予算委員会 第15号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/03/19
会議録
○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。 以上三案を一括して議題といたします。 十五日に引き続きまして野上元君の一般質疑を行なうのでございまするが、この際、愛知外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。愛知外務大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) 問題となりました三月十一日の新聞記事は、三月十日の牛場外務次官の定例記者会見の際の発言に関するものであります。右会見の席上、同日、参議院予算委員会での総理の答弁について質問を受けたのに対し、牛場次官は、自分の知る限り、アジアでB52が核を搭載してパトロールしている事実はなく、ポラリス潜水艦についても米国が過去において日本に寄港を求めてきたことはないし、今後も要求してくることはあるまいとの趣旨を述べ、米国は沖繩に戦略核兵器を置く必要はないと言っているという点は、次官が非公式に雑談的に、種々の機会に米側と接触したところについて次官の印象を述べたものであります。 以上のとおり、牛場次官の発言は定例の記者会見においてなされたものでありますが、特に新しい事実を述べたものではなく、米国政府の公式的立場を述べたり、日本政府の見解を正式に発表したという性質のものではございません。 次に、私から申し上げたいと思いますが、この種の重大な問題について事務当局等からの発言が報道され、誤解を招くことがありましたことは遺憾でございます。今後このようなことが行なわれませんよう、外務大臣の責任において厳重注意してまいります。 次に、過日の石原慎太郎君の質疑に対する私の答弁中、法律論のゼミナール云々と申しましたくだりは、取り消させていただきます。
○委員長(塩見俊二君) 野上元君。
○野上元君 この際、外相に要望しておきたいと思うのですが、いまの問題については、理事会の決定もありますし、外相の御答弁で一応私も了解をいたします。ただ、私が問題にしたいのは、こういう記事が出たのは十一日です。そして、私の質問が十五日です。したがって、その間に五日間の余裕があったわけなんですね。これについて外務省が全然コメントもしないし、反応も見せないということについては、私は不勉強のそしりは免れないと思うのです、こんな重大な記事について。その点についてもう一度外相に、今後の所見について御答弁願っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま仰せのくだりは私も全く御同感で、怠慢のそしりを免れないと思います。以後厳重に注意いたしたいと思います。
○野上元君 これも同じ牛場次官の発言を取り上げて恐縮なんですが、実はこれもまた今後の交渉の一つのポイントになると思うので特に取り上げたいと思いますが、その記者会見の席上において牛場次官は、メースBは核戦術兵器であると、こういうふうに発表しておりますが、防衛庁長官は、その委員会の中の答弁において、攻撃的な面も持っておるので、これは戦略核兵器と言えるだろう、こういうふうに答弁されておりますが、防衛庁としてはどういうようにお感じになりますか。
○国務大臣(有田喜一君) たしかこの席で、前川さんの質問だったと思いますが、そのとき私が申したのは、アメリカの核の問題は日本政府としてはつまびらかでない。しかし、まあいろいろと資料を総合すればという前提に立ちまして、そしてメースBの話をしたのですが、私はそのときに申したのは、メースBはアメリカではいわゆる戦略核でなくて戦術核の系列に入れておりますと。しかし、何といっても射程距離が二千二百キロもあるから、沖繩というものを中心として考えたときには相当相手を抑止する力があるから、まあいわば準戦略核とでもいえましょうかと、こういうような話をしたわけです。私は別に牛場次官の——アメリカから見たことは牛場次官の言うとおりで、私が申しておるのは準ということを申したのでありまして、しいていえば準戦略、こういうことをにおわせておるつもりでありますので、御了承願いたいと思います。
○野上元君 私にもそれはよくわかりません、専門家じゃありませんから。ただ、問題は、同じ政府の中で、外務次官は戦術核兵器だと言っておる、あなたのほうは準戦略核兵器だと言っておる。こういうふうに政府の中に統一見解がない。したがって、こういう問題については一体だれがきめるのか、政府の中で。そのことを聞いておきたいのです。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言いましたように、牛場次官がかりに戦術核と言っておりましても、これはアメリカサイドから見た見解だと思うのです。私の発言も、アメリカでは戦術核に入れておりますがということで、そうして実質的には二千二百キロの射程があれば、まあ準戦略とも言えましょうかと、こういうことでありまして、別に二人の口が違っておるというわけでもありません。ことに、何といってもこれはアメリカの兵器の問題ですから、これを日本政府がだれが統一見解を持つのかと言われましても、これはちょっと私たちもそういうことは困るのであって、アメリカの個々の資料から見ればこういうことだということを言っておるだけでありまして、別に日本政府がこれをこうだという統一見解ということは、ちょっと外国の兵器に対して言うことはいかがなものであろうかと、かように私は思っております。
○野上元君 それは重大問題ですよ。これはね、アメリカサイドから見た兵器の種類じゃないのですよ。この問題に関する限りですね、これは牛場次官の発言なんです。新聞記者が、メースBは戦略か戦術か、こう聞いたところが、それは戦術核兵器であると、こういうふうに答弁しておるのですよ。アメリカサイドからじゃなくて、日本の政府の外務次官がこう考えるのだ、こう言っているのですよ。こういう問題については外務省がこういう見解を発表するのが適当なのか、防衛庁がやるべきなのか、あるいはどこがやるべきなのか。その点を私は聞いているのです。
○国務大臣(愛知揆一君) 牛場次官の発言については、先ほど申し上げたとおりでございますが、いまの点も牛場次官の発言と言われるものについてのお尋ねですから、私から便宜お答えいたしますが、B52は戦略核か戦術核かということをたたみかけて問われたのに対しまして、それは戦術核だろうということを答えたというのが真相のようで、ただいま有田長官から御答弁がございましたように、アメリカのある軍令によればそういうことになっているということを答えたのが実情でございます。
○野上元君 このことについても外相に要望しておきたいのですが、これは非常に混乱するのですね。私どもも混乱するし、国民も混乱する。政府はメースBの定義についても、政府は統一した見解を持っていない。そして対米交渉に当たろうとする。それはちょっと国民から見ても不安だと思うのですね。したがって、かりに問い詰められてもですよ、自分の守備範囲以外のことを述べるということ自体が、私は誤りをおかすものだと思うのですが、今後はこういう問題については、ひとつ政府としてはすみやかに協議をして、混乱を招かれないようにしてもらいたいと思うんですが、それについてひとつ確約してもらいたいと思います
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、野上委員のおっしゃること、ごもっともでございますから、そういう点につきましては守備範囲を明確にして、できるだけ明確な態度を持するようにいたしたいと思います。
○野上元君 この予算委員会を通じて、総理は沖繩の基地貸与について一連の発言をされておりますが、これらの沖繩の対米交渉に対する総理の腹がまえというものは、事前に外務省あるいは防衛庁と連絡をとられた上のことなんですか。あるいは外務省も防衛庁も佐藤さんの腹はわからないと、こういうことですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この総理の発言、答弁というようなことにつきましては、われわれとしても十分相談にあずかって答弁をいたしておるわけでございますが、いまおあげになりましたような件につきまして、具体的な点については先ほど来申しておりますように、たとえば次官の発言その他ということについては別段打ち合わせがなく、先ほど申し上げましたような経過で、それがもとになって記事になっておるということで、こういう点については先ほど申し上げましたように、私どもの配慮、あるいは指揮というようなことが不十分であったと思いまするので、そういう点は今後十分気をつけてまいりたいと思います。 それからちょっと、さっき私、うっかりしてB52と申し上げましたのは、メースBの間違いです。
○野上元君 私がこれまた心配するのは、ちゃんと新聞にそう記事が出ているのです。こういうふうに出ているのですが、ある新聞によりますと、「「核ぬき・本土なみ」で対米打診する考えをほのめかしたが、防衛庁筋は「本格的対米交渉を前にそこまでいい切ってよいのか」と、強い懸念を表明している。」、こういうふうに言っておるわけですね。ということは、総理は何らあなた方と相談しないで、核抜き本土並みの返還をきめたんだ。こういうふうに取られるわけです。こんな重大な問題、日本のペンタゴンが全然あずかり知らないというようなことが許されるのか、これはどういうふうに防衛庁は考えますか。だれがこれを言明したんですか。
○国務大臣(有田喜一君) その新聞記事は、これは防衛庁の公式見解でも何でもない。その記事に対する責任は私ども持ちませんが、この沖繩の防衛の問題については、ここでしばしば言っておりますように、私のほうもいま検討中なんです。非常にいまいろいろな機会に研究はしておりますけれども、総理自身もまだ沖繩の基地の態様については白紙だというようなことを言われておる。そういう段階でありますから、私どもはまだ検討して結論に達しておりませんので、それに対するとやかくの論評は差し控えるべきだと思っております。その記事は私のほうは全然知らない。公式見解でも何でもありませんから、その点はお含み願いたいと思います。
○野上元君 あなた方の防衛庁として、総理が最後の腹をたためるのに何らの参画をしないのかということなんです。総理の腹がきまってしまったら、どうにもならぬじゃないですか。そのとき懸念を幾ら表明してみても始まらないと思うのですが、防衛庁としては総理の腹をかためるために何らかの努力を続けておるんですか、その点を聞いておきたい。
○国務大臣(有田喜一君) 総理もしばしば言われておられるように、十一月になるか、とにかくこの秋の訪米までには腹がまえをして行く、こういうことをおっしゃっておりますので、私どももそういうことを前提としながら、いろいろな国防のサイドからどうしたらいいかということをいま検討しておる。こういう段階でございます。
○野上元君 検討しておるのはけっこうなんですがね。総理は腹をかためようとしておるわけです。それに対して防衛庁の立場としては、沖繩は一体どうすべきかという問題について、総理に建言しなければお互いに悩んでおったってしようがないでしょう、黙ってその間に何らの連絡もなく。それを言っておるんです。防衛庁としては総理の腹をかためるためにどういう貢献をしておるのか、その点を聞きたいんです。あなた方専門家なんだから。
○国務大臣(有田喜一君) この問題は非常に重大な問題です。あくまでも沖繩の早期返還を期待しながら、同時に、日本並びに日本を含む極東の安全ということも考えてやらなければならない。でありますから十分の検討をして、そうして総理に対し建言すべきは建言する、しかし、まだだいぶ時間もありますので、そういま直ちにこういうことだという建言のところまでいっておりませんが、私どもはそういう態度で慎重に、かつできるだけすみやかにというつもりでいま検討を続けておる、こういうことでございます。
○野上元君 水かけ論になるようですからその程度にしておきますが、これは保利官房長官が十五日の東京新聞の岡本政治部長と会見して、対米交渉に臨む政府の態度を表明したわけですが、その中にこう言っているんですね、日本の防衛力をちょっと増強したところでたいしたことはない、それよりも根性のほうが大切なんである、こういうふうに言っているんですね。防衛庁はこういう記事をごらんになってどういうふうにお感じになりますか。自衛隊を増強したってそんなものはたいしたことはないんだ、どうでもいいんだ、それよりも根性のほうが大切だと、こう言っているんですよ、防衛庁はどうですか。
○国務大臣(有田喜一君) 私どもも第一には、この日本は日本人みずからの手によってこれを守り抜くというその国民の気概と気魄が必要だと思うのです。自衛隊もその国民の深い理解と協力の上に立っていかなくちゃならぬ。したがいまして、自衛隊自身もしっかりとした根性を持っていかなければならないと思っております。しかし同時に、国力、国情に応じた自衛力の整備もやっていかなければならない、かように思っておりまして、保利官房長官がどういうことを言われたか知りませんけれども、根性論には賛成でございます。また同時に、国力、国情に応じた整備も必要だ、かように考えております。
○野上元君 先ほど来私が言っておりますように、沖繩に関する問題については、どうもどこに政府の主軸があるのかわからないですね。みんなそれぞれがかってな発言をして国民を惑わしているんですよ。こういう点について私は非常に残念に思うのですが、将来、一体対米交渉においてどこが窓口になって、どこが日本の政府の見解を統一してやるのか、そういう点を外務大臣どうですか、外務省なら外務省がこれを一切引き受ける、ほかのところはこの点についてはしゃべっては困るというようなやり方はできないものですか。そうしないとわれわれも混乱してしようがない。長官はもうそんな自衛隊なんかたいしたことはないんだ、あんなもの増強しても金がかかるばかりだというような言い分なんですね。そういうことで対米交渉がはたしてできるのかどうか、私は非常に心配しているのですが、その点、外務大臣の御意見を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) それは申すまでもございませんが、外交交渉は私の責任においてやるべきものである。これを貫徹いたしたいと思いますが、問題は、いまのいろいろの点から御指摘のように、またいつもおしかりをいただいておるわけなんですが、交渉の腹案というようなもの、あるいは対米交渉のアプローチのしかたをも含めまして、これがもうしばらく時間をおかしいただきますと、路線について考え方を内閣一体として世論を踏まえてつくりあげてまいりたいと思いますが、いま、まあいわば生みの悩みの状態でございますので、そういう流動的な時期にはいろいろの方からいろいろの御意見が出るのは、これは場合によりましてはかえってけっこうなことではないかと思うのであります。これは内閣はあくまで一体であることは申すまでもございませんが、同時に、報道等に対する関係も、政府が何か一つの考え方を独断的にきめ、一方的にきめてそれを押しつけるというようなやり方は、ともすれば言論統制的なことにもなりかねない。まことにこれは重要な私は問題だと思いますから、先ほど申し上げましたように、外務省に関する限りは外務大臣の責任におきまして有権的な発言を今後厳重に注意していたしたい、また、ほかの方々に対してもそういうやり方を御期待申し上げます。現状においてはそういうことでやってまいりたいと思います。
○羽生三七君 ちょっと関連。六月、外相が渡米される際に、たぶんそれまでにおよその考え方はまとめられるということだろうと思いますが、そのころは国会は大体終わっております。そうすると、それは何らかの形でおよそのことを御発表になるのか、胸の中にたたんで渡米されるのか。国民世論の動向を聞くと言われましても、いまのところ国会とか新聞なんかの論調以外にないわけですが、しかし、その渡米の際にはどういう形をとられるのか、考えの固まるまで待ってくれということになれば、それは待ちますが、だれでも——お考えが固まるまではかれこれ言うわけじゃありませんから。それじゃ、その時点では胸にたたんで行かれるのか、あるいはどうかいう形で発表なさるのか、その辺のところはどうなさるんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 一番最近におきましての総理の態度でございますが、これは一昨日の参議院の本会議で申し上げておりますように、これが今日としては一番最近の総理自身の発言でありますが、今後、六月初旬に予定されている——私のことですが、——愛知外相の訪米、七月か八月に東京で行なわれる日米貿易経済合同委員会等を通じて、米国側の意向も打診しながら、私——つまり佐藤総理——の訪米までには、政府の沖繩返還に関する基本方針をきめる考えである、これが基本的な態度でございまして、ただいま羽生委員からお尋ねのございました点は、十分、総理も私も胸に置いて、私どももかねがね申しておりますように、世論というものを十分に踏まえて、こういうふうな相当長い期間かかるむずかしい交渉であると思いますから、その辺は十分考慮いたしまして善処いたしたいと考えております。
