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61回国会参議院1969/07/17

内閣委員会 第30号

発言数
209
登壇者
23
会派数
4
開催日
1969/07/17

会議録

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 前回は共産党の岩間委員から、農林統計の問題についていろいろ論議があったわけでありますが、私は観点を変えて農林統計の問題について質問をいたしたいと思います。  まず、農林統計の整備について、そのときどきの行政の変化あるいは政策の変化に基づいて、農林統計調査業務の変遷もそれなりに変化してきているわけでありますが、その大きな変化のうちに、統計のあり方として地域別統計というものを基礎として取り入れて、これを今日まで農林省はその方針で実施をしてきたわけであります。そのことが私は今日の段階において、大きな転換期にあるそのことは、一つには統計調査部が、本省の統計調査部から府県の統計事務所、出張所、こういう直接本省とのつながりのあったものが今度農政局の管轄下に入る、こういうことで組織的にも非常に大きな変革を見るわけでありますが、岩間君の質問にもありましたように、統計そのものの性格からいって、行政の支配される統計になりはしないかという心配が一つある。あくまでも統計の中立性というものを保つ、こういう観点もあるのでありますけれども、私は今度の機構の大変革に伴って、統計の従来の反省というものが大きくあってしかるべきでないかと、このように考えるわけなんでありますが、今後における統計の整備のあり方について、一体農林当局としては、どういうような基本的な考え方に立っておられるか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。

岩本道夫農林省農林経済局統計調査部長

○説明員(岩本道夫君) 農業基本法ができましてから、きめのこまかい地域農政に即応する統計の整備を進める一環としまして、昭和三十七年以降、農林統計に用いる地域区分というものを策定をいたしまして、全国を九つの農業地域に分け、さらに一つの県を数個の農業地域に分け、さらに経済的な観点から都市近郊、平たん村、農山村、山村といったような経済地帯に分けまして統計をとってきたわけであります。これは農業基本法の精神にのっとってきめのこまかい地域農政を推進するという意図に出たわけでございますが、その後昭和三十七年以降今日まで、経済社会の発展が非常に進みまして変動が大きいために、一たん確定した地域区分が実情に合わない点も出てまいりまして問題を生じております。さらに統計につきましては、ひとり中央の行政のためだけではなく、県とか市町村とかという地域行政のために役立つことはもちろん、農民のための統計でなければならぬわけでありますが、あまりにも農林省の中央行政のためという視点が強調されましたために、地域区分をいたしましたけれども、その反面として、市町村ごとの統計とか小地域単位の統計の整備に抜かりが出ておるのでありまして、その点も問題が出てきております。  したがいまして、今後の方向といたしましては、この機構改革によりまして、末端の統計調査事務所を地方農林局に吸収、統合いたしますことを契機といたしまして、その抜かっている点を補完してまいりたい。端的に申しますと、いままであまり力が入っておりませんでした市町村地域の統計整備ということにも力を入れまして、これが市町村の行政に役立ちますとともに、それを通じて農民のための統計、農民が自分の生産の方向づけをするために役立つような情報なりデータが得られるような方向に整備をしていきたいというのが私どもの念願でございまして、そういう趣旨で今回の改正案を提案した次第でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 従来、この農林統計に対する批判というものはいろいろあったわけでございます。一つの批判としては、農民側あるいは地方自治体側、こういうところからの批判として、実際に農林統計というものが基本統計で、当然基本統計の面において、国の政策というものを立案する上における基本統計というものが必要である。まあ、これは当然なんでありますが、それに重点が置かれたのでは、末端の市町村に対して、統計というものが全く行政運営上に利用されたい、まあこういう面が確かにあったと思う。そういう面で、いままでの農林統計というのは、公表されているものは県段階まで、県段階の集計の統計が公表されているだけで、いま言われた経済圏といいますか、経済地域ごとに地域統計ということで、これもまた公表されておりますけれども、実際にこれが行政に役立ったかどうかということについては多くの批判があるわけです。そこで、問題は、ひとつ農業構造改善事業というものについて計画を立てる。その計画を立てるのは、県と市町村との連絡に基づいて、末端の計画は市町村が立てる。その場合に市町村は、農林統計は県のものはあるけれども、実際にこれを農業構造改善事業の計画を立てるときには、農林省の統計調査部の統計では使いものにならぬ、これはもう事実なんです。したがって、いま統計調査部長が言われる、農民に使える統計になっておらなかったということは、そういう反省の上において、今後農民の使える統計にしよう、この発想は当然しかるべきでありますが、今日までそのことは実施されておらないわけですね。したがって、農林統計というものは、実際に農民から遊離し、地方行政の末端行政をあずかってる市町村の政策立案に何ら寄与することがなかった。これはもう大きな批判として出ているわけです。ばく大な人員とばく大な経費をかけて、各省の統計とは違った、いわゆる農民のための統計ということでできているはずの統計が、実際に農民に使われなかった。この批判は私は当然出てくる。統計事務所を県段階に持ち、出張所を持ってやっている統計というのは各省にないわけですから、それだけの組織を持ち、機構を持ってやっているものが、実際に行政、政策、末端の行政担当者の政策立案に何ら役に立たない。これはもう重大な問題です。  その反省がいま出て、これからそうしたいということでありますけれども、私は、いままでそういうことで、農業基本法制定以来、農業構造改善事業が行なわれ、さらにもう第二期的な農業構造改善事業に入ろうとしている段階において、いままでのこの農林統計がこのように放置されたということは、怠慢のそしりを免れない、このように思うのです。したがって、大臣にこの点について方針を承ると同時に、聞くところによりますというと、来年度の予算折衝にあたって、市町村段階までの統計というものを公表する、公表するかしないか、非常に問題のあるところでありますが、公表するというところまで行き得るのかどうか、予算折衝をされておるやに聞いているわけでありますが、そこまで決意を持ってやられる意思があるのか、どうなのか。これは大臣にひとつ承っておきたい。

岩本道夫農林省農林経済局統計調査部長

○説明員(岩本道夫君) 大臣から御決意をお話し申し上げます前に、事務的な点について私から御説明申し上げたいと思います。  ただいま北村先生から御指摘ございました地域統計の問題でございますが、昭和三十七年に私どもが策定しました地域統計が全然役に立たなかったのではないかという御批判は、おことばでございますけれども、ちょっと言い過ぎではなかろうかと私は思います。過般国会で御審議いただきました農業白書におきましても、この地域統計の数値が使われております。たとえば経済地帯別に、都市近郊と平たん村と農山村と、山村がどう違うかといったような、この地域区分の数値を踏まえてあの農業白書ができ上がっておるわけでございます。農家経済調査によりまして、農家経済の動きが全国的につかまえられておりますが、それをいま申し上げましたような経済地帯別にばらしまして、都市近郊と山村ではこのように違うという農家経済の分析を、この農業地域区分に基づいてやって、それを国会で農業白書として御審議いただいておるわけでございまして、全然役に立たないとは絶対に考えません。しかしながら、先生が御指摘ございました市町村別のきめのこまかい統計が抜かっておるではないかということは認めます。最近のように、農業構造改善事業にしましても、林業構造改善事業にしましても、さらに市町村単位でいろいろな計画が立てられる段階におきまして、市町村別の統計が十分でないということは、十分反省すべき点でございまして、それをやりますために、今後統計整備の方針もいま検討しつつ努力をしていくつもりでございます。  ただ現在農林統計をつくりますためにとっております方法論が少数標本理論で、標本を設定しまして、それから数値を推計するという手段をとっておりますために、なかなか市町村別まで出しますと、この標本の数が多くなったり、労力がふえたり、予算がふえたりで、むずかしい面がございます。そこで今後調査の方法を十分研究いたしまして、少数標本理論にとらわれないで、たとえば表式調査とか、あるいは調査員調査とか、あるいは郵便によるメール調査とか、いろいろの調査方法を組み合わせることによりまして、少ない労力で効率をあげて、こまかい地域統計を出すというふうに努力したいと思います。いま部内でその方法を検討中でございます。  予算の点につきましては、まだ大蔵省に出す段階に至っておりませんので、農林省内部で検討中でございますが、そういう決意を持ちましてわれわれやっていきたいと。したがって、できた統計をどのように公表するかという点につきまして、農林省で、この厚い統計書に市町村まで載っけますと、たいへん厚いものになりますから、これは地方農林局長の御指導のもとに各地域、各県でこの市町村別統計を出すというふうに今後運営をしたいと考えて、寄り寄り研究中でございます。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) いま申し上げたように、統合させる趣旨というものは、申し上げたような従来からの運用面には欠陥なしとは言い切れない、こういうような点がございまして、そういうような欠陥を是正して、地域農林行政の推進にさらに一そう当たっていくと、こういうような考え方、したがって、必要な地域における統計を大幅に整備をしていきたい。また、あわせて農林統計の利用の増進をはかっていきたい、こういう考え方でございますので、北村さんのほうのお尋ねの、客観的な統計調査はもちろんそのとおりであり、地域農業の推進にも役立ってもらっていきたい。さらに、お尋ねの点につきましての予算につきましては、十分にこれからは努力をするつもりでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 地域統計が全然役に立たないというのは行き過ぎ——言い過ぎかもしれませんけれども、いままでの統計の公表が県段階、地域別の公表で、市町村別のものは公表されておらない。これはもう明らかなんでありまして、地域別、県別の統計を公表されたものを手にして、市町村の末端の行政担当者が政策立案をする際に、それでは県別の平均の数値を持ってきても、その市町村には使えなかったという点については、これはもう明らかなんです。この点は、私は県別にやるのを悪いと言ってないし、地域統計そのものを悪いと言っていない。ただ、市町村別の統計というものが出ていないために、実際に農民には、あるいは市町村の自治体には使われておらない、使えない、このことも事実なんです。だから私は言っておるのです。ところが、従来の統計というものは、統計の技術的にいって、いま言われるように少数サンプルの調査によって推計をしていく、こういうやり方では精度において問題がある。しかしながら、統計の中立性というものについて山崎さんが、各省の統計は市町村に、自治体に依頼をして集計して、それでりっぱに統計成り立っているじゃないか、農林省の統計を置かなくても、自治体でも統計できるじゃないか——これはまあ事実各省でそういうことをやっているわけです。ただ農林省は、一省だけでばく大な経費、人員を置いて統計をやっているわけですから、そこにやはり各省の統計、地方自治体にいってもいいとかという——明らかに農林統計が農林統計としてやっていかなければならないという理由づけがなければならないと思うのですね。したがって私は、統計の中立性という点からいって、現在の農林省の行なっておる統計というものは、非常に高く評価されてしかるべきだと、山崎さんとは若干意見を異にして、私はそう思っております。そういう点ではそう思っておりますが、ただ問題は、農林統計がほんとうにすぐれているという面については、たとえば市町村の申告制による統計という、申告調査によってやった結果がどんな結果が出てきたか。そういう面についていろいろ実績があるわけです。これは近藤康男さんの発表されたものの中に、この農業センサスでもってその町村の申告した豚の頭数を調べたところが、申告の頭数が五百六十五頭であった。ところがその町村が豚のコレラの予防注射の薬剤の必要とする分が、五千頭分が必要だと言う。調査をしたら、これは税金の関係その他があるのでしょうが、五百何頭、薬のほうは五千頭というのですから、いかに市町村の申告制度による統計というものがいいかげんなものであるかということがはっきりしている。災害——まあ災害の場合ばかりでないのですが、いま豚のコレラの問題が出ましたが、ついでに同じ趣旨のことが出ているわけです。その町村が豚の増殖ということで、五ヵ年計画で計画を立てた。五カ年間に何倍かすることになっている計画が、農林省のその年の統計の数字より少ない。五年間たっても、増殖して何倍かにしても、農林省の統計に及ばない、こういう事態が実際出ている。  そういうことであるならば、自治体の立てるこの農業振興計画なんというものは、全く何を基礎に計画を立てているのか、こういう点において、行政をやっていく上において大きなあやまちをおかす。そういう点において、農林統計というものがほんとうに評価されるということは、これは正しいのです。したがって、統計というものは、政策立案の上において正しい統計でなければならない。ということは、これは統計の独立性というものは、農林省の統計は守ってきた、この点は私は高く評価していいものだろうと思うのです。それから災害といえば、これはこの前もお話しがございましたが、被害額はこれはもう多く出てくるのはあたりまえ、市町村、県の段階の調査でいけば被害額は多く出る、これはもう事実ですね。それからまあ生産量の調査にいけば、これはもう低く出てくる、税金の関係その他出てくるものですから、低く出てくる、こういう実態です。したがって統計の独立性という面において、私は農林統計はそういう意味においては非常に高く評価されていい。ところが、その高く評価されていい農林統計が、実際には政府の基本統計が、政府の農業政策の立案に役立つわけでありますが、県段階において県の平均を見る程度、これでは家際に私は農民に喜ばれる統計になっておらぬ。農民は、県段階から自分の村、自分の部落というものに、この解析をして持ってこないというと、それは農林統計事務所にいけば集計しているのですから、そういうものが行けばわかるという、調査してみればわかるというかもしれませんが、なかなか統計事務所と自治体、あるいは農民との間に何か壁があって、簡単に統計事務所に行きにくい。これが実態でしょう。したがって私は、この町村段階における統計を公表するということはきわめて重大な意義を持っている。それが、ところが市町村の統計と農林統計とが公表すると合わなくなってくるので非常な反撃を買う、そういう面をおそれていままで公表していないんですね、これは。その段階は私はもう過ぎたと思うのです。やはり農林省は勇気を持って町村段階における統計まで公表すると、経済地域における地域別の統計というものを出しているということを言っておりますけれども、しかしこれは、これすらも今日経済圏の大きな変動によって、あなた方の立てた基礎というものがぐらつき出して、大きな変更をしなければならない段階にきている。こういうふうに大きく変わっておるのでありますから、しかもそれが行政単位においてやる、地域別につくっている、それも必要でしょう。しかしながら、実際に行政担当者が使う場合には二郡、県にまたがった、他の町村にまたがった統計というものを、自分の町村の解析をして持ってくるということは、市町村の能力ではできないですよ。やはり自分の町村の行政をやる場合には、自分の市町村の行政をやるその統計が必要なんです、実際には。それが他町村、郡段階でダブっておったならば、自分の市町村の生産なり状況というものを、どういうふうになっているかということの把握は実際はできない。こういうことですから、ひとつの町村段階の統計というものについては、ここでまだ大蔵省にも折衝していない段階であると、こう言う。なかなかこれは人員的にも予算的にも私は大きな問題があると思います。思いますけれども、全く農民から遊離したような統計は、幾らつくってもこれは意味がない。それだったならば、市町村程度の統計でけっこうだ、農林省の統計は要らない。そういう意味において私はこの点を指摘しているのです。  ですから、いま大臣からも御答弁がありましたけれども、大臣はおそらくこういうこまかいところまでおわかりになっての答弁かどうかということについて若干疑問を持っているのです。いまばく然と答弁がございましたけれども、この点は統計調査部長も、公表するかしないかについてははっきりしたことを言わない。よく検討してみたいと思う、こういうことです。まだはっきりしていない。公表するかしないかの技術的な問題、あるいはサンプル調査というものの統計の調査の技術的な問題、こういう問題もありましょうけれども、とにかく早急にこれは解決をして、総合農政、総合農政と言っているが、その総合農政に役立つ統計にしなければならない。こういうことに思いますが、ひとつもう一度大臣の決意を伺っておきたい。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) お話しのような、たとえば農林統計と地方の統計、こういうものが遊離をしていたのではその目的を達することができ得ない、こういう考え方に立って地域統計というものを拡充強化していきたい。したがって市町村はじめ各地域農民からの要望の強い市町村別の統計の作成、こういうような点についても、何とか重点的に処置をしていこうではないか、こういうような考え方に立って今回の御提案をして御審議を願っておるのでございます。しかしながら、全部のものが全部いまさっそく来年からやれるかということは、これは困難だと思います。ですから、でき得る範囲内のものからそのように方向づけていくということが当然の役割りだと、このように考えております。ですから来年全部やるとは申し上げられない。でき得る範囲内のものから徐々にそういう基本方針にのっとって行なってまいりたい、こういう考え方でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この前、質疑中に委員長が中断されたので、これに対して委員長のほうで反省されて、追加の質問を認めるのは当然の措置であると思います。これは悪例を残しちゃなりませんから明らかにしておきます。  時間の制約もありますから簡単に個条的にお伺いしたいと思うのですが、人事局長にこの前お伺いしておって、「昭和四十四年度における人事管理運営方針」、この中で、七ページの重要な部分が抜けておった。その中にずいぶん大きな問題があることを二、三指摘しておった途中でこの前中断されたわけであります。これを続けますが、第一にこの中で、「公務員の政治的中立性について疑いを抱かしめるおそれのある文書」とは、具体的にこれはどういうことなんですか。  時間の関係上総括して聞きますから、記録しておいてくださいね。そういう疑いを抱かしめるおそれのあるものまで含むとすれば、これは事実上当局のかってな判断一つで正当な組合の活動を規制する、こういうことになると思うのです。たとえば各党の政策を聞こう、あるいは人事院勧告の完全実施とか、あるいは合理化反対とか、こういうようなポスターが、これは当然職員組合の活動としてやられて差しつかえないと思うのですが、これが疑いがあるという口実で規制される、こういうことになるおそれは十分あるのじゃないか、この点はどうなのか、これが第二点です。  さらにいろいろな点から考えて、非常にこれはどうも憲法違反の文書じゃないかと思うのです。したがって七ページ、なぜ一体これを出さなかったのか、ここのところが、そこに日が当たって論議をされてはぐあいが悪いということでは、はなはだまずい。私はしたがってこういう文書というのは撤回されるべきだ、こういうふうに思います。これが第三点。  さらに第四点ですが、これは農林当局にもお聞きしたいのでありますが、この前、建設省の場合ですね、一つ大きな問題になったことがございます。それは休暇の問題、休暇に対してこれを許可制にしておる。それでその問題は憲法違反の疑いが十分だというような点について私は質問したわけであります。当然これは任意届け出制であってしかるべきじゃないか、こういうことを建設当局に質問しました。これに対して建設当局は、十六日の日付でこれは訂正をしているわけですね。地方建設局処務規程の中で、第三条の一に、「職員に休暇を与え又は職員が任地を離れることを許可すること。」これを地方局長の権限として与えている、これは結局間違いだということでこの条項は削除されました。「休暇を承認」、つまり任意のこれは報告制に変わっております。これは単に私は建設省の職員にだけ適用される問題じゃないと思うのですが、農林省の場合にはこれはどうなっているか、こういうような基本のあなたたちにも規程があるのかどうか。あるとすれば、当然公務員のこれは権利として、旅行の自由というもの、憲法に保障された自由というものは、公務員といえどもこれは認めるべきだというふうにはっきり考えるわけですが、これについてどういうふうに農林当局は対処しようと考えておるのか。この基本的な何か法規がありましたらこれを示してもらいたい。  それからそれと関連して、「年次休暇その他の休暇についても職員が合理的かつ計画的に使用するよう指導する。」というようなこの人事局長の人事管理運営方針というものは、したがって私は非常に危険なものを持っておると思うわけです。休暇というのは本人の都合でとるもので、それまで一々干渉するというような形では、休暇の自由というのはあり得ないのですから、そういうところまでこれは拘束することは越権じゃないかというふうに思うのです。これは人事局長がこれについて基本的な態度としてこれは答弁してほしいのであります。  大体その点について、五つの問題について質問しました。その答弁の結果、一、二つけ加えて、私の質問を終わることにしますから、いい答弁ですね、私の質問にかみ合うような答弁をしてもらいたい。

栗山廉平総理府人事局長

○政府委員(栗山廉平君) 公務員が政治的中立性の保持を要請されていることは、先生御承知のとおりでございます。したがいまして、この公務員が国民から信頼されて、一党一派に偏せず、公正中立に国民のために公の仕事を行なうというためにこの中立性が要請されているわけでございますが、この中立性に疑いを抱かせられるようなことがあるということは、やはり公務員に対する不信感を国民から惹起させるもとになるわけでございますので、そういうおそれの、疑いのある文書等につきましては慎んでもらいたいという趣旨でございます。  それから先ほど休暇のお話しがございましたが、休暇は御承知のように本人にいろいろ休暇をもらうあれがきめてございますが、しかしこれもやはり公務を行なうために本人がおるわけでございまして、公務に障害があっても、何でも本人が言ってきた場合に、休暇が必ず本人の都合だけでもってもらえるものでないことは、これは御承知のとおりだと思います。したがいまして、そのときの公務の都合によりまして、休暇のかみ合わせの問題が出てくるわけでございまして、できるだけそれは本人の御都合に従うようにわれわれは配慮するつもりでございますけれども、しかし、どうしても公務の都合上ぐあいが悪いというときには、別の機会にやっていただくというような場合もあり得るわけでございまして、したがいまして、休暇は単なる届け出ではなくて、やはり承認を必要とする、そういう趣旨でございますから、御承知置きを願いたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 疑いを抱かしめる——具体的に言ったのですね。

栗山廉平総理府人事局長

○政府委員(栗山廉平君) 疑いを抱かしめるというのは、非常に具体的に申し上げますと、いろいろむずかしい問題があろうかと存じますが、要は国民の信頼を失うおそれのあるようなものはやはり困るということでございまして、先ほどおっしゃいましたように、各党の政策を聞くというような、その政策の内容にもよりましょうけれども、これはお聞きになるのはちっともかまいませんですが、役所の中で聞くというようなことは、やはり国民の信頼感の点から見まして、問題があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。

大和田啓気農林大臣官房長

○政府委員(大和田啓気君) 休暇についてのこまかい通達は、ただいま持ち合わせておりませんので、どういう文言になっておりますか、詳細申し上げることはできませんけれども、当然休暇の性格からいって、承認制によって運用されているというふうに考えております。もし通達その他の文言において、それと違背するものがありますれば、他省の通達等も参考の上、十分検討をいたしたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いま両者から答弁がありましたけれども、中立性を維持することの問題と、もう一つは、これは公務員といえども政治活動の自由というのは保障されているわけですよね。この問題がいつでもこれは競合して委員会でも問題になってきたわけです。必要以上に中立性の問題を押してくることによって、公務員が本来持っている当然の権利である政治活動の自由というものは非常にこれで制限され、さらに追い詰められるというような現状の行き過ぎがあるわけです。この点はそういう点からいうと非常に疑わしいのです。そうして、しかもこれは、最初に一昨日指摘しましたように、この運営方針というのは、最近の種々の事態に対して、ことに七〇年の体制に対して、これに即応するような形でいまの指導を強化するというねらいがあることは明らかです。そういう中で行なわれることは、政治活動の自由というものは、非常にこれは制限されてくるので、ここが憲法との関連で非常に問題があるところ、私は、こういうものは非常に憲法違反の疑いがあるから撤回すべきだということを言っている。休暇の問題について、これは当然有給休暇の問題を言っているわけでしょう。そうしてちゃんと二十日間の、年にもうこれは公認されている。それをとるのに一々これは承認を受けなければならぬ、つまり許可を受けなければならぬという形ではまずいということは、これは時間の関係から詳論しませんけれども、この前この委員会でこれは相当追及された。その結果、建設省のほうではちゃんと内規まで改正したのだ、昨日改正したのだ。そうして、はっきり任意報告制、これは届け出制、そうして、それについては当然届け出を出せば承認することになった。そういう通告をちゃんとやっているわけです。ここにある、書類が、私のほう。これは、私がこの問題質問したものですから、それについてそういう報告があったわけです、当然ですよ。これはそうならなければ憲法違反なんです。これは当然居住の自由、そういうようなものについて侵犯してくるものがある。それを、これは建設省の場合は末端で、さらに用紙まであって、許可ですよ、旅行許可願いというような、そういうものがあったので、これははなはだ行き過ぎだということを指摘され、それを了承してこのような改正をしたわけです。  そうするといまのあなたの答弁だと、これは非常に総理府の人事局と、今度の措置というのは食い違ってくるのですか、おかしいことになるので、この点をはっきり認めておかなきゃならぬのですがね。だから、許可しなければならぬ、むろん公務の立場があって、そこは話し合いでやればいいわけでしょう。それを、あくまで許可しなければならないのだ、そうして、もう許可願いを出してやらなきゃならぬのだ、こういうことじゃまずいわけです。これは答弁をする必要があれば答弁をしてもいいのですけれども、当然そういうことでこの前は結論が出て、それでこういうような処置になっているのですから、そういういまの答弁では、これは時代に合いませんから、再検討してもらって、農林省のほうのことについてどうだというので、いままでそれは局長の権限として、当然許可の問題もあるだろうと思いますから、これについてあとで伺います。  以上質問これで終わっておきまして、私はこの法案につきましていろいろ問題があり、そうして、さらに農林統計事務所の統合の問題については、これはわれわれは了承することはできないので、この法案には賛成できないことの意思を表明しておいて、私の質問を終わります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 時間の関係もありますから、ごく簡単にあと質問をいたしますが、いまの市町村の統計の問題については、この部落統計まで積み重ねて市町村統計出ているわけですから、当然部落統計まで私は出てくる問題だと考えております。また、大臣が、まあいろいろあるが、できるものからやっていくと、ことし一年で全部やるということもできないかもしれない、できるものからやっていくということの御答弁のようでございます。基本的には市町村統計まで今後やっていくという御意思であるということに理解をしておきます。  次に統計の非常に大きな変わり方としまして、情報サービスの業務が非常に重要規されてきております。それで生鮮食料品の市場情報サービスのように通信力、集計力というものが大きく開発されまして、情報サービスというものが、いわゆる流通統計というものが非常に重要規されるようになってきておるわけなのでありますが、大体農林省は、生産者に対する情報サービスとしては、これは一応の目的は私は今日の制度で達しておると思います。しかしながら、さらにこれがいわゆる流通業務の関係者、いわゆる業者、市場関係者ですね、あるいは消費者というところまで、この情報サービスというものが有効に使われていくというところまで、やはり消費者行政というものが非情に重要視される今日において、私は農林省のものの考え方が、消費者行政まで考えた情報サービスという、いわゆる流通統計というものに考えていかなければならないというふうに思います。それは現在の状況では、この市場関係者、消費者の面から、現状においては農林統計、流通統計では、実際の商売の、いわば株式の市況というようなものを判断をして毎日毎日の業務に、商売に生かしていくということは、まず使えない流通統計である、こういう批判が関係者から非常に強く出ております。そういう点から言って、一体農林省は、この流通統計に今日非常に目を向けて、熱心に開発していることはわかりますけれども、いま申したような消費者行政まで含めて、この情報サービスについて、今後開発をどういうふうにやっていくか、この点についての方針を承っておきたい。

