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61回国会参議院1969/03/13

予算委員会 第12号

発言数
598
登壇者
39
会派数
6
開催日
1969/03/13

会議録

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き森中君の総括質疑を行ないます。森中君。

森中守義日本社会党

○森中守義君 総理は沖繩の重要性、それから安保の必要性をアジアに緊張と脅威が続く限りやむを得ない、こういうことをしばしば言ってこられました。たまたま沖繩はいま世界が見つめております。安保の選択はすでにその圏内に入っております。沖繩も安保も緊張と脅威が唯一最大の基本問題である、こういう考えをお持ちのようです。したがってこの際だれにもわかるように、緊張と脅威の実体は一体何であるか、また、それが続く限りとはどういうことを根拠にされているのか詳しくお答えいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この問題にはなかなかわかりにくい点があろうかと思います。したがってただいまのお尋ねもちょっと混同しているような感じがいたします。  一つはわが国の安全保障条約の問題、日米安保条約の問題これは私がしばしば申し上げますように、わが国の存立を確保し、同時に安全を維持する、そういう意味におきまして、平和に徹したわが国が選んだ方法でありましていわゆる日米安全保障条約――自衛力を主軸にしてそうして日米安全保障条約によってその足らざるところを補う、わが国の存在を確保していく、この行き方であります。これはアジアの緊張問題とは関係なしと申しますか、私どもは当然の権利としてそういうことを考えております。  その次の第二の沖繩は一体どうなるのか。これはサンフランシスコ条約第三条でアメリカに施政権が移っておる。しかし、潜在主権を認めておるから、沖繩はわが国に返していただくようにこの上とも私は積極的な努力をする、こういうことであります。  第三のアジアの緊張という問題、これは私がこの前、東南アジア諸国を歴訪いたしました。その際に、各国の感じておることは、ただいまのアジアに脅威ありという、これは一体何なのか、これは私が申し上げるまでもなく、中国大陸に、私どもが反対するにかかわらず、依然として核実験が続いておる。そしてその国が外国と十分の共存の状態になっておらない。強大なる国、これが弱小の国、それらと共存の関係に立っておらない、これを脅威に感じておる、こういう率直な意見の交換があった。それを私はそのまま伝えたというのがその第三の問題。  以上第三までの問題はそれぞれにわかりやすく申し上げた次第でございます。全然それらのものが関係がないか、こういうことになると、これはもちろんそういうことをも含めなければならない。私は絶えず申しておりますように、わが国の安全を確保する上に、もちろん国際情勢の変化、同時にまた科学技術の進歩だとか、あるいは国論だとか、こういうものによって変わっていくということも申しておりますが、こういうようなことがわが国をめぐる国際情勢の一つの問題だと、かように御理解をいただきたいと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 別段、私は取り違えをしておるつもりはございません。  具体的にお尋ねしますが、ジョンソン・総理との共同コミュニケの中でこう言われている。中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないよう意見が一致した。これはやはり中共の脅威ということ、中国の脅威ということを実際問題としてジョンソン大統領との間に合意されているのじゃないか。そこで一歩進めまして 一体、中国の脅威とは何なのか、これをひとつ実態的に御説明いただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまさら申し上げるまでもなく、中国は大国であります。これはたいへんな大国であります。しかも、その国がただいま申し上げたように核兵器の開発をやっている、大国の上にそういうことをやっている。しかも、この国はまだ国際社会に復帰しておらない、いわゆる平和共存ということを打ち出しておらない、なるほど平和五原則というものがございますけれども、しかし、いずれの国とも積極的な交渉を持つ、こういうところにいっておらない、そういうところから開発途上の諸国が脅威を感ずる、これは私は自然の姿じゃないか。率直に申し上げましてみんな東南アジア諸国を回ってみると、中国はたいへんな大国だ、しかも核兵器を持つこの国が、自分たちが発展していく上にどういうような処置に出るだろうかみんな心配している、その心配のことを私は率直に申し上げたのでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 そうしますと、その後段のほうで、脅威に対する対応策までも触れられておりますね、そういうことになれば、むろん私はいま総理のお話になることでは、はたして脅威に値するものであるかどうか、残念ながら理解しない。そこで日本もアメリカも、言われたような、この共同コミュニケに盛られたようなことでいった場合、中国のほうでも、やはり日本やアメリカのやっていることは脅威だ、こういうように言っている。脅威あるいは緊張とはお互いさまじゃないか。こういう理解に立った場合、一体どういうことになるのですか。私はその点が非常に問題だと思うんです。ですから、いま少しそういう将来の展望も含めながら御説明いただかないとよくわかりません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本が脅威を感じているか感じていないか、これはまた別ですよ。これはもう先ほど申しましたように、日本は平和に徹する国だ、いずれの国も敵視しない、これははっきりしている。これは日本が脅威を感ずるか感じないかということとはこれは別であります。区別していいわけです。そして日本の立場から申せば、私どもはいずれの国とも仲良くする、こういうことをしばしば申しております。だから、それに対する答えがあってしかるべきだと思います。私どもは政府としてのつき合いはいたしておりませんけれども、古井君や田川君、わが党の同志が出かけて行って、ただいまいろいろ交渉している。その関係からみれば、中国大陸と私どもとの間にいま一つの問題がある、かようには私ども理解しておらない。さらにその積極性を持ちたい。その持ち方が、私どもはいまの一つの中国という立場から中華民国といま国交を持っておる。そこで、中国大陸とは実際に問題を処理していこう。こういうことで貿易の拡大をいまはかろうとしている。そういう意味では北京政府もそれにこたえる。こういう意味で、ただいま古井、田川両代議士並びに民間の岡崎嘉平太君を交えて、そうして話をしているということでございますから、これはもう別だ。そうしてわが国が日米安全保障条約を結んでおることは、これは敵視政策に基づいてではない。わが国の安全を確保するのに自衛力だけでは足らない。そういう意味で、その足らないところを補う、こういう意味でこれを持っている。だから、この国はもうこれでよろしいのですよ。日本の問題は、日本と中国大陸との関係においては、相互に独立を承認し、そして内政不干渉である限りにおいては問題はないはずです。しばしばそのことを私は機会あるごとに中国に向けて話をしているわけです。だから、これはこれでいいとしてお考えを一応ひとつとめていただく。私が東南アジア諸国を訪問した際に、それぞれの国の首脳者は、ただいま申すように中国は強力なる国、それがさらに核開発もやっている。しかも、それらと親交がいまの状態ではない。おそらくそれらの国々も私は日本と同じような気持ちで、やっぱり親交を結びたいような気持ちでいるだろうと思います。しかし、なかなかそこまではいっておらないというのが現状であります。だから、そういうような国々がこの中国の脅威というものを感じている。私はそういう国々に対して中国を敵視しろとか、あるいは中国の封じ込め政策に参加しろとか、さように言うものではございません。しかし、それらの国々が現実の問題として脅威を感じていることは事実であります。これに対する対策は一体何なのか。みずからの国を安定さすことなんだ。生活上の向上をはかることなんだ。経済的に発展をするならば、おそらくそれらの国々も私は脅威をいまのようには感じないだろう。脅威を感ずるにしても違った形になるだろう。かように私は思います。これが私どもがアメリカに参りましてジョンソン大統領と話し合った一つでありますが、やはり生活が安定するように、そしてみずからその国の経済が発展していくように、そういう方向で協力すべきじゃないか。これが共同コミュニケで出ているそのままの文言であります。また、その前の年は、私がはっきり申しておりますように、共同コミュニケで、アメリカはどうあろうと、わが国は政経分離の形で中共と貿易を進めていきますと、このことをはっきり言っている。だから、その前の年にはそう言い、次には脅威を特に指摘しているから、その間に考え方が変わったのじゃないか、こういう御指摘があろうかと思いますが、別に変わってはおりません。このことはアメリカに参りましても、またこの席において私が発言しますことも、昨年もことしも違わない。まだいましばらくはこの状態が続くだろう、かように御理解をいただきたい。私は、しかしこういう状態がいつまでも続くもの、未来永劫とは申しませんが、長い期間こういう状態が続くことは好ましい状況ではございません。したがいまして、これは改善を見なければならない。やっぱり中国北京政府も国際場裡に復帰する、そういう努力を払われることが望ましいし、われわれもそういう意味でこれに協力することにやぶさかではない、かように私は申し上げておるわけであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 大綱的にもうほとんどお話しになったわけですが、そのコミュニケの中でこう言われているのですね。中国が、「非妥協的態度を捨てて」、こう言っておられる。そうして、「国際社会において共存共栄を図る」云々と、こういうように希望されているのですね。ところが、第一、共存共栄をはかるように希望すると、こういうのですけれども、まずこれは国際社会に復帰させることが前提ではないですか。そのあとで、はたして共存共栄を望むものかどうなのかということであって、招き入れもしないで希望だけ言うのは私はちょっと本末を誤っているような気がする。この点どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはどちらが先かどちらがあとかというような問題ではなしに、お互いに信頼し合って初めてそういう事柄ができ上がるのではないだろうか。まず、つき合いをするのだ。つき合いをして、そうしてお互いに信頼ができなかったらやめるのだ。これでは問題が――個人の場合でもちょっと変じゃございませんか。お互いに信頼し合って、そうしてそこにつき合いが始まっていく。これがやっぱり普通の行き方ではないか、私はかように思います。しかして、いまのそういうことは別としても、私いま中国が立っている態度は、ややあそこに表現されたようなことではないかと思う。もっと積極的に交渉は持ち得る状況じゃないか、かように私は思っております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。少し前の質問のときに、ちょっと一歩出たけれども、前に関連することですが、四十二年にジョンソンと共同声明をやった当時、中国の核の脅威というものについて、そういうことに脅威を与えないような、アジアの人たちが脅威を受けないようなことにすることが大切だと言われた。声明にも出された。しかしその後、中国の核脅威というものに対して、たとえば先ごろ開かれたアジアの平和と安全に関する日米専門家会議の最終的な結論というのは、中国の脅威というのはいま直ちにそれを心配するほどのものではない、それほど大きなものではないということを、結論的には日米専門家会議の最終的な意思統一をされたところだ。それからまたよく総理が言われるように、国を守るということは単に軍備というだけではない。経済的な力もあればということになると、日本の総生産というものの半ばしか中国は現状にはないのではないか、また日本の経済成長の力が非常に強いという点からいえば、総体的な国力において、日本もそれほど中国の脅威を感ずるというほどの力でもない。あるいはまた文化大革命の影響もあって、中国の先ほど行なわれた核の開発というものも、予定している以上に進んでいるという判断はないわけです。アメリカあたりでは、あれは失敗ではないかというようなことをいわれている面もある。また一面、中国が核を持つようになったということは、失礼な話だけれども、あの経済力とあの科学技術でも核の保有ができるということをある意味では示したものだ、こういうふうに考えられる。そうなってくると、四十二年の秋に佐藤・ジョンソン声明を出した当時とは情勢が違うのではないか。中国の核脅威というものに対して従来と同じような考え方を佐藤総理は持っておられるのではなかろうと私たちは思うのですが、その点が一つ。  それからもう一つは、それじゃ中国の核脅威を取り除くということになると、やはり中国との国交の回復をするという手段を選んでいく方法が、われわれはいいと思うけれども、日米安保条約というような形、そういう形で日本のいわゆる安全をはかっていくということは、軍事的な力で問題を、脅威をのけていこうという考え方に通ずる問題であるので、この点についても私たちはやはり違った考え方の方向に、中国の核脅威の問題を解決をしていかなきゃできないのじゃないか、そういう努力を日本の国はすべきではないかと、この二つの点について、従来と同じような中国の核脅威に対しての考え方を持っておられるのかどうかということ、もう一つは、同じ中国の核脅威を取り除く上において、やはり国交回復という手段こそ対決なしの政治の姿勢ではないか、こういう点について総理のお考え方をお聞きをしておきたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 中国の核開発が非常に早いかおそいか、そういうことは、私どもの関知するところじゃない。これはまた別のことだと、かように思っております。いわゆる軍事専門家の批評などが、ただいまの核兵器の開発はおそいと、こういうことを言ったからといって、私はそれで核の脅威がなくなった、かようには私は思いません。どうも中国の評価について、あるものは過小評価し、あるものは中国の力を過大評価している、そのいずれもがなかなか正しい認識ではない、かように思いますから、松永君の言われる第一の問題も、そういう意味で考えたらいいだろうと思います。私は、しかし現実に核のあることだけは確かです。それが進み方がおそいか早いか、それはまた別として、核開発を一生懸命やっている、このことは認めなきゃならぬ、かように思っております。ことに私どもは、核は絶対に持たない、そういう国でこの国の存立をはかろう。一体どこへ核を使うために中国が持っておるのか、その辺にも私どもは疑問にすればいろいろのことがありますけれども、それはまた別でございます。また米国に対して、米中の関係があぶない、あぶないといっているが、そればかりじゃない。最近は、いま中ソの関係も、同盟条約があるにもかかわらず、それはたいへんな事態がいま起ころうとしている。それなど考えると、私はやはり中国独自のいき方があるんじゃなかろうか、かように思いますので、やはりそこらは国際社会に復帰することが望ましいのじゃないかと思います。  第二の、今度は国際社会へまず復帰させろ、こういうお話ですが、いま国連への復帰、この問題については、重要問題なのか、重要問題でない扱い方をするのか、いろいろな議論がございますし、いまからことしの秋のことを、どういう態度をとるのだ、そこまで考える必要はないことだと思いますが、いま国際的に米、ソ、この両国が核保有の頂点に立っておる。しかしジュネーブ会議においては、核兵器をも含めて軍縮への方向へ行こうとする。また、いま核拡散防止条約、その問題とも各国が関心を持ってひとつ取り組もうとしている。そういう場合に、いま中国をこのままの状態に置いて核の防止、それができるかできないか、これは現実の問題としてたいへん頭を悩ましておる問題だと思います。核拡散防止条約の問題にしても、おそらくこの問題に反対するのは、中国がいまのような状態でおれば、これは反対だろう。またもう一つそういう国があるのじゃないかというようなことがいわれております。とにかく、いまの国際社会において、問題である核の扱い方の問題からも、これはどうもほっておくわけにいかないような状態だ。だからこれは、国際社会に復帰するしないは別として、軍縮会議にとにかく加入してもらうことができないのか、こういうような話まで出ておる。しかしいまのような状態では、おそらく中国自身もそんなかってなことはごめんこうむると、こうも言うでしょうから、そこらにまた一つの問題がある、かように私は思っております。少なくともいまの国際社会に入れば、ひとつの平和維持への責任を果たすという、その方向でないと困るだろう。そのことをいまのうちから私どもは考えておるわけで、別に中国自身を敵視している、こういうものではない。むしろそれよりも、いまの状態について深い同情をこそすれ、敵視などは絶対にしておらない。  問題はいまの一つの問題、これは私しばしば申しますように、中国は一つなりと、北京政府も言えば、台北にある中華民国も言っておる。これは大きさから比べれば問題はございません。しかし私どもは、台湾にある中華民国とサンフランシスコ条約の際に締結をして、そうして国際上の権利義務を持っておる。そういう関係から、簡単に一つの中国の代表権を変えるという、そういうことについては、これはよほど慎重でなければならない。このことが問題になってくるのです。したがって、ただいまのところで、いまのところ、いまの状態で実際のおつき合いをし、それが中国に許されるかどうか、そこらでどうも不満足だ、こういうような話にもなるというのじゃないかと、かように私は理解をしておりますから、いまのようにずいぶんむずかしい問題であり、また、いま松永君が指摘されたような点は、これは私も同じように認識しておりますので、第一、第二の問題についてお答えしたような次第でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 ちょっと。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 簡単に願います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 初めのほうは一応お考え方を聞いたわけで、あとからまた補足的なお話もあったわけです。  二番目の問題ですけれども、私たち社会党の主張でもあるし、私はこれは正しいと思うのですけれども、日本の周囲にある核というものは、アメリカも持っておれば中国も持っている、あるいはソ連も持っている。アメリカやソ連の核のほうが、われわれからいうと、中国の核に比較して非常な強大なものである。しかし、アメリカとソ連の核が日本に脅威を及ぼさないのは、何といっても、日本との間に親善の関係を持っているということが、われわれに核脅威を及ぼさないことになるのじゃないか。しかし中国について、中国の核の脅威をその力以上に強く感ずる理由というのは、日本の国との間に国交の回復ができていない。だから、日米安保条約を結んで、そういうアメリカの核のかさでこの脅威を排除していくという考え方、あるいはまた、沖繩の返還等にあたってどういう基地の態様をお考えになっているか、これはいろいろでありますけれども、それもまた、沖繩のそうした問題についても、それに関連をした考え方をかりに持っているというならば、これまた、それもまた違った方向ではないか。やはり中国の核脅威をなくする一番の努力というのは、そういう安全保障の形という、そういう日米安保条約というような形でなしに、やはり積極的な日中の国交回復という点について積極的な態度と方向を示して打開をしていくのが筋だと、私たちは思うんですが、この考え方についてはどうでありますか。まあ方向はいいのか、方向も少しおかしいのか、その辺の御批判を少し聞かしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 方向はやっぱり、もっとお互いに親善関係を深めていこう、これが必要だろうと思います。先ほど森中君から言われたように、まず国際社会に入れて、そしてつき合ったらどうか、こういうことを言われるが、お互いに信頼し合って、初めてつき合いが始まるのだと、この考え方に私どもは立つべきだと、かように思っております。いま一番の障害は何かと、中共が核を持つことじゃない、おそらく中国が一つだと、そういうところにわれわれが選んだ道がある、サンフランシスコ条約の際に締結した道が中華民国である、こういう事柄が今日の一つの問題である、かように私は思っております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 ちょっとさきに返りますけれども、先ほど総理が言われる脅威の概念、これはやっぱり概念規定だけでは納得いかぬのですよ。一体脅威の内容はどういうものなのか。これはよく総理がいままでお話しになったことを聞いておる。したがって脅威の内容は何か、実態は何か、少し内容的に説明していただきたいと思いますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申し上げたように思いますが、まだどういう点が――一般的な問題として私は申し上げたんです。

森中守義日本社会党

○森中守義君 私が聞いていますのは、たとえば軍事的な面であるとか、あるいは経済的な面であるとか、あるいは社会的な面であるとか、いろいろ態様があると思うんですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) むしろ社交上の問題というか、国際交流の問題だと、かようにお考えになったほうがいいんじゃないか。その相手が非常に強力な国だ、これがともすると、どうもつき合いを同じ立場でつき合ってくれない、こういうことをやっぱり感ずるんじゃないでしょうか。私はいま発展途上の国々が心配しているのはそういうことだと、自分たちは弱いんだと、強国だ、その強国と弱い自分たちが同等の立場でつき合いができないのか、こういう事柄がやっぱり脅威として感ずるゆえんだと、かように思います。私は日本の場合を言うんじゃございませんよ。これは先ほどからも何度も申しました、日本の場合はこれは別ですよと。しかし、いま私が東南アジア諸国を回ってみまして、そうして東南アジアの諸国が脅威に感じておる。これは一体どういうことなのか。それは、ただいま申し上げた、それは強力なもの、強大なものと弱いもの、これは独立国家である以上みんな対等の立場でつき合いたい、かように思うに違いない、これは当然のことでございます。それがなかなか対等の立場でつき合ってくれない、ここに何となく、どういうように出てくるだろうか、どういうようなことになるだろうか、それが心配だと。それは私は自然の条理だ。普通の状態で普通のつき合いの場合をお考え願えばわかるだろうと思います。これはもうそこにはコンプレックスというものもありましょうから、そういうようなものがただいまのような脅威として感じる。自分のほうがどうも小さい、そういう意味で十分に存立を認めてくれない、つき合ってくれないんじゃないかと、こういうように感ずる。これは私はあり得ることだと、お互いの中でもしばしばそういうことがあると思っております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 いま中国は世界各国にどのくらい大使等を派遣しているんですか。つまり正常なおつき合いをしているんでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 数十の国に公館がありますが、正確に政府委員から答弁いたさせます。

須之部量三外務省アジア局長

○政府委員(須之部量三君) お答え申します。  ただいま大使館、中国が置いてありますのは四十三ヵ国と理解しております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 閉鎖中のものがあるでしょう。

須之部量三外務省アジア局長

○政府委員(須之部量三君) 現在、大使がおりますのは一カ国だけでございます。カイロでございますが、そのほかは全部代理大使、それも必ずしも上級の人ではなくて、わりに低い書記官等が代理大使をやっているというのが大部分であるというふうに理解しております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 いまお答えがありましたように、世界各国で四十三カ国におつき合いをしておる、大使を派遣しましてね。それと私は、さっき総理が昨年東南アジアを回られて、よそでそういう話を聞いた、日本は別だよと、こういうお話なんですが、言いかえるならば、わが国はあたりまえのおつき合いをしてもよろしいと、そういうことですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) わが国の場合は、先ほどの中国は一つなりという、そういうことに問題があると思っております。したがって、しばしば北京で佐藤内閣を批判して、佐藤のたどっておるのは二つの中国論なんだ、これがけしからぬといつも言われております。これが問題になっておることを御理解いただきたいと思います。私はしばしば「北京週報」やその他のものを見ますが、佐藤内閣のとっておるのは二つの中国である、けしからぬとずいぶん言われております。このことを御理解いただきたいと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 そのことはあとでお尋ねいたしますが、要するにそのあたりまえのおつき合いができない、信頼がおけない、こういうことなんですけれども、国であろうと、人間であろうと、会ってみて話さなければ、信頼するもしないもありませんよ。総理はあれですか、進んでひとつ会おうとか、あるいは先方から呼びかけでもあれば会ってみよう――過去にそういうことがありましたか。何にもやらないで、話だけじゃだめだと思うんですね。お会いになっていない。寡聞にしてそういうことを聞いたことないですけれどもね。会って話そうというような御意思でもあるんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ただいま申し上げるような基本的な問題について誤解がないならば、それは会っても話はできる。しかし、なかなか会って話ができないゆえんもそこらにあるわけです。いままで米中会談がポーランドで行なわれておる、ワルシャワで行なわれております。それでいつも問題になるのはどういうことなのか、やっぱり中国からいえば、台湾から手を引けというようなこと、そうして平和五原則だ。ただアメリカのほうからいうと、そう言わないで、とにかく武力的に台湾を解放するというようなことを言わないでほしいんだと、こういうことで、どうしても話が一緒にならない。おそらくいま日本の場合についても、基本的にそんな問題があるんだ、かように私は思います。したがって、つき合わない、つき合わない、こう言っておるけれど、私がつき合わないと言われるが、わが党の同志の古井君や田川君が出かけるのを私は引きとめたことはございません。また、かつて社会党の方で行かれた方で、私が通産大臣時分に相談に乗った方もございます。これは私自身が行かなくても、私自身はそういう処置をとっておる。また前から、この文化革命の行なわれる前、当時は対日の民間貿易の事務所なども、そこらの代表とも私会ったことはございます。だから、そう顔も見るのもいやだというような、そんな仲じゃない。それはもっとゆとりのある間柄です。私がいま言っておるのは、とにかく、アメリカ自身もそういうことも言っておりますよ。アメリカ自身も、とにかくまず記者、マスコミの交換から始めようじゃないかというようなことも言っておるけれども、これは断わられておる、こういうことを言っております。しかし、少なくとも捕虜の釈放、あるいはこれは米国へ帰すことだ、これはやっぱり釈放などやったと思っております。いま私ども同じような問題が起きております。十三人の邦人が一体どういうふうになるか、そういうものの行くえも実はたいへんな問題だ、こういうような事柄もありますからね。そう簡単に問題だけを考えないで、実態をよく見きわめていただきたい。また、ことに森中君におかれても、わが国の事柄でございますから、中国の御事情もなかなかよく御存じだろうと思いますけれども、中国の事情ばかりでなしに、日本側の事情についてももっと御理解をいただきたい、かように私はお願いをいたします。

森中守義日本社会党

○森中守義君 そういうたたみ込まれて言われると、別に他意を持って言っているわけじゃないんで、誤解のないようにしていただきたい。  そこで、アメリカでも、すでにこれは相当の回数、ジュネーブの第一回会談から百三十数回やっている。しかも、台湾海峡の問題であるとか、あるいは在留米人の送還の問題であるとか、かなり大きな成果をおさめている。実際合意されているわけですね。それで、大体日本とアメリカが同じ中国観の立場に立っているとは言いながら、アメリカは実際違うんですね。違うというのは、実際国連で国交回復していない、認めていないけれども、こういう会合をやっているわけです。そういうことを考えていけば、ただ総理が、自分は必ずしもそうでないにしても、党内の有力者も行ったり来たりしているんだ、何も不都合なことがないじゃないかと、こう言われるんだけれども、しかしそれは、やはり政府が表に出なければ、幾ら与党の代表がおいでになろうと、あまりそういう意味では受け取り方として違うんじゃないですか。だから、私は、そういう意味ではもっと、アメリカでさえも――あえて私はアメリカでさえもと言う――やっているんですから、日本ができないということはないんじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカでさえもいろいろ大使級の会談をやっている、それはそのとおりでございます。これは、さえもとあえてお使いになった。私は、日本の場合は、アメリカよりもより近い隣の国であり、いろいろの交渉を持っている。もうしばしば、私はあらゆる機会に、各門戸を開いて、そしてもっと交渉を重ねたい、交流を重ねたい、かように申しておるのでございますから、アメリカより以上のことは当然やれるわけです。またやるべきなんです。現に……。

森中守義日本社会党

○森中守義君 やらないじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど話をしたように、わが同胞がつかまっている。これの釈放の問題について、私どもも何とかして交渉を持ちたい。それで、お互いにいま国交がございませんから、ま正面から大使館をたたいて、そうして入るような筋ではない。しかしながら、お互いの館員が私的に交際することはちっとも差しつかえない。そういうことでいろいろ打診をして、二、三打診をして、それについて何らの反応がないというのがいまの現状でございます。これおそらく反応を示されると、日本は進んで今度は表面に立ってそういう問題についてでも話をする、またしたいんです。現に私どもの仲間がつかまっている。その生死、その生命の安否すらわからないという現状で、これはたいへん心配でございます。幾ら民間でかってに行ったことだと、かように申しましても、政府の責任はそんなものじゃない。政府はもちろん同じ日本人であるという、これが生命をやっぱり保障する、それの責任がある。そういう意味で、私どもずいぶん気持ちのあせった感じで、何か交渉を開く方法はないか、そういう意味のあせりを持ちながら、ただいまのようなことを数カ所で――しかしそれについての反応がない、こういう状況が現状でございます。これは、日本だけが悪いんだと、かようにお考えにならないで、やっぱり日本のいまのような現実の差し迫った問題がある。これは、いわゆる劇団が来るとか来ないとか、劇団の入国を許すとか許さぬとか、そんな問題じゃございません。もうすでに、御承知のように、友好商社はうんと行っている。この友好商社の中でもやはりつかまるのがある。あるいはまた、ちゃんと新聞報道の関係の交流も認めた、そういう意味で駐在した者が向こうでつかまっておる。これも御承知のことです。これについて私どもは、その処置は一体どうするか、安否だけでも知らしてくれ、こういうようなことでいま気をもんでおる。この実情を御理解いただきたい。私は、アメリカでさえもと言われるけれども、アメリカと日本の場合は違いますから、基本的に違うとしてお考えをいただいて、こういうことがわれわれにあるんだ、これを十分考えていかなければならぬ。それが最後になってきますと、問題になるのは、中国は一つだと、二つの政策をやっておる、こういう非難を受けておるのです。私は、中国は一つ、これについて異存はございません。だから、いまの問題は中国内部の問題だ、かように私自身考えておりますが、それがなかなか理解されておらない、ここに問題がある、こういうことです。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これは何もどちらがいいとか悪いかそういう詮議だてをしているわけではないですから。それで、やはり先方では先方の言わんとする意味合いがあるでしょうし、また総理がいままでお考えになっているようなことが、だれが見てもほんとうにすべて正しいと言い切れない面もあるでしょう。そこで、こういう一般論ではなくて、少し私は具体的にお尋ねしたい。そういう具体的なものの中からできるだけ私は改善を必要とするものがあれば改善をしてほしい、そういうつもりでお尋ねするのですが、いまはしなくも総理が言われた覚え書き貿易、それから友好貿易、これは最近の傾向はどうなんですか。せんだっての本会議のお答えでは、覚え書き貿易のほうが本筋だ、こう言われた。したがって、近年における二種類の貿易の比率をひとつお示しいただきたい。

須之部量三外務省アジア局長

○政府委員(須之部量三君) 両方の比率でございますが、六七年度は――あるいは六六年度から申し上げましょうか、六六年度は覚え書きが三三%、友好が六七%、六七年度は覚え書きが二八%、友好が七二%、それから六八年度は覚え書きが二〇%、友好が八〇%という傾向でございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 いま数字が示されたように、本筋だと言われる覚え書き貿易がだんだん減少して早くも三〇%、逆に友好貿易が八〇%にふくれ上がっている。いずれであろうと、国のためですから、大いに慶賀にたえませんけれども、しかし、この数字を見て一体どういうようにお考えになりますか、やはり相手がいかぬ、向こうのやり方が悪いと、こういうことになるのでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも残念ながらいまのように覚え書きの数量がだんだん最近は減ってきている。一時はだんだんふえてきた、これが最近は減る方向にきている。友好商社との関係のほうがふえてきた。この状態は、政府がだんだん関与する立場でなくなりつつある、かように私はまことに残念に思っている次第でございます。まあこの覚え書き貿易の努力にいたしましても、これが長期化する、長期契約の方向に行くように努力をしたいし、またその数量をふやしたいと、かように思っております。こういう事柄が、通産省などが実際の問題を見ておりますので、やはり気になる一つの問題であります。また、最近の商品展覧会等においてもいろんな問題を起こしますが、なるべくそういう問題が起こらないように努力しておる最中でございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 こういう聞き方はどうかと思いますけれども、たとえばアメリカとかヨーロッパ、あるいは東南アジア、こういう地域に対する輸出輸入、こういうものと、中国貿易とは、一体どういう比重をかけておられますか。もっと端的な言い方をすれば、希望があるから、やる人がいるからしょうがない、それから政府自体がかなり力を入れてひとつやってみようかというお考えであるのか、あるいは遊びのつもりなのか――まあ遊びというのはあまり適当でないけれども、余技といいますかね、政府自体があまり注目しない、その辺どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私が申し上げるまでもなく、これは常識的なみんなの感じだと思いますが、戦争によって大きく変わりましたけれども、戦前における中国との貿易、これはたいへんわが国の貿易でもその占むる割合は大きかったと思います。そういう意味で、この昔のような状態になるならないは別としても、もっとふやし得るはずであります。いまの七億五千万の人口、それから隣同士である、こういう関係で、いまの貿易の状態で満足はしておりません。一時たいへん日ソ貿易よりもこの日中貿易のほうが金額がふえている、またそういう事実もあった、かように思いますが、最近の状態ではこれは逆になっております。たいへん残念なことだと思います。私はイデオロギーでとやかくしてはおらない。いまの日中貿易にしても、往復七億ドルを越すようになっておる。この日中間の貿易で、これが七億ドル程度ではない、やはりおそらくこれは正直、普通に考えれば十億になる、早くなっておるはずの貿易だろうと、かように私は思います。そういうことを考えると、両国間の貿易のどこかに欠点がある。それは、ただいま申し上げたように、特殊な会社でなければ貿易を許さない、そういうことにも問題があるのじゃないだろうか。わが国内においても非常に有力だと考えられない会社とか、それとつき合っておる、そうしてその他のものはこれは除外されておる、こういうところにも問題がある。まあ本来貿易は民間貿易が主であるというわけですから、これで普通の状態だと、かように言えるかもしれませんけれども、しかし、国内において普通に考えておるような商社とはどうもやらない、やはりこれは商社の身がわり状況のもの、そういう特定の会社と貿易をやる、そういうところにも、ややもっと気持ちを大きく持たれないと貿易の拡大はしないのじゃないか、かように私は思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 せんだって北京からの朝日の報道によりますると、代表団がたいへん孤立感におちいっている、こういう記事がかなり話題をまいている。むろん政府派遣の代表でありませんから、直接の責任はないでしょう。しかし、総理という立場からすれば、重大なこれは関心をお持ちになって私はしかるべきだと思います。ついては、何が孤立感なのか、孤立感を深めていると思われますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは簡単だからわかりませんけれども、政治上の問題で話をしよう、こういうことが主になっております、これは最初の基本的な立場が違っておりますから。さように私は記事を読んでおります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 なるほど交渉の段階では、いま政治会談の状態に私はなっておると思います。そこで、代表団が出発をされる際にお会いになったようですね。そこで、むろん政府の直接の派遣代表ではないにしても、交渉の成立あるいは貿易にはいろいろな形で政府が関係するのですよ。したがって、交渉成立をより内容的に、より効果的なものにするには、かなり政府の配慮というものが、つまり条件整備といいましょうか、そういうものが必要だと思います。こういう問題について、どういうことを代表団にお話しになっているのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、日本の交渉団よりも、他の話をしてまことに相すみませんが、私かつてイギリスの諸君に聞いたことがありますが、中共を承認し、中共貿易を盛んにやっておって、君たちは一体どんな状況かと、話はスムーズにどんどん運ぶかと、かように申しましたら、なかなか交渉はまとまるまではいろいろな意見が出て、まとめるのには骨が折れたと、しかし一たんきめた以上、その約束はよく守られています、こういう話を聞いたことがあります。私は、いまやっておる事柄もそれと同じで、やはりそれぞれの国においてそれぞれの条件が出ておる、条件はなかなかまとまらない、しかし、おそらくそのうちに、手がけていっておるのですから、必ず条件をまとめるそのときがくるだろう、そうしてまとまるといまイギリスが言っておるように約束が守られる、かように私は考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 元来LT貿易がMTに差しかえられたと私は聞いておる。したがって、昨年の第一回のMTの交渉の際に、おおむね時間的には五年間くらいを希望された話があるのですよ。それが一年で切られている。これはどういうことなんでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それはいろいろの折衝の過程があったと思いますが、一つには、御案内のように、中共側から日本が輸入する物資等についての見通しがなかなか困難であるというようなことも、純粋の商業的なベースの話し合いとしては、そういうことも長期の契約をやることになかなか話が煮詰まらなかった一つの原因ではないかと考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これは端的に言って、そういうこともありましょうけれども、やっぱり一番問題なのは輸銀ですよ。こういうものが条件として整備されなければ長期契約はできない、こういうことが主張されたように私は聞いておる。ですから、いままで総理あるいは通産大臣あたりが、プラントに輸銀をつけるという問題はケース・バイ・ケースで処理する、こういうお話がありましたけれども、一体ケース・バイ・ケースで処理するという具体的な内容はどういうことなのですか。私は、ことばとしては非常に聞こえがいい、耳ざわりがいいけれども、実現可能であるのか不可能であるのか、そういうことになると、結果的には言っておるだけのことじゃないのかと、こういうように思うのですが、どうですか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) まあ具体的なケース――場合の具体的な判断によってやりますということを従来から申し上げておるわけでございます。答えになっておるようななってないような答えでございますけれども、そういうような対処のしかたをしなければならないような客観的な条件にあるということでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 総理にお答えいただきたい。  そのいまの通産大臣のお答えは、ほんとうにわかったようなわからぬようなということなんで、わからないんです。結局、一体契約は漫然とできるものではないんですね。できたから、市中銀行が輸銀に持っていって、さあひとつ頼むという性質のものじゃないんですよ。したがって、必ずそれが成立するんだという一つの前提がなければ、これはいかなる企業といえども、あるいは相手方といえども、同意しませんよ。ですから、私は、ケース・バイ・ケースということは、現実においては無理なんだ。無理なことをなぜ言われるか。これはやはり吉田書簡じゃないですか。だから何かの形で――この前、総理の答弁だと、それは政府のあずかり知る性質のものではない、こういうお答えのようでしたけれども、しかし台湾では蒋介石がすごみをきかしています。こんなことをやればそれは日台条約は廃棄するようなもんで、とてもじゃないぞということを日本の記者団に語っているのですね。そういうのは、中国においても、いわんやわが国の関係者の中にも、かなり深刻なものとして受け取られています。だから、お話しのように、正確にケース・バイ・ケースがあるというならば、それの対応策をおとりにならなければ、ケース・バイ・ケースによってプラントに輸銀がつくということにならぬのじゃないですか。その辺の裏打ちのないところに問題があるし、しかも、今回の交渉団の話し合いというのもかなり無理が来ている。いわんや、五年と希望したものが一年に打ち切られたんじゃないか、こういうように思うのですが、どうなんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そういうようないろいろな問題を含んでおると思います。一年の貿易契約で長期の信用を供与してくれ、こういうのもちょっと矛盾があるように思います。また、いまの日中間の決済貨幣――通貨というか、決済通貨の問題もございます。これももとはポンドでやっていたが、ポンドはどうも最近の状態ではあぶない。フランに切りかえる。ところが、またフランもこれは同じように問題がある。こういうような一つの決済通貨の問題もあります。また、いま申しますように、輸銀がどの程度使えるか、いまケース・バイ・ケースと、かように申しておりますけれども、これはことばどおりとっていただけばいいと思います。思いますが、それにしても、決済通貨の問題ともからみ合い、覚書貿易の期間の問題等もからみ、お互いにそういう状況になってくると、いまのところでは非常に悪い状態におちいりつつある。だから、たとえば中共の立場に立てば、政府の関与する、息のかかっているものとは交渉をやらない、やっぱりおれのほうの言うことをよく聞く友好商社だけだ、こういうようにならざるを得ないのかとも思います。しかし、そういう事柄が、お互いに信頼し合っているところでは、やっぱり友好商社ばかりじゃない、こういうようになってくると、また契約をもっと長くやろうじゃないかということにもなる。かつて輸銀も使われておるのですから、そういうようなことも考えられる。いまは船をつくっても現金で払っている、かように私は聞いておりますが、そういうような状況になぜなっているのか。これはやっぱりこちらのほうで信頼のできるような大きな商社だと、そういうような点もよほど改善されるのじゃないでしょうか。自分たちの言うことをよく聞いてくれる友好商社だけだというようなところにも、どうも非常に片寄った考え方があるのじゃないでしょうか。私どもは、この点も、友好商社本位の貿易よりも覚書貿易を中心にする、そういう意味でも、そういった限定したやり方でなしに、もっとつき合いの範囲が変わってくることが望ましいのじゃないか。どうも、ここらにお互いに理解しかねるものがある。これは、森中君、実情を申せばおわかりいただけると思います。また、吉田書簡自身は、もうすでに何度も申しておりますが、これはいわゆる政府間のものではない。蒋介石総統からにらみをきかされた、かようにいわれておりますが、必ずしもあれも蒋総統の言そのものがそのまま出ているとは思っておりません。私どもいまのケース・バイ・ケースで処理することについてはとやかく言われる筋合いのものではない、かように考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 ちょっと総理、どうも方々で信頼する、しないという問題がひっかかってくるのですが、いまこの議論では、私はそうでないのです。なるほど言われたように、過去に輸銀を使った例は一つあります。しかし、これはとめられているのですね、その後。しかも、あと二件は解除されていますよ。これは国内の企業、あるいは中国においてもたいへんな損害をこうむっている。ところが、いま言われるように、吉田書簡というものは、これはもう何でもないんだ。そこで、この前通産大臣がお話しになったように、申請が出ていない、出たならばこれから審査するのだ、こう言われても、やはり吉田書簡がじゃまになっているということは、これはもう一般的に百も承知のことなんですから、いま総理が言われるように、何かの方法で申請が出れば慎重に検討しよう、ほんとうに準備作業にかかれるように吟味しようじゃないかということを裏打ちをされなければ、プラント輸出に輸銀の使用ということはむずかしいのじゃないですか。私は、こういうことがやはり日中関係の信頼回復の大きな一つの要素になっていくように思うのですけれども、何か手当てをおとりになりますか、申請が出たならば審査する、こう言われるのだが。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、ビニロンプラントの輸出を輸銀の信用供与によって認めたケースはございます。そのことがはしなくも国府と日本との関係がもつれる原因になったことはあなたも御承知のとおりでございます。元来、国府と日本との間に問題になったというのは、政府機関としての輸銀が介入するということに対してこれはよく思われなかった事情でございます。元来、貿易というのは、日本に資本の蓄積が非常に豊富にございまして、市中金融が長期の延べ払いも事なくファイナンスができるというような状況でございますれば、こういう問題は起こらないのでございますけれども、戦後、こういう資本の蓄積の乏しいときに強制蓄積による輸銀の資金というものにたよらざるを得ないというような状況に制約されて、輸出金融大宗が、いま御承知のように、輸銀の資金にたよっておるというような実情でございまして、それがたまたま政府機関であるというところに問題が出てまいったわけでございまして、で、その後、私どもといたしましては、たびたび申し上げておりまするように、グローバルな市場を踏まえて最大限の貿易努力をいたすという国策でございますが、いかなる体制の国であろうと、輸出をしていこうという熱意に変わりはないわけでございます。ただ、不幸にいたしまして、戦後こういう複雑な国際環境のもとに置かれまして、いろいろな条件で遺憾ながら制約を受ける部面があるわけでございまして、したがいまして、私がたびたび申し上げておりまするように、そういう与えられた条件の中におきまして最大限の輸出を確保する方途を考え、現存の輸出秩序というものを大きくこわすことなく日本の輸出を伸ばしていく、そうしてこれを増大して繁栄を庶幾するというような方向で考えますにつきまして、そういう政府機関を使うことについて強い反対の向きがあることに対しまして、一応自重した態度をとることのほうが、貿易政策全体の上から申しまして、ベストであるとは言えぬけれども、まずやむを得ない状態ではないかという判断に立ちまして対処いたしておるわけでございます。総理が仰せになりましたように、吉田書簡そのものの問題というよりは、吉田書簡が出されました事情、そういう事情というものが完全には解消していないというような客観的な状況が私どもをそういう苦悶に追い込んでおる事情でございます。その点は戦後の複雑な国際情勢がもたらした一つの波紋でございますので、そういう意味で御理解をいただけたらと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 大平大臣、いまのお話ですと、前回の松永君への答弁ですね、いままで申請が出ていなかった、これから出れば審査の対象にすると、そのことはどうなんですか。いまのお答えでは、どうも否定されているような気がするのですけれどもね。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 客観的な状況はそういう状況であるということでございます。それで、なお、申請が出てまいりましたときは当然審査すべきものであろうと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 さっき申し上げましたように、使うには使うだけの条件が満たされねばならぬ。ところが、いまのところ、これこそ総理のお話じゃないけれども、はたして輸銀を使ってくれるものかどうかというこの不安、あるいは不確定要素というのがあまりにも強過ぎるということですよ。だから、いまのお話のように、審査の対象に載っているというならばそれらしい手当てをしなければ、審査をしようとか、出てくればいたしましょうとかいうことには通じないと私は思う。したがって、さっきから申し上げるように、何らかの方法で、国内における関係の向きなりあるいは相手方にそういう意思を通じるようなことはお考えにならないのか、こうお尋ねしたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) たびたびおことばを返すようでございますけれども、これは国と国との間の問題でございまするし、一応、用語の選択におきまして、ただいま政府は諸般の事情を考えてケース・バイ・ケースで考えるのでございますというお答えが必要にして十分なお答えではないか、そう考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これは総理、どうですか。きちんと総理の裁断も下っているようにも思えませんし、一ぺんひとつ閣議で検討されてみたらどうなんですか。そういうことがきちんとならなければ、ケース・バイ・ケースだと言われてもこれは信用しませんよ。はなはだこれは言いにくいことなんですけれども、その辺が私は問題なのであって、それはケース・バイ・ケース、口の先なら何とでも言える。しかし、それでは信用ならぬ。裏打ちを与えるべきだ。一ぺん閣議で検討されますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 閣議へ持ち込むほどのことでもないかと思いますが、ただいま森中君のあえての御要望でもございますから、いままで関係省では相談をしておるわけですが、その関係省間の相談をさらにまた重ねてまいりますが、いまの閣議決定だとか、閣議で相談するとか、ちょっと事柄の性質上、そういうものじゃないようにも思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 検討されますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 関係省間で検討することよろしゅうございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 次は代表権の問題ですが、アメリカが提案をしたたな上げ方式から五、六年たったあとで重要事項指定に変わる、これは一体どういうことなんでしょうか。別段、国連憲章が改定されたというような話は聞いていない。当初から重要事項だというならば、たな上げ方式なんかとらないで、最初から重要事項指定にすればよかったんじゃないですか。その点ひとつ外務大臣からお答えいただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 重要事項指定の問題につきましては、たびたび当委員会でも御論議があったところでございますが、また、先ほど総理もそれに触れられましたけれども、まず現在の態度からいたしますれば、国連の総会はこの秋でございますから、これに対して具体的な態度というもの、方針というものをまだきめるのは早計であろうかと考えております。ただ、事柄が、ことに最近の国連の運営にかんがみてみますと、ほとんどこれはという問題はすべて重要事項指定方式になっておる。この中国の代表権問題というものは、長々と御説明することは省略いたしますけれども、国際的な非常に大きな問題でございますから、こういうものこそは重要事項として取り扱うのが私は筋であろう、かように考えておるわけでございます。それから、昨年の国連総会の状況などを見ましても、重要事項にすべきであるということの方針といいますか、態度に賛成した国は従来よりもふえておる、こういうような状況はそういうことを物語っているのではないか、かように考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 ちょっと外務大臣、答弁の趣旨が違いますよ。たな上げ方式ということが相当続いた、しかも、それは可否同数の段階に来た。そこで今度は重要事項に切りかえたわけです。つまり、相当長期時間をかせごうということなんです。その辺のいきさつはどうなのかと、こう聞いているのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それらの過去におけるいきさつはいろいろございましたけれども、一番問題になりますのは、いわゆるアルバニア提案というようなものがその間に出てきておる。それは国府を排除して中共を参加させるというようなことになりましたので、ますますこれは大問題であるということで、重要方式ということになりましたのは自然の成り行きではなかろうかと思います。それから、その前に出ましたいろいろな提案につきましても、これを総会の決議にかける場合に重要事項とするがいいかどうかというようなことまでは触れていなかった、私はさように考えるわけでございまして、いかなる提案にいたしましても、今後においてもいろいろな提案が出るかもしれませんが、こういうものの扱いについては三分の二の決議方式でやるということが私は適当であろうと考えるわけでございまして、単純多数決方式ということは、私は国連の運営それ自体の根本に触れましても問題ではなかろうか、かように考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 なるほど、この秋ということですから若干の余裕はありますけれども、そろそろその時期に備える諸般の情勢の判断あるいは分析等を行なっておられますか。今度はどういう見通しですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは国際情勢が相当やはり中国問題をめぐっては動きがございますことは御承知のとおりでございます。しかしながら、たとえば最近のカナダ、あるいはイタリア、あるいはベルギーというようなところの動きにいたしましても、結局、先ほどからお話が出ておりますような台湾のステータスに対しましては、何とか従来どおりにしたい。しかし、いわゆる一つの中国ということについての関係、両方ともと申しますか、中共も国府側もこれに対しましては、先ほど来総理からもお話がございましたような強い一貫した態度を双方ともとっておりますから、その間に処していかにすればよいかということについて、こういう新しい考え方をとらんとしている国々の間にも非常に悩みがあるように見受けるわけでございます。それから、他面におきましては、現に非常に心配に思いますのは、中ソ間の状況が、御承知のような国境紛争というものが現実にある。こういうようなこともやはり世界的に相当の私は影響といいますか、各国それぞれの立場でとらえ方がいろいろあろうかと思いますが、わがほうの主体的な態度をきめます前に、そういったような動きというものも十分に掌握していかなければならない、こういうような考えを私は持っておりますから、この秋の総会において、どういう態度をとるかということについては、いま直ちに早急にきめるべきじゃない、かように考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これは消息筋というような情報ですから、むろん私もその出どころなんどは正確でございませんけれども、もし日本が今回重要事項指定の共同提案国にならない場合、アメリカはそれを見送るであろう、こういう観測もかなり強く流れておるようです。そういうお話をお聞きになっておりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 一部の情報にさようなことがあるもしれませんけれども、これは何といいますか、観測的な情報であるし、私は確度のきわめて薄いものではなかろうかと思っております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 ちょっと、国連憲章の条文の問題で恐縮ですが、重要事項指定の関係は何条ですか、十八条ですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 国連憲章の第十八条でございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 最近国連運営の傾向としては、すべて重要事項に、こういうお話しのようでしたが、これが一定の限界といいましょうか、制限規定があるんじゃないですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは、私の理解しておりますところでは、そのつど案件によりまして決定されるものである。それから、ものによっては重要事項指定方式をとるかとらないかということも、総会の議法によってきめる慣行があるように私は理解しておりますが、なお憲章の解釈についてこまかい点の御質疑がございますれば、政府委員から答弁させます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 じゃ政府委員から。

