来のわが国防衛力の拡大傾向を考えると、兵器国産化が産軍協同に結びつく危険があるのではないか。また、北富士演習場の入り会い保証料が第一組合からの脱退者に支払われていないのはなぜかなどの質疑がありました。これに対し有田防衛庁長官から、兵器の国産化は防衛の性格上、適時、適切に調達できることが必要であり、また国内科学技術の進歩向上に果たす役割などを考えて進めており、むやみにエスカレートすることはない。入り会い保証料の支払いは、入り会い権の性格と、返還後の北富士演習場の使用転換を円滑に進めるためにも、円満な解決を期待しており、せっかく努力中であるとの答弁がありました。  次に、外務省につきましては、施政権が返還されたあとの沖繩への安保条約並びに事前協議条項の適用について質疑がありましたが、これに対し愛知外務大臣から、安保体制の堅持を基本方針としている政府の立場からは、返還後の沖繩に安保条約が適用されるのは当然である。また、事前協議も本土の場合と同様、米軍の配置、装備等に変更がある場合は対象になると思う、との答弁がありました。この答弁に対し、それでは現在沖繩に配置されている米軍や、装備並びに核基地等が存続する場合は、事前協議の対象にならない危険があるのではないかとの質疑に対し、愛知外務大臣より、極東の安全確保とわが国の安全保障のために、必要にして十分な備えを沖繩にする必要があり、自衛隊の配置、米軍の駐留、基地の態様等については目下検討中で、事前協議の対象、範囲等につき特別の定めをするかいなか確定しておらず、白紙の立場であるとの答弁がありました。  このほかにも、各所管事項にわたり熱心なる質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上御報告申し上げます。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、第三分科会主査秋山長造君からお願いをいたします。秋山長造君。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 第三分科会における審査の経過を御報告申し上げます。  第三分科会の担当は、昭和四十四年度予算三案中、農林、運輸、郵政及び建設の四省所管に属するものでございます。  分科会は、一昨二十九日及び本日の二日間開会し、慎重に審査を行なってまいりました。以下質疑の概要を簡単に御報告申し上げます。  まず、建設省所管におきましては、建設工事に関連した爆発事故防止問題、有料道路の無料開放の問題、市街地改造法の適用問題、児童公園の設置問題等について質疑が行なわれました。このうち児童公園の問題につきましては、国有農地を児童公園に転用することについて、建設省はどう考えているか、との質疑に対し、建設省当局から、児童公園は一万人の人口に対し四カ所ぐらいつくる方針で努力しているが、用地確保が困難なので、特別起債等により用地の取得に努力している。国有農地は全国で三百八十ヘクタールくらいあり、そのうち二百十ヘクタールは公園に利用できるので、農地法上の措置等について農林省に依頼中である、との答弁がありました。  次に、郵政省所管におきましては、郵便事業機械化のための自動読み取り区分機の問題、年賀はがきの寄付金配分の問題、郵便事業の収支、電信電話の長期計画と料金値上げの問題等について質疑が行なわれました。このうち、郵便事業の収支状況及び電信電話の長期計画と料金値上げの問題につきましては、郵便収入の現状と今後の見通しはどのような状況にあるか、電信電話の料金値上げは見送られているが、長期計画との関係はどうなるのか、との質疑に対し、郵政省当局から、郵便事業の財務状況は、四十四年度は収支償うが、四十五年度は数十億の赤字が予想される。電信電話の長期計画については、九百三十万の加入電話の達成に努力している。今後の問題としては、独立採算のたてまえから一二・五%の料金値上げをお願いしているが、四十四年度は若干の合理化で対処し、四十五年度以降の問題は七、八月の収支状況を見て考える、との答弁がありました。  次に、農林省所管におきましては、国有農地の転用問題、農家主婦の労働問題、乳価の問題、自主流通米、蚕糸業などの問題について質疑が行なわれました。このうち自主流通米の問題については、今回の自主流通米制度の採用は、すでに間接統制に踏み切ったものとも言われているが、そのように理解してよいのかとの質疑に対し、農林省当局から、自主流通米は、現行の食管制度を維持しつつ、政府の画一的統制という経路を通さずに、需給に対応させていこうという考え方であり、自由市場を前提とし、一定のときだけ政府が介入するといういわゆる間接統制とは違う、との答弁がありました。  最後に、運輸省所管におきましては、国鉄の財政再建と赤字線の払い下げ、運賃値上げ等の問題、都市近郊の電化の促進問題、空港整備の問題、過疎地帯におけるバス路線確保の問題などについて質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、第三分科会の担当予算全部の審査を終了した次第でございます。  右御報告申し上げます。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、第四分科会主査矢追秀彦君からお願いをいたします。矢追秀彦君。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 第四分科会の審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会の審査の対象は、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管予算でありますが、去る二十九日と本日の二日間にわたり慎重審査を行ないました。その詳細につきましては会議録でごらん願うこととし、ここでは質疑のあらましにつき簡単に御報告いたします。  まず、自治省所管でありますが、四十四年度予算に計上されている電子計算機の導入費に関し、その利用計画はどうなっているか。いかなるデータであれ、電算機にかけられたものは公表すると約束できるかなどの質疑がありました。これに対しては、この四月から電算機を採用し、当初は単純計算から始め、将来は高度の解析計算にまで進める計画であるが、それまでには何回か試行錯誤を重ねることになると思う。電算機にかけたものを秘密にするなどの考えはないとの答弁がありました。  その他、身体障害者の在宅投票権の問題、首都の行政改革問題と区長公選制の是非、地方公務員制度研究委託費、選挙常時啓発費並びに機動隊に支払われている危険手当の内容、性格のほか、地方道路譲与税の配分問題、宅地開発税の創設並びに大都市税財源強化の問題等につき活発な質疑が行なわれました。  次に、文部省所管につきましては、九州大学井上教授の学長事務取扱の任命問題をめぐって、九大当局の上申に対し文部省が任命を渋っているのは大学自治への侵害ではないかとの質疑がありましたのに対し、坂田文相は、大学の自治はもとより尊重するが、管理者として客観的に明らかに不適当と思われる場合は、任命権者としての立場から拒否することもあり得る。ただいまは井上発言の真意を確かめた上で判断しようと、その点を問い合わせている段階で、任命しないときめているわけではない。この際九大当局から何らかの回答があってしかるべきだと考えているとの答弁がありました。  このほか、日本大学の再建に対する文部省の対策及び辺地小中学校における本校、分校の配置基準と教員定数並びに学級制の問題などにつき熱心な質疑がありました。  さらに、厚生省関係では、現下の看護婦不足の問題が大きく取り上げられました。すなわち、政府は、すでに鈴木厚生大臣の当時、四十五年度には看護婦の充足ができると言明していたのに、現在なお十万人から不足を生じているばかりか、夜間勤務は一カ月に八日以内、一病棟に二人という人事院判定も何ら守られていないのはどうしたことかとの質疑に対し、政府側の答弁は、四十四年度に准看を含め千六百名を養成する計画で、予算も前年度より一億二千四百万円程度多く組んであるが、もちろん、これで十分とは考えていない。今後は、これまでの計画をさらに洗い直して、大蔵省とも十分折衝し、改善していきたいとの趣旨でありました。  なお、このほか、原爆被爆者の補償問題、保育所五カ年計画の進捗状況及び最近厚生省でまとめたカドミウムによる環境汚染調査結果に対する詳細な質疑がございました。  次に、科学技術庁所管につきましては、現在、中部電力会社が静岡県浜岡の地に計画中の原子力発電所の設置について、人口密度の高い浜岡に原子力発電所を設置することは原子炉の安全性から見て不適当ではないかとの質疑がありました。これに対し、政府側から、原子炉の安全性については認可前に十分審査する必要があり、浜岡の場合は原子力委員会の指針に合致しているということで計画されているものと思うが、なお中部電力からの申請を待って慎重に審査し、住民に不安のないよう対処したい考えであるとの答弁がありました。  このほか、濃縮ウランの開発状況、プルトニウム再処理工場の安全性、水戸射爆場の移転問題などについて質疑がありました。  最後に、労働省関係でありますが、通勤途上の交通災害に対する補償問題、自賠法による補償金の限度額の問題のほか、看護婦の夜勤問題をめぐる紛争、女子の労働基準法違反状況、技能労務者不足対策等々の問題について質疑がありましたが、省略させていただきます。  以上をもちまして、第四分科会担当予算の審査を終了した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、第二分科会主査川上為治君からお願いをいたします。川上為治君。

