予算委員会 第10号
- 発言数
- 445 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/11
会議録
○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。 以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、総括質疑を行ないます。鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 本日は沖繩問題並びに経済、外交と、財政、税制、物価問題等について若干質疑をいたしたいと思いますが、初めにお伺いしたいことは、昨日の沖繩問題の答弁で核抜きであるということが出てまいりましてまあこれは非常に歓迎すべきことだと思っておりますけれども、施政権の一括返還については一体何年ぐらいまでにしようと、こういうように御主張する気でいるのか、まず、その点から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) きのうもちょっとその点について触れてこれが一体何年になるか、こういうところがこれからの交渉でしょうと、三年になるか五年になるか、そういうようなところじゃないでしょうかと、こういう話をしたと覚えておりますけれども、これは記録もさようになっております。
○鈴木一弘君 昨日の答弁で、日米安保条約を返還後適用するというふうに言われているわけでありますけれども、それについて、総理がここでおっしゃった安保条約というのは、どういうようにその安保というものを理解してよろしいか。一つは、現状の安保のままでいくということなのか、あるいは改正ということなのか。いま一つは、昨日、特別の取りきめのある場合においては改定を考えなければならないと言われたのですけれども、特別の取りきめという内容でございますけれども、特別の取りきめということだけだとばく然としておりますので、その点について伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) そういうことが問題になるむずかしい点で、まだまだ明確を欠いている、かように私自身しゃべっていて思っておりますから、皆さんのほうもそうだろうと思います。そこで申し上げておりますのは、安全保障条約は堅持する、これは方針自身そういう態様を守っていく、こういうことをたびたび申しております。そのときにも安保というものはどういう形かと聞かれたに対しては、これはどういう形で堅持するかまだきめておりません、こういうことを申し上げた。それから、ただいま御指摘がありましたような点になると、さらにまたそれにプラスアルファがついてくる、そういうことでございますから、その点はまだまだむずかしい、私も研究する問題だと、かように私自身も考えておるのであります。ただいま言われますように、特別な取りきめがない限りということから、どういうことを意味するか、こういうものは出てみないとわからない、かように実は思っております。しかし、こういうのをいつまでも、さようなことばかり申していてもいけない。だんだん明確にしないと国民はなかなか納得をしないだろう。そこに大事な主眼点を置いて、政府のやる施策が国民の支援、国民の理解、そのもとにおいてやるんだと、こういう形にならざるを得ないから、だんだんそういうことを明確にしていくつもりでございます。
○鈴木一弘君 だんだん明確になさると言うんですが、一つは、きのうの核の問題についても私は歓迎すべきことと申し上げたんですけれども、この特別の取りきめということが、有事のときには一つは核を自由使用させるとか、あるいは基地の自由使用ということは、核を使わない場合もございますけれども、こういうことを意味しているのかどうか、その点が一つの大きな疑問になりましたが。
○国務大臣(佐藤榮作君) これもいままでの答弁をずっと通じて私一貫しておりますことは、わが国は平和に徹する、こういうことを申しております。したがって戦争に自分たちが突入すること、これは極力避けなければならない。そういう意味から、日本は防衛についての自衛権、これは持っておるけれども、それより以上の何ものでもない、この点が私どものねらいであります。したがってしばしば申しますように、今回の日米交渉において、沖繩が返還された、そのときに、わが国益について将来悔いを残さないようにそういうものをきめたいのです、そういうことを申し上げております。その点からどういうような方向と取り組むのか、これはおわかりいただけるんじゃないだろうか。ばく然としておりますけれども、そういう方向で取り組んでまいりたい、かように思っております。
○鈴木一弘君 国益を害さないということが一つの大きな前提になっているようでありますから、その点、留意をしていただきたいと思うんですが、その国益の問題ですが、返還の前に、一つの沖繩の基地の形態でありますけれども、防衛庁長官の参議院本会議の答弁は、返還後の沖繩の防衛は主体的に自衛隊が当たるということになっているわけです。そうなりますと、現在の基地では非常に大きいということもあると思いますし、そういう点で、返還される前にアメリカ側が自主的にこれを整理統合するということを交渉の中で御主張なさるかどうか、その点について。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩が返還されれば当然日本の憲法、またそういう意味からは日本の自衛隊の守備範囲、これはもう当然のことです。そういう際に基地の態様はどうあるべきか、どの程度の基地が考えられるか、提供する施設はどういうものが望ましいか、そういう点は別途考えていかなければならぬことだと、かように思っております。ただいま言われますように、整理統合しろ、もっと狭くしろ、こういうように言われても、その点は一応伺っておきますが、ただいま申し上げるように、基地のあり方というそういう際にどういうものが好ましいか、どういう状態になるかということは、これから研究する問題でございます。
○鈴木一弘君 どういうあり方がよろしいかということを検討していってこれは返還前にぜひとも整理統合が必要であるという場合も出てくると思いますが、その場合には御要求なさいますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは仮定の状況ですが、そういうものがいま広過ぎるという結論が出ればもちろん交渉いたします。
○鈴木一弘君 沖繩問題の沖繩基地問題研究会の報告書の中でも、経済の問題が沖繩の返還について伴っておりますけれども、その経済発展に伴っての日本の自主防衛力増強、これが報告書の中にも言われているわけです。その点については総理はどういうお考えをお持ちですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっとお尋ねの趣旨わかりかねますが、おすわりのままでけっこうですから。
○鈴木一弘君 返還に伴って日本の経済力が高まっている、したがって、自主防衛力の増強ということが当然必要になる。いままで三十億ドルまで防衛費をしなければならぬだろうということが述べられている。そういうようなことについてはどう考えておられるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはもういままでも自衛力ということを申し、また、みずからがみずからの国を守るという、国民にその気慨を持て、こういうことを国民に呼びかけております。そして、私どもは、国力、国情に応じて自衛力を整備する、こういうことを申しております。したがって、自衛力の増強というか、そういう意味の整備はもちろんある。しかしながら、憲法の命じておる基本的な原則というものは制約がございますから、その制約の範囲においていまの足らないところを補っていく、こういうことであります。主体は私どもの、国民の力によってこの国を守るんだと、かように申しましても、この国を守る能力というものは、いわゆる急迫不正の侵害に対してわれわれが対処する、その範囲のものでございますから、おのずからこれには限度がある、かように御理解をいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 すでに防衛庁がこちらに渡してよこした説明書等にも、ファントムについては第四次防において四十七年度以降はその中に入るという、四次防ということばが新しく説明書の中に出てまいりました。これはいままでになかったわけであります。そういうことから考えますと、沖繩返還に伴って一つの大きな条件となるだろう。現在よりも自衛力を増強してほしいというふうに必ず言われると思うのです。総理の精神はよくわかるのですけれども、返還に伴って自衛力を増強しますということが交渉の条件の中になるかならないか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっと他国からしいられてそういうことを整備するのかというように聞けますが、私は、他国からしいられて云々ではなくて、みずからの力によってこの国を守るんだ、そういう最小限度の必要なものを満たしていく、かように私は考えておりますので、ただいまのあるいはお尋ねに対する直接のお答えにならないかもわかりませんが、私はさような意味でただいまの防衛力の増強、国力、国情に応じたもの、こういうものを強くしていくということを考えております。私は昨年、陸の観閲式をし、同時に海の観閲式をいたしました。そうして、いま自衛隊の全貌というものを見ました。士気はなかなか盛んですが、私はこの程度でこの国が守れるとはどうも考えない、そういうような意味のものを増強していく必要がある、かように私自身感じております。
○多田省吾君 関連。この前の八日に二宮委員が質問をしているのですが、いわゆる日米合同会議、沖繩基地問題研究会のメンバーが本土並みの返還ということを示唆した。それに対して総理はどのように思われるかという質問に対して、総理は大いに参考にすると、このようにおっしゃった。ちょうどその八日の日に沖繩基地問題研究会の報告が出まして、一九七二年までおそくとも返還する、あるいは安保、地位協定、事前協議の適用、あるいは返還時に整理統合、日米合同協議機関をつくるというような四つの項目の報告が出たわけでございますが、総理として、この沖繩基地問題研究会の報告に対してどのような態度をとられるかということです。 それから、一部報道によりますと、座長であった久住氏を、今度、愛知外相の渡米のあとに、六月ごろ総理の特使として派遣しようではないかということが言われております。その点に関して。 それから第二番目には、きのうの総理の答弁では、戦略核は返還時に沖繩に置かないような答弁がございました。戦術核、いわゆるナイキハーキュリーズにつける核とか、あるいはそういった戦術核を返還時にはどのようになされるのか。それから、いわゆる本土並みといっても、総理がいつもおっしゃる本土並みといっても、いろいろな内容があります。われわれのおそれるのは、結局事前協議事項を骨抜きにして、それで戦闘作戦行動とか、あるいは配置、装備の変更等の事前協議事項をそのまま残しておいても、それを適用しても、いわゆるイエスというやり方で、結局有事核持ち込みをはかるのではないかというおそれがわれわれには多分に持たれるわけでございます。この二点をお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 基地問題研究会の答申が出ればそれを尊重すると、こういうことを申しました。私まだ連中に会っておりません。この前一度、大浜君やその他の諸君と会いましたけれども、そのときの記事はその後新聞に出ておりますように、大浜座長に対してどうも何らの反応を示さなかった、こういうことで、ずいぶん研究者からは御不満のようでございました。しかし、私はあらゆる面の御意見を聴取するつもりでおります。したがってそういうものは将来に、もちろん私ども参考にすべきことだと思っております。また、最近参りました、この日米の会議で、たとえば京都会議で、あるいはまた議員の諸君の訪日、日米第二回目の協議会、これなどももちろん私は参考にし、また、今日まで国会を通じてのいろいろの論議がございました。もちろんそれなども参考にしております。またこれからもいろいろそういう問題で私が話をまとめる上に、さらに有力な資料をひとつ提供してもらいたい、かようにいまなお考えております。これが第一の私の考え方であります。また、久住君をどういうように使うか、これまた別な問題でございます。ただいま、あるいは外務大臣に先行するとか、あるいはあとで行くとかというような話がございましたが、私はそんな点についてはまだ何にも考えておりません。 それからもう一つは、沖繩の核、それについて戦略核はないほうがいいのではないか、戦術核の問題はどうか、こういうようなお話ですが、これは私どもは、いままではっきり申しておりますように、憲法で国を守ることが私どもの第一の責任でありますし、また憲法を逸脱してどうこうということはできない、これまた私ども当然の事柄でございます。そういう意味から、憲法上、いわゆる純防御的なものがあるとすれば、これを持つことは可能だと、こういうような議論のあることはもうすでに御承知のとおりだと思います。しかしいままでは、国内におけるそういうナイキ等について核弾頭を持たないもの、こういうような説明をしてきております。この点は、ただいまの沖繩につきましても同じように参考になる点じゃないかと、かように思いますので、その辺も御了承願いたいと思います。 事前協議と装備の問題、またこれが本土が沖繩並みになるのか、沖繩が本土並みになるのか、そこらにたいへんな誤解があるように、まあけさも新聞を開いてみると、そういうような点が一つの問題になっておるようです。しかし、いままでの安全保障条約、これがそのままやられるなら、いままでの方針に変わりはございません。いわゆる事前協議の問題についても変わりがないと、かように御了承いただいてけっこうでございます。でありますから、これに新しい解釈ができるわけではございません。事前協議は事前協議、こういうことでノー、または過日も申しましたように、それはイエスもあったと、こういうことでございますから、それらの点が特に沖繩返還によってゆるめられる、かようなことはございません。その点ははっきり申し上げておきます。
○鈴木一弘君 これに関連してですが、これは外務大臣に伺いたいのですが、二十八日の外務省の幹部会で、日本はアジアの安全保障に経済援助を通じて一そう努力すべきである、こういうように外務大臣が言われて、新しいガイド・ライン、経済援助のガイド・ラインが必要であるということで作業を指示されたようでありますが、これについてまず一つの質問は、沖繩返還に際して、国民政府や韓国からの借款問題等が出てくるのではないか、そういうことを考えてのいわゆる防衛の肩がわりとしてのガイド・ラインという意味なのか、あるいは返還の際の対米交渉において、アメリカとの、極端なことばで言えば、取引材料としてのガイド・ラインというふうにお考えなのか、またそのほかのほんとうの考え方はどういうのか、これについてまず伺いたいのです。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお尋ねのこの二十八日云々と言われますのは、私から申しますと、非常に誇大に伝わったような感じがいたします。と申しますのは、私は就任以来、日本のこれからの他国に対する経済協力ということにつきましては、いろいろ新しい角度で考えなければならないということを、かねがねの持論と合わせて私は主張しておりましたので、そういう方向で研究を省内でもするようにということがその当時からのことでございまして、特に二十八日に強調したのではございません。むしろいろいろの勉強してもらうのについて督促を兼ねてさらにこれを繰り返したのでございます。そういう次第でございますから、私のまあ、まだなかなか至らない考え方ですけれども、経済協力あるいは経済援助ということが、御案内のように、従来は賠償とか、あるいはそれに準ずるようなものとしてやられてまいりましたが、まあ一つの時期を画して新しい時期に入るのではないか、これはもう皆さまもそう考えておられるのではなかろうかと思います。そこでこれから経済援助とか、あるいは技術協力とかいうことについては、どういう考え方で一体やるべきであるかという一つの基本方針とでもいうべきものを、まず勉強してつくり上げてみようではないかという発想でございます。 したがって、これはほかのことにも関連はいたしましょうけれども、先ほど総理からほかの問題についてもお話がありましたように、アメリカがどう考えてくるだろうかとか、押しつけられそうだからとかいうようなことではございませんで、あくまで自主的、主体的な考え方でやってまいりたいと思うわけであります。実はいま韓国とか、あるいは国民政府の例もおあげになりましたけれども、それだけではございませんで、実に多くの国々から日本にはいろいろのプロジェクトで経済援助あるいは協力を求めてまいっておりますことは、御案内のとおりでございます。これをその場当たりに一つずつ出てきたからといって、これはどういうふうに処理するかというようなことでは、これからはいけないのではないか。もう少し総合的な立場で、いろいろの要素をかみ合わせて、たとえば経済的な問題とすれば、あくまで合理的にきちんとした約定によって、ひもつきでないということばがよくいわれますけれども、そういうことばも加味いたしまして、どういうふうにやっていくかという一つのガイド・ラインが必要である、そのガイド・ラインによって案件を処理していく、あるいは総合的な視野に基づいた長期的な計画をつくる、こういう考え方でございますので、そういう意味で御了承をいただきたいと思うのでございます。まだしかし、これは先ほど申しましたように、そういうふうな取り上げ方をしたいという提案をしているだけでございますから、まだこれからの段階でだんだんと考えがまとまるにしたがいましてこれを世に問いたいと、かように考えておるわけであります。
○鈴木一弘君 自主的な今後の経済援助のガイド・ラインということはわかるのです。その自主的なというのは、たとえば「労働旬報社」という雑誌社がありますが、その雑誌社が出した「日米安保条約」という本の中で、自民党の安保調査会、外交調査会の席上で外務省のある参事官がこういうことを述べている。東西冷戦の観点から、西側の安全保障のために経済援助を行なうということをはっきり述べられているわけです。そうなりますと、自主的なガイド・ラインというのは、そのような観点からということは大きなウエートになっているのです。その点の考えもまとまっていらっしゃらないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その参事官がどういう意見を申しましたかはわかりませんが、これはいま私が申しましたような、これからいろいろの考え方をまとめ上げて、一つのガイド・ラインをつくりたい、こういう考え方とはまた別な角度からものを見たのではなかろうかと思います。しかし、いろいろの考え方を参考にしてつくり上げていきたいと思うのでありますから、各方面のいろいろの御意見というものを謙虚に聞いていかなければ、よいガイド・ラインはできない、かように考えております。
○鈴木一弘君 これは総理にお伺いしたいのですが、佐藤総理が東南アジア諸国を訪問されて約束された経済援助が一わたり終わるというところでありますが、そうすると、どうしても、いま外務大臣の言われたように、新しいガイド・ラインが必要なことはよくわかるわけです。それがどうも、私どもが聞き得たのでは、地域の安全保障という、アジア地域の安全保障という観点から取り上げられているじゃないか。それが自主的にということで打ち消されたようでありますが、その自主的の中身が私は問題だと思うのであります。やはり佐藤総理の訪問で約束したというような援助のあとを受けるだけに、総理御自身の考えというものが必ず私はおありになると思う。その点について伺いたいのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) まず誤解のないようにお願いしておきたいのは、国交のある国に対してとにかくわれわれが経済援助ということを考えておる、国交のないところとは経済援助というものはあり得ない、かようにまず基本的に基礎的にお考えいただきたいと思います。そうすると、問題がよほどはっきりしてきて、経済援助の対象になるものが明らかになるだろうと思います。私が東南アジアを回ったところも、いわゆる国交のあるところをいろいろ私は歩いてきた。そうして、そういう国々からいろいろな要望が出ておる。それに対して一々われわれ可能なものは答えてきた。そうして、あるものはもうすでに完了もした。あるものはまだぺンディングになっておる。ことしの予算などではそういうもののあとをも補うようにそれぞれの処置がとられておる。かように私は理解しております。 そうして、いま問題になっておりますのは、ベトナムに和平が招来されたあとに、いわゆるポスト・ベトナムといわれるそういうものについての処置がどうなのか、これからの実は問題だと、かように実は思っております。その他の国々とは、国際的協力の関係が主になっておりますので、それぞれの国際協力の関係でそれぞれの話が進んでおると、かように御理解をしていただいて、ところによっては単独なものもございますけれども、大体において国際協力の形において援助がやられておる、かように御理解いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 これは経済協力のほうと解釈してよろしいわけですね、どこまでも。肩がわりというようなことはないですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん私のほうの経済協力の問題です。いわゆる肩がわりとか他国のためとか、そんなことはございません。どこまでも自主的にものごとはきめられる。この点は大いに誇りを持ってひとつ尋ねていただきたいし、答えるほうも、そういう他国からしいられるとか、あるいは他国の慫慂によるとか、こういうことではございません。どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木一弘君 いまポスト・ベトナムの問題が出てきたわけでありますけれども、これは読売新聞に北原大使との対談が出ております。インタビューみたいな対談でありますが、その中に、休戦監視委員会に対して日本の参加を求めるというか、そういうふうに期待をされているということが述べられているわけですが、それについて、まあ話によれば、レーダー技術者等については派遣してもらいたいというような意向があるというようなことでありますけれども、そのような期待に対しては、政府側はどういうお考えをお持ちになっていますか。
○国務大臣(愛知揆一君) ベトナム戦争につきましては、申すまでもございませんが、拡大パリ会議が、期待されながらまだ結論が出ない。で、この結論が出ないと、世界的に望まれている休戦ということが、国際的な協力のもとに行なわれないわけでございますから、休戦監視団というものが、たとえば国連が中心になってつくるのか、あるいは拡大国際会議というようなものがその責任を負うことになるのか、したがってまた、その態様がいかなるもので、どういう規模であるかということが、まだ全然これは雲をつかむような問題であると思います。しかしながら、そういうことが起こって、そうして休戦監視団というようなものができる場合には、これは平和を維持するという目的のためだから、何とか日本にも心がまえをいまからしておいてくれということは、こういう性質のことについて関心を深くしておるいろいろの国が、日本に対して期待を持っているという事実は、私は明らかであるように見取っております。そこで、いま申しましたように、まだその態様や、あるいは主宰者というか、それもきまらないときに早計に意見を言うべきではないと思いますが、いまも御指摘がございましたように、いろいろ科学技術の進歩した今日でございますから、レーダーその他の機械器具というものが、こういう場合にも非常に活用されるのじゃないかと思われます。そういう機械器具の提供であるとか、所要な資金の、分に応じた拠出でありますとか、あるいはシビリアンの技術者の派遣とかというようなことは、私は、相当積極的に考えるべきではなかろうかと、まあ一応そんなふうな考え方を持っておりますが、何ぶんにもまだいま申し上げましたような状況でございますから、政府の態度というものはきめておるわけではございません。
○鈴木一弘君 いまのシビリアンの技術者の派遣ということだったのですが、それは間違いなくシビリアンのものにしたい、こういう意向であると確認してよろしいですね。
○国務大臣(愛知揆一君) これは日本の法制の許すことでなければできないわけでございますから、日本の法制においてなし得る協力、かように御理解をいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 これは総理にですが、国際監視委員会に協力をしたいということを前に答弁をなさっていらっしゃるわけです。で、北原大使との対談の中身にも、「ベトナム戦争後の平和維持機構に対しては応分の責任をもって対処する必要がある。」、こうあるわけです。そうすると、これについていまのような器具機材あるいは復興計画、こういうものについて積極的な役割りを果たすというような所存であるか、あるいは国際監視委員会、監視機構というものについては、つまり十七度線になるかどこになるかわかりませんけれども、かなりのレーダー網を設けなければならぬ、こういうことになると思います。これについては積極的に協力をするという姿勢なんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣がお答えしたとおりでございます。私も北原君が帰ってきて、北原君からその意向も聞いております。たいへんけっこうなことだと思います。もし日本の法律が許すならば、ぜひそういうことで一役買うべきじゃないか、かように私も考えて、そういう意味でそのときに北原君にも返事をしたつもりでございます。 しかし御承知のように、わが国の法律あるいは自衛隊法、その他いろいろ制限を加えております。そういうものに触れないこと、それが前提でございます。ただいま愛知外相がお答えしたとおりでございます。そういう意味で、やっぱりアジアの一員として平和への協力ができるというのは、これはこんなけっこうなことはないと思いますし、今後のわれわれの果たすべき役割りはその方向にある、かように思っております。
○鈴木一弘君 いまの答弁で、いわゆる海外派兵の危険はないと、私はへたをすると、なしくずし的な海外派兵になるんではないか、そういう心配をしていたんですが、そういう点がないということで安堵しましたけれども、次に南ベトナム戦後における経済開発に対しては、御承知のようにリリエンソール計画というものがあるわけです。アメリカの開発局関係でありますが、そこに対して、そのリリエンソール計画によりますと、非常に日本に対しての期待が大きいわけです。日本とはいいませんけれども、たとえばメコンデルタの開発については全額外国からの援助に期待をしたいとか、あるいは復興計画、難民用住宅とか、青少年の教育計画とか、道路とか橋とか病院、業の復旧というものについて十億ドル以上の金がかかるけれども、これについても全額外国からの援助による資金が供給されることが必要であると、こういうふうに出てきているわけです。これについての日本の立場としては、どういう立場をおとりになるという腹づもりでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) いわゆるポスト・ベトナムにきつまして積極的な関心を日本政府として持っておることは、申し上げるまでもないことであります。必ずしもリリエンソール計画とタイアップしてという意味ではございませんが、かねがね復興基金二億ドル案というものもありますように、日本としては、できるだけ分に応じた程度においてできるだけの協力をしたい、かような考え方でおるわけでございますし、また、メコンの開発その他につきましても、日本としては、たとえば人的にもりっぱな人をして協力をさせておるというようなことで、前向きな、積極的な姿勢でやっておるつもりでございます。
○鈴木一弘君 リリエンソール計画のサイゴン側の代表であるトック開発大臣というのが日本に来ておりますが、そのときどんな話し合いがなされたのか、その内容を伺いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 私も会いまして、一般的ないろいろ意見の交換をいたしましたが、主として日本側の企業家サイドと申しましょうか、この種の問題に関心のあるような経済界の人たちとの懇談をしたり、また、自分たちの考えている事情も訴えたいということでございましたので、主として経済界の人たちと会うことを求められ、また実現をし、そして帰国いたしましたわけで、これといって具体的な将来の計画について私どもと話し合ったことはございませんでした。
○鈴木一弘君 このリリエンソール計画によると総額二十五億九千六百万ドルという膨大な費用がかかるわけですけれども、わが国は一体こういうのについてどの程度とか、あるいはこの計画のどのくらいというようなことは、まだ全然きまっておりませんですか。また、きまっていないとしても、どの程度考えていらっしゃるか。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点が、私の先ほど申しましたガイド・ラインといいますか、何かそういう基準を総合的に持ちたい、こういうところにもつながるわけでございまして、なお、先ほど申し上げましたようにポスト・ベトナム復興基金二億ドル案というものも、全額日本が出資というわけでは考えられておりませんけれども、その辺のところがいま考え得る常識的な線ではなかろうか、かように考えております。リリエンソール計画にどの限度で参加するかということについては、まだ全然きめておりません。
○鈴木一弘君 次に、ラオスのビエンチャン空港についての整備のために、今回予算がかなりのものが、二億五千万円ですか、ついておりますが、その経緯と、それからこのラオスビエンチャン空港については、アメリカの開発援助、つまりUSエードがかなりタッチをしているわけだと思うんですが、それとの関係、あるいはラオスの国内のそのほかの空港の状態、こういうものについて言っていただきたいのですが。
○国務大臣(愛知揆一君) 詳細のことは政府委員から御説明いたさせたいと思いますが、ラオスのビエンチャンの空港の問題は、一九六五年にラオス政府から日本に要請がございましたのを初めといたしまして、いろいろの機会にしばしば強く援助の要請がございました。で、これはワッタイ空港滑走路を二千メートルから三千メートルに延長するとともに、いろいろの関連した施設を整備したい、そして民間のジェット機の発着が可能な国際空港にしたいというのが主たるその内容でございます。政府としては、この計画によるラオス経済あるいは社会への貢献とか、国際空港発展への寄与、あるいは日本とラオスとの友好関係の緊密化というようないろいろの点から、十分慎重に検討いたしまして、計画の外貨必要分二億五千万円を四十四年度の予算に計上いたしまして、ただいま御審議を願っておるわけでございます。この計画の実施設計のためにはすでに調査団が派遣されております。で、本年五月ごろには実施設計を終える見込み、かような経過になっております。
○鈴木一弘君 このUSエードとの関係はどういうふうになっていますか。
○政府委員(上田常光君) お答えいたします。 ただいま外務大臣が御説明いたしましたように、この飛行場の問題は、かねてからラオス側といたしましては、日本に再三言ってきておりますのでございまして、私ども承知しております限りでは、USエードが特に援助したとか、アメリカヘやったとかいうことは聞いておりません。
○鈴木一弘君 これはラオスのプーマですか、首相か外相だか、それが言っているのを見ても、非常にアメリカとの軍事援助については、これを協力したい、強化してもらいたいということを特に要求もしているわけです。ところが、このラオスの空港については、伝えられる話で、これがほんとうかどうかわかりませんけれども、アメリカの開発援助局がかなり供与している、しかもそこにおるのは普通の局員のようであるけれども、その実はパイロットである。いざというときはそのまま軍港として役に立つのではないか、こういうようなことが言われております。私はその点になると、一生懸命政府のほうでは経済協力のつもりでやったことが、軍事協力の肩がわりのような形になってくるのではないか、こういう点が非常な心配なんでありますが、その点については外務省ではどうつかんでいらっしゃるかということ、それからいま一つは、どういう方式でこれはこの二億五千万円は出されるのですか。無償ですか。そういう与え方の方法でありますが、それについて伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) こまかい条件、それから今後の契約のやり方等につきましては、政府委員から御答弁いたさせますが、いまお話しになりました問題のうち、政治的な背景でございますが、これはもう御承知のように一九六二年のジュネーブ協定で、ラオスの中立ということは国際的に保障されている。そしてアメリカもその一員でございます。で、今後ともアメリカをはじめ、われわれがラオスの中立を尊重する、保障するという考え方は変わらないわけです。したがって、アメリカ等その議に参与し、参加をしているものが、この空港を軍事的なものに利用するというようなことは考えられないということを背景とし、前提としているわけでございます。
○政府委員(上田常光君) ただいま予算でお願いしておりますのは、無償協力としてお願いしております。
○鈴木一弘君 もう一点、これはベトナムの緊急援助の問題でありますが、リリエンソール計画にもある例の避難民住宅、これについて今回予算が出てきておりますけれども、どこでやらせるつもりか。かなり業者のほうでは、先ほど開発大臣が来たときに産業界に会わしてくれという話がありましたけれども、かなり競争が激しそうであります。どういう方式でやるか。もう一つは、相手側に対してはどういう方式か、賠償方式なのか、あるいはどういう方式でやるのか、こういう点についてひとつ伺いたい。
○政府委員(上田常光君) ベトナムの難民住宅も、ラオスの飛行場と同じようにやはり無償供与でございますが、このやり方につきましては、まだ予算も成立しておりませんし、ベトナム政府とも具体的にどういう方向で行なうか、まだ交渉をしておりません。
○鈴木一弘君 これは戦後の復興計画の中としてやるのか、それとも戦争が終わらない前にそういう住宅を供与するというかっこうにするのですか。どちらになるのでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、まだ不幸にして戦争は終結しておりませんけれども、難民を救済したいという人道的な立場で、全体の戸数、国際的な計画はちょっと失念いたしましたが、必要なら政府委員からお答えいたさせますが、各国が協力して相当の難民住宅をつくっていく。日本といたしましても、まだその設計の内容、世にいわゆるプレハブ住宅と伝えられておりますが、いわゆるわれわれの感覚で言うプレハブじゃなくて、相当りっぱなこれは難民住宅でありますけれども、その建設に協力をしようということで、今度の予算に計上願ったわけでございます。今後の、先ほども申しましたポスト・ベトナムの全体の復興ということとはまた別な角度から、難民救済の人道的な立場で、この計画に、国際的な寄与の中に、日本も応分の参加をしたい、こういうかっこうでございます。
○鈴木一弘君 外交問題はこの程度にとどめます。 次に財政について伺いたいのですが、財政の膨脹ということは、これは資本主義の国では避けられない事実でありますけれども、非常にこのごろの年ごとの膨脹というのは、われわれも国民も驚くようなものがあります。確かにパーセンテージを見ましても、一般会計の規模でも、予算額が対前年度比三十九年度のときは一四・二、四十年度が一二・四、四十一年度が一七・九、四十二年が一四・八、四十三年度からは一七・五、四十四年度が一五・八、連年一五%以上というふうに伸びている。しかもその増加内容は、当然増というものが非常に大きいわけであります。そこで四十一年度までを見ますと、大体この当然増の伸びというのが六・六%程度対前年度比で伸びておる。ところが四十二年になると八・六、四十三年度は一三・五、四十四年度が一一・九というふうに、非常に飛び上がったわけです。これは前の国会、いままでの政府の態度は、財政硬直化打開のためにはこの当然増経費については解消したいということを言われたのですが、こういうような急激な伸びを見せているということは、硬直化打開の公約というものは完全に消え去ったと、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。まず伺いたいのは、財政がかく膨張した原因です。二番目は、いま硬直化打開についてはどういう成果をあげておるのか。三番目は、一体適正な予算規模というものについてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、この三つについてまずお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政は、御指摘のようにまさに膨張の一途をたどっております。ことに昭和三十六年度、七年度ですか、前年に比べまして二四%も伸びるというような状態でありましたが、最近はそれでも多少なだらかにはなってきておるのであります。それで、いま硬直化打開の旗をおろしたのかと言うが、さにあらず、これはますます硬直化打開の方針を進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。それで膨張の原因は、何といっても軍事費が戦前のようなわけではないわけであります。自衛隊は全予算の八%、こういう程度であります。それにもかかわらず予算の規模は非常にふくれ上がっておる。その原因は、やはり社会保障、教育費、そういう方面の費用が非常にいま増額をいたしておるわけであります。それから社会資本の立ちおくれということが言われておりまするが、この方面にばく大な金を要する。ことにわが国は、戦争で焼き払われておる、国土荒廃、それを立ち直らせなければいかぬという、社会資本の充実の必要というものは非常に高いわけであります。そういうことが牽引力となりまして、膨張をいたしておるわけですが、そのまた膨張した予算をくだいて見ると、これはやはり人件費が非常に多いわけであります。それで、いわゆる定員の問題、行政等の問題というものも大きい問題となっております。そういう状態でありまするが、それらの状態をふまえますときに、一面において予算の膨張の勢い、これは私はとめることはできない。社会資本の立ちおくれにも立ち向かいまた社会保障制度を充実させなければいかぬ。いろいろの要請が出てきておるわけであります。それらを考えますと、まだ予算というものは膨張の勢いを続けざるを得ない。しかし、これが硬直化というか、マンネリズムになってしまって、そして古い、何というか、能率の悪いようなものも、そういう仕事も存置され、その上に新しい仕事が積み重なっていくという、こういうことじゃいかない。常に行政使命の推移というものを考えながら、その時期々々に即応した効率ある予算の執行、予算の編成というものをやっていかなければならぬ。かように考えておるわけであります。 当面、予算の規模をどういうふうにするかということにつきましては、そういう状態を踏まえまして、まあとにかく一応の目安は経済成長、経済成長と見合わなければならぬ。同時に非常に大事な問題は、国の総需要です。総需要は、まあ国民の消費があります。また産業の設備投資があります。同時にこの財政の需要というものが、その総需要の中で財政がどういう役割りを演ずべきか、総需要と総供給量との均衡をはかって、経済成長というもののかげりというか、谷間といいますか、そういうダウンの状態がないように、また財政も重要な役割りを演じなければならぬ。だから必ずしも成長の割合、一つの基準でございますけれども、こればかりにこだわってはいかぬ。そのときどきの経済の状況を踏んまえて進めていかなければならぬ、かように考えております。
