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61回国会参議院1969/03/08

予算委員会 第8号

発言数
378
登壇者
25
会派数
3
開催日
1969/03/08

会議録

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き総括質疑を行ないます。二宮文造君。

二宮文造公明党

○二宮文造君 第四日目を迎えまして大臣の各位もお疲れだろうと思いますが、ひとつ具体的に御答弁を願いたい、こう思います。  最初に総理にお伺いしますが、総理は二月の二十五日に、前任の陳国府大使と会談をされたようでありますが、その会談の模様をお伺いいたしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 陳大使は、御承知のように、今度バチカン大使に転任するのです。そこであいさつに見えたので、こういう事柄は一々申し上げる筋のものじゃない。大体、信書の秘密みたいなものですから。事柄は、ただいま申し上げるように、あいさつに見えたのですから、別にないしょにするようなものはございません。陳大使がお見えになる在任中、日華間の関係の親善はますます深厚化されてきた。たいへんな御努力でした。今度はバチカンに行かれるから、またいろいろ問題もおありだろうから、また活躍されるだろう。そのことをお祈りします。こういうのがまずあいさつの切り出しであります。そうして、最近私ども問題にしている沖繩の返還の問題について、沖繩返還を要望するつもりだ、しかし、それについてはお国にも関係があるだろうけれども、お国の関係とこれとは別ですということをはっきり申し上げました。そういう話をしたのであります。まあこういうのは、いま申し上げますように、もともと外交上の幾多の問題ございますけれども、その詳細について申し上げないのが普通の慣例だ。しかし、事柄がただいまのような事柄ですから、お尋ねがあれば私もお答えするにやぶさかじゃございません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 お答えするのにやぶさかでないと、こういうお話でありますから、あえて二、三お伺いをしたいと思うわけです。総理は、まず中国と日本との基本的な関係にはいささかの変動もない、こういうようなお話であります。その場合に国際情勢が動いているけれども、日華間の基本的な関係はいささかも変わりはないと、こういうふうなお話をされたように伺います。国際情勢が変化しているがというのを特におっしゃったのはどういうわけでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) さような点を私記憶しないほど、そういう事柄が問題にはなっておらないということを申し上げました。

二宮文造公明党

○二宮文造君 ちょっと釈然としませんが、さらに沖繩の米軍基地が極東の安全に果たしている役割りを正しく評価している。こういうような御発言もあったようです。正しく評価しているという総理のお考えは那辺にあるのか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは御承知のように、私がいつも申し上げておりますように、日米安全保障条約、またそれに基づいて米軍の果たしておる役割り、それは私どもは極東の安全、平和、同時にわが国の平和と安全のために寄与している、かように考えておりますので、このことを率直に申し上げた。したがって、沖繩の返還を要求する、要望する、願望達成に努力するけれど、その意味における米軍の果たしておる役割りは別に誤解はないのでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 御承知のように、米華、米比あるいはANZUS、こういうアメリカとそれらの諸国との防衛条約ですね。その中には言うまでもなく、沖繩というのが非常に大事な軍事的な拠点になっております。したがって、沖繩の基地がそういう条約においても重要な役割りを果たしているんだということを、総理は再確認をされた意味での正しい評価と、こういうように私どもは心配をするわけでありますが、どうでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 二宮君の言われること、どういうことか私よくわかりませんが、私がいつも日米安全保障条約の関係で説明をしておるそのことを、そのまま私が話をしただけであります。特にANZUSになればやや変わっておりますが、日華、米華、米韓条約等におきましても、これはやはり米軍が韓国にもいるし、あるいは第七艦隊が台湾海峡の守りにもついている。沖繩の果たしておる役割りももちろんあると思いますが、その点をどの程度に考えているかは別として、日本から見ればこれはわが国の領土である。そういう立場に立ってこれの返還を要求するのだ。しかし、それがあなた方のほうに関係が全然ないとは思わない。そういう意味ではあるけれど、その点はもちろん私どもは差しつかえないように思うのだ。こういう意味のお話をした、こういうことです。

二宮文造公明党

○二宮文造君 ちょうど総理も御承知のように、いま沖繩の返還につきまして、基地の態様をめぐりまして論議が重ねられておることは御承知のとおりであります。総理は、一方では早期返還、それからまた一方では基地については白紙だと、こういう見解を今日まで繰り返してこられました。そういうときに、特に沖繩の基地という問題に、外国の使臣に対してさらに再確認をされ、そして正しく評価をしている、こういうふうな発言をされることが、どうも総理は白紙であるとは言いながら、その方向を、外国向けに対して総理の方向を示しているように思えて私どもしようがない。この辺でお伺いをしたわけですが、さらに繰り返して答弁いただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩の基地をめぐっていろいろの記事が新聞等に散見しておることは御承知のとおりであります。日本とアメリカとの関係において処理できるだけの問題でなく、これに関係を持つ諸国からいろいろの話が出てくるんじゃないか、そういう関係は一体どうするんだ、こういうようなお話もあります。私はこの沖繩の返還の問題については、なるべく他国からとやかく言われないように、誤解のないような処置においてこれを片づけたいというのが私の願いであります。したがいまして、こういう機会に私自身が沖繩の果たしておる軍事的な役割り、そういうものの基地のあり方について十分理解しておるのだと、そういうところに誤解のないように願いたい、しかし、これはもともとおれのほうの領土なんだからこれは返してもらう、これが日本国民の悲願なんだ、熱願なんだ、こういうことを私は申し上げた、こういう点が誤解のないようにと思うがゆえにでございます。台北からはそれについて何らの反応を示しておりませんが、最近、韓国において、新聞の報道するところでは、別にそういう問題を話したとは言っておらないようですけれども、特に朴大統領から、沖繩問題について発言があったという記事の出ておることは御承知のとおりであります。国際関係におきましては、こういうような事柄について基本的な理解——誤解のないことが望ましいと思います。そういうのであらゆる機会に誤解のないような話がしたい、かように私は考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 総理のいまの御発言で、アメリカとの交渉で解決をする問題だと、こうおっしゃいました。さらに一方では、しかし、さりとて、それらの関係する国に誤解を生みたくない、こうもおっしゃった。そうしますと、総理のそれらの国々に誤解を生みたくないということは、沖繩の基地の返還の態様、姿というものは、韓国や台湾の安全というものを考慮なしには基地の態様はきめられない、こういうように私ども受け取れるのですが、その点はどうでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私が白紙であるという、そういう中には、いろいろのことを考えております。あれやこれやと考えておる、それがいまの白紙であります。皆さん方から御意見の聞きたいのもそういう点であります。しかし、私が本来考えるのは、最も局限して考えれば、私どもは国際社会の一員ではあるけれども、日本の国の立場、それに主たる点を置いて問題を進めていくということが一番望ましいだろう、かように私自身は考えております。だがしかし、それらにつきましても、いろいろな御意見もあろうかと私は思うのでございまして、そこでいろいろな話を聞くと、こういうわけであります。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私はいまお伺いしたのは、総理の考えの中に、沖繩の基地の返還というのは韓国やあるいは台湾の安全というものを考慮なしには考えられないのだ、こういうお考えがあるように聞けますがと、こうお伺いしたわけですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はそこまでは考えておりません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 外務大臣、お伺いしたいのですが、下田発言といい、それからまた最近のこれは新聞記事でありますが、外務省筋の意向として、沖繩の基地の返還は条件つきの自由使用だ、こういう方向ではないだろうかというふうなことが述べられております。すなわち米軍の戦闘作戦行動は日本に近接した地域、言いかえますと、韓国とか台湾で本格的な戦闘が始まりましたときに限って事前協議なしに出動できる、こういう考え方もあるんだと、こう新聞記事に出ております。私は下田発言といい、またこういう趣旨のものが外務省筋の意向として流れていくということが、私は現在の段階では好ましくないんじゃないか、こう思うんですが、大臣の意向はどうでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 下田発言と言われておるものにつきましては、衆議院の予算委員会でも政府としての見解をはっきり申し上げましたように、これは政府の見解ではございませんということを明らかにいたしたわけでございます。先ほど来、総理もあらためて言っておられますように、基地の態様ということについてはもう真剣に検討しておる最中でございまして、白紙なのでございますから、外務省の見解というものができておるはずはないわけでございまして、いろいろ報道界などでも、こうもあろうか、ああもあろうかというような点から、憶測といいますか、観測といいますか、そういう記事が出ておったことも事実でございますが、これは外務省としてはさような考え方を固めているわけではございませんということをこの際明らかにいたしておきたいと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 さらに沖繩の問題でありますけれども、沖繩原水協の中間報告というものがこの間報道されておりました。それによりますと、少なくとも二千四十発以上の核弾頭が貯蔵されている、こういうふうなことで、住民に、あのB52以上の大きなショックを与えた、こういうふうな新聞の記事でありますが、外務大臣はどうでしょう。これは確認されたか、あるいはそれに類するような報告を聞いておられますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 原水協の調査と言われるものを私は見たことはございますけれども、現在、御承知のように米軍がやっておりますことにつきまして、日本の政府といたしまして確認してこれこれだそうでございますと申し上げるような資料はございません。したがって、原水協がどういうふうな調査をしたのか、これは私ども関知しないところでございますし、したがって、その真偽のほどを確認するすべがないと申し上げたほうがより正確かと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 確認はしておらないということでございますが、あることには間違いありませんね、数は確認されてないとしても。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはアメリカの当局がいろいろの機会に公表した資料はございますが、私どもとしてはそういう公表した資料をよりどころにしておりますので、先ほども申しましたように、そういうものがあるなしということを含めて私の立場から御報告を申し上げるような資料はございません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私は、これは岸元総理が言ったことなんですが、こういうことを言っております。アメリカが沖繩に核兵器の基地をつくるということは、日本はそれを望んでない、こういうふうな事情がわかっているはずだ、そのことをアメリカに十分話をして、その反省を求めることは日米間の交渉ですべきであると考えている。しかし、否定的に、法律的にはこれをとどめる力は日本にはないと思う。沖繩の核装備という問題について政府としては反省を求める交渉をする、こういう意向を漏らしているわけです、三十五年ですか。それといまの大臣との答弁では、沖繩の住民にあれだけのショックを与えておりながら、たいして政府のほうは努力をしていないように私は思えるんですが、どうでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩の人たちの気持ちをわれわれの気持ちとして体して、私としてはいろいろとやってまいっておるつもりでございまして、たとえばB52の発進の問題にいたしましても、あるいは原子力潜水艦の発射するところの放射能の調査等にいたしましても、できるだけ沖繩の人の気持ちを体して、そうして施政権がアメリカにありはするものの、われわれの同胞としての気持ちから、できるだけそれらの気持ちにこたえたいということで、折衝といいますか、アメリカ側にいろいろとやっておるわけでございますが、いま私の感じておりますところでは、核が貯蔵されている、されてないというようなことよりも、やはりいま申しましたような点のほうが、より深刻に沖繩の人としては気になっている問題ではなかろうかと思いますから、そこを私どもとしては重点に取り上げておるわけであります。あるいはまた労働布令の問題というようなことも大きな問題でございますが、重点としてはさような点を重点といたしておるわけでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 ちょっと答弁がすれ違いになりまして、私が伺っておるのは、岸元総理があの日米安保を審議する際に、沖繩の核装備というのが非常に問題になった、政府としては交渉をすると、こういう話をされておりますが、それについて外務省としては何だか全然御存じないような言い方ですから、少し努力が足りないのではないか、そうすべきではないか、そして住民の安心感をかちとってあげるべきではないか。こういうわけです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) お気持ちはよくわかります。同時に、御承知のように沖繩の返還問題がもうすでに軌道に乗りかけておりますので、当然そういったようなことにつきましては、今後の基地のあり方、態様等について、現在は当方も白紙でありますし、アメリカのほうも白紙であるわけでございますが、これからそういう点についてもっと、何と申しましょうか、主体的な立場で、沖繩の基地の態様というものは沖繩を含む日本の安全を確保するということが、私は第一義的に最も肝要なことだと思いますから、そういう角度から見て基地の態様はかくあるべきであるという考え方を固めるについては、いま御指摘のような点が、ただ単にばく然たる心配というような問題として取り上げるのではなくて、もっと本質的に将来のあり方を考えなければならないもう段階に入ってきておりますから、そういう角度から私はアメリカとの話し合いというものを進めていくべきではないか、かように考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 決してばく然とした心配じゃ外務大臣ありませんよ。沖繩原水協が二千四十発以上と数字を表示しているのです。それに対して、外務省としても安心をさせるならさせるで何らかの動きが必要ではないかと、こう繰り返しておるわけですが。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、そういう御指摘になるお気持ちは私もよく理解できますが、しかし、もはやそういう段階よりも、もうこの沖繩の返還の問題ということでもっと本質的に取り上げていく、このことが私はより適切ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 行き違いになりますから論点を変えます。  総理にお伺いしたいのですが、自民党の一部に、当面の政治課題は大学問題の解決であって、与野党はこれに全力を注ごうじゃないか、沖繩の返還の問題はアメリカの固い壁というのが予想できるので、しばらく政治休戦を野党に申し入れてアメリカの出方を待つべきじゃないか、こういうふうな意向が自民党の一部にある、こういうふうにわれわれ聞いておりますが、総理の見解はどうです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私、自民党の総裁ですから、自民党の中のことはよく知っていなければなりませんが、いま言われるように、一部にこういう考え方がある、そこはまだ私にもよくわかりません。新聞その他にはときどきそういう報道が出ておりますが、私自身幹事長や、あるいは副総裁とさような話をしたことはございません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そうしますと、アメリカの壁がかたかろうがどうであろうが、総理をしては、前々から言ってきたとおり、一路沖繩返還の道をばく進する、こういうふうに伺ってよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあばく進かどうかわかりませんが、とにかく予定のコースをいま進んでいる。そういう意味で皆さん方の御支援、御協力をお願いしておる次第でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 それから防衛庁長官に伺いますが、このほど韓国を中心にしまして、フォーカス・レチナ作戦と銘打って、アメリカと韓国の演習が行なわれているようですが、状態は御存じですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 今回予定されておる韓国とアメリカの合同演習のことは、私のほう、すなわち防衛庁としては、米側からは何らの通告を受けておりませんが、外務省を通じまして、外務省から、去る二月の二十六日であったと思いますが、外務省からさような連絡を受けております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 じゃあ外務大臣、外務省のほうから連絡を受けたそうですが、どういう模様でしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 二月の二十五日にワシントンの日本大使館が国務省から、米軍の韓国空輸訓練ということについて通報を受けました。それから二十六日に在京の米大使館から、国防省がこういうふうな発表をいたしましたということについて外務省に連絡がございました。  そして、その内容もついでに申し上げましょうか。

二宮文造公明党

○二宮文造君 概略でけっこうです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その入手いたしました情報によりますと、この演習の概要と目的は次のとおりということでございます。  三月十五日から二十五日まで、米韓両軍はソウル南東約六十四キロの地点においてフォーカス・レチナと呼ばれる米韓合同軍事演習を行なう予定である。この演習には、米本土の基地から二千五百名の兵員が空輸される。この目的は、米本土内の戦略予備軍を海外に迅速に展開する能力を実証することにある。かような内容でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 その場合に、在日米軍基地というのは、補給活動とか、あるいは移動の基地として使われるというふうな話もありましたかどうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その点は、特別の事故などの事態がない限りは、日本側に立ち寄って韓国におもむくというようなことはないという説明でございました。