岩本道夫農林省農林経済局統計調査部長

○説明員(岩本道夫君) 流通情報サービスの事業は、農林省の統計の業務としては比較的新しい仕事でございまして、本格的に始めたのが昭和四十三年の四月でございますから、まだそれほど時間がたっておりませんので、その功罪を論ずるのはちょっとまだ早過ぎると思いますけれども、いろいろ御批判を承った上で、今後これを御指摘のような線で充実さしていくよう努力をしたいと考えております。  いろいろ御批判も承っておりますが、立場によっていろいろ違っておりまして、たとえば一例をあげますと、これは九州のミカンの産地の問題でございますが、産地と利用する人によって評価が大きく分かれておりまして、九州のミカン産地で申しますと、歴史が古くて市場とのつながりが強い産地ほど、農林省の情報に対する評価が低いわけでございます。それで市場との結びつきが浅い新興産地ほど、私どものやっております情報に対する評価が高い。また市場におきましては仲買人について、大商人ほど関心が強くて十分利用しておる。中小商人ほど利用していないという状況でございます。それは置かれた立場なり状況によって違うと思いますけれども、私どもはこの情報の効果というものを十分PRいたしまして、いろいろな方面で使えるように今後努力していきたいと考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 統計の問題についてはもう一点だけお伺いしておきますが、部制をしいている事務所が現在二十九で、四十四年度九つ事務所を追加指定するようでございますが、今後の方針としてどのように考えておられるか。それから本省の統計調査部と地方農政局の統計調査部、それから県の統計調査事務所、出張所との業務の関係、どういう系統でやるのか。それから出張所の今後の統廃合の方針、これをお伺いしておきたい。

岩本道夫農林省農林経済局統計調査部長

○説明員(岩本道夫君) まだ部制のしかれていない事務所がございますが、これは早急に予算その他人事面の配慮を要請をいたしまして、全事務所に部制がしかれるように努力をしてまいりたいと考えております。  それから第二点の本省の統計調査部と地方農林局の統計調査部と、県の統計調査事務所並びにその出張所の業務の配分でございますが、本省におきましては、中央でとります全国統計の企画、設計の業務、それからその取りまとめ、公表の業務を従来どうり行ないます。それから地方農林局の統計調査部におきまして、本省の指示を受けましてその全国段階の統計の方針を末端に流しますとともに、地域的な取りまとめを行なう、かつあわせて管内の各県の統計調査事務所の業務遂行上の指導あるいはマネージメントの指導といったようなことをやってもらうつもりでございます。各県の統計調査事務所は、大体従来の方針を踏襲するわけでございますが、今後出張所のあり方が変わってくるに従いまして、漸次この業務の内容も指導的な面に重点が置かれるように変わっていくようになろうかと思います。これは山崎先生の御質問のときにお答えしたとおりでございます。出張所につきましては、将来機械化の進展に応じて業務の内容は異なると思いますが、従来やっております全国統計を、本省の企画を末端で実行する、統計をとるということのほかに、やはり地域統計の作成という新しい業務がつけ加わってくると思います。これはブロックの統計調査部、県の統計事務所、出張所を通じて同じようなことになろうかと思います。  さらに仕事をおろす系統でございますが、地方から流しますのは各段階を通じて流しますが、出張所から上げます情報は、ものによっても違うと思いますけれども、普通のルートとしましては、本省に上げる情報は同時にブロックにも上げるということで、本省での集計とブロック限りの集計とが同時併行して進んで、段階がふえたことによって統計の迅速性が失われないように努力をしたいと考えております。  それからもう一つ、第三点の出張所の統合でございますが、現在六百二十八出張所がございまして、これを将来四百五十にする計画で努力をしておりますが、具体的にどの出張所と出張所を統合するかというような具体的事情につきましては、現地の状況なり職員の置かれた事情を考慮して慎重に扱ってまいりたいと、かように考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 次に食管制度の運営の問題について、これは詳しくやりたいのですが、省略をいたしまして、食管制度の問題について現在自主流通米制度が取り入れられてまいって、制度そのものについても検討をしなければならない段階にきている。食管制度は大臣は堅持せられる、堅持せられるのはいいんですが、なかなか自主流通米制度一つ取り上げましても、やはり検討しなければならない段階にきているのじゃないかと思います。そういう意味において今後の合理化計画というものについて、これはあるかないかわかりませんが、どのように考えておられるのか。  それから食糧事務所の支所が現在五百十一ですか、出張所が三千十六あるようでございますが、これらの出先機関の統合、特に出張所の統廃合については何か計画があるんではないかと思います。というのは、支所は大体庁舎等も新築しておりますけれども、全くひどい環境に置かれている出張所というものについては、まず新築したりなんかしたりするというものは皆無であるというような点からいって、将来は行く行くこれは整理するつもりではないかというふうに邪推せられるわけです、推測されるわけです。したがって、この出張所等の統廃合の方針、さらに自主流通米制度を取り入れたことによる当面の業務内容について若干の変化がありますが、それが機構にどういう影響をしてくるのか、こういう点について御説明を願いたい。

檜垣徳太郎食糧庁長官

○政府委員(檜垣徳太郎君) 自主流通米制度を本年から発足をするわけでございますが、これは詳しいことはもう御承知のことと思いますから申し上げませんけれども、米の需給をめぐる情勢の変化に対応した措置として、食管制度のワクでとったものでございます。で、今後さらに食糧管理制度をどうしていくかということは、少なくとも私どもは、発足いたしました自主流通米制度の定着の模様を見つつ、実情に即した改善をはかる必要があると思いますけれども、基本的には食糧管理制度の根幹を堅持してまいるという考え方でございます。  自主流通米制度の発足によって業務の内容なり、あるいは機構にどういう影響があるかということでございますが、自主流通米制度が発足いたしますと、これは事の性質上、どうしても従来のような等級別検査のみでなくて、銘柄検査と品種の検査をせざるを得ないようになりますので、その点は新しい仕事となるわけでございます。一方、自主流通をいたしますものについては、政府の買い入れ、保管、売却というような事務は減少するわけでございまして、総じて私は事務の総量には大きな変化はないというふうに見ておるのでございます。ただ、自主流通米は全国一律に流れるというものではございませんから、したがって自主流通米制度の運用の中で、人員の配置等については実情に沿うような配慮を加えていく必要はあろうと思っております。  次に末端の機構の問題でございますが、御指摘のような支所、出張所の数があるわけでございますけれども、昭和三十八年から三年間出張所の整理を進めてまいったのでございますが、その後さらにいろいろな経済事情の変化、通信、交通事情の変化等がございますし、また、農産物の生産についても地域的な変化が起こっておりますので、昭和四十四年から三年間に第二次の出張所の整理統合を進めたいということで、現在各地の実情の調査をいたしておるところでございます。考え方といたしましては、出張所の職員数のきわめて少ない個所、あるいは事業量のきわめて少ないところ、それから一市町村あるいは一農協の区域に二以上の出張所があるところ、それから隣接の出張所との間の距離がきわめて近いところ、そういうものについては統合を進めることのほうが、全体としての機能発揮に適切であろうという考え方でございます。どの程度の整理をするかは調査の結果を見た上で考えたいと思っておりますが、職員の中からも、現在のような経済事情のもとでは整理統合を進めてほしいというような地域もあるわけでございますので、現地の実情に即した整理、統合を進めてまいりたいというふうに思っておるのでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 次に、種畜牧場の整備方針についてお伺いしますが、高知の種畜牧場が廃止になるわけですが、四国には種畜牧場は一カ所もない、こういう結果になるようでございますが、全体的に種畜牧場の整備方針、種畜別の整備の方針というものがいま検討されているか、もうすでに決定したかのようでございますが、これを一体整備を何カ年計画というような形でやっていかれるのか、どうなのか。もし計画的にやられるとすれば、完了せられるのはいつごろを目標にやっていかれるか。それからまたその整備に基づいて人員の配置転換等についてはどのような影響があるのか、この点についてお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

太田康二農林省畜産局長

○政府委員(太田康二君) 種畜牧場の整備につきましては、実は三十七年以降計画的に実施をいたしてきておるのでございまして、その方向といたしましては、各畜種別に専門化、集中化の方向でやってまいっておるのでございます。ただやはり私ども、あくまで畜産局の計画としては、種畜牧場の整備計画があるわけでございますが、それぞれ毎年度予算の折衝の段階で、われわれがたとえば四十五年度から着手したいと思っておりましても、予算の面においてそういったことが不可能になる場合もあり得るわけでありますが、施設の整備につきましては、予算がつきましてから大体三カ年ぐらいで整備をするということに相なっております。現にただいままでに施設の整備について約二十億ぐらいを投じまして、たとえば乳牛で申しますと、福島の種畜牧場を中心に移すとか、鶏で申しますと、岡崎、白河、これを採卵養鶏の中心牧場に移す、ブロイラーにつきましては、兵庫の種畜牧場を中心にやっていくというようなことによりまして、各畜種別にそれぞれはっきりした方向を打ち出して、整備計画を着々計画的に進めている段階でございます。  なお、今回の高知の種畜牧場につきましては、御承知のとおり土地が狭い、したがって、効率的に育種も行ないがたい。他方において牧場の人員を確保する必要がいろいろな面で出てきておりますので、実は四国内でどこか適当な土地があるかどうかということでさがしもいたしたわけでございますが、そういった適当な土地がないということでございますので、現在実施しておりますあかげ和種につきましては、これを熊本の種畜牧場の阿蘇支場に移す、山羊につきましては、長野種畜牧場に移すということを中心に現在話を進めておる段階でございます。  なお、牧場の整備に伴いまして人員確保等につきましては、それぞれの時期、時期におきまして、われわれは必要な人員を確保してまいるということを基本方針としてやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。

栗山廉平総理府人事局長

○政府委員(栗山廉平君) 先ほど岩間委員からちょっと政治活動のお話しがありましたので、発言させていただきたいと思います。  御承知のように国家公務員法の百二条に、「政治的行為の制限」という条文がございまして、選挙権の行使を除くほかは政治的行為をしてはならない。この政治的行為の内容は、人事院規則にいろいろ書いてございます。なお、もちろん公務員は立候補することはできない。これもはっきり書いてあるわけでございますから、政治活動につきましては、いろいろの制限がございますということを申し上げておきます。  なお、休暇の問題につきまして、建設省の場合は、私ちょっと聞いておったところ、記憶によりますと、先生のお話は、この任地を離れるとか、何か隣村のそばを食いに行くのまで許可を要するのかというようなお話だったと存じておりますが、そういう任地を離れる場合の問題、これはいろいろあろうかと思いますが、年次休暇そのもののとり方につきましては、私が先ほど申し上げたとおりのことでございまして、その点は人事院規則の一五−六の休暇というのがございまして、あらかじめ職員の所属する機関の長の承認を経なければならないということをはっきり書いてあるわけでございます。その点はひとつよく御承知置き願いたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(長谷川四郎君) 前回岩間さんの御質問がありましたので、これに対してお答え申し上げます。  各地の統計調査事務所長から発信されました電信の件につきまして調査をいたした結果、別に本省が指示をしたというような事実は全くございませんので、したがって、統計調査事務所長のほうで本法案の成立を熱望をするあまりに、自然発生的にそのような機運が醸成されたものと考えられます。したがって、その意思を訴える手段としては、電報をもって陳情というようなことになったと思うのでございまして、本省といたしましては、さらに取り立てて詮議をする意思はございませんことを申し上げておきます。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 他に質疑もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のある方は討論中にお述べを願います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 私はこの際、ただいま議題となっております農林省設置法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社、四党の共同提案にかかる修正案を提出いたします。修正案はお手元にお配りしてありまするので、朗読は省略させていただきます。  修正の要旨とその理由を簡単に申し上げます。  まず、修正の要旨でありますが、政府原案におきましては、民有林野に関する事務を大幅に地方農政局に移し、その局名を地方農林局に改め、あわせて営林局の機構を改正することとしておりますが、これを取りやめ、現行どおりとするものであります。  その理由を簡単に申し上げることといたしますが、第一に、国有林と民有林とは相互に密接な関係があるのにかかわらず、国有林を所掌する営林局の管轄区域と民有林を所掌することになる地方農林局の管轄区域が一致していないことであります。  第二に、民有林行政については、従来、林野庁が直接府県を指導して実施し、すでに実績をあげている現状にかんがみ、二重行政という見地からこの際は見送ることとし、今後の慎重な検討に待つこととしたのであります。  以上の修正部分を除く原案には賛成いたしまして、私の討論を終わります。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  まず、討論中に述べられました北村君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 多数と認めます。よって本修正案は多数をもって可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案に賛成の方の挙手を願います。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 多数と認めます。よって修正部分を除く原案は可決され、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、さようきめることに御異議ございませんか。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 御異議はないと認め、さよう決します。  午後一時四十分まで休憩します。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時五十二分開会

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 この前ちょっと変なかっこうで途中で切れましたので、この前の最後にお伺いしたところ、よく聞き取れないこともありました。そこでくどくて悪いんですが、もう一ぺんお伺いしますが、いろいろ機動隊と同じ準備をされておりますが、治安出動の際には機動隊と同じことをおやりになるんですかという質問を実はいたしました。そのとき、たしか機動隊と同じことをやることもありますという内容であったように思いますが、そういうことですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 機動隊と同じことをやるために自衛隊が治安出動をするわけではございませんけれども、つまり警察力が不足する事態において初めて自衛隊が出るわけですから、もっと事態が大きくなった場合と、こう普通考えるわけですが、しかし、それでは機動隊以上のことばかりやっているかといいますと、地域的、部分的には機動隊と同じようなことをやる部分、地域もございましょうと、こういうことを申し上げたわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 治安出動で自衛隊が出る場合には、これは銃を持って出るんですか、普通。必ず銃を持って出るということになるんですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 銃を持って出る場合もございますけれども、事態によりまして必ずしも銃を持たない、むしろ銃よりもほかの、何といいますか、制圧する道具のほうがベターであるという場合もあり得るというふうに考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 衆議院で公明党の伊藤委員ですか、の質問に対してあなたお答えになっていらっしゃいますが、たとえば対象とする集団がゲバ棒とか火炎びん程度のものじゃなくて、ライフル銃のようなものをかなり多数備えているような場合、これは質の問題ですね。それからそうでなくて、非常に長い間全国的に長期にわたって騒乱がある場合、これは量の問題といいますか、そういうことだろうと思います。いま言われた武器を直接使用する場合、あるいはそこに至らないで木銃その他で、いま備えているようなものをお使いになる、これはいまの量と質の問題に関連していうと、どういうふうに受け取ればよろしいですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 衆議院でもお答えいたしましたが、自衛隊の治安出動という場合を大きく分けますと、量と質の二つに分けて考えられるんではなかろうかと思います。まあ二つの組み合わせもございますけれども、質と申しますのは、要するに警察力が不足するという事態の分け方でございますので、質の面で申しますと、警察は拳銃以下ガス銃なり警棒等で装備をしておるわけですが、暴徒がライフル銃等を相当数持っているという事態でありますと、これは質的に警察力で対処しがたいというふうな事態に考えられる。かりに全国的な規模、あるいは長期間でなくても、暴徒がそういうふうな質的に強力な武器を持つという場合には、そういう面で質的な面で警察力が不足するということが観念的に考えられるということが一つと、それから量の面で申し上げますと、非常に長期間あるいは非常に地域が広く暴動、騒擾が行なわれるという事態を想像いたしますと、警察の府県ごとの応援も、なかなかそれぞれ府県が忙しくて、他県を応援するどころではないというふうな事態も観念上あり得る。そういう場合には量的に警察力が不足して、自衛隊の治安出動が要請されるというふうにも考えられると、観念上そういうふうに両面から分けてみたわけですけれども、分けてこの前衆議院でお答えしておるわけですけれども、もちろん事態は非常に多種多様でございますので、必ずしもそういうふうにぴたっと分けてあらゆる事態がその二つに分けられるというわけではございませんけれども、観念で分ければそういうふうなことが言えるんではなかろうかと、こういうことに考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 すると、その対象とする集団が、かりにそのような武装をしていない、銃とか、そういったようなものを持っていない、そういう場合でも、たとえばこの「治安出動の際における治安の維持に関する協定」の「任務分担」のハの段階では、いわゆる機動隊と同じようなかっこうをして木銃を持ってやることは、やっぱり中核隊をやるということになりますか。そのときは警察機動隊はほかのところをやって、中核と目されるようなものは、いま言った機動隊と同じかっこう、装備をして自衛隊が引き受けるのだということになるんですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) いま申し上げた量のほうで、非常に地域が広い、あるいは長期間で警察力が期間的にもう奔命に疲れて不足するという事態に自衛隊が出る場合があるわけですけれども、その場合に直ちにいまお話しの協定のハが適用されるかどうか、これはこの事態によりますけれども、直ちに必ずしもそうなるわけではない。つまり、これもまあ想像でございますけれども、かりにライフル銃を持っておれば、わりあいにその正面に自衛隊が出るということが観念上言えるわけですけれども、火炎びん程度あるいは大きな石なり、そういう凶器で対抗しておる。で普通なら警察力で十分対処できるわけですけれども、非常に期間が長い、あるいは地域で非常に多発するという場合にある正面について、警察が応援がとれなくて非常にある正面では不足するという場合に、自衛隊の要請が求められれば機動隊的な、つまり石なり火炎びんに対応するやり方で自衛隊が正面に向かうことも、観念上は否定できないというふうに考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛局長、それちょっとむずかしいところですね。このハを見ますと、ほんとうは第一義的には警察で、自衛隊は補完するものだという精神が流れておりましたね、初めから。ところが、しかし直接鎮圧ということになると、話によると、機動隊のほうは従のほうをやってくれ、主たるほうは自衛隊がやってくれということになっております。ところが、相手によっては機動隊と同じことをやるというと、おかしいことになりませんか、そのものずばり言って。非常にかって知った、なれた機動隊は横へ行ってもらって、ふなれな自衛隊が機動隊と同じかっこうして中核体をやるということは、この協定と少しそぐわないことになりはしませんか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 標準的に申しますと、協定どおりがもちろんいいわけです。警察のほうもわれわれも、ごく標準的に考えると、協定の順序でいくということはもちろんでございます。ただ、事態が多種多様でございますので、また、協定そのものも、あらゆる事態をとらえて、すべての場合にこういくんだということじゃなくて、基準的な、標準的な考え方を示したものにしかすぎませんので、事態を、ある一面を御指摘になって、ハのような場合は、必ずイ、ロを通過していくんだとか、一切機動隊のようなことをしないのかというような御指摘になりますと、そういうお答えでは、必ずしもそうではないということを申し上げざるを得ないわけですけれども、一般的、標準的にどうだということであれば、協定に従って行動するというふうにお答えを当然するんですが、そこで、おかしくないかと言われますけれども、先ほども申し上げましたけれども、非常に多発して、広地域に同時に多発するという場合で、大体警察力で普通やれると思いますけれども、全般に見て警察力が不足する場合に、自衛隊の出動は観念上あり得ると、必ずしもライフル等がなくてもということは言える。その場合には正面は警察が普通やっている。そして、なれておりますから、警察のほうがベターでございましょう。そして、自衛隊はなるべく協定の精神に沿って、また、訓練の精度からも、おのずから警察が第一の正面に立つことがもちろん実際の運用上ベターであろう。これは警察のほうもそう考えますし、われわれもそう考えます。ただ、例外的に、ある部面で警察がたとえば非常に小部隊で、思わざる暴徒が急にたくさんになったという場合に、その警察の小部隊ではどうしてもできない。出てきた自衛隊が引き受けざるを得ないということも観念上はあり得るということを申し上げるわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いろいろおっしゃいますけれども、ちょっとこれはおかしいんです、そういうこと、私はおかしいと思います。あなたは公式には言えないかもしれないけれども、相手によって機動隊と同じことをするんだ、しかも鎮圧のときには、なれてない自衛隊が中核体をやるんだ、これはちょっとやっぱりおかしいと思いますが、それは本質的な問題ではありませんから。それじゃお伺いしたいんですが、このイ、ロ、ハを通じて最初にかぶさっていることは、たとえばイは「おおむね警察力をもって担任し得る場合においては、」ということがありますね。後拠支援ですね。この後拠支援も当然これは治安出動に含まれているわけでしょう。そうじゃありませんか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) そのとおりと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 治安出動ということで、いままでたびたび言われてきたことは、一般の警察を、トータルとしての警察力、あらゆる努力をしても、なおかつどうにもならないときにやむを得ずやるんだ。しかも、これは慎重を期してやるんだ、めったにありません。たびたびそういうことを国会で言われておりますね。ところが、この協定は、おおむね警察力をもって担任し得る場合においても自衛隊は治安出動するんですが、おかしいことありませんか、これ。いままで言われたことと食い違いがあるでしょう。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) もともと自衛隊が出る場合には、警察では対処したがい、出る場合には慎重な態度でという原則にはもちろん間違いはないとわれわれ思っております。そういうことを前提にした上で協定ができているわけで、その2の「任務分担」の前文といいますか、総括的なところにその精神があらわれておりまして、警察力の不足ということを前提にしている、その不足の程度及び事態の状況というものがかぶさっておりまして、もちろん不足がなければ自衛隊が出るわけではございません。その不足の度合いに量や質のいろいろな問題がありますけれども、とにかく警察力で対処しがたいという事態が客観的に認められる場合ですね。その場合のその出方、出たときの事態の状況がいろいろ想像されるわけですが、その場合に直接中核体といいますか、直接の鎮圧すべき対象が、警察力でまだ鎮圧できそうだという場合、しかしそれがもうちょっとすれば、あるいは警察のほうも最後の力を振りしぼってやるわけですが、うまくいかない場合があり得そうだという場合に、支援後拠にその周囲に自衛隊が出ている。それによって警察のほうも勢いづくし、逆に暴徒のほうは警察の上にさらに自衛隊が出たということによって、その暴動がしずまるということもあり得ると、そのほうが直ちに自衛隊と警察とが同時に力を加えるよりも、警察の力で鎮圧を続けて、そのまま事態がおさまるほうがベターである。その前提には、もともと警察力は少し不足しているという事態がかぶさっているということが、当然この協定にはあらわれている、こういうことを考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛局長、これは私は重大なことだと思うのですよ。いまあなたのおっしゃったことは、不足が予測されるときということばが出ましたが、私はことばじりをとらえて一々あれしようとは思いませんが、不足が予測されるようなときでも、そういう状態に治安出動というのはあるのでしょうか。いままでの治安出動に対するいろいろな、総理のちゃんとした御発言も、防衛庁長官の御発言も、よほどこれはぎりぎりの段階でなければ出すのじゃないのだ、そういうことで一貫してこられたでしょう。そうでしょう。それがこの協定では、警察力でおおむねまかなえるときでも治安出動をするのだという内容になっている。この協定は昭和二十九年に結ばれた協定でしょう。これは警察予備隊、保安隊でしたか、いや、これは自衛隊になっておりましたか。警察予備隊と同じ感覚でつくられているのですよ。ということは、この協定は訂正をして、いままで総理なり長官なりが言われたとおりの、現状に合うように、沿うように直していくのが実はしかるべきじゃないかと思います。そうじゃなく、強弁しようとしたら、いまあなたが言ったように、おそれがあるときに出ることによって、抑止力ということだったら、これはたいへんなことになりますよ。だから不足が予測されるということは主観の問題で、しょっちゅう幾らでも考えられることであるから、これを支援後拠の治安出動だというなら、これはしょっちゅう治安出動をするということで、歯どめがないということになりますね。だから私はこの点は、いまあなたはそういう答弁をなされますけれども、これはもう少し明確に、はっきりした答弁をしていただきたいと思うのです。でないとたいへんなことになると思います。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) この協定全般に法律の七十八条、八十一条の精神がかぶさっているということを先ほども申し上げたわけでありまして、それは一般の警察力をもってしてはその事態に対処できないということがかぶさっているということを申し上げたわけです。そうして初めて自衛隊の治安出動があり得る。このことは、先生御指摘のように、われわれも従来からそういうお答えをしておりますし、総理も防衛庁長官もその趣旨でお答えがあったものと理解しております。そのことは少しも私は変更を加えたつもりはございません。ことばがあるいは不足しているかもしれませんが、考え方としてそのことに変更を加えたつもりは毛頭ございません。そこで、そういう前提の中で事態がいろいろ考えられるということだと思いますが、その中で二十九年九月に協定された協定も、そういうことを前提にいたしまして、いろいろな事態がありますけれども、直ちに自衛隊が中核体の制圧に当たる場合もありましょうし、直ちに当たらざる場合もありましょうが、事態によりまして、自衛隊はそういう前提で出ますけれども、出て直ちに中核体に当たるのじゃなくて、警察力がまだ全体としては不足している、正面としては、不足していることは客観的に認められますけれども、ある正面をとらえて見れば、自衛隊が直ちに行かなくても、警察がもう少しやれると、そこを自衛隊が出たということでその正面がしずまるということを期待しているのがイの項であるというふうに考えられると申しましたが、私はそれでよろしいんじゃなかろうかというふうに考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 局長、たいへんこれはあなた苦しい答弁をしているように実は私には見えますよ。そこで、警察庁のほうの立場として、念のためにお伺いしておきますが、こういう場合に、「おおむね警察力をもって担任しうる場合において」、この「直接鎮圧および防護対象の警備に関して、おおむね警察力をもって担任しうる場合」、こういう場合に自衛隊が治安出動して支援後拠に当たると、こういうことを警察としては期待しているんですか。どうなんですか。