重光晶外務省国際連合局長

○政府委員(重光晶君) ただいま大臣から申し上げましたように、この十八条が基本でございますから、十八条には、例示的に、この重要問題に該当することが書いてございます。たとえば、新しい加盟国の許容ということも、承認ということも、十八条で例示的な中に入っております。しかし実際は、各総会の運営におきまして問題のない、完全な手続事項、たとえば信任状の効果がどうであるとか、そういうことは手続事項として十八条に入っておりませんが、実質的な問題、これも例をあげて申し上げたほうがいいと思うんでございますが、たとえば去年の総会で、国連の予算の配分を検討しなければならぬという議論が起こりまして、それを検討する委員会をつくるということが、やはりこれも重要問題、というのは、予算の配分を変えるということではございませんで、変える必要があるかどうかをきめる委員会の設立というものも、実際上は総会の議決によりまして、十八条のいわゆる重要問題ということになっています。でございますから、実際の、運営の実際から申しますと、手続事項以外のものがこの十八条のいわゆる重要問題というような状態でございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 六四年の三月五日に、外務省の中国問題に関する見解というのが出ております。この末尾に、世界世論の背景のもとに、公正な解決策を見出す以外にない、こう言われているんですがね。むろんこれは、そのたな上げ方式後に出たものですけれども、この公正なということは、重要事項指定になるということが公正ということに該当しますか。私の判断からいけば、必ずしも公正ではない。こういうように思うんですけれども、どうなんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○政府委員(愛知揆一君) このときに外務省の見解として発表されましたものは、一九六四年三月五日でございます。で、これは資料としてもお配りしておると思いますが、その当時の考え方としては、国連を中心として十分に審議され、世界世論の背景のもとに公正な解決策を見出す以外に方法はないと考える。この考え方は、私も、現在もこれが適当であると考えております。で、そのときに、この内容として重要事項の指定方式の提案国にならなければならないということが、その当時に国連総会においてわがほうのとった態度でありますが、そのとった態度がこの考え方で、当時の状況においてはそれが最善の方策である、かように考えたからである、かように理解いたしております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 最終的には、総会の態度はいつごろおきめになりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 総会は九月の第二火曜日に開会されることになりますが、国連総会は、御承知のようにいろいろの案件やいろいろのそのときどきの状況によりましてきわめて流動的でございますから、この問題がはたしてその最初から上程、討議されるかどうか、おそらくそうはならないのではなかろうかとも見通されますけれども、この問題が本格的な論議の対象になるその前にきめればよろしいと、かように考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 重ねてお尋ねしますが、進んで共同提案国になるということと、他面、賛成あるいは反対を表明する、そういう立場に立つ場合、二つあると思います。だから私は、先ほどから言われておるように、今日の趨勢からすれば相当大きな変化が起こる。したがって少なくとも今日は、進んで共同提案国になるべきじゃない、賛否いずれにきめるかという場合にむしろ態度をきめるべきである、こう思うんですが、そのお考えはお持ちになりませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま、情勢の変化があるであろうという仰せでございましたが、森中委員の情勢の変化があるとおっしゃるお気持ちと、それからまた別な情勢の判断も私はできやしないかと、これは先ほど私触れた点でございます。こういう点につきましては、わがほうの主体的立場というものは自主的に判断すべきものでありますけれども、同時に、やはり国際情勢の転換というものを的確に掌握して、自主的な判断を誤りなくしなければならない、かように考えまするので、私は先ほど申し上げましたとおり、私にいまこの問題の性格をお問いになるのであれば、これはもう国連憲章によりましても、あるいは現在のいろいろの国連運営の最近の状況を見ましても、重要事項指定方式になるべきが妥当であろう、私は現在いかなる気持ちであるかとお問いになれば、さようにお答えをしながら、いま申し上げましたように、今後の推移も十分見きわめてまいりたい、かように考えております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 それから日台条約の問題ですがね、交換公文と、同意された議事録というものでありまして、この中に、及び今後に入る、という事項がある。これは、及び今後に入る、という領域は、一体どこをさしていると思われましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本と中華民国との間に平和条約ができましたときの交換公文についてのお尋ねであると思います。で、これは交換公文並びに当時の全権同士の了解というものもございますが、その中で、今後の入るべき領域というのは、客観的に、物理的に、もしそういう領域ができたならば、そこにも適用されるという、まあ自然の形を言うたのでありまして、どこどこということをきめておるわけでもないし、そしてそういうことを日本側の全権が理解し、承諾をしているものでもない、かように私は理解をいたしております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 たいへん用心深い答弁であれですがね。もっとこう率直に言われたほうがいいじゃないですか。他の条約あるいは付帯されている交換公文の議事録等には、こういうケースのものはありませんよ。率直におっしゃってください。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは、やはりこういうふうな条約を結びますときには、両国それぞれのまた希望とか、あるいは何と申しましょうか、心情とでも申しましょうか、そういうものがあろうかと思います。しかし条約で約束されましたことは、現に、何と言いますか、施設権と言いますか、管轄権が及んでいる地域に限定されて、その効果が及ぶことに合意されておりますから、将来もしその締約国の一方が、領域がふえるというようなことがありとすれば、というような仮定のもとに、そういう事実が起こった場合には、そこにも伸びるのだと、こういう一方の気持ちというものをそこに了解として登場させた、まあこういう関係であると思います。用心深くと申しますより、それが真相であると御了解がいただけるものと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 それは、ほかに条約や交換公文はそんなのないのです、領土、領域をこういうかっこうで規定しているのは、率直に申し上げて。その本土攻勢というのか、中国本土に入っていくのだと、将来は。その際に一応の自分の領域下に押えたものはこれに該当する、こういう適用事項だと思うのですね。端的にはそういうことですよ。そこでお尋ねしますが、そういう可能性というものが現在及び将来にあるとお思いですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはまことに微妙な問題で、先ほどもいろいろ御論議がございましたが、やはり現在中共側もあるいは国府側も、一つの中国という主張はまあ大いに強硬に主張しておるわけでございます。そういうふうな事実ということを念頭に置いて考えれば、こういうことも、その気持ちは理解される。しかし、現実にさようなことが私はあるかどうかということについて、そういう微妙な重要な問題でございます、向こうさまの問題でございますから、これは日本の責任者として、それについてとやかく言うべき、申すべきものではない、こういうふうにお答えをいたしたいと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 条約の当事国なんだから。最後になりましたが、中国との戦争終結の問題ですね。なるほどその日台条約によって、台湾とは平和関係が生じておりますけれども、中国とは生じていない、この点についてはどういうようにお考えでございましょうか。これはひとつ、非常に重要なことですから総理からお答えいただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 総理からもお答えがあると思いますけれども、これは中華民国の主権者として唯一の政府として、その条約が結ばれておるわけでございますから、さような観点から申しますれば、中華民国全部にかかりまして、地理的に言えば中国本土にかかりましても戦争状態は終結した、その平和条約において。さように解すべきものと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣からお答えしたとおりでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これはしかし非常な重大な問題ですよ。一つの中国か、二つの中国かということなんですよ。いまのお答えからいけば、明らかに北京政府というものは否認をする。しかも中国全土に日華条約が及ぶという、こういう理解のしかたをしなければならぬと思うのですが、そのとおりですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その当時の、日華条約の結ばれたときのいろいろ国会に対する御説明も、政府側としては当時から詳細にいたしておるわけでございますが、戦争終結ということ、そして平和状態がこれによってでき上がったんだということは、中華民国国民政府が唯一の主権者であるところの立場において結ばれたものであって、日本との間においては、さような意味において戦争状態が終結して平和がよみがえった、かようにこの条約は解釈すべきものであることは明らかであります。

森中守義日本社会党

○森中守義君 いや、条約の解釈はともかくとして、実際問題として北京政府がある。しかも戦闘が行なわれたのは中国の本土、そこに存在する中国政府が条約も何も結んでいない、国交の回復も行なわれていない。それで、いまの御説明からいけば、なるほど条約制定の当時はそうであったかわかりませんけれども、むろんそれにはそれなりの問題がありますよ。あるけれども、この条約によって、およそ中国との戦争状態は終わっておる、こういう解釈をされているのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございまして、ただいま繰り返し申し上げましたように、戦争状態は終結して平和関係が設定された、かようにこの条約は明らかに理解されてしかるべきものだと思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 森中君に申し上げます。時間が参りました。

森中守義日本社会党

○森中守義君 外務大臣、条約は、さっきからお話ししておりますように、条約の適用地域というものは限定されておるのですよ。しかも、入るであろうという、こういう予定条項が設けられておる。しかしそれは現実的な問題として可能性がない。ところがいまのお話からいけば、条約の適用外のところまで入る、中国全土に及ぶんだという解釈からすれば、これはたいへんな問題ですよ。これは条約のどこにありますか。中国の全土に及ぶということが日華条約のどこにありますか。これはもうそういうことをおっしゃってはいけませんよ。しかし、時間がありませんからね、これは次の一般質問なり何なりでまたお話を聞きたいと思うのですけれども、これはしかし重要な問題ですよ。しかしもう一回お答えを願いたい。あなたの言われたとおり間違いないかどうか、確認をしておきましょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私の申し上げることに間違いはございませんし、これはその当時、条約締結、そして国会の批准をいただきましたときからの、もう一貫した政府の見解であることを申し上げておきます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 もう一回、大臣、たいへんしつこいようですがね、要するに戦争終結というものは中国本土全域に及んでおる、こういうことですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この条約は、中国全体の主権者としての立場の国民政府との間の合意でございますから、さように理解すべきものであります。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして森中君の質疑は終了いたしました。  午後零時二十分再開することとし、これにて休憩をいたします。    午前十一時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後零時三十八分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 午前に引き続き総括質疑を行ないます。矢追秀彦君。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 最初に沖繩返還問題についてお伺いをします。一昨日、官房長官は、記者会見におきまして沖繩返還に伴う基地の態様について種々発表されましたが、それは総理の意見と考えてよろしいでしょうか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) どういうことでございましょうか。私は、総理の御意見以上のことを申し上げているというつもりはちっともございません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この中で、返還時の沖繩には戦略核も、戦術核も認めないと、このように言われましたが、総理大臣にお伺いしますが、そのようにとってよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の答弁について、各紙それぞれのとり方をしておる。中には戦術核はあるんだというような見方もしておりまして、この点の解釈を一定したと、かように考えております。私はいま考えられるもの、どうこうするというのではないが、いまの考え方からみて、たとえば日本の憲法からみて、そのまま適用されるとなったらそういうものに区別がないと、こういうことを申し上げましたので、その点をはっきりしたことだと、かように思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ区別がないと言われましたが、ということは、沖繩には非核三原則が適用される、返還時において。そう考えてよろしいでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 概念的に申せば、まだ沖繩の基地はどうするかわかりませんけれども、これが日本に返ってきて、そうして日本の憲法を適用する、その場合に区別して適用のしかたがないじゃないか、こういうことを申したわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 区別して適用はされない。ということは、非核三原則が返還時には適用される、こう考えるわけでありますが、ということは、沖繩にも核の持ち込みは許さない、認められない、こうとってよろしいでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 事前協議の問題は問題として、原則的に、いま説明しておりますが、またポラリス等についてはその寄港は必要はないだろう、かように私は考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 重ねて確認でありますが、いま核持ち込みをしないということは、憲法九条の上から核の持ち込みを認めないのか、あるいは非核三原則の上から認めないのか、どちらか一方ですか、両方ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これも矢追君に理屈を申してまことに恐縮なんですが、日本が持たないということ、これは日本の憲法からも当然ですけれども、米軍に直ちに日本の憲法がそのまま適用になるか、かようには考えられませんので、そこらに一つの問題点がある、これは御承知おき願いたいと思います。日本の場合にはこれは非常にはっきりしている。しかし、また日本に駐留する米軍に対してどういうように私どもがこの原則を適用していくか、これが事前協議の問題になる、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、憲法九条は日本の国には適用されるけれども、米軍には適用されない、こう考えてよろしいですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) ただいまの問題につきましては、もうしばしば、重ね重ね実はお答えをしておりますんですが、ただいまさらに御質問がございましたので、憲法との関係だけについて私からお答え申し上げます。  日本国憲法の九条、これは前項の目的を達するため戦力を保持しないという規定がございますが、この戦力を保持しないという問題にからみまして安保条約を――旧安保条約ですが、締結する際に、確かに安保条約によって米軍の部隊が日本国に駐留することになったわけですが、そのときの米軍の駐留――米軍というのは相当大きな規模のものでございましたが、そのときに、この九条二項の戦力の問題が当然われわれ条約を審議する際に問題になりました。そのときにわれわれが考えておりましたのは、九条二項の戦力を保持しないというのは、この戦力の保持について管理権、支配権を持っているもの、それについての規定である。米軍は日本国とは違いますから、おのずから話は別であろうという考えで、旧安保条約というものを法制局は法制局なりにこれを是認しておったわけであります。それが合法的な手続を経て成立したわけですが、その後それがやはり戦力不保持の憲法、不保持を規定している憲法に違反するのではないかという点が最高裁で問題になりまして、最高裁もまた政府と同じような見解をとることになったことは御承知のとおりであります。すなわち憲法九条二項の戦力を保持しないというのは、それについてみずから管理権、支配権を持つものについて言っているのであって、そうでないものについては別なのである。したがって、米軍が保持するものについては、これは憲法九条二項の規定がそこに及ぶわけではないという最高裁の判決がございました。そういう意味から、ただいま総理が言われましたように、米軍が持つものについては、それは憲法上の問題としては話は別だ、政策上の問題は別に残りましょうけれども、憲法だけに限って申せば、以上申したとおりであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 くどいようですけれども、もう一度確認をいたしますけれども、沖繩に核を持ち込まないというのが、いまの総理のお話から聞きますと、憲法は日本の国に適用されるし、しかし、米軍の問題については事前協議、こういうふうに伺ったわけでありますけれども、私が申し上げたいのは、憲法第九条の上からも核は持てない。非核三原則という政策も出しておられる。さらに事前協議についても核は対象になる。その上で私は、沖繩返還時に核を持ち込まない。その三つの上からも総理は核を持ち込まないと断言をされておる。このように受け取っておるのですが、それでよろしいでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 過日、新聞に出た記事、これを社会党の方にも私は否定も肯定もいたしませんと、こういうことを申しました。そうして、まだ私自身が沖繩の基地についてはっきりきめたわけではありません、こういうことを申したのでございますが、その点の誤解さえなければけっこうでございますが、そういう状態に立ってただいま返還されたら一体どうなるのか、返還されたら日本の憲法はそのまま適用になる、こういうように私は理論づけておる、さように御理解いただきたい。私、何らの取りきめもなければ日本の憲法は適用になる、こういうことを申し上げておる。それじゃもう核抜きの返還を考えているのかというと、これについては私はまだ白紙でございますと、かように申し上げておるのでありまして、そこのところを何らか矛盾しているかのようにお聞きとりかもわからないが、矛盾じゃない。矛盾じゃないが、まだ確定はしていない。その点を御理解をいただきたいと思います。これは社会党にお答えしたところと、公明党にお答えするところと同じでございますから、その点を御理解いただきたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私ども矛盾と受け取ってはいないのです。せっかく、いろいろ総理は憲法の上から、あるいは非核三原則の上から、あるいは事前協議の上から言われておるわけです。だから返還のときにどうこう、こうなるといつも白紙、こういうふうに引っ込むわけなんです。そういう点をやはり国民が一番注目している問題ですから、はっきりと言われたほうがいいんじゃないかと思う。ここで伺いますけれども、最近、先ほどから議論しておる問題についていろいろ総理が言われたことは、あくまでもこれは対米交渉の基点であるのかどうかという問題です。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 今日私が一番問題にしているのはアメリカへ行って交渉するときの態度、そういう結論をどういうふうに出そうか、それがいま考える私の頭の中にある一番の問題であります。したがいまして、いろいろの皆さん方の御意見も聞く、また、各種の会見等の材料も合わして、そうして私が理論的に頭の中で構成をしつつあるのが現況でございますから、まだ、いま結論ができたらそれで私が出かける、その問題になるわけですから、だからいま言われるような点が、それぞれのものに長所があり、また同時にいろいろの考えなきゃならない問題があり、そこらに私の最終的な腹を十分きめる、そこにまだ幾ぶんか余裕を持っている。かように御理解いただければいいんです。私が全然別の方向で物事を考えている、こういうわけじゃございません。いまもしばしば申しますように、国論の動向も十分考える、こういうことも申しておりますし、また法制上われわれの許されることを考えなきゃなりません。法律と別なこともいかぬし、安全保障条約の体制は堅持すると申しておりまするが、それがどういう形になろうと、とにかく体制は堅持する、そういう一つの範疇もございますから、そういうところから結論を出すのでございまするので、だんだん狭まってくることは当然でございます。しかし、いま出かける、その段階で非常に進んだ考え方、もう結論がそこにきた、こういうのはまだ早いので、それはまだ私がまたもう少し考えたい、こういうことでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、いろんな法律等があってだんだん狭められてきた、こういうように言われましたが、憲法の問題、非核三原則の問題これは私はかなりはっきりしておると思います。やはりそこである程度の弾力性が残されている問題は事前協議ではないかと思いますが、その点についてはどうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そういう点もあろうかと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 これはきょうの外電でありますけれども、最初に外務大臣にお伺いしますが、下田駐米大使が十二日、マンスフィールド民主党上院院内総務と会い、沖繩問題を中心に話し合いをした。そのときにマンスフィールド議員は、沖繩返還に関しては核抜き早期返還、基地の整理統合という、先のダラス演説の線を全くの個人的見解との注釈つきで説明した。あと日本政府の態度に関し、核抜き本土並みが最終決定かどうかを下田大使にただした。それに対し下田大使は、まだ決定を見たわけではないが、日本の世論を無視するような方向はとれないだろう、こう答えた。このようなニュースが入っておりますが、外務大臣は御承知でしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 下田大使も、日本の世論ということについては十分の理解といいますか、いたしておるわけでございますから、いろいろの人に接触をいたしております場合に、十分その趣旨は伝えてあると思います。ただいまおあげになりましたマンスフィールドとの会見というのも、事実そのとおりで、内容の詳しいことは、まだ公電としては接しておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理は、この下田大使の意見をどのように考えられますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも問題を起こしやすい下田君ですが、その発言は、大体本国政府の考え方と同様じゃないかと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 そうすると、下田大使は前とだいぶ変わってきたと――というのは、佐藤総理がこの間から示された方向で、それに影響を受けて変わったんではないかと、このように考えられるんですが、この点いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 下田君も非常に、何といいますか、われわれとは別な考え方をしている、こういう人ではないのです。これは駐米大使ですから、アメリカの世論の動向、これをやっぱり的確につかむことが、これが一つの仕事でございます。で、それがどうもこの前の会見では、必ずしも下田君の意図したことが正確に伝えられたとは私は思っておりません。私自身も、この下田君といろいろ会談した際に、だれがどういう意見を持っておる、だれがどういうことを言っておる、こういうような話はいろいろ分析して、詳細に聞いております。いまのマンスフィールドの話にしても、これはもう純個人的な話だと、かように申しておりますが、しかし、それは個人的な立場にあると同時に、議員としての公的な立場でもありますから、そういうような発言が、簡単にあれは個人的であるからこれは違うと、こうは言えないと同じように、やはり下田君自身も、駐米大使である限りにおいて日本の大使であって、しかし同時にアメリカの動向は十分つかまえると、こういう意味で話をすることがある。それが直ちに下田君の考えだと、こうなっておるわけでもございません。まあ政府が、いままでも下田君の発言を正確につかまえれば、必ずしもそうじゃないだろうと、外務大臣などはそういうような見方をしておりますが、私も同じ見方をしております。だから、いま言われるように、下田君非常な大転換だと、かようには私は思っておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ大転換だと言われたわけでありますが、外務大臣にお伺いしますが、さらに下田大使は、スコット上院院内総務あるいはマスキー上院議員、エドワード・ケネディ上院議員等とも会って、こちらの考え方を説明して打診する方向である、このようにニュースできておりますが、そういう指示をされたのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 正確に申しますと、政府として、あるいは外務大臣として、沖繩返還の交渉に対する考え方等について訓令はまだいたしておりません。しかし、ただいまも総理からお話がございましたように、駐米大使の任務としては、一つは任国のいろいろの人たちの意見を正確に掌握すること、もう一つは、非常に大事な、それ以上大事なことは、日本におけるいろいろの考え方、論議ということを、これをアメリカのほうによく理解をさせるということが一つの大きな役割りでございまするが、特に最近におけるところの衆参両院等において行なわれておりまする論議等については、正確にこれを掌握して、それを頭に入れて、できるだけアメリカのいろいろの関心の深い人たちの意見を求めるようにするということについては、先般帰任いたしましたときにも、そういう点については特にこまかく打ち合わせをして帰っておるわけでありますから、最近の行動におきまして、特にいまおあげになりました人たちの中には、ごく最近日本に来て、各政党との間にも隔意のない懇談をしていかれた人が多いわけでありますが、こういう人たちが本国に帰りましてからどういう意見を持ったであろうかということは、日本政府としても非常に関心の深いところでございますから、そういう点を、自分の意見というのではなく、むしろそれらの方々の印象あるいは意見、あるいはそれらの人たちがどういう言動をこれから示されるであろうかというような情勢分析をすることを主たる目的としていろいろの方に接触をしておる、これが現状であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 現状分析というより、私はこのニュースだけからの感じでありますけれども、かなり核抜き本土並みという方向で打診をされておると、こういうふうな感じを受けるわけです。もしこの打診の結果、核抜き本土並みという方向を、ある程度こういった人たちも了承するようになったという報告が入れば、外務大臣が六月二日に行かれる際には、やはりこの核抜き本土並みという線での打診をされるおつもりかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは一つの参考にはなりますけれども、やはり私がしばしば申し上げておりますように、いかなる形で、いかなる時期に返還を求めるかということについては、主体的な日本の考え方というものを十分用意をいたさなければならないと思っておりますが、先ほど申しましたように、そういう意味で訓令というようなものは、まだ政府の態度は白紙なんでありますから、訓令としては出しておりません。ただいまお話しがありましたような点は、参考にはもちろんいたしたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、この間総理は、安保に特別な取りきめをしない限り、沖繩にもそのまま適用されると、このように何度も言われたわけでありますが、この特別な取りきめをするということは、もしした場合には、総理の答弁からすると、安保の改定を意味すると考えてよろしいですか。もしした場合、仮定ですが。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは取りきめしたらということですが、取りきめの意味にもよるだろうと思います。変更を必要とするような取りきめか、変更をしないで済む取りきめか、それには相当幅があるのではないか、かように思います。まだそれも取りきめをするというわけじゃありませんし、また、どの方向で研究しておる、こういうものでもございません。これはもう正確に申して、取りきめがあればということで、かように御理解をいただきたいと思います。だからその取りきめの仕方いかんが、時に条項を改正する必要があるかもわからない。条項を改正しなくても特別な取りきめができる、話だけで済む場合もあるだろう、かように私は思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理はしばしば安保の堅持を言っておられるわけです。ということは、条約の改定ということは、あまり考えられないのではないかと思いますが、その点はどうですか、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはしばしば申しますように、堅持はするが、その態様についてはどういうような方法でやるかというのは、まだきめておりません。かように申して、たいへん申しわけございませんが、まだはっきりしておらない、さように御了承いただきたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この前の補正予算のときに私がした質問の中で、もし沖繩に特別な取りきめ、あるいは協定のようなものが結ばれた場合は、憲法第十四条の違反にならないかと、これに対して法制局長官は、勉強するということを再三言われましたが、その後どのようになりましたでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 確かに当座の考えとしては、どうも憲法十四条一項の問題になりそうもないと、しかし、せっかくのお尋ねであるから勉強すると申し上げたように思います。しかし、勉強の結果、実は結論に変わりはございませんで、この前に申し上げた趣旨とたいして変わりがございませんので恐縮でございますが、要するに十四条一項は、国民個人に対する法の取り扱いが平等でなければならないことを定めた規定でありますから、まあかりに米軍基地の取り扱いを本土並みとしない、これはまあ仮定の問題でございますが、そういう場合でも、そのことが憲法十四条一項とは関係がない。したがって、同項違反の問題は生ずることにはならない、こう思います。  ただ、前に申し上げた関係から、多少補足をいたしますれば、米軍の基地の取り扱いとは別個に、直接に沖繩住民の権利義務に関して本土の住民と異なる取り扱いをすることになれば、これは憲法十四条一項の問題となりますが、その際に、それが憲法十四条一項の関係でどうなるかというのは、そのような沖繩住民の権利義務に関した差別的取り扱いが、はたして合理的な差別といえるかどうか、そういう問題になることはあろうと思います。しかし、基地が本土並みになるかならないか、本土並みにならないということが、直ちに憲法十四条一項の問題になるかといえば、これは個人の法律上の平等取り扱いの問題とは、直接に関係がないということになるというわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま関係がないと言われましたけれども、抵触しないというのか、関係がないのか、どちらですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) この沖繩の住民の権利義務、これが違う場合に、これが差別があります場合に、その合理性が問題になることはありますけれども、沖繩の基地がかりに本土と違うということから憲法十四条一項の問題が生ずるかといえば、問題は生じない。したがってやってもそれが十四条一項に直ちに違反するということにはならないと、こういうことを申しておるわけです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあくどいようですが、安保条約が、この前長官が、憲法のらち外と言われた。そういった考え方の上から、この十四条には抵触しないという、そういう発想からきた上なのか、それとも、いま言われたように、そういう基地がどう変わろうとも本土と違った基地の状態、あるいは協定が、もしいまの日本本土に適用されておる安保と違うような適用になった場合は、これはそうなってもこの十四条に抵触しないと、こう言うんですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) いまのおことばの中に、安保条約が憲法のらち外というようなことからと仰せになりましたが、安保条約について申しておりますのは、安保条約について、駐留する米軍の装備とか、そういうものが憲法九条二項の戦力というものとの関係について申し上げておることでございますから、えらくそれが広くなりますと、いろいろまた問題が出てくるかもしれませんので、念のためにそれをお断わりしておくのが第一点。  それからもう一つ、憲法十四条の第一項との関係でどうなるかというのは、いまの問題とは全然別に、十四条一項のこの規定が、国民の個人の法律的平等の問題でありますから、法律的平等が問題になれば別でございますけれども、たとえば、さっき申し上げたように、沖繩住民の権利義務がほかの住民の権利義務と違ってくるというようなことになりますれば、問題になる余地はございます。その場合には、その差別が合理的であるかどうかという問題になりますけれども、そういうことと離れて、基地の取り扱いが本土と違うというだけで十四条一項の問題が生ずることはありませんと、これだけのことを申しておるわけです。別に安保条約と九条との関係からくる問題ではございません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 長官と考え方が違うのだと思いますけれども、この条文はあくまでも「法の下に平等であっても、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的」と、こういうことばが入っているわけですよ。だから基地だけでなしに、その基地が違うという場合に、やはり条約に違いが出てくるわけです。やはりこれは安保条約というものは、もちろん、憲法というものが規定され、その他の国内のいろいろな法律は全部適用されます。それとともに、やはり安保条約というものもそこに入ってくると私は思うわけです。というのは、やはり安保条約の違憲性については、いま仙台高裁の六・四事件というものが大きな問題になっている。これからも最高裁で判決が下っていくわけでありますから、やはりああいう裁判問題が起こるということは、ただ基地が、こういう国民の権利義務とか、そういうものと全然関係がないということにならないからああいう問題が出てきた。この前の旧安保のときの砂川判決も私は同じだと思うのです。やはりそういう問題が出るということは、安保条約というもののもとにいる日本国民ですから、やはりそれも「法の下に」ということを考えなくちゃならない。こういう意味で私は議論を展開しているわけです。その点はいかがですか。したがって、私の言いたいことは、あくまでも沖繩に違った協定が結ばれた場合は違反するのではないか、こういうことなんです。重ねてお伺いします。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 御意見は御意見としてよく伺いますし、また御趣旨もわかっているつもりでございますけれども、前に申し上げたかと思いますが、憲法第十四条の「法の下に平等」は、その前の十三条にあります「国民は、個人として尊重される。」、いわゆるこの個人の尊厳に立脚して、国民というものは法のもとに平等である、すべて同じであって、個人として尊重されるべき、国民はすべて平等であるべきである、こういうところが本旨でございますので、その個人の尊厳に影響を及ぼすような差別的取り扱い、つまりその権利義務について差別の扱いとか、法的取り扱いについて差別を設けるということについて、問題になることは確かでございますけれども、これは先ほど申し上げたように、その住民としての権利義務がほかの者たちと大いに違うということがありますれば、その合理性いかんが尋ねられてしかるべきでありますが、基地の取り扱が違うということから、いまの法のもとの平等が直ちに出てくるような筋合いのものではないと、こういうことを申し上げたわけです。ですから、法のもとの取り扱いの平等、適用上の平等性等がかりに問題になりますれば、御指摘のような問題が出ると思いますけれども、そういうことでなしに、ただ基地の取り扱い方がこうであるというようなものから、十四条一項の問題が出てくることはない、私はそう思っております。しかし訴訟を出す者自身がないかといえば、これは私は保証できませんけれども、法の解釈としては、いま申したことがしかるべきところであろうと、私は思っているわけです。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 特別な取りきめの問題でもう少しお伺いしたいと思いますが、この特別な取りきめでも、安保改定にならないものもあるのじゃないかというのは、たとえば共同声明を出された場合、これは安保改定にならないでいろいろなことをきめられる、こう思うのですが、その点、総理にお尋ねします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 共同声明を出した、それが条約と同じような効果を得るかどうか、そのきめ方がそういう事柄で片づくような問題なのか、またはもっと基本的な問題で、条約自身きめなければ困るような問題なのか、こういうことがあるのだろうと思います。まあ私先ほど、取りきめをしない限りと、ことばではそう言っているが、そういう中身はまだ持っていない、かように申しておりますし、いままた法制局長官と大体あなたとの質疑応答を聞いておりましても、なかなかわかりにくい。とにかく沖繩だけがどうも安全保障条約でも特別な基地であり得るかどうか、そういうところできめるとやはり本土の基地にも同じように及ぶものではないだろうか、かようなこともございますので、いまの質問を聞きながら、私も法の、憲法違反そのものは別としても、そういうことを実は頭の中で考えるのです。たとえば、これはこの前にもお尋ねがあったのですが、沖繩の基地について何らか特別なくふうをした、それでそれだけが本土の基地とは違うものを装備をしておる、そういう場合に、沖繩が攻撃の対象になることは当然でありますが、それじゃ本土は攻撃の対象にはならないかというと、そうでもない。やはり本土も沖繩も同じ日本なんですから、そういう意味では、問題の相手国から見たら、そんな区別はないだろう、こういうことをお答えいたしましたように、だからその辺のところもくふうしなければならない。だから、特別な取りきめということについても、条約を改正しなくてすむもの、そして他に影響のないもの、こういうものがプラスアルファつけ加えて話ができるかどうか、こういう問題だと思っております。で、基本的な改正をしてそこまでの取りきめをしなければ早期復帰はできないのだ、こういうことになれば、事まことに重大だ、かようにも私は思います。だから、特別な取りきめ、それが私の考えるところでは、そう重要ないまの取りきめ、安保条約自身を改定しなければならないような取りきめまではなるべく考えたくない、こういうことは言えますけれども、まだいま何を考えているのかということはございませんので、これより以上のお答えができない。どうもその辺で話が食い違っているのではないか、かように私は理解いたします。

