農林水産委員会 第33号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/07/17
会議録
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○達田龍彦君 前日の質問に続きまして、協同組合法の改正の問題について、さらに問題点を明らかにしながら質疑を続けたいと思います。実は前の質問の中で、私は総合農政と農協のあり方というものに中心を置いた質問を行なったのでありますけれども、局長の答弁あるいは大臣の答弁によっては、私はなかなか理解ができない点もたくさんあるわけであります。また、私どもの考え方とかなり食い違う点もあるわけであります。さらにこういう問題については論議を深めていく必要があると実は考えておるわけでありますので、本日はさらに今回の改正の一つの大きな柱でありますところの農協に対する経営の委託の問題を中心にして若干政府の見解をただしておきたいと思うわけであります。 それは、今回の農協による経営の受託というのは、すでに御説明もたびたびあっておるわけでありますけれども、いわゆる兼業農家の今後の農業経営のあり方、あるいは基本農政からいうところの規模拡大経営という、このものにどう兼業農家を合わしていくかというところにかなり大きなウエートがあると私は考えておるのであります。そこで私はこの兼業農家の対策というのは二つの面を持っておるというふうに考えております。その一つは農基法農政で政府が明らかにしておりますように、一つはこういう非常に生産性の低い零細な、しかも農業の技術その他においてもきわめておくれておる、こういう兼業農家というものを、どうしたらその農業の近代化をはかり高生産を求めていくかという方向は、共同化ないしは協業化だろうと私は思うんであります。私はそういう方向での、こういうおくれた、非近代的なしかも零細な農業の発展というものをそういう形で求めていくことは一つの方向だろうと思うんです。もう一つは、今回農協法の改正の中に盛られておりました農協という一つの団体が、この経営を受託して、そうして高能率、高収益、生産基盤の拡大をはかっていくという対策であると私は思うのであります。一体いま、農林省の今回の改正の中に、農協法のとらえ方としては、経営の受託という方向での問題の解決をはかろうという趣旨をとっておられるのでありますけれども、将来、農林省がこういう零細な、しかも収益性の低い非近代的な兼業農家の対策として、どちらに重点を置いた方針と方向をとらえていくのか、まずその点について、基本的な問題でありますから、内容もきわめて重要でありますから、局長のほうからまず御答弁をいただいておきたいと思うのであります。
○政府委員(池田俊也君) 兼業農家というものについてどういうような考え方で今後対処していくか、こういう御質問でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、なかなか非常に一面的なお答えがしにくいわけでございますが、私どもといたしましてはやはり将来の日本の農業の姿というものを一方に描きまして、そしてそれに若干の時間はかかると思いますが、誘導していく、こういうことを考えざるを得ないわけでございますが、その一つの対策として、やはり兼業農家につきましては、これを協業といいますか、いずれにしても個々ばらばらではなしに、何らかのかっこうで共同という形のもとに農業を効率的にやっていくというような方向に誘導していくというのがまず第一の方向であろうというふうに考えておるわけでございまして、従来集団的生産組織をそういうような観点からも育成していくということを、いろいろな面からやってきたわけでございます。今回の経営受託というのも、いわばそれの、若干ニュアンスは違いますけれども、一環であると、こういうふうに考えているわけでございます。 ただ、農業生産面から見ますとそういうことでございますが、一方、それだけで事が済むというふうに考えているわけでもございませんので、やはり兼業農家の中で将来農業から離脱をしていくという方もかなり多いわけでございますし、まあ、現在農業経営者はかなり老齢化しておるわけで、他産業あるいは外国に比べても非常にその度合いは強いわけでございますから、私どもとしてはそういう方が近い将来に引退をする。その場合に、引退をされる場合、あるいは他産業に転業していく場合、その場合残されました農地を極力規模拡大という方向に誘導していきたい、こういう考え方があるわけでございまして、そのために今回の御提案申し上げております農地制度の問題なり、あるいは現在政府部内で検討しております、いわゆる農民年金の問題等もその一環として考えていきたい、こういう考え方をいたしておるわけで、要するに、現状に直結してそれを組織化していく方向と、やや先を見ながら一つの目標を置きまして、それに沿うような施策を考えていく両面があるのではないかと思うのでございます。
○達田龍彦君 いまの局長の説明が私は非常に重要な問題点を含んでおると思うのですが、これは私どもの考え方と基本的に違う内容を含んでおる。それは、農協によるところの経営の受託、私はこれは農基法が考えておるところの共同化あるいは協業化の精神と基本的にいれないものであるという見解をとるのです。なぜなれば、いま御説明がありましたように、将来の農基法の改正も含めて、一つの展望の中に受託の問題も考えておられるわけであります。私は、いま御指摘もありましたように、兼業化ということは将来の日本農業にとってはたいへん重要な問題であろうと実は思っております。 そこで、私が一番今度の受託の問題で基本的に大きな疑問を持ってまいっておりますのは、農協の経営受託ということは、農基法が示しておるところの共同化、協業化の精神に違反するものであるという見解を私はとるのであります。それはなぜかというと、御承知のとおり、今日まで共同化、協業化というのは農民自身の自覚の上に立った、農民みずからの生産組織、集団的な生産組織をつくって、農業経営というものを発展さしていく、生産基盤を拡大をしていく、あるいは農業の近代化をはかっていくというところに共同化、協業化の精神があり、いき方があり、しかもそれが農業基本法の示すところの共同化でなければならぬ、私はこう理解しておる。 ところが、今回の農協によるところの受託ということは、生産組織を育成することよりもむしろ農協という団体が経営まで委託を受けて、一切合財これをやっていくというようなやり方は、明らかに、農民自身の意思によって生産を拡大する、農業をさらに振興していくという意思を私はこれによって抑制し、あるいははばんでいく、こういう結果をつくり出すものだと考えております。したがって共同化、協業化というものが受託によって、これも一環であるという考え方は、明らかに私は農基法でいうところの、農民自身の力によって、農民の自覚によって生産基盤を拡大あるいは生産組織の拡大をしていくという精神からいうならば、明らかに違反の私は今回の措置である、こう考えておるのでありますけれども、この点についてどうお考えになりますか。
○政府委員(池田俊也君) 今回の経営受託、見方によりますと、まあ従来一般に行なわれております請負耕作というようなことと非常に近い性格ではないかと、そうい意味に理解をいたしますならば、共同化、協業化ということにそぐわないのではないかという御指摘でございますが、そのある面だけに着目をいたしますならば、おっしゃるような見方も私は確かに若干あり得ると思うわけでございますけれども、前回も若干私どもの考え方を御説明申し上げたのでございますが、この経営受託というのはやはり農協に単に経営を預けっぱなしで、委託した人はもうそれで関係なし、また他の農民とも何ら関係なし、こういうふうに私どもは考えていないわけでございまして、農協がある程度集団的に経営の委託を受けて、そうしてもちろん直接農協が機械、オペレーター等を置いてやる場合もございますが、実際には私どもは、そういう場合は比較的少なくて、むしろ現にありますいろいろな営農集団等と連携をしながら、要するに、農民として今後も農業を一生懸命やっていこうという人たちのいろいろな組織とのつながりを保ちながら、そういう人たちに作業の一部を委託する、そういうような形をとりながらやっていくということを実は指導方針としては考えておるわけでございまして、そういうような点を含めて全体を考えていく。片方には委託の群がございまして、片方にはそういうような営農集団の群れがある、その中間に農協があるということで全体としてとらえていただけるならば、それはまさに協業化の一つの形である。しかも現実には相当兼業の進んだ農家をかかえていかなければならないのでございますから、そういうものを含めた、協業としてはそういう形が非常に現実的な一つの方向ではないかと思うわけでございまして、ある一部だけをとらえると多少もう農協が預かっただけじゃないか、こういう感じもございますが、私どもは全体として考えれば、決して農基法の趣旨に沿わないものではなくて、むしろ兼業がかなり進んできた時代におきます協業化の形として一つの当然考えられる方向であると考えております。
○達田龍彦君 これは基本的に私はいまあなたの考え方と対立する面があると思います。それは全体として見ればこうだとおっしゃいますけれども、いままで皆さんが共同化、協業化に育てていく精神というものはやはりある意味では集団的な自立経営のあり方を示しておる。集団的な自立というものが中心になっております。 ところが今回これを農協に委託するということは、自立という農民のみずからによるところの自立経営というものを放棄することになります。これは明らかに共同化、集団化というものは、皆さんは自立経営農家の育成と同時に、共同化、協業化によって農民の自立性をはかろうとした。そうすると、自立というものは個人を単位とする自立と、共同化によって農民の力によって農家全体の農民意識によって協業化しながら自立経営をやっていくということが一つの私は共同化された場合の自立経営のあり方でなければならぬと思う。そこにあくまでも農民自身の、個人であろうと協業化された場合であろうと、自立経営というものが中心になっております。そこに共同化の意味がある。しかも農基法上の精神があると私は理解をいたしておるのであります。そうしていかないと、いまあなたがおっしゃられるように、経営を団体に委託をしてしまったんでは、農民の自立性というものはなくなる要素が多分にあるのです。それが離農の促進になるのですよ。あるいは農村の過疎状態をつくる原因をつくるのですよ。 私は今日、農村人口が流出するということは避けなければならぬと思います。地方の行政、末端全体の問題を考えても、これはやっぱり農民が農地を手放すということはよろしくないことだと私は思うんです。むしろ定着して農業振興のために挺身していくという姿が私は今日必要ではないかと思うのであります。そういう意味から考えていっても、請負化という一面を持つような受託は、今日、農業の中から労働力をどんどん手放していくという結果にもなるのであります。そこには自立がないからであります。私は、そういう意味において、集団的な生産組織というものは、あくまでも自立というものが集団的になされていくところに大きなねらいがなけりゃならぬと思う。ここに私は大きな問題があると言うのであります。したがって、あなたの言われるような、委託が共同化の一つの一環であるということは、明らかに私は農基法上の志向する精神に違反をしておる、こう思うのであります。どうですか。
○政府委員(池田俊也君) 将来の農業の姿をどう見るかという問題とつながる問題でございますが、私どもは、やはり従来の経過なりあるいは今後の見通しとしては、就業人口は相当減少をする、これはかなり大幅に減少をするというふうに実は見ておるのであります。現状におきまして現在の就業者の数なり農家戸数なりを固定して、自立経営なりあるいはもちろん協業ということでもよろしいわけでございますけれども、そういうものによって農基法が意図しております目的を達成するというのは、非常に困難であろうというふうに考えておるわけでございます。もちろんさらばといって、現在農業をやっておりまして将来も農業をやりたいという方を農業から出ていけと、こういう気持ちは毛頭ございませんで、その点については、よく一部では離農云々ということがいわれておるわけですが、そういう意思がある農家、離農したいというような農家をお手伝いするということは従来もやってきておるわけですが、積極的にそれを追い出していこうという気持ちは私どもは毛頭ないわけでございます。しかしやはり現在の就業人口を前提として将来の農政を考えるのは非常にむずかしいと、こういう気持ちは持っておるわけでございます。そういう点から考えまして私どもは、やはり今回の農業経営の受託というのは、将来もそういうかっこうで、すべて安定したかっこうで、そのまま存続をするとは必ずしも考えておらないので、ある意味では過渡的な形という面も多分にあると思われるわけであります。要するに、相当兼業に傾斜した農家が農業生産をやるのは非常にむずかしくなってきておるわけで、さればといって、現在の状態からは土地を手放さない、こういうことがございますから、まあその間の一つの矛盾みたいなものをこういう形によって組織をしていく。将来そういうものが、経営者の引退とかいうことを機会に経営規模の拡大に結びついていくというチャンスが非常にあるわけでございますから、そういう事態がくるまでの一つの過渡的な意味を持つという面も実は多分にあると思うわけでございます。そういうようなことで考えますならば、私どもは基本法でうたっておりま趣旨を達成するための手段として十分この経営受託というのは意味があるものである、現状に立脚した措置としては十分に意味があるというふうに考えておるわけでございます。
○達田龍彦君 非常にあいまいでありまして、それから、いま言われたようなことでは一体この政府の方針というものはどこにあるか、私は非常に疑問を持つのであります。なぜなれば私が先ほどから申し上げておりますように、農基法の精神というものは自立経営農家の育成が大きな柱ですね。しかし現実には零細な、しかも兼業農家というものがたくさん出てきている。これをどうするかということを今日考えなければ農政としてはなかなか思うように進まない。これが現実だと私は思う。その場合に、あなたがいまおっしゃるように、その零細な農家をどう生産性の高くしかも近代化された収益性の高い農業に持っていくかということについては私はいろいろの方法が考えられると思う。しかしその中でやはり私どもが考えなければならぬのは、農民の農業に対する自覚と熱意をどう農業の中に生かしていくかということが私は基本にならなければならぬと思う。したがって、そのためには零細な兼業農家、あるいは零細な農業者を集団的に自立させていく。これが私は基本でなければならぬと思うのです。だから零細農家の場合にあっても、いわゆる自立経営ということは集団の中から行なわれるという思想に立たないと、これは私はたいへんな問題になると思うんですよ。そういう意味が一貫して流れているところには自立経営農家の問題とそれから集団化の問題については私は矛盾は起こらないと思います。しかしいまあなたがおっしゃったように自立経営農家というものは農基法上やっていくのであるけれども、今回の委託ということも共同化の一環だとして経営まで委託するということは、私はあくまでも農民の自立というものがこの中から失なわれていくというところに問題があり、矛盾を感ずるのです。しかもそのことは農基法上いうところの農民の自立というものが否定をされるからです。これが私はいけないというのです。そういうものでは農業を請負企業化するということになれば、農業に対する農民やあるいは農業者のこれをさらに発展をさせていこうという熱意も、あるいは将来に対する計画も立たない。まさに農業に対する農民の意思というものを否定する結果になるのです。これは私は農業に対して大きな問題だと思うのです。そういうものをこの受託経営というものは含んでおる。だから私はそういう意味でこういうものは基本法のいうところの集団化の自立経営ではない。こう言っているのです。どうですか。
○政府委員(池田俊也君) 零細な規模のいわゆる兼業農家をどういうふうに扱っていくかという問題として、確かにそういう中で将来規模拡大をして、あるいは協業を進めて経営としての自立をはかっていこう、こういう農家があるのも事実でございますし、そういう農家はそういう農家として私は協業経営なりあるいは集団的生産組織の一環としてなり、それはそれで育成していくということは私どもは何ら否定をしておりませんし、現にそういう政策も進めておるわけでございます。ただ現在の零細兼業農家の中には全部がそういう農家であるわけではございませんで、実際問題としてはもうほとんど農業からほかのほうにウエートを移している、しかし土地保有——将来の地価を見越してこれを保有していこうという傾向の農家もかなりあるわけです。そういう農家をどうして農業の中に組み込んでいくかという問題を私ども当面は考えているわけでございます。前段のことは全く否定しておりませんわけでございます。その場合に後段の扱いとして、いま達田先生のおっしゃったのは、委託者と農協との間の関係に着目して、それだけでは何ら発展はないではないかという御指摘もそこだけから見ますと私はそういう御意見もあり得ると思うわけでございますけれども、さっき申し上げましたとおり、それはいわばたての一面でございまして、私どもは実際の運営としてはそういうものをよりどころにしてさらに一般の専業的な農家、あるいは集団的生産組織に参加している農家とのつながりにおいてそういうものを助長していこう、こういうことを考えているわけで、かたがた農協が今後大規模機械等をもって農業の高度化をはかっていく拠点にもしよう、こういう考えもあるわけです。たてのそちらの半面に着目をしていただいて、全体として見るならば、それは基本法でうたっている方向に近づく手段である、こういうふうにも私どもは考えているわけでございます。もちろんそれから先ほど申し上げました将来の就業人口の動向等も考えまして、いわゆる自立経営農家の育成にもつなげていこうと、こういう考えもあるわけでございます。全体としてひとつこれはお考えをいただきたい、こういう気持ちでございます。
○達田龍彦君 非常に私は危険なものの考え方だし、進め方だと思うんですよ。それは基本をどこに置くかということが問題なんですが、集団的な生産組織をつくって、それはあくまでも集団的な農民の自立経営というものが中心になって進められておるという、この基本を踏まえて進めていかないと、いまあなたがおっしゃられるような、これを受託経営するということは、そういう一つの道を開くことによって一つの大きな方向というものが否定をされる。あるいはその方向というものにある程度の制約を加えていくという結果になるのじゃないか。でありますから、そういうことがいま農林省がこういう受託方針というものを出すことによって、そういうものが拡大され、あるいは強化されていくということも当然これは出てくる。そうすると、根本的な自立経営というもの、いわゆる集団的な自立経営というものが否定される大きな要素をつくるんであります。私はそれがないならば——現実の問題としてあなたは、これはごく一部分の問題である、いまの説明によると。まあおそらく都市近郊農業のスプロール化現象の中から出てきている兼業農家を一面さすような御説明なんです。私はそのことを一つとらえてみたって、これは衆議院の段階でも論議がされたと思うんでありますけれども、いま農政局長が言われるような範囲で受託をするということになりますと、これは私は受託地域というのはほとんどないだろうと思うんです。これは集団的にある程度の一定の規模がなければ、農協だってこれを請け負ってたって経営が成り立たないんです。機械を買ってみたり、あるいはそのための施設をしなきゃならぬということになりますと、これは農協だって一定のいわゆる収益、採算のとれる規模でなければ、これは農協だってこれを受託したってどうにもならないんです。過剰投資になってみたり、あるいは赤字をつくったりすることが落ちである。でありますから、一定の規模がなければならぬということになる、そういう一定の規模ということになりますとね、やはりただそういう現象があるところだけを、あるいはそういう規模があるところだけをとらえるということではなくて、規模を求めるためにある程度の指導をし、それに誘導していくという結果が出てくるんです。積極的にそれを進めるという姿勢が出てきたときに、一体集団的な自立経営というものと受託というものの矛盾はどうなるのか、あるいは地域を言えばいま農民の自覚において進められておるところの集団的な生産組織との関係がどうなるのか、これが私はたいへん重要だと思う。私はそこに大きな矛盾が出てくるから、こういう考え方はいま申し上げたような集団的な自立経営、あるいは農民みずからの自覚によるところの共同生産組織というものをくずしていくではないか、こういうのであります。そのことはそういう結果になると、言うまでもなく農基法上にいうところの共同化、協業化あるいは自立経営というものに矛盾もするし、農協法上の考え方と私は違反するものである、こういうのですが、どうですか。
○政府委員(池田俊也君) 私どもは一体そういうような経営受託というような方式がどういう地域でどの程度行なわれるかということについては、これはその地域農業の実態にもよりますし、それからその地域の農家がどういう考えを頭の中に持っているかということにもよりますので、一がいには言えないわけでございますけれども、現実には作業の全部委託というようなかっこうで、ある地域においてはそういう事態がすでに起きてきているわけでございます。農林省の施策というのは従来後手後手に回るというおしかりを受けておるのでありますが、私どもはそういうようなことも考えて、若干全く危険がないというふうに言い切るつもりもございませんけれども、やはりそういう動向が一面に起きてきておる。また他の面ではやみ小作というようなことが現実に起きてきておるわけでございます。そういう事態の上に立っていかに将来よりよい方向へ持っていくかという手段として実はこういうことを考えておるわけでございまして、こういうことをやれば集団的生産組織の育成にむしろ水をさすのではないかという御指摘もございましたけれども、私はその地域の農家が将来やはり農業として立っていくということでございますならば、当然集団的生産組織なり協業経営という方向に一つの方向を向けていかれると思うわけでございますし、またそうではなくて、将来農業からはだんだん手を引いていきたい、しかし現状では全くすぐさま土地を手放すのはむずかしい、こういう状況のもとにおいては経営受託というものを利用することによって逐次事態に対処していく、こういうこともございましょうし、私どもはそれは現実にうまく調整をされるべき当然そうなるはずのことで、こういうことをやったから、集団的生産組織の育成に非常に支障を来たすということはなかろうというふうに考えておるわけでございます。そこいらは農家の今後の意欲なり、あるいは農業の実態なりから当然おのずから一つの線が引かれるわけで、私どもはそこにおいては農家の考え方に信頼をしておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○達田龍彦君 これは平行線をたどるようですけれども、私が言いたいのは、あくまでも将来の農業の振興発展をはかるためには農業者の農業に対する意欲、それから創意、自覚、そういうものを根底に置いて農業の発展をばからなければならぬと私は思うんです。経営みずからを農業者が他に委託をして、あるいは経営受託をさせてやるというような経営であっては農業経営としては農業のある意味での自殺行為です。農業というのはやはり農民が農業としての経営努力を中心にしていくという基礎があって初めて農業の発展と振興があると私は思う。そういう気持ちを十分くみ取りながら農業施策を進めていくところに農業施策の根幹がなければ農業政策というものは農民に定着しないし、発展をしないと私は考えるんです。私はそのとおりだと思うんですよ。ところが今回の経営の委託ということは農業の経営全体を農協にまかしていくということは、農民の経営意欲あるいは農民の創意くふう、あるいは自覚というものをなくしていく一つの方針になるのです。あなたはそういういわゆる経営委託をしたいという農家があることが一つは今日問題があると、こうおっしゃられるがゆえに、こういう措置をとったと言われるけれども、確かにあることもあるのであります。しかしそういう農家にどうしたら自覚を持たせ、そうしてどうしたら意欲をもって農業をやっていくかという方向でものを指導する場合、その現実のものを一つの制度化の中に結びつけて、それを委託していく場合には農業の姿勢としては根本的に違うんですよ。一つの法律をつくって指導方針を出すということになりますと、結果として委託のための指導がなされてまいる。その委託の指導がなされてまいりますと、集団的な生産組織、集団的な自立経営のあり方というものを否定する、あるいは矛盾する結果が現場の中で行なわれてくるんです。私はここに大きなこの問題に対する基本的な誤りがあるということを指摘をしておるのであります。農民の自覚や創意くふうを抹殺するような制度というものが今回こういうふうにとられることに対して私は非常に疑問を持つのであります。ここに私は大きな問題があるがゆえにこういうあり方は好ましくない、これは農基法が志向しておるところの共同化あるいは協業化の方向に違反するものであると私は言っているんです、極言すれば違反するものであると言っているんです。どうですか、その私の考え方に対して。
○政府委員(池田俊也君) 御批判は私は十分に理解をしているつもりでございますが、ただ現実問題といたしまして、たとえば農業所得が農家所得の三分の一でございますとか四分の一でございますとかという農家が現にありまして、また今後兼業所得はかなり増大をする傾向にございますから、そういうような傾向は今後も相当継続をしてある場合においてはさらにむしろ兼業所得がふえるという可能性があるわけでございます。そういう農家に私は、協業経営なり集団的生産の組織なりで農業経営として一本立ちできるような形にしろと言ってもこれは困難ではないか。それは口で集団的生産組織を活用するなりあるいは協業経営でやればいいと言うのは比較的容易でございますけれども、実際問題として、それではなかなか対応できないので、そういう農家はやみ小作とか何とかというかっこうに走る傾きが非常に多いわけでございます。そこに私どもは現実的な一つの判断を下しまして、よりよい方向に誘導していくということの努力をすべきではないか。そのこと自体が非常に理想的なものであるということを言うつもりはございませんけれども、そういう現実の上に立脚した指導なりあるいは体制を整備していくということをやるべきではないか、こういう気持ちを実は持っているわけでございまして、そのことだけで非常にりっぱな制度であると言うつもりはございませんけれども、やはり現実に立脚したそういう配慮が必要であろうと考えておるのでございます。
○達田龍彦君 説明を聞いておりますと、きわめて後向きな考え方だし、この受託という問題に大きく期待することができません。むしろ将来の農業にとっては大きな禍根を残す結果になりはしないか、こういうことを強く危惧をいたすのであります。 さらに、飛ばしておきますけれども、かりにこれが農協で受託をしてまいりましても、農協自身で経営ができないために下請化ということが行なわれる、こう思うのであります。その場合も下請というものを認めていかざるを得ないと思うのでありますけれども、そうなってまいりますと、農協の受託ということが一体必要なのかどうかということがまた懸念される。下請をするようであるならば何も農協が受託する必要はない。その他の、農事組合ですか、その他のそういう団体があるわけでありますから、それでもってやっていけばいいわけであります。しかし、あえて農協がこれを受託しなければならぬというのは一体どこにあるのか。下請というものを認めるとするならば何も農協が受託をする必要はないではないか、私はこう思うのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
○政府委員(池田俊也君) 私どもは、やはり農協というのは農民の共同体でございまして、従来からいろいろ御批判がありますように、どうも信用事業等に非常に傾斜をしている、こういう御批判もあるわけでありまして、そういうこともございますし、やはり農協というのは農民の共同体として生産事業に今後相当力を入れていただく必要がある。その一環といたしまして、今後農協が大規模機械等を持ち、農業の一つの中心としてやっていく、農業生産の一つの中心としてやっていくというふうに持っていきたい気持ちがあるわけでありますが、そういうふうな意味からも農協が受託の主体になることは適当であろう、こういう気持ちがあるわけであります。それかといって、それなら全部農協でやるのがいいかと、そうは割り切っておらないわけでありまして、それは下部の営農集団あるいは農事組合法人というようなものとうまく仕事の上でつながりを持って、ある場合には、作業についてはそういう農事組合法人に委託をするということも、これはけっこうなことであろうというふうに考えておるわけでございますが、そんなら直接にやったらいいではないかというような点は、これはやはり組合員から非常に貴重な土地を預かって全面的にまかされてやるわけでございますので、経済的な基礎のしっかりした組合でないと不測の事態もないとは言えないということで、こういうことで、あくまでやはり農協が責任を持つ、しかし作業の委託等は農事組合法人等にもやらせるというのが、一番組合員の利益を守るという点からも適当な方策であろう。もしそういうようにばらばらやることを認めますと、これは極端な場合を考えますと、従来行なわれております請負耕作みたいなものとあまり変わらないものになるおそれがあるので、そこはやはりちゃんとした責任のあるものがお預かりをし、しっかりしたやり方で、責任を持ってやっていくというのが一番よろしかろうというふうに思っておるわけでございます。
