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61回国会参議院1969/03/15

予算委員会 第14号

発言数
214
登壇者
21
会派数
2
開催日
1969/03/15

会議録

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き一般質疑を行ないます。中村喜四郎君。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 私は生まれつき早口なんで、一生懸命になると聞き取りにくくなるかと存じますが、声は地声で大きいですから、ひとつよく聞き取ってくださって、具体的に御回答いただきたいと思います。  最初に、筑波研究学園都市建設について、建設、大蔵、農林、文部の各大臣にお尋ねいたします。その前に、今日までの経過について私は若干御説明申し上げたいと存じます。  三十六年に官庁の集団移転計画が検討されて、そして科学技術会議では、国立試験研究機関は集中的に移転する必要ありという答申が行なわれました。そして三十八年の九月には世界的水準の研究学園都市をつくるべきであるという首都圏基本問題懇談会から答申があったのでございます。そういう結果に基づきまして、三十八年の九月にその研究学園都市は茨城県の筑波山麓にこれをつくるということが決定されまして、自来、住宅公団等々と連絡をとりつつ用地買収を進めたわけでございます。で、政府の要請は千二百万坪の都市団地、その中で五百八十六万坪の団地を用地買収をしたい、こういうことで計画を進めました。地元はこれに協力いたしまして、今日、三月現在で九〇%のすでに用地の買収は完了しておりますけれども、現実には政府の移転計画が一つもといっていいくらい進んでないために、地元側では非常な不安と不信を感じておるわけでございます。私はこの際、建設大臣に政府の三十六と決定された移転機関がどういうふうにして移転されるか、その移転計画をまずお伺いいたします。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) 御質問の要点にお答えする前に、政府といたしまして、ことに責任担当である建設大臣といたしまして、私の所信を表明申し上げておきたいと思うのであります。  筑波学園都市建設というこの問題は、わが国の首都圏整備開発の上からも、また、わが国の帝都である東京都の都市計画推進の上においてもまことに重大な関連を持つ大事業であります。御指摘になりましたごとく、三十六年にこの整備計画の案ができまして以来、歳月、もうこえること八年に相なっておるこのことを考えますときに、それの具体的な計画がまだ実際に進められていないということは御指摘のとおりでありまして、私といたしましても、まことに申しわけなく遺憾に感じておるような次第でありますとともに、まずもって、この高度な立場で計画を立てましたこの案に対しまして、茨城県の地元の県当局、ことに直接土地を提供していただきまして、もう九〇%以上をこえての土地を提供いただきました提供者の地元のありがたい御配意に対しましても、深く私は敬意と感謝を表したい。しかるに、この行為に対する報いの手がまだ具体化されていないということは、政治の国民に対する信頼感の上からもまた首都圏開発の上からも、わが東京都の都市計画推進の上から見ましても私は遺憾であると、こういうような気持ちを持っておるのでありまして、この点をそんたく勘案いたしまして、過般の閣議におきまして私も強く要請いたし、佐藤総理からも強い指示をいただきましたので、自来、おかげさまで、中村委員長もこの問題には担当委員長として非常に御協力をいただいておる。こうした点も並行されながら現時点におきましてはだんだんと具体化してきておることを申し上げ、今後は政府といたしましては、この土地提供者に対するありがたい御配意に報いる意味からも国土開発の上からも積極的に前向きにこの推進をいたしたいということを前段に申し上げておきたいと思います。  しからば、現在の時点においての計画の問題にお答えいたしたいと思いますが、移転を予定されております三十六機関の移転計画につきましては、本年三月の研究学園都市建設推進本部において、昭和四十三年度から前期、後期の二期に分けて、おおむね十カ年で実施することを目標とし、昭和四十七年度までの前期に科学技術庁二機関、文部省一機関、建設省三機関及び農林省関係機関の一部の建設を開始することを目途とし、さらに具体的な計画を作成することが了解されましたが、その後の検討の結果、農林省においては前期におおむね五機関の建設を開始することを目途として検討を進めていただいており、さらに、文部省及び厚生省においてはそれぞれ一機関の新設について検討をいただいておるような次第であります。  なお、年次計画につきましては、昭和四十三年度より科学技術庁の二機関の建設に着手しており、昭和四十四年度も引き続きそれらの建設を進める予定でありますが、昭和四十五年度におきましても、さきに述べました計画に基づき、現在、関係各省庁においてその具体化を進めているところでございます。  なお、建設省におきましては、昭和四十五年度においては国土地理院、土木研究所及び建築研究所の三機関の現地調査を行なうとともに、その一部の施設の建設に着手する予定でおります。追って、昭和四十六年度以降につきましても、前に述べました目途に従いまして、逐次、計画の具体化をはかってまいる所存でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 農林大臣に。この農林省の予定の十三機関のうち、前期に五機関移るというような、いま建設大臣の御答弁がございましたが、前期の計画についてお伺いしたいのです。前期、しかも四十五年度にはどうするかということも具体的にお伺いしたい。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) ただいま建設大臣からもお話がございましたように、総理からも至急にこれらの問題の解決をつけるようにという指示がございまして、さっそく私も帰ってまいりまして省内でいろいろお話し合いをいたしました。その結果、なるべく早目にやらなければならぬじゃないかというような話をしましたけれども、土地のほうは大体もう解決がつくであろうけれども、農林省関係の試験、研究というものはいずれも動植物を対象としているのであって、土壌、気象あるいは地下水、こういうような面のほうのまだ調査が全部進んでおらないし、その自然環境というような条件がきわめてむずかしい問題にもありますので、至急にこれらを調査して、どの機関をどこに設置する、どの機関をどの地区に設置するというような点まで、まだそれがはっきりしておらないから至急にこれらを進めて、そして五機関だけは、いま建設大臣が言われておりましたように、おおむね五機関はなるべく早目に建築に着手していきたい、こういうようなことで、現在それを目途として進んでおる。以下その五機関等に付随する点につきましては局長をして答弁に当たらせます。

横尾正之農林水産技術会議事務局長

○政府委員(横尾正之君) ただいま大臣から御答弁を申し上げました点につきまして、ふえんして申し上げたいと思います。まず四十四年度につきましては、予定地区全体の地域の土壌、水利ないしは植生等につきましての調査を一応完了をいたしました。四十五年度におきましては、今度は各個別機関ごとの移転整備計画の内容を盛り込むために必要な個別具体的な調査をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。より具体的に申し上げますならば、建物、施設をつくります場合の地力、地耐力の調査、あるいは試験圃場をつくります場合の圃場についての地下水の状況、あるいは地力の検定、あるいはまた用排水の問題等々につきましてこまかい調査をいたしました。その結果を待ちまして、四十五年度から四十六年度を目途といたしまして、個別機関ごとの移転整備計画の内容を固めたい、こういう手順で進めまして、先ほど建設大臣あるいは農林大臣から申し上げましたとおり、前期には農業、林業関係機関のうちの半数、五機関の建設に着手するように取り進めてまいりたい、こういうことで今後鋭意検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 農林大臣の説明で、十三機関のうち五つだけ前期にやる。そしてそれの具体的に着手するための調査を今年度からやる。四十五年度には土壌のならし、あるいはその他の、完全にこれを実施するための体制を整えて、できれば四十五年度に機関を移す方策をとっていきたい、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) そのような考え方で、移転準備等々において万全を期すために、ただいま申し上げたような調査も進められておるわけでございます。でありまするから、四十五年度までにはその目的だけは達していきたい、このような考え方でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 文部大臣にお伺いします。文部省関係の機関の移転の内容について、そして計画について具体的なものを御説明いただきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これはもう中村先生非常に御承知のとおりでございまして、東京教育大学が研究学園都市に移るということにほぼきまりかけておったわけでございますけれども、それにつきまして、実は東京教育大学の学内の紛争が行なわれまして、本年度は入学中止、もちろん体育学部だけは試験が行なわれましたわけでございますけれども、その他の学部は入学中止というような異常な事態を引き起こしているわけでございます。これは筑波学園都市へ移るか移らないかということにつきまして、学内でまだ最終的な意思の統一が事実上できなくなってきておるということでございます。しかしながら、大学当局としましては、何としても移転を実現させなければいかぬということで、ただいませっかく努力をいたしておるわけでございますので、文部省といたしましても、一応、大学当局のこの努力を見守りたいと考えておるわけでございます。  また文部省所管の研究機関につきましては、現在、素粒子研究所を設置する方向で審議を煮詰めておるわけでございますが、これについての結論が得られ、新設される場合におきましては、これを研究学園都市に建設することを希望しておる次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 文部省所管の素粒子研究所につきましては、すでに学術会議のほうでも、つくったらよかろうし、四十五年度からやりたいという希望が出ておりますが、これが具体的になるかどうかあわせてお伺いしたい。  それから、いまの教育大学の問題、大学の最終的な意思決定されておらないというけれども、すでに昨年、一昨年でございますか、大学の最終意思決定機関の評議会で筑波に移転する、そのためのこれだけの土地がほしい、地元はそれらに対応する一〇〇%の土地を用意したわけです。私は大学の意思も十分わかります。尊重されることはわかります。しかしながら、ここには教育大学が来るのですよ、したがって、どうしてもあなた方協力してもらいたい、これが協力できないならば土地収用法もかけますよ、こういう形において協力を求めて一〇〇%の用地買収がすでに完了しておる。大学の意思、しかも地元の意思がどのように今後尊重されなければならないかという問題も横たわっておりますので、もう一度、教育大学の問題と素粒子研究所の問題について大臣の所信をお伺いしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 素粒子研究所の問題につきましては大学学術局長からお答えを申し上げたいと思いますが、前段の東京教育大学の問題につきましては、確かに中村先生お話しのとおりに、評議会では意思を決定しておると思うわけでございますが、それにつきまして、その手続について実は学内において紛争が起き、まあ文学部が反対ということで、事実上その統一したはっきりした最終的なマスタープランと申しますか、そういうような具体的なことが大学当局から参らないのでございまして、そういうようなことで紛争がああいうふうに激化し、そうして入学中止のやむなきに至ったという事情を考えますときに、私としましては、もうしばらく静観すべきではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。地元の方々に対しましては、私といたしましては、一日も早く教育大学の移転が実現できるように考えておるわけでございます。文部大臣としてはそういう気持ちには変わっておらないわけでございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 文部大臣の非常に歯切れの悪い御説明なんで、私にはなかなか納得できないわけでございますが、しかし、それは大学の意思ということ、しかも、紛争中であるというこの時点からすれば、これ以上突っ込むことはどうかと思いますけれども、少なくとも大学の意思も尊重しなければならないと同時に、国民の意思というものも十分考えなくちゃならない。しかも、土地提供者の考え方、地元受け入れ側の茨城県側の考え方も十分参酌してもらわなければなりません。茨城県あるいは地元等では、来たくないという大学をわれわれは受け入れる必要はない、むしろ、新しい角度から検討するべきであるという声が非常に強いということ、こういう点は十分これは大臣としては考えて、地元の意思を考えていただかなければならないわけでございます。  そこで、私は教育大学にとらわれずに、むしろ新しい大学、新しい構想という形で一応モデルケース的な大学構想というものを、この時点において、筑波と限りませんけれども、考えてみる必要があると思いますが、大臣の御所見。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) まあ地元の気持ちといたしましては、おそらくああいう紛争をして、しかも教授たちの間において意見の相違がはなはだしい、こういうような大学をそのまま移転することがいかがかと、そういうような大学が来てもらっては困るのだというような気持ちが出てくるということも、私は当然なことではなかろうかと思うわけでございます。しかしながら、現在のところは東京教育大学におきましては、まだその望みを捨てないで最後の努力をしておられるところでございますから、一応私としてはそれを尊重してまいりたいというふうに考えます。しかし、また中村さん御指摘のとおりに、地元の方々の御熱意、またこれまで払われましたところの土地買収その他の御努力ということに対しては、十分、文部大臣としても考えなければならないと思うわけでございまして、中村さんのその御意見は御意見として、貴重な御意見として私は拝聴しておきたいというふうに思う次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 文部大臣に。私はこれ以上申しません。ひとつ、大学紛争の基本的なあり方から考えまして、新しい大学の理想像という姿をどう描き出すかということについても、重ねて今後十分な御検討をいただきたいのと、素粒子研のことについてちょっと御返答いただきたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 大型加速器を用いまして素粒子の研究をいたすもの、仮称素粒子研究所と申しておりますが、この問題につきましては、構想自体につきまして関係者の間でいろいろな議論がございましたが、結論を申し上げますと、去る二月の文部省におきます学術審議会におきまして、当初の構想よりかなり三分の一ないし四分の一程度に縮小した規模の構想が了承されまして、これから具体的な計画に入る段階になっております。構想につきまして大体の了承が得られましたので、これからの具体的な計画はあまり支障なく進められるのではなかろうかと思います。具体的な計画ができますれば、これの建設に向かって文部省といたしましては進める所存でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 建設大臣に。関連公共事業の促進の問題についてお尋ねしたいのでございますが、これからどんどんできる、公共事業はどんどん進めなくちゃならない。科学技術庁のほうでは無機材質研究所がすでにつくられつつあるけれども、排水の場所もない、水を取り上げる場所もない。離れ島に取り残された形、こういう問題が各地に今後起きてくるはずでございます。各省が、非常に大臣の推進力によって移転する計画が立ち、具体的な計画が立った場合に、公共施設が進まないとどうにもならないということ。さらに、そこへ結ぶ動脈路線である埼玉の三郷から通って流山−谷田部学園都市へ通ずる、この常磐高速道路の問題は、どんなふうな計画を持っているか、お聞かせいただきたい。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) お答え申し上げます。  先ほども申しましたごとく、ほんとうに国家的な大事業に対しまして、高度な立場から非常な御理解と御協力と犠牲を払っていただいた各位に対しまして、失望とまた不信を買うということは、政治の姿勢の上から私は最も慎まなければならない態度だと思います。したがいまして、私は国会審議のさなかではございますけれども、なるべく近い機会をとらえまして現地を一ぺんつぶさに拝見をいたしまして、現実をとらえまして今後の具体的な推進も十分検討、考究もいたしたい、こういう決意を持っておりますとともに、いま御指摘にございました公共事業の点につきましては、すでに都市計画事業として、公園あるいは街路等は決定いたしております。御承知でございましょう。ことに中村先生、非常に熱心に推進していただいておりますが、土浦線などはもうすでに着工に入っております。したがいまして、私は各省庁と密な連絡を持ちながら、年次計画の上に立ってこれらの公共事業の推進をさらに推し進めてまいりたい。都市計画事業としてすべて決定いたしておる問題等についても、さらに具体的に推し進めてまいりたいと、こう考えております。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 大蔵大臣に。各省が、いま建設省あるいは農林省、文部省、科学技術庁と、各省の移転計画がなって、四十五年度から工事にかかりたいという意欲も強く持っているわけでございますが、これらの財政措置の問題について私は大臣の御所見を承りたいわけでございますが、その前に、地元の事情をさらにふえんいたしたいと思うのでございます。用地買収のために多くの犠牲を出しておるわけです。六カ町村で町村長、議長が四年間にこのことを一生懸命するために七人死んでおるのです。県会議員が一人死んでおるのです。しかも協力した県会議員が出られなくなったのです。国会議員が、この学園都市協力のために一生懸命やったのに落ちてしまったのです。こういう事情で、しかも成田空港よりも三分の一の価格で買収になったのです。距離は成田より近いのです。国の機関だから協力しましょう、協力できないものは土地収用をかけてまでやるのだ、用地買収は九〇%、そういう結果できたのです。私自身も説明のときに竹やりで何回かつつかれながら説明をしながら了解を求めたのです。ところが政治的な不信というか、茨城県の県議会や地元では返上論が出たのです。返上決議がなされたときには、もうあとはどうにもなりません。それには各省が移転計画を立てても財政的の裏づけが、やりますという決意が大蔵当局で示されなければ進みません。大臣のぜひひとつ強力な御支援を承ると同時に、ただいまの問題に対する大臣の所信をお伺いいしたいのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 筑波研究学園都市の問題はたいへん長引いておりまして、政府としても早くこれを実施したいということを念願をしておるわけです。そこで各省で計画があるわけでありますが、それがいよいよ実施段階に入る、そういう段階になりますれば、大蔵当局といたしましては、これに対して予算上の措置をする。私はこの問題について、地元の県当局また地元民が非常な御協力をしてくださったという話をとくと承っておるわけであります。この方々の御好意、御協力を無にしてはならない、かように考えております。財政上支障が生ずるようなことはないように必ずいたします。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 地元負担の財政措置の問題について、成田空港等については特別な措置をとっておりますが、同様の措置が当然行なわれるべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この点はまだ相談をいたしておりませんけれども、なるべく地元の御協力にこたえるという方向で協議をしてまいりたい、かように考えます。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) いまの問題、非常に大事な問題であり、地元の皆さんの協力に報いる。また大事な問題でありますが、建設省といたしましては、御承知のとおりに先ほど申しましたように、関連公共事業については、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の適用を受けることになっておることは御了承のとおりでございます。その際は市町村事業の補助率のかさ上げが期待されますが、関連公共事業はかなりのものとなり、これに伴う地元の財政負担も相当な額にのぼるのではないかと予想されますので、建設省といたしましては日本住宅公団が施行する事業と関連の深いものにつきましては、可能な限り同公団において立てかえ施行等の措置をし得るように目下検討いたしておるような次第であります。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 各大臣の積極的な御答弁ありがとうございました。私はこの用地買収の過程、移転の計画の過程の中で、大蔵省の主計局等々に話をする場合も、大蔵省では用地買収が進んでないのじゃないかということで予算化がしぶられたわけですが、今度用地買収が進んで各大臣の発言がそういう状況ですから、十分ひとつ大蔵大臣、下部にも浸透できて具体的に進められるようにお願いします。  次に、農林大臣にお伺いいたします。総合農政の問題で、総合農政の柱、これを農民にわかるように御説明をいただきたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 総合農政ということばも別に新しいことばだとも考えられませんけれども、昨年来総合農政ということばが出てまいりまして、やはり総合農政といっても基本法農政ということだと思いますし、またこれと異なったものではないと私は考えます。最近における農業の内外の情勢といいましょうか、その事情の変化に応じて、日本の農政をさらに充実していかなければならない、こういう上に立ってそれをさらに総合していこうと、これがすなわち総合農政だと考えられるんですが、その要点の第一点を申し上げるならば、従来とかく米の生産というものに重点が置かれてきた。したがって、現在を見ますと、需要の動向が相当大きく変わってきておる。また、生産と需給のバランスの上に立っても、現在のような事態が生じてきておる。であるから、今後の需要の動向に即応して、米ばかりではなくって、畜産、野菜、果樹、こういうような点もあわして総合食糧として考えていかなければならないだろうし、したがって、それらの安定的な供給がはかられることを念願としなければならないだろう。また、いままでは、価格政策だけでといいましょうか、こういう点に重点が置かれてきておる。しかし、それを、価格政策だけではなくって、生産と、まず価格と流通、こういうような面にも重点が置かれて、その構造等の各般というものがともに施策が均衡のとれた形で行なわれていかなければならないだろう。さらに第三に、国民生活の充実といいましょうか。消費者の家計の安定をはかるために、生産面の施策にあわせて流通、消費、この面の施策を十分充実さしていく、こういうような点について総合農政と申し上げるわけでございまして、ですから別に新しいことばではございませんけれども、いままでのような一つのものがいいということになりますと、北海道から九州まで米ばかりつくっていくというようなことになっていく。あるいは、果樹がこれがいいということになれば、その一方的なものになる。そうではなくて、やはり国内の需給、このバランスの上に立った生産をやらなければならない。それには、まず申し上げたように、流通という点にも考えなければならぬ。基盤整備、こういうものに対して新たなる方向に向かって推進していくというのが、すなわち総合農政であろうと考えるのであります。特に今年、いままで私たちが考えているのは、この総合農政とただ口で唱えて言ってみたんでもしかたがないのであって、要は、そうした場合に主産地主義というようなものでも形成をしていかなければならないだろう。こういうような点も、その中に十分組み入れられてあると考えられます。したがって、現在の日本の食糧関係というものが、ただ単に国内のみのにらみ合わせだけで解決がつける問題ではなくなってきておる。アジア全体の上に立ってみても、御承知のように、日本技術というものがいかに偉大であるかという一例をこの間も新聞で見ますと、フィリピンあたりでわずかの日本の技術者が行って指導をした。その指導をしたばかりで、あれほど不足していたフィリピンがわずか二年間において米の輸出国になっておるという、こういう現実も見のがすことはできないし、さらにアジア全体に向かって日本の農業技術というものが、これが指導に当たっておるのでございまして、こういうような点もあわせて考えの上に立って、そういたしますと、国内の生産、その主産地主義をとって、そうして思い切った施策をこの中に施して、そうして国内の需給のバランスをとり、また怒濤のごとくというほど海外から自由化は迫られておりますけれども、いつでもこれがはね返すことのできるだけの生産体制をとらなければならない。こういう上に立って総合農政ということばを出しまして、もって政府もこれに向かって努力をしなければならぬ、生産団体等々もともに一体となった姿においてこの推進に当たっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

