逓信委員会 第6号
- 発言数
- 262 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/03/20
会議録
○委員長(永岡光治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
○森勝治君 きょう、私が時間をいただいたわけでありますが、予定しております質問外に緊急問題を一点、大臣に御質問をしたいのであります。それはすでにもう新聞紙上で御承知でありましょうが、昨夜九時三十七分から約九十分間にわたって十二チャンネルの電波が切断された、放送が中断されて影響されたのは約五十万世帯というふうに出されておりますけれども、日本のこうしたテレビ関係というものは、そういうある日突然というか、瞬間的にそういうことが今後しばしば起こってはならぬし、これが五分か十分かということならばやむを得ませんが、約一時間半になんなんとする時間ということになりますと、何かそういう技術面でのもちろんそれは障害がしからしめた原因でありますけれども、技術面、その他で何か欠けるところがあるのではないかというような気がしてなりません。いずれにしても、こういう問題がせっかく視聴者の皆さんが楽しみにして画面を見ておったところが、消えたものがそのままということになると、社会的にもこれはゆゆしき大事だというふうに考えておりますので、どういう原因でこうなったのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 昨夜十二チャンネルが約一時間半にわたりまして中断したことは御指摘のとおりでございまして、この点まことに申しわけないと思っておりますが、事の詳細につきましては、政府委員から答弁さしたいと思います。
○政府委員(石川忠夫君) 昨夜の十二チャンネルの停波の原因につきましては、詳しい報告は受けておりませんけれども、送信機に至るリレーの故障だと、こういうことでございまして、新聞には何か送信機そのものの故障のように書いてございますが、送信機に至るリレーの故障だと、こういうふうに私どもは報告を受けております。
○森勝治君 わが国のテレビ放送が始まって一時間以上中断された例はないというわけでありますか。
○政府委員(石川忠夫君) 東京ではございませんが、北海道その他におきまして、大体台風被害によりまして、一時間以上停波した事例がございます。
○森勝治君 私の申し上げているのは、そういう一朝有事の場合ではなくして、ふだんにおける天災地変、あるいはまた、公安、人命に著しい影響を与えるような問題ですね、何か発動するような、たとえば労働界における時間外労働三十六条協定を結ばなかった場合に発動するような、こういういま申し上げた公安、人命その他著しい影響を及ぼす場合、そういう非常事態の発生した場合は、これはそういうことも間々あり得るでしょうが、こういう何でもないときに起きるということは、いまあなたは一時間以上というのは北海道にありますと、私のほうから聞けば、さもとくとくと報告の御説明をなさったように私は邪推するわけで、あんまりそんなに手柄話にならないしろものでありますね。一体電波監理局は、そうした指導、特に社会の公器でありますから、そういう面に至りましては、いま申し上げたように一時間以上も中断されることは、ちょっとかんばしくないことでございますから、一体北海道にも一朝有事の事例があるごとく、また昨年あたり五月ごろですか、三分か五分間瞬間的に消えた、こういうことならやや理解いたしますが、こう長時間ということになると、せっかくテレビに国民の視聴が集まっているときでありますから、国民の期待が裏切られてくるわけですから、電波行政としての指導の面はどうされているのですか。
○政府委員(石川忠夫君) 私の先ほどの御回答が何と申しますか、足りませんでしたが、私どもはやはりテレビにしても、ラジオにいたしましても、その他無線機にいたしましても、特に放送につきましては、波がとまるということは、はなはだ遺憾なことでございまして、そういうことのないように施設の保守、管理その他の運営に遺憾なきを期するように指導しているところでございますが、残念ながら昨晩は一時間半という長時間にわたりましてとまったわけでございます。御説のとおり先ほどもちょっと申し上げたように特殊な事例を除きましては、こんなに長いこと施設の故障のために停波したということはございません。こういった原因につきまして、さらに詳細にこれから報告を徴しまして、二度と、こういうことのないように指導していきたい、かように存じておる次第であります。
○森勝治君 原因は一体どういうことなんでしょうか。その点つまびらかに報告をいただけないのですが、何かそれらしきものがよってきたる原因というものがあるのじゃないでしょうか。確たるこうという的確な把握ができなくても、それらしき原因程度はわれわれにお聞かせいただきたい。
○政府委員(石川忠夫君) 先ほど申し上げましたように、報告によるとリレーの故障だ、そういうことでございますが、これをちょっと言い直しますと、制御回路の線が燃えた、こういうことでございまして、何の原因で、この回線が燃えたということにつきましては、現在調査さしておるところでございますので、しばらく御猶予をいただきたいと存じます。
○鈴木強君 関連してちょっとお尋ねしますが、一時間半の電波の発射停止ということになりますと、社会的にきわめて重大な問題だと思います。それで私の聞きたいのは、平素発射している送信機のほかに、不時の場合に備えて、予備の送信機というものは置いてあるかどうか、その点はどうですか。
○政府委員(石川忠夫君) 送信機は確かにいつも放送している放送機と、それからもう一つの予備の放送機がございます。この予備の放送機があるにもかかわらず、こういった停波に至ったというのは、その両者に至る制御回路の線が燃えたためと、こういうふうに私ども聞いておるのでありますが、なぜこういうふうになったか、またこの回復にどうしてお話のように一時間半も長くかかったかということにつきましては、調査の結果を待っておるところであります。
○鈴木強君 関連。制御回路が燃えたといって、予備の送信機が使えないというのは、そんなでたらめなことはないんですよ。だからもともと十二チャンネルというのは、この前も私は質問をしましたように、免許当時から、あなたは当時電波監理局の次長をしておった、問題になって係争になり、あなた方が負けてしかもその後一体どういう番組を放送してきたか。これはこの委員会でも何回となく追及されてきたところじゃないですか。しかも、負債を相当かかえてにっちもさっちもいかないという中で、十二チャンネルが米軍から開放されて、それを使っているところに根本の問題がある。あなたは平素の保守管理について、絶えず十分完ぺきを期するように注意をしておったというが、一体何回注意したか。これはいつ一体どういう注意をしたか、ひとつ教えてもらいたい。
○政府委員(石川忠夫君) この前、実は去年でしたか、第四チャンネルを除きまして全部で何分でしたか、三十分——十数分でしたか、停波したことがございまして、そういう機会にあそこの日本電波塔、それからそこに載っている各テレビ会社、それから放送協会等に注意しております。
○鈴木強君 だから何月何日、どういう内容の保守についての管理を完ぺきを期するようにしたということを聞いている。いまここですぐにわかに書類がないなら、あとでちゃんと示してもらいたいと思います。私は少なくも制御回路がかりに燃えても、これは一時間半も電波が停止するというのは、そんなばかな話はない。今日の技術の進んだ段階において、そんなことは国民に対して申しわけにならぬのです。だから根本的な十二チャンネルの持っている体質の中から出てきた問題だと思います。だから詳細にこれはひとつ監理局のほうでもお調べくださって、徹底的にこれはひとつ私たちの問題にしたいと思いますから、いいかげんなことじゃ困りますから、この次にでも、われわれ納得できるような調査をされて、ひとつ報告してもらいたいと思います。
○政府委員(石川忠夫君) 十分調査をいたしまして、御回答できるようにいたしたいと思っております。
○森勝治君 私は、第一点として、法案の提出の時期の問題についてお伺いをしてみたいのであります。 これは昨年の四十三年度の予算案審議のときにも、私は早期提出方をるる要請をし、若干私の意見も重ねて申し上げたわけであります。その際、前大臣でありました小林郵政大臣、いま御列席の前田会長もその点はしかと当委員会において、早期法案の提出をお約束を願ったわけであります。そこで私は先年の三月二十九日の当委員会において、前轍を踏むなかれということわざを二度にわたって引用し、法案審議にわれわれ十分納得のいくことができますように、時間をかけることができますようにという強い要請を申し上げたわけであります。この問題につきましては、翌三十日の当委員会におきましても、いま委員長席に坐っておられます永岡委員からも、そのことを重ねて御発言がなされたわけであります。これはちょうど一年前のことでありますから、関係の皆さんはいまだ耳新しき事柄だと御記憶くださっていることだと、私は思うのでありますが、そのときに郵政大臣の御発言の中に、法案提出のおくれた理由の一つとして、放送協会のほうからの提案が、郵政省に出すのがおくれたというのが一つの原因であるというような、ここに速記録を持ってきておりますが、述べられております。したがって、そういうことであるならば、一体郵政省としては、このNHKの予算案の審議に当たって、一体NHK側から郵政省にどの程度の期間、あるいはいつごろ提出すれば間に合うかという私が御質問を申し上げたら、少なくとも一月中に出してもらえるならば可能です、こういうお話であったのであります。しかも、このことについてはNHK側も快諾をされたわけでありますが、ことしは依然としてNHKが郵政側に提出いたしましたのは二月に入ってからであります。なるほど短時間であっても、よき法案は審議しようと思えばできないこともありません。過去にそういう例がないとは私は申し上げません。しかし、わが国の放送の総本山だといわれるNHKの新しい年度の予算でありますから、最近他の委員の皆さんが非常に熱心になってたくさんの発言をなされていることは、皆さん御存じのとおりであります。いわば国民の視聴がNHKのこれからのあり方に非常に重大な関心を持っておるということばに解してもいいと私は思うのであります。ところが、その大事な法案の審議に当たってお約束したことが何かほごにされたり、なるほど提出の期間などというのは、法案審議の中ではあるいは立場を変えて申しますならば、そう一日や二日おくれたからどうのこうのというしろものではないという論も成り立つでありましょう。しかし、かりそめにも権威ある当委員会でお約束願ったことぐらいはその責めを果たしていただかぬことには、何だかわれわれがここで言いいっぱなし、そちらさまでは聞きっぱなしということであっては私はならぬ。お約束ができたならば、当然それに従って約束を果たしてもらわなければならぬわけであります。昨年の法案の提出の問題にいたしましても、小林前大臣はこういうことを言っているのを聞いたわけであります。重々提案を怠ったのは申しわけありません。しかしことしは三月十二日に出しましたよ。昨年は、すなわち昭和四十二年は三月十四日でしたがとそういう面から見まするならば、ことしは二月二十六日でありますから若干郵政側から議会に出したのは、早まったという見方もできるでありましょう。しかし、片や約束されたNHKは依然としてこれを履行しない。少なくともNHKの使命というのは、私は、ここで釈迦に説法でありますから、多くを語る必要はないわけでありますが、放送の基準からいたしましても、約束事を約束したそのあしたから破ってよろしいという、こういう信義にもとるような放送協会のあり方ではないと私は信じているわけでありますが、権威ある当委員会でのお約束も果たせないということであるならば、もちろん私は一方的に約束を破ったのはけしからぬと、そちらの立場も考えずに、わきまえずに発言をすることは、そちら側にとりまして、あるいは無理難題を言われたという感をお持ちになるかもしらぬけれども、内部の事情はさておいて、公的なお約束でありますから、どうしてそういうことが守れないのか、私は、この点理解に苦しむわけであります。したがって、この点については、郵政大臣並びに会長のほうから、とくとひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 予算の提出がおくれたということは、まことに申しわけないと思っておりますが、来年以降さらに一段と努力をいたしまして、早くするようにいたしたいと思います。
○参考人(前田義徳君) 御指摘のように、今年度予算を御審議いただきます際にそういうお話があり、かつこの附帯決議としても、その第一項に明らかにその点が指摘されていることは、私は深く銘記いたしております。ただ私の能力の不足と申しますか、遺憾ながらいろいろな予算の最終決定までに、NHKの中でもかなり時間がかかりまして、いろいろその間の事情は御承知かと思いますが、できるだけこれを急ぐ努力をいたしました。しかし率直に申し上げて、御指摘をいただいたように、一月末までに手続をNHKとしてとり得なかったことは、まことに遺憾でございます。今後は、われわれは一そう努力いたしまして、御趣旨に沿い得るような時期に、私どもとしては一切の手続を終えて、御指摘の点についての私どもの責任を明らかにしてまいりたい、このように考えております。
○森勝治君 昨年は、この問題は、郵政大臣の私どもの質問に答えられた中身の中には、NHKが郵政省に提出する時期のおくれたこともさることながら、自民党の中の内部調整で手間がとれた、皆さんに迷惑かけて申しわけないと、速記録にも明らかに記録されていますが、そういう発言をされたわけであります。それで、まあ会長からも率直なお話でありますから、私もこのことは、会長のまじめな性格に期待を寄せて、あまりこういうことは深追いをしたくはありません。ただ一月の二十四日にNHKの経営委員会にかかったわけでありますから、そうなれば少なくとも一月中に、一月の末程度には、二月という暦の上の二月という記録の前に、当然出されるものだろうと思うわけであります。さらにまた、それが政府のほうへまいりまして、これはまことに失礼なことばでありますが、与党の逓信部会にかかったのが二月の十九日でございます。なぜ私が与党の逓信部会にかかったという話をしたかと申し上げますと、毎度大臣は、与党の調整が手間どったということを率直におっしゃっておるから言うわけであります。ところが、いま申し上げたように、先ほども若干政府が国会に提出した日柄等を申し上げましたが、今年は二月になってNHKが出す、これは電波当局の御努力もあったでありましょう。閣議が二月二十五日でありますから、電波監理審議会が二月二十一日、国会提出が二月二十六日ということで、一応二月の月末にこの案が国会に出されてまいりましたが、私はそうなると、NHKの予算案の提出がおくれても、郵政省の中の努力によって、十分これはそうした時間的な不足分は解消ができるものと思うわけであります。どうもわれわれは郵政省提出がおくれておるのはけしからんというと、郵政省はすぐNHKの予算の提案がおくれたからといって、それを隠れみのにして、昨年は逃げられた。今年はNHKが昨年と同様に、同じころに出されても、この郵政当局が努力をするならば、去年は三月の十一日に出して、今年は二月十六日、約半月程度早く出すことができるわけであります。こういうふうにやればできるものを、なぜいままでこういうふうに累次にわたって年度末ぎりぎりに出してきているのか、一体これは最近の電波監理局長以下優秀な職員がその掌に当たるようになったから作業がはかどったのか、いままでやり方が放っておいたのか、どうせ議会で言い放し、聞き放しだからよかろう、大臣の権限があるからよかろう、何三月三十一日にきまらんでも弾力条項があるのだからというような、ややもすると、安易感におちいっているような感がしてならないわけでありますが、大臣そういう点は、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 決して最後のお話のような気持ちではございません。できるだけ早く出したいというのがわれわれの考え方でございまして、今後も一そう努力してまいりたいと思います。
○政府委員(石川忠夫君) 昨年は料金の改定があったために、予想外に時間がかかりましたが、いままでの数年をとってみますと、大体十五日——半月ぐらいかかっておるところでございますが、今後もできるだけこれのスピードアップにつとめたいと存じております。
○森勝治君 私は、この際郵政省並びに放送協会にひとつお願いがあるわけであります。どうかひとつできない約束はしてもらいたくない。約束をいたしましたならば、たとえささやかな案件なりといえども、その約束を果たすために御努力いただきたい。どうも私どもがこうやって指摘いたしますと、すまぬ、相すまぬ、今後は気をつけると言っておりますが、何もこれは法案提出ばかりではありません。その他の問題だってそうです。たとえばこれは郵政省やNHKばかり責めません。たとえば電電公社に例をとりましても、われわれが委員会で資料の要求等をいたします。そうなると、当委員会ではけっこうでございます。さっそくなどと言っておりますが、まだ半年たっても私の手元に届かぬ資料もある。この席上で資料をください、はい出しますと言ったって、半年たったってナシのつぶてだ、なるほどささやかな資料でありましょう、法案の提出が一日おくれてもつべこべ言うなということもありましょう。しかし、かりそめにも権威ある当委員会でのお約束の資料でありますから、こういう問題については、しかとそのお約束を果たしていただきたい。したがって、これは関係の向きについても、電電公社、あるいはまた郵政省の所管の問題、あるいはまたNHKの問題についても、そういう面について、ひとつ大臣から今後ともとくと督励をして、かりそめにも当委員会で約束をしたことを果たさざるごとき、そういうことのないようにひとつ指導していただきたい。このことを、この委員会で大臣ひとつぜひともお約束のことばをいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど委員会で約束した資料が出ない場合があるというお話がございましたが、そういうことがあればまことに申しわけないことでありますので、今後は、絶対そういうことのないように気をつけてまいりたいと思います。同時に、あわせてNHKの予算提出時期についての御発言の趣旨は今後尊重してまいりまして、実現するように努力してまいりたいと思います。
○森勝治君 率直にまあ約束を破ったことを認めていただいたことでありますから、私もこのことはいま大臣が赤裸々に重ねてお約束の点について確言をされましたから、次に移りたいと思うのであります。 私が、さらにお伺いしたい問題は、いま申し上げたこの法案の扱い方でありますが、これは昨年の三月三十一日の当委員会における永岡委員の発言にもありましたように、万が一三月三十一日の年度末にこの法案が通らなかった場合、放送法第三十七条の二を適用する。すなわち「三箇月以内に限り、事業の経常的運営及び施設の建設又は改修の工事に必要な範囲の収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、郵政大臣の認可を受けてこれを実施することができる。」というこの点に私は逃避しているのではないかという気がしてならぬわけであります。だから、したがって、お約束いただいたことですから触れたくありませんが、一言だけ申し上げれば、何、おくれても弾力条項があるんだからというので、会期末ぎりぎりに出してくるような私は邪推を持つわけであります。どうですか大臣、ここでまさかそうですとは言わぬでしょうけれども、そういうふうに邪念を持たれても、あえて邪念ということばで表現いたしますが、邪念を持たれてもしかたがないのじゃないですか、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) お話のようなことは決してございません。繰り返し申し上げておりますが、今後とも早く出すように努力をいたします。
○森勝治君 まあ、公式の表明としてはそうでありましょう。それ以外のことばの表言は、適切なことばは見当たらんでしょうから。しかし大臣、この問題については、大臣の権限でできるところがあるわけです。こういうところに私は大臣が逃避し、かりそめにも郵政大臣がこの権限を振りかざして、他の諸問題についてNHKにもし迫ることありとすれば、私は重大だと思う。迫るということは、そういう大臣の武器をかざしてNHKに対し意のままに行動させようとする、こういうふうな気がしてならぬわけであります。私はこれをあえて邪推と考えますが、どうしてもその疑念が晴れない。したがって、私のようなこういうささやかな疑念も生まれるわけでありますから、その点についてもう少し大臣明快にお答えいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) そういうことはございません。
○森勝治君 固執するようでありますが、私はこの弾力条項というものが、政府の場合でありますと、御承知のように暫定予算を組むわけであります。ところが、この問題に限って、放送協会の暫定予算に限って大臣の手に握られている。だから、私は先ほど大臣はそれを隠れみのとしてやっているのじゃないか、あるいは不当な圧力をNHKに加えることがもしあるのじゃないかという邪念が生まれたという表現を私は用いましたが、どうもわれわれがこういう疑念を取り払うことがもしできないとするならば、私は、大臣の権限というものはやはり考え直さなければならぬ、暫定予算を組むということを、大臣に権限をかりそめにも一時的でも委譲するということは、どうも私は疑問があるような気がしてならぬ。したがって、国の予算のそれのごとく、もし三月三十一日に予算案が通らないとするならば、やはり大臣の判こで左右できるNHKの暫定予算ではなくして、やはり暫定予算もわれわれの議を経てきめる。国の予算に準じて決定する。どうもこれがすっきりした姿でなければならぬような気がするんでありますが、大臣どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来森委員が御自身で言っておられますように、昨年、一昨年に比べまして若干早くなっておるわけです。二月十日にNHKから提出されまして、諸般の手続を終えまして二月二十六日に出したわけであります。それでもいまおそいと、こういうお話でございますので、今後とも一そう努力いたしまして、できるだけ早く出すようにしたい。こういうことを繰り返し申し上げておるわけでございます。
