予算委員会 第17号
- 発言数
- 432 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/22
会議録
○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。 以上三案を一括して議題といたします。 一昨日に引き続き、一般質疑を続行いたします。村田秀三君。
○村田秀三君 この間の当委員会の公聴会におきまして、八人の公述人が公述をされたわけでありますが、その中で、社会保障制度の貧困が強く訴えられておったということを聞きました。私もまたそう思うのでありますが、それらの国民の社会保障制度万般についての不満なり、要求というものをどう政府は考えておられるか、あるいは私の立場からするならば、その不満や要求を解消してやりたい、こういう立場で若干の質問をいたしたいと思います。 そこで、まず初めに各大臣にお伺いをいたしますが、昨年の十二月に社会保障制度審議会が総理大臣あてに申し入れをいたしました。その内容を詳しく申し上げる時間もございませんが、三十七年に申し入れをいたしましたわが国の社会保障制度の将来に対する到達目標に対して、今日の政府がとっておる施策というものはそれに逆行している、後退をしている、こういう意味のものでございました。その申し入れを政府は率直に受け入れるか、受け入れないのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 大体、政府といたしましては率直に受け入れたいと思っております。おっしゃるとおりでありますが、しかしながら、財政、いろいろな点から、なかなか今日までそううまくいっていなかった、これから大いに努力をいたしていきたい、こういう考え方でございます。
○村田秀三君 大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 厚生大臣と同じような見解でございます。
○村田秀三君 経済企画庁は経済計画の立場でどうお考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 昭和四十二年度から始めました経済社会発展計画におきましては、やはり社会保障の問題を重要視しまして、それぞれ計画を立てておるのでありますが、しかし、今日までの情勢においては横ばいの状態になっております。決してこれをもって私たちは満足していないのであります。いまその計画を補整しようとしておりますからして、その補整の場合に、もっと社会保障計画を十分に盛りたいと考えておる次第でございます。
○村田秀三君 すなおにこれを受け入れてやりたい、しかし財政の関係もある、こういうことでありますが、四十四年度の予算編成の中で、これがどれくらいのウェートをもって組み込まれたかどうか、お伺いします。
○国務大臣(斎藤昇君) 四十四年度の社会保障費全体といたしましては、かねがね御説明を申し上げておりますように、一般会計の予算の伸びよりも社会保障費のほうが若干伸びて、ことにそのうちの社会福祉費に至っては相当伸びておるわけであります。また一般会計の中で占める率におきましても、まあほんのちょっぴりではありますが、予算の中で占める率も若干伸びてはおるわけでございますが、しかし、先ほどおっしゃいますように、日本の国民の総生産あるいは総所得が増すだけ、まあ増してきた程度ぐらいは伸びているわけでありますけれども、先ほどおっしゃいました日本の将来の社会保障の計画として、今後、国民所得に対する割合をもっと上げなければならないというところには達しておらぬ。その点は、いま経済企画庁長官がおっしゃいますように、大体横ばいという形でございます。本年も、先ほど申し上げますように、相当、社会保障費全体といたしましては一七%伸びましたけれども、しかし、国民所得の伸びに比例をいたしますと横ばいにすぎない、こういうことでございます。
○村田秀三君 その問題は後ほど触れたいと思います。 次に、厚生年金保険、国民年金保険、この改正案が提案をされておるようでありますが、その要点の説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 主要点は、御承知のように、厚生年金はいわゆる一万円年金といわれておりましたが、これを二万円年金にする。それから国民年金も夫婦で二万円年金にするというのがねらいでございます。さらに、国民年金のうちで福祉年金の分におきましては、四十四年度には福祉年金月額百円増額する。そして、夫婦受給制限がありましたが、これを撤廃をする。これが大きなねらいでございます。
○村田秀三君 それでは不十分でございますね。これは保険料の値上げも含まっておるわけでしょう。この内容を説明してください。
○国務大臣(斎藤昇君) それに伴って保険料の値上げ、いろいろこまかい点がございますが、政府委員から詳細お答え申し上げます。
○政府委員(伊部英男君) ただいま大臣から御説明ございましたような給付の改善に伴いまして、保険料につきましては、厚生年金におきまして千分の五十五を六十五、国民年金におきましては現在三百円ないし二百五十円を、施行時期の明年の七月一日以降四百五十円に引き上げを実施することにしております。
○村田秀三君 この際、保険料引き上げ、そしてまた給付の改善、それで保険計画といいますか、保険会計の現状、あるいは将来に対してどういう計画を持っておられるのか、この際お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(伊部英男君) 厚生年金保険及び国民年金の財政方式は、いわゆる修正積み立て方式といわれるものでございます。したがいまして、保険料率は国民の負担能力等も勘案をいたしまして、当初は一〇〇%の保険料にいたしませんで、以後、段階的に引き上げを実施、収支が相償うように計算されておるのでございます。厚生年金におきましては、今回の改善は給付現価におきましては約二倍近いものになるのでございますが、保険料率の引き上げ増、引き上げ幅は千分の十にとどめ、国民年金におきましても同様な改善を行なうものでございますが、被保険者の急激な負担増を避けるため、百五十円ないし二百円の増額にとどめ、以後、段階的に引き上げることとした次第でございます。
○村田秀三君 もちろん、それだけの説明ではなかなか理解できないわけなんですが、私は予算書を見まして素朴な疑問を感じた点を一つ申し上げて御説明をいただきたいと思うんですが、保険会計の内容というのは非常に豊かに見えますね。厚生年金と国民年金を含めまして、大体ことしの契約額は三兆三千億、そして保険料収入は五千四百六十七億、一千百二十九億ふえております。それから給付額はどうかといいますと、これは九百九十四億、二百四十三億昨年よりはふえてはおりますが、さらに運用収入を見ますと、厚生保険の場合は二千二億、そうしてその差額は三百八十四億ですね。というのは、給付額が保険料の運用収入よりも非常に低い。厚年では二分の一、国年では三分の一に満たない、こういう状態でございますから、保険会計は非常に豊かであるという状態の中で保険料を上げなければならないという理由がわからないわけでございますので、この間のところを詳しく御説明願いたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 素朴な疑問だとおっしゃいましたが、おっしゃるとおり、そういった御疑念がおありであろうと思います。私も素朴に答えますが、あと詳細は政府委員から答えさせます。御承知のように、大づかみに申し上げますと、厚生年金にいたしましても、ことに国民年金は、制度が出発をいたしまして、そうしてこれによって年金受給者というものが将来ずっとふえてまいる年次までまだきていないわけでございます。したがいまして、これから相当年限がたってまいれば受給者がうんとふえてまいります。その将来ふえてまいることにいま備えておる、こういうように御理解を願えればいいのじゃないだろうかと、かように考えます。これは素朴なお答えでございますけれども、大体大づかみにはそう御理解いただいてよろしい。数字的には、必要があれば年金局長から詳しく御答弁いたさせます。
○政府委員(伊部英男君) 大筋はただいま大臣から御答弁のあったとおりでございまして、厚生年金も昭和十七年に始まりましてから二十数年の歴史を経ておるのでございますけれども、間もなく受給者が急増する時期に差しかかっておるのでございます。国民年金は、御案内のとおり昭和三十六年に発足をいたしまして、まだ十年年金といわれます老齢年金の支給が始まっておらないのでございます。国民年金につきましては昭和四十六年から十年年金の支給が始まるのでございまして、今後、両制度とも受給者が急増してまいるのでございます。たとえば昭和五十年を見ますと、老齢年金だけで両制度合わせまして約百五十万人の受給者が見込まれるのでございます。現在、厚生年金の老齢年金の受給者は三十八万人でございますけれども、今後受給者が急増してまいる。さらに御案内のとおり、日本の老齢化は今後急速に進行いたすわけでございます。そういった状況を勘案いたしまして、今後の給付の推計をいたしまして、それを平均的に保険料として負担をするというのが通常の年金のやり方なんでございますが、公的年金におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、それを一〇〇%までとらないで、相当のいわば赤字を残しつつ将来の後代においてこれを解決していくという考え方をとっておるのでございますが、それにいたしましても、今度のような大幅な給付の改善が行なわれます機会に、やはり相当保険料の引き上げをも実施いたしませんと、将来、たとえば千分の四百あるいは五百といったような保険料率を見込まざるを得ない。したがいまして、将来を推計いたしまして、今回におきましては先ほど御説明申し上げましたような保険料の引き上げを実施いたしたい、かように考えておるのでございます。
○村田秀三君 これは詳細な計画が出ておりませんから水かけ論になります。ただしかし、国民の素朴な感情といいますか、国民的な判断といいますか、それからするならば、運用収入まで保険給付を高めるか、保険料を安くしてもいいじゃないかという、こういう感じだけはどうしても持てるわけです。これは理論的な話にはなりません。なりませんが、あの会計を見て率直に感じるところはそういう感じであるということをひとつ申し上げておきたいと思います。 次に資金の運用、これが保険計画の中でどのように扱われておるかということについてお伺いをいたします。
○政府委員(伊部英男君) 両制度におきます積み立て金は、御案内のとおり資金運用部資金に預託をされておるのであります。なお、そのうち約四分の一、二五%がいわゆる還元融資といたしまして直接被保険者の福祉に寄与するような社会福祉施設、あるいは病院、その他関係諸施設等に融資されておるのでございますが、残りの七五%につきましても国民生活の向上に関連のある方面に投資されておる状況でございます。(「運用利率は幾ら」と呼ぶ者あり)預金部資金からの約定利率は六分でございますが、毎年特利といたしまして五厘を認められておりますので、最近の実績といたしましては六分五厘でございます。
○村田秀三君 保険計画の中で、この利率をどう計算されておりますか。
○政府委員(伊部英男君) 年金の数理計算の上におきましては、予定利率は五分五厘でございます。
○村田秀三君 そうしますと、実際に運用しておるのは六分五厘、保険計画の中では五分五厘、一分の開きがあります。この一分の総額は一体幾らになりますか。
○政府委員(伊部英男君) 予定利率は五分五厘でございますので、かりに一分引き上げた計算をいたしますれば、一割五分程度の保険料の引き下げないし保険料の改善ができることとなると思うのでございますが、ただ、これは先ほど申し上げました完全な積み立てを前提とした保険料でございます。現在は完全積み立てまでの保険料を徴収いたしておりませんので、実際にはその一分の利差はどうなっておるかということでございますが、その利差は両制度とも五年ごとに財政再計算をいたしておるのでございますが、その財政再計算の機会に計算の基礎に入れられまして、それを将来の保険料の引き下げ、あるいは給付の改善に充てられておるという状況でございます。したがいまして、今度の年金改正が給付現価として二倍であるにもかかわらず、保険料の引き上げといたしましては、先ほど申し上げましたような状況でございますのも、こういった積み立て金のしからしむるところでございまして、この利差といいますものは、五年ごとの財政再計算におきまして計算の中に取り入れられる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○村田秀三君 その点もこまかな数理的な計画見ておりませんから、これはよくわかりません。わかりませんが、少なくともいま聞きました範囲でも、五年ごとにそれは給付の改善やあるいは保険料の引き上げに回しておるんだという説明でありますが、それもよく私は説明は聞きますけれども、内容的にはわかりません。問題のあるところであります。これは少なくとも計画上は五分五厘で見ておって、実際に六分五厘とっておるわけでありますから、この一分の差というのは非常に大きいわけであります。私の聞く限りでは、少なくとも千分の九、保険料に換算をいたしまするとこれは二十年、三十年ではございません。ほぼ十年計画をいたしますると、大体千分の九保険料を下げてもよいか、あるいは改善に回してもよいということになるわけでありますが、今後それをおやりになる御用意、お考えはありませんか。五年ごとに云々という話は聞きました。少なくともそれを信用をいたしましたといたしましても、その五年間は少なくとも料率を下げることはできるわけでありますから、それをやるかやらないか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(伊部英男君) 年金制度は御案内のとおり長期にわたる制度でございます。したがいまして、長期にわたる見通しを立てて運用をいたす計算をいたすのでございます。そこで、ただいま預金部資金の利率は実際上六分五厘、実際の運用利率は若干これを下回りますが、そういう姿になっておるのでございますが、ただ、かような金利の状況が永久に続くという保証はないのでございます。かりに五分五厘を非常に下回りますような状況が出てまいりますると、非常に多くの整理資源が出てくることになるのでございまして、この負担が将来非常にたいへんな状況になるのでございます。そこで、五分五厘という計算をいたしておるのでございますが、厚生年金の歴史の上におきましても、五分五厘を上回る実は運用が行なわれますのは昭和三十六年以降でございまして、それ以前は六分を下回っておる状況でございます。なお、諸外国の公的年金制度の予定利率はアメリカが三・七五、イギリスが三・〇等の数字でございます。また一般の生命保険等におきましては四・五%程度を予定利率といたしておるのでございます。年金保険は先ほど申し上げましたように完全積み立てではございません。平準保険料率にいたしますと、厚生年金の場合では約八六でございますが、これに対して今度の引き上げ後であります六五をとりましても七五%程度でございますので、完全積み立てであり、かつ保険給付が将来変わることがないさような生命保険におきましても、将来、数十年にわたる長期の制度でございますので、かような予定利率で計算をしておるということを申し上げたいと思います。
○山本伊三郎君 ちょっと関連。いま予定利率と運用利率の差の問題を言われましたが、しからば、政府は修正積み立て方式であるが、いわゆる将来そういう予定利率のものがあるから、将来高額になったときには非常に負担が重くなってもそれは重くしないんだ、こういう趣旨だと思うのですが、しからば、いわゆる年金の平準化するのは相当長い年月かかる。私の計算では少なくとも今後二十年、あるいは三十年、あるいは四十年かかるかもわからないと思う。そういう見通しを持った計画をしておられるかどうか。それともう一つ。いままでの運用利率の差額、今度の改正案で千分の六十五に上げましたが、その中に過去の運用利率の差額がどれだけのパーセンテージになっておるか。もしそういうものがなければ幾らにしなくちゃならぬか、その計算の基礎をひとつ明らかにしてください。
○政府委員(伊部英男君) 将来を推計をして財政計算をいたしておるのでございますが、厚生年金の場合、成熟段階に到達いたしますのは昭和八十五年ないし九十年と推計されます。なお、保険料につきまして過去において利差益があったわけでございますが、保険料に換算いたしますと万分の三・五程度でございます。
○山本伊三郎君 万分の三、しからば、いままで過去運用利率と予定利率の差額の収入が一体幾らあったか、その財源は幾らあったか、それが今度のいわゆる保険料率に万分の三というならば、現在どれだけの積み立て金があって、それがどうなっておるか、これを言われぬとわれわれとして納得できない。それと昭和八十年ないし九十年、今後少なくとも四、五十年、大体見通しは合うておりますが、その際に修正積み立て方式で一体どれぐらいの保険料になるという見込みであるか。それを見込んだ場合、いま運用差額は差額であると、そういうことを言っておりますが、やはりそうなったときにはまた保険料率の計算を変えるでしょう。したがって、その点を明らかに見通しを立ててもらわぬと、修正積み立て方式だからといって、いまの運用利率は通しますということでは国民は納得しない。いま現在取り過ぎておるんだから、その取り過ぎた分を五年ごとに変えるというけれども、それは村田委員も言われたように、そんなものは納得できない。その点を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(伊部英男君) 利差益は約千億、積み立て金にいたしまして約千億と見込んでおります。それからなお、今後五年ごとに保険料の引き上げを行なうわけで、五ないし十引き上げることによって収支が償うという見込みになるのでございますが、昭和九十年ごろの見込みといたしましては、男子千分の百三十五程度の見込みでございます。
○山本伊三郎君 その推測の点については、私は関連だからこれでやめますけれども、いま千億と言いますが、大体昭和三十二年ごろからぼくは運用利率の余剰があると見ておるんですが、だから、千億と言われますが、もう昭和三十五年からはっきりと運用利率、予定利率の差があるはずですが、年度別にどれぐらい出ておるのか、積み立て金が幾らでどれだけの利率が出ているか、それをちょっと説明してもらいたい。
○政府委員(伊部英男君) 資料として提出いたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、予定利率が五分五厘になりましたのは三十六年以降でございます。それ以前は実は実際の運用利率もそれを下回っておる状況でございます。いずれにいたしましても、ただいまの数字は資料として御提出いたします。
○村田秀三君 いまも山本委員のほうからお話もありました、私もそれを言いたいわけでありますが、先ほどちょっと私、認識が違って数字を間違えていたかもしれませんが、五分五厘で計画をし六分五厘で運用しておる。六分で計画をするならばそれは千分の九保険料を下げることができる、あるいはその分、給付を改善することができる、こうなっておるわけでありますから、実際に六分五厘で運用するならば、これはもっと下げてもよろしいという結果が現在の計画の中ではくみ取れるわけです。したがって、先ほど来申し上げました素朴な疑問かもしれませんが、とにかく給付は運用利子のわずか半分である、そういう状態の中でなぜ保険料を上げなければならないかという疑問、これは御理解いただけると思うのです。これはいま年金局長の説明をいろいろ聞きました。これはこまかい計数が出ておりませんから水かけ論になりますからやめますけれども、しかし、いずれにいたしましてもそういう素朴な疑問をぬぐい切れない。したがって、この問題を再検討されるつもりはあるのかないのか、これは厚生大臣のほうからお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 政府委員から御説明申し上げましたように、またこれも数字が十分的確でありません。だから御理解いかなかったかと思いますが、いずれ詳しい資料にしてお出しをいたしますが、大づかみに申しますと、保険の給付をたとえば一万円年金を二万円年金に上げる。この場合に、その将来への給付をいまから積み立てるわけでございますから、したがって、保険料率も上げておかざるを得ない。現に給付を受けている者に対してその支払いに困るから上げるというのではなくって、将来への給付のつまり準備に積み立てておるわけでございますから、上げるというまあ原則は御了解いただけると思います。ただ、もう一方、いわゆる長期の計画の利子の計算、五分五厘の計算の長期計画で、いま申し上げましたような将来への支給の率をあれをしておるわけでございますが、現実には一分こえた六分五厘で運用しているじゃないか。そこで、その計画も六分五厘の計画にしてしかるべきじゃないか。そうすれば料率の上げ方ももっと少なくて済むという、まあそういったような御意見であろうと思います。そのままでないかもしらぬが、そういったような御趣旨、この点は先ほども御説明いたしましたように、五分五厘を下回って運用しなければならぬときもあるだろう、これはそのときの経済の状況で上回ったり下回ったりいたしますから、したがって、長期計画としては五分五厘で計画を立てても、実際に運用する場合にはそのときの社会情勢、あるいは政策的なものを入れまして、あるいは六分五厘、あるいは六分、あるいは場合によったら五分で運用するというようにせざるを得ないような社会情勢がくるかもわかりません。したがって、これはそのときに応じたもので運用をしておりますと、そこでその予定の計画よりも利子収入がよけいあったと、積み立て金に対する利子収入がよけいあったという場合に、あるいは少な過ぎたというような場合にこれは五カ年ごとにやる再計算期のときに、それを見て、そして次の段階へ備えますと、こういう考え方でいるわけでございます。で、現に支給をしております給付というものは、先ほども申しましたように、まだごく一部の人に対して給付が始まったばかりであって、今後満度といいますか、正常な状態、昭和八十五年か九十年になればうんとふえてくる。そういうわけでありますから、現在給付のできるだけの金があればいいじゃないかというわけにはちょっとまいらないということでございます。 ことに、これも計算に入れておりますけれども、今後平均寿命が非常に伸びてまいる。そうしますと、受給者の数が、平均寿命七十歳と考えていたときと、七十五歳というようになってきたときと、非常に変わってくるわけでありますから、これも将来もっともっとふえてくるであろう。しかしそれは五年ごとの将来の平均寿命の伸びというものを見て計算をしていきますと、まあこういう大体の考え方でございます。 数字の面では、先ほど申しましたように、ひとつ詳細ないままでの内容を資料としてお届けいたしたいと思います。
○村田秀三君 それ以外に、この標準報酬料の改定の問題も私非常に疑問に思っておるわけでありますが、それはどのように保険計画の中で扱われておりますか。
○政府委員(伊部英男君) 厚生年金におきましては、年金給付が払った保険料、ただいま御指摘の標準報酬に比例をいたしておるのでございます。したがいまして、将来年金給付を実情に合わせて実施をするためには、やはり標準報酬を相当実情に合わせていく必要があるわけでございます。そこで、現行法におきましては、標準報酬の最高限度が六万円で、最低限が七千円でございます。これをどういうぐあいにするかということにつきまして、実は一昨年の九月以来、社会保険審議会の厚生年金部会におきまして、労使におきまして種々御議論があったのでございます。傾向的に申しますと、労働側はなるべく高いほうに位置づけをしようと、使用者側はなるべく低いほうに位置づけをしようという雰囲気の御議論があったのでございますが、いろいろ両者の御意見をも拝聴しつつ、かつ給与の実態等をも勘案をして、今回の改正法案におきましては、最高限度額を十万円、最低限度額を一万円に引き上げることにいたしたのでございます。これは、最高限度額引き上げに伴いまして当然保険料も上がりますが、当然これは給付に反映してまいりたい、こういう性質のものでございます。
○村田秀三君 私の聞きたいことは、いまもちょっと触れましたが、まあ過去五年標準報酬料の改定、毎年やっておりますが、そうしますと保険料も上がるわけですね。その収入を計画の中ではどのように位置づけられておるか、こういうことでございます。
○政府委員(伊部英男君) 通常の昇給はもちろん財政計算の上で見込むのでございますが、いずれにいたしましても、五年ごとの財政再計算の際に全体をレビューいたしますので、これらはすべて次の財政再計算の基礎に算入されるわけでございます。
○村田秀三君 その点も疑問が残りますが、では正確な保険数理計画をちょうだいしましてから、いずれかの機会にまたやってみたいと思います。 次にお伺いしますのは新規保険料、新しくとります保険料の中に、既往の裁定者の給付改善分が含まれておるかおらないか、これをひとつお伺いしたい。
○政府委員(伊部英男君) 既裁定年金の引き上げは、先ほど申し上げました千分の八十六という平準保険料には入っておるのでございます。しかしながら暫定保険料率、約七五%程度でございますが、八十六分の六十五でございますが、この暫定保険料率は、実は前回の再計算を実施いたしますときよりも、修正度合いが強まっておるのでございます。したがいまして平準保険料率には入っておりますが、このいわゆる整理資源の問題につきましては、公的年金に共通のいろいろの御議論があるのでございまして、今後十分政府部内においても検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○村田秀三君 疑問は感じられて検討してみる、こういうことでありますが、そうしますとその財源ですね。どこからこれは調達をするのかということです。
○政府委員(伊部英男君) 現在の積み立て金は約七兆ありますれば、千分の六十五のままでずっとバランスがとれるのでございますが、実情は先ほど御指摘のように三兆でございます。したがって四兆の積み立て金が不足をしておる。これを後代において千分の五ないし十引き上げて解決をしていくということになっておるのでございますが、現状におきましては七割強の保険料でございます。それでこれは前回よりも若干強化されておりますので、この整理資源の問題につきましては、たてまえとしては平準保険料率に入りますから、通常の負担割合で負担をするということになるのでございますが、社会保険審議会等におきましても、特に戦後のインフレに伴ういわば始末、これは別に考えるべきじゃないかというような強い御議論もございますので、この点はなお政府部内におきましても検討を努力いたしたい、かように考えておる点でございます。
○村田秀三君 私もこの新規保険料の中に既往の裁定者の調整財源、改善の調整財源が含まれておるとすると、非常に不公平であると思っておりました。ところがいま保険局長の答弁によりますと、これは別途、つまり現在の被保険者に責任を加担させる形でない解決の方向での検討の答弁がありましたから、私はこの点は了承いたしますが、ぜひとも、これはいわゆる既往の年金額の減価は本人の責任ではないわけでありますから、どうしてもこれは国が見なければならないという問題になろうかと思います。この点については大蔵大臣、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ検討したことはないのでございますが、厚生大臣とよく相談をしてみたいと思います。
○村田秀三君 厚生大臣、どうですか。保険局長のいまの答弁をお認めになりますか。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま局長が答えましたように、異常なインフレ等によって起こってきた場合には、それは国でめんどうを見るというようなことをしなければならぬかもわかりません。また審議会等もそういう御意見であろうと思います。ただ今後そういった異常なインフレというものに基づくのではなくて、やはり国民の生活水準の向上その他から考えて、年金額をもっと引き上げるというような場合に、これ全部国費で既裁定分を見るかというと、やはり後年代で支払う人のものと一緒に考えてやっていくということは、こういう年金制度としては、私はやむを得ないのじゃないかと思います。おのずからそれには限度がございますから、そのときそのときに応じまして、そして国の負担分をどうするかということを見ていかなければならぬであろう。今日ではまだそういった段階ではない、こういうことでございます。
○村田秀三君 そうしますと、方向は確認されるけれども、しかし、具体的にどのような方法でするかは検討しなければならないということでありますから、どのように具体的な検討がされるのか、いま考えておるところがあれば、お伺いをいたしますと同時に、これはいつごろそのような措置をとるべきだと考えておりますか。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの段階では、近くそうやらなければならぬということで計算をし、あれをしておるという段階ではないと申し上げているわけでございます。非常な悪性インフレ等によって起こってきたという場合には、国が特別の措置をしなければならぬでありましょうが、今日物価は年々上昇してきておりますけれども、これは経済の正常な成長に伴うものだという考えに立ってやっておりますから、この程度でいっている分においては、年金の既裁定者に対する保険金の引き上げ分は、引き上げた分だけは国庫で持たなければならぬ、こういう考え方は、現在の経済の伸長の段階においてはいたしておりませんと、こう申し上げているわけでございます。
○村田秀三君 保険局長よりもこれは厚生大臣のほうが上でありますから、どうも保険局長の良心的な検討の方向を打ち消されたのでは、これは実に困ると実は思うのでありますけれども、とにかく悪性インフレといいますが、今日の状態は、これはもう毎年五、六%上昇しているのでありますから、これは悪性インフレでないなどというような説明をなさっても、国民は了承しませんよ、素朴にいいまして。とするならば、既往のいわゆる給付の改善は当然国庫が見るべきだと私は思います。明らかにそれをお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど政府委員が答えましたのも私のお答えいたしておりますのも、別に意見は違っているわけではないのでございまして、ただいまのような仰せでありますと、これから年金額の引き上げをするたびに既往――既裁定分の引き上げ分は、それだけは国で負担をすると、こうしなければならぬという御意見であろうと思いますが、ちょっとその御意見には、いま直ちに御賛成をいたしかねると、かように申し上げているのでございます。
○山本伊三郎君 ちょっと関連。簡単に政府はそう言われますが、昭和十七年に、その当時は労働者年金保険という名前で打ち出してできたのですが、戦前の平均給与六十七、八円だったと思うのです、価値は全然違いますが。そのときは当然保険料は高かったです。大体年間六十円の人で二円から二円五十銭くらい納めておったと思うのですが、そのパーセンテージから見ると。しかし、その当時の――いまからいいますと千分の七十ぐらいになったと思いますが、その掛け金の価値というのは、いまから見るとおそらく千円、二千円の価値がある。そのときは労働者の福祉をはかるのだといって、時の政府は労働者から貯金以上に金を取り立てたのですよ。しかも、そのときは二十年後にしか年金をもらえない約束なんだ、あのときは。そうして積み立てられて、戦争によって、インフレだといま政府は言われましたが、インフレになったのだ。戦争の罪がそういう労働者にあったかどうか知りませんよ、私はなかったと思うのだが。そうして、戦後になってからどうなんです。みじめなものだ。二万円年金というけれども、二万円もらう人は既裁定者は一人もおらぬ、おらない。しかしその当時の掛け金の貨幣価値からいうと、十分もらえる価値があるのですね。そういうそのインフレとか――これは戦争によったインフレでありますが、そういう責任を被保険者の労働者に課して、政府はそういう考えはございませんという冷淡なことは言えぬと思う。しかし実際問題で、保険数理からいって、それらのものを政府が持つとすれば、財政的にもたないでしょう。それは私わかっております。こんなもの持てばおそらく何兆円という金が要るでしょう、年間。持たないけれども、政府は三者負担だということでやるけれども、事業主はきわめて冷淡なんですね、日本の事業主は。そういう点を十分考えてもらいたいのだというので、政府の考えというのを伺っているのですよ。そこまで政府が考えてやらなければ、いまの厚生年金、国民年金、私から言わせれば、国民はきわめて不安なんですよ。 もしどういう事情があって、インフレが起こったときは――いまかけている掛け金は、実際労働者の賃金から血の出るような掛け金をしているのですよ。それがインフレになったからといって、それは昔の金だといって、それは考えないという社会保険なら、社会保険やめたほうがいいと思う。政府はそこまで責任持ちますというくらいの考えが必要であって、事業主に持たすか、政府が持つか、あるいは現在の被保険者に持たすか、これは別として、これは初めから政府はそういう考えはないということでは、社会保険のおそらく理論といいますか、思想というものはつぶれてしまうと思う。北欧諸国においては、相当年金のために、国庫は支出が赤字になっている場合がありますよ。それでもやっておりますよ。というのは、政府は責任持たなければいかない、社会保険については。そういう考え方が、私は政府にあるかどうかということについて聞いているのですよ。厚生大臣なり大蔵大臣なり、ひとつあなた答えてもらいたいと思うのですよ。