佐藤隆自由民主党

○佐藤隆君 関連。ただいま農林大臣から総合農政の柱ということで砕いたお話がございましたけれども、私はちょっと欠けている点があるのではないか、もうちょっと説明をしていただきたい点があるように思います。。それは二つございます。備蓄の点と、それから生産調整という問題、この二本はどうしても総合農政の柱の中に組み入れるべきである、かように私は考えます。  特に今国会でも、当初から国防論議が非常に盛んになってまいっております。しかし、その国防論議というものは、武力戦争だけを前提とした国防論議であって、経済戦争——戦争ということばが適切ではございませんけれども、そうした経済的な問題を含めての国防論議がなされていないことを私は残念に思うのです。特に終戦後島国になった日本において、食糧の自給ということ、これはもう当然考えなければならぬ。総合農政の中心はやはり食糧政策——食糧政策のこの柱というのは、食糧の自給ということであると思うのです。国民食糧の確保ということだろうと思います。そこでまあ、たとえば武装中立国であるスイスにおいても、最近は総合自給率が六四%までに上がってまいりました。しかしながら、三カ年分の食糧を貯蔵しておるんです。アルプス山脈の土手っ腹に横穴を掘って、三カ年分の長期備蓄をやっている。そうしたことがやはり今日の総合農政という大きな看板の中には柱として打ち立てられなければならないのではないか、備蓄という問題が。昨年の十一月の末に、農林省は、十年後の食糧の需給見通しというものをお立てになった。十年後の長期見通しを立てるのに、私が伺ったところによると、備蓄という問題は全然考えられておらない。これはやはりおかしいと思うんです。したがって、この備蓄という問題を総合農政の柱として当然考えるべきであるということをこれは申し上げたい。第一点。  第二点は、適地適産ということは、もう従来から言われてきたことでございます。いままでの大臣の説明の中には、主産地形成というようなことばもございました。しかし、ほんとうの適地適産ということをやるためには、徹底した生産調整ということをやらなければいかぬと思うのです。私は、農産物が、鉄鋼の生産のように、鉄鋼に対する生産調整のように、ずばり生産調整が行ない得るとは思いません。しかしながら、こうしたいまの現状を踏んまえると、それにも類した一つの生産調整という打ち出し方を強くひとつ出していかなければならぬのではないか。そうでなければ、本来の適地適産はできない。たとえば積雪寒冷単作地帯においては、それは米をつくれ、主食の食糧基地としてひとつやるのだというようなことを、そういう言い方こそが農民にわかりやすく総合農政の柱として説明し得ることではないでしょうか。備蓄と生産調整の二点についてお伺いいたします。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 現在の米の需給の上に立ちますと、お説のような備蓄でございますけれども、凶作に備えるための備蓄だということになり、またただいまのおことばのような点についての備蓄だという当面の問題といたしますと、まあいまの生産の上からいって保管というものがあるわけでございます。さらに、その食糧の保管というものが、昨年から本年度にかけまして、大体百五十万トンの保管ができるような倉庫の施設をやっております。ですが、これは保管の目的でやっておるわけです。あなたのおっしゃるのは備蓄でございますから、こういう点については、一応生産と需給のお説のような大体の安定を見た上に立ちますれば、当然備蓄というものも考えなければならない大きな問題だと思うのでございます。したがって、わが国のような島国はというお話もございましたが、特にこの点には留意しなければならない問題だと思う。しかしここ一、二年といいません、当分このバランスが、当然備蓄というものと同様に、保管が年間年間ふえていっているような状態でいると、それが備蓄でございますというのは、不必要だと申し上げるわけではございませんけれども、当然両用を兼ねているというように申し上げられると思うのでございます。そこで、さらに保管につきましては、現在水中保管をすれば米の変質がないというような点、こういうような点についてもいまさらに一応試験が進められて、すでに本年度はそれらに対しましても、実際にどの程度まで行なえるかというような試験が行なわれます。それから米のコウティングの問題も、白米にしても、白米にしたものがおそらく十年間はそのままの姿で、味も虫も——味も変わらなければ、虫もつかないというような保管方法もあるという、こういうような点につきましても、いまもっぱら本年度からこれを取り入れまして研究をいたしております。ですから、保管と備蓄という、現在の余剰状態にあるわが国においては、そのような点について、これが備蓄でございますとは申し上げられませんけれども、と併合したような保管をいま研究し、やっておるのでございます。  それからスイスの話もございましたけれども、一九六九年の二月のガット報告によりますと、スイスは、大体主食用が五十七万トンあれば年間間に合うようでございます。えさだけが二十三万トンで八十万トンあると、スイスは主食とえさということで、大体間に合うのだそうでございます。そこで、ガットの報告ですから間違いがないと思うんですが、いまのお話のような備蓄という点について、大体在庫が四十三万トンあるというのがガットによるスイスの報告でございました。  さらに、御指摘の適地適産というお話でございますが、全くこれらは考えなければ、よく私が申し上げるんですけれども、もうお互い与党だ野党だといっているときではなくなってきているじゃないか、多く生産者団体とともに、広くまた学識経験者とも集まって、そして日本の農業の将来というものをどう持っていくんだ、適地適産ということばはもちろんあり、その主産地主義というようなものでもとっていかなければ、結論としていつでも同じことを繰り返していくんではないだろうか、こういうようなことから考えて、どうしてもそういう主産地主義というものをとるべきだ、そういうように考えておる。そうすれば、おのずからそこの生産と消費というものの需給のバランスというものがとれていく。先ほどもお答え申し上げたんですけれども、ほんとうに自由化の波を押し切っていくのには、そういうような体制をとらなければならないし、生産と需給も、主産地主義というものをとれば、おのずからそこにおいてそのバランスがとれていくことができるだろう、こういうふうに考えてぜひやっていきたいと思うのでございます。  たとえば一言で言うならば、佐藤さんは新潟県でございますが、あの御地のようなところに向かって、さあ米じゃなくてほかのものをつくれと、こう言ってみても、はたしてそれが可能かどうか。ですから、そういうような点も十分に考慮に入れた上に立っての主産地主義というものを形成していかなければならないだろう、こういうふうに考えるわけでございまして、お説のように、今後そのままでいくことでなく、さらにいろいろの御意見を十分に拝聴しながら、大きく日本の農業の将来性というものに対して考え方を変えていくべきである。それから主産地主義というものをとっていかなければならないだろう、こういうふうに考えておるわけであります。申し上げたように、適地適産主義もその主産地主義の中に入っていくだろう、このように考えるわけであります。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 私は、いまの佐藤君の考え方に非常に共感を覚えるわけでございますけれども、私自身スイスあるいはスエーデン等を回って、国防の中における備蓄体制、あるいはイギリス等においては、戦略的な体制から農業政策原理として、少なくとも、もし戦時になったならば増産体制が完全に整うまでは、一年から一年半の備蓄体制を備えなくちゃならぬ、こういう政策原理で、戦略的見地から打ち出されておるわけです。  国防の見地からといっても、電気とか交通とか、そういう問題もさることながら、油なんかは一年間にドラムかんにすると七億本輸入しているわけです。しかも、日本の現在の中では、完全に交通機関等の麻痺状態になるのは、二十日ないしは二十五日輸入がとまったらばストップしてしまう。こういう状況です。油の貯油関係等も考えなくちゃならぬ。特に米の場合を私は考えてみますと、昭和七、八年ごろは、大体翌年に繰り越しが一四・五%から一五%、支那事変中は六・三%に減ってしまった。大東亜戦争末期から昭和二十二年のころは、もう翌年繰り越しが三・三%くらいしか食糧がなくなった。そのために物価が急に上がった。米騒動が起きた。こういう現実から考えますと、私どもはこの備蓄ということ、保管ということに対して、もう少し目を向けて考えなくちゃならぬわけです。しかしこのためにはいろいろの財政措置が必要でございますが、大蔵大臣いかがでございましょうか。貯油の関係とか食糧の保管体制等について、長期の立場から考えていくべき必要があると思うのですが。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、米につきまして、いま一朝有事の際のための備蓄というお話でございますが、需給状況から見まして、特に備蓄を考えるという積極的な施策の必要はいかがかと思うのです。ことしももう持ち越しは五カ月分というふうになっており、来年になりますと約一カ年分の持ち越し量になる。こういう状態でございますので、当面の問題としては、さようなことは必要はない、こういうように考えますが、需給が非常に窮屈になったというような事態においてそういう問題をどう考えるか、これは十分考えなきゃならぬ問題だと思いますが、当面は必要ない、さように考えます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 当面ということより、私は将来の問題として考えるべきだと思う。昔の武士時代におきましても、食糧という問題の保管については十分研究された。宮城県あたりの歴史を調べても、百年前の米が十分に食べるにたえるだけの研究が昔進められておった。あるいは東南アジア等におきましても、三年、四年と備蓄されるような方法をとっている。こういうようなことを考えますと、もう少しそういう問題について、備蓄、保管という立場から見三研究体制を進めるべき必要があると思うわけでございます。  次に、私は、自衛官の入学試験拒否問題につきまして、防衛庁長官、法制局長官、文部大臣にそれぞれお尋ねいたします。  最初に防衛庁長官にお尋ねいたしますが、各地に自衛官の大学入学拒否、学会の研究発表の拒否事件が起きておりますが、それらの実態と対策を御説明いただきたいのです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まず最近起こりました都立大学の入試拒否の問題から御説明いたしますが、この都立大学の入試拒否の問題は、御案内かと思いますが、去る三月の三日に実施されました東京都立大学の入学試験におきまして、工学部の受験を予定しておりました自衛官三名に対しまして、同大学の入試管理委員長である岡本教授から、自衛官の受験を学生が反対しておるので、入試を円滑に実施するために受験を辞退してほしい、こういう旨の申し出が、入学試験の前日の夕刻に連絡があったのであります。このために、受験予定の自衛官三人は、入試を受験することができなくなったものであります。  なお、これに先立ちまして、二月中旬ごろだと思いますが、大学側は、受験予定自衛官三人に書面で、受験は自己の意思でやるのか、また学資はだれが負担するのか、業務と通学との関連につきまして、そういう照会があったようであります。また二月の下旬には岡本教授名で、貴君の受験をあくまで支持すると、しかし貴君の受験に反対する学生の声は日を追って高くなっておって、不穏な空気が高まっている。受験時あるいは入学後、不愉快な雰囲気が心配されるが、事情をよく承知しておいてくださいと、こういったような趣旨の書簡が三人に送ってこられた。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 何日ですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) それは二月の二十七日でございます。  ところが、こういう書簡の趣旨から推察しますと、大学当局としては学生の説得に努力したが、どうもその了解が取りつけられない。そこで、試験の前日の三月の二日に至りまして、試験当日の紛争をおそれるあまり、ついに大学の評議会において自衛官の受験を認めないという決定を行ないました。それで前述のように岡本教授から三人に連絡するに至ったものと思われます。  このように、大学当局にあくまで学生を説得しようという強い熱意が欠けておる。そしてついに学生の圧力に屈するに至ったということは、まことに遺憾と私は思うんです。教育の機会均等は、憲法及び教育基本法によって御承知のとおり、すべての国民にひとしく認められた権利であります。また、自衛官なるがゆえに差別されるということは、どうしても認めることはできない。自衛官が勤務時間外に大学教育を受けることを拒否されることになったならば——ここでのこれは夜間部でありますから、自衛官の職務執行には差しつかえないわけであります。そういうような事態にあるのに、これが拒否されるということになりますと、自衛官なるがゆえに人間としての向学心を抑圧されるという、きわめて不当な事態となりますので、防衛庁といたしましては、文部省にその善処方を要望いたし、またそれと同時に、自衛官の人権を擁護するために適当な措置をとりたいというので、先刻人権擁護局のほうにその調査をお願いしたと、こういう実情でございます。  それから大学院のほうはいいですか。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 お願いします。それも大事なことですから。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 大学院受験拒否の実態と対策につきましては、自衛隊の装備の近代化及び高度化に伴いまして、自衛隊の技術関係の職種の中には、修士課程卒業程度以上の基礎的な知識と能力を必要とするものがだんだんふえておるのですね。これらの要員を計画的に養成するために、自衛官等を部外の一般大学院の大学の学生として、昭和三十二年以来、継続的に派遣しておるのでございます。ところが受験拒否の実態としましては、昭和三十八年以来、数校において、それぞれの学内事情を理由に、受験の取りやめの申し出がいままでありました。これらの数校については、受験が至難となっております。なお四十四年度は、理工学関係で受験したものは八校ありまして、延べ二十三人であったのですが、全員が不合格となっております。過去の実績を見ますと、最高時の三十八年には修士課程及び博士課程合わせて六十九名が入校いたしております。また、その合格率を見ますと、四十一年度は六五%合格しております。また四十二年度は七三%合格しておりますね。また、四十三年度は四一%合格したわけです。こういう過去の実績から見ると、今回一人も合格しないということは、別に試験を疑うわけじゃありませんけれども、何らかの疑点があるように私は考えられてしかたがないのですね。  そこで、試験が曲げられているということはよもやあるまいとは信じたいのでございますが、万が一そういうようなことがあったらこれはたいへんなことでありまして、特にこういうことは私は非常に遺憾だと思いますが、なお、先日この委員会で、一人の補欠の受験生があるということを申しましたが、あとでわかったのですが、これは二人ございました。その二人が残って、名前を言うと熊本大学でございましたが、そこで補欠募集の受験に行ったのでございますが、この二名の者が、これまた教官から受験拒否の申し出を現場で、学校へ行ってからやられてきた、とうとう受験ができなかった。こういう実情でございます。  視野の広い科学技術要員を、防衛庁としてはこれは確保する必要がございまして、近代的自衛隊建設のために必須の要件であるのでございますが、これがために、広く一般大学に今後とも継続的に派遣する必要があると考えておりますが、こういうような事態が起こっておることは、まことに遺憾でありまして、今後も極力文部当局の協力を得て、そうして受験拒否大学に対しては深き反省を求めたい、そうしていままで受験を許されておるような大学においても、ひとつ厳正な試験によって、合格者をわれわれとしては確保したい、かように考えております。  それからもう一つの研究発表、いわゆる学会における研究発表の拒否の実態でございますね。これは実は昭和四十二年の十月に、日本生物環境調節研究会、また昭和四十三年の十月に土木学会、気象学会等が名古屋の大学の構内で開催されたことがあるのです。ところがこれらの学会から、出席予定者の防衛大学の教官あるいは防衛庁の技術研究本部の職員というものを派遣して、それで研究発表をさせようとしたのですが、学生とのトラブルの発生が予想されるので出席を取りやめてほしい、こういう旨の申し出がありました。結局これらの学会の出席を取りやめた事態があります。しかし、これらの学会におきましては、発表を予定しておった論文は、その後、その会誌といいますか、それに内容を掲載してくれるということになって、そういう措置がとられておるのでありますが、防衛庁の職員が学会に直接出席をして、直接の発表ができなかったことは、非常に遺憾でございます。なお、昨年同じ名古屋大学におきまして開催予定されておった航空宇宙学会がありましたが、そのときは会場を大学じゃないほかの場所でやったのですね。そのときには、防衛庁の研究家もその発表が許されて、出席ももちろん許されたのですね。そういうような状況から見ますと、学会自身の態度というよりも、むしろ研究を発表する場所、すなわち大学における学生運動の影響によってその学会がそれをよう押えぬ。そして、学生運動に押されて、防衛関係のそういう研究家の発表を、出席もさせずに、発表させなかった、こういうように見受けられるのであります。これら学生運動に動かされておるところの学会の現状というものは、まことに私は遺憾であります。今後学会の良識ある措置を要望してやまないのでございます。そういうような次第でございます。一応実態と所信だけをお答え申し上げます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 文部大臣、ただいまも有田防衛庁長官から都立大学の入試拒否の実態等について御説明ありましたが、大臣、文部省のほうに報告、ないしは文部省自体として調査したかどうか。そしてまた、いま有田大臣は、憲法違反であり学校教育法違反である、こういう考え方を打ち出されましたが、大臣の考え方をひとつ。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま防衛庁長官から事実関係についてお話がございましたが、そのとおりでございます。私どもも、学問の自由、そしてまた研究の自由、そして研究した成果を発表する自由、あるいはまた教授が教え、学生が学ぶ自由というものが憲法で保障されておるわけであって、自衛官なるがゆえにこれを拒否するということは、憲法の精神に照らしましてまことに重大な問題であるというふうに私は考えるわけでございます。能力に応じて学問をする自由というものが保障されておるのであるわけでございます。ところが、都立大学におきまして、評議会において、大学の現状から、出願中の自衛官の受験を認めないという決定をした。これは私は憲法の精神に反するというふうに思います。私のほうで同大学に対しまして照会をし、調査をいたしましたところ、一応評議会でそういう決定をしたが、自衛官個々についてお願いをしたところ、了承を得たので、それによって入学試験を受けられないような状態になったのだという、言うならば、あいまいなと申しますか、直接われわれの調査に対しまして、そのこと自体に触れないような言い方をしておりますけれども、私といたしましては、評議会でそういうことを決定したこと自体が問題であろうというふうに思います。もう少しその点につきまして、今後指導助言をいたしたいと思いますし、本年度はこれで終わったわけでございますが、来年度のこともございますし、またその他の大学において、こういうような風潮が、学生運動あるいは学生紛争の名において、自衛官なるがゆえに学問、研究というものが行なわれないという事態は、私はゆゆしい事態だと考えております。今後この点につきましては、防衛庁長官と御相談をいたしまして、適当な措置を考えたいというふうに思っている次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 文部大臣の考え方も、自衛官の入試拒否ということは憲法違反だと、そうして学校教育法にも違反だと、そういうことを評議会がきめること自体もおかしいじゃないかという考え方を打ち出されたわけですが、法制局長官にお伺いいたします。憲法の十四条、二十六条、あるいは学校教育法の精神からして、憲法違反であるか、学校教育法違反であるか、お伺いしたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) お尋ねの点につきましては、すでに両大臣から詳しく御見解の表明がございました。私は御見解に誤りがあるとは毛頭思っておりません。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 法制局長官の考え方も、憲法違反である、学校教育法に反すると、こういうことが打ち出されたわけでありますけれども、学校側は学生に押しまくられてどうしようもない、こういう事態に、文部大臣はどう対処されますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) こういうような事態が今後起こらないような具体的な措置につきまして、防衛庁長官と慎重に検討いたして措置をいたしたいというふうに思う次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 私は、これは防衛庁長官との関連ではなくて、少なくとも自衛隊の人たちが入学する、勉強をする、こういうことは、自衛隊法の中で考えて、まあ逸脱したものではない。個人が勉強したいというその意欲は守らなければならない。したがって、私は文部大臣としてこれは処断すべきものと考える。重ねて所信をお伺いしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 本年度の事態におきましては、一応その自衛官の方々が大学側と相談をされて、そうしてそれに応じておられるわけでございます。そういうような事情もあるわけでございますので、今後学校当局にも、憲法違反の事態というものは、学生の圧力あるいは学生紛争ということとは別個に、憲法の定めるところに従って、き然たる態度で、入学試験が行なわれるように、されるように、私は指導助言を与えたいと考えておる次第であります。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 明らかに憲法違反である、学校教育法違反というこの観点から考えても、ゆうべのニュースを聞きましても、千葉大学では学生が自衛官の入学を拒否するためのハンガーストライキに入った。学生の圧力で、大学側もこれに応じ、協議会をつくって、今後自衛官の入学等については学生と十分協議するというような、こういうふうな重大なことを申し合わせておるようですが、私は、そういうかりに学則、協議会等でまとまったとしても、憲法上許さるべきものでないことは、これは認められない。認められないものを、それでもなおかつ学生が力でもって押し切るというときには、どうするか、もし大臣に所信があればお伺いをしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) まあとにかく私に与えられておりまするのは指導助言でございます。しかしながら、管理者として、憲法違反を犯すようなことがあったといたしまするならば、そのようなことに対しまして現在の法に照らしまして処分をするなり何なりを考えなければならないのではないかというふうに考えるわけでございますが、ただ、御案内のとおりに、教授の身分あるいは学長の身分というものは評議会の決定を待ってなされるというようなことがございますので、その申し出がなければ私といたしましてもどうにもならないというのが現行法でございます。その辺のところをも考えますけれども、しかし一般的に、憲法上疑義があり、また違反であるというようなことについては、当然教授会等においてもそういうような御決定がなされるものであるというふうに期待をいたしております。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 大臣の答弁、なかなかむずかしい答弁だと存じますが、私はこういう問題については、憲法違反であり、学校教育法違反というはっきりしたものにつきましては、政府としても適切な処置が打ち出されるような制度の問題についても今後考えるべき課題が横たわっていると存じます。大学の自治を守り、学問の自由を守るためには、あくまでも法の精神というものが貫かれなければならないわけでございます。しかも、都立大学の場合、入学試験を拒否されたというその事実、これは学生自治会の主張を私たちが聞いてみますと、自衛官なるがゆえに入試を拒否するのだ、自衛官のように思想の固まったものには学問する権利はない、こう言っております。そういう学生に押しまくられて、大学は同調したのです。この論理でいくならば、赤い思想で身も心も固まった民青や、反日共糸の学生にも、同様に学問する権利はないと判断できるわけであります。このような論理や思考過程こそ、自由な学問を重んずる大学人の最も忌みきらうべきものではなかろうかと私は思う。さらに、職業のゆえに学生からも大学からも拒否される若い自衛官の心境、隊の士気に及ぼす影響ははかり知れないものがあろうかと思います。また、これを類推すれば、やがて機動隊員の入試は拒否され、警察官や自民党の子弟もまた入学を拒否されることになるのではなかろうかと思うほど、私たちは非常に切実に考える。次から次へエスカレートしている。ハンガーストライキに入ったどころじゃない。これを起点としてあらゆる事態にこういう問題が起こることを考えると、私は大臣の勇断を望まなくちゃならないわけであります。特にまた、都立大学のこういう問題が起きたのは、内申書——これは秘密なんです。この秘密の書類が学生によって発見され、それが自治会に渡された。そして学生は騒ぎだした。明らかにこれは入学試験に対する関与であり、干渉であると思うのです。いかがでしょう、大臣。私はそういう点は干渉だと思うのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) その問題につきまして、学生側がその秘密のものを、内申書を取ったという事実関係につきまして、私ただいま承知をしておらないわけでありますが、そういうようなことが事実だとするならば、これはもってのほかのことであるというふうに考えます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 事実を知らないというので、文部省のほうでは調査をしたというのですが、その点調査ができているかどうかお聞かせをいただきたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 都立大学の入試事務にあたりまして、学生アルバイトを使ったのは、大学の報告によりまして事実でございます。一般に、大学の事務、入試事務をも含めまして、学生をアルバイトに使うということはあり得ることでありますが、非常に重要な部分に学生を参画させるということは、アルバイト使用の態様として不適当だと考えます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 内申書というものは、これは秘密事項だと、重要な事項だと思います。それが学生の手によって発見されて、それを自治会にかけて、そしてこれは拒否すべきものだといったことですから、明らかに私は、入学試験に関与して、あるいはそのことを土台として入学試験に干渉したという判定を下さざるを得ないのです。いかがでしょう、文部大臣。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま大学学術局長から申し上げましたとおりで、このような事態が都立大学に起こっているということに対しまして、まずいま申しましたような調査をいたしましたが、今後都立大学に対してどういうような指導助言を与えるかということにつきましては、中村先生の御指摘の点を踏まえまして、十分検討してまいりたいというふうに思います。また、その設置者である都知事に対しましても、いかなるようなことをいたすかというようなことも十分考えたいと思っておる次第であります。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 時間の関係上、自衛官関係の問題については以上で、次に文部大臣に私はお尋ねをいたします。  大学の教授が教育公務員であり、国家公務員でありながら、法を無視し、あるいは暴力や破壊教唆扇動する等、先生にあるまじき行為が見受けられるが、このような無責任、無軌道な言動が放任されている現在の制度は、改めらるべきものと私は考えます。そこで、教授、助教授等の任免権は文部大臣にあるが、任免権がある以上、不適当とみなされる教官はこれを認めないところのいわば罷免権、拒否権があるはずと思うが、いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 最近の教授の言動に対しまして、まことに公務員としましても、また教授といたしましても、ふさわしからぬ、あるいは不適当なる言動があることは、本委員会におきましても御指摘になったところでございます。しかしながら、ただいま御指摘になりましたように、現在の法のもとにおきましては、一応そういう教授の処分の問題につきましては、大学の評議会の決定に基づきまして、大臣が措置するということになっておるわけでございます。しかし、最終の任命権は文部大臣にあることは言うまでもないところでございます。