予算委員会 第6号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/03/06
会議録
○委員長(塩見俊二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算。 以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き西田君の質疑を行ないます。西田君。
○西田信一君 昨日に引き続きまして残余の質問を続けたいと思います。 まず、農業問題についてお尋ねをしたいのでありますが、経済白書が出されまして日本農業の直面している問題点を一応取り上げられております。また、農業も相当の水準の上昇を見ましたが、しかしながら、国際競争力を持つ力強い日本の農業を建設するためには、もっと長期的な展望に立った対策が必要である、こういうふうに思うわけでございます。現在の農業の基本になっておりますのは農業基本法あるいは農地法等でありますけれども、自立経営の農業を育てるということから脱却いたしまして、私はもうすでに企業的農業を確立するという旗じるしをあげるべきではないかというふうに考えるわけでございます。そういう意味におきまして、現在、日本農業の持っている欠陥は非常に零細農業であるわけでございまするが、価格政策というものも大体行き詰まっておりますし、日本経済の高度成長という立場から見まするならば、たとえば現在提案されております農地法、相当の前向きの改善が加えられておりまするけれども、私どもはさらに一歩進んだあるべき農業の未来像、こういったものを政府は持っていただきたい、かように存じますが、農林大臣から御所見を伺いたい。
○国務大臣(長谷川四郎君) お話しのように農地法の改正、また、農業生産基盤の整備、さらに第二次農業構造改善事業、これらに対しましていろいろな施設によりまして農業の経営の規模を大きくする、こういうことを考えて今後の農業のこと、さらに農業で生活ができる農家をつくり上げてみたい、そうしてそれを育成しながら農業生産を振興さしていく、こういうような考え方を持っていま進めておるところであります。お尋ねの自立経営農業の数も、統計の調査によりますと、四十二年度には全国の農家の約一三%となりました。だんだんと農村にこれらの問題が定着してきているように考えられます。したがいまして、農家がさらに力を増して、そうして企業的農家に育っていくよう、こういうような点について今後大いに農政を革新してまいりたい、こう考えておる次第でございます。 さらに、お尋ねのもう一点の未来像というお話しがございますが、未来像につきましては、現在なかなか農業というものは、ここで、ことし案を立てたからすぐ来年これを行なうというわけにはまいりませんので、今後の農業というもののあり方については、御承知のように、ただ北海道から九州のはてまで、この品物がいい、これが生産に合うというとそればかりに集中している、こういうような点が今後さらに繰り返されることのないように一つのビジョンを立てなきゃならぬだろう、こういうような考え方を持っておるのでございまして、したがって、現在非常に生産の低いもの、こういう低いものをいかにしてこのバランスを合わせるか、こういうような点についての総合農政というものを行なうのでございます。そればかりでなくて、さらに今後貿易の波が押し寄せてくる中に、これもだめだこれもだめだと、いつまでも、未来にまでやっているわけにもいかぬだろうと考えられますので、これらの対抗できるような施策を考えなければならぬ。したがって、さらに御承知でもございましょうけれども、現在、飼料という問題で非常に輸入が膨大しておる、これらに対しましても、たとえばとうもろこしだとか、あるいはマイロだとか、雑穀の一部というようなものを国内で生産をして、国策の上から見てどうかというようなものは、一部どうしても輸入しなければならないものは輸入する、一方、国内で生産と需給のバランスをとるというようなものは、何といっても適地適産ということばがございますけれども、主産地形成というようなものを確立してまいらなければならないだろう、こういうような未来像といいましょうか、そういう上に立った、そして適地通産主義、主産地主義というものを行なっていくことになるならば、おのずから生産と需給のバランスというものがとれるようになり、さあ外国の製品、何でも農産物は持ってこいという態勢を整えていくようにしなければならぬ。せっかく、ただいまそういうような考え方の上に立って、今後の農政を行なっていく考え方でございます。
○西田信一君 問題を移しまして、いま政府は全国総合開発計画という膨大なものを検討中なんで、ここに第四次の試案までいただいておりますが、そこで簡単にお尋ねいたしますが、私は人口、産業の分散というような立場からいうならば、まだ例の新産都市などは十分な効果があがっておらない、これは私はやはり国の施策の足りない点に多少原因があるんじゃないかと思いますが、そこで新しい総合開発計画では均衡を得た地域開発もやらなきゃならぬ。それにはいわゆる新産都市などは、もっと大規模な産業開発の拠点にする、こういった考え方で、これに対しまして私はいままでのやり方を改めまして、政府あるいは金融機関から相当の具体的な融資政策というものを立てなければならぬ。低利の融資、あるいは国税、地方税のある期間内でも軽減をするとか、あるいはまた過密都市とかの分散に対しまして特別の補償を与えるとか、あるいは土地に対する特別措置をする、こういったことが必要だと思うのでありますが、現状を見まするというと、これは自治大臣からも伺いたいが、各市町村で工業用地条例のようなものをつくって懸命にみんなやっておる。しかし、こんなことで私は効果があがるものではないと思うのであります。こういう点につきまして、自治大臣からも、あるいは経済企画庁長官からも、通産大臣からも、また大蔵大臣からも、また総理のお考えもひとつ伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま私どもで新総合国土開発計画を策定中でありますが、御存じのように、最近における科学技術の発展に従いまして経済も非常な発展を遂げてまいりましたので、いままでのような考え方で今後の国土利用あるいは産業の開発、産業の発展、社会開発というものを考えてはいけない。で、大体がこの計画は昭和六十年度を目当てにしておりますから、今後約二十年近くの間にはよほど世の中が変わってくるということを考えていかなければならぬということで、そこで、いままでの考え方をもう一ぺん再検討して、そしてやっていきたい。で、いままで産業都市や何かでも考えておった従来の考え方を踏まえて、そしてひとつ新しい観点からこの計画を立てていきたいと、こう思っておりますからして、そういう点においていま第四次の案ができておりますけれども、各方面のひとつ英知を集めて、そして、幸い未来学というものもいま発達しておりますから、そういう人たちの意見をも取り入れて、実は六十年の日本というものをひとつ考えてみたいと、こう考えておる次第であります。
○国務大臣(野田武夫君) ただいま御指摘のありました新産業都市計画、これはもう指定以来五、六年を過ぎております。お話のとおり、うまくいってないところもございますが、昨年、自治省で数カ所を調査いたしました。その結論は、やはり工業生産も相当上がっているところもある、あるいは施設とか、設備も相当でき上がっている、投資も相当入っている、こういうことで順調にいっているところも相当ございます。したがって、拠点開発としましては私は有力なる新産業都市計画は方式だと思いますから、いま経済企画庁長官が申し上げました新しい全国総合開発の中にどうしてもこれはやっぱり生かしていきたい、こういう心がまえで経済企画庁にも折衝したいと、こう考えております。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、いままでの地域開発は新産都市計画とか、あるいは工業整備特別地域とか、あるいは私どものほうでやっている産炭地域振興計画とかいうような考え方でやってまいったのでございますが、それはそれなりに雇用もふえたし出荷もふえておりますことは御案内のとおりでございますけれども、なお期待からほど遠いということもまた事実でございます。そこで今度、先ほど菅野さんから御紹介がありました新しい総合開発計画、私どももこの計画を策定の段階でいろいろお話を伺っておるんでございますが、まあ初めて計画の名に値する計画ができつつあるんじゃないかという感じがするのでございまして、こういう幹線になる交通通信網が、まず全国に張りめぐらされて、全国の律々浦々の資源が新しい値打ちを持ってくるという状況を踏まえた上で、いままでやってまいりました政策を新しくその次元で整理し直して、それで定着させていくというような方向で考えていくべきであると承知しておるのでございまして、この計画に大きな期待を寄せつつ、企画庁その他関係各省と御相談しながら、実のある前進をはかってまいりたいと考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) 新産都市、また工業都市は所期の目的から考えまして、かなりの効果をあげておる、かように見ております。人口配置というような点から見ますと、これはまあ見当違いの点もありましたが、実績は高く評価したいと思うのです。ただ企画庁長官からも話がありましたように、その後、経済成長が当時見通したよりははるかに高い勢いで進んでおりますので、その現実に即しまして新しい長期計画をつくろうとしておる、国土総合開発計画をつくろうとしておる、これには各省皆一致協力いたしまして、いい案をつくり、そしてまた国民の期待にこたえていきたいと、かように考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 関係各大臣からお話をお聞き取りですから、もうよろしいかと思いますが、過去の新産都市の計画、あるものは成功し、あるものは期待どおりでない、こういうものがございます、そういう点についてはさらにこれを補強するものも必要かと思います。同時にまた、これから十年先、二十年先、二十一世紀に備える、こういう意味からも長期にわたる総合開発計画が要るだろう、こういうので、企画庁を中心にして、ただいませっかくいわゆる未来学、その方向で検討しております。私自身も半日つぶしてそのいままでまとまった成果などを聞き取りましたけれども、私はさらにそれに対しまして、まあ二、三の希望を述べて、ただいまその成果を見守りつつある、こういう状況でございます。
○西田信一君 国土総合開発の中で、交通ということが非常に大事でありますが、道路や鉄道にかなりのウエートがかかっておるというふうに見受けます。しかしながら、航空という面につきましては、どうも少しおくれておるのではないか、こういうふうに考えるのでございますが、将来のことを考えますと、航空政策というものが非常に大事だ、かように存じます。運輸大臣、どういうふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(原田憲君) 航空は国民生活における時間価値の上昇により、その高性能が今後ますます高く評価されるものと考えます。いまもアポロ九号が飛んでおる最中でありますが、ああいうものを開発した技術革新というものが、これからますます産業界にも影響を及ぼし、それが情報産業という形になってすでに現われておることは御存じのとおりであります。また、そういうことから実際に航空界においてはSSTとか、あるいは数百人乗りジャンボジェット機が、これはもうすでに現われて、われわれの眼前にきておるのでありますから、航空というものが小量で高い、高価な交通機関であるという時代は、もうそういうイメージは一掃されまして、低廉な大量な輸送機関、こういうことになってくると思うのであります。こういう観点から今後の航空輸送の果たす割合が非常に増大すると思いますので、長期的な観点に立って空港の整備あるいは新規機材の導入等を積極的に進めていく所存でございますが、新全国総合開発計画におきましても、国土開発の基礎条件にこの航空というものがあるという考えに立ちまして、高速交通体系を総合的に、先行的に整備していく、こういうことを考えております。もちろん西田さんのおられる北海道等にも新しい国際航空という見地からの施策というものが必要であろう、このように考える次第であります。
○西田信一君 非常に外貨がふえてたいへんけっこう予算で、三十億ドルをこえました。三十五、六億ドルにもなるであろうと予想されております。そこで、大体日本の貿易との関連について見ましても、保有高はどのくらいが適当であるかというようなことについてのお考え、それから、こういうふうに外貨がふえて持てる国になりますと、いろいろな海外からの圧力といいますか、いろいろな注文が出てくると思うのでありますが、これに対する対策はどうであるか。それからもう一つ、この外貨の内容が一つ問題だと思う。金はほとんど三億あまりしかありません。きょうの新聞に出ておりますように、金はどんどん、自由価格でありますが、四十三ドルまで上がったということでございまして、将来、金の価格が引き上げられるという事態が予想されないことはないと思うのでありますが、これらの見通し、そういう場合に私は外貨の内容についていろいろ検討を要すると思うのでありますが、こういう点について大蔵大臣どのような対策を持っておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま外貨は三十億八千万ドルというところにまいりました。なお当分の間増加が続くんじゃないか、二、三カ月の間にあるいは三十四、五億ドルというようなことになるんじゃないかというふうに想像されるわけであります。で、いかなる額をもって適正外貨保有額とするかというお尋ねでございますが、諸外国を大体ずっと見てみますると、三分の一程度、輸出入平均の三分の一というのが大体のところのようでございます。私は日本の貿易から見て三十億あるいは三十五億、この程度のことはこれは大きいとは思いません。もう少しあるいは大きいほうがいいと思う。いいと思いますのは、昭和四十二年と昭和四十三年の国際収支、これを比較してみますると、実に四十二年に比べて四十三年度は十七億ドルの改善があるわけです。つまりそれだけのゆれというか、フレがあるわけです。そういうことを考えますと、三十億持っておって、はたして安全かというと必ずしもそうでないような気もするのです。したがいまして、無理はしないという感がいたしますが、逐次まだ増加されていくことが好ましいと考えております。ただ見てくれの外貨が多いというだけじゃこれはいいことじゃありません。これはお説のとおりでございまして、問題は内容でございます。わが国のいま三十億八千万ドルという外貨、これは五年前、数年前に比べますると非常に改善をされておるのであります。つまり当時に比べますと、大ざっぱに言って、資産状態、国のバランスシート、これは二十億くらい改善をされておる、こういうふうに見ておるわけであります。なお、外貨の内容が大事じゃないかというお話であり、かつ金の保有の問題に触れられました。私は二十億の外貨保有高で三億ドルの金という時期がかなり長く続いた、そこへ今度は三十億八千万ドルの外貨保有高、その中の三億ドルの金、こういう状態になって金の相対的な比重が下がってきておるわけです。これをどうするかという問題でございまするが、方針といたしましては、もうこれだけ外貨が多額になりますると金をもう少しふやしていいのでは古いか、そういうふうに思います。また、そういう方針でいきたいと思います。ただ、いま日本が置かれている立場、また世界諸国が置かれている立場というものは、これは金を日本が積極的に買いにかかるというようなことになりますと、金市場に非常な影響を及ぼし、さなきだに憂えられておる国際通貨体制に大きな混乱を生ずるもとにもなりますので、そういう意味から当面は差し控えなければならぬし、また出動しようと思いましても、金の二重価格体制下においては、その実行は非常に困難であると、こういうふうに考えまするが、先々時期を見ましたら、金の保有というものをこれは充実するということも考えなければならぬかと、かように考える次第です。
○西田信一君 この間ヨーロッパに行きましたニクソン大統領が、いわゆるIMFのSDR特別引き出しの要請をされました。EEC諸国はあまりこれに対して乗り気でないようでございますが、まあこのSDRは、結局赤字国にとっては国際収支のインパクトのようなものであって、一時の救済である。黒字国にとっては、別にたいした価値のない債権みたいなことになるわけで、それが結局インフレを招きはしないかという心配につながるわけであります、第三の通貨が出ると。そういう点につきまして、アメリカと非常に関係の深い日本としましてどういうふうにお考えであるかということをひとつ。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済が成長発展いたしますと、それに伴いまして通貨がまたよけいに要るということになるのは、国内におきましても、また国際間におきましても同様な状態でございます。戦後、世界経済が非常な動きで発展をする、その通貨をどうしてまかなってきたかというと、これは主としてドルがこれをまかなったわけです。つまりアメリカが金を喪失する、失うという形がずうっと長く続いた。一時三百億ドルも持っておったアメリカの金は、今や百億ドルにもなろうとしておる。そういう形で諸外国の国際決済力を補ってきたわけです。ところが百億ドルを割ろうとするアメリカも、これを割るということになると、これはなかなかたいへんでしょう。そういうようなことで、そういうドルによる金供給方式にももう限界がきた、ここで何らかの通貨供給方式というものを考えなければならぬというので創案されたものがSDRの構想でございます。したがいまして、SDRというものがないと、国際決済、経済成長に見合う国際成長通貨というものが不足し、世界経済を阻害するわけでございますが、こういう新しい通貨、いわゆるSDRが実現するということに相なりますることは、私は世界経済のために、これは非常に画期的な前進であると、こういうふうに考えます。ただお説のように、これをみだりに使用するということになりますると、また通貨面の行き過ぎということもありますので、この運用にあたりましては、SDR協定におきましてもいろいろな制約があります。また実際の運用にあたりましても、これは節度をもって当たっていかなければならぬ、これは各国とも共通にかたくさように考えておる次第でございます。
○西田信一君 IMF体制は固定為替相場を原則としておりますが、為替相場の変動が非常に著しいのでございますが、こういう点に対しまして大蔵大臣どういうふうに考えておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 最近、諸外国の国際収支が必ずしも安定しない国が多いのです。それに伴いまして為替相場が下落したり、また一部には実力が上がっておるという国もある、非常に変動の多い時期でございます。これを一体どういうふうに調整していくかということにつきましては、あるいは上下に変動幅を設ける制度を創設したらどうだろうという意見も出ております。あるいはクローリングペッグという一定期間ごとに為替を改定するというような考え方を導入したらどうだろう、あるいはドイツが現に採用しておるボーダー・タックス、これを普遍化したらどうだろうというようないろいろな意見が出ておるのです。おるのでありまするけれども、私どもは注意深くこれらの諸案につきまして検討しております。しかし、為替相場が変動するというような状態に置くことは国際通貨の見通しに不安要因を与える、こういうようなことで、やはりSDRを早く発動する、そういうような補強手段を講じながら固定為替相場という今日の体制を堅持してまいる、これが国際的発展、経済発展、これに最も有効である、さような考え方をしておるわけであります。政府といたしましても、国際会議等におきましてはそういう方針で進んでいきたい、かように考えております。