川島広守警察庁警備局長

○政府委員(川島広守君) この協定に、いま御所見にもございましたように、「暴動の直接鎮圧および防護対象の警備に関して、おおむね警察力をもって担任しうる」、つまり、それ以外にいわゆる私どものほうのことばで申しますれば後方治安でございますけれども、それについてはいろんな不測の事態が予想されるわけでございますね。そうでございますから、いま防衛局長が答えましたように、例をあげますならば、全体的な意味で警察支援のために威力配置をするとか、あるいは後方において人命の救助あるいは救急活動、いろいろなことがございましょう。そういうようなことについて自衛隊に担任していただくというようなことは、状況によっては当然そういうふうなことが生まれてくるのではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 状況に応じてはということですが、初めから問題になっておりますこの治安出動で、何をやるんだ、結局暴動の直接鎮圧と、それから防護対象といわれているものの警備ですね、これが一番大きな内容だろうと思うんですね。後方の治安維持だとか、交通整理だとか、そういうようなものに自衛隊が治安出動するんだというようなことで、いままで治安出動の話をしてきたことはないんですよね、これは。そうでしょう。そして、このことは自衛隊、防衛庁の内部でも、たとえば制服の人々の考え方は、いろいろ本に出たり新聞に出たりしておりますが、自衛隊が出るときはもういよいよ最後の段階だと、つまり武器を使わなければ鎮圧できないといういよいよ最後の段階だと、したがって軽々しく治安出動というのはすべきじゃないと、こういう考え方と、一方では、これによって代表される警察力の不足を安易にまかなうんだと、警察がおおむねできるときでも、その後方なりとして治安出動があるんだということになると、非常に考え方が実は違いますね。この二つは違うように思いますよ。このイロハのこの文言なりこの考え方は。これはあなたのおっしゃったことからいうと、ほんとうにぎりぎりでなければ——国民に銃を向けることになるんですから、いよいよぎりぎりになるときでなければ絶対に出すことはありません、そんなことはもうほんとうに希有の状態でございますと、増田長官以来のことですね——と言われたことと、だいぶこれは違うじゃありませんか。そう思いませんか。ですから、これはこっちを直すか何かやっぱりしなければ筋が通らないように思いますよ。この点長官どうですか。いかにもこれは、警察力が不足だったらいとも簡単に支援後拠、あと詰めを治安出動——もちろん治安出動の中に入りますよ。よっぽどのことがなければ出ないんだというこれと違いますね。その点いかがです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私どもは、しばしば申しておりますとおり、自衛隊の治安出動というものはきわめて慎重な態度でやっていかなければならぬ、軽はずみに出動はしない、したがいまして、普通の警察がちょっと足らぬから自衛隊をそれじゃすぐ出動させると、そういうような安易な考えは持っておりません。しかし、先ほども言いましたように、いろんな事態があると思いますが、その鎮圧に対して警察を全部動員したらそれはやれるかもしれぬが、そんならあとの治安といいますか、そういう方面はどうなるかという、やっぱり程度の問題ですね。でありますから、よほどの場合でなければ出しません。また、さようなことがないことを私は期待しておりますが、また警察もそういうようなことをめったに私のほうに要請されないと思いますが、しかし、やっぱり考え方としましては、全警察官を動員してもあとの、後方の治安がどうなるかという心配が出てまいると思います。そういうときには、私ども慎重な態度でいきますけれども、全然それを顧みないというわけにはいかぬ。したがいまして、よくわれわれの気持ちを察知してほしいのですが、要はその暴動を鎮圧し、しかも同時に日本の治安が守られるようにするということが前提になっておりますから、さような考えから、私は鎮重な態度で臨む、これだけはひとつ御理解いただきたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 支援後拠という意味ですが、これは一体何をさしているのですか。いま防衛庁長官の言われたことですと、あらゆる警察を集中した、そうすると一方が手薄になる場合がある、一般の治安が。それは警察行動も全部含まれますね、そのすきに犯罪者が悪いことをするかもしれない。あるいは他府県からずっと集中したら、その県は手薄になるかもしれませんね。そういう一般的なことを、それじゃ警察を補完して自衛隊が肩がわりしてそういうことをやるのが支援後拠なのか、そうじゃないでしょう。ここに書かれている支援後拠というのは、直接治安出動で、一番最前線にあって動くというものは機動隊かもしれない。それにたとえば食糧配ったり、あるいは武器ということばは何ですが、いろいろな資材を配ったり、そういうようなことを、直接その騒動に対する対応が支援後拠でしょう。ですからそれは、ちょっと先ほど長官言われたような、非常にうしろが手薄になるというようなこととはちょっとニュアンスが違うと思うのですよ。ですから私はどう考えても、この昭和二十九年にできた協定は、いかにも手軽に、警察予備隊当時と同じ感覚であるというふうにしか考えられない。いとも手軽に警察力の不足のあと詰めに出すというふうにしかどう見ても考えられませんね。そうすると、いまの現実にあなたの言われていることと合わない。つまり昭和四十四年に合わなくなっているということを言いたいわけです。これはやはり合わなくなるならなるで、少し検討してみますとかなんとかということがあって私はしかるべきだと思う。あくまでそれで押し通しなされますか、どうですか。これはそうむきにならぬでいいと思いますよ。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 決して私はこだわりも何もいたしておりません。したがいまして、自衛隊の治安出動というものは、あくまでも慎重な態度でやるということを言っておりますが、先ほど私の申したことは、あるいは誤解があるかもしれませんが、支援後拠的なことを、全警察官を動員すれば、たとえば東京都におる警察官を動員すれば、それは支援後拠的なことはできるかもしれません。しかし東京の治安を少しも顧みぬというわけにはいかぬから、非常に大きな暴動によって、どうしても手薄になっていかぬという、そういうときには、やはり若干の治安のために残っておる巡査もおりましょう。しかし、そういうときにわれわれが支援後拠として、そういう巡査をかり出していくかわりに、われわれが支援後拠的なことをやって、そうして警察が正面につく、こういうことが全然ないとはまあ想像できないのですね。だからそういうような意味合いにおいてこういうものができておるのだと、われわれは推察しているのですよ。しかし、しばしば申し上げますように、治安出動というものはきわめて厳格にかつ慎重な態度によって臨む、これはもう総理はじめ、われわれがずっと主張しておると思うのです。これだけは御信頼願いたいと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そうしますと、これはいつまでたってもそういうことを言われるのであれば、それでは私は心ならずも確認しておきたいと思う。総理なり長官なり、いままで言われている——前の増田長官のときからそうです。万々が一のために備えて準備をしている、よほどのことがないと治安出動ということはありません、そういうことをたびたび言うてこられました。そのことは常識的に考えると、もう警察力ではどうにもならない。相手の質なり量なりではどうにもならない、そうしてもう自衛隊の武器をもってしなければどうにもならない、そういう段階になって初めてこれは出すのだというふうに実は私どもは理解をしておりました、そう言われたことを。しかし、いまあなたのおっしゃったことを逆に言うと、そうじゃございませんよ。主として警察が警察力で、おおむね警察力をもって、暴動の直接鎮圧及び防護対象の警備に関して、おおむね警察力をもって担任し得る場合でも支援後拠として出すことがあるんです。治安出動として出すことがあるんですよ、こういうことがあるんですね。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) われわれが武器を持って自衛隊を治安出動に出すようなときは、これこそたいへんなときですよ。しかし、そういうことがなくても、こういう例もあまりないかと思いますけれども、あまり量的に全国的に暴動が起こっておる、そうなってきますと、どうしても一般の治安というものがやはり乱れがちなんですね。そういうときに、理屈からいえば警察官を全部動員すれば、あとの治安のことは心配せずとも、その暴動に対して全部行けば行けるじゃないかということが観念上あり得ると思うのです。しかし、そういうほかの治安を顧みずして行くわけにもいかぬ。もちろん手薄になってくるでしょう。そういうような非常にせっぱ詰まったときに、われわれは武器を持たなくても、いわゆる後方支援として警察のお助けをするということは、やはりわれわれに課せられた一つの任務であろう、かようなことでありまして、そういうような事態が、いままで過去の例をごらんくださってもわかるでしょう。最近でも新宿事件とか、いろいろなことがありますが、そういうときにはわれわれは出ようと考えたことはない。また、十年前の安保騒動のときにも、われわれは結局そういうものは出さなかったということで、防衛庁は最後の判断を下したんです。いままでの過去の例によっても十分御推察ができるかと思いますが、私たちはあくまでも慎重な態度で臨まなければならない、これは間違いない。

前川旦日本社会党

○前川旦君 私は警察力を全部観念的に、十八万人いれば十八万人全部集中する、そんな現実離れのしたことを言っているんじゃないんです。よろしいですか、そういうこと、各地方の治安なり、それから犯罪に対する捜査なり、いろんなことはある程度やれるというところで、そしてその上に立って最大限動員するということが警察の当然のやり方でしょう。そうしてその段階でもなおどうしてもやれない、そういうときには自衛隊が出るんだ、そういうことだったと思うのです。ということは、やはりどう考えても、常識的に考えれば、もういよいよこれは最後の段階だ、一番ぎりぎりなんだということを考えざるを得ない。それをいま長官が言われたように、観念的には全部集めたら手薄になるということがあるから支援後拠があるのだということとは、私はちょっと違うと思います。ですから、その治安出動の持っている重さと、その協定書にある治安出動の軽さと、実は私はこれを問題にしているんですよ。こういうこともあり得るんだということになると、せっかくあなたがおっしゃり、われわれが理解して、よほどのことがなければ出さないんだと、ずいぶん強い決心だと、こう好意的にとってきたとしても、いとも簡単に支援後拠としてぼっと出ることがあるんだということになると、いままでの治安出動に対するいろんな論議がみんなむなしくなってしまうんじゃないか、そう私は思うんですよ。その辺をただ慎重にやりますというだけではなくて、もう一つこのイロハの、特にイの問題に対する明確なやはりお答えがないと、これは困ると思うんですよ。いかがですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど来防衛局長も言っておりますように、この協定の頭には、当然たいへんな事態じゃなければ出動しないという大きなシャッポがかぶっているわけですよ。その範囲内の行動ですから、それにしても直ちに武器を持っていくよりも、むしろそういう事態でも支援後拠として、警察官が第一線に立って、自衛隊が支援後拠の立場で行ったほうが、やはり御心配のようなことがないだろう。考え方は前川さんと同じ考え方に立って出てきているんですが、もしもそういう誤解を受けるようなことがあったら、頭のシャッポをもっと明確に書いて、そういう誤解を受けぬようにすることはやぶさかではない。これは当然警察庁との協定の上にはそういう大きなシャッポをかぶっておるという前提に立ってこれを読んでもらいたい、こう思うのです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 御了解いただきたいと言われますけれども、イに書いてある、「おおむね警察力をもって担任し得る場合」というのは、そのシャッポである七十八条ですか、これには当たらぬだろうということを言っているのです。あまり繰り返して言わせないでください。警察力をもっておおむね担当できるというふうな段階は、あるいは七十八条の治安出動は、警察力をもっていかんともしがたいというシャッポをかぶっておるとおっしゃっておる。それとは違うじゃないかと言う、くどく言っているのです。ですから七十八条ですか、どうしても警察力ではだめだ、そういう段階で出たときは、おおむね担当できる状態じゃないはずなんです。そうでしょう。だからこれはおかしいじゃないかと言っているのですから、どうなんですか。もう少しやはりすっきりした——事重大ですよ。治安出動というのはたいへん重大なことですから、すっきりしてもらいたいと思う。なお新聞にはこういうことがあります。  これは朝日新聞、四月五日ですか、あなた方はちゃんとそういうことを知っているんでしょう。「自衛隊の治安出動協定変更の必要なし」、打ち合わせしているじゃありませんか。あなた方の内部でおかしいという声が出たんでしょう。打ち合わせしているんでしょう。ですからもう少しその辺すっきりしてください。四月四日の読売新聞には似たような記事が出ています。「自衛隊の治安出動を再検討」、「警察力支援せぬ」、「直接鎮圧の場合除き近く両者調整」、あなたちゃんとやっている。にこにこ笑っていないですっきりしなさいよ。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 警察とは、この問題に限りませんけれども、特にこの問題に限りましても、常時連絡はいたしておりますが、この協定を改正しようかどうか意見を交換して、改正しないとか、するとかいう結論が最近出たということは事実としてございません。一般に連絡をしているというだけでございます。ですからこの協定に関するお互いの、警察と自衛隊との考え方は、特に最近変わっているということはないと御了承いただきたいと思います。  それから繰り返してのお尋ねでございますけれども、七十八条や八十一条の、法律の七十八条の精神がかぶっているということは、先ほど私も申し上げましたし、大臣も繰り返し御答弁のとおりで、その点は御了承いただけるんじゃないかと思いますが、その中でいろんな事態があり得ますので、特にイが働くような事態は、どちらかといいますと、最初に私がお話し申し上げた量的に不足であるという事態がわりあい当てはまりやすいんではなかろうか、観念上そういうことが言えるように思います。つまり非常に地域広く、あるいは長期間暴動が方々で起こっているというふうな事態で、警察がお互いに応援しにくい、両方とも忙しくてというような場合に、自衛隊が出る場合があり得るということを申し上げたわけですが、かりにそういう事態を想像いたしますと、ある県では自衛隊が、ある県の事態において自衛隊が出ざるを得ない場合のことを考えてみますと、つまり局部的に、全体としても警察力が不足しているという、七十八条の精神がかぶって初めて自衛隊が出るわけですが、局部的に限ってみますと、ある正面ではもう自衛隊がハのほうをやらなければいけないという場合もありましょうし、それからある局面ではまだ警察がわりあいやってくれている、したがって、しかしもう一日、二日すれば、やはり隣の県のようになるかもしれないという事態もあり得るわけで、そして全般的には警察がすべて壊滅してから自衛隊が出るというのは必ずしも好ましくないわけで、出ることによって、全体として警察力が不足していることが客観的に明らかであれば、自衛隊が出ることによって事態がおさまるという事態も考え得るということで、イの場合が生きてくる、こういうふうにも言えるんではないかというふうに考えます。一般的に質的なことを考えますと、ハのほうが先に働く場合がわりあい多いんではないかということも言えますけれども、量的なことを考えますと、イが働く場合もあり得る、そういうふうに申し上げていいかと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それは防衛局長おかしいですよ。いまこの場合はそういうふうにおっしゃいますけれども、このイロハは縦のエスカレーションです。読んでおわかりでしょう。あなたのいまおっしゃったのは、並列的にこういう場合もある、こういう場合もある、イロハが横に並んだ説明なさったけれども、これを読んでごらんなさい。これは縦のイロハ、ですからそういう説明ではこれはできない。しかし、こればかり長く時間をとるのは本旨ではありませんけれども、これは問題だと思います。これは政治的に非常に問題があります。あとで聞きます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ちょっと関連。私もあとで詳しく聞こうと思ったのですが、この中で警察力が不足していると、これはだれが認定するのですか。この認定は一体国家公安委員会がやるのか、あるいは自衛隊がやるのか。それでどういう手続でこれを認定するのか、少しもわからない、非常にあいまいなんです。これが一点。  もう一つお聞きしたいのは、この七十九条の待機命令というのがありますね。これは六〇年の六月の安保の状態のとき、つまり閣内で意思不統一が起きたとき、あれは待機命令があったのかどうか。市ヶ谷のあそこに待機していたはずだが、あれはどうなんです。具体的に言ってください。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) お尋ねの第一点につきましては、自衛隊法の八十五条に、長官と国家公安委員会との相互の連絡ということで、七十八条等の出動命令を発する場合には、国家公安委員会とも緊密な連絡を保たなければいけないという趣旨のことが法定されております。つまり警察の管理者である国家公安委員会と防衛庁長官とが、その事態について十分意思の連絡をし合って判断すると、そうして最終的な判断は総理大臣がされると、これが法律のたてまえでございます。  それから後段のお尋ねの六〇年の安保のときにどうだというお尋ねにつきましては、七十九条の治安出動の待機命令が発せられた事実はございません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは七十八条の治安出動と、八十一条の知事の要請による出動、これも治安出動ですね。二通りあります。そこでこの二つ並べてみるとちょっと問題があると思うのです。この八十一条のほうにも、一般の警察力云々というのはかぶさるものだということをこの前言われました。それは了解します。それでは、たとえば地域的に見ると、一地方の、たとえば東京都という一地方の騒乱状態があったとします。そうするとこれは競合しますね。この七十八条を適用するのか、八十一条の要請があった場合、これは一体そういう競合した場合に、一地方の治安、東京都なら東京都の治安について知事から要請があった、同時にまたそれは七十八条も適用されるような大規模なものである——競合した場合にはどちらを優先しますか。七十八条でやるべきですか。八十一条でやりますか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 法律的に申し上げますと、その間に優劣の差はございませんで、並列的に書いてあります。で、そういうふうにいま先生のお示しのような事態がある場合に、必ず八十一条の手続をとらなければいけないとか、あるいは七十八条でなければいけないとかということは、法律上は言えない。どちらでも判断し得るという、法律的にはそういうことが言えると思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 法律的にどちらでもとれるということになると非常に問題がある。七十八条は国会の承認があとで要りますね。八十一条は国会の承認が要りません。そうでしょう。ただ地方自治体に報告すればいいという義務があるだけですね。  これは具体的な例で申し上げますと、たとえば東京都で永田町周辺でたいへんな騒ぎが起こった。東京の治安維持だということで、いま特定の知事のことを想像しなくてもいいのです。一般論として、知事から出動の要請がありました。総理大臣は閣議で、これは国家的な騒乱だと、したがって七十八条を適用してもいいという考えを持っている。そこに八十一条と競合してくるときに、そのうちのどちらをとるかは自由だということになれば、悪く立ち回れば、国会の承認を必要とする七十八条でなくて、八十一条で出しておけば、何の国会の承認という歯どめもなくなるわけです、結果的には。その点はどうなんですか。これは法制局からもちょっと伺いたいと思うのですよ。どちらかでもいいですが。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○政府委員(真田秀夫君) 前回私がお答えしたことにも関連している問題なんですが、つまり前回もお答えしましたように、自衛隊法は治安出動につきまして、命令による治安出動と都道府県知事の要請による治安出動という二つの方式を設けまして、それぞれについてそれぞれの要件と手続を書いておるわけでございまして、つまり、したがいまして、命令による治安出動はどういう場合にできるかということは七十八条できまる。そうして七十八条では、間接侵略その他の緊急事態について云々と書いておるのでございまして、一地方の場合には出動できないのだとは言っておりませんので、一地方の治安の撹乱という事態のもとにおいては、七十八条は発動し得るということになるかと思います。それは同時に、八十一条について、都道府県知事のほうでイニシアチブをとりまして、内閣総理大臣に治安出動の要請をすれば、それはその法の手続を経て、八十一条で定める手続で出動してもよろしいということになっておりますので、ただいま御提示になりました場合、つまり要請があったということを前提にいたしますれば、それは八十一条の手続で相すむ、もちろんそのほかにも要件が書いてございますが、それを満たしている限りにおいては八十一条で手続まで完結し得るのだというふうに考えるわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 あなたのおっしゃっておるのは、八十一条でも七十八条でもどっちでもできるのだということをいまお答えになりましたね、そうでしょう。どっちでもできるのだということだったですね。そうすると、七十八条と八十一条とは重みが違うのですよね。それはあなたわかるでしょう。当然、七十八条は国会の承認、これは二十日以内に国会に出さなければならないわけでしょう。八十一条は出さなくてもいいのですよ。政治責任というのは、判断するのは総理大臣ですよ。その政治責任は重みが違うのですよ。片っ方は知事の要請でできるのだから、それは総理大臣の判断において、国会において責任を追及されない。片っ方は、七十八条であれば国会の承認ということで、あるいは承認されないことになれば、これは当然承認するかしないかということで責任が問われるという質的に違うのですね。それはどちらでもやるということになると、悪用しようと思えば幾らでも悪用できるじゃありませんか。たとえば国会の承認を得る見通しがない、そういう場合でも、知事が要請してくれば、あるいは知事に要請させて八十一条でたったったっとやってしまえばやれるということになるでしょう。ですからその辺の歯どめは何かあるのですか、法律上歯どめがないのですか、そこを実は聞きたいのです。法律上、歯どめがあるならあると具体的におっしゃっていただきたい。法律条文の解釈上歯どめがないならば、私は長官に政治的な歯どめをしてもらいたいと思いますが、これはどうですか。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○政府委員(真田秀夫君) おっしゃるような意味の歯どめにつきましては、政治的な責任、これはもう当然つきまとうものでございます。あと法律的な歯どめとおっしゃる意味は、いまの国会なり議会の関係だろうと思いますが、八十一条の場合は、都道府県知事が、その要請したことについて事後に議会に報告すればよろしいというふうに法律は片づけているのだというふうに解釈せざるを得ないわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 私が聞いていることとすれ違いのお答えをしないでもらいたいのです。たとえば東京都で言うと、一番例が適切ですから東京都のことで申し上げますが、ずっと安保のときのようにたいへんなデモ隊が取り巻く、これは七十八条の立場から見ると、国家的な問題だということで七十八条を適用することも可能である。知事から、これは東京都の治安が維持できないということで要請があれば八十一条の適用も可能である。優劣も可能である。優劣はない、並列だと、こういうことでしょう。法律の解釈としてはそうおっしゃいましたね。となると、それは悪く勘ぐってごらんなさい。たちの悪い——やろうと思えば七十八条を実際骨抜きにしてやらない、八十一条で全部やってしまえば、何ら国会へ提出をする義務がない、ただ地方議会にあとで報告しておけばいい。しかも七十八条であれば、国会が承認しない場合、あるいは否決した場合は直ちに引き揚げなきゃいけませんね。その義務も八十一条の場合はなくなりますね。これは承認を求めるんじゃありませんから、報告をするんですから、もういいと判断したら引っ込めるのであって、まだだめだと思ったらいつまでもこれを置くことできますね。ですから、これは治安出動に対する歯どめが法律上ないのか。八十一条を使ってもいいということになれば並列だ、どっちでも使えるんだということになると、おかしいじゃないかと、法律の解釈として、ないんなら、それなら私は防衛庁長官に、政治判断として政治的な立場で歯どめをしてもらいたいと思いますから、まず法律上の立場であなたに伺っているんですよ。それはどうなんですか。どっちでも選べるんですね、自由に。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○政府委員(真田秀夫君) 法律上の歯どめにつきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。  それから、一地方の地域的な治安撹乱に対してどちらでも使えるじゃないか、勘ぐればこうだというようなことをおっしゃいましたけれども、私たち法律の解釈をする立場といたしましては、まさか総理大臣が、本来七十八条でやるべきであるにかかわらず八十一条を使って、つまり都道府県知事に要請をさせて、それで八十一条を使うことによって国会に対する責任を免れるというようなことをなさるとは思いませんし、そういうことを許している規定ではないと思います。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それは将来のことですから、どんな方が総理大臣になられるかわかりませんよ、これは。いままでの総理であれば、それはなさらないかもしれません。もっとも、六〇年のときには自衛隊を出せ出せと言われた方は閣僚の中にずいぶん残っていらっしゃる、総理大臣をやっていらっしゃる方もそうじゃないかと思うんですがね。その場合に、国会で承認を得られる見通しがない、可能性がない。たとえば野党が強く反対している、あるいは与党の中でも批判がある。とてもとれないという場合に、たとえば知事から要請さして八十一条でやっていけば、国会というものは全部抜けてこれは治安出動をやれるんですよ。法律上はそうなんですよ。これはたいへんなことですね、こうなると。ですから、私は、そういうことは絶対にありません、そういう競合した場合は、それはあくまでも七十八条を優先させます、たとえばこういうようなはっきりした約束が防衛庁長官の口から速記に残るようなかっこうでおっしゃっていただければ、法律上の解釈は別として、やはり一つの歯どめができると思うんですよ、残るんですから。その辺を実は伺いたいと思います。法律上の解釈としてはそれは歯どめがないというんですから、どっちでもいけるということですから、政治的な判断での意見を長官からお伺いしたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私どもは、自衛隊の治安出動に対しましては、内乱あるいは大騒擾的なものを一日も早く鎮圧する、しかも自衛隊はそう簡単には出動しない、きわめて純粋な立場から考えていく。したがいまして、もうすでに過去の例によって明らかなように、防衛庁はこれはもう事務当局、政府を通じて、非常な治安出動に対しては真剣な慎重な態度でいかなくちゃならぬという方針が確立しております。したがいまして、いまの大事な治安出動がかりにあるというような場合に、国会の承認を避けるために、これは地方の要請にするんだとか、そんなけちな考えは全然持たない。この民主政治の世の中ですから、そういうことが、かりに形式上は七十八条でやるべきであるけれども八十一条でやった、これはその場はのがれても、国会の皆さんが承知しないでしょう。そういうような治安出動に対して政治的責任を免れるためというような、そんな考えは全然持たない。あくまでも慎重な態度で、これは自衛隊の存亡にかかわる大事な問題ですよ。また同時にこれは将来にかかわる大事な問題ですから、あくまでもわれわれは慎重な態度で臨む、そういうような政治的に国会がうるさいとか、地方議会が何だなんという、そんなけちな考えは全然持っておりません。

