内閣委員会 第28号
- 発言数
- 243 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/07/10
会議録
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○前川旦君 きょうから防衛二法が審議されるのですが、国の安全にかかわる重大な問題でありますから、私たちも慎重審議を尽くしたいと考えます。十分な審議を尽くさないで、なまはんかなままで打ち切られるということがあっては、将来のやはり防衛、安全保障の構想にとってもまことに不幸なことだと思いますので、そのつもりでおりますが、防衛庁長官も、そういう心がまえで、慎重に審議を尽くすということで臨みますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私のほうの立場としてはどうかと思いますが、これは全く内閣委員会の御方針でございまして、私のほうは、委員会の要請どおりにやっていきたい、かように考えております。
○前川旦君 防衛庁長官は、三月二十一日の参議院の予算委員会の第一分科会で、沖繩防衛問題の検討を事務当局に命じた。愛知外務大臣訪米の際にはその考え方を持っていくということを発言されておりますが、これから見て、沖繩防衛構想の基本的な方針というか、こまかいことは別ですけれども、考え方というのはもう当然決定なさっているというふうに思いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(有田喜一君) 沖繩の施政権が返還された後は、わが国土としての沖繩の防衛責任は、第一義的にはわが自衛隊が負うべきだと、こういう基本線は明らかになっておりますが、しかしいまから沖繩の交渉が始まるわけでございまして、沖繩に置かれる米軍の兵力の態様は、いまから相談してまいらなくちゃなりませんので、具体的にかくかくでございますということは、まだ言うべき段階には至っておりません。また、愛知外務大臣が渡米する前に、われわれと外務省の間にいろいろな話し合いをやったことは事実でございます。しかし外務大臣は、これを腹には持っていたと思いますけれども、何か書面か何かで持っていったというようなことは、私は聞いておりません。
○前川旦君 新聞の報ずるところによりますと、五月十七日ですか、には長官は外務大臣とお会いになって、基本構想をいろいろ述べられておられるわけです。その内容が各紙一斉に報道されておりますね。それから、その前にもかなり突っ込んだ具体的な記事がずいぶん出ております。私ちょっと切り抜きを持ってまいりましたが、これくらいの実は沖繩の防衛構想というもので出ているわけですね。全部、一々読み上げると時間がもったいないですからやりませんが、それを読みますと、たとえばかなり詳しく実は書いてあります。たとえば陸上自衛隊を一個師団派遣するとか、あるいはF4Eファントムを二個中隊出すとか、あるいは海上自衛隊についてはどうだとか、ずいぶん——これは観測記事と言われるかもしれないが、各新聞が一斉に実は書いておられます。そういう内容を突っ込んで検討されているのだろうと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほども言いますように、まだ具体的の数字で云々というところまでは進んでおらないのです。いまからアメリカと折衝をやるわけでございますから、各紙一斉にいろいろなことが書かれておるということは、私も新聞記事を読みましたが、それはおそらく記者諸君の推測記事じゃなかろうか、かような感じがいたします。
○前川旦君 これは一流の新聞の方が皆さん同じように書いていらっしゃいますから、事実と違う推測記事だということになると、たいへんこれは新聞社に対する侮辱にもなるし、まさかそういうことはあり得ないというふうに存じます。すでにそういう構想が検討されているということが表に出ているわけなんですから、一般的に国民の間にもずっと知れ渡っていますし、新聞にもこういうふうに大きく出ているのですから、やはりそういうことは検討したと、こういうことじゃないですか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言いますように、沖繩の施政権が返還されますと日本の国土となるわけでございますから、それで第一義的にわが自衛隊が防衛責任を負うべきだ、そういう前提に立ちまして、考え方としましては、陸上防衛につきましては、本土と同じように、間接侵略及び着・上陸進攻したときにはこれを排除する。あわせて沖繩の民生協力、こういうものにも役立つ防衛力、すなわち所要の作戦部隊、施設部隊等を置かなくちゃならぬ。また、海上防衛につきましては、沖繩周辺海域の哨戒、港湾防備あるいは掃海等を行なうほか、南西航路の安全確保に必要な防衛力、すなわち護衛隊、掃海隊、あるいは固定翼対潜機等、そういうふうなものを備えなくちゃならぬ。また、防空につきましては、沖繩の防空に必要な要撃能力、すなわち所要の要撃戦闘機部隊、あるいは防空警戒管制部隊、こういうものをそれぞれ整備しなくちゃならぬ。こういったような基本的なことは考えておるのですよ。 しかし、いまから折衝が始まりまして、具体的にこれは一個師団の混成部隊を置くとか、それは何大隊置くのだとか、そういう具体的なことは、外務省とわれわれの間の話でもそれは出ていないので、それは新聞を侮辱するわけでもなんでもありません。全くこれは推測でありまして、したがって新聞では、陸上は一個師団を置くということも書かれておるし、あるところではもっと小さいと書かれているところもあるし、それは全く推測でありまして、私のほうは、いま申しました基本的な方針で折衝の上で、具体的にいよいよ沖繩に残される兵力はこうなんだということに即しまして、いまから具体的にどうするかということをきめていきたい、かように考えております。
○前川旦君 私はくどくなるようですから一つだけ。いま防衛庁長官は推測だとおっしゃいますけれども、やはり新聞記者の方々が記事を書くには、それぞれ政府のほうなり皆さんのほうの話を聞いて、それを記事にされておるわけでしょう。ですから内部でそういうふうなかなり突っ込んだ検討がなされておるはずなんです。これから具体的なことをやるということでなくて、いま防衛庁長官の言われましたことは、五月十七日に外務省で外務大臣と打ち合わせをされたあと新聞へ発表されたことが、いまのような文章になったのだと思います。ですから十七日の翌日の各新聞に、いま長官が言われたようなことが書いてあるのだと思いますが、その前後に非常に詳しく書いてあります。これは普通の新聞だけじゃありません。たとえば私のところには一週間に一ぺん、内閣広報室という帯封で新聞を送っていただいております。これはおそらく政府のPR紙ですね、「今週の日本」は。「今週の日本」は株式会社今週の日本ですから、政府と違うとおっしゃるかもしれませんけれども、予算を組んで買い上げて、内閣の広報室からPR文書として送っていただいておりますが、それにはもっと突っ込んだことが書いてあるのです。 ちょっと最近のを見てみましても、たとえば三月十七日にはもっと詳しいことが書いてあります。普通料三、四個連隊、これは陸上の場合ですね、特科連隊とが戦車まで入っております。戦車、通信各一個大隊とか、あるいは「ミサイル・ホーク、ヘリコプター、舟艇などを加えた″混成部隊″一個師団」というふうに詳しく出ております。海上自衛隊、航空自衛隊、全部書いてあります。御丁寧にもその次に出ましたやはり「今週の日本」には、ここに写真がありますが、これは五月十二日の「今週の日本」の記事ですが、沖繩に派遣されることになった戦車という非常に勇ましい堂々たる戦車の写真まで載っております。「沖繩防衛に派遣される自衛隊戦車部隊」と、こう書いてあります。これは国が予算を立てて国のPR紙として買い上げて配布されておるところでも、こういうふうにちゃんと出ておるわけですから、これからこまかいことを検討するということでなくて——それは内局ではそうかもしれませんけれども、それ以前に、たとえば制服なら制服のほうでやはりかなり突っ込んだものが検討されていたというふうに思います。それは当然ですよ。別にそのことを私は非難しておるのじゃないのですよ。誤解しないでもらいたいのですが、それはそういうことを検討するのは当然の仕事ですからやらなければならないと思いますが、実際そういうふうなこまかい数字までも検討されておると思いますが、そこまでしておるとおっしゃってください。
○国務大臣(有田喜一君) 沖繩の問題は非常に大事な問題です。先ほども言いましたように、第一義的には返還後は自衛隊が責任を持たなければならぬ、こういうことでありますから、私は細部はいまから交渉に入るのだけれども、検討はしておかなければならぬということで検討は命じております。しかし、いま検討の途上でありまして、その片りんが新聞にちょっと書かれておるのかもしれませんけれども、先ほど言いましたように、具体的にはいまから交渉が始まるのでございますから、いま私は、防衛庁としては沖繩にこういう部隊をこういうふうに置きますというようなところまではいっていない、ただ研究の途上にある、こういうことでございます。
○前川旦君 私は初めから実は防衛庁長官、そういうふうに言ってほしかったのです。やはり国の安全保障というものは大事な問題ですから……。参議院は衆議院とちょっと違いますので、もっとやはりざっくばらんな対話が実はほしいというふうに私は思いましたので、初めから実はそういうことを言ってもらいたかったのです。おわかりですね。 そこで、一つは防衛の肩がわりをするということになるのでしょうが、先ほど言われた第一義的ということばですね、これは六月十九日の衆議院の受田さんの質問に対しての長官の答弁の中で私どもは初めて聞いたように思います。今度の国会では第一義的ということば——具体的に第一義的ということはどういうことをさしていますか。
○国務大臣(有田喜一君) これは衆議院の受田君の質問に答えたことじゃなくて、おそらく衆参とも予算委員会におきましてもこういうことばを使っておるはずでございます。私の考え方といたしましては、ちょうど沖繩が返りますと、日本の本土と同じように日本の国土となるわけでございますから、その沖繩自体を守る防衛ですね、何といいますか、直接防衛といいますか、そういうものは自衛隊が責任を持たなければならぬ。しかし沖繩は、御承知のとおり極東の平和と安全をはかるための総合的な戦争抑止力としての機能を持っております。そういうようなものは、日本の自衛隊としてはこれを引き継ぐわけにはいかない。まあ、ことばをもっとかえて言えば、相手の国の攻撃に対する報復力といいますか、まあ俗なことばで言えば、やりとか俗に言われますが、そういうふうな報復力とか、あるいはもしも、極東の安全のために自由陣営のほうを支援していかなくちゃならない面もございますね。そういうことは、自衛隊は御承知のとおり憲法でいろいろな制約がございますから、そういうことはできない。しかし沖繩自体を守る、それは自衛隊が責任を持ってやる、こういうので、第一義的には自衛隊が沖繩を守る責任を持つ、こういうことを言っているわけです。
○前川旦君 そういたしますと、いま沖繩の基地が果たしている役割りの中で、米軍の立場でいえば極東の平和ということばを使っておりますが、極東の平和と安全に寄与するという形の、そういう役割りについては、これは自衛隊は肩がわりしないというふうに聞きましたが、そのとおりだと思います。それじゃ、沖繩を守るというんですが、純粋に、純防衛、守るといっても、これは御承知のように最近の武器の発達等で、防衛用の武器、攻撃用の武器というものはなかなか区別がつきがたいものがあります。攻撃は最大の防御という考え方は、日本は昔から伝統的に戦前はあったわけですね。この際沖繩を守るのだといっても、これは日本の国土でいままでやったと同じように、これはあくまでも純粋に防衛だけを考えてみても、これはやっぱりたての部分だけなんだと、こういうことなんでしょうか。
○国務大臣(有田喜一君) これはちょうどいま現在日本の本土といいますか、現在やっていると同じ姿に沖繩が返還されると移っていくわけでございますが、さようなことで、日本がやっていると同じように、いわゆるたてといいますか、そういう面をになっていると、こういうことでございます。
○前川旦君 それでは沖繩の防衛の基本的な考え方は、まあ沖繩に対して本土ということは、この本土のいわゆる一つの県、地方自治体、県並みの防衛なのか、もっと密度の濃い、あるいは縮小版日本本土といいますか、もっと密度の濃い、バランスのとれた形での沖繩県になりましょうかね、沖繩県の防衛というふうに考えていらっしゃるんでしょうか。普通の、私は香川県ですが、香川県とか愛媛県とかというような、薄いというと少しことばが悪いかもしれませんけれども、それはどうなんでしょう。
○国務大臣(有田喜一君) 沖繩も返還されれば一つの県となるでしょうね。面積は決して大きくありません。しかし、やっぱり沖繩の重要地域、ことにたくさんの島の列島でございますから、たとえば海上防衛でいえば、やはりその海岸線といいますか、海上交通の安全なり、その島々を守る体制もとっていかなければならぬ。したがいまして、土地の面積に比べますれば相当広域といいますか、そういうことになるんじゃないか。ことに陸上にしましても、あそこは非常に台風の多いところでございます。沖繩が返還されたら、やはり災害派遣というようなことも、やはり自衛隊としては迅速果敢にやって、沖繩の県民の期待にこたえなければならぬ、こういうような特徴がありますから、性格といいますか、性格的には、内地といいますか、本土と同じでございますが、そこにやはり沖繩の特徴ということを考えながら防衛の整備をやっていかなければならぬ、かように考えております。
○前川旦君 そうしますと、これは六月十三日の衆議院で木原委員の質問に対して宍戸さんがかなり突っ込んで答えられているようですが、本土全体の縮小版といったことばが適当かどうかわかりませんが、単なる一県ということじゃなくて、やはりかなりの密度の高いミニ版、縮小版と理解していいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(宍戸基男君) やはり先ほど長官からお答えのように、地理的な特性ということを考慮いたしまして、いろいろな防衛上の配置を考えなければいかぬというようなことを考えております。したがいまして、ごく簡単なことばで申し上げますと、本土のいわば縮小版というほうが当たるのではないかという感じを持っております。
○前川旦君 それでは沖繩の米軍の果たしている役割りのうちの純粋に沖繩を守る、つまりたての部分を順次肩がわりしていくというようになると思うのですが、そのためには、それを検討するには、当然あそこにいる米軍の軍事的機能というものをかなり的確に把握していなければいけないと思いますが、いまある米軍の機能のうち、どの部分が純粋に沖繩だけのたての部分を果たしているのか、どの部分を肩がわりするかというためには、どれがいま果たしているのかということをやっぱり的確につかまなくちゃいけないと思います。その辺どういうように理解していらっしゃいますか。できれば詳細に、つかんでいらっしゃる限りを、国家の機密ということになると困ると思いますが、言える範囲でできる限り具体的に聞かしてもらいたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 機能的といいますか、性格的には、さっき言うように観念的には割り切っておるわけでございますが、現実問題としては、そこにいろいろ問題があるわけです。たとえば向こうにナイキがある、あるいはホークがある、あるいはレーダーサイトでも防空管制組織があると思うわけですね。そういうようなものが、いまから折衝の段階できまるわけでございまして、そういうことにつきまして、具体的にいまあそこの基地の態様によって非常に変わるわけでございます。これから折衝を始めまして、また実を言うと、向こうの基地のどういうものがあるかということも、公刊されておる資料なんかによってわれわれはいろいろ推測したりしておりますけれども、まだ正式に、いままでの日本の国土じゃないために、正式に沖繩の基地を一つ一つ点検してこうするというところまでいっていないのですね。そこに今後の交渉なり、沖繩をいろいろ視察して、両国で相談し合うという面が出てくるわけです。 大体そういうことでありまして、詳細につきましては防衛局長のほうから説明いたさせたいと思います。
○政府委員(宍戸基男君) 前得が、いま長官のお答えのように、まだわが本土になっているわけではもちろんございませんし、詳しい資料がなかなか入手できない状況でもございますが、いろいろな資料から推測いたしまして、現在果たしている役割りといいますか、軍事的な機能を一応分けてみますと、先生もよく御存じと思いますけれども、一つは核抑止機能、これが代表的だと思います。これはメースBを中心としていると思いますが、これはまずわがほうが肩がわりするということは全くございません。それから戦術的に攻撃機能というものを持っておると思います、F105を中心にいたしまして。これもわがほうが肩がわりするという筋合いのものでないというふうに考えられます。それから極東の平和と安全のためにいろいろな機能を果たしておりますが、特に太平洋軍の地上の機動部隊の待機基地というふうな機能も果たしていると思います。これは事があれば東なり西なり、南なりに、いつでも飛んでいけるというふうな機能でございますが、こういったこともわがほうが肩がわりする筋合いのものでもないというふうに思われます。で、わがほうに縁がない機能の代表的なものがいま申し上げたようなことであろうかと思います。あるいはもう一つ、全般的な補給機能と、現在ベトナムで戦われている戦いについてのいろんな補給をやっているようでございますが、こういった極東全般の補給、支援というような機能も支援機能として重要視されておりますが、これもわがほうが肩がわりすることはできない、こう思われます。 で、できないほうを先に申し上げたわけですが、逆にそういう大事な機能を持っておる基地について、それを防衛する機能というのも当然付随しているわけでございます。その代表的なものが防空機能、あるいはそれに付随するいろんな哨戒機能と、偵察機能というようなものもあろうかと思いますが、主として代表的なものはやはり防空機能であろうと思います。これはわが本土におきましてわが自衛隊が、主として航空自衛隊が防空機能を果たしているわけでございまして、これが直ちに、いつの時点で肩がわりするかどうかということは今後の問題、具体的な交渉の問題になろうかと思いますが、理念だけで、あるいは筋だけで申し上げれば、わがほうが、沖繩が返ってくれば沖繩の防空に任ずるたてまえであってしかるべきである。あるいは共同でそれはやってもよろしいんでございましょうけれども、いわばちょうど本土のかっこうが縮刷版にできると申し上げたのは、主としてそういうことを頭に置いて申し上げたわけでございます。 あるいはもっと具体的に申し上げますと、その防空機能を果たすためには、レーダーサイトが必要でございます。それから対空ミサイルとしてナイキ、ホーク等のミサイルが必要でございます。現に、御承知のように、本土では自衛隊がそういうことをいたしております。現在沖繩では米軍が維持しております。こういうことは将来のことを考えますと、自衛隊がそれを維持する能力はあるし、機能上も憲法上も問題ない、わがほうがやり得る機能であるというふうなことが言えるんではないかと思います。さらに、あるいは対潜哨戒、港湾等の哨戒、こういったこともわがほうがやり得る機能であろうと思います。さらに直接的な陸上防衛、返ってまいりましたあとには災害派遣とか治安警備とか、あるいは領空侵犯とか、こういったことはむしろ米軍はやる立場にないわけで、わがほうが当然やると、これはわがほうが第一次的にやるというふうなことが考えられます。ざっと申し上げますとそんなことが言えるんではないかと思います。
○前川旦君 かなり詳しくなりましたが、基本的な考え方として、愛知外務大臣はアメリカから帰られて国会に報告をされましたが、その中に、返還後の米軍の基地の機能をそこなわないために十分な配慮が必要である、こういう報告を衆参でされております。やはり返還後の米軍の機能を低下せない、そこなわせないということが考え方の基本になるわけでしょうか、防衛の面だけでいいんですけれどもね。
○国務大臣(有田喜一君) これはまあ比較的の問題でございますが、外務大臣もアメリカとの交渉におきまして核抜きということを言っておりますね。核抜きという、核があるならば——なくなると、沖繩でなくなるとその機能は落ちるんじゃないか、これは純軍事的に言えばそのとおりなんです。しかし、外務大臣の申しておりますのは、沖繩が大事なところであるのでして、日本並びに極東の安全のために、まあ非常に重要な役割りを果たしておるから、できる限りその機能を減殺しないようにと、こういう考えから言っておるものと私は推察しておるのですが、したがいまして、先ほど言いましたような沖繩のいま果たしている機能の中には、沖繩自体の防衛もございますが、極東の安全をはかるためという機能を相当持っておりますから、その機能は、日本に返りましても、いま直ちにアメリカに撤退してもらうというような意図ではなく、やはり米軍がその機能を、核は別としまして、そういうような極東の安全をはかるための機能は残していかねばならぬ、こういう意味合いのことを外務大臣は言っておるものと、こう私は推察しておるわけであります。
○前川旦君 先ほど宍戸さん、だいぶ詳しくおっしゃいましたから、ちょっとこれお伺いしたいのですが、それでは、たとえばこの防空が一番、まあ肩がわりというとですね、防空の任に任じているたとえば飛行機、迎撃戦闘機ですか、これは沖繩の場合はF102の二個中隊というふうに新聞に出ておりますが、大体これで間違いないでしょうか。大体これまあ詳しい正確なことはともかく、大体この程度と判断してよろしゅうございますか。
○政府委員(宍戸基男君) 御指摘のように、防空専門の、まあいわば要撃機としてF102がおるようでございまして、われわれが手にしております公刊の資料では、一個スコードロン約二十機程度ではないかというふうにいわれております。正確なことはなかなかわかりませんし、また変動もあり得ると思いますが、一応私が承知しておりますのはそんな数字でございます。
○前川旦君 そういたしますと、これの肩がわりを順次やっていく、一ぺんにはともかく、順次やっていくということでしょうが、行く行くはこれ肩がわりするということになりますと、あのまたF4ファントムをこれは持っていくということになると思いますね。そのとおり考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、現在F4EJですね、この百四機について、予算のときにも御審議を願ったのですが、この整備は、沖繩ということを全然考えずに、いままでの本土に対する防衛という点からこういう計画を立てたわけであります。したがいまして、沖繩が返還されましたその暁には、やはり沖繩にふさわしいだけのF4Eもこれは追加して、そうしていかなくちゃならぬと、かようにいま考えております。
○前川旦君 このファントムは生産が百四機ということできまっておると思いますが、この百四機の中から沖繩へ出すということでしょうか。それともこれどうしても本土で要ると、追加生産だということになりますか。その辺のお考えはどうですか。
○国務大臣(有田喜一君) やはり性質的には、先ほど言いましたように、百四機は本土だけのことを考えた計画でございますから、沖繩返還ということになれば追加生産と、こういうことにならざるを得ない。
○前川旦君 当然レーダーサイトの問題も出てくると思いますが、沖繩のレーダーサイトの性格というものは一体どういうものか、これは私どもよくわかりません。まあ日本のレーダーサイトの場合は、これはまあ防空識別圏など設けられて、まあ純防衛的な運営をされているというふうに思います。沖繩の場合はやみの面もやはりこのレーダーサイトで管制をしているのじゃないかと思いますが、これはやはり引き継いでいくというふうに、むずかしい面があると思うのですが、そういう技術的なむずかしさはどういうふうにして克服しますか。
○政府委員(宍戸基男君) これも正確なことはなかなかわかりませんので、推測でございますけれども、常識的に言いまして、先生のおっしゃったやみの面をどうこうするということはあまりないのじゃないか。と言いますのは、やはり要撃機をコントロールするということもレーダーサイト、いわば日本で言いますと警戒管制団というのがコントロールしてやるわけですけれども、そういうところにおもな意味があるであろうと、で、かりに侵略者が来る場合に、それを早目に見つけて、そうして要撃をする要撃機なり、あるいはミサイルの組み合わせでそれをたたくという面にレーダーサイトのおもな機能がございます。現在わがほうの本土でやっておりますのはそういう機能でございます。おそらく沖繩でもそういうことであろうというふうに推測されます。かりに将来わがほうが引き継ぐといった場合も、そういう機能であるとすれば、本土と特別違いませんので、特別なトラブルは起きないのではないかという、もちろん向こうが、一〇二なら一〇二を当分置いておきたい、また置いておく必要があるということであれば、共同使用ということも考えられます。わがほうがファントムならファントムを賢くということであれば、サイトと合わした機能で置かなければ意味がございませんので、当然、どちらが主になるか、あるいは時期によって違うかもしれませんが、共同使用、あるいはわがほうが主として使用して、向こうが多少借りるというふうなことも将来あるかもしれませんが、いずれにしましても、要撃する、防空するという機能については、サイトはまず大事な機能を果たしますので、ちょうど本土でわれわれがやっていると同じようなことを、あそこで行なわなきゃならぬというふうな感じを持っております。
○前川旦君 沖繩の返還をめぐりまして、いろいろな施設の買い取りがどうのこうのということが論議されたことがありましたね、有償で買い取るとか、返還に関して。これはどうでしょうか。たとえばいまのレーダーサイトとか、土地は別ですよ、いろいろな施設をこれは使うことになりますね、日本の自衛隊が、返還後は。その施設については有償でこれを買い取るという考え方なんでしょうか。その辺は検討されていますか。
○国務大臣(有田喜一君) まだそういう段階には入ってないのですよ。したがいまして、これからの折衝によって始まると思いますが、非公式にでもそういうようなことは、私のほうはまだ聞いておりません。
○前川旦君 防空ですから、ここにあるナイキハーキュリーズは当然、順次日本が肩がわりしていくという対象になりますね。その場合には、いま核があるとかいわれています。私は見たわけじゃありませんけれども、これは常識ですね。核、非核両用があるというふうに観測されておりますが、これは当然ナイキJに置きかえられるものであろうと思いますが、そのとおりでしょうか。