○森勝治君 私が御質問申し上げた趣旨とただいまのお答えの趣旨は若干開きがあるんでありますが、ひとつ的確にお答えいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) お尋ねのような考えはございません。
○森勝治君 それは、どういう理由で考えがないのでしょうか。その構想、構想じゃありません、なぜそんな考え、一べつする余地もないと、こういうふうにすぱっとお答えになったわけでありますが、なぜそんなにはっきり答えられるのですか。検討する余地はあるんじゃないですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来繰り返し申し上げておりますように、できるだけ早く出すように努力したいというのが、われわれの基本的な考え方でございます。
○森勝治君 大臣、失礼でありますが、だから若干隔たりがあるんじゃないかと私は重ねて申し上げておるんですよ。と申し上げるのは、放送法第三十七条の二によって、当該年度中に次年度の予算案がかりそめにも通過しなかった場合には、三カ月以内の暫定予算については、大臣の掌握下にあるという弾力条項があるわけでありますね。放送法第三十七条の二にそうあるけれども、国の予算のそれに準じて、NHKの暫定予算もまた大臣の権限ではなくして、当委員会で審議すべきだ、そういうふうに放送法の一部改正を行なったほうが、ややもすれば大臣がこれを隠れみのとして、あなたがやったというんじゃないですよ。私どもは邪推ですから、ときの大臣が何かこのNHKに不当な圧力を加えるような気がするから、そういう大臣に権限を暫定的に委任している。その暫定予算の権限というものを、重ねて言いますよ、三度も言いますよ、国の予算のそれに準じて暫定予算といえども国に提案をして、そこで審議するようにしたらどうだ。こういう意味のことを私は申し上げておるんですから、早く出すようにいたしますということでは、私がお尋ねいたしました観点と若干隔たりがある、こういうわけであります。ですから、私はまことに失礼な表現でありますが、いま明快に私の質問の趣旨を再度述べたわけでありますから、その線に沿ってひとつお答えいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) お尋ねの問題は検討させていただきます。
○森勝治君 検討してくださるということであります。したがって、先ほどさような意思はございませんといって、にべもなく突っぱねたことは前段の大臣発言は快く撤回をされて、私の申し上げた点をまあそれは実現するしないは別でありましょうが、少なくともそういう点について御勘考をわずらわす、こういうことでありますから、私は次の問題に移りたいと思うのであります。重ねて大臣に申し上げます。私はこの法案の提出の時期、こういう問題について、これ以上当委員会でとかく私どもは質疑や論評を加えたくありません。なぜなれば、こういうことをわれわれが言うことは、この社会に奉仕するNHKの使命の問題についての進展にあまり寄与しないからであります。事務当局のこうした事務手続上の問題で、国政あるいはまたNHKの事業というものの進展を妨げる、そういうことがあってはいかぬじゃないかという、こういう発言は私は今度限りにしたい。したがって、私どもはかりそめにもこういう批判めいた発言がなされないように、しないように、ひとつ両当局ともしっかりと御努力をいただきたいことを、私は特に本件の後段にわたって要望申し上げて、次の問題に移りたいと思うのであります。 次の問題は、NHKの番組基準の問題であります。NHKの番組基準、これはいつおつくりになったのでしょうか、国際番組基準と国内番組基準というものがありますが、いつごろおつくりになったのでしょうか、ひとつお伺いしたい。
○参考人(川上行蔵君) 放送法ができました直後一応つくりまして、さらに昭和三十四年七月二十一日、施行したものが、一番最近の国内番組基準でございます。
○森勝治君 この番組基準の意図する趣旨というのはどういうものでしょうか。
○参考人(川上行蔵君) NHKの放送は、放送法の第一条、それから第四十四条、四十四条の二項、そのほかによりまして、自律を前提といたしまして、四十四条におきましては、政治的な公平そのほかそういう法的な規定がございます。さらに四十四条の二項によりまして、国内番組基準、国際放送番組基準というものをつくり、それにのっとって番組の質的な向上をはかり、番組の編成につとめるという規定に基づいての基準をつくっておるわけであります。
○森勝治君 そうなりますと、NHKというものの公共性と中立性、国民に対する文化の啓発、もろもろの目的をもって立てられたことは、その設立の趣旨に明らかであるわけであります。これはNHKが電波に乗せる問題の、これがすべての基準になるのでしょうか、番組基準というのは。
○参考人(川上行蔵君) すべてと申しましょうか、考えられる一応の重点的なものをここに掲げます。ただ現実的な社会問題がいろいろ数多くございますし、また変化がございますので、その場合におきましては、この基準にのっとりまして、その応用という形において、この基準の精神を生かすという形において実施するようにいたしております。
○森勝治君 いま局長が言われた後段の基準にのっとってという表現がありますが、この基準にのっとって具体的にブラウン管の上でこれを生かすということは、どういう手順をとられるのですか。
○参考人(川上行蔵君) NHKの番組編成のことに立ち入って申し上げたいと思いますけれども、NHKは、おおよそ一年間の番組の編成時間割あるいはこれから一年間何を目標として放送を行なうかという、大きな目標を立ててまいります。その目標のもとに、毎日毎日の放送時間の中身をつくっていくということでございます。そのつくっていく過程におきまして、いろいろと日常の社会的な動きあるいは国民的な要望あるいは世界の動きというものと対照して、具体的な中身をこの基準と相照合いたしまして、番組をつくっていくということが大きな手続でございます。
○森勝治君 基本的にはわかりました。それでは技術的にはどういう経過をたどるのですか。
○参考人(川上行蔵君) まず一年間の大きな目標をつくりまして、次に毎月毎月のまた目標を立ててまいります。たとえば四月であれば、子供たちが新しく学校へ入る、そういうことになれば、新学期の心得とか、あるいは八月であれば登山季節であれば、そういう登山とか夏のレジャーに伴ういろいろな危険に対する対策とか、あるいは秋の収穫期であれば、農家の心得、そういうような具体的な目標が月間に出てまいります。と同時に、やはり大きな社会的な動きが出てまいりまして、たとえばいろいろな社会問題、たとえば国際問題というようなことが起こってまいります。それらのことを順次放送番組あるいは教養番組の中にも取り入れていくという形をとってまいります。
○森勝治君 それは具体的に言ってどういうことですか。たとえば一つのテーマが出される、その時点、その時点の事象をとらまえて、政治的なものはこうだ、社会的な問題は、こうだという事象が個々に出てくるわけでしょう。それをとらまえて、これを放映するわけですね。そのときに、いろいろたとえば編集会議というようなものがあるだろうし、あるいは技術面ではどうするかというのでしょう。そういう流れですね、流れをちょっと教えてください、仕組みですか。
○参考人(川上行蔵君) そのためには、NHKの中の組織を申し上げなければいけないかと存じますが、NHKの中の番組を直接つくります組織といたしましては、教育局、それから報道局、解説委員室、それから芸能局と、この三局一室がそういう番組の中身をつくる形になっております。それぞれの部局が、そういう専門の分野から、いま申し上げましたような基本線にのっとりまして、いろいろな提案を提出してまいります。その提案をさらに全局長が集まりまして、われわれも参加いたしまして、一番適切なものを選択していって、最後の決定をする、そういう形をとっております。
○森勝治君 よくわかりました。 そこで、私はさらに具体的にお伺いしたいのですが、そうなりますと、国内放送は国内番組基準、国際放送は国際番組基準というものがその中心となって、全思想のそれが根底でありましょう、基本となってもろもろの出しものをおやりになるならば、当然そこに出てくる人物ですね、あるいはこれは芸能人あるいはタレント、役者、俳優、スター、こういう表現がしばしばその場、その場で適切なことばで呼ばれますが、これらの人々の活用の場におけるその基準というものは、やはりここから出ておるものですか、この番組基準から出てくるのですか。
○参考人(川上行蔵君) 国内番組基準におきましては、具体的に出演者はきまっておりません。それはむしろ番組の制作、特に企画において、この国内番組基準にのっとりまして番組企画方針というものがきまりますから、その企画方針を一番生かしてその出演される方の創作力が生きてくるという形、それを考えまして幾らかの候補を選びまして、その中から、その番組の目的に一番適切な方を最後の段階においてわれわれが決定するという形をとっております。
○森勝治君 そうなりますと、重ねてお伺いしますが、NHKのブラウン管に登場する放映のいわゆる登場人物、それは劇であろうと講演であろうと、いずれでも同じでありますが、おのずからNHKが希求するNHKカラーと申しましょうか、それがおのずから限定されてくるわけですね。NHKに登場のできる——登場ということばはちょっと表現がまずいのですが、登用できる、役者として活用のできる、使用のできる、契約のできる、こういう人々は、やはり、おのずから一定のワクがあるということですね。
○参考人(川上行蔵君) NHKは特定の人たちに出演をお願いをするということではなくして、広く——番組を放送しました結果をいろいろと文化研究所、あるいは世論調査所の反応、あるいは投書、そういう観点から見てまいりまして、常に、広く人材を世に求めるというような立場において、多くの方にわれわれの意図します効果をあげるために出演をしていただくという方向をたどっておるつもりございます。
○森勝治君 それはこういうことですね。NHKが番組基準というものが基本となって、いわゆるNHKの社会的使命を他に伝えるに最もふさわしい——最もふさわしいということばがいいでしょうね、ふさわしい、そういう芸能人あるいは学者、こういう者の登場を願うと、こういうことですね。
○参考人(川上行蔵君) そのように考えております。
○森勝治君 それならば、私が若干ことあげしましたNHKカラーというものが当然そこに織り込まれて、それが前面に打ち出されてくる、こういう理解を持ってよろしいですね。
○参考人(川上行蔵君) NHKカラーとおっしゃった趣旨が、NHK国内番組基準というものをすでに何か前提的な色があるということにまで立ちのぼってお考えになっておるかと存じますが、私たちがつくっております国内番組基準というものは、これは、単にNHKだけではなくしで、日本の社会情勢、あるいは日本の国の将来ということを考えまして、一番良識的な立場において、どなたが見ても一応妥当であろうというお考えをいただけるという立場において考えております。このことは放送法の四十四条の二項におきましても、NHKは国内番組基準を自分の基準として考えるのではなくして、広く公表しなければいけないという義務を負わされているというところにも、そういう性格が生まれていると、このように私たちは理解しております。
○森勝治君 おっしゃるまでもなく、NHKに番組基準があるように、民放にも、日本民間放送連盟ラジオ放送基準というものがあるわけでありますね。それはいまことあげされたとおりでありますが、私がお伺いいたしたいのは、NHKのブラウン管に登場できる、登用させることのできるいわゆるNHKのカラーというものを広く世に伝播する、いわゆる伝えたい、そのためにはNHKの欲する人物——だから、それを若干私は抽象めいた表現でありますが、NHKのブラウン管に登場できるにふさわしい人物、こういうことばで表現したわけであります。それで、そういう人をとるのですねと言ったら、そのとおりですと、こう言われたわけでしょう。だから、それを目して私はNHKカラーと、私の表現がまずいかもしれませんが、それがNHKカラーではないかと、こう申し上げたんですが。
○参考人(川上行蔵君) 先ほどの答え、私のことばが足りなかったかと存じますが、番組のやはりねらいと企画と、その出ていただく方の技量、あるいは内容ということと照応して、一番ふさわしい方をお願いする、そういう意味でございます。常に番組の企画と結びつけて私たち考えていく、このように御理解いただきたいと思います。
○森勝治君 おっしゃることは、こういうこですね。まぜっ返して恐縮でありますが、番組基準——国際、国内というこの番組基準が基本となって、番組基準の基本精神を受け継いで企画方針なるものが生まれてきた、そうですね。その企画方針に従って具体的にそこで登用のできる役者とか、あるいは歌手というものは、NHKのブラウン管が欲する、NHKが世に奉仕する、いわゆるNHKの精神にふさわしい人を登用するのですと、こういうことですね、ことばをかえて言いますよ、そうですね。
○参考人(川上行蔵君) まことに失礼でございますけれども、邪推して考えますと、何かNHKが特定な人物をワク外からはみ出してしまっていると、そういうことが御心配になっての御質問じゃないかと思いますが、そういうことは絶対にございませんで、私たちはまず番組の企画というものが先に立ちまして、その企画をどう生かしていただけるかと、そういう角度からタレントを選んでいくというように御理解いただきたいと思います。
○森勝治君 私がお伺いしたいのは、そういう邪推に基づいた発言は毛頭これなくござそうろうと私ははっきり明言したい。私は素朴に聞いているわけです。なるほど今日の大NHKでありますから、世界に冠たる日本放送協会でありますから、いろいろのそねみ、ねたみ、中傷、そういうものがNHKに集中されていることは知っております。しかし、私は、そういうものに惑わされた私の発言ではありません。私は素朴に発言している。なぜならば、これは会長が常に社会の中立性、文化の先達という問題について、特に政党の支配について排除というかたい信念に燃えておられる。だから、そういう考え方に基いて文化の使徒としての使命を全うするためには、こういう番組基準なるものができて、これが中心となって、いまおっしゃられた、説明された企画方針ができ、さて具体的な劇の出しもの等についてのスタッフを集めるときには、その劇にふさわしい人を選出をする。しかし、その劇を放映するにあたっては、NHKのそうした趣旨を十分わきまえているという、こういう筋金が一本入っているということですね。それは当然でしょう。そこにNHKの使命がおありでしょう。当然そうですね。ならば、番組基準があるように、NHKの欲する、NHKにふさわしいいわゆる俳優とか歌手というものが当然そこで選び出されてくるだろう、私はこう思うわけですが、どうですか。
○参考人(川上行蔵君) 前提的にはおっしゃるとおりだと思います。ただ、ある人がAのドラマの場合においては不適任であっても、Bのドラマの場合においては適任者としてお願いする、そういうように、いま繰り返してくどいように申し上げますけれども、常に企画において選んでいくという形で、人によってきまっていくものじゃないということを御理解いただきたいと思います。
○森勝治君 局長、その点は重々承知をいたしております。役柄というものがありますから、それぞれの向き向きがありますから、おばあさん役を十八、九の初恋をする役に仕立てる、仕立てなさい、こういうやぼな質問を申し上げているわけじゃないのです。それぞれ向き不向きがあります。得手、不得手がありますから、当然そうでありましょうけれども、しかし、この役でもたなくても、他の役で主役を演ずることができるということはままありますから、こちらでは脇役であっても、こちらでは主役ということがあるでしょう。あっても、その部署、部署、任務は違ってもNHKの社会的な奉仕を目ざすこの基本思想からはずれてない人物を登場させるのでしょう。私の聞きたいのはここなんですよ。そうじゃないですか。
○参考人(川上行蔵君) いま、それに直接お答えになるかどうか知りませんが、私たちはやはりNHKの出演者としてお願いする場合において、部内的なあれでございますけれども、やはり犯罪的な、破廉恥罪的なものに連座されたような方、こういう方は、いかに役柄にふさわしくても、やはりその場合においては出演をお願いしないというようなケースはございますけれども、それは社会常識的な意味での配慮である、そのようにお考えいただいていいのじゃないかと思います。
○森勝治君 あなたがおっしゃったのは番組基準の第九項を引用されているのだと私は思うんですね。私が言いたいのは、あなたいま言われましたが、犯罪等の社会的な指弾を受ける者はNHKが登用するにふさわしくない人物だからこれは排除する、これは当然でありましょう。これはNHKならずとも、かくあるべき姿でありましょう。 私がさらにお伺いしたい点は、それを具体化した場合に、番組基準というものがあるならば、そこに登場させる、劇とか出しもののときに登場させる人物にはやはりNHKの放送にふさわしい人物、あるいはまた人物というと、特定の人をさすからと誤解されては困りますから、役柄と言いましょう。役者を登用する場合ですね、その場合に番組基準があり、これが根底になって企画方針が打ち立てられるならば、企画方針によって具体的な劇とか、その他の出しものをする場合に、そこに登場する人物はおのずからNHKの理想に合致する者、NHKの求める人物、こういうものが選び出されてくると思うわけであります。したがってそうなれば、当然NHKのブラウン管に登場する者、これはNHKが採用するといったほうが、より具体的でよかろうと思いますが、そういう方方の一つの、何と申しましょうかな、出演の倫理とでも申しましょうか、そういうのが当然そこに生まれてくるだろうと思うわけであります。だから、それならば、出演の倫理とかあるいはNHKの採用する芸能人の規範とか——規範、規則なんと言っちゃおかしいですがね、たとえば心得なんというといかめしくなるけれども、一つのおきてがあるわけですね。NHKのブラウン管に登場されて、あなたがいみじくも指摘をされた番組基準の第九項に犯罪を起こさない者とかありますね。だから当然私は、これは私が少しまた逆に狭い考えかもしれませんが、当然役柄等をきめる場合に、それがこじきという役で出てくる場合もありましょう、殿様で出てくる場合もありましょう。青年で出てくる場合もあるでしょう、歌よみで出てくる場合もあるでしょう。その役柄役柄は時と場所によって、あるいは時間帯によって違うでありましょうけれども、その根底に流れる思想というものはNHKが求める人物、こういうもの、おのずからNHKの——さっきカラーといったらあまり喜ばないのですがね、このごろはどもカラーテレビがはやっておるのに、局長はNHKが独善的というふうに批判されたのじゃなかろうかという顔をされていましたが、そういうわけじゃないのですよ。当然NHKのブラウン管に登場する、それにふさわしい人物をさがし出す、それぞれの配役で。そうなれば、いま言ったような出演の倫理とか、何とかいうものが従来は不文律的な傾きがおありだったらしいのでありますが、当然具体的に成文化されてしかるべきだと素朴に考えるわけです。別にそれらの役者を金縛りするとか、そうじゃなくて、NHKの創立の趣旨にのっとったそういう行動をブラウン管の中で、それぞれ役柄に従ってやってもらうわけですから、当然そういうのが成文化されていいように私は素朴に考えるわけでありますが、ところが実際に行なわれているNHKのそういうものは必ずしもない。それならば、その一体基準というものは何かというと、いまおっしゃったように企画方針できめる。その淵源は何ぞと問えばこれだという。じゃ、これを具体的にあらわすのは何か、こうなると、いま具体的にNHKはないわけでしょう。だから、私はそれならば、NHKは高く社会に奉仕するという命題を高くも掲げておるけれども、もっと高い、この六百何十メーターの鉄塔ということで、日本テレビと争って盛んに天に上ぼる心地でおるという、これはちょっと雑言でありますけれども、そういうざれ言はさておいて、そういう高い理想をかかえて掲げておりながら、個々の役柄一人々々の、NHKのブラウン管に登場させる人々を選定するにあたっては成文化されたものが何もない。ならば、これは精神規定にすぎないのではないかと私は思うのであります。当然これは精神規定でなくして、具体的な規範があってしかるべきだ、誇り高きNHKなら当然私はそれがあると思うのでありますが、この点はどうですか。
○参考人(川上行蔵君) いままでは先ほど来私が申し上げましたように、常に企画方針をいかに生かすかしかも、その社会の絶えず動いていく情勢というものとにらみ合わせていかなければいけないわけでございますから、そういう点で、まだ成文化したものはございません。あるいはそれが要らなかったのかという感じも持っておるわけであります。しかし、いま先生がおっしゃった趣旨はよくわかりますし、またあるいはそういうことがNHKの今後の番組の向上の上において、さらに必要であるならば、そういう面からもまた検討させていただくということも必要かと存じます。