川上為治自由民主党

○川上為治君 第二分科会における審査の経過を御報告申し上げます。  当分科会は、経済企画庁、通商産業省、大蔵省、法務省及び裁判所の各所管に属する昭和四十四年度予算を担当いたしました。審査は、三月二十九日と三十一日の両日にわたり、各所管について担当大臣より説明を聴取し、名委員より真摯な質問を行ないました。以下質疑及び政府説明中、おもなものについて、その概要を御報告申し上げます。  まず、昭和四十四年度予算の基本的性格について、編成途上で景気抑制型から警戒中立型に変わった理由は何か、景気が好調であるのに依然公債発行が続けられており、いまや定着化した観があるが、今後公債政策から脱却する考えはないか、などの質疑に対して、大蔵大臣から、編成方針が途中から変わったわけではなく、内外の情勢見通しがはなはだ困難なので、あらゆる事態に対処し得るよう警戒中立型の予算を編成したものである、公債政策は景気調整と同時に、国づくりに必要な行政需要をまかなうためのものであって、節度ある公債政策を今後とも続けていく考えであり、毎年二千億円程度の発行があっても財政上何ら心配はないとの答弁がありました。  次に、物価と料金の問題につきまして、あらゆる角度からの質問があり、特に国鉄運賃の値上げにつきましては、各委員から熱心な質疑が行なわれ、それぞれ政府及び国鉄当局から詳細な答弁がありました。  そのほか、経済社会発展計画の改定作業はどの程度進行しておるのか、今後の経済成長率をどのように見ておるか、国民総生産は自由世界で第二位であるのに、一人当たり国民所得が第二十位程度に停滞しているのはいかなる理由であるのか、外貨準備は三十億ドルをこえたが、今後は内容を多様化する必要があると思う、金・ドル以外にマルクなど保有する考えがあるかどうか、税の負担が法人と個人で非常な格差があるが、是正する考えはないかなどの点について質疑があり、それぞれ政府当局から答弁がありました。  そのほか、万国博覧会の工事進捗状況と運営及びあと地の利用計画、東北開発株式会社の福島製鋼への譲渡契約の内容、通産事務官の汚職原因並びに通産省の行政機構改善の方針、少年院の給食事情及び二十周年を迎え記念事業の考えがあるかどうか、法務省入国管理局長の台湾訪問の意味、出入国管理法案の内容、国選弁護人の報酬引き上げ、刑務所構内における養豚事業、刑務所職員の待遇、法務大臣の記者会見発言などにつきましても熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。  以上をもちまして、第二分科会が担当いたしました予算審議の全部を終了した次第でございます。  以上、簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、各分科会主査の御報告は全部終了いたしました。  午後一時十五分再開することとし、これにて休憩をいたします。    午後零時四十一分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  昭和四十四年度一般会計予算外二案の締めくくり総括質疑を行ないます。秋山長造君。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 今日までの私どもの論議を締めくくります意味で、幾つかの問題点について佐藤総理に御質問いたします。  予算委員会もいよいよ最終段階でありまして、この席から総理の御所信を伺う機会もしばらくこないと思いますので、院外の国民諸君にもよくわかるように明快な率直な御答弁をまずお願いしておきたい。  まず第一は、日本をめぐるアジア情勢全般について総理の御所見を伺いたい。その一として、米ソ関係が今後どういうように推移していくかという米ソ関係の見通しをどう見ておられるか、お伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ米ソ関係、これはもう国際的に、ただひとり日本ばかりではない、各国とも米ソ関係はどうなるかと、たいへん関心を払っておる問題だと思います。申すまでもなく、両陣営を代表する最も強大国でありますから、その二つがどうなるか。最近、ニクソン大統領が欧州を訪問し、もちろん直接ソ連と交渉を持ったわけでもございませんが、その背景にはやはりソ連を考えながら欧州を訪問した、このことは十分の成果をあげている。両陣営が相互に平和共存、そういう方向で話し合っていこう、こういう方向をただいまたどっておる、かように見ております。在来から両国間の関係は共存関係にある、その間に別に危険なものはないように思っておりますが、大統領のかわった今日も依然として両者の関係は友好親善、その形において交渉が進められておる、かように私は見ております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 その二として、問題の中ソ関係でありますが、中国とソ連との関係についてはどういうように見ておられるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の中ソ国境紛争等を見まして、私もたいへん心配しております。日本の近隣の国、ことにそのうちの二大国、これが中共とソ連だと、かように思っておりますが、ウスリー川等の問題で紛争をしている、このことが拡大されてはたいへんだと思います。しかし、外交ルートはそのまま残っておりますので、まだ話し合う機会が十分あるのだろうと、かように思っております。私どもこの成り行きについて、両国が話し合いによってこの問題を解決されることを心から願っており、またそうあるべきだと、かように思っておりますので、ただいまは一部で心配しておるような激化の方向にはいかないだろう、かように私は見ております。またそういうように両国がぜひつとめていただきたい。それがアジアにおける諸国の願いでもある、ただアジアばかりではない、国際的にも両国が紛争を拡大しないように、話し合いでぜひ問題を片づけていただきたい。かように心から願っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 この問題について、まあ日本の政府はソ連側と外交ルートがすでにあるわけでございますが、何らかの外交ルートを通じて、双方が自重するようにという働きかけのようなことをなさった事実があるか、またなさるおつもりがあるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御承知のように、私どもはソ連とは外交ルートはございます。中共とはいわゆる政経分離の形において交渉を持っておるだけであります。したがいまして、ソ連に対しては私どもの感じを率直に訴えることはできると思います。ただいままでさような処置はとっておりませんが、ただいまこの機会に国会を通じて私どもの日本政府の考え方、同時にまた日本国民の願い、それを率直にただいま御披露いたしましたので、この関係は北京におきましても、またソ連におきましても、十分、日本国民の考え方、また日本政府の期待、そういうものは理解してくれると、かように私は思っております。この機会を通じて——これは国会の場でございますから、それだけに有効ではないだろうかというように思います。しかし、なお必要あれば、私どもさらにソ連と直接交渉を持つことはやぶさかではございません。これだけ申し添えておきます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 中ソ対立の問題は、政治的あるいは軍事的というようなことだけでなしに、経済的、さらに文化的、思想的、いろいろ複雑な問題がありますから深くは触れません。ただ、ここで一言だけ聞いておきたいことは、例の一九五〇年に結ばれた中ソ友好同盟条約、この中ソ友好同盟条約はいずれも別に廃棄したわけじゃありませんから、形式的には残存しておると思いますけれども、しかし、形式でなしに、実質的に中ソ友好同盟条約というものは生きておるんだとお考えになるかどうか、総理の御判断を。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは私ども直接関係はございませんし、中ソ両国できめる問題だと思いますが、形式的にはいままで両国間からこの問題を破棄したというような通告が全然ございませんので、私どもとしては友好条約はそのままあるものだと、かように思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いや、そのままあることは、これは聞かぬでもわかっておるんですが、実質的に生きて動いておるというようにお考えかどうかということ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのように国境紛争をやっておると、そういうことではございますが、その問題が非常に紛糾しない、拡大しないと、こういうことに期待を持ちますのも、そういうような、基本的には同盟条約があるんだと、かように私は思っておるので、これは拡大しなくておさまるんではないか、かように思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 さらに米国と中国との関係、米中関係の見通しについてどのようにお考えになっているか、お述べ願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のようにアメリカと中共——中国、この間にはワルシャワで数次にわたって会談をしておる。それが一時とだえて、ことしの二月じゅうにも再開されるんじゃないかと、かように思って私どもはそのことを期待しておりました。また、アメリカ側もこれを期待しておった。これがまあ予測しないできごとのために中断をした——中共でそれを断わる、かように伺って、いま米中間にはただいま交渉がとだえておる。しかし、必ずや第三国を通じての接触、これは持たれるだろうと思いますし、また持たれるべきであると思うし、またそうなければ国際的な平和はなかなかもたらされないと、かように思いますので、その間の交渉が再開されることを私は期待しております。また、日本から見まして、米中がただいまのような状態であって、そうして日本が日米安全保障条約を結び、また中国に対しては政経分離の形で交渉を持っておると、こういうことは長くこのままであっていいというものでは私はないと思います。りっぱな力のある中国大陸、その交渉を日本自身もこのまま過ごすわけにはいかないと思うし、またアメリカ自身にしても、ソ連、中共、これは三大核保有国でもあるし、そういうことを考えると、三大国はもっと何らかの疎通の道をはからなければならぬ、かように思いますので、一たん予定された米中会談が取りやめになりましたことはまことに残念に思います。しかし、その交渉がまた始まること、これを期待し、またそういうパイプはぜひ残しておきたいものだ、かように私は思っております。そういう意味で、両国とも過去のことにとらわれないで、交渉の余地を残されて、そして国際的平和のために寄与されるように心から願う次第であります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 結局、結論的にいいますと、いままでのきびしい対決姿勢、あるいは中共に対する封じ込め政策、こういうものから漸次、融和と友好親善という方向に動いていくであろう、大筋としては。というように御判断なすっておりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは秋山君も御承知のように、ほうっておいて自然にそうなるというのじゃなしに、やはり努力しなければいかぬ。それを私はいま指摘したつもりでございます。そういう方向であるべきなんだ、そうでないと国際的繁栄なり国際的平和、これは維持できなくなる、そういう危険を包蔵するがゆえに、大国当然のつとめじゃないか、かように私は思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 それがまた努力次第で可能であるというように御判断になっておればけっこうです。  その次は、一番わが国に近い朝鮮半島ですが、朝鮮半島の情勢についていろいろのことが言われております。私どもはその実情をつまびらかにしないので、この朝鮮半島の情勢についてどういう判断をしておられるか、どういう見通しを持っておられるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま私も朝鮮半島の実情についてつまびらかにできないものがございます。と申しますのは、一方的にはいろいろの資料が入っておりますけれども、——南からの、韓国側の情報は入っておりますが、そのとおりなのかどうか。北側の情報についてはつまびらかにしないものがあります。その点を考えながら、ただいまやはりこの南北の関係はなかなかむずかしい微妙な段階にあるんじゃないか、かように私も心配している一人でございます。まあ事柄が事柄でありますだけに、両国が——両国と申すか、両勢力が十分話し合って、これは韓国内の問題と思いますけれども、よく話し合って、そして事態が激化しないことを心から願っておりますが、なかなか微妙なものがあるように見受けられます。これはさきのプエブロ号事件の問題、あるいはさらに北から南に対する浸透等が次々に行なわれておる。そういう意味では南の韓国は、北から入ってくるいわゆるゲリラ部隊といいますか、そういうものも絶えず保護し、それらを通じていろいろ事情を聴取しておるようで、なかなか見ておるように簡単ではないようでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 小ぜり合いはあの三十八度線の両側でまま行なわれておるようでありますけれども、これを直ちに戦争への脅威と、こういうように見ておる向きもあるわけですが、また反面、そうではあっても、これは米ソあるいは米ソ中、この三大国のいわば力の緩衝地帯という点では、関係国それぞれ一致しておって、戦争への可能性ということになれば非常に少ない、こういう見方をしておる向きと両方あるのですが、せんだって発表されました沖繩基地問題研究会の報告には、そのあとのほうの見方、戦争への可能性、おそれは非常に小さい、こういう見方を断定的に書いておられるようです。われわれどう判断したらいいですか、どういう見通しを持ったらいいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いまいわゆる大戦争、これはなかなかないだろう。いまのしばしば言われることですが、核兵器、これが本格的に使用されると、人類を滅亡におとしいれる、この危険は、核の保有国である大国、米ソともに十分認識しておる。だから、そういう大戦争はない。しかし、小ぜり合いはときに起こるだろう。これがベトナムであり、あるいは中近東であり、あるいはその他の地域にも類似のものがある、こういうように小ぜり合いはあるようでございます。私がいま申しましたが、非常に微妙だということは申しました。しかし、これが直ちに戦端火を吹く、こういうものでは私必ずしもないんじゃないだろうか。したがって、御承知のように、もう戦争の原因とも言うべき、言ってもしかたがないように思えたプエブロ号の事件に対しまして、これはとにかく戦端を開くということなしにおさまっている。さらにまた、ずいぶん三十八度線を越しては南に、韓国に入ってきておりますが、それは三十数名というような大きな団体もある。そういうものがつかまっておる。しかし、それがやっぱり戦端を開くという段階には発展しておらない。やっぱりそこに十分戦争の脅威ということ、戦端を開いたらどういうことになるか、そういうことを十分理解しておるがゆえにそれはやっぱり避けておる、かように私は見ております。  いわゆる戦争、そういうことにならないようにと、日本の性格からいってそれを願うのは当然です。これはもう日本はそういう形であります。しかし、それじゃ韓国において一体どうなのか。次々に同じように三十八度線、それを越して北から南へ入ってきておる。かようになりますと、これが今度は部隊編成で入ってくるというようなことでも起これば、これはたいへんだろうと思います。ただいま微妙だと申し上げる以外には方法はない。しかし私、朴大統領にしても、この点では非常に注意して、いわゆる戦争にならないように気をつけてはおられることだと思います。また、北側からの浸透に対しましても、おのずからそこらに限度があるんじゃないだろうか、かように思いますし、いま直ちにこの戦争、それに結びつけることはございませんけれども、とにかく非常なデリケートな関係にある問題、これだけは気をつけなければならない、油断はできないんだ。これが私の結論であり、また、韓国におきましても同様な見方をしておられるようだ。したがって、わが国に来る要人等にいたしましても、とにかく私どものところはたいへんな心配をして、いまのような状態でいく、そのためには、やはりずいぶん用意周到にかまえなければなりません、こういうことを実は申しております。それほど微妙な関係にあるのだ、かように看取せざるを得ない。  それじゃ積極的に戦争になるのかと、かように思いますと、とにかく避けようとし、お互いの守るべきことを、それはここまでだ、こういうものをいま守っておるのじゃないか、かように私は見ております。とにかく、日本のすぐそばで戦争など起こってくれては、これはたいへんでありますから、そういう意味で、私どもこの成り行きについては十分留意するつもりでありますけれども、アメリカはともかくとし中ソ両国がいま国境紛争をしておる。こういうような事柄が、やはり中ソの影響を受けやすい北側にいたしましても、やはり腕を伸ばす後方部隊というものが、ただいま問題が起きておりますだけに、ややその辺は鈍ってくるのじゃないか。これは北鮮についても言えますが、率直に申しまして、やはり北ベトナムにも同様なことが言えるのではないかと、かように私は思っております。むしろこういう事柄が、どんなことが原因にしろ、とにかくお互いに平静に保てるように、これが望ましいことだ。米ソの紛争や中ソの紛争にしても、大事にならないで、お互いにいまの緊張の程度で事柄が済めば、そのもとにおいて影響を受ける各地域とも平静に推移できるのじゃないだろうか、かように思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 さらにベトナムのパリ会談が、なかなか一進一退、遅々として進まない。われわれ、もどかしい気持ちで見詰めておるわけですが、総理大臣としては、ベトナム和平の見通しをどのようにつけておられるか、参考に聞かしておいていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはとにかく関係者とすれば、何とか早く片づけたい、そういう気持ちではあろうと思います。しかし、なかなかそう簡単にはきまらない、それがいまの実情だろうと思う。したがって、最近もアメリカが北の直接交渉を始めた。そのことが南に非常に悪影響を与えている。こんな記事も散見します。いろいろアメリカ自身としても、早くおさめたいというそういう気持ちはあるようだし、またそういう意味では、ソ連の協力も得たいという、そういう行動もこれからされるだろうと、そういうことを考えると、とにかく一時のように非常なホットの状態からやや鎮静化しつつあるのじゃないか。それにいたしましても、南におけるサイゴンをはじめ各都市に対する砲撃は依然として続いておるということでありますから、楽観はできないけれども、総体の動きとすれば、やはり戦争をやめる、そうしてできるだけいい条件のもとにこれをおさめよう、そういう段階じゃないだろうか、かように私は思います。  私ども、もちろん憲法や自衛隊法の制限はございますけれども、ベトナムについてわれわれが何らか戦火をとめる上に役立つなら、軍事的な行動でなしに、われわれの力の限りにおいて協力するつもりでおります。でございますから、外交交渉等、われわれが、必要ならば、それぞれのものについて適当な処置をするつもりでございます。ことに、御承知のようにパリ会談に、南ベトナムの政府がなかなか参加しないというような際にも、話し合って、そうして問題をきめるべきだということで、日本もやはり一役買ったつもりであります。やはりそういう事柄がベトナムの平和にも役立つのじゃないか。この上とも、私どもの憲法を守り、また自衛隊法を守りながらも、いわゆる軍事的な介入はしないことによって私どもの役割りを果たしていきたい、かように思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 ごく大づかみですけれども、日本を取り巻くアジアの国際情勢に対する総理としての御判断を聞いたわけですが、以上のような情勢判断に基づいて、これから日本がどういう対外政策、対外姿勢をとっていくのかということが、実は結論的に私の一番聞きたいことです。ことばをかえて言いますと、国際政治の中で軍事力の占める比重というものが漸次小さくなりつつある。特に平和憲法を持つ日本としては、軍事力の役割りというものをできるだけ小さくして、あるいは政治面、経済面、文化面、科学技術の面、そういう面でのアジアの平和と安定に対する寄与、貢献、積極的な働きというものに全力をあげていかなければならぬと思います。その日本のいま申されましたような情勢の中での今後の国際的な役割り、このことについて総理大臣のひとつ基本方針を聞かしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いままでも二つの柱をしばしば申したと思います。これは一つは、申すまでもなく、平和憲法のもとで平和外交、善隣友好を進めていく、もう一つは、国連を中心にして、そうして国際的な繁栄への道をたどっていく、この二つの柱、これが日本の進むべき方向だと、かように考えております。いままでもそうでありますが、今後とも、この二つを基軸にして、そして日本の外交を進めていきたい、かように考えております。近く外務大臣も東南アジアの会議に出かけますが、これなども、ただいま申すような平和外交、同時にまた国連中心、その二つのあらわれである。簡単ではありますが、御理解いただきたいと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 そこで本論に入りますが、第二の問題として、当面日本外交の最大の課題であります沖繩返還問題今日まで総理大臣は返還方式あるいは基地の態様等については白紙ということばを使ってこられました。しかしながら、同じ白紙ということばの内容も、だいぶ進んできた、固まってきた、煮詰まってきたというように私ども受け取っております。いわゆる核抜き本土並みということがもう既定の事実であるかのごとく報道され、また政府筋の発言としても聞こえてきているわけです。まあおそらくそのとおりじゃないかと私ども思っておるのですが、ひとつここらでずばりその煮詰まったところを国民の前に明らかにされたらいかがかと思うのですが、どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま言われますように、ここらでずばりものを言ったらどうか。まあ私は、ことばの性質上、たいへん慎重な上にも慎重さ、これをとっておるつもりでございます。私がなぜ慎重だということを申しますのは、これもおわかりいただけるだろうと思いますが、われわれの本来の領土、だから沖繩県民が祖国復帰、これはもう沖繩同胞の念願だと思います。また、われわれ日本国民も、この同胞を迎え入れる、これは一日も早くこれが実現すること、これはわれわれの願いでもある。そうして、そういう際に、本土と、特別な取りきめをして、別な扱い方にならないように、これもまた本土国民の願いでもあるし、また沖繩同胞も同じ考え方を持っておるはずだ、かように私は思います。ところで、この沖繩というものが、一体今日どういうような状態にあるのか。先ほど来お話のありました韓国、あるいは台湾における中華民国、あるいはフィリッピン、これはもうアジアのかなめ的な役割りをいまさしておる、アメリカがですよ。アメリカの施政権下において、そういう役割りをさせておる。これは日本の知ったことじゃございませんけれども、そういう役割りをしておる。同時にそのことは日本の安全にももちろん関係のある事柄、かように考えてくると、この沖繩の返ってくる、祖国に復帰すること、これは国民と同じように私ども考えますが、ただいまの存立上果たしておる沖繩のこの役割りを変えることによって重大なる変化を与えるか与えないか、ここに実は問題があると思うのでありますし、また、私がアメリカに出かけて交渉するにしても、この点が、ただこちら側の希望だけを述べることによって果たされればいいですが、万一のことがあってそれがうまくいかない、せっかく沖繩問題を解決しようというその最初につまずくようなことになれば、これはたいへんだと思う。そこで、私は、いろいろ各方面の皆さん方のお考えも聞き、国民の皆さん方の意見も聞き、そうして最終的な結論を出そう、これがただいま私の心境でございます。で、いままでもいろいろ皆さん方からお尋ねを受けて、軍基地のあり方、これは一体どうなんだ。これは、簡単に申せば、皆さん方も希望しておられる本土並み——本土並みにしろという。これはもう何にもほかに聞くことはないじゃないか、もうそれは一つだ、かように言われるかもわかりませんが、それではたしていいのかどうか。なおそこに、いまの大多数の意見だとは思いますけれども、なお私がきめかねているのは、そういう意味である。まだもう少し時間がありますから、それまでに十分検討して、そうして間違いのないように、ものごとというのは一ぺんつまずくとなかなかうまくいかないものです。つまずかないと、むずかしい問題もすらすらと解決する。そういうことを考えますがゆえに、重大であればあるだけに実は慎重なのです。国民の皆さま方から、また衆参両院を通じて、国会の最高の場でなぜそれが言えないのか、こう言ってしばしば責められますが、事柄が重大であればあるだけに、私は慎重であるのが当然じゃないか。そういう意味で、ただいままではっきりしたことを申し上げておりません。しかし、これはもうすでに、愛知君が近く出かけますし、またそれに引き続いて相手の閣僚も迎えるし、私も年末には出かけようと思っている。また、それに先立って、実はこれは私の考えどおりじゃございませんが、アイゼンハワー前大統領がなくなって、そしてその葬儀に参列する岸特使、これが出発前から話をしているようですが、向こうへ出かけてまた話をしたことで一そう強い印象を与えているのは、核抜き、自由使用、こういうような話をしております。私はもちろん出かける前に一応話はしておりますけれども、ただいま言うような核抜き、自由使用、かようなはっきりした話しは実はしておらないのです。おりませんけれども、ただいま申しますように、事柄の性質上、さような簡単な結論を出しておらない、その点をいままでも申しましたが、きょうもまた同じことを申してまことに恐縮ですけれども、なおまだ時間があることですから、十分ひとつ考えましていい結論を出したい、かように思っておる次第であります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 実は、私がこれからお尋ねしようと思ったことを総理大臣が先におっしゃったんですが、岸特使のワシントンでの発言——核抜き、自由使用という発言なんですが、これはきわめて重大な御発言だと思うのですが、岸特使は、総理大臣の特使として、公式の使節として行かれたと思うのですがね。その公式の総理大臣の特使が、相手方の首都において、これこそずばり核抜き、自由使用だという発言をされたということは、われわれどういうように受け取っていいんでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 実は私も、今朝になりまして、たいへんいまのことでがく然としたのです。それからもう一つは、いろいろ聞いてみると、二、三日前にもそういうようなことを言っている。これが読売新聞に出ているということですから、これは岸自身の一つの個人的な考え方かと思います。したがって、政府の考えとは違うように思います。そこで、ただいまこの共同からの通知が入ったものですから、特に外務大臣をして、まだ向こうにいるから、電話をひとつしてみて、どういうような事情か調べてみてくれ、さっそくそれだけの手順をとったのであります。問題は、やはりニクソン大統領と会いたい、そこに重点を置いた話をしたつもりだが、その前のほうがそんなに大きく取り上げられているということで、自分も意外に感じている、こういう話をしているようです。詳細は電話をいたしました外務大臣からお聞き取りいただきます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま総理からお話がございましたように、岸特使に連絡をいたしました。そして、できればニクソン大統領とも会いたい、そして会えばこういうふうな話もすることになろうかということを、日本側の新聞記者の問いに対して答えられたようでございますが、単に沖繩という問題にとらわれないで、もっとグローバルに、アメリカがアジア政策全般についてどういうふうな考え方を持っているかというようなことを聞きたいと思っておる、こういう点に重点を置いて、記者会見といいますか、記者の問いに答えたつもりだったと、こういうお話でございました。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの外務大臣の話は、この記事が出ているから、私ども相談をして、ひとつワシントンの岸に電話をして、電話に出た。そこで、ひとつ話をしてくれ、ことに問題は、自由使用というところに問題があるんだと、この点ではたいへん私は心配のように思うから、そういう話をしないようにひとつしてくれ、こういう話を実はしたのです。これは十分それで目的は達し、誤解はない、かように思いますが、できればこの際に、葬儀に参加するばかりでなく、大統領ともぜひ会いたい、かように私は期待しております。その辺に誤解のないようにお願いしておきます。でありますから、いま国論として、いま国民の皆さんが希望しておられる線、その線で話をするならば、これは政府の考えとは別であっても、これはまず世論をちゃんと背景にした話だと思いますから、いまのところ、ただいま私は、核抜きはこれは国民の期待するものだ、希望するものだ、かように思いますが、自由使用ということになると、必ずしもさようには思わないので、そういう点では慎重を期してもらいたい、こういう話を実はしたわけです。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これはそれほど軽く考えていいと思わぬのですがね。なるほど、核抜きということは、国民の世論としてこれはもうほぼ固まってきているし、総理大臣自身もそういう示唆を与えてきておられるわけです。本土並みということも同じように国民の世論であり、また総理大臣自身もそういう示唆を与えてきておられることは、もう抜きがたい事実だと思うのです。そこへ自由使用ということは、これはもう全くこれとは相反する新しいものだ。