○達田龍彦君 そういうことになりますと、これは一体、受託をして農協はこれでもってもうけなくてもいいと思いますが、一体、経営がペイできるのかということが一つ。 それから、では委託をした農家の側から一体どうかということになりますが、これはきわめて再委託ということも考えた経費、手数料というものを払うということになりますと、この委託をした農家は一体手取り分はほとんどないという結果も想定されるのですね。再委託というような方法をとらなければならぬということになりますとね。一体そういう妙味のない農業というものが、これは委託するほうも受託するほうも全く妙味がない。これはどう思いますか。
○政府委員(池田俊也君) そういう農家に残る利益がほとんどないような経営の受託というのは私は、これは初めからあり得ないので、そういう見通しがあってこそ、初めて受託が行なわれるものであろうというふうに考えるわけでございます。もちろんこれは農産物のことでございまして、米等でございまするならば、現状ではそういうことは全く考えられないわけでございますが、非常に特殊な作物であれば、価格が下がればそういうこともあるのじゃないかということは、それはあるわけでございますけれども、それはもう農業経営一般の問題で、受託に伴う問題ではないというふうに私どもは考えておるので、一般の場合には当然そういう従来の経営の実態なりあるいは営農のやり方なり、お互いに納得のいく取り分で経営がいくというふうに考えておるわけでございます。そういう見通しがない場合に経営受託が行なわれるということはなかろうというふうに考えております。
○達田龍彦君 これは農政局長、あなたは専門家だが、専門家の話にしては非常に私はあいまいな話だと実は思うのであります。それはいわゆる委託をするような農家の経営の規模というものは、これはきわめて零細農家ですね。しかも土地条件、耕地条件としては悪いところが多いわけであります。そういうものを農協が受託をするということになりますと、これは私は、日本の農業が外国に比較してきわめて全体として収益性が低い、生産性が低い、こういわれておる中にあって、なおかつ日本の農業の中でも低収益、低生産性のところであるわけです。それがほとんど受託の中にかかってくると私は見ておる。なぜならば耕地がきわめて零細であり、生産規模が小さいというところが集中するからであります。そういうところを一体農協が受託をしてみて経営が成り立つのかということになると、私は常識的に見て成り立つとは考えられません。 今日皆さんが農基法以来、農業を進めてまいりました農政の結果を見ても、いま規模拡大をやって自立経営農家だと称する農家の六〇%から七〇%が借金に追われて経営が行き詰まっておるということを訴えておるのです。これは皆さんも統計の中で御存じのとおりです。日本経済がだんだんだんだん成長をする。成長に従って農業経営が成長しない限り、そういう自立農家というものはだんだんだんだん経営が苦しくなり、行き詰まっていくことは当然だからであります。そういう意味では今日、畜産にいたしましてもあるいは果樹園芸にいたしましても、今日の経済の中で日本の農業生産がそれに追いつかないためにだんだん経営か困難になり、借金がかさみ行き詰まるという現状をつくっておる。それが農協が志向するところの、あなたらが指導するところの自立経営農家といわれるところですらそういう形態が出てきているではありませんか。これが高収益をあげ、高生産をあげて、ゆうゆうと他に余裕金を持って生産の拡大あるいは規模の拡大あるいは投資の拡大をしていくという姿なら私はまだわかります。しかし、そうではないではありませんか。まして、それよりも生産性の低い、収益性の低い、しかも生産基盤のきわめて脆弱なそういう農地を農家から農協が受託して、しかもそれが場合によっては再委託をしなければならぬ、下請をさせなければならぬという状態で経営が成り立つと思いますか。 前の委員会で中村委員から御指摘があったように、いま行なわれているいわゆる協同組織というものについては、県や市町村がかなり補助をしてやっておる協同組織が非常に多いのであります。そういう実情から考えてみても、今回の委託に伴うところの農協に対する国の補助ということは考えられていないじゃありませんか。一体これは成り立つと思いますか。三十七年に、農協法の改正に伴って農地の信託ということを皆さんは考えられ、法律でやられたわけであります。あの実績を見てごらんなさい。ほとんどつくったばかりで何も利用されていないじゃありませんか。私は場合によってはこれ以上に実効の伴わない結果になるのではないかという気がしてなりません。農協はこのために赤字を増大してにっちもさっちもいかないという結果になりそうな気がしてなりません。あるいは農協の本来の使命であるところのいろいろの購買、販売あるいは生産、営農というようなあるいは信用事業というような基本的な事業がそのために運営が困難になり、農協の真の意味での事業というものがだんだんそのためにやりにくくなるという結果をつくることを非常におそれるのであります。どうですか、その考え方に対して。
○政府委員(池田俊也君) いまいろいろ御指摘になりましたような事態が、ある場合には否定できないということも私どもは理解をいたすつもりでございますが、ただ、やはり従来零細規模でばらばらにやっておりましたものがだんだん一つのまとまりになって、農協が中心になって高性能の機械等を備えてやっていくということになりますれば、非常に生産性があがってくるという面があるわけでございます。まあそう計算どおりにはいきませんけれども、今後機械化体系が整備をされてまいりますと従来の労働量の何分の一というようなことになるわけでありますから、そうなってまいりますれば、これはいまのまとめてやるということによる利益が相当出てくるわけでございます。これは確かに委託するような土地はあまりいい土地がないのではないか、いろいろそういう御指摘が私は現実にあり得ると思うのでございますけれども、しかし、農協がやる以上は、単にばらばらに数戸なり十数戸の農家から受託をしてそれでやるというものではなくて、相当まとめた形でやるということを私どもは考えており、またそういう形でなければ現実にはやらないだろうと思うわけでございます。そういうことでございますれば、相当大規模機械を入れてやるということで非常に成績があがる、こういうことがあるので、いま御指摘になったのは非常に問題点を御指摘になりましたが、私はまた一面非常にプラスの面がある、こういうふうに考えているので、農協がやる以上はそんな農協の経営自体の基礎をゆるがすことには決してならないと確信しておるのでございます。
○達田龍彦君 経営の委託の問題については、私は農協の中でもかなりの意見を尋ねてみましたけれども、評判が非常に悪いです。いまあなたたちは提案をしておるたてまえもあって、いろいろ理屈をつけておりますけれども、現場の農家の皆さんあるいは単協の幹部の皆さまの判断からは非常にかけ離れておる、今日の農業や農民のきびしい環境に対する判断と見通しが非常に甘い、私はこういう気がしてならないのであります。説明の中にも、将来の機械化体系が一元化されてくればコストも安くなるであろうということも言われておる、しかし現実にいまの日本の農家で機械をどんどん入れて近代化する、あるいは能率をあげる、労働力をだんだん省力化していく、こういうことをしてみても、現実に農家経営は成り立っていないじゃないですか、そういうものが非常に多いじゃないですか。価格の問題にしてもしかり、流通体制の問題を考えてもしかり、あるいはその他の営農の技術体系を見てもしかりであります。私はもし農協によって委託経営が成り立つという体制ができるとするならば流通体制の一元化が一つ、それから機械化体制の一元化が一つ、あるいは生産体制の一元化というような、根本的な、系統的な一元化体制がぴちっとできたときに初めて委託行政が行なわれるならば、あなたが言われるような経営の合理化、あるいは収支のとれた委託経営というものが私はなされるだろうと思うのであります。しかし、そういうものがいまほとんどできてない段階の中で、頭の中だけで考えておっても、ほとんどできてない段階の中で委託されるということは、きわめて私は今日の段階においては大きな問題を農協に預けてしまう結果になるということを指摘しておるのであります。そういう体系の中における経営委託は私は必ず大きな農協運営の中で問題を残す、だから評判悪いということを言っている。 さらに私はあなたにもう一点ただしておきたいのは、農協が受託をしてそれから下請していく、こういうことも出てくるでありましょう。その場合に農協と委託者である農家との間において具体的にはどういう受託契約というのですか、具体的にはどういう形のものを考えておりますか。
○政府委員(池田俊也君) これは、農家と農協との関係は一種の契約関係になるわけでございますが、私どもはやはり当然農協としては経営受託についての一つの規定みたいなものを設ける、そしてその規定に基づいて農家との間に一種の契約関係をつくる、何といいますか、たとえば保険会社が一つの約款みたいなものがございまして、それに基づいて契約を結ぶというのとやや似た関係になるのではないか、当然個々の農家との契約関係がばらばらということではございませんで、ある一つの集団なり一つのルールを考えておるわけでございますから、そういう形になるものというふうに考えておりまして、それで現実にさらにそういう契約関係に基づきまして、農協としては一つの勘定部門を設けまして独立採算制というようなかっこうで原価計算といいますか損益計算をいたしまして、そしてそれに基づいて一定の額の受託料みたいなものを農協が受け取る、こういう関係になろうと考えるわけでございます。
○達田龍彦君 そうしますと、受託契約の内容はある程度ひな形というか基準を示して、その範囲で統一指導をするというお考えですか、そうすると、その統一指導をする内容というのはどういうものをお考えになっているんですか御説明願いたいのですが……。
○政府委員(池田俊也君) これは模範定款例みたいなかっこうで非常にかっちりしたものをつくりまして、それに沿ってやるように指導をするか、あるいはそこまではいかないで基本的なルール、こういうことについてはこういうきめ方をしなさいというようなルールをきめましてそれで指導をするか、そこいらまではまだ実は確定をしているわけじゃございませんが、いずれにいたしましても私は基本的な姿については農林省としても望ましい姿というものをつくりまして、そういう線で御指導を申し上げたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○達田龍彦君 もう一点ただしておきますけれども、これは私が先ほど指摘をしますように、農協がこれをかりに受託をしてやる場合に、機械その他いろいろのものを、施設を含めて用意しなければなりませんね。おそらく私は結果としてその機械その他を入れたために過剰投資になってペイできないという結果になりそうな気がしてならないのです。皮肉な現象として、農林省が機械化近代化というものをどんどん進めておる、その結果もうかったのは、農家ではなくして、機械メーカーだということがよくいわれるのです。それほど近代化、機械化というものは機械メーカーを、大きく企業収益を拡大させておるのです。農民がもうかったのならばこれは当然だと思いますけれども、そういう結果をつくっているのです。そうして農家はむしろ国の金融行政、補助行政にまって借金政策を重ねる、こういう結果が皮肉な現象として随所に出ておるのです。だから私はそのことを考えてみても、一体今回の農協受託ということは過剰投資になる傾向が非常に強いのじゃないか、機械その他の設備をどんどんつくっていって、結果として経営が成り立たないという結果になりそうな気がしてならないのであります。そういう、かりに受託した結果が赤字になる、当初はそうでなかったけれども、これは気象条件によってそういかない場合もあると思いますよ、特に農業でございますから。そういう場合の一体結果はどういうふうにするのですか。農協の経営としてそれが赤字が出る、ではほかの収益でもってまかなうと、こういうようにしていくのか、あるいはそれだけを単独に国がめんどう見るのか、あるいはどうするのか、その点どうお考えになっておりますか。
○政府委員(池田俊也君) 機械が十分稼働しないというような事態が従来あったこともございますけれども、私どもは、最近非常にその点については農家も自覚をしてきておりますし、機械化の体系も整備されてきておるので、将来そういう事態はかなり改善されると思っておるわけでございますが、それは別にいたしまして、かりに農協が引き受けて赤字状態になった、そういうことは万々ないと思いますが、もしかりにありましたような場合には、これは私は現実問題としては、従来農協が各部門別の計算をいたしました場合に、信用事業等が他の部門の損失をカバーしているというような事態が現実にあるわけでございますから、それはそういう事態が全くないとは言えないので、そういう事態は起こり得るかもしれないというように考えております。
○達田龍彦君 だから考え方としては国はとにかくタッチしない、要するに単協、まあ範囲は単協でしょうね、単協の範囲で全体の事業運営の中でそれを処置していく、こういうことですか。この場合に、たとえば県連あるいは中央——中央の問題はないにしても、県連あたりが、特別にたとえばそういう結果が出た場合には補助をするとかいうようなことをかりに県連がきめるような場合について、農林省はどういうふうにこれを考えていきますか。
○政府委員(池田俊也君) まあこれは全く仮定のことでございまして、私どもは赤字が出ると思っていないわけでございますが、仮定のこととしてお答え申し上げますが、もしかりにそういうようなことが出て、それに対して県の連合会等において、これは将来発展させなければならない事業なんで赤字を単協に負わせないほうがいいという判断のもとに、かりに補助金を出すということでございますならば、それはそれとして否定する必要はないと考えております。
○達田龍彦君 これはこの経営が赤字になるのかどうかということも農林省の考えと私の判断ではかなりの食い違いがあります。しかし、私はあなたが言うように、例外中の例外として赤字が出るところもあるであろうというような結果ではないと思います。もしこれが採算が合うようなことであれば、かなりの私は受託は出てくると思う。しかし、どうはじいてみてもそういかないということになると、受託契約はほとんどなくなる。なくなるがゆえに赤字が出ないと、こういうことになるのであります。赤字を出すというような受託はありません。そうなってくれば受託契約をしない。ですから、法律でもって農協の事業の中にこれを含めてみても結果として行われない、こういうことになる。私はそういう心配が非常にこの問題については強いのであります。 さらにいろいろ論議をしてみても、ほとんどの点で食い違いといいますか、見解の相違が出てまいっておりまして、非常にこれを私は残念に思います。しかし、これらの問題をさらに農林省は十分検討をして将来の農政の中にこれを生かすような方向で、前向きの姿勢を私はとってもらいたい、こういうことを強く要望をいたしておきます。 次に、信用事業について若干ただしておきたいと思うのであります。今回の改正の中でも、信用事業の中における員外利用の拡大を今回法改正の中で提案をされているのであります。まあ信用事業の今日のあり方というのは、いろいろ私は問題があるということを知っておるのでありますけれども、一、二点だけ問題点をしぼって見解をただしておきたいと思うのであります。 それは、改正の中にもありますように、員外利用の拡大という問題、元来協同組合組織における信用事業というものは、本来的にどうなければならぬかということをまず考え方としてきちんとしておかなければならぬと思います。これは私は特に農業協同組合の中における信用事業でございますから、本来は農業金融としての本来のあり方、使命というものが確立されておかなければならぬと思います。したがって農民の預金、貯金というものは、農民のいわゆる農家経営や農業の発展のために本来的には使われていくことが本来のあり方であると思う。そういう基本的な原則とあり方の上に立つ場合に、一般的にいってこの員外利用を拡大していくということは私はあまり好ましい方向ではない、こう考えるのであります。こういう好ましくないという考え方に立っておるのでありますけれども、今回の改正の中では、員外利用を拡大するという方向で、むしろ農業金融の本来の筋からいえば農業金融以外の分野に農業金融を充てようとするというところに私は本来的なあり方に問題があるのではないかという気が一つするのであります。したがって、基本的な農業金融の本来のあり方の考え方、いま申し上げましたように、員外利用の拡大というものがなぜ行なわれなければならないか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) まあ私どもも基本的にはいま先生のおっしゃいましたような考え方と全く同じでございまして、員外利用というものが非常に割合がふえてくるというのは決して好ましくない。特に貸付金の場合等におきまして、農民から蓄積をしました資金はやはり農民に還元するというのが一番よろしいわけでございますけれども、現実にはなかなかそういうふうにまいらなくて、農業、農民に対する貸し付け額というものがなかなか伸びない、こういう実態があるわけでございます。したがって、そういうような観点から資金を遊ばしておくわけにもまいりませんので、これを他の金融機関等で運用すると、こういうことも現実には起こっていないとも言えないかと思うわけであります。今回の改正は実は員外利用を拡大するという形ではございますけれども、私どもは実質的にはややニュアンスが違う点もございまして、世帯に対する貸し付け等につきましては、これは従来貯金の受け入れを行なっておりますけれども、そういう貯金担保の貸し付けというものはほぼ貯金の払い戻しと同じでございますので、これは実質的にはあまり員外利用を拡大したということではないのではなかろうか。 それから問題は金融機関等に貸し付けるものでございますが、これも現実には単協はほとんどございませんが、信連の場合の問題なんでございますが、信連の場合には現実問題として相当なボリューウムにならざるを得ない。これは性格的には余裕金運用という性格のものだと私どもは考えるわけでございます。そうすると、余裕金運用というかっこうが現実に起こらざるを得ない場合に、あまりそこにきつい制限を加えますと資金の効率運用というものがなかなかできにくくなりますので、そこいらは現実に合わして緩和をしたらどうだろうかと、こういう趣旨でございまして、基本的な姿勢としては私どもも何ら従来の考え方と違うわけではございません。
○達田龍彦君 員外利用で私は基本的にもう一つ問題があるのは、協同組合の基本的な原則からいって農業金融というものは、やはり一つは、営利化、利潤を追求するような金融形態というのは、これは協同組合の中における信用事業としては間違いであると思います。さらにまた、これは農業金融でございますから、協同組合の中の事業の一環としての農業金融ですから、農業を離れた金融化というのはこれまたいけないと思うのです。ところが、今回の改正の中にはこのいけないことを部分的にではあっても精神的におかそうとしているところに私は問題を感ずる。たとえばこんな、だんだん金が余るから結果として民間企業やその他の金融機関に貸し付けて、あるいは融資をしていく、こういうことになりますと、結果としては営利を追求する道を開くし、もう一つは、農業を離れて金を貸していく金融の道を開くのであります。これは私は協同組合の原則からいっても問題がある。さらには農業金融という農業を離れた金融の措置というものについてもこれまた私は問題があると思います。そうなれば一般金融と一体どこに変わりがあるんだという議論も出てくる。今回の員外利用の拡大に対して中小企業団体等からかなりな反発があるところはそういう私は同業、いわゆる競争相手に対する意識もあると思いますけれども、金融本来のあり方、協同組合の事業の中における信用事業というものを私は基本的にワクというもの、あり方というものを考えた場合に問題があると考えるのであります。 でありますから、そういう行為をだんだん重ねていきますと、協同組合の信用事業というものの自殺行為になりかねないと私は思います。その端的なあらわれが員外利用を中心にしていろいろな小正事件が起こっておる。私はこの不正事件というものが農協運営を崩壊しているという例も二、三全国的に知っている。員外利用に、あまり農協の運営が信用事業に重点が置かれて、そうしてどうしても経営が成り立たないために金融事業といりものが農協金融というものを離れて営利化していったところに不正事件が起こっておる。これは明らかに農協という協同組織に対する、あるいは農協金融というものに対する自殺行為だと私は思うのであります。だから、員外利用の拡大というものはそういう危険な要素を持ちますから、私は拡大の方向というのは非常に好ましくない方向である。むしろ行政庁のあり方としては、農協の中で確保された預金、貯金というものは、農協の中でこれを還元して農業の発展のために使うという原則の中で方針を立て、指導するという確固たる信念のもとにやらないと問題が私は出てくると思うのであります。 そこで私はいま申し上げたような考え方を持っているのでありますけれども、ただ一面言えることは、都市近郊農協の中で、だんだんだんだん農業をやらなくなって、そうして土地を手放さなければならぬ。そうしてそのお金をどうするかという問題が確かに農協事業の中に出てきていることを私は知っております。いまの都市近郊の農協というのは、もう純農村の農協と比較したときに、きわめて農協の基本的なあり方に問題点を感ずるような状態が出てまいります。とりわけ信用事業というものがきわめて大きなウエートを占める農協のあり方になっている。そうしてまた農協の組合員の皆さんも、農協の信用事業というものを、土地の売買を対象にする金融機関みたいに認識するような分野が非常に出てきておる。これは私は一つの今日的な都市農協の特徴であると思います。しかし、そういうものがあるから農協全体の金融事業というものを、その道を開くという形でいわゆる農協信用事業というものの方針を変えていくことは私はきわめて危険な要素があると思います。かりにそういうものを認めるとしても、限定して、一定の条件の中で認めていかなきゃ私はいけないと思う。先ほど言ったように、きわめて大きな不正というものもそういう形の中から出てきておるわけでありますから、したがってこういう都市農協に対する農協の今日のあり方というものをどう今後指導しようとするのかということが一つ。 それから都市農協の事業の中でいろいろ出てきておりますけれども、生活的な問題あるいは営農的な問題というよりも、いま申し上げたように信用事業が大きな事業のウエートを占めておる。これは一体農協だろうかどうだろうかというような気がしてならない。これは一般の信用金庫か何かの金融機関ではないかというような形態をとりつつあるのであります。こういうものに対して、一体農協としてどうワクづけていくのかということが一点。あるいはこの際信用金庫として割り切るかどうかという話だって私は出てくると思うのであります。こういうものに対してどういう指導方針をお持ちになりますか伺っておきたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 今回の改正は、たとえば営利企業等に対する員外利用を制限緩和しようという、こういう趣旨は毛頭ございませんで、先ほど申し上げたような趣旨のことでございますが、ただいまお話ございました都市農協の問題、これは確かに一つの非常に大きな問題であろうということを私どもも考えておるわけであります。ただ実質的にはかなり信用金庫的な性格が多いわけでございますけれども、一部ではやはり営農農民がその組合員として農業をやっていて、その農業に関連いたす事業が行なわれておるということもございますので、これをいまの段階で、たとえば組織がえをするというようなことも一つの考えではございますが、直ちにこれに踏み切るかというと、若干そこに問題が残っているわけでございます。 また一方、それならば都市農協にあわせまして農協のワクの中で一つの対応策を考えろということも一つの案でございますが、これは私どももやはり農協の本来あるべき姿をゆがめることになるのではないかということで、実はそれについても多大の疑問を持っておるわけでございます。そういうような、いわばいろんな矛盾、問題点がございますので、私どもといたしましては、いまの段階でこれを直ちに割り切るのは若干時期としていかがなものであろうかという考えを持っておるわけでございまして、しかし非常に大きな問題でございますので、これは今後さらにこの実態についてこまかい調査もいたしまして、私どもは近い将来にそれに対する対応策を考えたいと、こういう気持ちを持っているわけでございます。
○達田龍彦君 最後にしたいと思いますけれども、この都市近郊農業の問題については検討をさらにしていきたいと、こういうことでありますけれども、私は今回の改正で特に強く主張しておきたいことは、過去に員外利用を中心にして農協の信用事業の不正事件というものがかなり出ておるのであります。今回員外利用の拡大をすることはさらに不正の拡大を招くということをきわめて私は懸念するのであります。農林省は農協に対しては監督指導機関でありますから、監督指導機関として私は監督官庁の立場をもう少し明確にしていかなければ実はならぬと思っております。とりわけ信用事業についてはその感を深くするのであります。今回員外利用の拡大ということに踏み切られたのでありますから、その意味では従来ですら員外利用に対する不正というものが介在をいたして、農協運営全体の混乱を招いておる。農民が農協に対して非常に不信感を持つ結果として農協の営農指導あるいは生産指導というものがだんだん薄れていく、こういうことになっておる。そういう意味で今回この信用事業を拡大していくという、員外利用を拡大していくということに伴って、とりわけ農協の全般に対する指導監督というものを根本的に農林省はやっぱり考えてみなければならない段階にきておる、とりわけ信用事業に対するあり方というものは、農林省の監督監査というものを考えてみなければならぬ問題ではないかと私は思うのであります。一方で員外利用という農業金融とははずれた一般の金融的な仕事をさせる、しかも一面では都市近郊農家というものは農協の中における仕事というものが信用事業が重点になっておるという現状の中にあっては、そういう問題に対する対処をこの際監督官庁は考えなければならぬと思うのであります。これに対してどういうお考えをお持ちですか。
○政府委員(池田俊也君) その点につきましては御指摘のとおりだと私どもも考えておるわけでございます。特に信用事業を中心にいたしまして、従来いろいろ問題が起きてきておるわけでございますし、実は昨年から信用事業の強化運動というものを団体のほうともタイアップいたしましてやっておるわけで、これは今後の事業内容を一一チェックいたしまして、貸し出し等についても不当なものがあればそれはその内容を明らかにした上で一定の期限の中で回収をするというようなことも具体的に点検をした上で進めようと、こういうことになっておりますし、私どももそういう運動はさらに力を入れて実効のあがるようにしたいと考えているわけでございます。なおたとえば検査等の面で現状が非常に不十分であるということは私どもも実は痛感をしておりますわけで、これにつきましては先般もいろいろ御意見があったわけでございますが、もう少し何かくふうをして実際上効果をあげ得るような方式を何とか実現をしたいと、いまの体制のもとではなかなか人間の数を単純にふやすということは非常にむずかしいわけでございますので、そういう足りない面におきましてはそういう面も努力をいたしたいと思いますが、もう少し効率的な検査ができるような点について、さらに努力をしたいという気持ちでございます。
○達田龍彦君 その点の指導の強化については、抽象的なことでは私は問題の解決にならぬと思います。それから、画一的なたとえば中央会——全国中央会、あるいは県の中央会、単協というその段階があるわけですけれども、金融それ自体の内容というのは全国中央会あるいは県中央会の場合はおよそ仕事の内容が違いますし、役割りが違うために必ずしも画一的にいかない問題があるのです。これは漁連の段階でもそういうことが言われます。したがって、たとえば漁連の場合に例をとりますと、白子のノリ問屋が倒産をした、その関係において全漁連がいわゆる在庫調整という形で中金から金を借りて、あるいは農林漁業金融公庫から金を借りて調整と称して融資をしておるという例があるのです。その結果倒産をした場合の回収がどうなるかということで漁連内部でいろいろ問題をかもしたという問題もあります。あるいは石油を買い占めてそしていわゆる漁船全部にこれを使用してもらう。あるいはテーラーその他ガソリンを中央で契約をして全農家で使ってもらう、いろいろ企業的な分野をかなり全国の中央会はやっておるのです。これは全国段階ですね、ですからその中にいろいろ当たっていきますと、これは一体農業金融としてこんなことをやるべきかどうかと疑問を持つような問題もたくさんあります。だからそういう意味でこの改正を機会に員外利用の拡大等もありますし、将来の問題を残さないために、また信用事業の混乱の結果農協機能を麻痺させているという例もあるわけですから、これは本末転倒だと私思うわけでありまして、そういう面から考えましてもひとつ十分企業の、今日のいわゆる企業というものを農協の中央会あるいは県段階の運営の実態というものを的確に把握して、そして一つ一つ検討の中からその指導方針、監査方針の綿密なものを出してもらいたい、こう私思っております。そうしないと、単に一片の精神訓話的な通達を出してみたり、あるいは年に何回も監査をするとか、あるいは中央会の幹部を呼んで顔を見てどうだと言って尋ねてみたり、そういうことではこれは問題の解決にならぬのです。私は、いろいろな問題を問題点として知っておる、しかしこれはやっぱりそういう監督官庁のいわゆる適切な指導監督というものがどうしても必要な分野がたくさんある。どうしても事業経営する側にとっては経営上行き過ぎる問題もあるのです。あるいは見通しを間違う場合もあるのです。そういう意味における問題が企業の中では必ずこれを抑制できないままに拡大をしていくきらいがありますから、ひとつそういう点を十分判断をし、綿密な調査の上に立った適切な措置をとってもらいたい、こう思います。どうですか。