○国務大臣(斎藤昇君) 私も、先ほど申し上げましたように、いま例にあげられるように、非常にインフレになった場合に、政府は知らぬという顔をしているかと、こういうお尋ねですが、私はそうじゃない。いま非常なインフレになった場合には、これをその後代の労働者の人に、事業主だけに負担させると、そういう考えは、もちろん私は、大蔵大臣もお持ちではないと思います。
○山本伊三郎君 前のやつ、前の保険ですよ。まだスライドしてないから、それをどうするか、今後はいいですよ。前のやつはどうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 前のやっとおっしゃいますと……。
○山本伊三郎君 昭和十七年からずっとやっている被保険者の、そのスライド。
○国務大臣(斎藤昇君) その戦前のやつからの保険計算につきましては、政府委員からお答えいたします。
○山本伊三郎君 それを言っている。
○政府委員(伊部英男君) 数字にわたりますので、お答えいたします。
○山本伊三郎君 数字だけじゃないよ、考え方だ。
○政府委員(伊部英男君) 昭和十七年におきます物価を一といたしまして、昭和四十四年の推計が一九六でございます。そこで先ほど先生御指摘のように、当時の標準報酬は六十円ないし七十円ということだと思いますが、それで計算をいたしますと、年金額として十六円ないし七円程度が、当時の法律が予定をした年金額でございます。これに対しまして現在の年金額は、現行法によりましても一万七円をことしの一月こえておりますし、二万円と申しますのは、昭和四十五年十月に新規裁定される方々の年金額が、いまの加算を含めて二万円に到達するということでございますので、物価に決して立ちおくれておることはないということを申し上げたいと思います。
○山本伊三郎君 どうするのだ、いままでのやつを。今度の改定でどうするのだ、一万円でとどめておくのですか。前の人を上げるのだったらそれでいい。
○政府委員(伊部英男君) 最低年金につきましても、すべて六割ないし七割程度の引き上げになります。
○山本伊三郎君 じゃ、二万円になるのか。
○政府委員(伊部英男君) 最低年金につきましては、二万円までは到達いたしません。
○山本伊三郎君 幾らになる。
○政府委員(伊部英男君) 大体六割ないし七割程度の引き上げでございます。したがって一万四千円程度になろうかと思います。
○村田秀三君 いま大臣は、山木委員への答弁の中で、非常に過激なインフレの際に、少なくともこの負担を被保険者、事業主に持たせる考えはない、こういうことを言われましたが、そうしますと、国もこれは負担する考え方である、このように理解してよろしいのですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 異常な場合になって、そして年金額を引き上げなければならぬというような場合には、国はその責任を持たなければならぬと、かように考えております。
○村田秀三君 それでは、いまの年金法を見ますと、これは五年ごとに再計算せよということがありますが、これは途中で、昭和四十何年ですか、法律の最初の出発にはなかったけれども、調整規定を設けたというのは、五年間に大体せよということは、いわゆるいまの経済事情に対応できるような措置をとったものと考えますが、いかがですか。
○政府委員(伊部英男君) ただいま御指摘の財政再計算は五年ごとに行なうという規定が昭和二十九年改正法に入れられたのでございます。従来の例といたしましては、その財政再計算の機会に、保険料と申しますか、保険財政の見直しだけでなくて、給付につきましても相当大幅の改善を実施してきたというのが従来の例でございます。しかし、今後とも五年ごとでなければ給付の改善がないということは、法律の規定としてはないのでございまして、今後大幅な経済のいろいろな情勢の変化があれば、もとより年金数理につきましても検討を加えられるべきものと、かように考えております。
○村田秀三君 五年間というそれを一応設定いたしまして、最近は、これは制度審だったかと思いますが、二年間に短縮をして対応措置をとれ、こういう意見が出ておりますが、これに対してはどのようにお考えですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 御承知のように、こういった年金額もスライド制を採用せいという意見も一方あるわけでございますが、そういった考え方から、五カ年の再計算期まで待つのはおそすぎるのじゃないかというような御意見でもあろうと思いますが、まあ今後の物価の上昇、生活水準の向上というような事態にかんがみまして、五カ年の再計算期にならなくても、必要があれば、あるいは給付の改善なり、また保険料率の改定ということもしなければならぬかと思いますが、まあ政府も一生懸命物価の安定、生活水準の着実な上昇というように努力をいたしておりますので、原則といたしましては、五カ年という原則を固持してまいりたいと思います。しかし、なかなか政府の思うとおりいかないというような場合には、あるいは二年、三年目にまたお願いをしなければならぬかと思いますけれども、われわれの理想といたしましては、五年くらいの改定でいいような経済の安定した行き方をやってまいりたい。これは現内閣の考え方でございますから、大蔵大臣もおそらくさようであろうと思いますが、その点についてはまだ大蔵大臣と御相談しておりませんけれども、場合によったら御相談をいたしたいと思いますけれども、私はいまのところさように考えております。
○村田秀三君 もうこれは論議になるところでありまして、こちらがたくさん言わなくちゃなりませんので困るのでありますが、いずれにいたしましても、社会保障制度審議会のこれらの意見というものは、とにかくスライド制を実施せよという意味の申し入れなり答申なりというものがあるわけであります。そうして調整規定の一応のめどの五年間、これは国民年金法には五年と、こういうことになっておりますが、それをとにかく二年間に短縮せよというのは、今日毎年五%以上も物価が上がる状態の中では、どうしても調整期を短縮しなければならぬということと同時に、スライド制を採用しなければもはやどうにもならない。いわゆる社会保障制度、国民年金あるいは厚生年金に対するところの国民の不信感が強まるであろう、不満を非常に持つであろう、これを解消しなさいということであるわけでありますから、どうもいままでの答弁を聞いておりますと、とにかく非常なインフレのときには政府は考えなければならないという言い方をしておりながら、なおかつ今日の段階ではそういう状態ではないという認識でおられるようでありますが、これはぜひとも、少なくとも経済情勢の変化あるいは生活水準の変化に対応する年金制度の確立を目ざしてひとつ努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(斎藤昇君) スライド制の採用につきましては、私たちも国民側の立場に立って、これがぜひ実現をいたしたいと、かように考えているわけであります。ただ、これはいまの厚生年金、国民年金だけでなしに、他の一般の年金に通じる問題でございます。恩給その他にも通じる問題でございますので、それらを一括いたしまして、いま関係のところで技術的に、あるいは政策的にどうやったらいいかということを検討をいたしている段階でございまして、前向きの姿勢で検討をいたしてまいり、われわれとしては実現をいたしたいという意欲を持っているということを、お答えをいたしておきたいと思います。
○山本伊三郎君 もう一つ、重要なポイントにきたのでちょっと大蔵大臣に聞いてみますが、スライド制については、恩給制度審議会が、一昨年だと思いますが、物価が五%上がったらばやれという答申が政府に出されておりますね。恩給審議会のメンバーに聞くと、恩給の場合については、政府はこれは認めざるを得ない考えだが、他の社会保険の年金を同時に上げると相当財源が要るということで、なかなか協議がまとまらない、こういうことを私聞いておるのですが、年金制度についてはスライド制というのは、もう世界的な一つの課題ですから、そこで私は、これは事務当局でもけっこうですが、その後、恩給制度審議会が答申を出された以降、どういう経過をたどっているのか、そうして、これはもう前向きにいま大臣やっているというなら・このことはできると思うのですが、ノルウェーあたりでは物価にスライドしていると思うのです。フランス、西独は賃金にスライドしていると思うのです。そういう場合、物価にスライドした場合と、日本のような物価が非常に急速に上がっておりますから、物価にスライドした場合と、賃金にスライドした場合に、その財源率、財源は一体どれくらいになるか。政府がかりに持つとすれば、年間現在の段階でどれくらいになっているという試算もできておると思うのですが、それをひとつこの機会に聞いておきたいと思います。
○政府委員(平川幸蔵君) お答えいたします。 恩給法第二条の二にいわゆる調整規定がございますが、これが具体的な運用につきまして、恩給審議会が次のように答申を出しております。すなわち、消費者物価が五%以上上昇いたしました場合には、それに応じて恩給年額を改定すべきものである。さらに、公務員給与または国民の生活水準の上昇が著しいときにおきましては、これらの要素を勘案いたしましてある程度調整すべきである。こういう意見が示されておりますが、総理府におきましては、この答申の趣旨を尊重いたしまして、本年度におきましては、昭和四十三年の三月までの穴埋め分といたしまして、昭和四十年の恩給年額の四四・八%のアップを改正法案としてお願いしております。 なお、この問題につきましては、同様の規定を持つ公的年金制度との関連がございますので、現在総理府に公的年金制度調整連絡協議会というのが設けられておりまして、ここにおきまして全体を通じまして検討しておりますので、これをにらみながら将来処置してまいりたい、このように思います。
○山本伊三郎君 その経過、どこまでやっておるか。協議会というものは、スライド制をいつごろのめどでできるかというんです、趣旨は。協議ばかりやっておったんではしようがない。スライド制はいつごろできるか。これはあなたのほうの守備範囲でないか、公的年金全部の問題です。
○政府委員(伊部英男君) いわゆるスライド制ということばでございますが、これは、物価、賃金等により自動的に給付を改定をしていくという意味に解釈をいたしますと、わが国の年金制度はまだこれを採用しておらないという状況でございます。ただ、経済情勢に対応して調整をしていくという意味合いにおきましては、わが国の年金制度は、むしろ物価を上回る改善をいたしておる状況でございます。そこで、ILOの分類等におきましては、わが国の年金制度は、経済的な調整をする制度の分類の中に入るのでございますが、しかし、ただいま先生御指摘のように、自動スライド制、これにつきましては、非常に御要望があるのでございます。そこで、社会保険の立場におきましては、一昨年九月の社会保険審議会の部会を始めました際に、今回の財政再計算期に対応する新しい改正案をどうするかという問題とともに、この問題につきましても議論をしていただくということで始めたのでございますが、昨年の十月、中間報告をいただきました段階におきましては、まだ結論に到達しておらないので、そこで、今回の改正において、完全な自動スライド制の確立が諸種の事情から無理であるとしても、今後さらに研究を重ね、できるだけ早い機会に、この問題についての結論を出すことが望ましいという御指摘をいただいておるのでございまして、厚生省といたしましては、今国会におきまして年金制度の決着がついたあとにおきましては、直ちに厚生年金部会を再開いたしまして、この問題を引き続き検討いたしたいと考えております。 さらに、公的年金全体の問題といたしまして、ただいま恩給局長から御答弁がございましたように、政府部内におきましても、連絡調整の会議を設けて、これも一昨年以来研究をいたしております。その契機となりましたのは、社会保障制度審議会から申し入れがございまして、年金制度が各ばらばらで動いては困る、ひとつ総合調整せよという申し入れがございまして、それに基づきまして、さような連絡会議を開いて、ただいま検討をいたしておる段階でございます。そこで、その第一回の最初の議題といたしまして、この問題を取り上げまして、ただいま真剣な検討をいたしておるという段階でございます。したがいまして、かような手順によりまして、今後なるべくすみやかに結論を出してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山本伊三郎君 財源は、まだそこまで検討してないなら、検討してないと言われたらいいのですが、恩給審議会の今回のメンバーに聞くと、相当深く審議をしているのですね。ところが、恩給審議会以外のいわゆる厚生年金、まあ厚生省もありましょうし、労働省も若干労働者災害保険もありますから関係もありますが、非常に冷淡だというのですね。それはそうだと思うのです。恩給の場合にはスライドアップの財源は、全部調整財源は政府が持っておりますからいいのですが、そうでないものについては三者負担という関係もあって、非常に問題が複雑だからやらぬと、消極的だというのですよ。しかし自動スライド制をとらなければ恩給の値打ちがないという、これは各国の意見ですよ、実際問題ね。そこで私が言うのは、財源が一番大きい問題にひっかかっているというのです。日本の事業主の言い分では、使っている労働者については、若干厚生年金なり、その他の年金で負担してもいいけれども、やめた人までわしら負担するのはいやだというような思想があるらしいですね、日本の場合。そこで私が聞きたいのは、公的年金、たくさんありますよ。恩給も入りますし、すべて入りますが、もしそれらを全部政府が持つとすれば、幾らの財源が要るか。この試算ができていなければいかないというのですよ。この前、水田大蔵大臣のときには、それは一応考えなければいけませんと、大体年間三千億円ぐらい要るでしょうというようなあいまいなことを言われたことがあるのですが、したがって、ぼくは三千億円でいくかどうか別として、一体公的年金をスライド制にした場合に、賃金に準じてやった場合に、一体幾ら財源が要るのか。この試算ぐらいできておらなければいけないということで私は質問したのです。一体幾ら要るのですか。
○国務大臣(斎藤昇君) それはいろいろ前提がなければむずかしい。
○山本伊三郎君 前提はあるのですよ。恩給審議会は、五%物価が上がったときにはやるという前提があるのですよ。だから恩給の場合でもいいし、フランスや西独のように、賃金にスライドした場合でもいいのですよ。そうすれば一体どのくらいの金が要るかということを見なければ、私はできないのですよ、実際問題として。経済につながった問題ですから、だから、日本の公的年金は相当あります。恩給もありますし、いろいろありますが、それらを含めて、一体どのくらいの金が年間に要るのか、こういう試算ができているはずだと思うのですがね。
○政府委員(鳩山威一郎君) ただいま御質問の点につきまして、私どもまだ財源がどの程度になるかという試算はいたしておりません。ごく大ざっぱに申し上げますと、消費者物価あるいは物価水準が上がったために、給付をふやさなければならないという面につきましては、従来おおむねその対応措置をとってまいったわけでありますから、これは今後、現在提案しております厚生年金の改正案、あるいは恩給の今度の改正案というものは、そういったものを織り込んだ予算措置と私どもは考えております。ただその場合に、物価というものを、消費者物価水準をとるということでは、これは貨幣が減価するという意味で、これは考えていかなきゃならない問題であるとして対処してまいっておりますが、それより以上にこの賃金水準がおおむね最近はその倍以上の増率で増加しておるわけでありますから、これを年金制度にどう取り込むかというのが実質的に最大の問題だろうと思います。その点につきましては、私どもはまだ財源として計算した作業はいたしておりません。目下関係当局で、先ほどの調整会議でいろいろ検討しているという段階でございます。御了承いただきたいと思います。
○山本伊三郎君 大蔵大臣、ひとつめどを言ってください、いつごろできるか。
○国務大臣(福田赳夫君) これはなかなかむずかしい問題なんですが、むずかしい最大の点は、スライド制を一つの年金でとりますと、他も権衡上とらなければならぬ、こういうことになる。ところが、あまたある年金の中には、その財源をどうするかということが非常にむずかしい問題があるわけなんです。厚生年金の場合をとってみましても、三者負担だという、その三者がどういうふうに過去のきまった年金の財源を負担するか、これは非常にむずかしい問題です。そういうことを考えますと、まあ政府だけが財源を持つという恩給につきましても、なかなかこれはスライド制だというわけにはいかない。ただ、私どもが気をつけておりますのは、消費者物価が騰貴しております。ですから、この中において恩給受給者がその実質的な生活水準が維持できるようにしてやらなければならぬ、こういうことで、 〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 毎年毎年じゃございませんけれども、そういう配慮のもとに予算の額もきめ、また法律案の修正なんかをお願いしておる。それから他の保険につきましては、厚生省におきまして、あるいは労働省におきましても、それぞれそういうような角度から、まあむずかしい財源問題ありまするけれども、それを含めまして、給付水準というものを修正をしていっておるわけなんです。いまそういう態勢で動いておりますが、私はまあ完全スライド制をいつ採用するかめどを示せというお話でありますが、このめどというのはなかなかむずかしい。むずかしいが、とにかくいろんなデータをそろえてみる、できるかどうか、ことに財源をどうするかという問題ですね、これについてのよほどの検討が必要であろう、まあ勉強してまいりまするけれども、この席でいつこれをするかということはなかなかむずかしい問題だと思います。
○山本伊三郎君 それはむずかしいことも私もよくわかるんですが、そうすると、今後ともいわゆる物価が上がって、生活が非常に苦しくなるという度合いに物価が上がれば、そのつど調整していこうということをしばらく続けなくちゃならぬ、その上で、計算なりあるいはめどがつけば完全自動制にする、こういう趣旨と受け取っていいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) さような考えでございます。
○村田秀三君 ただいまの問題、非常に重要な問題であろうかと思います。まあ私が申し上げるまでもなく、いま山本委員とのやりとりの中でおよそわかりました。わかりましたが、とにかく人事院勧告というのは、これは民間賃金と比較して、五%上昇すれば義務的に勧告をするような状態になっているわけですね。それから先ほど来話が出ましたように、社会保障審議会の中でも、五年の調整期間を二年程度に短縮をしながら五%の物価上昇に合わせて調整をしろという意見が強く出されておるわけでありますから、これはぜひとも、非常に困難な、また財源も必要とする問題であろうかと思いますけれども、ほんとうに先ほど真剣になって検討するということを言いましたが、まさに真剣になって検討していただきたいと思います。それでなければ物価を上げないようにするほかない、こういうことに逆論的にはなるわけでありますから、ぜひお願いしたいと思います。 それでは、次に移ります。厚生年金の適用事業所の拡大の問題でありますが、いまは、御存じのように五人以上の事業所になっております。しかし、これを少し下げてくれないかという意見なんかも強うございますので、その問題についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 御承知のように、いま医療保険の抜本改正、これがおくれておって申しわけないのでございますが、これと取り組んでおりまして、近くその基本的な考え方だけでもはっきりいたして、そしてできるだけ早く審議会のほうへ御審議をしてもらうようにお願いをしようと、こう思っているのでありますが、この場合に、いまおっしゃいます年金の適用事業所、それから健保の適用事業所、いまこれを一緒にいたしておりまするので、それとあわせまして、五人未満のところをどうやっていくかということを検討いたしたい、それとあわせて考えたい、かように思っておりますので、御了承願いたいと思います。
○村田秀三君 そうしますと、これを引き下げるという方向で検討していると、こう理解してもいいんですね。
○国務大臣(斎藤昇君) できるだけそういうようにいたしたいという方向で検討いたしております。
○村田秀三君 次に、積み立て金の運用管理の問題でありますが、四分の一額だけは、これは資金運用部の手を経ないで運用しておるという状態だと思います。これについて、最近の傾向といたしましては、多方面にわたって資金運用がなされるという傾向がございます。同時に、この積み立て金は少なくとも国民が積み立てたものであるから、この運営には国民も参加させてほしいという声が強いようであります。それに対しましてはどのようにお考えになりますか。
○政府委員(伊部英男君) 積み立て金につきましては、預金部資金の中で特別勘定を設けるべきである、あるいは自主運用すべきであるといったような御議論もございまして、従来からの基本的な問題があるわけでございますが、この点につきましては、今回におきましても、なお結論を得ておらないわけでありますが、今後引き続き積み立て問題につきまして、検討努力をいたしたい、かように考えております。
○村田秀三君 重ねて聞きますけれども、検討するということでありますが、検討でもさまざまでございまして、少なくともいわゆる被保険者の希望が満たされる方向での検討がなされると理解してよろしゅうございますか。そしてまたいつごろ結論が出るかということ。
○政府委員(伊部英男君) 積み立て金につきましては、関係審議会からも種々の御意見が出ておるのでございまして、この機会に、関係の審議会の会長クラスの懇談会を設けて、いろいろお話し合いをしていただけばどうかといったような方向で、ただいま関係省において検討いたしておる段階でございます。さようなことが発足いたしますれば、いままでいろいろ御指摘になった問題をも全部この懇談会に提出をして、いろいろ御検討を仰ぎたい、かように考えておる次第でございます。
○村田秀三君 最近農民年金の希望が農家の方々から強く出されております。農林省もその方向で検討されておることを承知しておりますが、厚生省といたしましては、これをどのように考えておられるかどうかお伺いしたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 厚生省も農林省と十分御連絡を密にしながら、先般の本会議でも総理あるいは農林大臣からも御答弁がありましたが、できるならば最近の機会に実現をいたしたい、こういう方向で検討をいたしております。もしできるならば、今度の年金制度の改正の中で、将来農民年金制度を特に積み重ねるということもできるような措置を改正の中に考えているわけでありますが、現実農民年金制度をつくる場合にはそこのところを利用してでもやれるのじゃないかというところまで考えて、いま取り組んでおるわけであります。
○村田秀三君 重ねてお伺いするわけでありますが、年金制度というのは、これは国民年金の制度ということなんです。今度の改正でといいますが、今度提案されて、内容は部分的になりますが、そうしますと、考え方を明らかにしてもらいたいと思うわけですが、そういう地域年金の中で上積みをしていこうという考え方をとっておられるのかどうか、別個につくるのかどうか、あるいはまたいつから出発させようとして検討しているのか、これをお伺いしたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 国民年金の中でこの上積みとして農民年金の実現ができる、それでいいということになれば、それでもできるというような受け入れの体制のできる考え方で今度の年金法の改正を考えているわけであります。しかし、それは次の農民年金は必ずこれでやりますという意味ではございませんが、これでやってよろしいということであれば、その上積みとしてこういう方法でもやれるという準備的な――そう言えば準備的でございますが、受け入れ体制はこれでよろしいということであれば、そこででもできる。で、それでいけないということになりゃ、あるいは特別の年金制度になるかもしりませんが、大体の考え方は、国民年金の上積みという形でいったらどうであろうか。もしそういう意見が最終的にきまれば、いま審議していただいております年金法の個々にこういうふうに上積みをすればできるであろうという措置だけはつくっておきたい、かように考えております。
○山本伊三郎君 関連して。大臣の言うのは抽象的なんですが、どういう受け入れの措置をするのですか、国民年金の上積みの。
○政府委員(伊部英男君) ただいま国民年金審議会の中の農民年金部会におきまして検討をいたしておる段階でございます。なお、本年度の予算におきましても約一千万円の調査費がついておりますので、かようなものを勘案をしつつ結論を得たいということでございますが、大臣が申されましたような上積みの方法といたしましては、今回、国民年金法の中に国民年金基金という制度がございますので、これにより、あるいはこれをもととして農民年金問題を解決していくということが可能である、こういう趣旨でございます。
○山本伊三郎君 これは非常に平凡になっておりますが、どうなんですか。政府としては、農民年金と国民年金を分離していくという考え方か。いま大臣の言われたのは、分離するよりも、国民年金基金の中で運用して、農民については別の給付というのを考えていきたい、こういう趣旨か、それとも、政府としては、農民年金ということで、別の制度として発足させようという意味か、その点を聞きたいわけです。
○国務大臣(斎藤昇君) 御承知のように、農民の方々も国民年金に加入しておられるわけです。そこで、特別の条件を持った農民の方には、さらにこれだけの年金というようにそれに積み重ねていく、こういう考え方でございます。
○村田秀三君 それでは次の問題ですが、児童手当の問題です。 これは衆議院でもやられておりますし、また本院でもやられておりますが、今度厚生省設置法の中で児童手当審議会を設置されようとしておられますね。臨時措置で二年間、こういうことでありますが、考えてみますと、児童手当懇談会が発足いたしまして一年有余になります。そうしてさらにまた審議会をつくろうとなさることは、大臣が衆議院の答弁の中で来年度からでも出発さしたいと言っているお気持ちと違うように受け取られるのです。われわれ、人が割り振られているといえばそれまででありますが、また中間機関を置いて先に延ばされるのではないかという疑いを持っておるわけでありますが、この点についてひとつ所信を、確言をいただきたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 児童手当のお答えをいたします前に、山本さんに先ほどの誤解のないようにお願いいたしたいと思いますが、これは政府がすでにそう腹をきめて決定しているというわけではございません。そういうように決定になれば、個々のお座敷をこういうように貸してあげることができますよという、そういう措置は今度の年金法の中にできている。それではいかぬというようなことであれば、また別の制度になるかもしれませんが、それは一つの考え方だ、それでいこうということになれば、そこに積み立てをすればちゃんとできるようなものになっております。こういう意味でありますから、誤解のなきようにお願いしたいと思います。 それから児童手当の問題は、たびたび総理もお答えになっております。政府といたしましては、できるだけすみやかに実現をいたしたい、この考え方には変わりはございません。今度審議会を設けますのも、審議会をつくって、そうしてそこでまた一年か二年ひとつ延ばそうという気持ちは毛頭ございません。年金制度審議会を期限つきで、二カ年ということに期限をつけております。これは一カ年の期限つきでもいいだろうという御意見もあるだろうと思いますが、一カ年と申しますと、国会の審議を願い、その段階においてあるいは何らかの変化が起こるかもわからない。したがって、国会に付議するまでの審議会だけであればよろしいというのも、ちょっとあまり色つやがなさ過ぎる。場合によれば一年くらいのアフターケアも必要であろうというので二カ年というわけでありますが、政府といたしましては、可能な最小限度の期間において提案をいたしたい、その熱意には変わりはございません。御了承をお願いいたします。
○村田秀三君 そういうおことばではありますが、大臣のおっしゃっているようなことであるならば、とりわけ新たな審議会を設置しなくても、社会保障制度審議会等でやれるのではないか、私もそう考えます、率直に。一年間で審議会を解散して、そうして、それじゃ、その事後処理はいろいろありますが、これをどこでやるかといえば、やはり現在ある制度、審議会等でやらざるを得ないことになるわけでありますが、だとするならば、特別に審議会を設置しないで、むしろ、現在りっぱな審議会があるわけでありますから、その中でおやりになっても十分な効果は私は発揮できると思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、社会保障制度審議会だけでも悪いことはないと思います。まあ率直に申しまして、審議会の多いのは、ほんとう言うと、実は、国会提案の時期が迫っているのに、審議会がなかなか済まぬというので、政府もずいぶん困る場合もあるんでありますが、しかし、それだけにやはり、児童手当制度というのは日本の社会保障制度の大きな一つの柱でございますから、他の制度と違って。しかも、厚生省で設けました児童手当懇談会の答申の中に、児童手当審議会でさらにこれこれの点については検討したほうがよかろうという答申ももらっておりまするし、期限二カ年づきの審議会制度を設けるということは、政府はいよいよこれに踏み切ったというまあ意思表示の一つにもなる、かように思って審議会の法案を御提案申し上げたようなわけでございます。
○村田秀三君 先ほど私が申し上げましたように、新たにつくる審議会が先に引き延ばすための一つのクッションにすぎなかったということのないように、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 次に、中央社会保険医療協議会審議経過――先般新聞で私拝見をいたしました。新聞で見る限りでありますが、支払い側が病院の診療報酬を引き上げることを認めるかのごとく報道されております。それと同時に、いろいろと医療制度を検討する中で問題になっておりますのは、医師会が薬価調査を拒否しているという一事でございますが、この間の事情についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま中央医療協議会におきましていろいろと御審議を願っているわけであります。いわゆる医師会側から出しました報酬の緊急是正の問題をいま御検討を願っているわけでありまして、その御検討の段階におきまして、いろいろな事柄に触れたり、また意見が出たりいたしているようでありますが、まだ、何と言いますか、最終的な、決定的な意向としてこうだとかああだとか、医師会側がどうだとか、あるいは支払い側がどうだとか、保険側がどうだとかということに固まっておりません。まあいろいろの意見を言いながらやっておられるわけでありますから、そこできのうああいう意見が出た、それについてどうだということを、厚生省なり私がそれを確めて批判をするということは適当ではない。まあ中央医療協議会で三者ほんとうに意見を出し合って最後の適当な建議をしてもらいたいという、こういう考えでいるわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○村田秀三君 いま審議経過の途中であるということでありますから、とりわけ突っ込んだものの言い方をいたしませんが、この新聞を見まして私疑問に思いましたのは、四十二年の健保国会の際に、とにかく当時の熊崎保険局長は、中央医療協の中で薬価調査については申し合わせができたから、これから継続的にやっていきますということばがあるわけですね。申し合わせができたということは、もちろん医師側もこれを了承したものと受け取っておりましたので、はなはだ疑問に思ったわけであります。と同時に、とにかく、赤字の問題が云々されておりますが、その中でやはり一番問題になるのは薬価の問題でなかろうかということが言われているさなかでございますから、やはりこういうような状態は国民にあらぬ不信感を持たせるだけでありますから、これは厚生省の行政措置としてはそのようなことのないようにひとつしむけていっていただきたいという希望を述べておきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 御希望の点は十分了承いたしまして、厚生省といたしましても、薬価基準の引き下げは、前に中医協から答申をいただいたとおりに将来もやってまいりたいと、かように考えております。