多田省吾公明党

○多田省吾君 関連。この前までは総理は、返還時の沖繩には非核三原則も適用するということははっきりおっしゃらなかったわけでございます。ところが、いわゆる基地研の報告書が出ましてから、いろいろお話をお聞きしますと、戦略核あるいは戦術核も、返還時における沖繩の態様について交渉のときにはそれを認めないようにするというような、はっきり申されませんが示唆をしておられます。また本日も、返還時の沖繩には非核三原則も適用するような示唆もなされているように思われます。しかしながら、そういった総理の態度というものが、どうも国内向けらしいし、また選挙が近いのでそういうゼスチュアをしているのではないかというようなことも言われておりますし、私も多分にそのように思います。そのほかの面で言いますと、事前協議はゆるめられないと言いながら、しかしながら、有事の核兵器の持ち込みに対しましては、事前協議の事項でいわゆるイエスということもあり得るのだということもおっしゃっておられるし、またもしそういったイエスということを言われるとすれば、いわゆる防衛のための戦術核か、攻撃のための戦略核かという区別は、私は核兵器についてはなされない。今後こういう観点から、いわゆる本土の沖繩化、あるいは事前協議の弾力的適用ということも十分考えられるし、また、交渉の初めにおいてはそういった姿勢を示されても、腰くだけになっていわゆる核持ち込みのほうに押し切られるような可能性も強いと思います。そういう意味で、どうしてもこういった沖繩返還時の沖繩の基地の態様については、事前協議のいわゆる有事の核持ち込みの際もぼやかさないでいままでどおりノーという強い立場でいくのだとか、あるいは対米交渉もやはり核持ち込みをしないような強い態度でいくのだという姿勢が示されない限り、私は非常に疑問だと、このように思うわけでございます。また国民も納得できないのじゃないかと思います。  第二点は、去年の衆参の予算委員会あるいは本議会等でずいぶん問題になったのでありますけれども、非核三原則の内容を含むところの非核決議を野党は提唱しました。それに対して総理は、与党の総裁として、そのような非核決議は、いわゆる核抑止政策の上から、しかもその中においてもアメリカの核抑止力にたよるという面から、非核決議を国会で行なうということは好ましくない、こういう意味の答弁をなされております。しかしながら、私たちは核抑止力というものは信用しませんけれども、去年の二木前外務大臣の予算委員会における答弁でも、日本に核を持ち込まなければ核抑止力にならぬということはない、こういう意味のことを言っております。これは別なんだと、こういう観点から、私は、もし総理が強い姿勢で臨むならば、この際はっきりと、平和憲法を持っている日本国の総理として、野党の提唱する非核三原則を中心としたところのいわゆる国会の非核決議に対して賛成するという立場をはっきりとここで示したほうがよろしいのじゃないか、このように思うわけでございます。そうでなければ、これは選挙のためのゼスチュアじゃないか、あるいは国内向けじゃないかとか、こういうふうにとられるのではないか、こう思う次第でございます。その点に関してお答えいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 多田君に申し上げますが、先ほどから矢追君に申しておりますように、最終的な決定はしておらない、その状態でございますから、ただいまいろいろな疑いを持たれる、国内向けじゃないかとか、選挙などは何度も考えておらないということを申しておりますが、それにしても選挙向けじゃないかと言われるのでございますが、そういうことはないのでございます。  ただ、私がここで言えることは、まだきめておらないのだ、これだけははっきりしている。だからその点を、ただいまのような御意見も御意見として伺っておきますと、これがいままでも一貫して皆さん方に申し上げたことであります。その皆さん方が核について持っておられる、あるいは日本の防衛について持っておられる考え方、これは私がアメリカへ出かけて交渉する際のやはりりっぱな参考意見でございますから、私が結論を出す前にそういうものを全部伺った上で私はきめる、こういうようにしたいと思っておるのです。いま沖繩基地研の話が出ておりますが、それなども一つの私が研究の資料にしておるとか、あるいは材料にしておることは、これは確かでございます。しかし、それによって私の考え方がきまった、こういうものではまだございません。したがって、この点は、いろいろお詰めになりましても、これより以上出てまいりませんから、ひとつその辺は御了承いただきたい。  それからただいまの第二の問題、これは私は、国の将来までをしばるようなそういう決議について、これはよほど慎重であってほしい、かように思っております。現実の問題としては、その内閣がどういう性格でこういう問題を取り扱うか、このことが一つの問題だと、かように私思っておりますので、いま国会でその決議をされることについては、私はまだ賛成はいたしません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 外務大臣にお伺いしますが、奄美群島の返還協定の交換公文はどういう根拠で結ばれたのか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 奄美群島の返還の場合には返還協定の付属交換公文というものが御承知のようにございますが、それは、奄美群島及びその領水は、日本本土と沖繩との近接性――接近しているという意味です、近接性のゆえに、極東の防衛及び安全と特異の関係を有するということを認めた交換公文がございますが、小笠原の場合にはこういう交換公文はないわけでございます。で、一部には、したがって、小笠原方式とか奄美方式とかいうことばがございますけれども、こういう交換公文はございますけれども、返還協定それ自身は平和条約第三条に基づくものでございますから、その間に相違はない。政府としては何々方式ということばは使っておりません。で、その趣旨とするところは、奄美大島が返還される場合に、米側が当時、返還後に施設、区域としての提供を要請することはあり得るかもしれない。そういう際には、行政協定第二条に基づきまして――施設、区域を提供することについて検討をするということが行政協定の第二条にございますから、もし返還後においてそういう施設、区域の提供の要請がある場合には好意をもって検討をいたしましょうという趣旨の交換公文であったわけでございますが、この交換公文は、その後今日に至りますまで、実行をもって具体的にさようなことが起こったことはございません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 この交換公文の中にある「南西諸島のその他の島の防衛を保全し、強化し、及び容易にするためアメリカ合衆国が必要と認める要求を考慮に入れるものと了解される」、この条文をもって、もしアメリカがこの沖繩基地の保全、強化、防衛を容易にするという要求をしてきた場合は、日本政府としてはこれを拒否できるかどうか、お伺いしたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私が読み上げました以外に、いまお読み上げになりましたそういうのが、このいわゆる交換公文でございます。これは、先ほど申しましたように、日米安保条約、その交換公文、あるいは行政協定、特に第二条に関係する問題でございますから、従来からの行政協定第二条の運用についての念のためのアメリカの希望が書かれてあるわけであって、これは、いま申しました交換公文の文章を見ましても、そういう要請がありました場合には検討を考慮するということが書かれてあるのでありまして、検討した場合、両者が合意ができなかった場合にはそういうことは成り立たない、こういう意味で検討を考慮するということを約束したわけでございます。したがって、これによって日米安保条約の従来からずっと当時まで続いておった本質を変えるものでも何でもないわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私が聞いているのは、もしアメリカがこれをたてにとって、沖繩にこれ以上基地を強化するとか、そういうようなことをもし要求してきても、拒否はできるかどうか、こういうことです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは、先ほど来総理の御答弁にもありますように、その基地のところがきまっておりませんから、仮定のことですけれども、仮定の場合に、そういうことが要請される、あるいはこういうふうな文書が必要であるということが仮定の問題としてありました場合には、この前例と申しますか――ということに従うのも一案かと思います、仮定の問題として。しかし、それはあくまで協議の対象になるものでございまして、協議がまとまらなければこれは問題にならない、かようにその場合には理解すべきものじゃないか、こういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 外務大臣、ちょっと質問を取り違えられているのじゃないかと思うのですが、こういう交換公文を今度結ばれるのではないかというのではなくて、この条文をたてにとってアメリカが沖繩基地に何だかんだ要求をした場合は、これを拒否できないのではないか。したがって、この交換公文は、別にこれがなくてもどうということはないと思いますので、破棄しておいたほうがいいのじゃないか、こういうことなんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたのは奄美の返還の場合でございますし、奄美についてのさような要請があった場合ということでございますから、これがすぐ沖繩に問題になって援用されることはないと思いますけれども、なお念のために条約の細部にわたる解釈については政府委員からも必要ならば答弁をいたしたいと思います。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 大臣から申し上げたことで尽きておると思いますが、本件は奄美返還協定のときに付属の交換公文としてつくられたもので、当然その他の、何と申しますか、施設の関係を考慮するということは、奄美における施設の問題でございまして、沖繩の問題ではございません。したがって、その沖繩について施設をどうのこうのという問題はこの交換公文から出てまいりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それは米側も了承しておりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは明白でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、問題となっております事前協議でありますけれども、重ねて総理に確認をいたしますが、官房長官も言われましたけれども、事前協議は戦争への歯どめである、こう解釈してよろしいでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この事前協議は、岸内閣以来ずっと一定して、考え方が変わっておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 しかし、その官房長官の記者会見のことばですが、これは新聞からの引用ですが、一〇〇%イエス、ノーならこうした制度の意味がない、一部でも不安があれば国民に不安を与えないようにするとの基本態度は変わらない、どんなときにイエスというかはむずかしい問題で、現実に協議が持ち出されないと言えない、あらかじめこういう場合はこうというわけにはいかないと、このように述べられておりますが、国民の不安を除くと、このようにしていくと、このように言われておりますが、ということは、国民が不安に思う場合は、これは事前協議でノーと言え、ノーと言うと、こういうことでしょうか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(保利茂君) 私の談話記事の問題のようでございます。お話のように、事前協議はどうなるかというような御質問でございます。事前協議は、事前協議という制度をとられております以上は、これはしかも戦争に巻き込まれないような歯どめの役をするということを歴代の政府の責任者の方々が言っておられまして、その態度は少しも変わっておらないのでありますということを申し上げた。それ以上のことはちょっと私も、私で御答弁のできることじゃないと思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理、いまの点どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう別な考え方ございませんが、日米安全保障条約、それはわが国の安全確保のために必要なことでございますから、そういう意味においてのいわゆる戦争に巻き込まれるということのないようにということ、これが目的以上の事柄について私どもはノーと言う、これははっきりしているわけであります。だから、私どもの日米安全保障条約を結んだ目的、これははっきりしておりますから、この目的外に米軍が、自分たちの日本の施設、基地を使って、そうして日本の予期しない事柄に日本を引きずり込ますようなそういう危険があれば、私どもはノーと言う。これはもうはっきりしております。だから、その点は誤解がないようにお願いしたい。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまの、目的以上のものをノーと言うと言われましたが、そのことと、事前協議の基準がございますね、政府見解に出ている。それとの関係はどうなりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは当委員会であらためて数日前にもお答えいたしておりましたとおり、安保条約第六条、これに伴う交換公文、これの運用に対する両国の了解――配置、装備、戦闘作戦行動の発進、この三つの重要な問題につきまして、これこれしかじかのものは事前協議というさらに解釈があるわけでございますから、それに従って事前協議も取り扱う。そうして、この場合はこちらが拒否するということが明らかになっておりますから、これを厳粛に実施するということが、先ほど来総理や官房長官から言われたところに完全にマッチしていると、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま外務大臣は、取りきめ以上のものは拒否すると言われましたけれども、いまの配置、装備、作戦行動は事前協議の対象であって、これを越えたら拒否するということとは別問題だと思いますが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 事前協議の対象になることが、これこれしかじかときめられております。そして、それに対してわがほうとしての態度というものも両国間の了解で具体的には明らかになっておるものはございます。ですから、先ほど申しましたように、これを厳粛に実行するということが、とりもなおさず先ほど来の御答弁の趣旨と私は合致しているものと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 しつこいようですけれども、この基準を越えることが起これば拒否をするととってよろしいでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 逆に言えば、この事前協議が約束されているそれ以外のものは事前協議じゃないわけでございますね。そういうわけで、この事前協議というものが非常に重要なものであるし、これは厳粛に守っていかなければならない、かように考えておる次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 事前協議を守るということは、じゃ、どういうことですか。具体的に教えていただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは、まあしばしば申し上げることですが、安保条約第六条は、いまさら読む必要もないかと思いますけれども、事前協議については、「配置における重要な変更」と、「装備における重要な変更」と、わが国から行なわれる「戦闘作戦行動」――この分については第五条の場合を除く――この三つが規定されているわけでございます。そうして、その交換公文を受けて、かねがね資料としても御提出申し上げておりますけれども、「配置における重要な変更」というのは陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置。「装備における重要な変更」の場合というのは、核弾頭、及び中・長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設。それから、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」、これは事前協議の重要なものとして事前協議にかかる。これらにつきましては、さらに岸・ハーター共同声明によりまして、日本の欲せざるような種類のものについては、あった場合にもノーと言うということが、さらに明確に保障されております。これがすべてでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、この間からイエスもあり得るなんということを外務大臣、答弁されておりますが、私の考えが間違っておれば指摘をしていただきたいのですけれども、この基準というのはあくまでも事前協議にかかる基準。というのは、一機動部隊以上の海軍が日本の港に来るとアメリカが考えた場合は事前に協議をする基準に引っかかる。そこで、イエスと言うとかノーと言うのは、この基準とは別問題である。来るぞ、どうぞ、という場合もある。ノーと言う場合もある。これは別問題であると私はいままで解しておったわけです。いまの外務大臣の答弁から言うと、この基準を越えたものも全部ノーと言うというふうにとれるのですけれども、その点いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その基準を越えたものというおことばの点ですが、これは私から言えば、この基準内といいますか、ここに規定されるものは事前協議にかかる。それから今度は事前協議一般の問題ですが、これは私もよく申し上げるのでありますけれども、たとえば四十三年四月二日の当参議院の予算委員会におきまして、当時の外務大臣も事前協議というものについては、「同意するかしないかというときは、日本の国益、この見地に立って日本がノーかイエスかを言うのです」。先ほど総理大臣からも言われましたが、安保改定の昭和三十五年以来、当時岸内閣以来のこの事前協議に対する解釈というものは一貫してさようでございます。現に、ちょうど一年前の参議院予算委員会でもこういうように政府が答弁いたしておりますが、それと私の言っておりますことは何ら違いはないのであります。その範囲以上とか以内とかということは私はないと、あらためてこう申し上げることが正確じゃないかと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、イエス、ノーということをきめる基準は、先ほど言われた総理の安保の目的以上、また外務大臣の言われた国益に反する、反しないがイエス、ノーの基準である、こうとってよろしいですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はさように解釈いたします。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣から述べたとおりであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 というと、その基準というものがきめられたのはどういう根拠になるか。というのは、この基準を越えた、この範囲以下であれば安保の目的以上のものには決してならないであろう、あるいは外務大臣が言われる国益に反しない基準である、こういう考え方の基準からこの三つの基準がきめられた、こう解してよろしいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この三つの基準、つまり、核弾頭ということをはじめ具体的に了解は成立しておりますが、こういうところが事前協議の対象になるということがいわゆる、先ほどから御議論が出ているところの歯どめ論にもなる、通ずる考え方ではないか、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 もしこの基準より下回るものであって、国益に反するものが来ることも、私は決して不可能ではない、あり得ると思うのですが、その場合はどうなりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも先般もお答えいたしたのでありますが、たとえば昭和三十九年に原子力潜水艦の寄港ということが求められました。これは実は原子力を推進力とする艦船でございますから、核を載せていないという限りにおきましてはこの事前協議の対象にはならないわけでございます。しかし、日本国民の原子力というものに対する一つのセンチメントと申しましょうか、そういうことも十分考慮いたしまして、その当時、日米間で折衝があり、そして日付は忘れましたが、エード・メモワールの交換に入り、そうして安全審査等のことを十分やることにして、そうして今日このことが行なわれておる、かようなわけでございますから、この種の問題については、一番大切なところは条約に根拠を置いた取りきめで十分押さえてあるし、また、お話しのように、それ以上というのか以外というのか、あるいはそれ以内というのかわかりませんが、こういう種類の問題につきましても十分協議をいたしまして、また、政府としてとるべき十分の措置をとって国民にできるだけの安心を与えたい、こういうことでやってきておりますこの事実なり経過なりというものが、私は日本政府の態度を明らかにしているのではなかろうか、したがって、また国民にも御安心を願えるのではなかろうかと、私はさように信じております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、この事前協議は日本には発議権があるのかどうか、これも前々からいろいろ議論になっておりますが、重ねてお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもかねがね御論議のあるところでございますが、第六条の事前協議というのは、日本が安保条約によりましてアメリカに対して基地の使用を許しておる、これが第一段であります。許されたところのアメリカが、法律的に言えば、本来ならばその使用が自由になる。しかし、それではいかぬというので、かくかくの場合は事前協議をしなければいけませんよということをアメリカに義務づけているわけであります。したがって、法律的に言えばアメリカ側がイニシアチブをとって事前協議をするというのが本来の法律論から言えば私は趣旨であると思います。そのことは、条文上の事前協議の主題にする云々の表現から見ましても私は明らかであると思います。これが私は筋論だと思います。しかし、第四条に「随時協議」ということも規定してございますし、何らかの必要、あるいはさらに一そうの安心感を求めるために日本側がアメリカに対して積極的に申し入れをするということはもちろん安保条約上できることであります。これは条約論から申しましても、第四条の随時協議というものでさらにこれが補強されてあると私は解しております。したがいまして、狭義の法律論から言えばイニシアチブはどっちにあるか、アメリカにあるのか日本にはないのかというような狭義の法律論が一つの論議の対象にはなりましょうけれども、安保条約全体、並びに第四条の随時協議というものも合わせた構成の安保条約から言えばイニシアチブはこちらにもある、こう解するのが私は妥当であると、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それでは確認をしますけれども、第六条では日本のイニシアチブはないと、しかし、第四条があるので、両方を勘案した上で日本にも十分イニシアチブはあると、こうとってよろしいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いまも申しましたように、第六条の事前協議の文章等を狭義に解釈して、ただそれだけの問題とすれば、法理論の筋から言えば、アメリカにしかイニシアチブはない。なぜかといえば、こちらはアメリカに義務を負わしておるのでありますから、義務を履行するのは向こうなんですから、向こうが申し出るというのがあたりまえなんです。ですから、狭い意味の法理論から言って、イエスかノーかと言われれば、イニシアチブはアメリカにしかないと、こう言わざるを得ないと思いますが、しかし、これは安保条約全体の運用、ことに第四条というものと合わせた構成になっておりますから、そういう意味で、実体論として日本にはそういう場合にイニシアチブはないかと言われればあると、こう申し上げるのが正しい解釈であり、また、そう運営すべきものと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 もし、アメリカがこの事前協議の対象になる範囲を越えて、もし向こうが何も言ってこなかった場合には、その場合は第四条でアメリカに対して抗議をするのか、それとも六条に違反しているではないか、六条の違反ということでアメリカに抗議をするのか、どちらですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約違反でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いままで、先ほども言われましたけれども、原潜の問題あるいはエンタープライズの問題、さらにB52――横田にも来たことがあります。こういう問題等については、事前協議は一度も発動されなかったわけです。それに対して、では国民に不安を与えるからというので、第四条でもってアメリカと協議をいままでしてきたかどうか、その点をお伺いします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 従来、今日に至りますまで、安保条約に基づく事前協議が日本側に対してなされたことはございません。しかし、先ほども例を申し上げましたように、これはさような事態が起こらなかったから、アメリカとして必要とするようなことが起こらなかったから、日本に対して協議をする必要が起こらなかったからであります。そこで、先ほど申しましたように、あなたのおっしゃるその事前協議以上だか、以内だか、おことばの意味がよくわかりませんが、たとえば原子力潜水艦の例を引いたわけでございますが、これは本来事前協議の対象でもない、あるいは法律的に言えば四条の随時協議でないかもしれませんが、実際上、それ以上に――安保条約で予想することよりも以上に日米間の実際上の話し合いということは行なわれております。また、そういうことは政府としては、日本国民が心配なしに、あるいは心配を少なくし、あるいは積極的に安保条約の履行に対して協力を快くするという意味におきまして、今後とも十分配慮していくべきものである、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 重ねて聞きますけれども、いま原潜の問題を引き合いに出されましたが、この原潜の問題で協議をされたのは四条でされたのではないわけですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ、いわば四条以前の問題と申し上げたらいいかもしれません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 原潜寄港がどうして四条以前の問題になったのかどうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、私は、事前協議ということを中心にお尋ねですから、そういう角度からお答えしておるので、これは事前協議の対象にならないような問題でも、実際上協議というか、向こうも申し入れをし、こちらもそれに応じて話し合いをし、そうしてそれがエード・メモワールという形になっておる。このことは、条約の精神から言えば、もちろん安保条約の精神に沿うものであると思いますけれども、双方の了解、合意というものが条約の精神によって日米間の協力関係というものが設定されている、こういうふうに御理解いただくということが一番妥当かと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 どうもあまり外務大臣と議論がかみ合わないですけれども、原潜の問題が少し出ましたので、ちょっと原潜の問題に入りますけれども、安保条約適用以前だと、しかし国民が非常に不安に思うから協議をしたと言われますけれども、この原潜の安全性という問題については、それでは、これは科学技術庁長官にお伺いしますが、どのように考えておられますか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 安全性の問題につきましては、いま外務大臣からお話がありましたように、これが原子力委員会に対し意見を徴されました。これはだいぶ過去の記録になりますが、それをもって御説明申し上げたいと思うのですが、三十八年に原子力潜水艦が初めて入ってまいります、そういう申し入れがあったときに、この原子力潜水艦自体は、御案内のように、国際的に特別な地位を持っておりますので、私どものほうといたしまして、内地の艦船その他原子力の規制法によって取り締まるような措置をすることはできないことは御案内のとおりです。しかしながら、国民は非常にやはり不安を持ちまするものですから、原子力委員会におきましては問い合わせられましたので、三十八年の二月二十四日に、寄港を認めようとする場合には安全性について保障をとりつける必要がある、こういう見解を原子力委員会は表明いたしております。それに基づきまして、外務省におきましてアメリカ当局といろいろ往復をされまして、その結果、先ほどもちょっとお触れになりましたが、アメリカのほうから三十九年ですかに口上書及び声明書が得られたのであります。それに基づいて、それを検討した結果、原子力委員会におきましては翌年の三十九年の八月二十六日に、これらの内容が、   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 そのとおり確保されるならば安全上支障はないものと判断する、こういう旨の見解を表明いたしております。しかしその後、昨年の五月にソードフィッシュ号が佐世保に入りました際に、ちょっと、ごく短時間ですけれども、海水の一つのモニタリングに多少異常値が出ましたものですから、それにつきまして、さらに外務省とアメリカ当局と交渉していただきまして、いわゆる三木・ジョンソンメモというものができたわけです。それを検討いたしまして、原子力委員会におきましてはこれを慎重に検討いたしました結果、米側から、一次冷却水を通常の場合艦外に放出しない等の約束が得られた。さらに科学技術庁といたしましては、これに伴いまして四十三年に、原子力軍艦放射能調査指針大綱、こういうものをきめまして、そして原子力が入ってきた場合の放射能の監視をする、それで万全の措置を講じておりまするので、今日は原子力潜水艦が入ってまいりましても安全性には問題がない、かように考えている次第であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 原潜の安全性を論ずる場合は、廃棄物だけではなくて、原子炉自体を私は検討しなければならない、一つは。もう一つは、サブロックの搭載、核ミサイルを積んでいるかどうか、それから廃棄物、この三つであると思いますけれども、一番大もとになる原子炉自体の安全性は、この原潜については他の原子力商船と比べて、絶対同じように安全であると、こういう判定をどういう根拠で下されたか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 先ほども申し上げましたように、この原子力潜水艦の国際法上の特殊な地位に対しまして、私どものほうで立ち入ってこれを検査したり、いろいろなことを調べるわけにはまいりません。しかし、原子力の動力炉も商船のものとあまり大幅な変化はないものと思います。いわゆる加圧水式といいますか、外へガスの出ないような様式によっておるものと思いまして、これにつきましては、アメリカにおきましても国際放射能の防護委員会といいますか、そういう機関の標準に従って、厳正にこれを守って安全性を保持している、かように考えておりまするので、私どもといたしましては、また原子力委員会におきましては、先ほど申しましたように、アメリカのほうの申し出がそのとおり守られるならば、これは安全性に支障はない、かように考えておる次第であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 原子力商船の原子炉と、それから原潜の原子炉とそう違わないと、このように言われましたけれども、これは大きな差があるといわれておるのですが、もちろん向こうの軍のことは調べられないかもわかりませんが、いろいろ出されておる書物から判定いたしましても、原子力潜水艦にたまる死の灰というものは、非常に原子力商船と比べて多いわけです。といいますのは、原子力潜水艦というのは非常に小さい。商船は大きいがゆえに安全性をある程度保つだけの余裕があるわけですが、潜水艦は非常に小さい。そういう点で相当死の灰のたまりというものは早いので、非常に問題とされておりますが、その点の検討というものはされたのでしょうか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、先ほど申しましたように、私どものほうは別に立ち入って検査をするわけにはまいりませんけれども、原子力委員会におきまして、先ほど申しましたように詳細に調査をいたしました結果、これは安全である、これは守る、さっき申しましたアメリカの口上書及び声明書のとおりであるならばこれは安全であると、こういう結論を出しました。特別の専門家の方々がそういう結論を出されましたので、私もさように信じております。それから今日まで、原子力潜水艦が二十八回佐世保、横須賀に入っておりまするけれども、その間におきまして、まずアメリカのほうの言ったとおりに守られておるものと、かように思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、二十八回の寄港でアメリカの声明というか口上書というものはちゃんと守られておると、このように言われておりますけれども、それではお伺いしますけれども、この間からいろいろ問題になったソードフィッシュあるいは最近のハドック、これはアメリカの口上書あるいはジョンソン・三木覚え書き等も私は守られていないと、このように判定をしたいのですが、いかがですか。特にこの沖繩の場合、コバルト60が相当検出をされましたけれども、これは明らかにアメリカ政府の声明書には反しておると思うのですが、その点も加えてお伺いしたいと思います。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 二十八回入りましたけれども、その間におきましては、特別に放射能の異常はありませんでした。今回のハドック号の入港の際におきましても、レーダーによるものはありました。それからまたイリジウムによるものがありましたけれども、冷却水によるものはない、こういう報告になっております。それからソードフィッシュのときにおきましては、ごく短時間に、さっきも申しましたように一つのモニタリングボートに多少の高い数値が出ましたけれども、それにつきましてはまだ結論を得ておりません。わがほうの専門家の方々とアメリカのほうとの意見が多少食い違っておりまして、その点はまだはっきりいたしておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 沖繩はどうですか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 沖繩のことにつきましては、私のほうで直接担当はいたしておらないのであります。おらないのでありまするけれども、米側の発表したところによりますと、多少のあれはありましたけれども、これは人体に非常な影響を及ぼすような数値ではないということを聞いております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 沖繩では明らかにコバルト60が検出されたわけです。たとえ人体に異常がなかった、そういう判定であったとしても、このアメリカ政府の声明書というものの中には、「外国の港における米原子力艦の運航は周辺の一般的なバックグラウンド放射能に測定し得る程度の増加をもたらすような放出水その他の廃棄物は、軍艦から排出されない。」と、こうなっているわけです。「排出されない。」というこの声明書には、たとえ少しでも沖繩で出された場合は、守ってない。先ほど米政府はちゃんとこれを守っておるから心配ないと言われましたけれども、そういうことには私はならないと思いますが、やはり心配があると、こういうふうに私は判定するんですが、いかがですか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) いまの口上書の解釈の問題ですけれども、これは非常に専門的になってくるようでありまするので、もし御要求がありますれば、政府委員から説明させたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私も、専門的な知識は別といたしまして、沖繩の場合におきまするやり方といいますか、経過はこういうふうになっております。日本側に対してアメリカが約束した事項、これは覚え書きの形やエードメモワールの形がございますが、そういう日本の寄港の場合に行なうところの基準により、またやり方によって、沖繩の港に寄港した場合には、それによってアメリカ側がやりますということは、日本側に対する約束ということばが適当かどうかわかりませんが、自主的に約束をいたしております。  それからもう一つは、現在沖繩における放射能等の調査については、米琉共同の調査ということになっておりまして、御承知のように、たとえば海底のどろの採取したものなどは、アメリカとしてはアラバマ州の世界最大の研究所に持っていって安全審査をしている。この結果がかくかくであるということでやっておるわけでございます。ただ、別の角度から申しますと、沖繩県民の人たちはそれだけでは安心できない、これがかねがねの問題で、私もその後、この間に入りまして一つの提案として、沖繩の人たちに事実を理解させるためには、日本の安全審査の最高の権威者を何らかの形で加えることが必要じゃないだろうか、そういうきめのこまかい、実際上は日本も参加した米琉日とでも申しましょうか、そこで十分安全審査をすることが望ましいということで、こちらから提案をいたしております。アメリカ政府としては、これを前向きに取り上げるということを約しておりますが、その後の詳細なことについては、あるいは総務長官から御答弁いただいたほうが適当かと思います。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) ただいま外務大臣からお答え申し上げましたように、県民の原潜に対する不安を除去するために、信頼のできる、安心のできる検査をいたすことが適切であろうという意味におきまして、日米琉の、一緒になって検査をするという方式を提案いたしております。地元琉球政府に対しましても、今後合同調査にあたりましては、日本の専門技術官を加えて調査してもらうようにアメリカ側のほうへ申し込むように、そうして共同調査が実施できますように、連絡をとっておるのでありまして、いずれ琉球政府から共同調査の申請に日本の技術官を加えるという提案がなされることと思っております。まだ到着してまいりませんが、そういう要望が到着いたしました際におきましては、本土側といたしましても、信頼のできる技術官を派遣いたしまして、十分な協力をさせるかまえであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 原子力潜水艦の原子炉については、まあ原子物理の権威者であるテラー博士でさえも、この種の移動する原子炉は本質的に危険なものと考えるべきであると、このように言われておりますが、このテラー博士のことばを科学技術庁長官はどうお考えなんですか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) いまお話でありまするけれども、私のほうといたしましては、私どもの最高の権威機関である原子力委員会に諮問いたしまして、そして原子力委員会で、先ほど申し上げましたような結論に到達いたしておりますので、私はそれを信じておる次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ、原子力委員会がだいじょうぶだからだいじょうぶだと言われますけれども、この原子力委員会も、実際原潜の構造は調べてないわけです。たとえ事実調べなくても、先ほどから言っておりますようにいろんなアメリカの軍から出ておる書物で、ある程度の原子炉の状況もわかるわけです。そうしますと、やはり原子力商船と比べた場合に非常に危険であると、こういうことが私は実証されると思うのですが、どうしても政府はそれを危険だとは思われないわけでありますが、外務大臣にお伺いしますが、デンマークにおいては、サバンナ号に対しては非常に歓迎をした、しかし原子力潜水艦については拒否をしているわけです。日本の政府はどうしてデンマークのような態度をとれないのかどうかお伺いしたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ、日本の立場、日本政府の考え方というものは、あらゆる機会に明らかにされておると私は信ずるわけでございますが、まあスエーデンにはスエーデンのものの考え方があろうと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 デンマーク。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 失礼いたしました。デンマークにはデンマークのものの考え方があろうと思います。デンマークの態度について私は注釈を申し上げるのもいかがと思います。日本といたしましては、現体制が最も国益に沿うものである、かように私は確信いたしております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、問題となるサブロックの搭載でありますけれども、これはいままで全然確認をされてないわけです。で、この科学技術庁からの資料の中にも、核ミサイルは搭載せずと必ず書いてあるわけでありますけれども、これはどういう、アメリカから最初に通告があって、それをそのまま信じて積んでいない、こう言われるのですか、どういう機関から、どういうルートで、こういうふうな積んでいないということを確認をされたのですか、外務省でもけっこうですが。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) 先生御存じのように、昭和三十九年のエードメモワールの冒頭に、事前協議にかかわる事項に関しては、日本政府の意に反して行動することはない、ということがございまして、その後原子力による、原子力潜水艦じゃなくて水上艦艇でございますが、これに関する話し合いのときにも、同じような確認を念のためにいたしております。ここからいたしまして、核兵器を積んだ軍艦が入る、積んで入れる場合には、向こうから事前協議をしてくるということでございまして、その間のつまり安保条約六条に基づく交換公文からしまして、積んでおる場合には事前協議する、で、現在入っておりますものについては入っていない、こう見ております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまのお話だと、もし積んでいる場合は、事前協議の対象になるのでアメリカから何か言ってくる。何にも言わないで、ただ潜水艦が寄港するという通告があった場合は、もう積んでいないとこちらがきめると、こう考えてよろしいですか、外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございまして、先ほどお話もございました、またるる私も御説明いたしましたが、安保条約の内容等から申しまして、もしさようなことが万々一にでもあろうものならば、これは条約の違反でございます。さようなことはあり得ざることであると私は確信をいたしております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ確信をされておりますけれども、一九六三年の二月以降につくられる攻撃型原子力潜水艦には全艦サブロックを搭載すると、こういうことをアメリカの国防省が言ったということが、昭和三十八年の六月六日の参議院の外務委員会で問題になりまして、それについては政府委員のほうもアメリカ国防省がそういうふうに言っておるということは聞いておると、こういうふうにお答えになっておるわけでありますが、一九六三年以降にできた船で、日本に寄港した潜水艦はどれとどれとどれであるか、お答え願います。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) ただいま私、手元に資料がございませんので、防衛庁とも相談いたしまして後刻御返事いたします。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 これは、すでに質問を通告してあったんですが、どうして資料が出ないんでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私も御要求の資料は全部目を通しておるつもりでございますが、外務省についてはさようなお尋ねがなかったように聞いております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 質問要旨は相当詳しく書いて出しました。ところが外務省のほうから直接にはお見えになりませんでしたので、私こまかくは言いませんでしたけれども、あの内容からは、当然これは外務省として私は調べられるべきだったと思います。資料が出る前に、私の調べました資料から言いますと、四つの型の原潜が一九六三年以降動いております。すなわち、それで日本へ来たのはフラッシャー、ハドック、クイーンフィッシュ、バーブ、この四つの原潜がこれに該当するわけです。これは全部スレッシャー型です。アメリカの国防省からの資料によりますと、この四つの原潜には核ミサイルが当然積まれておると、こう疑うべきであると私は思うんですが、その点はいかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) お疑いになれば私はきりがないと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、両国が条約に基づいて確たる約束をいたしておるのでありますから、私は兵器の専門の知識はございませんが、ほかの場合でも、たとえば核弾頭をつけ得るものというものもあり得るかと思います。そういうものが入る場合におきましても、これは核弾頭をはずして入るということであるならば、これはまた話は別になる。同様のことではないでしょうか。要するに、これは私どもとしては安保条約の義務が完全に履行されているものと、かように確信をして申し上げる以外にございません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 さっきのお話だと、事前協議にかけてこない場合は積んでいない、そう信ずる。それだけのことなんですね。だから、こういうふうなことがわかっておった場合に、フラッシャーとかハドック、クイーンフィッシュ、バーブという型にはこれは積まれているんじゃないか。もう一回アメリカに問い合わせをする、間違いなく積んでいない、どこの港ではずしたんだ、これくらいは私は、先ほどからいろいろ第四条も言われておるわけですから、聞いてもよいんじゃないか。そうすれば国民はもっと安心する、こう思うんですが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本政府としては、さようなことはあり得ないと、かように私は――日米安保条約は従来完全に条約どおり双方履行されている、こういう確信の上に立っておりますから、御意見は御意見として承っておくことにいたします。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、日米安保条約を結ばれている以上は、とにかくアメリカの善意を信ずる、事前協議という問題も信ずるだけしかなくなってくるんですけれども、そんなものでいいのかどうか。外務大臣いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあそう思われてしまえば、どんなことでも疑いがあればとことんまで納得しなければという、ものの考え方もございましょうが、私どもとしては相互信頼の関係に立っておって、こういう条約が結ばれておる。しかも、過去において私は円滑にその目的を発揮しておると思います。かような場合において、いまの御意見はせっかくの御意見でございますけれども、私としては承りおくことだけにいたしたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまのような政府の態度であれば、もしかりに、沖繩に――今後返還に伴ってまた日本政府としては、たびたび総理も沖繩の核基地ははっきり自分の目では確認してないと、こうおっしゃいますので、核はございませんよ、はずしてあるのだ、そう言われて帰ってきて、それも日米の信義の上から信ずるのだ。こうなれば、容易に沖繩に核が持ち込まれるし、何でもできると、こういうふうになってくるのですが、その点いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大事なことですが、これはしかし基本的には相互の信頼があって、はじめて条約ができる、ことに日米安全保障条約のような条約は、基本的に相互信頼がなければもうできるものではございません。したがって、これが当方では全幅的な信頼を置いておる、こういうような言い方におとりになると、もっと日本の国益を守るためには時には疑ってみるのも当然ではないか、こう言われるだろうと思いますが、おそらく全部が全面的に信頼の上に立っている、そうすると相互に条約が守られる、そういうことで一応のものは通ると、しかしさらに、いま言われるような点が疑念を持てば、そういうものについてはこちらが確かめざるを得ない、幾ら信頼だからと言っても、基本の問題についてはさらにそれを確かめることに、これはやぶさかではございません。その場合に第四条か第六条か、こういう問題でなしに、いわゆる条約以前の問題としても、相互に完全に意思が疎通し、そうして完全な信頼の上に立って、はじめてこの条約は運用ができるのだと、かように私は思っております。したがいまして、いまのような点について疑問があれば、われわれは尋ねるのにやぶさかではございません。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 ただしかし、いままでのところ私どもは一応いま言われましたサブロックというようなものが、搭載し得る、かようには思っておりますが、搭載はしてない。搭載し得るのだけれども搭載してない、こういうことがあるのじゃないだろうか。したがって先ほど来の外務大臣の答弁にもなる、かように思います。しかし、いずれにいたしましても、ただいまのような点を御心配なら、われわれは政府の責任においてそういう点はさらに確かめていく、このことが望ましいことだろうと思います。決してこの条約が相互の信頼――権利義務だけででき上がっているのではない、相互の信頼があって、はじめてこの条約ができるので、この前提を、その基礎を十分理解していただいて――これからどの条文で今度は聞くのか、ここまではお尋ねにならなくても、必要があればわれわれがわれわれの意見を申し出る、そうして話し合う、これにやぶさかではございません。この点ははっきり申し上げておきます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまの総理の話だと、今後原潜にしろ、あるいはB52にしろ、あるいは核はもちろんこれは大きな問題ですが、そういうものが沖繩返還後もいろいろ寄港とかB52がやってくるとか、そういった場合は、事前協議とか、そういう基準とか、そういうことは別として、国民に不安のあるようなものであれば、アメリカに忠告もするし、あるいは拒否もするし、あるいは相談もする、こうとってよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 原潜の問題で、ついでにお伺いしておきたいのですが、日本は世界で一番最初に原爆を受けた国であります。唯一の被爆国でありますので、やはり放射能問題にはかなり神経質であってもよいと私は思います。したがいまして、放射性物質の海洋投棄に関する条約というものが検討されておりますけれども、私は、日本の国がこれを提案することが非常に好ましいと考えるんですが、その点総理はいかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いまお話のございましたような点、その他のいろいろの点におきまして私は、日本の考え方、国民の考え方というものを十分体しまして、そういう問題につきましては積極的にまず検討いたしたいと思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 それから科学技術庁長官は、この間放射能専門会議のようなものを設けると、こういうように言われましたが、具体的な方向はきまっておるんでしょうか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(木内四郎君) 私は専門家の会議を設けるということを申し上げたわけではございませんけれども、このレーダーの関係、その他いろいろなことがございまするので、専門家の方々の意見をひとつ徴してその問題に対処しよう、かように思ったわけであります。