二宮文造公明党

○二宮文造君 在日空軍のほうもこれには合同演習として当然参加するでしょうが、その辺の話はありましたか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 在日米軍がこの演習に対して何らかの役割りをするかどうかということについては、現在のところ何の情報も説明もございません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 防衛庁長官に伺いますが、この場合、自衛隊の峰岡基地ですかにあります防空管制組織、これは当然活動を開始すると思うんですが、そういう意味ではそういう情報活動といいますか、通信活動が、このフォーカス・レチナ作戦に合同して演習をしている、こういう危険性、危険性といいますか、錯覚を国民に与えるようなことになりませんか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 今回の合同演習には、日本の自衛隊は全然関係ございません。で、いまの識別圏のことでございますが、これは米側の系統において——日本の自衛隊のほうでやるのではなくて、米側の指揮系統においてもしそういうことが利用されるならば利用されるということでありまして、全然日本側は関係ありません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 もっとこまかい問題がありますけれども、時間の関係で譲りまして、私は沖繩の基地といい、それからまた、いまの米韓の合同演習といい、そういうことを冒頭に内容をお伺いしましたことは、総理が常に日米安保体制を堅持すると、こうおっしゃる。また、それが日本の安全のためにも、極東の安全のためにも大事なんだと、こういう議論をずっと繰り返されておられる、そのことが、そういう行き方が、総理にとってはあるいは不本意かもしれません。おれはそういうことじゃないのだと、こういうことかもしれませんけれども、軍事的な側面というものが非常に強くいま打ち出されてしまっている。そのために国民が、日米安保体制というものを非常に心配している、こう私ども思うわけであります。そういう日米安保体制を堅持するという考え方の中に、軍事的な側面があまりにも強いではないか、こういう国民の心配に対して、総理の見解をまずお伺いしておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これ、もっともなお尋ねでございます。何らか日米安全保障条約、こういうものがあれば戦争に巻き込まれるのじゃないか、こういう考え方が国民の一部にある。またそれを積極的にそういう説明をしておる、そのために相当誤解を受けておると私は思います。いまわれわれが日米安全保障条約を結んでおると、戦争が起きたときに、日本が勝つとか、どういう戦いをするとか、こういう意味のものじゃないことは、これはもうしばしば外務大臣の申しますように、戦争を抑止するのだ。いわゆるいまの東西対立の姿、これはあります。ありますが、国際社会の上ではそれはありますけれども、いまや軍備というものは、戦争を起さないための軍備なんだ、戦争が起きてからその軍備が働いて戦争に勝つという、そういう目的じゃないのだ、抑止力ということを非常に強く申し上げております。私が申し上げるまでもなく、平和はバランス・オブ・パワー、力の均衡によって保たれる、こういうことを言いますが、私の見解をもってすれば、自由陣営が強い限り戦争は起こらない、かように私は考えておるのであります。われわれの陣営がより強いことが、いまの戦争を抑止しておる、戦争の起こることを防止しておる、この抑止力を高く国民にも評価してもらいたい、これを私は申し上げたいのであります。絶えず体制も、一つの安全保障体制も必要なんだ、そういう意味においての関係国の緊密な連携も必要かと思います。しかし日本は外国と直接に防衛体制についての協議をするものではありません。日本の防衛についてアメリカの力を借りておるということでありますけれども、米韓、米比、米台というような条約とはおのずから日米安全保障条約は違っておりますから、その範囲を出るものでもございませんけれども、とにかく大事なことは戦争抑止力、戦争が起こらないような状態を続ける、そのためにはどうしたらいいか。そのためには、われわれがこういう守りができておる、それをどこからも攻めてくるわけにはいかないのだ。こういうのが望ましいのだ。その点をよく御理解をいただければ、国民の皆さんにもわかっていただける、かように私は思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 どうもことばじりをとるくせが私にあって困るのですが、いまの総理の、自由陣営が強ければ戦争は起こらないんだ、こうおっしゃいます。それは、いまうしろのほうから声がかかりましたことばをそのまま受け取りますと、軍備拡張、これを総理が打ち出した、こうなってしまいますが、これはどうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の軍備拡張、これは私は、もうすでに基本的姿勢がちゃんと自衛体制についてはあります。いつも申し上げますように、国力、国情に応じて私どもは必要なる自衛力を持つ、かように申しております。いわゆる軍備拡張、こういうようなものでない、これはおわかりがいただけるだろうと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、いまの安保条約につきましては、各党にはそれぞれの評価があります。しかし、その評価のしかたは違ったとしても、こういう安保条約がないような体制を生み出したいものだということについては、各党とも一緒なわけですね。平和であれば、究極的に平和であれば、この安保条約は要らない。安保体制を堅持すると言われる総理も、そういう状態、こういう安保条約がなくてよいような情勢をつくり出したい、これにはおそらく一致されると思うのですが、確認しておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございますが、いま御承知のように、世界の恒久平和を願う、そういう意味において、世界的な平和機構というものが国連だといわれております。国連がはたしてその役割りを完全に果たしておるかどうか、このことを考えますと、現状はなかなかそんなものではない。チェコの問題が起きたり、あるいは中近東の問題が起きたり、あるいはまたベトナムに戦争が展開されたり、至るところ紛争、戦争、そういうものはある。ただいまの状態では、国連が完全なものではない。そういう力のあるものはないのだということを認めざるを得ない。まことに残念なことですが、理想はまだまだほど遠い、これが現状でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 関連して。先ほどの総理の答弁の中で、自由陣営が強化されれば、そういう話があったわけです。そうすれば安全が保てると。先ほどの答弁にありました韓国、台湾の問題が、沖繩返還の際の基地の態様で、基地をどうするかということについて、これは韓国、台湾の問題は考えないんだと。第一義的には日本のことだけを考えるというような答弁だったのですが、いまの自由陣営が強化され、どこからも攻撃されないといいますか、そういうようなかっこうにするということになると、いまの総理の答弁からだと、沖繩基地の態様も、韓国あるいは台湾の防衛というものと関連して考えなければならないのじゃないか。あげ足をとるようでありますが、そういう点で、先ほどの発言といまの発言とは矛盾があるように一つは思うわけです。  いま一つは、いまの自衛力云々のお話がありましたけれども、現状以上に総理の発言からだと軍備を拡張するようにしかとれないわけでありますけれども、その点ひとつ確認のために答弁をいただきたいわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君にお答えいたしますけれども、別に——誤解されては困ります。私どもはりっぱな平和憲法を持っております。その憲法下において日本の行動は規律されておるわけであります。したがいまして、先ほども申したように、米韓、米台がどうあろうとも、日本はそれらの国と交渉を持つような関係はございませんということははっきり申し上げます。  また、自由陣営が強化されるということは、必ずしも軍事的な問題だけではございません。経済的にもあるいは精神的にもいろいろございますから、そういうことで、われわれが憲法の範囲において果たし得ること、これをやるのがわれわれの責任だと思います。だから、われわれにその平和憲法のあること、またその憲法によって行動すること、これはもう基本でございますから、その御心配のないように、また矛盾はしておらないのです、私の発言は矛盾はございません。その点をはっきり申し上げます。  また、ただいま言われますように、さらに軍備を積極的に拡充するのじゃないか、こういうことを言われますが、いわゆるこれも憲法では戦力というものは持たないということになっておる。しかし自衛権はわれわれ認められておる。だからその必要なる範囲の自衛権、これはわれわれが持っていかなければならない、これは当然のことだと思います。みずからの国をみずからの力によって守るということ、その自衛力、その整備、これは当然のことであります。これも矛盾ではございません。何だか自衛力の整備を言えば、それが軍国主義へ返るかのような言い方をされると、たいへん迷惑でありますから、そこは誤解のないようにお願いしておきます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 関連。ただいまの総理のお答えないし先ほどのお答えの中に、はっきりと総理は、自由陣営が強いうちは戦争は起こらないと、このように申されたわけであります。これは非軍事的手段も入ってるんだというお話でありますが、当然その主体は、総理のいままでのお話からして、軍事的手段も入っているわけでございます。で、前にアメリカの国防長官であったマクナマラ前国防長官が、いわゆる力の均衡論というたてまえから、自由陣営、またアメリカの陣営が、力の優位に立つという方針を捨てたわけであります。これはあくまでも軍備拡張はしないというたてまえからそういう考えになったわけでありますが、いわゆるニュー・ニクソン時代になって、アメリカが力の優位論を唱えたような報道がございました。それに対しても、アメリカはみずから力の優位ではなくて、やはり力の均衡だというように否定しておるようでございます。  ただいまの総理のお話を聞きますると、これはアメリカでさえもなかなか言わないようなことを——自由陣営が強いうちは戦争は起こらないのだ。まあ、自由陣営と共産陣営の間に力の均衡が保たれているうちは戦争が起こらないという発言ならば、いままでの総理のお考えからしてわかりますけれども、自由陣営が強いうちは戦争が起こらない、こういう御発言でありますと、もう平和憲法を持った日本の総理が、どうしてもこれはアメリカ以上の高姿勢で、自由陣営の軍備強化ということをみずから唱えているように、これはどうしても受け取らざるを得ないと思うのです。で、この問題は、ただ単に日本の自衛力云々の問題ではなくて、これは世界の緊張を高める発言だと思います。この真意をもう一回お聞きしたいと思うのです。で、いまもしソ連が今度は軍備拡張すれば、これは自由陣営はそれ以上、力の優位の立場から軍備拡張すべきだという総理の御意見なのか。これは非常に危険なお考えではないか。これをあえてお伺いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはアイゼンハワーの時代の米ソの力の関係、まあ当時は七対一だという、最近は四対一あるいはもっと近い三対一だ、こういうようにいわれております。とにかく米ソ両国がその両陣営の旗頭であること、これはだれも否定するものではない。しかしその両陣営が、核が持つ力、これはたいへんなものだと、本格的な戦争になったら人類は破滅になる。これを両陣営、米ソ両国が認めた。そういう意味において、ただいまの戦争は起こらないと、戦争を防いでおるということであります。そうして一方でわれわれが、わずかながらといいながらも努力しておるのは、いまの核のない世の中、軍備のない世の中、それをひとつどうしてつくろうかというその努力がいま展開されておるのであります。いま言われるように、両陣営がまっしぐらに軍備拡張の方向に向かっているわけじゃありません。向かおうとする場合がありましても、これを抑制しようというジュネーブの十八カ国軍縮会議がある。そこにおいてあらゆる機会に軍縮をひとつしようじゃないかということを言っておる。私どももジュネーブの会議の一員になりたいという、そういう意味で、わが国のような平和に徹する国としては当然軍備をなくすること、その軍備をなくする手がかりとしても、まず核をなくする、これをひとつ提案しようじゃないかというのが、われわれの主張でもあります。  ところで、ただいま言われますように、私が以上のことを申しましたからといって、いま直ちに軍拡——軍備拡張競争が始まったと、かようには私は見ておりません。また、それをやってはたいへんだ、そういうことをさしてはならないのだ、こういうことを私は申し上げたいのであります。したがいまして、以上申しましたことによって誤解はないと思いますが、われわれは軍備不拡大、さらにその廃止の方向に努力をするように、われわれもジュネーブのこの軍縮会議の一国に加わりたいといって、かねてから立候補し、米ソにいろいろ話をしているのもそういう意味合いでございます。したがって私がこの席において先ほど来話したことも、ただいま申し上げるような基本的な考え方においてであります。ただ現実の問題としてこの軍備拡張はしないという、あるいは核拡散防止条約は締結さるべきである、また批准さるべきである、かように申しながらも、核の実験は次次に行なわれる——まあ次々でもありませんが、とにかく一つ行なわれて、新しい核保有国ができようとしておる。こういう事柄がいまわれわれの希望する方向とは違うのじゃないか。これを私は皆さま方に申し上げる。そういう場合に、わが国の存立を守り安全を確保する、その方向への努力をしなきゃならないということを申し上げたいのであります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 関連。いまの総理のお答えでちょっとわからない点がありますが、端的にお答え願いたいのですが、総理は、両陣営の力の均衡論の立場に立っているのか、それとも、自由陣営が力の優位に立たなければならないという立場に立っておられるのか、そのいずれなんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 在来は、よく力の均衡ということが言われてきました。特に前大戦まではそういうことをよく言われました。しかしながら、その均衡論のもとにおいては、ときどき間違いを引き起こしやすい。そのために戦争になったという危険があったと思います。私はいま自由主義陣営、これこそ真の平和勢力だと、かように考えております。その陣営が強いということは、いわゆる他の国から戦争をしかけない、かように私は考えますので、そのことが望ましいことだ、かように私は思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 関連。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 簡単に願います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 先ほどからの議論を伺っておりまして、総理が自由主義陣営が優位であれば戦争は起こらない、こういうお考えであると私は断定したいのでありますけれども、二国間の場合においては、ある程度その理論も成り立つかと思いますが、もし多極化された場合、特にいま中国が核開発をやっておりますし、中国とソ連のことを考えた場合、多極化した場合においても、なおかつ自由主義陣営が優位であれば戦争は抑止されると、こう考えてもよろしいでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま私の言っている事柄は、いわゆる世界戦争というものにならないということでございます。多極化した関係におきまして、その陣営内においても争いのあることは、最近中ソ両国で戦ったことでもおわかりだと思います。また、ソ連とチェコとの関係でもそれぞれの問題があるし、また中近東にも同じような問題があるし、そういうように、やはり世界戦争にはならないけれども、それぞれの場所においてそれぞれの紛争、それはあとを断たない、これはもういま現実がそのとおりでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 いずれにしましても、現在の総理の心境は、戦争抑止力にたよって、そしてその安全というものを確保していきたい、こういう結論のようであります。しかし、われわれはそうではなくて、むしろそういう緊張や対立を生み出さないような安保条約の運営をすべきではないか、こう私どもは考えているわけですが、総理の御意見を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはたいへんけっこうな考え方です。私これはそういう意味において二宮君の御意見を伺いたい。具体的にどうすればいいか、さらに説明してくださればたいへんしあわせだと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 かえって私のほうが質問をされましたが、そういう趣旨にのっとりましてあとの質問を展開してまいります。  総理は、明年の日米安保の選択、これはまだ考えてないというふうな前回の答弁でございましたが、これは確認してあとへ進みたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、わが国の安全を確保し、また存立を確保する、そういう意味においては日米安全保障条約は必要だと、かように考えております。ただその形はどういうようにしたらいいか、この点で国民の皆さん方の納得がいくというか、御了解を得られるような方法を選びたい、こう私考えております。いま廃棄などは考えておらない、このことははっきり申し上げておきます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 前回の参議院選に、自民党の一応防衛の体制としては、いわゆる安保条約は自動延長をやるのだ、これは総理は、そういうようにきめてないとおっしゃいますけれども、自民党の政策としては自動延長というようなかっこうをとって前回のような紛争は避けたい、こういう意向のようですが、総理もその考えに近いわけですか、お伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあいまきめてないということでございますが、とにかく、自民党内に自動延長論の強い主張のあること、これは私も認めます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 関連。総理は、昨年の参議院の予算委員会においても黒柳委員の質問に対して、日米安保条約のいわゆる一九七〇年六月二十三日の時点における選択は一九六九年にきめたいと、このように答弁なさいました。いままだきめておられない、それでは一体一九六九年のいつごろその選択をきめられるおつもりなのか、それをお尋ねしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはいつきめるかという期限を切られると、ちょっと困りますが、とにかく必要なときにきめますから、まだいまきめなくてもと、こういうように思います。しかし、これもすぐでございますから、だんだん私どももこれと取り組まなければならない、こういうことです。いつまでもほうっておくわけにはまいりません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 関連。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 関連は簡単に願います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 ですから昨年は、一九六九年中にきめたいと、このようにはっきり明言なさったわけでございます。この秋のいわゆる沖繩問題における渡米のときも、当然この選択は問題になると思います。その以前に総理としてきめて日米会談に臨まれるおつもりなのか、またそれとも、一九六九年中はちょっとむずかしい、来年になろうというようなおつもりなのか、その点をお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 昨年申し上げたことにただいま変わりはございません。また、アメリカへ私出かけます際には、やはりこういう問題も含めてわれわれの考え方を一定しなければならない、かように思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私さっき総理にお伺いしたのですが、自民党は自動延長という公約を掲げられたと私は記憶するわけです。だけれども、また総理は自民党の総裁でもあるわけです。総裁の承認なしにそういう自民党の政策は掲げられて国民の審判を求められるんでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのときも先ほどのような話をしたと思っております。いわゆる公約とまでは言っていない。これは自民党の中の船田試案というもの、それがそのままずっと外へ出ている、かように私は理解しております。したがいまして、船田試案ではこういうことをいっておる、これも一案かと思うと、こういうような話になっておるわけであります。いわゆる公約というような形で発表はしてないと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そうしますと、参議院選のときに、五大紙をはじめ全国の新聞が自民党の政策として掲げた、日米安保をどうするか——自動延長、こういうふうに出ておりましたことは、これは試案をお掲げになったわけですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいまお答えしたように考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、私は第十条のほうからまず疑問なところをお伺いしたいわけでありますけれども、三十五年の当時の藤山外相は、戦争抑止力としての働きもあるので、一年の予告でいつでも解消できるというような条約は不安定であり、十年が適当であると、こういうふうに当時の藤山外相は答弁をしておるわけですが、この第十条の考え方については、いまもこの答弁が残っておりましょうか、考え方として。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは、ただいま総理も言われましたように、どういう方法をとるかということを政府としてはまだきめておりませんから、仮定の御議論になろうかと思いますけれども、その当時はそういう考え方であった、かように考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私は運営の問題で聞いておるわけでありまして、もうすでに選択が目の前に迫っているわけであります。したがって、当時はそうだけれどもいまはどうだかわからない、こういうふうないまの外務大臣の答弁ですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは純粋の条約論からいたしますと、何にも措置をしなくっておれば第十条がそのまま存続するわけですから、いわば自動継続になる——純粋のこれは条約論になるかと思いますが——そういうことになると思いますが、これは先ほど来申しておりますようにきめておらぬことでございますから、それを前提にして御説明申し上げるのはいささかまだ時期が早いのじゃなかろうかと考えます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そうです、おっしゃるとおり。これはそのまま置いておけば自動継続になるわけであります。ところが、あえて、そういうやり方でもよかったではないかという質疑に対して、戦争抑止力としての働きもあるんで、一年の予告で解消できるというのは不安定だ、だから十年としたんだと。したがって、十年たちました。いま、たとうとしております。そういうときに、やはりこの藤山外務大臣の考え方が基本的に残るのか、あるいは、もう戦争抑止力としての形はもう極東ではでき上がったから、あえてその答弁にはこだわらないんだと、こういうことなんでしょうか、この点をお伺いしたがったわけです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは、結論といいますか、政府としてどうしようかというのをこれからきめるわけでございますから、それと相関連いたしておりますから、いまお答えするのはいかがかと思うと先ほど申したわけでございますが、当時の、九年前の藤山外務大臣の説明ということにはあえて私はこだわっておりません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 じゃ、手続の問題としてお伺いしたいのですが、その第十条第二項の廃棄通告権です。これにある種の変更を加えようとする場合には、どういうふうな手続があるのか。二つ、三つあったと思いますが、これは当局の方でもけっこうですから説明していただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 手続のことにもなりますから、条約局長から御答弁いたします。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 御質問の趣旨を正確にとらえているかどうかちょっとわかりませんが、この十条の二項の廃棄通告の手続を変えようというような場合には、条約の改正になりますでございますから、当然国会の承認をとるという形になると思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 条約局長に伺いますが、共同声明、そういうようなかっこうで、この第二項の通告権を、これはもう放棄するというか、さらに延長する、固定していくという方法があるのじゃないですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 私お答えいたしましたのは、純粋に法律的なことを申し上げたわけでございます。したがって、法的に変更すると申しますか、拘束力を持った形での変更、それはどうしてもやはり条約の改正という形をとらざるを得ないと思います。それ以外に、やはりその日本なりアメリカなりの意思を政策的に表明するという形において、たとえば共同コミュニケとか、あるいは一方的な宣言とかいうようなことも考えられることはありますが、これはどこまで参りましても法的拘束力というものはないわけでございます。政策的な意図の表明という形になると思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 その日本政府の政治的な行政方針として、第二項に定めるような廃棄通告権は行使しないと、こういうふうな共同声明をしますと、法的拘束力がないといまおっしゃったのですけれども、それは政府の方針であり、内閣を拘束する効果は同じことになるのではないかと私は思うのですが、どうでしょう。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 同じことをお答えするようになりますが、たとえば日本政府が何らかの宣言をやったという形になりますれば、これはもちろん政治的な責任はあると思います。しかし、私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる国際間において、国家と国家の間においての法的な拘束力を持つような形においてはそれは動かない。むしろ政治的な責任——それに違反した場合に政治的な責任が起こるというだけの問題ではないかと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 明確を欠くわけですが、条約を改正するよりほかに法的拘束力がないと、こういう結論ですか。共同声明では違うのだと、責任は出てくるけれども、拘束はされないのだと、こういうことですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 私が申しております拘束力と申しますのは、法律的な拘束力、国際法のワク内における法的な拘束力という意味で申し上げているわけでございますが、そういう意味では条約の改正がどうしても必要だと思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 あとのほうは——共同声明。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 共同声明の場合には、先ほども御説明いたしましたとおり、共同声明をやった内閣、向こうは向こうの新内閣と考えても、大統領と考えてもよろしゅうございますが、それの政治的な責任、その内閣の政治的な責任という形になると思います。法的な拘束力という意味では、やはり国際的な立法形式をとらないと、どうしても法的な拘束力というものは出てこない。

二宮文造公明党

○二宮文造君 これは総理にお伺いしたいのですが、私心配しておりますのは、さっき外務大臣ともやりとりをいたしましたけれども、この廃棄通告権、いわゆるそのままにしておけば自動的に継続されるわけです。ただ、それじゃ不安定だという意見もある。それに対して、条約を改正して、あるいは年限をきめるという行き方もある。これは条約局長がおっしゃったとおり。それからもう一つは、共同声明によって、この自動継続される廃棄通告権を行使しないと、こう共同声明をしますと、それは生きるわけですね。もしそうなりますと、国会の承認を得ないままいわゆる長期固定化につながってしまうわけであります。そういうふうな心配もありますので、この廃棄通告権というのは非常に大事な内容を持つものであり、総理としては、これを留保していく、こういうような回答が私は得たいわけであります。この点についてお伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま国民大多数は安保体制を維持ということを言い共鳴してくれている、また共感を覚えている、私かように確信しておりますので、そういうことで、まあ先ほど来から、安保体制を維持します、堅持します、こういうことを申しております。そこで、その形はどうするのか、こういうことになりますが、ただいま言われるように、改正する意見があるのかと、こうなると、ただいまのところはないように思う。まあ特別な取りきめさえなければそんなことはない、かように私は思います。そうしてまた、先ほど言われたように、党内において、自動継続というか、自動延長というか、そういう意見が有力であるということも、これも私は認めております。  そこで、いま廃棄通告権の問題について、いろいろこういうような問題があるぞと、こういう御注意をただいま受けました。まあそういうことを、私どもこれから安全保障条約の取り扱い方をどうしようかということをきめるのであります。御意見は御意見としてこの際は伺わしていただいて、十分慎重に取り扱うことにいたしたいと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 じゃあ次に進みまして、防衛庁長官に、昨年の三月の二十七日に本院の予算委員会で増田前防衛庁長官から第五条の自衛権の解釈について答弁がありました。それを再度ここで有田長官に説明をしていただきたい。これは山本委員も前回質疑がありまして、それを再確認する意味でお伺いしたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 昨年の三月二十七日でございましたか、当委員会におきまして、増田前長官が述べましたのですが、平和条約第五条(C)項においてわが国が主権国、独立国として国連憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛権を持つということを述べられたのであります。ところが、その憲法九条との関連においていささか不十分な点があったように見受けるのですが、その当時の速記録を見ますと、高辻法制局長官が憲法との関係を述べられておりますが、また去る五日、この間の委員会でおっしゃるように、山本委員からそういうことのお尋ねがあったのですが、そのときも、総理大臣は、憲法九条は厳格に解釈していく、海外派兵はやらないということをはっきり申し上げております。また、法制局長官が憲法との関連において説明されておるのも、国際的には国連憲章五十一条あるいは平和条約をもとにして個別的と集団的の自衛権は持っておるけれども、わが憲法九条によって、これを厳密に解釈するから、個別的自衛権だけである、こういうことをはっきり明言されておるのです。私も、そういうような政府の見解どおり、国際法上は集団的自衛権は有するとしても、憲法上は制約がありますから、自衛権の意味を厳格に解釈していきたい、かように考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 したがって、この前の総理の答弁、それからいまの長官の答弁で明確になったわけですから、この増田防衛庁長官がこういう表現をするのはちょっと順当じゃありませんね。というのは、自衛権の基礎は私は平和条約にある——憲法第九条第一項の裏面解釈からも出てくるが、平和条約である。こうなりますと、いかにも集団的な自衛権も裏面解釈から出てくるような——あとに規定はないわけですから、こういう考え方は、そういう説明のしかたはちょっと不十分である、こう理解してよろしいわけですね。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど申しましたように、いささか憲法九条との結び方が足らぬだと私は思うのです。しかし、先ほど申しましたように、政府の見解としては、総理大臣もはっきり申し上げた。また高辻法制局長官も憲法上の解釈ははっきり申し上げた。ただいま私からもはっきり申し上げたのですから、そのいまのとおりに解釈されていいものと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 関連。いまぼくは聞いておりましたが、ちょっと理解が違うのです。私の言っているのは、国際的にはいわゆる国連憲章五十一条の「個別的又は集団的自衛の固有の権利」がある。私は、日本の憲法がある以上、国際法上あっても、日本の自衛権というものは異質のものであり、質が違う。そうでなければそれはとんでもないことになるから、異質のものであるということを私は強調しておるのです。国際的ないわゆる自衛権、国連憲章五十一条による自衛権が憲法によってそれを制約されておるということでなくして、日本の場合は憲法第九条からくる特殊な自衛行動権であると、私はそう理解しておるのですがね。その点を明らかにしてもらいたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) その問題は法制局長官から答弁させてもらいますが、私の見解は先ほど申したとおりであります。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。  これは前にも申し上げたと思いますし、ただいま防衛庁長官からお話がございましたように、この増田前防衛庁長官の御答弁のすぐ次に私がお答えしておるとおりでございまして、あえてつけ加えることもないと思いますが、確かに平和条約なりあるいは日ソ共同宣言なりに、個別的自衛権、集団的自衛権が日本にもある、両方で持っておる、そういうことが規定してございます。これは国際法の面ではあたりまえのことでありまして、別にこれを異とするに足りないのでございますが、しかし、仰せのように、日本には憲法九条という国内法としての最高法規がございます。その最高法規の九条の解釈としては、やはりこの自衛権ということはきわめて厳密なものと解すべきである。一国の存立、国の生存と安全、これを守るためのものであるべきであるというようなことをるる申し上げましたが、それと政府の考え方というものは一貫してそのとおりでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 いま法制局長官は、増田防衛庁長官のあとで私が補足をしておるからもうあえて説明は要らない、政府はそういう方針で進んでいるのだ、こういうふうな答弁が前段にございましたけれども、この間の山本委員の質疑に対しても、愛知外務大臣はやっぱり、憲法にいわゆる自衛と、こういう観念と、それから五十一条の個別的自衛あるいは集団的自衛というものは、観念の上では分けられるかもしれぬけれども、実際問題としては同じ範疇に属する。やっぱり増田前長官が言ったように、平和条約に基礎があり、あるいは国連憲章に基礎があって、そうしてどうも日本の集団的自衛権、個別的自衛権の区別が憲法と結びつけて厳然とした政府の説明がないわけです。したがって、繰り返してきょうもこの問題を取り上げたわけでありまして、いま法制局長官が言われたことで、憲法の解釈では、また山本委員が確認されたようなそういう理解でよろしいかどうか、よろしいと私は言ってもらいたいわけですが、それを法制局長官に結論的に言ってもらいたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、要するに、日本の……。

二宮文造公明党

○二宮文造君 説明は要らないのです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) もう一ぺん確認する意味で私の口から申し上げたいと思います。  要するに、憲法九条のもとにおける自衛権というのは、国連憲章との対比で言えば、個別的自衛権に相当する。集団的自衛権というものは、この憲法九条のもとでは、固有の意味における集団的自衛権というものは、憲法上大いに問題である、こういうふうに申し上げておきます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 これはまた法制局長官相手ではだいぶ時間がよけいに食っちゃいますから、私のほうから論点を変えます。確認しておきたいわけですが、第六条による事前協議、これは今日まで一度もなかったと思いますが。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 一度もございません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 それはどういうわけで一度もなかったか、どうわれわれは理解したらよろしいのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 御承知のように、第六条につきましては交換公文もございますし、また、それに対する了解もございます。そういうふうな事前協議にかかわる事項についての事前協議がなかったということは、そういう事態を必要とするような状況が起こらなかったと、こう理解すべきものではなかろうかと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そういう事態がなかったということは、われわれの理解というのは、第六条で言う事前協議というのは、配置の変更もあると、あるいは戦闘作戦行動のあるものもあると、いろいろ含んでおりますけれども、平時の場合もそれはやっぱりあるんじゃないか、事前協議の必要性は。しかし、そういう事態がなかったのですという答弁によりますと、この第六条の規定というのは、もう非常事態あるいはそれに類する、そういうための第六条の規定であった、こういうことになるのでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約の第六条によりまして、ただいまもお話がございましたように、配置、装備、それから行動、大きく分ければ三つでございますね。そのうちの重要なものというものはかくかくのものであるということが双方に了解されておりますが、その了解されておるような配置の変更あるいは装備の変更あるいは戦闘作戦行動というものがなかった。または、その必要性のあるような状況がアメリカ側の判断でも起こらなかった。したがって、事前協議にかかるような事態がなかった。これは事実そのとおりでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 しかし、この事前協議の問題をめぐりましては、もう国会のたんびに議論になるわけですね。ですから、そういう問題が起こらなかった、アメリカからもそれを提起する事態が起こらなかったという大臣の答弁ですから、そこで第五条には明らかに、武力攻撃があったときと、こういう規定があるわけですね。第六条には、武力攻撃ということばはなくて、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」と、こういう前文があるわけです、前の字が。「武力攻撃」というのはないから、平時に類するようなときもこの第六条というのは働くんではないかと、われわれはこう理解するわけです。ところが、一度もないというところから見ると、これは第五条の「武力攻撃」というのを受けたそういう事態しか政府のほうでは想像してないのかという疑問が出てくる。証拠としてはいままで一度もなかった。こうなるんで、第六条の性格というものをきめていただきたい。そうすれば事前協議をめぐるもろもろの物議はだいぶ縮小されてくると思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 御質問の御趣旨が私にあるいはのみ込めないのかもしれませんが、安保条約第六条によりまして、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」と、こういうことになっているわけでございますね。これはもう条約上明らかでございます。そのアメリカ合衆国が事前協議にかかるような事項は何かといえば、これは交換公文でもって定められておりますね。それは「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする」、ただし、「条約第五条の規定に基づいて行なわれるものを除く」、これも御指摘のとおりでございます。そしてその事前協議の対象となる重要な変更とは何かということにつきましては、たとえば「配置における重要な変更」というのは、陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置がこれに該当するものである旨が了解されております。それから、「合衆国軍隊の日本国への配置」ということにつきましては、米軍がわが国内の施設、区域を根拠として駐留する場合をいうということが了解されておる。それから、「装備における重要な変更」とは、核弾頭それ自体、中・長距離ミサイル並びにその基地建設、核・非核両用兵器は核弾頭を装備している場合に限り事前協議の対象となる。これがいわゆる事前協議に対する全貌でございまして、ただいまも、この際もう一度明らかにされたいという御趣旨でございますから、この事態を念のため申し上げたわけでございますが、こういう……。