○村田秀三君 社会保険審議会で、特例法延長問題ですね、答申を出されたと新聞で拝見をいたしました。その内容について御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 一昨晩十二時過ぎに総会で御答申をいただきまして、私もその席に参ったのでございますが、いま詳しい答申書をきょうは持っておりませんので、大略しか申し上げられませんが、 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 大略申し上げますると、一本にまとまった答申ではございません。いわゆるまあ並行答申、まあ中立側の委員の方々、事業主側の委員の方々は、大体これでやむを得ないであろうが、しかし、医療保険の抜本改正がおくれて、そしてこういうようなことになったということは、きわめて遺憾であると、早急に抜本改正を断行すべきだという前提がつきまして、それから各、支払い側、保険者側あるいは事業主側、まあ事業主側のほうの御意見は、全体としてやむを得ないであろうと、先ほど申しましたような御意見で、労働者側の御意見の中には、保険料の引き上げは反対である、あるいはまた、出産手当の増額のために保険料千分の一上げているけれども、千分の一上げなくてもいいじゃないかというような御意見も入っております。まあ、全体通じまして、労働者側の方は、こういうことなしにやれなかったのは政府の怠慢であり、政府はこういうことなしに早く抜本改正をやれという御意見が大部分でございます。詳細のものは、必要があれば資料としてお差し上げいたします。
○村田秀三君 これは一月十六日に諮問案をお出しになっておられるようです。衆議院の答弁等を聞きますと、三月中旬、もうすでに成案ができておらなければならない、こういうことになります。どういうことで延び延びになっておったのか、それをひとつお伺いをいたします。
○国務大臣(斎藤昇君) 一月の十六日に諮問をいたしまして、できるならば一カ月以内に、二月の中ごろまでに答申をしていただきたい、こういって御諮問をいたしたのでございますが、何ぶんにも三者の側の委員の方々がお忙しい方も非常に多い、十数回の委員会を開いていただきましたが、十数回を要したということは、いろいろな御検討をしていただく必要があったからと、かように存じますが、毎日毎日やっていただくというわけにもまいらず、主要な委員の方々の御都合のつく日はできるだけというので、いろいろと御苦労を願ったわけでございましたが、とにかくあれだけの問題でございますから、慎重審議を尽くしていただくのにそれだけ日数がかかったと、こう申し上げる以外にないと思いますが、あれについて審議会が非常にもっと進めれば進められたのに、政治的な配慮からあれをしていたというようなことは、私はないと思っております。できるだけ調査をし、資料を調べ、そうして論議をするというのに、とにかく十六回か七回、場合によっては夜分までやってもらったわけでございますので、その御熱心な御審議には感謝をいたしておるわけでございます。
○村田秀三君 やはりこれは新聞でありますが、厚生省は、今月中に法案改正を国会に提案する、こういうことを言っておられます。いつごろ出される予定でありますか。
○国務大臣(斎藤昇君) これも、御承知のように、社会保障制度審議会にも諮問をいたさなければなりません。これは前からも並行諮問いたしておりますので、あと一、二回で御答申がいただけるであろう、ぜひそうしていただきたい、こう申し上げておりますので、少なくとも今週末か来週の初め、少なくとも今月中には提案をすることができると、かように考えております。その節はひとつよろしくお願いを申し上げます。
○村田秀三君 これは、よろしくと言われましても、なかなかそうはまいらぬのでありますが、そこで私は衆議院の審議経過をずっと議事録で見てまいりました。そうすると、ひとつ厚生省は今月末に提案をしたい、こう言っておりますが、しかしその前に制度審の結論を得なければならない、あたかも制度審の審議を拘束するような言い方がなされております。少なくとも、衆議院は予算は通ったんだ、だから法案を出してもよろしいんだというような言い方を、新聞記事の中からは受け取れるわけでありますが、こういうことでありますと、これは制度審の軽視にも私はなるのではないか、少なくとも拘束をするものである、こう私は考えるのでありますが、大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(斎藤昇君) ちょっとただいまのところで、衆議院を予算が通ったからもう出してもらってもいいんだ、そんな考えは毛頭ありませんし、もしどっかに出ておれば、それは非常な間違いでございます。予算が衆議院を通る前までにぜひ出したかったんだけれども、非常にそれができなくて申しわけない、政府としては残念だと、かように申しておるわけであります。しかし、これは審議会を拘束する意味でもございません。しかしながら、まあ実際問題といたしまして、政府でいよいよ予算の最終決定ができた、政府の段階でできたという、そのときに審議会にいち早く御諮問申し上げて、一カ月以内ということは審議会を拘束するようなことになって申しわけないけれども、国会に提案をする必要もあるから、ひとつできるだけ短期間に、一カ月以内に出していただければまことにありがたいという意味でお願いをいたしておるわけでありまして、決して審議を拘束するような意図は持っておりません。ただ、いつまででもいいのだというようなことであれば、国会のほうに予算関係法案をいつまでおくらせるのだというおしかりもありますし、また実際問題として、これは政府としては、早く提案をいたして、そうして予算の審議の参考にもしてもらわなければならないわけでありますから、政府は二重板ばさみになって、ほんとうは弱り抜いておるというのが今日の現状でございます。
○山本伊三郎君 ちょっと関連。健保特例法のいわゆる二年間延長の法律案、私はあのときは、特例法案のときには、社労委員長をしていろいろ苦労をしたのですが、坊厚生大臣のときだと思いますが、一体厚生省は抜本改正の自信があるのですか。また、今度二年間の延長というようなことになっているようですが、まだ法律案見ておりませんが、ぼくはそのとき言ったのですが、自信があるのですか、二年間の時限立法として、二年間で抜本改正出しますか、複雑なわが国の医療保険において、医師会、健保連合会、総評、それらの関係においてそう簡単にはいきませんよ、こう言って言ったこともありますが、今度また二年間の延長で、何とかいま言われた御協力願いますと言われますが、私はその意味において反対したいと思うのですが、政府に自信ないのですよ。そのとき、そのときだけの逃げ切り策としてやるというなら、健保法案を改正すべきですよ。特例というようなものは許しませんよ。そうでなくして、特例法で二年間延長だという。私は厚生省をある程度同情した立場で言っているのです。そう簡単にできませんよ。それをまた二年間延長するのだ、これはまた一騒動ですよ。しかも、抜本改正は必ず出します、できますというような政府の意向なら、これはそれならよろしいといって、あれが実は難産の上に通ったのです。私は、いままた特例法の延長を二年間出されるのですが、はたしてこの二年間でどういう自信あってやられるのか、その点もこの機会に厚生当局に聞いておきたいのです。これはもう一回でも、約束違反と申しますか、そういうことになります。二回、三回ではとても許せない。そういう点において、どうなんですか、抜本改正についてどういう自信があるか、これをひとつ厚生大臣からこの機会に言っておいてもらいたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 抜本改正の非常にむずかしい点は、山本さんのおっしゃるとおり、また御同情をいただいてたいへんありがとうございます。おっしゃるとおり、これは非常に私はむずかしいと思います。思いますが、しかしむずかしくてもどうしてもやらなければならぬ問題であり、そして、政府がやりたいのだと言っておるだけではなしに、まあ各界でほとんどやる必要があるということは私は超党派的だろうと思うのです。社会党の皆さんも、やはり抜本改正をやらなければならぬ、事業主側も、保険者側も、どこもここも、いまのままではいけないと、こう言われるわけですから、ここまでみんなやらなければならぬというふうに熟しておるならば、私は、議論は相当ありましょう、いま党でも昨年の春からずいぶん各界の意見を聞いて、そして大体の意見はまとまりつつある。私のほうもそれを伺いながらあれやこれやといま腹づもりをいたしておりますが、できるだけ近い機会に、基本的な考え方、こういう考え方というものを世に問いまして、あるいは審議会にも問えば、みんなやらなければならぬ、やらなければならぬと言ってくだすっておるのでありますから、ここらでひとつ、自分の意見だけは通せない、折り合おうというところができてまいって、私は実現をできるのじゃないか、その推進役は私のほうでさしていただきたい。厚生省は、おれの考えは必ず通すという、そういう考え方ではありませんが、まあ公約数から考えて、そうして将来を考えて、これがよかろうという案を出しまして、これについて、いろいろ御批判もありましょうが、審議会で審議をしていただくということになれば、まあこれをやらなければ、私はもう各階層から、おまえたちは自分らの階層のことばかり言って、そうしてやらなければならぬ、やらなければならぬと言って何だと、こういうふうに言われてまいりますし、もうその時期が来ているのじゃないか、かように考えますので、その推進役をやらしていただいて、必ず一般の世論にこたえられるように、また各党各派で必要だと言っておられますわけでありますから、行き着くところは御了解をいただける結論を出してもらえるんじゃないか、かように考えているわけでございます。
○山本伊三郎君 私はひとつ、提案じゃなしに、サゼスチョンしておきたいと思うんです、これはまた法律案かかれば論議が集中されると思いますから。いまの医療保険には複雑な要素がありますね、日本の医療保険には。被用者保険、それから雇用者に対する医療保険と、それから地域保険とあるんですね。その他のいろいろな要素が含まっておるんですね。しかも、健保に関しても、政府管掌と組合管掌、おのおの自分の利害という立場から実はこれに対する考え方を出しておるんですね。賛成だと言うけれども、その賛成の目的はみな違うんです。こういう改正をするなら、抜本的改正ならそれはわしのほうは賛成だ。医師会は医師会で、こういう改正案なら賛成だ、こういう主張なんです。したがって、みな相反しているんですよ。これをどこで一致させるかという問題については、相当問題がある。私は言っておきますが、いずれのときでも労働者が全部被害をこうむった解決になってしまうんですよ、いろいろの問題についても。私はその点を医師会にも事業主にも要請をしてもらいたいと思うんです。鈴木調査会の案も若干、世の中に出ずして、われわれ聞いたんですけれども、あれでも結局労働者の犠牲によってやろうという案だと私は見ているんです。発売されていないからよくわかりませんが、そういう案であれば、絶対にわが党として許せない。したがって、そういう点を十分厚生省当局として考えて、一番安全な場所におる人のために抜本改正だということでなくして、ほんとうの社会保険、この精神に徹して、厚生省当局は一応これに前向きで邁進してもらいたい、それだけ私は希望してきます。希望です。
○村田秀三君 山本委員からも発言ありましたが、私もその点は非常に懸念をしておるわけですね。先ほど中央医療協の内容を聞きましたのもそのためでありますが、抜本改正の一部である薬価調査の問題までも現在できておらないという状態の中で、少なくともあと二年間という約束を切ったといたしましても、できるかできないかというのが一つ疑問残る。それと、いままで経過を見ましても、これは一生懸命やっておりましたということがあるいは担当者の気持ちの中にはあるかもしれないけれども、具体的に作業を見てまいりますると、少なくとも四十四年の七月までにはこれは出さなくちゃならないんだという意気込みを持って作業が進められたとはどうしても見受けられないわけですよ。いろいろ困難があったからですね、一月十六日に、今度の問題も、審議会にかけても、いままで延び延びになっておるのも、そのためだったんですよ。これほどむずかしい問題、むずかしいからこそ四十二年の臨時国会ではこれはもめたはずであります。これをまたここでもって、いまの説明のとおり、ことばとしては何ほどでも言えるかもしれないけれども、なかなかそうはまいらぬ背景を持ちながら、ぬけぬけと二年間また延長してくれという、この気持ちは一体どこにあるのか、どこから出てくるのかということを、私はふしぎに思うんです。これはどうですか。前回の臨時国会であれほど約束をしたわけですよ。抜本改正には四十三年から着手をして、二年間の期間の中には必ずしますということを約束し、それで二年間に切ったにもかかわらず、ここへまたぬけぬけと出してくるということは、政治的良心を疑わざるを得ないし、選挙の公約だってそれはもちろん守らねばなりませんけれども、国会で約束をして法律までもつくった、それを破ってやるということは一体何事ですか。いままでのやはり赤字は全部国庫が負担をいたしまして、そうして特例法の二年間延長というのはうやむやになるというのが、これは政府の政治責任だろうと思いますが、その点はいかがですか、大蔵大臣と厚生大臣、お願いいたします。
○国務大臣(斎藤昇君) まあ弁解のことばがないといえば、ないと言うほうが率直だろうと思いますが、しかし、政府も、厚生省も、別に漫然と日を送っておったわけではございませんので、御承知のように、一昨年の十一月には厚生省の試案というものをたたき台として出したわけです。これは一昨年の十一月だったと思います。ところが、そんなものは抜本にならぬじゃないか、またこれについていろいろな御意見が他のほうから出てまいったようであります。そこで、出す以上は、やはりまず、これは各党の御賛成を得なければなりませんけれども、与党の賛成が一番大事であるということで、与党のほうでも、おれのほうで基本的にひとつ考えるからということで、医療問題審議会をつくっていただいて、御承知のように、ずいぶんとこれも精力的に各界の意見を聞き、そして、いまも山本さんおっしゃいましたように、何案だ、何案だというようなものも積み上げてきてもらっているわけであります。それが、昨年参議院の選挙があったり、また総裁選挙があったり、いろいろなことがあったりいたしまして、関係の肝心の人もかわるというようなことがあって、そこで若干おくれたという点があるわけでありますが、そこで私はまあ引き継いだわけでございますので、ここまで積み重ねていただいた二カ年の努力というものは、これはもう私は相当評価してくださいというわけにはまいりませんが、われわれといたしましては、そこまで努力をして積み重ねてもらったので、あとは結論を出すのに非常に出しやすくなってきている。だから、二カ年はただ漫然と暮らしておったのではなくて、そこまで積み重ねてきていただいた。で、この積み重ねのもとに、私は、近く基本的な考え方を政府としても出せるような段階になってきた、こう考えているわけでございますので、この国会に特例法の延長をさらにお願いをして、抜本改正案の出せなかったことは、まことに申しわけありませんし、これは政府も、怠慢であったと言われれば、あったわけでありますけれども、あれだけの内容を持ったものであり、まあ各界の意見もその間に相当出尽くしておりますから、二カ年間の目に見えない努力の積み重ねもやっているという点は、ひとつ御了察をいただきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまるる厚生大臣から答弁がありましたのですが、全くそのとおりなんです。これはもう国会に対し政府として申しわけない、こう言うほかはないのでありますが、今後は、最終段階の努力をいたしまして、なるべく早く根本的改正案が提案できるようにいたしたい。ただ、非常にこれは、御承知のように、十指に余る関係団体があるわけでございます。その間の調整が非常にむずかしい問題であります。そういうことで、尋常な努力ではなかなかこれは統一できませんので、最後、最善の努力をしてみたい、かように考えます。
○村田秀三君 まことに不満でございますが、時間もございませんので、いずれこれは、今国会の一つの焦点でございますから、別な機会にまたやりたいと思いますけれども、とにかくこんな姿勢では国民は了承しませんよ、率直に言いまして。もう政府不信その極に達すると、こう表現は強いかもしれませんが、まあそれくらいの気持ちは国民は持っておるということをひとつお考えいただいて、そうして少なくとも抜本策はことばではなくて、最後に行っても、きちんときめながら、それが国民の目から見ていつでも了解できるように進めていただきたい、かように思います。 少し順序が逆になりましたが、最後の問題、それを長官にお伺いをいたします。 これは厚生年金の中で、先ほど山本委員のほうからも出されておった問題でありますが、恩給審議会が昨年の三月二十五日答申をされた調整規定の運用に関する意見1まあ一言で言えばスライド制と私どもは理解をいたしております。また、当時の新聞ではスライド制を採用かと、こういう見出しが出ておりましたのでありますが、これに対する総理府の見解、やるとすればこれからどういう作業日程でおやりになるのか、しかとした御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(床次徳二君) ただいま御質問になりましたところの恩給法の第二条ノ二に規定するところのいわゆるスライド制の問題でありますが、審議会の答申によりまして、物価が五%以上上がりました場合、あるいはベースアップのありましたとき、あるいは生活水準が著しく上がったとき等に対しましては、これらの要素を考えて調整する必要があるんじゃないかという答申を示されておりまして、政府といたしましてはこの答申を尊重してまいりたいと思う次第であります。しかし、この問題に対しましては、恩給に関連いたしましたと申しますか、同様の規定を持っておりますところの公的年金制度、これが非常に多々関連があるのでありまして、したがって、これを調整するために、現在総理府におきましては、公的年金制度調整連絡会議というものを設けまして、そうして検討を行なっている次第でございます。
○村田秀三君 重ねてお伺いいたしますが、そうしますと、スライド制を実施するという方向で検討しておる、こういうことですね。
○国務大臣(床次徳二君) 恩給といたしましては、ことしの新年度の予算におきまして暫定措置を講じておりまして、大体基準に近いものができておりますので、将来はやはりこの規定が運用されることになるだろう、さようなことを考えまして検討をいたしておるわけでありますが、ほかとの関係もありますので、調整をしておる次第であります。
○村田秀三君 いつごろ結論出ますか。
○国務大臣(床次徳二君) いま検討中でありまして、いつ結論が出るかということにつきましては、これはできるだけ急ぎたいと思っておりすす。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして村田君の質疑は終了いたしました。 午後一時再開することとし、これにて休憩をいたします。 午後零時二十三分休憩 ―――――・――――― 午後一時七分開会
○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き質疑を行ないます。多田省吾君。
○多田省吾君 私は外交、防衛問題に入ります前に、二、三、厚生大臣に医療また公害問題について質問いたします。 先ほども村田委員から詳しく質問があったわけでございますが、今回、八月三十一日に期限が切れることになっております健康保険特例法を二年間延長するような法案を答申のとおり出すらしいということがいわれております。これは一昨年、国会においても絶対に延長しない、また各党間においても延長しないという約束があったにもかかわらず、患者の薬代一部負担等の内容を含むところのこの健康保険特例法を二年間延長するということは、はなはだわれわれにとっては心外であり、また、けしからぬことだ、このように思っております。厚生大臣としては今後答申に基づいて具体的にどのようになさろうとしておられるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 健保の特例措置法の二カ年の延長は、今日の段階におきましてはまことにやむを得ないことと存じまするので、ぜひお願いを申し上げたい、かように考えている次第でございます。
○多田省吾君 具体的にこれからの予定はどうなさるつもりか。
○国務大臣(斎藤昇君) 抜本改正の具体的の運び方でございましょうか。
○多田省吾君 二年延長法案のこれからの見通しです。
○国務大臣(斎藤昇君) 二年延長法案は、先ほどもお答え申し上げましたように、いま社会保障制度審議会のほうでさらに審議をしていただいております。これはおそらく来週中に御答申をいただけるんじゃないだろうか、かように考えますので、御答申をいただき次第、少くとも今月中には御提案ができるであろう、かように考えております。
○多田省吾君 この前の総括質問で矢追委員から公害問題について質問がありましたが、私はそれに続行して若干質問いたします。 われわれ公明党も十八、十九、二十日の三日間、いわゆる安中市の東邦亜鉛におけるカドミウム禍の公害調査団を派遣しまして、第三次調査団として詳しく視察をして、また要望等もしてまいりました。対馬においてもカドミウム禍が起こっておりますが、この対馬と安中市におけるカドミウム禍の実態調査の結果を厚生省としていつごろ発表なさるのか、また、その内容等についてはどのような内容になりますのか、これをお尋ねします。
○国務大臣(斎藤昇君) 安中及び対馬のカドミウム汚染の実態につきましては、まだ四十四年度も続けてやってまいらなければなりませんが、最近行ないました実態調査の結果、いま、関係の医師の方々やその他関係者が集まってデータを整理してもらっておりまするので、今月の終わりまでにはいままでの各関係者のデータがそろい、そしてその検討の結果が出るであろう、かように考えておりますので、今月末にはいままでの状態の結果の発表が出てくるのじゃないか、かように考えておりますので、これもできるだけ急がせるようにいたしております。
○多田省吾君 その調査の内容でございますが、たとえば対馬のカドミウム禍につきましては、神通川流域のイタイイタイ病を発見しその治療に従事した萩野博士等は、対馬にも確かにレントゲン写真を調査した結果三人のイタイイタイ病患者がいる、そのように言っているわけです。ところが、県の衛生部の発表ではイタイイタイ病はいないと、こう発表されております。また今度、岡山大の小林教授が九州大でカドミウムの分析結果を発表しようとしておりますが、一体長崎県においても群馬県においても、そのカドミウム禍の人体に対する影響についてどういうやり方をやっておられるのか、また、岡山大の小林教授のカドミウムの分析結果等について、研究結果が発表されたらそれを尊重なさるのかどうか、この二点をお尋ねいたします。
○国務大臣(斎藤昇君) 研究結果ができ上がりましたら、これを尊重をいたしまして、そして、さらに最善の手を打ってまいりたいと存じます。いままでおっしゃいました三人の患者の方とか、具体的の報告が必要でありましたら、いままでわかっております点は政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(武藤琦一郎君) 対馬の萩野博士が、三人イタイイタイ病患者ではないかということを昨年の三月学会で報告されまして、いろいろ議論があったわけでございますが、この三人の方はすでにもうなくなっておられまして、レントゲンは残っておりますけれども、それについていろいろ学会でも問題が提起されていろいろ議論も行なわれた。現在のところ、患者をいろいろ精密に、イタイイタイ病患者ではないかという角度、その他の角度からいろいろ検討することがすでにできませんので、この点につきましては、専門家の意見によりますと、なかなかいまの段階でそうであったという断定はできにくいのではなかろうかということでございます。なお、長崎県の健康診断の結果、先般新聞で発表されましたが、私どものほうには簡単な電話報告がございまして、いまその詳しい資料を調査中でございまして、近く県から届きますので、その点も詳細に検討いたしたい、かように考えております。
○多田省吾君 長崎の三人の患者がなくなっているということは、これはおかしいと思うんです。一人確かに別府の温研におりまして、そういうでたらめな答弁じゃ困ります。三人全部なくなったのですか。
○政府委員(武藤琦一郎君) 三人はもうすでになくなられておりまして、萩野博士がレントゲンをお持ちになりまして、それによって学会でいろいろ議論が行なわれたということでございます。
○多田省吾君 別府に一人いるでしょう。
○政府委員(武藤琦一郎君) ただいまのもう一人の方につきましては、三人以外の方でございまして、この方につきましては九大がいろいろ精密検査を検討しました結果、いまのところイタイイタイ病であるという断定はできないということを、九大のほうから連絡を受けております。
○多田省吾君 安中市の、厚生省と県でやっている人体に対する影響の検診でございますが、結局、われわれとしては、土壌あるいは煙、あるいは尿、小便等のカドミウム分析をやらなければ、実際にカドミウムと人体の因果関係というのははっきりしないんじゃないか。この席で厚生大臣は、たとえ四期、五期のイタイイタイ病でなくても、因果関係があれば、これは公害病として対策を考えなくちゃいけないというような答弁をなさいましたけれども、そういうカドミウムの分析もやられる方針はございますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 安中のほうにおきましては、土壌分析あるいは野菜等に含まれている分析もやると聞いております。おそらくこれは鉱山監督局のほうでもやっておられましょうが、農林省のほうとも協力して、私のほうでもおそらくいままでやっておるはずでありますが、やっていなければやりたいと思っております。
○多田省吾君 それで工場見学したのですが、いわゆる排水の中に、基準はカドミウムが〇・〇一PPM以下でなければならないのに、現地の所長ははっきりと〇・〇二PPM以上出ておりますと、どうしようもないということを答弁している。また、月産七十トンのカドミウムを製造しているわけです、その工場は。しかも、百トンに余る硫黄をたいております。そういったカドミウム、また亜硫酸ガス等による煙の害、あるいは排水の害、たとえばカドミウムの残滓につきましても野積みになっている。雨が降るとどんどん流れる。また、トラックの車輪について外に運び出される危険も十分あります。運び出されていると言って過言ではないと思います。そういった工場の対策もまだ私たちは十分と言えないと思います。また、この前診察に当たった萩野博士の所見においても、レントゲン像には上気道感染のおそれが非常にあると。一期、二期あるいは三期もいるんじゃないかと、これはまだはっきりわかりませんが、二カ月間ぐらいたてばわかるだろうと、こういう所見も発表している。こういったことについて、まあ会社側はにおいもしないだとか、あるいは絶対に事故はないということを言っているわけでありますけれども、われわれの視察の結果とだいぶ違っておりますし、においもありますし、またカドミウムの流出の危険も十分あります。そういったことに対して、厚生省として十分こういった分析をやっていただきたいし、また、人体とカドミウムの因果関係をも尽くしていただきたい。そうすれば、三月末あたりに簡単に報告を出せるなんということは、私は思いも寄らないと思うんですがね、この点はどうですか。
○国務大臣(斎藤昇君) いや、三月末と申しましたのは、いままで検討したデータ、それぞれお医者さんもあっちこっちにおられるようでありますから、そういった結果を持ち寄っていままでのデータで検討をする。しかしながら、いまおっしゃいますように、これからの健康診断にいたしましても、あるいは土壌や水質の検査等にいたしましても、引き続いてこれはやってまいる所存でございます。
○多田省吾君 それじゃあ、なぜいままで神通川流域で三十数年にわたってイタイイタイ病を研究し、また発見し治療に当たってきた萩野博士とか、あるいはカドミウムの分析に従事してきた小林博士、あるいは現地の金沢大の石崎教授というような方々を呼んでその調査をやらないのか、われわれにはちょっと納得できないわけです。日本においてもこれは初めてのイタイイタイ病という、世界においてもまれな病気、それを、いままで全然診療していない病院あるいは医師によって検診できるのかどうか、この辺がわれわれにはずいぶん疑わしい。
○政府委員(武藤琦一郎君) 三月末に発表いたします予定の群馬のほうのいろいろな調査につきましては、小林先生はメンバーの一人に入っておられます。それから、対馬の健康診断の結果につきましては、地理的な関係もございまして、長崎大学と九大のほうでやったわけでございますが、長崎の結果、それから群馬の結果、それからさきの冨山の結果、こういう問題はやはり総合的に、これは重大な問題でございますので、総合的な研究会を開きまして、この三地域について関係なさった方々の総合的な研究会を、ぜひ四十四年のなるべく早い時期にやりたいと、かように考えております。
○多田省吾君 農林大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、これは近所では農作物に被害がだいぶん出ております。いわゆる中腹に工場がございますから、その煙突から流れる煙によって山の一番上にあるところの農山地が非常に汚染され、そして相当な被害が出ております。蚕であるとか桑ですね、それからゴマ、あるいは陸稲、あるいは麦、そういったあらゆる農作物がやられている。で、水稲につきましても、いままで八俵、田畑でとれたのが現在では四俵か三儀しかとれない。その被害だって一町歩にわたって耕作している人は二十五万円、三十万円という被害をこうむっているわけです。ところが、会社のほうでは部落ごとに個々に補償の契約書を取りかわして、協定書を取りかわして、よその部落には絶対にその補償の内容は言わないというように協定書に明記した上で、月に、近い所は二千円とか、中間は千円、遠い所は、五百メートル以内の所は五百円と、そういった補償をやっておるようでありまして、地元の農民の人たちは非常に最近は憤慨しているわけです。こういった点に関して農林省としては御存じなのか、また、こういった公害についての、農作物被害についての補償は今後どのように指導されるのですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 群馬県の安中地区の大気汚染による農作物の被害につきましては、県の報告によりますと、水稲で二十ヘクタール、麦が三十五ヘクタール、亜硫酸ガスによって被害が見られる。したがって、現在、ばい煙に伴う重金属、特にカドミウムの被害があるかどうかについては厚生省及び県においてただいま調査中であるので、その結果、必要な措置については検討いたしたいと思いますけれども、県が中心となっていま厚生省と厳重な調査をしているという御報告でございます。 なお、ばい煙による桑の葉というようなものが変色されたとか、あるいは汚染葉の給与による繭の減収、こういうような点、野菜の減収につきましても、県から報告はされておりますけれども、県報告そのものはまだわずかなものでございますから、これらについてもう少し広範囲によく調べるようにということを厳重に県のほうにお願いしておるような次第でございます。
○矢追秀彦君 関連。いまの農作物の被害の問題ですが、私も同行いたしましておととい行って参りましたが、いま農林大臣が、亜硫酸ガスであるのかあるいはカドミウムであるのかという分析について調査中と言われましたけれども、実際に向こうの煙の内容の分析はまだやってないはずです。調査中ではない。これからやるのじゃないですか。その問題をひとつはっきりしていただきたい。 それから、地元の農民は、最近問題になりましたので非常に不安がっております、一体どうなるのかしらと。そういう点で、やはり地元の人たちの不安を静めて、政府としても、補償問題についてはきちっとしたことをやるということをやはり地元の人と話し合いをしていただく必要があるのじゃないかと、このように思いますので、その二点についていかがですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) もちろん、農林省が責任がないという意味じゃございませんけれども、この段階におきましては、県のほうと地元と、県が中心となっていろいろ調査もし、いままでも、従来から、先ほども御指摘のあったような点等々につきましても、いろいろと農民と話し合っておるようでございます。したがって、はっきりとした、被害がどうなる、それに対してどうかという点については、まだはっきりとした、報告が出ておりませんので、報告によりまして、その結果によりましては、私のほうからも出ていって十分さらにその点につきましては考えなければならない問題だと考えております。
○多田省吾君 この問題については、やっとこの前の二十日の日に安中市に、議会あるいは市に対策委員会あるいは特別委員会ができたような状態で、県においても、県知事もまた関係局においてもあまり動いておりません。われわれも強く要望したのでありますが、まだゆっくりかまえております。しかし、これは重大な問題だと思います。また、カドミウムの分析につきましても、小林教授の分析は中宿部落だけでございまして、一番被害を受けておる野殿部落のカドミウム分析もやっていないような現状でございます。また、その部落においては、カドミウム禍か亜硫酸ガス禍かわかりませんが、相当の上気道感染が見られ、中には集団離村しようではないかというような声も起こっております。こういう状況でございますので、各省においては十分指導監督をこの際大いに進めていただきたい。このことを強く要望したいのでございます。