しかしながら、法制的に申しますると、御承知のとおりに、その教授が、政治的見解あるいは政治的主張と申しますか、いかなる政治的見解を持とうとも、あるいは政治的主張を持とうとも、あるいはいかなる思想というもの、あるいはいかなる思想的傾向を持ちましょうとも、そのこと自体ではこれを拒否するというわけにはまいらぬかと思いますが、それとは別個に、公務員として、あるいはまた教授として、非常にもう明確に客観的に不適当であるというような者については、文部大臣に拒否権があるというふうに私は承知をいたしている次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 いま文部大臣のほうで、任命権者であるけれども法のたてまえ上実質的には自分にはない、しかしながらそれが明瞭にいろいろな事実があった場合にはこれを拒否する権利がある、こういうふうに解釈していいわけですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) そのとおりでございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 そのとおりということのお答えをいただいたのですけれども、私は、たいへん具体的な名前を申し上げることは、こういう席上でははばかりたいのでございますけれども、衆議院段階でも参議院の段階でも、九州大学の井上教授の問題が取り上げられていろいろと質問が投げかけられて、文部大臣も、ふさわしくない言動がある、こういうようなおことばがあったようですが、九州大学の井上正治法学部長が学長事務取扱になったように新聞に出ていますが、これの認証というか、認めることが妥当かどうか。非常に大臣としてはお答えにくい問題かと思いますが、いかがでございましょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私がこの衆参両予算委員会におきましてこの井上教授の言動につきましてふさわしくない云々とか申しましたわけでございますが、その場合、私は主として京都大学の井上清教授のことに重点を置きましてお話を申してきておるわけでございます。とにかく、あのような安田講堂を占拠している、不法占拠しておる全学共闘、この暴力行為を肯定する文書、手紙を公表しているというこの事実、そしてまた、人文科学研究所の所長が、いろいろ公務員としても、また教授としても、研究に携わる者としてもふさわしくないという勧告をいたしておるにもかかわらず、数回となく、ちまたの会合に出まして、そして同様の趣旨の演説をしておる、まあ、宣伝をしておるというこのようなことにつきましては、まことに不適当な教授であるということを主として私は申したわけでございます。九大の井上法学部長の問題につきましては、私その事実関係を実はそれまで十分承知をいたしておらなかった関係もございますけれども、私といたしましては、人の名誉に関する問題、あるいは身分に関する問題、特に直接その責任の文部大臣といたしまして、その国立大学の教授の言動につきまして、それが週刊誌とかそういうようなもので報じられた、まあその一つのことばじりだけをとらえまして批評をする、批判をする、あるいはそれに基づいていろいろ任命の重大な決定するということにつきましては、私はいかがかという気持ちを絶えず持っておるものでございまして、その意味合いにおきまして、この法学部長の井上教授につきましては、ただいまその事実関係についていま少し調べておるわけでございます。そうして、聞くところによりますと、これはどこのテレビでございましたかあるいはラジオでございましたか知りませんけれども、その警察官云々の問題についても、とっさの場合であってというようなこともございますし、それからまた、それについてもしそういうふうに誤り伝えられたとするならば遺憾であるというようなことも釈明をされておるというようなことも聞いておるわけでございます。まあ、そういうわけでございますから、この事務取扱のことにつきましてどういうような上申がなされてくるか、また、来た場合にどういうような措置をするかにつきましては、十分その点を考えまして、ただいま私が申し上げましたような、はなはだしく不当な——思想がどうあるとか、あるいはイデオロギーがどうあるとか、あるいはその政治的主張がどうであるとかいうことは離れまして、公務員として、あるいは管理者としてはなはだしく、客観的にだれが見ても不適当であるかどうかという点にしぼりまして、公正な判断のもとに決定をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 私は、特に学長事務取扱のことですから慎重に扱うことは特にこれは要望するわけでございますが、教育公務員特例法の第四条の二には、「学長については、人格が高潔で、学識がすぐれ、且つ、教育行政に関し識見を有する者」ということがその要件になっておるわけでございます。で、井上教授がKBC放送で、私の敵は警察だということははっきりこれは申されておりますし、また記者会見で、国家公務員法や教育公務員法に違反するでしょうが、しかし私はこうすると、 こういうことを明言されています。また、教育の中立、大学の中立というワクにしばられているが、そのワクを踏み越えても自分の見解を示していきたい、こういうふうに堂々と、これは記者クラブで説明しております。なお人事院規則の中で言えば、「政治的目的をもって、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること」はしてはならないということです。私は九州大学のジェット機墜落事件のときに現地に行きました。そして学生のデモの先頭に立って井上法学部長がたすきをここにかけて、マイクを持って、それがんばれ、それがんばれと学生の前に立ってこうやっています。このようなもろもろの行動を考えたときに、人格がすぐれている、学識が豊かであるということ、そして特に九州大学のように紛争のさなかにある若い学生を導く立場としては、私は十分あらゆる角度から慎重に検討を要すると思いますが、先ほどのように、大臣は、この問題についてただちにここでこういうのだということはできないと思いますから、十分その点については御検討をいただきたいわけでございますが、さらに私は、法制局長官が、最終的には文部大臣に拒否権があるというような答弁をなされましたが、私は国民に奉仕すべき国家公務員が不法、不当の言動ある場合は罷免、懲戒等がしかるべきと思いますが、これは憲法第十五条との関連において、私は法制局長官の御見解をただしたい。最終的に任命権者である文部大臣に罷免権があるかどうか。国民の代表としての政府にそういう罷免権があるかどうかをただしたいのです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) ただいま憲法十五条を御指摘になったかと思いますが、御指摘のように、憲法十五条には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」という規定がございます。すなわち、公務員の選定・罷免権、これが国民に固有の権利として帰属している。これは一つの民主的組織原理の一つでございましょうが、そういうことも考え合わせまして、やはり先ほど文部大臣がおっしゃいましたように、大学管理機関の申し出のあった者を任命することが大学の目的に照らし明らかに不適当であるというような場合、これはそうざらにはないとは思いますけれども、そういう場合は任命権者は、やはり文部大臣の申されたとおりに、申し出を拒否することができるというふうに解釈をいたしております。この点は実はただいま文部大臣からお話もございましたが、昭和三十八年にわが当局の部長からも御説明を申し上げた機会がございますし、当時の文部大臣からも同様の御発言がございまして、いまにおいてもその見解に変わりはございません。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 いまの法制局長官のお答えを聞きますと、最終的には設置者である、あるいは任命権者である文部大臣に拒否権があると言う。この拒否権は発動すべきものではないけれども、しかし、そのことを頭にしっかり据えてないところに私は大学紛争の混乱の一つはあるということを大臣に申し添えなければならないのでございます。  そこで、次に学生の拒否権について文部大臣にお尋ねします。昨年の同志社大学の学長選挙の際、七十年の安保をともに戦える学長をという一部学生の主張によって押し切られ、選挙がボイコットされた事実。また、北大教育学部長選任の際、産学協同、安保、沖繩、憲法改悪等十三項目にわたる思想調査のアンケートによって、一人の教授が学生に拒否された。学問研究に無関係なイデオロギー的レッテルによって学部長候補をおろされたわけでございます。このような学生参加は好ましくないと大臣は言明しておりましたが、事実はどうなっているか、大臣の御所見を承りたい。さらに指導助言はどのようにしたか、ひとつ承りたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 最近東大の確認書問題から、やはり全国の大学におきまして、学生参加という風潮が生まれておるわけでございますが、この「学生参加」というこのことば、概念というものが実はいまひとつ的確に把握をされておらない。たとえば、フランスのフォール文相がドゴールの指示によりまして、きめましたフランスの改革案の中の参加というものも、その前提といたしましては、非常に日本のいわゆる大学と違って、中央集権的な機構、制度になっておる。しかもまた、学長の任命にいたしましても、文部大臣が発意をして、そして閣議の了承を得て、そして大統領が任命をするという形になっております。また、学生参加を許しますけれども、参加の手続等につきましては、登録学生の六〇%以上の投票がなければ資格がないというようなきびしい規定もございますし、あるいはまた、政治的な行動というものは許されておらない。政治活動というものは許されておらない。ただ、許されておるのは、情報の自由、しかも情報の自由というものが許されておる場所というものは、教育の場はいけない、あるいはまた研究の場はいけない、あるいはまた病院周辺はいけない、こういうようなことになっております。もちろん、秩序を破壊するようなものはいけないというような、非常なきびしい限定のもとにこの参加というものが許されておるという形でございます。日本におきましては、まだ参加の限界というものもだれもわかっておらないと言っても過言ではないというふうに思いますし、その意味合いにおきまして、中教審の第二十四特別委員会において、その参加というものをどう考えたならいいかということにつきまするいわば草案というものが先般出された。しかも、この取り扱いにいたしましても、この世論の動向あるいは各大学の御意見等も十分承って、最終的にきめたいというような、そういう慎重なる態度をもって臨んでおるわけでございます。しかるに、北大あるいはまた、東北大等におきましても、この参加の問題につきまして、たとえば北大におきましては、アンケートでいかにも思想調査を前提として、そういうような学生の参加を認めたような様子でございますので、私どもといたしましては、これは本来の大学管理者が持っておるところの人事権に実質的に及ぶものではないだろうかということで、ただいまそのアンケートがどういうような内容であるか、あるいはどういうような手続であるかということをいま照会をいたしておるという段階でございます。個々について多少資料も集まったようでございますけれども、私のところの大学局においてはまだまだその資料等をさらに要求しておる段階でございまして、これまた私は管理運営の基本にかかわる問題でございまするので、十分この点については慎重に取り扱わなければならないというふうに考えておる次第でございます。もう少し詳しく何かございましたら、学術局長から答弁いたさせます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 十四日の閣議で佐藤総理から、高校生にいまの大学紛争の姿が移りつつある、十分具体的に適当な指導助言をする、ということはどういうことをやりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいままでもやっておるわけでございますけれども、ちょうどこれから、卒業式は終わりましたが、やがて四月になりますると、どこでも入学式も始まることであろうと思います。また入学式の場合におきましても、卒業式と同じような事態が起こるならばこれまた非常にたいへんなことであると考えまして、できますならば、その前の段階におきまして、全国の教育会議、あるいは教育委員長会議等を開きまして、十分その意思を徹底させて、き然たる態度でもって、こういうような暴力行動は高等学校の段階においても断じて許すべきではないというような態度でもって、この各高等学校の校長が事前に警察側とも連絡の上未然にこれを防止するように指導いたしたいと考えております。また、三月の二十四日に実は全国の指導主事の協議会を持つことになっておりまするので、その際にも私も出かけてまいりまして、そういうような趣旨も徹底させ、全国の高等学校において、いやしくも昨今行なわれましたような暴力事犯等、あるいはまた高等学校の学生としてあるまじきょうな行為がないように万般の指導をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 私は、大学の紛争の病源、高校にありというのですが、私は治安面からではなく、小学校、中学校、高校の段階において十分長期的視野によって人間形成の中で先生方が十分子供と話し合えるような指導というものを特に今後気をつけてもらいたいと思うわけでございます。  そこで、大学内部の問題で、長期間にわたって大学紛争が行なわれて休校状態になっている。先生方は給料も賞与も昇給も、依然として同じようになっている。いわば親方日の丸的なそういう安易な考え方から紛争処理に真剣さを欠いているという国民の批判もあるわけですけれども、私調べてみますと、二十五日間ほとんど出ない先生、しかも判は預けっぱなし、一年間全部皆勤になっている。給料はそうしなくちゃ出ないからというので、秘書に預けたまま。どの学校でも先生方は一人一人判を押しているのじゃない、判は預けっぱなし。そして国家公務員の立場で二十五日間埋められておるという、こういう実態を見るわけです。私は、大学の自治を叫ぶ以上、もっとこういう問題については徹底した管理の考え方が生まれるのではなかろうか。  さらに育英会の問題につきましても、自分らの学問を放棄してストライキをやって授業を放棄しておって、そして育英資金は依然としてもらっておる。東大の例をあげますと、一年間に六億七千万の育英資金が学生の手に渡っているのです。授業をやらずに六億七千万。教育大学は一億八千万学生に渡っている。授業を受けない人、ストライキに参加している人、その人たちにそういう育英資金が渡されておる。私は、育英会の趣旨、目的本来の観点からすればもっとこれは考えるべきだと思う。いかがでしょう、大臣。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 中村さんのおっしゃるところはもっともだと思うのでございます。国民の大多数の人もそういうふうにお考えになっておると思うわけでございますが、ただ、普通の小中高と大学とは、その学校の、何と申しますか、内容が違うわけでございまして、研究といたしましても、それには小中学校のようにある一定の時間ちゃんと来てやるというようなことではないという一つの前提があって、それが、言うなれば、大学自治の名のもとに今日相当に乱れておるということも言えるかと私は思います。また、そういう事実があると思います。しかしながら、私といたしましては、やはり全体としてはそうでないような先生方も一ぱいおられるということでございまして、やはりこれは警察アレルギーはもちろんのこと、大学管理一般の問題につながる問題であって、そういうような紊乱した一部の教授等もないとは、私は申し上げませんけれども、しかし、大学が研究の場であるというようなことから考えますると、その点についてどのような管理、運営をやるべきか、あるいはまた、教授というものはその中にあってどういうように社会的責任を感じた行動をとるかということが、おのずと出てこなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。まあ、長期間にわたって紛争が続いておりますが、中には、もう全然それとは無関係で、もう学校には出てこないというエゴイストな教授もおると思いますけれども、しかし、また同時に、何とかしてこの紛争を解決しなきゃならぬと思って、日夜、自分の大事な研究というものを捨ててまでも、とにかく紛争を解決するために専念をしておられる大部分の先生方のあることも、また忘れてはならないというふうに思います。また、大学側自体が休校ということを命じました限りにおきまして、まあ教育は停止されますけれども、一応研究というものはある程度なされるというようなことで、給与を全然あげないというわけにはまいらぬかと思います。しかしながら、休校ということを大学が命じました場合におきまして、この育英奨学資金というものは、当然停止さるべきものだというふうにまあ考えておる次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 育英資金の問題について、私どうも納得いかないのですが、ストライキずっとやって、授業を休止して、それで資金をもらっている。それで病気で休んでいるものはぴたっと停止になっちゃうんです。自分の力でやって、どんどんやっておる者はどんどんもらっている。おかしいじゃないですか。これはやっぱり変える必要があるじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) その辺が、まあ実を申しますと、やはり管理、運営にもつながってくると思いますけれども、一応停止するとか、廃止するとかというような場合は、大学側の何と言いますか、要請と申しますか、そういうものによって育英会が決定をするということになっております。でございますから、たとえば、この暴力行為によりまして、たとえば羽田事件以来のような有罪の刑を受けたとか何とかというような、不適格性のことが明らかになったもの、そういうものにつきましては、育英会としましても、それにこたえることをやっておるわけでございまして、数字を申し上げますと、四十一年度廃止を決定いたしましたものが七百二十二人、四十二年度が千五十八人、四十三年度が千四百二十五人、停止をいたしましたものは、四十一年度が千八百四十一人、四十二年度が二千百三十五人、四十三年度が三千百五十八人、まあいろいろ期間短縮とか、激励とか、いろいろございますが、結局四十三年度では二万五千四百九十一人が、いろいろの意味におきまして停止、廃止、あるいは期間短縮、激励というようないろいろの措置を受けておるということを御報告申し上げておきたいと思います。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 それは少しおかしいです。私の調査でも、紛争に関係したものじゃないですよ。私のほうからの調査から言えば、ほんのごくわずかです。しかし、それを追及する時間がございません。  そこで私は、優秀なる学生、国家有為の人材を養成するんだ、そのために経済的に困っている人に貸すんだ、こういう育英会は、学徒補導の任務がある。文部大臣は業務指導の命令権があるわけです。そういうことをやってなかったということが、私は問題だと思うのです。いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 遺憾ながらその点は、やっぱり責任は免れないと思います。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 まことにきびしい申し方で申しわけございませんが、どうぞひとつ大学の新しい道のために、新しい角度から検討していただきたい。  大蔵大臣にお尋ねします。  衆議院段階で、東大等の国の財産等の損壊は、国としてその損害を取り戻すべきである。むずかしいけれども賠償措置はとらねばならない、こういっていますが、どのような措置をとられたか、ひとつ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、その責任は二通りに分けられると思います。つまり、加害者——学生なんかですね、その責任、それから管理当局である大学の責任と、この二つに分けて考えなきゃならぬ。そういうたてまえでただいま文部当局と相談をしておる、これが現在であります。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 国有財産の損壊等については、管理責任者が会計法上きめられておる、その責任は、会計法規によって処置したい、と宇ノ沢会計検査院事務総長は衆議院でそう答弁しております。ひとつそれを調査すると、四千二百万の、学校から修理費が出ております。五百万円以上はその棄損原因を明確にして出さなければならぬ、支出しなければならぬわけですが、これはどうなっておりましょうか。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) お答え申し上げます。  ただいまの国有財産並びに物品の管理におきまして、その管理責任者の責任につきましては、いま文部当局で詳細調査中でございます。これらにつきまして、大蔵省からも文部当局に対して報告の提出を求めておりますけれども、何ぶん非常に多数にわたっておりまして、目下の段階では、やはり四月一ぱいは早くてもかかるという状況でありまして、まだそういう段階で、結論が出ていないのでございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 たいへんむずかしいでしょうけれども、姿勢を正す一つの原因にもなりましょうから、どうぞ真剣に取っかかっていただきたいと存じます。  文部大臣に、私はさらに、外部の声に耳をかさないで、大学の自治の名のもとで、小さなからの中に閉じ込もり、大学のことは大学にまかせろ、こういう唯我独尊的なあり方には幾多の批判があるわけでございます。この際私は、外部の声に謙虚に耳を傾けて、外部の助言や勧告を受け入れるような制度を講ずべきだと思いますが、いかがでございましょうか。私は外国の例を見ますと、たとえば理事会におきましても三分の二は外部の人だ。内部が三分の一、こういうことで公正な一つの管理体制をつくっている。あるいは日本の制度の中では、裁判官の場合でも、独立した権限を持っている。しかしながら、その裁判が間違った場合には、高裁、最高裁から差し戻される。弁護士、検事等の多くの批判を受けながら、法の厳正を保っているのです。大学だけはひとつおれたちにまかせろ的な考え方が、私は、学生を不満におとしいれる原因ではなかろうかと思うのですが。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいまの中村さんの御趣旨、私どももそのとおりだと思っております。この終戦後の二十年間というもの、むしろ大学自治という美名のもとに、外部の批判を許さない、あるいは国民の批判を許さない、あるいは納税者の意思を反映しない。そういうところが今日、大学管理、運営一般につきまして非常に国民から問われておるところであり、学生から問われておるところではなかろうかというふうに思います。この際、国民のための大学というふうに変わっていくためには、大学自治というものも、そういう観点に立って考えてもらわなきゃならぬ。かつては国家権力からこの自治を守るということでございましたけれども、今日はむしろ、足もとの学生の暴力によってその自治が侵され、あるいは学問の自由が侵されておる。この現状というものを考えました場合に、私は、やはり国民の声あるいは国民の批判というもの、あるいは国民の意思を反映した大学自治でなければならない。したがいまして、この、大学は自治であるから、大学を構成しておるのは学生と教官と事務職員であるから、この三者が寄って協議したことはすべて正しい、批判は許さない、こういうような考え方は、もはや時代おくれの考え方であって、全くこれはナンセンスだと私は思うわけでございます。で、それはワク内におきまして、いかにも近代化されたような形だけれども、それは学内だけのいわば民主化であって、そのワクの外にある社会あるいは世界の変化に大学というものが取り残されてしまった。そうしてそのことについて、大学当局というものが敏感に社会的責任、あるいは大学が何をなすべきか、あるいはどういうような管理、運営をやったならば、一般の学ぼうとする大多数の学生、あるいはまた研究をしようとする教授たちを守ることができるかということについての反省が足りなかったのではなかろうかというふうに思うのでございまして、もう中村先生おっしゃるとおりなんです。市民社会におけるところの大学であるならば、市民的規制というものが大学内にも及んでいくような形がとられなければならないんじゃないか、そういうような観点からも、その大学自治というものを大学当局者がまず考えていただきたいということを私は考えておるわけでございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 わかりました。そこで私は、中教審の答申と世論の動向をあわせ考えて、長期的な問題もさること、それもやらなければなりません。しかし今日的な課題につきまして、どうしてもやらなくちゃならない問題について、私は大臣にお尋ねします。  まず第一には、暴力行為は断じて許さないという規制措置。第二、大学の管理体制を明確化すること。第三には、建物、研究施設等の国家の営造物に対する管理監督の責任を明確化すること。第四には、政府の指導、助言、監督を法的にも明確化すること。この四つの点は、私は、少なくとも現行法ではどうにもならない幾つかの課題をかかえているわけでございますから、与野党離れてこの問題に取り組んでいかなければならないわけと思いますが、文部大臣いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 現在の大学の紛争というものは、やはり直接の原因は、何と申しましても、この暴力学生にあると私は思うわけでございまして、良識の府であり、良心の府であり、学問の府である大学から暴力というものを一掃すべきである、また一掃させなければならないという強い決意を持っております。第一義的には、しかし、大学当局みずからがき然たる態度でもって暴力を排除するという意識を持っていただきたいと思いますし、どうしても自分たちの手でそれができなかった場合には、この主権在民の新憲法下において、警察導入またやむを得ないという確たる信念を、学長だけではなくて全教官が持ってもらいたいというふうに思うわけでございます。そういう意味合いにおきまして、暴力を排除するということにつきまして、その御趣旨は私も同感でございます。  また、管理体制をどういうふうに明確化するかということにつきましても、そのとおりでございまして、昭和二十六年あるいは昭和三十八年の大学管理法のときにも、実を申しますると、教授会あるいは評議会等の権限をどうするかというような問題、あるいは副学長制みたいなことも考えてみたらどうかというような答申も三十八年には出ておるわけでございます。もう少し学長としてのリーダーシップがとれるようなことはできないのか、その点についての規則というものがはっきりしておらぬのじゃないか、あるいはそういうようなことについて法制的に考えなきゃいかぬのじゃないかということがいわれたわけでございます。まあわれわれも、政府としましてもそのことに着目をいたしまして、大学管理法というものも考えたわけでございまするけれども、ただいまは、御承知のとおりに第二十四特別中教審の委員会におきまして、そのことにつきまして、いま学生参加、そしてまた今度は管理、運営、あるいはまた紛争処理についての答申が間もなく出るわけでございます。その答申を待ちまして、立法すべき必要があるならば立法する、また行政的に指導、助言を強化する、あるいはその内容等についていろいろやるべきことがあるならば、その点について、われわれは十分その意見を尊重しながら適当な措置を考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 前途ある若者たちが八千名も逮捕された、いまも七百名も拘置所におる、まことに私たち悲しむべき現実だと思うのです。いい先生方は発言しなくなった。学生に押されてしまってどうにもならない。また中教審が、またきのうはやめっちまった。補充はしたけれども、私はこのつめあとというものは非常に大きいと思います。一大学の問題ではなくなった。社会的な問題になったわけです。そこで、私は二つの問題 一つは、広く国民の声を聞くためのいわば公聴会のようなものを各地、各ブロック等にされて、そしてそれを集約して、長期的な考え方を中教審とあわせて将来の課題として考えるべきではないか。第二には、執行部もかえてしまった、学長もいない、評議会もいない、半ばもう封鎖されてしまった、若い学生たちが入ってくる、民青やあるいは反日共糸が待ちかまえている、受け入れる場所もない、教授が責任体制がない、こういう中で、私は将来を考えると、紛争中の学校については、ちょっとの間、学生同士が話し合える、先生方が話し合える、真剣に考える場をつくり出すべきだ、ちょっとの間休校措置でもして、そういう問題を考えるべきと思うが、いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 広く国民の、何と申しますか御意見を吸い上げるという方法についての先生の御提案につきましては、私はやはりこれは非常に貴重な御意見だと思っておりますが、この中教審におきましても、今度の草案につきましては、各大学にこれを送付し、単に批評をするばかりでなくて、われわれの大学はこうするのだとか、あるいは、これから先の国立大学はこうするのだとか、あるいは、今日の段階においては国、公私立のこのアンバランスをどうするのだという建設的な意見を添えて、ひとつどんどんわれわれのところにその御意見を賜わりたいということを考えておるわけでございます。まあそういうわけで、私は、この百年来改められなかった、この社会の要請に対応し得ないような大学になったこの段階におきまして、私は単に学生だけを責めるのでなく、あるいはまた大学、教授あるいは学長だけを責めるものでなくて、国民全体が、国民のための大学というものはどうあるべきか、つまり国民のための大学というものは、国民の管理、運営、国民の意思を反映した大学というものをつくり上げていかなきゃならないというふうに思うのでございまして、単に構成しておる教授や学生や事務職員だけでその新しい大学像というものが生まれるのではなくて、それを包んでおりまする国民の声、国民の意思というものがこの新しい大学像をつくるものである、こういうような考え方については、中村先生と私は全く同感でございまして、そのような方向でもって進みたいと考えておるわけでございます。先生の貴重な御意見だと私は拝聴いたした次第でございます。