○鈴木一弘君 大蔵大臣、いまの話はわかりますけれども、確かに臨時軍事費のかわりに社会保障費がふえたのはわかっております。その問題はあとにしますが、たとえば四十二年から四十三年にふえていくのを見ると、当然増でふえたのが一三・五、政策増が四・〇%ですね。だから一三・五の四・〇で、総計しては一七・五%の伸びになる、財政の規模は。そうすると当然増のぼうの伸びは非常に、先ほど申し上げたように大きくなっている、実際。三十八年から三十九年にかけて、三十九年度予算が三十八年度予算に対しては、当然増は六・三%ですよ、伸びの中に占めた率は。ところが政策増が七・九で、あわせて一四・二というパーセントになる。ところが四十三年になると四・〇しか政策増がない。ことしも同じように約四%です。一体どの程度が当然増として、いわゆる予算増加の内容で当然増はどのくらいであるべきか、政策増は一体どの程度いくべきか、こういうめどというものは全然おつけにならないで、まあ今後ともどんどん財政の膨脹だけは避けられないでしょう、ということだけでいくのか、あるいはめどをおつけになるのか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ予算がふえます中で、当然増が何割であるべきであり、新規政策増が何割であるべきである、そういう基準はなかなかこれはつけにくいのであります。当然増と申しますが、これは前の年にいろんな新しい施策が出る、あるいは前の前の年に出るものもあります。その年割り増というものが、これが当然増という形になってくるわけであります。たとえば四十三年度にきめました社会保障費の計画が四十四年度に至ってフルに十二ヵ月分活動する。こういうようなことで、四十四年度の予算の当然増としてあらわれてくる、こういうようなことです。ですからその当然増と申しましても、別に新しい政策に関係がないというわけのものばかりじゃないのでありまして、まあこれも少し年度というワクを離して考えますれば、これは新規政策、新しい政策だと、こういう理解をしてもいいわけでございまするけれども、まあ技術上そういう仕訳をしているわけであります。当然増、新規増、これを一体としてみまして、バランスある国の政策はこういう財源のもとでどういうふうに運ぶべきかということを考え、その時点において当然増が非常に多いから新規政策は少なからざるを得ないという場合もあるし、あるいは当然増は非常に多いけれども新規政策もまた、たまを出さなければならないものもかなりあるということで、予算のワクについてこれをふくらますという配慮をしなければならぬ場合もある。まあ当然増、新規政策増の間に一定の比率を設けて固定的に考えるという、そういう考え方はしておらないのです。
○鈴木一弘君 先ほど、財政規模は総需要の関係等について考えていかなければという話があったのですが、国民総生産に対しての政府の財政規模、一応基準年次といわれている昭和九年から十年、十一年ですか、その平均のときには、二〇・三%です、財政規模は、国民総生産に対して。それが現在では、四十一年が二〇・八、四十二年は二一というふうに、ぐんぐん伸びてきている。こういうことを見ると、いずれも戦前の基準をもう大きく上回るという結果になることは確かです。戦前にこの国民総生産に対する政府の財政規模が二〇%以上いったというのは、いわゆる臨時軍事費を出したときだけです。そういう点では、財政規模そのものは国民総生産に対して二〇%程度に押える、またそれに近づけていく、こういう努力をしていくのが当然じゃないかと思うのです。その点どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから申し上げておるとおり、一つのめどは国民総生産ということでございますが、その総生産を目安にいたしますと、すぐ国民総所得にもつながってくるわけです。この国民総所得に対して、税は幾らかというと、大体二〇%内外を動いておるわけでございまするが、それが一つの目安なんです。目安でございますけれども、この目安ばっかりじゃいけない。つまりそのときどきの経済全体の中における財政の景気調整、そういうようなことも考えなければならぬ。そのときに大災害があったというような際における財政の役割りというようなものも考えなければならぬ、多少の伸び縮みというものがありましょう。また大不況である、どうしても財政が購買力を注入しなければ、日本の経済が動かぬというようなケースもあり得るわけです。一つの目安として、総生産また総所得、その中における二〇%内外というものをねらいますけれども、そればっかりで動くというわけにもいかない、そういうふうに考えます。
○鈴木一弘君 それから次は、国民総支出に対しての政府の財貨サービス購入、これの比率を調べてみたのです。いわゆる消費的な支出、投資的な支出と、この両方合わせて財貨サービス購入見たのですが、三十五年には国民総生産に対して一六・九%、それが最近は年々二〇%をこえているという状態、これは戦前の基準年次に比べても非常に高いし、この政府の財貨サービス購入というのが、第一次的な有効需要を起こすということは、これはもう十分御承知のとおりだと思う。そうなりますと、政府が、私は前に、主導している物価高であると申し上げたのですけれども、こういう財貨サービス購入の国民総生産に対するパーセンテージがぐんぐん上がってきているということも、需要を大きく喚起して、そうして物価全般に影響を与えるとしか考えられないわけであります。そういう点についてはどういうふうに大蔵大臣は考えていますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ予算の総額という資金の面と、これからの財政の経済の中における位置づけというものを考えなければならぬが、同時にいま御指摘のように、この予算によって財貨サービスの需要を喚起する程度、これもよく考えていかなければならぬと、そういうふうに考えています。ことしはたしか一九%ぐらいに全体としてはなっておるのじゃないか、投資的経費とそれから経常的経費ですね、両方含めての財貨サービスは一九%になっているのじゃないか。少し落ちているはずです。と申しますのは、予算の伸びに比べまして、財貨サービスというものは非常に低いのです。四十三年に比べますと、財貨サービスの増加、増率ですね、これは一二・三%ということになっておりますので、ことしは低めに出ておる、こういうふうに見ておるのであります。そういういろいろな数字の上の問題、また物やサービスの上の問題いろいろ考えまして、経済に対しまして刺激を与えない、またディスカレッジもしない、警戒中立型という性格を守ることにいたしたい、かように御了承を願いたいと思います。
○鈴木一弘君 私は、その点で、大蔵大臣、異論があるのです。警戒中立型だ、確かに現在のところでは、政府の経済見通しから見れば、消費的支出と投資的支出と合わせて十兆円ですよ。で、御指摘のように一八・九%です。ですが、これが、きのうもおとといも論じられておりますように、食管の特別会計で再び大幅に購入をしなければならぬということになってまいりますと、またふえてくるわけですね。そうなると、いままでも、当初においては低いけれども必ず一九%以上こえてきているわけです。そういう点で、これは、景気中立型とおっしゃるけれども、違うのじゃないかという点が一つ。それからいま一つは、確かにいまの財貨サービス購入だけを見れば、ある程度大蔵大臣の言うことは当たるかもわからない。しかし、移転的支出であるという中にいわゆる補助金がございます。補助金で出すのは、これは産業あるいは企業に出すのもある。そのほかに出すのもありますけれども、政府が直接出すよりも効率が大きい。いわゆる波及効果が二倍、三倍というふうに大きいから出しているわけです。そうなると、これは二次的には大きな需要というものを必ず起こすということはわかっているわけです。ですから、財貨サービス購入で私が言いたいのは、景気刺激型に、三十五年やその辺から比べたら大きいのに、さらに、移転的支出の中の補助金等を見れば、これはさらに景気を起こすのじゃないか、これじゃ景気中立型とは言えないじゃないか、こういうことなんです。その点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの鈴木さんの、経済情勢をどういうふうにごらんになりますかですね、私は非常に見通し困難だというふうに申し上げておるのです。長い間経済財政を見ておりますけれども、こんな見通しのむずかしい年はない。つまり、一方においては、まああなたが心配せられる過熱型の傾向もあるわけです。いま成長を実質九・八%というふうに見ております。おりますが、これをかなり上回るような状態になるのじゃないか、そういうような見方をする人もありますし、これが過熱となって物価なんかにも悪い影響を及ぼすのじゃないか、そういう心配をする人もあるのです。しかし一面、いまの設備投資、過去三カ年好景気が続いたその牽引力は何だというと設備投資だ。この設備投資による供給力、これが非常にふえてきたのじゃないか。で、最近、一部産業の中には滞貨がたまるという現象が見られる、あるいは設備投資の先行き指標である機械受注指数、これが頭打ちになってきたという傾向も見られると、そういうようなことを考えますというと、ひょっとするとこれはいわゆる供給力過剰、設備過剰、つまりデフレギャップというようなことにつながっていく傾向はないかというような心配をする人もあるわけです。いわゆるかげり論争、まあそこにあるわけなんです。しかし私は、必ずしもそういう状態にまだ立ち至っているとは思わない。また同時に、設備投資が旺盛に過ぎて、そしてこれがまたインフレ化するというような情勢だとも判断できない。そこで、これ非常にむずかしいです。そこで私が警戒型だ警戒型だとこう言っているのです。財政はこれに対してどういう役割りをことしは演じなければならないかというと、やはりこの経済の動きに対しましては刺激してはならぬ、しかし同時に、ディスカレッジしてもならぬと、まあ警戒中立型で行かなければならない。そうして、じっと経済の動きというものを見つめる。国内の経済が一体需要過剰になるのか、あるいは供給過剰の状態になっていくのか。それに応じて財政も運営していかなければならぬ。また、さらにむずかしい問題は、国際経済の動きがあるわけなんです。下半期の国際経済が一体どうなるか。通貨不安でも高じましたら、これが貿易縮小になるかならないか。なった場合には、わが国の貿易なんかはまっ先に打撃を受ける。そういう際に国内の景気を維持せんとすれば、これに対して購買力を注入するということもまた考えなければならぬ。注入ということは、これは刺激——逆の現象であります、刺激してはならぬというその逆の行き方でございまするから、警戒警戒とばかり言っておられないという事態なんです。そういうように非常にむずかしい。むずかしい場合に財政がどうするかと。これは非常に大きな景気に対する力を持っておりますから、まあしばらくじっと、全体の、内外の経済の動きを見て、そうして中立態勢をしばらく守ると。また、変化を見定めましたならば、財政はその変化に応じて、右へ行くか左へ行くか発動すると、こういうふうにしていきたい。さような感じを持っておるわけです。何よりも大事なことは、これは、財政と金融を通じまして景気のかじとりを誤らしめない。そうして景気を長続きさしてわが国の国力を養いたい、この一点にあると思います。
○鈴木一弘君 必ずしも質問に答弁してくれなかったのですけれども、次へ移りますが、投資的な支出が一般政府勘定の中に占めている。パーセンテージはどのぐらいあるというふうに思っていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 六兆七千が一般会計の予算規模でありまするが、その中で、投資勘定とでも申しますか、それに数えるべきものが一兆をちょっとこえる数字であります。詳しいことは、必要がありますれば主計局長から。
○政府委員(鳩山威一郎君) 国民総支出の内訳として、経常支出と資本支出とあるわけでありますが、これは一般会計、財政投融資、地方財政含めまして、経常支出五兆二千百億円であります。で、総体の政府財貨サービスが十兆九千五百億であります。そういう比率になっています。なお、一般会計の中の公共事業費は、おおむね一兆二千億が公共事業費でございます。
○鈴木一弘君 いままでのこの所得統計年報から割り出してみると、一般政府勘定が、四十三年以降は私のほうは統計がありませんのでできないのですが、四十二年あたりを見ると、九兆円になっております。それに対して、政府の投資的支出というのは四兆五千億というような状態になっております。つまり大体五〇%。で、ずっと見てまいりますと、ほとんど、最近は、五〇%を四十年以後はこえているわけです。その前は、三十五年あたりは、一般政府勘定が三兆三千四百億に対して一兆三千百五十億ということで、三九%ぐらいです。非常に投資的支出というものが一般政府勘定の中に占めるのが大きくなっている。言いかえれば、この中心というのは公共事業費じゃないか。先ほど、財政硬直化は人件費だというような言い方をしたのですが、こういうのを見ると、公共事業費は一ぺん拡張をすればそう簡単には縮まらないものです。もしとめれば、自転車を動かしていると同じでありますから、有効需要は喚起できないということになって、さらにそれ以上の有効需要を喚起したいということになれば、公共投資はワクを広げていく以外にないわけです。その点で、私は、財政硬直の一つの大きな原因が公共事業費の伸びというものにあったのじゃないか。これはもう、福田大蔵大臣がいわゆる国債を発行して以来の問題でございますし、その点では責任があるわけですが、私は、その点で大きな財政硬直の原因にもなっているし、いま一つは物価押し上げの大きな犯人になっているのじゃないか。この点についての見解はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは私は逆に考えております。つまり、公共事業費はそう私どもは硬直性がある要因とは考えていないんです。公共事業費は、これは私の考えでは、民間景気の動向に逆行して伸び縮みをさしていさたい。民間の需要が非常に大きいという際には公共事業費はやや低目に、また、民間の需要が少ないというときには、公共事業費は高目にというので、財政の国全体の景気に及ぼす影響力、これは投資的経費、つまり公共事業費で調節をしていきたい。そういう考えなんです。現にそうなんです。去年はどうだと言えば、あれはおそらく公共事業費は四十二年に比べて五、六%ぐらいの増だったと思います。物価の上がりを見ますれば、ほとんど横ばい、ないし少し実質的には下げたというような勘定になりますが、それで、それと見合って公債が出ておるわけです。だから、好況時には公債の発行額を縮小する、不況時には公債の発行額を拡大する。逆に言うと、公共事業費に見合う。公共事業費以外の、あるいは文教費でありますとか、あるいは社会保障費でありますとか、そういうものはなかなか弾力性がないので、つまり、それは直接、間接に人件費に非常に大きなつながりを持っておる。こういうことで、これは遺憾ながら見解は全く逆であります。
○鈴木一弘君 全く逆な見解であります、ほんとうに。公共投資が伸びれば、結局、わが国は会計がいわゆる公共投資関係の緊急予算というもので組まれているわけじゃないわけですから、予算が一本建てです。それが別建てになっていれば、ある程度のチェックもできるし、いま言われたこともわかるんですけれども、実際問題は、一般会計、特別会計等にほうり込まれてくるわけでありますし、そこで、公共投資がいまの大蔵大臣の考えだと、景気調節に用いるというような、そういう考えです。ところが実際問題は、拡大されればされるほど景気調整どころか、今度は景気を維持するためによけい拡大しなければならない。民間のほうが需要が落ちてくるようなときには公共投資を伸ばせばいいと言うんですけれども、現在に至れば、政府の需要というものはそのまま固定されているんじゃないですか、社会全体の有効需要の中で。そうなってくると、公共事業費を減らすよりも、ふやす以外手がないということになるんじゃないですか。私はそういうところに財政、硬直化の原因があるというんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私どもは、公共事業費は日本においては非常に立ちおくれておる。社会資本の立ちおくれ、こういうことが強く叫けばれておる状態です。何とか早くこのギャップを埋めていかなきゃならぬ。これは財政の受け持つ大きな責任分野である、こういうふうに考えておるわけなんでありますが、しかし、遺憾ながら、体の負担力の問題、また、経済全体の中における公共事業費の景気波及要因というようなものを考えると、そう公共事業費を伸ばすわけにもいかない。公共事業費はどちらかと言えばそういう状態で非常にむずかしいんですけれども、これを早く伸ばして、住宅とかあるいは道路でありますとか、港湾でありますとかを整備して、りっぱな国づくりをしたいという気持ちなんです。私ども、公共事業費は、これはマンネリズムになって、これが国の財政の硬直化の一大要因をなしているという考え方はとっておりませんが、公共事業費は確かに一度ふやしますと、これを引っ込める、これはなかなか抵抗もありむずかしい問題ですが、しかし、できないことはない、現に四十三年度なんかではそれをやっているわけですから。しかし、公共事業費の景気に及ぼす影響力は考えまして、慎重にやっていきたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 大蔵大臣は財政演説で、総需要が適正な水準を越えて膨張するのを防ぐことが肝要であるということを言われたわけなんです。ところが、その総需要を押えるのに、話によれば、公共事業費の三〇%程度を上期に出して、あとは下期に回したい、こういうようなことが伝えられているわけでありますが、そういうことだけで総需要を適正な水準に押えるということはできるんですか。もっと抜本的な問題があるんじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 年度の始まるに先立ちましてきめますこの予算ですね、この予算の総ワクにおいても総需要の問題を十分考えているわけであります。しかし、同時に、総需要の放出をこれをどういうふうに実際予算の運営としてやっていくかということになりますと、これは時期的にこれを常に均分してやっていかなければならないということはない。やはり景気の情勢等を見て、民間の動き民間の動きが活発であればこちらのほうは抑制ぎみ、また、民間が低目であればこちらは積極ぎみ、こういうことを考えるわけです。ですから、予算の総ワクとそれから実行と、両面で総需要の動きというものをとらえていきたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 政府の財政支出も、大体第一、第二四半期は少なくて、第三、第四にいつだって多いんですよ。これは毎年のことです。そういうことから考えますと、大蔵大臣の言うこともある程度わかりますけれども、総需要ということの場合には、年度をもってネットとして考えなければしようがないんじゃないですか。年度全体で見なければ。そう思うわけです。ところが、いまの考え方だと、どうも私はうしろへ行って集中して、そうしてそこのところで急激に需要を喚起してしまう。そういうことになるんじゃないかという心配があるんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 時期的な配慮は当然加えるわけでありますが、同時に、一年全体を通じての配慮、これも必要なんで、それが予算というものがあるゆえんだろうと思います。そこで、いま鈴木さんは、現実に四十四年度予算を一体どうするんだ、こういうことで、上半期にゆるやかに下半期に支出が集中するようにというようなことを私どもが考えている、こういう前提をとられておられるようですけれども、必ずしもそういうふうな結論を出していないんです。つまり、私どものいまの立場は、一体むずかしい内外の経済の動きはどうなるんだろうか、一体国内的要因が、さあ、供給過剰の状態になるんだろうか、需要過剰の状態になるんだろうか、その辺をよく見ようと思うんです。それから国際経済は一体どうなるんだろうか、これもじっくり見ていこうと思うんです。それによって財政の時期別の支出を弾力的にやっていこうと思うのでありますが、ただいまはその見当がつかない。そこで、もう来月になると新しい年度が始まりますけれども、この時点では財政はまさに中立的な、つまり支出を繰り延べる、これもいたさない、また繰り上げ、そういうこともいたさない、まあ常のごとく四月のすべり出しはやっていこう、そうして四、五月ごろの時点でよく情勢の推移を見て、その後の運営をきめていこう、こういう考え方を持っているわけであります。
○鈴木一弘君 これは自治大臣にお伺いしたいんですが、いま補助金のほうが交付税や地方譲与税以上に大きいというのは御承知だと思いますけれども、これで十分に地方団体が独立した行動がとれるでしょうか。
○国務大臣(野田武夫君) 補助金の問題ですが、補助金とそれからいまの交付税、それから起債、これはすべて総合的に地方財政はやっておりますが、補助金を重点に置いてやるということは、それでは地方財政はもってまいりません。
○鈴木一弘君 いまの自治大臣の答弁からだと、現状のような、補助金が交付税や譲与税以上に大きいということは賛成できない、こういうことですね。それで、これは大蔵大臣に伺いたいんですが、私も、地方の独立した行動をかなり妨げていくんではないか、しかも、この補助金というのは、一番最後になれば、会計検査院あるいは行政監察局と大蔵省の財務局あるいは各種の官庁、各省別ですから、そういうように、あるいは監査を受けたりあるいは検査を受けたり、監督をされたりということになってきて、非常な繁雑さを招いているばかりです。行政の非能率のまあ手本みたいなものです。その点で、補助金については国が一〇〇%出すものはいけないというのがシャウプの勧告にあったと思います。あの当時から見ますというと、わが国の財政そのものはもうことごとく補助金行政に堕してしまっていて、ことごとくが中央でもってコントロールするみたいなかっこうになっきている。やはり補助金は、一ぺん出せば絶対引っ込めるわけにいかなくなるものが多いわけです。整理をするといっても、なかなか大なたをふるえない。ふるおうと思えば、各省の局や何かまで影響が及ぶ。こういうことで、一ぺん出したときはいいですけれども、それから以後は自縄自縛の形をとるわけです。この点については今後の補助金についてどういうにふう考えているか、これは総理から最後に御答弁を願います。
○国務大臣(福田赳夫君) 補助金という問題が、お話しのように財政硬直化という問題と大きくつながってくるわけです。さようなことから、金につきましては、ずいぶん財政当局としてはこれが整理に努力をいたしておるわけなんであります。いま特に御指摘の地方団体に対する補助金ですね、これはまあ地方団体の性格、この自治というか、自主性を高めるという上から見ましても、私は、補助金、補助金と言って地方団体に出すということは、原則的には、そうですね、これは歓迎すべからざるものである、こういうふうにまあ考えております。それで昭和四十四年度の予算の編成なんかにあたりましても、何とかひとつ肩がわりをしようというその話をしてみるんですが、そういう話をしてみると、今度は地方団体を通じて、この補助金を受ける被補助語団体、これから猛然たるまた反撃が起こってくるわけです。やっぱり地方からいただくよりは国からいただくと、こういうほうがいいんだと、安心だと、こういうようなことで、この整理というのはなかなかむずかしい。まあ、中央、地方、財源をどう振り当てるかという問題もありますけれども、やはり私は、国が補助政策を中心になって行なうというよりは、その中には地方がこれにかわったほうが地方自治というたてまえからいいんだというふうに考えるものが多いんでありまするが、なかなか簡単にこれが実現できないというのが現状であります。しかし、まあ零細な補助金とかそういうもので効率をあげないというようなもの、これはずいぶん今度の予算でも整理をいたしました。それからさらに、補助金としての任務を終えたというようなものにきつまして、これがマンネリズムになってはならぬというので、補助金全部を洗い直しまして、これもかなりの数を整理、削減をいたしております。まあ、補助金につきましてはそういう考え方で今後もやっていきたい、かように考えます。
○鈴木一弘君 総理大臣は、地方団体と国との関係について地方の独立——独立した行動をですね——を妨げるというようなことは賛成じゃないだろうと思うんであります。その点からこの補助金についてはどうお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ補助金についての考え方は、ただいま大蔵大臣あるいは自治大臣からお答えしたように、また鈴木君御自身がそういうものは整理すべき方向だと、こういう立場でただいま御質問をしておられるんだと、かように私は理解しておりますが、おおむねその方向でよろしいんじゃないかと、私も賛成でございます。
○鈴木一弘君 じゃあ、法人税についてちょっと伺いたいんですが、大蔵省がよこした税の参考書類から見て、申告所得金額を出すのに、生産については前年度対比一一六・六、また、物価については一〇一・六、それによる相乗、つまり両方かけたものでありますが、それが法人所得の伸びと いうことで一一八・五と押えている。ところが、経済見通しのほうでは、物価は卸売りが一〇一・○、消費者が一〇五・〇、総生産は一一四・四、鉱工業生産が一一五・五というふうになっているし、経企庁の経済見通しの中にある法人所得については、四十二年から四十三年に対しては一二五・六、四十三年から四十四年には一二八・六と伸びている。そうすると、一一八・五と法人所得の伸びを押えたのですけれども、経企庁の見ている法人所得の増加に比べると、ほんとうを言えば、四十三年度の所得についてかけるということになると、一一八・五というのは非常に少ないのじゃないか。前年度からたれ込みがあるわけです。これはわざわざ大蔵省が税収の見積もりを操作をして過小に出しているのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 法人税の見積もりについて、ほかの諸税全般にわたりまして過小に見積もるとか過大に見積もるとか一切いたしておりません。純粋に経済の実勢と見合った伸び率、これを計算いたしておるわけであります。なお、これは御納得のいくように政府委員から説明させます。
○説明員(細見卓君) ごく概略を申し上げますと、まず第一に法人税につきましては、御承知のように、この経済見通しに出ます指標よりもズレがある。つまり、仮定決算いたしまして二ヵ月後に申告し、さらに三カ月にわたって分納も認められるわけでありますから、大げさに申せば、半年くらいのズレもあり得るわけでありまして、そういうものを、月別の生産指数あるいは月別の物価の状況等を推定いたしまして計算いたしておるわけでありまして、決して過小になるわけではございません。私どもといたしましては、一一八・五という数字はかなり目一ぱい見た数字で、むしろ最近のかげり現象などを考えますと、非常に心配しながら税収を考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 いま、かげり現象を見て云々という話があったんですけれども、現在までに法人税のいわゆる最初の見積もりよりも減ったというのは一回か二回しかない、長い間に。そういう点から見ても、私はこの見積もりのしかたというものが、何となく、今後税収が余分に伸びて自由に操作できるために残している、いわゆる予算の正確性というものは失われているのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣はその点は絶対だいじょうぶですか。
○国務大臣(福田赳夫君) その点は絶対だいじょうぶでございます。それでこれは狂いが出てくるわけでございますが、それは経済見通しがそもそも狂ってしまうのであります。昭和四十三年度で言いますと、当初一二%と見ておりましたものが実績は一七%になる、それに従いまして、特に法人税収というものは敏感に動いてくる、こういうことになるのです。どうも経済見通しというものは非常にむずかしい。そこに税収に狂いが出てくる原因がある。その見積もる当初は経済見通しに忠実に準拠しておる、これだけはひとつよく御了解のほどをお願いします。
○鈴木一弘君 まあ、了解できないのですけれども、次に行きます。 それから今回の特別会計あるいは政府機関会計予算、こういうものを見て感じるのは、年ごとに一般会計から特別会計に移る、あるいは政府機関の予算に移りというふうになってきている。それからはずれてさらに今度は公団というふうに移ってきていくわけです。こういうようなことは、私どもにすれば非常に納得できない。御承知と思いますけれども、特別会計は弾力条項があるし、債券の発行も認められるというようなことがあります。しかも、今度は機関会計となれば、民間資金も、債券——鉄道債券のようなもので集められる。経費の流用の範囲も拡大する。予備費の使用や、歳出予算の繰り越しも自由である、こうなってくるわけです。そういうようになってきますと、それがさらに今度は公団になれば、国会へは財政法三十八条による参考書類を出すだけで終わりであります。それがどういうふうになろうと、事業計画がどうなっていようと、国会の審議の場には触れてこない。それじゃ、われわれ国民の金がそちらへ出ていないかといえば、産投会計から出ていたり、あるいは財投から投資をされていたりしております。そういう点から見ますと、非常に納得いかない点があるわけであります。本来、憲法にもありますように、すべての費用というもの、支出は、国会の議決を得なければできないことになっている。ということになると、当然国民の目にさらすということから考えれば、できる限り特別会計は減らす。あるいはいま申し上げたような機関会計予算も減らす。公団等は特別会計なり機関会計に繰り入れていくという方向にあるべきです。毎年のようにはずれていってしまって、国会の審議の場には出てこないというふうになる。こういう傾向については一体どういうようにお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘の点もごもっともなことかと思います。さようなことから、公社公団、あるいは事業団、あるいは特別会計、これの新設につきましては、これは政府といたしまして厳重にこれを抑制するという考え方をとっておるわけであります。現に四十四年度におきましても、どうしてもというので、宇宙開発事業団、これを新設をいたすことにいたしましたが、これとても、これは無から事業団が生まれたわけじゃない。大体それの基盤になる事業団体があるわけであります。それをまあ事業団化していくということにいたしたわけでありますが、今後とも事業団あるいは特別会計、これにつきましては、ほんとうにそれだけの必要があるというものでなければ抑制する、こういう固い方針をとり続けていきたい、かように考えます。ただ、国の一般会計の予算では、国の事業活動あるいはサービスの企業活動という面がどうしてもやりにくい問題が出てくるのです。そういう問題につきましては、やはり事業団なりあるいは公団なりあるいは特別会計なりとして使命を尽くしておるわけであります。それはひとつ御了解を願わなければなりませんが、これが乱設をされて、そして国会の御審議にも支障が出るというような状態は、まさに慎まなければならぬというふうに考えます。今後ともそのつもりで対処していきたい、かように考えます。
○鈴木一弘君 これは私は憲法の八十三条では、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。」と非常にはっきりと出ておるわけです。ところが、特別会計にしても、機関会計にしても、はっきり言えば、国会で議決があって弾力条項を認めたのだから、また債券発行についても認められたのだからいいじゃないかということになるわけですけれども、はっきり申し上げて、専売公社等はどこからだったかといえば、一般会計から一ぺんに回ったのじゃないかと思うのですね。あるいは愛知用水公団、あるいは農地開発機械公団、森林開発公団、水資源開発公団なんというのは、一ぺんに一般会計からすぽっと、特別会計になるということもなしに、公団事業になってしまった。特別会計から公団へ回ったものを見ても、例の道路整備事業特別会計から道路公団ができている。また、輸出入銀行のほうから今度は海外経済協力基金というふうに出ている。こうなりますと、もう公団になれば全然目が届かない。ところが、政府の事業としてはそれが非常に大きいわけです、ウエートが。そうなってくると、これはわざわざ公団のほうにどんどん持っていかせて、そして国会の審議の場というものがいいかげんになる。私はむしろここで公社公団等についても、公団、事業団やそういう基金等、特殊法人というものについても、はっきりと一つ一つの事業計画の承認を求めるなり、あるいはそのワク内において事業債を発行したときの報告を、発行予定のときに予算委員会の承認を求めるなり、こういうようにするべきだと思うのですね。そうでなければ、一ぺんきまってしまえば、費目の流用も一般会計に比べればかなり自由自在にできるわけです。どう金を使おうとかってでございます。確かに事業活動の上から必要だと言われる面もあります。民間資金を集める上からも大事だと言われるけれども、それは事業活動がはたして妥当であるかどうかということになると非常に疑問がある。私は、だから、この憲法の条項の上から見ても疑念を抱かざるを得ないわけです、一議員としても。その点については、これは総理にもお伺いしたいわけです。どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国の財政——つまり税に直接関係のあるという面は、これは予算を通じまして御審議を願うわけです。それを追跡していただきますれば、ずっとその公団公社の末端まで御審査を願える、こういうことになっておるわけです。それで、公社や公庫にきつましては、予算書そのものを提出いたしまして御審議願っておりますが、その他の公団あるいは事業団等につきましても、参考資料として御審議のために資料を提出しておりますが、決して御審議をおろそかに、もぐろうというようなあれじゃないのです。これはどうしても国の大きな仕事の中でありまするから、企業的な配慮をしなければならぬ、あるいは事業的な配慮もしなければならぬ、そういう面があるわけであります。そういう面はひとつ機動的に能率を発揮してもらう。これこそがまた国家のため、国民のためじゃあるまいか、こういうことでやっておるわけです。しかし、これは乱に流れるということは絶対に許されないことでありまするから、その運用とか、あるいはこれが乱設されるとか、あるいは使命を終えてもなお存続するとか、そういうものは絶対に許すべきじゃない。そういうものに対しましては厳格にひとつ処理してまいりたい、かように考えます。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの大蔵大臣の答弁で大体政府の考え方は御理解をいただけるかと思いますが、これにつけ加えて申し上げると、ただいまの、新しく特別会計をつくる、そういうことはよほど厳重に慎まなければならない。その必要度というものを非常に限定して考えていかなければいかない。例外的なものをたくさんこしらえてはいかない。また、公社公団等について、この扱い方は非常にむずかしいのですが、それを乱設していかぬことはただいま大蔵大臣が答えたとおりであります。しかし、公社公団等の事業体、この事業体にふさわしいようなある程度の裁量権を持たしてやる、これはどうしても必要だろうと思います。これは国会の審議権を軽視するとかあるいは全然なくする、こういう意味ではございませんが、やはり事業体を主に考えて能率的な運営をはかる、そのためにくふうすべきではないだろうか、かように私思っております。これは私自身がつくった鉄道の場合、その後できた電信電話の場合、それぞれの公社の中身等も違っております。ところが、最近は大体同一になりつつありますけれども、これらを国会との関係でにらんで見ますると、やや行き方に国会的な関与が深過ぎる。それならばどちらか徹底して、そして公社、公団もやめてしまう、あるいは完全な民営にするとか、中間的なものじゃないほうがどうも目的を達しやすいのじゃないか、こういうことを感ぜざるを得ないのであります。したがいまして、ただいまの状態が適切なところへ来ている、まあまあというところじゃないだろうか、かように思います。しかし、もともとこの種のものは国家財政と全然関係なしに行なわれるものではございませんから、もちろん、ただいま大蔵大臣で答えたように、乱設してはならない。そのことは気をつけなければならない。しかしまた、政府から見ましても、やはり事業的機能、企業的機能、そこに重点を置いて、相当の活動範囲、これを認めてやることが望ましいのではないか、かように私は考えております。