○国務大臣(斎藤昇君) こちらにおきましては、農林、通産両方と十分連絡をとりまして、さらに強くやってまいりまするし、地方におきましても、県庁の関係の部局に連絡をとって、私が、やはり県庁の衛生部といいますか、保健部と農耕部、それから通産関係のほうと連絡をとりながらひとつ強力に御安心のいくような体制をしかせるように指導いたしたいと存じます。
○多田省吾君 次に、この前、十八日の東京新聞の朝刊に出た問題ですが、十三日の八時ごろですね、フェニールケトン症にかかった四歳の子供さんが肺炎を併発して国立小児病院に入院したのでありますけれども、いろいろベッドが満員の関係で、たらい回しされて、遂に死亡した。こういう事件が起こっております。それについて新聞には医務局長の談話等も載っておるわけでありますが、差額ベットのいろいろな問題もあるようでございます。この概要を説明していただきたい。
○国務大臣(斎藤昇君) 医務局長から詳細に御説明申し上げます。
○政府委員(松尾正雄君) 御説明申し上げます。 新聞に出ましたような事実は確かにございました。国立小児病院におきましては満床でございまして、ベッドが一ぱいであって、そういう患者さんをどうも収容できないということで、大部という医長が、みずから救急車を待機させたままで、他のしかるべき病院を数カ所にわたりまして当たっていただいたわけでございます。その結果、関東中央病院でございますか、そのほうにあきベッドを見つけ、そこへ約一時間ほどたちましてからお送りいたした、こういうことになっております。翌日、小児病院のほうでは一人患者さんが退院されまして病床があきまして、すぐ御連絡を申し上げ、必要であるならば小児病院のほうにまた引き取りたい、こういう御連絡をしたそうでございますけれども、当時の患者さんがたいへんやはり重態でございまして、私、聞きましたところでは、酸素テントの中に入っておるような状態でございましたので、そこからもう一度輸送することは困難である、こういうことで、そのままその病院におられてなくなられたということでございます。国立小児病院におきましては、ただいま申し上げましたように、もちろん差額ベッド持っておりませんでしたけれども、要するに満床でございまして、それをしかるべき病院を、みずから電話をとりましてさがしてあげた、こういう実態になっておるわけでございます。
○多田省吾君 この報道されていること以外に、私たちの調査では、最初にこの子供さんはかかりつけの大高病院というところに二時間前に行っております。ところが、私の手には負えないと言って帰されております。雪の降っている寒い夜です。運転手が、パトカーの先導があればと言うので、交番に行って救急車を呼んで初めて午後八時に国立小児病院に行ったわけです。それで、こういった大高病院の仕打ちにちょっと釈然としないものがあるわけでございますが、それからもう一点は、医務局長の談話として、差額ベッドは当然緊急の場合はだれにでも開放すべきであるが、そうしなければならないという制度になっていないと、ちょっと気になる談話が載っているわけです。これはどういう意味なんです。
○政府委員(松尾正雄君) 記事のほうには、そういうふうに緊急の場合でございましても開放すべきものである、そうしなきゃならないというふうに書いてございますけれども、私どもは、やはり緊急の場合であれば特に差額ベッドであろうとも収容すべきである、私はそういう考えで言ったつもりであります。
○多田省吾君 結局、差額負担のないベッドというものはいつもほとんど満員だと思うのです。したがって、こういった場合には、緊急に、手おくれにならないように、差額ベッドの料金はだれが払うとかだれが払わないとか、そういう言い合いでおそくなるようなことがないように、人道的に緊急の場合は処置すべきであると思いますが、こういう点に関して、監督者である厚生省のしかも医務局として、十分納得のいく、これからの前向きの考え方、また指導というものが必要じゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のとおりだと存じます。差額ベッドにつきましては、保険局等におきましても、それぞれ過去におきましても通達が出ております。ただいま御指摘のような場合にはそういうことによらずして収容するというのがたてまえになっております。私どもも、こういう問題を契機といたしまして、そういうせっかくの制度がありながら誤解をされておるというようなことはまことに遺憾な事態でございますので、医務局自体といたしましてはもちろんでございます、また保険局とも十分連絡をいたしまして、両方からそういう誤解がないような指導徹底を至急いたしたいと思います。
○多田省吾君 厚生大臣に最後に、まあ防衛庁長官がいらっしゃいませんので、先に御質問させていただきたいのですが、水戸射爆場の新島移転に関しまして、この前、いろいろ案が地元あるいは東京都に示されておるようでありますが、その案に対して厚生省としては全面的に賛成でございますか、それともどういった点を希望しておられますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 水戸射爆場の移転につきましては、防衛庁が精力的に一応部落の方々といま折衝をしておられるという段階でございますので、政府といたしましては、そこに持っていくのが一番いいのじゃないかというので、防衛庁が中心になっていまやっておられるわけでございますので、私たちはその結果を見守っているというのがただいまの段階でございます。
○多田省吾君 次に、外交防衛問題について外務大臣にお伺いいたします。厚生大臣、どうもありがとうございました。 いま、佐藤内閣は日米安保体制の長期堅持ということをおっしゃっていますけれども、変転する現在のアジア情勢についてどのように分析をされておりますか。また、どのように対処されようとしておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に幅の広いお尋ねでございますから、簡単にお答えできるかどうかわかりませんけれども、まず、日本の安全ということを考えた場合に、前々からこの席でも申し上げておりますように、従来からの実績から申しましても、日本の国が安全でどこの国からも脅威を受けない――これはどこといって指定しているわけではもちろんございません――戦争を未然に防止する、脅威の発生を未然に防止するということで安保体制を結んでまいりました。実績上そのメリットが上がっておりますから、今後もそういう体制でまいりたい。決してどこどこがどうというわけではございませんが、アジアの情勢におきましてもいろいろの見方ができるわけでございますから、それらの状況に対処して、いかなる場合におきましても間違いなく安全が確保できるように安全を守りたい、こういうのが第一でございます。 それからアジアに対しましては、これも前々から申し上げておりますように、私どもが、平和憲法の考え方から申しまして、アジアの民生が安定する、国際紛争を平和的な手段によって解決するように、武力による解決というようなことはどこの国でも避けてもらいたい、こういう念願から、できるだけ経済協力その他の方法によって国際紛争が起こらないような素地を一方において積極的につくり上げていく、こういうふうに考えているわけでございまして、アジアの全体の情勢についてはいろいろの見方もございましょうが、私は究極するところ、アジア全体の人たちが、たとえば国民所得にいたしましてももっと向上して、安定した気持ちになっていくようなところを目標にわがほうとしてはやっていくべきではないか、かように考えているわけでございます。
○多田省吾君 この前からの佐藤総理のお話には、沖繩返還は三年から五年であろう、あるいはこの前の日本商工会議所の話でも、三年以上はかかる、このように言っているわけでございます。われわれとしては非常に長引いているなという感じを受けるわけです。外務大臣は、六月二日、三、日の訪米で、相当こういった安保条約の長期堅持の問題あるいは沖繩返還の問題においてこちらの考えを相当煮詰めてから――総理も大体沖繩に関しましては煮詰まってきたと、この前本会議では答弁しております。したがって、外務大臣も考え方は相当煮詰まってきていると思いますが、現在はどういう考え方で、対米交渉に臨もうとして去られるのか。
○国務大臣(愛知揆一君) 十七日の参議院本会議でも、従来の考え方を取りまとめて総理から御答弁いたしておりますように、沖繩の返還については、ただいまも仰せがございましたが、早期に返還するということを第一に考える。そうして本件については、私の訪米、それから夏に予定されております、先方がこちらに、主要閣僚が参りますときも機会があるはずである。それらを通じて煮詰めていって、総理自身の十一月末ごろの訪米によって最後の仕上げをしたいと、こういうことを申しておりますが、そのとおりでございまして、私も、国会の内外を通じまして、この問題について国民的に非常に論議が活発になり、また総理も申しておりますように、私どもなりにだんだん考えは煮詰まりつつあるわけでございますが、煮詰めながら、また国民的な願望、世論の趨勢ということを十分掌握して、これを踏んまえて、われわれの考え方というものを十分相手方であるアメリカに説得をする、そういう話し合いの糸口といいますか、本格的な下交渉を六月から展開いたしたい、かように考えております。
○多田省吾君 この前の総括質問でも、総理は、まあ大体自民党内の意見というものは自動延長に傾いているというような話もあり、また十一月の訪米までに、安保条約の長期堅持のしかたについては考えをまとめていきたいというような答弁もございました。で、仮定の問題でありますけれども、もし日米安保条約を長期に堅持していくというような、日米共同声明の中にそういったことを盛り込んだ場合、形の上では、条約とか、あるいは交換公文とか、そういった法的な拘束力はないかもしれませんけれども、これは両政府間のかたい約束とすれば、結局は長期固定化と同じ姿になるのではないかと、このようにもわれわれには考えられますけれども、外務大臣はこの点に関してどのようにお考えですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 仮定の、純粋の条約論から申しますれば、全然何も、両方とも、日米両国とも何の措置もいたしませんでも、現条約というものが、将来国際的な機構によって両国が平和が確保されたと認識するに至るまでは日米安保条約は有効でございますから、純粋の条約論からいえば、何にもしないでこれが自動継続になるということはいまさら申し上げるまでもないことでございます。これは、いまも仰せがございましたように、仮定の条約議論としてはそうであると思います。それから、今後開始いたします日米の交渉におきましては、われわれといたしまして、ということは政府といたしましては、安保条約を前提にして、この体制の中で沖繩の返還問題も実現いたしたい、かように考えておるわけでございますから、これもまた仮定の問題になりますけれども、いま仰せになりましたような方式もございましょうし、何か安保条約に触れて、共同声明とか、あるいはそのほかの形とかいうことも考えられる一つの方式ではあろうかと思いますけれども、これらの方式等につきましては、まだ考えておらないのが現在の状態でございます。
○多田省吾君 で、沖繩返還に臨んで、総理も、結局フリーハンドでいきたいから、非核三原則といったものを国会で決議するとか、あるいは政府がはっきり声明するとかということはとらないということを言っているわけです。しかしながら、実際一昨年の日米共同声明の中には、沖繩群島の米軍施設が「極東における日本その他の自由諸国の安全を保障するため重要な役割りを果していることを認めた。」と、このように言い合っておりますし、このたびの米韓合同作戦が終了した時点で、米軍司令官が、沖繩の重要性が証明されたというようなことも発言しているようでございます。 さらにもう一つは、この前、矢追委員がここで途中まで触れたのでありますが、まあ時間の関係でちょっと省いたのですけれども、結局奄美群島の返還のときの交換公文というのがあるわけですが、これに対して、この中に、最初の沖繩に関して述べているところをちょっと読んでいただきたいのです。
○国務大臣(愛知揆一君) この奄美群島の返還のときの交換公文の問題でございますが、これは御指摘のように、この前矢追委員からのお尋ねもございましたが、これは返還協定が調印されましたときに交換された交換公文でございまして、その交換公文は、「日本国政府は、」「南西諸島のその他の島の防衛を保全し、強化し、及び容易にするためアメリカ合衆国が必要と認める要求を考慮に入れるものと了解される。」と、これがお尋ねがございました交換公文の問題の点かと思います。
○多田省吾君 この前、佐藤条約局長は、この「南西諸島のその他の島」というのは奄美群島の一部であるというような答弁がありましたが、これは大きな間違いだと思うのです。これは当然沖繩群島をさしている以外にはない。もう外務省から出している二国間条約集の中にも、この目次の中に、交換公文、カッコされておりまして、「奄美群島以外の南西諸島の防衛に関するもの、」このように出ておるわけであります。この前、条約局長は、これは奄美群島だというような答弁は、これは私は事実と全然違うのじゃないかと思うのですがね、これはどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その条約の点につきましては条約局長から御答弁いたしますが、先ほどもお話がございましたように、この前、時間的な関係もあって十分その意を尽し得なかったかと私も聞いておりまして、そう思いましたので、ちょっと私から念のためこの機会を拝借して申し上げたいと思います。 これは矢追委員のお尋ねにも一部お答えいたしたのですけれども、この奄美群島が返還される調印の当時に、アメリカ側が返還をする前に、この奄美大島に若干の施設を設置したいということを計画していたもののようでございます。で、ところが、返還の当時にはそれがまだできていなかったので、もしその計画を向こうが希望どおりするような場合には、その点について、好意のある考慮を求めたいというのがこの交換公文の趣旨であったようでございますが、そのことはなくて済んだのが、これがこの交換公文の結ばれた当時の沿革並びにその後の状況のようでございます。それでお尋ねのございました「南西諸島のその他の島」というものに沖繩を含まれますことは申すまでもないところなんでございます。しかしそこにいっておりますところの「南西諸島のその他の島」という意味は、本土とこれらの地域との近接性ということから必要のあるべき船舶、航空機の航行安全施設等の施設ということを意味しておるのでありまして、施設それ自体置くことを考慮してもらうことがあるかもしれないというた交換公文、いわゆる施設の所在は奄美大島である、これがこの交換公文をめぐります実態でございまして、その施設を置く場所としての意味からいえば、沖繩ではございません。ただ、奄美大島と南西諸島その他沖繩島との地理的な近接性ということを指摘する分にも沖繩が含まれている、こう理解していただけばよろしいのではないかと私思いますけれども、なお、そのときの答弁に当たりました条約局長から詳細にお答えをしたいと思います。
○政府委員(佐藤正二君) 私からつけ加えるところはもうほとんどないと思いますが、大臣から申し上げましたとおり、私がこの前矢追先生からのお尋ねについてお答えいたしましたのは、施設を――この交換公文自体が、施設、区域をつくりたいというアメリカの要請について考慮に入れるものと了解されるという意味でつくられておりますために、その施設、区域がどこにつくられるかというお尋ねだというふうに私理解いたしまして、奄美大島につくられるものだと、それは南西諸島、すなわち沖繩を含む南西諸島、それにつくられる施設、区域の問題ではないというふうにお答えしたつもりでございます。非常にことばが少なくてまことに失礼いたしました。
○多田省吾君 では、「南西諸島のその他の島」、これはどこの島を意味してるんですか。
○政府委員(佐藤正二君) これは平和条約の三条、例の沖繩をアメリカの施政権にゆだねたという条文でございますが、ここに「南西諸島」という字が出てくるわけでございます。「南西諸島」と書いてございまして、カッコいたしまして、「(琉球諸島及び大東諸島を含む。)」、こういうふうに出ております。「その他の島」というのは、おそらくその琉球諸島と通称いわれているほかに、いわゆるわれわれが沖繩といっております一連の島には、大東諸島その他の島が入っておると、そういう意味でございます。
○矢追秀彦君 関連。外務大臣の答弁といまの条約局長の答弁からいいますと、結局、奄美大島に、沖繩の基地の強化のために何らかの施設をつくりたいと、そういう要求がアメリカのほうからあった場合はそれを受けると、そういうふうに解せると思うんです。そうした場合は、まあそうであれば、はっきり奄美大島に施設等をつくる、要するに沖繩の基地の強化のために奄美大島に対して何らかの施設をつくるという文章を入れてあればそれはわかるんですけれども、そこにはそれはないわけです。となると、私がこの前言いましたように、沖繩を強化するために何かの要求をしてきても、それを日本政府は受けなくちゃならないととれないこともないわけです。そういう心配が出てくるので私はこの前お伺いしたわけです。だから、ことばが少し交換公文に足りないと、こう思うわけです。したがって、先ほど外務大臣の言われたように、あくまでも奄美群島につくる施設が沖繩の強化に役立つ、もうそれは必要ないというふうに言われましたならば、この交換公文は破棄をしたほうがいいのではないか、こういうふうなことで質問を展開しておるわけです。この点いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) まずその実態でございますが、この点はいまも申しましたように、「奄美群島及びその領水は、日本本土と南西諸島のその他の島におけるアメリカ合衆国の軍事施設との双方に近接しているため、」云々とございまして、そして、「奄美群島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」云々ということになっておりますから、そのときに予想されたアメリカ側の希望としての施設、区域を、まあ何といいますか、お願いするかもしらぬという背景は、この返還される地域についての区域、施設のことを意味しておるものである、かように考えておるわけで、その点は一九五三年のことでございますから、私の先ほど申しましたように、この点につきましてのこの交換公文の趣旨とするところは、それだけのことでなかったかと、現在、当時のことをいろいろ調べてみましてお答えをいたしたわけでございます。
○多田省吾君 まあ佐藤条約局長の「南西諸島のその他の島」というのは、サンフランシスコ条約の第三条から見ても、琉球諸島その他大東島と、こういったものだと、これはよろしいですね。――そうしたならば、いまの外務大臣の答弁は非常におかしいと思う。この交換公文の中には「奄美群島及びその領水は、日本本土と」それから「南西諸島のその他の島におけるアメリカ合衆国の軍事施設との」――この軍事施設は当然沖繩です。日本本土と沖繩の双方に近接しているため、非常に「特異の関係を有する。」、「この特異の関係を認め、南西諸島のその他の島」――というのは、先ほどのその他の島と同じでございますから、これは当然沖繩です。沖繩における「防衛を保全し、強化し、及び容易にするためアメリカ合衆国が必要と認める要求を考慮に入れるものと了解される。」、ですから沖繩の軍備強化に対しては協力をする、こうはっきり交換公文の中から明らかではありませんか。
○政府委員(佐藤正二君) この交換公文は、御承知のとおり、旧安保の時代にできました交換公文でございまして、五三年と申しますと古い安保の時代でございます。したがって、まあこのときに施設、区域を与えるのは、当時の行政協定二条で与える形になっております。このときの状態を申しますと、沖繩はもちろんアメリカの施政権のもとにあったわけであります。したがって、このとき考えましたことは、その沖繩と日本本土の間の何と申しますか通信関係と申しますか、連絡関係に必要なために、奄美に何らかの施設を持ちたいという気持ちを米軍が持っていたということが当時の記録に残っております。そういうものを背景にいたしましてこの交換公文をつくりまして、そこに、奄美自体にその施設をつくらせてくれと、当時でいいますれば行政協定二条で要求してまいりましたときに、日本側としてはその要求を考慮に入れるものとすると、こういうふうなのがこのときの背景でございます。その先生のお尋ねの沖繩に施設をつくるかどうかというような問題は、このときの状態から申しますれば、アメリカとしては沖繩に施設をつくること自体は、自分自身の施政権のもとにありますので、まあかってに、と申しましては変でございますが、自由に施設がつくれたわけでございます。したがって、それについて日本側のこういった何と申しますか了解を取りつける必要は、その事態ではなかったわけであります。したがって、しかもこの交換公文自体は、奄美諸島が日本の施政権に帰ってきたというこの変化した事態を踏まえましてつくられたものでございますから、この施政権が帰ってきたことについて、非常に自分のほうとしても困る事態が来やしないかということでアメリカ側が要求してつくったものでございます。したがって、奄美の中に施設をつくるということは、経緯から申し上げましても、そういった事態から申しましても、非常にはっきりしていると私は考えます。
○多田省吾君 この交換公文の「南西諸島のその他の島」というのはあれですか、奄美群島のほかに奄美の島があるのですか。
○政府委員(佐藤正二君) 「その他の島」と申しますのは、先ほど申し上げましたとおりで、沖繩及び沖繩諸島を含む付属する諸島です。
○矢追秀彦君 委員長、簡単に。結局議論がかみ合わないのは、私がさっき言ったように、南西諸島に施設をつくりたい、その施設は沖繩の防衛を強化するためのものであるという文章が抜けておったと思うのですけれども、そう解してよろしいですか。となると、この条文は非常に不備であった、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
○政府委員(佐藤正二君) お尋ねの件は、この交換公文の中に、奄美群島の中に施設をつくるという要求を考慮に入れると、そういうふうな文章が入っていたほうが正しかったのではないかというお話だと思いますが、立法論としてはそうかもしれません。ただ、その経緯その他先ほどから御説明していますとおり、その点は非常にはっきりしていると私は思っています。
○多田省吾君 これだけの、交換公文だけの条文を見ますと、「南西諸島のその他の島」、すなわち沖繩、「の防衛を保全し、強化し、及び容易にするためアメリカ合衆国が必要と認める要求を考慮に入れるものと了解される。」と。これは単に奄美群島の中に施設をつくるだけじゃなくて、沖繩の防衛を保全するため、あるいは強化するため、また容易にするため、必要と認めるあらゆる要求を考慮に入れる、というようにとられるわけです。非常に不備だと思うんです。外務大臣どう思われますか。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう御批判もあろうかと思いますけれども、ただ、この交換公文の主語といいますか、出だしが、「奄美群島及びその領水は」云々という「関係を有する。」ということで結ばれておりまして、「この特典の関係を認め、南西諸島のその他の島の防衛を保全し、強化し、及び容易にするため」というのは、一つの目的が出ているわけでございますが、この書簡それ自体は、主体であり客体であるのは奄美群島であると、こういうふうに解釈して、その当時この交換公文ができたものと、これはその当時の経過やその他を調べましてもその点は明らかであると、かように存ずるわけでございます。要するにとりまとめて申しますと、「南西諸島のその他の島」という中には、沖繩は入っております。それから、ここに予想された「アメリカ合衆国が必要と認める要求」という要求の対象というものは、そのときに返還された奄美群島内の区域、施設を意味しておるものであると、これはその当時から明らかになっておると、かように考えております。
○多田省吾君 それからもう一点。政府は、当然沖繩は日本国の一部と考えていらっしゃると思いますが、日米安保条約の第五条では、日本国の施政下に入る領域といっておりますけれども、いわゆる第六条の事前協議に関する交換公文では、「日本国」としかいってないわけです。この条約文からだけ見ますと、どうも沖繩にも事前協議が適用されるんじゃないかというようなことも考えられますけれども、どうして安保条約第六条の事前協議に関する交換公文の中に、日本国の施政下にある領域というふうに入れなかったのか、その点の御解釈をお願いします。
○国務大臣(愛知揆一君) 交換公文で「日本国」としてありますのは、安保条約の第六条の、合衆国が日本国において施設、区域の使用を許されるとのそういう規定を受けておるものでありますので、わが国が現実に施政を行なっていない領域においてわが国が施設、区域を提供し得るというような約束をすることはできませんし、また提供し得るはずもございませんので、特に断わらなくとも、ここで申します「日本国」というのは、「日本国の施政の下にある領域」であるということは疑いがないわけでございます。 それから第五条のほうは、第六条の事前協議のもとになっておる規定と異なりまして、第三国がわが国に対する武力攻撃の場合を規定しておるわけでございます。その場合に、ただ単に「日本国」といたしましたのでは、施政下にない領域をも含むように解されるおそれもありますので、誤解の余地をなからしめますために特に厳密に規定した、こういうことになっておるようでございます。
○多田省吾君 いま沖繩はアメリカの占領下にあります。非常に苦しい、また差別的な生活をしているわけでありますけれども、この前もいろいろ米軍によって子供さん等が殺されたような問題、こういった問題もたくさんありまして、二月においても起こっておりますし、また去年においても相当起こっております。たとえば、アメリカの子供さんが事故で変圧器に触れてやけどをした、こういうときに、民事事件にもかかわらず事件を軍事裁判に移して、布令を適用して、加害者側には二十五万ドルという膨大な損害賠償を支払うように命じている。ところが、アメリカの御婦人が、交通事故で子供を持つ親を死なしたときに、加害者の申し入れが六百ドルだった。最終的示談で二千ドルに落ちついた。非常に差別が激しいわけです。ですから裁判等も日本に移管したらどうかという問題も強くこれは起こっているわけでございます。総理府総務長官はこういった問題に対してどのように思われているか。
○国務大臣(床次徳二君) 沖繩におりまするところの米軍軍人並びにアメリカ人に関する犯罪というものは、いわゆる民政府の裁判所の系統に属しておるのであります。したがっていろいろと不自由な点もあるわけであります。私どもは、できるだけ住民の人権を尊重いたすように努力しておるわけでありまするが、最終的には、何と申しましても施政権が関係いたしておりまして、軍人、軍属米軍に関する事件というのが米国政府の系統、すなわち民政府の管轄にありますために十分ではない。したがって私どもは、一刻も早く、できるだけ早く施政権返還を願っておる次第であります。しかし、返還までの間におきましても、人権の尊重に対しましては絶えず米国政府へ働きかけまして、保護をいたすように努力いたしたいと思っております。
○多田省吾君 大蔵大臣に、関連してお尋ねしたいんですが、アメリカ軍の施政下にある、占領下にある沖繩の方たちはそういった忍従をしいられております。また過去において、日本においても、アメリカ軍の占領下においては、交通事故とか、あるいはアメリカ人に殺害されたとか、こういった事件が起こりましても、そういう犠牲者は一万人、二万人とおりますけれども、非常に補償がなかったわけでございます。最近は、アメリカ軍の関係者によって交通事故を起こしたような場合、死者に対して千百万円ほどの補償も出ているようでございます。ところが、過去においていろいろな問題で被害にあった人たちに対する給付というものは、昭和三十六年または昭和四十一年にも、まあ法律で若干補償が追加されたわけでございますけれども、それとてもわずか三十五万五千円にすぎない。いま農地報償法とかあるいは恩給の増額とか、いろいろ戦後はこれで終わったというような対策がとられているのでありますが、こういった方々はほとんどいま苦しい生活に甘んじている。その圧力というものもないために非常に忍従の生活をしいられているわけでございます。大蔵大臣が幹事長時代も、そういった要請に対しては今後十分に検討したいと、このようにもおっしゃっている文書も出されているのでございますが、来年の通常国会等において、こういった占領軍によって被害を受けている方々に対して、政府としてまたさらに最後の補償を考えるべきではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国内部における問題でありますが、これは昭和四十二年にそういうふうな問題が非常に論議を呼びまして、実態の調査等もいたしまして、この補償額というか、見舞い額、これの引き上げを行なったわけであります。それが四十二年、つまりおととしのことでありまして、私どもはまたこれがさらに改定を要するという状態にあるという考えはいたしておりませんのでございます。
○多田省吾君 ですから、もうこれは三十五万五千円の補償で死者に対しても打ち切りだと、そういうお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十二年にかなり実態等を調査し、それから関係者等ともよく協議をいたしまして、詰めた相談の結果、三十五万、こういうことにいたしましたので、ただいま考えておりません。
○多田省吾君 これはもう沖繩返還に際しても非常に関連のある問題だと思うんです。日本本土内においても、占領下における被害者に対してはほとんどスズメの涙ほどの補償しか与えられないと、こうしたことがもし沖繩にも同じように適用されるとすれば、これはまことに重大な問題だと思いますし、また本土内の被害者もこれによっても満足できないんではないかと、こう思います。十分検討した結果が出せないというような非常に後退した意見であっては、われわれは納得できない。そういった方々はもう訴えるすべを知らないような方が多いんですね。これでよろしいと大蔵大臣はお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 被害者といたしましても千差万別でありまして、いろんな力がおられるわけなんです。三十五万円だと、こういうふうなことでございますが、そういう実態等を調査いたしまして、いろんなこういう種類のものの中の一つのケースとしてその辺がバランスがとれておるんじゃないかという結論になったおけなんでありまして、いまこれを変えようという考え方はいたしておらぬ。どうも非常に残念ながらそうお答えせざるを得ないのであります。
○多田省吾君 軍人恩給とか農地報償法等に見られるように、圧力の強い団体に対しては政府は何回も出しているような、また増額しているような姿もありますけれども、こういった声なき声に対しましては、非常に冷淡であるということがよくわかったわけでありまするが、今後さらにこれは追及していきたい、このように思っております。 次に、この前米韓合同演習があったわけでございますけれども、外務大臣にお尋ねしますが、こういった合同演習は、かえって三十八度線の緊張を高めると、また日本が戦争に巻き込まれるおそれが十分強くなったのではないかということも考えられますが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 米韓の演習につきましては、先般もお答えいたしましたように、米国側からの連絡によりますと、米韓の合同演習で長距離の輸送ということを主体にした演習である、日本には関係がないと、こういう連絡を受けているわけでございますから、この演習について、私は何か申すのもいかがかと思いますけれども、要は、やはり先ほどもちょっと私申しましたように、日本としては脅威ということが現実に起こらないように未然に防止するというたてまえが私は安保条約の目的であると思いますし、わがほうのたてまえである、こういう考え方からものごとを見ていかなければなるまいと思っております。米韓の関係におきましても御同様の考え方で演習をやっている、こういうふうに理解してしかるべきではなかろうかと思っております。
○多田省吾君 在韓国連軍についてお尋ねいたしますが、米軍が日本にいるときは在日米軍、それから韓国に移動する場合は国連軍と、こうなりますね。そしてフォーカス・レチナ作戦のような場合、アメリカ本土から韓国に移動すれば、やはり各国連軍として活動することになるわけでございますね。ところが、アラブの国連軍なんかは、兵員の増減は国連自体の問題でありますけれども、いわゆる在韓国連軍に関しましては、国連とは全くかかわりなしに空輸演習が行なわれておりますけれども、国連としては何もそれは言う権利はないのかどうか、これはいかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私の理解しておりますところでは、今回のフォーカス・レチナ作戦といわれるものは、先ほど申しましたように、米韓の両方の合意に基づいて行なわれた演習でありまして、国連とはこれは関係がない、こう理解しております。