二宮文造公明党

○二宮文造君 平時、非常事態……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ですから、それは第六条の条文のとおりに、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」、これが全体の目的にかぶっておるわけでございまして、あえてこれには注釈をつけるほどのことはないのではなかろうかと私は考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 どうもかみ合いません。  で、次の問題に入りますけれども、この事前協議の方式ですね、事前協議をやる機関です。これは一体、われわれの考えでは、非常に高いレベルで、最高のレベルで行なわれるものなのか、あるいは事務的なレベルで行なわれるものか、政府の答弁がいろいろに変わっておりますので、理解がしにくいわけです。ですから、この点はどういうレベルで行なわれるのか答弁していただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点も、昭和三十五年の安保条約改定のときから政府の一貫した見解でございますが、一口に言えば、外交チャンネルを通じて行なう、こういうことに相なっております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 岸前総理は、日本の場合は常に総理だと、まあこれその後に議論が繰り返されております。また、佐藤総理はそういう質疑に対して、そう言ったではないかという質疑に対して、何もかも総理がやるというのではないと、こういうふうに言われておりますが、私は先ほどの愛知外務大臣の答弁で明確にならない点は、事前協議の規定はあるけれども一度も行なわれなかったと、そういう必要がなかったと、しかし実際問題としては、あるいは原潜だとか、エンタープライズだとか、あるいはB52だとか、あるいはこの前のプエブロ事件だとか、そういうことをめぐって常にこの事前協議の問題が国会で審議されるわけです。したがって、規定はあっても、それを忠実に実行することを要求しないような姿勢が政府にあるのではないか、こう私は心配するわけです。この点はどうです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 実はその点につきましては、実際の運営としては、事前協議まで行かないようなものについてまで、実際は協議といいますか、通報を受けたり相談に応じたりしておるわけでございます。たとえば原子力を推進力にする原子力潜水艦というようなものは、先ほどあげました事前協議の対象にはかからない。しかるにもかかわらず、原子力というものが推進力になっているこういう艦船であるからというので、十分アメリカ側からも事前に連絡があり、それに対して日本が、昭和三十九年に最初に原子力潜水艦が寄港いたします場合におきましても、その前に日本政府は原子力委員会がその中心になって十分その審査等調査をやりまして、その上でこちらが寄港を認めましたし、またその際にも、エード・メモワールというようなかっこうで日米の間にも文書を出しておる。つまり、事前協議の対象にならない、その必要を認めていないようなものでも、実際上の連絡は非常にうまくやっておると私は確信いたしております。  それから、いまおあげになりました一、二の例の中には、沖繩の場合があるかと思います、B52のような問題は。これは現在のところ安保条約がかかっておりませんですから、したがって、これはちょっとこの場合の御説明に私のほうから援用いたしますことは不適当かと思いますので、御了承いただきたいと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 それで確かに随時協議は行なわれていると、必要のないものまで行なわれているから心配はいらないと、こういうふうな答弁がいまなされたわけであります。しかし、実際問題として国民の側から見ますと、この事前協議というものについては物議をかもしております。これはもう御承知のとおりです。なぜかといいますと、やはり条約の中の取り扱いが違っております。たとえば、本文でそういうことを規定しないで交換公文で主題とするというようなことに持っていったり、さらに、しかし、その交換公文の中には両者の意思の合致を要するということは書かないで、それを共同声明に譲ったり、こうランクを次々に落としていく。こういう技術的な操作の中にもこの事前協議の取り扱いに疑問点が出てくるというのは私は当然だろうと思う。本文と交換公文とそれから共同声明、これによって法的な拘束力、ニュアンスというものは次々に違ってくる、薄められてくる、こう私は思うのですが、どうでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約は全文で十条でございますし、私、そのときの条約交渉の当事者でございませんからその当時のことをつまびらかにいたしておりませんけれども、こういうふうな基本的なものを本条約にして、そしてそれに対して交換公文をつくるというのは、私は条約作成の技術的な観点からいっても自然なことではないかと思います。それから、条約論は別に御説明をいたしたいと思いますけれども、私は、効果においては何らこの条約と交換公文、そしてこれは国会の御承認を受けている、こういう関係でありますから、その効力、重さということに何らのけじめはない、かように私は考えてよろしいかと思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 とはおっしゃいますけれども、そうじゃないんです。共同コミュニケというのは国会の承認は得てないのです。しかも、これについては、その当時の質疑で、共同声明というのは政治的な意義がある、しかし法律的な、条約的な効力は持ってないと、こう岸総理は答弁しております。また、条約がたった十条だとはいっても、「同意を要する」、「同意に基づいて」というのはわずか五字か六字です。これが入らないような、スペースがないようなことはない。意思がなかったか、あるいは意思を押しやられたかに私は原因があると思うのですが、だから、こういうふうにだんだんとランクがついておりていったのじゃないか、こう私は思うのですが、再度答弁していただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 条約と交換公文の関係を私申しましたのでありまして、なるほど共同声明はそれとは違います。あるいはさらにお尋ねがあろうかと思いますが、六条に基づく交換公文についてもさらに口頭の了解というものもございますが、これは運営に対する日米両方の合意を念のために了解したものであり、あるいは共同声明でこれを補強したものであると、かように理解してしかるべきものかと思います。しかし、基本は重要なる装備、配置あるいはその変更あるいは戦闘作戦行動というようなところが条約と同様なもので押えられてございますから、私は条約的に見ましても御心配は全然ない。これは私のみではございません。従来、三十五年の改定以来一貫して政府としてはさような見解を保持しているわけであります。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで意思に反するような措置はとらないという共同声明を歯どめにして大臣は答弁をされたと思うのです。問題は、そこで事前協議に協議をするとかあるいは同意をするとかということはこちらの自主的判断にある、この余地は残されているというのは従来からも答弁されてきております。そこで、そういう自主的な選択があるとしますと、この戦闘作戦行動について考えてみますと、そのために日本の基地を使用する、極東における国際の平和と安全に寄与するためにそういう意味で基地使用に日本が同意した場合、当該国と日本との関係はどうなるのか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 当該国というのはどういうことですか。

二宮文造公明党

○二宮文造君 相手先。作戦行動の相手先。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはまた国連憲章の問題や自衛権の問題や戦争というものの定義、これらにすべて関連してまいりますから、そういう点は明確に条約論的にお答えするほうが私はよろしいかと思いますが、私は常識的に概論を申しますれば、戦争というものが私は国連憲章ができてから変わってきたと思うのです。そして、戦争というものは、戦争をする権利があるということは今日否定されておる。こういう前提に立ちますと、国連憲章的にいわゆる侵略行動があった場合にこれを防衛するということが、ここに、安保条約等にいわゆる戦闘作戦行動というものに当てはまるのではなかろうかと思います。したがって、侵略に対する防御という意味であると。ですから、ある一つの国に対して米軍が日本の飛行場から飛び立っていったとした場合、その国とアメリカとの関係というものはどうなるかといえば、その国から侵略をしてきたものに対する防御であると、こういう観念でこの間を律すべきじゃないかと思います。これはしかし常識的なお答えでございますから、ひとつ詳しく条約論としてお聞き取りをいただきたいと思います。政府委員から答弁させます。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 大臣からお答えしましたところにつけ加えるところほとんどないと思いますが、アメリカが安保条約で基地使用する……。

二宮文造公明党

○二宮文造君 もっと明確に言ってください。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) アメリカが基地を使用しますときの制約と申しますのは、事前協議もちろんございますが、その前にやはり国連憲章の制約があることはこれはもう当然でございます。で、それはまあ条約にもうたってあるところでございます。したがってアメリカの行動と申しますものは、当然国連憲章の五十一条にのっとったもの、あるいは国連の制裁行動というようなもの、そういうふうなものに合致したものということになっております。したがって性質的に言えば、侵略に対する自衛行動、ないしは国連の制裁行動というような形になって出てまいりますものですから、これに対して、国連制裁行動の場合には国連に当然協力すべき、日本も国連の一員でございますから、協力すべき義務があると思いますし、自衛行動の場合には、やはり向こうが侵略者でございますから、結局それに対して基地を使用させる、これは日本の事前協議の判断というものは当然そこには入ってくるわけでございますが、それを使用させたからといって、こちらが一種の侵略をやったとかなんとか、そういうふうな形にはならないと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 いや、私が聞いておりますのは、侵略があったと、事前協議の条項に基づいてアメリカが基地を使用したと、日本の基地を使用したと、そうすると行ったと、その国と日本との関係はどうなるでしょうかと、好ましい状態にはならないではないかと、これを伺っておるわけです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ、これも常識的なお答えになりますから、法律的に正しいかどうかはあとでひとつ詳しく御説明したいと思いますが、やはりこれは日本に基地のあるところが発進地になったというのであって、米軍とその国との間の関係は、さっき申しましたように侵略に対する防衛である、こういう関係になると思います。好ましくないかどうかと、日本として。そういうお尋ねでございますれば、やはりこれは、それを戦争と定義を、私はすべきではないと思いますが、好ましい状態であるとは常識的に言えないと、これは御同感でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、そういうふうなことがあって、日本が拒否したとします、事前協議を、基地使用を拒否する。こうなりますと、日本は憲法の規定によって、集団的な自衛権というものはこれは取り除いております。しかし、アメリカの集団的自衛権というものは日米安保に認められているわけです。そうしますと、日本が拒否するということになりますと、このアメリカが認められていると思っている集団的な自衛権まで日本が容喙していくと、こういう立場になるんでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) アメリカが国連憲章で認められ、あるいは国連で認められたような趣旨の軍事行動を展開すると、こういうまあ前提に立つわけでございますね。そしてそれに対して日本が拒否したと、それは国連協力にならぬではないか、国連協力に違反することに日本はなるではないかと、こういうお尋ねでございますか。

二宮文造公明党

○二宮文造君 アメリカの固有の集団的な自衛権にまで容喙していくことにならぬか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本が。

二宮文造公明党

○二宮文造君 はい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあこれは何とお答えしたらいいのでしょうかね、とにかくアメリカが欲することに対して日本が拒否をすると、こういうことになるのはその事実関係であって、それはそのときの状況その他によりまして、いろいろなやっぱり解釈が、解釈論が起こり得ると思いますけれども、何か率直に言ってなぞを解くことを私要求されるような気がしていますが、私にはちょっとお答えができかねます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 外務大臣は何か非常に警戒をしながら答弁をされているから、そういうふうにお感じになるのです。私は何もわなかけて質問しているわけじゃないのです。いいですか、日本の基地を使用してアメリカが戦闘作戦行動をすると、その場合に事前協議がある、その場合に日本も拒否することができるわけでしょう、拒否することが、これが問題なんです。拒否することができると言いながら、本来は拒否できないのではないかというのが私の感じなんです。拒否できるとすれば、アメリカの、日米安保でアメリカの側の固有の集団的自衛の権利というのは認めておきながらそれを拒否するということは、アメリカのそういう権利にまで容喙していくことになって、日本は拒否できないのではないか、そういうことになっているのではないか、こう私はお伺いしているわけです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私、聞きようによっては、それでは事前協議というものは、よろしいと言わなければいかぬぞということを御主張なすっているかのように私は聞えるのですが、そうではないのです。政府の見解はそうではございません。これは実はここにも私持っておりますけれども、昭和三十五年以来衆参両院のあらゆる会議の歴代の総理大臣あるいは外務大臣その他の政府側からの答弁は、一貫して、この事前協議ということに対してはノーということがはっきり言えますし、またそうしなければなりません。しかし事前協議であって、協議なんですから、イエスということもあり得ますと、これがもう一口に言えば一貫した三十五年以来の政府の見解でございますから、ノーと言った場合に、これは国連憲章違反になるのじゃないかとか、あるいはアメリカが固有の権限とし、あるいは国連から認められている権限であってもなおさらよろしいわけでしょうが、そういったアメリカの持っている権限を日本が害することになるではないかと、ノーと言った場合には。しかしそういう場合には、日本の国益から見て、日本の政府の立場から言ってノーと言うべきことは断固ノーと言うべきだと思うのです。その結果いかにそれが解釈されるかは、それからの問題である、私はこういうふうに考えます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私の質疑を愛知外務大臣は曲げて何かお話をされたように私は思うのです。ですから、時間が惜しいのですけれども、もう一回申し上げたいと思いますが、われわれは事前協議というものは厳格に実施すべきである、ところがそういうふうな事態が今日までも想定されたことはあったにもかかわらず、あるいは機動部隊の単位がどうだとかこうだとかということばを弄して、事前協議の厳格な実施が今日まで行なわれていない。裏を返してみれば、政府は拒否をする、あるいはイエスと言う、ノーと言う、そういうものがあるとは言いながら、そういう実質的なものを使おうとしないのではないか、今後断固として使っていきますと、事前協議は厳格に実施していきますと、日本の国益に反する場合にはそれを断固拒否していきます、そう答弁されればそれでいいのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ私も、非常に厳粛なお尋ねでありますから、あらゆる場合を頭の中で考えながら御答弁申し上げておるのでありまして、その中にお気にさわることがありましたらお許しをいただきたいと思うんですが、先ほど私最後に申し上げ、また御質問の御趣意がそうであったのならばたいへんけっこうなことで、私は、事前協議というものは厳粛にこれは取り扱う。そして日本の国益に反することは断固として拒否する、これが先ほど来申し上げておりますような歴代の内閣及び総理大臣の私は見解である、私どもももちろんそうである、こういうわけでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そうおっしゃっても、とにかくあの交換公文に示された三つの項目、非常に抽象的であります。そしてあれの内容というものはどのようにでも解釈のできるような内容になっておる。もっとこまかな問題については明文の規定はないわけです。ないと私どもは理解しております。さらに、もっと心配なことは、厳格に実施する、こういう大臣のいまの答弁がありましたから、さらにつけ加えたいわけですが、戦争には諜報活動というのはつきものであります。あるいは補給活動というのもつきものであります。あるいは二段飛びの作戦というものも考えられます。厳格に実施する、日本の国益を守る、こういう立場からは、そういう諜報活動も、補給活動も、二段飛びも、この事前協議の中に追加していくべきではないか。来年はどうなるかわかりません、来年安保条約がどうなるかはわからないという答弁でありますが、しかし、少なくとも内容の取り扱いは、そこに至るまでも、そういうことも含めてなさるべきではないか、こう思うんですが、どうでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 現在の仕組みは、先ほども念のために詳しく申し上げたつもりでございますが。

二宮文造公明党

○二宮文造君 中身がないです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いえ、中身は、ですから了解事項につきましても申し上げたわけでございます。これによりまして、厳粛に事前協議というものは扱ってまいりたい、これが現在までの立場であり、現在の立場でございます。したがいまして、いまおあげになりました二、三の例はこの中には入っておりません。それからそれを入れなければならないという御主張に対しましては、私は今後これを必ずしも必要とはしない、いまのところ変える気持ちは持っておりません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 ですから、そういうふうな姿勢の中にも、この事前協議についての心配が出てくるわけです。そしてしかも、装備における重要な変更ということで、核弾頭だとか、それからミサイルだとか、まあ基地の建設は別としまして、核弾頭なんというものは政府に調査権がないわけでしょう。信頼するだけでしょう。したがって、厳格な、それは政策的な立場で核の持ち込みに非常に総理は気を使っておりますけれども、要するに国民を納得させるようなものが、非常に根拠が薄弱なわけです。たとえば諜報活動、補給活動、さらには二段飛び、さらには核弾頭は持ち込ませないという、そういうふうな政策的な立場を国民が理解できるような確然とした方針が政府にあればいいわけですが、これがいつも議論になりながら、明快な答弁はないわけです。ただ信頼だけですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点につきましても、先ほども私申し上げたつもりなんですが、事前協議にかからないような事項についてすらも、日米間では、たとえば原子力潜水艦の例をあげましたけれども、こういうこともやっているというわけでございますから、私は、安保条約の基本について御疑問を抱いて、あるいは安保条約なんかは要らないのだ、やめてしまえということを基本にお考えにならない限りは、安保条約というものがこういう運営をされていることについては、私は国民的に納得をしていただけると、いただいてきていると、私はかように思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 その諜報活動だとか、補給活動だとか、そういう移動だとかいう問題に政府は矛盾を感じませんか。そのために日本にまた新たな心配が出てくるのじゃないか、こういうような疑問というか、心配を大臣は持ちませんか。加える意思はないといってはっきり答弁されておりますけれども。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はまあ、また直接お答えしないといってしかられるかもしれませんけれども、私は、安保条約というものは日本の安全のために非常なメリットを発揮していると思うのです。きょうの冒頭のあなたの総理に対する御質問を伺っておりましても、そういう点で多少私どもの考えと違うのじゃなかろうか。何か安保は憎らしいものだ、アメリカはけしからぬのだ、こういう前提でものをお考えになる場合と、それから私どもは、日本の国民、日本の安全のために、日本のためにあるのが安保条約だと、こういうサイドをもう少しごらんいただければ、ここも悪いぞ、ここも悪いぞというようなお尋ねは出てこないのではなかろうか、たいへん失礼な申しようでございますが、これは私の信念でもございますから、申し上げた次第でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 どうも話の中に感情論みたいなのが入ってまいりまして非常にまずいのですけれども、われわれの考え方というのは党の政策の中に明示してあります。それはもう当然大臣もよく御勉強なさる方ですから、そういうことを踏まえておっしゃっているのだろうと私思うんですけれども、しかしいまのおことばを聞いておりますと、何だか赤ん坊がだだこねるような、悲しくて悲しくてしかたがないというような答弁のように聞けるわけです。そうではなくて、事前——もう同じようなことを行き帰りしているわけで、私もここでちょっと休憩したいわけですけれども、事前協議の厳格な実施、あるいは国民が戦争に巻き込まれない、そういう心配を取り除くためには、従来の取りかわしはあったとしても、日本の自主的な判断で、必要と思われることは追加をされてもよろしいのではないか、こう私は思うのです。しかし、それを大臣は、一言のもとに、いまの状態でけっこうですから、必要ないと言われるから、いろいろな問題が出ておりますから、考慮されたらどうか、こう具体的に提案をしているわけです。答弁いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ一つは、ただいまも御注意いただきまして、私もそのとおりに思っております。各政党のお考えも私どもとしては十分わきまえているつもりでございますが、やっぱり一番基本のところが、いまもお話がございましたが、戦争に巻き込まれないようにというお話があるのですが、そこのところに私と少し違いがある。私どもは、戦争に巻き込まれないどころか、こういう体制であれば、そういう脅威にさらされる危険が除かれると、これが間違っておると仰せになると思いますけれども、これが私の考え方の、要するに抑止力理論に基づいているわけです。そうしてこれが、少なくともいままで二十年間近くはメリットをあげてきた、そうして現にこれを続けていきたいというのが私どもの考え方でございますから、戦争に巻き込まれる危険というようなものは、あなたのお考えよりはずっと程度が低く考えていると申し上げたらいいでしょうか。しかしそれにしましても、安保条約が、日米間の友好信頼関係で成り立つということが双方のために必要でございますから、広い意味での、たとえば基地公害ということばがこのごろよく使われておりますが、こういう点につきましては、公明党が非常な御努力をして基地の実態も調査していただいた。こういうことを踏まえ、参考にしながら、適切な措置をとって、なお一そう日本の国民の理解を進めたい、協力を求めたい、こういう方針でまいっておるわけで、この点は、今回の通常国会の劈頭の総理大臣の施政演説にも私は明らかにされているのはそういうゆえんであろうかと思いますから、二宮委員のこのお考えなり、あるいは御心配になっているところが、私と程度の相違はあろうかもしれませんけれども、ある面におきましては同じような気持ちでこうした問題に対処していきたい、これは御同感に思っておる点でございます。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 二宮君の質疑の途中でございまするが、午前の審議はこの程度にとどめます。  午後一時再開することといたしまして、これにて休憩をいたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時四分開会

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き二宮君の質疑を行ないます。二宮君。

二宮文造公明党

○二宮文造君 午前中の外務大臣との取りかわしの中で日本が事前協議で拒否をする、こうなりますと、アメリカの固有の集団的自衛権というものに対して何らかの侵害を与えるのではないか、こういう私の疑問に対して法制局長官から答弁を求めたいと思います。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 御質疑の要点は、集団的自衛権を害することになって、したがって、この協議があった場合にこれを拒否するということはできないではないか、むしろ理論上の問題として。こういう御質疑の趣旨であったと思いますが、確かに日本はともかくとして、アメリカ合衆国は国際法に基づいて、また、国内法上の制約もなしに集団的自衛権というものを保有しておることは明瞭でございますが、しかし、その集団的自衛権の行使のしかたとして、たとえば日米安保条約でいえば、米国の軍隊が日本の主権下に駐留をして、そこで行動するということをよくわきまえていただきたいと思うんですが、要するに、一国の主権下に軍隊を派遣して、そこから戦闘作戦行動に出ることまでが当然に国連憲章で保障されておる集団的自衛権とみる必要は少しもないわけです。少なくとも日米安保条約のもとでは、確かに日米双方の合意によって日本国の中に米軍の駐留部隊が駐留しているわけですが、それは何も集団的自衛権として必要不可欠のものではむろんないわけです。そこで、そういうことを二国の間で協定をすることはこれはむろん許されるわけですが、その日本国に駐留する場合には、いずれにしても日本国の主権下にあるわけでありますから、米国はそこでかって気ままなことができるわけではない、やはり日本の統治権のもとにあるわけでありますから、日米双方の合意によって、たとえば集団的自衛権行使としての戦闘作戦行動を行なう場合でも、日本国の主権のもとにある限りはこれを協議の対象にするということはいささかも米国の集団的自衛権を害することではない。言いかえれば、米国には集団的自衛権があるにしても、日本はこの協議にあたって、これをイエスと言うこともできるし、ノーと言うこともりっぱにできる。いままで申してきたとおりでありまして、そが御指摘のような問題のために曲げられることは絶対にないということを申し上げます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 次に進みます。  防衛庁長官に、自衛隊法の第三条で「間接侵略」、こういうふうにうたわれておりますが、大陸諸国と違いまして、周辺を海でかこまれている日本の国、また現在の時点でどういう場合間接侵略というのは考えられるか、これをお伺いしたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 自衛隊法によりまして、いわゆる間接侵略というのは、外国がわが国に対しまして直接武力攻撃をするような事態ではなく、いわゆる外国の教唆扇動などによって、大規模な内乱、騒擾を起こすような場合があるのでございますが、たとえて言えば、国内に暴徒、不法分子があると、それに対しまして外国から隠密に武器などの搬入を行ないまして、これらの暴徒がこれを利用して国内において内乱、騒擾を起こすと、こういうようなことを一応考えておるわけですが、そうだからといって、当面わが国にそういうような脅威があるというわけではございませんが、そういうようなことが考えられておるわけであります。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、まあ日本の国にはそういうことはまず考えられない、もしもそういうことになれば、それはほとんど直接侵略に結びつくものであって、いまやこういう条項、旧安保の内乱条項の引き継ぎのような間接侵略という取りきめは、もう必要ないんではないか、こう私は思うわけであります。  なお、ちょっとこれは緊急のことで連絡がうまく届いておりますかどうか、けさの新聞によりますと、防衛庁から毎年一般大学の大学院に派遣をしている。それがきょうの新聞によりますと、大学院からも締め出すと、こういうことで、けさのトピック・ニュースになっておりますが、一般の大学に防衛庁のほうから大学院に派遣している自衛官とか技官とかいうのは、数はどれくらいおりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 防衛庁といたしましては、だんだんと科学技術も進歩いたしますし、兵器の近代化もはからなければなりませんので、防衛大学を卒業する課程にある者が、一般の大学の理工科系においてそういうことをやる仕組みにしておりますが、いま何人そういう各方面の大学に出ておるかということは、私ここに資料を持っておりませんので、政府委員をして答弁させます。