○野上元君 これも三月十六日の新聞ですが、六月に愛知さんがロジャーズとお会いになるそのときに、愛知さんが携行される日本側のいわゆる沖繩に対する考え方、こういうものが三つあげられております。 一つは、沖繩の核抜き・本土並み返還、第二は、日本の自主防衛力の強化、第三として、アジアに対する経済協力の増進、この三つを持ってあなたがロジャーズに会われる。そうして、その回答を七月の日米合同委員会で待つ。で、その回答を待ってニクソン・佐藤会談の総仕上げを行なうと、こういうふうにスケジュールが載っておるのですが、この内容はどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 三つに分けましておこたえいたしたいと思いますが、第一の点は、国民世論を十分踏まえて事に当たりたいということをつねづね申しておりますので、それを何といいますか、観測的な記事としてそういうふうに報道されたのではなかろうかと考えます。それから第二の点と第三の点は、これはいろいろの機会にいろいろの政府側からも態度を表明しておるはずでございますが、たとえば沖繩が返還されれば沖繩の防衛ということについては自主的な防衛計画がなければならないということも、私は自然の考え方ではないかと思います。そういうことをやはり観測的に書かれたものではないか。それから第三のアジアに対する経済協力という問題につきましては、これは実は本日も他の委員会でもお尋ねがございましたが、私としてはもう実は前々から経済協力のあり方というものが一つの転機にきているので、新しい発想をつくりたいということを考えてもおり、また、具体的なまだ内容を申し上げるまで研究が進んでおりませんけれども、そういう考え方を持っておるということは、この議場を通じましても、私は基本的態度として申し上げておりますが、そういう考え方がまとまるならば、そういうことも、一面においては、ニクソン新政権がアジアに対してどういうふうな考えを持っているだろうかということは、やはり国民的な関心の的でございますから、そういうところと結びつけて、いろいろの情勢分析とか、あるいは両国の担当当局が意見を交換いたします場合には、そういうことも話題になるであろうという事前の予測を記事として取り上げられたものでなかろうかと、かように存じますが、ダイレクトに、私が記者会見等でそういうふうに分析してお話をしたというわけではございません。
○野上元君 それでは、この記事についての外相の御感想はどうですか、大体意に沿うておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、第一の点につきましては、先ほど来申しておりますように、まだ腹案ができておりませんから、そのとおりと、あるいはそのとおりではないとは、いま申し上げかねるわけでございますが、世論の動向を踏んまえてという、この基本的な姿勢については、私は同感できると思います。 それから第二の自主防衛の点は、私はいま申しましたように、これはだれしもやはり考えなければならぬ問題だと考えますので、そういう点には同感でございます。 それから第三の経済協力というようなことは、私は同感できない。なぜかといいますと、これは、わがほうの発想というものと、あるいは先方の発想というものが違いますし、おそらく違うだろうと思いますし、私は、いわゆるアメリカの立場において、いままでやってきたことを押しつけて、日本に肩がわりさせるという発想がもしその基本になって、それに合うような案をつくるというふうにとられるのならば、そういう前提ならば、私は同感することはできません。
○野上元君 外相は先日の本委員会の石原委員の質問に対して、持ち込みの場合も、いわゆるアクティブの場合もあるし、パッシブの場合もあるだろう。こういうふうに論争を展開されたのですが、そういうふうに解釈してよろしいのですか。日本から持ち込みを要求する、いわゆるアクティブな場合もあり得るのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この点は主としてことばの問題として、仮定の仮定の議論として私お答えしたのですが、あとでやはり速記録を見てみると、多少やはり誤解を招く点があるのではないかと思いますから、ちょうど御質疑がございましたから、ほんの一言つけ加えさせていただきたいと思います。 私の考えは、持ち込みということばは、どうも先方に主体性があるように考えられる。で持ち込みを許すとか許さぬとかいうことではなくて、許さないという意味は、持ち込まさせないと、ノーの場合ですね、これに主体性がなければならない。そのことをむしろ強調して、ことばの問題として正確に言えば、持ち込まさせない、こういうふうに使ったほうがことばとしてはいいんじゃないか、そういう趣旨を含めて石原君が言われたように私は理解しましたから、その面のことばの問題として、私は主体性ということについて考えれば、こちらが主体的であって、向こうが主体的に持ち込むのを、こっちがパッシブに受けるか受けないかということではないし、それでは考え方としてはいかぬのじゃなかろうかという意味を込めて言ったのでありまして、持ち込まさせない、持ち込みを許さないのじゃなくて、持ち込まさせないというほうが、もっと主体性がこちらにあるのじゃないか。そういう意味で私は申しましたのですから、その点はひとつ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
○野上元君 そうしますと、確認しておきたいと思いますが、日本側からアクティブに持ち込まさせるという発議をするということは考えておらない、こういうことですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それはあのときの問答の中に、そういうことを頭に置いてお答えしたつもりはないんでありますけれども、私の言い方が練れなかったために、そういう誤解も、あるいは速記録を見るとあるかなと思いましたから、いま申しましたように、これを私の気持ちを正確に申せばそういうことでございますと申し上げたわけでございます。 それから、くどいようでございますが、沖繩とごっちゃにしない意味において、沖繩問題については、まだまだ考えなければならぬことがたくさん私もあると思いますし、したがって、終局的に白紙であると申し上げておりますから、これは一応いまの質疑応答からこう別にちょっととっておいていただいて、本土といいますか、従来からの見解から言えば、持ち込まさせないというのが基本方針であり、またそのとおりにやりたいと、こういうふうに考えております。
○野上元君 これも外相に聞きたいんですが、日米安保条約と六条に基づく事前協議というものは、これは一体のものであって、不可分なものかどうか、これを聞きたいのですが。
○国務大臣(愛知揆一君) お尋ねの趣旨がちょっと私に正確に理解できないかもしれませんが、事前協議というのは、第六条に条約的にはこう基づいておるわけで、そうしてこれに基づいて交換公文があるわけでございますから、六条と一体であると、こう考えておりますのですが、何かそのほかに考えようがございましょうか。
○野上元君 私もそう考えておるのですが、したがいまして、事前協議の条項について新たに特別な取りきめをするとか、あるいはこれを変更するということは安保条約の変更になる、こういうふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) やはりこの仮定の問題であるということを前提にいたしまして、交換公文に基づくところの事前協議のやり方を変えるというようなことになりますれば、交換公文の改定、これは実質的に言えば、安保条約の改定ということになるのかなと思いますが、なお条約論でございますから、条約局長から補足させたいと思います。
○政府委員(佐藤正二君) 大臣からお答えしたことにつけ加えることございません。安保条約及び交換公文は、一体として国会の御承認をとっておりますから、したがって、その一体をなした一つの国際約束に対する改定という形になっております。
○野上元君 佐藤総理は、本委員会の中で、特に矢追委員の質問に対して、最終的にこういうふうに述べておられますが、「特別な取決めということについても、条約を改正しなくてすむもの、そうして他に影響のないもの、こういうものをつけ加えることができるかどうか。基本的な改正、そこまでの取決めをしなければ、祖国復帰はできない、ということになれば、重大だとも思う。」、こういうふうに述べておられますね。したがって佐藤さんの最後の悩みのところはわかるわけですね。これについて知恵を出すのが外務省の仕事だと思うのですが、どうですか、出ましたか、知恵が。
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、先ほども引用いたしましたが、一昨日の本院の本会議での総理答弁にありますように、そこまでの知恵はまだ出ておりませんので、たいへん恐縮でございますが、まだ明確にお答えするところまでいっておりません。ただ特別の取りきめ云々という中にも、仮定の問題、条約論あるいは法律論、技術論、いろいろな点から見れば、いろいろの態様があると思うのです。たとえば、これはまあ国民世論の中からいえば、このごろはあまり多くはないのかとは思いますが、たとえばグアンタナモ方式というようなものも考え方としてはございますですね。そういう場合には、もしそういうことがかりにあるとすれば、これは安保条約の適用地域、対象というものが特殊なものに限定されることになりますから、これも何らかのやはり条約的な取りきめがその場合必要ではないかと思いますが、こういう場合は別といたしましても、問題は、そのサブスタンスというか、実体の問題であって、それによってはいろいろの仮定としては考えられる技術的な問題も残るのではなかろうかと思います。そういうような点を十分問題点を洗いざらい想定しながら腹案もまとめなければならないし、先方の考え方というものも捕捉していかなければならない。そこに、御指摘のとおり、いまの真剣でかつ悩みの多い検討が続けられておるわけでございます。
○野上元君 私も私なりに、佐藤さんの悩みを、あるいは最後の詰めのところを抜き書いてみたのですが、まず第一に、沖繩はことし秋の佐藤・ニクソン会談で返還のめどをつける。これが第一点。基本的なことです。第二は、返還後の沖繩は日本の憲法の適用を受ける。三番目は、本土との区別はできない。四番目は、本土には非核三原則がある。沖繩にもこれを適用する。それから五番目としては、日米安保条約は返還後は適用される。こういうふうに大体言われたことをあげてみたのですが、外相としてはどうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 大体大きく分けるとそういうところが問題点のうちのおもな点ではないかと思いますが、いまの断定的にこうだこうだとおっしゃいましたけれども、それに対して一つずつイエスかノーかというお尋ねをも含んでいると思いますけれども、そうすると、イエス、ノーが言えない、そこが白紙の悩みでございます。
○野上元君 大体の大筋は認められる、しかし一つ一つ突っ込まれるとイエスは言えない、こういうわけですが、もうこの論争はやめます。幾ら言っても、あなたのほうで白紙で、また逆戻りしますから。そうすると、これだけのものを認めるとすると、かりに認めたとすると、あと一体何が残されているか、その点が問題だと思うのですね。その点が佐藤総理の悩みでもあると思うのですが、あと問題というのはどういう問題ですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 仮説をまあ五つおあげになったわけで、それはいまお答えいたしましたように、一つ一つイエス、ノーと言う段階にはございませんけれども、まあ私流に申しますれば、特別の取りきめがない限りは、憲法はもちろんですが、安保条約がそのまま適用される。適用されるということを前提にして考えれば、同時に沖繩の県民の人たちの理解と協力によって日本の安全に資するような形でやらなければならない。こういうところが、交渉事が一方にあるわけでございますから、そういうところをどういうふうにして世論にこたえていこうかという点が悩みの点であると、これはもうよく御理解いただけているところであると思います。
○野上元君 私が判断するところによると、いまの仮説がかりに成り立つとするならば、あと残ったところは、いわゆる時前協議の問題、あるいは有事と平時の判断であるとか、あるいは極東の範囲の問題であるとか、あるいはナショナル・インタレストをどう解釈するという問題とか、こういう問題が残ると思うのですが、その点どうでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) 仮説ということを前提にして言えば、そういう点がやはり重要な考えなければならない問題点ではなかろうかと思います。それから、別におことばを引用するわけではないんですが、あとに残るのはとおっしゃるが、あとに残るというのが実はあるいは一番本質的なむずかしい問題であるかもしれませんですね。そういうところのかまえ方、あるいは関係づけ、日米両国の合意というものがまとまれば、逆にたいしたことは残らないということが言えるかもしれない。あとに残るとおっしゃったことが、実は前提として非常にむずかしい本質というものがあると、こういうふうにも私は考えざるを得ないのでありますが、その辺のところも、私の悩みとするところ、あるいは考え方を那辺に持っているかということは、大体御想像がつくのではなかろうかと思います。
○野上元君 ここで私は前に戻りますが、牛場さんを爼上にのせて申しわけないのですが、結局メースBは戦術核兵器であると、こう言ったことは、いま私が言ったようなことにずっとつながってきているというような気がするのですが、そういう意図でいわゆる世論を操作しておるというふうに理解できると思うのですが、その点どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) このいわゆる牛場発言につきましては、時間がかかってたいへん申しわけなかったのですが、大事な問題ですから、その記事が出てきた背景その他についても十分調べたんでありますけれども、そういうところからの私及び当人の牛場君の所見——所見といいますか、事実に基づいた姿というものは、そういうところに触れての意見ではなくて、先ほど申し上げましたように、これは私がここでまた何かと申し上げると、かえっていかがかと思いますけれども、まあ戦略核、戦術核というものの分け方は、私どもとしては、先ほど防衛庁長官からもお話がありましたように、そこはなかなかいろいろの見方があって、戦略核あるいは戦術核というものをどう分けるかという専門的な立場から見ても、いろいろの分類のしかたがあるようでございますし、それから防御的性格が攻撃的性格かということも、またそのけじめというものはなかながむずかしいようであります。それから、現に米国の軍隊が持っているものでありますから、米国軍隊の組織に基づいての指揮系統とか、これを保有している軍の指揮命令系統等によって分ける分け方もあるようでございます。先ほども申し上げましたように、この種の問題について牛場君がたたみかけられて質問をされたので、いや、それはアメリカのいままでのあれからいえば、戦術核だろうと、そうだよというふうな答え方をしたというのが真相でございまして、前々から申し上げておりますように、駐米大使に対しても、あるいは次官に対しても、私は、総理やあるいは閣内の関係の方々と相談をして、腹案というものがまだできていないんですから、訓令を与えているわけではございませんから、それに触れるような言動は少なくとも本人は主観的にはいたさなかったと、これは本人も非常にはっきりその点は明らかにいたしておりますから、そういうことで御理解いただきたいと思います。