○多田省吾君 在韓国連軍の指揮権は、どこが持っているのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。 在韓国連軍は、一九五〇年六月二十七日の安保理事会の決議に基づいて加盟国が派遣した兵力を、同年七月七日の安保理事会の決議によりまして米国の統一司令部のもとに統一したもので、米国の任命した国連軍総司令官の作戦の指揮下にありますが、国連軍総司令官はその行動につきましては、安保理事会に報告を行わなければならないということになっております。
○多田省吾君 韓国にいるところの米軍は、単なる米軍ですかそれとも国連軍ですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 韓国にあります国連軍は、逆に申すことになるかもしれませんが、米軍が主力である、こういうふうに理解しております。
○多田省吾君 結局米軍というのは国連軍だ。在韓国連軍だけが国連の指示を受けないでかってに行動している。国連憲章のどこを見ても、これは古い話になりますけれども、国連憲章の第七章四十七条で国連軍は安保理事会の指揮下に置かれるとなっておりますけれども、実際は事務総長の指揮下に置いたこともありますけれども、アメリカという一国の司令官の指揮下に国連軍が置かれているということは、国連憲章として許していないのではないか、このように思われますが、これは政府としては、国連憲章違反と思うのか、違反でないと思うのか、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのお尋ねは、国連憲章の解釈の問題でございますから、あるいは政府委員からお答えしたほうが正確になるかと思いますが、私の理解しておりますところは、たとえば国連憲章で第四十七条というのがございますね。これは軍事参謀委員会というものの規定がありまして、これは本来第四十二条による集団的措置としての国連軍、その戦略的の指導について責任を負うものである、こういうふうになっております。 そこでいまの在韓国連軍、あるいは米軍の司令官というものが、それとの関係でおかしいではないか、国連憲章の違反と見られるのではないかというような疑問、お尋ねもここから出てくるのではないかと思いますけれども、在韓国連軍の場合は、憲章の第三十九条の勧告に基づいて設置されたものである。それから先ほど申しましたように、一九五〇年の七月七日の安保理事会の決議が加盟国に対して米国の統一司令部に兵力を提供することを勧告した、それに応じて関係国が提供した軍隊でありますから、この在韓国連軍の結成のこの経緯に徴しまして、やはり国連憲章第三十九条というものがもとになっておりますから、ただいま私申しました四十七条とは関係がございませんし、したがって、国連憲章に違反するものとは言えない、かように存じております。
○多田省吾君 昭和四十一年の七月二十日の参議院の内閣委員会で、私が防衛庁の当時の海原官房長に質問したときには、はっきりと在韓国連軍は国連憲章違反の国連軍である、このように答弁しましたが、これは誤りですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点はうっかりしておりまして、そのときの海原君の答弁は、私いま承知しておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、私といたしましてはただいま申しましたように、国連憲章の条章を見、かつ在韓国連軍が結成されたときの経緯等にかんがみまして、国連憲章に違反するものではない、これが政府の解釈であると申し上げて間違いがないと思いますけれども、なおこのときの経緯等につきましては、調査をいたしまして、御必要ならば後刻また御答弁いたしたいと思います。
○多田省吾君 それじゃ統一見解として出してください。昨年の三月二十九日に衆議院におきまして、鈴切君の質問に対して、重光国連局長は、在韓国連軍の三十八度線突破を許した国連決議というものがございます。政府も昨年の三月二十一日に統一見解を出しておりますが、この三十八度線突破の部分は一九五〇年の七月二十七日の朝鮮戦争休戦協定を国連が承認したことによって修正されている、だから昔のままの三十八度線突破決議じゃないんだと、修正されている、こういう答弁をしたのですが、これに変わりありませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。ただいまのお尋ねの点は少しこまかくなるかもしれませんが、私の見解を申し上げますと、次のとおりでございます。 まず、朝鮮における国連軍の任務は、休戦協定とその後現在に至る国連の諸決議によって先ほども申しましたように、私は明らかにされていると存じます。一九五三年七月の休戦協定のお尋ねでございますが、これは休戦ラインの侵犯を禁止しておりますから、国連軍がみずからこの休戦ラインを侵犯して北進することはあり得ないと思います。 またこの休戦協定は、一九五三年の八月二十八日の総会の決議によって承認されておりますが、その決議は、さらに国連の目的は、統一された独立の民主的朝鮮を平和的方法によって達成すること及びこの地域における国際の平和と安全とを完全に回復することの二つであると限定しておるわけでございます。したがって侵略に対する防衛ということは別といたしまして、その他一切の武力行動が排除されておると存じます。 それから国連の総会でございますが、総会のほうは毎総会、朝鮮の平和的統一とこの地域における平和と安全の回復をはかるという国連の目的を総会のたびごとに確認しておりますことは御承知のとおりでございます。こういう経過でございます。
○多田省吾君 ですから、休戦協定を国連が承認したことによって、三十八度線突破の部分は修正されたということはこれは言い過ぎであり、誤りだと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(重光晶君) いま大臣から申し上げたことに尽きると思いますが、簡単に補足させていただきますと、純法律的に申しますと、国連軍の権限というものは総会の決議からではなくて安保理事会の決議から出てくるわけでございます。これは純法律的にでございます。そしてこれは去年の統一見解にもございますように、五〇年の六月二十七日の安保理事会の決定によって国連軍の権限が法律的にはそこから出てくるわけでございます。そうしていまおっしゃいました五〇年十月七日の総会の決議は、これに対していわば道徳的なサポートを与えたものである、この点については去年の政府の統一見解で明らかにされたところだろうと思います。そうして具体的にお尋ねの点でございますが、いま大臣から申し上げましたように休戦協定ができ、またそれが国連の総会によって確認されている以上は、その後における軍事行動というものは一切許されていない、そういう意味におきまして、軍事行動に関する休戦協定以前の諸決議は、軍事行動ができなくなったのでございますから、そういう意味において実質的に変更されておる、そういうことだろうと思います。
○多田省吾君 ところが、休戦協定調印のその日にワシントンでは参戦十六カ国の共同政策宣言というものをアメリカで発表しております。これは外務省条約局の「朝鮮問題に関する国際連合の諸文書」というものの中にもはっきり出ております。そうして、この昨年のプエブロ事件のあとも二月三日に韓国政府はこの政策宣言に基づいて参戦国諸国に正式に軍事力増強を要請しております。そのほか昨年の韓国とジョンソン会談においてもこの共同宣言というものを認めております。この政策宣言には次のようにあります。「国際連合の原則に再び挑戦して武力による攻撃が再開される場合には、われわれは、再び一致して直ちに抗戦するであろうことを、世界平和のために、確言する。このような休戦協定違反の結果は、敵対行為を朝鮮の境界内に限定することが恐らくは不可能となる程に重大なものとなるであろう。」、こういうように再び三十八度線で紛争が始まれば三十八度線突破決議はそのまま生きてきますし、また共同政策宣言で言うように、これはひとえに朝鮮半島にとどまらず、中国領土内にも波及するであろうというような重大な宣言をしているわけでございます。政治的に考えればこういったおそれが十分ある、このように考えられますけれども、外務大臣どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども詳しく申し上げましたように、一九五三年七月の休戦協定というもので休戦ラインというものが設定された、それを双方が侵犯をしないと、禁止しているわけでございます。したがって国連軍といいますか、そのほうがみずからこの休戦ラインを侵犯して北進するということは私はあり得ないと思いますが、まあ仮定の問題として、もし北のほうが三十八度線を侵犯してくるような場合がもしありとするならば、こういうふうな態度に出ざるを得ないということのいま御質問の内容は、そういうことに御言及になったと思うのでありまして、私としてはそういう事態が起こらないことを期待するわけでございます。
○矢追秀彦君 関連。先ほどから休戦協定で修正されているという問題ですけれども、この休戦協定は守られておるかどうか、まずお伺いしたいのですけれども。それからもう一つお伺いして終わります。
○国務大臣(愛知揆一君) 休戦協定は現在のところ守られておると思います。
○矢追秀彦君 それでは軍隊が撤退しなければならないことになっておりますが、軍隊は撤退しておりませんが、休戦協定は守られていないと私は判定しています。したがって、そういう休戦協定でもって修正をされるということは私はよくない。したがって、私はやはりこの決議自体を先ほどからずっと答弁されているような状態で、私たちは承認できない。このように思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) あるいは私の御答弁が少し常識的に過ぎたかもしれませんが、休戦協定というものができまして、そしてまあ戦闘行動が現に小康を得てるというのでありましょうか、そういう意味におきましては、休戦協定というものが効果をあげている、こういうことを常識的に申し上げたわけでございまして、休戦協定それ自体で所期しているような成果が確実にあがった状態ではないので、まだ、それ以後の措置がとれていないというのが、正確にいえば現状であろうと思いますが、なお、休戦協定につきまして、必要ならば御答弁いたしたいと思います。
○政府委員(重光晶君) 休戦協定ができた以上は、国連軍は韓国から引き上げるべきだというお話、御意見、それについて、国連との関連でどういうふうになってるかということだけを御説明いたしたいと思います。休戦協定後、すなわち現在もそうでございますが、国連は毎期総会、去年の総会でも出ましたが、韓国における国連軍を維持すべきであると、そして国連全体の韓国における活動、これは国連軍だけじゃございませんで、朝鮮関係の委員会もできておりますが、こういった委員会の活動も含めまして、これらの活動を継続することを毎総会決定しております。去年の総会においてもそうでございます。したがいまして、この休戦協定ができたから国連軍は引き上げるべきだという意見も、一部には国連内にもございます。しかし、国連としての決定ではそうではなくて、いまの活動を続けろという決定になっております。
○矢追秀彦君 休戦協定にはどう書いてありますか、軍隊の撤退の問題は。
○政府委員(重光晶君) 休戦協定そのものにおきましては、第四条で、休戦協定が効力を発した後三カ月以内に関係国が政治会議を開催して、そうしてその会議の結果によって国連軍を撤退させる、そうして朝鮮問題全体の平和的解決をはかるようにという、これが第四条の内容でございます。ところで、これがどういうふうに実施されたかということでございますが、この会議は開かれませんし、まだこのままに、この四条は実施されないままに残っておる、これが現状でございます。
○多田省吾君 外務大臣、したがって休戦協定の第四条――六十項の、三カ月以内に撤退すべきだということが実施されてない、ということは、休戦協定は守られていないと、こう言って差しつかえないじゃないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それは、ですから先ほど私の言い方がちょっと常識的に過ぎたかもしれないと申しまして、訂正いたした点でそのとおりだと思います。
○多田省吾君 次に、椎名外務大臣も話しておりましたが、アメリカはベトナム戦争を国連憲章第何条を根拠としてやってるのかという問題ですね。これお答え願います。
○国務大臣(愛知揆一君) 国連憲章第五十一条と理解いたしております。
○多田省吾君 そのように国連憲章第五十一条で、アメリカはベトナム戦争に参加しておると、ところが、安保理事会はベトナム戦争に対してどんな措置をとったか、どんな効果があったかといえば、これは全然措置をとれなかったわけです。特にこの前の、重光国連局長にもう一回確認しておきたいのですが、ベトナム戦争で安保理事会は平和実現のために役立つ措置をとれたか、とれなかったか、これを明確にお答え願いたい。
○政府委員(重光晶君) ベトナム戦争は正式な議題として、まだ安保理事会の議題として、そうして、しかも結論が出たことはございません。
○多田省吾君 ところが去年の四月十日、矢追委員の質問に対して、国連局長は、もし朝鮮で戦闘行為が起こってもだいじょうぶという理由として、先ほど言った休戦協定違反となること、これはもし紛争が起これば、どちらが仕かけたということでなしに、紛争が起これば、これは当然先ほどのような政策、共同宣言に従って、これは猛烈な紛争になると思うのです。そのほかに国連局長は国連で新たな措置がとられるという点をあげているのですが、これはあくまでもベトナム戦争の場合なんかと関連して考えれば言いのがれに過ぎないのではないか、ただ条約の条文だけをちょっと言って見たに過ぎない。事実としては、これは紛争が大いにまき起こる、すなわち国連で新たなる措置をとれなくても、そのまま発動すると、このように考えられますけれども、どうでしょうか。
○政府委員(重光晶君) お尋ねの点は、法律的にきまった解釈がない、なかなかむずかしい問題だと存じます。と申しますのは、現在国連憲章下における休戦状態と申しましても、これが現実に一方の攻撃によって、事実上休戦が破れる、その場合に、どういうことになるか、しかしながらひとつはっきりしておりますことは、先ほど御引用になりました十六カ国の共同宣言、これはあくまで十六カ国の意図でございまして、少なくとも国連に加盟している国としましては、アメリカを初めそうでございますが、新しい紛争、武力紛争が起こったときに、国連に全然関係なく武力行使をするということは、厳密な意味の五十一条の自衛権は別といたしまして、それ以上のことはできないたてまえでございます。それから、かりに休戦という事態が破れて、武力紛争が大々的に起こるという場合に、いま法律的に申されることは、国連憲章の運用として、法律的には、前の紛争の継続であるとしても、新しい武力紛争が起こるわけでございますから、これについて国連が何らかの意思決定をすべきであるということを前に申し上げたことがございますが、そういうことはいまでも申し上げることができると思います。ただひとつだけはっきりしているのは、国連と全然関係なく、十六カ国が宣言を発したからと言って、国連憲章を無視して、軍事行動ができるというものではない、こういうことだけ申し上げられると思います。
○多田省吾君 局長は何か国連で国連軍の動きに対して、新たな措置がとれるような、とらなければ活動できないようなことをおっしゃっておりますけれども、もうすでに在韓国連の指揮権は、アメリカの司令官がにぎっている。休戦協定違反で戦争が始まれば、共同政策宣言ではっきりと、直ちに交戦して大戦争をやるとはっきりと言っておる、そのどこに国連が介入して、新たなる措置をとる権限と時間があるかということを言いたいわけです。具体的に国連が、指揮権を国連が持っているならまだ話がわかる、アメリカ軍の指揮官が権限を持っているのです。どういう時点で、どういう介入の仕方をするのか、具体的にお答え願いたい。
○政府委員(重光晶君) 具体的に国連の決定によりまして、アメリカの司令官が指揮権を持っている、これは御指摘のとおりでございます。しかし、そのアメリカの司令官といえども国連憲章を無視して軍事行動を起こすというようなことは絶対許されない。現在はまだいま休戦状態でございますけれども、現在の国連軍の活動も、やはり先ほど申しましたように、一々国連総会ごとに総会の決定、承認を得ておる状態でございます。したがいまして、国連憲章を全然無視した活動ができるというようなことはとうてい考えられないことではないかと存じます。
○多田省吾君 もう共同宣言では、はっきり紛争が起これば大戦争に持ち込むと言っているわけです。そんな、北朝鮮だってはっきり言って国連も戦争の一部の当事者であるからということで国連を認めていない。北朝鮮が認めていないのに国連軍だけがそれを認めて安閑としているわけはないと思う。具体的に先ほど愛知外務大臣からもこちらから侵略はしないてなことをおっしゃいましたけれども、三十八度線の紛争というものはどちらからともなく紛争が起こる事態も考えられる。もしそういった場合に、国連がそれじゃ新たな措置をとるまでアメリカの国連軍がそのまま待っているかと、こういうことを言いたい。これは事実上できないはずです。どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、われわれとしてはこういったような紛争が片づいて朝鮮が平和になることをこれ望んでいるわけでございますが、やはり休戦協定というものができておりますし、いま小康を得ておるのでありますから、さしむき望むらくは、休戦協定がたしか四当事者でございましたかで調印されておるわけでございますから、この休戦協定に規定されているようなことが何とかひとつ早くまとまるということを望むべきではないかと思います。それからいまも国連局長から申しましたように、将来そういうことが期待できない、しかし、平和を希求しているのはわれわれのみならず関係のものもみなそうだろうと思いますので、そういう点について新たなる、たとえば国連の動きが起こるというようなこともあり得るかという仮定の問題を申し述べたものと、かように御理解をいただければけっこうだと思います。
○多田省吾君 去年の参議院予算委員会でも、佐藤総理は、そういった三十八度線の紛争のような事態が起こったらこれはたいへんなことだと言っておられます。私たちは、日本がこういう三十八度線突破決議の共同提案国になっているような点、あるいは吉田・アチソン交換公文を結んでいる点、あるいは国連軍に対する協力の地位協定を結んでいるというような点、そういった点からもし三十八度線に紛争でも起これば日本がやはり戦争に巻き込まれるおそれが十分考えられると、そういった観点からそのおそれの十分あることを言っているつもりです。で、休戦協定の問題を別にしましても、在韓国連軍の指揮権はアメリカ軍の司令官が持っております。その兵力もアメリカ軍です。そしてアメリカと韓国は相互防衛条約を結んでおります。その相互防衛条約によって、いわゆるベトナム戦争のように国連憲章第五十一条によって戦争をやったのだという名目で、いわゆる新たな措置なんかやる前にもう紛争に入るということも十分考えられる。そういったことは考えられませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどちょっとお触れになりましたが、三十八度線を突破するというような決議に日本が提案国になっているという事実はございません。 それからもう一つは、この国連軍に対する日本の関係といたしましては、御案内のように、安保条約といわゆる吉田・アチソン交換公文との関係もございますが、わがほうの欲せざるような事態につきましては事前協議によってこれを拒否すると、そこにいわゆる先般来いつも御議論のあるところでございますが、いわゆる歯止めというものがございます。そういうところを押えて、わがほうとして平和的な、何とかして解決に向かう、たいへんな事態が起こらないようにすると、こういうことで対処していくべきであると、かように考えております。 それから、日本とアメリカの関係は安保条約でございまして、いま申しましたようなことになろうかと思います。米韓は米韓のことでございまして、これは米国と韓国との関係。日本とアメリカとの関係、これは、何といいますか、その間に三角関係の合同の防衛条約というような関係にございませんことはいまさら申し上げるまでもないことであると考えております。
○多田省吾君 いま外務大臣は三十八度線突破決議の共同提案国になっていないと申されましたけれども、一九六六年から確かにこれは朝鮮問題決議の共同提案国になっているじゃありませんか。
○政府委員(重光晶君) 御指摘のように、六十六年から国連総会における韓国問題の決議の共同提案国に日本はなっております。そして六十六年の決議ではいままでの決議を全部引用しております。もっともその決議の内容は、武力行使には何ら関係がない朝鮮半島の事態を平和裏に解決しようというのが決議の内容でございますけれども、その決議に従来の朝鮮問題に関する決議をいわば全部直接ないしは間接的に引用しておるわけでございます。したがいまして、御指摘の点は、おそらく全部引用しておる中にいわゆるいま御指摘になりました北進決議というもの、すなわち五十年の十月七日の決議が含まれておるではないかというお話であろうかと思いますが、もちろんこの決議も含まれておりますが、先ほどからの話のように、休戦協定ができた以後はこの武力行使をしてもいいというところが消えておるわけでございますから、実際のところ。したがいまして、休戦協定を確認した、すなわちこれ以後は、武力を行使してはならないんだという決議ももちろん引用されておるはずでございます。したがいまして、いまの韓国における国連軍の、国連軍としての権限、許されておる活動はどうだということになりますと、先ほどから申し上げておるように、武力を北に向かって行使するということは一つも入っていないわけでございます。その決議全体を通しますと、いままでのお話しのように、武力を行使してもいいという立場でこの六十六年以来のいわゆる韓国決議というものはできておるわけではございません。休戦協定以後は武力を使ってはならないという引用の仕方であり、また決議の内容は、朝鮮問題、ことに平和的な手段によって統一するという目的のために努力をしていこう、そのための努力、国連の努力を支持すると、そういう内容の決議になっておるわけでございます。
○多田省吾君 外務大臣は、共同提案国になっているということを確認されたと思いますが、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) いま国連局長から答弁いたしましたように、私の理解しておるところでは、三十八度線を突破するんだという趣旨の国連決議の日本が共同提案国になっているとは私は思いません。
○多田省吾君 それはおかしいですよ。局長どうですか。三十八度線突破決議も含まっているんじゃないですか。
○政府委員(重光晶君) 繰り返しになるのでございますが、日本が御承知のように、初めから申しますと、五十年の十月七日の決議ができましたときには日本はまだ国連に入っておりません。そして、具体的に韓国問題あるいは朝鮮問題の国連総会における決議案に日本が共同提案国になりだしましたのは、一九六六年以降でございます。一九六六年以降の日本が共同提案国になりました決議案というものは、武力の行使というものを禁止した状態のまま平和的に朝鮮問題を解決したいという決議の共同提案国になっておるわけでございます。したがいまして、いかなる意味においても、一九五〇年十月七日の国連総会の決議に日本が共同提案国になっておるということは、いかなる観点からも言えないことであると存じます。
○多田省吾君 一つは、外務大臣ね、昨年の三月二十二日の統一見解の中にも、三十八度線を越えて行動することを排除したものではないと解されるとはっきりと言っているじゃありませんか。そして、一九六六年の共同決議の中にも、「それ以前の朝鮮問題に関する諸決議を再確認し、」とありますよ。すなわち、北朝鮮を侵略国としたこと、また三十八度線突破決議、それから中国を、いわゆる中共を侵略国と規定したこと、その決議は全部入っていますよ。
○政府委員(重光晶君) いま御指摘になりました去年の政府統一見解、これはごらんになるとすぐわかるとおりに、五〇年十月七日の決議の意味を説明したところを御引用になったんだと思います。その時点におきましては、先ほども触れましたが、安保理事会の決議を道徳的な意味においてエンドースしたのだ、支持したのだ、こういう内容であることは当然でございます。しかし、六六年から日本が共同提案国になっておる決議案の前文にすべての決議が援用してあるということは、あくまでも「すべて」であって、休戦協定を含む従来のすべての決議を援用しておるのでございます。このすべての決議であわせて考えれば……。
○多田省吾君 それは詭弁ですよ。入っているのですよ、だから三十八度線突破決議も入っているのでしょう。
○政府委員(重光晶君) 今日、在韓国連軍が武力を行使してもいいということには絶対ならないと、そういうふうに考えます。
○多田省吾君 おかしい、そんな私は質問しているのじゃない。三十八度線突破決議が、この共同提案国に日本がなったその決議案の中に入っているかどうかを聞いている。
○政府委員(重光晶君) この六六年以来の決議案は、具体的にこの決議をあげてはおりません。具体的にあげておる決議の中には入っておりません。しかし、その他の朝鮮問題に関するすべての決議ということで当然……。
○多田省吾君 入っているんじゃないですか、それじゃ。
○政府委員(重光晶君) 入っております。それと同時に、ほかのすなわち武力を行使しては今後いかぬということを……。
○多田省吾君 そんなことを聞いていないですよ。
○政府委員(重光晶君) 休戦協定の決議も援用されております。したがってこれは、援用はすべての問題として解釈せざるを得ない。それからまた、これは援用でありまして、決議は何を決定しているかということとはこれは関係ございません。決議の決定していることは、朝鮮問題を平和的手段によって解決したいと、こういうことでございます。
○多田省吾君 結局一九六六年のときにおいては、「一九六五年十二月二十一日付総会決議及びそこで了知された以前の朝鮮問題に関する諸決議を再確認し、」と確認しているのです。その中に入っているでしょう。入っているか入っていないか、それだけ言ってください。
○政府委員(重光晶君) すべての諸決議というものの中にはすべての朝鮮関係の決議が入っております。
○多田省吾君 ですから三十八度線突破決議も入っていると確認している、外務大臣どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) まあこまかい御不審の点がございましたら、あとでさらに御質疑をいただいてお答えいたしますが、私が先ほど申しましたのは、私は正しいと思っておりますが、いわゆる三十八度線突破の総会決議と私さっき申しましたですね、それは一九五〇年十月七日の第五総会の決議、これがいわゆる三十八度線突破の総会決議でございます。この共同提案国に、日本は時間的に申しましてもそうでございますが、この共同提案国にはなっておりません、こう申し上げたわけでございます。共同提案国にはなっていないのです、一九五〇年は。そのことをさっき申し上げたのであります。
○多田省吾君 私が言ったことは、朝鮮問題に関する決議と言った。
○国務大臣(愛知揆一君) いえ、ですから私が先ほど申し上げたことがきっかけになって、この御論議が始まったわけですが、私が申し上げましたのは、いわゆる三十八度線突破の総会決議ということに私触れまして、その共同提案国にはなっておりません、こう申し上げたのは一九五〇年の総会決議のことを申したわけでございます。
○多田省吾君 私言ったのは、一九六六年の共同提案国になっているでしょうと聞いたのです。その中に三十八度線突破決議が入っているということなんです。外務大臣、再確認です。
○政府委員(重光晶君) 同じことになりますが、日本が共同提案国になっておる決議案の前文では、すべての従来の朝鮮問題に関する決議案を確認しております。これはおっしゃるとおりでございます。問題は、それだからといって五〇年十月七日の決議を全部確認しているかというと、それは実質的に休戦協定ができ、しかも休戦協定を確認した決議案、これも援用されておりますから、実質的には武力の行使に関することだけは確認したことに実質的にはならない、こういうことだと存じます。
○多田省吾君 私はこういう一九六六年以来、三十八度線突破決議とか、あるいは北朝鮮や中国を侵略者と断定した決議、そういったものを含めたところの、再確認したところの朝鮮問題に関する決議の共同提案国になることは、平和憲法を有する日本として、これはちょっとまずいのじゃないか、ならないほうがいいのじゃないかと思うのですが、外務大臣どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) いろいろ、何といいますか、平和希求というそのお気持ちからの御意見につきましては、十分ひとつ私も考えさしていただきたいと思います。
○多田省吾君 さらにまあ事前協議を適用するということでございますけれども、すでに吉田・アチソン交換公文、またそれをさらに確認したところの吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文、あるいは国連軍地位協定、こういったものによって基地や資材や役務の提供をはっきりと約束し、また国連軍協力をうたっている以上ですね、もし朝鮮半島に紛争が起こった場合、国連軍に対する協力拒否、事前協議のノーということはですね、在日米軍に対するノーよりも、もっともっと言い得ないのじゃないかと、こう思いますけれどもどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) そういうふうにお考えかもしれませんけれども、私はこの根本はですね、日本の主体的な判断によって、なるほど国連協力ということも非常に大切なことではございますけれども、やはりこれは日米安保条約と御同様、アメリカの事前協議がかりにかかった場合でも、こういう場合にはいわゆる歯どめとしてのノーという制度があるということはかねがね申し上げておるとおりでございますから、そのような考え方、同様の考え方で対処していきたいと考えるわけでございます。
○多田省吾君 まあ私は朝鮮半島に紛争が高まれば高まるほど、日本がこういった協定をしているということは、非常に日本が戦争に巻き込まれるおそれが強い。またさらにフォーカス・レチナ作戦の場合のように、沖繩を相当軍事拠点としてあるいは在日米軍も参加して行なわれているということ自体、まさにこれは戦争巻き込まれの危険性が増大するのじゃないかと、こういう観点から申しておるわけでございます。 さらにもう一つは、この国連決議の、朝鮮問題に対する決議の共同提案国になることによってはっきりともうこれはフランスももうすでに述べております。ほとんど参戦国の一部です。それに参戦国でもない日本がどうして入る必要があるのか。さらにまた中共をはっきりと侵略国と断定している。そういった面、そしてこの前、田川代議士が帰ってこられたわけでありますけれども、佐藤総理や愛知外務大臣の国会答弁によって中共がさらに硬化しているというような報道もされております。きのうきょうの報道によりますと、逆にアメリカではエドワード・ケネディ上院議員等がはっきりと代表権問題は中共にすべきであると、こういうことも提案しておるようでございます。こういった観点から私はこの共同提案国に入ることをやめると同時に、中国に対する姿勢ももっともっと前向きにいったほうがいいんじゃないか。重要事項指定方式なんかも、いろいろ詭弁を弄されますけれども、結局は中共を国連に加盟させない、代表権を中共に与えないという意図のもとに、重要事項指定方式を支持している。このように言っているといっても過言ではないと思います。そういった観点から外務大臣の姿勢というものをさらにお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、いまもお尋ねがございましたが、中共に対しましても、いまのようなまあいろいろこういう複雑な状況下におきましてですね、現在とっておりますようなやり方というものはまあ現在としてはこれ以上にない、つまり国交がない、しかしそれにもかかわらず、いつも申しますことですが、政府の与党の有力な政治家が往来をしておることをはじめといたしまして、覚え書き貿易にしても新聞記者交換にいたしましても、いろいろと相当できております。こういうふうな事実関係が相当に広く、たとえば米中大使会談ということがよく例に引かれますけれども、これはまだ原則論でなかなか中へ入れない。学者の旅行あるいは新聞記者の交換ということさえも、百三十何回の会談を経てもできてない現状に比べてみれば、こちらのほうとしては相当の交流ができているということは喜ばしいことであるという趣旨を申し上げておるわけでございます。 それから理屈を言うとおしかりを言われるかもしれませんけれども、実はこれは国連全体の運営の問題にかかわるわけで、日本といたしましても国連のあり方については、ずいぶん積極的にいろいろ提案してもしかるべきではないかと思う状態でございますが、ものごとが単純多数決で左右されるというようなことはですね、これは私は国連の運営としても私としては適当でないのではなかろうか、こういうことを私は持論として持っておることを前にも申し上げたことがあるような次第でございます。ただ代表権問題等は国連の総会もまだちょっと先でもございますし、十分事態の推移を見守ってまいりたい、かように考えます。