○森勝治君 私が、なぜいまのようなことをくどく、そちらから言わしむるならば、同じような問題をなぜ表から、横から、裏から見ておれを答弁に立たせるのだ、こうおっしゃるかもしれませんが、私が、なぜこういう回りくどい表現を用いたかと申しますと、最近とかくNHKのこういう芸能人の採用にあたって、しばしば巷間指摘され、あえてこれはうわさといいますか、そういうことがあります。たとえばNHKのブラウン管に登場、登用させる人物は、まず品格のあること、かりそめにも長髪族はいかぬ、あるいはひげ、あごひげ、いわゆるこれは俗なことばでむさ苦しい服装、こういうものは少なくともNHKが登用するにふさわしくない、こういうことをNHKはおやりだというふうに聞いておるわけであります。だからそういうことをやるとするならば、そういう役者を一人一人の登用する場合には、この番組基準では非常に抽象的に書かれておるわけですね。品格というだけですから。じゃ、品格というものをはかるものさし、NHKのものさしが必要だろう。じゃものさしとは何だ、私はこれはことばがまずかったかもしらぬが、これは出演者の倫理とか規範とか、こういうものがNHKのものさしだろう。だから高く理想を掲げておるけれども、具体的に一人一人役柄を採用するときには、私のようなしろうとの眼をもってするならば、その役柄をきめるときの勘で、——勘は最も芸能人には大切でありましょう、演出する場合の勘は、これはゆるがせにできない重大なポイントかもしれませんが、人を採用するときは勘でとっているような気がするわけであります。だから長髪族はけしからぬからというので出演をとめた、ひげをはやした人はだめだととめたときに、第三者からなぜとめたかといわれたときに、規範というものがないからかってにやった、NHKの幹部の独断だ、それでなくてもNHKの広大な規模、扱う放送網に対してはやはり競争する向きも若干おありですから、皆さん御承知のようにそういう点がそこでほうはいとして起こってくるわけです。このときにNHKのこの番組基準の精神にのっとって、企画方針があるのだ。そこに登場させる人物は、こういうNHKの意図する人柄、人物、人のいわゆる人柄、役柄じゃありません。NHKの欲する、NHKの求める柄にふさわしい人でなければ出さぬ。それを選考する、登場させる、いわゆるものさしはこういうものだという成文化したものがあるならば、NHKが独善だと芸能人の生殺与奪をNHKは持っている、首を切ったり、登用するのはかってだ、横暴でないかというちまたの声がもしあったとするならば、そういうものがあるならば、これは基本があるのだからといって、あらぬ疑いをかけられないで済むのではないかと、私はこう思っておるわけです。だからそういう質問を申し上げたわけです。
○参考人(川上行蔵君) NHKの放送番組、いま芸能番組におきましても、確かにいま先生がおっしゃったように、ある程度の品格をわれわれは常に最低線として保持してまいりたい、このようには考えております。ただ、いま先生がたまたま例をお引きになりました長髪族であるがゆえにあるいはひげをはやしているからとかということだけで排除するということはいたしておりません。それは現にNHKのたとえば昨年末の紅白歌合戦でも長髪族のグループサウンズでも幾組かは出ていただいておるということもございます。
○森勝治君 NHKともあろうものが勘とか、好悪あるいはまた嗜好、こういうことで、そういうものをまさか左右するとは思いません。そんなことをやれば、NHKのこけんにかかわるもんですから、そういうことはおやりになろうとは思わないけれども、何としても依然としてそういうことがあとを断たないわけであります。皆さんも御承知のとおりです。私が指摘するまでもありません。御承知のとおりです。なぜそれを断たないのだ。われわれもいまあなたからそういう御説明を受けたけれども、やはり今日は公式の会合だから、きれいな標準語をもってしなければ、この場にふさわしくないためにそういうおことばをいただいたんじゃないかと思って、それこそ私は、失礼だけれども、邪推を持ってこの場で承っておるわけです。そのときに、そういう基準、基本というものがあるのだから、私どもはなるほどきのうまでちゃかちゃか出たものがあしたから出てこない。もちろん役柄がふさわしくないから出てこなかったのだということもあるが、あの人はなぜ出てこないんだ、これはNHKのこういうおきてなんで、ちょっといかめしいのでありますが、こういうのがあるから、それにふさわしくないのだから、出てもらいたくはないのだということをやっておいたほうが、NHK自身のためになるのではないかと私は思うわけです。あなたは、いまたとえば私が長髪族なんて言ったのですが、すぐグループサウンズなんて、私はただ長髪族という日本語を用いただけでありますが、しかし、そういう問題についても、NHKの品位を著しくそこねるから、そういう方々は採用しないのだというふうなことは、あなたは、これは誤解だとおっしゃるかもしれませんが、世上まことしやかに伝えられている現状というものは、NHKが何と釈明しようとも出ているのは事実でございます。だからそれを打ち消すには、やはりNHKの規格、規格なんということばじゃないでしょうが、あまり規範を、品物になぞらえるのは失礼でありますが、規格ということばを用いませんが、何かそういう基本となるべきもの、これがあるような気がしてならぬわけであります。その点、会長からひとつ御意見をいただきたい。
○参考人(前田義徳君) お尋ねの御趣旨はまことに適切な御趣旨だと思って伺っておりました。ただ番組基準の前文の第五にやはり「公共放送としての権威と品位を保ち」という一項がございます。同時に、われわれが出演者を選択する場合には、その技能、芸術的価値というものを同時に判断せざるを得ません。これについては局内には一応の基準ができております。それらの出演される方々もこれを御存じであります。したがいまして、これまではこの番組基準の前文の第五と、それから出演者各位の技能を標準として選定するというたてまえをとっておりまして、したがいまして、特殊の感情をもってある者を疎外し、ある者に特別の恩恵を与えるというたてまえはとっておりません。ただ、この二つの標準が一種の協会内の基準としてはっきりできているということははっきり申し上げたいと思います。ただ世俗的な、印象的な批評にこたえるために、もっとはっきりしたものをつくってはどうかという御意見については、私は必ずしもこれに反対するものではございません。その点については今後研究いたしたいと思いますが、ただ、私のこれは印象でございますが、印象的に申し上げますと、そのような成文化、そういう問題だけを中心として成文化するということについては、かなりの困難もあるかと考えますし、かなりの議論を尽くして客観的なそういう規定をつくるという必要は当然ございますので、その研究にはかなりの時間がかかるかと思いますけれども、御趣旨の点については、私どももそういう御趣旨を体しながらこの問題のもっとはっきりした、何と申しますか、基準と申しますか、そういうものを打ち立てる方向に努力いたしたいと考えます。
○森勝治君 先ほど芸能局長のお答えの中にグループサウンズを歌合戦、紅白歌合戦に出演さした、こうおっしゃったのでしょうか。
○参考人(川上行蔵君) 幾組かはいまさっきおっしゃったように出演させました。長髪族は全部シャットアウトしているかということがございましたので、必ずしもそうではないので、品位のある長髪族もあるから、そういう方には出ていただいている、その一例として申し上げたのであります。
○森勝治君 それでは、それに関して次の問題に移ります。 たとえば昨年末の紅白歌合戦ですね、これは何といってもNHKが出しものとしてこんなに多くの国民の視聴をNHKのブラウン管に釘づけにするものはない。これはなかなかりっぱな出しものとしているわけで、民放等はこれをまねしたわけじゃないでしょうが、そういうものにあやかろうとしている姿がありありと見えるわけです。ただ昨年の紅白歌合戦に登用させる人々の選考等は、従来と違った趣を取ったわけでありますが、従来と違った選考をおとりになった理由はどういうわけですか。
○参考人(川上行蔵君) 紅白歌合戦の出演につきましては、これが非常に世間でも高く評価されまして、歌手のランクづけにも与える影響の重大性にかんがみまして、すでにこの六年来広く全国のNHKの関係者の意見あるいは聴視者懇談会、その他外部の方々の意見、あわせて最後的な決定をNHKの芸能局において出させております。しかし、最近のそういういま先生がやはりじわっとおっしゃった、そういう問題もございますので、昨年の四月会長から示唆がございまして、外部の方にも一度そういう委員会の議を設けてそういう方の御意見をいれてみて選定を、最後の決定をしたらどうかということがございましたので、具体的に昨年の十一月末に外部の各層の方およそ十二、三名の方に御参集を願いまして、われわれの下案というものを十分御検討いただきまして、その結果でああいう形の出演に決定した、このようになったわけであります。
○森勝治君 以下、御質問申し上げることは若干私が誤まったうがち方をしての質問かもしれません。したがって、もし広言ならばお許しをいただきたいと思うのでありますが、いまあなたがおっしゃられた会長のそういう御意見で、広く衆知を集めるという御意見でフレッシュな感覚のもとに選考をしたいと、こういう趣旨から従来と違った選考の過程を踏んだというお話でありましたが、まことに失礼でありますが、私の乏しい知識をもっていたしますならば、それは外見的な姿が非常に作用しているんじゃないでしょうか。なるほど新しい方針をとった、これはいいような気がいたしますが、じゃ実体はどうかということになれば、依然としてNHKが候補者を出し、リストを出し、NHKの皆さん方の、あえて強力な発言などというおこがましいことは申しませんが、御発言がある。そこに集まられた皆さんは、最終的にはNHKの御意見を尊重されたやに聞くわけであります。ですから、私は広言ならばお許し願いたい、こういうお断わりをしていま質問をしているわけでありますが、もし、私がうがち過ぎた、あるいは誤まった見方をしているのかもしれませんが、そういうことであるならば、衣をかえてみたけれども、中身は同じではないかというふうなそしりもまた免れない、こんな気がしてならぬわけであります。ですから、その選考の方針を変えた、選考委員もかえられたということであるならば、お差しつかえなければ、もう少しかいつまんで詳しくひとつ、その辺のあうんの呼吸もあったでありましょうが、その辺のところをお差しつかえない程度でひとつ御説明いただければ、そちらから見れば森のやつは誤まった考え方を持っているという、あなた方から言わせれば誤まった考えかもしれませんが、この誤まった考え方に基づく私の愚問というものも、私もまたおのれの蒙を開くことができるような気がしますから、ひとつその点はもう少し具体的にお話をいただきたい。
○参考人(川上行蔵君) 紅白歌合戦の選定につきまして、もう少し時間をいただきまして詳しく申し上げさせていただきますと、まずNHKの、全国放送でございますから全国各局の放送部長並びにこれは外部と接触いたします集金人とかそういう人たちの意見も加味できますように、営業部長がまず候補者と申しますか、そういう形において意見を具申してくる。そういう中から順位を一応きめまして、それで一応われわれの気持ちとしての案をつくる。そのほかに、われわれはさらに広く全国で年に何百回となく聴視者懇談会あるいは奥さまのつどいとか、そういう会をいたしておりますが、その会の中の幾つかにおきまして、やはり全国的な立場において御意見を伺い、その両者のリストをミックスいたしまして一応の案、原案をつくります。その原案はさらに出演者の数が三十名であるならば五十名ほどの候補者をあげまして、順位はこういう順位でなっておりますということで、その諮問委員会に御提出したわけであります。そしてその諮問委員会において、格別の御意見がなくて、ほぼ原案の順位どおりでけっこうじゃないか、下の順位からこういうぐあいに上げたらどうかとか、上からの順位から下のほうに落としたらどうかというような特別の御意見はなくて原案が支持された、このようになっております。たまたま私はちょっと外国に出張いたしておりましたので、列席はできませんでしたけれども、あとの報告でそのように伺っております。
○森勝治君 わかりました。この問題はこれ以上やりません。やらぬというのは、時間の進行に関連してであります。ですから、ほかの問題に移りますが、どうかひとつ、特にこの紅白歌合戦は、NHKの出しものとして、私が冒頭に申し上げたように、非常に期待を持って迎えられておるわけですから、芸能人もここに出ることを誇りとし、国民の視聴者の皆さんも、このNHKの紅白歌合戦を見ることを喜びとしているわけでありますから、こういうよい企画はどんどん続けていただくとともに、それこそNHKがかねてから強く主張いたしておりますこの放送の倫理とか、あるいはまた番組の品位等にのっとって、私はだれを出したらいかぬとか、だれを出したほうがいいとか、そういうやぼなことは、こういう点では申し上げませんが、NHKの趣旨にのっとって、将来とも国民の期待、視聴者の期待を集めるようなよい紅白歌合戦にしていただきたい。これはほかの出しものについてもまたしかりであります。 そこで、次の問題に移りたいのでありますが、私が次の問題で聞きたいのは、NHKの放送作品というものはすべて自主作品ですか、あるいは他から借り入れたもの、借り入れたと申しましょうか、他から作品を買ったものを放送されるのか、その辺をお聞かせ願いたい。もし他から買い入れた作品等があるならば、自主作品との比率等についてもあわせてひとつお答え願いたい。
○参考人(川上行蔵君) おもにドラマの部門に限定してお答えいたしたいと思いますが、ドラマにつきましては、旧作品と申しますか、すでに一度発表された作品は、声価がきまっておりますし、またわれわれもその内容を十分検討できます。そういうものと、それからやはり新しい分野を開拓するという意味において新作をお願いする、そういう二つの面がございますが、いま直ちにその比率が、どの程度かということを即答できませんけれども、やや旧作のほうが多いのじゃなかろうか、大体六〇%と四〇%程度になろうかと、このように考えております。それからもう一つは、ドラマ番組といたしましては、あと旧作の映画とか、あるいは外国で放送いたしました名作のドラマとか、そういうものをやはり買い入れいたします。
○森勝治君 そこで、いま外国の名作等を買ってというお話がありましたが、これはあれですか、NHKが名作を自主的に制作することはもちろんありましょうが、よい映画ならば自主制作にかかわらずにこれからもどんどんそういうりっぱなものはNHKが買い入れ等をして放送をする、こういうことですか。
○参考人(川上行蔵君) やはり外国のすぐれた文化を導入するという意味におきまして、いい映画は今後もある程度は買い入れを続けてまいりたい、このように考えます。
○森勝治君 いま放映の比率が旧作六〇、新作四〇というふうにおっしゃいましたが、そのとおりですか。
○参考人(川上行蔵君) 正確な数字はあとで調べさせてお届けすることにさせていただきたいと思います。
○森勝治君 それは大体で、比率は多少変わってもどうのこうのじゃありませんが、私がお願いしたい、私がここで言いたいことは、かりそめにもNHKでありますから、できるだけ旧作等で時間を場ふさぎするなど——りっぱなものなら別ですよ、できるだけ旧作等のものは再放映を避けて、NHKはやはり新しく次から次へと新分野を開拓していただきたい。これも民放等は、経済的な裏づけ等の関係で再上映を余儀なくされるなら、これはまあある程度よかろう。私は経営上の問題だからよろしかろうと思うのですが、かりそめにもNHKと銘を打つからには、一度上映したものはできるだけ避けて、新作をどんどん開拓して新分野に取り組んでいただきたい。NHKが相変わらずあれは去年やった、ことしもやったとこういうことであっては、私はNHKの性格からいって若干どうかと思う。もちろんそれはたとえば何といいましょうか、名作集とか、何とか銘打って放映する場合もままあるでしょう。そういう特殊な例はもちろんこれは当然でありますけれども、常にやっぱりNHKは新作をもってやっぱり視聴者に新しい目を開かせるような、その辺がNHKのNHKたるゆえんの気がしてならぬわけですが、どうですか、その点は。
○参考人(川上行蔵君) 私先ほどちょっと先生の御趣旨取り違えまして、たとえば台本なんかを古い、古いというあれですけれども、たとえば「天と地」とか太閤記とかそういう古い、すでに発表された文芸作品の量も入れましたから、旧作が多いというお感じを受けましたが、いまおっしゃった趣旨は、外国でつくった映画とか外国のドラマをビデオ化したものとか、そういう御趣旨かと思いますが、そういう意味で考えますならば、私もやはり日本においてNHK、これがそういうテレビの新しい文化を創造すべき使命を持つべきものだということは十分に理解をいたしております。そういう意味においては、今後ともその面に努力しなければいけないと存じますが、何ぶんまだ日本のそういうテレビ文化というものがまだ十分発達しません段階におきましては、やはり外国のそういうものもある程度入れていって、それが刺激になり、さらに終局的にいま先生の御指摘のような方法をたどるということがやはり理想だ、かように考えております。
○森勝治君 私はやっぱりいにしえをたずねてそれを現代に再現して視聴者にそれを見せるあるいはそれを後代に伝える。これがNHKの使命の一つであろうと思うのであります。私の言う新作、旧作というのは、たとえばいまいみじくもおっしゃった「天と地」というのはまげを結った戦国時代の出しものでございましょうが、それは新しくNHKが新作をされるわけでありますから、私はこういうものは当然新作だというふうに理解をしているわけであります。太閤の事柄をいまに伝えることが旧作だなどと、そういうことは申しておるわけではないのです。ただNHKが一度放映されて、お蔵入りになったものを出されたような説明を受けましたから、それはNHKとあろうもののとるべき姿ではないのじゃないか、こう申し上げたわけであります。ですから、あなたのほうの御説明は私が若干はき違えたこともありましょう。私の質問の趣旨が十分でなかったから、あなたも若干その点は、私の質問の趣旨と若干はぐれたこともあるでしょう。しかしいずれといたしましても、私はそのいま申し上げたように、できるだけお蔵入りされたものは避けていただいて、ひとつ新作新作と取り組んでいただきたい。この辺がやはり民放のまねのできないところのような気がしてなりません。それからそれはそれけっこうでありますが、その次に、いま私はお蔵入りということばを申し上げましたが、NHKは自分のところで完成した作品というものはすべて放映されておりますか、お蔵入りになったのはどのくらいあるのですか。
○参考人(川上行蔵君) 私の記憶いたします限りでは、制作いたしまして放映しなかったという例はないのじゃないかと記憶いたしております。
○森勝治君 重ねて聞きますが、過去において全然ありませんか。知らないから聞くのですよ。知っていれば何も私のほうから教えてあげますけれども、知らないから聞くのですから。
○参考人(川上行蔵君) でき上がりました作品が意に満たない場合のとり直しとか、そういうケースはございますが、お蔵入りしてそのままストックしてしまったということはないと、このように考えております。
○森勝治君 そこでさらに具体的な質問をしてみたいと思うのであります。だから芸能作品を買った場合には、出しもの一つ幾らできまるわけですから、問題ありませんが、NHKがしばしば行なっておる芸能人との出演契約等の場合ですね、それぞれの契約はNHKがすべて交渉する一つ一つ当人との契約でありますか。たとえば何々芸能社というそういういわゆる業者といいましょうか、そういう方々とか、そういう業者との契約もあるんですか、NHKのタレントの契約はどうなっておりますか。
○参考人(川上行蔵君) すべて個々人との契約ということを原則にいたしております。
○森勝治君 それは個々人との契約ですか、間違いないですか。
○参考人(川上行蔵君) 間違いございません。
○森勝治君 そうすると、実際上は芸能社と話をしてきめるけれども、それはそれぞれのタレントの代理という形で話し合いを進めているわけですか。実際上は俳優さん個々とはあまりおやりじゃないでしょう。
○参考人(川上行蔵君) その個々人の方が指定される代理人とお話しする。これは事務的な面においては多くございます。
○森勝治君 それでは、NHKに出入りする何かげすなことばで恐縮でありますが、NHKとそれぞれの芸能人との間に、個々人と契約をして契約を取りかわすそうでありますが、その契約をするに当たってですね、いわゆる芸能社といいますか、興業会社といいましょうか、そういう方々がやはり代理という名のもとにNHKとその芸能人の間に介在されておるわけですね。介在ということばもまた適切でありませんが、媒介の役目をつとめるんでありましょう。介在ということばはちょっと表現が悪いかと思うのでありますが、そういう芸能社とか興業会社と目される、NHKが事務的折衝の場で折衝する会社はどのくらいありますか。
○参考人(川上行蔵君) まことに不勉強でございますけれども、幾つの数があるかということは、ちょっととすぐ私お答えいたしかねます。
○森勝治君 これもまあうわさですからさだかでありません。さだかでない問題をひっさげて質問するのはあるいは不謹慎かもしれませんが、やはり疑問があれば当然晴らすべきでありましょうから、私も以下質問をしたいと思うのでありますが、よくたとえばまあやまと芸能社ならやまと芸能社という名前があれば、失礼でありますがこれはたとえの話、国会芸能社でもけっこうです。そういう芸能社があったと仮定いたしますと、まあたとえば鈴木委員がタレントだとします。そうすると、鈴木さんの代理で国会芸能社が本人になりかわって契約する。それで出演を完了し、適当な時期にギャラを払う。ところが、さて鈴木さんのところへは何がしかの金がいくが、芸能社にその事務用といいましょうか取られて、いま売出りしの鈴木強のほうにはさっぱり行かない。一流タレントといえども鈴木強は小づかいにもこと欠く、こういうことがしばしば世上をにぎわすわけですが、よもやNHKの契約の中には、直接だとおっしゃるからないでありましょうけれども、どうですか、その辺のこと率直にひとつ教えてくれませんか。