○西田信一君 建設大臣にお尋ねいたします。 今度の国会で地価公示制度とか、あるいは画期的といえるような土地税制、こういったことによりまして土地対策が相当前進すると思うのです。たいへんこれは期待をしておるのでありますが、どの程度の効果を期待しておられるかということ、もう一つは、こういう宅地なんかを中心に置いておりますが、もっと企業を対象にする土地政策というものが必要であると思いますが、そういう面については比較的考慮が少ないと思うのでありますが、土地政策についてのひとつお考えを承りたい。
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。 西田委員御指摘のとおりに、最近の非常な都市進展に伴う都市への人口、産業の集中からくる地価の高騰。これは都市計画の推進、住宅、道路、その他の推進に優先する最も重要な問題でございますので、政府といたしましても鋭意この問題について取り組んでいるようなわけでございますが、十年来の懸案でもあり、要望でありました地価の公示制度を採用いたしましてそしていわゆる適正な地価への誘導をはかりたい、また、騰貴的な地価取引の抑制にも当たってまいりたい、こういうような気持ちを持って地価公示制度の制定の審議を願うことに相なっております。これがすべての万能薬とは考えておりません。政府といたしましては、あらゆる総合的な施策、たとえば、国有地の活用とか、あるいは都市計画の適正な運営、また、御審議を願っておる都市開発の推進等もはかりながら、総合的な施策のもとにおいて非常に重大な地価問題について取り組み、そして適正なる地価誘導をはかり、また、一般の地価取引の正常な目安にいたしたい、こう考えておりますとともに、昨年の税調の答申、あるいはまた住宅宅地審議会の答申等も尊重いたしまして税制の面においても抜本的な改正をいたしまして譲渡に対する個人保有のいわゆる長期に対するところの分離の軽課税、あるいは短期に対するところの重分離課税等の抜本的な改正をいたしますとともに、事業用資産の買いかえ制度の問題の適正化、その他税制に対しましてもある程度画期的な対策を講じておるような次第でありますが、最後に御指摘になりましたごとく、土地の問題ということはほんとうに重要な問題でありますので、政府といたしましては、総合的な施策のもとにおいてこの問題に対する解決策を一歩一歩前進さしていきたいと、こう考えております。
○西田信一君 社会保障というものが福祉国家のバロメーターであることはもうだれも御承知でありますが、その意味で、ことしの社会保障制度に対する予算の増額には私は敬意を払います。しかしながら、まだ不十分だと思いますが、社会保障について将来もっと充実をしていただきたいという意味において御決意を伺いたいのと、それからこの機会にあわせて社会保障の一環である医療保険制度の抜本策というものが実は非常におくれておるようでありますから、これがどうしておくれておるか、これから先どういう見通しであるか、それに対する対策というものはどういうものであるかということをひとつ厚生大臣からお伺いいたしたいと存じます。 で、私はこの社会保障のことに触れました機会にひとつ総理にも聞いていただきたいのでありますが、社会福祉国家を目ざすわが国として見落としがあってはいけないと思うわけでございます。これは単に社会保障だけで解決できない問題でありますから、社会保障という狭い問題に限ってじゃございませんけれども、私はやや見落としがあるのじゃないかという感じのもとにお聞きするのでありますが、アイヌ系民族ですね、これはまあ日本は大和民族でありますが、違っておるのはアイヌ民族だけでございます。このアイヌ民族は、数は少ないのでありますけれども大部分が北海道に住んでおります。この生活水準が問題にならない。総理も十分ごらんになっておると思いますけれども、職業は農林、漁業等が四〇%程度、日雇い労務者が大体四五%くらい、無職が約一〇%くらいということになっておりまして生活保護は千人に十六人受けておる。そして小学校の長欠率は一〇・四%、中学校では一五・六、高等学校に進学するのはわずか四・二%にしかすぎません。先年アメリカのロバート・ケネディ司法長官が来まして、現場に行ってみまして、びっくりして、こういうことを言ったのです。彼らに向かってどう言ったかと申しますと、あなた方は日本の先住民族ではないのか、そしてこれだけ日本が経済発展をしておる、こんなりっぱな日本になっているのに、なぜあなた方はもっと堂々とものを言えないのか、なぜもっと堂々と大道を歩かないのか、堂々と訴えられないのかと言って声涙下る激励をいたしまして、同行しておった町村知事もともに涙を流した、こういうことがあるのであります。どうかひとつ、私はほんとうにものの言えないアイヌ民族、先住民族に対しまして、単なる社会保障というだけでなく、もっと広い立場から何らかの手を打っていただきたい、彼らに気力を与えていただきたい、こういうふうに期待いたしますが総理のひとつ御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(斎藤昇君) 社会保障はいまお述べいただきましたように、本年も相当社会保障の費用はアップせられました。ここ年々国民の所得の増加に見合う程度は上昇いたしてまいっておるのであります。しかしながら、まだまだ他の先進国に比べて低いと言われておるのが事実だと考えます。ことにこれからの日本の人口構成の変化等に応じまして、老人対策とか、あるいは妊婦、乳幼児に対する対策、あるいはまた身障者に対する対策、いろいろときめこまかい手を打ってまいらなければならぬと思うわけでございます。いまお尋ねの医療保険の抜本改正の問題も、国民医療という見地からまことに重大な問題だと考えております。御承知のように、すでに数年前からこの問題は検討に入っておるのでございまして、一昨年の十一月に、厚生省といたしましては一応の試案を世に問いましたけれども、これではまだまだ不十分ではないかというので、自民党の中で医療基本問題調査会をおつくりになって、そして昨年以来非常な努力をもって検討していただいております、もう近く成案も得られるだろうと思います。厚生省自身といたしましても、各分野における意見を伺いながら自民党の結論を待つと同時に自民党とも御相談を申し上げまして、できるだけ近い機会に、先般の衆議院の予算委員会におきまして、私は少なくともこの国会中には、ある程度の要綱を得て関係の審議会に諮問をすることのできるように努力をいたしたいと申し上げた次第でございます。西田さんにおかれましても、ひとつ何ぶんとも促進方の御援助をお願いいたしたいと存じます。 なお、アイヌ——北海道旧土人の問題につきましては総理大臣からもおことばがあろうと存じますが、御承知のように、北海道旧土人保護法ですか、明治三十二年にできまして、それ以来まあ保護といいますか、生活程度の向上等について力をいたしておるわけでございますが、現状はただいまおっしゃるとおりでございます。過去八年間におきましても、厚生省からこういった旧上人の生活の改善、あるいは生活環境の改善、その他の特別の費用といたしまして、過去八年間に約三億出しております。本年度予算も六千万近い予算を組んでおります。今日、北海道のアイヌの方は約二万五千人程度と考えております。世帯数にして五千世帯、五千世帯に対して、過去八年間に三億、毎年数千万出しておるんでありますが、それにもかかわらず、いまおっしゃるように、住宅関係もきわめて悪い。生活環境もきわめて悪い。また、いまおっしゃる進学率の低いことも事実であります。したがいまして、やはりこういった方々の、何といいますか、みずからほんとうに働いていただく、資質を向上していただくということが肝要ではなかろうか。教育方面にもそれぞれ意を用いているはずでございます。北海道庁においても特に意を用いてもらっておると思うのであります。アイヌ問題については西田さんは専門でいらっしゃいますから、こうもやったらどうだ、ああもやったらどうだという御意見も伺いまして、数は少のうございましてもやはり私は大いに意をさらに用いていかなきゃならない問題だと、かように考えておりますので、今後とも努力いたしたいと存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 西田君からアイヌ問題についての発言がありました。私も実情は十分は存じませんけれども、観光地として私なども出かけたことがございます。また、かつて北海道開発庁長官をしたその関係もありますので、少しは理解しておるつもりであります。しかしながら、現状はさらにさらに積極的に生活環境の整備から、さらにまた就職率の、適当なる職業を与えるとか等々の処置をとらなければならない、かように思いますので、一そうひとつ力をいたすことにいたしましょう。
○西田信一君 どうぞひとつ哀れなアイヌ民族のためによろしくお願いをいたします。私はアイヌということばを使いましたが、実際はいまアイヌということばを使っておらない、ウタリと彼らは言っております。ただ、わかりやすくアイヌと申したのでありまして、アイヌを軽べつする意味じゃない、このことを申し添えておきます。 最後にひとつ、総理に政治の基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。わが国の経済は、連続三カ年にわたりまして実質一〇%以上、高度成長を続けまして、国内にはイザナギ景気あるいは昭和元禄、こういった機運が非常に横溢をいたしております。たいへんうれしいことであります。アメリカの未来学者であるところのハーマン・カーンが、二十一世紀は日本の時代であると言って、二〇二〇年にはもうアメリカを抜いて世界第一の国民所得を持つ国になるであろう、こう言って予言をしておるようでございますが、私は日本人の持つ知力、組織力、この優秀性からいたしまして、このカーンの予言が的中しないとは思わないのでございますが、しかし、日本が今日の平和の繁栄をかちとって、国際的地位がこれだけ高まってまいりましたのは、これは過去百年にわたる国民の血と汗の集積であると思うのであります。さらにまた日本人の精神的バックボーンにささえられてきたと思うのでございます。顧みまして、現下の国内の風潮を見ますると、ともすれば安易に大国の自己陶酔におちいりがちである。そして享楽消費に走りやすい、凶悪犯罪も非常に多くなっております。学園の秩序は非常な混乱をきわめておりまするし、また公務員の汚職もあとをまだ断たない。政治の姿勢にも反省を要するものが少なくない、かように考えるのでございます。諸外国からも、非常に悪いことばで、エコノミック・アニマルだ、あるいは魂なき成金だ、こういうような批判を受けることははなはだ残念でございますが、これまた謙虚に耳を傾けなければならぬと思うのでございます。しかし、総理の今度の施政方針演説の中で、新しい百年に向かって第一歩を踏み出したわが国は、多くの分野で転換期を迎えている、こうお述べになりました。このことばの中には今後の日本の方向づけを示すところの重大な意味が含まれていると私は思うのでありまして、願わくばもっと私は具体的なお話も伺いたかったというような気持ちでございます。明治百一年のスタートに当たりまして、全国民の心すべきことは、総理の言われましたように、物質的な豊さから心の豊さに結びつくような新たな精神文明をつくることにある、こうおっしゃいましたが、全く同感でございます。ゲバ棒をふるったり、革命をたくらむのが日本の青年の全部ではございません。あの人たちだって私は日本人の魂を持っていると思います。国乱れて忠臣あらわる、これは昔のことばでありますが、現在に当てはまらないことばではないと思うのでありますが、むしろ多数の国民は、この現状に非常に深い憂慮を持っていると考えるのでございます。どうか総理、若い青年にほんとうに立ち上がるところの一つの力を与えていただきたい、こういう意味におきまして、この場を通しまして国民に向かって、総理から、ほんとうに今日日本国民が考えなければならない、心すべきことをひとつはっきりとお示しを願いたいことを希望申し上げます。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたしますが、ただいま西田君のお尋ねの中に、自分の意見も交えてのお話であります。これで大体尽きているのではないかと私は考えますが、しかし、なお足らない点もあるのではないかと思います。御承知のように、私自身が施政方針演説でその点を明らかにしたつもりでございます。こういう事柄は私自身がみずから手をとってどうこうしよう、こういうものでは実はない。基本的には、ただいま言われるごとく物質的な非常な発展、その際に忘れたのは精神的な文化ではないか。明治百年、その経過を見て、その間の日本の繁栄をささえたものが精神的なバックボーンだ。これが忘れられているのではないだろうか、こういうことを私は率直に国民に訴えたいし、さらにまたみずからの権利を主張すること、これは今日ほど徹底しているときはないと思う。権利には当然義務が伴う。それも社会的連帯責任、そういうものを果たすという考え方に徹してもらいたい、かように私は思うのであります。ただいまの世相を見てたいへん深く感ずることは、最近はいわゆるエゴイズムになっているのではないだろうか。そうして、みずからの権利だけは主張するが義務はなかなか果たさない、これが一つの風潮としてわれわれが指摘できるのではないだろうか、かように思います。しかし、多数の青年諸君は二十一世紀に備えてみずから立ち上がっている、それも御指摘になったとおりであります。ことに北海道では、クラーク博士は、「青年よ大志を抱け」、こういうことを申したのでありますが、いまの青年諸君には夢がない、夢は一体他人から与えられるものかどうなのか。私はそのことをしばしば青年諸君にも言うのであります。われわれには夢がない、一体どうしてくれる。みずからが夢をつくるのではないか、みずからが夢を見るのではないか、みずからがそういうものを創造しないで他人から与えられることを待っている、そういう情けないような状態ではりっぱな将来はないのだ、こういうことを絶えず実は話をしているのであります。私は最近特に心を打たれましたのは、昨年の夏休みの後に、日米高等学校の生徒の交歓をして、そして日本の高等学校の生徒を総理官邸に迎えました。その際に日本の高等学校の生徒が、われわれには夢がない、どうもアメリカの学生諸君とつき合ってみていると、彼らは夢を持っている、どうしてわれわれに夢がないのか、これはどうも試験に明け暮れしている、そこにあるようだ、こう言って教育制度を批判しておりました。しかし、私は六三制、この制度はアメリカも同様ではないか、アメリカの諸君に夢があって諸君らに夢がない。諸君らは何か忘れているものがあるのじゃないか、こう言ってこれらの諸君にも話をしたのであります。いま二十一世紀、それこそハーマン・カーンではありませんが、日本の世紀である、かように言われておる、国際的の期待も大きいのであります。この際に私は青年諸君が夢を持たないということは、まことに気の毒なことであり、また情けないことである、かように思っている次第でございます。一言、私の所見を交えていまのお答えといたしたいと思います。
○西田信一君 終わります。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして西田君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(塩見俊二君) 次に、松永忠二君の質疑を行ないます。松永君。
○松永忠二君 総理にお尋ねいたしますが、総理は国会の答弁で、大学の問題について、憲法の精神に基づいて学問の自由を尊重し、同時に学園の自治はこれを尊重していくということを言明されておりますが、この態度については堅持をされていく方針でありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いままで申し上げたとおりでございます。今日もさように考えております。
○松永忠二君 そこで学問の自由、大学の自治というのは、権利を成文法で保障されているという例は非常に少ない。憲法という形で保障されているという形がとられているわけです、日本の国で言えば。第二十三条の「学問の自由は、これを保障する。」と、これが基盤であるように思うのですが、これは誤りないでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 学問の自由、そのとおりでございます。ただいまお話になったとおりでございます。
○松永忠二君 そこで、いまありました学問の自由を保障するために大学の自治を認められている。文部省設置法の第五条の十八に、大学について、「その運営に関して指導と助言を与えること。」というふうに書かれて、監督、指導を与えるというふうなことは書いてない。あるいはまた、教育公務員特例法の第四条には、採用及び昇任の選考は大学管理機関が行なうというふうに規定をされている。第十条には、任用とか、そうした問題について、「大学の管理機関の申出に基いて、任命権者が行なう。」、こういうふうに規定されておるのは、大学自治を認めているという立場からの規定だと思うのですが、これに誤りはありませんか、文部大臣。
○国務大臣(坂田道太君) 憲法上で保障されておりまするのは、学問の自由、したがいまして、教授が学問を研究する自由、そしてその研究の成果の発表、そしてまたその研究の結果としまして学生たちを教育するという、そういう自由というふうに思います。で、憲法で言っておりまするのは、その学問の自由というものを保障しておるのではないか。その学問の自由と、それから教育ということについて、どういうふうにその成果を発揮させるかという意味合いにおいて、この大学自治というものが手段として考えられている。こういうふうに私は思うのでございます。
○松永忠二君 言うたこと、質問したことに答弁しなさい。大臣、そういうことを聞いているのではないでしょう。いま話のように、学問の自由を保障するために大学の自治はあるということを話している。これが成文法では、「学問の自由は、これを保障する。」という憲法の第二十三条に基盤がある。それならば学問の自由を保障するための大学自治を認めているという立場から、文部省設置法では、文部省は……。
○委員長(塩見俊二君) 松永君、起立願います。
○松永忠二君 ちょっと、答弁が違っておるから言うのです。指導と助言を与えるということを言って、監督、指揮と書いてない。あるいはまた公務員特例法では、いわゆる人事についてはこれを規定をしている。これは大学の自治を認めているという立場からの規定かどうかということを聞いているのです。そんなあなたの答弁のようなことを聞いているのではない。
○国務大臣(坂田道太君) さようでございます。
○松永忠二君 そうですね。わかりました。失礼ですが、聞かれたことを言われてください。 そこで一般的に入試の取り扱いについてお尋ねをするわけでありますが、これは国会の予算委員会の答弁で文部大臣が言われておるのは、東大の入試にあたって学校教育法の施行規則で、学生の入学は教授会の議を経て学長がこれをきめるということは規定があると思います。これは平常の場合であって、今日は非常の場合だから、大学側と協議をしてきめたのだ。協議ということは、権限のあるものと権限のあるものがお互いに相談をすることであって、権限のないものが権限のあるものと相談するときには話し合いだと思うのです。十二月の末に、入試の中止で合意に達したことは事実だけれども、これに対して抗議を加藤代行がしているのだから、つまり権限のあるものが承知をしていないわけです。したがって、文部省の文部大臣が、協議が成り立たないから中止をしたというのは、これは法律的に違反であると私は思うのです。また、今度の第一期の大学の入試にあたって通達を出した。あらかじめきめた入試の方法を変更する際は文部省と協議をしてきめることということを言っている。またまた権限のないのに権限のあるものと協議をするという形で、自分の意思をそれに干渉という形で反映をしていこうとした。私は話し合いをすることは否定をしないけれども、そういう形で干渉をしていくというのは、これは違法ではないか。非常の場合だからこそ私は法律を守るべきだと思う。非常の場合であるならば法律を守らなくてよいということが一体言えるのかどうか、大臣の見解を聞きたいのであります。