○多田省吾君 事前協議問題でお伺いしたいんですが、仮定でございますが、もし沖繩に日米安保条約がそのまま適用された場合ですね、沖繩に在駐しているところの海兵隊一個師団とかあるいは空車一個師団とかあるいは核兵器、そういったものは当然事前協議の対象になる、アメリカから通告があると。このように考えてよろしいわけですね。
○国務大臣(愛知揆一君) これはなかなかお答えしにくい問題でございまして、お答えのしかたによりましてはいろいろとまた憶測が広くなるかとも思いますけれども、実は事前協議と申しますのは、申し上げるまでもございませんが、一九六〇年、いわゆる新安保のときにわがほうの主張が通りましてできましたよく世間で歯どめと言われますが、そういう趣旨でできました制度でございまして、あの一九六〇年締結の状況から、何と申しますか、これは安保条約の日本語でも英文でも、この点が相当正確に出ておると思いますけれども、それからこっち、新たに増加される重要な装置の、装備の変更というようなことが、事前協議の対象になる。この事前協議というものがそういうことででき上がったものでございます。ところが沖繩の場合におきましては、従来本土について了解されておりましたたとえば兵力、陸上の師団とかあるいは機動艦隊とかあるいは空軍とかというように基準を定めてございますが、それと直接に比べてみれば、現にあるものが相当あるいはそれよりも多いものがあるかもしれない。こういうものを従来からよく申しておりますように、日本の自衛、安全の保障あるいは安保条約の目的に沿うて、どういうものであればいいかということが、私は仮定の問題というお尋ねでございますから、仮定の問題としてお答えするわけでございますが、このありようの姿をどうするかということが、事前協議以前の沖繩返還協定を結ぶまでの私は大きな問題じゃないか。そこで話し合いが何らかの形で仮定の問題ですができましたら、それから先が事前協議の、かりに安保条約がこのままの体制で特別の定めなき限り適用されるといたしますと、それから先の時点の私は問題になるのではなかろうかと、まあ現在仮定を法制的な論理から言えばそうなるんじゃなかろうかと思いますが、こういう点につきましては実態的な問題のほうが沖繩の問題については次元が違うあるいは高い問題じゃなかろうかと思いますので、そういう点につきましていま真剣に検討をどういうふうにこの問題を計画していったらいいか、どういうふうにして日本の立場というものを確立したらいいか、こういうことのほうをまずもって考えてまいらなければならぬ問題だと、かように考えておるわけでございます。
○多田省吾君 ですから私は特別の取りきめなき限り、日米安保条約がそのまま適用された場合はそういった装備の変更あるいは配置の変更あるいは作戦の発進基地としての事前協議の対象になるんじゃないかということを、仮定の問題としてお聞きしているわけです。
○国務大臣(愛知揆一君) いま私がお答えいたしましたことはちょっとすれ違ったかと思いますけれども、ただいまのようなお尋ねでございますれば仮定の問題でございますけれども、特別の取りきめのない限りは、いま仰せのとおりでございます。
○多田省吾君 アメリカの上院では、すでに核防条約を批准しているのでございますが、その後アメリカのABMの設置が正式にきめられた。また、それによって核兵器の拡大競争が始まるんじゃないかというおそれもあります。これも核防条約の精神に私たちは違反していると思います。それから、核保有国の一方的権利を主張するのみで不平等条約であるということも言えると思います。そのほか、核兵器の平和利用に関して、あるいは期限の五年と限らなかった問題に対してわれわれは反対するものでありますけれども、政府としては、この核防条約に対するこの煮詰まった考え方というものはどういうものでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 去る一月に外交演説の中に私は触れておきましたように、政府といたしましては、核防条約が意図しておる精神というものには賛成でございます。同時に、日本としては、現在の形の条約に対しては、まだまだ従来からの日本の主張、あるいは希望というものが取り入れられていない点も相当見受けられるわけでございます。それから、その後の国際的ないろいろの本件についての動向なども、なかなか国際政治全体に関連して微妙でもございます。したがいまして、調印、批准という問題につきましては、今後とも十分ひとつ考えてまいりたい。必ずしも早急の調印、批准ということはいかがであろうかというように考えております。
○多田省吾君 総理は、沖繩の米軍基地と日本の本土の米軍基地は区別できないという答弁もあり、これは本土の沖繩化を策するものではないか。事前協議も弾力的に運営され、いわゆるイエスというやり方でやれば、当然事前協議も吹っ飛んでしまう、こういうおそれが多分にございます。その証拠の一つとして、十年前のアメリカ上院における新安保条約の審議におきましても、フルブライト上院議員ははっきりと、あのようなハト派の議員でありますけれども、日本はこの地域の紛争にはどうしても巻き込まれるだろうと思いますと、極東の紛争に巻き込まれるだろうと思いますということも言っておりますし、また、各上院議員の質問でも、いわゆる協議というのは、同意ということもあろうけれども、あくまでも協議だなという再確認をしているような審議が行なわれているわけでございます。そういった観点から、この事前協議というものは非常に不安定である、こういうふうに思っておりますが、そうであるならば、あくまでも核兵器の持ち込みは、また押しつけかもしれませんけれども、そういったものは日本としては受け入れないという態度が表明されなければ非常に不安じゃないか、持ち込まれるおそれが多分にあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) いまお述べになりましたようなお気持ちは私もよく理解できるところでありまして、そういう点も十分頭に入れまして、沖繩問題の処理については、ほんとに心肝を徹し、知恵をしぼって国民の御期待に沿えるようにできるだけの努力をいたしたいと考えております。
○多田省吾君 法制局長官に一問お伺いいたしますが、いわゆる国連警察軍が日本にもし設置された場合に、その海外移動というものは憲法違反になるかどうか、詳しく御説明願いたいと思います。
○政府委員(高辻正巳君) お答えいたします。 いまのお尋ねは国連警察軍一般についてのお尋ねだったようでございます。この点についてもいままではしばしばお答えをしておるわけでございますが、特に御注文でございますので、あらためて申し上げますと、いわゆる国連警察軍という中に、これは御質疑の中には入っていないのかもしれませんけれども、例の国連監視団とか、そういうようなものも広義で言えば入るかもしれないと思います。いずれにいたしましても、日本の憲法が規定をしております九条の関係から申しますと、武力による威嚇、武力の行使、戦争、そういうものを放棄しておりますものですから、武力の行使に当たらないようなもの、そういうものがいわゆる国連警察軍の任務の中に入っていないものであれば、これは九条との関係で問題になる筋合いはないように思います。したがって、国連監視団のごときものが、文字どおり国際の平和を保つためのある事項についての監視ということであれば、これは憲法九条に関する限りは問題はないのではないかと思います。 他方、武力の行使に該当する場合、これは前々からよく申し上げておることでありますけれども、普通、たとえば朝鮮国連軍のごとき、確かに国連の意思によって、勧告に応じて各国が兵力を提供し、そうして各国の名と責任において米国の司令官がその統一的な指揮に当たるというようなことはありますけれども、また、国連の旗を持っているというようなこともありましょうけれども、各国がその名と責任において行動をするというようなものには、日本の憲法のたてまえからいって、それに兵力を提供し、あるいはみずから国連軍の一部として行動するというようなことは憲法上非常に疑義がある。むしろ率直に言えば憲法上できないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○多田省吾君 せっかく防衛庁長官に来ていただきましたので、一問だけお願いしたいと思います。 一つは、防衛大学を普通の大学にしたいというようなことが報道されておりましたが、この点どうですか。 さらに、沖繩返還後の防衛計画として三次防を増強する、あるいは四次防をたとえば五兆円にするとか、そういうこれからの予定がございますか。 それから、第三点は、基地返還に関してどの程度進んでいるか、あるいは新島の水戸射爆場の移転の問題等、あわせて三点をお尋ねします。
○国務大臣(有田喜一君) 第一の、いまの防衛大学をどうしようか、いわゆる各種学校のカテゴリーに入るのですか、それを正式に修士課程もできるようにしようかということは、まあ実はそういうこともあわせて考えて検討したらどうかということで、いま研究中でありまして、いまどうするという態度はきめておりませんが、あそこまで防衛大学が充実しておりますので、ことに最近の科学兵器といいますか、非常に高度化しておりますから、そういうものの研究もさしたいと、いま検討中であります。 それから、第二の、沖繩返還後の防衛をどうするかということですが、三次防云々ということがございましたが、もしも三次防は、御承知のとおり、四十二年から四十六年ですから、その以前に返還が完了するようなことでしたら、それは三次防の変更ということになりましょうが、まあおそらく四次防になるのじゃないかと思いますが、しかし、ともかくわれわれとしては、第一義的には、沖繩が返還になれば日本の領土となるわけですから、陸、海、空を通じて、第一義的にわが自衛隊がこれに当たらなくちゃならぬというので、そういうように、四次防になれば沖繩のことを考えてやらなければならぬ、かように考えております。 それから、基地の返還の問題は、昨年暮れ、約五十ケ所を対象として、あるいは返還、使用転換、あるいは移転という問題を、アメリカ側と大体五十カ所を対象として、その処理は日米合同委員会においてやる、こういうことになっております。急いで日米合同委員会をやっておりますが、まあすでに両方の合意を得たものは、北海道の名寄は合意を得てやっておりますが、今月中といいますか、緊急に数カ所は合意を得られる予定になっておりますが、急いでやっております。
○多田省吾君 太田大泉飛行場は。
○国務大臣(有田喜一君) 太田大泉は、これはいま検討中でありまして、ほとんどいけるという見通しでございますが、まだ合意を得られるというところまではいっておりませんが、近く合意を得られるものと思って、いま合同委員会で一生懸命検討しておる最中でございます。
○多田省吾君 最後に、文部大臣に一問だけお尋ねいたします。 佐藤総理、あるいは文部大臣のこの前の総括質問の段階では、四月末の中教審の答申を待って大学管理法を出すようなお答えでございましたけれども、最近また総理大臣等がだいぶハッスルされて、中教審の答申を待たずに、この前の学生の地位に関する中間報告、あるいは三十九年の公立大学の運営法案等を下地にして、早急にまた管理法を出したいというようなお考えもあるようでございますけれども、いまそれはどうなっておるのか。
○国務大臣(坂田道太君) この問題は、衆議院でも参議院でも、どの委員会におきましても、総理大臣及び私といたしましては、中教審の答申を待って考えるということには変わりはございません。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして多田君の質疑は終了いたしました。
○委員長(塩見俊二君) 次に、田渕哲也君の質疑を行ないます。田渕君。
○田渕哲也君 私は、まず予算編成の問題、さらに資本の自由化の問題、あるいは大型合併について、さらには労働組合の政策参加の問題、こういう問題につきまして順次質問を行なっていきたいと考えております。 まず、初めに、予算の編成の問題につきまして大蔵大臣に御質問したいと思います。昭和四十四年度の予算は、すでに衆議院を通過いたしましたけれども、衆議院の採決の内容を見ますと、賛成は自民党だけで、他の各野党は全部反対ということでございます。しかし、もちろん自民党は賛成多数でございますから、これで法律的にも形式的にも全然問題はないのでありますけれども、しかし、昭和四十二年の衆議院選挙の得票率を見てみますと、自民党の得票率は四八・八%でございます。実質的には国民の税金の使途をきめる重要な予算について、国民の半分以上が反対をしておるということになるのではないかと思いますが、これについて大蔵大臣はどうお考えになりますか、お答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 予算は国民の共同の家計でありますので、これは国民のなるべく広い範囲の御意見を伺い、その御意見が反映するように運営していかなければならぬ、かように考えておるわけです。ですから、私どもといたしましても、編成にあたりましては、ずいぶん幅広く人にもお目にかかります。いろいろな人のまあ御意見を承り、陳情にも接する。同時に、各政党からも御意見の御開陳があるわけでございます。現にことしの予算の編成の直前におきましては、社会党からも民社党からも公明党からも、それぞれ予算の編成についての御意見の開陳があったわけであります。私もそれをとくと拝聴いたしております。まあ各界の意見を総合し、ことに与党の意見を十分伺わなければならぬ、そしてまあ予算案というものを最終的にきめておるわけであります。決して政府が独断的で一方的にやっているという状況では実際はないのであります。
○田渕哲也君 すでに参議院の予算委員会が今月の初旬から行なわれておりまして、各野党からいろいろな意見が出されております。この野党の意見はさまざまではありますけれども、中には共通をした問題もたくさんあります。たとえばサラリーマン減税の問題とか、国鉄運賃値上げ反対の問題とか、あるいは社会保障に関する要求、こういうものの中で、各野党に共通した要求というものがあるわけでございます。私は、この中で実現できるもの、予算に取り入れて実現できるものもあるのではないかというふうに考えるのでありますけれども、大蔵大臣は、予算をこの野党の意見を入れて参議院において修正されるお考えはあるかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は広く野党の皆さんの御意見も謙虚にお聞きいたしております。なお、これからも聞きたいと思いますが、野党の意見で共通してそろった結論が出てくるからといって、私は、私どもの見解と必ずしも一致した結論ではないのじゃないかという場合もあるのであります。たとえばいま国鉄の運賃というお話がありますが、私どもは、この際、国鉄の旅客運賃は引き上げるべきである、これが正しい行き方であると思っておるのですが、野党の各派共通して、これはいかぬとおっしゃるが、これはもう見解の相違で、しようがない。しかし、いろいろ皆さんのおっしゃることで反省させられることがあります。それは逐次適当な方法でこれを取り入れていくと、かように考えております。
○田渕哲也君 過去の例において政府提出の予算原案が国会において野党の意向を入れて修正された例はございますか。――まあ答弁ひまがかかるようでございますので、実はこれ私、政府のほうにお聞きして調べてあるのでございますけれども、過去においては、二十八年、二十九年、三十年においては修正されたというふうに聞いております。あとの補正予算はございますけれども、国会で野党の意見を入れて修正されたという例は非常にまれである。しかも、最近この十年間では皆無である、こういうふうに聞いておるわけであります。もちろんこの予算の編成権は内閣にあるわけでございますけれども、この予算編成の過程で、先ほど大臣は、各野党の意見をいろいろ聞いておると言われましたけれども、それならば具体的にどのように聞かれ、どのように取り入れられたか、御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 野党の意見で、御審議願っております当該年度の予算をその国会において変えるという例は私は承知いたしておりません。しかしながら、その予算の実行の過程におきまして、あるいは次の年の予算の編成の過程におきましてそういうものを取り入れるということはしばしばあると思います。建設的な御意見は積極的に取り入れるというかまえをいたしております。
○田渕哲也君 自民党は現在多数でございますので、与党の賛成を得ればその予算が通り、それが実行されるということは何ら問題はないわけでありますけれども、しかし、民主主義というのは多数決ということでありますけれども、本来はできるだけたくさんの合意を求めるべきである。多数決というのは、その現実的な妥協の一つの策にすぎないというふうに考えるのであります。予算編成の過程を見ておりますと、閣議で編成方針がきめられまして、それから、昨年の年末ぐらいには自民党と盛んに折衝をされておる。年末年始の休みを返上して、非常に御苦労さまでございますけれども、大蔵省の方々が出て作業をされる、そうしてこの年明けには、国会周辺は、あちらこちらから上がってまいります陳情団体、圧力団体でごった返します。そうしてこの予算のぶんどり合戦というものをやっておるわけであります。そうして国会審議が始まる一月の下旬ごろまでには、事実上ほとんどの予算を決定してしまっておる。そして、予算審議の中で、予算委員会の中で野党がいかに意見を言っても、これが取り入れられて修正されるという例はまずない。こういうことになれば、この予算委員会というものは非常に形式化してしまうのではないか。大蔵大臣は、先ほど、次年度の予算でそれを考慮すると言われましたけれども、本予算委員会は四十四年度の予算を決定するための委員会であります。その点から考えた場合に、このようなやり方を続ける限り、現在の議会制民主主義というものが形骸化するのではないか。また、国民の意思というものを十分に反映するような手段がだんだん薄れていくのではないか。そこに私は今日の大衆の政治不信の姿というものが出てきておるような気がするのであります。したがって、ここで大蔵大臣にひとつ提案をしたいのでありますけれども、予算にできるだけたくさんの国民の意思を反映するという意味で、予算編成の過程において、特に編成方針決定の段階で、各政党の意見を聞かれるというその場を持たれたらどうかと思うのでありますけれども、その御意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 現に、四十四年度につきましても、あるいは社会党から、あるいはあなたの政党から、あるいは公明党から、それぞれ編成方針についての意見を述べられておるのであります。しかも、それは書いたものでちゃんとです。私も、それをよく拝見、また拝聴いたしております。そういう過程で、ほかの政党はどういうお考えを持っておられるのか、これはくみ取れるわけであります。そういう中においても、建設的な御意見につきましては私どももなるべくこれを予算に組み入れる、こういう態度をもって予算編成をいたしておるのであります。今後ともそういう方向を進めていきたいと思っております。
○田渕哲也君 それでは、次に、資本の自由化の問題並びに大型合併の問題について御質問したいと思いますが、まず資本の自由化につきまして、これは通産大臣並びに外務大臣にお伺いしたいと思います。OECDの条約によりまして、貿易の自由化、為替の自由化、あるいは資本取引の自由化が義務づけられておるのでありますけれども、私は、貿易の自由化、為替の自由化のメリットというものはよくわかりますけれども、この資本の自由化がわが国にどういう利益があるか、御質問したいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 資本というものを単純に孤立した存在として考えるのではなくて、やはりこれには技術あるいは市場の知識、経営全体についてのインテリジェンス、いろいろ含まっての動きをするものと私どもは考えるのでございます。今日のように、企業の投資がだんだん大型化してまいり、しかも技術革新の時代になってまいりまして、苛烈な開放経済下の競争に耐えてまいりますためには、事業によりまして外国の資本が入りまして巨額な投資ができ、技術の開発が進むというようなことも、一がいに拒否すべきではない、むしろプラスの面が多い場合があるのではないかと思います。
○田渕哲也君 先日、アメリカの自動車製造業者協界のトーマス・マン会長がアメリカの国務省並びに商務省に送った書簡の中で、特に自動車の資本自由化に日本が応じないというのは日米友好通商航海条約違反だということを主張しておりますけれども、これは具体的にどの条文に基づくものでありますか。
○政府委員(鶴見清彦君) お答え申し上げます。先方はその書簡の中で具体的な条文というものを引いておりませんけれども想像されます条文につきましては、日米通商航海条約の第七条でございまして、その中で事業活動につきましての内国民待遇、最恵国待遇というものを約束しております。おそらくそれに触れているのではないかというふうに先方は言ったと思います。
○田渕哲也君 いまの御答弁のように、日米友好通商条約の中では、内国民待遇それから互恵を求める精神が強くあらわれておると思います。確かに、アメリカは、現在外国資本に門戸を開放しておりまして、したがって、日本にそれを求めてくるというのは、一面から言うなら理屈はあるわけでございますけれども、しかし、日本の資本がアメリカに対して進出するメリット、それからアメリカの資本が日本に出てくるメリットを考えてみるならば、これは比較にならないくらいアメリカに利益があるわけであります。したがって、もしこの資本自由化が進められるならば、これは非常に片側通行的なものになるおそれがある。真の意味の互恵というよりも、アメリカに非常に利益になるのではないかと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この点に問題があるかどうか、お願いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点が実際なかなか問題の点でございますが同時に、OECDの条約でも、ごらんのように、それぞれ加盟の国の自国に重大な経済上や財政金融上の混乱を生ずる場合には、自由化措置も撤回したり停止することができるといういわば保証条項もございますしいたしますから、これはやはり日本の立場におきましては、十分国益を考えながら対処していかなければならない、かように考えるわけでございまして、ただいま具体的に御指摘の自動車の問題については、かねがね、アメリカの業界は、労使アベックと申してもよろしいかと思いますが、非常な熾烈な要請があることは事実でございますけれども、わがほうといたしましても、関係各省におきましてこれに対する態度は慎重に対処していかなければならない、かように考えておるわけでございまして、お尋ね以外でございますが、よく国会でも御論議がございますが、いま、繊維の問題とか鉄鋼の問題とかについては、同様にアメリカ側に率直に言えば保護主義的な傾向も相当あらわれておりますので、そういう問題ともにらみ合わせまして、これは先ほど資本の自由化のメリットということを中心にお尋ねでございましたが、経済外交の面から見れば、それらの貿易の自由化等ともあわせまして総合的な立場から国益を守っていく。世界の自由化ということの大筋は、もちろん日本の繁栄のためにも通ずる基本であるとは思いますけれども、さような考え方で対処してまいりたいと思っております。
○田渕哲也君 貿易の自由化、為替の自由化によらず、資本取引の自由化を含めまして、自由化の方向が技術革新なりあるいは経済の拡大ということを考えた場合には正しい方向であるということは理解ができるわけです。しかし、この自由化を進めることによって、適正な国際分業というものが確立する、あるいは各国の経済格差が縮小する、こういう方向に進むならば、これは理想的だと思うのでありますけれども、現実の問題としては、これは国際的大資本の世界支配につながるおそれがある。たとえて言うならば、自動車の例をとりましても、ビッグスリーの世界市場におけるシェアというものは五〇%をこえております。また、最近は、一九五八年から六五年までの傾向を見ますと、ビッグスリーの海外生産のシェアというものが、五八年の二二・四%から六五年の二八・三%というふうに徐々に上がってきておる。こういう例を考えましても、自由化の方向を規定しておるということはわかるのでありますけれども、この自由化の義務づけと並行して国際的な独占禁止に対する国際条約なり、あるいは何らかの取りきめというものが必要になるのではないか。これについてのわが国の態度といいますか考え方というものをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 御意見のよってきたるところは私も理解できるのでありますけれども、まあ全体の方向から言ってそうした趣旨のたとえばある国との間に条約を結ぶというようなことは、実際問題として非常にむずかしいのみならず、わがほうも、また、たとえば貿易とからめて申し上げることになるかとも思いますが、先方の輸入制限措置というふうなことも誘発するおそれがないとも言えませんし、まあ私は、いま公取の委員長も出席しておられますけれども、国内の措置として独禁法の運用その他におきましても十分措置できるのではなかろうか、そこまでのいま御主張のようなところまでは実は考えておりませんのですが、御趣旨の点はよくわかりますので、当面する経済外交の運営のやり方として御趣旨のようなところは十分体してまいりたいと考えております。
○田渕哲也君 それでは、次に、大型合併の問題にまいりまして、これは先ほど申し上げました経済の国際化に伴いまして国内の企業の国際競争力の強化、そのための大型合併の必要性が強まってまいっております。先日も日本レイヨンそれからニチボーの合併の発表もございましたけれども、今後とも大型合併が続出することが考えられます。八幡・富士の合併について公正取引委員会の今回の行動の特徴というのは、事前審査をして結果を内示する、そして八幡・富士の側において対応策を立てて認可申請をする、これが特徴ではないかと思いますけれども、これまでにこういう例がありますかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(山田精一君) 内示につきましての事前相談につきましての御質問でございましたが、これはいままでもたくさんございます。一種の行政相談の意味合いにおきまして窓口で相談をいたしておりますケースはたくさんございます。ただ、今度のように大型のケースは非常にまれであったわけでございます。従来からもいたしておることでございます。
○田渕哲也君 三月五日の商工委員会において、公正取引委員会の委員の方の御答弁によりますと、この内相談、事前審査というものは、これの法的根拠は独禁法の第三十五条の三の二号である。つまり「渉外、こう報及び文書に関すること」だということが答えられておりますけれども、これはそのとおりですか。
○政府委員(山田精一君) そのとおりでございます。
○田渕哲也君 実際問題としまして、この大型合併の場合は、独禁法の第十五条三項に定められた期間の中において十分な調査をし判断をするということは、現実的には困難な場合もあろうかと思います。したがって、この事前審査を行なう必要性は十分わかるのでありますけれども、しかし、この事前審査を三十五条の規定で行なうということには若干無理があるのではないかというふうに考えます。例を申し上げますと、たとえば資料提出の面から見ましても、必要な資料がはたしてそろうのか、あるいは、ほんとうに十分な調査ができるのか、こういう疑問があるわけであります。したがって、この事前審査は特に大型合併の場合、ますますその必要性が強まると思うのでありますけれども、これを制度化して第十五条に事前審査の項を新設したほうがいいのではないかと考えるものでありますけれども、公取委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(山田精一君) 事前審査の段階におきましては、各種の資料は任意的に提出を求めておりますものがおもでございますけれども、必要があれば、私どもは法律に違反の事実があると思量したときは、何時でも強制力を用い得るわけでございまして、必要なる資料の収集にはことを欠かぬように考えるのでございます。 それからひとり合併の問題のみならず、普通の行政相談の意味合いにおきまして窓口で相談を受け付けておる例が多々ございまするので、合併につきまして特に十五条で行政相談を明文化するということはいたさなくとも、運用によってなし得るのではないかと、かように考えております。
○田渕哲也君 それからもう一つ、独占禁止法につきまして疑問のある点があるのでありますけれども、十五条第一項の「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」、こういうふうに合併制限の規定がしてあります。これは、今回の公取委員会の活動を見ておりましても、具体的な品種における実績審査というものが非常に重点である。これはややもすれば部分審査となるわけでありまして、今日の産業実態から見るならば、むしろ一つの部分の品種の問題を扱うよりも、総合的な企業力なり、あるいはそれがまわりに及ぼす影響力、まあこういうものが非常に大きいと思うのであります。たとえば八幡・富士の場合を見ましても、確かにレールやブリキや鋳物用銑鉄、こういう問題も大きな問題でありますけれども、実際は八幡・富士が合併して、粗鋼においてすでにシェアが三五・四%になる。資本金は二千二百九十三億円になる。年間売り上げは八千三百億だ。人員は八万人だ。このような巨大企業の現出が業界自体に与える影響というものは、これは予測できないくらい大きいと思うのでありますけれども、現在の独禁法の「一定の取引分野における」云々というこれだけで合併制限の規定を設けるというのはちょっと問題があるのではないかと考えるのでありますけれども、これはどうでしょうか。
○政府委員(山田精一君) 法律第十五条の「一定の取引分野」というのは、これは裏を返して申し上げますというと、競争が行なわれる場というような関係で個々の品目別に判断をいたしたわけでございますが、しかし、御指摘のような総合的な企業力、粗鋼の生産でございますとか、あるいは従業員の数でございますとか、あるいは資本の状況でございますとか、これは同業者との競争力の評価をいたします場合にむろん調査をいたしまして考えた上で、その土台の上に立ちまして個々の品目について調査をいたしたわけでございます。
○田渕哲也君 今度は通産大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、産業構造審議会の答申によりましても、経済の国際化に対応し得る産業構造というものをつくっていくためにやはり大型合併ということは必要であると、こういうような報告も出ておるようでありますけれども、通産大臣のこれに対する御見解はいかがでありますか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、大型とか小型とかいうんじゃなくて、独占禁止法のワク内において許される企業の合同とかいうものが産業の体制強化に役立つものであれば、それは私の立場で推進すべきものであると考えております。 それからそういうことによって寡占的な傾向が当然に出てくるわけでございます。寡占的な傾向が出てまいりますと、当然のこととして管理価格を生みやすい環境が生まれるということも了解できるわけでございます。ところが、これは事実問題といたしまして、わが国の産業界の実態は、たいへん競争が激しいと申しますか、寡占状態になりましても、価格の管理価格的な傾向を生む気配が非常に少ない、そういう特異な環境にあると見ておるわけでございまして、非常に若い競争力をたたえた経済であるという意味におきまして、私どもは、相当体制強化の政策を打ち出してまいりましても、需要者に不当な損害を与える、不利益を与えるというようなことは、比較的少ない環境であろうと、こう考えております。もっとも、先ほど公取が申しましたように、独占禁止法その他現行法制のワク内におきまして、いま注意深く進めてまいらなければならないことは当然と考えております。
○田渕哲也君 もう一度通産大臣に確認をしたいと思うのでありますけれども、やはり国際競争の中でわが国の産業の体質を強化するためには、合併によって大型企業を現出するという方向が出てもやむを得ないといいますか、むしろそれが望ましい、あるいは寡占体制ということになっていくことが望ましいというふにお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) ですから、そのことは、第一に無条件に言えないわけでございまして、現行法制のもとで許されるものであるということ、そうしてそれが不当に需要者に不利益を及ぼすというようなことがないという、いろいろの条件を踏まえた上で、そういう心配がない限りにおきましては、これを推進していくことは私は差しつかえないものだと心得ております。