○国務大臣(有田喜一君) いまの政府の態度としては、核抜きということで交渉を始めておるわけであります。したがいまして、政府の主張どおりの結果になれば、もちろん核はないもの、その上に立って引き継ぐ、こういうことになります。
○前川旦君 そこで問題になるのですが、この核つきのハーキュリーズと非核のナイキJと、防空上の性能というには、核のあるなしですから、ずいぶん違うと思いますね。そこでまず第一点は、普通これは軍事科学上考えて、核つきのハーキュリーズと核のないナイキJとの要撃能力といいますか、防御能力といいますか、どの程度の差があるのか、これが一つです。 二つ目は、いま推測されておりますのは、ナイキハーキュリーズの九十六ランチャーと推測されておりますが、これは大体常識だろうと思います。かりにもし一台の機能が、核つきから核抜きになることで三分の一になるとすれば、機能を落とさないとすれば、三倍の何というか、配置をしなきゃいかぬということに算術上なると思います。九十六ランチャーというと、日本本土にあるのと大体匹敵すると思いますが、それの三倍も四倍もということになると、沖繩じゅうナイキだらけだということになりますね、同じ威力を持たそうとすると。その辺は一体どういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(宍戸基男君) 最初のお尋ねの性能の点でございますけれども、これは核にしろ非核にしろ、その飛行機の性能そのものですから、非常に各国とも機密の度合いが高くて、なかなか正確にはわかりかねる。特に核の問題についてはわかりかねる点が多いわけですが、その前提でごく常識的な、われわれのいわば常識的な推測を申し上げるわけでございますけれども、核弾頭の場合は、非核の場合に比較しまして、大体十倍から二十倍くらいは違うのではないかというふうにいわれているようでございます。まあごく常識的にいいますと、通常のナイキ、非核のナイキであれは、これは昔の高射砲と違ってほとんど百発百中ではございますけれども、爆撃機が一つ来るのに対して一つ撃って有効であるということに対して、核であれば、編隊で来たのを一挙にやって撃滅するという程度の差があるのではないかというふうに推測されます。先生のおっしゃった数字で三倍というふうなことになるかどうか、ちょっと私も正確な自信ある数字を持っているわけではございませんけれども、ごく常識的な差を申し上げると、いま言ったようなことが言えるのではないかという感じがいたします。それから後段のお尋ねの、現在二個大隊、九十六ランチャーあるというものを——公刊資料では確かに出ております。三倍にしろ、あるいはさっき申し上げたような差があるにしろ、それをかりに肩がわりする場合には、現在の核が、かりに核があるとして、それを非核にすると非常に低下するから、その低下する分だけ倍数をかけなくちゃいかぬのじゃないかというお尋ねの趣旨のように感じられましたけれども、われわれがかりに肩がわりする場合も、そういうふうに一つ一つの武器を取り上げて、三分の一だから逆に三倍にしなければいかぬ、こういうふうな計算をする必要は必ずしもないのじゃないか。やはり沖繩全般、本土全般というようなものを考えまして、バランスのとれた防空能力を持てばよろしい、また、もちろん積極的、効率的なことも考えなければいけませんけれども、同時に本土全般を含めての全般のバランスのとれた能力を維持すべきであろうというふうに、まあばく然としたあれでございますけれども、現在では考えております。三分の一になるから三倍しなければいかぬ、具体的に一つ一つそうする、そういう計算は必ずしもする必要はないのじゃないかというふうに感じております。
○前川旦君 そうしますと、基地の機能をそこなわないための十分な配慮が必要ということは、この機能の中には防空能力も入っていると思いますが、算術的にいうと、やはり核から核抜きの防空になると能力が落ちるわけですね。落ちても実際に防衛できるということであれば、数字的には、能力的には落ちても、現実の問題として防衛に十分であるとすれば、それはもう機能が落ちたとはいえぬという考え方ですか。
○政府委員(宍戸基男君) その辺なかなかむずかしいことだと思いますけれども、数字を一つ一つの武器で算術的に計算をする必要は必ずしもないのじゃないか。やはりいまの論議では、軍事のことがおもでございましょうけれども、軍事的な展開なりをする場合のことを考えましても、いろいろな社会的な基盤、政治的な基盤、そういったものをあわせて考える、あるいは本土全体のことをあわせて考えて、機能が十分に発揮できるかどうかというようなこともあわせて考えるという立場も必要ではないだろうかというふうに感じております。
○北村暢君 関連して。きょうは外務大臣見えておりませんから、この問題は外務大臣が見えて聞かなければならないだろうと思うのですが、いまの前川君の質問の前提において、外務大臣が、沖繩の返還後における機能をそこなわないために十分な配慮が必要である——このことの前提が狂ってくるというと、沖繩の重要度というものが変わってまいりますので、防衛の構想も変わってくる、こういう問題だと思うのですがね。そこでこれは、核抜きということがいま長官言われましたから、核抜きということになればメースBの問題が出てくる。メースBがあるとないとで、沖繩の基地の能力というものは、性格というものは非常に変わってしまうわけですね。また、B52の撤去の要求が出ていますわね。B52の撤去されたとされない場合とでは、沖繩の基地の性格も変わってしまうと思いますね。そういう点からいって、先ほど大臣は、外務大臣はまさしく本会議でそういうことを報告しておりますということなんですが、一体この前提が、外務大臣は本会議で、基地の機能をそこなわない十分な配慮をするのだということは、現状におけるアメリカの基地、この性能と関連してくるのですがね。そういう点からいって、これはどういう気持ちでこういう報告をしているのか。あなたと外務大臣は、外務大臣が訪米する際に、沖繩の防衛構想について打ち合わせがなされて行っているはずだ。そういう面からいって、前川さんの質問の前提が狂ってくるというと、これは非常におかしくなるので、論議していっても無意味な論議になってしまう。そこら辺のところの外務大臣との打ち合わせ、これは私、外務大臣見えてからこの問題やらなければならないと思っておりますが、その打ち合わせは一体どういうふうになっているのか。核抜きを主張するからにおいては、非常に沖繩の基地の性格というものは変わると思いますからね。そういう点において、核抜きの場合における沖繩の防衛構想というものを前提にしていけば本土並みですわね。そうすれば、いま防衛局長の言っているような、本土並みのバランスのとれた、本土とのバランスのとれた考え方でいいということになる。そこら辺のところの整理がどういうふうにされているのか、大臣からお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほども言いましたように、沖繩のいま果たしている機能は、いわゆる沖繩自体を守るというほかに、極東の安全のためにいわゆる抑止力、大きな力を持っている、これは事実でございますね。そこで外務大臣も、先ほど私が答弁したように、かりにメースBが沖繩からなくなったとしても、メースBは私は準戦略核という、完全な戦略核といえないかもしれませんが、ある一定の射程距離がありますから、準戦略核ということばを便宜使ったことがあるのでございますが、御承知のとおり、アメリカには太平洋にポラリス潜水艦もあるし、またグアムを中心にしたB52というものがある。必ずしも一つ一つの兵器によってこうだというのではなくて、沖繩並びにその周辺の一つの力といいますか、軍事力といいますか、そういうものが総合されて極東の安全を果たす機能を持つわけでございますから、物理的に言えば、一個一個見れば、これだけのものが減殺されるのじゃないかというのですが、それを補う他の面があれば、総合的判断の上に立っていくならば、沖繩のいま果たしている機能というものはそう減殺することはない。そういうつもりで核抜きということを言いながら、沖繩の機能を減殺させないようにその配慮が必要だ。こういうとを外務大臣が言っておるのだと思います。 私も外務大臣といろいろ話をしたときには、そういう機能というものは、何も、一つ一つの兵器がこれによって総合した力というものが発揮できるのだから、だから必ずしもナイキハーキュリーズが、核がなくなったからそれだけ減殺する、それならばどうするかという一事だけでなく、やはり総合力からいって、それを発揮すればいいのじゃないか、こういう私も気持ちを持っているわけです。したがいまして、先ほども、沖繩におけるアメリカの機能のうちの、いわゆる極東の安全のために持っているその機能というものは、日本に返還してもすぐにアメリカに返すということではなくて、やはりそういうものは、核の問題は別として、そういうものはやはり依然として残す必要があるのじゃないか、こういうことでございまして、大体おわかりくださったと思いますが、考え方はそういうことでございます。
○北村暢君 ちょっともう一つ。どうも端的に、沖繩からメースBなりB52が撤去されるというと、沖繩の基地そのものの性格がだいぶ変わってまいりますね。これはしかし、アメリカの極東戦略としてのいわゆるポラリス潜水艦なり何なりの総合的なものにおいては、基地の性格といいますか、沖繩でのいままで果たしていた役割りというものが、現実にメースBなりB52なり撤去された場合に、それだけ沖繩自身の基地の性格というものが低下するということは、性能が低下するということは、これはだれが何と言っても現実の事実ですわね。しかし、第七艦隊なり何なりの総合的においては、沖繩に核を持たないとしても、総合的には低下しないのだから、そういう意味においてはこの基地の機能というものについては配慮されているのだ、こういうような説明のように伺われるのですけれども、それは答弁のための答弁のようにしか私には受け取れない。これは明らかに核抜きになるのか、それとも有事駐留式に、自由使用的に、核はないけれども、また有事の場合に持ってくるというならば別ですよ。明らかにこれは、基地の機能をそこなわないようにして核抜きということはあり得ないのじゃないかと、私はそう思うのですけれども、それならばそのような防衛体制というものが考えられるべきであって、どうも大臣のおっしゃられるところは、肝心のところをぼかしているように私は思うのです。そこら辺のところははっきりしたらいいじゃないですか。 これからあなた方核抜きということで折衝するのでしょう。核を持ったものと核なしとでは、それはあなた、いま防衛局長の説明したように、ナイキハーキューリーズ一つにしたって、もう十分の一か何かの能力に下がってしまうのですからね、はっきり。そうして本土並みと同じようなバランスのとれた防衛をやるといえば、現状よりも十分の一か百分の一の能力しかなくなってしまいます。はっきりしているでしょう。それでアメリカさんのほうは、基地の機能は十分そこなわないようにしてなんといって、理解するのかしないのか。そういうことであなた対米折衝をやる場合に、自信おありになるのかどうか。どうも総合的に、アメリカさんまかせのようなことを言ってもだめです。そこら辺はっきりして、やはり沖繩の基地というのは、核があるかないかによって非常に変わってしまうんです。核があるということを認めて、アメリカの極東戦略に影響ないというふうに判断をして、向こうが受けるか受けないかの問題なんですから、そういう点について、相手まかせのようなことではいかぬですよ。あなた方折衝しなきゃならないんですからね。そこの点はっきりしてください。
○国務大臣(有田喜一君) 私は、きわめてはっきりしておると、そう思うんですが、核というものは、要するにこれは抑止力ですからね。そう核をやたらに抜くものではない。大きな戦略としての抑止力は、いまのポラリスなどを中心とするB52、沖繩におけるB52は御承知のとおり核はないんでございますけれども、核つきのB52がございます。それは完全に抑止力として果たされている。かように思いまして、隠しも何もいたしません。いまの段階としては、政府としては、核抜きで、そして極東の安全が十分できると、こういう前提です。ただ、防衛というものなり、そういうものは総体的な問題ですから、それは算術的に言えば、それだけのものがマイナスになると、こういうそろばんも出るかもしれませんが、やはり一つだけで見るんじゃなくて、総合的に見て、それで抑止力が発揮できれば、それで事足りるんではないか。同時に、私は常に言うんですが、国防なり防衛なりというものは、やはり国民の深い理解と納得の上に立ってやるべきものだと思うんです。したがいまして、日本におかれた特別の国民感情というものを無視するわけにもいかない。ここに政府といたしましては、核抜きということを前提として交渉を進めておるわけでございます。並びに極東の安全が守られるということになれば、私は核抜きでいけるものだ、こういう判断の上に立っております。
○前川旦君 核抜きで交渉されるということについては、私ども核抜きということを実際とった場合に大賛成ですが、そこで問題は、戦略核はポラリス潜水鑑なりグアム島からもできるから、基地の代替があるから、説得できると思うんですが、一番困るのは戦術核だと思うんです。ナイキの場合は戦術核ですね、明らかに。非核になると防空力が落ちるということは、これはだれが見てもはっきりしていることでしょう。これの説得と対応を一体どうなさるのか、これが一番むずかしいところだと思うんですよね。ですから、あえて伺っているわけです。そして、私はことばじりをつかまえるというんじゃないんですよ。一つ一つの兵器の性能で低下したからその倍だという算術計算にはならないということなんですが、それはそのとおりだと思いますが、いま九十六ランチャーの核、非核のナイキハーキュリーズを配置しているということは、アメリカの総合戦力として、沖繩の総合防空力としてそれだけのものが要るんだという、コンピューターがやっている、予算全部あの方式でやって割り出した数字だと思うんですよ、トータルとしても。ですから、個々はともかくとして、トータルとしての防空力を落とさないということになると、やはり、これに見合う非核にもずいぶん膨大なものが要るんじゃないか。その辺を一体どういうように処理するのかというのが非常に大きな問題ではないかと思うんですね。ですから、そこのところをもう少し的確に考えを述べていただきたいというふうに実は思うんです。
○国務大臣(有田喜一君) 沖繩自体に進攻が起こらないように、あそこにナイキハーキュリーズがあることも、敵があそこへ攻めてくると、こういう前提に立っておるわけですね。ところが、さっき言いましたように、沖繩戦略核というものがあって、抑止力となって働く場合に、沖繩へ攻めてこさせないようにすることが大事だと思います。したがいまして、私はそう簡単に沖繩に進攻があるとも考えない。しかし、十分な備えをしなければならないが、これも一〇〇%の場合と八〇%の場合がございましょう。しかし、八〇%でも十分守れるということになれば、さっき言いましたように、国民感情を無視してまでやらなくてもいいんじゃないか。 なお、戦術核の話がございましたが、もう一つ小さい、何といいますか、戦場核というものがございますね。沖繩にいまたとえばリトルジョンというものがあります。こういうものは、これも資料では明らかではありませんけれども、巷間伝えられるところによると、これは最近なくなっておりますね。これはどこへ移動しているか知りませんが、韓国だってやはり必要になればそういうものは移動できるわけであります。そういうようなものをやはり総合して、私は極東の安全並びに日本の安全が守れるかどうか、その判断の上に立ってどうすべきかということをきめるべきだと思いまして、われわれとしてはその総合判断の上に立ってやろう。こういうことでいま交渉を始めているわけでありまして、大体御理解できるのではないかと思いますが、沖繩でマイナスがあるからプラスをどこに持ってくるのかということは、算術的に考えるとおっしゃるとおりでありますが、総合的に見たときに、これで極東の安全が守れるということになれば、これはこれでいままで持っていた沖繩の機能は果たされているのじゃないか、こういう見解の上に立って私たちは交渉を始めるつもりであります。
○前川旦君 そこのところが実はよくわからないわけですよ。いまの説明を伺っても、それはそうだ、なるほどそうだとうなずけるだけの説明のように、実は長官はそうお思いかもしれないが、お聞きしているほうはそう思えないわけです。いまの戦略核の抑止力が働いている、グアムも働いている、ポラリスもあるし、いろいろある。そういう戦略核の核のかさというものがあって、なおかつ防空用のナイキハーキュリーズが配置されたということは、余分なものを置いているはずがない、あそこも。アメリカもドル防衛で非常にシビアですから、いろいろ科学的に考えて、これだけ防空上要るのだというふうに計算上出した結果だと思うのですよ、どう考えても。だから戦略核のほうはカバーできるのですよ、この点をどう説得するのか。こういうようなことは、いまの長官のようにおっしゃっても困難だと思います。結局、ずばりと言えば、核抜きということであれば、地対空の長距離ミサイルといまのナイキハーキュリーズというようなものは、総合戦力、総合防空力というものは日本が担当する限りにおいては、現状よりも低下せざるを得ない、こういうことにならざるを得ないのでしょうか、どうでしょうか。そうして、たとえ低下しても、かりに対象国——米軍ははっきり仮想敵国を使いますけれども、相手の戦略という点から考えた場合には、あそこで空軍進攻能力があるのは大体一つしかない。その空軍進攻能力から考えて、現状より低下してもやれるのだという科学的なものが出なければ説得できないと思う、抽象的では。その辺を聞きたいわけです、ずばりと。
○国務大臣(有田喜一君) 私はさっきから言うのですが、前川さんわかってくださると私は思うのですが、やはりこれは総体的なものでありまして、いまから折衝をやるわけでございますが、わがほうとしては、たとえばさっきのナイキハーキュリーズの問題でも、核のないものでいこうということでございます。それが非常に不安だということで、核は抜くが、日本でやるのはこの程度だが、うちのほうはいままでどおりこれを残すというようなことになるかもしれません。これが今後の折衝の問題でありまして、やはり日本も沖繩の防衛については非常に大事だと考えております。またアメリカも同時に日本並びに極東の安全をはからなければならないという大きな責任を持っているということはもうはっきりしておりますから、そういう上に立って交渉を進めるわけでありますから、まあそう御心配のないような結果が出てくると。非常に心配をかけることは相すみませんが、私たちは、軍事上の非常なマイナス面によって、これは極東の安全を守れないということになると、やはりそういうことに対しては、私たちはむしろ積極的に進まなくちゃならぬけれども、そこらはお互いにちゃんと前提が、極東の安全をはかるという前提の上に立って相談するわけでございますから、そう御心配になるようなことはないだろう、こういう私は考え方の上に立って、外務大臣が折衝しておるんですが、そういうようなことを外務大臣も話しておると、こういうぐあいに考えております。
○前川旦君 それじゃ、違う観点から。沖繩にこれほどかたい——沖繩という狭いところに九十六からのメースB、ナイキハーキュリーズ、これはたいへんかたい防空ですね。これほどかたい防空をしておるということの前提は、沖繩に核基地がある、メースBあるいはF105の戦術核、それと関連があるからこれほど大きなミサイルを持っておるんだと。それを抜くということになると、それほど、少なくてもいい。その辺の因果関係、相関関係というのはあるんですか、どうなんですか。どうお考えですか。
○国務大臣(有田喜一君) メースBの問題は、前のマクナマラ国防長官が、昨年でございましたか、言いましたように、二、三年のうちに——二、三年の間は存置するということを申しておりました。それから先のことは何とも申しておりませんが、しかし、その裏を返せば、二、三年先にはこれはなくなるんじゃなかろうかという推測もできるわけですね。これが御承知のとおり、最初はメースBができたときには、太平洋におきましてもああいうポラリスなんかの整備が十分できてなかったときだから重要な役割りをなしておりましたが、いまのようなポラリスというようなものができて相当整備されておりますから、これはだんだん変わってくる。こういうようにいろいろと、戦備といいますか、その体制によって変わってきますから、だから、それにそうこだわる必要はない、かように思うんですが、要は総合して極東の安全が保たれればいい、こういうことでありまして、そういうことで私は臨んでおるんです。これはひとつ御協力を願いたい、かように思います。
○前川旦君 いま防衛庁長官おっしゃったけれども、なかなかぐるぐる回ってよくわからないんですよ。私は、沖繩が核抜きであってほしいと思っているんですよ。ほかにもまだありますが、核の問題だけ狭く考えてみた場合、核つきが望ましいなんということを言っているんじゃないですよ。核抜きだから、さっき言った、ちょっと助け舟みたいなかっこうで言っているんですよ。その辺のはっきりした考えを検討してもらいたいわけですよ。メースBがあり、あるいは105に乗せる戦術核兵器が貯蔵されている。つまり、沖繩は核基地である。しかも、非脆弱な基地じゃありません。きわめてもろい基地です。一発ぶち込まれたら吹っ飛んでしまうようなもろい基地です。であるがゆえに、核兵器を守るがために、こういった非常に分厚い、異常なほど分厚いハーキュリーズを配置しているのであろう。であれば、それを撤去するということになれば、これほどのものをしなくても、ナイキJでも、周囲の国の進攻能力を考えればやっていける、実質上は低下しないという説得ができるんじゃありませんかということを私は言いたいんです。それを防衛庁長官の口から聞きたくて私いろいろくどく言っているんですよ。それはどうなんです。
○国務大臣(有田喜一君) そういうことも考えられます。しかし、いまから折衝を始めるのでありまして、そういうことをわれわれは腹の中に持ちながら、もし軍実上の折衝が始まりますれば、私たちもそういうことも申すつもりでおりますが、まあいろんな、そればかりじゃない、いろんな要素が、腹の中にといいますか、お互いの中にもあるわけでございますから、要は今後の折衝によってわれわれの願望をかなえていきたいと、かように考えるわけであります。
○前川旦君 それでは、私がいま申し上げましたところを否定、反論なさいませんから、大体うなずかれたように思いますから、そういうふうに理解してまいります。 で、ここで、私はあとで質問しようと思いましたが、先ほどメースBの話がございましたので、ちょっとメースBの問題について質問しておきますが、実は六月十一日の東京新聞に、メースBが「最新鋭「メースC」に複式弾頭切り替え進む?」という見出しで、「沖繩の核基地無気味な動き」ということで、メースBがメースCにかわりつつあるのではないかと、こういう実は記事が出ております。そして現地でのかなり詳しい話がこれに出ておりますが、全部読むと時間がもったいないので読みませんが、要するにメースBの弾頭を擬似弾頭等に、おとり弾頭等につけかえたり、複式弾頭に装備の切りかえが急がれているのではないかと推測され、その証拠となるようなことがいろいろあるということが東京新聞に出ておりますが、そういう事実をキャッチしていらっしゃいますか、何かそういう情報入っていらっしゃいますか。
○政府委員(宍戸基男君) お話の新聞は私も見ました。が、お尋ねのメースBの改装、記事に出ましたようなメースBの改装、あるいはメースCと記事に出ておりましたが、そういう存在についてはわれわれ何も聞いておりません。そういう資料はわれわれの手に入る限りではございません。どういう根拠でああいう記事が出たのか、ちょっと理解に苦しむのでございまして、ヨーロッパなんかでも、メースAは退役し、メースBにいきまして、メースBがさらにパーシングというようなミサイルにかえられつつあるわけで、そういう資料はございますけれども、BからCへいく——AからBにいき、だから当然Cにいくんだというような記事が書いてありましたが、AからBにいったことは事実でございますけれども、Cにいくというふうなことは、われわれ聞いておりません。
○前川旦君 それでは、ちょっと古い記事になりますが、二月六日の朝日新聞に、ワシントン発でニューヨークタイムズの特約として入っている記事があります。これはどういうことが書いてあるかといいますと、米空軍は無人爆撃機を開発中、これができると、戦略爆撃に大変革だと書いてある。いままでのような有人機というものがだんだんなくなって、核ミサイルに置きかえられていくという、そういう流れだというふうに常識的に考えておりましたが、ところがそうではなくて、亜音速巡航武装おとり——SCADというらしいんですが、新兵器体系で、これはマッハ以下に核弾頭をつけて、みずからも攻撃をするけれども、同時にそれがおとりになるのだ、それを飛行機の腹にくっつけて、ずいぶんだくさんの数を流して、レーダーを撹乱させるのだ、これができると、がらっと戦略爆撃に大変革が起こるという記事がニューヨークタイムズ特約として出ておりますね。これを読むと、メースBからメースCの転換、核弾頭おとり転換というのを読みますと、いかにも関連があるのじゃないかということが推測されるのです。となると、このメースBは旧式で、もう抑止力としての力はなくなった、二、三年内に撤去するというマクナマラの発言は、翌年の議会の証言では消えましたね。撤去するということは消えたわけです。前の年には撤去すると言ったが、翌年には撤去すると言わなくなった。そのことと関連して、従来のように安易にメースBを考えることができないのではないかと考えますが、その点いかがですか。
○政府委員(宍戸基男君) SCAD——スカッドというおとりミサイルと申しますか、これがB52というような大きい爆撃機に乗っけられて、それから発射されるというふうなものを開発するというような記事が出ておりました。私も承知しておりますけれども、それと先ほどの沖繩のメースCという記事と必ずしも関連があるかどうか疑問に思います。マクナマラ前国防長官の発言につきましては、先ほど長官のお答えのように、去年の一月でしたかに、あと二、三年は存置する、それ以後のことは言ってない。ことしの国防長官、まだニクソン政権になる直前のクリフォード長官のステートメントがありましたけれども、そのときにはメースBについては一切触れてないというのが現実でございます。で、とおり、先ほど申し上げましたSCADについてのとおりと、おとり的なものを開発するということと、沖繩のメースBないしはメースCという記事との直接の関連は、どうも疑問に思います。