○参考人(川上行蔵君) いま申し上げましたように全部個人契約をいたしております。ただその個人のたとえば五人なら五人、九人なら九人がいまおっしゃったやまと芸能社に所属しておるということになりますと、そのやまと芸能社のマネージャーというものが、その個々の方の出演者から依頼を受けまして、契約をNHKと結ぶ、その代理人的な役割りを果たすということになるわけでございます。その場合におきましても、その謝金というものは、やはりその代理人に事務的には渡すことがあるかもわかりませんけれども、あくまでも契約の本旨に従いまして、その御本人に渡すというたてまえで考えております。
○森勝治君 それはごもっともな御答弁であります。個々人と契約したから個々人に金を払う、歌の文句ではありませんが、あったりまえでしょう。私はそれを聞いているのじゃないのです。あなたが先ほど御説明の中で、事務的折衝として芸能人の代理人なる者、代理人と称する者と、本人になりかわって契約を結ぶ、それはあなたがおっしゃったとおり、それはそのとおりでしょう。売れっ子になると、そうなるでありましょう。私のほうの質問はたとえば鈴木強という、まあ青島君がちょうどいれば一番いい例なんですが、青島君がいませんので、鈴木強という売れっ子のタレントと、NHKが契約を結んだが、国会芸能社、やまと芸能社なるものが、本人になりかわって支払いを受ける、代理人で受ける、あなたはいま個々人に払ったといっておるが、実際上は鈴木強右代理人国会芸能社何のたれがし、やまと芸能社右総代何のたれがしで、NHKにあれが、いっているでしょう、代理権を委任されておりますから。それはかくあるべき姿ですよ。もう代理人に払ってしまったから、法的にはNHKは何ら介入する余地もなければ言うべきすべも知らない。しかし、NHKと契約を結んで、NHKのブラウン管を通して働いたその芸能人の手元には、NHKと契約した金の一部しかいっていないというとかくのうわさがあるわけであります。それならば、NHKはもう金を払ってしまったのだから知りませんと、法的には突っぱねることができるでしょうが、NHKの創立の趣旨からいたしますならば、道義的な問題もまたNHKに付加されていると私は思うのであります。ですから、そういう問題をどうお考えですか、これが私の質問の趣旨であります。
○参考人(川上行蔵君) 芸能界、たとえば芸能界と申しますと、特にテレビのほうは歌舞伎とかあるいは新劇とかあるいは映画とか、まあ長い伝統を持ったところから、そういう仕事を引き継いで今日まで至ったという経過がございますので、そういう面の中にございましたいいものも悪いものもまた残っている、このような気がいたします。そういう意味におきましては、できるだけいま先生が御指摘のようなことがないように、われわれといたしましては、個々の出演者と十分に明白な契約をしていきたいという趣旨でいろいろ検討いたしております。最近日本放送芸能家協会というところと団体協約をしましたのも、いま申し上げましたような趣旨で、やはり出演者一人一人の芸術的な意欲を高めていただきたいという意味において、そういう謝金あるいは出演料そのほかにからまる疑惑を払拭するためにも、公な形をとったほうがいいのじゃないかという形で結んだわけでございます。そういう面においては、今後とも十分検討していきたい、このように考えております。
○委員長(永岡光治君) 午後一時まで休憩いたします。 午後零時五分休憩 —————・————— 午後一時二十三分開会
○委員長(永岡光治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き放送法第三十七条第二の規定に基づき承認を求めるの件を議題といたします。 本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
○森勝治君 午前に続いて質問をしたいと思います。 午前の部では、芸能人登用の問題について質問いたしましたが、その点について、若干掘り下げてお伺いをしてみたいと思います。芸能人の所属する芸能社とのいきさつについては、あまり協会のほうでもはっきりしたことは申されておらぬわけでありますが、ただ、そういう世間の疑惑のあるようなそういう芸能社との取引というものは、できるだけ私は避けてもらいたいと思うのであります。また避けるのがNHKとしての正しいあり方のような気がするわけであります。何もそういうことを、私は、そういう方々の存在を必ずしも否定はいたしておりません。しかし、それはやっぱり法的にもいろいろ保護れさる、よってきたるものの問題があるわけでありますから、そういう点やっぱりそういう芸能社との問題は世上いかがわしいとか、そういうものとのおつき合いはなるべく避けてもらって、やっぱりまともな皆さんとのおつき合いを願いたい。こういうのが私の質問した趣旨の一端であります。 そこで先般協同組合日本放送芸能家協会という団体とNHKが団体協約書をかわされたそうであります。この協約の趣旨というものはどういうところから起こってきたのでしょうか。この点、まずお伺いしておきたい。
○参考人(川上行蔵君) 午前中にもちょっと申し上げましたように、芸能界が古く映画、歌舞伎、新劇とかそういう伝統の中でいろいろな慣習をつくっております。それがそのまま今日の放送、特にまあテレビの中に入ってきておるわけでございます。そのために、出演のタレントの方々とのいろいろな関係をまあ明確にして、お互いに責任感を十分に持って仕事に当たるという点において、新しい意味での協約というものも必要ではなかろうかということ、また、そうすることによって、もしかそれぞれのタレントの方が技能向上がはかられ得るならば、われわれはそれによっていい番組を出せるわけでありますから、その面の申し出がたまたま日本放送芸能家協会というところからありましたので、そちらといろいろ話し合いをしまして、団体の協約というものをつくったわけでございます。これは中小企業等協同組合法に基づいて認められた組合として、事業者としてのそういうタレントの方と契約をするということでございます。
○森勝治君 従来放送協会はタレントいわゆる芸能人等との契約については、会長の名をもってされておるんでしょうか、担当局長の名をもってされておるんでしょうか。
○参考人(川上行蔵君) 番組の出演契約とかあるいはそういうのは非常に機能的な動きを必要といたしますので、それぞれの部局長に責任を持たして権限を委譲して、それぞれ部局長の名前において契約をするというような方針になっております。
○森勝治君 それでは会長にお伺いいたしますが、会長名をもって第三者と契約等あるいは協約等を取りきめするときには、いま芸能局長が言われたような場合と、それぞれ持ち分といいましょうか、会長が契約する範囲はこうとか、最高のNHKの問題をつかさどる場合は、当然会長でありましょうが、それぞれの所管の長に、所管の長というのは放送局長あるいはまたそれぞれの局の長に会長が委嘱をされておられるわけですが、その辺の使い分けとか、割り振りというのは、どういうかっこうになっておるんでしょうか。
○参考人(前田義徳君) これはおおよそ六年前に新しい経営組織をつくる際に、かなり慎重に検討いたしまして、従来は権限委譲という形でございましたが、約六年前から、その部局長の職務と地位との関連で、部局長ないしその担当責任者の固有の権限という形に割り切ったわけでございます。
○森勝治君 そうなりますと、私がここで団体協約を結んで、団体の名前をことあげいたしましたが、この団体との協約書を見ますと、放送業務局長とこの団体が双務協約を結んだということになっておりますが、これはいま会長が、御答弁なさった権限の委譲のもとにこういう協約をお結びになったわけですね。
○参考人(前田義徳君) ただいま御説明申し上げましたように、放送業務局長の固有の権限としてこれを契約したわけでございます。
○森勝治君 そうなりますと、この中ではいわゆる参稼報酬というものの支払いの取りきめがあるわけです。協会の方に言わせれば、タレントを起用した場合にですね、出演さした場合、参稼報酬等のもろもろの取りきめ——罰則というか、違約した場合にはどうとかあるいはつつがなく労力を——労力ということばがこの場合にあてはまらないかもしれませんが、NHKとの特殊な個々人の契約ですから、その契約に基づいて、たとえばこれでは甲とか乙とかいう表現を用いておりますが、当事者が約束を履行した場合には、NHKにはこれを履行する義務を負わされておりますが、そうなりますと、一体法律的にはこの放送業務局長というものはNHKを代表することができるわけですか。
○参考人(前田義徳君) その限りにおいては代表することになると思います。
○森勝治君 しかし、本来こういうNHKの名をもって契約する、特に経済的な問題が伴う場合にはやはりいずこの社会でも個々の担当部長でなくて、たとえば取締役とか、NHKの場合には理事とかあるいはまた会長とか副会長、こういう方々の、高度といっては恐縮ですが、そういうハイクラス部門と協約等をかわすのが普通ではないでしょうか。そうすると、その場で、このままでいきますと、もしNHKが契約の違反を行なった場合、双務協定ですから、権利義務が明記されて成文化されておりますから、そうなりますと、NHK側で責任をもし追及されることありとするならば、当然それは会長がその責を負うわけですね。あなたの名のもとに、放送業務局長に権限を委譲しているんだから、いわば放送業務局長はNHK会長の代理とこういうことですから、こういった法的な責を負わされるわけですね。
○参考人(前田義徳君) 法理論的には御指摘のとおりでありまして、放送法上からいいましても、これに基礎を置くNHKの定款から申しましても、最高責任者は会長ということになっております。
○森勝治君 そうすると、何か双方でギャラの支払い等、大体こういう問題は経済的な問題がいつも紛糾の種になるわけでありますが、そういう問題が起こった場合、これは仮定の問題で質問しているんですよ。相手方がもしNHKに対して不満、不平、異議を唱える場合には、これはNHK会長を相手にとってもよろしいという団体協約書なのか、あるいは放送業務局長を相手にとるのか、その辺の法的な責任の帰属というのはどこになるのですか。
○参考人(前田義徳君) 先ほど申し上げましたように、その協定に関する限りの固有の権限を持った協定者は放送業務局長でありますから、その限りの問題の中で紛争が起きた場合には、当然その制度上もその協約の責任者という形で、まずその放送業務局長がその問題の解決に当たるべきだと考えております。
○森勝治君 それは当然でありましょう。しかし放送業務局長の範疇というか、紛糾に紛糾を重ねて担当の局長の場ではもう解決ができなくなった、こういう場合がありますね、仮定の御質問をして恐縮でありますが、そういう場合には、最終的には、NHKの代表者である会長、あなたとこれらの団体との争いに発展してまいりますね、当然そうなってまいりますね、その場合には。
○参考人(前田義徳君) 全般的な問題に発展し、御指摘のような仮定の環境が起こる場合には、そういう場合もあり得ると考えております。
○森勝治君 くどいようでありますが、それではこの日本放送芸能家協会とNHK業務局長が結んだ労務提供、まあ労務ということばはありませんが、この場合は不適当かもしれませんが、団体協約書なるものは、会長の命を帯びて担当業務局長がこれを結び、最終的な責任は会長にある、こういうことでありますね。
○参考人(前田義徳君) 結果としては、最終結果は、その仮定の経過をたどれば、そのようなことになり得ると思います。
○森勝治君 それでは、くどいようでありますが、放送業務局長の名において結んだこれらの協定というものの最高責任は会長にあり、こういうことになるんだろうと思います。 そこで私は付言してお伺いしたいのでありますが、もしいまの会長の御答弁、私がそれをこちらでなぞらえて付言をいたしましたのが是認されるといたしますならば、立場は若干違いますが、日芸労の諸君と大阪放送局長が結ばれた労働協約書なるものは法的に有効でありますね。
○参考人(前田義徳君) その限りにおいて、有効だと考えます。
○森勝治君 それでは、日芸労の問題はあとでお伺いすることにいたしまして、引き続きこの協約書の内容の問題に移りますが、これは協同組合法に基づいてつくられたものでありますね。
○参考人(川上行蔵君) さようでございます。
○森勝治君 そうなれば、組合員の相互の、経済的、社会的地位の向上というふうにおそらくこれらの団体の定款がなされておるだろうと思うのでありますが、ここに見られている出演の基準、取りきめというものは、これは何と申しましても、労組法の立場からいくならばこれはもう労務提供だと、私は思うのでありますが、その辺はそういう解釈でよろしいでしょうか。
○参考人(川上行蔵君) 労務提供とは私たちは考えておりません。やはり芸術家としての委任契約と申しましょうか、出演契約と申しましょうか、そういうふうな形にこれを考えております。
○森勝治君 私の質問がおそらく狭義に解釈されただろうと思うのでありますが、私の言わんとするものは、広い意味で申し上げておるわけです。参稼報酬、しかもそれは肉体を提供する、高度の識見と経験いわゆる人呼んで勘、余人のうかがい知る余地なし、力量、手腕というものがあるわけです。だから、すべてこれを労働だときめつけることもできないだろうが、しかし、広義に解釈すればやはりこれは参稼報酬は頭脳の面も加味されてありましょうが、肉体労働を提供したことになるわけですね。私はそう思います。広義に解釈して、いいですか。広い視野に立てば当然そうなるわけです。そうすると、芸能人個々人のそれらの参稼の、もちろん個々人の手腕、力量、社会的な地位、背景、そういうものからギャラそのものはおのずから定ってくるでありましょう、それはね。私ども凡人の知る由もありませんが、おそらくそうだろうと思います。そうなれば、それらの利益というものは、もちろんこれは協同組合法に基づく組合員相互の利益あるいはまた社会的向上を目指した団体で、これは善意におけるよき団体だろうと、私は理解をするものでありますが、さてこれがたとえば労働基準法第六条の中間搾取、こういうことばをこの善意の団体に対して私は言うのは恐縮でありますが、若干、疑問があるからお伺いするわけでありますが、たとえば労働基準法の第六条の「中間搾取の排除」という項に、一体抵触しないだろうか、若干、そういう疑問があるわけであります。定款を見れば必ずしも、その参稼報酬のうちの幾らを取るということはありませんから、その辺は若干この取りきめは、そういうきめ方から言わせれば、相当ばくたる取りきめになっておりますけれども、そういう若干の疑いがあるわけでありますが、そういうことはこの協定書をかわすときに、御意見として双方のいずれかから出たことはないでしょうか。
○参考人(川上行蔵君) 中小企業者の協同組合法によりますと、相手も事業主としてお互いに認め合うわけでございますから、この契約の第二十五条におきましても、出演料は組合員の出演就業の日にその全額を組合員本人に現金でお渡しするということを明記してございまして、その点につきましては、御心配のような中間搾取的なあれは心配はないつもりでおりますし、そういう心配も話し合いにおいては十分前提にしながら考えて、こういう契約をつくっておるわけでございます。
○森勝治君 第二十五条の問題は、あとで質問したいと思ったのでありますが、二十五条の問題をことあげされましたので、私は一歩進んで聞きたいと思うのでありますが、いまの説明の中で、職業安定法の第五条の問題を若干逃げられていま説明されておるわけでありますが、この職業仲介の労をとる、こういう問題、いわゆる職業安定法上の疑義がこの団体には生まれてこないでしょうか。そういう問題も団体の皆さんとお話をされたことがあるでしょうか、私はきょう素朴にそういうことがわかりませんから、この団体は善意の諸君の集まりだという期待をこめてやっているわけですから、邪推をもって聞いているわけでも何でもないのですから、そういう点は率直にひとつお答えをいただきたいのです。
○参考人(川上行蔵君) この団体はみな先ほど申し上げましたように、りっぱな独立した能力を持ったタレントが、それぞれの形において参加されておるわけでございますから、そういう疑問点がないということを確信いたしましたし、またそういう点は、ここへ加盟された人たちがみなそれぞれ自覚して参加しておられます。
○森勝治君 たとえば二十二条等は、NHKがそれらのタレントを起用して行動する旅費を支給する、日当、宿泊等提供する、こういうふうに具体的にありますと、これは労働組合という立場からみるならば、これは明らかに労働協約の範疇に属する、一応、これは協同組合法の組合員相互のということがありますから、その辺が協同組合と、労働組合との差が若干出てまいりますが、労働組合流儀で言えば、明らかにこれは労務提供の契約でありますね。そうなりますと、労働組合でない団体が労務提供の契約をするということになる。そうなれば、いわゆる先ほど私が若干ことあげをいたしました芸能社の職業あっせんという問題と広義においてはこれが同一視される、こんな気がしてならぬわけでありますが、その辺のかね合いはどういう論議をされたのでしょうか。
○参考人(川上行蔵君) その点は全く心配がないという形で、私たちはこの問題に処してまいりました。
○森勝治君 そうすると、この協約というものは、あながち一人一人のタレントの行動その他規制するものではない、こういう協約を、団体としてこれらの協同組合と結んだけれども、さてNHKがこれらの団体に所属する山田なら山田なるタレントがNHKと結ぶ場合には、全くこれはNHKと独自の契約書を取りかわす、こういうことですね。
○参考人(川上行蔵君) さようでございます。
○森勝治君 そうすると、こういう協約は取りきめたが、個々人との契約だから、これにはそうわずらわされることはないのですね。
○参考人(川上行蔵君) 先ほど申し上げましたように、この芸能界の契約そのほかは非常にルーズでございました。そういうために非常に疑問がありましたので、こういう芸能人との基本的なまあ賃金の支払い方法とかあるいは事故が起こった場合の問題とか、そういうことを原則的な点について、お互いに明確にしておこうということでございまして、個々の出演者の方々の契約、その他は、別途個々人とそれぞれきめていくというたてまえでございます。
○森勝治君 それでは、先ほど触れました二十五条の問題に移ります。 この条文を見ますと、出演料は組合員の出演終了の日に、その全額を組合員本人に現金で支払うものとする云々とありますが、なるほど可及的すみやかに参稼報酬というものを即刻払うというのですから、かくあるべき姿が一番正しかろうと、私は思います。さて現実の場で、こういうことができますか、これが。
○参考人(川上行蔵君) NHKの場合におきましては、いままで出演料は現金で差し上げるということが一番特徴になって、わりあい出演者の方々皆さん喜んでおられましたが、われわれといたしましては、現金で支払うということよりも、むしろその出演者がそれぞれ銀行口座なり郵便口座なりを設けていただいて、そちらに振り込むということをむしろ将来の方向として考えていきたい、こういうことの折衝の過程においてはお話をいたしましたけれども、まだ現実に社会情勢がそこまで十分に熟していないので、本人に現金で支払うということを原則にいたしながら、できる限りすみやかに銀行振り込みまたは振替貯金にという形に移行し得るのだということをこの契約の中に入れてまいったわけであります。
○森勝治君 そうすると、すみやかにというところは、すみやかに支払う、相手方も受け取るということは一致しているが、具体的な実施の段階に至っては、この条文どおり必ずしもいかない。したがって、その日に完全に支払うということは、ある面では従来ルーズな問題を成文化したのであるから、ある意味においては、当分これは精神的なものがここに織り込まれている、こういうふうに広い意味で理解していいですか、これは。
○参考人(川上行蔵君) そういう面と、もう一つは、NHKの仕事の合理化に御協力いただく、さらには中間搾取的なものを排除しよう、かりにあるとすれば、中間搾取的なものを排除し得るのじゃないかという形において、こういう考え方を入れておるわけであります。
○森勝治君 まことにまぜっかえして恐縮でございますが、あなたにお答えいただくと、ここで言う支払い終了の日にというのは、たとえばこれはうがち過ぎた質問で恐縮でありますが、三月の二十日、すなわち今日であります。今日出演をし、午後五時なら五時に出演を終了した者には、その日に払うというこの文字は、その日の日付で、すなわち三月二十日の日付で後刻払う、こういうふうに拡大解釈できるのですか。
○参考人(川上行蔵君) いまは現実に出演が終わった際に、お支払いするということをむしろ原則といたしておりますが、たとえば現金でお払いすると間違いが多いとか、そういうこともございますので、できたら銀行口座を指定していただけば、その日のうちに振り込む、あるいは銀行が締め切りになっておれば、次の日に差し上げる、こういう形をとろう、こういうふうに考えております。