麻生茂防衛庁人事教育局長

○政府委員(麻生茂君) 現在、防衛庁以外の大学院に在学をしております数字でございまするが、修士課程におきまして四十三名、それから博士課程において四十一名、合計八十四名でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 ところが、四十四年は二十四人ですか、ちょっと正確じゃありませんが、二十四人の受験者の中で、二次試験に残ったのはたった一人だけだと、こういうことでありますけれども、長官はどう考えておりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 従来、防衛大学を出ていわゆる大学院に入った人は相当の数でありまして、入学率はよかったのですが、最近、御指摘のように、率は四十四年度はゼロ、ただ、最近、一つ補欠的な募集がありまして、それに一人受験しておるというようなことで、最近目立って一般大学院に入る率が少ない。私は試験を疑うわけではございませんけれども、いままで相当な人が入っておるのに、最近とみに減ったということは、そこに何らか疑問の点があるのじゃないか、かような気持ちを持って、もしもそういうような試験が曲げられておるようなことがあったならばたいへんなことだ、かように非常に遺憾に思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 もしも、いま長官は非常に遺憾の意を述べられて、疑うわけではないがと、こうただし書きつけておりますが、余韻が残っております。指導監督の立場にある大臣は、どう考えられますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) お答えいたしたいと思います。  ことしの試験は異常な状況のもとにおきまして試験が行なわれたわけでございますが、私といたしましては、ただいまのところ、大学当局が公平にやったと信じておるわけでございます。ただ、先般行なわれました都立大学の入学試験に際しまして、志願をしております自衛官に対して拒否をしたかのごとき報道がなされておりましたので、私といたしましても、直ちに都立大学に対しまして、ただいま文書でもってそのいきさつ、経緯というものを詳細に報告をするように求めておるわけでございますが、私の感じといたしましては、いかなる職業でございましょうとも、大学を選ぶ、つまり私立を選ぶかあるいは公立を選ぶか、あるいは国立を選ぶか、そういう自由を持っているというふうに思います。学ぶ自由というものを持っておると思います。また、研究をする自由を持っておるというふうに思うわけでございまして、自衛官なるがゆえにもしこれを拒否したといたしまするならば、私は、やはり憲法の精神に照らしましてやはり問題であるのじゃないかというふうに思っておりますけれども、詳細はいま文書でもって都立大学に対しましてその詳細を求めておるところでございます。試験の問題につきましては、先ほど申し上げました気持ちでおるわけでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 どうも全滅に近いその原因は、大学側が、学園紛争のもとになるのじゃないかということをおそれたと推測される向きもあるわけでありますけれども、長官はこういう推測に対してどう対処されますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言いましたように、いままで相当な人が入ってきておるのに、急速にほとんど大学に行けないという姿には、もしもそれがおっしゃるように、その原因が、学生の自衛官に対する毛ぎらいという点から発生しておるならば、これはゆゆしいことだと、かように思っております。先ほど文部大臣が触れました、大学院の問題でありませんけれども、先般都立大学において三人の自衛官が拒否をされました。これは、一人は防衛大学に入るということで入りましたので、これは本人も素直に応じたのでございますが、あとの二人は、ある大学の教授から、自衛官が入ると大学が学生運動のゆゆしい混乱を生ずるので、何とかして遠慮してくれというようなそういう事態があったということです。そういうことは、憲法の趣旨からいっても、教育基本法の精神からいっても、教育の機会均等を、自衛官なるがゆえに与えないということは、これはもうたいへんなことであります。したがいまして、私は直ちに文部大臣にこの話をしまして、文部大臣に善処方を要請しておる次第であります。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、本人がそういう意向を持っているというところを尊重するとすれば、善後措置として、文部大臣はどういう善後措置を講じる用意がありますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 先ほど申し上げましたとおり、やはり憲法上保障されておる学ぶ自由、研究する自由というものを、自衛官なるがゆえにこれを拒否するということを、大学当局がもしかりにありといたしまするならば、これを是正する措置をとらなければならないというふうに考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 是正するといいますと、具体的に何かお考えありませんか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 第一次的には、やはり指導助言でやらなければならないことだと思いますけれども、具体的な措置につきましては、いまから検討をいたしてまいりたいと思っております。  防衛庁長官ともよく相談をいたして、具体的措置を考えたいと思っておる次第であります。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、いままで自衛隊は治安出動は皆無だったわけです。ところが巷間——これはうわさです。こうあっちゃ絶対ならないわけでありますけれども、大学問題がエスカレートしてくれば、機動隊では間に合わぬじゃないか、そこで治安出動の要素になるのではないかと、これは巷間非常に不幸な、考え得べき問題じゃありませんけれども、そういう考えも出てきております。したがって、ここで長官の考え方をはっきりさしておいていただきたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 自衛隊の治安出動の場合は、内乱とか騒擾とか、相当な大きな混乱が起こりまして、しかも警察力をもってしては十分できない、こういう場合に自衛隊の治安出動があるわけであります。したがいまして、自衛隊の出動というものは、相当これは慎重にやらなくちゃならぬと考えておりますが、大学紛争の状態では、私はいまの日本の警察力で十分これに対処し得ると、こういうように考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 最初は非常にはっきりしているのですが、あとは私は、エスカレートした場合、こう特にことばを足してあるのですが、それでもそういうことは考えない、こうしていただきたいのですがね。もう一つ確認しておきます。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いわゆる大学紛争という前提に立てば、多少エスカレートしても日本の警察力で十分に足り得る、かように考えております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、これは一問だけですが、いわゆる「治安行動教範、」これは前の長官が、わが党の質疑に対して一たんは、作成の要なし、こう言ったわけです。しかしその後、また前言を変えまして、「部隊長心得」というようなものが必要ではないか、したがって、その作成を指示している、こういう答弁に変わっているわけですが、この考え方は長官にも引き継がれておりますかどうか。さらにまた、もしその後の検討がなされているとすれば、どこまで進んでいるのかお伺いしておきたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 二宮さんも御承知のとおり、自衛隊の治安出動という場合、武器の携帯ということが許される、武器の使用が許されるわけですね。その場合に、武器の使用の場合は、いわゆる指揮官、上官の命令がなくちゃできない。したがって、いままでは「教範」というものを前に考えておったようですが、増田長官のときも、一般の下のほうの人にいろいろなことを教えるよりも、指揮官にしっかりした「心得」を持たしてそれを指導したほうがいいのじゃないか、こういうような見解から、いまいわゆる「指揮官心得」というものを作成中でありまして、まだ最後の結論には達しておりませんが、急いでこれを検討し、作成にかかっておる、こういう段階でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 中国問題に関連しての質問に入りたいと思いますが、総理にお伺いします。  総理は、中国のほうも共存の精神を持ってほしい、こういうようなことを述べられております。しかしまた、日本のとるべき立場として、そういう中国の対日不信感——こう言われております——それを取り払うための何か行動を開始する用意があられるかどうか、お伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 両国の関係、これはおそらく、日本が中国大陸と交渉を持ちたい、こういうことは中国大陸側でもよく理解しておると思いますし、また最近の日本の経済の発展等から見まして、日本と交渉をしたいという気持ちもあるのではないかと思います。だからこそ、いま私どもの党の古井、田川両君が出かけております。また、ただいまは産業界では岡崎嘉平太君がそのほうを代表して行っております。そういうことで出かけていろいろ話し合いをしている。こういうのが一つの手がかりでありまするが、それをやはりつかまえて、それでいまの状況をやはり打破していくということを努力しなきゃいかぬ、私はかように思います。いままでの状況のままでいいとは思いません。これはどうしても中国大陸と日本との交渉はもっと密接であり緊密な関係をつくらなければならぬ、かように思います。しかし、事柄の性格上、また、いままでの経緯等から見まして、いま直ちにそれでは変化があるか、それが期待されるか、かように申しますと、このこともまた困難ではないだろうか、かように思います。また、他の機会にもしばしば両国の関係についてのお尋ねがありましたので、申し上げたつもりでありますが、同一の国に駐在している公館同士、積極的にいわゆる交渉事という、そういう道は閉ざされておりますが、個人的資格においては、ただいまでも話し合いができる状況にございます。やはりそういう関係をもつかまえて、いま問題になっているような事柄にやはり取り組んでいくことが必要ではないか。われわれのほうから見れば、いまの覚書貿易、これをもっと拡大していきたい。また長期化したい。あるいは万国共通である郵便協定、これなども必要だと思う。また、わが国からただいま抑留されている十三人の邦人の処置等につきましても、これは至急解決をしなければならん。やはり私は、両国と申しますか、こちら側からも解決しなければならん問題が幾つもありますので、それらのことを考えて、お互いが積極的な姿勢をとるならば解決ができるのじゃないだろうか、かように思います。昨日も外務大臣から答えた戦死者の遺骨の交換など、あるいは墓参など、とにかくいろいろの面で解決がそのままになっておる。幾つもございますから、そういうものを一つ一つ解決をはかっていく、こういうことが望ましいことではないか、かように私は思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 私、古い書類をひもといておりまして、あの吉田元総理がダレス大使にあてた書簡、これが、「日本政府が中国の共産政権と二国間条約を締結する意図を有しない」ということばで結んでいるわけですね。その考え方というのは今日も引き継がれているのではないか。また反面、その前段に、「日本政府は、究極において、日本の隣邦である中国との間に全面的な政治的平和及び通商関係を樹立することを希望する」、こうも述べているわけです。いまの時点になれば、最初に私が述べたほうはむしろ否定をされて、あとから申し述べた分に向かって努力が払われるべきではないか。現政府はそういうかっこうで進んでいると、こう理解してよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この吉田さんとダレスとの交換の手紙、おそらく中国代表の問題をめぐって、いずれと条約を結ぶかというその選択の際になされたものだろうと思います。さように考えますと、その条約締結の状態、それは今日もなお続いている、さようにお考えをいただけばけっこうでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そうしますと、前段に申した、中国の共産政権と二国間条約を締結する意図を有しない、これは今日も生きている、こういうことになりましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうでしょうか。そこまでは私は、よほど情勢が変わっているから、変わりないとかようには私ちょっと断言しかねます。ただ問題は、その当時の趣旨として考えられることは、中国は一つなり、その一つの中国という立場に立って交渉してきた。その形において今日もやはりその関係は続いている。だけれど、現実の問題として中国大陸との交渉を一切しない、こういうものではないということを実は申しておるのであります。でありますから、ここがしばしば誤解を招く。どうも日本のとっている態度は二つの中国ではないか、こういう言い方をされております。しかし、私どもはそうは思っておりません。一つの中国、こういう形でこの問題は解決をしたい。かように思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 その中国問題あるいは極東の平和というものを論じられるときに必ず議論になるのが中国の核兵器の開発の問題ですね。この国会でもそういう話がたびたびございましたが、最近中国の核兵器の開発がどこまで進んでいるか、ひとつ知り得た情報で防衛庁長官のほうから説明いただきたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 中国の核兵器の開発、状況のことは、私たちもよくわかりませんし、また、こういうことが明らかにされていないのでございますが、一般にいろいろといわれておる情報といいますか、そういうものを総合して推測いたしました中から、中共はこれまでに八回の核実験を行なっております。核兵器の開発に相当の努力を払っておりまして、現段階におきましては、爆撃機に搭載可能な水爆を製作し得る段階になっておるといわれております。それから、ミサイルの開発につきましては、中距離弾道弾は一九六八年までに展開されるといわれておりましたが、まだ展開されるに至っていないようでございます。ただ、大陸間の弾道弾は一九七〇年代の中期もしくはそれ以降に実戦能力を持つものと、これもそういうことがいわれておるということでありますが、そういう程度のことを想像して申し上げます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 概略のいま御説明ありましたけれども、私、そういうふうな中国の核兵器の開発と沖繩の返還というものは重要な関連を持ってくる。要すれば、そういう向こうの開発状況によってはアメリカの極東戦略も変わってくる。また同時に、それが日本の沖繩基地返還の交渉にも一つの材料になってくる。で、日米京都会議も御承知のような筋書きでありまして、また、総理の肝いりでいま諮問機関のようなかっこうになっております沖繩問題等懇談会、ここにおいても本土並みというふうなことが大体主流的な意見になっていると、また、その一環としての沖繩基地問題研究会、ここでもまた、そのメンバーが何か京都会議にずうっと出ておりますけれども、本土並み返還、こういうふうな考え方に固まってきつつあるようでございますが、総理はそういう動きに対してどういうお考えを持っておられるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、基地の態様についてまだ白紙だと、こういう際でありますだけに、いまのようないろいろな研究機関がそれぞれ結論を出しておられること、たいへん私にとりましては参考になる事柄でございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 通産大臣、いま覚書貿易の交渉が非常に難航していると、もっともこれは総理もさっき言われました「産業界の」と、こういうただし書きがついておりますから、政府としても直接はタッチしていないと思いますけれども、どういう点で交渉が難航しているか、何かお手元に報告なり情報なりがありませんか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 二月十四日に当方の覚書事務所の代表団が出発いたしまして、二十四日から会議を始めておりますが、終始まだ政治問題の討議であると伝えられております。しかしながら、数日中には貿易交渉に入れるであろうという期待が覚書事務所にはあるようでございます。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで過去五年間の日中貿易の現状というものを見てみますと、友好貿易のほうは増加しているわけですが、覚書のほうでずっと減ってきているわけですね。この原因は一体どこにあると通産省ではお考えですか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 覚書貿易で取り上げる品目に関係があるのだと思います。そういった品目の対日輸出あるいは日本からの輸入ということに限度が多くなればふえるわけでございますけれども、特段政治的その他の理由によってそうなっておるというようには私どもは見ておりません。

二宮文造公明党

○二宮文造君 さらに西欧のほうは若干でもずっと伸びてきているように私資料を見たわけですけれども、一番近い日本がちょっとこうスローダウンしている、こういうような感じになってくるのですが、一体その点に対する対策というのはお考えになっておりませんか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、一昨年から去年の上半期にかけて御指摘のとおり若干スローダウンいたしましたけれども、去年の下半期からぐんぐん伸びまして、前年同期に比べまして三割以上の増加、躍進を見ておるわけでございます。おそらく文化革命その他が落ちついてまいりました結果、順調に伸長を見ておるものと見ております。去年の下半期の実績は空前の実績だと私どもは見ております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そこで、この日中貿易を議論します場合にいつも問題になるのが例の吉田書簡の問題になってきます。この辺で日本のほうからも積極的にその吉田書簡について、もうすでに総理は私信であるとかなんとか言って注釈を加えておられましたけれども、もうこだわらないのだと、こういうふうなケース・バイ・ケースできめるとかいうような表現じゃなくて、もっと積極的な廃棄という面の態度を表明されてもいいころではないか、こう思うのですが、総理はどうです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも政府の見解ですから、そう政府の見解がたびたび変わってもおかしいものじゃないかと思います。したがいまして、私は、まあ同じことを申しますが、これはもうもともと吉田書簡は個人の書簡でございますから、政府がどうこうするというものじゃない。これだけははっきりしておるわけであります。したがいまして、撤回するとか内容を緩和するとか、こういうものではない。そしていま問題になっております輸銀使用の問題についてはケース・バイ・ケースでこの問題を解決していく、かようにはっきりしておりますから、政府はそういつまでも、変えたっていいじゃないか、こう言われるのも御意見だと思いますけれども、しかしこういう事柄は政府の責任というもの、たびたび変わるというのは国際信用にもかかわりますから、一応御了承いただきたいと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 そのケース・バイ・ケースということばなんですが、これは一昨日も——いや一昨日じゃありません——冒頭の日ですか、山本委員からも質問がありましたと私記憶しております。で、ケース・バイ・ケースと、こうおっしゃっても、その後いわゆる吉田書簡の輸出の申請はないわけです。ないのです。これはもう御承知のとおり。どうしてないのか、出ないのか。やっぱりそれは輸銀の使用を認められないからという前提があって出ないのではないかと、こう私ども思うのですが、通産大臣、どうです。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) この前に倉敷ビニロンプラントを認めまして、それが実行されたわけでございますが、そういったことがございまして以後輸銀使用の問題というものがたいへんやかましい問題になりまして、吉田先生の国府訪問その他一連のことが行なわれたことはあなたも御承知のとおりでございます。で、そういった事情がまだ完全に解消するに至っていないということもまた事実のようでございます。したがいまして、一々なぜ申請がないのか、ケース・バイ・ケース、調査をいたしたことはございませんけれども、まあ、そういうような客観情勢にありますということが申請をはばんでおる要因ではなかろうかと思います。

二宮文造公明党

○二宮文造君 総理にお伺いしたいんですが、施政方針演説で、従来どおり各種接触の門戸を開放していくと、こううたっておられます。また、先ほどもそういうふうな具体的なケースを掲げてのお話がありました。しかし、われわれ考えますのは、民間が接触すると、ひそかに政府はそれを側面的に援助すると、こういうふうな姿勢ではなくて、もはや政治問題としてまっ正面から取っ組む、そういう時代が来たんではないか、それが極東方面の緊張と対立を取り除いていく何よりもの要因ではないか、こうわれわれ思うんですが、総理のお考えはどうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いまの状況から見て、まああらゆる面で交渉を持つことが望ましい、積み重ねていくことが何よりもそれが必要なように思います。私どもがしばしば誤解を受けるのは、何だか日本政府は二つの中国論をやってるんじゃないのか、こういういつもの誤解でございます。また日本国内にもあると思います。人口の少ないところ、そして非常な大国と、なぜその大国を相手にしないのか、いつまでも人口の小さいところを相手にしてるんだ、そこらに何だか本末を誤ってるというような御意見だと思います。また、そのとり方によっては、いかにも中華民国を相手にしてる日本の姿、中国は一つと言いながらやはり二つの中国論ではないか、こういうことでしばしば誤解を受ける。今日もなおそれが続いておると、かように私は思っております。私どもは、先ほど御披露になりましたサンフランシスコ条約の際に、とにかく中華民国と国際的な条約を結んでおる。これは、権利があると同時に、国際的な義務があるわけです。したがって、そのかわりに、それと北京政府と取りかえるという、いわゆるアルバニア方式と申しますか、こういうものにそう簡単にわれわれ賛成できない、こういうようないきさつもあります。それかといって、ただいま二つの中国がこれを——一つの中国を、中華民国も北京政府も同じように二つが主張しておるわけであります。したがって、私ども、その行き方とすれば、国際条約に忠実なその形から見ると、今日の状況を続けていかざるを得ない。それを続けていく限りにおいて、政治的な折衝の方法は一つしかない。しかし、中国大陸との関係において私どもが何らか役立つことはやりたいんだ、それは幾つも問題があるからだというので、ただいまのような政経分離、こういうような形をただいまとっておるわけであります。この辺の事情を、これはいままでの経過からお考えいただくと、ここらにずいぶん苦心しておる点もおわかりではなかろうか、かように私は思います。とにかく、いまの状況ですぐこの状態が変わると、かようには私は思わない。したがって、中国自身が国際的に、あらゆる国とも仲よくする、共存するという形になり、国際的にも非常な信頼を博するようになってくると、国際に復帰することも容易だし、またわが国のあり方としても非常に楽だ、かように私は思っている次第であります。私どもは、非常に極端なイデオロギー的な考え方で北京政府をそでにしておる、こういうわけのものではありません。イデオロギー的には幾ら違っておりましても、お互いに交渉を持つ、つき合いをする、これは当然のことであります。隣同士でも、幾らイデオロギーが違っても、朝起きればおはよう、夕方になればおやすみなさい、そのくらいのあいさつは当然しなければならない。国においても、そういうような関係は当然のことであります。私ども、そういう意味で、この問題は、やはり積み重ねていく、そしていま両国間のもつれをやはりほぐしていかないと、十分の理解を得られないのではないか、かように思っております。

二宮文造公明党

○二宮文造君 まあ中国、いわゆる北京政権が国際的に歓迎されるような状態になることを総理は非常に望むと、そういうことでありますけれども、私、イーデン回顧録というのを読んでおりまして、例の、日本が台湾を選択するかあるいは北京を選択するか、あのサンフランシスコ条約の時代です。そのときに、イーデン回顧録はそのときの様子を次のように申しております。「日本が復活した輸出貿易のはけ口を持たなければならない。中国本土が自然のはけ口になる。中華人民共和国に対して融通のきかぬ敵対的態度をとるようにしむけられることによってこれを失うことのないようにする。もしそんなことになったら、後に平和条約の批准によって完全な主権と独立を回復する日本は後悔するであろう。」——こういうふうに、すでにサンフランシスコ条約の時代に、イギリスは選択を日本にまかす、圧力はかけない。まあアメリカの要請によって台湾をまた選択したわけでありますけれども、こういう前後の事情を考えてみたら、やはりもうこの際、政府としても、そういうふうな政治的な問題にまっ正面から取っ組むべきではないか。また、北京政権の動きを注目される総理が、そうじゃなくて、むしろ東洋には東洋のしきたりがあるわけです。積み重ねもけっこうです。しかし、首脳会談といいますか、そういうトップクラスが、おはよう、こんにちは、こう総理が言われたようなことばをそのまま使わせてもらいますと、首脳会談なんかを呼びかけて、たとえそれが、向こうが応ずる応じないは向こうのペース、しかし日本はそこまで緊張と対立を解くのに努力をしているのだというふうな総理の姿勢もあってよろしいかと私思うのですが、この点をお伺いして、国連の問題は時間がございまんので次に譲って、私の質問を終わりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私がしばしば申しますように、いまの状態でいつまでもあってもいいとは私は思っていない、そのとおりであります。しからば、ただいまのように、積極的な姿勢をとったらどうだ、こういう具体的な御提案でございました。これらのことは、相手が受けるか受けないか、そういうことを考えなくてもいいじゃないか、まずみずからがそういうふうな態度をとれ、こういうふうな御意見でございます。これは重大な問題でございますから、御意見は御意見として拝聴し、それらの措置については十分検討することにいたしたい。

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして二宮君の質疑は終了いたしました。     —————————————