前川旦日本社会党

○前川旦君 たいへん力を入れて言われました。そこまでおっしゃるなれば、もうついでに魂も入れていただきたいと思うんですね。それは競合するような場合ですね。観念的に競合という——観念的に競合ということばが当たるかどうかわかりませんが、競合するということがありますね。そういう場合には、これは、七十八条でやるのだ、そうはっきり言っていただけば、何もかもいまの問題はきっちりいく。ですから、道徳論的なものではなくて、そういう場合には七十八条でやりますよ、そういうふうに言っていただけでこの問題は終わるのです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 前川さんもよくおわかりくださったと思うのですけれども、やはり競合するといいましても事態の様相によって違う場合があるのですね。したがいまして、これは必ずしも七十八条でやりますとは、これはどういう事態で地方庁の要請によってやらなければならぬ場合が出てくるかもしれませんから、東京都なんというのは、いまの現実からいえば、知事が要請するときはたいへんなときであると思うんですよ。しかし、かりにいま静岡県知事からこういう要請があった、これは七十八条でやりますなんという、そこまで私は断言できない。したがいまして、私は先ほど申したように、われわれは治安出動に対してはほんとうに真剣な態度、しかも慎重な態度でやることは、ここにたくさんの事務当局がおりますが、防衛庁はほんとうにそういう考えのもとにやっているんですから、これだけは信頼していただきたい。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ちょっと勘違いしている、長官ちょっと勘違いなさっているのじゃないかと思われますので……。地方のことで、たとえば知事が要請してきた。それまでも七十八条でやれと言っているんじゃないですよ。それがかりに競合した場合には、これは七十八条でやるのが当然ですということを聞きたいのですから、そのポイントを聞きたいのです。これをはずさないでもらいたいと思うんですがね。どうなんですか。いまの静岡とか言われた、そういう地域的なことじゃなくて、そういう競合したときに限って、それは競合すれば、国家的なものと、たまたま地域的な、ローカル的なものであっても、それは当然あたりまえなんですね、普通考えてね。それをきちっとしておかぬと、抜け道があるということになると脱法行為が可能ですからね。やっぱり政治的解釈をきちっとしておいてもらいたいと言っているんですが、そういう点はいかがですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 競合する場合には、七十八条でいくべきだというときにはもちろん七十八条でいきます。

山崎昇日本社会党

○山崎昇君 関連ですけれどもね。私はあまり多く言いませんけれども、七十八条の場合と八十一条の場合で、私はいろんなケースがあると思うんです。そこでお聞きをしたいというのは、いま前川委員が言われているように、東京都なら東京都だけの場合だったら八十一条の場合もあり得る。しかしこれが十県なり十五県なり、知事の要請が一つや二つではない、そういう場合には七十八条の国が判断をして、これはもう全国的に緊急な事態だと判断するのか、それからあくまでも知事の要請に限ってやるんだというふうに判断するのかは、私はなかなか状況の判断がむずかしいと思うのだけれども、思うのだが、この七十八条と八十一条というのは、そういう意味で競合が一つ出てくる。だから前川委員の聞いているのは、そういう意味も含めて競合した場合どうなるんですか、そういう場合を聞いている。どっちでやるんですか、何か最後はもぐもぐと聞き取れないんですよ。だからこの八十一条のケースが多くなる場合には、七十八条というのが先にくるのだというふうに理解をするのか、あくまでも八十一条は八十一条で個別にやっていくのか、その辺のところをもう少し明確にしてください。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いま山崎さんからのお尋ねの東京を中心とし、その他十数県が一時にくるというような、そういうときにはわれわれは七十八条でやるべきだと思うんですよ。だから、さっきも競合する場合において、七十八条でやるべきだと思うときには七十八条でやりますということを申したわけです。いまのような場合には七十八条でいくことが妥当であると、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 警察庁にお伺いしますが、警察法、これは警察庁の長官官房から出された解説書ですが、たとえば警察法の七十一条には緊急布告というのがありますね、緊急布告。この警察の緊急布告の場合ですね。これは内閣総理大臣云々となって、「大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるときは、」ちょっと省略して、「全国又は一部の区域について緊急事態の布告を発することができる。」となっておりますね。「全国又は一部」ということばがわざわざ入っておりますから、これは解釈としては、たとえ騒乱状態になっているときに、一つの県あるいは一つの地方に限ったことであっても、警察力は集中してもだめなときはだめだというか、単なる一地方自治体でだめなときは、こういう緊急布告ということで、総理大臣に指揮権を集中する、こういう趣旨だろうと思いますがね。警察力で治安が維持できるような段階ですね、警察力で維持できる段階で警察力を集中的にやるときは、こういう緊急布告をやることができる、そうして総理大臣に集める。こういう場合でも、警察力でやれる場合でも、しかも一部の区域ということばが入っていますから、これは地方的なことも当然考えられていることだろうと思いますが、その場合でも、そのあとの七十四条では国会の承認が必要だということになっておりますね、事後で。二十日以内ですね。自衛隊と同じですね。二十日以内にそれを国会に付議してその承認を求めなければならない。警察力でできるようなときでも緊急布告というような緊急な事態には、これはやはり総理大臣に集中するようなときには国会の承認を得る、こうなっているわけですね。いわんや自衛隊法はもっと重大な重みのあることだ。その自衛隊法がこの地方の要請のときには国会の承認がしり抜けになっているということは、ずうっと自衛隊の地方の知事による八十一条の要請というものが非常にルーズだと思います。だから警察でさえ二十日以内に国会の承認ということが要件になっているならば、やはり自衛隊法を運営する法律においても、八十一条の法文がそのことを規定していない、しり抜けになっている。法の趣旨として同じことなんですから、やはり緊急事態ということばは、警察法の緊急事態も自衛隊法の緊急事態もこの中では同じと説明しています。やはりこれは八十一条というものはなるべく避けて、競合するような場合のことですよね、ローカルのことじゃないですよ。国会の承認を得るという手続を踏めるような方向を常にとっていくということが私は本筋じゃないかと思うんですよ。ですから、しつこく実は言ってるんです。しかもこれは大事なことですからね。防衛庁長官、あんまりよく声が聞こえませんでしたけれども、精神的なことだけじゃなくて、これはそういうふうに歯止めをいたしますと、ただ単に精神的に絶対そういうことはあり得ませんよということではなくて、こういうふうに歯止めを、運営の方面でこういう歯止めをしますから、その点心配要りませんよと、こういう発言があって、ステーツマンだと思いますね。ポリティシャンじゃ困ると思いますね。私はあなたをステーツマンだと思っています。それを聞いたら次にいきますよ、皆さん騒いでいらっしゃるようですから。それを私は聞きたいんです。それをお答えください。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほどの山崎さんの関連質問に対して私がお答えしたとおりですよ。そういう場合には七十八条でいくべきだ、そうやるべきだということを申しているのであります。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そう初めから言ってくださればいいのです。  それじゃ、一九六〇年、昭和三十五年の安保騒動のときにはいろいろ自衛隊を出すとかありましたが、そのあといろいろな本を読んで見ますと、あのときに自衛隊を出さなくてよかった、内局、制服のほうも出さなくてよかったと、よくがんばったということが書いてあります。長官どうですか、長官そのときに防衛庁長官じゃないが、あのときには出さなくてあれでよかった、あなたもそう思いますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私はその当時の関係者じゃございませんけれども、あのときは確か赤城長官だったと思いますが、赤城長官、それに防衛庁の人が非常に慎重な態度をとったことは私は敬意を表しております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それでは一九七〇年、来年の六月のときですね。防衛庁長官は衆議院の答弁の中で、治安出動をするようなことはない、見通しとして、またあってはならないということをはっきり申されておりますが、この点いかがでしょうか。たとえば警察の考えとして、見通しは、来年、七〇年の段階は防衛庁の治安出動を招くというか、要求するということはあり得ると、十分あり得るというふうに判断しておられますか。そういうことはあり得ない、われわれで十分できる人員を派遣するからやれるというふうに見ておられますか。

川島広守警察庁警備局長

○政府委員(川島広守君) 御所見の後段の考え方でございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それじゃ警察力をもって十分にこれはやっていける、治安出動の段階にはならないだろうという見通しを警察庁としては持っている、そういうふうに伺ってよろしゅうございますか。

川島広守警察庁警備局長

○政府委員(川島広守君) 一九七〇年の情勢というものにつきましては、御案内のとおりに巷間いろいろなことが言われ、かつまた議論がされておりますことは御案内のとおりであります。現在の段階で七〇年の闘争プログラムとかいろいろ言われておりますけれども、いまの段階で的確にどうなるであろうということを判断するのはかなりむずかしゅうございますが、しかし、御所見にありましたように、警察としては考えられるあらゆる事態を想定をして、十分必要な体制の準備をして、治安の万全を期して、こういう考え方で体制の万全を期しておる次第であります。

前川旦日本社会党

○前川旦君 それじゃ警察庁のほうは済みましたから。  それでは、治安出動のことをもっと伺いたいのですが、これは一応置いておきまして、なお他の委員の方が突っ込んで質問されると思いますので次にいきます。  まず陸上十八万人体制から伺います。法案関係で伺いたいのですが、これは法案のことですから、十七万九千となりますね、あとの千人。十八万体制のあとの千人、これはどういうふうになりますか、将来の見通しとして。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) いま考えておりますのは、今回六千人の増員を認めてくだすって十七万九千人になるわけでありますが、あとの千人は、たとえばホークの部隊、あるいはヘリコプターの部隊、そういうものを若干ふやして、そうして十八万体制を完成したい、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 池田・ロバートソン会談で十八万人というのはきまりましたね。これはずいぶん古い、昭和二十八年ですか、ずいぶん違いますが、それ以来十八万人ということが防衛庁としては悲願であったということばをよく使われておりますね。それから十八万人に何とか持っていきたいという悲願であった。となると、この十八万という数字が非常に科学性を持った数字でなければいかぬと思います。当然そうだろうと思います。十八万人が悲願であるということは、たとえば陸上自衛隊十七万ではぐあいが悪い。十八万は当面要らない。十八万が一番妥当だ。こういうことにならないとつじつまが合いませんね、お話の。これは十八万人という数字の科学的根拠はどういうふうにお考えですか。どういうふうに御説明なさいますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 池田・ロバートソン会談のときの十八万というのは、これは私はあまり深くは存じませんが、それほど科学的に考えたものではないのじゃないかと思っております。そこで防衛庁としましては、第一次防をつくりましたときに、御承知のとおり五方面隊十三個師団の編成——これは御承知のとおり日本の地理的状況あるいはいわゆる軍事専門的といいますか、防衛的見地、その他いろいろな要素をかみ合わして、五方面隊、十三個師団というものを考えたのですね。そのころから今度はもう防衛的、事務的、専門的な立場でやったのでございますが、五方面隊のうち十三個師団でありますが、方面隊は御承知のとおり二個師団以上を持つということになっております。そこで二個師団ずつ合わせますと十個師団になりますが、北海道という特別な地域に関しましては二個師団では足らないというので一つの機械化部隊といいますか、七千人の機械化師団がございます。そのほかにいわゆる七千人の師団が一つあるわけですね。そうしてあとの残るのは、名古屋からずっと中国、四国にかけまして、いわゆる中部方面隊、これは現在三個師団があるのですが、いずれも七千人師団、また東北も二個師団でございますが、これまた七千人師団、ほかは二個師団以上でありますが、いずれも一つは九千人師団でありまして、そして東北の二個師団のうちの一つ、第六師団、これは山形の神町にその師団がありますが、これを二千人ふやしてそして九千人師団にしたい。それから中部でございますが、名古屋はそのままでございますが、京阪神も含めてあれだけの近畿地方の大地域におきまして人口も稠密である。それが七千人師団一つで、これを二千人ふやして九千人師団にする。もう一つの十三師団ですが、中国、四国が大きな地域を持っております。しかも、瀬戸内海を中心といたしましてあの辺は開発、発展しつつありますが、それが広島の近くに七千人師団が一つございます。地形的に考えましても、また防衛的に考えましても、あまりにも少な過ぎるというので、これを二千人ふやして九千人師団にする。そこで、いままでの十三個師団のうちでいままで四つだけ九千人の師団がありますが、今度六千人をふやしてもらうと、九千人師団がここで七つできるわけです。それで私たちの十八万体制が先ほどのあとの千人だけふやせば完成する、こういうことであります。それなら十七万人でどうかと言いますと、どうもいまの十七万体制では、これは専門家の言うことですが、日本のいわゆる局地的な侵略、通常兵器による局地的侵略に対して自信が持てない。十九万人ならなおいいじゃないか、それはまさにそのとおりでございますが、私どもとしては国力、国情に応じて漸増するという方針をとっておりますから、それで約十年前の第一次防計画の願いであったこの十八万体制を、もうこの三次防のちょうどまん中の年だ、日本の国力がここまで伸びてきたのだから、この辺で十八万体制にほぼ近い十七万九千にしたい。これが先ほど申したようなわれわれの見解でございます。  大体そういうことでございますが、なおこまかくいろいろな防衛上の見地から、あるいは地域的な見地から考察されておりますから、そういうことは政府委員から詳細にお答えさせたい、かように思います。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 大筋はいま大臣のお答えになったとおりでございますが、やや技術的に補足して申し上げたいと思いますが、五方面隊十三個師団という編成と、それから十八万体制というものはいわば密接不可離のものと考えております。で、その技術的な根拠でございますけれども、一つは作戦運用といいますか、部隊運用といいますか、そういう運用の面からくる要請が一つと、それから昔のことばで言えば兵力量といいましょうか、防衛力の強さ、量的な強さという面からくる要請と、両方からいろいろ検討をしまして、結論的に申し上げますと、わが国の国力、国情に応じた陸上自衛隊の編成としては十八万体制が一番合理的であるというふうに、結論としては考えたわけでございます。  考え方の両面は、いま申し上げました運用の面といわば兵力量の面からでございますが、その面を少しさらに補足して申し上げますと、第一の作戦運用の面、軍隊用語で言いますとそういうことばになりますが、その面から申し上げますと、いま大体大臣がお答えになったわけですけれども、実は御承知のように、この五方面隊十三個師団体制をとる前は、前の制度で全国を十の管区単位に分けまして、管区ごとに一つの作戦区域を考えておった時代がございます。管区単位というのと混成団というので、十ほどの作戦区域を考えておった時代がございますが、その時代にいろいろ作戦運用の面を各方面からいろいろ研究してやってみたわけです。どうも日本の地形、地物等を考え、それからまた御承知のように旧保安隊、予備隊当時は米軍の強い指導も、占領時代でございましたからございました。その後、もちろん独立しまして、自衛隊の性格が明らかになりまして、わが国のいわば陸上防備体制ということで、何も昔のように大陸に外征したりする必要は毛頭ないわけで、わが国の地形、地物を頭に考えて、もっぱら専守防御する陸上自衛を考えればいい、運用上そういうことが当然前提になるわけで、そういう点から再検討したわけでございます。そこで、いま長官からのお答えのように、そういった観点からいろいろ検討してみますと、どうも十管区単位ではあまりうまくない、そこで五つの方面隊に分けまして、その方面隊にはどうも柔軟性から考えまして、一つの戦略隊ではうまくない。いろいろ研究しますと、戦略隊と申しますのは、俗に国際的にいう師団でございます。これは独立して独力で長期に行動して自分みずから補給能力を持つという戦略隊、そういうことで考えますと、一つの方面隊にどうしても二つは最小限度ないと十分に運用ができない、こういう結論が出ました。そうしますと、簡単に言いますと、二掛ける五で十個師団要るということになりました。それから、平均的にそういうことが言えるわけですけれども、一つは重点的な防衛方面として北海道方面がそれでは手薄であるということでさらに一個師団ふやし、さらに北海道という特殊性から見て機動部隊的なものが要るというのが出まして、北海道には四個師団置きたいということと、それからさっき大臣のお話にもありましたように、中部方面隊というのが非常に地域を広く管轄区域を持つようになりましたので、そこには一個師団プラスしなければ全体のバランスがとれないということで考えました。そうしますと、十三個師団になります。しかし、運用面から申し上げますと、それではさらに不足をいたしまして、方面からの機動的な支援ということを当然考えなきゃいけないということで、いわば戦略的な予備部隊ということで全国的に二つ程度の、二個師団程度の予備部隊、予備師団を持ちたい、予備的な部隊を持ちたいということも考えたわけです。そうしますと、実は十五師団になるわけでございます。しかし、最後に申し上げました戦略的な予備部隊は、平時から一個師団単位で置くことは少し無理であろうかというふうなことから、平時に訓練することを考えますと、二個師団の中でそういう予備的なものを捻出すればいいんじゃないかということで、十五をがまんして十三個師団で最小限運用することいできそうだ、しかし、それには現在お願いしている六千がありませんと、それがうまくいかないわけですけれども、したがって、現在の六千をお願いしたいという強い希望を持つわけですけれども、かりに北海道に事がある場合には、他の地域、中部なら中部から支援をするというふうな運用面も考えまして、全体として五方面十三個師団というのが最小限必要な戦略単位であるということが答えとして出てきたということが一面言えるわけでございます。それが最初に申し上げた運用面からの要請でございます。少し長くなりましたけれども、一面、兵力量といいますか、防衛力といいますか、そういう面からも検討したと申し上げましたが、そういう五方面十三個師団という運用面のことを考えますと、同時に全体的な、昔のことばで言えば兵力量的なことからいろいろ検討したわけですが、この算定にあたりましては、この防衛力の算定ですが、防衛力もこれも両面ございまして、侵略を未然に防止するという効果と、それから万一侵略がありました場合には、これを排除し得る能力を持つと、両面からその量を、防衛力を算定する必要がございます。それで一次防当時もそういうことをいろいろ検討いたし、さらに二次防のときも検討いたしましたが、さらに三次防をつくります際にも、確認的な意味でもう一度洗い直したわけです。で、現在いろいろはやっておりますが、オペレーションリサーチとか、いろいろ時代が進むにつれましてその検討の手法も進歩してまいりまして、被害率とか、その他いろいろな計算をします場合に、そういう科学的な方法も実はいろいろ用いまして再検討をいたしましたが、やはり日本の国情あるいは地理的条件から見ますと、十八万体制がその防衛力の面から見まして非常に合理的だという答えが出まして、結局十七万では足らない。さらに六千増して十八万程度は必要である、同時に、さらに一万、二万増して十九万にするとか、二十万にする、軍事力だけから見ますとそれはベターかもしれませんが、全体から見ますと十八万がほぼ相当であるというふうな結論が出たと、こういうのが作業の手順でございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 これは万一の場合どういうような防衛作戦をするのかということと関連がありますので、それをいろいろと伺うと、これはたいへん私も伺いたいという気がありますが、時間の若干制限がありますので他の人に譲りたいと思いますが、衆議院で一番問題になりましたね。充足率が非常に陸上の場合は悪いようですね。定員だけをふやすという問題についていろいろ論議されました。的確な実は答弁が私どもの判断では納得できるような答弁がないように思います。それで、まあ私もちょっとむし返したいのですが、陸上自衛隊の充足率が一番悪いわけですね。海と空に比べて悪いわけですね。その中でも、特に陸上の中でも、陸上全部ですと九一%という数字が出ていますがね。その中でも特に士の、一番手足になる士ですね、そこの充足率はさらに悪いのじゃありませんか。

麻生茂防衛庁人事教育局長

○政府委員(麻生茂君) 充足率のお尋ねでありますので私からお答えいたしますと、五月末におきます陸上自衛隊の全体の充足率は九二・一%でございます。それから士の充足率は九〇・七%ということでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 その士の充足率ですけれども、それもいろいろなその部門によって違いますね。たとえば戦車なんというのはかっこいいから集まるでしょう、これはね。普通科連隊の士の充足率というのはかなり低いのじゃありませんか。これは新聞の記事ですが、たとえば北海道の一つの例が出ておりますね。たとえば第十一師団、北海道の場合、普通科連隊普通科中隊は定員二百十三人に対し充足率は七〇%、非常に低いというような記事が出ております。かりに陸全体で充足率が九〇%をこえていても、いわゆる昔でいう歩兵ですか、一番中核になるところの士の充足率は非常に、さらに低いというように見て間違いないと思いますが、どうですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 御指摘のように、階級ごとにいいますと、士の充足率が低うございまして、普通科連隊でとりますと、陸士の充足率は平均七七%程度でございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そこで問題になりますのは、いまの、何といいますか、自衛隊の戦略というのは有事即応体制というのですか、昔のように戦時編制、あるいは平時編制という区別がない、常に戦時編制という有事即応体制だろうというように思いますね。そうなると、この特に士の階級の充足率が非常に低いということ、これは一体どういうふうに考えたらよろしいのですか。この努力は一体どういうふうにされているか。まあずいぶん努力されているのでしょうけれどもね、補充は依然として低い。この点についてはどういうふうに考えたらよろしいですか。あるいは戦時編制という考え方でなくして平時編制という考え方へ転換をするのだというようなことがちょっと新聞に出ていますね。これは有事に完全充足すればいいんだ、「陸上自衛隊定員確保で新構想」、四月六日の朝日。有事即応体制というかっこうから平時編制的なものにこう改めるのですか、これはどうなんです。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 編制上の考え方から言いますと、有事になりまして、編制を特に変えて、外征部隊だとか、留守師団だとかいうふうなことを変えて有事に当たるというふうな考え方を持ちませんで、普通の第一線の現在の編成のままで有事に当たるという考え方をとっておりますし、これを変えたということはございません。これは編制上の理論といいますか、考え方でございます。ただ、御指摘の点は、現在まあ一割足らずでございますけれども、充足が欠けておりますが、それではこれをとにかく一〇〇%、あるいはそれに近くした上でないと増員できないか、編成上の増員もすべきではないかという考え方に対して、一割前後のものの欠員でありましたら、平時のといいますか、訓練上は特段の大きな支障はないので、有事もしくは有事近くなってその充足の努力をし、その見通しも持って、平時一割前後の欠員をかかえたままでも必要な編制上の増員はしていただきたいというような考え方は持っております。編制上で申し上げますと、有事即応の編制を維持していきたい、こう考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 ですからね、これはだれでも感じる疑問なんですね。これは自衛隊に対する賛成、反対とかということを抜きにして、だれでもが常識的にまずふしぎに思いますね。特にその普通科連隊の士の充足率が低い、そうすると、一たん有事のときに十八万人体制をどうやってとるのですか。十八万人体制になってないわけですね、充足率が低いから。この見通しというか、成算は一体どういう点に置いていらっしゃるのですか。その辺をはっきり聞きたいと思うのは普通一般の人の常識だと思いますが、これはどうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、このわれわれの自衛隊の増員、定員の問題は、いわゆる部隊編成上の定数のことを言っているのでありまして、いわゆる一般公務員の定員とはやや趣を異にしております。そこで部隊編成としましては、一つの部隊をつくるについては、もちろん幹部といいますか、一つの連隊ができれば、連隊長も要る、いわゆる大隊長も要る、中隊長、小隊長以下それぞれの指揮官、幹部が要るわけですね。そういう幹部なんかの養成はなかなか短時日ではいかない。それから同時に装備が要ります。これも短時日にはいかない。比較的、士の面は短時日に養成ができる。しかし、それも程度の問題でして、私どもも充足率が全体が八〇%台のときは、こういう要請するのは無理であろうというので遠慮しておったわけですね。ところが最近おかげでだいぶん自衛隊に対する理解が高まりまして、現段階においては九二%程度のところですね。そこで今後も充足率を向上すべき努力はやっていかなければならぬ。けれども、いまの段階でいろいろな訓練なりやっていくのに、兵のほうは、たとえば百人が一ぱいあればいいけれども、それが九十二人とかあるいは八十八人でも、指揮官、いわゆる幹部がちゃんとしておれば一応訓練はできる。そこで今後できるだけ士の面においても充足率の向上をはかって、そしていきたい。しかし、当面入れるますがなければ、充足率いま一〇%不足であるから伸ばせ伸ばせというだけでは、これはほんとうの部隊の編成、いわゆるわれわれの有事即応の体制になりませんので、そこで編成上の要員としてこれをお願いをする。そこで今後充足率を向上して、そして有事に備える、こういう考え方のものになっておるわけです。