そこで、その問題が起こりまして以来、専門家の協力につきましては専門家六名の方々にお願いしまして二月二十六日、三月一日と、この二回にわたりましてお集まり願いまして、そうしてレーダーの影響その原因――それに対してどういうふうに対処したらいいか、こういうことをひとつ研究してもらっておるわけでありまして、それによって結論を得ますれば、できるだけの対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 外交問題はこれで終わりまして、次に公害問題に移りますが、厚生大臣にお伺いしますが、四十四年度の予算における公害対策費は、現在の日本で起こっておるあらゆる公害問題を解決するのに、四十四年度としては十分な予算が組まれたとお考えになっておりますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 必ずしもこれで十分とは言い切れませんけれども、本年度の事業計画といたしましては、まずまずこれでよかろうかと、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 公害監視測定体制、これの強化がうたわれておりますけれども、これはいつどのように、どういうような方法で強化をされるんですか。今年度の予算ではもっと強化される予定がかなり後退したと聞いておりますが、その点はいかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 公害の監視測定体制は、御承知のように数年前より相当この体制を強化しつつありまして、騒音とかあるいは河川の汚濁等につきましても、ある程度のことはやってまいりました。また空気の汚染の問題につきましても、御承知のように各自治体におきまして監視体制をつくってまいった次第でございますが、国の監視網といたしましても、たしか九カ所国の監視網をしいたわけでありますが、来年はさらに二カ所増す予定をいたしておりまするし、また自治体に対する監視の諸機具等の助成も前年度より多くいたしまして、すでに前年までに完成をいたしたところ、あるいは設備をいたしたところのほかに、さらに今年これを新たに強化をさしていきたいと、かように考えている次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 CO計とレコーダーつき騒音計、これによる監視網づくりがかなり計画されておったのを大幅に削減された、こういうように予算でなっておりますけれども、これはどういう理由ですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 大幅にというわけではございませんが、COの計測機、その他いまあげられました面も前年までに相当整備をいたしまして、本年もさらにそれに加えて若干整備をいたすようになったわけでございまして、まあこの程度であるならば、まずまず満足すべきであろうか、かように思っておるわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 厚生大臣はまずまず満足ばかり言われておりますけれども、この一酸化炭素の問題、それからあるいは騒音の問題は人口の都市化あるいは産業の発展に伴って非常に大事な問題になっている。したがいまして最初の予定では人口五十万以上の大都市に二年間計画でつくる、こういう計画が四十四年度は主要な都道府県にとどめられてしまった、このように聞いておりますけれども、いままずまずと言われましたけれども、こういうものをやはり強化していくことが、私は日本の現在、国として急務であると思うんですけれども、厚生大臣はそれでまずまずと、かように満足されておっては私は困ると思うんですが、本年度で強化できなければ、来年度は問題のある全府県にがっちりとした体制をつくられるというお考えがあるかどうか、この点をお伺いしておきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) COにつきましては、本年一月の末からCOの環境基準をつくりますために、いま専門の委員会で検討をしてもらっているわけでございます。おそらくこの秋には環境基準がつくれるであろうか、かように考えます。それに応じまして、環境基準を達成するための措置といたしまして、来年度は必要な経費に一そう考えをいたしたい、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 公害課の増員が削減された、あるいは保健所の公害担当官が三十三カ所にとどめられた。こうやってせっかく公害に対して厚生省が積極的な姿勢を示そうとしておるのに、予算で相当削られたという点で、やはり公害対策に対して支障が出てくる、こう思うんですが、厚生大臣はどうしてこの辺で納得されたんですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 厚生省の公害に必要な要員に関しましては、一般職員の定員を増さないという方針で、省内でやりくりをいたしたい。また総定員法の中でやりくりをいたして、その要員の充足をはかりたい、かように考えております。また主要府県の保健所に公害関係の専門の職員を設置いたすことを考えております。三十三カ所でありますか、その予算もとれたわけでありますが、そこで、そういった公害関係の専門の職員を養成するということに本年は主眼を置いておるわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 増員はしなくても、中でやりくりしてできるとかおっしゃいますけれども、やはりこれにはかなりの技術員も要ることですし、ただやりくりだけでは十分なことはできないんではないか。総定員法とか言われますけれども、防衛庁では自衛官を六千人増員するということなどから比べたならば、非常に少ない人数でも十分公害対策に対処できる体制をつくれるのですけれども、こういうような残念な状態に終わったことは、私は、やっぱり厚生大臣の主張が非常に弱かったのじゃないかと、こう思うんですが、その点、いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 弱かったとおしかりを受ければ、あるいは甘んじて受けなければならぬかもわかりませんが、公害関係の一般予算は、前年度に比べまして二七%増加をいたしておりまするし、また、御承知のように、公害防止事業団でやります事業量は前年のほぼ倍額、百六十億の事業量をこの予算で認めていただけることに相なるわけでございます。御了承をいただきたいと存じます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 大蔵大臣にお伺いしますが、総理も人間尊重ということをやかましく言われておるわけです。したがって、予算の中でやはり公害の占める割合というのは年々ふえていかなきゃならないと思いますし、まあ、いま大臣が言われたように、少しはふえてはきておりますけれども、いまの日本の国に起こっておる公害に対処するに、私は、まだまだ不十分な予算であったと、四 年については、こう思うんですが、大蔵大臣はどのようなお考えのもとにこの程度にとどめられたのか、お伺いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公害問題は、これは政府が取り組んでいる最大の問題の一つであります。したがって、財政でもこれに非常に重点を置いておるわけでございますが、何ぶんにも、これは新しい問題でありまするから、先ほどから御指摘のように、これを、予算をこなす要員の問題とか、そういうふうなこともあり、予算の額は少額です。しかし、非常に重点を置いておりますのは、予算ばかりじゃない。ただいまもお話がありましたが、財政投融資のほうでも積極的にこの問題と取り組んでおる。また、今度審議をお願いしておる税の問題ですね、公害の施設をなし遂げました企業に対しまして特別償却を認めると、こういう制度を創設いたしましたり、あらゆる努力をいたしているわけであります。  厚生大臣が弱いの強いのというお話でありますが、厚生大臣からお答えにくいと思いますが、非常にこの問題には熱心で、強く御要請があったということをお答え申し上げます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 自治大臣と大蔵大臣、両方にお伺いしたいんですが、いろいろ各地に起こっておる公害に対して、国よりも、むしろ地方のほうがかなりお金をつぎ込んでやっておるわけです。したがいまして、県によっては相当それが大きな負担となってくる。それに対して特別交付税というものが処置されておりますけれども、はたしてそれで十分地方の公害対策をまかなう上に足りておるかどうか、まず、自治大臣からお伺いしたい。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) お話のように、公害対策の推進には相当地方公共団体が費用を要しております。そこで、自治省といたしましては、公害が地域住民に与えるいわゆる被害を非常に重視いたしまして、事務費とか、あるいは特別の測定器を備えたり、その他の費用につきまして、共通のことは大体普通の交付税でいたしておる。また、特殊な設備その他をしておる場合がありますから、これは特別交付税を充てております。さらに、どうしても必要というときは、起債を認めてこれに充当するという、できるだけの財政措置をいたしております。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま自治大臣からお答えがありましたとおりに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 厚生大臣にお伺いしますが、公害紛争処理法案から基地公害を除いたことが問題になっておりますけれども、この理由についてお伺いいたします。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 公害対策基本法第二十一条によりまするところの公害の紛争処理に関して新しい提案をいたしまして、お手元に御審議を願っておる次第でありまするが、ただいま、この公害紛争処理法案から基地公害を除いているのじゃないかというお話でありまするが、そうではなくして、この法律におきましても、一般産業公害あるいは都市公害合わせまして、基地から生ずるところの障害も含んで処理いたしたいと考えておる次第であります。ただ、具体的の処置の方法といたしまして、産業公害、都市公害と異なりました具体的の措置方法をとったのでありまして、したがって、これを、「別に法律で定めるところによる。」と書いてあるわけであります。  で、どういうわけでもってそういう別の取り扱いをしたかと申しますと、一般公害等に対しましては、都道府県にありまするところの審査会、また中央におけるところの審査委員会でもってこれを紛争処理の形においていたすのでありまするが、防衛施設にかかわるところのいわゆる障害に対しましては、その形態が多少異なっておりまするのと、その原因となりまするところの自衛隊等の行為の特殊性から見まして、一般の産業公害と同じように取り扱うことは不適当であるというふうに考えたことが第一点であります。  第二に、政府におきましては、すでに防衛施設周辺の整備等に関する法律というものを定めまして、いわゆる基地の障害、基地の公害と申しますか、いわゆる基地の障害に関しましては、すでに一般民間公害と比べまして、すでに手厚いところの、いわゆる民生安定、補償等の方法を講じまして、今日その実績をあげておる点が第二点。  なお、いわゆる紛争処理的な考え方に対しましては、損失補償につきましては異議の申し立て等の制度を設けております。今日まで円満な解決につとめてまいっておるのであります。  さような理由におきまして、この解決方法を別の形において処理することにいたしのであります。当然、法律といたしましては、この両者合わせまして、紛争処理と申しますか、障害の解決に当たった次第であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 確認しますけれども、一応その整備法でやって、まあ異議申し立てばやれる、もしそれで紛争になった場合、この紛争処理法案にかかってその処理がされるのか、それとも、この紛争処理については、もうすぐ裁判という方向へ持っていくのか、その点はどっちですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 基地に関係するところの障害に対しましては、この周辺整備法によりまして処置してまいりますので、したがって、これが紛争処理の委員会のほうにかかることはありません。直接裁判機関のほうにまいることになります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、先ほど、除いていないのだと、この中に含まれるのだと、合わせて処理をしたいと言われたのとは、ちょっと……。いま、もしもめた場合の処理であれば、これは紛争処理はかからないで、直接裁判になると言われましたが、この紛争処理法案というのは基地周辺については適用されないということになると思うのですが、この点いかがですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) その処理の方法等におきましては、一般産業公害とは異なっておる。しかし、先ほど申し上げましたように、自衛隊等の施設に対しましては特殊性がありますので、その特殊性に基づきまして処理の方法が変わっておる、なお、現実において自衛隊関係の障害に対しましては、すでに相当充実いたしました方法でもって、住民の被害と申しまするか、障害に対しましての措置を講じておる。これは実績があがっておる。産業方面と比べますと、著しくこの点は進んでおるわけであります。この現在やっておりますところの方法を一そう進めてまいりたい。なお、いわゆる紛争のありました際におきましては異議の申し立ての手段がありまして、救済手段もできておるわけでありまして、今日までのこの整備法の特色というものを十分発揮させることによって基地公害というものの解決ができるのではないか、かように考えておる次第であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、非常に充実をしていると言われましたが、それは、公共施設とか病院とか学校とか、そういうものはやられておると思うのです。それに限定されておるわけです。ところが、一般住民というものに対しては、この整備法というものは必ずしも十分とは言えない。むしろ除外をされておる。したがって、やはり一般の住民に対しては、ある程度、この紛争処理法案、せっかくできた法案ですから、中へ含めて、もし紛争があった場合は、やはり中央公害審査委員会にかけて、そして話し合いをする、ただし、立ち入り検査等ができない場合は、これは軍の機密ということでやむを得ないということにすれば、私はかけてもかまわないと、また、かけるべきである、審査委員会にかけるべきであると、このように思うのですが、その点、いかがですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど総務長官から説明申しましたように、自衛隊並びに在日米軍の行為は、わが国の安全のために必要不可欠のものでありまして、一般の企業公害とは、一般の企業活動とは、根本的に違う性格を持っております。  そこで、問題になるのは損害賠償事案でございまするが、その損害賠償事案に対しましては、これまた民間の企業の場合と違いまして、自衛隊等で起こる場合は適正な賠償を行なうことにつとめておりまして、このために、賠償問題をめぐっての紛争というのは、いままで生じた事例はほとんどないのですね。  そこで、残る問題は、損害賠償事案以外の民事上の紛争でございますが、その障害の原因となっている施設の移転とか、あるいは撤去とか、あるいは行為といいますか、行動の規制ということが要求される場合が考えられるのでございまするが、防衛施設の配置は、国防上の見地から、諸般の事情を配慮いたしまして決定されるものでありまして、その撤去とか移転等を第三者の機関の判断にゆだねることは、これは性格上どうも許しにくい。それからまた、その行為といいますか、行動の規制については、米軍にしましても、わが自衛隊にしましても、できるだけ国民の生活に障害を与えないような配慮はしていきますけれども、しかし、その行為の特殊性からしまして、規制できる範囲にもおのずから限界があります。かりにこれを要求されましても、そのとおり実施することは困難な事情にあるわけです。ことに、調停とか裁定を行なう者は、文書、物件等の提出、あるいは立ち入り検査等を行なわなければ公正な処理ができない場合がありますが、一般の企業とは違いまして、矢追さん自身も言われるように、防衛施設にはそのようなことが許されない場合があるわけです。そのような事情がありまするから、自衛隊あるいは在日米軍の関係におきましては、先ほども総務長官が言いましたように、防衛施設周辺整備法という実体法があります。そして、騒音の防止とか、あるいは障害の防止、また個々の人々に対する迷惑をかけておりますから、それを包括する意味において、民生安定施策といいますか、いわゆる生活環境の改善をやっておるわけです。また、基地周辺の人家の人々に対して、どうしても移転しなくちゃならぬというときには、これまた移転の方法を講じたり、また、補償等の措置を講じまして、生活環境の改善につとめまして、住民の健康につきましても可及的にその影響が少ないような措置を講じておるわけです。  それからまた、この実際の運用にあたりましては、大きな問題は、都道府県知事あるいは市町村長が地区住民の意思をいれまして、そして、御承知のとおり、防衛施設庁という特別の大きな外局がございますから、そこへいろいろと交渉しまして、実際上は市町村長とかあるいは府県知事が仲介的の役割りを果たして諸般の問題の解決に当たっておるというのが実情でございます。また、先ほど総務長官が言いましたように、自衛隊等の特別の行為によって生じたいわゆる事業経営上の特別の損失についても、またこれを補償することにいたしまして、その補償金額等について不服のあるものに対して異議の申し出の制度を設けまして、紛争の処理の迅速をはかっておるような次第であります。  いずれにしましても、これらの紛争にあたりましては、防衛施設庁という特別の機関がありまして、地区住民の陳情とか苦情等については、都道府県知事や市町村長がこれをとりまとめまして、それで防衛施設庁といろいろと話し合いまして、いわゆる地方の知事さんや市町村長が仲介、あっせんによって紛争を解決しておるというのが今日の現状でありまして、他の一般企業公害とは相当趣を異にしまして、われわれとしてはできるだけの措置をやって、まずまず、いままでは円満な解決で紛争の処理を片づけておる、こういう状態でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 基地公害は別だという総務長官の考えですが、公害対策基本法の定義の中には、「「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭」と、こうあるわけです。「事業活動その他」というのが入っていますから、これは別に基地公害を含めてもかまわないのじゃないかと思いますが、いかがですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) いわゆる基地公害と申しますか、基地に基づくところの障害に対しましては、その発生の原因が御承知のように特殊な事情がありますので、そうして、その特性に従いまして、処理の方法を、異なった処理方法によっていたすという考え方であります。したがって、その処理の方法のあり方を紛争処理法においてきめたのでありまして、これを除外しているわけではない。その処理の方法において特色のある処理方法を講じておるということを御了承いただきたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 時間がありませんので、厚生大臣に。カドミウムについての問題でありますが、神通川のイタイイタイ病につきましては昨年公害になりまして、その後、県においてもいろいろと施策を講じられて、かなりの効果をあげてきておりますが、肝心の紛争処理については、まだ裁判で結論が出ていない状態です。そのほか、その他の地域において、かなりカドミウムに対してのいろいろな問題がその後出てまいりました。その問題については必ずしも解決を見ていない。むしろ、いま問題となりつつある。一つは対馬、もう一つは群馬県の安中、この二つが、かなり大きなカドミウム汚染があるにもかかわらず、また、患者等も発生しておるにもかかわらず、まだ十分な手が打たれていない。そのほか、各地においてカドミウムが出てきておりますが、この群馬の安中、それから対馬については、厚生省としてはどのようにいままで処置をされてきたか、これからどういうようにされるか、お伺いしたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) 対馬、安中のカドミウム関係につきましては、昭和四十三年度におけるカドミウムによる環境保全調査の一環としまして専門の調査班による調査を行なってまいりました。調査班の調査対象といたしましては、水、どろ、水田、土壌、農作物中のカドミウムによる環境保全の調査分析を行なったのでございます。調査班は、現在、厚生大臣に対する報告書作成の段階でございまして、今月末にはその結果が公表できるであろうと、かように考えております。その結果によりまして、必要な手段を講じたいと考えております。  なお、群馬県におきましては、このいま申し上げました調査とは別個に、地域住民の健康診断を行なっておりまして、その健康診断の結果によって対策を立ててまいりたい。ただいまのところでは、人体に及ぼす影響は必ずしもあるとは断言できない程度であるというところでございますが、この健康診断をさらにずっと続けてまいりたい、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま、群馬の安中については人体に影響がある程度ではないと言われておりますが、これは私も実地にまだ調査に行っておりませんので、何とも言えませんけれども、いろいろな現地の人からの声を聞きますと、いろいろと障害が出てきておる。私は、このカドミウムについて申し上げたいんですが、必ずしも富山県のいわゆるイタイイタイ病と同じ症状をしない場合がかなりある、富山の場合であるからあのような病気になったと。しかし、カドミウムが何らかの影響を及ぼすことは、これは厚生省も公害と断定されたぐらいですから、その点は十分御承知だと思いますので、対馬あるいは群馬の安中、及び今後あるかもしれないカドミウムについての病気といいますか、公害というものについては、富山を基準にしてやられると私は困ると思うのですが、それに類似した症状、あるいはそれよりもっと程度が低くても、やはりカドミウムというものが、何らか、骨とかあるいは、特に骨でありますけれども、骨に影響を及ぼし、カルシウム代謝というものに影響を及ぼしていろいろな症状を来たす、必ずしも富山を基準にしてはならないと、このように思うんですが、この点について、厚生省がもし富山を基準にして、それ以下の症状であるとか、これとは全然別の病気であるから、カドミウムは関係ないんだと、こういうふうに言われると、私は、この病気になった人、あるいはからだの調子の悪い症状になった人は、かわいそうであると、このように思うんですが、その点、富山の病気をあくまでも基準にしないでやる、カドミウムと、それから現地における病気というものの関係を厚生省は探っていくべきである、このように思うんですが、その点いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) もちろん、矢追君のおっしゃいますとおりでございまして、富山のイタイイタイ病、それからいまのと、差別をつけることは毛頭考えておりません。イタイイタイ病は、御承知のように、カドミウムを相当体内にたくわえた魚等をたくさん食べたということから体内に沈潜してきたわけであります。安中のごときは、むしろ、農作物を通じてどの程度からだに影響を持ってくるであろうかという問題であります。したがって、そういった、からだに蓄積される手段、方法が違いますけれども、人体にあらわれる影響は、これは、富山であろうと、どこであろうと、同じような影響があらわれてまいれば、同じように取り扱ってまいらなければなりませんし、人体に少しでも影響があっては相ならぬ、かように考えまして、事前予防の見地から、ただいま、あるいは空中の測定をし、また、農作物に、あるいはまた土壌の中に包含されているであろうカドミウムを測定し、それから人体にどういう影響を持つであろうかということを検討いたしておるわけであります。人体には、まだ富山のような状態があらわれていないということを先ほど申し上げたのであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ちょっと私の質問は説明が足りなかったと思いますけれども、富山は、魚だけが原因じゃなくて、むしろ、水を飲むほうがおもな原因であったと私は思っておりますけれども、私が言ったのは、何も富山のイタイイタイ病と同じ症状でなければ公害に指定をしないという態度であってはいけないと、こういうことなんです。少しでもからだに影響があって、その主たる原因がカドミウムの汚染であるとすれば、公害と認定をされるべきであると、こういう態度で臨むべきであると、こういう意見です。それに対して、どうですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) よくわかりました。御趣旨の線に沿って十分検討してまいりたいと思います。長崎の対馬のほうは四月中に、群馬の安中のほうは五月中に健康診断の結果がわかるようでありますので、専門家の意見をよく聞きまして善処をいたしたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 通産大臣にお伺いしますが、公害の認定の場合、あるいは公害問題の場合は、しばしば通産省は、企業側に有利になるような、つまり企業側に対して肩を持つような発言とか、あるいはそういう見解というのが、たまにあるのであります。この間のイタイイタイ病のときも、私の考えとしては、通産省の見解というものは企業側の立場というふうに受け取ったわけでありますけれども、いま問題になっております対馬と安中につきましては、企業側に対して何らかの調査なりあるいは勧告なり、また、通産省としては何かこれに対して施策を講じられるおつもりはあるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 厚生大臣からお話がありましたように、四十三年は五十五ヵ所ほどの製錬所、鉱山を調査いたしまして、いままでのところ、排出基準を上回っているような含有数値は出ていないのでございますけれども、なお若干問題がある個所、大気中のカドミウム等について、鉱山監督局を中心に、いま検討をさせておるのでございます。  それから紛争の処理につきましては、いま厚生大臣からお話がございましたけれども、近く、いま御審議いただいております処理法案の精神で処理してまいらなければいかぬと思っております。私どもは、政府の立場でございまして、企業の立場ではないことは、くれぐれも誤りのないように御認識を賜わりたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 最後に、一言総理にお伺いしますが、この公害問題につきましてはいろいろと政府も施策を講じておられますけれども、何ぶんにも、現在の産業の発展あるいは都市の問題等について、まだまだ国民が十分と言えるような対策までは、ほど遠い状態である。騒音の問題排気ガスの問題あるいは大気汚染、これに対して、もっともっと私は政府として強力な体制をとっていただきたいと、このように思うわけですが、最後に総理の所信をお伺いして、私の質問を終わります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどから矢追君の公害につきましての質疑応答を謹聴したのでありますが、御承知のように、日本の公害対策というのはたいへんおくれておる。各方面に、まだまだ指摘すべき問題が幾つもあると思いますが、それを、ようやく一つの基本に取りついて、ことしから予算にも計上しておる、こういうところに来たのであります。したがいまして、御指摘にありましたように、幾多の問題をまだ持っておるのであります。もちろん、政府としては、この問題と取り組んで社会開発の一つの柱として対策を進めていかなければならぬ、かように思っております。先ほども、大蔵大臣珍しく、渋い大蔵大臣だが、この問題については、ただ財政的な問題だけではなしに、その他金融や税制等をもからみ合わせてこの問題と取り組む、この姿勢を示しております。また、地方自治体におきましても、この運用において地域住民の迷惑がかからないようにということを申しております。また、最も議論のありました基地公害等につきましても、政府の考えが、別な法律だが、しかし、それぞれの取り扱い方としては同じような気持ちでこの問題と取り組んでおります。このことの説明もございました。これはおわかりいただいただろうと思います。しかし、私は、とにかくまだ始まったばかりで、環境基準をつくるにしても各地においていろいろな問題がまだあると、これから法律を整備していく、その段階だと、かように思いますので、一そう勉強いたしますので、そういう意味でまた御鞭撻を賜わりたい。この種のものをもって十分だと、かように考えているわけではないということを、重ねて私からも申し上げて、御協力をお願いしたいと思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、矢追君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、中沢伊登子君の総括質疑を行ないます。中沢君。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 私は、まず初めに、物価問題について質問をいたしたいと思います。  物価は、昭和三十六年以来上昇を始めまして、一年の休みもなしに上がり続けて、政府は口では真剣に取り組みますということを繰り返し繰り返し言い続けてこられましたけれども、いまなお上がり続けて、恒常化をしてまいりました。しかも、それが五%以上もの大幅な上昇でありますが、どのように取り組んでこられましたか、一向に効果が見えませんが、どのような対策を講じられてきたか、具体的にお示しを願いたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 物価の問題につきましていかなる政策をとってきたかということについては、抽象的にいままでたびたびお答えしたのでありますが、具体的にという御質問がありましたから、少し長くなりますが、具体的にお答えしたいと思います。  なお、この物価という問題は、政府の経済政策のみならず、国民の経済活動の総結果として物価というものがあらわれてくるのでありますから、政府の政策ばかりで物価がきまるようにお考えになると間違いが生じやすいと思いますから、念のためにその点だけつけ加えておきたいと思います。  そこで、要するに、物価がずっと上がってきたということは、一口に言えば、日本の経済成長が急激であったということが原因だと思いますが、しかし、それをもう少し詳細に申し上げますと、問題は、科学技術発展の結果として新しい商品が出てきておる、したがって、われわれの需要が非常に多様化してきております。その需要の多様化してきておることに対して供給をいかにして合わすかというところに、やはり政府はいろいろ苦心をいたしておるのでありまして、たとえば、農業については総合農政政策をとりまして、食べるものが違ってきておる。そういうものに対して、新しい需要が起こってきたから、それに対して、そういうものをより多くつくるというような政策をとるとか、あるいは都市集中化にしたがいまして、いろいろとわれわれの生活が変わってまいります。したがって、そういう都市集中化によって生ずるところのわれわれの生活の必需品に対して、その供給を十分にするというようなこと、あるいはその流通関係を簡素化するというようなことも、その間に含まれておると思います。それから第三番目には、労働力の不足という問題、これは、経済が急激に発展したために、労力の不足というふうな問題が起こっておりますから、この労働体制の改善ということをやはりやらなければならない、この点をいろいろと政府は苦心をいたしておるのであります。それからなお、需要品が国内において生産ができない、足らないという場合には、海外から輸入してその価格を下げるということは、たとえば豚肉が不足したときに海外から豚肉を輸入するという方法をとっておりまして、これはいままでずっと政府がとっておる方策でありますが、しかし、これらの方策は地道なものでありますから、政府は何もしていないかのようにお考えになるかもしれませんが、政府はそれに対していろいろ苦心をいたしておるのであります。  それから第二番目には、生産性の低い生産部門の生産性を高めて、生産の格差をなくするということであります。その第一の問題は、農業構造の改善、これは、いままで、たとえば米の問題などでも、米が豊作になって、でき過ぎたということは、農業改善の一つのあらわれかと考えております。それからなお、中小企業の生産性が低いということで、中小企業についてはずいぶんたくさんの法律を出しております。中小企業を育成するために、ずいぶんたくさん、通産省のほう、あるいは農林省のほうから、いろいろ法律を出しております。それによって中小企業の振興をはかってきておるのであります。  第三番目には、競争条件を整備しまして、そうして営業価値を労使の間で分配せずして、これを価格の上に分配するということ、すなわち、売り値を安くするということでありまして、それについては独占禁止法を適用してやっていくとか、あるいはまた行政介入を再検討して行政指導をするというようなやり方を考えておるのであります。その点は、いずれも今日までやってきておる問題であります。  それから第四番目には、需要供給の均衡をはかって適正な経済の発展をはかるということが必要でありまして、それについては、財政金融上でいろいろ対策を講じております。たとえば、最近政府がとりました公債政策などもその一つのあらわれでありますし、あるいはまた、金利政策などもその一つのあらわれであります。それからまた、政府が長期的な観点から経済社会の発展計画を立てて、それによって大体国民の経済活動を指導して、政府の政策もその計画に従ってやっていくということにすれば、需要供給の関係が大体均衡を保つんじゃないかというようなことでやってきておるのであります。  そういうようなことをいろいろやってきておりますが、しかし、これらは地道なやり方でありますから、具体的にそれの効果というものは、そうにわかに出てこない。で、即効的に物価を下げようと思えば、デフレ政策をとればすぐ下がります。これは、ドイツが昭和四十一年にやって失敗したのでありまして、デフレ政策をとれば物価は下がりますが、失業者は出る、産業は衰えるというのでありまして、政府といたしましては、安定した経済を成長持続せしめるという政策をとっておる。同時に、あわせて物価を安定せしめるという、この二つの方策をとっておりますので、そこに政府としては非常な苦心をいたしておるのであります。  それから最近の問題といたしましては、物価は政府が主導しておるんじゃないかという、公共料金をどんどん上げておるから、したがって物価が上がっておるんじゃないかというように世間の人も考えておるのでありますからして、この際、物価というものは政府が主導してないということを国民に示す必要がある。それは公共料金を押えるということである。御承知のとおり、鉄道料金以外の公共料金は極力押えるという方針をとっておりますし、ことに物価に影響を与えるのは米価でありますから、生産者米価あるいは消費者米価を抑制する、そのままでいく、ということで、政府は方針をきめておるのであります。  以上が、政府が今日までとってきた方策でありまして、この方策をもしとらなければ――四十三年の上半期の物価の指数は五・七%上がったのでありますが、おそらく、私は、政府がこういう方策をとらなければ、あるいは物価指数というものが六%以上になっておるのではないかと、こう思うのであります。そこで、政府はこういうような方策をとりまして、四十三年度において、一年間においては五・四%で押えようということでやったのでありますが、幸い、天候の関係で農産物やくだものがたくさんできましたので、五・四%よりは下がるという見込みをしておりますが、まだ具体的には発表はできません。そういうようなことで、いろいろ政府としては政策をとっておるので、物価がこのまま自然にほっとけば上がるべきものを、できるだけ上げないように苦心をしてやっておるという点を、ひとつ評価していただきたいと思う次第であります。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 これから質問をしていく中で、いろいろいまの御答弁にこたえていきたいと思いますけれども、農業の構造改善をやったとか、いろいろなことをおっしゃいますけれども、それなら、お米が相当にできた、それならお米の値段が下がるべきであるのに、お米の値段は四年連続して上がっておる。それからまた、低生産性部門の生産性を上げるんだと、こういうことは、私ども宮澤さんから何べんも、耳にたこができるほど聞いておる。しかし、そういうことを何べんも繰り返しておりながら一向に物価が下がらない。いつでもそれに対して国民も一緒にやらなくちゃいけない、こうおっしゃいますけれども、国民はただ物価に振り回されている現状なんです。一生懸命でいろんなことを勉強しておりますけれども、どうも国民のほうが振り回されてしまっている、これが私は真実ではないかと思うのであります。いま、いろいろ詳しくお話を伺いましたので、その一つ一つについて私のほうもお話をしたいのでありますけれども、何ぶんにも時間が足りませんから、いまからその一、二点をついてまいりたいと考えます。  物価は経済の大体鏡だと言われますが、十年も上がりっぱなし、一年も休みなしというのはどうも私どもは納得がいきません。そこへもってきていまの国鉄の料金の話ではございませんけれども、この国鉄の料金も一五%値上げをしようといま政府は考えている。それに引き続いてメジロ押しに物価の値上がりが控えておりまして、企画庁長官もいままでおむね五%程度にとどめたい――まるで五%ぐらい上がるのは当然じゃないか、そういうような態度に私どもは受け取らざるを得ないのです。そして、しかも非常に自信のない言い方をされておりますが、国民はもう不安で不安でたまらないのです。一体、物価を押える気があるのかないのか、それを私は質問をしたいくらいに思うのでございます。また、物価上昇の指数と日常生活における実感が相当の開きがあるような感じがいたします。それは指数の取り方、すなわち構成品が実際の生活と合っていないのではないか、このように思いますが、いかがでございますか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) いろいろお尋ねでありましたが、最後の点がポイントではないかと思うので、その点だけお答えしたいと思うのですが、五%上げるということについては、これは政府といたしましてはよほどの努力をしなければならぬ、決意をしなければならぬのでありまして、それは政府としては五%程度で押えるということで、たびたびもう総理以下みなが言明しておるのでありまして、これは政府のよほどの努力を必要とするのであります。しかし、これはこのままでほうっておけばもう私は四十四年度も六%以上になるということを考えておりますから、五・五%以上にしてはいけないということで、せめて五%で押えたい、何も五%が理想ではありません、できれば三%くらいにしたい、これが理想であります。しかし、来年度は五%で押えれば私は成功だと、こう考えておるのであります。しかし、国民の中には実際には物価は高い高いという実感を持っておられる、これは事実です、物価指数は三百何ぼかのわれわれが日常使うものについての平均でありますからして、中には二〇%、三〇%上がっておるものもあるし、中には下がっておるものもある。そういうことで平均すれば、暦年ですが、四十三年は五・三%と発表いたしたのでございますが、ところが、われわれ個人では上がったものがやはり頭に幾分しみついておるのであります。そこで物は高くなった高くなった、安いほうはお互いによう忘れがちであって、高いほうは覚えておるというところに物価が上がっておるという実感があるのであります。しかしこの点については、やはりわれわれが日常使用しておる物について、それの平均点を取って物価の情勢を知るよりほかに道はないでありますからして、実感としては、私はおそらく皆さん方は物が倍くらいになったような気持ちを持っておられるのではないか、こう思うのであります。  それからなお、消費者物価の指数をとるについては、三百六十四品目の価格をとって調査をしておるのでありますが、お話のとおりこれは五年ごとに品目を変えることにしております。われわれの生活が変わっておりますから、したがいまして、いまのは昭和四十年の品目でありますが、四十五年になればやはり品目を変えて、あるいは新しい品物を消費いたしますから、新しい商品についてやはりその価格を調査することが適当である、こう考えておる次第であります。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 いま下がったものは忘れがちだというお話がございましたけれども、何が下がったか、それを伺いたいのです。実は四、五年前には、私ども千円札をさいふの中に入れて使っておりますと、それをくずすと約二日くらいあった。このごろは千円札は一日であと小銭しか残らないというのが現状なんです。下がったような私どもはどうも記憶がいたしません それから急激なデフレ政策をとれば物価はすぐ下がる、こういうふうに言っておられますけれども、いままではあまりに急激な高度の経済成長政策をはかってきたところに私は一つの問題があると思います。その点をお考えをいただきたいと思います。そうして、特に私は先ほど具体的にと申し上げましたが、今年度一兆一千二百億円もの税の自然増収があるときこそ、勇断をふるって物価を下げるいいチャンスであったのではないか、このように思います。すなわち物価抑制の一つの何かとりでみたいなものを築いて、一方で思い切った手を打って背水の陣を引き、体質改善をはかるべきではなかったか、このように思います。それだのに、やはり何もやっていただけなくて、減税は少なく、公債やあるいは歳出増に適当に分けてしまって、そうして、またしても景気刺激型の予算であり、物価上昇型にしてしまったということは、私どもどうしても納得がいかないところでございます。減税にしても、妻の座があまりに低過ぎます。もっともっと認めるべきではないでしょうか。皆さんもおそらく奥さんがいらっしゃらなかったらたいへんだと思います。どうかもう少し妻の座を上げていただきたい、このように思います。  国鉄運賃の値上げについて、政府は国鉄へ償還期限の来ている借金、それから利子の補給を含めて五百十億円くらいのお金が出せたら、今年度は国鉄の値上げをしなくても済んだのではないか、このように思います。これはもちろん抜本的な対策にはならないかもしれませんけれども、当面の穴埋めとして値上げを避けられたのではないかと思いますが、この辺のお考えを伺いたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 具体的に下がった例は、昨年末から野菜、果物、これは三〇%下がっております。でありますが、やはり全体的に見れば物価は上がっております。シーズンのもの、それは下がっておるのでありますが、したがって、ほかのものが上がっておりますから、全体的に見れば上がっておりますが、しかしその上がり方は実は減っておるのであります。したがって私は四十三年度は五・四%じゃないかということを前から皆さん方に申し上げておったのであるが、その関係五・四%を下がるという大体の見通しをしておりますが、きのうみたいな豪雪がありますと、またどういう関係になるかわかりませんが、そういうことで物価というものはそういう天候や何かの関係でもいろいろ左右されますからして、したがって上がったり下がったりするわけであります。それから卸売り商品は大体持ち合いということになっております。しかし小売り消費者物価のほうは上がっております。卸商品のほうが上がらないというのは、これはやはり生産性の向上の結果でありまして、したがって、それだけコストが安くついたということで上がってないのでありまして、そういうものについては、たとえば繊維製品などは最近下がっております。これは暖冬異変の関係もありますが、そういうものが具体的に下がっておる、こう思うのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま中沢さんのお話を伺っておりますと、まるで政府が物価を上げる犯人みたいなきびしいおとがめでございまするが、やはり私どもの考えは、国民のふとろぐあいをよくしなければならぬ、同時に物価を安定させなければならぬ、こういうこの二つをどういうふうにやっていくか、そこにむずかしいところがあるわけなんであります。物価だけ下げるということは私はそうむずかしくないと思うのです。もしそういう名案でもありましたら、ぜひひとつ御教示をお願い申し上げたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 下がった品物を申し上げます。  昭和三十五年から四十二年までの間、価格が下がったものと、その下落率を具体的に申し上げます。セメント一・五%、ラジオ一九・九%、テレビ七・二%、電気洗たく機六・六%、電気冷蔵庫六・四%、螢光灯六・六%、ガス代二・二%、灯油一六・八%、プロパスガス六・六%、それからくつ下三二・三%、キャラコ地三・三%、シャンプー一・四%、粉石けん二・五%、歯みがき粉一・四%、ヘヤートニック七%、口紅一・二%、防虫剤一七・三%、かみそり四・五%、カメラ二二・八%、フィルム一〇・九%、ビニール製ボール三・六%。これは消費者物価の品目に応じて申し上げたのであります。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 鉄道運賃のことについてお答えをいただきたい。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 中沢さんがおっしゃったように、五百億あったら、せめてことしだけは値上げせずに済むではないか、あなたのおっしゃったことに勘定はなってくると思いますが、それでは来年また値上げをしなきゃならぬ、こういうことになるわけであります。どちらかというと、一時押えということでは長期的な問題は解決できない。そのつどそのつどということになります。国鉄の問題に関しましては、今度はたいへん十年ということは長いという見方もございますけれども、この十年の間にほんとうに国民経済の中で国民生活のために奉仕のできる国鉄にしよう、こういう考え方で臨ましていただいておるということでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 国鉄の問題は、いまとにかく何かどこかから物価を下げる攻め手を考えなくてはいけないのではないかと思って国鉄の問題を取り上げたわけです。何か一つのとりでをつくらなければ物価は下がってこないのではないか、このように思います。  いま通産大臣から御親切にいろいろ教えていただきましたが、セメントやラジオやテレビ、そういうものは私どもの日常の生活には、毎日お金を出して買うものではありませんので、主婦としては、そういうもので物価が下がったとはいえ、私どもは下がったような感じがしないのがいまの生活の実感なんでございます。そこで主婦たちは、自分たちこそもうゲバ棒を振おうか、こういうふうな話もやっております。世の中は昭和元禄だといっておりますけれども、台所を預かっている主婦たちは、「きけわだつみの声」の昭和四十四年度版だ、このようにさえ言っております。何とかこの物価に対する手だてを考えてもらいたい、このように思いますが、どうもいままで聞いたところでは、あまりこれというきめ手がなさそうに思います。そこで、消費者基本法が昨年制定をみたのでございますから、今度こそは消費者行政に本腰を入れてもらえるかと期待をしておったのでございますけれども、総理を中心にした消費者保護会議はただの一度しか開かれておりませんけれども、それはなぜでございますか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 昨年の八月におきめになった事項については、それを具体化するについては法制化しなければならぬ問題もありますので、今度の本国会にまた法律案として出しておるものもありますし、まだ法律の具体化していないものもあります。そういうことで、そういう昨年きめたものを一応具体化して、そしてまたそれによってその効果などを見て、もう一度また会議を開いて、また皆さん方の御意見を伺いたい、こう考えておる次第であります。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 消費者行政が遅々として進まない、このように私どもは思いますけれども、佐藤さん、先ほどからいろいろ質問をしておりますが、一点御答弁をいただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 消費者物価、これはもう政府がいつもこれと真剣に取り組んでおる、かように申しておりますから、それにしてはもっと成績が上がりそうなものだ、こういうお気持ちだろうと思います。私は今年両米価を据え置く方針をとったということ、これはたいへんな問題であったと思っております。したがって、この議論につきましても、一方で物価は安定させろといいながらも、両米価の据え置きということについてはなかなか抵抗があります。もっと生産者米価を上げたらどうか、こういうお話が、とにかく質疑を通じては私どもの耳に入ってきます。私はもと予算をやっております際に、一つは主食である米の値段が幾らになる、もう一つは労賃、賃金が一体幾らになる、この二つで大体予算をもとは組んだものです。最近はもっと複雑になっておりますから、いろいろな材料を取り入れております。しかし、ただいま申すこの二つ、これはやはり諸物価に影響する、また経済の成長にも影響する、かように思いますので、個々の対策云々もさることながら、この点はひとつ政府のうんと思い切った処置をバックアップしていただきたいし、また、ときには政府もいいことをするじゃないか、その声をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。  これは、もう中沢君は実際運動をしておられるから、おそらく台所を通じての物価という感じが一番強くしているのではないか、さように私思いますので、あえてこの主食の扱い方についての処置をいま申したわけですが、さらに、たいへん食生活も変わっておりますから、最近は牛乳、これあたりはほとんど主食に近い扱いをしなければならないのでありますから、皆さん方と会議を持ちますと、必ず牛乳の値段をどうして安定させないのか、こういうようなお叱りをしばしば受ける。これが一つの問題だ。その他野菜あるいは魚、昨日この豪雪について農林大臣が特に発言いたしましたのも、これは一つのムードをつくりますから、そういう意味でそれに対する対策は十分ありますからということで、主婦の方々を安心させたい意味からも実は発言させたのであります。  それからまた、ただいまの運賃、これはもう確かに運賃を上げるということは残念なことに違いございません。したがって、この運賃を上げることについては、企画庁長官はたいへん抵抗を示したものであります。しかしながら国鉄財政の不健全化、あるいは再建促進委員会とでも申しますか、その委員会等の決議から見ましても、今回上げないと、あとはますますむずかしくなるぞ、こういう注意もありますし、この鉄道の公共性等から見ると、鉄道の機能は下げたくはない。それかといって国民の負担を増すことはこれも避けなければならない、こういうふうに考えましたが、この程度はやむを得ない、こういうことで最後に決心をさせたのであります。したがって、これは菅野君からもお話ししておりますように、鉄道は上げるが、その他の運賃についていわゆる便乗値上げは許さない、こういうことで厳にその態度を堅持しております。  まあ、幸いにいたしまして、ただいまは経済成長は順調にいっております。あるいはこれは過大になりはしないかという心配、これは一つございます。したがって先ほどは、さようなものは日常の主婦は扱わない、こう言われるが、いわゆる生産性の高くなったもの、これはございます。これは主として電気製品その他であります。問題は春闘、春の賃金闘争がどういうところに落ち着くか、これを実は私は非常に心配しております。もちろん物価がこの賃金アップそれを上回るようになったら、それこそたいへんだと思います。これはもう笑いごとでは済まされない、かように思っておりますが、いまの消費者物価をとにかくとめ置きたい、さように考えると、やはりほどほどのところへしていただきたい、かように私は考えるのであります。やはり物事は、中沢君の御指摘になりますように、物価を安定させるように何か基準になるものを示せといわれる、それはもうそのとおりであります。それに今回はこたえて、両米価あるいは麦等についてこれを上げないということ、この処置をとったことは、ときに政府もいいことをする。これについての問題はあまり起こさないようにしよう。生産者には非常に気の毒である、農家の方にはその実情に十分御同情も賜わりたいが、それかといって、消費者米価を上げないで済むのででございますから、どうかその辺にも政府の苦心のあることを御了承いただきたいと思います。  また、会議をたびたび開かないじゃないかと。これは一回だけで終わっております。しかし、あと始末をすることが非常に多いのであります。その意味においてはこの消費者会議を一回開いたことはたいへん効果があった、私はかように思いますし、また、各方面でそういうような会議は持ちたい、かように思っております。