しかも、これについては議論はふんぷんとして、とてもこれが国民の世論なんかというようなことは、これはとんでもないことだ、国民の世論にむしろ反することだと思うのですね。一番われわれのおそれている一つの抜け道のような形なんです、自由使用は。これを個人的な意見だと言うても、これは総理大臣の特使ですからね。これは公式な使節でしょう、特使。しかも、二十九日の分科会では、羽生委員から特にこの点についての御質問があって、外務大臣は、これはもう岸特使は葬儀に参列という仕事だけで、何らの外交的な任務を依頼したものではない、こういう御答弁があった。われわれもそのように理解をしておった。ところが、いま総理大臣のお話によると、せっかく特使として行っているのだから、この機会にニクソン大統領とも会って、沖繩問題についてもいろいろ話をしてきてもらいたい、こう頼んだというようなお話なんですが、これは総理大臣と外務大臣と全然話が違うと思うのです。どちらがほんとうなんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 分科会でも、私からお答えをいたしたり、説明を両三回にわたって申し上げましたとおり、政府としての特派大使としては、アイゼンハワー元大統領の葬儀に特派特使として御参加を願う、こういうことに相なっていることは、御承知のとおりでございますが、そのときも申しましたように、ニクソン現大統領をはじめ、アメリカには知己も多いし、またそのときまあほかの点にも触れたわけですが、各国の大統領や総理大臣、あるいはそのクラスの方も行っておられるので、そういう方々と話し合われる、出合いをされるということも、これは自然の成り行きでございましょう、こういうことも申し上げたとおりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。それはそのとおりですが、しかし、外交問題に触れてだれかと会談するようなことはないかと言ったら、そういうことはないとおっしゃった。ですから、もしいま総理のおっしゃるようなことがあるならば、個人的な資格ではそういう問題に触れることがあるかもしれないと言ってくださればいいのですね。それが、あのときの私の質問は、いまのようなことが起きるかもしれないと思って質問したのですから、外相だってそのことはおわかりのはずだったと思うのです。ですから、公式の資格を持っていくわけではないが、個人的にはそういうことに触れるかもしれぬ。触れるなら触れるとはっきりおっしゃればよろしい。公式なことであるから問題起こしてはいけないと言ったんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その点は、分科会でもさらに御質問がありまして、私から、ただいま申しましたように説明を申し上げておるような次第でございます。したがって、知己としての出会いをされるということは自然の成り行きとしてあることでもあり、その場合にも、意見の交換ということは個人的の意見の交換である、さような趣旨でお答えをいたしておるわけでありますが、なお、足らざるところがあれば、ただいま申し上げているとおりでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま言われる特派大使、それはもう限られておりますが、外交までやるというそういうものではございません。それは特派大使としてははっきりしております。しかしながら、前から知っておりますから、そういうこともあろうかと思って私も実は心配し、実は出発の前日岸とも昼飯を一緒にしながら私もいろいろ懇談をしております。もちろん、ただいまのような話をするとは私は思いませんので、沖繩の問題が出れば、いままでの話、国会を通じて話をしていることは十分知っておりますから、また、これはやはり日本の一番大事な仕事だから、そういう意味で、やはりいい機会だから率直な話もひとつしてもらいたい、こういうことは言っておる。それがいま私どもの予期しないような方向へ突っ走っておる。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 示唆したのではないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そうではございません。突っ走っているので、そこで先ほども、あわてて外務大臣をして特に電話さしたのです。電報で照会するのじゃちょっとおそい。それは交渉してくれと、電話ですればすぐ通じるから、まだこれはだいじょうぶだというので電話さした。それが先ほどからの経過そのものであります。それでよく調べてみると、先ほど申しましたように、読売新聞にも出ているそのままの話をしている。だけれどもこの点については、こちらから注意を喚起したことに対しまして、何とかニクソン大統領と会うというそこに重点を置いて新聞発表したのだ、それは誤解のないように願いたいと向こうからも言っているのです。これはとにかく、私はいまこの段階で話が私どもの耳に入ったことは、これはまだ取り返しがつかないような状態ではなかったと、かように思って喜んでおる次第でございます。十分注意すべきことである、かように思います。いまの秋山君の御注意を待つまでもなく、実は外相から電話さした。そういういきさつでございます。それを実は正直に全部をただいま申し上げたのですが、御了承願いたいと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 こういう日本の国益にかかわる問題ですから、私はこの点ばかりを追及することは避けますけれども、ただ、もう再々一番緊密な連絡をとり接触をしておられる岸さんにして、なおかつ、ワシントンへ行って総理大臣と全然違う御発言ができるということは、これはもうどうひいき目に見ても、やっぱり総理大臣の腹があるいはこうじゃないかと、そこをあうんの呼吸でのみ込んで行って向こうで発言をされ、そしてアドバルーンを上げられたのじゃないか。これは常識としての見方だと思うのですがね。もしこれがそうでないというのなら、なおさらのこと、ただそれは意外だということでは済まぬと思うので、そうであればなおさらのこと、総理大臣としての、最初申しましたように、白紙だ白紙だと言わないで、ずばりやっぱりお考えを国民の前に明らかにされたほうがいいんじゃないかと、そうされるべきじゃないかというように思うんです。大体この問題が複雑なことはよくわかります。重大なこともよくわかります。だからこそ慎重を期しておられるということもよく理解できる。相手もあることです。また、フリーハンドを確保するという必要もある。これもよくわかりますが、しかし、また反面から言いますれば、沖繩問題についてはアメリカ側は受け身なんですね。あくまで受け身の立場なんです。共同声明を見ましても、あなたが提案をしてジョンソン大統領が、佐藤総理のこの提案を十分に理解をしたと、こういう形になっておるのですね。大体アメリカの外交史なんかを読んでみましても、アメリカ外交というものはイエス、ノーがわりあいにはっきりしていますね。単純過ぎるほどはっきりしている。また、アメリカの国民性も非常にもうややこしい腹芸のようなことはあまり好まぬ国民性のようだ。非常にもう単純率直を好む国民性のように見受ける。あれやこれや考えますと、日本がいつまでも、あるいは示唆したとか、あるいは真意はどうだとかというような複雑な説明をしなくてもわかるように、日本側の主張、日本側の方針を明確に率直に打ち出すことのほうが、かえってアメリカ側の理解と共感を得やすいのじゃないか。向こうもまたそれだけの心がまえ、覚悟をするのじゃないかというように私は思うのですが、この岸さんの発言の問題とそれから後段の問題と、両方に対してこれまたわかりよく率直にお答えいただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来お話しているように、岸の発言、これは政府が関知してない。また、ただいま私は最終的決定をしておらない。これもはっきり申し上げます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 否定しなさる。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) それは否定します。はっきり、それは私の考えではないということを申し上げます。否定というか、私の考えではないということを申し上げます。私はまだ問題をきめておらない、こういうこともはっきり申し上げます。ところで、いま言われるように、アメリカは非常にフランクに話をすることが好きだ。だから、ずばりそのことを言ったらどうか。これは確かに私もさように思いますから、その点は秋山君の御注意というばかりでなしに、その点は私もさように思います、かようにはっきり申し上げておきます。これはそう手練手管は要らない、かように思っております。しかし、事柄自身、沖繩の問題ははたして日本の国民にそれがいいのかどうなのか、最も賢明なる策は一体何であるか、こういうようなことを私自身が考えながら、いろいろああでもないこうでもないと考えていてまだきまらない。その点を先ほど来も申し上げております。佐藤にしては珍しいことだ、もっとものごとをきめる男だと思ったら、そんなに決断がつかないのか、かような御批判があっても、これは私甘んじて受けます。事柄が事柄だけに、まだ私はっきりした結論を出さない、これがただいまの心境でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 岸発言にばかりとらわれておっては時間がたってかなわぬのですが、しかし、これは考えれば考えるほど重大なんです。ほんとうに重大ですよ。これは私の考えと違うという程度で済ますわけにはいかぬのじゃないですか。はっきり、これは間違いなら間違いと——核抜き、自由使用ということはそれとも万が一にもあり得るのですか、あり得ないなら、あり得ないともう一ぺんはっきり見解を述べてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの段階でそこまで言うことができない、それを先ほどから申し上げておるのです。だから、これが、私はああいうことも申したと思いますね、特別な取りきめがない限り安保条約は適用になる。それではこれは何か特別の取りきめをするつもりかと、こういうお話がありましたが、それについては、私はただいまさようなことを考えておりませんと。しかしながら、そういうことが万一あればということだということを申しております。そのことを繰り返して申し上げるよりない。でございますから、いましばらく時間をかしていただくということ、それ以外にはいま方法がない。これはやっぱりどうも押し問答ばかりしていてまことに相すいませんけれども、私自身の考え方がきまっておれば、その考え方は違うとか、さようなことはございませんとはっきり言えますけれども、私の場合、岸自身の考え方についてはどこまで言ってるのか、これもよく聞いてみたいと思うんです。自由使用、自由使用と言ってるけれども、一体何なのか。自由使用がはたしていまの条約のままでできるのかどうか。そこらも、私問題があると思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 変えなきゃできぬ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) だから、そういうようなこともございますから、私よく話を聞かないことにはこれはできない。いま否定するだけが能ではなくて、いろいろ問題があるんです。そこらは、秋山君が事は重大だと言われた。その点は重大だと私思いますので、そういう意味で私もよく慎重に考えたい、かように御了承いただきたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。それはよくわかりましたが、特派大使として出かけて、外交案件には触れない、葬儀に参列するだけだ、個人的資格で新聞記者会見で答えたと、こういうことです。それから先、ニクソン大統領と会う場合に云々ということもあるんですね、ワシントン電に。ですから、ニクソン大統領と会うときに、総理はいま、私の考えと違うということを言われた。それは了解します。だが、ニクソン大統領と会うときに、総理と岸さんとの考えは違っても、岸さんが個人の資格で大統領にまた言えば、私は問題だと思うんです。そこを電話なり電報なりで御注意なさるべきであると思いますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりだと思います。でありますから、きょうの新聞記事、向こうの通信を聞いて実は驚いて、それでさっそく実情を調べさして、そしてそれは行き過ぎというか、われわれの期待するものではないと、こういうことでその点をとめさしたと、こういういきさつでございます。まあ、いま羽生君は、いままでのことで一応わかったと言われるけれども、実はわかったじゃないだろうと思うんですよ。おわかりにくかったろうと思います。とにかくわかったと言われるのは、佐藤はまだきめておらないという、そのことだけを御理解いただいた、それ以上はわからないと、さように私は思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これは順序としてはもう少しあとでお尋ねしようと思っておったんですけれども、自由使用という問題が出ましたので、この際聞いておきたいと思います。沖繩の基地を自由使用ということになりますと、これは安保条約を何らかの形でやっぱり改定しなきゃならぬ。特別な取りきめをしなければ、いまのままではだめです。いままで政府側が言ってこられたこととは、この点も全然食い違っておるんですがね。かりに自由使用ということを考えるとすれば、これは安保を変えなければならぬ、何らかの形で改定しなきゃならぬということとになると思いますが、その点はいかがですか。ちょっと確かめておきます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは仮定のまた問題になるわけですけれども、自由使用ということばも俗に使われておることばでございますが、いろいろの態様というものもあり得ようかと思います。ただ、お尋ねの点は、たとえば事前協議にどういうふうにかけるかというような点かと思いますけれども、従来本土におきましてやっておりましたものとは、仮定の事実ですけれども、もしその自由使用というものが非常に広範に言われておるとすれば、従来のやり方とは違えるようなやり方をしなければならぬ場合もあり得ようかと思います。あくまで仮定の問題ですけれども、さように考えます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 だから、それは何らかの形で現行の安保条約の改定ということになりますかということです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約ということも、また定義をかけてきめてかからなければならないと思います。いずれもこれは仮定の問題でございますから、安保条約そのものが変わらない場合であっても、交換公文を変えなければならない場合もあり得ましょうし、あるいは交換公文も変えなくて、運用の了解ということもあり得ようかと思いますが、これはすべて仮定の問題で、まだそこまで詰めて問題として考えておるわけではございません。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 別な角度から沖繩返還交渉の問題をお尋ねしたいと思います。  まず今後の交渉のスケジュールですが、これは今日まで何回かこの席でも質問が出たわけです。大体のスケジュールというものは、日程というものはわれわれも承知しておるのですが、ただ、総理大臣とそれから外務大臣のおっしゃったことが多少やはり食い違いがあるのです。といいますのは、外務大臣は、六月に訪米をされてロジャーズ会談をやると、それが本格的な交渉の皮切りだと、それまでに——外務大臣が出発されるまでに政府の基本方針をきめて、それを持って六月に訪米をする。そして下交渉をやって、十一月総理大臣が行かれる土俵づくりをすると、こういうことをおっしゃる。ところが、総理大臣がこの問十七日の本会議で北村君に御答弁なさっているところでは、外務大臣の訪米は、訪米までにそれをきめて行くのではなしに訪米をして米側の意向を公式に打診する、瀬踏みをする、そしてその結果に基づいて十一月総理大臣がアメリカへ行かれる前に政府の最終的な基本方針をきめるのだと、こういうように答弁されておるのです。だから、それちょっと外務大臣のおっしゃったのと総理大臣のおっしゃったのと時期的に非常にずれるのですが、これは一体どっちがほんとうなんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはことばの使い方の問題かと思いますが、私はいつも申しておりますのは、六月私が参りますのはいわば本格的な下交渉のその始まり、こういうふうに私は考えまして、総理が十一月末なりに行かれますときに実りがあがりますように、ずっとこの折衝を続けていく、その間にはこれこれこれこれのことも予想される。たとえば閣僚会議のことも予想される。あるいは国連総会のときの横の席を利用することもできる。こういうわけでございますから、総理の言われていることを私のことばで説明したようなわけで、ことばの上に若干の相違はあったかもしれませんが、基本的には全く同じでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま御指摘になりますように、ニュアンスの相違があります。ニュアンスの相違はありますけれども、外交問題というものは、いま外務大臣が申しましたように、ただ相手方の出方だけを探ってそれでものごとを進めるわけではない。やはりこちらの腹がきまってそれで話をぶっつける。どこまでどういうふうにぶっつけるか、これは別として、これはそうしたもので、ただいま外務大臣が答えたとおりであります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 交渉事ですから、だから、ますではかったようにいかぬということはよくわかります。ただしかし、これだけ全国民の注目しておる問題ですから、ただ腹芸でやるということは、さっき総理大臣がおっしゃったように、それはできることじゃない。まあ、これで外務大臣が行かれる場合、国民に対していよいよ日本の政府がどういう方針で下交渉にかかるのだということは、これは国民の前に明らかにされてしかるべきだろうと思うのですが、それはいかがですか、外務大臣。  それから同時に、最終的には、総理大臣がいかなる場合にどういう方針でやるのだという、日本側としてはどういう主張をするのだということは、どういう形で国民の前に明らかにされるわけですか。何か前には野党の党首と会談をして云々というような御発言もあったようなことがありますが、最終的にはその点はどうなさるのですか、国民に知らせるには。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、私が参りますのは、いわば本格的な下交渉のドアを開くとでも申しましょうか、そういうことでございますから、基本的なものの考え方、日本国民のものの考え方というようなことを体しまして、問題の取り上げ方に入っていくということが話のまず最初の任務ではなかろうかと思います。そして、先ほども中身についての話もございましたが、いまアメリカ側も、政府としては、白紙の状態にあるわけでございますから、それをだんだん向こうの考え方というものも掌握し、かつそれに対するこちらの、また場合によれば、反論ということも相当に主張しなければならないかと思います。要は、六月から半年近くの時間の過程の中において最善の努力をしていく、そうして総理の訪米されたときに、総理がよく言われるように、後世から見てよき結果であったというような成果をつくり上げるようなそういう路線をだんだん固めていって、そこに持っていくということが、いわば本格的下交渉の私は任務ではないか、かように考えておるのでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 それからもう一つは、これもことばの微妙なあやなんですけれども、最初は秋に総理大臣がアメリカに行かれる、秋と、こうおっしゃっておった。ところがその後十一月と、こうなってきた。それからさらに十一月ごろと、こうなってきた。さらに十一月下旬と、こうなってきた。最近はもうもっぱら十一月以降。こういうように、これは微妙ですよ、ことばづかいは。最近はもっぱら十一月以降ですね。以降といったら、何年先も以降に入るのですからね。以降と、こうなってきているのですが、これは何か相手方の情勢その他で意味のある変化なんですか。外務大臣のおっしゃったところでは、六月の外務大臣の訪米と十一月の総理大臣の訪米はワンセットで申し込んだ、こうおっしゃっている。だから、それがそのままなら、こういうように変わっていくはずもないと思うのですが、六月の三日、四日のロジャーズ長官との会見は確定しておるのですけれども、それとワンセットのはずの十一月というのは、これも向こうははっきりオーケー、こうなっているのですか、どうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ワンセットと申しましたのは英語として正しくないかもしれませんけれども、まあ日程ですね、大体の。これの打ち合わせをいたしまして、それで最初は、まず私の参りますのは、こちらの都合からいっても国会で終了しなければなりませんから、国会終了後すみやかな機会ということで、これは向こうとの都合も折り合いがついて、六月の二、三、四を中心にしてということになったわけでございます。  それから、いわゆるワンセットの中には、日米貿易閣僚会議を東京で行なうということがございまして、これも原則的合意ができておりますけれども、先方の都合もございますから、これは何月何日ということにまだ確定いたしておりませんから、またこれは七月下旬とか八月中旬とか申しますと、それがその程度のことでありますと、またいろいろとお尋ねもあろうかと思いますので、これは日取りがきまりましてから発表することにしたいと思っております。同時に、その際の総理の訪米につきましては、大体十一月下旬ごろというのがそのときの話し合いで、これは先方は歓迎するということになっておりますが、日時につきましては未決定、行かれるということについては歓迎、大体十一月下旬ごろというのが当初の話し合いで原則的によかろう、こういうことになっておりますが、いま申しましたように、その前の夏の閣僚会議の日時もまだ確定はしておりませんから、これは、そういう意味からいえばまだ流動的であるということもいえようかと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 そう大幅に動くことはないというように理解しておきます。それでよろしゅうございますか、年をこえるというようなことはないと。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま私正確に申しましたつもりなんですが、いま申しましたような、まあいわばワンセットの日程の打ち合わせができましたのは、そうですな、二月上旬ごろであったと思います。その時点におきましての話し合いは、そういう話し合いでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 私これ前にも聞いたことがあるんですが、これだけ重大な日米間の問題を控えているときに、駐日大使がいまだにきまらぬということはどうも私は理解できない。継続協議がどの程度行なわているかということについてもどうもよくわからぬ。それから第三には、近くバンコクで東南アジア開発閣僚会議がある。そこでどういう話が行なわれるのか聞いておきたいのですが、さらに四月には日米最高事務レベル会議というのが予定されておりますね。これはブラウン大使だとか、ナッター国防次官補だとかというような人が見えて、外務省、防衛庁の最高首脳部と会談をされる。それからグリーン国務次官補がまた見えるのですね。それからさらに日本側から、愛知外務大臣の訪米のさらにそのまた下準備というのでしょう、軍事専門家と称される人たちがアメリカへ行くというような話も聞く。それから六月にはASPACの東京会議がある。そうして、それにさっきおっしゃった日米貿易経済合同委員会閣僚会議というのが続いてくるのだろうと思う。こういうものがいろいろと予定されておる。だから、これから四月に入ると相当ピッチが上がってくるのだろうと思うのですね。そういう中で駐日大使がいまだにきまらぬということは、私はどう考えても理解できない。この理由をひとつよくわかるように説明してください。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 駐日大使は、申すまでもございませんが、アメリカの大使でございますから、私から事情を御説明することはいかがかと思いますが、駐日大使につきましては、私の得ております情報としては、非常に日米間が重要な外交関係、あるいは非常な信頼関係を持っておるだけに、できるだけりっぱな人を選びたいということで、アメリカ政府としても非常な苦労をしておられるように情報として私も聞いております。同時に、これも申すまでもないことでありますが、現に臨時代理大使が職権を代行いたしておりますから、私としても一日も早いことを望んでおりますけれども、現在までのところはさしたる支障を感じておりません。  それから、ただいまいろいろおあげになりましたけれども、東南アジア開発閣僚会議は来月の三日から三日間バンコクで開かれますが、その内容等につきましては、一般質問の際その他にもいろいろの角度からお尋ねがございまして、私も御説明いたしておるところでございます。  それから、いまお尋ねがございましたが、四月上旬にアメリカ側から最高事務レベル会議のためにだれか来るというような話でございますが、これは公式の関係におきましてはまだそういうものがきまっておるものではございません。これは全然何と申しますか、観測記事と申しましょうか、そういうものではなかろうかと思います。これは政府間レベルではまだ何もきまっておりません。  それからグリーン氏が来日するということも非常に大きな取り上げ方がされておりますけれども、実はこのグリーン氏は現在アメリカの駐インドネシア大使でございまして、極東担当の次官補になるであろうという予想のもとに、担当するであろうところの地域各国に一般視察旅行に出かけておるわけでございまして、その視察旅行の帰途、東京に二、三日滞在をするということが正確な状況でございまして、この人はアメリカ政府から、たとえば沖繩問題等について話し合いをするという任務を持っているわけでは全然ございません。また、これはアメリカ側のことでございますから、論評すべきではございませんが、上院の承認がなければ発令にならないわけでございます。まだ内定の内定という段階、現在の資格はインドネシア駐在の大使でございますから、さようなふうにお考えをいただきたいと思います。  それからアメリカにさらに軍事専門家を派遣する云々の話もございましたが、これは何か民間のその方面の方がアメリカに行ってみたいという希望を漏らされたことがそういうふうに伝えられているのではなかろうかとも思うのでありまして、政府といたしましてそういうことを現在計画しておることはございません。なお、いろいろピッチが上がるだろうという話ですが、実はこれと並んで御説明するのはいかがかと思いますが、今日、東南アジア閣僚会議もあれば、エカフェの総会も四月の中旬に、これはシンガポールでございます。その期間に東京におきましては、日加閣僚会議、経済閣僚の定期会談がございます。こういうわけで、いわば外交日程としてはたいへんな詰まり方でございまして、これは一つには日本がお互いの努力によりまして世界的な大国になったという証左ではなかろうかと、そういう意味では喜んでいるわけでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 総理大臣がせんだって三月二十日、日本商工会議所の総会に御出席になっての御発言ですが、沖繩返還の時期に触れて、少なくとも三年以上かかるということをおっしゃったようでございますが、従来一九七二年じゅう、といいますと二年ですね、七二年じゅうぐらいには返還されるのではないか、沖繩基地研の報告書なんかにもそういうように書いてある、そういう感じを与えておったと思うんです。それを、少なくとも三年以上かかる、そう簡単にいかぬのだ、三年以上かかるんだと、こういうようにおっしゃったようですが、これは何か事情があってそういう御発言になったのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあことしが六九年、その辺からスタートして、あそこに相当の兵隊もいますし、そう簡単に基地を整理するということもできないだろう。それらのものをいろいろ考えると、そのくらいの期間が要るんじゃないか。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 三年ですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ええ、まあ三年、だから三年以上というのはそういう意味です。その辺のところで、これがまだ交渉しているわけじゃございませんし、あるいは公開の席上でさようなことを言ったことは軽率であったかもわからない。早期返還を希望しておるほうからいえば、できるだけ早くということですから、三年よりも長くなるというようなことを最初から言うのは、それは軽率かもわかりません。が、私はいま申したように、ことし交渉して、それからスタートしてですよ、これはそのぐらいかかりはせぬかと、ただばく然と思っただけです。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これはその時期の決定というのは、やっぱり共同声明のような形でなされるわけですか。まあかりに共同声明でおきめになるとしても、その場合には時期を確定されるわけですか。それとも、またこの前の共同声明のように、両三年のうちにというように、大体の大まかな時期という形で共同声明に盛られるんでしょうか、その点いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 小笠原はことしじゅうにという、そういうことでできました。沖繩の問題については、両三年内に返還のめどをつけよう、こういうような気持ちですから、いまの両三年のうちに交渉してそうしてきまる、そのときには、そのときまたぼやけるとまたもう一度交渉しなきゃならないのですが、私はそういうことでないようにぜひありたいものだと、かようにいま思っております。これを交渉するならばいついつ返ってくると、それまでに準備を完了すると、両国において。