地方行政委員会 第24号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/07/10
会議録
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 都合により、暫時休憩いたします。 午後零時十分休憩 —————・————— 午後一時二十分開会
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
○山本伊三郎君 大臣、ちょっとぼくは聞いてもらいたいんですがね。先日も知事会の会長が陳情と称して委員会室に入ってきた。もちろん自民党の理事の方は気をきかして廊下に出られてそして陳情を受けられたらしいんですね。きょうも実は市長会の会長はじめ、知事も含めて数十人来たわけなんです。これも出してもらったんですが、そのこと自体は私は院で解決すべき問題でいいんですが、知事とかそういう市長が相当来られたんですが、陳情に来た旅費がどう出ているか。おそらく公費で来れないと思うんですね、陳情に来るんですから。もしその陳情が公費で出ているなら——それは私のほうでも公費をもらって来てもいいと思うんですがね。そういう点を、たまたま行政局長おられるから、きょう来た人はだれとだれであったか、その旅費は公費であるかどうか、自分の私費であったかどうか、これを調べて次の委員会で報告してもらいたい。この点はどうですか。
○政府委員(長野士郎君) いまのお話は早速調べて御報告いたします。
○委員長(内藤誉三郎君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(内藤誉三郎君) それじゃ速記を起こしてください。 松島消防庁長官。
○政府委員(松島五郎君) 先日和田委員からお尋ねのございました加賀市片山津消防分署の職員の勤務の問題について調査をいたしました結果を御報告申し上げます。 前回、片山津分署は何人の職員かということにつきましてポンプ二台でありますが、人員については承知いたしていないとのお答えをいたしましたが、調査をした結果は、分署長以下十一名でございます。 次に、片山津分署の三人の職員が非番の日に報酬を得て旅館の仕事に従事していたのではないかというお尋ねがございました。この点について調査をいたしましたところ、報酬を得て旅館の仕事に従事していた事実はないということでございます。なお、該当いたしました三人のものはそれぞれ以前から旅館側と親しい間柄であり、たまたま非番の日に旅館の自動車を運転していた事実はあるけれども、報酬をもらってそういう仕事をしていた事実はない、こういう報告でございます。 それから次に、消防本部の職員が焼失旅館の従業員の再就職あっせんの会議に、受け入れ側の旅館、加賀ホテルの代表として出席した事実はどうかというお尋ねでございます。これについて調査をいたしましたところ、坂田司令補という、これは本部勤務の職員でございまして分署の職員ではございませんが、加賀ホテルの主人とは親の代から交際をしていた間柄であった。五月二十二日の午後一時から片山津観光会館において罹災した旅館の従業員の再就職あっせん会議が開かれ、焼失を免れた十三旅館の代表が集まった。当日受け入れ側の加賀ホテルで社長、支配人が不在で、たまたま同ホテルを訪れていた坂田司令補が社長夫人から特に依頼されたまま出席したものである、ということでございます。もとより出席したことによる報酬等は一切受けていないということでございます。しかし、誤解を受けやすい行為であるので、翌日消防長から厳重な注意を受けた。こういうことでございます。 以上が当方で加賀市消防に照会をいたしました結果でございまして、回答者は中島という消防署長でございます。回答を受け取りましたものは当庁予防課長でございます。
○和田静夫君 もう一つの件はまだ調べがつかぬのですね。
○政府委員(松島五郎君) もう一つの、兼務をしているかどうかという問題でございますが、前回もお答えを申し上げましたように、各市町村に照会をいたします関係上相当時間がかかりますので、もうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
○和田静夫君 前段の三名について、やはり事実としては従事してきたことが明らかになってきました。この前申しましたが、私の調査では日当二千円を受け取っている。これは明確であります。したがって、日当二千円を受け取りながらこういう状態のことを行なうというのは、これは明確に地方公務員法三十八条に触れますね。
○政府委員(松島五郎君) 地方公務員法三十八条に、「営利企業等の従事制限」の規定がございますが、許可なくして従事するということは地方公務員法違反でございます。私どもで調査をいたしましたところでは、この加賀市の消防署でございますけれども、地方公務員法第三十八条の営利企業の従事制限に関する許可については、原則として許可をしない方針にしている、この原則としてとなっておりますのは、家で農業をやっておられるような場合には、これはやむを得ないということで許可をしているけれども、それ以外に報酬を得て従事することについては許可をしてないという報告を得ております。
○和田静夫君 前段の部分については、これはまだ日当の問題にかかるだけでありますから、ある意味では注意をしながら将来を戒めていく。前段の部分については、署長から何か注意をされたというような回答も長官のほうからはなかったんですが、しかし、これは十分注意をしていかなければならぬことだと思うのですが、ただ、問題は後段の部分なんです。 後段の部分は、いまたいへんきれいごとの答弁でありますけれども、実は坂田というのはたいへんな実力者であります。従業員を採用するかしないかということをチェックをしている。そればかりじゃありません。従業員が身分の改善なりあるいは要求なりというような形でもって会合を開けば、これが乗り込んできて結果的にはこわす。そういう形のことを、いわゆる営利企業を代表して行なってきておる。単に加賀ホテルの社長と長い間友人関係にあった、あるいは親戚関係にあったというだけのことで済まされる問題ではない。事実行為はたくさん出ておるわけですね。そのためにお手伝いさんたちが常日ごろたいへん泣かされてきているところに、罹災を受けた。そうして就職あっせん会が催されると、その就職あっせん会においても、過去の言動等をいろいろ取り上げながらこの人がチェックをしている、こういう形があらわれています。これは私は、とにかくこのままの形でおいておくわけにはいかないというふうに考えていますが、それらについては、ここだけの問題じゃ実はないと思うのです。全国的にもあると思うのです。あるいは、ここの場合は、過日、御存じのとおり同じ官署の警察職員が暴力団と関係があって、暴力団に情報を流しながらリベートを取ったという、同じような形のことが同じ警察の中でもあって、大きな問題になったところですが、消防の関係でもこういうことがある。これらの問題についてはどのような処理をされていますか。
○政府委員(松島五郎君) 消防職員に限らず、公の団体に勤務しておる者は、いま御指摘のようなことがあってはならないわけでありますが、ただ、私その点詳しいところまで報告を受けておりませんので、何とも申し上げられませんけれども、いまお話のありました加賀ホテルというのは焼け残ったほうのホテルでございまして、この就職あっせん会というのは、焼けたホテルの従業員の方を焼け残ったところでできれば就職させるという意味であっせん会があったんだと思います。したがいまして、いまお話しのように、加賀ホテルでいままでいろいろなことをやっていたとかりにいたしましても、就職を求めた、焼け出されたほうの側の従業員の方に職員が何らかの影響力を及ぼしたかどうかという点については、私ども事実関係を存じませんので何とも申し上げられないところでございます。ただ、一般的に、消防職員は消防業務にもっぱら専心従事すべきものでございますから、まあ言ってみれば、こういう職務外のことについていろいろと関与するということは望ましいことではありません。今後服務規律の問題として指導していきたいと思っております。
○和田静夫君 ちょっと誤解があるようですね。加賀ホテルの採用の点ですが、焼け残ったところの採用、それはそのとおりなんです。 この前言いましたように、「みたにや」、「かのや」というところにも同一人は関係している。そうして、温泉街でたとえばたいへん大きな旅館に関係をするということは、結果的にはその辺の群小のそれぞれの旅館にも関係をするということになります。そういう形でもって、焼けたところの旅館の手伝いを含んで、たいへんに影響力を持っている。そういうふうなことで私は申し上げている。したがって、彼らの日ごろの言動をあげつらいながら、結果的には、生活ができなくてきょうあすにも働きたい人々を、どこの旅館に行ったときにはどうだったということでもってはねていくというような、言ってみれば、加賀ホテルを代表するところの隠密的な役割りというものをずっと果たしてきている。そういう状態というものは許せないのではないか。そういう意味で申し上げているのであります。 もう消防関係はいいです。 先日に引き続いて、基礎的な概念の整理をあと二、三行なわせていただきたいと思いますが、きょうはまず冒頭に、一つは、この審議のためにどの程度の資料を出していただけるのかということをまず具体的にお聞きをし、かつ要望をしておきたいと思うのです。 先日も申したのですが、私は国会における資料要求、そうして資料提出というものについてのルールがどうなっているのかということは、正直なところよくわかりません。先輩の委員などにも過去の慣行などをいろいろお聞きをしてみましたが、その結果、私はこういうふうに実はまとめて言えるのではないかと思っておるのです。委員会で一人の委員が、提出期限と内容とを示して資料の要求をする。その場合に、資料を要求するほうは自分の都合で要求するわけですから、その資料の提出が、内容の面でもあるいは期限の面でも、客観的に無理な場合も当然あり得ると思います。そこで、要求された方のほうは、内容的にその条件を全部満たすのは無理だからここまでにきょうはしてくれとか、あるいはもう少し時間的に、いまもありましたように、余裕をくれとか、そういうやりとりの中で確認をしたものを、あるいは自分の客観的判断に基づいて、委員長が委員会の意思として確認をする。まあ手続的に往々そのことを省かれる場合がありますが、そうしますと、その資料要求は委員会の意思として機能することになるわけですから、要求されたほうはそれを厳重に守らなければならない、必然的にそうなると思います。その約束を破ることは、私は、単にその資料要求をした一委員に対する背信行為にとどまらずに、委員会、ひいては国会に対する冒涜ということになろうと思うのですが、一般的原則的にはそういうふうに理解をしておいてよいわけでしょうか。これは委員長に。
○委員長(内藤誉三郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(内藤誉三郎君) 速記つけて。いまの点について政府側の答弁を、資料要求についての原則は……。
○国務大臣(野田武夫君) 委員のほうから資料要求がありました場合は、できるだけこれに応じて資料提出するのが基本でございます。ただし、資料によりましては内容的にどうしても公にできないということがある場合には、これはまたその場合はお断わりすることもございます。また、期日につきましても、これはできるだけすみやかに出すという態度をとるのはこれまた当然でありますが、これも常識的に見ましてやはり時間のかかるものもございますから、その際はひとつ御了解を願いたい。私の考え方はその二点でございます。
○和田静夫君 そういう前提に立って、五月十六日の衆議院の地方行政委員会において、社会党の細谷委員がこういう形で資料要求を行なっております。「少なくとも一つの法律案をつくって国会に出す以上は、どういう行政効果が期待されるのか、新陳代謝の問題とか財政とかいろいろあるでしょう、そういう問題についての自治省なりの評価というのがなければならぬと私は思うのです。ですから、ひとつ時間もなにですから、次の委員会までに、自治省がこの法案に期待する行政効果というのはかくかくのものである、こういうものをひとつ資料として出していただきたい、こう思います。よろしいですか。」それに対しまして、要求をされた自治省のほうは、それは無理ですとは一言も言っていません。野田自治大臣は、「わかりました。」と答えております。そこで細谷委員はさすがになれたもので、私が述べたルールに従って、「委員長、いいですか。」と聞いておるわけです。それに対して鹿野委員長は、「けっこうです。」と答えております。これは明確に、自治省が衆議院地方行政委員会に対して、細谷委員が要求した内容の資料を、五月十六日の次の委員会までに提出することを約束したということであります。しかるにこの資料は、次に行なわれた五月十九日の衆議院地方行政委員会に提出されませんでした。その次の五月二十七日の委員会にも、六月五日の委員会にも音さたがありませんでした。自治省は、黙っておればそのままほおかむりをきめ込むつもりだったんでしょうが、要求したほうはだてに要求したわけではありませんから、六月六日になって、言ってみれば衆議院におけるこの法案の委員会審議の際の最終日に、議事録によりますと社会党の委員からクレームがついております。たいへん不見識だと思うのですが、そのときになって初めて長野行政局長が答弁をされているわけです。「定年制につきましては、今度の改正法案におきましても、定年制をしき得る道を開くというようなかっこうであることは、もう御承知のとおりであります。したがいまして、この法律が実施されました場合、一体どれだけの者が、あるいはどれだけの団体が、いかなる年齢についてどういうふうな形と内容を持って定年制をしくかということについての確たる資料が得られないのは、これはやむを得ないことだと私ども思っておるのでございまして、この点は御了承をいただきたいと思います。」と言っているわけですね。こんなことで要求したほうが納得できるはずがありません。議事録などいろいろ読まれてあとから追及をされておりますが、そういう結果、自治省としても出せないとがんばり切れなくなって、結局出した。もちろんもともと誠意が、こういう経過からいってなかったわけでありますから、きわめて不十分なものしか出ておりませんでした。当然これまた、ずっといくと時間がかかりますから言いませんが、文句がつきました。そして自治大臣が次のようにお述べになることによってけりがついているのであります。それはもう御記憶だと思うのでありますけれども、「この法律が発効すれば、直ちに画一的に全国の自治団体が定年制の条例を設けるということではございませんので、いま御指摘のありました予想される数字というものをはじき出すのは非常に困難だ、この事情は御了解いただけると思っております。しかし、先ほど申しましたとおり、これはもちろん役所といたしましてもできるだけ御趣旨に沿うように努力するのは当然でございます。この点ははたして御満足いただけるかどうか知りませんが、努力だけはいたします。これは決していいかげんなことでなくて、やらなくちゃならぬことですが、ただ数字を何%というところは、いまあらためて申し上げておきますが、なかなか困難も出てくる。これは常識論を言っております。そういうことでございますから、努力いたします。」と。私はこの要求資料がこの法案審議の真価にとって、深めることにとって、決定的に重要な意味を持っていると実は考えているものであります。したがいまして、衆議院の委員会の審議の最終日に、野田自治大臣が、いま読み上げましたような形で努力をお約束されたことは、当然参議院における審議を意識されての良心的な発言であろうと私は理解をいたします。そうすると、どうしてもこの野田自治大臣の発言に基づく努力の成果を出していただかなければならない。それに基づいて法案の内容検討は私もしなければならない、こういうことになるのですが、いかがですか。
○国務大臣(野田武夫君) 衆議院の地方行政委員会の質疑の内容はそのとおりでございます。私がお答えいたしました点につきまして、これが実は努力をいたすというのは、当然これはもういかなる場合でも御要求に対して努力するということは当然でございます。ただ、これは当然数字とか何かが入るものですから、打ち明けて申しますと、たとえば条例を地方団体が施行した場合に、何歳からやるかという一つの実態というものがつかめない点があります。そこで、たとえばいまお話しになりました、世間でいわれているとおり、まあ地方の企業体でやっている五十五歳以上、五十五歳以上になれば何人、財政的にこれがどうなるか、五十六歳ならどう、七歳ならどうと、まあいろいろとそういう数字でございますと、これはもうすぐできます。これはもう調べたらできるはずであります。ただ私どもの考えは、なぜ——この資料をちゅうちょしたのではございませんが、現実において地方団体がどの年齢で条例をきめられるか。私はしばしば答弁いたしましたとおり、現在の日本人の生命というものが非常に伸びてきておりますし、したがって地方団体、地方企業体も、従来の五十五歳というものをだんだん延ばしているのは事実でございます。常識的にいって、私は当然延びるものだ、これは地方団体のお考えですが、こう考えております。そこで、当初衆議院の地行では、大体自治省は幾つぐらいのところをそういう指示をするかというようなお尋ねもしばしばありました。私は、それはかりにそういう考えを事務当局が持っておるとしても、それはいわゆる個人個人の多少、官職もありますのと、それから現在の社会経済情勢と健康の問題、かみ合わせてまいりますと、これを自治省が大体地方団体に何歳ぐらいということを指示するのは間違っていやしないか、つまりあくまでもこれは自主的に判断してもらわぬと、実態において地方団体によっては違う点もあると。もう一つは、これもお答えいたしておりますが、職種によって相当高年齢層までやはりそのまま使う必要がある、つまり働いてもらいたいところがある、こういう答弁もいたしておりますし、また事実そうでございます。そこで、この年齢の層が一番むずかしいものでございますものですから、この資料をつくりますのにその困難性というのは、そういうことでございます。ただ一律に何歳から何人ぐらいで、それが大体財政上どうなっているか、六十歳にはどうだ、五十八歳にはどうだ、これでございますと別にそう困難な問題はありません。それは資料として差し上げるということでございますので、私は事務的に打ち合わしておりませんが、そうむずかしいことはないと思います。その条例の内容というものは自主的にきめてもらいたいというところに、どういうふうな査定をするかというところに、実は非常に困難さを持っておりまして、逃げるとか逃げないということじゃないので、非常にそこに——資料の御要求もありましたけれども、これをもってどのくらいの新陳代謝になるか、どのくらいの財政上かという、実はそこに非常に困ったんです、打ち明けますと。それだから、五十五歳から六十歳までつかんで、それを出してもらえないかということなら、これは何人かわかりますから、私のほうから事務局に命令いたします。そういうところが実態でございますから、御理解願います。