○国務大臣(坂田道太君) 十二月の段階におきまして入学試験を実施する、あるいはしないということについては、文部省としましても、予算の問題もございますし、それからまた、もし中止をした場合におきましては、その志願者をどうやって国立大学へできるだけ試験を受けさせてあげるかというような問題もございますから、最初から東大当局とわれわれの間におきまして協議をするということに合意をいたしたわけでございます。いま先生は、抗議をしたからとおっしゃいましたけれども、実を申しますと、その抗議という意味は、正常化をしてそして入学実施をするような環境を一日も早くつくる、そういう意味で抗議をするということで、われわれは決して干渉をいたしたとは思っておりません。
○松永忠二君 加藤代行は、政府は大学の自主的判断を尊重し、信頼すべきものと考える、政府が判断すべき範囲を越えて拒否されることに抗議をする、こう言っております。したがって最初の段階では、大学側はこれに対しての意思は、やりたいという意思なんであって、それが権限のあるものの決定なんです。それに対して、協議をしてそれが成り立たぬからだめだということは、これはいま言っておる指導助言の範囲を越えたものではないですか。それを違法だと言わなくて、一体何を違法と言うのですか。
○国務大臣(坂田道太君) 十二月の段階におきまして三つの場合が考えられたわけでございます。合意をしてそして中止をする、合意をして入学実施をする、そうして、合意がととのわない場合はどうするか、その場合は事実上中止、ということはお互いの間に了解がついておったわけでございます。
○松永忠二君 合意に達しないとしても、権限のあるものがやりたいと、こう言ったならば、これはやはりその際にそれを認めるのが、権限のないもののやり方じゃないかと思う。抗議をしてそれに異議を唱えている以上、権限のあるものがそれに対してこれをやろうと、こういう決定をしている以上、それを、合意がなければそれがやれないということは、指導助言ではなくて、そういうことを権限のないものが実施をしたということになりはせぬか。
○国務大臣(坂田道太君) 東大のほうは中止にきめられたわけでございます。
○松永忠二君 中止にきめることについて抗議をしているわけです。だから、あなたのほうは、話し合いができないから、協議が成り立たぬからだめだと、こう言うけれども、片方はやりたいと、最終的に言えば、権限のあるものに対して指導助言をしたけれども、それは決定できなかったということになって、向こうの意思が通るというのが、それが法律的な解釈じゃないですか。
○国務大臣(坂田道太君) 法律的解釈は別といたしまして、向こうが事実上中止をされたわけでございます。
○松永忠二君 法律的解釈とは別だというのはおかしいじゃないですか。非常の場合だから法律にあることを無視してもいいのだとは言えないわけだ。だから法律には指導助言と書いてある以上、片方がやりたいとなれば、それを認めざるを得ないいまの状態なんです。それを協議が成り立たぬから、私が反対したからだめです、と、だめだからやめたのであって、やめたからそれを承知したというわけじゃない。それなら抗議が出るはずはないじゃないですか。もっとこまかにはっきり言ってください。
○国務大臣(坂田道太君) 最初からこの問題については協議をしてきめるということの了解がついておるわけでございますから、東大が最終的には自主的に判断をされて中止に決定されたわけでございます。
○松永忠二君 これはやはり問題として残ると思うのです。 そこで、よく文部大臣は、私は教育行政の責任者として黙っていられませんとか、あるいは総理大臣が、国の最高責任者としてこうこうだと、こういうふうなことばを使われるわけですけれども、私は教育行政の責任者だから、国の責任者だから、何でもきめられるというわけではないと思う。法律に基づいて、法律を守る責任があると思うのであって、こういう言い方は非常に誤解を受けるということを私は思うのですが、総理大臣ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ずいぶん話が食い違っているようですが、政府のやっていることは指導と助言、それ以外にはございません。で、政府自身がやめさしたというものじゃない。しかし十二月の段階においては、これは両方で話し合って、そうしてやめることも一たんきめた。それで、しかもそれが話し合いができなければやめるということになった、それまでのことは、先ほど文部大臣が言ったとおりなんです。しかし政府自身が、どうしてもおまえそれをやめろと、こうはいかない。むしろ権限があるものだからおれはやるのだとおっしゃって、とにかくおやりになればどういうことになったかというだけのことです。
○松永忠二君 やってもいいんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いいとは思わないですよ、常識的に。いまのような状態で私はいいとは思わない。だから私は政治的判断で、政府がやるべき指導と助言はしておる。それを指導と助言を、権限がないのだから、権限どおりおれはやるのだといってかってにおやりになるというと、そのときに政府は黙っていない。指導助言、どういうわけであなた方は助言を無視するのか、それを世間に問わなければならない、私はそういうものだと思う。大学においても一たん抗議はしたけれども、この指導助言はもっともだと思ってやめた、これがいまの現状であります。これがそのままお認めになればおわかりだ。だからその他の場所において、現にこれがもし予定したものを変更するものならば、これは文部省に連絡してくれ、こう言ったから、これは別に干渉じゃない、これは政府のやるべき助言、当然のことだと思う。それこそやらないと、ずいぶんおかしなことだ、私はかように思います。松永君はとにかく教育には長いこと携わっていらして、このことはよく御承知のはずなんです。
○松永忠二君 いや、私の言うのは、聞いているのは、最高責任者としてという言い方をいつも使われるが、それは誤解を生むのではないかということを言っておるのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 誤解は生まないと思います。法律は守って、私自身が大学の自治に干渉するとか、そういうような立場ではございません。このことはさっきも最初にまず確かめられた、私はそのとおりいたしますと、かようにはっきり申しております。しかし私どもの持っておる本来の助言、それができないような状態ではございません。そこだけはもうよく御承知のことだと思うのですけれども、国民にはこういう問題が起きたことだけよく理解していただきたいと私は思います。
○松永忠二君 やめたほうがよかったか悪かったかという政治判断を私は言っているのじゃないんですよ。いましかし総理大臣が、それが指導助言であって、話し合いをした結果向こうが了解をしてやめたんだと、そういう指導のしかたをしているのですと、こう言うなら私は理解できます。 そこでよく総理大臣は、東大の確認書は平常の中でできたものじゃない、ああいう環境のものでは認められないというようなことをおっしゃるのですが、これは私は事実と相違していると思うのです。十二月の二日に加藤代行が提案を出して、そして十日に不満や誤解があるというので学生に訴えられて、十二月二十六日には七学部の代表との間に非公開の予備折衝をやって、生徒の原案等も検討して、そして基本的な見解を発表している。一月の九日には確認書の案について大学と学生の代表で予備折衝して、そして一月十日に例の秩父宮ラグビー場で行なわれて、そのまた夕方に神宮の日本青年館で七学部の代表と加藤代行との間に調印が行なわれ、二月九日に学部長の会議、評議会が承認をし、学生側は各学部の集会で承認をして合意した。これだけの慎重な経過を経ているのに、これを平静にやられたものではないとか、あるいはああいう環境じゃまずいというのは、一体どういうことなんでしょうか。私はその点をお伺いをしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 松永君にお答えいたしますが、大体こういう大学の管理の問題、そういうものは管理者の責任においてやるべきことであろうと私は思います。これがああいう八千人も集まって、そうしてその監視の中でそういうものをまとめるということは、そういうことは普通の状態でしょうか。私はこれが異例でなくて何が異例かと実は申し上げたいんです。こういうことこそ異例ではないか。いま言われるように、それまでにはいろいろな手続を経たと言われるけれども、しかし、このラグビー場におけるあの問題以後において、それぞれ教授会なり評議会がこれを承認したらと、また学生全体がこれを承認したらと、そういう条件がついているはずなんです。こういう事柄は、これはもう普通の人が考えれば必ず異例のことだと考えますよ。これが異例ではないとおっしゃるんですか。これははっきり聞かしていただきたい。
○松永忠二君 私は、確認書を手渡したりする問題については従来とは違っているということは、あとから申し上げるけれども、これだけの慎重と交渉を重ねてきているのに、平静の間にやられない、ただあそこの秩父のグラウンドの状況だけ見て、あれじゃいかぬという言い方は、これはおかしいということを申し上げているんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ラグビー場の事件については大体異例だとお考えだと思うから、それより以上は申しません。しかし、この確認書そのものについては、政府は法制局におきまして十分検討さして、政府の意見を文部省を通じてこれがやはり進言しておる、こういう経過でございますから、これまたいわゆる干渉だとか、とやかく言われる筋のものではない、この点を御了承いただきたいと思います。
○松永忠二君 だから私は相当な慎重にやられたのであって、あそこの事態、そういうものを、確認書を手渡すというのは従来になかった状態だという、それはいいけれども、内容そのものにはそうだと思うんですよ。なお文部大臣は、この文部省の見解でも、全体として不確定の要素を持っている、それからまた、将来の大学のあり方というような長期の問題について、こういう紛争の過程で要求するという形で打ち出されるのはいかぬと、こうおっしゃる。しかし、事は問題として、大学の改革という問題から紛争が起こったんだから、基本的な問題に触れるのがあたりまえのことじゃないか、またそういう問題だから、ばく然たることばを使うのも当然なことじゃないか、こういうことについてひとつあなたのお話を……。ちょっと待ってください。そしてあなたはよく——これは総理もそうですが、大学のきびしい姿勢が必要だということをおっしゃるわけですけれども、そのときには必ず大学の改革についてのきびしい姿勢を要求をすべきだと私は思うんです。その二つについて見解をお聞きしたいわけです。
○国務大臣(坂田道太君) お答えいたします。 確認書が非常に不確定だということは、これはだれでも認めることじゃございませんでしょうか、そう思うんです。というのは、加藤執行部それ自体、おっしゃるとおり十二月二日に提案をされた。ところがこれがわからない。だれにもよくわからぬわけです。それから十二月二十六日に「基本的見解」を出しました。これもまたそれぞれわからない。学生もわからない。教授たちもわからない。それから法学部ではまた法学部の見解が出てきている。法学部の間ですら問題がある。また各党においてもいろいろやっておる。そこで七学部の集会、いろいろやって、結局その中で十五項目だけが一応学生側と、それから当局と批准をした。その一月の二十八日、加藤君はこの分厚な説明書をつけたというわけでございますね。そういうふうに加藤執行部自身が三回もこの「基本的見解」や説明書を使わなければわからないようなものなんです。それは紛争処理の手段としてあの提案がなされたというところにあるわけでございまして、しかもまた、これは私たちが法制局から法律的見解、及び、単に法律上許されるとか許されないとか、違法とかどうとかいうのじゃなくて、最高学府の少なくとも東大のたたずまいといたしましては、良識と良心の府でなければならない、したがって教授として、あるいは学生としてどうあらねばならないかという教育上の見解、妥当性というものが問題にされなければならないという意味合いにおいて、私どものほうで文部省の見解というものを向こう側にお渡しいたして考えていただきたい、こう指導助言をいたしたわけでございます。これにつきまして、加藤執行部のほうでは、いろいろ世間でこれをわからぬとか何とか言っておるけれども、最終的にはこの自分の一月二十八日の解説書をあわせ読んでいただきたいということを特に私どもに申しておるわけでございます。 ところがそれにつきましても、なおかつまだ問題が残っておる、こういうことで、今後もいろいろ話し合いをいたしましょう、また向こう側もそういたしましょう、こういうことになっておるわけでございまして、やはりこの確認書というものが、総理からお話がございましたように、ああいう異常な状況のもとにおいて取りかわされたものであって、もし、これが大学の、新しい大学をどうすべきかという問題にかかわるような問題については、やはり慎重に取り扱われなければならないということで、加藤執行部におきましても、むしろ新しい大学像、新しい東大像というものはどうなくちゃならぬかということについて、非常に慎重に、外国の文献等も取り寄せられて、目下検討なさっておられるわけでございます。
○松永忠二君 きびしい姿勢について。
○国務大臣(坂田道太君) これはもう当然なことなんで、いままで東大に関しましても、その他の大学でございましても、暴力まかり通る、そうして学ぼうとする学生や、あるいはまた研究をしようとしておる教授たちの、いわゆる憲法で保障されておる学問の自由というものが、この暴力の横行によって危機に瀕しておる、奪われておる、こういう実態から考えますならば、私たちに責任があるとするならば、何でもう少し指導助言して、それを大学管理者としては、国民に対する責任として、大学というものが今日問われておるんだということで、なぜもう数年前に社会に対応するところの大学改革案を御提出されなかったのか、こういう意味合いにおきましても、あるいは無法まかり通るようなこういう状況ということについての管理者としての、教育者としての、学者としての良心と良識があるならば、き然たる態度でやるべきであった。おいおいこのごろき然たる態度が少しほのかに見えつつある、こういうことだと思うのでございます。
○秋山長造君 ちょっと関連。あのときの経過を冷静に振り返ってみる必要が私はあると思うんです。先ほど総理大臣は、八千人もの人が集まってああいうことをやったのは大体異常だと、非常に非難をこめた御発言があったんですが、しかしそれは事実と違うんじゃないですか。あのときは政府自身も、一人でもたくさんあの秩父宮ラグビー場の集会に集まってほしい、こういう気持ちじゃなかったんですか。したがってあの八千人から集まったということは、一応の成功だったという感じをあなた方はあのとき持たれたはずだ。また、そういうような意味の発言を政府筋、与党筋からだんだん責任者がなさったと思う。それから文部大臣自身も、第一あのラグビー場の会場なんかを急に調達するについても、相当陰ながら協力されたんじゃないですか、文部当局としては。
○国務大臣(坂田道太君) 委員長。
○秋山長造君 まあまあちょっと待ってください。 斎藤次官がやめられたときに、新聞で私は拝見したんですけれども、新聞にもそういうことを、陰の努力は自分らもしたんだと、しかし、しょせんは宮仕えの身は一場のピエロだったというような意味のことを語っておられたじゃないですか。だからね、あのとき、少なくとも差し迫ったときに、あの局面を切り抜けるためにああいう形で交渉が行なわれ、そしてああいう確認書が取り結ばれたということは、あなた方も大筋としてはまあまあこれでよかったと、ほっとされたんじゃないですか。これが私はその当時の実情だと思うんですよ。それをだんだんあとから、与党のほうかどっからか、あんなものはだめだということの動きが急に出てきたもので、にわかにあなた方もほっとした気持ちを早忘れて、また少し開き直るような感じになってこられたんじゃないですか。私はこれがあのときの事実の経過だと思うんですよ。だから、あのときの気持ちに振り返って、あんまりだめだだめだという否定的な、手のひらひるがえしたような態度に出られるということは、ちょっと人の弱みにつけ込んで、いささか火事どろ的に、ということばは失礼ですけれども、それ的に、失地回復でもはかられるような動きに文部大臣自身も乗っておられるんじゃないかという誤解を私どもは持たざるを得ない。誤解じゃなく事実かもしれぬけれどもね。だから、そこらをもう少し、あのときのあなた方の非常に差し迫った気持ちがほっとされた、これは間違いないですよ。あなた方、あのラグビー場であれだけ集まったということ。それをいま総理大臣は、八千人ようけ集まったことが悪かったような話になってくるんですからね。これはちょっとどうですか。(「正直に言いなさい」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(坂田道太君) 私は正直に申し上げたいと思います。そして私は当事者でございますから、世間でいろいろございますけれども、十二月の段階では加藤執行部も中止と決定したんです。一応ということじゃないんで、中止と決定し、私の行政措置につきましても……。
○秋山長造君 しかし、その後もあなた……。
○国務大臣(坂田道太君) いや、そういうことで、私が説明するのを静かにお聞きをいただきたい。 そこで、しかしながら、私はあのときに、あえて、一月の十日か十五日ごろ復活のことがあるかもしれない、しかしそれはその時点にしていただきたい、こう申し上げております。そして私は、それはあえて奇跡ということばを使ったわけです。ということは、なかなか復活というものはむずかしい、加藤執行部もそのときは、やってみないことにはわからないとまで申しておるわけでございまして、十二月の段階においてはなかなか入試を実施するという状況ということについては、加藤執行部自身と私との間においても、そう変わりはなかったわけです。ところが、七学部集会を開きまして、加藤執行部といたしましては——これは学外でですよ。学外で、警察官に守られて、学外者を入れないという形において、異常な事態においてああいう平穏な状況がかもし出された。もちろん二、三百人の共闘会議が最後の段階ではおどり込みましたけれども、一応は平静の状況においてあれが行なわれた。そして、集会が終わって、そのあとでひそかに確認書というものが相談されたわけなんでございます。それが実態なんです。あれを異常と言わずして何を異常と言うかと。普通ならば学内で集会をすべき性質のものなんです。それを外部でやらなければならないというところがまさに異常なんです。しかも、警察官に守られて初めてああいう平穏な状況になった。ところが、そのことに関しまして、大学側は、何か自分たちの自主的な力で八千人が集まったと、こういうふうに錯覚をしておられるところに、管理者としての社会的責任について甘いのだ、もう少しき然としてほしいということを私は申し上げておるわけでございます。