○田渕哲也君 通産大臣のお答えのように、やはり国際的な競争の中で、わが国の産業がどんどん伸びていこうとするならば、ある程度大型合併をやり、その規模の利益というもの、こういうものをフルに活用して力をつけなければならない、これは理論上当然だと思います。現に、ここ数年の様子を見ましても、そういう方向で産業界が進みつつあるように思います。また、寡占化体制というものも徐々に進みつつあるように思われます。この中において私は問題がやはり出てくると思います。一つは、大型化による投資の郊率化なり、あるいは合理化なり、そういうものが生じて、その利益というものは当然出てまいります。ところが反面では、この利益というものがはたして国民に有効に還元されておるかどうか、日本の国民経済の利益に結びついておるのかどうか、その点が一つ問題ではないか。といいますのは、やはりこれだけの大きな企業というものができてくれば、あるいは寡占体制というものができてくれば、やはり価格なり、あるいは市場における制圧力というものはふえてまいります。先ほど公正取引委員長も、そういうことがないように、十分目を光らせておるということを言われましたけれども、しかし、幾ら公正取引委員会が目を光らせておっても、事実それだけ大きな力を持った企業の現出ということは、これは理屈から言っても、そういう管理価格的なものの形成なり、あるいは市場操作の力なり、こういうものを持ってくることは事実であります。 そこで私は、一つの提案をしたいのでありますけれども、この弊害を防ぐために、現在の独禁法だけではどうも不十分ではないかという気がするわけであります。むしろ最近の大企業の状態を見るならば、国民経済の中の比重というものが非常に高まっておる、もうすでに私企業の限界を越えつつあるという気がいたします。たとえば財政投融資にしましても、国の財政投融資が重点的に行なわれる、あるいは租税特別措置法でいろいろな利点が与えられておるとか、さらには、資金調達についても政府保証が行なわれるとか、こういう国家権力によった保護というものがされておるわけです。こういうふうな、大企業はすでに私的責任において、あるいは私的利潤を追求するために企業意思の決定が行なわれる、あるいは行動が行なわれるということは、非常に問題ではないか。そこで、私が主張したいのは、やはり産業の民主化というものを進めるべきではないか。具体的に申し上げますならば、この事業計画なり、あるいは価格なり、さらには利益配当の面でもっと公的な性格というものを持たせるべきである。民社党は、重要産業基本法というものを主張しておりまして、まず第一点としては、産業民主化の具体的推進のために、企業活動の方針決定の中で労働者の参加ということを強化せよ。第二点としましては、業種全体の計画化、総合化を目ざすために、産業政策審議会というものを設けろ、これは国民各層の代表と学識経験者で構成して、そこで業種全体の設備投資なり、あるいは事業計画の総合化というものをはかっていくべきではないか、こういうことを主張しておるわけでありますけれども、これからの新しい経済体制の時代の中で、通産大臣は特に大型企業に対する指導方針というものをどう考えておられるか、その点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 過去の、戦後のわが国の経済の復興の経過を見てみますと、基礎的な、たとえば電力の供給でございますとか、あるいは基礎的な資材である鋼材の供給、そういったことは非常に低位に安定的な供給ができたわけでございまして、その限りにおきましては、わが国の復興をたいへん助けたと思うのであります。電力のようなものは、いまおっしゃるように、政府の監督下にございます。特別の法律を持っておりまして規制を加えておるわけでございますが、鉄鋼などは特別の事業法を持っておりませんが、先ほど私が申し上げましたように、鉄鋼業界の非常に強烈な競争力にささえられまして、ただいままで比較的低位に基礎資材の供給が確保されてまいったわけでございまして、特にいまあなたが御提案にかかるような特別のシステムを考えて、こういう大企業についての政府による規制措置を講じなければ所期の目的が達せられないと、まだ断言できないのじゃないかと考えております。もっとも、このような大企業は、仰せのように、より社会的な影響力も多いし責任も重いわけでございまして、一握りの経営者によって恣意的に経営されてしかるべきものとは思いません。事実私どものほうでも、いろんな各種の審議会、協議会が設けられておりまして、学識経験者はもとより、あなたが御指摘の労働界の方々の御参加も得て、広く御意見を拝聴いたしておるわけでございます。たとえばマイニングのほうの鉱業審議会におきましても、石炭鉱業審議会におきましても、繊維工業審議会におきましても、中小企業近代化審議会、中小企業安定審議会、それぞれ労働者代表の御参加をいただいておるわけでございまして、当面こういった仕組みでそれぞれの分野の知識経験を吸収をいたしておるのでございまして、新しく大がかりな仕組みを構想いたしていく必要を特に痛切に感じておるというまでには至っていないわけでございます。
○田渕哲也君 いま大臣がおっしゃいました各種審議会が通産省関係にございますけれども、その中で特に産業政策に関するものがかなりたくさんあると思います。その中で労働組合代表が参加しているのは五つでございまして、あとの十近くのものは入っていないのが現状でございます。それから先ほど大型企業に対する政府の規制を強化する必要はいまの段階では感じておられないと言われましたけれども、私が主張しておる産業民主化は、ただ単に政府の規制を強化するだけでは不十分だと思います。これはへたをすれば官僚統制的になるわけでございまして、産業の民主化を進める方法はいろいろありますけれども、一つは、消費者とが一般大衆の代表を参加させる、それからもう一つは、大衆の一部でもあるし、またその企業の従業員でもある労働者の代表を参加させる、この二つの方向を強力に進める以外にはないのではないかというふうに考えております。その一環として個々企業なり産業の段階の問題は、それぞれの労使で努力すべき分野も多いと思うのでありますけれども、先ほど申し上げました各種審議会に、これはぜひ労働組合の代表を、特に産業政策決定に関するものについては、経営側の立場とは別の観点からいろいろ労働者に対する利害が出てまいります。雇用の問題、賃金の問題、労働条件の問題、あるいは組織の問題、そういう観点から、ぜひ労働代表を加えるように、何かそういう原則なり、そういうものをきめていただいたらどうかと思うんですが、この点いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま運営いたしております審議会をいろいろ点検してみまして、いま御提案のように、労働界の代表者の方々に御参加していただくのがいいかどうか、一ぺん吟味さしていただきたいと思います。
○田渕哲也君 次に移りますけれども、ちょっと自動車の問題について若干お尋ねしたいと思います。自動車の自由化は、昨年の日米交渉で一応の合意書ができましたけれども、その後アメリカの業界はこれに対する不満を表明しております。また、三月四日には、バーチャー駐日公使の政府に対する申し入れがありました。それからビッグスリー首脳の来日が近々予想されておる。こういう傾向から考えて、昨年のこの合意書よりもっと早めなければならないというふうな情勢も出てくるかと思います。けれども、通産省としてはどう考えておられるか。あるいはこの時期の見通しについてはどうか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 通産省の考え方といたしましては、まずものの順序といたしまして、輸入の自由化を一応見当をつけて、それから資本の自由化に移るのが常識ではないかというように考えて、特段の考えを持っていないのでございますが、ただ業界――米国の業界並びにわが国の業界でも、この問題がいろいろ問題になっておるばかりでなく、経団連と自動車業界の間にもいろいろ熱心な御討議がかわされたように聞いておるのでございまして、私どもの立場では、あるいは経団連と自動車業界の間でいろいろ検討が行なわれて、ある合意がそこででき上がるというようなことは望ましいことと考えております。いついつまでにこうしなければならぬというきまったスケジュールをいま私どもは持っておりません。
○田渕哲也君 通産省としてそのスケジュールはないと言われますけれども、大体の見通しとしてはどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) それは御案内のように、一昨年の六月でございましたか、資本自由化の閣議決定が行なわれまして、昭和四十六年度末までに、かなりの程度自由化をしようという目途で、前向きに問題を処置しようということは、政府の基本的な態度になっております。したがって、この三月一日に第二次の自由化をいたしたわけでございます。第三次、第四次と、この四十六年度末までに、そういうプログラム、スケジュールが一応きまっておるわけでございまして、これは特にどの業種をどうというわけじゃありません。そこで第三次の資本自由化でございますが、これから一年なり一年半なりの間に用意をいたしまして実施に持っていくということで、現在勉強中であるということでございます。 問題の自動車でございますけれども、先ほど申しましたように、自動車を第三次どうするか、第四次どうするかという関連においてまだ考えていないということでございまして、これからの業界整理の状況もよく見なければなりませんし、日米間の関係もいろいろ考えなければなりませんので、いま卒然として、大体こういう見当であるということまで申し上げるまでの段階に立ち至っていないわけでございます。
○田渕哲也君 現在自動車の国内メーカーの再編成も徐々に進みまして、日産とかトヨタ等の大手の生産規模もだいぶ拡大されてきております。現状の段階でこの自由化に対応する態勢としてはどう判断されますか。
○国務大臣(大平正芳君) いまいろいろ業務提携その他の方法で業界が整理されつつありますことは、私ども歓迎いたしております。自由化に対応いたしますためには、どこまでこの過程が進行してまいらなければならぬかという答案をいま持っているわけでは決してございませんが、日米間ばかりでなく、先進諸国との間のわが国の自動車工業とのいろいろな格差の存在を見てみますと、ただいままでの状態でいいとは決していえないわけでございまして、もう少し態勢の整理が進むことを期待いたしております。
○田渕哲也君 現在ではまだ不十分だというお話でありますけれども、それならば通産省としてどう指導されるおつもりですか。具体的に何か考えておられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 大体、私も就任して以来、申し上げておりますのは、大体非常に経済界が実力が大きくなってまいりましたし、エリートが多くおられるわけでございまして、原則として経済界の秩序づくり、体制づくりというようなものは、経済界の方々の創意、ごくふうでやっていただこうということを本体にいたしておるわけでございまして、問題は、しかし経済界だけでいけない、やれないもの、あるいは経済界のほうから私どもの意見を求められて、ひとつ相談に乗ってもらいたいと――まあきわめて通産省低姿勢でございますから、御相談があった場合に、ほんとうに実のある相談に乗ってあげようということでございまして、私どものほうから一つのブループリントを持ちまして、こういうフレームの中に君たち入らないかというような呼びかけをしようとは私は思っていないわけでございます。業界の主体的な条件がだんだん育成してまいり、私どものほうにいろいろ御相談もあり、私どもも気がついたことは申し上げますけれども、そういう自然な堅実な固まり方を見ながら体制の整備をやっていきますことが一番効率的でもあり、かつ健全でなかろうかと、そう考えております。
○田渕哲也君 次に、労働大臣にお伺いしたいのでありますけれども、労働大臣は就任後、経済の国際化の情勢に対応して労働外交の推進を強化する、こういうふうな方針を出しておられます。その具体的なあらわれとしましてさっそくILOのアジア会議において政労使三者構成のILO技術協力推進連絡会議、こういうものを持たれることになったわけでありますけれども、これは非常にけっこうなことだと思います。私は、わが国の産業民主主義の推進、それからもう一つは労使関係の近代化、さらにはこの労働大臣の方針である労働外交をより効果的に進めるためにも、先ほど通産大臣に申し上げましたわが国の国内産業の政策決定の場合の労働組合の参加が必要だというふうに主張しておるわけでありますけれども、これについて労働大臣の御意見というものをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(原健三郎君) 田渕さんにお答え申し上げます。 今後日本の産業がだんだん重要になって国際的にも発展してまいります。それで、国の経済政策であるとか重要産業政策の決定にあたって、その企画立案、実施等に関して労働組合の代表が参加し、意見を開陳する、そういうような方向は、私はきわめて望ましいことである、歓迎すべきことであると根本的に思っております。それで、だんだんそういう方向を進めていきたいと考えております。現に労働省におきましても、鉄鋼、造船、自動車、繊維等の産業別雇用会議に労働組合の代表の参画を願っております。また、さいぜん通産大臣からもお話がございましたが、日本でも非常に重要な会議である経済審議会あるいは物価安定推進会議というようなトップクラスの会議にも労働組合代表の参画を願っております。その他審議会、委員会、各省の関係等におきましても労働組合の代表の御参加を願っております、今後はこういう方針、こういう方向に向かって労働組合の代表の参画を求め、大いに意見をお聞き申し上げたい、こういう方針でいく決意であります。
○田渕哲也君 最近はわが国のこの労働運動自体も経済の変化の影響を受けて非常に変わりつつあります。といいますのは、やはり国際的な立場というものが非常に重視されるようになっている。これは一面から申しますと労働者の国際連帯という面がございます。それからもう一つは、国際連帯と反対のような感じですけれども、お互いに各国の労働者が自分の国の国民経済の利益になるようなナショナル・インタレストというものを中心にして動いておるという傾向も出てまいります。こういう影響を受けて、わが国の民間企業では、従来の階級闘争的な行き方というものが徐々に後退をして、その反面、産業民主主義を強力に要請する、そのために産業政策を重視する傾向に変わりつつあります。私は、これはこれからの経済社会の変化に対応する労働組合のあり方として当然の方向だと思うのでありますけれども、問題は、この政府の側において――もちろん経営者側においてもそうでありますけれども――こういう組合の動きに対応し得るような体制というものを早急につくっていただきたいということをお願いしたいと思います。 なお、重ねて労働大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、わが国の官公庁なり国営企業の場合、労働組合のこういう政策参加的な面はどうか。かなり労働組合の意見というものが尊重されて、こういう企業の運営なり、そういうものがされておるかどうかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。 官公庁等の労働運動等は、もちろん御承知のように一般民間とは異なっておりまして、いわゆる争議行為が禁止されておることは御承知のとおりであります。また、労務管理がルーズであるということなどの批判があることも御承知のとおりで、その点ははなはだ遺憾に存じております。いろいろな欠陥や未熟な点がございますが、大ざっぱに申し上げますならば、わが国の官公庁関係の労働組合の政治的色彩の強い指導原理とか労使の信頼感の不足などが最大の要因になっておるのではないかと考えます。そこで、官公庁部門における労使の相互関係、信頼の関係をもっと確立していくことがきわめて大切でございます。それから関係労働組合におかれましても、違法行為というようなこときは、やはり慎んでもらうことは当然のことでございまして、大いに自重を促したいところでございます。 なお、制度的なこまかいいろいろな改革もいたしたいと政府も思っておりますが、それについては現在公務員制度審議会で検討を願っておりますので、その結論ができましたときには、その労使関係等々、労働争議等についても善処いたしたい、改革もいたしたい、こう思っております。
○田渕哲也君 官公関係の労働組合、労使関係に非常に問題があるように言われましたけれども、私はその一つの要因として、政府の労働組合に対する考え方、労使関係に対する考え方の中に非常に保守的な非近代的な要素があるのではないか、一つは人事院裁定の実施を見ても、いまだかつて満足に実施されたことがない。あるいは当事者能力の問題でいつも交渉がこじれるという問題があります。こういう点についてどう考えておられるかお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(原健三郎君) 率直に申し上げまして、いままでの保守党政権においては、若干いまおっしゃられたような点がなきにしもあらずであると私は考えております。これから国際的にも日本の国が大いに経済的にも進出するし、国際協力もやるという時代ですから、さいぜんもおっしゃられたように、私は外交関係においても、単なる経済とか政府だけでなくして、労働外交を推進していきたい、こういうふうに思っておるし、本質的には、やはり政府及び与党におきましても、労働運動、労働政策をさらに推進することが大切であると思っております。御指摘のように人事院勧告を完全実施することは当然なことですが、私も就任してみて、人事院勧告があったのに、法律ではこれを完全実施することになっておるのに、長い間これを実施していないのにほんとうは驚いたようなことでございますが、今度はいよいよ実施することになっておりますから、ひとつ御安心のほどをお願い申し上げます。(「間違いないか」と呼ぶ者あり)近いうちにやりますが、四十四年度か四十五年度、この両年度うちにやることは間違いございません。これは公務員給与の関係閣僚会議において確認いたしておりますので、どうぞ御安心のほどを。
○田渕哲也君 人事院裁定を来年度において、四十四年度において完全実施されますか。
○国務大臣(原健三郎君) 四十四年度は、まだそのほんとうのところを申しますと人事院の勧告は出ておりませんので、この点が若干心配でありますが、 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 四十四年度にもしやらぬ場合におきましては四十五年度で、最終、おそくとも四十五年度で完全実施いたします。ですから両年度のうちに必ず完全実施いたしますから御期待のほどを。
○田渕哲也君 大蔵大臣の御意見いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十四年度は勧告を見ないと何とも申し上げられませんが、政府としては完全実施というか、五月実施を早く実現しようというので意見統一はしてあるのです。しかし、まあ金のかかることでございますので、国政全体の中のよくバランスを考えて結論を出そう、さようなことであります。それから四十四年度において五月実施ができないという際におきましては、四十五年度には何とか実現したいものだなあと考えております。
○田渕哲也君 あと時間がございませんので、運輸大臣並びに国鉄関係の方に簡単に御質問したいと思います。 この間、国鉄労働組合が値上げ反対のストライキをやりましたけれども、これは実際に国鉄を動かしておる働く者の意見として非常に重要ではないかと思いますが、この反対の根拠はどういうことですかお聞きしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 先般来、国鉄関係の組合の争議行為によりまして非常に国民に御迷惑をおかけしましたことをたいへん申しわけないことと思っております。 ただいまの御質問の点でございますが、組合が言っております運賃値上げの問題は、結局、物価に響くということと、それから運賃値上げしないで政府から金をもらえと、この二点に要約できるというふうに考えております。
○田渕哲也君 三月十一日の衆議院の運輸委員会で、石田総裁が、十年間に六万人の合理化の方針を出されました。これに対して労働組合の反発が予想されておりますけれども、国鉄当局としてはこれの実施の可能性について、見通しをお伺いしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) ただいま御審議願っております国鉄財政再建促進特別措置法案におきまして、十年間の財政再建の一つの目標を立てておりますが、その中で、いわゆる省力的な投資、機械化、近代化等を相当大幅に、大体七千億ぐらいの投資を考えております。そういたしますと、自然に省力と申しますか、人力が要らなくなる。これはもう国鉄といわず、すでに日本のほとんどあらゆる産業でやっておることでございまして、むしろ国鉄のやっておることがおそきに失するというふうに考えますが、こういった省力投資、機械化、近代化投資を行ないますと、おのずから十年間に六万人ぐらいの人間が出てくる、こういうことでございます。もう一方、別な立場から考えますと、最近の若年労働者の供給力の面から申しまして、国鉄の現在の減耗の数が大体一万から一万二千ございます。これを全部若年労働者で埋めるということはこれは不可能でございます、他産業との関係もございまして。したがいまして、今後の若年労働者の供給力も考えまして、おのずから、首を切らないで総人員が減るような施策を講ずるのが私どもの仕事だと思って、おおむね総裁の申しましたような数字でもって具体的に検討しております。
○田渕哲也君 労働組合の反対に対して、これを乗り切る自信があるかどうか。
○説明員(磯崎叡君) 労働組合と私どものほうといたしましては立場の違う場合もございますし、また、立場の同じ場合もございます。また、立場の違う場合にも、いろいろ違った政治的な立場等の問題もございまして、必ずしも一致しない場合がございますが、これをやはり企業経営として私どもと同じ意見に持っていくというふうに努力することが私どもの力かというふうに考えまして、全力をあげて組合を説得し、また組合を納得させるということに力を注ぐことが私のつとめだというふうに考えております。
○田渕哲也君 この合理化の問題でも、おそらく労働組合の反対でまたストライキ騒ぎが予想されるのでありますけれども、私は先ほどの運賃値上げの問題、またこの合理化の問題について、非常に割り切れない気持ちがするわけです。一つは、運賃値上げの場合は、労働組合は国民大衆の味方のような立場で反対をし、国鉄当局は国民の意見を無視して値上げを強行する、こういう態度でありますけれども、この合理化の問題は、おそらくこれはストライキになれば駅に張り紙がされて、当局は国民のために合理化に努力をしておるけれども組合が反対しておるんだ、迷惑だけれどもがまんしてくれと、こういう張り紙がされると思います。今回は、当局が国民の味方のようなかっこうをして、労働組合がその敵であるような側に回って、国民からするならば、これは非常に何か割り切れない、私も国鉄で通勤をしておりますけれども、乗っておるこの乗客の正直な声をお伝えしますと、結果としては、労使アベックで国民をごまかして、税金や運賃を取っておるにすぎないじゃないか、こういう声が出ておりますけれども、これに対する御見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問は、国民側の御意見として全く私は納得できる御質問でございまして、私どもも組合に対しましては、率直にそういった点を指摘いたしまして、現に運賃値上げ反対と叫びながら、運賃値上げ額よりも数倍するベースアップの金額を要求している、すなわち、運賃値上げでいま審議を願っているのが約九百億でございますが、現在国鉄労働組合から出ておりますベースアップの要求は実に千三百億でございます。そういうような矛盾等もございます。まさか千三百億全部国民の税金からくれということも、これはもう常識的でないこともわかっておりますので、そういった点を十分時間をかけ、説得いたしまして、やはり組合とともに手を携えて歩まない限り、やはり国鉄は再建できない、やはり国鉄再建のかぎは、ほんとうに労使が一体になって国鉄再建の重要性を認識して、ほんとうに前進するかどうかということが問題点だということを考えておるわけであります。
○田渕哲也君 私も労使の合意と協力がなければ再建はできないと思います。そこで、運賃値上げにしても、六万人の合理化についても、私は労使の合意というものがここにはないのじゃないか、まずこれを国鉄内部において労使の合意と協力体制をつくった上で国民に要求をすべきではないか、いまの段階では、国民にそれを要求すべき段階ではない、もう一度持ち帰ってもらったらどうかと思いますけれどもいかがですか。
○説明員(磯崎叡君) 実はたいへん申しわけないことでございますが、国鉄の財政状態は、その時日を待つことのひまのないほど逼迫いたしておりまして、もし四十四年度に仲裁裁定等が従来どおりに出ますと、完全に収支のバランスを失いまして、給料を払うために借金する、すなわち赤字借り入れをしなければならない事態に立ち至ります。そういたしますと、全くこれは経営といたしましては雪だるま式に悪化することは、これは火を見るよりも明らかでございます。現在いたしておる借金は、これは建設借金でございますが、今後、四十四年度からもししなければならないとすれば、新しい赤字借り入れをしなければならない。こういうふうになりますと、企業はやはり破局に歩んでいくということになりますので、どうしてもこの時期を待つことができないというのが現状でございます。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして田渕君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(塩見俊二君) 次に、川村清一君の質疑を行ないます。川村君。
○川村清一君 最初に建設大臣にお伺いします。新聞報道によりますれば、政府は各省連絡会議で、歯舞群島、色丹、国後、択捉島をわが国領土として、国土地理院発行の地図の上に明記することに決定したということでございますが、それは事実か、明らかにしていただきたい。
○国務大臣(坪川信三君) ただいまの御質問、そのとおりでございます。建設省の国土地理院刊行の地図には、従来から既存資料により、国後、択捉の島を載せておりますが、図かくの関係から択捉島全島を収録することができなかったものであります。これについては、近く同地図の改訂版刊行にあたって、収録形式を変えまして、同縮尺の択捉全島を載せることにいたしたような次第でございます。
○川村清一君 外務大臣にお尋ねしますが、千島列島は間違いなく日本の固有の領土でございます。そこでその意思を堂々と主張するために、千島列島全部をわが国の地図の上に明記すべきではないかと、私は思うのであります。そのことによって世論の盛り上がり、また外交交渉に非常に有利な条件を得ることができるのではないか、かように考えますが、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この件につきましては、先般の総括質疑のときにも、川村委員からいろいろと御高見を拝聴いたしまして、たいへん参考になりましたが、そのときも申し上げましたように、従来から政府の態度といたしましては、歯舞、色丹が北海道の島嶼であり、国後、択捉は何といっても固有の領土である。沿革的に申しましてもあるいはサンフランシスコ平和条約の締結のときの経緯に徴しましても、これは絶対にわがほうの主張が根拠が十分ある、こういうことで態度が明らかにされておりますことは、この前も申し上げましたとおりでございます。
○川村清一君 そのことにつきましてはいろいろ議論がありますが、それを議論しておってはまた時間が過ぎますので、またいずれかの機会に議論をすることにいたしまして、さらに建設大臣にお尋ねしますが、国土地理院の面積調べで公表される国後、択捉、歯舞、色丹のそれぞれの面積及び合計された面積は幾らか、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。 既存の資料によりますと、得撫島以北の諸島の面積は、約五千三百二十平方キロメートル、択捉、国後、色丹、歯舞の諸島の面積は合計で五千平方キロメートルでございます。両者合わせますと、約一万三百二十平方キロメートルになります。総計の面積は、山形県よりやや広く、また択捉、国後、色丹、歯舞の面積の計は、愛知県、千葉県の面積とほぼ匹敵いたしておると思います。
○川村清一君 さらに建設大臣にお尋ねしますが、この千島列島の総延長距離、つまり国後から占守島までの千島列島全部の長さはどのくらいありますか。
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。 国後から占守までの距離でございますが、国後島の南の端から占守島の北の端までの島沿い距離は約千百七十キロメートルで、本州の延長の約八割に当たるような次第であります。
○川村清一君 私が、建設大臣にこういう数字をお聞きしたのはどういうわけかと言いますと、これは閣僚に御認識をいただきたくて聞いたわけです。地図を見ても、この島の長さなんというのは、地図だけではわからないわけです。それで四つの島が返ってきますと、わが国の愛知県と同じ面積であるということで、それから国後の南の端から占守島までというと総延長はわが国の本州の八割であるということ、これくらい大きい島であるということをぜひ御認識いただいて、そうして北方領土返還のために、大いに馬力をかけていただきたいということを申し上げたくてあえてお聞きしたわけです。 次に、自治大臣にお尋ねします。国土地理院の面積調べが明らかになれば、当然の措置として竹島と同じようにここは普通交付税の積算の基礎になる、普通地方交付税の交付の対象となると思いますが、いかがでございます。
○国務大臣(野田武夫君) 従来、北方領土はいずれの市町村にも属しない、それから面積もわからない。したがって、通常の行政経路を要しないということで、今日まで普通交付税の対象としてはいなかったのですが、国土地理院の調査が済みまして、一応そういうことが調整できますれば、十分前向きに検討すべきことだと思います。
○川村清一君 十分検討するのじゃなく、私は竹島と同じように普通地方交付税の対象になるのではないかということをお聞きしている。竹島と違うなら違うと言ってください。
○国務大臣(野田武夫君) 大体調査が終わりまして、整理いたしますと、そういうような取り扱いをしたいと、こう思っております。
○川村清一君 総務長官にお尋ねいたします。北方領土問題対策協会の目的、組織、機構、業務内容について大要を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(床次徳二君) 北方領土問題対策協会につきましてお答え申し上げますが、おもな事務所は東京都におきます。現在札幌市に所在するところの北方協会の事務所は、新協会の従たる事務所として引き続き存置する予定であります。それから協会の役員は会長一人、副会長二人以内、理事九人以内及び監事二人以内として、そのうち常勤の職員は理事二人、監事一人であります。また事務局職員は東京に五人、札幌市に十四人、これは従来の北方協会の職員がおるわけであります。これを配置することにいたしております。なお会長の諮問機関といたしましては、三十人以内の評議員をもって組織する評議委員会を置きまして、協会の事務の運営に関する重要な事項を調査審議するのであります。なお協会の業務目的につきましては、第一に北方領土問題、その他北方地域に関する諸問題の解決の促進に資するため定期刊行物等の発行あるいは後援会、その他によりまして十分にいわゆる国民に対する北方領土問題の啓蒙宣伝を行ないたい、なお第二といたしまして、これらの問題に関する調査研究を行なう。第三といたしまして、北方地域の元住民に対し、必要な援護を行なうこと、第四といたしまして、現在北方協会が行なっておりまするところの北方地域旧漁業権者等に対するところの特別措置に関する法律に基づくところの貸し付け業務を行ないたいと思っているのであります。本年十月から、この協会を設置する予定でございまして、本年度予算といたしましては、千八百万円を準備している次第であります。
○川村清一君 従来の北方協会と今度設置される特殊法人北方領土問題対策協会との関係をもう少し具体的に説明していただきたい。
○国務大臣(床次徳二君) 北方協会との関係についてお答え申し上げますが、北方協会は、北方領土問題対策協会の成立のときにおきまして、手続的には一たん解散いたします。しかし、その一切の権利義務は新協会が承継することになりまして、これに伴いまして、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律、従来北方協会の基礎法でありましたが、この法律の一部を改正いたしまして、北方協会が貸し付けを受けたところの旧債権、これは十億円であります。これを引き続き新協会が引き受けまして、貸し付け業務を行なうために基金といたしまして使っていきたいと思います。なお、貸し付け業務にかかわるところの経理については、その他の業務にかかわる経理と一般のいわゆる北方領土問題対策協会の仕事とは区分してこれを行ないまして、これによって、現在北方協会が行なっておりますところの貸し付け業務は実質的には変更なしに、円満に新協会が引き継ぐ、かように考えております。先ほど申し上げました北海道におきまするところの事務所も、もっぱらさような意味におきまして活動いたし、いわゆる宣伝活動につきましては、東京の本部においてこれを行なうというふうに考えております。