そういうような段取りが望ましいんじゃないだろうと、かように思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 はっきりいついつまでと。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) はい。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。この前やはりこの問題で関連質問したことと、いまの秋山さんの言ったことと、実は同じことになるのですが、その場合、商工会議所での総理のお話の際に、三年ぐらいと言われたと同時に、国際情勢のいかんによっては延びることもあるかもしれないというようなことがあるわけですね。そこで、それは国際情勢の変化によって延びるということは、秋に訪米される前の時点での国際情勢で言われるのか、一たん取りきめたにもかかわらず、国際情勢でさらにおくれることがあるのかという、こういう問題があるわけです。これをこの前私は指摘したわけです。これに対して愛知外務大臣の御答弁がありました、一昨日、分科会で。そこで一たん取りきめをしても、ベトナム戦争がかりに片づいても、次に中国あるいは朝鮮というような問題が、不幸にしてかりに何らかのトラブルが起こった場合に、それを理由にして、共同声明ではある時期をうたったけれども、さらに引き延ばすことはないか。外務大臣は、たぶんそんなことはなかろうとおっしゃったが、条約局長は、そういう声明ではこれをカバーすることはできない、法的には根拠が薄い、法的にはだめであるというような御答弁をされているわけですね。したがって私はもしやはり共同声明をされる場合には、非常にこの点は重要である。国際情勢のいかんにかかわらず返還ということでなければ、どういうことにでもなる、特に——もうちょっと言わしていただきますが、一説には、その共同声明の中で、沖繩問題とからんで安保の問題に触れるかもしれぬという説があるわけです。あるいは触れられぬかもしれませんが、しかし触れる場合には、安保の極東条項なんかを援用して共同声明をされて、それで期限を設定すると一それこそ情勢変化いかんによっては私非常に危険なことになると思うので、この点についてはひとつ明快に総理から見解を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) なかなかいまの段階で明快にというわけにいかないと思いますが、しかし私考えますのに、いまの幾つも条件が重なると、最終的な取りきめにならないと思います。私のきめたいのは、やっぱり最終的取りきめがしたい。この前のジョンソン佐藤共同声明で、両三年のうちに沖繩の返還について協議しよう、こういうことですから、両三年が経過しないうちに最終的な話し合いはぜひともしたいものだと思います。ただ、いま申しましたように最終的なものをきめる、その時点が、いろいろ国際情勢があるから、それでなかなか話がまとまらないということはあるかもわかりません、いまの状態でですよ。しかしながら一たんきめたら、それから後の情勢の変化でそれはまた変えることはあるべしというような、そんな条件もつけるわけにいかぬと私は思うのですよ。でありますから、国際情勢の変化はいつでもある。これはどんな事態が起こるかわかりませんけれども、その事態が非常に紛糾している際にこの返還問題を持ち出しても、これはおそらくアメリカ側はイエスは言ってくれぬだろう。かように思いますから、そのことが問題であって、一たんきめたら、それから先に非常なその特別な事情がない限り、そのものが変更されると、かようには私は思いません。また、それは取りきめたらきめたとおりにやるべきだと、また国際情勢の変化は他の方法によってそれに対処するというのが当然じゃないかと、かようにただいま考えております。ただいまですよ。でありますから、問題は、私が出かけて、そして沖繩返還問題を取りきめるまで、その前に格別な変化がなければ交渉ごとはスムーズにいくだろう、結論が引き出せるだろう、かように私は思います。ただ問題は、ことし中に国際情勢に非常な変化がある、こういうことがあるかないかという問題のように思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 共同声明のときに、安保に触れることはありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 共同声明のときに安保に触れることがあるかどうか、そこまではもう少しよく検討しないと、ただいま申し上げかねます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 やはり基地の態様ということが一番ポイントだろうと思うのです。で、この基地の態様は返還の時期と同時決定、こういうように私ども理解しておったのですが、そのとおりですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 返還の時期を取りきめる、取りきめるのがことし、だから返還が実現するとき、そのときには基地の態様はそれは変わるだろう、かように私は思います。でありますから、いまの状態のままで基地を別にして返還する、こういうものじゃないと、かように思うのです。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いや、それはわかっておるのです。それはもう一括返還方式をとるということは、従来おっしゃっておるのですから、それはわかっておるのですが、ただ、ことしの秋に共同声明なら共同声明で、いつ幾日までに返還するという時期を設定されるわけですね。で、このことしの秋は、その時期の設定だけですか。具体的にこの基地の態様その他については、その時期までに、いずれ時期がきめられれば、具体的な返還の時期までに何か協議機関を持たれて、いろいろ協議されるわけでしょう。そして何年か後の返還の時期のときには、この基地の態様というものも具体的にきまっておると、こういう状態で返ってくるのですか、どっちでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 秋山君に、あるいは私が誤解しておれば、その点また重ねてお尋ねいただきたいと思いますが、いまこれも一括してきめる、だからきめたとおりに、返ってくる時期には、基地も約束したとおりのものになる、これが本来の姿だと、かように思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 そうすると、約束したとおりになるということになると、たとえば一例をあげますと現在沖繩でメースB、その他核兵器がありますね。核兵器をどうするかということは、ことしの時期を設定するときに、ことしの秋の共同声明なら共同声明の中で、そこまできめられるわけですか、その点。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これがいまの基地の態様がどうなるかということになりますから、いまの、なかなかむずかしいことになるのですが、私は、たとえばいまもう核基地はないと、こういうことにきまれば、やっぱり返還するときにはそういうものがなくなる、それは当然だろうと思います。もう一つ問題は、やっぱりいまは沖繩は施政権下にあり、その軍基地がたいへん広大なものだ、膨大だ。これは日本に返ってくると、おそらく内地における米軍基地と同様に、やはり縮小体形をとられるだろうと思います。その縮小体形はどういうようにとるのか。まず米軍自身が引き揚げることは、これはもう相当期間かけなければ、そう簡単にすぐ帰るというわけにいかぬだろうと思いますから、こういうのがやっぱり話し合いができても、実現するまでの一定の余裕期間がどうしても要る、かように実は考えるわけです。けれど、いまの基地のそのままが、ただ内地にある基地と同様に取り扱われるというだけで、いまのままを残しておくと、こういうことになるのか。あるいは、たとえば私が想定するように、ある程度縮小して、そうして基地が本土も非常に縮小されているが、そういうようなものになるのか、そこらにやっぱり基地の態様としての交渉があるのだと、かように思っておるのです。皆さんにしばしば、基地の態様については不明確だと、なかなかきまらないのだということを申し上げておるのも、メースBはもちろんのこと、その他の基地そのものにつきましても、やっぱりあるべき姿というものをいろいろ考えるものですから、なかなかきまらない、こういうことです。  大体御理解いただけるかと思いますが、何かあるいはぼやけておれば、そういうことがまだきめかねておる問題ですから、そこらの点をきまらない、きまらないというのは、何かそんなことをも含めてきまらないのだ、かように御理解いただきたい。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 やっぱり私がこれだけ聞いてもわからんですね。私がこれだけ聞いたってよくわからない。基地の態様ということをいいますけれども、基地の態様といっても、その中の一番骨は、もう核兵器の問題ですわね。核兵器をどうするかということは、ことしの秋の共同声明の中に、返還の時期の設定と同時に、核兵器をどうする、撤去するなら撤去するということをきめられるのかどうかということ、そういうことなんです、私の聞いているのは。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この一番のあり方としてむずかしいことですね。これは核兵器というものはないと、こう言ってしまうと、いわゆる核の抑止力というか、それがすぐ判断ができ、また、核基地はあるが、どういうものがあるのだ、こう言うと、この能力は大体見当がつく。大体核そのものがないにしても、やっぱり軍備そのものというものは、どういうものがある、どういうものは持ってそれはよろしいとか、こういうことを言わないのが一番いいんだと思うのですね。それはやっぱりあるなしというものを言わないで、そこらにも一つの表現の問題はありますよ。これは私どもが核兵器を持とうという考え方とは違って、現在あるものが一体どういうものなのか、どういうものがあるのか、これはそれがわからないところに一つの核基地の威力というものがあるのですから、そこらにむずかしさもあります。  しかし、国民が不安になるような状態に置いては困りますから、そこらの表現のしかたがどういうようにするのか、これらがまた一つの問題ですね。まあこんなことを言っていると、どうも答弁が逆になっていやせんか、逆戻りしていないか、後退じゃないかというようなおしかりを受けるかわかりませんが、核のあり方というようなものは、それほど微妙なものなのだということが申し上げたいからいま言っているわけです。この辺はやっぱり、せっかく一つの安全保障条約を結んで、そうして日本の防衛の足らないところをこの安保で、日米の安保で補っておる。その国情もひとつお考えいただいて、ただいまの点は、鋭敏な皆さん方から、国民にこれを通じて知らしてやるという、その善意であることはよくわかりますけれども、その辺はもうちょっとゆとりがあるようにお願いをしたい。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 結局そうしますと、沖繩の軍事的な価値といいますか、これをどう評価するかということになりますわね。私は核抑止力というようなことを含めて、沖繩の軍事的価値というものは、少し過大評価されておるんじゃないかと思うんです。いつも総理がおっしゃるように、科学技術、軍事技術というものが急ピッチに進んでおる、あの大陸間弾道弾なんかというものは、まだ未発達のときにはできるだけ相手方の近いところへ核兵器を持っておるということが一つの抑止力になったでしょうけれども、今日は何しろアメリカの本国にABMを設定するとかせぬというような議論が行なわれているときでしょう。ポラリス潜水艦もあるし、B52にしても、もうグアム島からでも十分だと、こう防衛長官もそういうお話をしておられる。それから大体核拡散防止条約——核防条約なんかの趣旨も、核兵器というものはできるだけ本国のほうに引き揚げてしまって、本国に収束してしまうと、こういうような趣旨も含んでおると思うんです。だからメースBにしても、もう時代おくれだということを総理大臣自身がいつもおっしゃっている。そういうことですから、沖繩の軍事的な価値、核をも含めての軍事的な価値というものは非常に低下しておる。今後ますます低下していくというふうに見たほうが正しいんじゃないでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 確かにただいまのような見方もあろうかと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 総理大臣も御賛成だと受け取りまして、次に進みます。もし違うんだったら違うと言っておいてください。おっしゃらぬから、私の見ておるのに同感されたと思います。  沖繩は本土に返還されますと、これはもう特別な扱いは一切しない、あらゆる意味において本土と区別はされない。したがって、いま四十六ある都道府県が一つふえて、四十七都道府県の中の一つと、こうなりますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そうしたいものだと、かように思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これはもう一つ一ついままでの御発言を確識する意味でお尋ねするんですから、イエス、ノーを言ってください。憲法その他の法令はすべて全面的に沖繩にも適用されますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 除外例がない限り、そのとおりです。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 安保条約も同様でございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これも特別な取りきめがない限り、申し上げたとおりそのまま適用されます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 非核三原則もそのまま適用されますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 非核三原則は、これはなかなかいろんな議論がございます。これまでも申し上げたとおり、これは普通の状態で私どもがつくるとか、持つとか、そういうことはしない。しかし、その他の問題について、持込みというようなことになると、いろいろ議論がある。ただいまそれをきめかねているというのがいまの実情でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 特別な取りきめのない限りとおっしゃったんですけれども、それはもちろん理屈としてはそのとおりですよ。しかし、政府としては、だからと言って特別の取りきめをするつもりはない。取りきめをすれば、これは何らかの意味で安保の改定ということにもなり、同時に沖繩無差別平等の本土と同じような扱いということに反してくる、こうなりますね。その点はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) それが特別の取りきめがあるかないかで違うわけです。いまのように取りきめがあると、違う処置をとることもあるということになるわけですね。だけれども、それをやりたくないというのがいままでの主張でもありまして、これはもうはっきり申し上げておきます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 それでよくわかりました。そこで特別の取りきめをやりたくないということですから、したがって、よく言われている、さっきの基地特殊の自由使用というような問題とも関連するんですが、事前協議をいままでの解釈よりも沖繩に関してだけ少し弾力的にゆるめて解釈をする、あるいは実質的な自由発達、戦闘作戦行動に出ていく場合にゆるめて自由発達というようなことになるとかいうようなことは一切ありませんね。この事前協議というのは、本来申すまでもありませんが、日本が戦争に巻き込まれないための歯どめという趣旨から出発していると思いますので、この点はやはりあくまで厳格に運用されていくと、こう考えてよろしいわけですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 事前協議は、いままでもたびたび申したとおり、これは自主的に、またみずからの意思でイエスとか、ノーとかきめるということであります。これは事前協議は、それが国益に合致するかしないか、いま言われる戦争に巻き込まれない、これは国益に合致することですね。だから、そういう立場で自主的にきめる、これが事前協議の本質でございます。しかし、これはノーというばかりがいまの自主的に国益に合致するものだ、かように私は思いません。ときにイエスがあるということも一応観念的に頭の上に入れておいていただきたい、かように思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 沖繩は現在は日米安保条約の適用地域にはなっておらぬ。当面米華、米韓、米比、ANZUS等の相互防衛条約の適用区域になっている。出動範囲は非常に広いわけですね。これは返還と同時にそれらの適用区域からは離脱をして、そうして新たに日米安保条約だけの適用区域の中に入る、こうなりますね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点もしばしば御説明いたしておりますように、これらの条約の規定のしかたが内容的に違うところもありますことは、御承知のとおりですけれども、たとえば米韓、米華条約にはそれぞれ行政的管理下にある領域、管轄権のもとにある西太平洋の諸島というこの取りきめの条約からいえば、沖繩の施政権が返還されれば、当然ここから省けてくるわけでございます。これは御承知のとおりです。  それからANZUS、米比、こういう場合におきましては、軍隊、公船、航空機というような規定は御承知のようにございません。それから米比条約の締約国に対する武力攻撃という規定がございますが、この解釈は米比条約の解釈でございますから、有権的に私が解釈するのもいかがと思いますけれども、米比両国の解釈等から申しますと、これは施政権返還後におきまして、沖繩に駐留する米軍について、たとえば武力攻撃がありという場合には、条約発動の原因になる、かように解せられておりますから、米比条約におきましては、従来日本本土における米軍と同じような地位に、沖繩にある米軍はそれと同様の地位にある。これがまあ米比条約の場合の違いである。かように御理解いただきたいと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 沖繩の返還問題に関連して、特に韓国と中華民国ですね、両方から非常に批判的な意見が出ておると聞くのですが、まあ理論的にいえば、そんなことを言われる筋合いはないと思いますけれども、外交的にはやはりこれらの関係国に対してどういう対処のしかたをされていくのか、聞いておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点も、しばしばお答えいたしましたように、沖繩の施政権返還の問題はこれは日米間の問題でございますから、わがほうとしては米国を相手国として折衝する、これが本来の筋目である。かように考えておるわけでございまして、さような方向で今後の折衝を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連。秋山さんの質問が先に進みそうなので、ちょっと一点。前に戻りまして恐縮ですが、先ほど事前協議の問題に触れられました。結局集約すると、沖繩返還問題の最重要ポイントはそこにいくと思うのです、私の理解では。そこで、かりにもしベトナム戦争のような場合、現に行なわれておるわけですね、この場合に、沖繩が返還された場合に、アメリカの施政権下でなしに本土と同様の——本土と同様といいますか、日本の領土となった場合に、事前協議を求められた場合に、これはイエスのケースに入るのかノーのケースに入るのか。これは仮定の問題とは私思えません。というのは、中国問題とか朝鮮問題は、これはそんなことは不幸にしても想像したくないですが、仮定の問題です。けれども、ベトナム戦争は現にあるのですよ。パリで会談が行なわれておるし、現地ではまた戦闘が繰り返されておる。この場合に、現国際情勢を踏まえて、もし日本が協議を求められたら、これはイエスのケースに入るかノーのケースに入るか。これは重要な問題で、一つの政府の態度を占う基本的なポイントになると思うので、お答え願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはいま仮定の問題だと、こういうことですから、その場合に……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 仮定じゃない。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 仮定じゃないとおっしゃるが、いま日本に沖繩が返ってきた後に、沖繩にある米軍の基地というのはどんなものを考えるか、ここに一つ問題がありますね。私はもっといまのような状態のもとで沖繩以外にベトナムに協力するようなものはないと思います。これは案外向こうからの要望が強いかと思います。けれども、おそらくいまの状態をもっと軽いものにするというか、小さなものにするというのがわれわれの希望でもあるし、われわれの熱望でもあります。そういう際の外へ出ていく力はおそらくないだろう、まあアメリカが言ってくるだろうということを予想する必要はない、かように私は思います。だから、それこそほんとうにいまの何というか、一応考えられる、そういうものではないだろうかと思います。どうもいまそれにお答えすることはいかがかと思います。むしろ、そういうことにお答えしないほうが沖繩が返ってくる交渉には役立つのではないだろうか、かように思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いまその点を私もう少し別な面からお尋ねしようと思っておったのです。けれども、総理大臣のただいまのような御発言があれば、やはりその点はちょっと遠慮しておきます。遠慮しておきますが、だからといってあまり広げられては困る。だからできるだけ、いままで安保条約締結以来政府側が答弁しておられたように、在日米軍の出動範囲というものは極東に紛乱が起こって、しかも日本に直接脅威を及ぼす、影響を及ぼすというような場合にだけだと、こういう説明をしてきておられるのですからね。だからこの一線だけは厳格に守っていただきたい、これだけを念押ししておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま関連質問の羽生君にお答えしたのですが、秋山君から重ねてのお尋ねですが、ただいまいろいろのことを考えると、この米軍基地の態様、これが返ってくるという一つの条件にもなるだろうと思うのです。そこに私の最終的決定をしかねておる問題がある。けれども、私は先ほど来申しますように、安全保障条約は適用になる。特別の定めがなければそのままの適用になる。また事前協議の問題についても、先ほど来説明したように、私は特別な変わった解釈はしておらないのです。これは最初からできておるときと同じ説明をしております。したがってここには誤解がないはずだ。だからいま御主張になりましたように、米軍の基地が今度日本に返ってくれば、最初から非常に極限されたものになるのだ、こういうことをはっきり言えるかどうか、そこらあたりもやはりもう少しゆとりのある方向というか、これはちょっときめかねるというか、そこに交渉のむずかしさがあるのだ、かように御理解いただいて、とにかく私が国益に反しないように、国民の輿望にこたえるように、ひとつ私を鞭撻していただきたい。先ほど来のお話がそういうところに——あなたといい羽生君といい、大体の考え方がそこにきておる、かように思いますので、そこらもよく伺って、私が結論を出す前に十分考えたい、かように思います。そのことだけつけ加えておきます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 だいぶ時間がたちましたので、次の問題に移ります。  この安保条約の今後をどうするかという問題ですが、先ほど羽生委員の関連質問にちょっとお答えになったと思いますが、もう一度一言だけ聞いておきたい。安保条約を堅持するということは従来しばしば繰返されてきておる。私どもはこれに対してまた私どもの見解を持っておりますが、やり合っておると時間をとってしまうので、総理大臣のほうの御見解だけ伺っておきたいと思うのですが、堅持するとして、それをどういう形で意思表示をされるおつもりなのか。たとえば沖繩返還の共同声明の中に盛り込むとして、どういう形で盛り込まれるのか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いままで堅持すると申しまして、その形はどんな形で続けていくか、これはまだきめておりませんということを申し上げておりますから、その点はおわかりだと思います。これは条約改定、固定延長か、あるいは自動延長か、それはまだきめておりませんということをたびたび申し上げております。今日もその点についてのお尋ねなら、同様の考え方をお答えしておきます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 沖繩と同じ程度に相当煮詰まっておるけれども、はっきり言えぬという意味できめかねておるということですか。それとも沖繩ほども煮詰まっていないという——来年のことなんですからね。沖繩はまだ三年以上ということなんですから、先は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはずいぶん——きめかねておるというか、白紙であるという、そこに矛盾があるじゃないかと、論理的には当然なってくるわけですが、それがどうだとか、どちらか主体にしてきめたらいいじゃないか、こういうことになっておると思います。だから、特別な取りきめがなければ、それはもういまの条約のままでいくし、特別な取りきめを必要とするならば条約改定も必要とする、こういうことだと思います。そこに私どもがまだ踏み切らないものがある。したがって、沖繩の問題も、安保の問題もその点では同一な状態におかれている、かように御了承いただきたい。きまらない。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 この点は残念ですけれども、次へ進みます。  また法律論のやり合いのようなことになるんですけれども、とれきわめて重要なことですから、憲法と安保条約、それから核三原則、この関係についてこの際もう一度政府の御見解をよく確かめておきたいと思うんです。核三原則のうち総理大臣は、つくらず、持たずは憲法上の問題だ、憲法にかかわる問題だ、持ち込まずは政策上の問題だと、こういう区別を最近されておりますが、持ち込まずが憲法に関係のない、これは政策上の問題だという理由がどうもよく理解できない。そこでもう一度この際、これまたよくわかるようにひとつ説明していただきたいんです。どうもよくわからぬ。私が何か頭が悪いからわからぬのじゃないと思うんです。政府のおっしゃることがどうもはっきりしておらぬと思うのですよ。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) いまお尋ねの点は、いわゆる非核三原則でございましたけれども、その中で特に持ち込みを許さずといいますか、持ち込ませずといいますか、その点について憲法との関係が必ずしも明瞭でないがというふうに伺ったのでありますが、その点についての御答弁を申し上げます。  かねて日米安保条約が——旧安保条約でございますが、旧安保条約をつくります際に、これは米軍が日本に駐留するわけでございますから、その米軍の駐留と憲法との関係というものが旧安保条約締結の際に、実は当然のことながらわれわれの憲法解釈上の問題として一体どうなるかということが問題としてわれわれは大いに検討したものでございます。その際に、やはり憲法の九条の二項、戦力を保持しないというのは、日本国が管理権支配権の主体になるものについて言っているのであろう。したがって、そうでないものについてはこれは憲法九条二項がそのままにあてはまる問題ではなかろうというふうにわれわれなりに解釈をしまして、旧安保条約は違憲にあらずという解釈をしておったわけです。むろん法制局でございますから、条約の締結についても当然すでにその際においてそういう問題の解決にあたらなければならなかったわけでございますが、それがたまたま、御存じのように、砂川判決におきましてほとんどそのまま支持をされたかっこうになっております。その内容を——ほとんど同じでございますが、米国軍隊によるわが国への核兵器の持ち込みは、わが国がみずからこれを保持するわけではありませんから、それはむろん最高裁判決が言っていることではございませんが、最高裁判決の趣旨に照らして言えば、わが国が主体となって指揮権、管理権を行使するものでなければ憲法九条二項の戦力に該当しないというのが最高裁の判決でございますが、それから見ても明らかでありますように、憲法九条の二項とは直接の関係がない。そういう意味で政府が非核三原則の一つとしまして核兵器のわが国への持ち込みに同意を与えない、これは先ほどもちょっと触れられましたが、政策上の方針としてそのような原則をとっているものである。それはよけいなことでございますが、前段の憲法との関係はいま御説明申し上げたとおりに心得ております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これはこの前、石原君の御質問に対して愛知外相が答弁された中にもあったんですが、われわれもう言いならされているから持ち込まず、持ち込まずと、こう言っているけれども、ほんとうの意味は持ち込まさせず、持ち込ますか持ち込まさぬかということは、日本の一にかかって主体性の問題であると、こういう説明があったんです、愛知さんから。私もそうだろうと思う。そうならばなおさらのこと、かりに政策上の問題であったとしても、これは一般の政策の自由自在にそのときそのときの情勢で変更できるという幅はないと思うんですよ。やっぱりそこにおのずから核兵器の問題については憲法上の制約があると思うんです。持ち込まさせるか持ち込まさせぬかという主体性は日本が持っているのですからね。だからその主体性を持っている日本政府としては、やっぱり憲法の制約というものは受けるわけでしょう。一切の、核兵器ではないにしても、少なくとも攻撃的な核兵器は憲法違反だということまでは政府のほうもはっきり従来言ってこられたんですからね。