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61回国会参議院1969/03/10

予算委員会 第9号

発言数
413
登壇者
28
会派数
2
開催日
1969/03/10

会議録

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  一昨日に引き続き総括質疑を行ないます。前川旦君。

前川旦日本社会党

○前川旦君 私はただいまから沖縄、安保等についていろいろお尋ねしたいと思いますが、初めに、国内の問題であれば取り返しのつくことがあります。しかし、安保の問題、安全保障の問題では間違えば取り返しがつかないことになる。それだけに、これほど厳粛な問題はないのじゃないか、こういうふうに私ども考えます。したがって、野党だからといって、ただ政府を攻撃だけしておったらいいというものではないと思います。野党は野党なりに責任を持っている、こういうふうに実は思います。御承知のように、私たちの立場は非武装中立、沖縄については即時無条件基地撤去の返還です。こういう不動の信念を私は持っておりますが、しかし、そうは言っても、国論が二つに割れるということは非常にこれは好ましからざることであるというふうに思います。まして、沖縄返還ということでは大きなコンセンサスがあるわけなんですから、立場は立場として、努力すれば、真剣に対話を試みれば、どこかでコンセンサスが得られるのじゃないだろうか、そういう気持ちで実は質問さしていただきたい、こう思うわけです。  そこでまず第一は、総理は、核の抑止力によって日本が守られている、こうたびたびおっしゃっておられますが、核というのは、御承知のように大量殺戮兵器です。こういう非人道的な兵器によって日本の安全が守られているということについては、どうしても私どもは抵抗を感ぜざるを得ないわけです。道義的な矛盾を感ぜざるを得ないわけです。そこで、この核抑止力によって日本が守られている、この道義的な立場をどうお考えになりますか。その点まず最初にお伺いいしたい、こう思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 前川君にお答えいたします。  また前川君が前置きされたことについて敬意を表します。私はそうあってほしいと思います。私は、いま非人道的な核兵器、それによって日本が守られる、これはやや矛盾しておるかのような気がせざるを得ないわけであります。私ども自身がまあ核は持たない——核三原則、これを製造もしない、こういうことを誓っておる。しかし、現実に世の中には核兵器というものがある。そうしてその核兵器を持っておる大国、これは米、ソがこれを代表しておりますが、最近は中共も持っておる。まあフランスやイギリスも持っておりますけれども、これは代表的ではない。しかし、戦争のことを考えると、やっぱり核兵器というものが、戦争が起こるとそういうものが使われるだろう。なくなることが一番われわれの理想とし、またそのためにわれわれも努力はしております。しかしながら、現実にはそれができない。そうして、日本自身が三原則を守る以上、日本が攻撃されたと、されると、こういうことを考えた場合に、やはりアメリカの核の抑止力、それにたよざるを得ない、かようになるのでありまして、核兵器を使用しようと、こういうのではない。これはどこまでも防御的な立場だと、一たん攻撃をされた場合に、やはりこれに対抗する力というものがほいし。この意味における核の抑止力、したがって、これはいわゆる戦争が起きる前の問題じゃない。戦争が起こらないためにもそういう有力な兵器があること、そういう戦争の抑止力と、こういうように解釈していただくといまのような誤解がないのじゃないか、私はかように思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは、返還の形式として、一時、地域的分離論というのが言われたことがありました。これはいまはどうなっておりましょうか、もうそのお考えはございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 簡単に申しますが、私はさような考え方は持たない。沖縄は沖縄として全体の返還、祖国復帰、それを願っておる。そうでないと問題を残すことになります。

前川旦日本社会党

○前川旦君 同じように機能的分離論が一時いわれて、有名な大津談話で否定されましたが、やはりいまも機能的分離論はもう考えておられませんでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 今日は機能的分離論も考えておりません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 総理は、最初まず返還のめどをつけて、実際返還までの間に若干かなり時間があるから、その間に基地の態様はいろいろ考える、こうおっしゃいます。最近そういうことがあまり出なくなって、めどをつけるときは基地の態様も一緒にきめるのだ、こういうようなニュアンスを実は感じますが、その点は一体どうなっているのでしょうか。どちらがいまの方針なんでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 二、三年のうちに返還のめどをつける。このめどをつける時期、それはことしであるか、来年であるか、とにかくまあ今年中にもそういうめどをつけたい。ただいま、いままでの日米の民間交流では、学者やそれからまた国会の諸君との連携では、ことしじゅうにもめどをつけるべきだ、こういうような結論でございます。私どもことしの秋以降において出かけて話をする。それはめどをつけることであります。そのめどが三年以内に返還ができるか、あるいは五年になるか、その辺のところが一つの私どものねらっておるめどだと思います。そういたしますと、話ができて、実際に現実に返還が実現するまで相当の期間があります。もちろんこの間にはアメリカ側の用意ばかりの問題でもない。返還されれば当然日本がこの地域を守ることになりますから、そのための準備でもいろいろの都合もあるだろうと思います。したがって、その間にはわれわれが予想しないような事態も起こるだろう。順調に進むならば、国際情勢は大体いま問題になっておるようなベトナム問題、これは解決するだろうし、また、科学技術の進歩もあるだろうし、国民世論もこれがやはり落ちついてくるだろうし、かように考えると、この返還が実現するそのときは、わりに楽な気持ちでこの問題と取り組み得るようになる、かように私は思っております。しかしながら、三年先になるか、五年先になるか、その返還という時期に、それをただいまから想定して考えて、そうして公表しないことには、その基地は返還されるときに解決すればいいじゃないかというのではどうも話がまとまりそうにない。かように私は思いますので、いまその二つを合わしていろいろ考えておるということであります。別に考え方を変えたわけじゃありません。いま申し上げるように、返還の先までには相当の期間があるんだから、その間に世の中が変わってくるだろう。いまはとにかく核兵器にいたしましても各国が持っておりますから、われわれが希望するような核兵器がなくなるような世の中になれば、これはもうほんとうに何にも問題ございません。しかし、核拡散防止条約一つにいたしましても、簡単にはまだ批准ができないような状況であります。したがって、またジュネーブにおける核軍縮会議そのものも、これから先もう解決すると、こういうような予測は今日の状態では立ちにくい。しかしながら、科学技術は進歩する、アポロ月着陸、そういう時代もいま来ようとしておる。したがって、いまあります兵器そのものにも大変化のくることは当然でございますから、やはりある程度先なんだから、そう現実をやかましく言わなくてもいいじゃないかという議論も成り立つのじゃないだろうか、かように思っておるのであります。したがいまして、私が二つの話をしておりますのは、一つは説得の理由にもなるだろう、かように私考えておるのであります。全然そればかりをたよりにしたんでは想像をたくましくしたと、こういうことにもなりますから、やはり現実に即して一応のめどをつけるということでないと話は進まないだろう、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 くどいようで悪いのですが、そうすると、十一月に渡米されまして交渉されます。そのときにはある程度の当面のこの沖縄の基地の態様はきめられる、実際に返ってくるまでに、なおその間に努力して改善をずっとされる、こういうようなふうに考えてもいいんでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そういうように考えてもよろしゅうございますが、しかし、やっぱり返ってくるとなれば、その間に改善されるということでは国民の説得力は私は非常に弱いと思います。したがいまして、返ってくる、その状況下においてどういうものが——これは私の本来の交渉の態度であります。もちろん交渉の態度として不十分なものがあれば、一応返還のめどはついた、しかしながら、こういう点は不十分であります。返還が実現するまでにはさらに改善をはかります、こういうようなことを申すことがあるかもわかりませんけれども、それでは私は国民に対する説得力が弱い、かように考えておりますので、そういうこともあり得ることではありますけれども、なるべくそういう問題を残さないようにしてひとつ話を片づけていきたい、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 現在の沖縄に核があるかどうかということは、米軍はこれはみずから発表しません、しておりませんが、総理の御判断で何がしかの核が、核兵器が沖縄にあるというふうに総理はやはりお考えになっていらっしゃいますか、判断されておりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカの持っておるもの、これは現実にははっきりどういうものを持っておるか、またどういう機能を持っておるかということをまだ私は確かめるわけにまいりません。これは幾ら安保条約がありましても、なかなかアメリカも話しないだろうと思います。しかし、いまいわれておりますメースBがあるということ、これはもう大体常識になっておる。前国防長官も、メースB、沖縄のメースB、これは二、三年はどうも必要だというようなことを申しておりますが、そのことはもう一応あることでございます。あってしかるべきだと思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官にお尋ねしますが、沖縄にもし核があるとすれば、かってな想像をして悪いようなんですが、一体どういうようなものが想像されるでしょうか、常識的に考えて想像されるものをおっしゃっていただきたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど総理が言いましたように、われわれとしましても、沖縄にどういうような核兵器があるかということはわからないのです。しかし、一般的にですね、まあ公表されておるいろいろな資料によって推定いたしますれば、まあ沖縄における核装備可能な兵器としては、さっきのお話の地対地ミサイルのメースBがあることは推定されます。また地対空ミサイルのナイキハーキュリーズでありますが、これとか、またF価という戦闘機がございますが、これは核爆弾を登載しておるかどうかわかりませんけれども、登載可能なものだといわれております。それからなお、御承知でしょうが、爆撃機であるB52が臨時に配置されておりますが、これは沖縄におけるB52は核は登載はされていないというように推察しております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官にお尋ねしますが、米軍の戦略核とは一体どういうものであって、そしてアジアにおいてはどういうふうにその戦略核のほうが——戦術ではありません。戦略核のほうが配置されているのでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) アメリカの戦略核というのは、御承知のとおり、本国にありますところのICBM、それから例のポラリス潜水艦、そうしてB52、これらの三つが大きな戦略核といわれております。なお沖縄にあるところの、いま申し上げたような核がかりにあるとすれば、これらのものも局地的には一つの抑止力としての作用をなしておる、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 アジアでどう戦略核が配置されているかということを、もう少し詳しくお話し願いたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) この問題は私のほうもあまりよくわかりませんけれども、ICBMは、御承知のとおり、これは本国にある。それからグアムにB52の根拠があることは御承知のとおりです。またポラリス潜水艦もそこらにあるわけでございます。沖縄の問題は先ほど申したようなことで、その辺で御推察を願いたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 アジアのことがあいまいでしたが、沖縄のメースBはそれでは戦術核か戦略核か。これは戦略核はそれを統轄する大統領直系のあれがあります。メースBは第五空軍によって指揮、命令、管理されているわけです。戦術核はそこにおりてきますね。そういうことから考えて、メースBは戦術核だと思いますが、その点はっきりしてください。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) これはアメリカの大きな核戦略の上からいえば、メースBは戦術核ともいわれております。しかし、その射程距離、私たちの交換されておるところの資料によりますと、二千二百キロもあるのですね。そういう射程距離なんかから考えますれば、局地的には戦略的にいけるもの、いわゆる抑止力の作用をなしておるもの、かように私たちは考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 長官、そこ、あいまいなんですよ。戦略核であれば系統が違うわけですね。二千キロ以上の航続距離があれば当然戦略核になるであろうけれども、それをわざわざ大統領直轄からはずして、三百十三航空師団ですか、この第五空軍のところに変えたということは、戦術核としての扱いになっている。したがって、この沖縄は戦略核の基地としては使われていない、戦術核はあるかもしれないけれども。こういうふうに判断していいと思いますが、どうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほども言いましたように、アメリカにおいては、メースBは戦略核の系統に入れておりませんけれども、やはり射程距離なんかから見るといけると、こういうように、まあ準戦略核と、極東においては私はそういう作用をなしておるものと判断しておるわけであります。