○和田静夫君 いま前段の大臣の話、よくわかりました。そういう結果——実は私きょうの質問の原稿をきのう部屋で書いていまして、きのうの午後の四時ごろになってこんな資料がようやく出てきた。この内容は、もう実に私に言わせるならくだらぬものです。しかも、見たら四十四年の二月に出ているのですよ。いま七月、きのう書いている最中、ちょっと考えられないですよ。大臣は非常に私は気の毒だけれども、ずいぶんくどいことばかり言いますけれども、常日ごろ何回か、予算委員会、決算委員会、この委員会で申しましたが、どうも自治省の役人の方々というのは、一面においては優秀さは認めないわけじゃありませんが、どうも先輩の人は別として、私なんかなめている、率直に。なおいろいろの雑誌に使われているところの、発表される諸論文、それは敬意をもって読んでいます。そこに使われておる資料なんといったらたいへん克明なものですよ、大臣、これはたいへんな資料を使われておる。その資料の詳しさに比べて、委員会に出されてくる、われわれのいわゆる立法府に出されてくる資料といったら、全く常識的なものの範囲を出ないんですよ。これは一体どういうことなのかということを思うんですね。たいへん粗雑なものしか出ない。それじゃ、たとえば「自治研究」なら「自治研究」という中で使われている資料を中心として、私のほうが疑問点で論文を書く、それを載せてくれますか、そんなことにはならない。どうしても私たちは、この場で論議をするために十分な資料を要求するのは当然だということに私はなるんですよ。しかもその要求した資料というのは、地方交付税の審議の際にも申し上げましたけれども、ぶ厚いものを持って申し上げましたけれども、出せる条件のものをこっちも考えてやっていますよ。これによって、出せないことによって困らして審議を延ばしてやれというようなことは、そんなお粗末なことは考えませんよ。出せる範囲のことを丁寧に電話で依頼をして、それでも出てこない。こういう状態というのは私はどういうことなのかということを一ぺん先輩の皆さんからも聞いてみたいんですよ。まじめな話そう思っているんですよ、私は。それでこの前、公務員部長、資料要求されたのを覚えているのはこれだけだという話ですよ、私のあれで。しようがないから、臨時国会のやつまだ調べ切らぬですから、この国会に入ってから私が自治省に対して要請をした資料の中で、未提出のものが次のようにあります。まず、予算委員会の第四分科会で約束を、大臣も出席をされて、されました自治省のコンピューターにかけられて作成された資料一切、これはありますから出しますと、こうおっしゃったが、私のところに届きません。これは行政局長、届かないのはどういうわけでしょう。
○政府委員(長野士郎君) コンピューターで作成した資料はお届けできると思います。
○和田静夫君 できるんですよ、あるんだもの、現実に。言われたとおり、あるんですから、できるんですよ、大臣。ところがね、委員会では約束されても全然出てこないんですよ。これ予算委員会の分科会ですからね、あれから四カ月もたつんですよ。これは一体どういうことなのかということ。同じく予算委員会の分科会で、自治省関係予算の中から多額の委託費を受けてつくられている地方公務員制度研究会発行資料一切を要求しました。自治大臣は、いまもまざまざ覚えていますが、局長と相談されて、渡しますと言われているが、これも出てきませんが、局長どうなんですか。
○政府委員(長野士郎君) 公務員制度研究会の資料、早速お出しいたします。
○和田静夫君 それから本委員会で約束されました、過去十年にわたる、私の表現のしかたがしろうとだったものですからあれですが、正確には旧内務省幹部職員名簿、これも要求をしました。そして約束をされました。宮澤官房長からは、現在自治省の中にいらっしゃる方の現在の地立に関する、身分に関する資料だけいただきました。しかしながら本質的なものは出てきません。出てこないばかりじゃない、ある新聞の記者にはこれをお渡しになっています。私のほうには渡されずに、新聞社にはこれをお渡しになる、こういう形のことは一体どういうことなのか。 それから、ギャンブルの関係資料、これも大臣覚えていらっしゃると思います、それを要求いたしました。これは財政局長と担当とのほうで協議をされまして、あとちょっと時間がかかる問題だけ残っているのですが、これも実は残念ながら残った部分はこの国会に間に合いません。継続的に論議をしますから、作業は急がしておいてもらいたいと思うのですが、これらを含んでいま出されるという約束をされるわけですから、そこで、いままで出てこなかったというのは一体どういうことなのかということを、私はこの機会に一ぺん整理して明確にしてもらいたい。
○政府委員(長野士郎君) コンピューターにつきましては、これは私すぐ出せるはずだと申し上げましたですが、これは私が担当を直接しておりませんので、よそから見ての話でございますけれども、まだそういう意味では始動して間もないことでございますから、十分お目にかける資料が少ないというようなことであれしているのかもしれないと思います。しかしながら、いずれにしても資料がないというわけじゃ私もないと思いますから、これはさっそく担当しておるところに連絡をいたしまして、提出をさせるように取り計らいたいと思います。 それから第二番目の公務員制度研究会の資料でございますが、委託費との関係におきましてどういうことかというようなお話でございました。その関係について整理をさせ、資料のまとめを私も何回か督促をして、さしておるわけでございますが、おくれおくれになっていることはまことに申しわけございません。これはさっそく取りそろえまして、もっとも中には取りそろえることができないものもあるようなところがあるようでございまして、その辺がどうしたらいいかというようなことが中にはあるようでございますけれども、とにかく取りそろえられるだけのものは取りそろえまして、提出をさしていただきたいと思います。 それから第三番目にお話がございました幹部職員名簿でございますが、これは官房長どういうふうに言っておりますかよく確めまして、ほかに渡っておるのにこちらへ来ていないというようなお話もございましたが、そういうことでありますれば、事情をよく調べましてさっそく提出させるように取り計らいたいと思います。
○和田静夫君 まあいやがらせみたいな言い方になるものだからあまり言いたくもありませんが、自治大臣、たとえば最後のギャンブルの資料なんかはやっぱり全然出てこなかったから、御存じのとおりあの審議の際に財政局長にやりましたが、財政局長はすぐ手配をしました。そうして部分的にお持ちになったけれども、それから時間がかかるものという具体的な相談が私にありました。ところが、いま言ったとおり、行政局に関する限りは、この前も言いましたけれども、約束のしっ放しなんですよ、約束のしっ放しということは、これはもう許せないことでしょう。単に私はいやがらせで言っていることじゃないと思うのですね。したがって将来にわたって、ここで要求をする、あるいは事前にする、それらのものについては、やっぱり忠実にこたえてもらうということを、まず確認をひとつ大臣していただけますか。
○国務大臣(野田武夫君) 大局的に申しまして、国会の審議に国会から必要な資料の提出を求められた場合に、できるだけこれに応じて提出する原則は、私はそのとおりだと思います。いま、先ほどもちょっとお断わりしましたが、不可能なものもありますから、これはまあそのときの事情でございます。そこで、今日までいろいろ私も和田さんの御要求になったことを大体において存じておりますが、全部——知らぬこともありました。これは特別の意思でもって提出がおくれたとは私実は考えておりません。まあ何かいろいろな事情があったと思いますけれども、 〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕 今後は、私あらためて申し上げておきますが、お約束した資料の提出の御要望に対しまして、可能な限りと申しますか、私はなるべくすみやかに出すように私自身からみんなに注意いたしたいと思っております。御了承願います。
○松澤兼人君 局長ね、できないことがわかれば、これはこういう事情でちょっとできませんと、簡単なものならばできますけれども、御要望に沿えるかどうかわかりませんというようなことをやっぱり質問者に連絡すべきじゃないですか。いまのお話だと、コンピューターによる資料はあると、しかし一部はどうしてもむずかしいところもあると、それならそれで、質問者に連絡をして、これこれの部分はできます、これこれの部分はできませんというように、けじめをちゃんとしなければ、これで和田君はこの問題で質問しないでほかの道から入っていけば、この国会、定年制をやっておるのに、定年制の根幹に触れるような問題がとうとう資料提出しないままでこの国会終わってしまうということが起こってくるわけです。意識的にやっておるというふうには私も思いたくないですけれども、和田君はこれほど、悲痛とも言えるくらいに、一生懸命勉強して、この資料がなければこの問題はどうしても解決がつかないんだといって、ぎりぎりの資料を要求しておるわけなんです。それを提出しますと、こう言っておる。それがいまだに予算委員会のやつがまだ出てこないというのは、ほんとうに常識をはずれておるのじゃないかと思います。それはできなければできないと、あのときに引き受けましたけれども、いろいろの事情で、担当の人に聞いてみたらこういうことでできません、簡単なものならできますから、それでよければ差し上げますというようなけじめをつけたら、何もこんな問題起きないと思うのですけれども、和田君も今後出してくれるということを期待してやられるかどうかわかりませんけれども、しかしこの審議のさなかにそういう問題起こしたら、肝心な地方公務員法の改正の問題に入らない、入る手前の問題だと思うのです。これをきれいに片づけなければ中に入れないのじゃないですか。局長の名前あげましたけれども、局長ひとつ何とか努力していただきたいと思います。
○政府委員(長野士郎君) 衆議院におきまして問題になりました資料のお話がございました。先ほどいままで未提出になっておる資料も御指摘がございました。そういうものは、いろいろな事情というものは多少ずつあるわけでございますけれども、それは、いまかれこれ申し上げません。さっそく提出をするようにいたします。
○和田静夫君 私は、衆議院の地方行政委員会においてもわが党の委員たちがこの法案をめぐって要求をした資料は、決して無理を言っているのではない、無理を言っているものだとは思わないです。この法律が発効すれば直ちに画一的に全国の地方団体が定年制の条例を設けるということではないので、予想される数字をはじき出すのは非常に困難だ、大臣もそう言われるわけですけれども、私は、誠意さえあれば、想定に基づいて幾段階かの資料というというのはつくれないはずはない、そういうふうに実は思うのです。あるいは一部の県を抽出をして資料を作成することだって、大臣、私はできると思うのです。たとえば去年の第五十八国会にこの法案が提出をされた際に、私は議席を持っていませんでしたが、少なくとも新潟、神奈川、愛知、奈良の知事が、年齢まで明確にして定年制を条例化することを、意思表示としては明らかにしているではありませんか。新潟は五十七歳、神奈川、奈良は五十八歳、愛知は六十歳、誠意があったならばこれだけの分だって、私は該当者がどういう形で行なわれているのかという資料はつくれるはずです。そういうことだと思います。またその他多くの自治体が条例化をするとか、あるいは自治省の方針に従うとか、他の自治体と歩調を合わせるとか言っているわけですから、五十八歳なら五十八歳と想定して資料作成をしてもよいと思うのです。特に、冒頭、問題が山本理事からありましたが、市長会なんかこれをどうしても通せということを言ってくるのなら、何かを想定しているのでしょうから、そういうようなことを基準とした資料作成もできるでしょう。私はやっぱり結果的には、審議にどれだけ便宜を与えるかという誠意の問題だというふうに思うのですよ。吉武さんもいらっしゃいますが、当時労働大臣であったかどうか、あるいは小林さんが厚生大臣であったかどうか知らぬですが、ここに私は売春防止法の国会審議の際の厚生省と労働省が共同で作成をした資料を持ってきました。これは私は自治省にお見せしたいと思うのです。いわゆる私たち常識的に考えたら、売春婦なんというものはどこにどんなふうにいるのかさっぱりわからないというのが常識だと思うのです。あの終戦後の一時期なんというのは、新宿にいるの、渋谷にいるの、あるいは上野の公園にいるの、あるいは山口県の岩国の基地周辺にいるなんというのはわからぬ。しかし、売春を禁止をしよう、売春を防止をしようという、そういうやっぱりあげた熱意がこういう私は資料になってあらわれたと思うのです。いま常識的に十二万人の首がこのことによって飛ぶ、私は率直なこと言ったら政治家の定年制をまずきめて出してから法律を出したらいいと思うのです。自分たちの首が飛んで職を失い、生活ができなくなるということを予想して一体こういう法律案を用意されているのかと思うくらいですが、そういう悲惨なところに追い込まれる人たちがどういう状態に置かれているかという資料さえ提出をせずに、こういう法律案を論議をしなさいということは、官僚の皆さんが考える非情さ以外の何ものでもないじゃないですか。これは、「売春婦の数について」、厚生省、労働省、三十一年一月二十五日。「一、厚生省調査に依る「集娼」は、戦前の公娼時代からの公娼地区と、同じく戦前の玉の井、鳩の町の如き準公娼地区即ち私娼であるが警察が密売淫としての手入れを行なわなかった地区に戦後復活したもののみを対象としているので、ほぼ、労働省調査に依る「特飲街中戦前からあるもの」に該当する。両者の数字をつき合わせると、厚生省調五万八千百八十八名、労働省調五万六千六百七十一名である。二、厚生省調査による「散娼」は戦後に新しく生じた密集形態のもの、特飲街を形成するに至らざる点在的なもの及び街娼を対象としているが、特に「C」は街娼を含まず、また駐留軍相手専門のものを含まない青線地区のものがその主流をなしているので、労働省調査による「特飲街中戦後できたもの」及び「自衛隊付近」に該当する。両者の数字を突き合わせると、厚生省調二万五千四百四十九名、労働省調二万五千六百二十七名である。三、厚生省調査による「芸妓」のうち「A」(売春を行なわないもの)を除いた「B」並びに「これに類するもの」が、労働省調査による「三業地」に相応するものと考えられるが、両者の数字をつき合わせると、厚生省調三万四千三百七十六名、労働省調二万四千三百五十三名である。両者の開きは約一万名になるが、これはいわゆる酌婦、だるま等と呼ばれる業態のものの把握をどの程度まで行なったかによる相違であると思われる。」四、五、六、七というような形で、時間もかかりますから、何も引き延ばしのために読んでいるつもりありませんから読み上げませんが、こういう状態の資料が出ているのです。しかもそういう中では、「都道府県別種類別売春婦一覧表」というのがある。昭和二十八年四月三十日現在で出ている。集娼という形で、地区数、業者数、売春婦数、業種別、料飲店、ビヤホール、あるいは料亭やシロウトタイムホース、置き屋や下宿屋、カフェーや、あるいは散娼——Aが洋パン、Cが和パン、Cがその他、計幾ら、それから芸妓——A、B、これに類する者という形で、ずっと出ているのです。それから、「全国売春関係地域数、業者数、及び従業婦数」、労働省婦人少年局調、昭和三十年四月三十日現在、というような形になっておるのですね。私はこういうものを手にして考えてみたときに、たいへんこの地方公務員法の一部を改正する法律案を審議をさせるにあたって、自治省のみなさんは非情である、このことをどうしても考えざるを得ない。なぜ、全く常識的には売春婦なんてものはもうどこにもぐっているかわからぬようなものまで克明に調べられるのに、現在職を得ているところの地方公務員のその実態について、市町村別に調べられない、府県別に調べられないということになるのですか。 〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