○秋山長造君 簡単に。その大学の態度に対して、いまのような言い方をされるかされぬか、それはあなたの主観的判断でおっしゃるのだから、それはそれなりに聞いておきますが、ただ十二月十二月と、もう十二月の末で入学試験は中止しておったんだ。そればかりあなた強調されますけれども、それはなるほど形の上ではそういうことかもしれぬが、しかし、少なくとも国民に与える印象というか、われわれの、文部大臣がどう出られるかという見方からすれば、やはりあなたはそうは言いながらも、まだ弾力性を、ゆとりを持たしておった。だから形の上ではどうであろうとも、実質的には一月の十五日ごろまでに何とか問題がある程度おさまって、そしておさまるならば、この入学試験をやはりやるべきだ、やらしたい、こういう気持ちであなたおられた。国民にもそう思い込ましておった。それから秩父宮ラグビー場の問題でも、いまだからあなた方はそういうふうにおっしゃるけれども、あのときのあなた方の気持ち、私どもも同じですが、ほっとした気持ちを持たれたと思うのです。しかも、あの安田講堂のああいう事態というものは、これは異常です。これはだれが考えても異常ですが、そうであっても、大学自身が入試をやる、大学自身がぜひこの際やらしてもらいたい、入試をやることがまたこの問題を解決することにプラスになっていくんだという、このひたすらにその評価をし、そういう判断をして、そしてやりたい。こういうのを、とにかくどっからか急に文部大臣にブレーキがかかったんかなんか知りませんけれども、われわれが見ておった文部大臣の態度が急に変わったことは間違いない。それであなた、大学自身がやりたいと言うものをやらさずにおいて、今度三月三日のあれはどうですか、一期校の。今度は万難を排して、どんなことがあっても万難を排して、学外でも何でもやれということを、あなたも談話を発表された理由でしょう。大学局長も通牒を出されたですよ。ちょっと一貫してないじゃないですか、そこらが。
○国務大臣(坂田道太君) 国民に対して責任を持っておりまする文部大臣としましては、その九九・九%不可能であっても、〇・〇一、〇・〇〇〇一くらいの、つまり奇跡と考えるような状況であっても、最後の瞬間までこの三千九百名の人たちを何とかしなければならないということについて努力をするということは、あたりまえのことだと私は思うのです。その気持ちの表現が、あるいは先生方にそういうふうに受け取られたと私は思うのでございます。そしてまた……。
○秋山長造君 〇・〇〇〇ということではなくですよ、そんなことはない。
○国務大臣(坂田道太君) 東大始まって以来、警察官導入というものをみずからの意思によって要請をしたということはございません。こういうようなことをあえてして、なおかつ入試実施をやろうとしたこの加藤執行部というものは、私は評価をいたしております。それについて私は、あくまでもそのことについては協力をしてあげよう、こういう形でまいったわけです。しかしながら、その七学部の集会ということの異常であるということにつきましては、そしてそれについて、そういう警察官に守られて平穏な状況になったということについては、やはり冷厳に私たちは見なければ、客観的に見なければならない。私は、加藤執行部のその入試実施への、あるいは教育正常化へのその努力というものにつきましては、ほんとうに頭の下がるような評価をいたしておる一人でございます。
○秋山長造君 評価をしておるならしておるようにやったらどうですか。
○松永忠二君 あまりこちらの言うことを、何でも逆にというか、反揆するというのではおかしいですよ。確認書が全体としてばく然でなければ、基本的な問題に触れるからばく然たるものになるのはあたりまえではないか。暴力をきびしく叱責すると一緒に、大学の改革をきびしくやらなければいかぬということをなぜ言えないかということを言っているのです。
○国務大臣(坂田道太君) 大体まず暴力を排除しなければ、ああいう不法な状況下にあって、何で大学というものが新しいのができますか。そして大学問題というものは、あなた方が御質問になりまするように、いろいろの複雑な問題があるわけなんです、根底に。したがって、これに対しましてやはり慎重なかまえで大学問題と取り組まなければいけない。即効薬でこれを解決しようというようなことは、私は今日の大学問題を解決することではないと信じております。
○松永忠二君 確認書の中の、学生の地位とか権利の問題についてお聞きをしたいのですが、加藤代行が、学生はかつてのように、単に教育される立場にあるのでなく、大学の一員として固有の要求を持つものとして存在している。教授と学生とが、それぞれの立場に応じて固有の権利と利害を持ちつつ、全体として一つの大学社会を構成していくという大学像が必要だ。学生、院生、職員は、それぞれの固有の権利を持って大学の自治を形成していることは、理念として認められてよいことである。この理念が具体的にどのような形をとって現実化していくかは、個別的に今後検討し、実際には慣習法として形成されていくしかない。京都の奥田学長も、学生の盛り上がる力なくして大学自治は守られない、学生の大学での地位の評価をしなくてはならない、学生の固有権は私も同感だと、こう言っているのですが、この考え方のどこに一体非難すべきものがあるのか、総理の見解を伺っておきたいのであります。
○国務大臣(坂田道太君) この固有の権利ということばがどういう意味か、これは実はわからないわけなんで、加藤君の、加藤執行部の見解は、だんだん説明書を読んでみますと、最初は、団体交渉権というようなもの、労使関係の団体交渉権みたいなことを考えるような表現でございましたけれども、あとの説明を見ますと、そうではなくて、簡単に言うならば、人事権とか、あるいは予算執行権とか、そういうような問題には、交渉の内容にはないのだと、こういう意味で、むしろ学生の意思を、希望を表明する、そういう謙虚な、そういうものがあると、こういうふうに読むならば、私も同感でございます。
○松永忠二君 ところが、今度は逆にこういうふうな考え方も一面ある。学生が授業なり施設なりについて大学に対して希望を表明することは自由である。大学はそれに耳を傾け、できる限りそういう要望にこたえるように努力すべきだ、学生の自治は必ずしも大学固有のものではない。小中学校や高等学校においても、内容や程度において差がありながら認めている。学内生活についても、高校生以下の場合よりはるかに大幅に自治が認められてしかるべきだというのが東大パンフです。それから中教審は、教育され管理される立場にある学生の意見と判断を大学の意見形成の過程に入れるには、学生の参加する機関の決定は、上位機関に対する勧告または建議だと、こう言っている。これで一体いまの学生が納得をしますか。私は前の程度のこういう固有の権利もあるということが至当だと思うが、あとで納得されるだろうという、そういうこと、これに対する見解をひとつあわせてお聞きしたい。
○国務大臣(坂田道太君) このまさに学生の地位の問題について、あるいは学生参加の問題については、東大においてもほかの大学においても、まただれでもまだ定見がないのです。したがいまして、こういう問題はやはりゆっくり——ゆっくりじゃない。じっくり検討すべき問題だということで、まさに第二十四特別委員会において検討をいたしているわけでございます。そうして近くこれが発表になると思うわけでございます。しかしながら、とにかくいままで学生の希望表明というようなものをくみ取らないような仕組みになっておった、そこに問題があったという御指摘については、私も同感でございます。
○松永忠二君 私は、まあいまのような、小中学校にも認められているけれども、それよりちょっと大幅なんだという、それは勧告と建議だけだなんというようなことじゃ、いまの学生はとうてい承知しない、この考え方のほうにむしろ無理があると思うのですが、確認書の取り扱いです。これはその大学が学生と話し合って、そうして確認書をつくり上げた、教育上の結果生まれてきたものだと私は思うのです。したがってこれは認めるとか認めないとかいう筋合いじゃなくて、文部省の天城事務次官がこういうことを言っている。指導助言を続けて運営のしかたを見守りたい。大学内で大学改革に対する意見を述べることは、文部省も否認しないから、東大当局がどんな運営をするかにかかっているというふうな話をされておる。これは私は正しいと思うのだけれども、こういう取り扱いのしかたをしていくつもりなのかどうか。
○国務大臣(坂田道太君) この確認書を教育的な意味において取り行なわれてきたというふうには、どうしても私は思われないのでありまして、これは紛争処理の手段として考えられるというふうに思います。それからもう一つは、大学の再建の問題について、第一義的に東大自身で、あるいはほかの大学でもお考えいただくということは望ましいことでございますし、先ほども申し上げますように、こういう問題が五年前あるいは十年前に、大学自治を叫ぶ大学であるならば、出てこなければならなかったのであると、ようやく今日そういうような機運が出てきた、あるいはきざしが見えてきたということは喜ぶべきことである、かように思います。しかしながら、たとえばいま御指摘になりましたような参加の問題については、もう各党でもまちまちでございますし、それからまた、法学部の間でもいろいろ議論のあるところであります。そういうわけでございますから、やはりそこに一つの、国民的コンセンサスでもございませんけれども、やはり衆知を集めまして、こういうような参加の問題についての限界、たとえば学生と教授との間においては同質同等の権利というものの主張というものがいかがかというようなことも考えられるわけでございまして、大学生が大学生である限りにおいて、それは何といたしましても、片方は教授する身分であるし、また受ける学生は、教育を受ける立場にあるわけなんでございますから、そこにやはり同質同等という考え方は、これはおそらく共産党の方でも同質同等とは、お考えになっていないのじゃないかと、いろいろの文書を読みますと、そういう気がするわけでございます。非常にこれはやっぱり基本的な問題でございますから、十分やっぱり中教審等において検討しなければならぬ課題だと考えるわけであります。
○松永忠二君 取り扱いについてと言っているのですよ、取り扱いについて。
○国務大臣(坂田道太君) そこで、これはやはり一応東大当局において、それは紛争処理の手段としてお考えになったわけなんです。その次には東大再建の改革案もいま諮問され、その調査報告等も出ておるわけでございますから、次第にそういうようなことが出てくると思います。私どもも、違法性のあるもの、あるいは教育上妥当でないものにつきましてはどんどん指導助言をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○松永忠二君 認める、認めないという性質のものではないと思うのですが、それについてはどうですか。
○国務大臣(坂田道太君) 第一義的には、何と申しましても東大当局でお考えいただくということがいいことだと思いますし、それがまた違法性があったり——おそらくそういうことはなと思いますけれども、あるいはまた不当なところがあるというようなことがもしあるとするならば、それを指導助言をいたすことは、あるいは御協議を申し上げることは、あるいは話し合いをすることは、これから新しい大学をつくっていく東大としましても、また全国民に対して、納税者としてのやはり責任をわれわれは感じなければならぬわけでございますから、文部大臣としても十分それに対して指導助言をしていきたい、かように思います。
○松永忠二君 警察官の導入の問題について、私はその大学当局が要請をして警察官を入れる、その際に教官の意思の統一が十分にはかられないとか、その時期が必らずしも適切でなかったという点は、これはやはり認めざるを得ないと思うのです。ただ公安委員長は、これは敗戦ショックから抜け切れない人たちの警察官アレルギーだ、暴力アレルギーだというふうに簡単に言われているけれども、学内の自由、大学の自治を外部から侵す最も大きな力は二つである——国家権力と警察権力。これは歴史が示している。真理を探求することを第一としている大学は非権力的な団体であって、実力装置そのものである警察とはこれは違う。こういうふうな意味で、私は、こういう点について公安委員長はどういう理解をされているのか、お考え方をひとつ聞きたいのであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 数回、国会を通じてお尋ねの件につきましてはお答えしてきておるつもりでありますが、およそ大学の研究、学問の自由、大学の自治ということと警察権というものは全然無関係だと思います。ただ、そこに法律が許さない、憲法が許さない、警察の責任を果たさねばならない不法事案がありますときに、初めて関係を持ってくる。本来大学は、一件たりといえども、そういう警察が権力というか、責任を及ぼさなければならない事案というものは絶対に起こさないというふうにする大学の管理者の国民に対する責任があるぐらいの場所である。およそ関係のない事柄について警察が法を無視してでも不当に介入するような意味にとれそうな言動等がありますことを、実はあわれに思っておる次第であります。
○松永忠二君 いま、敗戦ショックだとかアレルギーだとかということじゃないのだというお話であります。そこで、いま機動隊が大学と事前の打ち合わせもなくて構内に入っている。これは市民の生命や生活を守るという刑事警察の立場から、そういうことをやられていると思うのだが、公安警備警察として警察の情報活動を行なうのとは違うという判断をしているのじゃないかと思うのですが、その点の考え方。 それからまた、学校構内における集会、集団行進、集団示威運動等の取り締まりについては、当該学校長が措置することをたてまえとして、要請があった場合警察がこれに協力するということを、東京都と文部大臣と警視庁の総監が協議をして、各大学にこれを通知をし、現在そういうものがこれは生きていると思うのだが、これはどうなのか。文部大臣と公安委員長の、あとの問題、意見を聞きたいと思う。二つお願いします。
○国務大臣(坂田道太君) 生きていると思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 警備の意味合いでありましょうとも、あるいは防犯の意味合いでありましょうとも、犯罪を予防し制圧する責任を持っております警察が情報を収集したりしますことも、当然の警察の責任とされておることは、松永さんも御承知のとおりでありまして、これは大学でありましょうとも、あるいは街頭、一般社会に対する関係でありましょうとも、同じであって、法の前には平等であるという考えに立って行動をいたしておる次第であります。 それから第二の御質問の、旧警察法の時代であったと思いますが、二十九年に警察法が改正をされましたことは御案内のごとくであります。旧法でありましょうとも、新法でありましょうとも、第二の問題は、これは事柄としては同じことだと思いますが、当時の警視総監と当時の事務次官でありましたか……。
○松永忠二君 剱木文部大臣……。(「次官です」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事務次官と当時の警視総監との間に取りかわされておる、東京都公安条例の学校に対する関係におきましての一種の申し合わせ、相互了解事項みたいなものがあることは、私も承知しておりますが、それは文部大臣からお答えしましたように、生きておることは事実であります。ですけれども、これは本来の警察権ないしは警察責任そのものとは関係のないことだと理解しておる次第であります。集会あるいは集団行動等に対する一種の取り締まり内容を持ったのが都の条例だと存じますが、それが学校内で行なわれるときに、その学校の学生生徒を、大学なりその他の学校当局が主催し、指導しながらやりますことは、もちろん言わずもがな、その学校自体の管理権下で行なう、警察とは関係ない。ただ、外部の者が入っていって集会等をやりますことは、その学校の管理権者の管理下において認可ないしは許可がなければやれないことだと思いますが、そういうことは大学当局固有の管理権下において処理するんだ、むろん警察とは関係ないのだという内容であると思うのでありまして、その申し合わせがありましょうとも、ありませんでも、冒頭の御質問にお答え申し上げた態度で警察としては臨むべきである、こういうふうに理解しておる次第であります。
○松永忠二君 この申し合わせと警察とは全然本質的に関係がないということは、どういうことですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 念のために、警視総監の都民に対する責任と、文教関係、学校の管理権者との間に、公安条例の解釈について疑義をなくする、いわば行動半径をはっきりするということのための申し合わせであって、その申し合わせ的な内容と——それは現在も生きておりましょうけれども、警察法に基づく警察の責任なり権限を行使し責任を果たすという課題とは関係がない、こう申し上げた次第であります。
○松永忠二君 それは明らかに違いますよ。ポポロの事件の最高裁の判決のときに、大学の施設と学生の管理についても、これらについてある程度で大学に自主的な秩序維持の権能が認められるという判決がされておる。そういうふうなことからしてこういうふうなことができたのだ。これが生きている以上は、ここにはっきり書いているように、警察が学校内における集会や集団の場合のときの取り締まりについては、当該学校長が措置することをたてまえとして、要請があった場合警察がこれに協力するといって、このある程度のいわゆる大学の自治を認めたわけです。これは全国の大学と警察と相談しなさいということの事務次官の通達があるのです。これは、こういうお話ならば、最高裁の判決にもそむいていると思うのですが、これについてまず、法務大臣、こういう判決について、こういう権利のある程度あるということを最高裁で認めているという点についてお聞きをしたい。
○国務大臣(西郷吉之助君) お答え申し上げますが、いま松永さんのおっしゃったとおりの条文が判決にございますが、ご承知のとおり、いま再び最高裁で係争中の事件であることを申し上げます。
○松永忠二君 係争中であれば、前の判決が効力を失うんですか。
○国務大臣(西郷吉之助君) そういうことは申し上げておりませんので、判決の中にそういう文章のあることは、そのとおりでございます。ただ、現状は再び係争中であるということを念のため申し上げたわけであります。
○松永忠二君 それならば、ある程度自主的な秩序維持の機能が認められているという判決は、具体的にどういうことをさしているんですか。
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど来、松永さんもおっしゃるとおり、憲法二十三条に学問の自由の規定があります。また、それを全からしめるために、大学の自治ということが伝統的に認められておるわけであります。したがいまして、いまの判決の条文にもあるとおり、大学の自治ということは尊重しなければならぬ、かように考えております。
○松永忠二君 この、ある程度大学が施設についても秩序維持の権能が認められているところから、こういう相談をして、これもこういうことでやった。この条例が、この覚え書き、協定が生きているのに、警察と関係ないというのは、一体どういうわけですか、公安委員長。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 関係ないと申し上げましたのは、東京都の公安条例はいわば東京都の固有事務としての警察的な立場に立って出された条例だと理解いたしますが、それは集会とか集団行進等が正常に法令の範囲内において行なわれなければならないというふうな趣旨のことが条例の形で出されました事柄でございまして、そのこと自体は、ただ集団行動その他がいま申し上げるようなことを要望したことでありまして、それが学校という関係を持ってくるかもしれない。その場合には、学校の管理権者が条例の趣旨に従ってきちっとおやりなさいということも含むわけでございますから、そのことの疑義をなくするために、文部省と当時の警視総監との間に、その守備範囲をはっきりする意味において一種の申し合わせ的なものができておる。それを当時の文部次官通達かで各学校にも全国的に通達されておる、こういうふうに承知いたしております。警察庁の立場におきましては、あらためてそのことを全国に通達はいたしておりません。繰り返し関係がないと申し上げますことは、不法事案がありますときにはむろん関係を持ってまいりますけれども、そうでなくて、学校との関係があって、集会、集団行動等があったということだけで警察とは関係があい、こういうことを申し上げておるので、それはあくまでも学校の管理権者の良識に従って行なわれるはずですから、適法に行なわれるはずですから、警察とは関係がない、こう申し上げました。もしそれ、そうでありましても、不法事案が起こりましたならば、原則論に立ちまして関係を持っていくし、権限も行使することもあることは当然だ、こういう意味合いで申し上げた次第であります。