前川旦日本社会党

○前川旦君 長官、それではいまの戦略核がグアムに配置されていると言われているのでお伺いしますが、まずポラリス潜水艦の特色、特性は一体どういうことでしょうか。どういう性格がこれに要求されて、どういう行動をして、何が特色なんでしょうか、どういうことが要求されているのでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) ポラリス潜水艦は、まあいわば海中ミサイル発射基地としての役割りをなしているわけであります。特に相手側から先制攻撃を免れて、いわゆる残存報復力としての確実な打撃を与えることを主たる任務としているようであります。それによって戦争抑止力としての役割りを果たしている。このような役割りを果たすために、ポラリス潜水艦には、いわゆる隠密性といいますか、相手に知られないということが一つの特徴であり、また迅速な機動力、機動性が持たれなければならない。また長距離を潜航する能力、こういうことがポラリス潜水艦には強く要求されている、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 もう一つお尋ねしますが、ポラリス潜水艦に搭載されているミサイルSLBM、公表されている数字では四千五百キロの射程を持っていると普通いわれておりますが、大体間違いありませんか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 大体そういう程度である。かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ポラリス潜水艦がアジアの国にいままで寄港した実例を御存じですか、日本はありませんね。沖縄を含めてアジアの国に寄港した実例は御存じですか。ありますか、そういう例は。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私はそういう事実を聞いておりません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 アジアにおけるポラリス潜水艦は、アメリカのことですからはっきり言えると思いますが、一応、中国本土なり、それからシベリアなりを対象としたポラリス潜水艦であろうと考えます。四千五百キロの射程を持った、ミサイルを積んでおれば、あえて中国の海岸なり、シベリア沿岸のそば近くまで危険を侵してくる必要はないと思います。かなり遠いところから十分実効があがると考えておりますが、そのとおり考えてよろしゅうございますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 大体そういうように考えられます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ポラリス潜水艦の性能と性格上、一たん出港すれば、もぐって隠密に行動する。それがわざわざ姿をあらわして、はっきりわかっている何々港という港に寄港をしなければいけない軍事的な必要性はあると思いますか、私はないと思いますが、どうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私もあまりポラリス自体はよく存じませんけれども、二カ月くらい潜水する、もぐる力があるということでございますから、そう方々に寄港するような必要もないのではなかろうか、こう考えます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 沖縄の核に関連する中には、ポラリス潜水艦の寄港云々ということも実はあると思います。  そこで、総理にお尋ねしますが、防衛庁長官はああいう判断をしていらっしゃる。われわれしろうとが見てもそれはわかるのですね。わかるような気がいたしますが、あえてポラリス潜水艦が沖縄に寄港することを断わったとしても、決してアメリカの基地機能なり戦略核体制なりがそれによって痛手を受けるとか、くずれるということは私はないのじゃないかというように判断します。その点、総理もやはり同じ考えになっていただけるのかどうか。あるいはまた、そうであれば、ポラリス潜水艦は、沖縄はだめですよ、こういうようにやはり向こうに対して主張する根拠が私はできると思うのですが、いかがなものでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうもいまの核兵器はどんな機能を持っているかわかりません。いまの常識的な解釈等から申せば、ポラリス潜水艦が日本本土といいますか、沖縄を含めての本土に寄港するその必要はないように思います。したがいまして、そういうものが事前協議の対象になった場合、ノーと非常に言いやすい問題だと、かように思っております。しかし、一度、外務大臣も人道的な見地から、場合によったらイエスと言わなければならないかとも思う、しかし、ポラリスの場合は、ほとんどその必要はないと思う、そういう事例は起こらない、かように申しております。これは私、特にそれをあげるわけではありませんが、いま申し上げるような性格、状態から申せばその必要はない。また、皆さん方の希望も、持ち込みをするな、許すな、それが非核三原則の何であるということもありましょうから、そういう点は十分私も心得て交渉したいと、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官にお尋ねしますが、もう  一つの戦略核運搬手段であるB52、これはいま沖縄でたいへん問題になっておりますが、いずれベトナム戦争と関連してまたグアムに帰っていく。となると、この戦略核運搬手段であるB52について、これは核兵器に関係があります。今後沖縄返還に際して、これはもう沖縄へ来てもらわないでいいぞと、こういうことをやはり主張できるだけの根拠が私はあると思いますが、総理もそうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これも同様だと思います。ただいま沖縄へ来ているB52、これは核を持っていない、かように思います。その意味において爆撃用に、大きいですから、爆弾の搭載力もある、そういう意味で沖縄を使っておる。しかし、核兵器を持ったB52、これはもう私どもが沖縄が返還された後にそういうもののあることを許すべき筋のものではない、これはもうはっきり言えると思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 先ほど総理もちょっと触れられましたが、マクナマラ前国防長官の議会証言、一九六七年一月、一九六八年二月、いろいろございますが、いずれにせよ、一九七二年ごろにはメースBは撤去する方針であると、アメリカは。おそらく撤去されるであろう、こう判断しても間違いないと思いますが、どうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはちょっとそこまで言うのはどうかと思います。ただ、マクナマラの証言というものは、ドイツ、西ドイツの場合と両方合わして証言しているように思いますので、西ドイツの場合はかわりができるというか、持つこともできる。また沖縄の場合は、いわゆる返還を前提にして発言であるか、返還をしないで、そのまま自分たちが施政権を持つとして発言しておるのか、その辺のところは不明確でありますから、ただいまのように結論を出すことはいかがかと思います。しかし、私は、そういうことをも考えながら、とにかく交渉しなきゃならない、かように思っておりますので、その辺が私が白紙であるゆえんの一つでもあります。マクナマラの証言は確かにはっきり言っております。そこらに一つ問題があろうかと思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官にお尋ねしますが、一応これメースBは、しろうとの常識で考えると非常に旧式化している。ただし旧式化しているというのは一般的に旧式化しているんであって、相対的なものですから、相手が持っていない場合には旧式なものも力があるかもしれませんが、相手がだんだん新式のものを持ってくるに従ってますます旧式化してくる。一般的にいって非常に旧式化している、常識的に言ってこれはもう取りかえの時期だというふうに考えてしかるべきじゃないかと思いますが、防衛庁長官のお考えいかがですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあ一般的にはメースBというのはだいぶ古くなっておる。そこでさきのマクナマラ長官も、ドイツのほうはやむを得ぬということを言っておるが、沖縄も数年の間は残すということを言って、あとはどうするということを言っておりませんが、数年の間残すと、こういうことを言ってることは、いまからいえば、もし必要があればこれを撤去するんではなかろうかと、これは推察の域にすぎませんけれども、そういうようにも考えられるわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官は、メースBにかわって新しい他のものを配置するという計画を聞いていらっしゃいますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、まだ沖縄は私どもの施政権に入っておりませんので、そういうことはアメリカの最高の戦略的のことでありますから、われわれはそういうことをどうするかというようなことは、まだ話は聞いておりません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ドイツで、メースBを撤去したあとにはパーシングが入りました。しかし。パーシングは四百マイルしか航続距離がありませんから、パーシングをメースBのあとに持ってくるということはちょっと考えられないと思いますが、常識の判断ですが、どうお考えになりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言いましたように、私のほうはそういうことも聞いておらないし、アメリカがどういうことになるかわかりません。ただ、沖縄は海が四方にあります。ヨーロッパ大陸は御承知のとおり陸続きでありますから、その辺の事情は多少違ってくる。こういうように推察するわけでございますけれども、もちろんまだはっきりしたことは私どもにはわかりません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 長官にお尋ねしますが、それではいま公表されている核兵器、いろいろありますね、公表されているもの。秘密のものもありますが、おそらく核抑止力という考え方からくると、できるだけそういうものは、もう昔のように秘密じゃないんだ、できるだけ公表したほうが抑止力になるんだという考えですから、かなりどんどん公表されています。いま公表されている核兵器で、メースBにかわるような準中距離弾道弾、そういうものは一体あるのでしょうか、どうでしょうか。どう判断されますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いろいろとそういう中距離弾道弾というものがございますね。ございますけれども、私たちも文献その他の資料で判断するよりほかないのですが、アメリカはICBMということに主力を置きまして、そういう中距離弾道弾とか、あるいはそれに準ずるようなことはあまり考えてないように文献では出ております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 総理にお伺いいたしますが、たいへん慎重に皆さん御発言なさいますが、私はそのとおりだと思うんです。それであれなんですが、しかし私は、総理は、日本でいえばこれは三つの自衛隊の最高の指揮官ですね、いざというときに。ですから、総理としてのやはり軍事的な判断力、そういうものに対するわれわれ以上のはるかに卓絶した知識というものはやはり要求されるし、また持っていらっしゃるというふうに実は信じます。そこで私は、やはりいまのメースBの問題でも、非常に問題になっておりますが、これを七二年なり七三年なりというまだ先の話ですけれども、向こうも七二年ころまでと言っているんですから、これをその段から撤去してもいいじゃないか、こういう話をするやはり軍事的な立場からの根拠も、私は十分にあるんじゃないかというふうに実は思うんです。私ども常識でしろうとなりに考えてそう思いますけれども、一体、その点で総理のコンセンサスが得られますかどうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 前川君、私もこういうことについては十分知らないと言っちゃ申しわけございませんが、事実知らない。科学的にいまいわれておる文献その他、先ほど防衛庁長官から申しましたその範囲を出ておりません。私がばく然と期待するもの、いままでもたびたび申しましたように、国際情勢の変化や、あるいは科学技術の進歩等があるから模様は変わるだろうというような、そういうことも実はひとつ念頭に置いておるつもりでございます。おそらく、ただいまは宇宙開発の時代になっておりますから、もっと、発表はされなくても別のものが考えられておって当然だろうと実は思います。だからいろんな問題をですね、やはりそこらにありますので、そうそのこだわらなくてもいいだろうというのが、やや楽観的な見方でもあります。ただその国防の問題でありますだけに、私は慎重な上にも慎重に、なかなか私は結論を出しておりませんけれども、しかしそれは国防だという、存立、その基礎の問題であると、かように考えるがゆえでございます。おそらくメースBというものについては、これはもう旧式化しておると、かように申しておるし、あるいは大陸間弾道弾があるので、そういうものは今後必要がなくなるということも考えているのじゃないかと、かように思います。そこらはもっと問題を煮詰める場合に、もう少し話し合うことが必要でありまして、もちろん事柄が事柄ですから、何もかもみんな話せるというものでもないかもわかりませんけれども、しかし同盟という、同盟ということばはどうかと思うが、安全保障条約を締結している間柄ですから、相互の信頼の上にこの条約があるのですから、そう考えると、その話し合いももっと楽じゃないか、それはもっと話を詰めることができるのではないか、かように私は思っております。そこで、ただいま言われますように、全責任を持っているのだから、もっと専門的な知識を持っておるだろうと言われると、たいへん申しわけない次第ですが、私はいまの核兵器について、いわゆる常識より以上のものを持っていない、これは率直に御披露しておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。ただいまの問題で関連してですが、この専門的な知識があるないという問題はこれは私はあえて問題にしません。それから、話せることと話せないこととがあると思います。これも了解いたします。ただ、実は先般マスキー上院議員等が来日した際に、私はあるところで討論いたしました。かなり時間をかけて討論いたしました。そのときこういうことを言ったのです。現に沖縄に核があるのか、それを知らしてもらいたい。あるのかないのかはっきりさせてもらいたい。もしないのなら、返還のときに、現にないものを核つきで返還するなんて論議をすることはおよそナンセンスである。したがってそれを明らかにしてもらいたい。しかし明らかにできないと、こういうわけでした。これは別として、総理が渡米される前に公表するしないはこれは別として、総理自身が、沖縄における核の具体的な態様というものを十分承知した上でなければ、交渉に入れるはずがないと思うのです。したがって、愛知外相渡米前なり、あるいは総理渡米前に、おそらく皆さん御承知でも言われぬだろうと思いますけれども、詳細なことをもし御承知なければ、アメリカから聞いた上で十分討議をして、それから会談に臨むべきだ、こういう意味のことをお考えにならなければ、核戦略上の知識があるとかないとかいう議論では済まされない問題だろうと思うのですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま羽生君の言われるように、マスキー上院議員にいたしましても言えない。それはその極秘条項だと思います。しかし、ただいま私申しましたように、お互いに信頼してこそ初めて安全保障条約が締結されるのでありますから、その関係におきまして、いわゆる話せない、言えないでは、これは済まないのだと思います。だからそういうことを十分わきまえた上で交渉しなければなりません。もしそういうこともわきまえないで交渉するとしたら、それこそ重大なる過失をおかすことになる、かように私は思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 先ほど防衛庁長官が想像されると言われたものの中に、三番目はハーキュリーズですね。ハーキュリーズは性能上必ず核がついていなければ防空上重大な障害があるのでしょうか、どうでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) ナイキハーキュリーズは核つきのものと、それから核つきでないものと、あるいは両方が併用されると、こういうように私は聞いておるのであります。したがいまして、核つきのものと核つきでないものとの間に、射程距離とか、そういうようなことは、当たることは両方とも同じでございますが、その核があるものとないものとの間にはおのずから差があるということは、これは常識上当然のことであると、かように思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 日本で、三次防でナイキハーキュリーズが問題になりましたときに、前の増田長官は、命中精度がきわめていいから、核がなくても日本の防衛という立場から考えても、十分これが一番最適なんだ、非核弾で最適なんだと、こういうことをおっしゃいました。ということは、核がなくても十分な効果があるんだということであろうと思いますが。どうでしょう。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 日本としては御承知のとおり核は持たないという原則がありますので、それで日本の防衛としては核のないナイキハーキューリーズが最もいいものだと、こう言わざるを得ないのですね。しかし、そういうことを離れて兵器として見たときは、それは命中率は核つきのものと核つきでないものと同じでございますけれども、その核が当たったときの影響力というものは、そこに差があるということは、私は常識的に差があると、かように思います。増田長官もおそらく、日本としてこれが最良のものだと、こう言ったものじゃなかろうかと、私は判断するわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 増田長官は、きわめて命中精度が日本の場合高いから核なしで十分だし、このほうがむしろ確実性があるというようなニュアンスのところまで実は言われております。そこははっきりお答えになりませんが、それでは沖縄がもしよそから攻撃されるとして、ハーキュリーズは対空のミサイルですね、他の空軍から攻撃されると仮定した場合に——これは防衛ですから仮定がどうしても入りますが、それだけの能力を持っておる国が沖縄の周囲にあるでしょうか、攻撃の能力を持っている。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあ攻撃能力ですけれども、そのときの状態でなければ判断できませんけれども、やはり沖縄を攻撃するくらいの力を持っておる国は、こちらの防備力と合わして言わないといきませんが、しかし私たちは、あくまでも沖縄の基地は抑止力としての力があるだろう。したがいまして、原則的にはその周囲から沖縄あるいは日本にそういう攻撃ができない、また、そういうことをさせないために安保条約もあって、この抑止力ということを言っておるのでございますから、そういう場合が全然ないということは、理屈の上から言えないかもしれませんが、私たちはあくまでもそういうことを未然に防止すると、抑止力ということに重点を置いておる、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 問題がすれ違わないようにお願いをしたいのですが、それでは一応米国の沖縄の戦略では、日本と違いますから、あの周辺で一応敵対関係にある国で一番大きいのはやはり中国でしょう。中国の空軍は一体どれぐらいの力を持っておりますか。いまわかっておる判断できるところでけっこうです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 中国の空軍は、まあいろんなヘリコプターとか、そういうものもありましょうが、そういうものを合わせて約二千五百機くらいじゃないか。その中に爆撃機といわれる本のが、これもはっきりわかりません。けれども、いろいろな資料によって当たってみますと、百五十機くらいあるように伝えられております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 中国の爆撃機としての能力のある、爆撃機としての力を持っておる飛行機として百五十機というのは、イリューシン28ですか、マッハ〇・八ぐらいの中型の。これも旧式になった爆撃機じゃないでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) その点も私はよくわかりませんが、もし必要となれば政府委員からして答弁をさせます。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) ただいまのお尋ねの中共の軽爆のことだと思いますが、イリューシン28、いわゆるビーグルのことかと思いますけれども、これは行動半径が約九百六十キロばかりの爆撃機でございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それじゃ、中国空軍は足の長い戦闘爆撃機を持っておりますか。ミグ21、ミグ19、いろいろありますが、その航続距離からいって、沖縄まで届きますか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) いまおっしゃいましたミグ17とか19とか、持っているようでございます。これは戦闘機でございまして、行動半径はきわめて短い、沖縄までは届かないと思います。爆撃機のほうは、先ほど申し上げましたビーグル、あるいは、さらに旧式ですけれども、TU4というのも若干持っているようでございますが、これは行動半径は二千キロ以上ございますので、沖縄までは届きます。戦闘機は届かないと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 用兵上の常識として、防衛庁長官、護衛なしにこのイリューシン28が、百五十機が、全部ぶち込んでも百五十機です。稼働率から考えて全部来ることはないでしょう。裸で攻撃してくるということは、まず用兵常識上考えられないということ、それが攻撃してきた場合に、まずそれを迎撃戦闘機が迎え撃つわけですね。それの撃ち漏らしたやつをナイキハーキュリーズがやるわけですね。となると、いまの迎撃能力からいって、いまの配置されている米軍のですね、ナイキハーキュリーズに核がついていなければ、どうしても沖縄が防空上守れないということが言えないのじゃないでしょうか。私そう思いますが、どうでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあ仮定上の問題ですからね、これをこうだと具体的には申せませんけれども、しかし、何もナイキハーキュリーズばかりが撃ち落とすものでなくて、ほかにもホークもありますし、また要撃戦闘機もありますし、まあいろいろな手段によって対処せられるものだと思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 核がおそらくあるだろうと予想されるナイキハーキュリーズも、それが核を抜いたとしても、沖縄の防空上ですね、アメリカの防空上、決して米軍の機能が低下するということは言えないんじゃないかというふうに思います。そういう主張を私は米国に対してなさるやはり科学的な根拠があり得ると思いますが、どうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 核のあるとないとで全然力が変わらない、こうは言えないだろうと思います。しかし、一体どうしても核が必要なのかどうか、こういうことは言えるだろうと思います。この場合において、まあ必要がないんじゃないかと、こういうことも想像されるわけです。ただ、いま中国の例が出ましたけれども、もう一つは、核を持っておるソ連が一体どういう態度でいるのか。ソ連のこの核兵器の使い方はどういうような方向に向かって配置されているか、これなども考えなければならないことだと思いますね。これは別にソ連を敵視するとか、中国を敵視するとかいうことじゃございません。日本を取り巻く各国の力はどういうようになっているか、そういうことを考えるということが必要だと、こういう意味で申し上げるのですが、だからその辺もありますから、いまの、核の有無によって、力は核のないほうが核のあるのに比べれば弱まることは確かだ、かように思いますから、一体この日本の防衛から見まして、そういう必要があるかないか、こういう議論はあり得ると思っております。私は、いまのところではそういう必要ないんじゃないか。ことにICBMがあり、ポラリスがあり、さらにB52があると、こういうことを考えると、ここに核は必要ないんだと、こういう主張は可能ではないかと、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それではもう一つ防衛庁長官にお尋ねしておきますが、もう一つの核運搬手段で大きなのはF105です。そこで、F105が沖縄の基地から核を抱いて攻撃をする場合に、核が沖縄に貯蔵されなければいけないということになるのですが、このF105の性能から言って、たとえば——これは米軍の立場ですよ、ですから悪いけれども、ひとつ朝鮮とか中国と言わしてもらうけれども、朝鮮でもし紛争が起きた場合のことを考えて、あるいは台湾で紛争が起きた場合のことを考えて、航続距離等からいって、実際にF105は核爆弾を抱いて沖縄から飛び立つということが用兵上考えられるでしょうか、軍事常識的に考えて。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) F105の問題ですが、これもつまびらかにはわかりませんけれども、しかし、御承知のとおり、アメリカは空中給油ということができるということになっておりますから、航続距離が短いからといって、それが役立つかどうかという、そればかりによって判断はしにくいのじゃないかと、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 沖縄の核の問題は、単に軍事的な立場からだけ論ずることはできないと思います。軍事的な立場から論じても、その立場から見ても、沖縄に核をどうしても置いておかなければ、どうしても置いておかなければ、沖縄の基地が機能が低下する、米軍の戦略はくずれてしまう、そうまでも言えない意見が実は有力にあることは御承知のとおりだと思います。それだけではなくて、核があることによって起こる住民との非常な紛争、そういうことも、その政治的な要因もすべて加える、さらにまた、中国が核開発を進めていった場合には、沖縄の基地というのは全部地上に露出していますから、非常に脆弱な——非脆弱な基地じゃありません、脆弱な基地であります。となると、年がたつに従って、中国が核開発する。その進歩に従ってまた沖縄の基地の値打ちも変わってくるのじゃないかというふうに思います。同時にまた、先ほど言った政治的なデメリットのことを考えれば、核のあるよりもないほうが、アメリカにとってもむしろプラスであるという論理が私は成立するというふうに思います。そういうような説得をやはりなさってもいいのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの核のメリット、これは、その立場によってそれぞれ違うだろうと思います。私は、いま沖縄が日本に返ってくるという場合に、やはり現地同胞の理解ある支援がなければ、基地の効用は十分発揮できないのだと、これは核の有無にかかわらず、そういうことは必要だと、それはひとり沖縄だけではございません。本土におきましても、日本にある基地、これは日本人が安保を正確に理解し、そうしてその米軍の果たしておる役割りについても理解を持って、これはやはり協力するところに初めてその基地としての効用があると思っております。したがって、いまの県民の理解なしにその基地が効用を発揮すると、かようには私は考えておりません。これは、いままで、過去の二回のアメリカ訪問につきまして私が言えた事柄でありまするし、沖縄の県民同胞の理解がなければどんな基地を持ったって意味がないじゃないかと、こういうことを私は申しております。ただ、このことは私の信念ですから、これはいつでも言えることだと思っております。したがって、いま前川君のお尋ねは、あるいは私の答えとは違ったと思っておりますが、この核のメリットというものは、これは軍事あるいはその戦争という、そういう立場から考えるのであろうと思いますが、しかし、それとは違って、基地そのものがその現地にいる人たちの理解がなければ基地の効用を十分発揮できないんだ、これだけははっきりしているんですが、そしてそれがいまのように最もきらう核を持っている、なおさら理解はしにくいんじゃないか、そういうところの問題もあることは、これは百も承知でありますし、そういう意味の説得はもちろん私はしたいと、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 核の問題と並んで、むろし核の問題よりももう一つ本質的に問題になるのは、やはり基地の自由使用、事前協議の問題のほうが実はより重要性があるんではないかというふうに私どもは思います。そこで、防衛庁長官にお尋ねいたしますが、沖縄から直接戦闘作戦をもし将来紛争があってするとすれば、陸上兵力が沖縄からどっと出ていく。これはベトナムなんかでありました。それから沖縄から直接空軍が飛び立つ、こういうようなことがいろいろ考えられると思います。そこで、この十年内に行なわれた米軍のビッグリフト作戦、クイックリリース作戦、これは一体何をねらって何をテストしようとしてしたのか、どういうふうにお考えでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) それは、アメリカの本国の兵力をいかにして遠隔の地点にスピーディに送れるか、こういうことが一つのねらいであるかと、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それと関連して、これからのアメリカの対外戦略といいますか、兵力配置その他、ドル防衛という非常に大きなワクといいますか、足かせといいますか、これが入っていると考えてよいのではないでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) アメリカがドル防衛のことを考えておるということも聞いてはおりますけれども、それがアメリカのいわゆる戦略としてどこまで考えるかということは、いま軽々といいますか、いま直ちにこれを判断するわけにはいかない、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは長官、最近よく新聞に出ておりますが、アメリカのロッキードC5Aギャラクシーという超大型輸送機が一九七二年ごろ実戦配備されるといわれておりますが、大体そのようにとって間違いないでしょうか、大体そういうものでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) C5Aでございましたか、それが近く——すでに本年あたりは一機できるようでございますが、近く整備される段階になっておるというようなことは聞いております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 これが配備されますと、FDLとの関連もあって、アメリカの対外的な兵力配置なり戦略ですね、陸上兵力を動かす戦略がどういうふうに変わっていくと防衛庁では考えていらっしゃいますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) ともかく、C5A、これは相当搭載量が著しく大きいものであります。また装備品も広範囲にこれを搭載することができる、そういう特色を持っておりますので、これが完成されますと、部隊を空輸する場合に相当大きな人員と装備を同時に輸送できると、こういう特色を持っておるものと考えておるんですが、しかし、これによってアメリカが直ちに戦略をどう変えるかということは、いまのところではかくかくなりますでしょうなんということを私の口からまだ申す段階ではない、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いま海外基地の実態を全部洗いざらいアメリカで検討し直しているということを聞いていらっしゃいますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 検討をし直しているというようなことは聞いておりませんけれども、いま申すように、アメリカもいろいろな角度からいろいろと考えているようでございますが、それで基地をどうするか、そういうような具体的なところまで行っておりませんけれども、そういうことの傾向といいますか、そういうようなことは考えられているようでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 普通言われておりますのは、ドル防衛との関連もあって、紛争予定地点にあらかじめ少数の兵力を配備しておいて、紛争が起きたらC5Aで重火器と一緒に現場へ直接送り込む、同時にスビック軍港からFDLが出ていく、それで一時押えて、あと本国からどんどん物資と兵員を運ぶ、こういうふうに変わっていくと言われているんですがね。これは専門家なり、しろうとなどでもみなそういうふうに言っておりますが、防衛庁長官として、やはりそういう方向へ行くだろうと予想されますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあ、そういったことをアメリカのほうでもちょいちょい言われている人があります。けれども、アメリカの戦略としてかくかくなったというようなことはまだ聞いておりませんし、まだそこまでアメリカも考えるかどうかということは私としては判断しかねる、かように思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いまベトナム戦争中ですが、いま現在沖縄基地が果たしている役割りのうちで、一番大きな役割りはどういう機能であるというふうにお考えになりますか。直接発進基地としての機能なんでしょうか、補給基地としての機能なんでしょうか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) これも、御承知のとおり、発進基地としての役割りもなしましたが、補給基地として相当アメリカのほうは高く評価しておったということは事実のようでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ベトナム戦争が一応終わったあとで、これからの沖縄基地の果たす役割りというのは、ベトナム戦争初期のように、直接発進基地としての役割りをだんだんより果たしていくのか、その役割りはもうほとんどなくなって、むしろ補給基地としての、中継基地としての役割りが中心になっていくのではないだろうか、こういうことについてどうお考えですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) それは何ですか、日本に返ったときのことですか。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そうです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 日本に返ってきたときにどういう役割りをなすかということは、返還の態様によってもいろいろ違いまして、いまかくかくになりますということは、私からは言える段階ではないので、その点お含み願います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 総理にお伺いいたしますが、もしかりに沖縄からの戦闘作戦行動を何らかの形で認めるようなことがあれば、これは米軍の行動は、日本本土の基地に全部関連して動くわけですね、指揮系統がまとまっていますから、沖縄のほうで許しておいて、日本のほうで拒否をする、第六条で——たいへんこれはしにくくなるんじゃないかということが非常に心配されるわけですが、その点どうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖縄が返還されたときに、沖縄の基地を本土と別扱いにすることは、なかなか事実問題としてむずかしいことではなかろうかと思います。ことに相手の国から見れば、同じ米軍がいるんだと、そういう意味で区別はしないだろう、かように思いますので、私のほうで区別をしたからといって、もしも万一の場合のことを考えたときには、相手が区別をしてくれない限り意味はないと、かように私は思っています。いいですか。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ちょっといまのよくわかりませんでしたが。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私のほうで区別しましても、米軍である限りにおいては、本土の米軍と沖縄の米軍、これは区別されないと、こういうことを申すのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して。その場合ですね、その返還の態様によってどういうことになるか、これは未定の問題ですが、本土と沖縄と区別された場合に、それは安保の改定なしにその現状のままで区別をつけるといえばどういうことが考えられるのか、ちょっと私いまとっさに頭に出てきませんが、非常に疑問点だと思いますので伺っておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 特別の取りきめをすれば安保の改定になる、かように私も思っております。したがって、ただいまの問題は、特別の取りきめをすれば安保の改定になる。これが一つと、それから沖縄について本土と別な取り扱い方をするという、これはどういう意味か、私どもはこれはできないことだと、かように実は考えております。幾ら日本で別な扱い方をしても、相手方は、これは別だからといって——沖縄の攻撃をすると同様に本土の攻撃もするだろう、かように思いますので、別扱いはできないものだと、かように考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 関連。安保の改定の問題に総理がいま触れられた。この安保の改定をする場合には、沖縄の米軍とそれから本土にある米軍と特別の取り扱いをする、あるいは事前協議についての特別の取り扱いをする、そういう場合には安保の改定が必要である、こういうふうに言われたと思いますけれども、もう一つついでにお聞きしておきたいのは、沖縄に核があろうとなかろうと、いまその問題は私は論じようとは思いませんが、かりに核がないとしても、沖縄が果たしておる今日の目的は、これはいわゆる日米安保条約に含まれざるものをたくさん含んでおると思うんですね。これはもう総理もしばしば答弁されておるように、沖縄の基地はいわゆる極東の安全と平和のために重大な役割りを果たしておるので、この沖縄の返還について基地の態様が非常にむずかしいんだと、こういうふうにしばしば答弁されておるところを見ますと、核があろうとなかろうと、沖縄のそのままの基地が、日本に基地つきで返ってきた場合に、これまた安保条約のワクからはみ出すんじゃないでしょうか。ちょうどその犬小屋に馬を押し込むようなもので、どうしても足か首かはみ出すんじゃないでしょうか。というのは、日米安保条約の場合には、これは純然たる平和のために、いわゆる防衛のためにのみこの日米安保条約はあるんだ。したがって、日本におけるアメリカの軍隊を見ておっても、確かにこれは防衛庁から軍力がどういうふうに展開されておるか聞けばよくわかるんですが、ほとんど陸軍はおりませんね、歩兵部隊は。ほとんど管理機関あるいは補給施設というふうなものばかりであって。沖縄のアメリカの軍隊とは全く異質のものである、こういうふうに私どもは見ておるわけであります。というのは、アンガー前高等弁務官も、沖縄の基地は、いまや極東においては比類のない、他に例を見ないほど均衡のとれた、三軍の均衡のとれたいわゆる防衛力を持っておる、こういうことを言っております。これがいわゆる極東の安全に対する大きな役割りを果たしておる、戦争の抑止力になっておるのだ……。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 野上君、簡単に願います。