○政府委員(池田俊也君) 実は、そういうようなことを私どもも強く感じておりますので、部内的にはいろいろなことを考えているわけでございます。まだこれは確実に実現の見通しがついておりませんので、それをここで申し上げるのもいかがかと思いますが、検討中と申し上げるよりほかないわけでございますが、私どもの気持ちとしては、まあ単協は県庁がやると、それから県の連合会は地方農政局がやると、全国連合会は国がやるというふうに機械的に従来ややなっているきらいがありますので、もうちょっとそこいらを機動的に何か検査等についても行なえるような体制を考えたらどうだろうかということを実は内部的にはいろいろ検討しているわけでございまして、御指摘の点は十分私ども一も理解をいたしておりますので、その点についてはさらに努力をしたいと考えます。
○委員長(任田新治君) これにて午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時十七分開会
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○藤原房雄君 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきましては、だいぶ審議も進んでまいりまして、わが党の沢田委員からも多方面にわたる質疑がございましたので、何点かにしぼりまして要点だけ申し上げてお聞きしてみたいと思います。 まず第一点は、この社会の大きな動きにつれまして、各方面にいろんな問題が起きているわけでありますが、同様に日本におけるこの農業につきまして、特にまたこの協同組合の問題につきましてもいろんな問題が起きております。このことにつきましては簡単に一、二聞きたいと思うのでありますが、この法律案の提案理由の説明の中に、「組合をめぐる諸情勢に対処し得るよう、国が昭和三十六年以来進めてまいりました農協合併の進展の結果、組合の規模が拡大しその経営基盤が充実しつつありますが、合併における組合の組織管理面、事業運営面などにつきましてなお改善を要する点も少なくなく、また系統組織の運営面におきましても解決を要する問題が生じてきております。」、このように提案理由の説明の中にあるわけでありますが、この農協の合併の進展、それからその後における諸問題、こういう問題につきまして非常に抽象的に書いてあるわけでありますが、これについてどういう問題が現実に起きておるのか、この点を当局としましてはどのように現状を認識しておるか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) この合併がかなり進みまして、大型農協が出てまいっておるわけでございます。そういうような比較的組合員数の相当多いような大型農協につきましては、組合の管理運営上非常にくふうが要る面が出てきているわけでございます。たとえば今回の法案で一応その点についての改正を予定しておるところでございますが、総会の開催というようなのが非常にむずかしくなってきている。端的にいえば会場等の確保もなかなかむずかしいし、組合員を一堂に集めて議事なりあるいは選挙なりをやることが非常にむずかしい、こういうような事態が出てきているわけでございます。そういう関係で、今回は総代会の権限拡大というようなことを御提案申し上げておるわけでございます。それからまた連合会の段階におきましても、その会員の間にかなりの格差が出てきております。そのようなことで連合会の管理についての発言等が実質に若干アンバランスではないかというようないろんな御意見がございまして、そういうような点についても今回特例措置を講ずる、こういうようなこともあるわけでございます。制度面におきましてはそういうような点で私どもは若干の手直しが要るのではないか、かように考えたわけでございます。
○藤原房雄君 確かに時代の推移とともに合併ということも進めなければならないと思うのでありますが、またそれに対応する問題として、このたび法律案も一部改正の提案があったと思うのでありますが、ここで私どもが考えなければならないことは、この制度上は、総代会または連合会の問題にいたしましても、いろいろ検討されて改革されているようでありますが、やはり何といいましても個々の農家の方々が生産性をあげていく、個個の農家の方々がそれによってより近代的な営農の方向に進まなければならない、こう思うわけであります。大型化するとともにここに生じてくることは、この個々の農民の方々の意思というものがなかなか反映しなくなるのではないかという危惧を持つのでありますが、この点につきましてはいかがですか。
○政府委員(池田俊也君) 確かにそういう問題がございます。それで私どもは今回の改正をお願いしております法律と当然うらはらの関係で、やはり全体としては組合員との意思疎通をはかる上で特段の努力が要るのではないか。たとえば部落座談会を催しますとか、あるいは各農業種類ごとにいろんな、たとえば畜産関係の部会を設けますとか、そういうようなことで組合員との関連を強めていく、特に営農指導というような問題に特段のくふうが要るのではないか、さように考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 そういうことで、個々の農家の方方の問題は、その意思というものを十分に反映するということが非常に大事であるということは先ほども申し上げたのでありますが、部落ごとの座談会と、そういう面の検討も考えられるわけでありますが、しかし、現在大きくなり、合併することによりまして総代会というような大きな規模によって全体が動かされるということになりますと、どうしても個々の意見というものは反映されなくなる。ここにもっと積極的な問題を考えなければならないのじゃないか、こう思うわけであります。大きな全体的な運営でありますから、一人一人のことを聞き入れるということは私はかなり至難であると思うのでありますが、これに対しまして、もう少しくふうが必要ではないかと、こう思うのでありますが、その点についての見解はいかがですか。
○政府委員(池田俊也君) おっしゃるとおりだと私どもも考えておるわけでございまして、要するに農協というものは一つのやはり組織でございますから、その管理運営についてはいろいろな管理の責任に当たる方のくふうなり努力が要ると私どもは思うわけでございます。まあ先般もいろいろ御議論ございましたわけですが、総会制をとっても、白紙委任状を全部出すということになれば、これは全く組合員の意思が十分反映されないということにもなりかねないし、むしろ私どもは少数の方でも十分いろいろ討論をするという機会があったほうが組合員の意思を組合の管理に反映できるというふうに考えておるわけで、そういう意味で今回の改正をお願いしておるわけでございます。同時に、それはやはり相当くふうが要るので、さっき申し上げましたように、部落座談会等を積極的に活用するというようなこと、あるいは組合におきましてもう少し経済事業に片寄ったやり方ではなしに、営農面に力を入れて組合員との結びつきを強化するというような点で格段のくふうが要ると考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 現実的な問題になりますと、いろいろな問題があるようであります。しかし、今後ともそういう問題につきましては鋭意検討して個個の意見というものが十分に反映するような方向に持っていっていただきたいと思うわけであります。組合員と組合とのつながりというこの点について、いままでもいろいろ議論されておりましたのでありますが、大型化されていくということから、特にこの点については私どもいろいろ考えておるのでありますが、組合員と組合とのつながりの強化の必要であるということにつきましては、これは論をまたないことだと思うのであります。昨年の三月公表されました農業経営に関する意識調査の結果によりますと、総合農協の事業運営について積極的に活動しておると、このように評価しておるものは調査対象の三三%であった、七〇%が消極的と評価をしておる、このように発表されておったのでありますが、この理由について、農協の経営者に農業経営に対する積極性に欠けておる、こういう点を指摘しておる者が非常に、おそらく農業経営等の農業生産面への比重という、これは当然なことなのでありますが、もっと農業生産面に対する力を大いに注ぐべきである。この農協の合併にいたしましても、いろいろな事態の推移で紆余曲折はあったのでありますが、その基本理念というものはやはり堅持し、そうしてそこに大いに力を注いで、農業生産面に対する各農家の力を十分に整えてやっていかなければならぬ、こう思うのであります。この意識調査によりますと、非常に総合農協の事業に対して積極性に欠けておるという点が出ておるのでありますが、こういう点に対しまして農林省としてはどういう点に問題があるのか、それに対してどう対処していこうとしておるのか、この点について。
○政府委員(池田俊也君) この問題は私はどうも産業組合以来のいろいろなつながりということが非常に影響しておるかという気もいたしておるわけでありますが、現実問題といたしまして、組合におきましては要するに信用事業とか、あるいはそれに続きまして共済、購買事業等で利益をあげておる、それで組合の経営というものの中心がそこにあるようなかっこうになっておる面がありますので、どうしてもそちらのほうの重点の運営が従来行なわれておるわけであります。まあ農協法ができましたとき、あるいは比較的最近の時期では、それぞれやはり生産面の事業を強化しようという意向がかなりあるわけでございますが、なかなか手がかりがつかめないできているという事態が一般的にあるわけでございます。ただ私どもは最近におきましては、農協もその点はかなり考え方が変わってきておりまして、やはり今後営農団地等を通じて生産体制を整備していく、もちろん流通とも結びつきまして生産体制を整備していく、それから営農指導員も逐次ふやす、こういう機運にありますので、機運としてはかなりそういう機運になってきている。今回経営受託という制度を導入しようとしているわけでございますが、これもいろいろ御議論があるところでございますけれども、やはりそういうものをいろいろの手がかりにいたしまして、私どもは生産のほうに極力重点を今後向けていくように指導したい、こういう気持ちでいるわけでございます。
○藤原房雄君 それから総合農協の事業運営に対しましての評価の中で、積極的でないという理由として、農協の職員の問題が論ぜられているようであります。農協職員の適性という問題でありますが、これは多方面にわたり、また非常に専門的な分野にもわたりますので、相当な教育といいますか、研修といいますか、そういうことが必要だろうと、このように思うのでありますが、この農協職員に対する研修とか、または教育の問題については、現在どのようにしていらしゃるのか。また、今後に対する対策があればその点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 特に私どもはやはり農業を専門に指導できるような農協の職員の確保が大事だと思っているわけでございますが、これにつきましては、たとえば中央では先般来いろいろ御議論がございます従来の短大なり、あるいは今後つくろうとしている中央学園というようなものが比較的高度な教育組織でございますが、そのほかに県等におきましても、もろもろのそういう農協職員を養成するような組織があるわけでございます。そういう組織につきましては今後とも極力そういうものを整備いたしまして、農協の職員になる適格者を確保していくというようなことはぜひとも必要でございます。特にそういう経済面だけではなしに、生産面の指導ができるような職員を極力確保していく、そういうことは私どももいまの農協の置かれている立場から言いましてもまことに必要なことであるというふうに考えておりますし、そういう方向で関係の方は非常に努力しておられるというふうに考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 総合農協に農業経営の問題につきまして積極的に何を望むかというような問題につきまして、いろんなデータがあるのでありますが、やはり何といいましても生産技術の指導ということを望む声が非常に多いのであります。これは大体二三%。それから営農資金の貸し付け、これが九・一%、農産物の販売八・五%、それから農業資材の販売、こういうような一応データが出ているようであります。そういうことからいたしまして、先ほどもちょっと触れたわけでありますが、何といいましても農業の生産性を向上させるという問題につきまして、また営農指導ということについては、非常に農家の方々も積極的に望んでおるようであります。それに対するいろいろな対策も講じておるといういまのお話にもありましたですが、しかし、このように多くの方々のパーセンテージを占めるということは、まだまだそういう点の指導というものが行き届いていないのではないか、このように思われるのでありますが、農協本来の趣旨からいいましても、生産技術の指導ということにつきましては最重点でなければならない、こう思うのであります。こういう点からこの問題を具体的にどのように進めておるかという問題、現状はどうか、こういう点についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) この問題は私ども先ほど申しましたように、農協全体としても営農指導というようなこと、あるいはさらに農産物の販売面等に対するいろいろな体制を強化していくという方向にいろいろ御努力を願っておりますし、たとえば営農指導員について見ますと、非常に十分ではございませんが人員も逐次ふえてきております。組合の基礎が弱いとなかなかそういうこともできないわけでございますが、逐次基礎も強化されてきておるので、そういう営農指導員をさらに充実していくというような方向は、これは一ぺんにはなかなかまいりませんが、逐次ふえてきておるわけでございます。特に最近の問題としては農協が三十六、七年ごろからでございますが、各作目ごとに営農団地というものをきめまして、そこにおきます生産体制を充実する、あるいは営農指導を充実するというようなことで逐次やってきておるわけでございますが、これに対しましては、私どもとして今年度初めてでございますが、近代化資金から五百億程度の融資をする、こういうふうな方向になってきておるので、一ぺんにはなかなかこれはまいりませんけれども、方向としては逐次そういうふうにまいっているわけでございます。
○藤原房雄君 営農指導員という問題につきましては、これは現在どのくらいいらっしゃってどういう制度になっているんですか、その点ちょっとお聞きしたい。
○政府委員(池田俊也君) 専門農協は別にいたしますと、大体総合農協では一組合あたり平均いたしますと二人程度でございます。全体といたしまして約一万五千人弱くらいでございます。組合によりましてはこれは相当幅がございますので、一組合で十人近くかかえているところもございますが、平均すればそういうようなことでございます。
○藤原房雄君 過日もいろいろ質疑もあったことでございますので、この問題につきましては冒頭にも申し上げましたように、組合員の意思が十分反映されるような方法というものをぜひ御検討願いまして、適切な運営をしていただきたい、このように要望するわけであります。 次は中央会のことでございますが、単協から全国中央会、この縦に流れる大事なかなめになる組織でありますので、相当強力な体制というものがなければならないとこう思うのでございますが、この中央会の総合指導組織というものが非常に弱体であるというようなことも聞いておるんですが、この現況についてはいかがでしょうか、概略説明願いたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 中央会の事業の内容でございますが、これは県の中央会あるいは全国の中央会、同じ中央会でございましても事業の重点がかなり変わっているわけでございますが、中央会の事業といたしまして、やはり非常に大きなウエートを占めておりますのは指導関係、経営改善とかあるいは営農指導とかあるいは生活改善とか、そういうことに対する指導事業がウエートとしては非常に大きく、人間の数から見ましても予算額から見ましても大体中央会の事業の三分の一程度を占めておるわけでございます。それから、あと監査関係の事業、これは監査士を置きまして、それぞれメンバーの監査、これは指導的な監査が中心でございますが、そういうものをやっておるわけでございます。もちろんそのほか、いわゆる農政活動というようなことをやってもおるわけでございます。まあいろいろやっておりますが、やはり事業の中心としてはいま申し上げたような指導事業というようなものが大体予算面、人員の数から見ましてもほぼ三分の一、こういうふうな状況でございます。
○藤原房雄君 この問題も相当いままで論じ尽くされましたので、私は特にこの指導面につきまして、中央としてかなめになる大事な立場でありますので、日本農業の大きな推進となっていくような方向により強化されていかねばならないと、このように思うのでありますが、特に前回にもいろいろ問題になったことでありますが、中央会の大きな役目としまして、単協やまた連合会に対する指導とか教育とか監査という、こういう問題が非常に重要な部門になってくると思います。特に、ひんぴんと不正問題等起きまして世のひんしゅくを買っているような現況からいたしまして、効果的な指導や教育や監査ということに対して、問題について今日どのようにこれを進めているのかということについて、その専門的な技術者といいますか、専門的な立場に立っていく人たちがどのように養成されているかという、そしてまた、世のひんしゅくを買うような不正事件を防止するためにどのような対策が講じられているか、これも今後についての大事な問題でありますし、また検討されなければならない種々の問題がありますが、現在当局としてやっておりますことについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 監査関係は、中央会におきまして監査関係の人を置いてやっておるわけでございますが、人間の数を申し上げますと、県の段階では人数としてはかなり多くて八百三十人くらいおるわけでございます。全国段階では十一人程度でございます。こういう中央会としては指導的な監査ということが、考え方としてはそういうことになるわけでございますが、実は役所のやります監査とも十分連絡をいたしまして、なるべくならば両方が相補うようなかっこうでやりたいということで、監査計画等もいろいろ打ち合わせをしてやっておるわけでございます。どの程度やっておるかということを申し上げますと、年次によって若干の違いがございますが、大体監査をやっております割合は、最近におきましてはやや上がってまいりまして、平均的なものでは三割程度、そういう状態までは監査を実施しておるわけでございます。
○藤原房雄君 一応の体制といいますか、形は整っているわけでありますけれども、実際にその効果があがっていないという、いろんな問題が続発しているということ等から考えますと、機構上の問題については一応整えられておりますが、運営上、たとえば監査に強制力がないといいますか、また人員が不足しておるとか、県の段階では相当に人数がいるようでありますけれども、こういう面で十分な監査計画、計画的な監査ができない現況というものが何かあるのじゃないか、このように考えられるのでありますが、この点はどうなんでしょうか。
○政府委員(池田俊也君) ただいまも申し上げましたわけですが、やはり中央会のやります監査は、これはいわば経営指導的な監査がどうしても中心になるわけでございます。したがいまして、農協のいわゆる不正事件といわれておりますようなことを重点的にやるという体制にはどうもやっぱりなりがたい点がございます。そういうようなことで、私どもといたしましては、今後農協のそういう問題をなくしていくという点からいうと、これは中央会の監査だけにたよるわけにはいかない。やはり国なり県なりの体制を整備していくということが中核になるわけでございまして、中央会としてはそれを補うような意味で経営改善をやっていく、そういうような指導的な事業が中心になろうと考えているわけでございます。もちろん両方密接な関連がございますし、特に最近やっております信用事業整備強化運動というようなところでは、不当な貸し付けについてはこれは整理をするというようなことを、はっきり一々点検をいたしまして整理をしていこうという方向でございますから、そういう点につきましては両方タイアップして、当然これは経営内容の改善を進めていく、こういうふうに現在行なっておるわけでございます。
○藤原房雄君 中央においては相当専門的な立場の方々もいらっしゃると思うのでありますが、末端の農協におきましては、いろいろ問題の起きたところをずっと見ますと、非常に経理面やなんかで適格でないような人たちが携わっておるというようなことも二、三聞いておるわけでありますが、厳重な監査という体制とともに、やはり単協における、携わる方丈に対する資格なり、先ほどもお話に出たのでありまするが、指導、教育という、こういう面と相まって厳重にこの点を網の目のように縦横十分な監督をしていかなければこの問題は根絶しないのじゃないか、このように考えるわけでありますが、いずれにいたしましても今後ともこういう問題が根絶されるように、十分な指導体制または監査体制指導ということが重点であって、大事な問題につきまして監督、監査というものがおろそかにならないように、当然当局としては、農協に対して国としてはこれを見るべき立場にもあるわけでありますから、不祥事件を根絶するように体制を整えなきゃならない、このように思うわけであります。こういう点で、末端農協、単協に対する担当者の問題と、それから中央会における監査業務、こういうものに対してより強力な、体制を強化して事故を絶滅してもらいたい、このように思うわけであります。この点につきまして、いままでも数々各委員の方から御質疑があったわけでありますが、ちょうど大臣もおりますので、大臣からこの問題についての決意のほどをお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) ごもっともな御意見でございまして、いわゆるこのごろ農協自体の内部体制というものに非常な欠陥がございますので、これらは当然組織体制というものを立て直すというような考え方と相まって、したがって、農協の基本理念に基づきまして指導方針というような点については、十分今後組織をあげて行なってもらうように私のほうからも注意し、そして行なわしめるようにさしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○矢山有作君 いままでたくさんの委員の方々で大体問題も出尽したようですが、なるべく重複を避けまして一、二の問題点についてお伺いしたいと思います。 質問に入る前に、これも質問にはなるんですが、一つだけ伺っておきたいんですが、この間来問題になりました役員の兼職禁止の問題に関連をして、農協は政治的には中立でなければならぬ、こういうことは大臣みずからもはっきり強調されておったように思うんですが、この農協が政治的に中立でなければならぬということと、役員の兼職禁止ということは私は矛盾しないと思うんです。政治的に中立であるという立場を守ろうとするならば、むしろ役員の兼職禁止という立場を貫くべきではないか、こう私は考えておりますし、また私のそういう考え方はあながち間違ってもおらぬと思うんです。それはこの「農協問題検討結果要旨」の中でもはっきりいわれておることですから、その点で大臣はこれをどうお考えになりますか。「農協問題検討結果要旨」によると、「国会議員もしくは都道府県議会の議員に立候補しまたはこれを兼ねることは適当でないので、何らかの制限措置を講ずべきである。」、ここまでははっきり言い切っておるわけです。政治的な中立をあなたが強調されるならば、この「農協問題検討結果要旨」の趣旨に基づいてむしろ立法化の措置を私はとるべきだと、こう思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(長谷川四郎君) そういう御意見も省内にもいろいろ話があったこともよく承知しております。しかしながら、いま一つの例をとって、公職選挙法というようなものの中に立ってみますと、まだまだむずかしい面が出てくるのでございまして、ですからそれをほうっておくという意味でもないですけれども、そういうような公職選挙法というような点、また憲法の問題とかいろいろな問題が話の中に出てきたこともよく知っております。したがって、ごもっともな議論でございますけれども、すぐそれをそうしなければならぬ、さっそくそういたしますという御返事も申し上げかねると私は考えます。したがって十分そういう点については検討を要する問題であろうとは考えております。
○矢山有作君 公職選挙法との関連ということをこの前も言われておったように思うんですが、なぜ公職選挙法との関連がそれほど重視されなければならぬのですか。私は、少なくとも農協問題の検討をなさるときに、これはしろうとの寄り集まりではないので、法律的な立場も十分踏まえられた人たちが寄って慎重な検討をやられたはずなんです。その検討の結果として公式に発表された方針がいま言いましたように明確になっている以上は、私は公職選挙法云々ということは、これは今日ただいまの大臣の答弁としておっしゃっておることだろうと思う。私はむしろ、慎重な検討を重ねられた結果として出たものが、制限措置を講ずべきであるということになっておる以上は、制限措置を講ずるという前向きの方向でお考えをいただかないと、いまの大臣のお話はもう先日来と同じですが、われわれが聞くところによると、やはりうしろ向きに聞こえるわけです。その点をさらに疑義があるとおっしゃるなら、具体的に疑義のある点を明らかにされて検討されるのかされないのか、詰めた話をひとつしていただきたい。
○政府委員(池田俊也君) これは御指摘のように、検討会におきましても立法論として法律的にそういうものを禁止するというところまで、検討会の結論がそうであったかどうかは必ずしも明らかでないわけでございますが、いずれにいたしましても私どもといたしましては、かりに立法論として考えた場合どうだろうかということを内部的にいろいろ検討したわけでございますが、実は特定のそういう協同組合といったような、あるいはほかの種類の団体でもよろしいわけでございますが、そういうもののたとえば役職員の地位にある人は、国会議員なりあるいはその他の県の議会の議員になれないという制度が前例もないわけでございます。これは、たまたまそういう地位にある人が公職につけないということになりますと、それはやはり一種の私権の制限——私権といいますか、むしろ政治に参加する権利の制限、こういうことにもなるわけでございますので、従来もそういう例がなかったというふうに考えているわけでございまして、どうもそういう点から、これを立法論として法律によって制限するということは、もう多分に疑問があるということで、実は今回の改正の中にも盛り込まなかったわけでございます。
○矢山有作君 兼職禁止の問題、公職と関連をして、これは公職選挙法をもう少ししさいに検討していただければ、私はそういうことは不可能ではないと思っております。現実に公職選挙法の中には、兼職を禁止しておる条項があるはずですよ。これとどういうふうに立法論として考えていくかという問題なんです。したがってこれは立法論としても御検討をいただきたいと思う。私どももまた、事態の推移を見てこの問題については立法論の面からも話を進めていかなければならぬと思っておりますが、少なくともこれは公職選挙法上のたてまえから見て、ほかに例がないことではないし、これはできない相談ではない。もし政治的な配慮等でできないというのであるならば、これは論外です。したがってこの問題は立法論の見地からも特に御検討いただきたい。この間、単協等の兼職の状況もわからぬということでしたけれども、その後私も調べておりましたら、やはり農林省から出された「農協の現状」を見てみますと、単協段階の公職就任の状況も明確になっておるようですから、したがってあなたのほうではそれ相応の資料は持っておられるはずです。したがって、これに基づいて今後重要なこれは問題の一つになる。特に、農協の活動というものが非常に複雑になってくればくるほど、専門的な立場から責任を持った運営をやらなければならぬわけですから、それだけに県議会議員や国会議員その他が兼職で名目上いすにすわっておるということだけではつとまらぬはずですから、その点については真剣に御検討をいただきたいと思います。 それから次にお伺いしたいのは、農業基本法を私はこの間からちょっと読んでみたんですが、農業基本法を何べん読み返しましても、農業基本法の中でいう将来の農業構造として志向しておる方向というのは、自立経営農家の育成ということにある、こういうふうに私は考えざるを得ないと思うんですが、それと、今度「農政審議会における検討資料」として出された総合農政に対する考え方との関連はどうなのか。この点ちょっとあるいはどなたかからの質問に出たかと思いますが、なお私疑点がありますので、明確にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) 農業基本法第十五条で、国が自立経営の育成ということを強く意図しておりますことは明瞭でございますが、同時に、あわせて十七条で協業の助長ということもまた強調いたしておるわけでございます。私どもの総合農政、あるいはその延長において、現在農政審議会を中心にして、農政の将来の方向づけをやっておりますことで、農業構造の改善として強く考えておりますことは、やはり自立経営の育成、協業の助長というこの二面でございまして、それは基本法の路線からはずれているというふうには私ども考えておらないのでございます。