○松永忠二君 公安委員長。憲法にきめられた学問の自由から大学の自治を認め、それに基づいて判決をして、施設について大学の自主的な秩序維持の権能がある、こういうことからこれをつまり解釈をして、こういうものをつくるという、こういう関係については全然関係がないのか、これと関係があるかどうか、その点をお聞きいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 もう少し具体性を持ってお答えする必要があると思いますので、政府委員から御説明いたさせます。
○政府委員(川島広守君) お答え申し上げます。 ただいまお尋ねの問題は、さきに大臣もお答えいたしましたように、事柄は東京都の公安条例の解釈、運用に関する問題でございまして、あくままでも、御案内のとおりに、集会、あるいは集団交渉、あるいは集団示威運動等にいたしましても、秩序の範囲内におきまして行なわれるということを期待いたしておるわけでございます。そうでございまするから、この中にございますようなことにつきましては、あくまでも管理権者である大学当局、これが一時的に措置をして、そうして必要な場合には警察の協力を求める、こういうようになっております。 また、御案内のとおりに、もし犯罪がそこにありますならば、これはこれとは無関係でありまして、あくまでも東京都公安条例の運用に関する解釈適用についての内容でございますことは、これは御承知のとおりであります。
○松永忠二君 私の聞いているのは、憲法の趣旨、こういう判決の趣旨を、つまり拡大でなしに解釈をしていて、そういうことと、こういういわゆる秩序、まず学校内の意見を聞こうということと関係があるのか、全然ないのかということを聞いているのです。
○委員長(塩見俊二君) 文部大臣。
○松永忠二君 ちょっと待ってください。あなたが何もそういうことを言うあれはない。あなた認めている。憲法との関係を言っているのですよ。そういうことをきめたのは、こういうように認めているというところから、こういうことも許されるし、こういうこともいいんだということできめられているので、関係があると思うが、全然関係があるのかないのかということを聞いているのです。大学自治ということと関係があるのかないのか。
○政府委員(川島広守君) ただいまの協定ができ上がってまいります過程を若干御説明申し上げたほうがよろしかろうと思いますが、文部次官から警視総監に対してこの問題は当初照会がございまして、その照会に対して警察が回答をした、そういう中でつくられたものでざいます。したがって、警察の立場から申しますれば、いまお尋ねのような学問の研究云々ということだけでなくて、その中にも書いてあると思いますが、学問の研究ということのほかに、教育の場であるという表現も使われているはずでございます。あくまでも、警察側から申し上げますならば、これは公安条例の運用の解釈の基準を示したものにすぎない、こういう理解をわれわれはとっているわけでございます。
○松永忠二君 法制局長官のひとつ意見を聞きたい。
○政府委員(高辻正巳君) 御質問があることであれば、実はとっくの昔に調べているところでございましたが、ただいま判決を持ち出して見たところでございますが、ただいま御指摘の点は、大学の自治との関連で、大学の施設と学生の管理についてもある程度で認められる——これは大学の自治が認められる。これらについて、ある程度大学に自主的な秩序維持の権能が認められている。これも大学の自治の範囲内での問題であるわけでございます。 ところで、大学の自治というのは、先ほどもお話がありますように、学問の自由、これは御指摘がありましたが、学問の自由ないしは大学の自由の確保に使えるものとしてその存在を認められるもので元来はあるわけであって、それの自由と無関係な部面についてまで認められるものでないことは明らかなことだと思います。したがって、学問上の研究またはその発表のためにするのではなくて、もっぱら世間に通常の政治的あるいは社会的目的を遂行するためにする活動については、大学の施設で行なわれるものでありましても、大学の自治がものを言う筋合いではない、これはポポロの事件のときの大体の判決の趣旨であったと私は思います。そこで、文部大臣と警視総監との何といいますか、打ち合わせ協議事項でございますが、これは実は私自身が詳しくございませんために、これといまこの関係は必ずしも私は自信を持ってお答えできませんけれども、しかし、少なくも大学の自治がものを言う筋合いではない事項について、そこに不法な事態が存在すれば、警察が法の命ずるところに従ってその責務を遂行するのはあまりに当然なことであろう、そういう部面についての活動の制約が警察に課されるということはあり得ないんではないか、それだけ、基本的なことだけで申しわけございませんけれども、それだけは申し上げておかなければならぬと思いますので、一言それだけ申し上げさしていただきます。
○松永忠二君 研究していないものを聞いてみたって、それはしようがないですね。私の言うのは、つまり施設について自主的な秩序を維持する権能が認められているから、そこでそれの趣旨に基づいて、まあこういうことも第一次的に大学に認めてもいいのじゃないかということで、この趣旨を尊重して、それとは関連がある——これできめたというわけじゃないが、こういう考え方と関連を持っていると、こう言っているんですが、再度公安委員長、ひとつ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 いま法制局長官のお答えで、憲法との関連は一応尽くしておろうかと私も思うわけでありますが、大学が自治機能を持っておる管理権者である、その管理権の作用として、私は戦前の法学通論しか常識がございませんが、いわゆる営造物警察権というものは大学は持っておると思います。いまいうところの管理権の作用としての秩序維持の機能は当然あると思います。しかし、それは刑法犯罪をはじめ犯罪そのものに対する秩序維持という営造物警察権はあるはずがない。したがいまして、さっきも申し上げましたように、不法行為そのものを予防し制圧するという秩序維持につきましては、大学がみずからそのことをやるならば、あたかも共産党が主張しますところの自衛権の正当防衛の名に隠れた暴力ざたに及ばざるを得ない。実力を制止するのは実力をもってするほかにないわけですから、説得その他をすることによって暴力あるいは不法事案を未然に防止しもしくはぼやのうちに消しとめるということは管理権者の作用として当然あり得ると思いますけれども、実力をもって犯罪そのものを捜査し犯罪そのものを制圧するということに関連するかどうかというお尋ねであるとするならば、文部次官と警視総監との覚え書きというものは、警察とは関係がない、守備範囲の境界線をはっきりする意味において申し述べたにすぎないということを申し上げたつもりであります。
○松永忠二君 生きているかどうかということについて、再度公安委員長。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 生きておるかとおっしゃれば、公安条例との関連においては生きておるものだと思います。
○松永忠二君 それから、学生の暴力という行為をきびしく取り締まるということについては、私は否定はしていないのですけれども、学生の暴力行為というのは世界的であるというような点であります。つまり背景が非常に深いということであります。これは国連が、その国家発展における青年のための長期的政策及び計画に関する調査報告書というところに、「学生運動が激化した国が五十カ国、暴力的傾向が目立つ、若者たちが国家的な問題についてのみずからの力を認識しだすにつれて、果てしなく続いていく運動となり、中学校、高校生も続こう」、あるいは、アジアの平和と安全に関する日米専門会議では、「社会の多様化は、各個人が異なった価値体系を持ち、既成の権威はもはや価値判断の基準にはならない」というようなことを言っている。また、パウロ六世は、「学生たちの抗議の中に、現代の世界をわずらわしているすべての権威の危機が反映されている。いま必要なことは、たとえ学生たちに行き過ぎや暴走があっても、いたずらにおそれたり非難したりするのではなく、これらのおとなたちが、彼らの突きつけた問いを自分自身の問いとして、人類の文化のあるべき姿を模索しながら、若者たちとともに新しい世界の創造に実践的に参加することだ」、したがって、学生の暴力的な行動というのには、非常な深い背景と、これに対する世界の苦悩があるという、こういうことについて、公安委員長はどういう認識を持っておられるのか、お聞きをしたいと思う。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 第一義的には、これは文部大臣の守備範囲のことかと思いますが、私の認識を率直に申し上げますならば、世界でどんなに暴力が流行しましょうとも、わが日本の憲法が志向するところの議会制民主主義というものをでんぐり返すことにつながるぐらいの非難すべき行動だと思います。いかなるへ理屈をつけましょうとも、暴力は断じて許さない、これが日本の憲法の命ずるところと心得ております。ただ、おあげになりましたように、おとなが、それらの学生の暴力について、その心情を、心理学的にか倫理学的にか知りませんけれども、分析しながら、よって来たるところの原因を政治的に社会的に探究しつつ対応策を講じ、暴力という許されざるものが起こらないように、どうするかはむろん考えねばならぬ課題とは思いますが、それは私の守備範囲外のことでありまして、繰り返し申し上げます。暴力はいかなる理屈をつけましょうとも断じて許さないという態度で望むことが私の守備範囲の心がまえだと存じております。
○松永忠二君 じゃ、守備範囲の文部大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど私がお答えを申し上げましたように、今日の学生運動の背景が、非常な深いあるいは広い本質的な問題を含んでおるということは、いまお述べになりましたことでございますけれども、パウロ何世が何と言おうと、国連憲章で何と言おうと、今日大学紛争を激化させておりまする一番最大の原因は、やはり学生の暴力、しかもこの学生暴力に対して大学当局がき然たる態度を持っておらないというところにあるかと思うんでございまして、いま国家公安委員長がお述べになりましたとおり、私も断固そういうような暴力はいかなる名目のもとにも排除するという心がまえがなければこの民主主義というものは発展していかないと、また真の新しい国民のための大学というものは生まれない、かように確信しておる次第でございます。
○松永忠二君 その程度の御認識であれば、それでまたいいわけですが、そこで総理大臣にお聞きいたしますが、あなたは、大学の改革について、大学側にも改革の案を出しなさいというようなことを言っているという発言があったのですが、正式にそういうことが大学側に伝えられているのかどうか。また、文部大臣に中教審が大学の問題について答申を検討している際に、中教審なり文部省は大学について大学側の改革の問題を提示するということを求めたのかどうか。まず最初に、総理からひとつ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来いろいろ大学の自治というような問題が述べられて、大学に問題のあることも御指摘になりました。自治権者、自治を守る者、その立場にある者、管理者、これは当然大学のいまのような問題に対していかに対処するか考えられるのが本筋だと思います。私はまあ、そういう意味で、まず管理者のほうからこういう問題について出てくるのが当然じゃないか。あるいは東大に関しては、おそらく加藤代行と文部大臣との間には、大学自身どういうような案があるか、こういうような話も聞いているのじゃないか。また、そういう意味では、文部省に対してもいい助言があればひとつ指摘してくれと、こんな話も出ておると、そういうように私は解しております。
○国務大臣(坂田道太君) 三十七、八年ごろに大学管理法を政府側からつくろうというときに、結局国大協が中に入りまして、そしてやめたわけでございますが、そのときに国大協の意見といたしましては、自分たちが新しいこの大学の管理運営について検討をするからというようなお話があって、そうしてわれわれといたしましては、各大学がこの社会の変化に対して対応するいろいろの案というものが出てくるだろうと期待をいたしておったわけでございますが、実は今日まで出てきておりません。しかし、今度の紛争の経過を通じまして、私の気持ちといたしましては、何らかのそういうような御提案が各大学に行なわれることをまず第一には期待をいたしておるわけでございます。あるいは、先生の御指摘のとおりに、場合によってはそういうようなことも頭に入れて指導助言をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○松永忠二君 そうすると、その大学側にどういう改革案を持っているかということを正式に提示を求めたことはないけれども、そういうものを求めたいという気持ちを総理大臣は持っているのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 本来の姿がそのとおりだと、かように私は考えております。
○松永忠二君 で、その中教審の答申の取り扱いについてまあお尋ねをしたいのですが、この現在の中教審の答申を待って改革をやると、ところが中教審に対する諮問は、当面する大学教育の課題に対応するための方策というようなことがあって、特に七日ですね、あしたその特別委員会が中教審の総会に報告するというのは、学生の地位、学生団体と学生自治会、政治活動と学園秩序維持、学生の処分、学生の参加という問題がある。これは大学の自治という点から言うと、大学の自治に関連するものもこの中には相当含まれているので、これはその答申があったからといって、これを直ちに一方的に実施する筋合いではないと思うのだが、この点はどうですか。
○国務大臣(坂田道太君) 御指摘のとおりに、第二十四特別委員会でやっておりまするのは、第一には一般教育の問題、第二項といたしましては学生参加の問題、第三点といたしましてはそれに応じますところの管理運営というような問題、あるいは第四番目には続発いたしまする緊急の紛争処理の問題、この四項目についてただいま一生懸命努力検討が続けられておるわけでございますが、その中の学生参加の問題について七日の総会で中間草案として発表される、こういうふうに私は聞いておるわけでございますが、やはりこの学生参加の問題についての一つの中教審の答申という形、あるいは草案として、この世論あるいは大学当局に問題を投げかけるという意味合いにおいて、そういうようなことも踏まえて、各大学が自分たちの大学はどうあるべきかということを慎重に御検討になることが望ましいというふうに私は考えておる次第でございます。
○松永忠二君 聞いておることは、それの答申をしたからといって、大学自治に関係をしていることだから、一方的にそれを実施をするのじゃないでしょうね、大学側の意見も聞くでしょうね、こういうことを言っておる。
○国務大臣(坂田道太君) 中教審の答申が出ましたならば、やはり私といたしましては、これを尊重すべき立場でございますが、それをどういうような形でやるかということは、やはり答申を待ってでなければ私としては何とも申し上げようがないわけでございます。その答申の内容を私はまだ見ておりません。
○松永忠二君 私の言っておるのは、答申をしてもらいたいということが、大学の自治で大学そのものに関係することと、文部省に関係することとがあるのだから、答申があったからといって、それをただ文部省が検討して、すぐ実施するわけにはいかぬ。大学自治の範囲の問題については、大学側との打ち合わせなりいろいろなことをしなければいかぬ。一方的に、答申が出たからといって、実施できる筋合いではないでしょうということを聞いておる。
○国務大臣(坂田道太君) それはよく私検討いたしまして、その時点で考えたいと思うわけでございます。
○松永忠二君 そうじゃなくて、内容にそういうものがあるということを私は言っておるのですよ。教育課程の充実とその効果的な実施というのは、これは明らかに大学の問題です。それから大学における意思決定とその執行というのは人事に関係する問題で、これは大学の自治にはっきりきまっておる。学園における学生の地位については、これは文部省と大学自治の交差した問題だ。それから収拾困難な学園紛争の終結に関する措置というのは、これは大学自治と政府との両者の権限に関連をするから、現に諮問をしているその内容がそうだから、大学自治を尊重する立場から、そういう答申が出たらば大学との間に話し合いをするとか、一方的にそれを実施をすることはできないでしょうが。もうすでに諮問をしておるので聞いておるのです。
○国務大臣(坂田道太君) この第二十四特別委員会で御答申になるのは四項目なんですね。それで、それはまた、大学全体の管理運営あるいはこれから国民のための大学というのはどういうふうにつくっていくかということは、やはり相当時間のかかる問題、その中にかかわりがある問題でございますから、これはやはりどういうような答申が出るかということで、その取り扱いについても私は考えたいと思うわけでございます。先生のおっしゃることは、十分御意見は御意見として、貴重な御意見として承っておきたいと、かように思います。
○松永忠二君 そうじゃなくて、答申してもらいたいという内容が、事柄が入っておるということを言っておるのです。
○国務大臣(坂田道太君) これは、大学自治、それから大学の管理運営、まさに先生の御指摘のとおり、それゆえにこそ実は諮問をいたしたわけでございます。ということで、それは含まれておると……。
○松永忠二君 だから、あなたたちがかってにやれぬでしょう。かってにやれないでしょう。指導助言しかできないのです。
○国務大臣(坂田道太君) それはいろいろどういう答申か見なければわかりませんけれども、あるいは行政的にやれるものもありましょうし、あるいは指導助言をやれるものもございましょうし、あるいは場合によっては法律をつくらなければならないこともありましょうし、いろいろのことはその時点でなければわからない。何もまだ出てきていないわけでございます。
○松永忠二君 いや、聞いておるじゃないですか。教育関係のことを聞きたいと言っておるじゃないですか。
○国務大臣(坂田道太君) いや、それはまた別です。
○松永忠二君 それは教育の内容でしょう。
○国務大臣(坂田道太君) だから、大体私がお答えをいたしておりますことは、大学問題というのは、それぞれやはり自発的に自主的に一応大学当局がお考えになるということ、それが必要である。しかし、それが違法だとか、あるいは不当であるとか、教育上適切でないとかいうような問題が起こりました場合には、文部大臣としましては適切な指導助言を与えていく、そういうような指導助言がどうしてもできないというような場合におきましては、立法というようなこともあり得る、こういうわけでございますから、非常に明快と私は思うのであります。