○森勝治君 重ねて恐縮でありますが、だから私はこの面が広い面できめられたのか、あるいはまた精神的な規定がその中に含まれておるか、こういう質問を設定したわけであります。いまのお答えですと、大体私がそうではないかと言うと、そちらがまた邪推だと言われますが、邪推ではなくして、NHKのいまの会計の陣容からして、あれだけ膨大に次から次へと出てくる出演者に、極論すれば表から入ってきて舞台に立って帰り口で金を渡せと、これを狭義に解釈すれば、そういうことなのだから、なかなか現実にそこまでできないと、私は思うのであります。それはほんとうに、そういう人材を網羅すればけっこうでありましょうが、それはNHKの職員がオーバーワークでたまらんと思うのですよ。ですから、出演後すみやかに払うということなら、これはいいのですけれども、これは一番理想でありましょう。理想でありましょうけれども、事後処理の面で、これはたいへんな皆さん方担当が御苦労なさっておるんじゃないか。そういうふうに、私はこの面に思いをはせて実は質問しているわけですが、その面のちゃんと人材、その他のそういうことは怠りなく配置をされているわけですか。
○参考人(川上行蔵君) これはちょっと、出演料支払いに至るまでの経緯を御説明申し上げないといけないと思いますが、経理局のほうに何月何日、どこのスタジオで何時から何時まで放送の録音をするとか、録画をするとかいう通知が参っておりますので、それに基づきまして、あらかじめもう用意はいたしておるわけでございます。それに基づきまして、できるだけ希望が多いものですから、御本人に現金で持って帰っていただくということをたてまえにいたしておりますけれども、ただ、次に書いてございますように、支払い業務の円滑を期し、できるだけすみやかにそういう形に移行さしていただければ、お互いに間違いがなく、しかもありがたいということでございます。それを精神的な意味だと、おっしゃるのでしたら、そういうふうにわれわれも考えているわけです。
○森勝治君 何と申しましても、参稼する芸能人が自分の参稼報酬というものがすみやかに支払われることを念願することは、これはだれも当然であります。世間ではなかなか支払いを一日延ばし、二日延ばしするやからもないわけではないのでありますが、そういう問題に限っては、NHKはだいぶきれいな御支払いなんでありますが、しかし、私がよけいなことを言うようでありますが、実行が必ずしもこれに伴わないようなものはもう少しゆるやかな協定をされたほうがよかろう、NHK自身のためにもよかろう。私こう考えておるわけです。できるとおっしゃるならば別ですが、それはおびただしい出演者を、それは表門から入ったら裏でどうぞというわけにはなかなかいきかねているのじゃないかと私は思うのであります。もちろん、それは、たとえば劇その他でなくてたまたま国会のだれかが行った、たまたま何かの座談会へ出たと、こういう簡単ななどと言っちゃおこがましいのでありますが、ほんとうにさっと出てさっと帰るというのなら、それはそういうことが一時的な便法としてとり得るでしょうが、ところが、もうレギュラーになったら毎日毎日でしょう。この精神からいえば、それらの方々にも毎日毎日払う。もっとも、それは一本出演幾らという取りきめのしかたをするでしょうから、必ずしもその日その日で払わなくても、個々人の契約の中でそれはおやりでしょうから、そこで有無相通ずるというのですか、自由自在におやりだろうから、その点はいいだろうけれども、ただこの二十五条だけをピックアップしてみると、私のような疑問がわいてくるわけであります。したがって、NHKが払うと言ったが、一週間たってもおれのところへこないじゃないかというようなふうに逆にこれはむしろ私がこういう契約を結んだのは参稼報酬を受ける人々の、NHKの立場というよりも、出演者の皆さんの立場に立っておきめ願ったような気がするわけですよ。相手方の立場になってすみやかに義務を履行する。こういう立場だろうと思うのでありますが、しかし、できないことはあまりおやりになってはみずからの首を締めるようになりはせぬかと思うのです。その辺はどうなんですか。これはむしろ支払いの窓口は、これは経理関係でしょうから、経理部門はそういう人材、完全に網羅されているのですか。契約するのはこちらでしょうけれども、支払いはそちらなんだから。
○参考人(志賀正信君) 出演料の支払いにつきましては、経理部門が担当いたしておりますが、当日支払いを御希望になりました場合には、全部当日支払いをいたします。それから、先ほどお話が出ておりましたように、最近銀行振り込みという制度が、個人にも及ぼしてまいりましたので、銀行振り込みを御希望の方には当日というわけには必ずしもまいりませんが、翌日ぐらいまでには全部振り込みを終わるようにいたしております。
○森勝治君 せっかくNHKが直ちに金を払うと言うのですから、ゆっくり払えなんてやぼなことは申し上げません。ただしかし、それはけっこうなことでありますけれども、かりそめにも担当職員のオーバーロードを招来しないよう、そういう配慮をまた私はしてしかるべきだと思いますから、その点だけはくどいようでありますが、要望をしておきます。 そこで、先ほどの問題に若干戻りますが、芸能社との取りきめ、最終的にはタレント個々との取りきめだそうでありますが、タレントにかわって、午前の部では、国会芸能社などといって、若干、あまりかたい話をしてばかりいてもと思って、多少ざれ言めいた話をしましたが、国会芸能社というものが鈴木さんにかわって契約を起こす。こういう表現を用いましたが、そういう結び方をしている芸能社というのは何件ぐらいおりあでしょうか。これは、若干午前の部で幾らかお伺いしたような気がしたのですが。
○参考人(川上行蔵君) 団体協約的に結んでおる、特にドラマ関係におきましては、ございませんと申し上げましたが、たとえば音楽関係につきましては、東フィルと出演契約、これは団体協約的な、東フィルという団体とは、年間数回出るという、そういうような契約はいたしております。
○森勝治君 その場合に、職業安定的な安定法に準拠する、そういう団体、芸能社であるかどうかということはつまびらかにしないで、そういうことは考慮のらち外でおやりになっておるわけですか。
○参考人(川上行蔵君) 森先生が御質問になっておりますのは、たとえば「天と地」なんかにその他大ぜいのさむらいとして出てきているというようなものをどういうような形で契約をしているのか、あるいは出演を求めているのかというところに具体的にはつながってくるかと存じますが、そういうところとの出演を依頼する場合におきましては、数年前に、われわれのほうとしましては、職業安定法の規定そのほかが出ておりますので、ちゃんとそういう職業安定法に基づく許可を得ているということを条件に、そういうところと契約をして出演を求めるというように指導いたしておりまして、現実的にほとんどがそれでなっている。われわれとしては、たえずそれを現場に注意を喚起しておりますので、そういうところから出ておるというように確信をいたしております。
○森勝治君 失礼ですが、こういう世界では、いろいろの過去の伝統と申しましょうか、歴史等があって、ギャラの支払い、その他にそういう完全な雇用関係ではないでしょうが、それらの方を登用するときには、いろいろのしきたりがおありだろうというように巷間伝え聞きますから、私が申し上げるのは、必ずしもしゃくし定木のようなわけにまいらんでしょう。ですから、そういうもし弊害がありとするならば、弊害を除去することは、一朝一夕には若干困難かもしらんけれども、NHKのような高邁な理想を掲げた方々が、そういうことを是正してかかっていただかなければ、なかなかそういう世界もまたよくならないのではないか、私はそういう趣旨から実は質問をしたわけであります。まあ、あなたは全部職業安定法第五条に抵触しない、労働大臣の認可を受けた団体とのみ労務協約を結んでいるというようにいま明言されましたが、そのことばをそっくりまともに私は今日ただいまは受け取りたいと思うのであります。もし、かりにもお間違いがあったならば、ひとつ、すみやかに直していただきたい。ですから、この点についてはあまり言いませんけれども、どうか、ひとつ、できるだけ、芸能人と名ざされる方々、あるいはあなたがいみじくもおっしゃったさむらい等でその他大ぜいで出てくる下積みの方々のためにも、よい方法をとってあげていただきたいと、私は思うのであります。 そこで、先ほど触れました日芸労との紛争の問題でありますが、何か聞くところによりますと、今度はNHKのほうから中労委あたりに逆に提訴したという話がありますけれども、先ほどの局長に権限の委譲の問題からいたしましても、これは、日芸労と数年前に大阪中央放送局長がNHKの名において契約したことは、当然、これは法的にも生きてこなければならぬ問題じゃないかと思うのであります。この点は、昨年も、本件について、私も他の委員も質問をしたところでありますが、あのときにも、私は、あまりやぼなことは言わずに、相互信頼の場を取り戻して、すみやかに和解をして、そうしておのおのの立場を、それぞれの立場を認めてあげて仲よくやったらどうだと言って、必ずしも最善の方法ではないが、ひとつのこういう道があるのではないかというふうに私は示唆したつもりでありますが、何かまた最高裁で争い——聞くところによると、先ほど鈴木さんが指摘しましたように、まあ十二チャンネルのほうでも郵政省がチャンバラをやっているのだから、NHKもまねをしてやれというので、中労委に提訴したとかされたとか、まあこういうふうにも聞くわけであります。それは、なるほど争いの根源を確かめて理非曲直、正邪というものを明らかにすることもNHKの使命のうちの一つでありましょうけれども、そもそもこの種の問題というものは、何と申しましても、これはもう相互信頼に立たなければ完全な血のつながる労務の提供というものの実はあがらぬと思うのであります。だから、そうならばNHKはいさぎよく労組法で、そういうふうに局長に権限を委嘱して、NHKの名のもとに局長が調印をしたならば、過去のいろいろな経過はあるだろうけれども、この辺でもうほこをおさめて、むしろ、それらの日芸労の諸君、またその他の諸君の芸能人とともに手をとって、もっと気持ちをふりきって、晴れがましい気持ちで報道文化のために私はがんばってもらいたいと思うんだが、なぜそうかた意地を立てておられるのか、どうでしょうか、それは。
○参考人(川上行蔵君) ちょっと事実を御説明申し上げますと、大阪の日芸労が大阪地労委に提訴をされまして、労働組合であるので、団体交渉あるいは雇用契約があるというような趣旨での訴えを出されております。で、大阪地労委は、それを全面的にのんだような形においての決定がひとつくだっております。しかし、私たちは、あくまでもそういう出演者は芸術家であるという立場において、その地労委——大阪地労委がくだしました決定の理由については非常に不満がある、そういう点につきましては、もう一度はっきりした態度をもっととりたいというので、中労委へいま提訴して、その決定を待っておるわけであります。 ただ、現実に、いま先生もおっしゃいましたように、具体的には、昨年の十二月以来、大阪の日芸労とは個々に話し合いをしまして、現実に契約料を増額をするとか、そのほかによりまして、すでに数日来から個々の出演者との契約を結んで、もう数日のうちには全員が完了するかと思います。 なお、念のために申し上げますが、名古屋の日芸労も大阪と同じような形の訴訟を起こしておりましたが、これは名古屋のほうには、われわれの趣旨がわかってもらえたのかどうか、数日前に名古屋の地労委に対する訴えを取り下げた、このように承知をいたしております。
○森勝治君 私は、NHKとあろうものが——あえて言う。NHKとあろうものが、自分の正しいことを主張するのはけっこうでありましょうけれども、特に大阪の日芸労の諸君は、一般労働法に基づいて労働組合を設立しているわけですから、当委員会でもその点については、ここに速記録を持ってまいってきておりますが、会長が明らかに一般労組法に基づく労働組合であるということをお認め願っているわけです。だから、私は、そういつまでなぜいこじになっているのだということを申し上げたいのです。それはいま名古屋の例を出されましたが、それは一つの雪どけとして、いろいろ理屈もあるだろうが、それが両方で仲よく仕事をしないで、これでさよならバイバイということなら、私は何をか言わんやです。それらの人人はNHKに働く場を求めている。NHKもまたそれらの人々の労力を必要とするならば、この辺でもう少し互譲の精神をもって、社会文化を開発するという重大な使命に戻っていただいたら、よほどわが国の文化向上に裨益するだろう、私はこういう考えで、この前も申し上げたし、いまもそういう願いを込めて私は質問しているわけですよ。ところが、またそれを中労委にかけて争うという。だから、私は、広島の裁判所におけるように、NHKが自分の主張を通した裁判所でも敗訴する。長崎ではまたすったもんだ、職場でもめる。文化の使徒をもって任じているNHKが、そういう問題をなぜ固執するのだ。もちろん、のれんに傷がつくとお思いかもしらぬ。しかし、私は、そういう問題では、貧しい労働者の諸君をNHKの度量のある大きな手で包んであげてやることが、なぜNHKのマイナスになるのだ。社会の進展に寄与することが阻害になるのだ。むしろそういうものを、多少問題があっても、弱い労働者の諸君を包んでやって、文化の向上の一役を買ってもらったほうが、NHKの使命に私は合致するような気がしてならない。もう争いはいいかげんでやめてもらいたい、私は率直に言う。会長、ひとつ御意見をいただきたい。
○参考人(前田義徳君) 常識的に私は御意見に反対するわけではございませんが、やはりNHKというのは公共の機関であり、同時に放送法に基づいて経営の指針を持っているわけで、単なる文化のための慈善事業ではございません。したがいまして、原則的な問題については、明らかに私どもとしては、原則の問題を中心とする争いについては、その争いを明らかにすべきであるという考え方を持っております。しかし、一方御指摘のように、それらの方々がわれわれの人間関係とその技術的能力に関する限り、別に敵でもなければ、同じ職場にやはり相互関係を持つのでありますから、したがいまして、その点については、ただいま川上総局長から御説明申し上げましたように、数年間にわたって技術の改善と、その技術を提供する機械との関係及びその技術に対する評価の関係においては、経済的関係を発展させ、かつこれを維持し、現在もこれを維持しているわけであります。しかし、たてまえの問題、たとえば雇用関係にあるかないか、技術の提供にとどまるのかどうかというような問題は、それぞれの準拠法に従ってやはり明らかにすべき問題であり、NHKのように、膨大なそれらと関係する事業を遂行している限りは、少なくとも原則論、たてまえは明らかにすべきであると、こういう考え方を持っているわけでございます。
○森勝治君 だから、私は申し上げているのです。原則論、理論的な立場を固持するとおっしゃっておられるが、大阪の地労委における問題にいたしましてもNHKの名のもとに大阪放送局長が日芸労の諸君と団体協約を結んだ。この団体協約の効果云々というのが争いの一つの——ほかにもありますけれども、起点だろうと思うのであります。自分たちが権限を下部に委譲しておりながら、NHKの中央の方針にもとるという、そういう名のもとに出先きの権限を委譲しておりながら、それを認めないということであるならばよろしくないではないか、私は素朴に言っているわけです。もちろん争いはそればかりではありません。しかし、これは皆さんもすでにもう御承知のようにポイントはわかっておるのじゃないんですか、ポイントは。どこが争いの分かれるところであり、どこが合流地点であるかはっきりしておるのではないですか。面目のために長時間を費やすこともよいでありましょう。しかしNHKの使命は、面目を立てるところにあるのでなくして、ほかにあるだろうと私は思うのであります。姿勢を組んで恐ることなきその気概は私は高く評価したいが、自分の肉体を提供する労働者の立場を考えるならば、そういうNHKのメンツなどというものはこの際考えずに、もう少しあたたかく包んであげたらどうだというのが、私の今回の発言になったわけであります。こういう争いの起点がわかっているんですから、いずれ和解してくださるものと、こう理解しておったところが、今度は中労委までこの問題を持ち出して争うなどということになりましたから、あえて私はこういう苦言を呈したわけであります。したがって、これは立場立場でおやりになるというなら、それもよいでありましょう。しかし、いま申し上げたようにべんべんたる争いごとにとらわれているNHKではないでしょう、いまのNHKの重大な使命を考えるならば。だからぜひともこの問題は大乗的見地に立って、すみやかに理解するところは理解をし、協力を求めるところは協力を求めて、もとの相互信頼の線に立ってもらいたい、私はこれを特に会長に希望します。
○参考人(川上行蔵君) お話の御趣旨の点はよくわかりました。ただ先ほど御発言の中で、大阪の放送局長に団体協約をする権限を委譲してある、そうおっしゃいましたけれども、実はそうじゃございませんで、大阪の放送局長に、個々の出演契約を結ぶということが、固有の権限として大阪の局長が持っておるわけです。その権限に従って大阪の局で契約をしておる、そういう形でございます。
○森勝治君 議論の巻き返しなら好んでそのことばをいただいて、これから何時間でも論争を展開してもけっこうでありますが、しかし大阪放送局長が日本放送協会の名において、日芸労の諸君と労組法に基づく団体協約を締結したこの厳たる事実は御承知でしょう。NHKの皆さんが認めておらぬとか何とかおっしゃられるけれども、御承知でしょう、大阪の地労委で何と言いましたか。
○参考人(川上行蔵君) その点について私たちの考えと少し違うので中労委に判定を仰いでおる、そういうことでございます。
○森勝治君 だから私は先ほどの他の問題のときに、NHKと団体協約を結んだタレントの協同組合との団体協約の中でそういう質問をしているわけで、問題によっては局長に委譲する、そうでしょう。そうであれば、大阪で委譲しておったのじゃないですか。私はほかに問題がたくさんあるから、これ以上この問題を発展させたくない、ないけれども、しかしもう地労委においても、労組法の観点からいけば、そういうことが認定されるでしょう。あなた方は委任しない委任しないと言ったって、NHKの名において協約を結んでいるじゃないですか、現に大阪放送局とこの人たちと確かに協約を結んだのでしょう。だがそれをあなた方は認めないといっているんでしょうが、それが大阪地方労働委員会において法的に有効とされているんでしょう。だから私は言うのですよ。しかし、きょうはそれを長々と質問するのが本旨でないから、先ほど私が会長に強く要望した点をもう一ぺん付言をして、私は次の問題に移ります。 次の問題は、放送連合の解散の問題でありますが、放送連合は御承知のように長年にわたって、この国の放送文化の発展のために寄与されてきたことは御承知のとおりであります。今回なぜこれが瓦解してしまったのか、聞くところによると、きょうあたりは理事会か何かで解散の方針をきめ、来月あたり解散をするとかという話でありますが、大臣これは一体どういうことなのですか。かつて放送連合ができ上がったとき、郵政省ではこの指導をされたんじゃなかったでしょうか。どういういきさつなんですか、これは。
○国務大臣(河本敏夫君) 放送連合が解散するという話は私も聞いております。詳しい経過につきましては政府委員から答弁させます。
○政府委員(石川忠夫君) 私どもが聞いておるところでは、NHKの前田会長、それから民間放送連合の会長、それから高田放送連合理事長、この方々が集まりまして協議した結果、放送連合は近く、三月の二十四日のように聞いておりますが、三月の二十四日でこの連合のつくられた目的というものはおおむね達成せられたということで解散すると、こういうふうに聞いておりますが、まだ文書では正式にまいっておりません。二十四日ですので、文書はまだこないわけでございます。
○森勝治君 それはいまの動きについての御答弁でありますが、郵政省としては、こういう動きをどう感じとられておりますか。かまわないわけですか。かってに皆さんがおやりになっているからやめるのはかってだと、こうおっしゃるわけですか。どうでしょうか。存続の意義についてひとつ大臣からお答え願いたい。
○政府委員(石川忠夫君) この放送連合がつくられた趣旨は、いうまでもなく放送事業者間の協調連絡、それから放送事業者と周辺のメーカーとか、その他電電公社あるいは国際電電、こういった関係機関との連絡協調ということを目的につくられた機関でございまして、こういった目的がほぼ達成されたということが、連合の首脳部の方々によって皆さんの間でそういった結論に達した模様でございます。
○森勝治君 国民の眼というのが、テレビに注がれているのは今日ほど大きいものはないでしょう。これはますます熾烈なものがあるわけでしょう。それだけ国民はテレビというものに期待をかけているわけでしょう。ならば、放送連合の使命というのもまた今後につながるんでないですか。所期の目的を到達したからやめるということであるならば、放送連合などというものは、国民の期待などというよりも、自分たちの立場立場を考えていやせんかと、私はそういうふうに邪推をするわけであります。むしろ私どもは、こういうものはNHKあるいは電電公社あるいは民放のかの幾つかの会社のいなとにかかわらず、みんなが連合をしてわが国の放送文化に寄与しよう、よい放送文化を国民に提供しよう、衆知を集めようというならば、当然この種の団体は存続されてしかるべきと思うわけであります。十数年前に郵政省がこの放送連合の結成を慫慂したときには郵政省は何と言ったか。リーダーシップをとったのでしょう。そのとき何と言ったか。非常にけっこうだからさらにこれを育てると言ったじゃないですか。私はだから存続の可否を質問して、「大臣」と言ったら、大臣は「事務当局から」といって、局長の経過の報告にとどまっているのです。これは私は存在価値がさらに重く強まるだろうと、こういう理解のもとに質問しているのです。したがって、解散するならかってにしなさい、私のほうはどっちでもいいやでは、この放送連合の結成の当初にさかのぼったときには、郵政省はもはやそういう放任的な投げやり的な御答弁はなさるまいと私は期待を込めて質問しているわけですから、私の質問に沿ってひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどのお話しのように、国民生活におけるテレビの重要性というものはますます大きくなっておると思います。ただしかし放送連合はいま政府委員から答弁いたしましたように一応所期の目的を達したので解散するというわけでございますので、前段に申し上げました問題とは若干違うのではないかと、かように考えますが。