○川村清一君 いずれ法案が審議されますので、その委員会でまた詳細御質問をすることにいたします。 次に、お尋ねしたいことは、北方協会というのは、御承知のように昭和三十六年交付国債十億で発足したものでありまして、その利子運用、六分の利率で六千万の利子をもって業務を運営してきておるわけでありますが、そして、交付国債は十年間の期限つき国債でございまして、したがって、四十六年にはこれが全額償還されることになるわけでありますが、その後一体どうなりますか。
○国務大臣(床次徳二君) 十億の国債が北方協会に貸し付けられまして、そしてその利子をもって、運用をしておったわけであります。大体六分の利率ですから六千万、運用費を除きまして三千五、六百万円が貸し付けに使われておったわけでありますが、お話のごとく四十六年には国債が償還になるわけでありまするが、現在の状態におきましては、この償還になりました時点において考慮いたしたいと思っておる次第であります。
○川村清一君 大蔵大臣にお尋ねいたしたいのですが、ただいま総務長官からお話がございましたように、大体六千万円の利子運用でございますが、大体人件費、その他、事務費で三千万円近く費用がかかりまして、事業費については三千万円程度しか回っておらない。したがって、今日までの経過の中で、一億円が繰り上げ償還されているわけです。そこで、現在事業費一億二、三千万円で運用していっているということでございますが、この一億円が、これが買い戻しになるというと、資金は非常に逼迫してくるわけです。これらについて、さらにまた新しくこういうような特殊法人ができたのですから、もっと事業を拡大するためには、何らかの措置が必要ではないかと思いますが、大蔵大臣としてはどういうような御見解でございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 十年目の、四十六年度になりますと十年目の期限がくるわけでございます。その際償還をいたしますか、あるいは借りかえをいたしますか、あるいは額をどうしますか、その時点で考えてみると、こういうような政府部内の打ち合わせをいたしておるわけなんです。とりあえず四十四年度におきましては、そういう旧漁民に対する救済措置というか、そのほかに北方問題を啓蒙宣伝をしよう、こういうようなことで一千八百六十三万円という予算を計上いたしまして、そういう方面にまた努力の方向を向けていく、こういうふうにいたしたわけでございます。
○川村清一君 法務大臣にお尋ねします。北方地域の引き揚げ者の中で、本籍を、北方地域に現在原籍を置いている者、さらにこちらへ移した者であっても、この際領土返還されるならばといったようなことで、北方地域に再び本籍を移したい、こういう希望者があるわけでございます。沖繩、小笠原と同様の措置をしてもらいたい、こういう希望がございますが、法務省としては、どういう御見解をお持ちですか。
○国務大臣(西郷吉之助君) 元いわゆる北方領土に居住しておりました者が、戦後御承知のとおり本土に引き揚げまして、適当な市町村に本籍を移しておる人が多いようでございますが、いまお尋ねのように、返還されまして、再びそれらの人が島に帰ることを希望いたしますれば、再び転籍することはきわめて可能でございます。
○川村清一君 重ねてお尋ねしますが、そうしますと、その希望者は移すことが可能であるならば、そういう事務はどこでおとりになりますか。そういう事務所を北海道のどこかに置かれる考えですか。
○国務大臣(西郷吉之助君) お答えいたします。 いま北方領土におきまして戸籍を持った人が現在大体引き揚げて本土に本籍を移しておるわけでございます。その戸籍の問題は、現在すでに占領されておりますから、登記事務をやることはできませんけれども、戸籍の原本は現在釧路法務局の根室支局において原本を保管しておりますから、返還された場合には、原本によりまして再び島に転籍することはきわめて現実的で可能でございます。
○川村清一君 まだ移さないで向こうに原籍のある人もあるのです。
○国務大臣(西郷吉之助君) 島にですか。
○川村清一君 ええ。島に原籍のある人。
○国務大臣(西郷吉之助君) お答えいたしますが、大体の人は、本土におきます市町村の適当なところに転籍なり就籍をしておりまして、現実的には戸籍の問題では不都合がないのでございます。
○川村清一君 重ねて法務大臣にお尋ねしますが、不動産登記事務を再開すべきではないか。ということは、いま領土権はございませんけれども、残置財産があるわけですね。戦後二十三年たって、所有者ですでに死亡した人がたくさんある。実質的に移動しているわけですね。したがって、不動産の確認、相続、こういうふうなことが必要ではないかと思うのですが、これに対してどういうお考えですか。
○国務大臣(西郷吉之助君) 北方領土におきます不動産の問題でございますが、戦争前は、これらの問題は根室の裁判所で取り扱っておりました。しかし、御承知のとおり現在は占領中で、一般の登記事務もできません。さらに登記簿によりますところの謄本とか抄本の発行もいたしておりません。しかし、旧島民の利便を考えまして、便法といたしまして、現在では登記簿に記載されておりました記載内容の証明書を出しましたり、登記簿の閲覧等をさせているわけでございます。 相続の問題でございますが、相続関係の問題は、御承知のとおり、相続の手続をいたしておりませんでもその権利を失うものではございませんから、返還されましたときに相続法に基づいてやることはきわめて可能でございます。
○川村清一君 漁業問題についていろいろお尋ねしたいと思います。 まず第一にお尋ねいたしますことは、ソ連は昨年十二月から千島海域で軍事訓練を行なっております。一回の訓練が大体十日間から二十日間程度の訓練を、多少場所を変えながら断続的に行なっております。今月は一日から十四日までの訓練、これは五回目の訓練でありますが、今日まで延べ日数は六十日以上訓練をやっておるということを聞いております。で、このたびの場合は、南千島、択捉の南西海域、この場所はもちろん公海ではあります。しかし、わが国の沖合い底びき漁業あるいはタラはえなわ漁業の漁場であって、大体百隻からの漁船が操業しているところでございます。しかも、現在はタラ漁業の最盛漁期であるにもかかわらず出漁ができず、ばく大な損害をこうむっておるわけであります。中には、もうがまんができないということで、強行出漁しておる漁船もあると聞いておるわけであります。これらの問題につきましては、それぞれの役所でも詳細御承知だと思いますから、外務省、農林省、海上保安庁はいかなる処置を今日までとられてきたか、そうして現在の状況はどうであるかということを、ひとつ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) お説のようにソ連が南千島、択捉島沖合いの水域で、 〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 三月の一日から十四日までの間の毎日十一時から十五時までの間に、爆弾投下等の実験実施が行なわれており、一時的に危険であると通報した場合には、これら水域を航行中である船舶は直ちに立ちのくようにと、ウラジオストック放送によって二月二十八日警告がありました。農林省といたしましては、直ちにこれら水域がスケソウダラを対象とするわが国の重要な底びき漁場でもでございますので、しかも現在最盛期に当っておる。こういうときでございますから、外務省を通じまして、ソ連に対し、公海における爆弾投下等については相当事前に予告すること、及び今回の実験はぜひ中止していただきたい、このような申し入れを行なったのでございます。また、北海道及び関係漁業組合を通じまして、関係漁業者に対しましてソ連の爆弾投下等についての通報をするとともに、安全操業について万全を期してもらいたいというような指導をいたしております。なお、現在までのところ、実験実施期間中、わが国漁船がその水域で操業した事実はまだ確認はされておりませんけれども、外務省を通じまして、この点についてはソ連側に厳重にこの点を申し込んであることを御了承願いたいと存じます。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま農林大臣からお答えいたしましたとおりでございますが、昨年末から最近までの状況を申し上げますと、まず、昨年十二月三日にこの種の御報告がございまして、これに対しましての対ソ申し入れば、十二月六日に行なっております。それから一月十三日にはソ連側の発表がありましたので、直ちに同日対ソ申し入れをいたしました。それからその次は、ソ連の発表が二月三日でございました。二月四日に申し入れをいたしました。それから三月一日から三月十四日までの分については、二月二十八日にソ連側からの発表がわかりましたので、やはり同日対ソ申し入れをいたしておるわけでございまして、常にすみやかにわがほうの態度を明らかにして、ソ連の反省を求めているわけでございます。 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
○国務大臣(原田憲君) ただいま農林大臣、外務大臣からお答えがございましたが、北方海域におきましてソ連の演習が行なわれることを、海上保安庁の通信所が受信した場合には直ちに水路通報、航行警報及びラジオ放送等を通じまして関係者に周知をはかり、注意を喚起するとともに、外務省、通産省に通知をいたしております。また現地の保安部は、関係漁業協同組合及び出漁漁船に周知徹底をはかっておりますほか、北方哨戒中の巡視船も、出漁船に対し注意を喚起するようにいたしております。なお、これまで演習海域において事故の発生は見ておりません。
○川村清一君 外務大臣にお尋ねいたしますが、外交ルートを通じてソ連から通報があるのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 外交ルートというよりは、ただいま運輸大臣からもお答えがございましたが、水路部その他からの連絡を受けることが早い場合もございます。そういう情報をキャッチしますと、直ちにこちらは外交ルートを通して申し上げます。こういうことにいたしております。
○川村清一君 公海でございますから、演習するのも自由でございましょうけれども、こちらも公海の自由の漁業があるわけでありまして、それで沿岸の漁民にとっては大事な漁業ですね、そこで一方的に演習をやる、そしてただ通報をするということは、一体国際関係上これはどういうのですか、それは普通なのですか、そういうやり方は。
○国務大臣(愛知揆一君) まあこれはたいへん、先ほど来申しておりますように、わが方としても憂慮にたえないところでございまして、ソ連としては、いままでのところが公海におけることであるし、魚族の資源保護その他には影響のないことだ、というようなことを根拠にしておるのでございまして、そういう態度に対しまして、こちらとしては事理を尽くして申し入れをしておって、異例なことであろうかと私は考えております。
○川村清一君 昨年、日本海であの例のプエブロ事件のときに、アメリカの演習がありまして、日本政府は相当強硬な申し入れといいますか、抗議をしたと聞いておるのですが、ソ連に対してはそういう抗議をするというお考えはございませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはこちらからの申し入れというのは、実際上は実験停止の申し入れを含んでおるのでございます。非常に強硬に申し入れておるわけであります。
○川村清一君 最近、北海道の太平洋沿岸にソ連の漁船団が仮泊あるいはソ連の底びき操業によって沿岸の零細漁民のタコなわ、刺し網等の漁具が切断される等の被害を受けておりますが、これらの点についてもそれぞれ関係役所のほうに連絡があったと思うのですが、そこで外務省、農林省、保安庁の措置をお聞きいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) 昨年の十月及び十一月北海道日高沖海域において、現地報告によるとソ連漁船の操業また仮泊、それによってわが国の沿岸漁業のために、いまお説のようにタコ及びカニかご漁業、こういうのがたいへん被害を生じたのでございまして、また、本年の二月下旬ごろ北海道の襟裳岬沖合いにおいてソ連底びき船の操業による沿岸スケソウ刺し網の被害が生じたことが現地関係業者からの報告がございまして、今後このような事態が再発することがないように北海道庁とも十分連絡をとり、さらに関係の沿岸海域における漁具の設置、その他の操業の実態等を調査しまして、外務当局と一そう協議の上、対処してまいりたいということで、いろいろ調査を過日来やっておるわけでございます。もっと具体的に言うと、本件のような外国漁船等による漁具被害を受けることのないよう、領海外の漁具を設置する場合には外国漁船等が航行する、操業等を行なう場合においても、十分確認ができるような標識を漁具とあわせて設置するように、関係漁業者に対しても北海道庁を通じていろいろこの点を指導しているのでございますけれども、何か標識をつけること、そうしてそういうような点をいささかでもやめさせることはできないかと、こういうようなことで道庁を通じましてこの指導に当たっておるというようなところが現在でございます。
○国務大臣(原田憲君) 昭和四十四年一月一日から三月二十一日まで日本近海ソ連漁船操業視認状況を申し上げます。 北海道南岸で三件五隻、三陸沖で五件五隻、銚子沖十件二十二隻、伊豆銭州付近三十三件九十八隻、計五十一件百三十隻、これはこういう状況でございますが、海上保安庁の巡視船が視認したものもございます。わが国の領海に侵入したという報告は受けておりませんが、海上保安庁といたしましては、関係方面へ通知するとともに、領海侵犯のないように警戒怠りなく見ておると、こういう状況でございます。
○国務大臣(愛知揆一君) 両大臣からお答えがございましたとおりなんでありますが、外務省といたしましても、関係当局と十分緊密に連絡をとりまして、いまもお話がございましたが、ソ連漁船の近海における操業については、一般的に移動がはなはだしいようでございますので、操業の水域、それから操業の対象の魚種、操業の規模といったようないままでの実態、これを掌握しておくことが対ソ交渉上も非常に根拠になりますことで、関係省庁とも今後とも十分緊密に連絡をとりまして、対策に遺憾なきを期したいと思っております。
○川村清一君 農林大臣は漁業のことにはたいへん詳しいそうでございますけれども、いま網やなわに標識をつけると言いますが、標識をつけない網やなわはないんですね。刺し網でもタコなわでも、標識をつけないでおいたら、自分の網がどこにあるかわからなくなる、それは標識をちゃんとつけております。
○国務大臣(長谷川四郎君) 標識はもちろんついておりますけれども、今度わかりやすく、もっとはっきりしたものが、遠くから確認ができるような方法を、つけてもらう方法はないかと、こういうような点を検討してもらっておるわけでございます。
○川村清一君 今年の一月初旬以来、強力なソ連のサバ漁船団が千葉県の銚子沖漁場及び伊豆の銭州沖漁場に出漁し、わが国沿岸漁民の生産と生活に重大な脅威を与えているが、これに対して大体、外務大臣、運輸大臣からお話があったようでございますが、農林大臣、それからなおつけ加えることがあれば外務大臣、運輸大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) この問題は、本年の初頭以来、ソ連の漁船が銚子沖、あるいは伊豆諸島近海まで進出をいたしまして、サバのまき網をやっておった、こういうような点につきまして、外務省を通じましてわがほうから厳重に申し入れをいたしまして、わがほうといたしましてはサバの資源を保護する関係上、この措置は何としても認めるわけにはいかぬ、いかに公海たりとも認めるわけにはいかぬというような点について、外務省にお話を申し上げまして、外務省から厳重にソ連と交渉をしていただきました結果、ソ連側からこのような返信が来ておるのであります。ソ連はサバの商業的漁獲は行なっておらず、今回の操業はサバの科学的研究と試験的漁獲を行なったものであり、商業的漁獲については近く開催予定の日ソ漁業委員会で検討をする用意がある、このような回答がまいったのでございまして、しかし何と申し上げましても、私どもは、わがほうのマサバの主要産卵場であり、たとえ試験的漁獲であってもまき網による操業は、資源保護という観点、及びまた特にあの地区にはそういうような観点から一本釣りの操業をやらしておる、こういうようなところでもございます。そういうような点から考えまして、今後ソ連側からたとえば申し入れがあることでありましょうけれども、日ソ漁業委員会開催の機会をとらえて、ソ連側の操業実態の把握につとめていきたい、さらに専門家による討議を行なって所要の措置を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(原田憲君) 私どもは先ほど現状を申し上げたとおりでございまして、その後も厳重に哨戒をやっておりまして、特につけ加えることはございません。
○国務大臣(愛知揆一君) いま農林大臣から御答弁がありましたが、日ソ漁業委員会をなるべくすみやかに東京で開きたい、これは来月早々と一応心組んでいるわけでございます。
○川村清一君 いろいろ意見も申し上げ議論もしたいんですが、こっちがしゃべると時間がなくなりますので、こちらのほうは意見を申し上げませんが、こういったような状況から、ソ連の漁船団が近年わが国の近海にどんどん進出をして漁民に脅威を与えているということから、沿岸漁民は領海の幅を拡げるか、あるいは漁業専管水域を設定してくれということを強く要望しておるわけであります。また、国会でもわれわれは強く主張したこともあるわけでございますが、政府はいまだにその方針をきめずに現在に至っておるわけであります。一体その理由は何か、ひとつ外務大臣、農林大臣からお考えをこの際明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) お説のように、幾多の漁業組合あるいはそれに関連する方々、特に国会の議員の方々から非常に強くその問題について要求があるわけでございます。しかしわがほうは三海里というまでが領海である、これより認めておらぬというように、国際法上有効でないという、こういう立場をとっておるのでございますから、そういうような上に立って他の国々が十二海里と言っても認められないんだ、こういうようなことを言っております。でありますが、ただ、漁業水域の設定については従来とってきたそのような考え方もありますし、わが国の立場、また今後の問題等もありますし、沿岸漁業を行なっておる方々の考え方、また遠洋漁業を含むわが国漁業全体への波及の問題もございます。御承知のようにわが国は他国にまれに見る遠洋漁業の進出をしております。こういうような関係も十分考慮に入れなければならない問題の一つだろうと考えるのでありまして、近年漁業水域を設定する国が増加してきていることは、御承知のとおりでございます。また最近わが国の近海において、外国漁船の操業が先ほどのように目立ってきておる、こういうような点から考えましても、諸外国の動向をも十分勘案をしつつ今後わがほうの主張も、ただ、いままでは主張であったけれども、真剣にこれらの問題と取り組まなければならないだろう、こういうふうに考えておるのでございます。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題については、しばしば御論議のあるところでございまするが、いま長谷川農林大臣から御答弁がございましたように、この領海の問題は、結局世界的にというか、国際的な原則というものが確立されることが必要でございまして、一国だけがこれを宣言し、主張してみましても、それだけでは効果がない。それから従来から日本としては三海里説というのが、国際的に確立された唯一の原則であるということを踏んまえて、二国間交渉その他についてもずうっとやってまいりました。現に、ただいまも日本とオーストラリアの漁業問題についての条約について御承認を求める案件を審議していただいておるわけでございますが、そういう点も勘考していかなければならないと思います。 それからもう一つ、そういうことを申しますのは、いま農林大臣からもお話がございましたが、わが国がまれにみる遠洋漁業の国である。こちらから出かけていくものも非常に多いわけでございますから、その辺のところも十分かみ分けて処理していかなければならない。いろいろの検討はいたしておりますけれども、ただ単に一方的に宣言をしたり、態度をきめるというだけのことでは十分の効果がないという性質の問題でございますだけに、事情を十分洞察して、検討いたしたいと考えておるわけでございます。
○川村清一君 その御説明じゃどうも納得できないんですが、もちろん国際的に領海の幅を幾らにするということは、一九六〇年の海洋法会議で決定されなかったんですからあれですけれども、現在漁業専管水域を設置しないで全く三海里という国は世界に十一カ国しかない。日本を入れて十一カ国しかないんですね。こういう点は一体どういうのか。それから、領海の幅を広げる、漁業専管水域を設けることによって損をする、いわゆる利害得失の点から考えて損をするのはどういうような人たちが損をするんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、関係国との間にはそれぞれ話し合いまして、専管水域を設定しているところもございますし、またそうでないところもございますので、これは総合的にやはり利害得失を十分検討しなければならないと考えております。
○川村清一君 認めてないといいましても、事実日本とアメリカ、日本とオーストラリア、日本とニュージーランドとか二国間協定を結んでいるでしょう。インドネシアとも二国間協定を結んでいるでしょう。二国間協定を結んでいるということは、日本は認めているということになるんじゃないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) でございますから、二国間協定などの現状、こういうもので一つの国際的な、何と申しますか、慣行というものができ上がっていくということになる、かように考えてしかるべきじゃないかと思います。先ほどお話のございました一九六〇年の海洋法会議というようなものも一つの考え方じゃないかと私は思いますけれども、これはいろいろ微妙な関係もございまして、日本が水産国として世界にまれな国でございますだけに、ただ単に、現在、日本の権益としてそれがしかるべきであるからといって、わがほうはこうだと旗をあげてみるだけでは私は成果があがらない。いま少し情勢を検討さしていただく時日の余裕を与えていただきたいと思います。
○川村清一君 外務大臣、領海という概念はもともと国防上の見地から出てきておるんですが、三海里という領海の概念で一体、日本の国防上の問題はありませんか。領空の問題は問題ございませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点を私いま申し上げたわけではございませんで、もっぱら日本としては平和的な水産国であるという観点から考えていってしかるべきではないかと思います。
○川村清一君 農林大臣、専管水域はない、領海は三海里ということで非常に困っているのは沿岸の零細漁民ですね。いままではそういうことはなかった。ソ連の漁船、あるいは韓国の漁船がわが近海に近づいてきて困っているのは沿岸の零細漁民です。それで、領海の幅を広げ、漁業専管水域を設けることによって困るのはどういう人が困るのですか、農林大臣はっきり言ってください。
○国務大臣(愛知揆一君) もう私が申し上げるまでもなく、沿岸漁民が一番これには苦しい思いをするだろうということは、もう議論の余地のないところでございます。しかし、反面、ずっといままでわが国のこれまでの漁業が国外的に発展してきたというその背景というものも無視することはできないし、さらにわれわれは、先ほど外務大臣おっしゃったように、わがほうは他国の十二海里専管水域は認めないのだ、領海とは三海里であるというような主張をいまでもしておるというような点でございます。しかし、前に申し上げましたように、このまま推移していくということになりますると、川村さんがおっしゃったように、他国から常に漁業者が脅威をみなければならぬというような点が、このごろは特にもうはっきりとできておりますので、いままでの主張は主張とし、わが国はわが国としての立場は立場であっても、こういう点をいかにして今後の漁業の安全性というか、漁獲、沿岸漁業を対策として考えなければならないかという問題が並行して起こってきなければならぬ。したがって、先ほど申し上げたように、こういう点については、今後の問題ではあるけれども、前向きに十分検討しなければならない問題である。このように考えておるわけでございます。
○川村清一君 さっぱりお答えいただけないのですが、海外において合併会社をやっておる大手漁業会社は、海外に合弁会社どのくらいありますか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 水産庁長官からお答えいたします。
○政府委員(森本修君) 水産に関しまする海外の合弁事業は昭和二十八年から始まりまして、現在では投資件数が四十二件ということになっております。投下資本額の総額が約三十億円。対象国は二十八カ国という状況でございます。
○羽生三七君 ちょっと関連して。領海の問題ですが、ちょっと戻りますけれども、純然たる漁業問題で三海里説がいいか悪いか、その他の問題全部含めて前向きに検討されるということは、たとえば十二海里とかいう、まあ十二海里になるかどうかわかりませんが、三海里をもっと幅を広げる方向で検討されることを前向きと言われておるのか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) もうわが国の沿岸漁業は、皆無と言っては何でございますけれども、ほとんどかつてのような漁獲を見ることができませんので、どうしてもつくる魚――もう魚をどうしてもつくっていかなければならぬ。そういうような点で、いま、現在の農林省の方針としては、魚をつくりつつそして既成事実の上に立ってその保護水域というものを決定していきたい、こういうような基本的な考え方があるわけでございます。でありまするから、本年は特にその漁業基盤というものを確立しなければならぬ。こういうような面に立って、予算も十分と言うわけにはいきませんけれども、その第一歩を踏み出さなければならない、こういうのが中にあるわけでございます。先ほど申し上げたように、であるからこういうことをやっておるんだ、わが国の沿岸はかくのごときことをやっておる、魚をつくっておる、そういう事実の上に立ってこれらの問題の解決に前向きに当たってみたいという基礎を置いておるわけでございます。
○羽生三七君 領海の幅を広げるかどうかということです。
○国務大臣(長谷川四郎君) ですから、ここで十二海里にいたしますということは、私がかってに申し上げるわけにはまいりません。これは政府内で十分検討いたし、その上でなければ申し上げられませんので、ただ、そういうような事実の上に――つくって資源を保護するという、こういうように、魚は自分の国で自分でつくっているのだという、そういう事実の上に立って水域の決定に当たっていきたいといいましょうか、拡張する水域の確定に当たっていきたい、こういうふうな考え方でございます。
○川村清一君 一九六〇年の第二回国連の海洋法会議のときに、米加二国の共同提案の、領海六海里、その外側に漁業専管水域六海里のこの案に日本は賛成したんですよ。ですから、日本はそういう考え方を当時持っておったんです、賛成したということは、なぜそれ、また後退しているのか。いま三海里だけの国は世界に十一しかないんですよ、日本を含めて。それからもう大資本も海外に合弁会社を持っているのですから、専管水域設定するのに対して大資本のほうもそう反対していないんですよ。農林大臣、御見解をはっきり言ってください。
○国務大臣(長谷川四郎君) 十分川村さんの御意見を尊重しながら検討を加えてまいる所存でございます。
○川村清一君 外務大臣、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど私も申しましたように、一九六〇年の米加両方の提案、つまり六海里、六海里、領海六海里、専管水域六海里という提案に日本が賛成したことは事実でございますが、先ほど申しましたように、こういうことはやはりあの会議においてもそうですが、もっと多くの国々があの決議案について採択に至らなかったわけですから、全世界的にこういうことがきめられるということが私は一番望ましいことだと思っているわけでございます。 それから同時に、考え方としてもう一つの考え方は、海洋自由の原則というものもまたこれは一つの考え方ではないかと思います。その間の調整をはかるということが基本的な私は問題ではないかと思います。先ほど申しましたように、一九六〇年のあの経緯というものも一つの大きな参考になる、こういうふうに私は言ったつもりでございます。
○川村清一君 外務大臣、私は昨年十一月、北海道の太平洋岸でソ連の船団を見たんです。話をしていると時間がかかるから言いませんけれども、一万トンから七、八千トンの船を五、六ぱい、それから小さな独航船を入れて五、六十隻の船がすぐそこにいるんですよ。これは領海の外ですよ。領海三海里というのは、御承知でしよう、五千四百メーターですよ。あの上で、母船が横切ったら、すぐそこですよ。そこに何十隻のソ連の船団がいるんですよ。このことは、一体、それを見た日本人として、民族的な感情としてこれはぼくは非常に情けなく腹が立ったのだが、こういう点、政府は考えられませんか。この三海里といったら五千四百メーターですよ。いままで外国の船なんというものは来たことがないんだ、いま来ているんですよ、すぐそばですよ。
○国務大臣(愛知揆一君) ソ連船の動向については、先ほどお話し申し上げましたように、一方、このいまの領海の問題から離れるかもしれませんが、実態を十分捕捉することが何よりも必要だと考えております。
○川村清一君 それでは、海洋法に関する条約が四つありますが、二つは日本も加盟しておりますが、三番目の、漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約、これに日本も加盟して、そうしてソ連のいま公海におけるいろいろなサバ操業やサンマ操業に対して資源保持の立場からいろいろソ連と話し合うことが必要だと思いますが、それに対してどう思いますか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘の四条約のうちでございますが、この条約は、沿岸国が領海に隣接する公海における生物資源の保存、これについて関係国の合意が成立しない場合に一方的処置をとり得ることを規定したものであるというように承っております。しかしながら、隣接する公海の範囲、沿岸国のとり得る措置、こういう内容については条約上不明確であって、沿岸国がこれを恣意的に適用することによって公海漁業の自由が無制限に侵されるおそれがある、こういうような観点に立って、わが国としては加入については各国の動向を見守りつつ慎重に対処すべきである、こういうように伺っております。現在そのような考え方を持っておるということを申し上げておきます。
○川村清一君 農林大臣のそういう考えだから――日本の漁業というものは、もちろん、いままでは世界中に雄飛をしておったのです。しかし、世界中至るところで締め出しを食ったのはそういう考えがあるからですよ。公海自由の操業を規制を受ける、制限されるなんという、そういう考え方――過去の日本はそれをやってきたのですよ。いま海の資源というものは、これはもう人類の資源ですよ。みんな大事にしなければならないんですよ。保持しなければならないんですよ。保持するための条約がこの条約なんですよ。ですから、ソ連が日本の近海へ来て、公海であっても日本の漁民にとっては大事な資源なんだ、それを大事に保持しなければならないという立場からソ連にいろいろと話をすべきじゃないかということを私は申し上げておるのですよ。
○国務大臣(長谷川四郎君) お説のような点は私ももう賛成でございますし、したがって、今後の日本の沿岸漁業、遠洋漁業等に関しましても、さらに大きく検討を加えなければならない時期に来ておるということだけは川村さんと意見は同一でございます。しかし、こういうような問題は、ただ単に時期に来たからすぐにこれを行なえという問題でないものですから、主張は主張としてはおりますけれども、まず政府部内のいろいろの問題、それを考えなければならぬ、対、これと合わせた国際的な面もあわせ考え、その上において慎重かつなるべく早目にこれらの解決の方法を前向きで進めておると、先ほど申し上げたとおりでございます。
○川村清一君 伊豆の銭州島沖の漁場などは、サバの産卵場ですよ。日本の漁民が網でとってはいかぬと、一本釣りだと調整をしておるわけですよ。それをソ連の船が巻き網で一網打尽にとらえたりして、一体どういうことになるんですか。そんなのんきなことを言っていていいんですか。もう一度言ってください。
○国務大臣(長谷川四郎君) もうそのお説の伊豆沖の問題は、私のほうからも外務省のほうへも再三お願いをいたしまして、外務省のほうもこれらと真剣に取り組んで、ソ連との交渉に当たっておられた結果でありまして、近く会議も開かれることでございまして、これらにつきましては、その中の議題にはいたしませんけれども、これらについては十分話し合うつもりでございます。
○委員長(塩見俊二君) 川村君の質疑の途中でございますが、残余の質疑は次回に行なうことといたします。 次回は、明後二十四日午後一時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十九分散会