○松永忠二君 明快ではないのですよ。しかし、内容があるならば、そういうことに関係があるならば、それは指導助言という形でやるというのだから、その点はそれといたします。 そこで、自民党が大学問題に関する中間報告を四十三年の十一月に出した。これには、一つ一つその要因を冷静に分析して、そして長期的な展望と将来への計画のもとにじみちな努力によってこれを改善していくというようなことを言っている。そして、国民の期待にこたえるため大学人の一そうの奮起を望むと、こう言っている。ところが、この四十四年——この正月に出た大学紛争と大学問題についての中間報告には、権限がないのに、確認書は著しく不当であり違法なものであるので断じて容認できない、新しい大学制度のあり方を早急にまとめるというようなことを言って、全く前の中間報告とは違っているようなことを言っておられる。そしてまた二月の十六日には教育改革の試案を出している。そして文部大臣に教官人事の拒否権を法律上明確にするとか、文部大臣の指導助言に従わなければ授業を中止するとか一時閉鎖を命ずるというような、憲法にきめられている学問の自由から来る人事権、最高裁の判決の問題にまでくちばしを入れている。そうしてまた今度は、大学の秩序維持に関する臨時特別措置法案を何かつくろうじゃないか、それで学内正常化、秩序維持をはかる目的だと、そういうことで、そして実際は学生の退学処分をどう規定するか、教官の責任問題という人事の問題について、教育の方針、大学の自治の問題にまで立ち入って、しかも、学生の政治活動禁止の条項も入れよう、これは議員立法で三‐五年の臨時立法とする。責任ある与党が目の玉の変わるようにくるくる変化をし、しかも、権限もありもしないものに、それは認められないとか、あるいは、人事権は明確に大学の自治であるといって憲法に基づいて判決をされたポポロ事件の判決も明確にしてあるこれらの問題についてそういうことを言っている。灘尾前文部大臣も、これについては前に、それぞれ特殊の事情があって、大学の改革は冷静に着実に対処する、そして、一片の法律や政令の改正よりも、大学自身が大学自治を全うするという積極的な気持ちをもって取り組まなければならぬ、こういうことを言っている。こういうことはまことに慎重を欠いていると思うのだが、自民党の総裁としてどうですか。また、大学秩序維持に関する臨時特別措置法案を自民党議員立法として提案することに了解を与えているというような報道もあるが、それについてはどういうお考えを持っておられるのか。この二点を明確にしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ただいまの内政の問題では大学問題、これは一番大きな政治課題だと、かように考えております。したがいまして、各政党は国民の期待に沿う、こういう意味で、あらゆる立場に立ってそれぞれが教育問題、大学問題、これと取り組んでおる、これが現在の姿だと思うのです。わが党、与党は与党の立場において、また民主社会党、また共産党も公明党も、おそらく日本社会党も、そういう意味ではそれぞれ考えておられると思います。(「それは順序が違うじゃないか」と呼ぶ者あり)一番最後に言ったのが一番大事でございまして……でありますが、とにかくこういう問題は政党が取り組むのは当然の姿だと、かように私は思います。したがって、いま自民党でどういう案があるか、総裁である私がまだ全部確認しておるわけじゃありません。けれど、自民党自身が積極的にこの問題と取り組む、この姿勢は私は与党としては当然のことだと、かように思いまして、総裁としてもひとつうんと国民の納得のいくような案、それと取り組め、こういうことは実は申しております。また、あまり時間をかけちゃいかんぞ、ただいまの問題、大学の基本的なあり方についてはこれは十分考えなければならないが、当面する事態については、これを早急に平静化しなければならない、そういう意味の案を考えてくれ、こういうことの注文をしております。まだそれより以上には出ておりません。また、ただいまいろいろそういうことを考えるのは行き過ぎじゃないかと言われるが、私は、こういうことこそ政党の当然のことだ、それをとめたら政党の存在意義がなくなる、かように思いますので、松永君も、これはまあその研究をやめろとは言われない。一つのりっぱな案を出せ、こういうことを言っておられる。そこで具体的な法案をただいま用意している、かように申されるが、そういうものをまだ用意するというか提案する段階になっておりません。私自身、そこまで了承しておりません。また、私はしばしばこの席で皆さんにお答えしておりますように、まず中教審の答申を得て、それから後政府の態度をきめる、こういうことを申しておりますので、まだその先に進んだお尋ねでありますが、そこまで行っていない。これも御了承をいただきたい。
○松永忠二君 私が申したのは、政党がいろいろ研究して案をつくるということを別に非難しているわけじゃない。ただしかし、もうはっきりと最高裁の判決も出ているし、憲法に基づく人事のいわゆる権利があるということを確定をされている。この問題について、権利のないものがかってにそういうことについて問題にしている。それからまた、前には慎重にやると言いながら、すぐつくると言ってみたり、そういうことをやる。つまり、一貫性のないということを問題にしている。そういう点をやはり一貫性を持って、責任ある与党であるだけに、その方針がくるくる変わっていかないで、しかも、憲法で認められていることをしっかり踏まえて案をつくるべきだということを申している。この点についてどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 憲法で認めていることをしっかりと踏んまえて、しかる上で法律を整備しよう、これは私は当然のことだと思います。しかし、現在ある法律がどうだからその法律のとおりにやれと、こう言われることには反対であります。これはあなたと議論するつもりはありませんが、とにかく改正をすることは、これは時代の要請によって改正をしていく、これはあたりまえのことなんです。それが立法府のやる仕事でもある。それが政治だ、私、かように思いますので、いままでこうなっているからそのままでいけと、こう言われることには私は反対であります。しかし、これは憲法について私がその議論を適用しようというのではございません。誤解のないように願っておく。憲法の条章は踏まえる、そうしてしかる上で必要な法律を整備していく、こういうことでございます。
○松永忠二君 総理にさらにこの問題をお聞きいたしますが、今後の大学紛争の解決についてどのような展望を持っておられるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあいろいろ意見を述べると長いことになります。いましかし非常にかいつまんで申しますと、ただいまの大学紛争はどういうところから起こったか、まずそれを考えなければいかん。大学にそれぞれの原因があって、最初の原因は非常に小さなものだった。しかし、これが国際的な範囲にまで拡大されておる、そこに共通なものがある。こういうものを考えたときに、先ほど言われるように、これはやはり政治的な問題だし、教育的な問題だし、社会的な問題だ。そうして年代的な相違からもいろいろなものがある。そこらのものを十分わきまえないと、なかなか解決の方向は出ない。これは先ほど国連の調査報告を一応披露なされました。これも一つの代表的なものであろうと思います。私は、そういう意味から、しからば何が一番根本なのか、かように考えてくると、先ほど、われわれ民主主義国家において一番大事なことは法秩序を維持すること、法秩序の維持ができないところに一切の進歩はない、かように実は考えておりますので、まず法の秩序を維持する、こういうたてまえに立って考えていく。法の秩序を維持するその責任は一体だれにあるのか、だれがそういうことをやるのか、政府、さらに管理者、こういうものがまず責任をとらなければならぬだろう、かように私は思います。そういう意味から、それらの責任は非常に重いのだ、かように思ってこの問題と取り組んでおる。しかし、これが独断専行まかりならない、かように思います。いま、同じように大学問題で騒いでおりますいわゆる民青系あるいはそれに反対する三派全学連、それぞれもう違ったイデオロギーでございますから、イデオロギーの対立と考えるというわけにはいかない。しかし、そういう際にこそ、管理者はよほどしっかりしなければならない。また、先ほど来議論されたように、自治を許しておる学園の自治、それを守るためにも、管理者の責任は私はたいへんだと思う。まずそれに対して政府がこれに十分の力を与える。そうして助言をして、その上で自治が守られる。そうして法秩序が維持される。こういう方向に行きたいと思います。先ほど来しばしば、文部大臣あるいは荒木君からも申し上げましたように、やはり無法まかり通る、そういうような世の中ではならない。法秩序を維持する、その責任を、その主体性をどこに置くか、それを十分に考えて進んでいきたいと、かように思います。私は、一部学生の行動についても、こういう点は学生にも理由があるとか、いかにもその無法行為を了解するかのような言辞が間々ございますが、その点はきびしく批判しなければいけない。どういうことであろうとも、この暴力行為、法秩序の破壊、これだけは許せない、かように私は思います。それをただ政府だけでやろうといったって、これはできるものじゃない。ましてや、大学は自治が許されておる。さように考えれば、管理権者、それがまず第一の責任者でなければならない。そして、それが法維持ができるようにわれわれが力をかすことも当然である。また、社会的にもさような意味において十分な理解と協力をしてもらいたい、かように私は思います。
○松永忠二君 私はこういう点をひとつ申し上げたいと思う。現実的にその中教審の答申の内容がどういうふうに出るだろうか。その中教審の答申を政府がどう取り扱うだろうか。自民党の関係者はどういう態度に出るだろうか。もし、中教審の答申が非常に微温的なものであって、その答申を口実にして、政府や自民党が大学の自治を脅かすような内容の法律を考えたときには、いまの全学生が、日共系、反日共系を含め、しかも一般学生もこの反撃に出てくる。そうしてまた、大学の教官も大学自治のために立ち上がる。革新の政党も労働組合も、大学自治を守るという闘争に協力をして、国民の一部もまたこれに参加をして、非常な大きな混乱を起こすだろうと思う。しかし、中教審の答申が比較的に改革的であって、文部省がやはりそれを参考にしてまとめて、一つの案として大学自身に投げかけられて、大学自身が改革の案をつくっていく。そういうことについて文部省が指導と助言の話し合いをしていく。そうして、一般の学生も教官も、その改革に期待を持つ。しかし、暴力的な政治的な活動については、それと大学の改革の運動とを分離をしていく。そうして学内の過激な政治活動を孤立をさせていく。そういうことになれば、革新の政党も労働組合も、外において学生と一緒になって一九七〇年の闘争を盛り上げていく。いま私はまさにその岐路だと思うのです。答申を出すために、中教審は衆知を集めて大学の改革の案を求めて、いい答申をひとつ出してもらう。そうして、文部省や自民党がこれをどう取り扱うか。ここが分かれ目だと私は思う。まさにそういう時期に来ていると私は思う。したがって、大学紛争の処理、大学の改革について、やはりそうした一つの折り目をつける最も重要な時期だけに、総理大臣のこうした面の理解と決意をひとつお聞きをしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 松永君の言われることもある程度私も理解できます。いま政府も、この問題は非常に大事な問題だと、さような意味で、先ほども独断専行はしないと、こういうことを申しました。そういう意味からも、中教審の答申をとにかく待っておる。そうして、中教審の答申を得た上で、それを尊重して、そうしてこれを円滑に実行に移し得るように処置をとりたい。この、円滑にこれを実行し得る方法というのは、申すまでもなく、管理者の諸君とも十分相談をしないと、こういうものは円滑になかなかいかぬだろう。政府でできる事柄と、また、あるいは立法府においてできる事柄と、また、管理者がそのまま可能なことと、こういうようなことも十分分けて、それぞれの必要な処置をとっていくということでなければならぬと、かように私は考えております。したがいまして、先ほど来文部大臣も申しておりましたが、この中教審の答申を得た後、それからの扱い方は、いま松永君の言われるとおり、なかなか重大な意義を持つ。そういう意味で、国民の期待に沿うように政府はこの問題と取り組むつもりであります。
○松永忠二君 日中問題についてお伺いいたします。 総理は今回の施政演説で、将来のアジアの情勢を思うときに最大の問題はわが国と中国大陸との関係だと、いろいろ念は押しているけれども、今後中共が広く国際社会の一環として迎えられるようになる事態はわが国として歓迎をすると、当面、中共の態度の変化に期待しつつ、従来どおり各種接触の門戸を開放していくと、こういうふうに言われている。中国との関係を打開することに積極的に前向きで取り組んでいく気持ちですかどうですか。それをお聞きをしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 隣の国、しかも強国、大国、その中国、これをいまのような状態でいつまでもほうっておくというわけにいかない。これはもうだれでもわかることだと思います。まして、日本がアジアに位置し、そうして同時に、アジアの平和、極東の安全を確保していきたいとかように考える以上、この隣国、中共、中国大陸との関係を、長い目で見れば、いまのような状態でほうっておくわけにはいかない、かように私は思います。いますぐにどうこうということは、なかなか、それぞれむずかしい問題がございますが、しかし、おそらくこれは、われわれの考え方によりましては、より改善を見ることができるのじゃないだろうか。とにかく、より改善を見ないと、非常に私どもも心配があるというふうに思います。それがいつも問題になりますのは、いわゆる中国は一つだと、この立場に立って問題を解決しようとしておる。私どもは、台湾における中華民国、これはなるほど施政権は小さくとも、すでにサンフランシスコ条約でこれと国際条約を結んでおる。国際的権利義務がある。そういう立場に立ってただいまの中国大陸の問題を見ている。そういたしますと、いままでとってきたような政経分離の形において交流を支援する、そのこと、これがただいまの方途だと、かように実は考えておるのであります。しかし、これがいつまでもこういうような状況であることは望ましいことではない、もっと改善されなければならぬ、かように私は思います。
○松永忠二君 総理でも外務大臣でもいいのですが、日中の接触について、かつて努力を払われたというそういうようなことはあるのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、御承知のとおり、国交の関係はございませんからそれは別といたしまして、まあ貿易につきましては、いろいろ形態の変化はございましたが、現在は覚書貿易、それからわれわれが属しております自由民主党の有力な代議士の交流もございます。それから新聞記者の交換もできております。まあ、こういったような関係はできるだけ大切に育て上げていきたい。なかなかむずかしい状況のもとでございましょうが、貿易の問題にいたしましても、できれば幅を広く、できれば期間も長くというようなことでやってまいりたいということで、そういう意味の往来はかなり幅広く行なわれておるし、今後もまたできるだけそういう関係を持っていきたい、かように考えております。 〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
○松永忠二君 私聞いたのは、接触をすることに努力を払ったかと。これは正式な接触は、アジア・アフリカ会議の高碕達之助団長と周総理がやっている。それからまた、昭和四十年に川島副総裁とそれから周総理が会談をしておる。政府あるいは準政府の接触だと思いますが、この川島・周総理との接触の場合にどんなことが一体話されたんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その当時のことは、私も実はそう詳細にここに御説明するだけの資料を持っておりませんけれども、具体的な問題についての話し合いというようなものはなかったように聞いております。それから、ただいま二、三の例をおあげになりましたが、現に私どもも努力をいたしておりますのは、中共の外交機関とわが国の外交機関とが同一の国あるいは地点にございますところが相当数ございますが、たとえば、私どもとしていま非常に頭を悩めている問題は、十三人ほどの日本人が抑留されておりますことは御承知のとおりでございますが、その状態も安否も実はよくわからないわけでございますから、そういう在外機関を通じましてもできるだけ接触につとめておりますが、遺憾ながら現在のところ何らの反応がない、こういうこともございますことを念のために申し上げておきたいと思います。
○松永忠二君 佐藤総理が最初の内閣のときで、帰ってきた川島副総裁と会われたし、新聞などでは、この会談は日本外交史上画期的なものだということを言っている。どうですか、総理大臣。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあ、新聞の報道はそれぞれ御自由でございますが、いままで一貫してわが国の中国大陸に対する態度は変わっておりません。あるいは中国大陸に対する態度が非常に好転するような、あるいはまた非常な積極性を持つような報道があったかと思いますが、そういうことではございません。しかし、とにかくすぐ隣同士の国でお互いに悪口を言い合ったり、あるいは敵視したり、そういうことはない。また、川島君が会いました際も、そういう立場についての理解を深めよう、相互の理解を深めるというのが大体趣旨であったと思います。それより以上のものではございません。とにかくお互いにつき合う、交流は盛んになる、そうして理解し合うということが何よりも大事でございます。そういう意味で、わが党の諸君だけではございません。日本社会党からもしばしば行かれた。そうして問題をまたいろいろ投げかけられたこともあると思います。しかし、私どもは、いまの状態でいまの民間貿易を進めていく、そうして長期化の方向に行く方法はないか、こういうことでいろいろ苦心しておる最中であります。ただいまも古井君、田川君、その二人が出かけておることは御承知のとおりであります。また、先ほど外務大臣からお答えいたしました、十三人逮捕されて抑留されておる諸君の問題でありますが、これも悪口を言う意味ではございませんから、そのまま聞いていただきたいんですが、両国の間に国交がない。そういうためにこれは積極的な交渉は持ち得ない。しかし、両国の間で、同じところで両方の大使館があるとか、領事館があるとか、こういうようなところならば、その館員同士はやっぱり個人的なつき合いはできるのでありますから、そういうようなルートを通じて、十三人の安否はもちろんのこと、釈放を進めるような、そういう意味のことも話しかけてはおります。しかし、残念ながら、ただいままではそういうような反応がない、そういう状況であります。おそらく今回も——きのうでしたか、昨日も新聞などの報道では、古井君も出かけて、政治問題でずいぶん苦労している、こういうような記事が出ている。しかし、経済問題は、そのうちに岡崎君も出かければ話がつくのではないか、こういうような明るい見通し記事がちょっと出ていたように記憶いたします。とにかく、そういう点で、中国大陸とのいまのような状態を続けていくつもりはございませんので、これは何らか改善されることが望ましい、かように思っております。