○政府委員(長野士郎君) 職員のいまの実態というお話でございましたけれども、どこで定年制を実施し、どういうふうな形で行なうかということについて、いろんな見方があるではないかというお話もございました。しかし、これらの点につきまして、いろんな想定の上で資料をつくるということは、これはもちろんできるわけでございます。できるだけのものはできるだろうと思いますが、ただ、そういうことの結果が、こういうことでそういう資料というものが非常に無責任な形での結果、つまり事実とは非常に違ったものになる、あるいはそれからその与える影響というようなものもあるわけでございます。正直に申しまして、そういう意味で、この作成のしかたとか取り扱い方というものは、私どもは、やはりある程度はっきりしたものになればなるほど、はっきりした形をとればとるほど、そういう資料というものの作成については非常な困難を覚えるということになるのは御了解いただきたいと思うのでございまして、そういう意味で、たくさんの団体の中で、どういうそれをめぐるいろんな職員構成なり、あるいは労働需給の関係でございますとか、給与の体系でございますとか、昇進管理の実態とか、さまざま違っているわけでございます。そういうところにおいて、また職種も全部画一的に考えられるわけでは必ずしもないと思いますが、そういうものを、あらゆる条件をある想定のもとにこしらえまして、そうして資料を整えるということは、どうも確信の持てるといいますか、説明のつき得るものになるかならぬかということについて危惧を覚えるわけでございまして、またその資料というものの与える影響というものも十分これは考えてみなければならないということもあるわけでございまして、そういう点で、この定年制についての行政効果についての数字的な資料という御要求は確かに衆議院でございましたが、これはたいへんむずかしい。むずかしいということだけ言うのは誠意がないのだというお話もございますが、確かに考えてみますと非常にむずかしいわけでございまして、そういう意味で、仮定を幾らでも置いて、と申しますことは、結果が事実とは食い違っても知りませんよ、というようなことになることについては、やはりどうも無責任な形になって、影響を与え、あるいは迷惑を及ぼしてもいけないというような気もするわけであります。そういう点で、なかなかつくりにくいということも現実問題としては非常にあるわけでございます。そういうことでございますが、これからどういう資料のお話がございますか、私どももそれはできるだけ公正な、できる限りの正確を期し得るというようなものができるとしますれば、これは作成をいたしたいと思います。
○和田静夫君 では、最低これだけはこの審議に間に合う形で出してもらわなければ困る。かりに五十八歳なら五十八歳に定年制をしくとした場合に、年金受給資格者はどれだけであるかということが明確になる資料、また年金受給無資格者を一応再雇用対象者と想定をして、各自治体ごとにその数で再雇用可能、職種ごとにその収容可能人員の対応関係がはっきりする資料。この法案の合理性は、御存じのとおり再雇用制度ということを一つの柱とされているわけですし、それを主張されている以上、これだけは最低示す義務があると思うのですが、約束をしていただけますか。
○説明員(鎌田要人君) たとえば昭和四十二年度の退職者につきまして、五十七歳なら五十七歳以上の退職者の中で年金の受給対象になる者、一時金の受給対象になる者、これは公立共済、警察共済でございますと、この本部でやっておりますので全数がわかります。それ以外のところでございますというと、若干の団体の抜き取りということに相なりますけれども、資料が提出できます。で、ただその次におっしゃいました再雇用の個々の団体ごとに、年金をもらえないのが何人いて、その団体で再雇用職種がどれくらいあって、その対応関係はどうなるかということになりますというと、ちょっと資料の提出は困難かと存じます。と申しますのは、個々の団体ごとに年金の受給対象にならないというものを調べるということが、ただいま申しましたように、たとえば地方職員共済でございますと、個々の県で何がしかの県を抜き取ってそこで調べる、こういう形になるものでありますから、その全体の個々の団体すべてについてということになりますというと、ちょっと時間をいただきませんと間に合わないだろう。それから、再雇用職種ということでどういう職種をそれぞれの団体が用意をするかということは、これはやはりこの法律が通りまして、定年制をそれぞれの団体におきまして実施をいたしますときに、この再雇用職種というものとの対応関係というものは、それぞれの団体が創出をしてまいる、こういうことになるのでございますから、ちょっとこちらで推定をして資料をつくるということはできかねると思う次第でございます。
○和田静夫君 再雇用の道を開くからこの定年制というのは合理性を持つのだというのがいわゆる主張なんでしょう。そうすれば、当然再雇用の道というものは、その再雇用職種を含んで、この法律案を作成をする準備作業過程においては、あなた方の頭の中で構想されたと思う。頭の中で構想されるのは、空想的に構想されるのではなくて、現実の各自治体が実態的にどうあるかということを具体的に調査をしてつくりあげられておる。これは私は、事の推移の当然だと思うのであります。 〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕 そうすれば、いま私が申し上げたような形のことは、当然その実態を把握をするという意味において、すでにこの法律案が準備をされる過程で、なければ、法律案が、真実いまいるところの自治体職員の現状との見合いにおいて可なりや否なりやという論議あるいは審査ができないじゃありませんか。そういう意味で、私の言っておるところのこの資料要求というのは、基礎的な要件になる。そう思いますから、これはぜひ出してもらいたい。
○説明員(鎌田要人君) 地方公務員法の一部改正案は、これこれの団体が定年制を実施をするから、その定年制に対応する制度というものをつくる、こういう形で出したものではございませんで、これはまあ釈迦に説法みたいな話になって恐縮でございますけれども、その定年制の実施できる根拠を与える、こういうのが立法のねらいでございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたことは、個々の団体がいよいよ定年制の条例をつくるその場合に、こういう職種というものについて再雇用職種を定め、それで五十八歳なら五十八歳で線を引いた場合に、こういう人たちが年金の受給対象になり、ならない。ならない中で民間に再雇用される者あるいは自家営業される者、そういう積み上げのもとで行なわれる段階、その二段階が一緒になっておるような気がするわけでございますけれども、私どもの考えておりましたところは、再雇用の職種としてはこういうものが考えられますよ、それぞれの団体で定年制条例をつくられる場合にはこういうふうにして再雇用の道というものをつくってあげなさい、こういうことで考えておるわけでございます。
○和田静夫君 まず整理しておきますが、鎌田さんの前段の答弁も、はぐらかされていますが、かりに、五十八歳と言いましたから五十八歳にしましょう。五十八歳の定年制をしくとした場合に、現在いる人ですが——あなたの場合、いままでやめたのを調べればすぐわかると言う。それじゃ困る。いまいる人で年金受給資格者がどれだけいるかということのわかる資料。これは誤解のないように、何か答弁ではぐらかされておりますから。 それから後者の部分というのは、たとえばいま言われたような形でやはり想定されるでしょう。幾つということもお考えで、指導としてはされるつもりでいるでしょうし、相談を受ければどういう職種だということをやはり想定されているでしょう。それは後ほど具体的な各条の中で若干意見なり審議をしたいので用意してありますが、想定はしてありますが、それに基づくものの資料が出ないということにはならないでしょう。
○説明員(鎌田要人君) 前段私いまさっき申し上げましたのは、ちょうど手元に四十二年度に退職した者について年金の受給状況の資料がございますものですから、それを申し上げたわけでございますが、現在在職しております者につきまして、そのいま御要望になられました資料というものをつくるべく努力をいたします。で、あるいは技術的な限界で御満足をいただけるようなものができないかもしれませんが、それは事前に連絡をさしていただきたいと思います。 それから、具体的にどの団体にどれだけ再雇用職種があるかということにつきましては、これは繰り返しになるわけでございますが、それぞれの団体がいよいよ定年制を実施するその段階において具体的に考えられるべきものではないか。再雇用職種としてこういうものが考えられるという点につきましては、資料として私ども提出いたしますけれども、それが具体的にどの団体にどれだけあるかという点につきましては、ちょっと現在の段階におきましてはつくることができないということでございます。
○和田静夫君 職種については出していただけると思う。これはいいわけですね。そこで、そうしますと全国全部といえばあれになりますから、そういったところで、大体基準が一緒ならば一緒になってくると思いますので、県の段階とそれから大都市、それだけにしぼればこれはできるでしょう。どうですか。
○説明員(鎌田要人君) 私ちょっと質問を取り違えておるといけませんので、はなはだ恐縮でございますが確かめさしていただきたいのでございますが、県の段階、大都市の段階で私どもが現在考えておりますところの再雇用の職種のポストが幾つあるかということでございましょうか。
○和田静夫君 私がここで言っていることは、年金受給無資格者を一応再雇用対象者と想定をしたわけですね、そしてさっきは各自治体と言ったのですが、いましぼったのは県と大都市に、その数と、再雇用可能職種ごとにその収容の可能人員の対応関係であります。
○説明員(鎌田要人君) 県の段階、先ほど申しましたように地方職員共済の本部で長期給付をやっておるわけでございませんので、何がしかの県を抜き取りするということになると思いますが、その場合におきまして、この年金受給の資格がない人が全部再雇用職種になるということは私ども考えておらないわけでございます。と申しますのは、民間に再雇用される方もあるわけでありますし、あるいは自家営業される方もあるわけでございますので、これと再雇用の職種とが片一方でかりに五十あり、片一方が五十なり四十幾つある、こういう対応関係というのはちょっと考えられないのじゃないだろうかというふうに私ども思うわけでございます。 〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
○和田静夫君 そんなことないでしょう。あなたあまりに頭がいいからむずかしく考えるんだろうけれども、たとえばわれわれ全部五十八歳だとすれば、そして十五年しかつとめていない無資格者だということになりますと、五人全部いけるのか四人しか入れないのかという対応関係はすぐ出るわけでしょう、この中で二人がどこにいこうがかってなことであって、一応何人いる、それから収容人員の箱はどのくらいあるという対応関係はすぐ出るわけでしょう。
○説明員(鎌田要人君) くどくなるようでございますが、定年制条例の実施とともに再雇用の職種というものをこれからつくり出していくわけでありますから、いま定年で何人やめられるかどうか、この問題は全く仮定の問題になるわけでございますが、いま先生おっしゃいましたように五十八歳以上の職員がいまかりにやめたとして、その中の何人が年金に当たらない、その全部が再雇用ということには私ども考えておらないということを申し上げたわけで、いま例にとられましたように五人なら五人、そのうち二人、三人民間に再雇用されるかもしれないそういう状態の中で、ある程度までその団本の努力によりまして再雇用の職種というものは、そのやめられた方の主観的事情というものを考えながら、またポストもつくられる、こういう面もあると思うわけであります。
○和田静夫君 あなた先ほど職種はすぐ出すと言ったでしょう。職種は出るのでしょう、たとえば一、二、三、四、五と五人の中で、竹田先生は民間に行った、私は自家営業を、あと三人残ったところが、箱は一つしかなかった、三人残ったから三人収容するために職種三つつくります、そんなことじゃないでしょう。
○説明員(鎌田要人君) 職種ということばを私用いましたために、和田先生は厳密な意味での職種というふうに御理解になったのじゃないかと思うわけであります。この点をおわびいたしたいと思いますが、私が考えておりますのは、今度の地公法の改正案で用いておりました表現でいうと「特定の業務」としてございます。具体的に申しますというと、たとえば単労的な職種に属する業務、あるいは相談業務、こういったような幾つかの職種、業務というものを考えておるわけでございますが、その業務というものにつきまして、再雇用職員をどういうふうに当てはめていくかということは、はっきり申しますというと、結局具体的な場合にならないと私は出てまいらないんじゃないか。いま定年制条例というものがしかれてない現在の状態で、一体どういう形でこの定年制がしかれて、どういう形で職員の中で年金に当たらないためにまた引き続いて働かなければならない人がいるか、そういう人に対して、片方再雇用職種をどういう業務で用意するか。これはやはり具体的な団体において、具体的な事情のもとで資料をつくるということでございませんというと、結局つくった数字ということになりゃしないかということを私おそれるわけでございます。
○山本伊三郎君 ちょっと関連で。歯がゆいことを言う人ですね。調査を要求しているんですね、調査を。現実になった場合に、あなた言ったみたいなことになると思う。しかも、この地方公務員法の一部改正案の中で、再雇用ということで、やめてもまた浮かびますよというビジョンを持ったような表現をしているんですね。それならば五十八歳なら五十八歳、六十歳なら六十歳でもいいんだが、予定の場合を見た場合、一体どれだけの人が再雇用できますと、あなた言いましたように、自家営業するとか、また他に就職すると、どういう想像で言ってるんですか。調査したんですか。そういうものを、一応法案を出すならば親切に、こういうことになります——それが具体的にどうなるかわかりませんよ、あんた言ったように。この法律案出すときには、再雇用によってどれが浮かぶんだ、こういうものを、具体的になったらどうなるかわかりませんが、一番最悪の場合でもどれだけの人が再雇用されるか、そういう資料をほしいと言ってるんですよ。具体的な討論と違うんですね。その資料を出せと、こう言ってんです。また、その資料を出さずに再雇用いたしますということを言えぬじゃないかと、そこなんです。
○説明員(鎌田要人君) この調査を命ぜられておることは、そのとおり私も理解をいたしているわけでございますが、その調査というものが、くどいようでございますけれども、これから始まる問題でございますから、結局具体的な真実性のある資料というものはなかなかできがたいのではないだろうかということを申し上げているわけでございます。
○山本伊三郎君 だから、あんた、法律案つくって再雇用するというのでしょう。再雇用するのは一体どのくらいあるか。たとえば五十七歳で言えば五十七歳、五十八歳ならば五十八歳、和田委員が言われましたような条件を見て、これくらいは再雇用できるのだ、これくらいのものは自家営業にいくんだ、こういう根拠があるということをわれわれ調査してほしいと言うわけです。それが全然ないというなら、つくってからやるんなら、つくってから、法律をきめたときにどうするんですか。この法律案を審議するときわれわれ一番心配するのは、五十八歳で首切られた人が路頭に迷うじゃないか。法律で再雇用しますと言ってるでしょう。どのくらい再雇用の職種があるのか、その調査をね。調査は的確にできませんよ。現実は変わりますよ。本人がやめるという人もありましょう。現実にこういう五十八歳だったら年金つかぬ人がどのくらいある、しかし再雇用のポストはどのくらいある、そのくらいの調査を出さなきゃこの法律案審議できませんよ、そうでしょう。
○政府委員(長野士郎君) 具体的な定年制の実施というものになった場合、定年制をしくしかないは地方団体の自主的な判断でございますから、そういう状況でございますので、見込みというようなものとしての考え方は、はっきりしたものはなかなかできにくい。ただどういう職種、どういう業務というものについては、再雇用職種として開拓可能なものがある。できるかできないかということは、個々の団体の状況によって必ずしも同一ではないと思います。また地方団体の仕事の重点の置き方によりまして、そういう業務のたくさんできそうなところと、それから少なくなるようなところもあると思いますから、一般的な可能なもの、これは考え方はむずかしいと思いますが、そういうものとして大体どのくらいのものが一応考えられるのか、おまえのほうでは考えておるのか、考えられるということで見ていいのかというようなものというものに、御期待のようなものになるかどうかわかりませんけれども、そういう意味でひとつ資料というものを一応整理をする努力をいたしてみたいと思います。御満足いけるものができるかどうかということについては、現実に職務の分析をいたしまして、そうしてそれに応じて、そういう職務の分析を通じて業務を整理をしていくというようなことをいたしません限りは、個々の団体における実際の職種というものは出てこない。これはおわかりいただけなければならぬと思います。しかし、そうまでせぬでもいいと、一応こういう業務というものがあるではないか、おまえらせっかくその業務を言っているのだから、それならどの程度概略考えられるかという程度のものは、御満足いただけるものになるかどうかわかりませんが、そこはあらかじめお断わりしておかなければいけませんが、できるだけのものを用意してみたいと思います。