片山武夫民主社会党

○片山武夫君 関連。ただいま総理の御答弁の中で、これは再三答弁されておったようでありますが、米価の問題、これはもう非常にいろいろな圧力もあり困難な中で、米価を両方押える、こういう方針を打ち出されたわけですが、再三お伺いしておりますけれども、これからその時期になってまいりますと、いろいろまた動きが出てくると思いますが、そういう意味で、ここではっきりと――絶対ということはおそらく言えないでしょうが、必ず上げない、こういう確認をした、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはたびたび申しておりますが、政府だけでやる消費者米価は、これは上げません。また、生産者米価については、それぞれの手続を経なければなりませんが、いま政府自身が行き過ぎたことを申すわけにはまいりません。法律違反をおかすつもりはございません。十分説得するというそういう立場で私どもは方針を堅持したい、かように申し上げておきます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 このような物価高の中で、国民から非常な信頼を受けているのは、公正取引委員会です。この公取の組織拡大強化がことしもまた私どもの期待からは相当はずれておりました。すなわち、全国で三十四人の増員を要求しておりましたのに、八人しか認められなかった。現在やっております富士、八幡の合併問題、このような大きな問題を取り扱いますと、もう公取のいまの組織では手一ぱいございます。今後ますますこういうような大型合併やなんかについての公取の働く分野がふえてくるかと思いますが、公取の組織をもっともっと拡大強化をしていただきたい、このように思いますが、その辺はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 公取の機能は強化しなければなりません。また、特にその委員の方からたびたび――公取出身の方もありますので、そういう点について公取の果たしておる役割りの重要性をしばしば発言もしておられるし、私もさように思っております。ところで、政府自身とすれば、公務員をいたずらにふやすことはいかがかと。そこで、いま総定員法を提出している。そして、皆さん方の御協力によってこれが成立する。成立した暁においては、各省の必要なところに人が持っていけると、こういうことになるのであります。現在の定員法では、ある省は非常に困っている、不足を訴えておる。ところが、ある省はそれほどにもない、相当ゆとりがある、かようなところもございますので、総定員法を通すことによってただいまのような問題が片づく。私は、個々の問題を片づけることも必要でありますが、政府が政府全体として定員の有効なる使い方をしたい、かように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 厚生省は食品法を今国会に提出するように承っておりましたけれども、途中から出さないことにしてしまったと聞きますが、その理由は何ですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) まだ出さないことにきまったわけではございません。いませっかく検討中でございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 これだけ公害病やいろいろな事件が起こっております。国民は非常に不安の中に日常生活を営んでおりますので、何とか早くこれを出していただきたい、このように思います。  それから農林省のほうは、農林物資規格法の一部改正案を出そうとしておりますが、その努力や苦労は非常に多といたしますけれども、法改正の前にまずJASの規格を上げるため、つまりレベルアップをするために努力をすべきであると思いますが、どうですか。たとえば、住宅用の木材は二十年間もほったらかされてあるし、食用油にはJASのマークは何にもついておりません。このようなことがありますので、今度のこの法改正の前にやるべき問題がいろいろあると思いますが、その点はいかがでございますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) JASの問題につきましては、レベルアップをするようにいませっかく努力中でございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 消費者基本法の参議院の附帯決議の3と4と7を見ていただきますとよくおわかりであろうかと思いますけれども、今度の改正案の第三章を見ますと、「加工食品等の表示の適正化」というところがございますが、これは食品衛生法と競合をしませんか、また、公取も表示に関する公正競争規約とかあるいはガイドをもって業界を指導してまいりましたが、公取との関係はどうなんですか。また、公取にとって、法の運用上も、実務上も、きわめてやりにくくなるのではないかと、私どもはそれを案じておりますが、その辺の協議はほんとうに円満にやられたかどうか、その辺を伺いたい。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) ただいま厚生省との話し合いも進んでおりますし、各省との連絡を密にしてその実現の一日も早からんことを願って、いまいろいろ各省との話し合いを進めているところでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 時間がありませんからいろいろなことをたくさんお話しするわけにいきませんけれども、私どもは多少そこら辺にもやもやしたニュースをキャッチしているわけです。そこで、どうか農林省のJASに関係のある関連事業団体に天下りをした役人のリストを提出をしていただきたい。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) JASの登録格付機関の中に、元農林省の職員が就職しているものもございます。登録格付機関の業務は、農林大臣の定めたJAS規格及び格付の方法に従って行なわれるところの技術的なものでございます。でありまするから、格付業務なりその執行にあたっては常時その指導という立場に立っておりますし、また、指導監督にも十分に意を用いておりまするから、ただいまのような御心配はないと思いますけれども、資料は要求どおり提出いたします。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 次に、大学紛争問題についてお伺いをいたします。もうすでに言い尽くせられた感じがしますが、私は、世間一般の父親、母親の素朴な意見を代表して質問をしたいと思います。  まず、大学紛争をここまでこじらせ、そうして長引かせてしまった責任はどこが負うべきでございますか。どこに長引かせた原因があるのですか。政府が逃げていたからですか、あるいは大学が無力なのですか、あるいはどこかに法律の不備があるのですか、その辺を伺いたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 大学の管理運営の主体は大学当局でございますから、私ども政府といたしましてはやはり大学の自治を尊重するというたてまえから、第一次的には大学当局だと思います。しかしながら、われわれがそれによって国民に対する責任を回避しているという意味ではございません。しかし、また、御承知のように、今日の状況におきましては、暴力学生によって学問の自由が侵されており、良識と良心の府であるべき大学というものが不法暴力の横行することになっておる、それに対して大学当局が管理運営をうまくやり得ない、そういう点があるかと思いますが、しかし、また、学生自身の意識の問題につきましても、からだは一人前になっておる、しかしながら、どうも精神状態はきわめて幼稚なアンバランスなものがある、そのこともあるんじゃないかというふうに思います。その原因につきましても、ずっとさかのぼりますと、やはり家庭の教育あるいは家庭のしつけ等にもさかのぼるのではないだろうか。まあ終戦直後は、戦前の価値観は一切変わってしまったという錯覚を婦人たちが持たれたのも無理からぬ事情はあるかと思いますが、それがかえって放任して、親として当然、あるいは子供として十分身につけなければならないしつけの問題についても怠ったきらいがないではないということ。それからまた、経済が成長しました過程においてはそれが逆に過保護の形になって、そうして自立的人間――子供を養育していかなければならないのに、これに対しましてむしろ足とり手とりということになって、そして何でも責任は他人なんだ、自分にはないんだと、こういうようなこともあったんじゃないか。あるいはまた、経済成長があまりにも激しく、科学技術の進歩が非常に早く、そして社会の変化が非常に激しかったがために、それに対応できないというような面もあるかと思うわけでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 テレビを見たり新聞の写真を見ている人たちは、なぜもっとびしびし逮捕しないだろうかとふしぎがったりあるいは歯がゆがっております。学校を壊したり、道路を壊したり、あるいは人を傷つけたり、住宅商店に損害を与えているのに、逮捕しないのはなぜだろうか、あるいは逮捕ができない理由があるのだろうか、このように言っておりますが、その辺をひとつ伺いたい。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。何回かお答えした繰り返しになる部分もあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  逮捕の問題とおっしゃれば、大学内もしくは大学外で学生が不法行為を行なっておる、まあいわば犯人、犯罪容疑者である、取っつかまえたらいいのに何ぐずぐずしてるかということは、私のところにも投書やらなんかずいぶん参りました。いまでもちょいちょい参りますが、それはことさらほったらかしておるわけでむろんございませんで、学内におきましては何と申しましても大学当局の無法を許さないという考え方、これは教育課題以前の、憲法に直結した常識でなければならぬ。にもかかわらず、いわゆる警察アレルギーなどといういわれのない、迷信みたような、一種の被害妄想だと思いますが、いわれのない警察アレルギーなどということを、教職員みずからも言う、学生も言う、またその学生集団に対しまして外部から影響を及ぼしておる親団体もそんなことを言う、ということが流行みたようになっておるわけであります。それでもなおかつ、警察の責任は、法の命ずるところに従いまして、大学当局が何と言いましょうとも、要請をしようとしまいとすみやかに出ていって、その犯人あるいは容疑者を逮捕して、不法行為を排除するという責任があることは万々わかっておりますけれども、昨日か一昨日かもお答え申し上げましたが、何としましても大学当局の管理者側が無法を許さないという意味での御協力がないと効果があがらない道理であります。  繰り返し幾つかのことを申し上げさしていただきますが、たとえば安田講堂の封鎖にいたしましても、まさしく不法行為でございますが、器物も損壊されておる、毀棄されておると思いますけれども、これは親告罪である。建物に侵入して本来の機能を阻害しておる状態、これは建造物の損壊罪というわけですが、そのこと自体についても、目前で見ておる大学の管理責任を持っておる立場の人が知らしてくださらなきゃわかりにくいということもございます。まあさようなことで、まずもって大学でございますれば大学当局が――東大のごときは八千名以上も公務員がおり、公務員は、刑事訴訟法の命ずるところに従って、不法行為があると認めた場合には、これを告発しなければならないと義務づけられておるのでありますけれども、昨年から暮れまでの間には、八千名の者が一人としてこれを告発しようとしないというふうなことから、実際問題としては、なかなか時を移さず犯人を逮捕するなどということが困難でございます。困難でございますというのは、捜査も困難でございますと同時に、証拠の収集もできない。犯人の逮捕にいたしましても、大学当局と暴力学生が一体をなして不協力の態度である場合には効果はあがりません。だから、ただ警察の法律上の形式的責任を果たすだけの意味合いでそのつど出ることはわけもないことではありますけれども、何のために出ているかわけがわからぬ、シーソーゲームをしているにすぎないという印象を国民に与えるにすぎないようなときには、ちょっと考えねばなるまいということで慎重にかまえてきたことは、昨日か一昨日も申し上げたとおりでございまして、繰り返し申し上げます。まずもって国立大学であるならば、大学当局みずからが警察アレルギーなどといういわれのない、いわば妄想みたようなことにおびえないで、また、告発すれば暴力団化しました三派全学連の連中からお礼参りされはせぬだろうかなどという卑怯な心を捨てて、本来の公務員としての責任を果たすというりん然たる態度で臨んでいただけば、もっと有効に的確に大学騒ぎも、少なくとも治安当局の守備範囲に関しまする限りは、排除し得たのではなかろうか、かように思われる次第であります。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 とにもかくにも東大は入試を中止いたしました。その他の学校も学外で試験をしたり、あるいは警察官の見張り、警護のもとで試験が行なわれたということで、受験生やあるいは親たちにとっては非常な苦悩、苦痛でございました。このようなことのために自信を失った学生、あるいは失敗した学生に、ただ運が悪かったのだ、こうやってあきらめさせるのですか、いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 入試中止をいたしましたことは、まことにやむを得ないと思いますけれども、志願者の人やあるいはその親の身になりますならば、非常に私は責任を感ずるわけでございます。しかし、事ここに至りました事情は、るるこの予算委員会等でも申し上げましたとおりでございまして、やはり入学試験を受けておりまする学生が、この困難を克服していく気持ちといいましょうか、心というものを持たれることこそ、将来社会人となられてりっぱな方になられるのではないだろうか。先ほど先生御指摘のように、人間はたんたんたる人生ではないのだ、困難もあるのだと、そういう困難を克服する心を養うということこそ、われわれ学生に与えられたことであるというような気分になって、この不幸な事態を、あるいは災いを転じて福となすということで、ひとつ勇気を持ってまた勉学にいそしんでいただきたい、かように私は考えている次第でございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 私どもも第三者としてはそのように思います。しかし、実際に失敗をした学生などは、非常に沈み切ってほんとうに気の毒だと思います。で、くどいようですけれども、もう一ぺんお尋ねをいたしますと、目的のためには手段を選ばない、自分たちの主義主張のみを正当づけて、他者の言うことは全部否定して聞く耳を持たない彼らを育成した責任の所在はどこにあるのですか、またどのような措置を考えておられますか、今後どのように教育をしていかれますか、その辺をお聞きをした。同時にまた、このような風潮がだんだん高等学校にも及んで、卒業式の有様は再三新聞にも報道されておりますが、これらの高校生への対策はどのようにされますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 第一次的には、やはり大学当局が負うべき責任であると思います。しかしながら、その大学当局に対しまして私たちが十分な指導助言を与えなかったということは、私としましても反省をいたしておるわけでございます。ただ、その指導助言をいたしますと、すぐ学問の自由、あるいは大学の自治を侵すのだと、こういう風潮がこの二十年間実は大学の先生方にもあった、学生方にもあった、あるいは世の中にもあった、こういうことでございまして、たびたび私が申し上げておりますように、憲法で保障されておりまするものは学問の自由である、先生方が研究をする、そしてまたその成果を発表する、その教授をする自由とまた学生がこれを学ぶという自由と、それがまさに学生の暴力によって侵されておる。このことについてのやはり大学当局及び教授たちのしっかりした考え方、あたりまえのことをひとつわかっていただかなければいけないんじゃないだろうか。そのいわゆる憲法で保障されておりまする学問の自由を効果的に果たすための手段として大学自治というものがあるのだ、しかも、かってはこの大学自治というものは、むしろ国家権力からこれを守ることであったけれども、今日の第二次大戦後の状況からいうならば、この学問の自由を侵しておるのはむしろ学外学内の暴力学生である。この暴力学生に対しても、学問の自由ということを守るという立場、そういう認識であるならば、全教官が自分たちの力でもって排除できない場合は、国家権力のその警察力を導入するということが何で悪いんだ、こういう認識を変えていただかなければならぬ。しかしながら、今日東大におきましては、先ほど荒木国家公安委員長が御説明になりましたように、十二月の段階まではそういうことはなかったけれども、東大は今日、一月の段階になりましてからは、この学問の自由というものを守るために警察の導入をいたしたわけでございまして、漸次そういうような気分が京都大学あるいは九大その他の大学にも及んでいきますならば、いま学生たちが、三派であれ民青であれ一般学生であれ、暴力の方法をとっておりますることは、私は漸次なくなっていくんじゃないかというふうに思うわけでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 高校生の対策は。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 補足して御答弁さしていただきます。  御指摘のように、最近高校生にまで紛争が大学みたような状態で広がっておることは仰せのとおりでございます。最近、大阪府下の高校で卒業式を妨害するため、式場に当てられた体育館をバリケードで封鎖した、あるいは校長室や事務室を占拠するといった暴力事案が発生しておりますことは大学並みであります。大阪以外の高校でもこの種の事案が発生しておりますこと、これまた御指摘のとおりでありまして、これらはいずれも一部の過激な高校生によるものと見られておりますが、昨年来高校生に対して全学連各派からの指導が強まってきておりますので、今後におきましてもこの種事案の発生が懸念されておるところであります。  警察当局としましては、これらの事態に対し、学校、教育委員会等関係機関と緊密な連絡をとりながら、不法事案の未然防止に最善の努力を重ねておるのであります。本年の二月二十六日付警察庁の防犯少年課長名で各都道府県の警察に対して、不法事案の予想される場合には、学校その他教育委員会等の関係者と対策を協議の上、必要に応じて補導あるいは警戒措置をとることという通達をいたしまして、何しろ未成年者でございますから、警察の立場におきましても、できれば補導を中心として関係者と協力してまいりたい。同時に大学について申し上げましたように、高等学校の校長あるいは教育委員会、教育長、これらの関係者が大学と同様に高校におきましても、もちろんなおのこと暴力は許さないという見識を持って臨んでいただく。卒業式にたれ幕をたれたなどということが、どう学校当局として処置されましたかは知るところでございませんけれども、そういう愚かなことを、まあ一種の刑罰事案に関係しそうなことをしないように警察当局としても、さっき申し上げたとおり平素からの緊密な連絡を通じまして未然に防止したい、かような態度でおるわけでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま荒木国家公安委員長からお話しになりましたように、そういう例が各地に行なわれておるわけでございますが、先ほどのニュースによりますと、東京都の武蔵丘高校におきましても、卒業式を妨害し、そして校長室あるいは職員室を占拠した、封鎖をしたという事例が起こっておるのでございます。かねて東京都の教育委員会におきましては、こういうような事態に対しましてはやはり警察の要請を直ちにやるといって、不法なことが行なわれないようなこと、あるいは未然にそういうふうなことが防止されるようなこともやっておったようでございますが、それにもかかわらずこういう事態が起こっておる。また全国の都道府県の教育委員会につきまして、文部省といたしましても、そういうような指導を続けてまいってきておるわけでございますけれども、残念ながらそういうような事案がやはりあちこちに起こっておるわけでございます。  しかし、もう少し深く考えますと、これはやはり高等学校の教育、あるいは中学校、小学校の教育にそういう問題があるんじゃないかと私は思うのでございまして、御承知のような今日のような大学の入試ということにその欠陥がある。そういうような高等学校の三年間の成績評価というようなものも重視して、そして入学試験を行なうというような形でございますると、漸次高等学校教育がいわば予備校化しておる現状というものが打破されるんじゃないだろうか、こういうふうにも考えられるわけでございまして、やはり高等学校、中学校、小学校の教育というものは、単に知的教育ばかりでなくて、徳育、体育あるいは情操教育と申しますか、芸術とかあるいは美的、そういうような、美しいものを美しいと感じ、あるいは善行を善行として感ずる、そういうような気持ちというものをやはり高等学校の段階において持ち得るようにしなければいけないというふうに思うわけでございまして、これは数学者の岡潔さんでございませんけれども、最近あまりにも物質文明が発達し過ぎた、その物質文明の発達したことはよろしいけれども、それに伴うところの精神文明というか、あるいは心の豊かさというか、そういうものがなくなってきたことが今日のような状況だ、日本という国はむしろ春夏秋冬のそういう四季の変化に富んでおる、同様に、そこに住む人たちというものが心の中にも春夏秋冬の心の色どりを持っておる、そういうものを大切にしていかなければ、今後の二十一世紀に向かうところの日本民族はいかがか、というような御忠告をしておられますけれども、私は非常にりっぱな御意見であるというふうに考えておるわけでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 私もそのビジョンについてお伺いしようと思いましたが、先にお話をいただいて感謝でございます。  いま、小学校、中学校とおっしゃられましたが、その小学校あるいは幼稚園の子供が、暴力学生のテレビを見ていて、カッコいいね、こう言って親を驚かしているのが現実でございます。その辺のところをよろしくひとつがんばっていただきたいと思います。  ある警察官のおとうさんが私のところにこの間やってまいりまして、実はむすこを警察官にしたけれども、毎日毎日大学紛争にかり出されているが、もう全く腹が立ってしようがない、もう子供に警察官をやめさせようかと思います、こういうようなことを言っていかれました。この気持ちが私どもにはほんとうによくわかるわけですが、先ほどお話にもありましたように、大学の教官の中にも、もちろん学生にも、そして一般の国民の中にも警官アレルギーというようなものがございます。大学生と同じ年輩の警察官が死ぬほどの思いでやっていることが認められず、感謝もされず、そして尊重もされず、むしろさげすまれたり、あるいは反感を買っているいまの現状なんです。警察官の親も大学生の親も、そして私どもも人の子の親は親なんです。このことをどういうふうにお考えになりますか。こんな紛争を長引かせずに、もっと早く処置すべきではなかったのではないですか。昨年一年間政府はこれをほったらかしておいた。その責任は非常に大きいと思いますが、どうなんですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 中沢さんの御意見私も同感でございまして、私たちの村なんかを考えてみますると、中学校から高等学校に行くと、そして多くの高等学校を卒業した人が警察官になっておられるわけです。そして大学に行く人たちももちろん家の貧しい方もおられるわけでございますけれども、それよりも貧しい人たちが高等学校だけでそして大学にも行かずに、そして一方は国家的な要請によって、あるいは法律秩序を守るために命がけでやっておられるにもかかわらず、同じこの村で卒業し、しかも大学という――まあ今日は大衆化してはおりますけれども、何と申しましても大学に入っておる、特に国立大学校に入っておるというのは一種のやはり特権でございます。何と申しましても東大のごときは年間百二十六万円というような金を使っておると、こういうわけでございます。そこに学んでおる、学生特権に甘んじておる学生があのような暴力をし、そして片方は同じような村から出た人がこれを取り締まらなければならないというこの日本の現実というものを学生諸君というものは考えてみなければならないと私は思うのございまして、この点につきまして、私は、やはり日本の社会というものをもう一ぺん日本人みずからが、国民が、だれが責任だ、かれが責任だということではなくて、われわれ政治家をはじめとしてみんながやはり考えてみるべき時期ではなかろうかというふうに思います。そういうようなことにいたしました責任を、私たちも指導助言等を通じまして管理、運営等が全からくいっていなかったということにつきましては反省をいたしておる次第でございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 九州大学の法学部長の言動あるいは京都大学の井上教授の行動、また近くは岡山大学の法文系の教官二十名余りが入試が警官に守られてやられることには協力ができない、このようなことで休暇願いを出されたと承っておりますが、その真相を知らしていただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 先般も、民社党の方でございましたか、お答えしたとおりでございますが、京都大学の井上教授は、とにかくああいう暴力をふるっておりまする全共闘を支援するという手紙を書いている事実を明らかにいたしたのでございます。しかも、手紙を書いたばかりではなくて、一々出てまいりまして、そしてあるところで講演をするというようなことで、私は、これはやはり国家公務員としましても、また教授といたしましてもその域を出ておるんじゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。しかも、人文科学研究所の所員でございますから、所長がとにかく勧告をいたしておりますが、いずれまた奥田学長からも何らかの御報告があるものと期待をいたしております。  岡山の事態につきましても、私、どういう意味でああいうようなことを言われたのか、常識といたしまして、はたしてこういうような先生で一体教育というものがやれるものであろうかというその常識を実は疑うわけでございます。また一面におきましては、それほどまでに警察官アレルギーというものが及んでいるのかというふうにも思うわけでございます。  また、九大の問題につきましては、まあ私、この調査をいたしておるわけでございますけれども、多少違うわけでございまして、警察官に対してこれを敵とするというような意味のことを申されたということでございますけれども、最近それを何か釈明をしておられる、あるいは恐縮されておるというようにも聞いておりまして、ただいまこの点につきましては、十分大学側の報告を待ちたいというふうに考えておるわけでございます。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 補足的にお答えさせていただきます。  いま御指摘になりましたような大学だけに限らず、多くの大学においても学園紛争の過程におきましては、刑罰法令に触れるような不法行為が発生しているのにもかかわらず、大学の自治の名のもとに法による措置、すなわち警察力による措置を求めることを故意に避けて、いたずらに不法行為をエスカレートさせているのが現状でございます。残念ですけれども、実情はおおむねそういう状況でございます。  大学構内は、毎度申し上げておりますように、むろん治外法権の場でなく、ましてや大学当局や一部学生による自主解決や自主防衛の名のもとに自力救済的な暴力手段が法律上許されないことは申し上げるまでもございません。一部の大学の学長、教官の中には、警察官アレルギー、先ほど申し上げましたようなそういうことがございますが、学内に暴力的行動があるにもかかわらず、警察官の導入をきらって、これを放任したまま話し合いで解決をするとか、教職員や学生の実力で不法事態を排除していきたいとか、あるいは警察官の導入は、かえって学生を刺激して紛争を大きくするのみである、そういったような考えの向きもあるようであります。このような姿勢や考え方が、今日の大学内での無法状態をはびこらせる大きな原因になっていると考える次第でございます。もっとも先ほど申されました学園紛争の続いている岡山大学におきましては、本年の二月二十日には赤木学長が「全学の皆さんに訴える」、この文書を全学生に送っておりますが、その中で「大学の自治は、単に機動隊の導入を阻止するだけで守れるといった簡単なものでなく、社会一般が大学を信頼し納得するような知性と良識ある行動を大学人が示すことによって保障される。」云々と訴えておられますが、この限りにおきましては、私も同感でございます。  御参考までに申し上げますと、去る三月三日から行なわれました国立一期校の入学試験に際しましての妨害に対する警察の警備については、京都大学の学長初め多くの方々から感謝の気持ちを寄せられておりますことをありがたく存じ、御協力が今後いただけるであろうという曙光が見えたような気持ちがする次第であります。  なお先ほどの御質問に関連して申し上げます。警察官の親の立場からする心配ごとをお述べになられましてお尋ねがございました。補足させていただきます。警察官もその親も申し上げるまでもないことですが、人間であります以上、自分の子供である警察官が同じ年代の学生の暴力行動を規制するために出動したり、またけがをしたりしていることについてはいろいろな感慨を覚えていることと存じます。特にその行動が一部の人々からやれ弾圧だ、ポリ公だ、犬だなどといわれもない言いがかりをつけられている現状では、ときに子供かわいさの余り、おっしゃったような警備参加を懸念するような気持ちを持つ親もあろうかと存じます。しかし、私は御懸念のような声はむしろ少数であって、警察官の家族には警察の使命と責任について堅実な理解が定着していると信じております。このことは新聞に対する投書等を見ましてもおおよそうかがえるところであると存じております。一々の具体例は省略させていただきます。  以上申し上げましたが、ただ黙々として使命に徹する警察官及びその家族の察するに余りある苦労に対し、心から感謝と激励の念を抱いている国民が実際は圧倒的に多いんじゃなかろうか、こう私は考えます。それにこたえまして、警察官の諸君及びその家族の皆さんが、今後とも自信と誇りをもって職責の遂行と明るい家庭づくりに専心されんことをこの機会に申し上げさしていただきます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 文部大臣にもう一つだけ、くどいようですが、お伺いをします。  岡山大学の法文系の先生二十人、この方々には文部省として指導と助言を与えられたのですね。それから、その措置をどのようにされたか、それを伺って大学問題を終わりたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 一応指導、助言いたしましたけれども、そのまだ返答はまいっておらない。おそらく入学試験を一生懸命やっておりましたので、おくれておるんだろうと思います。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 次に、人命尊重のことについてお尋ねをします。  先ほど公明党の矢追議員からもいろいろ御質問がありましたけれども、最近頻発しているいろいろな生命にかかるような事件、あるいは公害病、そのようなことは日本全国のどこかで何かが起こっているのがいまの現状でございます。これについて、たとえば先ごろ起こった北九州方面のカネミオイルの事件、私も女性でございますが、もしもあのような被害者だったらどんな気がするだろうか、このことを思いますと、たまらない気がいたします。そこで、頭に浮かんだいろいろな例をあげてみますと、水俣病、あるいは阿賀野川水域の水銀中毒事件、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症、スモン病、先ほどの群馬県の野菜のカドミウム問題、あるいは病菌豚肉事件、四日市ぜんそく、環七ぜんそく、サリドマイドの子供の問題国産原子炉の燃料棒破損の問題、乳児の取りかえ過失事件、舶船、漁船の沈没、あるいは交通事故のますますひどくなった問題まあ大きくあげても、頭に浮かぶところではこれくらいございます。これらの事件が次から次から起こるのは、一体どこに責任があるのですか。それは会社なのですか、あるいは政府にあるのですか、政治にあるのですか、あるいはやはり法律の不備なのですか、そこら辺を伺いたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) ただいまおあげになりましたように、私どもも全く心を痛めているわけでございます。したがいまして、できるだけそういった事件が発生しないように、関係各省庁とも非常に努力をいたしておるのでございますが、おっしゃいますように、はからないところではからないものが起こってくる、そうしてそれに対する治療対策もわからないというのが多々ございます。少なくとも、わかりましたものについては、治療対策を早急に進めますように、関係のお医者さんの方々を動員をして、その原因、あるいは治療方法等を確定をいたしたいと努力いたしております。交通事犯につきましても、警察当局で一段と取り締まりを強めていただくようになったわけでございますが、これからますます科学技術の発展に伴って予期しないようなものが起こってくるのじゃないだろうか、人間疎外の状況があるいは精神的にもわれわれの健康をそこねるのじゃないかと、いろいろ心配をいたしまして、関係の健康管理の問題、あるいは技術の問題等につきましてもさらに努力を進めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 いま治療対策がよくわからない、こうおっしゃっておられましたけれども、日本の医学がこれまで進歩しております。そこで、私は、日本の全頭脳を集めて、原因の究明、あるいは治療対策の研究をするべきであると思います。それにはおそらく支障として学閥があると思います。この学閥の排除ということが一番いま大きな問題ではないかと思います。それと同時に、もしもその学閥の排除がなかなかできないならば、あるいは各大学で競争さして一つの問題を研究さしてみたらいいのではないか、このようにも、しろうと考えかもしれませんけれども、考えるわけです。そのためには厚生省に相当大きな大幅な研究費を持つ必要があるのではないですか。いまその研究費というものはどれくらいあるのでございますか、伺わしていただきます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) さだかな数字は覚えておりませんが、千万単位だと思っております。なお、科学技術庁もそういった研究調整費を持っておられまするので、したがって、必要に応じまして科学技術庁の研究調整費もいただき、それからわれわれの考えられる専門家を動員をいたしているようなわけでございます。先ほどおっしゃいましたスモン病のごときは、世界に類例がございません。したがって、その発生の原因もわからない。まして治療方法もわからない。これも昭和三十九年から相当研究を進めておりますが、本年度からはさらに集団的に発生しているところにつきまして大がかりな研究班を設けたい、かように思っておるわけでございます。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 先ほど通産大臣から、WHOの基準を越えてはいない。一つ一つは越えていないかもしれませんけれども、これだけ大気汚染だの、いろいろなことがあると、一つ一つは越えていなくても、それがいろいろな作用をするのではないかと思います。そうして今度のあのカネミの油のことも重金属の中毒症だと私ども考えますけれども、これは大体イタイイタイ病と同じようなもので、阿賀野川の水銀中毒事件、あれやら何かいろいろ見てまいりますと、大体重金属の中毒事件ではないか、このように、しろうと考えですが、思えるわけです。どこかで一つ起こって、それをその地方だけにまかせておくことが私はこれはいけないのであって、どこかで起こったら、日本全国いろいろなところで同じような工場があれば、それを早く調査をする必要があるのではないか、このように思いますが、それはどのようになっておりますか。そうしてカネミの油の患者は眼科と皮膚科と内科と、この三つの科を回って診察してもらわなければいけない、このようなことを昨日も話しておられましたが、この三つの科を回りますと、一つの科で大体三種類以上の薬を与えられる、三科を回りますと十種類以上の薬をもらわなければいけない。そうすると十種類以上の今度薬を毎日毎日服用いたしておりますと、今度は薬の相乗作用が出るのではないか、またこのことも患者たちは非常に心配をしているのです。ここら辺でもう少し何か手を打てないものか、そこら辺もひとつ伺わせていただきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤昇君) カネミの油の中毒は四塩化ジフェニール中毒でございまして、これは重金属ではございません。同じカドミウムなんかの中毒、水銀中毒、これはもう同じ様相でございますから、その道にかけて医療方法を検討いたしております。先ほどのカネミの患者の方々が、あるいは皮膚科、あるいは眼科、あるいは内科へといらっしゃる心情もよくわかります。先ほども私は患者の方にお目にかかりました。心情もよくわかりますが、できるだけとにかく動物実験もいたして、これはいままで九大を中心にいたしておりましたけれども、昨年から全国の国立病院に協力させるようにいたしておりまするし、このほかにも、こういった研究をしておられる、また、患者をみておられるお医者さんもおられるようでありますから、それらの方々の総力を結集をいたしたい、かように考えております。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 私どもも、いつ何どきわれわれの身にもどんなことが起こらないとも限らないという不安におびえております。油を使っても水を飲んでも、お米を食べても野菜を食べても、すべての食品に、あるいは危険な不純物、あるいは農薬の残留物、食品添加物がまじっております。空気を吸っても、その空気も汚染されている、こういうのが現状でございますが、ひょっとすると総理大臣にもあしたから突然骨がくだけるというような事件が起こらないものでもございません。これは全く国民不在の、企業優先の政治であると断定をしないわけにはいかないのです。このような人命の損害が次々起こってまいりますので、断固としてこのような処置をやっていただきたい、考えていただきたい、それには相当の予算も組んでいただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 経済の発展もさることながら、国民に幸福をもたらさないで、それがわれわれの生命を断つ、われわれの生活をこわす、こういうようなことがあってはならないと思います。そういう意味におきまして、われわれの指導も、もちろん経済の発展も必要でありますけれども、その恩恵は国民に行き渡るように、そういう方向へ進めたいと、こう思います。  なお、また、予算の面におきましては、先ほどそういう予算はどこにあるだろうかと、いろいろ大蔵大臣と相談していたのですが、科学技術庁である程度の調整資金を持っているそうですが、これをだんだん科学技術庁から切りかえて厚生省に移してもらう。まだいまの段階がそうでございます。したがいまして、今後またそういう面にも気をつけて、配慮してまいるようにしたいと思います。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 またこれは違った面からでございますけれども、その人命の損害という点では、相も変わらず舶船が沈没したり漁船が沈没をしたりしておりますが、昨年一月からことしの三月までの沈没の隻数と死亡数を言ってください。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 昭和四十三年度における漁船の海難発生隻数は一千百二十一隻、これは総海難隻数――いまお尋ねになりましたこれが二千五百八隻の四五%でありまして、このうち、全損となったものが二百五十六隻であります。また、これらの海難のため死亡あるいは行くえ不明となった者は二百五十九名に達しております。私は資料を持っておりませんけれども、四十二年度は二千七百隻、四十一年度は三千隻ぐらいではなかったかと記憶いたしております。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 まあそれくらいの船が沈んで、二百五十九人もの船員が死んでいるということは、二百五十九人ぐらいのまた未亡人ができている、こういうことでございます。私もこの予算委員会では、前二回このような問題で質問をいたしておりますけれども、特に人命救助のためにPX-Sという飛行艇を買って備えるようにと、このようなことを申し上げたわけですが、当時水田大蔵大臣がこの予算委員会でこのように言っておられます。これはひょっとしてお読みいただいているかもしれませんけれども、亀山さんのほうから、海上保安庁全体の予算が非常に少ないので、何とかこれをしたいけれども、皆さんの御理解をいただきたいというような答弁の中で、水田大蔵大臣は、結局は所管官庁の優先度の認識の問題だと思います。私のほうでは、概算要求が出てきましたときに、予算折衝で、やはりどの経費が一番優先するかというようなことで折衝をしておりますと、このように答弁をされたわけですが、今年度の予算で、この飛行艇を備えるということは予算要求をされましたか、いかがですか。時間が参りましたから、続けて質問をいたしますけれども、このようなことで幾らお願いをしてみても質問をしてみても、なかなか飛行艇が備えられない、後家さんがどんどんできてくるのです。そこで、海員組合としてもとうとうしびれを切らせて、この間署名運動に街頭に出たり、ちらしを配ったりいたしておりますが、私どもは憲法で保障された生存権を持っております。幸福追求の権利も持っておるわけでございますけれども、このようなことでいつまでも海難救助をやらないといことは、私どもはむしろ憲法違反になる、それくらいの強い抗議を申し込みたいような感じがしているわけでございます。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 中沢君、時間が超過しております。