前川旦日本社会党

○前川旦君 今後充足率を高めるように努力するとおっしゃいますが、その努力するということでは、これは回答になりませんね。先ほどいろいろ電子計算機等で勘案してみて、やはり十八万人ということが日本を防衛する上においていまのところ適当な数字だというお話もありました、科学的に判断して。そうすると、いざ有事のときに一万五千、六千人欠員がある、しかも士の層に非常に片寄っている。いざというときに将校と下士官ですかね、昔でいうと曹と幹部だけだ——だけだと言うとちょっと極端ですが、非常に士が少ない。これでは、機械はそろい、鉄砲はそろい——昔と反対です。昔の戦争末期と反対です。鉄砲はそろい、機械はそろっても、一番肝心の士の層がいないというのでは、少ないというのでは、一体これはどういうふうになさるのですか。これはふしぎでしょうがないわけですね、実際問題として。まして若年労働力の需給関係どうなっておりますか。ずっとこれから十年間下がりっぱなしでしょう。適齢期、十八歳から二十四歳ですか、その辺のますます士の適齢期の需給率というのはだんだん下がっていく。つまり人手不足が、ますます若年労働者の不足がふえてくる。まだ十年間ぐらい続くはずですよね。その中で一体有事の際にどうやって士の層を充足なさるお考えなのですか。当然出てくる疑問だと思いますね。その具体的な、たとえばこういうふうにやります、たとえばこうやります、それがないと、六千人増員とおっしゃるけれども、合理性を実は感じられませんね、われわれの立場から言うと。ですから、そこを明確に説明してもらいたいと思うのです。

麻生茂防衛庁人事教育局長

○政府委員(麻生茂君) われわれといたしましては、まず充足にあたりましては、国民が、国防に献身するということが国民から一つの誇りと栄誉をもって迎えられるような環境というものをつくっていく必要がある。そういう意味におきまして、防衛意識の向上に一つにはつとめていきたいと思います。なお、ただやはり自衛官も職業でありますから、職業としての魅力というものを持たせないと、なかなかこれは募集はむずかしいわけであります。したがいまして、われわれの募集を強化していきます施策といたしましては、第一には魅力化対策というものを考えているわけであります。すなわち待遇、あるいは生活環境の改善をはかっていくというのが第一でございます。第二は、やはり退職後の援護というものを確実にしてやる。二年間の期間で退職していくわけでありますから、二年後は不安定であるということではやはり職業としての魅力がありません。したがって、その面でさらに充実していく。第三には組織募集の強化を推進しまして、これによって募集の効果を高めていく。さらに広報といたしましては、近代的な広報媒体によりましてこれを高めていきたい、かように考えているわけであります。なお、緊急の場合の募集に対して成算があるのかということでございますが、われわれの警察予備隊からの経験から考えますと、まず警察予備隊のときの経験というのは一応参考になろうと思います。ちょうど当時朝鮮事変が発生いたしまして、国内におりました米軍四個師団というものが急拠朝鮮に出動したわけです。したがいまして、その間わが国内における治安力というものは非常に低下をしたわけです。いわゆる警察予備隊の緊急募集を行なったわけであります。このときは、わずか三週間程度で三十八万二千人という志願者が出たわけであります。われわれはやはり国の危急な場合におきまして、国民の多くはこの国を救うという気持ちに立って、率先志願するものであるという実は確信をいたしているわけでございます。また、最近の世論調査等を見ましても、若い人の考え方というものの約五〇%が、侵略を受けたらみずから武器を取って抵抗するというような世論調査の傾向も出てきております。したがいまして、われわれが良識ある国民、愛国心の高い国民というものに頼りまして、緊急の場合におきましては完全に充足するようにやっていきたい、かように考えているわけであります。

山崎昇日本社会党

○山崎昇君 関連して。一点、長官にお聞きしたいのですが、今度初めて予備自衛官三千名ふえますね、この法律案によりますと。そこで、私は予備自衛官の増というのは、いま前川委員から質問されているこの自衛隊の隊員の充足率と関係あるのではないかと考えているのです。なぜならば、いまたいへん愛国心に何か頼って、一旦緩急あれば集まってくるようなお話であったけれども、実際に労働力の関係等から私はそう簡単なものじゃない。そこで、あなた方の考えとしては、有事充足という意味の中には予備自衛官というものを今後ふやしていくのではないか。これはあなたのほうで防衛出動を命令すれば三日以内に出頭しなければならぬ。出頭すれば、出頭した日から自衛官になるわけですから、そういう意味で、私は予備自衛官というものを切り離して考えるのはおかしくなりはせぬかというふうに考えているわけです。そういう意味で、隊員の充足の問題と予備自衛官の増というものと関係あるのかないのか。もしあるとすれば、どういうふうにお考えになっているのか、その点だけ聞いておきたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 予備自衛官というのは、御承知のとおり有事のときいろいろと出動をしますと、そのあとのいわゆる留守師団的の役割りをなさなければならぬという場合もあるわけですね。また同時に、傷つかずにしっかり守ってくれれば一番ありがたいのでございますけれども、そういう有事の際に、必ずしも全部が全部無傷でいくというわけにもまいりますまい。そういうときの補充的な役割りを予備自衛官にわれわれは期待をしておるわけであります。そういう意味で予備自衛官というものをもっと検討を続けていきたいと思っておりますが、とにかく予備自衛官はそういう場合の、いまの十八万体制の外ワクとして、十八万体制に不足といいますか、不足というのは傷ついたり何かして、あるいは死傷者も出てきましょう、そういう場合の補充的な役割りと、部隊が出動したあとの、また災害とか、そういうものも起こることもありましょうし、いわゆるそういう留守師団的の役割りも果たしてもらわなければならぬという、そういうような意味から予備自衛官というものは別途の問題として考えている、こういうことでございまして、いまの十八万人体制の足らぬものを予備自衛官から、こちらから回してくるのだということはいま考えずにおって、十八万体制はやはり十八万体制として募集をしっかりやってしかも、先ほど申しましたように、国民の愛国の熱情と、それから防衛力に対する期待、それと相まって、若年労働者の少ないということはよくわかっておりますが、しかし、これは最近の傾向を見ますと、自衛隊に対する理解が高まりまして、これを一そう理解を深めて、そうしてこの充足を全うしていきたい、かように考えております。

山崎昇日本社会党

○山崎昇君 関連ですから長くはやりませんが、一般の自衛隊員の定員と予備自衛官の定員が別であることは私も承知しております。定員外であることは私も承知しております。ただ、この予備自衛官の性格は、私も時間があればお聞きをしたいと思っておりますが、一年間に二十日、あなた方は教育招集をやりますね。そうして一旦緩急の場合は防衛招集をかけて、正当な理由がなければ三日以内に出頭しなければいけないでしょう。出頭して、その日から自衛官になるわけでしょう。ですから、あなたは、どういう任務につかせようが、それは自衛隊のそのときの状況による、ところが、これは毎月千五百円くらい手当を払っていて、そうしてつないでいるわけですね。だから、手っとり早い、少し極端な表現をすれば、あなた方の有事充足という考え方とこれは通ずるものがあるのじゃないか。というのは、だんだん予備自衛官の定員を定員外でふやしておけば、月千五百円でいつ何どきでも引っぱれるわけですから、あなたのほうに。したがって、自衛隊が、何か起きたときに隊員の充足率が悪い。ところが、前に訓練を受けていろいろなことを知っておって、そうして毎年二十日間訓練を受けているわけですから、いつ何どきでもすぐ使えるわけですね、使えるわけでしょう。そういう予備自衛官をふやしていくということは、この有事充足ということをあなた方は考えているから、私どもは定員の増というものとこれは密接不可分に考えておかなければ、法律上は確かに定員外の存在である。しかし、実際上は一体のものとして考えておかなければならないのじゃないかと私は思うから、いま聞いているのです。そうすると、いまの長官のお話では、この予備自衛官というものはだんだんふやしていきたいのだというお考えのようですね。あなたのほうからもらった資料を見ますと、確かに、二十九年に自衛隊になったのですが、そのころは九七%で、三十年では九九・六%、一時八〇%台に下がって、多少、去年からことしは一・五%くらいふえているという状況ですね。この資料によるというと、四十三年は九一・三%ですね、陸の場合は。そんなにあなた方が言うほど、そう自衛隊に若い諸君が集まるというような状態にはなっていない。そういうことも考えると、私は予備自衛官の増というものはきわめて危険な考え方につながっているように私どもは思うのです。これはあとであなたに予備自衛官の性格やら、それから他の国家公務員法、その他の関係、詳細に聞きたいと思いますが、いまは関連ですからそれは省略しておきますが、いずれにしても、これは定員の増と密接不可分ではないかと私は思うのですが、どうですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言いましたように、有事の際にいまの十八万の陸上自衛隊の人が無傷におってくれればあまり予備自衛官は要らないのでございますが、やはりそういう有事の際には死人も出ましょうし、けが人も出ましょうし、そういうときの補いもやはりやっていかなければならない。そこで予備自衛官というものが別途必要である。また同時に、留守を守る師団も要る。ですから、ずっと現地へ支援に行くと、そこにやはりある程度の留守師団的なものも要ると、こういうところから現在予備自衛官というのがいるわけであります。この十八万とは、欠員があればそのほうから回すというのじゃ、こういうふうにはいかない、そんな意味合いで私は予備自衛官というものは必要だ、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 私は非常にふしぎに思います。社会党の立場は十分御承知だと思う。ですからもうそれは私も言いませんがね。万一の場合に備えて自衛力を持つのだということでずっと増強されてこられたわけでしょう。それが与党の、いまの政府のほうの考え方の基礎でしょう。万一の場合に備える。それはそれで押し通すのであれば私はいいと思うのですよ、それはそれなりに。ところがちぐはぐになっていやしませんか。たとえばいまの充足の場合でも、万一の場合に備えるというのであれば、万一のときに十八万充足できる体制が一方になけれたいへんふまじめなことに私はなると思うのです。ふまじめだと思うのですよ。そのときには来てくれるだろう、愛国心に信頼している、来てくれるだろう、ぼくはひとつもそこに科学性があるとは思いませんよ。万一のときに備えるということが発想の基礎であれば、万一来ないときは一体どうするのだ。そのことの体制も考えてお出しになるのであれば、それはそれなりに私は筋が通っていると思うのです、それに対する政治的の評価は別ですけれども。肝心のところになると科学的なことじゃなくて愛国心に期待をする。たいへんこれは私はふまじめだというふうに実は受け取りました。しかし、それ以外に具体的な方法がないかもしれません。それ以外にないからやむを得ずにそういうことを言われたのであろうと思いますけれどもね。しかし、たとえば、いま山崎さんが言われたように、万一の場合には予備自衛官を埋めるのだ、そのために十八万人はふやさないけれども、予備自衛官はこれからふやしていくのだとか、そういうような一つの流れがあれば、それに対する批判は別ですけれども、一応話は聞けるのです。その辺のことが全然手当てがなくて、いざとなったら来てくれるでしょう、私はちょっとこれは無責任な感じが実はするのです。政府の立場に立ってみた場合に、あなた方サイドで考えてみた場合に少しおかしいじゃないですか。そういうふうに思いますがね。ですからその際にどうやって充足するのだということが一方でちゃんと明確にできてないと、六十人増員だといろいろ言われても、これは少しおかしいことになると思うのですよ。その辺のことを伺いたいのです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私は先ほど来言いますように、現在のいわゆる志願者の趨勢からいくと、一ぺんに来年から一〇〇%というわけにはまいりませんけれども、逐年向上しつつありますので、十分その責任は全うできる、かように考えております。ただ精神力というものは、これは大事なものでしてね。やはり日本人はなかなか士気旺盛といいますか、愛国の熱情に燃え上がった若い人もたくさんおります。いざというときには、これはやはり日本の国土をわれわれの手で守らなくっちゃならぬというその気概があることは非常に頼もしいことだと思います。それは科学的根拠がないとおっしゃいますけれども、いままでの充足率の向上を見てごらんなさい、だんだん上がりつつありますね。かつては八〇何%の時代もあったでしょうが、ことしは九一%強になって、これだけ若年労働者が少ないときにかかわらず向上しつつあるということは、私はこれは防衛力、防衛問題に関心が増しつつあるという一つの証左じゃないかと、かように思いますがね。ひとつ信じてください。これは前川さんあたりも一そう協力して、防衛は必要だと言っていただけると——もっともっと必要だと思うのです。日本の国を守るという気概をお互いに持って全うしようじゃありませんか。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官、そんな妙なことを言っちゃいけませんよ。みずからが国を守り、家族を守り、民族を守る、この気概はだれでもあるのですよ、日本人というのはあるのです。その守る方法においていろいろ考えが分かれているのですよ。私たち一度だって無防備なんと言ったことはありませんよ。非武装ということは言っておりますよ。ぼくらのほうが一番愛国者だという自信を持っておりますよ、ほんとうのところは。だけれども、それはそれなりにいろいろな人によって、イデオロギーに従って国を守る、日本を守る方法がいろいろ違うと思う。必ずそういう気概があるから、イコール、ストレートに自衛隊に入るということには必ずしもならぬと思うんですよ。いろんな職場でやるときもあるし、いろんな抵抗闘争をやるときもあるんです。武器を使わない闘争をやることもあると思う。だから、気概があるから充足されるんだというのは少し甘いと思う。さらに自衛隊に、国を守るんだ、こういう宣伝をされて募集をされて、その自覚に立って集まってくる青年がだんだんふえて充足率が高くなっていくというなら理屈通りますよ。しかし、キャッチフレーズ見てごらんなさい、あなたたちが募集している。職業が安定します、貯金ができます、それから歌うたいか何か、歌手なんかをはなやかに連れて——どうもほんとうにそういう気概に燃えて、それをくみ出して、そして集めているというのとはだいぶ縁遠いように思いますね、実際にやっていることは。そう言われてもそれはなかなかそうはいかないというふうに思います。その辺の手だてというものは納得できるように科学性がないと、これは防衛のためには自衛力必要だ、防衛力増強だとおっしゃるけれども、本気で一体その立場に立って本気に取り組んでいるんだろうか。それに対する批判は別ですよ、評価は別ですけれども、あなた方サイドで考えた場合に、おざなりでやっているんじゃないか、本気で考えているんですか。それはそれなりに疑問に思う国民はずいぶんあるんじゃないかと思う。ですから、その辺をもう少し、こうやって充足するんだということがないと、いつまでたってもこの六千人増員というのがきわめて妥当なことであるということにならぬ。私は批判は別にして、賛成であっても、防衛力賛成であっても、うなづけないんです。その辺はどうなんですか。やっぱりいま言われたような精神的な気持ちだけですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 前川さんは相当軍事的なことはよく研究されておりますからよく御存じと思いますけれども、世界のどの国を見ましても、平時における士ですね、いわゆる一般隊員の一〇〇%充足なんということはないですよ。これは源田さんや、その他専門家がよく御存じだと思います。あなたもよく御存じだと思います。したがって、われわれはもっと九二%よりも九三%なり九四%になるように努力はします。それは正しいことだと思いますけれども、大体いまの毎年一%ずつ向上しておる。この姿というものは、私は自信を持って六千人ふやしても十分やっていける。こう考えているんですから、一〇〇%にしなければいけないんだ、そういうものではない。有事の際には一〇〇%まで持っていきますけれども、平時から一〇〇%ということはぼくは必ずしもそうは言えない。だから、私は部隊編成の定員であって、一般公務員の定員とはやや趣を異にしますということを説明していますが、そういう観点に立っていくと、必ずしもおっしゃるように十分でないとは言えない。ことに私たちは、この大事な防衛問題をそんなお茶を濁すとか、そんなふまじめに考えておりませんよ。ほんとうに真剣な態度で島国を守るということは、これは何といいましても一番私は日本として大事なことだ。こういう信念の上に立って防衛問題と趣り組んでおりますから、決してお茶を濁すことででたらめにやっておる、そういうおことばをいただくということはとんでもない話で、私たちの誠意のあるところをくみ取りいただきたい。

山崎昇日本社会党

○山崎昇君 長官の答弁は答弁でわかりましたが、私ども別な観点で一つは心配しています。これはことしの一月に出た文書でありますからどうかわかりませんが、かなり、自衛隊が発足してから二十六年目の昭和五十一年には、定年退職者がかなり出る、こういう一つの報道があるんですね。これによりますと、大体昭和五十一年には三千九百人がやめるが、その後は少し減って、大体年間二千人くらいずつ停年退職するであろう、そのほかに一般的な退職もあるであろう。こう考えますと、先ほどあなたからもらったこの資料を見ても、平均でありますけれども、わずかに一%が一・五%くらいしか充足率というのはふえていない。逆に停年でかなりこれからやめていく。そうなると、いかに長官がどう言おうとも、充足率なんというものはそんななまやさしいものではない。さらに私はきょう資料を持ってきておりませんけれども、人口構造の変化を考えますと、十五歳から五十九歳までのいわゆる生産年齢というものがきわめて減ってきておる。昭和五十年くらいになりますと六人に一人ぐらいは六十歳以上ぐらいの老人になってしまうと、こういうふうに人口問題研究所は言うわけです。そういうことと関連して考えますと、この自衛隊の充足率なんというのは、単なる愛国心だとか、有事だとか、そんなようなことではおさまる問題ではないのではないか。そういうことを私ども野党でありますけれども、私ども資料に基ついて実はお尋ねしておるわけであります。この有事充足というのは、四月六日の朝日に報道されたことなんですけれども、これを見ると、どうやっても自衛隊ではなかなか充足できないものだから、苦しまぎれにこういう有事充足なんということを考えたのではないかという批判が載っておる。それはひとまず別としましても、この隊員の充足ということは私は容易でないのではないか、こう考えておるのですよ。そういう退職率、あるいは停年退職者との関係、それから人口構造のこれからの変化等々を考えてどういうふうにお考えになりますか。もう一度科学的に答弁してください。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 山崎さん御承知と思うけれども、われわれの充足率というのは、やめていく人と新しく採用していく人、それを差し引きして定員何ぼになっておると、こういうことでありますから、もちろんやめていく人をちゃんと引いた上での充足率を言っておりますから。詳細なことは政府委員から答弁いたさせます。

麻生茂防衛庁人事教育局長

○政府委員(麻生茂君) 私のほうで主として採りますのは十八歳から二十四歳までの主として男子の青年でございます。参考としましては、千五百五十五人ばかりの婦人自衛官というものを考えております。これは充足率という点からは相当寄与すると考えておりますが、いま男子の二士適齢人口の今後の推移を見ますと、昭和四十二年の適齢人口を一〇〇と見ますると、昭和四十六年まで上昇のカーブをとっております。それから四十六年が一〇六・九、大体のところ一〇七という指数でございます。それから四十七年が一〇二・四、それから四十八年に少し下がりまして九七、それから四十九年が九一というようなぐあいに下降の傾向をたどっております。しかし、五十一年ごろまでは大体横ばいで行くのではないかと、こういうふうに予想しております。  それから停年退職の御質問がございましたが、陸上自衛隊の場合におきまして、先生が御指摘になりましたように、われわれの予想といたしましては、昭和五十一年度におきましては三千名をこえる陸曹の停年退職があると、こう予想をいたしておるわけであります。したがいまして、われわれの募集の努力はいままで以上に格段の努力をしなければならぬというふうに考えておるわけであります。したがいまして、先ほど申しました隊員の処遇の改善、生活環境の改善というような面につきまして、さらに魅力化の対策というものを徹底していきたい、こう申し上げておるのであります。

山崎昇日本社会党

○山崎昇君 これはあれですよ。いまあなたから説明がありましたがね、これは去年の十一月三十日現在のあなたのほうから出た資料で私ども聞いているわけです。いま前川委員から聞かれている陸上の場合の士は九〇%いっていないですよ、八七%なんですよ、充足率というのは。それからいまあなたが私の質問に答えて、確かに停年退職者が三千九百名になる、それを平年度にだんだんと直してくれば二千人ぐらいになると、こう言う。そうすると、幾ら考えてみてもなかなか私はこの士の充足率というのは九〇%前後であって、長官の言うように年々すうっと伸びていくというような情勢にはない。そう私たちは判断せざるを得ない。そこで私は先ほど長官が予備自衛官というものをふやしていくというから、有事充足と関連して私ども危険なものを感ずるというのは、だんだんやめていく者を予備自衛官という制度で定員をふやして、そうして一たん何かあったときには召集令状一本出せば来るのですから、戦前の召集令状と同じなんですから、これは。そして三日以内に出頭しなければならない。出頭すればその日から自衛官になっちゃうのですから、これはどういうように使おうとも予備自衛官というものがふえてくることは、私は有事充足と関連をしてたいへんなことになるんじゃないかという意味でさっきお聞きをした。しかし、いずれにしてもこの自衛官の充足ということは並みたいていのことではいかないですね。どうですか、もう一ぺんあなた少し数字的にきっちりとしてみてください。