中村喜四郎自由民主党

○中村喜四郎君 終わりにちょっと一言。私は、文部大臣の哲学的な、ヒューマニスチックな、理想的なその人柄に非常に好感を持てるわけですけれども、しかし、政府に対して国民の声は非常にきびしいものがある。政府は何をやっているのだ、政治家何をやっているのだ、安保よりも、あるいは沖繩よりも、それよりも大事なものはこれなんだという声がはね返ってくるわけです。しかも大学紛争はあらゆる点でエスカレートする。いわば乱世です。乱世に処する道は、私はそれに処する道が一つ必要だ。柳生但馬の一殺多生の剣、いわば山岡鉄舟の一剣万理に通ずる。坂田さんは小学校、中学校、高等学校で剣道をやった。剣の道を私は政治の中で生かしていくべき時期じゃないか。勇断が必要だ。私は総理にもそうだと思うのです。安保の問題は国民にもう定着している。また日米交渉、沖繩の問題は、一億の国民の悲願を持って行くのだ、日の丸を胸に抱いて交渉するのだ、私は必ず解けると思います。しかし問題は、国内の問題は、安保が解けても、また沖繩が返っても、もっと真剣なものがあると思うんです。この国内の問題に対しては、教育の問題に対しては、自分でどろをかぶるぐらいの勇断が私は必要だと思うんです。大臣からひとつ総理によくお伝え願いたいと思います。  以上で終わります。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、中村君の質疑は終了いたしました。  午後一時十分より再開することにいたしまして、これにて休憩をいたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き一般質疑を行ないます。  この際、愛知外務大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。愛知外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 去る十二日、本委員会におきまして秋山委員より御質問のございました一九二五年の毒ガス使用禁止に関するジュネーブ議定書の件につきましてお答えいたします。  わが国が一九二五年の毒ガス使用禁止に関するジュネーブ議定書の締約国となっておりませんのは当時次のような経緯があったからのようでございます。わが国は同議定書自体には特に異論はなかったが、すでにわが国は一八九九年のヘーグにおける毒ガス使用禁止宣言及び一九〇七年のヘーグ陸戦法規慣例に関する条約の締約国になっており、これらの宣言、条約によって毒ガス使用禁止を受諾していたという事情があることによるものと考えられます。

野上元日本社会党

○野上元君 それでは、私からまず愛知外務大臣に外交問題についてお尋ねいたしたいと思います。  愛知さんもいよいよ訪米されるということを新聞紙上で聞いておりますが、その日時及びその訪米の目的についてお聞かせ願いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日程といたしましては六月の二日から四日までの間、主としてロジャース国務長官と会談することになっております。それからその目的といたしましては、アメリカの新政権ができ、落ちついて日米相互間の各種の問題についての意見の交換ということを主題にいたしておりますけれども、何と申しましても沖繩の返還問題というものがその中の主要なものであるようにこちらは望みたいというふうに考えておるわけでございまして、その件につきましては、十一月の下旬ごろに佐藤総理の訪米ということがこれも一応予定されておりますが、そのときに沖繩返還問題につきまして実りのある決着をつけたいということを目標にいたしまして、いわば事前の下交渉をそのときから始めることにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 これは外務大臣、六月二日から四日、それから十一月の下旬の佐藤・ニクソン会談というのは、これはワンセットになっておるわけですね。したがって、これは動かせないというものですか。あるいは飛躍するかもしれませんが、この間に解散があるということになると、これは全然だめになるということにもなりますか。あるいはこの間をぬって解散をするということになるのですか、どちらですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 解散の問題は、これは総理からしばしば御答弁申し上げておりますように、これは考えずに予定を組んでおります。そのワンセットというお尋ねは、ただいまのところ日取りまで確定しておりますのは私のロジャース国務長官との会談の予定でございまして、十一月下旬ごろが双方の都合がよろしいという程度においては総理と大統領の日程もほぼきまっている、こういうような状況でございます。

野上元日本社会党

○野上元君 そうしますと、沖繩問題における最終の決定の場は十一月下旬の佐藤・ニクソン会談、それを成功させるために外務大臣が先行して下準備をする、こういうふうに考えてよろしいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあこれは私から申し上げるまでもないと思いますが、私はこの交渉というものは非常にむずかしい交渉であろうかと考えております。したがいまして、六月の初めにまず本格的下交渉ということを始めまして、それから夏には、これもまだ日取りが最終的にきまっておりませんが、ことしは日米閣僚会議が日本でやる番になっております。これは夏ごろと一応予定されておりますが、そこで主要閣僚が先方から参りますれば、国務長官と私、あるいは場合によって総理とロジャース会談というものも東京で行なわれることも期待できるのではなかろうか。それからさらに一応いま心組んでおりますのは、国連の総会が九月にございます。これはやはり私としてはどうしても行かなければならない会議であるといま考えておりますので、その機会にまた私としては国務長官その他と会談をする機会は当然できるものだと思います。そういうふうな段階を積み上げていきまして、最終的にその十一月下旬ごろのトップ会談に持ち込むということ、同時にこれは私がいつも考えておりますことは、日本の世論というものを背景にしてそしてだんだん煮詰めていきたい、かように考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 そうしますと、何といってもあなたとロジャース国務長官の会談というものが沖繩の返還については公式的な交渉としてはスタート台に立つわけですね。最も重要な会談になる、こういうふうに考えられますが、その点はどうですか、外相の決意のほどは。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ先ほど申しましたように、本格的下交渉というふうにいうべきではなかろうかと思いますけれども、私といたしましてもほんとうに真剣にこの重大な問題のここでドアを開くと申しましょうか、そういうことにはかたい決意と知能をしぼっていかなければならない、かように考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 そこで外務大臣にお聞きしたいのですが、大臣としてこの重大な交渉に臨む方針ないしは腹づもりというものはできましたか、その点をお聞きしたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 腹づもりといたしましてここにある程度具体的なものを申し上げるまでにまだ私としても心がまえができておりません。それから同時に、こういうふうに相当の時間をかけてほんとうに真剣に取り組んでいかなければならない問題と思いますから、たとえば、まあ、紙に書いたものをイエスかノーかというような折衝ぶりではこの問題には適当でない。さような場合も頭に入れなければならないのではないか、かように考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 交渉の技術としては私もわかります。しかし交渉されるにはあなたの腹の中に一つの構想がなければならない。しかも、これは総理と一致した、あるいは全閣僚と一致した一つの構想がなければならない。この構想なくして交渉ができることはないのですから、その構想はもう固まったですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この国会でのいろいろの御論議等を通じまして、私どもとしてもいろいろと貴重な私は御意見を伺ったと思います。いずれいましばらく時間をかしていただいて考え方をまとめ、もちろんいま御指摘がございましたように、総理の考え方と十分真剣に意見を交換し、また総理の指示も与えてもらいたい、関係閣僚その他とも十分打ち合わせて腹がまえをつくらなければならないと思っております。いま、きょうこの時間に、たとえば私はこう考えるがどうかということで、関係閣僚等とも相談をするという原案というか、原腹案と申しますか、これをまだ申し上げるまでに私の検討と勉強はまだ不十分である、かように考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 一つの構想はあるけれども、まだ発表する段階ではないと、最後の詰めが残っておる、こういう意味に解してよろしいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それはもういろいろの角度でいまほんとうに真剣に検討いたしておるわけでございまして、こういうほんとうに重大な問題であると思いますから、私としては個人的に意見を申し上げるというようなことは厳に慎まなければならないと、もっと真剣にということで、もう少し多少の時間をかけていきたい、それを御了承いただきたいと、こう申し上げておるわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 これは日米共同宣言を読んでみますと、明らかに日本から案を出して、沖繩の問題に関しては案を出して、交渉に入るというのが順序だと思うのですが、その点は外相としてはどういうふうにお考えになりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それはお説のとおりでございます。同時に、一昨年の佐藤・ジョンソン共同声明にも明らかにされておりますように、また最近のこれは動向の観察でございまして、文章等の問題ではございませんけれども、アメリカ側の朝野も沖繩の問題については取り上げる、つまりテークアップするという意味で、取り上げなければならない問題であると、こういう認識は非常に真剣にあらわれてきているように思いますから、アメリカ側におきましてもいろいろの点を考えつつあるのではないかと思いますが、アメリカの政府が本件については白紙だという態度を現に維持しておることは御承知のとおりと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 端的に伺いますが、日本からまず案を出して、それから交渉に入るのが筋だというように思うんですが、その点はどうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 実はこの点につきましても私真剣にいろいろの角度から考えておるわけでございまして、やはり基本的にはこの国会でも非常にいろいろの角度から御論議がございましたけれども、早期に返還してもらいたいということは、これはもう問題ないこちらの主張であります。同時に、日本の立場からいえば、第一義的に日本の安全をどうしても、あらゆる可能性を考えて国民の安全ということを確保しなければならない、そういう立場から考えてどういうふうに考えるか。それからアメリカ側は白紙でございますから、まだ予測することは困難でございますけれども、アメリカが沖繩についてどういう角度からどういう考え方でたとえば基地の問題等については考えておるのか、この基本的なものの考え方というものを私は煮詰めて合意をすると、そうして日本の主体的なものの見方、立場というものが十分に貫徹するようにつとめるということがまず第一義的に私は必要なことではないかと、まあそういうふうに考えておりますので、こちらのどういうふうな、常識的なことばですが、アプローチの方法がよろしいのか、その方法論を含めまして私としてはいまいろいろの角度から検討を続けておるわけであります。

野上元日本社会党

○野上元君 この問題もう少しやりたいのですけれども、時間がありませんからやめますが、いま外務大臣はまだ発表する構想が煮詰まっておるわけではない、こういうお話でございましたが、昨日来新聞の報ずるところによりますと、ワシントンにおけるアメリカの下田駐米大使ほか館員が一斉にアメリカの有力議員に対して接触を開始しておる、もちろん接触でありますから、当方の意見も言い、向こうの意見も言うと思うのです。こういう動きについて外務大臣としてはどうお考えになっておりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点はでございますね、一つはこういうことでございます。最近、御案内のように、アメリカの政治家の有力な人たちが日本にいろいろの機会に参っております。そうして日本でもいろいろもちろん非公式、個人的な見解でございましょうが、報道されておるような意見も述べておられることは事実でございます。その中の方々は直接私に意見を言ってきた人もございますけれども、これらの方々が日本で各政党等の方々の御意見を伺ったり、あるいは質疑応答したその印象をアメリカに帰ってどういうふうに分析しておられるかということをいわば取材するということが非常に必要なことだと考えましたものですから、そういう意味で大使をはじめ、館員を手分けして、来られた方々あるいはまた来られようとして来れなかった方、あるいはまた、かねがね日本問題に非常な関心を持っておったような方々、そういう方々の意見を打診するということが目的になっているわけでございます。それからこちらの意見を言わなければというお尋ねでございましたが、そういうアプローチでございますから、こちら側としては主として国会内における論議などを通じて世論として報道されておるということを一つの客観的な事実として日本のいわば状況というものを説明した場合もございますけれども、これはかねがね申しておりますように、またいまも申し上げましたように、私としてもまだ腹案をきめておりませんし、いわんや内閣としても腹案をきめておりません段階ですから、下田大使に対して交渉の下準備としてこういうことを腹案として持って行けという意味の訓令というものは一切まだ出しておりません。これはもう当然のことだと思います、私どもがきめていないわけですから。同時に、一昨日か佐藤総理もこの席で言われたと思いますが、下田大使の言動につきましては国会でもきびしい御批判を受けたわけでございますけれども、大使としての大きな任務は、この日本のいろいろの意見あるいは世論というものを十分に向こうに伝えるということはこれは非常に大きな役割でございますから、下田君が帰任するに際しましても特にこの点は私からも総理からも直接よく言い聞かせてある、そういう基本的な姿勢で彼が行動しておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 そうしますと、総理の会談の成功のために外相が先行する、そうして当然その外相も会談が成功するためにはスタッフが要ろう、これは当然のことだと思います。その一連の動きだと見ていいんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように本格的な準備工作あるいは下交渉というのは私自身の六月二日から始めるつもりでございます。それ以前の現在の状態は任国における大使の当然の職責をやっておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 新聞の報ずるところによりますと、マンスフィールド院内総務に対して、核抜き本土並みは日本の世論の多数の意見になりつつある、どのような政府も国内世論を無視して交渉はできないと答えておいた、こういう記事が載っておりますね。そうしますと、いままでいろいろ論議されてきた本土並み核抜き、これが国内の世論ですよ、ということを相手に説明しているわけですね、それ自体はどうなんですか、政府の意向に反しておるのかあるいは政府の意向に沿っておるのかどうか、どうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはさっそくその会談といいますか、これも詳細に公電も入っておりますけれども、先ほど私が申し上げましたとおり、たとえはマンスフィールド氏に対しては——会いました前日か前々日にあるところでこの問題に触れた講演をしておられる、その中に書かれておる、報道されておることは御承知のとおりでございますが、そういう点をあなたの御意見はどうですかとこちらから問うたのに対しまして、その大学だったかと思いますが、そこでの演説と全く同趣旨の話をしておる、それに対しまして日本の世論の大部分というものもそういう御意見のようですということを申したということは報告されております。