○山本伊三郎君 和田委員の言われた調査ですが、再雇用するという条項があるのです。個々の団体が自主的にやると言われますけれども、法律ができたら一応政府としてはこれが実行されるという期待を持っているんでしょう、出す以上は。それでなければやめたらいいでしょう。やるところもあるとか、やらぬところもあるとかいうことではなくして、一応全部やるという、最悪のときを考えて、調査ですから、本論ではないですから。再雇用すると言うなら、これだけのものが——現在五十八歳なら五十八歳で切ってもいいし、五十六歳なら五十六歳で切ってもいいし、五十八歳で切った場合、年金がつかないで路頭に迷うものはこれだけありますと、これだけの人についてはこういう職種に再雇用できますよということを統計数字を出してもらいたいのです。でなければ、再雇用やると言っても、一人もないかもわからない、一人もないということも言えます、あなたの言うようにまだわからないと言うなら。団体自体それをやるということになれば、再雇用する人は一人もない場合もあります。そういうことではこの法律案を審議できませんので、一応五十八歳で年金つかない人は幾らあるか、それに対して再雇用の人が何人くらいあるか、こういう程度の資料は、これは推測ですよ、最悪の場合どれくらいあるか、再就職する職場というものは。あなたのほうが指導するのですから、たとえばどういう仕事かわかるでしょう。そういうことも全然考えずに再雇用を言ったんですか。そうではないでしょう。再雇用すると、一応ポストがあるということを予定して再雇用の条文を入れているんでしょう。だからそういう資料、これは資料です、現実にそうなるかどうかは別です。ぼくの言うことわからぬかな。
○政府委員(長野士郎君) 私ども定年制をしきます場合、先ほど極端なことを申したのですが、理屈として定年制をしくかしかないかは地方団体の自主的な問題だし、再雇用ということを取り上げるか取り上げないかという問題もあると思います、法律的な問題といたしましては。しかし、再雇用職種というものについては、再雇用を希望する職員がおりまして、再雇用にふさわしい職種があります限り地方団体としては今後再雇用に十分つとめるように努力をすべきものです。私どももそういう面で考えていきたいというふうに思っております。ただしそれは当然再雇用の具体の問題になります。いまお話のございましたように、希望者の数と、それからそれに用意される業務の数と、そういうものが必ずしも均衡しないという場合も起こり得ると思います。そうでありますけれども、これは具体論です。あらかじめ予定としてどの程度のものに考えられるだろうかという推定をしてみろという、こういうお話のようでございますから、それは一応できるだけのことをいたしてみたい。
○和田静夫君 地方公務員法を制定されたときに、なぜ定年制が設けられなかったかという理由について、鎌田さんあたりがどっかの雑誌で触れられておりましたが、私が読んだ限りではそれほど説得的では残念ながらありません。私方々にも依頼をして経過というものを調べてもらった、あるいは調べたんですが、この点についてどうもはっきりしません、私が過去の議事録を洗ってみた限りでは。この問題に関連してこういう質疑が実は行なわれているのです。昭和三十一年の二月二十八日の参議院の地方行政委員会でありますが、いまも現職でいらっしゃる社会党の加瀬完さん、「もう一つ、国家公務員法なり、地方公務員法が制定されましたときに、停年制なり、あるいは待命制度なりというものが特に設けられなかった理由というのはどういうことであったのですか、これは委員会における質疑、あるいは法案制定の過程におけるこの問題についての見解でも、資料がありましたら、あわせて御提出いただきたいと思います。」、で、当時鈴木俊一さんが説明員でありますが、「手配をして差し上げたいと思います。」、委員長の松岡平市君、「それでは、これは調査室の方でもそういうものについてはかねがね研究しておられることだと思いますから、資料を探されて、自治庁でも探されて、そうしてなるべくすみやかに自治庁で何か資料があれば提出するようにお骨折り願いたい。よろしうございますね……。」、オーケー、こういうことなんですが、だいぶ古い話で恐縮でありますけれども、ここで加瀬委員が要求をされた資料はどのように処理をされましたか。実は加瀬さんにも私問い合わせてみて、けさもなお記憶を呼び起こしてもらうようにこの議事録をわざわざ持っていって本人に尋ねましたけれども、結果的には出なかったようなんですね。しかし私はかなりここの部分は重要だと思うので、お尋ねをしておきます。
○説明員(鎌田要人君) 私どももただいまお尋ねのございました、地方公務員法の制定当時、御案内のとおり八百八十八の団体が定年制を当時持っておったわけでございますが、それがどういう経過でああいう二十七条の二項の解釈ということになったのか、それから法律の制定の当時はどうであったのかということにつきまして、実はその当時の立法に携わられた先輩、あるいは法制局関係、こういった関係について調べてみたわけでございますけれども、どうしてもその間の事情をつまびらかにすることはできませんでした。
○和田静夫君 そうすると、これはもう資料を求めてもとてもだめだということになりますか。
○説明員(鎌田要人君) まことに恐縮でございますが、私どもの現在までに調べました範囲では、この間の事情を的確にする資料はございません。
○和田静夫君 私はこれについては一つの見解を持ちます。後ほど少し論議をいたしますが、何といっても勤労の権利というのは人類多年にわたる自由獲得の努力の成果であるという憲法の精神からいって、私たちは不断の努力によって実はそれを保持していかなければなりませんから、以前にあった定年制というのは、もしあったとしてもそれは間違いなんだ、基本的人権を設定をしたところのいわゆる憲法論の上に立つならば、当然消えるべくして消えたのであって、したがって憲法の理念に基づいて、定年制というものは本来的に地方公務員法というものが制定されるときになくなった、そういうふうに私は考えています。資料があれば、そのことを間違っておると言われるし、あるいは正しいと言うことにもなろうと思うので、資料を求めたわけですが、いまのはさらに私は論議をしてあとから深めます。いまの御答弁であったならば、少なくとも国会の審議の中では、地公法制定時に定年制が設けられなかった理由について確定的に理解をされておらないということになるわけですね。そうしますと、これはぜひやらなければならぬことは、当時地公法の作成に直接かかわった人にどうしても参考人として来てもらわなければならない。そして話を聞くということを私たちしなければなりません。いま私が言ったような見解でもって法の上で消えていったと思うのですけれども、そうであるかないかということも参考人から聞くことがやはり必要だと、こう思うわけです。といいますのは、今度の法案は、あとから問題にしていきますが、また一昨日も行政局長にちょっと尋ねて、時間でやめましたけれども、この分限というものの理解のしかたというものがたいへんこれは争点になっていると私は思うのです。私たちはこの分限というものの一定の理解のしかたに基づいて定年制が分限条項からはずされたということは、公務員がこの団体交渉権あるいは争議権を奪われた代償としての身分保障の一環であると考えているわけですから、その争点にメスを入れることはどうしても私は必要だと思っておるわけです。そのためには国公法の作成にかかわった人も参考人として実は必要だと思うのです。少なくとも私の問題意識はわかっていただけると思いますので、具体的人選は当然理事会、委員長におまかせをするわけですが、そういう人々を参考人として呼んでいただくことについては、これは委員長御了解していただけるわけですか。よろしいわけですか。
○委員長(内藤誉三郎君) よく理事会におはかりして……。
○和田静夫君 理事会にはかって——そのことを速記に……。
○委員長(内藤誉三郎君) 和田委員の御趣旨については、理事会におはかりして善処したいと思います。
○和田静夫君 そこで、いま定年制がはずされていった経緯というのは、法の真価だと思うのです。ものごとのいわゆる明治憲法的な意識から日本国憲法的な意識に全体が改善をされていく過程で、勤労権が尊重され、勤労権がまさに基本的人権の一つとして認められていく、そういうことが全体のものになっていく過程において、当然、もしあったとするならば誤って設けられておった定年制という問題、勤労の意欲を持っておる者をそういう形で職を奪うことができないということで、当然なくなってしまった。これは地方公務員法、国家公務員法の中で私は決定的に基礎づけられたものだと、こう思います。そういう意味において、いま定年制が求められようとすることはまさに歴史的な逆行なんだというふうに、法の解釈の中でも思います。したがってこれは全く冒頭、大臣と約束いたしました共通の理解の上に立つという意味の最後のくだりでありますが、憲法第十一条の基本的人権の享有の問題というのをどう考えるかということをもう一つ意思統一をしておかなければならない問題にどうしてもいろいろ考えてみてもなる、こういうふうに思います。で、これは、いわゆるまず人間がただ人間であるということだけで持っているところの基本的な権利、すなわち基本的な人権を持っていることを認める、それを尊重をしていくということが、まさに釈迦に説法ですが、政治の大原理としなきゃならないということを憲法十一条は明らかにしているということに理解を私はいたしておりますが、これは大臣間違いありませんでしょうか。
○国務大臣(野田武夫君) それは憲法上の基本的人権を認めるということは、これはお説のとおりでございます。
○和田静夫君 そこで、日本国憲法というのは、個人の尊厳ということを基本にしております。個人の尊厳というのは、いわゆる大多数の学説がそうであるように、個人の価値を認める、個人はどこまでも尊重をしていこう、そういう原理であるわけです。そうすると、すべての個人、すべての人々、その人が単に男であるから、あるいは女であるから、あるいはお金持ちであるから、あるいは貧乏人であるから、あるいは年とっているから、あるいは若いから、こういうようなことで差別されないで、平等に個々人として、人間として尊重する、そういうことでありますね、大臣。
○国務大臣(野田武夫君) 御意見のとおりです。
○和田静夫君 そうすると、いま確認をしたような、いわゆる個人の尊厳の大原則といいますか、その原理というのは、当然いま言ったように、平等というこれまた原則が伴っております。そうすると、個人を尊重をしていくという以上は、どのような個人もひとしく尊重しなきゃならない。この平等というのは、少なくとも近代法をつくり上げていくためのまさに基本的な原則でしょう。近代法をつくるためのそれこそ大原理といっていいと私は思うのです。このことも大臣否定をされないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(野田武夫君) 平等ということに対する御見解は、そのとおりだと思っております。
○和田静夫君 そこで、個人を大切にとうとぶ、個人の尊厳、その個人の尊厳の上に立っているところのいまの日本国憲法は、いまも確認をしてきましたように、当然平等という、そういう原理というものを、いまのような状態よりももっともっと徹底をさせていくことを私はお互いが、特に政治に携わるわれわれは、大切にしなければならない。およそ法律をつくり、法律を制定するということを通して、少しでもいままで確認をしてきたことが侵されるような、そういうことというのは私は否定をされなければならない、そう思います。憲法第十四条が、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、「経済的又は社会的関係において、差別されない。」、そういうふうに定めているのは、これは個人の尊厳の原理を明らかにしていることでありますけれども、法のもとで平等である、そういうことが一番重要なことだということは自治大臣が確認をされましたですから、男女は平等である、男女同権というのはつまりそういうことでありますが、そうすれば、地方公務員法の一部を改正する法律の施行を通じて男女の不平等はそこには存在しない、こういう形になろうと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(長野士郎君) 定年制との関係で、いまの地方公務員法の改正ということでお話しでございますならば、同一の職種におきまして男女について不平等な取り扱いをするということは、私どもは許されないことだろうと思います。ただ、法のもとに平等というお話がございましたが、それと定年制との関係につきまして考えました場合に、一定の年齢に達した者が退職をするという法規の制定を私どもは否定するものではないと思っております。ただ、この点につきましては、一部ではございますが、国家公務員にも定年制を持っておるものもございます。これは憲法の直接この精神に反するものとは考えておらないところでありまして、またそういう意味で、国家公務員法の精神にも反していないというふうに考えております。民間にも定年制はあるわけでございます。そういうことでございますが、定年制につきまして、職種を異にいたしました場合に、その職種ごとにこれに要求される労働能力というものが違いますから、職種を異にいたします場合には、男女間のみならず、男同士の間でもあるいは女同士の間でもということになるわけでございますが、定年年齢というものに差を設けるということは、これはあり得ることであり、またそれが新陳代謝なり能率の維持、向上ということのために合理性があるということになれば、これは認めらるべきことであろうというふうに考えております。肉体労働、精神労働ということにおきましては、定年年齢が異なるということも考えられるわけでありますが、この点に関しましては、それだからといって平等ということに相反するというふうには考えておりません。
○和田静夫君 そのことはやっぱり想定をされているわけですか。たとえば、学校の先生の女の先生は四十歳でやめさせる、一般行政職の女の人は五十八歳まで置くとかというような形でお考えになっているわけですか。
○政府委員(長野士郎君) 私どもは、同じ職種におきましては、性別といいますか、男女によって同じ職種について定年制を置く場合にも年齢に差を設けるということは、これは認められないと考えております。しかし、男女というわけでございませんで、職種によりまして、いまおしまいのほうで申し上げましたが、たとえば肉体的な労働を主とするもの、あるいは精神的な労働を主とするものというようなものによりまして、これらに要求される必要な労働能力というものに差がございますから、そういう面で定年年齢につきまして違いが起こるということは、これはやむを得ないことだというふうに考えます。
○和田静夫君 そうすると、学校の先生なら学校の先生という職種の中において、男子は六十五歳であり女子は四十歳である、そういうことが起こっても平等の原則には反しないということですか。
○政府委員(長野士郎君) 一般的にはそれは平等の原則に反すると考えております。
○和田静夫君 それは反すると、そうするとそのようなことはないと、それでよろしいですか。
○政府委員(長野士郎君) 一般的にはそのとおりでございます。ただ女子の主として携わる業務というもので、いまちょっと考えておりますがよくわかりませんが、たとえばここにタイピストという、これは女子が多く就職する仕事の場所があるといたします。それと片一方では保健婦でございますか、こういう、これもまあ婦人の方が多いわけでございます。こういう業種があるといたします。これはもう職種が違いますから、それに要求される労働能力といいますか、そういうものもおのずから違うわけでございますから、その点でそれぞれの職種に応じて定年制をしきます場合に合理的な年齢が定められる。その定められた結果がそれぞれでかりに違うといたします。これは、その定められたその理由が合理性がある限りはやむを得ないことである。これは男子の場合でも同じでございまして、教職員とたとえば消防職員と考えました場合に、職種が違いますから、それに要求される能力というものの差もございますから、その間に年齢に差ができる、定年制をしいた場合に差ができるということがあっても、これはやむを得ない、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 まあたいへんな考え方ですよね。これはまあどうせ後ほど、いまそれだけのことをお聞きしておいて、あと各条のところで具体的に質問を展開をいたしますが、さらに基本的な問題で若干もう少し続けておきます。 先ほど来あれをしてきましたが、個人を尊重をするという以上は、各個人が持っておるところの、たとえば自由、権利というものを保障するということは、これは当然なわけです。個人の自由であるとか権利であるとかいうことを保障していくというのは、これは言うまでもなく近代諸国の共通の目的であるわけですが、そうすると、基本的な人権というのは、人が人である以上、当然持っておると考えられるところの自由や権利ということですわね。それは人間がだれからもらったというものではないわけで、まさに生を受けたそのときから持っている、俗に天賦人権でもあるわけです。この基本的な人権というものは、もともと自由権というような形で理解をされてきておるわけですが、たとえば身体の自由、言論の自由あるいは思想の自由あるいは信教の自由、居住移転の自由というのは、そういうことであったわけですが、ところがこの内容というものがだんだん私は社会的な人類の発展に伴って広がってきている。国民が国の政治に参加をするというようなその参政権も、御存じのとおりこの中に含まれるようにもうすでになってきている。日本国憲法の十一条、基本的人権は、それよりもさらに広まって、人が人らしい生活をやっていくところの権利、いわゆる社会権といいますか、これも含んでいるということは定説だとぼくは思うのです。自治大臣、いかがですか。