○鈴木一弘君 乱設を防止するというのですが、もうすでに乱設しちゃっているのじゃないかと私は思うんですね。今度予算書の一般会計のほうを見ても、ほとんど出資金等で終わってしまうということになりかねない。あるいは特別会計からの補助金で出てしまって終わってしまうということになりかねない。話によれば、たとえば郵政省の例を取り上げれば、電電公社はある、ここへもってきて郵政公社ができるということになれば、一般会計へ出てくるものは、そういうほうへ出すのは出資金だけとか、あるいは特別な金だけで、繰り入れた資金だけであって、もう見えるものは電波関係と人件費だけであるということは、一般会計予算には出てこないわけです。こういうばかなことになったら、たいへんなことだと思うのです。道路についても、道路公団ができています。これなんかの費用というものは、非常に事業量が大きいわけですね。これは建設の一つの仕事としては、かなり大きなウエートがあるのです。そうなると、それをただ参考資料として出せばいい——大蔵大臣の答弁では、すでに出資をしてあるのでありますから、その関係から詳しくお調べになったらいいでしょうと言うのですが、お調べになったらいいでしょうと言うより、むしろこうでございますと言って議決を求める態度に出るのがほんとうじゃないか。そうでなければ、国会軽視もはなはだしいということになると思うのでありますけれども、その点もう一ぺん総理、お願いしたいと思うんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私の答えとあるいは大蔵大臣の答えでやや違っておる。私は、事業あるいは企業の性格のほうに主体を置くべきじゃないか、こういうことを特に強調したつもりであります。しかし、いま言われますような点で、国会の審議を必要とするもの、こういう点はもう少し検討する、こういうことが望ましいものだと思います。いまの公社、公団も乱設はしない。また、それらの企業が活発に活動ができるようにもくふうしなければならないことでありますが、同時に、国会の審議、これを軽視してはならない。そういう意味で、もう少しよく、どういうものをお願いするか、検討することにしたい、かように考えます。
○鈴木一弘君 時間がないので物価に移りたいと思いますが、通貨量の問題であります。通貨量がこの十年間でどのくらいにふえておりますか。
○政府委員(澄田智君) お答え申し上げます。 この十年間ということで、三十三年から四十三年というようなところで見ますると、日銀券の平均発行高で見ますと、六千六百億が二兆八千、約四倍というようなことになっております。
○鈴木一弘君 消費者物価のほうはどのくらい伸びていますか、経企庁長官。
○政府委員(八塚陽介君) 三十三年を一〇〇とした数字がちょっとございませんが、四十年を一〇〇といたしますと、概略三十五年が七〇程度でございます。ですから、三十五年が七〇、四十年が一〇〇という数字になります。
○鈴木一弘君 いまのことから逆算すると、大体物価のほうが私の調べたのは一・六倍のときに、通貨量は六倍に上がっておるのです。そういう状態です。そうなると、その変化というものは、必ず物価よりも通貨量の拡大のほうが、一四半期か二四半期か先に出ておるわけです。そういうこともわかるわけです。非常にこれは重大な問題だと思うのでありますけれども、その通貨量をどういうふうに持っていくかということ、しかも一方日銀のいわゆる信用供与があるわけです、このふくれ方も異常なほど大きい、この両方から見ると、通貨面での物価抑制というものは全然講じられていないじゃないか。いままで物価対策というと、非通貨の面はかなりあったと思うけれども、通貨面についての物価対策というものは全然なかったというふうにしか考えられない。その点についての見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 通貨の問題は、大体において、経済の実勢のしりといいますか、総合的な反射が通貨の伸び縮みというところに出てきておると思うのです。ですから、物価の問題をとらえて、通貨の面からこれを抑制しようということは、これはまあ第二次的、第三次的な考え方としては私は理解できますけれども、しかし物価対策の主軸だというような意味においては、どうもそういうふうには考え得られないのであります。大体通貨は、いま銀行局長から申し上げたように、非常に伸びております。しかし、この伸びというものは、経済成長と見合いをとって伸びてきておるわけです。もし、これだけの経済成長をなし遂げた日本経済が、通貨供給がないというようなことになりますると、足りないということになりますると、また経済の運営に支障を生ずる、こういうようなことになってくるわけであります。まあ、通貨の伸びの状態をながめてみますると、この物価問題なんかの反射がそこに来ておるわけで、心配にはなります。なりますが、通貨を押えてみて、さて物価の問題に直撃的な影響があるかといいますと、そうでなくて、経済政策運営ですね、経済の成長を押えたと、成長を押えれば自然にまた通貨のほうも縮小になる、こういうような関係になるかと思います。しかし、経済全体の診断の上におきまして、通貨がどういうふうに動いておるかということはきわめて重要な指標でございますので、通貨の動きには最大の関心を払いながら財政、経済、金融の運営をやっておる、こういうのが現状でございます。
○鈴木一弘君 たとえば、一年を経過したあとの国債は、現在はオペレーションの対象になっておるわけです。そういうものを停止するとか、こういうことについては抑制の考え方はないのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公債は、これを日本銀行引き受けでは発行しない、こういうことをかたい原則としております。したがいまして、そういう形はとりませんけれども、一年経過しますとこれをオペレーションの対象にするといういま方針をとっております。これは金融調節からいうと、非常に合理的であり、便利であるというふうに考えておるのです。もし公債というものを市中銀行なんか持たないという場合におきましては、市中銀行に対する貸し出しだけという形で金融調節、つまり通貨の供給あるいは引き揚げを行なうわけでございまするけれども、いま公債を発行し市中銀行が公債を抱くということになっておりますので、その日本銀行は、市中の金融の需給の状態を見まして、個々の銀行に対して国債のオペレーションという形で通貨を供給する、こういうことを通じて、いままでとかく問題になりました銀行の貸し出し超過というような状態はなくなるとか、まあ金融の正常化には役立っておる、そういうふうにまあ考えておりまして、別に私どもはオペレーションの方式をいま変える必要というものは感じておりません。また国債政策の運用それ自体には慎重に対処したいと思いますけれども、この通貨供給方式としてのオペレーションについては、何らの不安、また変更を要するものとは認めておらぬ、かようなことにひとつ御了承願います。
○鈴木一弘君 四十一年の九月から四十二年の八月の一年間を見ると、全国の銀行の国債の消化額は四千九百三億、それに対して、日銀が買いオペした額は三千七百三十四億円です。これじゃ、はっきり言って、日銀を通して新しい通貨供給の方式ということで、安易な信用供与を政府が奨励しているようにしか見えない。国債相当額ぐらい買いオペレーションがある。慎重に国債についてはとおっしゃっているのとは、ことばが違うように思うのですね。
○国務大臣(福田赳夫君) どういう時点の数字か存じませんが、大体いま現状では、発行いたしました——発行と申しましても、四十一年からです、大体発行するようになりましたのは。それ以前は別として、四十一年に発行いたしましたものの大体半分くらいを日銀が持っておるというのが現状です。これは、買いオペレーション、売りオペレーション、こういうような結果として生ずるわけですが、もしそういう制度がなけりゃ、銀行に対しましては日本銀行は担保貸しということをやるわけなんです。通貨を供給する、この通貨の量というものはちっとも違いはないんです。でありまするから、経済機能的に見まして、何ら結論的には差異はないんでありますが、金融の操作といたしましては買いオペレーション、売りオペレーション、また金融界のあるべき姿としますと、オーバーローン解消というようなたてまえから、この売りオペレーション、買いオペレーションの形のほうがはるかに合理的である、そういうふうな考え方をとっております。
○鈴木一弘君 経企庁長官は、その通貨量の問題と消費者物価の関係ですが、それについてはどういう考えをお持ちですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 物価というものは、御存じのとおり、これは財貨の流通と、それから通貨の流通と、これの相関関係において物価というものはきまるのでございます。でありますから、財貨の流通が少ないにもかかわらず、通貨が多く出されるということであれば、そこに物価が上がる。また、逆の場合は物価が下がるということになるのでありまして、したがいまして、消費者物価と通貨の関係は大いにあるということだけ申し上げておきます。
○鈴木一弘君 大いに関係があるんじゃなくて、どういうふうに通貨についてはお考えですか、またどういうふうに経企庁としては臨んでおるか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 通貨というものは、この財貨の流通によって通貨の需要が起こってくることでありますからして、したがってその財貨の流通に応じて通貨を発行すればよろしいのであります。それ以外に、いわゆる赤字的な意味の、インフレ的な通貨の増発ということは、これは極力とめなければいけませんが、財貨の需要ということはことばをかえて言えば、経済の成長にしたがって通貨というものはまた当然増加すべきものである、こう考えております。
○鈴木一弘君 受益者負担についてちょっと伺いたいのですが、非常に受益者負担ということでいろいろな料金があるわけでありますが、受益者負担という原則は、これは一体本来どういうものなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) どうも、その受益者負担ということばがあるかと思うと、利用者負担ということばがありまして、その使い分けが、異なって使われたり、混同して使われたりいたしておるのです。私どもも、利用者負担と言うべきところを受益者負担と言ってみて、あとでちょっとあれはまぎらわしかったなあと感ずることもあります。受益者負担というのは、これはこういうことじゃないかと思うんです。政府がある事業をいたします。そうすると、それに関連をいたしまして一番特徴的なものは、さあある都市に向かって高速道路ができた、そうすると、そのインターチェンジの付近の土地、近所の土地が値上がりをする、そういうようなことは値上がりによる受益者である、そういうような形で国の仕事によって利益を反射的に受ける、これが受益者である。それを、利益を受けるのだから、その人はそのインターチェンジをつくるについて金を出したらいいじゃないか、こういう考え方、これが受益者負担、こういうことになるだろうと思います。それから、国鉄の料金だとか、電信電話料金、これは受益者負担じゃないんです。厳格に言うと、これは利用者負担である、こういうふうに考えるわけであります。これは、できたその設備を利用するその人が当然建設に対するサービスの対価を支払うべきである、こういう考え方に基づくものである、そういうふうに理解をいたしております。厳格に言うと、そうです。
○鈴木一弘君 自治団体ではかなりこういう受益者負担のものがあるわけですが、これについてのはっきりした法律というものはありますか。
○国務大臣(野田武夫君) 受益者だから特別負担しろという特別な法律はございません。
○政府委員(鳩山威一郎君) 国の公共事業等、あるいは補助をして地方がやる場合もありますが、道路法等におきまして道路の工事をやる場合に、その受益者に負担をさせるという制度がございます。
○鈴木一弘君 自治大臣御存じなかったかもしれませんが、地方自治法の中にはっきりと、いま大蔵大臣が答弁されたような、一つの当該事件にあって利益を受ける者はその受益の限度において分担金を徴収できるというように、受益者負担というものははっきりと法律化されておる。ところで、いままで政府側が言ってきたのは、利用者負担という言い方ではほとんどなかったと思うのです。大蔵大臣言うように、先ほど利用者負担と受益者負担をほんとうは分けるべきだと言われたんです。今回の国鉄の問題についても、あるいは消費者米価の場合でも、いつも受益者負担ということばが使われて、利用者負担ということばは使われなかったのです。その辺を混乱さしたんじゃないんですか、そんなことありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 頭の中では混乱はいたしておりませんけれども、どうも受益者負担というと非常に広いことばであるもんですから、利用者負担と言うべきところを受益者負担と申し上げている場合がありまして、どうもあれは利用者と厳格に言うとよかったなあというようなことを思い起こすことがしばしばあるのであります。
○鈴木一弘君 利用者負担を受益者負担だなんて置きかえて財政を運営するということは、いわゆる財政の持っている一つの再分配という、そういう機能というものをひっくり返しちゃうわけですよ。阻害するわけです。利用者からどんどん取るということは、むしろ国鉄ができても一番利益を受けるのは、それによる開発利益であるとか、いろんな利益があるわけです。そういうところから取る受益者負担ならわかるけれども、利用者負担というのは完全な消費者負担です。財政のほうで一生懸命所得の再分配をやって、社会保障等出しても、何にもならない、吸い上げてしまうということになる。政府みずからそういう機能というものをぶちこわすという考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、これはもう観念的には非常にはっきりさしておるということをまず申し上げますが、そのはっきりした考え方の上に立ちましていろいろ考えられるわけでありまするが、受益者負担、これはその範囲をつかむことが非常にむずかしいわけです。先ほど私が申し上げました、インターチェンジをつくります、その近所は土地の値上がり、つまり受益者でありますけれども、さてどの辺までをとらえていいのか、これは非常にむずかしいことであります。そういうことで、受益者負担という考え方は成り立つんでございますけれども、これを手広く適用していくということになりますると、はなはだ困難に感ずる場合が多いわけであります。利用者負担のほうはまたこれと違うんです。これは、サービスを、国が金をかけた、あるいは国鉄その他の国家機関が金をかけた、その金をかけた施設を使う方に応分の負担をしてもらう、こういうことでありまするから、これはまた別の問題なんです。私どもは、受益者負担の問題と利用者負担の問題、この問題は全然混同はいたしておりません。せつ然と分けてやっております。受益者負担の適用、これは非常ににむずかしい問題である。そういうことで、この方面があまり伸びない、こういうのが実情でございます。
○鈴木一弘君 運輸大臣にいまの問題に関連して伺いたいんですけれども、利用者負担というよりも、受益者負担の考え方をもって、少しでも赤字を克服するということを考えられないのかどうか。
○国務大臣(原田憲君) 受益者負担、利用者負担の問題については、大蔵大臣がいま答弁されたとおりでございます。したがいまして、私は先般から国鉄運賃の場合利用者負担ということばを使わしていただいておるのであります。いまお話しの受益者負担につきましては、これは当然今後検討すべきではないか。推進会議でも、その問題を地方の納付金の問題と同時に議論しながら、地方開発という面について今後この受益者負担ということを考えるべきではないかということを答申いたしております。私も今後そのようなことにつきましては検討すべきであると存じます。
○鈴木一弘君 次は、消費者物価の上昇の中で、物価を押し上げる寄与率の高いものが、食料品、中小企業の製品、サービス料金の値上げ、これはもう御承知のとおりだと思うんです。ところが、農水産物についても、中小企業製品についても、個人サービスについても、とにかく寄与率の中で全体の七二・五%という非常に大きな物価上昇の原因になっておるわけです。それに対して、いままでは、構造改善を積極的に進めてきたとか、あるいはいろんなことを言われているのですけれども、物価の上昇だけが目立ったり、運賃のように値上げだけをやるものすらある。こういう点については、総理はどうお考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、サービスとかそういう方面の物価が上がって、そこで消費者物価に非常に影響しておるということは、仰せのとおりだと思います。それに対する対策ですが、それがいわゆる二重構造と言われたり、構造的な事情ということを言うておるのであって、したがいまして、生産性の低い産業の生産性を高めるということは、そう即効的な効果はないのであって、じみちにこれをやらなければならぬというのでありまするからして、それに対する政策の効果がすぐあらわれてくるものではありません。がしかし、その点について、やはり中小企業の改善、農業の近代化、あるいはサービス料についても近代化というようなことで、できるだけそういう方面に力を注いで政府は物価政策を講じておる次第でございます。
○鈴木一弘君 いまの答弁では、直ちに効果が出ないということだったのですけれども、これは各省にみんな責任があると思うのです。たとえば、野菜やミカンなどが下がって生産者が困っているのに、消費者のほうには全然安くならないというような貧弱な農政、あるいは医療費についても保険料値上げだけで何とかしょうというような厚生行政、あるいは一方で中小企業の合理化、近代化と言いながら一向に進んでいないというような感じを受ける通産省、こういう各省に、一体いまの答弁から見ていつごろ効果があがってくるのか、あるいはいつごろまでにはっきりとこの構造改善が終了するか、そういう点について答弁を各大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) めきめき効果を発揮いたしておる段階でございますが、(笑声)いつごろまでにという予言を申し上げるほど自信はございません。
○国務大臣(長谷川四郎君) 青果物の問題につきましては、御承知のように、いま非常に値下がりをしておるような状態でございまして、あとは、それをいかに安定をさせるかという点につきましては、構造改善等を通じましていませっかくその方面の努力をしておる次第でございます。
○国務大臣(斎藤昇君) 医療費の問題は、いかにして医療の生産性の向上をさせるか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、今後も十分検討してまいりたいと思いますが、社会保険診療報酬を中医協でいま検討してもらっておりますが、これも今後抜本的に検討してまいりたい、かように考えておるわけであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは最も国民生活に密接している大事な問題でございます。まあ一部でいろいろ笑い声が聞こえますけれども、そういうものじゃないと思う。また、鈴木君がお尋ねになりますように、各省ともそれぞれ力を入れております。しかし、先ほど企画庁長官が申しましたように、構造的な問題については、これもなかなか早急には、いついつまでにと言われましても、なかなか答えられない問題でございます。ただ、いま申します構造的な改善あるいは流通機構の問題等々もございますが、さらに金融あるいは税制等の処置も並行してやらないと、その業界の意欲ともやはり関連があるように実は思うのであります。いまも席にいながら聞いてみていると、最近は、環境衛生金融公庫、ああいうところで特別な金融措置をとった結果、小料理屋、飲食店なども非常に設備を改善されたというような話を聞きます。こういうふうな事柄も、やはり消費者にいいサービスをする、こういう方向で喜ばれるのじゃないかと思います。やはり政府自身が、中小企業対策、あるいは零細企業対策、こういうようなものに対する金融、税制等がやはり効果があるだろう、絶えずこまかな指導をしないと十分な効果はあげないと思います。また、同時に消費者側の協力もどうしても得ないと十分な効果はあがらないと思います。ことに、いまおあげになりました青果物——ミカン等の問題になりますと、消費者側にも選択の自由があっていい。そういうものをフールにひとつ働かしていただけば、もっと改善されるのじゃないか。また、政府自身も、そういう意味で、生活相談等にも積極的に乗り出すとか、あるいはモニター制度を十分働かすとか、いろいろまだまだやるべきことがあるように思います。 とにかく消費者物価の問題は、これはただ政府にまかしたというだけでもないし、また皆さん方のいろいろのお知恵も拝借するが、同時に協力が何よりも大事じゃないかと、かように思っている次第であります。
○委員長(塩見俊二君) ただいま自治大臣から発言を求められておりますので、先ほどの質問に関連をして許可いたします。野田自治大臣。
○国務大臣(野田武夫君) 鈴木さんに先ほどお答えしましたが、間違っておりましたから、まことに恐縮ですが、訂正いたします。 御指摘のとおり、地方自治法の二百二十四条に、「必要な費用に充てるため、当該事件により特に利益を受ける者から、その受益の限度において、分担金を徴収することができる。」という法律がございます。あらためてお答えいたします。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして鈴木君の質疑は終了いたしました。 午後零時五十五分再開することといたしまして、これにて休憩をいたします。 午後零時二十三分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、質疑を行ないます。向井長年君。
○向井長年君 まず、総理大臣にお伺いいたしますが、沖繩問題につきまして、総理は昨日まで、白紙である、現在まだ白紙であるということを、各委員会なり、あるいは本会議で主張されてまいりました。ところが、きのう突如として、本土並み、核抜き本土並みというような形で答弁されておるわけです。これはわが党が長年主張してきた問題でございまして、好感をもってこの問題につきましてはわれわれ迎えております。しかしながら、まだ、これに対して不安を感じる面があるわけであります。その点について若干質問をいたしますけれども、その前に、総理が昨日突如として、社会党の前川君の質問に対して、そういうような表現の答弁をされた。これは、国民世論から総理がそういうことを考えられたのか、あるいは、アメリカの動向をただいま察知しつつ、そういうふうに踏み切られたのか、一歩前進されたのか、あるいは、基地研が報告書をまとめられ、一応発表されておりますが、そういう問題が大きな基礎となったのか、こういう点について、まずお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日の発言が、お尋ねのように、いろいろ問題を巻き起こしておりますが、しかし、きのうも私申しましたように、基地の問題について、なお白紙でございます、かように申し上げております。ただ、いま民主社会党の主張と同じなんで、そういう意味では歓迎すると言われるけれども、まだそこまではいってはおりません。ちょっと、あまり早く喜ばれても申しわけがないと、かように思いますので、正確なところを申し上げますと、きのうの私の答弁から、いろいろの、一つのまとまったものが出てくるように想定されること、これは御自由です。しかし、私は、そのときにも前川君に申しましたように、白紙でございますと、かように申しておりますから、そこには誤解がないようにお願いしたい。私が申したことは申したこと、それからいまのような結論は結論。
○向井長年君 総理はそういうような答弁をされておりますが、きのうの総理の発言の要旨が、そのまま速記録として出ておるわけなんです。その内容を検討いたしますと、一応アメリカに対してこの考え方をもって交渉に当たるということを述べておるわけです。そうなると、白紙じゃないじゃないですか。一歩前進したんじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、予算委員会が始まります前に、野上君からも指摘されました。総理は、佐藤は、各委員会でこんな発言をしているじゃないか、これは一体どうだ、こういうことを言われました。私は、そのとおりだと、このうちの一、二の点で、その点はやや違いますよということを申しましたが、これは野上君にお話ししてあります。また、その野上君の指摘された点、これを前川君はもう一度重ねて尋ねられたものと、かように私は記憶している。そういう意味で、そのとおりと申し上げた。だから、その中にも、やっぱりいまのような結論を出されること、また、諸君がどういうように想定されようと、これは私の責任じゃない。そのときも申しましたけれども、これは白紙でございますよということを申し上げたはずでございます。(「種をまいたのは総理だ」と呼ぶ者あり)それは、その種をまいたのは確かに私でございます。だから、その点は私は否定はいたしておりません。否定しているわけじゃございません。ございませんが、直ちに、いまのような結論だと、こうきめてかかられると、これは、私やや行き過ぎじゃないかと言っているだけで、だからそれだけなんで、それであなた方の、私の発言から出された結論を否定も肯定もしてない。それだけは、私はこの席ではっきり言えると思います。私はそれを、あなた方がどういう結論を出されようと、私自身、否定も肯定もしてない。このことを重ねて申し上げておきます。ただ、私は、いろいろなものを申し上げて、理論的なものを申し上げて、そうしてまだ結論を出してない、かように申したのでございます。ずいぶんわからない問題だと言われるが、別に後退もしてなければ、また、在来からの説明をこれで変更もしてない、このことを私重ねて申し上げます。
○向井長年君 総理、その点はちょっと受け取れないのです。というのは、きのうの速記録に明確に出ているのですよね。総理の発言の速記録が出ていることについては、これは否定できないと思うのです。したがって、私は、はっきり核抜き本土並みということに決定したということを言っていないのですよ。それにそういうように考えられる形で答弁がされておる。したがって、これをもってアメリカと折衝したいというような形が出ておるのですよ、現にこの発言の中に。したがって、いま白紙だということは、これはもう一歩も二歩も後退であって、この点は、ちょっと総理、何か考え違いじゃありませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は別に後退したとも思っておりません。これはまた、前から非常に前進したとも思っておらない。これは、先ほども申しますように、野上君から、この委員会が始まる前に、最初に指摘されたのです。だから、前川君からお話がされたとおりでありまして、それであなた方がそういう結論を出されようと、その点について、私はそれを否定もしなければ肯定もしない。それは記事は記事のままでございます。私は、昨日申したことを取り消すというなら、これは重大な問題でございますが、たいへんなことでございますが、そんなことをするわけでもございません。私は、申したことは申したことと、はっきり確認はしておきます。
○向井長年君 じゃ、いま冒頭に言われた白紙ということは、これは白紙じゃなくて、一応ものの考え方をそういう形できめたいという、一つの考え方を明確にされたと思うのですよ。その点を、いや白紙です、というようなものの考え方であるならば、きのう言ったことは実はこれは間違いである、こう言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 同じことを申すようですが、昨日私——いまはっきりしたなにを記憶していませんが、これにきめたのではございませんが、ということは断わられておるのじゃないかと思っております。その点が、ただいまも申すように、白紙につながる。私自身、まだ、結論を出した、かようには思っておらない。結論を出したならば、これはもう白紙ではない。しかし、結論を出しておらないというところに、やはり、白紙である、かように私自身が考えておる。したがって、この点は、これはずっとお読みになりまして、各紙とも同じような結論を出していますから、その結論を私が否定も肯定もしない。それより以上申し上げることはないだろうと思います。
○向井長年君 否定はしていないけれども、肯定の方向はとらざるを得ないじゃないかと思うのです。これは決定は見ていないけれども、この方向で進みたいという形の言動が各所にあらわれているわけですよ。したがって、これは否定はできないと思いますけれども、肯定の方向で考えられるべきだと思うのですが、これは間違いですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 向井君がお問いになることも御自由ですが、私はただいま、まだはっきりきめておらない。このことを重ねて申し上げておきます。
○向井長年君 そうしますと、さきに言いましたように、きのうの前川君等の発言に対して、総理は、若干いままでよりも変わった発言をされておる。これについて心境の変化を来たしたのか、それとも、あらゆる日本の国内世論というものを考えたのか、あるいは基地研の報告書が一つの基礎になったのか、あるいはアメリカの動向が何らかの形で変わってきたのか、こういう点、ひとつもとへ戻ってお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまも申し上げますように野上君からいろいろお尋ねがございました。また前川君からもお尋ねがありました。私はいままでもあまり話さない事柄に実は触れたのであります。ことに野上君の質問、これは比較的私の発言を要領よく取りまとめられたと実は感心したのであります。確かに、どの席においてどういうことを言った、他の席においてどういうことを言った、それらのものを全部拾い上げられた。よく勉強されたなと実は思ったのでありますが、さらにそれを今後理論的にずっと重ねて申し上げると、昨日のような前川君に対する答えになっておる。ここまでは私もはっきり認めておるわけであります。それより以上のことをただいま言えと言われても、ややそこには私自身がちょっとちゅうちょせざるを得ない、こういう状況です。これが私の心境でございます。
○向井長年君 そうすると、この各紙がとらえておる、参議院予算委員会における首相の示唆というような見出しで、核抜きで説得へ、ポラリス寄港必要ない、こういう見出しで各紙がとらえておるわけですが、これはもう、うそですか、それともこういう方向なんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 肯定も否定もしないとはっきり言うておる。これは新聞でもはっきり……。ただ、私に質問がありましたときに、ポラリスはどうかと言われて、ポラリスは寄港する必要はないだろうと、こういうことを言っておる。ちゃんとそれは答えている。だけれども、新聞がそれをどういうようにとって、どういう記事をつくられるか、これは私の関与したことじゃありません。
○向井長年君 総理ね、われわれが質問していることは、これは国民の立場において、国民にわかりやすく質問をし、答弁をしてもらうつもりなんですよ。こういう新聞が出て、これに対して否定も肯定もしませんというような総理の答弁であるならば、国民は何を選んだらいいんですか、どう考えたらいいんですか。やっぱり白紙だということですか。そうなれば、白紙だと言うんだったら、このきょうの新聞の記事は間違いだということをなぜ総理は言わないんですか。国民を惑わすようなことでは、これはいけないんじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は新聞記事を訂正するということを考えておりません。だからこそ否定も肯定もしないと言うのはそこなんです。私が別な考え方を持っていれば、それはそのとおりしますけれども、だけれども私自身が、ただいまも新聞に対して関与する考えはございませんから、これでいいんじゃないかと思っております。私自身の答えたことを、国民の判断するのは、新聞にどうあろうと、その問題じゃなくて、私が昨日前川君とここで質疑応答した、それが問題なんで、だからそれから受ける感じがどういうことになるか、それをはっきり申し上げただけなんです。私は前川君との質疑応答を否定はしておらないんです。そのとおりでございますと言っている。私、その新聞記事そのものを見まして、私はとやかく言わないという、その意味において、はっきり私は肯定しているものは前川君との話なんです。かように御理解いただければけっこうです。
○向井長年君 まあ幾ら言っても、私は否定も肯定もしないと言うんだから、もともとは否定しておったんですよ、白紙だということを。それが否定もしないと言うんだから、大体一歩前進であると、こういう立場で解釈をしますが、あまりそんなところに神経を使わなくてもいいんじゃないかと思うんです。堂々と総理は、こういう立場でもってアメリカに当たるということを国民の前に明らかにしていいではないか。それを私の質問に答えて、いや、まだそこまでは至っておりませんとか、あるいは、まだ白紙ですとかいうのは、これははっきり言うて、国民の気持ちを惑わす何ものでもない、これに対しては非常に不満です。 まあしかし、一応私は、いままでの白紙論から一歩前進したという立場で質問をしていきたいと思いますが、特に沖繩基地研究会の報告が出ましたね、五項目。これに対して、まず一項について、しからばどう考えられるか。これは政府部内で検討されたかしないか知りませんけれども、核兵器運搬手段の技術、指揮統御技術、兵たん技術の進歩によって近接基地の核配備の価値が減少し、沖繩への核配備の重要性はなくなった。こういうことを答申しておるわけなんですが、報告書の中に出しておるんですが、これに対してどう考えられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まだ私これを沖繩基地問題の研究者と懇談をしておらぬものですから、まだその点についてただいまこの席でこれはどう思う、どう思うと言われても、ちょっと答えにくいんですが、いずれ懇談を持つつもりですから、その上で私の考え方は、またその席を通じてもはっきり申し上げるようにしたいと思います。
○向井長年君 この基地研の五項目に伴って大体同じようなことがきのう前川議員の発言の中で総理は答弁されておるんですよ。そうでしょう。ポラリスの問題に対しましても、あるいは基地の問題に対しましても、そういうことが答弁されておるのに、これは懇談していないからわからぬというのは、ちょっと私もわからないんですが。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はきのう、あるいは先ほどでしたか申し上げたように、私はいまの心境で、いろいろのものを参考にしておる、この基地研究会の問題も一つの研究資料、参考資料でございます。日米の議員の懇談会あるいは京都会談、また同時に衆参両院におけるこういう席における各党の発言等も検討した上、私の話を進めておりますと、こういうことを申したつもりでございます。したがって、さような意味におとりくださればよろしいので、何もかも、どの項目がどうだと、こういうことでなしに、もっと幅広く問題を考えていきたい、かように御了承いただきたい。
○向井長年君 これは科学的な技術的な問題もございますから、防衛庁長官はどうこれを見ておりますか。
○国務大臣(有田喜一君) 今回の沖繩基地問題研究会の報告書は、御案内のとおり、多くの学識経験者の長期間にわたる熱心な研究のたまものでありまして、私も一応すらっと読んでみましたが、その内容は、たいへん示唆に富んで、傾聴に値するものと考えておりますが、特にこの報告書が、返還の時期はできるだけ早い機会だということを明確に書いております。また、沖繩の返還は必然的に日本の自主防衛努力強化の問題を提起する、としております。また、返還後は、沖繩に対する防衛の責任は第一次的にわが国が負うこと、というようなことを書かれておりますが、これはわれわれの国防の基本方針である、国力国情に応じて日本の防衛力を整備すると、こういう基本方針にもかなっておりますので、私はこれらの点に対しては同感の意を表しておるわけであります。要は、沖繩の安全と極東の平和の維持のために果たしておるアメリカの軍事的機能をそこなうことなく沖繩を返還することが必要であると、私たちは考えるのでございますが、科学技術の進歩等と相まって、現状とかりに異なる方法があるにしましても、日本の安全と極東の平和が保たれるかどうかということについて、私たちとしてはさらにこれを検討していかなければならない、かように考えております。
○向井長年君 防衛庁長官は、まあ所管大臣としてそういう形で一応基地研の五項目に対しては一応これは同感であると、こういうことを言われておるんです。総理は、これに対して——一応総理の諮問機関のような形でこういう中間報告が出ているわけですが、これに対して、総理はまだこの問題については十分懇談してないということですが、これは、防衛庁長官の意見に対して総理はどう考えられますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私は、さっき言いましたように、早期返還とかあるいは自主防衛とか、また日本の自衛隊が、返還されれば第一義的に責任を負うとか、そういうようなことについては同感ということを言いましたけれども、全面的にもっと検討しなくちゃならぬということを申しておるんでございますから、それはひとつ誤解のないようにお願いしたい。
○向井長年君 じゃあ、一項ずつ聞きましょう。長官、これは、一項ずつ説明してください、一項ずつ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 向井君の言われるのは、これだろうと思いますが、これは四項目ではございませんか。
○向井長年君 五項目。
○国務大臣(佐藤榮作君) 五がありますか。
○向井長年君 はい、五までありますよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっとぼくの持っているのと違うようです。
○向井長年君 基地研ですよ。——基地研ですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお話があったのと、いわゆる基地研の報告とはちょっと違うようでございますから、いま言われる久住君の京都会議の報告というものなら、これについてはまた別に御説明申し上げます。防衛庁長官から聞き取っていただきたい。私どもまあ、こんな事柄はいろいろな会合を重ねて結論を出そうとしている、それだけを申し上げている。各項目も大事だろうと思いますけれども、総体的にどういうところから結論を出してアメリカと交渉するか、そういう点に重点を置いて——御了承いただきたいと思います。