そういう意味の制約というものは必ずあるんですからね。だからことさらに持ち込まさせず、持ち込まずというところだけをこれは憲法に関係のない政策上の問題だと、こうおっしゃることはどうもその裏に政策的におっしゃっているんじゃないか、事と次第によっては米軍が持ち込むということはかまわぬのじゃないかという抜け道が準備されているようなやっぱり誤解を与えますね。政策といえばつくらず、持たずだって政策だと思うんですよ。だからその憲法上の制約という、程度は違うかもしれませんよ、しかし、いずれにしても憲法上のワクというものはこれはやっぱりいずれにもかかわっておると思うんですがね。その点いかがですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 御質疑の基本としておられます点はよくわかっておるつもりでございます。ただ、ただいまも申しましたように、憲法九条二項につきましてはわが方が管理権支配権を持つものについてのことであって、その管理権、支配権の主体に立たないものについては憲法九条二項の関する限りではないということを申し上げましたが、これは核兵器だけについて特におっしゃいますお気持ちもむろんわかりますけれども、たとえば日本の自衛力といたしました場合に、これは実は核兵器でなくっても、いわゆる自衛の正当な目的の限度を逸脱するものについては問題があるということをかねて申し上げております。たとえばどんなものがあるかと言えば、私も兵器は詳しくはございませんが、B52のごときを自衛隊が持つということになりますと、これはやはり憲法上の問題が生ずることになろうと思います。しかし米国が安保条約に基づいてかりに駐留をするということになりました場合に、事前協議でオーケーをするという、同意を与えるということについては、確かにそういう面のことはございますけれども、これは旧安保条約について、これもしばしば例に引き出しまして恐縮ではございますけれども、旧安保条約におきましては、実は米国がいかなる兵器を持とうと事前協議制度というのは実はなかったわけでございまして、その当時は核兵器を持つなんということはあまり問題にならなかったとは思いますけれども、いかなる兵器を駐留米軍が持とうとそれは事前協議の対象にならなかった、それが必ずしも違憲とはされていなかったということは御承知のとおりだと思いますが、それが新安保条約で事前協議にかけることによって違憲の問題が生ずるというのはいかにもおかしいことではないかというふうに思うわけでございます。  いずれにしましても、日本が核兵器なりあるいは通常兵器でありましても、もう自衛の限度をはるかに超越するようなものを日本国が、あるいは自衛隊が持つということになりますれば、憲法九条二項の真正面の解釈として問題があるにいたしましても、結局は、九条に戻りますが、管理権、支配権の、日本国が持つものでないもの、こういうことになりますれば、かりに向こうが自由に持ってこれるものをこちらのチェックにかける。かけることによって憲法違反になるというようなことになるのは、はなはだ論議の筋としておかしいのではないか、かように考えておるわけでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 この問題はまた別な機会にして、安保条約と憲法との関係についてちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、安保条約の前文に「個別的又は集団的自衛の固有の権利を有している」「両国が」、こう書いてあるのですが、これは国連憲章五十一条あるいは平和条約五条等にもあることばなんですけれども、「個別的又は集団的」というのは個別的及び集団的ということとは違いますね。「又は」というのは、どちらか一つという意味ですか。これはどうですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) このことばは、実は前文に出てまいりまして、それから五条のところに国連憲章を引いてあるわけでございますが、この五十一条と申しますのもこの個別的、集団的の自衛権のことを申したものでございますが、詳しく申し上げますれば、日本の場合につきましては、日本が攻められた場合にのみ考えられるわけでございます。したがって、個別的な自衛権という形になりますと思います。それからアメリカの場合になりますと、アメリカが攻められたと申しますか、日本におりますアメリカの軍隊が攻められたような場合、これはやはりアメリカの個別的な自衛権という観念がそこに入ってくると思います。それから、安保条約の義務と申しますか、安保条約によって約束しております日本を助けるという考え方に立ちます場合には、集団的自衛権と、そういうふうに観念すべきものだと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いや、それは第五条に基づく武力行動の場合の説明であって、前文は第五条とはまた多少違うのですよ。前文を第五条はかぶっておる面もあろうけれどもね。前文の場合には「両国が」「個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、」という意味は、これは、日本については個別的だけです、アメリカについては個別的並びに集団的の両方の権利ですと、こういう意味を含めて「個別的又は集団的自衛」ということが書いてあるのか。それとも日本にとってもやはり個別的自衛権もあり、集団的自衛権もありますぞと、こう言っておるのか。その点がどうかということを聞いておる。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これは平和条約にもございますわけでございます。先ほども先生お話しのとおりに、平和条約にもございますのでございますが、これは主権国としてでございますね、「固有の権利」と申しますか、そういった意味で、日本が個別的及び集団的な自衛権を持っておるという、これは国際法上の問題でございますが、そういうふうなことはこれはもう否定できないものだと思います。ただ日本の場合には、その集団的自衛権を行使するところは、憲法その他の制約がございますんでございますから、したがって、実際には、日本は個別的自衛権を行使するだけしか機会がないわけでございます。そういう意味で、平和条約なり先生もおっしゃいました安保条約の前文なんかもいささかそういうふうな——あまりはっきりいたしませんが、そういうふうな感じがございますが、そういうものはむしろ国際法上、主権国というものはそういういわゆる「固有の権利」を持っておるんだということをいっているものだと、私は解しております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 実はね、この点が私は非常に不思議に思うのです。で、日本の憲法は少なくとも集団的自衛権というものは認めてないわけでしょう。そういう集団的自衛権を認めてないような憲法を持っている日本を相手に取り結んだ条約に、わざわざ「個別的又は集団的」自衛権と、こう書いてある。ところが日本のような憲法でない、自由にこの自衛権を発動できるという韓国あるいは中華民国、フィリピンその他ANZUS諸国、それからNATOなんかに加盟しておる諸国、こういうところの相互援助条約には、どこにもこういう「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を持っておるということをわざわざ書いてないのです。例があったら教えてください。おそらく珍しい例だと思うのです。国連憲章にはありますよ、書いてある。日ソ共同宣言にも書いてありますけれども、わざわざ日本のような特異な憲法を持った国と結んだ条約に、なぜ日本の憲法が許しておらぬ「集団的自衛の固有の権利」とわざわざ特に書かなければならぬ。この理由が私はわからぬ。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) ほかの例は実は私、まだ全部当たっておりませんので、後ほどお答えいたしますが、おそらくあまり例のない形であることは事実でございましょう。ただ、これは先ほども、最初にお答えいたしましたように、アメリカにつきましてはどうしても集団的自衛権というものはここで認めざるを得ない。また認めることが安保条約のたてまえでございますが、それで日本の場合に、どうしてそれが個別的な自衛権だけになるんだというお話であろうと思いますんでございますが、これは自衛権の行使という形が出てまいりますのは、やはり五条の形で出てまいりますわけでございます。日本が武力行使をやりますという形は五条だけしか予定してないわけでございますから、この場合には五条そのものにも書いてございますように、この「自国の憲法上の規定及び手続に従って」とはっきり書いてございますんですから、日本の場合に、これで日本の憲法によって制約されるということはこれはもう非常にはっきりしているわけでございます。したがって、日本の場合に個別的自衛権というものだけと申しますか、日本の場合の自衛権の行使というものは、個別的自衛権であるということは、その点ははっきりしているものだと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 その点はそのように了解しますが、しからば日本国憲法の認めておる自衛権というものと、それからここに書いてある国際法上の個別的自衛権というものは同一なものなのか、全く同一なものなのかどうかということ、いま条約局長のお話では個別的自衛権だけしかないのだと、日本に。つまり同一なものだというのですが、ところが従来——今回の予算委員会でもそういう問答がありましたがね。個別的自衛権と日本国憲法の認める自衛権とが全く同一のものかどうかということについては、必ずしもそこがはっきりしておらぬ。また聞きようによっては、個別的自衛権の系列に属するものではあるが一そう狭いものだと、厳密なものだと、こういうように受け取れる御説明もあった。また全然違うものだという御説明もあったのですが、この際これをはっきり確定しておいてください。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 国内法と国際法の両面にまたがる御質問でございますので、もし国際法的な面について不十分な点がありましたら、外務省当局から補足してもらいたいと思います。いずれにしましても、自衛権という観念が国際法上の観念であることは、これは確実であろうと思います。要するに、国家間の戦闘状態、それについての一つのそれを正当視される限界といいますか、そういうものの面で出てくるものでございますから、自然、国際法上の観念であるということを申し上げていいと思います。  そこで、ただいまも条約局長から話がありましたように、国連憲章の五十一条、それが現在の実定国際法の面で顔をあらわしております最も顕著なものでございますが、そこには個別的または集団的自衛権という名のものがございますが、そういう国際法の基本的な観念というものから見ますと、この国連憲章にいいますところの個別的自衛権、それと、日本国憲法上認められております、言うところの自衛権というものは、少なくも性格が同じものであろうというふうに考えてよろしいと思います。ただ、いままでの答弁を御引用になりまして、いろいろなことを言っておるという御指摘がございましたが、ともかくも、日本国憲法が認めておる自衛権というものは、われわれの、これは何といいますか、非常に厳格に考えたいという意欲があるのがもとではございますけれども、この自衛権の行使の要件というものをわれわれとしては非常に厳密に解していきたい、こういう一種の内心の欲求といいますか、そういうものを非常に強調したいあまりに、何か本質的にも違うんじゃないかというふうに思われがちかと思いますけれども、私は、やはり概念としての自衛権というものは個別的自衛権というものと同じであろう。しかし、いま申したように、日本国憲法のもとの自衛権に関しては、特にこの自衛権の三要件というものをきわめて厳密に考えていきたいというようなことを、特に、よけいなことかもしれませんけれども強調したくなるわけでございます。もしその点さらに御質疑があれば、あるいは私から、あるいは外務省のほうからお答えしたいと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 個別的自衛権と同じものだと——あとで説明がいろいろありますけれども、同じものだと、こうおっしゃっている。そうしますと、今度は交戦権ということにまた矛盾が出てきやしませんか。国際法上の交戦権というのは、国際法上の個別的自衛権あるいは集団的自衛権を行使する権利が交戦権でしょう。だから、日本の場合、個別的自衛権に基づいて武力行使をする権利が交戦権、国際法上の交戦権でしょう。ところが、日本の場合に限って、日本の場合の自衛権の行使というのは交戦権じゃないと、こうおっしゃって、自衛行動権とも称すべきものであって、国際法上の交戦権とは違うという説明をしてこられたんですね。そうすると、もとが同じであって、個別的自衛権と日本国憲法の自衛権と同じものであると言いながら、その結果は交戦権とそれから自衛行動権と別なものだ、交戦権がないと、こういう理屈はこれはこじつけとか、あるいはことばの遊戯で、ただ憲法九条とのつじつまを合わすためのことばの遊戯のような感じを受けるのですがね。そこらの説明ができぬのならできぬと言ってください。私は何も法制局長官が全部できるとは思っておらぬのですから、だからそこがむずかしいところで頭を悩ましているとおっしゃってもかまわぬのですよ。それをしいてつじつまを合わせようとされるから、合わぬ点があっちこっちにできてくるから、これは正直なところをぴしっとおっしゃってください、正直なところをおっしゃってもそれを別にあげ足をとるつもりはありませんから。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。  いま私は資料を持ち合わせておりませんですが、私も交戦権と自衛行動権というものに触れまして、いつかお答えをしたことがございました。そのときには御理解をいただいたのじゃなかったかと私は当時は思いましたけれども、なおお尋ねでございますので申し上げますが、その資料がございませんと申し上げた趣旨は、実は先般のお答えを初めて私はやはり持ち出したつもりではございませんで、政府としてはそういう考え方を従来ずっととってきておるわけです。ただ説明のしかたが必ずしも常に同一ではございません。もちろん中身が違うということではなしに、表現のしかたには若干違った点がございますが、大筋は一貫しているつもりでございます。  で、それを繰り返すことになりますけれども、憲法は御承知のように九条一項で戦争を放棄しております。これはもう端的に放棄していると考えてよろしいと思いますが、そこでいう戦争というものは、戦争の中身は武力の行使でございますけれども、私どもが憲法九条を眺めます場合に、武力の行使と戦争とを分けて書いているというところが、やはり戦争というものは国際法上の概念としての戦争であろう、その戦争を放棄したことに見合って交戦権の放棄をしていると解釈するのが相当であろうというふうに考えるわけです。一方、たとえば交戦権の例として占領地行政、こういうようなものが確かに交戦権でございますが、そういうようなものは、しばしば申しておりますように、自衛権の行使として占領地行政を行なうというようなことは例の海外派兵等と関連してもお考えいただいてけっこうでございますが、そういうものができるはずがないということから言いますと、交戦権は持たない、持ち得ないということを申していいわけでございます。しかし同時に九条の一項の解釈といたしまして、これはまた砂川判決も認めておりますけれども、わが国には自衛権がある。自衛権を行使します場合には、やはりそこに武力の行使が行なわれる。自衛権を持っているということをさらに行使をするということができるということになりますれば、そこには武力行動というものができてくる。わが国民の生存と安全を保つために抵抗をするということが出てまいります。そこには、抵抗をします場合には、やはり国際法上その行為が正当視される根源のものがやはりなければならぬことは御指摘のとおりでございます。しかしそれがいま言ったような占領地行政を含むような、そういう非常に深く非常に広い権限の行使としてはわれわれはそれを持たないというべきであろう、しかしそれとは違った自衛権を認められている、国民の生存と安全を保つために必要な最小限度の行動、そういうものはいまの占領地行政が入るような交戦権とは違う。言うならば自衛権を行使して自衛行動をするいわゆる自衛行動権であるべきである。そういう意味で交戦権は持たないが、自衛行動権は持つと考えるべきであろう、こういう考え方を従来からとっているわけです。いまの御説明でおわかりいただけたと思いますけれども、大体の考え方はそういうことでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 関連。最も重要なポイントですが、憲法が実は制定される当時からも、自衛権の問題ではぼくらも非常に問題に実はしておったわけです。したがって、いまの法制局長が言われるように、憲法第九条の一項、二項からそういう自衛権というものがあるのだと言われるけれども、独立国には自衛権というものは固有の権利として、これは国際法上古い昔からあるということを言われているが、それをなおしいて、第二項では三軍を持たない、軍備はしないという勘定を置いたところにわれわれは重点を置いている。それがいま問題になってきているのですよ。したがって皆さん方の言われるのは、現憲法の存在する間は当面は非常にむずかしいと思う。しかしいますでに個別的自衛権、集団的自衛権はもちろんのこと、個別的自衛権自体は国の固有の権利であるということから出発していると思うのですね。論議は昔に返しません。  そこで問題になるのは、国際法上認められておる自衛権というものは、これはおっしゃるとおり、一つのものである。これはもう否定できないと思う。それをあえて憲法の制定のときに避けられたのです。それをまず前提に考えておかなければ間違いを起こす。わが社会党との基本的な相違はそこから出てきておる。これはいま論議をしません。そこで皆さんが言われる自衛権というものは個別的自衛権はあると、あるけれども、日本国憲法でそれをどう制約されておるか、厳密に解釈するという法制局長官のその答弁は私は気にいらない。日本の憲法の存する以上は、その自衛権をどう制約されておるかということが問題の焦点であると、したがって交戦権はないということは外に向かって戦争しない、ただ、攻められたときのみ、いわゆる新しいことばかどうか知りませんが、いわゆる自衛行動権、交戦権じゃない、国際法上認められておる交戦権でないんだと、攻められたときにその火の粉を払うためにせっぱ詰まって結局自衛権を発動する、自衛の行動権。そういう考え方をはっきりしておかぬと、あなたの言われる厳密に解釈して交戦権はないと、そう言われるとわれわれは異議がある。いまの憲法下においては、いわゆる先ほど申しましたように自衛行動権、いわゆる攻められたときにのみ最小限度の抵抗をする自衛権が日本の憲法によって許されておる、こうはっきりとしておかなければ。私はしかし憲法第九条第一項、第二項から見てやはりそれは無理だと思っているんです。しかし、これはここで論議いたしません。いままで政府がとってこられた自衛権というものがあるとしても、憲法下そういうものであるということを明らかにしておかなければ将来問題が起こる。これはこの前私が言ったことですから、この点ははっきり確認してもらいたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) はなはだ重要な点でございますので、にわかに申し上げられるかどうかわかりませんけれども、いまお話を伺っている限りでは、私の考えと大して変わりがない。おおむね私は——おおむねというのは、用心をして申し上げているだけでございますが、考え方はいまおっしゃった点と同じだとお思いいただいてけっこうでございます。要するに、わが国が自衛をするというのは、まさにわが国が攻められた場合にその火の粉を払う以外に手はない、国民の生存と安全は害される、国民の生存あっての憲法が、場合により、国民が生存を失うことを前提としているような条項を設けているということを考えること自身が、実は私にはおかしいと思うわけでございますが、いずれにしましても、他国からの侵略なしにわが国が兵力を使うということは、これは許されないことである、しかも武力攻撃を加えられた際には、自衛権の三要件として私ども非常に強調するわけでございますけれども、それを払うだけである。それ以上にわたることはできない、そういうような権限しか持てないんだと。しかしてまた、そういう権限は逆に言えば持てるのだ。そういう意味で非常に厳格に解すべきものであるということを御説明したつもりでございますが、ただいま御質疑をいただいて非常にありがたく存じます。この点は私はもうほとんど同一の考えを持っておるということを明確に申し上げてよろしいかと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 次の問題に移ります。  中国問題について総理の御所見をお伺いしたいのですが、いま北京で行なわれておりますMT交渉、これが難航しておる理由について、古井、田川両代議士あるいは岡崎嘉平太氏、こういう関係者が異口同音にいまの政経分離方式ではもうだめだ、こういう意味の発言をしておられます。また総理大臣も先ほどお話の出ました、去る二十日の日本商工会議所の総会でのごあいさつの中で同じ意味の発言をしておられるわけです。そこで政経分離方式といういまとっておられるやり方は一体、いつまで続けられるのかということをお伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いつまで続けるのか、そういう別に期限があってやっていることじゃありません。これはしばしば申し上げますように中国は一つだ。私どもはいまのサンフランシスコ条約締結の相手——中華民国、これを中国の代表として条約を結び、そうしてそのもとにその交渉をやっている。ところが、これはまあ大きい小さいということを言えば、それは北京政府のほうが問題にならないくらい大きな地域を支配しておりますけれども、中国はとにかく一つだ、両方とも、北京政府もそう言っている。台湾にいる中華民国政府もそう言っておる。その立場になりますと、二つの中国論ではないと思います。いまのところではそういう意味で北京にある政府とどうも政経分離の方式で実際に交渉を持たざるを得ない、これがいまの現状でございます。問題はただいま、事柄は中国内部の問題だ、かように私は考えておりますので、いつかはそういう問題が解決できるのじゃないだろうか、そういう意味でただいままでのところいついつまでこの方式をとっていく、こういうわけではございません。とにかく、いまの様子では何か改正しなきゃならない、かように思いながらその手がないというのが実情でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 実は私新聞で拝見したのですが、こう言っておられるのですね。「わが国は現在台湾を承認しているが、台湾の施政権は中国大陸には及んでいないし、施政権の範囲は狭い、わが国はやむを得ず政経分離をとっているが、これも長く続くわけではない、将来適当な時期に解決しなければならない」、——いまの御発言、ちょっとこれよりニュアンスが違うのですが、このとおり御発言なさったのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の発言はいつも変わりない。いまここで発言したとおりであります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いま読み上げたのもそういう意味ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま読み上げたとおっしゃるのは、これは過日の商工会議所のその席において、いつまでもこの状態であってはならない。何らかしなきゃならない、かように思うけれども、ただいまの状態では他に方法がない、こういうことを申し上げたのです。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 そこでやっぱり、こういうむずかしい形になっているというのはもとを申しますと、日華平和条約を結んだいきさつから出発していると思う、そのときのいきさつから。これもあまり私がしゃべりますともう時間がありませんのでしゃべれませんけれども、中国との戦争状態があの条約によってもう全部片づいてしまったのだという御見解のようですけれども、ところが私は必ずしも——それは無理なんじゃないか、それで押し通すということは無理なんじゃないかという交換公文ですね、あの条約の適用範囲をきめた交換公文を読み返してみても、やっぱりあの交換公文というものは、日華条約第一条のあの戦争状態の終結という条文まで全部かぶっているのじゃないか。その解釈のほうが現実的で合理的なんじゃないかというように思うのですが、この点いかがですか。愛知さんがこの前、森中君の質問に対して、もうあれで全部片づいたんだと、こういうように言い切られたんですけれども、これはいかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日華平和条約の問題でございますけれども、これは、政府の見解というのは、ここで詳しく申し上げたいところですけれども、ずっとこの条約締結のときから一貫した解釈をとっておるわけでございます。簡単に申しますと、国家と国家との関係についての規定、それから適用地域という観念を入れて解すべきものと——条約の各本条によりまして、何と申しましょうか、国家と国家との関連において律すべきものと、適用の地域いう観念をはっきり入れて解すべきものと、二つあるように思うのでありまして、この前申し上げましたように、戦争の終結についての規定とか、それから戦前の条約の効力についての規定とか、たとえて言えば第一条とか第四条、まあこういうものは、国家と国家との間の関係を規定しているものと解すべきであって、すなわち、戦争の終結という状態については、この昭和二十六年の条約によって国と国との間の戦争状態は解消したと、こう解すべきであろうと思っておるわけですが、同時に、通商関係とか航空関係とか漁業関係とか、こういったような規定は、地域的な適用関係というものが問題になるわけでございますから、現に中華民国政府の支配下にない地域に適用するということは現実的でないわけでございますね。そういうふうに分けて解すべきものであるということが、この条約の締結の当時から今日に至りますまで、条約の解釈としては一貫して申し上げてきておるわけでございます。予算委員会、外務委員会その他におきまする歴代の内閣の解釈をこの前も申し上げたわけでございまして、別に新しい解釈でも何でもございません。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いまの外務大臣の御解釈には非常に無理があるんじゃないかという気がするんですね。当時国民政府の支配の及んでいない地域については、戦争状態が終わったとも、また終わらないとも、規定していないわけですね。ただ、国民政府の支配の範囲が将来拡大されたときは、それに応じて各条項の適用範囲も拡張されることが約束されているにすぎぬのじゃないかと私は思うんです。この点は、当時の岡崎外務大臣なんかの説明されておる議事録をいろいろ読んでみましても、中国全般の問題ということになると、すべてこれはもうペンディングになっておるんですね、事実上。また、ペンディングにならざるを得ないという御発言もなさっておるんです。日華条約はもともと理論的にはすっきりしないけれども、これはもう現実の状態がすっきりしていないのでこれはやむを得ぬのだ、中国全体の問題はペンディングにせざるを得ないと、こういう意味の御発言を繰り返してやっておられるんです、時間がないから読みませんけれどもね。そういうはっきりしない状態の中で、しかも、急いで日華条約を結ばざるを得なかったというのは、もう御承知のとおり、朝鮮戦争があって、中国とアメリカとの関係が非常に極端に悪かったという背景です、一つは。それからもう一つは、当時サンフランシスコ平和条約の上院の承認を受けるについて中共問題というものが非常にひっかかって、日本が北京政府と台湾政府とどっちを承認するかわからぬような状態のままでは上院の空気が悪くてあのサンフランシスコ平和条約の承認を得られそうにないからということをダレスから日本の政府が言われて、そしてそういうことでしかたなしにあわてて台湾政府と日華平和条約を結ばざるを得なかったというようなそのときの背景があるんですよ。これは私が繰り返すまでもない。しかし、たとえば吉田書簡に書いてあることにしても、ダレスあての書簡を見ましても、究極的には隣邦である中国と全面的な平和通商関係を結びたいとか、ダレスあての文言の中にも、そういうほんとうに日本の希望というか腹というものはおのずからにじみ出ていると思う。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 これは非常に苦労された産物だと思うんですよ。だけれども、いま当面の問題を切り抜けるために台湾政府とやるんだということが書いてある。  それからもう一つは、しまいのほうに、朝鮮戦争で国連から侵略者として非難されたとか、あるいは中ソ友好同盟条約が日本を仮想敵にしておるとか、それから日本共産党と中国共産党とが云々とかいうような、そのときの特有の理由が書いてある。ところが、これらのあげられた理由は、全部今日の状態に合わぬでしょう。中ソ友好同盟があっても、けさ冒頭総理大臣にお尋ねしたように、実際にはこれはもう動いてはおらぬですよ、あれだけ対立しておるんですからね。それから共産党のことを言って恐縮ですけれども、書いてあるんですから申し上げるんですが、日本共産党と中国共産党との云々ということも、これも今日の実情とは全然違いますわね。それから国連の決議があったというても、それから二十年たっているんですからね。私は、国際政治は生きものだと思うし、いわんや国際法もまたそれについて生きものであるべきだと思うんで、そういう特殊な事情の中で非常に無理な条約をあえて結ばざるを得なかった。しかし、今日は、もう情勢は一変していますからね。だから、政経分離の問題なんかでも、あるいは貿易問題、ココムの問題あるいは中国代表権の問題、重要事項指定方式の問題、こういう問題についてもう少し積極的な姿勢をお示しになっていいんじゃないか、また、それを大多数の国民が期待しているんじゃないかというように思うんですが、これは総理大臣からひとつお答え願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの、積極的な姿勢を示してこの問題を何とかしたらどうかと。