野上元日本社会党

○野上元君 私の聞きたいのは、これはもう常識で考えて、あなたがロジャース国務長官と会われる、それが成功するというのは国民的見地からみても当然のことだと思います。その成功のためのアプローチをしないで成功に持っていくことはできないと思う。それにはやはり下準備が必要だと思うんです。そのためにこそ海外にあなたの特使がたくさんおるわけですから、それが動いておるわけですから、その動きについては本土の政府と一致しなければならないと思うんですが、この下田大使以下の動きというのは、本国政府の考えておることに一致しておるかどうかということを聞いているわけです。もし、一致しておらないということになるとこれは重大な問題になるから一致しているのかということを聞いているんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはなかなかむずかしいところでございまして、先ほど来申しておりますように、沖繩返還問題について本国政府はこういう考え方を固めたから、この訓令に基づいて活動せよ、こういうことはまだやっておりませんし、その事情は御了承いただけると思います。しかし同時に国会の中においてはもちろん、外におきましても非常に論議がある、この論議というものをできるだけ正確に流すといいますか、そういう気持ちを持っていなければならないのが本来の日本国大使の役割りではなかろうかと私はかねがね思っておりますが、そういう意味におきましては、そういう任務及びそういう活動をするということについては私と同じような気持ちで動いてくれている、かような確信を持っているわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 あなたと同じ気持ちで動いておると言うんですが、そのコミュニケーションはどうなっているんですか。それは、下田さんが日本の新聞を見たりテレビを見たりして、そうして自分で判断をして、これが日本の考え方だということを言っているんですか、それともあなたがこういう方向でやれ、こういうように指令されているのか、どちらですか、どういうコミュニケーションがそこにあるんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ですからそこは御説明のむずかしいところだと申しましたのですが、それはたとえば日本の新聞報道等について、たとえば総理大臣が肯定も否定もしておりませんというくだりがあれは、そのまま客観的にこちらは——もちろん下田大使も日本の新聞は数日おくれで見てはおりましょうが、できるだけ詳細に客観的にこれを通知をしておる。そうしてそれを客観的な事実として、話がそれに触れた場合にはそのまま客観的に答える、あるいは説明をする、こういうことを現にやっておるわけであります。こういう意味におきましては私の考えたとおりに動いている。日本政府としての考え方というものは、訓令がない以上はこれは伝える由なし、こういうわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 私は、その点は外務大臣は率直に言われてもいい段階のような気がするんですね。私も外交については全然しろうとです。しろうとですけれども、常識的に考えて、あなたが六月に行かれる前に何らかの手を打たなきゃならぬと思うんですね。それを六月何日に行って初めてそこから開始するんだ、そうして十一月には頂上にのぼるんだというようなことは考えられませんね、常識では。もうジョンソン・佐藤共同声明は一昨年出ているんですからね。もう一年半たっているんですからね。その間何もないというようなことは考えられないんです。したがってあなたのほうで何らかの訓令を出されたかあるいは総理のほうで何かの指示を与えたか、どこからか指示が行っておらなければ、下田さんはかつて日本へ来て失敗されておるんですから動くはずはないと思う。その点をはっきりしてもらいたい。そうすれば大体日本のあなた方の考えておられることもわかる。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) どうも御質問に対して食い違ったようにおとりになるような答弁しかできないことを非常に残念に思うんですが、野上委員は私が何を考えているかということをお聞きになりたいので、そういう角度からいろいろお話があると思うのですが、これは大使としては政府が腹案というものを訓令にしない限りは、大使としてはその点については動けないと思うんですね、これが常識だと思うんです。それがおそ過ぎるとか、あるいは早まったことをしたとかいうことがあるならば、これは御批判の対象になると思いますが、事実私はこの国会のこの場で、腹案がまだつくられておりませんと。おまえはなまけ者だという御批判ならわかりますけれども、ないものを言えとおっしゃいましても私は申し上げることはできません。それから私はやはり外務省と出先との間では、なるべくそれは内政というものの状況というものは、特に重要国の大使というものはよくわきまえていなければならない、そういう意味でも、ことにいろいろ問題のあったあとでございますから、言動等には十分注意しておると思いますが、そうして日本側の状況の説明については、主として日本の国会における御質疑あるいは総理や私がいたしました答弁、これはそのままの姿で、詳細にしかも的確に伝えておくことが必要と思います。それを求められれば説明をするということは、これは当然のまた役割りじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 保利官房長官が、十四日の日に東京新聞の岡本政治部長と会ってこの問題について会談をしています。そしていろいろと佐藤さんの考え方について述べられております。これはごらんになりましたか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 東京新聞でございますか。

野上元日本社会党

○野上元君 はい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) はい、見ております。

野上元日本社会党

○野上元君 これをごらんになってどういうふうにお感じになったかというと抽象的になりますが、これをわれわれが見ますと、もうすでに政府の方針はきまっておる、したがってそれを下田大使に伝えてある、だから下田大使はあのように動いている、その証左だと、こういうふうに保利官房長官は言っておられるのですが、外務大臣としては何らこれは相談がないのですか、その点について。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは、官房長官の言っておりますことに注釈をつけるというようなことはいかがかと思いますけれども、先ほど来申しておりますように、こちらの状況、質疑応答等のことは的確に客観的に流してございます。それからそこに言われているようなことのほんとうの意味は、すでに一月に一時帰国を求めまして私どもとも十分話をし、世論の動向というものはこういうふうな状況である、あるいはそれを的確に掌握しておけということを含んで、何といいますか、接触があるということがその気持ちとしてそういう表現になっているものと、私はそう思っております。

野上元日本社会党

○野上元君 下田大使はマンスフィールド氏に対して、これは民主党の院内総務ですから上院では非常に力を持っておられると思います。その人に対して、日本の国論は大多数が核抜き本土並みだというふうになりつつある、したがって、いかなる政府もこの国民の世論を無視して交渉はできないのですと、当然のことを言っておられるわけです、当然のことばを。そのとおりに解釈してよろしいのですか、外務省の考え方というものは。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 現在、新聞報道を通じて世論の動向というものが、先ほど申しましたように、正確に申しますと、まずマンスフィールド氏の本件についての話があり、それは新聞等を通じてみての本国における大体の世論というものと同じでございましょうと、こういうことは会談の中にございます。これが一つでございます。それから、何人も何国も世論の動向を無視した外交はできません、国民の支持がない外交はございませんと言っておりますことは、これは総理も私もしばしば言っていることでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 そうしますと、大体下田大使が言っておられるように、日本の世論は核抜き本土並み、そして外交の方針としては世論には背は向けられない、したがって、さらに一歩進めれば、対米交渉の第一歩は核抜き本土並み、これで交渉することになるでしょう、こういうふうに向こうへ印象を与えると思いますが、そういうふうに解釈することは誤りですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はこういうふうに思います。下田大使がいろいろの人に接触しているのは、先方のいろいろの観測等を、あるいはコメントを聞きたいというのが主たる目的でございます。それから、なるほどマンスフィールド氏も最も有力な政治家でございます。これから会う人もそういう人が多いわけでございますけれども、両国の政府間の接触というものはまた別でございます。これは正常な外交チャンネルでやる、そしてこれを、訓令を執行するというのが大使の任務でございますから、大使は本国の訓令に基づいてそういう話をしているというのではない、この点は御理解いただけるかと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 私どもが問題にしたいのは、国内においてこれだけ長い間、時間をかけて、この予算委員会でやっても、この結論については白紙だ、まだ構想を発表する段階でない、こう言っておられながら、実際外国使臣に対しては、外国でどんどん大体政府の考え方を進めていくというような、非公式であろうが公式であろうが、外交手段ですから、やられると思うわけです。それが新聞にはね返ってわれわれの耳に入ってくるわけであります。非常にその点奇異に感ずるわけでありまして、われわれの耳をふさいでおきながら向こうではすでに交渉は進めておる。こういうやり方がはたして近代国家において正しいやり方かどうか、その点をひとつ伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは冒頭に私詳細に状況をお話ししたつもりなんでありますけれども、先般、たとえば京都会議あるいは日米議員懇談会あるいはその他の機会に、最近に日本に来たアメリカの有力な議員の人たちが、日本においていろいろの意見を発表しておることは事実でございます。また直接お聞き取りになりあるいは討議をなすったと思いますが、同時にアメリカに帰って、そうしてどういうふうな言動であるかということを捕捉することは、われわれがこれから腹案をつくったり、交渉の方向をどうしたらいいかということについて、私は大きな参考になると思います。また、これはひとり沖繩問題のみならず、いまアメリカについてのお話でございますから、日米のいろいろの問題の処理に私は有力な手がかりになると思います。そういう方向でいっておるわけでございますからして、日本の政府として、この問題について、中身に触れてこれはこうやれと、こういうあるいは情勢をつくれというようなことの訓令というものは、私自身が考えがないのでございますから、また私自身がしたがって訓令を出しておらないのでございますから、そこのところは事実として、それがいい悪いと、御批判はいろいろおありと思いますけれども、私が、自分が誠実にやっておることの事実を事実としてここで御答弁申し上げておるわけであります。

野上元日本社会党

○野上元君 私は訓令の問題については、まだ出しておられないと言われるから、それはそれでいいとして、しかし訓令を出そうが出すまいが、いわゆる公式であろうが非公式であろうが、相手に影響を与えるという外交手段というものはあるわけでありますね。いま公式ではないけれども、相手を説得するというような一つの外交手段がとられておるわけですね、明らかに。それは下田大使がかってにやっておるのか、あなたが訓令されたのか知りません。しかしそれは事実なんですね。したがって下田大使は日本の特命全権大使なんですから、彼がこう考えるのだというようなことは、向こうから見れば当然日本本土の考え方はこうなんだ、核抜き本土並みなんだ、これが国民の多数で、そうしてこれにそむいて交渉はできないないのだ、こういうことを言えば、特命全権大使のことばとして向こうの人が受ける。それが日本の考え方になる。こういうことになると、あなたが訓令を出そうが訓令を出すまいがすでに事実が先行しておるのですから、その点を私は聞いておるのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 事実を申し上げるわけですが、事実を先行させようとか何とかという意図はございませんし、私の見るところでは、事実は先行しておりませんと申し上げるほうが正確だと思います。同時に、いまアメメカのほうのことをおあげになっておりますけれども、私自身が、駐日大使あるいはいま大使がまだおりませんから臨時代理大使ですけれども、この人をはじめいろいろの人との接触もあるわけでございますね。そのときに、この間も野上委員から御指摘があって、日本の総理大臣の言うことはわからぬということを言うたということが伝えられましたが、それは本人からいえばそれは当然だと言っておりますけれども、そういうことの起こらないように、国会でのこの質疑応答というものは、客観的に議事録等を中心にして、外務省といたしましてはもうよく知ってはおることではございましょうけれども、そのまま客観的に伝えるということは、私ども東京におきましてもやっておる事実でございます。

野上元日本社会党

○野上元君 結論的に言いますと、下田大使の動きあるいはアメメカ大使館員の動きについては、大体外務大臣の考えておられる線に沿って動いておる。したがってこれはとめる必要はない、外交上。よろしいですか、そういうふうに解釈して。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) なかなかこれはむずかしいところでございますけれども、   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 私としては、アメメカ側のいろいろの人の意見を打診するということについては、私はもう少しやらなければいかぬのじゃないかと思っておるくらいですが、なかなかむずかしいところというのは、いつも国会の中でもわれわれ内閣がおしかりを受けますけれども、自分の意見を言わぬで人の意見を言わせるのかというおしかりを受けますが、それとある意味においては同様にむずかしいことであろうかと思いますが、アメリカ側がどういうふうな見解を持っているかということを、先ほど私が取材ということばを使いましたが、取材することについては、もう少しやはり必要な点もあるのじゃなかろうか、私はこう思っておりますから、そういう意味におきましては、現に駐米大使のやっておりますこと、あるいは今後私が期待したいというふうな点から言えば、私の考えたとおりに動いている、かように申し上げて間違いないと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 これは取材はするのは当然でしょう。それはもう外交には情報を集めるというのはつきものですから、その取材はけっこうなんですが、取材のときに、やはりギブ・アンド・ティクみたいになるわけですね。おまえばかりおれの意見を聞いて、日本はどうなんだということを必ず聞かれると思いますが、そのときに下田大使が答えておられるわけです。その答えておられるということが私は問題になるわけですね、日本の構想が。その構想については大体外務大臣の考えておられる線に沿っておるのか。取材はけっこうです、これはもう当然のことですから。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはたいへん下田君としても在外側自身としてもむずかしい仕事であると思います。ただ、今日のこの問題の場合も、日本側の考え方というものが、いずれ外務大臣が参りますから、外務大臣の意見というものが日本政府の意見ということになるはずでありますということは必ず言っておるはずでございます。同時に、まだ訓令をもらっておりませんから、日本側政府の内意というようなものは申し上げる段階ではない、これだけは十分くぎを押しておるはずでございますが、その点は新聞の報道等には出ておりませんけれども、私はさようにやっておる、かように御承知願いたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 それは外務大臣が下田大使に対して、そういうアプローチのしかたをしろ、こういうふうに一つの指針のようなものを与えておるのでしょうね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは大もとは、下田大使が一月に一時帰国いたしまして、帰りますときに、十分私のこれからの本件についてのアプローチの方法論というものにつきましても、私の考え方を十分に打ち込んでございます。それから、不幸にして、その後、下田発言というものがあらためて国会で非常な問題になりましたから、それにも関連いたしまして、今後政府の見解というものにまぎらわしいようなことを内外に対して言うことはまかりならぬということは、これについても厳重に訓告したわけでございますから、その辺に間違いは断じてない、私はかように考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 別の角度からひとつ聞きたいところがあるのですが、これは後ほど沖繩の基地の態様とも若干関係してきますが、牛場外務次官が十日の記者会見で、「米国も沖繩には戦略核兵器は必要ではないといっている」、こういうふうにはっきりと明言されております。これは政府の公式な見解としては初めてのことだと思います。これはどういう接触でこういう結論が出たのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは牛場次官が、いろいろ自分の接触しておりまする米国側の関係者の個人的意見などを総合しての見解と承知いたしております。

野上元日本社会党

○野上元君 そうしますと、この発言は外務省の代表ではなくて、牛場外務次官個人の発表ですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは国会での議事録に載っているようなものと違いまして、正確にその発言の内容というものが、まあ多少程度が軽いといってはたいへん新聞の方に失礼かもしれませんけれども、縮めて書いてございますから、これは牛場君が、あるいはこれはほかの外務省、あるいはほかの担当の人たちも御同様でしょうが、いろいろの人の雑談的な意見を総合してみれば、アメリカでも戦略核というようなものは沖繩には必要はなかろうというようなことを言う人がかなりいるということをもとにして、米国側にもそういう意見が相当あると、こういう趣旨を言うたことではなかろうかと私は存じます。少なくとも、これはアメリカ側のソースが公式な見解として日本の牛場外務次官に対して公式に示されたものではない、これだけは確かでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 しかし、これは新聞の記事をお読みいただけばわかりますが、、これは重大な問題ですよ。私は私なりの判断で、最終的な交渉のポイントには兵器の問題が出てくるというふうに私は見ているのです。したがって、戦略核兵器、戦術核兵器というような問題について、非常に重要なポイントになると思うので、こういうことを堂々と外務省が言われている以上は、これは取り消すか、牛場さんに来てもらってこの真意を聞かなければ、これが外務省の意見ということになると、新聞によると、これは公式の初めての発表だというふうに書いてあるのですから、その点をはっきりしてもらわないと、私としても質疑に入れない。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は、私がいま申し上げましたことに間違いはございません。  それから、これはもう一ぺん繰り返しますけれども、外務省として、たとえばペーパーをつくって、そうしてそれに次官談として公式に配付したような意味の談話ではないわけでございます。そういう意味におきまして、これは、そこは文字どおりお読みになればそのとおりですけれども、この種の記事のなにとして、これは外務省として、あるいは外務次官としての、公式にらゃんとつづって、そうしてそれを発表するとか配付したとかいうものではないことだけは事実でございますから、それを基点にして御論議をお進め願うようにお願いいたしたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 新聞というのは天下の公器ですからね。しかも、これは何百万という人がこれを見ているわけですから、これが外務省の公式の発表だということになれば、政府はこういうふうにどこからかニュースを入れた、公式な接触のもとに発表したのだろう。外務次官の立場にある人ですから、もしこれが一個人の問題だということになれば、これはどういうことになるのですか。世間に非常な大きな誤解を招くことになりはしませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私は、誤解を招かないように、いまのその記事につきましては、私が調べましたところ、いま申し上げましたとおりでございます。したがいまして、これは今も申したように、プリントを刷るとか正式な議事録に載せるとかいう趣旨のものでございますれば、もっと広く頒布されたでございましょうし、また、そうでないということの事実は、私はそういうふうにお読み取り願いたいと、かように考えます。米政府から正式なそういうふうなものを受け取ったというような事実は全然ございませんから、その点は明らかにしておきたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 委員長、ちょっと関連。野上氏の、いまの実は牛場外務次官の公式見解として、一新聞の記事だと言われますけれども、明らかにここで外務省の公式な見解としてということになっておるのですから、野上氏がこのまま質問を続けていっても、やはりこの真実を、本人がその点を表明してもらわなければいかないと思うのですがね。それで、ひとつこの点の配慮を委員長にお願いしたい。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) その問題については、外務大臣がるる答弁をしておりますが。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 答弁をしたってだめなんです。だめなんです。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) それではいけませんか。  速記ちょっととめてください。   〔午後二時十二分速記中止〕   〔午後三時五十八分速記開始〕   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 速記を起こしてください。  引き続き、一般質疑を行ないます。  この際、愛知外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、重要な内容を含むものでありますので、牛場次官等につき、直接十分調査の上、次の機会に御報告させていただきたくお許しをいただきたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 委員長・理事会の御決定でもありますし、かつまた外務大臣からの御答弁でもありまするので、私としては残念でありますが、これらの問題についての質疑は次の機会に留保さしていただきたいと思います。  そこで、大学問題についてただ一つだけこの機会にお聞きしておきたいと思うのでありますが、午前中の中村委員の御質問に坂田文相が答えられた、大学の学長及び教授、助教授の任命権について最終的に拒否権ありと、こういうふうに答弁されたことが、実はいまの夕刊に大きく載っておるわけでありますが、この拒否権ありというふうにずばりと言えるものかどうか、その点についてあなたの真意を明らかにしておいていただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 大体におきましては、慣行としまして教授、助教授の任命等につきましては、大学当局の機関の決定に基づきまして、私が任命をするというたてまえになって、これは長い間の慣習になっておることと思うわけであります。しかしながら、文部大臣といたしまして、やはり任命権者でございますから、これを法制的にと申しますか、そういうような考え方から申し上げますと、教授というものの身分の問題、あるいはその人事権の問題等について、教授がいかなる政治的な見解を持たれようとも、また、いかなる思想を持たれようとも、それは憲法が保障するところであります。それが学問の自由といわれるところであろうというふうに思われるわけでございます。そういうようないわゆる学問の自由を憲法で保障しておるがゆえに、その手段として大学自治というものが考えられ、その大学自治の中核というものは、まさにその人事権ということになっておるというふうに思うわけでございますが、しかしながら、いま申し上げましたような政治的見解や思想的傾向というようなものを超越した分野におきまして非常に不適当である、はなはだしく適当でない、公務員としても、あるいは教授としても、あるいは研究者としてもというようなことが客観的に明確であるというような方について、任命しないということは可能であるというような考え方でございます。