○野上元君 時間がなくなってまいりましたので、もうこれ以上詳しいお話を、質疑を続けるわけにはまいりませんので、最後に外相に申し上げておきたいと思うのですが、私もやはり日本人で、そうして、日本の防衛、日本の安全という問題については、私なりにやっぱり考えておるわけです。したがって、まあゼミナールになるかもしれません、外相のおことばをかりれば。しかし、それは聞いてもらわなければ困ると思うのですが、先般石原委員が、われわれの考え方、いわゆる社会党の考え方、あるいは野党の考え方でいくとトロイの悲劇を生むぞと、まあ、こういうことを表現されたのですが、しかし私は、今日、核抑止力というものをずっと見ておりますと、核抑止力が作用する場合は、米・ソの二大核保有国の間の熱核戦争のみを抑止できるのであって、その他の地域における民族独立戦争であるとか、あるいは地域の紛争であるとか、あるいは小国の紛争であるとか、こういうものについては全然抑止力の作用はなかったわけです。いまソ・中の国境においてあのような紛争が繰り返されている。これもやはり核抑止力がきかなかったということになるのですね。こういうことを考えてみますと、核抑止力がきくのは、やはり、米・ソの間のことだけであって、他の国については、直接アメリカやソビエトの生命線が脅かされざる限り、核抑止力というものは効果がないということを私は歴史的に証明したものだというふうに実は考えるわけです。したがって、日本がアメリカの核の中にあると安心なんだと、こう言って盛んに総理もあなたも言われるんですが、しかし、それは外から見ておると、そんなものは核抑止力にならない。自分が核のかさをかぶっておると思っておる、衣を着ておると思っておるかもしれないけれども、これはよそから見れば「裸の王様」かもしれないのですね。他人から見れば全然何も着いておらないのです。最終的には、アメリカは自分の生命線を脅されざる限り、核抑止力を発動することは、熱核戦争をかけてもということはないということを、私は、実はつくづく感じておるわけなんです。したがって、こういうこともよくお考えをいただいて今後ひとつ対米交渉に当たっていただきたいということを特に注文をつけて私の質問を終わりたいと思いますが、最後に坂田文相にも深くお託びをいたします。三回にわたって御出席をいただきまして、ついに時間がなくて大学問題に触れることができませんでした。まことに申しわけない次第でございますが、この点は、ひとつひらに御海容のほどをお願いをしたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして野上君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(塩見俊二君) 次に、田中寿美子君の質疑を行ないます。田中君。
○田中寿美子君 私は、きょうは公害問題に限って御質問いたしたいと思います。 最近、公害は、政府が宣伝する経済の繁栄に比例してエスカレートするばかりでございます。経済の高度成長の必要悪として考えられていた時代はもう去ってしまったと思います。公害は社会的殺人でありますし、社会的傷害でございます。したがって、その加害者であるところの犯人、つまり発生源を明らかにし、その責任を追及し、その被害の予防と被害からの救済を早急にしなければならないと思います。 で、日本社会党は、日本全国における公害の被害の実態を把握し、その責任を追及するために、公害追放運動本部を設けて、目下全国に公害総点検運動を実施しております。私もその多くに参加いたしました。それで、その調査点検の第一期活動が終わりましたので、現在までに調査しました公害問題の中から、特に問題になっておりますホットな問題について具体的に質問申し上げて、政府の公害問題との取り組みを追及したいと思います。念のために申し上げますが、私の質問は、それですから、それぞれの地域の実態調査と、それから住民との対話、住民から出された訴えや要求、そういうものを基礎にしてお尋ねをするものでございます。 第一番に、公害の被害者の訴訟の費用の、訴訟の救助という問題についてお尋ねしたいんでございますが、今日、少しも何の罪もないのに、非常に悲惨な障害を受けている、企業の責任において受けておる——だから公害と呼ぶんだと思いますが——その加害者である企業に対して訴訟を起こしている者がたくさんございます。たとえば富山のイタイイタイ病、新潟の阿賀野川の水俣病患者、それから四日市ぜんそくの患者、こういうものが訴訟を起こしております。そこでまず第一に、この訴訟の負担は国家がなすべきであるということなんですが、富山のイタイイタイ病に関連して具体的にお尋ねしたいと思います。 このイタイイタイ病患者の訴訟の救助のことなんですが、企業のほうは患者の要求に対して責任を拒否しております。そこで、この三井金属に対してイタイイタイ病患者が訴訟を提起しているわけなんでございますが、今日の時点までのこのイタイイタイ病の経過を、時間の節約上、厚生省のほうから要約して御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) イタイイタイ病らしい患者ができてから以来の経過ということでございますから、非常に技術的でございますので、政府委員から答弁いたさせます。
○政府委員(金光克己君) 富山県のイタイイタイ病の経過につきまして御説明申し上げます。 このイタイイタイ病が奇病として社会の問題となりましたのは三十年ごろでございます。そういうことでございますが、これはカドミウムが原因ではないかということにつきましては、昭和三十五年ごろからわかっております。そういうことでございまして、富山県におきましては、昭和三十六年に地方特殊病対策委員会を設けて調査を進めております。国におきましては、厚生省は昭和三十八年にその調査研究を行なったわけでございます。そうして、これがこの患者はカドミウムによるものではないかということがだんだんと明らかになったわけでございます。それから、昭和四十年度から三カ年間にわたりまして再び厚生省におきまして研究班を編成して検討いたしたわけでございます。そういうことで、この神通川流域の奇病につきましては、カドミウムによりまして発生した患者であるということが決定されたわけでございます。それで、現在までの患者数でございますが、患者数は百二名でございます。なお、要観察患者というものが百三十三名ございます。なお、これらの患者に対しましては、厚生省におきまして医療研究費を助成をいたしております。昭和四十二年度から実施いたしております。昭和四十三年度におきましても、医学上の医療研究費では四百九十万円を支出いたしました。それ以外に治療上の医療研究費といたしまして、まだこれは決定いたしておりませんが、約二百万円相当額を予定いたしておるようなわけでございます。そういうことでございまして、問題は、この患者の経緯は、かようなことで原因がわかったことでございまするが、問題は何と申しましても、かような患者が再び発生しないような措置が必要でございます。そういう意味におきましては、水道等——この患者の発生は水とか、あるいは食べものの中に侵入してまいりましたカドミウムを食べることによって腎臓障害を起こして発生するということでございますので、まず水の問題でございますので、水道の布設を行なうということで、国からも特別の補助をいたしております。その他工場の施設等につきましては改良をさしておるわけでございます。そのほか、環境汚染の状態につきまして継続的に確認をするために、国からもこれに助成金を出しまして、県におきまして調査を進めておる、かようなことでございます。大体以上のような経過でございます。
○田中寿美子君 死亡者はどのくらいですか、それから患者以外に農業被害があると思いますが。
○政府委員(金光克己君) 死亡者につきましては、この患者がはっきりわかりましてからは、死亡者は出ておりませんが、研究班で過去におきます死亡者を推定いたしました範囲におきましては、約五十六名という推定になっております。ただ、これは地元におきましてはいろいろと意見がございまして、百名以上も患者であったということが言われておりますが、この点ははっきりしていないわけでございます。
○田中寿美子君 農業被害は。
○国務大臣(長谷川四郎君) 農業被害につきましては、政府委員をして答弁をさせます。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 農業の被害ということになりますと、米に関連する問題だろうと思いますので、私から一応お答えを申し上げます。 富山県の神通川流域のカドミウムの汚染地帯で生産された米について、カドミウムの米の中の含有量が高いということで、これが人体に害があるのではないかという問題があったのでありますが、昨年の五月の八日に、厚生省におきまして、カドミウム汚染地帯で生産された米は、配給米として食べても人体に影響がないという公表がございましたので、そういう意味での厳密な意味の被害はないというふうに思われますけれども、若干の現在在庫しております米について、消費者あるいは流通業者等において不安が残っておりますので、現在その米については、配給の停止をいたしておるというような関係において、カドミウムの問題が米にも無関係ではないということだけは申し上げられると思います。
○田中寿美子君 先ほど死亡者の数、よくわからないように言われましたが、昨年訴訟を開始して以来すでに二十五人死亡しているわけです。それから、いま農業被害についてもはっきりしませんけれども、被害者がいま訴訟を起こしておって、要求しておることはどういうことであるか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(金光克己君) 被害者が訴訟を起こしておるということにつきましては、この病気の原因がカドミウムによるということ、その排出先が、神岡鉱山がまず考えられるというようなことに関連いたしまして、訴訟が起きておると思います。
○田中寿美子君 いまのは答弁になっていないのです。何を要求しているかということです。これほど験がしい訴訟ですから、何を要求しているかわかっていないのですか。
○委員長(塩見俊二君) すわったままでいいですから、もう一ぺん御説明願います。
○国務大臣(長谷川四郎君) 損害賠償を要求いたしておるのであります。
○田中寿美子君 それじゃ困りますね、そんな答弁をして。
○委員長(塩見俊二君) 着席のままでけっこうでございますから、もう一ぺん内容の説明を願います。
○田中寿美子君 いま公害問題の中でも一番するどい問題として出ているイタイイタイ病ですね。その患者が昨年以来訴訟を起こしているわけです。その訴訟を起こしている人たちの要求事項ぐらいは、知ってなきゃならないと思います。それで、この公害の問題、主務官庁がどうもはっきりしないのですね。だれも責任をもって答える人がいない。
○国務大臣(斎藤昇君) 訴訟の内容をお尋ねでございますか。
○田中寿美子君 そうです。
○政府委員(金光克己君) 訴訟の内容につきましては、医療費及び生活保障費でございます。
○田中寿美子君 具体的におっしゃってください。
○政府委員(金光克己君) 約六億円ほど要求しております。
○田中寿美子君 それでは答弁になっていないと思うのですが、総額じゃなくて、死亡者幾ら、患者幾ら、そのぐらいのことわからないのですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所に係属しておる事件でございますので、私から概略御説明申し上げます。イタイイタイ病の事件は三次に分かれておりまして、第一次に、二十八名が原告として損害賠償の請求を起こしたわけでございます。第二次が三百五十数名でございます。第三次が、ごく最近に起こりました四十六名、合計で原告四百二十数名ということに相なっておるわけでございます。請求金額の内容は、先ほど田中委員から仰せになりましたように、カドミウムによる人体の被害を受けたことによりまする損害賠償でございまして、もちろんその中には、物質的にすでに医療費等に支出した金額も含まれております。さらに、得べかりし利益の喪失も含まれております。さらに、精神的な慰謝料の請求、そういうものも含まれておるわけでございます。合計いたしまして、総金額、正確な金額はいまここに持ち合わせておりませんが、約七億を少し欠ける金額であったというふうに記憶いたしておるわけでございます。
○田中寿美子君 いまおっしゃったような金額で、四百二十人の被害者が訴訟を提起しているわけなんですけれども、その内容についてこちらから申しますと、時間がかかりますし、それから被害者も組織ができておりまして、組織からいろいろと要求が出ております。自治体への要求も出ております。会社側へも要求が出ております。ところが会社の態度は、これはもう札つきの企業で、責任のがれをしているわけなんですが、今日まで支払ったものはどれだけございますか。
○政府委員(橋本徳男君) 私の承知しておるところでは、見舞い金として一千万円を、赤十字社を通じて渡しておるというふうに聞いております。
○田中寿美子君 いまのように、政府委員のほうも全体としてこういう事件を把握できないような状況にあります。責任の所在がどうもこの公害問題を追及しておりますと、みんなはっきりしない。あるところまでしか皆さん責任を持たないという状況でございます。そこで、いま非常に問題になっておりますのは、三月十五日に社会党の調査団が参りましたときの、訴訟費用の免除についての問題なんです。これは長い間苦痛をしのんで、また生命もなくしたり、あるいは農業的な被害もこうむっている、医療費も看護費も要る、こういうような状況の中で訴訟の費用を背負わなければならないということは非常に不当だと思うんです。そこで、この訴訟費用を免除するという方法がないかどうか、これ民事訴訟法第百十八条の適用ができないかどうかということにつきまして、まず法務大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(西郷吉之助君) お答えいたします。 一般に訴訟いたしますると、やはり相当の、お話のとおり、経費がかかるわけでございまして、ただいまの御質問の、公害者等で訴訟によって救済を受けようとする人々の中には、やはり訴訟の費用等に非常に苦労なさる方もあるわけでございまして、いまは御指摘の訴訟上の救助ということでございますが、いまお話の民事訴訟法の百十八条以下にその規定があるわけでございます。この救助を受けようとする人は裁判所にその事情を申し立てまして、資力がないことを疎明すれば、裁判所はその事情を十分参酌いたしまして、訴訟費用の支払い猶予等、救済をいたすわけでございます。なお、そのほかの手段といたしましては、全国に法律扶助協会がございますので、このほうに事情を申し出れば、弁護士等の費用の立てかえ等、救済措置をいたすことになっております。
○委員長(塩見俊二君) 田中委員に申し上げます。政府委員席のほうでお聞き取りにくい点があるようでございますので、まことに恐縮でございまするが、発言を少し大きくお願い申し上げます。
○田中寿美子君 はい。ただいまの訴訟の救助ですけれども、民事訴訟法百十八条が、この際、イタイイタイ病患者の訴訟の際に適用できるかどうかということについて、法制局の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(荒井勇君) 民事訴訟法第百十八条の訴訟救助につきましては、この条文に書いておりますように、裁判所の判断で、「裁判所ハ申立ニ因リ訴訟上ノ救助ヲ与フルコトヲ得」ということでございますので、それ政府の立場で申すというよりは、裁判所が個々にその訴訟費用を支払う資力があるかないかという点を判断されて、その決定で行なわれるというふうに解されるわけでございます。
○田中寿美子君 ただいまの御説明ですと、そうしますと、当該裁判所が救助を受けられるかどうかを決定するということでございますか。
○政府委員(荒井勇君) おっしゃるとおりでございます。