○向井長年君 いや、私が取り上げている問題は、昨日総理が答弁の中に出されたのが久住氏を中心とする基地研の五項目の報告に基づくような発言があったから——答弁があったからこれを取り上げたわけです。したがってこの五項目出ておりますが、これに対して総理はどうなんだと、あるいは防衛庁長官はどうなんだと、こういう質問をしているわけです。それで防衛庁長官、これに対して一項目ずつひとつやってください。一項目ずつ答弁。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほどのお尋ねは、いわゆる基地研の報告ということでございましたから、私は、ここに沖繩基地問題研究会の報告、これを持っておりますが、五項目というのは、私のほうはどこを探しても出てこないんですが、それで私の答弁は、この基地研の報告をもとにして、いま概略的なことを申し上げたわけでございます。
○向井長年君 沖繩基地研の部分的な報告を久住さんが中心となってきのう出されておりますね、五項目。これは防衛庁長官知っておるでしょう——知っておるでしょう、これを。それは、内容は何ですか、これじゃないですか——これでしょう。はっきりしてくださいよ、はっきり。——じゃ、これはあとにいたします。 先ほど総理に沖繩問題の基本的な問題を質問いたしましたが、まあどういう答弁があろうと、ひとつの一歩前進したものの考え方である。こういう中から重ねて質問をいたしますけれども、当初私が言ったように、たとえば総理がそのまま核抜き本土並みだという結論は出しても不安を感じると、こういう形で私は質問に立ったわけですが、これは何と申しましても、そういう形であっても基地の今後の自由使用という問題が出てくると思うのですよ、そこに問題点が波及してくると思います。これに対して、この自由使用がいかなるものであるか、アメリカとの折衝段階において、自由使用という中で核は抜くと言っても、自由使用を認めた場合には、これは事前協議の対象になると思います。したがって、これは安保で言うところの第六条、これに伴ってのいわゆる適用がされてくると思います。こういう問題について総理は、そういう立場でものを考えていいのか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) そういう話になると、また繰り返して申しますが、特別な取りきめがなければ、いまのそういうことはできないことになっておる、かように私は思いますので、そういう問題を一応完全な答案として答えるならば、特別の定めなき限りと、こういうことになるのです。特別の定めなき限り安全保障条約は適用されると、こういうことになるのです。
○向井長年君 どうもちぐはぐになっていかんですが、結局その完全本土並みという立場に立ってわれわれはこれを推進しなければならぬ、こういう中でものを考えるわけですけれども、あくまでも非核三原則を主張している総理は、この問題の中で少なくとも核の持ち込み禁止という問題を明確にしなければならぬと思うのですよ。そういうことでこの問題について、核の持ち込み禁止という問題も含めて、これは協定の中に入れなければいかぬ、こういう考え方で私は総理の意見を聞きたいと思いますが。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、私のほうはだいぶ進んだ話をしたつもりですが、質問によってはやっぱり後退せざるを得ない。いまのようなお話になってくると、本土並みという、これは各党でみんな違うでしょう、本土並みが。だからまず本土並みは、どういうものがそれじゃ本土並みか。その議論から始めなければならぬので——だからそうでなくて、安全保障条約、これがどういうように適用になるのか、このままですかと、このほうが前向きであり、本来の姿のお尋ねじゃないかと私は思うのです。その質問が悪いといって向井君と話してるわけじゃありませんが、私はそうでないと、やっぱりいま言うように、本土並み本土並みと言ったって、各党でみなそれぞれ違っているのです。だから前川君と私との間には、この間も食い違いがあるのだけれども、自分たちの安保を否定する考え方に立ってという、これはもう別ですということで、そうして安全保障条約がどうなるのかというお話、その説明をしただけで——だからそこらも、いまやっぱり違っておるところがあるんですから、民主社会党の本土並みというこれは現状を認めての本土並みか、あるいは段階的解消というか、あるいは有事駐留か、あるいはまた別な構想を持っておられるのか、その辺のところの問題がございますね。だから本土並み、本土並みといっても、これは各党で違いますから、そこらの私は議論が分かれてきて、あとでわれわれは有事駐留だ、総理は本土並みと言ったじゃないか、なぜ有事駐留そのままできめぬのか、こう言ってしかられても困りますから、この辺のところをやっぱりもう少しお尋ねになるほうも明確にしてお尋ねをいただきたい。そうでないと、私はやや困る、かように思います。
○向井長年君 これは明確ですよ。われわれが言う本土並みということは、これは明確に現安保条約の過程においての本土並みであるということですから、そういう中で、ただ沖繩が本土並みだといっても、歯どめをしなきゃいかぬじゃないか、事前協議という、そういう立場からこの問題を聞いておるわけなんですよ。そうでしょう。基地自由使用じゃないでしょう。いま本土並みのほうは事前協議という問題があるんですから、したがって沖繩問題もそういう形で完全に本土並みという立場に立って、そういう形をとられるのか。しかし、いまの状態で考えますならば別条項を設けるがごとき、そういうこともわれわれは心配するわけなんです。そこで、この問題を取り上げて聞いたわけなんですからね、質問のしかたは何も間違っていないですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) わかりました。それでは私どもと同じ立場に立って、本土並みかどうかと、こう言われる。それに対しては、特別の定めなき限り現条約が適用になる、かように考えております。したがって、特別の定めなき限り事前協議の対象になると考えます。
○向井長年君 特に、その事前協議の対象の中で、ただ今日までは事前協議は通告のような形になっておりますが、完全にこれはノーと拒否するという、こういう立場も明らかにしていかなきゃならぬと思うんですが、特に沖繩の場合においては問題があると思うんです。この点どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあ一般的に申しまして、否定的な場合も肯定的な場合もあります、かように私は答えざるを得ない。しかし、核を持ち込むか、あるいは核の保有を許すか、こういうような問題になると、これはいままでも答弁は一定しておりますから、ノーと。また、こちらから発進する場合、そういう場合の問題も一つあるだろうと思います。だから事前協議の場合といいましても、単純な質疑応答だと、どうしても間違いやすいから、できるだけ正確にそこらを申し上げたい。
○向井長年君 そうしますと、この自由発進という問題については、これは現在の安保条約の過程の中で、沖繩においてはいまのところは認めないと、こういう立場で進みたい。そういうことですか。そう解釈してよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩が日本に返還されたら、日本の本土と区別する何ものもないと、かようにお考えいただいていいんだと思います。
○向井長年君 事前協議の対象になる、こういうことですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来、何度も申し上げておりますとおり、特別の定めなき限り、本土と区別はできない、かように思っています。
○向井長年君 特別の定めをする考えはあるんですか。本土ではないんですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も昨日来の答弁で、そこらの点もいろいろ申し上げたと思います。また、そこらがはっきりしておらぬと、こういうことも申し上げたつもりでおります。そういうことがあったにもかかわらず、そういう新聞記事が出ている。
○向井長年君 外務大臣にお聞きしますが、これも新聞論調で、真偽のほどはまた逃げられるかもわからぬけれども、韓国とかあるいはまた国府から、沖繩が本土にそのまま返還されるならば、防衛上非常に低下されるということで、それに対しては何らかの保障策を検討するように命じている、こういうようなことが言われておるんですが、これはどういうことなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ずいぶんそれらの国々の代表者その他と会います機会が多いのでございますが、沖繩問題につきまして、それらの国々の正式の代表者その他から、ただいまお尋ねになりましたような意見を聞いたことはございません。
○向井長年君 保障策を命じておるというようなことも言われておるんだけれども、そうではないのかどうか。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えが足りなくて恐縮でございましたが、私これは午前中もお答えいたしましたように、かねがね日本国としての他国に対する経済協力関係というようなことにつきましては、いろいろの観点から新しい局面を迎えておるように考えられますので、かねがね一つのガイド・ラインになるような考え方をまとめてみようではないかということを外務省の省内でも申しておりますし、命じておるのは事実でございますが、これは何もいまお話しになりました代償とか何とかいう考え方で考えておるわけではございません。午前中詳しく申し上げたつもりでございますが、経済協力のあり方ということはいかに考えていったらいいだろうか、こういう点からの発想でございますので、ただいま仰せになりましたような角度からの問題としては考えておりません。
○向井長年君 沖繩が本土に返還されると、いわゆる極東の安全の防衛が低下する、そういう立場からその問題を検討しておる、こういうようにわれわれはとっておるんですけれども、そうじゃないんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 極東はいろいろの意味で民度が向上し、政治も経済も安定することが望ましいというのがわれわれ当然考えるべきことではなかろうかと思います。そういう角度から取り上げるのでございまして、いまお話のような、何か防衛力が低下するとか何とかいうようなことから、どこからもそういう角度で私は頼まれたこともなければ、私の発想の中にもそういう点を中心として考えるという考え方ではございませんということを先ほど来申し上げておるわけで、私の気持ちを御了察いただきたいと思います。
○向井長年君 総理、今日の安保条約に対して、大きなプラス面とマイナス面があると思うんですが、これに対してプラス面はどういうことであるか、マイナス面は那辺であるか、これは総理はおわかりですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日米安全保障条約を締結している、もうこれは日米親交、相互信頼の上にこの条約を締結しておるわけでありますから、本来問題があろうはずはないのでありまして、ことに日本の防衛についてはアメリカが力をかしてくれるというのがたいへんプラスの面だと思います。しかしながら、しばしば問題が起こる、これはいわゆる基地においていろいろの問題が起きている、そういうことが、これがマイナスだろうと思います。経済面について、安全保障条約を締結しているからマイナスだと、かようなことは私はない、かように思っています。
○向井長年君 マイナス面については——プラス面は私たちも認めたい、マイナス面においては、基地の問題から問題が発生しておると思いますけれども、それ以外にまだあるでしょう。少なくとも日本の防衛に対して、言うならばアメリカ依存という立場があまりにも大きく出ておるんじゃないですか。日本の自主防衛に対してどうお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の自主防衛、これはもうもちろん大事なことであります。国民に対しましても、みずから国を守る気概を持てと、こういう呼びかけをし、また憲法の許す範囲において私どもが自衛力を持っておると、これも憲法が許すからといって一ぺんに最大のものを持っておるわけではない。国力、国情に応じた自衛力を整備しておる、かように私は考えております。そのいわゆる足らない点、これをアメリカが補強しておる、これがいかにも日本国民の自立性をなくしている、こういうような御指摘でもあろうかと思うようなただいまのお尋ねでございますが、私はそういう点がもしあると、これはたいへんだと思いますが、私どもが申しておるように、日本国民はみずからの手でみずからの国を守ると、それはみんな同じような考え方を持っておる、かように思いますので、日米安全保障条約があることは、これはやはりわが国の自衛力、防衛に役立っておると、これはプラス面と、私かように考えます。
○向井長年君 防衛庁長官にお聞きしますが、この安保体制の中で、特にアメリカとわが日本の自衛隊といいますか、これとの防衛分担は1防衛分担といいますか、こういう具体的な取りきめはあるんですか。あるいはまた防衛分担をどういう形で今日進めようとしているか、この点をお伺いしたい。
○国務大臣(有田喜一君) 現在わが自衛隊と米軍の間には、具体的には任務分担とか、あるいは作戦協定というようなものは定めておらないのです。しかし、有事の際の日米間の協力を円滑に生かそうという意味で平素から各種の情報を交換したり、相互の意思の疎通をはかっておりますので、情勢緊迫時におきましては、日米間に協力体制は円滑にできるものであると、かように考えております。決して有事の際に心配があるというようなことはいたさないつもりであります。
○向井長年君 軍事上の防衛分担というものは持っていますか。作戦軍事上のいわゆる任務ですね。
○国務大臣(有田喜一君) そういうはっきりした米軍がこういう分担をせい、日本はこういう分担をするというようなそういう取りきめやなんかはしておらないです。しかし、平素からお互いに意思の疎通をはかっておりますから、いざというときにはお互いに円滑にやっていけると、こういう確信を持っております。
○向井長年君 次に、私十分な答弁じゃないし、まだ質問がありますが、若干変えまして、大学問題について質問いたします。 総理にまずお聞きしたいのですが、最近自民党の中で、特に大学の学生の暴力排除という問題を中心として、あるいはまた政治活動の禁止というような問題を中心として臨時措置法的な立法化をしようという動きがあるように仄聞するわけですが、これは事実ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大学問題をめぐりましていろいろの考え方、動き方があることは、これは事実でございます。私もしばしば申し上げておりますが、この大学問題につきましては、中教審が中間的答申をいたしました。さらにまた重ねて次々と答申を出すことになっております。私はその中教審の答申を待って、しかる上でこれに対処したい、かように思っておりますが、何はさておき、ただいまの法秩序が守られない、暴力化されている、暴力まかり通ると、こういう姿はこれは許せない。こういう意味からいろいろの動きがございます。しかし、私はまあ全体としてやっぱり納得のいく方向に持っていくことが望ましいのじゃないだろうか。まだもうしばらく時間をかけても慎重な態度で、そうしてわれわれがこの問題と取り組むその基本的な姿勢を明らかにすることが必要だ、一つ一つ出していくことが必ずしもいい結果をもたらさない、かように思っておりますので、この自民党の中で研究することはそれぞれ研究をしてもらいたい。しかしそれも小出しにしないで、ひとつ一発回答というか、そういう方向でぜひ進めたい、かように私は思っております。
○向井長年君 いま学生の暴力排除等の問題は、これは国民世論としても非常に関心を持っている問題ですが、あらためてそういう立法化しなくても現在の刑法で十分取り締まることができるのじゃないですか。したがって、今日まで政府は学内自治という立場に立ってこれを傍観しておった、こういう見方が国民世論として大きいのですよ。したがって、少なくとも現在の法律の中で、あるいは刑法の中で取り締まることができるにもかかわらず、なぜこういう問題を臨時的な措置法としてつくろうとする動きがあるのか、われわれ了解に苦しむわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま各党の間でもいろいろ書記長会談等をやって、そうしてこの問題を超党派的に片づけよう、またそれについて各党それぞれ部分的な立法化は必要ないんじゃないかと、もっと必要なものがあるかもわからない、こういうような意見が率直にかわされつつある、いま報道されつつある段階でございます。ただいまの問題にしましても、これは後ほど荒木公安委員長の意見を聞くほうがはっきりするだろうと思いますが、この荒木君に同時に政府の意見を代表して後ほど答えさせたいと思いますが、私はいまのような問題も基本的には本来の法律があるのだ、いわゆる学問の自由、学園の自治、そういうことに関係して遠慮しておる、こういうような状態、これはどうも全然ないとは申しません。というのはある程度の理解のもとに行動したことのほうが効果があがると、そのねらいからやや遠慮しておる部分があるかもわかりません。それらの点を全体について荒木君の説明をひとつお聞き取りいただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 学園騒動に象徴されます暴力学生対策というような意味で、現行法令でやっているのじゃないかというような趣旨のお尋ねであったかと思います。結論的には、治安当局として現行法令以外に立法論として何かを考えねばならぬとただいま思っております。現在の過激派学生の動向等を見ますると、今後どういう事態が発生するかということにつきましては、むろん的確に見定めることは困難でございますけれども、警察としましては、どんな事態が発生しましょうとも、国民に対する責任を果たさねばならないという覚悟でおりますし、同時にまた関係機関あるいは国民の皆さま方も暴力を許さないということが民主主義の基本である、言わずもがなのことでございますけれども。冷静にそれを受けとめていただいた上での御協力をお願い申し上げまして、現行法令を的確に運用して厳正な取り締まりを実施してまいりたいと存じておるのであります。ただ、現状におきましては、警備体制の上からはいささか不十分とも存じまして、その強化をはかる意味合いから、来年度におきまして、御審議願っております予算の中に、すでに御案内のとおり機動隊二千五百人、公安捜査要員一千人、合わせて三千五百人の要員の増員をお願い申し上げておるわけでありまして、これを含めまして、少なくとも来年度におきまする治安当局の国民に対する責任は果たし得ようと思っておりまするし、全力を尽くしたいと存じます。先ほど申し上げましたように関係機関の御協力と申しますのは、なかんずく大学問題でありますれば、少なくとも大学内における不法行為事犯等につきましては、理解ある協力をしていただきたいと希望する次第であります。申すまでもなく憲法は刑事訴訟法を通じまして、暴力をはじめ不法行為排除のためには国民ことごとくが主権者として現行犯逮捕権を与えておるぐらいである。いわんや国立大学を特に例にとりますれば、その中でも特に東大をとりますれば、毎度申し上げますように八千人に余る国家公務員、教職員がおります。個人として現行犯逮捕ができることはあえて要望しないまでも、公務員なるがゆえに、刑事訴訟法は公務員が職務に関して不法行為事案があると認めたときは、告発しなければならないという国民に対する義務づけをいたしておるのであります。残念ながら昨年来の東大の様子を見ましても、今年に入りましてからは別ですが、だれ一人として、法律上に義務づけされておるにかかわらず、公務員が不法事案を告発したことがございませんことはまことに私は奇異に感じますと同時に、残念に思うものであります。ですから、今後大学制度その他教育的立場からの立法論も展開されましょうし、あるいは立法措置も講じられるとも思いますけれども、それ以前の問題として、いやしくも国家公務員が国民に対する責任、大学全体に対する責任、それはとりもなおさず議会制民主主義に対する責任を果たしてもらうということが定着しない限りは、いかなる立法が行なわれましょうとも、相変わらずの大学騒ぎは私は継続するんじゃないかとおそれる次第であります。令状を持って行きまするときには、公務所の責任者はみずからか、もしくは代理人を立ち会い人として出して、大学全体の管理責任上の立場から立ち会う権利を与えられておる。その権利あるいは責任を行使してもらうことによって治安当局との御協力が得られるにかかわらず、それを自主的判断で当否をきめる、あるいは協力しないというがごとき風潮があるやに思われますることは、教育プロパーの問題以前の課題としてまことに遺憾に思うところでございます。憲法も現行犯逮捕の場合は令状は要らないという趣旨のことを明記いたしておりますが、大学内といえども、いつも言われますように、治外法権の場でない限り、警察は請求を待つまでもなく現行犯逮捕をすべき責任を法律上国民に負わされておるわけでございます。それにもかかわらず、そういう場合でも拒否する——とでも考えられるような言動があるようでありこれには原則として協力しないという態度も、同じような趣旨において責任を果たします上に少なくともはなはだしく不便である。ことに、暴力学生が講堂その他を占拠しております状態は、これは不退去罪をもって律せられるべきことですけれども、これは管理責任者が退去命令を正式に出してくれませんことには不退去罪は成立しない。器物毀棄罪は親告罪でございます。また建物を占拠しております状態、建造物損壊罪は親告罪じゃございませんけれども、その不法事案を目の前にして、最もよく知り得ておる、国民に対する責任を負っておるその大学なら大学の公務員が、これは不法占拠の状態で、大学の教育、研究の場の機能を阻害しておるのだということで警告を発し、退去を命じても出ないならば、みずからの実力でどうするという職責権限はないわけですから、暴力に対して暴力をもって臨むことそれ自体が不法行為でございますから、そのために警察力を行使する、協力させる権限と職責を公務員は持っておる。そういうことで相呼応して不法事案を絶無にしてみせるという協力体制、心がまえこそが根本的に必要であろう。そういう御協力を得まするならば、私どもは今度の増員をお認めいただくことによって、全力を尽くして御安心願う状態を確保したいという考えでおります。
○向井長年君 答弁ピントをはずれておるんですよ。私の聞いておるのは……。
○委員長(塩見俊二君) 向井君、御起立願います。
○向井長年君 現行法で十分取り締まれるんじゃないか、こういうことを聞いておるのだから、取り締まられますとか、あるいは現行法では不備ですとか、こういうことを答弁願いたいのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先ほどお答え申し上げた冒頭に、お尋ねの趣旨は申し上げたつもりでございます。ことばが足りませんでしたでしょうが、現行法でもって、現行の刑罰法令でもって十分とも申し上げかねますけれども、責任持って御安心願うように努力をしたい。現行法でその意味においては足りると、現状の一応の推定を前提としましてそれで足りる。ただし、予測し得ないような事態がエスカレートしていきますれば、またおのずから問題は別かもしれませんが、お尋ねの範囲内においては現行法で足りる、かように存じております。
○向井長年君 警察官の増員とかそういう問題じゃなくて、いわゆる現在の暴力に対して取り締まり法をつくろうという動きがあるから、これはそんなことしなくてもいけるのじゃないかと、現行でやれるのじゃないかと、こういうことを私は聞いておるのだから、いけると言うてもらったらそれでいいですよ。不備な点がある——不備な点というのは何ですか。現行で不備な点は、自信が足らぬということですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。同じようなことを申し上げますけれどもお許しをいただきます。 現行の刑法をはじめとする刑罰法令で足りると存じます。ただ運用上は、先刻申し上げますようにいろんな方面での協力体制があることが望ましい。それならば自信を持ってやっていけるということを申し上げたかったから、蛇足を添えさしていただいた次第であります。
○向井長年君 文部大臣にお聞きしますが、文部省設置法の第五条第一項第十八号に、いわゆる文部省は管理運営に関して指導と助言等を与えることができる、また与えるべきである、こういう形で規定されておりますが、先般の九州大学の法学部長の放言、あるいはまた京都大学の一教授の東大安田講堂に対する激励、こういう問題に対して文部省としては何か助言なり指導をしましたか。
○国務大臣(坂田道太君) 九大の井上教授、また京都大学の井上教授の言動は、国家公務員としまして、また教授としましても、まことにふさわしからぬ言動であると私どもは考えまして、さっそく大学当局に指導、助言をいたしております。京都大学の奥田総長に対しまして、事実のまず有無を問いただしましたところ、手紙を書いた、そしてその内容は、新聞あるいはまた週刊誌等に書かれておるままであるという、まず事実の確認ができました。そうして、われわれとしても、教授として不適当であるという考えで、人文科学研究所の所長を通じまして、ふさわしからぬ、不適当であるという意味の勧告をいたしました。まあ先生も御案内のとおりに、当時入学を実施するということについて非常に激烈な民青及び三派の暴行が横行いたしまして、入学実施が危ぶまれておった状況にありまして、直ちにそれに対して評議会を開きまして、あるいは審査をして、そして文部大臣にその決定を仰ぐという手続はまだできておらないわけでございますけれども、一応入学実施ができました今日で、奥田学長のところで何らかのお答えがあるものと私は確信をいたしておる次第でございます。九大当局のほうからは、まだ何ら回答はまいっておりません。
○向井長年君 いま文部大臣が言われましたように、そういう教授連がおられるのですが、したがって問題は、少なくとも現在の学園の秩序を維持しなければならぬ、こういう問題については、何と申しましても、学校の意思決定というものができないということですよね。そしてまた執行ができないということ、この二つの欠陥があると思うのですよ。これを少なくとも早急に整えなければならぬということであって、何ら学生の暴力に対する排除の立法化というものは必要でないんじゃないか、こういう感じを持っておりますが、文部大臣はどうですか。
○国務大臣(坂田道太君) まさにいまの大学当局というものが、全学的意思の決定をすみやかに、迅速果敢に適切な判断をもって執行するという機能に欠けておるという点が一番の問題点じゃなかろうかと思うわけでございますが、さらにそれに加えまして、現実に学生たちが、一部の政治主張を貫くためには暴力的手段をもってこれをやる、しかも大学をその拠点として、あるいはまた大学を政治活動の宣伝の場所にする。そして、いま御指摘になりましたように、井上教授たちがそれを激励するかのような言動がまま見受けられるというのが今日の状況でございます。したがいまして、私は第一段階といたしましては、何と申しましても、最高学府である、良識と良心の府である、学問の自由を叫ぶことがあるべき姿であるという大学において、暴力を追放するということについて、管理者みずからがき然たる態度を持つということ、あるいは教授みずからが一致して、全教官が一致して暴力追放、秩序回復のためにという意識をまず持つことではないだろうかと思っておったわけでございますが、残念ながら、昨年一年はだめであったと私は思います。しかし、今年になりまして、東大紛争契機として、東大当局が、おそらく東大始まって以来の九十年の歴史におきまして、いわばむしろ積極的な意味において学問の自由を守るために機動隊を出動をされたというこの一事は、昨年と今年と非常に変わってきている。あるいは教育大学においてもそのような措置がとられました。また京都大学におきましても、暗々裏に、もし入学試験を妨害する場合には警察官を要請するということをきめておられるという事実も、われわれは承知いたしているわけでございまして、御指摘のとおり、今日はむしろ大学側のき然たる態度、意識というものが確立すれば、法律をもってして暴力学生を排除することはできるというふうに私は思っているわけでございまして、そういう暴力学生が排除され、学問の自由そうしてそれに伴うところの大学自治というものが一応守られるような状況になるならば、私の持っております指導、助言というものはきわめて——いままでは皆さん方から見ればあるいは国民の皆さん方から見れば、まあ何をやっているのだという、有効適切な機能というものが発揮できなかったと思うわけでございますけれども、これからは次第にこの指導、助言というものがきき目を奏してくるのではなかろうかというふうに思います。 同時に、しかしまた申し上げておきたいことは、従来、過去の十九世紀的な大学の学問の自由あるいはそれに伴うところの大学の自治というものに対する考え方、これが先般も申し上げましたように、学問の自由を憲法が保障しており、それが目的である。しかし、その目的をどうやって遂行するかという手段が大学自治なんであって、大学自治が目的ではない。この辺を、いまの教授たちや世間の人たちも間違えてしまっているのじゃないだろうか。今日はむしろそうじゃなくて、この大学自治というものは、むしろ国家権力から侵されるというよりも、学外学内の暴力学生によってこれがじゅうりんされているという、この認識を持つならば、でございますから、大学自治ということが、今日の国民のための大学のあるべき姿から考え直されなければならない時代にきた。過去の事実から考えれば、まさに大学自治というならばその学部自治、しかも基本的には、その中核となるものは人事権に対しまして国家が関与しないという、そういうたてまえであったかと思うわけでございまするが、それが行き過ぎまして、大学自治が学部自治に堕し、学部の閉鎖主義になり、そうしてまた無能、有能、ほんとうの学者であるか、ないかということすらもわからなくなって、だれでも、無能であってもこれが認められるというかっこうになって、ここが今日の社会に適応しない大学のあり方になってきたのじゃないかというふうに思うわけでございます。私は、あくまでも目的と手段とを間違えてはいけないのであって、この学問の自由こそが憲法で保障されておって、そうしてその手段としての大学自治のあり方というものは、今日の、戦後二十年の今日の段階において考え直す、学生も教官も、そうしてわれわれも、皆が考え直す、こういうことが私は第一義かと考えている次第でございます。
○片山武夫君 関連。ただいまの答弁聞いておりますと、私も学校問題について昨年の臨時国会で御質問申し上げました、そのときのお答えといまのお答えですね、これは学生運動と並行してエスカレートしているような気がしてならないのですが、ということは、あの当時もうすでに学生の運動が非常に暴力化しておったことは御承知のとおり。したがって、あの当時すでにこれはもう静観ではない、傍観ではないかという点を私指摘して、政府の善処方を要望したわけなんですが、あのときの御答弁は、これほどはっきりしていませんでした。最近だいぶエスカレートしてきているようなんですが、そういう立場でちょっとお伺いします。 公安委員長にお伺いしたいんですが、現行法律である程度の取り締まりはできると、したがって、これは法の改正はそれほど必要ないんだというような御意見のようでございますが、まあそれはそれとして、なぜそれじゃあの当時、現行法律内で取り締まりができなかったか。あの当時の答弁としては、これは大学当事者ですね、これが告発をしないからだと、できなかったんだと、こういう答弁であったように私記憶しております。で、私はそのときに、いわゆる学園の自治、これは学園だけの問題なのか社会問題なのかという点を私は追及したわけでありますが、その点については明確なお答えがなかったように私記憶しております。そういう意味で、いまの学生運動は学園だけの問題ではなくして、社会問題にまで発展をしてきている、こういう私は認識のもとに御質問を申し上げたんですが、あの当時すら政府としては手をこまねいて、今日のこのいわゆる学生のエスカレートをもたらしたんだと、私はさように考えておるんですが、その点についての反省があるのかないのか。と同時にまた、学生の自治に対しても、いわゆるその学内自治——最近になって文部大臣もだいぶはっきりしたお答えをされておるようですが、あの当時非常にあいまいであったと私思うんです。そういう点で、いわゆる東大の学長代理のいわゆる確認書をめぐって、私は問題がありますよという点を指摘したんですが、あの当時のお答えとしては、あれは非常に幅の広いものだと、いろいろ解釈できるんだと、検討しておりますと、こういうお答えであったと思うんですが、あの当時、一目見れば問題のあることははっきりわかった。それを今日までずるずると学校側の解明を求めたり、あるいはそういったような状態のもとに長引いてしまう。そして新しい入学試験もできない、こういう状態に来ておるんですよ。これは十分に私は政府としては反省せにゃならぬと思うんですけれども、なぜこのように政府自身考え方が変わってきたか、その辺の事情だけをお伺いしたい。
○国務大臣(坂田道太君) お答えいたしたいと思います。 確かに私は昨年とことしと変わったようにお考えだと思います。と申しまするのは、私といたしましては、いかに大学当局というものが管理能力を失っておりましても、第一次的にはやはり大学というものはこれはその自分の力で守るだけのことを考えるべきであり、われわれもそれを尊重しなければならないという立場でまいったわけでございます。でございますから、率直に申しましてわれわれは十二月の段階で早く要請をしていただく、機動隊を要請して、そして安田講堂を排除しなければ、結局は秩序維持もできないし、また教育正常化もできないんだと思っておりますし、それを指導助言いたしまするけれども、残念ながら東大にしてまだ警察導入のアレルギーというものが解消していないという現実。そしてまた御承知のとおりに、それを無視してですね、法的にはやれるかもしれないけれども、その場合にいかなるような事態になるかと、紛争というものはかえってエスカレートするんじゃないかということを私は判断をいたしました。そうして、今年に及びまして御承知のような要請をいたされまして、ようやく機動隊が入り、そしてまた大学当局もこれに対しまして、いま秩序回復及び授業再開の最大の努力を払っておられる、こういうわけでございまして、私どものとりましたそのやり方というものは、やはり大学を第一義的に尊重をするというたてまえをいまだくずしておらないという意味におきまして、適切であったというふうに考えております。御批判は御批判として承りますけれども、私の気持ちはそうでございます。それからまた確認書の問題については、たびたび申し上げまするように、加藤提案が二日になされ、十二月二十六日に基本的見解を出し、さらに一月二十八日にまた分厚い解釈書さえ出さなければその真意がつかめないというものであるというわけで、幅があった。それが、一月の二十八日の段階で、学生が解釈するならこうだ、それから大学当局が解釈するならばこうだという解釈が、あの批准の交換によりまして大学側のところに狭まったということだけは言えるかと思うのでございます。その変化をひとつよく御了承賜わりたいと考える次第でございます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指名がありましたからお答え申し上げます。 私の守備範囲のことまでいま文部大臣から答えてもらいましたから、蛇足かもしれませんが、私の立場からのことをつけ加えさせていただきます。 御指摘のとおり、昨年の暮れ、国家公安委員長を拝命しまして以来、昨年内には警察は出動いたしませんでした。大学の外郭の外までは行きましたが、入ってくれるなと言われたこともあったようですが、ともかく学内には昨年は入りませんでした。本年正月になりまして、十八、十九の問題を頂点といたしまして、自来、東大もさすがに公務員としての良識をわずかながら取り戻されましたから、協力する機会に恵まれました。その間なぜ出なかったかという御質問がございました。臨時国会でございましたかにお答えしたように思うのですけれども、法律上は、当時も御指摘になりましたように、さっき私も申し上げたとおり、警察は大学であるがゆえに要求がなければ警察権ないしは警察責任を行使することができないというものではないということは、私も万々当時から承知はしておりました。ただ対症療法と申しますか、大河内さんが、安田講堂を不法占拠されて警察官を導入して排除することをやられました。ところが、学内の暴力団化しましたいわゆる三派全学連が中心となり、これと相呼応する教職員もいたと伝えられますが、そういうことのためにつき上げられまして、あれを反省させられた、間違いだったと言われた。加藤代行がそのあとを受けられまして、やはり間違いだったという線でずっと歩いてこられたのであります。確認書が提案されました。提案が出され、確認書が立案せられ、批准したとかいう——新聞用語ですけれども、条約みたような批准ということが言われ、そこで決定したと言われております。そういう過程をずっと考えてみまして、八千名以上の教職員も三派全学連も、警察アレルギー症は日本一にひどかったのであります。民青系も、暴力はふるいませんが、シュプレヒコールには必ず暴力反対、警察導入絶対反対と唱えておりました。したがって、その状況下におきまして、法の命ずるままに、不法行為ありとして一方的に出動しますれば、教職員をはじめ、代々木系、反代々木系、どっちにでもつきそうな状態にあるノンポリの学生諸君も合わせまして、全大学を相手に機動隊が、いわば——戦争というのはおかしゅうございますが、実力でもってわたり合っているという風景しかあらわれない。同時に風景のみならず、何のために警察が出ていったか。不法を排除するために、あるいは犯人を逮捕するために、あるいは証拠を収集するために、不法事犯を予防し、制圧し、犯人逮捕というのが法律が命ずる警察の国民に対する責任でございますけれども、全学あげて反対に回った状態のもとにおきましては、何のために入ったかわからない。効果がない。国民に対する責任を果たす意味における効果が期待できない。したがって、おのずから時期を見、要すれば大学側からの要請を待って出動したほうが国民に対する責任という意味合いにおいては適切であろうということで、慎重にかまえておったのであります。前回御指摘のように、御説明申し上げた、お答え申し上げましたときとある程度のニュアンスの違いがあったことは、私も自覚いたしております。私のへんてこな設例を当時も申し上げたようにも思いますが、いかなる名薬といえどもアレルギー症のものに注射すればとん死するおそれがある、全学的な騒ぎにエスカレートするという意味においてとん死するおそれがある。そのことは慎むべきだと、かような考えでまいっておった次第であります。