野上元日本社会党

○野上元君 文相御承知のように、大学の学長を任命する手続として、教育公務員特例法ですか、これの第四条に従って、学内で選考委員会をつくって、そこできめて、それを文部省に上げてくる。そうして第十条に従って文部大臣が任命する、こういうことになるわけですね。そうしますと、第四条というのはきわめて重要な役目を果たすわけですが、この第四条で、みんなの総意がこの人を学長にしようというのを上げてきたのを、けしからぬと、いろいろな問題でけしからぬと言ってこれを拒否するということは、文部省と大学が対決するというようなことにもなりかねないというふうに私は思うのですが、そういう正当な適法な手続を経てきた申請について、拒否権を発動するということがあり得るかどうか、その点をもう一度お聞きしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 一般的に申し上げまして、ただいま申し上げましたとおりでありまして、政治的見解や思想的傾向がこうであるから云々ということでなくて、明確に客観的に、もうだれが見てもこれは非常に不適当であるという場合に限っても、やはり任命権者といたしましても、これを任命しないという場合もあり得ると、こういうふうに御了承いただきたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。午前中の発言で、私は、文部大臣はいつも非常にこまかく説明されるのに、拒否権の問題について少し説明が不十分であるということが、こういう結果を生んだと思うのです。したがって、文部省の持っている統一見解がそれであるということについては、この前、大学の管理権が問題になったときに、文部省が統一の見解を出して、そうしてこれについてはいまお話のあったように、非常にかつ例外的な場合には任命権者である文相が当然拒否権を持つという統一見解を出された。しかし、これは文部省の見解であって、当時、国立大学協会等については、これはそうではないという見解を持って発表もされておる。いや、それどころか、もっとさかのぼって、この問題について実は憲法調査会が調査をし、その第一部会というのが、実は、「憲法運用の実際についての第一委員会報告書」というのが出ている。当時の文部省の政府委員が答弁をしているのには、そういうことは言われていなかった。「これについては、大臣の拒否権は考えられず、また実際にも、文部省が、さらに大学側の選考を審査して、任命を拒否するというようなことは行なわれずに、大学側の人選どおりに任命しているということ、そして任命に関する責任は、文部大臣にはなく、もっぱら選考権を有する大学側にあるのであるという趣旨の答弁があった」といって、正式な報告が出ているわけです、当時の報告が。そしてまた現在あなたの幹部をされている人が、この法律の解釈したものを発行されている中にも、これは大学管理機関の申し入れに任命権者は法的に拘束せられ、拒否権を持たないことを意味するのであるということを書いてある。だから、文部省の一方的な統一見解がそのまますべて認められているわけではないわけです。文部省自身も憲法調査会のときには、拒否権はないのだという説明をしておるし、関係者もこの解釈でそういうことを正式に書いて発表されているわけです。そしてまた当時問題になったときにも、国立大学協会の茅会長をしていろいろ文部大臣にただされた。その拒否権に関する談話についても、明確にこれはそうだという解釈をしているわけだ。したがって、何か非常にあっさり、拒否権があるのですというような答弁をされたことについては、非常に誤解を生むということがあると私は思うのです。したがって、いま野上君の質問が出たこともそこにあるし、また、それをそばで聞いていた者は、あっさり文部大臣が答えただけでなくて、法制局の長官も何かそういう具体的な実例があるかのごときような説明をされた。したがって、私はあなたのほうの文部省の統一見解もそうだけれども、文部省自身はそういうことを言わないで、説明をしないときもあり、それについては異議を唱える人たちもあり、また文部省の中でも、法律のできた当時にそういう解釈をしておったという事実もあるということを認めると一緒に、一体こういう拒否権を発動した事例があるというなら、その事例のあることを詳しくしてください。そして私が申し上げた趣旨は、そういう点について今後いろいろ拒否権問題で立法化の考え方を持たれているときに、軽々にそういうことができる情勢ではないということを私は申し上げたいわけです。そういう点についても慎重なやはり態度と理解があるということを文部大臣から答弁をしていただきたい。そういう趣旨から私も関連の質問をしたわけです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 確か三十八年の大管法を出しますときにもこの問題についていろいろ議論のあったことは私も承知をいたしております。また学者の間において先生御指摘のような御意見のあったことも聞いておりますが、文部省としましてはその当時確か荒木文部大臣だったと思うんでございますけれども、私がただいま申し上げましたような趣旨の御答弁であるし、その当時の文部省としましてはそういう統一見解を持っておった、また今日もただいま申し上げましたような見解である。確かあのときに田中二郎さんあたりからも同様のことを文部省と同じような趣旨のことも「ジュリスト」あたりに書いておられると私は記憶を、誤りがなければ、記憶をいたしておるわけでございますが、私どもといたしましてはただいまお答え申し上げたように、この政治的見解、思想的傾向というようなものを超越した分野において非常に不適当であることが客観的に明確であるというようなものについて任命しないことは可能であると考えるということは言えるかと思うのでございます。  なお、そういうような事例があるか、私はその事例は戦後、誤りがなければ、聞いておりません。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 ちょっともう一つ。  現在統一見解を持ち、そういう見解を持っておられるということはわかりました。しかしそれに反ばくするのには憲法調査会等で憲法のできた当時にこの問題を論議されたときに文部省自身もそういう見解を持っていたということもこれは事実です。これはそういうもの残っておる。ちゃんと報告されているわけです。で、またその文部省の統一見解についても大学協会等が異議を唱えて、明確にこれを指摘をしておる事実もあると、そういうことについてはひとつ認識を新たにしてもらいたい。またそういう点について十分ひとつ考え方をねる場合において十分にひとつ考慮をしてもらわなければいけない。ただいまあなたのおっしゃったのは純法律的にそういうふうな解釈される見解を持っているけれども、そういう事実はいままでもなかったし、そういうことがないことを望んでいるという、そういう趣旨だと私も思うんです。その見解に服しているというわけじゃありませんけれども、そういう趣旨の御答弁だということを理解して差しつかえないのですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) まあ先ほど繰り返し御答弁申し上げているわけでございまして、ただいまはそのような見解でございます。

野上元日本社会党

○野上元君 この問題はまた後ほど十分に議論することにいたしまして、いま簡単に要約して申しますと、この新聞に発表されておるように、文相に拒否権、こういうものではなくして純粋な法律論的立場からしても厳重な条件つき拒否権はあるだろうと、こういうふうに解釈してよろしいですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) そのとおりだと解釈をいたします。

野上元日本社会党

○野上元君 それでは、委員長、これで打ち切ります。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 野上君の質疑の途中でございまするが、残余の質疑は十九日に行なうことといたします。     —————————————