野上元日本社会党

○野上元君 こういうふうに言っておりますから、その点を考えますと、基地を、かりに核を抜いたとしても、沖縄をそのまま安保の中に入れるということは非常に困難ではないでしょうか。やはり安保条約を改定する必要がある、こういうふうに私は解釈するのですが、総理はどういうふうにお考えになっておるか、その点をお聞きしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは観念論的あるいは理論的に申し上げるのですから、誤解のないように願っておきたい。というのは、基地の態様については、私がいつも言うように、まだ白紙でございます。それで、白紙の状態でいまのお尋ねに答えると、ただいまの、特別な取りきめをしない限り安保はそのまま適用になる、特別な取りきめをすれば安保の改定になる、これはもうはっきりしておる、かように観念的にはお答えができるのであります。そこで、私がいろいろ安保の問題を含めて沖縄の基地の態様について頭をひねっておる。したがって、いい知恵があればお話を伺わしてください、かようにも言っておるのです。いま野上君の言われるとおり、沖縄はアメリカの施政権下にある、そうして沖縄を自由に使っておる、そういう状況でございますから、その機能をそのまま今後持続するということになれば、たいへんな変化でございます。それが条約改定なしにそういうものがあろうとは思いません。また、逆な言い方をすれば、沖縄が本土に返ってくれば、当然日本の憲法も、また安全保障条約もその地域にそのまま適用になる、これが普通の考え方でありますから、別な取りきめがあればその改正をしなければならぬ、これはもう理論的に当然の帰結でございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 先ほど総理は、事前協議の問題で沖縄と本土に差をつけたら、こちらは本土は別だと言っても、米軍のほうではおそらく差はつけないだろう、別に考えないだろうということを言われましたのは、私は何らかの一つの示唆ではないかというふうに思います。そこで、従来安保なり憲法なりが——憲法というと言い過ぎかもしれませんが、安保の解釈でいろいろな解釈が十年以上も論議されてきたわけですが、いずれも沖縄が日本にないということを前提にして論議されてきたというふうに思います。沖縄が返ってくることによって安保の解釈に若干違いが出てくるのではないか、こういうような気も実はするのですが——違いがなければまあいいが。  そこで、少し質問をいたしますが、少し観念的になって悪いんですが、まず、この核の持ち込みは憲法上の問題ではないと、こう総理は断定されました。しかし、昔の安保のように、旧安保のように、核を持ち込む持ち込まないということを日本が何らこれに干渉する力なかったですね。旧安保のときは。それに対して、いま事前協議でチェックすることができます。で、この核持ち込みに対して承認を与えるという行為は、これは政府の行為ですね。その政府の行為は、憲法の制約を受けるのではないでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま、先ほどのお答えで誤解はないと思いましたが、もしも区別をしたら米軍はどういうように扱うと、こう言われたのでございますが、米軍の関係ではなくて、日本を攻めてくる側から見て、沖縄の米軍と本土の米軍を区別して攻めないというようなことはしないだろうと、こういうのでございます。これはもう当然のことです。いまそれについては、先ほど野上君にお答えしたように、安全保障条約がそのまま沖縄に——返ってくれば沖縄に適用になる、こういうことで、特別な約束がなければそのまま適用になるということをはっきり申しましたので、なお観念的には御了解がいくかと、かように思います。  そこで第二の質問でございますが、事前協議の問題がそういう場合にどういうように働くか、これはもうそのときにはそのまま適用になるのですから、観念論的に申せば、本土と同じような取り扱い方を受ける、こういうことになるのであります。これは特別な取りきめがない限りそういうことになります。そこは誤解がないようにお願いしておきます。  そこで、もう一つは憲法解釈上の問題でありますが、憲法上の解釈は、法制局長官が申しますように、日本は戦力は持たない、純防御的な核というものがあるかないか知りませんが、そういうものは持っておっていいじゃないか、これがいままでの観念論的な説明でございました。しかし、実際は、何とあろうと、私の内閣では持たない、つくらない、こういうことをはっきり申しておきます。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) ただいまのお尋ねは、アメリカ駐留軍、まあ沖縄の場合には、沖縄が返ってきた後に駐留する米軍が核兵器を持ち込むということについて、かりに事前承認制度があって、そこでこれをオーケーしたことは、日本の行為が介在するから憲法に違反することになるのではないか、こういう御趣旨のように承ったと思います。そこで、毎度申しておることでございますけれども、戦力の保持を否認しておる憲法九条二項の規定、これは、最高裁の判決をしばしば引用いたしますけれども、日本が管理権、支配権を持つものについていうのであって、そうでないものが持つものについて憲法九条二項が否認しておるわけではないという判例があることは、御承知のとおりだと思います。そこで、まあしかし、それにしても、それだけでは片づかぬではないかという御趣旨だと思いますけれども、これも実は、現に日本の本土にあります駐留米軍、これはいろいろな装備をすることができるわけで、この装備をすることができる米軍の日本に対して合法的に存在することについて、日本はアメリカとの間に条約を締結して、そうして日米安保条約によって駐留しているわけです。その駐留している米軍というのは、日本の自衛隊から比べれば、現実の問題は別として、いろいろな憲法上の制約を受けておらない。そういう条約を締結することが、はたして憲法上——これも政府の行為によって行なわれるわけでありますが、それが憲法に違反するか違反しないかというのと、実は同じ問題であるわけです。その問題については、これも最高裁判決で実は済んだ問題だと私どもは考えております。米軍の駐留が憲法前文に違反するということはあり得ない。九条二項に違反するということもないし。もう少し詳しく言えば、米軍の駐留の「目的は、専らわが国およびわが国を含めた極東の平和と安全を維持し、再び戦争の惨禍が起らないようにすることに存し、」、したがってその駐留が、これはところどころ引用しているだけでございますが、憲法の「前文の趣旨に適合こそすれ、」云々と述べて、米軍の駐留が憲法前文に違反するとは断じ得ないとしておりますが、この理は、いまの旧安保条約の締結という政府の行為、それと事前協議によってオーケーというのとは、同じ政府の行為でありますが、いま申した理は、新安保条約についても変わるところがあろうはずがないと私どもは考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 砂川判決は、米軍の持っておる戦力は憲法の範囲外だ、それから安保条約を結ぶことは一見きわめて憲法に反するということが明白でない限りはこれはいいのだ、しかもこれは一見明白に憲法に反するものでないから、安保条約は合憲であるという判決を下しております。そのことと、あなたが言われたのは、政府が核の持ち込みなりを承認するという政府の行為とが全く同じだと言われたけれども、なぜ同じなんですか、同じと言えないでしょう。やはり政府は憲法に従う義務があるわけです。となると、核持ち込みの承諾を求めてきた、それを拒否するか認めるかは政府の行動です。その政府の行動は、憲法に従わなければいけませんね。ですから、核の持ち込みは全く政策外で憲法とは関係ないのだとは言い切れない、やっぱり憲法との関連が出てくるのじゃないですか、こういうことを言っておるのです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 御質問の御趣旨はよくわかっておるつもりです。私の言い方が足りないのだろうと思います。要するに、まず最初に、安保条約について、この合憲性については、一見明白に違憲だとは言えないということがあったことも確かですが、私が先ほど指摘した点の判示ですね、これがあったことも確かであります。  そこで、いま御質疑の中にあります、事前協議でオーケーということは、すなわち安保条約そのものにさかのぼって、安保条約において、日本の行為によって、つまり外国との協定の締結によって米軍の駐留を認めた、その行為と、日本政府の行為であることにおいては同じであるわけです。その日本政府の行為の介入にもかかわらず、最高裁の判決は、先ほど申し上げたところは、まさにあるところを私読んでいるのですが、米軍の駐留の「目的は、専らわが国およびわが国を含めた極東の平和と安全を維持し、再び戦争の惨禍が起らないようにすることに存し、」ということで、その駐留は憲法の「前文の趣旨に適合こそすれ、」云々と述べまして、米軍の駐留が九条二項のみならず憲法の前文の精神に違反するとは断じ得ない——九条二項に違反しないことは先ほども申し上げましたが、そういうふうに述べておる。この点は、新安保条約においても同様、また新安保条約の運用における政府の同意といいますか、その行為についても同様、ひとしく政府の行為である以上は同じことではないか、こういう説明を申し上げているわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いまの、法制局長官が同じだと言われますが、同じでないことは、たとえば、そういった安保条約のようなものは、国会という議決を経ております。しかし、核の持ち込みを承認するかしないかということは、国会の議決によってやるわけじゃないわけですね。したがって、それは私は完全に異質のものだと思いますが、しかしこれはちょっとあとに残しておきます。これは長くなるので残しておきます。  そこで、この間から攻撃的核、防御的核ということがいろいろ言われておりますが、核兵器あるいは通常兵器でも法律上は同じだと言われますのをとらえて、攻撃的か防御的かを憲法上判断する基準は一体どこにあるのですか。それは、たとえば個々の兵器の性能によってきめるのですか、それとも、それを持っている、管理している、その持っている意思によって——が基礎になるのでしょうか、どちらになるのでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 攻撃的、防御的兵器とよく言われるわけですが私どもの見方を少し申し上げて実は御理解をしていただきたいと思うのですが、わが国は、申すまでもなく、現に自衛隊法の定めるところによって自衛力がある。この自衛力の保持について、われわれは、現行憲法の解釈上、自衛という一点からの制約が当然にあるべきものと心得ております。そうして、この自衛力の保持についての憲法上の制約ですね、この制約は当然兵器の保持についても及ぶというふうに考えておるわけです。そこで、その制約を受け得ない兵器、これがしばしば攻撃的兵器といわれているものだと思いますが、そういう制約を受け得ない兵器を保持することは憲法上問題がある、違憲である、その制約を受ける兵器、これがしばしば防御的兵器といわれておるものだと、私どもの理屈から合せていえばそうなると思いますが、そういう制約を受ける兵器であれば、これを保持することは違憲でないというふうに考えるべきであろうというのがわれわれの本来の考え方であるわけです。したがって、その自衛力の限界といいますか、自衛権の限界、そういう限界という制約を受け得ないような兵器であるか、あるいはそうでない兵器であるか、それがその判定の基準になるべきものではないか。これは全く理屈の話でございまして、実際にどれがどう当たるかと言われますと、私は立ち往生しなければなりませんけれども、理屈の問題として筋の問題としてお答えすれば、そのとおりであろうと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 長官、そこがはっきりしないのですが、私が伺いましたのは、それをきめる基準は、持っている人の意思によってきめるのか、兵器そのものの性能によって判断をするのかということをお尋ねしたわけです。もし意思によってきめるなら、どんなものを持っていても、侵略的に使う意思がないんだ、これは自衛のためだ、自衛の範囲内だと言えば、無限になってしまいますね。ですから、意思できめるのか装備の性格できめるのか、これをはっきりしてもらいたいということです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 非常にポイントの問題だと思いますが、まず第一に、制約を受けるものか受けないものか、これは兵器の性能からいって歴然と分けられるものがあると私は思います。そういうようなものは、これはまさに兵器の性能によって分けられる、こう言っていいだろうと私は思います。ところが、たとえば自衛艦、軍艦。軍艦というのは航続距離は、まあ大体船団護衛なんかするものですから、やはり相当ある。これは使いようによっては、敵国に侵入して砲撃を加えることもできる。そういうものについては、これは制約を越えるものだから持てないなんということになるのではなくて、そういうものはまさに、つまり当然に制約を越えるというものでなしに、自衛のために必要なものである、そういうものであれば、しかも当然に制約を越えるというものであったら問題でありますけれども、そうでない、制約を受け得るものであるならば、そこには当然に意思が働くこともある。要するに、きわめて、兵器の性能からいって、核、原子爆弾ですか、そんなものはむろん持たないと思いますし、それから小銃なんかはむろん持てると思います。そんなのは、言うまでもなく、性能の区別だと思います。ところが軍艦のようなものになると、これは反復して恐縮でございますが、意思の問題が出てくる余地もあろうというふうに考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そうすると、意思できめるときもあり、武器の性能できめるときもある。そのときそのときでしかし、かたがないということですか。一般的に、これはぴしゃっと意思できめるのだ、ぴしゃっと装備できめるのだ、能力できめるのだ、こういうあれは出ないのですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) どうも、私が申し上げたことは、きわめて私としては常識的に申し上げていると思うので、たぶん普通の方ならおわかりになるのじゃないかというつもりで申しておりますけれども、要するに、兵器の種類によって、さっき小銃と原子爆弾を言いましたが、これなどは明らかに性能でもって区別できる。大部分のものはできるのじゃないかと私は思いますけれども、要するに、できるものがあれば、まず第一にそれによって判定すべきである。しかし、先ほど申しました自衛艦のように、どこにでも行けるようなもの、また大砲を備えているもの、そういうものについては意思によって制約を加える以外に手はないわけなんです。したがって、そのことさえおわかりいただけるならば、そこには二つの種類があるということは当然のことではないか、こう思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、それでは、核兵器でああいうふうにおっしゃっておりますね。いろいろな核兵器の種類がありますね、公表されておるものに。たとえば弾道弾だとか、あるいはABMという声が出ましたが、ABMだとか、地対地ミサイルだとか、地対空ミサイルだとか、空対地ミサイルだとかその他いろいろありますが、一体類型的に分けて一どういうものが攻撃的核兵器で、どういうものが防御的核兵器だと防衛庁長官は判断されますか。あるいは中間のものはどれなのか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 個々の兵器について、どれを攻撃的であるか、どれを防御的であるかということは、先ほど法制局長官が言いましたように、それが使用される状況に応じまして、その使用の目的、用法によって判断されるものであります。そこで、その機能を固定的に提示することは実はあまり適当でないと思いますが、しかし、軍事的な常識的な意味において、しいて区別すれば、他国に攻撃的脅威を与えるようなICBMとかあるいはIRBM、MRBMというようなものは、これは攻撃的核兵器と言えると思います。しかしこれは、持つか持たぬかは別といたしまして、それほど持つことによって相手方が脅威を感ずるようなものでないいわゆるナイキハーキュリーズのようなものは、これは向こうがやってきて初めて地対空でやるのですから、これは防御的と、しいて言えば言えるであろう。まあその中間のものはいろいろあるわけですが、これをどうするかということは、やはり個々の使用状況あるいは目的によって判断をするよりほかに道がないのじゃないか、かように考えます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは、その中間のものについて、これが攻撃的、これが防御的というのは、それはそのときの態様なり目的なり状況などによっていろいろ変わる、意思によって変わるとおっしゃいました。それは、それじゃ、だれが判定をするのでしょうか。だれが判定することになりますか。客観的な基準というものはないわけなんですか。法制局長官、ちょっと。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) まず第一に、核兵器の問題でございますね。核兵器はとにかく持たない、こう言っておる。現政府はそうでありますし、また原子力基本法がございまして、核兵器は持たず、つくらず、こういうことはもうきまっておるようなもので、どうもやはり毎度申し上げるようなことですが、全く理論的に満足を得るためだけの御質問だと思いますが、全く理論的にだけ申し上げれば、さっき自衛艦の例をあげましたけれども、自衛艦というものは行動の自由がかなりある。その使用については使用する者においてつまり大きく言えば国でございますが——憲法の条章に従ってその使用を制約する、こういうことであろうと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは防衛庁長官にお伺いしますが、核兵器でない通常兵器も法律的に同じですね。通常兵器でも攻撃的なものと防御的なものがある。それじゃ、どういうものが攻撃的兵器であるということになりますか。防衛庁長官が常識で考えられて、どういうものなら攻撃的兵器ですか。通常兵器ですよ。核兵器でなく通常兵器ですが、どういうものをお考えになりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあ通常兵器で言えば、日本で言えば、日本の自衛のために必要な通常兵器は防御的と言えるでしょう。あいまいですが、そういうものがはたしてあるかどうかは、私は想像できないのですが。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 長距離爆撃機が攻撃的なもののいい例かと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それじゃ中距離爆撃機はどうなんですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 使う国によっていろいろ違うかと思いますが、中距離といいましても、またいろいろ距離もございますし、一がいに言えないのじゃないかと思いますが、まあ長距離爆撃機になりますと、常識的な意味で攻撃的であると申し上げていいのではないかと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 こればかりで時間が惜しいですから、この次にまた一般質問で一つづつ聞いていきたいと、いうふうに思いますが、いいですか。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 関連。どうも先ほどのを聞いていますと、なかなかわかりにくいことばかり言うんですが、私は、具体的に内閣委員会で質問した一つの例をとって防御か攻撃かということを政府は明らかにしてもらいたい。ほかの例をとると問題がありますから、大東亜戦争のときにサイパンからB29が実は日本を爆撃しました。戦争の様相が違いますが、サイパンから日本に核兵器で爆撃しようという基地があったときに、防御だといってその基地に対して日本は飛び立つまで待っておるのかどうか。防御というものは、この基地をこちらから先手を打って攻撃を封ずるということが防御であるのかどうか、この質問したときに、その当時の防衛庁長官はだれだったかちょっと忘れましたが、そういう質問に対してあいまいな答弁されておりましたが、いま先ほど聞くと、その具体的な問題を答えられたら明らかになると思いますが、その場合に防御であるか攻撃であるか、これをちょっと聞きたい。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 一般的に兵器の機能から言いまして、攻撃的兵器か防御的兵器かと区別することはきわめて困難でございます。先ほどからいろいろお話が出ておりますけれども、先ほど長官からお答えいたしましたナイキハーキュリーズ、これは高射砲の発達したものでございます。これはかりにお示しの、B29、最近ではB52かもしれませんが、そういうものが来たときにこれを迎え撃つ、そして国土を守るという意味で、ごく軍事常識的には、いままでのお話の中では、防御的兵器ということの例になろうかと思いますけれども、これとて、向こうから来ますB29なりB52のほうから見ますと、自分を撃ってくるわけですから、パイロットから見ますと、たいへん攻撃的でございます。本来兵器はそういうものでございます。ですから、一般にこれが攻撃的でありこれが防御的であるというふうに峻別することはきわめて困難ということが前提になりまして、しかし、その範囲内でナイキのようなもの、高射砲のようなもの、あるいは待ちかまえて向こうを爆破するような地雷のようなもの、こういうようなものは一般的に防御的な兵器であろう、それから、ICBMのように相手の国土を破壊するというようなものは一般的に攻撃的な兵器であろうということを申し上げておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 武器の問題は、そういうことでなかなか判定がむずかしいんですね。したがって、たとえば敵といいますか、日本を攻撃する基地に何メートルまでが要撃地点であるか。日本の領海三海里では防御できぬでしょう、実際問題で。これは専門家もおるでしょうが、もうすでに三海里のところに来たときには、もう日本は危険でしょう。要撃できないでしょう。したがって、どこで要撃するかということによって武器の性能は変わってくる。いまサイパンの例をとって悪うございますけれども、サイパンのまぎわまで行って要撃するのか、それとも途中で要撃するのか、それによって武器の性能が変わってくるでしょう。したがって、私の言うのは、もう一つ一歩進んで、要するに、敵のこちらに対する攻撃基地をたたくということが防御であるのかどうか。それがはっきりすれば武器の性能もわかってくる。これを明らかにしてもらいたい。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 先ほどのお答えはちょっと角度が違ったかと思います。失礼いたしました。お示しのような御質問でございますと、どうも一般的に申し上げて、相手の基地をたたくということは軍事常識的には攻撃的な機能と言っていいのではないかというふうに感じます。向こうから来た場合にこれをたたくというのが一般的に防御的機能というふうに分けているのが普通常識的な分け方かと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 これはもう一問だけでやめますが、武器が発達していくと、だんだんと攻撃能力も防御能力も両方とも備えて、だんだんだんだんそれがダブってくるでしょう、これから先の発展として。そうすると、単なる個々の武器の性能だけをもって、これは攻撃的だ、これは防御的だと言っても、それがだんだんだんだんダブってくるようにこれから先進んでいくんですから、ますますこれは混乱をしてくるんじゃございませんか。これお二人ともひとつ答えてください、法制局長官と防衛庁長官。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 日本は、御承知のとおり憲法によって制約をされておりまして、あくまでも防衛という立場であります。したがいまして、先ほどのお示しのような事態におきましても、日本みずからが先に相手を攻撃するようなことはしない、向こうから攻撃をされて初めて日本はそれに立ち向かう、こういうわけでありまして、敵の基地へ日本の自衛隊が乗り込んで攻撃するというようなことは、私のほうではそういうことはやらない、こういう方針でおります。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 私に御指名でございますから、いまのお話でいいのかと思いますけれども、おっしゃいますように、兵器の発達ということから言えば、いまおっしゃるような傾向にあることはこれは否認できないと思います。しかし、それにしましても、もっぱら防衛的あるいはもう侵略的——侵略に用いる以外には用がない兵器というものは依然として私はあるであろうと思います。そういうものは、やはり憲法の解釈として、そういう制約を置いて厳密にこれを考えていく必要が依然として、いつになっても私は必要ではないかと思います。要するに、もっぱら防衛的に使うもの、先ほど私が申しましたような意味において、そういうものと、もっぱら侵略的——と言ってはおかしいんですが——侵略の用のほかには用のないもの、そういうものの区別、これはもう将来といえども私はやはりあるものであり、また、その区別は厳密に解すべきであろう。それから、その中間的なもの、先ほどは自衛艦の例を申し上げましたけれども、そういうものもあり得る。そういうものについては、やはりその自衛権の行使にあたって十分に憲法上の精神を体して、その使用を慎むというふうにならざるを得ないものがあろうと思います。要は、だからといって、その区別がなくなくなっていくではないかということには私はなるまい、やはりそれは厳重に考えていかなければならぬであろう、こういうふうに思っておるわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 長官、お伺いしますがね、自衛の範囲とかそういうことが判断の基準になっている限り、自衛のためというのは無限に広がっていく可能性があります。御承知のとおりです。ですから、一体、憲法で持てません、こういうふうに持てませんとあなたおっしゃるけれども、それをきめるところは憲法の文言、そこから判断をしてきたものか、これはおいでおいで、これは三段論法ですからおいでおいで、自衛力から判断をしていくのか、これは自衛力の範囲だからいいんです、いいんです、憲法違反でありませんと三段論法でいく限り、これは無限にどんどん広がっていく危険性があると思います。むしろ、あなたの職業柄からして、憲法の文言から、これは武力です、戦力です、こういうあれが出てくる結論があってしかるべきだというふうに思いますが、 いかがでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) われわれは、この憲法解釈といたしまして、九条を申すまでもなく、ああいう規定がございます。しかし、しばしば申すように、一国の存立あっての憲法、国民の生存あっての憲法でありますから、一国の存立を危うくする、あるいは国民の生存を危うくする、そういうような場合には、いわゆる自衛権の行使として憲法上これを認めているものであろうというのが一貫した考え方でありますが、その自衛権というものはきわめて厳密なる意味の自衛権であって、つまり、いわゆる自衛権発動の三要件に厳密に該当する場合でなければ自衛権の行使はできないという、そういう意味合いからいいまして、自衛力というものもそれに見合うべきものであろうというのが根本の考え方であります。それは憲法九条から来る問題でありますから、憲法九条の規定の解釈としてそうなると言われていっこうにかまわないし、また、本来は憲法九条に根ざすものであるということをはっきり申し上げることができると思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それはまたあとで少し触れます。  安保条約の四条と六条で言う極東の範囲、これは沖縄が返ることによって変化があるのでしょうか、どうでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは私は変化がないと考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 外務大臣、お伺いしますが、安保条約の条約区域が日本本土であったら、今度は当然沖縄を含むことになるわけですね。これは間違いありませんね。——それじゃ米軍の駐留目的区域として公式に発表されております政府の統一見解は、フィリピン以北、日本及びその周辺、韓国及び中華民国の支配下にある地域を含む、金門、馬祖、竹島、歯舞、色丹、国後の北方領土を含む、北千島は含まれない、これは政府の確定解釈。これは動きませんね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは政府の統一見解としてしばしば明らかにされておるところでございますが、本来、極東地域というものは地理学的に限定できる性質のものではない、そういう前提のもとに、いまおあげになりましたような区域が極東の地域ということに考えられているというのが政府の統一的見解でございます。いま申しましたような点から申しまして、先ほど来御議論がありますように、別段の定めのない限り、沖縄の返還がされた場合には憲法、安保条約等が適用の対象になる。安保条約の目的とするところははっきり条約上書いてあるわけでございますから、その目的のために、そして極東の地域ということを考えますれば、極東の地域ということについてこの確定解釈を変えるような必要はないと、私はかように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 くどいようでたいへん恐縮でございますが、北朝鮮、中国本土、入りませんね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど申しましたように、本来地理的にこういう地域ということはなじめない性質の問題であるけれども、極東の地域ということを、何といいますか、統一見解にそういうことばは書いておりませんが、気持ちとしては、しいてこれを各地域についてあげるということであればかくかくの地域である、こういう趣旨が統一見解でございます。その統一見解に従って解すべきものであると、かように考えます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 その政府見解、これは昭和三十五年二月二十六日の政府見解ですが、この極東の範囲、つまり駐留目的地域、このことですね。駐留目的地域と在日米軍の戦闘作戦範囲は一致するというのが見解であったと思いますあ、これも変わりませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その点は若干違うのでございまして、従来から政府の見解として明らかにされておりますところは、極東の範囲というものは、ただいまおあげになりましたとおりでございます。しかし、その極東地域の周辺に、守るべき地域に対して脅威を与えるような場合には、極東の周辺というところが考えられなければならない、こういうこともまた従来からの政府の見解に明らかにされているところであります。