○前川旦君 それは厳密に言えば、資料がないんですから、直接関連があるかどうかというのは、それはまたわかりませんね。しかし、こういうふうな記事がたくさん出ているのを総合的に判断するのは諜報活動で、皆さん方そういう諜報活動の場合やられるんでしょう、いろんなあれですから、こまかい破片から総合的なもの。そういうことを考えていくと、いろんなことを総合していくと、メースBというものに新たな任務が与えられてきているんではないだろうか。これは決してなまやさしいものじゃなさそうだ、いままでの旧式なものでなくなるんだと。マクナマラ発言ですか、その証言の推移も、うしろにさがっていっているようですし、その辺の判断はどうされているんですかということを実は伺いたかったんです。まだ全然検討していらっしゃらないのか、検討しているけれどもちょっと言えないのかですね、沖繩交渉の核抜きに与える影響というものについてどうなんですか、どういうお考えですか、それをちょっと聞きたかったんです。
○政府委員(宍戸基男君) マクナマラ前々長官とクリフォード前長官との発言の推移は、その前のマクナマラ長官の、その前年のマクナマラ長官のときには会計年度を示しておりました。それからその次の、先ほど申し上げましたあと二、三年というのが昨年のステートメントで、ことしのこのクリフォード・ステートメントには、沖繩のメースBについては少なくとも全く触れてなかったというのが現実の推移でございますが、それをどう判断するかということになりますと、これなかなかむずかしいわけで、直接国防当局にそのことをまだ聞いているわけではございません。それについて明確なコメントがあるわけでもございませんけれども、どちらかといいますと、メースBがまたヨーロッパにおきます推移等から考えましても、沖繩において発展的なものがあすこに置かれるという推移よりも、従来のメースBがあと二、三年——当時のあと二、三年でございますけれども、昨年一月現在におけるあと二、三年しか置かれないというほうが強いんではないだろうかというふうな推測をしております。
○前川旦君 それに関連しますけれども、二月二十七日の衆議院の沖繩特別委員会で愛知外務大臣は、沖繩返還交渉の過程においてその実態を、核の実態を、沖繩における核の実態を知ることが必要であると、こういう旨の発言をされていますが、今回の外相の訪米ですね、この核の実態を云々というところまで言ったのかどうなのか、防衛庁聞いていらっしゃいますか。沖繩の核の実態の説明を十分に把握したのかどうか、何か聞いていますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私の知っておる範囲では、そういうような具体的なことはまだ聞いておりません。
○前川旦君 それでは、途中でメースBが入りましたが、次へまいります。先ほどは防空の肩がわりの問題でしたが、海上自衛隊の肩がわりですね、これは沖繩の防衛を海上自衛隊がやるという場合に、いままで米軍の海軍で純粋防衛的なものをやっていた部門が沖繩に駐在する米海軍であるんですか、どうなんですか、それはどう把握していらっしゃいます。
○政府委員(宍戸基男君) 海の場合は、空軍のようなのと違いまして、純粋に、まあ空の場合ですと、105はわりあい戦闘爆撃機で攻撃的で、102のほうは防御的であり、攻撃的であるという区分けはできますけれども、海の場合はそれに匹敵するほどはっきりした区別はなかなかしにくい問題だと思います。P3という哨戒機であの辺の哨戒機能を果たしているようでございますが、そういったものは、どちらかといえば防御的な機能ではないかというふうに考えられます。
○前川旦君 そうすると、ここへ派遣される海上自衛隊の主たる任務というか、対潜水艦の警戒ということが主たる任務になるのでしょうか。あるいはこれは沖繩に接近している対潜水艦のまあ警戒ですね。あるいはそれと同じことなんですけれども、たくさん島がありますわね。島間の航路がまああるはずですね。それをまあ有事の際守ると、あるいは日本と沖繩間のいろいろな連絡を守ると、船団護衛ということになりますか、そういうところが中心にやはりなってくるでしょうか。
○政府委員(宍戸基男君) いまお示しのいずれの機能も大事なことで、わがほうが将来沖繩に海上自衛隊の幾ばくかの部隊を当然置くことになろうと思いますが、その場合の考え方の根拠としては、いまお示しの、本土からの航路を守る、あの列島における列島間の交通も守る、さらに侵略の様相を想定した場合の潜水艦なりあるいは他の艦艇による攻撃機能も守ると、あるいはさらに直接、おっしゃいませんでしたけれども、あそこを基点にして、全体の、本土へ至る海上交通の要路を守ると、そういった機能を果たすべきだし、そういうことを頭に置いて海上自衛隊の配置を考えるべきであろうというふうな考え方を持っております。
○前川旦君 そこで一つ気になることがありますので、万が一こういうことはないと思いますけれどもね、法制局の方にお尋ねしますが、衆議院での論議の中で、たとえばこの安保条約との関連なんですがね。日本の船が公海で、飛行機が公空でも同じですが、たとえば他国から攻撃されることがあっても、これを守るのは純粋に日本の自衛隊であって、直ちにそのことで第五条が発動して共同で守ることにはならぬのだというふうな論議が衆議院でされたと思うのです。そこで同じような、この裏返しなんですが、日本の自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊含めて、領空領海含めてですね、日本の自衛隊は公海で——領海外です。公海では外国の船を守ることはできないと思います、これはね。これは自衛権の範囲ではないと思います。もちろん日本の領土に対する攻撃があったあとで第五条が発動した場合、これはまあ別だと思いますけれども、そうでない限りですね、たとえば日本の船がですよ、日本の護衛艦がですね、沖繩からベトナムへ行く米軍の輸送船を護衛するとかというふうなことは——これは一つの例ですよ。直接日本が攻撃されていないのに、公海、公空上で他国のものを防衛するという義務も権利もないと、憲法で認められていないと、自衛権の範囲外だと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。 衆議院での論議の詳細、私的確に記憶しているわけではございませんが、おそらく公海上における日本の船舶に対する何らかの攻撃があった場合に第五条の発動なんかというようなことに関連しまして、第五条は、御承知のとおり、日本の領域内における日本国またはアメリカ軍に対する攻撃ということになっておりますので、第五条はそういう御説明の場合には発動しないという趣旨であっただろうと存じます。 それからその次の、ただいま先生の御質問の第二番目の問題でございますが、公海上において日本の海上自衛隊がアメリカの船舶を護衛することができるかというお話、これは自衛隊の任務のどこをさがしましても、そういうことはございませんので、自衛隊がそういう任務に従事するということはできないというふうに考えます。
○前川旦君 たとえばですね、こんな例めったにあるとは思いませんけれども、日本の海上自衛隊が沖繩の周辺で哨戒していると、米軍の——これは公海上ですよね。船舶なり、あるいは米軍の軍艦なんか、たまたま目の前で敵に攻撃されたという場合に、法的にはそれを救いにいって、直ちに攻撃する、反撃するということは、これはできませんね。もし、そういうことがあった場合、救助活動は別ですよ、これは法的な問題でなくて、実際問題で言っておるのであって、法的問題ではそういう場合にはできないことになりますね。
○政府委員(真田秀夫君) 大体において、ただいまおっしゃいましたとおりだと存じます。ただ、どういう事態が起きるか、事態によっていろいろあろうかと思いますが、海賊に襲われたということであれば、これは国際法上一般に許される限度のことはできると思います。
○前川旦君 それは海賊行為というものはありますね。それじゃ陸上の問題でお伺いしますが、陸上自衛隊を派遣するという基本方針のように伺いましたが、米軍の中で地上軍、陸上、海兵隊も含めて、陸上で直接沖繩の防衛に任じておるのがありますが、ちょっとこれはなさそうに思われる。たいていあそこは待機しておる、あるいは訓練しておるだけであって、あるいは補給部隊、出ていくための一時の何というか、駐留しておるということはあっても、あそこに要塞をつくって、アメリカの陸軍なんかが大砲をかまえて待ちかまえておるとか、これはちょっと聞いたことがありません。ですからこれはどの部分を肩がわりするということになるんでしょうか。話のつじつまが合うんでしょうか、どういうふうに考えれば。
○政府委員(宍戸基男君) 大体お話のとおりだと思います。ただ、これはごく編成上の問題でございますけれども、防空関係の旅団は向こうでは陸軍になっておりまして、それが防空関係のナイキやホークを持っております。だからこれは編成上だけで言いますと、先ほどもナイキのお話が出ましたが、これは向こうでは陸軍が持っておる。わがほうがかりに肩がわりをすれば、空が肩がわりすることになりますので、ホークのほうは向こうは陸軍が持っておるが、わがほうに肩がわりすると、わがほうは陸上自衛隊が維持するということはあり得るのでございます。そのほか海兵隊とか陸上部隊とかがあそこで訓練したり待機したりすることはありますが、それは肩がわりする筋合いのものではない、それはお話のとおりだと思います。
○前川旦君 先ほど御答弁の中で、やはり陸上自衛隊を派遣するということですが、ホークなりナイキなりの要員としての話ではないんですよ、陸上の場合は。そうして肩がわりの要員を出すというのではなく、かなりの部隊を出すという、一つは災害、一つは治安ということを言われましたね。そうすると、なかなかあそこには、実際問題としてアメリカ軍は敵前上陸されるということを想定せず、訓練もしない、防備もしないということはちょっと考えられません。敵前上陸ということは、制空権、制海権を握っておる島に上陸するということはたいへんむずかしいんで、私よく知りませんけれども、そういうことから徹底的に艦砲射撃しなければちょっと来れないでしょう、不可能なことです。それだけの能力はありませんね。ということになると、陸上自衛隊を派遣するということは、先ほどちょっとおっしゃいましたように治安ということが非常に前面に出てくるように思いますが、これはどうでしょう。
○政府委員(宍戸基男君) 先ほど長官から最初に大筋のお話がございまして、領土としての沖繩を守るというために必要な作戦部隊なり施設部隊等を考えておる、こういうお答えがございましたが、それはまさにわれわれそう考えておるのであって、たとえばお話しのように治安を主として考えるというようなことは実は考えていない。しかし、それじゃ治安は否定するのかというお話であれば、そういうことはもちろんございません。ちょっと最初のお尋ねと関連いたしますけれども、ナイキやホークを肩がわりする、いわば機能的に申し上げて、そういうことを申し上げたわけですが、現に海兵隊等がおります。これと肩がわりするのではなくて、主としてやはり待機的——どこにでも行けるということを向こうは考えておると思いますが、それがいることによって同時にあそこは現在わがほうの領土にはなっておりませんが、あそこを守るということの機能を陸上部隊として果たしておるということは言えるのではないか、それを肩がわりするわけではございませんが、わがほうが陸上自衛隊をあそこに派遣する根本的な考え方は、先ほど長官からお答えしましたとおり、わが領土を守る基本的な部隊は海、空ももちろんでございますけれども、最終的な部隊は陸上部隊である。その規模がどの程度であるかは、もちろんこれにはいろいろ各方面から検討をしなければいけないわけでございますけれども、根本的には領土を守るというのはどうしても陸上自衛隊で、ある程度の規模は要るんではないかという考え方がまず基礎に立ちまして、そうして同時に、具体的にそれでは何をするかというと、そのために常時訓練をする、それから現実の問題としては災害派遣もあり得るから、災害派遣に出ることもありましょう。同時に全体としては従たる任務ではございますけれども、治安警備の任務も本土と同じように持つわけでございますけれども、その訓練もいたしましょう。実際は警察がその任務に第一義的には任ずるわけでございますけれども、二義的には陸上自衛隊もその任務には任ずるということは否定しがたい、また否定する必要はないとわれわれ考えておりますが、お話しのように治安のために持っていくというふうな考え方から出発しているわけではございません。
○前川旦君 この陸上自衛隊については、米軍の肩がわりという考え方ではちょっとないわけですね。陸上自衛隊がたとえば一個師団行ったから、あそこにいる米軍陸上が一個師団国へ帰るという問題ではない。あと海上、航空は肩がわりという考えでしたが、陸上だけは肩がわりというのではない。新らしい別の発想法で派遣するということになりますね、そういうことですね。
○政府委員(宍戸基男君) いま陸上自衛隊を配置する基本的な考え方を繰り返して申し上げたわけですが、それは海、空について非常に違うんじゃないかということであれば、必ずしもそうではございませんで、海、空にしましても、本来本土と同じようなことをわれわれがやるべきだという出発点から、海の相当な部隊を置くべきである。そうして、先ほど申し上げたように海峡を警備したり、航路の安全をはかったりするようなことをやりますが、本来やるべきだからやるわけです。ただ、たまたまそれと同じような機能を米軍が果たしておるとすれば、米軍はそれはダブってやるかもしれませんが、手を引くかもしれません。わがほうの能力が十分であれば手を引くでしょう。それが結果として肩がわりになる。われわれは肩がわりのために行くんではなく、結果として肩がわりになることもあり得る。空の場合は肩がわり的な面が多いので、先ほどお尋ねがあり、かつお答えをしたのでありますが、肩がわりのために行くんではなくて、防空そのものがわがほうの任務だから行くべきである。その結果としてダブってやることもありましょうし、わがほうの能力があれば米軍が手を引くということもあり得るであろうという考え方から出発をしておるわけです。 陸、海、空について基本的な考え方、それぞれ機能はもちろん違いますけれども、配置の基本的な考え方において、それほど差がある——ただ結果において向こうがお話しのように、確かにわがほうが置こうとしておるような、将来置くべきであろうと考えているような陸上部隊を、現に置いているわけじゃございませんから、その分は結果としてそう肩がわり的な現象はあらわれないであろうということは申し上げられると思います。
○前川旦君 災害の多い台風銀座ですからね、施設大隊ですが、昔の工兵、これを送るのは筋が通って、よくわかります。もう一つの目的である治安、これが非常に前面に出ているというふうに思って非常に憂いを持って実は話を聞いているんです。御承知のように沖繩は非常に反基地運動——われわれは闘争といいますが、の激しいところで、この間のストライキでも銃剣を持って米軍が出てきて不祥事が起きましたね。ああいうふうなことがちょっと本土とは違う様相でしょう。よく沖繩で本土復帰の集会をやる、新聞には簡単に出ております。五万人集まった十万人集まった。あそこは百万しか人口がいないんで、十万、二十万集会に参加したというのはたいへんなことです。それに対してもし警察力が手に余る、安易に治安ということで米軍の肩がわりをして、銃剣をゲートの前で県民に突きつけるということがあるとたいへんなことだと思いますね。非常にそのことを憂いているわけですよ。ですからそれに対する、いま言われたような、否定はしませんという消極的な表現ではなくて、もっと前向きの、われわれの心配に対する歯どめといいますか、それを私は長官の口から実はお尋ねしたいのです。
○国務大臣(有田喜一君) 自衛隊は、御承知のとおり治安の任務も与えられております。しかし、あくまでもこれは第二義的な任務だと思っております。しかし、法律で任務が与えられておりますから、平素から訓練はしておかなければならぬ。訓練をせずに、できないからというふうなことでは、国民に対して申しわけない、訓練はさせてもらいます。しかし治安出動ということはあくまで慎重でいかなくちゃならぬ、そうやたらに治安出動やったら、前川さんの御心配のようなそういう事態が起きちゃって、かえって混乱を一そう刺激するおそれもある。相手が何といっても日本人ですから、われわれはそういうことは十分考えて、訓練はやっておくけれども、出動それ自体はあくまで慎重な態度で臨みたいと、こういう考えでございます。こいねがわくば、そういうことが起こらないことを願っております。
○委員長(八田一朗君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 —————・————— 午後一時五十四分開会
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○前川旦君 あまりにも当然のことをお尋ねして悪いのですが、沖繩が復帰すれば憲法、安保条約が適用される。当然その他の法律全部、自衛隊法も当然そのままストレートに適用されますね。
○国務大臣(有田喜一君) そのとおりでございます。
○前川旦君 それでは、先ほどからの沖繩返還後の防衛問題で、いろいろ派遣されるようでありますが、その場合にいまよりか装備も当然ふやさなければいけませんね。三次防は沖繩を考慮外に置いたわけですから、装備もふやさなければいけません。それから人員も増ということにおそらくなると思います。この装備の増、人員の増というのはこれから行なわれる、七二年から行なわれる四次防の中へ入れて消化するのですか。それとも別ワクで、沖繩も全然別ワクで考えていくのですか、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(有田喜一君) 沖繩の返還の時期によって多少違うこともありましょうが、大体七二年ということをめどに沖繩が返還されることになれば、おそらく第四次防ですね、四次防の段階におきまして、四次防の中に含めて沖繩の防衛も検討していきたい、かように考えております。
○前川旦君 七二年というのが仮定なんですが、しかし、一応七二年が目途ということですから、一応仮定を前提にして、七二年から、昭和四十七年から四次防が開始されますね。第一年度が七二年からですね。そうすると開始される年と沖繩返還後肩がわりされる年が一緒になりますね。時期的な、タイミングとして技術的にどうなんですか、四次防の中で消化するとおっしゃるけれども、別ワクということのほうがより適当なんでしょうか、そういう技術的な問題はありませんか。
○国務大臣(有田喜一君) そういうことも考えられないわけでもございませんが、要は佐藤総理がこの秋行かれましてめどがつくわけですね。それから七二年、返還までの間にいろいろと具体的な事務的の折衝が始まるだろう。その折衝のぐあいによりまして、あるいは四次防に追加というようなことになるかもしれませんが、大体推察されて、四次防が打ち立てられるときにこれを大体ワクの中に包含したい、そのように考えておりすす。
○前川旦君 そうしますと、装備、人員も、これ四次防でふえるということになりますが、沖繩々含めてですね、陸上の十八万人体制というと、十八万は沖繩のことは考慮外だったわけですか。そうなると、この十八万人が四次防ではまたふえるということになるのでしょうか。ふえる予定だということになるのでしょうか。
○国務大臣(有田喜一君) われわれの十八万人体制というのは、沖繩の返還を考慮せずに、現在の本土の防衛上のためにこういう必要がある、こういうことを考えて、一次防以来こういうことを言っているわけですが、したがいまして、沖繩の、何と申しますか、わが国の防衛の分は、これはこの十八万より別になる、そのように考えております。
○前川旦君 それではこれはあとでまたこの問題は聞きたいと思いますが、五月十一日の読売新聞に、「沖繩に米電子中隊四機配属」、「EB66型機四機からなる」と、これが沖繩に配属されたという記事が、那覇支局発の読売新聞に出ておりますが、防衛庁はそういう事実を御存じですか、知っていますか。
○政府委員(宍戸基男君) EB機が沖繩に配置されたということは耳にしております。
○前川旦君 このEB66型機が電子装置を持って偵察任務だというふうにこれは書いてありますが、この間、北鮮で問題になりましたああいう種類の偵察機なんでしょうか。
○政府委員(宍戸基男君) ほぼ同様のものだと思います。あるいは事故にあいましたのはEC121機でございますね。Cというのは輸送機を、Eをつけましたのがエレクトロニック、つまり電子偵察機型に改造したもので、EB機は、Bは爆撃機型のE、つまり電子偵察機型に改造したものというふうに分けられるようで、大体、機能としては同じようなものではないかと推察されます。
○前川旦君 それでは、同じ沖繩にSR71という飛行機があるということを防衛庁は、何というか、知っていますかというのですか、御存じですか。
○政府委員(宍戸基男君) SR71が置いてあるということを耳にしております。
○前川旦君 これは七月三日の毎日新聞の夕刊で、鍛冶記者という方が、この実物を写真にぴしゃっととっておられます。ですから、これは現実にあるということは、これはもう明らかだと思うのでありますが、このSR71がどういう任務についているかということを聞いていますか。
○政府委員(宍戸基男君) 偵察機でございますので、偵察任務に服しているというふうに思われます。
○前川旦君 同じ偵察任務でも、この前のEC121ですか、あのように領空の中に入った入らないというデリケートな問題は一応除外をして、他国の、対象国の、あるいは仮想敵国の周辺を飛んで、そのレーダーの性能を調べるというような性格のものと、直接他国の領土の上空を飛んで、領空を侵犯して偵察する、二種類あると思いますが、このSR71というのはU2型機の後継機として、もともとが直接他国の領空の上を飛んで、侵犯をして、直接高々度から偵察をするため開発された飛行機だというふうに理解をしますが、大体そういうふうに見てよろしゅうございますか。
○政府委員(宍戸基男君) 非常にスピードが速く、かつ高度も高いところを飛ぶというふうには聞いておりますが、他国のどこを飛ぶかというようなことについては、われわれ詳しくは存じません。
○前川旦君 どこを飛んでいるかということは、米軍の高度の機密になっていますから、これはみずから発表しないでしょう。U2型機のときもそうですね。撃墜されて初めてしぶしぶこれを認めたということだったと思います。しかし、このSR71というのは、常識的に考えて、もともとが時速が三千二百キロメートルの、マッハ3ですか、で二万五千メートルもの高々度を巡航をする。ですからF4ファントムであろうと、あるいは中国が持っている程度の対空ミサイルでも歯が立たない機能ですね、これは。そうすると、この記事によりますと、「沖繩のSR71が、中国、北朝鮮上空の偵察飛行を行なっていることは、関係者の間では公然の秘密になっていた。」と、こういうふうに書いてあります。それからさらに「航空自衛隊幹部の一人がいった。「ときたま、日本のレーダースコープに、某方面に向かうSR71と思われる速い航跡が映ることがある。中国は撃墜できる可能性がない間は黙っていますよ。万一にも故障などで不時着でも起きれば、国際問題ですが」」と、こういうふうに書いてあります。でありますから、実際にこれがどこへ行っているかということは常識的にわかるけれども、公式には、これは中国に行っているのだとは、これはちょっと言えませんわね。しかし、もしこれが他国の中国なり北鮮なりの領空を直接偵察しているという事実がわかった場合には、はっきり明確になった場合ですね、当然こういう飛行機は撤去してもらうという要求をするのが国益にかなったことだと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(宍戸基男君) 機能の詳細がわかりませんし、お話も仮定の問題を含めてのお話しのようでございますし、そういうことがかりに明らかになりました場合において、政治的に判断される問題ではないかというふうに考えます。
○前川旦君 U2型機が問題になりましたときも、やはりそういう答弁だったと思いますが、あの飛行機が現実にソ連に撃墜されたあと、これは国会の議事録を調べてみますと、昭和三十五年の五月九日安保特別委員会での当時の岸総理大臣の答弁ですが、「いやしくも他国の領空を侵犯するような事実ありとするならば、これは安保条約並びに行政協定の趣旨に反しておりますから、アメリカに抗議して、そういうことのないようにいたします。」、はっきりと、実にはっきりと言っておられますね。これは五月の九日。それからさらに翌日の五月十日でも重ねて、「アメリカのこれらの飛行機が、日本の基地を使用して外国の領空を侵すというようなことがあるならば、これは断固としてアメリカに対して抗議して、この事態をなくするということを申しております。」と、こういうふうに岸総理大臣ははっきり答弁しておられます。御記憶にあると思います。 でありますから、これはいまはなるほど勝負がありません、実際問題として。ですから、こういう事実、撃墜されたとかいうのでなくて、現実に領空を偵察しているという事実がもし明らかになった段階には、もし明らかになるならば、当時のこの岸さんの答弁のような、断固たる態度というものをやはり国益のためにとっていただきたいと思いますが、どうお考えですか。
○国務大臣(有田喜一君) 大体そういうような考え方で善処したいと思っております。
○前川旦君 どうも有田さん、笑いながらおっしゃると、質問がしにくいのでいかぬのですが、これはやはり長官はちゃんと自分としての哲学を持った政治家——ステーツマンだと私は思っておりますので、ステーツマンらしい答弁をしていただきたいと思います。そういうことは私も岸さんと同じ考えです——大体なんというのは、ちょっとまあはずしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) もう何ぶん仮定の問題ですからね、しかし、そういうようなことが現実に起こったときには、岸元総理と同じように考えたいと思います。
○前川旦君 それでは次に引き続いて四次防についてお伺いいたしますが、四次防の作成の検討を命じたかどうか、あるいは四次防の検討が始まったとかいう記事がこれだけあります。これを一々読み上げてもなんですから、新聞に出ていますがね。で、この四次防ですが、まずこれはやはり三次防に次いで五カ年計画ですか、計画は。
○国務大臣(有田喜一君) 四次防は御承知のとおり、いまはちょうどことしは三次防の第三年目の年でありまして、実際の四次防ができ上がるのは、この五年目の最後の年になる予定でございます。したがいまして、いま研究はぼっぱつしておりますし、またその方向づけというようなことは、私も私ながらに考えておりますけれども、大体においていままでどおり五カ年計画で進もう、こういうつもりで検討をしておる、こういうことでございます。
○前川旦君 四次防に臨む基本的な考え方として新聞にずいぶん出ております。内容は、四次防の基本方針は、一つはこの防衛費の増額だと、そうして防衛費を増額して、自主防衛体制を強化するということが一つの柱、二つ目は、海上と航空の自衛力の強化が二つ目の柱、三つ目が沖繩防衛だと、先ほど、新聞にこれだけの厚さがあったほど——二月十七日朝日、三月二日日経、三月十九日読売、五月四日読売、五月十六日日経、五月二十二日朝日、六月十四日朝日、六月二十日東京、六月二十五日サンケイ、六月二十九日読売、五月二十五日日経、これだけここに持ってきておりますが、そういうことは考えておりません、まだこれは検討段階ですから全然、ということではないでしょう。そういうふうに出ておりますが、大体このとおり間違いありませんか。その三つの柱。