○国務大臣(野田武夫君) 個人の自由を尊重するということでありますから、非常に社会権といいますか、個人の人権を尊重するということになりますると、自由というものは、当然個人の持っておる大きな権利だと、こう思います。
○和田静夫君 大臣のその答弁を聞いて私安心したのですがね。そうなりますと、憲法第九十七条でいっておるところの「憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」、それは憲法十二条がいうように「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」、それが基本的な人権でありますから、政府の権力であるとかいうものではもちろんだめだし、法律でも私は侵すことができないと、これは考えますが、それもそのとおりでよろしいですね。
○政府委員(長野士郎君) 基本的人権というお話につきましては、これはたいへんむずかしい問題でございますが、日本国憲法においてこの基本的人権というものが尊重されるということについての規定が、国民の権利として基本になっておることは御指摘のとおりだと思います。ただこれらの権利の中には、何と申しますか、その基本的人権の中には、いまもお話ありましたように、完全に支配から免れる権利といいますか、自由権というような権利と、それからそういう権利を維持するためには積極的に国家が関与する、あるいは国家の保障によってそれが維持されるというような権利というものもございます。また中には、国家がそういう意味での政治的な一つの宣言と申しますか、そういうものとしての政治的な責務というものを明らかにして、何人も健康でありそして文化的な最低限度の生活を営む権利を有するというようなことがございますが、こういうものの権利を有するというこの第二十五条というようなものにつきましての多くの見解は、そういう具体的な個々の人についての権利ということよりは、むしろ国家が政治的な責務としてそういうふうな生活を国民におくらせるような配慮をし、政治的な責任を負うと、こういう立場を明らかにしておるというものもございます。それは勤労の権利についても私どもは同様に考えておりまして、この勤労の権利も、社会権と申しますか、そういう権利だというふうにいわれておりますが、これは、国家が勤労を欲するものには職を与えるべきであり、それができないときには失業保険その他適当な失業対策を講ずる義務があるということを国家の立場として明らかにしておるのであります。具体的な勤労獲得の機会を各個人に与える義務を負うというわけではないということをいわれておりますから、こういう権利の中にはいろいろな態様があるということは言えるわけであります。しかし総称してこういう権利というものを維持し、そしてその実現につとめていくということが日本国憲法の基本になっておるということはお話しのとおりだと思います。
○和田静夫君 その中で特に私は考えなければならないのは、一たん与えられているところの職場というものを奪う権利というものはだれにもない。そして公務員に与えられたところの職場というものを奪うようにしなさいと義務づけられているところもない。そう思いませんか。
○政府委員(長野士郎君) 勤労についての権利は、私は先ほど申しましたような意味での社会権であるということでございますが、定年制について考えますと、一つの組織において一定の年齢に達しました者の雇用関係を断つということは、確かにそういう意味では奪うということになりますが、奪うということになるかもしれませんけれども、しかしそれは、国家全体として他の勤労の機会を全部失わしてしまうということではなくて、国家としては、さらに他の就労の機会その他についてのできるだけの努力をするということが前提になっておるわけでございますから、私どもは、それだから憲法二十七条とかそういうものに、こういう定年制を設けるということが背反するというふうには考えていないのであります。このことにつきましては、民間企業におきますところの定年制創設に関する事件につきましても、最高裁等でもいっておりますが、労働契約に定年制がないということは雇用期間の定めがないというだけであって、労働者をして終身雇用を保障したり、将来にわたって定年制を採用しないことを意味するものではないということを、これは四十三年の十二月二十三日、最高裁がそういう判決をいたしております。そういうようなことから考えまして、そういう権利の侵害というふうに直ちにそこから出てくるというふうには考えておりません。
○和田静夫君 考えていないあなた自身は、憲法九十九条に違反をしているのですよ。憲法九十九条は、読み上げるまでもなく、この憲法をあなたは、いわゆる内閣総理大臣以下裁判官その他の公務員として順守をしなければならないことになっておるわけであるのです。もし考えていらっしゃらないということであれば、明確にあなた自身が憲法九十九条に違反をしている。当然国民から公務員としての座を、そういう意味での罷免を受けなければならないということに私はなると思うのです。前提的に社会権までが基本的な人権であるということを認めてこられながら、いわゆる定年制でもって職を奪うというそのことが憲法には違反をしないなんという論理にはなりません。失業保険その他のことについてあなたは述べられた。それは働く能力を持っておるものには働く場所というものを政府は積極的に与えていかなければならない。もし与えられない場合において、それを保障するためにという形のことなのであって、与えられたものを政府が権力をもって奪うというようなことを保障するものでないことは先ほどあなたが述べられたとおりなんですから、明らかに矛盾をしているではありませんか。
○政府委員(長野士郎君) いま申し上げましたように、私どもはやはり具体的な就労の機会を憲法がすべて保障しておるというふうには考えないのでありまして、そういうことで国家としての努力というものを国家として明らかにしておるということに考えておるわけでございますが、またそういうときに定年制をしくということは少なくとも現在ある職からの雇用関係を断つではないか、それはそのとおりでございます。しかしその雇用関係を断つということが直ちに、私どもから考えまして、すべての就労の機会を奪うということにはならないわけでありまして、多くの就労の機会があるかないかということになれば、それはいろいろ問題あるかと思いますけれども、現在の雇用関係を断つことが他の就労の機会を奪うということにはならない。したがいまして、もしそうでありますならば、そうでなければ——現在国家公務員についても特定の職員についてはそういう定年制をしいております。また民間にも定年制というものは私どもは一般的なものとして定着をしておると考えてよかろうと思うのであります。そういう意味で先ほど御紹介申し上げたような判決もあるわけであります。そういうことが既得権の侵害にならないということを最高裁も言っておりますが、私どもはそういうことから考えまして、直ちにこの条項に違反するものとは考えていないのであります。
○和田静夫君 問題のすりかえが行なわれるので困るのですがね。たとえば民間でもって、基本的な権利として認められるところの団結権に基づいて団体行動が起こって、そして団体協約が取りかわされて、そして一定の線が引かれるというような形においていわゆる定年制があるというのと、法律でもって定年制をつくるというのとでは、これは筋道が違うわけですからね。現実自治体の中においたって、御存じのとおり許されているところの保障に基づいて地方公務員の労働関係諸団体がそれぞれの理事者との間において自発的にそれこそ運営を考えながら退職への道というものは講ぜられています。そのことと、政府が権力をもって、法でもって一定の線を引きながらまさに勤労権そのものを奪っていくということとは、これはもう本質的に違うわけです。したがって、後者の部分について、私たちは許せることではない。それは明確に、先ほど来憲法の若干の論議をしてきたけれども、それに抵触をするのではないか、こういうふうに私は思うわけです。
○政府委員(長野士郎君) 公務員につきましては、もちろん地方公務員の場合でも、いわゆる単労職員とか企業職員につきましては、定年制につきましての用意をいたします場合には、これは当然団体協約事項でございますから、そういう面で、団体協約というものを経なければ定年制というものは実現しないということでございますが、その他の職員につきましては、これはお話しがございますように、これは条例でつくります。これは公務員というものの特殊性に基づくものと私どもは考えておるわけでございます。そういう意味で、国家公務員については法律、地方公務員については法律または法律に基づく条例によって給与その他の勤労条件をきめていくということでございます。これはやはり公務員の雇用の権限なり責任というものは住民全体にあるといいますか、そういう地方自治なら地方自治という考え方に由来していると私どもは思います。したがいまして、その意思を代表しておりますところの議会の条例で定める。国家公務員の場合は国家の法律によって給与その他の勤務条件を定める。これはまあ一面、そういう意味の公務員というものの特殊性、国民全体が雇用しているという関係、住民全体が雇用しているという関係をあらわすものだとも思いますが、同時にまた一面で、法律なり条例で給与とか勤務条件をきめるということは、いわゆる法律による保障であり、条例による保障であるという、保障の意味も私ども持っておると思うのであります。そういう意味で、それはやはり公務員制度におけるところの勤務条件を制定する基本の原則が、いわゆる条例主義、法律主義ということになっておるわけでございます。これは議会制民主主義というものにも由来するところであろうと思うのでありまして、そういう国民全体の意思、あるいは地方地域社会の住民の意思によってそういうものがきめられていくということは、これが公務員の特殊性でございますから、このことはやはり勤務条件をきめる場合の原則として考えなければならないことであるし、同時にそれは雇用の権限、責任というものが自治体全体の住民にあるということからも出てくるものだというふうに考えざるを得ないと思うのでありまして、その点で当然に団体交渉ということがされないのであるから、そこで根本的に条件が違うということは、公務員の場合にはむしろ言いにくいのじゃないだろうかというふうに思うのであります。
○和田静夫君 さっきの男女の問題、それからいまの、いわゆる法権力によるところの職を奪うという規制の問題、基本論議をやってきましたが、さらに具体的にはたいへん見解の相違があります。見解の非常な相違がありますから、あとで具体的にこれは一つずつ煮詰めていきます。 ただ、いまの問題で、もう一つやはり考えておかなければならないのは、憲法第二十七条の一項のいわゆる労働権について、これは二様の見解が憲法制定議会であったことをわれわれも知らぬわけじゃない。その一つは、憲法委員会におけるあの金森国務大臣の、「勤労の権利とは国民の基本的人権の一である自由権の一つである。従って本条は具体的に各種の勤労獲得の機会を総ての国民に保障するという意味ではなくして、単に勤労に関する国民の基本的人権を犯されないということを意味するに止まる。勤労の機会をもたないところの国民の生活保障問題というが如きは、本条の規定として、当然帰結せられる問題ではなく、これらの問題は、生活保障等に関する第二十二条等に基いて、個別的立法の指導精神としてこれを記載するに止まっている。」という見解、これはいま、先ほど来長野さんがるる述べられたところの基本的な主張であります。したがって、そういう見解があることを私知らぬわけじゃない。 それは言ってみれば、結局は自由権的基本権の一つとしか考えていらっしゃらぬということですよ。社会権が基本的人権という形で、先ほど明確に大臣が、あるいは長野さん自身がそのとおりだと答えられたそのこととは、私はやはりどうしても矛盾すると思う。当時政府は、そういう見解を金森さんがとったけれども、御存じのとおり憲法論争の中で日本のほとんどの学者、京大の大石さんだとか若干の人は別にして、憲法学者のほとんどからは、これは否定をされました。で、ナンセンスであるとさえあの当時いわれた。いまはやりのナンセンス。私は思うのです。単なる自由権的基本権というような形のものにとどまっておったならば、私は職業選択の自由が第二十二条に認められている以上は、こと新しく労働権と言うような必要がないとも思うくらいですよ。もう一つの見解というのは、メンガーに代表される社会主義の三大経済的基本権としての労働全収権、生存権と並んであげたあの労働権、そういう論議、これは多数説です。少なくとも働く能力があって、しかも働く意思のある者が自分で職業を見出し得ない場合には、国家または公共団体に対して仕事を与えることを要求をする。もしそれが不可能な場合には、通常の生活費を保障し得る権利というような意味に解する。その見解というのは多数が支持をした。そうしていま、ある一定の部分では、局長も言われたように、いまの局長の思想というか、政府の考え方の中にもその部分も入ってきている、こういう形にどうも私はなっているような気がするのです。二様の考え方がどこかである一定の調和をとられたような形の答弁にどうもなってきているような気がします。私は、そういうことではないのじゃないか。私は、政府やあるいは地方公共団体が与えたところの職そのものを、憲法に基づいて保障したのでありますから、それはどんなに理屈を並べても、政府権力、政府が権力的に、あるいは法の、立法という作業を通じて取り上げることはできない、そういう権利なんです。私はそう思いますが、いかがですか。
○政府委員(長野士郎君) どうもその辺になりますと、私も、なかなかむずかしい話でございますから、的確なお答えができないように思います。御質問も非常にむずかしいところへ入ってきておるように思いますが、しかし私は考えますのに、この社会権というものは、先ほど来申し上げますように、就労の機会を個々の具体的に各人に保障するというのじゃない。しかしながら、就労の機会を国家として保障するか、あるいはそれができないような場合には、国家として失業保険あるいはその他の失業対策事業というようなもので少なくとも措置をする、働く意思のある人に対しては措置をするということの国家の責任といいますか、そういうものを明らかにしているものであるというのが多数の説だろうと思うのでござます。でございますから、したがって、個々の人がある特定の職を得ておるということは、それは国家がそれを保障したから得られたのだというところには結びつかないというふうに私は思うのでございます。そこには結びつかない。だから、そういう職業の移動とか転換とかいうことはいろいろあり得るけれども、しかし、全体として職のない人ができてはいけないという意味の政治的な責任、あるいはそれでも適当な職がない場合には、国家としての職業あっせんとかいろいろなことをしてもない場合は、失業対策事業その他をやってでも就労の機会を与えるという政治的な責任は負いますということを言っておるのであって、したがいまして、個々の職というものについたり離れたりするということと国家の保障とがぴたっとそこで必ず合ってしまっておって、もうそれぞれの雇用関係というものは抜き差しならぬものだということには私はなっていないというふうに思うのでございます。したがいまして、その中で経営管理、人事管理というような必要から、一定の年齢に達しました場合に人間の能力というものはだんだん衰退いたしてまいりますから、そこでそういう者で一定の年齢に達しました場合には退職をしていくというような定年退職というような道が個々の企業あるいは国家公務員の一部にも現在ございますが、そういうものができるということが直接これにぶつかっちゃうということではないというふうに思うのでございます。もし、おっしゃいますように、個々の職と国家の責任というものがみな結合してしまっておるということであれば、これは現実問題としていろいろな職業の移動なり転換なりということ自身にも問題が起きてくるということにも相なるかと思うわけでございます。そういうことにはならない。やはりこれは国家の政治的な立場なり責任なりを明らかにしておって、これが具体的な権利、具体的な国家の義務あるいは個人の義務ということではないということだと思っておるのでございます。
○和田静夫君 なくなられた憲法調査会の高柳会長が言われたように、二十世紀憲法は政治的宣言である。したがって、それはその憲法を持つところの国家が内外に向かって理想を宣言したものであって、具体的にその条章に縛られるものじゃない、したがって自衛隊違憲じゃない、そういう論理があることを知らぬじゃない。しかし、その論理は基本的に間違っていますから、まあ話にならぬ。すでにそういう意味では、高柳さんもあるいは副会長の矢部さんもなくなられたから、明治を代表されるそういう憲法調査会の特徴的な思想はなくなったと思うのですが、いまのその論議がいまの具体的な勤労権の問題に長野局長が言われるように適用するのだろうか。私はたとえば宣言説を肯定しませんが、宣言説だとしても、しかしわれわれは人類の不断の努力によってそこに近づいていくことをまたやらなければならないのであって、そこから離れていくことを努力をするということは許されないと思うのですよ。定年制というのは、まさにそこから離れていくことの努力をあなた方がされている。