前川旦日本社会党

○前川旦君 外務大臣が言われたのは米軍の出動区域のことではありませんか。出動区域であれば、これを限定している防衛条約はないようです、出動区域なら。ですから、周辺にも出動区域というものは広がっていくと思いますが、しかし、統一見解で佳日本の本土を利用して米軍が戦闘作戦行動する範囲はこれは駐留目的範囲に限られますと、そういうような統一見解ですね。ですから、その点、行動範囲じゃなくて戦闘作戦範囲はどうなりますかということです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約の目的といたしておりますところの、安全を守りまた安全に寄与する範囲の極東の地域ということは、先ほど来申し上げておるとおりでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ちょっとおかしいと思うのですが、統一見解の中にこういうことばがあります。「この意味で、実際問題として両国共通の関心の的になる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域」である。つまり、ここで言う極東の範囲、駐留目的区域とは、在日米軍が日本の施設及び区域を使って攻撃するということと合致するというのが統一見解ですから、そのことをはっきりしておいていただきたいと思います、沖縄が返ってきたことを前提にして。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはしばしば申し上げましたように、その統一見解にあらわれておりますところそのとおりでございまして、それに沖縄の返還の場合にどうなるかというお尋ねに対しましては、それを私としては変える必要はあるまい、こうお答えしておるわけでありますから、それで御質問の点はカバーされておるのじゃないかと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そうしますと、沖縄の米軍の配置は、朝鮮で紛争が起きれば北朝鮮に行くだろうし、ときと場合によっては、メースBにしても中国本土ということを前提にして沖縄の米軍基地があるわけです。しかし、極東の範囲は変わらない、安保条約が適用される極東の範囲は変わらない、同じ考えでいくとなると、返還後沖縄に駐留する米軍の戦闘作戦行動も、統一見解に示されたこの駐留目的区域に限られると、こういうことになりますが、それでよろしゅうございますね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは念を置いてお答えをいたしますと、沖縄の返還ということについては、しばしば政府としてお答えしておりますように、特別の定めがない限り、そういう定めがないということを前提に考えます場合には、安保条約はそのまま適用されるということが自然の姿になる。そういう場合におきましては、従来からの統一見解ということを変える必要はない、私はかように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 すると、沖縄基地の態様によっては変わることがあり得るというふうにいま聞けました。「そのまま適用されるなら変わりありません」、それはそういうことでしょうね。そういうことからおっしゃったにすぎないと思います。もし違う形で返ってくるなら、例外的なもので返ってくるならば、この極東の範囲も変わるということでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は実は横の方面からまた一つ申し上げますと、小笠原の返還の問題のときにも御同様の御質疑が当委員会でもあったかと思いますけれども、その際におきましても、その統一見解は変えません、そのとおりでよろしいと思いますというのが政府の見解でございました。さように御理解願えればけっこうかと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ちょっと、質問は、ですから、本土と違う条件がついた場合に屡これは統一見解の解釈は変わりますねということを伺ったのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) お答えが足りなくて恐縮でございましたが、先ほどから申しておりますように、安保条約はそのまま適用という形でございますれば、統一見解を変える必要はないと、こういうわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いろいろおっしゃいましたけれども、結局基地の態様によってこの統一見解も変わるんだと、変わることがあり得るんだというふうにしかいまの御答弁からは受け取ることができませんが、やはりそれは総理どうですか。やっぱりそうだと思いますが、どうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあいま基地の態様いかんということをまだ白紙にしているものですから、いろいろのお話が出て、また疑問を持たれるようでございます。まあいろいろ各方面から検討して基地のあり方をきめると、これには私自身が変わりございません。そこで、先ほど来のお話をお聞き取りいただいて、特別な取りきめがなければその範囲は変わらないと、これは非常にはっきりしております。その程度で御了承をいただきたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 その程度でということですから、またこれは場所を改めてしなければいけないんじゃないかと思いますが、それでは、外務大臣にお伺いします。  いろいろ日米安保条約の性格は何かということで論議をされました。あるいは不毛の論議かもしれませんが、たとえば相互防衛条約か。藤山さんは否定されました。軍事同盟か。岸さんは否定されました。椎名さんは、軍事条約かという質問に対して、そうですと答えておられます。何だかたいへんこれ複雑ですから、統一的な考えをここで述べていただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まず相互防衛条約かということにつきましては、アメリカは日本を守る義務というようなものが安保条約できめられてあるわけですが、日本といたしましては、それに対応するような防衛の義務を、アメリカの防衛の義務を負っておりませんから、私は、こういう点からいって、相互防衛条約ということに定義することはこれは不適当であると、かように考えるわけでございます。  それからその次は、攻守同盟条約、たとえば中ソ同盟条約、一九五〇年、これは明らかに条文上も日本を仮想の敵国と規定いたしております。日米安保条約は、先ほど来もいろいろお話がありますように、純然たる防御の条約でございますから、こういうふうな意味での軍事同盟、攻守同盟というものでもございません。  それから軍事条約かどうかと。これはまあきわめて常識的なことばであろうかと思いますけれども、防衛ということについては、やっぱり軍事的な防衛ということが入るのは当然でございましょうから、そこで、そういう意味でいえば、軍事条約ということもいえるであろうというふうに従来答弁があったものと私は承知いたしております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 相互防衛条約は憲法上結べないと思いますが、法制局長官、いかがですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) お答えを申し上げますが、相互防衛条約を、ただいまお話がありましたが、相互防衛条約に当たるかどうかということもございましたが、相互防衛条約に当たるかどうか、あるいは相互防衛条約が結べるか結べないか、その内容がまず前提となってはっきりしておらないと、実は正確なる答弁はできないわけですが、御質疑の趣旨の相互防衛条約というのが、もしも集団的自衛権の行使にわたるようなものであれば、それは憲法が許しておらないと私どもは考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 集団的自衛権は憲法で認めないから、集団的自衛権というものが要求される相互防衛条約は認めない。  もう一つ、海外派兵の面からもいえるのではないでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 海外派兵ということからも言えると、簡単に言えばそれでいいのだと思いますけれども、もう少し良心的に申し上げますと、海外派兵ができるかどうか、それからまた先ほど来お話がありました自衛隊の装備といいますか、それがどの程度できるかどうかというのは、実は根本に自衛権の限界の問題があるから出てくるわけです。したがって、その自衛権の限界ということを抜きにして海外派兵ということは考えられない。そういうわけで、海外派兵ができないからどうかというのは、私どもの厳密な考え方から言いますと、どうも飛躍がありそうに思います。いずれにしましても、一国の存立、国民の生存、そのためには銃をとって抵抗するということも憲法は否認していないだろうというのが主眼でありまして、他国の防衛のために武力を行使するというのは、憲法がそこまでは認めていないだろう、そういう見地から、集団的自衛権というのは問題である、そういう意味の集団的自衛権の行使、わが国における、わが国の集団的自衛権の行使にわたるような相互防衛条約は結べない、こういうことになるわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 沖縄返還に関連して、ASPACの問題とか、いろいろ朝鮮に対する共同防衛の責任とか、いろいろ論議をされておりますし、新聞等で聞こえてくるわけですけれども、そこで、どんな場合でも、集団的自衛権を認めるようなものであれば、これは絶対に憲法に触れるからしない、こういうことになると思います。それではその集団的自衛権に至らないような相互防衛的な義務を日本が負うということもあり得るのではないかと思います。たとえば武器を援助するというようなこと、これは憲法上に触れるでしょうかどうでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 政策上の適否の問題としては大いに問題があるところであろうと思いますが、憲法の一点からだけ言えば、それが憲法違反になるとは思いません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 これからの海外援助、経済援助というものは、減ることはなくてふえていかざるを得ないと思います。そこで総理にお尋ねしたいのですが、経済援助という名目で武器を援助する、そういうことになっては私はたいへん問題があるというふうに思います。で、どんな場合でも、経済援助というものはあくまでも非軍事的なものであって、武器援助というような軍事的なものは含まないのだということが本来のものではないかと思うのですが、いかがでしょうか。経済援助という名目で武器援助をしないでもらいたいということ……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私からお答えすることが適当であるかは別といたしまして、少なくとも現にやっております経済援助、経済協力、技術協力という面におきましては、そういうことはやっておりませんし、また武器援助というようなことは、法制的にも日本としてはやらないことになっておると思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま外務大臣から御答弁がありましたように、現にありますのは警察用の拳銃、小銃、そういったものが私どもの輸出承認を受けて、紛争当事国でないところに少額ながら輸出が認められておるという状況でありまして、その他一切ございません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 以上のお答えで御丁承いただけたかと思うのでございますが、あるいは、軍事援助は普通貿易よりも別なものだから、別な形でやるのじゃないかという御心配かと思いますが、私はそういうことを考えないで、通常貿易で非常に厳格に取り扱っているものを、経済援助という名目でくぐるというようなことはいたしません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 法制局長官にお尋ねしますが、海外派兵というものの定義について一度も法制局から明確な定義を国会で得たことはありません……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。それでわかりましたが、沖縄返還に関連をして、日本の極東における役割りということで、経済援助の中に武器援助も含めるような要請をアメリカから受けた場合、これを従来と同様の見解で日本の立場を貫かれると理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんまだそういうようなこともございませんが、また、ただいま前川君にお答えしたことを変更するような筋ではないと、かように御丁承いただきたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 法制局としての明快な——いままで一度も聞いたことがないのです、法制局長官から海外派兵というものは何だということを。国会で論議されたことはありません。答えてください。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 確かに、御指摘のように法制局長官として海外派兵の定義を申したことはありません。 これは、海外派兵ということばは、別に法律上の用語ではないものでありますから、そもそもそれについて客観的に確立された定義というものが本来的にあるものではないと私は思っております。先ほどもお話をしましたように、海外派兵というものは何で問題になるかということから申しますと、御満足がいただけないかもしれませんが、自衛権の限界を越えた海外での武力行動、こういうのが私は——いろんな言い方はありましょうが、一つの基準的な言い方ではあるまいかと思っております。  なお、参考のために、法制局として言っておらないと申されましたが、いままでは、それぞれ担当の方々から、何らかの武力行使を行なう目的をもって外国の領土に上陸することとか、それに類した御説明があったことをつけ加えておきます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 海外派兵ということを憲法の文言からやはり厳密に解釈をしていって、これはだめだというふうに言わなければいけないというふうに思います。海外派兵というものも、自衛権の範囲であれば許されることもあるということになってしまうのじゃないでしょうか、自衛権だけからそれを問題していけば。たとえば、やむを得ない場合に相手の基地をたたくことも自衛権の範囲だと、こういうことになってくると、海外派兵もまた自衛権のために、自衛のためにやむを得ざる場合がある、つまり合憲だということになりはしないでしょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 確かに自衛権の限界との関連における問題としてわれわれはとらえておりますし、また、従来国会におけるいろんな論議が、ここに中心が置かれて問題になってきた経緯がございます。したがって、自衛権の限界と無縁に海外派兵ということが問題になったということを私は申し上げることができません。確かにそういうことになれば、自衛権の三要件に該当するものであれば、いわゆる海外派兵もできることになるではないかという御指摘でございますが、私がさっき述べましたように、自衛権の限界を越えた海外における武力行動という定義を下すことになれば、自衛権の限界を越えないものはよろしいし、こえるものこそが海外派兵になるということにおのずからなるわけです。  ついでながら、いま仰せのとおりに、自衛権のいわゆる発動の三要件に該当するものであれば、敵の基地をたたくこともできるという議論がありましたことは御承知のとおりで、これは鳩山内閣でもありましたし、岸内閣でもあったことで、いま、要するにそれが自衛権発動の三要件に該当する場合であるかないかだけにかかる問題であろうと思っております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 たいへん重大なことを言われたと思います。自衛権の三要件に該当する場合であれは、海外で武力を行使する——いま海外でですね、武力行使するということもこれはあり得るということですね。で、自衛権の範囲で行使するのはこれは海外派兵に入らないのだ。越えたものが海外派兵だ。自衛権の行使の範囲内であれば、海外で何をしても——武力行使しても、それは海外派兵と言わないんだと、こういうようにとれましたが、そのとおりですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) ですから海外派兵という定義、これを私がかってにきめるしろものでもないし、また法律的な概念ではないものですから、私が、一つの考え方としてはこういうことも言えるだろう、しかしいままで政府当局からこういうことも言っておりますということを申し上げたわけで、もしもできることなら、質疑者のほうで海外派兵の定義をお示し願ったほうが、私が説明するのにたいへん便利でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 関連。この間の私の実は質問に答えて、自衛権の範囲で、総理は、海外派兵はいまの憲法が現存する間はやらないと、はっきり言われたでしょう。議事録見てごらんなさい。二、三日前ですよ。それを法制局長官、何ですか、それは。そのケースにおいては、それは認められるというような意味の発言でしょう。それはこのままおけませんよ。総理大臣、どうですか。この間言われたでしょう。 はっきり言われたでしょう。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 少し、海外派兵の問題はもう少し申し上げたいと思いますが、ただいまちょっとこの海外派兵という定義に実は問題があるものですから、できることならお示し願いたいと申し上げましたけれども、できなければやむを得ませんので、私が申し上げますけれども、要するに海外派兵という用語の意味は必ずしも明確でない。この用語が、憲法九条のもとにおける自衛権の限界との関連で問題にされてきたものであることは、従来の経緯からいって明らかなことだと思っております。  で、かつて政府は、このような観点から、先ほども申し上げましたけれども、何らかの武力行使を行なう目的をもって外国の領土に上陸すること、それを、これはまあ一方的にこういう定義を言えるかどうかわかりませんが、一応このように心得てしかるべき概念だと思うということを述べております。  そこで、その自衛隊の海外派兵という場合に、いろんないままで例が問題になっておりますので、ついでのこと、御紹介をいたしますが、これはあまりに当然なことではないかということを言われるかもしれませんが、国会における論議としていままで出ましたものを一応申し上げます。  「平和的な目的のためにする衛生部隊の派遣や、親善のためにする自衛艦隊の派遣」、これは、なるほど海外には行くけれども、海外派兵ではないと、これは三十四回、衆議院安保等特別委員会における岸総理の説明がございます。それから、「自衛のため他に全く手段がない場合において、侵略国の基地を爆撃するための飛行機の派遣」、これも三十一回国会で岸総理の答弁にございます。そのほかにも、「純粋に国際間の警察的な平和維持の力になった場合における国連軍への協力」とか、そういうような個別の問題が、いままでも何回となく——ただいまのは三十八回でございますが、何回となく出ております。しこうして、そういうものは自衛権の限界を逸脱するような問題ではない、自衛権の範囲内の問題であるから、まあ、海外派兵にならないというのか、あるいは海外派兵になるにしても憲法違反になるものでないというのか、これは説明の便宜でございますが、いずれにしてもそういう経緯がございまして、ただいま御指摘のように、確かに、海外派兵はいたしませんというようなことばもしばしば出ておりますが、それらはいままで申しておりますことと相いれて、 つまり自衛権の行使の限界との関連で、できないもの、できるもの、そういう区別がなされているものと私は承知いたしております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ちょっとそこが違うので、われわれが言っておるのは、自衛権の範囲内において、いわゆる戦闘を目的として相手方を攻撃するという目的のもとにおいての派兵を言っておるのですよ。練習艦隊がいわゆる他の親善旅行に行くのは、こんなものまで派兵とはいいませんよ、常識です。あなた方はごまかすからいけないですよ。自衛権の範囲には入っておらないというのは——相手を攻撃の目的でいくというのが自衛権でしょう、それ以外に、親善に行く、自衛艦の乗り組み員が行くのに、これが派兵だとだれが常識的に思いますか。そういうふうにごまかすからいかぬのです。政府の方針はそうでしょう。そんなものまでわれわれは派兵とは言っておりませんよ。はっきり教えてください、はっきり。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 私は毛頭ごまかしているつもりはないのでございますが、いままで海外派兵にからんで現実に国会の両院で問題になりましたものを、海外派兵の観点から問題になりましたものを御説明申し上げたわけで、私自身がごまかしの意図を持っているわけでは決してございません。何か具体的に御質疑があればお答え申し上げます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 間違いないですか、どうですか、総理。ちょっとはっきりしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私がよけいなことを言ったら誤解を受けるので……。いまも法制局長官がはっきりお答えしておりますから、これで御了承をいただきます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 確かに法制局長官ははっきり答弁なさったわけです。なさった内容は、自衛のためには、海外派兵することがあっても、自衛の範囲であればそれは憲法違反ではない、あるいはまた憲法でいういわゆる海外派兵には当たらない、こういう非常に広い解釈をされたわけです。政府はいままで、海外派兵は違憲ですからいたしません、こうおっしゃってこられました。私もたいへんそれは賛成です。ところが、法律論として妙なことを言われたからおかしなことになったのですから、そこのところが問題です。ですから、政府としての御見解はどうなんでしょう。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 自衛権の行使については厳密な要件がある。これはとっくの昔に御承知だと思いますが、要するに、わが国に急迫不正の侵害がある。そして他に全くこれを防衛する手段がないという場合には、防衛する。ただし、それは必要な限度にとどめなければならない。これがいわゆる三要件であると思います。その三要件に適合しないものは、わが憲法といえどもむろん許さない。しかし同時に、自衛権というものは、まさに国民の生存と安全を保つためのものでありますから、それをしなければむしろ逆に国民の生存が、安全が危うくされる、その事態を防ぐためにするものが自衛権の行使でございますから、そういう場合に当面した場合には、この自衛権の行使として合法視されるというのがこの根本の考え方であるわけです。そこでいわゆるこの敵の基地をたたく、これは当時むろん大論議を巻き起こしたことはたしか私もよく存じておりますが、それが自衛権の行使として説明できるものであるのかないのか、その点こそが実は問題でありまして、私が言ったと仰せになりますけれども、それは過去の論議を私が御紹介したのでありまして、私は、それが自衛権の行使に当たるかどうか、そここそ論ずべき問題であろうと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ちょっと議事進行。いまの答弁から見ると、きわめてあいまいなものを残しています。したがって、私は、いつか明らかにこの点は念を押して総理にも言ったのですよ。自衛権の範囲内ではできない、憲法を現在厳格に解釈しては、できません、と明らかに言われたので、議事録を調べてからでないというと、こんなあいまいな問題でこのまま進行できません。私は休憩をして議事録を調べてから続けたいと思います。こういうことです。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 佐藤総理大臣。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま言われますように、この自衛の範囲を越しては海外派兵はない、これははっきりしておる。また自衛権の発動を許しておるのは、急迫不正の侵害があったとき、そういう場合でなければ、ないのです。こちらが先に出かけて外国をたたく、そういうようなことはないですから、その辺はもう御心配なしに、だから普通言われるのは海外派兵はない、これが普通の言い方と思います。ただ、どうも法律家は非常に厳格な法律論を観念的に申しますから、しばしばそこで誤解を受ける、かように私は思いますが、いま急迫不正の侵害が起きて初めて自衛権の発動があるのですから、そこのところをよく考えられて、前後すると非常な誤解がある。何か積極的に、自衛権だというようなことで、当然な発動だということになると問題だと、かように思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 議事進行。ぼくはそういうことをずっと前から調べて、五日前に発言したのですよ。議事録を調べてください。いまの憲法が現存する間は総理は派兵をしない、——議事録を持っていると思うのですよ。調べてくださいませんか。両方を調べて、その上でこれは進めてもらわぬと、いつもやるたびに事が変わっては困りますので、議事録を調べた上でやってもらいたい。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 山本君に申し上げますが、議事録はただいま手元にあるわけがないと思いますし、この問題はこの問題として進行して、あとは理事会で協議をしたいと思いますので、前川君、進行願います。前川君の質疑は、途中でございまするが、午前の審議はこの程度にとどめます。午後一時再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 午前中問題になりました問題点について、総理の確認を、ひとつしていただきたい。  五日の予算委員会では、私は、国連憲章第五十一条の自衛権、個別的自衛権と、日本の憲法九条の解釈から来る自衛権の相違について質問したんですが、その際、愛知外務大臣は、こう答えられております。「守るべき安全ということについていかに対処するかということについては、同じような範疇で考えていいのではないかと思いますが、」——これは、憲章五十一条と憲法九条の問題については範疇は同じだと、こういう意向ですが、これはまあ別の問題ですからいいんです。「しかし同時に、いま御指摘のとおり、日本憲法によれば、海外派兵というものはできない、これはまた厳然たる事実であると思います。」、こう愛知外務大臣が答えておられます。それに引き続いて、最後に私は総理に確認をしたわけなんです。それに対して、佐藤総理は、「で、いまお尋ねが観念論でないとはっきり言われておりますが、まあ自衛権、自衛行動権、これは外国には向かってはいきません。はっきり申し上げておきます。」、こういう答弁があるんですが、これによって、海外派兵はできない、こうわれわれは確認しておるんですが、この点について総理の御答弁をお願いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私も手元にこの速記を取り寄せております。そのとおりでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 外務大臣にお尋ねいたします。  先ほどから問題になっております自衛権の発動につきましては、普通、必要性、違法性、均衡性、この三つが要件とされる。日本の憲法における自衛権の発動の場合も、非常にきびしく、シビアにこれを解釈しなければいけない問題ですが、一体、この必要性、違法性、均衡性、こういったようなものが国連憲章五十一条の自衛権の解釈でもやはり当てはまるんでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 法律論、条約論としては、いろいろあるいは御議論もあろうかと思いますけれども、常識的に申しますれば、国連憲章で言うておるところの自衛権というものと、憲法の精神とするところは、やはり大体範疇は同じと解していいのではなかろうかと思いますが、条約論、憲法論のことでございますから、そのほうの有権的解釈は別に他の人からお答えしたほうがよろしいかと思います。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 国連憲章五十一条の自衛権と憲法の自衛権というお話でございますが、憲法のほうは少し私の守備範囲外だと思いますが、国連憲章の五十一条の問題として取り上げますれば、先ほどの三条件といいまするか、そういうふうなものは、やはりかぶっておると申しますか、条件になっておると、そういうふうに解釈しております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは、国連憲章五十一条の「武力攻撃が発生した場合」というのは、日本の憲法では、現実に武力攻撃が存在したことを言うておりますが、国連憲章の「武力攻撃が発生した場合」という解釈は、これはやはり、現実に武力攻撃が存在したということでしょうか。その脅威があっても、それも含まれるのでしょうか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これは、学者の中ではいろいろ説があるようでございまするが、大体いま多数国で考えられておりますのは、脅威のある場合は入れないという考え方をしておるようでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは、アメリカの、この自衛権の発動に対する考え方はどうでしょうか。やはり、現実に攻撃がなければ発動できないという立場をとっておられるのでしょうか。それとも、侵略の、攻撃の脅威があれば自衛権が発動できるという態度をとっておられるのでしょうか。アメリカの態度ですね。それは、どういうふうに理解すればよろしいのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この条約論としての五十一条の解釈は、ただいま条約局長が御答弁いたしたとおりで、私はそれが正しいと思います。  それから、ただいまのお尋ねでございますが、これは、アメリカがどういう態度であり、解釈であるということは、有権的に私からお答えはできませんけれども、しかし、私の理解しておりますところは、やはりこれは、現実に攻撃が起こった場合と解されているようでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それは、私はいろいろ論議のあるところだと思いますが、一つ確認をしておけばいいと思うのです。  安保条約の第五条が発動して共同で行動する場合に、日本の自衛権の発動に対する考え方とアメリカの考え方とが根本的に違うということになれば、これはたいへんな問題になるだろうと思うのです。日本の場合は、現実に武力行為が発生しなければ行使できない。それからアメリカのほうは、脅威があればもう行使できるんだということになれば、これは第五条で共同行動はなかなかとりにくいというふうに思いますが、その辺、はっきり明確に、打ち合わせなり、その辺の統一というものをなさっていらっしゃるのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたのは、国連憲章第五十一条の解釈並びに私の理解しているアメリカの態度ということでお答えをいたしたわけでございますが、日米安保条約につきましては、両方が完全に合意しておるわけでございます。第五条の解釈につきましては、現実に侵害行為が行なわれた場合と、こういうふうに私は解しております。それが両国の合意である、かようにお答えを申し上げます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは、第五条の場合でなくても、たとえば、プエブロ号のような場合が一番典型的な例になりますが、在日米軍は、アメリカの国益に従って、あるいはアメリカの個別的、集団的自衛権に従って行動するということになりますね。そうすると、在日米軍はアメリカのそういった自衛権の解釈に従って行動する、日本は日本、別である。その辺の調整をはっきりしておかないと、それこそ、ほんとうに好まないところに巻き込まれるという危険性が出ると思いますので、その辺はどうなっているのでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) プエブロ号という問題を例としてお話しになったわけでありますが、これはいろいろに見られておるようでありますが、先般も、先般というか、いまも進行中かと思いますけれども、たとえばプエブロ号事件のアメリカ国内における査問といいますか、調査の段階において関係者が証言しておるところは、公海上で起こった事件である、こういうことを言われておりますが、そういうことを前提といたしました場合には、これは日本とはかかわりのないことでございます。日本とアメリカの両方に関係のすることについては、先ほど申しましたように、安保条約第五条あるいは六条の発動ということになるわけで、その限りにおきましては、両国が、つまり、先ほど申しましたような態度で処理すべきものであると、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは、念のためにお伺いしたいのですが、たとえば、第五条が発動して有事の場合ですね。発動する場合、たとえば、この第六条の交換公文で事前協議がいろいろありますが、「配置における重要な変更」——まあ、陸上部隊の場合は一個師団程度とか、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置、こういった配置における重要な変更も、これは、第五条が発動をしたもとにおいても、事前協議の対象になるのでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 事前協議の問題は、第六条に基づく交換公文であり、それに基づく事前協議でございますから、第五条は、交換公文の上でも、第五条を除くと書いてあるはずでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 実は、その問題が非常に大事な問題で、実はそれは勘違いで、どうぞ誤りを訂正してもらいたいのです。実を言うと、いままで私調べてみましたら、あまり国会で論議されておりませんので、あえて伺いましたが、「第五条の場合を除く」と交換公文には一行入っております。「除く」というのは一体どこまでかかるのですか、除くというのは。たとえば、戦闘作戦行動については除かれるのでしょうか。配置における重大な変更や装備における重要な変更までも、第五条の場合には除外されて、とにかく、その第五条が発動して自衛権行使の段階になったら、装備の変更も原爆の持ち込みも、これは一切事前協議から、はずされるのだということになると、たいへんですね。このただし書きはどこまでかかるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 細部にわたりまして正確を期するために、それでは条約局長からこの点の御説明をお願いします。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これは、交換公文に非常にはっきり書いてございますが、戦闘作戦の行動の点だけがこれ……。

前川旦日本社会党

○前川旦君 点だけが……。そうすると、先ほど外務大臣のお答えになったことは、あれは御訂正なさるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの答弁で、補足いたしまして明確にしてもらったわけでございます。さよう御了承願いたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いまのは、外務大臣の答弁の補足じゃありません。外務大臣の答弁と逆のことを答えられたのですから、それはもう率直に——これは勘違いってあるのですから。たいへんなことです。もしそのまま押し通されるとなると、たいへんなことになりますので、それは訂正をしていただいて、これは直接戦闘作戦行動だけだ、あとは、やはり第五条が発動になっても事前協議の対象になるというふうに答えていただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私は取り消すことにやぶさかでございませんが、先ほどの御質問の前段からずっと来ておるところに対しまして、私のお答えは間違っていないように思いますけれども、そういうふうにおとりになったとすれば、その部分は取り消すなり、あるいは速記録を修正させていただきたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 きょうの新聞でも、韓国での米軍の演習が報道されておりますが、どういう具体的な計画になっているか。ある程度日本の外務省はつかんでいらっしゃいますか。その内容、空輸演習の内容。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも、正確な日取りその他誤解をあれするといけませんから、政府委員から答弁いたさせますが、正確な日取り等は、私ちょっとここで正確に申し上げられませんけれども、米韓合同の演習をこういう目的でやることにするということにつきましては、まず、事前にワシントンの日本駐米大使館に国務省から連絡がございました。それから、その次の日に、外務省に対しまして、駐日アメリカ大使館からも、国防省の発表をこういうふうにするということの通報がございました。内容は、前日ワシントン大使館に連絡がありましたことと同様の内容でございました。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) ただいま大臣がおっしゃいました以上にあまり材料もございませんが、予定は、三月十五日から二十五日までということでございます。(「けさのニュースではきのうから始まったと言っていた。」と呼ぶ者あり)演習自体は十五日から二十五日というふうに前に発表され、そのようにわれわれも聞いておりますが、けさの、九日ごろ出たというのは、船舶が出たということではないかと思っております。演習自体は、先ほど申しましたように、十五日からというふうに聞いております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 時間がなくなりましたので、一つだけ、その問題でお伺いしますが、もし韓国ヘアメリカが飛行機で兵員を空輸するとすれば、沖縄を経由する航路があります。沖縄から韓国へ行くのには一つは公海の上を通りますが、一つは九州を横切って通ります。沖縄を経由しないでグアムなり、ハワイなりから直接飛ぶとすれば、どうしても日本の上空を飛ばなければ行けないわけですね。それは大きく回り道をすればなにですが、実際問題としてあり得ない。日本の上空を米軍の軍用機が横断をする、通り過ぎるというのは、これはどういう権原によるものでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私が理解しております、いま申し上げました通報、連絡等におきましては、日本には関係がない。特に日本の自衛隊等については関係がないという趣旨であると思いますが、それはそれとして、ただいまのお尋ねの点は、軍用機を含む外国の飛行機の日本の領空の通過につきましては、航空法によって運輸大臣の許可が必要ということになっております。ところが、航空法の特例法第二項によって、地位協定に該当する飛行機の領空通過ということは、包括的に認められております。地位協定の第五条は、米国飛行機で公の目的で運航されるものについては、わが国への出入を認めておる。また単なる領空通過についても同様ということに相なっております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 その特例は二十七年に出た古い特例法なんですね。そこでこの事前協議の精神、趣旨からいいきて、この文章だけ読むと、日本の施設及び区域からの作戦行動ということになって、上空を通過して作戦行動するというのは、一応これから、はずれるようなかっこうになります、文章だけ読みますとね。しかし、よく考えてみると、たとえば朝鮮でいろいろごたごたが起きた場合に、アメリカの本国からどんどん行きます。ベトナムでもそうだ、本国から直接行きました。日本の上を自由にそういう飛行機が横断をするということは、これはそのまま特例法があるからそれはいいんだということにはならぬのじゃないだろうか。特に核攻撃をするために通過するとか、あるいは直接戦闘作戦行動するために通過するとかということになると、やはりこの交換公文の、これは文言からじゃありませんが、趣旨からいって、やはり厳密に事前協議の対象にするという扱いをしていいのではないかというふうに思いますが、どうでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 今度の演習の場合を中心にして申しますと、先ほど申しましたように、安保条約に基づく事前協議というのは、わが国の基地から出発するという場合でございますから、今回の場合におきましては第六条の実施に関する交換公文に基づく事前協議の対象ではない。これは特例法の関係のみならず、この交換公文の事前協議によってさような規定がございますから、これには該当しない、こう解するわけでございます。しかしながら、核の問題については、これを搭載して日本の領空、上空に入ってくるというふうな場合におきましては、これは核の問題、これは事前協議の内容、先ほども御論議がございましたが、そのほうでもってこれは事前協議の対象になる、かように考えておるわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 核の持ち込みに該当するということだろうと思いますが、戦闘作戦行動についても、やはりこれはもう事前協議の対象にするとまで広げても私はいいと思うのですが、どうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは御意見は御意見として承りますけれども、現行の交換公文、それからそれに規定されてある事前協議ということから申しますれば、今回のように、米韓の合同演習が行なわれるという場合は、それ自体その行動は、私は領空を通過する場合でも事前協議の対象にはならない。しかし、核の場合は、核搭載という別個の観点からいって、これは交換公文の事前協議の対象にすると、これが何といいますか、そういうことにしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。それ以上に範囲を広げたらどうかという御意見は御意見でございますが、現在の条約、それの運営、これについては私はこれで政府としては十分であると考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは最後に総理にお伺いいたしますが、安保のいわゆる自動延長か固定化かという問題は沖縄の基地の態様によって変わるもんではないかというように思いますが、いかがなものでしょうか。無関係のものでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いままで、いつもお答えしておりますように、私は日米安全保障体制、これは続けていきたい。しかし、その形態はどういうようにするか、これはひとつまだもう少し考えさせていただく、ただいまきめておらない、こういうことを申しております。もちろん、沖縄の問題も一つでございますが、その他にもあろうかと思います。いろいろこの問題をめぐりまして、国内でも長期固定化の議論もあるし、あるいは大幅に改定しろ、まあ段階的解消論もございますが、また、最初から廃棄論もあるというようなわけで、いろいろな沖縄のことにも関連をしますが、これ以外にも本来の問題がある、かように私は理解しておりますので、その態度についてもう少し慎重にきめようと、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 外務大臣にお尋ねしますが、沖縄返還に伴って安保条約の適用の除外例をもし、これは仮定で悪いのですが、するとすれば、これはたとえばその除外例をする場合ですね、一定の期間、たとえば三年間は除外するが、三年後には本土並みになる、何年か先には本土並みにする。しかし、その間の暫定期間だけはある程度認めるというふうな、そういうような先を何年かを拘束するような除外規定というものは、除外の約束というものは、安保条約が自動延長下では結ぶことはできないのじゃないでしょうか。それはたとえば一年という、終了通告ができますが、一年という拘束力しかありませんから、それ以上の長い拘束力を持った例外規定というものは認められないのじゃないでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはたいへんむずかしいお尋ねで、まず第一に、仮定の問題でございまして、これはやはり基地の態様に関係する部分が相当ございましょうから、私の意見として、仮定の場合にどうするかということはお答えしにくいと思います。そうして、その次に仮定の何といいますか、議論といたしますれば、いろいろの取りきめはすることは考えられるでしょうが、その際、これと第十条との関係のお尋ねだと思いますが、十条の場合には、締約国の一方が廃棄通告をすればということになっておりますが、それをしなければこの条約は将来国際の平和機構によって十分目的が達せられる、つまり安全が確保されるというときが最終の期限でございますから、そこまで続くわけでございます。それを中心にして考えますれば、何か特別の取りきめをするということも私は条約論から言いましてもできることじゃないかと思いますが、ただ、念のために再度お断わりしておきますが、そういうことが現在考えられているわけではない、これは全部そういうことも含めて白紙で真剣に検討しておるのが基地の態様の問題であるということは念のために繰り返して申し上げておきます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 最後に、総理にお尋ねしますが、この沖縄の基地の返還をめぐって、いままでの安保条約による日本が負っている義務ですね、それに何かつけ加わるようなことがもしあるとすれば、これはやはり条約という扱いで国会の承認を得るという手続はやはりとるべきではないかというように実は思います。条約とか協定とか宣言とか共同声明とか往復書簡とか、いろんな形式はありますけれども、しかし、新しく日本が何かの権利義務を負うというような場合は、これは国会に出す、出さないは政府の一存になるかもしれませんけれども、これはぜひ国会に出して承認を得るという、何か義務が加わる場合には。こういうことを実はお約束をしていただきたいというふうに思いますが、いかがなものでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまのはどういうことですか、私は、なかなか新しい権利義務、そういうものを国会抜きに政府がかってにできるとは思いません。むしろ、おそらく前川君は新しいものをやって権利義務を、新しいものをつくらないようにしてくれ、こういうようなお話が主体ではないかと思います。最後のお尋ねでありますから、いま申し上げますように、国会を抜いて政府自身がかってな権利の設定、義務を設定する、そんなことはできないと思います。  それからもう一つ申し上げておきたいのは、とにかく沖縄の問題で非常にむずかしいのは、問題をあとへ残さないことだ、かように思います。わかりいい結論、それでないと問題があとに残ったと、こういうことがあると、せっかくわれわれ努力してもその努力が十分理解されないということのように思います。そういうこと等もあわせて先ほど来の質疑応答で、重ねて慎重に取り組んで国民の満足のいくような、また、日本の長期にわたっての国益に合致するような、そういう措置をとりたい、そういう意味の慎重な態度であります。かように御理解いただきたいと思います。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして前川君の質疑は終了いたしました。     —————————————