○森勝治君 ですから、それは、大臣、みんながやめるというからしようがないと御答弁なんです。私はやめたほうがよろしいか存続したほうがよろしいか、どちらかという質問をしているわけです。私は存続をして国民の文化向上に寄与しなさいと、こういう考え方に基づいて質問しているわけですから、そんな投げやりな御答弁じゃ困るのですよ。郵政当局のしっかりしたお考えを聞かしてもらわぬことには困ります。
○政府委員(石川忠夫君) 先ほど申し上げるのをちょっと漏しましたので申し上げますが、この放送連合の仕事の中で、まあ先ほど定款に書いてあることを申し上げましたが、番組向上委員会というものを設けて、まあ番組——いろいろな民間放送あるいはNHKの番組につきまして検討していただき、そうして番組が向上するようにということで委員会を設けてございますが、この番組委員会の活動が、まあありていに申し上げますと、放送連合の仕事の中で一番大きな仕事でございまして、聞くところによりますと、この番組向上委員会は今後も存続させる、こういうことでございまして、その他の連絡はNHKと民放というものは、民放連もございますし、連絡の方法があるし、もう民放連も十分な組織をつくっているから、こういうことで、これが解散しても従来の連絡機能というものは果たせるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○森勝治君 おことばを返すようでありますが、あなたはいみじくもいま放送番組向上委員会なるものが放送連合の中の大きな仕事の一つだと言われる、放送連合の柱だとおっしゃったのです。放送連合の柱ならば、放送連合を解散しても番組向上委員会だけ残すというなら、何も解散する必要はないじゃないですか。そうでしょう、そうじゃないですか。放送連合の主たる仕事は、その中で果たした最も大きな役割りが放送番組向上委員会の活動にあった。その顕著なる活動を認めて、これだけは残しておこうというのならば、何も放送連合をやめることなく、依然としてその番組向上委員会の活動を助長すればいいんじゃないですか。どうなんです、それは。
○政府委員(石川忠夫君) 先ほど申し上げましたように、番組向上委員会の仕事は、今後も、名称その他は変わるかもしれませんけれども、こういった目的の委員会を存置し、何と申しますか、脱皮と申しますか、名称は変わるかもしれませんけれども、同じ仕事をやっていきたいということでありまして、そのほかの連絡協調と申しますか、そういった仕事は今後はほかの機関で足りるからこれでいいと、こういうふうに首脳部の方も判断しておるし、私どももそれでいいのじゃないかなと考えておる次第でございます。
○森勝治君 ことばじりを返して恐縮でありますが、あなたのいまの御答弁を私が率直にいただくと、前段でおっしゃった名称は変わると思うけれども、変わるかもしらぬが、思想は生かすということであるならば、放送連合という名前はなくなるけれども、放送連合にかわる組織というものが名称をかえて生まれると、こういうふうに理解していいですか。
○政府委員(石川忠夫君) 放送連合の中でやっておりました一番大きな主要な仕事は、今後も名称は変わるかもしれませんけれども、とにかく残っていくと、こういうふうに私は承知いたしております。
○森勝治君 あなたの言うのは、放送連合という名前が変わるというふうに、私は前は受け取ったのですが、いまの話ですと、放送番組向上委員会という名称が変わる、こういうふうにすりかえられておるのですが、一体その真意はどちらなんです。
○政府委員(石川忠夫君) 放送連合というものは、解散しますのでなくなりますが、いままで放送連合においてやっておりました一つの大きな仕事であります番組向上委員会というのは、名称はどうなるか、私聞き及んでおりませんが、とにかくこの仕事は今後も残す、こういうことであると思います。
○森勝治君 ですから、過去十数年間にわたる放送連合の果たした役割りの中心的な問題は番組向上委員会であって、これは今後も残すということであるならば、放送連合というものを解散する意義というものは発見できないのではないか、私はそう思うのですよ。放送連合一切やめちゃうというなら別ですが、番組向上委員会もやめちゃうというなら別だが、放送連合の主たる仕事は番組向上委員会である、これを残すというなら、何もいまさら看板をはずして営業する必要はないじゃないですか。それじゃやみ営業じゃないですか。国税を納めないで営業するようなものじゃないですか。比喩がちょっとまずいかもしれませんけれども、あなたのおっしゃるとおりならば、放送連合の今日まで果たした役割りを認め、その思想が今後とも受け継ごうというわけね。番組向上委員会に受け継ごうというのなら、何もことさらやめなくてもいいんじゃないか、私は逆にこの種の、種々雑多といっちゃお叱りを受けるかもしらぬが、多種多様の団体がお集まりになって運営されているから、その理想とすることは相互に認めながらも、連合の運営というものが運行よろしきを得ない、群雄割拠している、それでまとまりがつかなくなってやめる、こういう邪推もまた生まれてくるのですが、その辺はどうなんですか。
○政府委員(石川忠夫君) その辺につきましては、私ども聞き及んでおりませんが、結局そのほかの連絡的な機能というものは、いまやNHK、民放連あるいは電電公社あるいは国際電信電話株式会社、それぞれ連絡しようと思えばできるような状態になっているというところから、放送連合がいままでそういった連絡機能の面で果たしてきた役割りというのはこれがなくても果たせると、こういうことでこれを解散すると、こういうふうに私は聞き及んでおります。
○森勝治君 なくてもとおっしゃるけれども、あなたは必要だから番組向上委員会は残すと言ったでしょう、そうでしょう。そうなればあれじゃないですか。連合の趣旨を今後ともずっとつないでいこうというんだから、目的を果たしたんじゃなくして、これからもさらに果たしていこうということじゃないですか。そこでその連合の一員でありますNHKのほうにお伺いするんだが、NHKの立場からしてどうなんですか、こういうのは。何かいろいろの御意見もそれぞれの向きでおありなんだろうけれども、いま大臣の話を聞いても、電波監理局長の話を聞いても、連合の存在、連合の果たした役割りというものは多く認めており、しかも連合の生んだ番組向上委員会という思想を今後とも存続しようとするならば、当然これは解散をしなくても、いままでのようにやっていけばよかろうと私は素朴に思うんだが、どうしてこれ解散などということになったんでしょうかね。ひとつ御意見を承りたい。
○参考人(前田義徳君) 私どもも放送連合会の一員でございまして、連合全体を論ずることはいかがかと考えますが、私どもといたしましては、この社団法人である日本放送連合会が解散するという議論が出ましたときに、事業目的を修正整理することによって、必ずしもこの名称と異なるものをあらためて設置する必要はないのではないかという意見は伝えました。現在のこの放送連合の事業は九つばかりございますが、そのうち第一は、放送倫理の高揚と放送文化の向上ということになっており、第二は、放送番組の適正化と向上のための施策ということになっております。それで、一昨年かと記憶しておりますが、この事業目的と関連して、専門委員会としてこの放送連合の場に番組向上委員会というものが設置されたわけでありますから、社団法人としての事業目的をこの一点に集中することによって、放送連合という名前を残してもしかるべきではないかという考え方を放送連合の一員としての私どもは考えておりました。しかし問題は、要するに、その他の九つのうち七つの問題はすでに大体任務を果たしておるという点と、それから最近の社会経済的な情勢の環境の中で、この放送連合の会費の問題等も関連いたしまして、民放連としては従来の形のものを清算し、あらためてこの連合の主たる目的として生まれてきた現在特別委員会である番組向上委員会を中心とする新しい母体をつくりたいということでございますので、NHKは単なる一員でございますから、ほかのメンバーと話し合いがつかない限り、その方向を、最終目標をなくするのではないというたてまえでは、これに賛同するという結果になったわけでございます。
○森勝治君 どうもその辺が大臣すっきりしないんですがね。郵政としては、一つも御意見を述べておられないんですよ。つくるときにはやれやれとけしかけておいて、いまになって大臣も担当局長もこのことについては黙して語らず、やめるならそれもよし、やるんならそれもよし、まさにそれは他人ごとのようなお答えだと、私はそういうふうに受け取ったんです。先ほども申し上げたように、国民がテレビに非常に注意を払って、いわゆる関心を示したと申しましょうか、これはたいへんな関心でしょう。浴場がからになったり、劇場がからになったり、テレビのもたらす現象だとまで世間では言われておる。こんなに国民の視聴をテレビに集めていながら、この放送文化に寄与しようとせっかく集まった連合が仲間割れの形で雲散霧消するということでは、お話にならぬではないでしょうか。もう少しこういう業界の指導なども、郵政当局がもっと本腰を入れて積極的におやりになるというのがあるべき姿じゃないでしょうか、どうでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 国民生活におけるテレビの重要性につきましては、これは郵政省あげて万々承知いたしております。その面についての対策は進めているつもりでございます。ただし、この放送連合につきましては、先ほど来前田会長及び政府委員が申し上げましたように、大部分の目的は達成したので、一部のものだけを別の形で残し、そうしてこの際解散しようということでございますので、国民生活におけるテレビの重要性を郵政省が認識し、その線に沿っていろいろな施策を進めているということは、別問題でございます。 〔委員長退席、理事鈴木強君着席〕
○森勝治君 どうして別問題なんですか、切っても切れないじゃないですか。郵政当局がこのこれらの連合をつくるにあたって指導されたのでしょう。しかも、大臣、このいま触れたように一部のものを残すものですよ。放送連合の最も重要な柱は番組向上委員会でありますから、これは残す、その柱を残すというなら、何も連合を解散しなくてもよかろうと、私はこういう趣旨で申し上げている。
○国務大臣(河本敏夫君) これは、先ほど来政府委員からも繰り返し申し上げておりますように、連絡、その他の方法は幾らでもできますので、それは別の方法でやっていこう、こういうことでございますから、連合の特別委員会である番組関係だけの委員会は残して強化していこう、こういうことでございますので、こういうふうにいたしましても、別に支障はない、かように考えます。
○森勝治君 支障がないといって投げてしまったのではお話にならぬですよ。そういう問題の論争は後日に譲りましょう。譲るといたしましても、もう少し郵政がひとつ積極的におやりになるということをひとつお願いをします。 そこで次に、郵政大臣にお伺いしたいのでありますけれども、先般の当委員会でも、私は質問いたしましたNHKの経営委員の任命の問題でありますが、これは保留されている問題もあるのでありますが、どう対処されようとしているのでしょうか。特に、私は先般の当委員会で私の立場、私の考え方を質問の形で若干述べましたが、それらの問題については、大臣は三回にわたって趣旨を尊重する、こういうことを明言されております。自来数カ月、したがいまして、一体そういうことについて先ほど私が質問いたしました法案提出と同じように、言いっぱなしだから聞きっぱなしだ、こういうことで軽々しくお考えになっているかどうか。よもや誠実な新大臣のことでありますから、私ごとの発言といえどもなおざりにせずに、慎重に御検討願えたものと、私は御信頼申し上げて質問するところでございます。
○国務大臣(河本敏夫君) NHKの経営委員及び、経営委員会というものは、私はNHKにおいて最高の機関でもありますし、一番大切な仕事をするところである、かように考えております。したがいまして、経営委員の任命というものは非常に大事でございまして、その点におきまして、私たちも重大に考えております。いろいろ検討をいたしておりますが、ただいまのところ、任命の方針は、従前の線に従ってやっていこう、こういう考えでございます。
○森勝治君 従前の線というのは、国会で保留になった向きについてもしゃにむにこれを押し出そう、こういう方針だということですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 従前の線と申し上げましたのは、NHKの経営委員の任命につきましては、放送法十六条で規定するところでございますが、その趣旨に沿ってやっていこう、こういう意味でございます。
○森勝治君 その趣旨はわかりますよ。あなたまじめな大臣ですから、だからまじめな質問をしているのです。先般の国会で御承知のように、一々個人の名前をあげることは失礼でありますから御遠慮申し上げて、個々の氏名は申し上げませんが、保留になった向きがあるのです。おありでしょう。保留になっておっても、それをいつまでもそのままにしておかれるのか、別な人を御推選なさるのか、私はそういう具体的な考え方のもとに大臣に質問をしているわけです。
○国務大臣(河本敏夫君) 任期の切れました人は、一部の人は留任をしていただく、それから一部の人は健康、その他で交代をしたいという希望もございますので、これはかわっていただく、こういうことでございます。そうしてかわっていただく方につきましては、後任を内定をいたしまして、いま関係の方面の御了解をいただいておるところでございます。
○森勝治君 大臣、十二月の委員会を開いたような私は錯覚をいま持ったのであります。議会に提案をしたわけでしょう。ある特定の名前をあげません。くどいから、名前をあげませんが、提案だけで、国会の筋から保留になっておるでしょう、特定の人が。あなた、担当大臣ですから御承知でしょう。それを雪解けを待つまでその人をいつまで置いておくのか、たなざらしにしておくのか。そういう異論が出たならば、別の視野に立って適当な人を選ぶのですか、こういうことを聞いている。いまの御答弁では十二月の委員会ですよ、その御答弁は、そうじゃないですか。すでにもう具体的な人がなっているでしょう。それをいつまでも雪解けを待って、何カ月でも待とうと、こう考えておられるかどうか。大臣はそこはなかなかデリケートな問題ですから、慎重な御発言をされると思うけれども、何も事ここに至ってそんなあれでしょう、慎重なかまえをされなくたって、具体的に国会で保留されている現実の姿があるじゃないですか。現実の姿に戻って論議しようじゃないか。その問題を現実の姿に立ってお答えいただこうじゃないですか、どうする気なんです。
○国務大臣(河本敏夫君) 経営委員の任命は、これは御承知のように、手続といたしましては、郵政大臣が内閣に推選をいたしまして、内閣が国会の御承認を得てきめるという手続が必要でございます。 〔理事鈴木強君退席、委員長着席〕 郵政省といたしましては経営委員として最もふさわしいと考える人物を内閣に推選をいたしまして、そうしていま御承認を求める手続をいたしておるところでございます。
○森勝治君 どうも困りましたな大臣、だから私は申し上げているのだよ。いまのお答えも、私が指摘いたしましたお答えも昨年の十二月の委員会の段階では、そういうお答えもいいでしょう。しかし、任期の切れた諸君、十二月十六日ですか切れたのですね。再任された諸君、いろいろあったでしょう。しかし、保留になった向きがあるじゃないですか。保留になった向きをいま公式論を聞こうと思っているのじゃないのですよ。具体的に保留になっている、国会筋の了解が得られずということで保留になっているでしょう。だからいつまでも了解を得るまでその人をたなざらしておくのか、NHKの任務の重要性にかんがみてすみやかに善処するのかどうか、こう聞いているのですよ。郵政大臣が推選をし閣議できめて内閣から発表する、それは手順なのですよ。郵政大臣が候補者の推選をきめるというなら候補者も候補者でありましょうが、そういうことにクレームがついているのだから、一体そのクレームのついている問題をあなたはどう処理されるのか、こう聞いているのですから、そのものずばりですから、マラソンはやめましょうよ。具体的に、そのものずばりで話しましょうや。時間の関係、議事進行の過程からいっても大臣、ずばり言ってください。十二月の御答弁です。
○国務大臣(河本敏夫君) 重ねて関係の各方面に誠心誠意御了解を得ているところでございます。
○森勝治君 どうも困りましたな。それじゃ角度を変えて質問いたしますと、先般保留になった向きについては、さらに了解と理解を深めるために画策中だ、こういうことですね。
○国務大臣(河本敏夫君) 御了解、御承認を得べく努力しているところでございます。
○森勝治君 それはクレームついた方についてですね、いわば。国会筋の理解が足らぬから、だからもう少し深めてもらおう、だから前に候補者として出した人を何とか任命してもらう、こういうことでせっかく努力中、こういうことですね。
○国務大臣(河本敏夫君) そのとおりであります。
○森勝治君 こんなことを聞いては失礼でありますが、これはうわさですから、あなたの信用をそこねるようなことであるなら、私は取り消すにやぶさかじゃありませんが、ああいう任命のしかた、あり方というものは、大臣もいさぎよしとしないというように聞いているのですが、どうなんでしょうか。その点はちょっと質問にならぬかもしれませんね、あなたの清潔さをそこねるような発言で恐縮でありますが、曲げてお聞かせ願いたい、あなたの心境を。
○国務大臣(河本敏夫君) 郵政省といたしましては、最も適当とする人事であると考えております。
○森勝治君 そういう公式論、全く困ったね。これは、それならば私どもも公開いたしますよ。大臣、切り口上で公式論でそんなこと言うならわれわれも公開いたしますよ。この期に及んでそんなしらじらしい説明を私は受けようとは思っていないのですよ。
○委員長(永岡光治君) 速記をやめてください。 〔速記中止〕
○委員長(永岡光治君) 速記を起こして。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどの答弁に補足さしていただきます。昨年の末に、NHK経営委員の任期がまいりましたときに、後任を御承認していただくようにお願いをいたしましたが、われわれといたしましては、最適任の人事であると、かように考えまして、お願いをしておるわけでございますが、まだ御承認をいただいておりませんことは、たいへん残念に思っておる次第でございます。われわれの努力の足りません点は、今後とも努力をいたしまして、なお、重ねて誠心誠意御説明をいたしまして、御承認を得べく努力をする所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
○森勝治君 大臣がこの点については、最善の努力をされるということですから、誠実な大臣のことで、しかも、あらためてそういう御発言をいただきましたから、今回は特に御信頼を申し上げて、私は当分成り行きを見たいと思います。 そこで、次の問題に移りたいと思うのでありますが、いま電波放送界は法制定当時予想された、推理されたころとは、その規模等について、いわゆる想像もできないほど発展をとげておるわけであります。したがって、現行法の改正等というものもすでに十数年前から論議されておられるわけであります。したがって、三十九年に出された臨時放送関係法制調査会の答申が出されましてから、すでにもう五年にもなろうとしているわけであります。そこで、電波放送行政の基本をなす電波放送法の改正を、郵政当局はどうされようとしておるのか、ひとつ大臣からお答えをいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 御答申をいただきましたのは、三十九年でございますけれども、もうすでに五年もたっております。そこでまあ答申案に対する考え方でございますが、中には、現段階におきましても、当然尊重をしなければならぬものもたくさんございます。しかし、その後五年間の間にいろいろ世の中の変化や、あるいはまた新しい技術の開発、そういうことによりまして、再検討を要するのではないかと、かように思われる点も若干あるように見受けられるのでございます。したがいまして、これからの放送法の改正の方向は、前回の答申案の趣旨を尊重をいたしますが、これに全面的に依存することなく、さらに最近における新しい動き等も十分勘案をいたしまして、いま準備をしておるところでございます。ただ、いつそれじゃでき上がって、いつ国会に提案をするのか、こういうことになりますと、いまはっきりした日どりを申し上げることはできませんが、できるだけ早く出したいと、かように考えております。