塩見俊二自由民主党

○委員長(塩見俊二君) 次に、川村清一君の質疑を行ないます。川村清一君。

川村清一日本社会党

○川村清一君 最初に、沖繩の問題についてお尋ねいたします。  私は、先般当院から派遣されました沖繩調査団の一人に加えていただきまして沖繩に参りまして、広く要路の方々にお会いして、率直なる御意見をいろいろ承ってまいりました。それを基礎にしてお尋ねするわけでありますが、返還に伴う基地の態様等につきましては、いまさら私が重ねてお尋ねしても、総理の御答弁からは一歩も半歩も前進したものはいただけないと思いますので、それはあえて避けまして、当面の問題といたしまして、沖繩県民の方々がほんとうに血の出るような叫びをもって訴えられておる問題は四つあると思います。その第一はB52の早期撤去の問題であります。第二の問題は原潜による海水汚染の問題であります。第三の問題は国政参加の問題であります。ぜひ今国会できめてくれということであります。第四の問題は総合労働布令の問題でございます。この四つの問題につきましては、当然政府もいろいろ折衝されておられると思いますけれども、沖繩県民の方々は非常に大きな期待を持ってこの解決されることを望んでおるわけであります。そこで私は、政府がいろいろ折衝されました経過と、現況がどうなっているのか、そしてこの解決への見通しはどうなっているのかということについて、総理は誠意をもって沖繩県民の方々にこれをお伝えすると、報告すると、こういう気持ちでひとつ御答弁をお願いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まず私からお答えいたします。そうしてあとで詳細については外務当局からお答えしたいと思います。  沖繩にお出かけになってまずお感じになることは、おそらく第一は、他国の施政下にあるということ、そのために問題が起こる、しかもこの他国、それが強力なる軍基地を持っている、そういうところからいろいろの問題が起きている。ただいま述べられましたようなB52の問題、あるいは原潜による汚染の問題、あるいは労働布令の問題、さらにまた国政参加の問題等々の問題が巻き起こっておると思います。沖繩の同胞が、二十数年にわたってアメリカの施政権下にあり、言うに言われないような苦痛をなめておる。いまのような具体的な問題ばかりでなく、みずからの日本国民としての誇りすらとても維持できない、そういう立場にある。ほんとうに苦しい思いをしておられる。この気持ちについて、私も心からお気の毒に思い、また祖国復帰を早く実現しなければ基本的なこれらの問題の解決にならない、かように感じておる一人であります。この点は川村君と同じような気持ちだろうと思います。  なお、いま当面する諸問題について、せっかく外務当局も力を入れていろいろと交渉しておりますから、その経緯並びに今後の見通し等については、そのほうからお聞き取りいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま総理からお話がありました、その気持ちで、私どもといたしましても誠意を尽くして事に当たっておるつもりでございますが、内容につきましては、概略私から申し上げまして、なお問題によりましては総務長官からもお答えいただいたほうがよろしいかと思います。  まず、おあげになりました順序で申し上げますと、B52の問題につきましては、これは東京におきましても、私を含めまして、アメリカ側との話し合いには常に繰り返し繰り返し私どもの意のあるところは伝え、またこちらの希望も強く述べておるわけであります。一月の二十八日でございますか、これがいわば公式な見解だったわけですが、恒久基地化する意図は断じてない、この点を再確認すると同時に、すみやかに沖繩の方々の希望をいれ得るような情勢の転換を待つというのが先方のそのときのいわば正式の態度でございますが、それ以降におきましても日本政府の気持ちも十分わかってくれているようでございますけれども、なお確実にいついつどうするというところまではまだ突きとめることができません。  それから、原潜の放射能調査につきましては、これも詳しく現地の事情を御承知のとおりでございますが、われわれといたしましては、やはり沖繩の県民の人たちが危険がないものならないものとしてすなおに受け入れられるような努力がまだ足りないのではなかろうかというようなところから、現に米琉両方が合同調査をいたしておりますし、それからそのやり方は日本において行なっておるところの安全審査と全く同様の方法で行なうのであるということは公式にもしばしば米側も表明いたしておりますが、しかしできるならば日本側の安全審査の権威者をその中に入れることによってなお一そう理解、納得が進め得るのではなかろうかということを私としては提案をし、アメリカ側としてはその前向きに考慮方を約しておるわけでございます。  それから、その次が国政参加の問題でございますが、これは御承知のように、内閣といたしましても、考え方を取りまとめと申しますか、国会のほうにお願いをして、国会の立法として御検討いただきたいということを閣議を通してお願いをしておるわけでございます。  それから労働布令、この問題につきましては、しばしば国会で申し上げておりますように、これが突如として出てまいりましたそのときから、私どもとしては、非常にこれは困ったことになる、ことに第十条は労働立法の範囲外であって、こういうものは第一に問題でございますので、経過御承知のとおり、まずわれわれの強い懸念に対して、先方は実施を延期して、現に延期中でございます。そして、現地におきましても、琉球政府をはじめ各方面から、建設的な意見ならば三月一日までには何でも受け入れるということになったわけでございますが、日本政府としては、二月の十八日でしたかに、とりあえず第十条の修正といいますか、削除、これを要請すると同時に、引き続き各本条について意見を申し入れるからという前ぶれをいたしてあります。そして、ここ一週間あるいは十日ぐらいの間に、まとめた日本側の見解というものをアメリカ側に手交することに各省庁の間で協議をして、準備を進めておるような状況でございます。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) B52の住民に対する不安を除去することに対しまして、日本政府から申し入れのありましたことは、御承知のとおりであります。  なお、原潜調査に対しましては、やはり何と申しましても、地元の住民が不安を感じないということが、そういう憂いをなくすことが必要でありますので、その調査に対しましては、地元の納得のできる調査方法をする。言いかえまするならば、地元とアメリカ政府のほかに、わが国の本土政府からも専門技術者を派遣して調査をするということが必要であると思います。さように連絡をいたしました結果、今日地元からやはり共同調査をいたすべく民政府のほうに申し入れをいたしました。いずれその手続が到着いたしましたならば、本土よりも適任者を選んで派遣して共同調査を実施する考え方でございます。  国政参加に対しましては、御承知のごとく、一体化を推進いたします際におきまして、地元の世論というものを本土に反映させますことはまことに必要なことでありまして、この点は、住民の代表を参加させることに対しまして、日米間において合意がされておりますので、できるだけすみやかにこの国内法の措置をとりまして実現いたしたいと考えておるのであります。これまた御承知のごとく、国政参加は国会の組織及び運営に関する事項でありますので、今日その検討を国会にお願いすることが最も適切であると考えまして、両議長にこれをお願いしておる次第であります。  なお、総合労働布令の問題につきましては、ただいま外務大臣からもお答え申し上げましたごとく、最も問題になっておりましたところの十条に対しましては、不適当な部分については削除することを検討していただくということを申し入れてあるのでありまするが、地元の琉球政府の意見もこちらに到達してまいりました。わが本土政府の考え方と地元の各団体及び政府の意見等を十分検討いたしました上、できるだけすみやかに本土政府の意向をアメリカのほうに伝えまして、そうしてこの問題の円満解決ができまするように努力いたしておる次第であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 カーペンター民政官は、B52はある理由で来ているんだ、その理由が解消したら直ちに立ち去るのだと、こう言っております。そこで私どもは、その理由というのは一体何か、その理由が解消するのは一体いつごろかと、こういうことを尋ねたのでありますが、それはホワイトハウスがきめることであって私どもは言えないと、こういうことであります。私は日本人としてこの答弁を聞いて非常に心から腹が立ちました。また情けない感じを持ちました。総理は、私どもがこういう質問をしたんですが、アメリカ政府当局に対して私どもと同じような、その理由は何かと、一体理由がいつ解消するかといったようなことをお聞きになったことがありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は、先ほども申しましたように、もうしつこいほどと申してもいいくらいこの点については、申し入れと申しますか、こちらの要請を強く伝えております。やはりこれは、率直に申しましてベトナムというようなことがそれらに関連しておると、かように感ずるわけでございます。したがいまして、いまそういったような点についても、パリの拡大和平会議というようなものが一日もすみやかに実を結ぶことがそういう点に関連いたしましても非常に望ましいことであると、そういう私は印象と意見を持っているわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいまの御答弁は、感じたと、印象を受けたと、推測でございまして、向こうのほうからはっきりそういう御答弁があったのかどうかを聞きたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私どもといたしましては、要請しておりますことが、B52が沖繩から発進しないで済むようにと、またそういう時期をすみやかにひとつもたらしたいということで言っておりまするので、その内容——どういうふうな言い方をしたかどうかというふうなことについては、私は申し上げるのが必ずしも適切でなかろうかと思いますので、御了承をいただきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 大事なことなんですが、外務大臣がお答えすることは適切でないと思いますという御答弁であれば、だれがお答えすることが適切なんでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私が申し上げることが不適当でなかろうかということを申し上げたわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ですから、外務大臣がお答えすることが不適当でなかろうかと思われますならば、だれが言われることが適当なんでございますかということを聞いているんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私が申し上げることが不適当だということを申し上げたわけでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 関連。屋良主席が東京に来られて、政府筋——外務大臣も会われたと思うのですが、政府のまあ幹部と会われて、六月ごろ撤去されるのじゃないかという感触を持って帰られたことは、御存じのとおりだと思います。ゼネストの問題等とも関連して六月ごろの感触ということが、非常な重大な要素になっていると思うのですがね、その点はいかがですか。私は、屋良さんがただ自分の根拠のない感じとして、ああいう責任ある立場にある人がそういう発言をされたはずがないと思うのです。やはりあなた方と会われた上での相当根拠のある発言だと思う。そういう意味では、ただ硫球政府の主席の発言ということだけでなしに、日本政府、あなた方のほうも実質的には相当やっぱり共同責任のようなものがあるのじゃないかという感じがするのですが、その点ひとつ明確に。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は非常に大事な点で、私も率直に申し上げますが、これはいわゆる外交の一つであろうと思います。外交保護権というようなこともございますが、この私を通しましての日米の外交交渉の上におきまして六月とか七月とかというような確定的な時期が出ていることはないのでございます。そういう点は私、率直に申し上げたいと思いますが、日本側といいますか、沖繩の人たちの気持ちはよく理解ができる、できるだけそういう時期を早くしてあげたいが、なかなかその時期についてお約束することができないというのが、私とアメリカ側との交渉の上でのぎりぎりのところでございまして、時期については明確にまだするところに私も受け取ることができませんし、そういう状況でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 きわめて影響の大きい問題ですが、また機微にわたることでもありますから、私もあまりしつっこく聞くつもりはありませんが、ただ、ただいまの外務大臣のようなことだと、六月ごろの感触とおっしゃったこと、これはあの人だけじゃございませんね。あすこの労働組合の議長もやはり同じような感触を持って帰ったということを当時いろいろな機会に言っておるが、これは根拠がないということになる。これはそうなればそうなったで、非常に重大なことだし、ただ沖繩の政府のことだからわれ関せずえんというわけにいかぬのじゃないですか。いろいろな経緯から考えて、あるいは六月というところまで、六とか七とかという数字が出ないまでも、春先とか夏ごろということぐらいのことは、あなたも御存じじゃなかったのでしょうか、どうでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申し上げましたように、非常に大事な問題だと私も認識しております。そうして事実をそのまま率直に申し上げたわけでありまして、日米間のいわば外交のチャンネルの上におきまして時期ということが明示されたことがないのですよ。したがいまして、たとえば、これは屋良主席の問題と離れますけれども、一時ある報道にもこのことがいかにも権威筋から出たように報道されましたときにも、これは外務省としては、その報道を否定しておるわけでございますし、またアメリカ側もそれを否定したと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 B52の問題でございますけれども、総理がアメリカのホワイトハウスにお尋ねしても答えない。聞いたけれども、アメリカとの約束があって言えないというなら話はわかりますよ。だけれども、聞いたけれども、アメリカは答えない。したがって、理由もわからないし、いつ返るか見当がつかないということでは、日本の総理大臣として日本人の生命と財産を守る最高の責任者の総理大臣として情けないとお思いになりませんか。それで国民の信託に沿い得ると総理大臣はお考えになられますか。率直にひとつ総理大臣の御心境をここで披瀝してください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) B52の問題は、これは御承知のように、北爆、ベトナムに対してあそこから発進するようになっております。これが問題の起こりでございます。ただいまそういう意味でパリの会議に沖繩はたいへんな期待をかけておる次第であります。ただいま言われまするように、私どもは沖繩に行くと、これはなるほど日本人には違いない。しかし、沖繩に対しては情けないかな、われわれが幾ら歯ぎしりをいたしましても施政権を持っていない。これはもう現実の問題であります。これは他国が支配している地域であります。その点でわれわれが軍行動、その他についても十分自国の権利を主張する、こういうものでないやや変った状況のもとにあるという、そのことは幾ら歯ぎしりをいたしましても現実の問題として残るのであります。だからこそ私は一日も早く祖国へ復帰することが大事じゃないか。このことこそみんなが念願していることじゃないか、かように申しておるのであります。ただいま言われまするように、私どもアメリカの軍行動を一々聞きましても、そういうことは軍の秘密でございますと言われればそれきりでございます。それ以上確かめるわけにいかない。これは川村君もそれらの点は御承知だろうと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 御承知のように、沖繩のいのちを守る共闘会議が中心となってB52の撤去を要求して二月四日のゼネストが計画されたのです。屋良主席が必死になってこれを説得いたしまして、ゼネストが中止されたわけでございます。しかし、要求抗議集会が猛烈な雨の中を数万の県民が集まって行なわれたことは、総理大臣も御承知のとおりでございます。屋良主席は、ただいま秋山委員からもお話がありましたように、本土政府の要路の方々にお会いしてある感触をもってお帰りになって、それを基礎にして説得されたわけであります。もしこれが実現しないでいつまでもB52が沖繩に居続けするというようなことになりますれば、この反動は私はたいへんな大きなものになると想像されるわけであります。収拾しがたい大混乱が起きるのではないかと思って非常に憂慮しているわけであります。総理はこれに対してどういうふうなお考えをお持ちになっておられますか。そうしてまたどういうふうに努力されようとなさっておられまするか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) B52、できるだけ早く引き揚げてほしい、こういうことは再三にわたって交渉しております。先ほども外務大臣から一番最近のものは一月二十六日である、恒久基地化しない、こういう約束が取りかわされておるわけであります。  そこでただいま屋良首席の話が出ました。屋良首席は私も、また外務大臣とも、また総務長官とも、さらにまたアメリカ大使とも、それぞれ会合されたと思います。その際に、一番の問題は、このB52の撤去の時期を約束することだ、ここまでも言われました。われわれもそれに取りつき得るなら、それにこしたことはない、かように思いましてあらゆる努力をいたしましたが、それは実現しなかった。これは先ほど外務大臣がお答えしたとおりであります。そうして私どもはいまアメリカに出かけて、そうしてアメリカに祖国復帰の交渉をしようという、ことし。そのことしになりまして沖繩でゼネストが展開された。これはたいへんなことだ、そういう意味で屋良首席もひとつ善処してほしい、こういうお願いは私どもいたしました。また屋良首席からもいまの点についてさらにさらに積極的に本土政府も交渉してほしい、こういう依頼を受けた、それはそのとおりでございます。とにかく、ただいまのゼネストの問題にいたしましても、私どもが祖国復帰を交渉しようという矢先に、ただいまのような問題が起こり、まことに残念でありますから、それを回避するようにあらゆる努力はいたしました。またその点については屋良首席も了承してくれた次第であります。私は、なみなみならない努力を屋良首席も払われた、かように思います。その点ではまず第一の危機を避け得た、かように思って、この祖国復帰についての交渉についていっそう私は力を入れて、その努力をするつもりでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私は沖繩へ行って驚いたのですが、あの小さな島に新聞が四つもある。そうして事沖繩に関する問題、この本土の国会において沖繩の問題議論されておりますことはもう終始全部出ております。非常に注目しております。したがって、ただいま総理が言われましたが、このB52撤去の問題につきましては全力をあげて努力する、こういう約束をされたと私は確認いたしますが、よろしゅうございますか。もう一度お答えを願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 本土政府といたしましてはB52の沖繩県民の要望に沿うようにあらゆる努力をするつもりでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 次に、原潜による海水汚染の問題でございますが、沖繩では日米の共同調査をしてくれ、こういう強い要望なんでございます。そこで先ほどの総務長官の御答弁で、日米共同調査をすることにした、そういうふうに受け取ったのですが、するのですか、したのですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 原潜に関する住民の危険感と申しますか、これを解消するためには、やはり納得のいく調査が必要であるということを先ほど申し上げました。そのためにはやはり共同の調査が必要であるわけであります。その点を琉球政府のほうにもよく申してあります。したがって琉球政府もその申し入れに従いまして共同調査をすることをアメリカ民政府のほうにも申し入れたようでありまするが、まだ正式にその意見が本土政府のほうへまいっておりません。これが到着いたしましたならば本土といたしましては直ちに権威ある専門家を派遣すべく今日準備をいたしておる次第であります。きましたならば直ちに派遣いたしまして、今後の原潜に対する危険感はそれをもって解消することができるのではないかと考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 次に、国政参加の問題でございますが、三月三日の朝日新聞には、いま施政権の本質にかかわるような国政参加を持ち出すことは米側を刺激することになりかねないとして、政府与党間に慎重論が出て、今国会の提出が微妙になってきたと報ぜられております。さらに三月六日の同新聞では田中幹事長談として、与野党一致することが条件と報ぜられております。そこで私は総理、総裁の佐藤さんにお尋ねするわけでございますが、国会で決定いたしますれば、これを実施するためにアメリカと強力に折衝するということを、ここでお約束していただけるかどうか。  次に、沖繩県民が国政に参加する方式についてでございますが、自民党総裁としていかなる形が一番好ましい形と思っておられるか、この二点について御答弁願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは総理の問題よりも、政府としては国政参加の問題、これは国会の組織に関する問題ですので、国会で十分考えていただきたい、衆参両院にお願いしたわけです。もちろん、そこで結論が出たものを、政府はアメリカと交渉する、これは当然でございます。これは、皆様方の御鞭撻を得たい。大いにひっぱたいていただいて、そして交渉を実を結ぶようにさしていただきたい。なお、どういう案が望ましいか、こういうことを言われましたが、これこそ皆さん方と相談をしてきめることだと、私はとやかくは申しません。

川村清一日本社会党

○川村清一君 前段のほうの御答弁はまあ了解つくわけですが、その後段のやつですね。これはもちろん国会がきめることでございますが、そこで私は自民党総裁の佐藤さんにお尋ねしたわけでありまして、総裁佐藤さんとしてはどういう方式が好ましいとお考えになっておられますか。総裁のお考えですからこれは党が決定するでしょうが、党には相当大きな影響がある、もちろんリーダーシップですから。総裁のお考えになってることと百八十度違うようなことを考えるような党では、まさか自民党はなかろうと私は存じましてお尋ねしているわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 自民党の考え方を予算委員会でお話しすることがいいのかどうなのか、まず場所を……、私は遠慮せざるを得ない。それはやっぱりそれぞれの、そういう問題を国会の議論として、意見としてきめる機関もそれぞれございますから、そういうところへやっぱり総裁の意見が聞きたいというなら、呼び出されるなら私は出かけて申し上げますが、どうもこの予算委員会でただいま討論するのにはややどうかと思っております。これはむしろ御遠慮申し上げるのが筋かと思います。まあ、しいて言えとおっしゃいましても、これは私は御遠慮申し上げます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 オブザーバー方式なんていうのも新聞には出てるんですが、そういうことをお考えになられておりますか。たくさんありましょうけれども、その中にオブザーバー方式ということもお考えの中の一つとしてありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いままでいろんなことが言われておると思いますし、いやオブザーバー方式だとか、あるいは本会議には出られないとか、あるいは委員会だけだとか、いろんなことが言われておりますが、そんなことについて私はとやかく言わない。これこそ皆さんでひとつおきめくだすって、そして私が施政権者に交渉する要があれば、そのときには私のけつをたたいて送り出していただきたい、そうお願いしておきます。ただいま申し上げますように、この問題だけは私も遠慮いたしますから、この程度でお許しをいただきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それじゃ、お答えができないの聞いてもしようがないのでありますから、端的に、変なこと一つお聞きしますが、これに対してはお答えできると思う。沖繩県民は日本人でございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それはどういう根拠で日本人とおっしゃいますか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 沖繩は施政権が、今日平和条約三条によりましてアメリカにあるだけでありまして、本来は日本国民であり、また日本の固有領土であると考えます。なお属人的にはこれは当然日本人であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 沖繩人は日本人であるという法律的根拠を明らかにしていただきたい、どういう法律に基づいて日本人でございすか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 戦前におきまして、日本の領土であり、日本人であったわけでございます。ただ、これが平和条約三条によりまして、施政権がアメリカに移っているだけでありますから、当然これは日本人であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 日本人であるということを規定しておる法律はどういう法律でございますか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 積極的に規定してあるというよりも、日本人であった者が、施政権が今日アメリカにありますために、いわゆる潜在主権という形になって潜在的にあるだけでありまして、当然これは帰ってまいりまするならば、本土の日本人と同じ扱いになるわけであります。除外した規定はしたがってないわけであります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そういう小学校の生徒に言うようなことを言ったってだめですよ。少なくとも国会の場で、国会議員の私が質問している以上は、法律的根拠は何かということは、私は法律的根拠を勉強してそうして聞いているのですからだめです、そんなことは。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) ただいまの問題につきましては、法制局長官からお答え申し上げます。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 問題は要するにあれですか、沖繩住民が日本国民であることの根拠いかんということでございますね。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ええ。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) それはきわめて簡単に申し上げられるわけですが、日本国の国籍法という規定がありまして、日本国民の、これはまあ国籍法には血統主義と土地主義というのがございます、これは法律の上に書いてあるわけではありませんが。そういう原則の上に立って国籍法というのができております。要するに簡単にいえば、血統主義でいえば日本国民の子として出生した者は日本国民である、そういうような要件に該当する者である限り、日本国民であったし、現にまたそれが日本国民である、それについて沖繩は確かに平和条約三条の特殊な地位に立ったわけでありますけれども、しかし、御存じのように、別に日本国から離れたわけでもないし、潜在主権があるという説明もしばしばお聞きのとおりでありますし、特に国籍を変動するだけの法的な理由は毛頭ない、いままでの国籍法の適用によって、日本国民であることは明らかであるわけであります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 日本国民が国政に参与するということは、主権を有する日本国民が、国民によって正当に選挙された国会議員を通じて、いわば間接に国政に参加することではございませんか。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) まことに申しわけないのですが、要点を、ちょっとそこのところをおっしゃっていただけませんか。