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、竹田現照君の質疑を行ないます。  ただいま愛知外務大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 一昨日問題になりました沖縄住民の国籍に関する一九五一年当時の経緯につきまして、御説明申し上げ、かつこのことを書類の資料としてこれから御配付申し上げたいと思います。ただいまタイプ中でございますので、便宜私から読み上げます。  「沖縄住民の国籍に関する資料」、本日付、外務省として提出をいたしたいと思います。  一、一九五一年十二月十日、外務省事務当局より、平和条約第三条の諸島が、日本の主権のもとに残り、したがって住民の国籍に変更なきことを米国が確認することにつき、米側の考慮を求める、との内容の照会を米側に対して行ないました経緯がございます。これは書簡という形をとったものではなく、右に対する米側返簡というものもございません。  二といたしまして、なお、ハワイ地方裁判所の一九五四年七月二十九日の判決の中で、国務省法律顧問より日本担当国務省員オーヴァートン氏に対する一九五二年五月十四日付書簡が引用されております。その書簡の中で、国務省法律顧問は、南方諸島(琉球及び小笠原)が日本の主権のもとにとどまるものであり、その住民が日本国民であることを米国が確認することを求める一九五一年十二月十日の日本国外務次官の要請について法律的見解を求められていること、及び、琉球及び小笠原に対する主権は日本にとどまり、その住民は日本国民であると結論されることを述べております。ここにいう一九五一年十二月十日の日本国外務次官の要請とは前述の経緯をさすものと理解されます。  以上でございます。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 竹田現照君。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 私のきょうの質問の本題でありませんけれども、いま外務大臣のお答えで、日本国から日本人として扱うことを確認をされる要請をしたわけですが、向こうに出しっぱなしで返事がないわけですね。その場合に、この間から質疑がかわされておりますように、日本人として扱うということは、日米両国政府の合意というかっこうにはならないと思うんですけれども、その点はどういうふうに日本政府としてお扱いになるのか、この点だけお尋ねしておきます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は、先ほども読み上げましたように、一九五一年にどういうことが行なわれたのかというお尋ねがございましたので、それを中心に経緯を調べたわけでございます。これは書簡という形の往復はなかったということは申し上げたとおりでございますが、傍証と申してはいかがかと思いますけれども、アメリカの裁判所の判決文の中に、国務省の法律顧問が見解を明確にしておる、そしてその根拠が一九五一年当時の経緯を引用しているということで、これによってもアメリカ側の見解というものははっきりしている、こういうふうに私は理解すべきものだと思います。  それからその後の経緯も調べてみましたけれども、何といいますか、こういう判決の中にも正式に引用されているくらいでありますから、アメリカ側としての見解は明白ではないですかというような応酬が、その後もあったような経緯もございますので、したがいまして、アメリカの政府の見解としても今日明らかであるということを確信するに足る資料は、そういうわけであるわけでございますから、この点は明白であると申し上げて間違いない状況でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこまではっきりすれば、沖縄の人が日本人か日本人じゃないかだなんという論争がいまどき新聞種になり、あるいは沖縄の新聞に出て、日本政府のそういうことについての扱いについて問題になる点はなかろうと思うのです。ですから、この際もう少し明確に、そういうようなことが再び国会の中で、沖縄が日本人か日本人でないかだなんという論争が起きないように、ひとつ明確な態度を出しておいていただきたいと思いますが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 一昨日、これは政府側の見解をあらためて、まあ何度も実はやっているつもりなんでございますけれども、一昨日もたまたまお尋ねがございましたので、われわれとしては正確に日本の法律に基づいての見解を法制局長官から御説明申し上げたような次第でございまして、この点は日米間及び日本政府独自の立場におきまして、私は法律的には明白になっているのではないかと思いますが、なおしかし、御注意の点は十分これからも注意いたしたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それでは私は物価、税金、中小企業対策を中心にして質問を行ないたいと思います。いずれもこの問題は古くて新しい問題でありまして、過去何回か論議が尽くされ、かわされておりながら、なお解決はしておらない。しかし、国民がこういう問題について一番痛切に感じ、かつ要求をしていることもまた事実であります。そういう意味で、私はあまりむずかしい論議を展開しようとは思いません。きわめてわかりやすく簡潔にお尋ねをしてまいりたいと思いますので、国民のそういう要求に対してわかりやすく解明をするという意味で、ひとつお答えをいただきたいと思います。  歴代の政府というよりは——政府は、もう物価は一両年以内に必ず安定をさせるという政府・与党の統一見解というものを国民の前に公約をしたのは、昭和三十八年の総選挙であります。それから今日まで一向に安定をしない。むしろますます上昇している。そういうことは事実でありますが、この辺でひとつ実効ある物価対策というものを、それこそ総理のリーダーシップをここで発揮をしていただいて、ひとつ問題を解決してほしい、こういうことが国民の偽らない声だと思いますが、これについてひとつ総理の御所見をお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もう抽象的に物価問題が今日一番の政治課題だ。まあこういう点についてはるる申しません。しかし、この物価のどうして上がるか、どうして安定しないか、こういう原因を突き詰めていく。もちろんその一つには経済の成長がすばらしいこと、これも一つあります。同時にまた生産性が、全部が同じように生産性の向上がはかられておらない。農業だとか中小企業、あるいはまたサービス業のごときは全然生産性という、そういう点から見ると議論がある。かように思いますので、そういう構造上からくるものがありますから、それを追っかけまして、いわゆる生産性をひとつ引き上げていく。同時にまた、物価と賃金との関係、またその賃金の平準化という問題もありますから、そういう問題とも取り組んでいく。とにかく単純に物価問題の結論が出てこない。そこにはどうしても総合的な政策を取り入れて、そうしてこれと取り組まなければならない、かように思います。そういう意味で政府もいろいろ努力している。政府だけの努力ではいかない、また国民の皆さんの積極的な御協力においてやらなきゃならない、そういう意味でただいませっかく努力中であります。私はまあこの問題を解明するについては、いま申し上げたように総合的で、また各方面の協力を得ないとこれは政府だけでも片がつかない問題だと、こういうことだけ簡単に申し上げて御理解を得たいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 昨年の十二月十八日に本院物価対策特別委員会で菅野経企庁長官は、「いま、日本における国内の重要な問題は」二つある。一つは大学問題、もう一つは物価問題。「この二つの重要な問題を解決しなければ、私は佐藤内閣というものの存在価値がないと考えておる」、こういう木村委員の質問に対するお答えがありました。これは私はたいへん重要な発言だと思うんですけれども、内閣の存在をかけて物価問題の解決にあたるという取り組みなんですが、総理はこの経企庁長官の発言どおりのお考えで対策にあたっておられるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 菅野君の発言同様に私も考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 とすると、もしこの問題が解決をされなければ総辞職をして国民に責任をとらなければならぬわけですけれども、佐藤内閣が五年も十年も続くわけではないですから、それこそ一両年しかもたないわけですから、それの目安をいつまでに置いて内閣の責任をとられようとするのか、もう少しはっきりしておいていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は政治課題としてただいまのようなたいへんな問題だと、その意気込みで取り組んでおる。しかも、それも総合的に、各省がばらばらではいかない。全体として取り組んでおる。また、そのために私を中心にしての物価安定推進会議、これも開いておる。こういうことで、私自身が音頭をとっておるわけであります。しかし、ただいま言われるように、構造改善、こういう問題はそう簡単なものではございません。また、いまのわれわれがとっておる自由経済のもとにおきまして、そう何もかも簡単にはいかない。あまり結論を急いで角をためて牛を殺すというようなことにならないように、ひとつもうしばらく時間をかしていただきたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 しばらく、しばらくといって、五年も六年もたったわけですから、ひとつ佐藤内閣の間に解決をしていただくように、そのめどをはっきりされておらなかったのですが。  それで経企庁の長官は、さらにその日、「物価が五・五%以上になれば、いままでせっかく繁栄した日本の経済の発展を阻止することになる」「これはもう御存じのとおり」云々という発言がありました。そこで来年度の上昇率五%、これが押え得るものか、押えられないものか、補正予算の審議以来聞いておりましても、何だかさっぱりわからない。比較的控え目な都市銀行あたり、五・五%から六%ぐらいまでには物価は上昇するのじゃないか、こういわれていますね。そうすると、先ほどの内閣の責任ということと関連して、この五・五%というところを目安にして、これ以上上がったときにはもう内閣は責任とりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、企画庁長官がいままでお答えしておるのは五%程度と、こういう言い方をしていると思います。それがわれわれのいま努力目標であります。もちろん政府はあらゆる場合において政府の責任においてこれをやっておる。責任を他に転嫁するような考えは毛頭ございません。責任のある処置というのは、ただいま、先ほど言われたように総辞職するか、こういうことと必ずしも結びつかない。そこは御了承いただきたいと思います。私はいま、あらゆる面で、ことしの予算もそういう意味で刺激を避ける、そういうことで取り組みました。しかし、必ずしも本予算は抑制型の予算とは言えないかもしれません。人によっては非常な刺激的な予算だと言っております。しかし、大蔵大臣自身がしばしばお答えしておりますように、この予算の運用についても十分弾力的に経済情勢に対応していくと、こういうことを申しております。私は、ややその心配したほうから申しますと、最近の経済の好調、こういう点が、民間にもそういう考え方が横溢しております。さらにまた春闘の相場にいたしましても、昨年より以上に高いものがあるように思っております。こういう事柄が国民の物価安定への希望とは逆な方向へ行くのではないか、かように実は心配をしておるのです。  そこで、私、政府自身は、できるだけ金融と合わして、財政金融一体となって刺激的な処置をとらないようにする。また産業界においても、労使双方がやはりそれらの点を十分注意していただいて、そして適正なる春闘、これが展開されることを私は希望いたします。  特に、その点を申しますのは、賃金の平準化ということが行なわれますから、どうしても賃金は、ある非常に生産性の上がった部門、これに右へならえをする、そういう形のものであります。その結果は労働力に偏在を来たす、そういうことが経済界を乱すゆえんにもなります。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕  そういう意味で、私は何もかもみんな押えろというわけではありませんが、そういう点もやはり物価の安定が大事だと、こういうことで十分御理解をいただくなら、それこそ総合的施策の一つとしてこの春闘についても適当なあり方が望ましいということを私は率直に実は申すのであります。これは必ずしも、私は、そう申しましたからといっていろんな御意見がおありだろうと思いますけれども、私はあえてそのことを承知しながら、政府ももちろんこの上とも気をつける、だが、協力を皆さん方にお願いしたい、こういう意味でただいまの点に触れたわけであります。この点を御了承いただきたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 ちょっと関連。総理の気持ちを私は疑うわけじゃありません。おそらくそういう気持ちでやっておられると思うのですが、しかし、竹田君は三十三年からのことを取り上げられましたが、私は古い問題じゃなくて、いま総理がそういうふうに言われた根拠をどういうふうに裏づけるのかということが実は国民としても聞きたいところだと思うのです。ただ、物価を下げるように政府は非常に努力をしておるのだ、こう言っておるのだけれども、実際に実勢としては上がっているわけですね。というのは、実勢のほうは私は問題にしませんが、四十二年度の政府の物価値上げの目標というのは大体四・五%に押える、こういうことを計画として出された。ところが四十三年になると、今度は四・八%に目標を上げておるのです。今度は四十四年になると五・〇%に目標を上げていっている。ということは、一体どういうことなんですか。  政府は努力をしておるのだが、目標のほうは上げておるのです、だんだんだんだん。ということは、逆じゃないですか。これはやはり国民がなかなか承知しないところじゃないでしょうか、あなた方が口で幾ら言われても実際に政府の目標は上がっていっておるのだから。これまではしかたがない、これまではしかたがない、来年は五・五%になるでしょう、目標は。再来年は六・〇%になります。こういうことになりますと、あなた方の言っておられる裏づけがない。この点が国民の心配をしている点じゃないかと思うのです。その点をひとつ明らかにしてもらいたい。これは経企庁長官でもけっこうです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 詳細は経済企画庁長官からお答えいたさせますが、私は、前内閣の当時、大体六%以上の物価上昇である、しかしそれを引きとめた、こういうことはそのまま御了承いただいてしかるべきかと思います。  ただいま御指摘になりました四・五%、さらにそれが四・八さらにその上の五、これから上にさらに上がっていくという、これはもうたいへんなことになる。金利等から見ましても、物価がそれより以上に、五・五%も上がっていくということになればなかなか貯蓄などもできにくくなる。そういうことを考えると、物価はどう見ましても五%程度にはとめなければならないものだと、私は達観と申しますか、そういう見方をしております。そこで一面に経済の成長も、あるいは国民のほうからいえば、ブレーキをかけないでくれ、もっと経済の成長はできるのだ。こう言われるかわかりませんが、それにもブレーキをかけて適度な成長が望ましいのだ、こういうことでこれも力は十分持っておるのだが、そこまでは伸ばさない。物価の変動をあまり来たさないような成長率をいま考えておる、こういう事柄が総体の計画としてならわかってくる。問題は、これがはたして成功するかどうか。現実に一年たったのちに物価がそういう五%あるいはそれ以内にとどまるか、こういうことになると、まず政府は努力したのだ、こう言われると思いますけれども、昨年の四・八%という一時ずいぶん危ぶまれたと思います。しかしもう三月でございますから、それらについても大体の見通しもあろうかと思いますので、それらをあわしてひとつ、企画庁長官からあとはお聞き取りいただきたいと思います。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 消費者物価の上昇することについては総理から大体お答えがあったので御存じのようでありますが、なお、私どもから具体的に申し上げたいと思います。なるほど四十三年度は四・八%ということを予想いたしたのであります。しかしこの四十三年度の四・八%を予想したとき、その時点においていろいろ材料を集めて大体四・八%ということにしたのでありましたが、しかし昨年の二月ごろからだんだんと景気がよくなってまいりまして、予想以上のことが経済状態にあらわれてきたのでございまして、たとえば昨年度、四十三年度においては国際収支においてはマイナス三億五千万ドルというように計算しておったのが、今日においては大体国際収支が十二億ドルの黒字になっておるというようなことで、それだけ経済が非常に動いてきたのであります。したがって、それに関連してやはり消費者物価も五・四%になるだろうとわれわれ予想をいたした。昨年末において予想をいたしたのでありますが、しかしまた最近の情勢から見ますると五・四%を下がるのじゃないかということも考えられております。これは暖冬異変その他の関係で食料品など、あるいは果物などが非常に安くなりましたから、したがいまして、五・四%以下になるのじゃないかということが考えられるのでありますが、まだこれは三月たってみないと最後の結論が出ませんからして、はっきりしたことを申し上げられませんが、そういうことで、経済界の流動によっていろいろ変わってまいりまするので、したがいまして四・八%が五・四%になったじゃないかということよりも、これは共産主義の計画生産であれば計画したとおりいきますけれども、自由主義をとっておる日本といたしましては、経済界が流動的であるがゆえに、またことに昨年予想せざるように外国貿易が発展しましたために、そういうようにいろいろの方面において経済事情が変わってきたのであります。でありますからして、予想が違っておるからということにおいて、私はその計画が違っておったと、初めの計画が間違っておったとは言えないと思っております。

野上元日本社会党

○野上元君 私も経済が流動しておるということはよくわかるのです。よくわかるのですが、政府は物価の問題がやかましくなってくると、何とかして押えるのだ、押えるのだといって言われるのですね。そのこともわかりますよ。政府として当然のことだと思いますよ。しかし実際に、それならば政府の努力目標をどんどん上げていくというのが物価政策としてはやはり失敗じゃないですかね。それはそういう努力目標をどんどん上げていくということになれば、民間もやはり政府につられていくのじゃないでしょうか。政府も今度は五%に上げた、来年は五・五%上がるだろうというようなことを考えることになるのじゃないですか。それで経済企画庁のほうで、今後両三年のうちに、沖縄返還じゃないが、三%にするんだ、こう言って発表されましたね。それも、一体、経済成長率はどの程度が望ましいのであって、それにつれてこれだけの物価の上昇はやむを得ないのだというふうにはっきりとしたものを見せないと、ただ三%に押えるのだ、二%に押えるのだと言っても、ちっともそれはぴんとこないのですね。したがって、このくらいの経済成長がある場合には、これぐらいの物価上昇はやむを得ないのだ、いわゆる摩擦的な物価の上昇はやむを得ないのだというようなものを、もっとはっきり責任ある目標を出していかないと、ただ物価を下げろという世論があれば物価下げますというだけでは、なかなか国民が納得しないと思うのです。したがって、いまの経済の成長から見て、物価はどの辺まで落ち着いたらこれは大体目標どおりにいったと言えるんですか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 昭和四十三年度の消費者物価が五・四%ということを計算したときと、また今日とは非常に事情が変わっております。で、今日では私は五・四%を下がるのではないか。これいまはっきり数字を申し上げることはできませんが、いまの情勢でいけば、先ほど申し上げましたとおり、五・四%を下がるのじゃないかと考えておるのであります。どうしてそうなってきたかといえば、暖冬異変ということが一つの原因。そういうことはだれも予想していないことですよ。でありますからして、そういうような経済上のいろいろの事情からして変わってまいりますからして、そこで、政府としては、やはり最低限の消費者物価というものをわれわれは示したい、こう思っておるわけです。そこで、昨年の上半期では五・七%、その勢いをもってすれば、私はおそらく六%近くなるのじゃないかということを心配しておったので、そこで、四十三年度は五・四%にひとつしたいものだということで、いろいろ政府の努力目標を示したわけです。そこで、しかし、そのままいまのような上昇の情勢を続けていけば、来年度はまた五・五%以上になるのじゃないかという心配があるから、そこで、来年度はどうしても五%以内にしたいということで、それで政府の努力目標を示したわけであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いまの質問がありましたように、毎年毎年、核装備じゃないですけれども、エスカレートして目標を上げられておったんでは、いつまでたっても内閣はどこで責任をとるかわからぬから、どこを限度にして責任ある物価政策をとろうとしているのかということを私は聞きたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) そこで、私は、来年度は五%以内ということを申し上げて、これは私が責任を持って申し上げておるのでありまして、五%、五・五%以上になるということであれば、それは私が責任を持ちます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 経企庁の長官が責任をとってもらってもしようがない、佐藤内閣としての責任をどうするかということを聞いておるのですから。いまの長官のお答えどおり受け取っていいのですね、総理大臣は。五・五%なら佐藤内閣は総辞職ですからね。いいですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 物価問題というのは簡単なものじゃございません。その意気込みは、言われたような意気込みで取り組まなければこれから物価の問題は解決しない、かように思います。御了承いただきたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 責任がはっきりしませんけれども、これでやっていると時間がたちますから、次に進みます。  そこで、消費者物価の上昇に対して、この間も経済企画庁長官から御答弁があったのを聞いておりましたけれども、昭和三十年以降今日までの消費者物価の上昇、一言に言ってしまえば、その特徴は何だというふうに判断するのですか、経済企画庁。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 昭和三十年以来の物価の上昇の原因、基本と申しますか、をお尋ねかと思いますが、一口に言えば、日本の経済が急激に発展したということになります。で、そこに構造上のいろいろの変化があらわれてきて、生産性の高いものがどんどん生産がふえ、生産性の低いものはしたがってまた生産がふえない。したがって、そこで労力の問題、あるいは配給機構の問題というようなものが起こってきたのでありまして、一口に言えば、日本の経済が急激に発展してきたというところに消費者物価の上昇があったということが言えると思うのです。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、この間七日の自民党の高橋委員の質問に、経済の極端な二重構造がそのまま物価面でも容認されているということをお認めになって、こんなに差があることが好ましくないから善処していきたいというふうにお答えになったのです。ただそれだけで、それでは一体その善処はどういうふうに具体的に行なっていくのかということについての説明がなかったのですね。与党であればそれで了承するのかもしれませんけれども、私としては、善処するだけではちょっと了承ができませんので、この二重構造の関係をどういうふうに対処して、どう解決をしていかれようとするのか、具体的にひとつ説明してください。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 二重構造というものは、生産性の高い産業と生産性の低い産業があるということを意味するのでありまして、したがって、生産性の低い産業の生産性を高めるということがそのねらいであって、それによって生産性の格差をなくしたい。同時に、所得の格差をなくしたいというのが経済政策の目標としてやっているわけであります。そういう意味においていろいろのことをやっておりますが、いま申し上げましたとおり、この生産性の低い産業の生産性を高めるということについては、それはにわかにそうできるものではない。これは地道にやらなければなりませんからして、先ほど総理が言われたとおり、にわかに効果があらわれてくるものではありません。しかし、この点については十分皆認識しておりますから、各省とも、この生産性の低い産業の効率を上げるということについて努力されておりますからして、その点は、私はやがて効果をあらわしてくると、こう考えておる次第であります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 重ねてその点で配給機構にも問題があるということを指摘されています。流通機構の不備、これは私もそのとおりだと思いますが、さしむき、この流通機構をどういうふうに改めて消費者物価の上昇というものを押えるためにやっていこうとするのか。これは所管が各省庁にわたっておりますが、総合的に取りまとめて、経済企画庁はどういう考え方を持っていますか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 日本の伝統、商慣例がありまして、流通機構が非常に複雑であります。また、これは一方から言うと、交通の関係によってもこれが複雑になってきておりますからして、したがって、交通関係を改善することによって流通過程をまた短くすることができるし、また、流通機構の複雑性を、これを簡単にする、簡素にするということによって私は消費者物価というものが下がっていくというように考えております。そういう点については、具体的にこれは通産省のほうでいろいろ計画されているし、農林省のほうでも計画されておることでもありますからして、農林省、あるいは通産省のほうからひとつお答え願いたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のとおり、わが国の流通体制における不能率が消費者物価に影響を持っておりますことは御指摘のとおりでございます。で、私どもといたしましては、まず第一に、小売りの上におきましては、政策の道標としてボランタリーチェーンというものを育成、助成いたしております。すなわち、各企業の独立性をそこなうことなく、共同して仕入れその他の共同行為をやることによってコストを下げてまいるということを中心に推進をいたしております。  それから、第二といたしまして、卸売り部面におきましては、いま菅野長官が言われましたとおり、最近のような交通事情の中で卸売り市場が十分経済的な機能を果たし得ない状況にありますので、とりわけ都市の周辺地帯におきまして総合卸売りセンターをつくり、あるいは卸売り団地を新しく設けまして、刷新された能率的な機能を果たすようなぐあいに思い切った投資を政府の援助のもとにやっておるわけでございます。  それから、小売りと卸売り、あるいは工場とを結ぶ流通の非能率を救うために、運搬、包装等の機械化を進めております。  それから、商取引について、あるいはこれを大量の取引、あるいは季節的取引をできるだけ大量化し、仕入れをできるだけ統一化してまいりまして、コストを下げるような商慣習の合理化、そういった面にも手を染めておるわけでございます。事柄はなかなか幅広い、深い問題でございますけれども、鋭意そういう方向に努力を進めておるわけでございまして、漸次効果はあがってまいることを期待いたしております。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 生鮮食料品の流通機構というものはたいへんむずかしいことでございまして、しかし、何といってもこれを近代化させなければならぬ、そういうような見地に立ちまして、中央卸売り市場、あるいは地方の市場、こういうような市場につきましても、本年度はその改革といいますか、御承知のように、非常にもう各業者が機動力を持ってまいりますので、非常に取引所というものが場狭になってまいりました。そういうような観点から、自由な選択をする、品質の選択をするのにも非常な困難性を帯びてきておるような次第でございますので、まずこれらが十分に自由に選択し、そうして消費者にぴったりといいましょうか、お気に召すような品質を選び、それがなるべく早く店舗まで輸送ができるような方法をとることが必要である。それには小売り業者に対して、まず経営の大型化をするとか、あるいはチェーン化等をするとか、そういうような点について近代化をはかってもらい、さらに融資制度の拡充とか、指導研究事業の強化、こういうような諸般の施策を講じておるわけでございまして、特に本年度に至りましては、それらの点に重点を置きまして中央卸売り市場の施設整備補助金だとか、あるいは地方の卸売り市場の施設整備補助金、さらに卸売り市場の近代化の融資をするとか、それから、さらに生鮮食料品と小売り業の近代化をするための資金のワクを拡大し、そうして生鮮食料品流通改善対策費等を見まして、本年は大いにこれらがその目的が達せられるような方途を切り開いていきたいということで、せっかくただいまその予算を審議してもらっておるわけでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そのほかに厚生省、運輸省、いろいろとお考えになっておると思いますが、これは各省の説明を聞いてみますと、全くそのとおりなんですが、要は、それを総合的に実のあるものとして実行するかどうかということにかかっておるわけですね。それがやっぱり十分に行なわれておらないところに今日物価上昇の主要なる原因の一つとして流通機構の欠陥がいわれておるわけですから、先ほどお尋ねしたとおり、各省のなわ張り争いだなんということじゃなくて、一元的に実行ができるようにひとつ努力をしていただきたい。  それから、その物価上昇の問題についてちょっとお伺いをしておきますが、後ほどの税金の問題にも関係をしますが、最近総理府の統計局がサラリーマン世帯の家計調査について発表をされましたけれども、、これは平均実収が一一%伸びたというような問題がいろいろと手柄顔のように書いてありますけれども、実際はこの実質の伸び率は五・四%、となってくると、この大半が物価の上昇に食われていっている。それから消費支出の実質伸び率五・七%を下回っておるという、こういう現実をどういうふうにとらまえていらっしゃるのか。これは企画庁。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) この消費者物価と所得水準との問題ですが、これは最近における調査においては、やはり所得水準のほうが消費者物価よりも率が上がっておるのでありまして、その点について数字をいま私見つからないものですからぐずぐずしておったのですが、政府委員から答弁いたさせます。

八塚陽介経済企画庁国民生活局長

○政府委員(八塚陽介君) ただいまお話しになりました数字はまさに同じ資料でございますから、そのとおりだと存じます。考え方につきましては、ただいま長官が申し上げたとおりでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 ちょっといまの答弁はわからぬね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ちょっとお尋ねが誤解があるんじゃないかと思いますが、賃金は一三・五%上がっております。で、物価が五・二、三%から四%になりますか、その差が大体これは実質賃金の伸びだと、こういうことでありまして、決して減っておるわけではない。実質賃金は大いに伸びておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それでは、次に、いろいろと物価の上昇の理由がたくさんありますけれども、大体この消費構造自体が高度化したり、あるいは洋風化したり高級化している。これは一面、メーカーその他のたいへんな宣伝その他というものも影響しているのじゃないかと思うのですね、これはなかなか宣伝効果よろしきを得て。考えようによっては、またそういう面ではかなり高いものを消費者は買わされている気配なしとしない。とすれば、来年度テレビなんかを活用して消費者教育をやれるというようなことをいわれておりますが、そういう面で消費者に対する教育という面がかなり——教育というか、PRというか、こういうようなものが不足をしているんじゃないか、この点はいかがですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、生産性が高くて生産費が安くなったにもかかわらず、依然として高い品物を売っておるというようなことは、これはあることは事実であります。それに対してやっぱり消費者が批判する能力を持ってもらいたいということで、実は生活センターを設けることにいたしました。そこで、通産省、農林省、厚生省の御援助を得て、そこで商品鑑定をやったりいろいろなことをやって、そして、この商品はこの価格で公正であるかどうかというようなことをその生活センターで研究してもらおうと。それによって、それを世間に発表して、そして売り値を安くするという運動を起こすというようなことも今後やっていきたい、こう考えておる次第であります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 経企庁の長官のお答えを見るまでもありませんけれども、物価高の四分の一の責任は中小企業関係にあるともいわれていますね。そこで、最近十年間の消費者物価の指数の上昇、こういう中における中小企業製品の上がり方というのですか、こういうものをどういうふうに把握をされておりますか、これは数字が明らかでありましょうから、ちょっと御説明いただきたい。