○矢山有作君 いまの御説明ではちょっと明確でない点があるのですが、私は十五条、十七条の関係を読んでみて、さらにこれまでの論議を振り返ってみまして、基本法が志向しているのは自立経営の育成である。協業の問題が出ておりますが、この協業の助長というのは、自立経営の育成を補完していく立場から考えられておるというのが、これまでの解釈であったし、また十五条、十七条との関連の解釈からいうならば、そういうように解釈するのが私は正しいのじゃないかと思います。 〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 であるとするならば、自立経営の志向ということが農業基本法の考えておる基本的な立場である、こういうようになると思うのです。ところがそれとの関連で、この「総合農政推進のために」というのを読んでみますと、基本法の期待に反して兼業農家が広範に残り、自立経営の育成といいながらこれを育成する施策が十分に行なわれなかったということが八ページに記述されております。さらに続けて「五百五十万戸に近い農家の相当部分は自立経営になり難い農家であるので、このような農家の所得、生活水準を向上させるためには、兼業機会の増大と兼業所得の安定向上を図ることが重要である。」、ここに兼業という問題が正面に出てきたわけです。この文章構成から考えていくなら、総合農政として志向しておるその中には、自立経営というものと兼業農家というものとの多少の位置づけの相違はあるかないかは別といたしましても、並列的形で私は出てきておる、こう思うのです。そうすると、農業基本法が基本に踏まえておった立場というのは、今後の総合農政の中では兼業農家というものが正面に打ち出されたことによって、これはかなりな相違が出てくるのじゃないか、こういうように私は解釈をしておるわけですが、この解釈が間違っておるでしょうか。間違っておらないでしょうか。もし間違っておるとするならば、どういう点で具体的に間違っておるのだというような御説明をいただきたいのです。
○政府委員(大和田啓気君) 基本法十五条でも、すべての農家を自立経営として育成するというふうには書いてないわけでございます。「国は、家族農業経営を近代化してその健全な発展を図るとともに、できるだけ多くの家族農業経営が自立経営になるように」ということでございます。そうして十七条では「国は、家族農業経営の発展、農業の生産性の向上、農業所得の確保等に資するため、生産行程についての協業を助長する」ということをいっておるわけでございますから、農業基本法におきましても、できるだけ多くの農家を自立経営に育成するということをいいつつ、かつ自立経営同士の協業、あるいは自立経営を含めての協業、あるいは兼業農家相互の協業ということをやはり相当強く考えておるというように言えるだろうと思います。 で、私どもが「検討資料」として現在研究いたしておりますことも、自立経営の育成ということが何としても農業の近代化、あるいは日本の農業を産業として確立するためにも、農業のにない手を強く育成することが大事でございますから、それはそれとしてやはり強く行なうべきであるけれども、五百五十万戸のすべての農家を農業だけで生活できるような環境で育てるということは、これは望んでも不可能でございますから、総じて自立経営になりがたい農家を農政、あるいは農林省が自分たちの仕事でないといって振り払うことも私どもとしては適当でないと思いますので、多くの農家で兼業をやっておりますものは兼業を十分育てて、農家としての所得の向上に努力をするというふうに、農業に専念する農家については農業経営を大いに伸ばすように、相当兼業に傾斜している農家については兼業というものを農家の所得の中で十分位置づけて、その所得の向上につとめるというふうに、整理をいたしたわけでございまして、私どもの言っておりますことが、この十五条なり十七条なり、総じて農業基本法のたてまえと変わったというふうには考えておらないわけでございます。
○矢山有作君 これは法律の解釈論ですから、いまの食管制度のもとでも自主流通米が適法であるといってまかり通る世の中ですから、これはなかなか結着をつけることはむずかしかろうと思います。しかしながら、私も問題のとらえ方を考えていただかなければならぬのは、なるほど農業基本法で自立経営農家だけをつくるといってはおりません。これはそんなことができるわけのものでもないし、しかし、政策の基本になっているのは自立経営農家をつくるということが基本であり、そうしてその自立経営農家を育成していく補完的なものとしての協業が考えられているということになると、その協業というもののとらえ方、位置づけというものは私はそれ相応それなりのものがあると思います。つまり、自立経営育成があくまでも主眼であるならば、その経営を育成していく補完的な役割りを果たす協業というものは、自立経営にさっとすぐ移っていけないような農家がやがて自立経営に移っていく、その過渡的な段階として協業というものがとらえられているのではないか。これが私は従来の解釈だったと思うのです。大事なことは、政策を立案していく上に一番の基本かどこに置かれているのかということを考えることが私は必要だと思う。そういう立場からするならば、農業基本法の基本は自立経営農家の育成にあった、こう解釈するのが私は正しい解釈のしかたであるし、またそれが正しいからこそ、「総合農奴の推進のために」の中にも、大胆率直とある程度言えるようないわゆる告白というか、いままで自立経営農家を志向してきた政策が必ずしもうまくいかなかったということをはっきり打ち出されたのじゃないのかと私は思うのです。 大体農業基本法をつくったときには、これから国本経済は高度成長の段階に入る、高度成長の段階に入ればこれは就業の機会がどんどん拡大されていく、そういう中で農村労働力というものは農外に流出していくだろう、農外に流出していったならば、残った農地というものは残った農民の手刀に移動していって経営規模の拡大ができるであろう、それが自立経営農家という形で発展していくのだ、こういうとらえ方をしておったはずなんです。それがここで率直に言っておられるように、その施策が不十分であったということで、志向した方向とは全く逆に兼業農家がどんどんふえていく。そうして農村の農業人口は減っても農家戸数は減らないという現実にぶつかった。そこでこれはこのままの状態では政策遂行ができない。農業政策の面からも、あなたがおっしゃったように、期待に反して兼業農家が増大をした、そのものを全く無視して政策の展開はできない。そこで兼業農家の位置づけというものを新たにせざるを得なくなったというのが真相ではないですか。私は今後の政策の展開に重要なものですから、そうした問題はやはり基本的な立場に立っての考え方というものを明確にすべきだと思います。それが明確になった上で初めて率直なまた適切な政策というものが打ち出されてくる。そうした基本があいまいなままで問題を処理しようとするところに、たとえば農協法の問題一つ取り上げてみても、一体将来の農協の位置づけというものをどうするのか。したがって、農協の組織運営というものはどうあるべきなのかということがすっきりとした形で出てこないということにもつながるのではないかと思います。その点どうですか。
○政府委員(大和田啓気君) 私ども、いま農政全体の再検討をいたしておるわけでございますが、農業基本法施行後の私どもの農政で考えておりましたことが、全部逆の方向に向かっておるというふうには私ども考えておりません。これはよく御承知と思いますけれども、昭和四十二年の農業情勢でも、勤労者の生活と同じ程度の一人当たりの所得をあげている農家は従来一〇%に足りませんものが一三%にもなった、それを今後どうやって維持するかということはなかなか大問題でございますけれども、自立経営というのが農業基本法を制定する前後においては、いわばある程度観念的なものでありましたものが、とにかく相当農村に根を張っておるということは、これは事実であろうと思います。 それから私ども、兼業農家がふえることが自立経営の育成を非常にじゃまをしておるというふうには必ずしも考えませんので、兼業農家がふえますことは、これは農家の所得をあげるという点からいって、いわば本来の要求であって、平均一町歩の農地で全部の農家がいい生活をするということは不可能でございますから、兼業が相当深化することはこれは自然の勢いであるけれども、それと同時に、とにかく農業をやって農業で生活できるような農家が現在一二%程度、統計調査の資料によりますとありますけれども、それをできるだけやはり一歩一歩ふやしていくという、このことは兼業農家がふえることと、それから自立経営農家が育成されていくことと、私は両方とも決して矛盾したものではないというふうに考えるわけでございます。したがいまして、いままで私どもが言っておりました構造改善の方向、すなわち自立経営の育成と協業の助長ということについて非常に大きな修正を加えるということは、私ども必要ないことだというふうに考えております。
○矢山有作君 私はそういうものの言い方というものはいろいろありますから、それはそれなりに、あなたのほうとしても私の議論にそのままそうだと言うわけにもいかぬ立場もわかります。しかし私は、少なくとも政策を立案していく上から考えたならば、そうした点は率直にやらなければいかぬのじゃないかと思います。第一にいろいろとおっしゃるけれども、農業基本法当時に、今日のごとく兼業が増大をする、農業就業人口は大幅に減っていくのに農家人口は減らない、経営規模の拡大につながらなかった、自立経営農家の成長の度合いというものも、これもなるほど酪農だとか養鶏だとか、そういう一部の部門にはあるにいたしましても、耕種部門、日本農業の大宗を占めております耕種部門全体を見た場合には、経営規模の拡大ということは行なわれていないのじゃないか、こういうやはり反省ということが出てきたということは間違いないのじゃないですか。農業基本法当時にはこんなことになるとは私は想像していなかったと思う。だから兼業の問題については基本法の中でも、将来の構造政策として何らの位置づけがなされなかったじゃないですか。一つの過渡的なものとしてとらえられたのじゃないですか。ところが農業基本法制定当時の考え方に反して、現実の流れは非常に大きな相違があった。このたくさんの兼業農家をこのまま無視して農業政策の展開はできない。そこで兼業農家の対策というものを立てていかなければならぬという立場に立ったのではないですか。これが私は、客観的に見て事実の上から徴しても、私は正確な見方じゃないかと思う。 〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 だからそれを反映しておるから、今度の農協法の改正というものが出てきたんじゃないですか。なぜかといいますと、こういうことを言っておるでしょう。「農協を非農民をも含む農村地域の住民一般のための協同組合とすべきであるとの意見があるが、農業生産の確保及び生産性の向上を図るために農民の協同組織体の担うべき役割が今後一層重要となることにかんがみ、「農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図る」ための農民の協同組織体としての農協の目的および生格は堅持すべきである。」、こういう形になったのじゃないですか。つまり農業基本法の立場を踏まえて、しかも現実の兼業農家の増大ということを無視できないから、こういうものが出てきたんじゃないですか。もっと突き詰めて言うならば、農協の本来の目的、性格をここの場で変更してしまったんでは、農業基本法が最初踏まえておった足場が名実ともにくつがえってしまう、こういうことが表面に出てくる。したがって農業基本法の自立経営農家の育成という足場をみんな取っ払うわけにはいかない。それかといって、兼業農家の増大という現実にも目をそむけるわけにもいかない。 そこで農業基本法の基本の立場を踏まえる以上は、やはり農協の性格、目的——本来の性格なり目的というものは変えるわけにはいかぬ。この立場はくずせぬということに固執したのじゃないですか。だから目的、性格をくずさないという、従来の目的、性格を堅持するという立場を踏まえて、しかも兼業がこれだけふえたのもやむを得ないというので、一部当面の手直し的なことをちょろちょろとやったというのが今度の農協法の改正じゃないですか。だから私は、今度の農協法が、この程度の改正という姿をとってあらわれてきたその過程においては、いろいろな議論がなされておる。兼業農家の増大の実態を重く見る立場で議論をした人、あるいは農業基本法の立場を重く見る立場で議論をした人、いろいろとあったが、しかし農業基本法の立場をわれわれとしては重く見なければならぬということで農協法が立案され、しかも兼業農家の問題もある程度考えなければならぬというので、一部の員外利用その他の拡張がはかられたというのが、この農協法の改正ということであらわれてきたんじゃないですか。私はそういうふうに理解しておる。 したがって私は、そこで言いたいのは何かというと、現在の農業を取り巻く客観的な情勢というのは、これは私が言うまでもなく、たいへんな変動をしておる。それが将来どういう方向に向かっていくのか、またどういう方向へ向かわせようとするのか、これはやはり日本経済全体の中における農業の位置づけというものをどう考えるかということに関連してくると思う。その中で将来の日本農業のあるべき姿というものが出てくる。そのあるべき姿に合致したような形での農業協同組合の組織、機構というものが考えられる、これが私はほんとうの筋だと思う。それが私どもはやっぱり政策当局にほしいと思うわけです。したがって私が特に言いますのは、われわれの前で農業基本法当時の考え方と今日の考え方とが基本において違ってきたか違ってきておらないかというような、そういう議論をして、そうして私どもの考え方に対してあくまでも農業基本法の立場は守っておるのだ、その当時の考え方に見込み違いはなかったのだというようなことを強調なさるよりも、将来の農業のあるべき姿を考え、その中での農業協同組合の組織、運営というものを真剣に検討をやってもらいたい、そういう前提で私はいまの問題を持ち出したわけです。したがいまして、そういう点においては、これは私どももきわめてむずかしい問題だと思います。思いますが、少なくとも日本の農業の将来を考えた場合には、協同組合のあり方というものを真剣に検討さるべきだと思いますので、そういう点についての今後の検討を私はお願いをしておきたい、こう思うわけです。 次にお伺いしたいと思いますのは、ただいま言いました「検討結果要旨」を見ましても、農協は農民の協同組織体で、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかる、この農協の目的、性格は今後もこれを堅持すると、こういっておられます。しかしながら、最近の農民の階層分化、兼業化、離農、これらによる農村の急激な変化というものは、組合がよって立っておる組織基盤というものを私は大きく変えておると思います。そういう中でこの農協の基本目的、性格というものが、実際の運営の面で生かされておるのかどうか、ここには私は問題があろうと思いますし、これまでにもたびたび質疑の中で指摘されておるところだと思います。したがって繰り返してお尋ねする必要もないわけですけれども、しかしその目的、性格に照らしてみて、現実の農協の運営のあり方等々をどういうふうに実態としてお考えになっておられるのか、それを私、簡単に言っていただければいいと存じます。
○政府委員(池田俊也君) 確かに都市化の進展あるいはそれとの関連もございます。兼業化の進展と、こういうようなことで比較的都市に近い農村部の農民層の状態がかなり変わってきているというのは、それは事実でございます。そういう意味で農協としていかにそれに対応するか、こういうことのやはり一つのあらわれが今回の改正法の中にも入っていると私どもは理解をしているわけでございますが、ただそういう都市周辺部におきましては、かなり状況が変わってきておりますが、農村、ちょっと準農村といいますか、農業を中心にしてまさに農業中心でやっております地域におきます農民層の農家構成等から見ますと、私どもは確かに兼業のウエートが若干ふえているというようなことはございますし、また就業構造等もかなり変わってきているのも事実でございますが、従来の農協のあり方を変えなければなりませんほど農協の性格を変えなければならないほど、そういう地帯において非常に全く状況が変わっているというふうには、実は考えておらないわけでございます。
○矢山有作君 ですから、その基本的な立場はいま議論したところですからそれでいいです。 次に私が申し上げたのは、あるいは私の言い方が悪かったかもしれませんが、そういう農協の基本的な目的、性格に照らして、現在の農協の運営が個々の問題を取り上げればいろいろあると思いますから、一般論としてその性格目的を踏まえた運営がなされておるかどうか、この点については多分に問題があるのではないでしょうか、こういうことを申し上げたわけです。
○政府委員(池田俊也君) そういうところとももちろん関連はございますが、私ども従来の農協の事業のあり方を見ておりまして、非常に理想的にすべての事業が行なわれているというふうには決して考えておらないわけでございます。特定の経済事業に非常に片寄った運営がなされている。本来の農協の性格からいきますならば、もう少し農業生産の独立化というような方向にいくべきものがなかなか行なわれていないという事態は確かにあるわけでございます。ただ農協におきましても、最近そういうことに対する反省というものはかなり強まっておりまして、まあ毎回申し上げておりますような営農団地をつくり上げていこうというような方向にきておりますので、私どもは逐次そういうことに対する従来の方向を本来あるべき方向に切り変えていく努力はなされつつあるというふうに考えておるわけでございます。
○矢山有作君 現在の農協の運営を見ておりまして、概括的な話をしますが、信用事業、購買事業それから販売事業等々あるわけですが、その中で一番農協の経営で比重を占めているのは、私は信用事業ではないかと思っておるわけです。なぜそれほど信用事業が農協の経営の中で大きな比重を占めていくような方向をたどるかというと、やはりあなたのほうで調べられた「農協の現状」等を見ましても、信用事業はこれは間違いなしにもうかっているわけですね。したがって、やはり農協というものの運営を経営的な立場で考えるなら、これは信用事業が重点になっていく、こういう必然の傾向があらわれております。それからもう一つは購買事業を見てみましても、購買事業はまだまだこれはかなりメリットの多い仕事だ。だから購買事業においてもわりあいこれは農協は積極的に取り組む。まあ端的な例は農協スーパーに見られるようなものですが、取り組んでおる。 ところが、一番問題は私は販売事業の面ではないか。販売事業の面を見ますと、あなたのところから出ておる資料を見ましてもこういうふうになっておるようですね。販売事業は三十一年から四十年までの統計がありますが、これはもう三十一年からずっと赤字続きです。「総合単協部門別純損益の年次別推移」というのがあります。これを見るとそうなっている。それから購買部のほうは三十七年度ごろから赤字と、こうなっておる。信用部はもう一貫してこれは黒字。しかも、その黒字の幅は年女増大しておる、こういうふうになっておる。したがって農協経営の実態も信用事業に重点がかかっておるような運営が行なわれ、さらに購買事業等に力が入れられておる、こういう結果が一般的に出ておるのではないか。販売事業というのは私は、農協の仕事の中ではきわめて重要な仕事だと思いますが、これが一番まま子扱いというか、毛ぎらいされておるのではないか、こう思っておるのですが、実態はどうなんです、そういうふうに理解していいでしょうか。
○政府委員(池田俊也君) 部門別に見れば、損益の状態から見ますと確かに御指摘のようなことだと思います。ほとんど信用事業とそれから共済事業が伸びておりますので、共済の中でかせいでほかのほうで若干それを持ち出しぎみの状態にある、こういうのが平均的な姿でございます。ただそういうことは否定いたしませんけれども、最近の傾向を見ますと私は、若干そこに農協の努力のあとがあるのじゃないかというふうな気がいたしますのは、たとえば事業の伸び率というような点から見ますと、販売事業の面でございますが、従来、非常に農協はおくれておるというふうに指摘されております青果物あるいは畜産物等の販売部門の伸び率は非常に大きいわけでございます。たとえば三十五年から四十二年にかけてずっと見ますと、四倍ないし五倍に伸び率としてはふえている。これは他の事業のふえ方とも比べまして、かなり高いふえ方でございます。それからいろいろ従来御指摘ございます貸し付け金がどうも貯金に比べてふえないのじゃないか、こういうこともいわれておりますが、これは最近はかなりふえてきて、むしろ、貯金のほうの伸び率よりも貸し付け金のほうが上回ってきている、こういう状態でございまして、私どもは、従来は確かに御指摘のような傾向でございますが、最近はかなりそういう意味で農協は努力してきているのではないかというふうに実は考えておるのでございます。
○矢山有作君 おっしゃる点は私も否定をいたしません。確かに三十五年度ころに比較いたしますと、青果物あるいは畜産物の農協取り扱いの量は増大しておるようです。しかしながら、そういいながらも現在の農協利用率を見てみますと野菜で二〇・四%、果実で四二・六%、畜産物で三〇・五%ですか、これは四十年度のあなたのほうから出た統計ですから、今日の状態から見るならば、あるいは多少ふえておるということがあるかもしれません。しかしながら、一般的にいえることは、いまの数字でも明らかなように——米麦というものは別の問題で、特に米は別ですが、こうした青果物、畜産物等でも系統農協は販売の実をあげているということは、現状からはやはり言えないのではないか。しかも、この状態は非常に上部機関、経済連なり全販連にいくにしたがってこの利用の状態というものは下がっておるようです。そういうところから見てやはり、販売事業の問題については今後改善しなければならないと思うことがたくさんある、こういうふうに思うのです。 なぜ私が販売事業の問題をこういうふうに重視をしておるかといいますと、現在、農民は農産物をつくって売って生活をしているわけです、大多数の農民が。これは中には労働力を売ったり、あるいは自給自足という面もあるかもしれません。しかしながら今日農産物を売って、それで生活をしているというのがこれが農民の実態だろうと思う。ところが、農産物ほど販売の面において不利な立場に置かれておるものはないわけです。これは私が言わぬでもその理由はおわかりだろうと思う。きわめて不利な状態に置かれておる。したがって、価格構成その他についても、やはりこれはいつもやられっぱなしと、低いところに押えつけられる、買いたたかれるというふうな問題が起こっておるわけです。ところが、そういった面に目を注いで、これを救済し、この欠陥を是正して農民の生活を高めていく仕事というのは一体だれかやるのか。私はそれをやるのは系統農協しかないと思う。そうした場合に、系統農協の、もし基本的な目的、性格というものがおっしゃるとおりであるとするならば、販売事業の面に対する取り組みというものは私は根本的に刷新をされなけりゃならぬ、こう思っておるわけです。
○政府委員(池田俊也君) その点につきましては私どもも全く同じような感じを持っておるわけでございます。従来、やや最近伸びてはきておりますが、野菜でございますとかあるいは畜産関係でございますとかは必ずしも十分な利用率になっておらないので、これにつきましてはやはり農協が、生産段階から農民との結びつき、組合員との結びつきをさらに強化をする、そして一つの農協の組織の強化ということを通じまして生産者から消費者に至るルートをはっきり確立をするということが必要であろうと考えておるわけでございます。たとえば一例をあげて申し上げますと、野菜につきましては野菜の出荷安定法という法律がございます。政府もそういうことであと押しをしておるわけでございます。それから一方また、毎々申し上げております営農団地構想というものもまさにそれをやるための一つのやり方、手段の問題でございます。要するに、生産から流通を連ねまして農協による市場の組織化をはかっていくと、こういう考え方で、これは考え方としては非常に進んだ考え方でございまして、要は、その実行いかんと、こういうことで、残念ながら、その実行の面では従来やや十分でなかったわけでございますので、これはいろいろな面で私どももあと押しをして、そういう体制がちゃんと根をおろすようにしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○矢山有作君 おっしゃるように、市場の組織化をやり、販売条件を改善していく、そういうことをやる前にまず大事なのは、いまおっしゃった私は生産の問題だと思います。いまの農家単位の少量の生産で品質の統一もだんだんはかられてはおるようですが、品質もばらばらなもので、そしてそれを販売ルートに乗せて有利な販売条件を生み出そうと思ってもこれはとうていできない相談です。したがって、そういう意味で販売事業をほんとうに伸ばしていこうということになるならば、現在の日本農業の生産体制というものを変えて、これを組織化して、そして統一した品種のものが大量生産になると、こういうようなことをやらなければならぬと思う。そういう面では、私は生産の面に密着した活動まで農協がやるということは当然なことと思うし、そのことが全中等の中でも検討されまして、農協の組織整備方針の中にもちゃんとうたわれておるわけです。 ところが、問題は、この生産に密着していくというここのところのむずかしさですね、これは私は、農協それ自体に相当強力な指導性というものが要ると思う。幾らどうやったところでその強力な指導力がなしに生産の組織化ということは私は不可能だろうと思う。そういう面で、生産面における農協の活動体制を強化し、さらにそれと流通、加工過程とを強力に結びつけていく、このことが何と言ったって私はいま農協の当面する一番重要な問題だと思う。ところが、それは率直におっしゃったように、私はきわめて弱い面があると、その弱い面をどういうふうに強化していくかということが一番重大な問題だろうと思うのです。強化していくためにはやはりそれ相応の強力な行政指導もまた必要であろう、そういう点についての具体的な考え方がおありであるならば御披露いただきたい。
○政府委員(池田俊也君) 先ほど来申し上げております営農団地というようなことは私はその具体的な一つのやり方であろう、それに対しまして政府としてはいろいろな資金面等で御援助をするということをやっておるわけでございます。なお、生産に密着した分野で農協を一つの中心にいたしまして生産の組織化を進めていくというようなことは、これは私どもいろいろ従来手がけておりますいわゆる集団的生産組織の育成ということの一環でございまして、これにつきましては、十分ではございませんがそういうものを育成するためのいろいろな若干の補助金は出しておるわけでございまして、またそれを現実的に裏づけるいろいろな機関等に対する助成もこれはかなり相当な金額をいろいろ支出をしておるわけでございます。あるいは技術導入というような点で、農業改良資金というようなものにおいても必要な資金の援助をするという、こういうようなことをやっておるわけで、私は、これは一つの何か施策で実現できる問題ではございませんので、いろいろな面のそういうものを結びつけてあらゆる面からそういう体制ができるようにあと押しをしていくという以外に方法はないのではないだろうか、かように考えているわけでございます。