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、石原慎太郎君の質疑を行ないます。石原慎太郎君。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 古今東西、国家が秩序ある国家として存続しますためには絶対な必要条件が二つあると私は心得ます。その一つは国内において完全な治安を維持する、第二は国外に対して完全な防衛を果たす、つまり何を何に対していかに守るかという問題でありますが、わが国の日本にはそのための非常に法的なあるいは心理的、感情的な規制がさまざまございまして、これは思うように行きません。たとえば防衛に関しましては、わが国だけで国を守るべきである、あるいは守るべきでないかというような、こっけいな議論さえ存在いたしております。こういった問題につきまして、今日起こりつつあるいろいろな事態と照らし合わして、われわれはその反省期にきているのではないかと心得ますが、そうした問題を中心にきょうは御質問をさせていただきたいと思います。  最初に国内の問題、今日の日本の治安に関しまして、非常に焦眉の急となっております学生の暴力の問題でございますが、私はこの安田講堂の事件などを視察いたしまして、これが一種の彼らの生理現象である、つまりああいった暴力によって彼らが一種のカタルシスあるいはエクスタジーを感じている、そういうところに、これを傍観する市民の中にも非常に深層心理的な傾斜が行なわれておる。すなわち生理的な共感がある。これは学生たちの結局、問題だけでなしに、文明全体の一種の公害の問題でありまして、人間の疎外感、あるいは抑圧、不満、不安というものが実はこういう形になってあらわれてきた。これは結局学生たちだけではなく、われわれ政治家にも、あるいは芸術家にも一般市民にも共通した非常に基本的な問題だと思います。  さて、日本の学生運動でありますけれども、これを西欧と比べましたときに、きわめて異なる点が一つございます。それは西欧の、欧米諸国の学生運動は一応日本のような暴力的態様をとりながらも、なお決して反体制運動でない。あくまでもその体制の中での非常に前衛的な積極的な革新という形をとっております。たとえば毛沢東あるいはゲバラの肖像を掲げたにしても、これは明らかに社会の情熱的な改革者への共感でありますが、ところが、この日本になりますと、これが明らかに反体制運動、そしてマルクスや毛沢東や、あるいはゲバラに対する共感はマルク・スレーニン主義に対する非常に情熱的な実践者という評価になってまいります。われわれはどうもこういった学生たちの非常に論拠のないと考えられ得るマルクス・レーニン主義、つまり反体制論に承服するわけにいきませんし、こういった旗じるしを掲げるがゆえに、学生たちは非常に大事な問題、いわゆる文明の公害の問題というものを自分たちの運動の中に見過ごして、非常に単純なマルクス・レーニン主義の方程式で、要するに日米帝国主義だとか、佐藤内閣打倒というふうな簡単な結論になってしまう。たとえば、私はこの間、銀座でファシストと呼ばれました、全学連の学生に。私はその理由を尋ねましたら、おまえは自民党だということでございましたが、たいへんこういう単純な発想が多い。そして彼らは、たとえばケインズ、あるいはマックス・ウエーバー、そういった人たちまでがファシストということになる。こういう頭でっかち、というよりも、むしろ頭のない、こっけいな学生たちがいかにして誕生したかという点について、文部大臣に、その原因についていかがお考えか、お聞きしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) やはり石原さん御指摘のとおりに、これはやはり文明史的な一つの現象だというふうに私は思うのです。御承知のように西洋の歴史からいうと、中世からルネッサンスになって人間の解放、同時にその基礎としては自然科学が発達してきた、ところが、その自然科学があまりにも発達して人間がついていけなくなった。あるいは西欧文明というものが行き詰まりにきておると、こういうことが簡単に言えるかと思います。また日本は三百年の、この徳川時代を経て西洋の文明に出くわして、そのときの変革というものは非常なものだったと思いますが、それと同様な意味における戦後の二十年の変化、あるいは世界の自然科学の発達による激変による人間疎外の問題、したがいまして、京都大学あるいは東京大学の入学者の一二%から一三%が精神障害を受けておる、つまりついていけない、あるいは社会に対応できないというような文明病が実は出てきておる。これは単に日本だけじゃなくて、ケンブリッジだとか、あるいはオックスフォードだとか、あるいはバークレーの一流大学のやはり学生に見られる現象だ、そう考えますと、私はその原因というものは、単に学生だけじゃなくって、あるいは大学教授の管理能力喪失ということだけじゃなくて、その大学を包んでおるこの民主主義社会、日本の社会というものが、制度や法律というものは民主的に改変されたけれども、しかしそれを運用するのは人でございます。その人がヨーロッパ的ないわゆる合理主義というもの、あるいは自由というもの、それには当然責任が伴うというようなこと、秩序維持の問題、そういうようなことについて、はたしてヨーロッパの人たちと同様な意味において身についておるかどうかということについて、私はいささかそうじゃないのじゃないか、これはわれわれ政治家を含めまして、おとなにもその欠陥があるんじゃないか、それが象徴的にあらわれたのが大学の学生の意識だと思います。そういう意味合いにおいて大学紛争は単に大学だけの問題でなく、われわれを包むこの社会全体の問題であるという御指摘は全く同感でございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 いささか前説が長過ぎましたので、ちょっと御質問の趣旨が通りかねていると思いますが、私がおもにお聞きしたいことは、日本の学生運動が欧米のそれと比べて、なぜマルクス・レーニン主義の実践という形で起こらなくちゃならなくなっているかという原因についていかがお考えかということです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) その辺は私も乏しい知識でございますのでわかりませんけれども、どうもマルクス、レーニンというものをほんとうに勉強してやっておるかどうかということは非常に疑わしいのであって、今日の学生運動はマルクス・レーニン主義という形じゃないんじゃないかという私は認識でございます。これは乏しい知識でございますから、石原さんのほうがお詳しいものですから。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 実はそのとおりでございまして、私はこの間、銀座でファシストと呼ばれました学生たちと論議をしておりましたら、どうも十分ほど論議しています間に、その学生たちがマルクス、レーニン、マルクス、レーニンと連発するうちに、どうもマルクス、レーニンというものを同一の人物と混同しているということを発見して、あ然といたしました。しかし、どうしてこういう学生たちが誕生するかという原因は、私は今日の日教組における小中高等学校の教育に原因があると思います。これは明らかに彼らの非常にへんぱな階級史観、唯物史観というものが実に巧みに、さりげなく小中高等学校で教えられています。これは家永三郎の教科書問題といった問題を引き起こしたり、あるいは明治百年に対する学生たちの全く根拠のない心理的なボイコットというものを生み出している。たとえば岡潔は、今日の学生運動というものは日教組に関係があると指摘しましたが、日教組はこれを否定しました。しかし、私は関係があると思います。特に文部省が出しております小中高等学校の指導要領というものもいろいろ問題があると思いますが、とにかくそれを運用する先生たちのものの考え方に問題がある。たとえば私の友人の奈良の薬師寺の管長の高田好胤さんが、自分のお寺に来る中学校の生徒を大仏さまに案内して修学旅行の解説をしようと思ったところが、大仏さまを仰いだ瞬間に、学生たちが、ああこれが搾取だと。たいへん高田さんが嘆いておりましたが、そういう非常に皮肉な結果ができてまいります。私は、この小中高等学校で日教組によってさりげなく教えられている非常にへんぱなものの見方、感じ方、つまり階級史観的な教育、唯物史観的な教育に非常に問題があると思いますし、日本のこれからの歴史全体のためにも、ひとつこういう初歩の基礎教育の課程におけるカリキュラムの組み方、あるいは先生たちのものの教え方について大きな措置を講じていただきたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 現在、大学に入っておりまする学生あるいは大学院生というものは、ちょうど昭和二十一年、二十二年に生まれまして、そしてすし詰め教室、小学校、中学校、高等学校、そして激烈な入学競争を経まして大学生となった人たちであります。その一つの十字架を背負っておる人たちであります。一面においては被害者でもある。同時に昭和二十七年新潟大会において日教組が倫理綱領というものを決定いたしました。それから日教組と政府とあるいは文部省というものは対決をしてまいりました。その結果として、そのよしあしは別として、とにかく授業放棄ということが各地の小中高において行なわれた、そのことを身をもって目で見、はだで感じてきておる人たちでございます。しかも、倫理綱領等に示されておりまする考え方というものは、合法か非合法かというものは、これは力関係という意味のことを言って戦ってこられたわけでございます。その中に育った子供、その小学校、中学校、高等学校という過程を経てきたこの学生としては、当然影響を私は受けておるというふうに言わざるを得ないわけでございまして、やはり私は教育基本法にいう教育の中立性というような問題を、十分小中高の先生方が考えていただかなければならないのじゃないか、自分がいかなる思想、いかなるイデオロギー、いかなる主義、主張を持とうとも、教壇に立つからには、それをカッコの中に包んで義務教育としての、教師としての使命を果たしていただかなければならないのじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。その意味合いにおきまして、われわれのほうでも、教育内容は指導要領、あるいはまたそれに基づきますところの教科書につきましても、十分、御指摘のような偏向教育等が行なわれないようなやり方を進めてまいらなければならないと考えておる次第でございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 自由民主党が安保に関しまして、自動継続というものを抜本的に態度をきめつつあるようでございますが、こうなりますと、いわゆる七〇年の安保危機が、七〇年に限らず、七 ○年代に広く普遍化されたと私は心得ます。あるいはまた学園内における学生達のラジカルな暴動がますますその度合いを増すのではないかと思います。特に七〇年代、あるいは七〇年の治安というものについてお聞きしたいと思いますが、私はやはりこれはあくまでも警察力をもって行なうべきだと思います。一部には自衛隊云々ということが言われておりますが、あくまでもできる限り警察のみの力をもってこの治安というものを行なっていただきたい。そうして自衛隊はあくまでも治安に対する抑止力だと心得べきだと私は考えますが、公安委員長いかにお考えでございましょうか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。  御説のとおりだと思います。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 時間がございませんので、たいへん早口で進みますが、それならば、現在の警察の装備といった点について、私は非常に不安なものを感じます。たとえば世界じゅうながめてみまして、治安のための機動隊に、ピストルあるいはライオット・ガンという、常識で考えられる武器を装備していない警察は世界じゅうでおそらく日本だけだと思いますが、こういった点いかがお考えでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) よく外国で学生が騒いでいるから、日本でも騒いでよさそうな風潮が流れておるように思いますが、愚かな発言だと思っております。私は日本は日本なりの原因があり姿がある。それが冒頭におっしゃったようなことも大いにあずかって力ある原因だと思います。原因を申し上げれば、第一、親がぼやぼやし過ぎておる。学校教育におきましても、御指摘のような点が私はあると思います。大学におきましても、毎度申し上げますが、東大で八千数百人の公務員である先生たちがおりながら、現行法律は万々承知しておりながら、法律上の義務すらも果たそうとしないという無責任体制、学生、生徒に対するほんとうの愛情と責任と使命感を持つかどうか私は疑わしく思います。そういったことが原因となって、日本は日本独自の無責任と申しますか、革命ごっこみたいなことが暴力を伴って行なわれておるという特色があると思いますが、そういう意味において、毎度申し上げますが、警察当局と学園とは関係ないと思います。本来あるべきじゃない、それが不幸にしてある。あるならば、治外法権の場でないということは申すまでもないことでございますから、法律の命ずるところに従って誠実に法の範囲内において責任を果たす、それは国民のために果たす、そういう心がまえで一人残らずやっておると信じておりますが、その考えが定着しております限り、一応考え得る限度におきましては、現行法のもとにおいて警察力みずからで国の治安は維持できる、また維持しなければならぬ、かように考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 装備の点はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 補足いたします。要らぬことを言い過ぎまして、まことにどうも……。現在の装備で一応処理できると存じております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 自衛隊を治安のための抑止力と考えますためには、なお強い抑止力としますために、自衛隊にもう少し改革的な措置を講じる必要があると私は思います。現在、抑止力としての自衛隊がどういう内容の訓練を行なっているかについてもお聞きしたいですし、また、それがはたして十分であるかどうかということを防衛庁長官並びに公安委員長にお聞きしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  暴力の抑止力という角度から見ましての治安対策、安全の維持、秩序の維持、これはあくまでも警察力をもって国民の期待にこたえねばならぬ。日本人同士が自衛隊まで出て騒がねばならない理由はないはずですから、そういう愚か者が今後続出することはあり得ないであろう、ないことを欲する、期待することも含めまして、警察力でもってあくまでも治安は維持していきたい、かように思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど荒木公安委員長が言いましたように、治安の問題はまず警察力をもってこれに対処すべきだ。しかしながら、これは自衛隊法にもありますように、われわれは第一の本務はあくまで武力防衛でございますけれども、警察の力をもってしては十分でないという面があるのですね。そういうときに、まあこれは伝家の宝刀といいますか、おっしゃるように抑止力でございまして、あまりむやみやたらに私たちは治安出動はいたしませんけれども、しかし、自衛隊の任務として治安出動ということも与えられておりますから、平素その訓練に当たっておるわけでございます。その訓練が十分かということでございますが、私たちの治安訓練の状況は部隊によっていろいろと差別があるわけです。また、地域によりましていろいろと差があるわけでございます。しかし、大体こういう治安出動に出るときはいわゆる普通科部隊ですね、これが中心となるわけでございますが、その普通科部隊の基準は約四十時間ということにしておりますが、そのほかに、各科共通の訓練として十数時間を充てておりまして、したがいまして、共通の訓練とそれから基準と合わしまして、普通科部隊におきましては合計約五十数時間となるわけでございます。しかも、実際の運用にあたりましては、師団長に、その地域の状況その他によりまして師団長の判断にまかしておる面がある。したがいまして、いま申しました五十数時間の倍程度の治安行動訓練を行なっておる部隊もかなりあるわけでございます。まあ現在の訓練体制で、ほぼこれは自衛隊の治安に対する任務の達成には支障がない、かように私たちは考えます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 全学連の学生たちの武器になっております道路の敷石を都ははがしまして、聞くところ、これに対する都の道路予算を全部使い果たしたそうでございますが、しかし、なおこれよりもっと適切な措置である警察官の増強については、知事はこれを全面的にのもうとしてないようでございますけれども、専門家が考えてこの増強が妥当であり、同時にまた、都民がこれを強く要求する、そういう声が非常に多かった場合に、知事がこれを履行しない場合には、地方自治法に対する違反になりますかどうか、公安委員長並びに法制局長官の御意見をお聞きしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  御質問の点はちょっと心細うございますが、法制局長官の顔が見えませんので。失礼しました、法制局長官からお答えさせていただきます。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○政府委員(真田秀夫君) お答え申し上げます。  警察官の増員につきましては、警察法の三十七条だと記憶しておりますが、定員は条例で定めることになっておりますが、その定数につきましては政令で基準を定める、その基準に従ってやらなければならないとなっておりますので、政令がもし出ました暁においては、その基準にはずれる定員を定めることは警察法の趣旨に沿わないというふうに解釈いたします。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 学生の暴力に対して種々の措置がとられておりますが、どうもこれはすべてその場しのぎといいますか、対症的なもののような感じがいたします。われわれはこれからも増強する可能性のあるこういう学生の暴力に対して、あるいは他の種の暴力に対して、治安という意味を兼ねまして、もっと抜本的な措置を講ずる必要があるのではないかという気がいたします。いわゆる非常事態立法というものがわが国にあってもしかるべきだと思いますし、こういったものがない国は、先進国はおそらく日本だけではないでしょうか。しかし、非常事態立法と申しますと、特に野党の諸君、あるいは進歩的と称する一部の日本人はたいへん国家権力アレルギーでございますので、種々抵抗があると思いますが、しかし、この間の一・一九——後楽園の競輪のお客が一万人も神田に繰り出して一緒に石を投げるというような事態を防ぎ、市民、商店の被害をとめますためにも、いわゆる外出禁止令のような措置がとられてしかるべきだと私は思います。これはむしろ違憲ではなしに、憲法の十一条、あるいは十三条の擁護ではないかと私は思いますが、現に、ここに神田の八カ町の代表が警察に出しました陳情書に、みずから自警団を組織するという報告がなされております。そして彼らが、その自警団で行ないますことは、初歩的な防火訓練、やじ馬へのみずからによる規制、あるいは外出禁止の申し合わせということを考えているようでありますが、とにかくこういったものを市民が自発的に行ないます前に、やはり政府がこういったものに対する措置を講ずるべきだと思います。外出禁止令と申しましても、パスをつけるとか、あるいはお医者さん、看護婦さん、そういった緊急の用事の人間は通す。そしてそういう事態には映画館、競輪、競馬というものは一応停止する、その範囲の外出禁止令、いわゆるカーフューというものが日本にあってしかるべきだと思いますけれども、この点、公安委員長いかにお考えでしょうか。それからまた、こういったものは私は決して憲法に抵触しないと思いますが、法制局長官の御意見を伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  警察としましては現行法を十分に運用して、さらに関係機関における適切な諸措置と相まって万全の警備対策を講じまして、公共の安全と秩序の保持に当たる所存で今日までまいっております。御意見の立法論としましては、むろん論議さるべき余地があると思いますが、現実問題といたしましては、いま直ちにお説のような立法措置を講じたいという考えで具体的な措置はいたしておりません。今後の必要に応じましての課題であろうかとも思いますが、これとても、いまの御意見等を参考にいたしまして今後の検討資料にさしていただきたいと思います。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 私に対する御質疑は、いまやるかどうかという問題を離れて、憲法上可能かどうかという問題のようでございます。憲法にはこの非常事態に関する特別の規定は、御承知のとおり、政治機構に関して例の参議院緊急集会の制度があるくらいでございまして、そのほか一般的に非常事態に際してどうという規定はございません。しかしながら、御指摘のように、人権の保障も、常に公共の福祉のために利用する責任を負うということになっておりまして、公共の福祉に反する利用ということになりますと、まあいまのいろんな法律にもありますような、いろんな制限をこうむる場合がございます。したがって非常事態というような場合になりますれば、それほど、相関関係における公共の福祉というものが当然問題になりますから、それと厳密に均衡のとれた制限であれば不可能とは言えない。むろん公共の人権の制限に関するものでありますから、立法にあたりましては慎重を期する必要がありますけれども、理論的には不可能であるということは申すわけにはまいらないと思います。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 私の手元に、神田八カ町から提出されました陳情書がございますが、そこの文章を念のために読ましていただきます。「文教地区とよばれて首都文化の中心であるとさえ自負して居った平和で自由なこの地域が今やついに不運の暴徒の蹂りんにゆだねて、荘然為すところを知らないというみじめさは文化の中心どころではなく法治国家の面目さへいづこにありやを疑うものであって」云々という文章がございまして、「尚最後に私達地域住民は決議をもって自警団の設立を決定致しましたから申添えます。私達は法治国民としてしかも首都の中心で自警団をつくることに決して誇を感じて居る訳ではありません、又国家の治安機関に対する信頼と期待に於ても微動もするものではありませんが、それだけに法秩序をみださんとする少数分子の暴挙はこれを座視できないのでありまして、地域住民の総意を結集して治安活動への協力を誓わんとして居ります。」こういった暴徒のじゅうりんにまかせられている地域から、こういった市民の声というものは非常にたくさん起こりつつある。これは何も神田だけじゃなしに、王子でも新宿でも、こういった書類が提出されておるということを、どうか政府の皆さんにひとつ銘記していただいて、積極的な治安というものをこれからお考えになっていただきたいと思います。  次に、問題を科学技術に移しますが、われわれは外国に対して守らなくちゃならないこの日本の本体というのも、いろいろ考える必要があります。そしてその本体のうちの主たるものの一つに日本の経済性があり、この日本の経済性の主たるものの一つに日本の科学技術があると思います。そしてこの科学技術は二分して、現在の技術水準、同時に日本の技術が持っている一つのポテンシャル——潜在能力ということでございますが、私はおもに日本の持っているこの技術的なポテンシャルについてお尋ねしたい。特に原子力に関する技術でございますが、われわれは、御承知のように核兵器を持っておりません。この兵器の開発をすることがなかったために他の分野では非常におくれをとっておりますが、非常に幸いなことに、いま予算が組まれております高速増殖炉に関しましては、非常に高い技術度を持っております。これは御承知のように、成功いたしましたら非常に天文学的な倍数の出力を持つ炉でございまして、この出現によって、おそらく世界じゅうの産業の形態が変わり、それに乗っかって社会の構造が変わり、ひいては文明文化が変わってくると私は信じます。それは人間のいままでの歴史における文明の発展工学を考えてみれば自明なことでありますが、いわばこれからやってきつつある新しい神話のこれが主神アポロだと私は思います。それに対してこの日本が非常に高い技術を持っている、そういったこの高速増殖炉に対して四十四年度の予算というものは、私ははたして十分かどうかということを科学技術庁長官にお尋ねしたいと思います。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) お答えいたします。  いまお話がありましたように、高速増殖炉は夢の動力炉といわれており、将来非常に有望なものであることは、いまお話のとおりでございますが、これに対する昭和四十四年度の予算は一体どのくらいになっておるかという御質問でありまするので……。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 十分かどうかを。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 金額もちょっと触れないと、十分であるかどうかという実感がこないと思います。そのことを申し上げておきますが、昭和四十四年度におきましては、動力炉・核燃料開発事業団の動力炉部門の予算といたしましては、百四十四億円という現金の予算ですが、そのほかにちょっと例外的に多い国庫債務負担行為、二百二十四億円という債務負担行為を伴っております。ですから金額からいえば相当膨大なものであると思います。ことに、これを増殖炉だけについて見ましても、これはまだごく研究の緒についたばかりでありまして、世界的にどこの国でもまだこの夢の原子炉というものの開発はほんとうに進んでおらないのでございますけれども、わが国としては、まず第一段階として、来年度は六十八億円、現金で、そのほかに債務負担行為二百十四億円を充てることになっております。まあこういうことでありまするので、もちろん多ければ多いほどいいのですが、準備も整わないのに急に予算をふやしてもむだが多い点もありますので、来年度は、四十四年度はこの程度の予算で計画どおりの研究開発を進めていくことができる、かように考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 研究の当事者は、政府に要求をしている予算を、ことしはたしか一年二百億円を要求したと聞きます。これはまあ百四十五億という形で、まあ増殖炉を含む原子炉に対して予算化されましたが、ニクソンは、新しい予算で、原子力関係の予算を一〇%切ったことで非常に不評を買っているそうでありますが、日本の場合には、これが七十%まで下がったということが言えると思います。ともかくも、なまはんかな予算措置で始められました研究は、非常にすそ野が狭くなり、技術の蓄積が非常に行き詰まりまして、将来炉が完成に近づけば近づくほど、思いがけない危険というものを炉が負担するということになりかねないと思います。この場合の危険性は、原潜の寄港に関して云々されている針小棒大な危険とは違いまして、非常に危険なものであると私は思いますが、こういった点を考えられまして、これから先、四十五年、四十六年度の予算措置というものについて、非常に遠い話でございますが、長官、どのようにお考えでしょうか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 非常に御心配願って、まことにありがたいのですが、この高速増殖炉は、当初の計画で、十年間に二千億ということに、あるいはそれ以上ふえるかもしれませんが、まあそういうことで計画を立てております。平均すれば一年に二百億円ということになるかもしれませんけれども、スタートのときに、まだ整わないのに、いきなり平均の金額をあげるということは実態に合っていない。そこで先ほど申しましたように六十八億円、しかしそれに債務負担行為二百十四億円、これは現金予算の三倍以上、四倍のようなこの債務負担行為を伴っているというのはほかにあまりないと思います。しかしそれだけに将来に備えてそれだけの予算配慮を大蔵当局がやっている、私はこの予算の積算、見積もりは来年度としてはまあ妥当なものである、かように考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 さて、ここに核拡散防止条約という条約がございます。すでにアメリカの上院では批准されましたそうですが、私は、日本の持っている平和利用の核の技術のいわば潜在能力、ポテンシャルを非常に左右する可能性を持った条約だと思いますが、技術庁長官は、この条約が、日本の持っている、特に高速増殖炉に対する技術の潜在性というものを非常に阻害するおそれがあるかいなやについて、いかがお考えでしょうか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) この点もたいへん御心配願っておって、まことにありがたいのですが、この点につきましては、核防条約ですね、核防条約に当初の案と多少違いまして、ここに規定が入りまして、査察の面ですね、査察の面におきまして保障措置は当治国の経済的、技術的の発展を防げない方法で実施されなければならない、こういう規定が入ってまいっているわけです。そこで、この同条約にまだ加入しておりませんけれども、加入した場合にどうなるかと申しますと、加入した場合には、この具体的な保障措置について、適用につきまして、これはまあ重要な問題でありまするので、その点につきまして、国際原子力の機関と協議をしなければならぬ、そうしてそれによっていろいろなこまかなことをきめなければならぬ、こういうことになっておりますので、高速増殖炉の開発に関しまして、前記の規定の趣旨に沿いまして、そして完全にこれを守られていかなければならない、守るようにいたしたいと、またその開発が——開発ができますだけでなく、このことは、この開発にも支障を来たさないような方法で協議を進めていく。そして商業的の機密、あるいは開発の阻害を防止する。こういうような機密の漏洩あるいは開発の阻害の防止、そういうことに十分に注意をして、御心配のことはないようなふうにやってまいりたいと、かように考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 最近の新聞の外電を読みますと、西ドイツは非常にかねてからこの条約に疑問を持っておりましたが、この核散防に関して、ベルリン問題で、どういう形でか存じませんけれども、ソビエトと取引を始めたということが聞かれますが、われわれ日本もひとつこの条約をどうしても受け入れなくてはいけないならば、ソビエトと特に北方領土の問題について、積極的に外交的なバーゲンというものをなさってしかるべきだと思いますが、この点どのようにお考えか、外務大臣にお聞きしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 核防条約につきましては、まあお尋ねの範囲外にもなるかと思いますけれども、昨年の暮れ、石原委員の外務委員会で質疑をいただき、また私の考えも若干申し上げたとおりでございますが、ただいまの現状は、御承知のように、アメリカでは上院を通過いたしましたが、その通過に際しましても、御案内のように、いろいろな意見がアメリカ内部でもありましたことは御承知のとおりです。実は上院における論議の次第なども、つい最近のことでございますが、私としても十分検討をして、わがほうのとるべき態度の参考にしたいと思いわけでございますが、同時に、ただいまもお話がございましたが、西独におきましても、いろいろの論議が、内政上の大きな問題にもなっておるようですし、それからソ連との関係におきましても、これはただ単なる、何と申しましょうか、核散ということだけではなくて、いろいろこれに国際問題がからんでいるように思いますので、非常に大切に、また真剣に扱っていかなければならないと考えております。  そこで、いま具体的なお尋ねの点でございますが、一部にまあバーゲンにしたらどうかという議論は、あえて北方領土の問題だけではなくて、ほかにも日本の国内にも一部論議がありますことは、私も承知いたしておりますが、ソ連との関係だけに限定して申し上げますならば、北方領土の主張というのは、先般の当委員会でも御論議がございましたように、日本の態度としては、これは固有の領土として、歴史的にも国際条約的にももう堂々たる主張の根拠がある問題でございますから、これはもうその堂々たる根拠に基づいて、いわば正々堂々たる態勢で処理に当たりたいと考えておりまして、現在核拡散防止条約の調印、批准というようなこととひっからめて、対ソ外交の一つの取引の手段として考えるということは、私は不適当じゃないか、かように考えておるわけでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 よく核拡散防止条約の趣旨はたいへんいいという方がいられますが、私は必ずしもそう思いません。インドなどは、これに中共が加盟しない限り、この条約は全く意義がないと申しておりますけれども、私は、中共はこれに加盟しても、なおしょせん中共が日本に対してアドバンテージを持つだけでありまして、条約の不平等性というものは根本的に変わらないと思います。  まあ個人的な見解をここで申し上げてもしかたございませんが、私は、核の拡散が、現在のように各国の持っている核兵器、核の技術の水準が非常に格差ができている、つまり差ができている現在、核が拡散されることは、むしろ核戦争の危機というものを軽減するものであると思います。たしかハーマン・カーンも同じようなことを、非常にラフな形で言っていると思いますが、この点、外務大臣あるいは技術庁長官、いかがお考えでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 核散防止条約につきましては、日本としても従来もいろいろの意見を申しております。そうしてそのある部分は取り上げられたわけですけれども、その段階で一応いわゆるクローズド・イッシューに国際的にはなっておるわけでありますので、これから日本としては、この状態において調印をするか、批准について国会の御審議を願うかどうか、この点については、先ほど申しましたように、国際政治上の問題としても十分考えていきたいと思うし、それから同時に、拡散防止条約の内容については、前にも申し上げましたように、趣旨として考えられたこと、取り上げられたその発想については、私は精神的に賛成でございます。しかし、ただいまも御指摘があったように、やはり持てる国と持たざる国、核武装ですが、その間の関係、これを考えましただけでもそこに一つの断層があります。それから平和利用についての機会均等という点につきましても、何か私はまだいまの形の条約案について十分に消化し切れないところもある。こういう点につきましては、私は、石原委員もお考えになっているかと思われる点に同感する部分が多いわけでございます。ただ、その軍事力としての観点から見ました場合には、拡散されたほうがかえって国際的な平和が維持できるのだというお考えに対しましては、私は現在さようには考えませんので、その点については率直に言って、もう少し意見をお互いに戦わしてみる必要もあろうかと思いますが、要するにいま少し多角的な角度からこの問題に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) いま外務大臣からお答えになったことで尽きていると思うのですが、科学技術の立場から見ますというと、非保有国が核爆発を禁じられている。こういうことになりますと——核爆発に伴うところの関連産業というものは、波及効果といいますか、技術水準が非常に上がるということでありまして——その面において多少不利になる。多少どころではない、相当に不利になる。それから保障措置が、非保有国との間において一方にあって一方にない、こういうような保障義務ですね、そういうことがやはり一つの考えるべき点ではないか。  それからもう一つは、核爆発によって生じたところの——平和的ですが——生じたところの成果を、これをどういうふうにして非保有国に均てんさせるか、こういう点についてもいろいろ考えるべき点があると思うのですが、まあそういう点はいろいろありまするけれども、総合しまして、この問題に入るか入らぬかということは、いま外務大臣がお答えになりましたとおりのふうに考えていくべきものだ、かように考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 核散防に関しましてもう少し具体的に反論もし御質問もしたいのですが、どうも時間がございませんので割愛させていただきます。  最後に、高速増殖炉に関しまして一つだけ御質問したいのですが、日本のように非常に固有の文明の伝統を持ち、歴史の伝統を持っていながら、非常に今日連帯感を欠いた国家社会民族はないような気がします。われわれは、いかなるものの考え方をとるにしろ、国家の目的に対してもう少し強い連帯感を持つべきだと思いますし、政治がそういったものをつくり上げていく努力をすべきだと思います。その一つの手がかりに、私は提言申し上げたいのですけれども、国民の手による高速増殖炉に対する投資というものを、積極的に考えるべきではないかという気がいたします。たとえば高速増殖炉に関する公債を発行される。福田大蔵大臣は、公債は減らす方向に持っていくべきであるというお考えのようですけれども、現在日本の公債も七%台にまで下がってきたようでございますし、各国の例を見ましても、公債の発行限度額というのは、全予算の六%前後と心得ますが、それならば、来年税収も伸びますし、相対的に公債のパーセンテージも減ると思いますので、ひとついかがでしょう。かつてわれわれは、戦艦大和などという、まことにばかばかしいものを、たいへん連帯感をもってつくりました。これは全くものの役に立ちませんでした。また、隣の中共は、着るものも着ず食うものも食わずに水爆をつくっております。しかし、この高速増殖炉こそ、まことに平和利用の目的にかなうものであり、同時に、戦争を放棄した日本がこのイニシアチブをとることによって、それによってでき上がってくる新しい文明、新しい精神というもののリーダーシップをとれるのではないかと思います。どうかひとつこの高速増殖炉に関する公債発行の点にお考えいただきたいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 増殖炉について日本の将来の夢を託している石原委員の考え方、私、全く同感です。が、ハーマン・カーンじゃありませんけれども、どうも日本の経済はたいへんすばらしい勢いで発展するものと予想します。その際に一体エネルギー問題がどうなるのか。これが一番心配なことでございます。夢を持って二十一世紀に臨む。そういう際にどうしても解決しておかなければならぬ問題が増殖炉の問題だと思います。ただ、その増殖炉を培養する、これに公債を発行するかという御着想ですね、その熱意、それは私は敬意を表しまするけれども、その方法とすると、公債発行はいたさぬでも、いまの日本の財政力はちゃんとその財源をととのえることができる、かように存じておりますので、そのほうは御心配なく大いに増殖炉奨励運動のほうをひとつやっていただきたい、このように思うわけでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 それでは、問題を対外外交問題に移してお尋ねいたしますが、ここで再びわれわれは、何を何に対していかに守るかという問題について考えるべきだと思います。「いかに」についてはいろいろ措置をとっておりますし、現にかつての敵国であったアメリカと日米安保条約を結んでいる。私はこの条約もまたある意味ではアメリカに対する防衛として非常に大きな役に立っていると信じます。われわれはあくまでも核の時代の防衛について考えなければいけません。  その前に、一体防衛とは何かということをもう少し確かめて考える必要があると思います。われわれは攻撃に対して、それは憲法で放棄しましたのであり得ないことでしょうけれども、ともかく攻撃ということに対しては手かげんというものはございますが、防衛というものには手かげんはない。われわれの道義的な名分が立つならば、われわれは徹底的にみずからをどうかつなり攻撃から守る必要がございます。それが個々の民族、国家が歴史に負うた一つの使命だと私は思いますが、こういう点から、アメリカとなら、だれとなら心中してもいいというような防衛はあり得ないと私は思います。それが防衛の原則論だと思います。ですから、たぶん核戦争は起こらぬだろうとか、そういう悪い事態は起らぬだろう、そういう予想が防衛の問題の中に顔を出しますと、これは全く防衛論の意味をなさない。往々野党の諸君あるいは日本の進歩的インテリと称する一部の人たちはそういった誤謬をおかしていると私は思います。かつての吉田総理の防衛に関する非常に「見識ある詭弁」は、どうもそのあと「見識のない詭弁」を野党にも与党にも育てたようでございますが、ここらでわれわれは防衛の問題をほんとうに突き詰めて考えてみる必要があると思います。みずからの念頭をいつの間にか理念と勘違いし、さらにその理念を現実と取り違えてしまった一部の野党のものの考え方、あるいは非武装中立などというたわ言が結局そういうところから出てくるのじゃないかと私は思います。ともかくも、世界の歴史の中に例を見ない非武装中立などという木馬に目がくらんで、自分の城の門を開いてみずからの国を滅ぼしたトロイの人々の轍をわれわれは踏んではならないと思います。そんなことをすれば、われわれは世界史の中で悲劇の主人公ではなく、むしろ喜劇のピエロの役を果たしてしまうことになると私は思います。平和が人間にとっての恒久の理念である、理想であるなどということは、幸か不幸か、いままで歴史的に証明されたことはない。現に数十年前西欧の哲学者や歴史学者は、戦争こそ人間の創造した最高の道徳だと言っております。ヘーゲルだってトライチュケだってそうであります。そうして、そういう考え方を生んだ学問の系譜がいまなお人類の最高の財産の一つとされている。われわれはあくまでも平和を人間の大きな利益として追求する必要があると私は思います。でありますから、利益であるがゆえに、平和というものが利をもって追求されなくてはいけないと私は思います。そこで、核時代のわれわれの防衛でございますが、核時代にはわれわれは自分の核兵器かあるいは他人の核兵器の使用あるいはその抑止力をもって自分を守らなくてはいけません。日本には核兵器は御存じのようにございません。しからば、われわれはみずからの友好国であるアメリカという国の核を外交的に用いること、戦術的に用いることでみずからを守るために安保条約を結びました。私はそう安保を心得ますし、この条約でわれわれが核時代日本の防衛をまかすならば、日本が攻撃を受けたとき、日本を防衛するために、あるいはその報復のためにアメリカはその核を使用する、あるいはその抑止力をもってこれを防ぐ、そのための条約だと私は思いますけれども、そう理解して間違いございませんでしょうか、外務大臣いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私は大体そういう理解で間違いないと思いますが、ただ念のために申しますと、私はこういうふうに考えるのですが、日本国の憲法によるところの日本個有の自衛力、これは非常な制約を受けている。これはけっこうなことだと思いますが、それと安保条約によるいわゆる抑止力というもののコンビネーションというものが少なくとも従来の日本には一番国民感情にも合うし、また、実績も十分に私は果たしてきたと思います。そこで過去——正確に言えば十九年でございますか——安保条約ができてから以降は、全く世界的に例のないようなまず国民が自由を享受して、これは経済の繁栄にも大いにつながることでございましょうが、そこであまりにも国の安全ということに対して、この政策がよかったから何もしなくとも安全、平和というものは今後も続くであろうという、そこにイリュージョンが起こってきているのではないか、そういう点をただいまお述べになりましたような点から大いに国民的にも啓発をし、啓蒙していただきたいと思います。要するに、備えが十分にあったからこそ平和であり、自由であり、戦争の脅威にさらされなかった。そこで、平和であるからもう武装なんか要らない、中立を唱えていればいいのだ、こういう変な考え方で、国の安全というようなことは国家存立の基礎要件ですから、ためしにやってみるというようなことは私はできないと思う。ためしに安保条約をやめてみよう、ためしに非武装をしてみよう、ためしに中立を唱えてみよう、とんでもないことになるおそれのあるようなことは、これは非常に心を開き、あるいはまたいろいろの考え方を、野党の方々も広い気持ちでわれわれの考え方に同調していただくことを私は心から望みたい、そういう気持ちを持っておりますことをあわせて申し上げます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 外務大臣の御趣旨まことに同感でございます。決して八百長じゃない、こんなことは。あたりまえのことでございますが、野党の諸君は、よく核の抑止力とか行使というものを考えるほどの危機がどこにあるかと言われますが、しかし、もし朝鮮半島に緊張が見られ、紛争が起こる、そしてソビエトや中共がみずからの態度を保留しながら北鮮をキューバ化するおそれがないとは言えない。ともかく、われわれはみずからの防衛のために万が一ということを想定して防衛を考えなければ防衛は防衛論の体をなしません。私は、安保に関してアメリカは日本の防衛ののために核の抑止力を維持し、場合によってはそれをより高める義務があると思います。それからもう一つ、万一のときには日本のために核の引き金を引く義務があると思います。しかし、これは非常に微妙な議論でございますが、しかし、そういった義務というものをアメリカが履行しない可能性が万が一でもあれば、私は安保条約の意味はないという気がいたします。この点いかがお考えでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの仰せの中には私はいろいろな要素があると思うのです。たとえば、安保条約の抑止力にたよっているけれども、アメリカがその義務を守らないような場合を予想するとたいへんなことではないか、これはもしそういうことであればそれこそたいへんなことでありますが、そういうことは絶対にあり得ざる現在の日米関係であります。ここに一つの信頼の根拠を置いているということは、間違いのない、また全国民的に御安心を願ってしかるべきことであると思います。  それから、核の問題につきましては、いま必ずしも全部お述べにならなかったけれども、私も石原委員の抱懐しておられる御意見には非常に敬意を表する。しかし同時に、私のほうが、何といいますか、はるかに年上でありますから考え方が古いかもしれませんけれども、日本の国民にはいわゆるいい意味でも核アレルギーというものが私はあると思います。今日では私は核武装をやろうと思えばやれる力は十分あると思うんです。しかし、この核武装などというものは、ほんとにこれはそれだけはやるまいねとわれとわが身に言い聞かしているというのが、私は相当多くの国民の気持ちではないかと思います。私もその気持ちです。これだけはやるまいねと、これが非核原則の政策としての根拠であると思います。ですから、私は、私の立場におきましては、その辺のところを、国民の感情というものを十分掌握して、しかも、日本の守りということに絶対ゆるぎのない姿勢をとるということから申しますと、先ほど申しましたような安保条約の抑止力、それから徴兵なき、海外派兵なき日本の自衛体制、これは非常によいコンビネーションであり、非常によい選択である。日本のとっておるユニークな防衛政策であって、それだからこそこの繁栄が招来できた。できるならばこの体制というものをもうしばらく続けてまいりたい、こういう考え方が、たとえば具体的には沖繩の基地の態様という問題にも触れまして、私といたしましても非常に苦心しておるところであり、また、現在のところは白紙であると言わざるを得ない。野党の方々には朝から晩まで追及されておりますけれども、私はそういう点に誠実に真剣な苦心をしているからこそ、現在の段階では白紙と申し上げざるを得ない、こういう立場をこの上とも御理解いただきたいと思います。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 日本の核武装につきましては、私も外務大臣と同じように、日本にとって損失こそ多けれ得はないと思います。かるがゆえに、私は安保条約によるアメリカの核の抑止力に対する依存を評価するわけですけれども、しかし、私は必ずしもこれを一〇〇%信頼できないと思いますが、ともかくも、非常に強く信頼するにしましても、そのためにわれわれはこの条約にのっとってわれわれ自身の防衛のために核というものの持ち込みを考える必要があるんではないか。核の日本に対する持ち込みは、その行使のためと、もう一つはその抑止力強化のためと、二つ考えられると思います。これはあくまでもこの核をみずからの日本人の、日本の主体性によって、意思によって持ち込むということでありまして、この観点からならば、私、詳細は存じませんけれども、過日の源田発言を理解できると思います。  さて、ここに非核三原則なる非常に奇妙なものがございます。つくらぬ、持たぬ、持ち込まず、妙な火事の標語のようなものでございますけれども、私はどうも、何でこんなものを政府がおつくりになったか、いささか理解に苦しむ。こういうものをつくる必要がどこにあったのかと思いますけれども、これはまさしく先ほど外務大臣がおっしゃいましたように、日本人の核アレルギーと申しますか、むしろ核に対する無知、核時代の防衛に対する無知の所産だと私はあえて申し上げます。日本人にとっての核の原則とは、要するに、核については考えたくない、その一つだけです。それにしても、つくらぬ、持たぬということと、持ち込まぬということとは全く同じカテゴリーではない。われわれは、つくらぬ、持たぬがゆえに、場合によっては持ち込まなくてはならない。それでなければ完全な防衛は果たせないと思います。この点、外務大臣はいかがお考えでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いままでもよく議論がありましたが、非核三原則については、憲法上の論議と、それから政策上の論議といろいろの観点から論議されましたが、いろいろのそういう点から申しましても、かりに、それこそ仮定の問題でありますけれども、持ち込みといいますか、外国の軍隊が日本の安全のために絶対に必要だということから持ち込まさせるということを——持ち込みということよりは——持ち込まさせるということを考えることが仮定の場合にあり得るかどうか、こういうことだと思いますが、仮定の問題といたしましても、そういう場合には持ち込まさせるということで私は政策をきめるべきものであろう、仮定の問題ですけれども。このことは、すなわちいまお説にございましたような日本の主体性の問題である。こういうふうに私は考えてしかるべきだと思います。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 たいへん微妙なお答えで、私は非常によく理解いたします。つまり、主体性の問題でございまして、あるいはまたことばの概念の問題として、私が申しました「持ち込み」は二つあると思います。その一つは、アメリカの主体性、その一つは日本の主体性で、日本の主体性による持ち込みのほうを外務大臣は「持ち込まさせる」という表現でおっしゃったと思いますが、どうも多くの政治家あるいは日本人がこの問題を混同しております。この二つあるケースというものを混同して、三原則を拡大解釈し、いわば持ち込まさせるというものまでを否定してしまった場合には、私は非核三原則なるものは、明らかに日米安保条約と矛盾すると思いますが、念のためにその点いかがお考えでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 持ち込みということばはもう慣用語ですから、別にもう訂正する必要も何もないと思いますけれども、持ち込みということは、たとえば、アメリカが意思決定をすれば持ち込みになる。私は、そこで日本の意思というものが主体的に働いて、こうこういう場合にはほんとうに——これは仮定の仮定の問題でごさいますけれども——必要だというような場合に、向こうさんが自分のものとして持ち込んでくるのは、こちらの主体性から言えば、持ち込んでくること、つまり、そういうことを、こちらが持ち込まさせるということばで言ったほうが、ことばとしてより正確じゃなかろうか、そこに主体性があらわれると、こういうふうに考えますが、まあ、これはお話しをするとまた長くなりますけれども、安保条約というものは、日本の側から言えば、もちろん第一義的に日本の防衛ということを重点に考えなければならない。この点かどういうふうにしたら——先ほど申しましたが——将来ともに長く国際情勢の変転等にかんがみて、どんな場合だって絶対に日本の安全は従来どおり守れるんだということを、やはり国の最高の政治に当たる者はお互いに与野党を通じてもう少し真剣に掘り下げて検討すべきであって、法律論のゼミナール的な議論だけではこれは解決ができない問題じゃなかろうか、私、この機会に率直に申し上げたいと思います。(「予算委員会はきょうだけじゃないぞ」と呼ぶ者あり)