○国務大臣(有田喜一君) 新聞がどういうことを書いておるか、私一々そのとおりかどうかわかりませんが、いまの私どもの考え方は、ともかく日本の防衛は、国力もここまで充実したんですから、もちろん憲法の制約、その他日本の国情、いわゆる国民感情というものは尊重してかからなくちゃならぬけれども、それらの許す、許容される範囲内においては、みずからの国はみずからの手によって守るというやっぱり気概を持って臨まなくちゃならぬ。したがいまして、普通の通常兵器による局地的の侵略というものに対しては、わが自衛隊の力によってこれを排除するようにだんだん持っていかなくちゃならぬと、そういう気がまえで私どもは自主防衛という方向で進みたいと、こう考えております。 なお、私は常に思うんですが、三自衛隊というものが一丸となって、しかも均衡のとれるということが非常に大事だと思います。したがいまして、与えられたいまの自衛力によって、だんだん増強をしてまいりたいと思うんですが、その与えられた力によって、できるだけ初期の段階において侵略を排除すると、こういう体制をつくりたい。 なお、三つのいま自衛隊をながめましたときに、どうも海上自衛隊が一番おくれておるんじゃないかと、こういうようにわれわれは考えます。したがいまして、海上自衛隊のおくれを取り戻すと、ことに日本は海国日本でございまして、この必要を私どもは痛感して、その方向づけをもって四次防に臨みたい。また、防空のほうは、一応システムといいますか、機種はファントムというものが新しくできておりますし、またバッジシステムもできたし、またいろいろとナイキというようなものも一応形は整いかけておりますが、しかし、これとても内容的に見ればもっと充実していかなくちゃならぬと、かように考えております。また陸は、皆さんの御審議によってこれが通過しますれば、十七万九千人という、まず十八万体制に近いところまでいけるわけです。で、これは十八万体制が完了すれば、沖繩の問題は別としまして、急にまたたくさんの人をふやそうというようなことは考えておりません。もちろん装備の新しく進むにつれて若干の増員はお願いすることがあるかと思いますけれども、一年に何千人、六千人なんということは考えておりません。いずれかというと、陸のほうは質というか、装備のほうに重点を置いていきたいと、こういうような大体の方向づけを持って四次防に臨みたいと、これがいまの考え方でありまして、具体的な問題は、いまから作業に入って、そして来年、再来年ですか、再来年までには完了していかなくちゃならぬと、かように考えております。
○前川旦君 そこで、問題になりました自主防衛につきまして、衆議院ではいろいろ答弁されておられますが、結局安保というものをずっとうしろへ下げて補完的なものにして、あくまでもその主体は日本の自衛隊だと、自力でできるだけ防衛して、足らざるを安保で補うんだというふうにいままでの形と——もっと積極的にいうと、転換したというふうに言われておりますが、やはりそのとおりの考え方ですか。
○国務大臣(有田喜一君) 前川さんも御承知でしょうが、いまの自衛隊のおい立ちを見ますと、最初は警察予備隊から始まって保安隊、それで自衛隊に移り変わったのですが、いわゆる警察予備隊のできたころは、何といいましても日本の国力は貧弱でございまして、まだまだやや復興したといいながらも、食糧も十分ではない、着物も十分でない、ことに住宅のごときは非常に不足しておった。国民生活も非常に気の毒のような状態、したがいまして、アメリカから武器、兵器につきましても、向こうから貸与を受けたりもらったりしながらきたわけです。 そこで私どもは、もうここまで国力ができたのですから、私はよくこじき根性と言うのですが、人からもらうということはこじきと言うのですが、表現は悪いかもわかりませんが、こじき根性を捨てて、そうしていま申しましたように憲法その他によって許容される範囲のことは、みずからの手によってこれをやっていこう。こういうやっぱり国民も気持ちを持ってもらい、その気魄を持って臨まないと、いつまでも他力本願ではいかぬ。そういう意味合いにおいて自主防衛ということを言っているわけであります。したがいまして、普通兵器による局地的な侵略というようなものは、日本がしてやるといいますか、日本の力によっておもにやって、その足らざるものはアメリカによって、安保条約によって補完する、こういうことでありますが、しかし、いまの国際的な情勢から見ますと、核問題をはじめ非常な高度の科学兵器が進んでおりますから、一国だけで自分の国を守るということは、非常に困難な状態でありますから、わが国もそういうような気概を持ちながらも、安保条約はやはり堅持していく。ことに日本は憲法において制約されておる、その他国情によっていろいろ制約されておる問題がありますから、そういう面はもちろんアメリカの力に仰がなければならず、そうして両々相まって日本の防衛体制をちゃんとしたものによって日本の平和と繁栄を続けていきたい。これが私たちの考えで、少なくとも通常兵器による分に対してはわが方が主たることをやって、そうしてアメリカが補完的だ、こういう意味で私は安保条約の補完的作用だ、こういうことを申しているわけであります。
○前川旦君 核兵器等の核抑止力といったような、これは日本が制約がありますからできませんね。そういうようなところは安保で補完をするのだ。局地戦に備えた通常兵器によるものは、全部自衛隊が主体的にやるということではちょっとないと思うのですよ。通常兵器の場合でも攻撃的な兵器がありますから、そこのところは制限があるでしょう。たとえば航空自衛隊のことを書いた記事なんかを読んでみますと、いわゆる専守防御ということはできない。特に航空の場合は、どうしても相手の発進基地を攻撃しなければ有効な攻撃ができない、これが軍事科学上の常識だということが書いてあります。私は詳しい科学的なことはわかりませんが、純粋に防衛するためには、やはり向こうの基地を攻撃しなければならない場合、そのための武器、それはやはり自主防衛と言っても、いままでの同じような制限といいますか、従来どおりの制限があろうと思います。その従来どおりの制限を全部のけて、通常兵器のたては、やりまでも肩がわりするものじゃないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど私が申したとおりでありまして、あくまでも日本は憲法上の制約があります。そういう意味において、たての面はできますけれども、やり的な面はやらない、そういう面から言うても安保条約は必要である、これは一つの理由でありますが、もちろん普通の、攻撃的と言ってはことばは悪いかもわかりませんが、いわゆるやりの面も日本は持ちません。そして、まだ現在はそういうものありません。けれども、そういうものでないたての面でも、いままでは艦艇でもアメリカから貸与を受けるというようなことがあったわけですから、そういうものまでいつまでもアメリカにたよっちゃいかぬ。そういう、当然日本の憲法なりその他によって許されるものは、少なくとも日本の力においてやっていこう、これが私たちの言う自主防衛であります。
○北村暢君 いま自主防衛の問題が論議になりましたからお尋ねしておきたいと思いますが、内容については、いまから前川君ずっとやっていくと思うのですが、自主防衛が第一義で、日米安保条約に基づくものは第二義的に考えていく。これは防衛構想における政策の非常に大きな転換だと私は思うんですがね。一体これは政府全体の意思としてそういうことがきめられてるのかどうか。防衛庁内部の意思として、自主防衛が第一義的だと、こういうふうに考えておるというものなのか。そういう基本的な防衛構想というものが転換される際には、当然これは国防会議等において慎重に審議せられるべき問題ではないかと、私はこの防衛の基本の問題だと思いますがね。そういう点について、いま長官の説明せられたことは、防衛庁内部の意見として受け取っていいのか、政府全体の意見がそうだというふうに理解していいのか、この点を明確にしていただきたい。
○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、今日の日本の国防の基本方針は、国力、国情に応じてだんだんと防衛力を漸増していくという基本方針が立っているわけですね。したがいまして、いろんな制約はあるんでございますが、国力がここまで伸びてきたんだから、基本方針によって、一そう許される範囲のものは日本の力でやっていこうというのが、先ほどから説明した自主防衛の考え方です。これは私ばかりでなくて、佐藤総理は、私が防衛庁長官になる前から、みずからの国はみずからの手で守るべきだと、この気概と気魂を持って臨まなきゃいかぬのだということを国会でしばしば宣言されておるとおりでありまして、これは別に新しくここに防衛庁が組み立てたものでもなく、いまの国防方針にのっとって、そして佐藤総理のお考えのとおりに従って自主防衛ということを申しておる、こういうことでございます。
○前川旦君 そこで、その自主防衛に関連する防衛費の問題で、よく防衛費とGNPとの関係がいわれております。で、防衛費をGNPの一・五%に持っていきたいとか、あるいは二%にしたいとか、あるいはまた、一方では大蔵大臣が衆議院の委員会で、いままでどうり一%内外だという発言をされたり、そういうことはもうずいぶん新聞に出ております。そこで、この防衛庁としては、GNPのどのくらいまでを防衛費にさきたいという、あるいはさくべきだ、あるいはさきたいという希望を、その辺の見通しを持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私はGNPの何%とか、あるいは人によっては国民所得の何%と言う人がありますけれども、それは結果的にそういうことになるというだけでありまして、まずわれわれの四次防に対して臨む態度としては、日本のいわゆる防衛に対してかくかくのことが望ましいということをまずやると、しかし、それがかりに大へんな数字になってくると、一方国民生活の安定という大事な問題もありますから、そこに限界を引かなければならぬというので、あまり多くのことはやっちゃまだ一般の国民生活に影響がある、この辺に最後に落ちがくるわけであります。 したがいまして、いま何%を目標にしてやるということは考えておりませんが、しかし、実際問題として本年も、中には防衛費が非常にふえたと、こうおっしゃる。なるほど絶対額はふえております。しかし全体の日本の、すでに通してもらった四十四年度の総予算の中に占める割合いというものは、わずか七分二厘なんですね、一割にも満たない。GNPの関係から言いましても〇・八四、GNPの一%以下なんていうのは、おそらく日本だけでしょう。そういうような点から言えば、いまの状態はまだ十分でないとも言えます。けれども、それならと言って、これを私たちは二%まで持っていかなくちゃならぬとか、一・五%に持っていかなくちゃならぬ、そういうふうにも考えておらない。やはりこのGNPにつきましても、日本の経済というものと、成長というものがずっといきますから、だから結果的に何%で、あまり行き過ぎるとチェックする、あまり少ないと、まだやれるじゃないかというようなことになりましょうが、基本は、先ほど言いましたように、まず日本の防衛をやるのにはこういうところまでいかなければならぬ、その構想の上に立ってくるわけでございまして、いま何%ということは、これは別に考えておらない。
○前川旦君 いま具体的に何%か考えていらっしゃらない、これはわかります。しかし、いま言われた前段のことでは、結果としてGNPなりNNPの何%ということは出るかもしれないけれども、本来は考えるべきではないのだというふうに受け取れる御発言があったように思いますよ。かと言って、後段にはやはりGNPの割合をやはり気にしておられるようなお話がありました。ちょっと私はその辺がよくわかりません。 そこで、そういうこともあわせてお尋ねしたいのですが、防衛力、自衛力というのは、結局日本の安全をはかるということが目的なんです。となると、本質的に、たとえば非常に脅威が深刻であって、深刻な脅威があって、あらゆる外交的手段を尽くしてもどうにもならぬ。自衛力、武力を持つ以外には防衛することは不可能だということがかりにあるとすれば、それしかないのだと、あらゆる努力をしても。それなら当然、たとえ飯を食わぬでも備えなければいけないということがあるでしょうね。中国がズボンをはかなくても核兵器の開発ができていると同じだと思います。逆に言うと、今度は脅威がなくなると、なくなると言ってもゼロということはあり得ないと思うんですよ。非常に低下して、縮小してゼロに至るということはあり得るだろうと思いますね。その脅威に応じて安全を考えていくというのが本筋であって、GNPが幾らになったから幾らまでにしなければいかぬというのは、収入がふえたからいいせびろを着なければいかぬ、月給が上がったから門がまえの家を建てなければいかぬ、これはそういうことではないと思うのですが、あまりにもGNPの何%ということは論議され過ぎておりますね。その点いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) GNPの何%というようなことにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりの考え方でありまして、私は新聞にどう書かれようと、いまそういう考えは持っておりません。御承知のとおり、防衛というものは、これは相対関係であることは事実でございます。周辺の脅威の度によっていろいろやらなくちゃならぬことは事実でございますが、しかし、万が一に備えるということもやはり考えておかなくちゃならぬ。したがいまして、常に毎年毎年大きな変動があるというようにも考えられない。しかし、われわれとしましては、最小限度、万が一の場合にこういうところまでやっていけるという、その備えはやっていかなくちゃならぬ。それが民生安定の場合と調和がとれておらなければ、民主安定を度外視して、いたずらに軍事費ばかりに走るということになりますと、またそこに弊害も起きてくる、そういうことであります。 やはりこれが高度の政治でありまして、ことに、先ほどもちょっと言うたかと思いますが、国防というものは、国民の深い理解と納得の上に立っていかなくちゃならぬ。したがいまして、国民の方々が防衛は必要であると、こういう認識を持っていただきたい。で、その上に立って国民とともに歩む自衛隊、こういう姿にいくことが私は正しい自衛隊のあり方ではないかと、かように考えておるわけでございます。
○前川旦君 くどいようですが、それでは長官は、日本の経済が発展したから、GNPの伸びが大きいから、その何%までは防衛にさくのは当然だとか、しなければいけないとか、そういったGNPなりNNPから日本の自主防衛なり防衛費を割り出してくるという発想法は誤りである、そういう発想はすべきでないと、私はそう思いますが、長官、そうお考えになりませんか。
○国務大臣(有田喜一君) いまの段階における日本の防衛力というものは、それは国力から見ればあまりに貧弱過ぎるんですね。でありますから、先ほど来言いますように、もう少し積極的に、日本の国はわれわれが守るのだという気概を持ってこれは漸増してまいらなくちゃならぬと、こう思っております。しかし、結果的には——こういうところまで持っていかなくちゃならぬということによって、国民生産との割合がどういう程度になるかということを結果的には見なくちゃならぬ。ちょうどいまの総予算も、大体そういうことが最後には言われるわけですね。そういうところでやっぱり調和の面は出てきましょう。全然あやまちとは申しません。さっき言いましたように、民生安定のほうとのかね合いということも、私ども政治家として考えなくちゃならぬ。したがいまして、その辺のところは、それは結果的には考えなくちゃならぬ面も出てきましょう。しかし、最初から何%を目標にしてこうやるのだということは、私どもの考え方とは違うことでありまして、その点は御理解願いたいと思います。
○前川旦君 最初から何%というのは違うことであってと最後におっしゃいましたが、それは私が先ほど長官に言ったこととごくそばまでいっているのですよ。そばまでいっている。結果としてGNPというもの、あるいはNNPというものが、たとえば結果として幾らになったと、これはいいんですよね。あるいはGNPなりNNPの何%までは軍備に使ってもそれは民生を圧迫することにならぬとか、その伸びを鈍化さすことにはならぬとか、そういう判断の基礎になることはあるから、それは無関係ではないでしょう。しかし、いま往々にして論議をされていることは、GNPの二%はさくのが当然であるとか、伸びがこれだけになっているのだから、世界第二位になっているのだから軍備は幾らでなければいかぬとか、こういうストレートな論議はあやまちである、私はこう言いたいのです。そのことに御同意なさいますかと言っている。
○国務大臣(有田喜一君) あやまちとまでは言いませんけれども、そういう考え方で私も臨んでおる。
○前川旦君 私がいま申し上げたと同じ考え方だと、同意なさったわけですか、いまのは。
○国務大臣(有田喜一君) 私、前川さんのことばを疑うわけじゃありませんけれどもね、まあ防衛というのが必要であって、まあわれわれが考えておるのと同じ基本線の上に乗ってくだすったのなら、すぐそうですと、こう言いたいのだけれども、あなたの所属をされる政党自身が基本的に違うものですから、うっかりそうですと言うととんでもないところにいきやしないかという懸念がありますので、先ほどから言っているように、GNPの何%というようなことは、やはり結果的にわれわれが作業して、それが結果的に民生安定との調和をどうするかということは最後にくることであって、初めから何%ということを目標にして作業はやらない、こういうことでございますから、まあ御了承願えるでしょうね。
○前川旦君 これは、私はそういうことをなぜ言うかというと、政府が出しているいろいろなPR文書、防衛庁から出している文書で必ず載っているのが各国のGNPと防衛費との比較、いかにも日本が少のうございます、そのことをできるだけ印象づけようとしてやっている文章が載っております。ですから、そういうふうな発想法で防衛力というものをとらえられると、これは先ほど言いましたように、金ができたから家を建てなくちゃいかぬ、ネクタイを買わなければいかぬということです。軍備、防衛力というものはもっと真剣なものだと思いますがね。そういうふうに考えられると私は困ると思うので、そのことを実はしつこく言っているのですよ。そのこと御理解いただきたいのですよ、いいですか。
○北村暢君 関連して。いまの前川さんの質問で、党派が違って考え方が違うとおっしゃるけれども、基本的に、いま大臣は、日本の国防の実態はいかにも貧弱であるとこう言っている。現状において、何をあなたは基準に貧弱と言われるのか、現在の状態を、何を基準にいかにも貧弱だ——私はいかにも貧弱だなんと思っていないですよ。いまの日本の装備、兵力から言えば、アジアにおける第一流の装備、兵力でしょう。それで何をもって貧弱とか、そうしてGNP問題については、あなた方のPRしているものによっては、まだまだ日本は経済力が豊かなんだし、この国民総生産に占める防衛費の割合というのは低いのだ、世界各国から比較しても低いのだということを宣伝しているのです。それで私は防衛の限界なんというものは、これは経済力に比較していくならば、日本はもうすでに経済力からいって自由主義国の二番目になったのだから、したがって、防衛力も装備も二番目でいいという理屈になってくる、そういうことでいけば。これはたいへんなことなんですよ。だから前川君は盛んにその点を私は指摘していると思うのですよ。何を基準にあなたは、現状の日本の自衛隊はあれですか、いかにも貧弱だ——いかにも貧弱でなんかないと思っている、私は。いかにも貧弱だと考えているあなたの考え方というものが、軍備増強にいくのです。したがって、そういうGNPの問題が何%なんというやつが基準になって貧弱だと、こうあなた自身が思うようになっている。これはとんでもないことなんですよ。一体防衛力がいかにも貧弱だというのは、どのくらいであったら貧弱でないのか、それをあなた示してくださいよ。あなたが貧弱でないと思われる装備、兵力というのは、一体どのくらいになったら貧弱でないのか。国防の基本方針として漸増をしていくといっているけれども、どこまで漸増していったらこれはいいのですか。その考え方については私は承服できませんよ。そういう点についてひとつ。私は非常に危険な思想だと思いますからね。党が違うからあなたの考え方はそうだということは言わないと、こう言うけれども、そうじゃないですよ。国民の意思に沿った防衛力強化というのだったらば、国民の大部分は、自衛隊を否定してないかもしれないけれども、この程度でけっこうだというのが圧倒的な世論調査の結果で出ておるのじゃないですか、おかしいですよ、はっきりお答え願いたい。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど来言いましたように、防衛力、国防というものは総体的なものであります。しかし、私どもは憲法上の制約並びに国民感情といいますか、日本の国情というものをよく踏まえて、そこに大きな歯どめがあるわけでございます。その範囲において日本の防衛力の現状を見ましたときに、これは北村さんとは見解が相違するかもしれませんが、私どもの見る目では、それは遺憾ながらまだ十分とは言えないですよ。だから許される範囲においては、もっと日本の力によってこれはやっていこうじゃないか、これが違うのでありまして、ここが見解の相違といえば見解の相違でございますが、北村さんはこれで十分だとおっしゃっておるかもしれませんが、われわれの立場から言えば、まだ日本の国力からいえば、さっき言いました制約の面からいいましても、まだまだ足らざるものが多い。これが私らの考えであります。
○北村暢君 見解の相違ではないですよ。あなたは日本の今日の装備、兵力、アジアにおける——一体どういうふうに評価しておりますか。日本よりも防衛力においてはるかにすぐれておるという国はそんなにないでしょう、アジアにおいて何番目ですか、日本は。どうですか。周囲の情勢を見れというのなら周囲の情勢から見ればいいんであって、どういうふうに見ておられるのですか。
○国務大臣(有田喜一君) それはアジアは低開発国がずいぶん多うございますから、それは日本以下の防衛力のない国もありましょう。しかし、やはり極東の情勢をながめたときに、私どもはこれでもって十分だ、もうこれ以上一つもふやさなくてもいいという、そういう内容を持った日本の自衛隊の姿でないということは、これは北村さんは十分だと思われるかもしれませんが、私どもはそうは判断していない。だから制約はあくまで制約のもとでいかなければならぬけれども、その範囲内でもう少し、これだけの国力もあるのだし、それなら二番目になったらいいとは申しませんよ。自由主義国家で二番目だから、そのままなっていいとは申しませんが、しかし、いまの通常兵器による日本に与えられたその範囲内におきましては、先ほどもちょっと触れましたように、海上自衛隊一つ見ましても、これでもって海上の守りが十分できるとは考えられないです。また航空も先ほど言うたとおりでありまして、それはやはり大事なこの日本を守るためには、国力に余裕があれば、もっとしっかりした防衛体制で進むというのが、これはわれわれとしての任務であり、当然な姿じゃなかろうかと考えます。
○北村暢君 そんな答弁をぬけぬけ聞いているわけにはいかぬよ。あなたは防衛なんていうものは、軍備だけで防衛しようと考えておるから、ほかと比較するとどうだとか、まだ足りないとかいうのだけれども、大体、日本の国は憲法で戦争放棄しておる国ですよ、戦争放棄しておる国が、基本的に違うのじゃないですか、あなたの考えと。憲法の精神からいって、ほかの国と比較して、国力があるからどんどん軍備をしていっていいなんていうことは、私はどこからだって出てこないと思いますよ。あなたは、それじゃ近隣のソ連なり中国と同じように軍備の競争をやって、将来とも対等にいくようなことで軍備を増強していく、こういう考えと受け取っていいですか。
○国務大臣(有田喜一君) 私の言うこともよく御理解願いたいのですが、私は日本が、日本の防衛が憲法を無視するなんていうことは毛頭考えておりません。あくまで憲法の制約の範囲ということを何度も繰り返して言っておる。日本は憲法上いろいろ制約がありますが、自衛権はこれは否定されていない、あくまで専守防衛、守るほうでありますが、みずから侵略は絶対やりませんけれども、攻めてこられるものに対してはこれを防ぐだけのやっぱり用意をしておかなければならぬ。これは私は憲法も容認されておるいわゆる正当防衛、この正当防衛ということを考えた場合にも、先ほど来ちょっと触れましたように、アメリカからいろいろの艦艇を借りたりもらったり、その他装備なんかも借りたりもらったりしておるものがあるのじゃないか。これはもう少し日本人の力によってちゃんとやっていくような、その姿を持っていなくちゃならぬのじゃないか。しかも、そのわれわれの防衛力、いわゆる軍事力というと語弊があるかもしれませんが、それだけでやろうなんということは考えておりません。だから国民の方々の御理解と納得の上に立った、国民とともに歩む自衛隊をつくるというのがそれなんでありまして、その日本の力というものは決して武力だけでいくものじゃありません。外交も大事な役割りをなすし、また国民のこれに対する考えも大事な役割りをなしまして、それらと相まって、あくまで平和を守るための自衛隊でなければならぬ、こういう構想の上に立って、私はまた防衛力の充実が必要である、こういうことを言っておるのですが。
○北村暢君 もう一点、あなた、いま憲法の範囲内で自衛権でやると言っているのだが、あれじゃないですか、戦闘爆撃機も将来は持ち得ると、生産することがあるということを答弁か、新聞かに発表しておるようでございますね。その考え方新聞に出ておりますよ。あなたがそういうことだということが出ておりますがね。いまの御答弁と違うようですがね。爆撃機は持たないということが言明できますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私は先ほど来言っておりますように、他国に脅威を与えるようなことはやらない、これはすなわち、さっき戦闘爆撃機というお話がありましたが、いわゆる足の長いそういうものは持たない。しかし、日本に攻めてくる、領海なら領海を攻めてくるものは、これはやっぱり日本を守るために打ち落とすということは考えていかなくちゃならない、そういうような意味合いにおきまして爆撃機を持つというても、それはいわゆる戦闘爆撃機といいますか、足の長いそういうものを意味しておるものじゃない、これはもうはっきり申し上げておきます。