○矢山有作君 きわめてむずかしい問題であります。しかしながら私は、もしそうした販売事業というものを農協の事業の中で強化するという立場をとり、その販売事業の強化のためには生産の組織化、生産体制の整備ということを考えていくとするならば、農協事業の中で信用事業だとか購売事業だとか、こういったものもその農協の農協らしい基本的な大切な仕事の方向にこれはやはり関連をもって運営されていかなければならぬ、こういう問題が私は当然出てくると思うのです。ところが今日、農協の信用事業の状態というのは必ずしもそういう方向には私は動いておらぬと思います。たとえば系統農協の信用事業というのがいわゆる相互金融のためのものであるということは、これはもう私が言わぬでもそういう立場に立っておるということは御案内のとおりなんです。ところがこの相互金融の立場に立っておる系統農協の信用事業というものが、はたしてその立場を守りながら行なわれておるかどうか、この点が私は今一口非常に問題だと思います。そういう点についての御見解は当然あるはずですし承りたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 私、農協が行なっておりますいわゆる系統金融の、特に単協段階あるいは信連段階の一つの見方といたしまして、やはりこの点についても農協としてはかなり努力をしておるのではないだろうかという感じを持っているわけでございます。といいますのは、貯金の伸び等は従来からこれはかなり高いわけでございますけれども、従来の問題としては、やはり農協が集めました資金を農業の発展あるいは農家生活の向上という面に向けていく、いわゆる貸し付け金の面でどうも貸し付け金の伸びが十分でないという点があったわけでございます。ところが最近におきましては、これはいろいろな——単純には言えないわけでございますが、私どもの見方ではかなり貸し付けについては増加をしてきている、貸し付けも員内貸し付け、員外貸し付けとございますけれども、むしろ員外貸し付けに比べましても員内貸し付けというものはかなり増加をしてきている、要するに貯金に対します貸し付け金の割合——貯貸率で見ましても若干ながら上がってきている、 こういう点を考えますと、農協としてはやはりかなり努力をしておるので逐次改善をみているように思うわけでございます。そう言いますと、非常にあまりにも楽観的であるというおしかりを受けるかもしれませんが、もちろん問題ないわけではこざいませんが、全般としてはさように考えておるわけでございます。
○矢山有作君 私はむしろ全般的に見たら反対のような考え方をしておるんです。なるほど出てきた数字の中では四十年に比べると四十一年は貯貸率も落ちたはずです。四十二年になって少し上がってきた。しかしながら大体通じて見たところ、貯貸率というのは、単協では四十二年度末で五〇・七%という数字が出ておりますが、五〇%ラインにいたことは、いままでの経過の中では少ないんです。それから信連段階で三五・五%、それから中金段階では農業団体の預金に対する農業団体への貸し出し比率というのは一二%ぐらいですね。これを見ると、なるほど時によって多少農業貸し出しがふえたということが言える場合があるかもしれませんが、全般的に見たらきわめて低いのではないか。そのことがだからわれわれの周囲におる組合員の皆さんから、農協に行って金を借りると、わずかな金でもむずかしく言って貸してくれない、こういう話がやっぱり出てくるのではないか。だから現実は私はそうおっしゃるようはものではない。四十二年度が四十一年度に比べて貯貸率がふえたから、それで農協の信用事業が農協本来の目的に沿うた方向にいっておるのだ、こういう考え方を私はそう軽々にできぬと思います。むしろ、現在系統農協の貸し出しが実際はどういう方面に向けられておるかということは、この間からたびたび議論のあったところなんですから、私はそういうあまりにも楽観的な見方はされないほうがいいんではないか。 で、こういう貯貸率の状況から見て、しかも上部団体にいくほど貯貸率がふえておるということは一体何を物語っておるのか、これはやっぱり余裕金が相当出ておるということになるんじゃないかと思うんですね。そうすると、この余裕金の運用というものは、これはきわめて重要な問題として農協運営の中では考えられなければならぬ問題だと思うんです。この余裕金を運用していく場合に、かつて一時あったように、市中金融が逼迫をして、市中金利が高いというときには、コールだとかあるいは金融機関貸し付けだという形で非常に効率的な有利な運営ができたはずです。ところが市中金融の金利が下がってくると、これはコールにも運営ができなくなってくる、さらにまた金融機関への貸し付けも困難になってくると、一体余裕金の運用がどうなっていくかということが最大の問題になってくるわけです。そこで余裕金の運用ということで一番端的なのは農林中金の例だろうと思いますが、非常に多くの金が関連産業融資という形で出ていくんではないか、そしてその関連産業融資というものが、少々のリスクはあっても、無理をしてもとにかく運用しなければならぬという形をとってくる、そこにいろいろな問題を起こすんではないかと思うんです。ですからこういうような姿をとっておる現在の信用事業について、一体これをどう改革していかなければならぬかという問題は、それはきわめて重要だと思う。具体的にどうこの姿を改めていくか、どう対処していくかということで、御見解があるならば伺いたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 私が先ほど申し上げましたのは、そのときお断わり申し上げましたように、単協、信連段階ということで、農中につきましてはまた別途の若干事情がございますので、これは実は申し上げなかったわけでございます。農中の問題につきましては、経済局のほうからまたあるいは御答弁があるかと思いますが、私のほうの単協、信連段階で申し上げますと、やはりこれは信用事業としてだけでは問題の解決はできないわけでございまして、当然組合員の、先ほど来御議論がございます営農指導の問題、あるいは購買事業の問題等との関連でそういう面を充実させることによりまして、やはり極力組合の資金をメンバーの農業の発展のために使うというふうな努力が今後要るわけでございます。そういう面について私どもはまだ相当しなければならない点があるわけでございまして、その点については今後さらに努力をすべきだというふうに考えておるわけでございます。
○矢山有作君 系統農協の信用事業全般として、ただいま余裕金の問題等を含めて非常なむずかしい情勢にあるということはもう御承知だと思う。そうなると、どういうふうな点でこれを打開していくかということになると、やはり具体的には一つは貯金の吸収コストを下げるんだ、その吸収に要する経費の節減を考えるとか、こういうこともやはり系統貸し付けの強化と同じように考えていかなければならぬ問題じゃないかと思うんです。ところが、これらの問題をやっていくにしても、具体的に立ち入ってものを考えてみると、なかなかこれは現在の情勢からしてむずかしい問題だと思います。しかしながらこうした点はすでに指摘されておるところですから、こうした信用事業における全体的な体質改善というものについては、今後も私は行政当局としては強力な御指導を願いたいと思う。 次に、話に出しました中金の関連産業融資の問題でお伺いしたいわけですが、この中金の関連産業融資の性格というのは一体どういうふうに考えたらいいんでしょうか。
○政府委員(亀長友義君) 先般もお答え申し上げましたとおり、関連産業融資はあくまで農林中金の余裕金の範囲内——農林中金は、御承知のように所属団体からの預金と農林債券の発行等によって資金を調達いたしておりますが、その第一は、所属団体に対する還元貸し付けということで低利融資等の方策を講じておりますが、余裕金がどうしても出てくる、これを有価証券あるいは国債等の安定的な運用、あるいはコール等の臨時的な運用のほかに、関連産業融資をいたすということになっております。関連産業の範囲につきましては、これは御承知のように中金法にも規定があるところでございまして、長期、短期の差はございますが、農林漁業と密接な関連のある事業に限定をするということで、現在融資基準というのを認めておりまして、その融資基準の範囲内でやる。これは大なり小なり農林業あるいは所属団体の事業と密接な関連があるというふうに限定をいたしておるわけでございます。
○矢山有作君 私も、関連産業融資は余裕金運用の一方法だと考えております。ところが最近の関連産業融資の非常にふえておる状況あるいは運営のしかたを見ておると、私はこれは農林中金当局者に来てもらわなければはっきりせぬのですが、農林中金当局者にはそういう観点が欠けておるんじゃないかと思います。なぜかというと、農林中金の当局者の中にはこういうことを言っておる者があります。関連産業への貸し出しは、協同組合を取り巻く産業の育成強化によって大きく農林漁業及びその協同組合自体の発展に資せんとするものである、したがって、系統の貸し付けに準じ、中金本来の業務としての性格を持つものだ、こういう見解があるようです。ここらが最近の関連産業融資のやり方に対して問題を起こしておる基本的な考え方ではないか、こういう考え方のあらわれがいまの関連産業融資の中に出てきておるのではないかと私は思う。そうしてまた、関連産業融資というのは、農林漁業の発展に資するということが一つのうたい文句になっておるようですが、はたして関連産業融資というもので農林漁業の発展がはかられておるんでしょうかどうなんでしょうか。私は、むしろ関連産業融資のやり方については独占資本を太らして、かえって農民の搾取体制を強化さしておるんじゃないか、そういう面が非常に現在の状態の中では出ておるんじゃないかという感じがしておる。したがって、関連産業融資でやる場合にも、ほんとうにその融資が農林漁業の発展につながるのかどうか。農林漁業の発展という以上は、その生産をになっている農民の役に立つのかどうか。それに間接的にでも裨益する点があるのかどうかという点で私は慎重な検討がされなければならぬと思うのです。ところがその点の検討をしたいと思って、一体農林中金はどういう貸し出し先を関連産業融資の先として選んでいるかと思って資料出してくれと言っても、絶対に出さない、いわゆる私企業の問題に関することだと言って絶対に出さない。業種別に寄せ集めたものを出してくるわけです。業種別に寄せ集めたものを見せられたのでは、一体どういう企業に具体的に貸しているかということがわかっていないのに、はたしてその貸し付けが農民なり農林漁業の発展にプラスになるんだということが言えるか、その判断がわれわれはつかないわけです。その点は一体どうなんですか。私は言うがごとく、農林漁業の発展なり農民の社会的、経済的な地位の向上に関連産業融資は役立つのだということで、その基本を踏まえての運用が必ずしもされているとは思っておらぬわけです。
○政府委員(亀長友義君) 農林中金の関連産業融資につきましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、融資基準という一般原則のもとに、この原則に該当するもののみに融資をするというたてまえで進んでおります。関連産業でいわゆる農業生産法人であるとか、あるいはある程度公益的色彩を持つようなもの、さらに会社等でございましても、農林水産業との関連度が相当程度あるというふうなものに限定をいたしているわけであります。農家との関連でかえって農家に非常に迷惑になるような融資があるのではないかというお話がございましたが、これにつきましては、先般申し上げましたとおりに、農林中金の審査機能というものをわれわれ従来も整備してまいりましたし、今後もさらに慎重な整備をはかりたいと考えております。一々の案件につきまして、これは私どもも一々審査をするわけでございませんので、個々の件についてはわれわれがそこまで役所で言っているわけではございませんけれども、全体の融資ワクなりというものを通じて一般法人に対しましてさらに必要な規制は十分に行なってまいりたい。現在融資基準はございますが、これにつきましても妥当でないという面が出てまいればこれはできるだけ収支に合うように、また農家にかえって迷惑になるようなという融資につきましても今後私どもで気がつく限りは厳重に監督してまいりたいと考えております。
○矢山有作君 関連産業融資が農民と農林漁業のために役立つように運営がされるように監督なりその他努力をしたいと、こうおっしゃるのですが、実際にそれだけのことがなされておるかなされておらぬか、また農林省にそれだけ能力があるのかどうかということを疑われるような問題もありますので、私はこの間もちょっと指摘をいたしましたが、きょうも指摘をしておきたいと思うのです。その指摘の上に立ってこの問題の解明はまた後日にやっていきたいと思っておりますが、それは四十一年に問題になった共和製糖の事件の問題です。あのときに決算委員会なり農林水産委員会において追及がなされて、そしてその真相というものが大体明らかにされたわけです。そして特にその中で一つ強調されたのは、やはり農民から集めた金の運用であるから、したがってこれが債権保全については十全の措置をとってもらうということで、債権保全の措置については徹底した措置をとりましょうということが中金当局なりあるいは農林省当局からも言われておったところなんです。ところが私はこの債権保全、回収についていろいろ問題があるという点を一、二御指摘をしておきます。この問題がどうかということについては先ほど申しましたようにあらためて議論をしたいと思っております。 一つは、共和製糖のあと始末のための第二会社ということで、第一糖業が払い込み資本金十五億円で四十二年の春に設立されました。開銀の石原総裁が四十二年の七月五日に決算委員会で、第一糖業は——この次が大事なんです——農林省と農林中金が協議の上設立した共和の第二会社であると証言をしております。また第一糖業は、当初払い込み資本金が十五億円を予定し、その十五億円のうち五億円は農林中金が出資をするという予定でありました。その間の事情は、これは農中から各関係方面に送った案内書で明瞭です。これは宮崎県へも送った文書があります。ところがこの設立まぎわになって農中の出資に法的な疑義が農林省から出されました。そして農中の出資はストップされた。急遽予定を変更して、残りの十億円で会社を設立いたしました。十億の出資社が二十社、いずれも農林中金の大口の取引先です。しかしながら第一糖業の設立趣意書は、農中も五億を出し、払い込み資本金十五億円となっておりますので、十億円では何ともぐあいが悪いことになります。といって五億円の出資は農中からは法的にできません。そこで考え出したのが次のような手口なんです。第一糖業は共和製糖の宮崎工場の賃貸料として五億円の前渡金を渡す、共和はその前渡金で増資五億の払い込みをする、しかしその株式は農中と公庫が代物弁済としてそれぞれ四億と一億円を受け取る、もちろんこれは一切振りかえ操作でやっております。こうして第一糖業は十五億円の資本金となったわけです。しかしながら手元の金は十億円しかありません。会議録や若干の資料を総合しますと、農林省の指導で設立された第一糖業の設立経緯はこのようになっております。農林省は会社設立の相談にあずかっているのですから、当然第一糖業の設立趣意書、企業目論見書、あるいは収支目論見書は手元にあるはずです。これらの書類をこの委員会に提出をして詳しく会社設立の経緯を説明願いたい。さらに私どもは、この第一糖業が設立されてから以降の現在までの財務諸表もあわせて提出を願いたい。このことをお願いしたい。どうでしょう。
○政府委員(亀長友義君) 第一糖業の設立の経緯におきます御要求の書類につきましては、できるだけ御趣旨に沿うように私のほうで整備をいたしまして提出をしたいと思います。 それから、第一糖業等に振りかわった債権——事実上振りかわっておる債権があることは事実でございまして、第一糖業の今後の事業の成否がいろいろ会社の全体を相当左右するということは十分私ども承知をいたしております。もちろんこれは砂糖行政、あるいは砂糖産業一般の経済動向とも密接に関連のある問題でございますが、第一糖業の企業合理化等につきましては、これは最大の努力を払って回収が容易になるように努力をいたしたいと思います。御指摘の書類につきましてはできるだけ早く整備をして提出をいたします。
○矢山有作君 私が言いましたいまの大体第一糖業の設立の経過は、そのとおりに御存じですか。御存じなければもうやめておきます。
○政府委員(亀長友義君) 大体ただいま先生が御質問なさいましたように私どもも承知をいたしております。
○矢山有作君 次は、宮崎工場第一糖業に譲渡した価格ですね、二十七億四千万円。そしてその中から農林中金に入金をした額というのは、あなたのほうから出ておりますように二億五千万円。農林中金は、一番抵当として二億、四番抵当に十五億の抵当権を持っております。一番から三番までの債権はたしか十七、八億だったと思います。そうすると二十七億四千万円の処分代金のうちから十一億ないし十二億円は農林中金の手取りになるはずなんですけれども——手取りというか、農林中金に入ってくるはずなんですが、二億五千万円しか入ってきておらないわけです。これはどういう勘定でこういうことになったのかというのが一つなんです。
○政府委員(亀長友義君) ただいま御指摘の十一億何がしにつきましては、一つには第一糖業が共和製糖から最初に工場を賃借するというために保証金を差し入れておりまして、途中で結局買い取ったわけでございますので、解約のための返還という問題も生じてまいっております。さらに、共和製糖と第一糖業との間に各種の取引がございまして、前渡金の清算あるいは貸し付け金の清算というふうなもののために約六億を使用いたしまして、結局それらの相殺のめたに十一億が農林中金なり、あるいは開銀等の債権会社にこなかったというふうな事情でございます。
○矢山有作君 そういう操作をしたところに一つの大きな問題があるのです。しかしながら、これはきょうはやりません。あなたのほうもその間の事情を十分お調べになっていただきたい、私のほうも調べてありますから。 次は、共和製糖事件が国会で問題になってからもう四年になりますね。当時の会議録を見ますと、先ほど言いましたように、農林大臣もそれから公庫あるいは農中の責任者すべて、債権の保全、回収のためには万全の措置を講ずると明言をしております。そして、担保にとり得るものを担保にとることはもちろんですが、その事件の中心人物菅貞人はじめ、連帯保証人も徹底的に追及する、こういう約束があったはずです。ところが四年前の債権保全と回収の約束はその後どういうふうに実行されておるかということを伺いたいのですが、これはきのう大体伺いました。そこで、きのう聞き漏らした点もありますので、農林公庫の分だけをきょう御説明をいただいておきたいと思います。
○政府委員(亀長友義君) 農林公庫につきましては、昭和四十一年十一月の国会報告の時点におきまして残高約十一億八千二百万円という状態でございまして、そのうち宮崎工場の関係の四億円についてはすでに回収をいたしております。これも第一糖業の債務引き受け等という形で回収を了しております。それから水戸工場関係につきましても、一億二千七百万については担保工場の処分をする。さらに旧千葉農村工業関係の貸し付け金約一千四百万円につきましても担保物件の処分等によって回収をいたしておりまして、四十四年三月までには六億四千百万の残債務と相なっております。この担保といたしましては、共和製糖の千葉工場を担保に入れておりまして、この担保の処分方につきまして目下適当な相手方を大体見当がつきまして、価格等の交渉に入っておる段階でございます。六億四千百万円につきましては、ほぼこの金額に近いものが回収できるというふうにわれわれは予想いたしております。
○矢山有作君 まあ、公庫のほうはかなり堅実に処理をやっておられるようですが、この関係の金利のほうはどう処理をされるようになっておりますか。
○政府委員(亀長友義君) 昨日も農林中金につきましても、ほぼ回収し得るような方向で進んでおると、さらに本日公庫につきましてもいま御説明申し上げましたが、一応金利につきましては現在のところたな上げという前提で扱って私がさような予測を申し上げた次第でございます。利息のたな上げした分はどうするのかという点につきましては、まだ最終的な結論を出しておりません。したがいまして、これは担保物件の有利な処分とも関連をいたすわけでございますが、私どもとしてはできるだけ不足分についても担保物件の有利な処理により回収をしたいと考えておりますけれども、実際上の整理の時期と物件の経済的価値等各種の問題もからみますので、なおこの利子の取り扱いにつきましては十分検討した上で扱い方をきめるようにしたいと考えております。私がお答え申し上げました見込みは、一応現在は利子のたな上げということで元金の処理のしかたであるというふうに御理解を願いたいと思います。
○矢山有作君 農林中金の金利の計算は中村委員からの御要求でいただいておりますが、公庫のほうはいただいておりませんので、これはひとつ金利計算をして同じように出していただきたいと思います。 それから時間の関係がありますので、こまかい点は申し上げませんが、債権の回収と保全について私が問題と思っておる点を二、三申し上げておきますので、ひとつ御調査を願いたい。 第一は、宮崎工場の処分価額二十七億四千万円について、これは政府の命令で農林中金が四十一年の八月にこれの再評価をいたしました。そのときの評価額は十四億八千三百万円と報告しております。この評価は宮崎工場財団についての評価であります。これに財団以外のもの、これを加えた評価額が大体十五、六億——十六億近くなると思います。それが九カ月後の四十二年の五月には倍に近い二十七億幾らで処理されたわけですね。そんなにあそこの条件が急激な値上がりをするものなのかどうか。債権回収という名目を立てるためにそういうことをやったのではないか、この点が私は問題だと思います。なぜかというと、売ったのが農中で買ったのが農中の分身といえる第一糖業ですからね。これはやはり疑いを持たぬほうがおかしいので、帳簿価額を合わせるための私はテクニックじゃないかと思っております。 それから第二は、さきの資問に関連をいたしまして申し上げたところで一応の御答弁はいただきましたが、二十七億四千万円で処分をした。そうするというと、先順位の抵当権を処理いたしましても、まだ十億そこらの金があるはずなのが二億五千万しか農中に入っていない。この問題はどうなったかということをいま聞きました。これも内面的には問題点がありますから、そういう処理をやっておる内面について農林省の権限でお調べをいただきたいと思います。それからことによったらそういう処理をしたということが私はやはり法的にも一つには許されない問題に発展していくおそれがあるのじゃないかと思いますから、この点もあわせて申し上げておきます。 それから次に、債権保全の担保徴取について申し上げるのですが、私の記憶しておるところでは、実質的に菅貞人の支配下にある価値のある不動産がまだまだ数があるはずです。たとえば一つの例をあげると、共和御殿といわれておる神宮前の菅の邸宅が家族名義になっておりますが、約二百坪の土地がまだあります。それから農林開発名義の長野や北陸の山林があるはずです。これらの物件を農中はなぜ担保として徴取をしないのか。金利計算だけでも八億以上、十何億といわれるばく大な債権をかかえておって、債権保全のために徹底した処置をとるといいながら、そうした面を考えてみると、きわめて債権保全の態度が手ぬるいと言えると思います。 それからまだもう一つは、あなたのほうからいただいた共和製糖関係の債権回収の内容の調書を見てみますと、これは当時の評価額に比べて処分価額がきわめて低い、こういう点から見ても、やはり担保の徴取をする場合に問題があったんではないか、こういうことです。さらにまた農林中金が保管をしておった額面二億円ほどのセブンアップの株があります。これは一体どうしておるのか。さらに宝不動産のビルの賃貸料収入が現在月に六十万円であるといわれております。それらも全部野放しの状態になっております。まあ、ちょっと例をあげただけでこういうふうな問題がまだまだ残っておるわけでして、債権保全という立場からいうならば、私は多くの問題をかかえておると思います。あなたが先ほど関連産業融資のあり方についておっしゃったような立場を貫いていかれるとすならば、私はこれらの問題についての適切な処理が行なわれるべきだと思います。詳細のことについては、また次の委員会で御説明を願いたいと、このように考えております。 そこで、農林中金の関連産業融資にはいろいろ問題もあるし、また先ほど申し上げておりましたような系統信用事業全体にもいろいろな問題をかかえておるときですが、そういう時期に、この農林中金法というのは四十八年の四月で期限切れになるわけです。それで農林中金のあり方についてはいろいろ問題点が指摘されておって、私は日本経済新聞で読んだのですから新聞だけの話なんですけれども、大蔵省では積極的に将来の農林中金のあり方を検討すると、こういう態度を打ち出しておるようです。そしていろいろな問題点をあげ、さらにそれに対するところの検討の態度等をきめた中で、一つは、農林系統金融機関の信用事業を一括して市中銀行並みの性格に変えさせるか、あるいは一部を市中銀行化し、残る部分を農林漁業金融公庫を含めた半官半民の特殊金融機関にするか、こういうようなことをいって検討されておるようですが、農林中金の関係の主務大臣というのは大蔵大臣と農林大臣ですから、これは大蔵省のほうで真剣に検討を始められたとすると、私は農林省のほうもやはりもう時期の問題ですから検討に取りかかっておると思いますから、農林大臣、これは農林中金のあり方の問題については検討に着手しておられますか。着手しておられましたら、現在の検討の状況をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(長谷川四郎君) 聞き漏らしてあるかもしれませんけれども、中金のお話だとするならば、これは簡単にここでどういたしますというようなことは申し上げかねます。したがって、これについては十分検討を加えてやらなければならない問題ですから、ここでどういたしますと簡単に申し上げるわけにはいかないということを御了承賜わりたいと思います。
○矢山有作君 農協への農業経営委託の問題に関連をいたしまして一つお聞きしたいんですが、請負耕作というのがいま盛んに行なわれておりまして、盛んといえるのか、まあかなり行なわれておりましていろいろ問題点があるようですが、請負耕作というものの定義ですね、これはどう考えたらいいのでしょう。
○説明員(小山義夫君) 請負耕作ということばはいわゆる俗称でございまして、制度その他では使っておりませんので、先生御質問のようなはっきりした定義はございません。
○矢山有作君 はっきりした定義はないといっても、請負耕作というのは一体どうなのか、農地に対する何らかの権利の移動を伴うのか、あるいは全然そういう関係なしに、ある経営の部分だけをやらしておるのか、そういった点はどうなんです。
○説明員(小山義夫君) 事実上耕作を相手にやらせておりますので、私人間の関係については何らかの使用収益の権利がないと、そういう他人の土地についての耕作はできないはずでございます。そういう意味では、耕作の全過程を通じて他人の土地を経営を引き受けてやりますと農地法上の問題が出てくるわけで、農地法の許可を受けなければならない、そういう事案であろうと思いますけれども、実際問題としては、その辺がきわめてはっきりしない形で現実世間で行なわれておるという実態でございます。
○矢山有作君 大体わかります。どうせ農地法の規制をのがれようとしてやっておるんですから、それはそれなりの性格としてわれわれは理解いたしますから……。 そこで請負耕作の実態ですね、まあいろいろあると思います。個人で耕作業務を引き受ける場合、あるいは集団で引き受ける場合、あるいは農協も多少関係しているのじゃないかと思いますが、農協で引き受ける場合、いろいろあると思いますが、その実態はわかりますか。
○説明員(小山義夫君) 請負耕作は、ただいま申し上げましたように、農地法との関係では非常に微妙な問題を持っておりますので、私どものほうで実態を調査いたしたことは実はないわけでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたような非常にいろんな形態に分けた統計資料を農地局では持ち合わせておりません。
○矢山有作君 農協もかなり請負耕作をやっておるようですが、農協に対する調査は多少できておるだろうと思うのですが、農協の請負耕作の状態はわかりませんか。これは個人の分はなかなかわかりにくいと思うのですが、農協の分はわからぬですか。
○政府委員(池田俊也君) ただいま請負耕作というおことばでございましたが、私どもの把握しておりますのは、農協が作業の委託を受けたという形で、その中で作業の全部を委託した場合、それにほとんど近いような場合についての数字があるわけでございますが、委託した組合員数が二千九百三十四戸、委託した面積が千四百七十五ヘクタール、そういう状況でございます。
○矢山有作君 農協の実態により違うでしょうけれども、一般的には、請負耕作を農協がやっておる場合は営利でやっておるのでないという点もありましょうが、赤字だといわれておりますけれども、その状態を御調査になったことありますか。
○政府委員(池田俊也君) そういう事例につきまして収益の状況がどうかという調査が、まことに申しわけございませんが完全なものがございませんので一がいに申し上げられないわけでございますが、私どもが承知しておりますのは、委託料等がどうなっておるかというようなところはわかっておるわけでございますが、収益の状態は残念ながらはっきりしておらない。ただ、若干の事例につきましては承知をいたしておりますが、むしろ私どもが承知しておりますのは比較的いい事例が多いわけでございまして、そういう事例では必ずしも赤字にはなっておらない、十分事業として成り立っておるというふうに承知しております。
○矢山有作君 農業の経営委託を農協がやる場合の一つ議論になっておりました点は、赤字になるかならぬかということが議論にこれまでなっておったと思うのです。だから、実際問題として農協への農業経営の委託ということになれば、名前はどうだろうと従来の請負耕作の実態を調べて、はたしてそういうことをやった場合に農協の事業運営の中でどういうふうになるのかということを明確にされておかないと、こうした新しい制度を設けられる前提としては問題があるのじゃないか。やはり農林省の農政も私は科学的であってほしいと思うわけです。だから、従来のそうした実態を踏まえて、こういった問題について収支の面がどうなのか、こうした点はお調べになっておいたほうがいいと思う。そういうものが調べられておるならば、問題になった農協の農業経営委託についても、一体収支はどうなんだと言われたときにはっきりした御答弁ができるはずなんです。したがってやはり政治も政策も科学性を持たなければいかぬという立場から、従来の例について御調査を私は願いたいと思うのです。調査をされましたらわれわれにもそれをお知らせいただきたい。ということは、資料として御提出を願いたいと、こういうことであります。 それからもう一つ次に伺いますが、農業経営を農協に委託する場合の権利関係はどうなるかという問題について、使用貸借ないしは無名契約という形をとるだろうと、こういうようなお話があったと私は記憶しております。そこで、その場合の使用貸借とおっしゃったのは民法上にいう使用貸借をおっしゃったのかどうか、この点どうなんですか。