中沢伊登子民主社会党

○中沢伊登子君 一体いつになったら救命艇を備えるのか、運輸大臣に御質問すると同時に、大蔵省のほうでも、何とかこのような救命艇を備えるための予算を組むべきではないか、このように思いますが、御答弁をいただいて、私の質問を終わります。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 海難救助に関しましては、海上保安庁では、北は北海道から南は鹿児島まで、十の本部を中心に、航空基地は八つございますが、全力をあげて働いております。先ほど申し上げませんでしたが、六千名ぐらいの人は助けておるのでございます。いまお話のございましたPX-Sという飛行艇を買い入れることについては、確かにそのような質疑が繰り返されておることを承知をいたしております。いま海上保安庁で船艇ざっと約三百隻、四万トンほど持っておるのでございますが、昔の海軍から譲り受けたというような古い船がございまして、これを新しくすることが第一番でございますので、これに全力をあげておる最中でございます。それから、お話のごとく、遠いところへ飛ぶ飛行機も必要でございますので、YS11を四十三年度の予算で確保いたしたのでございます。PX-Sは、これは相当金がかかりますのと、八つの基地が陸上にございますので、これを改造いたさなければなりません。改造いたすということになりますと、また相当の予算を食うわけでございます。これらを勘案いたしまして、全海上保安庁の船艇、あるいはその他の設備との間の検討を加えてこれを持つか持たないかということをきめていかなければなりませんので、四十四年度予算には、残念ながら、要求することができなかったわけでございます。私は就任いたしましたので、今後これらの問題について十分検討したいと思っております。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま運輸大臣からお答え申し上げたようなわけで、まだ運輸省自体が要求するわけにまいっておらないのです。これは一機とにかく二十億円もかかる、それが二機ないと仕事にならぬ、こういうわけで水田大蔵大臣が運輸省の優先度の問題だと、こういう答えをしているわけでございまして、まさに運輸省とすると重大な問題だと、こういうふうな性格のものであります。また運輸大臣とも十分慎重に相談をいたしたいと思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして中沢君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、岩間正男君の総括質疑を行ないます。岩間正男君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 日本共産党を代表して、沖繩、安保、大学問題について質問します。  佐藤総理は十日の委員会で、沖繩の核は認めない、事前協議の内容を変えるような特別の取りきめはしないということを述べられました。これはあくまで総理自身の見解で、対米交渉の議題にしないということが言えるのか、それとも対米交渉をこれでやるというのですか、その点非常に重大ですから、はっきりもう一度確認したいと思いますので、御答弁願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の考え方はしばしばこの席上で申し上げております。そうしていま言われるように、断定的な結論をまだ出しているわけじゃございません。したがって、これで交渉しますか、こういうお尋ねだと、まだそこまでいっていない、これは御了承いただきたいと思います。しかし、私は、とにかくこの秋以降にアメリカに参りまして沖繩の返還問題と取り組みたい、このスケジュールを一応組んでおります。したがって、基地の態様についても、いつまでも、まだきめないまだきめないでは相済まぬ、かように思っておりますが、まだただいまの段階では、もうはっきりきまったと、こういうものではない、先ほどもお答えしたのですが、そういうように御了承願いたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは、まあ交渉の議題にする可能性もあり得るということなんですね。政府の方針としてはっきりこれを貫く、そういうことではないわけですね。この点どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 岩間君もおそらくおわかりがいただけるかと思いますが、私の頭の中にあれやこれやといろいろな材料を整えております。いままで白紙白紙ということを申してきましたが、たいへん評判が悪い。白紙というと何にも考えてないかのような言い方に聞こえるのですが、そうじゃない、非常に研究はしているのだ、考えているのだが、その考え方は一体どういうことになるのか、こういうような話にだんだんなってきました。そこで、憲法の問題、あるいは安全保障条約の問題等々をそれぞれ申し上げているような次第であります。したがって、私は、各方面の方々の御意見を聞きまして、この重大な問題、それに私が取り組むのに間違いのないようにしたい、かように思っております。むしろ私は皆さんの御意見を聞かしていただきたいといつも実は申しておるのですが、共産党の方も同様にさようにお考えいただいて、まだ佐藤がきめていないようだ、ひとつ教えてやろう、こういうところから何かとお知恵を授けていただきたい、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理はいままで、沖繩の米軍基地が持っている役割りは認識しなければならない、そういうふうに言っている。それから、日本及び極東の安全をそこなうことなく解決をはかる、こう繰り返して述べてこられた。私は、このような発言からは、沖繩の核は必要でない、あるいは特別の取りきめをしないという、こういう結論は出てこないと思うのですが、これはどうですか。また、アメリカは、このような態度に対して、これはなかなか同調しないというふうに考えられますが、これについてどう考えておられるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあいま一つの研究課題です。これは岩間君の御指摘のとおりであります。しかし、私どもの考えることは、まず第一は日本の存立並びに安全です。同時に、また、日本を取りまく極東、これこそが日本の存立、安全に関係の最も深いところだと、かように思いますがゆえに、それらの安全を確保する、そういう見地に立ってものごとを考えていくということであります。私は、やはり日本の総理として、これは当然のことだと思いますが、まず日本の存立、その安全、同時に、また、最も密接なる環境をつくっておるこの極東周辺の安全の確保、これに役立つものを考える、これは当然のことであります。そういう意味で考える。これはまだアメリカと話し合っておるわけじゃありませんが、アメリカがどういうふうに思いますか。いままでも、しかし、前のジョンソン大統領と話し合ったとき、その基本線についてはアメリカも十分理解してくれたように思います。したがって、ジョンソン大統領と私との共同コミュニケでもその点が詳細に書かれております。同時に、また、沖繩についても、祖国復帰の国民の念願、これまたワシントン政府も認めておる、その願望はわかる、こういう言い方をしておるわけであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは、いまの総理の答弁は、これはまだそういう個人見解の域を出ないということですね。私はいままでこの国会になってから見ておりますと、いつでもこういう手を使うわけですね。春先のヘビやガマのやり方なんですが、何か調子がよさそうなとき出てきて宣伝をやるわけです。そうしてぐあいが悪いとまた戻ってしまう。そうして実はたくさんのことがいままでこの国会ではもう布石としてつくられてきたのが実情じゃないかと思う。これは選挙を前にして自民党内の世論をまとめる、あるいは解散気がまえの中で国民にPRをする、そういうねらいがあってはこれはまずいと思います。  私は、この問題と関連して、それでは具体的にお聞きしたい。防衛庁長官、これはどうです。現在沖繩では、メースBの地下基地が四カ所、ナイキハーキュリーズの地下基地が八カ所、さらに知花、多幸山、辺野古などの核貯蔵基地など、核基地の拡張工事が進められております。これは日本と極東の安全に役立っていると考えられますか、どうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 沖繩の問題は、残念ながら、まだわがほうに施政権が返っておりませんので、そういうような問題を私はつまびらかにわからない。ただ、交換された資料によりますと、あそこにメースBがあるとか、あるいはナイキハーキュリーズがあるとかいわれておりますが、そういう核がどういうようにあるとか、そういうことは遺憾ながら私のほうではわからない、そういうことを御了承願いたい。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その点は非常にこれは不勉強じゃないかと思うのです。ナイキハーキュリーズのごときは、あることを前提として十日では論議されているでしょう。これについてやはりはっきりした見解を出していただきたい。  それじゃその次どうです。沖繩の米軍基地はいかなる事態にも対応できる有事即応の体制を持っていることは、これは防衛庁長官も御存じだと思います。現に朝鮮戦争やベトナムの北爆が勃発したときに、直ちにここから爆撃機が直接発進しました。これも日本と極東の安全に役立っているとお考えですか、どうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 御承知のように、沖繩の基地は、アメリカ本国にあるICBMとか、あるいは太平洋のポラリスとか、あるいはB52というような、大きな戦略を背景として、そうして沖繩の基地があるわけですから、相当地理的の位置、あるいはその果たす役割りから言って、いわゆる太平洋のかなめ石ともいわれておる。そういうようなことからいいますと、沖繩の基地は、日本並びに日本を含む極東の安全のために相当の役割りを果たしておる、かように私は考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 確認しておきます。  次に、現在、沖繩は米軍の補給基地、訓練基地、通信基地、謀略基地等、総合的な役割りを果たしていますが、これも日本と極東の安全に役立っていると考えられますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) やはり抑止力として日本の安全並びに極東の安全のために役立っていると、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは承認されるというのですね。  さらにお聞きします。沖繩は、韓国、台湾、フィリピン、 オーストラリア、 ニュージーランドなど、米国との相互防衛条約を結びつける、先ほどおっしゃったかなめ石になっています。これは日本と極東の安全に役立っているとお考えですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあともかく極東のですね、これはもちろん日本を含む極東ですが、それには役立っておる、かように思っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 一応確認して、次に総理に伺います。  総理は、韓国や台湾の沖繩に対する意向を考慮に入れて沖繩の問題を解決されている。韓国などの意向は、沖繩の核抜き返還に対しては絶対反対です。総理はこれまで近隣自由諸国との友好親善を強調してきましたが、韓国や台湾の意向を無視しない限り沖繩から核をはずすことはできないと思うのでありますが、どうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、極東の範囲ですから、それらの国々にどういう影響があるか、それを考えなきゃならぬと思います。しかし、何といいましても、私どもとしては、わが国、そして祖国復帰、この沖繩の一体化、それをやっぱり中心にしてものごとを考えていく、これがものの当然でございます。ただいま言われるように、韓国や台湾が核抜きでは承認しないとか言われますけれども、私どもはそんなことも交渉ももちろんしておりませんので、そんな話がどこから出てきているのか、ちょっと私にはわかりかねておりますが、私の政治態度、これは、いま申し上げたように、どこまでも日本の立場で考えていく、そして、それが同時に極東の安全にもつながる問題だ、かように考えております。どうも、韓国、台湾と中華民国と、そう意見が違うことはないと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は、いろいろな角度から沖繩が太平洋のキー・ストーンとして果たしている役割りを実態的に見てきたのです。総理の沖繩の役割りを認識するということは、結局、日本と極東の安全に果たしている役割りを認めるということですね。それはここで確認してよいでしょう。したがって、それを認める限りは、沖繩基地の機能をそこのうことは許されないと、こういうふうに考えられるわけですが、いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本並びに日本を含む極東の守り、そういうところにこの沖繩の基地が果たしている役割りがあると思います。そこで、ただいまの問題でございますが、ここらにいわゆる国際情勢の変化もありましょうし、また、科学技術の進歩の問題もあります。だから、一がいに現状を維持しなきゃならない、かようにそう固定する必要はないんじゃないかと、かように考えております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 基地の安全をそこのうかどうかということは、非常にポイントなんですね。これは沖繩交渉のかなめになるわけです。そこでいま聞いているのです。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君起立。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そこのところ少し不十分だから。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いまも申しますように、それは基地の態様は変わります、変わりますが、非常に変わるとは必ずしも思わないということを申し上げたわけです。でありますから、こういう事柄が、どういうようにこれからきめるのか、いま国内で言われておるように核抜きでぜひ返せと、こう言われても、それも私は理屈がある、また、そういうことで説得もできるのじゃないだろうかと、かように思いますが、ただいまそれできめたというわけでもありません。また、核つきで返還をきめたというわけでもありません。そういうところが、皆さん方のそれぞれの御意見を聞きたいところなんです。だけれども、私が聞きたいのは、やはり日本国民の皆さん方の意見をまず第一に聞きたい、かように申し上げておるわけです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 おそらく、総理が秋に訪米されると、アメリカ側は沖繩基地の機能をそこなわない返還、こういう点について合意を迫ってくるのじゃないかと思います。したがって、これは新しくおそらく結ばれるであろう日米共同声明にこれを入れるかどうかということが一つのかぎになると思うのですが、こういう点についてはどうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、あまり先走った意見はいたさないつもりでございます。ただいまのような点もあろうかと思います、きめ方いかんによっては。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それから総理は、返還のめどを十一月につけたいということをこれまでしばしば繰り返された。これは十一月にめどをつける、そういう見通しがありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私がいま出かけようとしておるのが十一月以降と、こういうように申しております。早いときは十一月、まあそれ以降、とにかく出かけるから、ひとつスケジュールをそういうように組んでくれませんかと、こういうことをアメリカに申し入れてあります。ただいままでのところ、一応、私に先行する外務大臣の渡米、これについてはオーケーが言ってきている。これは六月の初旬。また、その後それぞれの会合を持つことがございますが、私自身は大体十一月の前にはちょっと行く準備ができそうにもない。それ以降になる、かように思いますので、行けばもちろんジョンソン大統領とお話しをした共同コミュニケによっての話し合いを進める、これは当然のことであります。また、それを国民も期待しておる、かように私は思って出かけるつもりであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 見通しの点はいかがです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この見通しを立てろということは、なかなかいまの段階でむずかしい。これは、見通しが立つならば、私はもう直ちにでも皆さん方に申し上げます。何ぶんにも相手のあることでありますし、そういう点で問題がたいへん重大な問題であります。  これは私が申し上げるまでもなく、戦争で失った土地を今度は平和のうちに話し合いで返してもらう、こういうことは歴史上にも少ないと思います。それと、ただいま御指摘になりますように、それが極東の安全のかなめ石だと、こういうように評価される。そういう場合に、この相手方と十分相談しないと結論の出ないことを、一方的にとやかく申すことはどうかと思います。これはその返事はこの際まだできない。私自身がまだきめておらないと同じように、ここに問題があるのであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理にもう一点お聞きしておきますが、よく世上でも、本土並みということを言われるのですね。ところが、本土と沖繩では、ことにまあ基地の実態なんか見ますと、非常に違っておる、これが現状です。たとえば基地一つとってみても、沖繩では、神奈川県とほぼ同じ面積のところに本土とほぼ同数の基地がある。しかも、これは核を持っている。本土並みといっても、中身はまるで違う。総理は、この本土並みということについてどういうふうにお考えになっていられるか、お聞きしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはいつも問題になっておりますが、本土並みと。私は、その本土並みをどういうように理解しているかと言われれば、日本の本土にあるいまの米軍基地、そういうように扱えと、こういうことが本土並みの要求だと思う。これは各政党によってそれぞれ本土並みが違っておる。安全保障条約を承認しないというものと、また、承認しておりましても、それぞれ有事駐留その他の段階的解消等々を言っておる。これは本土並みが違うと思います。しかし、そういうようなこまかい分析をしなくっても、いわゆるただいまの本土並みと普通言われておりますものは、いま本土にある態様のようなそういう基地であってほしい、こういうのだろうと、かように私は理解しております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この本土並みの問題は、具体的な実態、ことにそこに住んでおる百万沖繩県民の立場で考えれば、いまのような簡単な答弁では納得ができないと思います。時間の関係から、先に進みます。  次に、事前協議の問題についてお聞きしたいんですが、総理は、沖繩の返還にあたっては、安保条約も事前協議も適用する、こう言われましたが、これは確認していいですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの本土並みというのは何かと言われるから、私の理解している本土並みはこうだということを申したんです。その本土並みにするかしないか、その基地の態様を本土並みにすると、かように申しておるわけじゃございませんから、誤解のないようにお願いしておきます、その点は。  それから今度は、いまの基地が、態様がきまったときに沖繩も本土の一部になる。これは、日本に返ってくれば、当然日本の領土になるわけですから。そうしたときに、安全保障条約、これがどういうように適用されるか、また、いまの憲法がどういうように適用されるか、これを考えると、特別な――まあ憲法のほうは、特別の定めがないと思いますから、そのまま適用されると思いますが、基地の態様等については、特別の定めがあれば、そういうことも考えなきゃならないのではないか。しかし、いまそれをやるという意味ではございませんよ、誤解のないようにお願いします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 事前協議の適用はどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 事前協議そのものは、いまの安全保障条約の条文、そのたてまえの事前協議というものは、これはもう私が申し上げるまでもなく、よく何度もこの席を通じて申し上げております。その考え方を変える必要はない、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理は、答弁の先のほうで非常に重大な発言をされました。本土並みにすると言ったわけではないと、こういうふうに言われたわけですね。十日の論議のあとに本土並み本土並みというのは盛んに全国にPRされているわけですね。そうすると、そのときはまた態度を変えた。だから、雪が降ったから穴にもぐったわけじゃないだろうけれども、そういう点については確認しておいたほうがいいと思います。ようございますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) けさほども盛んにその点を再確認されております。これは、あるいは新聞の書き方等によって、いろいろな記事が出ております。私は、この新聞記事には、否定もしなければ肯定もしない、かように答えておりますから、それと同じことを申し上げたわけです。私が基地のあり方をはっきりきめて、そうしてそれをそのものをずばりと申し上げれば誤解はないと思いますが、私はただいまのところまだきめていないと、こういうことでございますから、誤解のないようにお願いをいたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうしますと、安保も事前協議も適用すると。安保、したがって現在の岸・ハーター交換公文の線でこれは事前協議を適用するということだと思うのですが、そうなれば、つまり、こういうことになると、これは条約上法制的には本土も沖繩も変わりがないという、そういうことですね。そう考えてよろしいですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 特別に取りきめをしない限り、本土から区別されるというものはない、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その先のところが非常に重要なんです。特別の取りきめをしない限りというのですから、することもあり得ると、こういうことですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これがまああり得るという、それがあると、こうきめることも非常にむずかしいのですが、大体いま議論しておることは観念論ですから、観念論的にいま発言しておるだけなんで、私はいま基地の態様をきめておるわけじゃありませんから、だから、特別な取りきめをしたと、全然しない、こういうものでもございません。それを、観念論的にそういうことがあればという意味で一応条件をつけております。そこらによほど誤解のないようにしないと、いまここで議論することはやや先走っているからとかく混同しやすいので、誤解を招きやすいと、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ついでにお聞きしますが、特別の取りきめをする場合に、これは条約締結上どういうことになりますか、法制局長官、どういう場合がありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これもけさほどお答えしたとおりでありますが、その取りきめ方いかんが、安全保障条約の条約を変えるようなものであればこの条約の改定になる、また、そこまでいかないのならばその必要はないと、こういうようなことになるわけです。ただ、特別な取りきめをしない限りという、これはことば上の問題で、私は非常に厳格にことばじりをとられないようにと思って特に注意した意味でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法制局長官、どうですか、法的な措置としてどういうぐあいに考えたらいいか。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、御起立を願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あんた研究しているから、どういう場合がありますか、あらゆる場合を言ってください、想定して。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 私もかつてこの点に触れたお答えをしたことがございますが、要するに、いま総理がおっしゃったことと実は同じでありますけれども、いままで条約、これは憲法でいわゆる条約、これはまた名称のいかんを問いませんけれども、要するに、憲法でいわれる条約、いままでは、安保条約なり、六条に基づく交換公文、これはいずれも国会の御承認を経ておりますが、その中身を変更するようなものであれば、むろん新たな条約の締結として国会の御承認にかけるというようなものになると思います。要するに、国会の御承認を経て内閣が締結した条約を変更するようなものであれば、条約として国会の御承認を経る手続が必要である。実は、この中身については、いま総理大臣が言われたことに実は何も付加しておらないように思いますけれども、筋道の論としては、いま申し上げたとおりだと心得ております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは、私はしろうとですが、大体、条約の改定、あるいは安保の場合にしても事前協議の交換公文の改定、あるいは今度の沖繩返還の協定、これできめる、あるいは協定の付属文書、奄美方式ですね、こういう四つの場合が考えられるわけですが、この問題についてどう考えておりますか。それからそこできめたものは当然これは条約と認めていいわけですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま、あまり先走って、これはもう条約改正をするんだと、そういう重要な取りきめをすると、こういうようにお考えにならないように、誤解のないようにお願いしておきます。ただ、申し上げたのは、あらゆる場合を一応考えてそういうように返事をしておる。したがって、その取りきめの模様によってはこれが条約になる。条約になれば、当然国会の批准手続をしなければならない、さようにお考えいただきたい。しかし、それにきめたというものではございませんよ。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、そういうものは条約であるということと、それからそれを変える場合には国会にかけるというのは確認しておきたいと思います。  では、次にお聞きしますが、事前協議の場合には、これはイエスという場合もあるし、ノーという場合もあると、こういうことですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、いまの条約にあります事前協議、その立場に立ってその事前協議を解釈していただけばいい。これはもう岸・ハーター交換公文、とにかく日本の好まないことをアメリカはやるつもりはない、かように申しておる。これはいわゆる戦争の歯どめになっておる、かように私は理解しておりますし、いまもさように考えております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 大きく言って、ノーの場合、それからイエスの場合は、どういうときでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は、しばしば私もお答えをいたしております。きょう午前中にも申し上げましたように、事前協議というものについての説明が、たとえば前国会の例を引けば、昨年のちょうどいまごろの当時の外務大臣からも申し上げているように、事前協議というものについては国益ということによって判断をするべきであって、ノーということもイエスということもありますと、こういうことを申し上げておりますが、それと私どもの考え方は全く同じで、この考え方は昭和三十五年の改定安保条約の御審議を願った当時からの一貫した政府の見解でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理は、先ほどの矢追議員の質問に対して、安保の目的以外に使う場合はノーと言うということを答えられたですね。そうすると、米軍が安保条約に基づかないで日本を使用することもあり得るような印象を与えるわけですが、これはどういうことになるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そうではございませんで、安保条約で日本が基地を提供する、その仕組みの中における事前協議でございますから、こういう仕組み以外でさようなことは考えられない、かようにお考えいただいてけっこうだと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは安保以外に使う場合にはノーということになりますと、裏を返すと、安保の目的内ならばすべてイエス、そういうように考えられるところが出てくるわけですが、この点どうでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約第六条がもとになって、事前協議という制度があります。そして、それに基づいて交換公文がございます。そしてそれに基づいた両国の了解がある、これについてはまあすべてよくよく御承知のことと思いますけれども、そこに事前協議というものがある、そして、これに対してのわれわれの見解は先ほど申し上げたとおりでございます。そしてその了解というものがありまするし、また一方には岸・ハーター共同声明というものもございますから、日本側の欲せざるようなことが事前協議にかかった場合がかりに万々一あるとしても、これに対しては欲せざるような点についてはノートと言いますよということが確認されておるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 外相は国益というような抽象的なことばで言われましたが、結局は、そうなると政府の判断一つでいつでもイエスと言うことができる、そういうものになりやすいんですね、この点何かイエスに対する一つの基準、歯どめというものはどう考えておりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほども念を入れて申し上げましたが、私だけの見解ではございませんで、歴代の外務大臣の公式の何回かにわたる答弁でございます。また岸内閣以来安保条約批准国会におきましても、そのことが明確になっておるわけでございます。ただ、これも岩間委員も万々御承知の上でのお尋ねと思いますけれども、日本側の態度というものは当時きわめて明瞭になっている。そしてそれがいまも申しましたように、岸・ハーター共同声明で、これが明白に根拠づけられておる。要するに日本の欲せざるようなこと、先ほども詳しく安保条約第六条に基づく交換公文のことも念のため御説明いたしましたけれども、装備、配置、戦闘作戦行動、この三つの点について、これこれしかじかのことは特に大事な点として、事前協議の対象ということが非常にはっきりしておる。これらのことのうち例をあげれば、たとえば核の問題というようなこと、あるいは一個師団以上の変動というようなこと、いろいろこう書かれてございますが、そういうような点についてはいわゆる歯どめということで、日本として欲せざるようなことについてはノーと言う。このことが歯どめになっているということ、これもまた昭和三十五年の改定以来の政府の一貫した見解であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あなたのいまの説明を聞いておれば、やはり事前協議が歯どめであると、そういう立場に立つなら、当然私は沖繩の返還については特別の取りきめはしないとはっきりこれは言明しなければ、そういうことにならぬと思うわけですね。ところが、この点が実に歯に衣を着せてあいまいです。総理どうなんです、そこをはっきり言い切れますか。言い切ったら、それで私ども歯どめですね、それならそこなわれないことにもなる、そこが肝心なところじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 基地の態様がはっきりすれば、ただいまのようなことがノーともイエスとも言えるわけです。しかし、大事な基地の態様については、まだ私最終的な判断を下しておりませんから、ただいまのようなお尋ねがありましても、イエス、ノーは言えない、こういうことであります。しかし、岩間君のただいまの御意見は、私もちろん参考にするつもりであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 だから私は最初に、基地の安全をそこなうことなき返還だということの意味は何か、この点を私は追及しているわけです。しかしそこのところをことばを濁されておるのだが、そういうことではやっぱりはっきりしませんよ。  じゃ、具体的にお聞きします。核持ち込みの場合はこれはどうなる。これは念のためにお聞きします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩の場合におきましては、いろいろと日本の第一義的に安全を守るという観点から、基地の態様はいかにあるべきかということについて真剣に考えておるわけでございまして、この点はただいまも総理がるる述べられたとおりであると思います。したがってその問題は別にして、従来から私どもの政府の見解として申し上げていることは、核の持ち込みについてはノーと言うと、これが従来から現在までのわれわれの態度であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これも私は重要な発言だと思いますね。沖繩の場合は、これは本土と違うのだというようなことをあなたいま漏らされたんです。そうすると、どうも本土と沖繩、これはまあ安保、それから事前協議の適用でこれは同じようになるんだという印象は、まるでこれはひっくり返っちゃったんですね。これはどうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあそれも、岩間委員も万々御承知と思いますけれども、沖繩の基地の態様については、まだわれわれは考えがきまっておりませんということをただいまも総理も申されているとおりなんでございますから、私は現在までの状態における事前協議の点について御説明をいたしたわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 自由出撃の場合どうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはやっぱり基地の態様ということの問題でございますから、こういう点については、いかなる形態が一番よろしいかというようなことについて一生懸命考えておるところであると、これはもう御承知のとおりで、したがって白紙ということばがお気に召さぬかもしれませんけれども、白紙ということで、何もまだ字を書いておらない状態でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 都合のいいことは白紙、それから都合が悪いとまたちょろちょろと出てきてアドバルーン――そうでしょう。もう手が見えていますよ。いつでも同じことを繰り返している。だんだんだんだん既成事実をつくっていく、既成事実を。うまいですよね、これは。PR布石。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君起立を願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは国民も知っていますよ。それじゃね、核とか自由出撃の場合ははっきりしているが、こういう場合どうです。ベトナム爆撃に向かうB52に空中給油のため、日本の基地を使う場合はどうです。これはどうなりますか。事前協議はどうなりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもまあ仮定の事実でございますけれども、その沖繩の問題は白紙でございますから、これは問答から別にいたしまして、日本の基地から明らかに作戦行動として発進をすると、そういう命令を受けて飛び立つというような場合は、これは従来から政府がしばしば言っておりますように、これは事前協議のもちろん対象になる。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 給油の場合です。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 給油の場合も明らかに発進する飛行機が作戦のために飛び立つという戦闘命令を受けて途中で給油をする場合はその範疇に入ると、かように考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そのときイエスですか、ノーですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは現在の考え方ですね、これは沖繩ということをくどいようでございますが、別にいたしまして、従来からの政府の考え方は、明らかに戦闘行動に出ていくというときはノーと申しますということは、従来からの政府の見解でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうしますと、現在どうです、空中給油のためにこれは沖繩ではKC135がですね、これがたいへん飛び立っているでしょう。最近の飛び立った機数について防衛庁長官どうですか、わかりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 岩間君も御承知のとおり、いまは沖繩は日本に返っておらないですね。したがいまして、日本の施政権外のところですから、これは先ほども問題になっておる日本からじゃないんで、沖繩というところから飛び立っておるのだから、これは日本政府がとやかく言うべき筋合いのものではないと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 どなたか御存じの方ないですか、だれもないですか。嘉手納基地で出している英字新聞に「ファルコン」というのがあります。これは一九六八年末までの四年間に計四万五千回出撃している。一日約四十回です。こういうことになりますと、沖繩がいよいよ返還される、そういうときのこの空中給油はどうか。この問題は、非常に重大な問題になるわけですが、これは、その場合にはどうなりますか。本土と同じにノーでありますか。ノーであったら、これは基地の機能が保たれるかどうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも仮定の問題でございますけれども、先ほども申しましたように、かりに特別の定めがなくて、本土と同じような条件になれば、明らかに作戦命令をもらった戦闘機が出撃するという場合におきましては、これは事前協議の対象になる、こういうふうに考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 どうも形式的答弁ですよ。本土と同じようになればという仮定があるが、あなたたちはキーストンだと認めているでしょう。アジアにおける戦略のこれはかなめだということは認めているでしょう。基地の重要性ということをいままで強調しているでしょう。そういう立場からいえば、本土と同じようになればという仮定じゃ、これは話にならぬ。それはどうなんですか。それとも沖繩を全部そういうキーストンの立場をはずして完全にこれは開放して、返還させるというのですか。無条件全面即時返還を戦い取るというのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも重々御承知の御質問でございますから、私も何度繰り返しても同じで恐縮でございますけれども、何らの特別の定めがない限りというその状況のほうから、私は申し上げたんでありまして、現実にいかようなことになっておるか。いまおあげになりましたのは情報でございましょうが、私は、いましかとしたそういう状況においてどういう、何といいますか、行動が行なわれるかということは、これもまた将来の問題でございますから、これもまた仮定の問題だと、こういうことを含めて御答弁いたしたわけで、私の言わんとするところは、岩間委員もよくよくおわかりいただけると思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いま、総理はあらゆる立場を想定して検討していると言うでしょう。だから、申している。すぐに起こることですよ。ことに、空中給油の問題は、最近の大空輸作戦の中で沖繩の基地というものの機能がますます重大になっているということを立証している。そういうことになれば、いまのような問題、そのような答弁では済まされないと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そういうことで仮定の問題、いろいろ出てまいりますが、たとえば、給油にいたしましても、単なる給油だけということであれば、これは私は問題にならないと思うのです。だんだん、だんだんそういうふうな仮定の状況をいろいろあれされましても、沖繩の問題につきましては、そういった考え得るいろいろな要素をよく検討しまして、そして、われわれの考え方をまとめていきたいという段階でございますから、この段階で仮想に、仮定の問題をあれこれとまあ知恵の続く限り例をお出しになっても、私としては、知恵の限りを尽くしてもこれはお答えができないと、こう申し上げるのが一番誠実な答弁だと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 苦しい答弁ですね、非常に苦しい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 岩間君の頭のいいところで何か一つ引っ張り出させようと、そうして、どこからか何か出ようかと、こういうことでいろいろお聞きでございますが、もうはっきり申し上げているように、基地の問題は、まだきめておらない。これだけは非常にはっきりしている。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 さっき知恵を出せと言ったでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 意見を出してくださいとは申しましたが、お尋ねをいただいて、そのお尋ねで言えと言われても、これは困るのです。だから、いま私が申し上げるのは、ほんとうにまだきめていない。そういう意味から、私どもはきめたいのは、沖繩をとにかく本土へ復帰さす。そうしたら、いまとそれは必ず基地の態様も変わってくるに違いない。いま持っているような基地そのものでないことだけは、これはもうはっきりすると思いますよ、帰ってくるというと。だから、いまの沖繩を米軍が自由に使っているその状態と、日本に復帰した――おそらくこれは必ず変わると、かように私は思います。その変わり方が、非常にわが国の安全をそこなうような問題であれば、これはたいへんなことだと思う。また、これを極東の地域に対しまして重大なる影響を与えるというのならば、これはたいへんな問題だろうと、かように思いますから、そこはよく考えなければならぬと思いますけれども、私はいまのところ、この沖繩が日本に復帰いたしましても、その機能の低下が、どうも日本の安全には変わらないというような方法があるのじゃないだろうか。こういうようなことも、これは私ども一方的かもわからない、日本に都合のいいような考え方をしていると言われるかわかりませんが、そういうことも私はいろいろ考えてみている。だから、そういうことは、いまお尋ねになりましたような特殊な例が、あれやこれや非常に重大なる影響があるというふうに――結局これはいま復帰、復帰だと申しましても、実現しないことになるだろうと思います。そういうことをそこなわないような状況のものを、何かくふうしていく。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 それには、どういうふうにしたらいいぞと、こういうような知恵をつけていただくと、たいへん私はしあわせだと、こういうことを申しておる。まあひとつよろしくお願いします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 大臣の答弁おかしい。本土の場合はノーと言った。返還される沖繩と本土とは同じように適用すると、そう言っていて、今度は歯切れの悪い、はっきりした答弁はできない。結局どうなるかというと、沖繩の場合、返還の場合は、事前協議の歯どめの役割は大きくくずれざるを得ない。こういうことをいま証明したわけですよ。そうして、それがやがて本土にも逆に適用される危険性を十分持っておる。つまり本土の沖繩化がここで行なわれる危険性があるという点で、私は、この問題を非常に重大視せざるを得ないのであります。  そこで、私は以上の論議を総合して言えることは、沖繩に安保も事前協議も適用することによって、本土と沖繩の区別をなくし、その上に事前協議の弾力的運用、まあイエスというような、こういう条項で、そうして核持ち込みも、自由出撃も可能にする、そういうたくらみがここにあるのじゃないか。これこそは、本土の沖繩化以外の何物でもないではないか。まさにこういう点では、私は一石二鳥をねらっているのが、佐藤外交の現在のやり方じゃないかと思うのです。つまり事実上の核つき自由使用返還と本土の沖繩化、すなわち安保条約の核軍事同盟化が、ここではたくらまれておる。私は、これは非常に重大なときにわれわれは立っていると思うのです。解散目当てのこのような、単に解散目当てだけじゃなくて、対米折衝を考慮に入れたおそるべきたくらみを、私は、国民の前に、はっきりこの議場を通じて、これは指摘せざるを得ない。こういうふうに考えるわけです。  それで、次に移りますが、総理は、この秋の訪米に際して、沖繩の防衛構想を持っていくのですか。それがなければ、対米交渉は進まないと思いますが、そうすれば、それまでには四次防の骨格がきまるのかどうか、これはいかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩が祖国に復帰すれば、当然自衛隊の守備範囲になってくる。このことは、日本共産党もお認めだろうと思います。日本の守備範囲になる。その日本の守備範囲になるものを、ただいま持っているか持っていないかと、こう言われると、まだ持っておりません。これはもうはっきり申し上げます。これは、まだ、いま私が行って交渉しようというのは、この両三年のうちに沖繩の祖国復帰のめどをつける、それに行くのでございまするから、もう直ちに話しができたからすぐ返すと、こういうものではない。おそらくある程度の準備期間は要るだろうと思います。ことに、先ほど来言われるように、米軍基地というものが非常に膨大なものだとするならば、おそらくそこにはそのままのものでいいのか、それをどういうようにするのか、そういうような問題もありましょう。これは日本側からの要望からも、また、米軍側からもそういう要望が出てくるだろう、かように思いますので、ただいま次の防衛計画というものはまだ持っておらない、このことはおわかりがいただけるかと思います。まあ先ほど、自分で、岩間君が結論を出されて、何だか私どもが選挙準備にやっているかのような言い方をされた、そんな問題じゃございません。これは、日本国民の運命を決するという重大な問題なんです。沖繩同胞がどれだけ祖国復帰を念願しているかわからない、それと真剣に取り組む。そのために私は時間をかしてくれと、こういうことを言っているのです。ですから、それらの点も考えの中に入れられて、岩間君もかってな結論を出されないで、そうしてほんとうに日本国民の国益に合致する、日本国民の将来にも役立つ、しあわせするような、そういう名案をひとつ考えようじゃないですか。それで、ただ、いま言っておられる。いままでもおそらく日本共産党から言うと、私がここで話し合っていることはあるいはナンセンスであるかもわからない。これは安全保障条約についての考え方がおそらく根本的に違っているだろう。私は、同じような立場に立ってなら幾らでもお話ししますけれども、何だか、先ほど来から話しを聞いていると、そこらによほど食い違いがあるように思う。私は、こういうことだと幾らお話しをしてもいかぬように思います。だから、その結論を私はまだきめておらないと言っておるのですから、それをそういう自分の都合のいいように結論を出して、国民にかように訴えると、こう言われても、それは困るのです。だから、私自身も黙っては聞いておりましたけれども、あまりにも行き過ぎはしないかと、かように思いますので、そこらは誤解のないように願いたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 大体、共産党は、これは前衛党ですからね、大衆的前衛党です。だから、こういう事態があればこうなると、これに対して、当然、党の見解を出す、こういう点が必要です。だから、沖繩返還がいまの手で進められていったあとには、そういう事態が起こるということを私は指摘しておるのですから、その点、誤解のないように。あくまで民族の理想の……。  そこで、まあお聞きしたいんでありますが、どうですか、愛知外相、どうですか、この点について。いま、先ほどの防衛構想を持っていかないような話しがないように言われたが、どうですか。これはニュースの伝えるところでは、さようになっていないんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私も、いま、総理が言われましたけれども、私も何か腹黒いたくらみでも持っているように言っておりましたが、これはひとつ返上いたしたい。私は真剣に考えている。だからこそ、まだ結論が言えないということを申し上げておるのであって、たくらみということばは、この議場を通じて返上いたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 四次防。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いや、まずそれが大事なことです。これは返上いたします。  それから、後者につきましては、私の直接守備範囲ではございませんし、また、ただいま総理が言われたとおりで、私は特に申し上げることはございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 防衛庁長官、どうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、いまいわゆる三次防でですね――三次防というのは四十二年から四十六年にかけての五カ年計画でいま進んでおるわけですね。ちょうど来年が三年目でありまして、四次防をつくるときには、私たちのいままでの経験からいえば、三次防のほぼ末つ方ですね、四十六年の末つ方の日本の自衛力の現状を見ながら将来の五カ年計画を立てるのですから、四次防はこうでございますとか、そういうまだ段階にはいっていないのです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 沖繩返還に伴う自衛隊の派遣構想、どうなんです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) それは、先ほど言うように、総理の言われるように、日本に沖繩が返還されれば、第一義的には、わが自衛隊が陸海空を通じて防衛の責任に当たらなければならぬ。しかし、まだ沖繩も返還の態様がきまっておりませんから、いまかくかくでございますなんと言う、そういう段階までわれわれの程度がいっておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 では、基地の態様待ちということですか、それによってきまるということですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 基地の態様については、もう総理も再々申しますように白紙でしょう。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いや、態様によって、自衛隊の構想はきまるということですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) それはそうです。基地の態様は、いろいろ情勢が変わってくれば、それに……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 向こうさん待ちということですね。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 向こうさん待ちではない。われわれは検討はしておりますけれども、具体的に基地の態様がきまらないのに、かくかくでございますなんということは言える段階ではない、こういうことです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、これは私は非常に重大なことにやっぱり触れてるですね。そうでしょう。自衛隊は日本の防衛だけでなくなる。日米共同防衛の一環をになう、そういう任務を持つということになりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) こちらの説明が悪いのか、岩間さんのいろいろな誤解があるのか、知りませんけれども、わが自衛隊は沖繩が返還されれば沖繩国土それ自体の防衛に当たると、こういうことですから、その極東の安全をはかるたてまえの自衛隊、これはもう御存じのとおり、日本の自衛隊法をごらんくださっても、この国土を守るというだけでありまして、そういうよそのお世話までするようなたてまえにはなっておりませんから、その点はひとつよく御了解を願いたい。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 おかしいですね。おかしいですよ、いいですか。そんな答弁でいいですか。全く自主性がない。ちゃんとそう言っているのだ。自民党の有力筋はこう言っているのですよ。「日本及び極東の平和と安全のため積極的な役割を果たすため自衛力を増強整備する」、こう言っているのですよ。だから、沖繩返還に伴って自衛隊の性格が、当然こういうものとの関連で変わってくるのじゃないですか。佐藤総理は、一昨日の答弁だったですかね、いまの自衛隊では不十分だ、こういうことを言われましたが、これとあわせて、どういうことですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いままでの自衛隊の能力というもの、これは沖繩が復帰する前の本土の防衛、それにまた日米安全保障条約はありますが、この点は日本共産党と同じでしょうが、自分たちの国土はわれわれの手で守る、自分たちの力で守る、そのたてまえで、第一はやはり自衛隊が守る。しかし、憲法が許しておるこの自衛力の範囲にしても、私どもはいまの状態では不十分だと思います。だから、その足らないところを日米安全保障条約で補っていると、これが現状でございます。だから、いまの日本の領土に沖繩が加わってくると、今度は少しは陸上自衛隊もふやさなければならないか、わかりません。しかし、そういう事柄はこれからの問題であります。日本の領土になったものをいつまでもアメリカに守らしておくと、そういう筋の立たないことはしたくない。だから、私どもは小笠原が返ってくれば当然小笠原は日本の自衛隊の守備範囲内に入ってくる。また、沖繩が返ってくれば当然自衛隊の守備範囲の中に入れると、こういうことであります。小笠原については、別に防衛力をどうこうしなくても済んでおりますが、しかし、沖繩については、いままでの経緯から見まして、全然陸兵――陸上自衛隊なくていいわけでもない。また空軍も、そういう意味ではやっぱり整備する必要があるのじゃないか、かように私ども思います。しかし、その状態はまだ持っておらない、かように私は先ほど来から説明しておるわけです。この点はおそらく日本共産党も、自分たちの国土は自分たちで守る、こういうことを言っておられるのだろうと思っております。どうもそこらがいまだいぶ先のほうまで言っておられますけれども、まだそこまでは、こちらのほうでは計算ができておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 二つの点が問題になります。一つは米軍の基地を守る任務を持っているはずですね。もう一つは、日本と極東の安全という形で、これは自衛隊法を逸脱していくでしょう。そういう性格の軍隊でしょう。沖繩返還に必ずそれは伴ってくるんですよ、日本の自衛隊の派遣は、どうですか。これは明らかに憲法違反です。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の自衛隊はちゃんと憲法のもと、また自衛隊法のもと、これはやっぱり自衛隊が行動するのでありますから、そういうことで御心配にならないように願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 どうですか、防衛庁長官、自衛隊法に対して。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いま総理のおっしゃるとおりですから、ひとつ誤解のないように。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 とおりですからといって、いままで筋道を話したんです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いや、私も先ほど筋道を話して、日本の国土になる以上は、わが自衛隊が……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 沖繩の基地の任務は、極東の安全、日本の安全、そういうようなところに軍隊を派遣する意味から。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 自衛隊の幅と、それから日米安保条約で米軍の幅とが、そこに違うわけですね。米軍あっての極東の安全ということはありますけれども、自衛隊はあくまでも沖繩本土の防衛に当たる、これは誤解のないように願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それは了承できない問題です。時間の関係から、まあこれは分科会でやりましょう。  次に日米軍事専門家会同についてお聞きしたいんですが、日米軍事専門家会同の開催日時と両国の出席者、議題をここで報告してください。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) その問題は、たぶん昨年の十二月だったですが、日米安保協議会の席で、合議された自衛隊と在日米軍との間の随時会同のことを言われているんじゃないかと思うんですが、その随時会同の問題は、基地の問題ですね、いままで基地の問題がややもすると社会面から起こるのであって、防衛上、国防上の立場からもそれを研究する必要があるというので会同が設けられた、そこで本年に入りまして、一月の十三日、それから二月の四日、三月の十一日と、この三回会同をやっております。日本から出ていったのは統幕会議の事務局長の昇野海将、それからアメリカ側は在日米軍司令部のウイルキンソンという参謀長、その二人を中心として、あと随員といいますか、副官といいますか、そういう者が若干おったかと思いますが、それはよくわかりませんが、この二人の会同でありまして、これは岩間さんもさっき――基地問題を中心として、しかも、それは意思決定といいますか、こういうことをやるということじゃなくて、参考の資料とするということでありまして、それらの会同によってこういうことをやるということをきめるわけじゃないんですね。そういうような参考のの資料を日米両側に提供する、そうして、その意思決定は別の機関でやる、こういうことであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ここに外務省の東郷アメリカ局長見えておりますか、――見えていますね。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 岩間君、立ってください。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いないと時間がないから。  この軍事専門家合同について、衆議院であなたは日米合同委員会の下部機構といった趣旨のものではない、こういう答弁されておりますね。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) 安全保障協議委員会の下部機構というようなものではないということを前に御説明申し上げました。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 防衛庁長官と食い違っております。あなたは、下部機構だと言っておる、言った覚えないというのですか。速記録にはっきり出ておる、速記録調べたのだから。――ちょっと待ってください。速記録調べると、そう言っている。もう一回言ってください。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 決して下部機構じゃないのですよ。これは、私もその合意は、日米安保協議委員会で合意した随時会同というものを合意してやったけれども、それは下部機構じゃなくて、いまのアメリカ局長の話も下部機構じゃないと言う、両方とも同じことであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうですが。これは、そうすると、下部機構でないということで確認していいですか。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 岩間君、立ってください。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理に念のためにお伺いしますが、総理もそうですか。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) いまのお話の研究会同、安保条約実施上生ずるいろいろな問題を協議する一つの協議の場所ということでございまして、それが岸・ハーター交換書簡に基づきましてできておる安全保障協議委員会の下部機構といった制度的なものでなくて、これは安保条約実施に関係するものが随時協議する場所である、われわれ外交、防衛両当局のものがさような協議をすることもございますし、またいま先生お話のものも、そういった一つの協議の場ということでございまして、防衛庁長官もそういう趣旨が御説明なさったものでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あなたの答弁、ちょっと違うのだよ。日米合同委員会の下部機構でないと言ったのに、あなた、安保協議委員会の下部機構でないと、そういうふうに言ったでしょう。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 岩間君、立って質問してください。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) 合同委員会は、いまお話の合同委員会は地位協定実施のための合同委員会でございまして、それの下部機構ということでもございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 もう一ぺん聞きますよ、日米合同委員会の下部機構といった趣旨のものでないと、あなた言ったのですが、そのとおりですね。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) そのとおりでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理はどうですか。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 岩間君、立ってください。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 総理はどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまアメリカ局長が答えたとおりであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 一月三十一日、参議院本会議のわが党の野坂議長への答弁で、総理は日米合同委員会の下部機構であると明言しておる。これはどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私もその記憶はございませんが、また、そういう程度のことに私が答えたとも思いません。いま、アメリカ局長が言ったのが、それが、その通りでございます。もし間違っておれば、そういうように訂正さしてもらいます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それは総理認めなさい。記憶にないほどこれは不明瞭なものなんですか。そうじゃないでしょう。日米軍事専門家合同というのは基地機能の検討を行なっていると防衛庁長官言われました。基地問題を検討するにしたって、当然、極東の軍事情勢やアメリカの戦略を検討せざるを得ないですよ。ことに、この際、極東戦略のかなめである沖繩基地問題を抜きにしてこれはできないわけでしょう。どうですか、この点、防衛庁長官いかがです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いまの会同はそういうことをやる会同じゃありません。あくまでも基地を中心にして――そういうような必要があるときは防衛庁長官を中心として、そして防衛庁内で検討をすることにいたします。そういう会同でやるわけじゃありません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 在日米軍の参謀長ですよ。統幕の事務局長ですよ。そうして、しかも、日本の基地一つ検討するにしたってそうです。アジアの戦略体制を見ないでこれはきまるわけじゃない。いいとか悪いとかいったってこれは全体の関係する問題でしょう。横田基地をどうするかといったって当然、沖繩の関係が出てくる。当然、太平洋の核戦略体制との関係が出てくる。そうですから現に、どうです、軍事会同で、統幕は、沖繩が日本に返還される場合、沖繩基地の機能が現在よりも低下するようなことがあれば、日本を含む極東の防衛体制に穴があくと、こういうふうにはっきり言っているじゃないですか。これはどういうことなんですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) そういうことは防衛庁としては言っているわけじゃありません。だから、どういうことがあるのか知りませんが、少なくともいまの会同ではそういう話はやっておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 知らぬは防衛庁長官ばかりなのだ。これはよくいわれることわざだね。ないなんて言えませんよ、長官。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 岩間君、立っておっしゃい。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それで私は、次に移りますが、今国会での沖繩論議で政府は、核の持ち込みは政策上の問題で憲法上の問題でないと、国連憲章に基づく米軍の行動は憲法に関係がない、こういうようないろいろな見解を示しました。この見解は、沖繩だけのことでなく本土にもそのまま将来適用されるものだと思いますが、どうでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 核の持ち込みということばがしばしば使われますが、日本が日本の戦力として核を持ち込んで自分が保持するというのが憲法に違反になり得ること、これは明瞭でございますけれども、持ち込みを許す、許さない、そういう問題で、結局は、米軍がそれを保持する場合についての話であることをまず最初に申し上げたいと思いますが、米軍の保持に関しては、しばしば引用して恐縮でございますけれども、最高裁の判決がございまして、日本の憲法の九条二項の戦力を保持しない、その主体は、それについて管理権、支配権を持つものについての規定である、したがって、管理権、支配権を日本みずからが持っていないというものについては、これは憲法九条二項の直ちに規制するところではないという判断がございます。その判断をもとにして、いま仰せになりましたような結論が出ているわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 沖繩と限定しただけじゃないでしょう。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) むろん理論の問題でございますから、沖繩にあるものと本土にあるものとの地理的な区別によってその理論が変わるわけではございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 確認しておきます。政府が沖繩問題にからませてこうした重大な見解を明らかにしたことは、沖繩の核基地使用だけでなくて、日本全土の核基地化、安保条約の核軍事同盟化、つまり本土の沖繩化に大きく私は道をあける、こういう布石を打ったんだと、こういうふうにこれは考えるほかないと思うんですが、この点いかがでしょう。もっとも答弁できなければけっこうです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) いま非常に即断をなさいましたけれども、憲法の理論の問題と、それから政策の問題とはむろん全く別の話でございます。この憲法を私しばしば御注文に応じて答弁をいたしますが、それがすなわち一国の政策であるというわけではむろんなくて、全く理屈の問題と、それにもかかわらず、そうしなきゃならぬというのが憲法の規定ではないのでありますから、それにもかかわらず、政策上どう処理するかということは、むろん政策の問題として自由に責任ある政府が考えるべきものである。したがって、いま憲法上の解釈としてはそうなるからといって、政策上もそうなるというふうにおっしゃるのは即断ではないかと、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはあなたの答弁としては少し行き過ぎですよ、それは少し行き過ぎです。大体私も国会で二十三年以上になるんですね。ちゃんと憲法解釈の変遷というのは見てきているのです。この国会で特に目立っているのだ。そうしてそういうような政策との関連でいま言われたけれども、とてもそんなことは了承することはできませんよ。時間がなくてこれは一々立証することはできないけれども、あなた、少し法制局長官の域を脱してますよ。総理のうしろにいて政策の非常にこれは推進役をやってはまずいですね。  次に進みます。沖繩及び本土において米軍人、軍属、家族によって引き起こされた犯罪事故件数、この種別件数並びに人身、不動産に与えた被害状況について総理府総務長官、国家公安委員長並びに防衛庁長官の答弁を求めます。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 沖繩におけるところの米軍による犯罪並びに事故の状況につきまして御説明申し上げます。  まず、軍人等による犯罪につきまして、最近の昭和四十年には千三件、四十一年には千四百七件、四十二年には千七十九件、四十三年は十一月まででありますが八百三十六件であります。決して少ない件数ではありませんので、できるだけこの件数の減少に対しまして米国側にも申し入れておる次第であります。  なお、米軍の事故の関係でありますが、演習等による事故、大きなものはやはり飛行機の墜落によるものが大きいのでありますが、講和発効後の八件でありますが、この八件の合計において死者二十四名、負傷者二百四名、家屋の被害は二十件でありまして、これまた事件のありますつど米側に対して注意を喚起いたしまして、十分、県民の生命財産の安全を確保するよう申し入れておる次第であります。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  補足的なお答えを政府委員から申し上げます。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) 駐留米軍の軍人、軍属、それから、それらの家族によります刑法に触れる犯罪の警察におきます検挙人員、これを申し上げますと、昭和三十五年の千五十五人というものからだんだん減少いたしまして、昭和四十年には六百五十四人、その後若干の増加がございましたが、昭和四十三年には八百三人、こういうことになりまして、三十五年から四十三年の間には二四%の減少になっております。なお昭和四十一年以降の増加は、おおむね交通事故にかかる業務上過失致死傷罪の増加でございます。これを除きますと、逆に減少の傾向を示しております。罪種別に見ますと、各年ともに、先ほど申しました交通事故等にかかる業務上の過失致死傷罪がほぼ半数強を占めております。次いで、他のものは、傷害罪、窃盗罪等がこれに次いでおる、こういう状況であります。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 米軍人、軍属、家族によって引き起こされた各種の事故の種別件数及び人身、不動産に与えた被害状況並びにその補償金額などにつきましては、計数上のことでありますので山上施設庁長官をして答弁いたさせます。