○森勝治君 できるだけ早く改正をしたいということでありますが、この五年前に出されました、三十九年九月八日でしたか出されました答申案の中にも指摘されておるように、三点重要な問題が指摘されておるわけであります。第一点は、放送行政の基本方針の確立と、それから免許を中心とする放送行政の一貫性の確保、それから番組内容の適正化という、この三つの柱が答申をされたのでありますが、どうも郵政大臣のかわるたびに、方針がぐらついてお話にならない、まさにそれはテレビのチャンネルを回すようなかっこうで全く目まぐるしい、小林さんのときは小林さんが適当なことを言ったと言っては失礼かもしれませんが、われわれの側から言えば、適当なことを言っている。河本大臣のときになれば、河本大臣らしい発言をされている。そこに一貫性がない、私はそう思うのであります。そういう面からいたしましても、これは電波放送法の改正というものは、いまでは検討中だということでありますから、すでに着手をされておるのではないか、ただ法案をいつ出すか、出さぬかということはさておきましても、検討まさにまっ最中、検討の花盛り、こういうふうに理解してよろしいのですか。特に、大臣がかわるたびに考え方がネコの目のように変わる、これはまことに迷惑千万でありますから、そういう点についても、ひとつ新大臣の御発言をいただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 電波行政についての御注意がございましたが、今後御注意の点を十分尊重いたしまして、そういう御意見が出ないように気をつけてやっていきたいと思います。それから放送法の問題でございますが、現在作業中でございます。
○森勝治君 さらに、それを作業中だというのをいつだ、いつだと言うのもどうかと思うのでありますが、やはり作業をするからには、完了の時期、いわゆる目途というものがおありだろうと思うのですが、ですから、その作業がいつごろ完了して大体いつごろ表面化することができるか、その辺のことをひとつお聞かせを願いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 当初は、今国会に提案をしたいという考え方で作業を進めておりましたが、やはりやってみますと、いろいろな問題点が出てまいりまして、調整にずいぶん手間取りまして、今国会にはとても間に合わないのではないか。できるだけ早く出したいとは思っておりますが、いついつ完成するということをいまはっきり申し上げられる段階ではございません。
○森勝治君 そうすると、今国会にも提案を意図したということでありますから、そう改正法案の提案が長引くというふうには考えられない。近き将来ということでありましょう。それならば、テレビ電波のUHF化、国内放送の再編成等の新施策というものはもう間もなく出されるであろう法制を整備してから進めたほうがむしろ妥当ではないのですか。
○国務大臣(河本敏夫君) この点については、いろいろ御意見があろうかと思うのです。しかし、郵政省でも慎重に検討をいたしました結果、ただいまとっておる方針でいこうと、こういうことになったわけでございます。
○森勝治君 近く放送法の改正ということが、まあ時期はわかりませんが、大臣の口から明らかにされているわけであります。それならば、電波放送行政の公正を確保する、そういうためにも最小限度の機構の改革を行なう必要があるような気がするのでありますが、その点はどうですか。
○政府委員(石川忠夫君) 現在までのところ、機構の改正について具体案を得られておりません。
○森勝治君 それでは重ねて質問しますが、たとえばFM東海事件、十二チャンネル免許問題等に対する判決などに見られるように、放送行政に対してとかくの批判が生まれていることは皆さん御承知のとおりであります。したがって、五年前に出されましたこの答申案を見ても、行政の一貫性の確保を、いま私が三点申し上げましたが、そういう点にも明らかに指摘されているところであります。したがって、当然これは新しい時代に、そういう点を改めるためにも機構の改革を行なうのが私は当然だと思うのであります。たとえば、これはNHK会長の発言を引用しては恐縮でありますが、一月の九日にNHK会長は放送のための電波の割り当て免許を行なう放送委員会を設けたほうがよいと、放送行政について新しい提案をした、こういうことが新聞に報道されておるわけでありますが、これは御承知でありますね。したがって、いま何も考えていないというが、NHKの会長から、こういうふうにもう具体的にこういう具体策が提案されているわけでありますから、こういうことについてのお考えはどうですか。
○政府委員(石川忠夫君) NHKの会長は、会長として御発言になったと思いますが、その前に答申にもそういったいま先生のおっしゃるような趣旨、放送行政委員会で放送行政はやるべきであるというような趣旨のことが結論として出されておりましたが、これはその点につきましては、従来も検討はいたしておりますけれども、いままでのところ結論は得られておりません。
○森勝治君 この前田発言にも——前田さん、本人を前にして申し上げるのは恐縮でありますが、前田発言によってもうかがい知れるように、放送用の電波というものは、一般通信用や事業用の電波に比べて特に国民生活に及ぼす影響が大きいわけであります。そこで、放送用の電波の割り当てというものが、外部の影響等でゆがめられないためにも、政党やあるいは政府から独立した行政機関としての放送委員会を設けたほうが望ましい、これが、あとで前田さんに御意見をお伺いしたいのでありますが、前田発言のよってきたるゆえんだろうと私は思うのであります。私も、そのほうがいいと思うのであります。ところが、すでにこういう発言が出され、もろもろの論議がかもされる中で、そういう問題について何ら考えてないという郵政当局の御答弁というものは、正直に言って私どもはいただけないのであります。まじめな石川さんのことでありますから、おそらく心で考えたって口から出さないのではないかと思うのであります。そういうことはさておきまして、何と申しましても、放送行政は中立性と一貫性というものが、その確保が特に必要なことは御承知のとおりでありまして、そういう面からいたしましても放送行政委員会の制度とか、あるいは電波監理審議会の権限を強化するなどして、もっともっとこの行政の公正化を確保すべきではないかと私は考えるのでありますが、その点はどうお考えになっておるのですか。
○政府委員(溝呂木繁君) 放送行政委員会という問題について御質疑がありましたので、一般論にわたろうかと思いまして私が答弁に立ったわけでございますが、いままでわれわれ行政というものをやっていくその組織としては、いわゆる放送行政委員会方式と、いまやっているような直接大臣のやる、行政機関としてやっている内閣の、何と申しますか、郵政省そのものでやるという二つの方法があろうかと思います。そこで、放送行政というものにどちらがふさわしいかということは別にいたしまして、一般に行政として行なう場合の日本のやり方としては、放送行政委員会は責任の問題その他について不十分であるというようなことがかつて議論されたことがございまして、郵政省における放送行政のあり方も、やはり放送行政委員会よりは現在の方法のほうがいいのではないかということが過去において相当議論されましてそういう結論に達したということを御報告申し上げておきます。
○森勝治君 NHKの前田会長にお伺いするのでありますが、いま官房長からお聞きのような発言がなされました。これは前田発言と若干趣を異にした——若干ではない、ある程度隔たりがありますが、異にした発言のように受け取られるのでありますが、そもそも電波行政というもの、放送行政というものがいかにあるべきかという問題について、NHKの立場でひとつお話をいただきたい。
○参考人(前田義徳君) はなはだデリケートな立場に立ったわけでございますが、先ほど御指摘になった私の発言は、記者会見の席上質問に答えたものでありまして、その根源は、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会の結論に出ているごとく、当時私どももこの調査会に呼ばれて意見を聞かれたときに私どもが当初から述べていた意見であります。ただいま溝呂木さんがおっしゃったように、日本においては、終戦直後放送に関する一種の行政委員会があったことは事実でございますが、日本の行政機構あるいは内閣との関係という点では、かつて日本になかった形態でございますので、したがいまして、ただいま官房長の御発言のような見解はあり得ると、私もその点では共感を持って伺っておりました。ただ、私どもが考えておりますのは、この放送行政というものは、まあ先ほど来いろいろ御議論がありますように、国民の電波を、まあ職業的表現を用いますと最も進んだマスコミュニケーションの実現という方向で使用するものであり、しかも、放送法の精神からいっても、これを使用するものは国民の福祉をまず念頭において放送法の総則が明らかにしているように、表現の自由と報道の中正というところが主眼でございますので、ひとりNHKのみならず一般放送事業者もその範疇に入るわけでありますから、そういう意味では、この放送法の精神を完全に確保し得る行政機構をつくることが必要であると、こういう一般的な原則的見地に立って、私どもは昭和三十八年以来、公的機関の要請に応じて意見の発表を求められた時期以降今日まで、先ほど御指摘の考え方は変わっていないわけでございます。 ただ、ただいま申し述べましたように、行政委員会による行政の執行と申しますか、あるいは内閣との関係における責任体制の樹立、さらに内閣との関連における国会との関係等は、これは新しい見地に立って検討すべきものであって、現状の行政機構の中でそのままこれを適用するということについては、実際問題として、かなり研究を要する面があることは、私自身も理解できるところであります。しかし、この放送の国民に及ぼす影響、ただ単に国内のみならず対外的にもその影響がきわめて大きい。しかも、その影響は、まあ私流の、ちょっと行き過ぎかもしれませんが、死活的影響を持っているという点については、放送行政について一だんと積極的な方策を講じていただきたいというのが意見を求められて以来今日に至るまで一貫して私どもが念願するところでございます。
○鈴木強君 関連。 溝呂木さんの行政委員会に対する考え方というものは、きわめて一般論的な立場に立ってなされたと思うのですけれども、郵政大臣から臨時放送関係法制調査会の答申が出たときに、この答申は尊重すると、そして、立法措置をやるというお答えをいただいておったのです。なぜその調査会が議決機関として、ここにありますような放送用周波数の使用に関する計画とか、放送局の免許(再免許を含む)または免許拒否の問題、放送局の免許の取り消し、運用停止、戒告等、こういうふうに特に放送免許の問題点について、かなりこれは強く触れているのですよ。これはどういうわけかというと、御承知のように昭和三十一年以来のテレビの免許について、とかくの問題がございました。今度も昨年来のUの免許にしてもしかり、あんなむちゃくちゃなやり方をして天下に恥じないんですか。このためにいま——きょうはまあ時間がないから私は触れませんけれども、ある地区では、また行政訴訟を起こしているところがあるじゃないですか、それを不服として。県内における調整も、申請の代表者に調停案を渡して、郵政大臣が依頼をして、それで県内の統一をしてくるなんというおこがましいことをやっている。それに、郵政の政務次官は一つの調停を示してやっている。そのために県内が二つに分かれて問題を起こしている。そういう二次、三次のむちゃくちゃな認可をしたということは一体なんだ。郵政大臣がほんとうに、国民の電波であるという立場に立ってやればいいのだけれども、なかなかそういっていないのですよ。ときには、ある政治的な問題に結びつけてこれを悪用している。そういうことからして、この委員会は、特に独立した機関としてそういうものはここで議決決定するというような強い私は答申をしていると思うのですよ。だから過去の日本の電波行政というものがいかにむちゃくちゃなものであり、なっておらなかったか、FMの問題一つ取り上げても、六、七年前に、桜の花の咲くころなんといってわれわれに適当に答弁をしておった、今日まで何をしておったか、私は改めて二十五日に伺いたいことがある。資料も出してもらいたい。FMの六十六の申請を全部申請発起人の代表全部出してもらいたい。これは委員長お願いします、その上で私はさらにやりますけれども。かくのごとく免許に対していろいろな揣摩憶測が流れている。だから私はそういうことをなくすのには、どうしてもいまの大臣の免許権から、これを独立の機関の行政権に移したほうが、電波というものがほんとうに公平に国民に使われる、免許されるのだという、そういうことから出ているのですよ。だから、おれは神様なんだ、絶対そういうことない、そういうことであればいいのですけれども、そうはいかぬですよ、いかぬからして、こういうものが出てきたのです。そういう経過を全然考えないで、一般論言われてみたってこれはだめですよ。だから前回の放送行政委員会について一応野党と与党とでまとまったときも、われわれはそれじゃ不十分なんだ、あなた方は諮問機関だと出してきたわけです。諮問機関じゃだめなんだ、それで与党と野党と話し合った結果、これは諮問機関でなくして、大臣が答弁をして、これは議決機関と同じようにする、法律改正をもう一やることは無理だから、一応かっこうは諮問機関的になっているけれども、実際は議決機関としてやっていくという答弁を、委員会で大臣がするということで、われわれは一応審議をやろうということになったいきさつもあるわけですよ。省の考え方は、一応諮問機関的なことだから、溝呂木さんが言ったようなことであったと私は思うけれども、それではだめだと言った、あのとき国会の中では。それで一応あの案を出したときのいきさつからすれば、そういう話が進んできているのですよ。ですから、この辺をよく大臣も考えていただいて、いまの森委員の質問に答えてもらわなければ、われわれとしては納得できないですよ。 それからさっき言った六十六ぐらいあるようですけれども東京の新東京放送をはじめFMの申請がありますから、これをひとつ資料がほしいのです、私は。だから申請代表者を全部ひとつ六十六社出してもらいたい、忙がしいだろうけれども、頼みます。
○政府委員(溝呂木繁君) ただいまの前段の御質問に対するお答でございますが、私先ほど申しました行政委員会的なものというのは、内閣からはずして、いわゆる内閣の行政の責任からはずして、独立した行政委員会的なものという意味についてお答したわけであります。それでいま鈴木委員のお話になりましたいきさつについては、電波監理審議会が、かつて政府のほうの案では、諮問機関的なものにするというその案についていろいろ皆さん方からの御意見があって、それは議決機関にすべきであるというお話があったというようなことも承知しております。したがって、電波監理審議会の性格のあり方というものについては、かなり議論のあったということは承知しております。それで先ほど私の申しましたのは、いわゆる放送行政といいますか、電波行政といいますか、特に放送行政ですが、その分を内閣の責任からはずしてしまう、いわゆる内閣の行政の責任からはずすというような意味における行政委員会的な意味についての一般論を申し上げたわけでございます。
○鈴木強君 それは少しピンぼけしているのですよ。森委員の質問しているのは、そういう意味ではないと私は思うんだ。だから特に調査会の答申をもって質問されているのだから、それは明らかにそこに掲げられてある七つの項目については、少なくとも独立した機関にしてね、置局の基準とか免許の問題だとか電波の停止の問題だとか、そういうものについては少なくとも独立した機関に権限をまかせるというのが委員会の答申ですね。あなたはそれをきらうものだから、尊重するとは言っておきながら、やはり大臣権限からはずしたくないのです。だから電波監理審議会をつくって、従来と同じような諮問機関にしてきたわけだ。そこで答申を尊重するというと、政府おかしいじゃないか、あなた方出してきたのだから、一応原案は。そこでまあ与党と野党とのやりとりの中で、じゃ議決機関にするという答弁を大臣からして、審議してくれということだったから、ぼくらは一応持っておったのだが、その間に流れてしまったが。そういういきさつがあるものですからね。そういう意味においての放送行政ですから、何でもかんでも放送行政全部をこの放送行政委員会に持ってくるなんということを言っているわけではないのです。ぼくもいままで何回も何回も国民から非難されている問題については、むしろそのほうが郵政省もいいだろう。委員というのは内閣総理大臣が国会の承認を得て任命するんでしょう、おそらくそういうことになると思う。だからその委員は内閣のひもがついているからだめだろうということは、これはちょっとわからない。少なくとも私たちは委員を尊重して、その人たちの独自の立場において審議してもらう。そしてそこで免許権の決定権は持つというようにしたほうがよっぽどうまくいくということを、これは長い間検討されてきめたわけでしょう。その間NHKにしても、民放にしても、またさらに意見を会議の中で述べたということを、前田会長も言っておるのです。だからそのいきさつをよく考えておかぬと、ピントがあわぬと思って私は質問に立ったんです。だから大臣もちょっとその点お考えをお伺いしたい。
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま電波行政につきまして、いろいろ御注意がございました。当然のことだと思います。今後十分気をつけていかなければならぬと考えております。また、この委員会制度の問題につきましても、御意見を拝聴いたしました。放送法改正の場合、一つの問題点として検討させていただきます。
○鈴木強君 資料を出してください、監理局長。
○政府委員(石川忠夫君) 発起人、代表人の名簿を出すようにいたします。
○鈴木強君 発起人だけじゃないですよ。代表者全部書いてください。申請者は代表でなくて書いてあるでしょう、みんな。
○政府委員(石川忠夫君) これは、外部に発表いたしておりますのは、代表者で出してございますので、そういった資料を提出いたします。
○鈴木強君 その外部に発表しちゃいかんというのは、どこでだれがきめたんですか。
○政府委員(石川忠夫君) これは中にだれが入っておるかということは、一種のプライバシーとも言える問題でございますし、これが、私は確かに申請者の一人の中に入っているはずだけれども、入っておるかどうかを教えてくれ、こういうような場合には、その個人に教える、こういうことはございますけれども、これを全部外に出すということは、やはり当人の了承を得るべき個人的な事柄だと、こういうふうに考えます。
○鈴木強君 それは放送法だか電波法だか知らぬけれども、何条に基づいてそういうことをやるんですか。そんなことはないはずです。だれがまず申請しておるか。その人の名前を公表できないなんて、そんな話はないですよ。これは特に与党が反対しなければこれはいい。だからそんなもの、出せないなんという話はない。
○政府委員(石川忠夫君) 行政上これを外に発表するということは適当でございませんので、御容赦をお願いします。
○鈴木強君 だれがそんなことをきめたんだ。外交権の秘密に関するとか、何とかというならそれはわかるよ、一応ね。だけれども、電波の申請者の名前を公表できないなんということは、行政の秘密に関するというのはそんなことどこにある。法律的に効果があるんですか、そんなこと。あなた、何もそういうことを口にする必要はないでしょう。あなた方が都合が悪いから出さんというだけのことでしょう。そんなこと法的に出しちゃいかんということはないですよ。これは松平先生がいるからね、与党も賛成していると思うのだ。私に反対といっていない。
○松平勇雄君 そのいまの問題ね、理事会にかけてひとつ理事会で相談したらどうです。
○委員長(永岡光治君) ちょっと速記をとめて。
○委員長(永岡光治君) 速記を始めて。
○政府委員(石川忠夫君) 東京のFMに対する申請者の社名並びに代表発起人の名簿を提出いたします。
○森勝治君 いまの問題は、いろいろ私どもも主張いたしましたが、鈴木委員の言われるように、やはり郵政は、いまの資料の問題にいたしましても、なかなかこれを秘密性をことさら強調しようとしております。しかし、いま休憩中にいろいろ御意見が出たことでありますので、私もこの点はもう時間でありませんから、後日に譲りまして、次の問題に移ります。 それは受信料の問題でありますが、四十三年度の受信契約の実績は予算に比べてどのようになったか、まだ現在四十三年度は継続中でありますから、最終的にその見通しがどうなるか、その点についてお聞かせを願います。
○参考人(佐野弘吉君) 御承知のように、四十三年度予算百四十万のカラー契約を結びましたのに対して、大方二十万程度の伸びがあって、百六十万になろうかと見ております。
○森勝治君 二十万程度目標に対して上回るということであります。これは、そうなりますと、この四十三年度の伸びの予想というものは、来年度また明後年度、年次に準じて普遍的に伸びていく、そういう想定が立ちますか。
○参考人(佐野弘吉君) お説のとおりでございまして、実は一昨年カラー契約の料金設定に際しまして、将来予測を立てました際に、初年度の四十三年に百四十万、二年度であります四十四年におきまして九十万と目測を立てましたが、四十三年の実績等おも勘案いたしまして四十四年度に同じく二十万増の百十万ということを目標にいたしたいと思っております。
○森勝治君 いま四十四年度は、おっしゃったように二十万増高を見越して百十万ということになりましたが、その算出根拠というのはいまおっしゃったように、前年度二十万ふえたからというそういう形式的な根拠ですか。
○参考人(佐野弘吉君) いや、必ずしもそうではございません。本年度、四十三年度におきまして、国内出荷が大方百九十万と思われます。また四十四年度の出荷については、どうかということになりますれば、実は先般衆議院の逓信委員会でも同様の御質問がありました際に、郵政省のほうのお答えでは、来年度すべての生産が三百五十万くらいに相なろうかというふうにお答えがありまして、NHKの側におきましても、ほぼ同様に見ております。このうち、これまでの実績から申しますと、全生産量のうち国内と輸出が七対三に分かれております。したがいまして、四十四年度の分につきまして見ますれば、三百五十万のうち、二百五十万、内輪に見て、二百五十万に達しますかどうか、いずれにいたしましても、国内の出回りはそのくらいの数字になろうと思います。四十三年度の先ほど申しました数字並びに四十四年度二百五十万前後国内に出回ろうかというようなものを累積いたしまして、これに対して捕捉し得る一応の平均値として百十万を算出したものでございます。両方合わせまして、四十三年、四十四年度で二百七十万に達したいと、こういうことでございます。