一応ごもっともなように聞こえますが、国際条約というものは、そうしたものではない。一たん結びますと、権利がございまするが、同時に、忠実にこれを守る義務がある。それで、はじめて国際条約というものが相互信頼関係ができる、かように私は理解しております。したがいまして、中華民国とサンフランシスコ条約を結んだ。そうすると、やはり日本の権利もありますけれども、中華民国に対して日本が果たすべき義務もあるわけであります。そこをやはり十分理解していただかないと、私どもがこの問題と取り組んでおる態度が理解しかねるだろうと思います。そうして、私どもも中国は一つだと、かように実は考えております。中華民国も中国は一つだと言っているし、また、北京の政府も一つだと言っている。大きい小さいということだけでその一つだということを変えるわけにいかない。これは、いままでの条約に対する国際的な信用、そういう意味からも私どもはそれを変えるわけにいかない。ここにむずかしさがあるのであります。この問題も、しかし、おそらく、中国内部の問題、内政の問題だと、かように私思いますので、いつかそういうものが片づくのではないかと、そのことを期待しているというのが今日言い得る最大限のことばのように実は思っております。それかといって、私どもが中に入りまして、こうしなさい、ああしなさい、そういう内政干渉めいたことはわれわれはすべきではないと、かように実は思っております。われわれの分を守って、そうしてあるべき姿についての希望を述べている、これがいまの態度でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 吉田首相のダレスあての書簡ですね、これは、一体、生きているんですか、死んでいるんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この書簡は、昭和二十六年に出されたものでございますが、先ほども秋山委員からお話のございましたように、これが、現在の日華平和条約といいますか、基本条約ができた背景でございます、こういう次第であると理解いたしておりますから、この書簡は、まあいわばこの条約ができたことになる背景といいますか、そういうものでありまして、この条約ができましたことによって、まあ法律的なものではございませんけれども、歴史的にその使命を一応果たしたものだと、かように解釈いたしておるわけでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 去年の暮れに発表されました通商白書によりますと、最近の西欧諸国の中共貿易に対する進出が非常に激しい、日本のようにMT貿易とそれから友好商社の貿易、こういう二本建ての方式にはもう限界がきたんだ、やはり何らかの大きな政治的な積極的打開策が必要だと、こういう趣旨のことを通商白書で強調されておりますが、これについてはいかがでしょうか。これは総理大臣と通産大臣の御意見を伺いたい。  それから続いて、ココムに制約されていますわね、日本は。ところが、これはよく言われることで、ココムは、あの当時の、いまとはすっかり違う冷戦のいわば落とし子で、それ以来二十年間に、技術の面からいっても、また、国際情勢からいっても、全然一変しているわけですわね。にもかかわらず、なぜ——しかも、法律的な性格もはっきりしていないココムに日本がいつまでもしばられなきゃならぬという理由がよくわからぬ。去年の秋に、パリで、久し振りでココムの再検討の会議がありました。この会議の結果がどうなったのかということを私はつまびらかにしないんで、これもあわせてお答え願いたい。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日中貿易は、一九六六年をピークといたしまして、六七年、六八年にやや減ったのでございます。この傾向は、ひとり対日貿易ばかりではなく、西欧貿易にも大勢としてそういう傾向が見られるのでございまして、私どもといたしましては、主として中国側の事情によるものと思うのでございます。一九六五年後、しかしながら、依然としてソ連にとってかわりましてわが国が最大の貿易国の地位を占めておりますことは、御案内のとおりでございます。しかしながら、昨年の下半期から、微減の傾向にありました日中貿易がだんだん活況を呈してまいりまして、下半期の輸出は、特に輸出は、前年同期に比べまして三割以上の飛躍を見ておるわけでございまして、私ども、いまの条件のもとにおいて日中貿易が非常に困った状況にあるとは判断していないのであります。覚え書き貿易とは友好貿易の問題でございますが、仰せのように、友好貿易方式によるものが漸次ふえてまいりまして、比重も増してまいりました。覚え書き方式によるものは、金額そのものはそうたいした増減はございませんでしたけれども、全体の比重は確かに落ちてきております。しかし、これは、方式自体の問題ではなくて、長期に大量の取引をやるに適した品目だけを取り上げて覚え書き方式によってやっておるわけでございます。友好貿易のほうは、商品に限界を設けませんで、新規の商品の開拓、市場の開拓ということが自由にできておりますので、漸次増加を見ておりますことは、御案内のとおりでございます。私どもは、しかしながら、わが国が窓口を一本に集約した形で大量の取引が整然とできるところの覚え書き貿易方式というものは、日中貿易で捨てがたい方式であると考えております。西欧側の事情は、先ほど申しましたように、やや日本と似たような推移をたどっておりますけれども、最近とりわけ西独、イタリー、カナダ等が非常に積極的な姿勢を示しておりますので、そういう推移は十分注意深く見守る必要があると考えております。  第二点のココムの問題でございますが、現在、御指摘のように、パリで話し合いが行なわれておりますことは、事実でございます。経済、技術の水準が変化しておりますから、しょっちゅうこれをレビューしてまいるということは当然あり得ることと思うのでございます。いま行なわれておるパリの交渉、話し合いというものにつきましては、個々の品目につきまして各国からいろいろな意見が出ているように承知いたしておりますけれども、帰一した結論が出たというようにはまだ伺っていないのでございます。ココムの申し合わせに参加する是非の問題でございますけれども、何ぶんと、どういう問題も、メリットもあれば、デメリットもあるわけでございますけれども、わが国の貿易構成から見まして、自由圏との貿易が九割以上を占めておるような今日、対自由圏に対する対日信用を維持してまいるという上から申しまして、この種の申し合わせに忠実であるということは、われわれとして守るべき一つの態度でなければならぬと考えております。と同時に、一たんそういう申し合わせに入りました以上、それをやめるということは、やめるだけの理由、名分がなければならないわけでございまして、とりわけそういうようなきわ立った行動をとる積極的な理由を十分まだ見出し得ないというのが正直に言って私どもの立場であろうかと考えております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 まあ、貿易の点についても、日本のむずかしい立場、いわば悩みをおっしゃったわけですが、その悩みを突き抜けて、ひとつ前向きの方向で問題を解決するために努力していただきたいと思います。  それから気象関係だとか航空関係だとかというような問題について北京政府と話し合うおつもり、御用意、あるいは内々そういうことについて若干でもお話し合いが行なわれているかどうかの事実、そういう点についてひとつ政府の方針をお聞かせ願いたい。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 日中の航空関係についてでございますが、二国間に定期航空業務があるということは、これは航空協定を締結して行なうのが原則であることはもう申すまでもございません。したがって、現在、政府間協定を、中共との間に国交がないのでございますから、この正式な航空協定を締結するということは困難でございます。貸し切り飛行ということにつきましては航空協定の締結を必要といたしませんので、そのような要請が生じた節は、航空法の規定によって処理することは可能でございます。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 先般、田川、古井両代議士が覚え書き貿易の協定のために中共に行かれる際に、日中の航空協定の話が出るんじゃないかということが委員会でも御質問があったのでございますが、私はそのことについて御両名からお話も伺っておりません。外務大臣とも連絡いたしましたが、もしそのようなことがいま言いましたように具体的に何かお話があるならば、慎重に検討したいと思っておりました。先般また、岡崎さんが行かれる際に外務大臣といろいろなお話があったと思いますが、私はこの航空協定について、航空問題について岡崎さんに何かお話があるかと思いましてことばをかけてみましたけれども、岡崎さんのほうでは何もないということでございました。  けさ新聞に、岡崎さんが航空の問題で政府の腹がきまっておらない云々というような記事がございましたけれども、私の申し上げておることは岡崎さん十分御承知のはずでございますから、私はこのことについてどういうことをおっしゃっておるのかちょっと考えがわからなかったんでございます。以上のような状態でございます。  それから日中の気象協定の問題でございますが、中国の気象資料は現在中国の気象放送を東京で傍受することによって入手しておりまして、日常の気象業務にほとんど支障はございません。したがって、特に気象協定を取り結ぶということは国交がないので現在のところできない。必要はそういうことで果たしておるということでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 最後に、大学問題について総理大臣に、時間がありませんから、私はもう簡単に聞きますから、行き届いた答弁をひとつお願いします。  大学紛争は幾らどんな批判があっても政府はほっておけないと、まず、国家権力を用いて大学の正常化をはかり、その後に大学の未来像を検討したい、こういう御発言を総理大臣なすっておる。それからまた、文部大臣以下文部省の幹部を呼びつけて大いにハッパをかけられておるわけでありますが、この具体策ですね、一体、総理大臣として何をやろうとされておるかということをひとつ御答弁願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあいろいろの問題を含んでおります。たいへん広範な、また、かつ、根深いものがあると。しかし、とにかくこの改革といいますか、そういう基本的な問題については中教審にせっかく諮問中でございますから、いずれ答申が出る、かように思います。その諮問することは別として、とにかくただいま秩序が破壊されておる、学園の秩序が破壊されておる、これはやっぱり国の最高責任者としてその秩序回復はどうしてもしなきゃならぬ、そういう意味であらゆる努力をしておるわけです。しかし、その秩序回復のためにも行き方のじょうずへたがあるわけです。よけいな摩擦を起こして、そうして秩序回復をする、こういうわけのものでもない。しかしながら、政府はき然たる態度でやはりここに法秩序を維持する、この態度だけは鮮明しなければいけない、これが政府の責任だと、かように思っておりますので、そういう意味のことを言っておる。とりあえずの処置並びに基本的な問題、それとの取り組み方、その姿勢を文部省とも相談をしておる、かような状況でございます。したがって、ただいま文部省のやり得ること、これは法が命じておるその範囲においてどんどんひとつやったらどうかと、会議も起こし、また同時に必要なる指導助言、これはやるがよろしい。そういうことを遠慮しないでそうしてやってくれ。とにかく、一番困っておるのは、ただいまの事態が起きて国民はほんとうにたいへんな迷惑をしている。ことに感情に訴えるわけではないが、子弟を持つ両親などは、いまの状態では困ったことだと、政府は何をしているか、かようなおしかりを受ける。これはもうあたりまえのことだと、政府のなすべきことはただいま法の命ずるところによって善処してくれと、こういう意味でいろいろ対策を立てておる次第でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 まあ大学問題も非常に広いわけですから、何か一つやればそれで全部片づくというものじゃないと思います。一時、自民党の内部で治安対策の面から緊急に臨時立法をやるべきだという意見が強く出た。これはまあ今日も消えてはいないと思いますが、この面については国家公安委員長にもう一度ここではっきり御答弁をいただいておきたいのですが、その治安面云々ということはもう現行法で十分だと、こういうことを言ってこられたんですが、その点は今後も変わりありませんか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。治安当局の立場だけに立ちましてお答えを申します。  結論から先に申し上げます。今後いわゆる大学紛争がエスカレートして予測し得ない事態が生ずれば別でございますが、そうでない限り現状のもとにおきましては、すべての大学当局が学内秩序の維持方策について確固たる態度をとり、適正な管理措置を講ずるのでありまするならば、さっきの総理のお話と関連するようなことですけれども、そうであります限り、現行法規のもとで警察としての所要の措置をとり、国民に対する責任は果たし得るものと一応考えます。  くどくなりますが、蛇足ながらもうちょっと申し上げさしていただきます。まあ第一に実情に即して申し上げますが、いままで過激派学生集団等による大学施設の占拠は建造物侵入罪、不退去罪に該当し、バリケード封鎖は威力業務妨害罪に、教授等の大学当局者に対する監禁は監禁罪にそれぞれ該当すると考えられますが、これらの犯罪はいずれも大学当局者の明確な意思表示がなければ成立しないものであります。すなわち、建造物侵入罪、不退去罪は施設の管理者たる大学当局が占拠学生に対して立ち入り禁止、退去要求をなし、また威力業務妨害罪については被害者たる大学当局がその事態を容認しない旨の意思を捜査機関に対して表明するのでなければその成立は困難であります。さらに、監禁罪につきましても、被害者たる教授などがそのみずからの自由を不法に拘束された旨の意思を捜査機関に対し明確に申し出るのでなければその成立は困難なのであります。  第二に、また、過激派学生集団等による大学施設の破壊は、建造物損壊罪、暴力行為等処罰法違反に該当し、また乱闘行為やリンチなどの行為は傷害罪、監禁罪及び暴力行為等処罰法違反に、暴力をふるうため角材等を持って学内に集合する行為は、凶器準備集合罪にそれぞれ該当いたします。しかし、この場合におきましても、適切な取り締まりを行なうためには、大学当局関係者による被害の申し出、これらの事態についての適宜の連絡など、被害者側の捜査機関に対する協力がなくては困難なのであります。しかしながら、従来の実情は、すでに発生しました犯罪事案についての警察に対する申告、通報はもとより、警察の取り調べに対してもきわめて非協力的であります。乱闘による負傷者自身が、みずからの過失で傷ついたものであると称するため、犯罪の証明ができない場合も少なくないのであります。これを要するに現状では、公務員である大学教授はじめ教職員は、刑事訴訟法の規定により職務上の犯罪を認知したときは告発すべき義務があるにもかかわらず、多くはその義務を果たすことを怠り、その結果、大学構内は暴力学生の活動拠点となり果てていますし、また、学内で捜索、差し押え、検証を行なうについて、国立、公立の大学は刑事訴訟法の定めの上で公務所に当たりますので、その執行には学長またはこれにかわるべき者の立ち会いが必要でありますが、実情はこの立ち会いをすることについても、原則として、拒否する意向を示すなど非協力でありますために、効果的な捜査の時期を失することも多いのであります。  以上申し上げましたように、法律に定められた義務や責任すらも遂行しようとせずに、学内の暴力を放置している大学当局が多い実情にかんがみまして、正常な秩序ある学園を築いていきますためには、大学を管理する人々に、要望したいと思いますことがあります。それは学問研究の自由を阻害している一切の暴力や犯罪に対し、き然たる態度で臨んでいただきたいということであります。そういう態度で御協力をいただけば、冒頭に申し上げましたように、現行法で十分であると、かように現在は考えております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いま大学の人事と文部大臣の任命権との関係の問題をめぐって、また新しい紛争があちこちで起こっておるわけであります。いわゆる拒否権があるかないかの問題、大学人事に対して文部大臣の拒否権ありやなしやということをこの際はっきりしていただきたい。これは総理大臣、ひとつ方針をはっきりしていただきたいと思うんです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これはたびたび私が申し上げておるとおりでありますが、教育公務員特例法の十条によりまして、大学の管理機関の申し出に基づいて文部大臣が任命をするということになっております。しかしながら、大学自治の根幹と申すものは、この大学の人事に関する事柄であると、私は承知をいたしております。したがいまして、その選考というのは、大学機関において行なわれるということが一応慣行としてでき上がっておるわけでございます。しかし、一方におきまして、最終的な任命権者は私でございます。これは学問の自由というものが憲法で保障され、一般公務員よりも教育公務員というものが高く一そう守られておると、こういうことでございます。その意味は、教授の政治的信条あるいは思想あるいはイデオロギー、そういうことは憲法で保障されている、こういう意味です。したがって、そういうことで任命をしないということはできません。ただ、国家公務員として、また教員としてあるいは大学の管理運営の長として、はなはだしく不適当であるということが、客観的に明瞭である場合には、これを任命しないこともあり得るというのが従来から一貫してとってまいりましたところの見解でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 それでは具体的な問題に対してお答えをいただきたいのですが、九大の問題北大の問題、阪大の問題、東北大の問題、その他等々、こういう問題に対して、いつまでもほっておくわけにいかぬのですが、これはどうされるのですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいまの九大の場合も、それから北大の場合も、その照会をいたしておる段階でございます。九大と北大とはおのずと違うわけでありますが、九大の場合は井上教授の発言の問題にかかわるわけでありますけれども、その真意が実はわれわれのほうにわかりません。私といたしましては、一片の週刊雑誌等の片言隻句というものを取り上げて、そうして判断をするということは、私はやはりいたずらに問題を紛議させることになるし、従来からのいわば学問の自由というものを保障しておる上からいって、はなはだ国民に対しても申しわけないことである。ところが、井上発言というものが、片言隻句をとらえまして、とにかくいろいろ問題にされ、また、そのこと自体につきまして、国民の方々も、不安とあるいは疑いを持っている。これは国民の常識から言うならば、そういう発言というものは、国家公務員としてあるいは教授として良識の府である最高学府のいわゆる管理運営をする長として、はたして適当であるだろうかどうであろうかという疑いが国民の中にあるということは、これまた私は事実だろうと思うのです。このことは、この委員会におきましても、単に自民党だけではなくて、社会党の方々からも、また民社党の方々からもその疑問を投げかけられたわけでございまして、この国会において、こういう議論があるということは、国民のある部分におきましてあるいは多数かもしれませんけれども、一般庶民の間において、非常に不安があり、疑いがあるという、こういうことだと思うのであります。それに対しまして、私は直接の任命権者といたしましては、やはり週刊雑誌だとか、あるいは一つの新聞に書かれておるからといって、そのことだけで判断をすることははなはだ不適当である。事が明瞭であり、またそれが客観的にそうなんだということは言えないのじゃないかというふうに思うわけでございます。あくまでも機関を通じてあるいはその長に対して真意をお伝えいただくということが、私は国民に対して、私、任命権者として責任を果たすゆえんだと、それを知らないままに、任命をいたすということはできないというふうに考えるわけであります。私といたしましては、今日、ここにこういう問題が法律的にそれがかかわるとか、かかわらないとかいうような問題を離れまして、やはりこういう不安が国民の中にある以上は、その責任者となる人は道徳的な規範と申しますか、というものを一般社会人より以上に兼ね備えていなければならないということがやはりこの法の前提としてあるのじゃないだろうかというふうに思うわけでございまして、この言動等については、やはり国家公務員として、教授として、またその大学を管理運営する長として慎重にしていただきたいということを任命権者の文部大臣としては考えるわけでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 いまの文部大臣の拒否権の点については、法制局長官から法制局の見解をお伺いしたいと思います。  それから、もう一分しかありませんから、文部大臣、続いて、先般中教審の学生の地位に関する中間報告の草案が発表されました。これは今後どういうように扱われるおつもりかということと、それから、いまの人事の問題にも関連しておるんですが、学生参加の問題をどう考えられておるかということをひとつこの際、明らかにしておいていただきたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) この問題は、実は昭和三十八年の六月の衆議院文教委員会で、当時の政府の見解が示されておるわけでございますが、ただいまの見解につきましては、先般私も当委員会で申し上げたこともありますし、また、文部大臣が明瞭にお答えになっております。その筋は概して同じでございますが、その考え方の大筋を簡単に述べてみますと、大学の学長等の任命につきましては、大学の自治という面が確かにあることはありますけれども、われわれとしては、同時に国民主権の原理、これとのやはり調整的見地からものを考えないと、これはうそであろうということが基本の考え方でございます。そういう調整的見地において、理論上は、一定の場合、任命権者たる文部大臣に拒否権があるということを私も先般申し上げましたが、その一定の場合の考え方、これはどうしても抽象的な言い分にならざるを得ないのでありますが、申し出のあった者を任命することが大学の目的に照らして明らかに不適当であるというような言い方、これがどの程度こまかく言えるかどうかは別といたしまして、そういう場合には、やはり文部大臣に拒否権があると言わざるを得ない。これをもう少し砕いて申し上げますと、大学の自治も、憲法上の学問の自由に縁由するといいますか、つながるものであって、無視することが許されないものであることはもとよりでありますけれども、国立大学の場合に、国会の信任にその存立の基礎を有する内閣の指揮監督のもとに立つ文部大臣が、学長等の任命につきまして、およそいかなる場合においても、発言権を有しないと解しますことは、憲法十五条一項に明らかにされておりますところの、公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理を否定することになってしまいはしないか、むろん、だから自由かってというわけではむろんありませんけれども、その調整的見地において、ものを考える必要があるということが、前からの考え方でありますし、現在も、またそういう基本的な考え方を堅持しておるわけでございます。要するに大事なことは、大学の自治もむろん大事である。しかし、同時に公務員の終局的任命権は国民にあるんだということ、これも忘れてはならない問題である。その調整をどこではかるか、これは確かにむずかしゅうございますけれども、やはりいかなる場合にも、大学の申し出のありました者は、そのとおりにきめなきゃいかぬということはむろんない。場合によっては、文部大臣がそれを拒否することができるというふうに、いま法制局としても考えておるわけでございまして、この点は最初に申し上げましたとおりに、昭和三十八年に文教委員会で政府の見解を出されましたそのもとの検討の経過を、いまさらではございますけれども、御報告申し上げた次第でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 その点、疑わしい場合、はっきりしておる場合よりも、疑わしい場合にどうするかということがやっぱり問題だ。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) その疑わしい場合というのにつきましては、やはり任命権者が国民に対する責任において判断すべき問題でありまして、私どものほうが、いかなる場合がそれに当たるかということを、まあ相談があれば、むろん考えてもよろしゅうございますけれども、やはりそれは処分の衝に当たる人が、その責任において考慮すべき問題であろうと考えております。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 学生参加につきまして、特に学生の地位につきまして、ただいま第二十四特別委員会で審議をいたしまして、中間草案という形で発表されたことは御承知のとおりでございます。この草案は各大学に送付をいたしまして、いろいろ御意見があれば、その御意見をも賜わりたいと、建設的な意見を歓迎するということにいたしております。また、各政党間におきましても、御意見がございまするならば、それを拝聴したいと考えておるわけでございます。で、おそらくこの四月の中旬、あるいは少しおくれるかと思いますけれども、これとあわせまして、それに関連いたしまする管理運営の問題、あるいは緊急の紛争処理の問題等について、あわせて中間報告というものが出てまいるというふうに思います。それを見た上で、必要とあれば、法制というようなことも考えなければならないし、また同時に行政的にやらなきゃならぬことも出てまいるかと思うわけでございます。ただ、参加の問題につきましては、いろいろの方式が考えられておる、あるいは模索をされておる。どこにもはっきりこれがいいというものは定着をしていないと、私は思うわけでございますが、しかし、たとえば東大等におきましても、たとえば人事権とか、あるいは財政権とか、そういうような領域まで学生参加を認むべきでないというようなお考えもあるようでございます。また、中教審等においても、そのような考え方で、やはり学生は学生、あるいはまた教官は教官のおのずと地位というものがあるというように聞いておりますし、あるいはこの学生参加というのが、フランスでドゴール大統領によって、ドゴールのフィロソフィによってやられたわけでございますが、しかし、あそこではむしろ中央集権的な、むしろ文部大臣が発意をして、内閣が承認をして、大統領が任命をする。そういう非常に中央集権的な制度のもとにおいて、しかも、登録学生六〇%以上によって代表が選ばれるというような、きびしい条件が付されておるわけでございまして、やはりそういう手続、組織、ルールというものを踏まえなければ、これがいいか悪いかということは言えないのではないだろうか。そういう非常にむずかしい問題について、やはりある特定の学部においてこれを簡単に考えて実行される、あるいは定着をされるということは、将来の新しい大学、国民のための大学というものをつくる上において、いかがかというふうに考えて、慎重に取り扱っていただきたい、かように私は言い続けてまいってきておる次第でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 関連。最後でございますから、簡単に一つ御質問申し上げたいと思います。大学問題です。特に、大学教授の人事権の問題について。  私は旧憲法下の問題と、新憲法下の問題とはこんがらかして質問しようと思っておりませんが、かつて京大の滝川幸辰教授とか、あるいはまた河上肇、美濃部達吉等、いろいろの学者に対する学問の自由ということが非常に圧迫された時代がございます。したがって、私は先ほど文部大臣が申されましたが、いわゆる道徳的規範、国民がこれを審判するのだと、こういうことでありますけれども、現実の問題でやっぱり文部大臣は最後のいわゆる諾否をあらわされることになりますね。したがって、公務員だから、教育公務員だからという、その憲法第十五条ということよりも、学問の自由、教育基本法、こういう問題から私は取り扱わなきゃならぬと思うのです。したがって、私は、時間がございませんから、くどくど申しませんけれども、特に大学教授の人事権については、そういう点を十分考えて、権力の容喙というものは、これは避けるべきである。それはどういう学者でも、どういう時代でも、やはり学者というものは真理を探求するのですから、時の政府に対してこびを売るということだけではいかない。そういうときには、どうしても時の権力にさからうことがありますよ。それをもって直ちに国民の道徳規範に反するということで言われたとは思いません。しかし、その点は慎重にこの問題の研究を考えられて、学園はこれによってその秩序を保てないのですから、早急にこの問題を解決するように要望したいのですが、その点だけを聞いておきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 大学自治というものは、ほんとうにこれは大事な問題でございます。特にその中核となる人事権について国家権力が介入をするということは、過去の例に見られるとおりでございます。そのことを私は承知をした上で申し上げておるわけでございますが、さりとて国民の間に疑いがあり、またその常識を疑うというようなことにつきまして、はっきりやはり国民に対して弁解する義務、あるいは釈明をする私の責任というものは私にあると思うのでございまして、先ほど法制局長官がお答えになりましたとおりに、その発言の場というものは私にある、発言権というものは私にあるというふうに思います。また指導、助言もできるというふうに私は思っておるわけでございます。しかも井上問題に関する限りにおきましては、むしろ真意を聞いてあげる機会を求めておるわけでございまして、私は、これがいわば大学の自治を侵害しているということは、いささかも考えておらないということを申し上げておきたいというふうに思います。しかしながら、この問題については、公正なる私は判断をいたしたいと考えております。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、秋山君の質疑は終了いたしました。     —————————————