麻生茂防衛庁人事教育局長

○政府委員(麻生茂君) 先生が御指摘になりました充足率は、おそらく昨年十一月末の充足率であろうと思います。その後、陸上自衛隊の充足は順調に進みまして、先ほど前川先生にお答えいたしましたように今年の五月末から、四月の末もそうでございましたが、九二・一%になっている、士の隊員は九〇・七%、逐次上昇カーブをとっておるわけでございまして、最初に私が申しましたこの募集に当たりましての三大方針、一つは処遇及び生活環境の改善、退職後の援護措置の強化、あるいは組織募集の推進強化、あるいは近代的広報媒体による広報宣伝の強化というような施策というものが順次国民の中に浸透いたしまして、この充足率というものが三十八年以降着実に上向きの線をたどってきておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、この線をさらに徹底いたしまして、今後の充足の万全を期していきたい、こう考えておるわけであります。  それから予備自衛官の御質問がございましたが、先生もすでに御承知のように、自衛官の外のワクに予備自衛官はなっております。予備自衛官はそれでは今後ふやすのか、こういう御質問でございますが、三次防におきましてはあと六千ふやす、要するに、三次防の場においては三万六千になる、こういう計画に一応なっております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 この問題は論議して尽きない問題です。これはしかし私は初め内々にお約束した時間が近いですから、大急ぎで最後の締めくくりのところだけ質問さしてもらいます。  自主防衛、自主的にやるのだ、こじき根性はもうやめにする、私は長官のこじき根性やめにするということば非常に好きです、いいと思いますね。その精神は非常に私は好きです。方法はこれはいろいろありますね。そこで、いま考えていらっしゃることですね、この自主的に、人にたよらないようにしよう。よく言われているのは安保条約で米軍が応援に来ることを期待する、それまでに一月間は単独で持ちこたえよう、そういうことよく言われていますけれども、やはりそういうふうな考え方なんでしょうか。たとえば日本の自衛隊単独で、かりに直接侵略があったとしても最低一月は自分で持ちこたえようと、そういうようなやはり形につくっていこうと方向として考えていらっしゃいますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) まあいろんな場合がありまして、一月持ちこたえる、まあ様相によっていろいろ変わると思いますが、しかし、私どもとしては通常兵器によるいわゆる局地的の侵略に対しましては、わが自衛隊でもって極力これを排除する、万一侵略があったときにはできるだけこれを長く持ちこたえるという、そこがわれわれの考える自主防衛論でございますけれども、しかし、何といっても今日の国際情勢を見ますというと、原爆を初め非常に高度な兵器が進んでおりますから、一国だけで国を守るということはなかなかむずかしい、したがいまして、私たちは自主防衛、みずからの国はみずからの手で守ろうというその方向には向かいつつありますけれども、やはり安保条約というものは、国際情勢の一般の情勢に即応してこの安保条約というものは堅持する姿勢はくずしてない。ことに日本は憲法上の大きな制約もございます。また国民感情からいってもいろいろな制約がございますので、われわれはそういう憲法上その他の制約の範囲内においてできるだけ自分の国のことは自分の手でやろう、こういう体制で進みたいというのがわれわれの自主防衛の考えでございます。そういうことで安保条約というものはわれわれの手の及ばない面がある、そういうものは安保条約でアメリカに期待するということでありますが、大体いままでも一カ月、燃料とか、あるいは爆弾とかいうものは一カ月ということを目標としてやっておるようでございますが、これはいろんな情勢の変化によりましていろいろ変えていかなければならぬかと思いますけれども、しかし、現段階においてはまず一カ月くらいで、たくさん持つほうがありがたいけれども、やっぱり経済的のことも考えていかなくちゃならぬというので、いまの様相なれば一カ月ぐらいでどうであろうかと、こういうような考え方の上に立っておるわけでございます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 いまの国際情勢では一国だけの防衛は成り立たない、集団的な防衛でなければやれないというふうに言われましたね。ところがこの集団的な防衛の信頼感というものについて非常にこれは論議されておるのは御存じのとおりですね。あのガロワ理論もそこから出てきましたね。そういう点を一体防衛庁はどう考えていらっしゃるのでしょうか。たとえばここに一つの資料がありますがね、新聞記事ですが。これは二月二十二日に発表されたアメリカのギャラップの世論調査ですね、その結果が出ております。もしアジアでベトナム戦争のような騒動が起こった場合には、もう一度米軍を派兵すべきだろうかというのに対して、派兵すべしというのがわずかに二五%、すべきでない六二%、圧倒的に、もう派兵しちゃいかぬというのが圧倒的な世論調査ですね。ハリス調査、これには特に日本ということを名ざしでやりました、ハリス調査が。日本がもし他国から攻撃されたときに、侵略されたときにアメリカが助けるべきかという問いに対して助ける必要なし二一%ですね。それから米軍を派遣してでも助けようというのが二七%。あとわかりませんが三七%。それから一五%は助けるべきだが軍事以外のことで助ける、精神的なもので。一切助ける必要なしが二一%あって、わかりませんと並べたら五割こすのです。精神的な支援を加えたら七割近くなりますね。万が一ということを考えての自衛力の整備というのであれば、万が一ということが、私、さっき防衛庁長官は、あなたは非常に真剣に考えていらっしゃると思いますよ。しかし、客観的に見た場合、万が一に備えての自衛力と言いながら万が一助けてくれなかった場合のこと、万が一、人が集まらなかった場合のこと、その辺がやっぱり同じようなシビアな目で考えていかなければ私は筋が通らないと思うのですよ。助けてくれるのだ、それを当てにして日本の防衛構想というものを組み立てるということは私はやはり納得できない面があるのですね。どうなんですか。米軍がこの安保条約に従って必ずやってきてくれるのだ、信じております、これは再三にわたる国会の答弁ですね。信じています、これだけではやっぱり科学性がないわけなんですよね。万が一来てくれなかった場合にはどうするのだということまでも防衛構想の中には配慮をして考えていらっしゃいますか。たとえば私の聞いたところでは、私、直接調べたのじゃありませんが、米軍は、アメリカは図上演習をやっておるそうです、日本を仮想敵国として。日本を仮想敵国としてやっておる図上満習もあるそうです。いろんなところを仮想敵国にしてやっておるのですが、その中に日本をも敵対した場合のこともしておるというのですね。非常にその点は米軍はシビアだと思いますね。最後のところ甘くないと思いますね。そういうことも考慮に入れての防衛構想をお考えになったことありますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) これは前川さん、どういうようなことを仮想敵国と言っておるか知りませんけれども、これはたいへんな問題だと思います。私どもは御承知のとおり日米安保条約というものがあるわけですね、ちょうど来年が改定期になりますが。おそらくいままでアメリカとの折衝においてはお互いに相互信頼しておる。日本の、ことに大事な国防をともどもに、日本も助けてやろうというのが安保条約です。これは信頼するよりしょうがない。ことに佐藤・アイク会談がございましたが、あの両国の責任者が会談したときもしっかりした言明をやっておりますね、日本を助けるんだということ。私はその気持ちは、一部にはアメリカの中でいろいろなことを言われる。ちょうど日本にもアメリカのことをとやかく言われる人が一部にはありますけれども、しかし、大勢としてはアメリカも日本を信頼しておる。日本もアメリカを信頼しておる。この相互の信頼の上に立っていかないとこの大事な安保条約は意味をなしませんが、あくまでも私たちとしてはアメリカを信頼し、アメリカも日本を信頼をしておる。この上に立って安保条約も来年もこのまま続いていくだろうと、こう私たちも考えております。向こうのアイクさんもいなくなりましたし、ジョンソンさんもいなくなりましたけれども、ニクソンさんは御承知のように一そう日本のことをよく知った方でありまして、佐藤さんとはまだ正式の会談はやっておりませんけれども、この間も愛知外務大臣の訪米の際も、やはり日本を深く理解して、その上に立って沖繩交渉が始まろうとしておるわけですから、私どもは日本もアメリカを信頼し、アメリカも日本を信頼する、この上に立って防衛構想を立っておるわけでございます。これは私は間違いない、かように考えております。

前川旦日本社会党

○前川旦君 防衛庁長官としてはそれしか言えないと思います。しかし、実際問題としては私はもっとシビアなものだと思いますよ。ですから、そういったシビアな面でとらえての発想法なり対応策が、一方で、表に出さなくてもいいけれども、あってしかるべきだと思いますよ、ほんとうのところ。ですけれども、これは顔を横に振られるからやめておきましょう。  最後の一間、私は陸上自衛隊が実際に出動するという段階はどういう段階なんだろうか、いつも私は非常にふしぎに思います。たとえば大演習が、これは二月の段階で新聞に出ております。大演習突如として中止、これを見てみますと、想定を見てみますと、四十三年度統合演習で、図上演習と出動演習に分かれて五千人の自衛隊員を参加させて出動演習をやるという予定を中止したということが出ておりますが、これを見ますと、福井県の若狭湾から上陸をしてくる。それを饗庭野というところですか、ここで陸上自衛隊が迎え討ってせん滅をしてという構想になっておるようですね。これは私はいつもふしぎでしかたがないのは、日本は外へ出ていかない。これははっきりしていますね。守備隊であって海外に派兵しない。昔の日本の軍隊は日本を守るために外へ出ていきました。朝鮮が生命線だ、満州が生命線だ、満蒙が防衛の生命線、やがては次に今度は南洋がそうであり、真珠湾までということになりましたね。専守防御という考え方は戦前にはなかったと思うのです。日本の国土で守るということ。それだけにいろいろ混乱も私はあるのじゃないかと思います。たとえばアメリカの陸軍のハンドブックをちょっと見ますと、日本の海外線は非常に長くて守りにくいということが書いてあります。確かに海外線は一万六千キロですか、非常に長い、もし、ここで防衛作戦をするとしたら、陸上自衛隊が動くような場合を想定した場合に、かりに、やってくる国があるとすれば、それは時間も場所も選択権は向こう側にありますね。非常にそういう点で守りにくい。ですから、一応入られたということを想定しての演習だと思うのですよ。水ぎわでせん滅するということはこれは不可能だと思います。となると、一体これはどうなんでしょうか。一たん上陸をされるような段階になると、その段階で陸上自衛隊が動くわけでしょう。上陸される、あるいは着上陸があるという段階で動くわけですね。その段階では、たとえば制海権と制空権というのは完全に失っているわけです。その段階ではそうでなければ上がってくるとは思いませんね。飛行場は使えなくなっているでしょう。鉄道は寸断されているでしょう。おもな道路も寸断されているでしょう。交通は麻痺しているでしょう。そういうところで、たとえば対地攻撃の飛行機を増強するとおっしゃるけれども、そんな段階で対地攻撃、橋頭堡を爆撃するといったって使うところがあるだろうか。非常に私は疑問に思いますね、使うところがあるのだろうか。それから空挺団がC46という非常にもう古い危険な飛行機で訓練していますがね。そういう飛行機が飛んでいくような余地が、場所が、滑走路があるのだろうか、飛行場が残っているのだろうか、非常に疑問に思うのですね。しかも、そういう場合にこの本土が陸上自衛隊の防衛戦の舞台となるとすれば、住民がいますね、世界で有数な人口密度の高い国です。太平洋ベルト地帯にしかも集中していますね。こういうところの防衛戦争は成り立ち得るだろうか、非常にふしぎなんです。しかも陸上自衛隊の装備——大きな戦事、二百三ミリのカノン砲、榴弾砲、そんな大きな大砲なり何なりをどんどん国土の上で使って、住民に一かりに入ってきたら、人が混在しているのですね、一体どんな戦略が成り立つのだろうか、非常に私はこれはふしぎに思うのですよ。水ぎわでとめる、それ以前のことであれば、なるほど理論的に成り立つかもわかりませんね。しかし、陸上自衛隊の動くとき、一たん入られたとき、一体そこで、ここに大軍を動かして住民の措置はどうするんでしょうか。たとえば昭和二十年のあの本土決戦の前に、帝国陸軍の大本営が一番苦しんだのはそこでしょう。住民をどうするか。国民の措置に困って法がなかったわけでしょう。本土決戦策を立ててみても陸上自衛隊の動く余地があるのだろうか、非常に疑問に実は思うのです。あるいは抑止力だとおっしゃるかもしれませんね。たぶんそうおっしゃるだろうと思うのです。抑止力だ、抑止力というのは使えないものだったら抑止力になりませんね。使えて、使う意思があって相手を傷つける、できるということがあって初めて抑止力になり得るのですから。抑止力になるというのは私はちょっとうなずけません。一体、陸上自衛隊がそういう段階で防衛出動する、あり得るのだろうか、そういう戦略は立ち得るのだろうか、住民対策は一体どうするのだろうか、戦争には勝ったけれども、そのとき残っていたのは自衛隊だけで国民はいなくなっていた——沖繩はどうでしたか、おそらく通常の軍隊よりも住民のほうが倍近く犠牲者が出たわけですね。となると、何が一体安全保障なんだろうか。守るのは国民を守るという立場であればちょっと私筋が通らない、いつもそれをふしぎに思うのですね。その点、私は最後の質問ですがね、明確にひとつ答えていただきたいと思うのですよ。これは国民の声として、野党の一介の一議員の質問じゃないというつもりで答えていただきたいと思うのです。なお、そのお答えによってまた再質問いたしますけれどもね、それはいかがですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) たいへんいい質問をいただきました。私どもは、やはり先ほども言いましたように、日米安全保障体制、これを堅持してまいっておりますが、米軍と共同的に日本の国を守るという前提に立ったときに、全面的にこの日本周辺の制海権や制空権がなくなってしまうというようなことは考えていないのですよ。これは日本も及ばずながらだんだん空のほうも伸びておりますし、海もしっかりしなければならぬということは、そういうことからくるのでございますが、とにかく完全に沖繩がやられたように制空権、制海権が全然なくなってしまうというようなことは考えていない、しかしながら、一時的に、局部的に手薄になって、そういうすきがあるということはやはり考えておかなければならぬ、そういう場合には日本の陸海空の統合した力によってできるだけ早期に敵を排除してしまう、これはやっていかなければならぬ、そういうようなことで、私たちも——先ほどの陸上の十八万体制というのは、いわば戸締まりをしっかりやる、また敵も局部的にどこをねらってくるかもしれません。あるいは空挺隊でおかのまん中に入ってくるかもしれない、そういうときには機動力を発揮して早期にこれをやっつける、排除する、この体制でおらなくちゃなりませんので、そういう制空権や制海権が全然もう取られてしまって、その上でなければおそらく向こうの進攻はない。それなら、うちのほうは陸上自衛隊なんか置かなくていいんじゃないか。そうはいかない、やはり局部的にすきがあったら、それがこわい。だからわれわれは十八万。それは絶対に守ろうと思えば十八万では十分ではないと思います。しかし、いまのような限界の上に立ってやるときには十八万体制で、そしてまあまあ日本の国を陸は守ることができる、こういう考えで言っておるわけです。そういう気持ちでおります。

前川旦日本社会党

○前川旦君 そういう気持ちでおりますとおっしゃいますけれどもね。いま、たとえば人工衛星もいろいろあるし、それからレーダーも発達しているし、通信も発達していますから、奇襲ということが成り立ち得るだろうか、ちょっと疑問だろうと思う。日本に対して着上陸をする場合、おそらくこれは強襲しかあるまいと思いますね。しかも、ほんの一握りのゲリラみたいなものをこっそりと日本へ送り込むなんということはちょっと常識で考えられません。海賊行為なら別ですよ。しかし、局地戦ということで考えていった場合、やはりこれは強襲となると、攻撃側が、それは制海権と制空権を取ろうとするのはあたりまえですね。そして実際に上げてくるときには、もうそれは制空権を向こうが取っている段階でなければ上げてこないはずです。逆に言うたら、上がってこられたときには失っているときだ。簡単にそんなものは失いませんよとおっしゃいましたが、失ってないときは上がってこないときだ。陸上自衛隊が対応しないときです。上がってくるときはもう失っているときだ。それは奇襲じゃない、強襲だと思いますよ。その場合に、この日本という国は縦深性がありませんね。日本という国は奥へ奥へどんどん巻き込んでのみ込むということができませんね。しかも住民が一ぱいいる。上がってくる。住民は一体どうやって避難さすんだろうか。たとえば、かりに新潟なら新潟のところへ来たとします。三十万の市民をどこへ避難させるか、その準備を一体どうするんだろうか。おそらく大混乱だろうと思いますよ。逃げる、こっちから自衛隊が行く、大混雑です。そこで入ってきた侵攻軍と混在する。そこへR30型ロケット砲とか、カノン砲とか、大きな大砲をどんどん撃ち込んで、じりじり追い返して橋頭堡を海に追い落とすなんということは、私は考えてもなかなかできそうもないと思うんですよ。ですから、そういうことを考えてみると、陸上自衛隊を使う場所というのがあるだろうか。陸上自衛隊が出ていかなければいかぬようなときは、これははっきり言うと、戦争を外交手段でやめる、ことばはいいけれども、ポツダム宣言受諾に似たようなかっこうになるかもしれません。そのほうがかえって安全保障になるんじゃないか、国民を守るためには。終戦のときを考えれば、それがすべてじゃありません。いろいろな考え方が出てくると思いますが、なかなかこれは使うところがないように思います。そういうことを考えると、やっぱり一番最初に私は話が戻ってくるんです。じゃ、陸上自衛隊は何のために備えているのか。やっぱり治安じゃないか、これが一番最重点じゃないだろうか、そこに疑問が戻ってくるわけですよ。たとえば、本土を守るとすれば、一番強い一番強力な力を発揮できるのは自分の故郷を守ることです。昔の軍隊なら、私は香川県ですけれども、香川県から出た兵隊はみんな善通寺、丸亀へ行きました。郷土部隊。もしほんとうに強い精神力で死をおそれず本気で守る、そうだったら、やはり香川県出身の自衛官はたとえば善通寺に集合するとか、地域地域で配置すれば、一番ねばり強い戦いができると思いますよ。ところが、いまそうなっていませんね。京都の人が必ずしも京都に行くとなってない。むしろ、これはお宅で調べてもらいましたけれども、一つの県の出身の比率よりも少し低いような段階で、たとえば北海道なら北海道出身の自衛隊員たくさんいます。いま北海道に配置している四個師団ですか、この数から考えてみても、ずいぶん北海道出身おりますけれども、実際には三〇%そこそこが北海道出身が配置されている。大阪一〇%ちょっとこえるくらいですか、東京も何かその辺でしたか、ちょっと数字見当たりませんが。そういうことを考えると、ほんとうに国土を守るんじゃなくて、やはりこれは本質的に初めから治安ということが一番頭にあるんじゃないか。実際に治安出動で、自分がその地域の人間だったら、面と向かって、兄弟がいたり家族がいたり同級生がいたり、恩師がいたりしたら鈍りますね。それを避けるためにさっと出身地と駐とん地を入れかえる、こういうふうに実は勘ぐりたくなるんですよ。でないと、もし、あなたおっしゃっている、ほんとうに国土防衛隊の守備隊を精強なものだというのであれば、地域に密着したような形が自然出てくると思うが、そうなっていない。どうもこれはふしぎですね。しかも、なかなか陸上自衛隊の使い道というのは私は納得できるように考えられない。ですから、私はそういうことを考えると、この六千人増員はやはり七十年対策にどうしても大きな点があるんだなあというふうに考えてしまいますね。自然に考えるんですよ。そうじゃない、陸上自衛隊は、さっき言ったように、戦略的にも住民を守るためにはこういうふうにしてやるんだというはっきりした戦略というものがちゃんと明確になっているなら、まだ私はそれなりに筋はわかるというふうに思いますけれども、どうもいまの長官の御答弁では私は納得できません。ですから、そういうことを私は最後に申し上げます。最後にあなたの、私がいま申し上げたことに対する御答弁をいただけたらと思います。もう私はずいぶん長くなりました。三日間も続きましたけれども、次の方にバトンタッチしたいと思います。最後にその一言をお伺いしたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 非常に熱心に防衛問題を研究されておる前川さんが、せっかくいい頭を変なほうに勘ぐられて少し誤解があると思いますが、もちろん私たちも治安対策の任務は持っています。任務は持っておりますから万一に備えて訓練はさしておりますけれども、先ほど来言いますように、治安出動というものは非常に慎重に対処していかなければならぬ、こういうことで簡単に発動しようとは思っておりません。ことに、各地域に昔と違ってその地区の人を採ってないじゃないかという御質問ですが、これは計数が示しておりますから事務当局から説明させますが、私の知っておる範囲においては、北海道は人口が少ない割合に特殊の立場から四個師団もあるわけでございますが、これは全国方々から人が集まっておると思いますけれども、そのほかの地区は、全部が全部とは申しませんけれども、大体その地区のほうの人がそこに入っておる、こういうことになっておると私は理解をしておりますが、決してそれをもって治安出動のために陸上自衛隊があるんだというわけではありませんで、われわれはあくまで日本の国を守るという見地に立って陸上自衛隊を考えております。ことに奇襲とか、強襲ということをおっしゃいましたけれども、先ほども言いましたように、やはり完全に制海権や制空権は日米安保体制がある限りにおいてはそう簡単にはいかない。これはやはりどこにすきが出てくるかもしれぬ、そのすきに乗じてあるいは奇襲があるかもしれぬ、そういうときに私たちは機動力を発揮して十分な備えをしておかなければならぬ、こういう見地に立って陸上自衛隊をつくっているわけでございますから、決して治安目的が第一目的でやっておるというようなことではない、これだけははっきり申し上げておきます。

前川旦日本社会党

○前川旦君 終わります。

源田実自由民主党

○源田実君 私は、若干、技術的な問題にわたることを御質問申し上げたいと思うのですが、先般、前川委員の質問に対してこういうお答えがあったと思うんですが、それはローリングバジェットシステムに対して、防衛局長であったですか、答弁の中に、日本はまだ技術レベルがアメリカほどいっていないから、やはりローリングシステムを採用する考えはないというような、こういう話であったと思うんですが、そうですね。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 将来の研究課題ということは承知しておりますけれども、差し迫りました四次防の作業ということを頭に置いてみますと、アメリカでやっており、あるいは最近もイギリス等でやり始めたような。ローリングシステムが直ちに採用できるかどうか、まだその準備が十分でございません。それを採用するだけの技術的なあるいは行政的な基盤がまだ十分でないような感じがしますということを御答弁申し上げております。

源田実自由民主党

○源田実君 そこで問題は、御答弁のところがちょうど私は逆になるんじゃないかと思うんです。現在アメリカとか、ソ連のような、非常に人工衛星とか、あるいはエレクトロニクス関係の偵察機、これは両方ともずいぶん使っております。そういうもので相手側の情報というものを相当よく知っておるところでも、なおかつ五年先までしか見積りはつかないというのが大体定説だと思うんですよ。ところが一方でいま新しい器材を、これはものによって違います。たとえば一つの戦闘機を採用するということになると、その戦闘機に対する基本構想をまとめることから、今度それの基本設計をやり、そうして試作をやり実験をして部隊に装備するまでは大体少なくて八年、大きいものは十年かかるというんですね、それはまあ防衛庁のほうがよく御存じだと思うんです。そうすると、見積もりは五年先しかきかないのに実際つくるものは十年先のものをつくらなきゃいけないと、五年間のギャップがあるわけです。このギャップを埋めるための一番いい方法は、いまのところこのローリングシステム以外にはちょっといいものがないというので、毎年毎年エバリュエーションを繰り返していくという方法だと思うんです。そうすると、日本はアメリカやソ連ほど、これほど情報はとてもとっていないことは、まあまず間違いなく確実であろうと思うんですね。私も防衛庁を離れてだいぶたちますから、その後どれほどいったかよくわかりませんけれども、まず確実だと思います。そうすると、これを他の例で言いますと、百メーター先が見える人は五十メーターまで走ることを計画していくんならきわめて楽である。ところが五十メーターしか見えない者が百メーター先までの走る計画を立てるとなると、これは全く困難なことになると思うのです。日本のは十メーターか二十メーターしか見えないのが百メーター先を計画立てなきゃならない、こういうことになろうと思うんですね。いまのアドバンストトレーナーが基本構想から事実上部隊で編成されるまでは、会社だけで七年ですから、合計八年から九年かかる。それだったならば、この日本のような情報取得がおくれておるところこそローリングシステムを採用して、これをしょっちゅう修正していくべきだと考えるんですが、ちょうど逆じゃないですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 御質問よくわかるような感じがいたしますけれども、私の申し上げておりますのは、ローリングシステムというお尋ねがございましたので、頭の中でいわば典型的なローリングシステムを考えまして、それを四次防に当てはめて見ますと、まだ少し自信がないということをこの前お答えしましたし、いま先ほどお答えしましたわけです。先ほど先生から御指摘のようないろんな、分けて採用する、たとえば練習機なら練習機、次期戦闘機なら戦闘機を採用するときにどうするのかという場合には、これは相当不十分ではございましてもできるだけの見通しをつけまして、たとえばファントムを採用するときには、十年あるいは十五年前後の見通しもできるだけ立てました上で防空構想を立てましてやっております。練習機なりその他輸送機等のことを考えましても、開発のことを考えましても、各項目ごとにそういう努力はいたしておりますが、全般的な予算制度として私の聞いておりますのは、ドイツあたりが最近初めて五年なら五年をいつもころがしていくという制度を始めたようでございますけれども、かりに四次防のときからそういうふうなことを考えていけるかということになりますと、どうもまだ準備不十分で、そういう制度を、あるいは五次防あたりになると間に合うかもしれませんけれども、三次防ではそうはいかなかった、四防でもなかなかすぐにはいかないのでありまして、ローリングシステムは私もよくは知りませんけれども、アメリカあたりでも必ずしもすべての予算制度についてやるのではなくて、ある、項目でやっておるとか、大統領が決定するのではなくて、国防省でそういうことをある程度見込みをつけていくとか、イギリスの場合には単年度予算ですけれども、参考資料として五、六年先の情報を出してくる、こういうふうに同じローリングシステムといってもいろいろ内容に差があるようでございます。まだ詳しく検討しておりませんけれども、この不完全なローリングシステムならあるいは検討して早目に手がつくかもしれませんけれども、わりあいに典型的なローリングシステムですと、日本の予算制度なり防衛計画に採用するのには若干時間がかかるかなというのが、現在のところの正直な準備段階の気持でございます。

源田実自由民主党

○源田実君 これはことしや昨年始まったことじゃなくて、七年前まで私は防衛庁におったのですが、そのころからこの問題はあったので、実は研究が、準備が足らないということは、これはもう口実にならないのです。その間に十分にこれやっておかなければならなかったのであります。ところが、こいつは、十分に研究とか何とかよりも、とにかく毎年エバリュエーションをやり直すということは私は当然やっておられると思うのですが、そのエバリュエーシヨンが変われば次の五カ年間の計画は毎年変えていく、こういうことが絶対必要だろうと思うんです。その問題に関連して、そういうことをやった場合には実はあとから問題になることが出る、これを私はあらかじめ予言しておきます。それは一般にはいまアメリカでミリタリー・インダストリアル・コンプレックスというので、産軍複合で非常な攻撃を軍部が受けておるわけです。ところが、一般にはこの問題について非常にアメリカの軍部とそれから業者とが結託して暴利をむさぼっておる、そうしてよけいな金を使ったというように印象づけられておりますが、私はアメリカのいまの軍部なり、あるいは議会なり、それから一般の評論家なり、新聞なりの国防に対する真剣さというものがそういうときにはっきり出ておると思うのです。日本では産軍複合とかに出てくるような一つの飛行機が、たとえばRB70が役に立たなかったから、それを二機つくって一機は墜落した、あとの一機もいかぬから、これをやめて博物館に送り込むというようなことをやって、これだけの金をむだに使った、そういうようなことで攻撃されておるんですね。MOLでもずいぶん金を使って実はやめた、こういうぐあいにむだに使っておるじゃないかというので攻撃されておるんですが、日本なんかはそういうことでむだに使った金というのはほとんどない。採用された兵器、試作した兵器というのは、みな実用に入っているようです。しかし、ここに問題があると思うんです。毎年計画見積もりをやり直していけば必ず欠陥が出る。そしてそれを進めれば、総合的に、金は損する、国の防衛には大きな欠陥を生ずるということが出てくると思うんです。それでアメリカが、その防衛に欠陥が生ずる前に、金の面でこれをセーブする。ニクソンが言ったように、防衛は誤りをおかすことはあり得るんだ、しかし自分としては誤りは大きいほうにおかす分でも小さいほうにはおかしたくないということを空軍士官学校の彼の演説でこの間言っておりますね。そういうことから考えた場合に、試作設計したものがすべて一〇〇%うまくいくということは、これはほんとはなかなか考えられないと思うんですよ。若干はミスがあるんですよ、人間のやることですから。それをしかし、今度は外のほうにはいいか悪いかわからないですよ。飛行機なら飛んでみなきゃわからない、実際は。そうすると、欠陥というものが、いまのローリングシステムというものをやらないと内部に包蔵されたままでずっと持ち越される。こういうものは、それで済めばいいんですが、まさかの場合にはこれは国防上の大きな欠陥となって出てくる、こういうぐあいに考えるんです。したがいまして、このミリタリー・インダストリアル・コンプレックスなんということばも非常な攻撃を受けておりますが、これに対する評価のしかたも別個な考え方もあると思います。私は、こういうことからして、なるだけ早く、これは長官にお願いしたいんですが、これはもう準備は要るには要るでしょう、要るけれども、不完全でもやるほうがやらないよりましである、こういうことは確実に言えると思うんです。したがいまして、四次防計画をやられる場合に、こういうこともひとつ極力やられるように、前向きの態度でひとつ取り組んでいただきたい、これをひとつ希望申し上げておきます。これはちょっと長官にひとつお願いしたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私もかつて、発送電計画というものを、五カ年計画をやったことがございます。これも、ああいう日本の国内における発電所の地点と送電線計画を、毎年これを公開してまいったのであります。したがいまして、お説のようなことはよくわかるんです。したがいまして、いま直ちにというわけにもまいらないかもしれませんけれども、前向きの姿勢でひとつ検討をしてみたい、かように考えております。