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 いま野党側から、予算委員会きょうだけじゃないぞというややどうかつじみた発言がございましたが、私は、いまの外務大臣の御答弁に関して野党がどのような反論をされるか知りませんが、すればするほどみずからの墓穴を掘ることになると思います。政府はこの際はっきりと、(「政府が墓穴を掘る」と呼ぶ者あり)そうじゃない、あなた方が掘るのです。政府がはっきりと、やはり万一の場合に日本をほんとうに防衛するためには、この安保条約をより有効に使うためにかれらに事前協議で、向こうがたとえノーと言っても、われわれがイエスと言わせるだけの主体性を持って核を持ち込まさせるという形で安保を運用するということをおっしゃってしかるべきと思いますが、まあ、これはほかの機会に譲ります。  この間、前川氏の質問に対して有田長官は、ポラリス潜水艦が何で日本に寄港する必要があるかどうかわからぬとおっしゃいましたが、私は、いまの考え方にのっとりまして、どこにいるかわからない、非常に航続距離の長い潜水艦が、はたして日本の傍にいるか、あるいはアメリカに帰っておるかわからぬそういう潜水艦を、非常に緊張が増したときには、アメリカにしいてでもわれわれの意思によって、主体性によって日本に寄港させしめる、つまり可能性があると、私はその必要があると思いますが、この点いかがお考えでしょうか。長官、いかがお考えでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 石原さんもよく御存じかと思いますが、ポラリス潜水艦というものは非常に航続距離も長うございまして、そうその日本に寄港するとかなんとか、そういう姿をあらわしちゃ本来の潜水艦の使命がないのでございます。そこで、防衛のために必要な抑止力としての役割りは果たしましょうが、そういたずらに寄港とかなんとかということはやるべきじゃない、かように思っております。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 それは通常論でございますけれども、私は、核の抑止力というのは潜在したほうが強いと思いますが、しかし緊張がほんとうに先鋭化したときには、やはりこのポラリスのような、どこにいるかわからない武器というものを顕在化することが、核のいわゆる信性頼、クレディビリティというものを増加するために必要だと思いますけれども、もう一度その点お考えいかがでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) ポラリスなんというものは、顕在化するよりも、やはり潜在化しておって威力を発揮するところにいわゆる抑止力という強みがあるのじゃないか、かように思うのですがね。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 いずれにしましても、われわれは防衛に関して万一の場合を想定したときに、非常に心もとない議論になることは自明であります。一体、みずからを守るのに何の手が一番たよりがあるかということをわれわれ考え直す必要がある。それはほかでもありません、自分の手です。私自身の手です。あなた方自身の手なんです。われわれみずからが、みずからの手を使うことを規制するような羈絆がある、憲法とあえて申し上げますけれど。こういった問題について、この憲法をわれわれが一体歴史的にどれだけの主体性を持って採択したかということをもう一回考え直す必要があるんじゃないか、そういう時期にきているんじゃないかという気が私はいたします。そういったものを国民的に討論する時期にきているのじゃないかという気がします。われわれは、もしみずからの手をみずからが使って、それによって滅することがあったら、それを世界史の中で高貴な死として万人にいたまれるでしょう。しかし、自分の手を、能力を持ちながら、自分で使うことができずに滅亡したならば、それはほんとうに世界史の中でピエロとして嘲笑を買うだけです。われわれは、とにかくこういう危険きわまりない非武装中立などという試みを、高貴な歴史的実験としては評価できない、私はそう思います。そしてこういった国家的な覊絆に対して、政治が国民に呼びかけてもう一度主体的な反省をする、そういうことが、われわれが提唱している国家民族の伝統に対するほんとうの責任の履行であると、私はそう思います。  さて、これから先の長い視点に立った外交の問題について少しお聞きしたいと思います。それは、日本の防衛についてもっともっと積極的に考えなくちゃいけない事態が起こっております。その一つは、国内情勢、その一つは国外情勢ですが、おもにこのアジアに対するソビエトの動向というものが非常に注目される事態になってきております。われわれは、このアジアのためにも、日本というものをこのアジアの中で守る必要がある。特に、ポスト・ベトナムにアメリカのアジア経営に対する情熱が低下することはもう自明であります。また七一年度には、イギリスはスエズ以東から撤兵し、その空母を全廃するということを宣言しております。そういったときに、アメリカ、イギリスにかわってこのアジアの経営に積極的に乗り出してくるのは、アメリカがその肩がわりを期待している日本よりも、私は、世界第二の超大国であるソビエトだと思います。このソビエトをめぐるいままでの歴史の中での国際情勢は、言ってみればこのソビエトの地理学的重力と訳しますか——どうも英語をあまり使うと評判がよくないのですけれども、この間読みましたある資料の中に、ジオグラフィック・グラビティということばがございました。まことにうまい表現だと思いますが、こういったものをめぐって、ソビエトの国際情勢がいままで発展してきました。で、技術の発展、特に運搬の技術の発展によって、ソビエトはあっという間にその南下を遂げて、とにかく南極まで行ってしまいました。そして昨年は、地中海で大艦隊の演習をし、インド洋で演習し、モンバサに寄港し、極東水域に非常に艦船を増強しております。これはまさにバルチック艦隊の東征以来の事態でございますけれども、あるいはまた東京の目と鼻の先の、私自身が年じゅうヨットで遊よくしている銭洲というところで、ソビエトは一方的に三海里説を日本に押しつけて、みずからの場合には十二海里説をとっているにかかわらず、ここで操業いたします。こういったソビエトの動向を見ますと、われわれはソビエトがこれから先非常に強大な経済力、特に武器の贈貸与、第二には、強大な武力のどうかつをもって、アジアに対する経営というものに乗り出してくると思いますが、これに対して日本がどういうふうに処していくか、抜本的な外交の指針について、外務大臣にお聞きしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 御高見をいろいろの点から拝聴しまして、たいへん参考になるのでありますが、同時に私の考え方としては、これは外交演説にも私は明らかにしたつもりでございますけれども、日本の立場としては、平和への戦いということをスローガンにしてまいりたい、ポスト・ベトナムの問題につきましても、まあとにかくパリの拡大平和会議というものの成果を、もうほんとうに一日でもすみやかに何とかまとまらないだろうかと、そしてその後におきましては、最近のソ連、あるいはイギリス、アメリカ、中共その他のいろいろの動きがございますけれども、概観してみると、アジアの各地域には、一面には主体的な、あるいはナショナリズムということも言えるかもしれませんが、そういう動きと、同時に、地域連帯、地域協力というような思想が非常に強く芽ばえてきているように思いますが、この芽ばえに対しまして、日本としても相当なやはり覚悟を持って、経済的その他の面において協力を惜しまない、この態度が一番必要ではないかと思います。これは、あまりに理想主義的なものの考え方かもしれませんが、他面において、ソ連の最近の歴史を見ましても、たとえば国民所得というものが相当急激に増加をしてきますような場合には、人心が安定する、矯激な、偏狭な、あるいは侵略的な考え方というものが薄らいでくると、こういうことにも着目いたしまして、アジアのいわば開発途上国の人たちの民生の向上ということに大きなねらいをつけて、各地域、あるいは各国、そしてかつそこに芽ばえつつある地域協力の態勢の中に、そうした気持ちが具体的に注入されるようにするということが、大きな目で見て、また理想的に見て、かりに大国が武力的な、侵略的なムードを起こしても、それに対して引かれない、あるいはそれに屈従しないで済むというような態勢がつくれるはずではないだろうか。これはあまりに書生論的な、理想主義的な考え方かもしれませんが、やはり日本の平和愛好国としての、他地域に対する協力ということは、そういう考え方でいかなければならないのではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原慎太郎君 あと一つだけ伺います。  ある野党のある書記長が、かつて、公の席でしたでしょうかしら、わが友好国ソビエト・ロシアは、かつて他国の領土を侵略したことがない、こういうことを申されました。これは非常に歴史を知らない発言か、あるいは全くのうそでありまして、とにかくロシアが侵略し、滅んだ国だけを勘定しても五指に余る、そういうふうな、つまりソビエトというものが、それほど外相が言われましたように人道的な外交姿勢というものをアジアにとるかどうかということは私は疑問でございます。そして、おそろしいことに、このソビエトの潜水艦、あるいは艦船が非常にふえているアジア水域、インド洋、ペルシャ湾というものは、実は日本の大動脈でして、日本の使用している石油の九十数%というものが、こういうルートをとって輸入されております。また大蔵大臣が言われましたように、日本の経済が膨張する、たとえばGNPが二倍になったとすれば、おそらく日本の輸入量というものはこれの二乗倍になるでしょう、こういった日本の経済の大動脈というものを確保するために、われわれは場合によってはそういった摩擦が起きやすい水域にまでわれわれの艦船、つまり自衛隊の艦船を派遣する必要がある、私は、それは決して侵略でも攻撃でもない、非常に積極的な防衛だと思います。われわれはそういう必要があると思います。よく第七艦隊がそれをするなどといわれますが、ソビエトの極東水域における艦船の内訳を調べてみましても、これはほとんど潜水艦が多い。こういったものに対する対処は、潜水艦空母、対潜艦空母というものが行なわれなければいけませんけれども、アメリカには七隻、しかも第七艦隊には一隻しかない、こういう事態で、日本の防衛庁は、第二次防からですか、対潜空母というものを要求しておりますけれども、どういう理由ですか、これがいまだに実現しておりませんが、防衛庁長官に、ひとつ、インド洋なりペルシャ湾なりですね、日本の艦船が撹乱されるかもしれない。日本のタンカー・フリートの航路というものを確保するために出向いていくことが、私は日本にとっての積極的な合憲の防衛だと思いますけれども、いかがお考えかということと、もう一つ外務大臣に。昨年末、国連の鶴岡大使が、これは非公式な席でですね、日本もヴィートーを持った、つまり拒否権を持った安保常任理事国になるべきであるという発言をされて、列席した——おもに外国人ですけれども、非常に強い共感を受けたという話を聞きますが、私は、今日の非常にかたわな国連のひずみを直すために、われわれがこの世界史の中で負うた非常にユニークな歴史的使命というものを達成するためにも、これから先、国連におけるそういう強い位置というものを要求していくべきだと思いますし、十分日本はその資格があると思いますが、その点。その二点について長官と外務大臣にお聞きいたしまして、私の質問を終わります。時間がございませんので、早口にしゃべりまして失礼いたしました。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 船団護衛の場合に二つの場合があるのですね。いわゆる有事といいますか、日本が武力出動をやらなくちゃならぬと、こういうような場合には、遺憾ながら日本は、日本並びに近海というか、日本の近くの海上交通に重点が置かれる。しかし、そうでない普通の——普通といいますか、いわゆる治安的の意味のある場合ですね、別に有事でないときに、インド洋でいろいろなものが起こる。そういうときの船団護衛は、日本としてやれるわけでございます。そういう二つの場合がありますが、そういうときは、別に出動ということではなくて、普通の護衛でございます。が、とにかく日本は油というものをほとんど外国に依存しておるし、また、その他日本の経済というものは原材料を外国に仰いでおりますから、海上輸送の円滑化といいますか、非常に大事なことだと思っております。残念ながら、わが自衛隊の護衛艦は、どこでどういうことがあってもだいじょうぶだというところまではまいっておりませんが、かるがゆえに、有事の場合は、日米安保条約がありまして、アメリカの協力を得ながら日本の船舶の護衛をはかる、かように考えております。  なお、対潜空母といいますか、それのお尋ねでございますが、実はこの問題については、防衛庁としましても、これは大蔵省で予算を削られたという意味ではなくて、防衛庁でいろいろ研究したことがありますが、いまは対潜水艦作戦を実施するにあたって、護衛艦とそれからいわゆる対潜航空機、この共同によることがより有効であるという結論に達しまして、このためにヘリコプターを艦船に搭載して、そうして作戦するということになっておる。それは御承知と思いますが、第三次防の整備計画におきまして、ヘリコプター搭載の護衛艦ですね、いわゆるDDHといっておりますが、これを二隻建造することにしておるわけです。そんなら、お尋ねの対潜空母についてはどうかということでございますが、これは、いろいろいま申しましたDDHと比較してみたんですが、ところが、ヘリコプター搭載のほうが有利であるといいますか、結論的にはそれがいいという結論に達したのです。なるほど対潜空母は一つの軍艦当たり飛行機がたくさん載せられる、そういう利点は確かにあります。しかし、航空機や潜水艦などの攻撃に対して非常に弱いわけですね。一つどっとやられてしまえばもろともにやられてしまう、こういうように力が弱い。それで、しかもそのほかに護衛部隊をつけなくちゃならぬ。そういうことがありまして、被害を受けた場合の損失が非常に大きい、こういうので、非常にそういう欠点がある。これに対しまして、ヘリコプター搭載の護衛艦ですね、いまの、DDHこれは搭載機数が少ない欠点はありますけれども、防空兵器とか、あるいは対潜兵器等を装備しておりまして、各種の運用が非常に可能な利点を持っておる、そういうことで、いまは対潜空母でなくて、いま申したDDHの方式をとった、こういうことでございます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 簡単に一言だけお答えいたしたいと思いますが、実は国連に日本が安保常任理事国として登場したということは、私の就任前からの多年の主張であり、念願でございますから、これにつきましては、ひとつ全力をあげて努力し、国際的な世論をひとつ巻き起こしていきたい。同時に、もう少し次元の低い問題になるかもしれませんが、国連の中枢部に日本の職員といいますか、役員をぜひ入れたい、これが私の今後の一つの外交方針の中核になることと私は念願しておるわけでございます。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして石原君の質疑は終了いたしました。  明後十七日の午前十時から公聴会を開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十五分散会

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