○説明員(小山義夫君) 使用貸借は民法で規定をされております使用貸借という意味でお答え申し上げたわけであります。
○矢山有作君 そうすると、私はいささか問題が出てくるのじゃないか、民法でいう使用貸借というのは、当事者の一方が無償で使用及び収益をなした後に返還をなすことを約束して相手方よりある物を受け取ることによって効力を生ずる、だから、これは無償で使用収益をするというのが使用貸借の使用貸借たるゆえんなんです。それがこの場合は無償ではないはずなんですね。それを使用貸借というふうに定義づけることができるのでしょうか。私は、そこに法律的な問題が使用貸借という形をとるのであるならば出てくると思うのです。
○説明員(小山義夫君) 土地を、その経営の委託に伴いましてその農地を使うことについてはいろいろな契約のしかた、形があると思いますけれども、土地の使用収益については無償という形で使用貸借ということがある。ただ、経営を委託するわけでありますから、経営を委託したことに伴いましてこの委託料あるいは受託料といいますか、それの金銭なりそういうことの受授関係は別に委託関係としてあるわけであります。使用貸借というのはあくまでも土地の使用に関してのみ言っておるわけでありまして、その点については無償であるということになろうと思います。
○矢山有作君 えらい法律解釈があるものですね。使用貸借は使用貸借としてあって、受託料の収受は別だということですか。それは私は使用貸借のあり方からいくとおかしいと思うのですね。使用貸借という形をとるとおっしゃらないで、何らかの無名契約の方式によりますと言われるのなら私は法律的な問題として起こらないと思うのです。しかし使用貸借という形をとられて、そうして使用貸借の形態というのは無償で使用収益することであるというととが法律的にきめられておるのに、別途受託料の収受があるというのは一体どういうことなんですか。そういうあいまいな形の法律解釈をやられたのでは困るのです、食糧管理法ではないのですから。
○説明員(小山義夫君) 農業経営を委託いたしますので、委託をするについては委託料を払ってその経営を頼む、引き受けるほうはその委託料をもらってその経営を引き受ける、こういう関係になろうかと思います。ただ、経営を委託するからにはその農地について何らかの使用収益権がなければ相手方に頼めないわけであります。という意味でその土地についての使用収益権は使用貸借か、あるいは民法にいろいろ典型的に規定されておりませんけれども何らかの形の使用収益権という権利が設定される、設定されなければ経営の委託ができない、そういう意味で使用収益権を申し上げておるわけであります。経営を委託することについての委託料を払う、あるいは委託料をもらうという関係は別にあるわけでございます。
○矢山有作君 そういう無理な法律解釈をしなければならぬような方式をどうしてとらなければいかぬのですか。使用貸借であって、そのあとの受託料の問題は受託料の受授で別に考える、使用する面は別問題だというような、そんな無理な解釈をしなくてはならぬようなことをやらなくても、賃貸借契約でいくと言ったらいいじゃないですか。なぜ率直にそれをやらないのですか。賃貸借の形をとることを避けて、使用貸借という、使用貸借といったら法律的に解釈がおかしいじゃないかと言われたらきわめてむりな解釈をする、私は聞いたことがない。いままで、聞いたことがないような解釈をされる。そんなことをされぬで、賃貸借とされてはどうなんですか、いけないのですか、賃貸借。
○説明員(小山義夫君) 賃貸借と申しますのは、その土地を相手に貸しまして、その用法をどのようにその土地を使うかということが賃貸借をきめますときにいろいろお話し合いがあるわけですけれども、借りた人はその土地を借りた用法の範囲で自由に使う、自分の責任において使う、その結果その土地を使って損をしてもあるいはもうけてもその危険負担は借りたほうが負っていくわけでございます。委託という概念は——経営の委託も同じでございますけれども、委託という概念は賃貸借とはおよそ両立をしない、なじまない関係でございまして、経営の委託はあくまでも相手に経営を頼む、こういう経営をしてくれということを頼むわけでございます。それの危険負担は頼んだものに残っておるわけでございます。そういう意味で委託という関係の中には賃貸借という関係は出てこないと思います。
○矢山有作君 まあいつまでも法律解釈を言うておってもしかたがありませんから、じゃ実態に即してひとつお伺いをいたしましょう。 この前四十一年の六月二十四日ですか、「大型機械の利用を中心とする生産組織の整備について」という通達が出ておりますね。これに委託関係として「農協等と委託者との関係については、契約上及び実行上次の諸要件が具備されていることを要する。」、こうして三つあげておられますが、これと今度考えておられます農業経営の農協委託というものとの関係はどうなんでしょう。
○説明員(小山義夫君) 次官通達と今度の委託との違います点は、一つは、次官通達では「農作業の委託」というふうに書かれておりまして、そのことについていろいろ指導方針が出ておるわけであります。今度の法律で手当てをしておりますのは、農業経営の委託という点が一つ違うわけであります。で、そのことと関連をして出てくることでございますが、農業経営の基本にかかわる事項につきましては農協が意思決定をする、引き受けた農協のほうが意思決定をする。いわゆる次官通達では「農作業の委託」でございますから、委託者である農家がいろいろ指図をして、こういう作業をしてくれといろいろ頼んで、引き受けたほうがその作業をする、こういう関係になる。それからいま一つ違います点は、次官通達でいう「農作業の委託」でありますと、収穫物は第一義的に当然頼んだ農家のほうに帰属をするわけであります。今度の法律で書かれております経営の委託の場合には、第一義的には引き受けた農協、生産を担当しております耕作者である農協のほうに所有権が第一義的には帰属するというような点が変わった、異なる点であります。
○矢山有作君 私は「大型機械の利用を中心とする生産組織の整備について」という通達がわざわざ出された理由は何かということをいろいろと調べてみましたが、これの出された背景というのは、実際問題として請負耕作というものが進行しておるこの実態から見て、農地法に抵触しない形での耕作をやはり農協としても考えざるを得ないという立場からこの問題が出てきたのだろうと解釈しておるし、またそのようです。 そこで、農地法に触れないような請負耕作というために最小限度必要な要件は、いわゆるこの委託の関係の(一)でいっておる経営の主宰権と称するもの、これの帰属の問題、さらに危険負担の帰属の問題、さらにはまた収穫物の所有権及び処分権がだれに帰属するかという問題これらが問題である。それで経営主宰権はあくまでも委託者のほうに帰属しておる、いわゆる経営の基本的な問題については委託者の意思に基づいて行なわれる、このことと、危険負担は委託者に帰属する、それから生産物、収穫物の所有権、処分権もこれも委託者に帰属する、これであるならば現行農地法の規定に違反をしないであろうということでこれが認められたのじゃないですか。そういう背景があったんです。これは私が言うのではありません。この通達についていろいろと記述をされておる学者の立場等の見解はそれで一致をしておるのです。農地法の制約があるのに請負耕作というものを無条件で認めていくわけにはいかぬでしょう。そこで農地法の制約の範囲で実態として進んでおるいわゆる請負耕作というものを認めていくとしたらどういうことを考えなければならぬか。そこでこの三つが出てきたわけでしょう。そうすると、今度の農業経営の農協への委託という場合には、この問題と比べて大きな相違があるわけです。農協が直接いわゆる農業経営をやるという形になります。そうなると、農協法上の問題が法律論として出てくるのではないかと思う。農協は農民の利用組織でしょう、農業経営を農協みずからがやるという規定はどこにもありませんよ、そういう問題は出ませんか。
○政府委員(池田俊也君) 私どもも、これは農協がみずからが農業経営をやるというふうには必ずしも考えておらないわけでございまして、組合員から委託を受けまして農業経営をやる、こういうことを新たに法律の中に盛り込みまして、そういう能力を農協に与えよう、こういうことでございまして、そういう意味では新しい事業がつけ加わるわけでございます。今回の法改正によりまして初めて組合員の委託による経営の受託が農協でできる、こういうことになるわけでございます。
○矢山有作君 ですから、いわゆる請負耕作にしても概括的にかいつまんで言うならば、農業経営の委託でしょう、ところがそれは農地法の制約があるからという点を配慮されて、いわゆる「大型機械の利用を中心とする生産組織の整備について」という通達の場合には、農地法との関連で配慮を払ってこういう三つの問題が特に上げられたわけでしょう。これなら最小限度、農地法上の問題もないし、そして農協側もみずから主体となって農業経営をやるのじゃないのだから、向こうから委任をされてそして農作業をやるんですから、そのかわり経営の主宰権は委託者にあれば、危険負担も委託者にある、生産物の所有権あるいは処分権も委託者にある、こうなっている。ところがおっしゃる場合は、いまの場合の話は全くこれは農協自体が名実ともに組合員と関係なしに農業経営の主体になるわけです。そうすると、従来の農協の性格からするならば、大きな農協の性格の変更が出てきたということが言えるのじゃないか、農協の性格が変わったのだとはっきりおっしゃるならば私はそれなりに納得できます。
○政府委員(池田俊也君) 従来できませんものを新たに入れるわけでございますから、その限りにおいては若干の性格の変化ということは言えないこともないわけでございますが、私のほうは基本的に農協の性格がこれで変わったのだというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。農協というのは農民の協同組織体ということでございまして、やはり共同利用というのが事業の主体でございまして、まあそういうような趣旨を含めまして今回の制度を、それの一歩延長でございますけれども、そういう基本的な性格というものはそう変わってきておるというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。
○矢山有作君 それは基本的性格というのを農業生産力の増進並びに農民の社会的、経済的地位の向上というふうなことの中でおっしゃろうと言うならそういう理屈も通ると思います。しかしながら、従来の農協の事業になかったものを加えるわけですから、そういう点では農協というものの性格というものが変わったというふうに私は理解しております。その他の問題についてはそれぞれの方々から御質問がありましたから、私のほうからもう触れないでおきます。しかしながら、私はこの農業経営の農協受託の問題については、はたしてこれが採算がとれるのかどうかという問題、またこれをやることが可能であるのかどうかという問題等について、安定性の問題等を含めて非常に私は問題が起こってくるだろうと思う。なぜかといいますと、都市近郊のようなところでは、やがてこれは委託をしておりましても、農地以外に転用されるということも、いつ転用されるかわからないというような背景もあるでしょう。そうすると、これは経営の委託を受けてもきわめて不安定な委託であるという面もできてくるだろうと思うのです。したがいまして、この経営委託を受けて実際に事業運営をやる上においてはもろもろの問題が起こってくると思います。しかしながら、これがどういうふうに運営され、どういう成果を生むかということについては、あらためてこれはその実態に即してわれわれは議論しなければならぬだろうと思います。したがいまして、その問題はこれでやめておきます。農協の問題については、いろいろ問題のあるところですが、時間の関係もありますので、私の質問はこれで終わります。
○河田賢治君 だいぶこの法案については質問がたくさん出ましたので、あまり言うことはないのですけれども、まあ一応ふに落ちない点や少し見解の相違がある点などを若干質問したいと思います。 まず第一に、総代会の問題です。今度は、五百人以上のところは総会を廃して総代会ということになっておりますが、この総代会の問題は、主として農協が大型化した、だから集会がなかなかできにくいということなんですが、大体それに尽きるのですか、どうですか。
○政府委員(池田俊也君) 直接的な動機は確かにそういう点が一つの動機になっておるわけでございます。ただ、私どもはそれだけにこの問題を理解しておるわけじゃございませんで、やはり組合の管理が最もよく行なわれるようにするために、現状から見まして総会がかなり形式的な運営が行なわれているという事例もございますので、そういう点に着目すれば、総代会というものが運用のしようによってはかえって組合員の意思を組合に反映することも可能なわけでございます。そういうような意味で、私どもは総代会の権限を拡大するということにおきまして、総代会というものをもう少し活用する道を開いてはどうだろう、かように考えた点もあるわけでございます。
○河田賢治君 現在でも五百人以上のところで総代会を開いておるところとそうでないところがあるわけですね。たとえば三千以上のところでも組合で二百四十五、それで採用組合百六十。つまり六七・三%がこれに当たるわけですが、そうするとその残りが、三千名以上のところでも現実には総会を開いている、こういうことになっておりますね。現にこういう大規模なところ、一万何ぼというところがあります、一つだけ。これはなかなか考えても総会を開くということは大ホールでもできないでしょう。野外でやるわけにはいかぬでしょうから。しかしこういう三千名以上のところでも行なわれておるというならば、そう不便はないのじゃないですか、この点はどうですか。
○政府委員(池田俊也君) そういうところも確かにあるわけでございますけれども、そういうところの総会というのは、実際の出席者というのはかなり少ないものになっておりまして、いろんな代理議決でございますとか、そういうようなことでかなり形式的な運営が行なわれている。株式会社の株主総会でも、非常に少数の人で運用されるというのとやや似たケースになっているように私どもは考えております。
○河田賢治君 そうすると、これは五百人までは総会、ところがこの五百人以上になりますと、二千五百人、大体限度が書いてあるのですね。総員が五百人。そうすると、総会の五百人は一人ずつが全部代表権を持って直接参加する。片一方はいわゆる代理権、それで参加するわけですね。そうすると、これが五百人で頭打ちだと、これはわかるのです。けれども、そうなりますと、五人に一人ということが、間が——大体そういうことになりますと、たとえば六百人のところは五人に一人ということになれば百二十人となりますか。そうすると前よりも非常に少なくなりますね。農協の幹部諸君が非常に良心的で民主的ならばこれをある程度カバーするかもしれませんけれども、できるだけ集めるのは少しのほうがよかろうということになりますと、結局、従来五百人までは全員が出たけれども、六百人になると、今度百二十人になる。人員の代理権というものが設けられますと、かなり運営のほうが非民主的な形をとるのじゃないかという気がするのです。この点はどうですか。
○政府委員(池田俊也君) 確かに運用のいかんによりましては、おっしゃるような場合もあり得るわけでございます。これはもう管理者の考え方にもよるわけで、私どもはそういうような運用というものはこれは好ましくございませんので、当然総代会を設けましても——総代会を設ける場合というのは、これは必要な場合に限定をすべきでございますし、また設けました以上は、それに対して全組合員の意思を十分組合の幹部が把握できるような別途のくふうもすべきであるというふうに考えておるわけで、非常にこれを悪く運用いたそうということでございますならば、確かに御指摘のようなこともございますけれども、やはりそういう点については十分努力をいたしまして運用面においてくふうをすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
○河田賢治君 私は民主主義の原則というのは、確かに人数が多くなれば、全員が出るということはどんな組織だってできないと思うのですね。しかしそれには比例制で、たとえば千人まではどうとか、それからさらに大きくなれば少なくするというふうにして、一応最高がどのくらいになるかということは、そのところは、あるいはいろいろな設備なども考慮しなければなりませんけれども、一般的に五人に一人というきめ方でなくて、比例代表制をつくるのがやはり民主的な代議制だと思うのですね。こういう点が条文にはっきり出ていないわけですね。そうしますとやはり六百人、七百人、八百人というように二千五百人までは、五百人以下に、小さな組合以下に総代の数が限定される、こういうことが一つあると思います。もう一つその点で行政指導か何かでこれは改められるべきだと私は考えます。 それからこの解散と合併ですね。この場合は、今度の法案によりますと投票ということになりますね。この投票というのは理屈もあるのですが、しかしこれは全部が合併に反対とか賛成とかいうことだけで投票するというのじゃなくて、そうでなくて第三の道があった場合どうなりますか。たとえば条件をつけて、こういう場合なら合併にも反対なんだとか、あるいは解散に反対だという人があるのじゃないかと思うわけですよ。必ず問題が、反対、賛成で分かれるというような場合ばかりとは限らんですね。そういう場合に投票のしかたというのはやりにくいのじゃないですか、どうなりますかな、その点お伺いしたい。
○政府委員(池田俊也君) 確かに実際問題としては、御指摘のような考え方の経過をたどった上で結論を出すというととがあるわけでございますが、ただやはり組合として意思決定をいたします場合には、はっきりした方法をとりませんと非常にあいまいなことになりますので、私どもはそういうような一つの条件つきみたいなことは、これは当然そのいろいろな、たとえば部落相談会とかそういうものを通じまして十分組合員に考え方を徹底さして、その上で判定を仰ぐ、イエス、ノーという判定を仰ぐ、こういうような形にいたすべきものではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、そういう努力をしないで、単にしるしをつけるようなことで賛成、反対というようなことをするのはこれは非常に妥当でない、そういうふうに考えておるわけでございます。
○河田賢治君 主として農協のいろいろな会合にしましても、古い組織形態を持つところ、古いやり方を持つところは大体形式的な報告によって、それでできるだけ時間が短いほど首尾よくこの人は腕があったということで終わっちゃった。しゃんしゃん大会になってしまったということがあるわけですね。これは私非常に代議員を選ぶ場合にも——代議員を選ぶのが基礎なんですね、大きくなれば。これはもうほかの人は出れぬわけですから……。そうすると、できるだけほかの日に業務報告、これからの運動方針あるいは会計上のいろいろな報告類は、本来ならば代議員を選挙するときに——これは毎年になっておりませんからなんですけれども、少なくとも総会のある前に全員がそれを見て、そして自分たちの意思を代議員に反映させられると。そのために部落なりを限定してずっと開いていくというふうなやり方をやるのが一番——今日民主的な団体というものはみんなそういうことをやっていますね、大きいところは。農協なんかでやはりそういう方向で指導しなくちゃならぬのじゃないかと思うのですね。これは会計監査なんかも一週間前につくって出すということですね、総会の。そうすると、一週間前で、その当日だけでばっと報告されて、あほうのような顔をして聞いているというようなことになってしまうわけですね。判断したり、問題をさぐるという時間をちっとも与えないわけですね。これはほんとうの私は、ことに農民の自主的な組織といわれる農協運動のあり方じゃないのじゃないか。だから、こういう点はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(池田俊也君) その点は私ども全く同感でございまして、やはりそういう努力を相当すべきであるという考え方を持っているわけでございます。従来総代会を採用しております組合の実態を見てまいりますと、やはりかなり、大部分七、八割というようなものは何らかのかっこうで事前に説明会というようなものをやっておるようでございます。たとえば部落単位でやっておるところもございますし、あるいはまた違う形もいろいろあるようでございますけれども、何がしかのかっこうなり、事前にそういうような会合をやっておるわけでございまして、私どもといたしましてもやはりそういう点については組合として相当努力をすべきである、かように思うわけでございます。
○河田賢治君 農協の中央からも、四十一年には総代会制度、総代の選挙制度についても、別にどういうふうにしろとは書いてないのですが、新たに総代選挙の規定を設けるべきである、いわゆるこれは組合員を代表して出るのですからね、これについてはっきり書くと。そうしませんと、これが基礎なんですからな。これとそれから総代会を運営するに至る相当の期間に、組合員に何日前には議案を配布すると、こういうようなやはり規定を設けませんと、ほんとうの民主的な運営の方向にいかぬのじゃないかというふうに思うわけです。農協の全国大会が三年前ですか、開かれて、いろいろな重要問題を論議されておりますけれども、きわめて短時間で済んでしまうということになっているわけですね。私はこの問題について、その運営のやり方とそれから代議員——総代ですか、これが三年ということになっているのですね。ある地方では二年ぐらいやっているところもありますが、それは一定の人間を代表しているわけですね。そうすると、これが死んだ場合、代表が代議員に選ばれて——相当お年寄りが多いのだから、死んだとすれば相当減るわけですね、毎年毎年集まる人が。こういう場合にはどういう補充の方法があるのですか。選挙規定も何もないのですから、これはぐあいが悪いのじゃないですか。
○政府委員(池田俊也君) 総代選挙につきましては、いろいろなやり方が実際問題としてはあるわけでございます。総会で選ぶという方法もございますし、またその他の方法もあるわけで、それは私どもは、いまの御質問に対しましては、組合がその定款なりあるいは具体的な選挙規定なりで、こういうような場合にはこういうような方式で補充の選挙をするといったようなことをきめて、はっきりした形でやるのがよろしいのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。いろいろなやり方があり得るわけで、それは組合が自主的にきめてやるべきことだろうと考えるわけでございます。
○河田賢治君 組合の自主的と言われますけれども、その組合がほんとうに自主的にやられているものなら、そう問題は起こらぬのですね。不正問題にしろいろいろな問題が起こっているわけですね、赤字経営だとか。あまり自主的でないわけですね。だから農林省でも定款なんかの基準をつくったり見本のようなものをつくったりなさっているわけなんですね。だからそれはもう定款でまかせちまうということになれば、年寄りが多いのだから、代議員で三年ごとに一回ということになると、総代会は毎年開くのですから、そうすると三年目あるいは二年目にはだいぶ出てこれぬのがいるのですね。かりに一つの部落に全然出るものがなくなっちまうということもなきにしもあらず。だからそういう点はやはり本来ならば総代を選ぶ選挙規定、いろいろな補充方法というものはこれが基本なんです、総代会を持つときの。ですからこれはほんとうからいえば、私は条文の中に入れるべきだ。そうでなければやはり政令なりあるいは何かはっきりした形での私は規定が必要じゃないか、こういうふうに思うわけです。そのことをいつまでも論議しておっては時間がたちますから……。 それからこの農協法で、特に総会は特別の議決事項として、四十六条の「定款の変更」とそれから「組合の解散及び合併」、それから「組合員の除名」、この三つの項が出ているわけですね。このうちの第一項、第二項は総会で議決する。そうして四十二条の二はさらに一般組合員の投票ということになっているのですね。ところが第三の「組合員の除名」、これはどういうふうになるのですか。
○政府委員(池田俊也君) この点につきましては従来と変わりないわけでございまして、総会の議決事項でもございますし、また総代会でもできる、こういうことになっているわけでございます。
○河田賢治君 そうすると総代会の——これは総会ですけれども、総代会の出席者の三分の二以上あったらそれで効果があるということになるのですか。間違いないですか。
○政府委員(池田俊也君) そのとおりでございます。
○河田賢治君 それから次は追加の二個以上の議決権、選挙権ですか、これは大体大きな農協と小さい農協等等がいまできておりますが、これのきちんとしたあれはどういうことになりますか、これに与えるという、二個以上ですね、権利。
○政府委員(池田俊也君) これは特に政令等で限定をするという気持ちはございません。やはり組合の定款におきましてたとえば若干制限をしたほうがよろしいというようなことがございますならば、定款でそういうことをきめればよろしいわけでございます。
○河田賢治君 次に不正の問題に移りたいと思います。この委員会でずいぶん不正の問題が農協法が議題になった最初のときからありましたが、やっている最中にも、ついこの間は鳥取県の米子ですか、これは婦人の職員ですが、五千万円の事件を起こしたという記事が出ているわけですね。しばしばこれが繰り返される。で、当委員会へ農林省のほうから出されましたこの資料によりますと、御承知のようにたくさんの件数がある。しかし発覚した端緒について調べたものによりますと、たくさんのものがほとんど「その他」になっているわけですね。「その他」ではちょっとわかりかねるのだがね。これは農林省のほうからこういう類別をつくってそれを府県から記録させて集められたものか。それとも、府県がかってにこういうものを大体つくって、よくわからぬから「その他」にしておけといって突っ込んでやったのか。しかし大多数が「その他」というものが多いわけですから、金額にしましても。そうすると、これを一体分析せずに不正をどうして防止するかという、今度は原因の追及もできぬと思うのです。その点をちょっと伺っておきたい。
○政府委員(池田俊也君) これは県庁から報告を求めましたものの結果でございますが、確かに御指摘のように、「その他」というのが約三分の一程度を占めているわけでございます。内容は大体、たとえば投書等がございましてそういう問題がわかったとか、あるいは今回の米子もそういうことのようでございますが、何となくどうもおかしいぞというようなうわさが流れて、組合の当事者が調べてみたらそういう事態が出たと、そういったようなややはっきりしないようなものがほとんど大部分のようでございます。もちろんその他この結果で非常にそういうものが多いということははっきりいたしておりますので、私どもも今後はもうちょっとその点はっきりしたつかみ方をしたいという気持ちは現在持っているわけでございます。
○河田賢治君 米子の問題も三十一年ごろから昨年の暮れまで十三年間ということが書いてある。そうすると、ずいぶん長い間にそういうことが起こっているわけですね。これなんかはそう監査をきびしくせぬでも、ふだんの仕事のやり方の中で金を扱っておっても、元帳を持っている者と現金の出納だけをやる者というふうに分けて、そうして元帳の残高だけを絶えず組合員のほうへ送るという制度をとれば、これはもうすぐわかるわけだと思うのです。また組合によりまして、私、二月でしたか、名古屋に行きまして、あそこの新聞でやはり農協の不正問題があったことを知りましたが、これも通帳も判こも渡しているのですね。そうして本人は土地の売却代金なんか豪勢な貯金があって、二、三百万円、五百万円ぐらいのものはどっちにころんでもいいというような、本人のほうもたいしてびっくりしていないというようなことが書いてありましたが、こういうやり方も間違いですが、普通のつまりルートを、仕事のやり方を変えればかなり不正は防げるんじゃないか、こういう気がするのですが、一体こういう点なんかについてどの程度中央会自身が——局長は中央会ではないですけれども、相当中央会としてもこういうことは責任を持たなければならぬと思うが、その点について中央会には経費の補助が出ているのですか、ちょっとその点。
○政府委員(池田俊也君) 米子の場合も一つの事例でございますが、これは非常に素朴というとことばが適切でございませんが、要するに内部管理体制というのが全然できていなかった、こういう事例でございます。要するに金融係というのが一人ですべてをやっておった、しかも長期間やっておった、こういうことがその原因のほとんどすべてでございまして、その間、監査等も行なわれていたわけでございますが、いろいろな証憑書類のつくりかえ等をやっておりまして、あるいは二重帳簿というようなものもございまして発見できなかったと、こういう事例でございます。これはやはり根本的にそういう内部管理体制を確立するということをしない限りはなかなかこういう事例が起こるということを防止できませんので、私どもは従来からそういう指導をしているわけでございますが、なおこういうような事例が出てまいるわけでございます。中央会の監査は農林省からも補助金を出してございまして、そうして中央会におきまして、十分ではございませんが、監査をやっている次第でございます。