○政府委員(長野士郎君) これは非常にむずかしいことでございますが、私は定年制が必ず行政整理と同じようなものの考え方だというふうなことでおっしゃっておるとは思いませんけれども、しかし定年制の一つの意味は新陳代謝である。したがって、離れる者もございますが、離れない者もある。そういう意味では、二つの側面を持っているということは、新陳代謝という意味でいえば当然のことなんだろうと思います。そこで、そういう大きな目で見てまいりますというと、雇用の全体の正常な姿というものをどのように考えるのかという非常にこれはむずかしい問題に入るのだろうと思います。ですから、定年制をしくということは直ちにその方向からそれてしまっているということは、その面が全然ないとは私も申しません。その面だけを取り上げて言いますというと、ある一定の年齢に達した人がその職を離れていくということを取り上げていきますというと、まさにお説のような見方というものも成り立つと思います。しかし、全体として定年制の必要は、職を離れさすことが目的だというのじゃなくて、そういうことを手段にいたしまして組織のいわゆる新陳代謝と公務能率の増進ということを目的としておるわけでございまして、そういう意味では、人事の停滞を防ぎ能率を上げるということにもなりますし、また同時に、一面、一定の年齢に達するまでは身分の保障をするという側面もあるわけでございます。ですから、全体として考えました場合に、いま御指摘のようなところだけで議論をして評価してしまうということでは、これはそうでないという考えを私どもはしておるわけでございまして、むしろそういうことではないのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
○和田静夫君 そうでしょうかな、どうも理解できません。それではちょっと逆の意味から考えてみますよ。いまどんな意味に——たとえば勤労の義務、勤労の権利というものを、逆の意味で義務もあるわけでしょうから、理解をしようとも、一つは生存権という厳然たるもの、生きていくという権利としての勤労の権利は否定されません、これはされるはずがない。ところが、現実にそれがいま定年制という問題で保障されなくなるわけです。保障されない以上は、無産者が生きていくために——熊谷先生なら別でしょうが、無産者が生きていくためには、逆な意味では、みずからが欲しないところの労働というものが強要をされる結果になりませんか。局長が言われるように、商売をする人もいるんだ——しかし、商売をするということは、五十八歳という定年でもって何もやめたくない、しかしながら国家権力の犠牲によってここでやめるわけです。そして商売の道をいたしかたなく選ばなければならないという厳然たる事実は存在をすることになるわけでしょう。それは否定できませんね、その限りにおいては。
○政府委員(長野士郎君) 一定の年齢に達しますと、定年制でございますから、そこで雇用関係が断たれるわけでございますから、当然次の職を求めて働きたいという人は働くわけでございます。その場合には、自分の好む職もあるかもしれませんが、それはおおむねおっしゃるように、環境も変わりますし、新しい仕事に入っていく場合が多いわけでございますから、いわゆる好ましくない職につくということになるのではないかということであれば、確かにそういう点はあると思います。
○和田静夫君 そうすると、あるのですよ。そこで大臣、こうなるとお互いに政治家の話なんですが、いまのようになるわけですね。なると、大臣、いかがですか、憲法十八条の趣旨に反しませんか。
○国務大臣(野田武夫君) いま局長との質疑を聞いておりますと、好まない職種につくのが憲法の十八条に抵触しないか——私はまあ、そういう、この十八条に抵触するとは思っておりません。
○和田静夫君 それは大臣、われわれがみずから欲しない労働を、政府が保障をしなければならないことを保障をしてくれないがゆえに、いやおうなしに欲しない労働をしいられるのですよ、生きていくために。本来なら、生存権があるのですから、政府は職を与えなければならぬのですから、生存を保障しなければならぬのですから。しかし、その生存の保障ができないことになってきますから、みずからが求めていかなければならない。しかも、自分がそこでつとめていこうという意欲があった職場は、そのままの形では保障されずに奪われてしまうわけです。突然奪われてしまった、そうして将来を悲観をした、そうして労働を生存権のためにしいられる。これはまさに、憲法十八条にいうところの、この奴隷的労働を禁止するという形の拘束、そこに法解釈としてはやはり該当していきますよ。
○国務大臣(野田武夫君) まあ憲法の解釈問題は非常に重要でございまして、これはただ政治的に申し上げるということは避けたいと思います。やはり一応政府委員から説明いたしまして、意見を申し上げたいと思います。
○政府委員(長野士郎君) 先ほどお話がありましたように、定年制で一定の年齢に達して職を引く。その場合には、自分が次に雇用の機会を求めたいというときには、自分の意に染まないような職業にいろいろな条件があるからつかざるを得ないという場合があるではないかというお話でございます。私は全部の場合がそうだとは思いません。しかしながら、場合があるということは否定はいたしません。しかし、それはいまいろいろなところでそういう制約というものがある。日常の場合でもあることもあるわけでございまして、でございますから、それはそういう苦しい転換をする場合も起こると思いますけれども、これはいま直ちにそれが憲法十八条の問題であるとは私は思いません。それは、もっと憲法十八条の問題というのは、ほんとうの意味の拘束的な労働、苦役というものを考えている、非常に歴史的な意味を持ったものを主として内容としているものではないだろうか。経済的、社会的なものでも、著しくそういうことになれば問題になると思いますけれども、本人の主観的な意味で非常につらい労働というようなもの、あるいは好ききらいというようなものが、どの程度その中ではめられていくかということになれば、これはやはりちょっと問題であろうと思います。社会的職業として見ました場合には、それはやはりれっきとした職業であろうと思うわけでございますから、そういうれっきとした職業が直ちにそこの苦役でありましたり奴隷的拘束労働であるとは言い切れないのじゃないか。主観的な意味におきましては、確かにそういうような印象といいますか、御苦心をなさるという点は、これはもう御指摘のとおりの場合が少なくないと思います。
○和田静夫君 局長、いまの十八条というのは、これが単独の立法じゃありませんからね。第三章の中に含まれている——いわゆる国民の権利及び義務の中に含まれているものですから、いわゆる昭和二十年までの過程で経験したような苦役だとか、そういうようなものだけが頭の中にあるのではないか。私はやはり、人類が進歩をしていく、そういうことの中で政府はどうしなければならないか。国民はそれを受けるところの、享有するところの権利がある。そうして国民の側は、また逆に勤労するところの義務を持っている。その勤労の義務感に基づいて、そうして政府の保障に基づいて、東京都庁なら東京都庁というところに職場が与えられて、そこでいわゆる上限がなくて働き出した、十年前なり、十五年前なり、二十年前に。ところが、何の予想もしておらなかったのに、昭和四十四年に突然として上限が設けられた。そして結果的に、もちろん全部ではありません、あなたが言われたとおり、一部は再雇用——その再雇用自身が実は十八条に該当するくらいに思っておる。その道だって、自分が求めた道じゃありません。そういうことは政府の権力や法律でもってはやれないのです。そのことをやれば、もう社会権に対するところの干渉なんだ、こう言っておるのです。私はこれは論理に矛盾がないと思うのです。
○政府委員(長野士郎君) もう再三申し上げておるとおりの繰り返しになって申しわけございませんけれども、やはり私は、そういう全体の雇用の機会を失わないようにするという責任を国家は持っておりますけれども、職場の移動でありますとか変更でありますとかいう問題になりますと、これはやはりこの憲法が直接考えておる問題では私はないのじゃないかと。ただ、お話のように、この十八条の規定も過去の遺物じゃないか——これはちょっと私も過去の遺物に力があるというようなことを申しました。それはおっしゃるとおりだと思います。訂正させていただきますが、しかし同時に、どういう仕事でございましても、別個の仕事につくということは、いま現在の仕事から比べた場合には非常な変化がある、これは当然でございます。しかしながら、その職業というものが、いわゆる社会的には評価されておる職業、社会的にはやはり有用な職業だと私は思います。社会にある職業である限り有用でございますから、そういう仕事に労働をささげるということは、客観的に見れば、従来の地位といまの地位といいますか、職業で質が違うという場合もございますし、あるいは大いに差があるということもございますけれども、しかしそれは、それだからといって、それが直ちに苦役であるというのは、これは主観的な意味じゃ確かにそうかもしれません、しかしこれはやはり客観的な意味をもって考えていかなければならないので、すべて一等の職業ではないかもしれないけれども、社会としてはりっぱな職業であるとすれば、これはそれだから奴隷的拘束だとか苦役だということに直ちになるのだということではない。しかしまあ、主観的にもそういう気分を一切持たしてはならない、もっともっと楽しくさしてやれという御趣旨からいえば、それはそうでない場合がある、これはもう当然だと思います。これがまあ職業の転換ということで起きてくる必然的なそういうマイナス面であることは、これはもう疑いございません。しかし、だからといって、それが直ちにここにひっかかってしまうということにはならないのじゃないかということでございます。
○山本伊三郎君 答弁は要りませんがね。大臣、先ほどから和田委員が、憲法論、人権、固有の権利から説き起こされたのですが、並行線のような答弁と質問になっておりますが、ぼくはあなたはやはり同じ人間だと思いますね。あなた客観的に言われますがね、一ぺん雇われておる。いわゆるわれわれのことばで言えば、労働者の立場から憲法第二十七条、二十八条というものを見直す必要があると思う。あなたはまあ行政官だから、定年制をいかにして合理づけようかという説明以外ないのですがね。大臣に私はまあひとつこの点考えておいてもらいたいのは、雇われておる——単に公務員だけじゃないのですよ、雇われておる者が労働権というものをどれほど主張しておるかということをまずもう一ぺんあなたも今度来るときまでに考えてもらいたい。雇い主の立場から言えば、あなたの言うとおりですよ。雇うときにも、学校から履歴書出して、こいつがいいかどうかということを選定して雇う。給料を上げるときにも、民間は団体交渉があるから対等になっておるかどうか知らぬが、公務員の場合には、人事院勧告によって一方的にそれに従った給与をきめてしまう。ストライキをやると処分をやる、そういう、雇っておる立場だけでこの問題を解決しようと思えば、力関係になってしまうんですよ、力関係です。私はそういうものを避けるためにどうしたらいいかということを考える、政治家だから。あなたの説明を聞いておったら、雇う側の立場を擁護するための説明にしかなっていない。これはあなたの立場ではできないことだけれども、一ぺん寝たときに雇われている身としてどうなるだろうかということを考えてみて次の委員会に来てもらいたい、こういうことを希望しておきます。
○和田静夫君 実は大臣、私がたいへん心配しているのは、もしこの取り扱いを誤って——これ多数できめることは簡単ですよ、この法律案を自民党の方々はそう考えているかもしれぬ。しかしぼくは、これをきめることによって、少なくともきょうここにおられる二人の自治省の官僚、それからずっとたくさんいらっしゃいますがね、この人たちが憲法九十九条の義務違反を行なう、こういう形になることをたいへんおそれます。そして、その憲法九十九条の義務違反をもし行なわせたとするならば、われわれの存在は一体どうなるのかといったことも、また逆の意味でたいへんな問題だと実は考えております。で、私はさっきからくどいようですが、実は基本的な問題で、あるところじゃ意見がもちろん分かれて、学説も分かれているから、分かれたままでありますが、いわゆる冒頭に申し上げましたとおり、具体的な問題に入るための基礎的な見解の整理のためのことがあって申し上げているのですが、どうしてもさっきの論議の中で理解できないことは、日本国憲法というのはその個人を尊重する立場にある、そのことはまあお認めになっておる。したがって、国民の一人一人に対して人が人たるに値するところの生活というものをさせることが国家の使命である、このことも大臣はこれ明確にそのとおりだと言われた。それは国家の使命であり、責任である。これはもう間違いがない。そういう使命と責任というものを自覚すればするほど、今日のいわゆる国家というものが、この社会国家という形のことに表現をされる、そのことに徹するわけだと思うのですね。いわゆる十九世紀的な国家の理想であったところのあの自由国家というものはやっぱりもう存在をしていないわけですから、二十世紀の国家というものはやはりいずれも社会国家なんです。その上に立って、憲法の二十五条の一項や二項の生活権や生存権の問題やら、あるいは二十六条の一項の教育権の問題やら、あるいは二十七条の勤労の権利というようなもの、それらがあり、それがやっぱり社会国家の原理なんだということ、そのことをやっぱり私は基本的に踏まえてあとの論議というものを具体化をしていきたいと思うのですよ。その意味でさっきからいろいろなことをお聞きをしたのですがね。そのことをこの項の最後として申し上げたいと思います。
○委員長(内藤誉三郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 地方公務員法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求めその意見を聴取することとし、日時及び人選等についてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、九州地方等における梅雨前線豪雨による災害に関する件を議題といたします。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(内藤誉三郎君) 速記を起こして。自治大臣。
○国務大臣(野田武夫君) 今回の九州地方を中心とした集中豪雨について簡単に御報告を申し上げます。 今回の集中豪雨は、主として九州地方を中心として起こっております。その結果、大きな災害が生じております。死者八十一名、行くえ不明八名、負傷者百八十二名の人的被害と、家屋の全半壊五百十むね等多数の物的被害が生じております。その被害額は、公共土木施設、農地、農業用施設、農作物被害等合わせて、合計約五百六十九億円に達しています。これら被害者に対しましては、心からお見舞いを申し上げます。 この災害に対しまして、消防機関といたしましては、人命の救助、災害の応急復旧、避難の指示、誘導等の活動を連日続けてまいりました。出動消防職員、団員数は約二十万人に及んでおります。今後関係各省庁と連絡し、すみやかに適切な対策を講じてまいりたいと存じております。
○委員長(内藤誉三郎君) 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○原田立君 今回の九州地方を襲った集中豪雨によってたいへん被害が多額にのぼったと、いまの御報告によりますと五百六十九億円からの被害である。はなはだたいへんな事件であると思うのであります。こういうことによって、地方行政としての滞り、あるいはまた地域住民がたいへん困っているというのは、これは事実であります。また、これを復旧するにあたって多額の費用を要する。そのために、地方団体もその資金を捻出するのにたいへん苦慮している。こういうようなことがあるのでありますが、地方公共団体をよくめんどうを見るところの自治省としては、いろいろと各省庁にこの実情等をよく訴えて、それぞれの諸手当てをきちっと講じていくということが当然であろうと思うのであります。で、自治大臣としては、今回のこういう災害、九州災害を直接に私取り上げておりますが、基本的にもっと各省庁に強い態度でこの災害救助というものを推し進めるべきである、こう思うのでありますけれども、それについていかようにお考えですか。
○国務大臣(野田武夫君) まあ一般的な災害問題も、当然われわれは過去においてもいろいろな方策を講じましたが、将来においても十分講じなければなりません。現実に、九州地方の集中豪雨の災害につきまして、直ちに関係各省庁で連絡会議、また総理府でその対策の本部と、その他幾多の事務的な組織をつくりまして、現地にも各関係省庁が調査に参りました。しかし、いま原田さんの御指摘のありましたように、被害をこうむりました各地方団体は、たいへんなこれは、何といいますか、損害でございまして、人命はもちろん、物的の損害、私どもとしてはまことに痛感いたしております。したがって、今後の災害救助にあたりましては、もちろん各関係省庁も最善の方策を講じていただくようないろいろな方策をおつくりになっておると承っておりますが、自治省といたしましても、地方公共団体に直接の関係がございますので、積極的にその対策に当たり、各省と緊密な連絡をとってすみやかに実施いたしたい、こう考えております。