八塚陽介経済企画庁国民生活局長

○政府委員(八塚陽介君) 卸売り物価の場合には、中分類といたしまして中小企業製品あるいは大企業製品というのがございますが、消費者物価の場合には、一応、私どものほうでは、そういう関係での区分といたしまして、たとえば食料であるとか、そういう物ごとによりまして大体中小企業製品あるいは農業製品というようなことで考えておるのでございます。  一九六〇年から六七年−四十二年でございますが、——この間の上昇率の中で、食料が四八%の寄与率を占めております。それから被服でありますとか雑費、これは主としてサービスあるいは中小企業による加工を経て消費者に供給される。だだいま申し上げました食料につきましても、その中には、加工食品であるとか、あるいは中小企業の流通業者の手を経て消費者の手に入るというようなことで、両方とも中小企業の影響を受ける数字でございます。食料はいま申し上げましたように四八%、被服は八%、いわゆる雑費は三三%の上昇寄与率でございまして、大体そういうもので約八〇%以上の上昇寄与率を示しております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、中小企業のものが高くなるという理由、これは、まあ人手不足、それを解決するための賃金の上昇、これが直ちに製品にはね返ってくるという、こういうやり方ですね。これも解決しなきゃならぬ問題でありますが、一面、中小企業側に言わせれば、設備を新しいものにしたり、性能をよいものにしようとしても、銀行は金を貸さない。貸しても金利が高い。こんなことでは、大企業との格差はだんだん開いていく一方ですね。ですから、中小企業向けの低金利金融あるいは近代化策、こういうようなものが重要なポイントになってくるわけですけれども、中小企業製品の価格安定をはかるための具体的な方策といいますか、そういうことには、どういうふうにお考えですか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、わが国の経済は、世上指摘されておりますように二重構造でございますが、この成長の段階を通じましてだんだんと垣根が取り払われつつあることは、いま御指摘のように、中小企業において労働者が不足してくる、どうしても企業を維持しようと思えば労働者の確保をはからなければいけない、賃金を上げなければいけない、そういうことで、中小企業者がみずからの雇用者に対して賃金を上げてきて格差がだんだん縮小をみておる、言いかえれば、わが国の二重構造はだんだんと解消の過程を歩んでおるということは、統計が示しておるとおりだと思うのでございます。これは、歴史的な傾向でもございますし、また、好ましい傾向でもあろうと思います。そこで、私どもといたしましては、そういう流れに沿って省力経営体制をどうしてもつくり上げなければなりませんので、政府関係金融機関はもとよりでございますけれども、市中金融に督励いたしまして、極力、省力投資につきまして御協力を願っておるわけでございます。市中銀行におきましても、私どもの見るところ、全融資額の四割強は中小企業に向けられておるものと推定いたしております。政府三金融機関におきましては、比率におきまして、全中小企業に対する融資の、中で占める割合というのは、二割弱でございますことは、たいへん遺憾でございますけれども、しかし、ことしも財投におきまして八千億をこえる資金を確保させていただいて、鋭意当たっておるわけでございまするし、同時に、これに対しての信用の補完制度も、いろいろ欠陥が補完されまして、非常に活発な動きを示しておるわけでございまして、めきめきとわが国の中小企業は近代化の実をあげて、みずからの経営能率の中で賃上げを吸収する能力をつちかいつつあるものと私どもは理解しておるわけでございます。御承知のように、それがいま満足すべき状態であるかというと、決してそうではございませんけれども、与えられた条件のもとにおきましてはまずまず好ましい方向に施策が進められつつあると思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ちょっと関連して。さっきの大蔵大臣の答弁で、何かわれわれが承認したような形になってはいけませんので、ちょっと言っておきますが、物価は五・四%だが、賃金は一三・二%上がったから、八%ほど賃金はよけい上がっているじゃないか、こういうような意味で笑うておられましたが、いわゆる生活必需品——生鮮食料品とか雑費のうちの交通費、教育費、これらを見ると、やはり一二%ほど上がっています。したがって、平均物価は五・四%ですが、一般庶民大衆の生活からいくと、まだ八%よけいあるじゃないかと言われますけれども、そういう生活必需品だけをとると、私の計算では一一・六%上がっておるのですね。そうですから、あなたの言われた——そういう意味ではないと思いますけれども、何か労働者は八%以上も賃金がよけい上がっているじゃないかという印象を受けてはいけませんので、その点だけ私念を押しておきます、答弁は要りませんけれどもね。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 中小企業対策については後ほどに譲りますけれども、いずれにしても、中小企業に対する行政指導ということは、これは物価安定をはかる上からも非常に大きな一つの問題点であろうと思いますので、さらに強力に進めていただきたいと思います。  そこで、消費者物価に関係してまた重ねてお伺いしますが、総理は、四十二年の総選挙の公約に、消費者保護行政を強化をするため、特に価格の維持またはつり上げなどを取り締まるために、公取の機能を強化するということを約束されているわけです。そこで、四十二年、四十三年、さらにまた来年度、この公取の機能強化についてどういう手だてをされたのか、また、されようとしているのか、お伺いしたい。公取はあとで聞きますから、政府に聞く。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、もう御承知のように、消費者保護基本法が制定されましたね。そして、先ほどは生活センター設置の話も出ていましたが、今度は食品監視体制の強化等の措置がとられております。また、それに関係しての一貫した処置、これは具体的な処置がそれぞれの省からそれぞれ出ております。たとえば、通産省自身は、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の制定、電気用品取締法の改正、割賦販売法の改正等々、それぞれのものが出ております。かように御了承願います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 公取の機能をどう強化したかということです。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) あとから公正取引委員長から御説明があるかと思いますけれども、政府におきまして消費者保護行政としてこれまでに実施いたしましたことにつきまして御報告申し上げます。公正取引委員会関係のものでございますが。  公正競争規約による業界の自主規制の強化が第一でございます。それから先ほど菅野さんも仰せられましたが、モニター制度の運用、これは公取も含めて政府関係の各省で協力してやっておることでございます。それから表示、広告関係の取り締まり強化のため、これは消費者モニター二百名を増員いたしまして公取の機能の強化をはかっております。  その他、公正取引委員会から御説明があるかと思います。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 公正取引委員長。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それは、委員長、ちょっと違う。公取の委員長じゃなくて。公取の委員長には、別にぼくのほうから聞くから。政府として公取の機能についてどういうふうに——いまのは、通産省は通産省、あるいはどうとかこうとかしたということだけで、公正取引委員会の機能そのものをどういうふうに強化したのかという質問に対しては答えになっていない。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 公取からの話はだめですか。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 公取にはその後また聞くことがある。政府に公取機能強化に対することを聞いている。その答弁によって、公取の委員長にぼくはまたあとで質問がある。公取の委員長にまだ質問していないから。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 速記をつけて。  農林大臣。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 農林大臣じゃだめなんだ。ちょっと速記をとめてください。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 速記をつけて。  内閣総理大臣。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 何かちぐはぐでございますが、これはもう御承知のように、政府の機関というよりか、公取は独立機関でございますから、公取がやる職能、それに対応する政府の施策が何か、かように聞いたものですから、その法律の整備したこととか、公取がいろいろ取り締まるのに便利なようにその基本的な法律をやったわけであります。そこで、あるいはもっと違って、いまのお話からみると、公取にどんな予算をつけたか、あるいは人員をどういうふうにふやしたか、こういうふうなお話かと思います。それならそれとしてお答えしますが、むしろ、公取のほうから、いま、政府がやったいろんな施策、それによって競争が自由にできる、あるいはその取り締まりが非常に容易になったとか、あるいはまだ不十分だとか、こういうような判断を私どもも聞きたいし、竹田君のお聞きになるのもそういう意味かなと思って、整備した法律などを一つ一つあげようとしたわけです。ちょっと食い違っておりました。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 公取委員会の機能につきましては後刻申し上げますが、その人員、予算等につきましての状況でありますが、人員は、昭和四十一年度におきましては三百七名、四十二年度には三百三十六名、四十三年度には三百四十一名、四十四年度においては三百四十六名になっております。予算は四十一年度が三億六百三万二千円、それから四十二年度が三億五千八百六十七万円、四十三年度が四億一千四百九十一万円、四十四年度におきましては四億七千万円になっております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、公取の委員長、いまの、政府の予算あるいは人間等を含めての公取を強化したということによって、内閣が選挙公約で約束をした消費者保護行政なり価格の維持安定なりというものについて、公取として十分の機能を果たすことができたんですか、できないんですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 公正取引委員会の予算及び人員が逐年若干ずつふえておりますことは、ただいま総務長官から御説明がございましたとおりでありますが、私どもといたしましては、この予算をきわめて重点的に消費者保護の目的に向けておるわけでございまして、たとえば消費者モニターに関係いたします予算は、四十四年度は、四十三年度に比べまして、前年を一〇〇といたしますと、実に一八一・九%でございます。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 それから景品、表示法施行関係では一三五・四%、審査関係で一二五・三%、かように相なっておりまして、できるだけ限られました人員、予算の中でこれを重点的に能率をあげて、私どもの所期の目的を達成するようにつとめておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そういう答えなら、きまり文句です。私が言ったのは、こういうようなことで実際問題としての効果があげ得るかどうかということなんですよ。それであげ得たというふうに公取として思われているかどうかということを尋ねているのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 私どもといたしましては、できるだけ能率をあげまして、満足というところまではまいりませんが、おおむねその責務を達成しておると、かように考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 公取にほかの場で何か質問をしますと、たとえば下請その他の問題でお尋ねすると、人が足りるとか足りぬという言いわけをするわけですね。これは公取の機能効果が十分に果たされていないということになる。それといまの公取の委員長の話とじゃつじつまが合わぬですよ。それからいま物価問題が最大の問題の一つであるとすれば、それに果たすべき公取としては、機能が不十分であるとか不十分でないとかということをはっきり——いままで十分なんですか、十分じゃないのですか。端的にお尋ねいたします。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 下請関係について御指摘がございましたが、最近における私どもの下請関係業務は対象の数を非常にふやしております。一例をあげますというと、従来、親企業につきまして調査をいたしておりましたのは、三十八年度には年間わずかに千八百件であったのでございますが、四十三年度においては約六千件、それから本年度におきましては約七千件を予定いたしております。それから実際立ち入り検査をいたしました数も、三十八年五百三件でございましたのが四十三年度千二百件、かようになっておるのでございまして、下請法関係の業務はまず順調に行なわれておると、かように考えております。  なお、人員は、合計いたしまして四十六名がこれに従事をいたしておりますほか、協力者団体として民間から二十一団体、あるいは下請改善協力者として五十名を委嘱しておりまして、これらによって事務を処理しておるわけでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 公取全般として機能が十分なのかどうかと言っているのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) ほぼ満足すべき状態であると私どもは考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それでは中小企業対策の面でお尋ねしますが、いまもちょっとお話がありましたが、下請代金支払遅延等防止法の現状、それからその第七条に基づく勧告等、これは消費者保護にも重大な関係があることですが、こういうことが実際に行なわれたことがあるんですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 下請関係はおおむね行政指導によって改善を見ておりますのが現状でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 この勧告をしたことがあるかないかということを聞いているんだ。私は下請代金支払遅延等防止法の第七条に基づく勧告をしたことがあるかないかということを聞いている。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 法第七条に基づきまして勧告をいたしましたものが八件、それから行政指導による改善措置をとりましたものが二百七十四件、かようでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それで勧告をしたというその内容について公表できますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 法律に基づいて公表したものはございませんが、勧告をいたしまして改善計画を当事者に立てさせまして、その実行を監視しております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 法律に基づいて公表できないということは、そういう答えが出るであろうということは私も知っておるんです。ただ中小企業をほんとうに保護育成をする、そういう法の趣旨からいえば、親企業と下請との関係というものはガラス張りにしておく必要がある。そのガラス張りにしておかないところから、いろいろとこの中小製品の値上がりその他が物価に与える影響も非常に大きくなっている面が多々あると思うんですよ。ところが、それが法律に基づいて公表できてないと。だから私はこの際物価問題を解決をする一つの手段としても、法律を改正してでもそういう親企業と下請との関係、この問題を公表していく必要がある、そういうふうに思うんですが、いかがですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 公表をいたしますということは、親企業の存立に相当の影響を与えますので、やはり下請企業を育成いたしますためには、親企業を成り立たせていくということが先決問題であると存じます。したがって、直ちに公表することが政策として適当とは私は考えていないわけでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そういうことで結局中小企業はうまく保護育成されていないのです。そういうことは紋切り型でわかっているのです。しかし、わかっていて、なおかつ中小企業の問題を解決しなければならぬところに根本的な問題がある。ですから私はお尋ねしている。実際に公取が行政を行なう意味においてそういう矛盾というものを感じないですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 下請関係は最近になりまして、よほど一般に理解が深まりまして、その推移はかなり改善されているものと私どもは考えているわけであります。たとえば買掛の滞留月数は、前年が〇・八七でございましたのが〇・八〇に改善をいたしました。また百二十日未満のサイトの手形は従来は四五%でありましたものが七五%にふえております。かなりの改善であると、かように考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 今後の企業の大型合併その他で下請の問題というものは、さらに問題化してくると思いますが、時間がございませんから先に移りますが、重ねて公取委にもう一つ。独禁法の四十四条の一項に基づく国会の報告というのはいただいております。これは第一項、しかし第二項に基づいて公取がいろいろと仕事をやった上で、消費者物価その他全般の問題について、こうこうかくかくすべきであるというような問題は、内閣総理大臣を通して国会に意見を述べることができることに第二項になっていますね。ところが、私の知る限りにおいて、そういう意見を公取が国会に出したことがない、これはなぜそういうことがいままでなかったのですか。消費者物価その他の問題を安定させるとかなんとかのために、これは公取としては意見を国会に出すべきだということをお考えになったことがないのですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 公取委員会の業務の状況につきましては、毎年国会に御報告を申し上げておるわけでございまして、そのほかといたしましては、公取委員会といたしましては、独占禁止法を厳正に運用いたす、これに全力を尽くしているのでございます。これによって一般消費者の利益が確保されておる、かように信じておるわけでありまして、ただいま御指摘の第四十四条第二項の意見提出ということは、ただいまは考えておらない。また、いままでその例もないように聞いております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いままで例がないように聞いている——じゃない、ないから私は聞いている。物価対策のネックとか、あるいは中小企業対策のネック、他の官庁との調整から独禁法の運用がうまくいかない、あるいは中小企業を保護するために設けられたいろいろな調整規定、そういう問題を総体的にあげて消費者保護行政をやる上において、意見がないわけじゃないのです。物価問題が再三国会で取り上げられているときに、公取としてもかくかくのことをしたらよろしかろうというような意見があってしかるべきだ。それをいままで出さないところに私は問題があるから、四十四条二項に基づく意見というものをどうしてお出しにならないのか、そのことを聞いている。金がないのか、人がないのか、あるいは能力がないのか、どっちなんですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 公正取引委員会といたしましては、要するに公正にして自由な競争を促進する、これによりまして公正な価格形成、これを確保するということにつとめておるのでございます。また各般の法律の調整等にあたりましては、関係官庁にいつも希望を申し述べておるわけでございます。まだ現在の段階では四十四条第二項によることをお願いするという段階にはなっておらない、かように考えておるわけでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これは時間がございませんから、いずれまた一般質問のときに……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。昨年の当委員会で私はビッグ・ビジネスの生産性の向上が価格にどういう影響を及ぼすかということから資料提出を要求しましたが、人員が足りなくて資料の提出はできませんということで資料を出さなかった。まことに抽象的な一般的なものを出しましたが、この主要な、日本の代表的なビッグ・ビジネスについての生産性の問題はついに最後まで資料が出なかった。その理由は、人員が不足して手が回らないということでしたので、先ほどの御説明とだいぶ違うと思いますが、どうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 個々の大企業の生産性に関する調査は、私どもの役所の担当ではございませんので、生産集中度の調査はいたしておりますけれども、個々の大企業の生産性の向上、これは直接私どもで扱っておらないわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それじゃ価格との関係というものはどうして調整するか、所管事項の問題じゃないですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 価格は、私どもといたしましては、どこまでも公正にして自由な価格形成、この角度から研究調査をいたしておるわけでございます。

木村美智男日本社会党

○木村美智男君 関連。公正取引委員長に資料としてお願いをしたいと思うのですが、八幡・富士の合併問題がこれは抽象的には新聞等で報道をされていますけれども、私がこの間委員長に質問をした限りでは、独禁法の第一条並びに第十五条に照して、これはきわめて違反の疑いがあるということを申し上げたんですが、厳正に運用をしてまいりますということであったので、信頼をしておったのですが、その後の実際の推移を見ますと、これは非常になれ合い的な実は作業に終始しているとしか国民の目には受け取れないのです。したがって、それがほんとうになれ合いでなかったのかどうかということについては、公正取引委員会が科学的にやはりこういう根拠をもって、こういう尺度をもってこれは独禁法違反にならないのであるということを客観的に明らかにする必要があると思うのです。そういう意味でこの際予算委員会に対しまして、合議制でありますから、たとえば問題となった三品種、つまり鉄道用レール、あるいはシートパイル、鋼矢板、鋳物用銑鉄、こういったようなことについてそれぞれの委員が協議の結果、こういう意思の統一がされて、したがってこれは黒である、その他九品目が問題となったのでありますから、五品目については、こういう点でこれは独禁法違反にならないと判断をしたということを、これはひとつ明確にして資料として御提示をいただきたい。なぜかというと、特に近代経済学者グループも意見を述べておりますように、あるいは今日までの過程におきましてもそうですが、私が物価の委員会でしばしば通産省やあるいはその他に申し上げたように、政府がこの合併問題については、業界以上より熱心になってこれを推進をしてきたという事実、あるいは相当役所が公正取引委員会に圧力をかけてきたという経過が十分あるので、そういったような点から今日この問題は相当国民の間には不信の目で八幡・富士鉄の問題をながめている。場合によっては、こういうことをする以上は、もはや日本ではいまの独占禁止法は無用ではないかという意見さえもう出てきているわけなんでありますから、特に国際化、資本の自由化時代を迎えてきわめて大きな問題でありますから、外資が入ってきた場合に、いままで民族資本だからよろしいというようなことを言っているわけにはいかないのでありますから、そういう点で、この際客観的にこういう基準によってやったのだという尺度を明瞭にして、この八幡・富士合併が合法的であるという結論を出したなら出したなりの、そういう資料をひとつ提出をしていただきたい。これを委員長にこの点を確認をしていただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○政府委員(山田精一君) 現在お尋ねのございました合併の件につきましては、何ら結論は出しておらないわけでございます。正式の届け出がございますか、ございませんか、正式の届け出がございました暁においては、法律の定めるところによりまして正式に調査をいたします。現在のところでは結論というものは何も出ておらないわけでございます。  それからまた圧力云々のお話がございましたが、さようなことは全然ございませんことをはっきりと申し上げておきたいと存じます。(「資料はどうだ」と呼ぶ者あり)現在決定しておらないのでございますから、御要求のございました資料、これは決定がないのでございまして、差し上げるわけにまいらない。

木村美智男日本社会党

○木村美智男君 公正取引委員長、決定をしておらない、私は決定をしたとは言っていない。つまり事前審査を業者のほうから要請をしてきて、これに対して公正取引委員会はこの点はこれは黒の可能性がある、だからこれはあぶない、これはよろしいという判断をしたわけですね。そうしてそれに対する適応策を取ればこれは認めるのだと委員長はこの間言われたはずです。したがって、いま申し上げた限りの中で、十分に決定しているしてないにかかわらず、これは公正取引委員会が要するに三品目については黒であると判断をしたその基準というものは何であるのか、それから白と判定をした六品目についてはこういう理由で白なんだという、つまり事前審査の段階における公正取引委員会がまとめた見解というものを、これを文書によって明らかにしてほしい、こういうふうに言っているわけです。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 木村君に申し上げます。  資料提出要求につきましては、理事会においてはかることが慣例となっておりますので、理事会に対して御請求をいただき、理事会においてこの問題の処理をいたしたいと存じます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 次に、公共企業に対する、特に公共料金についてお尋ねいたしますが、端的に政府が直接タッチできる公共企業の経営を維持するために料金を値上げするか、受益者原則、これもちょっと異論のあるところですが、原則によって企業の体質改善をはかるか、販政援助をはかるか、この三つしかないわけです、さしむき。とすれば、この財政援助にも限界があると政府は言っている。それから体質改善も遅々として進まない、ということになると、この公共料金の値上げだけだ。こういうことではちょっと理解できませんが——国鉄だけのことを聞いているわけじゃありません。公共料金全般、公共企業全般に対して、一般論として、政府はどういうふうな考え方を持っていらっしゃるのか、これをまず最初にお聞きしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公共企業は、企業でありますから、それは企業として自己努力をしなきゃならぬことはもう当然で、いま三つ問題があると言われた。一つは当然のことだと思います。結局企業の財政が苦しくなると、そういう際には、当然のことでありますが企業努力、残された問題はいま御指摘の二つですね。つまり国が財政援助をするか、または一般利用者がその負担をするかと、こういうことであろうと思うのです。そのいずれをとるか、あるいはそれを両者を混合してやるか、まあそういうことになると思いますけれども、これは私は企業の性格上、普通の企業体という性格を備えた企業でありますれば、まずそれを利用する者の負担ということを考え、それでもどうしてもという際に、あらゆる手段を尽くして、もうどうにもならない、しかしこれだけのことをすれば、将来この企業はちゃんとしていける見通しがある、体質改善もできる、こういう際に一般の国民の協力、つまり税による負担ということが考えられるんじゃないかと思います。つまり利用者が負担をするか、あるいは国民がその財政の赤字改善に協力するか、これはどういうふうに選択するかと、こういう問題になってくると思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 政府は、物価というものはなるべく押えなきゃならぬわけですが、特になぜこういうことを聞くかというと、ここ三、四年国鉄あるいは電通、そういうところのあれを見ますと、料金値上げをしなければ企業経営が成り立たないというようなふうに感ぜられるように、いろいろな新聞あるいは週刊誌あるいは企業が出しておる機関紙誌、こういうものを通してもっぱら宣伝にこれつとめているわけですね。そういうことは私はちょっと納得がいかない。政府主導型の何とかと言われておりますけれども、こういうような問題についてはどう考えているのですか。なかなかはなばなしく料金値上げの問題について長期、不断に——まあ最近は国会中ですからちょっとやめていますけれども、やられているのですね。こういうことについて政府はどう考えているのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあちょっと見は、料金値上げをやめ、財政でこれを補給すると、そういうことが国民全体には受けるのです。そこで、しかし万やむを得ず料金の値上げをしなきゃならぬ、そういう際には、これは国民に対して、そうじゃないのです、こうすることが企業を再建し、また国益に合致するゆえんでありますよ、というPRをしなきゃならぬ。これは私は当然のことだと、かように考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 当然が、三年も四年も前から料金の値上げは必至だというような宣伝にこれつとめるというのは、当然の限界を越えているのですよ。これは十分監督してもらいたいと思う。  そこで、国鉄運賃の問題について運輸大臣にちょっとお聞きしますが、これも受益者負担の原則にとって、今回の国鉄運賃の改定問題が出ていますけれども、企業の体質改善その他というような問題については、国鉄としてはどう考えているのですか。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 先ほど御質問の中に、公共料金について三つの方法があると、その三つの方法をもって今度の国鉄財政の再建をしようとしておるわけであります。したがいまして、その中でいま竹田さんのお尋ねになっているのは、みずからどうするか、こういうことのお尋ねであろうと思います。みずからどうするかということは、いわゆる近代化、合理化につとめる、こういうことであろうと思います。具体的に申しますと、国鉄再建推進会議では、国鉄が持っておる赤字ローカル線、あるいは鉄道建設公団が行ないます新線建設、その他近代的な経営に欠けるところを指摘をして、これらについて考慮をせよ、こういうことを言っておるわけであります。私どもといたしましては、この問題につきまして、これは非常に重大なことでございまして、これを十年間で大体やっていこうということでございますから、その十年間の間に、国鉄みずから努力をして近代化、合理化につとめてもらう。こういう方針でございますが、たとえばローカル線はどうするか、これも他の道路利用によってこれと転換するというところについて、その地区の状態、また十年先のことでありますから、新しい全国総合開発計画というものもいま立てておるところであります。これらの計画と見合わせ、またその地区の人々のよく意見も聞いて、十分に検討しながら、このようなローカル線に対するところの対処をしていこう、こういうことをたとえばローカル線について申し上げますとやっていこう、こういうことを考えておるわけであります。また人員その他につきましても、いわゆる首切りを行なおうというようなことでなしに、配置はもちろん変わっていくこともあるでありましょうけれども、人手不足のときでありますから、いたずらに首を切るというようなことよりも、有能に働いてもらうというところに重点を置いて企業を近代化していく、こういうことを国鉄側にやってもらいたい、このように考えておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 時間がありませんから少し急ぎますが、国鉄も受益者負担だということを言うなら、受益者負担らしいことをやってもらわなければならぬ。いまの国鉄は受益じゃなく受損ですよ、すし詰め、もう靴も洋服もみな受損者負担で料金を値上げされたのでは、これは利用者たまったものではないのですね。これは少し考えてもらわなければならぬ、受益者負担というものは。そこで、国鉄と私鉄との関係ですが、これは前の運輸大臣は、一年ですか、一年間は認めないということで押えていましたね。これは大臣の責任の継承性からいって、この一年は認めないということを押し通せるのですか。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 前の大臣が国会において私鉄運賃、これは大手の問題だと思いますが、大手私鉄の運賃については一年間据え置きをするのだということを言っておられる。まあやめる前には、これは値上げせざるを得ないのじゃないかとおっしゃっておったようであります。。私はそのように引き継いでおります。しかし私といたしましては、先般から毎々申し上げておりますように、先ほどからの御質問にもありましたように、特にこの四十四年度というものは、あれほどやかましく言われて心配しておった国際収支の面、三億五千万ドルまだいまごろ赤字が出るだろうと思っておったところが、逆に三十億ドルという黒字になってきておる。経済も順調に伸びておる、物価だけが非常な問題であるこの際でありますから、経済企画庁では、少なくとも政府主導型の物価値上げというようなことを言われないようにしたい、こうおっしゃるのでありまして、私は運輸行政上からいいまして、バランスをとるということは必要であろうと思いますけれども、これはひとつ政府として、政府一体でありますから、この国鉄運賃を値上げをすることはやむを得ないが、あとは極力抑制することに協力しなければならぬという立場をとりまして、この問題に関しましては、その企業がこれから計画を立てております、私鉄は私鉄なりにサービス計画を立てております。これらの計画だとか、あるいはまたその企業の実態を、事業の内容等を勘案し、そして一番大事な物価というものと見合いながら慎重に検討いたしていこう、こういう態度をとっておるわけでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これはちょっと保留しておきます。  それで、次に電信電話料金ですね、ことしは押えられましたね。これは三年も四年も前から、昭和四十四年になったら上げなくちゃいかんと、こう電電公社は言っておった。これは来年も上げないということが約束できますか。  それから、郵便料金も、今年度の四十四年度の予算を見ますと、ことしの春闘のベースアップ等から考えてみますと、来年は赤字予算必至だと思うのですね。こういうような状態の中でこの電電料金、郵便料金というものをことしも来年も値上げをしないという、そういう約束ができますか、郵政大臣。