源田実自由民主党

○源田実君 この問題はこれで終わります、きわめて簡単にやっておりますが。それから、先ほどやっぱりこれも前川さんの質問の中にあった例の定員の問題ですが、大体この定員というものの考え方が、現在の日本は有事即応という考え方でありますが、少なくとも海上と航空に関しては一〇〇%充実ということを目標にしていいと思う。しかし、全世界のどこの国を見ても、戦争を実際やっておる国は別として、そうでない国で陸上兵力というものを一〇〇%充実しているところはないと思うんです。たとえば例をあげれば、ソ連のごときは百四十個師団のうちで戦闘即応体制にあるのはわずかに半分以下である。そうして全体の約四分の一というものは、非常な増強をしなければこれは戦争には使えない。そうしてそのあとの四分の一がその中間段階にある。これは「ミリター・バランス」に書いてあるのがそうなっております。そうして、これは私より防衛庁でよく御存じと思いますが、ドイツ陸軍なんかも日本よりははるかに充足率は悪い。世界各国平時においては充足率は悪いんです。ところが日本は、編成定員というものと、今度は平時定員といいますか、そういうものとが区別されてなくて、単なる充足率という名前でこれが出ておるところに、六千人も増員するのに一万四千人の欠員があるなんて、これはだれでもふしぎに思うですよ、専門家でない限りは。ところが、いたずらに防衛庁に対して疑惑を持たせるものであって、そこらのところはひとつ、編成定員、昔でいえば戦時定員、それから平時定員、その間のギャップは、国際情勢とかその他を見て、大体このくらいのところに置いておく、その予備兵力は——さっきからこれは社会党の議員の方からずいぶん質問がありましたが、やっぱり愛国心にたよるというのは、これは総合的にいえばそうでないかもしれぬけれども、やっぱり具体的なものはこれとこれによって直ちに充足できるというものにしておくべきだと思う。したがって、いままでの長い間の防衛庁の定員に対する方針というものは、この際やはりほかのものは一〇〇%充足を目標にしていいでしょう。ところが、陸上に関する限りは九〇%なら九〇%でもいいと思うんですよ。予算定員というか、あるいは平時定員というか、そういうところで押えておいて、あとはこれでぴしゃっと充足しますという形にすっきりすれば、いたずらに時間をつぶしてこの問題でがたがたがたがたやらなくて済むと思う。なぜそれができないのかちょっとわからないんですがね。しかし、これをはっきりひとつ私は防衛庁に実は進言したいと思うんですよ。そういうところをもう少しやり直したらどうかと、こういうぐあいに考えますが、いかがでしょう。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) さすが専門家の御意見であります。世界の情勢に対する充足率が完全にいってないのはあたりまえだということ、これは私ども考えることと同様でございます。ただ、そういうことでいたずらに国民に疑惑を起こすんじゃないか、これは前川さんの質問もそういうところから発想したものだと思いますが、したがいまして実情は——実情といいますか、世界の情勢はそういう情勢でありますから、そういうことを勘案しながら、いままであまり充足率充足率ということが言われ過ぎておりましたから、そういうことも将来参考としてひとつ検討してみたい、かように考えております。

源田実自由民主党

○源田実君 それから、やっぱりこの定員の問題ですがね、実はいままでは自衛隊というものは建設段階であった。今日もう盛んに自主防衛力ということが総理大臣以下全部言われるわけですよ。この意味がよくわからないところもあるんですがね。しかしながら、ともかくも日本は相当自主防衛をやらなきゃならぬ、ことに沖繩返還後、相当な自主防衛をやらなきゃいかぬということは、やっぱりそういうぐあいには言われておるのですね。ところが、その自主防衛の中で、その先端に立つのは、これは防衛庁長官も言われたのですが、海と空である、これを充足しなきゃいかぬ、ことに海を充足しなきゃいかぬ、こう言う。これはもちろん私はそうだと思います。ところが、海と空には予備兵力が一兵もないということは、これちょっとおかしいと思う。全然損耗がないのか。相手は予備兵力——どこがやってくるかわからないけれども、たぶん来ないでしょう、来ないけれども、それを想定すれば、相手は予備兵力持っている。こちらは、パイロットが一機撃墜されていなくなると、あとは何にも補充するものがないのです。こういう形のような——日本は軍隊でないですが、こういう形の軍隊というものは全世界にないですよ。こういうものは、やっぱりいわゆるこれは戦略常識じゃないので、普通の常識に従って、こういう海、空に関する——陸上は予備自衛官というのが曲がりなりにもあるんですが、しかしながら海、空に関しては全然ない。そうすると、これはもうまさかの場合には、実はやっかいなことになってくる。こういうぐあいになると思うんですが、海、空に関する予備兵力というものに対するお考えをひとつお聞きしたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、現在の予備自衛官制度は陸上自衛隊のみに採用しておるわけでございますが、仰せのとおり、海、空の自衛隊でも、陸上のほうとは多少趣を異にいたしますけれども、やはり必要であると考えております。これまた将来大いに検討してまいりたい、かように考えております。

源田実自由民主党

○源田実君 この問題これで終わります。  実は次は、これは五月二十六日付のウ・タント事務総長の、ヒューマン・インバァイアランメント——人間環境がいま全世界にわたって非常な危険におちいっておる、こういうことを報告して、早急に対策をとらなければならぬという報告があるわけです。その中に、実はあんまり一般には心配されていないけれども、事実はもう非常にみんな、人類の健康というものが——人類だけじゃない、あらゆる生物というものの健康が危殆に瀕しているということが書いてある。あんまりえらそうに言えませんが、中に書いてあるんだから、そのことを申し上げるんですが、その中に、過去一世紀の間に大気中の炭酸ガスが一〇%増しているんですね。そうして、これは何であるかというと、燃料に、石炭、石油、こういうものを使っておる。その大部分は自動車ですがね、そのほか工場とか何とかいろいろあるわけです。ところが、これから三十年の間にこれは二五%増すであろう、こういうことが書いてある。二五%増した場合に、実は地球上の気候と天候とに及ぼす影響というものは、いまなかなか予測できないけれども、確実に言えることは、完全な悲劇的結果をもたらすだろう、こういうことなんです。その中で、一つの例がある。これはニューズウィークのほうに載っておる例です。こういうことが起きた場合に、どういうことが想像されるかというと、たとえば地球の温度が、大気の温度が非常に上がる。上がった場合に、北極と南極の氷が解ける。これが全部解けた場合にどういう結果になるかというと、海面が三百フィート上がるわけですよ。三百フィート上がるということは、東京ニューヨーク、ロンドン、とにかく世界の大きな都市はほとんど全部水びたしになるということです。水びたしも、水の中のほうに入ってしまうという意味であって、それがあと三十年の間にへたをすると来るわけであります。こういうものにみなのほほんとしておるが、たいへんなことである。そうすると、ここでもちろん私が提起したい問題は、これは防衛庁じゃなくて、実は総理大臣にこれを伺いたかったんですが、総理が見えないことになったものですから。問題は、エネルギー源というものについて、いま人類は、国境とか全部越えて全人類が積極的にこれに取り組まなきゃならない時期に来ておる。いまやらなきゃおそくなる。ところがこれが、各国がナショナリズムというものによってずいぶん障害も受けておるわけですよ。これは一国の利益だけ考えたらできないわけですよ。しかしながら、結果は悲劇的なものになる。したがいまして、ここでこれを解決する道は何であるかということをこれは私考えたんですよ。考えたのは、一番手っとり早い方法は、エネルギーの主体を原子力にかえる、こういうことだと思うんです。それで、これからが防衛庁のことに実は関係が出てくるんですが、この太陽熱の利用とか、あるいは潮汐の利用とか、そういうこともあるでしょう。あるけれども、主体はやっぱり原子力である。しかも、いまのウラニウム関係もあるが、この間の「ソビエト・グラフ」に載っているところを見ると、核融合エネルギーだったらわずか一キログラムの海水の包容するエネルギーは四十万キログラムの良質な石炭に相当するということをソビエトのある学者が言っているわけです。それほどこの核エネルギーというのは膨大なものである。そうしてこれは、他の石炭や石油のように廃棄物を無統制に空中とか海水の中にほうり込むのじゃなくて、いまのところは有害であるけれども、将来はうんと利用できるかもしれない。廃棄物は、人間のコントロールのもとに、これは完全に処理できる性質のものである。そういうことを考えた場合に、どうしても原子力エネルギーというのは非常に推進しなければならないと思う。これから各国は現在あるあらゆるエネルギー源を原子力に切りかえていくということが今日予想されている。いま予想されているのは、日本はこの間の報告では一九六〇年では約一〇%くらい原子力エネルギーに依存するようになるだろう。アメリカは一九八〇年−九〇年には五〇%くらい原子力エネルギーに依存することになり、日本はうんと少ない。ところが、この予想をはるかに上回って、ぐんぐん伸びていくだろう。  そこで問題は、日本で原子力船がこの間進水いたしましたが、ああいう船が今後は日本のいわゆる商船隊にも非常にふえてくると思いますが、いまは建造費が非常に高い。アメリカの航空母艦の例をとると、コストが合わないのは建造費だ、三〇%高い。建造費は三〇%高いが、今度つくるニミッツあたりは大体二十五年の艦齢の間一ぺんも燃料の補給をしなくてもいい。そうしていままでのアメリカの海軍の統計によると、事故率が一番少なくて信頼度が一番高いのは核推進の船であるということがはっきり出ている。そうすると、日本や世界各国の商船隊、世界各国の海軍力というものも、二十年かそこらの間に非常に主要なものは核推進力に転換していくだろうということを考えなければならない。ところが、その場合に日本の海上自衛隊はどういうふうになっていくかということを考えていくとき、原子力基本法の問題が若干ひっかかってくると思うが、あそこでは平和利用ということになっている。ところが、推進力として核エネルギーを使うということに対しては、これは防衛庁長官はどういうお考えを持っておられるか。これはもしやらないなら、昔帆船から蒸気機関に移ったように、各国は蒸気機関に移ったのでありますが、日本の海上自衛隊は原子力基本法の関係で帆船を使わなければならないということと同じ結果になると思います。これは将来のことでありますが、早急に手を打たなければならないということも考えられるので、ほんとうは総理に聞きたいのですが、防衛庁のお考えをひとつお聞きしたいと思います。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) エネルギー源の開発として大いに原子力を伸ばしていくということは、私も同感でございます。ことに日本としては、いまやっている新型転換炉、高速増殖炉という方向に早く持っていって、そうして原子力の利用ということを大いにやるべきだと思います。いまお尋ねの、原子力を推進力として利用した艦船が諸外国にどんどんできておるじゃないか、日本がそれをやらずにおると帆船と汽船のようになって立ちおくれてしまうのではないかというお尋ねのように思うんですが、非常に御趣旨はよくわかるんですけれども、わが国において原子力を自衛艦の推進力として使用することは、船舶の推進力としての原子力の利用が、「むつ」というやつがようやく一船進水したというような状態でありまして、もう少しこれが一般化してないいまのような現状においては、これをいま直ちにやるということは、これはちょっと認められないんじゃないか、こういう考えでおります。

源田実自由民主党

○源田実君 その問題はそのくらいのところで……。  次は、やはり核に関する問題ですがね、日本は憲法の関係もあり、また政府なり各政党の方針もありまして、非核三原則というのがあるわけです。そして攻撃はもちろんやらない、こういうところはそういうことになっておりますから、それでおきまして、ところが、防衛庁というのは日本の国土や国民を守るところなんですが、こちらから核兵器を持って相手を攻撃したり武器として殺傷するようなことはやらないまでも、核兵器で攻撃された場合に、いわゆる放射能の汚染によって国民一般が非常な苦しみを受ける、これに対する防御対策というものはいま何もないと思うんですよ。これに対して、放射能をどうして早く検知するか、そうしてそれを今度洗浄するにはどうやればいいか、これは食べたら危険である、その類別をやるとか、そういうことは、日本国民の一人一人の生命に非常に大きな影響があることであるけれども、これは防衛庁だけでできることでもないけれども、そういう問題に対する——いわゆるコンタミネーションに対する研究というのは、これは当然、科学技術庁ないしは防衛庁、そういうところで、共同でも何でもいいんですが、あるいは厚生省、そういうところであらかじめ進めておいて、これは戦争がなくても、たとえば中共でこれから、この前ソ連がやったような五十メガトン、中共では数年のうちにはあるいは百メガトンくらいの実験が行なわれるかもしれない。そういう場合には、まず間違いなく日本の上には相当の放射能が落ちてくる。これを予想したときは、戦争で相手を防御するんじゃなくて、平時だけれども、国民の健康や生命があぶない、あるいはその遺伝となって将来われわれの子孫に対して悪い影響を及ぼすものは事前に防ぐ。こちらは、それを検知して、そして対策を講ずるような、そういう方法は、当然講ぜられるべきだと思うんです。現在しかしこういうものはほとんど講ぜられていないと思うんですが、実際もしこれが行なわれていればそれでいいんです。しかし、実際は普及されていない。それから、こいつは将来やるべきだと思うんですが、そこらのところひとつ見解をお伺いしたいんです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、政府はいわゆる非核三原則を堅持しておりまして、したがいまして、核ミサイルの攻撃に対しましては、これは安保体制によるアメリカの核抑止力に依存するほかに道がない。また汚染その他に対しましては、これも私たちも抑止力に基づきましてそういうものが来ないように未然に防止することを期待しておりますけれども、お説のように万が一ということがございますから、核汚染の問題については、シェルターその他いわゆる民防衛、私たちもそういうことを研究しなければならないけれども、これは防衛庁がやるよりも、いわゆる民防衛として将来そういう総合的対策を講ずる必要があるのではないか、かように考えるのですが、やや専門的になりますので、政府委員から補足させます。

蒲谷友芳防衛庁装備局長

○政府委員(蒲谷友芳君) ただいまの御質問に対します対策としましては、先生御指摘の検知方法につきましての開発は行なっております。それからいまの放射能を浴びた場合の除染方法につきましても、たとえば艦艇の一部にもそれを備え、その実験もしておりますし、研究もしております。十分とは言えませんが、一応汚染対策につきましての検知と、その予防策につきましての検討は行なっております。

源田実自由民主党

○源田実君 この問題は、有事は有事として、これは別問題です。抑止力にたよるとしても、実際は核防条約にフランスと中共は入っていないのです。これは実験が進められる可能性は十分にある。その場合は有事でなくて起きる問題でありますので、直ちにいろいろな危険をわれわれ日本の民族の子孫にまで及ぼすということになるのであって、広義防衛の見地から防衛庁でひとつ推進していただきたいと思うのです。  これはそれだけにとどめまして、ついでにもう一つここでちょっとお伺いしたいのは、実は防衛の中で防空問題ですが、その中で実は飛行機に対するやつは、バッジとか、今度ファントムが入るから、そういうものでだんだん強化されていいと思うのです。いいか悪いかは別問題として、これはやってみなければわからぬですがね、まあ手は打ってある。ところが、ロケット攻撃に対しては全然手当てはないわけです。ところが、そのロケット攻撃は、防空の専門家にこの前聞いてみましたら、ロケットでたとえば飛行場なら飛行場を攻撃したとしても、あの精度ではものすごい数が要ってとうてい採算がとれないということだったのです。ところが、この間アメリカがMIRVの実験をやりましたね。シミュレーションですが、弾頭はもちろんダミーだけれども、それがあの広大な大西洋上でやったろうと思うのです。やったときの精度は、一つの弾頭から三つくらい出たらしいんですが、その一つ一つの弾頭が、何百マイルか離れているところで、目標からの距離は誤差が四分の一マイルです。四分の一マイルということは、昔の長門、陸奥とかあるいは大和、武蔵の持っておったあの大口径砲四十サンチ、四十六サンチの大砲が四万メーターで打ったときのその誤差より少し少ないくらいなんですよ。散布界からいうと、驚くべき精度を持ってきておる。これはソビエトもそれに近いか似たものはいずれつくると思います。すでに実験もやっている。そういう場合に、核に対してはアメリカの核抑止力にたよるかもしれないけれども、ベトナムで行なわれているように、やはりロケット攻撃が百キロとか二百キロとかあるわけです。そういうロケットに対しては全然無防備であるということは、防衛を担当する防衛庁としては、ロケットは核兵器と同じように考えて、これに対しては全然手当てをしないというこの問題は、もし通常弾頭をロケットにつけて、通常弾頭でいまの飛行場を攻撃されるなりあるいは工場地帯なり主要地帯を攻撃するとなると、大体数発あったら参るのです。これについては全然オフ、禁句みたいになっていて、一切手が触れられていないのですよ。しかし、こういう問題は、核か非核かは別問題として、とにかくロケット攻撃に対してはどういう対処をするかということは、これは研究を要する問題だと思うのですが、これは防衛庁、研究されておりますか、どうですか。

宍戸基男防衛庁防衛局長

○政府委員(宍戸基男君) 先生御指摘の事柄につきましては、結局安保体制のもとでアメリカに現状では依存するということを申し上げるしかないのじゃないか。そのことに対処するために研究開発をやっているかという結局のお尋ねでございますが、それについてはまだ技能系統もそういう緒についておりません。