○田中寿美子君 そういたしますと、この百十八条、訴訟費用を支払う資力なき者に対しては、裁判所は申立てによって訴訟の救助をすることができるということになるんですね。この「資力ナキ者」というのはどのぐらいのものをいうのでございますか、一般的に言って。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 民事局長でございますが、裁判所の事件でございますので、私のほうから申し上げたいと思います。 訴訟費用を支払う能力のない者には救助を与えることができるというのが百十八条でございます。では、どういうふうにしてそれをやるかと申しまと、疎明でいいということになっておるわけでございます。疎明と申しましても、具体的には、たとえばついておいでになる弁護士さんが、かくかくの生活環境で、とても費用は払えないというふうに上申書をお出しになりますと、あるいは先ほど大臣から御答弁がございましたが、法律扶助協会等に弁護士さんを頼むという場合に申請をいたしますが、そういった書類がございますれば、これは一般の例でございますが、としては、裁判所は大体それによって救助の決定を与えておるというのが実情のようでございます。
○田中寿美子君 そうしますと、今回の場合、富山地裁で十分これは「資力ナキ者」と判定するだけの根拠があると解してよろしゅうございますね。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 具体的な事件でございますので、いまここでどうこうと申し上げるわけにはまいりませんが、一般的な問題といたしましては、この種の損害賠償請求事件でいろいろお困りのようでございますので、そのようにお考えいただいてしかるべきかと存じております。
○田中寿美子君 この訴訟救助について、弁護士の費用は入っていないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 確かに弁護士さんにお願いする費用は入っておりませんが、先ほど御答弁がございましたように、それらの点につきましては、法律扶助協会が弁護士さんに必要な手数料等を立てかえて支弁するという方法がございますので、それによられるのがしかるべきではなかろうかというふうに考えております。
○田中寿美子君 もう一点最高裁の民事局長さんにお尋ねいたしますけれども、その百十八条には「但シ勝訴ノ見込ナキニ非サルトキニ限ル」という規定がありますね。これは、この場合、イタイイタイ病の場合、勝訴の見込みがあるというふうに考えていいと思いますが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 「勝訴ノ見込ナキニ非サルトキ」と申しますのは、別なことばで申しますと、はっきりと負けるときまっていないときという意味でございます。
○田中寿美子君 たいへんはっきりしました。つまりこの場合は、厚生省がイタイイタイ病というものはカドミウムのためだ、神岡鉱山のカドミウムが原因であるということを、ちゃんとはっきりと認定なさいましたわけですから、それで勝つ見込みは十分あるわけで、「勝訴ノ見込ナキニ非サルトキ」という言い方は、ほんの少しでも勝つ見込みがあればということになると思いますので、これは訴訟の救助を適用することができるというふうに解釈をいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか、法務大臣。
○国務大臣(西郷吉之助君) なかなかデリケートな問題でございますが、やはりいま公害として多く大体世間でも認めておりますから、いまおっしゃるとおりのお考えでいいんじゃないかと思います。
○田中寿美子君 どうもありがとうございます。衆議院のほうの予算委員会の分科会でも、そのように検討するというふうにお答えでございましたのですが、そこで、ちょうど社会党の調査団が参りましたときに、あのイタイイタイ病の一番中心地でございます婦中町の町会全員一致で決議をいたしました。これは婦中町ぐるみで、イタイイタイ病の訴訟のための大法廷の設置をせよということと、原告全員の訴訟救助を富山地裁に要請するという決議なんでございますが、このことを御存じでございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 正式にはそういった問題は現地の所長のほうからはまいっていないようでございますが、そのような当事者が御希望があるということは私どもも承知いたしております。
○田中寿美子君 それじゃ自治大臣にお伺いいたしますが、その婦中町の決議に続きまして、その周辺の六町市が支援決議をいたしました。ところが、これに対して富山県の知事は、婦中町がその支援のために百万円のイタイイタイ病対策費、調査費を出すということを決定いたしましたところ、県当局が非常に消極的で、地方課から自治省のほうに意見を仰いだ。そうしましたら自治省のほうから、地方自治法二百三十二条の二に照らして疑義があるというふうに答えられたそうですが、事実でございますか。
○国務大臣(野田武夫君) いま御指摘のことは富山県から問い合わせがあったのは事実であります。これに対して自治省の答えは、いまお話を聞いておりますとわかりますが、この事件は民事の事件で、つまり訴訟されておる方は大ぜいでございますが、裁判そのものは個人で損害賠償を取るということであります。そこで、私人、私、つまり私人間の裁判費用を地方公共団体が支出するということはどうか、こういう富山県の問い合わせでございますが、私人、個人の民事訴訟に地方自治団体が訴訟費を払うということは適当でない。したがって、いま聞いておりますと、訴訟法その他におけるほかの救済措置がありはしないか。自治団体としては、個人の訴訟に訴訟費用を分担するとか支援するということは、たてまえとしては適当でない、こういう御返事をしたようでございます。
○田中寿美子君 それは違っておると思います。訴訟費を払うという決議じゃないのですね。イタイイタイ病対策費、調査費を出すということなんですね。それにもかかわらず、二百三十二条の二で「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」というこの法律に反するような指導をなさるのは少しおかしいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(野田武夫君) 自治省が受けました相談は訴訟費のことでございまして、調査費のことではなかったというのが事実でございますが、これはまた私のほうも調べますが、あなたのほうもひとつお調べ願いたいと思います。
○田中寿美子君 私たちのほうはもう十分調べているのです。そして決議もそういうふうになって、決議文もあるわけです。 そこで、いまの問題ですが、調査費であったら二百三十二条の二に反しないかどうか。これは法務大臣並びに法制局長官の法制局のほうの御見解を。
○政府委員(荒井勇君) ただいまの地方自治法の二百三十二条の二で地方公共団体が「寄附又は補助をすることができる。」という、その要件として書いておりますのは、普通、地方公共団体としての「公益上必要がある場合においては」ということになっております。その公益上必要があるというのは何であるかということになりますが、一般論として申し上げますと、訴訟費用の補助をするということは、それはまあ訴訟というものが法律的には個人の法益を保護するための手続であるということになりますので、一般論として、その訴訟費用を補助するということが公益に当たるかといいますと、それは当たらないということを言わざるを得ないのじゃないかと思います。 それから、ただいま伺ったわけでございますけれども、その後、予算費目は調査費ということになっているということで、その調査費という費目の中から補助費を出すということがどうかというような点もあろうかと思います。いずれにしましても、それはそういう法律論を踏まえた上での、そして他に民事訴訟法なり、あるいは公益法人として存在する法律扶助協会による扶助なり、そういう他に救済措置があり得るという場合に、その地方公共団体の経費の支弁としてそういうものを出すことが妥当であるかどうかという、その両面の問題があろうかというふうに思われます。
○山本伊三郎君 関連。田中委員のお尋ねは、そういう法律の解釈よりも、イタイイタイ病のいわゆる防除対策としてこれを調査をするという、これはもう公益に反するとか反しないという問題じゃないと思うのですよ。そういう意味において決議をしたということがなぜ地方自治法においては認められぬか。これはその町にとっては大きな公益の問題ですよ。それを、実は地方自治法に違反するからこれは出したらいかぬ。これは訴訟費用を言っておるのじゃないのですよ。訴訟費用はいま言われるようなことになるかもしらぬけれども、その町のイタイイタイ病のいわゆる防除のために対策費としてとる、こういうことですから、これは私は地方自治法のあれに反するとは毛頭考えないのですが、その点どうですか。
○国務大臣(野田武夫君) 重ねて申し上げますが、富山県から問い合わせがあったのは、訴訟費用の援助はどうかという内容を言ってきた。そこで、いまお話の調査費とか、あるいは云々ということになってきますと別でございます。私の言うのは、訴訟費用の意味では、地方公共団体が個人のおやりになることをやれば、これは内容よくわかっております、わかっておりますが、これは適当でないと御返事する以外にないのです。しかし、調査費とか、何か違った公益上の問題これは自治省といたしましても考えられる筋がある、こう思っております。
○田中寿美子君 私は最初から調査費と申し上げていたのですけれども、婦中町の場合は非常にたくさんのイタイイタイ病患者が出ておりますから、これは公害なんです。ほんとうに個人的なものという考え方はお持ちになっていると思いますので、特に調査費、対策費としてでしたら、これを行政指導する場合に、知事が非常に消極的であるというのに対して、自治省が十分に事情を察知して、間違って指導しないようにしていただきたいと思います。自治大臣、もう一度御答弁をお願いします。
○国務大臣(野田武夫君) いま申しましたとおり、田中さんの現地でお聞きになったことと富山県から言ってきたことは少し食い違っておりますから、そこは何も論争する必要は私はないと思うのです。そういうことは事実を根拠にすればいいのですから。そこで、この点は現地でお聞きになりましたことでございますから、私のほうからも、こういういわゆるイタイイタイ病みたいな大きな公害問題、これについてやはり県が相当熱意を込めてやるように、適当に私のほうから助言いたします。
○田中寿美子君 自治大臣がそのように指導するということですから、それで了承いたしまして、あとよろしくお願いしますけれども、その際の婦中町の決議に、大法廷を設置してほしい、これは、あそこの富山地方裁判所は傍聴席六十人くらいで、新聞記者十一人入りますと、傍聴者は四十九人くらいしか入れない。ところが、これは四百人も訴訟を起こしている原告がいるわけで、非常に大きな訴訟でございますから、ですから関心を持つ者も多いので、富山地裁では収容しきれないから、一般傍聴者も入るような大法廷の設置をしてほしいという要求があるのですが、最高裁の方、これをどういうふうに解釈をしたらよろしいのですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 原告が、先ほど申しましたように、相当多数にのぼっておる事件でございますので、私どもといたしましても、できるだけ多人数を収容する施設を持ちたいということはそのとおりでございますが、ただ、裁判所といたしましては、やはり原告、被告、双方が法廷でおのおのその主張を堂々と戦わせまして、また、証拠調べ等の段階に入りますと、主尋問、反対尋問というふうな、いわば真剣な争いと申しますか、真剣な訴訟を展開する場でございまして、やはりそういった訴訟をやりますには、それにふさわしい場所と、それから法廷指揮等も、ある程度十分できますような施設というものが必要であるわけでございまして、そういうことで、私ども、各裁判所の施設を行ないます場合にも、大きな法廷はつくるようにいたしておりますが、ある程度限度がございまして、大体いま一番大きい法廷が百六、七十平米程度のものを設けておるというようなことでやっておるわけでございます。それ以上ということになりますと、なかなか訴訟の進行、訴訟指揮の面、原被告がやりとりをいたしますので、そういった面を的確に把握し、静粛に、しかも、十分意を尽くして、訴訟を進行していくということができにくくなりますので、ただいまのところ、田中委員のお尋ねでございますが、これを外でやる、たとえば公会堂のようなところでやるというようなことはなかなかできにくいのではないか、このように考えておるわけでございます。
○田中寿美子君 公会堂のようなところでやれとは言いませんけれども、地方裁判所は最高裁の許可を得て裁判所以外の場所に法廷を開くことができるという裁判所法六十九条ですね、これは大事ですから、最高裁のほうに権限がありますので、その点をやはり住民や被害者の立場にもっと立って判断をしていただくようにいたしませんと、富山地裁では裁判長忌避なんていう問題が起こっているわけです。両方に不信感があるということは困ると思います。で、三井側は、責任をずっと拒否してきているんですから、これに対して何の罪もない人たちが、あのひどい被害を受けているわけなんですから、どこまでもそういう立場に立って、公害問題をやらなければならないということを私たちは感じております。同様な訴訟が、新潟県阿賀野川の水俣病患者の間でも起こっておりますし、また四日市ぜんそく患者の中からも起こっておりますので、訴訟の救助などということについて、ぜひ公害を担当する方々は考えていただきたいと思うのでございます。 続いて、このカドミウムの問題に関連しますので、少し群馬県安中の状況についてですが、これは私ども参りましたのは二月二十八日ですが、ちょうど安中でもカドミウムが検出されたということで騒がれております。この事情を厚生大臣のほうから御説明願います。
○国務大臣(斎藤昇君) 技術的な問題でございますから、詳しくは政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(金光克己君) 安中のカドミウムの問題でございますが、群馬県の安中に東邦亜鉛の製錬所がございまして、ここに関連いたしまして、カドミウムの問題が現在いろいろと検討されておるわけでございます。これにつきましては、本年の二月に岡山大学の小林教授が現地のカドミウムの問題につきまして、これは一つの問題であるというような指摘をされたということから、特に大きく社会問題になっておるわけでございます。これにつきましては、現在、厚生省におきましても、研究班に委託をいたしまして調査をいたしております。その結果が、この三月末には出てまいってくる予定になっております。それからなお、県におきましても、地域の健康診断を行なっておるというような状況でございまして、安中製錬所の廃液とか、またばい煙等によりまして、カドミウムが空気汚染しておるということはある程度認められておりますが、その程度がどの程度であるかということは、今月末を待って決定されるわけでございまして、それに基づきまして必要な措置をとってまいりたい、かような計画でございます。
○田中寿美子君 私どもが東邦亜鉛に参りましたときに、通産省と厚生省と両方が調査をしているということがわかりましたのですけれども、その調査はどのような範囲に何を対象にして、どういう人々がやられたのかということをおっしゃっていただきたい。なお厚生省は保健所で検診をされたと思うのですが、それの結果は即座にわかるものもあったと思いますが。
○政府委員(金光克己君) 調査の内容でございますが、これは井戸水とか川水とかあるいは工場排水、川のどろとかあるいは土壌、その他精米等につきまして調査をいたしております。なお、県におきましての健康診断でございますが、現在までのところ、患者としてはっきりしたということは聞いていないわけでございますが、これも近く結果が出てまいる予定になっております。
○田中寿美子君 その地域の住民たちが健康診断を受けたときも非常に簡単なやり方であった。当時高崎の中央病院では、尿たん白の出た者が男女ともに三〇%以上出ている。これはイタイイタイ病の第二期的現象じゃないかというようなことが言われておりましたけれども、その点いかがですか。
○政府委員(金光克己君) たん白の問題につきましてはこれは地域によりましてはかなり高率に出るところがあるわけでございますので、こういった問題もその他の問題もあわせて検討しますと、これが即カドミウムによる障害であるということはこれは言い切れないと思います。
○田中寿美子君 調査の結果、少数出たから、広範囲にわたっていないから、公害ではないというふうな言い方で厚生省は逃げているように思うのですが、まだその調査は途中で、中間発表できない状況のようなんですけれども、一体いま土壌や水なんかもすると言われましたけれども、通産省のほうの調査は何をなさいましたですか。