河本敏夫自由民主党郵政大臣

○国務大臣(河本敏夫君) ただいまお話しのように、電信電話料金は、四十四年度は据え置いております。四十五年度のことにつきましては、いまの段階ではまだ申し上げかねると思います。  それから郵便料金の問題でございますが、四十一年に値上げをいたしましてから、経費がかさみますので、経営は苦しくなっております。しかし、四十四年度はもちろん値上げをいたしませんし、四十五年度もなんとかやっていけるのではないかと、かように考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで総理、いま国鉄、私鉄との関係もあります、それから電電のこれは押えた理由もあります、郵便事業の問題もあります。で、この押え押えで一体いつまでそういうことでこういう公共料金というものを押える、——押えっぱなしじゃ解決しないと思うのですね。これはどうするんですか、無理して押えてきているわけですけれども、ここが公共企業体なり公共事業に対する問題点だと思うのですけれども、これはどうするんですか、押えっぱなしでいつまでも続けるのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ国の経営する公共料金、もちろん予算編成の際に、その実情等を十分審査いたします。そういう意味においてもやはりケースバイケース、上げることもできるだけ避けなければならないが、それかといって、特殊な事業に対して特殊な負担だけ負わしておいてはいけない、かように思いますので、そういう点はケースバイケースで十分考えていきたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこを聞きたいのですね。来年は安保の年だから、また料金問題なんか出すとうるさくなるから出さないんだ、一切押えるんだという話も聞きますが、そうすると四十六年になれば軒並みだと、こういうことになる。まあしかし、公共料金というやつは、科学じゃなくて芸術だと言われているのですね、なかなか意味深なことばなんですけれども、だから、そういう点で抜本的にいま当面しているこういう事業体に対する料金対策というものは、何らかの方針というものを出しておかなければいけない時期じゃないかと思うのです。ですから私は聞いているのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま申し上げたことでおわかりじゃないかと思います。私もただ押えるだけが能ではない、かように思っております。もちろん、こういう問題は影響するところ非常に大きいものですし、ことに基本の問題ですから、大体予算編成前に担当大臣の相談を受けます。そういう場合に総体の見通しなどをよく検討いたしまして、そうしてこれを上げていく、あるいはことしは見送ろうじゃないか、こういうことでございまして、どこまでも事業本位にこのことをわれわれは考えております。そうしてその事業本位ということは国民のためになる、国益というか、そういう意味において事業の実態をつかまえて問題を解決する。ただいま安保の年だからという、そういうような政治情勢からこういう問題を考えると、そんな本末を誤るようなことはいたさないつもりであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 じゃ物価問題で最後にお尋ねします。米の問題です。きのうの新聞によりますと、自主流通米の問題について、農林、大蔵、経企の三省庁の協議がきまったように書いてありますが、さらに配給米の問題についても検討して、農林、大蔵は一生懸命経済企画庁を説得にかかっているのだと、こういう記事なんですけれども、経企庁はまあ運賃のときもそうですが、一生懸命反対しているようですけれども、最後になるとしり切れで、何かサル芝居やっているみたいにとられてしょうがないのです。実際問題としてこれが消費者物価に与える影響というものはどうなんですか、全然影響はないですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) この自主流通米の運営について物統令を廃止するということは、大体方針は一致しておりますが、まだ閣僚会議で決定したわけではありません。配給米につきましてはいま議論している最中でありまして、これを物統令を適用するかしないかということについては、いままだ最後的に事務的に決定いたしておりません。したがいまして、自主流通米が値上げすれば、非常にそれはまた消費者物価に影響します。しかし私たちの考えでは、自主流通米はやみ米と違うので、したがってそれほどの私は値上げはないということを考えておるのでありますが、しかし自主流通米が多少上がるということについては、消費者物価にもそれをやはり算入して考えておる次第であります。

中村波男日本社会党

○中村波男君 ちょっと関連。一昨日も物統令廃止の是非の問題について御質問いたしたのでありますが、企画庁長官にさらにお尋ねをしたいと思いますのは、自主流通米制度をことしの秋から発足をさせるにあたりまして、すでに昨年からことしにかけまして、これだけ米がダブついておるというのに、いわゆる自由米、やみ米が相当高くなっている。そういう状況の中で自主流通米が発足した場合に、自主流通米はいわゆる実勢価格というものを、どれぐらいに企画庁として見ているのか、またそれとの関連においてやみ米というのがどうなるのか、そういうことをまず見通しとして、企画庁としては相当分析をし、見通しを誤らないようにされた上でないと、物統令をはずすかはずさないかという結論が私は出ないと思う。新聞の伝えるところでは、そういう点を憂慮して、企画庁としては物統令をはずすことについては難色を示しておられる、こういうようにいま伝えておるわけでありますが、私は当然だと思う。そういう物価という立場で企画庁長官は、どういうふうにこの問題を見ておられるか、まず明らかにしてもらいたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 問題は自主流通米だと思います。それでなるほど今日ではやみ米は高いですが、これはやみですからして、したがって高いのであります。自主流通米であったら、これはやみでありませんから、したがって、一方では米の供給が豊富であるということはわかっております。したがいまして、この価格というものは、需要供給の数量だけできまるものじゃない。米が余っているということによって、売り手が急ぐという傾向がある。米が足らぬときには買い手が急ぐ。だからして、いままでの米というのは、売り手相場の相場であったと思います。そこにやみ米というのは高かったと思います。これから私は供給が、余っておるんですから、したがって、これから買い手相場になると思うのです。買い手相場になりますると、その最も安い、最もいい米をよって買うということになりますからして、私はそう上がらない、こう考えておる次第であります。

中村波男日本社会党

○中村波男君 まあ、関連質問でありますから、また場を変えまして議論してみたいと思うのでありますが、これは私の試算でありまするけれども、とにかく百万トンという一般消費者用の自主流通米が流通をするのでありますから、したがって、政府管理米というものの中から、うまい米が自主流通米に抜かれるという、この現実を見落してはならぬと思うのです。売り手、買い手という関係は、全部を自由米にしたときには、そういう作用がありまするけれども、今度は管理米の中から、うまいのが百万トン抜かれるという、この上に立って、自主流通米の価格というものを検討する必要があると思うのです。私の、これは試算でありますが、いま農林省が説明をしておりますように、自主流通米は、政府米よりも二百六十円ないし七十円高いであろうということは、中間経費、管理費からは、そういうそろばんが出るかもしれませんが、生産者は政府米よりも高く売れなければ、これは自主流通米には出しません。そういうことを考えますと、十キロ当たり、私は四百円ないし五百円は高くなるというふうに見ておるわけです。そこで百万トン、——かりに千八百円だと、十キロ当たり、そういたしますと、物価全体を押し上げるパーセントというのは〇・一四になるんじゃないかというふうに見るわけです。それからこれが百九十円、いわゆる千九百円になりますと、〇・一八押し上げる結果になるんじゃないか、こういうことを考えますと、これは、相当慎重に物価対策としても考えていただかなければならぬ問題であるというふうに見ておるわけです。  それからもう一つ、この機会にお伺いをしておきますが、物統令のワクの中にありますのは、私の承知しておる範囲では、いわゆる政府の管理米、さらにアルコールと、もう一つは公衆浴場の代金、これは、いま東京都で協力費ということで問題になっております。ほとんど専売的な米を物統令からはずしまして、公衆浴場代金とアコルールだけを物統令に残しておくということが、客観的にもう無理になるんじゃないかと思うのです。そういう点も考えて、消費米の物統令をはずすか、はずさないかということも考えられなければならぬと思いますが、その点もあわせてひとつ御答弁を願います。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 先ほど申し上げましたとおり、自主流通米については、大体事務的には、これを物統令からはずすという方針になっております。まだ閣僚会議にかけておりません。閣僚会議でもう一ぺん再検討したいと思っております。いまのお話の御意見は、よくひとつ私も参考にしたいと、こう存じております。  それから、いま物統令で残るのは、いまお話しのとおり二つだけです。

中村波男日本社会党

○中村波男君 政府管理米。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) いや、管理米の取り扱いについては、慎重に対処しなければならぬから、閣僚会議で決定するということを申し上げております。いまのふろ賃と、それからアルコールの問題についてでありますが、この問題についても、あわせてひとつ検討したいと、こう考えております。その影響などを考えて検討したい、こう考えておる次第であります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いずれにしても、経済企画庁、ぴりっとした姿勢で対処してもらいたいと思う。  次に、税金に移ります。これはまあ、税金というのは一読して難解、二読して誤解、三読して迷宮、四読して了解不能と言われるぐらいわけのわからないもので、なかなかあれですから、むずかしい論争をやりますと、これは、大蔵大臣にまるめられてしまいますから、具体的なことで、私はお尋ねをいたします。特に、このサラリーマン減税を中心にしてお尋ねをしていきますが、いわゆる標準家族数なるもの、これは衆議院でも、大蔵大臣いろいろお答えをされておりますが、その答えは答えとして、わが国における標準家族構成による世帯、標準世帯というのは、大体何人になっているんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 標準世帯といいますれば、夫婦子二人、まあ四人世帯というのが適切だと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そうするとですね、この夫婦子供三人で百万円。これがまあいわゆる標準世帯だというふうに国民に理解をさせているようなことがずっと続いてきておりますけれども、これをまず変更する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま大蔵省の統計では、夫婦子三人、つまり五人世帯をとっております。これは、どういうことかと申しますと、戦後しばらくの間五人世帯、これが標準だったわけです。その時代から、標準世帯としては五人世帯だという考えを持ちまして、それに対する税金が幾らになるのか、実効税率がどうだとか、実効税額が幾らだということをずっと比較しながら、税の高さ重さというものを考えてきたわけなんです。で、今日になりますと、四人になってちぐはぐなんでありますが、四人にこれを変えますと、そうすると前と比較対照ができない。そういう不便がありますので、今日も夫婦子三人というのをもって、まあ統計上採用する家族構成といたしておるわけなんです。しかし、それを標準家庭だというわけには今日はもう言えませんもんですから、標準家庭であるというそういう解説はしてない。かりにまあ夫婦子三人の家庭をとれば、こうなりますよと、こういうふうに解説をいたしております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それは、最近解説のやり方が変わってきたんですよ、世帯構成が違ってきたから。これを採用した当時は、衆議院で大臣がおっしゃっておるように、たまたまあったんだなんて、こう言っておりますけれども、そのときは、夫婦子供三人がわが国における標準世帯、ですから、免税点のあれを置くというのは、やはり標準世帯は幾らになるのだということが、国民に一番わかりやすいわけですから、架空の五人世帯なんというものは——この辺で標準世帯は四人である、そして四人の免税は、これこれにするんだというふうに、はっきり訂正をする必要がある。これはどうですか、そうしないとごまかしになる。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、はっきりさせる必要があると思いますから申し上げますが、夫婦子二人の場合は、ただいま御審議をいただいております税法改正案によりますと、八十万七千円、さように相なります。それが、夫婦子三人の場合は九十三万五千円、こういうことになるわけであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それは、わかっているのだ。だから標準家庭というものを直す必要があるんじゃないか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そこで、別に標準家庭というものを考えておるわけじゃないのです。まあ諸外国の課税最低限はどうだ、たとえばアメリカでは、課税最低限が夫婦子二人の場合をとってみますと高いです。百八万円。フランスでは百一万円になります。しかし、ドイツでは七十一万八千円。イギリスでは六十三万三千円、かようなことになりますので、昭和四十四年、この時点において、わが日本が八十万七千円ということを計画すると、まあまあということになると心得ております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 まあまあでなくて、国民は百万円の非課税の限度はこれだと政府が言っているのは五人だ、そんなものはまやかしだと、実情に合わないと、こう言っているんですから、国民が標準世帯は四人なんだと、四人は非課税を百万円にするというならわかる、そういうふうに変えなさいと、こう言っている。何もむずかしくない。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま百万円、百万円と言っている課税最低限は、これは夫婦子三人の場合でございます。これを夫婦子二人に換算いたしますと、大体九十万円でございます。正確に言うと、八十九万何がしかようなことになります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それはわかっている。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ですから、それをいま目標にして……。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 だから、国民に向かってあなた方が説明するものは、四人で九十万なら九十万と言ったほうがかけ値なしでいいんじゃないですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それでいいですよ。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それをたまたま百万円の公約があるものだから、それに人間を合わしているやり方はずるいと言うんですよ。だから実情に合った説明をしてください。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田赳夫君 この席で、はっきり申し上げますが、夫婦子供二人の場合におきましては約九十万、夫婦子三人という場合には百万円、これを目標にいたしまして、昭和四十五年度までには実現したい、かように考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 だから、公約のやり直しを総理はひとつやってもらいたい。四人で幾ら、これはどうですか、選挙も近いことですから、そんなことではだめだ、実情に合ったような改正を求めている。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは課税最低限というのは、長い間夫婦子供三人でやっておりますので、比較対照上ぜひ夫婦子三人ということで理解をしてもらいたいのです。私どもは、夫婦子三人につき、四十五年度には百万円をこえるようにしたい、こう申し上げておるのであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これは実際に合わせろ、こう言うのです。しかし、あなた方はいろいろ選挙を戦うと、百万円まで非課税にしたんだ、したんだと言って一生懸命国民に言って歩くわけです。架空の世帯論議をもって百万円だけを宣伝されるような、そういう中身のないものはだめだと言うのです。だから四人が標準世帯だから、四人あって百万円に自民党は公約すると言うならわかるけれども、そうじゃないから、改めなさいと言うんです。そのことを言っているのです。総理はどうですか、看板にいつわりがないように改めてくれ、こう言っているのです、どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この標準家庭が四人なのか五人なのか、ここらにだいぶ問題がありまして、その厚生省あたりでとっておるのと、それから大蔵省でとっているのが基準が違う。だから四人に直せ、これが実情に合うんじゃないか、こういう御意見もいままでもありました。しかし、いま私どもが公約として、標準家庭、百万円までそれを減税するんだ、この私どもの公約ははっきり標準家庭五人、その立場でございます。いまになりまして、それを今度はあれは百万円じゃなかった、九十万円だと、これは困るのです。そういうことは、やはり全部をととのえて、いまこの席で、きょうはちゃんとテレビにも出ているからよく国民は理解する、なるほど政府が言っているのは標準家庭は五人だ、ところが、いまはそこまではない、家庭はいま四人だ、こういうことだと思うのです。だから四人の標準家庭とすれば九十万に近い、こういうことで国民はよく理解できると思います。私は途中であまり改正するのはどうかと思います。むしろ逆に誤解を招く、これはどうもいままで減税、減税と言ったのに、急に政府は減税を取りやめるんだ、そういうことになりはしないか。私は、その点ではやはりこういうものは沿革がありますから、沿革によって説明することが望ましい。やはりその辺は保守的にひとつ進みたい、かように思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これは、サギをカラスと言いくるめるたぐいで、それはだめなんです。やはり実情に合って国民にわかりやすいようにやれと、これは税理士会でも、新聞でも改めろとこう言っているわけですから、すなおにその声を聞いて。  もう一つ、実情に合わないのは、平年度ということばがありますね。わかりますよ、実情は。しかし、最近のように自然増収があり、毎年毎年減税があるときに、平年度幾らだなんという減税額というものは、実際は適用されることがないんですね。また、来年になればまた減税になる。だから、この平年度なんということをやめて四十四年は幾らなんだと、こういうようなかっこうに、税というものを国民にわかりやすく理解させるという意味からも、看板に実現をしないようなことを、この標準家族、それからいま平年度ですね、こういうものはひとつ改めてもらいたい、これ、どうですか。これは誇大広告ですよ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 税は年度の途中から実施される場合が多いもんですから、これを一年分に直すとどうという、こういうことをもって平年度と、こう申し上げておりますが、これは誇大広告をする意味じゃないのでございまして、この税制は、四十四年に改正したものは自然に四十五年度にはフルに施行されるわけでありますから、そのときはこうなるんですよと、こういうことを正直に言っているので、何ら他意はございません。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いずれにしても、わかりやすく国民に納得させるための検討をいつまでも旧来の陋習にこだわっている必要はないわけですから、近代化していく必要がある。  次に、サラリーマンに、給与所得者に必要経費を認めるべきだという観点で、私はお尋ねをするのです。給与所得者、事業者その他と、それぞれどういう徴税事情にあるかということはあらためて申し上げる必要もありませんけれども、サラリーマンの必要経費に見合うものがいわゆる給与所得控除なんだ、こういうふうに理解していいですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そうすると、この必要経費というのは一体何なんですか。必要経費とはそもそも何なんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その所得を得るに必要なる経費であります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 禅問答じゃないけれども、まさに読んで字のとおり、必要経費ですね。そうすると、この必要経費と給与所得控除がイコールだということになれば、いまの給与所得控除というものは、必ずしもイコールしてないじゃないですか。たとえば今年度二十六万五千円ですか、二十八万円ですか、一番問題は。今度の改正は三十万円、これはしかし給与に限界があってきまっちゃっているわけでしょう。これは必要経費イコールに出ばらない。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、それがいろいろ議論の種になるわけでありますが、今度は百十万円までというのを三百十万円まで必要経費を認める、そういうたてまえに改正をしたわけです。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 必要経費イコールだと、お答えですから、そこでお尋ねしますが、それではいまの二十何万円、改正の三十何万円の算定をした根拠というのは何なんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、御説明なかなかむずかしいと思いますが、主税局長から概略説明をさせていただきます。