○松永忠二君 その接触のときに、日本側から、ジュネーブで総領事級の継続会談を開きたいと申し出たらば、中国側は、大使級ならまだしも、総領事じゃだめだ、そうしたらインドネシアのスカルノ大統領が、ジャカルタで大使級の会談をやったらどうだろうかという提案をした。日本側から中共貿易を促進したいという申し出があったら、ソ連や台湾にも利用している輸銀を使用しないのに、そんなことはだめだ、内政不干渉の原則でやろうと言ったら、吉田書簡が中国を差別しておって、そんなことは言えぬじゃないか、郵便協定とインドを介しての航空協定を提案したけれども、中国側から回答がなかった。こういうことですが、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、そういう話し合いが行なわれたこともあろうかと思いますけれども、これは御案内のように、政府間としての折衝をいたしたわけではございませんので、その点はお含みいただきたいと思います。 それから政府間の折衝の問題では、かつて実は遺骨の相互交換というような問題もございましたときに、総領事級の会談が日中間で行なわれたこともございます。そういうわけで、先ほど申しましたように、この抑留者の問題というのは、具体的な、しかもこちらとしては非常に必配な問題でございまして、こちらからも、呼びかけといいますか、しておりますので、こういう問題について、先方が、いわば政府間の折衝をやってくれるというようなことでありますならば、こちらとしてもちろん政府間の折衝をやりたい、こういうふうに考えているわけでございます。これはしかし、まだ先方の態度が、いま申しましたように、反応がございませんけれども、一日も早く反応があることを期待します。そうして、そのやり方、どの程度の会談というようなことにつきましても、そういう場合におきましては十分こちらとしても考慮してしかるべきじゃないか、かように考えております。
○松永忠二君 中国の出先公館が、ある地域の在外公館は機会があれば接触を行なうという包括的な訓令というものが昭和三十二年に出ているんですが、その内容、これはどういうことですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この訓令の内容は、大体こういうことでございます。申すまでもなく、政府間といいますか、国交が正式にございませんですから、正式の、公式の接触ということはできないことになっております。しかし、各館の館長——大使の場合も総領事の場合も領事の場合もございましょうが、それを含め、また、館員が個人的な、すなわち非公式な接触、つき合いをするということについては、これはやってよろしいということになっております。また、外交団の一員としての接触ということは、当然私はやるべきでございましょうし、そういう心がまえで接触するようにということは、ただいまも御指摘がございましたが、訓令も出しております。その方針でずっと引き続きやっております。ただ、これはまあ申し上げるとくどくなりますから省略いたしますけれども、文化大革命その他中共内部のいろいろの情勢の変化、あるいは世にいわゆる外交不在というようなことがあって、最近におきましてはそういう接触も実は意のままになっていない、現実の姿はそうでございます。
○松永忠二君 この包括的訓令は現在もまあ生きていると見てよろしいんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは完全に生きております。
○松永忠二君 いまあるその覚書貿易を準政府間協定にするという用意があるわけです。池田内閣のときに松村謙三氏が訪中の際に、経済顧問として民間交渉を準政府間で交渉したことがある。こういうようなことについてどう考えるのか、また、日中覚書貿易事務所の機能を充実させて一つの外交的な機能を与えて、そうして政府間協定へ行くというような、そういう発展の方向を考えておるのかどうか、これをお聞きをしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 現在すぐに政府間の協定ということにすることは考えておりません。しかし、先ほど来申し上げておりますように、覚書貿易につきましても、この数量が多くなるように、また、できれば長期契約ができるようにというのがわれわれの考え方でございますから、そういう点から申しましても、事務所の充実とか機能の活発化とかいうことは、それに応じて当然前向きに考えてしかるべきであろうかと思っております。
○松永忠二君 佐藤内閣は出現以来、今度のでは、三期に分けて、政権掌握から日紡プラント契約破棄を第一期として、池田内閣の最大の贈りものであった日中関係の上昇機運はみごとに水をかけられた。で、総裁が立候補する前に、これは南漢宸と中国の見本市で会って話をしている。で、南漢宸は、佐藤榮作先生は先見の明のある政治家で非常に印象深かったと、こう言っている。ロンドン・タイムスは、この日中連絡事務所を設けることは外交関係樹立の第一歩である、ソ連のミコヤンが来たのもこれと関係あるだろう。また総理自身は、この最初の記者会見で、ほかのことがどんなにうまくいっても、日韓問題と中国問題が解決をされなければ批判されると、これが佐藤内閣に課せられた大きな使命だ。ところが、第二期は日紡プラント契約破棄から四十二年の秋の東南アジア訪問までだ。これは政経分離による冷えた時代である。中国側にももちろん原爆の実験、アメリカの北爆開始、中国文化大革命などというのが始まっているけれども、中国側のほうでは廖承志が、池田内閣のときは幾らかでも前へ進もうという態度が見えたが、佐藤内閣はどうもそうではない。しかし、中国は佐藤内閣に見切りをつけているわけではないと、こういうふうなことを言っている。第三期は、第二回の日米会談を頂点とするその対立の時代だ。で、中国側は、このジョンソン声明などから、佐藤内閣は戦後の内閣で最も反動的であり、反中国的だということを言っていた。いまや第四期の時期に来て、アメリカの北爆の停止、パリ会談、ニクソンの新大統領出現、あるいは文化大革命というようなふうにして、収束の時期へ入って、転換するかどうかという時期に来ている。こういうふうに日中関係は明らかに悪化をしてきたんだが、これは中国を含めて国際情勢が変化したんで日本側には責任はないんだというような総理のお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私は日本側に責任がないと、かように考えております。しかし、いろいろな立場からいろいろな批判はするだろうと思います。いま第二期と言われるその範囲におきまして、私がアメリカを訪問してジョンソン・佐藤共同コミュニケ、それではアメリカのいわゆる封じ込め政策、それと日本の政経分離政策、正面から衝突するが、日本の態度はあの共同コミュニケではっきりさしたつもりであります。しかも、そのときも米国に対して、いつまでも封じ込め政策は困る、君たちもこの中共と話し合いができる立場じゃないのか、こういうことを申しましたら、ハリマン君は当時、まず新聞記者会見をしよう、こういう申し入れをしているのだ、しかし、これがなかなかいれられない、これはまことに残念なことだ、こういうことを言っておりました。したがって、日本の書いたいわゆる政経分離の方策で日本は中共と貿易は進めていく、そのことも承知してくれたわけであります。また、その後ポーランドにおいて米中の会談が行なわれておる。これはわれわれも、この会談を通じて両国の関係が改善を見る上に非常にけっこうだ、かように期待をいたしたものでありますけれども、これも十分実を結ばないうちに実は中断、これは中国内部の文化革命等のために外交がやや後退していたその時代でもあったと思います。しかし、今度再開されるというので、非常にわれわれも期待をしておりました。これも実現をしない状況である。こういうことも考えますと、まだまだ中国の態度というものは共存の立場になかなか行っておらない。これはどういう事情があろうともかたくこれまでの政策を維持していく、かように私は考えております。私ども自身、幾ら平和に徹し、お互いに友好親善を深めよう、こういうように申しましても、その手がかりがないというのがいまの状況であります。
○松永忠二君 それでは、いま盛んにいわれている一つの中国の立場に立った、しかも、中華民国政府を承認しているんです。しかし、大陸に中共の政権が及んでいるので政経分離で対処したいというのが佐藤内閣の態度だと思います。ところが、一つの中国の立場に立って中華民国政府を承認しているということは、七億の人口を持っている中国が正統政府でなくて二千万の台湾政府が正統政府だという不自然さはないのか。中国を承認しないということは、革命を否認し統一を否認する、そういうふうな中国自身を否認をするという積極的な意味があると思うが、どうなんですか。あるいはまた、中国大陸に非常な迷惑をかけたことについていまだに結着がつかないという道義的な責任というものがあるのじゃないか。こちらにもそういう責任があるということについてあなたはどういうふうにお考えになるのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの、一つの中国という問題をめぐって非常にむずかしくなっておると思います。いま、北京で出ている週報その他では、佐藤内閣は二つの中国を主張しておる、その方向へ進んでおる、こういうようなことまで批判されております。しかし、私どもはそういう立場ではございません。でありまするが、いま古井君や田川君を出して、そうしてもっと経済交流を盛んにしようじゃないかとせっかくいまつとめている最中でございます。これあたりが十分実を結んでくるように、また、両国がそういう事柄に積極性を出して、そうしてまずそういうところから解決の糸口を見つける、こういうことが望ましいのじゃないかと思います。まあ、その他の事柄についていろいろお尋ねございましたが、あまり批判することはいかがかと思いますので、その辺は預からしていただきたいと思います。
○松永忠二君 国際社会に復帰することは歓迎すると、こう言っているが、重要事項指定方式の提案国になっている。しかも椎名外務大臣は、重要事項指定方式は事実上中共の国連加入を阻止して引き延ばすことを目ざすと解釈して差しつかえないと国会で答弁している。外務省見解では、国連における中国問題の取り扱いと直接の対中国政策とは別なものであるという印象が一般にあるが、これは、対中国政策を国連の場で実現することにほかならない、これは重要だから重要事項方式だと、こういうけれども、そうじゃなくて、中国の参加を否定をするのだという、椎名的発言や外務省見解は、これは日本が重要事項指定方式の提案者になる趣旨とは違うのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 重要事項指定方式の問題は、結論的に申し上げますと、ことしの国連の総会は九月第二火曜日からということになっておりまして、その以後のことでございますから、いま早計にこういうふうにするということはまだきめなくてもよい段階ではなかろうかと私は考えております。ただ、その重要事項指定方式というものに対する私の考え方を申し上げますならば、最近の国連の運営は、これはという問題はすべて重要事項指定方式になっておる。こういったような非常に大きな問題につきましては、重要事項指定方式というものでやるほうが私は適当ではなかろうか、しいて私の意見をお求めになるならば、私はそういうふうに考えておるということを申し上げたいと思います。
○松永忠二君 そうすると、この趣旨とは違うと判断していいのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 従来はさようの見解であったと思います。その見解も十分私は尊重していきたいと思っております。
○松永忠二君 尊重していくけれども、いま私の考えは違うというのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 従来からの政府としての見解というものは十分尊重していかなければならないと思います。そして、先ほど申し上げましたように、重要事項指定方式というものが、別の角度から見て、私の意見としてはこうであるということを申し上げたのであります。
○松永忠二君 政経分離といいながら、輸銀の延べ払いも認めないで、差別の取り扱いをしているじゃないかと、こういうことですが、吉田書簡で、日紡プラント、あるいは日立造船の貨物船延べ払い破棄後に、一体吉田書簡を、個人的な性格なので超越するのだというお話だ。その後、一体輸銀を利用して延べ払いを申し出たりあるいは交渉したりするようなことがあったのかどうか、この点をお聞きをしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) この点もしばしば論議の対象になった問題でございますが、輸銀の問題はケース・バイ・ケースでやるということに政府は従来から態度をきめておりますから、これはプロジェクトごとに判断すべきものであるかと考えております。なお、私の承知しております最近の状況では、具体的なオファーというか、輸銀の融資を付随するところの商談というものは現在出てきておりません、実際問題として。そういう状況でございます。
○松永忠二君 そういう商談が進められれば、政府としてはそれに協力していこうという気持ちなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは先般、衆議院の予算委員会でも政府の見解を明らかにいたしておきましたが、関係の法令あるいは輸銀の業務方法書でございますか、そういったようなものにおきまして、プロジェクトごとに審査をいたしまして、ケース・バイ・ケースで扱う、こういう態度でございます。
○松永忠二君 私は、こちら側にも責任があるのじゃないかという点で、次々聞いているのですが、ココム・リストにあるもので、中国には拒否をして、ソ連にはこれを認めているものがあると思うのですが、そういうことを通産大臣御承知でしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうものはございません。
○松永忠二君 今度の日工展の歯車切り機というのが、ソ連に一九六八年にこれを許して十台くらいある。しかし今度は禁輸品だと、こういった。トランジスタの製造機の切断機が、ソ連には一九六〇年に許可したけれども、中国には一九六七年に禁止をした、これはどういうことですか。
○政府委員(原田明君) 同一の品目の名前のついている商品ではございましても、同じ性能、規格等のものが、ソ連には出て、中共には出ないというものはございません。
○松永忠二君 ちょっとちょっと、もう少しこまかく説明をしてください。いま例をあげたものについて、どこが違っているのか、ソ連へ出したものはこうだけれども、中国にはこうだ、トランジスタの製造機の切断機は、ソ連はこうだけれども、中国にはこうだ、それはどこが違うのかということを言ってください。
○政府委員(原田明君) 個々の具体的品目につきましての詳細は、私ここに資料を持っておりませんが、一つ一つの製品につきまして、その性能を規定します規格、性能といったような面において、ソ連に出たものは、性能は低いものでございます。同じ性能のものでございますれば、中共にも出せるような品物でございます。
○松永忠二君 現実にどこが違うかはっきり言わなくちゃちっともわかりませんね。 それから、ココム・リストというものをフランスやイギリスやイタリア、ドイツが一体正しく守っているのかどうか、これについてはどうなんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 申し合わせに参加している国は忠実に守っておるものと承知いたしております。
○松永忠二君 これはアメリカのIBM計算機というのが、実はソ連にも東欧にも北京にも見られる。これはやはりココム・リストで禁止をされている。ところがアメリカは、フランスやイギリスやイタリアなどに小会社をこしらえて、それから輸入をしている、こういうような事実があるというふうに指摘をされているのですが、 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 こういうことはどうなんですか。表面は守るということをいいながら、裏面においてこれが実はよそへ持っていかれているという事実ではないかと思うのですが、この点はどうですか。
○政府委員(原田明君) 電子計算機につきましても、性能の低い電子計算機は輸出可能でございまして、わが国も現に過去に数台の輸出を中共向けにいたしております。
○松永忠二君 日本の出しているのは四千万から五千万で、この計算機は五億から十億、これは違うのじゃないですか。
○政府委員(原田明君) 西欧の諸国が出しましたような電子計算機と、日本が出しました電子計算機は、商談その他から必ずしも同じではないかと存じます。しかし、西欧が出しました電子計算機と同じ性能のものにつきまして、もし輸出の商談がございますということになれば、わが国からも輸出が可能でございます。したがいまして、西欧の取り扱いとわが国の取り扱いとに差異はないわけでございます。
○松永忠二君 そうすると、そういうものが出ていれば、日本のほうでも、こういう高い価格のものでも出していくという、そういう考えを持っておられるのですか。
○政府委員(原田明君) わが国と申し合わせをしております西欧の諸国が出せるものはわが国も全く同様に出せる、輸出することが可能でございます。
○松永忠二君 そうすると、五億から十億くらいのそういうものは出せると判断してよろしいですか。
○政府委員(原田明君) 金額は商談によるわけでございますので、金額的に幾らのものが、ということとは離れまして、出せる商品の性能、規格等については、全く西欧とわが国とは同じ取り扱いでございます。
○松永忠二君 これについては、ひとつなお機会をみてお伺いしたいと思うんですが、そこで総理に一つ最後にお伺いいたしますが、あなたはアメリカをたずねたときに、いつでも中国の問題に共同声明で触れている。事実、アメリカのいろいろな状態で、米中の関係というのが日中の関係に非常に影響していることも事実だ。今度訪米をされて、中国の問題についてやはりとっぷり話をし、そしてできるだけ合意を求めて、共同声明等にもそうした考え等を載せていくとか、やはりそういう用意を持っておられるのかどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今度出かけますのは、特別なはっきりした沖繩問題というものがございますから、これが主になりますが、しかし、いま松永君も言われるような点、これも全然話をしないというものでもございませんし、また必要があればもちろん話をしますし、また話をする以上、そういうものは共同声明のうちに盛り込まれるほうがよろしいという場合もございますし、そういう点も考えまして、善処したい、かように思いますが、ただいままだそこまでは考えておりません。もちろん話は出るだろうと思いますが、そのことも申し添えておきます。
○松永忠二君 たいへん時間がなくて、経済問題等、またひとつ機会をみてお尋ねいたしますが、大蔵大臣は、いまの経済成長は高すぎる。貿易の伸びは押えられないけれども、財政政策や金融政策でひとつ弾力的に運用していきたい、こうおっしゃっているわけです。そこで、この経済成長を安定をさせるということと、民間設備投資との関係をどういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま経済問題で何よりも大事なことは、堅実に安定した経済成長路線というものが進んでいくことだと、こういうふうに思います。これができなければ、さあ、サラリーマンの問題だ、あるいは治山、治水、公害、いろいろな問題が山積しておりますが、何もできない。その基礎はやはり経済安定だ、そういうふうに考えるわけです。その経済安定のかじをとる。そのとり方はいろいろありますけれども、大きな手は財政と金融、この二本だと思うのです。しかも、いま御指摘の設備投資、これは政府が直接にというわけにはまいりません。これは金融政策で運用していくというほかはない、こういうふうに考えておるわけなんです。それで、いま私はじっと経済の動きというものを見ておるのですが、三年間高度成長が続いた。その高度成長の推進力は設備投資であったということで、いま供給能力というものはかなりついてきておるのです。需要にだんだんと供給能力が追っつきそうな傾向である。これが追っついて追い越す状態になると、いわゆるデフレ・ギャップという状態になるのですが、さあ、そのクロス——接点というものがどんな関係になるか、これがいま一番私が関心を持っておるところです。そういうような観点から、これから設備投資をどういうふうにしていくかというと、私は設備投資に対しましては、いま当面の心境といたしましては、抑制ぎみでこれに立ち向かっていくことがよろしい、こんな感じを持っております。