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、米田正文君の質疑を行ないます。米田正文君。

米田正文自由民主党

○米田正文君 私は自由民主党を代表して、若干の質問を政府に対していたしたいと思いますが、他に事情もございまして、時間がだいぶ切り詰めなければならないような事情にもありますので、ごく問題をしぼって質問をいたしたいと思いますが、答弁のほうもなるべくひとつ簡潔にお願いをいたしたいと思います。  最初に経済問題をお伺いをいたしたいのですが、御承知のように、わが国の経済は非常な好況を続けております。四十三年度の国民総生産は五十兆五千七百億円に達する見通しとなり、世界第三位の地位を確保するに至ったのでございますが、この好況はなお持続をしていく情勢にあります。もし来年度もこのまま推移するとすれば、四年間連続というような、いままでにない長期の好況持続の記録をつくるというような状態になっております。しかし一部には、ごく一部ですが、景気の先行きについてかげりが出てきておるということも言われておりまして、若干楽観を許さない状況でもあると言われております。  過般、総理は施政方針演説の中において、最近の経済情勢には警戒を要する動きも少なくない。が、財政金融政策によって現在の好調をできるだけ長期にわたって持続させたいと、決意を表明されました。また大蔵大臣は、経済の持続的成長こそは、国民の福祉と社会の安定の基盤であって、わが国経済の現在の好調を維持し、これを今後の長期の発展につないでいくことこそ、当面の最も重要な課題であるというふうに、所信を披瀝されました。要は、今後いかにして高度の経済成長を持続するかが当面の重要な課題だと言わなければなりません。  わが国経済は、最近十カ年間に平均して一五・九という伸び率を示しました。世界の驚異といわれております。最近また大蔵省の試算によれば、今後もし一二・九%程度の成長が持続できれば、一人当たりの国民所得も、いまから十五年目にはアメリカを追い越して世界第三位になり、十九年目には、すなわち昭和六十三年には、スウェーデンを追い越して世界第一位になるという計算をしておりますが、そうした夢が今後実現するかどうかは、これからの財政金融政府の運用がうまくいくかどうかにもかかっているところが多いと私は思うのであります。国民の自由な創意くふうを最大限に生かしつつ、景気の波動を極力小さくして、できるだけ均衡のとれた経済発展を行なうためには、従来にもまして財政金融政策を科学的合理的に発動していくように努力を払うことが、最大の要件であると思うのであります。これに対する総理の見解と大蔵大臣の見解とをお伺いいたしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま日本の経済の現状並びに今後につきましてお話がありましたが、私もまさにそのとおりに思います。これからわれわれの生活を向上していかなければならん。それにはやはり経済を安定的に成長させるということが基本になる、かように考えています。いま、わが日本は世界中から優等生だといわれておりますが、これからもひとつそういう地位を続けていきたい、それに全力を尽くしたい、かように考えております。

米田正文自由民主党

○米田正文君 問題をもう少ししぼって、短期的なものを見ますと、ここ数年来日本経済は高い成長を遂げるとともに、昨年来外貨も相当積み増しを行なうことができてまいりました。先月二月末にはすでに三十億ドルの台をこえ、六月には三十五億ドルになるだろう。秋から冬にかけては四十五億ドルに迫るだろうとさえ見込まれるように至ったのであります。すなわち日本経済は、経済成長と外貨蓄積という困難な問題を同時に実現をいたしました。目下のところきわめて順調に推移をしておるのですが、しかしこの景気の先行きについては、幾つかの大きな問題をかかえておると思います。対内的には労働力不足の結果、アルミ、木材等一部物資の供給不足から景気が過熱するおそれがあるといわれており、また繊維、自動車等一部業種には、かげりが見られているといわれる。年度後半に供給過剰になる可能性もあるといわれております。このような情勢から、需給関係を予見するならば、四十四年度の経済運営は慎重にこまかに行なっていく必要があると思いますが、これに対する大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまお話の点も、まさに私はそのように思うのです。いま日本経済が当面する問題は何かというと、一つには国際経済の動きです。これが、まあ一般的には晴れ後曇りだというようなことがいわれております。その程度につきましては、いろいろな見解がありますが、あるいは通貨不安というようなことがかもし出されて、通商が多少減る傾向が出るかもしれない。それから国内的に見てみますると、過去三カ年の好調の間に設備投資が非常に行なわれております。その設備投資がいよいよ威力を発揮し、生産力となってあらわれてくる時期になっている。それに対して供給が十分であるかと、こういう問題。つまりかげり論と言われている現象が起こるかどうか。多少、自動車や繊維なんかの滞貨というようなことを見ますと、そういう傾向もなきにしもあらずというようなところもあるんですが、一方において、逆に、資金の需要はきわめて旺盛である、設備投資意欲というものがまだまだ根強いのであります。また、御指摘のように労務事情、これもだんだんと逼迫してくるような状態にあります。そういうことを考えますと、いま日本の経済が過熱状況にいくのか、あるいは逆に、まあデフレ・ギャップというか、そういう方向にいくのか、いま非常にその見方のむずかしいときなんであります。そういうことから政府といたしましては、どういう動きを示すであろうかということをいま非常に注意深く見守っておる。そして、この状況がまあ設備過剰の状況であるというならば引き締め体制を強化しなけりゃならぬ、これはもちろんであります。しかし逆に、どうも少しかげりが出てくる、設備が過剰であるというふうな状況でありますれば、これはまあ財政の運営あるいは金融政策の運営におきまして、需要面の喚起を行なうという政策もあるいはとらなきゃならぬかもしれない。そういうようなふうにいま考えておるのであります。ここしばらくこの情勢の動きを見まして、そして、まあ世界が大不況というような大あらしでも来れば格別でありますけれども、多少な、世界の経済の動きにもかかわらず、日本経済がたくましく安定した成長を達成し得るよう、その運営のかじとりには万全を期してまいりたい、かように考えております。

米田正文自由民主党

○米田正文君 次に、物価問題についてお尋ねをいたします。  日本経済は非常に順調に発展をしておるけれども、そのアキレス腱は物価問題にあるというようなことが言われております。国民の生活実感の中で最も不満感の高いものは物価上昇であると思います。経済成長と消費者物価の安定とは両立しがたいという説がありますけれども、経済成長の成果を消費者物価の安定に回すこともできるのではないか。すなわち、高生産の企業の利益を株主とその企業の従業者だけで独占するというのは不当ではないか。総理はかつて、生産性向上の利益を消費者にも還元をするということを言われました。それは私は、非常に正しい意見だと思います。総理の主張が実際に実を結ぶようにするにはどうしたらいいか、そういう点の対策をお伺いいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど経済の動向ということについて大蔵大臣からお答えいたしましたが、なかなか動向はむずかしいと、それに誤りがあるとたいへんでございます。まあ私どもは、高度経済成長、これをひとつ安定成長、そういう方向に持っていこうと、いませっかく努力中であります。その間に一方で、ある程度の物価の値上がりはやむを得ない、かように考えております。何よりも大事なのは経済成長。これが四年も五年も続くということはいまだかつてないことであります。もう三年もたつとそこで一度不況に見舞われ、その経済成長がとまる。そこで一番大事なことは、そのときどきの経済の実情を正しく正確に把握するということ、正確に把握してそうして適切な財政金融の措置をとる、まあ一言にして申せばさようなことになるわけです。その経済成長、経済の実情を正確に把握する、それには一体どうしたらいいか。まあ最近はいろんな、もうただ頭だけで考えないで、機械的にもそういうことを測定するものができてまいっておりますから、比較的に容易だと思いますけれども、絶えず、そのデーターを判断するのは人ですから、そういう意味で経済成長について、安定的な成長、そういうことを念願し、そういう意味で現象を十分とらえてみる。たとえば、一つのかげりが出る、もうすでにこれは下降線をたどったのだと、こういうふうに即断する必要はないと思います。でありますから、その点は、先ほど大蔵大臣から懇切に申し上げましたのでよけいなことは申しません。そこでやっぱり生産を拡大する、そのためには生産性を上げることだと思います。あるいは流通機構の点でわれわれが考うべきものがあるかどうか。まあ一番わかりいい、いまお尋ねに答えるためには、やっぱり低生産性部門は生産性を上げることに努力する。しばしば構造的なものとして農業、中小企業が指摘される。これが生産性を上げることによってその産業そのものも育成できるのだ、同時に便益を社会に与えることにもなるということが言われております。そこで、いま問題になるのは、賃金の均てん性とでもいいますか、高い賃金があれば他のものもその賃金水準に平準化するといいますか、そういう方向になっている。した・がって、生産性が低くてどうも十分の利潤をあげないところはどうしても人が集まらない、労働力不足。だからせっかくの生産性を上げようとしてもその効果をあげることができない。そこで今度問題は、生産性が上がったからといって、それをただ、これは上がったから労使双方で分けようじゃないかとういことでなしに、その場合にもやっぱり最終の消費者、これが最終の需要者、かように考えて、この生産性の上がった利益をそこに分配することを考えるべきだ。そうすれば生産性の低いところに対してもわりに賃金の平準化が容易になるだろうと、かように思いますので、この点をひとつ努力してもらいたい。幾ら幾らが適当だ、あるいは三分することが適当だと、かように私は申すのではございません。絶えず最終の消費者、需要者にいまの経済効果を均てんさす、こういう努力をそこへ還元するということを心がけてこのことがされていくならば、物価も安定するし、労務者もやっぱり安定した所得を獲得することになるし、すべてがおさまっていくように思います。これはたいへん簡単なことのようですが、むずかしいことであり、ことに、ただいまのように非常に生産性が、ある部門では上がっており、ある部門ではかげりが生じ、時あたかも春闘の最中でありますし、これから始まろうとする春闘、そういうことなどを考えると、ただいま申すこともこれは経済界に対する頂門の一針ではなくて、頂門の、全体に対してもその点を考える、こういうことでなければならないのではないか、これが長期安定また経済発展への道だと、かように私は思います。たいへん長くなりまして恐縮です。

米田正文自由民主党

○米田正文君 日本経済はその成長も必要なことは当然でありますが、それにも劣らず物価安定が当面の課題でもあります。国際経済が流動的な中にあって、物価を安定させて円の価値を守り、息の長い持続的な安定成長を達成していくためには、何よりも強力な物価政策が必要だと思います。物価の上昇はいろいろと複雑な原因がからみ合っておりますが、重要な原因としては、労働コストの上昇があることは否定できないと思います。昭和三十年代前半には、国全体としての生産性の伸び率は年平均八・一%、賃金の伸び率は六・三%で、生産性の伸び率が高かったために物価は安定をしておったと言っていいではないかと思います。しかるに、三十年代後半に入りますと、生産性の伸びは八・八%に高まりはいたしましたが、賃金は一二・三%も伸びたので、それが消費者物価を押し上げる強い要因になっておるではないかと思います。物価と賃金の悪循環というものは、ここでやはり何とか解決をいたさなければならぬのではないか。そうでない限り、物価と賃金のスパイラルは依然として上昇を続けていくではないか。わが国におきましては、賃金は年中行事のように、先ほど総理からも話がありましたが、春闘が行なわれて労使の間の話し合い、折衝によって決定をされていくという慣行のごときものができ上がって、これが一般の賃金にも波及し、公務員の給与にも影響をしていく。ついにはこれが低生産性部門にまで及び、ふろ代が上がり、散髪代が上がり、野菜や魚の値上がりを誘発をしておるように思います。私は、春闘という労使間の折衝による賃金決定の方式を、この際何とか考えるべきではないか。もっと高度の、物価との関連を考えた決定方式が必要ではなかろうか。これが先ほど総理の演説の中にあった、いわゆる生産性の高いものの中からこれは消費者にも還元をするという考え方にも通じてくるわけであります。生産性の高い産業の賃金決定が低生産性の産業に及ぶことは、やはり物価を上昇さしていくことになるわけで、これを何とか合理化するような方式はないのか。いわばわが国の実情に合うような所得政策というようなことを考えてはどうか、これをひとつ企画庁長官にお伺いをいたしたいと思います。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 物価問題の態様については、いま総理からもお話がありましたから、最後に所得政策をお尋ねでありましたから、その点にしぼってお答えしたいと思いますが、所得政策自体の概念がまだはっきりしていないのでございまして、そこで、所得政策をやった国もありますけれども、成功はしていないということです。そこで、日本にも所得政策を実施したらどうかという意見もありますけれども、私は、いまの日本の経済実情のもとにおいては、所得政策をいま実施することは早いという考えをしております。それがもう少し日本の経済が発展して安定したとき、そのときには所得政策ということは考えていい。というのは、要するに経済が発展してそこで付加価値が生すれば、それを賃金なりあるいは配当なりあるいは消費者にそれだけの価格を安く売るというようなことを考えていくべきときがくると思いますが、それはもっと先の問題だと思います。いまの日本のように経済が急激に成長しておるときには、所得政策というものを決定することは私は困難だと、こう考えておりますし、また外国の例においてもそれが成功しておりませんからして、所得政策ということばはありますけれども、いま日本においては私は実行することはどうかと、こう考えております。で、先ほどからお話のとおり、この生産性が向上することによってそこに付加価値が生じますからして、したがってそれはやはり労使で分けると同時に、その付加価値の一部を消費者に転嫁して、そうして売り値、商品の価格を安くして国民一般がその利益の均てんに浴するというようなことで今後進めていくべきではないか、こう考えておる次第であります。