○原田立君 まあけっこうなお話でありますけれども、実際問題、この災害が発生すると、伝え聞くところによると、これは総理府でまとめてやっているというふうに聞いておりますけれども、まあ現行制度がそうなっているのならばやむを得ないと思うんだが、ただ総理府だけにまかしておくのでは、自治省としては非常に冷淡なんじゃないだろうか。まあ大臣いまも積極的にやるというふうに仰せだけれども、じゃあ具体的に一体どういうふうなことをやっているのかということをお聞きしたいと思うんですが、これは総理府にまかせっぱなしのようなことじゃなしに、自治省としては自治省として特に強く推進せしめていくという、そういうことが必要なのではないか。かつてある地方の市長が言っておったことによれば、各省庁が縦割り行政をやっていて、そして一つのことを陳情するにしても、仕事をするにしても、何カ所も回っていかなければいけない。だから自治省で地方の声を代弁して各省にやってくれというような、そういうふうな意見も前にあったと私記憶しております。そういう面からいっても、今回の災害を受けられた方々の気の毒なこと、あるいはまた地方行政、地方財政を充実するためにも、自治省はもっと強い態度で臨むべきじゃないか、かように思うんです。いかがですか。
○国務大臣(野田武夫君) いや、私は、原田委員の御意見——というよりも御忠告、ごもっともだと思っております。自治省としては、そういう責任もありますし、また当然、地方団体の直接の災害でございますから、重大な関連を持っております。ただ、これは言いのがれではございませんが、いまの政府の機構上、前からこの災害対策の中心は総理府が仕事に当たっております。これは、御承知のとおり、たいてい暴風、また津波、水害、火災、また地震と、いろいろな災害の場合には、各省庁に関係があるということで、各省各省でもって、いまも仰せられました縦割り行政ということがいけないとかいいとかじゃなくて、これは総合的な救済方法を講ずる必要がある。そうして総理府においていろんな施策を——私もかつて新潟地震のときに総理府におりまして、やはりそこが本部で行ないましたし、その後ずっといろいろなことを見ていますと、災害が、前に私が申しましたとおり、各省の関係ということが、どうしても各省の協力というものが、各省の責任でもって当たる。これはやっぱり総合する一つの機能がなければ、なかなかこれがかってに各省で救済に立ち向かいましても、やはり総合性がなければ完全ではないというところで、総理府が当たっておる。そこで、総理府において調査の結果、いろんな災害の場合に、激甚地災害指定とかその他をやりまして、そこから一面財政処置なんかもする、こういうたてまえになっております。しかし、これは決して自治省は、総理府にやってもらっているからというて、非常に関心を薄くしたり、また人にまかせておけばそれでいいんだというような気持ちは毛頭ございませんで、いま申し上げましたとおり、御報告いたしましたとおり、たとえば自治省の消防関係でも、二十万の消防職員、団員が連日いまでも働いている状態でございます。これは決して消防だけで災害の救済ということにはなりませんが、そういう意味で、やはり視察団の中にももちろん自治省も入ります。そして各省と関連いたしております。現に調査に参っておるのもあります。事務を取り扱っておるのもあります。また一面、どういうことをやっているか、御説明をいたすことにいたします。
○原田立君 その説明はけっこうです。私もきのう災害対策特別委員会に出て若干の質問をしたのですが、時間に制限されて中途はんぱなことで終わっておりますので、当委員会は特に地方行政に関係が深いので、また関係各省からおいでいただいたわけです。それで、その各省別に入る前にもう一言申し上げたいと思うのは、自治省からも今度の災害調査団の中に入って行かれただろうと思う。それで、その中に、各県、市町村からそれぞれ陳情書なり要望なり来ているだろうと思う。私も全部四県回ってきましたけれども、要望書、陳情書だけでこんなにあります。それはすでに目は通しておられるだろうと思うのですが、まず自治省関係で全部要約すると、特別交付税の増額及び起債について特別配慮をしてもらいたい、そういう強い要望がありました。そのほか三つ四つあるのですが、一つ一つどんなふうな対策になっているかお聞きしたい。 まず一番最初に、特別交付税の増額及び起債についてどういうふうな処置をなさるのか、あるいはもうすでに通達等を出してあたたかい配慮というものがなされているのか、その点お伺いしたいと思います。
○説明員(成田二郎君) 今般の六月、七月の豪雨によります災害につきましては、私も担当の者といたしまして、渡辺団長の視察団の一員として現地に参っております。親しく県並びに町村の被災者、関係者の御要望等も承ってまいってございます。で、その後関係省とも一緒になりまして寄り寄り災害対策につきましての会合を持ってございます。また、局長、次官、大臣等の御指示も得まして、いま御指摘の特別交付税ないしは起債の重点的な充当等につきましても御審議をいただいておりますので、現在数字を取りまとめ中でございます。なお、特に被災地の関係の皆様方につきましては、相当の経済的な損害も受けておられる実態でございますので、これらの実態に対しまして、十一日付でございますけれども、私のほうの税務局長名をもちまして、各県の知事なり、その各県知事を通じまして被災地の市町村長に対しまして、税の減免並びに徴収猶予、そういう関係につきましての通知を出すことにいたしてございます。本日、別途記者会見等を設けまして、関係の報道機関には親しく御連絡申し上げておる次第でございます。
○原田立君 いまお聞きしようと思ったこれからの話、すなわち被災者に対しすみやかに税の減免、徴収猶予についての処置を講じてくれ、このことについてお答えがあったのですが、特別交付税の増額に格段の配慮をしてくれ、こういうふうに言っている、この点についてのお答えはなかったのですが。
○説明員(成田二郎君) 失礼いたしました。特別交付税につきましても、御案内のとおり、本年度交付税全体の絶対額が二五%昨年に比較しまして伸びてございます。したがいまして、大体の大ワクが、御案内のとおり、毎年最近は六%の特別交付税のワクが設定してございます。そのうち特に優先的に扱っておりますのが、いま問題になっております災害の問題でございます。そのルール計算におきましても、府県、市町村通じまして、自治省の扱いといたしましては、従前、災害関係の公共事業、この公共事業関連の災害復旧事業並びに被災地の農作物の被災面積の実態、それから災害世帯の実数、こういうものを積算の根拠にいたしまして計算いたしましてここに出しておりますが、さらに加えまして、被災市町村につきましては、別途、家屋の全壊あるいは半壊、あるいは死者、行くえ不明者、さらには災害を受けられました各戸数、こういう数字を出しまして計算してルール計算として出してございます。そういうようなかっこうで絶対額がふえておりますので、ことしも、絶対額がふえましたのに便乗するわけではございませんけれども、特に私自身現地の悲惨なる状況を見てまいっておりますので、それらの状況も勘案して、積極的に特別交付税の増額については努力いたしたいと思っております。
○原田立君 大臣、この特別交付税のワクは、もうすでにワクがきまっているわけですよね。こういう被災地の人たちにワク外から何かこういう被災地に対する財政措置として講ずるような手だてはありませんか。
○国務大臣(野田武夫君) 実は、この二、三日来、御指摘にありました災害地の特別交付税の問題は、私がちょうどこちらの委員会に出席する前に税務局長と打ち合わせましたのは、税の減免のことであります。大体決裁がつきまして、よかろうということできたのでございます。そこで、ちょうど御指摘のとおり交付税が伸びておりますので、したがって特別交付税もこれに連なって相当の余裕がありますけれども、これも一つのワクがございます、お示しのとおり。それで、いま特別交付税で、そのワク内だけでこれが対処できるかという場合に、何か特別交付税のほかに、形はどんな形でも、かりに見舞金といってもいいし、何でもいいんですが、何かお金を出す方法がないか、いまもちょっと耳打ちで、またきのうも私はそういう話をしたのでありますが、いまそれを検討しております。事実どういうふうにやるか、役所の金でありますからあまりかってな金は出せませんが、何かそういう別途な方法がないか。原田さん御指摘のとおり、一つワクがはまっておりますから、そのワクそのワクのことで対処した場合に、やはりどうも災害地の状況によってはそれだけではいけない場合には、何か特別交付税のほかの方法はないかということは目下検討いたしております。これもきょうあすにひとつ話を詰めてみたいと、こう思っております。
○原田立君 それから普通交付税の繰り上げ交付をしてもらいたいという要望もありますけれども、その点はどうですか。
○説明員(成田二郎君) 申し上げます。従前とも被災地の府県並びに町村の財政状況等を勘案しまして、なるべく現地の情勢に対応しました財源の措置については遺漏のないように考えておりまして、交付税の繰り上げにつきましても、現在検討といいますか、むしろ数字を積極的に各県通じまして、具体的には市町村の関係につきましては各県の地方課が担当いたしますけれども、地方課のほうに指示しまして数字を取りまとめ中でございます。これが取りまとめが終わりましたならば、早急に必要ある市町村に対しましては——府県につきましてはまだ若干そこの段階ではなかろうと思いますが、関係の市町村につきましては出し得る態勢になってございます。繰り上げ交付を出し得る態勢になっているということを申し上げます。
○原田立君 そうすると、市町村に対しては繰り上げ交付をするのだという御返事だったわけです。そういうことですね。
○説明員(成田二郎君) はい。
○原田立君 それから、小災害の起債充当率の引き上げをしてくれないかというような要望もありました。これはどうですか。
○説明員(成田二郎君) 現在は、御案内のように、小災害につきましては、一般の場合と、それから被害甚大なる激甚等につきましては、それぞれ充当率は異なるのでございます。で、今般の実態に対しまして、実は私のほうだけでございませんで、関係省、特に公共土木関係を扱います建設省、それから農地、農業用地を扱います農林省、またこれらの公共的な施設を財政援助の立場から扱います大蔵省、さらには地方団体の財政的なお世話をいたします自治省といたしましても、前向きで検討中で、すでに先ほど申し上げました関係省の連絡会議でも、検討事項として現在検討中でございます。
○原田立君 それから、先ほどの被災者に対する税の減免について、十一日税務局長名で通達を出すと、あしたですね。それで、市民税や固定資産税の減免措置というようなことも入っておるわけですね。
○説明員(成田二郎君) ちょっとことばが足らないで申しわけございませんでした。あす出します通達は、実は局長名でございますが、すでにこの災害に伴いましての地方税の関係の減免その他の措置につきましては、御案内のとおり、地方税法の規定によりまして、すでに昭和三十九年七月に私どものほうの次官名で各都道府県知事に出しまして、なお各都道府県知事を通じまして全国の市町村長にその災害地におけるところの税の減免等についての扱いの指示をしてございます。 なお、追って今回の災害につきましても、だめ押しじゃございませんけれども、しかるべく措置をするようにという——大体、御案内のとおり、この災害地におきますところの税の減免等の措置は災害発生時のつどやることにいたしておりますので、かようなことで措置しておるわけでございます。
○原田立君 それからもう一つ、いろいろ、財政上やむを得ないことなのか、この一時借り入れ金をできるように手配をしてもらいたいというような要望も出ております。一時借り入れ金はわかっておりますか。
○説明員(成田二郎君) 承知しております。
○原田立君 知っているならけっこうだけれどもそれはどういうふうな処置になっていますか。
○説明員(成田二郎君) それは、すでに各県市町村に対しまして、災害時におきまして当然一時借り入れの措置をする必要な事案が出てまいることは、それぞれ連絡しておるわけでございます。今回につきましても、必要があれば一時借り入れ等はいたさせまして、それで一時の用立てがなされましてあと、別途正式に災害に伴いましてのいろいろな必要な財政上に対しましの融資措置等につきましては、正式に起債というようなかっこうでもってまいりまして、御案内のとおり、それに対しまして、さらに充当率もほとんど一〇〇%近くいたしまして、また後年度におきましてその元利償還等につきましても、九五%の充当率で交付税のほうで措置してまいっておるのが実態でございます。
○原田立君 いまいろいろお聞きしていると、これから調査中であるとか、あるいは集計中であるとかというようなことのほうが多いようでした。もちろん集計して数をまとめなければ全体的なことはできないであろうということは了解するのですけれども、どうかひとつおくれないように、地方の方はたいへんこういうことで困っているんですから、おくれないように徹夜でもやって敏速にまとめてやってもらいたいと思います。どうですか。
○説明員(成田二郎君) たとえば、一例を申し上げてみたいと思いますが、ただいま御指摘の点の一つの普通交付税の繰り上げの措置でございますけれども、これは通常の場合でございますと、それぞれの府県、市町村の基準財政需要額並びに基準財政収入額、こういうものを勘案いたしまして交付税の正式決定になるわけでございますけれども、今年度の場合におきましても、普通交付税の正式の基準財政収入額あるいは需要額等の見積もりが八月末にならないとわからぬという、こういう実態でございます。これを待っておりましては、間に合いませんので、現在の暫定的な措置といたしましては、昨年のいま申しました収入並びに支出の需要の決定額がございますので、これに対しまして今年度の伸びを便法として加算いたしまして、これによって算出しまして、それで交付税繰り上げの必要な団体につきましては早急に繰り上げの措置をとるということになっておる段階でございます。
○原田立君 厚生省関係来ていますか。あなたのほうも現地に調査で行かれただろうと思うんだが、厚生省関係でお聞きしたいと思うのは、し尿処理施設が浸水して機能が停止して、たいへん困っていると。御承知のように、市町村の固有事務の仕事としてし尿処理等はたいへん大事な仕事になっているのですが、たいへん困っていると。そしてし尿やごみの収集運搬処理に要する経費等もこの際何とか考慮してもらいたい、こういうふうな要望書が出ていますけれども、これに対してどういうふうな措置をなさったのですか。
○説明員(石丸隆治君) 今回の災害によります清掃関係の被害の状況、ただいままでのところ私たちの集めました状況を申し上げますと、し尿処理施設そのものの災害が約八百五十万円相当の被害で、ごみ処理施設が約八百万円でございます。さらにただいま先生御指摘をされました浸水を受けました現地のし尿のくみ取り並びに浸水を受けました物件のごみ類の処理に要しました清掃事業費というものが、ただいままでのところ五百四十万円市町村が支出をしている状況でございます。これらの支出に対しまして、われわれのほうといたしましては、清掃法第十八条第二号によりまして、この災害のために特に必要となった清掃を行なうための費用、これは二分の一の補助でわれわれのところから補助金の支出を行なっております。
○原田立君 自治大臣忙しくて退席されるそうなんだけれども、これはやむを得ないから、しようがないですが、大臣同席していてもらって私はこの災害の状態をよく聞いてもらいたかったというのが一つの理由なんです。それからもう一つは、まあ前のことを蒸し返すわけじゃないけれども、地方交付税を国のほうに無断で貸しちゃったりして、地方財政が圧迫されている。幾ら伸びがあったといっても、お金があれば幾らでも仕事がやりたい。金がないもんでできない。そのためにものすごい被害が出ているんです。そういうような実態をよく知っていてもらって、こんなばかなまねは今後しないでもらいたいという意味もあったのです。用があればいたしかたないけれども、もっと地方財政の強化という意味でも本気になって努力してもらいたいと思います。それだけ申し上げたいのです。けっこうですよ。
○委員長(内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(内藤誉三郎君) 速記を起こして。
○原田立君 それから建設省来ていますか。厚生省けっこうですから、建設省。 福岡県の筑後川の支流である巨勢川というのは、御承知のように天井川、そして今度非常に気の損な災害を受けたのでありますが、こういうような天井川の実態というのはどういうふうに掌握なさっていますか。
○説明員(西川喬君) 天井川につきましては、これは大体流出土砂の多い河川、それからあるいは農業用水の取水なんかによりましてせきがつくられているような河川、このような川におきましても、どうしても従来天井川が多くなっております。特に多いのは、山梨県、滋賀県、奈良県等のような扇状地を形成している川に非常に多くなっております。こういう川ですと、はんらんいたしました場合に非常に災害が大きくなりますので、従来建設省といたしましては、河川改修におきまして築堤方式を主体としてまいったのでございますけれども、最近の災害の実態にかんがみまして、改修のほうも相当進んでまいりましたものですから、中小河川につきましては、大体最近におきましては、これは上流の砂防工事、治山工事等の関連があるわけでございますけれども、できる限り掘り込み河川として、築堤方式よりも、河床を下げまして天井川を解消いたしたいと、こういう方針で現在進んでいるわけでございますけれども、やはり上流の砂防工事が進まない、それとあわせましてまた掘り込み河川といたしますためには一番下から全部やり直してこなければならないというような関係がございまして、なかなか進みませんですけれども、新規の採択します河川は全部掘り込みとすることを原則といたしまして現在改修を進めております。