○向井長年君 文部大臣ね、したがって意思決定ができない、あるいはまた執行体制の不能、こういう中から早急に何らかの措置をとらなきゃならぬと、こういうことだと思うんですよ。そうしますと、総理が先ほど言われたように、あるいは中教審の答申を待って対策を講じたいと、こういうことと、一部においては治安立法的な形を早急にとりたいという研究もなされておると、こういうような状況下にあって、まず文部省としては、中教審の報告はいつごろ出るんですか、あるいはまたそれに対してどういう期待をしてるんですか、またそれに対して、出るまで何ら政府は手をつかねてやらぬのですか。その点どうです。
○国務大臣(坂田道太君) 御承知のように、中教審第二十四特別委員会においては、すでに学生の地位についての答申草案を得たわけでございます。これを世に問い、また各大学等におきまして一つの基準としてお考えをいただきたいということも申し伝えることになっておるわけでございますが、きのうからお説のいわゆる管理、運営の問題、執行体制の強化と申しますか、そういうような項目について審議をいたすことになっております。また同時に、紛争処理の問題につきましてもあわせて審議をいたすことになって、できれば四月の中旬ごろに三つが本答申となってあらわれてまいると。その節、われわれとしては、行政的にやれるものはやる、あるいはまたどうしても法制上必要なことがあるならばその時点で考えたいと、こういうことでございます。
○片山武夫君 関連。
○委員長(塩見俊二君) 片山君、簡単に。
○片山武夫君 先ほど公安委員長の答弁の中に、学校当局から告発がなかったから法律の適用ができなかったと、こういう答弁がありましたし、またその責任は公務員として学校のいわゆる理事者にもあるんだという点が言われておりました。ここまで大学紛争をして、そしてけが人あるいはその他のいろいろな問題が起きている、その責任をあなたの口から言うならば大学当局が負うべきだと、こういうふうに聞こえるんですが、もし大学に責任があるんだったら、大学当事者のいわゆる処分を法律によってなぜ早く処分をしなかったか、私は今日まで延々として処分をしなかったところに問題があるというふうに御指摘をしているわけなんです。その点について答弁願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 御指摘のような事案に関してだれが責任を負うかと、もちろん警察も法の命ずるところに従って直ちに出なかった点については、少なくとも概念的には怠慢のそしりは免れなかったろうと思います。ただ先刻るる申し上げましたような妥当な判断をすることもまた、警察権を行使し警察責任を果たす上に必要なりということも考えねばならぬということで、国民からお許しをいただけるんじゃなかろうかというふうに自問自答しておるところであります。ときに暴力をふるいました学生が責任者であることは当然であります。同時に八千数百名の国家公務員が先刻指摘しましたような刑事訟訴法の命ずる公務員の義務を行なわなかったと、果たさなかったという意味においては、少なくとも抽象的には責任者であると思います。ただ罰則がございませんから、これをどうするということは治安当局としてはできません。大学本来の学則ないしは教育関係法規に照らしましていかなる行政官としての責任を負うかは刑事事犯とは別個であろうかと存じております。
○向井長年君 文部大臣にお聞きしますが、先ほど質問した中において二つ考えられると思います。もちろん中教審の答申を待つことけっこうですが、一つには先ほどから言っております大学の責任体制の確立、このためのやはり恒久立法がまず必要ではないか、もう一つは、将来いわゆる大学の抜本改革という問題が必要だと思いますよ。したがって中教審はいろいろ検討されると思いますけれども、そういう中で学生の地位という問題も出てくると思います。いまこれに対して文部大臣は一つの構想を持っていると思うのですよ。これはどうですか。
○国務大臣(坂田道太君) ただいま第二十四特別委員会で審議をいたしておりますのは、当面の大学問題したがいましてそれがおそらく四月の中旬に終わりますと、その次の段階でそれを含めたまた大きい新しい国民のための大学というものはどうあるべきかということを中心といたしまして、そうして検討するということになろうかと思います。
○向井長年君 いま国民は非常に不安な気持ちでこの問題を見つめておると思うのですよ。したがって、まず大学の管理という問題は先に立ててやはりやらなければならぬ。将来の大学がいかにあるべきかという問題は、これは時間をかけていままでのようなエリート大学を大衆大学にするとか、あるいはまた大学の今後の運営の問題、特に国立をこれをやめて、全部国立、私立、公立を一本化して、これを国庫補助でやるとかいろいろな問題があると思う。したがって、そういう問題といまの大学の責任体制と一緒にがっちりやるとすればいつになるかわかりませんよ、当面する問題はどうするかということです。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどからお答えいたしておりますように、第二十四特別委員会でいまおっしゃいましたその管理、運営の問題を四月中旬に答申することになるわけであります。それを踏まえまして私たちはそのときに考えたいというわけでございます。しかも三十八年の答申の場合におきましても、新制大学というものをやはり大学院を中心としたような大学、あるいはまた一般の高等教育、職業教育を中心とした大学、あるいは教員養成の大学、そういうような種類分けをしなければならぬという答申が実は出ているわけであります。 もう一つは先生御指摘のとおり、管理体制というものがリーダー・シップをとれないようになっている。しかも総理からもたびたびお答えがございますように、教授というものは確かに教育研究には経験もありますし、知識もありますけれども、管理、運営の面については非常に未熟な点が多い。いままで研究室におった人がとたんに学長になって管理、運営に当たらなければならないという点があるので、たとえばアメリカのごときは、管理、運営の副学長、それから教学のほうの副学長、それから学生の指導あるいはいろいろな苦情を聞き入れる副学長という三本建てでやっておるわけであります。そういうような点についてあるいは評議会と教授会との権限をどの程度に考えるかということは、実は三十八年の答申ですでに出ているわけであります。でございますから、二十四特別委員会の管理、運営の特別委員会でもかなりはっきりした点が指摘され、出てくるものと私は期待いたしておる次第でございます。
○向井長年君 総理にこの問題について最後にお伺いしますが、いま言われましたように中教審から答申もありましょうが、恒久的な今後の大学の改革の問題あるいは当面する問題あわせてこれは少なくとも国民の期待にこたえて超党派的にこの問題を十分取り上げなければならぬと思います。したがって、ただ自民党がどうであるとか政府がどうであるとか、こういう問題ではないと思うのですが、この点について総理は各党と十分これは検討し合って一つの国民の期待にこたえる、こういう立場をとらなきゃならないと思いますが、総理の見解をお聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは超党派的な立場で日本の学校制度、大学制度、そういうことには賛成であります。ところで先ほど来議論しておられるように、ただいま何といっても一日も早く正常化する、これが今日の国民大多数の大関心事だと思います。学校制度がどうなろうと、それよりもいまとにかく騒いでおるこの騒ぎをひとつおさめてくれないか、暴動化しつつある学生をどういうようにしてくれるとか、管理能力を失った大学に管理能力を与える、これがいまの問題だと思います。そういう意味で私は長期的な展望に立つこともけっこうですが、早急にただいまの問題についてのメスを入れなければならない。それについてはできるだけ各党の協力を得たいと思います。しかしこういう問題についてそれぞれが大学を政治的な拠点にしておる政党もあるやに聞きますので、そういうところとはなかなか話が一致しないだろう。しかしながら、大学はどこまでも学問をするところ、研究するところ、こういうところで話し合えば、必ずいまの状況から脱して管理能力を与えることができる、そういうことをまず考えるべきだと、かように私は思う次第でございます。そういう意味でもうすでに私のほうの幹事長は各党にも呼びかけておる、かように私は理解しておりますが、そういう意味で、ただその話がまとまらないからといっていつまでもほうっておくわけにはいかない。これはたいへん急を要する問題であります、かように思います。いまの中教審にいたしましても、四月の半ば、これはたいへんおそいように思いますので、もっとできるだけ早くひとつ切り上げて結論を出してもらう。そうして本来の制度、それはまだゆるゆるでもよろしい、かように思います。全然別個のものにして、そうして今日の騒ぎのおさめ方いかんが必ず将来に尾を引くのだと、かように私考えますので、今日の、法を無視しておる、法秩序が乱れておる、この姿を直す、これが一番何よりも大事なことだ、かように私は思っております。御協力をお願いしたいと思います。
○向井長年君 その問題につきましては今後の問題に譲りたいと思いますが、引き続いて大蔵大臣に特に税金問題でお聞きしたいと思うのです。 まず、国民が非常に関心を持っている税制について所得税、これにつきましては従来自然増収の二〇%を減税にする一つの方向が出ておるわけです。ところが今回はそれをやっていない。あるいは税制調査会においてもこういう一つの方向で勧告もしたことがあると思うのです。ところで本年度はこれは約一〇%程度じゃありませんか。この問題についてどういうわけですか、なぜそういうことをやらなかったか。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和三十九年でありましたか、税制調査会が今後自然増収が出たならば二〇%程度の減税を行なったらどうか、こういう答申をいたしております。そこで二〇%という線が出てきたのでございますが、しかし、その後財政事情が根本的に変わってきておるのは御承知のとおりであります。四十一年度から本格的に公債財政を採用いたしておるわけであります。さようなことで公債を多額に発行しておる現在において、その自然増収二〇%を減税に充てるべし、こういう考え方は根本的に改めなきゃならぬ、こういう状況です。自然増収がありますればどうしても、これは公債の減額にまずということを考えなければいかぬ。しかし多額の自然増収がある、また物価の上昇ということもある、そういうようなことを考えますと、税のほうをほうっておくわけにいかぬ、こういうことで四十四年度は歳出に充てました残りの三千億円をちょうど半分半分に割りまして減税、減債、両方に振り分けたわけであります。
○向井長年君 そうすると、今後も公債発行に回すということで税制調査会の勧告等は無視してやっぱり公債発行でやっていこう、こういうことですか、大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 三十九年の税制調査会はさような二〇%答申をしております。しかし昨年同じ税制調査会は夏におきましては長期税制のあり方という答申をいたしております。それから暮れになりましてその長期税制の中でさしあたり昭和四十四年度に執行すべき税制についての答申をいたしております。政府は四十四年度は、この暮れに行なわれました四十四年度税制でいかなる税制改正を行なうべきかという税制調査会の答申を大体そのまま実行しておる、こういうことになっております。
○向井長年君 大体二千四百億になるわけですね、二〇%になりますと。それを実現すれば基礎控除額が百万円程度になるわけです。いま各党では百三十万とかいろいろありますけれども、まあ百万円というのは現状の中で当然すべきであるというこの考え方から二〇%減税基礎の取り方、これは大蔵大臣今期考えてもいいのじゃないですか。したがって今後こういう問題が予算委員会で修正として出てくると思います。そういう場合においては政府も忌憚なく受け入れてこの実現をはかっていく、こういう形を大蔵大臣ひとつ考えてもらいたいし、総理もひとつ踏み切っていただきたい、どうですか総理。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ減税ということは大蔵大臣とすれば実際はやりたいです。これはやりたいですが、しかし今日この時点において私が最も考えておる、関心を持っておる点は何かというと、今日の経済成長体制をくずしては相ならぬということなんです。いま経済体制の主軸をなしているものは何かというと公債をかかえた財政である。財政政策の運用を一歩誤りますと、これは国の経済の前途に大きな影響を持つわけであります。まあ財政の中では公債だ、公債はどうしても景気のいいときにはこれを減らすという考え方、また不況があったらそれだけよけい出さなければならぬ、その天井を高くしておくということ、そういうことを考えなければいかぬ。ことにいま景気見通しが非常に困難であります。その困難な情勢に立ち向かって財政が大きな働きをしなければならぬ、そういうときにまずここで公債を減らしていくということを考えなければならぬ、そういうふうに考えておるのであります。したがいまして、租税減税やりたいです。やりたいですが、減債と半々といたした、こういうことなんであります。
○向井長年君 国民からよけい税金を取り過ぎたのだから。そうでしょう。自然増収というやつは取り過ぎですよ。したがってそれは還元するということです。そういう意味から二〇%程度は税制調査会でも適当である、こういうことを出しているのですから、これは政府としても借金は借金であるけれども、これはこの際考えていくという形が非常にいま大きく国民が期待しておると思うのですよ。したがってその問題についてはひとつ一考願いたい、総理もひとつこれに対しては即断していただきたい、こういう考え方を持っておりますが、総理いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいわゆる百万円減税というものを公約しております。これは四十五年までにということで、それが繰り上げられればそれにこしたことはございません。しかしいま大蔵大臣の説明しておりますように、ただいまは借金をしておる時代である。これはもう国民の借金でございます。公債はだれの借金であるか。国の借金、これは国民の借金である、そういう意味でこの借金を減らすという政策これはやはり減税と同じような意義を持つものである。やはり長期にわたっては国民の負担が軽くなる、こういうことで好ましい方法であると思う。私はその選択が間違いのない、ただいま言われたように全部減税じゃなしに、今回のようにいわゆる公債を減らすことを減税とあわせてやったことはけっこうな政策である、かように思っております。
○向井長年君 重ねて大蔵大臣、未成年者のこの勤労者の控除という問題は新しく考えられませんか。考えていいじゃないですか。これは地方税の中では考えていますね。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ未成年者だからといいましても、所得がある、その所得のある者に対して免税をする、これは直ちには賛成はいたしかねるのですがね。まあ税制でありますから、未成年者だけの立場からこれを論ずるわけにはまいりません。他の、たとえば学生の問題とか、いろいろな問題があります。そういう問題について制度上変わってくるというようなことがありますると、またあらためて検討をする必要があるかと思いますが、未成年者、それだけの事情でこれを免税にする、これはいかがなものであろうかと考えております。
○向井長年君 地方税の中では考えておられますよ。どうですか。
○政府委員(松島五郎君) 地方税では、住民税につきまして、障害者、寡婦、老令者、未成年者につきまして、所得額が一定限度以下の者は、いわゆる免税点と申しますか、非課税にいたしております。現在は二十八万円までの所得の者でございますが、今回の改正案では三十万円までといたしております。
○向井長年君 控除しておるでしょう。それについて、所得税ではしない、どういうことですか、根拠は。あちらはしてるという。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げたような考え方でございますが、地方税との権衡については、なおよく検討してみます。
○向井長年君 続いて、住民税でございますが、地方税です。これに対しまして、これは自治大臣も関係ございますが、大蔵大臣と二人にお聞きしたいと思いますが、課税最低限が六十二万円になっているのですね、そして所得税は九十一万、こういう格差が出ておりますが、この根拠はどこですか、根拠は。
○国務大臣(福田赳夫君) 所得税と地方税である住民税とはこれは性格が根本的に違うわけであります。つまり所得税は高度の累進型の税制でありまして、この所得を国民全体として再配分をするという大きな使命を持っておるわけであります。地方税はこれに反しまして、その地域の地域社会の運営費であるという性格がまず出てくるわけであります。そういうようなことを考えますと、地方税である住民税は、まあ広く多数の人がその地方の社会建設に協力をするという体制が好ましい、こういうふうに考えるわけであります。さようなことを考えますと、免税点が所得税、また、住民税におきまして違ってくるというのも、これはまあ当然のことじゃないか、かように考えております。
○国務大臣(野田武夫君) 所得税と住民税については、いま大蔵大臣から明瞭にお答えいたしました。これは第三次と申しますか、税制調査会の答申の内容も、区別して考えてよろしいと、こういうことでございましたから、いま申しましたとおり、広く地域住民が自分たちの負担のできるだけ出し合って地域づくりをしたいというのが住民税でございます。税制調査会の意向に沿いましてそういう措置をとっております。
○向井長年君 その課税の基本原則というものは、生計費にはかけないということが守られなければならぬ、こういうことが原則でございまして、そういう中から、税制調査会も、繰り返し、最低生計費はこれをかけないでおけ、こういう形でしょう。それなのに、こういうことはどうですか。
○国務大臣(野田武夫君) できるだけやはり住民税も免税点を引き上げたい、これは私も希望いたしております。従来から自治省でもそういう心組みでやっておりますが、向井さんも御存じのとおり、地方財政はまだまだなかなか容易じゃないのでございますから、やはり地方財政とからみ合わせて考えることが一つと、それから、やはり自治大臣といたしましても、住民税の減税もさることながら、ほかのほうの減税もひとつこの際やりたいと、こういうことでございますから、住民税だけ思い切った負担の軽減はできなかったのですが、将来においては、当然これはいまのお話の理由によって、できるだけひとつ軽減していきたいと、こう考えております。
○向井長年君 これは大蔵大臣、そういう地方の実情と言われるけれども、昭和三十六年は一緒だったんですよ、控除額が。これがどんどん所得税だけ控除額が高くなって、住民税は六十一万で終わらされている、こういう現状ですよ。これは私だけが言うのじゃないですよ。これはあなたの部下である、税制の基本問題ということで、林大造という大蔵省の審議官でありますが、この人も明確にこういうことを言っているわけです。最低課税の限度については所得税と住民税を区別をして考える、こういう形で正当化する理由は今日何もない、こういうことを言っているんですよ。
○説明員(細見卓君) 申し上げます。 事務的なことですから申し上げますと、当時は所得税額の一定額が住民税ということになっておりましたので、したがいまして、控除その他が同じであったというわけでございます。
○向井長年君 何を言っているのかわからない。
○説明員(細見卓君) 当時は住民税の課税方式にいろいろございまして、住民税独自で控除を設けて税額を計算する方法と、それから、国に納めます所得税の一定割合、二八%であったと思いますが、これを住民税とする方法があったわけでございますから、したがいまして、控除その他は同じにならざるを得なかった、こういうことございます。
○向井長年君 ここに言っていることは、そういうことを言っていないんですよ、つまりこういう形で正当化する理由はないと言っているんですよ。これは間違いですか、こういうことを言っていることは。
○説明員(細見卓君) 所得税の控除、あるいは住民税の控除をどのように考えるかにつきましては、いろいろの考え方がございますので、最初に述べておりますのも、私どものように税金をやっている者の一人の考えだと思いますが、いま大臣がお答え申し上げましたのは、むしろ現在主税局がとっておりますオーソドックスな体系でございます。
○向井長年君 そうすると、住民税に対して最低生計費をみるということは正しいのですか。
○政府委員(松島五郎君) 住民税をどの所得階層から負担していただくかという問題でございますが、生計費と申し上げましても、なかなか絶対的なものではないわけでございまして、そういう意味では、今日の段階では、やはり全体的な所得の上昇というようなものも考慮しながら、かつは、先ほど御指摘のありました国税における所得税の課税最低限を引き上げるというような問題も考えながら、昨年来課税最低限の引き上げをはかってきておるわけであります。昨年は夫婦子三人で約十万円、本年度もほぼ同額の引き上げをいたしておるわけでございます。こういうような措置を講じながら、逐次負担の軽減をはかっていきたいという考え方で進んでまいったわけであります。
○向井長年君 均等割りというものがございますね、住民税には。均等割りということは、いわゆる生計費を加味しておるものですか。そうすれば、別に所得税の割合で住民税をかけるということは二重になるのじゃないですか。この点いかがですか、自治大臣。
○政府委員(松島五郎君) 御指摘の均等割りは、いわば住民税というのは、地域社会の費用を広く住民全体に負担していただく、こういう趣旨で設けられているものでございますが、現在人口段階によって区別がございますが、県民税の均等割りを含めまして、人口五万以下の市町村では年額三百円、五万から五十万の市町村では年額五百円、五十万以上の市町村では年額七百円という額でございまして、この額は、県民税を合わせましたもののこの額は昭和二十六年以来据え置きになっているわけでございます。均等割りをもっと上げて、所得割りのほうは所得税を納める方だけにすべきであるという議論もございます。あるいは均等割りというような制度はむしろこの際やめるべきであるという御議論もございます。その辺いろいろ議論もございますけれども、やはり住民税は、広く薄くでも、地域社会の費用を一般の方に負担をしていただくという趣旨で設けられておりますので、これが納まっておるからということで所得割りは要らないということには必ずしもならないのではないかというふうに考えております。
○向井長年君 自治大臣にお伺いしますが、ことしは地方財源が若干豊かであるというところから、とにかく中央に吸い上げられているのですね。こういう住民税の基礎控除を一つも上げないで、そして財源を中央に引きあげられておる、これで自治大臣、黙っていていいんですか。少なくとも、地方財源確保という問題もありましょうが、当然いま言う住民税の控除額の引き上げという問題になぜそれを踏み切らなかったのですか。
○国務大臣(野田武夫君) ただいまのお尋ねは、六百九十億の大蔵省に対する特別措置の問題だと思っております。これは何べんも各委員会で御説明申しましたとおり、今回の措置は、四十三年度の自然増収の額を見込みまして、その限度内でそれを特別措置をする。そのままでございますと、その自然増収は四十五年度でなければ使えない。その意味において四十四年度の地方財政には影響はないと、こういう見通しを立てまして特別措置をしたわけでございまして、必ずしも四十四年度の財政計画に支障があるにかかわらず、無理してこの特別な措置をとったというわけではございません。
○国務大臣(福田赳夫君) これは地方財政から中央財政のほうで取りっぱなしじゃないのです。この六百九十億という額は、四十五年度または四十五年度以降において地方財政へ交付される額がそれだけ増額される、こういう性格のものであります。中央と地方との関係でございますが、これは中央があって地方が無視される、地方があって中央が無視される、そういうことでなくて、私は、車の両輪となって国民をささえていく、こういう性格のものだと思いますが、これは地方が苦しいときには中央が上に立って援助していっておるわけです。四十年なんかは多額の援助をいたしたわけであります。四十四年度の中央、地方の財政状況を見ますと、とにかく地方の財源の大宗は、何といっても地方税です。次いで地方交付税交付金なんです。前者が四割、後者が全体の二割ぐらいです。その地方税が四十三年度に比べておよそ二〇%もふえるという状態である。それから、交付税交付金が、ほっておきますると三一%ふえるのです。これは非常に激増なんであります。そういうようなことを考えますと、地方財政全体としての規模のバランス、そういうこと、また、中央財政のほうが九千億円、つまり一兆二千億円の自然増収がありますが、九千億円を歳出の増加に充てたわけであります。その中で三千百億円という額を地方へ回す、これは非常に他の経費を圧迫するわけです。そういうようなことで、中央、地方ともバランスをとらなければならぬ。また、地方財政のただいま申し上げました年度間ンのバランスもとったほうがよろしい、こういうふうに考えまして。六百九十億円の調整ということをいたしたわけであります。その調整をいたしましても、なおまた減税を地方でもいたしましても、地方の財政は一八・五%増額できる、こういう状態に相なりましたので、私はこの考え方でよかったと思います。また地方が非常に困窮をするということがあまりすれば、中央は全力をあげてこれを援助をする、これでいいのじゃないか、かように思っております。
○向井長年君 次いで、地方税の問題で、もう一つ電気税というのがありますね。これはいま総理笑っておりますが、総理どうするのですか。鳴りもの入りで軽減した軽減したと言われておるのですが、どれだけ軽減をされたのですか。
○国務大臣(野田武夫君) 電気ガス税は決して鳴りもの入りで軽減したと宣伝しておりませんが、これはぜひひとつ軽減したい。特に予算編成、それから、いま御審議願っておりますのは、これはわずかに一億か一億数千万円でございますが、四十五年度にはひとつ電気ガス税については違った見方で手を入れようというので、さっそく検討にかかっております。
○向井長年君 これは減税じゃないのですよ。増税になっているのですね。
○国務大臣(野田武夫君) 大体三億ですから、電気ガス税というのは。
○向井長年君 電気だけで三億ですよね。ガスは約六億ですよね。そうでしょう。そこで、これ増税になっておるのですからね、どう考えましても。免税点というかっこうで四百円を五百円にしましたけれども、ガスの場合は八百円を千円にしましたけれども、これはどれくらいこの恩恵をこうむる人たちがあるのですか。この減税に対して恩恵をこうむる人たちはどれだけですか。
○政府委員(松島五郎君) お答えをいたします。 電気の免税点引き上げによりまして、需用家数でございますが、二千六百十八万三千世帯のうち、三百四十万九千世帯と見込んであります。その割合は一三%でございます。
○向井長年君 一三%——一二・五%だと思います、私の計算では。したがって、一般はこれは増税になっています、御承知のごとく。これは大体増税分が約四十六億六千一百万、こうなっているのですね。こういう増税をしておきながら、減税だと政府は言っておるのでしょう。これは私はもう何回も言っておる問題ですが、佐藤総理が通産大臣当時、池田内閣当時に、これはもう悪税だ、一日も早く撤廃しろとここで言ったはずですよ、ここでね。それが佐藤総理になってから全然本来の減税をされていない。これはどういうことですか。佐藤総理どういうことなんですか。
○国務大臣(野田武夫君) お答えいたしますが、先ほどちょっと私なにしましたが、電気ガス税は大体十億近く四十四年度は減税になっております。そこで、増税とおっしゃるのは、消費の対象がふえてきたから、それで、人口の関係、消費量と、そういうもので税収そのものはふえてきたのは事実でございますが、減税でなくて増税だというのは、まあことばの表現でしょうからわかりますが、減税は、少なくとも一応十億近く減税いたすことには今度四十四年度の税制改革で皆さんに御審議を願っております。そこで、先ほど申しましたとおり、いま税務局長も申しましたとおり、これは税収の対象がふえたり、また、消費量の関係がありますから、収入としてはふえておりますから、したがって、四十五年度におきましては、相当本格的に取り組んで電気ガス税についての減税案をつくらなければならぬと、こういう考え方を持っております。
○向井長年君 これは三年据え置かれたんですよね。当初、これは悪税である、したがって一日も早く撤廃しようと。しかし、いま直ちにできないから、池田総理当時には、これは必要悪だから徐々に撤廃しましょうということで一%ずつやってきたんですよ。現在は七%でしょう。佐藤総理になってからこれは軽減していない。したがって、消費量がふえてくれば当然ふえるのじゃないですか、七%の割合で。こういう問題について、これは佐藤総理からひとつ答えてもらいたい。そのお気持ちはどうなんですか。通産大臣当時から、こんな悪税は一日も早く撤廃してもらいたいとあなたは言ったんですよ。そうして、あなたになってから一つも撤廃しない。だから、この間の本会議で片山委員が悪税の親玉みたいに見えると言ったのは、そこにあるんですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 悪税の親玉のように見えるという意味が、いまようやくわかりました、どういうことで言われているか。だんだん減税をやっているんだが、電気ガス税は下げないからそうなった、こういうことのようであります。この電気ガス税が悪税であることについては、私は、いまも同じ考え方を持っております。同時に、電気あるいはガス料金、これはまあ据え置いてはおりますが、上げたということはございませんけれども、この料金自身もあるいはもっとくふうができるものじゃないだろうか、これは同時に十分検討を要する問題だろうと、私はかように思います。最近の電気、ガス、そういうものは、一部生産費がさがっている向きもあると、かように思っております。ただ、税金の問題と電気あるいはガスの値段の問題と一緒になっておりますから、どちらかというと、支払うほうからいえば、これはどちらを下げてくれてもいい。税金を下げてくれても、また電気料あるいはガス代自身が安くなっても、それは同じことだと思っております。 それで、これが悪税だということにはだれも異存はないと思いますが、ただ、これがいま地方税、市町村税等のうちで最も普遍的な税であって、また、それが取りいい財源だと、そういうところに、ただいまくふうがないかという、そこらで、七%を下げるとして、全然ゼロにはなかなかならないだろう、どの辺まで下げ得るか、その辺のところの問題もあるだろう、かように私は思います。 今回、この免税点を変えたということ、私自身もこれでいいとは思っておりません。こういうことはなおもっと検討を要する問題だと、かように私自身その免税点の場合にそういう発言を実はしたのでありますけれども、総体の税率そのものから見ましてやっぱり据え置かざるを得なかったということはたいへん残念なことです。これが悪税であることには変わりはございませんから、将来どういうようにするか、さらに検討したいと思います。
○向井長年君 総理、そんな答弁はちょっと納得できないんです。これはただ需要家が払う、いわゆる国民が払うという問題でなくて、生活の必需品じゃないか、生活の必需品に税金をかけることは性格上おかしいじゃないか、この問題から悪税だということが出たと思うんですよ。したがって、生活の必需品に税金をかけておきながら、いわゆる完全な免税をしているんですね。言うならば、大きな何百キロ使っているとかあるいは何十万キロ使っているという大企業に対しましては、免税をしておるんですよ。全然性質が変わってくるわけです。それで、一般の需用家が七%かかっている。これは、ただ払うのがどうかというだけの問題じゃなくて、生活必需品にかけているという問題ですね、これは従来から提起してきているんですよ。したがって、七%まで減税したことは、過去においては自然増収が五十億程度ある、したがってこれだけはひとつ減税していこうということで一%ずつきたわけですよ。そこでとまってしまったのはどういうわけか。
○国務大臣(野田武夫君) お話しのとおり、当時の情勢によりますると、毎年税額を減していくのが一番よかったということは、これはよくわかります。ただ、その当時、地方財政の内容につきまして、いま総理からお答えいたしましたとおり、取りやすいという、非常に有力な財源にいままでなっておったんです。そこで、ざっくばらんに申しますと、ずいぶんこれは問題になりまして、今度の予算編成にあたりましても、総理から特に電気ガス税についての御注意を受けております。そこで、これは言いわけのようでありますが、私就任しましたのは十二月の初めでございます関係で、いろいろ財政計画を見ますと、どうも四十四年度で思い切ってやれという総理の意向もありますけれども、これは多少計画に無理が起こってくるということを私自身感じまして、とりあえず免税点をわずかでも引き上げておいて、そうして四十五年度においては、ひとり免税点だけに手をつけないで、やはりこれは税額に手をつけなければいかぬ。申し上げておきますが、これを税金を全部いわゆる免税する、税金を一銭も取らないということまではなかなか四十五年のときもいけない。正直に申し上げておきます。これはやはり地方財政の関係がございますから。しかし、いずれにいたしましても、電気ガス税というものは、総理がいまお答えいたしましたとおり、税種としては十分適切な方法をとらなければならない税種だ。したがって、四十五年度においては、四十四年度のような免税点を引き上げるということよりもっと積極的に税額に手をつけたらよろしい、こういう考え方でいま立案を命じております。検討しております段階でありますから、決して向井さんのお尋ねが無理だということは毛頭考えませんが、いままでの財政計画のやり方、地方財政のあり方によってこの二、三年税額に手をつけなかったということは、これはやむを得ないという、弁解になりますが、そういう事情でございますので、この点よく御了承願いたいと思っております。
○向井長年君 佐藤内閣は、性格論よりも、取りやすいやつを取るんだ、こういうものの考え方ですか。これは大きな間違いだと思う。 通産大臣にお聞きしますが、いま大口需用家で、大口の電力を使っているところで、非課税のところはどれだけありますか。そうして、その単価は幾らですか。電灯は幾らですか、一般の。
○国務大臣(大平正芳君) いま手元に資料を持っておりませんから、政府委員から答弁させます。
○政府委員(松島五郎君) 現在産業用のいわゆる非課税になっております額が三百七億円程度と見込んでおります。
○向井長年君 そんなことを聞いていない、時間がないから私は言わないけれどもね。ここで言いますよ。すわって言いますよ、時間がないから。そういうことを言っておるのじゃないんですよ。非課税になっておる大口の動力を使っている電灯代は幾らかと言っているんです。わからなければ、私から言いましょう。キロワット当たり三円二十銭程度、いいですか、それから一般小口動力というのが七円十五銭程度、それから電灯が約十二円、これは平均でですよ、全国の。こういう分布状態の中で、一番安い三円二十銭には税金はかかってない。そして、電灯の一番高いところの十二円のところに七%かけている。
○委員長(塩見俊二君) 御意見ですから、御起立願います。
○向井長年君 一般動力においては七円、これにかけておる。こういう問題の資料をくれと言っているんですよ。わからなければ私から言いますよ、時間がないから。違うですか。——よろしい。じゃ、いま私が言いましたように、こういうようにして非課税になっておるところは、非常に低額、いわゆる安いところを非課税にして、一番高い生活の必需品である一般に対しましてはしかも七%かけている。年々これが伸びていく。使用料が伸びるならば、それに七%かかっていくという不合理があるわけですよ。したがって、地方財源に取り入れるという問題よりも、この性格がいかぬ。(「電気会社が悪い」と呼ぶ者あり)電気会社は悪くないですよ。これは、政府のそういう形においてかけておるところに間違いがあるわけです。そうでしょう。これを佐藤総理は一日も早く撤廃しょうということで今日になっておるので、いつ撤廃するのだ。実は、この間、国民の約二百万の撤廃の署名運動をわれわれ展開いたしまして、いま院内に持ってきておる。これは一つの一部ですけれども、これは官房長官も自治大臣も知っておるはずですよね。そういうようにして国民の強い要望があるにもかかわらず、これがそのまま据え置かれたということについては、われわれは納得できない。いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 電気ガス税の税率ばかりの問題ではなしに、不公平はそういう課税の実際のあり方等にも問題があるのだと、こういう御指摘でございました。ただいまそれらの点について私ども直ちにお答えのできるような十分の資料を持っていなかった。これまたたいへん残念に申しわけなく思います。ただいまのような点をも含めてひとつ検討することにしたいと思います。
○向井長年君 企画庁長官にちょっとお聞きしますが、仄聞すると、あなたは、いまも若干ちょっと他の大臣も触れられましたが、税金を安くしないかわり電灯料金を下げる方向をやりたいんだというものの考え方を持っておるそうだけれども、どういう根拠からそういうことが言えるのですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) お答えいたします。 私は、そういうことを言うた覚えもないし、初めていまあなたから聞いたわけです。
○向井長年君 そういう考えはありませんね。
○国務大臣(菅野和太郎君) 私自身はありません。いま総理から言われたそうですが、いま私自身はそのことを言うた覚えはありません。
○向井長年君 総理大臣、どういうことですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、税金も税金だが、料金自身が生産コストがだいぶ下がってきております。そういう点もやっぱり考えるべきじゃないかと、こういうことをいまだに考えております。