○河田賢治君 私たちも別にこういう不正があったからといって、農協だけを責めるわけにいかぬと思います、農林省自身がずいぶんずさんな仕事をずっと下のほうはやっておるわけですから。しかし、いなかのほうの——会計検査院の報告を見ましても、たとえば共済保険事業の金をずいぶん受け取って——ここに書いてありますよ。「北海道ほか十四県の七十三農業共済組合及び八町村について調査したところ、組合において共済金の全部または一部を組合員に支払わず、これをそのまま共済掛金、賦課金、組合業務費等に充当したり、共済金を補償対象外の組合員を含め引受収量割で配分したりしているなど共済金の経理当を得ないと認められるものが千葉ほか六県の八組合において」四千八百万ですか、こういうふうなものがあるわけですね。ですから農村ではこういう問題がしばしばあるし、農村の何といいますか、指導、農業方面の指導的な人々の間にもこういうごまかしをやる。あるいは改良資金なんかも受け取っておいてこれを全然使わずに貯金する。これはもう無利子ですから相当もうかるのですね。こういうこともこれまでは行なわれておるということがあるわけですね。農林省自身でもいろいろこういう問題があるわけなんで、人を責める前に自分を責めなくちゃならぬと思うわけですが、農林省自体はこういう農林省自体でのこういう不正やあるいは不当な事態がだいぶ生じておりますし、これに伴ってまた農協のほうもこれと競争的にエスカレーションしてどんどん不正事実がふえていく。金額も大きくなってゆく。こういう事態についてひとつ農林大臣、まずどこへメスを入れたらいいかという点をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(長谷川四郎君) 何といっても農協自体、単協自体がなかなかこういう、ことに金融という点ですか、こういう面には非常に不なれでもあるし、その管理能力の不足というものがこういう結果になってあらわれてきておるのでございまして、どこへメスを入れたらいいかというと、結局結論としてはその運営するその者自体が自覚をし、そうして農民に迷惑のかからない方途をみずから考えるより道がないのでありますけれども、いずれにしてもわれわれ中央会を通じ、県を通じて今後そのようなことのないように、その組織に向かって大いに強力にこれらの改革を行なうようにということは、まあ今後もさらに続けて申し伝えるように考えておる次第でございます。
○河田賢治君 農協の不正を多少でも……、単協の場合でもやはり労働者の待遇なんか一面改める必要があるのじゃないか。現在御承知のように非常に農協の従業員の給与というものは悪いわけです。大体どのくらいになっておりますか。ほかの、たとえば自治体の労働者とか町村ですね、そこらの給与とか……。
○政府委員(池田俊也君) 農協の職員の給与が非常に低いということがいわれておるわけでございますが、私どもの把握しております限りでは、単協が非常に低いわけでございます。連合会あるいは全国段階はほぼ横のほうをにらんだ場合に、まあ大体かなりいいところまでいっておるのではなかろうか。たとえば公務員と比較をいたしてみますと、全国ではいま全国連の職員、四十二年の数字でございますが、約四万九千円でございますが、国家公務員等と比べて必ずしも遜色はないわけでございます。もちろん教育程度とかその他がございますから、一がいには申せませんが、まずまずという感じがいたします。それから県の連合会が約三万九千円でございまして、これも地方公務員の平均が約四万円程度でございますから、まず比較的近い水準でございます。ところが単協が四十二年に二万七千五百円でございまして、市町村の職員が三万二千五百円程度でございますから、これに比べますと約二割程度は低い、こういう状況で、単協の職員の給与の低いということが一つの実情で、今後大いに改善を要するところではないかと考えておるのでございます。
○河田賢治君 さらに単協でたくさんの——これはちょっと古いんですけれども、労働基準局から違反を調べられたことがあるわけですね。これ、私の持っておるもの古いんですけれども、三十七年から四十一年までですか、組合数——連合会十三、四百八十三というふうにして、基準局から違反を摘発されなければならぬほど労働基準法について今日農協の——これは全部じゃありませんけれども、とにかそういう幹部がいるわけですね。やはり今日の民主主義の時代に、労基法さえわからぬのがこれを実際に守って従業員を職務につかせるというようなことでは、これはぐあい悪いですね。こういう点を農林省のほうはどういう指導をされていますか。これは労働省のほうでということになりますか。
○政府委員(池田俊也君) 確かに労働基準法違反の事例が非常に多いんで、私どももまことに残念に思っておるわけでございますが、あるいはこの実態としましては、管理者がそういう点についての知識、自覚が十分でないということと、それから、あるいはこれは非常に善意に解釈した場合の問題でございますが、職員の方が、非常に小さなところではまあそういうことをあまりうるさく言うと仕事にならないと、こういうようなことでかなり自発的にたとえば仕事をする、こういうようなことの結果であろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましてもこれはやはり改善を要する点でございます。もちろんこれは役所の仕事の関係から申しますと労働省、労働基準監督署の問題になるわけでございますが、私どもといたしましてもこれについては当然関連をいたしておりますので、そういう点については一応労働基準法に合致するような管理体制をつくるように指導はいたしておりますが、なかなか十分行き届いておらないというのがまことに残念でございますが現状でございます。
○河田賢治君 多少のいざこざがあっても、労働者は労働者として労働組合をつくらせる、それで要求は要求として出さす、もちろんその要求が農協の現状から見てかなり困難なものが多いと思いますけれども、やはりそういう今日の時代の民主主義的な考えを持って運営しませんと、さっき局長は、自発的に労働強化をも辞せずに大いにやっておるというところがあるとおっしゃいますけれども、そういうところはえてして幹部の不正まで見のがしているわけです。あるいは仲間へ入ってしまうということがなきにしもあらずですね。やはりそういう点で今日労働組合を組織してないほうが非常に多いわけです。半分以上——まあ私ここに持っていますけれども、約五二%が組織されてない。ですからこういうところでもはやはり組織されて、もちろん労働者が自分の賃上げやそんなことばかり考えているようじゃ労働者もだめですから、そういう点は労働組合のほうでも指導するでしょうけれども、農協の幹部職員が労働者には労働組合をつくらして、対等な立場で、しかも建設的な方向で組合を運営していく態度をとりませんと、やはり不正とかああいうものがなくなる率が少なくならぬと私たちは思うわけです。こういう点で、今日の農協の幹部諸君の少し頭の切りかえが必要だと思うわけです。これは中央会を含めて下に至るまで、そういう労働者の権利をきちんと認めていく。この点のやはり十分な、下からの民主主義を発展させるという態度がありませんと、なかなか農協自体の運営もやすきに流れてしまうという結果を生むと私は思うわけですが、この点についてちょっと明快に答弁願いたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) その点はおっしゃるとおりでございまして、労働基準法というものに対する認識がどうも農村の場合十分でない、こういう実態があるわけでございますが、今後やはり優秀な人を農協の職員に迎えるという必要もあるわけでございまして、そのためにもやはり労働基準法の遵守ということについては考え方を相当はっきりしてやっていただく必要があろうということで、私どもも十分ではございませんが、従来知事さんあてに通達等も出しまして、そういう指導をやっておる次第でございます。
○河田賢治君 次に農協の経営の問題について少しお尋ねしたいのです。先ほど来いろいろ赤字の問題が出ております。各年次の農協の部門別では、信用と共済を除いてみな赤字になっておる。農協の加工、利用等々がこれが赤字になっている。もちろん一番重大な販売も赤字である。それから購買も最近はやはり赤字、黒字が交代で続くような事態になっているわけです。一体この赤字の原因というのは主として、競争が激しくて、普通の業者と——ほかの競争のないものもあるかもしれませんが——したがって、どうしても利潤がない、あるいはまたある程度販売や購買でも、それだけの品種あるいは数量は取り扱っておるけれども、経営の中に多数の人間をかかえておるので人件費をたくさん食うとか、あるいは経理の面で、その中に黒字を出すだけの要素がなくなっておるとか、こういう点についてはいかがですか、どういうふうにお考えになっているのですか。
○政府委員(池田俊也君) これは事業によりましてもちろん違うわけでございますが、やはり一番赤字の多いのは販売事業でございますが、販売事業につきましては、もちろん組合として十分の成績をあげているところもございますが、一方ではかなり大きな赤字を出して、その赤字を信用事業等で補っている、こういう実態があるわけでございます。その理由といたしましては、やはり販売事業ということでございますので、組合員の利益というような点から、あまり多額の手数料等を取るとどうも組合の事業としてなかなか伸びないというようなこともあって、手数料をあまり取るわけにはいかない。一方、まだ必ずしも十分に発達をしきっていないような組合では、販売量というものがまだ組合の利用率等の点からもあまり十分じゃなくて、要するに量としてあまり十分なまとまりを示していないというようなことで赤字を来たすというような事例がどうもかなり多いように思うわけでございます。要するに販売事業というようなものは、組合によりまして非常に個別差がございますので、平均いたしますとかなりの赤字みたいなことになっておりますが、非常に個別差があるというふうに私ども考えておるわけでございます。
○河田賢治君 購買事業などについても、これは四十一年度のですけれども、全国商工会連合会、農協と非常に競合しているところの——ずっと一つ一つの村の名前から出ていて、どういう取り扱い品について競合しているかというようなことを、農協と非常に競合している零細な商売人の方方がこういうものをつくってお出しになっています。ですから、これから農業の協同組合が総合農協として購買部門、それからまた第二会社などいわゆる子会社、これなんか通産省関係になるが、やはりあまりに農協が関連産業だというのでどんどん持ってこられたのでは別に中小企業をやっているのがあれを失うわけですね。同じように農協が新しく事業を始めたらそういうことでかなりそこへも圧力がかかってくる。したがって今度の法案の中にも第二会社の問題はあまり詳しく出ていないわけですが、こういうようにして農協が今後ほんとに農協として健全な発達をしていく場合に、そういう問題である程度競争にうちかつのか、それともある程度限界を持ってその中で改善していくかというような問題に迫られてくると思うのですね。しかも同時に農業自体が今後農業自体の生産が少々伸びましても今日の状態ではたして、外国の資本自由化が進められあるいはいろいろ日本の代替品がそれにきて、そして日本の農業生産というものが相当打撃を受ける、また今日でも果樹なんかがかなり過剰になってきているというような事態で日本の経済、農業自体もかなり大きな変化がきているわけですね、こういう問題についても総合農協がどういう分野でどういうふうに全体としてやればいいかというような問題も考えなければならない事態にきているんじゃないかと思うのです。しかもこれをずっと見ますと、販売なんかは赤字ばかりなんです。毎年毎年ようやく信用とか共済でカバーしているというような場合に、農協の運営の方向、またこういうものを追究して事業を継続する場合に、心がまえというようなものも必要になってくると思うのですね。こういうものはある程度長期の見通しを持って指導をなされているのですか、その場限りで農協の運営をやらしているのですか。
○政府委員(池田俊也君) これは農協自体もそういう点について最近いろいろ検討をされまして方向づけをしまして、そういう方向に組合の事業を持っていこうという努力を現在やりつつあるわけでございますけれども、私どもはやはり特に販売事業等を念頭に置きまして考えました場合に、組合の事業のやり方、たとえば単協、県連合会あるいは全国連そういう組織がございますけれども、そういういわゆる事業の通り方等でややどうも固定化したきらいがある。先般来からいろいろそういう御指摘があるわけでございますけれども、もう少しそういう点については合理化を行なう、機械的に全部が同じようなルートでいくというようなことではなしに、その実態に即して合理的な事業の進め方をする、こういうような点について今後努力をしていく必要があるわけでございます。それからさらには、最近特に農協の力を入れております営農団地のこれは生産と結びつきながら流通段階に通ずる合理化をやっていこう。こういう方向にあるわけで、そのためには当然組合の利用率を高めるということが必要でございまして、非常に抽象的な言い方ではございますが、私どもはそういうものを通じて極力系統の利用率を高め、また合理化を行なっていくということにおいて販売事業としての成績を上げていくというふうに努力すべきものでございまして、何かこういうことをやると非常にうまくいくというような名案があるわけではございませんが、やはりそういうようなことで従来の結果を振り返りながらやっていくという以外に方法はございませんし、またそういうことを着実にやっていけば大幅に改善が見られるのではないかというふうに考えて、そういう線で指導をいたしておるわけでございます。
○河田賢治君 時間の関係で、もう一点聞きたいと思っておりますが、次に移りたいと思います。 それでは営農の問題ですね、先ほど来出ておりました農業経営を行なう問題について、これは当委員会からこの春でしたか四月ですか、岐阜県の大垣の南機械化営農組合、それから愛知県の半田なんかに行ったときに、端的にいいますと一方、個人の若い青年がこれは農協の青年部のビラをつくっておりましたが、実質は請負耕作なんですね。請負耕作で自分の田が二ヘクタール、それからよその田を二・五ヘクタール、これを中型機械でやっております。こういうのが大体四人ぐらい、この諸君に、あんたは大垣のようなああいう農協がやるようなやり方をしたらどうなのかと聞いてみたのです。そうしたら、それはあかん、もうこのごろの農協なんというところは何か手数料を取ることばかりしか考えていない、とても農協に仕事をやらすということはろくなことはできぬと、自分で請負耕作をやっている若い諸君が言っているわけですね。八人の家族で相当の収益をあげていると言っておりました。 こういうような方向がかなりああいう兼業地帯に出ているのじゃないかと思うのですが、御承知の農協事業、それはいろいろありますから、で、先ほど来つまり自立経営農家を大体これからふやす——ふやすというよりもそれを維持していく、それを内容を充実さしていく。昨年の白書によりますと、一三%ですか、大体このくらいのところをこれから構造改善やいろいろな土地改良その他、政府の資金もつぎ込んでこれを促進していく。だから農協のほうは大体仲間に入らぬ。兼業農家ですか、それらの田畑等々を預かって自分たちでそれを経営さそうという大体の方向なんです。この辺の実態——政府は自立経営ということを盛んに白書でもいわれているんですね。それから今度の農業振興地域の指定、それに伴う構造改善事業、こういうものを大体二百ヘクタール以上の規模、そういうところへ農業資金もつぎ込んでいく、構造改善もやると、こういうことになっているわけですね。そうすると、自立経営の方向、それと自立経営にはいきませんけれども大体それに近いようないわゆる自作農程度、その程度のところに大体重点を置く。あとのこぼれたような兼業農家、どうにもならんようなところだけを、農協もある程度そこへ申し込めば引き受ける。それで、近所でやっていればそれらの人に多少引き受けもさせるというような考えで進められるのか、その辺の基本的な構想を伺いたい。
○政府委員(池田俊也君) これは非常にむずかしいところでございますが、私どもは一応一番望ましい姿としては、自立経営農家ができるだけ育成されるということが望ましいわけでございますが、これにはおのずから実際問題としては制限がございます。そこでその他の農家につきましてもこれは協業をすすめる、あるいは集団的生産組織を育成いたしまして、極力生産性の上がった経営にしていくということがあるわけでございます。ただ農家の中にはかなり兼業に傾斜をしておりまして、そうして自立経営にももちろんなりがたい、さらばといって協業の中に入って今後農業を伸ばしていくというところまでの踏み切りもしない、依然として土地は持っているけれども、やはり兼業というように相当大きく傾斜したままの姿でいかざるを得ないという農家もあるわけでございます。私どもはそういう農家につきましてこれをほうり出しておくということではなしに、やはり今後農業構造をよりよい方向に持っていくための一つの、ある意味では過渡的な姿という面もあると思いますが、極力農業生産を確保する、土地の利用率をあまり下がらないようにするというような観点からも、そういう農家を農協の経営事業の中に取り込みまして、そうして一方ではそれを農協と結びつけながらそれらを助長していく、あるいは農協が中心になりまして機械化を進めるための拠点にしていく、こういうような意味でまあ極力よりよい方向に持っていくためにこういうことも考えておるわけでございます。 ただ私は、この農協の経営受託というのはやり方によりましては必ずしもそういうある意味では消極的な意味だけではなしに、いろいろなやり方があるわけで、たとえば相当農業をやっている農家でも米とあるいは他の作物とをやっている、その場合にもう水田のほうはある程度これはきまったことでございますから、それは農協に経営をゆだねまして、新しい園芸であるとか畜産であるとか、そういう方向にひとつ専心したいというようなことをやるということもこれはできるわけでございます。私どもはやはりいろいろなそういう農業の実態に即してこういうようなことをうまく使ってやっていけば、将来かなり望ましい方向にいく一つの足がかりになるのではないか、こういうふうに考えておるわけで、このこと自体、委託者と農協との関係だけに着目いたしまして理解をいたすのはどうもこの事業としては必ずしも適切ではない、このように考えておるわけでございます。
○河田賢治君 そこで、さっき申しましたような中型機械、大体一貫体系ですね、このごろ出だした大型機械でも従来は田植えはどうしても人力によってやっておりましたが、これも最近出だした大型機械ですね、これを盛んに白書でも書かれて、それから農林次官の通達でも四十二年ごろですか、出ておりますが、大型機械になりますと、米作なんかになりますと大体五十町歩——五十ヘクタールから七、八十ヘクタールまで可能なわけです。しかもそれが五、六人の人間で可能になる、田植えのときなんかちょっと手伝うくらいで大体済んでしまうわけです。現に九州あたり、私、有明に行ったときそれを見てきたわけですが、そういうふうになりますと、いまの農業の基盤整備や何かもやってそういう方向にいくでしょうけれども、しかしそれは相当の人が排除されるわけです。現在の中農といわれる二、三町歩持っていてもだめになってしまう。それからさっき話しました刈谷の若い青年がやっておるのでも、四町歩からもっと規模をうまくやれば、大体十ヘクタールくらいまでやれるというのですね。そうしますと、ずいぶんこの農業からいま人が排除されることになるわけですね。大型機械、中型機械といろいろ段階がありますけれども、また土地の条件等等もありますけれども、この問題を私、予算委員会のとき大臣と話し合ったことがあるわけですが、主として農林省は大型機械などを入れて、農業の資金をそちらのほうに重点を置くということにあるわけなんですが、農協の問題は多少兼業農家を入れていくというお話しになっておりますけれども、この辺の関係が大体政府のほうでめどをつけて、しかも兼業農家がみずから進んで協業しながら、それで実際自分は働かぬでもよくなったというような実際の結果でこう兼業に転身する。しかしまたいまの大会社というのはトヨタにしてもあるいは岡山の水島地帯にしましても、大体そういう兼業農家から通っている労働者というのはたいてい臨時工です。非常にまた安い賃金なんです。向こうもよく心得ているのです。おまえら米つくるからそう大して賃金払わぬでもいいだろうということになっている。したがって賃金は安い、兼業農家はいわゆる日曜百姓にちょっと手の生えたくらいだということに大部分がなってきているのですね。こうなりますと、農業をやめて兼業一本、兼業を主要な職業に選んでもこの場合には十分安定した生活にもなり切れぬというような、こういう問題がいまずっとどこでも出ているわけですね。 ですから私は、よくこのように機械化、機械化というのももちろん合理的に農業経営するためには機械化をやることによって重労働から解放される、同時にまた機械化をやることによってそれぞれでの合理化が行なわれるということは必要なんですけれども、こういう点はやり方いかんによってはずいぶん無理にも農業から切り離されていわゆる追い出されるという結果になるわけですね。だからこの辺の政府の自立農家育成とこれをできるだけ強固なものにしていくというやり方と、それから兼業農家をどのようにして協業組織、現に農事組合法人なんか五人以上あれば農事組合法人ができるとかいうのがあるわけですね、ああいうものをもっともっと下につくらして、しかも機械でもいろいろ段階がありまして、手で押すくらいのことから動力がついて大きな機械でだあーっとやる、こういうたくさんないま段階があるわけですね。だから土地の条件なんかでは大きな機械が将来でもなかなか入らぬということがあれば、そういう小さいところでは先にどんどんこれを援助して、そうして協業化を進める、農業をやっているうちに自分自身で仕事がなくなるということになればみずから働きに出るでしょうから、こういう点のやはり農林省のほうの確固とした、いまどういうふうに動いているかという点をもうちょっとよく調べていかれる必要があるのじゃないかというふうに私は思うわけです。 あなた方が、琵琶湖の大中之湖の干拓地で四町歩ずつ分けておられます。ところがあそこにおる人自身が、そのうち大体半分から三分の二近くはやがてやめていかんならぬだろう。そうしますと、一人が十二ヘクタール、中型機械でいっちまうわけですね。そうするとあそこに二百十六戸入っていますけれども、このうちの大多数がまた出なくちゃならぬ。やがて機械を使えばコストは下がります。また、大英断をもってことしは米の値段を据え置かれた。ますますこれはまた上がらない。農業所得は減ってくる。こういうことになりますと、やはり農業は全体として機械労働力にたよりますので、結局そう収益はふえるわけじゃないのですね。土地生産力が高まるわけじゃないのだ。 ですから、そういう点での農協にいま経営を委託するか、それから、農事組合法人なんかをもっと積極的に、農民自身がずっと進めていくような方向をとるかという、これは農政上の大事な分かれ道になると思うのです。この点についていま農協の経営、この経営もいま局長の話だと、下請に出すというと、かなりのものは機械買ってやらすとか、そうすると利用組合になりあるいは手数料をとるだけの農協になっちまうということになりゃしないかと思うわけです。この点。
○政府委員(池田俊也君) 非常にその点、広範なむずかしい問題の御質問でございますので、ちょっとお答えしにくいのでございますが、私どもの考えといたしましては、もちろん自立経営農家を育成するということは、これは一つのはっきりした目標でございますけれども、その他の農家について、いわゆる協業を助長していくということは、これもまた必要な方向でございます。ただあまり単純に自立経営にならないのは、すべて協業経営なりあるいはそれに近いような組織なりでいくのだというふうに割り切らないほうがいいのではないか。農家の種類によりまして、現在は規模が小さくて兼業農家でありましても、次第に農業に重点を移していく、一生懸命やりたいという農家もございますし、逆な農家もかなりあるわけでございます。やはりそれぞれの農家の意向なり実態なりに応じていろんな組織を考えておくほうがよろしいのではないだろうか。その一還として、今回の農協の経営受託というものを打ち出しておるわけでございまして、これはいろんな見方があると思いますが、私どもはそのものを通じて、さらに上に上がっていく一つのよりどころになるという面もございますし、あるいはそういうものをやりながら、現在経営者がかなり老齢化しておりますから、そういう老齢経営者が引退をするという時期をつかまえまして、そういう農協が受託しました農地を規模拡大の方向に向けていくというような、いろんなことが考えられるわけでございますので、自立経営あるいは協業、しかも協業というのはすべて協業経営なりそれに近いものがよろしいのだというふうにあまり割り切らないで、いろんな農家の実態に応じた形を考えまして指導していくというほうがよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。もちろんその場合に機械との関連で、機械化を進めるということとうらはらの関係になりますので、機械化が先かあるいは機械化があとかといういろいろな問題がございますけれども、私どもはあまり一面的でなくて、いろいろな面からこれはとらえていく必要があると、さように考えておるわけでございます。
○河田賢治君 時間がありませんので、それをさらに深く論議するわけにいきません。いずれにしましても、だんだんと機械化が進み、また農家自体が経済的な諸条件の中で動くわけですから、しかも農家にはいろいろ段階がありますから、これらの問題について私たちも深甚な注意を払いながらさらに実践的に検討を進めたいと思います。 次に最近の新都市計画法、これに基づいて市街化が行なわれ、若干この中で農民も農業をやっていける場合もあるわけですが、十九万ヘクタールですか、市街地でだんだんと農地がなくなるということを聞いております。だんだん大都市、特に東京あたりは御承知のようにもうほとんど農業をやらぬような地域ができた。この間の新聞によると、北区では十一人か十九人くらいしか農業をやっている者がいない。それも非常に小さいというので農業委員会もやめたということが新聞に出ておりましたね。そうしますと農業委員も置けなくなる、おそらく農協も。そういうところではかりにありましても変わった農協になっていると思いますね。だんだん都市化が進みますとさっきも話がありましたように、信用事業が大部分になる。最近では御承知のように土地の造成をやる、貸住宅をやる、こういうのがだいぶはやり出したですね。そういう計画がずいぶんあるようですが、この問題についてそれに入ります前に都市農協でだんだんと農民が少なくなって、全く農協というのは農民の組織なんですから、ほとんど農民がいないというような場合には農協自体はやめられるのか、別な何か信用組合式なものに移行していくのかどうか、その辺をちょっとお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(池田俊也君) 現在の大勢では農協が信用組合等に移行するという制度はないわけでございます。したがいまして農協として存立する気がないということでございますならば、解散をいたしましてその上で新しい組織をつくると、こういうことになるわけでございます。
○河田賢治君 建設省のほうへ伺いますが、農協中央会の常務の安井さんが建設大臣の諮問機関の住宅宅地審議会で、三月二十六日の審議会で「農協による農地住宅の供給について」という安井私案を出されたということを聞いているわけですね。これは都市農協研究会の論議を基礎にして農協中央会の基本的な支持を得たものとしていわれていると、このようにいわれておりますが、この私案では、国は、農協が組合員が建設する賃貸住宅または分譲住宅の建設を請負うことができるという、法解釈の明確化、または必要な立法化の措置を講ずるということを認めたということでして、この法案はまだ出ていませんけれども、最近こういうふうに、農協が主として区画整理事業をだんだんやって自分の手で造成をする、それから賃貸の住宅もつくるというような構想がだいぶあちこちに起こる、また現実にそれが進みつつあるわけでございますが、建設省では主として農協にこういう区画整理をやらすとかいうようなことを大体奨励されているんですか。
○説明員(山岡一男君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、私どもの省の所管いたしております住宅宅地審議会におきまして安井先生からそういうことが確かに出て審議会で検討中でございます。われわれのほうといたしましては、その先生方の御意見に従いましてその策をきめるということはもちろんございますけれども、現在までのところいま先生のおっしゃいましたように、市街化区域内、これは都市計画法の考え方でいいますと十年以内に優先的にかつ計画的に市街化をはかるべきだということでございまして、その中におります土地所有者というのを対象にしておるわけであります。土地を所有なさっている方、まあ大半農民の方が多いわけでございますけれども、そういう土地所有者の方々が住宅の供給のほうに回っていただくということは今後の方向としてたいへんけっこうだと思うし、そういうふうな場合でもかってに一戸建てをどんどんつくるようなことが進められますと、やはりどうも計画にそぐわない。したがいましていままでの土地所有者の方方に対しますわれわれのお願いといたしましては、できる限り土地区画整理等を進めていただけないか、そうしてそういうでき上がったところにおいてそういうふうな土地を所有なさる方々が賃貸なり分譲なりなさる場合にはできるだけの融資なり減税なりの応援をして差し上げたいというのが基本の姿勢でございます。