米田正文自由民主党

○米田正文君 私はその意見については、いま賃金アップが上がり過ぎる傾向にあるから、まあ所得政策が必要ではないかという趣旨でお伺いをしたのです。所得政策そのものの概念が一定でない。各国でそれぞれやっておりましても、それぞれ違うわけですから、それは一定でありませんけれども、一つの所得に対する国の方針というものを出していくという広い意味の考え方から私は言っておるのです。私はこれは研究の価値があると思うのですが、あまりいま考える必要はないというようなのは、ちっと私はあきたらないのですがね。まあそれはまた次にひとつ研究していただいておきます。  次に、社会資本の充実についてお伺いをいたします。  昭和四十二年から始まりました経済社会発展計画の指標の数値は、どんどんと変わってまいりました。ただ一つ例外がある、それは政府投資だけだ。政府投資の計画だけは大体むしろ少し低目でいっておるが、あとの数値はみな上がってしまっておる。経済成長をはじめとしてどんどんと計画よりも上回ってしまった。しかし、ほとんど計画をちょっと下回って進んでおるのが社会資本の投資だとこう言われております。ということは、民間設備投資が非常に進んでおりますから、相対的にいいますと公共投資が非常に低くなっておる。経済社会発展計画では、社会資本と民間生産資本との比率を〇・六と計画をしておりましたが、現在では大体〇・四そこそこになっております。非常に落ち込んでおる。いわゆる下降線をいまたどっておるわけであります。企業活動が活発になれば、いわゆる外部経済の条件を整理していかなければそれに追いついていかない。社会資本の充実が手おくれになれば民間企業の活動自体が進まなくなる。都市の交通難のごときもその顕著な一つのあらわれで、民間設備の伸びに比べて政府の公共投資が十分でない、バランスを失しておる、こう断定できると思う。道路、港湾、治山治水、住宅その他たくさんありますが、こういう公共事業いずれも軒並みに五カ年計画があるにもかかわらず、現実にはおくれておるという実情であります。で、これらの政府が閣議でちゃんときめた五カ年計画でありますから、少なくともこれらは計画どおりに、むしろ経済情勢を考えるならば、これよりもやや上目くらい進めていかなければならぬと私は思う。それが理屈だと思う。その速度を上げていかなければ、いわゆる社会資本の立ちおくれを取り返すことはもうできないと思うのですが、この際、思い切って——まあことしの予算では、まあまあ去年に比べてある程度上がったものができましたから、まあこれはこれといたしまして、今後さらにこれに意を用いる必要があると思います。これについて企画庁、それから公共投資の大部分を占めておるのは建設省ですから、建設大臣両者から、ひとつ今日のいわゆる社会資本に対してどうお考えか、見解をお聞きいたしたいと思います。なお、立ったついでですから、これらの事業を進めるのに一番いま問題になるのは、やはり土地対策であります。土地が買えないためにこういう事業が進まないという現実は見なければならない。それをどうしたらいいか。これはたいへんむずかしい問題です。たいへんむずかしい問題ですが、私はこの問題は何とかやはり解決の方策を見つけていかなければ日本の発展はないとすら思うのでございますが、ひとつ企画庁の長官と建設大臣にお伺いをいたしたいと思います。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり社会資本がおくれております。ほかの生産設備、民間設備投資は予想以上に発展しておるのでありますが、社会資本のほうはそれに対しておくれておるのでありまして、したがいまして道路あるいは港湾その他の点において生産に沿わない状況があることは事実であります。それがまた生産を阻害しておることも事実であります。そこで、今後におきましては社会資本の充実ということにより重点を置いてやるべきじゃないかということを考えておりますので、いま経済社会発展計画の補正をやろうとしておりますが、その場合にはこの社会資本ということを重点に考えていきたい、こう考えておるのであります。  土地の問題も、お話のとおりこれは非常にむずかしい問題でありますが、この土地の問題、地価をどうするかということについては、われわれのほうでも協議会を設けていろいろ対策を練りまして、今回の地租の問題あるいは地価の公示の問題等によって地価の暴騰を押えるという方策をとっておりますが、しかし土地の問題というのは非常な困難な問題でありまして、この点については今後においては全力を注いで地価の騰貴を防ぎたい、こう考えておる次第であります。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。  公共事業推進に非常に御理解と御協力をいただいております米田委員が御指摘になりました、政府が実施計画いたしております道路、河川、住宅、下水、これら各種五カ年計画につきましては、集中的に効率的にこれを実施いたしますとともに、かつ長期展望に立ちまして社会資本の立ちおくれを取り戻しまして、均衡のある国土建設を建設するということが建設省の、政府の基本方針でございます。したがいまして、四十四年度末における五カ年計画を考えますときに、道路におきましては、御案内のごとく三年目でございますが、五〇%、河川におきましては二年目でございますが、二八%、住宅におきましては四年目でございますが、八〇%、下水道におきましては三年目でございますが、四八%という状況の進捗率でございまして、ややおくれであるということを私は否定するものではございませんけれども、、これらの問題点につきましては、政府の計画どおりこれの五カ年計画の目標達成に全努力を尽くしたいという決意であることを御理解いただきたいと思います。  また、土地対策につきましては、私もたびたび申し上げましたごとく、地価の安定また地価形成の合理化ということは、都市問題及び住宅問題の解決の前提となるべき最も重要な問題でもございますので、政府が昨年十一月決定いたしました地価安定推進協議会の決定の方針に基づきまして、土地の有効利用の促進をはかるとともに、各党要望によりまして決議になりました地価公示制度の制定を今国会に御審議を願います。これも万能薬、即効薬とは申しませんけれども、これによって投機的地価の抑制もいたし得るという考えを持っておるような次第であります。とともに、土地税制面その他国、公有地等の活用をいたしましてこれらの地価、土地問題に対しましてさらに積極的に総合政策を打ち出しまして解決に努力いたしたい覚悟であることを御了承願いたいと思います。

米田正文自由民主党

○米田正文君 次に、安保条約についてお伺いをいたします。  昭和三十五年岸内閣によりまして安保条約の改正が進められましたときに、この院内において賛否をめぐっての激しい論議が展開をされたので、そのときに猛烈な反対論があって、世論は騒然となりました。この国会もデモ隊に取り巻かれましてその重囲の中で論議が続けられたのは、私どもはきのうのようにあざやかにまだ記憶に残っておるところであります。それからすでに九カ年を経た今日になりまして初めて国民は安保条約の恩恵を認識をいたしたと思います。日本は憲法のたてまえどおり、軍事力を持たないで、ただ自衛のための防衛力を持つのみといたしております。しかしながら今日は核兵器の時代で、局地的な紛争ならば別として、外国の侵略を核兵器なくして抑止すること、または防止すること、または撃退することはとうてい不可能であります。そこで大きい核兵器の力と、強力な軍事力を持っておるアメリカと協力をし、その力の背景によってわが国に対する外国の侵略を抑止し、国の安全を確保してきたのであります。ただ、そのかわりにわが国はアメリカ軍のために必要ないわゆる基地を提供をしておる義務を負っておるわけでありますが、最近基地問題が悪い面だけが強調されまして、基地撤去を叫ぶ声があります。これに対しては極力所要の対策を講ずるとともに、根本的な国の安全と独立を守る国防の重要性を国民に理解を深める必要があると思います。この安保条約は来年六月になりますと十カ年経過するので、条約の修了通告ができることになるというので、安保論議が盛んになってまいりました。駐留なき安保、段階的解消、非武装中立等いろいろな主張があります。世界の情勢、アジアの情勢は今日なお危機をはらんだ多くの問題がありまして、楽観を許さない時期であります。わが国の平和と安全を確保し、悔いを千載に残すことのないよう、安保条約は今後といえども堅持していくことが最善の方法と考えます。世界各国からうらやまれるほど繁栄を続けておるわが国の現状を転換する冒険を試みる必要は毫もないと思います。あらためて総理の決意のほどをお伺いをいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 米田君と私とは別に考えが違うわけでもない、これはもう両者でこういう問題を議論することこそおかしなような感じを国民は持つだろうと思います。しかし私は国民の皆さんに、こういう質問を通じ、ぜひ理解してもらいたいと思うのであります。私どもは幸いにして敗戦後今日まで、平和のうちにまた何ら日本の存立を脅かされることなしに繁栄への道を歩んできた、もうすでに日本の経済的繁栄は世界第三あるいは第二位、いまに二十一世紀になればすばらしい国ができるだろう、こういわれておる。もちろんこれにつきましては国民また政党それぞれに、それぞれの言い分があるだろうと思います。しかし、私は何といってもわが国が安全である、どこからもうかがわれない、また戦争に巻き込まれない、そういう平和の道を歩んできたからこそ経済的繁栄ができたと思います。そういう状態にあったものは一体何であるか、これは私はとりもなおさずいわゆる憲法の許す自衛力、その自衛力の足らざるところを日米安全保障条約によって補っておる、そのもとで日本の安全予算は保たれる。また存立はどこからも脅かされることなしに進んできておる。またそれあるがゆえに、戦争に巻き込まれることもなくて今日の状態を現出したと、かように私は確信しております。しかし、事柄が平和というような問題になりますと、お互いになれやすい。いまの状態がわれわれがしあわせであればあるだけに、その原因を忘れがちなのではないだろうか、かように思います。私は、それぞれの政党の方々が、それぞれみんなわが国はどうしたらしあわせであるだろうか、安全であるだろうか、これが政党の政治として取り組んでおる態度でもあると思います。したがって、私はこれらの点についていろいろ考えさせられることも多いのでありますけれども、よくも今日のように繁栄したと、だからこそ皆さん方も日本には安全保障条約が必要なんだ、これは私が申し上げるまでもなく、現在の自衛力、この自衛隊で十分ではないと思います。通常兵器の場合でも、侵略に対して一応ある程度持ちこたえ得るとしても、長期にはとても持ちこたえ得ない。この自衛力自身だって、もっと近代国家としては整備する必要があると思います。なお、われわれが心配なのは、核兵器というこれは考えられないような兵器がいまあるわけなんで、そうしてその兵器を持っておる国は私どものこの近くにもある。ソ連、中共は申すまでもなく持っておる。やっぱりこの核のおそろしさ、こわさを知っておる米ソ両国、それが核兵器を使わない、戦争をやらないでやっぱり世界の安全を確保しておる、そういうことを考えると、その日米安全保障条約のもとにおいてわが国の足らざる防衛力を整備していく、補っていく、補完していく、これは私は当然のことのように思います。しかし、ちょうど空気と同じで、平和である限りにおいて、そのよってきたるところをとかく忘れがちなのじゃないか。でありますから、ただいま米田君が特に指摘してお尋ねになる、これがお互いの仲間であって、いまさら申し上げることはずいぶんおかしな感じもいたしますけれども、この機会に国民の皆さんにぜひ聞いていただき、そうして日本の国の存立、同時に繁栄への道をはかるには、石橋をたたいても渡らないということばがございますが、十二分にわが国の防衛について考えて、万全を期して、そうして国民がそれぞれの立場においてそのおもむくところを十二分にその才能を発揮していただく、そうしてりっぱな国ができ上がる、かように私は思いますので、ただいまのお尋ねは当然のことで、いまさらあらためて答えることもおかしな話ですが、御理解いただきたいと思います。

米田正文自由民主党

○米田正文君 次に、沖繩問題について一言お尋ねいたします。  沖繩返還は国民の悲願でございます。一昨年の佐藤・ジョンソン会談以来急速に返還交渉が進みつつあることは喜ばしいことであります。これに伴って返還後の基地の態様、返還時期について論議が盛んになって、本院においてもしばしば行なわれているところであります。本土並み早期返還が理想の姿であって、だれも日本人ならばこれを願わないものはないと思います。しかしながら、これはどこまでも日本側の希望であって、希望と実現可能とはおのずから別であります。アメリカにはアメリカとしての考え方があるのは当然でありましょう。日米両国がお互いに相手の立場を理解しながら両者の一致点を見出さなければならぬことであるのであります。総理もしばしば言明せられておる白紙論は、可能な限り日本の理想の線に近づける最大の努力をいたしておるものと信じて、私は総理の白紙の態度をそのまま受け取っております。そこで私は、本問題に関する日本に関係の深い日本周辺の国々の立場について外務大臣にお尋ねをいたします。  沖繩は現在アメリカの施政権下にありますので、米韓、米華、米比相互防衛条約の適用範囲に入っておるわけですが、沖繩の施政権が返還されることになれば、沖繩は当然にこれらの条約の適用範囲から除外されることになろうと思います。なお、沖繩はこれらの三相互防衛条約のかなめをなす重要な戦略拠点であると一般にいわれております。なお第三に、さらに韓国、中華民国、フィリピンの政府首脳は、重要な戦略的意義を持つ沖繩が、これら諸条約の適用範囲からはずれることに非常な危惧を抱いておると伝えられています。沖繩が日本に返還されれば沖繩の戦略的価値は低下する、それは極東の安全を不要にするという考え方をどう思うか。以上三点を含めて外務大臣のお答えをいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 米韓、米華、米比、ANZUSその他の条約には、適用のしかたは違いますけれども、沖繩の地域が現在の条約下におきましてはアメリカの施政権下にある関係で条約の適用下にある、これは事実で、そのとおりでございますが、沖繩の政権が返還になれば、これらの地域からはずれるわけでございますから、条約の適用下にはなくなるわけでございます。中にはANZUSなどのように、法律論からいえば現在と同じように、在日米軍もたとえばそれに対して武力攻撃があった場合には云々というような、沖繩が返還になった場合には同じような、範疇になるというようなものもございますけれども、これはまあ私はたいした問題じゃないと思いますが、いま御指摘になりましたような点は条約下からはずれる。したがって沖繩返還問題につきましては、これは条約あるいは交渉の折衝ということがあくまで日米間の問題としてこれは取り上げていくべきものであり、これが筋であろうと思います。しかし同時に、ただいま御指摘がございますように、あるいは韓国あるいは国民政府というようなところも、自国の安全ということからいって沖繩問題については相当の関心を深くしておるという事実は、これも御指摘のとおりであろうと思います。政府に対しまして公式にそれらの国々からそういったような態度あるいは意見を表明してきたことは現在ございませんけれども、そういうような関心を深くしているという事実については、私どもも十分頭に入れておく必要がある、かように考えておるわけでございます。しかし何と申しましても沖繩返還問題については第一義的に沖繩を含む日本の安全をはかっていかなければならない、これがわがほうから言えば第一義の目的でなければならない。しかし同時に、この日本を含む極東の安全に寄与するということが、いまさら申し上げるまでもございませんが、安保条約の一つの使命でございますから、そういう点につきまして、ただいま総理大臣からもお話がありましたように、沖繩の現に占めている地位、立場あるいはその使命というようなことも、十分その現状というものも掌握をいたしまして、それからわがほうの態度というものが自主的に確立できるようにする。その間において、いま申しましたような関係におきましても十分頭に入れて話し合いというものが合意ができるようにする、こういうことにいたすのが一番適切ではないか、かように考えておるわけでございます。御懸念の点、おあげになりました問題点等につきましては、十分胸に入れて対処してまいるべきものだと、かように考えておる次第でございます。

米田正文自由民主党

○米田正文君 もう一点、大学問題についてお伺いいたします。  今日、東京大学をはじめとする紛争中の大学数は四十一校に達したのであります。これが解決は、各大学ともそれぞれ紛争の原因を異にいたしておりますから、一律な解決策というものもないかとも思いますが、しかし基本的には、何といいましてもこの解決の端緒は、やはり暴力の排除にあると思います。ゲバ棒を取り去らねばならない。暴力を排して秩序を回復し、しかる後に大学の自治がある。暴力の横行するところには自治は存在しない。本来、国立大学は、国民の税金によって国の将来のために必要な有為の青年を育成するの場であり、東大では学生一人当たり年額百四十万円もの多くの金を国民の税金の中から支出をいたしておるのであります。大学は治外法権の場ではないことは明白であります。また、政府は国民の意思によって設置しておるのであります。政府が必要に応じこれを指導し、助言し、必要な介入を行なうことは当然であります。将来、すべてのことを大学の自治にまかせ切ってきたのは、大学に秩序が保たれ、その介入の必要がなく、大学を信頼をいたしておったからであります。学問の研究発展のために必要な自由と自治を、十分与えることは当然である。しかしながら、今日の事態は全く違っております。政治的背景を持つ暴力集団が横行しておるのであります。国民の素朴な考えでは、政府はなぜ果断な措置をとらないかと歯がみをしておる現状で、国じゅうの茶の問は、テレビの前で大学問題の解決を首を長くして待っております。総理は、中教審にも文部省にもその解決策を諮問、指示しておると聞いておりますけれども、それはそれとして、総理の大学建て直しの基本的な考え方と、その実施に対する決意とを国民に示していただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 米田さん御指摘のとおり、今日の大学紛争の第一の原因は、何と申しましても暴力学生によって学問研究及び大学の自治がおかされておるということでございまして、一日も早くこの暴力学生の横行というものが一掃されなければならないことは、申すまでもないことでございます。昨年の段階とことしに比べますると、九十年の歴史を持ちます東大におきましては、ようやくこの一月、この暴力排除に対しまして警察の要請をいたしまして、やっとこ秩序回復の第一歩を踏み出しておるわけでございます。しかも、まだ紛争の直接の発端となりました医学部あるいは文学部等におきましては、まだ授業再開もできない。また少し授業再開のきざしが見えておりまする駒場におきましても、まだ正常な状況とは言われない。しかし、徐々にではございますけれども、去年の段階に比べますると、東大当局も新しい大学像を目ざしていろいろの苦慮をしておられるということは認めていいかと思うわけでございます。しかし、全般的にはまだまだ、先ほど国家公安委員長が仰せのとおりに、大学側が管理者として国民に対する責任を果たすためのき然たる態度が見られないということにつきましては、まことに遺憾なことでございますし、私といたしましても指導、助言を通じまして強力にこれをいたしまして、大学が本来の姿に立ち至るようにいたしたいと考えておるわけでございます。もちろん、将来の長期的な問題につきましては、ただいま中教審に諮問をいたしておるところでございますし、また短期的な大学の紛争解決の問題あるいは学生地位の問題、あるいはそれに伴いますところの管理、運営等の問題については、第二十四特別委員会において審議をいたし、その学生地位の問題については草案の発表があったわけでございますが、おそらく四月の中旬以降になりましたならば、中間報告が出されるものと期待をいたしております。私はそれを見まして、そうしてその時点でもし必要があるならば立法措置も考える。また、行政措置もいろいろ諮問にあらわれてくることを考えまして、強力に推し進めて国民の期待にこたえたい、かように考えております。ただ、大学問題というものは非常に根が深うございまして、簡単な即効薬はない。やはり時間をかげながら、そうして大学というものを尊重しながらやっていかなければならないところに、私といたしましての非常に苦心があることはひとつ御了察を願いたいと、かように考える次第でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もうよけいなことを言わなくてもいいかと思いますが、私自身が、いまお尋ねの中にありましたように教育の場、教育の大事なこと、同時に国の、国民の負担によってまかなわれておる、この二つのことをもっと大学の教官もまた学生諸君も理解してほしいと思うんです。私、たいへん意外に思いましたのは、私立大学においては非常に紛争が激化しておるかと思って、文部省を呼んでいろいろ調べてみました。大部分が官公立の学校であります。私立大学にも紛争がないとは申しません。それぞれのところでありますけれども、その数はきわめて少ない。そうしてそれが問題にならない。文部省で積極的な監督をしておるところがみんな悪いじゃないか、一体どうしたんだ、こういうことまで実は申したのでございます。私が先ほど来問題になっておる、これはもう秋山君にもまた山本君にもお答えしたと思いますが、大学の自治、学問の自由をわれわれは尊重しなきゃならないが、これがオーバーに主張されておるのではないか。いまのわれわれの国民の税をもってまかなわれておる学校、そこにはおのずから守るべき自治があり、自治の範囲があり、学問の自由の範囲があると私は思う。どうもこれらについてやや無軌道である、無軌道ぶりが、それが今日のような状態を起こしたのじゃないか。同時にまた学生自身も、ただいまのような環境にあることも知らない。ことに最近は国家とか社会とか、こういうことばはもう禁句になっている。個人の陶冶、人格の陶冶あるいは学力の充実、そういうことは言われますが、国家社会に奉仕するような考えはみじんもない、こういうところに間違いがあるんじゃないかと実は思うのであります。したがいまして、そういう点は私だけの考え方ではゆきませんが、ただいま中教審でこういうことを十分検討されておる。これはとうとい国民の皆さま方から国に出された税によってこの学校は経営されておる。したがって、それは国あるいは社会というものと縁故のないものではないはずでありますが、これが縁故がない、逆な方向に行っている、いわゆる反体制だと、こういうような学校があろうはずはないんです。それが学園の自治だ、こういうことで見過ごされるとすれば、これはたいへんなことだと思います。また、政府自身が最高の政治責任者としてこれを見過ごしては国民に対して相済まないと思います。同時に私は、皆さま方にも申し上げますが、立法府、これは最高の国家機関であります。こういう事態に対して関心がないはずはないと思います。私は先ほど来、社会党の皆さんからもお尋ねがありましたが、そういう意味で真剣にお答えしたつもりであります。私はやはり教育の基本に返って、この問題と取り組まなければならない、かように思っておる次第であります。一言申し上げます。

米田正文自由民主党

○米田正文君 私はこれで終わります。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、米田君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時五十一分散会

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