川村清一日本社会党

○川村清一君 沖繩県民が日本人であるということは法律によって規定されておりますね。そうすると日本人であるということは日本国民であるということでございましょう。そこで、国政参加の問題をいま議論しているわけです。それで日本国民が国政に参加するということは、主権を有する日本国民が国民によって正当に選挙された国会議員を通じて国政に間接に参与するということがいわば国政に参加する、参与するということではないかということをお尋ねしているのです。それ以外にありますかということをお尋ねしているのです。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) いまの点でございますが、どういうふうに御説明申し上げたらいいかと思いますが、日本国憲法で、たとえば日本国民は「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」というこの国民、これは実は日本国憲法ができましたときの日本国民というのは、御存じのとおりに実は沖繩はすでに離れて、実際上離れて、分離されておったわけでありますが、その日本国民というのは、そういう意味においてやはり国籍法上日本国民であるからということと、それから国政に参加するという関係に立つかということは必ずしも同一ではない。たとえば日本の国政に参加するというのは、要するに国政に参加する最も典型的なものは選挙を通じて国会で国民の代表者として行動することでございましょうが、国民の代表者として行動するためにはやはり日本の統治権のもとにある国民がその統治権にある国民としての代表者を選んで、その代表者が国会において審議をし、国民の代表としてみなされるということでありますが、ただいまのお話はそこまで言っているのかどうかわかりませんけれども、沖繩の住民が平和条約の三条によって施政権のもとにあるということは、この本土における日本国民と少なくとも立場を異にする。したがって、沖繩住民の者から選挙された者がはたして日本の統治権が行なわれている国民の代表者を選出することができるかどうか、その辺の疑義があるわけでございますが、私もこの点については何べんか意見を聞かれて御答弁申し上げたことがありますけれども、現在は国会における御審議に政府としてはおまかせしているようなかっこうでございますので、ただいまはその程度だけ申し上げてとどめたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 問題は、沖繩県民に国政に参加させるということを日米間において合意された。それに基づいて総理は国会に対して異例の書簡を送っているのです、こうやろうという。そしていま国政参加の議論にまで発展してきておるわけです。だから私が言うのは、沖繩人は日本国民である。日本国民が国政に参加するというのはこれ以外にないではないか。したがって、国会議員というのはこれは憲法第四十三条によって全国民を代表する選挙された衆議院あるいは参議院議員以外にはないはずだという、こういうふうになってくるわけです。したがって、沖繩県民を国政に参加させるということは、国会議員の選挙をさせることであって、選挙せられた議員というのは単に沖繩県民を代表しておるものではない、全国民を代表しておるものであると、こういう結論になってくるわけです。総理は、沖繩県民の意見を聞くために国政に参加させるということをおっしゃっておりますが、そういうような国会議員なんていうものはないのであって——憲法上そんなものはないのでありまして、したがって、国政に参加させるということは、オブザーバー方式なんていうことを考えていらっしゃるかどうかはわかりませんけれども、もしそういうことが考えのどこかに一つでもあるとするならば、それは重大な誤りであるということを指摘したくて私は申し上げておるのであります。どうですか、お伺いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま川村君からいろいろお話がありました。また、いまの、よし選挙を行なっても日本国民としての代表者ということは、全国の代表者ということはなかなか言えない状態に沖繩はあると、かように思いますが、そういうような事柄をもずっと研究していただいて、そうして国会においてどういう法律にすればいいかということをひとつ結論出してもらいたいというのが政府の考え方であります。  また、先ほど法制局長官も申しましたように、とにかく日本の統治権下にある日本人、それは参政権を持っておる、こういうことでございますから、いまの全然別の施政権下にある日本人、これに同一の待遇がはたして与えられるかどうか、そこらをひとつよく研究してもらいたいというのが私どもの考え方であります。  また、各政党でもそれぞれの立場でそれぞれの意見があるものと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 関連。沖繩の日本人かどうかということに関連してひとつお伺いしますけれども、先ほどの総務長官の御答弁は日本人だと、こう言うのですが、この間の衆議院の予算委員会の公述人に喜屋武さんを呼んだときに、あれは日本人でないから沖繩からの旅費は払えないということで、鹿児島の衆議院の川崎寛治さんの家におったことにして鹿児島からの旅費しか払わなかった。そうすると、これは実際問題として日本人としては扱ってはおらないのです。これはどうなんですか。ちょっと日本人だという関連で疑問がある。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 衆議院の予算委員会におきまして喜屋武参考人を呼びました際の旅費の支払いの問題でありまするが、これは衆議院の事務局でもって考えて取り扱ったことであります。私は見解を差し控えたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それでは一九五一年の十二月十日付で外務次官の名前でアメリカ国務省に対して、琉球諸島及び沖繩群島が日本の主権のもとにとどまること並びにその住民が日本の国民たることを合衆国が確認するよう要請したことがありますね。これちょっと伺います。どうですか。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○政府委員(東郷文彦君) 私、ただいまそのお示しの日付にそういう書簡を出したかどうか、ちょっと手元に資料を持っておりませんが、その問題に関しましてアメリカ側といろいろ話をいたしまして、ハワイその他の判例において「琉球住民は日本人である」という判例があったというような事実を確かめたことはございます。ただしいまの一九五一年何月かにどういう書類を出したか、ちょっといま手元に資料を持っておりません。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それに関係する日米往復文書が公表されておらないようなんです。ですから、沖繩は日本人か日本人でないかという、これはたいへん重要な問題でありますから、国会に、総理から両院議長に国政参加についての書簡が去年の十二月十日付で出ています。その場合に、日本人でない者を国政に参加させるかしないかということを両院で検討すること自体が大体おかしいのですから、日本人であるかないのかをわざわざ、私の調べが間違いなら別ですけれども、一九五一年十二月十日付で外務次官が国務省に出したことをもう一ぺん確かめてもらいたい。そうしてそれを具体的に出していただきたい。そうでなければいまの川村質問もはっきりしない。その点はっきり資料を出していただくことを要求します。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 突然のお尋ねでございましたから手元に持っておりませんが、まず調査をしてみます。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 私は、その事実は存じませんので申し上げられませんけれども、沖繩の住民が日本国籍を有しているのかいないのかわからぬのでは困るではないかというお話でございますけれども、これは先ほど申し上げたとおりに、きわめてはっきりしたことであります。向こうの法制からいいましても、これは米国民政府布令でありますが、琉球住民というのは、琉球戸籍簿にその出生及び氏名の記載をされている自然人を言うとあります。と同時に、日本国以外の外国の国籍を有する者または無国籍の者は、法令の規定による場合のほか、琉球戸籍にこれを記載することができないということになっています。したがって、琉球住民というのは、要するに日本の国籍を有する者で琉球戸籍簿に記載されている者ということになるわけで、これは論理必然的に日本国民であるということを布令も認めておることになるように思います。  それから、また、一九五四年八月十二日でありますが、ハワイ地方裁判所の判決、これは御承知でありましょうけれども、そこでは、琉球住民は日本人である、日本国籍を有するものである。それから、また、一九六五年七月二十八日のことでありますが、下院外交委員会極東太平洋小委員会における講和前補償問題審議の際に、バーガー国務省極東担当国務次官補代理、これは、琉球住民は日本人である、日本国籍を有する者というのがわれわれの見解であるというようなことを明確に言っておりまするので、いまお尋ねのような件の有無にかかわらず、琉球住民が日本国籍を有することは明瞭であると思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 ちょっと関連。いまの法制局長官のハワイの判例も私は知っているのです。だけれども、ただ現実に、立法府のことだから意見を差し控えるということを総務長官おっしゃったのですが、衆議院の法制局の言っているのは何が何だか私もちょっとわからぬわけだ。ですから、これは、立法府だからということは別として、行政府の見解をはっきり——沖繩住民は、実質的には日本人だが、形式的には外国人、法律的には日本人として扱えない場合がある、こういうことで旅費を払っていないわけです。そうするとこれはどういうことなのか、さっぱりわけがわからない。日本人であるけれども日本人でない。ですから、やっぱり基本として日米関係の問題で沖繩県民も日本人であるということが明確である限り、こういう変なことにはならぬと思うのです。ですから、この点もう一度衆議院の扱いは扱いとして、内閣としてどういうふうに考えておるのか、はっきりひとつ見解を伺いたい。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) もちろん沖繩の人は、住民は日本人でございます。  なお、沖繩人が海外に移住しております際におきましても、全部これは日本領事館の発行する旅券のもとにあります。なお、沖繩から本土に参ります際におきましても、これは本土政府が全部その手続を日本人として取り扱っておるのであります。  なお、ただいまの予算委員会の参考人の際におきましては、これは衆議院としてさような扱いをしたのかと思いまするが、ただ、日本人にして日本人でないというおことばがありましたが、これは施政権が現在ないという事実から出ておるのでありまして、当然これは日本人であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 沖繩人は日本人である、その法的根拠は国籍法に基づいて日本人である、こういうことになるわけであります。その国籍法でございますが、これは閣僚の皆さん方さっぱりおわかりになりませんが、憲法第十条にあるのです。「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」、この法律は何か、これがすなわち国籍法なんです。この憲法第十条にきちっとなっているのであります、そうでしょう。そこで、施政権がどうだ、憲法が行なわれておらないからどうだということで、すぐそれを隠れみのにして、全部都合の悪いものは結びつけてしまう、ここに問題がある。憲法第十条は、これは沖繩県民にもきちっと適用されているではありませんか、そうでしょう。  それから、きのうですか、総務長官がここで、沖繩の本土一体化の問題で、いろいろ教育振興の問題についてるる述べられました。あれは憲法第二十六条、これを実施するための施策じゃございませんか。それから、社会福祉だ医療保障だ、いろいろ申されましたが、あれは憲法第二十五条、これを実施するための努力のあらわれではございませんか。したがって、形式的な、抽象的な、憲法そのものは沖繩には行なわれておらないけれども、憲法の一つ一つの条項というものは行なわれておるものがあるわけであります。また、それを行なうように努力することが本土一体化に努力することではございませんか。単に本土一体化だ、本土一体化に努力するといったところで、具体性がないじゃありませんか。それはただ単なるお題目であってはいけない。これは、要するに本土一体化ということは、憲法の条項を一つ一つ沖繩に実施するということなんですよ、そうして第百三条の条項が全部行なわれたときに、実質的にこれは沖繩が返還され、施政権が完全に返還される。また、施政権が完全に返還されたときに憲法は全部沖繩に適用される、これが本土一体化の努力じゃございませんか、そういう考えのもとにこの国政参加の問題を考えなければならないと私は考えるが、どうですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 先ほども申し上げたとおり、現在の沖繩におきましては、立法、司法、行政のいわゆる施政権がアメリカにありまするために、今日、一口に申し上げますると、憲法が実施されないということ、しかし、施政権の返還が間近になりまして、そうして施政権返還の際におけるところの困難を緩和し、円満に返還ができまするようにという意味におきまして、日米間におきまして一体化の話し合いができたのでありまして、この日米間の取りきめの結果といたしまして具体的な一体化政策が進んでおる。なお、それよりも前におきましても、沖繩県民に対する福祉増進のために日本国政府が援助するということに対して、アメリカ政府といたしましても正式にこれを認めている、その根拠から始まって、いわゆる本土政府の援助というものが始まりました。これがだんだん拡大されてまいりまして、いよいよ一体化政策というところまで進んでまいったのであります。この点は本土政府としての立場ばかりでなしに、施政権を持っておりまするところのアメリカ政府が十分その点も認めておる、その立場からそこまでまいったのであります。最終的には、施政権が返りましたならば一〇〇%日本の憲法が実施されることになる、今日それまでの道程に対して努力いたしておる、この点は、お話のとおり、一歩一歩現実において一体化の政策によりまして、実質的に施政権が行なえるように、実質的なと申しますか、内容を伴ったところの改善を行なっている次第であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 憲法が行なわれておらないから国政参加の問題もきちっとしたかっこうでできない、そういう考えもあるようでございますから、そうではなくして、その国政参加の問題は、これは施政権のほんとうに中心をなす私は問題だと思うわけです。本土一体化のこれはほんとに中心課題だと思うのです。したがって、これは、憲法をその条項だけでも実施できるように最大の努力を払うべきであるということを申し上げて、この質問を終わります。  それから、総合労働布令の問題につきましては、沖繩の方々がいろいろ申し出ていることは御存じのとおりだと思いますので、ぜひひとつそれは沖繩の県民の方々が要求されておりますことを実現できますように、最大の努力を払っていただきたいということを申し上げます。  それで、次は問題を北方領土の問題に移しますが、日本国とソビエト社会主義共和国連邦との間に一九五六年に共同宣言が発効されました。すでに十年以上経過しておるわけでありますが、いまだに両国の間に平和条約が締結されないのは一体いかなる理由によるのか。共同宣言の取りきめによって継続的に交渉を行なうことになっているが、政府は今日まで誠意をもって交渉に当たってきたのかどうか、その経過と現況について説明をお願いしたい。なお、一月には中川大使が帰国していろいろと政府に対して御報告なされたことと思うわけでありますが、アメリカの大使のほうは非常にいろいろなことを発表されまして、物議をかもしておりますが、中川大使のほうはちっとも何にも言いません。新聞にもちっとも出ておりませんので、一体どうなっておるのか、さっぱりわけがわかりませんので、これをひとつ御報告願いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 北方領土の問題につきましては、もう実に忍耐強く執拗に折衝を続けておる次第でございます。特に一昨年の夏モスクワで行なわれました日ソ定期協議、この際に、いわゆる中間的文書作成ということについてのコスイギン提案といわれているものが出ましたことは御承知のとおりでございます。そこで、政府としては、これを一つの足がかりにいたしまして、その後引き続き領土問題を先頭にいたしまして、あらゆる日ソ間の懸案を総ざらいにしようという立場で交渉を続けてきておるわけでございます。そこで、ただいまお話がございましたが、この正月の休みの時期を利用して、中川大使に一時帰国してもらいまして、その後の交渉の経緯、背景等について、必ずしも電信などでは正確に把握できないような情勢もあろうかと思いまして、直接報告を求めたわけでございますが、これを一言にして申しますと、領土問題は依然として非常に強いソ連側の態度で、これは解決済みなんだというような態度を持して譲らない。いわゆる一昨年夏のコスイギン提案なるものがあったが、しかるにもかかわらず、その後依然として非常に頑強な態度を持しておるということがはっきりいたしたわけでございます。私といたしましては、もう就任直後に駐日ソ連大使を招きまして、この中川君を呼びましたよりもむしろその時期は前なんでありますけれども、まず第一に、私は、北方領土問題の解決がなければ日ソ国交というものがほんとうにかたい親善関係にはならない。まあ幸いにして、このごろはいろいろの問題につきまして日ソ間が相当円満、円滑に事が進んでいるように伝えられております。また、事実そういう状況でありますことは喜ばしいことでありますけれども、やっぱり一番基本的には、この領土問題が解決しないと、したがって、また、平和条約の締結も、私どもとしては、領土問題なくしては応ずるつもりはございませんから、これをひとつ私としてはまず第一に取り上げ、かつ、こちらの考え方、根拠というようなことにつきましても、強く要請をいたしておるわけであります。中川君に対しましても、あらためて訓令として、領土問題の解決ということが日本政府の一番大切な、また、これが一番の基本になる、この折衝については、ねばり強くあらゆる機会に他の問題の交渉に際しましても、必ずこのことに重点を置いて接触するように訓令をいたしたわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 さっぱり経過が具体性がないので、不満でございますけれども、しかたございません。  そこで、佐藤総理にお尋ねしますが、佐藤総理は、昭和四十二年十二月八日の参議院の本会議で、自民党の代表質問者の安井謙議員の質問に対しまして、「北方領土は遺憾ながら何ら条約上の根拠はございません。これは実力によって占領されておる、」こういうふうに答弁されておるのでございますが、条約上の根拠がないのに実力によって占領していることは遺憾であるということは、けしからんことである、不当なことであると、こういう意味でおっしゃったのかどうか、お答えいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はそういう意味のお答をしたのでありまして、いまなおさように思っております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それはどういうことを根拠にしてそうおっしゃっておるのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私が申し上げるまでもなく、北海道にいらっしゃる川村君、どういうことで国後、択捉、歯舞、色丹、それらの島々がソ連領になったか、ソ連がそこをどうして占拠したか、まだお忘れではないだろうと思います。そのことを申しております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それは大事なことですから、興奮しないでひとつ御答弁願いたいと思います。  外務大臣にお尋ねしますが、当時条約局長でありました下田武三という方は現在の駐米大使の方でございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 昭和三十一年十一月二十九日、これは日ソ共同宣言の特別委員会のあったころでございますが、参議院外務委員会で自由民主党の梶原茂嘉さんの質問に対しまして、当時下田武三条約局長がこのように答弁しておるわけでございますが、「戦争状態終了後、歯舞、色丹をソ連が引き続き占拠しておることが不法であるかと申しますと、これはこの第九項で、平和条約終了後に引き渡すと、現実の引き渡しが行なわれるということを日本が認めておるのでありまするから、一定の期限後に日本に返還されることを条件として、それまで事実上ソ連がそこを支配することを日本はまあ認めたわけでございまするから、ソ連の引き続き占拠することが不法なりとは、これまた言えない筋合いであると思います。  それから国後、択捉等につきましては、これも日本はすぐ取り返すという主張をやめまして、継続審議で解決するという建前をとっております。従いまして、これにつきましても事実上ソ連が解決がつくまで押えてあるということを、日本は不問に付するという意味合いを持っておるのでありまするから、これもあながち不法占拠だということは言えません。」、これは国会でこういうふうに答弁しておる。一九五六年に日ソ共同宣言が発効されました後の状態なんでございますので、総理のおっしゃっていることは、どうも私には法的な裏づけがない。ただ単なる感情論ではないかと思うのですが、いかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは日ソ共同宣言の条文といいますか、この文章あるいは交渉の経過を申し上げたのであって、なるほど継続協議ということになっておりますけれども、継続協議を認めたということを中心に当時説明されたのではなかろうかと思いますが、わがほうの主張というものは、当時、あるいはそれ以前から長い間にわたって、条約上、あるいはその他あらゆる点から見て、国後、択捉は固有の領土であるということを主張しておりますし、そのこと自体について条約上その他の根拠はない、これはわれわれの一貫した日本政府の立場であり、また、日本国民全体の私は主張であると思います。  先ほど答弁をし忘れましたけれども、先ほど、アメリカの問題についてはいろいろな発言が行なわれるが、ソ連については大使を呼びましても何の発言もないというような御趣旨のこともございましたが、私はあらためてお願いをいたしたいのでありますけれども、北方領土の問題については、もうほんとうに全国民的な関心をあらためて起こしていただきたい。交渉に当たります私といたしましても、あらためてお願い申し上げる次第であります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の発言からだいぶ問題を起こしているようですが、いまの下田君が本会議あるいはその他の委員会で発言したことと私がただいま申したことは次元の違う話でございます。私は、日ソ共同宣言前の状態、これは一体どういうことで起こったか、よもやお忘れじゃないでしょうと、こういうことを申し上げたわけであります。そうして、その状態が続いている。一応日ソ共同宣言によりましてそれに理論づけられたというだけであります。しかし、それでも、国後、択捉についてはまだまだ問題が引き続いていると、こういうことであります。それについて、ソ連は、北方領土問題は解決済みだと、こういうことで応じないので、ここに私は問題があると、かように指摘したいのであります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私どもも、北方領土はぜひ返してもらわなければならない、こういう願いの上に立っていろいろ質問をしているのであります。ただ、政府が言われるように、非常にむずかしい、厚い壁があると言うから、その壁を破るためには、それはけしからぬけしからぬと言っておって、しかも、これは感情論で言って、一国の総理大臣が国会の本会議においてそういう発言をなされることは、かえって早期返還の方向に水を向けるものではないかと、かように憂慮するがゆえに私は申し上げておるのであって、もっと慎重な発言をしていただかなければならないと、こう考えて私は申し上げておるのでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはよくわかりました。ただいま私の発言がたいへん軽率だと言われますが、ああいうような発言をしないと、なかなかソ連は理解してくれない。このように理解をしてもらいたいがゆえに、私は、相当反省を求めておる、常に反省を求めておる、かように思っております。それこそそれが必要じゃないかと、かように思っております。どうも、話し方が、あるいは川村君の話し方と私の話し方が違うかしれませんが、しかし願いは同じということで御了承を願いたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 どうも、私の心配することは、佐藤総理は、世界を両陣営に分けまして、こちらは善玉なんだ、こちらは悪玉なんだ、善玉のほうは何をやってもいいんだ、悪玉のほうは全部何もかも悪く解釈されるというような傾向があるように見受けるものですから、心配して申し上げておるのです。  そこで、お尋ねしますが、固有の領土、こういうことを外務大臣が申された。そこで、この固有の領土というのはどこをさしている、そしてまた、いまソ連に対して返還を要求している地区はどこを要求しておるのか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 今日、われわれが、固有の領土、北方領土として返還を要求しておりますのは、国後、択捉、歯舞、色丹であります。過去の歴史的事実、また政治的事実、また文化的事実、いろいろ検討いたしましても、この四つの島は、いまだ一度もソ連の支配下に属したことはない、ずっとわが国の統治下にあったのであります。したがって、固有の領土と考えておるのであります。  なお、この固有の領土に対しまして、一般国民に対する認識を十分徹底させるということはきわめて必要だと考えておるのでありまして、先ほどの外交折衝とともに、国民一致いたしましてこれを推進いたしたく、今後積極的な努力をいたしたいと考えておる次第であります。このために、従来は、北海道の直接関係者の方々が北方領土の返還にもっぱら熱心であった、一般の者はその熱心さが少ないような感じを持っておったのでありまするが、まことに遺憾であります。政府といたしましては、この際、官民あげて積極的に努力をいたしたく考えておるのであります。したがって、お尋ねがまだありませんけれども、従来の組織、南方同胞援護会及び北方協会におきましてもっぱらこれを処置しておりましたが、積極的にこの際北方領土問題対策協会という特殊法人を設置いたしまして、そうして世論の喚起並びに思想の普及徹底につとめる考えであります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 歯舞、色丹、択捉、国後四島を固有の領土であるということで返還を要求するというお話でございます。そうしますと、それを裏を返せば、得撫島以北占守島までの十八島は、いわゆる北千島でございますが、これは固有の領土ではないのでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 法理的な根拠等につきましては、政府委員から答弁させます。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これは、先生もよく御存じのとおり、ソ連との間で千島に関しましては二つ条約があるわけでございます。最初に千島の領土領域をきめました条約と、それから千島、樺太の交換をやりましたときの条約とございますわけでございますが、このときに常に択捉、国後に関しましてはその交換の対象にもなっておりませんし、それから最初につくりました境界をきめたときも、択捉、国後の向こう——向こうと申しますか、北のほうで境界をきめておりますので、したがって、択捉、国後に関しましては、今度の第二次大戦までに一度も日本の領土から離れたことはないわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 関連。外務大臣にちょっと聞きたいんですが、固有の領土であるということと千島に含まれておるかどうかということで若干混乱があるような気がするんですね。御承知のように、サンフランシスコ平和条約で千島は放棄したんですね、日本は。しかし、その放棄した千島の中に国後、択捉、歯舞、色丹は入っていない、これは固有の領土なんだから入っていないんだと、こういう言い方をしておるわけですね。ところが、その固有の領土という問題についての解釈について、私はちょっと疑問があるんですが、実はヤルタ協定をきょう外務省からちょっともらったんですが、それを見ると、南樺太については、シャル・ビー・リターンドと、こうなっているんですね。これは、ソビエトに返すべきだと、こういうふうになっているわけです。ところが、クーリール・アイランズですか、これについては、シャル・ビー・ハンデッド・オーバー・トゥー・ザ・ソビエトユニオンと、こうなっておるわけですね。したがって、リターンドじゃないんですね。南樺太の場合は、もともとこれはソ連のものであったんだ、それを日本が背信的攻撃によって割譲させたんだから返せと、こういっているわけです。ところが、千島の場合にはハンデッド・オーバーですから、引き渡せと、こういうんですね、ヤルタ協定によっては。ということは、向こうも千島は日本のものであるということを認めておるのじゃないですか。そういうふうに解釈はできないのですか。したがって、あなたが歯舞、色丹、国後、択捉だけが固有の領土だといま言ってみても、千島全体がもともと日本の領土であったんだ、しかしもうそれはすでにハンデッド・オーバーされたんだ、これはサンフランシスコ平和条約でもう認めたんだと。だから、ソビエトは、私のほうはもう解決済みなんだと、こういうふうにいっておるわけですね。だから、千島に歯舞、色丹、国後、択捉が入るかどうかが問題なんです。千島は、放棄しているんだから、もうこれはしようがない。問題は、あと残っておるのは、国有の領土がどうだじゃなくて、千島に入っておるかどうかということが問題なんじゃないでしょうか。その点はどうでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま政府委員から御説明させましたのは、固有の領土であるということの歴史的な根拠を法理論的に御説明申し上げたわけですが、そこで、ただいま御指摘のように、今度は平和条約第二条との関係はどうかという御指摘だと思います。これはなるほど大切なことですが、対日平和条約の第二条(C)でございますね、これは南樺太とそれからクーリール・アイランズ——「千島列島」という字が使われておりますが、これに対しましては、一切の「権利、権原及び請求権を放棄する。」ということが規定されております。しかし、南樺太及び得撫以北の千島列島の帰属ということについては、これが触れられておりませんですね。したがいまして、平和条約の観点から申しましても、国後、択捉、あるいは歯舞、色丹ということは、先ほど説明にございましたような歴史的ないろいろの根拠から言いましても、それから対日平和条約の関係から申しましても、われわれとしては、十分根拠をもって、固有の領土であり、かつ、平和条約第二条の点から申しましても、十分に主張ができる、こういう確信に立っているわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 法制局長官にお尋ねします。固有の領土という法律的な意味を御説明願いたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) 固有の領土といいますところの法律的説明ということでございますが、固有の領土というのは、日本語でもうそれ以上に説明を要する必要がないほど明確な概念だと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私どもは、固有の領土というのは、千島列島いわゆるクーリール・アイランズ全部、これを固有の領土、ただし、平和条約第二条のクーリール・アイランズがどこからか、どこに線を引くかということがまた議論の対象になると思いますが、そこで、これはもちろんいま条約局長が言われましたように、安政元年の日ソのいわゆる和親条約、ここで、この線からこちらはソ連の領土で、こちらは日本の領土だということを決定しておりますが、明治八年に千島と樺太の交換条約によって、これは全部日本の領土。戦争で取ったのではない。それから日本の領土であります、歴史的に。ですから、千島は結局日本の領土、こういうふうに考えます。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、安政元年の日露修好条約で、日本国とロシア国の境、択捉島と得撫島との間にある択捉全島は日本に属し、得撫全島、いわゆる北のほう、クーリール諸島はロシアに属すと、こうなっておりまして、そこのところに境界線ができている。したがって、そのあと明治八年の千島・樺太交換条約で「現今所領クーリール諸島」ということで、占守島から得撫島に至る十八島を南樺太と交換したわけでございます。したがって、固有の領土という概念は別に法律的な概念ではございませんけれども、いままで常に日本に属しておったというようにとれば、択捉、国後、歯舞、色丹ということになります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 択捉、国後両島に対しましては、一度も外人が支配したことがない、入ったことがないということでおっしゃられていることと思うのでありますが、しかし、サンフランシスコ条約のときに吉田全権が演説されましたね。あの演説は私は正論だと思うのです。しかし、これは演説だけであって、吉田さんの演説は法的効力がない。最終的には第二条(C)項で千島列島を放棄して調印させられて、一九五二年にそれが発効しておる。なぜ、一体、自民党政府はあの正論を最後まで主張しなかったのか。そうして、とうとう調印させられて千島列島を放棄したことは、何といっても自民党政府の責任であったと、かように考えるのですが、まあ当時の責任者ではございませんが、現在の責任者の佐藤総理大臣の御感想をひとつ承りたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、対日平和条約におきましても、国後、択捉、あるいは歯舞、色丹ということは、これはわがほうが放棄しておるわけにはいかない、その範囲には入っておりませんから。したがいまして、それを根拠にしても十二分の根拠がありますのでと、こういうことを申し上げたわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいまの外務大臣の御答弁は、いわゆる国後、択捉というものに限って申されておる。私はそうじゃない。千島列島全部、占守島から南国後島までの二十島、これを全部さして言っておる。これを、私は、固有の領土であると、これを放棄した責任は、やはり何といっても当時権力を持った自由民主党の責任であろうと言っておるわけです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、一九五一年九月七日の吉田総理の演説もここにございますけれども、「千島列島及び南樺太の地域は日本が侵略によって奪取したものだとのソ連全権の主張は、承服いたしかねます。日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領であることについては、帝政ロシアもなんらの異議を挿さまなかったのであります。」と、こういうこともきわめて明確になっております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 吉田全権は、その国後、択捉だけのことを言っているのではないんですよ。全部言っているんです、全部。もちろん、日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領であることについては帝政ロシアも何ら異議を差しはさまなかったのであります。ただ、得撫以北の北千島諸島と樺太の南部は、当時日露両国混住の地でありましたから、外交交渉によって北千島も日本領土になったのであります。名は代償でありますが、事実は樺太南部を譲渡して交渉の妥結をはかったのであります。したがって、この北千島も日本の固有の領土であるということを言っておるわけです。それを放棄したんだから責任があるでしょうと申し上げている。負けたからしかたがないというのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 当時の吉田総理の演説は、いま私は一部だけを読みましたが、その読みました中にも、その主張ははっきりしておるわけですが、同時に、条約的な根拠から言えば、平和条約第二条(C)項ですか、これは国後、択捉の主張の根拠が十分にあると、こういうふうに私は御説明いたしておるわけです。