○北村暢君 おかしいじゃないですか。足の短いので何を打ち落とすのですか。足の短い戦闘爆撃機で、あなたはいま攻めてくるものを打ち落とすと言ったようですね。そういう爆撃機で、戦闘爆撃機で打ち落とすなんということはあるのですか。
○国務大臣(有田喜一君) たとえば、これも仮定ですが、日本に進攻を企てて、船舶で部隊を、日本にどんどん攻めてくると、こういうことの場合ですね。われわれは上陸されてからやるよりも、日本に攻めてくることが明らかになっているものは、やっぱり領海、海の中でそれを打ち落として、日本に対する進攻を防ぐということは、これは当然のことじゃありますまいか。そういうような意味合いで私は申しておるわけであります。
○北村暢君 どうも爆撃機論になってきちゃっておかしくなったんですがね。爆撃機のあなた使用目的わかってそういう答弁しているのですか。爆撃機ってどういうところに使うのか、おわかりですか。爆撃機は敵の攻めてくる飛行機を領空へ入ってくる前に撃ち落とすために使うのですか。全然、爆撃機の使用目的もわからない防衛庁長官と論議するのじゃ、これは論議ができないわね、これは。
○国務大臣(有田喜一君) それは、北村さん誤解されたかもしれませんが、撃ち落とすというのは、飛行機を撃ち落とすというように誤解されたかもしれませんが、私は先ほども言いましたように、日本に軍隊を、攻めるためにどんどん運んで来る、そういうような船舶をやっつけると、こういうことを申しておるのでありまして、敵の戦闘機を撃ち落とすというようなことは、ことばが撃ち落とすということを言ったから、あるいは誤解を招いたかもしれませんが、船舶をやっつけようと、こういうことであります。
○北村暢君 輸送する船舶を爆撃機でなければ沈められないのですか。こういうふざけた答弁をしたんじゃ承知しませんよ、それじゃ。どこの世界に、あなた、輸送船を沈めるのに爆撃機で、足の短い爆撃機でやっているなんというところがありますか。そういう目的に爆撃機を使っている戦略家なり、この専門家がいれば、——ここに将軍がおられるから聞いてみればいい。そういうことがあるのですか、一体。これは、前の増田さんはよく勉強しておった。増田さんは、足の短い爆撃機で、ほんとに日本が生きるか死ぬかわからないといったときには、敵の基地まで行って爆撃することがあると、こう言った。それなら、そのように爆撃機の使い道ははっきりしているのだ。そこら辺に、あなた、輸送船や何かくらいを攻撃するのに、一々爆撃機でやるのですか。そのために爆撃機を持つのですか。おかしいですよ。足が短い長いの問題じゃないです、それは。それは、暑かったら上着を脱いでやってください。
○政府委員(宍戸基男君) ちょっと補足して申し上げたいと思いますけれども、長官のお答えの趣旨は、爆撃機論争になりましたので、憲法で禁ぜられておりますのは、先ほどから長官の言われる憲法の制約に当たりますのは、足の長い攻撃的な爆撃機であるということを言われる御趣旨だと思います。そして、先生のお尋ねの戦闘爆撃機の効用につきましては、一つには、前長官があるいは言われたか知りません。法律論の問題として、それ以外に絶対に手がないという場合に敵の基地をたたくことは、憲法上許される場合もあり得るということは、法制局長官も前に言われたこともありますし、そのことを前長官が引用されたこともありますが、では戦闘爆撃機はそのときそういうことのためだけに持つかということになりますと、そういうことが許される場合にはもちろんそれに十分役に立ちますけれども、先ほどの長官のお答えのように、かりに上陸部隊が進攻して来るということを想像した場合には、われわれは対地支援と言っておりますけれども、あるいは対艦支援と言っておりますが、陸上からそれを砲によって攻撃する、水ぎわでそれを迎え撃つ、あるいは艦艇でそれを攻撃することのほかに、より効果的なものとして対地支援機——俗に言うファイターボンバー、戦闘爆撃機で、上からその艦艇を攻撃するという機能もあり得る。あるいは敵が、侵略者が上陸して来て、ある地域を占領したという場合に、それを反撃しなければなりませんが、そういう場合にそういう対地支援機、戦闘爆撃機がそれを空から攻撃するということもあり得るわけで、そういう機能も持ちたいということで現在86F部隊をそのための訓練に当てておりますが、先ほどのお尋ねの対地支援機の後継機として何を考えているかとのお尋ねがありましたので、それを長官が、現在開発中のXT−2というものを対地支援機の候補の一つとして考えているということを衆議院の委員会の段階でお答えになりました。そのことかと思いますが、技術的に申し上げますと、いま申し上げたようなことを考えてのことでございます。
○前川旦君 話しをもとへ戻します。 そこで、戻しますが、長官、先ほど私の質問に対して、間違いとは言わないからとか、あるいは政党がどうのこうのというお話しをされましたね。そこで、私は、たぶんそういうことで言いにくいこともあるだろうと思って、前段で私申し上げましたことを覚えていらっしゃいますか。私が言いましたのは、こういうことを言ったのですよね、防衛力の本質論を。たとえばあらゆる平和的手段を尽くしてもなおかつ脅威があって、自衛力以外に国を守る道がないならば、GNPがどうであろうとNNPがどうであろうと、中国がやっているように、ズボンをはかなくても核兵器をつくるのだと、こういうこともあり得るでしょう。本質論ですよ。たとえばそういう脅威がうんとなくなって低下してしまって自衛力の必要がなくなれば、それは軍縮とか、いろいろなかっこうがありますよね。ゼロに、いわゆるずっとわれわれが言っている非武装に至ることもあり得る。もともと本質的にそういうふうなとらえ方が正しいでしょう、こういうことを前段で申し上げているのですよ。その立場に立って言っているわけなんですから、そこで、このGNPの問題、結論で申し上げますと、このGNPの幾%が軍備費だという論議は、軍事費の最高限がGNPの幾らだ、それをこえたら、たとえば民生を圧迫する。そのことによってかえって安全保障——これはミクロじゃない。マクロの立場の安全保障というのは相対的に低下をする。だから、最高限はGNPの何%ぐらいだ、こういう発想法でとらえるなら、私は正しいと思うのですよ。そうじゃなくて、いましきりに言われていることは、最高じゃなくて最低限で言われているのですね。GNPの何%以上なければいかぬ、これだけ発展したからGNPの何%以上なければいかぬ、こういう発想法は間違いでしょうと言ったら、これは長官は間違いだということはおっしゃりにくいでしょうから、私はいまは間違いだということばは使いません。筋違いだと思います、筋違いだと。私いま申し上げたように、軍備と軍事費のGNPの数字をとらえるのが私は正しいと思いますが、長官はどうされますか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど来私が申しておるとおりでありまして、まず日本の防衛はかくあるべきだと、こういう姿をまず出してきます。それがGNPの何%になるという、結果的にそういうものであります。そこで、これは行き過ぎだ、こういうことで調整ができると、かように考えております。
○前川旦君 最初申し上げましたように、私、対話しているつもりなんですから、初めからそうおっしゃってくれれば、だいぶ時間を——三十分も損しましたよ。 そこで、同じように、よくしょっちゅう言われていることには、いまGNPの比較がありましたが、よその国の防衛費に比べて——あるいはGNPのパーセンテージからも言っていますね、ほかの国は何%出しているのに日本は低い。さっき長官ちょっと言われましたが、他の国と比べて低いと、これはこういう防衛年鑑にもそういう一覧表がありますし、防衛庁の外郊団体が出しているいろいろなPR誌にも、しょっちゅうこれも同じように他国に比べて比較して出しておりますね。具体的に他国と比べて低いというのは、一体どういう数字を根拠として、どういう国を大体根拠にして低いというようなことをしきりに言っておられるのでしょうか。その辺はどうなんです。
○国務大臣(有田喜一君) 多い少ないという意見が数字の上から出てくるでしょうけれども、私たちが、まだ作業をやっておりませんけれども、終局的に考えたいのは、日本の制約の面がございますね。たとえばドイツだとか、フランスとかいう日本と経済力——まあ日本が上かもしれぬが、大体匹敵するような国々と比べたときは、核の面を除いたらどうなるか、あるいは攻撃的の面を除いたらどうなるかというようなことを勘案しながら、なかなかそれは出しにくいでしょうけれども、まあ核はわかると思うのですよ。そういうことを見ながらこの比較をして、ひとつ多いとか少ないとか、こういうように判断したいと、かように考えております。
○前川旦君 それならわかるのですね。それならわかります。私もそれ少しおかしいと思いましたけれども、防衛年鑑にこういろいろ出ているのです。他国との比較が。ちょっと調べてみましたら、たとえば日本が少ない少ない、よその国に比べて、ありますね。一体じゃ何を国防費として算出しているかということは、まず大きな問題になりますね。で、まあ日本とよく似ているイギリスをとってみても、たとえばここに出てくるイギリスの国防費の中には、たとえば軍隊の移動費も入っている、海外出兵費も入っていますよ、これがずいぶん大きいのですよ、それから軍事生産の研究費、核開発費、それから対核民防費、それから戦略物資の備蓄費、そんなものが全部入っております。アメリカの場合はもっと大きいですね。原子力委員会から、海外軍事費から、核兵器開発から、移動費から、また沿岸防衛隊とか、何かいろいろたくさんあります。ですから、そういうものと単純に比較すべきではないというように思います。そういうものをのけてしまって比べても日本が若干低いのはわかりますよ。しかし、低いというその論拠がこういうあやふやなものでは困ると思うんですよ。たとえば西ドイツだったらNATOの中核でしょう、憲法も違いますし、それと日本とは違うでしょう。フランスと比べたら、核開発をしているし、それから海外へも出していけるし、イタリアだって憲法でどんどん海外へ出ていけるんですから、日本と違うわけでしょう。それと同じように一律に単純に比較してそういうことをやるなら、海上保安庁も軍人恩給も軍事費に全部突っ込めばもっと広がりますよ。その辺はもっときめのこまかい科学的根拠に立ってよそと比較して低い高いということをしてもらわなきゃ、これは防衛の本質を誤るように思います。その点いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど申したような見解に立って比較をやるべきだと私は思っています。ただしかし、諸外国のいろんな年鑑が出ておりますが、その分析が非常にむずかしいんですね。核は別に出ておりますからわりあいしやすいですが、その詳細なところまではなかなかむずかしいでしょうが、考え方としましては、そういうはっきりしたものを除いてその上で比較していきたい。前川さんのようにそういうものを除いても日本は少ないという、そういう御理解を国民が全部持ってくれればありがたいんですけれども、まだそこまでいかないわけですから、それはいろいろと日本は少ない少ないということが言われておるんですが、そういうようなやっぱり分析の上に立って判断すべきだと、かように考えております。
○前川旦君 数字が出るんですからね、多い少ないというのは客観的事実ですから、それは理解するということじゃないんですよ。事実を言っているわけで、そういうものを除いても事実数字が少ないということは出ますよ。しかし、日本は独特の特殊条件があります。憲法というのがあります。核開発しないというあれもありますし、周囲が完全に海に囲まれているという、これは専門家じゃありませんから、専門家に聞けばわかるかもしれませんが、何個師団に匹敵する防衛力になっているかわかりませんよ、海に囲まれているから。そういうものを全部考えていけば、これは客観的なあれが出ると思いますが、それは別として、それじゃ次にいきますが、最近問題になっておりますローリング・バジェット・システムというのを大蔵省は検討しておられるようですが、防衛庁としては防衛予算にこのローリング・システムというのを採用なさるお考えですか、検討しておりますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私のほうでは大蔵省からそういうローリング・システムでやってくれなんということは聞いておりませんです。また、現段階におきましては、来たるべき四次防計画もいままでのような五カ年計画でいくつもりでおります。しかし、ローリング・システムというものも検討に値するものじゃないかと思いまして、われわれとしましてもこれから研究はしていきたいと、かように考えておりますが、といって、いま直ちにローリング・システムに四次防計画も切りかえますというわけでもない、かように御理解願いたいと思います。
○前川旦君 三月二十八日の朝日新聞ですが、大蔵省は、「いわゆるローリング・システムに切替え、」云々ということが載っておるのですが、「毎年、その年から五年間の展望をもった防衛計画を更新していく方針を固めた。同省はすでに防衛庁に対し、非公式にこの方針を伝えており、」、模様だじゃなく、「伝えており」とはっきり書いてある。「防衛庁も、米国などでとっているこの方式になろう意向。」、りっぱにぴしゃっと書いてあるんですよ。断言しているですよ。それはさっきみたいに観測記事だとか、事実でないと言うとたいへん失礼なことになりますが、ここまではっきり書いてありますが、それはいま聞いておりませんとあなたがおっしゃるのは、ほんとうは聞いているけれども、いま公式の場では言えなかったから言わなかったんですか。これはあなたもお読みになっているはずですがね。
○国務大臣(有田喜一君) この問題は、前川さんは予算委員だから一緒に聞いておられたと思うのだが、あなたはその席にちょうどおられなかったかもわかりませんが、参議院の予算委員会においてその問題が出て、私はいまの答弁と同じような答弁をしております。そのあとで大蔵大臣も、大蔵省としてはまだそんなことは防衛庁にも言っておらないし、また考えていないということをはっきり言いました。新聞記事も大事ですけれども、予算委員会で政府が発言したほうが信憑性があると思います。
○前川旦君 もしあなたがローリング・バジェット・システムを採用した場合、これは四次防、五次防といった、先の五次防は別として、五カ年をきちっと区切って計画を立てる必要がなくなるわけですよ。もし採用すると仮定したら、何次防というものは必要がなくなるのでしょう。やっぱり採用しても何次防というものは同じように策定していくようになるのですか。たとえばあなたはこの新聞記事は違うとおっしゃるけれども、この新聞記事はそういうことがあるのですよ。だから、「四十七年度からスタートする予定だった四次防は、作成されないことになる見通しである。」と書いてある。これはこのシステムを採用しても、四次防はあり得るのですか。実際問題というのではなくて、このシステムがあればそういう何次防、何次防というものは策定しなくても済むのですか。やりようによっては、活用によってはどうなんですか。
○国務大臣(有田喜一君) このローリング・システムというのは、われわれがいまから研究しようというわけでございますから、はっきりそうだということはどうかと思いますけれども、私のいまの理解しているところでは、やはり防衛というのは、長期展望に立たなくてはなりませんので、五カ年計画というものを立てながら、毎年それが更改されていくというようなことになるのではなかろうかと思いますが、もの辺のところは政府委員から答弁させていただきます。
○政府委員(宍戸基男君) 先ほど長官の御答弁のように、大蔵省からわれわれに非公式にしろ申し込みがあったわけでもございません。それから大蔵大臣からは、むしろ否定的なお答えがあったわけであります。それは事実でございますが、そこでそういうことを離れまして、ローリング・システムを一般論で私の承知しているところで推測で申し上げますと、われわれはまず四次防はつくりたいという、まだ具体的な作業にはかかっておりませんが、そういう方向で従来とも進んでおりましたから、四次防もおそらく五カ年計画でつくられるだろうということに大体においてなろうかと思います。そこでそういうふうに四次防がつくられたとしましても、そうして同時にローリング・システムがかりに採用されたとしますと、いままでの二次防、三次防的な姿で四次防が一たん五年がセットされますと、それを一年ずつ予算で実現されまして三年目になりますと、あと二年残ります。いま三次防がそういうふうになりますが、最後は一年しか残らないというふうなかっこうにいままでのはなりますが、ローリング・システムをかりに採用しますと、最初の一年間を予算化しますと、それと同時にその一年先をローリングしまして、ころがしまして、最後の六年目をもう一回ひっつけるわけです。それで四十七年度予算ができますときに、同時に五十一年までつくりますが、五十二年のももう一回ひっつけるわけです。絶えず一年があとにひっついているというふうな形になるのではなかろうか。アメリカでもマクナマラ長官時代にそういうふうなシステムがよかろうということで、いろいろ技術的な方法を開発してそういうシステムにした。イギリスが最近それに見習ったというふうに聞いております。われわれも将来の問題として、そういうようなことはだんだん考えるべきではなかろうかという感じは持っておりますが、何せまだ三次防までしかつくった経験しかございませんし、いろいろな政治的基盤、行政的基盤、あるいは技術的な基盤が十分そろっているという感じも十分でないような感じもいたしますので、先ほど長官のお答えのように、四次防のときから直ちにそういうことができるかどうかわからない、こういうことではないかと思います。
○前川旦君 それじゃこれは置いておきましょう。 それじゃ次に参りますが、この自主防衛ですが、まだいま自主防衛のことをやっておりますが、従来、一、二、三次防については、単に武器調達計画にすぎぬじゃないか、装備調達計画にすぎぬじゃないか、こういう批判がずいぶんありました。そこで、この四次防に際しては、日本独自の、これは自主防衛と関連してですね、防衛構想というものを織り込むんだ、こういうものを策定するんだ、こういうことが一部で報道されておりますが、やはりそういうこと考えていらっしゃいますか。いままで独自の防衛構想というものを出して、そうしてそれに応じた調達計画というか、二次防、三次防というかっこうになったと思うのですね。非常に抽象的なことはありましたよ。そうじゃなくて、いろんな国際——アジアの分析とか、あるいは周囲の分析とか動向とか、そういうものを踏まえた上での、日本独自の専守防御となりますかね、防衛構想というものを、今度は四次防に際して打ち出すということなんでしょうか。そういう計画なんでしょうか、そういう御意向ですか。
○国務大臣(有田喜一君) 大体——先のことですから大体ということばを使わしてほしいんだが、やはり日本の将来の防衛構想といいますか、こういうようにいきたいと、いわゆる日本自身の判断によって、いわゆる自主防衛ですね、そういうことにいきたいという方向を打ち出すなり、その上に立って四次防をやる。その方向も、これは先ほどの民生安定とか、そういう点も考慮しなくちゃなりませんから、その打ち出したものが四次防で完全にいくか、五次防までいくか、あるいはもっと先までいくかということは別としまして、日本の防衛はかくあらねばならない、あるいはかくありたいという、そういう構想の上に四次防計画を打ち立てていきたい、かように考えております。
○前川旦君 ちょっとよくわかりませんがね。私がお尋ねしたのは、まあ仮想敵国を持たないというお話ですね。これは、このお考えは賛成です、私どもね。意識的に仮想敵国というものを持たないと避けていらっしゃる。増田長官以来ずっとそういうことです。それはいいんです。しかし、まあそうはいっても、実際問題はたてまえと本来は別だと思いますが、それは離れて、一応、日本の周囲には日本を侵略する能力のある国はありますね。意思は別として能力のある国はたくさんありますね。そういうものいろいろ考えながら、日本独自の、日本はその能力のある国がもし不法に侵略してくるときには、そのときにはどういうふうに動かして、どういうかっこうになり、どういう形で防衛するんだとか、あるいは向こうの首府まで攻め込んでいくんだとか、そういうことはまあありませんわね、たとえばだけですよ。あるいはどこどこである程度押えておいて、それをエスカレーションが成立しないようにして、あとは外交交渉に待つんだ、あるいは国連にどうするとか、いろんな戦略構想とか、こまかくいえば戦術的な構想もあるでしょうけれども、そういう日本独自の防衛戦略というものをちゃんと立てて、そして、それに見合う自衛力というものが、計画が次に続いてくるのであれば非常にすっきりするんです、はっきりいうと。その全体のそういうものをお立てになるのですか、どうですかということを実は私聞いてるんですよ。いままでのような抽象的なことじゃないんですよ。もっと突っ込んだ具体的なこと、あるいは自主防衛というからには、いままでは、これは共同作戦であれば向こうに引きずられることもあったでしょう。こちらの一存ではできないこともあったでしょうけれども、自主防衛というものは安保が補完するんだ、安保が補完だというからには、主体的な構想があってしかるべきだと思うのです。それはやっぱり出すべきじゃありませんか。それを伺っているのですよ。
○政府委員(宍戸基男君) 手順といいますか、構想といいますか、ということについて、ちょっと御説明申し上げたいと思いますが、三次防のときもそうでございましたし、おそらく四次防をつくる際にもそういうことになるだろうかと思っておりますのは、まず情勢を長期的に判断をいたします。で、いま先生のおっしゃった、特に世界情勢も考えるわけですけれども、特に周辺諸国の動静なり、能力なんというものを見通すと、こういうことがまず第一に出て参ります。その次に、わがほうのいまお尋ねの戦略構想といいますか、軍事用語で言えば、そういうもの。陸上に関してはこういうことが万一の場合にあり得るであろう、海上に関してはこういうことがあり得るだろう、空に関してはこういうことがあり得るであろうということと、それにどう対処すべきであるかということを想定をいたし、同時に安保体制でございますので、自主防衛と言いながら、自主防衛の意味は、先ほど長官が詳しく御説明になったとおりでありますけれども、対米期待はどの程度であるべきかというようなことをまず考えまして三次防もつくりました、四次防もそういう手順でつくることになろうかと思う。ただ三次防の場合よりも、先ほどのお話の範囲内では自主的な能力をより高めたい、こういう意欲は三次防のときよりも強くなるだろうということは言えると思いますが、手順につきましては、まず三次防をつくりましたのとそう違わないであろう、いま申し上げたような手順になるだろう。しかも、それがだんだん技術的に詳しくなっていくべきであろう、五次防になるともっと詳しくなるというようなことが言えるのではないか、こう思っております。
○前川旦君 それは外にやはり堂々と出すべきではないでしょうか、そのことが長官の言われる国民の理解という立場から言うとどうなんですか。お出しにならない、いままでは出さなかった、三次防のときはつくったけれどもお出しにならなかった、今度はお出しになりますか、出すべきではありませんか。
○政府委員(宍戸基男君) 事柄の性格から見まして、そのすべてを公表するというわけにはまいらない。これは日本に限らず、どの国でもそうであろうと思います。ただその筋と言いますか、たてまえといいますか、そういったものは国民の理解を求めるために、いろいろの範囲の、広狭の差はあるかもしれませんけれども、全部を伏せてしまうというようなことはない、三次防のときも基本になる考え方はやはり国会でも、国民に対しても説明があったと記憶しておりますけれども、それと同様のことは四次防の作業の際にも行なわれるのではないかというふうに考えます。
○前川旦君 私はそういうものは軍事上の機密というほどのものではないと思うんですよ。情勢の分析とか、どういう脅威があるかないかは別にして、それに対してどういうふうに対処するのだというようなことは。こまかい兵器の性能だとか、こまかい用兵だとかということは、これは問題があるでしょうけれども、大局的な大きな戦略なんというものは、そのような軍事上の問題ではないと思うのですが、これは考え方が違うかもしれませんが。そういうものをちゃんと国会にも出して、国民の前にも出して、やはり野党が質問をして、これは一つのシビルコントロールですよ。基本的な一番のシビルコントロールはここの話だと思うんですよ。そういう論議を尽くして、そうして装備計画が続いてくる、こういう形にしなければ、あなた方のおっしゃる理解というものはできないですよ。それを隠して出さないんでしょう。いままで出さない。そうして三次防のような装備計画だけ出す、そうすると、何のために要るのだという議論がどうしたって残りますよ。いつまでたったって、皆さんから言わせると防衛意識が高揚しないということになる、そこで防衛意識を高揚するには何をすればいいかというと、いかにもいまソ連が侵略してくる、中国が侵略してくるという危機感をあおるということしか、防衛意識を高揚する方法はなくなってくるのじゃありませんか。これは在日米軍のものですけれども、日本の上から白クマが牙をとがらして日本をのみ込もうとしている、中国からは竜が口から火を吹きながら日本をのみ込もうという、これはおたくのものじゃありません。これは在日米軍のものです、念のため。危機感をあおって、いまにも攻めてくるのだということを一方であおる以外には防衛意欲というものを起こすことはできない。これは矛盾だと思うんですよ。これは自衛力というものを是とする者、否とする者を含めて、やはりそういうものは堂々と出して、そうして国会でもコントロールする、国民の中にも論議を巻き起こす、これはいろいろありますよ、考え方は。それが筋じゃないですか、どうですか。第四次防の際にはそういう筋はすべきではないかと思うのですが、どうなんです。
○政府委員(宍戸基男君) 繰り返しになりますけれども、三次防のときにも全部伏せてしまったということではないように思います。三次防ということが出ましたが、国会でもたびたびのお尋ねがございました。当時の大臣なり政府委員から、そのことの基本的な考え方、基礎になった考え方について、たびたび御説明をしたはずでございます。四次防がつくられる手順につきましての考え方の基本を申し上げたわけでございますが、そういうことにつきましては、三次防のときとおのずから様相もまた結果も違うことが多いかと思いますけれども、御意見のようなことは国会で十分審議されることではないかというふうに思います。ただ、行政府内でいろいろ作業をたくさんやりますが、それを全部さらけ出すというふうな御意思でございましたら、やはり事柄の性格上、それを全部オープンの場所に出すというふうにはなかなかまいらないということを申し上げているわけでございます。