○森勝治君 いま、そういう説明がありましたが、国内に出回るのは約三百万ということでありますね。多少の数字の違いはさておきまして、NHKの出回り予想は二百五十万、私どもの資料だと三百万となる、どうもNHKはそういうことの予算の編成にかけては、内輪、内輪と見積るような気がしてならぬのですが、何か五十万の差というのは、あまりにもちょっと大き過ぎますね。
○参考人(佐野弘吉君) そのような数字が一部に出ておることも承知いたしております。しかし、率直に申しまして、これは国内のあらゆるメーカーが昨年の十月一日から暮れにかけましてのいわば好景気を反映いたしますカラーセットの出回りに気をよくいたしまして、強気含みで各メーカーが算出した数字を算術計算的に足したものと私どもは見ておりまして、これをやや下回って推定をいたしたいと、このように考えております。
○森勝治君 内閣官房のカラーテレビに関する世論調査を見ましても、NHKの資料によりますと、全国の平均の普及率は、カラーでは五・三%というふうにありますが、昨年の六月末から七月の上旬にかけて、内閣官房で調査した資料から見ると、もうすでに半年前に、半年以上九カ月くらい前で七%という数字が出ておるわけですね。そうするとNHKのは四十三年十二月一日の現在では全国平均の五・三%ということになると、二%も、率からいうと四割近くもNHKの調査と内閣官房の調査の比率の差が著しい、あまりにも違いがありはせぬですか。ですから内閣官房のこの資料を見て、昨年の六月から七月上旬にかけてのこの調査が七%ならば、自来、それとこのNHKの発表が十二月一日、約半年の時間的経過でありますが、そうなるとこれはすでに七%から九%以上、一〇%近い数字になっているとするならば、NHKの数字がいかに甘いかということになりますが、この食い違いはどうなんですか、NHKのこの資料は都道府県別放送受信契約数表というものから、この内閣官房の資料から見ると、あまりにも隔たりがあるということになりますね。そうなりますと、それはこのNHKがこの隔たりというのは捕捉できなかった数が、この数字として違いが出てきているわけですか、約二%近い数字は。
○参考人(佐野弘吉君) ただいまの御質問の差異は、おそらく四十年に行ないました国勢調査を基準にいたしまして、比率を割り出すものと、厚生省の人口問題研究所から出ます全国の世帯数、これを分母にとりました際の、その差異から発生する比率の相違かと思います。
○森勝治君 そんな昔じゃないですよ。四十三年七月調査と、ちゃんと出ているのですよ、内閣官房発表の数字。この七月のときに、すでにカラーテレビの保有量は全国平均七%と出ている。ところがNHKが出したこの都道府県別の契約数の全国の平均を求めると、これはカラーテレビは五・三%ということなんです。しかも、この調査は、昨年の七月、これは実際先ほど私が言いましたように、六月末から七月の上旬にかけて、発表では七月調査となっておりますが、六月二十九日から七月上旬にかけてやったわけです。それよりも半年後にNHKが調査をしておるこの数字がはるかに劣っておるのではないか。本来ならば、この数字よりもNHKの数字が上がるけれども、これはもちろんNHKの発表は契約数でありますから、実際の保有と契約数の差は多少あるでありましょうが、あまりにも隔たりがあり過ぎるというのが、私の質問している趣旨です。
○参考人(佐野弘吉君) 内閣側の調査は、私の立場から申しますれば、一応のサンプル調査という形で抽出した数字でございますが、私どもは全国の世帯数にかけた受信比率で、いわばこれは現実に契約をいたしております実態上の数字ということと存じます。
○森勝治君 あなたのほうの御発言をかりれば、おかりして恐縮でありますが、NHKのは実態だから、実契約だからこれは正しい。内閣のほうは、それはいわゆる概算計算だから、それは信憑性がない、こうおっしゃりたいのだろうと思うのであります。しかし、いずれにしても、カラーテレビがこんなに数が違うということになりますと、私どもは若干NHKの予算編成の甘さというものを指摘せざるを得ないわけであります。特に、白黒もそうでありますが、カラーテレビ、たとえばホテル等の捕捉というものは、各部屋にそれぞれテレビが最近はついている。しかしNHKの捕捉というのは、このホテルをおそらく一個、そのホテルに十個も十五個もあっても一個という捕捉をしていやせぬか、こういうわれわれは疑問を持つわけであります。したがって、この普及率から見まするならば、当然これはもう普及率が白黒と合併いたしますと、一〇〇%以上出ている県もあるのであります。私の選挙区の埼玉でも、合計で一〇二・五%という普及率でありますが、当然これは上回ってしかるべきなんだが、もちろん予算編成というのは堅実をもって旨とするということ、それはけっこうでありますが、あまりにも内輪に見積るということは、一体どういうことなのか、カラーテレビ、その他のテレビの視聴者の捕捉というものに対しての力が行き渡っていないのか、こういう疑問もわいてくるわけであります。ですから、その辺のところ、もう少し的確にお答えをいただきたい。
○参考人(佐野弘吉君) だんだんと御意見を承りまして、私どももごもっともと思えるところもございます。ただ若干最近の数字で御紹介申し上げますと、たとえば十月二十二万、昨年の秋でございます。十一月二十八万、十二月に三十四万というような国内出荷の台数を見せておりましたが、年がかわりまして、一月に十九万、二月に十七万というふうにこれまたかなり急激にダウンをいたしておりますし、また一部業界筋で伝えられるところによりますと、たとえば一月、二月のこのようなダウンした数字の中でも、また同時に売れ行きは四分の一くらいに縮まっておるというような事実もあるわけであります。捕捉の問題は、後ほど触れますといたしましても、たとえば白黒も過去の経過を見ますと、三十四年にその時点で五百十万台ほど、国内出荷の出回りの累計に対しまして三百四十六万というようなことで契約率が、六七%、たとえば三十八年におきましても、二千百九十万台の出荷に対しまして、千五百十五万とこれまた六九%というような国内出荷の出回りに対する契約率がこのような数字を示し、比率を見せております。 カラーにおきましては、特に率直に申しまして、いろいろ陳腐化して破棄されたものや流通在庫とかいろいろの要素がございまして、加入可能の台数、一応六五%の契約というのが、四十三年度、四十四年度の百六十万と百十万足した二百七十万がそういう契約率にとどまっておりますが、ただ、何と申しましても、率直に申しまして、契約の取り次ぎ員の運用の制約とかあるいは二カ月に一度集金をしておりますというような、個別の訪問回数がそのような時間で行なわれている等のことで、やはり国内に出まわります台数と契約時にかなりの時間的なズレがあると、これらの要素を加えまして、私どもは一応七〇%の契約率、実質的にはそれに近かろうと思っておりますが、ただもとより営業努力といたしましては、この四十四年度の百十万をさらに努力して、ただいま御指摘のように全国的に普遍的に契約するということで、ただいま御指摘の問題を克服したいというふうに考えております。
○森勝治君 たとえば、この調査を見ても四七%がカラーテレビを買いたいと、こういう希望をしているわけですね。そういう点から見ても、NHKのこの見方というものは少しどうも内輪過ぎてしようがないような気がいたします。たとえば、NHKの、先般、他の委員が要求した資料を見てもわかりますように、たとえば、昭和四十七年度二千四百万という数字をNHK、出されてきていましたね。そうなりますというと、昭和四十七年が二千四百万ならば、当然もうすでに一千二百万程度のカラー聴視がされるはずだ。ところが、NHKではこの三十七年度にはカラーテレビは六百五十万程度ですか。そういうふうに組んでいるわけでしょう。私どもから見れば、そういう数字から見ても、NHKが四十七年度にそういうことであるならば、合計二千四百万ということであるならば、少なくとも千二百万程度いかなければならない。いま申し上げたように、NHKのが六百五十万という資料を出しているわけです。それだけでも千二百万から六百五十万、五百五十万も差があるような気がしてならぬのです。ところが、他の委員の一昨日の質問では努力して百万戸加入修正を見込んだ、これはNHKの努力だ。こういう説明をされている。ですから、大体百万をかりにそこから引いても、まだ著しい台数の隔りがある。契約数の隔りがあるわけですね。だいぶだんだんことし、来年、再来年というふうにテレビの普及の数とNHKの捕捉する数との隔りが広がっていくような気がしてならぬのですが、これはあながち私の目玉の狂いでしょうか。
○参考人(佐野弘吉君) 一々ごもっともなところがあるように承ります。四十四年度の国内出荷の台数は一応業界から出ておりますが、四十五年度以降につきましては、まだそのような将来数字は何ものも出ておりません。先般来、当委員会でも、さしあたり、一昨年策定いたしました際に、ただいま御指摘の六百五十万を算定をいたしましたけれども、すでに四十三年度において二十万超過の百六十万であった。四十四年度におきましても、二十万超過の百十万に達します。したがいまして、この数字四十七年度までに延ばしてみました場合に、実はNHKの全経営的にはまだ確認をいたしておりませんが、営業の部内のもとには、さしあたり七百五十万というくらいの数字となろうと、その趨勢は必至であるというふうに考え、その旨の御返事をいたしました。ただ、私個人がここで以上のお答えをいたしまして一昨年策定をいたしました当時からみますと、大きく経済情勢も社会情勢も変化し、かつNHKはじめ国内の全放送事業者のカラーテレビジョンに対する熱意というようなものがかなり強まってまいりまして、一般受信者の中に大きく行き渡るというような趨勢があるように見受けますので、私といたしましては四十三と四十四の、このカラー契約の実績というものを踏んまえて、四十五年度予算編成の際には、もう少しこの将来の測定を本格的に立て直してみるという必要はあるというふうにただいま考えております。しかし、いずれにいたしましても、そういう構想として樹立いたしました四十三年、四十四年、この二カ年間に多少の御批判がありましょうとも、以上の数字で一応やってみたいと、こう考えておるところでございます。
○森勝治君 どうもNHKの契約の場合に、カラーテレビは大都市では伸びておりますけれども、東京が七・三、大阪が五点幾ら、しかし、総体的には東京は七七%、大阪では八三%というようにどうも都会の普及率が低いような気がしてならぬわけであります。ですから、受信料の公平負担という見地から見ても、もっともっと大都市の普及開拓というものを積極的に行なう必要が、私はあろうと思うのでありますが、その点どうでしょうか。
○参考人(佐野弘吉君) ごもっともな御意見を賜わりました。全国の平均の普及率に対しまして、東京、大阪において低位にあるこれは事実でございますし、ただいま御発言になりました大体の普及率にとどまっております。しかし、実際申しますと、これは東京なり大阪なりの大都市が非常に低いということでは必ずしもない。実際は、全国的に見ますと、地方でも低普及地帯がございまして、残念ながら高知県において七二・六%、鹿児島県において七六・八%というような地域もございまして、これらに対する努力も一段と必要かと考えております。 ただここで若干その大都市圏におきます低普及の理由に触れさしていただきますれば、御承知のように、最近非常に都市構造の変化が顕著になりまして、非常に浮動的になっております。また同時に、この東京等におきましては、いわゆるドーナッツ型と申しますか、かなり安定した聴視者層が埼玉なり千葉なりの衛星圏に移りまして、都内におきましては、いわゆる独身世帯、単身世帯の比率が激増いたしまして、ただいま私の持っておる手元では、単身世帯というものは、全国において一一・九%、これは二人以上の普通世帯に対しての数字でございますが、これに対しまして、東京においては、実に二一・七%というような形でアパート住い等が多くなっておりまして、この辺では常時不在というような傾向が顕著になっておるのが契約ないし収納上の悩みになっておることも事実でございます。
○森勝治君 昨年も附帯決議で、増収が見込まれる場合は受信料の引き下げを検討すべきであるという要望をしたわけでありますが、いま私が御指摘申し上げた数字の違い。そちらで御返事なされた今後の捕捉の努力、こういう問題をつき合わせてみますと、著しい数字がそこで浮かんでくるだろうと思うのであります。したがって、そうなれば、いま申し上げたような点も、またこれ前向きの姿勢で御勘考をわずらわすことになるわけであります。したがって、こうした受信者に対する還元をどのような形で行なうか、こういう問題の御検討があってしかるべきものと私は素朴に理解をするわけでありますが、この点についてのお答えをひとついただきたい。
○参考人(前田義徳君) お話しのとおり、今年度の予算の御承認にあたって、その附帯決議の中で、これは第三項になりますが、「経営の合理化、能率の向上をはかり、将来の受信料の減額についても検討すること。」——私どもは、これを今日経営の指針といたしております。ただいま御質問の点と関連して申し上げますと、二十万の増収ということは、結局、端的に申し上げて、百五十円の二十万でございます。したがいまして、おおよそその数字は三億六千万でございます。しかし、その中には、この聴視料を徴収するための必要経費がその中から差し引かれなければなりません。私といたしましては、御指摘の実情も勘案しながら、今回の五カ年構想の最終年度には少なくとも一千万世帯のカラー契約を実現いたしたいという考え方を持ち、これについてはやはり手数料等の問題にも大きな関係がございます。ただいま御審議をいただいている明年度予算におきましては、今年度と比較して、白黒からカラーに変わる部分の手数料については、一件あたり四十円引き上げております。新規契約に対しては百十円でございます。この辺に、やはり、御指摘の問題と関連する実際上の問題があると、私は実は考えたわけでございます。で、こういう点から考えますと、私としては、受信者に対する還元というのは、いまの数字からも、御理解いただけるかと思いますが、これは、放送のサービスの向上ということが当面の問題になると、私としては考えております。番組の向上、あるいは施設、あるいは聴取者の直接の受信関係に関する御協力その他をまず進めていく必要がある。したがいまして、この時点に立って、私は、受信料の減額自体については、まだ見通しを持ち得ないと、率直に申し上げてこのような心境でございます。 しかし、繰り返して申し上げますが、御質問の御趣旨は、私どもも十分理解しておりますし、それからまた、今年度予算の御審議に対して付せられた、ただいま申し上げた附帯決議の精神を経営の指針として前進してまいりたいと、このように考えております。
○森勝治君 時間がないようでありますから、あと一点だけ御質問申し上げて、あとの分は後日にひとつお願いをしたいと思います。 それは、いま、NHKが考えておりますテレビ塔の問題でありますが、何か、どうもわれわれが伝え聞くところによりますと、NTVのテレビ塔といいましょうか、日本テレビ塔ですね、NHKが高さを誇るために何か見にくい争いをしている、こんなふうに世間では見られているわけであります。たとえば正力ターワは五百五十メートル、またNHKはそれを上回ること百メートル、何かこう宇宙探検の先陣争いをしているような気がしてならぬわけでありますが、まあ業界が、そういう争いをなくして仲よくやっていくことが一体できないのかどうか。たとえば東京タワーの問題にいたしましても、何か日本テレビのほうはおりてしまったという、われわれから見れば、何かどうもわけのわからぬような、仲間割れのような気がしてならぬわけであります。一体そういうことがどうなっておられるのか。この点を会長に一点。 さらに河本郵政大臣には、このNHKのタワー構想を大臣が公表しましたときに、タワー建設が重複しないように調整する、こういう発表を大臣はされておるわけであります。そうなると、先に発表した正力タワーの構想というものが一体調整ということになるとどうなるのか。建設が不可能になるのか。両者の和解を待って、一つにして、共同施設として使わせるのか。この辺の大臣の真意がわれわれは捕捉しがたい。したがって、その点についてそれぞれお答えをいただきたい。
○参考人(前田義徳君) 私どもの構想は、タワー自体を目ざしているのではございません。第二次六カ年計画以来の最終近代化、あるいは最終合理化を達成するために、できれば明後年度の予算の中にそのスタートを切って三カ年くらいの計画で最終合理化の形態をつくり上げたい。これと関連しまして、これからの放送、われわれの事業内容の多角化、それからまた社会的要請、また国策の方向とも関連しまして、タワーを同時に持ちたいという考え方でございます。現在東京都内にあるタワーの数は送信という点から見ますと、三つございます。東京タワーと、それからNHKの紀尾井町のタワーと、それから正力さんのほうのタワーの三つでございます。で、私どもといたしましては、結論的に申し上げるならば、こういうタワーの実現が可能であれば、これら民放の方々の御希望があれば、これを公開するという考え方を持っておりますし、すでに東京タワーの所有者とは、この問題については、私との間では、これは非公式でございますが、話し合いはついております。
○国務大臣(河本敏夫君) NHKのタワーの計画につきましては、先ほど前田会長が申し述べられたとおりでございます。近く具体的な計画ができ上がりまして、他の関係者の方々とお話し合いをされるそうでございます。私は、そういう話し合いができることを望んでおります。
○森勝治君 会長が何か重要な会議があるそうですから、副会長にちょっと一、二その残りを質問したいのですが、このNHKのテレビ塔は代々木ですね、いまのNHKの敷地にお建てになるのだろうと思うのであります。当時NHKがあれを大蔵省から払い下げを受けたときには、あそこは御承知のように緑地帯でありますから、建造物等については制約があったものと、私どもは考えるわけであります。ですから、あれは全く無条件で払い下げを受けたというようには考えられません。他のいずこの緑地帯におきましても、建築基準法、その他の制約が特に緑地帯等にはあるわけであります。そういう観点からいたしますならば、NHKがいま考えております六百五十メートルの高い塔というものは、そういう面からの制約を受けるのではないか、私はこういう気がするのでありますが、そういう条件つきの払い下げではなかったのでしょうか。
○参考人(小野吉郎君) お説のとおり、あの土地を取得いたします場合には、緑地帯であり、また住宅地帯と近接した地域でもございますので、いろいろな条件はついておりますけれども、具体的に高さはどのくらいでなければならないといったような条件はついておりません。もちろんあそこに今後二十四層の建物を建て、その上に標高六百メーター程度の塔を建てるためには、これは都の関係の機関を無視するわけにはまいりませんので、そういった諸条件に照らしまして調整しなければならない問題はあろうかと思います。
○森勝治君 たとえばつい卑近な例でありますが、日光国立公園、これは厚生省の所管するところでありますが、そこであるホテルが建物を建てましたところが煙突が少し、煙出しの煙突が長過ぎるから切りなさいと、私ども都市に住んでいるものは、ああいうものは高きをもってよしとする、公害からのがれるのにはよいと思ったが、厚生省の美観を保存するという立場から言うとそれは違反だそうであります。日光の国立公園のああいう山間僻地とは申しませんが、草深いそういう山間で、そういう制限があるわけでありますから、高過ぎて困るというのでありますから、いわんや大東京のどまん中の六百五十メーターのテレビ塔には、もっと私は厳粛な制約が横たわっているような気がしてならんわけです。きょうは時間がありませんから、ひとつこれ以上は聞きませんけれども、そういう点は十分ひとつ御勘考あってしかるべきだと思うのであります。 さらにもう一つ、漏れ承るところによると、六百五十メーターのNHKのこの構想が発表されたわけでありますが、そういう話を耳で聞き、この目でこの構想をよく見ても、どうも六百五十メーターのテレビ塔を建てるという技術的な解明がまだ明確になされていないような気がしてならぬわけであります。したがって、そういう問題について、ひとつ的確な御答弁をいただきたい。
○参考人(野村忠夫君) ただいまの御質問にお答えいたします。 代々木のテレビセンターにつくりますタワーの高さにつきましては、これからのUHFの活用ということを考えますと、標高大体六百メーター級のものが必要であるということで、そういう点からの高さを設定したものでございまして、これをつくりますにあたりまして、先ほどおっしゃいました風致地区であるという点、そういった意味では近所の風景とマッチするということがおそらくいろいろ問題になろうかと思っておりますが、それにいたしましても、これは今後いろいろ東京都とも折衝しなければならぬ問題だと考えておりますが、六百メーター級のタワーをつくりますこと自身は風致にマッチしたようなことも十分考えられますし、ことに近代的ないろいろ新しい材料といったようなものが出てまいっておりますので、高さそのものが高いから、これは非常にむずかしいといったような点は私ども考えておりません。ただし、いまいろいろ検討を進めておりますので、四月末ごろまでに私どもも考え方を固めまして外部の方々と御相談をしたいというふうに考えております。
○委員長(永岡光治君) 他に御発言がなければ本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十四分散会