山上信重防衛施設庁長官

○政府委員(山上信重君) お答え申し上げます。  講和発効時から四十三年の十一月末までの間に発生いたしましたすべての事故で、当庁で連絡を受けておりますのは、総件数が約十二万四千件、このうち人身被害が約三万九千件、財産被害が約八万五千件となっておるのでございます。この事故の大部分は交通事故、それにその他、数は非常に少なくなりますが、航空機事故、海上事故あるいは刑法犯の事故、設置、管理の欠陥による事故ということになっております。防衛施設庁におきまして賠償金を支払った件数は、昭和二十七年以来の合計で約二万件、賠償額は約十三億円でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この中で要求のような資料がまだ十分出ていませんので、もっとも精密なものを再提出を要求したいと思います。  時間の関係から次に進みますが、沖繩県民の返還要求は、米軍の基地撤去、それから祖国への即時無条件返還ですね、総理も御承知。このことは沖繩の三大選挙の結果にはっきりあらわれているわけです。総理は、選挙の結果だけで返還をきめるわけにはいかない、こういうふうに答弁されたが、百万県民の意思を無視した沖繩返還というものは、絶対にこれはあり得ないと私は思います。そこにも、みずからの土地を、海を、空を、他国の侵略のために朝夕使われて、そのためにアジアの人民が昼となく夜となく、幾百幾千となく殺され続けているんです。こういうことにはもはやがまんがならない。この切実な叫びが総理の耳に入っているのかどうか。私は、こうした苦しみの根源を取り除くためには、本土における米軍基地の撤去が同時に実現されねばならないと思います。また、安保条約を認めることを前提とした本土並みの返還では決して真の解決はあり得ない。沖繩の即時無条件全面返還、それと日米安保条約の廃棄だけが、これは沖繩県民をはじめとする日本国民の要望に沿う道だと思いますが、この点いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 結論としては、私、賛成いたしかねます。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 次に、大学問題に移りたいと思います。  私は、この問題を解決するには、まず明らかにしなくちゃならない問題がある。それはだれが一体、大学を破壊し、だれが一体、大学を守ろうとしているのか、この点を明確にすることが非常に重大だと思いますが、総理はどう考えますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大学の破壊は残念ながら内部の力でございます。外部の力で破壊されているのじゃない。内部の力でありますだけに、そこらに深く思いをいたして、管理者も学生も考えていただきたい、かように思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 内部といっても、これは何もかにも一緒くたにしちゃならない。三派系のトロツキスト暴力集団があります。これは一体どういう主張をしているのです、何をやっているのですか。これは帝国主義大学の解体、それから大学のコンミューン化、学園封鎖、入試粉砕。そうして彼らの主張の中には、大学を打ちこわすことがわれわれの任務だと。これに対してあなたたちが民主主義、民主主義という、この学内の民主勢力というのは一体どうですか。大学の民主化、それから自治と学問の自由、さらに力を合わせて学生生活、それから勉学条件を改善する、こういう主張に立っている。そうして、現にそのように行動している。トロツキストの暴力を粉砕して、大きく学内の自治を守り抜いているのが現状じゃないですか。これをまるで混同して、同じように一緒くたに扱って、それで盛んに反共のキャンペーンを展開しているのが現在の政府じゃないですか。現に、この議場で私はさっきから聞いている。この前もそうだ。ここが反共のキャンペーンにされちゃ困るんです。もう少し聞きたいことに率直に答えてください。長々とここをあなたたちの宣伝の場にしちゃならぬと思いますので。私はこの点、まず最初にお伺いしたい。要領よく聞いたことだけに答えてください、文部大臣から。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) やはり全共闘の暴力と、それに自衛とかなんとか言いながら民青系の暴力について、これがやはりエスカレートしていると私は考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あなたは三派より民青がこわいとか、そういうことを言って大問題起こしている人なんだからね、ものの見方が少しこれは狂っておるのじゃないかと思うんです。よく見てごらんなさい、現実を、現実の動きを。そういう話じゃ問題になりません。私は現在、こういうような言い方でこの問題の真実をあきらめようとしない。いや、故意に、ある場合には混同してやっているこのやり方が、非常に問題をこんがらかしている大きな原因ですよ。この政府の責任というものはこれは明らかにされていないのです。学内の問題だ、学内の問題だと言って、そう言って教授や学生を誹謗しておりますが、あの破壊的なトロツキスト暴力集団と、それからほんとうに学園の自治を守り、学園を民主的に再建しようと考えているものを混同することはできない。ところが、あなたたちはそれを盛んにやっているでしょう。私は、まあ具体的にお聞きしますが、反共キャンペーンをやっている。この前、公安調査庁が衆議院の答弁の中で、日共系の民青の考えていることは、これは人民管理だということを言ったわけでしょう。日共系の学生の真意は人民管理である。そこで、公安調査庁としては重大な発言でありますから、それを裏づけるような資料を要求した。ところが、当委員会に出してきたのはこれなんです。これは署名は何一つないのです。委員長こんなもの資料として認めることができますか。いまだ、何十年もいままでのこの参議院の予算委員会の中で、署名のない資料が出されたことはないのです。これはどうですか。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 委員長から申し上げます。  当日の理事会におきまして、この問題を協議したのでございまするが、岩間委員からの資料要求には具体的な問題についての項目が記載がございませんでしたし、一般的な資料要求でございましたから、われわれは公安調査庁の資料をそのまま承認をいたしました。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 委員長ね、これは署名ぐらい要求しなさい。私は、当然、公安調査庁の見解を出さなくちゃあれでしょう。こんなものは資料にならぬよ。参考にしかすぎないのです。どうして出さなかったのですか。公安調査庁長官、答弁を求めます。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○政府委員(吉橋敏雄君) お答えいたします。  当予算委員会から過日、資料の提出要求がありましたから、ただいま岩間委員もお持ちのその資料を提出した次第であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私の聞いておるのはあなたの見解だ。公安調査庁としての見解を、はっきりしたものを出すべきだ。どうして正式なあなたの見解を出さなかったか。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、ただいま答弁があったはずでございます。不足があれば岩間君発言を願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 こんなものでわかりますか。これは、人民管理というのわかりますか。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 委員長に質問のようでございまするが、わかるわからぬは資料要求者が判断すべき問題であると考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 わからない。正式の見解を出してください。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○政府委員(吉橋敏雄君) お答えいたします。  岩間委員の御質問の要旨は、過般、衆議院予算委員会で私が述べた最後の点の、究極において人民管理を目ざしておる、ということの根拠いかんという御質問と思いますから、それに対してお答え申し上げます。その見解を持ったのは、ただいま申しましたように、先刻、当委員会へ要求がありましたので提出した、全学連第十九回定期全国大会基調報告等を総合的に検討分析してさような見解を持つに至ったものでありまして、すなわち、同基調報告をごらんになったと思いますが、それを総合的に検討、判断いたしますと、次のような条項があるのであります。一つとしましては、反動勢力と人民、学生の対決が一そう鋭いものとなっておるので、全学連は民主勢力の先端に立って戦うということが述べてありますし、また、人民と反動勢力との対決ということばが随所に述べられております。さらにまた、大学は一部の反動勢力に奉仕するものではなくて、広範な人民に奉仕すべきものなりと唱えて、そのために大学を民主化して、大学を民主主義のとりでとして戦う必要がある等々、主張いたしてあります。また、全学連の要求を支持し、ともに戦う教官を民主的教官あるいは良心的な教官と規定づけておりまして、これらの教官と団結して、全学連の方針に反対する反動的な教官を孤立させ、教授会全体を全学連の闘争に引きつけていき、全大学人の団結を固めていくことを強調いたしております。さらにまた、全学連を支持する勢力によって大学の自治会の指導権を掌握した場合、これを民主化した自治会と称し、あるいは全学連の政治闘争目標を自治会の基本的な闘争方針とするために、自治会選挙を通じて反全学連各派を一掃して自治会を民主化し、かくて大学運営の民主化をかちとる方針を表明いたしております。  これらを総合して判断いたしますと、この全学連の、彼らの言う大学運営の民主化というのは、結局、主体的には全学連を中心とする勢力が学内の運営管理の指導権を持つということを意味するものと解されるのでございまして、したがって、究極においてこれらの人々による大学の管理を目ざしているということを、私が大学の人民管理ということを端的に申し上げたのであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いまあげた、どこに人民管理がありますか。あたりまえのことでしょう。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、御質問を願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いま述べたことばの中に、何も人民管理という結論が出るものは何一つない。これは取り消しなさい。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○国務大臣(西郷吉之助君) 公安調査庁長官が、いま申しましたとおり、ああいう資料について、独自の見解でああいう意見を述べましたので、岩間さんとは御意見は違うと思いますけれども、立場はみんな違うので、あの資料に基づいて公安調査庁長官はそういう判断をしておる。それを追及されても、立場が違いますから、これは水かけ論だと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、大学を破壊するものは外の力ではなくて中の力、こういうことを申し上げました。これを他の表現をもってすれば、これは、大学の中で、学園で暴力が横行しておる、この結果がただいまのような秩序破壊を招いておる。そして、多数の勉学に熱心な諸君はどう言っておるか。これらの諸君は、何といってもこの暴力の中に巻き込まれることは、けがをするだけですから私どもは出てこないんです、出ていかないんです、かように実は申しております。この状態をごらんになると、トロツキストも悪いだろうが、同時に、それに防衛だと言ってやはり暴力をふるう民青もやっぱり同じではないか。だから私は、いま何といっても学内で起きた問題なんだ。これは警察が出かけていって鎮圧しなきゃならないようになったということは、それは私たいへん残念だと思います。しかし、心ある学生の諸君の多数は、ただいま申し上げるように、われわれも出ていってこういう問題何とかしたいけれども、あの暴力の中に巻き込まれることだけはごめんこうむる、けがをするだけですから。かように実は申しております。この学生が一番私は数が多いと思っております。そういうこともやっぱり考えられて、暴力をとにかくなくするということ、これが最も必要なことで、この意味で民青の方はいま、学園の自治をはかると、そういう立場に立って立ち上がられたということで、そういう意味においてもやっぱり必要なら国家的な力をかりられる、これが最も望ましいことじゃないか。私は、自分たちが治めるのだ、自治だ、こう言ってお互いがなぐり合いをする、それはちょうど京都におけるように、多数のけが人が出るだけだ。そして心ある者は、そういう中に入りたくない、この声を私はしばしば聞きます。また、そういうような投書はどんどん来ている。こういう点では御協力願わなければならぬと思う。私は、どちらが悪いとかなんとかでなく、それははっきり暴力をふるっている者が悪いことはわかっている。  以上、申し上げます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 確認書をきめるときに結集したのは、どのくらい学生がいましたか、東大の学生何%集まりましたか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) このパーセンテージは、私は積極的にとったものではございませんけれども――それは私は知りません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは九〇%近いでしょう。そういう力で結集していったのですよ。暴力の不当は全く話にならない。そういうものに対して、警察では、一一〇番に電話をすれば二分で来ると言うが、来やしないでしょう。そういう態勢の中で、当然これは自分を守る、学園を守る、入試をやるのだ、そういう戦いをやっていったんでしょう。その点そんな、何もかにも一緒くたにするやり方では全然問題解決しません。私はこの政府のやり方の中に、このようなトロツキストを利用して、そうして暴力を見のがしている、これを口実にして警官を導入する。さらに最大のねらいは、反動的ないまの自民党の政策を強引に通そうというところにあるでしょう。だから私は、学外の規制はできるのだと。それをなぜしないのです。学外の規制が非常にこれは問題になりました。九日のNHKのテレビの討論会でも、唐島基智三司会者が、どうしてあの敷き石をはがしているのを警察はこれをかまわないでおくのですか。漫画にもこれはとり上げられておりますよ。これは国民の声ですよ。われわれは了承できないのだ。なぜその点を見のがしているのですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。  見のがしてはおりません。適当の時期と方法を慎重に検討しながら、制圧すべきものは制圧する、逮捕すべきものは逮捕するということを着々としてやっておりますことは御案内のとおりでございます。  なお、ついでながら申さしていただきますが、民青は、なるほど岩間さんおっしゃるとおり、一見低姿勢であることは私も認めます。認めますけれども、学内においては民青系の学生は暴力反対とは言う。それはトロツキストをはじめとするいわゆる三派系の暴力に対して一応言っていることはわかる。同時に、自主防衛を叫ぶ。このことにつきましては、法律上の間違いであることは、再々指摘をいたしております。同時に、警察力導入反対、民青がシュプレヒコールをやりますときには、直ちにこの三つのことを指揮者が命令をしまして高らかに叫んでおる。警察アレルギー症の根源は、そこら辺にもあろうかと実は思っておる次第であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 荒木国家公安委員長は知らないのです。終戦後の東大で起こったポポロ事件、これはどういうものだったか、早大で起こった事件はどうだったか。私はあの現場に視察に行っていますよ、文部委員として。ああいう一つの体験を持っておる。それから、必ず学園の自治が侵されるときには、背後から戦争が忍び込んできているのはこれは日本の歴史ですよ。こういうものに対して、あくまで、当然学園の自治を守り抜くことは、学問の自由とともに、これはイコールです。学園の自治なくして教育もあり得ない、学園の学問の自由もあり得ない、こういう苦い歴史的経験からこういうことが言われている。その点を私は明確にしなくちゃならない。そこで、二期校の入試がもう間もなくまた来るんです。これに対して、この前東大のほうは中止した。そのために今度は京大のほうに組織的に流れていった。この黒幕は一体どういうことになっているのか。こういう事態についても、これはほんとうに明らかにしなければならぬものですが、はっきり今度の二期校のこの入学試験に対してどういうふうな処置をとるか。これは文部大臣の決意だけ簡単に述べなさいよ、あんた少し長いから。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 二期校の入試実施につきましては、警察当局ともよく連絡をして、完全にやれるようにいたしたいと考えております。  先ほど岩間さんおっしゃいました八千人の七学部集会は、警察官に守られて学外で行なわれたということを申し上げておきます。  それから暴力の問題も、これは御承知のとおりに、法政大学で秋山君が入ろうとしたときに、ゲバ棒を民青が使いました。このことにつきまして、日本共産党機関紙の学生新聞九月十八日、これに、「正当防衛権に基づく断固たる行動を」「法政大学での力強い経験に学ぼう」と、こういう題目で、「バリケードを築き、ヘルメットをかぶり、こん棒を持って身体の安全と自治活動の民主主義的自由を守るために、多くの犠牲を出しながらも屈することなく英雄的に戦いました。」、こういうふうにいっておる。こういうことを、英雄的に戦いましたなんか言うこと自体が、エスカレートすることだと思いますし、また、赤旗の四十三年九月十一日、「守り抜いた大学自治」「実力で奪還」というところで、「中核派」が全学連支持の学生めがけて角材や鉄棒をふるっておそいかかろうとすると、たちまちとりかこみヘルメット、角材、鉄棒に手をかけてかれらを追い返しました。」、こういうような、いかにも暴力を肯定するかのような論文を出されるということを私は遺憾に思うわけでございまして、こういう民青系の暴力、あるいは、あなた方が指摘をされておりまするいわゆる全共闘の暴力というものを学園から一掃しなければ、大学自治も学問の自由もあり得ないと私たちは信じておるわけでございます。また、教官もき然たる態度でもってこの暴力を追放するという気持ちになってもらいたい、かように考えるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 政府が何もしないからです。そして、当然これはそういう危険から守っていくという正当防衛の権利があるわけです。  私は、時間の関係から次に進みますが、赤旗のカメラマン宮崎遼氏は、去る一月十五日、東大本部で取材中、暴力学生らによって連行され、鉄棒、角材などの殴打、激突の暴行で一時は危篤状態が続くという瀕死の重傷を負わされた。この事件は一月二十二日正式に告訴した。検察当局は、この告訴に基づいて具体的にどのような犯人追及と捜査を行なってきたか。  それから、同じように一月二十五日に、駒沢大学の吹上善蔵氏にかかる暴行事件、一月二十七日告訴、日本大学学生中桐紘一、長谷川桂介、納富哲也、日本体育大学学生両角則久。それから、三月三日告発、日本共産党兵庫県委員の坂本健三、同じく神戸地区常任委員島田昭一氏にかかる暴行事件、これを一体警察はどのように捜索し、どのような措置をとっているか、具体的にお伺いしたい。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  具体的な御質問でもございまするし、時間の省略上、政府委員からお答えを申し上げます。

川島広守警察庁警備局長

○政府委員(川島広守君) 最初の一月十五日の東大におきます赤旗記者に対します暴行事案でございますが、これは一月二十三日に告訴を受理しております。その後まだ被害者が入院中であって、事情聴取が本人の都合でまだできておりません。明日事情聴取をいたすことになっております。ただ、東大の模様が、被害者のほかはほとんどが全共闘の学生だけでございましたので、なかなか捜査は、参考人その他の取り調べが進んでおりませんけれども、東大内でその後逮捕されました学生の中に、事件当時現場におったと思われるような者が若干判明してまいりましたので、これを含めて目下捜査を進めておる次第でございます。  それから次の駒沢大学の内部におきます集団暴行事案でございますが、これは、いまお話がございましたように、二つございますけれども、これらにつきましては、被害者及び関係者の供述をおおむね得ておりますので、容疑者の一部も特定をいたしております。したがって、目下証拠固めを急いでおるという段階でございます。  それから最後の神戸大学の事案でございますが、これは御案内のとおり、三月一日に事案が起こったわけでございますが、現状におきましては、関係者及び被害者の供述を得ております。したがって、結果的には、その主犯と思われる者一名については、一応特定を終わっております。現在所在捜査を続行しておるという事案でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあ時間の関係から、これは詳細申し上げるなにはありませんが、結局警察はこれに対していまだにこれらの殺人未遂犯人、これを放置したままでおいています。  ここに写真がありますけれども、赤旗宮崎記者のごときはひどいものです。骨折だけでも八カ所あるのです。まあこれは見てください。こういうことを放置しておいては、これは話にならぬ。そうして一方では、これは敷石をはがすのが見のがされておる。こういうことでは国民は了承できない問題であります。  私は、時間がありませんから結論を述べますけれども、何よりもいまの政府は、学生たちがいまの民主的な下からの団結を学内においてつくりあげて、それによって自主的に学内の民主化と学問の自由を守るために戦って、それで、そのためのいろいろの措置をやっていることについて、どうしてもこの立場というもの――はっきり私はこの上に立たなければ教育を再建することは非常に困難だと思う。単に一方的に政府の政策を強引に通そうとしたって、そういうことでは問題の解決は根本的に絶対あり得ないわけですね。私は、そういう意味から考えまして、今度の中教審の……。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、時間が超過でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この答申案が出されました。最後に、この中教審の答申案というものは、学生の現実を知らないということ、学生の要求というものの上に立っていないということ、そうして学生が当然これは大学の構成員の一人であり、切実な現在のこの学内の非民主的な運営やあるいは教育の貧困や学生生活の破壊や、こういうものに対して、みずからを守るために自主的に立ち上がっていることに対して、ほんとうに理解がないと……。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、時間が超過でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は、これに対して、この中教審の答申というものを一体どう扱うのか、これに対する総理の見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 岩間君、時間超過でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  大学は一部のイデオロギーの生徒だけのものではない、国民全体の大学でなくちゃならない。私はそういう意味で大学の自治が一党一派に偏せず、これがりっぱに民主的に運営されることを心から希望しております。したがって、ただいま言われるような意味において、私は学問の自由、研究の自由を尊重するし、だからこそ、学園の自治を心から尊重していくつもりでおります。ただいま中教審からの答申が出ております。全部ではございません。したがって、その一部だけとりまして直ちに処置をするわけにもいかない、まだ中間発表の程度でございます。もちろん中教審の答申を待って、私は現在の大学問題に取り組むつもりでおります。これについてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、私は、何よりも先に、今日大学が正常化されておらない、この事態を一番重く見ております。どうしてもこれを正常化すること、これは何よりも先に先行しなければならない。そしてこれは一部のイデオロギーだけの所有ではないのだ、大学全体の――国民のものだ、こういう立場に立って正常化をはかっていく。そのためにはあらゆる階層の方々の御理解ある協力が望ましい、かように実は思っております。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 さような意味におきまして、一部の学生のトロツキスト、これを、暴力に徹しておる者を排撃することもちろんでありますし、また大学を否定しておる者、それ自身が大学の学生であるという、こんな矛盾はないのであります。その学園の自治を主張する資格のない者だ、かように思いますが、しかし同時に、大学そのものはこれは暴力の行なわれない、そうして一部だけがかってにするようなものでないもの、それを心から願って、そうしてまず管理者がそういう意味で立ち上がって正常化につとめていただきたい。学校制度のあり方につきましては、これは答申の全部を得た上で十分私どもそれと取り組んで真剣に行動するつもりでございます。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 以上をもちまして岩間君の質疑は終了いたしました。  速記をとめてください。   〔速記中止〕

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 速記を起こして。  五分間休憩いたします。    午後六時六十四分休憩      ―――――・―――――    午後六時四十八分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 予算委員会を再開いたします。  市川房枝君の総括質疑を行ないます。市川房枝君。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私の発言に関連して、皆さまお待たせしたこと、相すまなく思います。時間がずいぶんおそくなりまして、皆さんもお疲れでしょうし、私も少し疲れたので、私の個人の意見を言わせていただけるなら、あしたに延ばさせていただきたい、こう申し上げたんですが、自民党の理事の方が、どうしてもきょう続いてやってほしいということと、そして私は、各理事が一致して私にやれとおっしゃれば、いやだけれどもしようがないからやりましょう、実はこう申したのです。中には腹が痛いとか言ったらいいじゃないかというようなお話もありましたけれども、あいにく私、健康なものですから。  そこで、皆さんにたいへんお疲れのところを恐縮でございますけれども、与えられた時間だけ質問をさせていただきたいと思います。  きょうは、都会議員の増員の問題、ギャンブルの問題政治資金の問題について、関係閣僚の方から伺いたいと思いますが、その前に、きょうの各新聞紙に大きく出ておりました行監委員会の、汚職の防止と高級公務員の関連産業への天下り人事の規制の意見書が出たということが出ておりました。これは荒木行監委員長からきのうの午後総理にお手渡しなすったように出ております。総理はもうすでにごらんいただいたと思いますが、この問題は、国民は大賛成でございます。ただ、一体ほんとうに実現できるかどうかということを心配をしているのですが、総理のこの問題についての御決意を伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 総理がお答えになります前に、ちょっと簡単に経過を申し上げたいと思います。  いまお話しのとおり、新聞に出ております。私、国会におりまして総括質問中でございますから、私の不在中は、あらかじめ指定された方が行政監理委員会の委員長として議事を進めていただいておるわけであります。一応行監委員会としましては、一決をいたしまして、結論的に出ております。それを具体的に政府部内でどう扱うかということは、まあ一人二役でどうかと思いますけれども、行政管理庁長官としてこれの扱いをきめる立場に立つわけでございます。そこで順序としまして、次官会議に一応披露しまして、各省庁次官の感触等も聞いたわけでございます。正式には明日決定を――決定と申しますか、扱い方をきめまして、総理にも御報告をしたい、かように思っておるところでございます。したがいまして、総理はまだ御存じないことですから、内容そのものについては、明日以後でないとお答えができないかと存じます。以上経過を御報告申し上げました。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 別に内容はむずかしいことでない。総理がしょっちゅうおっしゃっていることでもあるのですし、国民は、総理がそれに対してどうお考えになっているか聞きたいと思います。これは閣議の決定になりますか。そして、これは総理が先立ちになってしてくださらないとちょっとできませんね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 一つは、官房長官から、公務員の汚職の問題について、これひとつ力を入れて各省とも気をつけてくれ、最近二、三そういう問題が起こりましたので、そういう注意をいたしたことがございます。この点はもうかねてから、いつも決算委員会その他でしばしば申すことでありますが、どうもなかなか徹底しかねる、間々私どもの予期しない事柄が起こる、そういうのでございますから、注意を新たに喚起いたします。  もう一つは、そのもとになるのが、いわゆる天下り人事じゃないかと、かように思います。昨日も、衆議院の段階でございましたが、定年制とこれをからましてのいろいろのお尋ねがございました。私は、国家有能の才、これはもう働ける限り国家にも奉仕してもらいたいし、また、社会にも奉仕してもらいたい、また本人が職場を得るというばかりじゃなく、そういう意味で十分に働けるところであってほしい、かように思います。しかして公務員の場合だと、しばしばいわゆる因縁ができておりまするので、そういうところに出かけると、他からいわゆる天下り人事とか、あるいは汚職がもともとあったんではないかと、いろいろ痛くない腹を探られる。そこで、そういうような誤解を生じないようにということで、ただいまでは人事院によって一定の期間経過しなければ関係のあった場所には再就職できない、こういうことになっております。その人事院自身がスクリーンするといいますか、その上で再就職を認めている、こういうことで、弊害がややなくなったと申しますか、それで私はいいんだと、かように思いますが、しかし、それにいたしましても、いろいろな名目をつけましてなお天下り人事が行なわれる。正式な身分ではっきりしておれば、それはもう人事院がタッチしておりますから、どこへ出ても差しつかえないのでありますけれども、あるいは顧問、嘱託その他の形で人事院のスクリーンを受けない、その形においてどこかへ出かける。そういうのがしばしばあとで問題になります。こういう点は、もちろん本人も事前に何らかの汚職めいたこと、後暗いことで就職するという気持ちはないだろうと思いますけれども、とかくそういう点で誤解を招きやすいですから、特にその点は一般的に注意すべきだと、かように思います。いまあります人事院のたてまえ、これを厳重にひとつ実施して、あるいはただいま申し上げますように、本来の職員あるいは重役、こういうことでないにしても、身分のあり方についてももう少し気をつけるべき点は気をつける、こういうことで間違いのないように、また誤解を受けないようにいたしたいものだと、かように考えております。いま行管庁長官からどんな案が出ておりますかわかりませんが、昨日もちょうど定年制について同じようなお尋ねがありましたので、それをいま思い起こしてお答えしたような次第であります。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次は、都議会議員の増員の問題について自治大臣に伺いたいと思います。  自治省は初め都議会の議員の増員には反対しておいでになったようですが、ところが、五名ふやすとか、あるいは六名ふやすとか、今度十名いよいよふやすことになったようであります。その関係の法律の改正案が、一昨日でしたか、閣議を通って近く国会に提案されるらしいのですが、何だかこれは自治省が政治的な圧力に屈したんではないかという疑問を持つのですけれども、いかがですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) お答えいたします。  自治省がかねて都議会議員の増員に反対しておったということ、私はそれを聞いておりません。私は反対いたしておりません。  そこで、今度の増員について何かの政治的圧力があったのではないかというお尋ねでございますが、一切圧力はありませんでした。ただ、要望をたくさん聞きました。その要望は、ほとんど与野党こぞっての要望でございまして、私はこれを取り扱うことが民主的な取り扱い方であり、また、東京都の実情からして必要じゃないか、こういう二点を考えましたから今回の改正案を出した次第でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まあ自治省、自治大臣としてはそうおっしゃらなくちゃならないでしょう。  ところで、都議会議員の増員の法的な措置、つまり、自治法の九十条の地方議会議員の定数のところに一項を加えて、そうしてここにおいては、二十三区の「人口を百五十万人で除して得た数を限度として条例でこれを増加することができる。ただし、百三十人をもつて定限とする。」と、こうなっているんですけれども、この増員は二十三区の議員を増員するのじゃなくて、東京全都でしょう。どうして二十三区の人口を標準になさるのか。  それから百五十万人で割ると。一体百五十万人というのはどこから出てきた数字ですか。ちょっとそれは理解に苦しむわけです。それを伺いたい。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) 御承知のようにいま定限は百二十名になっております。そこで東京都はいま千万人をこしている。大阪が六百五十万人ですか、千万人をこした都会というのは世界的にもなかなかまれなのでございます。そういうことが一つと、それから今度の要望の基本としては、もう御承知だと思いますが、特に三多摩をあげております。三多摩がいま三百万で十八名、これを例に引きますと、鳥取県五十万人で四十人の県会議員がおられます。こういうことから、このアンバランスは当然常識的に考えなければならぬ。そこで、そうかといってこれを無制限に増員するということは、私どものとらない態度でございます。常識的にどこまでいけばいいかと考えまして、結局一千万だからすぐ五十人にも百人にもふやしていいなんということは、これはちょっと常識――理屈はあるかもしれませんけれども、いまの自治行政の立場からまいりますと不穏当である。そこで十名以内を増員する、その百五十万といいますのは、つまり御承知の特別区の人口を基準にいたしましたが、これが非常に東京都の人口の移動が多い。それから、これも御承知でありますとおり、国勢調査が昭和四十年に行なわれて、自来非常な移動がある。特に東京都は、中央部なんか昼間の人口と居住者というものがいろいろな点において複雑でございますから、一応百五十万をめどにして、そうして常識的に十名以内に押えたらいいと、こういう考え方でそういう案をつくりました。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 自治大臣は私の質問には答えてくださっていないのです。どうして二十三区の人口を基本にするのか、百五十万というのはどこから出てきたのか、これは私があるところから漏れ聞くところによりますと、大体六人をふやすということで、その六人という数字が出てくるように――ちょうど割ると出てくるそうです。五・九くらい出てくるらしいのですけれども――そういう何だかおかしなことをするのは、私はどうも納得がいかないのですけれども、まあそれにお答えできなければ、それでいいです。  それから、まだおかしいことが幾つかあるのですがね。この九十条には、二十三区の人口の算定は国勢調査の数字によるが、それが明らかになるまで自治大臣が推計して告示した人口とすると、こう規定しているが、これは公職選挙法の十五条の七項で、議員の人数は人口に比例して条例で決定しなければならぬという基本原則があるわけです。だからその基本原則に違反をしていると思いますし、そこでその基本原則をお変えになっているのですね。「特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる」というただし書きをおつけになったのですけれども、それがやはりその違反をといいますか、不合理さを、これによって直そうとなさる。で、こっちのほうは、これは都だけでなくて、全国の自治体に適用されるでしょう。そうなると、私はこれがもし悪用されると、将来、人口を基本にしないでそこにアンバランスが出てくる、こういう意味で非常に心配だと思うのですが、どうですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) いま御指摘になりましたとおり、都道府県の議員は、公職選挙法で、それを条例によってできる、そこで、人口が大体基本になりますが、同時に、特殊事情があった場合には地域的な考えを加えてよろしい。それはすでに全国で必ずしも人口だけでなくて、やはり特別な地域関係で、地域の代表を加味して定数をきめているところはあります。そこで、いま市川さんおっしゃったように、全国的にこれを、何といいますか、悪用しちゃいけない、それは自治省といたしましても当然考えることでございまして、もう常識的にその点の指導が大事だということ、これははっきり腹にきめております。決して全国に悪用するようなことはしないというようなことで、そういう方針に立っているのでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 総理、簡単にいま一、二申し上げたんですが、今度の増員にはずいぶん無理をしているという点がまああるんですが、議員数をふやすということは、これは政党にとっては、あるいは候補者にとっては望ましいことかもしれませんけれども、一般の都民の立場からいえば、いわゆるアンバランスは是正しなければならない。けれども、それは定員内でやってほしいと、こういうのが私は都民の一般の声だと思うんです。で、議員がふえたからといって、別にそれで都の政治がよくなるものでもないし、むしろふえることによって金がよけい要ると、こういうふうに都民として考えるわけなんです。そういうのを総理はどういうふうにお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま市川君の言われますように、数が多いよりもむしろ少ないほうがうまく運営ができるというような御意見も、これは一つのりっぱな見識ある考え方だと思います。しかし何分にも東京都の場合、これだけ急速に膨張してまいりますと、特別な扱い方をせざるを得ないんじゃないか。ただいま、中であんばいすりゃいいじゃないか、こういうお話しもございますが、これも一つの考え方だと思いますけれども、とにかく東京都の場合は何らかの処置をしなきゃならない、これだけは言えるんじゃないか。ことに三多摩地区の最近の人口増加、これはたいへんな急増でございますから、そういうものに対処する処置、これはやっぱりある程度一つの基準というものが常識的に出てくるんじゃなかろうか。かように考えますと、百二十名、これはずいぶん膨大な数ではありますけれども、さらに特別なくふうをせざるを得ない、ここらに自治省の苦心があるんじゃないか。私は、むしろいまの実情から、これだけふえていると、やっぱり何らかの処置をとらなきゃならない、そういう意味で、自治省苦心をしたものと、かように私ども考えてこの法案を出したような次第でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 今度の改正は、特に都に限ってのものですね。それで、都の特殊性ということから勘案して、一つ私は提案があるんですが、それは、現在の都議会議員の選挙は、区会議員なり市会議員の選挙と同じ選挙区ですね。そこで、前に区会議員をしていた方とか市会議員をしていたような方が非常に多いんです。そういう方がたいへん当選しいいんですね。そこで新人といいますか、新しい者がなかなか出にくいわけですね。そこで私は、東京の全都、いわゆる大選挙区というのは少し大き過ぎるとすれば、二十三区だとかあるいは三多摩、あるいはそれをまた二つか三つぐらいに分けたのを一つの選挙区として、そうして都会議員を選挙するようなふうにしたらどうか。そうすれば私は新人が出てこれるんじゃないか。いままでの都会議員とは少し質の変わった人も出得るんじゃないか。それから有権者もそうなったら私は都政というものに対して関心を持って、投票率もよくなるのじゃないかと思いますけれども、これは今度の改正にはもちろん間に合いませんけれども、ひとつ考えていただきたいと思うのですが、これは自治大臣どうですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) いまのお話は非常に傾聴すべきことだと思います。これは都会議員の選挙区を広げるのも一つの方法、もう一つは区会議員の選挙区を小さくする、この二つの方法がある。しかもどちらがやりいいかというと、区会議員の選挙区を小さくするほうが区会の条例でできることでありまして、どちらがいいか悪いかということにつきましては、十分検討すべきことだと思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次はギャンブルの問題について伺いたいと思います。  また自治省に伺うのですが、自治省は四十四年のギャンブルの総売り上げの約一%に当たる九十億円を関係自治体から拠出させて、公営企業への貸し付け利子を安くする新しい法案を用意しておいでになるようですが、ところが関係の自治体はじめギャンブルの監督官庁からの総反撃にあって、だいぶお困りになっているということを新聞で拝見しました。その真相をひとつ聞かせていただきたいのです。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) ギャンブルの売り上げの一%を自治省に拠出していただいて、これを行政面の財政政策に注ぎ込みたい。これはちょっと御説明いたしますが、いまのこの公営企業、東京なんか特にひどいのですが、人口が稠密化しておるのですが、これが非常に赤字で弱っているのです。だからできるだけこれの財政措置をしたいと一生懸命考えておりますが、なかなか公営企業の財政確立はむずかしい。そこで、一つは、公営企業金融公庫というのが御承知のようにありますが、それの金を融資する道がある。その金利が高いのです。だから今度いろいろ東京都の地下鉄とか、どこの路面電車をどうとか、バスがどうの、いろいろ複雑ですが、できるだけ金も注ぎ込むが、同時に、これは当然起債その他でやっておりますから、その金利を低くするということは、これは私は援助をすべきであると思います。大体いま七分三厘とか七分とか、詳しいことはこれは時間がかかりますから省きます、御承知だと思いますから。みんなこれを一律に五厘ぐらい下げて、六分何厘までくらいいきたいというのが目標でございます。そこで一面、その金をどこでどうするか。もちろんいろいろな工夫をいたしますが、それも必ずしも不可能ではありませんが、御承知のいまの公営のいわゆるギャンブルと申しますか、これが非常な収益を上げておる。社会的にもいろいろ財源が使われております。使われておりますが、年々この収益がふえてきておる。しかもいまお話しのように収益は九百億以上である。そこでせめて売り上げのわずか一%ですから、これを出していただいて、そしてやはり都民の、特に稠密都市の交通問題に寄与していただきたいと、こういうのが私のお願いなんですが、私はこれはすぐ納得していただけると思っておったのです。ところがいろいろ抵抗があるというのは、何しろ皆さん金を出すほうですから、何かかんか言っておられるのでございますが、だがこれは私は基本的には理解をしていただいて御協力がいただけるんじゃないかと、いませっかく折衝いたしておる段階でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 去年も何か似たような案をお考えになったのですけれども、それもだめでしたね。なかなかこれは一つの既得権みたいになっておりますからね。それから取り上げようとしてもなかなかむずかしいですね。まあそれはそれとしまして、大臣に続いて伺いたいのは、あの法案では、この拠出の期間を十年としてあるのですね。そうするというと、現状のギャンブルを少なくとも十年間は継続するということが前提になりますね。これは私は重大問題だと思うのですが、どういうお考えですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) あの法案は、これはよく御存じだと思いますが、つまり、赤字のところは出さぬでいいと、こういうことの前提を置いております。無理をしないということ。それから、いまの公営競技、これは法律で認めてやらしておりますので、十年間はだいじょうぶやるとか、二十年間続くということじゃなくて、法律をつくります以上は、一応めどをつくらなければならない。その間に収益が減ってくれば、これは出さぬでもいいという条件もついておりますし、したがって、一応めどを十年というようなめどにしたのは、普通の法律的な取り扱い――別に、十年間は何でもかんでもがんばるというのとは少し違います。これは自然に消滅する場合もあります。そういうことでございます。みんなギャンブルに行かなくなれば収益は減りますから、一銭も入ってこなくなる。非常に不確定な実は財源なんでございまして、そういう意味でもって、十年という一応の区切りをつけた、そういう理由でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私としては、自治体の財源が今日もなおギャンブルの収入に依存していることには反対なんでありまして、今度の法律も、そういう立場からいけば、私は成立しないほうがいいと思っているわけなんですが、地方財政とギャンブルの関係についてはあとでまたお伺いすることにしまして、まず、ほかの関係閣僚から伺うことにします。  法務大臣にお願いをしたいのですが、刑法の百八十五条、百八十六条、百八十七条で、この一時賭博、常習賭博、賭博場の開帳あるいは富くじの発売は、犯罪として罰則が規定されております。この条項は励行されておりますか。どのくらいの検挙者がありますか伺いたい。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○国務大臣(西郷吉之助君) お答え申し上げます。  お尋ねの賭博罪の処理状況について申し上げますが、四十一年を考えますと、受理した人員が一万六千五十三名で、そのうち一万三千四百六十八名が起訴されております。四十二年は受理人員は総数一万二千八百八十二名で、このうち起訴された者が一万四百八十六名、昨年は一万三千九百二十一人が受理されておりまして、このうち起訴されましたのは一万一千六百六十名で、起訴率は、三カ年平均八四%の起訴率を見ております。  以上でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 今日ギャンブルといわれております競馬、競輪、オートレース、競艇なんかは、この刑法のいう賭博じゃないのですか。これはどうして許されているのでしょうか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○国務大臣(西郷吉之助君) お尋ねの競馬、競輪はどうかということでございますが、御承知のとおり賭博、富くじ等の行為は、いま申し上げたような賭博罪で処理しておりますが、お尋ねの競馬、競輪等は、法律的には富くじ類似の行為であると考えまするが、それらは、それぞれ理由のある必要性から、一定の条件のもとに、法律の規定に基づいて公認されてやっております。それでございますから、賭博と違いまして犯罪とはなりませんが、しかしこれも過度にやりますればいろいろな弊害を社会に投げ出しますので、この運営には適正を期する必要があるのではないかと考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 それはわかりますけれども、しかし基本的にはやっぱり犯罪ですね。それで、いまのギャンブルが法律上とにかく公認されているということ、そして今日のように繁盛をしていると、国民一般は、もう賭博罪というようなものはあんまり関心がなくなっちゃう。のじゃないか。それから法務当局としても、いま検挙された人数があるのですけれども、ちょっとこれは検挙しにくくなっちゃうのじゃないでしょうか。これはやっぱり賭博罪というものはあるということを私ははっきり国民に印象づけなければいけないと思うんですけれども、どうでしょう。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○国務大臣(西郷吉之助君) 市川先生にお答えいたします。やはりいま申し上げましたとおり、競輪、競馬は一定の法律に基づいてやっておりますけれども、いまお話しのとおり、これを過度にやると競輪に非常に没頭して家を顧みないとか、いろいろ弊害も事実あるわけでございますから、これは一定の公認のもとに、法律に基づいてやっていることではございますけれども、これが運営には十分留意して、適正な運営をいたしませんと社会悪を生じますので、そういう点を今後十分気をつけてやらなければならぬ、かように考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次は荒木公安委員長にお伺いしたいんですが、警察庁はこの三月六日に公営競技の健全化についての打ち合わせ会をお開きになって、警察は今後ギャンブルの警備から漸次手を引くと警告されたようですが、まず現在のギャンブル警備の模様、特にどのくらいの警官をそのために派遣しておいでになるか、それを伺いたい。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。政府委員からお答えすることをお許しいただきます。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) お答え申し上げます。  昨年度におきましては、公営競技に警備のために派遣いたしました警察官の数は約十八万人でございます。なお、先ほどお話しのありました全部警察が手を引くということが新聞に報ぜられたというお話しでございますが、私どもはそういうふうになることを期待はいたしておりますけれども、現状におきましては、なお全面的に手を引いてそのままにしておくというふうな状態ではございませんので、極力その競技場における自主警備が行なわれることを期待いたしておりますが、今後もなお警察による警備ということは、やむを得ずこれを行なわなければならない、こういう考えでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 ギャンブルはずいぶんいろいろな事故があって、それに警察が対処なさらなければならないのですが、ギャンブルのために警察はいまも十八万人も警官を動員しておいでになるというふうなお話を伺って、そのために、警察の本来の、人民の、国民の生命や財産を守ってくださるほうが手薄になっているのじゃないかという心配をするのですけれども、どうでしょう。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) 警察は一般的に治安の維持、市民生活の安全というものを確保することを目的といたしております。したがいまして、こういうところに起こりましたそういうふうな市民の生活の不安、あるいは犯罪というものが起これば、これを検挙しあるいは事前に警備をするということも一つの任務でございます。世の中に起こっているすべての犯罪に対する問題として私どもはこれに当たっております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いまのことを少しもうちょっと伺いたいのですが省きまして、荒木さんにちょっと伺いたいのですが、荒木さんは文部大臣をしておいでになったので、この機会に伺いたいのですが、地方自治体でギャンブルからの収入の使い道を調べてみますと、現在でも土木費、教育費というふうなものに最も多く使われております。ギャンブルの金を教育費に使っていて、それでいい教育ができるとお考えでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  私の守備範囲外のことでございまして、どうかと思いますが、好ましいことではない、必要悪と申しますか、やむを得ない。ことに敗戦直後の財政不如意の状態下において始まったことではなかろうかと想像をいたしまして、できるならば他の財源でもってまかなうことが望ましいことではなかろうか、かように思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 荒木さんらしいお考えと、大いに賛成なんです。  次は、ギャンブルの各監督官庁である農林、通産、運輸各大臣から、法律に規定してある目的と、それから入場人員、施行団体数及び売り上げ高の三十七年と四十二年との比較の数字を伺いたい。  それからなお、ギャンブルがもうかるというのは損をする人があるからもうかるんであって、ところが損をするほうのことはあまり考えていないので、そこからいろんな悲劇が起こっております。会場の周囲の町内は非常に迷惑しております。そういうことについて監督官庁はそれぞれ一体調査をなすったことがあるかどうか、何かそういうことに対する対策を講じられたことがあるかどうかもあわせて伺いたい。農林大臣からまず。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 競馬は、いずれにしても、七五%が払い戻されて、二五%が他に向けられるのですから、初めからもうかるものだとは考えられません。したがって、競馬の目的は競馬法の上に明文化されていることは、第一に競馬の健全な発展をはかって馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、こういうことでありまして、第二には国民に健全な娯楽を提供すること、第三には国及び地方公共団体の財政に寄与すること、これらがその目的となって競馬というものが運営されておるというふうに考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 あとで伺ったことはどうですか。マイナスのほうのはありませんか。なければ、ないとおっしゃってください。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 数字は、いま局長から答弁させます。