○政府委員(橋本徳男君) 通産省といたしましては、昨年の十月、十一月におきまして、周辺の井戸水、川の水、それから工場自体の排出する水、それから工場から排出される鉱煙の中における硫黄分を調査いたしました。その結果につきましては、大体現在の基準は満足できるという程度にまで改善されているわけでございます。ただ問題は、鉱煙中にございますカドミウムにつきましては、現在十一月、十二月、それから今月の二十四日から再度の調査をやる、大体四月の中旬以降にはその結論を得たいということで調査を進めている段階でございます。
○田中寿美子君 そこでお尋ねしたいのですけれどもね、土壌だとか、それからたとえば野菜、米、それから水、人体、これは厚生省と通産省と両方がやっておられるのですけれども、どういう違いがあるのですか。
○政府委員(橋本徳男君) 通産省といたしまして、カドミウムの存在があるかないかというふうなことを基本的に調査したい。たとえば工場の廃液の中にカドミウムがどの程度あるか、もしあった場合にはどうしてこれを防除するかというところに主力を置いてやっております。それからあと厚生省のほうはいろいろ厚生省の衛生的なメカニズムの問題というふうなことであろうかと思いますが、その点は厚生省のほうからお願いしたいと思います。
○政府委員(金光克己君) 厚生省の調査につきましては、これが健康との関係という立場から検討していくということにいたしているわけでございます。
○田中寿美子君 現地に参りますと住民が心配している、それから草もはえない、野菜もよくできない、野殿とか中宿とか岩井地区でございますけれども、それは工場の亜硫酸ガスもやってくる、カドミウムだけではないと思いますが、そういう状況にある住民に対して、一体彼らの心配を取り除いてくれるものはだれなのか、さっぱりわからないのですね。実際にはやって来ないわけです。いま通産省の方は防除方法を講ずるとおっしゃったけれども、現地の住民に会ったり、畑に行ったりなさったのでございましょうかね。
○政府委員(橋本徳男君) 現地の監督部といたしましては、具体的に工場の排煙あるいは排水等についての調査をやり、それでたとえば硫黄酸化物、硫黄等につきましては測定器をもって測定し、その結果現在排出されているものは十分基準を下回る数字であるということもし、それからまたその地域の住民の方をアトランダムに調査いたしまして、最近におけるいわゆるの鉱煙のにおい等については、朝、昼、晩どういうふうに感ずるかというふうなことの調査もやっております。そういった人の意見を聞きながら施設につきましても、万全を期していきたいというふうなことでやっておる次第でございます。
○田中寿美子君 常時監視網みたいなものがあるのですか、観測網というか。
○政府委員(橋本徳男君) カドミウムにつきましては、いわゆる特別検査ということで、定例検査以外に常時に、たとえば一週間に一回とかあるいは二週間に一回ということをきめまして、テーマをきめて調査をさせております。
○田中寿美子君 お話を聞いておりますと、一体だれが一番責任者なのかわからなくなるのですけれども、私どもが参りましたときに、安中製錬所——大体通産省は工場内部のほうがおもだったように思いますが、厚生省は主として健康の面からやられる。住民の状況をほんとうに見たり、あるいは物的な被害のほうをよく調べてくれるものは一体だれなのか、だれが責任者ですか。——答える人がないのでしょう。公害というのはそうなんです。
○政府委員(橋本徳男君) 公害対策につきましては、公害対策基本法に基づいているわけでございまして、この基本法の主務は厚生省が扱っておるわけでございますから、一般的には厚生省が中心になってやっておるということでございますが、人的被害、物的な被害等につきましては、やはりそれぞれの関係省においてそれぞれ処理をしていきたい、かようなことで総合的な公害対策を進めていっておるわけでございます。
○田中寿美子君 何かことばでごまかしていらっしゃるけれども、実際に住民は、ちゃんと自分たちのところに来てくれたことが一ぺんもないということを、あの住民の組織の長が言っておりますから、あんまりいまおっしゃったことは、ほんとうに具体的にやられていないように思います。そして、私ども調査団が行ったときに、工場は、脱硫装置をつけている煙突を二つ持っている、ほとんど亜硫酸ガスも出ないし、廃液も、排煙もだいじょうぶだというふうに言いましたけれども、中を見せてくれないのですね。これ、通産省でどう思われますか。
○政府委員(橋本徳男君) 私のほうの指導といたしましては、特にこういった地域社会における公害の問題につきましては、地域住民との間における感情問題、こういったことが非常に大きく作用する場合がございますので、科学的に予防措置を講じ、またいろいろな過去におきましても損失補償等をやるといったことだけではなく、十分そういった地域住民との間に、もし地域住民が組織を立て、秩序をもって工場、事業場等の見学を要求する場合には、親切にこれを説明するようにという指導を一般的にやっておる次第でございます。したがいまして、もしそういうケースがございますれば、われわれのほうから十分なる行政指導はしたいと思っておりますが、一般的に鉱山の、特に、こういったカドミウム等の排出をするおそれがある鉱山につきましては、そういう指導をやっております。
○田中寿美子君 親切に指導するとおっしゃっておりますけれども、それはほんとうにぜひそうしなければいけないと思います。 それから東邦亜鉛というのは世界でも第二位、日本で第一位の亜鉛の生産、非常に大きな資本でございます。今度またあの内陸のあの場所に大拡張しようとしている。公害があった場所にまたさらに拡張することを通産省としては許可していらっしゃるわけなんですが、住民は非常にこの問題に対して反対しておるわけなんです。だから住民の協力を、もっと声を十分聞かなければいけないということをどう考えますか。
○政府委員(橋本徳男君) 東邦亜鉛の拡張の問題につきましては、従来からそういう問題が実は起きておったわけでございます。しかしこれにつきましては、これを拡張するには排水、排煙等につきましてのより大きな能力を事前に設備を指導いたしまして、これが昨年の七月から十月の間にまず完成したということで、施設自体に着工することは差しつかえない。しかし、受電の問題におきまして実はいろいろ地元との間にトラブルが起きておりますので、その面の解決をはかった上でなければ実際の操業はやっていかないというふうな話し合いの上にできておるわけでございますけれども、したがって、現実にいま直ちにそれが増産になるというふうなことはないわけでございます。
○田中寿美子君 私どもはそこの煙突がまたたくさんあって、そこから、事実農地を歩きますと、煙がくる。工場のほうは、排煙も出していない、廃液もだいじょうぶだ、過去のものはカドミウムについて認めるというような状況ですが、もっと十分ほんとうのところを、実情を民家の中に入って行って調べてくださらないといけないと思います。 そこで、もっとお聞きしたいのですけれども、時間の都合がありますから、次に、水俣病のことなんですが、公害の紛争が各地で起こっております中で、企業の責任の追及を避けて、まるで双方に責任があるかのような形で指導される。これは非常に顕著に、水俣病の問題では厚生省の態度として出ていると思うのです。主として厚生大臣にお伺いしたいのですが、水俣病発生の経緯というのはもうたいていの人が知っておりますからここでは略しまして、百十一人の患者中、四十二人が死んで現在六十九人、患者と遺族からできております水俣病患者互助会、それと会社側との問題点はどういうところにあるかということを厚生大臣御存じですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 現時点の問題は、患者側の方々が一日も早く補償をほしい、こういう問題だと承っております。
○田中寿美子君 もっと具体的に、もっと十分に。
○国務大臣(斎藤昇君) 田中さんも十分御存じのはずだと思います。したがいまして、何をお聞きになりたいのか存じませんが、現在は、私が就任をいたしまして以来、患者の方々がお見えになりまして、そうして一日も早く会社との間の橋渡しをしてもらえないかというようなお話やら、あるいはまた国のほうで損害賠償の基準をつくってもらいたい、会社のほうからも損害賠償の基準を政府につくってもらいたいという申し出がございました。私はこれは民事の賠償問題であるから、私のほうで行政的措置としてその民事の補償基準をつくるということは、これはとうていむずかしいことであり、またいかがなことでもあろうか。そこで、いままでのように、ひとつ今度は公害の原因がきまったわけだから、それをもとにして、熊本県知事に前にも会社と患者の間のあっせんをしてもらっておったのでありますから、熊本県知事にひとつさらに今後の賠償についての事実上のあっせんをやってくれないかと頼んだのでありますが、熊本県知事は、なかなかそれはむずかしい、とてもわれわれの手に負えそうもないということであったのでありますが、さらに患者の代表の方方が十数名見えまして、さらに国のほうで何か第三者のあっせん機関でもつくってもらえないか、調停機関でも設けてくれないかというお話があったわけでありますが、自分のほうは訴訟はやりたくない、訴訟を進める人もあるけれども、しかし訴訟は日が長くかかるし、なかなかむずかしいですから、私のほうで第三者のあっせん機関をつくってくれないかというお話がありました。私はいま公害紛争の処理法案というものを国会に出し、それができればそこの紛争処理委員会でやってもらうのが一番適当じゃなかろうかと申しましたところが、なかなかそれが待てないというお話、お話を伺ってみるとまことにごもっともに思いましたので、それでは私のほうでは十分とは言えないかもしれないけれども、皆さま方の御期待に沿えるようにひとつ第三者のあっせん機関をつくりましょう、しかし、その場合には、大体あっせん機関であっせんをしてもらったらそれに従うということでないと、あっせんに乗り出してくださる方々も、そんなむずかしいことはごめんだと言われるかもしれない、これは法に基づかないでやるわけでありますから、と申したところが、大体そこの第三者のあっせん機関におまかせをしますからということであったのです。そこで、患者側の方が私のほうでつくる第三者機関におまかせをするということでございましたから、会社側のほうにも説得をいたしまして、君のほうは訴訟を待っているのかもしれないけれども、それでは時間がかかるから、こういうところであっせんをするのについてそれを受けるかというお話をいたしました。いろいろ経緯はありましたが、受けましょうということになり、私は、一月の終わりであったと思いますが、患者側の方々に、いつごろまでにつくればあなたのほうは大体いいのかと言ったところが、二月の末をめどにつくってもらいたい。それなら、一カ月くらいあるから、十分つくれるであろうと思うということで、先ほど申し上げましたような措置をいろいろやって、熊本県知事にも連絡をし、いろいろやっておったのでありますが、二月の半ば過ぎになりまして、熊本のほうから、厚生大臣は第三者機関をつくると言ったけれども、そんなものにまかせるというようなことはいかがなものであろうかという声が患者の中に相当起こってきている、せっかくやられてもそんなものは成り立たぬかもしれないぞというような注意がありました。それで、だんだんと実情を調べ、また、代表者の方々にも関係の者が会いまして、また、市や県の関係の者とも相談をいたしまして、結局、その第三者機関におまかせをするというようなことをいただければ私のほうで進めましょう、そうでないと進めにくうございますからというのが今日の段階でございます。
○田中寿美子君 いまその核心のところに来たのですけれども、いま、おまかせ願えればということばでございましたが、私ども三月十一日に調査団が水俣に参りました。そうしましたら、いまおっしゃった第三者機関をなかなか厚生省としてはあっせんする人を任命してくれない。そこで、自分たちにまかせろという意味の確約書というのを患者互助会の人たちからとらせているところでございました。その確約書は、いま大臣のお話を聞いておりますと、大臣の意思であるかのように聞こえるのですが、そうでございましょうか。その確約書の内容を、時間もあれですけど、ちょっと読みますと、「私たちが厚生省に水俣病にかかる紛争の処理をお願いするに当たりましては、これをお引受け下さる委員の人選については、ご一任し解決に至るまでの過程で委員が当事者双方からよく事情を聞き、また双方の意見を調整しながら論議をつくした上で、委員会が出してくださる結論には異議なく従うことを確約します。」と、こういう文章を書かして、そうして署名、捺印を指導していらっしゃる、こういう実情ですね。
○国務大臣(斎藤昇君) そのとおりでございます。
○田中寿美子君 これは非常に重大だと思うのですね。人選も全部まかせ、その結論も全部異議を言わない。つまり、白紙委任状を出させるのですね。
○国務大臣(斎藤昇君) 初めからそういうお約束で、そういうことにいたしますからひとつやってくれませんかということで、私は、それならひとつ最善の努力をして、最善の委員を任命をして、そうして最善の方法を尽くして結論を出してもらうようにいたしましょう、第三者機関でありますけれども、私も側面から援助をいたします、皆さん十分な満足とはいかないかもしれないけれども、そこまでやってもらったらまあ満足であると言うてもらえるように私は側面的に努力をいたしますということで、初めから話がきまったわけであります。その話のとおりそれじゃいたしましょうと言うておったら、そんなことを言ったって一ぱい食わされるかもわからぬぞとか、いろいろな事柄がほかから起こってきて、その約束がくずれそうになりましたから、それだけははっきりしておいてもらわないと、私のほうで第三者機関をつくっても何にもならぬかもしれないし、その委員を受けてくださる方も、われわれやってみてもそれは何のことかわからぬというのではというので、受けてくださる方もなかなかいい返事もいただけないだろうということで、それで最初の事柄をさあはっきりさせましょうということでいま進んでいるわけであります。
○森中守義君 関連。関連ですから簡単にお尋ねしますが、私が知る限り、またいま厚生大臣の説明にある限り、政府見解で出された。見解を出して、つまり加害者、被害者という関係を明らかにしたのだが、そのあと一体政府は固有の意思としてどういう措置をとるかということは残念ながらお持ちになっていないですね。さっきのお話にもあったように、患者の代表が、あるいは県あたりが、何とか始末をしてくれということを言ったから、調停機関をつくるようになった、こういうお話だった。ところが、何といっても、政府の見解というものは、加害者、被害者という関係がはっきりした以上、進んで固有の意思としてどういう処理をするか、その辺のことが私は明らかにされねばいけなかったのじゃないかと思う。これが第一点。 したがって、法務大臣はおいでにならぬようですけれども、明らかにこれは会社に対する刑事責任が問われてしかるべきであろう。少なくとも人の命が奪われる、あるいは一生涯半身不随というよりも完全な身体障害者になったわけですから、そういうサイドからやはり刑事責任がとられてもよかったのではないか。これは全然とられない。したがって、この辺に対する法務省の見解はどうなんですか、これが第二点であります。 それからいま田中委員からも言われたように、確認書の中で、一切ものは言わない、すべて出された調停に従うということは、訴訟権の否認、請求権の放棄、こういうものを包括して拘束しているのかどうか、これが第三点であります。 また、いま一つは、通産省に聞いておきたいのですけれども、何としてもこれは企業に責任がある。企業に対する責任を通産省がいかなる方法で追及されていくのか。少なくとも生産あるいは操業、こういうものに対する指導、許可、認可権を通産省が持っておる。したがって、そういう観点から、一体、通産省は企業責任を問われてきたか、これも明らかでありません。 それから大蔵大臣と自治大臣にもこの際聞いておきたいのですが、水俣の市当局が乏しい自主財源の中から一〇%ないし一五%の財政負担をやっておる。これは正確な数字として国にその補償の要求が出ておるとは思っておりませんけれども、零細な自主財源の中の一〇%から一五%の負担をやっておるということは、これはもうたいへんなことです。したがって、自治省あるいは大蔵省は、こういう財政負担に対してどういう処置をおとりになるか、この四点を関連質問として承っておきたいと思います。