○河田賢治君 これは自民党のほうでも住宅特別委員会ですか、副委員長の金丸さんあたりもこういう問題で試案を出しておられるというふうに聞いているわけですが、だんだんこれが進みますけれども、区画整理の設計から施行など農協が引き受けてやるということになりますと、区画整理事業というのは御承知のとおりいろいろ問題を起こしておりますね。もちろん市街地ですと道路のそばがどうだとか、奥のほうがどうだとか、しかし土地を出さぬものは金を出さなければならぬという、まるっきり政府は、建設省のほうは、おまえらやれやれ、全部自己負担だというような調子でやられるような、一番安易なやり方ですね。どこの地方でも反対しているのです。私も京都ですけれども、五、六年来伏見とか北区あたりでは反対運動をずいぶんやっておりますけれども、こういうふうにして区画整理の設計から施行などを農協にやらすということはいいことなんですか、これは。
○説明員(山岡一男君) 現在農協がそういう能力があるのか、それが今後いいことかどうかという点については実はわれわれ現在検討中でございます。なおそういうような農協の新しい御提案につきましては農協等の直接の監督をなさっていらっしゃる農林省あたりとも十二分に協議をして検討すべきだというふうに指示をいただいております。せっかくそういう方面の勉強もいたしたいと考えておるところでございます。なお土地区画整理をなさいます場合にも、現在は組合施行ということが主になっております。農民の方が力を合わせておやりになる、それから農協の方も土地をお持ちになっておればその組合の一員として参加される、そういう意味の組合施行というものが現在行なわれておるわけでございます。そういう場合には制度といたしまして立ち上がり資金と申しますか、仮換地が終わりまして保留地が生み出されますまでの間の無利子の貸し付け金だとか、それから生み出されますときの、大きい公共道路等ができます場合にはそれに対します管理者負担金とかというようなことについての制度を現在あわせて行なっておるわけでございます。
○河田賢治君 建設大臣が二月二十六日ですかの住宅宅地審議会で、農協が住宅政策に協力する場合は、農協に対する利子補給、組合員に対する減税など責任をもって措置するというようなことを言われたということですが、これは事実ですか、どうですか。
○説明員(山岡一男君) まあ二月二十六日でございますか、実はその事実、私は承知いたしておりません。
○河田賢治君 農協はそういう無利子の貸し付け制度事業に対する区画整理とかいろいろ要求いたしております。利子補給とかたくさんこういう問題があるわけですが、現在こういう宅地の造成、それから貸し家ですか、賃貸しの住宅、こういうふうなものは農協の事業としてだいぶ現実には進んでいるわけですね。こういうのは農協の事業として差しつかえないわけですか。
○政府委員(池田俊也君) いわゆる農住都市の問題でございますが、私どもは宅地政策あるいは住宅政策という観点からはこれはまた別個の問題があるわけで、確かに一つの考えであろうという感じを持っているわけでございますが、私どもの仕事の関連におきましてこの事業を一体農協がやることについてどう考えるか、こういうことでございますと、これはかなり慎重に検討する必要があるんじゃなかろうかという感じを私は持っているわけでございます。といいますのは、これは農民が農地を持っておりまして、それがいろいろ都市化の進展に伴いまして宅地に変更する、こういうことでございまして、これが完全にできますと農民はもうすでに農民でなくなるわけでございます。そうすると農民でない方のそういういわば住宅管理事業というようなものを農協がやるということは、一体農協の性格からいってはたしていかがなものだろうか。むしろかなり純粋に考えますと、それは非常に農協の性格に合致しない面が多いのではなかろうか、こういう感じが実はいたすのでございます。 しかしこの問題はいわゆる都市農協の問題の一つのあらわれでございますので、私どもは都市農協の問題としては今後どういうあり方をとるか、当然事業との関連もございますし、それについては一つの重要な課題として検討はしていきたい、現状において農協の中に直ちに取り入れることについては、これは相当慎重に検討する必要があるんじゃなかろうか、こういう気持ちでございます。
○河田賢治君 大体よくわかりましたが、この区画整理をやる場合に農民の土地の所有状況、それから耕作の状況によってずいぶんあれがあるわけです。やはり上の指導者がこうやるのだというと、民主的なところならばぱっと反対もしたり意見も述べたり、かえ地を要求したり、いろいろな問題ができると思います。ところが、そうではなくて、上から大体組合長とか何とかいいます方が大風呂敷を広げてぱっとやられると、下の者が言いたくても言えぬ、不利を受ける、土地の分配にはそういうことがありがちなんです。農協自身の問題になりますけれども、主として区画整理というものは、なかなか国はお金を出さぬ、その地域住民の利益が増大するからできるだけ負担せいというやり方なんですから、この問題は私たちは賛成するわけにはいきませんけれども、とにかくそういうふうにして農地を所有している農民の問題を私たちはきちんと処理する必要があるし、それからブローカーなんかに土地をどんどん造成さすよりは農民自身が農業をやめるならそういう方向にいかなければならぬ場合もある。そういう点では建設ブローカーなんかに渡すよりはその点はいいと思いますけれども、私たちはそういう考えを持っております。しかし、農協としてはそういう問題をいまの法律のもと、いまの条件のもとでは農協が出資して事業を引き受けてやるべきものじゃないというのが大体農林省の腹らしいからその辺は両省でよく話し合いをするとおっしゃっておりますけれども、すべてこの点は建設省がむやみやたらに農協があるからといってボスがうまく話し込んだといって満足して事業を進めるのはどうかと思います。この点、私は建設省の注意を喚起しておきたいと思います。 大体以上で終わります。
○委員長(任田新治君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。よって、質疑は終局いたしました。 —————————————
○委員長(任田新治君) 次に農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。櫻井君。
○櫻井志郎君 だいぶんおそくなりましたので簡単に質問いたします。 戦後、農地改革をやりましたが、日本の農地改革は世界でもたいへんその成果をあげたというふうに認められております。農地改革についてはたしか官房長が当時の新進気鋭の起案者であります。私なんかも第一線の県の農地部長として非常に苦労したことを覚えておるのでありますが、たとえばイタリアあたりの農地改革は日本に比べると非常に成績が悪かった。日本はたいへん農地改革に成功した、そのことが今日、日本経済の非常な発展にも影響しておると思うのです。まあそれはそれとして、農業にとって特に農地は最も基本的な生産基盤であり、すべてこの生産基盤の拡充を強力に推進して、かつ効率的にこれを利用するように農業構造の改革といいましょうか、改善といいましょうかを積極的に進める必要があると思います。農地法が戦後農政の基本的な法制度として制定され、今日まで十数年にわたり重大な使命を果たしてきたことにつきましては十分評価されているところでありますが、この農地法もいまや新しい時代を迎え、新しい時代の要請にこたえて法改正を要する時期にきたと考えるのであります。そこで農地法改正案の基本的な事項について政府の御見解をお尋ねしたいと思います。 まず第一番に、農業経営の規模拡大とか農業構造の改善を進め、農業の生産性の向上と農業従事者の所得の増大をはかるためには、農地法の改正は当然役に立つと思いますけれども、これだけではその目的を達成することができないと考えるべきだと思います。そこで農地法改正案の内容に入る前にまず私は政府の農政における基本的な目標とまたその中で農業構造政策を強力に推進していくために講じようとしている施策を明らかにしてもらって、このような施策の中で農地法の改正案はどのような意味を持っているかをまずお伺いいたします。これは大臣からお答え願えれば幸いでございます。
○国務大臣(長谷川四郎君) 農政の基本目標は時代の推移に即応いたしまして、また国民食糧の安定的かつ効率的な供給と農業の従事者、この所得の増大をはかっていくことだと考えております。そのためには農業の生産性の向上をはかるために農業構造の改善を進めることが最も必要であり、肝要であると考えるのであります。農業構造の改善のためには、農業生産性基盤の整備、開発のほかに、農業構造改善事業の推進、また農業振興地域の整備、農地の流動化の促進、総合施設資金制度の拡充、協業等集団的生産組織の助長、さらに農業者年金制度の活用、農業の機械化の促進などの各般の施策を総合的に実施しなければならないと考えており、農政審議会あるいは農政推進閣僚協議会、こういうようなものにも十分意見等を聞き、そうして総合した実施を行なってまいらなければならない、このように考えております。やはりそのためには何といっても所要の予算措置を相当講じなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
○櫻井志郎君 農政の中に構造政策あるいは価格政策、いろいろありますが、四十二年ですか——に農林省は構造政策を特に強力に推進するということを言明して、その政策の実行に入るということを言いました。ところが、構造政策を強力に実行するについては法律の改正あるいは新しい立法、こういうこともあります。と同時に、こういうものを必要としない予算措置も当然出てきます。そこで、予算措置の場合をとらえて言いますと、私は構造政策の強力な推進が全然出ておらないとは申しません。もちろん相当の何といいましょうか、萠芽が見られます。見られますけれども、強力に推進するという予算的なあらわれというものがどうもしっかりつかめない。この点、大臣はどういうふうにお考えでしょう。
○国務大臣(長谷川四郎君) いずれにしてもこの難局に立っておる農業の打開また構造の改善、こういうような点に対しましては相当なる財政支出というものが伴うのは当然なことだと考えます。したがって昭和四十四年度農林関係予算のうちの農業構造政策に関する主要な経費といたしましては、農業構造改善事業の推進、農業振興地域の整備、協業等集団的生産組織の助長、こういうような点、さらに農業近代化資金の融資とか、総合施設資金制度の拡充、農業者年金制度の調査等のためには総額約四百八億円を計上しております。特に農業構造改善事業につきましては、第二次農業構造改善事業を四十四年度以降十年間に計画を樹立して実施する考えでありますし、なお今後とも構造政策の一そうの推進をはかるために予算措置等についても拡充をはかってまいるつもりでございます。私が冒頭に申し上げましたように、さらに現在の農業の安定を期するという、こういうような点に立ちましては、何といっても財政支出といいましょうか、こういう点には最も大きく必要性を感ずるのでございまして、これらに対しましては万全を期してまいるつもりでございます。
○櫻井志郎君 特にことしは米価の据え置きということになったそういう関係もあって農政推進閣僚会議ですか、こういうものができた。そういうものは制度ができただけでは意味がないので、そういう制度を十分活用して、来年の予算にはこれを、米価は据え置いたかわりにどうだという構造政策の強い表現を私は希望いたします。答弁は要りません。 そこで農地法に入りますが、今回の農地法の改正案では離農者対策に関する小作地所有制限の特例措置、小作料統制に関する制度の廃止など、従来の規制を大幅に緩和しようとしておりますが、このような改正によりまして地主制が復活するおそれがあるんじゃないかという意見もあります。これは衆議院の速記録を読んで、こういうような意見が出ておりますが、再度政府の見解をお尋ねいたします。局長でけっこうです。
○政府委員(中野和仁君) いま御指摘のように、衆議院の段階でもそういう問題が非常に出たわけでございますが、われわれの判断といたしましては、戦後農地改革を経まして二十年たちまして、農業者の経済的あるいは社会的地位が非常に向上してまいりました。と同時に、最近の傾向を見ましても農業外への雇用の機会が非常にふえてきております。したがいまして、そういう大前提を置きました中で考えてみました場合に、今回の農地法の改正案のような考え方をとること自体によりまして旧地主が復活するというふうにはわれわれ考えていないわけでございます。特に最近の傾向を見てみますと、農地を借りる場合、あるいは買う場合にも、若干ではございますが、兼業的な農家から専業的な農家が買う、あるいは借りるという傾向がふえておりますし、それから今回の改正におきましても、耕作者が農地を取得するという原則は堅持をいたしております。その中での改正でございます。不耕作者が農地を取得することは認めないという原則は堅持しております。その中での改正でございますので、いま御指摘のように、今度の改正案によりましてもう一ぺん戦前のような旧地主制が復活をするということはわれわれは考えておりません。
○櫻井志郎君 今回の農地法の改正では、目的として「土地の農業上の効率的な利用を図る」ということを新たに加えておりますが、これについて私は、権利移動の際に上限面積制限の撤廃、下限面積制限の引き上げ、改正小作料の最高額の統制制度の廃止などが同時に行なわれようとしておりますけれども、これについては兼業農家、特に第二種兼業農家に対する配慮はどういうふうに考えておるか、政府の御見解をお聞きしたい。
○政府委員(中野和仁君) 今度の農地法の改正の目的といたしますところが、自作農主義の農地法の原則に加えまして土地を効率的に利用する観点を加えたわけでございます。と申しますのは、先ほどもちょっと触れましたように、最近の農業内外の事情の変化からいたしまして、兼業農家が非常にふえてきております。昨日の農林省の農業調査の発表によりましても、半数近くはもう第二種兼業農家になってきております。その場合に、農地法の立場から今度の改正案で考慮をいたしましたことは、大きく分けまして私は二つあると思っております。 その一つは、農村に残りまして引き続き農業をやりながら兼業したいという農家、これに対しましては協業という問題で解決していかなければならない面と、それからだんだん兼業にウエートがかかってまいりまして農業のほうにあまりウエートをかけたくないという農家があります。しかし、土地は放したくないという気持ちも一方あるわけであります。こういう農家に対しましては、一つには、土地を貸しやすくすると、そういう観点を一つ加えております。それからもう一つは、農業生産法人制度の改正をいたしまして、その法人にいわば常識的に言いますと預けておくという改正を一つ考えておるわけでございます。 それからもう一つの問題は、農村から離れまして都会に出て工場や何かで働きたいという問題があるわけでございます。やはり土地は置いておきたいという農家もある。もちろん売っていただけばそれでいいわけですけれども、そういう方々のためには促進といいましょうか、どんどん追い出すというつもりは決してございませんけれども、離農する農家が離農しやすいように、在村地主と同じように一ヘクタールまでは不在地主になっても土地の所有は認めるということを考えておるわけでございます。以上でございます。
○櫻井志郎君 農地の流動化をはかり農業経営の規模を拡大する方向で施策が進められるとすれば、単位農家もしくは協業体の経営規模拡大に資するために、補完的に金融、税制の面で考慮を払う必要がある。そこで土地取得資金、これはたしか何年か前に改正になって、二百万円ですか——までに拡大になったと思うのですが、別にもらった資料によりますと、農地価格が相当上がってきておるという点からすると、この程度の土地取得資金の融通では定りないのじゃないか。もう少し拡大する必要があるんじゃないかというふうに考える。 それからいま一つ、不動産取得税あるいは登録免許税、こういうようなものに対してはどういうふうにやっていくのか、農林省においてはっきりした交渉の結果があれば聞かしてもらいたい。
○政府委員(中野和仁君) 最初お尋ねのほうの農地等の取得資金の問題につきましては、経営規模の拡大をはかります場合に、土地を取得する必要があるその場合の政府の手当てといたしましては、公庫の土地取得資金があるわけです。これにつきましては、実はこの取得資金の希望が非常に強いと同時に、貸し付け限度を引き上げてくれという要望が非常に強かった。そこで昨年いろいろ大蔵省とも折衝いたしまして、昨年の暮れに従来の限度百万円を二百万円に引き上げたわけです。そして、ことしになったわけでございますが、いま御指摘のように依然としてもっと限度を上げてくれという希望が強いわけです。ただことしに入りまして、まだしばらくしかたっておりませんので、ことしの資金の増加の状況と、いましばらく原則的には推移を見たいと考えておりますけれども、今回の改正案にもございますように、たとえば農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人が農地を取得いたしまして規模拡大をはかりたい、農家に売り渡すといったような構造政策として前向きの方向でいく場合には、その貸す限度をもつと上げたほうがいいんではないかというふうにわれわれ考えておりまして、今後大蔵省との折衝もございますけれども、貸し付け限度の引き上げは引き続き前向きの姿勢で取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
○説明員(中沢三郎君) 税金関係のことについて申し上げます。先生御指摘のように、規模拡大のための農地取得につきましても、税法上の軽減をはかる必要があるというふうに考えておるわけでございまして、先般御審議いただきました農業振興地域の整備に関する法律におきましても、ただいまお話のございました登録免許税につきましてはこれを軽減するようにはかっております。それからまた不動産取得税につきましても今後同様な軽減をはかりたいという考え方から税務当局と折衝いたしてまいりましてぜひ実現をはかりたいと、こういうつもりで対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○櫻井志郎君 ぜひ進めてください。そこで、先ほど農協法の改正に関しても話が出ておりましたが、最近農村では委託耕作あるいは請負耕作とかいう形で実質的にはやみ小作関係がたいへんふえておる。そのように聞いております。この問題については耕作者は安心して農業の近代化をはかることはむずかしいのではないかというふうに考えるのですが、今度の改正案でいわゆるやみ小作に認知を与えるともいわれるが、違法性のものの実態は、簡単でいいですが、実態はどうなっているか、そしてまた今度の改正案でこれらのものが実際的にほとんど吸収されるであろうかどうかということです。お答え願います。簡単でいいです。
○政府委員(中野和仁君) 請負耕作なりあるいは先ほど出ておりました委託耕作の問題につきまして、最近かなりふえてきております。本来農地法の立場から申し上げますと、それは農地法違反でございますから取り締まるべき筋かもわかりません。しかしながらあまりにもいまの現行農地法の耕作権の規定が強過ぎまして、農家がまず第三条の許可を受けにまいりません。そういたしますと、そこでやられている事態は農地法外の問題でございまして、耕作者のほうから見れば農業耕作権のない実態になっておるわけです。そこでわれわれといたしましては今回の改正案によりまして、農協への経営委託という点は改正法案に盛られているとおりでございますが、それ以外の個人間のいわゆる請負というものは、法文といたしましても第三条二項第三号にありますように許可をしないということにいたしたい。そのかわりと申しますとおかしいわけでございますが、農地法上賃貸借につきましてもう少し地主と小作人のバランスをとったものの考え方をするという観点から、解約の場合には知事の許可を要しないというふうにいたしまして、正規の賃貸借にできるだけ乗っけていきたいということを考えております。 農地法が通りました場合にそれが全部やみがなくなるかといいますと、かなりそうでない部面もあると思いますが、われわれといたしましてはこの改正案の筋に従いまして、ひとつ秩序のある農地の賃貸借をつくっていきたい。そうでなければやみの世界ばかりふえまして、農地法が空洞化するのではないかと心配しております。この法律案がもし通りますればその線に沿いましてやっていく。できるだけ指導によりまして正規の賃貸借に追い込んでいきたいというふうに考えております。
○櫻井志郎君 私はこの法の改正案でひとつたいへん不安のあるところ、それはいまの賃貸借の解約等の制限が相当緩和される。緩和されると当然農地の流動化が促進される。まあ促進をねらってそういうことをやるんですが、一方においては生産性を上げるための土地改良等をやる場合に解除が容易になる。そうなるとだれがその経費を負担するか。これが大きな支障になってきやせぬかという、私のおそれだけかもしりませんが、非常に心配になっている。この点はどうでしょうか。
○政府委員(中野和仁君) 賃貸借の面で緩和をいたしたわけでございますが、その内容は十年以上の賃貸借をやります場合、十年たった場合の更新拒絶が地主側にできるということと、それから合意解約の場合それから水田裏作の場合につきまして知事の許可がなくて返してもらえるというふうにしたわけでございます。基本的には耕作権をそれほど弱めるというふうにはわれわれは考えておりません。ただ御指摘のような問題が土地改良につきましてあると思います。その場合に先生御承知のように、現在の土地改良法によりますと、土地改良の事業の参加資格者は小作人がおります場合は小作人が第一順位であります。例外的に地主が農業委員会の承諾を取りましてやった場合、地主が参加資格があるわけでございます。原則的には耕作者が土地改良事業の参加資格者でございます。 そこで費用の問題になるわけでございますが、これは民法で有益費の償還規定がございまして、小作人が土地改良に参加をいたしまして投資をした、それを地主と小作人の合意によりまして途中で解約になったという場合には、投下した費用は有益費の償還で返してもらうということになるわけです。その場合に土地改良法でもまた規定がございまして、民法の場合には地主の選択によりまして土地の増加額か投資額かということになるわけでございます。土地改良法には土地の増加額を小作人に返してもらうという規定がございます。それから、そこで裁判になりました場合でも、その話がつきません間は小作人のほうは小作地を返さなくてもいいという留置権がございます。その点はそれほど御心配いただかなくてもいいのではないかというように考えます。
○櫻井志郎君 わかりました。 次に、小作料の問題ですが、小作料の一筆ごとの最高額統制を廃止する、そうして小作料については農業委員会による標準額の設定と減額勧告の制度を設けようとしております。これにつきましては法的拘束力のない勧告の制度のように私は理解しましたが、そうであるとすれば、農家間の競争による小作料水準の上昇は避けられないのではなかろうか。結局その経営が圧迫されるようなことになるのではなかろうか。こういう心配があるのですが、この点についてどういうふうに農林省はお考えになっておりますか。
○政府委員(中野和仁君) 今回の改正案によりまして現在とっております一筆ごとの最高統制額制度を廃止したわけでございますが、その理由といたしますところは、先ほども若干申し上げましたように、もはや戦前の地主小作制度に復活する心配もございませんし、雇用の機会も非常にふえているという現段階におきましては、むしろ現在の統制小作料が全国一律でございますので非常に低い。なかなかそういう低いのでは貸したくないということでやみ小作が出てきているわけでございますので、この際一律的な統制というものは廃したほうがいいのではないかというふうにわれわれは考えたわけでございます。ただ、この場合にもこれは新しい契約からの話でございます。過去にあります二十数万町歩の小作地につきましては、今度の改正案に附則がございますように、今後十年間は統制を続けたい、これは現在の小作人にショックを与えないための措置でございます。そういうふうにいたしましたのは、もう一つの考え方といたしましては、従来の戦前のような地主と小作人の対立関係ということではなくて、今後の貸借ということになりますと、いわば農家間同士の貸し借りになってまいります。こういうことになってまいりますと、先生もお触れになりましたが、今度の改正案にありますような村、村で大体妥当な水準をきめまして、いわば一つの地域社会の規律と申しましょうか、あるいは協定と申しましょうか、そういう線を出しましてそれをお互いに守ろうじゃないかという観点から小作料というものを考えたほうがいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。 それからなお、非常に高くなってというようなお話があったわけでございますが、今度の標準小作料の考え方もやはり粗収入から経費それから労賃それから若干の利潤を引いた残りが地代になるという考え方はとっておりますし、そういう面で強力な指導をいたしたいと考えておりますので、現段階におきましてはやはり小作料の一律的な統制というものははずしたほうがいいというふうに考えておるわけであります。
○櫻井志郎君 通作距離の問題です。これについては抽象的ではあるけれども、制限を加えておりますね、実際には。たとえばミカン耕作あたりはマイクロバスをかって相当遠いところへ通作しておるという実例が多々とは言いませんけれども、相当あります。そういうものはどうするのか、通作距離。ただ作物にも何にも関係なしに通作距離を制限するということになってくると、せっかくそういう選択的拡大ということで選んだ作物に対して、相当数の農民が共同してやっていくというようなものに対して通作距離で制限を加えるということになると、たいへんなことが起るのじゃないかと思うのです。その点はどうなんですか。
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、今回の改正案におきましてはその農地に通いますといいますか、通作の距離等から見ましてその土地が効率的に使えないと判断した場合には許可しないということにしておるわけでございます。 それじゃどういう距離にするかという問題でございますが、御指摘のように、ミカン作の場合、あるいは米作の場合、いろいろな作物の種類によりまして農作業の形態が違いますので、われわれとしましては一律に自分の住んでいるところから農地のあるところまで何キロというような制限はいたすつもりはございません。しかしこの規定を置きました趣旨は、自分の農地を、主として都市近郊に多いわけでございますが、売りまして、たとえば東京で売りまして茨城県とか栃木県に土地を買っておく。そうして実際は請負耕作なり何なりに出すということになりますとそういう面での農地の秩序の乱れと同時に、非常に地価をつり上げるという問題がございますので、たとえかなり遠くへ、たとえば車で通うといった場合でも、自分で耕作をするという判断がつきます以上は許可をすべきだというふうに考えておりまして、具体的にはその辺のことは指導通達で知事に対して明らかにしたいと考えております。
○櫻井志郎君 時間もだいぶおそいですから質問を省略します。 そこで、最後に大臣にお尋ねいたしますが、農業経営の規模の拡大をはかるためには農地法の改正は相当私は役立つと思うのですが、これだけでは十分でないことは言うまでもないと考えます。そこで、先ほど述べた金融制度の改善、土地基盤の整備等、各般の施策を総合的に実施していかなければなりません。農民年金の問題もこれは当然だと思います。この問題について先ほどちょっと触れましたけれども、農政推進閣僚協議会も生まれ、この閣僚協議会の運営をどういうふうにおやりになっておるか、あるいは国会中でたいへんお忙しいからまだ実際の運営に入っておらぬかとも思いますが、大臣におかれてはこの点の所信をどういうふうにお持ちですかお尋ねをいたします。
○国務大臣(長谷川四郎君) お話のとおり農地法の改正だけで十分だとも考えてもおりません。しかし今後の新しい農政を行なうというような上に立っては、これなくして行なうことはなかなかたいへん困難であろう、こういうふうに考えております。したがって、これらに対しましてはこれと伴なうようにあらゆる面でこれが完全に新しい農政が反映できるような方途を切り開いていく考えでございます。 さらに閣僚協議会の問題でございますけれども、これはいま次官段階において再三、いろいろ会合をさしておりますので、まだ私たちが、閣僚だけが集まってどうするかという段階まで入っておりませんけれども、いま次官段階においていろいろ協議をしているところでございますので、早急にこれらの問題にも当然取り組んでいかなければならないと思っております。ただいまそういう段階でございますものですから、その基礎をつくっておる、こういう段階でございます。
○櫻井志郎君 終わります。
○委員長(任田新治君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時三十分散会