太田康二農林省畜産局長

○政府委員(太田康二君) 手元にあります数字でお答えを申し上げたいと思います。  競馬の売り上げ高でございますが、私のほうは中央競馬と地方競馬とございまして、中央競馬の数字がたまたま四十年からの数字を持っておりますので申し上げますと、売り上げ高は、四十年が八百六十七億円、四十三年が二千四百二十九億円でございます。それから地方競馬は、四十年が千六十五億円、四十三年が二千百三十八億円でございます。それから入場人員でございますが、四十三年の人員がございますので申し上げますと、中央競馬が八百四十四万五千七百八十二人、地方競馬が千七百二十八万四千五百二十七人。以上でございます。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 競輪について申し上げます。三十七年度の総売り上げ高千二百六十三億二千九百八十二万九千七百円でございます。入場人員は二千百七十七万九千九百六十七人。四十二年は三千七十四億九千二百十五万七千五百円。入場人員三千二百九十五万四千八百十九人でございます。  オート・レース、三十七年は百三十四億七千三百七十七万二千四百円。入場人員は二百八十万百八十九人。四十二年は三百七十六億千三百九十六万二千六百円で、入場人員四百七十万七千五百五人でございます。  それから、競輪関係で、仰せのように一つのかけごとでございますから、損をする人、家庭の悲劇を招来するというケースはあろうと思いますが、まあどの程度ありますか、計数的になかなか把握はむずかしいんでございます。以前警察庁にお願いいたしまして、全刑法犯の中で、競輪関係が主たる原因で犯罪を犯したと、競輪等をすることによって犯罪を犯したと目される者が、三十一年には、全刑法犯でございますが、五十二万七千人のところで二千三百人見当あったようでございますが、その後だんだんとそれが逓減してまいりまして、三十九年は六十七万八千件の中で千六十三件というように、だんだん逓減してまいりましたので、その後そういう原因別の調査はいたしていないのが現状でございます。ただ、こういう施設は政府が奨励すべきものじゃもとよりございませんけれども、現実にあります以上は、適正に運営されて、施設の管理を適正にいたしまして、なるべく弊害が伴わないように十分の監督を厳重にしてまいりますことは私どもの責任であると考えております。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 先に数字を申し上げます。先生のお尋ねの三十七年から四十二年まで、一号交付金と二号交付金で百一億一千五百六十二万円ございます。それから四十二年度だけで、一号交付金と二号交付金と四十九億二百七万円ございます。これはこのごろ売り上げがふえておるということの資料になると思います。それから、いま弊害について調査したことがあるかということでございます。役所でそんなこと調査したかと聞きましたら、してない。しかし、もうおっしゃるように、弊害の話はよく聞かしてもらっております。またこのことについて、まあものの本を読んで、人がどういうことを考えているか。そうするとですね、まあこういうことを言ったらしかられるかわかりませんけれども、大体そんな公営ギャンブルなんかでですよ、家庭悲劇起こしてですね、そうして女子供を泣かすようなやつはもうけしからぬやつで、こんなやつはほかでも、これがかりになくっても、ほかでも女子供を泣かしていると、こういうことをですね、まあ私はややそうじゃないかというような気がするのですよ。私決してこれを奨励する意味で言うのじゃございません。だけれども、実際数字はとっておりませんが、まあ先生が先ほど反対だとこうおっしゃいましたが、そういう反対意見なんかがですね、こうして議論されるたんびに、いわゆる私はまあ、自粛というか、粛正をする役目を果たしておると思うのです。もう一。へんこの問題を、先生がいまおっしゃった三十六年ですかのこの調査会の答申書を、これを振り返って読んでみますと、私は非常に常識的に言っているんじゃないかと思うのです。  「公営競技は、その運営の実情において、社会的に好ましくない現象を惹起することが少なくないため、多くの批判を受けているが、反面関連産業の助成、社会福祉事業、スポーツの振興、地方団体の財政維持等に役立ち、また大衆娯楽として果している役割も無視することは出来ない。また、これらの競技が公開の場で行われていることは、より多くの弊害を防止する上において、なにがしかの効果をあげていることは否みがたい。従って、公営競技に関する今後の措置に関しては、代り財源、関係者の失業対策その他の方策等を供与せずに公営競技を全廃することはその影響するところ甚大であるのみならず非公開の賭博への道を開くことになる懸念も大きいので、本調査会としては現行公営競技の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度とし、その弊害を出来うる限り除去する方策を考慮したい。」、こういうことを言っております。私はこの方策に沿ってやっていきたいと、このように思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 各大臣の御答弁に関連して実は伺いたいことがたくさんありますけれども、時間が少ないのでこれは別の機会にまたもう少し詳しく伺いたいと思っておりますが、いま運輸大臣がおっしゃった三十六年の内閣に設けられました調査会の答申というもの、この答申が出るまではギャンブルはほんとうは時限の法律だったのです。二年ぐらいで延ばしては延ばしていたのを、この答申があって、それで新しい法律をつくって今日のような常設のものになってしまったわけなんです。この調査会のことは私も調べていささか知っているのですが、あの調査会の答申には私は非常に不満なんですが、実はあの委員は、ギャンブルに賛成者が多く委員になっておいでになるらしくて、それで、あの中にある女流作家の人がメンバーとして入っておいでになったのですが、そこの空気が、これを承認するというような空気があまりあって、それに憤慨して途中で委員をおやめになったということを実は聞いているわけです。ですから、それについてまだありますけれども、それは省きます。それで、いま御説明を聞きまして、農林大臣から私が伺った――一体、弊害のほうについての御調査ありますかどうか、あるいは対策どうですかと言ったら、それは全部無視されてお答えが得られなかったわけです。通産大臣は調査の表をお読みくださったのですが、これは通産省でやったのでなくして、この数字は私もちょっと見たことがあるのです。それは、法務省といいますか、何かでの犯罪の調査の中にちょっと数字が出てきているわけでございます。私の印象としては、監督官庁はそういうマイナスの面のほうはあまり関心をお持ちになっていない。いや、それは自分たちの所管外なんだと、こういうことで、むしろギャンブルのほうがもうけることといいますか、そのもうけが多くなるようなことで、各省が、これは私のひが目かもしれませんが、一生懸命それを利益を多くするように競争しておいでになるみたいな印象を実は受けるのです。そこで一体、このマイナス面、被害は一体どこが調査をしてどこが一体それを考えてくれるのか、私は政府の省の中で一体それを考えてくださるところがあったらそれを伺いたいのですが、どうでしょうか。厚生省だって関係――ないでしょうな。総理、どうですか。これは私ね、非常に大きなのにここのところが抜けているのですよ。それでもうけることばかり話し合って、さっき、いろいろな目的が出てくるのですけれども、あれ、みんなお金をそっちにやるだけのことでしょう。それでていさいも非常にうまくなって、そういうことに金をやるためにギャンブルは正当化されているような印象なんですが、そういうことを申し上げていると時間がかかりますから省きますが、そこで自治大臣にもう一ぺん返りますが、地方財政とギャンブルの問題、これは自治大臣が公営競技を施行できる市町村の指定をなさいますね、それでその資格、手続といいますか、それから、一ぺん指定して取り消すこともできるみたいになっておりますけれども、一体お取り消しになったことがあるかどうかということをちょっと伺いたい。

細郷道一自治省財政局長

○政府委員(細郷道一君) 御承知のように、都道府県、競技によりまして五大市、これはそれぞれ法律上施行権が与えられております。それぞれの団体におきまして住民の声を聞いて採否をきめる。それから市町村につきましては競馬のごとく所在地と災害によるものといったような明定をしたものもございますが、他の競技につきましては、それぞれその財政の状況に応じて指定の申請をいたしまして、それに基づいて必要なものは指定をいたしております。で、多くの場合、現在指定を受けております市町村は、ほとんどが戦災の都市でありますとか、災害の市町村でありますとか、あるいは人口の非常に急増しておりますところとか、そういったような財政上特殊の事情のあるところについていたしております。期限につきましては、先般の法律改正によって期限を付することができるようになりましたので、その後の指定にかかるものにつきましては原則として期限をつける、こういう行き方をしております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 それで取り消しになったところがありますか、期限が終わったところがありますか。

細郷道一自治省財政局長

○政府委員(細郷道一君) 災害等で災害復旧事業の分量によって年限をきめますが、その期限が終わりますれば、これはその後しないと、こういうやり方をとっております。現に期限が切れてやめたところもございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 その数字をちょっと私持っていないんですけれども、それはあとでまた教えていただくことにします。  それから、さっき運輸大臣は、調査会の答申の中で、今後は拡大しないようにやるということをおっしゃったのですけれども、運輸大臣が所管しておいでになるモーターボートは、これはずいぶんふえていますね。三十七年には六十六市町村だったのが、四十二年には九十四市町村にふえているのです。五割ふえている。これはどんどん奨励しておいでになるということになるのですが。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 私もこれを見まして、ふえておるじゃないかということを言ったのです。そうしますと、これは場所は指定されておる場所とか回数とかはふえませんが、新しいものですから競艇というのは数が少ない。そこで隣の町がやっておって、隣の町が新しく市になってやらしてくれということを言ってきたので、先ほど先生が自治大臣に聞かれた均てん化ですね、そういう意味でいままで持っておった既得権を譲ってやった。そういう面で施行者数がふえておるけれども、もとはふえておらない。こういうことになっておるようでございます。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 市町村の数として数字が出ているから回数の問題じゃないかと思うのですが、それはまたあとで伺いましょう。  自治省に伺いますけれども、自治省は交付税あるいは特別交付税を府県なり市町村に配分をなさるのだけれども、その際にギャンブルによる収入は全然計算にお入れにならないということなんですね。これは私ども常識的に見て少しおかしいと、ギャンブルをしていない市町村から見ると私は不平が出るのが当然だと思うのです。だから、交付金を配分する際に、やっぱり地方税がどれだけ収入があるかということを計算なさるでしょう。そのときに、ギャンブルの収入はこの市町村には何ぼあるから交付税は少し少なくするなんということは当然にしてしかるべきだと思いますが、どうですか。これは非常にしろうとの議論ですが。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) いままで交付税の配分基準としては、大体各地方自治体において標準的な財政需要、これを目標にしてやったのです。御承知のとおり、公営競技の収益というものは、終戦後のああいう事情で、各地方団体が道路とか学校とか社会福祉とかいろいろのほうに回す。そこで、それはこの地方公共団体によっては早くやるのと、まあ、もう少しそう時間を急がないでもいいのと、いろいろ事情が違っているのです。ほとんど住宅がないところには早く住宅をどんどんつくらなければならない。そういうことでございましたから、そのようなことを基準にして、一応交付税は標準的な財政需要ということを目標にしてやってきた。そこで、いまお話しの御指摘の点は私はよくわかります。そこで、現在やっておりますのは、普通交付税はそういうふうな取り扱いをしておりますが、公営競技によって収益のある、相当財源のあるところについては特別交付税、それから起債というものを考慮いたしまして、勘案いたしております。さらに、もうここまでまいりますと、やはり市川さんのおっしゃるとおり各市町村の均てん化ということが出ております。これは私は十分やはり検討すべき問題じゃないか、こう考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 均てん化というと、各市町村にギャンブルをさせるということになっていくように聞こえるんですが、それはどうも私は賛成できないんです。さっき自治省当局の方がおっしゃったけれども、つまり人口が非常にふえたというようなことで、そのギャンブルを指定をしているところもある、こういうお話だったんですが、私は大都市周辺の小都市の人口が急にふえて、学校を建てなければならぬ、あるいはいろいろな施設が必要だという特別な財政需要というんですか、それが非常に多くなるということはこれはわかるんですが、それはその自治体の責任じゃないのだ、それなのに、自治体にその始末をさせるということ自身が私はおかしい、当然国が心配してやるべきではないか、こう思うんですが、いかがですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) それは理論としては私はよくわかります。しかし、今日までの地方財政の内容が、行政需要が多くてなかなか財政上の手配がむずかしい。先ほど均てん化ということを、みんな各市町村に許したらどうかというふうに誤解されておりますが、それは別に拡大しようという考え方ではなくて、いまの主催しておる地方団体の収益を均てんして各市町村に配分するというんですが、しかし、それをもって地方財政の確立をするという考えではございません、不公平だというお話がありましたからそういうお答えをしたわけです。  それからもう一つは、いまお話しの、やはり国が相当そういうことの財政的な処置をするのが当然で、公営競技の財源を目当てにしてやるということはこれは間違っていやしないかというのは、ちょっと私最初に申し上げましたが、何しろ東京一つ取り上げましても、周辺都市なんというものは、実に財政的にどのくらい需要があるかわからぬほどの需要で、現在法律上認める公営競技をやっておりますので、いろいろ収入があるわけですから、それを向けてやっていることでございます。まあ将来、地方財政が相当豊かになってくるということになれば、やはり私は市川さんの御意見は当然考えなくてはならぬことだと、こう思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 最後に、総理に伺いたいんですが、ギャンブルの問題、いままで問答してまいったんですが、ギャンブルの問題は、私は、大衆の娯楽としてのギャンブル、それから自治体の財源としてのギャンブルと、こう二つに分けて考えるべきだと思うんです。それで、自治体の財源としてのギャンブルは、私は、終戦後二十年余もたっておって、そして日本の国民総生産は約四十三兆円にも達し、自由主義国では第二位だとおっしゃっておるわけですが、その現在、いまだに有力な地方財政の財源としてギャンブルの収入にたよっている、たよらなくてはならぬという、それは私は日本の恥だと思うんですけれども、総理恥しいとお思いになりませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、外国を回ってみましても、まあ公営ギャンブル、そういうものをやっているところはずいぶんあります。ことにイギリスあたりでも、ダービー、競馬、ずいぶん盛んであります。そうしてまた大衆健全娯楽という意味もありまして、出ていっている人の服装なども相当りっぱなものであります。そういうところの収入はどういうことになるのか、まあいま私も十分調べてはおりません。しかし、日本の公営ギャンブルが戦後果たした役割り、これは相当のものであったと思う。これは市川さんもお認めだろうと思います。しかし、健全性をそこなってまでこれをやりますと、これは弊害のほうがうんと大きく出る。したがって、やはり限度がある。これは適当なところでとめないとたいへんなことだと思います。まあ先ほどもはっきり運輸大臣申しておりましたが、そういう感じがいたします。私も、年とったからいまはやりませんが、若いときはなかなか競馬その他が好きでございまして、そういうことをみずからやっぱり切符も買っておる、こういう経験もございます。けれども、ほどほどにやらないと、それで家庭を破壊するようなことがあっては申しわけないと、だんだん年をとってから、いまはあの混雑するところへ出かけようとは実は思いませんが、それかといって、場外馬券なども買うつもりはございませんけれども、とにかく人間自身が相当のかけごとの好きな動物、人間でございますから、そういう意味で、あるいは射倖心、そういうことで、どうしても度を過ぎる、こういうことがあるように思います。そして、いまやっておりますことは、まだこの上、他でやっておるものでこちらでやらないものもあるようです。これは別に外国に比べていまやっていることが恥ずかしいと、かようには私は思っておりませんが、しかし、この辺でやはり適当な締め方をしないと、これは乱に流れるといいますか、際限なくいくとこれはたいへんだと、かように私は思います。まあ率直に、私自身の経験をもまじえて、率直に申したつもりです。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まあギャンブルが一つの娯楽といいますか、それは私も大衆の娯楽は必要だと思うんですよ。ところが、いまのギャンブルはあれは大衆の娯楽と言えるのでしょうか。私は少し見に行ったんですよ。ところが目が血走っていて、まるで戦場みたいなもので、こわいんですよ。だから、あれを大衆の娯楽とするにはどうしたらいいか、少し私は検討すべきじゃないかと、こう思うのです。とにかく、戦後においてギャンブルが果たした役割りというのは私もある程度認めますけれども、しかし、これはどんどん、景気の高度成長に伴ってでしょうけれども、異常な繁栄を来たしておる。これはまあ御承知のとおり四十二年度に、さっき一つ一つその売り上げを伺ったのですけれども、合計すると七千百九十億円、自治体の収益は八百六十九億円、入場者が延べ八千万人、で、四十四年は、予想になるけれども、総売り上げは一兆円近くになる。それから延べ人員は一億。一億総ギャンブルということになっちゃう。これは延べですから、必ずしもそうではないですけれども、私はこれはたいへんなことだと思うんですよ。外国の例をお出しになって、外国にもあることを知っていますけれども、日本はギャンブル日本といわれているんですよ。それで、こういうふうにお金をいろんなところへといいますか、――これは私は日本の特色だと思いますよ。だから、エクスキューズにはちょっとならぬと思うんですが。それで、私はさっき言いましたように、このギャンブルの繁栄の陰にマイナスが多数あるということをさっきから言っているわけですが、それもあるんですが、私はもう一つ、いつも総理もおっしゃっているんですけれども、日本国民の精神的退廃というか、   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 モラルの低下というもの、それの根源は、私はこのギャンブルにあるのじゃないかとさえ考えて、実は心配をしておるのです。それで、これはおそくなりますと、だんだんこれは既得権になっちゃいまして、楽をして、骨を折らないで金がどんどん入ってくるものだから、それは放すのがいやになるんですよ。自治省の例はその例ですよ。なかなかこれは金なんか取れないですよ、放さないですよね。それだから私はやっぱり早いうちに、総理もこのごろ、現時点で何とかしなきゃいかぬとおっしゃっていたけれども、やっぱりはっきりとギャンブルは罪悪だということで、それで自治体の財源にしないんだということをむしろ私ははっきり声明して、それじゃ自治体の財源の不足はどうするか、これは自治体と国とでもって協議をする。一方においては大衆に健全な娯楽を与えるにはどうしたらいいかということを検討してやっていく、これはおそくなればそれだけ弊害の及ぶところは私ははかり知れないものがあるというところで実は心配をしている一人なんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま私の申したのも、ただいま言ったように、大衆娯楽としての健全性をそこなわないようにしろ、こういうことだと思っております。それにしても、やはり節度がある公営ということでないといかぬと思います。ただ、いま言われるように、地方自治体の財源がここにあるのだ、こういうことになれば、あの町でやれば自分の町でもやりたい、あの市でやれば自分の市でもやりたい、こういうことになってまいり、売り上げだけは市町村で分ける、こういうことでもおかしなことで、これはちょっと困るだろうと思います。したがって、こういうものはやはりこういう機会にもう一度見直してみるのは適当なことだろうと思います。東京都知事がギャンブル廃止を唱えましても、そうなかなか一様にはいかないと思います。私も幹事長ともいろいろ相談してみると、なかなか全部いきなりすぽっというわけにもいかない。また実情などを調べてみると、やはり大衆から娯楽を取ってしまうというと、これはなかなかたいへんなことだと思います。みんなやみの賭博のほうに追いやってもこれはたいへんであります。ただ、いま言われますように、自治体の財源にしないということ、そういう一つのあるいはブレーキになるかと思いますので、そういうことはひとつ大蔵当局並びに自治省関係でもう少しよく検討さしてみましょう。そして、ただいま言われるように、とにかく節度ある運営ができるようにやはりしていかなければ、これは問題だと私も考えております。ありがとうございました。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 ひとつ総理に前向きでこの問題を解決いたされるようにお願いをしておきます。  次は政治資金について若干の質問をしたいと思います。  最近私は、四十二年の各政党の支出をこまかく少し見ておるのですが、そうしますと、五つの政党とも、国税の支出というものが全然ないのです。地方税だけわずかお納めになっておるようです。これは自治省に届け出られた収支報告書について申し上げておるわけでございまして、そこに出ておるのを見ておるわけであります。それで、実は四十年、四十一年にさかのぼって税金のことを調査しましたが、四十年にはA党が六千円、B党が二十五万五千円、C党が六千四百四万円の国税を払っておいでになる。四十一年にはD党が七万五千円、E党が三千二百五十八万五千円の国税を払っておいでになるのです。ところが、いま申しましたように、四十二年には国税を全然どの政党もお払いになっていないのです。私はこれは少し疑問に思いますが、この点について大蔵大臣からちょっと伺いたいのですが。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは政党には、これは人格のない社団と、こういう扱いになっておるわけです。収益事業を営みますと税はかかりますけれども、これをやらぬところでは税はかからぬ。  なお、詳しくは国税庁長官来ておりますから。

亀徳正之国税庁長官

○政府委員(亀徳正之君) お答え申し上げます。  ただいま大蔵大臣がおっしゃいましたように、政党は人格なき社団ということで、法人税法の上では、収益事業については課税ですが、公益事業については課税しない。収益事業にどういうものがあるかということで、政令で詳しく規定いたしております。その中に出版業というものを一応規定しておりますが、しかし、ただ政党の方々、また特定の会員だけに頒布するというようなものは、いわゆる収益事業に該当しないということで、その分も実は課税の対象外にいたしております。したがって、原則として収益事業をやりません限り、政党については法人税の課税の対象になっておらないと言うほうが正確かと思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 しかし、私が調べたところでは、四十年、四十一年は国税をお払いになっているのですが、四十二年は全部どこも国税をお払いになっていないのであります。これはどういうことなのでしょうか。

亀徳正之国税庁長官

○政府委員(亀徳正之君) 政令が四十一年でございますか、改正されまして、政党とか、そういうところが主としてその党員、あるいは会員という方を中心として出版している場合には、出版事業と認めないという改正が実は四十一年に行なわれておりまして、それに基づきまして、その後は課税しておりませんのですが、おそらく先生おっしゃいましたのは、そのことではないかと考えます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま国税庁長官は改正になったとおっしゃったけれども、それは法的根拠はどこにあるのですか。

亀徳正之国税庁長官

○政府委員(亀徳正之君) お答え申し上げます。  法人税法のいわゆる人格なき社団の課税の基本が書いてございまして、法人税法の施行令の第五条に、「(収益事業の範囲)」という規定がございまして、それの十二号に、一応「出版業」というものが収益事業の一つとして指定されておりますが、それにカッコしてございまして、ちょっと読ましていただきますと、「(特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行なうもの及び学術、慈善その他公益を目的とする法人」、まあ政党もその中に入るだろうと思われますが、「公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報をもっぱらその会員に配布するために行なうものを除く。)」と。それで、その後段が入ったわけでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まあ人格なき法人ですか、それはまあ婦人団体なんかもそうなんですけれども、実は私はいわゆる法的に言う公益法人、ある公益法人の理事長をしておりますから、その税法上の扱いのことを少し知っている法人においてやはり出版はこれは収益事業だ、こういうことで、それで税務署のおっしゃるのには、その会員に配布するのはよろしい、けれども、そこに定価を書けば、それは一般の人に売るものだという解釈なんです。だから定価を書いたらだめなんだ。それで年度末にはちゃんと特別会計にして会計報告をして税務署へ出して、それでもうかったら税金を払わなければならない。ただ赤字なら払わなくてもいいし、税金もほかの一般のよりは安くなっていますけれども。だから、そうすると、この扱いが違うのですが、私はいま伺った趣旨は政党というものに対して特別の扱いをしておいでになるかどうかということを伺いたかったのですが、いまのこと答弁ではそうでなくて、人格なき団体ということをおっしゃると、そうすると、婦人団体なんかと一般のと同じことになるのかなと思ってちょっと疑問に思うのですけれどもね。

亀徳正之国税庁長官

○政府委員(亀徳正之君) お答えいたします。  いま先生おっしゃいましたようないろんな、学会とかいろいろございます。必ずしも定価がついたからどうという指導はしておらないはずでございますが、しかし、そこらあたりは、全般、当然のことではございますけれども、不公平のないように、同じものは同じように処理していくという考え方でなければならない、かように考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 ちょっとまだ納得できないのですけれども、時間がありませんから省かせていただいて、税金のことを伺ったついでに国税庁長官に伺いたいのです。前にもときどきお伺いしたことがありますので、その続きとして伺うわけですが、国会議員の方々の昨年の納税の成績といいますか、つまり税務署で修正の申告を要求された議員の方の人数とその金額、それからその追徴をされた税額ですね、それを、昨年のしかわかりませんから、一昨年のと比較してちょっと御報告をいただきたい。

亀徳正之国税庁長官

○政府委員(亀徳正之君) お答えいたします。  昨年たしか泉前長官が先生の御質問に対してお答えいたしておりますが、その分はたしか四十二年十二月十九日に当委員会で答弁しておられますが、処理期間は四十二年三月十六日から四十二年十二月十日まででございますが、人員が五十人の方につきまして修正申告を出していただいておりますが、増加所得が一億五千四百二十二万円、税額で二千四百四万円と、たしか前長官は答弁しておられます。  で、ただいまの御質問でございますが、四十三年三月十六日以後、昨年の十二月末まで、まあ二十日間食い違いございますが、十二月末までの間において調査及び課税終了いたしまして修正申告をしていただきました方が六十八人、それから先ほどのの申告漏れの所得は総額で九千二百十六万円、追加の納税分は千七百四十一万円でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まあその方々の名前を伺うことはもちろんこれは無理でしょうが、政党別ぐらいはわかりませんか。それから最高の修正額はどのくらいの金額だったということはわかりませんか。

亀徳正之国税庁長官

○政府委員(亀徳正之君) ちょっとその辺はお許し願いたいと考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 毎年伺っておりますが、幾らかでもよくなっているということは、私は、政治への国民の信頼を取り戻すことができるのでうれしいと思います。願わくは一人もそういう方のないようになればたいへんにけっこうだと思います。(「まじめな者もおるから明らかにしてもらいたい」と呼ぶ者あり)まじめにやっていらっしゃる方もたくさんおありになることを認めておりますが、少数のそういう方がおありになることはやっぱり残念に思います。  最後に、総理に伺いたいんですが、政治資金規正法の改正案ですね、衆議院でも参議院でも今国会に提出するとおっしゃっておりましたが、もう三月の半ばになりますが、どの程度まで進展しておりましょうか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(野田武夫君) 政治資金規正法はしばしば総理もお答えになっております。私もお答えいたしておりますが、もちろん案ができるだけ現行よりも前進したもの、それで、いま自治省において十分検討を加えておりますが、しかし、なかなかこれはむずかしい実は法律案でございますので、慎重にいまやっております。そして必ずこれは提出するという考え方でやっておりますが、まだしっかりいつごろという時期をちょっと明示できません。慎重にやっておるということだけお答えいたします。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 総理は、一歩でも前進すればいいじゃないか、こういつもおっしゃっておりますが、昨年御提案になりましたのは、ほんとうは私どもは政治献金奨励案だと、こう申し上げていたわけですが、あの案は現状ないしは現状よりは少し後退しているところがあるというので、私は、総理のおっしゃる一歩前進をしたというところはちょっと見つからないんですけれども、どの点をそうおっしゃいますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは市川君からいつも指摘されることですが、各派閥の政治献金がどこからどういうように出たか全然わからない、会費一本でと、これをやっぱり直していかないといかぬのだろうと思います。私はそういう意味で、やっぱり政治資金を集めたその金が、公開性とでも申しますか、それがはっきりすることが望ましいことじゃないかと思います。そういう点もほうってありますが、実はどうも私の団体がいつもやり玉にあがるんですが、どうも佐藤派はどこからどういうように金が出るかわからない、こういうことを言われます。確かにいまの政治資金の規正法では、そういうふうないわゆる会費で取っておる場合には、それを一々詳細に報告しておりません。しかし、どうも資金がどこから出たか、そういうことはやっぱり資金の公開性といいますか、そういう原則を貫くことが望ましいんじゃないか、かように私思います。この点は政治資金規正の場合に、市川君からいつも実は指摘されるので、私には頭に入っておるんですが、そういうような点を含めていろいろ検討したらどうか。これは昨年出したのもそういう意味でその点が入っております。これはずいぶん思い切った実は修正で、ただ外へ出るだけだという簡単なことでなしに、実質的にもずいぶん影響するところが大きいのであります。そういう点も御理解をいただいて、どんな案ができますか、ただいま一生懸命検討している、こういうように先ほども自治大臣が申しております。私が一言いまのように在来と進むというのはそういうところにある、これをひとつ御了承願いたいと思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 それはなるほどそういう案が入っておりますけれども、それは三年間の猶予つきですわね、すぐそうなっていれば幾らか進歩的と思いますけれども。そして、大体あれは現行法がまあ寄付を届け出ろと書いてあるんですが、本来、会費という名義をつけようと党費という名義をつけようと、あれはみんな寄付ですわね、本来は。それで、これは三十五年ころはみんな寄付としてちゃんと届け出ていたんですよ。ところがだんだん隠しちゃって、どこからきたかわからぬことになったんで、あれは私はむしろ現行法を曲げているんだ、だから、それは行政指導で当然できるんで、むしろ、ああいうふうに書くことは後退だと、こういうふうにも考えるんですが、まあ時間がきましたからこれでおきますけれども、私はやっぱり政治資金の問題は、これは総理は非常に最初熱心に本気で考えておいでになったんで、その初心はお忘れなく、私どもが満足するような、ほんとうは案を出していただきたいということをお願いして私の本日の質問を終わります。

二宮文造公明党

○二宮文造君 議事進行について委員長にお願いをしたい点がございますが、ただいま市川委員の御発言の中に、公明党に関しまして数字をあげられての質問でございました。何かその発言の中に生むような件もなきにしもあらずと、このように私は多少心配をいたしますので、速記録を見られて、委員長の誤解で善処をしていただきたい。これをお願いいたしたいと思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまの二宮文造君の発言の御趣旨に従いまして、速記録を調査の上、委員長において善処することといたします。  市川君の質疑はこれをもって終了いたしました。  以上をもちまして総括質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から一般質疑を行なうこととし、本日はこれをもって散会をいたします。    午後八時十六分散会

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