○政府委員(川井英良君) 第一点の刑事責任の問題でありますが、水俣の事件は、二十八年の十月に患者が発生いたしまして、それから自来、先ほど御説明がありましたように患者が出てまいりまして、最終の点は三十五年の十月ごろではなかったかと記憶いたしておりますが、現行法のもとでは、この種の事件につきましては、御承知のとおり刑法の業務上過失致死傷の事件といいますか、刑罰を適用するという以外に、今日方法がないわけでございます。そこで、この法律は、昨年度の国会で、禁錮三年の刑罰が懲役五年に改められましたので、その後におきましては、時効期間が五年に延長されましたが、この事件の当時におきましては法定刑が三年でありますので、時効期間も三年ということになるわけであります。そこで、患者が発生した当時、私も現地にその当時行ったことがございますが、熊本地検並びに熊本県の県警がいろいろと資料を集めまして事件になるものかどうかということについて鋭意調査をいたしたわけでございます。しかしながら、はなはだ残念なことに、その当時におきましては、権威ある科学陣が取り組みましたけれども、明確にこれが窒素工場の廃液によるものであるという科学上の説明ができない状態であったわけでございまして、その間に時効期間が経過いたしまして、最近になりまして政府の調査の結果、これは窒素工場の廃液に原因があるものと認めるというふうな結果が出たわけでございます。したがいまして、今日の段階におきましては、はなはだ残念なことでございまするけれども、刑事事件といたしましては、さしあたりこれを処理する現行法規がないわけでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 地元自治団体の負担につきましては、これは筋として、おそらく特別交付税で考慮の対象にしておる、かように考えます。確認はしておりませんけれども、筋がそういう筋でやっております。
○国務大臣(野田武夫君) ただいま大蔵大臣から答えましたことで、大体お答えは同様のことですが、それはまだ何とも言ってきておりませんから、その内容をひとつ検討しまして、できるだけそういう点は処置し得るものはしたほうがいい、こう思っております。
○国務大臣(斎藤昇君) 第三者機関におまかせをしますという確認書というものは、いわゆる訴訟の提起、そういったものを一切放棄することが内容に含まれているかというお尋ねでございますが、 〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 私は先ほどからも申しておりますように、まあ事実上のあっせんをやって、そしてこれなら会社と患者の間で満足してもらえるというような、そういう結論を出してもらおうと、こう思ってお願いをしておるわけでありますから、したがって、厳密な法律的な意味で、これに判をついたら、もうあと訴訟権やなんかは一切放棄してしまうんだぞと、そんなものではございません。また、そんな意味の公正証書みたいなものでもありません。それは含んでおりません。おりませんが、しかし、初めから従うか従わぬかわからぬ、また患者同盟の人はそう言っておられても、各患者の方の中で、おれは従うかもわからぬ、おれは従わんぞと、初めから言う人がたくさんあったんでは、代表者の方もお困りだと、これは代表の方も言っておられるわけです。だから、大体従おうじゃないかという意思統一ができるということでないとぐあいが悪いぞと、しかし、何名だけはおまかせしますと、何名はもうおまかせしませんと言って、その中からはずれてくだされば、またそれもはっきりすると思います。そこのところをはっきりしませんと出発ができませんので、はっきりしようじゃないかと。初めはそんなに厳格に考えていなかったんでございますが、私は少しあまり人がよすぎたのかもしれませんけれども、だんだん時日の経過を見ると、中にはいろいろな意見が内部の中で出てきたというお話がありましたから、まあ内部の意見を大体こういう方向でまとめてくださいということが今日の現状でございまして、したがって、そこで、先ほどお読み上げになりましたように、両者の意見を十分聞き、お互いに話し合わして、そういう機会を持って、最善を尽くしてということであるならば、その結論は尊重いたしましょうという程度の意思統一をやってもらわないと、これ事実上の機関でありますから、法律に基づくものでも何でもありません。おまえのところはなぜ出しゃばるんだと言われれば一言の文句もない。それを私がわざわざ買って出たのは出しゃばりかもしれませんが、患者のためにはそれが最善であろう。患者の側と、患者の方々とお目にかかって私の得た印象で、とにかく紛争処理委員会ができるまでお待ちなさいと、それにはとても待てませんという事情を聞いてみますると、一日でも早く私は解決をさせてあげたいと、こう思ったから、そこで出しゃばってまいったのが今日の現状でございます。
○国務大臣(大平正芳君) 企業の責任についてのお尋ねでございました。 第一に法律上の責任でございますが、刑事責任の問題につきましては、先ほど法務省のほうからお話がありましたのでございます。したがって、民事上の責任といたしましては、当事者の間で話し合いできめるか、あるいは裁判所の判断に待つか、そういうことになろうかと思います。しかしながら、一方におきまして、仰せのように企業の社会的な責任というものがあるわけでございますので、今度御審議をいただいておりまする紛争処理法案には、社会的責任として企業が半分を負担するということを明定いたしてあるわけでございます。 それからさらにもう一つ事実問題といたしまして、これは既往において排出いたしましたものによって生じた悲劇でございますが、これから先長きにわたって企業が運転を継続し、周辺の住民の方々に御迷惑をかけるということがあってはなりませんので、私どもといたしましては事前に、いま現に運転中の工場の排出についてのピークをどのように押えるかというようなことは現にやっておりますことは御案内のとおりでございますけれども、将来工場の立地に予定されている地域には事前に調査をいたしまして、工場の立地をきめる前に、工場が順守すべき基準というものをあらかじめ踏まえた上で工場の建設にかかるということをやりまして、そういった社会的責任にこたえさせなければならぬというふうに考えております。
○森中守義君 厚生大臣からお答えをいただくべきものであるか、あるいは官房長官なのかよくわかりませんが、私のお尋ねした中で一つ抜けておる。それは熊本の知事とか、あるいは患者の代表から、補償のあっせんをしてほしいと、こういう申し入れがあったからそれに乗った、ひいては調停機関の設置の方向に進んでおる、こういうお答えなんですね。ところが私がさっきお尋ねしたのは、なるほど公害の原因が断定をされた。これまでは非常にけっこうなんです、むしろおそきに失しておりますけれども。そこで問題は、断定をしたあと政府は独自の意見を、独自の方策をもって究明された原因、つまり責任の所在が明らかになったわけです。その対応策をとらねばならない、それがないじゃないかと、こう聞いている。要するに、県に患者が言ってきたからそれに乗り出した、それでは認定はしたが方策はないじゃないか、それは一体どうしてくれるんだということが答弁として抜けている。非常に大事な問題なんですよ。
○国務大臣(斎藤昇君) 公害の原因者がはっきりした、そうしますると、あとはその加害者と被害者との間の損害賠償という問題になる。したがって、現在ではこれを法律的に言えば損害を賠償する責任が生じる。そこで、それを一日も早くというのがわれわれの願いでありますから、早くやってやれと言うし、また一方は早くやってほしいと言うし、というのが今日の現状であります一そこで、その間に患者の方もお困りでありましょうから、さしあたっての分は、公害による健康被害の救済の法律をいまつくらしているわけでございます。それ以外の分につきましてはなるべく早く損害補償のできるように、これは事実上のあっせんをいますべきであるし、これがあまりおくれるようであれば、いまお願いをしておりまする紛争処理委員会においてでも促進をしてもらうという道も開けるだろうと思いますが、今日はそれ以外に道がないわけであります。公害の原因が発見できれば、それは原因者が負担をする、被害を負担するというのがたてまえになっておりますから、いまそういう方向でやっているわけでございます。
○田中寿美子君 いまのお答えの中からたくさん質問があるんですがね。 まず一つは、法務省の刑事局長さん、無過失責任——業務上過失致死に問うよりしようがない現行法では。じゃあ、いまから刑事責任を、刑事罰を処すという考え方があるかどうかということ。無過失責任を問うべきであると思うんですが、その点はどうなんですか。いま準備していられる、法制審議会で審議してらっしゃると思いますが。
○政府委員(川井英良君) 業務上過失致死傷罪というのは、御承知のとおり結果の発生を必要とする犯罪でございます。したがいまして、原因たる行為と結果との間に刑法上の因果関係を証明しなければ犯罪が成立しない、こういうことになっておりますので、本件のような一般公害罪につきまして、その間の行為と結果との因果関係の証明ということは科学的にも、技術的にも、法律的にも非常に困難であります。かなりの事件をやってみましたけれども、非常に困難であります。それから先ほど申し上げましたとおり、時効期間が非常に短かいということ、大きな事件につきましては大体三年くらい調査がかかってしまいまして、それから捜査しようと思いましても、多くの事件が時効になってしまうというようなことでございましたので、ただいま御指摘になりましたように、ただいま法務大臣の諮問機関である法制審議会において刑法の全面改正を審議いたしております。その審議の一環といたしまして、最近の公害の実態にかんがみまして、この際公害罪というものを新しい観点から取り上げてみたらどうだろうかというふうな意見が出てまいりました。昨年の十月の刑事法特別部会というところでこの問題を取り上げまして、いま刑事法特別部会の一つの小委員会でもってこの問題の条文化を検討中という段階でございます。 せっかく参りましたので申し上げますが、その内容は、結果の発生を必要としないで、具体的な危険が生じたというだけでもって犯罪としてこれをとらえることができるならば、捜査は非常にやりやすくなる、目的を達しやすくなるというふうなことで、私どものことばで申しますと、いわゆる公共危険罪として取り上げることができないだろうかというふうな点につきまして、鋭意審議検討中という段階でございます。
○田中寿美子君 私たちは企業の無過失責任を追及すべきだという立場から公害罪というものも考えてもらいたいと思っているのですけれども、きょうの厚生大臣の御説明でいろいろと問題があるのですが、第一、園田元厚生大臣があそこに行かれて、そして水俣病というのは新日本窒素の有機水銀中毒であるということが確認された。先ほど森中議員が言われましたように、会社側が加害者であることははっきりわかったのですから、それに対して損失を賠償する命令を下す機関がいままでのところなかったのです。厚生大臣はその所管ではないかと思うのですけれども、いかがですか。
○国務大臣(斎藤昇君) これは民事上できまる問題でございますから、厚生大臣が職権をもって支払えということは、これはいま法制上ではできないと思っております。
○田中寿美子君 それで、公害関係の法律や行政が非常にそういう点も不備なんだと思うのですが、そういう意味でこれから整備していかなければいけないと思います。 そこで、先ほどの確約書の問題なんですけれども、第三者のあっせん機関にまかせろということで、その確約書の署名捺印を求められたのは、患者側の意思であったというふうな御説明でしたけれども、患者側の患者互助会の中の様子を御承知でございましょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 互助会の内部事情はつまびらかには私自身いたしておりません。
○田中寿美子君 その確約書を書かせなさったときは、水俣市当局の公害関係の役人が上京して、厚生省の公害部長の指導によって確約書の案をつくり、それを電話で連絡して書かしている、こういうことは妥当なことでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、その妥当とか違法とかなんとかいう、そんなむずかしく実際考えていなかったし、いまもいないのです。非常に善意と善意の話し合いで出発した問題であり、こういうようにしたほうがうまくいくだろうと、代表者の方もお願いすると言われるし、それならじゃそうしましょう、文章もどういうふうでいいだろうということで、やはりまとまらなければ困るだろうということで、公害部長が私のところに案を持ってきました。私忙しかったからちらちらと見たんですけれども、確約書というのはちょっとかた過ぎるなと思いましたけれども、まあ中を統一するならこれでいいだろうと、しかし、何もこれで最終責任一切白紙委任でございますというほどのものではないという、私は、何というのですか、自分の意思留保を伝えておいたのですが、そんなつもりであれをいたしておるので、これを法律的に取り上げてどうだこうだと、そんなむずかしい問題に私は考えておらないし、考えないで進みたいと、こう思っているわけです。
○田中寿美子君 新日本窒素側の責任が非常にはっきりしているのに、今日まで水俣病が発生して十五年もこういう状況においておったというのは、全く会社側が非常に不誠意であるということの証拠だと思うのです。それで今日まで患者に対して会社側は第三者に協力を求めてはいけないとか、弁護士をつけてはいけないとか、同じような状況のある場所では、たとえば阿賀野川ではもうすでに訴訟を起こしている。そういうふうな状況ですのに、漁民はほんとうにかわいそうなと言ったら失礼ですけれども、わりあいに知識の十分ない貧しい漁民たちですから、会社がそういうことをしたら補償してやらないぞと言われると、その圧力を感じて、ほんとうに気の毒なんです。ですから、こういう場合に、いま互助会の交渉委員というのが十五人いる、そのうちの九人が判を押してしまって、あと六人が拒否しているわけです。互助会のメンバーはまだ押しておりません。あれを確約書に判を押すということは最後に出てきた。第一、第三者機関の人的構成はどういうふうに考えていらっしゃるか、それをまず私は先に聞きたいと思います。それが明らかになっておりません。
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、当初から皆さま方からお話があり、進めた問題なら、皆さま方におそらく御相談の上進めます。当初はもう互助会の方々と直接話し合って、そうして直接進めている間に、途中でいろいろなことが起こってまいって、なかなかむずかしいもので、私はちょっとこれは人がよ過ぎたかなと思っていま侮やんでいるわけでございます。
○田中寿美子君 お答えが……。第三者機関の構成はどうか、どういうものにしようというのですか、それを。
○国務大臣(斎藤昇君) 第三者機関は大臣に一切御一任しますというのが初めからのお約束なんです。そこで、私はでき上がるまで一それをいまこういうことで初めから内容を聞かしてくださいということであれば、こんなことでどうだろうかという御相談をしてつくるかもしれません。いま聞かせろとおっしゃればそれはあれですけれども……。
○田中寿美子君 聞かしてください。
○国務大臣(斎藤昇君) いま患者側の方々となら私はお話ができます。しかし、皆さまから御助言をいただくなら、私は御助言は十分お伺いをいたします。しかしながら、こういうものでなければ話には乗らぬぞとか、あるいはまかさないぞとかというあまりむずかしい注文がつくなら、もうそのうち紛争処理委員会ができるのですから、それまでお待ちいただくほうがいいのじゃないだろうかと、私はいま考えつつあるところであります。
○田中寿美子君 私の質問の要点は、第三者機関がどういうものであるかもわからないで判をつくということは、これはほんとうに人権じゅうりんだと思うのですよ。名前でなくても、たとえばどういう構成であるということもわかっていないのでしょう。
○国務大臣(斎藤昇君) 一にかかって私と患者同盟との間の信頼関係でありまして、信頼ができないとおっしゃればそれまでのことであります。