○向井長年君 なぜ税金とこれとをくっつけなければいかぬですか。いま性格論からこの問題を言っているのに、それとなぜくっつけてそういうことを言われるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 支払うほうは一緒でございます。したがいまして、国民から見ると、どうも電気料は高いと。これが、いままでは、税だけが問題になっておって、税が安くなっても、やっぱり電気、ガスは安くならない、こういうようにみんな国民はとっておる。払うのは同一人です。そういう意味で、どちらが安くなってもけっこうだと、私はかように思っております。
○向井長年君 じゃ、総理にお伺いしますが、電気代が高いという根拠は何ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま火力電気が中心でございますから、そういう点から見まして、私は、昔のような生産費ではないと、かように思っております。
○向井長年君 これは通産大臣にお聞きしますが、電気料金の算定基礎は、少なくとも原価主義をとっておるんですよ。原価はいま上がっておるんじゃないですか、どんどんと。それに対して高いという形の出てくるところは、どういうところから出てくるか。私は科学的に説明してもらいたい。
○国務大臣(大平正芳君) いま総理が言われたのは火力発電原価、これは確かに燃料費が下がり、熱効率が上がってまいりました関係で、確かに下がってきております。しかしながら、大容量の発電機による熱効率の低減の度合いもだんだん鈍化しつつございまして、いまの段階で燃料費の低減に伴って火力の発電原価が大幅に将来低減するであろうということをむやみに楽観するわけにいかんと思いますけれども、火力発電自体の原価は確かに趨勢的に下がってきております。しかしながら、御指摘のように、ほかの要素、すなわち水力発電原価、これは上がってきております。それから他社からの買電原価、これも上がっておりまするし、とりわけ最近過密地帯の送配電原価が上がってきておりまするので、なかなか電気料金の値下げ、これはわれわれの希望するところでございますけれども、容易ならぬ課題であろうと考えております。
○片山武夫君 関連。ただいまの総理の御答弁ですが、これは、ものを買えば、私自身自分のふところから電気料や定期代も出る。大根の値段も出る。汽車賃も出る。これは一つふところだと思います。したがって、そういう問題と税金の問題とは別だと私は思うんですよ。いまいろいろお尋ねしておるのは、電気税の問題についていろいろお尋ねしておる。物価の問題あるいは料金の問題についてお尋ねをしておるのではないんだと思うのですが、これをあまり混同されてしまうと、全部物価の問題に響いてまいりますから、これはちょっと総理の御答弁は飛躍し過ぎておるのではないかと私は思うのですが、いま総理が指摘されたように電気料金も税金も同じ領収書で取られているからこそ問題にしておるんです。これは別個に取るんならば、料金は料金として考慮し、税金は税金として消費者は全部考えていくわけです。これは一緒に取られているから、総理のような御答弁も出てくるし、一般の消費者もそういうふうな感じを持ってきて混同してしまうわけでありますが、質問の趣旨は電気税の問題について質問をしておりますから、ひとつ混同をしないように御答弁を願いたい。
○向井長年君 私は、質問者として、混同もけしからんけれども、それよりもあなたたち十分な資料を持ってそういうことを言っているのかね。ただ概念的にそういうことを言われているのかわからない。少なくともわれわれは、電気料金なんか最も物価の中で私は安いと思う、これははっきり言って。火力にいたしましても、水力にいたしましても、原子力にいたしましても、いまどれだけのコストが建設のために上がっているか、これはただ火力の建設だけじゃないのです。送電線から配電線、すべてこれに対する単価はどんどん上がっているんじゃないですか。いま電気料金を上げないで済むことは——一般物価なり公共料金が上がる中で上がらないで済むことは、合理化の推進と、一方需要が伸びておるということ、労働者のいわゆる賃金の抑圧ですよ、そういう中からこれをしわ寄せされているんですよ。そういうところにあるにもかかわらず、そういうことを言われることは私は非常に心外であるし、もし何かあるならばデータを示していただきたい。矛盾もはなはだしい。通産大臣は、コストが上がっておりますと言われておるけれども、総理なり、いま言われたことに私は了解できない。この点、資料をもってはっきり言ってください。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどお断わり申し上げましたように、総理の潜在意識にあられたのは、火力発電原価が下がっておるということが頭にあられたんじゃないかと思います。その限りにおきましては、私が申し上げましたように、若干逓減の傾向に最近数年ありましたことは、非常に幸いであったと思います。しかし、その他の要素につきましては、なかなか楽観できないという情勢にあるということは、先ほど私が御答弁申し上げたとおりでございます。
○向井長年君 そうですよ、電気というのは火力でつくったからすぐここにくるわけではない。御承知のように、送電線もあれば、あるいは配電線もあれば、そして人件費も必要だし、全部が含まっているんですよ。そういうことを頭に置かず、われわれから言うならば、賃金が抑制されて、合理化されて人員を減らされて、よけい働かされて大体維持しておるということをわれわれはいま思っているんですよ。そういう軽率な発言は、これはちょっと総理はやめてもらいたい。 それと同時に、もう一つ、これに関連して問題があるのですが、特に私は、今後この問題については、総理は十分検討して、通産大臣当時に言われたこの言をもう一。へん思い浮かべて、次には大幅に軽減する、こういうために検討したいという答弁を私は願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) だいぶ専門家からしかられましたが、とにかく専門家としろうとと一緒に議論しても話になりません。しかし、私のところなどは、あるいはもっと電気は下げられるんじゃないか、こういうような意見も、電気供給者から聞かないではございません。そういうこともあります。ただ、やはりいままでの償却が順調に行なわれた、さらにまた安い火力発電が最近は行なわれておる、いろいろあります。一面にやはり亜硫酸ガスを流しておるから、そういうのでそのほうに脱硫装置なども要るからというような議論もあります。しかし、やはりガス発電になれば、安い原価で済む、こういうような話もあります。したがいまして、この議論はむしろ私のようなしろうとよりも、その点は向井君の専門家の立場に敬意を表して、そのおしかりはおしかりとして伺っておきます。しかし、ただいまの物価はたいへんな問題でございますから、やはりあらゆる面でその物価を安くすることに国民の協力を願いたいと、私はかように思いますので、その点は、専門家でもそれだけはひとつ気をつけていただきたい。さらにまた、いま国民がどうしても必要とする電気、ガス、こういうものに税がかかるということは、これは依然として悪税に間違いございません。交通費、これが交通税、いわゆる悪税だと言われたと同様に、電気ガス税も悪税の一つなんだ、かように思います。しかし、そういう意味でこれもくふうしてみるということは申し上げますが、大幅にと言われるが、直ちにそこまではなかなかいきかねる、かように思います。ただいまの点、私自身が発言が軽率だというおしかりはそのまま私も承っておきます。
○向井長年君 今後、電気税をどうするかという問題、その検討です。
○国務大臣(佐藤榮作君) 電気税については検討するということを申しました。大幅にと言われたが、それはどうかと思うが、電気税についてはもちろん検討します。
○向井長年君 続いて、いま言われました電気の問題にからんできますが、通産大臣にまずお聞きしますが、最近、電気の需要がどんどんふえておりますね。約一〇%から一二%程度需要が伸びている。これに伴って開発を進めなければならぬ。電源開発促進法という法律があって、それに基づいて、総理がその長となって各関係大臣が含まって電源開発調整審議会というものをつくっておる。そこで決定された開発計画が、各民間企業においてどんどん促進されつつあると思うのですよ。しかし、現状は遅々として進まないという現状があるのですよ。これはどういうことなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま仰せの審議会で御審議をいただいて決定いたしました計画を実施に移した場合に、そのもくろみどおりいっているのもございますけれども、地元の調整が難航をいたしまして、なかなか着工に至らないものも若干あるわけでございまして、確かに問題なしとしないことはよく承知いたしております。
○向井長年君 このまま推移するならば、開発をきめたところで、きょうきめたから一年後においてはこれは開発できるというわけじゃないのですね。おそらく火力の場合においては、三年以上かかると思うのです。したがって、こんな形で進んでいくならば、三年なり四年あるいは五年の間には電力不足を来たす。これに対して、電力行政として大臣はどういう措置をとろうとしますか。
○国務大臣(大平正芳君) この前も本委員会でお答えを申し上げておきましたように、当面、夏のピーク時も展望いたしまして、電力の供給にはさしあたって支障はないものと確信をいたしておりますけれども、御指摘のように将来を展望いたし、このような需要の伸びの傾向から見ますと、確かに問題だと思います。 そこで、地元の調整をどのように切り盛りしてまいるかということでございますが、その調整がつかないまま計画を実施に移すというところまで私どもも勇気が出ないのでございまして、 〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 いま問題の地点につきましては、鋭意関係者の協力を得まして話し合いを進めておる最中でございまするので、とことんまで地元の調整に全力を傾けて、ともかく、もくろみの計画はやらせていただくような方向で最善を尽くしたいと考えております。
○向井長年君 これが進まない原因は、もちろんその地域においての補償問題あるいは大きくは公害問題、こういう問題が近因だと思うのです。この公害問題は、地域住民がそういうことを言うのは、これはやむを得ない問題だと思いますよ。しかしながら、各所におきましては、やはり地方自治体まで、それに対して容認しないような反対的な立場でこれを持ち上げておるところも各所にあるのじゃないか。したがって、これを少なくとも地方自治体ということになれば、自治省はじめ通産省は、行政指導の中からこの問題を促進しなければならぬと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり心得ております。
○国務大臣(野田武夫君) 国策によってやることでございますから、できるだけ行政指導で国策に沿うようにやりたいと思っております。
○向井長年君 そこで、もう少しこれを掘り下げるならば、やはり公害問題が大きな課題になると思うのです。公害問題となりますと、やはり油の問題ですね、ことに火力の場合は油の問題、そうなると、ただいま日本に入っている油が——油というか石油がこれは悪質なんです。高硫黄分というか、非常に高い硫黄分の悪質油である。これは中近東からほとんど来ておるのですが、もっといい油を入れるようにしたらどうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) たいへん望ましいことでございますけれども、年々原油に対する需要がふえておる段階でございまするので、私どもといたしましては、ハイサルファの原油に対しましては、何らかの加工措置を加えて、できるだけローサルファに持っていくような措置も考えながら、需給計画に狂いがないようにいたしたいと念願しております。おっしゃるとおり、ローサルファの原油の輸入と、その開発という点に力点を置かなければならぬことは、もとより十分心得ておるつもりでございます。
○向井長年君 そこで中近東は、これは民族資本ということもありますし、それを変えるわけにいかぬ。あるいは経済性、単価の問題もありましょう。これはやむを得ないとしても、これに対する良質をいわゆる精製、脱硫という技術的な問題、これに対しましては、政府みずからがもう少し手をおろす必要があるのじゃないですか、この点いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) まあたいへんバルキーな輸送でございますから、輸送費が大宗を占める原油のことでございますから、できたら現地で低硫黄化する道がないかどうか、これは一番大問題だと思うのでございます。すでに業界からもそういう提案もございますし、また、内国系の資本でそういうことをもくろんでいる機関もあるようでございます。したがって、これはやはり仰せのように、政府が主導力を持ちまして、そういう民間の力を組織いたしまして当たらなければならない課題であろうと心得て、私どものほうでもいろいろとくふうをいたしておるところでございます。
○向井長年君 いま通産大臣が言われましたように、現地で脱硫、精製、こういう問題は一つの方策としてあると思うのです。これに対しましては、業界だけではできないと思うのです、石油業界等では。したがって、これについてはやはり政府がある程度のてこ入れをしなければいかぬ。これは助成という形になるか、あるいは低利資金の金融になるか、税制問題になるか、これは別として、何らかの形で手を打たなければ、いま公害、公害といって世間は非常に騒しく言っておりますけれども、実際、これは環境基準等をきめておられますね、厚生省は。そこでこの環境基準はだれが守るのですか、どこに犯人があるのですか。質の悪い油を入れて、これが十分精製できない、技術も開発されておらない中で、これに対する犯人をどこへ見つけ出そうとしておるのか。ただ基準をきめたところで、これは基準を守れない状態があるのじゃないか、こういうことなんですよ。この点は通産大臣、厚生大臣にもお聞きしたい。
○国務大臣(大平正芳君) したがって、政府が一番力を入れなければならぬことは、公害技術の開発でございます。しかも、政府が主導力になってやることでございまして、私どものほうも工業技術院を中心に、脱硫技術につきましては、特段の努力を払っております。 それから先ほど申しましたように、各電力会社、石油精製会社等も膨大な公害防止装置投資をやっているし、またやらなければならぬ立場にあるわけでございまして、これらの会社側の関心もまた非常に高いわけでございまして、そういうところからの出捐を政府の手で有効に組織してまいって、効果があがるような仕組みに持ってまいらなければならぬということに腐心をいたしておるところでございます。 しかしながら現実にハイサルファの原油は入ってきておりまするし、環境の基準はどうしても守らなければならぬという課題をわれわれは負っておるわけでございます。したがって、第一は、いままで指導の基準としてまいりました排出基準というものを漸次引き下げていくように鋭意努力すると同時に、御承知のように、いまから工場をつくる、あるいは工場団地を形成する、そういう場合に据えつけるべき施設からして、すでに公害予防措置があらかじめとられているような行政をやらなければならぬことは当然でございますので、未然防止に力点を置いた公害行政をやってまいりまして、期待にこたえなければならぬし、また、それはできることだと私どもは考えて、鋭意努力中でございます。
○国務大臣(斎藤昇君) 環境基準の達成につきましては、ただいま通産大臣から申し述べましたとおりでございます。環境基準はわれわれの達成をしたい目標でありますから、一日も早くその基準に達成するように努力をしなければなりません。それにはいろいろな方途がございますけれども、一番の根本は、やはり低硫黄化の問題でございます。したがいまして、通産大臣のおっしゃいましたように、いわゆる低硫黄の原油を確保するという点、あるいは重油から脱硫をする、あるいは排煙から脱流をする、この技術の促進と、これの実際化ということが一番の肝要な問題でございます。したがいまして、私のほうも通産当局の事務当局と、いわゆる低硫黄の年次計画を立ててもらいたいということを申し入れ、その計画が立ちませんと、環境基準の達成も、またやる手段についてもなかなかむずかしゅうございますから、その年次計画を立ててもらいたいと申し出ておるわけであります。通産当局におかれましては、大臣はじめ非常に精力的にこの問題と取り組んでもらっておりまして、ただいま通産大臣が申し上げられましたとおり、また、それ以上にいわゆる低硫黄化対策に真剣に取り組んでもらっていると思っております。
○向井長年君 これは非常に各地域で、特に都市なりあるいはまたそういう工場現地で、一般的に非常に公害問題が社会化している、重大問題だと。こういう中で、根本的に解決する方法というものは、良質な油をまず入れなければならぬということなんです。良質の油が入れられぬということになりますならば、これに対しての技術開発をしなければならぬということ、技術開発をしようとするならば、それに対する資金的裏づけなり、あるいは助成というものが必要である、こういうことになってくると思うのですよ。それに対してただ規制だけをやかましゅう言ったところで、犯人が明らかじゃないと思うのですよ、これは。犯人はだれかと言えば、硫黄分の高いやつを入れてきているからこうなる、入れざるを得ない状態がいまあると思うのですよ。いわゆるアラビア等の石油ですね、そういう中で、いま言われたように、これからそういうことをやりたい、やりたいと、こう言っておることはけっこうなんだけれども、具体的に政府としてその良質の油を入れられるなにがあるのか。入れられないとするならば、硫黄分の多い油に対して政府自身がどうしようとするのか、この問題を聞きたいのです。
○国務大臣(大平正芳君) 公害防止のやり方としてはいま向井さんの言われたとおりでございます。低サルファの原油の確保、これにまず力点を置かなければならぬことでございます。しかし日本の場合は、現実にカフジ原油が大宗を占めております。ミナス原油、これはまだ七百万トン程度でございます。各社いろいろ探鉱を進めております。そして、逐次低サルファの原油もふえていくと思いますけれども、それかといって需要のほうが早いテンポでふえるわけでございますから、どういたしましても先ほど申しましたように、現地でひとつ低硫黄化する技術と装置を早く政府が指導しながら、助成しながらやってまいらなければいかぬ課題が一つあると思います。 それから、そういう低サルファの原油を確保されるまでの段階におきましては、わが国の装置産業の公害防止装置そのものをやってまいらなければならぬわけで、大量の投資が要るわけでございます。この点につきましては、御案内のように開発銀行、これはいままで復興金融ということに主力を置かれてきた銀行でございますけれども、私どもの考えでは、あるいは技術の開発とか、あるいは公害防止とかいう国策的な金融に力点を置いていただく方向に御融資をいただくことが望ましいと考え、ことしの財投におきましても、そういう方向で財投計画が組まれてございますことも、御案内のとおりでございます。そればかりでなく、そういう装置産業におきましては、巨大な固定資産をかかえて、収益を生まないものでございますから、それに対しまして、償却率に特別の配慮を願わなければならぬし、あるいはそういった装置をやってまいる場合の準備金を、税法上積み立てておく道が開かれるというようなことが望ましいわけでございまして、そういったことにつきましても、財政当局の理解を得まして制度化してきているわけでございまして、一応のかまえは曲がりなりにできていると思うのでございまして、問題はこれをどのようにスピーディに現実化してまいるかということにかかっていると思うのでございまして、いろいろ御注意、御鞭撻をいただきながら、私どもとしてはベストを尽くしていく決意でおるわけでございます。
○向井長年君 大体その問題わかりましたが、特に当面——これは今後の問題ですが、当面いま、なまだきか原油かということでありますならば、なまだきであるならば、硫黄分が非常に少ない、低硫黄分である。こういうことでできるならば、なまだきをしたい、またすべきである。こういうことがあると思うのですね。ところが、いろんな経済性、いろんな問題から考えて、これに対して通産省としてはなまだきを奨励する方向にあるのか、あるいはその点について原油というかっこうになっていくのか、この点、通産省はいかに考えられますか。
○国務大臣(大平正芳君) たいへんむずかしい問題でございまして、公害対策から申しますれば、そして電力会社の都合から申しますれば、なまだきが一番いいわけでございますけれども、御承知のように石油化学の原料のナフサが著しく不足をしておりまして、現に大量の輸入をしておるような現状でございますので、これの需給を考えて、まあどういう度合いにおいて各方面の要請を満たしながら、どういう割合がいいかというような点につきましては、いま審議会のほうで御審議を願っておる段階でございまして、すっきりとなまだきがいいんだということは、一面からいくと確にか言えるわけでございますけれども、全体の産業政策のバランスから申しまして、そればかりもいけないという事情もございますので、せっかくいま専門家に集まっていただいて御審議を願って、まあ妥当な結論を出していただいて実行に移そうと、そういう心がまえでやっております。
○向井長年君 いま社会問題として公害問題が一番ネックになっているのだから、公害を除去しようという立場から考えるならば、少なくとも硫黄分が少ないやつをたこうというのがあたりまえじゃないですか。そういう立場でものを考えていかなければ、結局公害問題、また、先ほど言った問題はそう簡単な問題じゃないのですね、技術的にしましても一そうならば厚生省におきましても、できるだけ硫黄分の少ないやつをたけということになってくると思うのですよ。それはやはり通産省のひとつの厚生省との関連で判断しなければならぬと思うのです。当面この点、通産大臣なりあるいは厚生大臣もあわせてどうなんですか、公害問題というところに基本を置くならば。
○国務大臣(大平正芳君) せっかく内閣で環境基準が設定されたのでございまして、それを忠実に守ってまいらなければならぬのは、私どもの第一の責任であると考えておるわけでございます。それを決してないがしろにする意味ではないのでございまして、許されたその範囲内におきまして、産業政策上の要請をどこまで盛り込めるかという点について審議会の御討議をいただいておるという現況でございます。
○国務大臣(斎藤昇君) 通産大臣の答えもありましたように、通産省と密接に連絡をしながら、低硫黄化対策を進めてまいりまして、そうして産業との調和をはかりながら、一日も早く環境基準を達成したい、かように考えております。
○向井長年君 科学技術庁長官にちょっとお聞きしますが、一昨年でしたか、動燃事業団が発足いたしまして、いまこれが進められていると思いますが、現在のこれに対する状況はどうなっているか、この点まず具体的にお聞きしたい。
○国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、御案内のように、原子力の研究開発利用の問題、これは外国からの輸入の技術だけではいけませんし、やはり自主開発を根本に大いに進めていかなきゃならぬことは、原子力基本法第二条におきましても、すでに御承認を得て、そういう方針でやっていけと、こういうことになっている。これは一つの大きな命題ですが、わが国は、御案内のようにウラン資源に乏しい。その当然の帰結としてどういうことが起こってくるかといえば、長期に安定的な供給を確保しなけりゃならぬと同時に、一たび入ってきたものは、最もこれを効率的に利用していかなきゃならぬ、こういう問題が出てくるわけです。そこで、このいまの自主開発の問題と、効率的に燃料を利用する、こういう目的を持って御案内のとおり昭和四十二年の十月に動力炉核燃料開発事業団をこしらえていただきました。ところで、わが国のいまの炉は軽水炉が主流になっているわけです。ところが、いま申しましたように、やはりウランの鉱石も少ない。そういうようなわけで、わが国としては、この入ってきたものを、もっと軽水炉よりもっと有利に使い得るもの、しかも、天然ウランも使える、そういう条件から考えますと、わが国の国情に合っているといいますか、そういう炉の開発をしなければならぬ。それは、そのために事業団は新型の転換炉、これはまあ非常に燃料を有効に使えますから、それと高速増殖炉、これを開発しなければならぬ。しかも自主的に開発しよう、こういうことでこれが設けられておるわけです。 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 そこで、いま、しからばどういうことをやっておるかと申しますと、新型転換炉につきましては、これは外国からいろいろな知識を入れておりますけれども、それに自主開発を加えて、新型転換炉を四十九年、少し日は長いようでありますけれども、まあいろいろ自主開発をしなければならぬから、四十九年に二十万キロワットの出力の原型炉を一つつくろう。それから高速増殖炉のほうにつきましては、四十七年に実験炉を、これはまあ十万キロワットです。それから、まあこれも口が長いのですけれども、五十一年、だいぶ手間がかかるらしいですが、五十一年ころに原型炉、これは三十万キロワットで一つつくろう、こういうことにいまなっておる。 そこで、さっきから申し上げているように、何としても、やはり、先進国の技術のほうが進んでいますから、アメリカ、イギリス、フランス、カナダなどと動力事業団は協定を結びまして、そうして動力炉に対する情報をひとつ入手する。それから、それに必要な要員、そういうものに対しても人事の交流をはかって、ひとつ養成をしていこう、こういうことで、いまそういう計画のもとに、各種の基礎研究——研究施設の建設はもちろんやっていますが、それと基礎研究、各種のことをやっています。それから、さらに、安全性、これはまあ一番大事ですから、そのことも研究しておる。そこで、いま、私の受けております報告によりますというと、いま申しました計画に見合って 大体順調に進んでいるというのが、いま私の受けている報告です。なお、原子力局長も来ておりますからして、いま申しました各種の研究種目について説明を御要求になるようでしたら、詳細に説明させます。
○向井長年君 いや、局長の要求、いたしません。それはいいですが、大蔵大臣にお聞きしておきたいのですが、この問題に対して、さきに水田大蔵大臣当時に、この事業団が発足した当時に、政府はこれは真剣に取り組もうと、こういう中から十年間で二千億という資金をこれはひとつ出してやろう、こういう形で答弁されて、その後発足されたと思う。ことしも若干の予算がついております。その考え方は、いまなお変わりありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 水田大臣がどういうことを申されましたか存じませんけれども、ただいまの事業団の計画につきましては、これは全面的に協力をする考えであります。
○向井長年君 いや、協力はけっこうなんですが、一応佐藤内閣になってからですからね。当時に、その事業団が発足するときには二階堂科学技術庁長官時代ですか、非常にこの問題が問題になって、最終的には政府が二千億を払ってつくろうと、大蔵大臣がそういう答弁をされてこの法案が通ったんですよ。したがって、それに伴って、いま長官が報告されたように進められておると思う。今後、資金捻出の問題について、政府はその考え方はそのまま続けるということであるかどうか、ということを聞いておるのですが。
○国務大臣(福田赳夫君) ですから、水田大臣がどういうふうに申されたかは承知いたしませんけれども、いま木内長官からお話しのあった問題につきましては、計画といたしまして、私どもは全面的に協力をいたしておるわけであります。
○向井長年君 時間も三分でございますから、これあとになりまして、十分時間がなくて質問できないのですが、経済問題で大蔵大臣あるいは経済企画庁長官にお聞きしたいのですが、けさもいろいろと質問されておりました経済のかげりの問題で、これはやはり出荷伸び悩みといいますかね、そういう問題が問題なのか、景気の過熱という問題が問題なのか、この点はどういうことなんですか。これは企画庁長官にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済の動きにつきましては、国内、国際両面があるのでありますから、まず国内の動きにつきましては、最近滞貨——一部産業に滞貨の動きがあります。それから景気の先行指標といわれる機械の受注が伸び悩みというようなこともいわれております。また、百貨店の売れ行きが鈍化しておるという問題もあるわけです。さようなことをとらえまして、どうも最近の状況から見て、今後設備過剰というか、供給力ですね、供給力の過剰を来たす、これが過剰になってくると、いわゆるデフレギャップになってくるわけでございまするが、そういう問題があるのじゃあるまいかというような見方があり、これがかげり論としてにぎやかなわけであります。ところが他面、設備投資に対する資金需要がきわめて旺盛な状況であります。さような状況がまた高じてまいりますれば、これはいわゆる過熱というような状態になる。そこで、いまのこの経済の状態を、供給が一体過剰な状態、つまり設備能力過剰な状態であるのか、あるいは需要のほうがまあ過剰な状態にあるのか、つまりインフレに向かっているのか、デフレに向かっているのかと、こういう見方が非常にむずかしい状態なんです。両方の現象があらわれてきている、こういうことなんです。 それから国際的に見ますると、いまフランの問題もあります。またポンドの問題なんかも注目をされておる。で、それがどういうふうに発展するか、発展のしかたによりましては、通商不安を来たすおそれはないか。そうすると輸出日本、輸出に大いに依存をしておる日本経済というものも、相当打撃を受けることに相なります。そういうことも考えておかなければいかぬ。で、この国際の動きというものを注目、注視をいたしておるわけであります。でありますから、いまかげり論議がありますが、そこまで結論をつけるのは早いと、まだ過熱という現在逆に過熱かと、こういうと、過熱と判断するのもまだ早いのじゃないか、そうも判断できない。そこで内外の経済の動きを静かに、しかも用心深く注意をしていく、警戒中であります。
○向井長年君 大蔵大臣、政府が明年度の予算、これはまあ警戒体制の中で明年度の予算に対する金融措置についてどんな考え方を持っているのですか。いわゆる下期が非常に警戒であると、こういう立場にあると思うのですけれども、そういう中で金融措置の今後の構想というものはどういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたような情勢判断から、まあ財政のほうは——財政・金融が車の両輪をなしてかじとりをするわけですが、財政のほうは四月、つまり新年度に入るような時点におきましては、これは常のごとく運営しよう、状況の動きを注意しながら常のごとく運営しようと、こういう考えであります。他の車である金融につきましては、ただいま日本銀行がいわゆるポジション指導という形の金融政策を進めておるわけでありまするが、この体制を当分堅持してまいる、かようにいたしたいと思います。
○向井長年君 まあ企画庁長官が、特に下期から来年にかけて非常に不況のおそれがあると、こういうことが言われたと思うのです。これに対して特に財界筋からも、これに対して中型予算というような形で苦言が呈せられているようにわれわれ聞くわけですが、これに対して大蔵大臣は、まあひとつ来年度は安保があるから、安保条約の問題があるからこれはこのままいかせてもらいたい、できるだけ金融は引き締めてやりたいけれども、こういうことを言われたように聞いておるんですが、この点は事実ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私の経済運営に対する態度は、来年安保があるからどうのとこういうことじゃないんです。私は、いま日本の経済というものが非常に順調に伸びておる。これが日本の国づくりに非常に大きな貢献をなしておる、この体制をどこまでもということにいたしたいというのが、私の考え方の基本でございます。さようなことで、あまり突き走りますると、来年以降に蹉跌を来たすということになる。そこで突っ走りを警戒するわけです。しかし世界情勢の動き、あるいは国内の設備投資の過剰というようなことから、あるいは逆に供給不足、つまりデフレギャップというようなことなしとしない。その際には財政、金融両政策を運用いたしまして、その需要の不足を埋めていきたい、こういうふうに考えております。そういうふうな考え方によって来年以降も景気が順調に伸びていくように、しかし突っ走りがないように、ということを極力警戒しながらやっていきたい、かように考えております。
○向井長年君 最後に通産大臣にひとつお聞きしておきますが、通産大臣にお伺いしたいことは、アメリカは合成繊維類の輸入を大幅に減らすために、特に国際繊維協定をして、この世界貿易の自由化に逆行するような考え方をとっておるようですが、この輸入制限が必要なら、もっと世界を納得さすための根拠が必要だと思うのです。これにに対して、アメリカに対してどういう大臣は動きをしようとするのか。これは外務大臣にも大きな関係がございますけれども、通産大臣にこの問題お聞きしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 一月三日に招集されました第九十一議会ですか、幾つかの仰せのような繊維に対する輸入制限法案が出ておるようでございます。で、二月六日のニクソン大統領の記者会見は、この繊維の輸入の問題については、言われるような輸入のクォーターによる制限法案、そういう方向はとらないことが望ましいと、できれば輸出国との間に自主規制が、自主規制について話し合って見るというような意味の発言があったようでございます。だけれども、そういうことについてわが国の政府に対して、公式にも非公式にもまだ接触が先方からないのが今日の状況でございます。アメリカにおきましては、繊維業者並びに繊維労組はニクソンの発言を歓迎しておるようでございますが、輸入業者、小売り業者反対のようでございます。それからニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポスト等の新聞では、そういう措置をとることがアメリカのほんとうの利益になるかどうか問題だ、というようなコメントもあるように伺っておるわけでございます。かたがたアメリカの繊維業はここ二、三年繁栄を続けておりまするし、わが国のアメリカに対する輸入、輸出、アメリカからいうと日本からの輸入のシェアというものは全然ふえていないわけでございまするから、向井さんがおっしゃるとおり、私どももアメリカが自主規制たりとも何らかの措置をとらなければならぬという名分は、はたしてあるのかどうなのか、たいへんこれは疑わしいものがあると思うのでございます。それで、しかし先方から何もまだアプローチがございませんから、とやかく言うべきものではないのでございますけれども、繊維業界は綿のほうも化繊のほうも、こぞって反対の空気が強うございまするし、わが国の各政党もまた反対の声明を出しているところもあるようでございます。政府におきましても関係閣僚の間では、どうもわれわれとしては反対せざるを得ないじゃないかということにおいて、意見の一致を見ているわけでございまするので、もし万一そういったアクションがとられた場合におきましては、十分注意深く執拗に反対の態度で終始してまいらなければならないと心得ております。
○向井長年君 いま通産大臣が言われましたように、そういう形でひとつ強く推進していただきたいと思います。以上をもちまして私の質問を終わります。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして、向井君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(塩見俊二君) 次に、村田秀三君の質疑を行ないます。 この際、長谷川農林大臣から発言を求められておりますから、これを許します。長谷川農林大臣。
○国務大臣(長谷川四郎君) 去る七日御質問のありました配給米と物価統制令との問題は、関係閣僚協議の結果、方針を定め、本日の閣議に報告して御了承を賜わりましたので、その内容御報告申し上げます。「自主流通米制度の実施に伴う消費者米価の規制については、次の方針によることとする。 一、自主流通米制度は、米穀の需給事情に即応し、消費者がその嗜好に応じた米を選択しうるようにする趣旨にかんがみ、自主流通米については、物価統制令による価格の規制を行なわないこととする。 二、政府売渡しに係る配給米については消費者家計の安定を図るため当面物価統制令による価格規制を存置することとする。」以上でございます。
○委員長(塩見俊二君) 村田君に申し上げますが、ただいま総理ちょっと不在でございますので、総理の質問以外でございましたらどうぞ。村田秀三君。
○村田秀三君 ちょっと待っております。——まあ今度の国会では農業問題がきわめて重要な問題として取り上げられ、衆議院でもまた本院におきましても何べんとなくやられた問題でありますが、私も重複する面はあろうかと思いますが、質疑を続けたいと思います。 そこで、ただいま農林大臣から消費者米価末端価格について政府の統一見解がございました。この中でちょっと気にかかりますことは、当面据え置く、こういうことでありますが、その「当面」というのはどの時点までという範疇があるのかないのかという問題ですが、これは農林大臣のお答えをいただいてもけっこうです。
○国務大臣(長谷川四郎君) ちょうど来年の産米、来年の十月末までが一つの区切りでございますから、したがって、また新たに本年度は自主流通米というようなものも考えましたので、これらと並行して一応また考えるときがくるならば、それらにも適用していきたい、こういうふうに考えております。
○村田秀三君 それでは政府の四十四年度講ずべき施策の中に方向が打ち出されておるわけですね。それが変更されたということになるわけでありますから、それを変更せざるを得ない、物統を適用せざるを得ないと判断した理由といいますか、もちろんわれわれの側では、これは物統令からはずすべきでないという主張はしておりましたけれども、はずさないと決定をいたしますその理由ですね、これをひとつお聞かせ願いたい。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 今後講ずべき施策の中で、自主流通米の制度を発足させたいということ、それに関連しまして全面的に物価統制令を適用するという点についての問題がございますので、したがって、物価統制令を廃止することを考えておる、しかし政府の売り渡しにかかる米の末端価格につきましては、何らかの価格規制は必要であるという趣旨のことを述べているつもりでございます。食糧庁、農林省といたしましては、現段階になりますれば、何らかの末端価格の規制は必要であるにしても、物価統制令の適用を廃止をして、行政的な価格規制ということで臨むことが一つの考え方ではないかというふうな考えをもって検討してまいったのでございますが、現段階で物価問題の重要性、そういうことを考えますと、この際、末端における政府売り渡し米にかかる配給価格については、法的な価格水準をもって消費者に供給していくということを保証することの必要性はなおあるという判断に結論としてなりまして、存置をするということにいたしたのでございます。