○前川旦君 米軍との癒着状態、われわれ非常に心配しているのはそこなんですよ。われわれが自衛隊に批判を持っている一番大きなところは、米軍との関係なんです、はっきり言うと。それが、安保というものが補完的なものになり下がってきて、米軍との関係が薄れてきて——薄れるというのはまた違うと言うかもしれないけれども、前に比べて主体的な日本人の目と頭と心で考えた防衛問題、それが、軍備を認めるか認めないかは別です、いろいろな立場がありますからね。そういうことになってくると、われわれとの間の共通の基盤というものが少しずつできてくるのです。はっきり言うとコンセンサスに近づいてくる。いま癒着しているということ、一番われわれはそこのところを問題にしている。アジアの極東戦略の一環だということをわれわれは批判しているわけでしょう。それがもし薄れてくるということであれば、共通のグラウンドができてくる可能性があるのです。ですから、私は自主防衛だということで転換された。いままでと大きな転換ですよね。やっぱりその際に、やはりそういう方向で進むべきだということを、私はそれは筋だということで実は言っているわけなんです。一〇〇%全部というようなことを言っているのじゃないのです。これはあなた、誤解しないでくださいよ。そうでなくて、いまのような秘密主義、秘密主義のような、そういうことで突っ込まれたり暴露されたりして、やっとしぶしぶ認めるようなことを繰り返していたのでは、いつまでたってもぼくらから見て暗さというものはのかぬわけです。だから、オープンのところで論議ができるような、そういう体制をつくるべきではないか、そういうかまえをこの際やはりしてはどうかということを言っているのですから、その点踏まえて、もう一ぺんその点を答えてもらいたいですね。
○北村暢君 関連。いまの前川さんの質問で、四囲の情勢、さらに戦略構想というようなものを立てて、自主的なものが非常に従来よりは多くなる。それだから、自主防衛ということで転換をしたと、こういうふうに受け取る。そしてまた、防衛白書のようなものもつくりたいというようなことが言われているわけです。防衛白書なんというものが、これは白書はつくったけれども公表できないんじゃ、これは意味ないですわね。白書は、これは公表するんだろうと思う。白書というものをつくるということになれば、いま言われたような四囲の情勢なり何なりというものが分析されなければならないね、これは。だれがやったってこれは戦略構想をまとめる上において情勢分析やるのはあたりまえの話ですね。これはあたり前のことでしょう。情勢分析のない、めくらめっぽうの戦略構想なんて出てくるはずがないですね、これは常識的に言ってね。だから、そういうものは当然これは国会にも出し、論議するということはあたりまえのことでないですか。そういうことは、簡単に極東の緊迫感などと言うだけで、抽象的な表現だけで戦略構想なんというものは出てこないですよね。いままではそんな程度のものしかやってないんだから。三次防でも二次防でも、そういうものはある程度はやりましたなんと言うけれども、それはやっておらぬですよ。どういうふうに極東の情勢なら情勢というものを判断しているのか。今度の日米交渉においても、アメリカの見る極東の情勢と日本側の見る情勢とでは非常に大きな食い違いがある。食い違いがあれば、当然そこに沖繩返還問題についてだって考え方の差というものは出てくるわけですね、これは当然のことでしょう。したがって、自主防衛というものに大きく転換した——私は大きく転換したと思っている。佐藤総理は、軍備を国力に応じて漸増していくとか、だから何も変わっていないのだというような表現をされましたけれども、私はそうでないと思いますよ。自主防衛ということばが使われる、何も新らしいことじゃございませんと先ほど答弁しましたけれども、そうじゃないです、これは。やはり従来と非常に変わった意味において転換がされているのですよ。これはどういうふうに説明しようが、そういうように受け取っておりますね、一般が受け取っている。したがって、それに応じた自主防衛構想というものがつくられるならば、これはやはり国会で、一体どういうふうに極東の情勢を判断したのか、防衛庁は、政府はどういうふうに見たのか、というのは、これは見方が違うとか、同じという意見は出てきましょうけれども、そういうものはやはり出して論議をするというのはあたりまえのことじゃないですか。そういう意味において、私は前川君の質問は当然だと思う。そういう思い切った、あなた方は防衛白書なり何なり出そうという構想を持っているのだから、そういう点はもっとフランクに答弁していいんじゃないか、こう思いますがね、どうでしょう。
○国務大臣(有田喜一君) 前川さんなり北村さんの御意見、非常に貴重な御意見として承っておきます。将来この防衛問題は国会で根本的に、われわれから言えば共通の基盤をもってやっていただきたいと思うのですよ。ひとつ前向きに、お互い論議していただくことが非常に必要だと思いますから、ひとつこの次の四次防のときには、そういうこともよく考えながら、もちろん国防白書もそういうように国民に深い理解を持っていただきたいという前提の上に立ってつくるものですからして、ひとつそういうことでよく考えてみたいと、かように思っております。
○山崎昇君 いま自主防衛力について議論になっておりますが、具体的に防衛庁の見解として私は二つほど聞いておきたい。 一つは、アメリカのニクソンがルーマニアに行くわけですね、これによってかなり国際関係が動いているわけですね。 〔委員長退席、理事石原幹市郎君着席〕 そこで、これらの問題にからんで、米ソの関係というものをどういうふうに見たらいいのかというのは、たいへんこれはむずかしい問題でもありますし、大きい問題でもありますが、平和共存の関係がこのままの形で持続すると見るのか、多少冷戦のほうに向かうと見るのか、こういう形によっては日本の私は自主防衛力のあり方というものはかなり変化するのではないかと、一つ考えている。 それからもう一つは、最近ソ連からアジアの安全構想というものが出ているわけですね。これは実を結ぶか実を結ばないかいまのところ私どもはまだ確たるものは持ち得ませんけれども、もしもこれが、中国も参加をして、アジアの安全構想というのが実を結ぶという段階になってくれば、日本の防衛力というものは、これはよほど考え直さなければならぬことに私はなってくるのじゃないだろうか。こういういまの国際情勢だけ見て、判断すべき状態が一つあるのじゃないかと、こう思うのです。そこでこれはもちろん外交的にものを見なければなりませんけれども、特に軍事面を担当しておる防衛庁として、いま自主防衛力の問題がたいへん問題になっているときに、こういう点について、どのように防衛庁ではお考えになっているか、この点だけ聞いておきたい。
○国務大臣(有田喜一君) これは外務大臣が答弁すべき筋柄かと思いますが、あるいは私の個人的見解になるかもしれませんが、御存じのとおり、ルーマニアはニクソン大統領の在野当時ですか、あそこに行かれて特別の歓迎を受けられた。特別の親しみを持っている国らしいのですね。別にあそこを訪問されることに大きな意味は持たない。親しみを持って行かれる。それから先は推測ですが、アメリカとソ連といいますか、その他の関係の橋渡しをあそこがやってくれればいいんじゃないかというような意味合いでもあるやに私は間接に聞いておる程度でございます。アメリカとソ連の関係は、腹の中はどうだかわかりませんけれども、互いに世界の最大強国の両柱でございますから、特に核の保有で最大のものを持っておりますから、うっかりお互いがやると世界がたいへんなことになるということは、お互いによく理解し合っておる。そういう前提に立って米ソの関係はそう直ちに大きな戦争を巻き起こすというような、そういう方向でなく進んでおるように見受けられるわけです。ソ連のアジア安保といいますか、ソ連は、私はよくわからぬけれども、しかし、どこまでそれは本気で、ことに中ソの関係がああいう状態のときに、はたしてそういうことがほんとうにいけるかどうかということは、これは大いに疑問を持っておるわけでございまして、それ以上のことはあまり、私、外務大臣でありませんので、私の個人的な見解として、そういうような考えを持っております。
○山崎昇君 もちろん外務大臣にこれは当然聞かなければならぬことだと私も思うのです。ただニクソン大統領のルーマニア訪問に対して、ソ連の艦隊がキューバに行くというようなことが報道されて、いわば多少共存関係の問題がどうも少し冷えつつある。こういった見方もある。そうなれば、当然、防衛構想の中に、ソ連という存在がいままでよりきつくものを見なければならぬというようなことも出てくるのではないだろうか、こう私どもは推定をするから、いまあなた方の言っている自主防衛力という問題の中に関連をしてお聞きをしておるわけです。 それからソ連のアジアの安全保障政策というのは、まだ構想の段階で、いま最高会議で検討されるようでありますが、文字どおりいま中ソの関係はあまりいい関係でないにしても、これが実を結ぶという見通しが立つならば、先ほども申し上げたように、自主防衛力というのは相当私は縮小されてくる関係にあるのじゃないか、こういう気がします。加えて日本は今度十八カ国軍縮委員会に参加をしたのですね、堂々たる演説もやっておるようであります。これももちろん外務大臣にお聞きしなければなりませんが、そういう一連の外交関係等々を私ども考えますと、この自主防衛力というものは、よほどこれは慎重に考えないとならないのではないだろうか。そこで先ほど前川委員から第三次防までは防衛構想というのが明らかにならない。どうもすきっとしたものがない。四次防では、そういうことが確立をされるのではないのですかという質問がありましたから、いま関連をしてお聞きをしておるので、これは防衛庁長官からは、どうもはっきりした返事がないのは、外交でありませんからしかたがない点があると思いますが、しかし、少なくとも日本の防衛を担当する、軍事面を担当しておる長官としては、ある程度の考えがあっていいんではないかというような気もします。さらについ二、三日前に、今度来られたアメリカの大使は、どうも沖繩の返還と関連をして、完全に韓国まで守るというようなことを述べられつつある。こういうことをどうも考えてまいりますと、このアジアの問題というのはよほど慎重に考えなければ、この沖繩の問題もたいへんなことになってくるのじゃないか、こういうふうに私ども考えますので、いま聞いているわけです。もう一ぺんあなたに、同じ回答になるかどうかわかりませんが、このソビエトのいまの出方というものについてどういう、防衛庁としていまの段階で見通しを持たれておるのか、重ねて聞いておきたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 私どもも防衛の見地から、そういう国際情勢の動きというものは注意深く見守っていかなければならぬと思っております。しかし、まだソ連がキューバにあわてて行ったということで、そこで米ソの関係が何か大きな問題になり得るとも考えられないし、また先ほど言いましたように、ニクソンのあれは、実はあまり下の人が知らずに、ニクソンがさっと計画立てたようでございますが、そういうようなことの真偽がわかってくると、だんだんと氷解するのじゃなかろうかとも思われます。またアジア安保の問題も、これはやっぱり中ソの関係がああいう状態では、これはなかなか見通しは困難だ、こういう気持ちがいましておりますけれども、もしそういうような国際情勢の見通し、ことに日本と関係の深い国々の見通しを十分見きわめながら、わが国の防衛体制をつくっていかなければならぬ、かように考えております。
○前川旦君 私はこの前の予算委員会で、総理への質問で、万一という場合は総理が三軍の最高責任者ですから、総理というのは軍事上の戦略問題の知識というか、軍事科学上の知識というものも必要とされるし、また持っているはずだということを質問しましたが、 〔理事石原幹市郎君退席、委員長着席〕 同じことを、逆に防衛庁長官は、シビリアンコントロールの中核ですから、私は防衛庁長官がこの軍事問題だけの専門家になったのでは何にもならぬと思いますよ、木だけしか見ぬようになったのでは。私は防衛庁長官は外務大臣よりももっと詳しい外交上の専門家をもやっぱり兼ねなければ、これはほんとうに長官としての役割りは果たせないと思います。 そこで、こういういまのような関連質問が出ましたから、私がそういうことを申し上げたのですが、政府のいろいろのPR文書なんかを、「今週の日本」とか、いろいろなものを読んでみると、依然として冷戦構想ですか、冷戦時代の米ソの対立というか、あの感覚から一つも出ていないわけなんですよ。そこから出ないのですね。そうじゃなくて、ああいった冷戦構想がかわったんでしょう。ずいぶん多極的になった。さっきのアジア安保なんというのも、これはどうなんですか。アジア安保というのも、もし具体化すれば、内容はまだわかりませんよ、しかし、いまの様子から判断すれば、ソ連がアメリカと一緒になってアジアの安保に参加しようという感じですね。あるいは核防条約を批准したらどうなんですか。アメリカの核のかさは日本にかかっていますね、ソ連の核のかさも薄いながらかかることになりますね。多角的になりますね。依然として冷戦時代の感覚だけで、日本の安全保障をとらえるということになると、これはとてもじゃないけれども、国際情勢の推移についていけないし、ほんとうの日本の安全保障というものはできないのですよ。その点は非常に私は気になることがたくさんあるのですよ、いろいろなPR文書を読んでみて。これはまた次の委員会にじっくり、十五日ですか、やっていこうと思います。あとに回します。 そこで、いまのに関連して、国防白書が出ましたから、ついでに国防白書のことを聞いておきます。これは秋ごろまでには完成さすというふうに衆議院で答弁なさったようにちょっと読みましたけれども、大体ことし中に国防白書をお出しになる予定ですか。伺うところによりますと、国防白書を担当している担当の方一人だそうですね。お一人だと書いてありますね。これまた新聞に書いてある。あなたのところはほんとうに書類全部出さないから、資料全部出さないから、われわれ新聞で質問するしか手がないのです。担当者がたった一人、なかなかこれは作業が進んでいないというようなことが書いてあります。これは三月二十九日の朝日ですが、あなたおっしゃったように、ことし中にこれお出しになるのですか。お出しになるとするならば、単なるPR文書、これ意味がないのです。PR文書は何とか新聞、朝雲新聞ですか、いろいろなところからPR文書、たくさん出ていますよ。それからPRのポスターなんか職業安定所へ行ったらたくさん出ています。そんなもの出しても意味がないですよ。これはこういった防衛構想をちゃんと盛り込んだ、外国でよくやっていますね。予算の説明書としてちゃんと出しますね、どこの国ででも。アメリカでもやっているでしょう、オーストラリアでもイギリスでも全部やっているでしょう。そのようなちゃんと科学的な見積もりに立った白書の内容にしてお出しになりますか。白書、いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) いま防衛白書というものを検討させております。もちろん主任者は一人でございます。主任者一人でやっておるかというとそうではございません。防衛庁の膨大な組織があります。それぞれの部局から資料なり、そういうものを持ち出して検討をしておる最中であります。私の希望、期待としては、この秋ごろに何とか出したい、しかし、まあいろいろな関係もありましょうから、少なくとも年内のうちには出したい、こういうことを衆議院で申したわけでありますが、いまもその気持ちは少しも変わりありません。またこの白書を出すゆえんのものは、国民に少しでも防衛に対する理解を深めたい、そうして国民とともに歩む自衛隊をつくりたいという意図のもとに出すわけでございますから、その辺のところはそういうような私の気持ちに合うような形で出してみたい、かように考えております。
○前川旦君 理解を深めるということは単なるPRですね。職業訓練ができますとか、就職があとできますとか、技術ができますとか、さもなくばかっこいい戦車にまたがって、かっこいいというようなそういうことのPRに終始されたのではこれは困ると思うのです、はっきりいって。そんなものでない、もっと中身のある、国会でそれを論議できる、内容を論議できるものにして出してもらいたいということを強く私は要望しておきます。 次にいきます。それじゃ同じ自主防衛の次の問題は装備ですが、やはりこれは三次防、自前の装備、武器の国内調達というのは四次防でも続けて進めておいきになりますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私はこの防衛の性格からいって、やはり国内、国産生産でいくのが本筋だと思っております。したがいまして三次防もそういう方針をとったのですが、四次防は一そうそういう方針を固めていきたい、かように考えております。
○前川旦君 自前の装備、国内調達を推進するとということは、一方、逆にいえば外国からの輸入というものは減らしていくというふうに考えてもいいんでしょうか。
○国務大臣(有田喜一君) 要するに国産生産に進みたいという基本原則でございますから、外国から輸入するのは極力防いでいく、こういうたてまえでいきたい、ただ日本がおくれた部分もありますから、そういう例外的なものは、それは若干あることはやむを得ませんけれども、原則はやはり国産生産、国内品でやる、まかないたい、こういう基本方針でおります。
○前川旦君 ファントムのときは輸入したほうが安い、少々高くついてもあとのことを考えてライセンス生産しましたね。いまおっしゃったオペレーターもさらに進んだものを入れなければいかぬというけれども、完成品を輸入するというのじゃなくて、やはりできるだけライセンス生産ということでの考え方ですか。
○国務大臣(有田喜一君) もちろんそういう考え方で進んでおります。
○前川旦君 最近よく報道されておるところによりますと、アメリカがドル防衛にからんで武器の輸入、日本は輸入、向こうは輸出になりますが、武器を買えということをしきりにいわれているということが出ております。これはたくさん新聞に出ておりますが、あまり新聞、新聞というといやな顔されますが、しんぼうしてください。これは大きな見出しですよ。四月十九日の産経ですが、「米、二億ドルの兵器輸入求む、防衛庁の四次防計画用に」と、これはなっているでしょう。これはちゃんと書いてありますよ。「政府筋が十八日明らかにしたところによると、米国政府はこのほど」云々ときて、「米国製各種兵器の輸入をいまの二倍の年間二億ドルていど織り込むことを要請してきた。」、断言して書いてあります。そういう事実を御存じですか、こういうことがあったということを。
○国務大臣(有田喜一君) 新聞では拝見いたしましたけれども、まだ防衛庁にそういう申し込みはございません。少なくとも私はそういうことを知りませんが、もしお疑いならば、装備局長がおりますから、装備局長から御返答いたしますが、そういうことは全然ないと私は承知しております。
○政府委員(蒲谷友芳君) そういう話は聞いておりません。
○前川旦君 今度の日米経済委員会で兵器の輸入増を要求するという、こちらから言えばされるですね、そういうお見通しはありませんか、そういう予想と言いますか、そういうことを聞いていますか。
○国務大臣(有田喜一君) 私はそういうことは聞いておりません。
○前川旦君 MAAG・J、何と略称、呼んでいらっしゃるのですか、マーグJ、在日米軍顧問団、これは引き揚げますね。来月から引き揚げるということがきまったということが報ぜられております。これにかわって今度MMO、これは何と読まれるのですか、ムモーですか、MMO。これは一体どういうことを今後やるようになりますか。新聞でこれは報道しているのでは、これは今後何をやるかというと、「今後登場する新鋭兵器の購入あっせんとなる見通し」だ。セールスマンになると書いてある、新聞では。そういうことになるのですか。これは一応この在日米顧問団が引き揚げて、残った一部は今後はセールスマンになって、場所もアメリカ大使館のほうに移って、あなた方のほうへセールスに、これ主力を注いでくるということになるのですか。これはどういうことになるのですか。
○国務大臣(有田喜一君) どうも前川さん、われわれ全然考えてもいない、またそういうことでもないことを盛んに引き出されるのですが、これは新聞種からきたものだと思いますけれども、これは御承知のとおり、四十四年の七月四日から在日米軍援助顧問団と言いましたね、それを総合防衛援助事務所と改称したことは事実です。これは、いままでの顧問団のやっておった業務量が非常に減りまして、人員もたいへん減少したのです。そこで、いままでの定員は、たとえば昨年度のごときは六十七人おったのが、今回から十一名に減ってしまったと、こういうわけです。それで事務所もかえまして、それで普通の事務所と、こうなったわけであります。任務については従前と変わりませんが、業務量が減ったわけでございますね。それだけで、別に武器の売り込みをやるというような性格のものでは全然ないのであります。したがって、いままでおったものでは、顧問団長——団長は准将の人でしたが、今度はそれにかわるべき所長は大佐、一つ位が下がったもの、こういうように縮小された、それだけのことでありまして、ほかに売り込みなんていうことは全然私ども聞いてもいないし、また、そういう性格のものではない。かように考えます。
○前川旦君 それは、まあこれからのことですから、そう言われましたけれども、もしこれがセールスマンになって売り込みをやるような事実があったら、これはそのときはまたうんと、いまの御答弁を引用して御質問を申し上げますから保留しておきます。それでは自主防衛は一応これで次へいきます。 次へいって、もう一つの柱であるのは海上と航空の重点ですね。そこで、まず海上のことをお伺いいたしますが、それに先立って、この前の予算委員会で問題になりました領海の三海里、十二海里説、これについては防衛庁はどうお考えですか。三海里より十二海里になったほうが望ましいというのが、これは私の想像する防衛庁の御見解だと思いますがね。そのほうがまあ領海が広がるから、いろいろな行動がしやすいということになると思いますが、それに対する御批判なり御意見、もし賛成であれば、外務省なりに何か働きかけをするのかということをお尋ねします。
○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、いまの日本のとっておるのは、いわゆる三海里説がこれが日本のとっておる立場であります。防衛的見地から言えば、それは領海が少し広くなったほうが、日本に進攻するのをできるだけ外で防ぐことができるからいいというようなことも、これは考えれば考えられますけれども、それがそれほど切実な大きな問題とも考えておりませんので、これを防衛庁が率先して日本のいまの領海説を変更していこうということを、事ほどさように私はこの領海を延ばすことが大きな大事なこととも考えておりません。そういうようないまの立場であります。
○前川旦君 それでは海上の重点は——海上自衛隊の任務はいろいろありますから、これからやろうとする海上の重点は、一般に言われているのは、よくマラッカ海峡がどうのこうのということを通日論議されています。重点は何に置かれるのですか。商船の護衛能力に置かれるのですか、護衛能力。あるいはまたほかにもいろいろあるでしょう。たとえばハンターキラーグループというのをふやして、もっぱら対潜掃討をやるというのもあるでしょうし、あるいは港湾等の防衛もあるでしょうし、いろいろ部門があると思いますが、何を一番重点にしておやりになりますか。一般的に言われているのは商船護衛能力の増加だということですが、この点どうですか。
○国務大臣(有田喜一君) この防衛というのは一つに限るわけにいかないのですね。だから私たちの海上自衛隊の任務としましては、港湾、海峡、それの防衛もやらなければならぬ。また領海も考えなくちゃならぬ。同時に海上輸送の安全ということも考えなくちゃならぬ。けれども、マラッカの問題が出ましたが、それは時の情勢でいろいろ違うかと思いますが、私どもは日本の商船を守らなければならぬからといって、世界の七つの海にかけて完全に守るという、そういう大それた考えも持っておらないし、またそういうことは言うべくして不可能である、したがいまして、日本並びにせいぜい近海といいますか、近回りの海上の安全ぐらいのところをいま考えておる。しかし、先ほど言いましたように、海上自衛隊はいまの三自衛隊の中で一番おくれをとっておると思いますので、その近海方面の海上防衛を十分に果たせられないという実情でありますから、そこでもう少し力を入れて、それで海上自衛隊の増強をはかって、そうして任務をだんだんと全うするようにいたしたい、かように考えております。
○前川旦君 どうもはっきりわかりませんので、あとでまたマラッカの問題をお尋ねしますが、それじゃ法律問題について法制局にお尋ねします。 この自衛隊法の海上の警備行動というもの、これは一体法律上はどういうことを言うのでしょうか。海上の警備行動と防衛出動というのとは、あるいは防衛出動待機命令による待機ですか、その辺の関係は一体どういうふうになっているのですか。これを、複雑でわかりませんが、ちょっとわかりやすく説明してもらいたいのです。
○政府委員(真田秀夫君) 御質問の趣旨がどうも的確に受け取れませんが、大体七十六条、「(防衛出動)」と、それから八十二条、「(海上における警備行動)」と比較いたしますと、前者は国の防衛の作用でございますが、後者はどちらかと言えば本質的には警察活動じゃなかろうか、つまり、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持」ということでございますので、本質的には警察活動の一種ではなかろうかというふうに思っております。
○前川旦君 そうしますと、海上保安庁がやっているようなことが、この海上における警備行動になるのですか。
○政府委員(真田秀夫君) 海上保安庁の任務とまさしくまあ一致するわけでございまして、第一次的には海上保安庁がやる仕事であろうと思っております。
○前川旦君 そうしますと、船団を護衛するとか、常識的に言って言われますね、これは海上警備行動ではなくて、すでに防衛出動の段階ということになりますか。
○政府委員(宍戸基男君) ごく常識的に申し上げますと、有事の際の船団護衛というのは、防衛出動の一体系であるというふうに申し上げてよろしいかと思います。ただ、法律的にもう少し申し上げますと、防衛出動が下令されるような事態でなくて、先ほどちょっとお話が出ましたが、まあ狭い例かもしれませんが、海賊行為がある海面で行なわれる。わが国に直ちに侵略はないという事態で、わが国の船舶が海上交通を脅かされるという事態も考えられぬでもない。そういう場合にはやはり船舶を護衛しなければいけませんが、そういう場合には、先ほど法制局からお答えになった海上における警備行動、自衛隊法の八十二条で船を護衛するということもあり得る。この場合には海上保安庁の任務と競合いたします。近海であれば海上保安庁で十分であろうかと思います。しかし、非常に急ぐ場合とか、あるいは遠い海であるとかというようなことで、海上保安庁の手が及ばないという場合には、海上自衛隊にその任務が課される。こういうふうなことになるんではないか、このように思います。