吉國二郎大蔵省主税局長

○政府委員(吉國二郎君) 給与所得控除につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように、給与収入金額を得るために必要な経費の概算控除という性格と、源泉徴収を受けるために前払いをするための利子的な部分の補償としての意味、さらに給与所得者の場合は財産と労働とが結合している所得に比べますと労働だけの所得であるという意味で、担税力が低いということをしんしゃくしたものであると通常言われているわけでございます。そういう三つの要素を含んでおりますので、またそれが概算控除でございますだけに、いま御指摘がございましたような計算の根拠というものが必ずしも明確ではないわけでございます。これにつきましては、従来から給与所得者についての概算的な、概算的と申しますか、具体的な必要経費等を抜き出して、計算をしたこともございますけれども、実際上かえって非常に低く出てまいりまして、結局、給与所得者の担税力その他を達観をいたしまして、算定をいたしましたものでございます。今回の改正は、そういう意味では、御承知のようにすでに給与所得控除は定額控除十万円がございますから、低所得者につきましては、たとえば五十万円の場合は、必要経費控除と考えた場合には、所得に対して三六%の経費控除となります。百万円の収入金額の者に対しては二七%ということで、かなり高い控除になっておりますが、御指摘がございましたように、百十万円で頭を打っておるために、相当ふえてまいりまして、百万円をこえる階層にとりましては、不足しているという面が認められましたので、ちょうど昭和三十二年当時、給与控除の頭打ちが二%程度で、二%程度の人員でとどまっておりました。現在それが二〇%程度に上がっておりますので、三十二年度の改正当時までさかのぼる意味で、三百十万円まで頭打ちを引き上げました。その結果として、ほぼ当時と同様に、二%程度の頭打ちにとどまるということになれば、大多数の給与所得者については、ほぼ必要経費に見合う概算控除ができるのではないかということから、算定をされたということになっておるわけでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 しかし、必要経費というのは、所得を得るためには、人によって違うはずですね、かかる金は。イコールだとすれば。そうすると、事業所得者やその他と関連をして、一定額に固定をしてしまうというやり方は、これはちょっと理屈に合わないのじゃないですか、これはどう説明するのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは給与所得ばかりではないのです。私どもが原稿を書きます、その原稿料に対する課税が、何か源泉でやっている、こういうことですが、給与所得者の場合には、まあ源泉の徴収方式、これを適用しております。これが一つ一つの問題にされておるわけです。同時に、いま御指摘の必要経費どうだと、これを申告所得にしたらどうだと、あるいは申告所得と源泉徴収の選択にしたらどうだとか、いろいろ議論がありますが、これを申告所得にいたしましたら、これはたいへんなめんどうなことになるのじゃないか、そういうふうに考えます。そこで、いま主税局長から申し上げましたように、達観して概算をもって所得額を算定する、そういう方式をとる。これがまあサラリーマンである所得者に対しましても、また、国に対しましても、双方とも便利じゃないか、このほうがお互いにまあ有利、有利と言えるかどうか知りませんが、便利じゃないかという感覚で採用しておるのであります。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 申告制度を採用したら、たいへんなことになるというのは、何がたいへんですか、申告するわれわれがたいへんなのか、徴税当局がたいへんなのか、どっちですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは両方ともやっかいなことになってくるのじゃないか。つまり、私の所得を得るに必要な経費は幾らでありますとか、こういうことを立証しなければならぬ、これはたいへんじゃないかと思う。それが全国たいへんな数あるわけでありますから、国としてもやっかいな容易ならざることです。それをなくしようというのですから、相当に便利な制度じゃないか、こういうことになると思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 便利な制度なら、最近いろいろとサラリーマン減税の問題で、この問題は申告制度を採用するなんという意見は出てこないと思うのです。税金が安くなるなら多少めんどうでもみなやりますよ、いまね。それは徴税当局のほうが困るからやっているだけの話で、税金を納める立場に立っていれば、そんなことはたいしたことないのですね。これはウエートは、やはり政府側にあるのじゃないですか、どうなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 両方ともこの制度のほうが便利じゃないかと、こういうふうに見ておるのでございます。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それじゃ具体的にひとつお伺いしますが、たとえば通勤費ですね、これは公務員に準じていろいろなことで基準がきめられておりますが、三千六百円までは無税、それ以上は税金がかかるわけです。これはしかし、あれでないですか、必要な経費だから税金をかけるだなんという理屈は成り立たないのじゃないですか、実際は。どうなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これを全部必要経費だというような考え方で、税はかけないということになりますと、給料をそちらのほうへ持っていくような記帳方式もできるわけですね。そういうようなことになりますと、税そのものに非常な乱れも出てくるわけです。そこで、それからもう一つは、非常に遠いところから通っている人もあれば、近いところから通っている人もある。そういうようなことを考えまするときに、やはりこれは世間の常識ですな、常識的なところから通うというような考え方ですね、これをとったほうがよかろう。こういうことから、公務員の場合に準じまして、免税限度というものをきめておる、これが実情なんです。これも私は、税制が簡素化される、しかも大体中庸な額をとっておりますので公平である、こういうふうに見ております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いやその説明じゃ全然納得しません。これは通勤費を上げるのには——通勤費は全額ほとんど企業持ちだから、これを引き上げてもたいした影響がないというのが国鉄運賃の値上げの理由ですよ。そうすれば当然通うために必要な通勤費を、いまの大蔵大臣のような説明で税金をかけるなんという理屈は成り立たない。通うのが遠いか近いかというのは、住宅政策その他にもあるわけですから、一がいには通う者だけの責任じゃないのです。  それから、通勤費をもらっていない者はどうなんですか。それだけかかっているものは全然見られないんですね、いまサラリーマンというものは。もらっていないのに、なおかつ税金はかかる、自分では出さなければならない。往復びんたじゃないですか。だから、理屈に合わないのです、そういう説明では。これはちょっとこまいようですけれども、実例として、必要経費の問題について言っている。どうなんですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、通勤費の非課税の規定は、通勤手当が支給された場合に、それが必要であり、合理的な限度である限り政令で定める額を非課税とするという規定でございます。本来は通勤費を必要経費と考えていない前提で、ただ実費弁償のものとして実際に手当を支給された場合に一定の限度で非課税としようという趣旨で設けられたことは、当時から明らかでございます。御承知のように、世界各国の税制で必要経費を引く税制でも、アメリカにいたしましても、西独にいたしましても、イギリスにいたしましても、通勤費は必要経費に算入をしないことになっております。で、ただアメリカなどの場合は、通勤費の必要経費算入をしない理由の一つとして、遠距離の通勤をする場合に、遠距離に住宅を定めるについての用益というものがある、それと相殺されるべきものだという考え方がございますが、日本の実情とは必ずしも一致いたしませんので、通勤手当が支給されている場合に、それを直ちに現物給付として課税するのは過酷に過ぎるということで、従来からこれは行政上一定の限度をもって非課税をしておりましたが、税法上は明らかにこれを規定するのが適当であるということで、昭和四十年から通勤手当が支給される場合に、一定の限度をもって非課税とするという扱いにいたしました。したがいまして、一般的に支給されていることが前提であるだけに、公務員の通勤費を定める場合に、一般的な支給水準というものを推定いたしまして調査をいたしました結果、通勤費の額をきめておりますので、これが最も標準的な支給度合いであろうということで、これをとって政令で規定をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう意味では、先ほどの御質問に対して、通勤手当の控除限度額というものはそういう趣旨のものであると御了解いただきたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 たとえば必要経費も、開業の医者なら七二%、サラリーマンの医者ならばこれは給料取りだからそういうものは全然見られない。そういう結果が、非常に地方の病院などは医者を確保するのにたいへんだ。私は一ぺん決算委員会でこれをお尋ねをしたことがある。最近も朝日新聞に、青森県で十年つとめれば三百万円、二十年つとめれば千五百万円の退職金を払うからということで何か条例をつくった。自治省はストップをかけた。これもやっぱり必要経費と給与所得控除との矛盾からくる一つの問題なんですね。これは国税庁長官が、青島君との「宝石」四月号の対談では、これはいずれ直さなければならないですねとお答えになっている、医者の問題も。ですから、いずれ直さなければならぬという、そういうような問題を含んでいるわけですから、これは必要経費と給与所得控除との関係というものをいつになったらどういうふうに正そうとなさっていらっしゃるのか。これは大島教授の反論に対する政府側のあれも、この問題に関する限り、どうもはっきりしたすとんと落ちるような解説にはなっていないですね。だから、すとんと落ちるようなことでサラリーマンを納得させる必要があるんですよ、いまの段階で。どうなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 御説のような次第もありますので、昭和四十四年度、いま御審議をお願いしておる予算では、課税最低限の引き上げのほかに、ただいまのお話のサラリーマンの必要経費、そういうものも含めまして、税率調整、こういうこともやっているわけです。これは税制調査会ではもう少しやれと、こういうことで長期答申を出しております。四十五年になりまして、もし財源に余裕がありますれば、まず課税最低限の引き上げ、夫婦・子三人で百万円、これを実現いたしたい、こういうふうに考えておるのですが、なお財源がありますれば、今度は税率調整、それから、ただいま御指摘の諸問題、そういうものをやるべきであると、こういうふうに考えておるのです。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 まあ人によりましては、まず課税最低限が先じゃないか、それを百万円以上やったらいいじゃないかというような方もありますけれども、私の気持ちといたしましては、これは税率調整というか、そういういまの中堅以下の所得階層の租税負担感、これに対する何らかの対策、そっちのほうに取り組む、これが順序じゃないか、そういうふうに考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これはシャウプ勧告のときに、所得控除というのは三〇%くらいまでが妥当だというような話があったそうですね、いろいろなものを読みますと。そこで例にとって恐縮ですけれども、先ほどの「宝石」の座談会で、亀徳長官は、必要経費を認めたら何人税務署員をふやしても追っつかない、それでサラリーマンの給与所得控除を一律に上げるというかっこうで救うということを主張するということをおっしゃっておる。これはサラリーマンの一人として、たいへん率直でよろしい。そこで、給与所得控除をもっと上げるべきじゃないかというところに視点を合わせて国会でひとつやってもらいたいと、 こう言っている、国税庁長官が。そうすると、こういうものができた、この所得控除なるものがシャウプ勧告の当時のものの考え方に立って、この三〇%なんというものを、たとえば、国会で認めろというようなことを決議をするとすれば、御賛成ですか。賛成されますか。たとえ話ですけれども。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 何に対して三〇%ですか。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 給与所得控除、所得に対して。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはいろいろデータをそろえてみなければ、ちょっと何とも、非常にむずかしい問題だというふうに考えます。いま申し上げましたように四十四年度の税制改正では、これは税制調査会の長期答申、この中に勤労所得控除を増額せいと、こういう一部門があるわけです。それに対しまして、大体半分道中まで行っているわけです。これを伸ばすということを考えるか、あるいは他の方法を考えるかということになりますが、いま税制調査会では、まあ四十四年度にやる、その半分道中までの分も、これをまた引き続いてやるべきである、こういう見解をとっております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこでまた問題は、九・六・四とか、十・五・三とか言われておりますけれども、これはやっぱり所得の捕捉率がたいへん公平を欠いておるということなんですね。こういうことがいわれている。クロヨンだのトーゴーサンだとかいう、この給与所得の捕捉率というものがたいへん問題になっていますけれども、こういう実情にあることはお認めになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 少し誇大にいわれておるのじゃないか、そういうふうに思えます。しかし、率直に申し上げまして、源泉徴収は、これは的確に捕捉されるわけですが、申告納税のほうは、これは、最近青色申告というようなことで、かなり的確になっておりまするけれども、しかし、なかなか意のごとく相ならずというような状況もあるわけなんです。だからといって、青色申告の方向を、これを放棄するという、そういうわけにはまいりません。なるべく青色申告というものを伸ばしまして、そうして全部が青色申告だ、もう源泉徴収も申告徴収も違いがないんだというふうに持っていきたい。これが、私どもが願いとしておるわけでございまするけれども、実情はまだそこまでいっておらない、かように存じております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いずれにしても、この捕捉率が公平でないということだけは率直にお認めになりますね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 申告税のほうにおきましてなかなかまだ調査が回りかねているという面があるのではあるまいか。それがあっては相ならぬというので努力をいたしておる。かように御了承いただきたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。いま、捕捉率の問題が出ておるわけです。これは、まあ率直なところ、同じ税負担をしておる農家、事業所得の人々、給与所得の家計の実態というものを見てみると、同じ税負担をしているものと、非常に差があるという感じを率直に持っているわけですよ。こういうことについては、大臣がどういうふうにお考えになるのですか。私は捕捉率がどうこうということと関連があると思うのですけれども、給与所得で納めている税負担の金額と、事業所得で納めている税負担の同じ人と、それからまた、農家所得で納めている税負担の金額と、同じものを比べた場合に、家計の実態に非常に差が出てきているというのが事実だと思うのであります。こういう点からいって、私は、やはり的確な捕捉がされていないのではないかということを強く感じているわけです。同時にまた、こういう問題について、一体科学的な調査が行なわれているのかどうかという問題。この二つの点についてお答えを願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、生活が、農業に従事している人あるいは給料取り、そういうものを比較いたしますと、その実態がかなり違っておる。その実態を込めて公平ということに相ならなきゃならぬ。こういうふうに思いますが、なかなかそれは御推察のとおり、そう普遍的におしなべて適切な結果にはなっておりません。しかし、それが公平に、適切に動くように、これはもう努力しなければならぬ、努力目標をそこに置いて精進したいというのが現状なんです。  それで、一見いたしまして、特に、まあ農家だと思いますが、自分の庭で何かつくってそれが食料になると、こういうようなことに対してどういうふうにするか、実際問題、なかなかこれはむずかしいです。しかし、最善を尽くして所得の公平な捕捉には努力をしたい、こういうことでごかんべん願いたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 ちょっと……。やはりいま所得減税——給与所得者の不満というものは、そこにあると思うのですね。現実に所得税を納めている金額、また地方税を納めて、住民税を納めている金額を比較してみて、あの家庭でこれだけの税負担をしておるのに、自分はこんなたくさんの負担をするのは不当じゃないかと、そこから出発をして、そうして必要経費の問題をどう一体妥当なものにしていくのかという点が出てくると思うのです。したがって、私は、ただこういう点は合理的に行なわれているんだと、こういう考えでやっているんだというだけではなしに、事実不満の出てきている原因の実態がわかっているのだから、これについてその実態を調べると一緒に、それを一体合理化するための具体的な方策がこうだということを明示をしなければ、やはりその給与所得者の不満というものは押えることはできないじゃないか。また、こういう問題は、これだけやかましく出ているときに、政府のほうでは、これに対して具体的な回答をしていかなければならぬ義務がある。そういうような意味で、やはり私は、その一番の不満の問題について、政府自身が具体的に検討して、調査をしていくということをすることによって、その税の必要経費の問題、控除等について改めていく、この努力をしていく。単に税の最低限を高くすればいいんじゃないかということだけでこの問題は解決しないと私は思うのですよ。これだけでは解決がされないから、事実上不満も出てくると思うので、この点について、再度、まあその程度でがまんをしてもらいたいと、非常にむずかしい問題であるという点については、率直に私どもも認めますけれども、むずかしい問題ではあるけれども解決をしなければいけない問題であるから、こういうような方向で解決の努力をしていくという点について、まあ大蔵大臣の特にはっきりした見解をお聞きをしたいわけです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 御意見は、もう始めから終わりまで、ごもっともだと思います。政府といたしましても、制度的にもなおこの問題はいろいろ検討していかなければならぬ、これは先ほどから申し上げているとおりであります。同時に、この実施の問題ですね。それから納税者に対する解説、解明の問題、これらの問題、まことにごもっともな御所見と存じますので、その方向で最善を尽くすことにいたしたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いまの質問にもありましたが、これは、やっぱり捕捉率が問題になる限り、それはやはり税務当局の責任なんですね。納税者の責任じゃないんですよ。ですから、いま大蔵大臣は最善の努力をされると言っていますが、こうまでサラリーマンの減税問題がやかましくなってきたときに、これはじんぜんとして日をかすというわけにはいきませんけれども、少なくとも税務当局の総力をあげて、どれくらいの目安でこれを検討されようとされているのですか。これは先ほどからの私の質問にあわせまして、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 税制面につきましては、昭和四十五年度税制の問題として検討いたしたいという考えを持っております。  それから税務の執行面ですね、これにつきましては、早急にもう日々の問題として努力をいたします。まあ十二月にも国税局長会議を開催して打ち合わせをいたしております。また二月にも、また二月末にもさような会議を持ちまして、努力目標をいろいろ打ち合わせをいたしておるわけであります。なお納税者へのPRというか、この問題に対する解明、それにつきましても、あらゆる方法をもちまして努力をすると、これはもう早急にいたします。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 その検討の過程の中で、私の一つの考え方を申し上げますがね、先ほどの必要経費について。必要経費を認める基準というものをあなたのほうが作り、そうして必要経費として立証でき得るものはこれを認めると、給与所得者に。それから先ほど大蔵大臣が言っているように、それではめんどうでどうにもならぬという者には、概算経費率としての現行給与所得控除を認めると、こういう選択適用の自由を認めるというようなかっこうで、まず、さしむき解決をする。これは山林所得の計算でやられているわけですからね、現在。こういうような方式もあわせて御検討いただく御意思はどうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあいろいろ考えていますけれども、いま選択制ですね、つまり申告制を採用する、あるいは源泉制、そのいずれかをとるというような考え方ですね、これは私はもう非常にややこしいことになると思うのです。つまり申告制度を採用する。さあつとめ人がその必要経費がどうなんだと、くつのいたみぐあいから洋服の破れぐあい、あるいはポマードを普通の人に比べてよけい使うのか使わないのか、たいへんなやっかいな問題にもなると思うのです。ですから、私はやっぱり税制で必要控除の問題を解決する、まあ必要控除額ですね、あるいは必要経費、その額ですね、この問題、そういう制度的な問題でこの問題は解決すべきであって、どうも新たに申告制を導入するという方法では、なかなか解決できないのじゃないか。まあ非常に消極的なことを申し上げて申しわけございませんけれども、にわかに賛成であるとは申し上げられないのでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 まあしかし、いずれにしても、そういうことではサラリーマンのいまわき上がってきている不満を押えるわけにはいかぬと思います。時間が詰まってまいりましたから、いずれこれはあとにいたします。  次に、教育費が最近きわめて上昇をしております。それから消費者物価の上昇率の中に占める教育費というものも十年前に比べては約四倍以上ですね。こういうことについて経済企画庁にまず最初にお伺いいたしますが、これはいかなる理由でこういうふうに上がっていて、これに対するお考えは一体どういうふうに持っておられるか、これをお伺いします。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(菅野和太郎君) 今日われわれの生活の中に教育費が多くを占めるようになってきたのは、これは日本ばかりの現象じゃなくして、世界的な現象でありまして、先日も、OECDにおきましても各国がやはりそういうことを言っておったのであります。それだけ国民がみんな勉強心が高まってきたということと、それからより高い学校へ入るということ、したがって、大学の志望者が非常に多いということ、そういうことから教育費が高まってきたのであって、私は教育費が高まってきたこと自体は、教育の水準が上がること自体は、まことに喜ばしい現象だと考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それがサラリーマン、特にサラリーマンの家計の圧迫に非常に大きくなってきている。それは当然税制上からも何らかの対策を練らなければならぬと、そう思うのです。これはもう文部省と大蔵省との間でいつもやりとりがあるようですけれども、これは文教行政の責任者として、これは突然のお尋ねで恐縮でありますが、文部大臣は、こういうことについてどういうふうに考えておりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 突然のお尋ねでございますけれども、ただいま企画庁長官からお話がございましたように、最近の高等教育機関に学ぶ数が非常に増大いたしまして、そういうわけでございますが、何とかして税制の面からも、特に私立大学等に学ばれる方についても配慮をし、大蔵当局とも毎年折衝されて、漸次、まあわずかではございますけれども、改善されたと思っておりますが、しかしまだまだ不十分であるというふうに思っております。しかしこれは単に税制の面だけでなくって、やはり私立大学校に学ぶ人たちにどのような施策をやるか、あるいはまた育英会の資金について配慮するかというような、そういう総合的な面から、何とかしてそういうような御指摘の点を対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これは経企庁の調査ですが、特に大学なんというものは、あれですよ、サラリーマン世帯の中に二十一万円もかかっていますね、一年当たりの教育費。年間にすると二万円ぐらい、私の出身の北海道で、この間北海道銀行が調査をいたしましたところによると、これは大半がほとんどサラリーマンです。技術系の会社員が三二%、公務員二九・二%、事務系会社員二四・四%、調査の中の大半の比率を占めている。特に道外の私立大学は月四万円からの送金をしなければならぬ、そういう状態なんです。ですから、統計上からいくと家計費の中に占めるのは三・二とか三三とか出ています。しかしこれも毎年毎年上がっておりますね。しかし実際はサラリーマン世帯における教育費の占めるウエートというのは、これはばかにならぬ、そうすれば、当然この教育費控除とかなんとかいうものを、税制の上でも取り上げてやらなければならない時期にきていると私は思うのです。いま文部大臣からお答えがありましたけれども、そういうのじゃなく、教育費控除、これはもうはっきりしているのですから、私立大学の授業料幾ら払ったのか、領収書を持っていればわかるわけですから。そういう生命保険控除その他の措置もやられておりますが、これはやはりサラリーマンとしては切実な気持ちとして、この教育費控除というものがあると思うのですね。東京都の調査でさえそうなんですから、九州、北海道ならばたいへんなんですよ。そういう点についてどういうふうにお考えですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 教育費がだんだんだんだんかさんできておる、これは私もいま経済企画庁長官が申し上げましたとおりの認識です。ただ、その教育費負担の緩和をどういうふうにするか、税でやるかというと、なかなかこれもそう簡単に結論は出ない。出ないというのは、大学へ出た子供、その負担に対して控除を認めようかということになると、これまた権衡問題がありますね。まあ高等学校出ました、で、もう働きますとすぐ所得税がかかるような状態になりますが、そういう子供との権衡の問題なんか考えますと、さあ簡単に踏み切るわけにもまいりません。やはり私は、そういう教育費の負担がふえてきておるというような状況を踏んまえて、これを税のほうで公平に生かしていくという考え方をとりますれば、これは扶養控除ですね、これをふやしていくということにいたしますれば、まあ私は皆に均てんできる公平なる仕組みであるまいか、そんなように考えます。それじゃ四万円もかかるという私立大学になかなかマッチできない、こういうことでしょう。もうこれに税のほうで立ち向かうというのはなかなかむずかしいので、これはやはり育英資金、貸し付け金ですね、資金の制度なんかありますが、ああいう制度で個別にやっていくということかと思います。税のほうでは、やはりそういう考えを生かさんとすれば、これは扶養控除をふやすということが公平であるというのが私の見解でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 扶養控除といっても、これは一がいにいかないのじゃないですか。十八才とかという制限もありますし。ですから、それじゃ私立大学等に対しての国の助成というようなものも、言うべくしてなかなか行なわれてないわけですから、そうすると、たとえば教育費控除として一万ないし二万というものが認められるというようなことになると、これはいま私が例証にあげたような問題は、ほとんど三百万、五百万の所得者じゃないですよ。実際は百万、百五十万前後の子弟で一番弱っているのですね、あるいは百万以下の人。ですから、それらの人に教育費控除というものが、たとえ一万なら一万、二方なら二万というようなものでも認められるということは、これは非常に違うのですね。税そのものから見ると。ですから大蔵大臣がいろいろなことを言われておりますけれども、緊急にそういう現実の問題に対処するには、それでは百年河清を待つにひとしい。ですから、いま文部大臣もおっしゃったようなこともあるわけですから——毎年やっているのです、大蔵省に文部省は。おたくのほうは金のことばかり考えているかもしらぬが、文部省は文部行政の責任者として何とかしなければならぬという気持ちがあるわけです。だからそれにやはりこたえなくちゃならぬ。どうですか。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 簡単に願います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 竹田君の質問にお答えをいただけばいいわけですが、ただ、いま捕捉率の問題で出ているように、現実に扶養家族というのはこれは一般的なものです。しかし教育費となれば、大学とかあるいは高等学校というものは、これは実態が非常に違っている。現実的に大学へ行き、あるいは私立と公立とが費用が違うとか、あるいは現にその年齢の者が他に働いているということからいうと、均衡を失するのではないかということも、それは理屈としてはあるわけです。しかし実態をきちっとつかまえるということになれば、やはり高等学校に行っている者についてどれだけの控除をするとか、大学に行っている者について幾らの控除をするということになれば、その点は捕捉が的確に行なわれるということがあるわけです。同時にまた、実は家計の豊かなものだけが、大学や高等学校へ行けばいいということじゃなくて、現実的に高等学校なり大学を出て、結果的には人材として活用されていくということになれば、国の成長にも非常に寄与するという面も出てくるわけであります。したがって、そう簡単に税ではぐあいが悪い、ぐあいが悪いというばかりには私はいかないと思う。やはり特に、竹田君も時間がないので言及をされていないと思うのだが、都市のいわゆる給与所得者にこの教育の負担が非常にかかっていることも事実である。これ以外に将来の子供の成長を考えることができないのだから、給与所得者は。したがって、大蔵大臣が言うように、捕捉がむずかしいからということでなかなか手はつけられないが、たとえば教育のいわゆる控除ということになれば、私立、公立を含めない、とにかく大学へ現実に行っているもの、高等学校へ行っているものについて考えていけないものかどうか。特に高等学校の七割以上の進学率を持っている現状では、これはやはり一般的な経費の負担の軽減ということに通ずるのではないかというふうに私どもも思う。したがって、これは十分に検討を要する問題だと私は思う。具体的にいまこうするという解決はないとしても、あわせて検討すべき要素であるということを私たちは感じているのに、そういわゆる木で鼻をくくったような答弁でなしに、もう少し研究をしてもらいたいというのがあわせての要望です。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのところでは、私は教育費のかさむ問題を税で解決するというのはなかなかむずかしいと、こういう感じなんですがね、しかし、まあ御意見でもありますので、とくと検討をさしていただきたい、かように思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 税金の問題になりますと、最後は全部検討検討で逃げられてしまうわけですけれども、もう一つ、これまた検討なんでしょうけれども、新聞では、妻帯者、いわゆる二分二乗方式を大蔵大臣は事務当局に検討を命ぜられた。日本経済によりますと、四十六年度実施の構想だ、こう出ています。これはうそかほんとうかわかりませんが。これもまた近く総選挙があるからといって、ちょっと人気取りでこんなことをやられたのでは、はなはだ迷惑な話なんですが、ほんとうに妻の座というものを認めて、この税法上の二分二乗方式というものをとろうとする考え方の上に立って、大蔵大臣が事務当局に指示されたのかどうか、この点もひとつ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 検討は指示しております。というのは、これは衆議院のほうで、社会党の方から質問があったんです。それに関連いたしまして、いろいろな検討を事務当局にさしておったんですが、これはなかなか、結論からいいますると、そう簡単な問題じゃないのです。つまり、これはかりに私の所得と、家内は何も所得はありませんけれども、それと足して二で割るわけですから、税率が非常に下がってくる、適用税率が非常に下がってくる、こういうことになります。したがって、この方式を適用しますと、これは税収の上にかなりの大きな影響があるのです。ですからなかなかいまの税の刻みの体制からいえば、適用困難だと思うのです。しかし、これはまた税の刻みが非常に変わってくるというようなときになりますると、まあ検討で申しわけないのですが、検討問題になってくる、こういう性質のものじゃないかというふうに思っております。ただいまこれをいまの税法の体制下で直ちに適用するのははなはだ困難である、かように考えます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 困難で検討さしておったんでは実現しないです。問題は、この妻の座というものを、どういうふうに認識するかということなんですね。これは憲法に認められた男女同権も、事この税法に関する限りだめなんです。だから、女房にどれだけ苦労かけているか、女房の功績をどういうふうに認めるかということが問題なんですね。これはひとつどうですか、総理大臣、全日本の妻に向けて総理大臣の考え方を、あなたの奥さんの功績を含めまして、どういうふうに認識をされているか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの二分二乗方式、これはちょっとむずかしいということですが、社会党の堀君だったと思いますが、相続税について特に便宜な計らい方をできないか。夫婦して一緒に財産をつくったんだ、そういう場合に、いまの相続税では、妻の座のそういうようなものがどうも確保されておらない。この前の改正で幾分かはめんどう見るようになった、少なくとも三分の一と申しますか、それまではめんどうを見るようにしてくれないか、こういうのが堀君の主張でありまして、私もその金額はともかくとして、総額五千万円近くあるとして、そのうちの三分の一、千五百万程度は妻の取り分として特別にめんどうを見れないか、これも検討すべきではないか。もう一つ前に問題になりましたのは、夫婦間の贈与であります。いまならば主人が妻に二十万以上やれば、これは直ちに贈与税の問題になる。この二つは何か考えられないかと。そうでないと、夫婦、これはほんとうに一体だ。どうも子供の場合になりますと、いろいろの問題がありまして、なかなか一体というわけにはいきませんが、夫婦にはそういう点は特に考えてもしかるべきじゃないか。しかし、これもなかなか弊害を伴う問題ですから、生前の贈与ということもそう簡単にはいかないと思います。しかし、何らかそういうもので、これが問題になる、だから相続の場合と生前の贈与の場合とこの二つがひとつ考えられないか。いまの毎年かかってくる所得税については、先ほど大蔵大臣がお答えしたように検討はしてもちょっとむずかしい。いまの二つの問題もなかなかそう簡単に結論が出るとは思いませんけれども、私は妻の特別な地位について、もう少し理解があってよろしいのじゃなかろうか、大蔵当局にそういう意味で検討を命じておるような次第です。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それでは、サラリーマン減税に関して、最後に総理のお考えをお尋ねしますが、私はかつて決算委員会で、各閣僚の所得申告の状況についての資料を求め、いただいたことがあります。五百万円以上の問題だと思います。新聞その他で伝えられて、これの信憑性についてだいぶ国民が新聞に投書していたことも御承知のとおりだと思います。税金関係その他の本にも一ぱい書かれてありますが、総理大臣や大蔵大臣の個人所得をよく調べ上げて、その申告要領に従って、自分の申告をすればよいだろうということを邱永漢さんも書いておる。しかし、いずれにしても、給与申告に関する限り、私は総理御自身もやっぱりサラリーマンだと思う、実際は。そういう意味では、私は内閣総理大臣は日本のサラリーマンの代表、右総代だという意味で、サラリーマン右代表として、総理は、このサラリーマン減税が今日叫ばれているこのことに対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、みずからも今日の税制上の中において、サラリーマンの税金が高いのか安いのか、実感でひとつお答えをいただきたい、そう思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) サラリーマン減税——自分もやはりサラリーマンの一人だと思います。そういう意味では勧誘を受けてしかるべきだと、かように実は言ったことがございます。いまサラリーマン・ユニオンの代表だ、かように言われるけれども、それはともかくとして、いまの税の捕捉、そういう意味から、大蔵大臣ともいろいろ話をしているんですが、私はそういままで、実は徴税の方法、手数があまりかかってない、そういう点から、また先に支払っていると、そういう意味から、金利の問題が考えられるのじゃないか、こう言って話をしたのでありましたが、先ほどの主税局長の話では、必要経費のうちに金利も差し引いてあります、こういうことを実は申しております。実は、私どうも金利——そこまで計算しておるかどうかふに落ちない、たぶんどうも計算ができてないのじゃないか、少なくとも毎月納めておる者から見ると、金利については考えてしかるべきじゃないかと言ったのですが、先ほどのように金利を見て必要経費を差し引いております、こういうことですが、こういう点がどういうように見られておるか、よくひとつ検討してみる必要があるだろう、かように思います。少なくとも個人と法人の場合の捕捉率の問題があるし、さらにいまのように、月々給与から源泉課税で引かれておる、申告課税との間にもいろんな問題がある、こういうことで、税についての不平、あるいは不満というものがあるように私は思いますので、比較的われわれの税は残すところなしに捕捉されておる。こういう立場から、サラリーマンが不満に思っておられることだろうと思いますので、そういう点も、もう少し私がいま金利についてのこと一つについても、私自身が知らなかったように、こういう点についてのもう少し内容がわかるようにする。そうするとサラリーマンの方も、納税についてもう少し意欲的にもなるのじゃないだろうか。とにかく政府が税を取ったからといって、その税で、ただ自分たちが給料をもらっているだけじゃございませんし、国の仕事というもの、必ずサラリーマンの方にも還元されておる、それがいろんな形において還元されておりますから、そういう点で理解ができるなら、いま皆さんとも納税の義務は果たしたい、私は義務ということばを使いましたが、納税はしたいということだろうと思います。問題は、どの程度公平が保てるか、完全ということはなかなかできないでしょうが、できるだけ公平な負担、そういう方向にこの上とも私どもは努力すべきだ、これは大蔵省の立場あるいは政府の立場においてこの点をサラリーマンの方に申し上げたい、かように思います。そういう意味で、たいへん不十分ではございますけれども、私自身も税は納めておりますから、ときにずいぶん高く納められて、今月はこれでどうするのかと思うような給料袋をもらうときもあります。それは、皆さん方と同じ実感でございます。これは率直に申し上げておきます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 冒頭申し上げましたように、物価、税金、すべて古くて新しい問題でありますが、お話がありましたように、口先だけでなく、政府の総力をあげてこれを解決し、国民の期待にこたえていただくように要望いたしまして私の質問を終わります。(拍手)

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして竹田君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時散会

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