○村田秀三君 いま物価の事情を考慮しながらこれを存続する必要がある、こういう答弁でありましたが、単にそれだけの理由か、あるいはまた物価ということを念頭に置くとするならば、当然家計に影響を与えるということが前提でなければならない。とすると、これは食管法との関係がからんでくると私は思うわけでございまして、そういうことも考慮しての据え置きの結論であるかどうか、これは農林大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) 物価安定という点が重点に取り上げられて、そしてまず政府の管理米というものは、少なくとも内閣で今年度は消費者米価は上げないという、その基本線に沿っての上に立っての決定でございます。
○村田秀三君 企画庁長官の考え方はどうでありますか。
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま農林大臣が申されましたとおり、やはり物価安定という立場から賛成した次第であります。
○村田秀三君 重ねてお伺いしますが、物価の安定ということは、家計に影響を与えるという立場で考えられたのかどうか、これは経企庁長官、それから農林大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) 家計に影響を与えないように物価安定というものをはかっておるのでございます。
○国務大臣(菅野和太郎君) 物価安定というのは、要するに家計安定さす、生活を安定さすという意味で、物価安定ということを考えておるわけでございます。
○村田秀三君 まあそれはわかりました。とすると、この四十四年度に講ずべき施策、これを改めることでありますね。これは農林大臣にお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 一応文章に即してお答えをいたしたいと思いますが、「物価統制令による米穀の消費者価格の画一的な規制をやめることとし、これにより政府を通さない米について需要に応じた価格による購入が可能となるようにするとともに、政府の売り渡す米穀の末端消費者価格について消費者家計の安定をはかるための措置を講ずることとする。」ということでございますので、これはこの報告をいたしました時点におきまして、物価統制令の適用を、政府売り渡しにかかる米について廃止をするか、適用を続けるか、その問題については触れないで、何らかの消費者家計の安定をはかるための措置を講ずるということを申し述べておるのでございますから、ただいま農林大臣が方針としてこうきまったということを申し上げましても、特に報告を改める必要は私はないと考えます。
○村田秀三君 いまの答弁、これは従来も食糧庁長官は、この講じようとする施策の内容を話をしておられたわけですね、いままで。今度は物統令は適用するのだということを明確にきめたとするならば、これはどちらにもとりようができるような文章ではありますが、明らかにしなければならないと、私は思うのですが、農林大臣いかがですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいま食糧庁長官が申し上げたように、われわれは統一見解を持ってお答えを申し上げておるのでございます。
○村田秀三君 字句にこだわるわけではありませんが、やはり当初の方針が、これは変更されたわけですから、だとすれば、この四十四年度講ずべき施策の内容を当然変更されるべきだと考えるので質問しておるわけですから、そのことをお答えいただければけっこうなんです。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 重ねて申し上げまして恐縮でございますが、「政府の売り渡す米穀の末端消費者価格について消費者家計の安定を図るための措置を講ずることとする。」という基本的な考え方を報告の中では申し上げておるのでございます。ただいま農林大臣が閣議の了承を得て方針をきめたということは、この安定をはかるための措置というものを確定をいたしたというふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
○村田秀三君 物統令の適用をはずさないという決定をいたしましたので、これは二種類の末端消費者米価が混在するということが明らかになったわけでありますね。これは農林大臣。
○国務大臣(長谷川四郎君) 自主流通米と政府管理米と両方あるわけでございます。
○村田秀三君 そこで、この自主流通米について少しお聞きをしたいわけでありますが、これは農林大臣にお伺いいたしますが、この自主流通米というものが生産者の手元から消費者の手元に至るまでの経過、経路、その中でどういう事象が起こってまいるかということについて展望を持っておられると思いますが、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) 御承知のように、自主流通米は生産者から生産者が好む集荷団体にまいります。集荷団体からさらに卸業者、したがって、さらに小売販売業者の経路をたどるわけでございます。
○村田秀三君 それだけの構想で、百万トンも百七十万トンも動かすことができるのかどうかということについて、私は疑問を持つわけです。いわゆる価格関係は具体的にどうなっているのであろうか。もちろん生産者米価もあるいは消費者米価も、その流通機構もということであります。いまのお答えだけでは、とても了承できる話ではありません。さらに農林大臣お願いいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) いずれにしても、本年初めてのことでございますので、大体その程度は動くであろう、こういう見込みでありますので、必ずや百万トンがそのまま実現するとは断言はできかねます。
○村田秀三君 いや、この百万トンを云々するようなそういう質問のしかたをしておるのじゃないのですよ。とにかくどういう経過をたどって、価格構成はどういう過程を経るのかということです。
○国務大臣(長谷川四郎君) 価格構成は、自主流通米制度は米穀の需給事情に即応して、そして消費者が嗜好に応じて米を選択をする、選ぶ、こういうことになるわけでございますから、その種類に限って、自主流通米については物価統制令からはずす、こういうことです。したがって、その嗜好に応じたお米を選ぶわけでございますから、政府管理米よりは幾分か高くなるだろうということが想像されます。しかしながら、本年度は、御承知のように非常に米は需給が潤沢になってきておる、余っておるということだけは見のがせないところの事実でございます。したがって、さらに本年度の米も相当良質な米が多いようにも伺っておりますので、その点については、それほど心配をするほどのことはないのではないだろうかとも、価格の点においてはそう考えられます。いずれにしても、消費でございますから、生産と消費のバランスの上にあるわけですから、一般消費者に対する管理米というものは、要求だけはいつでも配給できる体制が整えられておるという上でございますから、私たちは、そう価格の高くなるというようなこともあり得まいというようには考えております。ただし、御承知のように政府管理米は政府負担というものが相当額ございますから、その幅くらいはあるのではないだろうかというようには考えております。
○村田秀三君 どうも質問がなかなかかみ合わないわけでありますが、いまの答えもその一部ではありますが、生産者米価、これはどうやってきめるのですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 生産者米価は、政府の方針は御承知のとおりでございますけれども、生産者米価決定は審議会にかけまして、その審議会の答申を待って、以下決定する考え方でございます。
○村田秀三君 そうすると、自主流通米も米審が決定をし、農林大臣が告示をした米価でなければ買い受けることはできない、こういうことになるわけですね。
○国務大臣(長谷川四郎君) 政府管理米に対して申し上げたのでありまして、自主流通米のほうはそれに入っておりません。
○村田秀三君 私は、自主流通米のことを言っている、だから自主流通米の価格はだれがどうやってきめるのかと言っているんです。
○国務大臣(長谷川四郎君) 嗜好に応じてその価格が形成されていくのでございますから、これは政府の管理米と違いますから、販売者対消費者の間に構成されるものと考えられます。
○村田秀三君 その程度のことで百万トンも百七十万トンも動かそうと考えておるのが、私はどうかしていると思うのです。隣の人から隣の人へ売ったり買ったりするわけじゃありませんよ、これは。一から十までどういう構想を持っておるのか聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 百七十万トンの自主流通米の実現を予算上見込んでおるわけでありますが、そのうち七十万トンはすでに御承知のとおり酒米等の工業用原料米でございます。これは現在でも政府の払い下げ価格はコスト価格で売却をいたしておるのでございまして、これは自主流通に最もなじみやすい条件を持っておるものと考えております。全体の工業用需要が八十六万トンばかりございまして、そのうちの七十万トンを見込んでおるということでございます。それから、残り百万トンの一般消費用の自主流通米につきましては、毎回申し上げておるのでございますが、この数量を見込むにあたりまして、流通業界の見解あるいは生産関係の見解、そういうものを聴取をいたしました上で見込んだのでございます。で、現段階におきましても、流通段階は新しい流通の形に備えまして、末端の需要等の調査を進めておるようでございますが、大体百万トン程度の数量が需要として出てくるようであるということでございます。私どもは、この見込みはほぼ間違いなく実現できるものというふうに思っております。価格の形式は、自主流通米については、特別の規制はしないということでございまするので、農林大臣が申し上げましたように、需要者側、販売者側との相対によって決定をされるのでございますが、これも産地あるいは銘柄によりまして、私は一律にきまるものではないというふうに思いますが、最終の販売業者であります小売り段階では、需要者の好む米、それからそれに対してどの程度の価格水準であれば消費者が受け入れるかというようなことについて、これはその道に携わっておるものでございますから、見当はつくということでございまして、それから出発しまして、そうして生産者の販売価格というものが、政府へ売り渡す価格よりも何らかの利点があるという場合に、私はこの自主流通米が成立する。そして現在における需要の動向から申し上げまして、その程度の価格——生産者販売価格の決定は可能であるというふうに思っておるのでございます。
○山本伊三郎君 ちょっと関連。初めて自主流通米が、これが実行されるのですが、いま農林大臣は政府管理米があるから、それで調整できるから、自由価格でもそう心配はない、したがって、物統令をはずしても心配ないという趣旨だと思うのですがね。それはそれとして、事実それ以上上がった場合に、そのときの措置をどうされるのか。おそらくあなたのほうは自信を持ってやっておられるのですから、そういうことはございませんと思いますけれども、物価統制令をはずしてしまえば、もうこれを管理する政府の力はないんですから、自由価格をどこで押えることができるか、そういう方法があるんか、ないんか、そのときの措置をどうするのか、これだけを農林大臣に聞いておきたい。
○国務大臣(長谷川四郎君) 政府保管米も、御承知のように、非常に需給のバランスを欠くほど今日あります。でありますから、反面、自主流通米というものをつくられても、それほどの幅のある価格の形成は行なわれないだろう、そういうふうにわれわれは考えておるのでございます。
○山本伊三郎君 その上がったときどうするか。ないんでしょう。それはわかるんだ、わかるんだけれども、上がったときに措置をする方法はないんでしょう。
○国務大臣(長谷川四郎君) 私どものほうは、そう高くなるだろうという考え方を持っておらぬですから。
○村田秀三君 それでは、一つ一つ具体的に聞きますが、これは食糧庁長官でもけっこうですから、お答えいただきたいと思います。農協が指定を受けて集荷をするわけですね。生産者は農協に売る、しかし売る場合に、農協が買う場合に、自主流通米の価格はだれがどうやってきめるのかというのです。農協と生産者が相対できめるんですか。そうではないでしょう。基準がなければならない。その基準は、どこでどうやってきめるのかというのです。
○国務大臣(長谷川四郎君) 自主流通米の販売流通に対します細部の決定は、政令の施行を待って確定をすることになるわけでありますが、現在の考え方としては、生産者は集荷業者に売り渡すのではなくて、集荷業者に販売の委託をする。委託を受けた集荷業者——これは主として農協でございますが、これがその組織する団体を通じて、全国的な計画のもとに自主流通についての農林大臣の許可あるいは承認を求めさせることにする、その上で販売をする。そうして販売先は、加工原料用米につきましては、酒屋あるいは米菓業者等の農林大臣の指定するものもしくは卸売業者、登録卸売業者ということに考えておるのでございます。でございますから、取引の価格につきましては、実需者である加工業者もしくは卸売業者と、端的に言えば、農業団体あるいは集荷業者の団体との間で価格取りきめをするということになるわけでございます。で、お答えの外まで出るかと思いますが、その際、生産者が農協等の集荷団体に販売の委託をいたしました際には、集荷業者は農家に対して政府買い入れ価格と同額の金額を概算金として一応支払っておくというやり方を考えておるのでございます。で、自主流通米の販売が実現いたしましたあとで清算をするという方法をとらせたいというふうに思っております。
○秋山長造君 関連。ちょっとはっきりしておいていただきたいのですが、先ほど長官は自主流通米の価格は、結局需給相対できまるだろうとこうおっしゃった。つまり需給関係できまる。そうすると、いわゆるやみ米とどこが違うのですか。やみ米の価格は何できまるのですか。やっぱり需給関係できまるわけじゃないですか。どこが違うのですか。ということと、一体同じことならば、自主流通米と名前はつけるけれども、実質的にはやみ米と同じことじゃないか、ただあえて区別をすれば、公認やみ米だということになるかもしれませんけれども、実質は変らぬのじゃないですか。
○政府委員(檜垣徳太郎君) いわゆるやみ米と称せられておりますものは、法律的に申せば、食糧管理法の規制の外で流通をしておる米のことであると思います。で、自主流通米は、食糧管理法に基づく行政的な規制のもとに流通させるという意味で性格を異にするものであります。で、価格の決定につきまして、価格の形成が需給の関係できまるという点については、これは自主流通米もいわゆるやみ米も形成の原理は私は同一である、御指摘のとおりだと思います。ただ、秩序のある流通をさせる、また大量の取引というものを秩序正しくやるということからくる消費者に対する私は価格上のメリットもあるはずである、また、そういう選択購買の対象の米の価格が安定的になるという効果も期待できると考えております。
○秋山長造君 これは、関連ですから、もうこれでやめますが、秩序正しくとか、管理法のワク内にあるとか、ないとかいっても、それはただあなた方の机の上の書類の上でそういう文字を書かれるだけのことであって、実際にはもうこれは全く同じじゃないですか。全く同じであって、ただ、あなた方が文字で肩書きをつけて、そうして、それで自己満足しておられるだけで、実際には全く同じになってしまうのじゃないですか。そこで一体やみ米ではないというのならば何米ですか、自主流通米は。さっき農林大臣は管理米とは違うと、こうおっしゃった。政府管理米でもないし、やみ米でもない、だから自主流通米だと、こうおっしゃるのかもしれぬけれども、しかし、いままでの説明では、自主流通米も政府管理米の一種だ、配給米のワク内のものだという説明をしてこられているはずなんです。その点はっきりしておいていただきたい。これはどうせいろいろ説明をつけられても、この場だけのことだけであって、末端において、米屋さんの店先に行ったら配給米、自主管理米、やみ米、こう三種類あるはずなんだけれども、実際にはそういう区別はつかぬでしょう、末端では。だから、もうとにかくおしなべて配給米以外は、これはもう需給関係によって、いわゆるやみ値できまるということになるのじゃないですか。それならそれではっきりそう言われたらどうですか。
○政府委員(檜垣徳太郎君) いわゆるやみ米と自主流通米との制度上、法律上の性格の違うことは先ほど申し上げたとおりでございます。自主流通米につきましても、前々申し上げておりますとおり、現行食糧管理法の制度の中で、行政的な規制のもとに流通させるものである。その意味は、先ほど申し上げましたように、だれでも自由に米を売り、あるいはだれでも自由に米を買えるということは許さない。それは流通の秩序を乱す。食糧管理制度の基本的な仕組みに大きな悪影響があるということで、それは認めないということでございまして、集荷の形態及び流通の形態について、食糧管理法に基づく規制をするという点が違うわけでございます。 で、これは多少言い過ぎになるかと思いますが、いわゆるやみ米が存在いたしますのも、これだけ米の需給事情が緩和してまいりますと、消費者の中には消費者価格、消費者米価について、米価の水準について、それほど関心が高くなく、米の質について自分の好むものを買いたいという事情がある、ということに経済的な実態が私はあると思うのでございます。そういう実態を食糧管理の上でも看過をするわけにはまいらない。また、そのことに対応するような制度の運用をすることが、私は消費の維持、増進の上でも、また消費の動向に沿った生産を刺激する意味でも重要な意味があるというふうに考えております。
○山本伊三郎君 価格形成はどうなんですか。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 価格の形成は先ほど申し上げましたように、消費者が自分はこの程度のもので、自分のほしい米を買えるなら買いたいということから出発をする価格でございますから、需給関係によって形成される価格であるということでございます。
○村田秀三君 どうもいままでいろいろ説明されたことと内容がだいぶ変わってくるわけですね。結局、自主流通米は食管法の外において全く自由である、こういうような構想が一つ出されているわけです。ところが、いま聞いてみますと、これは食管法の規制の中に置くのだ、そして政令でこれを拘束する、扱い方をきめる、こういうことでありますから、その政令が出てこないと、あと話が進まないわけなんです、実際は。どうなんですか、農林大臣。
○国務大臣(長谷川四郎君) 政令のいろいろ——いずれにしてもこういうことが突然ではないけれども、初めて行なわれることだものですから、農林省にいたしましても、私もまだ期間が短いので、いろいろいまやっておって、お話を承ったり意見を述べたりしている段階でございますので、これがこうだとはっきり申し上げられませんけれども、政令も当然改正しなければならぬだろう、出さなければならぬだろう、それにはなるべく早くやろうじゃないかというようなお話も申し上げておりますが、急いでも四月一ぱいぐらいかかるのではなかろうか、このように考えております。御承知のように、毎日国会へは来ておりますしいたしますので、なかなか会議をやっておる間がないので、朝は大体七時から出てきてやっておるのですけれども、間に合いかねるので、不勉強のようで申しわけございませんけれども、そのように考えております。
○村田秀三君 大臣の答弁ですけれども、それはお気持ちはわかります。わかりますが、それは四十四年度の予算を編成するにあたって必要な事項なわけですね。確かに十月までにきめればいいじゃないかという話にはなるかもしれませんが、総理大臣もこの間言っておられたように、苗しろの段階で方向をきめたいと、こういうことを言っておるわけですね。これはそのとおりだと思うのです。そうするとあまりにも準備不足のまま、これは構想が固まっていないにかかわらず、国会の場にばっと出してきたという、そういう印象きり受けないのですが、これは総理大臣といたしましてどうお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 村田君から、どうも準備できてないじゃないかというおしかり、いま私が聞いておりましてそのとおりに思います。ただいま事務当局を激励して、できるだけ早くそれの結論を出すようにいたしたいと、せっかくいま努力中でございますから、御了承いただきたいと思います。
○村田秀三君 総理がそこまで言っておるわけですから、その辺でとどめたいと思いますが、やはり先ほど来政令の内容を聞いてみますと、どうも私自身ふに落ちない点がありますから、なお続けたいと思います。 集荷業者に委託をして、そうして集荷業者に売っていただく、値段は概算払いで精算払いをあとでするのだ、こういうことなんですね。それにしても、価格というのはどこかできまらねばならないわけでしょう。東京の価格もあれば仙台の価格も、場合によったら自由相対の値段でありますから変わるかもしれない。そういうことも予想すると、全国的な相場というものが形成されなければならないのではないかと思うのです。高くなるのか安くなるのかわからないのに、とにかく生産者は米をつくって農協に預けるという話では、これは農業政策としてはまことにお粗末な話です。どうなんですか。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 政令の整備等はただいま事務当局で鋭意検討を進めておるところでございます。価格の形成につきましては、先ほど申し上げましたように、集荷業者の団体を通じて実際の販売はするということに考えております。また、買い受ける側もそれぞれはっきりした卸売り業者及び実需者でございますので、卸売り業者の団体、それから集荷業者の団体、それから実需者の団体等において一応の価格の折衝は行なわれる。地域的な若干の価格の手直しのようなことはございましょうが、全体的な価格の折衝は事前にそういう団体間で協議をさせるというようなことを考えておりますし、また、事実そういう動きを示しております。
○川村清一君 関連。関連してお尋ねしますが、ただいままでの御説明によって、集荷団体、いわゆる生産者の団体、それに委託をし、それから販売業者の団体、これとの間でひとつ話し合って価格を形成する。その段階まではわかりました。しかし、その販売団体から卸売り業者、卸売りから小売り、小売りから消費者、こう流れていく過程において価格を歯どめする何かがあるわけですか。これは何もないわけですか。
○政府委員(檜垣徳太郎君) まず、生産段階におきます自主流通米の価格のよるべき基準というのは、たとえば加工原料用米にいたしますと、一部はどうしても政府が必要に応じ売り渡しをせざるを得ない場合がございますから、したがって、酒米であれば酒米の売り渡し価格というのは政府において決定をいたしております。そういうことであり、また他の米につきましても政府買い入れ価格というものがございますから、それが一応といいますか、取引の足がかりになることは私はもうはっきりしておるというふうに思うのでございますが、各段階における価格について特別の規制をするつもりはございませんから、したがって、お話しのように歯どめとしての行政手段を持たないのではないかという点は、私は御指摘のとおりだと思うのです。しかし、先ほど農林大臣も申し上げましたように、末端の消費者価格の段階では、政府売り渡しにかかる配給米について物統令の適用を存置をいたしまして、家計の安定をはかる趣旨から価格をはっきりきめるということでございますし、またそれは、需要がある限り、政府としては不自由なく供給できる余力を持っておるわけでございますから、したがって、末端の消費者価格が、自主流通米といえども現在の需給事情のもとで暴騰するというようなことは私はあり得ない。したがって、それを前提にします中間段階の価格の形成は、私は自由に放任して何ら心配はないというふうに考えておるのでございます。
○村田秀三君 昨年の米価審議会で建議された事項、これは需給を反映する価格が形成されるようにマーケット・システムを採用しなさい、こういう意味のこれがある。これに対してはどうお考えでありますか。これは農林大臣。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 昨年の米価審議会で、米価の形成については、流通について自由の方式を取り入れて市場機能の導入をはかる必要があるというような趣旨の建議がございましたことは御指摘のとおりでございます。で、私ども、その際にも政府の考えは申し上げたのでございますが、市場機能というものが需給の関係からする価格形成機能ということであれば、これは政府としても検討の余地のあることでありますけれども、いわゆる取引市場、そういう正米市場、そういうようなものを考えろということであれば、政府としては、現段階でそういうことの必要性、またそういうことの利点というものは考えられないということで否定的な見解を示しておるのでございます。
○村田秀三君 そうしますと、米穀取引所というようなものの設置は考えておらない、こういうことでありますね。
○国務大臣(長谷川四郎君) そのとおりでございます。
○村田秀三君 どうもいろいろな答弁をいただきましても、私自身まだなかなか了解するわけにはまいりません。したがいまして、先ほど総理も御答弁なさいましたように、すみやかに政令、すべての構想、これを立てまして、出されるようにお願いをしたいと思います。 それから、古米といえば古米問題でありますが、政府米と自主米の区別をつけて、これは消費者に選択をしていただかなければならないわけでありますが、具体的にどういう措置をなされる予定ですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 自主流通米につきましては生産年及び生産県名、銘柄、これらをはっきり明示いたしまして小袋詰めにして自主流通米を各配給店に陳列をさせる考え方でございます。したがって、その中からどこの米を選ぶというのは初めてそこで消費者の選択による、こういうことでございます。
○村田秀三君 業者を疑うわけじゃございませんが、その袋詰めは業者におまかせになるわけでしょう、おそらく。だとすれば、政府管理米を袋に入れられても実際はわからないということが起きてくるのじゃないかと思うのですが、それにどうやって対処しますか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 卸の段階においてそのような措置をとるつもりでございます。しかし、そのような疑念のないこともないと思いますので、これらは十分な監督をする考え方でございます。
○村田秀三君 それでは、次の問題に移ります。 生産者米価の決定方法でございます。先ほどは、自主米につきましては、これは米審の議を経なくてもよろしいということになったわけでありますが、米審は従来どおり、もちろん生産者米価の決定方法、これは政府管理米ですね、管理米の決定方法は従来と変わりないと思いますが、特に生産費所得補償方式というものが今後どう考えられていくのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) 従来と変わってはおりません。やはり、同じく生産費所得補償方式を基礎に置きまして、従来どおりの方法で価格の決定をする考え方でございます。しかしながら、限界反収というもののとり方をどこにとるかという点については、昨年と同様だとは言えないだろうと考えます。
○村田秀三君 生産費所得補償方式はそのまま踏襲する、こういうことでございまして、限界反収方式か平均反収方式かによりまして相当の価格差が出るわけですね。だから、それを検討して、昨年は〇・一、これは引き上げたわけでございますが、さらにまた〇・一、次に〇・二という形になると、実質的には、数字的にはともかくとしても、実質内容的にはこれは所得が補償されないという結果になるわけですが、その辺のところはどうお考えになりますか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 平均反収、これも当然加わらなければなりません。限界反収もどこに置くか、あとこまかい点については、長官からお答えいたします。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 事務的なお答えになることをお許しいただきたいと思いますが、生産費所得補償方式ということは、もう村田先生に申し上げる必要もないと思いますけれども、価格決定に際して投入された物財費、雇用労賃、その他の費用は価格で回収をするという考え方であり、所得補償方式というのは、投入されました家族労賃について他産業従事者の賃金と均衡させる価格で評価するということが、私は生産費所得補償方式というものの本体であると理解をいたしております。で、現実の米価算定の場合には、十アール当たりのそれらの評価がえ生産費というものを十アール当たりの生産量で割って百五十キロ当たりの米価を求めるというやり方をやっておりますから、したがいまして、限界反収、あるいは除すべき反収をどうとるかということで米価の絶対値に変動が出てくるということは農林大臣のおっしゃったとおりでございます。その際、所得補償という考え方につきまして、私どもとしては、およそ所得の補償をするという限り、平均反収以下の反収で割るということは私はもはや所得補償の範囲から逸脱することになるであろうということでありますけれども、通常の観念からいえば、平均反収までの間における反収のとり方で算定いたしましたものは、所得補償の観念を堅持をしておるという言い方をして少なくとも差しつかえないのではないかというふうに思っております。
○村田秀三君 経企庁長官、通告していませんでしたが、一問だけお願いしたいんですが、ことしは物価の上昇率五%をこえるであろうといわれております。これも計画に載っておる、見通しの中に。生産者米価を据え置くとはいいながら、当然、生産費所得補償方式の考え方からすれば引き上げなければならない状態も出てくるのではないかと思います。いかがお考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 私のほうでは生産者米価は据え置くものであるということで消費者物価の指数を出したわけです。
○村田秀三君 農林大臣どう考えますか。
○国務大臣(長谷川四郎君) お説のように、本年も賃金、物価、やはりある程度の値上がりは想像をできるわけであります。しかしながら、現在の米の需給状態、これらを勘案してみなければなりませんし、また、米価算定の基準としてどのような点をとるかというところにも、先ほど申し上げたようなこともございますので、いずれにいたしましても、これらの問題を基礎といたしまして米価審議会にはかりまして、そしてその結果を待ってわれわれは決定をいたさなければならぬ。しかしながら、政府としては、いまほど申し上げたとおり、本年度は米価の据え置きを方針としては決定をしておる、こういうわけでございます。
○村田秀三君 重ねてお伺いいたしますが、私の意見も若干入りますが、とにかく五%物価は上昇をするから、それを米価に見よう、そして、平均反収方式を、まあ限界をどこに置くかは別にいたしましても、これを引き上げるとするならば、これは数字的には物価に対応する生産費補償米価ができたという理屈も出てくる、私はそういう扱い方をするのではないかというような疑いを持っておるわけでありますが、そういうことは実際ありませんか。実質的に農家の所得というものを考え、生産費を補償していくという考えに立つかどうか、農林大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) 私のほうは無理にそれに合わせようという考え方ではなく、限界反収というものをどこに置くかと、こういうことを基礎に置いて価格の決定をはかってもらいたいと、このように思います。
○村田秀三君 それでは問題点を変えます。 今回の米管理方式の変更、これはまあ重大な事柄でございますが、これが食管法違反でないという論拠、いままで国会におきましては総理大臣も違反はしてないと、こういう言い方をしておりますが、その論拠をお聞かせをいただきたい。
○政府委員(檜垣徳太郎君) 今回の食管制度の運用の改善ということが食管法違反にならないかというお尋ねございますが、食管法違反ということは、具体的には食糧管理法三条違反ではないかということがまず考えられるのでございますが、これは他の委員会等でも私ども繰り返し御説明を申し上げてきたのでございますが、三条の規定は、国民食糧の確保、国民経済の安定をはかるために食糧を管理し、需給の調整をはかるということのため、必要な米について生産者から政府が直接強制的に買い上げることができるという授権の規定でございます。したがって、三条自身から、全量を政府が買うべき義務を課せられておるという意味は解釈できないのでございます。でございますので、第一条の目的達成上必要な米について政府が直接買い上げをし、需給の調整に当たるという任務をはたしております限り、現在のような需給事情のもとで自主流通を認めるということは三条違反とはならないということが政府の統一した見解でございます。
○村田秀三君 この法律のつくり方、非常に巧妙にできておるわけでございますが、よく見ないとほんとうにこれはわからない。で、私らの観点からすれば、いまの解釈をかりに認めたとしても、いわゆる生産者の所得を補償し、再生産を確保する、そしてしかも国民には家計安定できる安い米を食べさせる、この三条と四条がやはり法律の目的でもあり趣旨でもある。したがって、政府が食糧を確保すべき手続をその下に置いたものと理解しておるわけでありますが、この考え方は間違いですか。総理大臣はこの前、中村波男委員の質問に答えて、食管法の問題でお答えをいただいているわけでありますが、さらにいただくならばけっこうでございます。
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいま長官からもお答えがございましたように、消費者に対し必要な一定量の米の配給は確保できる、したがってまた政府売り渡し価格は食管法第四条第二項の規定に基づいて消費者の家計の安定を旨として定めるということはこれを継続する、こういうような点、それから再生産も確保できる、こういう観点からいってただいま長官が申し上げたように違反ではない、こういう見解をとっておるわけでございます。
○村田秀三君 まあその言い方は理解できないわけでもありません。しかし、私が申し上げておるのは、これは政府としての確保をするための手続、しかし、その責任を負荷されたという農民からするならば、これは生産費を補償していただかなければならない、また確保をするために補償しましょうという、これは相対的なものであろうと思います。したがっていま政府が解釈をしておる解釈と、それから生産費所得補償をしなさいという、それを優先させる解釈というのは相対的なものである。したがって、手続がどうであるかというそれ自体は問題ないにせよ、結果的に生産費を補償できないような価格に変動したり、あるいは家計を破壊するような破壊米価になったときには、これは明らかに食管法違反でないかという理解が出てくるのではないか。私は法律の専門家ではありませんけれども、そう理解をするんですが、その考え方は妥当だと思いますか。これは農林大臣どうですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) お説のように、再生産は確保するという考え方を持って今回の米審にも臨む考え方でございます。一応お話のように、すでに食糧管理法をつくるときに、考え方というものは、いかに消費者に少ないものを平均に分け合うか、こういうこと、その要求をいかに満たしてあげようか、こういうのが根本の考え方の上に立って食糧管理法はでき、その目的のため、まず生産というものが考えられなきゃならない。したがって、その生産をいかにして高めていくかということは、われわれが今日までお互いさまやってきたとおりでございまして、そうでありまするから、農家に、生産者にに対する保護政策というものもさらに一そう加えてきて、今日のように需給のバランスがくずれてきたということにもなるのだと考えられます。したがって、きょう今日、もう米が余ったからこれが要らないんだ、もう買わないんだと、こういうのではないんでありまして、自主流通米というものがつくられても、生産者が全部政府に買えと言えば、私のほうは全量買い入れをいたします、こういうことをはっきりと申し上げておるわけであります。
○村田秀三君 これはいかように論議しても一致点は出ないと思います。しかしながら、要望しておきたいことは、いわゆる私どもが主張する生産者は生産費を補償され、所得も補償され、国民は安い価格で米を食することができるような、その体制だけはどうしても維持しなくてはならない、こういう考えを持っておるわけであります。 そこで、まあ食管の根幹を維持しつつということでありますが、私どもの話の中では、将来、政府が食管法をなしくずしにしていくのではないか。実際今日の場合なんかも、これは考えてみると、形骸化されたものであろうと思いますが、いずれにいたしましても将来を展望してこの食管法は必要ないんだと、このようにお考えになって廃止をする方向をたどろうとしているのかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) 食管法を廃止するなどという考え方は絶対持っておりません。したがって、先ほど申し上げたように、しかし、その苦しい中に立っても、いかにして米の処分というものをするかといいましょうか、需給を満たして、さらにその剰余分というものを他国へまで輸出をして、そして解決をつけているかというような点にまで苦慮している点はそこにあると考えられるのであります。