○前川旦君 外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含めてがこの防衛出動ですから、海賊行為というか、ゲリラ活動というか、日本の船舶が脅かされる。こういう場合には防衛出動というよりもむしろ海上警備行動で船団の護衛をするのだというふうに解釈しているんですね、そういうことになるんですね。まあ一種の海賊行為とか、いわゆる戦争状態というような、全面戦争とか部分戦争とかいろいろありますが、戦争状態ではなくて、海賊行為あるいはゲリラ行為で日本の船が攻撃され、沈められる。これは防衛出動でなくて海上警備行動で出るのだ。そういう理解ですか。
○政府委員(宍戸基男君) そういう場合もあり得るということを申し上げたわけです。要するに、防衛出動といいますのは外部からの武力攻撃、つまり組織的、計画的な武力攻撃がわが国に加えられ、あるいはそのおそれが直接ある場合という場合でございます。そういうことの事態において、たとえば前大戦のときに行なわれましたような船団護衛ということも考えられますが、しかし、それ以外に船団護衛がないかというとそうではなくて、いまのお話のような事態においては海上における警備行動ということで船を守るという事態もあり得る。こういうことになると思います。
○前川旦君 海上警備行動の間は、これは法制局にお尋ねしましようか。たとえば自衛力の行使というものは刑法で言う正当防衛あるいは緊急避難の範囲に限られると、こういうことになるんでしょうか。たとえばいま飛行機のスクランブルというのがありますね。あれはやはり刑法上の正当防衛とか緊急避難とか、その範囲に限られているんでしょう、武器の使用というのは。領空侵犯に対する、攻撃された場合の反撃というのは、そうでしょう。この場合もどうなんですか。この海上警備行動中の自衛力の行使というのは、刑法でいう正当防衛、緊急避難、その範囲に限られるというふうに考えてよろしいんですか。
○政府委員(宍戸基男君) 領空侵犯のときにスクランブルをかけること自体は必ずしも正当防衛ということでなくて、領空が侵される、あるいはその直接のおそれがある場合にはスクランブルをかけ、そばに行きます。そばに行って武器を使う、武力行使をするという事態のあなたのお尋ねであれば、そういう場合には正当防衛、緊急避難の場合に限ると、こういうふうなたてまえにしております。 それから海上における警備行動の場合に同じかというお尋ねでございますと、必ずしも同じではございません。先ほど法制局からお答えがありましたように、これは一種の海上における警察行動でございます。で、法律にも出ておりますけれども、そういう警備行動の場合に武器の使用のこともきめてあります。必ずしも正当防衛だけでなくて、正当防衛の場合も使いますけれども、正当防衛だけでなくて、警職法第七条が準用されております。あるいは海上保安庁法の一部準用もありますというようなことで、正当防衛以外にも武器の使用は認められる、一般の海上保安庁なり警察が武器を使用する場合と大体似たような使用のしかたがきめられていると、こういうことでございます。
○山崎昇君 ちょっと関連して。いま防衛出動について法的見解を聞いているようなんですが、そこでお聞きをしたいのは、自衛権の発動というものと防衛出動というものとは違うんですか、同じものですか。もしも違うものだとするならば、自衛権の発動というのは、自衛隊法に論拠を置いてものをいえば、どこにその根拠が法的にあるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(真田秀夫君) 自衛権の発動と、それから防衛出動との関係いかんという御質問のように受け取りましたが、どうも直接法律条文的にこれがこうなるというものではないのであって、自衛権の発動といいますのは、国際的には国連憲章の五十一条に書いてございます。国内的には憲法の九条はそれを否定しているものではない、日本の国権の発動として当然認められるものである。そしてその自衛権の発動をいたします際に国内法の体系として自衛隊法がございまして、その自衛権の発動の体制として防衛出動という制度があると、こういうふうな関係に相なるのではなかろうかと存じます。
○山崎昇君 そうすると、重ねてお聞きしますが、自衛権の発動の場合には、法制局長官の答弁を見ると、これは他に防衛の手段がなくて、緊急のときですね、向こうが攻めてきてそのときに自衛権の発動はいたしますと、きわめてこれは厳格に解釈していると思う。ところが自衛隊法の七十六条による防衛出動は、侵されるおそれのあるときも含めて防衛出動はすると書いてある。そうすると、あなたのいまの答弁でいう自衛権の発動を法的にいえば、防衛力の出動でやるんですというこの論拠は成り立たない。法律的にいうと成り立たなくなる。だから、私がさっきあなたに聞いたのは、自衛権の発動というのは法律的にどうなっておるのか、こういうことをお聞きしたんです。その関係はどうなりますか。
○政府委員(真田秀夫君) なるほど自衛隊法の七十六条には、「(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)」とございまして、そういうおそれのある事態のもとにおいて防衛出動することはございますが、しかし、おそれのある事態のもとにおいて行なわれた防衛出動が直ちに自衛権の現実の行使になるというものではございませんで、いわば自衛権を行使するためには、常々申しておりますような厳重な要件があります。その要件に該当して初めておそれのあるという事態のもとで防衛出動し、自衛隊がそういう厳重な要件を備えるという事態に至って、その段階において現実に自衛権を行使する、こういうかっこうになります。
○山崎昇君 そうすると、防衛出動の中に自衛権発動の場合と、自衛権の発動でない場合と二つ含んでいる、どういう区別になりますか。
○政府委員(真田秀夫君) おそれのある事態のもとにおいて防衛出動が命ぜられるというのは、それが直ちに自衛権の発動ということじゃないのでございまして、先ほど申しましたように、出動命令があって、自衛隊が防衛出動はいたしておりますが、その事態が自衛権の現実の発動を許す要件を備えるに至って、そこで現実に自衛権の行使をする。現実に侵害があって、それから出動したのでは間に合わないようなこともございますので、おそれのある事態のもとにおいても出動をする、こういうことではなかろうかと思います。
○山崎昇君 それじゃ防衛出動して何があるのですか、現実に軍隊が出て行ってどうするのですか。それは出て行って待機しているのですか、遊んでおるのですか、黙っているのですか。そうすると、この七十六条の防衛出動というのはどういうことになるのか。それから関連して、それならば自衛権の発動というのはどういうことですか。それじゃ、なお自衛隊法には、八十六条で武器の使用というのは別規定になっている、だから武器の使用と自衛権発動と治安出動と、この三つの関係だが、法律的にいうとどうなりますか、どうもわからぬのではっきりしてください。
○政府委員(島田豊君) 防衛出動は、先ほど来御説明がありますように、外国からの武力攻撃が現存する、武力攻撃が発生をする事態並びにそのおそれのある場合に防衛出動が下令されるわけでございますが、実際に自衛権が発動するといいますか、武力行使をするということは、相手から直接の武力攻撃がございまして、それを防衛するために武力を行使する、その際には八十八条にございますように、「国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」、こういう規定がございまして、したがいまして、防衛出動の場合に自衛隊が出動いたしますのと、それから具体的に武力攻撃を受けまして、そういう事態が発生いたしまして、それに対しまして武力の行使をする、この二つの場合があるというふうに考えます。
○北村暢君 ちょっとその点もう少し聞いておきたいのですがね。外部からの武力攻撃に際してということで攻撃を受けて、これは陸上、航空、海上によって、状況は若干違いますでしょうけれども、いま前川君の質問は、護衛に関して質問が出ていますから、輸送船の護衛だとはるか遠い所まで行きますね、領海を離れて。そうするというと、どっかの沖合いで輸送船がやられたというときは、外部の攻撃を受けたとはっきりしているから、そのために行けば防衛出動になりますね。しかし、これは実際に相手側の潜水艦だの何だのということは、攻撃してくるのだか、こないのだかわからないが、その海域におるというが、あり得るわけでしょう。そのときにおそれのある場合、こういうことで、このおそれのある場合ということの判定なんというのは、総合的に国際間の緊張が非常にきびしくなってきたとか何とかというところでなければ、おそれがあるときという判断は出てこない。出てこないが、しかし、その解釈はまことにあいまいです、これは。まことにあいまいです。特に海上輸送に対する護衛だなんということになると距離的にも離れておる。航空機もありますから、護衛艦そのものはなくてもいい。ところが護衛艦なんというものは常時やっていないというと、いざといったときに間に合わないということが起こりますね。そういうような点からいって、この防衛出動というのは、あらかじめおそれがある場合行っていて、実際にくるかこないかわからない。そのときに予想せられるものがあって行動していて、自衛権の発動するのは実際にきてからでないと、わがほうから行くというわけにはいきません。行かないことになっているのだから、実際に外部からの攻撃を受けたというときに初めて自衛権というものは発動できる、こういうことになるわけだが、実際問題としてこの護衛艦というようなもの、輸送隊の護衛なんというのは、どういうようなときに実際こういうものが適用されるのか。何かこう見ているというと、平時用でも護衛というものが予想せられるということで理屈づければつけられないことはない。そうすると、無制限におそれがあるということで護衛ということが起こり得る感じがします。そういう場合は実際問題どういうときにこれを判断するのか。このおそれあるということで海上の輸送の護衛なんというのが行なわれるのか、こういうのをちょっと具体的に説明していただけませんか。
○政府委員(宍戸基男君) 具体的に申し上げるのはたいへんむずかしい場面でございますけれども、いわば標準的な場面をとらえて、もちろん過程の問題ですけれども、とらえて申し上げますと、大体こんなふうになろうかと思います。まず繰り返しになりますけれども、平時において船団を護衛する場合もあり得る、そういう場合には海上の警備行動ということで、警察行動としての武器の使用が許される、これが第一でございます。 それから今度は有事の場合のことが主たるお尋ねであると思いますが、それで、わが国周辺の事態が悪化いたしまして侵略のおそれがあるというふうに命令権者である総理が判定され、そうして国会の御承認があれば、そういう事態で防衛出動が下令されるということがあり得るわけでございます。制度上そういうことになっております。そこで船団護衛のことで考えますと、ずっと情勢が悪化しまして、わがほうの船が無事ではとても港まで帰れないというふうな情勢判断があった場合には、海上自衛隊の一部がその船の護衛に当たれということが防衛出動の一形態として任務を付与されて護衛のために出ていく、その場合に、おそれのある場合でもそういうことがあり得るということだと思います。そこで、そういう事態でもう防衛出動下令されて船団護衛の任務についておりますが、実際に武器を使用する自衛権が発動されるというのは、敵のといいますか、侵略者の潜水艦が船団の一部なり、わがほうの護衛艦なりに攻撃を加えてきたという時点において自衛権が発動される、わがほうの国際的な正当防衛が発動されて、それに対してわがほうの護衛艦なり哨戒機が武力を用いる、こういうふうな事態が予想される、そうなりますと、すでにそれがおそれじゃなくて現実の武力攻撃ということになりまして、それから先はもうおそれという問題でなくて、侵略者の武力攻撃があったということで、わが国全体の自衛権が、その護衛船団でなくて、わが国全般にすでに武力攻撃があったという判定で、いろいろな個所において武力攻撃が現にあるかもしれませんし、現にわが国も反撃するという事態になるというふうな、そういうふうにずっと順序を追うかどうかわかりませんけれども、標準的な事態を想定いたしますと、そういう船団護衛というふうなことと、それから時間的な経過というものをごく標準的にとらえて想定すれば、そういうふうなことになるのじゃないかというふうに感じます。
○山崎昇君 私は七十六条の防衛出動というのは、航空自衛隊、海上自衛隊、陸上自衛隊、それぞれ、条文は一つでありますけれども、違うと思うのですね、性格が。したがって、いまのような局長の説明であれば、陸上自衛隊の防衛出動というのはどういうことが想定をされるのか、おそれがある場合を含むというのですからね。ですから、もう一ぺんそれでは航空自衛隊の場合は何が防衛出動で、何が自衛権の発動で、海上自衛隊の場合は何が防衛出動で、何が自衛権の発動か、そうして陸上自衛隊はどうなっているか。これはなかなか私はむずかしい問題でもありますが、条文は一つですけれども、この三つの自衛隊についてそれぞれやり方が違っている、状況がまた違うと思う。もう一ぺん一つ具体的に説明してくれませんか。どうもいまの説明では私はわからないのです。
○政府委員(宍戸基男君) 具体的な様相がいままであったわけでもございませんので、頭の中で考えてのことでございますので正確を欠くかもしれません。標準的な様相も想像しながらのことになろうかと思います。もちろん、いま申し上げた船団のことも全般的にごく正確に申し上げます。 わが国の領域というところで、領海内で向こうの武力攻撃があったということによって、わが国に対する直接的な侵略ということに、正確に言えばそういうことになろうと思います。ですから、かりに陸上の場合にどうだというふうなお尋ねでございますが、陸上の場合ですと、もっと割合はっきりするのじゃないか、つまりどこでもよろしゅうございますけれども、北海道なら北海道の半島の先のほうに陸上自衛隊がかりに展開している。そこにかりに侵略がありそうだということを想定いたしますと、そういうおそれがある場合に、通常のキャンプから出て陣地につけ、配置につけということを命ずることが、まずおそれがある場合で出動を命ぜられる場合の一つの様相ではないか。通常はキャンプ内で訓練しているわけです。あるいは演習場内で訓練しているわけです。あるいは事態が険悪ならばいろいろ陣地もつくらなければいかぬと思います。いろいろな部隊を配しなければいかぬと思います。そういうことの配置につけ、それは武力攻撃があって、全く奇襲を受ければ、そういう場合にあってから配置につかすことにならざるを得ないかと思います。情勢判断が的確であれば、そういう判断のもとにおそれがある事態で陸上自衛隊を陣地につかすということが、おそれがある場合の一つの防衛出動下令の一つの様相ではないか。そういう陣地についてるときに、空からでも海からでも、あるいはいろんな複合的な様相でもよろしゅうございますけれども、侵略者の侵略行為があった。つまり武力攻撃があったということになりますと、おそれある場合でなくて、外部からの武力攻撃があった場合の防衛出動になる、こういう順序になるんではないかとこういうふうに思います。
○山崎昇君 もうこれ一つで、関連ですからやめますがね。私は、この自衛権の行使と防衛出動というのは、これはまあ私が質問に立つときに聞いてみたいと思ってる一つなんですがね。たとえば、空と海が自衛権の行使をやってるときでも、陸上の場合は防衛出動だけで終わる場合があり得る、これは頭の中の想定でありますから。それから空と海がかりに防衛出動をやっておっても、陸は何にもない場合もあり得る。私はこれはいろんなケースがあると思うんです。だから自衛権の行使と防衛出動というものを、法文上のこれは例外にしなきゃならない。それから自衛権の行使の場合は、敵が攻めてきて、他に方法がなくて行く場合には、武力行使をやることを含んで出ていくわけですね。しかし、防衛出動の場合はそうではない。そうではなくて、武力行使をやるのは八十八条で、兵器を使うことは別の条文でこれは命ずることになってるわけでしょう。ですから、私は自衛権の発動というもの、行使というものと、防衛出動というものは、法文上は歴然と違うものではないのか、こういうふうに理解をしておったのです。ところが先ほど、防衛出動の場合にも、自衛権行使の場合も、そうでない場合もありますというような答弁であったから、多少私のほうも実は混乱をしてきているわけなんです。そこで、まああとで私はこの問題聞きたいと思っていますが、この自衛権の行使ということと、防衛出動ということをもう少し法律的に、自衛隊法にのっとってね、私はもう一ぺん法制局なら法制局できちっとしてもらいたい。さっきの答弁ではちょっと私わかりかねるわけです。
○政府委員(真田秀夫君) 大体先ほどお答えしたことの繰り返しに相なろうかと思いますけれども、自衛権の行使そのものは、自衛隊法で実は根拠条文を書いてるというものではないだろうと思います。これは国の主権として、当然憲法は禁止していないというところから出てくるものだろうと思います。
○山崎昇君 そんなら自衛隊法要りませんよ。
○政府委員(真田秀夫君) それで、その自衛権を行使することも、やむを得ず行使しなきゃならないということになった場合に、国内態勢としてどうするかというしかけが要るわけでございまして、それを自衛隊法が書いているというふうに考えるわけでございます。で、その態勢といたしまして七十六条、自衛隊法の七十六条に防衛出動、あるいはそのもう一つ前段階として防衛出動待機命令というようなしかけを考えているわけですが、その防衛出動そのものにつきましても、現実に武力行使がもう行なわれた場合、これは大急ぎで防衛出動しなきゃいけない。それから諸般の情勢から見て武力攻撃を受けるおそれが非常に濃いと、そういう段階でも防衛出動という命令を発令いたしまして、その態勢につく、ただ、おそれがあるという事態のもとにおいて防衛出動が命ぜられた、そういう状態のもとにおいては、いきなりこちらから武力行使をする自衛権が、現実の自衛権の発動といたしまして武力を行使することはできませんで、それは憲法上許される自衛権発動の要件が備わったときに、初めて武力行使を行なうこと、その法規定は八十八条に書いてあると、こういうかっこうになっております。
○前川旦君 これは後ほど少し突っ込んでいろいろやらしてもらいたいと思います。そこで、あとに残してかけ足でいきますが、海上を警備している場合に、もし潜水艦から攻撃があった場合に、これは反撃することができるわけですね。これはやはり自衛権の行使になりますね、必ずしも防衛出動を命ぜられていなくても。海上警備行動の段階でも攻撃を受ければ反撃できる、これは自衛権と解釈すべきでしょうか、これは何でしょう。
○政府委員(島田豊君) 公海上におきます日本船舶に対しまして、組織的な、計画的な武力攻撃があるというふうな場合には、これは自衛権の発動が対象になるのだろうというふうに考えます。
○前川旦君 計画的、組織的というのはどういうふうに判断するのか、計画的というのがまずわかりませんね。組織的というのは、多数をもってやれば組織的ということになるでしょうけれども、海上自衛隊の戦略構想をいろいろ書いている本を読んでみますと、潜水艦による海上交通の撹乱のゲリラが一番可能性のあることだというふうなことを書いてある本がありましたのでね、そこで、一体そういうことで日本の船舶がゲリラ的に潜水艦に攻撃されると、その船舶を海上警備行動として海上自衛隊が護衛していると、そういう段階でですね、これは自衛権の行使として、海上警備行動の段階でも自衛権の行使はできるのか、防衛出動命令が下らないと自衛権の行使ということにはならないのか、その辺はどうなんだということを実は伺っているのですから、組織的、計画的と言われても、ちょっとこれわかりにくいのですがね、その辺どうですか。
○政府委員(島田豊君) 海上における警備行動のために自衛隊が出動いたしております場合には、これは先ほど来お話がありましたように、いわゆる警察行動でございまして、それは直ちに自衛権の発動ではないというふうに考えられるわけでございます。その際に防衛出動をやはり下令をせられておりまして、自衛隊が出動しておって、防衛出動いたしておりまして、その船舶に対しまして組織的な、あるいは計画的な攻撃が加えられるというような場合におきましては、これは防衛出動の中におきまして、それらに対して武力の行使ができるというふうなことになりはしないかというふうに考えられるわけでございます。いわば何と申しますか、国際法上の自衛権の発動というような形になりはしないかというふうに考えます。
○前川旦君 これはどうももっと時間をかけてゆっくりやりましょう、そのほうがよさそうですね。 それじゃもっと一般論に戻りますが、たとえば自衛権の行使というのは、日本の場合、先制的自衛権は認められておりませんね。そうすると、先ほど防衛局長が言われましたように、実際に潜水艦の攻撃が現実に発生をしなければ反撃はできないということになるのですね。あるいは一たんそういう騒乱状態が起きて、自衛権が発動すれば、あとは、それは最初のときだけであって、あとは全部ずっと連続的にいつの場合でも先制的にやれるのだということになるのでしょうか。それともそのたびごとに、やはりこれはこういう要件が満たされなければいけないということになるのでしょうか。
○政府委員(島田豊君) まあ領海内におきまして外国からの武力攻撃がありまして、それに対して防衛出動が下令されたというふうな場合におきましては、その自後の状態におきましては、ただいまおっしゃるようなことになりはしないかというふうに考えております。
○前川旦君 これは領海内じゃなくてやはり公海の問題ですね、船団護衛ですから。その場合のことはどうですか。
○政府委員(島田豊君) 公海上におきまして、先ほど申しましたような自衛権の発動として武力行使します場合には、その後における、自後の行動につきましては同じような論理が働くのではないか、公理が働くのではないかというふうに考えます。
○前川旦君 同じような論理が働くというのは、そのケースそのケースで、やはりこちらから先制はできない。たとえばあるところで日本の船団が攻撃を受けますね。これは防衛出動が命令されますね。それで防衛出動、船団護衛をしております、公海で。そしてあるところで攻撃されます。そうすると、別のところで別の船団に接近してくる潜水艦があれば、これは攻撃を受けないでも、すでにもう別のところでそういうことがあったのですから、それは攻撃されないでも先制的に先にやっつけるということができるのかどうか。やはりその場合でも攻撃を受けて初めて自衛権というものが許されるのかどうか。その辺の法的な海上の場合のいろいろな統一解釈というか、をやはりやっていらっしゃると思うのですが、どうですか。
○政府委員(島田豊君) 一たんそういう事態が発生いたしまして防衛出動が下令せられまして、そしてその周囲の状況からしまして、そういう状態が継続しておるというふうな客観的な情勢が判断せられる場合におきましては、先制的な攻撃はできる。防衛出動の引き続きの継続行動であるというふうに考えます。
○前川旦君 それは一般論としてそうおっしゃいますけれども、実際たとえばマラッカ海峡へ国籍不明の——これは実際に潜水艦の国籍をどうやって常識的に判断するのでしょうか。これは飛行機ならかっこうを見ればわかりますね。ちゃんと識別できますよ。海の中にもぐっておる潜水艦の、私は知らぬから教えてもらいたいのですが、国籍をどうやって判断するのかわかりませんが、判断する方法があるのでしょうか。かりに攻撃されますね、マラッカ海峡で。そうすると、今度は日本海で接近してくる潜水艦があれば、それは先制攻撃ができるのだと、何かそういうふうになるのでしょうか。何かその辺がはっきりしていないから聞きたいのですが。
○政府委員(島田豊君) それはそのときの情勢がどういうふうな状態であるかということでございまして、海面が非常に遠く離れておるような場合に偶発的なそういうふうな事態が起ってきましても、それが連続的あるいは組織的な形においてわが国に対する武力攻撃と認められない限りにおきましては、やはりそれはそのつどの処置ということになろうかと思います。
○前川旦君 そこで私は一つ疑問があるのですが、第三次防のときから海峡を警備する能力の増強ということをしきりと言っておられます。それは文書になっていますね。日本に関係する海峡といったら三つしかありませんね。宗谷、津軽それから対馬ですか、この三つしかありません。そうして北海道と青森のあれは津軽ですか、これは日本と日本ですからこれはまあわかりますが、宗谷は向こうは外国でしょう。それから対馬も外国ですね。そしてその公海がありますね。海峡の警備能力の増強といい、それからいろいろなものの本によりますと、いざというときにはその海峡を封鎖してハンターキラー・グループで潜水艦狩りをやるのだと、勇ましいことを書いてありますね。そこで私は非常にふしぎに思うのですが、公海を封鎖したり——海峡でも公海がありますね、これを封鎖する権利というのは、これは交戦権に属するのではなかろうか。封鎖する権利、権原というのは、自衛権の範囲で海峡を封鎖するということは法的に可能なんだろうかという疑問があるのです。それが一つです。 もう一つは、海峡を封鎖してそこを通過する潜水艦を攻撃するということになるのでしょうね、海峡警戒能力というのは。ただ通る潜水艦の統計をとるのじゃないでしょう、いざというときは攻撃するということになるのでしょうから。その海峡を通過するその潜水艦が日本を攻撃するかどうか、これは判別できませんね、ほんとうの話が。たとえばウラジオから出てきて宗谷海峡なり対馬海峡を通って外洋へ出ていく潜水艦が日本を攻撃するかどうかわかりません。かりに、かりにですよ、日本とソ連との間で少し騒乱があって、そして自衛権の発動という段階になって防衛出動することになった段階でも、そこを通って南下していく潜水艦が南方の航路で日本の航路を撹乱するかどうかということはそれは判断できません。それを海峡で押しとめて大洋へ出さないように日本海に閉じ込める、そして対潜行動をとるということ、そのことは一体自衛権から考えて、これは少しオーバーじゃないでしょうか。そして公海をそういう形で封鎖するということは国際法で言う交戦権の中に入るのではあるまいか。その辺の実は疑問を私は前から持っているのです。その点どうですか。いわゆる四次防でも、これまた新聞ですけれども、海峡警備能力の増強ということがやはり出ていますからね。三次防で特に出ていたのは覚えておりますがね。その辺ちょっと伺いたい。