川村清一日本社会党

○川村清一君 国後、択捉を主張する根拠は十分にある。それを私は否定していない。十分それはある。北千島のほうを放棄する根拠はそれじゃありますか、ということを重ねて聞きます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは、事実御承知のとおり、主張は主張といたしまして、条約的な根拠ということになりますると、国後、択捉の主張ということにならざるを得ない。これが事実でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それはいまさら責任を追及したところで、泣く子を何とかというようなものです。ですけれども、そこはその責任あるということだけは、これはやっぱり、これから議論を発展させる前提として私はお聞きしているので、まず日本政府はこれは誤ったことをしたのだということをやっぱりこれは自覚してもらわなければいけない。政府はやることなすことが全部悪いことだけじゃない。いいこともやっている。しかし、いいことも悪いことも、政府がやったことに責任を持たなければならないということを申し上げている。  それから、もう一点。私は日本政府だけを責めているわけじゃない。サンフランシスコ条約が明らかにポツダム宣言の前提にあるカイロ宣言、大西洋憲章に違反しまして、第二条(C)項で、日本の固有の領土である千島列島を放棄せしめたものでこれはあるわけです。このことは、アメリカ、ソ連はじめ連合国が重大な誤りをおかしたものであると私は判断しておるのであるが、これに対する御見解を承りたい。これは総理できるでしょう。これは都合が悪いことじゃない。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 事実の経緯はそういうことであると思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そういうまず前提を踏まえて、そうして、この領土問題の解決に今度は具体的に取りかかっていかなければならないわけですよ。そういうことを申し上げているわけです。  そこで、国後、択捉が千島列島に含まれていない。いわゆるサンフランシスコ条約第二条(C)項のクリルアイランズの中に国後、択捉は含まれておらないということは、これは私はこじつけだろうと思います。と申すのは、吉田全権は、確かに演説している。あれはしかし法律的に根拠がない。そしてさらにダレスも演説しておる。その中にもこれは含まれておらない。その後批准国会が開かれまして、時間がなくなりますから、それは申し上げられませんけれども、批准国会でこの問題につきまして、たとえば昭和二十六年、一九五二年十月の十九日、衆議院高倉定助さんの質問に対して西村条約局長がいろいろ答弁されておる。あるいは参議院では十一月の六日に楠見義男さんが質問されまして、それに対して草葉外務政務次官がその問題を答弁されておる。これらの答弁の中から、政府は明らかに当時この千島列島の中には国後、択捉は含まれているということを答弁しておる。しかし、日本政府はサンフランシスコ条約で吉田全権が言ったこと、あの見解はあくまでも堅持するものであるということを言っておるわけです。しかしながら、条約上においては、これは含まれておるということをはっきり政府の責任者が言っているじゃありませんか。したがって、外務大臣がいま言われていることは、これは誤りであります。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その誤りだとおっしゃられることは、私は服しかねます。といいますのは、わがほうの主張というもの、それから条約の根拠から申しましても、平和条約第二条は、そこにいわゆるクリルアイランズの中には国後、択捉は含まない。わがほうとしては、そういう根拠を十二分に持っている。それから、自分は国後、択捉のことを言っているわけじゃないと、そのほかのところを言っているのだとの仰せに対しましては、事実の推移はそのとおりだと思いますけれども、私から言えば、それだけに、この国後、択捉というのはもっと強力に、いままでの事態の推移から申しましても、日本側としては十二分の根拠を持って戦い、主張できる。これは国民的な私は信念の基礎であっていただきたいと思います。  それからあとは……。私の御答弁申し上げるのはそれで終わりでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話を聞いておりまして、実はたいへん重大な問題だと思いますので、私に、直接でなくて外務大臣でよろしいかと思いましたが、いわゆる日本が放棄した千島の中に国後、択捉が入っておるか。これはたいへん私ども問題だと思っております。私ども入っていないと、この主張で今日ソ連と交渉するのであります。千島列島、これは日本が放棄したその地域に国後、択捉が入っておるか、入っていないか。この問題がいま議論されておりますから、私どもは、放棄した地域でないと、このことをはっきり申し上げて、これを皆さん方にも御理解をしていただきたいと、これは先ほど来のいわゆる固有の領土そのものにあるのであります。私は先ほどから話を聞いておりまして、固有の領土、それを主張しろ、なぜ国後、択捉だけ、その南だけについて主張するのか。こういうのが社会党の御主張だと思いましたが、われわれも、放棄したその地域に、その国後、択捉が入っておるんだ、この話は、どうも私は納得いきません。また国民としてもおそらく納得いかぬだろうと思います。これは、このことだけは重大なる問題だと、かように思いますので、私、発言しておきます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 非常な大きな誤解をもって御答弁されておるわけです。私はずっと経過を言っておるのでありまして、したがって、現実にはサンフランシスコ条約というものは存在すると、しかし、条約そのものは、連合国のおかした重大な過誤の上に調印されたものであるということを原則的に確認して、そうして、返還要求は外交交渉によるものであるから、外交上の立場からその範囲を決定すべきであると、こういうようなことを私は申し上げておるのであって、現に、総理はそうおっしゃいますけれども、この問題につきましては、返還要求する範囲はどこからか。自由民主党は、これは一九五六年、日ソ共同宣言のあのときに、ロンドン会議というものをやりましたね。あのロンドン会議のときに、ダレスが書簡を送っているのです。そうして、地理的にも、歴史的にも調べた結果、この国後、択捉は入っておらないことを、アメリカ政府は認めておると国務省が手紙をよこしているわけですね。ですから、その前の段階なんですよ。日本政府も誤りをおかしている、連合国も誤りをおかしておる。その上に立つならば、日本人として、絶対われわれの固有の領土は返還してもらわなければならない。これは誤りなんだ、放棄したのは。絶対返してもらわなければならない。しかしながら、外交折衝でありますから、みな返せ返せと言ったって、これはあるいはできない。その折衝過程の中において限定されることもあり得るだろうということをわれわれ了解しておるわけであります。そういうことで言っておるわけでありますから、現に自由民主党は、歯舞、色丹、国後、択捉という四島に限定しておりますけれども、それでは、その点において国論は統一されておるか。国論は、北方領土は返還要求すべきであるということについては、異存なく統一しておるのですよ。しかし、それではその範囲はどこかということにつきましては、私は、必ずしも統一されておらないのではないか。各党の主張などを聞きましても、これはやっぱりいろいろと違っているところがありますから、この点については、ぜひひとつ政府は国論を統一すべきである。政府自体の上だって私は一致していないのじゃないかと思う。  これは建設省国土地理院の北海道地図、昭和三十三年の北海道地図、これ全部入っておりますから。これは北海道の中に全部入っております。入っているでしょう。昭和三十三年、これは政府が出している地図ですよ。この国土地理院の地図をもとにして、小学校、中学校、高等学校の地図というものは、全部これによってできるのですよ。政府の考えでさえ一致していないのじゃないですか。  そこで、前進せしめますが、総理は、沖繩の返還に伴う基地の態様につきましては、国際情勢の変化、世論の動向、科学技術の進歩、こういうふうなものが影響して決定されるということをしばしば申されております。そこで、この北方領土の返還について、国際情勢の変化とか、あるいは世論の動向、これはもちろんでありますが、こういうものが影響ないかあるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) このほうもいろいろ考えさせられる問題ございます。ございますが、沖繩ほど実ははっきりしてはおらないように思います。主としてソ連との問題だと、かように思っておりますので、いわゆる国際情勢の変化、こういうことまで申さなくてもいいかと思います。  なおまた、もう一つ思い起こしてもらいたいのは、鳩山さんが出かけられて、日ソ国交正常化共同宣言をされた、そのときの態度、各政党の態度なども、やはり一応、この問題についての態度を一ぺんきめたのですから、この辺もお考えおき願いたい、かように思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 国際情勢の変化ですが、ただいまの鳩山さんの例を引かれましたので、この共同宣言等の特別委員会で、三十一年十一月二十日でございますが、社会党の松本七郎委員の質問に対しまして、鳩山総理大臣は、やはり、「それですから、米ソの関係が融和されてくれば、択捉についての執着心というものは、ソ連でもなくなるだろうと思う。」「原爆や水爆の競争をしているということのばかばかしさをだんだんに感じてきて、平和になって、」、そういう「恐怖時代」とか、「緊張時代」というものがなくなった場合には、ソ連も択捉、国後に固執しないだろう、そういう時代がくればこの問題を解決するいい時期ではないかと思う、ということを鳩山さんがおっしゃっているのです。これは間違いありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。私もそれは記憶しております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そういう時代をつくるために総理にひとつ努力してもらいたいと思うんですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあそのためにも、私ども、いろいろ南を解決すると同時に、北も解決したい、これが日本民族の念願だと、かように思います。  沖繩についての問題は、今日、手がかりができておる。一昨年、参りまして、私がワシントンでジョンソン大統領と共同声明をしたことによって、一応手がかりはできておる。しかし、ソ連との間では、三木外務大臣が出かけまして、何らか手がかりになるものがあるかと思いましたが、その後、コスイギン首相は、領土問題はもう解決済みだ、こういうことを申しておりますので、残念ながら、ただいま手がかりがない。ことしの正月に、中川大使を呼び返しまして、いろいろ聞いてみましても、その後の発展がない。しかし、私はこれであきらめてはおらない。あらゆる機会にやっぱり南の領土の解決と同時に、日を同じくするというわけじゃありませんが、北のほうの問題も解決しなければならないと、かように思っております。まあ幸いに最近は米ソ両大国がお互いに対立しないで、平和共存の方向へ向かっておりますから、この国際情勢などはわれわれがこの問題を解決するのに有効な方向ではないだろうか、かように思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 まあ沖繩が返還されてくるということは非常にいい影響を及ぼすと私も考えております。しかし、その基地の態様のいかんになると、また問題があると思います。それから日米安保条約もこれは大きな問題があると思います。これは事実一九六〇年に安保条約を改定したときに、グロムイコ外務大臣の声明というのがございましたね。あの声明出されたあとの姿勢というものはどうですか。変わっておりませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いまのお尋ねは、なんでございましょうか、日米安保条約に触れたソ連側の見解、そのことでございますね。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ええ、そうです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) このごろは——あるいはお尋ねにとんちんかんになるかもしれませんが、このごろは安保条約というものはあまりソ連側からの口には出ないようでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 一九六〇年に安保条約の改定をしたときに、グロムイコ外務大臣が、いわゆる外国軍隊が撤退しないうちは、一回約束した歯舞、色丹も返さないというような声明をしましたね。それは強硬な態度を出しましたね。ああいう態度が変わっておりませんかということをお尋ねしているのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その一九六〇年当時の問題でございますると、あの当時日本としても——歯舞、色丹の引き渡しに新しい条件を付したようなソ連の覚え書きが出ました。それに対する日本側の回答としての覚え書きを出しておるわけでございますが、まあその内容も必要なら読み上げますが、お尋ねの点は、そのことよりも、その後どういうふうな態度であるかというお尋ねかと思いましたので、先ほど申し上げましたが、このごろ、正確にはちょっと何年間と言い得ませんけれども、最近はこの安保条約と北方領土とを結びつけたソ連の公式あるいは非公式の意見の表明というものはないように私存じております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日ソ間の関係は、領土問題一つを除いては、その他はたいへんうまくいっております。日ソ貿易の額にしてても、往復七億ドル以上になるし、さらにまた最近は、日ソ航空——日本の飛行機も飛べるようになった、こういうようなわけで、一般的にはよほど改善されている。しかし領土問題については、どうもいかんながら、なかなかそういかない。さらにまた、私どもがいま協力によって——シベリア開発にも積極的に日本の協力を求めてきておる、こういうふうな状況であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 日ソの関係が非常に最近はうまくいっているということを私も喜んでおるわけでございます。  そこでお尋ねしておかなければならないのは、安保条約ですが、これは来年です。どうしてもまあ堅持するとおっしゃるのですから、その形は自動延長であるか、固定延長であるか、改定延長であるかは別としまして、それでいった場合に、これからまあ総理の考えているとおりいきますと、ずっといくわけですね。かりに北方領土が返還された場合においては、その地域に安保条約が適用されるか、特に第六条は適用されるかどうか、これをひとつこの際明確にしておいていただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 北方領土が返還されれば、法律的に自然の姿として憲法そのほか条約等が適用されることになる、これは、それこそ純粋な法律論とすれば、そのとおりになると思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それでは、その適用されまして、アメリカから軍事基地をそこに設置すると、第六条によって。そういう申し出があった場合においては、そこに同意して軍事基地を設けると、こういう考えでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは政策の問題と思いますが、これはさような考え方はいたしたくありません。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いたしたくありませんでなくて、絶対しないというようなことを打ち出さなければ、なかなか領土返還はスムーズにいかないのではないかと思うのですが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その点は御説ごもっともだと思います。まあしいて率直に言えば、非常にこの領土返還問題はむずかしい問題でございますから、その点につきましては十分配慮する必要もあると思いますし、さようなことをいま考えておりません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまお尋ねの基地をつくらなければすぐ返るのか、こういうようなことでありますが、進んで、そのとおりにしますと、それほど簡単な問題じゃないと思います。それで済めばそんなけっこうなことはございません、はっきり申し上げます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いろいろお尋ねしたいのですが、次の質問もありますので、この辺で打ち切って、さらにこの問題はいずれかの機会にやりたいと思いますが、要は、私どもは北方領土の返還されることを心から念願しております。しかし、それはきちっと筋のとおったもので話をしなければ、というのは、やはり政府がこの厚い壁を破るためには、そのバックに強い世論の支援がなければ私はいかないと思うのです。その世論を盛り上げる、今度は政策が出ているわけです。それらについてはいずれ聞きますが、そのためにはよく国民に理解してもらわなければならない。先ほど言いましたようにこうだと、この土地は、この領土は、これは国の領土だ、この土地はこういう理由において間違いなんですということを非常に強くおっしゃいますけれども、政府の出している地図でさえそういうようなことで必ずしも一貫しておらないわけです。ですから原則をしっかり踏まえて、そうして話し合いの結果、いま政府は——国後、択捉にとにかく私は何も反対しておるわけではないのですよ。しかしながら、政府自民党だけでそういうことを考えておったって、それは困るわけです。ですから、少なくとも領土返還要求をするんですから、どの領土だということをしっかり国民が一致しなければ、そこで各政党の考えが違っておったらまずいから、これを統一すべきではないかということを言っている。それを実現するためには、どうしてもこの国際情勢というものを体してもらえるようなそういう情勢をつくっていかなければならないし、国内情勢もそうでなければならないと、私はこう思うわけです。  そこで、安保条約の問題も出てくるし、北海道内におけるいわゆる日本の今度は自衛隊のこのいろいろ配備の問題、第三次防衛力増強の問題なんというようなものもこちらのほうはそんなものは関係ない、もちろん関係ないと、こう言ったところで、向こうさんのほうは、これは関係あるかもしれないのだから、そういう問題等も、これは一つの要素の中に入ってくるということも考えるわけであります。そこで政府は、今後ソ連といろいろ折衝するでありましょうけれども、その折衝する具体的な方針と見通しをひとつはっきりいただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもその基本的な方針等は申し述べたとおりでございますが、たとえば現在日ソ間の定期的な外相会談ということも行なわれておりますので、今年は向こうから来る番になっております。まだ日時等ははっきりいたしておりませんが、さような機会を利用いたしまして、私といたしましても全力をあげて交渉に当たりたいと思っております。先ほど申し上げましたように、いままでの状況におきましては、先方の主張は非常に固いと、非常にこの交渉は困難だと思いますけれども、したがって、見通しをいま言えとおっしゃいましても、私はまだ申し上げるに至りませんけれども、見通しよりも何よりも、何とかしてこの実現に邁進したい、こういう固い覚悟でおるわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 平和条約締結の問題でございますが、政府の方針としては、あくまでも国後、択捉等、領土問題が解決する以前に平和条約を締結する考えはないと、そういうお考えかどうかということが一点と、それから安全操業の問題についてどういう対策をお考えになっておられるか、これ二点お答えいただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この領土問題はいま申しましたようなことで、あらゆる交渉に際しましても、必ずこのことをこちらは持ち出しておるわけでございます。それから安全操業につきましては農林大臣からも御説明があろうかと思いますけれども、これも当面大きな課題でございますので鋭意いま折衝中でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 平和条約は、歯舞、色丹、国後、択捉が返らないうちは絶対締結しないのかどうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 歯舞、色丹だけでは平和条約を締結しないというのがわれわれの固い決心でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私にもたびたびモスコーへ来るようにということで、ずいぶん招待を受けております。私は大使にも率直に、出かけたら領土問題を話し合いたいから、それについての一応の案ができるまでちょっと腰を上げるのはむずかしいでしょうと、こういう話を実はしてあります。その他の事柄は順調にいっておりますが、まあしかしいま漁業交渉、これは後ほど農林大臣から説明するでしょうけれども、これあたりもそれぞれの立場がなかなかむずかしいこともあるようですけれども、また、安全操業と一言には申しますけれども、これもいきさつがずいぶんあります。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 また、こちらのほうからの墓参等の問題にいたしましても、とうとう昨年はこれが実現しない、いろいろ困った問題もあるわけですね。しかし一方でシベリアの開発あるいは大陸における諸問題等は積極的に進んでおる、こういうようなこともございますので、いい点、悪い点、なかなかすべてものごとが順調に進んでおると、こういうことではございません。とにかく、われわれは基本的な主張はどこまでも通したい、こういうことであらゆる努力をしておるというのが現状でございます。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 安全操業の問題は、北海道漁民に対しましてはきわめて重大な問題でございまして、私は就任と同時にこれらの問題に対しまして外務省を通じまして、なるべく早くこれらの問題が進展するようにというような配慮を十分いたしております。したがって、ただいまお話があったような領土の問題とはこれは別なんだと、ぜひこの問題だけは一日も早く解決をつけて、そうして安全操業ができるように、その念願だけは早く解決へ進みたい、こういうような考え方をもってさらに外務省ともいろいろ折衝をしておるところでございます。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) 安全操業につきまして海上保安庁の所管いたしております防止対策について答弁を申し上げます。昭和二十七年五月の閣議決定に基づきまして、海上保安庁が道北方面及び道東方面に常時巡視船艇を派遣しまして、出漁船に対し拿捕、臨検等の事故防止のために指導につとめております。昭和四十三年におきましては漁船十五隻、船員三百二十四名が帰還をいたしております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 安全操業に努力されておるという御答弁がありましたが、どういう形で安全操業の問題を根本的に解決なされようとしておりますか、その方式。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) その具体的方式をどういうふうにやるかということにつきまして、過日中川大使もわざわざお出かけになりましたので、その方式についてこれがいいかこれが悪いかと、いろいろ案がございますけれども、その案について、どれをとったほうが一番いいか、とにかくいずれにしても先方の理解を求めることが先決だから、その中のどれがわれわれにとっても有利であり、さらに先方の理解を求めることができるか、この点はあなたにおまかせする、ある程度まかせるから、それがきまる段階になったら一応私のほうにもお話し願いたいということをお願い申してあるのでございまして、どの方法をとるということもまだ決定はしておらないのでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 領土が返ってきますと安全操業の問題はないわけです。領土が返る見通しが全然いまのところは立たないわけです。なぜかならば、平和条約そのものを、領土問題が解決しなければもう結ばないという政府の方針でございますか。そのいつ返るかということは、もう全然先の見通しがないわけです。だから今度は沿岸漁民は、せめて領土が返らないならば安全操業と、当然そうなってきます。その安全操業もさっぱり具体的に進んでおらないということになれば、もうたいへんなことです。どうするのですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 先ほども申し上げましたとおり、領土の問題はなかなかいろいろむずかしい問題がありまして、これは別といたしまして、要は安全操業をいかにするか、こういうことに重点を置いてそれのほうにのみ早目に解決方法をとってもらいたい、こういうことで、中川大使がいまソ連側との折衝に入っているところでございます。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(床次徳二君) 安全操業に関連いたしまして、漁業者の援護のことだと考えておりますが、漁業者の援護に関しましては、貸し付け、また融資、必要な事業資金の貸し付け、また生活にもって資するためにさきに十億円の融資をいたしまして北方協会を設立されました。その融資の運用によりまして援護につとめておる次第であります。先ほど新しく新団体をつくるということを申し上げましたが、やはり北方協会も引き続きその中に吸収いたしまして、その援護業務を続けさせる考えでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そんなことではとても納得がいきませんけれども、これらの問題はいずれ一般質問なりまた分科会で、もっと掘り下げて聞きます。そんなことではだめです。  まだまだお聞きしたいことがありますが、時間がございませんので、一つ総理に最後に申し上げますが、ぜひこの北方領土が返ってくるまでの措置として、安全操業だけはせめて一日も早く解決してもらわなければ、これはもう北方の人たちはたいへんでございます。それから、北方領土返還につきましても、われわれは協力するに何らやぶさかでないわけでございますから、やはり世論を統一されまして、そうしてひとつ大いにがんばっていただきたいということを要望いたしまして、最後に一言総理のお考えを述べていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われますように、領土返還、それができればそれに越したことはございません。でありますが、なかなか国後、択捉という問題は、先ほど来むずかしいことだと、そこで、その一部だけでも返還さして、その際にいろいろ安全操業をきめたらどうだ、こういうお話もありますが、領土の問題については分割してどうこうということはあまりいいことじゃないのでございます。問題を紛糾するだけだ、かように思っておりますので、いませめて領土問題を解決できなくとも、中間的に漁業の安全操業だけでも話がつかないか、これはおそらく川村君の御指摘でもあろうかと思いますが、そういう意味のことも考えなければならぬと思っております。政府も、これは積極的に政府同士で話をしますと、時にかたい感じを与えて、民間ならばうまく話が解決したのに、政府の場合にはどうも双方がしゃちほこばってそう話が進まない、こういうこともありますので、そこでいままでは、適当な民間でそういう話をするという方もありました。だんだんそういう方がまた出てくれればいいのですけれども、そういう方がなくなったりしまして、いまのところちょっととだえておる、しかし、いまやられておりますのは、ある程度の入漁料とでも申しますか、それを払うことによって安全操業の道をはかりたい、少しは払ってもただいまの拿捕よりもましだという、こういうような意味から、実際にはある程度の安全操業をはかりつつあります。しかし、やはり外交ルートにのせて、そうして本筋で話をしないと、あるいはよけいな負担がかかったりしてずいぶんむずかしいことだと、かように私は思います。もともと講和条約ができれば歯舞、色丹は日本に返すとまではっきり言っているのです。少なくともこの日本に返すという、まあ大体主権を認めた地域とでも申しますか、そういう地域についての安全操業というのは、他と区別してでもこれは考え得られるのじゃないか、ソ連に、もしそれだけの弾力があるならば、私どもは一そうそういう方向ででも一つずつ問題を解決していきたい。全体についての漁業の安全操業ができればたいへんけっこうですけれども、この歯舞、色丹におけるコンブ取りだけでも操業が安全にできるということになれば、よほどの両国間の関係を改善することにもなるのじゃないか、実は私はそこまでも考えるのであります。しかし基本的には、やはり何と申しましても領土的な問題、これは民族的な問題でございますから、そう簡単に妥協はできない。われわれの主張すべきものは主張する、こういうことでこの問題と取り組むつもりであります。一時はたいへんいい方向に向かっていて、墓参もできる、まに日本に帰りたいという日本人、抑留中あるいはそうでない者も、これはもう積極的に日本に帰れるような手続をとってくれたのでありますが、しかし最近は、経済交渉はともかくとして、北方の海域、漁業等についてはただいまたいへんむずかしい交渉になっておるようであります。新聞の報ずるところでは、毛ガニの漁についてもまたやかましいことがいわれておる、あるいはつい最近は、ソ連の漁船が伊豆沖にまで出てくる、サンマはもちろんのこと、サバ漁にまで出漁してきている、そういうようなことで、なかなかむずかしい問題がございます。そういう間に立って、政府は本来の安全の確保、同時にまたとるべき道を進める、こういう意味で進んでまいるつもりであります。ことにそれについてただいまお話がありましたように、いいことについては積極的に協力してやる、鞭撻も受けましたし、私はこれこそ、皆さま方の協力なしにこれができる問題ではないし、ことに国民の理解を必要とする、こういう御指摘について私も完全に同感でございますから、そういう意味で北方問題、南も南、北方問題についてもさらに世論を背景にして、そうして本来の国益の増進に努力したい、かように考えます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどお尋ねがございました一九五一年十二月十日外務次官からの要請という点につきまして、とりあえずただいま調べましたことを御報告いたします。  一九五一年十二月十日外務次官からアメリカ側にこういう申し入れをしたという記録がございます。これが文書で、紙に書かれたものであったかどうかはただいま不分明でございますが、南方諸島が日本の主権下にとどまるものであり、その住民が日本国民であることを米国が確認せられたいという趣旨のことであった記録がございます。それからなお五四年の七月二十九日、これは別のことですが、あわせて申し上げますが、ハワイ地方裁判所の判決に、アメリカ国務省法律顧問が、南方諸島に対する主権は日本国に残存しており、かつその住民は日本国民であることを述べた五二年五月十四日付の要請というものを引用いたしております。つまり一九五一年十二月十日に日本の外務次官からこういう要請があって、そしてそれを認めた趣旨のことが五四年七月二十九日の判決の中に引用されておる。これがその当時日本の中でも報道されたという事実があるようでございます。これがただいま調べました報告でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこのところまではわかっているんですが、日米の往復文書であったのかどうか、それを確かめてはっきりしたものを資料として、いま間に合わないでしょうから、月曜日までに配付するようにひとつ準備をしてください、いまの日米の往復文書。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ちょっともう一言つけ加えますが、先ほど申しましたように、紙に書いたものとしての往復はその当時はなかったのではなかろうか。こちらからこういう趣旨の申し入れをしたという記録は外務省にありました。ですから、その経緯を書いて資料として提供することは、もちろんさっそくいたしますけれども、文書の交換というものがあったかなかったかは、これまた調べてみないとわかりませんので、その点はお含みおきいただきたいと思います。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) この件は、理事会で協議いたしまして善処することにいたします。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それでは、余された時間、石炭問題について若干質問いたします。  第四次答申を受けて新政策なるものが打ち出されまして、予算も国会に提案され、いま審議中でございます。ところが、法案の決定後、予算も成立しないうちに相次いで閉山が集中的に行なわれる傾向が見受けられます。御承知のように、大手十六社の社中の名門といわれておる明治鉱業がすでに企業ぐるみ閉山をするという計画で通産省に相談をしかけておるという話もあり、次いで杵島、麻生、貝島等にもこういう傾向が見えておると伝えられております。これは一体、第四次答申の趣旨、できるだけなだらかな終閉山をするようにという趣旨に相反した傾向ではないかと思いますが、これに対する御見解と、そういうことであるならばそれに対してどういう措置をなさろうとするのか、ひとつ方針をお示しいただきたいと存じます。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 明治鉱業から御相談を受けていることは事実でございます。しかしながら、まだ自余の炭鉱からはそういう御相談はないのでございます。  それから、ことし第四次の政策が打ち出されるであろうという期待がございましたので、昭和四十三年度は終閉山というものが乏しかったわけでございますが、いわば四十四年度は四十三年、四十四年、まあ二年分相当程度の終閉山が一応予想されるわけでございます。したがって、私どもはあなたがおっしゃるように、この動きがなだらかな終閉山を期待するという方針を根底からくずすようなものであるとは考えておりません。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そういうことにならないという確信を持たれておりますが、予算では大体三百八十万トンくらいの縮小を予算面に盛っておられますが、昭和四十四年はその中で大体おさまるというお見通してございますか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) ほぼその見当と考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そういう集中閉山といったような傾向が出てまいった場合においては、通産省としては極力、行政指導でそれを押える方針でございますか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、行政指導にあたりましては、できるだけ採炭を実行できる条件のものはそうお願いするような方向で指導してまいりたいと考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 明治鉱業の昭和炭鉱と木岐炭鉱の両鉱が三月三十一日閉山すると会社側は大体方針を決定して、各方面と打ち合わせ中だということを聞いております。で、この両炭鉱については、北海道大学の磯部教授を団長といたしまして、その中には札幌通産局の係員も入りまして、調査団をつくって両炭鉱を調査した、その調査結果というものが通産省のほうに出されておるはずであります。その結果によれば、両鉱ともやりようによっては十分採算がとれる山である、どういう報告がされておるということを聞いておるのでありますが、これに間違いございませんか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) お話しのように、ことしの二月、札幌の通産局におきまして炭鉱合理化指導制度の一環といたしまして、主として技術的な観点から診断をいたした事実はございます。私どももその報告は受け取っておりますが、おもに技術的観点からの診断でございまして、先ほど大臣御答弁いただきましたように、可能な限り操業を続けていくことができるのでありますならば、その可能性というものは徹底的に追求しなければいかぬという立場で企業側の相談を受けまして、このような合理化指導のための診断をいたしておるわけであります。たまたま本岐、昭和につきましても、事態必ずしも容易ではないという状況がございましたので、これらの制度の一環といたしまして診断をいたしたのでございます。ただ、これらはいろいろと前提のあるものでございまして、この結果だけをもって判断をするというわけにはいかないけれども、非常に貴重な資料として私どもも活用いたすつもりであります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私はその調査表を資料として請求したのですが、提出を拒否されました。断わられました。その断わった理由を明らかにしてください。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) これらはあくまで通産省のいわば内部資料でございまして、外部の専門家の方を調査員に委嘱はいたしておりますけれども、それぞれ個別の企業の経理的内容その他にもかかわることでございますので、木岐、昭和の例のみならず、この制度の全般を通じまして、外部に公表することはいままでもいたしておりませんでしたし、今後もいたさないつもりで考えておる次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それは公表するというのでない、国会の審議の資料にするので出してくれと、こう言ったのですが、出されない。それは私企業に関するから出せないということですか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) 私どもの判断材料の一つということでございますし、これは企業側の、むしろ診断を受けたいという積極的な意思に基づいてやっておるものでございますので、当然、役所が強制的にやっておるという筋合いのものではございませんので、当該希望を申し出られた企業との関係におきまして、私どもは従来もこれを外に出さないということで処理をいたしております。お気持ちはわかりますけれども、今回もそういう処理にさしていただきたいと思っております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 ちょっと関連して。こういう資料は、国会のこの予算委員会の資料として出されることは別に差しつかえないのじゃないですか。そういう例は他にも従来ありますよ。これは大臣の御方針なんですか、そういう。別に、そう通産省でじっと部内で握っておらなければならない資料じゃないでしょう。ちゃんと審議をやるために必要だといって委員がせっかく要請しておるのだから、あっさり出したらどうですか。別に産業スパイを働くわけでも何でもないのです。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 当該企業側の了解を得なければなりませんから、しばらく考慮さしていただきます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それは、私はいわゆる普通一般の私企業ならば、そういうむちゃなことは言いませんよ。しかし、この石炭企業は財政資金、いわゆる国民の税金を第一次肩がわり千億、第二次で千億、今度は総額で四千億からの財政支出をする。今度の予算にも、石炭特別会計八百八十四億出されておるのでしょう。それを審議する資料として必要だ。普通の私企業と同じようにこの石炭企業を見られるのですか。私は承知できませんよ。出してください。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) 重ねてお答えいたしますが、非常に企業のデリケートのところまで入った診断をいたすのが通例でございまして、いま例にあげておられますところは、たまたますでに会社側も閉山の意思表示をしておるところでございますから、例にはならないのでございますけれども、他にもし山を閉じるかどうかという境目にきているような事態のものがございましたときに、もしその診断結果が、閉山をする以外に道はないのだというようなサゼストをいたしておるといたしますと、それが外部に漏れました場合に、たとえば、信用取引が非常に悪くなるとか、思わざる影響を受けるところがございますので、これらの点を勘案いたしますというと、一般的にこの制度による診断結果を公表するということには、私ども慎重にならざるを得ないわけであります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 関連。そんなことを君言う必要ないよ。通産省の最高責任者の通産大臣がさっきおっしゃったんだから、考慮するというておっしゃったんだから、それを何も君がのこのこ出てきて否定する必要はないじゃないか。大臣のおっしゃるとおりしたらいいじゃないですか。そういうことだから、この間からざわざわするのだ。