○田中寿美子君 そんな個人的な取引じゃ困るわけなんですね。これははっきりと新日本窒素に責任がある。そして、あの水俣病患者の苦しみというのはちょっと地獄の苦しみですね。これに対して誠意を示さないからきょうまで延びてきている。それに対して暮しも苦しいし、医療費も要るし、だから補償がほしいというのに対して、当然患者を代表するような人が入っているとか、またその構成のワクもわからないで判を押せというのは、非常に私はそんな——厚生大臣はりっぱな方であるかもしれませんけれども、患者として最後に訴訟権を留保しておきたいというのは当然なんで、こういう白紙委任状のようなものを出すということに不安を感じるのは当然じゃないでしょうか。
○国務大臣(斎藤昇君) どうも話が食い違っているようで、私のほうからこういうものをつくるからお前のほうで判を押せと言うたのじゃない。向こうのほうから一切御一任するからひとつやってくれぬかというお話でありましたから、これは法律も何にもないのに、権限はないけれども、事実上私は厚生大臣個人として大いに努力をしましょう。私はむしろ患者側の気持ちになって、患者側の代表になって、そうしてこれを推進するつもりでおるわけです。したがって、判を押せと言ったとかなんとかいうことはこれは私は非常に心外な話であります。 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
○山本伊三郎君 ちょっと、関連。斎藤厚生大臣ね、あなたは法律の立場からそういうことを言われますが、当事者となれば非常に苦しんだ問題であり、しかも、厚生行政としては、権限のあるないにかかわらず、そういう国民の一部の方だから、あなたは善意をもって、好意をもってやろうとされたのでしょう。それはいま言われたとおり、私から言ったことはないんだから判を押せということはかってだと、こう言われますが、そういうことを離れて、水俣の死亡者、患者、遺族の方々に対して、厚生行政としてやはりあたたかみをもって私は措置してやるのが厚生大臣の私は役目だと思う。いま、したがって、田中委員の尋ねられるのは、そういう構想というものはないと言われますが、やはり第三者委員会をつくる場合に、私はこう考えているのだ、これについてどうかと、ここまで、私は、厚生大臣である以上、国民のそういう困っている方々に対して親切心があってもいいと思う。法律論からいえばあなたの言われるとおりですよ。公害紛争処理法ができない限りは厚生大臣の権限はありません。ないが、せっかくそういうぐあいに陳情されておるのだから、第三者機関としてこう思うのだがどうだろうか、私はこういうあたたかみをもってやるのが当然だと思うのだが、それは患者と話をするが、田中委員にはしない、そんなことは言えない。国会議員は国民の代表だから、その患者ももちろんその代表として考えておると思う。したがって、田中委員に言われたように、あなたには言えない、患者には言える、こういう厚生大臣は私は聞いたことがないんですがね。その点ひとつ。
○国務大臣(斎藤昇君) 私は田中先生であろうと、山本先生であろうと、どなたであろうと、この問題を心配してくださってこういうようにやったらどうだ、ああだといって個人的に話をしてくだされば、また御意見を伺っていたします。ただ、公の場で紋切り型に、判をつくことは人権じゅうりんじゃないかとかという立場から、公の場で言われますと、私はいまこれこれこんな人を考えておりますと言っても、公の場で言って、そうしてその方に了承を得られないとなれば、こっちの人にまた了承を得なければならぬとか、そういう非常にむずかしい問題になるわけであります。したがいまして、私は後刻ゆっくりと御意見のあるところを伺って、そうしてみんなが満足していただくようにやってまいりたい、こう考えておるわけであります。
○田中寿美子君 私は具体的な名前を言えなんて言っていないのですね。何人、どんな構成でやるのかということもわからないで判を押すということは、彼らにとっては非常に重大なことになるということを患者の中の多くが言うからそう申し上げておる。厚生大臣は、患者から頼まれたと言われるけれども、その辺は違っておりますね、事実と。
○国務大臣(斎藤昇君) 事実がどういうように違っているか御指摘をいただきたい。
○田中寿美子君 患者の互助会の組合員のうち四、五十名と私ども集会をいたしまして、そうしてその中で、厚生大臣の言われる確約書に賛成の者は二人だけでございます。
○国務大臣(斎藤昇君) 私は互助会の方十二、三名の方とお目にかかって、そういうことについて基本的に話をいたしたわけであります。したがって、互助金の代表者の方々が団体の人の意見をまとめるのに困っておられるらしいという話は聞いております。団体すべて六十名の方には聞いておりません。したがって、団体の方が団体の総意を代表しているというようなことでないと、あなたとお話ししたけれども、それはなかなかむずかしゅうございますよというのが、いまの調印と言われますが、そういう問題に発展していったんだろうと私は思います。したがって、代表の方がおっしゃったのは団体の総意でなかったということになれば私も考え直します。
○田中寿美子君 厚生大臣のところに来た交渉委員のことだろうと思います。それで、その点については事実と反しておりますから、もっとよくよくお調べになっていただきたいと思います。 それから、それにいたしましても、こういう白紙委任状のようなものを書かせるということに対して異議を申し立てたからこれはけしからぬという考え方はたいへん間違っておると思うのですが、それはどうですか。
○国務大臣(斎藤昇君) 形式的に言うと書かせるということになったのかもしれませんけれども、こういうことでまとめましょうという話し合いで終わったわけでございます。まあ御意見によって私はどうにでも考えます。まだ何にもこうでなければならぬと考えておらぬ。私は患者のためになればいいと、それだけ思っておるのでありますから。
○田中寿美子君 厚生大臣がそうお考えでしたならば、確約書を無理に取らせるようなことをしないように私は要望しておきたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) ただ、団体として少なくとも大部分の方の意思がまとまりませんと私は乗り出すわけにはまいりません。それだけははっきり申し上げておきます。
○田中寿美子君 その場合は、これは私は国民の権利として最終的には訴訟権もあるのですね。ですから、そう無理に厚生大臣が思っていられる方向に指導されないように要望しておきます。
○国務大臣(斎藤昇君) 私は決して無理に私らにまかしなさいと言っているのじゃないのですから、そこはひとつ誤解のないようにしてください。私はいろいろこのいきさつをあれをいたしまして、この問題は園田前厚生大臣も非常に心配しておられます。こういう話し合いで、こういうことになってきたが、これでどうだろうかというから、それが一番いい方法だな、それでひとつ患者のためにやってくれぬかというようなお話もあり、関係のところにもそれぞれ話をしたりいろいろして心を配っておるのであります。決して私は無理に押しつけようという意図は毛頭ございません。初めから訴訟でおやりになったらどうですかとも言ったのですが、しかしそれはちょっと時間がかかるしということで、それもそうですなというところで同情が深まってきたのが今日の現状というところでございます。
○山本伊三郎君 委員長ちょっと一言。同情同情と言われますが、ぼくはそれは大臣として国民の困っている者に対して私は行政上の措置を考えてやるということは当然だと思うのです。しかし、法律がないから権限を持ってやれない——仲裁というのはむずかしいということは、私わかりますよ。わかりますが、要するに確認書を持ってまとまってこなければおれはやれないのだということの前に、実は私は第三者機関としてこういうものを考えているんだ、それでもあなたのほう、まとまらぬから——そういういろいろな話をされておるのかどうか。しかもいまの話を聞くと、確認書に判を押さなければおれは知らない、かってに訴訟しなさい、こういうふうにとれるんですが、私は、きょうはテレビ放送されていないが、あなたのような答弁をずばりやられたら一あなたの真意はどうか知りませんよ、非常に冷徹な厚生大臣だと思いますよ。私は聞いておってもそう思うんですよ。あなたのたちだからしかたがない。しかし、私はこういうたちだからというのは、国民は知りませんからね。だから、そういう点はもう少し、何といいますか、あなたが同情と言うけれども、要するに厚生大臣という立場から気の毒なことはわかっているんでしょう。しかもこれは公害だという認定を厚生省したんでしょう。ただ、法律の措置ができないからあなたは困っている。賠償するのは当然なんです。その賠償は一体幾らになるのかということでもめているのだ。したがって、その点は厚生大臣が何とかやってやろうという意味において、今後ともやはり努力をしたいと。確認書を出さなければおれは知らないのだ、そういう、何といいますか、ぴしゃっと突き放すような答弁というものは——私はあなたの立場を思って同情的に質問いたします。
○国務大臣(斎藤昇君) たいへん御同情いただいてありがとうございます。私は皆さま方に私の真情がわかっていただければしあわせだと、こう思って、ものの言い方ははなはだぶっきらぼうであるかもしれませんけれども、お許しをいただきたい。ただ、考えていただきたいのですけれども、患者の方々の御意見がそれぞれまちまちであれば、これはちょっと処置がないじゃありませんか。そこが私はあれしているわけで、本来はこんな第三者機関を設けて、その費用をどうするのだと突っ込んでこられれば、私はポケットマネーで出しますともちょっと言えない点もあったり、そこまであれをしながらやっておるわけであります。御了承をいただきまして、できたら円満にそういうものが設けられるように御協力をお願いいたしたいと思います。
○田中寿美子君 この問題はまだいろいろあるのですが、時間がなくなってきましたので、次に、今度、公害に関する医療救済法案ですね、それに関して一つだけちょっと伺っておきたいのですけれども、公害による医療の医療費を補償する法案を出しておりますね。これは厚生省所管になるわけなんですが、この救済の対象は、大気汚染、水質汚濁、そしてこの範囲は、広範囲に被害が起こったものというので指定される予定ですね、どことどこを政令で指定されますか。被害はどこを指定されますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 大体公害病と認定のできるところは指定をいたしたいと、かように考えております。いわゆる重金属による公害病として認定をしたところは大体できると思いますし、大気汚染につきましても、すでに四日市その他公害病患者と一応府県で指定しているところがございますから、それを大体そのまま引き取ってやれるだろうと思っております。また、公害のひどいといわれております川崎地区とか東京地区の一部分とかというところも指定しなければならぬと思いますが、これはまだ地域と、それから程度をいま調査中でございますので、直ちに地域を指定することは困難であろうと思いますが、できるだけ早く指定をいたして法律の適用を受けるようにいたしたいと、こう考えます。
○田中寿美子君 いまのお答えは、一般に伝えられているよりたいへんよかったと思うのですが、事実でしょうか。厚生省当局に伺いたいのですが、いままで伝えられているところで水俣病、それから富山のイタイイタイ病、四日市ぜんそく、これだけを指定するといわれておりますが、そうじゃないのですか。いまおっしゃったように広範囲になさいますか。
○政府委員(金光克己君) ただいま御説明のあったようなところではまあ第一義的に指定するということでございますが、大臣の御説明のありましたように、公害として認定の必要を生じた、まあ地域指定の認定の生じたところは考えていくということでございます。ただ、先ほど大臣からもお話がありました川崎等の問題につきましては、なおこれから調査しなければならぬということでございますので、今後の結果に待つということでございます。
○田中寿美子君 これは厚生大臣の善意とちょっと違うですね。川崎ぜんそくはこれからということですし、それから私の歩きました大阪の西淀でもあるいは富山県の吉久ぜんそくというのもありますし、東京にも大原もある。方々あるわけですが、そのほかいろいろのもの、安中もあるいはそういうことになるかもしれない。公害の認定をもっと広くする考えはないかどうか。
○国務大臣(斎藤昇君) 公害病と認定のできるようになったところはみな指定をしていくつもりなんです。しかし、現在いま直ちに指定ができるところは先ほど申し上げた程度である、こう申し上げたわけであります。それで誤解のないようにお願いをいたしますが、川崎地区やあるいは東京の一部もいますぐ指定できるだけのまだ準備ができておりません。しかし、これは指定しなければならぬところだと思いますから、その範囲をどの範囲にして、そうしてどうするかということを至急に調査を進めるようにいたしているわけであります。
○田中寿美子君 それから四十四年度は、公害の医療補償の額ですね、救済の額、三千万ちょっとしか取っていないわけです。ですから、いまおっしゃったようなことはできないだろうと思うのですが、将来広げるとして、せっかく大蔵大臣いらっしゃいますから、これは大蔵大臣はそういう予算を取るおつもりですか、これはうんとふやさなければいけない。
○国務大臣(斎藤昇君) 将来は私は残念ながらふえてくるのじゃないだろうかと思います。実際はこういうものは公害源をなくしていく方向にまいらなければなりません。しかしながら、ここ数年は若干はふえるであろう。しかし、ことしは大体この程度で足りるのじゃないかと思いますが、もし足らない場合は大蔵大臣にしかるべく善処をお願いいたします。
○田中寿美子君 大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 厚生大臣とよく相談をいたします。
○田中寿美子君 いまの予算ですと、川崎ぜんそくなんか入っておりませんから、どうか途中ででもそれははずさないで、できるだけ早く調査をなさって、そうしてやっていただきたいと思います。 次に、環境基準の中で、自動車の排気ガスについて、一酸化炭素の排出基準をきめてからですね、ことしの三月現在、全国の自動車の中で何%がこの基準を満たすようになっておりますでしょうか、これは排気ガスの問題はなかなか解決されないのです。
○国務大臣(原田憲君) 自動車の排気ガスの基準は、先般私から閣議で発表いたしまして、ことしの秋から販売される新型車につきまして、現在の三%以下としておりますのを二・五%以下に引き下げる。なお、継続して製造される新車につきましても、すみやかに同一水準まで引き下げるように引き続き措置をする。今後は、目下国際的に検討されている規則、方法を参考として逐次規制を強化してまいる、こういうことでございます。
○田中寿美子君 いまお尋ねしましたの、現在走っております自動車の中で、一酸化炭素の排出基準に合っているものが何%ぐらいありますでしょうか。
○国務大臣(原田憲君) 四〇%でございます。
○田中寿美子君 新車に対してこれから規制なさるわけですけれども、中古車の規制はどんなふうになさいますか。
○国務大臣(原田憲君) 中古車に対しましても、いま四十四年度で、大阪、東京、名古屋で検査を重点的にやっておりまして、そしてこれを四十五年度にはぜひ実施をしていきたい、このような方向で進んでおります。
○田中寿美子君 一酸化炭素とか炭水化物が人体に及ぼす影響、それを調査をなさっていますでしょうか。
○国務大臣(原田憲君) 後者のほうは、これはたしかアメリカのロスアンゼルスとか、非常に雨の少ない、太陽が強いところで、紫外線というものが影響した特殊なスモッグで、日本にはそういうものは少ないというように聞いております。一酸化炭素については点検をいたしておるわけでございます。
○田中寿美子君 日本に調査がございますかというんですけれど、調査なさいましたか。
○国務大臣(原田憲君) 一酸化炭素につきましては来年から大原地区等でやる。もう一つのほうはいま考えておりません。
○田中寿美子君 公害は、はっきりと企業が出すことがわかるものと、それから都市公害のように自動車が出す排気ガス、あるいは暖房なんかから出てくるもの、それらを全部規制していかないと、ほんとうに公害対策になりませんので、いまのような調査を急いでやっていただかなけりゃならないと思います。それを要望いたしておきます。なお、火力発電所のあちこちの建設について、住民の反対しているのを御存じでしょうか。どういうところで反対が起きているか。通産大臣に。