○政府委員(宍戸基男君) 自衛権の範囲が交戦権の発動になるかならないかというのは、後ほど法制局のほうから正確にお答え願ったほうが適確だと思いますけれども、その前に、そういうことを考えておるのか、それからどういうこちらの戦略といいますか、戦術といいますか、そういうことを考えておるのかということが前提になっていると思いますので、その点について申し上げますと、やはり海峡の警備能力はふやしたい、現在まだ十分でないということを感じております。で、やはり日本全体を守るというためには、海峡に味方なり敵なりの船なり、特に潜水艦がどういう様相で通るかということは十分監視する必要があるだろうと思います。それは津軽海峡に限らず、そういう能力は持つべきである。いざ有事防衛出動が下令されるような自体におきましては、かりに先生のお示しの、たとえば具体的な国をあげるのはどうかと思いますが、仮定の話として、ソ連とすでに有事になったという場合において、ある海峡でこれを封鎖して、もうすでに攻撃、防御が始まっておるという事態においてそれを発見してそれを沈めるということは、日本全土を守るという自衛権の発動の一態様になるように思います。海峡封鎖の戦術といいますか、そういうことはそういうことで許されるように私は思います。 なお、交戦権と自衛権との関係につきましては、法制局のほうでお答えするほうがベターではないかと思います。
○政府委員(真田秀夫君) ソ連との間で海峡封鎖をするとかいう必要があるかどうかということに関連いたしまして具体的に御相談を受けたことはもちろんございませんので、具体的な問題として詰めて考えたことはございません。 それから、交戦権と自衛権の行使との関連につきましては、これは今年の予算委員会でしばしば問題に出たとおりでございまして、憲法上交戦権は持てないのだと書いてございますけれども、自衛のために必要な限度において自衛行動を行なうこと自体は憲法は禁止していないのだというふうに考えておる次第でございます。
○前川旦君 いま法制局から言われたことは、これは特定の名前をあげましたからやめましょう、あとあと悪いですから。一番よくわかりやすいと思って言ったのですからね、例として。しかし、あなたがおっしゃったことは、やっぱり全面的の交戦状態という全面戦争——某国と日本とがそういう場合には、それは自衛権の発動ということになるだろうと、そういうことでしょう。全面的な戦争ということになると、ちょっとあり得ないと思うのですよ。それから、三次防が、通常兵器による全面戦争に備えると書いてありましたかしら。どうも全面戦争とは書いてなかったように思うのですがね。やっぱり三次防でも通常警備能力ということを言って、いまハンターキラー・グループを、その前にはなかったのをつくるとか、対潜哨戒機をふやすとかね。ですから、局地戦争ということになると、一番何を考えなければいけないかというと、それは誤解による紛争もあるでしょうけれども、エスカレーションしないように、徹底的にそれがデスカレーションするように最大の努力をすることが私は安全保障だと思うのです。どこで一つあったから、しめたということでとっとっとっとやっていくようなことはあなた方考えていないでしょう。そういうことではたいへんですね。そういうことを考えれば、三次防でああいうことを出してやるというのは、少し矛盾があるのじゃないだろうか。四次防ではその点はどうなんだろうかという点を私は疑問に思うから、その辺を実は的確に聞きたかったわけです、いかがですか。
○政府委員(宍戸基男君) 先ほど申し上げたのも、まあ全面戦といいますか、世界的な全面戦で、まあ米ソ大国が対立している、それが火をふくというふうな場合で日本が巻き込まれるというような場合もそれは絶無とも言えないのですが、それを特に三次防が取り上げているわけではないことは確かで、三次防で取り上げておりますのは、主として通常兵器による局地的な様相を考えてわが国の自衛力を伸ばそうと、それ以外の全面戦については安保の抑止力に依存しようと、こういうことであることは御存じ——お話しのとおりでございます。ただ、私が申し上げたのは、全世界から見れば通常兵器による局地戦でございますけれども、日本から見れば、津軽海峡なり対馬海峡なりがすでに火をふいているという事態は、世界から見れば局地戦かもしれませんが、日本から見れば全面的な侵略であるということもあり得ると。そういう場合には、ある海峡を封鎖して、それによって対処するということは、十分考えなければいけないと。それは、その海峡そのものですでに敵性の潜水艦を撃沈することは、わが本土全体を守るという意味で自衛権の発動になるように思われますということを先ほど申し上げたつもりでございます。そういうことでよろしゅうございますか。そういう意味でございます。
○前川旦君 あの三次防に出ている局地戦というのは、日本にとっては全面戦という意味から初めからああいうふうに書かれたとは思いません。いまみたいな、日本にとっては全面戦争でも国際的に見れば局地戦だということに備えることだということに三次防ができているということは、いま初めて聞きました。それは初めての答弁であります。いままでそういうことは聞いておりませんから、少しおかしいと思うのです。私はきょう初日ですから、たいへんにこにこして、ほんとうは言いたいことをだいぶ押えているのですよ。ですから、これはもう少し緊迫してきたらまた少し突っ込ましてもらおうと思うのですがね。私がやっぱり心配しているのは、さっきも言いましたアメリカとの癒着の問題を一番われわれは問題にしているのだと言ったでしょう。三つの海峡を封鎮するということは、結局アメリカの対ソ戦略からいうと一番大事なことですね。原潜を出さないということです。ポラリス潜を出さないということです。その共同作戦なりその下請を日本がやるということになれば、これは日本の自衛権ということの範囲を越えるし、それ以上に、日本の国益というものを考えると、巻き込まれるという危険性が強い。ですから、その点は非常にシビアに考えて、そんな余分なサービス——余分なサービスだと思うのです——オーバーサービスすべきじゃないということを、私は日本の安全保障という立場から非常に気になるものですから、実はいつか聞いてみようと思ったのですが、きょうはこの程度でやめておきます。この段階がもう少し緊迫したところでもう一回やらしていただきます。 それじゃ次に参ります。それで、通常兵器に備えるというのが基本的な考えですね。通常兵器でない兵器というと、これは核兵器のことを一応さして、通常兵器というのは核兵器以外のことだろうと思いますが、原子力潜水艦は原子力のエネルギーで動かしているだけであって、核装備をしていなければ通常型の兵器ということに一応なると思うのです。核兵器を積んでおればこれは別ですよ、サブロックとかポラリスとかポセイドンとか。日本の海上防衛、船団護衛の対潜水艦の目標は原子力潜水艦なんです。もしかりに船団攻撃するというと、攻撃型原子力潜水艦を——ポラ潜じゃありませんが——想定されておるのかどうか。もし、しているとすれば、これは防ぐことは不可能でしょう、おそらく。たとえば非常に二百メートル、三百メートルの深いところを四十ノット近い速力で、しかも、きわめて遠距離から攻撃する原潜は、こちらも原潜で追っかけなければ捕捉できないでしょう。だから、攻撃型原潜というのはできたわけでしょう。不可能だと思うのです。そうすると、どうなんですか、通常型の潜水艦による攻撃だけに備えるということになるのですか、その辺はどうなんです。
○政府委員(宍戸基男君) これも断定することはなかなかむずかしいと思います。ただ、主たる役割りは、まず大きな核抑止力として双方が期待しておりますのは、アメリカでいえばポラリス型の潜水艦、それは向こうが攻撃する攻撃型の原子力潜水艦がある。逆にアメリカのほうから見ますと、それを守るために、つまり向こうの攻撃型潜水艦、あるいはアメリカの本土を攻撃するかもしれないミサイル搭載の原子力潜水艦を攻撃するために、ポラリス型でない攻撃型の原子力潜水艦を備えているということはお話しのとおりだと思います。したがって、船団護衛というふうなことに焦点を合わせてみますと、まずそういういわゆるポラリス型の潜水艦が船団を攻撃するということは常識上あまり考えられない。で、サブロックを積んだような、そういった攻撃型の潜水艦もそういう役目、任務にはつかぬということは推測されます。ただ、これは絶無だと断定するわけにもちろんまいりません。船団なんかを攻撃する主たる任務を付与されるのは、おそらく現在においては通常型潜水艦のほうの役割りになるのではなかろうかということは推測されます。もともとそういう原子力潜水艦が出現しましてからそういう対戦は存在しませんので、そういう戦略、戦術が確定しているというほどのことではまだないと思いますが、いろいろの能力、性能から見ましても、大体そういうようなことが常識上言えるのではないかということを申し上げられると思います。 それから、それではわがほうの船団護衛についての能力なり対処のしかたがどうだということにつきましては、主として通常型の潜水艦を考えて、先ほど申し上げたようなことですから、対処するという場合が多いと思いますが、原子力潜水艦がだんだん数もふえてまいりますし、そうして多少それが任務につく場合がかりにあり得るとしまして、対処のしかたがそれじゃゼロかというふうな、全く不可能かというお話でございますけれども、必ずしもそうではない。つまり、航空機というものがございますので、航空機によって対処する、航空機を連れたまた護衛群によって対処することも、あながち不可能ではないと思いますけれども、やはり先ほどのような推測から、論理から言いまして、通常型潜水艦を主として考えて船団護衛のことを考えるというのが、現在の段階における一つの常識ではなかろうか、こういうことは申し上げられると思います。
○前川旦君 私は実はこういうことを聞いているのは、船団護衛というのはなかなかむずかしいということを、実はあなたの口から聞き出したいと思って聞いているのですから、うまく乗ってきてほしいのです。あなたそうおっしゃるけれども、あなたの頭の中はアメリカの原潜のことしかない。「ジェーン」の海軍年鑑を見ますと、原子力潜水艦で長距離魚雷を持っているのはたくさんありますね。ポラリス潜水艦でない攻撃型潜水艦の中には、艦船を攻撃するミサイルも、あるいは魚雷を持っているのもあるんです。ということは、原子力潜水艦から船団が攻撃されないということは大体あり得ないということは考えられない。あり得ることです。これは「ジェーン」の海軍年鑑から引っぱり出した、おたくからしたものです、防衛年鑑。そうすると、たとえばいまの長距離ホーミング魚雷というのは幾らくらい距離があるのか知りませんが、ホーミング魚雷ですから当たりますね、必ず。一〇〇%ではないかもしれませんが、ずいぶん命中率がいいでしょう。昔のことは、源田先生がいらっしゃる前で私は恥ずかしいけれども、よく知りませんけれども、日本の魚雷でも四十キロくらいは届いた。最大になるともっと遠距離に行くだろう。そうすると、もっとずいぶん遠距離ミサイルを備えている艦対艦ミサイルだと、四百キロという距離を飛ばす。そういう艦対艦ミサイルで攻撃されたり、あるいは遠距離から原子力潜水艦で攻撃されて、その原潜は二百メートル下を三十八ノットも四十ノットも出せる。高いところからヘリコプターで追っかけるというけれども、夜なんかどうなるんですか。ちゃんと追っかけられるんですかね。ヘリコプターからソナーをつりおろすんでしょうか。それほどいい性能のソナーができておるのかどうか知りませんが、なかなか船団護衛といったって守るほうというのは一歩一歩追っていくんでしょう。攻めるほうが先に攻めて先手を使ってくるのに対して、守るほうはイタチごっこでやっておるわけでしょう、いまの常識からいえば。そうすると、船団護衛というのは、艦船を守るのはなかなかむずかしいだろう。そうして第二次大戦のあのときの通商破壊戦のようなことを頭に置いて、この船団護衛用の船を、護衛艦をつくるということになりますと、これはむだづかいに実はなると思いますね。その辺で一体実効があるのかどうかということを実は聞きたいわけです。本気で船団を攻撃する気になれば、さっき言った艦対艦ミサイルも次々に新しく使いますね。それはどうなんですか。艦対艦ミサイル使われたらとてもじゃないが防衛できないでしょう。たとえば護衛艦をものすごくつくって、確実に守り通せるというようなことはちょっとあり得ないじゃないですか。どうなんですか。
○政府委員(宍戸基男君) これも相対的な問題ですから、確実に被害のないようにするというふうなことのお尋ねであれば、それはなかなかむずかしいと思います。前の大戦の経験にかんがみましても、相当な大海軍を持っておりましてもなかなか、日本の場合はもちろんでしたけれども、イギリスでももちろん確実に守り通せるというふうなことにはいかない。しかし、だからといって、船団護衛の任務なり構想を放棄するというわけにはなかなかまいらない。やはり海上の交通安全をできるだけ確保するということは日本が生きるために必要だという前提でものごとを考える必要があろう。ただ、どれが一番効率的であるか。何もそのことだけに海上自衛隊を百万トンにする必要はもちろんございませんでしょう。どの程度が適正な合理的な根拠に基づく合理的な規模であるかということは、十分検討しなければいけないと思います。また、その能力、性能におきまして、いまお話しのような、非常に相手方が原子力潜水艦、スピードの速いしかも長期間潜水できるような新しい潜水艦がもちろん、どんどんできているわけですから、従来の在来型のものに対して対処するよりも、より向こうが効果的である、守るほうから見れば非常に困難さが増したということは御指摘のとおりだと思いますけれども、やはり武器は相対的でございますからまた、戦術も相対的でございますから、それに対処し得るいろいろな武器体系なり戦術体系を開発していくということも考える必要はあるし、そして現在でも徐々にではありますけれども、わが自衛隊もそれを向上させていく。あるいは新しい武器体系を先進国から輸入するというふうなことによって対処はでき、またしなければならないように感じております。四次防の一つの課題であろうと思います。
○前川旦君 これは私は、そういう船団を力で護衛をするといってもそれはなかなかむずかしいだろうということを実はしきりに言いたいんですよね。 それじゃ、伺いますが、あなたのおっしゃるような一〇〇%いかなくても、非常にいろいろ努力してかなりな護衛能力を持っていくとして、この間衆議院の内閣委員会の最終日ですか、三次防が完成したときの段階で日本とフィリピンとの間ですね、それでも護衛したいと思うものの、何%ですか、七分の一とかおっしゃったですかね、六分の一くらいしか能力がないと言っておられましたね。ということは、逆に引っくり返すと、日本とフィリピン、東京−フィリピンでしょうけれども、そこを、十分とは言えないでしょうけれども、かなり防衛するには、逆に言うと、三次防完成時の七倍にしなければいかんということですね。百万トンくらいないと完全に近いのはできないということでしょう。百万トンというと昔の最盛期の帝国海軍くらい。そういうふうに考えてよろしいですか。
○政府委員(宍戸基男君) 船団護衛は、先生の御指摘のように、たいへんむずかしいわけですけれども、これをわれわれはまたあきらめるわけにもいかないのでこれを申し上げているわけですけれども、御指摘の、三次防末の能力につきまして衆議院の内閣委員会でのお尋ねについては、私がお答え申し上げたのは、三次防末現在における能力の一つの試算で、代表的な数字を拾って申し上げたわけです。ちょっと繰り返しになりますけれども、かりに千三百海里か四百海里くらいの距離を護衛するというふうに前提を——いつもそういう作戦をとるという意味じゃございませんけれども——置きまして、三次防末のわが国の輸入量を大体三億数千万トン程度と想定をいたしまして、そして護衛群が四群三次防末にはでき上がる予定でございますので、それでどの程度輸入物資に護衛をつけられるであろうかということを試みに算定をいたしますと、かりに五十隻程度の船団を組んだといたしまして——いつも五十隻組むというわけじゃございませんけれども——二十三か四くらい年間に往復ができますので、貨物にしまして約五千万トン程度の貨物に護衛をつけ得るという試算が可能であるということで、海上自衛隊の能力を一つのそういう試算から御想像願うという意味で申し上げているわけでございます。きょうお尋ねがあればやはり当然同じことを申し上げるわけです。それでは、その三億数千万トンの貨物量に対して五千万トン程度しかつけられませんので、それじゃ、その六倍か七倍にしまして、それじゃ百万トンを考えておるんじゃないかというふうなお尋ねのように聞こえましたが、そういうことであれば、そういう構想を持って申し上げているわけではございません。必要量のほうにつきましては四次防、五次防でさらにもっと深い検討を当然必要とするわけでございますけれども、当然、先ほどから御議論の出ておりますように、船団護衛を必要とするいろいろな要素があると思います。各種各様でございましょうけれども、その代表的なものはいろいろ分析、整理する。また、友軍の期待ということもある程度計算しなければいけませんでしょう。たとえば第七艦隊の制海力というようなことも考えなければいけない。それから、わが国の生きるための、特に有事に必要とされる油なりその他の緊急輸入物資がどの程度であるか、つまり、どの程度の船腹でわが港に入れなければいけないかというような総合的な国防政策といいますか、そういうものもある程度想定しなければいけませんでしょう。そういうようなことを前提としながら、そうして、それは何も平時の輸入量に対して一〇〇%全部護衛艦を何隻もつけるということはこれは必要ではないと思います。最小限どの程度が必要であるかというようなことを考えて、そうしてやり方はどれが一番効率的であるかというようなことを綿密に検討いたしまして、現在ではおそらく非常に少ないと思いますけれども、どの程度ふやせば輸入量が安全に確保できるかということをざっと計算をいたしまして、ある程度いきますと限界効用にぶつかると思いますけれども、輸入量とか船腹の必要量とわがほうの護衛能力なりの相関関係を綿密に検討いたしまして、一番合理的根拠に基づきまして最小限必要なものを必要量として四次防なり五次防でお願いする。こういう手順で何万トンであるかというようなことを出すと、考え方としてはそういうふうな手順で物事を考え、護衛構想を考えるということになるのではないか。したがって、現在の能力あるいは三次防末の能力が輸入量の六分の一か七分の一しかつけられないから、必要量がその逆に六倍から七倍なりであるということをわれわれは申し上げておるわけではないということを御了承いただきたいと思います。
○委員長(八田一朗君) 速記をとめて。
○委員長(八田一朗君) 速記を始めて。
○前川旦君 衆議院の論議の中で防衛庁長官は、たとえば戦略物資の蓄積だとか航路の変更だとか、そういうことを考えざるを得ないという発言をされましたね。それは悪いことではないと思うんですよ。私どもは一ぺんも無防備だとか言った覚えはないんです。非武装ということばを使っておりますが、安全保障ということを真剣に考えておるんです。軍事力にたよらざる安全保障のほうがより効果的だということがわれわれの立場ですから、そうなると、もし万一ゲリラ活動があるかどうか知りませんが、海上交通が困難になるということも絶対ないとは言えないんです。その場合に膨大な金を使って膨大な護衛艦群をつくってそうしてやってもやり切れるものではないんです。だから、そういうものよりも、もっと違うことを考えたほうが賢明ではないかという立場をとっておりますから、あなたのそういう発想については、その部分だけとらえると私は同感することはあると思うんです。そこで、たとえばマラッカ海峡の問題で航路を変えると発言されましたね。これは航路を変えるということは、具体的にあの近くでまた違う航路をさがすということでしょうか、それとも思い切って西回りにするということですか、どういう発想でそれをおっしゃられたのか、それを聞きたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 私が衆議院で発言しましたのは、日本のエネルギーというものは非常に大事だ。しかも、そのエネルギー源、石油というものはほとんど大部分、御承知のとおり、外国からの輸入に仰いでおる。そこで、日本の経済なり国民生活の上からいって、もし大半が外国から買って日本への輸送路を断ち切られるということがあってはたいへんだ。そこで第一に考えなくてはならぬことは、平素から考えなくてはならぬが、一定の地点のみに大事な補給源をかためておるということは危険ではないか、供給源をもっと分散する必要がなかろうかというのが第一点。それから、さっきの海上護衛、これもやはりエネルギー源を確保する上において役に立つことは事実でございます。しかし、これ一つにたよるということは困難でありますから、この海上護衛もやれればやる。また一方、航路の変更、いま御指摘の私は航路の変更をどこをやるということを言うたわけではございませんが、マラッカ海峡を避ける方法を特に考えなくてはならぬじゃないか。それからなお石油の貯蔵ということですね、これも貯油ということは一つ大事な要素じゃないかと、そこで私も検討せいということを命じたんですが、貯油施設をやるについてやっぱり金もかかる。それから、ある程度、貯油ですから、利子の計算もしなければならぬ。そういう場合に、護衛の場合と経済的に比較検討する必要があるんじゃなかろうか、ひとつそういうことを検討してみる。なお、基本的にはエネルギーのもとは、いま核燃料事業団でございますか、あそこで新型転換炉というものをやって、次いでは高速増殖炉、これは御承知のとおり原子力をもとにしまして、比較的原子力の消耗なくしてエネルギーをどんどん出すことができる。それを事業団で急いでおるのも、実は私、科学技術庁長官のときにその基礎をつくったんですが、そういうふうにいろいろな面からエネルギーというものに対する確保の方法を考えておく必要がある。かようなことを私は衆議院で申したのであります。一つだけの手段によってこれを確保するということはなかなか困難だと、いろいろな面を総合し合って日本の経済活動なり国民生活の不安を除く方法を考える必要がある、こういうことを申したのであります。
○前川旦君 あなた方の発想法は、武装自衛力の足らざるところは別のところで補う、われわれは一〇〇%武器にたよらずしてやろうということで違いがありますが、ある部分だけは競合しますね。いまの平和的手段を考えるという、たよらざるところの分だけ一緒になりますね、重なりますから。そこでいま休憩になるようですから最後の切りですが、たとえばエネルギーの供給源、これは石油をあげてみても、分散させると言う。いいことだと思いますよ。いま九十何%までアラビアでしょう。これは非常にゆがんだかっこうだと思います。そこで最近非常に問題になっておりますのが、シベリアからパイプラインを引いて天然ガスを持ってくるというのが、いま現実の課題になっております。いま天然ガスですけれども油田もあります。シベリア、樺太にあります。一番近いんですね、日本の本土と。ですから、これは防衛上の見地からも、いま財界がやろうとしておる、あるいはソビエトが共同でやろうとしているシベリアを開発して、そこから原油を日本へ直接パイプラインをもぐらしてあげるという雄大な計画があるということは、これは防衛上の見地から取り上げるべき問題だと思う。賛成すべき問題だと思う。これに一〇〇%たよるというのじゃないのです、分散するというのですから。たとえば片一方が切られても一つが生きているという場合がありますから、そういう立場から、このシベリア開発あるいは日ソ友好、こういったパイプラインの設置をやはり防衛庁としても、外務省なり通産省なり真剣に考えるということがあってしかるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) シベリア開発に対して、パイプラインをつくるという、鉄鋼と交換にそれに見合うところの油を日本に与える、こういうような話がかつてあったことは聞いております、いまは現にそれが進んでおるかどうかは別としまして。しかし、このようなことは、これはやはりソ連の経済的事情から発想しておるものでありまして、このことが直ちにわが国の防衛上の問題として評価するということは困難じゃないか、この種の事柄は経済的、外交的、政治的、いろんな側面から総合的に判断すべきものであって、ひとり防衛上の立場からのみこれを云々評価するということは私としてはどうかと思います。それで、そういうことをあらゆる角度から利害得失ということを考えて、必ずしも利ばかりでなくて損失ということも考えなければならぬというので、外交上、政治上、経済上、いろんな立場から判断すべきものと、かように考えております。
○前川旦君 ちょっとおかしいと思うのですが、有田さんのあなたの発想を私はちょっと疑問に思いますよ。防衛上の狭い立場に立つと、危機が深化すればするほど、脅威があればあるほど防衛庁はいいですね。金はどんどんもらえるし、軍備はどんどん増強できますからね。脅威があればあるほどいい。非常にこれはミクロの見方になりますね。ですから、たとえばソビエトから。パイプラインを直接樺太から敷いて北海道へあげるという案がいま進んでおりますね。実際に相談も進んでおるのです。これをもっとすなおに考えると、日本の安全保障上、油のあれもいいじゃありませんか。パイプラインを伝わって共産主義思想が入ってくるでしょうか。そんなことはあり得ないでしょう。それは向こうも商売なら商売、こっちも商売なら商売でしょうから。たとえ、日本と中国とがおかしいことになって、マラッカ海峡がおかしくなっても、シベリアから来る一本が生きておるでしょう。あるいはアメリカから来る。インドネシアから来るのも生きておるでしょう。タコの足みたいに多角的にやるというのは日本の安全保障の面から非常にいいことだと思います。そのことと関連して、日本とソ連との関係、北方関係が、危機が、緊張が緩和するということは、これは大きな目で見た場合に安全保障にとって非常にプラスになる。小さいミクロの目で見たら、それは危機感がなくなればこれは防衛意識が低下するということで、非常に狭い目でいったらおかしいことになるかもしれないけれども、これはそういうことにとらわれてはいかぬと思う。ふっとあなたの発言の中にそういうものを感じました。感じましたが、それはやはりあなたはシビリアンですしステーツマンですから、もっと大局的な立場でとらえて研究してみるということくらいは本気で研究なさってもいいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) 私どもの防衛は、あくまでも平和を維持するためにやっておるのです。決してそんなけちくさい危機感を感じて日本の予算を取るとか、そんなけちな考えは毛頭持っておりませんから、まずその点をはっきりと御理解願いたい。 それから、さっきシベリアのパイプラインの問題を話したのは、一面からいえば、いい面もありますね。しかし、やはりそれは他の外交、政治、いろいろな要素から判断したい。ひとつ防衛上、油もこっちに来て貯蔵ができるからその面じゃよろしいからこれをやろうじゃないかという、そう簡単なものでないということを申しておるので、やはり総合的な判断の上に立ってこれは解決すべきものじゃないか、こういうことであります。
○委員長(八田一朗君) 速記をとめて。
○委員長(八田一朗君) 速記を起こして。 暫時休憩いたします。 午後五時十三分休憩