川村清一日本社会党

○川村清一君 これは、いま閉山するかしないかの一つのきめ手になるやはり検討の大事な資料なんでしょう。だから私はほしいのですよ。大体いまのなだれ閉山傾向というものは、明らかに答申の趣旨に相反しておるわけでしょう。予算もまだ成立しない、法案もまだ審議にかからないうちに、もうこういう傾向になってきておるわけでしょう。そうしたならば、どういうことになるのですか。いま、山元は大混乱が起きておるでしょう、労働者及び地域社会に。だからどういう結論が出ているかということを私は知りたいのです。結論だけでも出してください。私もしろうとだから専門的なことは要らないのだ。結論だけ出してください。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま川村委員のおっしゃるように、非常に微妙な段階でございますだけに、十分考慮さしていただきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 出してくれるのですね、出すのですね。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) お出しできるかできないか——お出しするにしても、どういうものをお目にかけるか、そういった点を考慮さしていただきたいということを申し上げているわけです。

川村清一日本社会党

○川村清一君 大事な政策の検討であり、それを実現する裏づけになるいま予算案の審議でございますから、ぜひ必要なんです。大臣も出すというのに、事務当局のほうで否定しておるようなことを言っている、私は納得できない、ぜひこれは出してもらいたい。  それから、新政策として具体化した二つの法案が出ておりますね。この中で、時間がありませんから端的に説明だけしてください。閉山の場合の特別交付金制度というものの問題と、それから植村さんが最後までしつこく主張されておりました担保解除再融資、この問題ですね。これを法律を読んでみましたが、なかなか理解できないから、平易に言えば、こういうことなんだということをここで説明してください。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) 第一点の特別交付金でございますが、従来石炭企業におきまして閉山をいたします場合、主として当該炭鉱に働いておりました従業員の諸君及びその山に取引のありました中小企業者と、さらには取引のありました金融機関というものに対しまして、当該炭鉱会社があと始末をいたすべきものではございますけれども、石炭鉱業は御承知のような窮状にございますために、会社側だけにまかせておいては十分なことができないということがございまして、閉山交付金という制度がございまして、当該閉山の石炭の量及び坑道等の投資額等を計算いたしまして、これに一定の金額を計上したものを、平均額で申しますと、現在では大体トン二千四百円ぐらいにつくのでございますが、こういうものを交付いたしまして、一種の補助金でございます。その二千四百円の中で、半分を従業員に対する退職金の支払い等に充てる、こういう制度をつくっておったのでございますが、これらの額では十分にやっていけないという会社が出てくる状況にございます。そこで企業ぐるみで、企業全体として会社を解散するといいました場合に、いま申しました一般制度と違いまして、会社を清算いたしましたあとで残る債務につきまして、それぞれの一定比率を乗じた金額の合計額を国が出す、つまり客観基準で出すのではなくて、当該企業の超過債務そのものにリンクしたものとして出そう、こういうことでございまして、それによりまして、従業員及び中小企業者等に与える影響を軽減したいという趣旨でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 特別交付金制度は、何月何日から何月何日までとあるでしょう。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) 今回提案をいたしております法律の中に定めております額、向こう二カ年間の期間に企業ぐるみで解散する場合に適用する、こういうことになっております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 何年何月から何年何月までですか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) 失札いたしました。四月一日以降、向こう二カ年間でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それは合理化臨時措置法ですね。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) 合理化臨時措置法の改正でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それから再建整備。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) はい。第二点の担保抜きの点についての御質問でございますが、石炭企業は先行きが非常に暗いという状況がございますために、なかなか市中からの融資というものが思うように期待し得ない状況でございます。そこで今回の対策では、石炭鉱業合理化事業団による無利子融資というものを主軸にいたしたいというのが基本的な考えでございますけれども、しかしながら、石炭企業も当然に資金の自己調達努力というものを、市中に対して行なってもらいたいということも他面捨てるわけにはまいりません。しかしながら、担保余力が払底をいたしておりまして、石炭会社が市中から金融を受けようという場合でも、提供すべき担保力がないという状況がございます。片方、再建交付金制度というものを今度考えておりますが、それによりまして、金融債務の相当分を国が元利償還しようということでございますので、この際に、再建交付金の交付にあたりまして、金融機関が当該石炭会社のために抵当権を解除してくれるならば、その解除された分に見合ったものにつきまして、その会社が万が一解散することがございました場合の国から金融機関に対して交付いたします損失補償につきまして、特例を設けまして、銀行が担保解除をいたしましても、そのことによって銀行側に特別の負担と申しますか、犠牲はないという状況で市中調達を容易にしようというのが、制度の趣旨でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いつまでに調達を受けて、その会社はいつの段階で閉山したときにですか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) おそれいりますが、法律案をもってお答えいたします。  二つ要件がございまして、当該担保抜きによる市中金融というものは、当該会社の存続のために役立つということによってこの制度を設けたわけでございますので、当該石炭会社が、四十九年四月一日以降について継続して石炭鉱業であるということが必要である、というのが一つでございます。それから四十五年の三月三十一日までに担保抜きの実行をいたす、ということが第二の要件でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 もう時間がございませんから、最後の質問でございます。  ただいまの御答弁によりまして、いわゆる新政策の、二つの新しい政策の柱が御説明になったわけでございます。そこで問題点を申し上げますならば、まず再建整備臨時措置法の中におきましては、これは植村さんが非常に強く最後まで主張されたようでございますが、金融機関が担保を抜いた、そして抜かれた担保を再担保にして融資を受けた場合において、それに対して政府、国が補償する、こういうことなんでございますが、いまここで御説明になったように、それはこの金というものは四十五年、来年ですが、四十五年三月三十一日までに借り入れられたものに限られておるということが一点、それからその企業が昭和四十九年三月三十一日以前につぶれた場合は適用されないということは、四十九年以後までこれが存続しておらなければならないという、これが一つの要素なんです。これはたいへんなことでしょう、そうすれば、これはもう大体来年の三月三十一日までに借りた金でなければならないのです。担保そのものだって、これは先にいくと担保価値はあるわけですよ。ところが、もう来年までですよ。来年以後に借りたものは、これは適用されない。しかもそれは四十九年につぶれたときに国が補償されるのでありますから、こんな制度で金融機関が喜んで金融措置をするということは、私はなかなかあるまいと思うわけであります。したがって、この措置というものは、答申に述べられたような石炭金融に寄与することは、まことに期待することが少ない。これは趣旨に沿っておらないということを、一点指摘申し上げておきたい。  それから合理化臨時措置法でございますが、これとても四十四年四月一日から四十六年三月三十一日まで、すなわちことしの四月一日から明後年の三月三十一日までの間にこれがつぶれた、解散したものでなければ特別交付金制度を受けられない。そうすればこの二年間に閉山が集中してなだれ閉山を引き起こす要因になることは、これは火を見るよりも明らかではございませんか。しかも、四十四年六月一日以後において、その保有する鉱業権を他に移転し、またはその保有する採掘権の上に租鉱権を設定したことがないことということは、山を分離したらだめだ。したがって、A、B、Cという炭鉱を持っている企業が、Aという炭鉱は優秀な採算のとれる炭鉱であり、B、Cは非採算の炭鉱である。したがって、できればAのほうを残してB、Cのほうを企業ぐるみ閉山して特別交付金を受けたい、こう思うわけでありますけれども、A炭鉱の分離を四十四年六月一日までに完了しておかなければ、A炭鉱そのものも存続しないということになるわけではありませんか。したがって、A炭鉱をこの五月中にこれを分離しなければならない。したがって、これは分離という傾向が強く出てきている。明治鉱業は五山のうち二つをつぶして三つを分離するというようなことが急に出てきていることは、私はこういう制度の中から当然生まれてくる傾向ではないかと思うのでございますが、これが間違いかどうか、ひとつ御答弁を願いたいし、もう立てませんから申し上げますが、これのあとに地方鉄道がたいへんなことになりますから、地方鉄道、炭鉱にある地方鉄道の対策について、労働大臣と運輸大臣から御答弁をいただいて私の質問を終わります。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(中川理一郎君) お答えいたします。  第一点の担保抜きでございますが、これは国の側から申しますと、従来の会社解散の場合の、国が元利償還を約束いたしました金融機関に対する損失補償の一般則を大きく、特別の配慮によりまして担保抜きの分だけを損失補償にプラスするということを定めた制度でございますので、これを無制限に延ばしますと、いろいろとまた制度上の悪用というようなことも出てまいるわけでございます。私どもが担保抜き制度を実施いたしまして市中金融をつけてやりたいと考えておりますのは、あくまで当該会社が再建軌道に乗るということでございますので、この意味では十分役立ち得るものと考えております。  なお、特別交付金の二年を区切ったことでございますが、これも先ほども申しましたように、一般制度の上に特別の配慮を今回特に加えたのでございまして、いつまでもこれを継続するというわけにはいかないし、また実態面から見まして、新しい政策の中でおおよその石炭企業が健全な経営をやっていけるという前提に立っておりますと、限界的な企業と申しますか、これにだけ特別の措置をいたすということでございますので、そう無制限にする必要もないし、そういう実態もない、かように考えておる次第でございます。なお、この制度は、会社全体が解散せざるを得ないという状況から起こりますいろいろな社会的な摩擦というものに対しましての配慮でございますので、もともと分離ということを前提にいたすのであれば、一般交付金制度の中で処理をしていただきたいのでございます。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 私に対するお尋ねは、炭鉱が閉山した場合、その私鉄の廃止によって生ずる離職者について、炭鉱離職者臨時措置法の措置の対象者とできるかできないか、こういう質問であろうと思います。炭鉱離職者臨時措置法の対象者となるいわゆる炭鉱労務者は、この法の第二条に規定がございまして、「石炭を目的とする鉱業権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の業務に従事する労働者」と定義がありますが、なかなかこの定義、非常に微妙なところがございまして、したがいまして鉄道企業の従業員は、炭鉱離職者臨時措置法の対象とすることはむずかしいと考えます。この場合は、会社が別の場合でございます。それで、同じ会社で鉄道を経営しておる、それが鉄道を廃止された場合、そういう場合におきましては、そういういわゆる閉山炭鉱の鉱業権者が当該鉱区、粗鉱区内で石炭の掘採に関連する鉄道を経営しておる場合には、個々の事例を検討し、前に述べました定義に適合するかどうかを、その時点において具体的事例として判断して研究いたしたい、こういうふうに考えます。

原田憲自由民主党運輸大臣

○国務大臣(原田憲君) お答えいたします。  石炭鉱山個々の縮小、閉山等の見通しについては、いま質疑をやっておられましたように、まだつまびらかではございませんが、炭鉱鉄道の関連する石炭鉱山は、その大部分が存続されるやに聞いております。ただ一部、石炭鉱山の閉山により経営難におちいる炭鉱鉄道のあることも予想されます。これらの鉄道に対しましては、経営の実情を考慮し、また従来石炭鉱山と密接不可分な関係にあった特殊性を勘案して措置されるべきものと考えまして、関係各省とも折衝を行なっております。  炭鉱の閉山に伴う輸送対策につきましては、当該地域の輸送の実情、将来の動向等を十分考慮し、要すればバスヘの転換等の措置により、輸送手段の確保をはかる所存でございます。また、関係鉱山の出炭量が減少していくとき、比較的まれなケースと思われますが、万一、このような場合には貨物の輸送状況、鉄道会社の経営内容等を勘案して、必要な措置を検討することにいたしたいと存じます。

江藤智自由民主党

○理事(江藤智君) 以上をもちまして、川村君の質疑は終了いたしました。  今後の日程の詳細は、委員会散会後、理事会で協議することといたします。  次回は明後日午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時三十三分散会

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