○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。 最近のSO2の公害問題とからみまして、新しく過密地帯に近いところでの新規発電所につきましては、地元で強い関心がございます。したがいまして、かなり広い地域で地域住民の方の関心が出ておりまして、したがいまして電力会社といたしましては、計画を具体化するに先立ちまして地元住民と話し合いを詰めるということでやっております。たとえば東京電力の富士あるいは関西電力の高砂あるいは新宮津等々、各地におきましてそれぞれ地元住民と話し合いを進めてまいっております。
○田中寿美子君 いまあげられました京都の新宮津、あるいは直江津でも最近非常にたくさんの反対運動が起こっている。それから富士、境港その他、これら地元住民と話し合うって、どういうふうになさいますですか。
○政府委員(本田早苗君) 具体的にはまず用地の買収から始まるわけでございますので、用地買収が行なわれ始めますと、地元の住民の方々は火力発電所の建設をまずお知りになるわけであります。したがいまして、電力会社と地元の市町村との間で話を始めることに相なっておりまして、市町村は、その話し合いの前に地元の意見を参照されつつ話し合いをされるということから具体的な話が始まります。
○田中寿美子君 火力発電所の設置については、自治体の長でも、たとえば千葉県の友納知事すら、もうまっぴらごめんだと言っていられるくらいですから、過密地帯での設置ということについては、十分いまの点を、地元の住民等の考えを聞いていただきたいと思います。 なお、その次に、急ぎまして、騒音の問題なんですが、公害の規制で、騒音対策が全くおくれておると思います。騒音対策はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 御承知のように、昨年おきめをいただきました騒音防止法を忠実に守ってまいりたいと、こう思っております。
○田中寿美子君 騒音規制法は非常に不十分なんですね、いろいろの騒音がありますが、私は、いまここでは民間空港騒音のこと、民間空港騒音の規制について、非常におかしいところがある。これはほかの軍事的な空港でも同じかと思いますけれども、どういう規制になっておりますか、ちょっと御説明ください。
○国務大臣(斎藤昇君) 空港いわゆる飛行機の騒音は、これは他の公害と違いまして、その公害を除去するということがきわめて困難であり、場合によっては不可能であるというのが今日の現状でございまして、私はできるだけ騒音を消すような科学技術の進歩が早くできないかと言っているんですけれども、これはちょっとまだ見込みがないようでございます。したがいまして、こういった騒音に対しましては、できるだけ学校その他のところには防音装置をつけてもらうとかいうような対策をやる以外にはなかろうかと思っておりますので、まあ自衛隊の基地の周辺の対策と同じような対策で進めてまいる以外になかろう、かように思っております。
○田中寿美子君 空港の騒音防止に関しては、運輸省が管轄だと思うんですけれども、しかし、厚生省、騒音規制法の工業地域について幾らぐらいまでならという規制がございますでしょ、これをちょっと。
○政府委員(金光克己君) 騒音規制法におきましては、地域を工場地帯とか住民地域とか分けまして、またそれを昼とか夜とか分けまして規制いたしております。なお、建設事業につきましての建設騒音というものにつきましても同じような規制をいたしております。
○田中寿美子君 それ幾らにしておりますか、基準です。騒音の基準。
○政府委員(金光克己君) 大体四十から七十ホンという範囲です。
○田中寿美子君 先日伊丹の空港に参りました。川西の南部地区、久代、攝代、高芝、このあたり大体常に九十五ホンくらい。それで国を相手に集団移転の要求、訴訟を起こそうかというようなところになっているのですけれども、こういう事態の把握ができていらっしゃるでしょうか。運輸大臣に。
○国務大臣(原田憲君) 新聞記事は読んでおります。しかし、訴訟云々に関して、詳細なことについては明らかに私は承知はいたしておりません。したがって、具体的にどういうことになっておるのかということを、つぶさにお答えすることはできません。しかしながら、これはもう私正直に申し上げますが、私の地元でございます兵庫県は、私の選挙区ではございませんけれども、この防止法については、手前みそでありますが、田中先生からしかられるかもしれませんけれども、この間松澤先生にも御答弁申し上げましたが、私率先して一生懸命やっておるつもりでございます。今後とも、この防止法に対して実態の調査を進めて適切な措置をとっていきたい、このように思っております。
○田中寿美子君 政府の側の調査というのは常時の監視でないものですから、そこに住んでいる人たちが非常にこたえていることがわかりにくいですね。ですから、正確な調査をして常時監視をするということが、まあ必要だと思う。たまりかねてPTAの人たちが自分たちで調べますと、そういうようなしろうとがでたらめな調査をするようでは助成金をやらないとか、いろいろ圧迫をかけているような事実を御存じでいらっしゃいますか。
○国務大臣(原田憲君) いまのお問いのような具体的な問題については私は知りませんが、この間の御質問の中にも、それに類した、調査方法についての御質問がございました。これはやはり個々の人で、いや京都大学の先生を呼んできた、阪大の先生を呼んできた、どっちが信用できるかというような問題になりますから、これはやはり権威をもって実情に即して責任者が調査をすると、こういう方法が一番よかろうじゃないかと思います。
○田中寿美子君 はしょってしまいますけれども、騒音に関して非常に手おくれしておりますから、厚生省もこの基準を早くつくるように、それから調査を、ほんとうに国が責任をもってやっていただきたい。これも、運輸省も厚生省もだと思います。 最後に、私、公害の問題で回っておりまして、ほんとうに公害に関して、もうだれに最後の責任を持っていったらいいのか、住民も、訴える場所もないというようなことで、訴訟に踏み切らなければならないような状況ですね。ですから、一日も早く公害に関する行政がもっと集中されるような方法はないでしょうか。これはもうお答えになる方がいらっしゃらないのじゃないかと思いますが、まず主務大臣で、厚生大臣。
○国務大臣(斎藤昇君) 先般この委員会で、総理に対して御同様の御質問がございました。総理も、なかなかこれはむずかしいと思うから、できるだけ現在の段階では連絡調整をとっていくというお話でございましたので、それで御了承をいただきたいと思うのでございますが、まあ、私のほうは被害を受けるほうの代表でございますから、いまおっしゃいました点も痛感をいたしております。先ほどの御質問にいたしましても、関係各省たくさん集まらないと御答弁ができないというような実情で、住民も困っておられるだろうと私は思います。まあ、さしあたっては、府県あるいは市町村も協力をするというのが公害防止基本法にあるわけであり、やはりいま現に主要なところでは、公害課あるいは公害部をつくって専心取り組んでもらっておるわけであります。まあ現地ではそれを中心にやっていただくように、さらに拡充をしていただくように財政的な措置もはかりながらまいって、そして中央もできるだけ簡素化できるなら、いたすように考えてまいりたい、そういう意味で、公害の会議というものを閣僚をメンバーとしてやっておりますが、その事務は厚生省の公害部でやるということになっております。この機構ももう少し拡大をいたしまして、先ほど衆議院のほうでもお話があったのでありますが、将来は公害省あるいは公害庁というようなものを考えるような方向で検討をいたしていきたい。公害庁に至るまでになかなかちょっと構想もむずかしいと思いますが、私といたしましては、そういうような事柄で何とかうまくまとまっていく方法はないかということを考えてみたいと思っております。
○田中寿美子君 総理府総務長官は。非常にお待たせしましたが。
○国務大臣(床次徳二君) 先ほど来お話がありましたごとく、公害、特に紛争に対しましては、最終的には裁判所に行かなければならない。訴訟になると、これが関係者にとって非常に時間もかかるし、費用もかかる迷惑なことであります。したがって、これはいわゆる和解、仲裁、調停という形によって、社会的にこの問題を解決しようという、これは基本法の二十一条の精神に基づきまして、紛争処理法案なるものを御審議願うことになっておる次第でございます。したがって、この機関におきましては、町村におきまして苦情を聞く窓口をこしらえる、府県におきましては審査会あるいは審査委員というものを設け、そして仲裁、和解、調停をいたしますと同時に、中央におきましては、第三者機関としての中央審査委員会というものを設けまして、そして独立した中立の機関として十分な権限を持ちましてそれぞれの職務で紛争処理に当たるという形にいたしておる次第でございまして、まあ、先ほどからいろいろ御意見がありましたが、ああいうような問題につきましては、訴訟によらずして、いまのような紛争処理機関によって扱ってまいりましたならば、費用も安くいくし、時間的にも簡単に片づくのではないか。お互いに互譲の精神をもって解決いたしましたらば相当役立つものではないかと考えておる次第であります。
○田中寿美子君 公害対策会議の一番筆頭に総理大臣がいらっしゃるわけですね。総理府がその管轄ですが、どんな働きをしていらっしゃいますか。
○国務大臣(斎藤昇君) 公害対策会議の議長は総理大臣、それから関係大臣がみなメンバーになっております。その事務局は厚生省で担当をするということになりまして、たとえば、先般の亜硫酸ガスの環境基準をきめます際とか、そういうときにも開いておりまするし、今後できるだけここで会合を重ねまして、先般も申し上げましたが、たとえば原油あるいは重油等の低硫黄対策の年次計画というようなものとか、あるいは一酸化炭素の環境基準をきめ、それに即応してどういうふうにやっていくとか、各省につながりますから、そういう問題の基本的なものをここで討議をしてきめていきたいと、かように考えております。
○国務大臣(床次徳二君) なお、総理府といたしましては、全般的な連絡調整という意味におきまして努力をいたしておるわけでありますが、公害現象そのものが、大気の汚染とか水質の汚濁等、きわめて多元的で複雑でありますので、個々の政策の実施等は関係各省庁で、その権限に基づいて実施をいたしますけれども、総括的な、政府全体としての政府の政策を一元化するという意味におきましては、先ほどお話がありましたような公害対策会議というものが行なわれる。なお、その連絡に対しましては、いわゆる課長級の連絡会議をしょっちゅう開いておりまして、これがほんとうの事務の処理として役立っておる次第でございます。
○田中寿美子君 課長級の会合をたびたび開いていらっしゃるそうですけれども、公害対策会議はまだ二月二十日に一ぺん開いただけです。ですから、公害行政にもっと力を入れてほしい。それから、何といっても、公害というのは研究機関が絶対に必要でございますから、これを充実した大きなものを中央につくる。それに、大蔵大臣に公害防止事業団の費用も聞こうと思ったのですが、時間がなくなったのですけれども、今後の決意を聞かしてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 人間尊重の佐藤内閣として、公害は非常に大事な問題でありますので、財政当局としてもできる限り努力をいたします。
○田中寿美子君 もう一分追加があるそうですから。 それでは、公害防止事業団がどんな働きをして、幾らことしあるか。
○国務大臣(斎藤昇君) 公害防止事業団は私のほうの所管でございますから、お答えをいたしますが、本年は、公害防止事業団に対する出資、いままで三億ですか、これを一億増すなり、それから貸し付けの金利を引き下げまして、また、貸し付け資金はいままでの約倍にふやしまして、事業量は十六億の事業を消化していくようになりました。私は、公害防止事業団のなす事業について、これは、地方公共団体とかあるいは中小企業の組合とかいう方々から、こういうことをやりたいから金を貸してくれという要望にこたえて出すわけでありますが、そういった要望は全部消化できるだけの資金量を毎年大蔵省からいただきたいと、こう考えております。四十四年度は大体その要望に沿えると、こう思っておるわけであります。
○田中寿美子君 どのような予算。公害予算。
○国務大臣(福田赳夫君) 公害防止事業団における公害防止施設の造成等の事業についても、契約規模の大幅増額を行なって、百六十億円、四十三年度九十億円といたしました。これに伴う資金運用部からの借り入れ、四十三年度は五十五億円でありましたが、百五億円と相なっております。
○田中寿美子君 その内容ですけれども、私調べたところによりますと、九三%まで大企業に出しているわけですね、集じん装置、その他。で、中小企業にこれを出さない限り公害は防止しにくいのです。たくさんの中小工場があるところに、また都市の公害が起こっておるわけですから。これに対する対策はどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 大企業でも中小企業でも、公害防止事業団のほか、大規模の工事につきましては開発銀行、また中小企業の行なう公害防止事業につきましては中小企業金融公庫、それぞれそのための資金も用意しております。
○田中寿美子君 公害防止のために、それじゃ、どのくらい企業が使ったか、総額、わかられますでしょうか、通産大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 正確な数字は手元には持っておりませんけれども、電力、石油が主力でございますが、全体の投資額につきまして、電力につきましては約七%、石油におきましては二〇%近くになっておると記憶しております。
○田中寿美子君 それは何のお金ですか、金額ですか。これは何の何%ですか。
○国務大臣(大平正芳君) 公害防止装置に対する投資金額でございます。
○田中寿美子君 各企業で公害防止にどのくらい使っているだろうか。これは国の予算とは別です。
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げましたように、公害の原因になる企業体というのが、先ほど申しました電力と石油が主力でございます。公害と一応関係のある企業が多いわけでございますけれども、したがって、各企業について公害防止にどれだけ金を使っているかという御設問は、ちょっと把握しにくいわけでございます。私の申し上げたのは石油と電力部門、主力部門について申し上げた次第でございます。
○田中寿美子君 投資総額の七%ということですか、石油。
○政府委員(本田早苗君) 公害の起こります大気汚染は、火力の設備でございますから、火力総設備投資に対する七%でございます。
○田中寿美子君 石油は。
○政府委員(本田早苗君) 石油は担当でございませんので、私にはわかりかねます。
○国務大臣(大平正芳君) 実は、突然の御質問でございまして、手元に用意がないのでございまして、いま申しました公害防止施設に対する投資額のかさを申し上げたに過ぎないわけでございますが、数字を正確に調べろということでございますれば、後刻調べまして御報告申し上げます。
○田中寿美子君 石油、電力、非常に大きな大企業、今後公害防止のために相当の投資をしていいはずだと思います。鉄鋼産業なんていうのは、まだばい煙やら粉じん、相当ある。こういうものも、あの巨大な合併で、なお強くなります。大企業にはぜひ強い指導が必要です。中小企業に対しては、公害防止事業団の金、あるいは国家の公害防止のための予算をもっと使うべきだ、国の一般会計予算では約六十二、三億しか入っていない。大蔵大臣、これを来年は倍増する考えはありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公害問題は、時の非常に大きな課題でありますので、したがって、倍になりますか、あるいは何倍になりますかわかりませんが、財政的あるいは財政投融資の資金は多額に今後必要になってくると、かように見通します。
○田中寿美子君 それじゃ、経済企画庁長官、たいへん失礼しました。水質のことを聞きたかったのですけれども、時間が厚生大臣とのやりとりで……。(拍手)
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして田中君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十七分散会