○原田立君 こういう天井川などの状態を解消するためにも、たいへんお金がかかるだろうと思います。また本数も、たいへん川の数もあるだろうと思います。一体全部整理するのにどのくらいかかるのですか、四、五年でできますか。
○説明員(西川喬君) 全国の分で申し上げますと、これは中小河川の相当数は天井川でございまして、現在の五カ年計画におきましても中小河川の改修に最重点を向けてはおりますけれども、全国の天井川が解消する時期は、四、五年ではとうてい解消できないと思います。ちょっとむつかしいと思います。
○原田立君 それは、課長、笑いごとじゃないのだよ。ぼくも現地で聞いたのだ、五十年くらいかかるという。そんなのじゃ、たまったものじゃないですよ。それで、こういう中小河川に対する予算の配分等、それは私ちょっと勉強しそこなっているのだが、どんなふうになっていますか。
○説明員(西川喬君) 第三次五カ年計画におきましても、中小河川の対策ということを最重点にいたしておりまして、予算のほうもそれに伴いまして現在大幅に促進をはかるように考えております。四十四年度におきましては、治水事業全体の伸びが一六・二%でございまして、これに対しまして中小河川対策は二一・三%という相当大きな伸びにいたしてございます。そうだものでございますから、直轄のほうといわゆる中小の補助河川といいますものとの伸び率の差は相当大きくなっている。約一〇%程度の伸び率の差になっております。中小河川のほうは立ちおくれているということで、従来四十年ころから逐次予算を伸ばしてまいりましたものですから、現在内地におきましては、補助事業と直轄事業の事業費の場合は、補助事業のほうが直轄事業をこえるようになってきております。そのように、建設省河川局といたしましても、中小河川のほうに重点を置いて仕事を進めていくという考えで努力をいたしておるような考え方でございます。
○原田立君 それは対策をしっかり講じてもらいたいと思うのです。巨勢川の堤防の決壊したところなんかも、きのうもちょっとお話したけれども、決壊してないところはちゃんと石垣がある。決壊してあるところは、そこはもうまるっきり昔から石垣がくずれてないところです。そこがもろにあおられて土手が決壊し、もうぼうばくたるものですよ。非常に気の毒なものです。一時一番ひどいときは胸まで水がきたというのです。こういうような災害のことを考えれば、何%伸びたというよりか、もっとしっかりと仕事をやってもらいたい。これは強い要望なんです。お願いします。 それから内水排除について、これは鹿児島県の川内市で要望しておりますけれども、これはポンプがついた。ポンプを今年度中の予算でつけるとかいうような発言があったけれども、水がたまっちゃってどうしようもない、湛水ですね。これを排除するための排水ポンプですね、これはどういうような整備のしかたになっているんですか。
○説明員(西川喬君) 河川のほうといたしましては、築堤工事を進めてまいってきたわけでございますが、築堤が終わりますと、いわゆる山からきます外水のはんらん被害はなくなります。そのかわりに今度堤防の内側に降りました雨が排除し切れないということになりまして、内水被害が生ずるわけでございますが、従来は外水のはんらんによるあれが非常に多くて、築堤してくれ築堤してくれという要望が強くて、この改修を進めてまいってきたわけでございますが、最近だんだんそういうようにしまして改修がある程度進捗してまいりますと、今度は内水に対しましての対策をやってほしいという非常に強い要望が各地で出ております。そのために、最近建設省におきましても、内水排除施設というものにつきましてある程度関心を抱きまして進めてきてまいっております。現在のたてまえといたしましては、一応河川局のほうの予算で実施できます内水排除対策と申しますのは、これはやはり河川事業でございますから、いわゆる河川法が適用されております河川の水を本川へはく。本川のほうが水門で締めてしまいますと、今度支川の水が出ないという場合に、支川に集まってきております水をはんらんさせないようにして本川にはくということを河川局は河川事業といたして実施いたしておる。この河川がございません場合の排除につきましては、これは原則といたしましては、ただいまのところ、都市部につきましては下水道事業、それから農地部につきましては、農林の排水事業というもので実施するのが現在までのたてまえになっております。
○原田立君 たてまえじゃなくて、今回の内水排除について要望書が来ているでしょう、あなたの手元に。それに対する回答を聞いているんですよ。
○説明員(西川喬君) 今回の川内市におきましてはんらんを起こしました春田川でございますが、これにつきましては、内水排除施設を設けなければいけないじゃないかということで、実はことしの四月一日に一級河川に指定いたしまして調査を始めておったところでございます。ところが、不幸にいたしまして、今回の災害で非常なはんらんをみたわけでございますので、早急に計画を確立いたしまして、今年度からポンプの施設に着手したい。普通でしたら、一級河川に指定になりましてから二年くらい内水調査をやりまして、それから着手するというのが普通の順序でございますが、今回の災害にかんがみまして、早急に計画をきめまして今年度から着工いたしたい、こういうふうに考えております。
○原田立君 それから、災害復旧事業の緊急査定をしてもらいたい。従来日数ばっかりかかって仕事にかかれない、たいへん困っておる、早く査定してもらいたい、こういう要望があなたの手元にも行っているはずなんですが、それについてはどうですか。
○説明員(西川喬君) 災害復旧の査定につきましては、これは実は防災課のほうの所管でございますが、防災課長は他の委員会のほうに出ておりますので、私かわってお答え申し上げますが、公共土木施設の災害の査定につきましては、各県の受検の準備ができ次第——受検の準備と申しますと査定の設計書の作成でございますが、これができ次第早急に査定を行なってまいるのでございます。現在のところでは、八月上旬には各県の準備ができるのじゃないだろうかと、こういうふうに考えております。 それから、査定とは別に、破堤したりしたようなところで、この次また雨が降りますと、またそこから水が入ってしまうというようなところにつきましての仮締め切りのようなこと、これは緊急復旧でございますが、これは工法協議だけいたしましたら、査定前においても県市町村において着手できることになっておりますから、緊急の場合には工法協議をしていただきまして、すぐこれでよろしいから着手しろということで、措置できるようになっております。
○原田立君 熊本県八代市でも金剛橋が一部こわれて、そして自衛隊によって仮橋がつくられて渡っておるという実情は、御承知だろうと思う。それから地元の金剛開拓入植者の陳情書もあなたの手元に来ておるんじゃないかと思うんだが、この橋の改修についてはどうなっておりますか。
○説明員(西川喬君) 金剛橋につきましては、流失いたしましたところは災害復旧ということになりまして、災害復旧によって原形復旧をいたすわけでございますけれども、ちょうどあすこは河川のほうにおきましても掘さくをいたしまして河床を下げなければいけないという予定個所になっておりますものですから、これを災害の復旧工事として実施する場合には、河川のほうの付帯工事も入れまして、これを合わせまして完全なものにいたしたいということを現在考えております。場合によりましては、道路のほうもまたこの際拡幅しようというようなことがございましたら、道路費も入れまして、災害復旧、それから河川の災害付帯工事並びに道路の改良費、三者の合併によりまして完全なものにいたしたいということを考えております。
○原田立君 あなた現場見ていますか。見て言っているのか、書類で言っているのか。もし書類で言っているんだったら、重要な誤認識があるんです。それを私は指摘したいんだけれども、見ているのかどうか。
○説明員(西川喬君) 私はまだ今回の九州災害は現地に参っておりません。担当官のほうが参っておりましたから、治水課のほうは。防災課長、砂防課長は参っておりますけれども、私はまだ参っておりません。
○原田立君 それでは、原形復旧というお話だったけれども、あれはぜひ改良復旧してもらいたいんです。というのは、非常に旧式な橋で、そうしてワン・スパンの間が非常に長くて、現在の新しい工法とは違うそうだ。それと道路の幅が狭く、実際問題、軽四輪あたりが通ると、人間はこわくて通れない、こういう狭いところです。それで、現地の八代市長さんも、これを原形復旧ではなくて、改良復旧にぜひしてもらいたいと、その際それをやるときに、改良復旧ということになると市費の負担が非常に重くなるので、そういうようなことがないようにぜひしてもらいたいとこういう強い要望があったんだけれども、これに対してどうですか。
○説明員(西川喬君) 橋梁の災害復旧におきましては、現在ありますそのままの施設で、たとえば木橋なら木橋というままで復旧いたしますのは、これは原形復旧でございますが、これを木橋のまま復旧したんではまた流されてしまう、同じことであるから、これを永久橋にするということにいたしますのは、改良復旧としてこれは災害復旧で採択になりますけれども、幅が狭いというような場合、幅員を広げますのは、これは災害復旧工事としては、改良復旧といたしましては採択できないわけでございます。やはりそういうふうにいたします場合には、道路のほうの改良費とあわせて施工いたしませんと、現在道路局のほうとも協議いたしております、その点につきましては、災害復旧工事で現在あります橋梁の幅を広げろということは、これは現在のあれとしてちょっとできないことになっております。
○原田立君 それは法律はそうでしょうよ。だけれども、また橋をつくったって何の役にも立ちませんよ。だから、そんなかたいこと言わないでだな、事は法律できまっているから曲げられないだろうと思うけれども、あなたきょう担当官として本委員会に来たんだから、陳情も聞いているはずなんだ。これ改良復旧になるようにあなたから積極的に進言してもらいたい。それだけでけっこうです。
○説明員(西川喬君) 先ほどもお答えいたしましたように、災害復旧とあわせまして河川のほうは改修費を入れまして合併施工いたしたいと、こういうふうに考えておりますが、さらに、現在道路局と協議を進めておりますが、でき得れば道路のほうも乗って幅を広げないかということで進めております。そういう協議もいたしておりますので、できる限りそういう方向に持っていって、地元の要望にマッチするようにいたしたい、こういうように考えます。
○原田立君 では建設省けっこうです。 農林省来ていますか。
○委員長(内藤誉三郎君) 来ています。
○原田立君 きのうも資料要求しておいたけれども、シラス対策ですね、特殊土壌、これについて資料できましたか、農林省。
○説明員(佐藤松男君) ただいま私どものほうの研究室で実施しているものを申し上げます。 これは九州農業試験場の畑作部がこのいわゆるシラスの問題を取り上げております。それから同時に、ここは研究室がありますが、土壌・肥料の研究室を中心にして、そのほか作付体系でありますとか、そういう三つほどの研究室がやっております。それからなお、県の中では、鹿児島県の農業試験場、それと蚕業試験場、茶業試験場というようなところでこういう研究を実施しております。なお、耕作法等について一部鹿児島大学のほうに委託をしております。 以上でございます。
○原田立君 鹿児島県の今度のシラス災害ですね、たいへんなものでした。午前中に私が行ったときにある地点にまで行けたのが、午後衆議院の災害対策特別委員会が行ったときにはそこはもう行けなかった、土砂がくずれているから。それで、シラス対策についてきのう聞いたところによると、第一次、第二次、第三次にわたってたいへん多額の金が出ているようだが、このシラス対策についてもっと力を入れて技術研究、調査等をしなければいけないのじゃないか、かように思うのです。きのう建設省の河川局長に、一体そういう調査、研究委託費等を幾らやっているのだと言ったら、鹿児島大学に年間十五万円である、こういうような話があった。河川局長にそれは少ないのか多いのかどっちだと聞いたら、個人的な見解だけれども少ないと思う、こういう話だった。少ないにきまっています、そういう話は。で、ああいう鹿児島県及び宮崎県でシラス地帯がたいへん多いし、今回も死亡者が出た大半がシラスのがけくずれによってそれでなくなられている、とうとい人命が失なわれているわけです。だから、私はここでお聞きしたいと思うのは、このシラス対策について調査、研究及び技術的研究等が現在十分なされていると思うが、一体どの程度の陣容を整えてやられているのか、それをはっきりお聞きしたい。
○説明員(佐藤松男君) 技術会議としては、昭和三十三年から三十四年にかけて、九州農業試験場が中心になり、いわゆる南九州災害に際し、営農方式についての調査、研究を第一回に実施いたしました。続いてその後も実施をいたしたわけであります。そういう中から、いわゆる試験研究の問題等が出てまいりました。そういうことで、いわゆるエロージョンの問題というような形の研究、それからそういう問題をどう防止していくかという、さらに工法の問題としては、シラスとコンクリートというのはなじみがたいようでございますが、そこらをどう取り扱っていくかという問題、さらにそのシラスというようなものについて、その生産力を増強する方法、あるいは草を植えるとか、あるいは茶園でありますとか桑園をどうつくるかというような、傾斜地のそういうもの、そういうような形についてはその当時から研究を鋭意進めておりまして、結果については逐次これを行政部局のほうにつなげて、それが具体的な事業となるように反映していただくように努力しております。
○原田立君 それでね、そういうふうにやっておるなら、今度のようにシラス地帯のがけくずれによって死亡者が出ないはずです。出ているのですよ、現実に。ということは、まだ調査、研究が不十分である、こういうことではないかと思います。あるいはまたあなたのほうで、こういうがけくずれ等を防止し、人命の死傷などないようにするには一体どういうふうにするのか、調査、研究が進んでおりますか。——それを聞く前に、いま実際問題として調査、研究に従事しておる人員は何人なのか、予算はどれだけ使ってやっておるのか、これをはっきりしてもらいたい。それだけお答えを聞けばけっこうですから。
○説明員(佐藤松男君) いわゆる九州農業試験場の畑作部は研究者が約三十名、それから鹿児島県の試験研究機関のほうは約六十名でございます。金額については、これはいわゆる人頭研究費、それから一部そのほかの経費が入っておりますが、もう少しよく調べます。
○原田立君 これで終わりにしますけれども、きのう建設省のほう、河川局長の話では、鹿児島大学に委嘱しているけれども、年間十五万円だという話をしてました。こんなばかな話があるかというところで話は終わりにしてきたんだが、どうか、こういうふうに死亡者が多数出ていることにかんがみて、鹿児島県、宮崎県は、もうああいうシラス地帯どうしようもないのですから、それに対してもっと調査、研究が進められるように上司に言ってもらいたい、強く言ってもらいたい。これは農林省のほうと、それから経企庁——みんな経企庁でまとめているわけでしょう。その御返事をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○説明員(島村忠男君) お答えいたします。 企画庁で特上法に基づきまして取りまとめておりますのは事業費そのものでございまして、五ヵ年計画のそれぞれ事業費を取りまとめてやっております。で、ただいまの御質問の調査費のほうでございますが、これはもうそれぞれ事業と直結していく経費でございますので、これはもうそれぞれ各省で研究費をつけていただく、御勉強いただくというふうな制度になっております。念のため申し上げますが、企画庁自身は、初めに区域を指定いたします場合に調査いたさなければなりませんので、そのときにはそれぞれ専門家に委嘱いたしまして調査費をつけておりますけれども、指定の済んだ後の事業のための調査費はすべて各省でやっていただいておる、こういうわけでございます。
○原田立君 農林省。
○説明員(桜井芳水君) 私のほうは、同じ農林省でも、実はただいま先生おっしゃいましたシラス対策事業を、農地を主体といたしまして、農地保全の立場で実施しておる課でございます。したがいまして、農業試験場もございますし、ただいまのような試験機関のほうからもらったいろんなデータをもとにいたしまして、計画段階で、実施する前に、一応全体実施設計ということで、もう一度一年かかって計画をきめてやっております。シラス対策事業は農地保全の一環といたしまして宮崎と鹿児島だけでやっている事業でございますので、主体は農地保全ではございますけれども、やはりがけくずれの防止等をその内容としておりますので、今後とも技術的な内容もさらに詰めて、実施の万全を期していきたいと思っております。
○委員長(内藤誉三郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時四分散会