○村田秀三君 そうしますと、今回確かにだれが見ても需給は緩和をした、生産が少し多過ぎるんじゃないか、これは生産日数、耕地面積の拡大、これもありましょうが、天候によるものもある。そうすると、ことしは多かったが、ここ二、三年先には足りなくなる場合もあるのではないかというようなことも予想されるわけでありますから、いわゆる今回の措置は、自主米を流通させるというところの措置は、先般、食糧庁長官の答弁によりますと、十年くらいは続くだろうと、これもまたいいかげんな話じゃないかと私は思うんでありますが、暫定的な措置として理解してよろしいかどうか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 御承知のように、「長期展望」というのを私も拝見いたしました。その統計からまいりますと、昭和五十二年までの統計がでておりまして、なるほど統計からいくとそういうようなことになるというように私も考えます。しかし、お説のように、なかなか統計どおりにもいかない点もございます。一昨年、昨年、本年というような、米が非常に恵まれた豊作の年もございますが、また不作の年もあるだろうとは考えますけれども、いま目先の当分の間というものは、やはり需給緩和ということからどうも不足に変わるということはちょっと考えられないのではないか、こういうふうに考えます。したがって、今回限りかということでございますが、なるべく需給のバランスをとるように、それにはまず、御承知でもございましょうが、一万ヘクタールの植えつけという点については、なるべくお互い協力してもらいたいという点、新規開田のほうの抑制を、こういうような点に配慮をいたしておりますから、そういう結果になって、もしそういうことができた場合は、当然責任を持った政府の管理米というものに重点が置かれていくということは当然だろうと考えます。
○村田秀三君 再度申しわけありませんが、とにかく予想して、食糧が不足する場合も想定されるわけですね。そういう場合もあるから、食管法というものは置いて需給のバランスがとれるまでの問、この自主流通米というものを認め、一面的に見ると、これは三分の二食管、あるいは二分の一食管という感じでありますから、そういう措置をとるのかどうかということを聞いておるのです。
○国務大臣(長谷川四郎君) 私たちの考え方は、食管法というものは、何としても置くべきであるという原則に立っております。したがって、たとえば自主流通米という制度を今度行なうようにいたしましても、ただ単に行なうということばかりではなくて、現在の食管法からいきまして、消費者が好む、その嗜好に選ばれるような、たとえばはっきり言うならば、おいしい米を強制するということができ得ない。それではそのまま野放しにしておいて、生産だけをどんどんつくっていっていいか、こうなったときにはどうだろう、世論がこれを許すだろうか、世論の前にわれわれは立ち向かうわけにはまいらぬ。であるから、これは少なくともある程度の自粛をしてもらうというようなことと、したがって、新規開田を抑制することと、さらに消費者がいま喜ぶ、求めている、そのうまい米をつくってもらう。そういうのが一つの自主流通米の大眼目であるとも私は言えるだろうと思うのでございます。そういう点を十分考慮に入れて今日自主流通米という制度をつくったわけでございます。
○村田秀三君 いろいろとまだ問題がありますから、前に進みたいと思いますが、その前に、今年度予算の編成方針は、昨年度に引き続いて総合予算主義をとるということが原則としてうたわれております。大蔵大臣にお願いしたいと思いますが、ところが、国会審議の過程で、当初の計画が幾らか変更された問題があるわけです。というのは、また生産者が全量政府に買ってもらいたいと思えばこれは買える、この前は幾ら買い入れ量をふやしたとしても、予備費あるいは補正予算を組む場合もある。こういうような御答弁を聞いたように記憶するのです。これは総合予算主義というものの原則はもうすでにくずれている。昨年の状態とはまた違います。昨年の予算審議の段階とまた違います。と同時に、この自由米構想も、先ほど来若干の論議の中でも明らかになったように、まさに準備不十分、これは総理もお認めになったところ、同時にまた小さな問題であるにせよ、物統令の問題で、今日の時点で最終的な結論を出さざるを得ないというような状態、いろいろ考えてみますと、政府が考えている考え、わからぬわけではないけれども、しかしながら、ことしやることはまだ早い、どうしても準備ができておらぬということでありまして、この食管問題に関しては、とにかく生産者が政府に売りたいというものはどんどん買い入れるというのでありますから、従来と全く同じ扱い方をしても、予算上の影響はないように見受けられる。したがって、この一年間学者や文化人や専門家を含めながら、いわゆるその構想というものを慎重に検討し考究をして、国民の理解の上に立って実施をするというようなお考えがあるかないか、これは農林大臣あるいは大蔵大臣、それから総理にもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) まさにお説のとおり不十分であったということは私も認めます。そのとおりだったと思います。しかし、この自主流通米というのは、先ほど申し上げたような目的が一つある。ですから、どうしても本年から、これは不十分であった点は十分これを補いまして、そうしてどうしてもやっていかなければならぬ、それによって初めて消費者が喜ぶ米もできるであろうし、全体の上に立った、日本国内の全体の上に立った生産というものの対応というものがはっきりした面もあらわれてくるだろう。そうしてその上に立った新たなる構想を考えるべきである。いずれにしても、本年は自主流通米だけはやっていかなければ、やって、その制度を実行していきた い、このように考えております。
○村田秀三君 大蔵大臣、総理大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま農林大臣からも申し上げたとおりでありまして、これはぜひやっていきたいと、大蔵省でもそのように考えております。準備が未熟だという話でありますが、これは秋から実施されるものでございまして、まだ半年ぐらいありますから、十分準備を整えまして、遺憾なきを期したい、かように考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府の考え方として私からもお答え申します。 大蔵大臣並びに農林大臣からただいま答えたように、この制度はどうしてもことしからやらして いただきたいというように思います。したがいまして、一そう準備等もし、促進して、そうしてできるだけ早目に問題を解決するようにいたしたいというふうに思います。
○村田秀三君 それでは次に進みます。 総合農政について今回新しく、昨年の夏ころからでありますか、総合農政ということばが出てまいりました。その総合農政について、あらためてその内容を農林大臣からお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) 総合農政ということばは、別に新しいことばだとも考えてはおらないのでございますけれども、かつて、いままでずっと総合農政を推進してまいったのでございますけれども、一番大切なお米というものが不足をしておる、こういう点について、いかに生産を高めようか、こういうところについ重点が置かれたために、先ほども申し上げたとおり、われわれは懸命にこれを何とかしてこの生産を高めていきたい、ういうことにお互いさま努力をした結果が、今のような需給緩和の状態になってきたんだと思うのであります。したがって、これに対しまして、今度は高いところと低いところができた。たとえば畜産の面、果実の面あるいはまた野菜でも、蔬菜という面にもその高いところがございますので、それをいかに今度は低いところを平均化していこうか、こういうことがすなわち総合農政の考え方でございます。でございますので、これらは、今度はいままでと違った、長期的なやはり展望に立ってものを考えなければならぬだろう、こういうように考えております。 しかし何といっても、今後の問題を解決していくには、まあ適地適産と申しますけれども、生産性の向上というものをまず主眼に置いて生産対策を講ずるようにしていきたい。したがって、生産対策の進展に見合ったつまり流通を行なわなければならない。いままでは価格の面にのみとらわれておったという面もありますけれども、今度は生産流通、そういうような面に十分に配慮して、そしてその拡充強化をしていく、それによって主産地というものを形成し、推進していくことができるのじゃないだろうか、このような考え方をもって総合農政を推進する考え方でございます。
○村田秀三君 ただいまいろいろ聞きましたが、委員会における大臣所信表明の中で、非常に端的にこれはいいことが書かれておるわけです。それをちょっと読んでみますと時間が足りなくなるわけでありますが、農政は、国民に対しその必要とする食糧を安定的に供給するとともに、農業従事者の所得と生活水準の向上をはかることを目的としながら——いわゆる、まあいまおっしゃったようなことに触れられておる。そこで私考えますのは、総需要に対して総供給、しかも供給するについてはまあ価格が安定できるように、総生産が確保できるように、そのために流通であるとか、あるいは生産構造というものを変えていくというのが総合農政の真のねらいだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) お説のとおり考えて総合農政を推進していきたいと考えております。
○村田秀三君 それでは論点を変えまして、むしろこれは前段にやるべき事柄であったかもしれませんが、何かしら、今回打ち出された総合農政の中では、農林省は稲作を転換することが総合農政の主柱のような感じ、これはだれでも持っておりますよ、農家の方々は。そこで一番の問題点である稲作転換問題についてお伺いをしてみたいわけですが、この稲作転換をする計画、具体的にそれをどう進めるのかということについての構想をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(長谷川四郎君) 先ほど申し上げましたとおり、最近の米の需給事情及び今後の見通しからいたしますと、米の生産調整をはかる必要があると、これは当然な考え方だと思うのであります。このため、来年度からの稲の自主的な作付転換をして実施していきたい。こういうふうに考えて、稲の自主的作付転換については、四十四年度においてとりあえず一万ヘクタールについて実施することとして、十アール当たり二万円の転換奨励金を交付する、こういうことを決定したわけでございます。したがって転換先作物の生産に必要な機械、施設導入等については、特別にさらに助成を行なっていく考え方でございます。また、転換先作物として今後の需給見通しから見て生産を増強する必要のある飼料作物、園芸作物等が適当であると考えておりますけれども、稲作の条件、これらの作物の栽培条件等、地域の実情をやっぱり十分に考慮して、適地作を進める方針、方向で指導をしてまいりたい。また作物転換には、なかなかむずかしい問題でございます、農民はじめ関係者の理解等、納得を求めながら、無理のない形においてこれを進めていかなければならぬ、こういうようなまた配慮もしておるのでございまして、さらに転換対策の実施にきつましては、他の作物への転作を容易にし、かつ再び稲作に戻ることをできるだけ避けるとともに、転作の事実の確認を容易にするために、個々ばらばらでなく、集団的に転作を進めることといたしまして、原則としては、一定の面積の規模でまとまった事業を実施するものについてのみ奨励金を交付をしていきたい、こういうような考え方でございます。
○村田秀三君 二つ聞きますが、適地適作、地域的な配分があろうと思いますが、そういうことまで、いまできておるかどうかということが一つ。 それからいろいろ話を聞いてみますと、無理をしないで理解をさせながらこれは転作を指導するということでありますから、誘導措置であるというふうに理解していいですか。一万ヘクタールことしは計画を持ったけれども、結果的には五千ヘクタールくらいしかなかったということもあり得る。一万ヘクタールこなすのか、こなさないのか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 農林省といたしましては、ぜひ一万ヘクタールはただいま申し上げたような協力の上に実施をしていきたい、このように考えております。また、適地適作でございますけれども、やはり何といってもこれらは主産地主義というものをあわせ考えなければならないときだろう。たとえば、お米がいいといえば、北海道から九州まで同じものをやる。ミカンがいいといえば、さらにミカンをつくる。このごろの農業技術の向上に伴って、また農薬等も発達するでしょうけれども、すべての技術が非常に向上してまいりまして、どこでもどんなものでもできるという面もあらわれてきますので、そこで主産地主義というようなものをぜひ行なうような指導をしていきたい。しかしながら、それをいま実施しようと考えても、簡単にできるものではなく。たとえば、米というものに対しましては、現在の日本の農民がいかに定着をしているかという現実の上に立って、なかなか困難だと思うのでございますけれども、その主産地主義を行なうのには、ただ農林省が考えたとか、あるいは生産団体とか、そういうものでなくて、私たちがいまこのごろの話し合いをいろいろ省内でしているのには、農林省はもとよりであるけれども、全国の生産者の方々の御意見も聞かなければならぬし、また農業問題というものは、与党だからといって、与党の考え方だけで進むべき問題ではない。与党、野党を問わず、将来の日本の農業というものをいかにするかという点については、お互いに十分な御意見を伺うべきであるということを、先日も私申し上げたわけでございまして、これらに対しましては、ぜひそのような方針をとっていかないと、いつでも生産過剰というようなものは必ず出てくる。そればかりではなく、きょう今日、自由貿易といいましょうか、そういうような貿易が各国から非常に強くしいられておる今日でございますので、それらにも対応しなければなりませんので、国内の需給のバランスをとりながら、また対外的にこれを受けて立っていくというような基盤もつくっていかなければならない問題でございますので、われわれはそのような方向に向かって今後の農政を進めていきたいと考えております。
○村田秀三君 大臣の気持ちはわかるのですが、私は具体的にどうなっていくかという展望を知りたいわけなんですがね。というのは、長期見通しを見ますると、これは日本の水田耕作面積は二百七十七万ヘクタールに減るという展望を持っているわけですね、実際は。そうしますと、三十五万町歩減らさないと需給のバランスがとれないという計算をしているわけなんですから、一年で一万ヘクタールずつ減らして、これは何年間続くのか、また転作させることのできる自信がおありなのかどうか。だから、一緒に検討してもいいんです。もちろんそういうつもりでやっていますが、うまくやるのにはどうするかということをひとつ一緒にやろうじゃありませんか。そういう意味でひとつ御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) これは農林省で大体このようにいきたいという考え方があるので、一応申し上げてみますが、長期見通しにおいては、農業生産は年率二・七%程度増加しておる、米は完全自給ができる、また需要の強い畜産物、野菜、果実等はできるだけ国内自給に近づけるような見通しが立てられておる。しかしながら、たとえばこの面の解決をつけようといたしましても、また反面どうしても輸入にまたなければならないものも出てくるわけでございます。たとえば、トウモロコシだとか、マイロだとか、こういう濃厚飼料の点については、国内の生産ではたして可能であるかどうかという点も十分考慮に入れなければならない問題だと考えられるのでございます。また、小麦、大豆等についても、需要が非常に強いけれども、わが国においては増産することがなかなか困難な態勢にもある。しかしながら、といって、これらはそのままほうっておくわけにはまいらない、ある程度これらのものに対しても生産というものを高めてもらわなければならないものがあるわけでございます。こういう上に立っての、先ほどの主産地域というものを中心に生産性の向上をはかるようにしていきたいんだ、こういうふうなのが私たちの現在の考え方でございます。
○羽生三七君 関連。委員長、ちょっとお許しいただきたいんですが、私の関連質問はいつも短いんですけれども、ちょっといつもより長くなりますから。実は、いまの総合農政の問題で、池田総理が初めて所得倍増計画を出されたときに、農家の所得はどうして倍増できますかという質問をいたしましたら、俸給生活者は物価の上昇がなければ五万の給料が十万になれば所得倍増になります。商人は売り上げの利益が同じならば百万円の売り上げが二百万円になれば所得倍増になる。じゃあ農家はどうして所得倍増できるかと言いましたら、池田総理はお答えがなかった。私は三つ例をあげました。その例は、一つはいま問題になっておることですが、価格の引き上げがまず一つと、価格が倍になれば所得が倍増になる。もう一つは反収、収穫量が倍になれば所得が倍増になる。もう一つは、耕作面積が倍になれば倍増になる。それはいずれもいま直ちに不可能ですね。当時一万五千円の米価、これが三万円になることはないし、一反歩八俵の米が急に十六俵になることもないし、一町歩平均の耕地面積が急に二町歩になることもないし、どうして農家の所得は倍になりますかと言ったら、池田総理はその三つを適当に組み合わせれば多少何とかなるんではないかというお答えだったわけです。そこで、それに関連して、いま食管法という立場で社会党の議員の方々がみな質問しております。当面、農民はそれ以外に自分の生活を守る方法はない。他産業はどんどん技術革新やあるいは工場の設備の増大で所得を伸ばすという場合に、一体それでは農家はどうして他産業と均衡のとれる所得を維持するかというと、米価の値上げが押えられた場合にはあとどうするか。そうすると、結局反収を上げるか、そうでなければ生産規模をふやさにゃならぬ。経営規模を拡大せにゃならぬ。そこでおそらく農地法の一部改正案というものが出てきたと思う。だが、これはまた非常な大きな問題をはらんでいます。それは、きょう時間がないからその内容については触れません。 そこで、これはぜひ総理にお伺いしておきたいことが一つあるんです。というのは、これはいよいよ農業の、われわれから考えれば新しい農業政策をやる場合においても、先ほどから作付転換のことがありましたが、それじゃ米を他の作物に転換して、それが米作と同じような所得が保証できる、所得を確保できる保証があるかというと、その保証はない。私は、実はこれば十年も前から、当参議院予算委員会の分科会で、歴代の農林大臣にこういうことを言っております。米ならば、人口の増加量と見合い、嗜好——好みですね、これを勘案をして、数年後——十年は長過ぎるし、五年では短いから、その中間ぐらいをとって、どれだけの作付面積があれば需給が確保できるか、野菜ならどれだけ、あるいはくだものならどれだけ、作付面積を指示しなさい、しかし誤差が生じた場合には政府がこれを補償しなさいと、具体的に私はずっと十年前にやっているんです。ちょっともそのことについて何らの検討もしておらない。 さて、そういうことで、実際問題として今度米価が押えられるわけです。それじゃどうして農家が他の産業と均衡のとれる所得を維持するか、そういう問題がある。ところがですね、平均一町歩足らずのものでは、どんなに生産を上げても、生産性の限界があるんです。生産性は上がりますよ、しかし限界があります。では農家というものは一体将来どうなるのか、そういう問題があって、いかにも食管を、こんな米が余るのに社会党が食管制のことだけにこだわっているのはいかにもおかしいようにお考えになるけれども、そういう将来の展望を考えると、問題が非常に重大だと思う。 そこで、これがお尋ねの一点なんですが、いまのような趨勢では、おそらく兼業農家は半永久的に続くんじゃないか。つまり、経営規模の拡大ということが言うべくしてなかなか行なわれない、兼業農家というものは半永久的に続くのじゃないか。二、三反歩あるいは四、五反歩というような、こういう零細な兼業農家が半永久的に続くのじゃないか。そうして経営規模の拡大を基礎にしていま政府はいろいろ批判されている。ところが、趨勢はそうではない。農業人口は減っても、農家人口はさらに減らないというのはそこにある。それは地価との関係もある。もし兼業農家が半永久的に続くとするならば、それに見合った政策がこれから続かなければならぬ。またしばらく続くわけです。しかし、一体政府はそういうことを今後のしばらくの趨勢としてやむを得ないものとして認めるのか、あるいはやはり経営規模の拡大ということに重点を置くのか。じゃその場合に、経営規模は実際拡大できない。しかも、他の農産物に転換した場合にその場合の所得の保障というものはあるのかどうか。こういうふうに考えてくると、いかに総合農政と簡単に言われても、問題の本質がどれほどむずかしいものであるかということが御了解いただけると思う。意見を述べろと言えば、私は幾らでも意見を持っておりますが、関連質問ですからこれでやめますけれども、そんなに作文の上ではちょっと書いて、いま農林大臣がそんなことで説明されたような、そんな安易なことで片づく農政問題ではない。これは日本の経済の将来に関連する非常に重大な問題であるという問題提起をして、どれほど政府が真剣に考えておるかを総理大臣からひとつ聞かしていただきたいと思う。
○国務大臣(長谷川四郎君) 兼業農家の件も、なかなか現在のような日本の農業の実態の上に立って、兼業農家がなお一そう少なくなっていくということは考えられません、なかなか。したがって、そこで共同の機械購入というようなことも考えております。さらにまた協業化というような点もいろいろ考えておるのでございますけれども、ただいまお話しのように、先ほど申し上げたように、現在の農業と農政というものが、このままでいいか悪いか、こういう点については御指摘のとおりだと思うので、したがって、主産地主義というようなものを発揮するとすれば、農政が上から取り上げるといたしましても、まだ、農林省だけの考え方でこちらへ持ってきてそうして御批判を賜わりたいというようなことではなくて、要は、農林省と農民とが一体となり、さらに与党、野党を問わず一体となった姿によって今後の日本の農政というものはどうあるべきかというその姿というものを確立すべきである、こういうふうに先ほども御答弁申し上げたわけでございますけれども、それが、羽生さんがおっしゃるとおり、これらは簡単な問題ではございません。ほんとうに農業というものが、私もわずかの間ではございますけれども、手を入れてみて、簡単な、すぐに片ずくわけではございませんので、慎重にそれらの問題、御意見等を十分に聞き入れ尊重しながら今後に処していかなければならないと考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま農林大臣がお答えしたことでもういいかと思います。いま言われるように、羽生君は簡単にわずかな時間でいま困っておる農政の中心になるものに触れられた御意見でございまして、これは確かにたいへんな問題でございます。したがいまして、そう簡単に急いで結論もなかなか出てこないが、同時にまた、これについての説明も簡単にはできないと思います。とにかく重大な問題であるということをわれわれが認識しておる、それには間違いはないわけでございますので、いましばらく質疑を続けていただきたいと思います。
○村田秀三君 いま羽生委員から関連質問がありましたが、私もそれに類することを実は考えておるわけでございます。そこで、この転作を慫慂する場合なかなか困難であるということをこれは農林大臣言っておりますね。だから、うまい方法は何かというと、これは羽生委員がいま言われた、部分的なことではあるけれども、米をつくっておるよりも指定される作物に転換したほうが利益があるのだという状態をつくらない限り、これはそう簡単に、それじゃ私転換しますという話にはならないと思うのです。二万円、これは一般の人から見れば多いと思うかもしれないけれども、農家の人たちの目から見れば、人をばかにするなというほどの私は意味を持っているのじゃないかと思いますね、これは。だとすると、実際にそのようにするためにはどういう施策が必要なんだということをひとつ農林大臣からお伺いいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) いろいろな施策が出ておりまして、たとえば、現在、転換についてはどの程度の規模で行なうとか、転換先の作物に何を選ぶとか、あるいはまた、稲作中心の農業の現状から見て移行が可能かどうかというような点とか、あるいは、転換は強制するのかどうかとか、また、今後はどういうふうに対策するのだといういろいろな御意見が今日まで調べてみると出ております。したがって、ただいまとりあえず、いま申し上げたように、一万ヘクタールの点については申し上げたような措置をとりまして、そして、これも強制的ではございませんので、ぜひ現実を見て、そして生産者も御協力を願いたいと、こういうことで、まず転換を一万ヘクタールをお願いをしたわけでございます。しかし、これとても強制するわけではございませんから、それが可能かどうかと言われますと、まあ不可能だとも——私のほうは不可能でございますと初めから言うわけにはまいりませんし、可能だと私のほうは申し上げますけれども、そういう上に立って今後の一万ヘクタールに対する転換はしていきたい。しかし、転換をいたしましても、先ほど羽生さんのおっしゃるとおり、もう農民というのはことし一年限りじゃないんですから、一つのものを一回失敗し、ためしをやるのに一年間かかるのでございますから、これが一年で、転換したがそれもあとはだめだ、これでは血の通った農政ではないじゃないだろうか。したがって、完全にそれが、その転換作物というものが経営でき得るといいましょうか、先ほど、米との所得の関係からいっても、バランスのとれる程度まで見なければならぬというのには、二、三年はやはり見ながら指導をしていかなければその実効をあげるわけにはいかないだろう、こんなようにも考えておるのでございます。したがって、これらの問題につきましては、慎重に考えながら、農村に協力を願いまして、ただ協力を願うというだけではなくて、そのような方途を切り開きながらその実施に当たってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○村田秀三君 言っていることはわからぬわけでもないのですがね、これは日本の農業というのはいままでそれを繰り返してきているわけですよ。農家がよければ消費者が困る。消費者がいいときには農家の方が、生産者が困るということを繰り返してきているわけです。私は一昨年でしたか、去年でしたか、これは総理大臣に質問して簡単に一蹴されたわけですが、とにかく生産者もよくする、そのことが結果的には消費者もよくなることなのであって、両方よくするためには、常に需要と供給のバランスを確保しなくてはならないだろう、そのためには、事、農業に関しては計画性を取り入れなければならないのではないかという主張をしたことがあります。農林大臣はどうお考えですか。それだけがきまれば、あとどういう対策が出てくるかということは、大まかには出てくると思うのですが。
○国務大臣(長谷川四郎君) なかなかむずかしい問題で、全く私も農林省へ参りましてわずかの期間でございますけれども、そういうような点について何とか一つの消費、生産、これに対する計画性をということまでじゃなくても、主産地主義というようなものをとって、そして長期の見通しに立たなければならぬだろう、このまま置くということは、とても将来の農村、農民というものをどう考えるかということにお互いがなる。今日までお米をつくれつくれと言ったのは、与党ばかりではなく、与党野党問わずみな一緒に考えたことなんだと、しかし結果がこうなったと、結果がこうなった以上は政府の責任なんだから、政府はやはりそれを痛感して、そして今後の農政をいかにしていくかという点、それは先ほど申し上げたような構想は出ておりますけれども、私が申し上げただけでは決して何にもなりませんので、これらが実際に何といいますか、主産地主義といいましょうか、適地適作といいましょうか、こういうような点を重点に置いて、長期見通しの上に立った計画的な生産を行なわなければならないんだ。ぜひそういうような方向に向かって指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○村田秀三君 まあ、私はいま申し上げましたように考えているわけですが、これはなかなかここでは結論出ないと思いますから、前に進みます。 昨年の十一月に発表になりました需要と生産の長期見通しですね、先ほど一部御説明をいただきましたが、日本の農業生産物の需要と生産の展望、概略でけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) お答えいたします。 まず、需要の面でございますが、昭和三十年以来、経済成長につれて農産物の需要は非常に増加いたしましたけれども、今後の見通しといたしましても、ほぼ同様な傾向でございまして、四十一年度から五十二年度にかけまして、牛乳、乳製品では、一人当たりの消費が約一・九倍、肉類が二・二倍、卵が一・六倍、野菜が丁二倍、くだものが一・六倍に増加するものと見通されるわけでございます。他方米は、一人当たりの消費といたしましては、約一割程度減少するであろうと思われます。いずれにいたしましても、これに人口増が一割ほど加わるわけでございます。これに対しまして、五十二年の農業生産は、全体といたしましては、需要の強いものに生産の力が加わることになりまして、五十二年の農業生産は四十一年に比べまして約三割五分増加いたす見込みでございます。その年率の平均成長率は二・七%程度でございます。 おもな作物について申し上げますと、畜産物で約二・二倍、野菜が一・三倍、くだものが一・七倍ということでございます。米は、先ほども大臣からお話がございましたが、現状のまま推移いたしますと、昭和五十二年で約千八十万トン程度の供給過剰が見込まれますので、開田の抑制あるいは作付の転換ということが進められることが期待されますので、先ほどお話がございましたように、現在三百十七万ヘクタールの水稲面積が二百七十七万ヘクタール程度に減少して、需給がほぼ見合うということでございます。 以上の結果といたしまして、米は昭和五十二年におきまして完全自給、畜産場、くだもの、野菜等につきましては、完全自給とはまいりませんけれども、ほぼそれに近い形になるであろうということでございます。
○村田秀三君 で、この見通し、まあ表題を見ますとわかるわけでありますが、ちょっとお伺いしてみたいことは、単なる見通しなのか、あるいは政府の政策も加味しながら、想定され得る最大限のものをここに出したのかどうか、あるいは計画性も入っているのかどうか。それはなさそうでありますけれども、お伺いしたい。
○政府委員(大和田啓気君) この見通しの性格につきましては、政府が発表いたしましたものの最初にございますが、需要につきましてはおおむね、個々の農産物の性質あるいは特性を吟味いたしまして、過去の動向分析を基礎として将来の姿を予測するということで、おおむね単純見通しというふうに申し上げてよろしかろうと思います。しかし、生産につきましては、昭和三十七年に発表いたしました第一回の見通しでは単純見通しでございましたけれども、先ほど申し上げました米の生産の問題、あるいは需要の強い飼料作物、果樹、野菜等々の作付の問題等々を含めまして、単なる単純な見通しではございませんで、現在考えられている施策に加えて、開田の抑制あるいは稲作の転換ということを織り込んで、見通しを作成したわけでございます。しかし、いわゆる計画経済ではございませんから、生産計画と言うほど強いものではございませんが、また三十七年当時の見通しと違いまして、単純な見通しではなくて、ある程度まで意欲が含まれた見通しというふうに御了解いただきたいと思います。
○村田秀三君 わかりました。 そこでお伺いいたしますが、私がこれを見まして何とも了解のできないのは、これは畜産、それに関係する飼料です。確かに粗飼料の生産はここ二、三年力を入れているということは私も認める。しかし濃厚飼料の対策というものがどこにどうあらわれているのかと言うと、飼料作物、多少これあるわけですね。しかし見通しを見ますと、これは濃厚飼料の輸入はすばらしい状態でやってくるわけですね。特に小麦なんか含めますと、二千万トン近く輸入しなくてはならないという状態になる、十年後にですね。これは前に倉石農林大臣が、とってもそれほどの穀物を陸揚げする港もないほどである、これはたいへんなことであるということを言っておりましたが、まさに私もたいへんな事態になってきていると思わざるを得ない。いろいろと生産事情、経済事情あるにはせよ、たいへんな問題だろうと理解せざるを得ないわけでありまして、これに対してどのように対処しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) 畜産の生産基盤として必要不可欠な飼料基盤の拡充につきましては、ただいまお話がありましたように、草地の造成改良は、計画的にまた積極的にこれらは推進をしております。また既耕地における飼料作物の作付の増大の促進等もはかっておりますし、さらに草地改良事業及び飼料の増産対策等々も強力に実施をしていっている考え方でございます。ただいまお尋ねの、一方、トウモロコシ、コウリャン、これらの飼料用の穀物の国内生産については、国際的に見てその生産性の格差に基因するといいましょうか、こういうことで、顕著な価格差があります。また国内においても、他の作物に比して収益性が非常に低い、こういうような点、その国内増産をはかることはまたきわめて困難だというようにも現在考えております。しかしながら国土資源という、この有効利用の畜産経営の安定等をはかるという見地から見ますると、これら飼料穀物についても、適地における合理的な生産を進めることは当然でございますし、また効率的な飼料資源の開発につとめてまいりたい、このために、国の農業試験場等においても必要な試験研究を特に推進をしておるのでありまして、したがって、本年度におきましての予算にいたしましても、草地改良事業に五十七億七千六百万、飼料作物増産対策事業として五億二千二百万、稲作転換等を推進する事業のうちの飼料作物推進事業として七億六百万円、これらをいま御審議願っておるのでございますが、これとあわせまして、ただいま御質問のあったトウモロコシとかあるいはコウリャン、これらには全く膨大な輸入量があるということは見のがすことのできない事実でございまして、これらを何らかの方法で、国内でできるものだけはぜひ育てていかなければなりませんけれども、申し上げたように、価格という面ともう一面、その価格にも限界がございますので、どうしてもトウモロコシ、コーリャンというものは輸入にまたなければ、現在では何ともいたしかたのない実情にあるということも半面御了承願いたいと思うのでございます。
○村田秀三君 政府が努力していないなどというような言い方をしたのでは、これは申しわけないので、努力しているということは私も認めるわけですね。ところが特に小麦ですね、四十一年から——これは四十一年は予備費だったと思うが、四十二年から正式に予算がついて、いま六億五千万。ところが十年たつと二割減るのですよ、これはどういう関係なんですか。そしてふえるものはビール麦だけ。どうもこれは私は理解できないですね。こういういかにむずかしい条件があろうとも、金を使って生産が減退をするということはわからない、御説明願いたい。
○政府委員(大和田啓気君) ビール麦を除きまして、小麦、大麦、裸麦等々、最近は相当著しい減少傾向でございます。これは私ども麦作の収入が比較的低いことと、さらに冬季といいますか、冬におきましていろいろな労働の機関がふえまして、麦をつくるよりも外に出るほうが有利だという事情がございまして、むしろ所得の面で麦作がだんだんに農家から離れていくというふうに思います。先ほど農林大臣からもお話がございましたが、米、あるいはくだもの、野菜、畜産物等々は全力をあげて完全自給ないしそれに近い努力をいたすつもりでございますが、麦あるいは大豆等等、国際商品であって、しかも外国において大面積の圃場で生産費が極端に安い形でつくられているものにつきましては、それに対抗してわが国で増産をするということは事実問題としてなかなかむずかしいわけでございます。しかし、地方によりましては、適地適産で、麦作が今後も維持されるところが確かにあるわけでございますから、私どもも小麦その他相当な生産対策を現在もやっておりますし、今後もそれをさらに一段と強化いたしまして、主産地において麦作の生産の合理化にはつとめると、決して日本において麦作等々を放棄するつもりはございませんけれども、全体としての見通しとしては、やはり日本で合理的に生産ができるもので自給率を高めて、国際的にきわめて不利なものについては、あまり無理な増産をしないという態度が私は適当ではないかというふうに思うわけでございます。
○村田秀三君 昨年の六月の麦価審議会ですね、答申が出ております。それには麦対策として基本方針を示しなさい、こういうことが書かれておるわけですね。だからその基本方針をどう農林省としてお持ちになっているのか、いま答弁をされましたが、それを基本とするのかどうかということであります。そうしますと、私が言いたいのは、とにかく国内で需要が伸びておっても——まあ農業基本法によれば、需要の伸びるところの作物は、これは積極的に生産をしろというような一項目もあるわけでありますが、とにかく経済的に考えてみてもとてもだめであるからもうこれは輸入に頼らざるを得ないのだ、輸入するのが当然なんだ、こういうような基本方針になるのかどうか、これはやはり農林大臣から。
○政府委員(大和田啓気君) 先ほど申し上げましたように、増産というふうにすることはむずかしいけれども、適地におきまして麦作の生産の合理化をはかることはぜひやらなければならないことでございます。したがいまして、麦の主産地においてトラクターその他の機械を共同利用の形で導入をいたしまして、農林省としては相当の予算をつけて麦対策を実施いたしておるわけでございます。昨年の米価審議会の答申におこたえする意味で、私ども四十四年度の予算におきましても相当な経費を計上いたしておるわけでございます。
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいまの官房長の答弁で尽きておるのでございますけれども、同様、ただいま申し上げましたように、適地適産を進めていく立場から、さらに機械化による生産性の向上等をはかることにしようじゃないかというような点につきましても、これとあわせまして麦作団地というようなものの育成に大いに今後力を入るべきじゃないかというようなことを、つい最近でございますけれども、話し合いが進みまして、今後そのような方法をもって育成をしていく考え方でございます。
○委員長(塩見俊二君) 村田君の質疑の途中でございまするが、本日はこの程度にとどめます。 委員会散会後直ちに理事会を開会し、委員会運営について協議することといたします。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。 午後六時七分散会