○松永忠二君 経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、いわゆる景気のかげりというようなことがいわれております。これについて、これと、中で設備投資の問題についてどういうふうに考えておられるのか、こういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) かげりということばは近ごろぼつぼつ見るのでありますが、これはこの前も予算委員会で申し上げたと思いますが、去年の暖冬異変ということと、それから去年の夏が冷え過ぎたということで、したがいまして、そういうような関係の商品の在庫がふえたということでありまして、したがいまして、それらの在庫がふえたためにそれによって多少の資金の融通などに困っておるということはありますが、しかしそれは、景気の動きについては私はそれほど関係ない、こう考えております。
○松永忠二君 私の聞いたのは、そういうかげりということと、民間設備投資という問題と、どういうふうに考えておられるのか。
○国務大臣(菅野和太郎君) そういういまの在庫品でふえたものに対して、民間設備のための用意はしておったと思います。したがって、いまそこで在庫品がそれだけふえたということでありますが、しかし私は、それによって景気や何かに影響はないという考えをいたしておるわけであります。
○松永忠二君 そうすると、経済の動向を見てかげりということがいわれておるけれども、設備投資を抑制する必要はない、こういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(菅野和太郎君) かげりと民間設備との関係、いまの関係は直接の関係はないと思います。お尋ねの点は私もはっきりしないのですが、そこで、いま民間設備投資がふえたからして、したがってそれが景気に影響するかというお尋ねであれば、私は、今日の民間設備の増加というものは去年から見たら低く考えておりますから、したがってまた現在の民間設備投資は、これは設備の近代化という意味で設備をしておりますから、したがってそれだけ成長基盤は増すことになりますから、したがって私は、景気には関係ない、こう見ております。
○松永忠二君 月例報告書なんかでは、やはり日銀のポジション指導等というものをゆるめるということではなしに、やはり設備投資——受注に少しあれが出てきておるけれども、設備投資を、少し多いから抑制をしていきたい、そういう方向が出ておるのじゃないですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 設備投資の問題は、その先行指標である機械受注の動きをみると、一月についてはすでに増勢になっておりますし、十二月あたりは、暖冬異変の関係で多少減っておりますけれども、一月は増勢になっておりますから、ただ問題は、多少民間の資金需要がふえておるというところにわれわれも注意をしなくちゃならぬということを考えておるのでありまして、そういう点において警戒——警戒というと語弊があるが、中立的な立場をとらなければならぬと、こう考えておるような次第であります。
○松永忠二君 大蔵大臣、民間設備についても抑制ぎみにしていかなきゃいかぬ、こういうお話もされているわけですが、これはやはり経済社会発展計画を見ても、そういうことを考えられるわけだけれども、一体財政政策などで民間設備投資に及ぼす効果を量的に分析をすることを大蔵あたりでもやっているわけです。そういう点からいって、財政支出については刺激的なものもあるけれども、なかなか抑制を、消費的支出だとか、あるいは投資的支出とか移転支出についてはなかなか抑制もしにくい。そこで、やはり財政支出面であまり抑制はできないけれども、財政収支を通じて設備投資を抑制していくという手がある。そういう点で、最もその効果のあるものは何だとお考えになっておられるか。
○国務大臣(福田赳夫君) やっぱり中央、地方を通じての財政の物資、また人手、つまりサービスですね、これに対する需要、これをよく見ていかなきゃならぬと思うんであります。昭和四十四年度の予算を御審議願っておりますが、これは大体財貨サービス需要、こういうふうにいわれておりますが、前年に比べて一二・三%、こんな程度のものを見ております。
○松永忠二君 いま中で、量的な分析だと、法人税を一・五%引き下げて七十億の増資をすると、経済、民間設備投資などに及ぼす影響は一・二%だ。そのほか、一千億の財政支出を消費、投資、移転支出にした場合には〇・七とか、〇・六だ。したがって、その財政支出の面から抑制するということよりも、設備投資の抑制に最も影響を及ぼしているものは、やはり収入の面の法人税であるというようなふうに考えられる。こういうことを事実大蔵あたりでもやられておるんですが、この点についてはどうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 過去の例を見ましても、景気の循環は、好景気が二、三年続く、そうすると一、二年の不況が来る。つまり大体においては、国際収支の壁にぶつかりまして縮小政策に転ずる、こういうことになるわけなんです。ですが、いまお話のように、法人税を重課して法人の経済活動を押える、こういうことになると、確かにこれは設備投資を抑制する効果はあります。ありますが、さあそれをいま日本の経済で適用できるかというと、できない。できないのは、ただ法人税をかけて重くして、そうして法人税を徴収するころには、もう景気は直って設備を今度は拡張しなけれりゃならぬ、これを助成しなきゃならぬ、そういう時期になってくると、そういうわけで、その時間的にもう狂いが出て、適用はできないんです。やっぱり景気調整、設備投資の調整には、金融でいくほかはない、そう思います。それからまた財政面からすれば、財政から生ずる物資サービスの需要を押えて、そして設備需要を呼ぶ要因をなくす、こういう点にあるかと思います。
○松永忠二君 時間ありませんが、まあ設備投資抑制に働く能力が、いま言う法人税の増税というのが非常に効果がある、しかも法人税自身は、答申などによっても、国際的に見ても、あるいは所得税と比べても、比較的低いんだという答申を受けておるわけです。そういうようなことになると、やはりこの法人税を対象として設備投資の抑制をしていくというようなことは考えられると思うのですが、どうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、景気は悪いときが一、二年続くんです。いい時期が二、三年続くんです。さあ景気がよ過ぎるから押えるというので押えてみたら、もうそのときには、そうして税を徴収するというときになったら、もう景気は平静に復しておった、こういうようなわけで、どうも時間的に、税というものが景気調整にはそう間に合いかねる、これは御了解いただけるんじゃないかと思います。どうも税で景気調整をするというのはなかなかむずかしいことだ、かように考えております。
○山本伊三郎君 関連。きのうはちょっと時間なくしてそこまで景気の問題で追及しなかったのですがね。いま法人税を強化するということは、そのタイムラグでそれはもう景気調整にならぬと、こういうお説ですが、それは一つ聞けると思うのですが、しからば経済成長は設備投資の増高の傾向から見て相当伸びていく、きのう私言ったとおり一六%以上伸びるだろう、政府は一四・四%に押えたのですが、しからば今度ポリシー・ミックスを使われるか、フィスカル・ポリシーをやられるか、いま言われた金融財政でこれを調整するというお話ですが、具体的にどういう方法で、景気の抑制と申しますか、過熱を押えるということにされるのか、この機会にちょっと聞かせてもらいたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ日本経済を動かす要因は、約半分が国民消費、あとの二〇%くらいが民間の設備投資活動ですね、それから政府の財政投融資を含めての中央・地方の財政活動による要因が一五、六%になりますか、そんなところだと思う。ですから、この三者がどういうふうな形になるかということで経済の動きはきまっていくと思うのです。ところが、民間の半分を占める消費動向、これは私は堅実に、安定した動き方をしていく、こういうふうに思うのです。動かし得る要因は、設備投資と財政、この二つがある。財政は、これは予算の伸び縮み、並びにこれが運用を弾力的にやる、こういうことできまっていくと思うのです。あと設備投資はどうするかというと、これは民間の金融にもっぱら依存をしておる問題なんです。民間の金融、設備投資に対する調整はどうかというと、日本銀行が主としてやっておるわけでございますけれども、どうもその日本銀行が金融の対象としておる金融分野というものが大体三割何がしである、三割金融と、こういうふうにも言われておるのです。中小金融機関だ、農業金融だ、保険だと、こういうものが日本銀行のコントロールからはずれておる、これをまた私どもは考えていかなければならぬと思っておるのです。全部を全部キャッチすることはむずかしい、しかし大かた金融が景気動向に応じて蠕動して動くんだ、運用されるんだ、こういう形をぜひつくっていきたい、これは私いま取り組んでおる最中なんであります。そういうふうに財政、金融、二つの調整手段をフルに活用しまして、景気をなだらかに、落ち込みもなく、また過熱もなくという状態に持っていきたいと、かように考えております。
○山本伊三郎君 もう一つ、関連ですから。そういういわゆる抽象的と申しますか、そういうもので調整するのだ、いわゆるこのフィスカル・ポリシーなり、ポリシー・ミックスをうまくやるのだと、こういうことだが、私の言っているのは、そうではなくして、現実に一四・四%以上に伸びるという観点に私は立っておるのです。あなたも、きのうは一四・四%にこれを押えるということが景気の過熱を防ぐためにもなり、いま言われたコンスタントに成長さしていく、安定成長だと、こう言われておるのですね。そこで、私のきのう言ったのは、設備投資の先行指標である機械の受注量が、ずっと本年度の下期を調べますと、間違っておったら言ってもらいたいんだが、ずっと伸びっぱなしなんですね。一月、ないし二月、ちょっと上昇率は下降しましたけれども、しかし伸びていることは事実なんですね。したがって、日銀のポジション、どういうぐあいに対処されるか、金融でどう引き締められるかは別として、あとから返事してもらいたいのですが、そういうものがなければ、ぼくはいま引き締めても、すでに機械は注文しているのですから、四十四年度の少なくとも前半期から下期に向かってそのまま成長が伸びていくという見方を私はしているのですよ。したがって、具体的に言えば、財政的にそれをどうするか、いわゆるフィスカル・ポリシーをどういう方法でやるか、金融で引き締めるならどういう方法でやるかというものが、いま政府にあるとすれば——まだそこまでいかないんだ、四十四年度に入ってからそれを見るんだ、こういうことであれば別ですが、いまそういうことを考えられておるならば言ってもらいたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政面の考え方といたしましては、財政は四月になってから実施されるわけでありますが、それ以降運用を慎重に考えなきゃならぬと考えております。いま私が一番注目しておりますのは、一体国民総需要に対して供給がいかなる地位にあるか、つまり供給過剰になるのかならないのか、あなたもいまちょっとそれに触れられましたが、それによってかじとりの状況が違うと思うのです。さっきかげりという話が出た、これは確かに一部、繊維産業あるいは電気機械産業なんかで滞貨が出てきたという現象もあります。また機械受注、これが頭打ちというか、鈍化してきておるという状況もあります。そういうのをとらえまして、あるいは供給過剰、デフレ・ギャップという状態じゃあるまいかというような見方があるんです。あると、これはなかなかやっかいな、もしそれが事実だとすれば、たいへんなことなんでございまするが、その辺をよく見つめまして、財政を経済政策としてもどういうふうに作用さしていくべきかというものを四月ごろの時点でよく考えてみたい、こういうふうに思っておるわけであります。 それから金融のほうは、そういう非常に見通しのむずかしい時期でございまするから、これはいままで日本銀行を中心とするポジション指導というものをやっておりますが、このポジション指導の体制はくずさない、同時に日本銀行以外の金融分野につきまして、景気との関係をどうしたら持て得るんだろうかという方向、これを何とか模索してみたいと努力しております。
○山本伊三郎君 言い忘れたんですが、個人消費が非常に景気に大きい影響をする、こういうことですが、私はきょうデータ持ってきてないのですが、四十一年ごろからずっと見ますと、個人消費は、伸びておることは伸びておりますが、国民総消費の割合が若干減ってきておりますね。おそらく四十一年ごろは五二、三%か五%くらいじゃなかったかと思う。それが五〇になり、五〇を割らんというような状態に個人消費の割合が減ってきておりますね。だからこれを私は十分考えぬと、個人消費を押えるということによって成長率を押えるということになると、結局デフレ的な傾向が生じるという私は心配があるので、きのう若干そういうことを言ったんですが、その点の見解だけ聞いて、私の関連質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) 私いまここで計数を持っておりませんけれども、確かに五〇数%のところから五一、二%というところに逐次下がってきておるかと思います。それだけ社会投資というか、そっちのほうが進んでおるわけです。つまり、個人一人一人の支出でなくて、みんなして共同で、さあ橋をつくろう、道をつくろう、住宅を建てようという施策が進んでおる、こう見ていいのでありまして、別に私はそれが悪い傾向であるとは存じませんけれども、しかし、その個人の消費をどっちにどう、計画的にどういうふうに曲げようと、これはなかなか、税を使う以外にはないのです。しかし税は、われわれ個人の生活を詰めるという方向に使うということは、いまの社会情勢、政治情勢から、そういうことはもうできないことでもありますし、非常に困難です。ですから、これは放任し、前のカーブで動いていくということを見守るほかはない。それに応じた施策をとっていくほかはない。まあ、個人消費はとてもとても手がつかぬというのが偽らざるところでございます。
○松永忠二君 私は、いわゆる設備投資がなかなか経済成長を左右して、いままで設備投資先行型でやってきた、かげりで少し供給過剰になりゃせぬかということから投資をゆるめよう、投資に対する金融的な引き締めをゆるめようとしているけれども、そうではないというのがいまの、もっとやはり設備投資等についても抑制をしていかなきゃいかぬというのが月例報告であり、日銀等の見方なんで、そうなってくると、設備投資に非常に大きく影響を及ぼしている法人税というものを抑制をしていかなきゃできないじゃないか。その法人税は、現実に非常に世界に比べてみても、他の所得税に比べてみても高い。したがって、しかも法人税はシャウプ勧告以来のほかの条件、総合完全課税というようなことを破っている。したがって、そういう条件を整備をしていかなきゃいかぬというようなことで、時間がないので十分論議ができませんけれども、いまの法人税というのは、シャウプ勧告以来景気が悪いごとに法人税の税率を下げて、それで上がったのは一回しか上がらぬで、あとは全部下げて、またシャウプ勧告のように三五%になっている。こういうふうなことを考えてみたときに、やはりここで法人税については根本的な改革のしかたを答申に基づいてやっていかなきゃいけない。そうなってくると、そこで問題になってくるのは、法人税率をどうするのか。まあ二十五年に三五%で、だんだん移動をしていって、結果的にまた三五%になって、一時四二%、四〇%、三八%、三七%となって、また三五%に下がっている。景気の悪いごとに法人税の税率は下げるけれども、ちっとも上げることはない。それだから、法人税は世界に比べて非常に安くなっている。低い。これは国際企業と比べてみても、日本の企業のいわゆる法人所得というのは非常に多い。これが結果的には資本を保留したり、蓄積することができて、それで設備投資にそれが転化をしていって、設備投資が非常に上がってくる。それが経済を成長をさして、経済成長の非常に速度を高くしているということが考えられる。そういう意味からいっても、法人税率を改めていかなきゃいけないじゃないか。また、そういう意味からいって、シャウプ勧告の当時に三五%になっていたということは、ほかのほうで、結果的には個人段階で完全な総合所得課税をする、配当されない内部の留保の利益は、株価が上昇する形で、株主段階で総合所得の一環として課税をするということになる。ところが法人税だけは低くして、完全な総合所得ということもやらなければ、その株価のむしろ段階で総合所得の一環として課税をすることをやらないで、実は利子所得の分離課税及び税率の軽減がされている。配当所得の課税の特例が実施をされている。したがって、勧告にもあるように、これは廃止をしたほうがいいのじゃないか。特に、これは今国会にも提案をされている昭和四十五年三月三十一日まで延長するということに提案をされるようだけれども、昭和四十五年の三月三十一日で利子所得と配当所得のいわゆる期限が切れてしまう。だからこのときにやはりこの問題を十分に措置をしていくべきではないか。 それからまた同時に、準備金とか引き当て金が非常に大企業に集中的に行なわれて、これが内部的な資金の保留となっている。この保留された資金を活用していくということによって、つまり設備投資を非常に高くしている。だからこういうふうな内部保留の準備金、引き当て金について整理をする。 それからまた分離課税——完全総合所得税だといっていたのに、分離課税、配当課税をやるんだから、これも整理をしていく。法人税自身についても、だんだん下がっているのだから、法人税についても税率を改めていったらいい。そうしてまた、同時に広告費等についても、業種別、業態別に、実績を考慮しながら損金不算入というような制度化もやっていく必要があるのじゃないか。 で、基点として私が議論を言っているのは、いわゆる設備投資が先行して経済成長をやってきた。しかしどうも設備投資が行き過ぎてきて、むしろ供給過剰になってくるという情勢が出てくるのではないかというところから、一部景気のかげりとして、まあ特に産業担当の通産省等では、この際金融をもう少しゆるめて、設備投資等の資金にも回したらどうかというような考え方があるけれども、経済企画庁等では、そういうことを考えることはないのじゃないかというようなことも言われているわけなんです。まあ十分な時間がなくて、また関係の方々にお聞きをする約束をしながら聞かない問題もあるわけですけれども、また機会を見て財政金融の問題を取り上げることにして、以上申し上げたことについて答弁をいただいて、そうして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) あまりたくさんのことを一度に伺いまして、どういうふうにお答えしていいか実は当惑をいたしまするが、結論が設備投資の調整に税制を活用したらどうだ、こういうお話のようです。税制で設備投資の調整ができるのでありますが、理論上のことですが、実際問題としてさあ過熱状態だ、法人に重課して設備を押えようと思いましても、その税を徴収するころにはもう景気がよくなっていると、そういうようなことになりますので、これを景気調整に使うという考え方はなかなか私は成り立たないのではないか、そういうふうに思います。まあしかしせっかくの御所見でございますので、とくと検討いたすことにいたします。
○委員長(塩見俊二君) 以上をもちまして松永君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時に開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十三分散会