源田実自由民主党

○源田実君 終わります。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 外務省来ていますか。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 外務省の方見えていますか。  ちょっと速記をとめて。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 速記を起こしてください。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私は、今回の質問で外務大臣を実は呼んでおりました。しばらく前に通告をしておいたわけでありますが、きょうは午後になりまして大臣が不出席である、内容を聞きますると外交上の問題でもありますから、やむを得なかろうと、こう思いまして、それでは条約局長あるいはアメリカ局長、これでもよろしかろう、こういう話を実はしておったのであります。ところが、いま質問の意思表示をいたしまして、とたんにその方々も来ておらない、しかも参事官である、こういうことでありまして、実は私は非常に不満でございます。同時に、私がこれから質問をなさんとする事項につきましては、大臣の口から直接お聞きをしなければならない事項も多々あったわけでありまして、実は予定をいたしました質疑が非常にやりにくくなったと同時に、まことに要を得ない経過をたどるのではないか、こう思って、実は残念なんでありますけれども、いずれにいたしましても、この事態になりましたので、私は質問を続けますが、いずれにいたしましても、おいでになりました方々、愛知外相の気持ちもそんたくをしながら、あるいは過去における発言等についても確認をいただいて、それから論議を進めないと、どうにもならないわけであります。その点のことはひとつ了承していただくと同時に、どうしても答えが出ないものであるならば、これは私は保留しておきたいと思う。いずれかの機会にというよりも、本問題が審議されている過程の中で発言の機会をひとつお許しをいただきたい、こう思いますので、ひとつ委員長にその確認をいたしたい。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) アメリカ局長、条約局長に委員長から出席要求いたしております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 まあ、いまの出席要求しておりますということだけでは、これは困るわけであります。答弁が私の満足するものでなかった場合——これは要求をいたしました答弁者とは違うわけでありますから、そういう場合もあろうかと思います。その際には、私の質問は本問題の審査継続中において再び発言をさせてくださるように委員長にひとつお願いをしておきたい。その点をひとつ確認をしていただきたいと思う。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) わかりました。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 それでは質問に入りますが、実にやりにくいわけであります。まあ外務大臣は、先般訪米されまして、そしてロジャーズ国務長官あるいはニクソン大統領と会談をいたしました。その経過は当時の新聞で報道されておるわけでありますが、その報道内容と、そしてまた過般本院本会議におきましてなされた愛知訪米報告に対する質疑の内容とは、どうも若干相違があるように私は見受けるわけであります。そこで、本会議答弁が正確であるということにあるいはなるのかもしれませんが、私はその点を確かめてみたいと思いますが、当時の新聞報道によりますると、安保条約は七〇年の六月二十三日、これは自動継続であるという表現が用いられておるわけでありまして、その自動継続を相手側に対して通告したのかどうか、そのことについてお伺いをいたします。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 愛知外務大臣は、訪米を終わりまして後に、国会におきまして訪米報告ていたしておりますけれども、その際にいまの御質問の問題につきましても報告の形で国会にワシントンにおける話し合いの内容を述べておられます。したがいまして、国会の場におきまして外務大臣が報告されましたことをもって御了承願いたいのでございますけれども、御指摘の自動継続の問題につきましては、外務大臣といたしましては、日本政府として日米安全保障条約を堅持するという基本的な考えを伝え、その際、世論の大勢は明年六月以降も現在の安保条約がそのまま継続されることを支持しておる、こういう趣旨のことて述べたというふうに私承知いたしております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私も本会議の愛知答弁を聞きました。それは、自動継続を相手側に通告したというものではなくて、国民の多数が自動継続ということについて支持しているという、そういう意向を伝えたにすぎない、こういう答弁でありました。新聞には、アメリカにこれは通告というふうに書いてあるわけでありますが、私は、これまた新聞でありますから、しかも外相がおりませんから、それは関知いたしませんという答弁になりますと、非常にこれから先の論議ができないわけでありますが、本会議の答弁は、参議院は十三日でございました。その後、十六日ですね、外相は東京ヒルトンホテルの内外情勢調査会の会合に出席をいたしまして、訪米報告をなさっておるようであります。その内容を見ますと、ニクソン大統領との会談では、「「日米安保条約はぜひ守り抜きたい。これを前提として、一連の法体系にはなにも手をつけずに沖繩に適用するという方式で返還してほしい」と〃本土並み返還〃を要求した。」、こう実は新聞に書かれておるわけであります。この経過、皆さん方どなたでもけっこうですが、御存じですか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 外務大臣は、ニクソン大統領との会見並びにロジャーズ長官その他米側首脳者との会談の結果につきまして訪米報告の形で国会に報告をいたしておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございますが、米側首脳者との会談におきまして、外務大臣は、沖繩返還問題の処理にあたっては現在の安全保障体制をそのまま維持するということを基本といたしまして、現在の安保体制が返還後の沖繩にそのまま適用されるべきであると、こういう趣旨の主張をしたということを報告しているわけでありまして、ただいま御指摘のヒルトンホテルにおけるスピーチも、その基本的な考え方をふえんして述べているのにすぎないわけでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 ニクソン大統領に要求したと言っておりますが、この点はどうですか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) この問題に関しまする日本政府の基本的な立場を十分主張したわけでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 まあ、立場を主張したということと要求したということではだいぶニュアンスが違うようでありますが、新聞には要求したと出ております。そう理解して論議を進たいと思いますが、よろしゅうございますか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 先ほど申し上げましたように、日本政府としての基本的な立場、考え方を十分主張し、これに沿ってこの重要な問題の解決がはかられることがぜひ必要であると、こういう趣旨のことを述べたわけでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 ここが非常にやりにくいところであるわけですね、本人でないわけでありますから。あなたとやり合ってみても、これは水かけ論になりますのでどうも困るわけでありますが、いずれにいたしましてもその点はあとにおきましょう。  そこで私疑問に感じたわけでありますが、そのまま安保体制を堅持、継続をして、そして沖繩はその体制の中で返還をしてほしいというそのことは、自動継続ということとどういう関係に解釈されるわけでありますか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 先ほど来申し上げておりますように、沖繩問題の解決にあたりましては、基本的に、日米安保体制はそのまま堅持するというかねての政府の基本方針に立ちまして、一九七二年までに沖繩返還の実現をはかりたい。返還後の沖繩につきましては、現在の日米安保条約に基づきます各種の取りきめがそのまま沖繩に適用さるべきである、こういう趣旨の立場を述べているわけでございまして、明年六月に現在の安保条約の当初の十カ年の期間が一応経過いたしますけれども、一九七二年までに返還が実現されるということを前提といたしますと、七一年、七二年、引き続き現在の安保条約が適用される、こういう論理的なつながりになるということを大臣は申し述べたというふうに承知いたしております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 いま、七二年に返還を予定いたしまして、それまでの間安保条約が論理的に継続をする、こういう言い方をなさっておりましたが、私はこの自動継続という表現そのものにも多少異議を持っているわけでありますが、私が説明するまでもないと思います、とにかく六月二十三日になりますると、これはどちらか一方が通告するならば一年後には条約が解消できるということになっておるわけですね。だから、そうなって、おる条約に対して、自動継続するんだ、あるいは七二年に沖繩が返還される、それまでの間であるかそれ以降かわかりませんけれども、論理的に発展てさせるんだということは、それは条約上どういう措置になるわけですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 条約上のどういう措置をとるかという点をお尋ねだと思いますが、条約上では何ら措置をとりません。と申しますのは、条約上にきめておりますのは、廃棄をいたしますときにこちらから通告する、あるいはアメリカから通告するという形になりますから、何らの措置をとらないままに存続していくわけであります。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 何らの措置をとらないということでありますが、先ほども申し上げましたように、安保体制を堅持し、それを持続するんだという、そういう意思の表明があるわけですね。主張したということでありますから、意思の表明も伴ったと思います。主張したということ、あるいは意思の表明をしたということは、それが通告であるかどうかという問題にもこれは発展するわけでありますが、それはどういうふうに理解すればいいんですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 私お答えいたしましたのは、全く法律的に、条約的に申し上げたわけでございまして、条約的に申し上げますれば、何らの通告なしに条約というものはそのまま継続されて効力があるわけでございます。ただ、それ以外に政治的にと申しますか、法律の効果という問題を別にいたしまして考えましたときに、何らかの政策的な意思表明というものがあるかないかということは、むしろ、これは私の分野ではございませんが、あり得ることかと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 条約上の解釈としては何ら措置しなくてもよろしいんだと、それでしないんだということでありますが、政治的に、政策的に何らかの意思表明はあってもよろしい、こういうことですね。だから、堅持をするということは、これは沖繩返還までなのか、あるいはそれ以降も続けるのかは別にいたしましても、ずっと持っていきたいということと同一じゃありませんか、それが政策的、政治的であろうともですね。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 日本政府の基本的な立場として、現在の日米安保体制は堅持するという強い方針が、政策があるわけでございまして、この日本政府の安保問題に関します基本的な考え方を訪米の際にも外務大臣は十分に米側当局者に主張もし、説明もされた、こういうことでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 これも大臣が来ないと実はわからないということになるんですがね、これは条約上の措置は何もしなくてもよろしいんですよね。日本も意思を通告しなくてもよろしいし、相手側も日本に意思を通告しなくても一向差しつかえない。これが何らの措置もないということだと思うんですね。ところが、安保条約というものを、期間は別にいたしまして、堅持したいんだという意思の表明をしたということになれば、これは、私のほうでは六月二十三日になりましてもこれは廃棄通告はいたしませんよということに通ずると思うんです。どうなんですか、その点。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 政府といたしましては、かねて国会その他あらゆる場におきまして日本政府の政策として現在の安保体制を堅持すると、こういうことを申しております。そのことをあらためて外務大臣の口から先方へ伝えたいということでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 そこがどうもわからないんですがれ、堅持するということですね、堅持するということは、これは二年なり三年なり十年なり、あるいはそれ以上続くかもしれませんが、そういう状態に置きたいということなんでしょう。どう解釈しますか、それは。確かにそういう政策が、あるいは政治的判断があって悪いとは私は言いませんけれどもね。ところが、堅持すると言っているわけですから、その裏を返せば、とにかく六月二十三日以降になって相手側から通告されたのでは困るから、通告しないでほしいという意思表明が伴わなければ、これは堅持するという意思の表明とは関係してこないわけじゃないですか。堅持するという意思があるとするならば、二年なり五年なり十年なり、あるいはそれ以上もなおかつ継続したいという意思が入っておらなければ、安保を堅持するという意思の表明はできないはずではありませんか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、政府として、かねて現在の日米安保体制は日本の安全保障の重大な問題としてこれを堅持するという基本的な政策をとっておりまして、今回の沖繩返還交渉にあたりましてはその大前提の上に立ちまして返還後の沖繩に安保条約に基づく諸取りきめがそのまま適用されるべきである、こういう方針を米側に主張してまいっておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 そうすると、まあ七二年に実際に返還されるかも、あるいはされないかも、いまだ未知数ではありますけれども、七二年までは最低現在の安保体制を持続したいという意思の表明でありまするか、いまの言い方であるとするならば。どうですか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 沖繩返還問題が具体的な日程にのぼります前から、政府といたしましては日米安保体制の堅持という大方針、政策を打ち立てておりますので、必ずしも沖繩問題と直接関連なしにもこの方針が従来踏襲されてきておる、また将来に向かっての方針として説明されておる、こういうことでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 どうも大臣でないとちょっと困るわけですがね。そういう答弁だけされては困るわけです。少なくとも七二年まで——沖繩が返還されるまで安保を持続したいのだということなんですか。安保を持続したいのだということは、いわゆる現行の条約であるならば何らの措置も加えないで六月二十三日以降は一方的に破棄通告ができるけれども、それをしないということに通ずるのじゃありませんか。どうなんですか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 先ほど自然継続の問題につきまして御答弁申し上げたとおりでございまして、いわゆる自然継続の問題につきまして外務大臣は米側の政府当局者に対しまして、来年六月以降も現在の安保条約をそのまま続けることがわが国の世論の大勢である、こういうことを説明されたわけでございまして、安保条約、安保体制堅持という大方針の上に立ちまして、沖繩返還交渉を進めます場合の安保条約の返還後の沖繩に対するそのままの適用、こういう方針を説明して主張してまいったと、こういうことをまあ先ほど来御説明申し上げているわけでございまして、このようにおとり願いたいのでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 いや、あの本会議での答弁の要旨も私はそう理解します。そう理解をするがゆえに、片や安保は堅持するという大前提は確立しておる、しかも、七二年まで云々ということがあるとするならば、日本政府としてはこれはすでに最低七二年までは安保条約は継続したいのだという意思を表明したことになるでしょうということを言うておるのです。そうじゃありませんか。あるいは逆な言い方からするならば、六月二十三日以降日本政府は当事国に対して、相手国に対して、破棄通告ができるけれどもその破棄通告をいたしませんよと言うことと同一だと思うのですね。そう理解できませんか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 安保体制堅持という主張は、すなわち、七二年にということを期待しております沖繩返還の際にも、安保条約がそのまま残っておる、つながっておると、こういうことを当然前提としておるわけだと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 それじゃ、まあ、ひとつこう理解しておきます。外相じゃないとほんとうはわからないわけでありますけれども、そういう答弁だけいただいておる限りは、質問は前に進まないのですよ、実はね。それで説明できないんじゃないかと思うんですが、どうですか。それは、日本政府は七二年までは来年の六月二十三日以降通告をいたしませんよということと同じですね。堅持するということは、いまの体制の中で沖繩の問題を解決したい。だとすれば、これは少なくとも七二年の何月に沖繩問題が決着するかわかりませんが、少なくとも七一年の六月二十三日には、六月二十二日にわがほうが破棄通告をするならば、破棄が実現するようになっているわけでしょう。それを七二年まで、あるいはそれ以降もそうしたいと考えるおるのかもしれないけれども、とにかく沖繩の返還の問題はいまの体制の中で解決したい、こういうことであるならば、こっちのほうは、これはいわゆる取得した権利を行使いたしませんよということを表明したことになると理解せざるを得ないんですがね。その点どうでしょうかね、もう一度お聞きしたいのです。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 外務大臣は、ニクソン大統領はじめ米国首脳者に対しまして、安保条約堅持というかねての政府の大方針の上に立って一九七二年までに沖繩の返還を実現し、その返還後の沖繩に対しては、現在の安保条約並びにこれに関連する取りきめがそのまま適用されるべきであろうと、こういう主張を述べまして、これに対して米側は熱心にこれを傾聴し、検討を約してある、こういうことでございますので、目下その具体的な内容の検討に基づく日米間の折衝が行なわれている、こういう状況でございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 条約局長来ておりますがね、いま私がいろいろ申し上げていること変だと思って聞いておりますか。条約上の解釈をするとするならば、どういうことになりますかね。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 七二年に安保条約が沖繩に適用になるという、これは仮定でございますが、そういう形になりますれば、当然安保条約というものは、そのときには効力のあるものということになるわけでございますから、法律的に申し上げますれば、それまでに破棄が行なわれてないということになると思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 いまの答弁も、実は私の要求にこたえたものとは思いがたいのですよね。まあ、それはいいでしょう。日本の意思としては、とにかく七二年に沖繩を現行体制で解決をしたいということは、最低少なくとも二年間か三年間はいまの体制を持続しますよというこれは表明である。この表明であることは、来年の六月二十三日以降一方的に破棄通告をしてもよろしいという権利が取得できたけれども、それは行使しないんだという理解の上に立たなければならないという私の解釈、これひとつ確認をいたしたいと思います。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 私から、政策的な大臣の発言に対して私は御返事する立場にはないと思いますが、その形で廃棄されてないということは、そういう先生のおっしゃるとおりだと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私の考えが間違いであれば率直に言ってもらっていいんですがね、どうしてもやはりその点が私はそう理解せざるを得ないと、こう思っておったのですね。ところで、今度は相手側ですがね、日本がそれを意思表明したと、アメリカとしては、先ほど、相手国はまあ検討する、こういう答えであったということでありますが、どういう答えがはね返ってくるかは別にいたしましても、これは条約上の論議になるでしょうが、アメリカが政治的には必要である、その気持ちはわかると、こういう気持ちがあるかないかは別にいたしまして、アメリカでもやはり日本と同じように六月二十三日以降は一方的に、日本の政策なり考え方というものをそんたくして判断するということではなくて、一方的に破棄通告ができるわけでしょう、いかがですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 法律的には先生のおっしゃるとおりでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 そうしますと、少なくとも日本が、沖繩の問題解決まで、あるいはそれ以降、持続をしたいという意思表明をして、そうしてそれに日本が満足するような措置がとられる場合には相手が日本の意思表明をそのまま受け入れようということになると、これは合意が必要ですね。いですね。いかがですか。

大河原良雄外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(大河原良雄君) 日本政府の日米安保体制堅持という方針はかねて米側としても十分承知しておるところでございまして、明年、当初の十年の期間が一応経過するということを含めまして、米側として今日、将来に対してこの日米安保条約をどうしようという具体的な表現は今日までのところございません。しかしながら、日本側の安保体制堅持という考え方、これに対する異論も出ておらないこともまた事実でございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 どうもそれでやりにくいわけなんですがね。だからアメリカがどういうことを考えておるかということを聞いておるのじゃないのです。どのようなことが考えられていようとも、とにかくアメリカとしても来年六月二十三日以降は安保条約を破棄することができる。二年間持続したいということであるならば、アメリカにおいても、それじゃ二年間継続しましょうという意思表示がなければならないわけでしょう。日本の意思表示だけがあって、相手がそれに対して応諾をする、合意をするということがなければ、これは二年間堅持したことにもならないし、それ以降継続することにもならない、こう私は理解しますが、その理解が正しいのですか、間違いですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これは破棄通告と申しますのは一方的な通告でございまして、双方が権利を持っているわけでございます。したがいまして、その権利を使うか使わぬかということは、もっぱらアメリカなり日本なりの、何と申しますか、自分の決定し得るところになっているわけでございます。したがって、それに対して自分の権利を使わぬという合意、これはまあ主権国家の中でございますから、当然、合意でやるということはできないことではございません。ただ、合意がどうしても必要かと申しますと、合意がなくてもいいわけでございます。両方とも、アメリカも日本もこれは使わないと両方で考えておるという形もあり得るわけであります。これはちょっとずれますでございますけれども、たとえば米韓条約、米華条約というような条約、やはりこれも安保条約と同じような条約でございますが、これには、最初の発効時から常に一年の予告をもって廃棄できるような形になっております。それに対しては、別に何年間これを廃棄しないというような合意等が別にあるわけではございませんですが、状態が現在まで続いているわけでございます。その形が今後続いていく。いままでは、安保条約の場合は十年間というのが固定期間だったということが違いますのですが、固定期間が過ぎてしまえば、米韓条約、米華条約というものと同じような形になっていくということではないかと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 同じことを繰り返して申し上げて申しわけないのですが、そういうこともあり得ることですよね。いわゆる双方の国が権利を行使しなければ、そういうこともあり得る。しかし、権利を行使しないという約束がない限りは、これは堅持する、安定したということにはならないわけですね。とすれば、やはり、日本が二年間なり十年間なりという期限を切るか切らないかは別にいたしましても、双方が合意に達するまで権利行使をいたしませんとか、そういう約束がなければ、これはきわめて不安定なものであって、日本の政府が延長をしたいというその意思表明は、しただけに終わるということになるじゃありませんか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 先生おっしゃることよくわかりますが、不安定という意味では、一方の意思にかかっておるという意味では確かに不安定でございます。それは確かにそのとおりでございますが、そういう形を避けるためには、やはり十年なら十年というような固定期間をそこへつくらなければその形は避けられないわけでございます。したがって、いままでの安保条約の過ぎてまいりましたこの十年の形、この形をもう一度つくるというような形になりますれば、それは非常に先生のおっしゃる安定という形になるわけでございますが、それ以外には、常に両方の国の意思にかかっておるという意味では、不安定と申しますれば不安定でございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 いや、そこでほんとうに大臣じゃないとあとは先へいけななような気がするわけですが、少なくともいまお答えいただいたような状態で不安定でありますね。不安定であるとするならば、固定期間を設けるか、あるいは合意に達するある一定の期間までとするかは別にしても、何らかの約束がなければ、日本は少なくとも沖繩返還の時期まで最低見積もって、そういう表現にしておきましょうこの際は、政府が実際にどの程度のことを考えているのかわかりませんから。しかし、それまでの間安定的に現在の体制を持続したいと考えるならばアメリカの合意を得るようにしなければならないはずであります。だとするならば、私が疑問に思うのは、もしもそういう措置をとったとするならば、これは実質的な安保条約の改定につながるのではないかと、こう考えるものですから、その点をしつっこく聞いておったわけでありますが、そういう解釈は成り立ちますか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 繰り返して申し上げるような形になりますのでございますが、先ほど申し上げましたとおり、固定期間というのを延ばすという形は当然考えられるわけでございます。この形でございましたら、当然安保条約の改定になると思います。ただ、その廃棄の通告をやるかやらないかと申しますことは、これは日本なりアメリカなりの権利でございます。お互いが持っております権利でございます。それが、お互いにこれは使わないということを両方で一方的に考えておる、ないしは言うということについては、これは当然安保条約そのものの条項に乗っての動き方でございますから、これは改定という形にはならないと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 なかなかこれは微妙な答弁をなさるわけですが、権利行使をしないという一方的な通告ですが、これはどこに向かっての一方的な通告ですか。アメリカが日本にする、日本がアメリカにする、こういうことですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これはもうまことに仮定的な話でございまして、別にそういうことをやるとかなんとかいうふうにおとりになると非常に困るのでございますけれども、法律的な話をしておりますので、そういうふうにお聞き願いたいのでございますが、日本のほうを考えてみましたときに、日本自身の権利として持っておるわけでございます。その権利を行使しないということをだれに向かって——アメリカに向かって言ってもよろしゅうございましょうし、しかし、それは合意という形ではございませんでこちらの一方的な意思をただ単に表明したという形でございましたら、別に合意形式をとっておりませんし、そういう意味で、自分の権利の、何といいますか、自己規制と申しますか、そういう形になりますので、この条約そのものに乗った形というふうに解釈できるのではないかと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 そうすると、たとえば合意を必要とする。合意をした。合意をした場合に、それがかりに共同声明であろうとも、交換公文であろうとも、これはやはり権利を制限するものとして、これを国会にかけなくてはならないという問題に発展するのではないかと考えるわけでありますが、その点は条約上の解釈としてはどうですか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) これは非常にむずかしい微妙なところを先生おっしゃったのでありますが、結局、この十条を法律的に変えるかどうかという問題でございます。この廃棄通告条項というものを、これが法律的に変わっているかどうかということは、実際には、何と申しますか、もとがなくなってしまったような場合には法律的には変わっておるということが言えるわけでございますから、そこのところの判定でございますから、結局、何と申しますか、共同声明なりあるいは交換公文なんというものの書き方と申しますか、ワーディングによるわけでございます。したがって、そこのところが、こちらの一方的な意思表明という形になりますれば、そこのところが法律的にはひっかからないわけでございますけれども、そこのところに合意的——合意的と申しますか、一種のこの十条を法律的に変更するような形が出てまいりますれば、当然国会の御承認を得なければならない、そういうふうに私は考えております。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) ちょっと速記をとめて。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 速記を起こして。  午後七時まで休憩いたします。    午後五時五十八分休憩      —————・—————    午後九時四十五分開会

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。(「議事進行」「議事進行」と呼ぶ者あり)村田君。村田君。(「議事進行」「議事進行」と呼ぶ者あり)峯山君。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 きょうのこのような異常な事態になったというのはほんとうに私はおかしいと思うのですがね。まず一つは、けさの新聞から、きょう強行採決をすると、そういうふうな新聞記事が出ておるわけです。また先ほどのラジオでも、委員長、きょうは強行突破をするとテレビでも言っているわけです。わがこの参議院の内閣委員会は、こんなこと、いままでないでしょう。先日から、慎重審議をすると、そう約束をしてきたでしょう。そうでしょう。今回の防衛二法の審議にあたっても、衆議院の内閣委員会では三十三時間やっているのです、審議を。そうでしょう、委員長。それがわが内閣委員会ではまだ十時間もやっていないのですよ、委員長。しかも、たった一人か二人しかまだ質問をやっていないのですよ。わが公明党はまだ全然やっていないのです。質問も何もやっていないのです、委員長。ですから、こういうふうな異常な事態になるというのは委員長の責任ですよ。ですから、委員長は、いまここで強行突破をしないという約束をしてください。そうでないと、とてもじゃないけれども、質問なんか入れないし、私たちはいままで長い間待ったのですから、そういう約束をしてくださいよ、委員長。そうでしょう。参議院規則第四十二条にだって、委員は、議題について、自由に質問することができる。しかも、委員から発言を求められたときは、その要求の順序に従って委員長は指名するとなっていますよ。皆さんとこの間からきめたでしょう、順番もちゃんと、委員長。私も、きのうから質問やりなさい、やりなさいと言いますけれども、順番でちゃんときまっているのですからね。そうでしょう。その順番に従って質問させるのがあたりまえでしょう。私はちゃんと筋を通しているのですから。委員長いいですか、委員長の答弁を求めます。(「議事進行」「質問をやれよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 岩間君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ぼくはけさから、もうすでに、いま峯山君が言ったと同じように、われわれはこれに抗議を申し込んでいる。ことに、いま衆議院で正常化が呼ばれて、そうして各党が努力をしている。その同じ瞬間にこういうことが、強行採決をするというようなこういうことが繰り返されるというようなことは、絶対にこれは了承できない。したがって、この問題については、このような強行採決をやめて、そして委員会の決定に従ってあくまで審議を尽くす、こういう点について要求する。はっきりした答弁を……。

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 私は委員会の決定に従います。村田君。   〔「委員会の決定とは何ですか、強行採決はしないと言ってくださいよ」「強行突破をしないとはっきり約束してくださいよ、委員長」「順番をきめて慎重審議をするということになっているのです、やってくださいよ、ちゃんと」と呼ぶ者あり〕

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 承りました。審議を続行いたします。(「委員長、いまのことについて慎重審議をするのですね」「承りましたということは慎重審議をするということなんですね」と呼ぶ者あり)承りました。審議を続行いたします。(「わが参議院の権威にかかわりますよ、公明党はやってないのですよ、質問を」と呼ぶ者あり)村田君。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 休憩前に引き続きまして質問をいたしますが、先ほどは、こちらが要求をいたしておりました大臣も参りませんし、まあ大臣が重要な用件があったということは承知いたします。しかし、次には、アメリカ局長もおいでにならない、まあ条約局長は参りましたけれども。そういう状態の中で運営がなかなかかみ合わないという状態もありましたので、私は先ほどの問題にも触れながら、もう一度確かめてみたいと思います。  それは、来年六月二十三日に一応十年間という固定期限が切れますところの安保条約、これに対して政府は、愛知外相もそうでありますけれども、佐藤総理大臣も、安保堅持をするという前提に立って、そして六月の初旬愛知外相が訪米をいたした際にも、安保を堅持をするということと同時に、まあいろいろな新聞報道等々ありましたけれども、とにかく日本の多数の意見としては自動延長を考えておる、こういう意味の答弁があったということであります。これについて、まあ愛知外相に来ていただかないと、あなたがほんとうにこういうことを言ったのかどうかということを確かめるわけにはまいらぬわけでありますから、そういう意味においては非常にあいまいな論議にもならざるを得ません。けれども、少なくともこの安保体制を堅持するということと自動延長という問題とを関連して考えてみた場合に、今日の現行安保条約は、私が説明するまでもないわけでありますが、一応固定的な十年間の期限が切れた場合には、何らの措置も施さない限りは、一方の当事国の通告によって廃棄することができる。通告をすれば、一年間たてばこれは条約は解消する。こういうことであるわけでありますが、それと関連をいたしまして、安保体制を堅持するという意思の表明、同時に自動延長の期間ということになりますると、まあ先ほど参事官の答弁によりまするならば、安保体制の維持された中において沖繩問題を解決したい、こういうように意思表明をしたということでありますから、そういたしますると、日本は安保堅持、つまり当然六月の二十三日以降は、廃棄通告をするならば一年間でその条約が解消できるものを、少なくとも二年間延長したというその事実は、これは大きな変更を加えるものであるということ。と同時に、これに対してアメリカが合意をしない限りは、これは安保を堅持するという形にはならない。まことに不安定なものである。不安定であるからこそ、これを安定させるためには、日本の表明に対する合意が必要ではないか。合意をした場合には、これは当然現行安保条約の変更を来たすものであるから、まあその合意の内容、手続の状態、いろいろございましょうけれども、少なくともこれは国会に付議すべき事項になるのではないか、こういう意味の質問をいたしたわけであります。ところが、一方的な通告、つまり、アメリカ側も、何年間か、まあ期限は切らなくても延長したいという通告をする。あるいはまた日本が、安保を堅持し、ずっと継続するという意思表示をすることによっても足りるという言い方はしませんが、そういうやり方もあるやに言っておりましたし、同時に、共同声明であるとか、あるいは交換公文であるとするならば、国会にかけなければならないという義務が生ずるか生じないかという点については、若干、疑義があるという答弁をいただいたところで実は終わっておったわけであります。そこで重ねて、これはまあ外務大臣が来ておりませんから、実は政治論議をするわけには、なかなかむずかしい条件下にあるわけでありますけれども、条約局長にお伺いをいたしますが、少なくとも合意議事録であろうと共同声明であろうと、あるいは交換公文であろうと、少なくとも日本が十年たって取得をしたところの一つの権利というものを制限する事実を生ぜしめたということになるならば、当然これは国会に付議すべきであろうと私は理解をするのでありますが、その点について再度御答弁を願いたいと思います。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) 休憩前にもお答えいたしましたとおり、十条を法律的に変更いたしますような合意と申しますか、そういうふうなものができますれば、当然これは国会に付議すべきものだと私は考えております。繰り返しになりますが、一方的に日本の意思を表明するというような形のものは、これは当然、現在の十条のワク内の合意というふうに私は考えております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 だから私は、まあ愛知外相が国内の世論の動向、それはいろいろありましょうが、愛知外相の判断としての意思表明をしてきたということについて私は申し上げておるわけではありません。少なくとも、いわゆる一方的な通告という手続もあると、こう言いますが、これは法的にも拘束されないし、拘束をされないとするならば、きわめて不安定な状態であるから、これは安保堅持という形にはならない。とすれば、何らかの合意が必要であろうという私は前提に立つわけでありますが、そしてまた、そうであろうと思うのです。この辺は外相が来なければわからないと思いますけれども、少なくともそういう状態、それが合意議事録であろうと、あるいは交換公文であろうと、法律的に云々ということを言っておりますけれども、少なくとも十年たって、何かの都合によってわが日本がアメリカに対して破棄通告ができる権利、つまり、権利という言い方になりますると、これは安保はありがたいと思っている方には、これは権利という表現と多少ニュアンスが変わるかもしれませんけれども、安保を破棄したほうがよろしいではないかという人にとっては、これは一つの拘束から解放される権利だと私は思いますね。だとすれば、この権利を行使するその一つの、何といいますか、立場を捨て去るような、あるいは制限をするようなそういう合意がなされたとするならば、これは条約に大きなやっぱり変更を加えたと理解すべきが私は至当ではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

佐藤正二外務省条約局長

○政府委員(佐藤正二君) たびたび申し上げておりますように、法的な拘束力を持つような文章、これができまして、十条が変わりましたら、これは当然国会に付議すべきものだと考えております。

佐藤隆自由民主党

○佐藤隆君 委員長……(議場騒然)直ちに討論採決に入る動議を提出いたします。(議場騒然)

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) 佐藤君提出の動議に賛成の方の……   〔「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり、議場騒然、聴取不能〕

八田一朗自由民主党

○委員長(八田一朗君) ……(議場騒然、聴取不能)……散会……(議場騒然、聴取不能)    午後十時四分散会      —————・—————

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